1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
勞働者災害扶助法案(政府提出)
勞働者災害扶助責任保險法案(政府提出)
勞働者災害扶助責任保險特別會計法案(政府提出)
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會議
昭和六年三月十八日(水曜日)午後一時四十分開議
出席委員左の如し
委員長 山邊常重君
理事 枡谷寅吉君
理事 坂東幸太郎君
理事 崎山武夫君
理事 村上紋四郎君
理事 上田孝吉君
小山令之君 栗山賚四郎君
佐藤與一君 氏家清君
佐々木芳照君 安藤正純君
東條貞君 西尾末廣君
同日委員竹田儀一君辭任に付其の補闕として枡谷寅吉君を議長に於て選定せり
同日理事竹田儀一君の補闕として枡谷寅吉君理事に當選せり
出席政府委員左の如し
内務參與官 一宮房治郎君
社會局部長 富田愛次郎君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
社會局書記官 北岡壽逸君
本日の會議に上りたる議案左の如し
勞働者災害扶助法案(政府提出)
勞働者災害扶助責任保險法案(政府提出)
勞働者災害扶助責任保險特別會計法案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=0
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001・山邊常重
○山邊委員長 前會ニ引續キ會議ヲ開
キマス、尙ホ皆樣ニ御諮リスルコト
ガアリマス、理事竹田儀一君ガ辭任セ
ラレマシタ爲ニ、其補闕トシテ枡谷寅
吉君ヲ御願スルコトニシマシタ、御承
認ヲ願ヒマス
[「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=1
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002・山邊常重
○山邊委員長 通告順ニ依ッテ發言ヲ
許シマス、東條委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=2
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003・東條貞
○東條委員 昨日ノ高見君ノ質問應答
デ大體分ッタヤウデアリマスガ、少シハ
ツキリシナイ所ガアリマスノデ伺ヒマ
ス、下請負人ノ關係ニ付テハ、昨日高
見君ガ聞カレタヤウナ場合モアリマセ
ウシ、ソレカラ其反對ニ元請負人ガエ
ライ遠方ニ居ッテ、其下請ガ工事ノ現場
ニ臨ンデ居ル場合ガアル、社會局ノ方
ハ無論御承知ノコトデアリマスケレド
モ、元請ト下請ノ關係ハ大體二通リア
リマシテ、實際ニ元請ガ工事ヲ請ケテ、
其仕事ヲ下請ニ分配シテヤラセル場
合、今一ツハ大キナ請負人ニナルト、
地方ノ一萬ヤ二萬ノ仕事ニハ手ヲ出サ
ヌ、所ガ其方面ノ大キナ元請ト連絡ヲ
執ッテ居ル下請ガアリマス、詰リ入札ヲ
スル資格ノ關係等カラ、名義ダケ元請
ノ名義ヲ借リテ、サウシテ工事金ノ五
分トカ一割ト云フモノヲ天引ニ利益ト
シテ元請ニ提供シテ、實質ニ於テハ其
下請ノ者ガ工事ヲ請ケテヤッテ居ルト
云フ例ガ澤山アリマス、丁度昨日御話
ノアッタト反對ノ場合デアリマス、斯ウ
云フ場合ニ於テハ其下請ノ下ニ又下請
ガ實際附クノデアリマス、斯ウ云フ場
合ニ詰リ扶助ヲ受ケル勞働者ト元請ノ
關係ト云フモノハ殆ド全然關係ガナ
1、サウシテ地方ニ於ケル元請ノ又下
請ト云フモノガ實際勞働者ト直接關係
スル、ドウモ災害ノ起リマシタ場合ニ
勞働者ニハ成ベク速ニ扶助料ガ渡ルヤ
ウニ致サナケレバナラヌノデスガ、色
色ナ場合ヲ想像致シマスト今ノ連帶責
任ニシテ、サウシテ勞働者ガ隨意ニ一
番便利ナ者カラ拂渡ヲ受ケラレルヤウ
ナ方法ニシタ方ガ、勞働者ガ便宜デ宜
イヂヤナイカト思フノデアリマス、ソ
レカラ今一ツハ下請ノ中ニハ無理ナ仕
事ヲシテ居ルモノガ大分アリマス、又
仕事ヲ取ッタ元請ト致シマシテモ今日
ノヤウナ不景氣ノ時ハ勿論ノコトデア
リマスガ、最初カラ利益ト云フモノヲ
頭ニ置カナイデ、損ノ行クコトヲ承知
デ取ッテ居ルノガ澤山アリマス、實際ニ
豫定價額ノ半分トカ四割トカ云フヤウ
ナ金額デ落札ヲシテ居ルモノガ澤山ア
リマス、サウシテドウスルカト申シマ
スト、結局支拂ヲ倒シ、ソレカラ勞働
者ヲ酷使シテ、サウシテ故意ニ仕事ノ
切上リガ近クナッテ來ルト、迚モ居ラレ
ナイデ勞働者ガ逃ゲテ行クヤウニス
ル逃ゲテ行ク者ハ〓算ヲシテヤル必
要ガナイノダカラ、逃ゲ放題逃ゲサシ
テ置キ、或ハ又勞働者ニ對スル賃銀ヲ
〓算シテ支拂スベキモノヲ支拂ヲシナ
イ、又元請カラ金ガ出ヌトカ色々ナ事
ヲ言ッテ引キ延ス、其中ニ居ナクナッテ
シマフ、或ハ工事ハ仕上ッタガ來月ノ何
日ニ拂フトカ、今月ノ晦日ニ拂フトカ
言ッテ引延シテ、結局拂ハナイデシマフ
ト云フヤウナ請負人ガ少カラズアルノ
デアリマス、斯ウ云フヤウナ場合ヲ豫
想致シマスト、詰リ元請ト勞働者ノ間
ニ一人カ二人ノ下請ガ入ッテ居ルヤウ
ナ場合ニハ、元請ト下請ガドチラガ其
責任ノ衝ニ當ルカト云フコトハ、勞働
者ノ立場カラ見ルト色々ナ場合ガアツ
テ、非常ニ面倒ナ關係ガアル、昨日モ
餘リ連帶責任ニシテ多クノ者ニ責任ヲ
持タスコトハ、却テ勞働者ノ爲ニ惡イ
ノヂヤナイカト云フ御意見モ、パンドン
御意見トシテハ首肯サレル譯デアリマ
スガ、實際ノ請負ノ事業ノ實況カラ見
マスト、サウ單純ニハ考ヘラレマセヌ、
ヤハリ連帶責任ニシテ置ク方ガ勞働者
ノ爲ニ一番便利ト考ヘマスガ、此點ニ
付テ當局ノ御意見ヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=3
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004・富田愛次郎
○富田政府委員 連帶ガ宜シイカ、或
ハ本案ノヤウニ元請ヲ原則ト致シマシ
テ、下請ト明瞭ナ引受契約ガアッタ場合
ニ付テ下請ヲ責任者トシ、サウシテ元請
人ヲ保證ノ地位ニ立タスト云フノガ今
度ノ案ノ建前デアリマス、ドッチガ宜イ
カト云フコトハ、御說ノヤウニ連帶ノ方
ガ强イト云フコトハ私共モ法律論ト致
シマシテハ左樣ニ考ヘマス、併ナガラ
之ヲ只今御擧ゲニナッタ實際カラ考察
シテ、誰ガ一番經濟的ノ扶助義務ヲ果
スコトガ出來ルカト云フコトヲ考ヘテ
見マスト、曩ニ御擧ゲニナリマシタ元
請下請トノ關係ガ極メテ稀薄デ、元請
ハ唯請負ッタダケデ、後ハ利益ヲ取ッテ之
ヲ下請ニ渡スト云フ場合ヲ考ヘテ見マ
シテモ、或ハ第二ニ御擧ゲニナリマシタ
元請ハシッカリシテ居ルケレドモ、下請
ガシッカリシテ居ナイ爲ニ、或ハ資力ガ
薄弱ナ爲ニ賃銀モ支拂ハナイ、又事業
モ遂行シナイト云フヤウナ兩方ノ場合
ヲ考ヘマシテモ、私共ガ考ヘマスノハ、
ドウシテモ請負契約ヲ致ス場合ニ、先
ヅ保險ノ場合ニハ保險料ト云フモノガ
明定サレルノデアリマス、ソレカラ保
險以外ニ於キマシテモ大體此法律ノ施
行ニ依ッテ受ケル所ノ事業主ノ負擔ト
云フモノハ決ッテ來ルト思ヒマス、直グ
ハ分ラヌニシテモ、法律ヲ施行スレバ
分ルノデアリマシテ、隨テ此法律ノ施
行ニ依ッテ受ケル所ノ經濟的ノ負擔ハ
決スルノデアリマスガ、元請人ガ其責
任ヲ負フト云フコトニナレバ、是ハ元
請ガ明瞭ニソレダケノ義務ヲ果スコト
ガ出來ルト考ヘルノデアリマス、隨テ
私共ガ第一ニ勞働者保護ト云フ立場カ
ラ考ヘマスト、先ヅ其契約ガ出來ル、
又其契約ニ依ッテ保險料ハ大體請負價
格ノ中ニ見込ムコトノ出來ル元請ヲ責
任者ニスルコトガ一番勞働者保護ノ爲
ニモ適當デアル、唯ソコニ段々先般來
繰返シテ居リマスヤウニ、唯下請人ガ
書面ノ契約デ以テ明瞭ニ分ルト云フヤ
ウナ場合ニハ下請人ガ第一ノ債務者
ニナッテ、サウシテ元請ガ保證的ノ地
位ニ立ツト云フヤウナ關係ニ置キマ
スレバ、結局下請ガ支拂ハナカッタ
場合ニ於キマシテハ、元請ニ行キ得
ルノデアルカラ、元請ガ之ヲ支拂フ
ト云フコトニナレバ、勞働者保護ニ
於テ缺ケル所ガナイデアラウ、唯連
帶ノ場合ニ於キマシテハ御說ノヤウ
ニ法律上ハ其方ガ强イノデアリマス
ケレドモ人情ト致シテ誰ニ責任ガア
ルカト云フコトガ特定致シテ居リマセ
ヌト、何處ニ行ッテモ先ヅ向フニ行ケト
云フヤウナコトニナッテ、法律上ノ問題
ニナッテ裁判所デ決定スルト云フヤウ
ナ場合ハ、事實少クナカラウト思ヒマ
ス、併シ事實上ハ裁判外デ決定サレル
モノガ大部分ト見ナケレバナラヌト思
フノデアリマス、九分九厘マデハ決定
サレルト思ヒマス、其責任負擔ノ實體
ハ卽チ曩ニ申シマシタ如ク經濟力ア
リ、且ツ請負當時ニ其負擔ヲ決メテ置
クコトノ出來マス元請ニ責任ヲ第一ニ
決メテ置クト云フコトガ、一番勞働者
保護ノ爲ニ宜イデハナイカ、又之ヲ請
負人カラ考ヘマシテモ、自分ガドレダ
ケノ負擔ヲスルト云フコトハ豫メ分ル
ノデアリマスカラ、ソレハ元請ヲシテ
居ル元請人ニ於テモ負擔上過酷デハナ
イ、斯ウ云フ兩者ノ側カラ考ヘマシテ、
元請主義ト云フコトガ勞働者ノ爲ニ
モ又請負師ノ爲ニモ適當デアラウ、
私共ノ考ハ其處ニアルノデアリマス、
御說ノヤウニ連帶デ行クト云フコトモ
法律論トシテハ御尤ナ御意見ダト思ヒ
マスガ、連帶ヲ斯ウ云フ風ニ變ヘテ來
マシタ趣旨ハ、全クソコニ在ルノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=4
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005・東條貞
○東條委員 元請ダケノ責任ニスルト
云フコトデアレバソレマデデスガ其
元請ト下請トノ間ニ書面ノ契約ガアル
場合ニハ、下請ノ一人ヲヤハリ第一段
トシナケレバナラヌ、認メル、斯ウ致シ
マスコトニナリマスト、元請ノ下ニ直
接ノ下請ダケガアリマス場合ハ議論ハ
ナイガ、更ニ其中ニモウ一人人ガ這入
リマシタ場合ニ、其中ノ何レノ者ガ下
請トシテノ責任者ニナルカト云フコト
ガ、是ガ實際上大變問題ニナルト思ヒ
やさ、ソレデ工事ハ極ク責任ヲ重ンズ
ル大キナ信用ノアル營業者ニナリマス
ト、サウ無理ノコトハ致サナイ、ケレド
モ今ノヤウニ大キナ人ノ名儀デ、步ヲ
拂ッテ、地方ノ小サイ工事ヲヤッテ居ル
ヤウナ者ニナルト、相當無理ヲヤル、斯
樣ナ場合ニ結局ハ責任ヲ負フト云フコ
トニナルノデアリマスカラ、元請モ其
者ノ言フコトニ信賴ヲシテ、サウシテ
無論此扶助ノ責任ヲ法律デ定メラレタ
以上ハ、承知ヲシテ下請ニ渡シハ致シ
マスケレドモ、此扶助ノ責任ヲ負フベ
キ者ヲ資力ノ無イ、信用ノ無イ、サウシ
テ別ニサウ信用ト云フコトニ重キヲ置
ク必要ノナイ一番下級ノ請負人ナドニ
責任ノ衝ニ當ラセテ置イテ、サウシテ
出來ルダケ續ケサセル、ソレカラ勞働
者ナドト云フモノハ極ク單純ノモノデ
アリマスカラ、扶助料ナドデナクテモ
勞働賃銀デサヘモ〓算ヲシテ、假ニ百
圓ナラ百圓ノ取リ前ガアルトシテモ、
併シ今ハ金ノ都合ガ惡クテソレダケ拂
ヘナイガ、半分ニ負ケレバ今拂ッテヤラ
ウト言フト、ソンナラソレデモ宜イ、何
デモ早ク貰ッタ方ガ宜イト云フヤウナ
コトデ、解決ノ付クコトガ間々アル、扶
助料ナドノ場合モ元請モ責任ヲ負ッテ
居ルノダカラト云ッテ十分是ト交涉ヲ
シテ、取ルダケノモノハ必ズ取ルト云
フコトガ、普通常識カラ考ヘレバサウ
行カナケレバナラヌ筈デアリマスケレ
ドモ、其處ニ巧妙ニ勞働者ヲ操縱スル
腕ヲ持ッテ居リマス下請ノ請負師ナド
ハサウ云フ場合ニ妥協的ニ幾分カノ
金ヲヤッテ、ソレデ濟シテシマフベク手
段ヲ講ズルト云フヤウナコトモ想像ガ
出來ルノデアリマス、ソレデ成ベク出
來ルダケ信用ノアル、サウシテ信用ヲ
重ンゼンナラヌ立場ニ在ル者ガ、勞働
者トノ間ニ於テ直接ニ責任ヲ負フヤウ
ナコトニシテ置クコトガ必要ダト思
フ、例ヘバ東京ナラ東京ノ一流ノ請負
師ガ元請デアッテ、事實上ノ元請人或ハ
名義上ノ元請人デアッテ、サウシテ地方
ノ中流ノ請負師ガ其下請ニナル、サウ
シテ實際勞働者ヲ使フ、又其下請ヲシ
タト云フヤウナ場合ヲ想像致シマス
ト、ヤハリ結局ハ今ノ一流ノ請負人ノ
所ニ來テ取リ得ルモノデアリマシテ
モ、是ハ高見君カラ大分詳シク御話ヲ
申上ゲタヤウデアリマスガ、ソコマデ
行クニハ大變デアル、直接自分ノ關係
シテ居ル下請ノ所デハ中々話ガ纏ラヌ
ト云フヤウナ時ニ、中請ト申シマスカ
中請ニナッテ居ル人モ共同ニ聯帶シテ
責任ヲ負フト云フコトニナッテ居ルガ
ソコマデ行ッテ話ヲスレバ、其人ハ地方
ニ於ケル相當ナ人トシテ、サウ云フ者
ヲ胡麻化シテシマフ、或ハ引ッ張ルト云
フヤウナコトハ信用上出來ナイト云フ
立場ニ居ル、是ガ責任ノ衡ニ當ッテ居ラ
ヌト致シマスルト、ソレヂヤオ前ノ所
ノ親父ノ所ニ行ッテ話ス、斯ウ言ッテ擊
退スルコトガ出來ル、斯ウ云フ實際上
ノ立場カラ考ヘテ、ヤハリ關係シタ人
ガ皆責任ヲ負フヤウニシテ置ケバ宜イ
ヤウニ考ヘルノデアリマス、併シ此問
題モ大分昨日カラ押問答ガアッタノデ
アリマシテ、結局ハ意見ノ相違ニナル
カモ知レマセヌカラ、此程度デ止メマ
スガ、此御配布ノ參考書類ヲ見マスル
ト、國ガ直接ニ拂渡ス場合ヲ豫想サレ
テ居ル、扶助料ハ寧ロ國ガ直接ニ拂フ
ト云フコトヲ建前ニシテヤラレタナラ
バ、サウ云フ問題ハ起ラヌ、場合ニ依ッ
テハ國ガ直接拂フト云フ位ノ考デアレ
バ寧ロ國ガ直接ニ拂ッテヤッテハドウ
カト思フ、保險ヲシタ者ニ付テハ國ガ
直接ニ拂フト云フコトヲ原則ニシテ、
建前ニシテヤッタナラバ、サウ云フ心配
ハナイノヂヤナイカト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=5
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006・富田愛次郎
○富田政府委員 御承知ノヤウニ災害
扶助責任ト云フモノハ、工場法デモ鑛
業法デモ左樣デアリマスガ、勞働者其
者ヲ使ッタト云フ事由デ以テ、事業主ガ
負擔ヲスルト云フノガ、本來ノ建前ナ
ノデアリマス、隨ヒマシテ、保險ノナイ
限リハ、事業主ガ業務上傷害ノアッタ勞
働者ニ對シテ直接拂フト云フノガ建前
ナノデアリマス、法ノ建前ガサウナッテ
居ルノデアリマス、唯保險ノ場合ニ付
テ考ヘテ見マスルト、保險シナイ範圍
ニ於テハ、是ハ事業主ガ先キノ原則ニ
依リマシテ、直接ニ保險シテアリマス
以外ノ分ニ付テハ、直接ニ勞働者ニ拂
フノデアリマス、唯御說ノ點ハ保險ノ
アッタ分ニ對シテ直接勞働者ニ支拂ッタ
方ガ宜イヂヤナイカト云フ斯ウ云フ御
說ト考ヘマス、保險ノ方ハ段々御說明
致シテ居ルヤウニ、責任ノ保險ニナル
ノデアリマシテ、其事業主ガ持ッテ居リ
マス責任ヲ、國家ガ危險ノ分散、又扶助
ノ確實ト云フ譯デ、國家ガ補助シテ居
ルノデアリマス、隨ヒマシテ普通ノ保
險ト、社會保險ト稍、趣ガ違ッテ居ルノ
デアリマシテ、此建前ハソレガ事業上
ノ傷害、疾病デアリマス以上ハ、此事業
者ガ之ヲ直接ニ勞働者ニ支拂フノデア
リマス、サウシテ其支拂ッタモノニ對シ
テ國家ガ支拂フ積リデゴザイマス、隨
ヒマシテ原則トシテハ初ノ建前ノ通リ
ニ事業主ガ支拂ッテ、サウシテ國家ガ保
險シテ居ル部分ニ付テ後ニ國家ガ其分
ニ對シテ契約者ノ事業主ニ拂フ、斯ウ
云フ建前ニシテアルノデアリマシテ、
ソレデ差支ナイト思ヒマスガ、但シ是
ハ後ニ勅令デ決メル積リデアリマス
ガ、勞働者ニ對シテモ或ハ遲延シテ居
リマストカ、或ハ事業主ノ方カラ勞働
者ニ支拂ヒマセヌト云フヤウナコト
デ、勞働者ノ方ノ扶助ヲ貰ヒ受ケルコ
トノ確實デナイト國家ガ認メル場合ニ
於キマシテハ、國家ガ直接ニ勞働者ニ
支拂フ方法ヲ立テル積リデゴザイマシ
テ、事業主ガ先ニ拂フ、先ニ事業主ガ拂
ヘナカッタ場合ニ付キマシテハ、國ガ直
接ニ事業者ニ拂フト云フコトニ國ガ認
メマス結果、此法ノ目的ト云フモノハ
達スルコトガ出來ル、斯ウ考ヘテ居ル
次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=6
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007・東條貞
○東條委員 ソレカラ今一ツ高見君ノ
質問ニ付テ關聯シタコトデアリマスカ
ラ御尋致シマス、假ニ或ル請負業者ガ
十人ナリ二十人ナリノ常用ノ人夫、或
ハ常用ノ職人ト云フ者ヲ持ッテ居ル、
萬圓或ハ延人員一千人ト云フ制限ガア
リマス、其方ニ其者ヲ全部働カシテ居ツ
タ、所ガ平素カラ得意先ニシテ居リマ
ス所カラ、一寸斯ウ云フ仕事ガアルカ
ラヤッテ貰ヒタイト云フヤウナ話ガア
リマシテ、今日ハオ前何處其處ニ行ッテ
稼イデ來イト言ッテ、其行先デ以テ何カ
間違ノ爲ニ怪我ヲスル、斯ウ云フヤウ
ナ場合ニ、ソレガ一萬圓或ハ一千人ノ
制限ニ入ッテ居ラヌ證據デアリマスカ
ラ、業務上ノ權利トシテハ受ケルコト
ガ出來ナイ、是ハ大變不自然デアリマ
スソコデ十人以上使用スルト云フ條
項ガアリマスガ、ヤハリ土木建築請負
業ノ方ニモ之ヲ加ヘマスナラバ、高見
君ノ大變心配サレタコトガ解決ガ付ク
ト思ヒマス、十人ト云フ數ガ適當デア
ルカナイカト云フコトハ、別問題トシ
テ、之ニ付テノ御意見ヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=7
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008・富田愛次郎
○富田政府委員 此法案ハ御承知ノヤ
ウニ一定ノ規模ト危險ト云フ、此二ツ
ノ點カラ扶助ヲスルコトニ致シテ居ル
ノデアリマス、隨ヒマシテ危險ト云フ
コトト一定ノ例ヘバ一條ニアリマス動
力、火藥ヲ用ヒルト云フ場合ハ、其規模
ノ如何ヲ問ハズ、扶助スルコトニ相成ッ
テ居ルノデアリマス、然ラザル場合ハ
或ハ工事自體ノ大キサ、若クハ事業其
モノヽ人數ト云フコトデ、一定ノ制限
ヲ置イテ居ルノデアリマス、御說ノヤ
ウニ單純ナル筋カラ言ヒマスト、其規
模ヲ問ハズ、或ハ其事業ノ大キサヲ問
-ゝ、一般ニ適用スレバ或ハ宜イカモ
知レマセヌケレドモ、併シ是ハ現行工
場法ニ於テモ、十人以上ニ適用スルト
云フコトデ、總テ規模的ノ制限ヲ受ケ
ルコトニ相成ッテ居ルノデアリマス、工
事ノ場合ニ付キマシテモ、只今御話ノ
ヤウナ場合ニ於キマシテハ、成程適用
ハアリマセヌ一寸手傳ニ行ッテ其處デ
傷害ヲ受ケタト云フヤウナモノニ付テ
ハ適用ハアリマセヌガ、大體ノ建前ガ
假ニ一萬圓ナラ一萬圓トシマスト、
萬圓以上ノ工事ヲシマスナラバ、相當
大キナ工事デアッテ、危險モ多イデアラ
ウ、隨テ危險ノ多イ大キナ工事ト云ヒ
マシテモ、一萬圓ナリ一萬圓以上ノ工
事ニ付テ之ヲ適用スルコトガ、小サナ
モノデモ之ヲ適用スルト云フコトヨリ
モ一定ノ工事ト云フコトデ押ヘルコ
トガ、工事ノ規模ヲ押ヘル、工事ノ規模
ヲ押ヘルト云フコトニナリマスト→
定ノ所デ制限ヲ致スト云フコトハ、是
ハ已ムヲ得ナイノデハナイカ、ソレヲ
飽マデモ十人ト云フ事業ノ範圍デ以テ
押へ、又危險デアルナラバ、一定ノ危險
ノ仕事ヲシテ居ル者ニ對シテ適用スル
ト云フノデアリマシテ、本來ハ此法自
體ガ勞働者ノ總テニ適用スルモノデハ
ナクシテ、曩ニ御說明申シタヤウニ、
定ノ期限、規模ト云フコトヲ抑ヘテ、事
業全體ニ適用スル筋合ニナッテ居リマ
セヌカラ、其點ハサウ云フ筋合ノ立法
ニ相成ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=8
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009・東條貞
○東條委員 詰リ規模ヲ全然認メナイ
ノデハアリマセヌ、一方土石砂鑛ヲ採
取スル事業デ、土木建築的ノコトデ常
時十人以上ノ規模ヲ土木建築請負業ノ
仕事ニモヤハリ持ッテ來ラレタラバド
ウカト云フ話デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=9
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010・富田愛次郎
○富田政府委員 土木建築工事ニ付テ
ハ第一條ノ第二項ニ土木工事又ハ工作
物ノ建設ト云フコトデ、ソレハ其人ノ
使用シテ居ル人ノ數デハナク、工事自
體ガ危險ナルモノ、又建築自體ガ一定
ノ危險、若クハ大イサノモノデ、其工
事若クハ建築自體ニ付テ考ヘマシテ、
偶〓常時十人勞働者ヲ持ッテ居ル者ニ適
用スルノデハナク、其工事ニ適用スル
ト云フ建前ニシテアル結果サウナッテ
居ルノデアリマス、恐ラク御說ノヤウ
ナ大イサノ工事ニ適用シナイヤウナ場
合ニ障碍ヲ起シタ場合ニハ、所謂從來
ノ親分子分ノ關係ハ溫情主義ト言ヒマ
スカ、其使用者ハ其勞働者ヲ保護シテ
居ルノガ普通デアリマスカラ、本法ノ
適用ハ受ケマセヌガ、從來ノ溫情ニ依
ル扶助ヲ受ケルコトニ相成ラウト考ヘ
ご人発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=10
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011・東條貞
○東條委員 ソレカラ此責任保險法ノ
五條、六條、七條ノ場合ニ於テ、事業主
ガ惡意又ハ過失ニ依ッテ生ジタコトノ
爲ニ保險金ヲ支拂ハヌトナルト、足ノ
保險ノ方カラ言ヘバ斯ウ行カナケレバ
ナラヌト思フガ、若シ此責任ヲ負フテ
居ル者ガ斯樣ナ場合デモ扶助ヲ實際ニ
出來レバ宜イノデアリマスガ、若シ資
力ガ十分デナク、或ハ其工事ニ損ヲシ
タ爲ニ扶助ガ出來ナイト云フコトニナ
ルト、遂ニ扶助ガ受ケラレナイト云フ
結果ニナル、又此頂戴シタ參考資料ニ
依ルト、勞働者ノ重大ナル過失ニ依ル
場合ハ扶助ヲシナイデ宜イト勅令ニ規
定サレル御方針ノヤウデアリマス、是
等ハ故意ノ場合ハ仕方ガナイガ、重大
ナル過失ハ一寸常識デ考ヘラレナイ事
實ガ偶〓アリマス、是ハ私ガ實驗シタ話
デアリマスガ、室蘭ノ日本製鋼所建設
ノ爲ニ「ラツパ」山ト云フ大キナ山ヲ火
藥デ爆發シテ壞シテ埋立テヲスル工事
ガ、丁度十二月ノ寒イ時デドン〓〓火
ヲ焚イテ居ッテ「ダイナマイト」ヲ使ッテ
山ヲ崩スノデスガ、其「ダイナマイト」
ガ凍ッテシマッテ溶サナイト爆發シナ
1、ソレデ石油鑵ニ穴ヲ明ケテ針金ヲ
二本中途ニ置イテ、下ニ水ヲ入レテ其
針金ノ上ニ「ダイナマイト」ヲ竝ベテ火
ヲ焚イテ居ル所ヘ掛ケテ溶カス、旣
其事ガ吾々カラ考ヘルト非常ニ危險ナ
コトデアリマス、ケレドモソレヲ一向
不思議ニシナイデヤッテ居ルノデアリ
マスガ、滅多ニソレガ爲ニ傷害ヲ生ズ
ルヤウナコトハナイ、所ガ或時、丁度
煙草休ミノ時ニ一寸注意ヲ怠ッタ爲ニ、
其湯ガ段々ト蒸發シテナクナッタ、サウ
シテ鑵ガ燒ケ、針金ガ燒ケマシタ爲ニ
爆發シタ、サウシテ周圍ニ約二十人バ
カリノ者ガアタッテ居ッタガ、其中ノ一
人ハ全然影モ姿モナクナリ、三人バカ
リ死ニ、怪我ヲシタ者モ澤山アリマス
斯ウ云フヤウナコトナドモ一寸考ヘル
ト、是ハ重犬ナル過失ト言ッテ宜イ、又
ソンナ「ダイナマイト」ヲ使フ者ハ腹掛
ノ丼ノ中ニ「ダイナマイト」ト釘ナドヲ
一緒ニ入レテ居ルガ、ソンナコトヲ一
向危險ト思ハナイ、普通ノ常識カラ考
ヘルトアンナ爆發物ヲソンナ扱方ヲス
カノハ實ニ重大ナル過失ト謂ハナケ
レバナラヌ、扶助料ガ貰ヒタイ爲ニ怪
我ヲスルト云フコトガ絕對ニナイトハ
言ヘマセヌ、其重大ナル過失ト云フコ
トハ、考ヘル人ノ頭ノ程度ニ依ッテ大變
ニ標準ガ違フ、殊ニ危險ナ仕事ヲスル
或ハ爆發物ヲ使フトカ、或ハ暗イ所デ
仕事ヲスルト云フヤウナ、危險ナル仕
事ヲスル人ハ、ソレヲ危險ト考ヘテハ
仕事ハ出來ナイ、普通ノ人カラ申セバ
十分注意シテヤラナケレバナラヌト思
フヤウナモノヲ危險ト考ヘズ、何等ノ
注意モセズ平氣デヤルノデ怪我ヲスル
コトガ出來ル、斯ウ云フ點カラ考ヘル
ト、重大ナル過失デアルヤ否ヤト云フコ
トヲ判斷スルノハ、結局相當常識ヲ備
ヘタ人ガ判斷スルコトニナルノデアリ
マセウガ、サウ云フ人ノ頭カラ考ヘタ
重大ナル過失ト云フコトガ、必ズシモ
勞働者ノ立場カラ言ヘバ、重大ナル過
失トハ言ヘナイ、寧ロ斯ウ云フ條項ハ
設ケラレナイ方ガ實際ニ適合スルノデ
ハナイカト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=11
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012・富田愛次郎
○富田政府委員 先ノ第一ノ點デアリ
マスガ、是ハ事業主ノ扶助責任保險ヲ
取リマシタ以上、工事請負デアルト、
工事ノ額百萬圓ナラバ百萬圓ヲ基礎ト
シテ保險料ヲ納メルノデアリマス、隨
テ工事費ヲ五十萬圓ト僞リ、保險料ヲ
半額ヨリ納メナカッタト云フヤウナ場
合ニ付テハ、是ハドウモ保險經濟ヲ維
持シナケレバナリマセヌカラ、其保險
料算定ノ基礎タル重要ナル事實ヲ告知
シナカッタナラバ、保險ヲスル性質上サ
ウ云フ場合ニ付テハ政府ガ保險料ノ全
部、一部ヲ支拂ハナイト云フコトハ、
保險ノ建前ヲ採ッタ以上已ムヲ得ナイ
ト思ヒマス、但シ運用ノ場合ニ當ッテ
ハ、ソレガ爲ニ勞働者ガ扶助ヲ受ケ得
ナイト云フコトニナッテハ、保險ノ結果
勞働者ノ保護ガ十分出來ナイト云フヤ
ウナコトガ出來致サナイトモ限リマセ
ヌカラ、保險ノ建前カラ已ムヲ得ナイ
コトデハアリマスガ、勞働者ノ扶助保
護ト云フコトニ付テハ實行上十分ナル
注意ヲ要スルコトヽ考ヘマスガ、此五
條ノ趣旨ハサウ云フ譯デ保險經濟ヲ十
分ニスル爲ニハ不實ノ申〓ヲシタ場
合ニ警戒ヲスルト云フ意味合ニ外ナラ
ナイノデアリマス
第二ノ重大ナル過失ガ事實問題トシ
テハ非常ニ困難デアルト云フ御話デア
リマスガ、是ハ御尤ナコトデアリマシ
テ、果シテ重大ナル過失アリヤ否ヤト
云フコトヲ事實ニ於テ認定スルコト
ハ可ナリムヅカシイコトヽ考ヘマス
單純ナ法律論ト致シマシテハ果シテ重
大ナル過失アリヤ否ヤト云フコトハ
裁判所ニ行カナケレバ決定シナイコト
ニナッテ居ルノデアリマスガ、ソコハ法
ノ運用デアリマスカラ、果シテ重大ナ
ル過失アリヤ否ヤト云フコトハ是ガ
認定ノ上ニ付テ十分ニ注意ヲ致ス積リ
デアリマスケレドモ、是モ保險デアリ
マス爲ニ、保險契約者トカ保險金受取
人ニヤハリ災害豫防ト云フコトニ付テ
十分注意ヲ促ス、隨テ成ベク勞働者ニ
モ障害ガ起ラヌヤウニ、未然ニソレヲ
防グコトガ必要デアルト云フ考デ實ハ
七條ガ置イテアルノデアリマシテ、故
意過失ノアッタ場合ニ成ベク支拂ハヌ
ト云フ趣旨ヨリモ、實ハ之ヲ豫防スル
ヤウニ致シタイト云フノガ本來ノ肚ナ
ノデアリマス、隨ヒマシテ重大ナル過
失ト云フ言葉ハ民法其他ノ法典ニモ澤
山アルノデアリマスガ、事實問題トシ
テハ困難デアルト致シマシテモ、ソレ
ガ問題トナッタ場合ニハ裁判所デ決定
スルヨリ致方ガナイ問題デアラウト思
ヒマスガ、要ハ事業主、保險契約者ニ十
分注意ヲ致サセタイト云フ趣旨ニ外ナ
ラナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=12
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013・東條貞
○東條委員 重大ナル過失ニ付テ私ノ
伺ヒマシタノハ、保險ノ方デナク、扶助
法施行命令ニ規定スベキ重要事項腹案
トシテ御示ニナリマシタ中ニ、重大ナ
ル過失ノアッタ場合ニハ障害扶助料ヲ
支給スルコトヲ要セザルコトヽアリマ
ス、卽チ勞働者ニ重大ナル過失ガアッタ
場合ニハ保險料ハヤラヌ、斯ウ云フコ
トヲ、施行命令ニ規定スベキ重要事項
腹案トシテ御示ニナッテ居リマスガ、是
ハ過失デアッテモ何デアッテモ、扶助料
ヲ與ヘラレタ場合ニハ必ズ保險金ヲ支
給スルト云フコトニシタ方ガ宜イト思
フガ如何デアルカ、斯ウ云フ意味ノ質
問デアッタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=13
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014・富田愛次郎
○富田政府委員 趣旨ハ先程申シマシ
タ通リデアリマスガ、斯樣ナ故意又ハ
過失ニ依ル場合ニ全部又ハ一部ヲ支拂
ハナイト云フコトハ、他ノ法制ニモア
ルノデアリマシテ、例ヘバ之ト同ジヤ
ウナ性質ヲ持ツ工場法施行令ト云フノ
ガアリマスガ、ソレニモヤハリ同ジヤ
ウナ趣旨ヲ以チマシテ、聯工ガ重大ナ
ル過失ニ依ッテ負傷シ、又ハ疾病ニ罹ツ
タト云フ場合ニ於テハ、工場法關係ニ
於テモ扶助ヲシナイト云フヤウニ、他
ノ法制デモサウナッテ居ルノデアリマ
シテ、此案ダケ特ニ勞働者ニ苛酷デア
ルトモ考ヘナイ次第デアリマス、先程
申シマシタ豫防警戒ガ主タル目的デア
リマスカラ、本法ノ適用ヲ受ケテ事實
扶助ヲ受ケナイト云フ場合ハ極メテ少
イデアラウト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=14
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015・東條貞
○東條委員 ソレカラ同ジク參考資料
ノ勞働者災害扶助法施行命令ニ規定ス
ベキ重要事項腹案ノ二ノ三ニ、「障害扶
助料ハ大體工場法ノ額ヲ標準トシ機能
障害ノ種類及程度ニ依リ細分スルコ
トレトアリマスガ、是ハ結局事實問題
トシテハ醫者カ何カノ診斷ニ依ッテ決
マルコトニナルデアラウト思ヒマス
ガ是ハドウ云フ方法ヲ以テ決定サレ
ルノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=15
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016・富田愛次郎
○富田政府委員 工場法ニ於キマシテ
モ障害ノ程度ト云フモノハ終身自由ヲ
辨ズルコト能ハザル云々ノ以下列擧シ
テアリマスノデ、大體障害扶助料ト云
フモノヽ額ハ此範圍內デ行ッテ行ク積
リデアリマスガ、事實ハ工場法ノ障害
ノ分別及ビ賃銀ノ支給額ニ付テハ、御
手許ニ行ッテ居ルヤウナ分類ニ依ッテヤ
ヲテ居ルノデアリマス、之ヲ實際上施行
スルニ當リマシテハ行政上身體障害ノ
程度ヲ色々ニ分ケマシテ取扱ッテ居ル
ノデアリマス、例ヘバ眼ニシテモ一カ
ラ一五マデモ區分致シマシテ、精細ニ
分類シテ居ルノデアリマス、ソシテソ
レガ何號ニ該當スルカヲ規定シテ居ル
ノデアリマス、耳ニシテモ、鼻、口精
神、神經頭、胸腹部、上肢、下肢其他
各場合ノ併合シタ場合ト云フヤウニ實
際上ノ行政執行トシテハ細分シテ行ツ
テ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ本法
ノ運用ニ付キマシテモ餘リ繁雜ニナラ
ズ、簡易ニ判定ガ出來ルヤウニ大體ノ
標準ハ之ガ施行ニ當リマシテ分類スル
積リデ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=16
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017・東條貞
○東條委員 サウ云フヤウナ標準ヲ定
メラレテ、ドレガ此標準ニ相當スルカ
ト云フコトハ結局醫者ガ診斷ヲスルコ
トヽ思ヒマスガ、ソレハドウ云フヤウ
ナ醫者ヲシテ取扱ハシムルノデアリマ
スカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=17
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018・富田愛次郎
○富田政府委員 ドレニ該當スルカノ
判定ハ地方ノ醫者ニ賴ム積リデアリマ
スガ、果シテ其判定ガ妥當ナリヤ否ヤ
ハ地方ニハ各府縣廳ニソレ〓〓取扱者
ガ居ルノデアリマスカラ、醫者ノ判斷
ヲ基礎トシテ更ニ行政上ノ監督者ガ其
障害ガ何號ニ該當スルカヲ判定スルコ
トニ致シタイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=18
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019・東條貞
○東條委員 此問題ハ實際問題トシテ
必ズ起ルコトヽ思ヒマスガ、一人ヤ二
人ノ場合デハナイ、比較的ニ小サナ工
場デ而モ病人ガ餘リ資力モ多クナイ、
サウシテ非常ニ災害ガ重カッタト云フ
ヤウナ場合ニ、成ベク之ヲ少ク支拂フ
コトニシタイト云フヤウナ考カラ、始
終出入シテ居リマス醫者ニ對シテ賴ン
デ輕ク書イテ貰フコトガ實際ニハ有リ
勝ヂヤナイカト思ハレマス、サウ云フ
ヤウナ場合ニ於テ若シ勞働者ガソレニ
服シナイ場合ニ、勞働者自身デ選定シ
タ醫者ニ見テ貰フ或ハソコニ何等カ
救濟スル方法ガナケレバナラヌト考ヘ
マスガ、ソレハドウ云フ風ニナリマス
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=19
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020・富田愛次郎
○富田政府委員 傷害扶助料ニ付テハ
事重大デアリマシテ、澤山ノ保險金ヲ
要スルコトガ多イノデアリマスカラ、
御話ノヤウナ支拂額ヲ少クシヨウト云
フヤウナコトハ、保險ニ依ッテ之ヲ負フ
ト云フコトニ致シマスト云フト、大シ
テ心配ハナカラウト思フノデアリマ
ス、ドウシテモ其支拂ノ點ニ於テ、又
認定ノ點ニ於テ、結局異存ガアルト云
フコトニナレバ、結局ハ裁判所ニ行カ
ナケレバナラヌト云フコトニ相成ルト
思フノデアリマスガ、現在工場法、鑛
業法等ニ於テ此規定ガアリマスケレド
モ左程困難ナク、裁判ニ付シタト云
フヤウナコトハ、絕對ニナイノデハア
リマセヌガ、圓滑ニ行ハレテ居ルノデ
アリマス、今度ハ殊ニ保險ヲ併用致ス
コトニ致シマシタカラ、裁判所ニ行ク
ト云フヤウナコトモ左程多カラズシテ
圓滿ニ運用ガ行クデアラウト考ヘル次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=20
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021・東條貞
○東條委員 ソレカラ此扶助ナリ或ハ
保險ナリニ關シマスル事務ハドウ云フ
ヤウナ風ノ手續ニナリマセウカ、詰リ
假ニ保險ナラ保險ノ建前カラ行キマス
ト云フト、支拂ヲシタト云フコトガアッ
テ、サウシテソレヲ補塡スルト云フ意
味ニ於テ保險金ヲ支拂フト云フコトニ
ナルノデアリマスルケレドモ、實際ニ
於キマシテハヤハリ勞働者ナドハ成ベ
ク速ニ扶助料ガ手ニ入ラネバナラナ
イ、ソレカラ又災害ノ程度等ニ依リマ
シテ相當大キナ場合ナドハ小サナ請負
人ナドハ實際ニ資金ノ運轉ノ上ニ於テ
モ非常ニ窮スル場合等モアルノデ、保
險金ノ支拂ト云フモノハ迅速ニ行ハナ
ケレバ結局ソレガ勞働者ニモ影響ス
ル詰リ直グ拂ッテヤラナケレバナラヌ
ノデアルガ、今親方ノ所ニ金ガナイノ
デアルカラ、オ前等ハ之ニ判ヲ捺シテ
受取書ヲ出セ、サウシタラ金ヲ貰ッテヤ
ラウト云フコトガ實際ニハ少カラズ生
ジテ來ルコトガアルノデ、サウ云フ場
合ニヤハリ保險金ガ遲レテ、結局勞働
者ノ手ニ入ルノモ遲レルコトニナリマ
スルガ、其事務ハドウ云フ組織デ御扱
ヒニナルノデアリマスカ、ソレヲ一寸
承リタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=21
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022・富田愛次郎
○富田政府委員 保險組織ノ御尋デゴ
ザイマスガ、保險組織ハ地方ニ於テハ
工場課ト云フモノガアリマス、府縣知
事ノ監督ノ下ニアル一課デアリマス
ガソコハ從來ノ工場法等ノ仕事ヲシ
テ居リマス、又保安課デヤッテ居ル所モ
アリマスガ、要スルニ地方官廳ノ工場
課ナリ保安課ト云フヤウナモノガ致シ
テ居リマス、隨テ實際調査スルト云フ
ヤウナコトハ、警察署ヲ通ジテ警察官
ノ手デ致サナケレバナラヌト云フ場合
ガ多イト思ヒマス、中央ハ內務省ノ社
會局デ中央ノ仕事ヲ致シタイト思ッテ
居リマス、隨ヒマシテ先ノ御話ノヤウ
ナ場合ニ於キマシテハ、事故ガ起リマ
スレバ此法ノ建前ト致シマシテハ事業
主ガ直接ニ保險ガアルトナイトヲ問ハ
ズ、一應支拂ハナケレバナラヌ關係ニ
相成ッテ居ルノデアリマス、ソレヲ支拂
ッタカ、支拂ハヌカト云フヤウナコト
ハ、地方ノ監督官廳ニ十分監督致サセ
ル積リデアリマス、サウシテソレハ保
險ニ關シマスル限リハ一應事業主ガ支
拂ヒマシタモノガ、保險ニ關スル限リ
ハ地方ノ工場課ニ出テ參ルノデアリマ
ス、工場課デハ果シテ此請求ガ適當ナ
リヤ、或ハ又法ニ適ヲテ居ルカドウカト
云フヤウナコトヲ地方廳デ取調ベマシ
テ、之ヲ內務省ニ申達シテ參リマスル
ト內務省デハソレヲ一應審査ヲ致シ
マシテ、地方ノ審査官ガ適當デアルト
致シマスレバ、其保險金ヲ事業主ニ支
拂フト云フヤウナコトニ依ッテ行キタ
イト思フノデアリマス、御話ノヤウニ
勞働者ガ泣寢入ニナリ、十分ノ權利ヲ
行ヘナイト云フヤウナコトハ、此法ガ
ナイ場合ニ於テハ全ク溫情ニ依ッテ行
ハレテ居ッタノデアリマスガ、此法律ガ
施行サレテ、從來ノ溫情主義デナク、
勞働者モ又權利トシテ此扶助料ヲ請求
スルコトガ出來ルト云フコトニ相成ッ
テ參リマスルト、段々トサウ云フ泣寢
入ニ終ルコトハナクシテ、請求シテ扶
助ノ重大ナル給與ヲ受ケルコトガ出來
ルト考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=22
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023・東條貞
○東條委員 ソレカラ第七條ニハ事業
主ガ扶助ヲシナカッタ場合ニ罰則ガ設
ケラレテ居ル、實際ニ此小サナ請負人
ナンカト云フモノハ隨分如何ハシイ者
ガアリマス、中ニハ餘リ信用ト云フコ
トヲ重ンジナイモノガ大部分アル、結
局是ハ扶助トカ、ソレニ對スル責任保
險ト云フヤウナ問題デナク、モウ一步
大キナ所カラ、個人ノ事業ハ致方ナイ
トシマシテモ、國或ハ公共團體等ノ請
負事業ト云フモノニハ、餘程〓究ノ餘
地ガアルト思フ、是ハ問題外デアリマ
スカラ差控ヘマスガ、殆ド身體一ツ同
樣デ工事ヲ入札シテ、落札ヲ致シテカ
ラ此仕事ヲヤルノダカラト言ッテ、資金
ヲ借リテ人夫ヲ集メテ仕事ニ掛ルト云
フ者ガ澤山アル、何十萬ト云フ大キナ
仕事ニハ資格條件ナドデ撥ネラレルコ
トモアリマスケレドモ、先ヅ一萬圓程
度ノ小サナノヲ取ル人ニ多イ、仕事ノ
小サイ割合ニ災害ガ大キイト云フヤウ
ナ場合ニハ、今ノ扶助ヲシナイデ放ッタ
ラカシテ置イタ方ガ、却テ得ダト云フ
ヤウナ考カラ扶助ヲシナイヤウナモノ
ガ假ニアリト致シマスト、其場合ニ於
テ扶助ニ要スル金額ト、ソレカラ科料
トノ關係ガアリマスルガ、罰金等ノ關
係ニナルノデアリマス、斯ウ云フ場合
ニ體刑ヲ用ユルコトハ出來ナイデアリ
マセウケレドモ、此千圓ト云フノハ少
ナ過ギハシナイカト思ヒマスガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=23
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024・富田愛次郎
○富田政府委員 只今ノ御尋ハ二ツア
リマスガ、一ツハ實際請負者ニシテ現
實ニ資力ハ無クトモ、事實上請負ヲス
ル場合ガアル、サウ云フ場合ニハ資力
ガ無クテ十分ナル勞働者ノ保護ヲスル
コトガ出來ナイデハナイカト云フ問題
ト、千圓ノ罰金ハ少額デハナイカト云
フ問題ニナルト思ヒマス、假ニ其人ハ
借金ヲシナケレバ仕事ガ事實上出來得
ナイ、詰リ債務ノ方ガ多イ事業主デア
リマシテモ、玆ニ所謂資力ト申シマス
ルノハ勞力財產ハ無論ノコト、其人ノ
信用力ニ依ッテシテモ尙ホ支拂ハヌ場
合ト云フ風ニ解釋ガ司法省トモ話ガ付
イテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ假
ニ其人ガ現金財產ハ持チマセヌデモ、
其人ノ信用力ニ依ッテ他カラ融通力ガ
アルニ拘ラズ支拂ハナカッタト云フ場
合ニ於テハ、ヤハリ此七條ノ適用ヲ受
ケマシテ、「資力アルニ拘ラズ扶助ヲ爲
サヾルトキ」ニ該當スルコトニナッテ參
ルノデアリマス、次ニ千圓以下ノ罰金
ハ少額ニ過ギハシナイカト云フノデア
リマスガ、是ハ程度ノ問題ニ相成リマ
ス、マア是位ノ罰金デアリマシタナラ
バ、罰金トシテノ目的ヲ達スルノニ差
支ナカラウト云フノデ、規定ニ相成ッテ
居ル譯デアリマス、別ニ絕對的ニ是デ
ナケレバナラヌト云フ程ノモノデハナ
クシテ、程度問題デアルト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=24
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025・東條貞
○東條委員 ソレカラ保險料作成ノ基
礎ニ付テ御說明ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=25
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026・富田愛次郎
○富田政府委員 數字ノ細カイコトニ
ナリマスカラ、說明員カラ數字ヲ詳シ
ク申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=26
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027・北岡壽逸
○北岡社會局書記官 保險料ニ付キマ
シテハ從來土木建築請負業及ビ其他本
法ヲ適用ニナリマスル事業ニ付キマシ
テ災害統計ヲ作リマシテ、其中デ
番先ヅ信用ガ出來ル統計ニ間違ガア、ル
マイト云フヤウナ統計ヲ纒メマシテ、
集計致シマシテ災害ノ率ヲ出サセル、
其率ヲ出シタ表ハ御手許ニ差上ゲテ居
リマスカラ御覽ヲ顧ヒタイト思ヒマ
ス、ソレニ依リマシテ數字ガ出マスガ、
併ナガラ土木建築業ト云フモノハ現在
扶助ヲ法律デ强制致シテ居リマセヌカ
ラ、屆出ヲ致シマシテモ十分デナイト
思ハレマスノデ、相當ノ安全率ヲ見マ
シテ、保險料率ヲ計算シタノデアリマ
ス尙ホ其他ノ積立金モ多少入ルノデ
アリマスシ、又本法ニ於キマシテハ事
務費モ保險料ノ負擔ト云フコトニナツ
テ居リマスカラソレモ保險料ノ約一
割ト云フコトニシテ加算致シテ御手許
ニ差上ゲタヤウナ保險料ニナッテ居リ
やっ、保險料ノ基礎ハ一應ハ勞働者一
人一日當リドノ位掛ルカト云フコトニ
シテ出シテ居ルノデアリマス、ソレヲ
更ニ工事費用ニ當テレバドノ位ニナル
カト云フヤウニシテ、兩方御手許ニ差
上ゲテアリマスルガ、一寸一ツ實例ヲ
申シマスルト、土木建築工事ニ於テ一
番危險ノ多イノハ「トンネル」デアリマ
シテ、其「トンネル」ニ付キマシテハ一
人一日當リ五錢位ニナッテ居リマス、之
ヲ工事費用ニ割當テマスノデ一萬圓ニ
付テ九十八圓、ザット百分ノ一ニナッテ居
リマス、ソレカラ建築ニ付テ申上ゲマ
スト、一日一人當リ二錢七厘位、サウ
シテ工事費ニ割當テマスト一萬圓ニ
付キ二十一圓、卽チ千分ノ二强ト云フ
コトニナッテ居リマス、尤モ是ハ工事ノ
分類ニ付キマシテ之ガ確定シタモノデ
アリマセヌカラ、多少變ルカモ知レマ
セヌガ、大體ノ見當ハ其邊デ先ヅ間違
ナイト御諒承ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=27
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028・東條貞
○東條委員 從來ノ災害統計ヲ基礎ト
シタト云フコトデアリマシタガ、此災
害統計ノ資料ハ、ドウ云フ資料ヲ御集
メニナッタノデスカ、何カ的確ナ據ロノ
アルヤウナ資料ガアリマシタノデス
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=28
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029・北岡壽逸
○北岡社會局書記官 土木建築請負業
ニ付キマシテハ全國土木建築請負業
聯合會ト云フモノガゴザイマスカラ、
其會員ノ方々ニ賴ミマシテ、相當統計
ノ確實ト思ハレルモノカラ、出來ルダ
ケ廣ク統計ヲ取ッタノデアリマス、ソレ
以外ノモノニ付キマシテハ、府縣廳ヲ
通ジマシテ、ズット樣式ヲ配リマシテ、
災害統計ヲ戴イテ、其中デ當テニナラ
ヌモノハ捨テマシテ、信用ノ出來ル確
實ノ記錄ニ依ッテヤッタト認メラレルモ
ノニ付キマシテ、集計ヲ致シタノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=29
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030・東條貞
○東條委員 段々工事方法ガ進ンデ參
リマシテ、機械ヲ使フコトガ多クナリ、
變ッタ動力ヲ使フヤウニナリ、建築ニ於
テモ高層建築ガ多クナルニ從ッテ、從來
集メタ統計資料デ今後實行シマスニ付
テハ相當其處ニ安全率ヲ見ナケレバ
ナラヌ譯ニナリマスガ、安全率ハ一體
ドノ位見テ居リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=30
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031・富田愛次郎
○富田政府委員 大體安全率ハ七十
〓パーセント」見テ居リマス、ソレカラ
此際申上ゲテ置キタイト思ヒマスガ、
御話ノ危險率ト云フモノモ、高層建築
ガ段々出テ來テ、機械力ヲ用ヰルヤウ
ニナリマスト、危險率モ自然動イテ來
ルト考ヘマス、サウ云フ場合ニハ前
ニ申上ゲマスヤウニ、此保險ハ責任保
險デアリマスカラー責任ヲ保險シテ
居ル事業主ノ保險デアリマス、隨ッテ國
家ガ之ヲヤルノデアリマセヌカラ、
應取リマシタ保險料デモ、若シ危險ガ
割合ニ減ズルト云フコトニナッテ、保險
料ガ餘ルト云フ場合ニハ保險料率ヲ引
下ゲマシテ、事業主ニ還付スル積リデ
アリマス、之ニ反シマシテ危險率ガ增
シテ來ル、隨テ從來ノ保險料デハ保險
經濟ガ保テナイト云フ場合ニハ、保險
料ヲ引上ゲマシテ、保險經濟ノ「パラ
ンス」ヲ取ルヤウニ致シタイト考ヘテ
居リマス、要ハ普通ノ保險ノヤウニ、
必ズ取ッタナラバ、其保險料デ屹度維持
シナケレバナラヌト云フヤウナ建前ニ
ハシナイ積リデアリマス、ト申シマス
ノハ、此保險ガ本來事業主ガ負擔スベ
キ扶助責任デアリマシテ、ソレヲ國家
ガ安全ヲ期スル爲ニ保險スルノデアリ
マスカラ、隨テ國家ハ唯事業主ノ責任
ヲ保險スルダケデアリマシテ、殘金ヲ
生ジタ場合、不足ヲ生ジタ場合、何レ
モ事業主ノ責任ニ於テ保險ヲ致シタ
イ、斯ウ考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=31
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032・東條貞
○東條委員 最前ノ御說明デ見マス
ト此法律ヲ實施スルニ當リマシテハ
地方廳ヲ通ジテヤラセルト云フコトデ
アリマスルガ、サウ致シマスト、場所
ニ依テハ警察ノ事務ガ相當殖エテ來ル
ト思フノデアリマス、是等ノ地方費ニ
對シテ、今一部ノ事務費ヲヤリタイト
云フコトデアリマスルガ、地方カラ幾
ラカ交付金デモヤラレルトカ、何トカ
云フヤウナコトニナリマセウカ、唯地
方自治體ノ方ニ對シテハ別ニ費用ハヤ
ラナイデ、仕事ダケナセルト云フコト
ニナルノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=32
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033・富田愛次郎
○富田政府委員 地方費ノ負擔ニ付キ
マシテハ、玆ニ提案ニナッテ居リマス特
別會計法ガ出マシタコトデアリマスカ
ラ、其特別會計法ニ依ッテ、地方ニモ事
務ノ繁閑ニ依リマシテ、一定ノ人ト
事務費ハ適當ニ地方廳ニ配置スルヤウ
ニ致シタイト思ッテ居リマス、大體ハ全
體ノ保險業ノ內事務費ト見込ンデ居リ
マスノハ、約一割ヲ事務費ニ見積ッテ居
ルノデアリマシテ、其一割ノ事務費ハ
極ク切詰メテヤル積リデアリマスガ、
地方ニ於テモ共事務ノ繁閑ニ依ッテ多
少ノ事務費ト人トヲ一割ノ範圍內デ配
置シヨウ、斯ウ考ヘテ居ル次第デアリ
PV·隨テ國ノ事務トシテ居リマスカ
ラ、地方ノ自治體ニハ負擔ヲ掛ケナイ
考デヤル積リデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=33
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034・東條貞
○東條委員 是ハ根本問題デ、又扶助
責任ト云フモノガ結局事業主ノ負擔ニ
ナル形ニナッテ居リマスケレドモ、漸次
進メルト勞働者ニ轉嫁サレルノデハナ
イカト云フコトガ問題ニナッテ、此藤原
君カラモ質問ガアリマシタ、是ハ實際
問題トシテハドウシテモ結局ハ勞働者
ニ轉嫁サレルコトニナルノデアリマ
スサウサセナイ爲ニハドウ云フコト
ニナルカト云フト、國其他公共團體等
デヤル請負制度ト云フモノヲモウ少シ
改善ヲ致サナケレバ、ドウシテモ、唯
此扶助ノ費用ドコロノ話デハナイ、詰
リ工事ヲ請負フ者ガ、最前モ申上ゲタ
ヤウニ、場合ニ依ッテハ利害モ前ニシテ
兎モ角仕事ニ有付イテ居ナケレバ食フ
コトガ出來ナイト云フ上カラ、缺損ヲ
豫想シテ仕事ヲ取ル、サウシテ資本家
ヲ倒シ、勞働者ヲ倒スト云フヤウニヤ
ッテ居ル、斯ウ云フ不確實ナ請負人ハ少
クトモ國及ビ公共〓體ノ工事ヲ請負フ
所ノ資格ガナイト云フコトニナッテ行
キマセヌケレバ、ドウシテモ扶助ノ責
任ハ結局勞働者ニ轉嫁サレルコトニナ
ル、之ニ付テハ社會局ノ關係デハアリ
マセヌガ、餘程攻究ヲ要スルト思ヒマ
スカラ、內務省トシテ斯ウ云フ點ニ付
テ何カ御〓究ナリ、御調査ナリノ腹案
ヲ現ニ御立テニナッテ居ラヌトスレバ、
御立テニナルコトガ必要デハアルマイ
カト思フ、又社會局トシテハ勞働者ヲ
保護スル上カラ、此請負制度ノ根本ニ
對シテ適當ナ立案ヲサレテ、關係當局
ヲ動カシテヤラレルコトガ必要デアラ
ウト思フ、具體的ノ例ヲ申上ゲレバ、
鐵道ノ工事等ハ比較的ニ單價ハ與ヘテ
居ル、サウシテ鐵道省ノ方針ガ何シロ
アヽ云フ人ノ生命ニ關スル工事デアル
カラ、仕事ノ監督ヲ嚴重ニシテ、サウ
シテ十分ニ仕事ヲサセル、其代リニ單
價ハ相當ニ與ヘルト云フ方針デ指名入
札ヲサレテ居リマスガ、昨今大分事業
者ガ多クナッテ、世ノ中ガ不景氣ニナツ
タカラ、此方ニモ相當無理ナ請負ヲス
ル人ガ出來テ、隨テ多少ノ弊害ガアル
ト云フ話ヲ聞イテ居リマスガ、其他ノ
官廳、公共團體ハ法規ニ依ッテ公入札ノ
方法ガ規定サレテ居リマスガ、之ニ依
リマスト、或ル一定ノ資格ヲ備ヘテ、
書類ヲ出セバ何人デモ入札ガ出來ル、
其人ノ請負工事ノ歷史ニ於テ、勞働者
ニ對シテドウ云フ取扱ヲシ、ドンナコ
トヲシテ居リマシテモ、ソンナコトハ
其人ノ品位ヲ傷ケナイ、稅金ヲ納メテ
居ルトカ、何ボ以上ノ工事ヲヤッテ居
ルト云フコトガ必要デアル、勞働者ノ
關係、或ハ資本家ヲ倒シタトカナント
カ、ソンナコトハ問題ニナラヌ、ソレ
デアリマスカラ、無理ニ仕事ヲ取ッテ、
結局勞働者虐メヲヤルト云フコトニナ
ル此問題ハ社會局トシテハ十分御〓
究ニナッテ、適當ナ案ヲ御作リニナッテ、
御主管デナクトモ勞働者ノ爲ニ進ンデ
積極的ニ內務省ヲ動カシテ、何トカ解
決策ヲ講ジナケレバナラヌコトヽ思フ
ノデアリマス、此點ニ付テ何カ御話ガ
アリマシタナラバ、此場合御伺致シタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=34
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035・富田愛次郎
○富田政府委員 請負制度ノ改正ト申
シマスカ、適當ナ監督ト言ヒマスカ、
左樣ナ必要ガアルト云フ御說ハ御尤ト
思ヒマス、自分等ノ事務ヲ致シテ居ル
實際カラ申シマスト、國、公共〓體ニ
請負ハス場合ニ於キマシテハ、請負人
ニ致シマシテモ、可ナリ身許ガ喧シイ
ノデアリマス、又餘リ安ク請負ヒ過ギ
テ、却テ勞働賃銀ヲ支拂ヘナイヤウニ
ナルト云フノデナク、落札ノ最低價額
マデキメテ居ルコトデアリマスカラ、
比較的弊害ガ少イト思ヒマス、唯純然
タル私ノ事業ニ付テハ、御話ノヤウニ
勞働保護ノ上ニ於テ從來ノ請負方カラ
言ヒマスト、可ナリ弊害ガアルト云フ
コトハ吾々モ聞及ンデ居リマス、隨ヒ
マシテ、是等ノ弊害ニ對シマシテ今ド
ウ云フ對策ヲ持ッテ居ルカト云フ御尋
デアリマスガ、今請負制度ニ付テノ考
くわ、方法ニ付テ具體的ナ案ハマダ持
合セテ居リマセヌ、唯御承知ノヤウニ、
地方デハ土木建築何カハ取締ノ規定ガ
アリマシテ、土木建築業者ニ於テモ組
合等ヲ組織シテ、自分等自體トシテモ
從來ノ親分子分ノ關係デハ行ッテ居ナ
1、モウ少シ事業主自體ニ於テモ段々
組織ヲ定メ、サウシテ人格等ニ於テモ
相當向上シテ行カウト言フ目的ノ〓體
ガボツ〓〓出來掛ッテ居リマスカラ、此
仕事ヲ實行致スニ於キマシテモ、サウ
云フ〓體ト連絡ヲ取ッテ、其〓體自體ガ
堅實ニ行クコトニナレバ、其〓體ノ構
成分子タル土木建築業者等ノ考モ多少
直スコトガ出來ルカラ、サウ言フ機關
ヲ通ジテ漸次此法ノ行ハレテ行クヤウ
ニシタイト言フ位ノコトハ考ヘテ居リ
マスケレドモ、根本的ニ現在ノ請負制
度ニ付テノ改正意見ト云フモノハ今持
合セテ居リマセヌガ、御話ノ點ハ御尤
ナコトダト思ヒマスノデ、此仕事ヲ始
メルニ付キマシテモ、十分考慮ヲ致シ
タイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=35
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036・安藤正純
○安藤委員 實ハ色々本會議ナドノ關
係デ時間ノ都合ガ旨ク行カナイノデス
ガ、簡單ニ一二ダケ質問ヲ致シタイト
思ヒマス、今囘ノ勞働者災害扶助法案
ノ適用事業ニ對スル勞働者ノ調ベガ出
テ居リマスガ、昭和五年十月一日ノ調
ベデ五十一萬千九百四人トアリマス、
然ルニ此勞働者災害扶助法ヲ政友會內
閣ノ時ニ提出ヲ致シマシテ、昭和三年
ノ當時ニ於テ調ベマシタ勞働者數、卽
チ勞働者災害扶助法適用事業ニ於ケル
所ノ勞働者數、是ハ昭和二年十月ノ調
ベデアリマスガ、之ニ依リマスト百五
十七萬七百五十四人アルノデアリマ
ス、僅カ三年バカリノ間ニ、之ヲ適用ス
ル所ノ勞働者ノ數ガ、前ニハ百五十七
萬人アリ、今囘ハ五十一萬人シカナイ、
玆ニ百六萬ノ相違ガアル、僅カナ相違
ハ當然デアリマセウガ、三年ノ間ニ百
六萬モ之ヲ適用スル勞働者ノ數ガ減。ツ
テ居ルト云フノハ、是ハドウ云フ譯デ
アリマスカ、簡單ニ御說明ヲ願ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=36
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037・富田愛次郎
○富田政府委員 先ノ政友會內閣ノ時
ニ取調ベマシタ勞働者數ト申シマスモ
ノハ簡單ニ申シマスト職業調査ノヤ
ウナモノデアリマシテ、詰リ全體ノ其
職業ニ居ル勞働者ノ總數ヲ其當時取調
ベタノデアリマス、今囘取調ベマシテ御
手許ニ參ッテ居リマス數字ハ、御覽下サ
ル通リ、此施行シタイト云フ事業ニ現
ニ從事シテ居ル者、言ヒ換ヘマスト、例
へバ事業ナラバ一萬圓以上ノ事業ト云
フヤウナコトデ、範圍ヲ限定シマシテ、
而モ現ニ其仕事ニ從事シテ居ル者ト云
フ標準ヲ以テ取調ベタノデゴザイマ
ス、隨テ先ノ調査ト今度ノ調査ニ於テ
左樣ナ開キヲ生ジマシタノト玉つ、
ツハ現在ノ事業ノ不況ト云フヤウナコ
トモ影響シテ居ルト思ヒマスガ、サウ
云フヤウニ調ベノ基礎ガ變リマシタ結
果數字ガ變っテ來タノデアリマスカラ、
左樣御承知ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=37
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038・安藤正純
○安藤委員 社會局ノ斯ウ云フ方面ニ
對スル調査ノヤリ方ニ根本的ニ疑義ヲ
抱イテ居ル、失業對策ノ問題ニ付キマ
シテ、本會議ニ於テ、又豫算總會ニ於テ
數囘質問致シマシタガ、社會局ノ答辯
ハ、ヤハリ今アナタガ言ハレルヤウナ
調子ノ答辯デアッテ、私ニハ諒解ガ出來
ナイ單リ私ガ諒解ガ出來ナイノミナ
ラズ、世間一般ハ此說明デハ諒解シテ居
ラナイト思フ、現ニ從事シテ居ルト云
フコトデアリマスガ、前ニハ職業カラ
調ベタ、今囘ノハ現ニ從事シテ居ル者
ヲ調ベタ、現ニ從事シテ居ルト云フノ
ハドウ云フ譯デアルノカ、職業ヲ調べ
テ行ケバ職業ニドレダケノ者ガ從事シ
テ居ルカト云フコトガ分ル、職業ヲ漫
然調ベテ統計ガ出來ル筈ガナイ、數字
ガ出ル筈ガナイ、ヤハリ前ノデアッテ
モ、現在ノ數ガドノ位アルカト云フコ
トヲ基礎トシテ調ベラレタコトヽ思フ
ノデアリマス、昭和二年十月北海道、東
京、京都、大阪ヲ初トシテ各府縣ニ亙
リ、總テノ本法ヲ適用スベキ事業ト此
勞働者ガ詳シク出テ居リマスガ、サウ
スルト昭和二年ノ調ベト云フモノハ漫
然ト唯調査シテ參考ニ出シタト云フノ
ニアナタノ答デハナルノデスネ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=38
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039・富田愛次郎
○富田政府委員 曩ニ調ベマシタノハ
前ニ說明致シマシタヤウニ、工事ノ規
模ヲ問ハズ、若クハ其勞働者ノ就業、不
就業ヲ問ハズ、一般ニ其職ニ居ル勞働
者ノ數ヲ取調ベタノデアリマス、又今
囘ノハ一萬圓以下及ビ木造建築ヲ除ク
ト云フコトニ相成ッテ居リマス、サウシ
テ本法ノ適用ヲ受ケナイ者ハ除外致ス
コトニ致シマシテ、卽チ現ニ施行スル
トスレバ其適用ヲ受ケル者ハドレダケ
アルカト云フコトヲ調査致シマシテ、
前者ハ例ヘバ大工、左官、假ニ例ヲ取ッ
テ見マスト宅ニ居リマス者デモ曩ニ
ハ數ヘラレテ居ルノデアリマスガ今
囘ハ現ニ大工、左官ノ業ニ從事シテ居
リマセヌナラバ、ソレハ除外シタ建前
ノ調べ方ニ致シマシテ、基礎ヲ變ヘタ
ノデアリマスカラ、サウ云フ開キガ出
テ來タノデアリマシテ、調ベノ基礎ガ
全然變ッテ居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=39
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040・安藤正純
○安藤委員 此法ヲ適用スル場合ニ
ハ、前ノ時ノ調べ方ニ依ッタ方ガ寧ロ適
當デハナカラウカト思フノデス、今御
說明ガアッタ通リ、不況ト云フコトモ影
響シテ居ル、昨年カラ今年ニ掛ケマシ
テ事業界ト云フモノハ極度ニ萎縮シテ
居ル、デアリマスカラ勞働者ノ數ト云
フモノモ極度ニ少クナッテ居ル、此極度
ニ少クナッテ居ルモノヲ基礎トシタヤ
リ方ヲスルト此法ヲ適用スルト云フ
コトニナッテカラ總テノ算當ガ狂ッテ困
ルト云フコトガ生ジテ來ルノデハナカ
ラウカ、寧ロ昭和二年十月當時ニヤッタ
調べ方ノ方ガ宜イノデハナイカ、卽チ
產業界ガ復活シ、事業界ガ活潑ニナッテ
來レバ、ソレダケ勞働者モ多ク必要ニ
ナルト云フ譯ニナッテ來、又吾々ハ國民
トシテサウ云フコトヲ翹望シナケレバ
ナラヌ、サウ致シマスレバ今日ノ極度
ニ萎縮シ、極度ニ少數ノ場合ヲ基礎ト
シテ玆ニ五十一萬ト云フ數ヲ出シタト
云フコトハ、寧ロ不適當デハナカラウ
カト私ハ思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=40
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041・富田愛次郎
○富田政府委員 調べ方ノ御意見デゴ
ザイマスガ、御承知ノ通リ今囘ハ扶助
法ト同時ニ保險ヲ始メルト云フヤウナ
コトニ相成ッテ居ルノデアリマス、隨テ
保險經濟ヲ直グ持タナケレバナラヌ關
係上、勞働者ノ調ベト致シマシテハ、御
承知ノヤウニ職業調査ト云フモノハ可
ナリ困難ナモノデアリマシテ、現ニ今
從事シテ居ル者モ、此法案ハ來年ノ一
月一日カラ始メルコトニナッテ居リマ
スカラ、無論時ト共ニ動キマスガ、其保
險經濟ヲ取ル爲ニハ、現ニ居ル勞働者
ヲ調ベテ、サウシテ保險經濟ヲ取ルト
云フコトニ致サナケレバ、此仕事ノ開
始ガ出來ナカッタ結果、現在居ル者ハ幾
ラト斯ウ押ヘタノデアリマシテ、勿論
事業ニ從事シテ居ル者ノ數ト云フモノ
ハ經濟ノ消長ニ依ッテ移動致シマス、
隨テ此法ノ適用ヲ受ケル者、同時ニ事
業者ニ致シマシテモ、亦此保險ヲ受ケ
ル者ノ數モ、自然ニ變ヲテ來ルト思ヒマ
スガ、調べマシタ者ハサウ云フ考ヘ方
デ、一般ニドレダケ勞働者ノ數ガアル
カト云フコトデナク、事業本位デ調べ
マシタ結果、サウ云フコトニ相成ッタノ
デアリマス、其必要ハ前申シタヤウナ
必要カラ取調ヲ致シタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=41
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042・安藤正純
○安藤委員 ソレハ一應ノ御說明ニハ
ナリマスガ、將來長ク之ヲ適用シテ、
活用シテ行カナケレバナラヌノデアリ
マスカラ、餘リニ此見込方ハ少イト思
ヒマス、失業者ノ數ノ調査ニ當リマシ
テモ、非常ニ私共ハ社會局ノ調査ノ基
準ガイケナイト考ヘテ居ル、是ハ屢〓質
問應答ヲ致シタノデアリマスガ、先ヅ
昨年ノ十月ニ社會局デハ三十七萬何千
ト云フ失業ノ統計ヲ出シテ居ル、所ガ
同ジ十月一日ニ國勢調査ヲヤッタガ、三
十二萬四千人ニナッテシマッテ、玆ニ五
六萬ノ少イ數ガ出タ、其少イノガ、是
ガ現實ノ調デアルカラ、確カナ調デア
ルト言ッテ、少キヲ發表シテ、少キヲ誇ツ
テ居ルノデアル、併ナガラ社會ノ實情
ハ、ソレトハ全ク反比例ニ行ヲテ居ル、
ドン〓〓ト失業者ガ出來テ居ル、社會
局ノ三十七萬ヤ八萬デナイコトハ當然
ノコトデアル、況ヤソレヲ國勢調査デ
又五萬モ少クシテシマッテ、其少イト云
フコトヲ標準ニシテ、形バカリノ申譯
的ノ失業對策ヲヤッテ居ルト云フコト
ハ吾々ハ國民ト致シマシテ頗ル不滿
デアル、今度ノ調査ノ仕方モ、ヤハリ
ソレニ類シタ傾ガ、今ノ說明ニ依ッテモ
アルト思フノデアリマス、法ヲ立テマ
ス場合ニハ、將來ヲ豫期シテヤラナケ
レバナラヌ、殊ニ現在深刻ナル不況デ
アッテ、事業界ガ極度ニ萎縮シテ居ルノ
デアリマスカラ、是ハ私ハ基準ニナラ
ヌト思フ、サウ云フ建方ヲシナイデモ
ウ少シ將來ヲ見込ンデ、現在ガソレナ
ラ、將來ハ此位ニナルノデアル、經濟
狀態ガ囘復シテ、事業界ガ活潑ニナレ
バ、平時ノ狀態トシテハ、今ノモノヲ
參酌シテ是位ニナルノデアルト云フ、
第二ノ表デモ出シテ、其調査ヲ吾々ノ
質問應答ノ材料ニスルト云フ方ガ、親
切ヂヤナカラウカト思フ、唯少イ所ダ
ケヲ出シテ置イテ、ソレニ依ッテ調査ヲ
進メテ行クト云フコトハ、如何ニモ政
府ノ態度ガ誠意ヲ缺イテ居ルノデハナ
カラウカト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=42
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043・一宮房治郎
○一宮政府委員 只今富田政府委員ト
安藤君ノ質問應答ハ、多少御互ニ喰違
ヒガアルノデハナイカト思フノデアリ
やく、今囘提出致シマシタ此表ハ、勞
働者ノ災害扶助ノ適用ヲ受ケル人員ノ
調デアリマシテ、總テノ是等ノ事業ニ
從事シテ居ル所ノ勞働者ノ數デハナイ
ノデアリマス、隨テ同ジ建築ニ致シマ
シテモ、工事費一萬圓、或ハ延人員千
人以下ノ工事ニ對スル所ノ勞働者ノ數
ト云フモノハ、此中ニハ含マレテ居ナ
イノデアリマス、又同ジ建築ニ致シマ
シテモ、本法ノ適用カラ除外セラレル
住宅建築等ニ從事シテ居ル人ハ含マレ
テ居ナイノデアリマス、隨テ昭和二年
ノ調ニ於テ百五十七萬圓ト云フ數ガ出
タノデアルケレドモ、本法ノ適用ヲ受
クベキ者ハ昭和二年ニ於テモ相當少イ
數デアッタラウト思フノデアリマス、ソ
レデ今日ハ經濟界ガ極度ニ萎縮シテ居
ル際デアルカラ、此調査ノ災害扶助ノ
適用ヲ受クベキ人モ、自ラ事業ノ不振
ニ伴ウテ、多少ノ減少ヲ見テ居ルデア
ラウトハ思ヒマス、隨テ將來事業ノ勃
興ニ伴ウテ、是ガ增加スベキコトモ安
藤君ノ御說明ノ通リデアル、併シ其ノ
數ト云フモノハ、是ノ二倍ニモナルト
カ云フヤウナ、大シタ數デハナイト吾
吾ハ信ジテ居ルノデアリマス、而シテ
現在此事業ノ基礎ヲ、玆ニ此調査ノ資
料ヲ作ッタト云フコトハ、此責任保險ノ
關係カラシテ、先ヅ見易キ數ヲ出サナ
ケレバナラヌ、現在ノ數ヲ出シテ、其
適用ノ範圍ヲ知ラナケレバナラヌト云
フ說明ヲ、只今富田君ガ申上ゲマシタ
ガ、此調ヲ出シタト云フコトハ其通リ
デアリマス、然ルニ安藤君ノ御質問ト
致シマシテハ、將來經濟界ガ景氣ニナ
ルナラバ、更ニ是ヨリ數ハ增加スルデ
アラウ、サウスルト云フト、其數ヲ承
知シナケレバ、ドウモ本案ノ問題ヲ論
ズルノニ不便デアルト云フ御質疑デア
リマスガ、ソレモ一應御尤デアルト思
ヒマス、併シ此數字ノ基礎ヲ出シマシ
タコトハ是ハ災害扶助ノ責任保險ノ
數字トシテ出シタノデアリマシテ、將
來事業ガ殷賑ニナッテ、更ニ此法ヲ適用
サルベキ人間ガ多クナレバナル程、此
災害扶助ノ實施ト云フモノハ容易ニナ
ルノデアッテ、適用ヲ受クベキ人ガ多ク
ナッタガ爲ニ、此扶助責任保險事業ヲ實
行シテ行ク上ニ於テ困難ヲ來スモノデ
ハナイノデアリマシテ、多クナレバ多
クナル程、此實行ニ國家トシテハ便利
ニナッテ來ルノデアリマスカラ、此基礙
ノ數字ノ上ニ御審議ヲ御進メ下サッテ
モ、決シテ私ハ差支ナイノデハナイカ
ト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=43
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044・安藤正純
○安藤委員 今一宮君ノ御話ニ、前ノ
昭和二年ノ時ニ出シタ勞働者ノ數ト云
フモノガ百五十七萬ニナッテ居ルガ併
ナガラ本法適用ノ數ハ相當少カッタラ
ウト云フ御話デアリマスガ、昭和二年
ノ時ニ政府カラ出サレタ百五十七萬ト
云フ數ハ、ヤハリ勞働者災害扶助法適
用事業ニ於ケル勞働者ノ數デス、ソレ
ハアナタノ手許ヲ調ベレバ分ルト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=44
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045・一宮房治郎
○一宮政府委員 ソレハ斯ウ云フコト
デアラウト思フノデアリマス、此災害
扶助ノ適用ヲ受クベキ所ノ勞働者ハ、
自由勞働者等モ少クナイノデアリマ
ス、隨テ十人以上ノ規模ノ事業、或ハ本
法ニ規定シテアル所ノ工事請負費一萬
圓或ハ延人員一千人ト云フ事業費、昭
和二年現在ニ從事シテ居ナクテモ、苟
モ自由勞働者デアルナラバ、サウ云フ
人ガ雇ハレテ來ル可能性ヲ持ッテ居ル
カラ、是ハ適用サルベキ範圍デアルト
云フコトモ言ヒ得ルカモ知レマセヌケ
レドモ其當時現實ニ大體ノ事業ニ從
事シテ居ル、詰リ本法ノ適用ヲ現實ニ
受クル人間ト云フモノハ、餘程少ナカッ
タモノト私ハ解釋スルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=45
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046・安藤正純
○安藤委員 先程富田君ノ御話ニモ、
今一宮君ノ御話ニモ、現在ノ深刻ナル
不況ガ影響シテ居ルコトモアルト云フ
コトノ御話デアル、ドレダケシッカリ影
響シテ居ルカ分ラヌガ、兎ニ角ソレモ
原因ノ一ツニナッテ居ル、サウ致シマス
ルト、的確ナル數ハ分ラヌトシテモ前
ノ時ニ調ベタ數ト、今度調ベタ時ノ數
ト.其相違ノ多クノ部分ハ、仕事ニ今
從事シテ居ラナイ失業者ト云フコトニ
看做シテ差支ナイト思ヒマスガ、ヤハ
リサウ云フ御意見デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=46
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047・一宮房治郎
○一宮政府委員 ソレハ私ハ失業者ト
認メテ居ナイノデアリマス、卽チ本法
ノ適用ヲ受ケル所ノ勞働者ト云フモノ
ハ、或ハ建築土木ノ工事デアルナラバ
一萬圓或ハ延人員一千人以上、普通ノ
工事デハ勞働者十人以上ヲ使ッテ居ル
者ト云フノデアルガ、或ル個々ノ一事
態ヲ捉ヘテ、ソレ以上ノ事業ヲ調ベテ
見ルト現實ニ働イテ居ルモノ、卽チ本
法ノ適用ヲ受ケル人間ヲ調ベテ見マス
ルト、其範圍ニイツカハ入ッテハ來ル人
間ハ百五十七萬人アッテモ、ソレハ或ハ
五十萬デアルトカ、或ハ六十萬位ノモ
ノデハナイカト私ハ思フノデアリマ
ス、卽チ法ノ適用ヲ受ケル仕事ニ從事
シテ居ナイ、或ハ一萬圓以下ノ工事ニ
從ッテ居ル建築ニ從ッテ居ルトカ、或ハ
四五人デ住宅建築ニ從事シテ居ル、或
ハ二三人デ手傳ニ行ク人間ガアル、ソ
レハ相當多イ、其昭和二年ノ時ニ於テ
ハ是等ノ人モイツカハ其事業ニ入ッテ
來ルコトガアルノダカラシテ、卽チ百
五十七萬ト云フモノヲ出シタノデアル
ケレドモ、其現實ヲ捉ヘテ計算致シマ
シタナラバ、或ハ五六十萬デアッタカモ
知レヌ、或ハ多クトモ六七十萬位ノモ
ノダト私ハ實ハ推定スルノデアリマ
ス、ソレデ今日ニ於テ同時ニ其職業ニ
從事シテ居ル人ガ百五十七萬人アッタ
ト假定致シマシテ、現在モサウアルト
推定致シマシテモ、其中デ本法ヲ適用
スル人間ガ五十七萬人デアルケレド
モ、其以外ノ、然ラバ百萬人ノ人間ガ
何ヲヤッテ居ルカト云フト、其百萬人ノ
勞働者ノ大部分ト云フモノハ、本法ノ
規定以外ノ事業ニ相當澤山從事シテ居
ルデアラウト思ヒマス、建築ニ致シマ
シテモ、住宅建築ノ方ガ一萬以上、或
ハ一年ノ延人員一千以上、一年ノ延人
員ハズット高イト思フ、隨テ是等ノ人間
ヲ悉ク失業者デアルト見ルノハ、是ハ
餘リニ過酷ナ推定デアルト思フ、吾々
ハ其點ニ於テ安藤君ト見ル所ヲ同ジウ
シナイコトヲ憾ミトスルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=47
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048・安藤正純
○安藤委員 悉ク失業者デアルトハ私
ハ言ハナイ、言ハナイガ、併ナガラ先
程言ッタ通リニ、現ニ此不況ノ影響モア
ルトアナタ方ガ言ハレルヤウニ、ソレ
ガ爲ニ失業ヲシテ居ル者ガアッテ、實際
從事シテ居ラナイ者ガ多數デアルト云
フコトハ、是ハ否マレナイ事實デアラ
ウト思フノデアリマス、將來、段々此
適用ノ範圍ト云フモノハ殖エテ來ル、
殖エテ來ルカラ、ソレヲ見越シテ行カ
ナケレバナラナイト私ハ思フノデアリ
やくろ此保險デアリマスガ、色々此間
カラノ質問應答ニモ出タノデアラウト
思ヒマスガ、私ハ色々ナ外ノ方ニ出テ
差支ガアッテ出ラレナカッタ爲ニ、重複
スル點ガアルカモ知レマセヌガ、簡單
ニ聽イテ置クノデスガ、鑛山及ビ工場
關係ノ方ハ今囘ノ此法案ニ對シテドウ
云フ立場ニ立ツノデスカ、一寸簡單ニ
言ッテ戴キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=48
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049・富田愛次郎
○富田政府委員 工場、鑛山ハ任意保
險、强制サレルモノデナク加入ガ任意
ト云フコトノ建前デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=49
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050・安藤正純
○安藤委員 本法ニ依ル保險ノ方ハ主
トシテ强制保險デセウ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=50
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051・富田愛次郎
○富田政府委員 土木建築ハ强制ト相
成ッテ居リマス、其他ニ災害扶助保險法
ノ第三條ニ「勅令ノ定ムル事業」ト云
フコトガアリマシテ、別ニ勅令デ定ム
ルモノハ强制保險ニ入ッテ來ルノデア
リマス、言換ヘテ見マスルト、强制保
險ニ入リマスルモノハ、土木建築及ビ
將來勅令ニ依ッテ指定スルモノ、其他ノ
モノハ任意保險、サウ云フ建前ニナッテ
居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=51
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052・安藤正純
○安藤委員 鑛山、工場ノ方ガ任意保
險デ、ソレカラ本法ニ依ル方モ、其、
斑ハヤハリ任意保險ト云フコトニシ
テ、其一斑ヲ以テ强制保險ニ、斯ウ云
フ風ニ分ケタ理由ノ極ク重要點ハ何處
ニアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=52
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053・富田愛次郎
○富田政府委員 土木、建築ニ付キマ
シテハ、先程カラ御話ガアリマスヤウ
二、薄資者ガ可ナリ多イノデアリマシ
テ、扶助ノ成果、ソレカラシテ危險ノ
分散ト云フヤウナコトヲ考ヘルコトガ
一ツト、ソレカラ一ツハ事業主ノ方モ
强制ヲ希望スルト云フヤウナ關係ガゴ
ザイマシテ、之ヲ保險トシ-且之ヲ
國營保險トシマシタ次第デゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=53
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054・安藤正純
○安藤委員 サウ云フ建前デ、此國營
保險ト云フコトヲヤリマシテ、結局此
保險ト云フモノガ旨ク行クコトガ出來
ルカドウカト云フコトニ對シテ一ツノ
疑問ガアル、詰リモウ少シ言葉ヲ換へ
テ言ヘバ、危險率ノ多イヤウナ仕事ノ
モノガ、餘計ニ其保險ノ恩澤ヲ受ケル
ト云フ結果ニナルデアリマセウ、サウ
致シマスト、若シ此保險デ同ジヤウナ
取扱ニ致シマスト、工場トカ鑛業ト云
フコトヨリハ、危險率ノ多イ本法ニ依
ル所ノ勞働者、其方ガ主ニ此保險ノ遂
ニハ恩澤ヲ餘計ニ受ケルト云フコトニ
ナル、サウ致シマスト結局其危險率
ガ多イ、或ハモウ一ツハ業務ガ振ハナ
イト云ッタヤウナモノガ保險ノ方ヘ這
入ッテ來テ、保險ノ恩澤ヲ餘計受ケルト
云フコトニナリマスカラ、結局國營保
險ト云フモノガ將來收支ノ「バランス」
ヲ取ルニ困難ヲ感ズルヤウニナリハシ
ナイカ、斯ウ云フ疑問ヲ持ッテ居ルノデ
アリマスガ、此點ノ御見込ハ如何デア
リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=54
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055・富田愛次郎
○富田政府委員 土木建築事業ニ付テ
ハ相當危險率ト安全率ヲ見積リマシ
テ、保險經濟ヲ立テヽ行ク積リデアリ
マシテ、現在ノ所、保險經濟ヲ脅スコ
トガナイヤウニシテ保險施行ガ出來ル
コトヽ考ヘテ居リマス、其他ノ事業ニ
付キマシテハ、例ヘバ工場ニ致シマシ
テモ、色々御承知ノ通リニ產業ノ種類
ガアリマス、其產業ノ種類ニ依ッテ又
危險率ガ違ッテ參リマス、隨テ危險率ノ
高イモノニ付テハ高イ保險料ヲ取ルト
云フヤウナコトニ致シマシテ、保險經
濟ヲ持ッテ行キマスガ爲ニ、危險率ノ上
下ニ依ッテ、保險經濟ガ危クナルト云フ
コトハナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=55
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056・安藤正純
○安藤委員 實ハモウ少シアリマス
ガ、モット時間ヲ延バシテ戴ケマセヌ
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=56
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057・山邊常重
○山邊委員長 アナタ一人ノ爲ニ昨日
ト今日ヲ割イタノデアリマスカラ、其
程度ニ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=57
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058・東條貞
○東條委員 此常時十人以上ノ解釋ハ
ドウ云フコトニナリマスカ、例ヘバ茲
ニ一ツノ仕事ヲ請負ッテ居ル者ガ、甲ノ
仕事デハ九人使ヒ、乙ノ仕事デハ八人
使ッテ、一ツノ仕事デハ十人ニ滿タナ
1、全部合計シタ場合ニ十人以上ニナ
ルト云フ場合ハドウナリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=58
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059・富田愛次郎
○富田政府委員 常時十人ト認メラレ
レど、其時ハ九人八人デアリマシテ
モ或ル時ハ十二人十三人ト云フコト
モアリマセウ、併シ之ヲ常時通算シテ
見ルト其人ガ十人以上ヲ使用シテ居
ル、斯ウ認メラレル場合ニハ、常時十
人ト認メルノデアリマシテ、此建前ハ
工場法ニ於テモ、常時十人以上ノ工場
ニ付テト書イテ、サウ云フ取扱ヲシテ
居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=59
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060・枡谷寅吉
○枡谷委員 「コンクリート」ヲヤル者
ト、鐵筋ヲヤル者ハ別々デ、鐵筋ヲヤ
ル者ガ二人、「コンクリート」ヲヤル者
ガ八人、ソレヲ合計シテ十人ニナルト
云フ、東條君モサウ云フ意味デ聽カレ
タノデハナイカト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=60
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061・富田愛次郎
○富田政府委員 サウ云フ不特定ナ者
デモ、工事全體トシテ十人以上使ッテ居
レバ、此通リ認メルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=61
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062・坂東幸太郎
○坂東委員 勞働者災害扶助法案外二
件ニ對シマシテハ各委員カラ精細ナル
質問ガアリ、之ニ對シテ當局カラ詳細
ナル答辯ガアッタノデアリマス、勿論此
兩者ノ間ノ見解ニ付テハ多少相違ノ點
ハアリマセウガ、質疑事項トシテハ大
體盡キタヤウニ思ヒマスカラ、此程度
ヲ以テ質疑ヲ打切ラレンコトヲ希望致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=62
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063・山邊常重
○山邊委員長 坂東委員ノ御發議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=63
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064・山邊常重
○山邊委員長 ソレデハ是カラ討論ニ
入リマス、別ニ御發議ハアリマセヌカ
う.発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=64
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065・東條貞
○東條委員 一寸委員長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=65
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066・山邊常重
○山邊委員長 アナタノハ保留シテア
リマス-政府原案ニ付テ御異議アリ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=66
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067・山邊常重
○山邊委員長 ソレデハ多數ヲ以テ政
府提出ノ勞働者災害扶助法案、勞働者
災害扶助責任保險法案、勞働者災害扶
助責任保險特別會計法案、此三案ハ委
員會ニ於テ多數ヲ以テ可決致シマシタ
(拍手)長々御苦勞デゴザイマシタ、是
デ散會致シマス
午後三時四十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913760X00619310318&spkNum=67
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