1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
手形法案
—————————————————————
委員氏名
委員長 侯爵 佐佐木行忠君
副委員長 木場貞長君
伯爵 橋本實斐君
子爵 秋月種英君
水上長次郎君
山川端夫君
男爵 渡邊修二君
各務鎌吉君
澤田喜彦君
—————————————————————
昭和七年六月六日(月曜日)午前十時九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=0
-
001・木場貞長
○副委員長(木場貞長君) 委員長ガ缺席デ
アリマスカラ、私ガ代ッテ此席ヲ汚シマシ
テ只今ヨリ開會イタシマス、ドウゾ說明ヲ
願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=1
-
002・小山松吉
○國務大臣(小山松吉君) 手形法案ニ付キ
マシテ、提出イタシマシタ理由ノ大體ニ付
キマシテハ、本會議ニ於テ既ニ申上ゲマシ
タノデアリマスガ、尙ホ之ヲ敷衍シテ御說
明ヲ致シタイト思ヒマス、手形ノ流通イタ
シテ居リマスル國ニ於ケル手形法規ノ差異
ヨリ生ズル不便ヲ除キマシテ、國際通商關
係ヲ一層確實敏速ナラシメヤウトスルガ爲
ニ、是等ノ法規ヲ國際的ニ統一シヤウトス
ル企テハ、近世歐羅巴ニ於キマシテ、盛ン
ニナッテ參ッタノデアリマス、明治四十五年
ノ和蘭海牙ニ於ケル手形法規統一萬國會議
ニ於キマシテハ、爲替手形、約束手形ノ統
一規則及其施行ヲ約スル條約ガ成立シタノ
デアリマスケレドモ、世界大戰ノ爲ニ、
其事業ハ中絕イタシタノデアリマシタ、併
シ大戰後ハ國際聯盟ニ於テ手形法制ノ統一
問題ヲ取扱フコトニナリマシテ、著々其準
備ヲ進メマシテ、昭和五年五月ヨリ六月ニ
亘リマシテ、「ジユネーヴ」ニ手形及小切手
ニ關スル法律統一ノ爲ノ國際會議ガ開カレ
タノデアリマス、我國ヲ初メ、英國、獨逸
佛蘭西、伊太利等三十餘箇國ガ之ニ參加イ
タシマシテ、小切手ニ關スル部分ノ審議ハ
延期トナリマシタケレドモ、手形ニ關シマ
シテハ、其統一法ヲ制定スル條約及其附屬
書竝ニ手形ニ關シテ、法律ノ或抵觸ヲ解決
スル條約竝ニ手形ニ付テノ印紙法ニ關スル
條約ヲ作成イタシタノデアリマス、此中統
一法ヲ制定スル條約ニハ、各締約國ガ、條
約附屬書ノ手形統一法ヲ自國ノ言葉ニ依リ
マシテ、各自ノ領域內ニ施行スルコトヲ約
スト云フコトニナッテ居リマスカラ、締約國
タルガ爲ニハ、自國語ニ依ル手形統一法ヲ
國內法トシテ有スル必要ガアルノデアリマ
ス、而モ此統一法ハ前ニ述べマシタ海牙統
一規則ヲ大體踏襲イタシマシテ、多少ノ修
正ヲ加ヘテ成立シタモノデアリマシテ、多
年各國ノ學者或ハ實際家ノ間ニ於テモ、〓
究論議セラレテ來タ所デアルト申シテモ宜
シイノデアリマシテ、之ヲ我ガ現行商法手
形篇ニ比ベテ見マスト、實際上理論上優レ
タ點ガ少クナイノデアリマス、現ニ政府ガ
商法中時勢ノ進運ニ伴ヒマシテ、改廢制定
ヲ要スベキ點ハドウ云フ部分デアルカト云
フコトヲ、諮問中デアリマス法制審議會ニ
於キマシテモ、同法中ノ爲替手形及約束手
形ニ關スル規定ハ、右ノ手形統一法ノ如ク
改正スルヲ相當ト認ムト云フ決議ガナサレ
タノデアリマス、ソコデ政府ハ司法省內ニ
委員會ヲ設ケマシテ、昨年六月以來愼重ニ
調査審議ヲ重ネマシタ結果、手形法案ノ脫
稿ヲ見タノデアリマスガ、是ハ商法第四編中
ノ爲替手形及約束手形ノ部分ニ代ルモノデ
アリマシテ、之ヲ商法ノ一部改正ト致シマ
セズシテ、別ノ法律ノ形ト致シマシタノ
ハ、立法上竝ニ實際上ノ便宜ニ出デタモノ
ニ外ナラナイノデアリマス、本法案ハ第一
編爲替手形、第二編約束手形及附則ノ三部
分ヨリ成リ立ッテ居リマシテ、第一編第二編ハ
右統一法ノ飜譯部分デアリマシテ、附則ノ方
ハ手形法ヲ施行スルニ必要ナル規定ノ外ニ
國際手形私法ノ規則ヲ包含シテ居リマスノデ
アリマスガ、此國際手形私法ハ前ニ申シマ
シタ手形ニ關シテ、法律ノ或牴觸ヲ解決ス
ル條約ニ基クモノデアリマス、本法案第一
編第二編ニ於テ我ガ現行商法ノ手形編ヨリ
優レテ居リマスル點ノ主要ナルモノヲ擧ゲ
テ見マスト、爲替手形ニ於テ此前者ニ對ス
ル遡求ニ付キマシテ、引受ノ拒絕及之ニ準
ズベキ場合ニ、滿期前償還主義ヲ採ッタコ
トデアリマス、又之ニ應ジテ引受ニ付テ、
卽時引受ノ主義ヲ採ラズシテ、所謂引受ノ考
慮期間ヲ認メタコトデアリマス、一覽拂及一
覽後定期拂ノ手形ニ利息文句ヲ許シタコト
デアリマス、質入裏書ヲ認メタコトデアリ
マス、手形交換所ニ於ケル手形ノ呈示ニ支
拂呈示タルノ效力ヲ認メタコトデアリマ
ス、不可抗力ノ場合ニ遡求權保全行爲ノ期
間ノ伸長ヲ認メタコトデアリマス、是等ノ
事柄ガ只今申シマシタ先ヅ主要ナ點デアリ
やく、其他詳細ニ付テハ政府委員ヨリ御質
問ニ應ジテ御說明申上ゲル筈デアリマス、
尙ホ只今申シマシタ「ジユネーヴ」ノ各條約
三、各國ガ此批准ヲナシ得べキ期限ヲ本
年ノ八月三十一日限リト定メテアリマス、
且ツ條約ノ效力ガ發生イタシマスル爲ニハ
國際聯盟理事會ニ常任代表者ヲ出シテ居リ
マスル聯盟國ノ三箇國ヲ包含シタル七箇國
ノ批准又ハ加入ガアルコトガ必要トナッテ
居リマスカラ、聯盟理事會ニ常任代表者ヲ
出シテ居リマスル我國ト致シマシテハ、曩
ノ海牙手形法規統一會議以來多クノ年月ヲ
費シテ漸ク其一成果ヲ見タ所ノ手形法統一
事業ニ付キマシテ、國際的ニ協力シテ行ク
上ニモ責任アル立場ニアリマスノデ右批准
期間ノ關係カラ致シマシテ、今議會ノ御協
贊ヲ願フ爲ニ本法案ヲ提出シタ次第デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=2
-
003・山川端夫
○山川端夫君 大體ノコトニ付テ一二御質
問申上ゲタイト思フ、此手形法ハ適用···
施行セラレル範圍ハドウナリマスカ、帝國
內ト云フコトニ限ルノデアリマスカ、或ハ
日本ノ新領土ニモ總テ及ブト云フコトニナ
リマスカ、其點ヲ先ヅ伺ヒタイト思ヒマス、
政府委員カラ·····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=3
-
004・長島毅
○政府委員(長島毅君) ソレハ結局臺灣ト
カ朝鮮等ハソレ〓〓或ハ勅令ヲ以テ、或ハ
制令等ヲ以テ之ヲ施行スルコトニシナケレ
バナラナイコトニナッテ居リマス、ソレデソ
レハドウ云フコトニナリマスカ、何レ拓務
省ノ考モアルト思ヒマスガ、商法モ行ヶテ居
リマスカラ、自然アチラノ方モ行クコトニ
ナルト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=4
-
005・山川端夫
○山川端夫君 此統一法ノ條約案ニ依リマ
スト、先ヅ之ニ署名シテ居ル國ガスッカリ
揭ゲテアリマスガ、ソレニ加ハッテ居ナイ國
ハ主ナモノハ英吉利、亞米利加、露西亞、
支那、日本ト直接關係ノ深イ國ハ統一法ノ
條約ニハ加ハッテ居ナイコトニナッテ居ルヤ
ウニ見受ケラレマス、唯英吉利ガ其中ノ印
紙法ニ關スル條約案ニ依ル留保ヲ加ヘテ居
ルダケデ、ソレカラ尙ホ其條約案ノ之ヲ見
マスト、各國ハ自分ノ植民地ニ對シテ此條
約ヲ適用シナイコトヲ定メ得ルト云フコト
ニナッテ居ルヤウデアリマス、斯ウ云フ國際
的ニ言ッテ、手形法ニ對シテ一定シタ規定ガ
出來ルコトハ、國際通商ノ發展ヲ見マスノ
ニ極メテ必要ナコトデ、有意義ナコトデア
リマス、併シ實際之ヲ見マスト云フト、日
本ト直接關係アル、基米、露支那或ハ
各國ガドウ云フ態度ヲ執リマスカ、植民地
ニ適用シナイト云フコトニナリマスト、例
ヘバ蘭領印度或ハ佛領印度等ヲ除外スルコ
トエナルト、歐羅巴諸國ノ極ク一小部分、
一部分トノ取引關係ニ於テハ此コトガ適用
サレルガ一番日本ノ主要ナ商賣ヲ爲ス所ニ
何等適用ガナイト言フコトニナッテ、餘程實
益ガ少タナルト云フ嫌ガアルヤウニ思ハレ
マス、ソレハドウ云フ御考デゴザイマスカ、
ソレヲチヨット伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=5
-
006・長島毅
○政府委員(長島毅君) ソレハ御尤ナ御尋
デアリマシテ、其點ハ此英米ガ入ラナケレ
バ、一體統一法條約ニ入ルノハ詰ラナイコ
トヂヤナイカト云フ說ガ多少民間ニモアス
タヤウデアリマス、英吉利ハ御承知ノ通リ
ニ總テ、殊ニ此手形ニ關スル法律ハ私ハ能
ク存ジマセヌガ、先ヅ慣習デ發達ヲシタモ
ノダサウデアリマシテ、其法規ト云フモノ
ガ、餘リ完全シテ居ラナイサウデアリマス
カラ、サウ云フ關係カラ英吉利ハ、必シモ
此統一法案ノ內容ニ付テハ反對デハナイノ
デアリマスケレドモ、極些細ノ點デモ違ヒ
マスト、習慣デ出來テ居ル國デ成文法デ出來
テ居リマセヌモノデスカラ、僅カノ點デモ
違ッテ居リマスト調印ヲスルノハ困難ナヤ
ウデアリマス、現ニ之ニ「オブザーバー」ヲ
出シテ居リマシテ、色ミ條約ニ關シテ意見
ヲ出シテ居ルヤウナ次第デアリマスガ、サ
ウ云ウ譯デ調印ハ出來ナイ關係ニアルノデ
アリマス、米國モ亦各種手形ノ法律ガ違,
テ居リマシタモノガ、最近ニ至リマシテ漸
漸統一ガ出來タ際デアッテ、又統一法ノ如ク
ニ之ヲ直スト云フコトハ困難ナ狀態ニア
ル、折角成立シタノヲ又直ダ直スト云フノ
ハ困ルト云フ狀態ニアルノデアリマス、併
ナガラ此手形統一條約ハ大體ニ於テ佛蘭西
トカ獨逸トカ云フ方面ノ違ッテ居ル所ヲ統
一イタシマシテ、英米法ノ思想モ餘程取入
レテアルノデアリマスカラ、假令英、米ガ
調印ヲ致シマセヌデモ、此法律ト云フモノ
ハ英米法ニ相當近クナッテ居リマス、而シテ
此條約ガ若シ完全ニ成立スルコトニナリマ
スレバ、世界ノ手形法ハ、英米法系ト獨逸
法系トニ分レルコトニナルノデアリマシ
テ、日本ガ此何レカニ兎ニ角入リマセヌト
云フト、此手形ノ法系ノ上カラ取殘サレタ
ヤウナ形ニナルノデアリマス、而シテ今申
シタヤウニ英米法ノ法系モ相當入ッテ居ル
ノデアリマスカラ、近イ將來ニ於テ次第ニ
總テノ手形ニ於テ統一スルト云フコトガ實
現サレル希望ガアリ、又此條約ヲ締結スル
コトハ其希望ニ一步ヲ踏入レルコトデアリ
マスカラ、非常ニ望マシイコトデアルト思
フノデアリマス、殊ニ此法案ハ現行商法ニ
比シマシテ、優レテ居ル所ガ相當多々アリ
マスノデアリマスカラ、旁、以テ手形法ト
云フモノヲ國內法トシテ制定スルコトガ望
マシイコトデハナイカト思ハレルノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=6
-
007・山川端夫
○山川端夫君 只今ノ御說明ハ御尤ト考ヘ
ルノデアリマスガ、唯實際問題トシマシテ、
理窟カラ言フト、統一法條約ト云フモノガ
出來テ、英米ト對立シテ、而モ是ハ大陸バ
カリデナクテ英米ノ分子ヲ多大ニ加ヘタモ
ノト云フノデアリマスカラ、大分意義ガア
ル、私ハ之ニ絕對ニ反對スルト云フ考ハ持〃
テ居リマセヌケレドモ、實際問題トシマス
ト云フト、今申シマシタヤウニ、日本ト直
接關係ノアル、若クハ最モ關係ノ深イ所ガ、
總テ此法律ト違ッテ來ルト云フヤウニナツ
テ、日本ノ方ノ便宜カラ言フト、餘リサウ
大シタコトハ無イカト云フ感ジガスル、ソ
レカラ尙ホ英米及ビ英米ノ植民地ガ總テ加
ハラヌコトニナリマスガ、ソレ以外ノ植民
地デ、日本ニ關係ノアル所ノ國デ、例ヘバ
和蘭トカ佛蘭西トカ云フヤウナ國デ、植民
地ヲ除外スルト云フヤウナ意思ヲ表明シタ
國ガアリマスカドウカ、ソレヲチヨット伺ヒ
タイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=7
-
008・長島毅
○政府委員(長島毅君) 先ニ申上ゲマシタ
ヤウニ、英米ガ例ヘバ入リマセヌデモ、此
條約ノ內容ニナッテ居リマス手形法ハ、良イ
點ガ澤山アルト思ヒマスカラ、其點ハ、離
レテモ、矢張リ此際手形法ヲ改正スルガ有利
デナイカト考ヘテ居ル次第デアリマス、尙ホ
其外ノ國ガ植民地ニ付テ留保ヲスルカドウ
カト云フコトハ、マダ此條約ヲ批准シテ居
ル國ガ餘リ澤山アリマセヌノデ、其點ハ
チョット分リマセヌノデアリマス、唯日本ニ
關スル範圍ニ於テハ、植民地ニ付テ特別ニ
留保ヲ致サナイ大體豫定デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=8
-
009・山川端夫
○山川端夫君 モウ一ツノ點ハ此條約ニ依
リマスト、各國ガ共ニ共通ニ遵守スベキ事
項ト、ソレカラ各國ガ或ル程度マデ自由ニ自
分ノ國ノ都合ニ依ッテ立法シ得ベキ事項ト、
斯ウ二ツニ分レテ居ルヤウデアリマス、此
統一法ノ附屬書ノ第二ニ、各國ガ自由ニ立
法シ得ル餘地ヲ置イタコトガ載ッテ居ルヤ
ウデアリマス、其中ノ大部分ハ手續問題等
ニ關係スルコトデ、何モ差支ナイノデアリ
マスガ、中ニハ實質的ナ問題モ大分載"テ居
ル、日本ノ關係ハ此前司法大臣ガ議會ニ於
テ御說明ニナリマシタガ、此說明ニモ書イ
テアリマスガ、一點バカリ第二附屬書ノ九
條ニ依ッテ、法案ニ變更ヲ加ヘラレタト云フ
コトガアリマスガ、其他ノ點ニ付テハ日本
デハ別ニ特別ノ規定ヲ御設ケニナル必要ハ
ナイト云フヤウナ御考デアッタト思ハレル
ノデアリマス、チヨット私ノ氣附イタ一ツノ
點ヲ言ヒマスト、本法ノ第四十一條第三項
ニ依リマスト、外國通貨現實支拂文句ヲ記
載シタル場合ニハ外國ノ通貨デ支拂フベキ
コトニナッテ居ルヤウデアリマス、此四十一
條ハ附屬書第二ニ依リマシテモ、特別ノ規定
ヲ設ケ得ベキ部分ニ這入ッテ居ル規定デア
リマス、斯ウ云フヤウニ外國ノ通貨デ必ズ
ヤッテ行クト云フコトハ、今ノ色々ナ事情カ
ラ對外的關係カラ見マスト、所々ノ點ニ可
ナリ不便ナコトガ起ッテ來ヤシナイカト云
フヤウナ感ジガ致シマス、サウ云フ點ハ別
ニ差支ナイト云フヤウナ御考デアリマスカ、
其點ヲチヨット御說明ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=9
-
010・長島毅
○政府委員(長島毅君) 此點ハ結局附屬書
ノ二ノ第七條ニ關スルコトト存ジマスガ、
ソレハ大體只今ノ所デハ留保ヲ致シマス積
リデ居マリスカラ、必要ノアル時ニハ今ノ御
質問ノ點ニ付テ留保ガ出來ルヤウニナル考
デアリマス、併ナガラ現在ト致シマシテハ、
詰リ通常時ニ於テハ是ハ留保モ出來マセヌ
シ、又サウ云フ留保ヲスル必要ガナイノデ
ハナイカト思フノデアリマス、附屬書ノ二
ノ第七條ノ留保ハ條約ニ依っテ致ス積リデ
居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=10
-
011・山川端夫
○山川端夫君 サウシマスト、法律ニハ第
四十一條第三項デ別ニ留保ニナル御規定ニ
ナッテ居リマスカラ、條約ニ對シテ此附屬書
第二ノ第七條ハ留保ナサル、サウスルト其
留保ヲ實際適用ナサル場合ニハ、又別ニ立
法手續ヲ要スル、斯ウ云フコトニナルノデ
アリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=11
-
012・長島毅
○政府委員(長島毅君) 結局サウ云フ積リ
デ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=12
-
013・山川端夫
○山川端夫君 附屬書第二ニ色々ナ留保ヲ
爲シ得ベキ場合ガ澤山載ッテ居リマスガ、今
ノ御說明ニ依リマシテ、第七條ニ對シテハ
留保スルト云フ御趣意ノヤウニ承リマシタ、
ソレ以外ノ條項ニ依ッテ留保ヲ御加ヘニナ
ル、御批准ノ場合ニ留保ヲ爲サルト云フコ
トヲ豫想サレテ居ル條項ガアレバ御示シヲ
願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=13
-
014・長島毅
○政府委員(長島毅君) 大體條約ニ於テ留
保ヲ致シマスカ、若クハ留保ヲシナイデモ
留保ヲシタト同ジヤウニナル條項ハ、附屬
書ノ第五條ノ二項、ソレカラ第六條、第七
條、第九條、ソレカラ第十條、第十三條、第
十五條、第十六條、第十七條、第十八條、
第二十條、ソレカラ第二十二條、第二十三
條等デアリマス、大體ソレデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=14
-
015・山川端夫
○山川端夫君 序ニ此抵觸法ト云ヒマスカ、
此條約ノ方ニ矢張リ留保ノ規定ガ載ッテ居
ルヤウデアリマスガ、之ニ對シテ留保ナサ
ル御考ガアリマスカ、御伺ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=15
-
016・長島毅
○政府委員(長島毅君) 第二條ニ付テハ特
ニ規定ヲ置キマシタノデアリマス、ソレハ
丁度附屬書ノ八十八條ニ當リマシテ、二項
ダケヲ詰リ留保シタノト云フヤウナコトニ
ナッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=16
-
017・山川端夫
○山川端夫君 此條約ノ第二附屬書ノ第二
十一條ニ依リマスト非常ニ大キナ留保ヲシ
テ居ルヤウデアリマス、約束手形、爲替手
形ノミダケニ關係スル部分ダケヲ採用シテ
宜シイト云フヤウナ意味ノヤウニ解セラレ
マスガ、是ハ何カ特別ノ······斯ウ云フ特別
ノ必要ガアッテ之ヲ認メタノカ、折角出來タ
モノガ半分詰リ除外サレテシマフ、餘程大
キナ留保ノヤウニ考ヘラレルノデアリマス
ガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=17
-
018・長島毅
○政府委員(長島毅君) 是ハ確カ今チヨッ
ト記憶ヲ致シテ居リマセヌガ、ドコカ或ル
國デ、自分ノ方デハ此事ハ約束手形ダケデ
ハ困ルト云フヤウナコトヲ言ッタ所ガアリ
マシテ、其國ヲ此締約國ノ中ニ加ヘル爲ニ
斯ウ云フ規定ガ出來タト云フ理由ニ承知シ
テ居リマス、從ッテ殆ド此規定デサウ云フ留
保ヲスル時ニハ非常ニ少イコトカト考ヘマ
ス、「ラトビヤ」デシタカ、何デシタカ、舊露西
亞ノ一部カ何カ、非常ナ小サナ國デ之ヲシ
テ吳レナケレバ困ルト云フヤウナコトデ、
ソレヲ容レル爲ニ致シタデアリマス、デア
スリマカラ其國ヲ入レナイ積リナラバ、コ
ンナ大袈裟ナ留保ヲスル必要ハナカッタカ
モ知レナイノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=18
-
019・水上長次郎
○水上長次郞君 本案ノ附則第八十條ニ「商
法第四編第一章乃至第三章及商法施行法第
百二十四條乃至百二十六條ハ之ヲ削除ス」
トアリマスガ、本案ガ實施セラレマスルト
同時ニ今申上ゲマシタ商法第四編ト云フモ
ノガ削除セラレルデアリマス、デ其商法第
四編ノ第一章ト云フモノハ、卽チ四編ハ手
形デ、第一章ハ總則ニナッテ居ルノデス、ソ
レデ第二章ハ爲替手形、第三章ハ約束手形、
此外ニ四編ノ中ニハ小切手ガアルノデアリ
マス、詰リ四章ニナッテ居ルノデアリマス、
所ガ此商法第四編第一章以下ヲ削除スト云
フコトニナル、總則ト云フモノガ全ク無ク
ナルノデアリマス、小切手ニ關スル規則ハ
殘存シテ居ッテ、サウシテソレニモ適用セナ
ケレバナラナイ總則ト云フモノガ無クナッ
テ仕舞ウコトニナルノデアリマス、ソレハ
別ニ小切手ニ對スル總則ト云フモノハ御設
ケニナルノデアリマスカ、又ハ此商法第四
編第一章ノ總則ハ小切手ニ適用セラルルコ
トガナイト云フヤウナ御考カラ、特ニサウ
小切手ニ對スル總則ト云フモノハ置カナ
カッタノデアリマスカ、チョット其處ガ私ハ分
リ兼ネマスガ、尤モ此說明······手形法說明
書其他ノ參考書ヲ御〓シニナリマシタノ
デ、ソレニ十分ノ說明ガアルカモ知レマセ
ヌケレドモ、今差當リマシテチヨット疑義ヲ
生ジマシタカラ御伺ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=19
-
020・長島毅
○政府委員(長島毅君) 其點ハ此八十條ノ
但書ニ規定シテアリマシテ、商法其他ノ法
令ノ適用上、之ニ依ル時ニ、尙ホ其效力ヲ
有ストアリマスカラ、其一章乃至三章ヲ外
ノ法律デ引用イタシテ居ル場合ニハ、其限
度ニ於テハ生キテ居ルト云フコトニ解釋シ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=20
-
021・水上長次郎
○水上長次郞君 サウスルト云フト此但書
以下デ以テ、矢張リ總則ハ存シテ居ルト云
フコトニナルノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=21
-
022・長島毅
○政府委員(長島毅君) 左樣デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=22
-
023・水上長次郎
○水上長次郞君 ソレカラモウ一言伺ヒマ
スガ、現行ノ手形法ニハ總則ト云フモノヲ
特ニ第一章トシテ設ケラレテ居ルノデアリ
マス、デ先程大臣ヨリ御說明ニナリマシタ
通リ、此手形法案ハ特別ノ法律ト致シタノ
デアッテ、現在法ニ修正ヲ加ヘタノデナイト
云フコトデアリマス、サウスレバ此本草案
ニ於テ爲替手形竝ニ約束手形ニ共通スル總
則ト申シマセウカ、兎ニ角兩方ノ手形ニ共
通スル所ノ規則ヲバ共通法總則トシテカ、
若クハ共通法トシテカ御設ケニナッタナラ
バ、現在ノ手形法ノ編纂法ト同ジコトデ大
變見宜イダラウト思フ、併シ此本草案ノ附
則中ニ總則ト思ハレルヤウナ箇條ガアリマ
スルカラシテ、寧ロ附則ト云フ方ニ總則ヲ
加ヘタト云フヤウナ意味合カラシテ、特
通則ト云フ編ヲ御設ケニナッタモノデアリ
マセウカ、其點ヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=23
-
024・長島毅
○政府委員(長島毅君) ソレハ此手形統一
法條約ニ於キマシテ、結局各締約國ハ其手
形統一法ノ、附屬書ニアル通リノ法律ヲ作
ラナケレバナラヌ、若シ佛語、英語デアレ
バ其原語ノ、原文ノ儘デ法律ニシロ、サウ
デナクバ翻譯デ之ヲ國內法ニシナケレバナ
ラヌト云フ義務ヲ負ッテ居リマスカラ、勝手
ニ其總則トカ何トカ云フモノハ作レナイコ
トニナッテ居ルノデアリマス、全然詰リ殆
ド、手形統一法附屬書ノ飜譯ヲ揭ゲルト云
フコトデアリマシテ、內容ハ一字一句タリ
トモ取換ヘラレナイコトニナッテ居ルノデ
アリマス、デソコデ今申シマシタ其總則的
ノ規定ノ如キハ、各所ニ此統一規則デハ散
在シテ居リマシテ、例ヘバ此七條ノ如キハ
振出シノ所ニ手形債務ノ獨立ノ原則ノ規定
ガアルヤウナ次第デアリマス、或ハ代理權
超越ノ問題デアルトカ云フヤウナコトハ八
條トカ、詰リ總則的規定ガ各章ノ主ナル
所ニ規定サレテ居リマシテ、稍〓此商法ト
ハ、規定ノ方法ハ違フテ居リマスガ、併シ決
シテ誤解ヲ生ズルヤウナコトニハナッテ居
リマセヌノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=24
-
025・木場貞長
○副委員長(木場貞長君) 御質問ハゴザイ
マセヌカ·····參考書類モ今日御〓シニナッ
タヤウナ次第デゴザイマスカラ、多少御〓
究ニナル必要モアラウト思ヒマスカラ、質
問ハ今日ハ此程度ニ措キマシテ、更ニ日ヲ
定メテ續行スルコトニシタラバ如何デゴザ
イマスカ······會期モ短イコトデゴザイマス
カラ急グコトハ諒トスベキデゴザイマス
ガ、サラバト云ッテマルデ〓究モセヌデ判斷
スルコトハ困難デスカラ一日位ハ置イテ、
明後日位デモ又續行イタシタラ如何デゴザ
イマスカ、是ハ御協議イタシマスガ······御意
見ガナケレバ明後日此時刻ニ開クコトニ致
シマス、但シ本會ガアレバ散會後若クハ午
後一時カラ······本會ノ都合ニ依ッテ當然時刻
ガナケレバ午後一時カラ、若クハ散會後、
斯ウ云フコトニ致シタイト思ヒマス、御異
議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=25
-
026・木場貞長
○副委員長(木場貞長君) サウ云フコトニ
致シマス、ソレデハ是デ散會イタシマス
午前十時五十一分散會
出席者左ノ如シ
副委員長木場貞長君
委員
伯爵橋本實斐君
子爵秋月種英君
水上長次郞君
山川端夫君
男爵渡邊修二君
各務鎌吉君
澤田喜彥君
國務大臣
司法大臣小山松吉君
政府委員
外務省條約局長松田道一君
司法政務次官八並武治君
司法省民事局長長島毅君
べようらこと発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006201443X00119320606&spkNum=26
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。