1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
輸出組合法中改正法律案（政府提出）
重要輸出品工業組合法中改正法律案（政府提出）
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會議
昭和六年三月五日（木曜日）午前十時四十九分開議
出席委員左の如し
委員長 井上剛一君
理事 手代木隆吉君
理事 岸田正記君
定塚門次郎君 中亥歳男君
飯塚春太郎君 瀬川嘉助君
堀切善兵衞君 上田孝吉君
出席國務大臣左の如し
商工大臣 俵孫一君
出席政府委員左の如し
商工政務次官 横山勝太郎君
商工參與官 野田文一郎君
商工省工務局長 吉野信次君
商工省貿易局長 立石信郎君
本日の會議に上りたる議案左の如し
輸出組合法中改正法律案（政府提出）
重要輸出品工業組合法中改正法律案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=0
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001・井上剛一
○井上委員長 是ヨリ開會致シマス、
前會ニ引續キマシテ質疑ヲ許シマス-
-中君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=1
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002・中亥歳男
○中委員 私ハ第一ニ第三條ノ檢査取
締ノコトニ付テ少シ伺ヒタイ、第三條
ニハ工業組合モ、輸出組合モ兩法案ト
モ檢査取締ノ規定ガ置カレテ居ルノデ
アリマスガ、此三條ノ檢査取締規定ト、
重要輸出品ノ取締規則トノ關係ニ付
テ御伺シタイト思フ、重要輸出品ノ取
締規則ニハ商工大臣ノ認メマシタ、標
準ノ檢査ニ合格シタルモノニ非ザレ
バ輸出ヲ爲スコトヲ得ズト云フコトガ
規定サレテ居ルノデアリマス、同時ニ
取締ノ取扱方針ニ對シテ其檢査ノ主體
ヲ工業組合ノ檢査ニ置イテ、輸出組合
ノ方ハソレト同一ノ檢査ヲ爲スコトガ
出來ナイト云フ取締方針ノ決定ガアル
ヤウニ存ジテ居ルノデアリマス、此工
業組合ノ檢査ナルモノト輸出組合ノ檢
査ナルモノハ聊カ其趣ヲ異ニ致シテ居
ルデアラウト思フノデアリマスガ、私
共ノ考ニ依リマスト工業組合ノ檢査ナ
ルモノハ其目的ハ申ス迄モナク粗製
濫造ヲ防ギ、製品ノ統一ニアルダラウ
ト思フノデアリマス、輸出組合ノ檢査
ナルモノハ固ヨリ粗製濫造ト云フヤウ
ナ方面ノ品質ノ檢査モアリマスケレド
モマダ其以上ニ主ナル使命ハ、御承
知ノ通リ輸出ヲ致シマス場合ハ大抵ノ
品目ニ於キマシテ一等品トカ、二等品
トカ、或ハ三等品トカ云フヤウナ、所
謂品位ノ檢査ヲ致シテ積出ヲ致スノガ
例デアリマス、サウシテ一等ト二等ト
云フヤウナ品質ノ檢査ニ依ッテ、價格
ニ於キマシテモ此等差アルガ爲ニ、
割乃至二割ト云フ値段ノ開キガ起ッテ
來ル、其處ニ商工大臣ノ常ニ御心配ニ
ナッテ居ル所謂不當競爭、不當廉賣ト
云フヤウナ弊ガ起ル原因ガアルト思フ
ノデアリマス、デアルカラ輸出檢査ニ
於キマシテハドウシテモ所謂格付ト云
ヒマスカ、是ガ非常ナ輸出檢査ノ使命
デアルト、私共考ヘテ居リマス、隨テ
工業組合ノ檢査ト輸出組合ノ檢査トハ
其處ニ非常ナ使命ノ違ッタ點ガアルノ
デアリマス、ソコデ今日迄ハ商工大臣
ノ認メタ標準ノ檢査ニ合格シタモノニ
アラザレバ輸出ヲ爲スコトヲ得ズト云
フ、其檢査ノ主體ハ工業組合ニ今日迄
ハ置カレテ居ルノデアリマス、此點ニ
聊カ私共ハ矛盾ガアリハシナイカト思
フ、矛盾ト申スト語弊ガアルカモ知レ
マセヌガ、ドウシテモ檢査ヲ致スト云
フコト自體ガ、ヤハリ工業組合トシテ
ハ工業組合ノ所謂製品ナルモノガ、
二ノ製造家ガ粗製ヲ致ス爲ニ全體ノ組
合員ニ非常ナ損害ヲ及ボスノデ、自己
ノ利益ヲ擁護スル意味ニ於テ、工業組
合ハ其工業組合ノ製品ナルモノガ必ズ
正シイ品デナケレバナラヌト云フコ
トヲ本位トシテヤッテ居ルノデアリマ
スガ、輸出ノ格付檢査ヲ致スト云フヤ
ウナ檢査迄モ、工業組合ニ其主體ヲ置
クト云フコトハ、甚ダ其處ニ私ハ矛盾
ガアリハシナイカト思フ、今迄ハ首腦
部ト致シマシテモ今囘工業組合法ヲ改
正サレマシテ、輸出品ニ限ラズ、有ユ
ル工業生產品ガ此組合ニ網羅サレルコ
トニナリマスト、寧ロ此改正案ガ通過
致シマスレバ、此改正ト同時ニ檢査ノ
取締方針ニ對シテモ、當然變ヘナケレ
バナラヌモノト、私ハ信ズルノデアリ
マスガ、恐ラク此點ニ付テハ商工當局
ニ於カレマシテモ御考慮ニ置カレテア
ルト信ズルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=2
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003・俵孫一
○俵國務大臣 只今御話ノ如ク檢査ニ
付キマシ工業側ノ立場カラ檢査ヲ致シ
マス檢査ト、商業側ノ立場カラノ檢査
トハ自カラ趣ガ違ヒマス、而シテ重要
輸出品ニ付テハ只今御引用ノ如ク、商
工省令ヲ以テ商工大臣ノ定メル檢査標
準ニ合格シタモノデナケレバ輸出ヲ許
サヌ、是ニハ制裁ガアリマス、此商工
大臣ノ決定ヲシタ檢査標準ニ依ッテ檢
査ヲスルコトヲ、工業組合デヤルカ、
輸出組合デヤルカト云フコトニ御尋ノ
點ガアルノデアリマス、是ニハ只今申
シマス如ク、工業側ノ立場ト、輸出側
ノ立場ト、此兩者ハ趣ガ違フダケニ、
標準ハ同ジデアッテモ見方ガ違フト云
フコトヲ免レマセヌ、ソレ故ニ是ハ現
時モ問題ヲ惹起シテ居ルヤウデアリマ
スカラ、之ニ付テハ能ク取調ベテ、其
間ニ双方ノ利害ノ衝突ヲ調和シタイト
思ッテ居リマス、然ラバ只今輸出組合
ニ檢査ヲ委セルカ、工業組合デ檢査ス
ルコトニスルカト云フコトニ付テ、ド
ッチニスルカト云フコトハハッキリ申上
ゲルコトハ出來マセヌガ、當然是ハ商
工大臣ノ定メタ標準ニ依ッテ檢査ヲス
ルコトヲ、商人側デヤルカ、工業側デ
ヤルカ、斯ウ云フ問題デアリマスカラ、
要ハ此兩者ノ調節ヲシテ、双方ノ意見
ノ立ツヤウニ、双方ノ意見ガ共ニ行ハ
レルヤウニナラナケレバ出來ナイノ
デアリマスカラ、是ハ何トカ其點ニ付
テ能ク調和ヲスルヤウニシタイト考
ヘマス、具體的ノ方法トシテドウスル
カ是ハ一寸此處デ申上ゲラレマセヌ
ケレドモ場合ニ依ッテハ兩者ノ聯合
ノ組合デモ設ケテ、兩方ノ技師ガ其一
ツノ檢査ニ織込マレルヤウナ方法モ一
ツノ方法カモ知レマセヌ、篤ト是ハ〓
究スルコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=3
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004・中亥歳男
○中委員 大體商工大臣ノ御答辯ヲ得
マシテ分リマシタガ、只今モ申上ゲマ
シタヤウニ、取締ノ規定ニハ工業組合
ノ爲ス所ノ檢査ヨリ高級ナ檢査ヲ假ニ
輸出組合ガ爲サナケレバナラヌ場合
ニハ只今商工大臣ノ仰セラレタヤウ
ナ意味ノ輸出組合ト工業組合トカラ委
員ヲ出シテ、其委員ノ合意ニ依ッテ檢
査方針其他ヲ決定スルト云フヤウナコ
トヲ規定サレテ居ルノデアリマスガ、
此檢査ニ付キマシテハ實際ニ吾々其業
ニ携ッテ居ル者カラ申シマスト、檢査
ト云フコトハ洵ニ必要ナモノデアリマ
スト同時ニ、其半面ニ於キマシテハ檢
査ト云フコトハ餘程檢査當局ガ機敏ニ
オヤリヲ願ハヌト、檢査ヲヤルト云フ
コトノ爲ニ時間ヲ取リマシテ、サウシ
テ日限ノアル輸出品ガ其檢査ノ遲滯ス
ル爲ニ一船遲レルト云フヤウナ、非常
ニ檢査ト云フモノヽ爲ニ當業者ガ迷惑
ヲ蒙ルト云フ實例ガ澤山アルノデアリ
マス、ソレデアリマスカラ各生產地ニ
跨ッテ居リマス所ノ個々ノ工業組合、
或ハ是等ヲ統一シタ聯合會ト、多ク輸
出港ニ在リマス輸出組合トガ委員ヲ出
シテ、サウシテソレガ協定ヲシテ檢査
ヲスルト云フヤウナコトハ机上論ト
シテハ立ツノデアリマスケレドモ、實
際其業ニ卽シタ方面カラ見マスト、是
ハ非常ニ當業者ニ迷惑ヲ與ヘルノデア
テノ、斯ウ云フヤウナコトハ其商品ノ
狀態ニモ依リマスケレドモ、全體ヲ通
ジテ考ヘマスト、是ハ餘程御考ヘヲ願
ハナケレバナラヌ問題デアラウト思
フノデアリマス、ソコデ工業組合ノ規
定ニ昭和三年ノ七月ニ此取扱方針ヲ御
定メニナッテ居ルノデアリマスガ、斯
ウ云フ工業組合ニ主體ヲ委ス、若シ輸
出組合デ檢査スルトナラバ輸出組合個
個デ爲サズ、共同組合デモ設ケナケレ
バナラヌト云フヤウナ取締方針ヲ昭和
三年七月ニ決メラレマシタニ付キマシ
テハ、何カ吾々ノ今日マデ會得シテ居
ナイ以外ニ特別ナ理由デモアリマシタ
ノデアリマスカ、商工大臣ノ大體ノ御
意思ハ只今能ク分リマシタガ、是ハ其
當時ノ事情等ヲ能ク御承知ニナッテ居
ル工務局長カーラデモ結構デアリマス
ガ、サウ云フ取締方針ヲ定メマシタ時
ノ沿革ト申シマスカ、ソレヲ一ツ御話
ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=4
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005・吉野信次
○吉野政府委員 御答致シマスガ、檢
査ニ付テノ行政ノ方針ヲ昭和三年ニ定
メマシタノハ御尋ノ通リデアリマシ
テ、ソレヲ實ハ定メマシタ時ノ心持ハ
同一ノ檢査ト云フモノヲ二ツノ組合デ
ヤリマスト、其間ニ同ジ標準デゴザイ
マシテモ、檢査スル人ニ依ッテ心持
ガ違ッタリ何カ致シマシテ、品質ノ統
一ヲ損フト云フ虞ガアッテハ困ルカラ、
成ベクナラバドッチカノ一ツノ方ノ檢
査ニシタイ、斯ウ云フ心持ガゴザイマ
シタモノデスカラ、先ヅ生產者ノ方ノ
檢査ト云フモノニ大體重キヲ置クト云
フコトニ其當時ハ決メマシタ、併シ今
御話ノ通リ輸出ヲスル方カラ言ヘバ
生產者トハ又違ッタ目安ガアルモノデ
スカラ、違ッタ目安デ輸出組合ト云フ
ヤウナモノガ檢査ヲシタイト云フ時
二、ソレヲヤラセナイト云フコトモ實
ハドウカト思ヒマスノデ、法律デモ御
承知ノ通リ、輸出組合ニ於テモヤハリ
檢査ヲ爲シ得ルト云フコトニナッテ居
リマス、併シ唯ソレヲ廣ク輸出組合モ
同樣ニヤッテモ宜シイト云フコトニナ
リマスト、違ッタ檢査ト云フコトヲ口
實ト致シマシテ、同一ノ檢査ヲ二ツノ
組合デヤリマシテ、其間ノ品質ノ統一
ト云フモノヲ損フヤウナ事ガアッテハ
困リマスノデ、一ツノ組合卽チ工業組
合ノ方ノ檢査ト云フモノニ集中致シマ
シテ、サウシテ又輸出商ノ側ノ希望デ
更ニ高級ナル檢査ヲヤル時ニモ、工業
組合ノ方デヤッタ其時ニハ兩方ノ委員
デヤル、斯ウ云フ仕組デ一應取極メマ
シタケレドモ、今御尋ノ通リニ將來
ノ問題トシテハ、昭和三年ノ取扱ガ宜
イカ、惡イカト云フコトハ十分ニ考慮
シナケレバナリマセヌ、今囘ノ改正法
ニ伴ッテ、ヤハリ御尋ノ御精神ニ依ッテ
檢査ノ方ノ問題モ十分取扱ヤ何カモ
考ヘナケレバナラヌト考ヘテ居ル次第
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=5
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006・中亥歳男
○中委員 モウ一言檢査ノコトニ付テ
申上ゲテ置キタイト思ヒマス、先刻モ
申上ゲマシタヤウニ、今日ノ輸出貿易
ノ不振ノ原因ト致シマシテハ種々ア
リマスルケレドモ、多クノ輸出品ガ海
外ニ參リマシテ、非常ニ値段ノ安定ヲ
缺クコトデアリマス、例ヘバ今日積出
ヲ致シタ品物ガマダ輸出國ニ著カヌ中
ニ二割モ三割モ安イヤウナ電報ヲ日本
ノ輸出業者カラ打ツ、サウ云フヤウナ
コトノ爲ニ、外商ハ非常ナ損害ヲ招ク、
今日ノ輸出品ハ原價ガ高クテ賣レナイ
ト云フヨリハ寧ロ値段ノ安定ヲ缺イ
テ居ルト云フ爲ニ、安心ヲシテ日本ノ
品物ヲ買入レルコトノ出來ナイト云フ
コトガ、一層强イ原因ニナッテ居ルヤ
ウニ私ハ思フノデアリマス、是ハ當局
モ恐ラクハ御同感デアラウト思フノデ
アリマス、ソコデ只今申上ゲマシタヤ
ウナ、一等品ト二等品ト云フモノニ一
割乃至二割ノ値段ノ間ガアルノデアリ
マスカラ、其間サヘナケレバ、例ヘバ
此品物ハ一圓ナラ一圓デ賣ラナケレバ
ナラヌ、一圓以下デ外國ニ賣ッテハ損
ガ行クト云フヤウナモノヲ、一圓以下
デ外國ニドン〓〓賣ル、其原因ハ何處
ニアルカト云ヘバ一圓デ賣ラナケレ
バナラヌ品物ヲ九十五錢デ賣ッテ、今
度積出ヲスル時ニ、格付檢査ニ於テ二
等品ヲ一等品ノ中ニ半分混合シテ賣出
ス、斯ウ云フヤウナコトニ依ッテ一圓
ノ價格ノ物ヲ九十五錢デ賣ッテ、サウ
シテ積出ヲスルト云フヤウナ不正ナ手
段ヲ執ル爲ニ、値段ト云フモノガ一圓
ヲ維持シテ居フタモノガ九十五錢ニナッ
テシマフ、サウ云フヤウナコトガ輸出
業者ノ不當ナル競爭ヲ致ス原因トナツ
テ居ルノデアリマスカラ、輸出組合ト
致シマシテハ、此三條ノ檢査取締ト云
フモノハ此法案ノ中ノ最モ大切ナ部分
デアラウト私ハ思フノデアリマス、今
工務局長ノ御話ヲ聽キマスト、工業組
合ニ檢査ノ主體ヲ委ネタト云フコトノ
理由モ、大シタ理由モナイヤウニ伺ヒ
マスガ、只今申上ゲマスヤウナ次第デ、
是非將來ハ輸出ノ檢査ト云フモノニ對
シテ十分ノ御考慮ヲ願フト同時ニ、ド
ウシテモ輸出業者ノ手ニ、輸出ニ關ス
ル限リノ檢査ハ其權能ヲ與ヘナイト、
輸出組合員ノ自負心ヲ滿タス上カラ云
ウテモイケナイ、今日マデ輸出組合ガ、
大正十四年ニ此法案ガ出來テ以來割合
多ク生レマセヌ原因モ、確ニ此一事ニ
アルヤウニ思フノデアリマス、只今ノ
工務局長ノ御話ヲ聽キマスト、少シ今
日マデ工業組合ニ萬事ノ主體ヲ置キ過
ギテ居ル嫌ガアルノデハナイカ、昨日
ノ第九條ニ對スル工務局長ノ御沿革ノ
御說明ヲ伺ッテ居リマシテモ、工業組
合ニ餘リニ主體ヲ置キ過ギタヤウナ嫌
ガアルノデアリマス、併シ商工大臣ノ
御答辯ナリ工務局長ノ御答辯ヲ聽キマ
シテ、吾々ノ考ヘテ居リマス事ニ對シ
テ此際十分御考慮下サルト云フコトデ
アリマスカラ、檢査ノ點ニ付テノ質問
ハ是位ニ止メタイト思ヒマス
モウ一ツ伺ヒタイノハ第三條ノ事業
デアリマスガ、兩法案共今度ノ改正ノ
主ナル點ハ金融ノ改善ト云フコトニア
ルヤウデアリマス、是モ洵ニ時宜ヲ得
タ改正案デアルト、私ハ衷心改正案ニ
對シテハ贊意ヲ表シテ居ルノデアリマ
スガ、今日マデノ此工業組合ノ低利資
金トカ、或ハ補助トカ云フヤウナモノ
ノ成績ヲ拜見致シマスト、工業組合ニ
對シテ餘程當局ガ御努力ナサッテ居ル
ニモ拘ラズ、割合ニ工業組合ナルモノ
ガ發達致シテ居リマセヌ、例ヘバ組合
モ相當アルケレドモ、極ク少數ノ組合
ガ大部分デアリマス、殊ニ低利資金ノ
如キハ、非常ニ其組合ノ借入レテ居リ
マスル額ガ少イ、成績ガ甚ダ惡イコト
ハ、今日ノ經濟界ノ資金ガ偏在ヲ致シ
テ、サウシテ中小商工業者ト云フ者ノ
資金難ト云フモノガ實ニ想像以外デア
リマス、全ク機械ニ油ノ拔ケタヤウナ
今日狀態デアルノデアリマスカラ、私
共考ヘマスルト云フト、今日產業ヲ振
興シテ、此行詰ッタ經濟界ヲ復活致シ
マスル唯一ノ道ト云ヘバ中小商工業者
ノ金融難ヲ助ケルト云フコトガ實ニ
唯一ノ方法デアル、私ハ此以外ニ方法
ハナイト考ヘテ居リマス、此點カラ考
ヘマスト云フト、此兩法案ノ改正ノ要
點ハ洵ニ結構デアリマスルガ、併シ今
日マデノ成績ニ考ヘマスルト云フト、
ドウモソレ程資金モ涸渴シテ居ル中小
商工業者、而モ工業組合ニ對シテ政府
ニ相當ノ御努力ヲ願ヲテ低利資金モ其
融通ノ途ガ開カレテ居ルニモ拘ラズ結
果ヲ拜見スルト云フト甚ダシク結果ガ
振ハヌ、此點ハ何レニ其根源ガアルカ
ト云フコトニ對シテ、當局ガ十分ニ御
考慮下サレテ、此根源ヲ極メマセヌ以
上ハ今囘ノ改正案ノ如キモ洵ニ結構
ナ改正デハアリマスケレドモ、其目的
ヲ達スルコトガ、或ハ不可能ナル結果
ニ陷リハセヌカト云フコトヲ憂慮致ス
ノデアリマス
〔委員長退席、岸田理事著席〕
此點ニ對シテ當局ノ御意思ヲ承リタイ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=6
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007・俵孫一
○俵國務大臣 今マデノ貸付ガ思フヤ
ウニ工業組合ニ金融ノ便ヲ與ヘ得ナカ
ッタト云フ點ハ、詰リ其役員ノ連帶保
證、斯ウ云フ點ニ於テアルヤウニ思ハ
レマス、此點ニ付テ多少ノ緩和ヲシナ
ケレバイカヌト云フコトハ是ハ工業
組合ダケデハゴザイマセヌ、產業組合
ニ付テモ頻ニ協議ヲ致シテ居リマスル
ガマダ其連帶保證ト云フ點ニ付テノ
條件ノ緩和ヲスルト云フコトニ至ッテ
居ラナイノデアリマス、ソコデ今囘ハ
更ニ組合ソレ自體ノ信用ヲ增加シマス
ル爲ニ、或ル限度ノ責任保證ヲ付ケル
ト云フコトヲ致スト云フコトヽ組合
員ノ貯金ヲ受入レル、斯ウ云フコトニ
スルト云フコトヽ是等ノ方法ヲ以テ
組合自體ノ信用ヲモット高メテサウシ
テ他カラノ融通ヲ付ケルト云フコトニ
シナケレバナラヌト思フノデアリマ
ス、現在ノ役員保證ト云フコトガ、御話
ノ如ク金融貸付ノ障害デアルト云フコ
トハ萬々承知致シテ居リマスルケレド
モ是ハ間ニ立ッテ保證ノ位置ニ立ツ
ベキ產業組合又ハ普通ノ銀行、特殊銀
行、斯ウ云フモノガ工業組合ノ信用ヲ
其處マデ見マセヌガ爲ニ、サウ云フム
ヅカシキ條件ヲ附スルト言ッタ如キコ
トモ、是モ無理カラヌ點モアリマスル
ガ政府ハ此條件ヲ緩和スルガ爲ニ、
今申シタ如ク今マデモ心配シテ參リマ
シタガ、未ダ實現ニ至ラヌコトヲ甚ダ
遺憾トシマス、卽チ組合ハ今申シマス
ヤウニ組合自體ノ「クレヂット」ヲ高メ
ルサウシテモット金融ヲ便ナラシム
ルト云フコトニ向ッテ進メタイト考ヘ
ルノデ、此改正案モヤハリ其事柄ヲ含
ンデ居ルノデゴザイマス、將來ニ於テ
ハ出來ルダケ工業組合ヲ經濟的團體ト
シテ其機能ヲ發揮スルヤウナ具合ニ致
シタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=7
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008・中亥歳男
○中委員 ドウカ輸出組合モ、工業組
合モ、今囘ノ此改正ノ要點デアル所ノ
金融ノ改善ト云フコトニ付キマシテ、
今少シ徹底ヲ致シマスヤウニ商工大臣
ノ十分御配慮ヲ願ヒタイト云フコトヲ
申上ゲテ此質問ヲ打切リマス
ソレカラモウ一ツ一寸伺ヒタイノ
ハ第一條ノ同一種類ノ商品ヲ輸出ス
ルモノ、或ハ又同一市場ヲ目的トスル
モノヲ以テ此輸出組合ヲ
〔岸田理事退席、定塚委員著席〕
組織スルノデアリマスルガ、假ニ自分
自ラノ手デ輸出ヲ致シマセヌデ、例へ
テ申シマスルナラバ、他人ノ名儀ニ依ツ
テ輸出ヲヤッテ居ル、併ナガラ其實體
ハ自分ガ其輸出ノ商品ヲ扱ッテ居ル、
輸出ヲヤッテ居ルノト同ジ立場ニアリ
マスモノハ輸出組合ニ加入致シマスコ
トハ差支ナイト云フ當局ノ御考デアリ
マスカドウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=8
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009・立石信郎
○立石政府委員 輸出組合デハ同一種
類ノ重要輸出ヲ業トスル、又同一市場
ヲ目的トシテ商品ノ輸出ヲ業トスルモ
ノト云フコトニナッテ居リマス、故ニヤ
ハリ實際ニ業ヲシテ居ル者ニアラズン
バ此組合ニ入ル資格ガナイ、斯ウ云フ
風ニ諒解シテ居リマス
〔定塚委員退席、委員長復席〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=9
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010・中亥歳男
○中委員 一寸具體的ニ申上ゲタラ能
ク分ルト思ヒマス、例ヘバ此法案ニア
リマスヤウニ假ニ輸出組合ガ新ニ興ル
ト假定致シマシテ、輸出組合ガ生レマ
ス爲ニ、例ヘバ此組合ナルモノニ自己
ノ商品ヲ託シテ、此規定ニアリマスル
ヤウニ所謂組合ニ委託販賣ヲナス、其
場合ニ先刻申上ゲマシタヤウニ個々ニ
ヤリマスト云フト檢査手數料ナント
云フモノガ非常ナ多額ニナル、或ハ此
組合ノ檢査ヲ致シマシテモ、輸出業者
ハ個々ニ又一ツノ倉庫ヲ構ヘテ各々檢
査ヲヤッテ居ル、其爲ニ經費ノ負擔ガ
多イノデアリマス、ソレカラ或ル組合
ノ如キハ今度輸出組合ヲ改正スレバ、
寧ロ組合員ハ擧ッテ個々別々ニ自己ノ
倉庫デ檢査ヲスルトカ何トカ云フコト
ヲヤメテ、時代ニ適應シタ施設ヲヤツ
テ、寧ロ同業組合員ハ、-其輸出組
合員ハ全部組合ノ手カラ輸出スルヨウ
ヂヤナイカ、サウシテ輸出ニ對スル經
費ヲ省カウト云フヤウナ議ガ起ヲテ來
ル、サウ云フ點カラ行キマスト、茲
一ツノ輸出組合ガアリマシテ、其組合
ガ品物ヲ輸出ヲ致シマスル、其輸出ヲ
自ラ直接ニヤラズシテ輸出組合ノ手ヲ
經テ輸出ヲヤル、斯ウ云フコトニナル、
今日マデ何某商店トシテ輸出シテ居。ツ
タガ、何某商店-組合商品トシテ輸
出シテ貰ヘバ、其輸出ハ誰ニ依ッテヤ
ルカ、所謂輸出組合ガヤルノカ、斯ウ
云フ場合ヲ御尋シテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=10
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011・立石信郎
○立石政府委員 只今ノ御質問ノ趣旨
ハ、此第三條ノ改正ニ依リマシテモ現
レテ居リマスルヤウニ、委託輸出ト云
フヤウナコトハ將來相當奬勵シテ行キ
タイト思ッテ居リマス、故ニ委託輸出
シタ組合員ガ其組合員ノ資格ガナクナ
ルト云フコトハ考ヘテ居リマセヌ、委
託輸出シタ場合ニヤハリ委託者ガ同時
ニ輸出者デアルト云フ見解ノ下ニ考ヘ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=11
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012・中亥歳男
○中委員 多分サウデアラウト考ヘマ
シタガ、念ノ爲ニ伺ッタノデス、私ノ質
問ハ一先ヅ是デ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=12
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013・岸田正記
○岸田委員 私ハ前囘ノ委員會ニ於テ
ノ吉野政府委員ト横山次官トノ御意見
ニ於テ、第九條ニ關スル解釋ニ付テ少
シ矛盾相違ガアルヤウニ考ヘテ居リマ
ス、此點ニ付テハ、旣ニ上田君ガ相當
深ク御質問ニナッテ居リマスカラ、私
ハ多クハ申シマセヌガ、此九條ヲ認ム
ルコトニ依ッテ、重要物產同業組合ガ
脅威ヲ受ケル、其存立ノ基礎ニ於テ非
常ナル動搖ヲ來スモノデアルト云フコ
トハ、政府委員竝ニ次官ニ於テモ明カ
ニ事實ニ於テ認メラレタヤウニ思フノ
デアリマス、併シ此事ハ同業組合ノ存
立ガ果シテ如何ナル價値ガアルモノデ
アルカ、又將來ニ於テ其存立ヲ認ムル
必要ガナイ程度マデニ今日ノ同業組合
ノ機能ガ失墜サレテ居ルモノデアル
カ、是等ニ付テノハッキリシタ見解ガ
決ッテ居ラナイト、最後ノ吾々ノ確信ガ
出來ナイト思ヒマスガ、商工大臣ハ此
點ニ付テ重要物產同業組合ノ現在ノ機
能カラ見テ、將來ニ對シテ之ヲ十分ニ
保護指導シテ行クベキデアルカ、發展
セシムベキデアルカ、此點ニ付テ如何
ナル御考ヲ持ッテ居ラレマスカ、此點
ニ付テ一應大臣ノ御意見ヲ承ッテ置キ
タイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=13
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014・俵孫一
○俵國務大臣 同業組合ト工業組合ト
ノ關係ニ付テ只今御尋デアリマスガ、
橫山政務次官ト、吉野工務局長トノ間
ニドウ云フヤウナ喰違ガアルカト云フ
コトノ御話デアリマシタガ、是ハ實ハ
上田君ニ對シテ、橫山政務次官ヨリ御
答スル手筈ニナッテ居リマシタノデア
リマシテ、私ガ承ル所ニ依リマスト、
橫山君ト吉野君ノ間ニ左程ノ行違、
喰違ガアルヤウニハ聽取レマセナカツ
タノデアリマス、併ナガラ是ハ私出席
シテ居ラヌノデアリマスカラ、或ハ吉
野君ナリ、橫山君ナリカラ、尙ホ其邊
ノ詳細ノ說明ヲ申上ゲタ方ガ宜イト思
ヒマス
只今御尋ノ同業組合ヲ商工大臣ハ如
何ニ見テ居ルカ、是ハ如何ナル答辯ガ
アッタカハ知リマセヌケレドモ、自分
ノ考デハ工業組合ノ條項ニ、現行法ニ
於テモ工業組合員タル者ハ同業組合ヲ
脫退シテ宜シイ、又加入セヌデモ宜シ
イ斯ウ云フ條文ガアル所以ノモノハ
共業者ヲシテドチラノ組合員ニナラウ
トモ、業者ノ任意行爲ニサセルト云フ
コトガ此法ノ精神デアリマシテ、兩方
ニ這入ラナケレバナラヌト云フコトニ
スルノハ業者ノ不便トスル所デアル
ト云フコトニ鑑ミマシテ、其何レニ依
ルカト云フコトニ付テハ、其業者ノ任
意ニスル、御承知ノ通リ同業組合ハ强
制的ニ加入スルコトヲ强ヒテ居リマス
ガ、工業組合ハ任意デアリマス、デア
ルカラ同業組合ニ居ル考ナラバ工業組
合ニ這入ル必要ハナシ、又工業組合ニ
這入ッテ工業組合ノ便宜ヲ得タイト思
フ者ハ、同業組合ニ居ラナイデモ宜シ
イト云フコトニ致シマシテ、業者ノ便
宜ヲ圖ッタ、是ガ立法ノ趣旨デアリマ
ス
隨テ御案内ノ通リ同業組合法第一條
及ビ第二條ニ依ッテ、同業者ノ密接ノ關
係ヲ有スル業者、ソレガ詰リ同業組合
ヲ作ッテ而シテ何ヲスルカト云フナラ
バ、營業上ノ弊害ヲ矯正シテ共同ノ利
益ヲ增進スルト云フ、公益的ノ〓體デ
アルノデアリマス、ソレ故ニ其同業組
合ハ既往ニ於テモ其功績ガ現ハレテ居
リマスルシ、現在ニ於テモ相當公益的
ノ團體トシテ其實蹟ガアルノデアリマ
スカラ、之ヲ當局者ハ決シテ絕滅サセ
ヨウノ衰退ニ赴カサウノト云フヤウナ
考ハ毫モ持ッテ居リマセヌ、將來ニ於
テモ此同業組合ノ方ニ對シマシテハ大
ニ第一條第二條ノ期待スルガ如キ機能
ヲ十分發揮スルベク希望シテ居ル次第
デアリマス
或ハ御說ノ如ク脫退シテモ宜シイ、
加入スルコトヲ要シナイト云フヤウナ
コトガアルガ故ニ、皆悉ク任意ニナル
結果トシテ、工業組合ニ這入ル者ハ同
業組合ニ加入セヌト云フガ如キコトガ
アリハセヌカト云フ虞ヲ、同業組合ノ
諸君モ持ッテ居ラレルヤウデアリマス、
私モ其種ノ陳情ヲ聞キマス、ケレドモ
當局者ハ何モ同業組合員ニ對シテ之ヲ
衰運ニ向ハシメルヤウナ、之ヲ否認ス
ルヤウナ考ヲ毛頭持ッテ居リマセヌ、
同業組合ハ同業組合トシテ其機能ヲ發
揮セシムルコトニ致シタイ、唯業者ノ
便宜ノ爲ニ先刻申シマシタ如クドッチ
ニシテモ宜シイ、這入ッテ居テモ宜シ
イ、又同業組合ヲ脫退シテモ宜シイ、
斯ウ云フコトニ致シタコトハ一ニ業
者ノ便宜ヲ圖ッタモノデアル、斯ウ云フ
コトニ考ヘテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=14
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015・岸田正記
○岸田委員 只今ノ御答辯ハ二ツノ問
題ニ關聯シテ居ルヤウデアリマス、要
スルニ吉野政府委員ト橫山次官トノ答
辯ノ間ニ矛盾ガアリヤ否ヤト云フコト
ハ大臣トシテハ關知シテ居ラナイ事
デアルカラ、是ハ政府委員ノ答辯ニ委
スト云フ御意見、今一ツハ同業組合ニ
對シテハ將來ノ發展ヲ期待シ、之ヲ無
視スルモノデナイト云フ御答辯デアッ
タヤウニ承リマシタ
先ヅ第一ノ點デアリマスガ、前囘ノ
委員會ニ於ケル吉野政府委員ト橫山次
官ノ答辯ノ間ニ矛盾ガアッタヤウユ私
ガ感ジテ居ルト云フ點ニ付キマシテ
ハ、吉野政府委員ニソレデハ御伺致シ
マスガ、吉野政府委員ノ御意見デハ
要スルニ今日ノ同業組合ト云フモノハ
頗ル活動ガ不活潑デアル、消極的デア
ル、而シテ甚シキニ至ッテハ年ニ一囘
或ハ二囘宴ヲ張ッテ酒ヲ飮ンデ唯歡樂
ヲ共ニスルニ過ギナイヤウナ實例ガ多
多アル、斯ウ云フヤウナモノニ對シテ
多クノ期待ヲ掛ケルコトニハ行カヌカ
ラ、工業ニ關スル限リニ於テハ工業組
合ヲ組織シテ之ニ依ッテ業者ノ發展ヲ
期スルト云フヤウナ御考デアルヤウニ
承リマシタ、所ガ橫山次官ニ對シテ此
問題ヲ更ニ聽キマシタ所ガ、是ハ吉野
君ノ意見ハ唯本法案ヲ提出スルニ至ツ
タ所ノ沿革的ノ說明デアル、要スルニ
斯ウ云フ重大ナ法案ヲ提出スルニ付テ
ハ、政府部內ニ於テモ幾多ノ意見ガ出
テ來ル、隨テ只今吉野君ノ申サレタヤ
ウナ意見モ、政府部內ニ於テハ沿革的
ニハアツタ、之ヲ政府委員トシテ說明
シタニ過ギナイモノデアル、斯ウ云フ
ヤウニ私ハ承ッテ居リマス
此點ニ付テ政府委員ハ果シテ橫山次
官ガ申サレタヤウニ、唯法案モ提出ス
ルニ至ッタ-最後ノ決心ヲ爲スニ至
ルマデノ途中ニ於テ、唯政府部內ノ一
部ニ單ニ斯ノ如キ意見ガアッタト云フ
コトヲ說明サレタニ過ギナイノカ、或
ハ此問題ニ付テ、吉野政府委員自ラ抱
懷シテ居ル意見デアルカ、卽チ同業組
合ニ對シテハ、今日ノ活動ノ現狀カラ
推察シ、且又將來ノ嚮フベキ運命ヲ想
像スル時ニ於テ、殆ド工業ニ關スル限
リニ於テハ、多クヲ期待スルコトガ出
來ナイ、之ニ代リ十分ニ積極的ニ活動
ヲ爲サシムベク本法案ヲ提出スルニ至
ッタモノデアル、斯ウ云フ御意見デアル
カ、兩者何レデアルカ、政府委員カラ
此點ニ付テハッキリ御答辯ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=15
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016・吉野信次
○吉野政府委員 此前申上ゲマシタノ
ハ私ガハッキリト率直ニ立法當時ノ心
持ヲ申上ゲルト云フコトヲ前提ト致シ
マシテ、申上ゲタノデアリマシテ實
ハ同業組合ニ關シテ、成績不振ノモノ
モアルト云フコトヲ申上ゲマシタガ、
其例ニ引イタモノガ穩當ヲ缺イタヤウ
ナ點ガアルカモ知レマセヌガ、若シサ
ウ云フコトガアリマシタナラバ、其點
ハ謹ンデ取消シテモ宜シウゴザイマス
唯其當時ニ立法シマス時ノ實情ト致
シマシテ、隨分數アル同業組合ノ中デ
モ成績不振ノモノモ大分アッタ、ソレデ
何故工業組合ト云フモノヲ作ルニ至ツ
タカト云フコトハ、同業組合デ工業的
ノ仕事ト申シテ、工業ニ關シテヤル仕
事ノ主ナルモノハ御承知ノ通リ檢査デ
アリマス、其他ハ從業員ノ表彰デアル
トカ、展覽會トカ云フヤウナモノデ、
檢査ガ今日工業ニ關スル同業組合ノ主
ナル仕事トシテヤッテ居ル、所ガ同業
組合デ檢査ヲ致シマシテ、是ガ惡イ、
是ハ合格デアル、或ハ不合格デアル、
ト云フ決定ヲ同業組合ガ致シマスケレ
ドモ、能ク考ヘマスト、日本ノ中小工
業ト云フモノヽ現狀ニ於テハ、唯中小
工業者ノ生產致シマシタモノニ付テ、
合格ダ不合格ダト云フダケデハ足ラヌ
ノデアッテ、不合格ナラバ、更ニ一步進
ミマシテ、不合格デアル所ノ原因ニ溯
ッテ考ヘテ見マスルト、ドウモ生產設備
ト云フモノガ十分デナイ、ドウモサウ
云フコトニハ弊害ガゴザイマスモノデ
スカラ、ドウシテモ粗製濫造ト云フモ
ノヽ根本ヲ根絕スルニハ無論同業組
合ダケデ其目的ヲ達スル場合モアリマ
スケレドモ、或ハ更ニ進ンデ同業組合
ヲ組織シテ中小工業者ノ生產ノ組織ニ
這入ッテ改善ヲシナケレバイカーヌノデ
アル、斯ウ云フ考ヲ致シマス時ハド
ウシテモ同業者ノ間ニ共同ノ設備ヲ致
シマシテ-資力ガ固ヨリナイノデア
リマスカラ、小サイモノガ個々デ十分
生產ノ設備ヲ整ヘルト云フコトハ事實
出來マセヌ、ソコデ多數ノ同業者ガ集
3、共同ノ設備ヲシテ、ソレニ依ッテ
自分等ノ面目ノ改善ヲ圖リ、詰リ粗製
濫造ノ弊ヲ無クシ不合格品ガ無クス
ル、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居ル
所ガソレナラバ積極的ニ經濟施設ヲ
スルコトガ、今日ノ同業組合デ出來ル
カト言ヘバソレハ前囘申上ゲル通リ、
其方ハ同業組合ノ中ニ認メテ居リマセ
ヌガ、現在ノ同業組合ト云フモノデ檢
査ヲヤッテ居リ、又永年ノ歷史ヲ持ッテ
原ノ·相當ニ成績ヲ擧ゲテ居ルモノ
ガ多イト云フコトハ御說ノ通リデア
ル、唯其處ニ現在ノ法制デハ足リナイ
カラ、更ニサウ云フヤウナ意味デ、經
濟施設ヲ加ヘル方ガ便利デアルト云フ
意味デ、工業組合ト云フモノガ出來タ
ノデアリマス
唯其時ニ私ハ工務局ノ仕事ヲヤッテ
居リマスカラ、先程中サンカラ御注意
ガアリマシタヤウニ、兎角工業ニ偏シ
タヤウナコトヲ說明ヲ致シ勝デ恐縮
デゴザイマスガ、前囘申シタ通リ、
同業組合ノ中ニハ工業パカリデアリマ
セヌ、或ハ商業ノ組合モ色々ゴザイマ
ス、ソコデ工業組合法ヲ施行致シマシ
タケレドモ、實際ハ旣存ノ同業組合ニ
ハ影警ヲ與ヘナイヤウニ行政ノ方針ト
シテハ十分ニ注意シテ居リマス、卽チ
工業組合ノ設立ノ認可ヲ申請シマシタ
時ニハ、其書類ニ必ズ旣存ノ同業組合
ト如何ナル關係ニアルカト云フコトヲ
問ヒ質シテ居リマス、サウシテ其時ノ
說明ガ參リマスカラ、ソコデ此工業組
合ヲ許スカ許サヌカト云フコトニ付
テ、旣存ノ同業組合ニ如何ナル影響ヲ
與ヘルカ、旣存ノ同業組合ノ旣存者ガ
幸ニ工業者ガ全部デアリマシテ、從來
ノ同業組合デヤラナイモノヲ今度ノ新
ラシイ工業組合デヤレルカラ、圓滿ニ
全部解散シテ、新シイモノヲ作ルト云
フ場合モゴザイマス、又同業組合ノ中
ニハ商ト工トノ兩方ガ一〓ニナッタモ
ノガアリマス、工業者ダケデサウ云フ
モノヲ作ッテモ、餘リ多數ノ者ガ這入ル
爲ニ、後ノ商ノ方ガ取除カレテ、旣存
ノ同業組合ニ影響ヲ及ボスト云フコト
ニナリマスカラ、サウ云フコトニナラ
ナイヤウニ注意シテ居リマス
ソレデ此前ノ統計デ申上ゲマシタ通
リ、組合法ヲ施行シテ、工業組合ハ百
餘出來マシタケレドモ、本當ニ同業組
合ノ實體ガナクナッテ、工業組合ニ變ツ
タモノガ、僅ニ二十五デゴザイマス、
後ノ七十餘ト云フモノハ竝存シテ居リ
やく、從來工業組合ヲ作ッタ爲ニ同業
組合ノ基礎ガ動搖シタト云フコトノ非
難ナリ不平ナリト云フモノヲ私ハ聞キ
マセヌ、ソレハ聞カヌ筈デゴザイマス、
實ハ其點ハ十二分ノ注意ヲ以テヤルノ
デアリマスカラ、サウ云フ意味ニ於テ
私ハ立法ノ沿革ノ時ニ率直ニ申上ゲマ
シタ通リ、立法ニ與ッタ者トシテハサ
ウ云フ心持ノアッタト云フコトヲ申上
ゲマシタケレドモ、法律ガ出來マシタ
時ニチヤント同業組合ハ同業組合トシ
テ存在シ、工業組合ハ工業組合トシテ
存在スルノデアリマスカラ、兩方トモ
當局トシテハ十分ニ尊重シテヤル譯デ
アリマス、其意味ニ於テハ橫山政務次
官ノ御話ト、餘リ喰違ガナイト思フテ
居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=16
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017・岸田正記
○岸田委員 只今ノ吉野政府委員ノ御
意見ト、ソレカラ俵大臣ノ御說明ノ兩
者ヲ比較シテ見マスト、此間ニ矛盾ガ
ナイヤウニ思ヒマス、前囘ノ吉野政府
委員ノ御說明ト、今日トハ少シ違ガア
ルヤウニ思ヒマスケレドモ、是ハ取消
シテ訂正スルト云フコトデ、前囘ノコ
トハ私ハ申上ゲマセヌ、要スルニ現在
ノ同業組合ハ一二ノ例外ハアルニシテ
モ相當ノ機能ヲ持ッテ居ルシ、且又將來
ノ助長ヲ期スルモノデアル、斯ウ云フ
大臣竝ニ政府委員ノ御意見ノヤウニ思
フノデアリマス
併ナガラ今日ノ同業組合及ビ將來ノ
同業組合ニ對シテ、此度御提出ニナッ
タ所ノ工業組合法案ナルモノガ、現實
ニ於テ其基礎ヲ動搖セシムルモノデア
ルト云フコトニ付テハ是ハ色々囘避
的ノ御說明ガ付クカモ知レヌケレド
モ、例ヘバ只今申サレタヤウナ舊工業
組合法、是等ニ依ッテ出來タ所ノ工業
組合ノ存立ニ依ッテ毫モ從來ノ同業組
合ガ影響ヲ受ケテ居ラナイ、斯ウ云フ
ヤウナ御說明ガ理由附ケラレテ說明サ
レタヤウニ思ヒマスケレドモ、併シ私
共ノ考ニ依リマスレバ、實際問題トシ
テ九條ガ存立スル以上ハ、今日ノ同業
組合ノ基礎ノ上ニ大キナル影響ヲ來ス
モノデアルト云フコトハ何ト云ッテ
モ舊工業組合ト事情ヲ異ニシタ新シク
生レル工業組合、言換ヘレバ單ナル輸
出品タル工業者ニ關スル組合ニ止マラ
ズシテ、全內地ニ販路ヲ有スル所ノ全
工業ニ對シテ中小工業者ハ茲ニ組合ヲ
作ル、此モノガ成立シテ之ニ對シテ加
入シタ者ガ從來ノ同業組合ニ加入ス
ルモセザルモ、脫退スルモセザルモ任
意デアルト云フ此大キナル變遷ヲ來タ
ス以上ハ從來ノ工業組合ガ從來ノ同業
組合ニ對シ、左シタル動搖ヲ與ヘナカ
ッタ此事實ヲ以テ、今後ノ事實ヲ推ス
コトハ斷ジテ出來ナイト私ハ思フノデ
アリマス
之ニ付キマシテハ後程具體的ニ御說
明ヲ承ルコトニ致シマスガ、私ハ只今
迄ノ御答辯ノ範圍ニ於キマシテハ政府
ノ御意見ニハ又根本カラ考ヘ直シテ御
尋シナケレバナラヌヤウナ事情ガアル
ヤウニ思フ、ト云フノハ政府ノ御意見
ト致シマシテハ現在ノ同業組合ハ相當
ニ活動致シテ居リマス、又其機能上將
來モ十分發達助成セシメルコトニ期待
シテ居ル斯ウ云フ御說デアリマスガ、
併シ此處ニ御配リニナッテ居ル所ノ工
業組合〓況ト云ヒマスカ、是ノ十五頁
ニ依ッテ承リマスト云フト斯ウ云フヤ
ウナ御說明ガアル、一寸朗讀シマス「然
レ共其最近ニ於ケル現況ハ極メテ小數
ノ例外ヲ除キテハ〓ネ不振ニシテ」此
一點モ既ニ只今御說明ニナッタヤウナ
相當ニ活動シタ、獨リ唯一二ノモノヽ
例外ガアルケレドモ、他ハ相當活動シ
テ居ルト云フ事實ノ反對ニ一二ノモノ
ハ活動シテ居ルケレドモ他ハ〓ネ不振
デアル、是ハ全然御說明ト書面ニ現シ
テ居ル文意トハ事實ガ反シテ居ルヤウ
ニ思フ、更ノ「其實績見ルベキモノ少
シ、蓋シ同業組合ハ强制加入ノ制ヲ採
リ經費モ專ラ賦課金ニ依リ主トシテ檢
査其他ノ弊害矯正ノ消極的事業ヲ行フ
趣旨ヲ以テ組織セラレ、各般ノ經濟的
施設ヲ爲シ、積極的ニ協同的活動ヲ爲
スニ適セズ、又粗製濫造ノ防止其他弊
害ノ矯正ニシテモ我國產業組織ノ根本
ニ遡リ改善ヲ加フルニ非ザレバ、唯單
ニ檢査取締ノミヲ以テハ到底所期ノ效
果ヲ擧グル能ハザルモノナリ、是卽チ
工業ニ關スル同業組合ノ不振ニ陷リ、
漸次其數ニ於テモ減少スルニ至レル理
由ニシテ」斯ウ云フ御說明ニナッテ居
リマス、其事ハ言換ヘレバ從來ノ同業
組合ガ第一ニハ此文案ヲ承リマスト云
フト機能ニ於テ從來工業發達ノ上ニ於
テ之ヲ助成スルダケノ機能使命ヲ能ク
遂行シテ居ラナイ、斯ウ云フコトヲ御
確言ニナッテ居ル、續イテハ是アルガ
故ニ今日事實ニ於テ一二ノ例外ガアル
ニシテモ大多數ハ事業不振ニ陷ヲテ、
サウシテ今日數ニ於テモ減リツヽアル
理由デアル、此二點ヲ茲ニ御說明ニナ
ッテ居ルヤウデアリマス、サウ致シマス
ト云フト只今マデ商工大臣ナリ政府委
員ガ御說明ニナッタ所ト此書面トハ其
事實ニ於テ相違ガアルヤウニ私ハ思ヒ
ざき、併シ此事ハ今暫ク進ンデ御問ヒ
スルコトヲ避ケマスケレドモ、此事ハ
要スルニ政府ノ御說明、特ニ本案提案
ノ理由ヲ商工大臣ヨリ御說明ニナッタ、
アノ際ニ於テ本法案ヲ出スニ至ッタ所
以ノモノハ、中小工業者ヲ保護シテヤ
ル、サウシテ是ガ發達向上ヲ期スル、
此爲ニ提案シタノデアル、斯ウ云フ御
說明ノ中ニ於テ續イテ第九條ヲ認メタ
所以ノモノハ要スルニ只今申サレマシ
タガ、業者ノ自由ノ利便ヲ圖ル爲デア
3、其任意行動ニ委スト云フ、此途
ヲ開イタ所以デアル、其所以ノモノハ
同業組合ト新シク生レ出ル工業組合ト
ハ其事業目的ノ範圍ニ於テ一ハ小デ
アリ一ハ廣イ、故ニ狹キ使命ヲ帶ビテ
居リ、狹キ事業ヲ行ッテ居ル同業組合
加入者ガ、更ニ廣キ使命ヲ持チ廣キ事
業ヲ行フベキ工業組合ノ加入者トシ
テ、兩者ヲ共ニ竝立セシメルコトハ不
便デモアルシ、其必要ヲ認メナイガ故
二、新ニ生レ出ヅル工業組合ニ加入ス
ル者ハ、從來ノ同業組合ニ加入サセル
必要ハナイ、其故ニ自由ノ便ヲ圖ッタ
モノデアル、斯ウ云フ御說明デアリマ
シタ、サウシマスト只今迄ノ政府委員
及ビ大臣ノ提案理由ノ說明-自由ヲ
認メラレタル所ノ御說明ヲ綜合致シマ
スト、恰モ從來ノ同業組合ト新ニ生レ
出ル工業組合トハ事業ノ範圍ニ於テ
唯廣狹ノ差ガアルノミデアル、故ニ同
ジ性質ヲ帶ビテ居ルモノデアル以上
ハ唯廣イモノヽ中ニ入レテ置ケバ狭
キモノヽ中ニ入レテ置ク必要ハナイカ
ラ、其自由ヲ認メタモノデアルト云フ
結論ニ達スルヤウニ伺フノデアリマ
ス、然ラバ商工大臣ハ唯同業組合ト新
タニ生レ出ル工業組合トハ事業ノ範圍
ニ於テ廣狹ノ差ガアルノミデアルト御
考ヘニナッテ居ルノデアルカドウカ、
別ニ本質的ノ機能、本質的ノ使命ニ於
テ別個ノモノヲ持ッテ居ルノデナイカ、
此點ニ付テ如何ニ御考ヘニナッテ居ル
カト云フコトヲ明確ニ御答辯ヲ願ヒタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=17
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018・俵孫一
○俵國務大臣 同業組合ト工業組合ト
ノ違ヒハ、御言葉ヲ籍リテ言ヘバ事業
ノ範圍ノ廣狹ニ止マルノデアルカ、或
ハ本來ノ性質ニ於テ違フノデアルカト
云フ御尋デアリマスガ、言葉爭ヲセズ
ニ私ノ意味ヲ御聽取ヲ願ヒタイ、是ハ
本來ノ性質ニ於テ違ッテ居ル、一ハ公
益〓體卽チ營業上ノ弊害ヲ矯正スルト
云フコトデアッテ、是ニハ總テ强制加
入ヲセシメナケレバ其營業上ノ弊害
ヲ除去スルト云フコト出來能ハザル當
然ノ性質トシテ强制加入ヲセシメテ居
ル一方ハ其營業上ノ弊害ヲ除去スル
ノデアルガ、更ニ大ナル使命ガアル、
何ゾヤ、卽チ經濟的團體デアル、之ヲ
事業ノ幅ノ廣狹デアルトモ言ヘルカモ
知レヌガ、又更ニアナタノ仰セノ如ク、
根本ニ於テ性質ガ違フモノデアルトモ
言ヘル、是ハ如何ヤウニモ論ゼラレマ
セウガ私共ハ今申上ゲマスル如ク是
ハ本來ノ團體ノ性質ガ違フ、一ハ公益
〓體デアリ、一ハ經濟團體デアル、經
濟團體デアルガ故ニ、卽チ强制加入ハ
シナイ任意加入デアル、其共同的經濟
團體ノ利益ヲ得ント欲スル者ハ相集ツ
テ經濟團體ヲ作ルノデアル、工業組合
ヲ作ルノデアル、斯ウ解スルノデアリ
やべ、卽チ工業組合ヲ作ルニ至ッタ理
由等ニ付テハ、吉野局長カラモ言ハレ
マシタガ、吾々共ハ唯單ニ公益〓體的
ニ止ラズシテ、之ニ財的ノ援助ヲ與ヘ、
共同ノ施設ヲ營マシメ、積極的ニ共同
ノ施設ヲ行ヒ、又ハ財的便宜ヲ講ズル
ト、斯ウ云フコトヲスルコトガ中小商
工業ノ發達ノ爲ニ必要デアルト、斯ウ
感ジタカラデアルノデアリマス
勿論是ハ私ガ言フマデモナク、大正
十三年デスカ、所謂聯合內閣ノ時ニ出
來タ發案デセウ、而シテ此處ニ議事筆
記モアリマスガ、高橋農商務大臣ノ下
ニ於ケル三土君ガ政府委員トシテ此提
案ノ說明ヲ致シテ居ル、其趣旨モ御覽
デアリマシタラウガ、私ガ今御話ノ通
リノ意味ノ趣旨デアッテ、決シテ同業組
合ヲ亡ボサウトカ、同業組合ヲ無クシ
ヨウト云フ趣旨デナイト云フコトハ三
士君ガ明カニ當時說明ヲ致シテ居ル
ソレデ政府ノ執ル所ハ政府ガ迭ッテモ、
此點ニ付テノ解釋ハ變ラヌ、趣意モ變
ラヌ、唯先キノ御話ノ如ク書イタモノ
ニドウモ同業組合ノ成績ガ甚ダ惡イト
書イテアルノデハナイカ、斯ウ云フコ
トデ、而カモ良イモノハ一二デ、他ハ
皆ナ惡イト書イテアルデハナイカト云
フ風ナ御話デゴザイマシタガ、是ハ文
字ノ勢デドウ云フ工合ニ書イタノデア
ルカ、其文字ノ點ニ付テ如何ヤウニア
リマセウトモ、從來ノ同業組合ハ其歷
史ニ於テ十分ニ當業ノ發達奬勵ニ向ツ
テハ貢獻致シテ居リマス、現在モ亦致
シテ居ルモノモアリマス、悉クト云フ
コトニハ無論行キマスマイガ、殊ニ此
都會地ノ同業組合ト云フモノハ、役員
モ、適當ナル人ガアリ、相當ニ當業ノ
發達奬勵ノ爲ニ盡シテ居ルノデアリマ
スソレ故ニ他ガ振ハヌ、不振ノモノ
ガアルト云フ風ノモノニ對シマシテ
ハ、商工省トシテハ之ヲヤハリ鞭撻シ
テ十分ニ其機能ヲ發揮シテ振ハシメル
コトニセシメタイト云フ希望ハ勿論持
ッテ居リマス
併ナガラ同業組合其モノダケデ、然
ラバ中小商工業ノ發達ガ宜シイカ、ソ
レハサウハ行カヌ、ドウシテモ今日ハ
共同施設ノ下ニ財的便宜ヲ與ヘテ唯
單ニ弊害取締ト云フ如キモノニ止ラズ
シテ一ツ經濟的便宜ヲ與ヘテヤラシ
メルト云フコトガ最モ必要デアルト、
斯ウ云フ風ニ感ジマスルガ故ニ、先刻
申シタ大正十三年ノ議會デアリマシタ
カ、時ノ政府ハ此案ヲ出シマスルシ、
今囘モ尙ホ其機能ヲ一層擴張スル爲ニ
其働ヲ尙ホ一層多ク致シマスル爲ニ、
今囘ノ改正案ヲ出シタト、斯ウ云フコ
トデアリマス、ドウゾ此點ヲ從來ノ言
葉ノ行違ヒ、說明ノ齟齬等モゴザイマ
スカモ知レマセヌガ、左樣御諒承ヲ願
ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=18
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019・岸田正記
○岸田委員 只今大臣ノ御說明ニ依リ
マシテ政府ノ御意思ノ存スル所ガ稍〓
明カニ窺ハレルノデアリマス、併シ此
事ハ今囘ノ法案ニ對シテノ最後ノ私共
ノ決心ヲ定メルニ最モ懸ッテ重點トス
ル所デアリマスカラ、ハッキリト此點
ヲ確メテ置カナケレバナラヌト思ヒマ
ス、問題ハ解釋論ニナリマスケレドモ、
要スルニ九條ガ存立スル以上ハ同業組
合ノ存立ノ上ニ對シテ動搖ヲ來スモノ
デアルカ否カ、此解釋ヲ如何ニスルカ
ト云フコトデ、吾々ノ嚮フ所ガ決ッテ
居ルノデアリマスガ、私ハ此點ニ付キ
マシテハ、先刻モ申シマシタケレドモ、
政府委員ノ御意見デハ從來ノ重要輸出
工業組合ニ是ガアッテモ、尙且ツ同業
組合ニ對シテハ何等ノ動搖ヲ來サシメ
ナイト云フ理由ヲ以テ同業組合ニ對ス
ル將來ノ工業組合ノ關係ヲ御說明ニナ
ツテ、事ヲ糊塗セントスルガ如キ氣持
ヲ私ハ感ゼザルヲ得ナイノデアリマス
ケレドモ、併シ是ハ何ト言ッテモ任意
ニ加入シ、或ハ脫退スル以上ハ、政府
ノ手加減ニ依ッテ實際ニ於テ同業組合
ニ加入シテ居ッタモノガ之ヲ脫退シテ、
新シク生レル所ノ工業組合ニ走ッテシ
9,、又工業組合ニ這入ッテ居ル者ハ、
强ヒテ進ンデ同業組合ニ加入シナイト
云フ事實ガアリ得ルコトハ明カニ想像
セラレルノデアリマス、ソレハ兩者ノ
利便、自由、又ハ其福利トスル所ニ依
ッテ定メルノデアルカラシテ、是コソ
當業者ヲ保護スル所以デハナイカト御
說明ニナルカ知レマセヌケレドモ、併
シサウ簡單ニハ片付ケラレナイ、何故
ナラバ商工省ト致シテ、特ニ工務局ト
致シテ、先程モ、問フニ落チズ語ルニ
落チルト申シマスカ、工務局長ノ御話
ヲ伺フト、兎角工業本位ニ走リ易キ感
ジヲ自分ハ持ツガト云フ御話モアリマ
シタガ、本法成立ノ結果、只今マデノ
御說明ノ趣旨ヲ承リマスト云フト、事
實明カニ餘リニ工業者本位ニ片寄ッテ
居ル、私ハ中小商工業ヲ保護スルト云
フコトハ絕對ニ贊成シマス、又何處マ
デモ所謂矛盾ナキ方法ヲ以テ、合法的
二、合理的ニ助長シナケレバナラヌト
云フコトニ付テハ根本的ニ思ッテ居リ
やっ、併ナガラ誤ッタル方法ヲ以テ保
護助長セントスル時ハ、却テ新ヲ負ウ
テ火ニ入ルガ如キモノデアリマシテ、
中小商工業者ヲ保護セントシテ、却テ
之ヲ危クスルコトデアル、一面ニ於テ
ハ工業組合ノ存立モ危クスルト云フ結
果ニナルコトヲ私ハ憂フルノデアリマ
ス、ヤハリ私ハ政府ガ唯最初カラ目的
ヲ決メテシマッテ、中小商工業者ヲ保
護スルニハ此法律デヤルト、斯ウ云フ
獨斷的法律ヲ決メテ、而シテ後カラ之
ヲ理由付ケルベク御說明ニナッテ來ル
ト、勢ヒ是ガ實施ノ上ニ於テ、新シク
起ル工業組合ヲ十分其機能ヲ發揮シ十
分活動スル上ニ於テ、政府ハ之ヲ掩護
シ、有ユル手段ヲ以テ、只今ノ御說明
ヲ實際ニ於テ理由付ケタモノトシテ現
スヤウナ方法ヲ執ラレルコトハ易々タ
ルモノデアル、併シソレガ合理的ナ、
合法的ナコトナラバ宜シイケレドモ、
ソコニ政府ノ立場ニ於テ色々ノ方法ヲ
講ゼラレルト、ソコニ無理ガ出テ來ヤ
シナイカト思スト云フコトハ從來ノ重
要工業組合ニ付テモ私共ハ此感ヲ持ツ
ノデアリマスケレドモ、例ヘバ低利資
金ヲ幾許ノ豫定ヲ以テ組合ニ對シテハ
之ヲ融通シテ行クトカ、或ハ助成金ノ
上ニ付テモ斯ウ云フ方法ヲ作ル、斯ウ
云フコトヲ宣傳セラレ、且又之ヲ說イ
テ廻ッテ、組合自身ニ之ヲ御說明ニナ
ルト云フト、弱キ立場ニ居ル溺レル者
ハ藁ヲモ摑ムト云フカ、斯ウ云フ狀態
ニアル所ノ中小商工業者ト致シテハ、
詰リ甘キ言葉ニ誘ハレテ大キナ力ニ縋
ッタ如キ感ジヲ持ッテ、兎角政府ノ御說
明ニナル所ヲ信ジテ以テ、重要輸出品
工業組合ニ加入シテ行クト云フコト
ハ從來ノ實例ニ徵シテモ明カデアリ
やく、又將來ニ於テモ是ハアリ得ルコ
トダラウト思フノデアリマス、併シ私
共ノ考ヘテ居ル所ニ依リマスト、此事
ハ何ト云ッテモ工業同業者ノ立場ニ動
搖ヲ來シテ、從來ノ同業組合ニ對シテ
此御趣旨ノヤウナ說明ヲ實際ニ於テ業
者ニ對シテ爲サル以上ハ、明カニ同業
組合ニ對シテハ動搖ヲ來スモノデアル
ト云フコトハ打消スコトノ出來ナイ事
實デアル、サウ致シマスト從來ノ同業
組合ノ存立ノ基礎ノ上ニ又危機ヲ生
ジテ來ルト云フコトハ、何ト云ッテモ
否定スルコトノ出來ナイ事實デアラウ
ト思ヒマス、サウスルト茲ニ新シク生
レ出ヅル所ノ工業組合、ソレト基礎ヲ
危クサレル場合、此二ツノモノガ相對
立シテ能ク單ナル狹キ意味ノ中小商工
業者ヲ保護スル、斯ウ云フ問題ニ止ラ
ズシテ、日本ノ產業全體カラ考ヘテ果
シテ眞ニ執ルベキ策デアルカドウカト
云フコトハ大ニ考慮ヲ要スル問題デ
アラウト思フノデアリマス
私共ノ考ニ依リマスレバ、只今商工
大臣ガ御說明ニナリマシタケレドモ、
同業組合ト工業組合トハ其存立ノ基礎
ニ於キマシテ、本質的使命性質ニ於テ
違ッテ居ル問題デアル、唯業務ノ廣汎
或ハ狹小ト云フヤウナ差コソアレ、其
本質使命ニ於テハ全然別箇ノモノデア
ル、卽チ一ハ公益的、一ハ經濟的使命
ヲ帶ビテ居ル、此二ツノ點ニ於テ、根
本ニ於テ其本質使命ヲ異ニシテ居ル、
是ハ只今モ御承認ニナッタ所デアリマ
スガ、サウ致シマス以上ハ、一層ノコ
ト、兩者ガ十分ニ存立ノ基礎ヲ確實ニ
致シ、サウシテ兩者各〓本質的使命ヲ
發揮致スヤウニ、之ヲ政府當局ガ助長
シ、援護指導シテ行カレルコトガ、同
業組合ニ對シ、又狹キ範圍ニ於テノ工
業組合ニ對シテ眞ニ當局トシテ執ラル
ベキ態度デハナカラウカト私ハ思フノ
デアリマス、此點ニ付キマシテ私ハ政
府當局ガ、此自由ヲ認メタコトニ依ッテ
何等同業組合ニ動搖ヲ來ス虞ガナイト
斯ウ斷言サレル以上ハ、何ヲカ言ハン
ヤデアリマス、理論ノ問題デナクシテ、
事實ノ上ニ於テ動搖ヲ來サシムル事情
ニアルモノデアルト言フコトヲ御考ヘ
ニナル以上ハ、特ニ兩者ガ其立場ヲ異
三·ヽ其使命ヲ異ニシテ居ル以上ハ、
兩者與ニ繁榮シ、倶ニ其機能ヲ十分發
揮スルヤウニ方針ヲ執ヲテカレルコ
トガ當然デハナイカト私ハ思フ
之ヲ卑近ナ具體的ナ事實ヲ以テ譬ヘ
テ見マスレバ、地方ニ於キマシテハ巡
査ノ駐在所ト云フモノガ設置サレテ巡
査ハ其村ノ平和安全維持ノ爲ニ活躍致
シテ居ル、ソコニ以テ行ッテ又一面ニ
於テハ公益的自治體ト致シマシテ、其
村ニハ靑年團ト云フモノガ活躍致シテ
居ル、此靑年團ノ活躍ニ於テモ靑年團
ハ今日御承知ノ如ク消防組ト云フヤウ
ナモノモ組織シテ居ル、或ハ非常時ノ
場合ハ自警〓ヲ組織致シテ村ノ治安維
持ノ爲ニ活動スル、要スルニ單ニ司法
警察、行政警察ノ權限ノ範圍內ニ於テ
活躍致シテ居ル警察、サウシテ自治公
益ノ立場カラ活躍致シテ居ル靑年團、
此二ツノモノヽ對立的存在ガアルト云
フコトハ明カナ事實デアル、然ラバ今
日警察官ト云フ、一ツノ村全體ノ治安
維持ノ方面ニ對シテ全力ヲ擧ゲテ、有
ユル權限ト有ユル使命ヲ帶ビテ活躍シ
テ居ルモノガアルガ故ニ、此警察官ノ
關スル業務及ビ使命、權限ニ關スル範
圍ニ於テハ、靑年團ノ治安維持ノ活躍
及ビ其團體的行動ハ之ガ存立ヲ危クス
ルヤウナ狀態ニナッテモ差支ナイト云
フヤウナ、地方ノ自治的ノ組織ガ生レ
タラドウデアルカ、卽チ警察官ガ十二
分ニ消防或ハ非常時ノ場合ニ於ケル警
護治安ノ任ニ當ルガ故ニ、此限リニ於
テハ靑年團ハ自警的ノ活躍ヲスル必要
モナクナリ、或ハ消防組ヲ組織シテ活
躍スル必要モナイト云フヤウナ、任意
的ニ之ヲ認メルト云フヤウナコトニナ
ッタナラバ果シテドウデアルカ、私ハ
思ヒマス、此二ツノ場合ヲ考ヘテ見マ
シテモ、如何ニ警察官ガ司法警察、行
政警察ノ權限ノ限リニ於テ十二分ニ活
躍スルトハ云ヒナガラ、一面ニ於テ靑
年〓ニ於テモヤハリ十二分ニ是等ノ方
面ニ對シテ活躍シ、サウシテ警察當局
ト連絡ヲ保ッテ、警察官モ警察官タル
立場ニ於テ活曜スルト同時ニ、靑年團
ノ中ニ入ッテ之ヲ指導シ、場合ニ依ッテ
ハ自警團長トモナリ、事ニ依ッテハ靑
年〓ノ一員トナッテ、サウシテ連絡ヲ相
保ッテ初メテ地方ノ完全ナル自治ガ保
タレ、治安維持ガ保タレルノデハナカ
ラウカト私ハ思フ、然ルニ茲ニ地方ニ
於ケル靑年團ノ規定ニ於テ、警察官タ
ルモノハ全然之ニ加入シ、靑年團ノ活
躍ニ參加スル必要ハナイト云フガ如キ
コトニ致シ、全然靑年團ノ活躍ト警察
官ノ活躍トハ連絡ヲ保チ得ナイヤウナ
コトニ立至ッテハ折角兩者相俟チ、相
扶ケ、相連絡ヲ取リ、統制ヲ取ッテ地方
ノ治安維持ヲ完全ニ果シテ行クベキ此
大キナ仕事ヲ爲ス上ニ於テ非常ナ支障
ヲ來シハシナイカ、實際問題トシテ自
由ヲ認メラレタ以上ハ、警察官ハ單ニ
警察官トシテノ仕事ダケニ閉ジ籠ッテ、
サウシテ地方靑年ノ活躍ノ〓體ノ中ニ
這入ッテ行カナイ、斯ウ云フコトガ明
カニナッタ以上ハ、是ハ地方ノ習慣ト
致シマシテモ、ソレハ缺陷デアル、斯
ウ私ハ思フ
之ヲ引戾シテ今ノ工業組合ト同業組
合ノ間題ニ實際持ッテ來マシテモ、工業
組合ニ加入致シテ居ル者ガ同業組合ニ
加入ヌル必要ハナイ、斯ウ云フ規定ニ
ナリマスト、工業組合ナラ工業組合グ
ケニ立籠ッテシマッテ、同業組合ニ這入
ッテ行カナイト云フコトニナル、是ガ
實際問題トナッテ、政府ガ之ニ向ッテ誘
引策ヲ執リ、之ニ對シテ適當ノ手心ヲ
加ヘル以上ハ、自然サウ云フコトニナ
ルト云フコトガ明カナ事實デアル以上
ハ茲ニ同業組合ト工業組合ト云フモ
ノトガ全然連絡ヲ斷フタ別個ノ對立的
ノモノニナッテ來ル、斯ウナッテ來ルト
云フト同業組合對工業組合ト云フ一ツ
ノ對立的ノモノニナッテ來テ、手近ナ所
デ言フト製造業者、或ハ販賣業者ト云
フヤウナモノ-他ノ見方カラ申スト
工業者ト、工業以外ノ產業關係者、或
ハ畜產、水產或ハ其他ノ農產、漁產、
其他是等ノ產物ヲ取扱フベキ販賣者、
是等ノ〓體ト只今申シマシタ、工業者
ト云フモノガ全然別個ノ〓體ヲ作ッテ
對立的ニナッテ來ル、此事ハ企業ノ統制
上及ビ經濟的連結ノ上カラ言ッテモ甚
ダ由々シキ結果ヲ來スモノデアル、更
ニ進ンデ申セバ此二ツノ企業團體ノ上
ニ於テ經濟的衝突ヲ見ル爲ニ、多數ノ
組合ヲ擁シテ居ル同業者ト工業者、卽
チ製造者ト販賣者トノ間ニ非常ナル障
害ヲ來スモノデアル、之ニ對シテ商工
大臣ハ如何ニ御考ヘニナッテ居ルカ、簡續ニ於テ同業組合ト工業組合ト竝立ス
單ニ御答辯ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=19
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020・俵孫一
○俵國務大臣 至極簡單ニ御答ヲ致シ
マン、同業組合ト工業組合トノ兩立ヲ
希望スルコトニ付テ縷々御意見ヲ述べ
ラレマシタガ私モ全然御同感デアリマ
シテ、是ハ前カラ申上ゲテ居ル通リデ
アリマス、唯工業組合ハ工務局長ガ之
ヲ主管シ、工業本位ノ工業組合ノ存立
ヲ希望スル結果トシテ、口デハナント
芦ノンモ精神的ニ工業組合ヲ出來ルダ
ケ盛ナラシムルヤウニ希望スル、其結
果トシテ同業組合ヲ阻害スルヤウナコ
トガアルヤウニ思ハレルト云フ點ニ、
岸田君ノ御疑ガアルト思ヒマス、勿論
工業組合ハ只今御話ノ如ク經濟團體デ
アリマス、今日中小工業ノ救濟ハ經濟
的援助ヲ與ヘルコトガ最モ必要デアル
ト云フ見地カラ工業組合ノ組織ヲ歡迎
スルコトハ勿論デアリマスガ、ソレガ
爲ニ同業組合ノ脫退ヲ勸誘シ、同業組
合ノ絕滅ヲ希望スルト云フコトノナイ
コトハドウカ御理解ヲ願ヒタイ、先程
モ手續上ニ於テ工務局長ヨリ話シタ如
ク工業組合ノ出願ニ對シテハ同業組
合ニ如何ナル影響ヲ與ヘルカト云フ點
ニ付テハ、手續上ニ於テ十分ナル考察
ヲシテ許可スルト云フコトマデ申シテ
居リマスカラ、口デ唯宜イ加減ノコト
ヲ言フト云フダケデハナイ、實際ノ手
ルコトヲ希望スル意味ニ於テ手續ヲヤ
ッテ居ル、仰セノ如ク營業上ノ弊害ヲ
除去スルトカ、或ハ同業者間ノ親密ヲ
深クスルト云フコトノ必要デアルノハ
申スマデモアリマセヌ、ソレ故ニ當局
者ガ同業組合ヲ無クスルト云フヤウナ
コトハ毛頭考ヘテ居ラナイノミナラ
ズ、斯ウ云フ實業ノ發達ニ付テハ一ツ
ノ機能、一ツノ機關ダケデハイケナイ、
色々ノ方法ヲ以テ發達ノ奬勵ヲ致シ、
發展ヲ希望スル點ガアリマスカラ、決
シテアナタト私トノ意見ガ違ッテ居ル
ノデハナイ、總テ御同感デアリマス、
吾々共ハサウ云フコトニスル考ヲ持ッ
テ居リマス、唯問題ハ第九條ガアルカ
ラサウ疑ハレルノデアルト思ヒマス
ガ第九條ノ規定ハ現行ノ工業組合ニ
モアリマスノデ、之ヲナクスル利害得
失如何、斯ウ云フ問題ニ歸シハセヌカ
ト思フノデアリマス、私共ハ現行ノ第
九條ト云フモノヲ存續シテ工業家其者
ノ便宜ニ致スコトガ必要デアルト思フ
ノデアリマス、此一點ガ私トアナタト
ノ意見ノ異ルモノト思ヒマス
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=20
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021・井上剛一
○井上委員長 ソレデハ休憩致シマ
ス、午後ハ二時カラ開キマス、ドウカ
時間ノ厲行ヲ願ヒタイト思ヒマス
午後零時二十三分休憩
午後二時十分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=21
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022・井上剛一
○井上委員長 ソレデハ休憩前ニ引續
キマシテ開會致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=22
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023・上田孝吉
○上田委員 前囘私ガ御尋致シマシタ
同業組合トソレカラ工業組合ノ關係、
及ビ其工業組合法ガ大正十四年デアリ
マスカ以來引續キ今日ニ至ッテ居リマ
ス、其沿革上ノコトニ付テ、幾分政府
委員ト構山政務次官トノ間ニ於テ御答
辯ノ行方ガ違ッテ居ルヤウニ思フノデ
アリマスガ、本日午前岸田君カラ其點
ニ對シマシテ、質問ガアリ御答ガアッタ
カノヤウニ只今非公式ニ拜承致シマシ
タケレドモ、其要點ダケヲ簡單ニ伺ヒ
タイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=23
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024・横山勝太郎
○横山政府委員 簡單ニ御答致シマ
ス、仰セノ趣旨ニ基イテ調査ヲ致シマ
シタ、結局ノ所大正十四年二月デシタ
カ、本法制定ノ當時ニ於キマシテ、時
ノ政府ハ重要物產同業組合法ナルモノ
ノ働キ、隨テ其法律ニ依ッテ作ッタル同
業組合ノ働ニ關シテ、多少ノ懸念ハ持
ッテ居ッタモノデアルト想像サレマス、
隨テ工業組合法ヲ作ルニ至ッタモノト
考ヘマスガ、併シ當時ニ於キマシテモ
全然重要物產同業組合法ナルモノガ何
等ノ效力ナキモノ、缺陷ノ多キモノト
シテ扱ハレタ譯デハアリマセヌ、隨テ
同法ニ依ッテ作ラレタル同業組合ニ對
シテモ、其當時ニ於テ、全然之ヲ破壞
シテモ宜シイト云フヤウナ考ヲ持ッテ
居ッタモノデハナイガ、只今申スヤウナ
次第デアリマスカラ、多小同業組合其
モノヽ働キニ關シテ懸念ハ持ッテ居リ
マシタケレドモ、今申上ゲルヤウナ次
第デ當時ニ於テモ此二ツノ法律ガ兩
兩相行ハレルコトヲ希望シテ居ッタモ
ノデアリマス、唯二ツノ組合ニ加入セ
ネバナラヌト云フコトハ色々ノ點ニ於
テ不便デアリ、其必要ナキ事柄デアリ
マスカラ、本法或ハ本法ニ依ッテ作ラ
レタル同業組合ガ出來マシタナラバ
重要物產同業組合ニ依フテ作ラレタル
組合員ト云フモノハ、其組合ヲ脫退シ
テモ宜シイ、卽チ加入ノ繼續ヲ强制シ
ナイト云フコトノ自由ヲ認メタト云フ
コトハ、當時ノ爲政者或ハ立法者ノ頭
ニアッタヤウデアリマス、其他九條ヲ
存續スルコトノ理由其他ニ關シマシテ
ハ屢〓御答致シテ置キマシタカラ、大
體是デ御諒解ヲ得ルコトガ出來ルダラ
ウト思ヒマス、要スルニ工務局長ノ申
サレタル所ト、私ノ言葉トノ間ノ片言
隻句ヲ捉ヘテ酷評苛論セラレマスレ
バ、或ハ多少言葉ノ上ニ行違ガアルカ
モ知レマセヌケレドモ、兩人ノ申ス所
ノ精神ニ於キマシテハ寸毫ノ差違ハゴ
ザイマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=24
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025・上田孝吉
○上田委員 只今ノ御答辯ニ依リマス
ルト、同業組合ト工業組合トハ竝立シ
テ置ク必要ガアル、大正十四年ニ初メ
テ工業組合法ガ施行サレマシタ當時ニ
於テ、幾分同業組合ノ上ニ於テ尙ホ完
備セザル點ガアリ、運用ガ十分ト云フ
譯ニハ行カヌ點ガアル、又此兩方ノ組
合ニ二重ニ加入シナケレバナラヌト云
フ必要モナイカラシテ、隨テ第九條ノ
點ヲ削除スル必要ガナイノダト云フ意
味合ノ御說明デアルト私ハ承ルノデア
リマス、一應前日ノ御答辯ヲ紛飾セラ
レタ傾ハアリマスルガ
ソコデ是ハ飯塚君ガ非公式ニ申サレ
テ居ッタノデアリマスガ、此同業組合
ト工業組合ト云フモノガ竝存シテ居
ル而モ工業組合ハ同業組合ト同ジ目
的ノモノヲ一ツ持ッテ居ル、卽チ組合
員間ノ親睦デアルトカ、或ハ其間ノ爭
議ノ調停デアルトカ、或ハ融和デアル
トカ云フヤウナ一種ノ公益的ナ方面ヲ
モ持ッテ居ルト共ニ、新ニ經濟的ナ方
面ヲ加味シタモノガ、此工業組合法デ
ナクテハナラヌ、同業組合ノ全部ガ工
業組合ノ中ニ含マレテ居ルノデアリマ
ス、全部ガ含マレテ居ッテ、尙且ツ工業
組合ト同業組合ト二ツノモノガ竝存シ
テ居ナケレバナラヌ必要ガアリト云フ
コトハ、ヤハリ其同業組合ハ同業組合
トシテノ特徵ガアリ、工業組合ハ工業
組合トシテノ特徵ガアルト云フコトデ
ナクテハナラナイノデハナイカト私ハ
思フ、同業組合トシテモ全部ノモノガ
工業組合ノ中ニ含マレテシマッテ、同
業組合トシテノ特徴ハ、最早工業組合
ニ加入シテシマヘバナイト云フコトニ
ナルナラバ、サウシテ同業組合ヲ脫退
スルコトガ自由デアルト云フコトデア
リマスルナラバ勢ノ赴ク所ハ當然是
ハ同業組合ノ者ガ順次脫退致シマシ
テ、サウシテ工業組合ニ加入シテ行ク、
所謂同業組合ガ衰微シテ遂ニ存立スル
コトガ出來ナクナルト云フ結論ニ到達
スルコトハ當然ノ結果ノヤウニ思ハ
レルノデアリマス、ケレドモ政府當局
ハ尙且ツ此二ツノモノガ將來兩立シテ
行キ得ル可能性ヲ持ッテ居ルト云フ御
考ガアルカ、ドウカ、私ノ御聽スルノ
ハ詰リ政府當局ハ今迄此兩立ノ組合ト
云フモノハ必要ナモノデアル、隨テ同
業組合ト云フモノヲ廢止シヨウト云フ
意思ハナイト、斯ウ御考ニナッテ居ル
ト云フコトヲ、先日來ノ御說明デ分ッテ
居ル、分リマシタケレドモ其事實上ノ
現レトシテ、先程來說明シタヤウナ同
業組合ト云フモノヽ目的ノ全部ガ工業
組合ノ中ニ這入ッテ居ル、更ニ經濟的
方面モ加ッタモノデアル、サウシテ一
方ニ於テハ加入シナクテモ宜イ脫退セ
ラレテモ宜イ、斯ウ云フコトデアルナ
ラバドウシテモ將來ノ經過ニ於テ此工
業組合ノ方ヘ同業組合ノ人ガ這入ッテ
來テ、工業組合ガ衰微シ、或ハ存立ス
ルコトガ出來ヌヤウナ結果ニナルノヂ
ヤナイカ、サウ云フヤウナ結果ニナッ
テモ構ハナイ、寧ロサウ云フ結果ニナ
ルコトヲ希望シテ居ル、斯ウ云フヤウ
ナ御考デアルカドウカト云フコトヲ承
リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=25
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026・俵孫一
○俵國務大臣 其點ハ先日來ノ最モ質
問應答ノ中心點デアルト思ヒマスカ
ラ、ハッキリ御答ヲ申上ゲテ置キタイ
ト思ヒマス、工業組合ノ目的、是ハ同
業組合ノ目的ノ全部ヲ包含シ、其以外
ニ加フルニ經濟的團體トシテノ機能ヲ
加ヘテ居ルト云フコトノ點ハ、丁度只
今御話ノ通リデアリマス、サウナルト
云フト御說ノ如ク同業組合ト云フモノ
ハナクシテ宜クハナイカ、斯ウ云フコ
トノ疑ガ出テ來ルノデアリマスガ、是
ハ私決シテ歷史又ハ行掛リニ囚ハレテ
發スル言デナイコトヲ豫メ御諒解ノ上
デ御聽ヲ願ヒタイノデスガ、アナタノ
今御話ノ如キ特徵ガアルノデス、特徵
トハ何ゾヤ、卽チ同業組合ニハ同業者
又ハ密接ノ關係ヲ有スル者相集ッテ同
業組合ヲ爲ス、ダカラシテ同業組合ニ
ハ關係業者ガヤハリ團體ヲ作ッテヤッテ
居ル、斯ウ云フ點ニ於テ同業組合ト工
業組合トノ間ニ其組合員タル幅ニ於テ
違ガアル、ソレカラシテ假令公益的ノ
方面、卽チ或ハ營業上ノ弊害ヲ矯正ス
ルトカ、又ハ斯業ノ發達改良ヲ圖リ、
或ハ同業者間ノ修睦ヲ圖ルト云ッタ如
キ風ナコトモ、所謂職能ト申シマスカ、
機能ト申シマスカ、斯ウ云フモノガド
ウナッテアッテモ、是ハ同業組合ハ同業
組合トシテ何處迄モヤハリ斯業ノ公益
的方面カラ弊害ヲ除却スル、隨テ工業
組合ハ經濟的機能ヲ以テ飽マデ公益的
ノ方面ノ營業上ノ弊害ヲ矯正ヲスル、
斯ウ云フコトニ致シマシテ何等差支ハ
ナイノデス、工業組合ガアルカラ同業
組合ハ潰レテモ宜シイト云フ議論ハ絕
對ニ生ジナイノデアリマスガ、公益的
ノ何ト申シマスカ運動ヲシテ-運動
ト申シテ宜イカ、或ハ衝動ト申シテ宜
イカ、斯業ノ發達ノ爲ニ公益的方面ヨ
リ弊害ヲ除却シ、或ハ同業者ノ修睦ヲ
厚フスル、是ハ決シテ差支ナイ、斯ウ
云フコトニ考ヘマスト云フト、決シテ
私共ガ云フコトガ徒ニ其場限リノ胡麻
化シ言葉デ言フト云フ意味ニ非ズシ
テ、眞ニ兩者共ニ竝存スルコトヲ毫モ
憂トシナイ、決シテ吾々共ハ同業組合
ヲ輕視シテ、同業組合ノ絕滅ヲ希望ス
ルト云フガ如キコトハナイ、斯ウ云フ
コトヲ御諒解ヲ願ヒタイノデアリマ
ス、現ニ今朝岸田君ノ御質問ニ對シテ、
此點ハ行政手續ノ上ニ於テ工務局長カ
ラ御答申上ゲテアリマス、卽チ現行法
ノ運用ニ付テモ重要輸出品工業組合法
ナルモノニ依ッテ出願スル場合モ、其
出願ノ許可ガ同業組合ニ如何ナル關係
ヲ持ツカ、同業組合ニ如何ナル影響ヲ
與ヘルカ、之ヲ十分考慮シテ地方廳ト
其間ノ問題ニ付テ應答ヲ重ネタ上ニ於
テ、從來工業組合ニ認可ヲシテ居ルト
云フコトノ實際ノ手續上ノ話ヲ工務局
長ハ致シマシタ、斯ノ如キ事モ手續上
ニ於テ鄭重ニ扱ッテ居ルノデアッテ、決
シテ吾々共ガ同業組合ヲ無クスルヤウ
ナ希望ヲ持ッテ居ルト云フコトナイト
云フコトヲ御諒解ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=26
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027・上田孝吉
○上田委員 政府當局ノ此兩組合ニ對
シマスル御希望ハ分リマシタ、兩組合
共ニ竝存シテ尙ホ繁榮ナラシムルコト
ヲ希望シテ居ルト云フ御趣旨ダト云フ
コトデアリマスガ、之ヲ實際的ニ見マ
シテ私ガ先程御尋シタ通リ、同業組合
ト全部同ジモノデ工業組合ガアル上
ニ經濟的ノ方面ノ意味ガモウ一ツ加
ハッタト云フコトデアレバ、此二ツノ
組合ニ加入スル必要ハ、是ハ事實問題
トシテ毫モ出テ來ヌヤウニ思ハレル、
所ガ今俵商工大臣ノ御說明ノ中ニ一寸
具體的ノ眞意ヲ捕捉スルニ苦ムノデア
リマスケレドモ、此兩組合ハ各〓特徵
ガアル、例ヘバ同業組合ノ方ハ其親密
ナル者ヲ以テ組合員トスル、所謂其組
合ノ幅ニ於テ各〓特徴ヲ持ッテ居ルカーノ此工業組合ト云フモノハ、
ラ、兩方共存立スルコトガ出來ルノダ
ト云フ意味ノ御言葉ガアッタヤウデア
リマス、特徴ガ兩組合各〓異ルモノデ
アルト云フ御意見デアレバ、今ノ御答
辯ノ內容ガ二ツ矛盾シテ來ハセヌカト
思フ、先ヅ御答辯ノ最初ハ同業組合ト
云フモノヽ區別ノ內容ヲ、今囘ノ工業
組合ニ全部入レテ、其外ニ經濟的方面
ヲ持ッテ居ルノダト云フコトニナル、
デアルカラ此工業組合ト云フモノハ成
程同業組合ニ較ベルナラバ、經濟的方
面ニ於テハ異ッテ居リマス、併シ此公
益的方面ニ於テハ今囘ノ工業組合モ從
來ノ同業組合モ同ジコトニナル、其間
何等特徵差異ガナイコトニ商工大臣ノ
御說明ニ依レバナラナケレバナラヌノ
デナイカト思ヒマス、ソレニ拘ラズ此
間ニ特徵トセラレルノハ、現ニ今御答
辯ニナッテ居リマス短イ言葉ノ中ニ矛
盾ガ其處ニ生レテ居ルノデナイカト思
ヒマスガ、ソレハヤハリ私ガ前日來承
ッテ居リマスヤウニ其特徵ト云フモノ
ハ之ヲ一言ニシテ言フナラバ、同業組
合ハ從來ノ歷史的經過ヲ持ッテ居ル、
サウシテ公益的ト云フコトガ主ナル目
的デアッテ、其間ニ於テ互ニ親密、或ハ
爭議ノ調停ト云フヤウナコトヲヤッテ
居ルカラシテ、ソレダケガ目的デアル
カラ、ソレニ對シテ全力ヲ注グ、今囘
是ハヤハ
リ經濟的意味ヲ加味シテ居ル爲ニ、其
方ガ特徵ナンダ、斯ウ云フコトデアレ
バ意味ハ分リマス、サウナレバ同業組
合ト云フモノト、工業組合ト云フモノ
ト一方ハ公益的方面ヲ主トシテ行ク、
今囘ノハ公益的方面ヲ含ンデハ居ルケ
レドモ、更ニ經濟的意味ヲ加味シテ居
ルカラシテ、此經濟的意味ノ方ガ特徵
ナンデアル、隨テ此同業組合ト、工
業組合ノ間ニ各〓特徵ガアルト言ヘバ
分リマスケレドモ、サウデナクシテ、
同業組合ノ全部ガ工業組合ノ中ニアッ
テ、其上ニ經濟的方面ガアルト云フコ
トデアレバ、此同業組合ノ公益的方面
ニ對シテハ特徵ガ無イト云フコトニナ
リマスカ、ドウデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=27
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028・俵孫一
○俵國務大臣 其處ハ私ハ先刻區別シ
テ御答申シタ通リデアリマス、幅ニ於
テ違ガアル所ヲ特徵ト云ヘバ特徵、機
能職能ニ於テハ、工業ノ組合ナルモ
ノハ、同業組合ノ公益的方面ノ全部ヲ
包含シテ居ルモノデアル、斯ウ申上ゲ
テ、サウ云フコトヲ言ウタ積リデアル
ノデアリマス、然ラバ職能ニ於テ違ガ
ナイデハナイカ、ダカラシテ何モ同業
組合ヲ尊重スルト言フガ、事實ハ無ク
テモ宜イデハナイカ、但シ又或ハ目的
ハ同樣デアッテモ、一方ニ於テハ公益
的方面ヲ尙ホ助長サシテヤルト言ヒ
一方ハ經濟的方面ヲモ助長サセルト言
フナラバ、竝立ト云フコトガ分ルト云
フ、斯ウ云フ御趣意ノ御尋ノヤウデア
リマス
是ハ私ハ斯ウ考ヘル、當局者ガ監督
スル上ニ於テ、公益的方面ノ職能ハ同
業組合モ工業組合モ同樣デアルト申シ
タ、又法律ノ精神モサウナッテ居ル、
其間ニ於キマシテ一方ハ機能、職能ハ
同樣デアルガ、一方ハ公益的方面ノミ
ヲ助長サセル方針ヲ執ッテ發達セシム
ル一方ハ經濟的方面ノミヲ發達セシ
ムルト云フコトヲ當局者ガ考ヘルコト
ハ、是ハ當局者自身ノ法令ノ適用ノ上
ニ矛盾ガアルト思フノデアリマス、私
ハサウハ考ヘナイ、同業組合ナルモノ
ハ、職能ハ同樣デアルケレドモ、ソレ
專門ニ其方ニ向ッテ十分ニ努メルト云
フコトニ、同業組合ノ働キトシテ努メ
テ行ク、是ハ事實サウナルカモ知レマ
セヌ、而シテ工業組合ノ方ハ、出來ルダ
ケ經濟的施設ノ方デ、當業者ガ經濟的
不足ヲ感ズル、金融問題トカ其他共同
施設トカ云フヤウナ方面ニ向ッテ發達
シテ行ク、事實上ノ問題トシテハ斯
ウ云フコトニナルカモ知レマセヌガ、
是ハ何レ組合員ノ任意行動デアル、當
局者ガ之ヲ指圖スルノニ、同業組合ハ
公益的事項ノミニ專ラ指導シテ行ク、
工業組合ハ經濟的方面ニノミ指導シテ
行クト云フモノデハナイト思フノデア
リマス
而シテ丁度御言葉ノ中ニアッタガ、
然ラバ範圍ガ違フ、同業組合ニ、工業
家ノミノ組合ガ、若シ同業組合トシテ
存立シタナラバ、是ガ工業組合ヲ作ツ
タ、斯ウ云フナラバ、全然幅モ同ジデ
アル、職能モ同ジデアル、此場合ニド
ウダ、斯ウ云フ御尋デアリマシタガ、
アナタノ言ハレタ如ク、例ヘバサウ云
フ同ジ幅、會員モ同ジ幅デ、而モ職能
ハ同業組合ノ有スル全部ヲ工業組合ガ
働カシメ得ルト云フ場合ニ於テハ、必
ズ任意ノ解散ヲスルト思ヒマス、任意
解散ヲシナイデモ宜イ、任意解散ヲサ
ストハ申シマセヌガ、アナタガ言ハレ
ル如ク、全ク必要ガ無イト云フコトニ
ナルカラ、其場合ニ於テハ必ズ任意解
散ヲ同業組合ガスルデアラウト思ッテ
居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=28
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029・上田孝吉
○上田委員 ドウモ只今ノ御答辯ハ甚
ダ茫然トシテ其本質ヲ摑ムニ由ナイ
御答辯デアリマスガ、餘リ押問答シテ
モイケマセヌカラ、ソレニ對シテハ餘
リ押問答ニナラヌ範圍デ伺ヒマスガ、
私ハ兩組合ガ竝立スルコトハ寧ロ必要
ト云フ意見デス、ソレハ兩組合ハ各と
其特徴ヲ發揮シテ行クベキモノデ、卽
チ一方ハ公益的方面ニ重キヲ置キ、他
方ハ經濟的方面ニ重キヲ置ク、尤モ雙
方共公益的方面ヲ含マレテ居ルガ、實
際ノ機能發揮ハ、各〓特徴ヲ持ッテ竝存
シテ行ク必要ガアル、隨テ第九條ハ少
シク考慮スル必要ガアルヤウニ考ヘル
ガ政府當局ハ此二ツハ竝立スル必要
アリト斷ゼラレテ、サウシテ其幅ガ違
フト云フヤウナ僅カナ理由ノ下ニ、其
內容機能ニ於テ同ジ二ツノ組合ヲ存續
セシメテ置ク場合ニ於テ、極ク些末ナ
實際問題カラ云ッテ、經費ノ負擔、手段
ノ煩瑣ト云フヤウナ意味カラ云ッテモ
吾々ハ常識的ニ考ヘテ、兩方ノ組合ニ
入リサウニモ思ハレヌドチラカ一方、
卽チ工業組合ヲ擇ンデ同業組合ヲ脫退
スル者ガ續出スル傾向ニナルコトハ、
火ヲ諸ルヨリ明カト思ヒマスガ、政府
ハ尙且ツソレヲ御否定ニナッテ、サウ
云フコトハナイ、サウ云フコトハ希望
シナイ、竝立ノ出來ルモノト仰シヤッ
テ居リマスガ、然ラバ立戾ッテ立法ノ根
本趣旨ニ付テ聽イテ見マスナラバ、此
法案ハ產業統制ノ法案ト相俟ッテ、旣
ニ政府ガヤカマシク宣傳サレテ居ル產
業合理化、產業統制ト云フ目的ノ爲ニ、
ヤハリ此法ガ提出サレテ居ルト考ヘ
ル、左樣ニ總テノ事業ノ合理化ト云フ
コトヲ考ヘル時ニ於テ、同ジ目的ヲ持
ツテ、僅ニ幅ダケ多少違フケレドモ、其
人ノ集マリ方ガ少シク違フダケノ差異
デアッテ、サウシテ同ジヤウナ目的ヲ
持ッタモノヲ數多ク設ケテ居ラレルト
云フコトハ、是ハ實際ノ意味ニ於テ產
業ノ統制ニナリ、或ハ事業ノ合理化、
簡易化ト云フヤウナコトニナリ得ナイ
ヤウニ、私等ハ考ヘルノデアリマスル
ガ、政府ノ根本ノ此產業ノ合理化、事
業ノ合理化ト云フコトニモ斯ウ云フ
ヤウナ同ジモノガアッテ、而モ其間ニ
特徵ガナイトシマスルナラバ、相反ス
ルヤウナコトニナリハセヌカ、私ハ此
二ツノモノガ各〓特徵ガアル、特徵ガ
アルカラ竝存セシメナケレバナラヌ
サウシテ九條ニ對シテハ尙ホ考慮シナ
ケレバナラヌト、斯ウ言フノデアリマ
スケレデモ、政府當局ハサウ言ッテ居
ナイ、政府當局ハ同ジモノダト言ッテ
居ル、唯其幅デアル、サウ云フヤウナ、
收容人員ノ範圍ト云フヤウナコトニ對
シテ、多少ノ差異ハアルケレドモ、大
體ニ於テ同ジモノダ、唯一方ハソレニ
大キナモノガ加ッタヾケダ、サウ云フ
モノガ旣ニ政府ガ喧シク唱ヘテ居ラレ
ル所ノ、此仕事ノ合理化、仕事ノ簡易
化ト云フヤウナコトノ、目的ニ相反ス
ルヤウナコトニナリハセヌカト云フコ
トヲ憂ヘルノデアリマスガ、如何デア
リマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=29
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030・俵孫一
○俵國務大臣 其點ノ御諒解ヲ得ラレ
ヌコトヲ甚ダ遺憾ニ存ジマスルガ、先
程申上ゲタ通リニ、兩者ノ職能ハ公益
的方面ニ於テ違ハナイ、違ガナケレバ、
一方ヲ尊重スルト云フコトガ、唯口ノ
話デハナイカ、事實ニ於テハ、サウ云
フ馬鹿氣タコトヲスル人ハナイト、斯
ウ仰セラレルガ、是ハ事實問題デアリ
やっ、今朝モ工務局長ガ岸田君ノ質問
ニ對シテ說明ヲ申上ゲタ如ク、七十一
カ八十一カ幾ツカノ工業組合ガ出來
テ、其中是ガ爲ニ同業組合ヲ解散シタ
コトハ二十幾ツシカナイノデアリマ
ス、大部分ノモノハマダ同業組合ト
シテ存續シテ居ル、是ガアナタノ仰セ
ラルヽ其機能、職能ハ同樣デアルガ、
發達ガ自ラ別デアルノデ、同業組合ノ
方ハヤハリ公益的ナ方面ニ向フテ十分
ナ發達ヲ遂ゲテ居ル、工業組合ニ於テ
ハ目的ハ同ジカ知レヌケレドモ、ソコ
ニ於テ働ガ違フ、斯ウ云フ風ナコトガ
アッテ、ソレガ特徵ダト仰セラレルガ、
私ガ申上ゲルノハ、其點ニ於テハ、職
能ニ於テハ區別ハアリマセヌ、特徴ハ
ナイ、自然ノ發達ニ於テサウナルコト
ハアリ得ルカモ知ラヌ、是ハ必ズサウ
ナリ得ルノデス、ケレドモ其指導的位
置ニ立ツ所ノ官廳ガ、同業組合ニ、御
前ハ公益的方面ニ伸ビロ、工業組合ニ
ハ御前ハ經濟的方面ニ伸ビロ斯ウ
云フ風ニ指導シテ行クト云フコトノ、
區別ヲ付ケルト云フコトガ、却テ立法
上ノ精神ト衝突シテ來ハセヌカト、斯
ウ申上ゲタノデアリマス、ソレデ事實
ニ於テ、アナタガ仰セラルヽ如ク、同
業組合ハ同業組合ノ公益的方面ニ向ツ
テ、特殊ナル發達ヲスルカモ知レマセ
ヌ、發達シテモ差支ゴザイマセヌ、又
工業組合ハ、經濟的方面ニ付テ發達シ
テ、マア公益的方面ニ付テハ、竝立シ
テ居ル所ノ同業組合ノ方ニ據ルト云フ
コトニナッテモ、差支ハチットモアリマ
セヌ、其邊ハ前カラ申上ゲタ通リニ、
一ニ當業者ノ任意ニスルト云フコトハ
自然ノ發達ニ委シテ居ル譯デハナ
イガ、斯ウ商工省ハ考ヘテ居ル次第デ
アルノデアリマス、之ヲドウシナケレ
バナラヌトカ、斯ウシナケレバナラヌ
トカ云フヤウナコトヲ言フコトコソ窮
屈ガ起ル、ダカラ二ツノ同ジ幅ノ同ジ
當業者ガ、一方ニ於テハ同業組合ヲ作
リ、一方ニ於テハ工業組合ヲ作ルト云
フコトハ、所謂合理化ニ反シハセヌカ、
隨テソンナコトハナイダラウト仰セラ
レル、尤モ千萬デアルト思フ-解散
スルデアラウト思フ、解散セシメハシ
マセヌ、當局ノ方針ト致シマシテハ自
然ノ推移ニ俟ツソレハドッチデモ差
支ナイ、デアリマスカラ兩方トモ存立
セシメテ、自由ノ發達ニ委セル、アナ
タノ仰セラレル所ノ別々ニ發達スルト
云フコトハアリ得ルト思ヒマス、是ハ
當局者ハ期待シテハ居ラナイ、斯ウ申
上ゲルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=30
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031・上田孝吉
○上田委員 政府當局ノ只今ノ御說明
ハ非常ニ言葉ヲ飾ッテ云ッテ居ラレルノ
デアリマスケレドモ、此兩方ノ組合ヲ
自然ノ勢ニ委スト云フ御言葉ハ是一
非常ニ私ハ爲政者トシテ當ヲ得ヌ御言
葉デハナイカト思ヒマス、苟クモ法律
ヲ發布シ施行スルノニ、現在ノ情勢上
此法律ヲ發布シ施行スルノニ、ドウ云
フ影響ヲ及ボスカ、將來此法律ニ依。ツ
テドウ云フ影響ヲ蒙ルカト云フコトヲ
能ク察知セラレテコソ、其立法ヲナサ
ル根本ノ目的ガ達セラレルト思ヒマ
ス、然ルニ拘ラズ立法ハ漫然トシテセ
ラルサウシテ之ヲ議會ニ提出セラ
ルヽガ、由テ出テ來ル所ノ作用機能及
ビ自然ノ經過ト云フコトハ成行ニ委
ス、是デハ何ノ爲ニ立法ヲナサレ、何
ノ爲ニ法律ヲ議會ニ御出シニナルカト
云フコトガ、全然無意味ニナリハシナ
イカ、是ハ餘リ政府當局、商工大臣ハ
言葉ヲ飾ッテ居ラレル、是ハ自然ニ衰
ヘルモノハ仕方ガナイ、又榮エルモノ
モ自然ダカラ仕方ガナイト云フ言葉ノ
裏ニハ、此歷史アル同業組合ハ潰ス譯
ニ行カヌカラ、マア過渡時代トシテ斯
ウシテ置クケレドモ、實際ハ此工業組
合ヲ盛ンナラシメ、結局此工業組合ニ
統一シタイ、斯ウ綺麗ニ肚ヲ割ッテ言
ハレルナラバ是ハ分ルケレドモ、何處
カ咽喉元マデサウ云フ處ガ現レテ居リ
ナガラ、之ヲ粉飾シテサウシテ政府ハ
兩方ノモノヽ竝立ヲ希望スルノダ、唯
自然ノ發逹ニ於テサウナルナラ仕方ガ
ナイ、サウ云フコトデアルナラバ是
ハ政府當局ハ自分ノ無能ヲ天下ニ暴露
スルコトニナリハシナイカ、是ハモウ
少シ御考ヘニナッテ、サウシテ今私ガ
政府ノ肚ノ底ニ這入ッタコトヲ申上ゲ
タヤウナ趣旨デアルナラバ、ソレヲ露
骨ニ言ハレテ其意見ガ正シイカドウカ
ト云フコトヲ討議スルノガ、是ハ本當
デハアリマセヌカ、私ハ併シ其肚ノ底
ニ這入ッテ申上ゲタコトハサウシテ
政府ノ本當ノ考デアルト推察シタコト
ハ私ハ反對デス、私ハサウ云フヤウナ
考ヲ持ツモノデアリマセヌ、私ハヤハ
リ先程カラ繰返シテ申上ゲタ通リ、同
業組合ハ同業組合デ公益的ノ特徵ヲ持
ッテ居ル、今囘ノ此工業組合ハ同業組
合ノ機能ノ外ニ、經濟的ノモノガアル
ガ、併ナガラ主トシテ經濟的ノ方面ニ
機能ヲ發揮シテ行クンダ、隨テ是等二
ツノモノハ必要デアリマスカラ、第九
條ニ依ッテ考ヲ及ボシ、斯ウ云フ風ニ
考ヘテ行キタイノデ、政府ノ肚ノ底ヲ
割ッタ私ノ推測ノヤウナ御答辯ガアル
ナラバ、ソレハ直ニ贊成出來ルカドウ
カ分リマセヌガ、兎ニ角本當ノ政府ノ
肚ハサウデナケレバナラヌト推測シテ
居ルノデアリマス、サウ云フ肚デアル
ナラバ、明ルキ政治ト仰シヤッテ居ラ
レル、公明ナル政治ヲ唱ヘテ居ラレル
現內閣ノ政府ノ諸公トシマシテハソ
レヲチヤント言ハレテ、サウシテ是ガ
正シイカ或ハ惡イカト云フコトヲ茲ニ
討議シタラドウデセウ、モウ一遍ソレ
ヲ御尋シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=31
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032・俵孫一
○俵國務大臣 ヱライ私ノ肚ヲ透キ通
シテ御覽ニナッタヤウナ御發言ダト考
ヘマス、私共ハソンナ風ナ考ハ持ヲテ
居リマセヌ、ソレガ政府ノ無能デハナ
イカ、斯ウ仰セラレル、私ハ當業者ノ
自然ノ發達ニ委セルト云フコトハ毫
モ政府ノ無能ヲ意味スルモノデハナイ
ト思ヒマス、ソレハ物ニ依リマス、前
來カラ申述ベル通リニ、公益方面ノ團
體ガ二ツアッテモ少シモ差支ナイ、營
業上ノ弊害ヲ除去スル、斯ウ云フコト
ニ付テ之ニ干涉シ、指導スル、是ハ多
多益〓辨スベキモノデアッテ、又言葉答
ヲアナタニサレルカモ知レナイガ、二
ツアッテモ私ハ差支ナイモノデアラウ
ト思フ、其事ヲ私ガエラク粉飾シテ胡
麻化シヲ言ッタヤウナ風ニ御取リデア
ルヤウデアリマスガ、商工省ノ方針ハ
ソレハモウ前カラ定マッテ居ル、現
今朝モ私ハ申シタガ、現行法ノ重要輸
出品工業組合法ト云フモノハ、御承知
ノ通リニ大正十四年ノ議會ニ提案ヲシ
テ通過シタ、協調內閣ノ時代デ農商務
大臣ハ高橋是〓サンデアッタ、政務次
官ハ三土忠造君デアッタ、其三土忠造
君ハ其當時加藤知正君ノ質問ニ對シテ
答ヘテ同ジコトヲ言ッテ居ル、同業組
合ハ益〓健全ニ發達スルコトヲ希望シ
テ居リマス、同時ニ此同業組合ダケデ
ハ經濟的方面ノ目的ヲ達セラレマセヌ
カラ、新ニ工業組合ヲ組織シテ、此工
業組合ノ堅實ナル發達ヲ希望シテ居リ
マス、雙方ノ組合ノ發達ヲ希望シマス
斯ウ時ノ農商務政務次官三土忠造君ガ
言ッテ居ル、此精神ハ同ジコトデス、何
モ變リハナイ、ドウゾ當局者ノ意ノア
ル所ヲ十分ニ御諒解ヲ願ヒタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=32
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033・上田孝吉
○上田委員 大正十四年ニ工業組合法
ガ出マシタ當時ノ事情ヲ仰シヤッタノ
デアリマスガ、私ノ考ヘル所ヲ以テ言
ヒマスナラバ、大正十四年ノモノト
今改正サレテ御出シニナッタモノトハ
非常ニ趣ガ違フノデハナイカ、此工業
組合法ト云フモノハアノ當時主トシテ
輸出品ニ限定サレテ居ッタ、ソレガ今
囘內外共ニ之ヲ適用シテ行クト云フ場
合ニナッテ、初メテ同業組合トサウシ
テ此工業組合トノ間ニ昨日來質問應答
ヲ重ネテ居ルヤウナ問題ガ起ッテ來ル、
大正十四年ノ時ト今度ノ此改正案ノ時
トハ餘程事情ガ異ッテ居ルノデハナイ
カト思フニモ拘ラズ、ソレヲ同一ナリ
トシテ商工大臣ガ言ハレテ居ルコト
ハ非常ニ私ハ矛盾シテ居ルト思ヒマ
ス又改正サレル前ノ工業組合トサ
ウシテ同業組合ノ關係ヲ言ハレテ、解
散シタ數ガ僅カデ、存續シテ居ル同業
組合ノ數ガ率カラ言ッテ非常ニ多イト
云フコトハ、工業組合ガ出來テモ同業
組合ガ竝立シ得ル一ツノ數字上ノ證據
ダト言ハレルケレドモ、ソレハ今申シ
タヤウナ理由デ、大正十四年ノ改正前
ノ此法律ト同業組合ノ間ニ於テハサウ
云フ關係ガアッタデセウケレドモ、今
囘改正サレタ法律ガ施行サレルトスレ
バソレハ違ッタ結果ガ現レテ來ヤセ
ヌカト云フコトヲ私ハ憂ヘテ居ルノデ
アリマス、又サウナッテハナラヌト思
フノデアリマス、此點ニ對シテヤハリ
前ノ工業組合法ト同業組合ノ關係及ビ
是ガ改正サレタ後ノ關係ハドウ云フヤ
ウナモノデアルト政府當局ハ考ヘラレ
ルノデアルカト云フコトヲ承ッテ置キ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=33
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034・俵孫一
○俵國務大臣 ソレハ變ッテ居ルト言
ヘバ品目ニ依ッテ大小ノ差ガアルダケ
デス、其他ニ於テハ少シモ變リガアリ
マセヌ、詰リ言ヘバ同業組合法ガ一方
ニアリ、工業組合法ガ一方ニアリ、其
工業組合法ナルモノハ前モヤハリ公益
方面ト經濟方面ト兩方ガアル、其職能
ヲ稍〓追加シテ不十分ヲ補足シタ點ハ
アリマセウケレドモ、工業組合ノ性質
ニ於テハ少シモ變リガナイ、同業組合
ハ勿論變リガナイ、變ルト云フナラバ
以前ハ輸出品ニ限ッテ居ッタノヲ、今度
ハ輸出品ニ非ザルモノモ工業組合ノ目
的物ニ出來ルト云フ點ガ變ッテ居ルノ
デアルダカラ幅ニ於テ變ッテ居居ダ
ケデアッテ、性質ハチットモ變ラナイ、
是ハ恐ラクハ上田君モ其點ハ御理解下
サルダラウト思フ、前ハ輸出品ニ限定
シテ、今度ハ輸出品デナク、廣ク重要
工業品ニ適用スルコトニナッタ點ニ於
テハ-言葉ヲ換ヘテ申シマスレバ、
內地製品ノ重要品ナラバ此工業組合法
ヲ適用スルト云フ點ニ於テ違ガアルダ
ケノ話デアル、少シモ違ッテ居ルトハ
思ヒマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=34
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035・上田孝吉
○上田委員 是ハドウモ政府當局トシ
テ非常ニ異ナ御答辯ダト思フ、從來輸
出品ニ限ラレテ居ッタモノヲ、内地ノ重
要工業品ニモ之ヲ適用スル、所謂外ニ
向ッテ輸出サレル物ニ限ッテ居ッタモノ
ヲ、今囘ハ內外共ニ之ヲ適用シテ行ク
ト云フ、是程ノ變リ方ガ何處ニアルカ
同業組合ノ中ニハ輸出ノ爲ノ物モアッ
タデセウケレドモ、特ニ國內ニアッテ
同業者間ニ於テ公益的ナ方面ノ仕事ヲ
シテ居ッタノガ同業組合デアリマス、
言換ヘテ見レバ、同業組合ト云モフノ
ハ、國內的ニ同業者間ノ公益的ナ色々
ナ方面ノ事ヲ行ッテ行クノガ同業組合
デアリマス、工業組合ハ今迄ハ外ニ向
フ輸出品ノ部分ニ限ラレテ居ッタモノ
ヲ、今囘ハ國內ノ物ニ向ッテ範圍ヲ擴
ゲルト云フコトハ、何モ變ヲテ居ラヌ
ト商工大臣ハ言ハレルケレドモ、是程
大キナ變リハナイト私ハ思フ、併ナガ
ラ尙且ツ商工大臣ハ如何ニ私ガ申上ゲ
テモソレハ變っテ居ナイト言ハレルナ
ラバ、是ハ常識上ノ判斷ニ委スヨリ外
ハナイ、併シ斯ウ云フ極メテ明々白々
ナモノヲ常識的ニ爭ハナケレバナラヌ
ト云フコトヲ私ハ非常ニ悲シム、商工
大臣ガ從來ノ同業組合ニ對スル關係ト
改正後ニ於ケル關係トハ毫モ其間ニ變
化ヲ來サヌト御考ヘニナルト云フコト
ハ、私ハ非常ナ間違ヒヂヤナイカト思
ヒマス、併ナガラ政府當局ト私ノ意見
トガ違フト云フコトデアレバ、是以上
質問應答ヲ重ネタ所デ餘儀ナイコトデ
アル、此上ハモウ社會一般ノ判斷ニ俟
ツヨリ仕方ガナイノデアリマスカラ其
程度ニ止メテ置キマスガ、大臣ガ變ラ
ヌト言ハレルコトハ間違ダト云フコト
ヲ申上ゲテ置キタイ
次ニ工業組合法ノ第三條ヲ見マス
ト二項ト三項ニ於テ、從來信用組合
ニ於テ行ッテ居ッタ事、或ハ產業組合ニ
於テ行ッテ居ッタ事ガ此組合ニ於テハ出
來ルコトニナルノデアリマス、所ガ從
來ハ事實ニ於テハ信用組合ナリ、產業
組合ヲ利用シテ其目的ヲ達シテ來タモ
ノト思フ、然ルニモ拘ラズ本法ニ於テ
產業組合、信用組合ニ依ッテ行フコ
トガ出來ル所ノ事ヲ、更ニ又此組合デ
行フコトガ出來ルヤウニスルト云フコ
トハ、或意味カラ見レバ此組合法ヲ完
全ナラシメル爲ニ色々ナモノヲ此處ニ
取入レテ、サウシテ此法ノ運用ヲ全カ
ラシメル爲ダト言ヘバ言ハレルノデア
リマスケレドモ、既ニ同業組合ヲ同ジ
モノダト言ヒナガラ、其儘ニ置イテ置
クサウシテ此工業組合法ヲ設ケテ、
一方ニ於テハ加入ヲ自由ナラシメル、
或ハ脫退ヲ自由ナラシメルヤウナコト
ヲシテ居ラレル、所謂常ニ屋上屋ヲ重
ネルヤウナコトヲ、政府當局ニ於テシ
テ居ラレルヤウニ思フノデアリマス
ガ第三條ノ第二項及ビ三項ニ於テ信
用組合及ビ產業組合ノ法ノ運用トヤハ
リ同ジヤウナ結果ニナッテ屋上更ニ屋
ヲ重ネルヤウナ關係ニナッテ居ルト思
ヒマスガ、此點ハドウ云フヤウナ御意
見デアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=35
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036・吉野信次
○吉野政府委員 御答致シマス、今度
ノ改正法デハ、第三條ノ二項、三項デ
從來產業組合デヤッテ居リマスヤウナ、
事柄ヲ玆ニ取入レタノデアリマス、ソ
レハ詰リ前囘申シマシタ通リ工業組合
法ヲ立法致シマス時ハ、同業組合デ足
リナイ所ヲ補フ、ソレガ足リナイト云
フノハ、詰リ產業組合、同業組合デ出
來マセヌカラ、サウ云フコトヲ補フ積
リデヤッタノダト云フコトハ先程申
上ゲマシタ通リデアリマス、ソレデ尙
ホ現行法ノ中ニ於キマシテモ、實ハ貯
金ノヤウナコトハヤッテ居リマセヌケ
レドモ、金融ノヤウナモノハ第一項ノ
第三號ノ、其他組合ノ目的ヲ達スル施
設ト云フコト、是等ヲ解釋シテ現在ヤッ
テ居リマス、唯ソレヲ今度ハ二項ニハ
ッキリ書イテ、資金ヲ貸付ケルト云フ
コトヲ立テマシテ、サウシテソレニ對
シテ、貯金モ併セテ、ヤルト云フコト
ヲ、新ニ付加ヘタト斯ウ云フ改正デゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=36
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037・上田孝吉
○上田委員 略〓分リマシタガ、唯從來
產業組合、信用組合ニ依ッテ、十分ニ目
的ヲ達シテ居ッタモノヲ、又更ニ此工
業組合ノ中ニ御規定ニナルト云フヤウ
ナコトハ先程御說明ヲ私ガ致シタ通
リ所謂仕事ノ合理化ト云フヤウナ意
味或ハ簡易化ト云フヤウナ意味カラ考
ヘラ、現內閣ハ常ニ口ニサウ云フ合理
化ヲ唱ヘテ居リナガラ、現在ノ立法ノ
形式ハ常ニ同ジコトヲ二重ニ重ネ
オヤリニナルヤウナ、煩瑣ナル手續ヲ
御執リニナッテ居ルヤウニ思ヒマスガ、
是ヲシモ尙且ツサウ云フヤウナ煩瑣ナ
ル手續デナイト御考ヘニナッテ居ルカ
ドウカ、煩瑣ナ所謂二重ノ手續ト云フ
コトハ今政府當局ハ或ル意味ニ於テ御
認ニナッタト私ハ思フノデアリマスガ、
サウ云フ同ジヤウナ手續ヲ次カラ次ヘ
ト繰返サレテ居ルコトハ、是ハ仕事ノ
簡易化ノ上ニ於テ好マシイコトデナイ
ノデハナイカト思フノデアリマスガ、
政府當局ハソレデモヤハリサウ云フヤ
ウナ立法ノ經過ヲ辿ッテ行ク必要ガア
ルト思フカト云フコトヲ御尋シタイ、
ソレハ此工業組合法自體ヲ簡易ニスル
カ、セヌカト云フコトハ、ソレハドウ
デモ宜イ、此工業組合、同業組合ノコ
トハ或ハ信用組合ノコトモ、產業組合
ノコトモ取入レ、色々ナモノヲ取入レ
テ置ケバ形ハ宜イカモ知レナイ、ケレ
ドモ他ノ一方ニ於テハ是ト同ジヤウナ
內容ヲ持ッタ所ノモノガ、アッチコッチ
ニアッテサウシテ機能ヲ發揮シテ居ル
ト云フコトデアレバ、ソレト是トノ間
ニ於テ、立法ノ經過ニ於テ、甚ダ煩瑣
ナル所謂合理化ナラザル傾向ヲ御辿リ
ニナッテ居ルヤウニ思フノデアリマス
ガ、其點ハドウデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=37
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038・俵孫一
○俵國務大臣 其點ハ同業組合ノ關係
ニ付テ御尋ニナッタト同ジ意味ニ於テ
考ヘテ居リマス、御說ノ通リニ信用組
合ガアリマスガ、其信用組合デヤッテ
居ル其働デ、中小工業家ノ今日ノ資金
ノ缺乏ト云フモノガ滿足セラレルヤ否
ヤガ先決問題デアル、御說モ其點ハ稍ミ
假定的ニ考ヘマシテ、假ニ信用組合ニ
於テ、十分ニ出來ルトシタナラバト云
フ御言葉ガアッタガ、若モ信用組合ガ
十分ニ出來ルトシタナラバ、或ハ工業
組合ノ斯ウ云フ經濟的方面ハ必要デナ
イカモ知レナイ、是モ信用組合ノ幅ト、
工業組合ノ幅トハ必ズシモ一致シマセ
ヌガ、幅ニ於テ假令、信用組合ガ十分
ニ其機能ヲ發揮スルトシテモ、尙ホ工
業組合ノ經濟的缺乏ハ、之ヲ補フ必要
ガアリマセヌ、況ヤ又今日ノ信用組合
ガ中小工業家ノ資金ヲ十分ニ圓滑ナラ
シムル働キヲシテ居ルトハ何人モ思
ヒ能ハナイ、ソレハ御承知デアリマセ
ウ、ソレ故ニ尙更ラノコト、工業組合
トシテハ、中小工業家ノ金融ヲ滑カニ
シテ、今日ノ窮況ヲ救ヒ、或ハ將來ニ
於テモ、中小工業家ノ資金ヲ十分ニナ
ラシムルト云フ點ニ於テ、政府ハ必要
デアルト云フ見地ヨリ、此立法ヲセン
ト欲スルモノデアル、事實ハ今日必要
デアルヤ否ヤ、アナタノ仰セノ如ク信
用組合デ以テ滿足サセ得ルヤ否ヤ、斯
ウ云フコトガ詰リ先決問題デアル、而
シテ合理化ト云フコトニ付テ、ソレナ
ラ、信用組合ヲ改善ヲシタラ宜イダラ
ウ、其事務ヲ極ク單純化スルコトニシ
テ行ッタラ、單ニ工業組合ヲコンナコト
ニスル必要ハナイダラウト云フ御疑ガ
出ルカモ知レマセヌガ、私ハ金融方面
ハ各種ノ方面カラ手ヲ著ケテ差支ナイ
ト思フ、二重デモ三重デモ、興業銀行
カラモ、普通銀行カラモ、資金ヲ借リ
ル、二重ニモ、三重ニモ其者ガ信用ガ
アリ、其者ノ事業ニ必要ガアルナラバ
借リテモ差支ナイモノデアル、斯ウ云
フモノヲ强ヒテ簡素ニ-機關ヲ簡單
ニスルト云フコトノ必要ハナイト斯ウ
思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=38
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039・上田孝吉
○上田委員 ドウモ只今ノ商工大臣ノ
御說明ヲ私滿足スルコトハ出來ヌノデ
アリマス、ソレハ第一ハ私ガ信用組合
ノ機能ヲ十分ニ發揮シテ居ルナラバト
假定シテノ御尋デスカラ、十分ニ機能
ヲ發揮シ得ルナラバ、或ハ第三條ノ第
二項第三項ノヤウナ必要ガナイノデア
ルカモ知レヌケレトモ、ソレヲ十分ニ
機能ヲ發揮セラレヌト思フカラシテ、
必要ダト云フ意味合ノ御答辯ガアッタ
ノデアリマスケレドモ、是ハ信用組合
ノ機能ガ十分ニ發揮セラレルカ、セラ
レヌカト云フコトハ、ヤハリ爲政者ノ
責任デアル、此信用組合ノ法規ニ缺陷
ガアレバ別問題デアル、缺陷ガアレバ
又改正ナサルノガ當然デアル、法ニ缺
陷ナクシテ、尙且ツ信用組合ノ機能ヲ
發揮スルニ全カラズト御考ヘニナルト
致シマシタナラバ、具體的ニ事實ヲ擧
ゲテ、ドウ云フコトガ信用組合及ビ產
業組合ノ機能ヲ十分ニ發揮スルニ不便
ナ點ガアルト云フコトヲ御示ヲ願ヒタ
イノデアリマス、サウデナケレバ私ハ
意義ヲ爲サヌト思フ、ノミナラズ商工
大臣ハ信用組合、產業組合ノ方デ金融
ヲ利用スルノモ宜イ、又、此工業組合
ニ依ッテ利用スルノモ宜イ、所謂二重
三重ニ利用スレバ宜イヂヤナイカト言
ハレルケレドモ、利用スル人ソレ自體
ハ信用ニ限リガアル、工業組合ニ依ツ
テ資金ヲ融通スルト致シマシテモ、ヤ
ハリ其人ノ信用ヲ單位ト致シマシテ、
ソレ以上超ヱルコトハ工業組合ノ基礎
ヲ危クスルモノデナクテハナラヌ、デ
アリマスカラシテ其人ノ信用ト云フモ
ノハサウ二重、三重ニ應用出來ルモ
ノデハナイ、唯殘ル所ハ信用組合ノ機
能ヲ發揮スル、產業組合ノ機能ヲ發揮
スルニ、不十分、不便ナ點ガアルカラ、
此工業組合法ニ於テハ此資金融通ノ方
法ヲ考ヘタノデアルト云フコトデアリ
マスナラバ、他ニ信用組合、工業組合
ノ何處ニサウ云フヤウナ不十分デア
リ、或ハ機能ヲ發揮セザル點ガアルカ、
又法律的ニ缺點ガアルナラバ、何故之
ヲ改正爲サラヌカト云フコトヲ承リタ
イノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=39
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040・俵孫一
○俵國務大臣 中小工業家ノ金融ガ今
日ノ信用組合ヲ以テ十分ニ行ケルトハ
是ハ何人モ考ヘマセヌ、ソレヲ一々何
處ガドウダカラ、斯ウダカラト云フコ
トヲ指摘セヨト仰セラレルガ、ソレハ
殆ド指摘セヌデモ明カナコトヽ思ヒマ
ス、法令ノ點ニ於テ缺陷ガアルカ、私
ハ必ズシモ產業組合法ニ法令ノ上ニ於
テ缺陷ガアルトモ思へマセヌ、併ナガ
ラ今日ノ信用組合ノ貸付ニ於テ、或ハ
貸付條件ニ於テ十分ナラザルモノガア
ル、或ハ組合其モノヽ運用ガ今日必ズ
シモ十分デナイト云ッタヤウナコトハ
幾ラモアルノデス、是ハ恐ラクハソン
ナコトヲ指摘セヌデモ、上田君モ十分
ニ御了解デアラウト思ヒマス、而シテ
產業組合カラモ融通ヲ受ケル、工業組
合カラモ融通ヲ受ケル、普通銀行カラ
モ融通ヲ受ケル、ソレハ其人ノ信用次
第デアル、サウ矢鱈ニ貸付ケル金融業
者ガアッテモ、中小工業家ガアッテモ、
中小工業家デ必ズシモ其恩惠ニ與ル譯
ニハ行カヌト云フガ、是ハ御尤デアリ
マセウ、御尤デアリマセウガ、サウデ
ナイモノモアリマス、或ハ信用組合デ
ハ借リラレヌケレドモ、工業組合デハ
借リラレル、或ハ普通銀行デハ借リラ
レヌケレドモ、工業組合デハ借リラレ
ルト云ッタ如キコトガアリマスカラ、
一〓ニアナタノ仰セノヤウナ具合ニ、
一ツアレバ澤山デアルト云フノハイカ
ヌト思ヒマス、假ニアナタノ御說ヲ宜
イトシテモ、私ハ今ノヤウニ二ツアッテ
モ三ツアッテモ差支ナイト思ヒマスカ
テ、ソレヲ御認メ下サッテモ宜イト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=40
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041・上田孝吉
○上田委員 私ハ第三條ノ二項、三項
ガイカヌト否定シテ居ルノデハナイ、
善イトモ惡イトモ言ッテ居ナイ、、信用
組合、產業組合ノ利用ト云フコトヽ
工業組合ノ第三條ノ利用トノ色々ナ複
雜シタ關係ヲ言ッテ居ルノデアッテ、私
ハ善イトモ惡イトモ斷定シテ居ルノヂ
ヤナイカラ、質問デアルトシテ御聽ヲ
願ヒタイ
ソレカラ今信用組合及ビ產業組合ニ
對シテ其機能ヲ發揮スル上ニ於テ不十
分ノ點ガアルナラバ指摘シテ戴キタ
イ、又其方ニ於テ缺陷ガアレバ御指摘
願ヒタイト申上ゲタ所ガ、ソレハ一々
指摘セヌデモ質問者自身デ分ッテ居ル
ヂヤナイカト云フ御答辯デアリマシタ
ガ、私モ分ラヌヂヤナイ、分ッテ居ル
ガ、私ノ御聽シヨウト云フノハ工業組
合ノ第三條ノ第二項、第三項ノ斯ウ云
フ規定ヲ御設ケニナッテモ、信用組合、
產業組合ガ今日運用ノ機能ヲ全ウシテ
居ナイト云フ點ガアルトスレバ、ソレ
ハ法律ノ缺點ヨリモ運用シテ居ル人ノ
缺點デアル、利用シテ居ル人ノ問題デ
アル、其人ノ問題ガ最モ大切デアル、
此人ノ問題ニ依ッテ信用組合、產業組合
ト云フモノガ最モ能ク機能ヲ發揮スル
カシナイカト云フコトガ分ルノデアル
カラ、工業組合ニ折角法律デ斯ウ云フ
規定ヲ御設ケニナリマシテモ、之ヲ運
用スル人ノ問題デアル、其人ノ如何ニ
係ルノデアッテ、商工大臣ノ言ハシル
ヤウニ、信用組合カラデモ、產業組合
カラデモ、工業組合カラデモ、何處カ
ラデモ好キナ所カラ金ヲ借リレバ宜イ
ト云フタ所ガ、金ト云フモノハ地カラ
湧イテ出ルヤウニ借リラレルモノデハ
ナイ、運用ノ人ノ問題デアル、デアル
カラ私ノ聽カントスル所ハ信用組合、
或ハ產業組合ト云フヤウナモノガ、何
處カ運用ニ於テ不適當ナル所ガアルガ
爲ニ、工業組合ノ第三條第二項、第三
項ノ斯ウ云フ規定ヲ設ケラレタモノデ
アリマスナラバ政府當局トシテハ信
用及ビ產業組合ノ運用ト云フ、所謂人
ノ問題ト云フコトニ付テ餘程御考ヲ願
ハナケレバイケナイ、ソレト同時ニ此
工業組合ノ運用ニ於テモ、餘程之ヲ能
ク御考ヘナラヌト云フト、折角斯ウ云
フヤウナ規定ヲ設ケラレテモ、是ガ空
文ニ終ル虞ガアリハセヌカト云フコト
ヲ恐レル、唯茲ニ屋上屋ヲ重ネラレル
ヤウナ、折角政府當局ニ於テ產業合
理化、產業ノ統制ト云フコトヲ叫ンデ
居ラレナガラ、サウ云フコトガ空文ニ
終ッテシマッテハ洵ニ遺憾デアルト考
ヘマスカラ、私ハ果シテ工業組合法ノ
第三條第二項、第三項ニ於テ、產業組
合、信用組合ニ金融ノ利便ガアルノニ
拘ラズ、尙且ツ同ジコトヲ御規定ニナ
ル以上ハ、運用ノ上ニ於テドウ云フ御
決心ガアルカ、ドウ云フ御覺悟ガアル
カト云フコトヲ具體的ニ御伺致シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=41
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042・吉野信次
○吉野政府委員 規定ヲ置キマシタ以
上ハ是非共中小工業者ノ金融ト云フ
モノヽ一ツノ方法トシテ、此組合ト云
フモノニ十分政府トシテハ力ヲ盡ス積
リデアリマス、隨ヒマシテ從來產業組
合ト云フヤウナモノハ低利資金ヤ何カ
ヲ廻シテ居ルト云フコトデアレバ自
然コチラノ組合ニモサウ云フコトニス
ルト云フコトハ、大藏當局トモ話ヲシ
テ居ル次第デアリマス、唯御尋ノ點ハ
或ハ寧ロ實情ヲ申上ゲタ方ガ宜イカト
思ヒマスガ、工業家ニシテ產業組合ヲ
組織シテ居ル者ハ甚ダ少イノデアリマ
ス、是ハ御承知ノ通リダト思ヒマス、
ソレデアリマスカラ、何カ工業組合ト
云フモノハ產業組合、信用組合ト云フ
モノヲ現ニ組織シテ居フテ、其方デ斯
ウ云フ金融ヲヤッテ居ルノニ、尙ホ其
上ニ屋上屋ヲ架スルノデハナイカト云
フ御話ノヤウニ拜承致シマシタガ、實
際ハ工業ニ關スル限リハ產業組合ヲ組
織シテ居リマス者ハ少ウゴザイマシ
テ、御承知ノ通リ產業組合ハ主トシテ
農林關係ノ方ニ多イノデアリマシテ、
ソレデアリマスカラ、實情ノ上カラハ
屋上屋ヲ架スルヤウナ制度ニハナラヌ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=42
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043・上田孝吉
○上田委員 只今ノ御答辯ハ私ハ適切
ナル御答辯デアルト思フ、ソレデコソ
勢ヒ茲ニ工業組合ノ第三條第二項、第
三項ヲ御設ケニナッタ趣旨ガハッキリシ
テ來ルノヂヤナイカト思ヒマス、隨テ
運用スル人ノ問題ハ政府當局ガ御考慮
爲サリ、御注意爲サレバ、或ハ屋上屋
ヲ架スルヤウニナッテ居リマシテモ運
用其宜シキヲ得ルト思ヒマス、私ハ他
ニ用ガアルノデ質問ヲ此邊デ止メテ置
キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=43
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044・岸田正記
○岸田委員 大體只今ノ上田君ノ質問
ニ依リマシテ私ノ伺ハントシテ居ル點
ガ明カニモナリ、又容易ニ贊意ヲ表シ
能ハザル點ガアルト云フコトモハッキ
リシテ來タノデアリマスガ、唯重複シ
ナイ範圍ニ於テ、私ハモウ少シ政府當
局ニ御尋シテ見タイノデアリマス、只
今マデノ御說明ヲ伺ヒマスト、同業組
合ヲ今後益〓發展サセマシテ、又其機能
ヲ十分ニ發揮サセテ行クト云フコトニ
對シテハ此工業組合ヲ設ケタ抑〓ノ趣
旨ハ少シモ矛盾スルモノデナイ、斯ウ
云フヤウニ唯成行キ上實際ノ結果トシ
テ現ハレルノハ、或ハ此基礎ヲ動搖セ
シメ或ハ此數ヲ減ラスヤウナ結果ニ陷
ルカモ知レヌケレドモ、是ハ自然ノ陶
汰デアッテ已ムヲ得ナイモノデアルト
斯ウ云フコトモ附加ヘテ仰シヤッタヤ
ウニ承ッタノデアリマス、併シ此事ハ容
易ニ聞過シテハナラヌ問題デハナイカ
ト私ハ思フノデアリマス、抑〓同業組合
ト工業組合、此二ツノ組合ノ存立スル
趣旨ガ全然別個ノ特殊ノ使命ヲ帶ビテ
居ルモノデアルト云フコトハ只今マデ
ノ當局ノ御說明ニ依ッテ明カデアル、然
ル以上ハ自然ニ同業組合ガ此法案ノ實
現ノ結果基礎ヲ危クスルヤウナ結果ニ
陷ッテモ已ムヲ得ズト云フコトハ言ヒ
換ヘレバ同業組合ソレ自體ガ若シ特殊
ノ使命ヲ發揮シナイ衰微ノ狀態ニ陷ツ
テ是ハ敢テ顧ミナイノデアルト云フ結
論ニ到著シ得ルヤウニ私共ハ考ヘ得ラ
レルノデアリマスガ、是ハ今日マデ深
キ根柢ヲ有シ、而シテ全國千五百八十
六ト云フ數多クノ組合數ヲ持ツ此同業
組合今後ノ運命ト致シマシテ容易ナラ
ヌ結果ヲ惹起スルノデアルト同時ニ、
產業界經濟界一般ニ對シテ大キナル所
ノ衝動ヲ與ヘルモノデアルト云フコト
ヲ私ハ憂ヘザルヲ得ナイノデアリマ
ス、私共ハ茲ニ今少シ御尋シタイ點ハ
只今御提案ニナッテ居ル法案ソレ自體
ニ對シマシテハ、此法案ノ中ニ示サレ
テ居ルガ如キ各條項ガ十分ニ各條項共
ニ機能ヲ發揮シテ、サウシテ只今マデ
御說明ニナッタヤウナ結果ヲ招來スル
モノデアルナラバ工業者ニ關スル限リ
ニ於テハ此法案ニ對シテハ私共ハ敢テ
異存ヲ持ツモノデナイ、唯併シ此法案
ノ只今マデ問題ニナッテ居ル所ノ第九
條アルガ故ニ、單ニ工業者ノミニ此問
題ヲ止ムルコト能ハズシテ、產業界全
體經濟界全體ニ大キナ影響ヲ及ボス結
果ヲ招來スルモノデアルガ故ニ、私共
今マデ幾多ノ疑問トスル所ヲ申述ベテ
當局ノ眞意ヲ伺ヒ、又將來ニ對シテノ
憂ヲ述ベテ居ル次第デアリマス、言フ
マデモナク此九條ガ存立致シマスル以
上ハ只今マデノ御說明ニ依ッテ明カナ
コトデアル、又私共ガ想像スル所ニ依ツ
テモ明カデアルト同時ニ何ト致シマシ
テモ、從來ノ同業組合ノ存立ノ上ニ大
キナル影響ヲ及ボシ、其基礎ヲ危クス
ル結果ニ事實上陷ル結果ヲ免レ難イ運
命ノヤウニ思ヒマス、ト云フノハ之ニ
對シマシテ吉野政府委員ナリ或ハ商工
大臣カラモ具ニ申サレマシタケレド
モ、唯從來ノ工業組合、此銀行法ニ基
ク工業組合ノ實例ヲ示シテ、此百二ノ
組合ガ存立致シテ居ル結果ト致シマシ
テ、殆ド毫モ同業組合ニ對シテ其基礎
ヲ危クスルヤウナ事態ヲ惹起シテ居ラ
ナイト云フコトヲ數字ヲ以テ御說明ニ
ナッタヤウデアリマス、而モ之ヲ說明
サレル理由ト致シマシテ、兩者ノ立場
ヲ異ニ致シテ居ッテ、サウシテ其向フ
所ガ違フノデアルカラシテ少シモ差支
ナイヂヤナイカ、斯ウ云フヤウニ承ッ
タノデアリマスケレドモ、私ハ前囘ニ
モ申シタケレドモ、此度ハ此點ニ付テ
少シク深ク立入ッテ御伺ヒシタイノデ
アリマス
今囘ノ工業組合ノ同業組合ニ對スル
經緯カラ推シテ以テ今後ニ現ルベキ工
業組合ノ同業組合ニ對スル影響ヲ推測
スルコトハ到底出來ヌト思フ、ソンナ
モノデハナイト私ハ思フノデアリマ
ス、何故トナレバ過去ノ工業組合ト云
フモノハ言フマデモナク唯重要輸出品
ノ工業ニ關スル限リノ問題デアル、然
ルニ今後現ハレル所ノモノハ日本ノ國
全體ニ對シテ此需要ニ應ズル所ノ工
產物、之ヲ製造スル所ノ工業者、此工
業者ノ殆ド七割ヲ占メル所ノ中小工業
者、量ニ於テ質ニ於テ、又數ニ於テ非
常ニ大キナ範圍ヲ占メテ居ル所ノ工業
者全體ニ及ブ所ノ工業組合、隨テ從來
ノヤウナ唯輸出品ニ限ラレル所ノ工業
者ニ適用サレタ工業法デ統一スルコト
ハ出來ナイ程非常ニ大キナ所ノ工業團
體ニナッテ來ルノデアリマス、卽チ恐
ラクハ今日マデノ同業組合ニ加入致シ
テ居ル-千五百八十六ノ同業組合ニ
加入致シテ居ル同業組合ノ中ニ於キマ
シテ、工務局關係ノ範圍ダケデモ幾ラ
アルカト云フコトヲ私ハ調ベテ見タ
ガ、現在工務局ノ所管ニ屬スル同業組
合ガ六百三十バカリ昭和六年マデノ統
計ニ現ハレテ居ルヤウニ思ヒマス、尙
ホ今日デモ此數ニ近イ狀態デアラウト
思ヒマスルガ、斯ノ如ク千五百八十六
ノ同業組合ノ中ニ於テ六百三十ト申シ
マスト、殆ド四割、卽チ殆ド半バニモ
達スルヤウナ數ヲ占メテ居ルノガ工務
局關係ノ工業者デアリマシテ、其關係
者ノ組織シテ居ル工業組合、同業組合
ガアルノデス、斯ウ云フヤウニ同業組
合ソレ自體ニ付テ考ヘテ見マシテモ中
小商工業者等ガ組織致シテ居ル同業組
合ノ數ハ非常ニ大キナ範圍ヲ占メテ居
ル、隨テ今後現ハレル所ノ工業組合ソ
レ自體ニ付テ考ヘテ見マシテモ、從來
ノ工業法ノミニ關係スル工業組合ドコ
ロデハナクシテ、日本全體ノ中小工業
者ヲ網羅スベキ使命ヲ帶ビテ居ル所ノ
工業組合デアル以上ハ、非常ニ大キナ
團體デアリマス、此モノガ第九條ノ影
響トシテ從來ノ同業組合ニモハイラヌ
デモ宜イシ、若クハ脫退シテモ宜シイ
ト云フヤウナ關係ニナッテ來ルト、是ハ
從來ノヤウナ影響デハナクシテ、殆ド
半數若クハソレ以上占メルヤウナ大キ
ナ影響ヲ同業組合ノ上ニ及ボスモノデ
アルト私ハ確信シテ疑ハヌノデアリマ
ス、サウ致シマスト茲ニ同業組合ノ將
來存立ノ上ニ大キナ影響ヲ及ボスモノ
デアルト云フコトハ、數字的ニ具體的
ニ儼存致シマシテ動スコトノ出來ル事
實デアルト思フ、此結果ガ果シテドウ
デアルカ、中小工業組合ソレ自體ニ付
テハ、ソレハ或ハソレデモ構ハヌト思
ハレルカモ知レナイガ、產業界、廣ク
申セバ經濟界全體ノ立場カラ申シマス
ト、此結果ハ大キナ問題デアル、而モ
是等ガ新シク生レル工業組合ト從來ノ
同業組合トガ、九條ノ影響ヲ受ケルコ
トナクシテ、卽チ第九條ガ存在セズシ
テ相併立スルト共ニ同ジ組合員タルモ
ノガ兩者ニ跨ッテ居ルモノデアッテ、此
工業組合ト同業組合トノ間ニ人的統制
ガ取レテ行クモノデアッタナラバ、サ
シタル問題ハナイケレドモ、全然九條
ノ影響ト致シマシテ、工業組合ニ走ッテ
シマッテ、同業組合ヲ脫退シテシマフ
斯ウ云フ結果ヲ招來シタ曉ニ於テハ、
茲ニ於テ努メテ工業者卽チ製造品トシ
テノ立場ト、ソレカラ之ヲ扱フ販賣者
少クトモ工業以外ノ製造業者及ビ販賣
業ノ團體トガ對立致ス立場ニナッタナ
ラバ、是ハ非常ニ大キナ問題デハナイ
カト思フ、卽チ斯ウナリマスト始メテ
一ツノ企業聯合ト申スカ、合同ト申ス
カ、此中小工業者ノ一ツノ團體ト販賣
業者ノ團體トガ、對立的立場ニナル、
サウナルト初メテソコニ製造者トソレ
ヲ買取ッテ賣ル立場ニアル人トハ、全
然立場ガ違ッテ居リマスカラ、コヽニ
二ツノ團體ガ從來ノ聯結統制ノ取レタ
〓體デハナクヲ、對立的ノ立場ニナリ、
利害關係ヨリ起ル感情ノ衝突モアッタ
リシテ、遂ニ聯結統制ヲ缺イテ來ハセ
ヌカ、斯ウナルト色々ノ弊害ヲ來シテ
來ルノデアリマスガ、私共ガ想像スル
所ニ於キマシテモ、第一ニ若シモ同業
組合ノ組合員達ガ新シク生レ來ル中小
工業者ノ聯結スル工業組合ニ對シテー
-工業組合ハ此規定ニ依リマスト營
業上ノ取締、制限ヲモ爲シ得ル規定ヲ
設ケラレテ居ルノデアリマスガ、此際
一般ニ賣捌ク上ニ於テ、價格ノ統制ヲ
四つ、廉賣ヲシナイトカ、或ハ斯樣
ナ條件デナケシバ一般ノ卸賣人或ハ小
賣人ニ對シテ持ッテ行ケナイト云フヤ
ウニ、單ニ中小工業者ノ團體ダケノ利
益ヲ主トスルヤウナ考ヲ以テ、此團體
ノ活動ヲ見ルニ至リマシタ時ニハ、初
メテソコニ一般ノ同業組合ト致シテ
ハ之ニ對抗スル政策ヲ立テナケレバ
ナラヌト云フコトニナッテ、作戰的ニ
工業組合ニ對シテ、對立的ノ方法ヲ取
ルコトニナルト、事態ハ容易デナイノ
デアル、自然斯ウ云フ〓體ヲ作ヲテ、同
業組合ニ不利ナル條件ヲ以テ臨マント
スルガ如キ工業組合ニ對シテ、不買同
盟ヲ作ルトカ、或ハ他ノ方面カラ仕入
レテ、斯樣ナ工業組合トハ營業上ノ取
引ヲ中止スルト云フヤウナコトハ、自
然起リ勝チデハナイカト思ヒマス、是
等ノ點ニ付テ政府當局ハ如何ニ御考ニ
ナリマスカ、斯樣ナコトハ事實問題ト
シテ有リ得ルコトデアリマス、而モ是
ハ此九條ノ影響ガ然ラシムルモノデア
ル、兩組合ノ統一聯絡ヲ缺クニ至ッテ、
同業組合ト工業組合トガ全然利害ヲ異
ニスル對立的立場ニ陷ル結果ヲ來スデ
ハナカラウカト私ハ思ヒマス
更ニ又工業組合ト同業組合トノ間ニ
於テハ、九條ノ關係ガナカッタナラバ
組合員ガ兩組合ニ跨ルガ故ニ、常ニ需
要方面ノ狀態、品質、銘柄或ハ流行界
ノ狀勢、斯樣ナコトニ付テハ組合自
體ノ中ニ工業者ト之ヲ扱フ商人トガ能
ク話合ッテ圓滿ニ協定シ、サウシテ需
要ニ應ジタ工業統制ヲヤッテ行クコト
ガ出來ルト思ヒマスケレドモ、之ガ全
然聯絡ガ斷タレテ、對立的ノモノニナ
ッテ來タ以上ハ、斯樣ナ聯絡統制ヲ缺
クガ故ニ、中小工業者ノ立場ト致シテ
ハ又非常ニ不便デアル、サウシテ需要
界ノ實情ニ適セザル工業ニ陷ル結果ト
ナリ、茲ニ生產過剩ト云フ非常ナ恐慌
ノ原因ヲ作ル事態ニ陷リハシナイカ、
故ニ私ハ此九條ノ影響ヲ非常ニ虞レテ
居ル、更ニ又同ジ種類ヲ扱フ組合ト致
シマシテモ從來ハ同業組合ノ中ニ金物
ナラ金物ノ一ツノ組合ヲ作ル、然ルニ
今度新ラシク生レル工業組合ニ於テモ
其中デ琺瑯ナラ琺瑯ノ製造業者ダケガ
集ッテ一ツノ組合ヲ作リ、又一ツハ金物
ナラ金物製造者ダケノ組合ヲ作ル、斯
ウ云フ事ニナレバ、其工業統制ハ全然
出來ナイノデアリマス、是ハ第九條ガ
存スル限リハ避ケルコトハ出來ナイ、
斯ウ云フ結果ハ單ニ販賣業者ノ間ニ於
ケル統制ヲ缺クノミナラズ、一業種ソ
レ自身ノ中ニ於テモ、幾多ノ分裂的對
立ガ出來テ、其業態ノ統制ヲ缺ク、斯
ウ云フ事ハ軈テ產業界ノ發展ヲ阻害ス
ルノ大ナルコトヲ憂フル者デアリマ
ス、是等ノ問題ニ付テハドウシテモ工
業組合ト同業組合ガ全然別個ナ對立的
立場ニ陷リ易キ結果ヲ招來スル、此第
九條ハ餘程愼重ニ考ヘテ、本案ノ中ニ
存在セシムルコトニ付テハ輕々ニ其態
度ヲ決メベキデナイト考ヘル、此點ニ
付テ當局ハドウ御ニ考ナリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=44
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045・俵孫一
○俵國務大臣 岸田君ハ同業組合ト工
業組合ノ關係ニ付テ深キ憂慮ヲ懷カレ
テ、第九條ノ條文ハ事業ノ發達ニ多大
ノ禍ヲ來スモノデハナイカト御質問ニ
ナリマシタガ、當局者ノ考ハ左程其點
ニ付テハ深キ憂慮ハ有ヲテ居リマセヌ、
大體工業家ト商業家トノ利害ノ相反ス
ルコトノアルノハ無論認メナケレバナ
ラヌ、是ハ第九條ノ有無ニ拘ラズアル
ノデアリマス、併シ商工業者ハ何處マ
デモ共存共榮ヲ圖ッテ行カナケレバナ
ラヌコトハ論ヲ俟チマセヌ、是ハ當局
者ハ十分努ムベキ事柄デアリマス、第
九條ノ働キガアナタノ仰セラレルガ如
ク左樣ニ大ナル影響ヲ及ボスモノトハ
考ヘテ居リマセヌ、私ハ決シテ空論ヲ
申上ゲルノデハナイ、アナタガ既ニ御
認メニナッテ居ル現行法ニハ此第九條
ヲ有シテ居ル、大正十四年以來今日マ
デ五六年ノ間實行シテ居ル、然ラバ此
實行ノ實績ニ依ッテモ、私ハ正面カラ
アナタニ向ッテ反對ノ意見ヲ申述ベル
ヤウデアルガ、現行法ノ重要輸出品工
業組合法ノ實行ニ依ッテ、アナタノ仰セ
ノ如キ心配ガ實際ニアッタカドウカ、
又上田君モ仰セラレタ如ク、ソレハ從
來ハ重要輸出品デアルガ、今度ハ廣ク
ヤルノデアルカラサウ云フ前ノ例ヲ以
テ今日ヲ律スルコトハ出來ナイダラ
ウ、ソレモ一個ノ議論デアリマス、然
ラバ問題ハ今度ノ改正法ニ依リ、此重
要工業品ト云フモノヽ範圍ヲ如何ニキ
メルカト云フ點ニ御心配ノ點ハ歸著ス
ルノデアリマス、今度改正ヲシテ廣ク
工業組合法ト云フコトニ致シタ、サウ
スルト此運用ヲ同業組合法ノ幅ト同樣
ニスルト云フコトニナッテ來ハセヌカ
ト云フ、其處ニアナタノ御心配ガアリ
ハセヌカト思フ、若シ今度ノ改正案ノ
適用ノ幅ガ、恰モ重要輸出品工業組合
法デ現行ニヤッテ居ル幅ト餘リサウ大
シタ違ヒガ無イト假定スルナラバア
ナタ方ノ御心配ハ恐ラクハ無クナッテ
來ルト思フ、何トナレバ實續ガ示シテ
居ルカラ、斯ウ云フコトニナリハセヌ
カト思フノデス、然ラバ第一條ノ第二
項ニ前項ノ重要工產品ハ主務大臣之ヲ
指定ストアル、之ヲ何處マデ指定スル
カト云フ問題ガ、詰リ問題ニナッテ來
ハセヌカト思フノデス、同業組合法ニ
依リマスト、第一條第二項ニ、「重要物
產及密接ノ關係ヲ有スル營業ノ種類ハ
農商務大臣ノ認定ニ依ル」ト書イテア
ル是ハ勿論同業組合法ヲ出來ルダケ
廣ク適用シヨウト云フコトカラ、農商
務大臣、今日デハ農林ノ事ニ對シテハ
農林大臣、商工ノ事ニ對シテハ商工大
臣デアリマスガ、是ハ出來ルダケ廣ク
認定ヲスルコトノ方針ニシテ居リマ
ス、ソレ故ニ同業組合ト云フモノハ澤
山アルガ、今度此工業組合法ト云フモ
ノヽ適用ヲ、今ノ重要工產品ハ主務大
臣之ヲ指定スト言ッタ此指定ノ幅ヲ何
處ニ決メルカト云フコトガ、アナタ方
ノ御心配ノ原因デアルダラウト思フ、
是ハ併ナガラ吾々ノ方デハ出來ルダケ
其適用ノ幅ヲ注意致シマシテ、廣ク適
用スル積リデハナイノデアリマス今
マデノヤウニ輸出品ニ限ルト云フノデ
ハ少シ狹過ギルガ、此工業組合ヲ組織
セシメテ、之ニ對シテ金融ノ途ヲ付ケ
ルト云フコトニ付テハサウ何モ彼モ
全部ニナラナケレバナラヌト云フ風ナ
コトハ、吾々モ豫期シテ居リマセヌ、
之ニ付テハ上田君ノ御話ノ通リ信用組
合ニ依ッテ資金ノ融通ハ付キ得ルダラ
ウ、ソレデ相當行キ得ルモノナラバ
資金ノ經濟團體ヲ作ラシムル必要ハナ
イ斯ウナッテ參リマスカラ、工業組合
法ノ第一條ノ第二項ノ主務大臣ノ指定
ト云フコトハ吾々共餘程狹ク考ヘテ
居リマス、ソレ故ニ結論ハ御心配遊バ
スヤウナコトハ格別無イ、殊ニ實績ガ
之ヲ示シテ居ル、現行法ガ之ヲ示シテ
居ルト、斯ウ申上ゲテ十分ナル此點ニ
對スル御理解ヲ求メタイノデアリマ
ス、尙ホ併シ此點ニ付キマシテハ詳細
ニ亙ッテ吉野工務局長カラ補足シテ御
說明申上ゲタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=45
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046・吉野信次
○吉野政府委員 一寸先程統計ノ話ガ
出マシタカラ、或ハ私ノ差上ゲマシタ
モノニ付テノ詳シイ說明ガ無カッタ爲
ニ、誤解ガ生ズルトイケマセヌカラ、
先ヅ其點ヲ明カニシタイト思ヒマス、
同業組合ノ數ガ千數百アル事ハ御承知
ノ通リデアリマス、其中デ工業關係ガ
六百幾十アル事モ御說ノ通リデアリマ
ス、併シ同業組合ヲ私共ガ事務上カラ
分類ヲ致シテ居リマスモノハ、工業者
バカリデ作ッテ居ル組合ダケノ意味デ
ハゴザイマセヌ、卽チ商業者ガ大部分
デ一人工業家ガハイッテ居リマシテモ、
之ヲ工業ノ同業組合ト云フ風ニ分類シ
テ居リマスカラ、其六百幾十ノ中デ、
純然タル工業者ダゲノ組織シテ居リマ
スモノハ、前囘申シ述ベタト思ッテ居
リマスガ、百四十バカリシカアリマセ
ヌ、後ハ大體ニ商ト工ガ一〓ニナッテ
居ルモノデアリマシテ、是モ細カイコ
トハドウ云フ割合ニナッテ居ルカト云
フヤウナコトマデノ調査ハ實ハ今日持
合シテ居リマセヌケレドモ、大體サウ
云フ風ニナッテ居リマス、隨ヒマシテ
假リニ百四十餘ガ工業家ダケノ組合ト
致シマシテ、今後ノ工業組合法ハ現行
法ノヤウニ一〓ニ認メテ居リマセヌカ
ラ、其處デ工業組合法ノ適用カラ申シ
マスト、六百ニ非ズシテ、百四十餘ガ
其對象物ニナルノデアリマス、詰リ工
業家ダケノ組合デゴザイマス、ソレデ
其中デモ如何ニ適用スルカト云フコト
ハ、先程商工大臣カラ御話ノアリマシ
タ通リ、實ハ現行法ノ重要輸出品工業
組合法デモ、重要輸出品ト言ッテ廣イ名
前ハ使ヲテ居リマスケレドモ、是ハ商工
大臣ガ一々指定スルコトニナッテ居リ
マスガ、今日マデ指定致シマシタノハ
三十ニ足リマセヌ、二十七カ八ヨリ無
イノデアリマス、ソレカラ御參考ノ爲
ニ申上ゲマスガ、然ラバ重要物產ト云
フモノヽ認定ヲドウシテ居ルカ、是一
御承知デモゴザイマセウガ、生產者ナ
ラ生產額、販賣者ナラ販賣額ト云フ金
額ヲ標準トシテアリマシテ、ソレガ大
正九年マデハ一箇年ニ十萬圓ト云フコ
トヲ標準トシテ居リマシタ、所ガドウ
モ大〓十萬圓ニナラヌト云フモノハゴ
ザイマセヌカラ、地方ノ物產ニ於キマ
シテモ組合ノ濫設ノ弊ト云フモノガ顯
著ニナッテ參ッタモノデアリマスカラ、
大正九年ニ十萬圓ト云フモノヲ三十萬
圓ニ增額致シマシテ今日ニ及ンデ居ル
ノデアリマス、是モ今日カラ批評シマ
スレバ十萬圓ガ三十萬圓ニナッテモ、ド
レダケ其處ニ幅ノ違ヒガアルカト云フ
コトハ、是ハ御批評モアラウカト思ヒ
やじ、サウ云フ具合デ三十萬圓ニナッ
テ居リマスカラ、現在デモ各府縣ニ於
キマシテ、大〓ノ物產ガ其標準ニ皆當
嵌マルノデアリマス、大〓ノモノハ重
要物產トシテ組合ヲ作ラント欲スレバ
組合ヲ作レルト云フ建前ニナッテ居リ
やっ、其點ガ此同業組合ト工業組合ト
云フモノヽ適用ノ範圍ニ於テ非常ナ相
違ガアル、是ハ實際ノ話デゴザイマス
カラ、左樣御承知ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=46
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047・岸田正記
○岸田委員 只今ノ政府委員ノ御說明
デハ、此工業組合法ガ新シク出來上ル
コトニ依ッテ影響ヲ受ケルモノハ百四
十バカリノ工業者ソレ自體ノ組織シテ
居ル工業組合デアラウ、斯ウ云フ御意
見デアリマス、是ハ私ハ少シク異ナ御
意見デナイカト思フ、私ノ少クトモ問
ハント欲シテ居リ、今マデ申上ゲタコ
トヽ關聯致シマシテ、卽チ只今ノ御話
ニ依リマスト、百四十バカリノ工業者
自體ガ組織シテ居ル同業組合ダケニハ
影響ガアルベシ、斯ウ云フ御意見デア
リマスガ、私ハサウデナイト思ヒマ
ス無論此工業組合法ニ依ッテ出來上
ルモノハ、ソレハ百四十バカリノ從來
ノ同業組合關係者デアリマセウ、ケレ
ドモソレニ依ッテ影響ヲ受ケルモノハ
此工業者自體ガ作リ上ゲル品物ヲ扱。ツ
テ居ル同業者全體ガ、茲ニ工業組合ト
同業組合トノ對立スル關係上、此工產
品ヲ扱フ全體ノ同業者ニ影響ヲ及ボス
モノデアル、此意味ニ於テ單ニ百四十
ノ組合同業者ニ止ラズシテ、六百三十
ノ全體ノ組合員ニ對シテ影響ヲ來スモ
ノデアル、是ガ私ノ申上ゲタ重點デア
リマス、決シラ工業組合トサウシテ之
ヲ扱フ人トノ立場ヲ混同シタモノデハ
ナイノデアリマス、ソレカラ尙ホ商工
大臣ノ御說明ニ依リマスト、重要輸出
品同業組合自體ニ於テモ、實際ノ統計
ニ付テ見テ、同業組合ニ左シタル影響
ヲ及ボシテ居ラヌ、斯ルガ故ニ今後ノ
工業組合ニ於テモ左シタル影響ヲ及ボ
スベキモノデナイ、斯ウ云フ推斷ヲス
ルト仰シヤイマス、而モ此御說明ノ內
容ヲ承リマスト、唯問題ハ種目デアル
カラ、種目ヲドウ扱フカト云フコトニ
依つ 此問題ガ自カラ解決ガ付キ得
ル、斯ウ云フ御說明デアリマスガ、私
ハ此〓ニ付テ頗ル不可解ニ思フ、ナゼ
カナラバ、此問題ノ重點ハ決シテ種目
ヂヤナイ、前申上ゲタヤウニ同業組合
ト工業組合トニ本質的ノ差違ガアル、
種目ノ上ニ於テ唯工業品或ハ其他ノ品
物デアル、同ジ工業品ノ品物ノ中ニ於
テモ何々ヲ重要物產工業品ト認ムル
カ、是ニ對スル主務大臣ノ見解ハ-
種目ダケノ差異デナイ、本質的ニ同業
組合ト、工業組合ト其使命ノ上ニ於テ
立場ヲ異ニシテ居ルノデアル、故ニ決
シテ種目ノ制限或ハ種目ノ認定如何ニ
依ッテ本問題ヲ解決スルコトハ到底出
來ヌ、卽チ重要輸出品工業組合其モノ
ニ於テ大シテ影響ヲ及ボサナカッタト
云フコトハ是ハ相手ガ外國消費者ニ
對スル場合デアッタカラデ、重要輸出
品工業組合ヲ作ラシタ根本ノ趣旨ト云
フモノハ單ニ日本ノ重要輸出品工業者
ヲ保護スル一點ニアルノデアリマス、
消費者ノ立場ヲ深ク考慮スル必要ハナ
イ、然ルニ此新シク生レタ工業組合法
案ハサウ云フ譯ニハ行カヌ、種目ノ問
題デナイ、茲ニ新シク生レタ我ガ工業
組合ノ重點ハ獨リ中小工業者ヲ保護ス
ルニ止マラズシテ、此法案ガ實現サレ
ル曉ニ於テハ此品物ヲ扱フ同業者、及
ビ是カラ供給ヲ受ケル全國ノ工業品ノ
消費者、言ヒ換ヘレバ日本國民全體、
是等ノ者ニ如何ナル利益ヲ持ッカ、是
等ノモノヲ如何ニ保護スルカト云フコ
トニ注意深イ用意ヲ要スル、此點ヲ今
一應考慮シナケレバナラヌ、茲ニ重要
輸出品自體ト今日生レ出ル所ノ工業組
合トハ本質ニ於テ根本的ノ相異ガアル
ト思フ、單ニ種目ノ相違デナイ、種目
ハ適當ニ制限シ、認定スレバ其問題ハ
解決シ得ルト云フ商工大臣ノ御言葉ハ
私ハ頗ル不可解ニ思フ、ソレデ只今申
シマシタ九條ノ點ハ、單リ中小工業者
ヲ保護スル點ニ餘リ傾キ過ギテ全體ノ
此出來上ッタ品物ヲ扱フ同業者、是カラ
供給ヲ受ケル日本全體ノ需要者、此日
本國民大衆ノ利益ヲ深ク考慮サレタモ
ノデナイト云フ感ジヲ持ツガ故ニ、今
日御質問ヲ申上ゲタノデアリマスガ、
種目ヲ制限スレバ宜イヂヤナイカト云
フ大臣ノ言葉ハ頗ル不可解デアル、サ
ウシテ又種目ヲ適當ニ制限シ、適度ニ
認定スレバ、此問題ガ解決スルト云フ
御言葉ハ、商工大臣ノ此法案ニ對スル
根本ノ御考ヲ伺ヒ直サナケレバナラヌ
氣持ニナッテ來ルノデアリマス、何故
カナラバ、只今仰シヤルヤウニ出來得
ルナラバ種目ヲ制限シ、サウシテ種目
ノ範圍ヲ縮小スルト言ハレルガ、此法
案實現ノ曉ニ於テハ當業者ニ多大ノ影
響ヲ及ボスモノデアルト共ニ、需要大
衆ニ對シテ大ナル影響ヲ及ボスモノデ
アルガ故ニ、其不利ナル影響ヲ縮減ス
ル方法トシテ、種目ヲ減少スル、縮減
スル、斯ウ云フ御氣持ガ自然ト現ハレ
テ、今ノ御言葉トナッテ來タノヂヤナ
イカト私ハ疑ハザルヲ得ヌ、若シ果シ
テ然リトセバ此法案ヲ提案セラレタ商
工大臣ガ、本案ニ對スル價値認識ト云
フモノハ頗ル貧弱ナモノデアル、頗ル
不徹底ナモノデアルト論斷セザルヲ得
ヌ見解ニ陷ッテ來ルノデアリマス、併
シ私ハ此問題ニ付テハ深ク追窮シヨウ
ト思ヒマセヌ、又後ノ機會ニ讓リマ
ス
唯此問題ニ付テ今一ツ御尋シテ置キ
タイコトハ、只今マデノ御說明ニ依レ
バ、又私ノ申上ゲタコトニ依ッテ、此
同業組合ト、サウシテ新シク生レ出ル
工業組合トガ全然聯結統制ガナク、對
立的ノ組合トナル結果幾多ノ弊害ヲ生
ズルモノデアル、此一點ト、サウシテ
之ニ對スル政府當局ガ同業組合ノ斯ノ
如キ結果ヲ生ズルニモ拘ラズ、之ヲ深
ク考慮セラレズシテ、將來ハ成行ニ委
ス、同業組合ノ陷ルベキ運命ハ唯ミ
自然ノ成行ニ委スト云フ御氣持デアル
ヤウニ只今ノ御說明デハ伺フノデアリ
マスガ、是ハ餘程考慮シナケレバナラ
ヌ問題デアルト思ヒマス、殊ニ九條ノ
存立、ソレ自身ニ依ッテ、サウ云フ結
果ヲ來スト共ニ一ツハ政府當局ノ手加
減ニ依ッテヨリ以上ニ大キクスルト思
フノデアリマス、然ラバ續イテ起ル問
題ハ手加減ノ問題デアリマスガ、且凡
過去ノ重要輸出品組合自體ニ於ケル手
加減カラ想像致シマスト、今度出ル工
業組合、之ヲ保護指導シテ行カレル御
氣持モ稍〓推察セラレルモノガアルノ
デアリマス、ソレハ從來ノ重要輸出品
ノ工業組合ニ對シテノ政府當局、特上
工務當局トシテハ頗ル片手落ノモノ
ガアリハシナカッタカ、一般ノ產業、農
業、水產業、漁業、是等ノ產業ニ對ス
ル商工省ノ立場ト、サウシラ工業品ニ
關スル限リニ於テノ立場、態度トハ其
處ニ甚ダ大キナ軒輕ガアルヤウニ私ハ
思ッテ居ルノデアリマス、少クトモ一
般ノ同業組合ノ中、或ハ一般ノ經濟界
ヲ見テ居ル人々ノ眼ニハ明カニソレガ
映ッテ居ルヤウニ見エル、ソレハ憚リ
ナク申上グル、卽チ從來重要輸出品工
業組合ノ成績ガ、頗ル事實ニ於テ良好
デナカッタガ、之ヲ强ヒテ其機能ヲ發
揮セシメ、色々ノ手段ヲ取ラレテ居
ル、ソレガ從ッテ、他ノ產業界ト殆ド均
衡ノ取レヌ程度マデニ行ッテ居ルト云
フコトハ一面ニ於テ中小工業者ノ保護
ト云フ點ニ付テ工務局長ノ熱誠ニ對シ
テハ、之ヲ多トスルノデアリマスガ、
產業界全體ノ立場カラ云フト、旣ニ此
點ニ付テ他ノ產業界全體ニ對シテモ商
工當局トシテモ今少シ考慮ヲ煩ハスコ
トガ、私ハ必要デハナイカト思フノデ
アリマス、此事ハ私ハ過去ノ事實ニ付
テ申上ゲレバ、明カニナリハセヌカト
思ヒマス、前ノ工務局長ノ說明ニ依リ
マスレバ今日同業組合ハ萎靡不振ノ狀
態ニ陷ッテ居ル、現ニ其數モ減リツヽア
ルヤウナ狀態デアル、是ハ後ニ沿革的
デアルトシテ、御取消ニナッタケレド
モ、併シ廻サレタ所ノ工業組合ノ〓況
ノ表ノ中ニ於テモ明カニ此事ハ沿革的
ニセヨ、結論的ニセヨ、其十五頁ニ於
テモ終カラ四行目ノ一節ニ、是卽チ同
業組合ノ不振ニ陷リ、漸次其數ニ於テ
モ減少スルニ至レル理由デアルト申サ
レテ居リマスガ、此事ハ獨リ工業ニ關
スル限リニ於テ同業組合ガ十分ニ活躍
シ得ナイ所ノ法規ノ下ニ組織サレテ居
ル結果デアルト言ヘバソレマデヾアリ
マセウケレドモ、若シ然リトスレバ、
此法案全體ノ缺陷デアルカラ、之ヲ改
メル、改正ノ意思ナキヤ否ヤソレヲ伺
ヒタイノデアリマスガ、斯ノ如キ結果
ニ陷ラシタモノニ付テハ工務當局、大
キク申セバ商工當局ヲシテ其責任ナキ
ヤ否ヤ、是ハ實際ノ數字ノ上ニ於テ私
ハ手加減ガ多イト思フ、是ガ工業ニ關
スル組合ガ、斯ノ如ク〓微シ數ヲ減ラ
シタ結果ニ陷ッテ居ル理由デハナイカ
ト云フコトヲ疑ハザルヲ得ナイ、幾多
ノ實例ヲ私ハ痛感シテ居ルノデアリマ
ス、ソレハ統計ニ付テ見マシテモ、是
ハ商工省御自身ガ御發表ニナッタ統計
デアリマスカラ、昭和五年ノモノハマ
ダ出テ居ラヌヤウデアリマスガ、昭和
四年末ノ統計ニ付テ觀察致シマシテ
モ、此御說明ニ依ルト工業ニ關スル工
業組合ノ活動ガ頗ル不振デアル、其數
ニ於テモ減リツヽアルト云フ御說明
ト、此統計トヲ比較シテ考ヘテ見マス
ト云フト、全ク數ニ於テハ工業ニ關ス
ル範圍ニ於テハ減ッテ居ルノデアリマ
ス、併シ是ハ同業組合全體ノ不振、同
業組合全體ノ不活動ト云フコトヲ論據
附ケル理由ニハナラヌト私ハ思フ、唯、
工業關係ダケニ付テ斯ウ云フ減少ヲ來
シテ居ルノハ、何處ニ其原因ガアル
カ、之ヲ伺ヒタイ、卽チ此數字ヲ見マ
シテモ昭和三年末ニ於キマシテハ工
務局主管ノ同業組合ガ六百四十二デア
ッタモノガ、昭和四年末ニ於テハ六百
三十ニ減ッテ居ル、卽チ十二ノ數ガ減ッ
テ居ル、ソレカラ商務局モ七ツバカリ
減ッテ居リマスガ、他ノ農務局、山林
局、水產局、畜產局、蠶絲局、是等ノ
殆ド大多數ノ局ノ主管ニ屬シテ居ル組
合ニ於テハ、單ニ昭和三年末ト昭和四
年末トヲ比較シテ見テモ、皆殆ド同數
若クハ一、若クハ二、又一、斯ウ
云フヤウニ各〓數ガ增シテ居ルノデア
リマス、決シテ同業組合全體ガ萎靡不
振ニ陷ヲテ居ル、數ガ減リツヽアルト
云フ結論ニ到達シ得ナイ具體的ノ統計
ガ現ハレテ居ル、唯〓工業ニ關スル範
圍ニ於テノミ、此數ガ減ッテ居ルト云
フコトハソコニ工務當局ノ手加減ガ
然ラシメテ居ルノデハナイカト云フ疑
ヲ持タザルヲ得ナイ狀態ニナッテ居ル
ノデアル、之ヲ私ハ同業組合關係ノ人
達ニモ一二聽イテ見タノデアリマス、
又各方面ノ資料モ集メテ見タノデアリ
マスガ、是ハ申スモ憚ルノデアリマス
ケレドモ工務當局ニ於カレマシテ
ハ、ドウモ此工業ニ關スル限リニ於テ
ノ同業組合ニ對シテハ冷淡デアリ、之
ヲ整理スルト云フ言葉ヲ使ヘバ美シイ
ケレドモ、寧ロ之ヲ減シテサウシテ工
業組合ノ範圍ニ繰入レルトカ、若クハ
然ラズトモ、唯〓減少スル儘ニ放任シ
テ置キ、多少問題ヲ起スガ如キ同業組
合ニ對シテハ、直チニ之ヲ解散セラル
ルノ方針ヲ執ラレル、サウシテ數ハ減
スガ、新シク新設ヲ申出ル者ニ對シテ
ハ之ヲ許可シナイ、斯ウ云フヤウナ、
從來ノ御傾向ガアル、此事ガ今日斯ウ
云フヤウニ工務局主管ニ於テノミ同業
組合ノ數ヲ著シク減シテ居ル、サウシ
テ他ノ主管ニ屬スルモノハ一齊ニ多少
ト雖モ數ガ殖エテ居ル、是ガ此大キナ
差ヲ生ジテ、來ヲ居ル原因ニナッテ居ル
ノデハナイカ、斯ウ云フ疑ヲ持タザル
ヲ得ナイノデアリマス、若シ果シテ然
リトスレバ是ハ過去ノ重要輸出品工業
ニ關シテノミノ狀態デアルカラ過去ハ
追窮シナイ、將來生レ出ル所ノ工業組
合其モノニ對シテ斯ノ如キ氣持ヲ持ツ
テ當ラレテ、サウシテ他ノ同業組合ニ
付テハ又之ニ對シテ助長發達ヲ助ケル
ノミナラズ、其自然ノ衰滅ニ委セル如
キ方針ヲ執ラレルトスルナラバ、所謂
政府當局ノ手加減ニ依ッテ如何樣ニモ
ナル、一方ニ對シテハ低利資金デアル
トカ或ハ補助金デアルトカ、斯ウ云フ
ヤウナ甘イ宣傳、看板ヲ揭ゲラレテ、
引寄セテサウシテ手加減ヲスル、サウ
シテ他ノ關係ノ主管ニ屬スル同業組合
ニ對シテハ、何等之ヲ保護指導援助ス
ル手段ヲ執ラレナイデ、〓微ニ委シテ
行クト云フ方法ヲ執ラレルナラバ、茲
ニ工務關係ノ組合ト、サウシテ他ノ主
管ニ屬スル畜產、農產或ハ水產、斯ウ
云フヤウナモノニ對スル關係ニ於テ頗
ル片手落ノモノガ出來テ、サウシテ此
結果ハ多數ノ他ノ重要ナル產業界、殊
ニ今日ノ如ク經濟界、產業界ガ疲弊困
憊シテ居ル此際、法律ニ於テハ九條ノ
如キモノガ設ケラレテ非常ナ影響ヲ受
ケ、其上政府當局ガ手加減ヲ以テ斯ノ
如ク差別的經過ヲナサレルト云フコト
ニナッテ來ルト、日本全體ノ產業的立
場カラ言ッテ、由々シキ問題デアルト私
ハ思ハザルヲ得ナイノデアリマス、之
ニ對シテ只今ノ統計ノ示ス所ニ付テ、
商工大臣ノ御所見ハ如何デアルカ、之
ヲ先ヅ御伺シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=47
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048・俵孫一
○俵國務大臣 先ニ私ガアナタノ御質
問ニ對シテ御答シタコトノ意味ガ或ハ
マダ足リナカッタカモ知レヌ、隨テ私
ノ趣旨ヲ諒解セラレナカッタノデハナ
イカト云フ疑ガアリマスカラ、尙ホ重
ネテ簡單ニ申上ゲテ置キマスルガ、現
行法ニ於テ第九條ガアルコトハ是ハ御
認メニナッテ居ルコトヽ私ハ思フ、御
認メニナッテ居ルダケデハナイ、之ニ
付テハ餘リ御非難ガアルノデハナイヤ
ウニ思フノデス、サウスルト殘ル所ハ
今度輸出品ニ限ラズシテ國內消費ノ品
物ニ對シテモ重要ナルモノハ之ヲ適
用スルト云フコトニナッタ點ニ付テ第
九條ガ非常ニ邪魔ニナル、斯ウ云フ御
論據デアルヤウニ思フノデス、ソレデ
アリマスカラ是ハ先ニ申上ゲタノデア
ヲテ、之ヲ全ク適用ノ範圍ヲ擴ゲルト云
フコトニシナケレバ、斯ウ云フ御議論
ガ出ヌノデハナイカ、サウスレバ擴ゲ
タライカヌト云フコトナラバ、擴ゲタ
カラシテ新タニ工業家ト商業家ト若ク
ハ輸出業者アタリノ利害ガ大ニ衝突ヲ
シテ、是デハ斯業ノ發達ヲ阻害スルト
云フコトノ理窟ハ出テ來ヌ、若シ出テ
來ルヤウナラバ、輸出品ノ現行法ノ時
代デモ出テ來ナケレバナラヌ、斯ウ云
フ風ニ一通リハ考ヘラレル、或ハドウ
モ其點ニ於テハマダ私ノ考トハ違フ
點ガアルカモ知レマセヌガ、既ニ重要
輸出品、工業組合法ノ時代ニ於テアッタ
第九條ガ、アナタガ非常ニ御懸念ナサ
ルヤウナ心配ガナカッタト假ニシタナ
ラバ殘ルモノハ擴張スル範圍ヲ出來
ルダケ狹メレバ、御心配ハナイト云フ
コトニ結論ハナリマセヌカ、斯ウ實ハ
申上ゲタ積リデアル、ソコデサウスレ
バ單ニ當局ノ提案ノ趣旨ハ狹メテ、餘
リ廣クハヤラヌ積リカ、ソレデハ此改
正案ノ趣旨ノ效能ガ餘リナイデハナイ
カ、斯ウ云フ御尋デアッタヤウデアリ
〒一、ソレハ私ハ廣クセヌト云フコト
モ、ドウト云フコトモ比較論デアリマ
シテ、私ガ廣クセヌト申上ゲタノハ同
業組合法ノ幅ハ非常ニ廣イモノデア
ル今度ノ此改正法案ノ第一條ノ第二
項ノ指定ノ幅ハ同業組合法ノ幅ヨリハ
ウント〓〓狹イモノデアル、詰リ重要
ナ工業品ニ限ル積リデアッテ、現ニ今現
行法ガ輸出品ニ對シテ二十七八品目シ
カ組合ヲ指定シテ居ラヌト云フコトヲ
工務局長ガ言ハレマシタガ、工業組合
法ヲ廣ク內地ノ品物ニ適用スルトシテ
モ幾ツト云フ豫定ガアルカ、ソレハ更
ニ豫定ガアルトスルナラバ工務局長カ
ラ御答ニナルト思ヒマスガ、サウ廣イ
モノニ考ヘテ居リマセヌ、ソレ故ニ私
ハ其點ニ付テハ餘リ御心配ヲナサルヤ
ウナ事態ハ生ジナイダラウト思フ、而
モ今ノアナタノ御心配ノ點ハ非常ニ重
大問題デス工業家ノ立場ト商業家ノ立
場ト各々違ッテ、之ガ共存共榮ノ趣旨
ヲ以テ行クコトガ出來ヌト云フコトニ
ナルト、是ハ重大問題デアリマスカ
ラ、此調和ハ是ハ商工省ガ任ジテヤラ
ナケレバナラヌ、第九條ガナクテモアッ
テモ强ヒテソレニ對シテハ決シテ事ヲ
缺カヌモノデアル、第九條ニ依ラナケ
レバ、アナタハ相互ノ工業家ト商業家
ノ利害ノ調和ハ取レヌト云フヤウニ仰
セラレルガ、サウデハナイ、其點ニ於
テハ所見ヲ異ニスルト斯ウ申上ゲタ譯
デアルノデアリマス
ソレカラシテ、重要輸出品工業組合
ノ施行ニ依ッテ、同業組合ノ數ガ大變
減ッテ居ル、是ハドウモ商工省ニ於テ、
モット狭ク云フナラバ工務局長ニ於テ
手加減、匙加減ヲシタノデハナイカ、
斯ウ云フ御話デアリマスガ、其手加減
匙加減ニ付テハ若シアリトスルナラバ
工務局長カラ御答ヲスルヤウニ致シタ
イト思ヒマスルガ、是ハ私ハ工務局ガ
工業ニ關スル同業組合ヲ無クスルベク
ヤッタト云フモノデハナイト思フノデ
アリマス、詰リ商工省ノ方針ハ此間ニ
異ニ致シテ居ラナイノデアリマス、今
朝モドナタカノ御尋ノアッタ如ク、詰
リ同ジ幅ガ一方ニ於テハ同業組合ヲ作
リ一方ニ於テハ工業組合ヲ作ル、是
ハドウモ同ジモノデアルカラシテ將來
ハ同業組合ヲ解散シテ、工業組合ニシ
テ、共同的-共同ト申上ゲルノハ言
葉ガ惡ウゴザイマスガ、公益的方面、
或ハ經濟的方面ノ一ツノ團體ニシテ、
兩方ノ機能ヲ發揮セシメテ、自分等ノ
福社ヲ增進シヨウ、斯ウ考ヘテ來タ結
果ト思フメデアリマス、其間ニ廢メタ
ラ宜カラウトカ、解散ヲシタラ宜カラ
ウト云フ風ナコトノ指導ヲ工務局ガシ
タモノトハ考ヘマセヌノデアリマス、
併ナガラ之ニ反シテ、然ラバ作ヲテ置
ケトモ實ハ申サヌノデアリマス、其處
ハ當業者ノ任意デアル、前來カラ申上
ゲタ如ク斯ウ云フ考ヲ當局者ハ持ッテ
居ルノデアリマス、尙ホ今申上ゲタ點
ニ付テハ一ツ工務局長カラ御說明申上
ゲタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=48
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049・吉野信次
○吉野政府委員 只今大臣カラ御說明
ガゴザイマシタガ、御尋ノヤウナ事ハ
全然ゴザイマセヌ、工業關係ノ組合ノ
數ハ減ッテ居リマスガ、私實ハ局長ニ
ナリマシテマダ二三年シカ經チマセヌ
ガ、其前ニ工務課長デアッテ此關係ヲ
四五年ヤッテ居リマシタガ、其在任中ニ
於テ商工省カラ同業組合ノ解散ヲ命ジ
タト云フコトハタッタ一ツシカゴザイ
マセヌ、唯ズット前カラ、前囘ニ申シマ
シタ通リ、同業組合ニハ-實ハ前囘
甚ダ言葉ガ過ギマシテ瀨川サンカラ御
叱リヲ受ケタノデアリマスガ、瀨川サ
ンノ關係シテ居ラレル組合ハ日本デ稀
ニ見ル優良ナ組合デゴザイマス、サウ
云フ方ガ御聽キニナルト非常ニ意外ニ
思ハレルノデアリマスケレドモ、是ハ
御世辭デモゴザイマセヌガ、優良ナル
組合デゴザイマシタカラ御叱リニナッ
タノハ御無理モナイト思ヒマスガ、甚
ダ恐縮デゴザイマシタ-大體ニ於テ
前囘申上ゲマシタ通リ、隨分成績ノ惡
イモノモゴザイマスカラ旣ニ昭和五年
以來惡イ組合ハ整理スル方針ヲ立テ
居リマシテ、是ハ商工省ハ直接ヤルノ
デハゴザイマセヌノデ、各府縣ニ命ジ
テヤルノデゴザイマス、各府縣ノ當面
ニ當ル方ガ能ク事情ヲ御覽ニナリマシ
テモウドウニモ仕樣ガナイト云フモ
ノヲ解散ノ申請ヲ商工省ニ致シマシテ
來タ時ニ大臣ノ名ニ依ッテヤル、斯ウ云
フコトデアリマシテ、ソレカラ工業關
係ノ同業組合ハ工業組合法ヲ發布以來
チットモ許サナイト云フコトハ全然事
實ニ違ッテ居リマス、今日ニ於キマシ
テハ同業組合デ工業關係ノモノデ許シ
テ居リマスモノモ澤山アリマス、差引
イテ減ッテ居ルト云フノデゴザイマス
カラ、半面カラ見レバ如何ニ成績ノ振
ハナイ組合ガ多イカト云フコトニモ實
ハナルト思ヒマスノデ、組合ノ中ニハ
隨分良イ組合モゴザイマスケレドモ、
大多數ハマダ惡イ組合モゴザイマスノ
デ、良イモノハ許スコトニ致シテ居リ
マスルシ、惡イモノハ許サナイ、其方
針ハ工業組合ニ於テモ同樣デアリマ
ス私ニナリマシテカラモ工業組合ノ
申請ガ來マシテモヤハリ其當ヲ得ナイ
モノハ之ヲ拒否シタ數ハ澤山ゴザイマ
ス、工業組合ト同業組合ニ付キマシ
テ、組合ノ許可ノ方針ニ甲乙ガナイト
云フコトダケハ是ハ御同情ヲ以テ御諒
解ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=49
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050・岸田正記
○岸田委員 只今ノ御說明ニ依リマシ
テ、政府ノ御意圖ハ明カニナッテ居リ
マス、是ハ事實ノ認定問題デアリマス
ルカラ、私共門外漢ガドウ申シタ所デ
當局自身ガサウ云フ實例ハ無シト斯ウ
仰シヤレバ、是ハ事實ヲ詮索スル外ハ
ナイノデアリマス、是ハ此處デ論議ス
ルコトハ差控ヘマス
唯今一點此根本問題ニ付テ御尋シ
テ置キタイコトハ單ニ中小工業者ノ
ミニ關シテ此工業組合法ヲ適用セラレ
テ、是ガ保護指導ヲ期セラレ半面ニ於
ヲ、他ノ一切ノ產業ニ對シテモ、少ク
トモ同業組合ニ對スル立場ニ於テ同業
組合ニ對スル今ノ工業組合ト同ジヤウ
ナ使命性質ヲ帶ビル所ノ組合ヲ作ル所
ノ法案ヲ御提案ナラヌノハ何處ニ理論
的及ビ實際的ノ根據ガアルノカ、之ヲ
一ツ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=50
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051・俵孫一
○俵國務大臣 御尋ハ同業組合ナルモ
ノニ經濟的職能ヲ持タセルト云フ工合
ニスル意思ハナイカト云フコトデアラ
ルヽヤウニ想像ガ出來マスルガ、是一
同業組合ノ性質上其處マデハ出來マセ
ヌト當局ハ考ヘルノデアリマス、何ト
ナレバ經濟的〓體ニナルニハ經濟的ノ
利害關係ヲ有シナクテハナラヌ、共同
施設ヲ致ストカ、或ハ金融上ノ保證ノ
位置ニ立ツトカ、金融ヲ付ケルト云フ
點ニ於テハ、利益ノヤウニ考ヘラル
ガ、同時ニ損失ガアッタ場合ニ於テハ
損失ヲ負擔スルト云フコトニナラナク
チヤナラヌガ、共同施設ヲ致スニ付テ
モ同樣デアリマスルカラ、財務的ノ利
害ヲ持ッテ來ル性質ヲ有スル組合ニ、
〓體ノ强制加入ヲ行フト云フコトハ不
適當デアルト考ヘルノデアリマス、ソ
レ故ニ工業組合ハ經濟的團體デアルカ
ラ是ハ任意デアル、同業組合ハ公益的
ノミノ方面ノ團體デアル、隨テ公益カ
ラ申シマスルト云フト是ハ强制ヲシテ
加入ヲセシメルト云フコトニシタ次第
デアリマス、斯ウ云フヤウナ工合ニ考
ヘテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=51
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052・岸田正記
○岸田委員 只今ノ商工大臣ノ御答辯
ハ私ノ伺ハント欲シタ所ヨリカ少シ的
ガ外レテ居ルノデアリマス、私ノ伺ハ
ントシタ所ハ何故他ノ種類ノ同業組合
ニ工業組合ガ持ツヤウナ機能ヲ與ヘナ
イカ、斯ウ云フ御尋デハナクシテ、何
故他ノ種類ノ產業、畜產、農產、水產、
林產、是等ノモノニ對シテモ、同業組
合ト切離シテ、對立サシテ工業組合ガ
出來上ヲテ居ル如ク、是等ノ產業ニ對シ
テモ今ノヤウナ機能ヲ持ツ所ノ組合ヲ
新タニ作ラレナイカ、其組合法ヲ出サ
レナイカ、斯ウ云フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=52
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053・俵孫一
○俵國務大臣 是ハ畜產ダトカ水產
ダトカ林產ダトカト云フモノニ對シテ
如何ニ考ヘルカハ、御承知ノ通リ農林
省ニ於キマシテソレヲドウ考ヘテ居ル
カト云フコトニ、相成ルノデアリマス
ガ、ソレハマダ打合セヲシテ居リマセ
ヌ(岸田委員「少クトモ商業ニ關スル範
圍ニ於テハ······」)商業ニ關シテハ工業
組合ト同ジヤウナコトヲヤッタラドウ
カト云フ議ハアリマスガ、マダ決定ニ
至リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=53
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054・岸田正記
○岸田委員 此問題ハ私共ハ今商工大
臣ニ御尋シタ所ガ其御答辯ノ範圍ガ自
ラ習慣上限定サレテ居リマスカラ、是
レ以上御尋シナイ、唯商業組合ニ關ス
ル法案モ餘程進ンデ居ルヤウニ伺ッテ
居ルノデアリマスルガ、此提案ヲ躊躇
セラレテ居ル理由ニ付キマシテモ、今
日茲ニ敢テ深ク追窮シマセヌ
續イテ私ガ御尋シタイコトハ、此工
業組合法ガ實現スル結果ト致シテ、而
モ九條ノ存立スル結果ト致シテ、工業
組合ト同業組合トガ對立的立場ニ立ッ
テ自ラ、幾多ノ弊害ヲ釀スモノデアル
ト云フコトニ付テハ私ガ今マデ申上ゲ
タ通リデアリマス、唯此結果ト致シマ
シテ私ハ少クトモ他ノ同業組合側トシ
テ利益ノアル影響ヲ受ケナイモノデア
ルト云フコトハ之ヲ確信スル者デアリ
マスルガ、然ラバ唯一點、工業ニ關ス
ル限リニ於テ是等ノ組合員ガ果シテ此
法案ガ實現スルコトニ依ッテ、而モ九條
ガクッ著イテ居ルコトニ依ッテドレダケ
ノ利益ヲ受ケルカ、之ヲ私ハ頗ル不安
ニ思ッテ居ルノデアッリマス、此事ハ前
ニ對立的ノ弊害ト云フコトニ付テ二三
例ヲ示シテ私ハ申上ゲマシタガ、此本
質的ノ質問ハ此程度デ打切リマシテ續
イテ私ハ運用ノ上ニ於テノ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=54
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055・俵孫一
○俵國務大臣 一寸御相談シマスガ、
私ハ貴族院ノ方ノ〓究會ニ行ッテ說明
スルヤウニ時間ヲ約束シテ置キマシタ
カラ、或ハ御質問ガ私ニ關スルコトデ
ゴザイマスルナラバ一ツ保留シテ戴
キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=55
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056・岸田正記
○岸田委員 是ハ是非大臣ニ伺ヒタイ
ト思ヒマス、豫算ト運用ニ關スル問題
デアリマスカラ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=56
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057・井上剛一
○井上委員長 ソレデハ岸田君ハ明日
ニ保留サレマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=57
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058・岸田正記
○岸田委員 ソレデハ明日ニシマセウ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=58
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059・瀬川嘉助
○瀨川委員 私ノ御尋シタイコトハ
金融關係ノコトニ付テ是非トモ大臣ニ
伺ヒタイノデスガ、是ハ明日ニ讓リマ
シテ、此第九條ノ關係ニ付テ御尋シマ
スガ、是ハ中々重大ナ問題デアリマ
ス、當局ガ考ヘラレルヤウニ簡單ニ片
付ク問題デナイト思ヒマスソレハ
昨日カノ局長ト次官トノ御話ノ食違ヒ
ハ、私ハ遲刻致シテ承リマセヌガ、本
日分ッタサウデアリマスガ、分ッタト致
シマスルト、益〓私共ハソコニ大キナ
疑ガ起ルノデアリマス、工業組合法ニ
依リマシテモ、同ジ地區內ニ三分ノ二
以上ノ-同ジ商賣ヲスル者ノ三分ノ
二以上ノ者ノ同意ガナケレバ此組合ガ
出來ナイ、斯ウ云フコトニナッテ居ル
サウスルト工業組合ガ出來ルコトニナ
ラバ其地區內ニアル所ノ工業組合デハ
三分ノ一シカ殘ラヌ、先程局長カラ御
話ガアリマシタカラ、是ハ自分ノ方ニ
關係アルコトデアルカラ一昨日ハハツ
キリ申上ゲマセヌガ、折角御話ガアリ
マスカラ露骨ニ申シマスガ、私ノ關係
シテ居ル愛知縣ノ時計製造同業組合ト
云フモノガ、定メシ御手許ニ行ッテ居
リマセウガ、工業組合設立ノ申請ヲ致
シテ居リマス、之ニ付テハ隨分長イコ
ト掛リマシテ色々懇願ヲ致シマシタ
ガ、此體驗上カラ考ヘマシテ此工業組
合ノ第九條ト云フモノガアレバ同業組
合ト云フモノハ時々刻々ニ衰微シテ行
クモノデアルト考へマス、ナゼカト云
ヘバ現ニ私共ノヤッテ居ル工業組合出
願モ全組合員ガ同意ヲシナケレバナラ
ヌ、同意シナケレバ此同業組合ハ殘シ
テ置カナケレバナラヌ、殘シテ置ケバ
極メテ少數ノ人間ノ爲ニ相當ノ經費ヲ
要スル、法律規定ニ依ヲテ檢査員モ置
カナケレバナラヌシ、色々ナ費用ガ要
ルノデ、洵ニ困難ヲ感ズルノデアリマ
スケレドモ、大多數ノ者ガ工業組合員
ニナッテシマッテ、サウシテ一方ニ此工
業組合ノ經費ヲ賦課サレテ居リマス
ガ、若シ假ニ同意シナカッタナラバ、同
業組合ハ餘リ少數デアルカラ解散ヲス
ル、組合員デナカッタ時ニハ第何條デ
アリマスカ、工業組合法ノ第八條ノ規
定ニ依ッテ取締ト制限ノ程度ニ-若
シ組合員デナイ者ガ其程度ニ行ッテ居
レバ、此八條ノ制裁ヲ加ヘル譯ニ行カ
ヌ譯デス、要スルニ組合員ニナッテ納メ
ル所ノ組合ノ經費ダケヲ免レルコトガ
出來ルノデアリマス、サウナッテ來ルト
組合ヲ造ッテ居ル所ノ、商工省ガ御心配
ニナッテ監督スル所ノ工業組合員ダケ
ハ同ジ商賣ヲヤッテ居ッテ、餘計ナ經費
ヲ出サナケレバナラヌ、サウシテ組合
ニ入ラヌ者ダケハ少イ經費デヤッテ行
ケル、サウシテ嚴格ナ檢査ヲ受ケナイ
デ、或ル程度マデ樂ナ商賣ガ出來ル、
是ハ實際問題デアル、デ私共ノヤッテ
居ル時計製造組合ト云フヤウナモノハ
檢査ヲ致サヌト云フト粗製濫造ニナッ
テ、多クハ外國へ遣ル品物デアリマス
カラ、餘程注意ヲシテ、嚴格ナ檢査ヲ
シテ居リマス、此工業組合ヲ造ッテ、
アトニ殘ルモノハ極メテ少數デアリマ
スカラ、同業組合ヲ造ッテハ到底行ケ
ナイト云ッヲ同業組合ガ解散ヲ致シマ
ス、工業組合ニ入ラヌ者ダケガ利益ヲ
得ラレル、ソレハドウモ商工省トシテ
仕方ガナイヂヤナイカト仰シヤルカモ
知レマセヌカ、多數ノ者ノ不利益デア
ル、ソレニ反抗スル少數ノ利益ニナル
コトデアッテ、ヤハリ九條ハ煩ヲナス
ト考ヘマス、サウ云フヤウナ實際問題
ガ、私ノ方バカリデナク-兎ニ角三
分ノ二以上ナケレバ出來ナイ、同業組
合ヲ造ルニモ三分ノ二以上要ル、是ハ
牴觸シテ居ル、三分ノ二ト三分ノ二ト
デハ是ハ一ツニナラヌノデアリマス、
ソコデ第九條ニ矛盾ガアルト思フノデ
アリマス、サウ云フ場合ニハ一體ドウ
云フ工合ニ商工省ノ御取成シヲ願ヘル
カト云フコトガ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=59
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060・吉野信次
○吉野政府委員 御尋ノヤウナ場合ニ
處スル爲ニ實ハ此工業組合法ノ此八條
ヲ、現行デ足レリトセズ此改正案ヲ以
テ改正シヨウト思フノデアリマス、卽
チ此同業組合デアリマスト强制加入ノ
制度ガアリマスカラ、一人殘ラズ原則
トシテハ-營業上ノ特別ノ事情アル
場合ノ例外ハアリマスケレドモ、原則
トシテハ這入ルコトニナッテ居リマス、
檢査ノ場合ナドハ徹底シテヤリ得ル譯
デアリマス、工業組合法ノ方ハ其規定
ハ設ケナイノデアリマスケレドモ、實
ハ作リマス時ニハ同業組合ノモノヲ工
業組合ニ勸誘シテ無理ニ之ヲ作ルト云
フヤウナコトハナクトモ、詰リ現在ノ
檢査バカリデナシニ、經濟施設ヲ一〓
ニヤリタイト云フコトハ、作ル場合デ
ゴザイマスカラ、サウ云フ場合ニ、而
モ當業者ノ三分ノ二以上ノ者ガ、大體
作リタイト思フ時ハ大多數ノ者ハ這
入ルデセウケレドモ、少數ノ者デドウ
シテモ這入ラヌ者ハ出來ル譯デゴザイ
マス、サウシマスト、强制加入ノ制度
ヲ執ラナイデ、サウ云フコトニ致シテ
置キマスト、檢査ヲ致シマス時ニ、御
說ノ通リ、組合費ノ負擔ヲ免レテ勝手
ナコトヲスルト云フ者ガ出來マスカ
ラ、ソレデハ折角統一シテ檢査ヲヤル
ト云フ精神ニ添ヒマセヌカラ、ソコデ
八條ノ現行法デモ、組合ノ地區內ニ於
テ組合員ト同ジ資格ヲ有ッテ居ル者ニ
ハ之ヲ適用シテ、組合ノ檢査ニ依ラシ
ムル事業ノ制限トカ取締ト云フヤウナ
文字ヲ使ッテアリマスガ、ソレデ實ハ
此法律ヲ施行致シマシテカラ、サウ云
フ實例モ御承知デアリマセウケレド
モ、現ニ名古屋ニ於テ輸出樂器ノ例モ
アリ、又最近ニ於テハ瀨戶物ニ付テモ
例ガアッテ、是ハ皆單リ檢査バカリデ
ナシニ、生產額ノ制限ナリ、共同販賣
ナドヽ思ッ居テリマスガ、瀨戶物ノ方
デハ、サウ云フヤウナ制限マデ、組合
員デナイ者ニモ、是ハ及ボシテ居ルト
云フ風ニシテ、所謂統制ノ徹底ヲ期ス
ルコトニ實ハ取扱ヲナシテ居ル次第デ
ゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=60
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061・瀬川嘉助
○瀨川委員 只今ノ御答ハ私モ凡ソ承
知シテ居リマス、吾々組合員デナイ者
モ、組合ノ取締規則ヤ或ハ制限ニ違反
シタヤウナ場合ニハ、サウスルコトガ
出來ルト云フ原則デアッテ、組合ノ取
締トカ制限等ニ違反スル者ヲ必ズシモ
之ヲ取締ルト云フ法律ヂヤナイノデア
リマス、「得」トアリマス、例ヘバ實例
ヲ擧ゲルナラバ東京本所ノ服部金太
郞氏ノ經營シテ居ル精工舍ト云フ時計
工場ガアル、是ハ實ニ立派ナ工場デア
ルバカリヂヤナク、其內容ガ非常ニ整
ッテ居ルノデアリマス、絕對的ニ他カ
ラ干渉ヲ受ケナイ、若シ假リニ組合ガ
アッテモ、組合ニ這入ラヌト私ハ思フ
ノデス、若シサウ云フモノガ、今度ハ
實例ヲ引イテ、名古屋市ニ時計工場ガ
二十何箇所アリマスガ、一箇所デモ精
工舍ノヤウナ工場ガ出來タナラバ工
業組合ニ這入ラヌデモ、工業組合ノ取
締以上ノ完全ナ檢査ヲ行ヒ得ルト思
フ、デアリマスカラ、若シ外ノ這入ラ
ヌ人間ガ精工舍程ノ完全ナコトヲヤッ
テ居ラナクテモ、組合ガソレニ對シテ
干涉スルコトハ出來ナイダラウト思
フ、サウシマスト、這入ラヌ少數ノ者
ハ組合ノ負擔ヲ免レテ、多數ノ者ハヤ
ハリ同ジヤウナ商賣ヲスルノニ、經費
ヲ負擔シナケレバナラナイ、隨テ製品
ノ價格ニモ影響シテ來ルト云フ結果ニ
ナルト私ハ考ヘルノデアリマス、ドウ
カ是ハ何トカ九條ト云フコトニ付テー
-私ハ必ズシモ九條ト云フモノヲ全部
取ッテシマハナケレバナラヌト主張ス
ル譯デハアリマセヌガ、ソコノ所ハ
ツ御〓究ヲ願ヒタイ、敢テ茲デ明確ナ
ル御答辯ヲ要求スル譯デハアリマセヌ
ガ、十分御〓究ヲ願ハナケレバ、當局
者ガ實際困ル問題ダト思ヒマス、全國
的ニモ困ッテ騷イデ居ルノデアリマス
ソレカラ先程岸田君カラノ御話ニ對
シテノ御答辯ニ、重要工產品ト重要輸
出品トノ話ガアリマシタガ、是ハ成ベ
ク商工大臣ノ指定スル所ノ範圍ニ止メ
ルト仰シヤルケレドモ、折角法律ヲ作
ルノナラバ、此法律ヲ發達サセルコト
ヲ御考へ願ハナケレバナラヌノデアッ
テ、從來ノ重要輸出品ヨリモ、今度ノ
重要工業品ト云フモノハズット大キ
クナルト云フコトハ、詰リ輸入ヲ防止
スルト云フ意味ニ於テ、外國カラ來ル
物ヲ防グ、國產愛用ハ商工省ガ御本家
デアリマスケレドモ、日本デ作ッテ出
來ルモノハ重要工產品デアリマス、シ
テ見レバ澤山數ガ殖エルノデアリマ
ス、現ニ時計ノ如キ、半分グライ輸出
シテ、半分グライハ輸出シナイ物ヲ造
ツテ居ル工場ガアル、ソレガ爲ニ最初
ハ實際困リマシタ、輸出品工業組合ニ
對シテ、輸出シナイモノマデモ、工業
組合ニ入レルノハ甚ダ困難ダカラ、是
ハドウシヨウカト云フ話モゴザイマシ
タガ、併ナガラ實際ハ其工場ガ輸出シ
テ居ラナクテモ、其品物ガ輸出スルニ
適スルナラバ宜イヂヤナイカト云フヤ
ウナコトデ、三四年前カラ計畫シテ居
ツタノデアリマス、ソレデ今度ハ數ガ
非常ニ殖エルカラ、結局ハ先程申上ゲ
タヤウニ、同業組合ヲ滅ボシテシマフ
法律デアルカラ、同業組合デハ、是デ
ハイカヌト云フ場合デアルカラ-私
ハ今之ヲドウシテ吳レトカ、削除シテ
貰ヒタイト云フ譯デハアリマセヌガ、
之ヲ一ツ御〓究願ッテ、同業組合デナク
テハイカヌト言ッテ殘ッテ居ル人モ、安
心シテ同業組合ニ據ッテ經營シテ行ケ
ルヤウニ、御心配ヲ願ヒタイノデアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=61
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062・吉野信次
○吉野政府委員 別ニハッキリシタ御
答辯ヲ申上ゲル譯デハアリマセヌガ、
御質問ノ事ハ要スルニ〓究致シマス
ガ、唯御尋ノ點ハドウモ九條ノ存置ト
云フヨリモ、現在工業組合ハヤハリ强
制加入カナニカ、サウ云フ規定ノ置ク
方ガ宜イデハナイカト云フ風ニ拜承致
シマシタ、ソレカラ大キイモノヽ例ガ
出マシタガ、大キイモノハ組合ニ入ラ
ヌト云フコトニ付キマシテハ、是ハ-
〓ニアナタノ仰シヤルヤウニ、當然第
八條ノ規定ガ適用出來ヌト云フ譯ニハ
參リマセヌノデ、要スルニ組合ノ事業
ノ取締制限ハ、物ノ性質如何ニ依ッテ
ハヤハリ適用ヲ受ケル場合ガアリマ
ス卽チ時計ナラ時計デ其製品ノ檢査
ヲヤル、粗製濫造ヲ取締ルト云フ風ナ
事業デアリマスルナラバ、大工場デ大
設備ヲシテ居リマスモノハ、其必要ガ
ゴザイマセヌカラ、サウ云フ場合ニハ
適用ガナイト云フコトニナッテ居リマ
ス御話ノ例ノ如ク海外ニ出マスモノ
ガ生產ノ數量ヲ規律スルト云フコト
ノ問題ニナリマスト、是ハドウモ大キ
イカラ生產數量ノ制限外ニ立ッテ勝手
ニ造ルノデアリマスカラ、此目的ヲ達
シマセヌカラ-現ニ三重縣東洋紡
ハ名古屋ノ組合ノ地區內ニゴザイマ
スノデ、ヤハリ是ハ統制ニ服シテ居ル
ノデアリマヌ、其處ハ此組合ノ法律ニ
書イテアリマス事業ノ取締制限ト云フ
コトノ內容如何ニ依ッテ、ヤハリ大工
場ト雖モ八條ノ規定ニ依ッテ組合ノ統
制ニ服スル場合ガアルト云フコトヲ御
承知ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=62
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063・瀬川嘉助
○瀨川委員 モウ一ツ御尋ネ致シマ
ス、先程御話ガアッタノデアリマス、最
近新ニ出願スル所ノ同業組合ヲ許可シ
ナイト云フ、是ハ悉クトハ私ハ申シマ
セヌガ、許可シナイト云フモノガ澤山
アルコトダケハ明言シマス、而モ仄聞
スル所ニ依リマスト、近ク工業組合法
ノ改正ヲサレルノデアルシ、同業組合
ノ濫設ヲ防グト云フ意味ニ於キマシ
テ、容易ニ同業組合ヲ出願シテモ許サ
ヌサウデアリマスガ、是ハ誰カ言フタ
トモ言ヘマセヌシ、又仄聞デアリマス
カラ-事實私共ハヤハリ〓結アル業
者ハ、當然是ハ組合ニ成リ得ベキモノ
デアルケレドモ、昨年以來而モ愛知縣
ニ於キマシテハ、地方長官ガソレヲ適
當ナリト認メテ、商工省デ今日マデ御
許可ニナラヌ事實ガアルノデアリマ
ス、是ハ御參考ニ申上ゲマスガ、名古
屋ノ時計製造業者ハ、多クハ時計ノ箱
廻リノ色々ナ箱ハ分業トナッテ居ツ
テ、理論カラ行キマスト箱ノ製造者モ
悉ク時計製造同業組合員デナケレバナ
ラヌ譯デアルガ、色々經濟關係カラソ
レハ一〓ニナレナイ、ソコデ外國ニ輸
出シマス時ニ、箱ノ板ノ厚サガ薄カツ
タリ、又乾燥ガ惡カッタリスルト、輸
出ニハ適シナイト云フ關係カラ、檢査
ヲ受ケナケレバナラヌ、所ガ組合員デ
ナイ爲ニ檢査ヲスルコトガ出來ナイカ
ラ、是ハ同業組合ヲ組織サセテ、十分
ナ檢査ヲシテ、サウシテ完全ナ時計ヲ
造ッテ外國ヘヤラウ、サウ云フ趣旨カ
ラ同業組合ノ設立ヲ願出シマシタ、愛
知縣トシテハ適當ト認メテ居リマス、
是ガ商工省トシテ未ダ御許シガナイ、
是ハ先程ドナタカ御話ノヤウニ、同業
組合ノ濫設ヲ防グト云フノハ、工業組
合ヲ奬勵シテ同業組合ヲ潰シテヤラウ
ト云フヤウナ御意向デハナカラウト思
ヒマスガ、如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=63
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064・吉野信次
○吉野政府委員 御尋ノヤウナ精神ハ
全然持ッテ居リマセヌ、是ハ岸田サン
ニ御答シタ通リデアリマス、實ハ隨分
府縣カラ申達致シマスモノデ、府縣ノ
見ル所ト商工省ノ見ル所トハ違ヒマシ
テ、府縣ガ認可然ルベシト言ッテ來タ
モノニ對シテモ、此方ハ異議ヲ稱ヘテ
居ル例モゴジイマス、ソレハ組合ノ事
實ノ內容ヲ能ク見マシテ、自ラ其組合
ヲ許可スルニ付キマシテハ、方針ガゴ
ザイマスノデスカラ--內規ガゴザイ
マス、其內規ニ依リマシテ此組合ハ如
何ナル事業ニ重キヲ置クカ、ソレデ是
ハ强制加入ノ組合デスカラ、唯從業員
ヲ表彰スルトカ、親睦ヲ圖ルトカ云フ
漫然タル目標デ、ソレノミデ組合ヲ許
スト云フ方針ハ執ッテ居リマセヌ、矢
張ソレニ加フルニ、今御話ノヤウナ檢
査ト云フヤウナコトモヤラセルト云フ
コトヲ考ヘテ居ル、檢査ヲヤル場合ニ
ハ經費モ要ルコトデモアリマスシ、ソ
レ等ニ對シテ經費モ不十分デアルモノ
ガ願ッテ來タヤウナ場合ニハ、府縣知
事カラ、折角言ッテ來マシテモ、之二
對シテ直グ認メルト云フコトハヤッテ
居ラナイノデアリマス、是ハ一ツ能ク
御諒解ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=64
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065・瀬川嘉助
○瀬川委員 私ハ其組合ヲ本位トシテ
此重大ナ委員會デ一々御話スル意味デ
ハアリマセヌガ、偶々サウ云フ實例ガ
アルカラ例ニ採ッテ御話シタノデアリ
マシテ、只今ノ御話ニ依リマスルト、
從業員ヲ表彰スルトカ、又或ハ經費豫
算ガ不確實デアルトカ、檢査ガ完全ニ
出來ヌカラト云フ理由デ許サヌト云フ
御方針デアルガ、是ハ當然ナ話デアル、
ケレドモ先程私ガ申上ゲタコトハサウ
デハナイ、組合員ノ數モ相當アリ、又
年產額モ相當アリ、檢査ノ方法カラ豫
算マデ明細ニ作ッテ願出テアルモノガ
遂ニ許サレタト言ッタノデアリマス、
サウ云フヤウナモノガ、長イ間何處カ
ノ本箱カ何カノ中ニ入レラレテ居ッタ
ガ、前ニ申上ゲタヤウナ御趣旨ノ下ニ
許可サレナカッタノデハナイカ、斯ウ思
フノデアリマスガ、ソレハモウ御答辯
ハ要リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=65
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066・吉野信次
○吉野政府委員 ソレハ能ク調ベマシ
テ御答申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=66
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067・井上剛一
○井上委員長 是ニテ散會致シマス、
次囘ノ期日ハ公報ヲ以テ御知ラセ致シ
マス
午後四時四十二分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00319310305&spkNum=67
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