1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
輸出組合法中改正法律案（政府提出）
重要輸出品工業組合法中改正法律案（政府提出）
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會議
昭和六年三月六日（金曜日）午後一時二十分開議
出席委員左の如し
委員長 井上剛一君
理事 手代木隆吉君
理事 岸田正記君
竹田儀一君 中亥歳男君
飯塚春太郎君 瀬川嘉助君
上田孝吉君
同月五日委員定塚門次郎君辭任に付其の補闕として竹田儀一君を議長に於て選定せり
出席國務大臣左の如し
商工大臣 俵孫一君
出席政府委員左の如し
商工政務次官 横山勝太郎君
商工省工務局長 吉野信次君
商工省貿易局長 立石信郎君
本日の會議に上りたる議案左の如し
重要輸出品工業組合法中改正法律案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=0
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001・井上剛一
○井上委員長 ソレデハ開會致シマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=1
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002・岸田正記
○岸田委員 大臣ノ御出席ヲ戴キタイ
ト思ヒマスガ、如何デゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=2
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003・井上剛一
○井上委員長 只今呼ビニヤッテ居リ
マス-都合ニ依ッテ二時半マデ休憩
致シマス
午後一時五十四分休憩
午後二時四十分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=3
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004・井上剛一
○井上委員長 休憩前ニ引續キマシ
テ、是ヨリ開會致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=4
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005・岸田正記
○岸田委員 實質論ニ付キマシテハ
マダ幾多御尋シタイ點モアリマスケレ
ドモ議事進行ヲ急イデ居ラレルヤウ
デアリマスルカラ、先ヅ私トシテハ此
程度ニ止メマシテ、大臣モ御急ギノヤ
ウデアリマスカラ、是カラ少シ運用論
ニ付テ御尋シタイト思フノデス、先ヅ
第一ニ御伺シタイト思フコトハ工業
組合法ニ依ッテ設立セラルベク、政府ニ
於テ豫想シテ居ラレル所ノ、工業組合
ノ扱フ種目、是ハドンナモノヲ御考ヘ
ニナッテ居ルノデアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=5
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006・俵孫一
○俵國務大臣 段々數ハゴザイマスル
ガ、現在ガ二十九バカリゴザイマス、是
ハ刷ッテ上ゲマセウカ(岸田委員「刷ッテ
戴ケバ尙ホ結構デス」ト呼フ)ソレデハ
サウシマセウ、ソレカラ將來ノモノト
シテハ撚絲、麻織物、ソレカラ石鹼、電
球マアソンナ種類ノモノデスネ、マダ
アルカモ知レマセヌガ、凡ソ斯ウ言ッタ
ヤウナモノデス、申スマデモナク、コチ
ラデ斯ウ云フモノニ組合ヲ作ラシメタ
ラ宜カラウト思フノデアリマシテ、當
業者ノ方デ又如何ヤウナ考ヲ持チマス
ルカ、當業者ノ意見ハ違ッテ居ルカモ知
レマセヌガ、コチラノ狙ヒ所ハコンナ
モノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=6
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007・岸田正記
○岸田委員 ソレカラ此法律ニ依ッテ
作ラレルコトヲ豫想セラレル組合ノ數
ニ付テハ、ドウ云フ御所見ヲ持ッテ居ラ
レマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=7
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008・吉野信次
○吉野政府委員 只今大臣カラ適用ス
ベキ品種ノ大體ノ見込ダケヲ申シ上ゲ
マシタガ、要スルニサウ何モ、彼モ工業
家ノ言フ意見ヲ適用スルト云フ考ハ持
ッテ居リマセヌ、ソレデ今大體ノ見込ニ
アリマスモノヽ中デ、既ニ同業組合ヲ
作ッテ居ルヤウナモノモゴザイマスル
シ、又ナイヤウナモノモゴザイマス、今
玆ニ的確ニ幾ツ位ノ組合ガ之ニ這入ル
ト云フコトハ、實ハ申上ゲ兼ネルノデ
アリマス、ト申シマスノハ、詰リ地區ノ
問題モゴザイマス、例ヘバ同ジ石鹼ナ
ラ石鹼デモ、東京ダケデ造ル場合モゴ
ザイマセウシ、或ハ大阪ダケデ造ル場
合モゴザイマセウシ、サウ云フヤウナ
コトニ依ッテ、隨テ狙ッテ居ル同業組合
ノ數モ違ッテ來ル譯デアリマス、併シ大
體ニ於テ澤山ノ同業組合ト云フモノ
ハ、之ニ依ッテ此現在ノ同業組合ガ、工
業組合法ニ依ッテ-改正案ノ施行ニ
依ッテ適用サレルモノトハ考ヘテ居リ
マセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=8
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009・岸田正記
○岸田委員 サウ致シマスト、只今大
臣ノ御說明ニ依ルト、撚絲、麻織物、石
鹼及ビ電球、マダ其外少シアルカモ知
レナイケレドモ、大體此位ノモノダラ
ウト、斯ウ云フ御話デスガ、サウ致シマ
スト、從來二十九種種目ガ工業組合ニ依
ッテ扱ハレテ居ッタ、然ルニ今度ハ四種、
若クハ僅カニソレ以上ト云フコトニナ
リマスルト是ガ外レテ來ルモノガ大
多數ニナッテ來ルノデアルガ、此除外セ
ラレル所ノ種目ニ關スル工業組合ハ、
新法ノ出來上ッタ曉ニ於テハ、如何ニ扱
ハレル積リデアルカ、此點ヲ一ツ伺ヒ
タイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=9
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010・吉野信次
○吉野政府委員 詰リ指定ヲ致シマセ
ヌトヤハリ現在若シ同業組合トシテ
殘ッテ居リマスルモノハヤハリ同業組
合トシテ存續スルト斯ウ云フコトニナ
リマス、現在二十九ノ指定サレマシタ
モノハ、ヤハリ今度ノ工業組合デ、其儘
續ケラレルノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=10
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011・岸田正記
○岸田委員 サウスルト今ノ二十九種
ノ上ニ、此四ツバカリガ加ハルト云フ
譯デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=11
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012・吉野信次
○吉野政府委員 サウ云フ積リデゴザ
イマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=12
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013・岸田正記
○岸田委員 サウデスカ、サウスルト
種目ヲ增加シテ來ルト云フコトガ一ツ
ノ確定サレタ事實ノヤウニ伺フノデア
リマスガ、續イテ組合ノ出資額ニ付テ
ハドウ云フ變動ヲ來スデアラウト云フ
コトヲ御豫想ニナッテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=13
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014・吉野信次
○吉野政府委員 一寸御尋ノ御趣旨
ハ、甚ダ失禮デゴザイマスガ、現在ノ工
業組合ノ出資額ト云フ意味デゴザイマ
スカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=14
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015・岸田正記
○岸田委員 現在ノ工業組合ニ對シテ
四種バカリ種目ガ殖エル、ソレニ依ッテ
又新シク工業組合ガ出來ル、ソレ等ヲ
合シテ從來ノ工業組合モ此規定ノ變化
ガアルノデアルカラシテ、是等ガ相俟ツ
テ日本全體ノ工業組合トシテノ出資額
ノ上ニドウ云フ變動ヲ來スデアラウカ
ト云フコトノ政府ノ御豫想、之ヲ伺ヒ
タイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=15
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016・吉野信次
○吉野政府委員 ソレハドウモ此改正
案ヲ施行シマシタ後ニ、只今モ大臣カ
ラ申上ゲマシタ通リ、當業者ガ自治的
ニ任意デ組合ヲ組織ヲスルカシナイカ
ト云フコトヲ決メルノデアリマス、又
出資ニ付キマシテモ、ヤラント欲スル
事業ノ種類ニ依ッテ澤山ノ金モ要ル場
合ガアリマセウシ、少イ金デ濟ム場合
モアリマセウシ、豫メ此處デドウ云フ
見當ニナルト云フコトハ一寸付キ惡イ
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=16
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017・岸田正記
○岸田委員 ソレカラ今度是等ノ組合
ニ對シテ補助金ヲ御與ヘニナルト云フ
コトハ、從來通リヤハリ同ジデアラウ
ト思ヒマスガ、ソレニ付テ大體ノ豫算
額ハ、是ハ如何ナモノデアリマセウ
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=17
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018・吉野信次
○吉野政府委員 六年度ノ豫算ニ於キ
マシテハ工業組合ノ助成費ト致シマ
シテ、十三萬五千圓ダケ計上致シテ居
リマス、御承知ノ通リ昭和五年度ニハ
二十五萬圓、其前ニハ三十萬圓デアリ
マシタ、少シ金ガ減ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=18
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019・岸田正記
○岸田委員 今日ノヤウニ經濟界ガ非
常ニ疲弊致シテ居リ、特ニ私共ノ立場
カラ忌憚ナク申シマスト云フト、金解
禁、サウシテ極端ナル緊縮政策、是等ノ
影響ガ我國ノ經濟界ニ非常ナル打擊ヲ
及ボシタト云フコトハ、私共確信シテ
疑ハヌノデアリマス、而シテ其最モ甚
大ナル影響、率直ニ申シマスルト、打擊
ヲ蒙リマシタモノハ中小商工業者、是
等ノ者デアラウト私ハ思ッテ居リマス、
斯ウ云フヤウナ時代ニ於テコソ工業組
合法ノ發動ガ最モ積極的ニ活動的デナ
ケレバナラヌト信ズルノデアリマスケ
レドモ、今日マデノ輸出工業組合ニ對
スル助成ノ經過ヲ見マシテモ、此不景
氣ガ益〓深刻ニナルニ從ッテ、言換ヘレ
バ昭和三年ヨリモ四年、四年ヨリ五年
ト云フヤウニ助成金ガ減ッテ居ル事實
デ明カニナッテ居ル、更ニ六年度ニ至ツ
テハ、此法案實現ノ曉ニ於テハ、只今大
臣ノ御說明ニ依リマシテモ、四種若ク
ハソレ以上ノ種目ガ殖エテ來テ居ル
而モ取扱ノ工業品ノ範圍ニ至ッテハ、全
國ノ國內ニ賣出ス此多量ノ商品ヲ製造
スベキ中小工業者ニマデ及ボスベキ此
工業組合ニ於テ、一層助成金ガ多大ナ
ルモノヲ要スルト云フコトハ私共ハ
信ジテ疑ハナイノデアリマス、然ルニ
時勢ト云ヒ、又事業ノ範圍ト云ヒ、是ガ
昭和五年度ニ於テハ十五萬九千圓アッ
タモノガ、是ガ反對ニ十三萬五千圓ニ
減ラサレルト云フノハ、是ハ如何ナル
理由ニ基クモノデアルカ、實際及ビ理
論的ノ御根據ヲ承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=19
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020・俵孫一
○俵國務大臣 目下ノ不況ニ對スル理
由ノ見解ハ不幸ニシテ岸田君ト吾々共
ハ大ニ所見ヲ異ニシテ居ルノデアリマ
スガ、事實中小工業ガ非常ニ困難ノ狀
態ニアルコトハ、是ハ間違モナイコト
デアリマス、ソレ故ニ此場合ニ於テ工
業組合ヲ益〓勸誘シテ、此機能ヲ發揮セ
シメテ、以テ中小工業ノ今日ノ窮狀ヲ
救フコトニ致シタイト云フコトハ、今
囘ノ改正ノ理由ノ骨子デアリマス、其
場合ニ於テ何故補助金ヲ減ズルカ、洵
ニ尤千萬ナ御質問デアリマス、私共ハ
希望ト致シマシテハ、尙ホ此費用ヲ出
來ルダケ增額スルコトヲ希望スルシ、
主張ヲ致シタノデアリマスガ、何分ニ
モ我國ノ財政ノ現狀洵ニ已ムヲ得ザル
モノガアリマスノデ、組合ノ數ハ將來
增加セシメネバナラヌ、而シテ支給ス
ル補助ハ却テ減額スル、斯ウ云フヤウ
ナ洵ニ遺憾千萬ノ結果ニナッテ居リマ
ス、已ムヲ得マセヌ、ソレ故ニ吾々ハ其
已ムヲ得ザル所ノ補助ノ狀態ニ於テ出
來得ルダケ勸誘ヲシテ、補助金ハ無シ
ト雖モ、出來ルダケ當業者ノ理解ヲ求
メテ、其自覺ニ訴ヘテ、サウシテ此組合
ヲ存立セシメテ、御話ノ如ク現狀ヲ救
濟スルト云フコトニ致シタイト思ヒマ
ス、但シ之ニ付テハ支給スベキ所ノ補
助金、奬勵金ハ其通リ減ジテ居リマス
ガ、併ナガラ資金ノ融通、是ハ十分ニ努
メタイト思ヒマス、從來御承知ノ通リ
ニ低利資金ノ貸付ヲヤッテ居リマスケ
レドモ、中々思フ通リニ其消化ガ出來
マセヌコトヲ、甚ダ遺憾トシテ居リマ
ス、之ニハ種々ノ理由モアリマセウケ
レドモ、一ツハ工業組合ノ如キ、サウ云
フ低利資金ヲ受入レテ之ヲ消化スル所
ノ機關ガ餘リマダ十分デナイト云フ點
ニモ亦アリマセウ、ソレ故ニサウ云フ
點ニ於テハ出來ルダケノ便宜ヲ與ヘル
ト同時ニ勸誘シテ、當業者ノ自覺ヲ促
シテ、工業組合ノ設立ヲ勸奬スル、斯ウ
云フコトニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=20
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021・岸田正記
○岸田委員 助成金問題ニ付キマシテ
ハ、私ハ後程私ノ見解ヲ述ベテ、更ニ當
局ノ御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマス、續
イテ只今大臣カラ折角低利資金ニ言及
サレタラ、重ネテ此點ニ付テ御答辯ヲ
御願シタイト思フノデアリマス、新シ
ク出來上ルベキ工業組合、全體ニ對シ
テ低利資金ヲ相當ニ出ス、出來得ル限
リ奮發ス積リデアルト云フ、之ヲ以テ
補助金ノ少キヲ補フト云フヤウナ御趣
旨ニモ承ッタノデアリマス、然ラバ具體
的ニドノ程度ノ低利資金ヲ六年度ニ於
テ貸出スル御豫定デアルカ、之ヲ明確
ニ具體的ニ御答ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=21
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022・俵孫一
○俵國務大臣 金額ノ高ハマダ決ッテ
居リマセヌ、旣往ノ歷史トシテ御承知
ノ通リニ二千萬圓ノ低利資金ヲ出シ
テ、サウシテ產業組合其他ノ中小農商
工、斯ウ云フ者ニ貸付ケルコトニシテ
居リマシタガ、是ハ餘リニ貸付條件ノ
嚴重デアリマスガ爲ニ、中々其金額ノ
貸付ガ了シ終ラナイ、是ハ略〓二千萬圓
ノ豫定シタ貸付ヲ了シ終ラントスル爲
ニ更ニ五百萬圓ノ增加ヲ致スコトニ
シテ居リマス、是ハ必要ニ應ジテマダ
マダ貸付得ル餘裕モアリマス、ソレ故
ニ必要ガアルナラバ、無限トハ行キマ
セヌガ、マダ〓〓貸付ガ出來ルコトニ
吾々ハ考ヘテ居リマス、然ラバ金額ヲ
何程ニスルカ、是ハ六年度ノ需要ノ狀
態ニ應ジテ更ニ金額ヲ定メテ、大藏當
局ニ交涉ヲスル積リデアリマス、試ミ
ニ工業組合ニ低利資金ヲ昨五年度ニド
ノ位出シタカト云フト、百五十萬圓バ
カリ出シテ居リマス、ソレ故ニ明六年
度ニ於テモ更ニ其金額ヲ增シテ、金融
ノ便宜ヲ與ヘルコトニ致シタイト考ヘ
テ居リマスガ、今御話ノ何百萬圓、何千
萬圓ト考ヘテ居ルカト云フコトハ、只
今其豫定ヲ持ッテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=22
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023・岸田正記
○岸田委員 此點ニ付テハ政府當局ト
シテ具體的ニ豫定ヲ明言スルコトハ不
可能デアル、但シ來年度ノ中小工業者
ノ金融狀態ニ鑑ミテ、之ニ適應スルダ
ケノモノハ出ス積リデアル、且之ニ適
應スルニ足ル所ノ餘裕ハ低利資金ノ上
ニアル、斯ウ云フ意見デアリマスケレ
ドモ、私ハ此點ニ付テハ過去ノ工業組
合時代ニ於ケル實績カラ、政府當局ノ
今後ノ御態度ヲ推測セズニハ居ラレナ
イノデアリマス、此點ニ鑑ミテ過去ノ
工業組合時代ニ於ケル實績ニ付テ、政
府當局ノ御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマ
ス、先ヅ低利資金ノ點デアリマスガ、先
日御配リニナッタ工業組合〓況ニ依ル
ト、昭和三年度ニ於テハ一一百萬圓、四年
度ニ於テモ二百萬圓、五年度ニ於テハ
百五十萬圓ノ低利資金融通ノ豫定ガア
ッタノデアリマス、而シテ實際貸出ニナ
ッテ居ル實狀ハ、三年度分ハ百三十五萬
六千八百圓、四年度分ハ四十二萬圓、五
年度ハマダ日時モ淺イカラ、貸出シテ
居ラヌト云フコトデアリマス、此數字
カラ判斷スルト、三年度ノ豫定額ニ對
シテ實際ニ貸出シタモノハ六割八分
ニ當ッテ居リマス、是ハ卽チ政友會內閣
時代ニ實際ニ貸出シタ額デアリマス、
續イテ四年度ニ於テハ四年ノ十二月ヲ
第一次トシテ居ラレ、續イテ五年ノ六
月ヲ第二次トシテ貸出ノ豫定額ヲ立テ
テ居ラレルガ、之ニ依ルト二割一分五
厘シカ實際ニ於テハ貸出シテ居ラレ
ヌ、是ハ先刻私ガ申シタヤウニ、甚ダ時
ノ經濟界ノ狀勢ニ逆行スル金額補助ノ
實情デハナイカト思ヒマス、卽チ三年
度ニ於テハ四年度ヨリモ經濟界ハ多少
ト雖モ景氣ヲ保チ得テ居ッタノデアリ
マスガ、四年度ニ至ッテハ愈〓不景氣ガ
深刻ニナッテ來テ、特ニ中小工業者ガ五
年初ノ金解禁其他ノ財政上ノ影響ヲ受
ケテ、、愈〓不況ノドン底ニ突落サレタ、
其時ニ當ッテ實際ノ貸出額ハ政府ガ豫
定額トシテ發表セラレテ居ルモノニ對
シテ、僅ニ二割一分五厘デアルト云フ
コトデハ、私ハ此問題ニ關スル政府ノ
誠意ガドノ程度ノモノデアルカト云フ
コトニ付テ疑ハザルヲ得ヌノデアリマ
ス、此點ニ付テ政府ハ如何ニ御說明ニ
ナルカ、責任アル、而シテ粉飾ナキ御答
辯ヲ願ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=23
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024・吉野信次
○吉野政府委員 過去ノ貸出ノ實況ニ
付テノ御尋デアリマスカラ、其事情ダ
ケヲ私カラ一應御說明申上ゲマス、御
承知ノ通リ低利資金ハ預金部ノ資金運
用委員會デ決メルノデアリマスカラ、
貸出ニ付テ決ッタ法律ガアルコトハ御
承知ノ通リデアリマス、而シテ工業組
合ニ對スル低利資金ハ直接組合ニ貸出
ハ致シマセヌ、ヤハリ勸業銀行、興業銀
行、農工銀行、北海道拓殖銀行ト云フヤ
ウナ特殊銀行ヲ通ジテ、貸スコトニナッ
テ居リマス、而シテ其特殊銀行ハ又、資
金ノ引受ヲ預金部デヤッテ貰ヒマスケレ
ドモ、貸ス場合ニハ自分ノ資金ノ運用
デアリマスカラ、比較的堅イ貸方ヲス
ルト思ヒマス、而シテ工業組合、中小
工業者ト云フヤウナモノハ元々財產ノ
裕デナイモノデアリマスカラ、物的ノ
擔保モアリマセヌ、隨テ役員ナラ役員
ト云フモノ、個人保證ヲ設ケルトカ何
トカ云フヤウナ關係ニナリマスノデ、
一口ニ申セバ、貸出ノ方針ト云フモノ
ガ今日ノ中小工業者ノ現狀カラ言ヘ
バ、率直ニ申セバ適切デナイヤウナコ
トモ多少アリマス、サウ云フ譯デ實ハ
十分ニ參ヲテ居リマセヌ、割當ハ各工業
組合カラ斯ウ云フ事業ノ計畫ガアルト
云フコトヲ商工省デ取リマシテ、ソレ
ヲ按配シテ適當ニ取ルノデアリマス
ガ、實際割當ニ依ッテ直接銀行ト貸金ノ
交涉ヲスル時ニハ、只今申シタヤウナ
譯デ其目的ヲ達シ得ナカッタ組合モ多
多アリマス、殊ニ昭和四年ニ於テ成績
ノ惡イト云フノハ、是ハサウ云フ方針
ニ加フルニ昭和三年ニ入リマシテ不況
ガ參ッタノデゴザイマスカラ、此組合デ
最初計畫シタ共同ノ事業ヲ自ラ止メタ
ト云フヤウナ事情モゴザイマスカラ、
ソレデ十分デナイト云フ實況ニナッテ
居リマス、併ナガラ是ハ御說ノ通リソ
レデハイカヌノデゴザイマスカラ、其
貸出ノ方針ヤ何カニ付キマシテモ大
藏當局ト目下從來ノ方針ヲ改善シテ、
適切ニ中小工業ノ金融ノ方策ヲ樹テル
コトニ付テ折角協議中デアル、斯ウ云
フ實情デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=24
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025・岸田正記
○岸田委員 只今ノ吉野政府委員ノ御
答辯ヲ伺ヒマスト云フト、割當額ヨリ
モ貸出額ガ實際ニ甚シク少イ、僅ニ二
割一分五厘ニシカ當ッテ居ラナイ、此低
利資金融通上ニ於ケル實績ヲ擧ゲテ居
ナイ、言換ヘレバ中小輸出工業者救助
ノ實ヲ擧ゲテ居ナイ、此責任ハ政府當
局ニ非ズシテ第一ニハ預金部資金運用
委員會ノ責任デアリ、續イテハ勸業銀
行、農工銀行、或ハ北海道拓殖銀行、是
等ノ低利資金ヲ扱フベキ金融機關ノ責
任デアル、更ニ又續イテハ之ヲ借受ケ
ル所ノ中小工業者自體ガ信用薄ク、擔
保力薄ク、隨テ銀行トノ間ニ圓滿ナル
取引ノ進行ヲ能ク遂ゲナカッタ、是等ガ
其原因デアッテ、政府當局ニ於テハ其責
任ハ過去ニ於テハナカッタ、但シ將來ニ
於テハ何等カノ手段ヲ盡サウ、斯ウ云
フヤウナ御答辯デアッタヤウニ思ヒマ
スガ、是ガ果シテ政府當局ノ御氣持デ
アリ、且又特ニ商工大臣ノ是ガ眞意デ
アルトスルナラバ、聞漏シ難キ由々シ
キ問題デアルト私ハ思フノデアリマ
ス、洵ニ無誠意モ甚シイモノデハナカ
ラウカト思フノデアリマス、卽チ言フ
マデモナク豫定額ト云フモノハ、實際
ノ經濟界ノ趨勢ニ鑑ミテ、中小工業者
ノ實情ヲ推測シテ、以テ此程度ニ於テ
ハ今日融通ヲ付ケテヤラナクテハ、此
工業法ヲ作ッテ居ル趣旨ハ徹底シ得ル
モノデハナイ、此御判斷ノ下ニ豫定額
ヲ立テラレ、時ノ實際ノ事情ニ於テ割
當ラレルモノデアラウト私ハ思フ、然
ルニ政府當局ガ幾多ノ事實ヲ綜合シタ
結果立テラレタ所ノ豫定額ガ、僅ニ一
割、或ハ一割五分、是ガ相違スルト云フ
ノナラバ、兎モ角モ二割一分、卽チ僅ニ
五分ノ一位シカ貸出ノ實際ノ成績ヲ擧
ゲテ居ナイト云フコトニ對シテ、
ハ唯中間ノ金融機關ノ缺陷デアル、或
ハ預金部資金運用委員會ノ責任デア
ル、或ハ又中小工業者ノ信用ノ薄キ爲
メデアルトカ云フヤウナ事ヲ事由トシ
テ、此救濟ノ實ヲ擧ゲ得ザルノ罪ヲ免
レントシテ居ルト云フコトガ、眞ノ當
局ノ態度デアルトスルナレバ、私ハ是
ハ全國ノ中小工業者ニ之ヲ愬ヘテ、以
テ大衆ノ聲ヲ以テ當局ノ此態度ヲ改メ
テ貰ハナケレバナラヌト思フノデアリ
やっ、而シテ此點ニ付キマシテ今一ツ
伺ヒタイコトハ、政府當局ト致シマシ
テハ、此豫定額割當ヲスルニ付テハ、
最初ヨリ豫金部資金ノ運用委員會ニ於
テハ、時ノ預金部資金ノ實情ニ鑑ミテ、
斯ノ如キ決定ヲスルデアラウト云フコ
トヲ豫想出來ナカタッカ、續イテハ中間
ノ金融機關デ農工銀行、勸業銀行、及ビ
北海道拓殖銀行、是等ノ取次業者ガ五
分ノ一位シカ割當額ニ對シテ實際ニハ
貸出サヌモノデアルト云フコトニ付
テ、何等ノ考慮ヲモ拂ハレナカッタカ、
續イテハ又中小工業者ナル者ハ擔保力
ヲ持タレル者デアル、信用モ十分アツ
テ、割當額ハ全部借受ケサシテモ宜シ
イモノデアルト御考ニナッテ居タノカ、
若クハ最初ヨリ中小工業者ノ信用、擔
保力、是等ニ付テハ五分ノ一程度ノモ
ノシカ貸出ス事ノ出來ナイモノデア
ソレル、斯ウ御判斷ニナッテ居ッテ、而モ其五
倍ニ當ル割當額ヲ見セビラカサレタノ
デアルカ、其點ノ喰違ヒニ付テ如何ニ
御考ニナリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=25
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026・俵孫一
○俵國務大臣 岸田君モ定メテ此邊ハ
能ク御承知ニナッテ居ラルルデハナイ
カト私ハ思ヒマスガ、吉野局長ノ只今
御答シタコトモ、當局者ニハ少シモ責
任ハナイノダ、貸付條件ガ辛過ギル、或
ハ工業組合其モノニ擔保力ガナイ爲メ
ダト簡單ニ其問題ヲ片付ケテ御答シタ
意味デハ決シテナイノデ、是ハ吉野局
長ノ言葉ガ或ハ不十分デアッタガ爲ニ
サウ云フ工合ニ感ジタカモ知レマセヌ
ガ、併ナガラ實情ハ岸田君ハ能ク御承
知ダラウト思ヒマス、產業組合ノ貸付
ニ致シマシテモ、工業組合ノ貸付ニ致
シマシテモ、實際ハ必要ガアルニ拘ラ
ズ、何故ソレダケ貸出ガサレヌカト云
フト、是ハ恐ラクハ御承知デアリマセ
ウガ、貸付條件ガ役員ガ全部ノ貸付ニ
對スル連帶保證ヲ付ケナケレバナラ
ヌ、是ガ非常ナ障碍デアリマス、全部ノ
組合員ノ貸付ヲ、時ノ役員ガ連帶保證
ヲシナケレバ、貸出サヌト云ッタヤウナ
ムヅカシキ貸出條件デアリマスルカ
ラ、借リタイ人ハ幾ラアッテモ、ソレヲ
取扱フ役員ハ迚モ連帶デ全部ノ保證ヲ
シナケレバナラヌト云フヤウナコトデ
スカラ、ヤウ貨付ケラレナイ譯デス、隨
テ借リタイト云フ人間ノ身元ヲ非常ニ
能ク調ベル、能ク調ベルノハ結構デア
ルケレドモ、之ヲ以テ非常ニ殘酷ナ條
件ノ結果ニ終ルノデアリマス、此例ハ、
御承知デアリマセウガ大阪ノ府廳ガ府
會ノ決議ヲ以テ、大阪府下ノ中小工業
者ガ非常ニ資金ニ困ッテ居ル、ソレ故ニ
府會ハ五十萬圓ハ損失ヲ蒙ッテモ宜シ
イカラ、其損失ヲ的ニ掛ケテ、サウシテ
貸出ヲ一ツ緩和シヨウト云フコトヲ一
昨年ノ府會デシタカ、ヤッテ、昨年度ニ
於テ其貸付ヲ努力致シタノデアリマ
ス、所ガ若モ府廳ガ五十萬圓ヲ自分限
リデ損失ノ補償ヲスルト云フナラバ、
ソレハ借リ手ガアルカモ知レマセヌ
ガ、銀行ト相談ヲシテ、銀行ト半々ノ損
失補償ヲシヨウ、或ル銀行ガ貸付ノ業
務ニ當ル、其業務ニ當ッタ銀行ハ、若モ
其資金ガ囘收ヲ出來ナケレバ、半分ハ
銀行ガ負擔シ、半分ハ府廳ガ負擔スル、
斯ウ云フ條件デ貸出スコトニ致シタ
所ガ、一向借リ手ガ付カナイ、何故付
カヌカ、借リタイ者ハ幾ラモアルノ
デアルガ、銀行ガ半分ハ自分ノ損失
ニ歸スルモノダカラシテ、容易ニ貸出
ノ承諾ヲ與ヘナイ、近頃ハドウカ知
リマセヌガ、當時私ハ、昨年ノ年度ノ
半頃デアッタト記憶シマスルガ、行
ッテ聽イテ見ルト云フト、一向貸出サ
ナイ、借リ手ハアリマスガ貸出サナ
イ、現實ニ府廳ガソレダケノ損失ノ補
償ヲスルト云フコトノ覺悟ノ前デ貸出
サウトシテモ、貸出ガ出來ヌト云ッタ
ヤウナ狀態ガアルノデアリマス、ダカ
ラシテ是ハ今申ス通リ、產業組合デモ、
或ハ工業組合デモ、役員ノ全部ガ貸出
ノ連帶保證ヲスル時ニ、役員ガ容易ニ
ウント言ハヌト云フノニ非常ニ重大ナ
故障ガアル、ソレ故ニ今工務局長ガ言ッ
タ如ク、昨年來產業組合、工業組合ニ付
テノムヅカシイ條件ヲ出來ルダケ緩和
シマシテ、ソンナ役員ノ連帶保證ト云
フ風ナコトナシニ貸出センカト云フコ
トニ付テ、農林大臣、大藏大臣、商工大
臣ガ寄ッテ或ハ大臣同志デ以テ集ッテ相
談ヲシ、又局長連中ガ集ヲテ相談ヲセシ
メ、色々ヤッテ、結局多少ノ緩和ヲシヤ
ウト言ッタ所ガ、行詰ッタノハ中央金庫
ノ同意ヲ得能ハヌ、中央金庫ガ現實ニ
其金ヲ政府カラ借リテ、自己ノ責任ニ
於テ貸付ケルコトニナル時ニ於テ、自
己ガ損失ヲ受ケルコトニナッテ來ルト、
三省ガ集ッテ決メテモ其通リニ行ケヌ
ト云フ障碍ニ出遇シテ來タノデス、デ
スカラ之ヲ何トカ緩和シナケレバナラ
ヌト云フガ、中々ウント言ハナイカラ、
ソコデ大藏大臣、商工大臣ハ相談致シ
マシテ、此產業組合ノ機能ヨリ別ナ一
ツ方法ヲ立テヽ而シテ中小工業ノ目
下ノ窮迫ニ對スル金融ノ途ヲ付ケヤウ
ト云フコトニ於テ心配ヲシテ居ル、ソ
レハ何カト言ッテ見レバ、或ハ無盡ノ方
法ニ依ッテ中小工業ノ資金ヲモウ一層
便宜ニヤルトカ、或ハ是モ多少交涉ヲ
シマシタガ-交渉ヲシマセヌデモ向
フデモ其必要ヲ感ジテ居ルノハ、彼ノ
不動貯金銀行、是ガ多少放膽的ニ貸付
ヲヤッテ、是ガ市中ノ中小工業者ノ資金
ノ緩和ヲ致シテ居ルコトハ事實デアリ
マス、或ハ勸業銀行ガ貸出ヲスルトカ、
興業銀行モ又中小工業者ニ對シテ貸出
ヲスル、更ニ工業組合-今問題ニナッ
テ居ル工業組合、是モ何トカモウ少シ
條件ノ緩和ヲスルコトニシテヤッタラ
ドウカ、是モ今考慮致シ、心配ヲ致シテ
居ルノデアリマス、唯一面ニ於テハ如
何ニ斯ウ云フ風ニ致シマシテモ、組合
其モノニ擔保力ガ相當ニナケレバイ
ケマセヌ、勿論擔保力ガナイ所ニハ到
底貸出スモノモアリマセヌカラ、其擔
保力ヲ附ケルノハドウスルカト言ヘ
バ、今囘ノ改正ノ如ク責任保證、或ハ程
度、組合員ノ責任保障ヲ附ケサシテ賠
償責任ノ制度ヲ設ケテ、組合員ハ共同
シテ或ル程度ノ組合ノ損失ヲ分擔スル
ト云フコトヲヤラシメテ、サウシテ貸
出ヲモット緩和スルト云フ方法ヲ執ル
コトガ一ツ、或ハ組合員ノ貯金ヲ取。ツ
テ、サウシテ組合員ノ信用ヲ附ケサシ
メテ、サウシテ金融ノ途ヲ附ケヤウト
スル、斯ウ云フコトニスルト云フヤウ
ナ方法ヲ附ケシメテ、以テ中小工業ノ
金融ヲ附ケシメルヤウニ致シタイト云
フノガ今囘ノ工業組合ニ對スル改正案
ノ財的不完備ナ事項ヲ擴充シテ、此金
融ヲ附ケヤウト云ッタコトニ致シタ譯
デアリマス、蓋シ工務局長ノ話モソレ
ヲモット簡單ニ申述ベタニ止マルト思
ヒマス、ドウゾ左樣御承知ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=26
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027・岸田正記
○岸田委員 只今ノ御說明ニ依リマス
ト、要スルニ今日ノ貸出條件ガ今日ノ
中小工葉者ノ實狀ニ照シ合シテ見テ、
到底其滿足ヲ與ヘルヤウナ工合ニ行カ
ナイ狀態ニナッテ居ルカラ、斯ウ云フヤ
ウナ結果ニ陷ヲテ居ルノデアッテ、已ムヲ
得ヌコトデアル、斯ウ云フヤウナ御說
明デアリマスケレドモ、是ハ私ハ益〓不
可解ニナッテ來ルノデアリマス、特ニ產
業組合ノ實例ヲ引イテ以テ此間ノ實狀
ヲ御說明ニナリマシタケレドモ私ハ
產業組合ト此工業組合トハ、實際ノ貸
出狀態ニ於テ大分事狀ノ異ッテ居ルモ
ノガアルヤウニ思フ、言フマデモナク
產業組合ニ於キマシテハ、ヤハリ一般
ノ組合員カラノ貯金モ預カル、サウシ
テソレヲ又組合員ニ貸出ヲスル、又產
業組合中央金庫カラ低利資金ノ融通ヲ
受ケテ、サウシテ之ヲ全國ノ組合ニ融
通シテ行ク、斯ウ云フヤウナ利便モ開
ケテ居ルノデアリマス、然ルニモ拘ラ
ズ實際ニ產業組合ノ貸出ノ狀態ハドウ
ナッテ居ルカト云フト、農林省關係モサ
ウデアリマス、此處ニ土井君モ居ラレ
マスガ、其間ノ事情ハ能ク御承知デア
リマセウ、今ノ內閣ニナッテカラト云フ
モノハ、甚ダ宣傳的ノ方面ニハ力ヲ入
レラレテ、イヤドレダケノ豫定額ガア
ルカラドレダケノ割當ヲスルノダト御
發表ニナッテ居ルケレドモ、實際ノ貸出
ニ付テハ實ニ〓々タルモノデアル、例
ヘバ私能ク記憶シマセヌケレドモ、農
林省ガ一昨年來盛ニ宣傳シテ居ラレル
特別資金三億八千萬圓ヲ融通スル、斯
ウ云フコトヲ發表ニナッテ、サウシテ全
農村ニ宣傳シテ居ラレル、所ガ實際ニ
貸出シテ居ルモノハドウカ、最近ノ私
ハ統計ヲ覺ヘテ居リマスケレドモ、今
年ノ二月十二日ノ新聞デアリマシタ
カ、實際ノ貸出ハ一億一千萬圓バカリ
シカ出シテ居リマセヌ、言換レバ三割
位ヲ實際ノ額ニ對シテ出シテ居リマ
ス、是ハ要スルニ政府ガ唯大キナ豫定
額、大キナ所ノ割當額ヲ宣傳サレテ、サ
ウシテ農民ノ味方デアル、中小工業者
ノ味方デアル、斯ウ云フヤウニ御吹聽
ナサル半面ニ於テハ、貸出ノ上ニ於テ
甚ダ閉塞主義ト云フヤウナコトニ近
イ、ムヅカシイ條件ヲ立テラレ、サウシ
テ保證人ガ二人以上要スルトカ、或ハ
擔保物件ニ於テハ工場デアルトカ、或
ハ機械、斯ウ云フ種類ノモノヲ入レナ
ケレパナラヌト云フヤウナ、幾多ノム
ヅカシイ條件ヲ立テラレテ居ル、實際
ニ於テハ貸出主義ニ非ズシテ、非貸出
主義ヲ執ッテ居ラレル、斯ウ云フヤウナ
コトガ產業組合ニ對シテ今ノヤウニ僅
ニ三割シカ貸出ヲシテ居ラヌト云フ原
因デアルト思フ、併ナガラ產業組合ニ
於キマシテハ、ソレデモ尙ホ中央金庫
ヲ通ジテ低利資金ヲ借出スコトガ出來
ル、同一ノ金融系統デアル最上級ノ中
央金庫ヲ通シテ其融通ヲ受ケルカラ、
低利資金ノ融通ノ上ニ非常ニ便利デア
ラウ、併シ工業組合ノ上ニ於キマシテ
ハ、今ノ農工銀行或ハ勸業銀行ヲ通シ
テヤッテ行カレルノデアリマスガ、是等
ノ銀行ハ私ガ申上ゲルマデモナク、商
工大臣モ篤ト御承知ノ通リデアル、是
ハ今日ノ實狀カラ申シマスト、席民金
融機關デハ斷ジテナイノデアリマス、殆
ド其扱ッテ居ル業績ヲ見マスト、中小工
業者デアルトカ、或ハ席民階級ノ農民
デアルトカ云フ者ニ對シテハ殆ド相手
ニシテ居ラヌ、全ク資本家階級ノ金融
機關デアリ、資本家階級ノ利便ノ爲ニ
設ケラレタ金融機關デアルガ如キ實狀
ニ陷ッテ居ル、斯ウ云フヤウナ種類ノモ
ノヲ通ジテ低利資金ヲ中小工業者ニ融
通シテ行カウト云フノガ抑々ニ於テ間
違デハナイカ、併シ是ハ必ズシモ今ノ
內閣ニ始ッタコトデハナイ、政友會內閣
ノ時代ニ於テモ、從來ノ內閣ニ於テモ
同ジヤウナ實狀、同ジヤウナ狀態ニ於
テ、此困難ナル事情ヲ伴フ貸出條件ニ
於テ、政友會內閣時代ト民政黨內閣時
代トヲ比較致シテ見ルト、何等此間ノ
貸出ノ條件、事情ニ於テ異ナル所ナキ
ニ拘ラズ、一ハ六割八分ニシ、一ハ二割
一分五厘シカ貸出シテ居ラヌト云フ、
其間ノ事情ガ私ニハ分ラヌガ、之ヲ伺
ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=27
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028・俵孫一
○俵國務大臣 總テ御承知ダカラソレ
以上ニ說明スル必要ガアリマセヌ、エ
ラク貸付條件ガ嚴シイト云フコトニ付テ
ノ御非難デアリマシタガ、是ハ如何ニモ
御承知ノ通リ前來カラ決ッテ居ルコトデ
アル、何モ此內閣ガ殊更ニ條件ヲムヅカ
シクシテ、貸出ヲ澁ッテ宣傳ノミヲヤッテ
居ルト云フ御批評ハ當リマセヌ、此條件ハ
前カラヤッテ居ルノデアル、其障碍デア
ル所ノ貸付條件ハ歷代ノ內閣ガ適用シ
テ居ルノデアル、然ルニ田中內閣ノ時
ニハ八割ヤッタガ、今度ノ內閣ハ二割シ
カヤラヌトカ仰セラレルガ、是ハ先キ
ニ吉野君モ言フ通リ、工業組合ニ關ス
ル限リニ於テ、間違フトイカヌカラハツ
キリシテ置ク、工業組合ニ關スル限リ
ニ於テ、此資金ノ利用ガソレダケナカッ
タノデ、要求ガ減ッタト云フコトニナル
カ、又ハ前ニ十分ナル責任補償デ腹一
杯喰ッテ、是レ以上補償サレテモ困ルト
云フヤウナコトモアルデセウ、何モ今
申シタヤウナ田中內閣ニ於テ八割ヤッ
テ、今度ノ內閣ガ二割シカヤラナイ、
割シカヤラナイト云フノヲ內閣ノ責任
ノヤウニ仰セラレテモ、ソレハ萬事御
承知ノアナタニ何モ申上ゲナイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=28
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029・岸田正記
○岸田委員 之ニ付テ何事モ答ヘヌト
云フヤウナ御話デアリマスカラ、深ク
追及シテモ致方ナイノデアリマスガ
是ガ同ジ條件デアルト云フコトハ能ク
分ッテ居ル、能ク分ッテ居ルガ、經濟界ノ
狀況ガ益〓不景氣ヲ增シテ居ルニモ拘
ラズ、逆ニ低利資金ノ融通額ト云フモ
ノハ田中內閣ニ比較スレバ三分ノ一ニ
モ減少シテ居ル、是ハ條件ガ相違ヲ來
シタノデナクシテ、政府ノ之ニ對スル
中小工業者ヲ眞ニ救濟スル意思ガナイ
カラ、斯ウ云フヤウナ形ニナッテ現ハレ
テ來タノデアラウト思フ、之ヲ私ハ主
張シテサウシテ反省ヲ促シ、且又之ニ
對スル今後ノ御所見ヲ伺ヒタイト思ッ
タノデアリマスガ、是レ以上申上ゲテ
モ仕方ガアリマセヌカラ、私ハ此點ハ
打切リマス、唯私ガ續イテ御伺シタイ
ノハ、斯ノ如キ補助金ノ貸出ノ狀態デ
ハ實際ニ於テ今後生レ出ル所ノ工業
組合、之ニ對シテ果シテ中小工業者ヲ
救濟スル所ノ實績ヲ擧ゲ得ルカドウ
カ、此點ニ付テノ政府ノ御意見ヲ伺ヒ
タイノデアリマスガ、先程御說明ニナツ
タヤウニ種目ノ上ニハ二十九種目ノ上
ニ、更ニ數種目、或ハソレ以上ニ種目ガ
殖エテ居ル、而モ之ニ加入シ得ル資格
ノ範圍ニ於テハ、從來ノ工業組合ニ於
テハ、先刻懇談デ吉野政府委員ノ御意
見ヲ聞イタ際ニモアリマス通リ、中小
工業輸出額ト云フモノハ、今日十三四
億ニ達シテ居ルデアラウト云フ御意見
デアリマス、然ルニ是ガ今度日本國內
全體ニ對シテ賣捌カレ、中小工業者ノ
製造品ガ之ニ適用セラルヽ場合ニ於キ
マシテハ、今日ノ工產品ノ全額ガ七十
四億圓デアリマシテ、之ニ對シテ中小
工業品ガドノ位ノ部分ヲ占メテ居ル
カハッキリシタ數字的ノ御說明ハナカ
ッタノデアリマスケレドモ、之ヲ假定的
ニ七割ト見マシテモ、五十何億圓ト云
フ所ノ中小工業者ノ製品ガアルノデア
リマス、然ラバ從來十三四億圓ノ中小
工業者ノ製品ニ對シタ場合ト違ッテ、其
四倍ニモ該當スル五十何億圓ノ中小工
業者ノ製品ヲ製造スル所ノ業者ニ對シ
テ適用セラルベキ、此法案ノ結果生レ
ル所ノ中小工業組合ハ、是ハ要スルニ
其範圍ニ於テハ從來ノ工業組合ニ付テ
ハ、少クトモ四倍位ノ增加ヲ來スモノ
デアラウト私ハ想像スルノデアリマ
ス、而モ種目ハ殖エテ來テ居リマス、是
ハ數字ノ〓算デアリマスカラ、其數字
ハハッキリ想像出來マセヌガ、約四倍カ
ラノ範圍ニ擴張サレル結果、種目ニ付
テハ數種目殖エ、サウシテ業者ノ範圍
ニ於テハ-量ニ於テハ四倍カラニナ
ッテ來ル、此新ラシク生レテ來ル工業組
合ニ對シテ、本年度ノ補助金十九萬三
千圓デアル、四倍ノ範圍ニ擴メラレ、而
モ種目ガ殖エタモノニ對シテ六萬圓減
シテシマッタ、十三萬五千圓ニ豫定額ヲ
切落サレ、而モ之ニ對シテ從來ノ補助
金ノ實例カラ申シマスト、極メテ實際
ニ效果ヲ擧ゲテ居ルモノハ少イ、斯ウ
云フヤウナ實情デアリマシテ、果シテ
今後ノ工業組合ガ微々タル何ト申シマ
スカ鰯ノ涙トモ申シマセウカ、殆ド數
ヘルニモ足ラナイ所ノ金額ヲ以テ、果
シテ行詰ッタ四倍ニモ擴張サレテ居ル
中小工業者ヲ救濟スルガ如キコトハド
ウカ、是ハ私ノ問ハントスル所デアリ
ざせ、之ニ對スル御意見ハドウデアリ
マスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=29
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030・俵孫一
○俵國務大臣 岸田君ニ一寸懇談致シ
マスガ、統制委員會ガ實ハ私ヲ待ッテ居
ラレルノデアリマスカラ、其方ニ大分
應答ガ殘ッテ居リマスノデ、此方ノ方モ
大事デアリマスガ、若シ此方ノ方ノ應
答ハ無論申上ルマデモナク私ガ全責任
ヲ負フノデアリマスガ、政務次官モ居
ラレマスカラ、政務次官ト應答下サル
コトニ願ハルヽナラバ、私ハ統制委員
會ニ參ッテ其方デ十分ニ說明ヲシタイ
ト考ヘマスガ、如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=30
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031・岸田正記
○岸田委員 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=31
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032・上田孝吉
○上田委員 岸田君ハマダ商工大臣ニ
御尋ガアルカモ知レマセヌガ、私ハ商
工大臣ニ御尋スルコトハ一點ダケデ、
外ハアルトシテモ、他ノ政府委員デ結
構ト思ッテ居リマス、ソレハ先日來常ニ
問題トナッテ居リマス同業組合ト、ソレ
カラ今囘ノ改正案ニ依ル工業組合ノ關
係ノ問題デアリマス、ソレニ付キマシ
テ昨日商工大臣ハ此同業組合ト、工業
組合ナルモノガ御互ニ其間ニ於テ喰合
ヲ致サナイカト云フ御尋ニ對シテ、是
等ノ組合ニ對シテ、工業組合法ノ第一
條ニ於テ前項ノ重要工產品ハ主務大臣
之ヲ指定スルト斯ウ云フコトニナッ
テ居ルノデアリマスカラ、主務大臣ニ
於テ之ヲ指定スル時ニ適當ナル考ヘ方
ヲスルナラバ、其間ノ喰合ト云フモノ
ヲ避クルコトガ出來ルト云フヤウナ意
味合ノ答辯ガアッタノデアリマス、是ハ
可ナリ重要ナ點ダラウト思フノデアル
ガ、第一條ノ末項ノ主務大臣之ヲ指定
スルト云フコトニ手心ヲ加ヘテ、適當
ノ考慮ヲスレバ宜イヂヤナイカト云フ
コトハ、本案ヲ提出サレル根本ノ目的
ニ背馳スルコトニナリハセヌカト云フ
根本問題ヲ御聞キシタイ、本案提出ノ
理由書ニモ書イテアリマスケレドモ、
「我國ノ產業界ハ輸出向ト內地向ト
ヲ問ハズ、一般重要工產品ニ關シテ
工業組合ノ制度ヲ必要トスル現狀ニ在
ルヲ以テ右法律ノ適用範圍ヲ擴張シ重
要輸出品ニ限ラズ一般重要工產品ニ及
ボシ且中小工業者ノ金融ノ改善ヲ圖
ル」云々、斯ウ云フコトガ提案ノ理由ニ
ナッテ居ルノデアリマス、卽チ一般ノ內
地向ノ品物ニ對シマシテモ、品物ヲ生
產スルモノニ對シマシテモ、其適用範
圍ヲ擴張シテ、サウシテ此統制ヲ圖ル
ト云フコトガ、本案ノ提出ノ理由デア
ル、又サウデナケレバ、所謂一種ノ產業
合理化、所謂事業ノ統制簡易化ト云フ
ヤウナ意味合ニ於キマシテ御出シニナ
リ、又宣傳サレテ居ル趣旨ト合致シナ
イコトニナルノデアリマス、本案ノ趣
旨ガ果シテサウ云フ風ニヤハリ範圍ヲ
擴張致シマシテ、サウシテ其間ニ於テ
合理化ヲ圖ッテ行クト云フコトデアリ
マスナラバ、昨日御答辯ニナリマシタ
所ノ主務大臣ニ於テ之ヲ指定スル時ニ
手加減ヲ加ヘレバ宜イヂヤナイカト云
フコト相馳背スルヤウニ考ヘマス
ガ、此點ニ對シテハドウ云フヤウナ御
考デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=32
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033・俵孫一
○俵國務大臣 御尤ナ御尋ト思ヒマ
ス、私ノ說明ノ仕方ガマダ不十分デアッ
タカラ、サウ云フ御懸念ノ生ズルノハ
御尤ト思ヒマスガ、實ハ先刻アナタノ
御出ニナル前ニ、岸田君ノ御尋ニ對シ
テ御答シタ問題ガソレニ關聯致シマ
ス、私共ガ第一條ノ第二項ニ於テ「重要
工產品ハ主務大臣之ヲ指定ス」斯ウ云
フコトヲ規定シテアル、此腹案ハ何カ、
旣往ノ輸出品工業組合法ニ於テ、組合
ガ出來テ居ル以外ニドウ云フモノヲ狙
ッテ居ルノダト先刻岸田君ノ御尋ニ對
シテ(上田委員「聽キマシタ」)御聽キデ
シタカ-四品種程申述ベタノデアリ
マス、是等ハ輸出品デナイケレドモ國
內品トシテ重要デアルト見テ居ル、此
以外ニハナイカト申セバ、此以外ニモ
アリマセウ、先ヅ例セバコンナモノデ
アル、サウ致シマスト右申ス通リ、現行
法ノ重要輸出品ハ主務大臣之ヲ指定
ス、此今マデニ指定シタ重要輸出品、之
ニ依ッテ組合ガ出來テ居ル、今度之ヲ擴
張シテ國內消費ノ品物ニモ適用スルコ
トニ致シマスガ、其中ノ重要品-重
要品トハ何カト申セバ、先ッキ例示シタ
四ツノ品物、マダ少シバカリアル、斯ウ
云フヤウナ工合ニ吾々ハ最初カラ之ヲ
一般ニ適要スルカラト云ッテモ、無限
ニ、國內ノ消費ノ品物ノ總テニ工業組
合ヲ作ラシムルト云フ趣旨デハナイノ
デアリマス、ソレ故ニ手加減ト申シタ
ノハ語弊ガアルカモ知レマセヌガ、元
元吾々ノ趣旨ガサウ色々ノ品物ヲ漁ツ
テ來テ、此本法ニ依ッテ工業組合ヲ作ラ
シムルト云フ考ヲ持ッテ居リマセヌ、隨
テ影響ハ大シタコトガナイヂヤナイ
カ、斯ウ申上ゲタ積リデアルノデアリ
やり、言換ヘレバ現在ノ工業組合ガ二
十九種ノ品目ニ對シテ作ッテ居リマス
ガ、之ニ對シテ現行法ノ同業組合ニハ
餘リニ影響ヲ受ケヌト云フコトヲ御認
メ下サッテ居ルト思フ、此外ニ四ツカ五
ツノ品物ヲ加ヘタ工業組合ガ出來マシ
テモ同業組合ノ第十九條ハ殆ド影響
ハナイト云フ趣旨ヲ申上ゲルノデアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=33
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034・上田孝吉
○上田委員 先程ノ岸田君トノ間ノ質
問應答ニ依ッテ政府デハ差詰メ從來ノ
二十九種ノ上ニ四五種程目下ノ所デハ
加ヘルノデアルト云フコトデ、又承ッタ
ノデアリマスガ、ソレハ只今ノ所デハ
差詰メ石鹼デアルトカ、或ハサウ云フ
ヤウナモノ四五種御擇ビニナルト致シ
マシテモ、此提案サレテ居リマス根本
ノ法案ノ目的ハ、是ガ從來ノ二十九種
ニ對シテ僅カ四五種ヲ加ヘルト云フダ
ケデアルナラバ、殊更ニ此改正案ヲ御
出シニナリマシテ、サウシテ之ニ依ッテ
一般重要工產品ニ對シテ工業組合ノ制
度ヲ必要トスル現狀ニアルト、「一般」
ト云フコトガアル、一般重要工業組合
ニ關シテ工業組合ノ制度ヲ必要トスル
現狀ニアル、二十九種ノ外ニ僅カ四五
種ダケト云フ意味デハナイ、少シ惡イ
意味ヲ以テ言フナラバ、所謂廣告的ニ、
宣傳的ニ、產業統制デアル、或ハ合理化
デアルト云フヤウナ大キナ名前ヲ揭ゲ
ラレマシテ、サウシテ廣〓サレテ居リ
マス、其內容ト實際トノ間ニ於テハ餘
リ距リガ多イコトニナリハシナイカ、
デアリマスカラ、或ハ政府當局トシテ
ハ只今ノ所ハ二十九種ニ更ニ僅カ四種
ヲ加ヘルニ過ギナイト致シマシテモ
是ハ將來ヤハリ所謂一般重要工產品ニ
對シマシテハ此制度ヲ必要トスル現
狀デアルカラシテ、此法律ノ適用範圍
ヲ擴張スルノダ、斯ウ云フコトガ提案
ノ理由デアリ、目標デアル、サウ云フコ
トガ天下ニ宣傳セラレ、廣〓サレテ居
ル以上ハ、是ハ僅カ從來ノモノニ四種
シカ加ヘヌト云フコトヽ其提案理由
トノ間ニ於テ餘リ大キナ差ガアルト云
フコトハ、私ハ洵ニ政府ノ從來宣傳サ
レマス手前カラ言ヒマシテモ、其提案
理由ノ文句カラ考ヘテ見マシテモ、相
應シカラヌヤウニ思フノデアリマス、
果シテ政府ハ此二十九種ノ從來ノ種目
ト、只今仰シヤタ四種以外ニ假令擴張
サレマシテモ、僅カニ數品デアッテ、ソ
レ以上ハ擴張ナサヌト云フ考デアルカ
ドウカト云フコトヲ承リタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=34
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035・俵孫一
○俵國務大臣 サウ云フヤウナコトハ
言明出來ルモノヂヤアリマセヌ、私ヲ
以テ見ルト、無理ナ御註文デハナイカ
ト思ヒマス、所ガ「一般ノ」ト理由ニ書
イタノハドウカト云フ御話デアリマス
ガ、今マデハ輸出品ニ局限シテ居ル重
要ト看板ヲ掛ケタ輸出品、是マデハ一
ツデモ二ツデモ輸出品デナイモノハ重
要デアッテモ適用出來ヌカラ、之ヲ一般
ニ重要輸出品デナクテモ適用スルト云
フ目的デ變ヘタノデアリマスシ、又事
實其必要ヲ吾々ハ認メルノデアリマ
ス、而シテ何カ胡麻化シデハナイカト
云フ御疑アルヤウデアルガ、實際玆デ
以テ今作ッタノデハナイ、前カラ作ッテ
居ル品目調ノ中ニ三十幾ツアル、其中
ノ大〓ノモノハ今指定サレテ居ル、其
以外ハ四五種位シカナイ、事實其通リ
デアル、唯アナタノ御議論ハ將來尙ホ
擴張シハセヌカト言ハレルノデアル
ガ、更ニ重要ト云フ產業ニナッテ來レバ
適用セヌト云フコトハ何人モ言明出來
ヌト思ヒマス、是ハ少シ御無理ナ御尋
デハナイカト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=35
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036・上田孝吉
○上田委員 商工大臣ノ只今ノ御答辯
ハ甚ダ私ハ當ヲ得ヌ御答辯デアルト
思ヒマス、私ハ從來ノ工業組合ニ依ル
二十九種ノ外ニ今囘更ニ四種ヲ加ヘヤ
ウト云フコトニ付テ、其四種ニノミ限
ルカト云フ御尋ヲシテ居ルノデハナ
イ其範圍ノ程度ハ略〓々此程度、詰リ
二十九種ニ對シテ四種ヲ加ヘルト云フ
ノハ極ク僅カナ殖エ方デアルガ、略〓此
程度ニ御止メニナルノデアルカドウカ
ト云フコトヲ御聞キシテ居ルノデス、
政府ハ私ガ惡意ヲ以テ、邪推ヲ以テ御
尋シテ居ルガ如クニ解釋サレテ居ル
ガ、サウデハナイ、私ハ寧ロ其反對デア
ル政府ハ本案ニ對シマシテハ、產業統
制上ノ一ツノ方法トシテ、所謂合理化
ノ一ツノ手段トシテ、本案ヲ御出シニ
ナッタモノテアル、所謂本案ノ提案理由
ト云フモノヲ其儘ニ信用スルトシテモ、
然ラバ將來ニ於ケル一般重要工產品ト
云フモノハ、僅ニ今此處ニ擧ゲマシタ
ヤウナ、四種ヤ五種六種ダケデハナイ
ヤウニ思フ、現在ニ於テモマダ澤山ノ
重要工產品ト考ヘラレルモノガアルト
私ハ思フ、尙ホ將來ニ於テハ一層其數
ガ多クナルモノト考ヘマスルガ、ソレ
ヲ尙且此狹イ範圍ニ止メテ置クト云フ
コトデアレバ、此提案理由ト相副ハヌ
デハナイカ、又狹イ範圍ニ止メズシテ、
之ヲ御擴ゲニナルト云フコトデアレ
バ、昨日御答辯ニナッテ居ル、第一條ノ
主務大臣之ヲ指定スト云フコトニ關聯
致シマシテ、同業組合ト工業組合トノ
間ノ喰ヒ合ヒト云フ問題ノ御答辯ノ要
旨ニ嵌ラヌデハナイカト云フコトヲ御
尋シテ居ルノデアリマス、ドチラカニ
矛盾シテ居ルデハナイカト云フコトヲ
御尋シテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=36
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037・俵孫一
○俵國務大臣 ソレハ分リマシタ、多
少私ノ誤解シタ點モアリマシタ、ソコ
デ御答致シマスルガ、此組合法ノ目標
トシテ居ル工業ハ中小工業デアリマ
ス、此組合ト云フモノハ中小工業者ヲ
以テ之ヲ統一シテ、共同行動ヲ執ラシ
ムト云フコトガ組合ノ目的デアリマス
カラ、大工業ニ依ル重要產業ハ當然是
ハ含マヌ、中小工業ノ產業ト云フト、大
部分ハ輸出デス、無論國內消費品モア
リマスガ、一部分輸出スルモノガ多イ
ノデス、御手許ニ出シテ居ル所ノ品物
ニ付テ一々檢討シテ下サッテモ分リマ
ス、國內消費モアリマスルガ、ヤハリ
輸出ガ澤山アリマス、其輸出產業ハ重
要產業ノ側デ旣ニ指定サレテ居ル、殘
ルモノハ輸出ヲシナイ國內ニ於ケル工
業品ト致シマシテモ、ソレガ重要デア
リ-是ハサウ餘計アリマセヌカラ、
先刻申スヤウナ工合ニナッテ來ルノデ
ス、然ラバ今後ハドウカト云フト、我
國ノ產業ガ愈〓益~發展發達シテ行ケ
一、將來重要產業ニナリ得ルモノガア
リマスカラ、是ハ將來更ニ工業組合ヲ
作ラシムル必要ガゴザイマセウケレド
モ、併シソレガ將來ノ增產發達ト云フ
コトニナルト、必ズ輸出ニ向フベキモ
ノデアリマセウカラ、サウスレバ將來
重要輸出品トシテ加ハルベキモノデハ
ナカラウカト思フノデアリマス、ソレ
故ニ決シテ是ハ胡麻化シ答辯デハアリ
マセヌ、眞ニサウ思ッテ居ル所ヲ御答申
上ゲテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=37
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038・上田孝吉
○上田委員 今ノ御答辯ノ趣旨ハ可ナ
リ私ニハ分ッタノデアリマスルガ、ソレ
ニ贊成出來ルカドウカハ別問題ト致シ
マシテ、サウスルト結局政府ト致シマ
シテハ、現在ノ我國ニ於ケル中小商工
業者ノ間ニ於テノ重要工產品ト云フモ
ノハ、從來ノ二十九種ノ外ニ、先程御示
ニナリマシタ四種ガ殆ド全部適當ト云
ッテ宜イ所ノ重要工產四デアッテ、只今
ノ所デハ是レ以外ニナイカラ、强テ範
圍ヲ狹メル譯デハナイケレドモ、只今
アル所謂重要工產品トシテ此四種ヲ指
摘シタト云フコトノ御答辯ノヤウニ思
フノデアリマスガ、是ハ私ハ意見ノ違
ヒデアリマスカラ他日承ルトカ、或ハ
又他ノ機會ニ更ニ意見ノ相違トシテ申
上ゲル積リデアリマスケレドモ、此點
ダケモウ一遍御確メヲ致シテ置キマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=38
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039・俵孫一
○俵國務大臣 今ノ御言葉答メヲスル
ヤウデアリマスガ、四種ニ限ルトハ申
シテ居リマセヌ、凡ソ四種デアリマス
ガ此外ニモウ少シハアルカモ知レ
マセヌケレドモ、サウ澤山ナイト云フ
コトヲ申上ゲテ居ルノデアリマス、ソ
コハ間違ノナイヤウニ願ヒマス、四種
ニ限定ハ致シテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=39
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040・瀬川嘉助
○瀨川委員 今囘ノ改正ノ要點ハ申ス
マデモナク第三條ノ金融關係ト、第
條ノ輸出品ヲ工業品ト直シタト云フ二
點デアラウト思フノデアリマス、ソコ
デ御尋シタイノハ三條ニ新ニ設ケラ
レタ項ノ資金ノ貸付、貯金ノ受入ト云
フコトニ付テ御尋申上ゲタイ、此組合
ハ工業ノ改良發達ガ目的デアルト思フ
ノデアリマスルガ、一ツノ金融業ヲ營
マセルト云フコトハ、組合ノ本來ノ使
命ヲ果ス上ニ於テ障碍ガアルヤウニモ
考ヘラレルノデアリマス、ソレモ組合
員ガ圓滑ナル金融ノ下ニ事業ヲ盛ニシ
得ルナラバ又結構デアリマスケレド
モ商工省ガ近來ノ不況ノ爲ニ全國ノ中
小商工業者ニ資金ヲ融通スルト云フ點
ニ於テモ、色々ナ煩瑣ナ手續ヤ條件ガ
ムズカシイノデ、澤山ノ人ガ之ヲ借リ
テ實際ニ使用スルコトガ出來ナイ狀態
ニナッテ居ル、先程上田君ノ御話ニモア
ッタヤウニ、私ハ敢テ政府ヲ攻擊スルト
云フ意味デハナイノデアリマスガ、資
金ヲ融通スルト言ッテモ、是ガ目的通リ
ニ行カナイ爲ニ、有ユル方法ヲ以テ商
工省ハ中小ノ商工業者ノ爲ニ金融ノ方
法ヲ講ジテ居ルト云フコトヲ見セ付ケ
ルニ過ギナイ條項デハナイカト思フ
ノデアリマス、ソレハ何故カト云フト
若シ之ヲ貸付ケルト致シマシテモ、組
合ニ對シテ役員ガ保證ヲスルトカ、組
合員ガ幾人カノ連署ノ保證ガナケレバ
貸サナイト云フコトニナルデアリマセ
ウガ、サウナッテ來ルト、無擔保デ金ヲ
借リル場合ニ於テ或ル役員ガ保證スル
ト言ヘバ、是ハ工業組合ガ無クテモヤ
レルコトデアリマス、工業組合デアル
ガ故ニヤレルト云フモノデモナカラウ
ト思フ、恐ラク是ハ實際ニ組合ノ役員
ガ、此工業ノ改良發達ヲ圖ルト云フ仕
事ガ出來ナイ結果ニナリハシナイカト
思フノハ、組合ノ中心トナッテ一生懸命
ニ組合ノ爲ニ働ク人ガ、組合員ノ金ヲ
借リル保證マデシナケレバナラヌト云
フヤウナコトデハ、恐ラク熱心ナ有力
ナ人ハ組合ノ役員ニハナルマイト私ハ
考ヘマス、果シテ是ガ圓滑ニ、此金融ノ
途ガ講ゼラレルモノト御考ヘニナッテ
居ルカドウカト云フコトヲ承ルノデア
リマスガ、又同時ニ、此貯金ノ受入レデ
アリマスケレドモ、第十八條カ何カニ
ハ一定ノ限度ト云フ條項ガアルヤウ
デス、又引用サレタ此三十八條ノ-
他ノ法律ノ條文ノ內容ハ私ハ存ジマセ
ヌガ、或ハ之ニ關聯シテ居ルカモ知レ
マセヌケレドモ、恐ラク組合員ガ餘ッタ
金ヲ組合ニ預ケル、此組合ガ破產シタ
トキニハ、一定ノ限度ダケデアルカラ、
貯金シタヾケノ金ヲ戾シテ貰ヘヌト云
フ懸念モアルト思フノデアリマス、併
シ是ハ議論ニ過ギナイ話デアリマスケ
レドモ、實際問題トシテハ、組合員ガ自
分ノ出資シタ口數ノ範圍內ニ於テナラ
バ金ハ貨スカモ知レマセヌガ、ソンナ
僅カナモノデハ、工業家ハ實際ノ資金
ノ融通ニハナラヌノデアリマス、ヤ·
リ自分ノ出資シタ以上ノ金ヲ借リテコ
ソ商賣ニナルノデアルガ、サウスレバ
中々役員ハ、ソコラ中ノ組合員ヲ片端
カラ、金ヲ借リル保證ヲシテ步クト云
フコトハ出來ナイト思ヒマス、デアル
カラ是ハ實際問題トシタナラバ、此條
文ハ空文ニ歸スルモノヂヤナイカト考
ヘマス又是ガ實際ニ皆サンガ御考ニ
ナッテ居ルヤウニ、是ガドン〓〓發達シ
タナラバ、財政的ニ組合ノ基礎ヲ私ハ
危クスル虞レガアルト考ヘル、是ハ有
ユル經驗ノ下ニ經營シテ居ル所ノ銀行
デスラモ、貸出ノ爲ニ潰レルコトガ澤
山アルノデアル、デアルカラ僅カバカ
リノ同業者間ニ於テ情實因緣デ餘儀ナ
ク判ヲ捺シタガ、後ハモウ絕對ニ捺セ
ナイト云フコトニナッテ、今度ハモウ役
員ニナル人ガ迷惑ダカラ止メテシマ
フ、組合ガ駄目ニナッテシマフト云フヤ
ウナ結果ニ陷ル虞ガアルト思フガ、果
シテ此條文ガ旨ク行クモノデアルカド
ウカト云フ御考ヲ承リタイノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=40
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041・横山勝太郎
○横山政府委員 豫テ御話ヲ致シテア
リマスル通リ、今囘工業組合ヲシテ斯
ノ如キ經濟的ノ機能ヲ發揮セシムルコ
トヲ認メマシテ、新タニ斯ノ如キ制度
ヲ設ケルコトニナッタノデアリマスガ、
是ハ決シテ空文デハナイノデアリマ
ス、之ヲ設ケマシタ趣旨ハ、勿論工業組
合ノ發達ニ依ッテ、個々ノ組合員ノ利益
ヲ擁護シ、延テ一般工業界ノ振興ニ資
センガ爲デアルコトハ勿論デアリマシ
テ、ソレガ爲ニハ色々ノ施設ヲ要シマ
スルケレドモ、金融ト云フコトガ最モ
重大ナル事項デアルノデアリマス、此
點ニ付テ當局ハ從來非常ニ苦心ヲ拂ツ
テ居ッタノデアリマス、此事柄ハ玆ニ說
明ヲ致シマスルマデモナク、現ニ目下
ノ經濟狀態ノ下ニ於キマシテ、業界ニ
於キマシテ困ッテ居リマスル所ノモノ
二、何ヨリモ資金ガ必要デアルト云フ
點デアルノデアリマス、此當面ノ實際
ニ著目ヲ致シマシテ、此制度ヲ設クル
ニ至リマシタ、所ガ從來ノ金融機關ハ
ドウデアルカト申シマスルト、個々ノ
工業家企業家ニ對シテ十分ナル金融ノ
機關タル效果ヲ發揮スルコトガ出來ナ
イ狀態ニ在ルノデアリマス、多クノ擔
保ヲ持チ、信用ヲ持ッテ居ルコトガ世間
的ニ有名デアルト云フヤウナ場合ニ於
キマシテハ、一般ノ金融機關ハ喜ンデ
是ガ需要ニ應ズルデアリマセウケレド
モ、個々ノ信用狀態ト云フモノガ能ク
分ッテ居リマセヌ時分ニハ、何トシテモ
只今ノ銀行其他ノ金融機關ダケデハ不
十分デアルノデアリマス、玆ニ一定ノ
組織ニ依リマシテ組合ガ出來テ居フテ、
日夕組合員ノ間ニ連絡ガ取レ、往復ヲ
致シテ居ルト云フコトデアリマスルナ
ラバ、外形ハドウアッテモ、世間的ニハ
ドウアリマシテモ、其人ノ人格、信用ト
云フモノガ能ク分ッテ居ルノデアリマ
ス、例ヘバ幾ラ乏シクテモ、アノ人ハ必
ズ信用ヲ重ンジテ義務ヲ履行スル、斯
ウ云フヤウナ特殊ノ信用狀態ト云フモ
ノガ相互ニ能ク分ッテ居ルノデアリマ
スルカラ、是ニ於テ組合ヲシテ金融ノ
機關ノ任務ヲ盡サシムルト云フコトガ
極メテ適當デアリ、且又圓滑ニ行ハレ
ルデアラウト、斯ウ云フ精神カラ參ッタ
ノデアリマス、是ハ工業組合ノミデハ
ゴザイマセヌガ、總テ此金融ノ狀態ト
云フモノハ、其人ヲ知ラザルコト、其人
ノ信用ヲ知ラザルト云フコトカラ、圓
滿ナル目的ヲ達スルコトガ出來ナイ最
モ重大ナ原因デス、友人デアルトトカ、
故舊デアルトカ、密接ナ關係ガアルト
キニ於キマシテハ、少々財產ガ乏シク
テモ、金融ト云フコトハ圓滿ニ行クモ
ノデアリマス、是等ノ社會狀態ニ鑑ミ
マシテ、同一ノ組合ニ席ヲ置イテ、同樣
ナ仕事ヲシテ居リ、日常ノ生活、人格、
資產狀態ト云フヤウナモノヲ能ク知ツ
テ居ル者ハ、ヤハリ組合ノ幹部デアル
ノデス、ソコデ組合ヲシテ其衝ニ當ラ
シムル、斯ウ云フ意味デ此制度ヲ設ケ
マシタ、運用ノ如何ニ依ヲテハ御心配ノ
通リ、或ハ其目的ヲ達スルコトガ出來
ヌカモ知レマセヌケレドモ、併ナガラ
當局ト致シマシテハ此工業組合法ヲ改
正スルニ當リマシテ、斯ノ如キ經濟的
機能ヲ認メルコトガ最モ適當デアルト
信ジ、且ツ圓滿ナル運用ヲスルコトガ
出來ルト信ジテ提案致シタノデアリマ
ス、今後ハ出來マスルナラバ、組合ノ活
動如何ニ依ルコトデアリマスルシ、又
當局ノ監督如何ニ依ルコトデアリマシ
テ、決シテ空文ニハ終ラヌト固ク信ジ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=41
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042・瀬川嘉助
○瀨川委員 是ハ議論ニナルカモ知レ
マセヌガ、私ハ議論デナク、只今ノ次官
ノ御話ガ實際問題トシテハサウデナイ
ト云フコトノ御話ヲ申上ゲタイノデア
リマス、理論トシテハ一應御尤デアリ
マス、相手ノ人格ヤ、性行、信用、總テガ
分ッテ居レバ一番危險ガ少イト云フコ
トハ御尤デアリマス、此同業組合員同
ジ商賣ヲシテ居ル者、俗ニ云フ商賣敵
ト云フ者ガアルノデアリマス、餘程人
格高潔ナ業者デアリマシタナラバ、總
テノ同業者ヲ盛ニ導イテ行カウト云フ
考ヲ持ツデアリマセウケレドモ、地方
ノ諸種ノ同業者ノ狀況ヲ見ルト、御互
ニ陷レテ自分ダケ金ヲ儲ケタイ、アス
コノ家ハ潰レテ吳レヽバ宜イト、極端
ニ言ヘバサウ云フヤウナ業者ガ澤山ア
ルノデアリマス、デアルカラ組合ノ或
者ガ、自分ノ商賣ヲ擴張スル爲ニ資金
ガ足ラヌ、ダカラ組合カラ貸シテ貰ヒ
タイト組合ノ役員ニ保證シテト申込
ム、其時ニ之ヲ保證スル組合ノ役員モ
同業者デアルノデアルカラ、餘程ノ關
係ノ深イ人デナケレバ判ヲ捺シテ、其
人ノ責任ヲ自分デ負フテモ宜イトマデ
言フテ吳レル人ハ少ナイダラウト思フ
ノデアリマス、是ハ實際問題トシテハ
左樣ナ場合ガ多イノデアリマス、委員
長モヤハリ實業ノ方面ニ御關係ノ深イ
方デアリマスカラ、恐ラクハ自分ノ申
上ゲタコトハ御諒解ニナルコトデアラ
ウト思ヒマスルガ、自分ノ相手ヲ陷レ
ヤウトシテ考ヘテ居ルト云フコトハ、
實際上多イノデアリマス、況ヤ同業組
合ハ同業者バカリデアリマスカラ、サ
ウ云フコトハ多々アルノデアリマス、
今假ニ時計工業ニ例ヲ取リマシタナラ
バ、上海方面ニ時計ヲ安ク賣出ス爲ニ、
澤山時計ヲ造ッテ居ルト云フ家ガアレ
バ、他ノ同業者ハアノ家ヲ潰シテシマ
ハナケレバイカヌ、澤山造ラセナイヤ
ウニシナケレバイカヌト云フコトヲ考
ヘル人ハ澤山アルト思フノデアリマ
ス、其人ガ資金ヲ貸シテ吳レト言ッテ
モ、傍ノ同業者ガ脅威ヲ受ケルカラ、成
ベクアノ人ニハ資金ヲ貸サヌ方ガ宜イ
ト云フ氣持ヲ持ツ、斯ウ云フヤウナ實
際ノ問題ハ多々アルノデアリマス、併
シ是ハ御互ニ考ガ違ヒ、議論ニナルカ
モ知レマセヌカラ、是ハ此程度ニ止メ
マス、第二ニ承リタイノハ、低利資金ヲ
組合デ借入レマシテ、其資金ハ從來第
三條ノ第二項ノ仕事ニ使フ金デナケレ
パ政府ハ低利資金トシテ貸出サナイ
ト云フヤウニ私共ハ心得テ居ッタノデ
アリマスガ、其低利資金ヲ今ノ新タニ
設ケル所ノ貸出等ニモ使用シテ差支ナ
イノデアルカドウカ、之ヲ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=42
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043・吉野信次
○吉野政府委員 只今御尋ノ點ハ其通
リデゴザイマス、別ニ議論スルノデハ
アリマセヌガ、實情ニ於テ御話ノヤウ
ナ當業者ガ互ニ亡ピレバ宜イヂヤナイ
カト言ッテ助ケ合フノ氣風ニ乏シイ場
合ハ、組合ノ設立ニ適サヌヤウニ思フ、
勿論現在宜イカ惡イカハ別問題デアリ
マスガ、役員ガヤハリ個人保證マデシ
テ、自分ダケノ利益デナシニ組合員共
同ノ爲ニヤッテ居ル組合モアリマス、其
處ハ一〓ニ申サレマセヌ、現行法デ組
合ノ事業ヲ殖シマシタガ、是ハ總テノ
組合ガ此事業ヲヤラネバ組合ヲ許サヌ
ト云フモノデハナイ、此處ニ揭ゲテ居
ル中ニ當業者ノ事情ニ依ッテサウ云フ
金融事業ヲ營ミ、弊害ガアルト云フナ
ラバ、ソレハ營ミモ致シマセヌシ、政府
トシテモ許シマセヌ、各組合ニ依ッテ適
當ニヤルノデアル、數アル組合ノ中ニ
ハ金融ヲヤッテ除ケルノモアリ、又吾々
ガ見テソレデ行ケルト認メタ時ハ認メ
テ宜カラウト思ッテ居リマス、先程ノ十
八條ノ話モ、組合員ハ現行法ニ依レバ
有限責任デ、出資シタ以上ニハ責任ハ
負ハナイ、所ガ今度出資以外ノ或ル限
度デ保障責任ヲ組合ガ債權者ニ對シテ
負フ規定ヲ設ケタノモ、現行法デアル
ト組合ノ財產以外ニ金ハ貸付ケマセヌ
ガサウ云フ責任ガアレバ保障責任ノ
限度ニ於テハヤハリ組合ニ對シテ低利
資金ナリ融通スル限度ガ多クナル譯デ
アッテ、其點ニ付テ便宜モ與ヘル意味デ
改正ヲシタノデアリマスカラ、其點ハ
宜シク御諒承ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=43
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044・瀬川嘉助
○瀨川委員 先程ノ空文ト云フコトハ
少シ過激ナ言葉デアッタカモ知レマセ
ヌガ、只今ノ局長ノ御話ヲ承ッテモ私ハ
空文ト云フ言葉ハ當嵌ラナイニシテ
モ、新タニ此條項ヲ設ケルナラバ、此條
項ヲモット力强ク組合ニ利用サセルコ
トヲ御考ニナッテ法律ノ改正ヲシナケ
レバナラヌモノデアラウト思フ、組合
ノ事情ニ依ッテハ、ヤッタ方ガ利益デア
ルト思フナラバヤルダラウシ、又ヤッテ
モ宜イト云フヤウナ程度デハ是ハ稍〓
空文ニ終リハシナイカト思フノデアリ
やす、ソレデ組合ノ中ニハ稀ニ同業者
ヲ相援ケテ非常ニ圓滿ニ見エル組合モ
アリマスガ、是ハ恐ラクアナタ方ガ民
間ニ下ッテ同業組合員トナッテ何カノ御
商賣ヲオヤリニナレバ能ク分ル、是一
商賣敵トハ極ク俗ナ言葉デアルガ、何
商賣ニモアレ、決シテ當業者ニ總テノ
組合員ガ判ヲ捺シテ、自分ガ金錢上ノ
責任マデ持ッテ金融ノ圓滑ニ行クヤウ
ナコトハ絕體ニ私ハナイト斷言シテ差
支ナイト思フ、稀ニハアルカモ知レヌ
ガ、稀ノモノナラバコンナモノヲ作ル
必要ハナイ、是ハ先程言。タ商工省ハド
ウモ中小工業者ニ對スル資金ヲ融通ス
ルト言ッテモ、條件ガムヅカシクテ困
ル、唯之ヲヤッテ商工省ハ是ダケ骨ヲ折
ッテ居ルゾト見セルモノデハナイカト
思ハレルノデアリマス、是ハ意見ノ相
違デスカラ敢テ御答辯ヲ要マシマセ
ヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=44
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045・横山勝太郎
○横山政府委員 是ハ重要ナ施設ノ一
ツニナッテ居リマスモノデ、此點ニ付テ
疑惑ヲ御持チ下サルコトハ當局トシテ
非常ニ殘念ニ思ヒマス、吉野君カラモ
御答致シタ通リ、御質問ノヤウナコト
ガ絕對ニナイトハ言ヘマセヌ、又其事
例ハ僕等モ能ク耳ニシテ居リマス、或
ハ當業者ノ關係ノミナラズ、政黨ノ關
係、資本ノ關係トカ云フヤウナコトデ
條件ニ適シテ居ッテモ貸セナイ、又少々
條件ガ惡クテモ融通ヲ餘計スルヤウナ
コトデ相當惡イ實例ヲ殘シテ居ルコト
ハ間々承ッテ居リマス、併シ其事柄ガ決
シテ全國多數ノ組合ニ亙ッテ原則トシ
テサウ云フコトガアル譯デモアルマイ
ト思フ、其稀ニ見ル利害ノ事柄ニ依ッテ
全般ヲ推ス譯ニハ參リマセヌガ、此規
定ハヤハリ先刻來局長ガ申シタ通リ、
全ク是ハ必要デアッテ、殊ニ中小工業ノ
人々ガ、商賣敵ト云フヤウナコトデ互
ニ相陷穽スルヤウナコトハナイトハ申
シマセヌガ、又アリ易キコトデアリマ
スガ、此處ガ今囘商工省ノ考ヘマシタ
最モ重大ナ事項デ、卽チ中小工業者ガ
目下ノ如キ窮狀ニ陷ッテ居ル原因ハ、其
間ニ於テ統制ガ行ハレテ居ラヌ、亂雜
極マル仕事ヲシテ居ルコトモ一ツノ原
因デアル、大資本ニ壓迫セラレテ非常
ナ苦ミヲシテ居ルコトハ中小工業者ノ
聯合ノ力ニ依ッテ、共同ノ力ニ依ッテ之
ニ對抗シテ行カナケレバナラヌ、之ガ
少クトモ所謂產業合理化ノ一方面デア
ル少クトモソレモ考慮サレテ居ル事
柄デアル、故ニ苟モ工業組合ヲ作リ、共
同ノ利益ヲ擁護シテ行ク上ニ於テハ、
共同聯合ノ力ニ依フテ相援ケテ大資本
ニ當ラネバナラヌト云フ決心ガナクテ
ハナラナイ、其決心ノナイヤウナ者ガ
雜然ト集ッテ組合ヲ作ルノデアレバ、ソ
レハ組合法ノ精神ニ反スル、其場合當
局ハ極力之ニ向ッテ勸誘モスルデセウ
シ、勸〓モ致シマス、願クハ此規定ガ完
全ニ行ハレルコトヲ希望シテ居ルノデ
アリマス、而シテ此條文ニモアリマス
通リ、是等ノ貸金、或ハ貯金ノ受入レ事
項ハ、必ズシモ之ヲ行ハネバナラヌ譯
デハナイ、卽チ其時ノ情勢、組合ノ內容
等ヲ斟酌シテ、サウ云フコトモ出來ル
コトニナッテ居リマスカラ、御心配ノヤ
ウナコトハ餘リ多ク出テ來ルコトハナ
イト信ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=45
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046・瀬川嘉助
○瀨川委員 御答辯ヲ要シナカッタノ
デスガ、御話ヲ承レバ、喰違ヒガアルカ
ラ私ハ又一言申上ゲナケレバナラヌ、
私ハ商賣敵ト云フコトハ口ニシタクナ
イガ、例ヘバ工業組合以外ノ組合ノヤウ
ニ營利ガ伴ハナイ組合デアレバ、其統
制者ガ比較的組合ノ圓滿ヲ圖ッテ居ルノ
デアリマス、今ノ橫山次官ノ御話ニ依レ
バ、學者ヤ事業家ハサウ云フコトヲ仰
シヤラレテモ宜イノデアリマスガ、實
際同ジ商賣ヲシテ居ルトドウシテモ相
陷レヤウト云フ傾向ガ至ル所ニアリ、
衝突マデヤッテ居ル、又組合ノ定款ニ何
カ檢査規定デモ設ケマスト、他ノ業者
ノ缺點ヲ見付ケテ定款違反デモ摘發シ
ヤウト云フ事件ハ至ル所ノ組合ニ皆ア
ルノデアリマス、現在ノ營利ノ伴ハナ
イ所ノ組合デスラソレガアルノデアル
カラ、今度金融スルト云フノデ同ジ商賣
ヲスル人間ノ商賣ヲ盛ニスル、資本金ヲ
供給スルノニ同ジ組合員ガ引受人ニナ
ッテ、此金融ヲ圓滑ニ組合カラ貸出スコ
トガ出來ルカ出來ナイカト云フコトハ
疑問デアルト同時ニ、是ハ必ズヤラナ
ケレバナラヌモノデハナイト云フコト
ハ、私モ承知シテ居リマスガ、ヤッテモ
宜イト云フ位ノ程度デアッテ、效果ガナ
カラウト私ハ考ヘルガ、是アル以上ハ
是ハ私ハ空文デアルト申上ゲタイ、是
ハ實際ニ御經驗ナラバ、私ガ今申上ゲ
タコトガ三年カ五年ノ後ニ御分リニナ
ルデアリマセウガ、恐ラクハ斯ウ云フ
モノハ用ヲ爲サヌト私ハ今斷定シテ置
キマス、是ハ意見ノ相違デアリマス、
或ハ又議論ニ亙ルカモ知レマセヌガ、
私ハ此質問ヲ此程度ニ打切リマシテ、
又重ネテ外ノコトモ御尋致シタイノデ
アリマスガ、今岸田君ノ中間ニ挾ッテ質
問ヲ橫取リシテ相濟ミマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=46
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047・井上剛一
○井上委員長 岸田君ドウ致シマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=47
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048・岸田正記
○岸田委員 質問ヲ續ケマス、只今ノ
瀨川君ノ御質問ニ依ッテ明カデアルヤ
ウニ、私モ此點ニ付テハ實ハ同感デア
リマシテ、此法案ノ改正ノ骨子ハ何ト
言ッテモ金融ノ利便ヲ圖ルト云フコト
ガ一大宣傳、ソレカラ內地需要ノ中小
工業者ノ全體ニ此大キナ恩典ヲ與ヘル
ト云フコトガ宣傳、此二ツノ大キナ看
板ガ餘程中小工業者ノ御氣ニ召スモノ
デアルカト一見考ヘ得ルダラウト思ヒ
やっ、所ガ實際ニ於キマシテ今ノ金融
ノ利便ト云フコトニ付テ、實際問題ト
シテ今瀨川君ガ言ハレタノガ本當デナ
カラウカト云フコトヲ、豫テ思ッテ居ツ
タノデアリマス、ソレカラ今中小工業
者、而モ之ヲ內地ニ需要セラレル製品
ヲ造ル中小工業者ニモ及ボスト云フ此
點デアリマスガ、此點ニ付テハソレハ
統制ノ上ニ於テ、或ハ事業ノ內容ニ於
テ、多少ノ積極的ノ方法ガ付ケラレル
ヤウニ改正案ニハナッテ居リマスケレ
ドモ、是ハ要スルニ法文ノ上ノ仕事ダ
ケノコトデ、何ヲ言ッテモ先立ツモノハ
金ノ問題デアリマス、積極的ニ政府ハ
色々ノ仕事ヲヤラウト言ヘバ、結局ハ
金ガ要ルノデアリマス、所ガ資金ノ問
題タルヤ只今商工大臣ナリ政府委員諸
氏カラ御說明ニナッタヤウニ、殆ド範圍
ハ四倍モ擴張セラレタニモ拘ラズ、金
額ハ今年度ヨリモ六萬圓モ減少セラレ
ル斯ウ云フヤウナ實狀デアリマシテ、
此點ニ付テ多クノ期待ヲ掛ケ得ザルノ
ミナラズ、益〓其機能ヲ發揮シ得ナイ、
少クトモ四分ノ一若クハ五分ノ一ノ補
助機能シカ發揮シナイヤウナ補助豫定
ニナッテ居ルヤウニ思フノデアリマス
其事ハ私ハ今後ニ生レ出ヅル工業組合
ノ運命ヲ稍〓トスルニ足ルモノデハナ
イカト想像スルノデアリマスガ、尙ホ
重ネテ御伺致シテ置キタイノハ、然ラ
バ補助金ノ少ナキ所ヲ低利資金デ以テ
此短期ノ融通方面ニ於テハ此方法ニ依
テ十分補フ積リデアル、サウシテ之ニ
付テハ相當ノ豫定額ヲ考ヘヨウトシテ
居ル、斯ウ云フヤウナ商工大臣ノ御說
明デアリマシタガ、具體的ノ御說明ヲ
少シ此際ニ-騒音ガアッタ爲カハッキ
リ私ノ耳ニ入ッテナカッタノデアリマス
ガ次官ニ於テハ此低利資金ノ融通ニ
ハ具體的ニドノ程度ノコトヲ御考ニナ
ッテ居ルノカ、之ヲ一ツ御說明ヲ願ヒタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=48
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049・吉野信次
○吉野政府委員 私カラ御答致シマ
ス、先ヅ第一ニ本改正案ヲ施行致シマ
スト直チニ四倍ニナルト云フ御話デア
リマシタ、是ハ能ク御存ジデ申上ゲル
マデモゴザイマセヌケレドモ、改正法
ガ施行ニナッタカラト言ッテ直グニ一時
ニ何十モ何百モ組合ガ出來ルモノデハ
アリマセヌ、是ハ申スマデモナイ、唯時
ヲ逐ッテ其組合ト云フモノガ出來ルト
云フコトハ、是ハ勿論ノコトデアリマ
ス、金融ニ付キマシテハ先程來當局ガ
非常ニナンダト云フ御話ガアリマシタ
ガ實ハ私共ハ隨分ト苦心致シテ居リ
やっ、唯割當テタト云フダケヂヤゴザ
イマセヌノデ、實ハ勸業銀行ヤ何カニ
交涉ニマデ吾々ガ走リ廻リマシテ、サ
ウシテ隨分苦心慘憺シテ實ハ金融ノ途
ヲ付ケルコトニナッテ居リマス、昭和四
年ニ於テ金融ノナニガ少カッタノハ、是
ハ先程モ私ガ申上ゲタ積リデアリマ
スガ、工業組合自體ト云フモノデ以テ
初ハ共同施設ヲヤラウトシテ計畫シタ
ケレドモ、不況ニナッタ爲ニ是デハイカ
ヌト云フノデ、計畫ガ沙汰止ミニナッタ
モノガ大部分アッタノデアリマス、サウ
云フヤウナ事情モゴザイマス、ソレデ
一體此際申上ゲテ置クガ良イト思ヒマ
スケレドモ、工業組合ト云フモノニ對
スル實ハ私共ノ助成ノ方針ト云フモノ
ハ漫然タル救濟ト云フコトハ從來ヤ
ッテ居リマセヌ、自ラ助クルモノヲ助ク
ト云フ信念デヤッテ居リマスカラ、唯困
ルカラト言ッテモ困ルコトハ困ルノデ
救濟ノコトハ別問題トシテ考ヘテ、組
合制度ト云フモノハ困ッタラ困ッタダケ
デ、自分ノ力デ是々ノコトヲシヨウ、是
ダケノコトヲシヨウト言ッテ、組合自身
ガ之ハ申スマデモナイト考ヘマスガ、
ソレダケノ熱心ト氣力トアッテ、ソレダ
ケノ實力モ多少伴ッテ居ルモノニ助成
シヨウ、斯ウ云フ方針デ實ハヤッテ居リ
マスカラ、其點ハ能ク御了承ヲ願ヒタ
イト思ヒマスソレカラ低利資金ノ點
ニ付キマシテハ、實ハ是ハ昭和三年以
來二百萬圓ダケ預金部カラ工業組合ノ
方ニ廻スト云フコトニナッテ居リマス、
ソレガ勸業銀行、興業銀行、農工銀行、
北海道拓殖銀行ヲ通シテヤルコトニナ
ッテ居リマス、是ハ特別銀行法ニ於テハ
御承知ノ通リ無擔保貸付ノ途ヲ工業組
合ニ對シテ開イテ居ル、法制上ハ隨分
斯ウ言フタヤウナ便宜ヲヤッテ居リマ
スガ、唯實際問題トシテ無擔保貸付ノ
途ハゴザイマスケレドモ、銀行ノ立場
カラハ先程カラ申シマシタヤウニ無擔
保ニ於テ貸スト云フヤウナコトハシマ
セヌノデ、役員ノ連帶保證ナンカヲ求
メナケレバナラヌト云フ事情デアリマ
ス、ソレハ先程大臣カラ申サレマシタ
ケレドモ、其爲ニ當局ハ責任ヲ免レル
ト云フヤウナコトハ勿論アリマセヌ
私共モ十分出來ルダケノコトハシテ居
リマスガ、如何セン銀行ニハ銀行ノ立
場ガアリマスカラ、私共ノ考ダケデハ
ドウニモナラヌ點ガゴザイマスノデ、
其點ハ貸付ノ方針ハ改正シナケレバナ
ラヌト云フコトハ十分感ジマシテ、今
其方法ニ付テ大藏省ト折衝中デアルト
云フコトハ申上ゲタ通リデアリマス、
ソレカラ又金額ノ點ニ付キマシテモ、
是ハ實ハ預金部運用委員會ノ正式ノ議
ヲ經タ譯デゴザイマセヌガ、吾々ノ事
務當局ノ間ニ於ケル大藏省トノ了解
ハ今ノ所ハ御示ノ通リ二百萬圓ナリ
百五十萬圓ナリ、ソレダケノ金額スラ
全部消化シ得ナイ狀態デアリマス、併
シソレハ他日消化シ得ルト云フ時ニ
ハ、其方ノ金額ノ增加ト云フコトハ勿
論、必要ニ應ジテ預金部ノ餘裕サヘア
レバ出シテヤルト云フヤウニ、事務當
局ノ間ダケデハ話ガ纏ッテ居リマス譯
デアリマス、而シテ低利資金ノ方ノ運
用ノ方針ハ先程カラ一寸申上ゲタ通
リ先ヅ自ラ助クルモノヲ助クルト云
フ方針デアリマスカラ、組合ノ方デ共
同施設ヲスル、之ニ金ガ今何萬圓要ル
カラト云フテ其何萬圓ヲ今日直チニ低利
資金ニ求メルト云フコトハ考ヘテ居リ
マセヌ、其中ニ幾分ハヤハリ自分デ以
テ調達シ得ルト云フ力ガアルモノニ對
シテ、其幾部分ヲ補助金ナラ補助金ヲ
今日ハ半分モヤッテ居リマセヌ、四割位
政府カラ補助スルコトニシテ融通致シ
テ居リマス、サウシテサウ云フヤウニ
設備ガ出來マスト、其處ニ或ル程度ノ
擔保力ガ出來テ參リマス譯デアリマ
ス、サウ云フモノヲ基礎トシテ、更ニ組
合ノ役員ト云フ者ニ個人保證ヲ求メル
ト云フコトハ、是ハ酷ナ點ガゴザイマ
スガ、併シ組合員ノ方カラ進ンデ組合
員全體ノ爲ニソレダケノ犠牲ヲ拂フト
云フ者ガアルナラバ、ソレニ擔保力ガ
事務的ニ殖エルノデアリマスカラ、サ
ウ云フコトニ對シテ低利資金ガ流レテ
行ク、ソレガ卽チ運轉資金ノ方ニ行ク、
斯ウ云フ運用ノ方法モ從來採ッテ居リ
マスシ、是カラモ採ッテ行キタイ積リデ
アリマス、今度ノ組合法ニ依テ金融ノ
關係ガ一ツ殖エマスカラ、是ハ先程申
シマシタ通リ、金融ノ方ノ資金ノ方ニモ
サウ云フ金ハ貸出スコトニナル、サウ
云フ積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=49
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050・岸田正記
○岸田委員 只今ノ御說明ニ依ッテ今
少シク御尋シナケレバナラヌノデアリ
マスガ、結局問題ハ貸出條件ヲ如何ニ
スルカ、斯ウ云フコトヂヤナイカト思
フノデス、如何ニ時期ヲ待ッタ所ガ、今
日ノ中小工業者ノ擔保ノ力ガ殖エテ來
ル譯デモナシ、非常ニ大キナ信用ガ一
時ニ增大シテ、經濟界ノ囘復モ近クハ
期待シ得ナイヤウニ私ハ思フ、今ノ御
說明ニ依ルト、マア補助金デモヤレバ
ソレヲ抵當ニシテ低利資金モ借出スコ
トガ出來ルト云フガ、是ハ問題ニハナ
ラナイ、丁度十三萬五千圓出スモノガ
アルトスレバ、其四割ヲ貸ストスレバ
二倍半トシテ三十萬圓バカリノモ、工
場施設其他ノ施設ガ增シテ來ルノデセ
ウガ、三十萬圓ノ擔保力ガ殖エテ來タ
所ガ、ソレヲ皆抵當ニ入レテモ皆引出
シテ吳レタ所ガ、低利資金三十萬圓、コ
ンナコトハ殆ド問題ニナラナイ、今日
何十億ト云フ中小工業者ノ製造者ニ對
シテ、三十萬圓ノ低利資金ハ問題ニナ
ラナイ、根本問題ハ今日ノ如キ中小工
業ノ薄弱ナル資力ヲ以テ、根柢淺キ經濟
基礎、此實情ニアルニモ拘ラズ、之ヲ救
ヒ、之ヲ援ケルノガ本法ノ目的デアル
トスレバ、之ヲ貫徹スルニ於テハ條件
ノ改善ト云フコトヨリ外ニ方法ハナイ
ト思フ、此點ヲドウ云フヤウニ改善サ
レル積リデアルカ、預金部資金、之ヲ融
通スルニ付テハ將來ノ需要ニ應ジテ政
府當局トシテハ相當ニ腹ガアルト仰シ
ヤルケレドモ、此點ニ付テ果シテ預金
部ニソレダケノ餘裕ガアルカナイカ、
是ハ別ノ問題ト致シマシテ、先ヅ此條
件ノ緩和ト云フコトニ付テハ果シテ政
府ニハ改善ノ御意圖ガアルカ若クハナ
イカ、此點若シアリトスレバ具體的ノ
御計畫デモアルカ、之ヲ御伺シタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=50
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051・横山勝太郎
○横山政府委員 隨分ムヅカシイ問題
デ、政府當局ハ困ッテ居リマス、又民間
デモ困ッテ居ル、此問題ニ付テハ是マデ
ヤッテ居リマスル方法ノ外ニ、昨年中カ
ラ大藏省或ハ商工省、農林省、ソレニ中
央金庫ノ當局モハイッテ居ルト思ヒマ
ス、ソレ等ノ間ニ屢〓熟議ヲ重ネタノデ
アリマス、其內容ハ悉ク之ヲ申ス譯ニ
ハ參リマセヌケレドモ、其會合ノ內容
ノ一端ヲ申上ゲマスレバ貸出ノ條件ヲ
幾ラカ緩和ルス、又擔保ヲ擴張スル、擔保
ノ擴張ト申シマスルト電話デアルト
カ、債劵デアルトカ、大體ノモノハ擔保
ニスル、ソレカラ保證人モ是マデハ特
定ノ保證人ヲ定メテ、極メテ嚴重ナル
條件ヲ要求シテ居ッタノデアリマスル
ガ、ソレモ保證人ノ中一人位ハ多少條
件ニ缺クル所ガアッテモソレヲ認メル
ソレカラ償還ノ期限モ長クスル、ソレ
カラ資金ノ額モ以前ヨリズット增額ス
ル、又特殊ノモノニ限ヲテハ一萬圓ト云
フ金マデ貸スト斯ウ云フヤウニスルコ
ト、ソレカラ新ニ融通機關ヲ設置スル、
マア信用組合デアリマシテモ、或ハ庶
民銀行ノ方面デモ、ヤハリ斯ウ云フヤ
ウナ事柄ヲ色々協議ヲ致シテ、其一部
ハ旣ニ實行シテ居ルト思ヒマスガ、併
シソレヲ以テシテモ尙且ツ仰セノ通リ
政府當局ノ考ヘテ居ル程資金ハ消化シ
ナカッタノデゴザイマスカラ、今後ト雖
モ此問題ハ御質問ノ通リ最モ重大ナ事
柄デアリマスルカラ、不斷進ンデ攻究
スルト、斯ウ云フコトニナッテ居リマ
ス、又現ニソレヲ講ジツヽアルノデア
リマス、其新ニ爲シタル協議ニ依ッテド
レ程ノ成果ヲ擧ゲテ居ルト云フコト
ハ、實ハハッキリシタコトハ覺エマセヌ
ガ、昨年ノ暮カラ本年ノ二月頃ニ掛ケ
テノ數字ハ大シタコトヂヤアリマセヌ
ケレドモ、多少增加シタヤウニ聞イテ
居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=51
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052・岸田正記
○岸田委員 當局ノ此點ニ關スル御意
企ヲ承ッテ、私ハ稍〓愁眉ヲ開クヤウナ
感ジガアルノデアリマス、希クハソレ
ガ唯此場合限リノコトニナラズシテ、
實際ニ今後ノ成績ニ現サレルコトヲ衷
心ヨリ希望致シマス、ガ併シ是ダケニ
私ノ質問ヲ打切ルコトガ出來ナイノ
斯ウ云フ有難イ條件ノ改善ニ依リ
マシテ、果シテ實際ノ上ニ此成績ヲ現
スコトガ出來ルカドウカト云フコト
ハ又自ラ別個ノ問題デアルト云フコ
トハ、今日ノ經濟界ノ實情、特ニ中小工
業ノ金融ナド實際ノ狀態カラ割出シテ
見マスルト云フト、只今ノ預金部ノ低
利資金ノ消化ト云フコトニ付テ、是
條件サヘ緩和サレヽバ二百萬ガ三百萬
デモ五百萬、千萬圓デモ足ルコトハナ
イ、ソコヘ以テ行ッテ條件ヲ只今申上ゲ
タ程度ニ於テデモ改善ナサッテ、サウシ
テ需要ニ應ズル誠意ヲ實際ノ上ニ御示
シニナルト云フコトニナルト、相當ニ
預金部ニ於テ資金ノ上ニ餘裕ガナクチ
ヤナラヌ、ガ併シ少クトモ現在ノ預金
部ノ狀態カラ考ヘテ見マシテモ、日々、
政府當局ニ於テモ御存ジノ通リ、中々
其餘裕ハアルマイト思フ、是ハ預金部
ノ資金運用財源ニ於テモ、其成績ニ付
キマシテハ私ハ甚ダ遺憾ニ思フ點ガ澤
山アル、此運用ノ方法ニ付テハ此處ニ
於テ論ズル問題チヤナイト思ヒマスカ
ラ差控ヘマスガ、唯其結果ニ現レテ居
ル數字其狀態カラ見マシテモ、御存ジ
ノヤウニ昨年末カラ本年度ニ繰越サレ
タ所ノ低利資金、此約束セラレテ居ル
負擔繰越ト云フモノハ約三億圓デアリ
マス、ソレカラ今年度ニ於テハ更ニ一億
七百萬圓バカリハ公債ノ方ニ振向ケラ
レルト云フ約束ガアル、然ルニ一面ニ
於キマシテ預金部ノ實際ノ振替貯金或
ハ郵便貯金ノ實際ノ增額ノ狀態ヲ見マ
スルト、甚ダ心細イ狀態ニナッテ居ル、
卽チ昨年末マデノ情勢カラ割出シマス
ルト云フト、今年度ノ總預金額ト云
フモノハ、恐ラク超過額カラ申シマシ
テモ、昨年度ハ十四「パーセント」アッタ
モノガ、今年ハ十「パーセント」四「パー
セント」バカリ減フテ居ル、卽チ二億八
千六百萬圓、是ダケノ增加シカ期待出
來ナイ、今年度ニ於テ然ラバ現在ノ預
金ガドレダケアルカト云フト一億一千
四百萬圓一億一千四百萬圓、是ダケア
ル、正金銀行ニ預ケテアルモノハ九千
六百八十萬圓デアルケレドモ、是ハ今
日ノ爲替ノ狀態、國際取引ノ狀態ニ於
テ引出ス譯ニ行カナイ、サウ致シマス
ト現在ニ於キマシテ運用シ得ル金ト云
フモノハ四億圓バカリシカナイ、併シ
前申上ゲタヤウナ負擔公正及ビ低資ノ
貸出約束ニ於テ負擔繰越ト云フモノガ
四億七百萬圓モアルト云フコトニナル
ト是ダケデモ七百萬圓バカリ足ラヌ
コトニナル、是ニ於テ今ノヤウナ貸出
シタ金ノ緩和ニ依ッテ中小工業者ヲ救
フ實意ノアル改善方法ガ爲シ遂ゲラレ
ルト云フコトガ期待サレテモ、果シテ
預金部ニ其資金ノ餘裕アリヤ否ヤト云
フコトハ、實際數字ノ上ニ於テ私共ハ
殆ド期待ノ出來ヌ狀態デアルト思フ、
是カラ申シマスト、今日ノ預金部ノ狀
態ハ如何ニ改善ガアッテモ、之ヲ許サナ
イヤウナ狀態ニナッテ居ル、是ハ政府當
局モ御存ジノ通リデアル、サウスルト
實際ニ於テ今後此法案ガ實現サレタ結
果、全國ノ中小工業者ニ適用セラルベ
キ工業組合法ノ結果出來上ル組合ニ對
シテハ、實際ノ結果ト致シ資金ノ救濟
ノ實ヲ擧ゲ得ナイノデハナイカト私ハ
疑フテ居ルノデアリマス、此點ニ付テハ
是ハ無論大藏當局デアリマセヌカラ、
責任ノアル御答辯ヲ求メル譯ニハ參リ
マセヌケレドモ、商工當局トシテノ今
後ノ御推測及ビ之ニ對スル善處ハ如何
ニ執ラレルカト云フコトノ御判斷ヲ
應承ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=52
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053・横山勝太郎
○横山政府委員 大藏省ノ方面ガドノ
程度ノ資金ノ貸出ニ堪エルカト云フコ
トデアリマスガ、是ハ商工省ト致シマ
シテ一〓ニ之ヲ斷言スルコトハ出來マ
セヌ、此方ノ方デ適當ナリトスル案ヲ
持ッテ參リマシタ所デ、先方ニモソレゾ
レ機關ガアリ、順序ガアルノデアリマ
スカラ、結局ノ所低利資金運用委員會
ノ議ヲ經テ大藏大臣ノ裁定ヲ待ツヨリ途
ガナイ、併シ只今段々御示ノ數字等カ
ラ見テ、其實質カラ見テドウデアラウ
カト云フコトニ付テハ、ソレハ能ク〓
究致シマスガ、只今ノ所私ニハ分リマ
セヌ、中小工業ノ救濟ニ當ッテ必要デア
ルト認メマシタナラバ、無論出來ルダ
ケ多額ノモノヲ要求シテ、サウシテ其
目的ヲ達シタイト云フノガ先刻來申上
ゲテ居ル趣旨デアリマス、而シテ本案
ノ通過ニ依ッテドノ程度マデ其實效ヲ
奏スルカト云フコトニ付テ御懸念ガア
リマスガ、是ハ固ヨリ吾々モ同感デア
リマシテ、是ガ通過シタカラト申シマ
シテ、中小工業ノ金融ト云フモノガ直
チニ救濟セラレテ、工業組合ニ加入シ
テ居ル中小工業者ハ直チニ明日カラ金
融ニ困ラヌト云フ譯ニハ參ルマイト思
ヒマス、餘程時日ノ經過ト之ニ關係ス
ル者ノ努力ニ依ルニアラズンバ、其目
的ヲ達スルコトハ出來マセヌ、而シテ
此中小工業者ニ向ッテ資金ノ融通ヲ致
シマスト云フコトハ、勿論中小工業者
救濟ノ一手段デハアリマスケレドモ、
是ノミガ救濟ノ全手段デナイト云フコ
トハ旣ニ御承知ノ通リデゴザイマス、
之ニ付テハ根本カラ御考ヲ願ハナケレ
バナラヌ點ガ澤山アルト思ヒマス又
本案ニ明記シテ居ル所ニ依リマシテ
モ其事項以外ニ澤山アルノデアリマ
ス、此頃實際ノ低利資金運用ノ事情ヲ
見マスト、單リ貸出條件ノ酷デアルト
云フコトニノミ罪ヲ歸スルコトガ出來
ナイ事情モアリマス、固ヨリ低利資金
ヲ扱ヒマスモノハ借手ガアレバ何ボ貸
シテモ宜イ譯デアリマスケレドモ、併
ナガラ窮極ノ所、是ハ全國ノ多數ノ國
民ノ錢ヲ集メテ居ル金デアリマスカ
ラ、是ガ償還サレヌト云フコトニナル
ト、由々シキ事態ヲ惹起スノデアリマ
スカラ、如何ナル場合ニ於テモ之ヲ扱
フ人ガ窮極ノ所、至極便利ニ完全ナル
償還ヲ得ルカドウカト云フコトニ付
テ、深甚ノ注意ヲ拂フト云フコトハ當
然デアリマス、ソコデ借リル方ト貸ス
方ノ條件ガ酷デアル、或ハ酷デナイト
云フ議論ガ起ッテ參リマスノデ、是ハ致
方ノナイ次第デアリマス、之ニ付テハ
全國一般ノコトハ存ジマセヌガ、關東
地方ノコトカラ申上ゲマスト、隨分中
小工業者トモ非常ナ疲弊困憊ノ狀態ニ
アリマス、故ニ低利資金ノ運用ニ依ッテ
是等ヲ救濟スルノ必要アルコトハ勿論
デスケレドモ、根本カラ經濟政策ヲ立
テマシテ、此多數ノ疲弊困憊シテ居ル
人ヲ救フト云フ根本策ヲ立テルコト
ガ、私ハ最モ重要デアルト思フ、是ハ自
ラ本案トハ關係ハアリマスケレドモ、
別ノ事柄デアリマスカラ申シマセヌ、
當局ハ其邊ニモ考慮致シマシテ、低利
資金ノ運用ニ付キマシテハ、仰セノ通
リノ趣旨ニ基キマシテ、今後ト雖モ極
力努力スル積リデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=53
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054・岸田正記
○岸田委員 預金部ノ資金ニユトリガ
ナイト云フ私ノ確信ニ付キマシテハ、
是以上申上ゲタ所デ此席デハ仕方ガア
リマセヌガ、是ハ願ハクバ此次ノ委員
會ニハ大藏省ノ責任アル當局ノ御出席
ヲ願ッテ、サウシテ貸出條件改善ノ曉ニ
於テ、預金部ノ資金ヲ此方面ニ十二分
ニ向ケルダケノ明年度ノユトリアリヤ
否ヤト云フコトニ付テノ御答辯ヲ願ヒ
タイト思ヒマス、ソレデ今ノ運用問題
ニ付キマシテハ是レ以上申上ゲテモ仕
方ガアリマセヌカラ、此程度デ打切リ
タイト思ヒマスガ、唯モウ一二點ダケ
承ッテ置キタイト思ヒマス
要スルニ此問題ガ大衆ノ福利ノ上ニ
ドウ云フ影響ヲ持ツカ、單ニ中小工業者
ノミナラズ、一般ノ工產品ヲ扱フ商人
及ビ是等ノ運輸其他ノ事業ニ關係スル
關係者、隨テ又進ンデハ工產品ヲ消費
スル消費階級ノ大衆、是等ノモノニ對
シテドウ云フ影響ヲ持ツモノデアル
カ、斯ウ云フコトニ付テ具體的ノ詮索
ヲ致シタ所デ、時間モ掛ルコトデアリ
マスカラ、是ハ多ク申シマセヌガ、今日
商工當局ノ耳ニ入ッテ居ルノハドノ程
度ノ反映デアルカ、此點ニ付テ腹藏ナ
キ御所見ヲ承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=54
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055・吉野信次
○吉野政府委員 御尤ナ御尋デアリマ
ス、此組合法ノ改正ダケデ中小工業者
ノ改善ガ完全ニ行クトハ私共モ考ヘテ
居リマセヌ、先程商工大臣ガ仰シヤッタ
通リ、最モ必要デアリマスガ、他ニモ色
色必要ナコトガアリマス、而シテ此組
合法ノ改正ニ依ッテ中小工業者ノ組合
ヲ造ッテ居リマス者ガ今度ハ金融ナリ、
或ハ統制ノ方ノ改正ノ議デモ起リマス
レバ、其業ハ安定スル譯デゴザイマス
カラ、随テ消費者ノ方面ニモ、或ハ販賣
者ノ方面ニモ、有利ナ條件ヲ齎ス道理
デゴザイマス、正當ニ行ケバ-併ナ
ガラ此組合法制ト云フモノヲ濫用致シ
マシテ、之ニ依ッテ濫リニ價格ヲ上ゲタ
リスル、サウシテ消費者ノ利益ヲ害シ
タリ、或ハ販賣者ニ對シテ餘リ强イコ
トヲ言ッタリシテ販賣者ノ利益ヲ害シ
タリスルコトモアリマスカラ、ソレヲ
防グ用意ノ爲ニ、今囘ノ改正ノ規定ニ
ハ總テ組合員ノ事業経營ニ對スル制限
ト云フモノヲ行ヒマス場合ニハ、其規
定ト云フモノハ一々行政官廳ノ認可ヲ
受ケルコトニ新シク規定ヲ設ケマシタ
次第デアリマス、ソレデサウ云フ風ナ
用意ヲシテ置キマスカラ、ソコデ今日
マデ-是ハ私共ハ率直ニ申シマス
ガ、工務局ノ仕事ヲヤッテ居リマスノ
デ、接スル人ハ工業家ノ人ガ多イノデ
スガ、大變結構ナ改正ダト云フコトヲ
其方面カラ聞イテ居リマス、ソレガ果
シテ御說ノ通リ輿論ノ全部ナリヤ否ヤ
ト云フコトハ斷言スル譯ニハ參リマセ
ヌケレドモ、サウ云フ方面カラ非常ニ
結構ナ改正ト云フヤウナコトヲ聞イテ
居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=55
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056・岸田正記
○岸田委員 私共ノ考デハ、是ハ意見
ニ亙リマスカラ多クハ申シマセヌガ、
結局ハ此規定ニ依ッテ營業上ノ方針ニ
付テハ制限ヲ加ヘ得ル、取締リ得ル、行
政官廳ニ其權限ヲ留メテ置クト云フ規
定ガアリマスカラ、此規定ガ十二分ニ
活動スレバ、法外ナ價格吊上ゲナドハ
ナシ得ナイ筈ダシ、其他幾多ノ販賣業
者、或ハ消費者ヲ胡麻化スヤウナ一種
ノ企業統制ハ執ラナイト思フノデアリ
マスケレドモ、ソレハ唯法文ノ表面解
釋カラ釋明シ得ル議論ニ過ギナイ、實
際問題ト致シテハ、此程度ノ事ヲ官廳
ガ干涉シ制限スル、此程度マデハ默ッテ
居ルト云フ其限界ニ付テハ、中々ムヅ
カシイノデハナイカト思ヒマス、結局
スル所只今工務局長カラ御話ニナッタ
ヤウニ、實際ニ於テ工業者ガ喜ブ、少ク
トモ此法文ダケヲ見ルト工業者ニ取ツ
テハ利益ナリト云フ法案デアッテ販賣
業者或ハ消費者ニ取ッテハ企業統制ノ
自ラ齎ス結果デアル一種ノ獨占的立場
ヲ利用シテ、是等ノ大衆ニ對シテハ不
便ナ結果ヲ齎スノガ、此法案ノ結論デ
ハナイカト憂ヘテ居ル、ソレカラ工業
者自身ニ取リマシテモ、只今ノ資金ノ
運用問題、補助金及ビ低利資金ノ運用
問題、是等ノ問題ニ付テ私共ガ疑フ所
ヲ御尋シタ事ニ依ッテ御承知下サルコ
トガ出來ルト思ヒマスガ、工業組合ノ
將來ニ對シテハ餘リ多クノ期待ヲ掛ケ
ルコトガ出來ヌ實情ニ陷ルノデハナイ
カト思ヒマス、一面カラ言フト、將來ノ
工業組合自身モ此法案ニ依ッテ大シタ
恩典ヲ受ケルコトヲ期待スルコトガ出
來ナイ、消費者、或ハ販賣業者ニ取ッテ
ハ無論一大脅威デアリ、特ニ同業組合
ニ取ッテハ大苦情ガアル以上ハ非常ナ
脅威デアル、ソレデ今度ノ積極的經濟
行爲ト云フヤウナ點ニ付キマシテモ、
中々今ノ金ノ問題デハムヅカシイ、特
ニ又檢査ト云フヤウナコトニ對シテモ
之ヲ行フト云フコトニナッテ居リマス
ケレドモ、製造業者自ラガ役員ヲ選出
シテ自ラ造ッタモノヲ自ラ檢査スルト
云フコトガ、果シテ權威アルモノカド
ウカ、斯ウ云フヤウナ事モ考ヘマスト、
實際ニ於テ今後新シキ工業組合ガ出來
上ッタ曉ニ於テ、國家的ノ立場カラ言ッ
テ、單ニ中小工業者ノミナラズ、販賣業
者、消費者、是等ノ立場カラ言ッテ、又日
本全體ノ產業ト云フ立場カラ言ッテ、又
現ニ存立シテ居ル同業組合ト云フ立場
カラ言ッテ、幾多ノ點カラ考ヘマシテ、
多クノ期待ヲ掛ケ得ザルノミナラズ、
却テ何レノ方面ニ於テモ寧ロ失フ所ガ
多イノデハナイカ、金ト鉛ヲ換ヘルヤ
ウナ結果ヲ招來スルノデハナイカ、而
モ私ハ此工業法案ノ法文ソレ自身ヲ見
マスト一寸宜イヤウデアル、ソレハ成
程此法案ガ出來ナイヨリカ出來ル方ガ
少クトモ中小工業者ニ取ヲテハ宜イデ
セウガ、苦情ガアル結果トシテ、販賣業
者トノ聯絡ガ取レナイ、消費者トノ統
制ガ旨ク行カナイ、斯ウ云フヤウナ結
果ガ一層明カニナッテ來ル以上ハ、結局
得ル所ヨリモ失フ所ガ大キイヤウナ氣
持ガスルノデスガ、是ハ尙ホ一層ノ〓
究ヲ要スル問題デアルト考ヘルノデア
リマス、斯ウ云フヤウナ事情ニ於キマ
シテ、少クトモ廣ク耳ヲ傾ケラレル場
合ニ於テハ、此輿論ノ反映ハ餘リ香シ
クナイモノデハナイカト考ヘル、ソレ
ハ或種ノ中小工業者ハ宜イ事ヲヤッテ
吳レタト讃辭ヲ呈スル人モアルデセ
ウ、併ナガラ一般ノ日本ノ產業界全體
ノ輿論ニ耳ヲ傾ケ、一般ノ販賣業者、同
業組合及ビ消費者全體ノ聲、是等ヲハツ
キリ御聽取リニナレバ、少シク今仰シ
ヤッタコトヽ違フヤウナ輿論ガ其處ニ
起ッテ來ハセヌカト云フコトヲ疑フ、之
ニ付キマシテ、日本ノ少クトモ商工業
者ニ關スル範圍ニ於テ輿ノ論ヲ或ル程
度マデ反映シテ、是ガ福利ヲ增進シ
テ行クコトニ努メテ居ル商工會議所
アタリノ意向ハドウ云フヤウニナッテ
居リマセウカ、之ニ付テ御聞及ノ點ガ
アリマシタラ、此處デハッキリ述ベテ戴
イタラ好都合ダト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=56
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057・横山勝太郎
○横山政府委員 御意見ノ所ハ能ク分
リマシタ、併シ此法案成立實施ノ曉ニ
於ケル效果ニ付テ色々御說ガアリマシ
タガ、大體カラ御考慮ヲ願ハナケレバ
ナラヌノハ、元來產業ナルモノハ民間
ノ人ガ民間ニ於テ經營スベキ事柄デア
リマス、其事柄ガ漸次發達シテ參リマ
シテ、玆ニ政府ガ助長、保護、監督ヲ與
ヘルト云フコトニ依ッテ、益〓其產業ト
云フモノハ發達スルデアラウト思フ、
法律ノ力ヲ以テ、又保護、獎勵ノ力ノミ
ヲ以テ產業ガ發達スルト云フモノデハ
ナイ、大體ニ於テ民間ノ企業者ガ努力
ヲ致シテ產業ニ從事スルト云フ實質ガ
備ッテ、而シテ始メテ政府ノ助長トカ、
監督トカ、保護トカ云フヤウナモノガ
相當ニ效果ヲ發生スルノデアリマス、
本案モヤハリサウダラウト思フ、是ア
ルガ故ニ產業界ガ直チニ偉大ナル發達
ヲ遂ゲテ、非常ナ效果ヲ現ハス、斯ウハ
私ハ考ヘマセヌ、併ナガラ今日ノ場合
ニ於キマシテ或ル程度マデ政府ガ色々
ノ設備ヲ致シマシテ、助長シ、保護スル
コトニ依ッテ今日相當ノ根據ヲ持チ、實
力ヲ持ッテ居リマス所ノ工業ガ發達シ
テ行クコトガ出來ル、斯樣ニ考ヘマス、
隨テ得ル所ハ何等ナクシテ、失フ所ガ
多イデアラウト云フマデニ此法案ヲ誹
謗スルト云フコトハ、私ハ決シテ贊成
スルコトハ出來マセヌ、隨テ此法案ノ
成立ニ依リマシテ貿易ヲ振興スルコト
ガ出來、貿易ガ振興スレバ隨テ國內ニ
於ケル產業ハ發達シテ來ル譯デアリマ
ス、國內ノ產業ガ發達シテ來レバ、貿
易モ亦發達シテ來ルト云フ玆ニ原因ガ
結果トナリ、結果ガ原因トナッテ大ニ內
地ノ產業ヲ振興シ、延テ外國貿易ノ振
興ヲ圖ルコトガ出來ルト信ジマス、其
結果ハ結局日本ノ產業界ノ繁榮デアリ
マス、日本ノ產業界ガ繁榮スルコトニ
ナレバ勞働者モ利益ヲ得レバ、消費者
モ利益ヲ得ルト云フコトハ當然デアリ
〒十、斯ウ云フヤウナ意味ニ於キマシ
テ、本案ヲ提出致シタノデアリマス、而
シテ民間ノ意見、其他云々ノ御意見デ
アリマシタガ、是ハ內閣ニ於ケル產業
審議會ノ議ニ依ッテ立案致シタモノデ、
產業審議會ノ內容ハ大體御承知デアラ
ウト思ヒマスガ、相當ノ實業家、學識經
驗ノアル者、相當ノ官吏、兎ニ角產業界
ニ於テ相當ノ知識經驗ヲ持ッテ居ル權
威者ヲ集メテ作ラレタル審議會デアリ
マスカラ、此意見ト云フモノハ相當尊
重スベキモノデアリマス、又商工會議
所等ノ意見モドウカト云フ御話ガアリ
マシタガ、只今承ル所ニ依レバヤハリ
賛成デアルサウデアリマス、尙ホ民間
ノ團體其他ニ對シテドウ云フ手續ヲ執
ッタカト云フコトニ付キマシテハ、不足
デゴザイマスレバ吉野局長カラ御答ヲ
致シテ貰フコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=57
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058・吉野信次
○吉野政府委員 只今政務次官カラ申
サレマシタ通リニ、商工審議會デ實ハ
中小工業ノ改善ト云フコトハ重大ナル
問題トシテ答申ガゴザイマシタ、其一
部ガ立法化シタノデアリマス、其點ハ
其當時既ニ新聞ニ依ッテ社會ニ發表サ
レテ居リマシテ、ソレニ對シテ色々ナ
新聞雜誌等ニ付テ其當時斷片的ノ記事
モ載ッテ居ッタノデアリマス、ソレカラ
地方ノ事情ニ付キマシテハ、地方ノ商
工行政ニ當ル主任官ト云フモノヲ呼ビ
マシテ、サウシテ此內容ヲ一々諮問致
シマシテ、ソレデ皆非常ナ贊成デアル
ト云フノデ、是ハ立法致シマシタノデ、
是ハ決シテ商工關係ノ方ノ意見ヲ無視
シタ譯デハ無論アリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=58
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059・岸田正記
○岸田委員 私ノ申上ゲタコトニ付テ
少シ誤解ガアッタヤウニ思ヒマスカラ
此點ハ一言釋明シテ置キマス、私ハ決
シテ工業組合法案ガ有害無益デアルト
言ッタノデハナイ、私ノ言フタノハ唯
多クノ期待ヲ掛ケルコトノ出來ナイモ
ノデアル、特ニ九條ガ存立スル以上ハ
却テ販賣業者トノ統制ガ取レナイ、隨
テ又消費階級ノ希望ヲ滿足サセルコト
ニナラナイデ、企業統制ニ陷ッテシマッ
テ、工業家ノ統制ニ陷ッテシマッテ、其處
ニ消費階級ヲ壓迫スルヤウナ結果ニ陷
リハシナイカ、此實情カラ鑑ミル時ニ、
大衆的ノ立場カラ言フト、金ト鉛ヲ換
ヘルヤウナ結果ニナリハシナイカ、斯
ウ云フコトヲ申上ゲタノデアリマス、
特ニ是ハ九條ノ存在ガ主ナル原因ヲ爲
シテ居ルモノデアル、是ガ私ノ伺ッタ主
眼デアリマス、而シテ失業問題等ニ付
テモ、產業ガ發達スレバ一層結果ガ宜
イ、斯ウ云フヤウナ御意見モ附加ヘテ、
商工次官ハ御答ニナリマシタ、是等ハ
他ノ見方カラスルト、此反對ノ見解モ
下シ得ルノデアリマスガ、是ハ意見ノ
相違ニナルカラ多クハ申シマセヌケレ
ドモ、是ハ自然必要ナコトデアッテ、日
本ノ工業ノ殆ド大多數ヲ占メテ居ル中
小工業、是等ガ組合ヲ作ッテ一ツノ企業
行動ノヤウナ形式ニ陷ッテ、連絡ヲ取ツ
テ、サウシテ結果スル以上ハ、其處ニ雇
ハレテ居ル階級ノ人々ガ自然企業家カ
ラ一ツノ壓迫ヲ受ケルヤウナ狀態ニ陷
ッテモ、中々勞働階級ノ人ハ對立シ得ラ
レナイヤウナ狀況ニナッテ來ル、此結果
ハ勞働階級ノ人々ニ取ッテ好結果ヲ齎
スモノデナク、寧ロ是等ノ人々ガ雇傭
條件ノ上ニ於テ非常ナ不利益ナ立場ニ
突落サレルモノデアルト云フコトハ想
像サレルノデアリマス、是ハ議論ニ亙
リマスカラ多クヲ申シマセヌ、唯此案
ガ產業審議會ノ議ヲ經テ立案サレタモ
ノデアルガ故ニ、輿論ニ於テハ芳バシ
イモノデナイト云フコトハ言ヒ得ラレ
ナイ、斯ウ云フヤウナ御議論デアリマ
スケレドモ、產業審議會ノ時ノ政府ニ
對スル關係、及ビ其實際ノ經濟界ニ
對スル權威等ニ付テハ是ハ多少ノ議
論モアリマス、併シ是モ此處デハ申シ
マセヌガ、少クトモ商工會議所邊リ
モ之ニ對シテハ賛意ヲ表シテ居ルト
云フ只今ノ商工次官ノ御說明ハ虛僞
デハナイカ、僞ハレルモノデハナイ
カト云フコトヲ私ハ御尋致シタイノ
デアリマス、卽チ商工會議所ハ明カ
ニ昨年六月二十五日ニ俵商工大臣ニ
對シテ此工業組合法案ノ修正ニ關ス
ル建議ヲ出シテ居ル、之ヲ次官ハ御
覽ニナラヌノカモ知レヌガ、出シテ居
ル、其內容ヲ一寸簡單ニ讀上ゲマス、
「工業組合法案、竝ニ同業組合法案要項
修正ニ關スル建議、今般政府ヨリ帝國
議會ニ提出セラレタル、工業組合法案
(重要輸出品工業組合法中改正法律案)
竝ニ臨時產業合理局販賣管理委員會ノ
決議ニ係ル同業組合法案要項ハ其實
施ニ依リ中小工業者ノ積極的、協同的、
自助作用ヲ助長スル上ニ於テ少カラザ
ル效果アルヲ信ズルト雖モ、其中ニ本
法ニ依リ設立セラレタル組合又ハ其組
合員ハ、其營業ニ關スル重要物產同業
組合法ニ依ル同業組合ニ加入セズ、又
ハ之ヨリ脫退スルコトヲ得ル旨規定ア
リ、此條項ハ、現存同業組合ノ存立ヲ危
クスルノ虞アルガ故ニ、兩法案中ヨリ
此條項ヲ削除シ、以テ兩法ニ依ル組合
ガ現存同業組合ト相倚リ相扶ケテ共存
共榮ノ實ヲ擧ゲ、之ガ產業界ノ進步改
善ニ資シ得ルヤウ修正セラレンコトヲ
望ム、右本會議所ノ決議ニ依リ此段建
議仕候也、昭和六年二月二十五日東京
商工會議所會頭、男爵〓誠之助、商工大
臣俵孫一殿」ト斯ウナッテ居リマス、之
ヲ御覽ニナラナカッタカラ、商工會議所
ハ賛成ダ、斯ウ仰シヤルナラバ其罪ハ
問ヒマセヌケレドモ、若シ御覽ニナッテ
居ッテ、尙且今ノ御言葉ヲ發セラレルナ
ラバ、私ハ嘘僞デアルト言ハザルヲ得
ヌ、御覽ニナッテ居ラヌト云フノデアリ
マスカラ私ハ申上ゲマセヌガ、斯ウ云
フヤウナ商工業者ノ最モ福利增進ヲ圖
リ、產業繁榮ノ中心機關、是等ノ輿論ハ
玆ニ歸一シテ居ルヤウニ思ヒマスケレ
ドモ、是デモ輿論ハ此問題ニ對シテ惡
クナイト仰シヤル事實ガアルカドウ
カ、此際之ニ付テ御答ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=59
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060・横山勝太郎
○横山政府委員 一番最初ノ御尋ノ消
費者ニ關スル點デアリマスガ、是ハ既
ニ商工大臣其他カラ申上ゲタコトヽ思
ヒマスガ、本案ノ第七條ノ第二デス、
「輸出組合定款ノ定ムル所ニ依リ組合
員ノ事業經營ニ對スル制限ヲ行フ場合
ニハ之ニ關スル規程ヲ定メ主務大臣ノ
認可ヲ受クベシ其規程ヲ變更セントス
ル場合亦同ジ」岸田君モ御承知ノ通リ
デアリマス、此規程ノ運用ニ依リマシ
テ、本案ニ依ッテ生ズル弊害ト云フモノ
ハ十分之ヲ矯正スルコトガ出來ルト考
ヘマス、本案ノ趣旨ハ直接ニハ或ハ工業
組合ニ關スル人々ノミノ利益ヲ擁護ス
ルヤウニ御考デアルカモ知レマセヌケ
レドモ、究極スル所產業ヲ振興シ、產業
ノ振興ニ依ッテ勞働者ヲ救濟シ、有ユル
消費者ニ利益ヲ與ヘルヤウナ廣汎ナ目
的ヲ持ッテ居ルノデアリマス、法文ノ上
ニ現ハレタル文字ハ假令狹小ナリト雖
モ其仍テ以テ得ントスル所ノ目的ハ
可ナリ廣大ナルモノデアルト御諒承ヲ
願ヒタイノデアリマス、要スルニ消費者側
若クハ勞働者側ノ利益ヲ圖ルコトニ於
キマシテモ、決シテ本案ハ之ヲ目的以
外ニ置イテ居ルモノデハゴザイマセ
ヌ、ソレカラ產業審議會ノ內容ニ付テ
ノ御話デアリマスガ、是ハマア御說ノ
通リ意見ノ相違デアリマスケレドモ
吾々ハ相當權威アル信用スベキモノデ
アルト考ヘテ居リマスガ、勿論此會ノ
決議ガアリマシタカラト申シタ所デ、
此會ノ決議デアルカト云フ意味デ之ヲ
立案シタ譯デハゴザイマセヌ、此會ノ
決議ヲモ卽チ尊重スベキ會ノ意思ヲモ
斟酌致シマシテ本案ヲ作ッタ、卽チ有ユ
ル方面ノ意思ヲ取入レタモノデアリマ
ス、斯ウ云フ意味ニ於テ御諒解ヲ願ヒ
タイト存ジマス、ソレカラ最後ノ〓男
爵ノ書面ニ關シテ御話ガゴザイマシタ
ガ、其書面ハ私マダ頂戴シタカ存ジマ
セヌガ、只今ノ所見テ居リマセヌガ、
其內容ニ依リマスト、九條ニ對スル修
正論ノヤウデアリマス、私ノ見ル所ニ
於テ-此故ニ私ノ申上ゲタコトガ多
少間違ッテ居ルカハ存ジマセヌガ、茲ニ
本案ノ大體ニ於テハ商工會議所モ、之
ヲ承認致シテ贊成致シテ居ルモノト考
ヘマス、唯御說ノ如ク現行法ノ九條ヲ
削除セヨ、斯ウ云フ意見デアリマス、其
點ハ或ハ反對サレルカ存ジマセヌガ、
其點ヲモ極メズシテ申上ゲタコトハ洵
ニ宜シウゴザイマセヌガ、十分取調ノ
上デ機會ガゴザイマシタラ具體的ニ申
上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=60
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061・吉野信次
○吉野政府委員 一寸先程商工會議所
ガ贊成ダト申上ゲタノハ、私ハ文書ヲ
以テ之ガ善イカ惡イカト云フコトヲ聞
イタノデハゴザイマセヌケレドモ、商
工會議所ノ會頭タル方ガ、產業審議會
ノ委員會ノ委員長ト致シマシテ、サウ
シテ具サニ問題ヲ討議セラレタノデア
リマスシ、ソレカラ又是ハ表向キデハ
ゴザイマセヌ、商工會議所ノ方ノ實ハ
理事ノ人ニモ、私ハ非公式ニ此案ニ付
テ意見モ交換致シマシテ、ソレデ大變
結構ダト云フコトニナッテ居リマシタ
カラ、會議所ノ方デ贊成ダト云フコト
ヲ申上ゲタノデ、其處ハ公式ノ意見ヲ
代表シタモノニアラザルコトヲ、或、
斯ウ云フ公開ノ席デ申上ゲタコトハ
甚ダ輕率デアッタカモ知レマセヌガ、其
點ハ御訖ビ致シテ置キマス、最近ニナ
リマシテ其陳情書ハ正直ノ所見テ居リ
マセヌガ、二月二十六日ト云フ日附ニナ
ッテ居ルサウデアリマスカラ、何レ役所
ニ參リマスノハ三月上旬デアラウト思
ヒマス、其陳情書ハ私マダ見テ居リマ
セヌガ、併シ今御話ノ通リ組合制度自
體ヲ否認スルト云フ風ニモ思ハレマセ
ヌ、私共最初申上ゲタノハ、組合制度自
體ハ結構デアル、斯ウ云フ意見ノコト
ヲ會議所關係ノ方デモ言ッテ居ッタ、斯
ウ云フ意味デアリマス、其點ハ吳々モ
御詫ビ致シテ置キマシテ、一應釋明致
シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=61
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062・岸田正記
○岸田委員 尙ホ此運用上ノ問題ニ付
テ二三御尋シタイ思ヒマス、其結果ハ
結局ハ最後ノ結論的ノ質問ニ終ルノデ
アリマスガ、是ハ更ニ次ノ時ニ大藏省
ニ唯一言デアリマスカラ申上ゲルコト
ニシテ、私ノ質問ハ此程度デ打切ラシ
テ戴キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=62
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063・井上剛一
○井上委員長 本日ハ此程度ニ止メマ
シテ、散會致シマス、次囘期日ハ公報ヲ
以テ御通知申上ゲマス
午後五時二十分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913487X00419310306&spkNum=63
4. 会議録のPDFを表示
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