1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
昭和七年法律第一號中改正法律案
昭和七年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案
行政整理又は軍備整理に際し退官退職したる者等に交付する公債發行に關する法律案
昭和七年度以降國債償還資金の繰入一部停止に關する法律案
國債の價額計算に關する法律案
恩給の減額補給及停止に關する法律案
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委員氏名
委員長 子爵 前田利定君
副委員長 木村清四郎君
侯爵 大隈信常君
侯爵 細川護立君
伯爵 奥平昌恭君
子爵 梅小路定行君
大島健一君
栃内曾次郎君
男爵 菊池武夫君
男爵 井田磐楠君
男爵 小畑大太郎君
加藤政之助君
古島一雄君
大橋新太郎君
金杉英五郎君
五十嵐甚藏君
見目清君
本間千代吉君
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昭和七年六月十一日（土曜日）午前十時九分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/0
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001・前田利定
○委員長(子爵前田利定君) ソレデハ是カ
ラ委員會ヲ開會イタシマス、皆サン御聽キ
ノ通リニ、大藏大臣ハ只今チヨット他ノ事
ニ差支ガゴザイマシテ本席ヘハ參リマセヌ
ガ、政府委員ガ居リマスカラシテ、政府委
員カラ一應昭和七年法律第一號中改正法律
案外五件ノ說明ヲ承リマシテ、質疑ヲ願フ
ヤウニ致シタイト思ヒマス、是ハ本議場デ
大藏大臣カラ說明ガアッタコトト思ヒマス
ガ、私居リマセヌデシタカラ、甚ダ御手數
デスケレドモ、要領デ宜シウゴザイマスカ
ラ、各案ニ付テ御說明ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/1
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002・冨田勇太郎
○政府委員(冨田勇太郞君) ソレデハ私ヨ
リ各案ノ提案ノ理由ヲ說明申上ゲマス、公
債關係ノ分ガ四ツアリマスガ、ソレニ付キ
マシテ私ヨリ御說明ヲ申上ゲマス、第一ハ
昭和七年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲
メ公債發行ニ關スル法律案デアリマス、昭
和七年度一般會計ニ於キマシテ、既ニ成立
イタシテ居リマスル所ノ公債法ニ依リマシ
テ、公債ヲ募集スル金額、竝ニ滿洲事件ニ
關スル經費支辨ノ爲メ發行ヲ要シマスル公
債金額ノ外ニ、歲入ノ不足ヲ補塡スル爲メ
一億六千五十餘万圓ノ公債ノ發行ヲ必要ト
スルノデアリマス、其發行ノ爲メ新タニ起
債ノ權能ヲ得ルコトガ必要デアリマス、尙
ホ昭和七年度ノ歲出ニ於キマシテモ、其中
若干ノ金額ハ例年ノ如ク翌年度ニ繰越サル
ル結果ニナルノデアラウト存ゼラレマスル
ガ、其繰越額ノ財源ハ必ズシモ七年度內ニ
起債スルコトヲ必要ト致シマセヌ、爲ニ翌
年度ニ募債スルコトト爲スヲ適當ト存ジマ
ス、之ガ昭和七年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲公債發行ニ關スル法律案ヲ提出シ
マシタ譯デアリマス、ソレカラ第二ハ滿洲
事件ニ關スル經費支辨ノ爲公債發行ニ關ス
ル法律案デアリマス、去ル六十一帝國議會
ニ於キマシテ、滿洲事件ニ關スル經費支辨
ノ爲メ六千七百五十万圓ヲ限リ、公債ヲ發
行スルコトヲ得ル法律ノ成立ヲ見マシテ、
之ニ依ッテ大體本年度五月分マデノ經費ヲ
支辨スルコトヲ得ル次第デアリマスルガ、
今後明年ノ一月マデニ、更ニ滿洲事件費ト
シテ約一億七千二百五十万圓ヲ必要トシマ
スルシ、又別ニ二千万圓ノ豫備費ヲ設クル
必要ヲ認メマシタコトハ、旣ニ本議場ニ於
テ大藏大臣カラ說明シタ通リデアリマス、
而シテ是等經費ノ財源ハ、普通ノ財源支辨
ト致シマスルコトガ困難デアリマスルノミ
ナラズ、尙ホ本經費ノ性質ニ鑑ミマシテ、
之ヲ公債ニ依ルコトト致シマシタルガ爲メ
ニ、前議會ニ於テ御協贊ヲ得マシタル滿洲
事件ニ關スル經費支辨ノ爲公債發行ニ關ス
ル法律案、其ノ中ノ發行限度ヲ更ニ改正增
加スルノ必要ガアリマスルノデ本案ヲ出シ
タ譯デアリマス、ソレカラ第三ニハ行政整
理又ハ軍備整理ニ際シ退官退職シタル者等
ニ交付スル公債發行ニ關スル法律案デアリ
マス、政府ニ於キマシテ、昨年ヨリ引續キ
實行イタシテ居リマスル所ノ、行政整理等
ニ依リマスル所ノ官吏其他ノ雇員傭人等ノ
人員ノ整理ハ、旣ニ其ノ大部分ヲ終了イタ
シタノデアリマス、之ニ依リマシテ退官退
職イタシマシタル所ノ人員ハ、一般會計、
特別會計ヲ通ジマシテ約二万人ニ上ボッテ
居ルノデアリマス、而シテ今日一般經濟界
不況ノ時機ニ際シマシテ、是等多數ノ人〓
ガ一時ニ其職ヲ去リマスルニ付キマシテハ、
之ニ適當ノ待遇ヲ與フルコトノ必要ナコトハ
中スマデモナイコトヽ考ヘマシテ、先例モ
アリマスルシ、其職ヲ離レマスル者ニ對シ
テ、ソレ〓〓特別ノ賜金ナリ、又ハ手當ヲ
支給スルコトノ計畫ヲ致シタノデアリマス、
是等特別ノ賜金又ハ手當ハ公債ヲ以テ交付
スルノ必要ガアリマス、是ガ此法案ノ提出
ノ理由デアリマス、其ノ次ハ昭和七年度以
降國債償還資金ノ繰入一部停止ニ關スル法
律案デアリマス、現行ノ法制ニ於キマシテ
ハ、國債償還資金トシテ每年度、前年度初メ
現在ノ國債總額ノ萬分ノ百十六以上ニ相當
スル金額ヲ繰入レルコトニナッテ居ルノデ
アリマスルガ、目下ノ我國ノ財政ハ歲入ガ
非常ニ減ジテ居リマシテ、是ガ爲ニ各會
計ニ於テ多額ノ公債發行ヲ必要トスルコト
ニ至ッタノデアリマス、デ斯ウ云フ狀態デア
リマスルカラ、一方ニ於テ多額ノ公債ヲ募
集シ、他方ニ於テ相當多額ノ公債償還ヲ行
フト云フコトヨリモ、寧ロ國債償還資金ノ
繰入ヲ一部停止シマシテ、其金額ダケ新規
ノ起債ノ減少ヲ圖クタ方ガ適當デアル、斯
ウ云フ考ヲ以チマシテ當分ノ間國債總額ノ
万分ノ百十六ニ相當スル金額ノ繰入ハ、其
三分ノ二以内ダケヲ減少シマス、又一般會
計ニ於ケル前々年度ノ歲計剩餘金ノ四分ノ
一ニ相當スル金額ヲ減債基金ニ繰入レルコ
トニナッテ居クタノデアリマスガ、其繰入ハ
全部之ヲ停止スルコトニ致シタノデアリマ
ス、尙ホ此震災手形善後處理法第二條ニ依
リマシテ震災手形ノ善後處理ノ爲ニ貸付ケ
マシタル金ノ辨償金ハ當該年度ニ於テ收入
シマシタルモノノ全部ヲ國債償還基金ニ充
當スルノガ從來ノ方針デアリマシタガ、此
分ハ變更シナイコトニ致シマス、唯是ガ爲
ニ本法律案ニハ第二項ノ設ケガアリマス、
デ是ハドウ云フコトデアルカト申シマスル
ト云フト震災手形善後處理法ニ依リマスル
所ノ貸付金ノ還ッテ來タモノハ、是ハ同法
律ノ規定ニ依リマシテ發行シマシタル所ノ
公債ノ償還ニ充テマスル爲ニ之ヲ一般會計
カラ國債整理基金特別會計ニ繰入レルコト
ニナッテ居ルノデアリマスルガ、此國債
ノ現在高ハ卽チ震災手形善後處理公債ノ
現在高ハ國債整理基金特別會計法三代子
マスル所ノ萬分ノ百十六ト云フ計算ヲナシ
マスル場合ニ於テ、其國債總額ト云フ中ニ
入ッテ居リマスルカラ前ニ中シマシタル貸
付金ノ辨濟金ノ繰入額カラ此萬分ノ百十六
ニ相當スル金額ダケハ之ヲ差引キマセヌト
云フト、其分ダケガダブルト云フ計算ニ相
成リマスルカラ、其コトヲ此處ニ規定シタ
ノデアリマス、然ルニ本法案ニ依リマシテ
萬分ノ百十六ノ繰入ノ率ハ三分ノ一ニ減ゼ
ラレマスルカラ震災手形貸付金ノ公債ニ付
テノ繰入ノ率モ同樣ニ減ゼラレナケレバナ
リマセヌ、其點ノ規定ガ入ッテ居ルノデアリ
マス、デ本改正ノ結果昭和七年度ノ國債償
還資金ノ繰入額ハ豫定額ヨリ四千七百七万
餘圓ヲ減少シマシテ二千六百八十三万餘圓
ト相成リマス、正確ニ申シマスレバ、豫定
額ノ合計ガ一般會計特別會計ヲ通ジマシテ
七千三百九十万七千七百二十八圓デアリマ
シタ中カラ、四千七百七万二千九百七十一
圓ト云フモノヲ減少イタシマシテ、殘ルノ
ガ二千六百八十三万四千七百五十七圓ト云
フ計數ニ相成リマス、尙ホ御承知ノ如ク外
債ニ付テハ英貨公債、米貨公債ニハ契約上
ノ義務トシテ每年一定額ヲ償還スルト云フ
コトニ相成ッテ居リマス、其償還義務額ガ英
米貨公債ヲ通ジマシテ昭和七年度分ガ約一
千百万圓デアリマス、デアリマスカラ七年
度ノ減債基金ノ殘ッテ居ル額ガ二千六百八
十三万デアリマスルカラ、此英米貨公債ノ
償還義務額ヲ支辨シマシテモ、尙ホ多少內
地ニ於テ使ヒ得ル金ガアリマス、ソレガ約
千五百万圓ニ相成ル計算デアリマス、ソレ
カラモウ一ツ法案ガアリマス、國債ノ價額
計算ニ關スル法律案デアリマス、所謂國債
優遇ニ關スル法律案デアリマス、デ國債ノ
相場ハ一般經濟界ニ於キマスル所ノ金利ノ
高低ナリ或ハ國債發行額ノ多少等ノ關係カ
ラ常ニ動搖スルコトハ已ムヲ得ナイノデア
リマスルガ、國債以外ノ社債デアリマスル
トカ、或ハ株劵デアルトカ云フヤウナ有價
證劵ニ比較シマスルト云フト、其價格ノ變
動ノ程度ハ甚ダ少ナク、縱令一時特殊ノ事
情カラ相當相場ガ低落スルコトガアリマシ
テモ、間モナク囘復ヲ見ルノガ通例デアリ
マス、從ッテ少シ長イ期間ヲ通シテ見マスル
ト云フト、國債ニ付キマシテ一定ノ標準ノ價
格ヲ持チマシテ之ヲ財產目錄ニ記載スルコ
トヲ得ルコトニ致シマシテモ、大シタ不都
合ヲ生ジマセヌ、ノミナラズ是ガ爲ニ國債ノ
所有者ニ大ナル便利ヲ與ヘ國債ノ發行ヲ容
易ニシ、且ツ其價格ノ維持ニ資スル所ガ多
イ譯デアリマス、ソレデアリマスルカラシ
テ國債ノ價格ヲ財產目錄ニ記載イタシマスル
場合ニ於キマシテ、商法ノ財產評價ニ關ス
ル規定ニ特例ヲ設クルコトヲ適當ト考ヘマ
シテ此法律案ヲ出シタ譯デアリマス、御承
知ノ如ク商法ノ第二十六條ノ第二項ニ於キ
マシテ財產目錄ニ動產不動產債權其他ノ財
產ノ價額ヲ記載イタシマスルニハ、財產目
錄調製ノ時ニ於ケル價額ヲ超ユルコトヲ得
ズト云フ規定ニ相成ッテ居リマス、財產ノ評
價ニ付キマシテハ所謂時價主義ト云フモノ
ヲ採用イタシテ居リマス、然ルニ此時價主
義ハ一時ノ財產狀態ヲ現ハスニハ適當デア
ルノデアリマスガ、長イ間ノ財產ノ狀態ヲ
現ハスモノデハナイノデアリマスルカラ、
國債ノヤウナ償還期ニハ必ズ額面ヲ以テ償
還シテ吳レル、且ツ確定ノ利拂ノアル證劵ニ
付キマシテハ必ズシモ此主義ヲ徹底サスル
必要ガナイト思ハレルノデアリマス、然ラ
バ商法ノ例外ヲ設ケルトシテ如何ナル價格
ニ依ッテ評價セシムルコトガ最モ適當デア
ルカト申シマスルト云フト、國債發行價格
ハ發行ノ時期ニ於ケル最モ公正ナル時價ヲ
現ハシテ居ルモノト見ルベキモノデアリマ
スルカラ、之ニ依ルノガ最モ宜シイト考ヘ
PV、從テ此法案ハ發行價格ニ依ラシムル
コトヲ原則ト致シテ居リマス、唯標準發行
價格ト云フコトニ致シマシタノハ、大體ハ
實際ノ發行價格ヲ採用スルノデアリマスル
ガ、例ヘバ交付公債ト云フヤウナ場合ニハ
額面デ以テ發行ヲ致シマスルカラ、此發行
ノ時ノ公債ノ時價ト全ク關係ノナイモノモ
アリマスルシ、又同ジ既往ノ公債デアリマ
シテ、發行價格ガ違ッテ居ルモノガアリマ
スルカラ、斯ウ云フモノハ大藏大臣ニ於テ
一定ノ標準トナル價格ヲ定メル必要ガアリ
マス、ソレデ大藏大臣ハ隨時各種ノ公債ニ
付テ、標準發行價格ト云フモノヲ告示スルト
云フコトニ致シタノデアリマス、尙ホ此法案
ノ趣旨ハ時價ノ値下リカラ生ジマス所ノ不
利益ヲ避ケシムルノガ目的デアリマスルカ
ラシテ、積極的ニ詰リ評價益ヲ出サシテ、
例ヘバ會社ノ配當資金ニ向ケサセルト云フ
ヤウナコトハ避ケヌトイケマセヌカラ、此
不當ナル評價益ヲ出スコトヲ避ケマス爲ニ、
此公債ヲ買入レル場合ノ時價ガ前ニ申シマ
シタル標準發行價格ト云フモノヨリ低イ場
合ハ、此取得ノ際ノ時價ヲ超エテ評價スル
コトハ出來ナイト云フコトニ致シタノデア
リマス、ソレカラ外債ニ付キマシテハ今日
ノ經濟狀況カラ見テ本邦人ニ此外債ノ投資
ヲ奬勵スルガヤウナコトハ是ハ避ケル必要
ガアリマスカラシテ、此法律カラシテ之ヲ
除外シタノデアリマス、尙ホ此法律ヲ施行
ノ際ニ於テ、現ニ持フテ居リマス所ノ公債
ニシテ、最終ノ財產目錄調製前ニ取得シマ
シタルモノハ、過去ニ遡ッテ取得價格ヲ調
査スルコトハナカナカ困難デアリマスノ
ト、又一〓取得ノ時ニ遡ヲテ之ニ依ラシムル
必要モアリマセヌカラシテ、是ハ最終ノ財
產目錄調製ノ時ニ買フタモノデアルト云フ
コトニシマシテ、其時ノ時價ニ依ラシムル
コトニ致シタノデアリマス、尙ホ明治三十
八年法律第二十九號、是ハ日露戰爭ノ時ニ
發行シマシタル公債デアリマスルガ、其公
債ノ評價ニ關シテハ特ニ其最低ノ發行價格
ニ依ッテ評價スルコトニナッテ居ッタノデア
リマスルガ、今日ハモウ既ニ其時價ガ騰ッ
テ居リマスルカラシテ、之ヲ存續スル必要
モアリマセヌシ、又本法ニ依ッテ其目的ヲ達
シ得ラレマスカラシテ、其法律ハ之ヲ廢止
スルコトニ致シタノデアリマス、以上公債
ニ關スル分グケヲ御說明申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/2
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003・樋貝詮三
○政府委員(樋貝詮三君) 恩給ノ減額補給
及停止ニ關スル法律案ニ付テ御說明申上ゲ
やっ、昨年六月カラ七月ニ亙リマシテ、
般官公吏ノ減俸ヲ行ヒマシタノデアリマス
ルガ、現行ノ恩給法ニ於キマシテハ恩給
ノ額ヲ恩給法自身デ一定額ニ定メテ居リマ
スルモノト、ソレカラ退職當時ノ俸給ヲ基
礎ト致シマシテ、ソレノ一定率ニ依リマシ
テ算出イタシマスル所ノモノト恩給ノ定メ
方ガ二色アリマスルガ、其內俸給ヲ基礎ト
シテ算出イタシマスル所ノ恩給ハ、軍人ノ
恩給ニ於ケルガ如ク定額デ定メテ居ルモ
ノト違ヒマシテ、自然減額セラレルコトニ
ナッタノデアリマスガ、此減俸ハ政府ニ於キ
マシテ臨時措置ト考ヘテ居リマスカラ、其
結果ガ恩給ニマデ及ブコトハ適當デナイト
考ヘテ居リマスノデ、ソコデ減俸ニ依ッテ生
ズル減額ノ分ニ對シテハ補給スルノ途ヲ講
ズル必要ガアル次第デアリマス、是ガ此法
律案ノ第一條ノ理由デアリマス、又或種ノ
公務員卽チ〓育職員ニ於キマシテハ恩給ノ
受給者ガ再任イタシマシタ時ハ、他ノ公務
員トハ別ニ現行法ノ九十九條ト云フ規定ガア
リマシテ恩給ノ全部ヲ停止イタシマセヌデ、
再度ノ俸給額ガ前ノ俸給額ニ及バナイ部分
ヲ恩給デ補足シテヤルト云フコトノ制度ニ
ナッテ居ルノデアリマス、此種ノ公務員ニ於
キマシテハ昨年ノ減俸ニ依ッテ恩給ハ法規
上自動的ニ俸給額ダケ餘分ニ給與サレルト
云フ結果トナリマシテ、固ヨリ給恩額其モ
ノハ變リマセヌガ、現實ノ支給ハサウ云フ
結果トナリマシテ減俸ガ意味ヲナサナイト云
フコトトナリマシテ、他ノ者トノ間ニ權衡
ヲ失スルコトトナルノデアリマス、故ニ此
自然的ニ增給サレル部分ヲ此儘ニ止メテ置
クト云フ必要ガアリマスノデ、ソレヲ直シ
タイト云フノデアリマス、尙ホ此上ニ是ト
ノ權衡上、現實ノ減俸ハ受ケナイ俸給額デ
ハアルガ、只今申上ゲマシタ所ノモノトノ
權衡上、矢張リ恩給モ自然增給ト同ジ結果
ニナリマスルモノニ付テハ、之ヲ一樣ニ取
扱ッテ行カナケレバナラヌト云フヤウナコ
トガ生ジテ參リマスルノデ、此點ヲ是正ス
ル爲ニ第二條ノ規定ヲ作ッタ次第デアリマ
ス、尙ホ此法律ガ施行サレマシタト致シマ
シテ、其結果此法律ノ適用ヲ受ケマスル者
ハ平常ノ年ト云フモノヲ考ヘマシテ、第一
條ノ適用ヲ受ケマス者ハ人員ニ於テ約五千
七百人、金額ニ致シマシテ年額三十一万九
千圓ト云フモノガ國庫ニ於テ增額負擔ス
ルコトニナル次第デアリマス、第二條ノ規
定ノ適用サレマス結果ヲ考ヘテ見マスルト
人員ニ於テ約六百人、全額ニ致シマシテ六
万八千圓バカリ國家ガ支給スル額ガ減ルト
云フ結果ニナル譯デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/3
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004・前田利定
○委員長(子爵前田利定君) 此第二條ト云
フノハ〓職員ノ恩給法デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/4
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005・樋貝詮三
○政府委員(樋貝詮三君) 〓職員ノ方ノ恩
給デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/5
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006・前田利定
○委員長(子爵前田利定君) 一應政府委員
カラノ說明ヲ聽キマシタ次第デアリマス
ガ、ドウカ案其モノニ付キマシテ御質問ゴ
ザイマスナラバ此際願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/6
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007・加藤政之助
○加藤政之助君 私ハ案其モノニ付テ質問
應答ヲスル前ニ、公債ノ現狀ニ付テノ〓念
ヲ確カメルガ爲ニ、書キ物ニシテ材料ガ欲
シイト思フノデアリマス、其欲シイト思ヒ
マスル五六ノ要求ヲ此際イタシテ置キタイ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/7
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008・前田利定
○政府委員(子爵前田利定君) 宜シウゴザ
イマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/8
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009・加藤政之助
○加藤政之助君 ソレハ臨時部交付公債赤
字補塡ト、此七年度ニ於テ發行スル公債總
計、是ガ引括メマシテ幾ラニナリマスカト
云フコトト、ソレカラ內外債ノ此七年度末
ニ於ケル總額ガ幾ラニ達スルデアラウカ、
ソレカラ公債償還ノ爲ニ万分ノ百十六ヲ年
年繰入レタノデアリマスガ、ソレヲ只今ノ
御說明ニ依ルト三分ノ二減ズルト此金額ハ
幾ラト云フ御說明ガアリマシタガ、ソレヲ
書類ニハッキリ書イテ御示シヲ願ヒマス、ソ
レカラ內外債ノ價格、是ハ七年度、本年ノ
一月以來ドウ云フ足取デ騰落シテ居ルカ、
其大體ガ御分リニナリマスレバソレヲ願ヒ
さく、ソレカラ政府、公共團體及諸會社、
是ノ外債總額、ソレガ爲替下落ノ爲ニ其元
利拂ニ及ボス差損額ガドレダケ、以上ノ項
目ニ付テ書類トシテ御提出ヲ願ヒタイト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/9
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010・前田利定
○委員長(子爵前田利定君) 今加藤委員カ
ラシテ材料ニ付テノ政府ニ對スル御請求モ
ゴザイマスカラ、ソレト同樣ナヤウナ御請
求ガアリマスレバ、此際御申出ヲ願ヒマス、
先ヅ御質疑ノ前ニ····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/10
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011・加藤政之助
○加藤政之助君 今ノ中ノ減債基金ノ繰入
停止ノ金額ガ幾ラニナルカ計數ハ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/11
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012・冨田勇太郎
○政府委員(富田勇太郞君) 御手許ニ配ッ
テアルサウデアリマスガ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/12
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013・加藤政之助
○加藤政之助君 サウデスカ、マダソレヲ
拜見シナイノデスガ其後ノヲ····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/13
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014・冨田勇太郎
○政府委員(冨田勇太郞君) ソレ以外ノモ
ノヲ御廻シ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/14
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015・加藤政之助
○加藤政之助君 剩餘金カラ出マス四分ノ
一ト云フモノハ剩餘金ガナイカラ全然是ハ
ナイデセウナ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/15
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016・冨田勇太郎
○政府委員(冨田勇太郞君) 今後ハ多少ア
リマシテモ全部停止スル考デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/16
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017・加藤政之助
○加藤政之助君 私ハ尙ホ御質問シタイコ
トガアリマスガ、成ルベク大藏大臣ガ出席
サレタ時ニ質問ヲ致シタイト思ヒマス、ソ
レハ大藏大臣ノ此間本會議ニ於テ發言サレ
タ事柄ニ關係ガアル、ソレデ明後日出席サ
レレバ其時ニ質問ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/17
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018・前田利定
○委員長(子爵前田利定君) 如何デセウ
カ、各案々々其モノニ付テノ御質疑ニ對シ
マシテハ政府委員ガ居ラレマスカラ十分ダ
ト思ヒマスガ、大體ノ公債政策トカ、或ハ
公債ノ償還トカ云フ政策上ニ付テノ御質問
デゴザイマスト大藏大臣ガ居ラレマセヌト
甚ダ不便ダラウト思ヒマスガ、大藏大臣ノ
御出席ヲ待ッテ大藏大臣ニ對スル····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/18
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019・加藤政之助
○加藤政之助君 私ハサウ願ヒタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/19
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020・前田利定
○委員長(子爵前田利定君) 他ノ諸君ハ如
何デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/20
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021・金杉英五郎
○金杉英五郞君 今日ハ此位デ切上ゲテ十
三日ニテキパキヤッテ了ッタラドウデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/21
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022・前田利定
○委員長(子爵前田利定君) 如何デスカ、
出席シテ居ラレマス政府委員デ御宜シイ御
質疑ナラ、此際遊バシテ差支ゴザイマセヌ
ガ、只今大藏大臣ノ出席ヲ待ッテ大綱カラノ
質疑ヲシテカラ進ミタイト云フ御方モ居ラレ
ルヤウデアリマス······御異議ガゴザイマ
セヌケレバ、今日ハ此程度ニ止メテ置キマ
シテ、十三日ニ大藏大臣ノ御出席ヲ待チマ
シテ、大綱カラ細節ニ亙ッテ御質疑ヲ續行シ
テ戴クコトニ致シマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/22
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023・前田利定
○委員長(子爵前田利定君) ソレデハ今日
ハ是デ散會イタシマス
午前十時五十一分散會
出席者左ノ如シ
委員長子爵前田利定君
副委員長木村〓四郞君
委員
侯爵大隈信常君
侯爵細川護立君
子爵梅小路定行君
大島健一君
栃内曾次郞君
男爵菊池武夫君
男爵井田磐楠君
男爵小畑大太郞君
加藤政之助君
大橋新太郞君
金杉英五郞君
五十嵐甚藏君
本間千代吉君
政府委員
內閣恩給局長樋貝詮三君
大藏省理財局長冨田勇太郞君
大藏書記官川越丈雄君
大藏書記官賀屋興宣君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/006201694X00119320611/23
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