1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和七年六月八日(水曜日)午前十時七分開議
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議事日程 第五號
昭和七年六月八日
午前十時開議
第一 國務大臣の演説に關する件(第四日)
第二 市町村義務教育費國庫負擔法第三條の特例に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 手形法案(政府提出)
第一讀會の續(委員長報告)
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001・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 是ヨリ諸般ノ報
告ヲ致サセマス
〔近藤書記官朗讀〕
昨七日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セ
市町村義務〓育費國庫負擔法第三條ノ特
例ニ關スル法律案
同日豫算委員會ニ於テ當選シタル正副委員
長ノ氏名左ノ如シ
委員長伯爵柳澤保惠君
副委員長男爵大井成元君
同日內閣總理大臣ヨリ左ノ通政府委員仰付
ケラレタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
第六十二囘帝國議會農林省所管事務政府
委員
農林書記官井野碩哉君
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
請願委員會特別報告第一號
號外昭和七年六月九日発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、日程變更ニ付キ御諮リヲ致
シタイト存ジマス、諸君ニ於テ御異議ガナ
ケレバ、日程第一ヲ第三ノ後ニ廻ハシタイ
ト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=2
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003・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 市町村義務〓育
費國庫負擔法第三條ノ特例ニ關スル法律
案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、文
部大臣態山一郞君
市町村義務〓育費國庫負擔法第三條ノ
特例ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和七年六月七日
衆議院議長秋田清
貴族院議長公爵德川家達殿
市町村義務〓育費國庫負擔法第三條
ノ特例、ニ關スル法律案
市町村ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル
場合ニ於テハ主務大臣ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ市町村義務〓育費國庫負擔法第三
條ノ規定ノ適用ニ付期間ヲ定メ舊町村ノ
地域ニシテ新ニ市ニ屬シタル部分ヲ町村
ト看做シ同條ノ規定ニ依リテ町村ノミニ
交付スル國庫支出金ヲ當該市ニ交付スル
コトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣鳩山一郞君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=3
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004・鳩山一郎
○國務大臣(鳩山一郞君) 提案ノ理由ヲ說
明イタシマス、市町村ノ廢置分合又ハ境界
變更ニ依リ町村ノ地域ヲ市ニ屬セシメマシ
タ場合ニ於キマシテ、市町村義務〓育費國
庫負擔法第三條ノ規定ノ適用ノ關係上、新
ニ市ニ屬スルニ至シタ地域ニ付キマシテハ、從
來町村トシテ交付ヲ受ケテ居リマシタ義務
〓育費國庫負擔法第三條後段ノ交付金ヲ、
市ハ將來受クルコトヲ得ザルニ至リマスル
結果、國庫下渡金ノ急激ナル減少ヲ來スコ
トトナリマシテ、〓育上ニモ財政ニモ著シ
イ支障ヲ生ゼシムル虞レガアル場合ガアリ
マスルカラ、之ニ對スル適當ナル緩和策ヲ
講ズルノ必要ガアルモノト認ムルノデアリ
V、、殊ニ本年十月一日ヲ以チマシテ、東
京市ニ於テ近接八十二箇町村ヲ合併スルコ
トニナッテ居リマスル關係上、此議會ニ本案
ヲ提出イタシマシタ次第デアリマス、何卒
御審議ノ上御協賛下サラムコトヲ御願ヒ致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=4
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005・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名
ヲ書記官ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔山本書記官朗讀〕
市町村義務〓育費國庫負擔法第三條ノ特
例ニ關スル法律案特別委員
侯爵中御門經恭君子爵東園基光君
子爵織田信恒君男爵紀俊秀君
松浦鎭太郞君若林賚藏君
桑山鐵男君磯貝浩君
金子元三郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=5
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006・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 手形法案、政府
提出、第一讀會ノ續、委員長報告、木場副
委員長
〔左ノ報告書ハ朗讀ヲ經サルモ参照ノ
タメ茲ニ載錄ス以下之ニ傚フ〕
手形法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和七年六月七日
副委員長木場貞長
貴族院議長公爵徳川家達殿
〔木場貞長君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=6
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007・木場貞長
○木場貞長君 委員長ガ病氣缺席ノ爲ニ私
カラ御報告イタシマス、委員會ハ一昨六日
竝ニ昨七日二囘開キマシタ、先ヅ正副委員
長ノ選擧ヲ終リマシテ、直ニ議事ニ入リ
當局大臣ノ說明ヲ聽キマシテ質問ニ入リマ
シタ、質問應答ハ七日ニ續行シマシテ、其
末愈。逐條審議ヲ終ヘマシテ、全法案ハ何
等ノ修正ヲ加フルコトナクシテ可決スベキモ
ノト決定イタシマシタ、少シク說明ヲ加ヘマ
ス、此手形法ハ爲替手形ト約束手形ヲバ國
際的ニ統一スルコトヲ目的トシテ制定セラ
レムトスルモノデアリマシテ、單行法ノ形
ヲ以テ出來テ居リマス、而シテ商法ノ第四
編第一章、第二章、手形、約束手形竝ニ爲
替手形ニ關スル部分ヲ削除シテ之ニ代ラム
トスルモノデアリマス、抑、此統一手形法ノ
制定ニ付キマシテハ、一昨年國際聯盟ノ招
聘ニ依リマシテ「ジユネーヴ」ニ手形法規統
一ヲ目的トスル所ノ國際會議ガ開カレマシ
タ、其結果ト致シマシテ手形統一法ヲ制定
スル條約ガ出來上リマシテ、我ガ帝國ノ代表
モ五月五日之ニ調印シテ居リマス、之ニ依リ
マスルト各締約國ハ條約ニ附屬シテ居リマス
ル手形統一法ヲ、其原本タル英文又ハ佛文ノ
儘、又ハ之ヲ自國語ニ飜譯イタシテ、各〓其
國內法トシテ國內ニ施行スルノ義務ヲ負フ
コトニナッテ居ルノデアリマス、而シテ批准
ノ期限ハ本年八月三十一日限トナッテ居リ、
又國際聯盟ニ於ケル常任理事國三箇國ヲ含
ミ、七箇國ノ批准ヲ了スレバ此統一法ハ效
力ヲ發生スルノデアリマス、右樣ノ次第デ
ゴザイマスルカラ、御批准ヲ仰ガムトスル
ニ、我國ニ於テモ國際會議ノ統一法規ト
同一ノ法律ガ制定セラルルコトヲ必要條件
ト致スノデゴザイマス、ソレガ爲ニ先ヅ臨
時議會ニ本案ガ提出セラルルニ至ッタモノ
ト存ジマス、手形統一法ノ制定ノコトハ各
國ニ於テ其法規ガ異ナルガ爲ニ、通商貿易
上多大ナル不便不利ガアリマスルノデ、關係
者ノ間ニハ苦痛ガ少ナクナイノデアリマシ
テ永年ノ間、學者竝ニ關係者ノ間ニ於テ
頻リニ之ヲ唱道セラレタノデアリマスル
ガ、明治四十五年ニハ海牙ニ於キマシテ手
形法規統一萬國會議ガ開カレ、一ノ成案ヲ
得ルマデニ至ッタノデアリマス、然ル所世界
大戰ガ起リマシタノデ、其儘頓挫シテ居リ
マシタノヲ、一昨年國際聯盟ノ招聘ニ依リ
マシテ、更ニ今申シマスル所ノ國際會議ガ
開カレマシテ、此國際會議ニ於キマシテ
四十五年ノ海牙案ヲ多少修正イタシマシテ
成立イタシマシタ、卽チソレガ今度ノ統一
案デアルノデアリマス、而シテ此統一案、
統一法規、卽チ此度ノ手形法案ハ我國ニ於
キマシテモ永年〓究調査ヲ經タモノデアリ
マシテ、學者竝ニ實業家ノ間ニ於キマシテ
モ議論ノナイ所デアルト云フコトデアリマ
ス、尙ホ之ヲ我國現行ノ手形法規ニ比シテ
見マスルニ、一段ノ進步改良ヲ加へタモノ
デアリマシテ、旣ニ法制審議會、日本銀行、
正金銀行、商業會議所等ノ支持諒解ヲ受ケ
テ居ルモノヽヤウデアリマス、終リニ臨ン
デ一言附言シテ置キマスルガ、英米露支等
ノ國ハ此條約ニハ加盟シテ居リマセヌ、英
米ノ如ク我國ト取引關係ノ最モ大ナル國ガ
加盟シテ居ラヌト云フコト、此統一法カラ
受クル所ノ效果ガ半減セラレルヤウナモノ
デ、誠ニ遺憾ノ次第デアリマスガ、英國ハ
本來ガ習慣法ヲ尊ブ國デアリマシテ斯ノ
如キ成文法ヲ今定ムルコトハ困難ノ事情ガ
アル、又米國ハ聯盟ニ加テ居ラヌノミナラ
ズ、各州ニ於テ手形法ガ區々ニナッテ居ッタ
ノヲバ非常ナル努力ヲ以テ漸ク統一シテ
マダ日ガ淺イノデ、今又之ヲ改正スルコト
ハソコニ非常ナル苦痛ガアルノデアリマ
ス、ソレ等ノ事情デ兩國ハ加ッテ居リマセ
ヌガ、併ナガラ其內容ハ英米ノ法律ノコト
モ考慮ニ入レテ出來テ居リマスルノデ、永
キ月日ノ中ニハ之ニ合流加盟スルノ望モナ
イデハナイノデアリマス、就キマシテハ此
度直ニ是等ノ國ミガ加盟セザレバトテ、此
度ノ手形法案ヲ否決スルニハ當ラヌコトハ
申ス迄モナイ次第デアリマス、委員會ニ於
キマシテハ種々ノ問題、殊ニ相當根本的問題
ニモ觸レテ〓究論議ヲ重ネマシタガ、討議
ニ入リマシテハ何等ノ議論モナカッタノデ
アリマス、異議モ出ナカッタノデアリマス、
ソレデ一々其質問應答ノコトヲバ御紹介ス
ルコトハ之ヲ略シマシテ、議事錄ニ於テ御
覽下サルコトヲ願ッタ方ガ賢明デハナカラ
ウカト存ジマスノデアリマス以上ノヤウ
ナ次第デ委員會ニ於キマシテハ質問ヲ試ミ
ラレタ人達モ含ンデ、全會一致デ、此案ハ此
儘贊成スベキモノデアル、可決スベキモノデ
アルト云フコトニ決定イタシマシタ、右御
報〓イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=7
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008・土方寧
○土方寧君 二三ノ質問ヲ致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=8
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009・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 政府ニ對シテデ
スカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=9
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010・土方寧
○土方寧君 政府デモ委員長デモ、ドチラ
デモ宜ウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=10
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011・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 宜シウゴザイマ
ス
〔土方寧君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=11
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012・土方寧
○土方寧君 私ハ本案ニ付キマシテ二三ノ
質問ヲ致シタイコトガゴザイマス、第一ハ
此手形法案ハ手形法統一條約ノ參考案ニ
據ッタモノデアリマスガ、特別委員會ノ速記
綠ニ付テ見マスト云フト、マダ樞密院ヘ御
諮詢ニナッテ居ナイヤウデアル、何レ貴衆兩
院ヲ通過シマシタ後ニ御裁可ニナル前ニハ
樞密院ヘ御諮詢ニナルコトヽ思ヒマスガ、
若シ此法案ガ貴族院若クハ衆議院デ幾分ナ
リトモ修正ニナリマシタ時ニハ條約ヲ御
批准ナサルニ付テ支障ガ生ズルモノデアラ
ウカドウカト云フコトニ付テ、政府當局ノ
御意見ヲ拜聽イタシタイ、ソレガ一ツデア
リマス、モウ一ツハ特別委員會ノ速記錄ニ
依ッテ見マスト云フト、只今モ委員長ノ御報
告中ニモアリマシタ通リニ、此統一法ノ條約
ニハ英米トモ加入シテ居ナイト云フコトデア
ル、ソレガ委員會デ政府委員カラ說明ニナッ
テ居リマス、思ヒモ依ラヌ間違ヒガアリマ
ス、ソレ程詳シイコトハ仰シヤイマセヌ
ガ、委員長モ只今同樣ノコトヲ仰シヤイマ
シタ、マサカ特別委員會ノ速記ガ英米人ノ
眼ニ觸レルコトモアリマスマイガ、若シ此
委員會ノ速記ノ趣意ガ英米人ノ知ル所ニナ
リマシタナラバ實ニ驚クダラウト思フノ
デアリマスカラ、此事ハ一言質シテ見タイ
ト思ヒマス、併シ政府委員ガサウ云フ風ニ
御說明ニナッタノハ何カ據ル所ガアルカモ
知レマセヌガ、念ノ爲ニ伺ヒマス、委員會
ニ於キマシテ山川君ノ質問ニ對シテ長島政
府委員ノ御答辯中ニ······全部ハ讀ミマセヌ、
英吉利ガ條約案ニ加盟シテ居ナイト云フ
理由ニ付キマシテ斯樣ナコトガ書イテア
リマス、「英吉利ハ御承知ノ通リニ總テ、殊
ニ此手形ニ關スル法律ハ私ハ能ク存ジマセ
ヌガ、」ト云フ斷リガアリマスガ「先ヅ慣習
デ發達ヲシタモノダサウデアリマシテ、其法
規ト云フモノガ餘リ完全シテ居ラナイサウ
デアリマスカラ、サウ云フ關係カラ英吉利
ハ、必シモ此統一法案ノ內容ニ付テハ反對デ
ハナイノデアリマスケレドモ、極些細ノ點
デモ違ヒマスト、習慣デ出來テ居ル國デ、
成文法デ出來テ居リマセヌモノデスカラ、
僅カノ點デモ違ッテ居リマスト調印ヲスル
ノハ困難ナヤウデアリマス、」云々ト云フヤ
ウナコトガ書イテアリマス、是ハ大變ナ間
違デアリマス、御承知ノ通リニ、英吉利ノ
法律ハ〓シテ判例ニ示ス所ノ不文ノ慣習法
デアリマス、サウカト云ッテ成文法モ澤山ア
リマス、特別法ノ性質ノモノデアル手形
法モ長イ間不文ノ慣習法デアリマス、尤モ
一部、歐羅巴ノ手形法ナルモノハ慣習法デ
共通ノモノガ元アッタ、後ニ、一番舊イノハ
私ノ記憶デハ「ルイ」十四世ノ時ニ勅令ガ出
來タ、ソレガ「ナポレオン」ノ商法典ニ編入
セラレタ、其法典ニ據ッタ國ガ澤山アリマ
ス、獨逸ハ獨逸デ又別ニ新シイ所ノ法律ガ
出來タ、ソレガ又獨逸流ノ國ニ傳ッテ居リ
マスガ、英吉利ノハ政府委員フ仰シヤルヤ
ウニ長イ間不文デアリマス、ケレドモ「チ
ヤルマース」ト云フ人ガ不文ノ手形規則ヲ
成文ニ私ニ書キマシテ、之ヲ著書トシテ出
版シテ長イ間行ハレテ居リマシタ、サウシ
テ實業界ハ若シ手形規則ガ斯ノ如ク簡單ナ
法文ニ書イテ正確ニ示スコトガ出來ルモノ
ナラバ不文法ハ搜査ニ不便デアル、素人ニ
ハ誠ニ分リニクイケレドモ、成文ナラバ大
體分ル、是ハ宜カラウト云フコトデ銀行家
其他實業者ノ希望ニ依ッテ、時ノ政府ハ其著
者ノ「チヤルマース」ニ囑シテ政府案トシ
テ、其時ニ多少字句ハ變ヘマシタケレド
モ、提出シテ貴衆兩院ヲ通過シテ、千八百
八十二年以來成文法ニナッテ居リマス、其實
驗ニ徵シテ亞米利加デモ、御承知ノ通リ亞
米利加ハ四十八州何レモ別々ノ立法機關
及司法裁判所モアリマスケレドモ、根本
ガ本國ト同樣ノ法律デアリマスガ、不文デ
アッタ、英國ガ成文法ニナッテ便利デアルト
云フノデ、「ニユーヨーク」州其他ノドノ州モ
サウダラウト思ヒマスガ、條文ノ前後スル
所名稱モ違ヒマス英吉利ハ爲替手形法
ト云フ名義デ小切手モ這入ッテ居リマスガ、
亞米利加ハ流通證劵法ト云フ名前ニナッテ
居リマス、內容ハ大同小異ノモノガ亞米利
加モ出來テ居リマス、サウ云フ譯デ亞米利
加人ヤ英吉利人ハ法シテ不文ノ不完全ナ手
形シカナイト云フコトヲ、彼等ガ考ヘテ
居ナイコトハ確デアリマス、ソレデ斯ウ云
フ風ニ見テ、若シ不文ノ慣習法デ書イテナ
イト云フ、事實ニ反スルコトヲ政府委員ガ
言ッタコトガ傳ハルト云フト、彼等ハ惡イ感
ジヲ起シハシナイカト思フ、又不完全デア
ルト云フコトモアリマスガ、彼等ハ決シテ
不完全ト思ッテ居ナイ、此法案モドッチカト
言フト、日本ノ現行商法ノ手形ヨリ英米
ニ依フタ方ガ多イノデアリマス、是ハ間違ッテ
居クタラ間違フテ居フ
キタクイクロウ
所ヲ二三伺ヒタイノデアリマス第五條ノ
二代·「一覽拂又ハ一覽後定期拂ノ爲替手
形ニ於テハ振出人ハ手形金額ニ付利息ヲ生
ズベキ旨ノ約定ヲ記載スルコトヲ得其ノ他
ノ爲替手形ニ於テハ此ノ約定ノ記載ハ之ヲ
爲サザルモノト看做ス」、此五條一項ノ法文
ニ依ッテ見マスト一覽拂又ハ一覽後定期拂
ノ手形ニ付テハ手形金ノ外ニ利息ヲ附加
ヘテ拂フト云フコトヲ書イテモ宜イ效力ガ
アルト云フコトニナッテ居ル、其他ノ手形ニ
村テハサウ云フ約定ノ記載ハ爲サザルモノ
ト看做ス、書イテモ書カナイデモ同ジコト
他ノ手形ニ付テハ手形金ノ外ニ利息ヲ加
ヘテ拂フト云フ行爲ハ出來ナイト云フ趣意
デアリマスカ、何ダカソレデハオカシイヤ
ウニ思ヒマスカラ確メタイノデアリマス
ソレガ一ツデス、一覽拂又ハ一覽後定期拂
ノ外ノ手形ニモ手形金ノ外ニ利息ヲ附加ヘ
テ拂フト云フコトヲ手形ニ書ケバソレガ
手形ノ行爲デ有效デアル、元利共ニ併セテ
拂ハナケレバナラヌト云フコトニナルカド
ウカト云フ點デアリマスソレカラ第二十
六條デアリマスガ、「引受ハ單純ナルベシ但
シ支拂人ハ之ヲ手形金額ノ一部ニ制限スル
コトヲ得」ト、詰リ引受ハ百圓ノ手形ナラバ
支拂人ハ百圓ノ手形ヲ引受ケルカ引受ケナ
イカ二者一ツト云フコトノ外ニ百圓ノ
中八十圓引受ケルト云フコトガ出來ルト云
フ意味ニナルト思ヒマス、二十六條ノ二項
ニ「引受ニ依リ爲替手形ノ記載事項ニ加ヘ
タル他ノ變更ハ」···一部引受ノ他ノ變更
ハ一部引受デモ變更、百圓ノ中八十圓ト
カ七十圓トカモ變更ニナル他ノ變更ハ皆
這入ル、「他ノ變更ハ引受ノ拒絕タル效力ヲ
有ス」、但書ガアリマスガ、ソレハ關係ガナ
イカラ止シマス、ダカラ手形金額ノ一部ノ引
受ハ手形行爲デ有效デアル其他ノ手形ニ
記載シテ居ル事項ニ對シテ變更シテモ、ソレ
ハ手形行爲ハ效力ガナイ、無效ダ、斯ウ云フ
コトニナリマス、ソレハ能ク分リマスガ、此
二十六條ノ一項デ、一部ノ引受ダケハ爲ス
コトヲ得ト云フノハ一部ノ引受ガ手形行爲
ガ有效デアッテ、當時ノ所持人ガ之ヲ甘ンジ
テ受ケナケレバナラヌカドウカト云フコト
ガ此文章ダケデハ不明デアリマス所ガ
其點ハ後ノ四十三條ニ依ッテ見マスト斯ウ
ナッテ居リマス、「滿期ニ於テ支拂ナキトキ
ハ所持人ハ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者
ニ對シ其ノ遡求ヲ行フコトヲ得左ノ場合ニ
於テハ滿期前ト雖モ亦同ジ」、遡求スルコト
ヲ得、其一ツニ、「引受ノ全部又ハ一部ノ拒
絕アリタルトキ」ト斯ウアリマス、サウシマ
スト爲替手形ノ一部ノ引受ガアッテモ、全部
ノ引受ガアッテモ、同ジヤウニ所持人ハ引受
ノ拒絕ガアッタモノト見ルコトガ出來ル、サ
ウシテ滿期日ヲ待タズシテ償還請求權ハ前
者ニ向ッテ出スコトガ出來ル、斯ウ云フコト
ニナル、サウシマスト四十三條ノ今ノ箇條
ト前ノ二十六條ノ規定ト照シ合セテ見マス
ト爲替手形金ノ一部ノ引受ハ手形行爲デ
爲スコトヲ得ル、ケレドモ當時ノ所持人ハ
メレデ不便ト思ヘパ全部ノ拒絕ト看做シ
遡求權ヲ行ヒ得ル、併ナガラソレデモ
宜シイト云フナラバ甘ンジテ受ケレバ引
受效力ガアルカラシテ其手形ノ後ノ所持
者ハ遡求權ヲ行フコトガ出來ナイ斯ウ云
フ意味ニナルト思ヒマスガ二條前後照シ
合セタノデハ十分明瞭デナイヤウニ思ヒマ
スカラ、ソレモ御說明ヲ願ヒタイ、詰リ私
ノ考デハ一部引受ハ引受ノ效力ガアル併
ナガラ當時ノ所持人ハソレデ不便ト思ヘバ
全部ノ拒絕同樣ニ見テ手形金全額ニ付テ卽
時ニ前者ニ向ッテ償還請求ノ出來ル權利ガ
所持人ニアル甘ンジテ受ケレバ一部ダケ
ノ引受ノ效力ガアル斯ウ云フコトニナラ
ウト思ヒマスガ、其點ニ付テ條文ガ十分ニ
明瞭デナイ、ソレヲ疑フノハ一部ノ引受
ヲ受ケマス時ニハソレデ宜イト云フコトニ
ナリマスト引受ナイ部分ニ付テハ前者ニ
向フテ償還請求ガ出來ル引受ケタ部分ニ付
テハ滿期日ヲ待ッテ支拂請求ヲシナクテハ
ナラヌ、一ツノ手形デ時ヲ異ニシテ二ツノ
場所ニ持ノテ行カナケレバ全時ノ支拂ヲ受
ケルコトガ出來ナイ、多クノ場合所持人ガ
不便デアリマス、ソレカラモウ一ツハ五十
六條ノ第二項デアリマス、「爲替手形ニ支拂地
ニ於ケル豫備支拂人ヲ記載シタルトキハ手
形ノ所持人ハ其ノ者ニ爲替手形ヲ呈示シ且
拒絕證書ニ依リ其ノ者ガ引受ヲ拒ミタル
コトヲ證スルニ非ザレバ其ノ記載ヲ爲シタ
ル者及其ノ後者ニ對シ滿期前ニ遡求權ヲ行
フコトヲ得ズ」ト斯ウアリマス、此豫備支拂
ノコトデアリマス、爲替手形ニ支拂地ニ於
ケル豫備支拂人ト云フモノガ書イテアッタ
時ニハ所持人ハ先ヅ支拂人ニ其手形ヲ呈
示スルノデス、拒絕ガアルト云フト今度
ハ豫備支拂人ニ行ク、豫備支拂人モ亦拒絕
シタト云フ時ニハ拒ミ證書ヲ以テ初メテ償
還請求ガ出來ル斯ウ云フコトニナル詰
リ豫備支拂人ガ書イテアル時ニハ支拂人
ガ引受ケヌ時ニハ次ニハ先ヅ豫備支拂人
ニ呈示ヲシテ其引受ケルヤ否ヤヲ確メテ
來テデナケレバ前者ニ遡求權ヲ行ヘヌト
斯ウ云フコトニナリマス是一所得
スペシャルカーツ東大阪ベストワイホード無料プン
ス、
又、詰リ二箇所······兎ニ角其支拂地ニ於テ
引受ケル、何カノ場合デ斷ハルサウスル
ト豫備支拂人ニ又行カナケレバナラヌ
斷ハル拒ミ證書ヲ作ッテ初メテ出來ル、二囘
行カナケレバナリマセヌ、英米法デハ豫備
支拂人ガ書イテアッテモ、行クモ可ナリ
行カナクテモ宜イ、所持人ノ方カラ言へ
バ···ト云フコトニナッテ居リマスガ、是デ
ハドウモ豫備支拂人ガ書イテアル時ニハ
必ズ所持人ハ支拂人ノ次ニハ豫備支拂人ニ
付テ引受等ヲ確メナケレバ償還請求ガ出來
ナイト云フコトニナリマスガ左樣デアリ
マスカソレ等ノ點ハ實際上非常ニ便否ガ
分レルト思ヒマス此案ニ依リマシテモ
一方ニ於テハ英米ノ手形法、他ノ方ニ於テ
ハ歐羅巴ノ大陸ノ舊主義ノ佛蘭西法ノ手形
法新主義ノ獨逸手形法トノ非常ニ大イナ
違ヒハ引受ノ拒絕ガアッタ場合ニハ、滿期日
ヲ待タズシテ更ニ償還請求ガ出來ルト云フコ
トガ一番主ナル點デ、其點ハ英米法ニ據シタ
ヤウデアリマス、此法案ガ······ソレニ據ラ
ナケレバ迚モ英米ハ同意ヲスルト云フコト
ノナイコトハ確カデアリマス、英吉利ノ手
形法ノ趣意ト云フモノハ、英吉利ノ手形法
デハ貨幣主義ト云フコトヲ言ッテ居リマス、
兌換紙幣ノ代用ヲサスト云フヤウナモノダ
ト云フコトニナッテ居ル、詰リ手形ヲ持,
テ居ル者ハ引受ケテ吳レト云ヘバ何時
デモ引受ケテ吳レルヤウデゴザイマス滿
期日ニ拂ッテ吳レト云ヘバ拂ッテ吳レル丁
度兌換劵ヲ銀行ヘ持ノテ行ッテ硬貨ニ換ヘテ
吳レト云。ツテモ·····ソコニ信用ガアレバ又
換へニ行カナイ、ソレデアルカラ通貨同樣
ニ運用ガ出來ルト云フコトデ出來テ居ル
所ガ引受ケテ吳レト云フテ持ヲテ來ルト拒
絕セラレル當テガ外レルヽ引受ケヌト云
フナラバ、滿期日マデ待フテ拂ッテ吳レト云フ
テモ多分斷ハルダラウト思ヒマスサウス
ルト通貨ニ容易ニ換ヘルコトガ出來ヌ債
權ノ證書ミタイノ形ニナルソレデハドウ
モ手形ノ效用ヲ失フカラ直グニ現金ニ換
ヘテ吳レト云フコトデ前者ニ行クト云フコ
トガ根本ノ趣意デアリマシテ成ルベク通
貨ノ代用ヲナサシメル、何處ノ國デアリマ
シテモ或時期ニ於テ通貨ノ量ヲ適當ニ定
ムルト云フコトハムヅカシイモノデアル
多過ギテモ少過ギテモイカヌ、寧ロ少過ギ
ルノガ宜イト云フノガ英國ノ手形法ニ見ル
所デアリマス通貨ガ不足ナラバ手形ヲ以
テ補充スル是ハ需要供給デ自然伸縮ガア
リマスソレデ通貨ノ代用ヲサスト云フ意
味デ出來テ居ルト見エテ大變重キヲ置イテ
居ル同ジ考ヘデ豫備支拂人ガ書イテアル
場合ニハ其處へ持ッテ行ク、何箇所ヘモ行カ
ナケレバナラヌ、二箇所ヘモ行カナケレバ
自分ノ權利ガ行ヘナイト云フコトニナリ
マスト紙幣同樣ノ行爲ガ行へヌト云フコ
トニナリマス是デハハッキリシマセヌガ、
豫備支拂人ガ書イテアレバ其處ヘモウ一
遍行カナケレバ前者ニ償還請求ガ出來ナイ
ト云フコトニナッテ居リマスガ、サウデアリ
マスカ是等ノ點ヲ伺ヒタイト思ヒマス
政府委員デモドナタデモ······委員長、政府
委員ノドナタデモ宜シウゴザイマス
〔政府委員長島毅君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=12
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013・長島毅
○政府委員(長島毅君) 第一ノ御問ハ若
シ······チョット私甚ダ失禮デゴザイマスガ、
ヨク聽キ取レマセヌデゴザイマシタガ、樞
密院ノ方デ此附屬書一部ノ關係上、手形法
案ト違ッタヤウナ、詰リ修正ガ加ヘラレタナ
ラバ、結果ハドウナルカト云フ御問ノヤウ
ニ存ジマスガ、若シ其修正ガ結局條約ノ要
求スル所ノ手形法案ト、ソレカラ條約ニ要
求イタシマス附屬書一ト違フヤウナ結果ニ
ナリマスレバ結局批准ハ出來ナイト云フ
コトニナルノダト存ジマス、ソレカラ第二
ノ盛是ハ私ハ實ハ委員會ニ於テ申上ゲ
ヤウガ足リナカッタト云フコトヲ後デ氣付
キマシタノデ實ハ訂正ヲ致サウト思ヒマ
シタノヲ訂正シソクナッタ點ナノデアリ
マス、私ガ成文法ガナカッタト申上ゲマシタ
ノハ全ク間違ヒデアリマシテ、慣習ノ結果
成文法ガ出來テ居ルノデアリマスガ併ナ
ガラ其成文法ハ慣習ヲ基礎ト致シテ居リ
マスモノデアリマスカラ、ソレヲ詰リ外
部カラ法規的ニ直スト云フコトガ困難ノ事
情ニアルト云フコトヲ申上ゲル積リデアフ
タノデアリマス、ソレカラ其次ハ手形ノ一
部引受ノ御問ノコトデアリマスガ、ソレハ
此四十三條ニモアリマス通リニ、此手形ノ
引受ニ付テ一部ノ拒絕ガアリマスレバ共
拒絕サレタ分ニ付テ遡求權ヲ行フコトガ出
來テ居ルヤウニナッテ居ルノデアリマス、ソ
レカラ、次ニハ五十六條ノ豫備支拂人ニ對
スル引受ノ呈示ノコトデアリマスガ是
御說ノ如クニ若シ豫備支拂人ガ一部引受ノ
爲メノ呈示ヲシナケレバナラヌト云フコト
ニナレバ手形ノ所持人ハ幾分不便ノコト
トナルト思ヒマスケレドモ、又一方振出人
其外手形債務者ノ關係カラ申シマスレバ
或ハ內部的ニ色ミナ資金關係モアリマスカ
ラ又豫備支拂人ニ引受ヲ求メサセルト云
フ便益モアルコトト存ジマシテ、是ハ結局
債權者ト債務者、兩者ノ擁衡問題デアルト
存ジマス、尙ホ御承知ノ如クニ五十六條第
二項ハ支拂地ニ於ケル豫備支拂人ノミノ場
合ヲ限定シテアリマス、又御承知ノ如ク是
ハ現行法ト略ボ同ジコトニナッテ居ルノデ
アリマス、尙ホ私ノ或ハ御答ガ不十分デア
ルカモ存ジマセヌガ、大體サウ云フコトニ
存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=13
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014・土方寧
○土方寧君 私ガ第一ニ伺ヒマシタ點ニ付
テモウ一點重ネテ伺ヒタイノデアリマス
ガ、若シ此法案ニ寸分タリトモ修正ヲ加ヘ
タナラバ條約ガ批准出來ナクナルヤウニ御
答デゴザイマシタガ、若シサウデアルト云
フト、是ハ形式ダケデ議會ニ提案ニナッタモ
ノダラウト思ヒマス、貴衆兩院ハ決議權ハ
ナイト云フコトニナル私ノ考デハ外ノ
條約デアリマシテモ、或ハ條件附留保ヲシ
テ其儘デ批准スルト云フコトモアリマス
ガドウモ或修正ガアッテ、矢張リ修正ヲ加
ヘタ條件ノ下ニ御批准ニナルト云フコトガ
出來サウニ思ヒマスガ、サウ云フコトハ私
ハ實ハ不案内デ能ク分リマセヌガ外務ノ當
局カラデモ伺ヒタイト思フ、ソレデナケレ
バ少シデモ修正シタラモウ批准出來ナクナ
ルサウナルト此儘決議セヨト云フコトニ
ナリ、決議權ト云フモノハマルデ拘束セラ
レルコトニナル、ソンナコトハナイモノダ
ト思ヒマスソレカラモ一度、ハッキリ御
說明ガ分リマセヌガ、引受ケデアリマス
四十三條ノ一號デアリマス、引受ケノ全部
又ハ一部ノ拒絕アリタル時ハ滿期日前デモ
遡求權ガ行ハレル、其遡求權ハ一部ノ拒絕
アッタ時ニハ一部ノ拒絕アッタ部分ダケニ
付テ遡求權ヲ行フ、引受ケガアッタ部分ハ滿
期日迄待タナケレバナラヌト云フコトニナ
ルガ其點ガハッキリシナカッタ、サウナリ
マスト、前ノ箇條ト關係カ甚ダ違ッテ來ル
四十三條ノ一號デアリマス、引受ノ全部又
ハ一部ノ拒絕ノアッタ時ニハ遡求權ガ行ハ
レル此遡求權ハ拒絕ノアッタ一部分ダケ
ニ付テデアリマスカ、全部ニ付テデアリマ
スカ
〔國務大臣小山松吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=14
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015・小山松吉
○國務大臣(小山松吉君) 土方君ノ御尋ニ
ナリマシタ第一ノ、出法案ガ修正ニナリマ
シタナラバ御批准ニ支障ガアルカドウカト
云フ御尋ニ付テ御答ヲ致シテ置キマスガ
先刻長島政府委員ヨリ御答へ致シマシタ通
リ若シ修正ニナリマスルト御批准ニ支障
ガアリハシナイカト云フ程度ニ於テ考ヘテ
居ル次第デアリマス、其事ヲ申上ゲマスト
御承知ノ如ク條約ハ憲法十三條ニ依リマシ
テ大權事項デゴザイマスルカラ、議會ノ協
贊ヲ求メル必要ナイコトニナッテ居ルノデ
アリマス、然ルニ此條約ハ國內法ト致シマ
シテハ商法ノ現行法ニ代ルベキモノデアリ
マく、條約トシテ、條約ヲ實行スル上ニ於
テ協贊ヲ求メルト云フ趣意デハナイノデア
リマシテ、條約ノ内容タル商法中ノ爲替手
形約束手形ニ關スル規定ハ議會ノ協贊ヲ
求メルコトニナッテ居ルノデアリマスカラ、
御言葉ノ立テ方ニ依ッテハ審議權ノ上ニ
於テ、何モ修正其他ノ行爲ヲナスコトガ出
來ナイト云フヤウナコトニモナルヤウデア
リマスガ、極メテ其關係ハ微妙ナコトニナフ
テ居ルノデアリマス大〓是デ御了解ダト
思フノデアリマス、是ダケ申上ゲテ置キマ
ス後ノ各條ニ關スルコトハ政府委員カラ
御答ヘ致シマス
〔政府委員長島毅君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=15
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016・長島毅
○政府委員(長島毅君) サイド一部引受ノ
拒絕ノアヲタ場合ノ御尋デアリマスガ、結局
一部ノ引受拒絕ガアリマスレバ四十八條ニ
依リマシテ引受ノナイ金額ニ付テ遡求ヲ
求メラレルノデアリマシテ、詰リ仰セノヤ
ウナ結果ニナル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=16
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017・木場貞長
○木場貞長君 只今土方君カラ御尋ノ中ニ
議會ノ家諸權ノコトニ付テ御尋ガアリマシ
タガ、此點ハ委員會デモ質疑ニナリマシテ、
種々〓究シタ點デゴザイマスガ、ソレデアリ
マスカラ、委員會ノ伺シタ所ノコトヲ申上ゲ
テ置キタイト思ヒマス、大體ニ於テ政府ノ
見ラルヽ所ト同ジ意見ナノデアリマス議
會ハ拘束サレナイ、勝手ニ修正シテモ差支
ナイ、但シ政府ノ答辯等ヲ聽キマシテ之
ニ修正ヲ加ヘレバ或ハ御批准困難ニ立至
ルカモ知レナイ、之ヲ頭ノ中ニ置イテ而シ
テ修正スルトモ、其儘贊成スルトモ、是ハ
我ミ委員ノ權能デアル若シ修正シタ儘デ
兩議院ヲ通過スルヤウナコトニナッタナラ
バ其結果ハドウナルカト云フト、是ハ條
約ニ關係ナク、單純ナル國內法ト見テ差支
ナイ譯デアル、若シ併シ方樣ナモノデハ政
府ハ困ルト云フヤウナコトデアレバ、何時
デモ政府ガ議決未了ノ中ニ撤囘スルコトノ
自由モアル譯デアル、我とノ議決權ハ更ニ
之ガ爲ニ侵サレタルコトハナイ、我ミハ少
シモ拘束ヲ受ケナイ、斯ウ云フ前提ノ下デ
此案ハ可決ンテ宜シイモノトシタノデアリ
マー、議會ノ審議權ニ關係ガアルト云フコ
トデアリマスカラ、委員會ノ見タル所ヲ玆
ニ追加御報告イタシテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=17
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018・土方寧
○土方寧君 私ノ質問ノ中ニマダ一ツ落チ
テ居リマシタガ、御答ノ無イ部分ガアル、
ソレハ第五條デアリマス利息ノコト、「其
ノ他ノ爲替手形ニ於テハ此ノ約定ノ記載ハ
之ヲ爲サザルモノト看做ス」ト云フ場合、其
他ノ場合ハ其コトヲ書イテ置イテ、書イテ
ナイモノト同ジモノト見ルト云フノハオカ
シイコトダト思ヒマスガ、ドウデスカ
〔政府委員長島毅君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=18
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019・長島毅
○政府委員(長島毅君) 或ハ御問ヒノ趣旨
ニ合ハナイ御答ヲ致シマシタナラバモウ
一度御問ヒヲ願ヒマスガ第五條ノ第二項
ニアル利率ヲ若シ手形ニ書キマセヌト利
息ノ算出方法ガアリマセヌカラ、若シ利率
ガ書イテナケレバ利息ノ約定ハ記載シナイ
モノト看做ス、斯ウ云フ趣旨ニ出來テ居ル
次第デアリマスガ、チョット若シ私ノ答ガ御
趣旨ニ副ヒマセヌデシタラモウ一應御問ヒ
ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=19
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020・土方寧
○土方寧君 二項デアリマセヌ、一項ノ後
ノ方デス、一項ノ方デス「其ノ他ノ爲替手形
ニ於テハ」ト云フ所デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=20
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021・長島毅
○政府委員(長島毅君) 此ノ他ノ爲替手
形例ヘバ確定日拂ノヤウナモノデアリマ
スト、確カソレハ御問ヒノ中ニモアッタコト
ト存ジマスガ、確定日拂ノ手形デアリマス
レバ利息ノ金額ハ元本ノ中ニ繰入レテ記
載ガ出來ルノデアリマスカラ、サウ云フ部
分ニ付テハ利息ノ記載ヲ許サナイ、斯ウ云
フ趣旨デアリマシテ結局利息ノ文句ノ記
載ハ成ルベク狹イ程度ニ於テ之ヲ認メヤウ
ト云フコトカラ出テ居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=21
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022・土方寧
○土方寧君 一覽拂又ハ一覽後定期拂ト云
フノハ何時何日ト定ッテ居リマセヌカラ、
利息ヲ勘定シヤウガナイ、定期拂ノ手形金
額ニハ勘定ハ要ラナイ、其他ノ時例ヘバ定
期拂何年何月トカ、日附後何箇月拂ニナッテ
居ル場合ニハ豫メ利息ヲ見ル積リデ爲替金
額ニ算入シ得ルカラ、別ニ利息トシテ記載
セヌト云フ意味デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=22
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023・長島毅
○政府委員(長島毅君) 其通デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=23
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024・土方寧
○土方〓君 ソレナラ意味ハ分リマス、宜
クナイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=24
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025・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=25
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026・徳川家達
○議長(公爵德川家遠君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=26
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027・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=27
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028・櫛笥隆督
○子爵櫛笥隆督君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=28
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029・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=29
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030・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=30
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031・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 本案全部ヲ問題
ニ供シマス······全部原案ニ御異議ゴザイマ
セヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=31
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032・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=32
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033・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=33
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034・櫛笥隆督
○子爵櫛笥隆督君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=34
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035・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=35
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036・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=36
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037・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會ノ決議
通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=37
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038・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=38
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039・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 昨日ノ上山君ノ
質疑ニ對スル政府ヨリ答辯ガアル趣デゴザ
イマス堀切大藏政務次官
〔政府委員堀切善兵衛君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=39
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040・堀切善兵衞
○政府委員(堀切善兵衞君) 昨日ノ上山サ
ンノ御質問ニ對シテ直接大藏大臣ヨリ御
答辯申上グベキ所、今日病氣缺席ノ爲メ私
ヨリ左ノ如ク御答辯申上ゲルヤウ傳ヘラレ
マシタ、之ヲ朗讀イタシマス
私ニ對シテ御質問ガアッタノデ御答へ致
シマス、政界革正ノ必要ハ私共ノ常ニ痛
感スル所デアリマス、今ニ於テ其弊所ヲ
矯ムルハ立憲政治ノ發達ノ爲メ是非トモ
爲サネバナラナイ所デアリマス、協力ノ
上銳意其革新ニ力メタイト存ジマス、同
時ニ時局ノ重大性ト現內閣ノ使命トニ考
ヘ私共ハ政黨既往一切ノ行掛リヲ捨テ、
虛心坦懷深ク相提携シテ難局ノ匡救ニ盡
シマス、右赤誠ヲ披瀝シテ御答ヘト致シ
マス
〔國務大臣男爵山本達雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=40
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041・山本達雄
○國務大臣(男爵山本達雄君) 昨日上山君
ノ熱心ナル御演說ト御質問ニ對シマシテ
御答ヲ致シマス私ハ只今大藏大臣ヨリ答
辯ニ相成リマシタル趣旨ト私ハ全ク同感デ
アリマシテ、何等其處ニ違ヒマシタルコト
ハアリマセヌ、私等兩人老軀ヲ提ゲマシテ
此臺閣ニ列シマシタノハ唯事局ノ重大ナ
ル時ニ際シマシテ幾分タリトモ不安ヲ和
ラゲ又黨派ノ黨弊ノアル所ヲ矯正スルコ
トヲシタイト申シマスルコトニ付テ、協力
奉公ノ誠ヲ盡シタイト云フ精神ニ外ナラナ
イノデゴザイマス、又私ノ立場トシ職責ト
致シマシテハ地方長官ノ進退黜陟ノ任ニ
當ッテ居リマスルカラシテ、此事ニ對シマシ
テ唯人物人材ト云フコトヲ主ト致シマシ
テ十分ニ公平ナル愼重ノ態度ヲ以チマシ
テ、黜陟ヲ致シタイト思フ次第デゴザイマ
ス、此段ヲ御答ヘ政シマス(拍手)
〔國務大臣荒木貞夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=41
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042・荒木貞夫
○國務大臣(荒木貞夫君) 昨日御懇篤ナル
御質疑ニ對シマシテ御答ヲ致シマス、第
一ノ勅諭ノコトニ付キマシテハ明治十五
年一月四日軍人ニ賜ハリマシタル勅諭ハ
我皇軍ノ本義ヲ示シ給ヒマシタモノデアリ
マシテ、電ノ精神ト深ク我ミハ日夜奉體ヲ
致シマシテ聖旨ニ報ヰ奉ルコトニ專念イ
タシテ居リマス私ハ軍政ヲ管理シ軍人軍
屬ヲ統督イタシマスル權限ニ於キマシテ
誠意之ガ徹底ヲ期シ、之ガ奉公ノ誠ヲ致シ
マスルコトヲ玆ニ明カニ申上ゲマス尙ホ
統帥竝ニ〓育兩長官ト力ヲ戮セマシテ聖
旨ニ御示シニナッテ居リマスル皇軍ノ本義
ヲ顯現イタシマスルコトニ付テ、全幅ノ力
ヲ致シマスルコトヲ玆ニ改メテ申上ゲマス、
第二ノ問題ニ付キマシテハ、今日我〓現役
ノ將校ノ間ニハ極左ノ思想ヲ持フテ居ル者
ハナイト信ジテ居リマス、又每年徵兵ニ入
テ參リマスル兵員ノ中ニハ、若干名斯樣ナ者
モ混入ヲ致シテ居リマスルガ、是等ニ付キ
マシテハ一面〓化又指導訓育等ニ依リマシ
テ是ガ矯正ニ努メテ以テ皇軍ノ面目ヲ損
セザルコトニ付テ、各所屬長ニ於テ努力イ
タシテ居リマスノデ、今日之ニ關シテ直ニ
不安ヲ感スルヤウナコトハナイト深ク信ジ
テ居リマス第三ノ不安ノ點ニ付テデアリ
マスルガ、是ハ可ナリ流說蜚語ガ災ヲ致シ
テ居ルコトデアリマシテ世間ニ唱ヘラレ
マスルコトニ付テハ可ナリ誇張セラレテ
居ルコトト信ジテ居リマス之ニ付キマシ
テハ此際軍ノ實情ニ付テ一一一申上ゲテ置
クコトガ御諒解ヲ得ルノニ却テ宜シクハ
ナイカト存ジマスルノデ露骨ニ申上ゲマ
スルガ、今日ノ我々國防ノ任ニ服シテ居リ
マスル所ノ將校、殊ニ靑年ノ將校ノ間ニハ
直接取扱ッテ居リマスル所ノ下士官、兵ヲ
通ジマシテ各〓黨ニ於ケル所ノ思想ノ不
安、社會ノ狀態等ヲマザ〓〓ト見セラレマ
スノデ又一面言論其他ヲ通ジマシテ耳ニ
致シマスル所ノ國權ノ萎縮、國軍ノ不安、
是等ヲ若イダケニ十分咀嚼シ得ズシテ時
ニ面ヲ冒シマシテ、切々トシテ淚ヲ流シテ
或ハ憤リ或ハ訴ヘル光景ヲ見マシテ唯之
ヲ若氣ノ至リデアル思慮ガ足リナイノミ
デアルト致シマシテ、無下ニ取去ルコトガ
出來ナイ實情ガ今日ノ將校一般ニ漲ヲテ居
ル所ノ光景デアルト私ハ認メテ居リマス
之ニ付キマシテハ彼等ノ不安ト致シテ居
リマスル所ノ統帥ノ確立、國防ノ安定直
接戰場ニ生死ヲ共ニ致シマスベキ下士官、
兵ノ身上等ニ付キマシテ十分爲スベキ處
置ヲ執リマシテ、玆ニ眞ニ皇軍ト致シマス
ル所ノ面目ヲ十分發揮イタサスヤウナ處置
ヲ、當路ト致シマシテ十分力ヲ致ス決心ヲ
持フテ居リマス、斯ク致シマシテ只今申上
ゲマシタ我々ニ賜ヒマシタ勅諭ヲ奉戴ヲ
シテ皇軍ノ面目ヲ何處迄モ發押致シマシ
テ玆ニ御奉公ノ誠ヲ致スコトニ付キマシ
テ萬全ノ策ヲ講ズルニ努力イタシテ居リ
てい、若シ只今申上ゲマシタ聖旨ニ背キ、
又ハ國法ニ背キ、或ハ之ヲ犯シ軍規ヲ紊ル
ヤウナ者ニ對シマシテハ固ヨリ國法ノ示
ス所ニ從ヒマシテ、假借ナク之ニ付テハ處
斷ヲ致スコトニ付キマシテハ、玆ニ明カニ申
上ゲマス、斯ク致シマシテ、御心配ニナッテ
居リマスル所ノ皇軍ニ基調ヲ取リマス所ノ
不安ハ取除クコトニ上下悉ク擧ッテ力ヲ致
シマスルコトヲ玆ニ申上ゲテ御答ト致シマ
ス
〔國務大臣岡田啓介君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=42
-
043・岡田啓介
○國務大臣(岡田啓介君) 昨日上山君ノ御
質問ニナリマシタ第四ノコトデアリマス
軍隊ニ下シ賜ハリマシタル勅諭ハ吾等軍
一古不磨ノ聖典デアリマス三年一丁窈窕奶油北京市公安局西城分局
リマス
ヒマス第五ノ御質問ハ極左ノ思想ガ軍
隊內ニ浸潤シテ居ラナイカ斯ウ云フ御質
問デアッタト思ヒマス、此頃世間ニハ種々ナ
ル思想團體ガアリマシテ中ニハ皇室中心
主義ヲ標榜ンテ居リマスガ、其內容ノ疑ハ
シキモノガアルト聞イテ居リマス海軍ノ
純眞ナル靑年將校ハ、上山君ノ御說ノ如ク
マダ世ノ中ノ事情ニ通ジテ居リマセヌノデ、
是等ニ惑ハサルヽコトナキヤウ、常ニ注意
ヲ拂ッテ居リマス、兵ノ中ニハ極ク少數デハ
アリマスガ、左傾思想ヲ懷イテ居ルト思ハ
レル者モ這入ッテ來ルノデアリマス、併ナガ
ラ海軍全體ト致シマシテ、常ニ忠君愛國ニ
專念スルヤウ努力シテ居リマスノデ左傾
思想ガ浸潤スルガ如キコトハナイト信ジテ
居リマス第六ノ御質問ハ眞相ヲ發表シ
テ世間ノ不安ヲ除ケト斯ウ云フ誠ニ御尤ナ
ル御賀問ダト思ヒマス唯事柄ハ目下審理
中エアリマスノデ發表ノ自由ヲ得テ居リ
マセヌ、將來發表スルコトヲ許サレル時ニ
ナリマシタナラバ成ルベク速ニ出來ルダ
ケ發表シタイト考ヘテ居リマス
〔上山滿之進君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=43
-
044・上山滿之進
○上山滿之進君 私ノ質問ニ對シマシテ、
昨日總理大臣ヨリ今日内藏陸海
諸大臣ヨリ御答辯ヲ承ハリマシタ、總理大
臣始メ四大臣トモ、〓誠ヲ披瀝シテ御答辯下
サレマシタコトニ對シテ、私ハ感謝ノ意ヲ、
自分ノ爲ニ表スルノデハナクシテ、國家ノ
爲ニ誠ニ有難ク存ジマス、ドウソ閣僚諸公
此心ヲ以テ終始セラレムコトヲ、是モ國家
ノ爲ニ熱心ニ希望イタシテ置キマス、唯最
後ノ第六ノ質問ニ對シテ、御答辯ヲ詳シク
伺フコトガ出來マセヌコトヲ頗ル遺憾ニ思
ヒマス、海軍大臣ハ今審理中デアルカラ答
辯ノ自由ヲ持タナイト云フ御話デゴザリマ
スガ、私ノ質問イタシマシタノハ今審理
中デハナイト思フノデアリマス、審理中ノ
事ハ五月十五日ノ事件デアラウト思フ
其外昨年以來ノコトハ審理中デハナイノ
デ、ドウナッタカ我〓ハ知ラナイ事柄デアリ
マス、又事件ノ內容ガドンナモノデアッタカ
ト云フコトモ公ケニハ知ラナイ事柄デアリ
マス、此事柄ヲ陸海軍共ドノ程度ニカ於テ
御發表ヲ願ッタラバ浮言流說ヲ杜絕スルコ
トガ出來テ、國民不安ノ念ヲ去ルコトガ出
來ルト思フ考カラ私ハ質問イタシタノデ
アリマス、併シ今ノ場合公ケノ席ニ於テ仰
セニナルト云フコトガ、聊カ困難ナル御事
情モアルカニ私ハ推察イタシマスカラ此
場合ニハ此質問ヲ打切リマス、而シテ他ノ
機會ニ於テ又伺ヒタイト思ヒマスカラド
ウカ御用意ヲソレ迄ニ願ヲテ置キタイノデ
アリマス、ソレカラ陸軍大臣ノ御答辯ニ、
世相ノ宜シクナイ爲ニ地方カラ出テ來ル
下士或ハ卒ノ如キハ餘程何ト申シマスカ、
心安ク中ニ思ッテ居ナイ、將校モ同樣デアル
ト云フ風ニ伺ヒマシタ、是ハ私ハ否定ハイ
タシマセヌ、ケレドモ露骨ニ私ニ申スコト
ヲ御許シ下サルナラバ私ハ陸海軍ノ大臣
ノ口カラサウ云フ言葉ガ聞キタクナイ、昨日
私ガ長イコト諸君ノ御〓聽ヲ煩シタ、其前
半ニ於テ、私トシテハ遺憾ナク此事ヲ申シ
タ積リデ居リマスカラ、實ハ其以上御說明
下サラヌ方ガ私ハ宜イト斯ウ思フノデア
リマス其御考ハ聊カ如何デアラウカト云
フコトヲ私ハ感ジマスカラ此感想ヲ申シ
テ置キマスソレカラ御言葉ノ中ニ、是ハ
言葉咎メヲスルノデハアリマセヌガ、御言
葉ノ中ニ、統帥權ノ確立、軍備ノ充實ヲ期
スルト云フヤウナコトガゴザイマシタガ
私ノ考デハ現在統帥權ハ確立シテ居ルト
思フノデアリマシテ統帥權ガ確立シナカ,
タラ帝國ノ大事デアリマス、改メテ統帥權
ハ確立スル必要ハチヨットモアリマセヌ、此
點ハ何カ御言葉ノ意味ヲ私ハ取違ヘタカト
思フ位ニ、私ハ自ラ自分ノ耳ヲ疑クテ居リマ
ス、此上御答辯ハ煩シマセヌ、只私ノ感想
ヲ玆ニ述ベテ置キマス、重ネテ終ニ臨ンデ、
諸公ガ衷心ヨリ〓誠ナル御所見ヲ御吐キ下
サッタコトニ對シテ、深ク感謝ノ意ヲ表シ、
又此心ヲ以テ常ニ國政ニ當ラレムコトヲ切
ニ希望シテ置キマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=44
-
045・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 是ヨリ關直彥君
ニ發言ヲ許サウト存ジマスガ、今總理大臣
ハチヨット此議場カラ外ヘ出ラレマシテ、直
キ戾ッテ來ラレマス趣デゴザイマスガ總
理大臣ノ著席ヲ御待チニナリマスカ、御待
チニナル必要ガナケレバ御登壇ヲ願ヒタイ
ト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=45
-
046・關直彦
○關直彥君 直グニ御戾リデアリマスレ
バ御待チ申上ゲタイト思ヒマス、而シテ
今発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=46
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047・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 然ラバ暫ク御待
チヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=47
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048・關直彦
○關直彥君 チヨット申上ゲテ置キマスガ、
只今書記官長ニ承リマスルト云フト、午後
首相ハ御參內ニナルト云フコトデアリマス、
就キマシテハ私モ成ルベク簡單ニ述ベタイ
ト思ヒマスルガ、何時デモ差支ガアリマス
レバ議長ノ御命令ニ依ッテ中止シテ差支ナ
イ是ダケ申上ゲテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=48
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049・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 內閣總理大臣ノ
出席ガゴザイマシタカラ、關君ノ御登壇ヲ
促シマス
〔關直彥君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=49
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050・關直彦
○關直彥君 私ハ政界廓〓ノ件ニ付キマシ
テ總理大臣閣下、內務大臣閣下ニ御質問
ヲ申上ゲタイト思フノデアリマス、昨日同
僚ノ上山君ヨリ致シマシテ政界ノ弊害ノ件
ニ付キマシテハ縷々數万言御陳述ニナリ
マシタノデ私ハ成ルベク重複ヲ避ケマシ
テ其詳シキ狀態ハ申上ゲナイコトニ致シ
マス稍具體的ニ御質問ヲ申上ゲタイト
思フノデアリマス、第一ニ私ガ御伺ヒ致シ
タイノハ、政府ハ如何ナル方法ニ依ッテ政界
ノ淨化ノ目的ヲ達セラレルカト云フコトヲ
御伺ヒ致シタイノデアリマス過日齋藤子
爵閣下ガ本壇上ニ於カレマシテ御演說ヲナ
サレマシタル其中ニ、最モ政界ノ淨化ニ付
テ重キヲ置カレタコトハ誠ニ私共ノ喜ブ
所デアリマス、又現內閣ノ成立シマシタル
使命ノ一トシテ、政界淨化ト云フコトガ重
大ナル意義ヲ有シテ居ルノデアルト考ヘラ
レルノデアリマス此點ニ付キマシテハ
十分ノ御努力ヲ仰ギタイノハ當然デアルト
存ジマス思フニ近來政黨ノ首領竝ニ財閥
ノ巨頭ニ對シマシテ甚ダ忌ハシキ不祥ノ
事件ガ續發イタシマスルコトハ、實ニ悲ム
ベキコトデアリマス、而シテ其由ッテ來ル所
ノ原因ハ何デアルカト申シマスレバ政界
ノ狀態甚ダ面白カラヌ狀態デアルト云フコ
トガ其原因デアルト稱ヘラレテ居ルノデア
リマス政弊ニ付テ不滿ヲ懷キ、之ヲ革正
セムトスルノ目的ハ誠ニ結構デゴザリマス
ルケレドモ、其手段ヲ直接行動ニ取ルコト
ハ是ハ最モ遺憾ノコトデアルト私ハ存ジマ
ス殊ニ先月十五日ノ變ノ如キ、最モ極端
ナルモノデアリマシテ、我國ノ歷史ニ於キ
マシテモ見ザル所デアルノデアリマス斯
樣ナ場合ニ於キマシテハ如何トモ遁ルヽ道
ガアリマセヌ、其行動ヲ致シマシタノハ誠
ニ悲ムベキコトデ靑年ノ軍人ノ擧動デア
リマシタコトハ、私ガ誠ニ遺憾ト存ズルノ
デアリマス我ガ國民ノ今日最モ信賴ヲ致
シテ居リマスルノハ司法官及軍人デアリマ
ス、最モ信賴ヲ致シ最モ崇敬ヲ致シテ居
リマスルノハ司法官ト軍人デアリマス、其
信賴スベキ、且ツ尊崇スベキ軍人ガ立ッテ直
接行動ニ出ヅルニ至リマシテハ誠ニ國家
ノ不祥事デアルト存ジマス、如何トモ警察
ノ力ニ依リマシテモ何トシテモ是ハ取締
ルコトノ出來ナイモノデアリマスルカラ
過刻モ陸軍大臣ヨリ色ミ御答辯ガアリマシ
タ通リ此點ハ特ニ其方面ノ首腦部ノ方ミ
ニ御取締ヲ願フヨリ外ニナイト存ジマス
如何ニ政界ガ腐敗イタシマシタカラト申シ
マシテ政界ノ腐敗ヲ匡正スル途ハ他ニ其途
ハゴザリマスル、斯樣ナル荒療治ヲ致シマ
シテ政界ノ腐敗ヲ匡正セヌナラヌト云フ必要
ハ更ニ無イノデアリマス、故ニ私ハ只今總理
大臣及內務大臣閣下ニ向ァ、其政界ノ淨化
ノ方法ニ付テ御伺ヒ致シタイ、此諸公ノ御
力ニ依ッテ現在ノ誠ニ悲シムベキ狀態ヲ匡
正シテ戴キタイト思フノデアリマス、ソレ
カラモウ一ツ誠ニ悲ムベキコトハ、動トモ
スルト云フト今日議會否認ノ聲ガ往々聞エ
ルノデアリマス、而シテ其議會否認ノ聲ヲ
國民ガ聞キマシテ、敢テ之ヲ咎メモセネバ
怪ミモシナイト云フ狀態ハ、誠ニ國家ノ爲ニ
悲ムベキコトデアリハシナイカ、實ニ由々
シキ大事デアルト考ヘルノデアリマス、若シ
サウ云フヤウナコトガ社會ニ勢力ヲ得、或
ハ勃發ヲ致シマスルト云フコトニナリマス
ルト云フト、畏クモ明治大帝陛下ガ心血
ヲ注ガレテ御設立ナリマシタ所ノ立憲政治ハ
頓挫ヲスル、破壞ヲサレルト云フ譯ニナル
ノデアリマス、實ニ我〓國民ト致シマシテ
ハ誠ニ恐懼ノ至ニ堪ヘマセヌ、若シ左樣
ナ結果ニ陷リマスルト云フト我ガ國民ノ
權利、自由、財產、生命モ之ヲ安全ニ保護ス
ルコトガ出來ナイヤウナ場合ニ立至リハセ
ヌカト私ハ非常ニ憂慮イタスノデアリマ
ス、依テ今日ノ政弊ヲ匡正セムト致シマス
レバ、先ヅ其由ッテ來タル所ノ禍ノ根源ヲ究
メ、其禍ノ根ヲ絕ツト云フコトニ付テ御努
力ヲ願ハヌケレバナラヌト信ズルノデアリ
マスガ、其禍根ハ如何ナル所ニ在ルカト申
シマスルト一ツハ悲ムベキコトデアリマ
スルガ、誠ニ恥ヅベキコトデアリマスルガ、
國民全體ニ立憲思想ガ徹底イタシテ居ラヌ
ト云フコトガ一ツデアリハシナイカ、選擧
ノ重大ナル權利デアリ重大ナル任務デアル
ト云フコトヲ國民ガ普ク之ヲ承知シテ居ラ
ナイト云フコトガ一ツノ原因デアリハシマ
スマイカ、都會ニ於キマシテモ矢張リ多數
ハ其意味ヲ解シマセヌデ或ハ情實因緣ニ
依リ或ハ金錢利益等ノ爲ニ選擧ノ方法ヲ
誤ルト云フコトガ、都會ニ於テモ多數私共
ガ見受ケ又聞キ及ブ所デアリマス、況ヤ地
方ニ參リマスルト云フト此狀況ガ一層甚
シクシテ、選擧ノ何モノタルヲ知ラズ、唯
金ヲ貰ヒ、日當ヲ貰ッテ選擧ヲスルト云フノ
ミヲ考ヘテ居ル者ガマダ〓〓澤山アルト云
フコトヲ私ハ見受ケテ居リマスルシ又聞
キ及ンデ居ルノデアリマス、今一ツノ禍ノ
本ハ選擧ニ多額ノ費用ガ掛カルト云フコ
トガ禍ノ本デアリマス、代議士ノ選擧ニナ
リマスルト云フト三や、五万、八万、十
万、甚シキハソレ以上ニモ金ヲ使ハナケレ
バ出ラレヌト云フヤウナ狀態ガ今日ノ狀態
デアリマス、右ノ如ク多額ノ金ヲ使ヒマシ
テ中央ニ出テ參リマスレバ、何等カ之ニ對
スル理合セヲ求ムルト云フヤウナコトガ或
ハ有リハシナイカト思フノデアリマスソ
レガ政弊ノ由ッテ來ル所デアリハシナイカ、
又總選擧ノアリマスル每ニ個人ノ選擧費
用ハ勿論デアリマスルケレドモ政黨ノ首
腦部ト致シマシテハ必ズ少クトモ二百万
若クハ三百万ノ金ヲ持チマセヌケレバ總
選擧ガ出來ナイト云フ狀況デアリマス是
ハ公然ノ祕密デアリマス如何ナル所カラ
其資金ヲ取ルカハソレハ私ハ承知ハ致シマ
セヌガ兎ニ角各政黨ニ於キマシテハ數百
万ノ金ヲ募集シマセヌケレバ總選擧ニ臨
ムコトガ出來ナイト云フコトハ現實ノ事
情デゴザイマス何レ此資金ハ或ハ財閥
若クハ富豪ノ手ヨリシテ其寄附ヲ受ケルノ
デゴザイマセウガ、ソレニハ幾分カノ因緣、
人情ガ搦ミマスルカラシテ、政弊ノ由ッテ起
リマスル所以ハ此ニ在リハシナイカト思フ
ノデアリマス全ク選擧ニ金ガ掛カルト云
フコトハ代議士タラムトスル者ノミナラズ
各政黨ノ最モ〓ミトスル所デアルト云フコ
トハ、私ハ承知ヲ致シテ居ルノデアリマス、
又今一ツニハ選擧ニ干渉ヲスルト云フコト
ガ甚ダ宜シクナイノデ、選擧ノ干渉ハ明治
ノ二十五年ノ總選擧ニ始マリマシテ其以
來如何ナル場合ニ於キマシテモ巧妙ナル
手段方法ヲ以テ多少ノ十渉ガ行ハレルト云
フコトハ是ハ公然ノ祕密デアルノデアリ
マス左樣ナ事ガ皆此今日ノ政治上ノ弊害
ヲ釀ス源トナッテ居ルノデアリマスカラシ
テ先ヅ第一ニ最モ必要ナノハ國民ニ普
ク立憲思想ヲ漸養セシメルト云フコトガ主
タル大事ナコトデハアリハシナイカ又其
絕スルト云フコトガ
ノ手段デアリハシナイカ而シテ只
マスル選擧ノ干涉ヲ防止スルト云フ田
肝要デアリハシナイカト思フノデ
ス此三項目ニ付キマシテ商品內
コトヲ希望イタシマスルガ此邊ニヲテテハ
十分ニ御努力願ハレマセウカドウデ
マセウカ其コトヲ第一ノ項目トシテ御尋
ネ致シタイノデアリマスソレカラ第二ニ
ハ政府ハ前々內閣卽チ濱口內閣時代ニ設
ケラレマシタル選擧革正審議會ノ成案ト云
フモノガアリマスル、此成案ニ對シテ之
ヲ實行シ、又ハ此成案ニ對シテ御意見ヲ加
ヘラレテ、增補修正サレテ、御實行ニナル
御意思ガアリマスカ否ヤト云フコトヲ伺ヒ
タイノデアリマス濱口內閣ノ當時ニ於キ
マシテ、政府ハ······其當時ノ政府ハ政弊
ノ革正ニ氣付カレマシテ先ヅ政弊ノ革正
ヲスルノニハ選擧ノ革正ガ根本デアルト云
フコトニ氣付カレマシテ其内閣ニ選擧革
正審議會ト云フモノヲ設立サレタノデアリ
マス貴衆兩院ノ代表者、最高學府及朝野
ノ權威者ヲ以テ其會ラ組織サレマシタ愼
重審議歲餘ニ亙ッテ決議セラレタル答申書
ハ內閣ニ現存シテアルト考ヘラレマス
其要項ヲ申シマスルト、只今述べマシタル
通リ其答申ノ要項ハ第一投票買收防止
ニ關スル件、第二ガ選擧運動費用ノ減少ニ
關スル件、第三ガ選擧干涉防止ニ關スル件、
第四ガ共他ノ制度改正ニ關スル件ト致シマ
シテ事務官ノ身分保障ニ關スル件檢事
ニ司法警察官ヲ直屬セシムルノ件、是ガ選
擧ノ方法ニ關シマシテノ答申ノ要項デアリ
マス今一ツハ立憲思想ノ漸養ニ關スル件
ノ答申ト致シマシテハ政治〓育調査會設
置ニ關スル件、學校ノ〓育ニ關シ學校ニ必須
科目ト致シテ公民科ト云フモノヲ設ケ小
學校ノ上級ヨリシテ大學ノ終リニ至ルマ
デ立憲思想ノ涵養ニ努メ政治〓育ヲ十
分ニスルト云フコトノ制度ヲ設ケルト云フ
コトデアリマス、其他學校以外ニ關シマシ
テハ、第三ト致シマシテ社會〓育ニ關スル
件等モ答申ニ載セラレテアッタノデアリマ
ス勿論是等ノ答申ノ成案ヲ實行イタシマ
シタカラト云ッテ、全然今日ノ政弊ヲ除クト
云フ譯ニハ參リマスマイガ幾分カ政弊ノ
行くノ潤日前ライノルノンヽ
ス內側無料"text "〓〓內閣ノ更迭等ニ依リマシテ實行セ
儘ニナッテ居ルノハ、甚ダ遺憾ニ
選擧法ノ改正ニ付キ
マヽ之ヲ樞密院ニ御諸詢ニナリマシ
タガ其案ノ中ニ樞密院ノ反對セラレル條
項ガアリマシタガ爲ニ、遂ニ通過ヲスルコト
ガ出來マセヌデ、遺憾ナガラ其儘ニ殘ッテ居
ルヤウデアリマス此事實ニ對シマシテハ
現ニ當院ノ議員中ニ於カレマシテ、近衞公ヽ
爵松平伯爵靑木子爵、黑田男爵、伊澤、潮
次田川崎小野塚水野ノ諸公ハ此審議
會ニ御關係デ十分ニ御努力ニナリマシタ
カラ其事實ハ能ク御承知デアラウト存ジ
やっ、殊ニ又今囘司法大臣ニナラレマシタ
ル小山閣下モ此審議會ニ臨マレマシテ非
常ナ御努力ニナッタト云フコトハ、御承知デ
閣下ハルトノン化ラ公フセラムス
誠ニ此審議會ノ答申ハ好イ材料デハア
シナイカト思フノデアリマスルカラ1
ハ內閣ノ御手許ニ保存サレテゴザイマセ
ウカラシテ十分ニ御考究ノ上、尙バヨリ
以上ノ良キ方法ガゴザイマシタナラ
其成案ニ增補修正ヲ加ヘラレマシテ御實
行ヲ111019201801010000000000000000其意思ガ
其コトヲ御同ヒ致ス
アリマス、ソレカラ次ニ是ハ細カイコ
アリマスルケレドモツノ問題ヲ提
出イタシマシテ御參考ニ供シ御熟考ヲ
仰ギタイノハ選擧ノ公營ト云フコトデア
ル今日ノ選擧ノ運動方法ニ委シテ置キマ
スルト云フト或ハ買收或ハ干渉種々
ナル弊害ガ行ハレマスルノデ殊ニ又選擧
ノ費用ガ非常ニ掛カリマスルカラシテ其
費用ヲ減少スル爲メ、或ハ弊害ヲ除ク爲ニ
選擧ヲ公營ニスルト云フコトガ一ツノ方法
デアリハシナイカ例ヘバ候補者ノ政見
ニ關スル印刷物ノ送達配付、是ハ政府ノ手
デ之ヲヤッテシマフ演說會場ノ設備及ビ
「ポスター」ノ揭示等、斯樣ナル只今候補
者運動者ガスルベキ仕事ヲ市町村ニ委シ
テシマッテ、總テノ設備ヲシテ貰フト云フコ
トガ一ツノ方法デアル、或ハ立會演說等ノ
會場ノ設備斯樣ナ選擧ノ運動ニ關スル總
テノ重要ナル方法ヲ公營ト致シマシテ要
スルニ候補者ガ運動スルト云フノハ唯定メ
ラレタル場所、定メラレタル日時ニ於テ演
說ヲスレバ宜イト云フコトニ止メルノガ最
モ肝要デアリハシナイカト云フ議論ガアル
ノデアリマス此點ニ付キマシテ政府ハ
御考慮ノ末御實行ニナルベキ御意思ガアリ
ヤ否ヤト云フコトヲ伺ヒタイノデアリマ
スソレカラ今一ツ第四ニ御伺ヒ致シタイ
ノハ政府ノ保護又ハ監督ヲ受ケル各會社
及ビ其役員ヨリ政黨ニ寄附ヲ禁ズルト云フ
法制ヲ設ケルノ意思ガアリヤ否ヤ、是モ先
刻申上マシク通リ政黨ガ選擧ヲ致シマス
ル場合ニ於テ、非常ナル多額ノ金ヲ要シマ
スルカラシテ已ムヲ得ズ手近イ所ノ政
府ノ監督若クハ政府ノ保護ヲ受ケル所ノ
會社ヽ若クハ銀行ト云フモノカラシテ、或
ハ其役員カラシテ、多額ノ寄附ヲ受ケルト
云フコトガ有リハシナイカト思フノデアリ
マス有フタカドウカハ知リマセヌケレド
有リハシナイカト思フ或ハ滿鐵或
郵船ドウカハ知リマセヌガ若シサウ
云フヤウナコトガアリマスルト云フト是
矢張リ腐敗ヲ助長スル本ニナリハシナイ
武汉大学家斯樣ニ思フノデアリマスカルガ故ニ
ツノ法制ヲ設ケテ苟クモ政府ノ息
ノ掛ッタ會社銀行等ヨリシテ政黨ニ寄附
ヲセシメルト云フコトヲ禁ズルト云フ法制
ヲ設ケルノハ革正ノ一ツデハナイカ政
府ハ之ヲ御考ヘニナッテ御實行ニナル意思
其次ハ第五ノ問題ト致シマシ
アイスコーヒー水利權、鐵道敷設權其他ノ利權ニ關ス
與ヘラレマスル場合ニ於テ
直接ニ主管大臣ガ之ヲ許可シ胸がつける
獨立ノ機關委員ノ制度ヲ設ケラレマ
其委員ノ審議調査ヲ經テ許可スベ
1141-2201-2108ハ之ヲ許可シ2017.02.2017.毎度は、學ノ錢一夕拒モンニス
スルー転/カメラ北海道工学院一覽證據,其中心力
張スル手段方法ト致シマシテ
數設或ハ港灣ノ修築或ハ道路或ハ
校其地方々々ニ直接ノ便利ヲ與ヘルコト
ヲ餌ト致シマシテ政黨ノ擴張ヲ致シマシ
タコトハ往々見受ケテ居ルノデアリマ
ス或ル地方ニ於キマシテ或ル鐵道大臣
北海道天空港中國民大學4年生育中國有リベンタンタ
小學校ノ生
徒殘ラズ送上ニ整列イタシマシテ
ニ對シテ敬意ヲ表シ中ニハ淚ヲ流シ
賽錢ヲ投ゲタト云フ者サ"title "〓文愻"マルマ御
スBiguarium云南大学大厦
又或ル縣ニ於キマシテ、非常ナムツカ
マイオカテクノロス其鐵道ノ線路ノ數
場合ニ於テ其、
入シタト云フコ
大学生服器属于中心東京市文字區中文社斯樣ナコトガ其所管
ッテ認可ヲシ、許可
ヲスルト云フヤウナコトガアリマスルカラ
シテサウ云フ弊害ガ生ズルノデハナイ
カ又在野黨デアリマシテモ、他日自分ガ
政權ヲ御預リシタル場合ニ於テハ必ズ斯
ウ云フコトヲヤルト云フ約束ヲシテ、政黨
ノ勢力ヲ擴張シタル場合モ亦ナキニシモア
ラズヤレルコトデアルノデアリマス、苟
モ政權ヲ預ルベキ勢力ヲ有シテ居ル政黨デ
アリマスルナラバ、朝ニ立ヲテハ其事ヲ實行
シ野ニ在ッテハ他日政權ヲ預ッタル場合ニ
於テ其事ヲ實行スルト云フコトヲ約束シマ
지·M.是美容美的感染樣小財源と心と弊ア
B〓
害ノ一ツト私共ガ考ヘテ居リマスガ之ニ
對シテ左樣ナル權利ヲ認可若クハ許可スル
場合ニ於テハ特別ノ委員ノ機關ヲ置イテ
ソレニ調査審議ヲ委セテ其囘答ヲ得テ··
答申ヲ得テ、主務大臣ガ決裁ヲスルト云フコ
熱烈火鍋物品有限公司カト思フノデアリマスルガ北京市公安局海淀分局
ノ御〓聽ヲ煩ハシマセヌガ明治39年9月
思人公寓 · 氏銅ジンジャーマン
上
山君ノ質問ニ對シテ先刻內務大臣ガ御答へ
ニナッタコトデ略承知スルコトガ出来マ
スルガ私ノ提案イタシマスル質問ノ要項
ハ地方長官事務官及警察署長等ノ選任
ユ政黨臭味ノ濃厚ナル者ヲ排シテ純眞ナ
ル人材ヲ登庸スルノ方針ヲ實行セラルルヤ
如何只今ノ御答ニハ人材ヲ登用スルノ方
針ヲ實行スルト仰セラレマシタカラ誠ニ私
ハ喜ブ所デアリマスルガ、是迄ノ例ヲ見マ
スルト云フト內閣ガ更迭イタシマスル每ニ
地方長官、地方ノ事務官警察署長甚シ
キハ警察ノ署員迄モ大更迭ガ伴フト云フソコ
トガドウモ近頃ノ例ノヤウデアリマス
レデゴザイマスルカラシテ自ラ地方ノ行政
ノ上ニ非常ナ偏頗ガ生ズルト云フコトハ是
亦免レナイノデアリマス番ニ地方ノ行政
ノ上ニ編頭ノ生ズルト云フコトバカリデナ
若シ議會ガ解散サレ總選擧ヲ行フト
云フ場合ニ於キマシテハ、與黨ノ選擧ヲ保
護シ反對黨ヲ壓迫スルト云フコトハ免レナ
イ事實デアラウト思ハレルノデアリマスス
或ハ之ヲ干涉ト申シマセウカ、甚シキニ至
テハ府縣廳ハ其政黨ノ支部ノ如ク、縣知事
警察署長ハ其支部長若クハ運動員ノ如キ觀
ヲ呈スルトマデ世間ガ之ヲ評判イタシマス
ルヤウナ次第デアリマス、其結果ト致シマ
シテハ與黨ハ必ズ勝ツト決マッテ居ルノ
デアリマス大隈內閣ノ時ニ於テモ一躍
シテ過半數ニナリマシタガ、其後原内閣、
濱口內閣、犬養內閣ノ選擧ニ於キマシテモ
與黨ハ絕對多數ヲ取ルノデアリマス政府
ガ變レバ以前ノ地方官ハ殘ラズ首ヲ切ラレ
テシマッテ、サウシテ自分ノ味方ヲスル所ノ
浪人ヲ採用シテ又元ノ通リニスル代ル代
上海市药材有限公司トガ地方政治ノ紊亂ハ勿論、北京市公安局西城分局選擧ノ干涉北京市公安局海
誘起スル誠ニ嘆カハシイコトデアリハシ
イカ、
總意ト云フモノガ全ク壅蔽セラレルコトニ
ナリマス故ニ勝チ誇リタル政黨ハ或ハ專
横ナル行動ヲスル勝テル政黨、政權ヲ握フ
テ居ル政黨ニ關スル者デナクンバ殆ド人ニ
非ラザルヤウナ平氏ニ非ズンバ人ニ非ズ
ト云フヤウナ狀況ヲ呈スルト云フコトハ誠
ニ嘆カハシイ次第デアリマシテ、世間ノ人
違ハ之ヲ顰蹙イタシテ居リマス又其中ニ
モ血氣ノ盛ナル者ハ之ヲ憤慨シテ或ハ兇暴
ナル手段ニ出ルト云フヤウナコトヲ誘致ス
ル悲シムベキ事員デアルト信ズルノデア
リマス、此弊害ヲ矯正シマスル爲ニ、先程申
上ゲマシタ選擧革正審議會ニ於キマシテ事務
官ノ地位ヲ保障スルト云フ案ヲ立テラレタノ
デアリマス其方法ト致シマシテ嚴正ナル
委員ノ組織ヲシテ、地方官、其事務官ヲ黜陟
スル場合ニ於テハ主務大臣ガ之ヲ其委員會
諮問ヲスル理由アリト認メタル場合ノ外
广联系列 的化ヲ保障伝クコーストークメント假
令不法ノ命令ヲ長官ガ出シマシテモ命令
マセヌ不法なり得依シが必一三體の機械電車大吉通信
バ
北海道日建筑物学院長官ノ命令不法ト認メレバ決北京市公安局海淀分局
フ併シ此制度ハ誠ニ宜シイノデアリマス
やつとり之ヲ實行スルノニ其時機其
場合ガドウデアラウカト云フコトヲ非常ニ
心配サレタノデアリマス、例ヘバ甲ノ黨派
ガ政權ヲ握フテ居ル場合ニ於テ其任命シタ
ル事務官此場合ニ此制度ヲ實行シマス
事務官ノ地位ノ保障ノ制度ヲ實行シマスト
云フト其政黨ノ政府ガ任命シタル事務官
其儘ヲ殘シテシマハナケレバナラヌ、次ノ
政黨ノ······次ノ政府ガ代リマシテ現在ノ地
位ヲ保障サレテ居ル役人全部ハ前內閣ノ任
命デアツテ前内閣ノ與黨同樣ナル官吏デア
ルト致シマシタル場合ニ於テハ容易ニ之
ヲ動カスコトガ出來ナイノデアリマスルカ
ラ殆ド如何ナル正當ナル命令ト謂ハズ
不正ナル命令ト謂ハズドウシテモ之ヲ動
カスコトガ出來ナイ、命令ヲ以テ左右スル
コトガ出來ナイト云フ不都合ガ生ズルノデ
アル民政黨ノ時代ニ於テ之ヲ行フモ不可
政友會ノ內閣時代ニ於テ之ヲ行
デフォデリ是ニハ實ハ困ラテ居フタノ
ズラー幸ニシテ今囘ハ政黨ニ偏シナ
イ齋藤閣下ノ内閣ハ所謂協力內閣ト申シ
マスルカ一致内閣ト申シマスルカ殊ニ
兩黨ノ支持ヲ得テ立タレル所ノ誠ニ公平ナ
ル內閣デアルト私共ハ信ズル此場合ニ於
テ此制度ヲ實行スルヨリ外其時ハアリマセ
ヌ若シ···望ムコトデアリマスルケレド
モ他ノ政府ガ代リマシテ元ノ政黨內閣
ニデモナリマシタ場合ニ於テハ最早此制
度ノ實行ハ困難デアラウト存ジマス之ヲ
實行スルノハ現內閣、齋藤子爵ノ内閣ヨリ
外實行スベキ場合ガナイト考ヘルノデアリマ
スルカラシテ、此點ハ是非トモ閣下ノ內閣
ニ於テ御實行アリタイノデアルノデアリマ
ス、右六箇條ノ御質問ヲ申上ゲマスルカラ
ドウカ成ルベク御留意アリマシテ、明瞭ナ
ル御答辯ヲ下サルヤウニ御願ヒ致シマス
是ハ御參考ニ御覽ニ入レマスルガ例ノ選
擧革正審義會ノ答申デアリマス、內閣ニ御
持チノコトト存ジマスカラドウカ··
〔國務大臣子爵齋藤實君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=50
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051・齋藤實
○國務大臣(子爵齋藤實君) 只今ノ關君ノ
御質問ニ對シテ御答ヘ致シマス政界廓〓
ノコトニ付キマシテハ過日モ此處ニ登リ
マシテ述ベマシタ通リノ次第デアリマス
ガ、極力其コトヲ考究イタシマスル積リデア
御承知ノ如ク就任マダ日淺ク致
炒飯野菜ラーメン具體的ニ此處デ申述べルマデニ
マセヌノデアリマス、左樣御承
知ヲ願ヒタイト思ヒマス、其他項目ヲ擧ゲ
テノ御質問ニ付キマシテハ、御注意ヲ謝シ
又御趣意ノアル所ヲ能ク了解イタシマシタ
ガ、項目ヲ擧ゲテノコトニ付キマシテハ主
トシテ內務大臣ノ所管ニ屬スルコトガ多イ
ト考ヘマスカラ內務大臣ヨリ御答ヲ致ス
コトニ致シタイト思ヒマス
(國務大臣男爵山本達雄君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=51
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052・山本達雄
○國務大臣(男爵山本達雄君) 只今關君ノ
懇々ノ御質問ニ對シマシテ第一條ニ於キ
マシテハ只今總理大臣ヨリ御答へ申シタル
通リデゴザイマス、其次ノ第二ト第三、卽
チ濱口內閣ノ時ニ於キマシテノ調査ノコ
ト又選擧ニ於キマシテ公營ハ如何ト云フ
コト此二ツニ付キマシテハ只今モ丁度選
擧法ノ改正ニ付テノ委員モアリマシテソ
レゾレ調ベテ居ルヤウデゴザイマスカラ
此時ニ於テ此第二ト第三ノ事柄ヲ十分ニ參
考ト致シマシテ選擧法ノ改正ヲ致シタイ
ト存ズル次第デゴザイマスソレカラ第四
ノ政府ノ保護又ハ監督ヲ受クル各會社其
役員ヨリ政黨ノ寄附ヲ禁ズルノ法制ヲ設ケ
ラルル意アリヤ否ヤト云フコト是ハ政府
ノ保護又ハ監督ヲ受クル各會社及其役員ヨ
リ政黨ニ寄附ヲ禁ズルノ法制ヲ設クルヤ否
ヤニ付キマシテハ篤ト參考トシテ考ヘタ
イト致シテ居リマス第五、水利權、鐵道、
竝ニ鐵道敷設權其他權利ニ關スル許可認
可ヲ與フル場合ニハ特別獨立ノ委昌會
ヲ設置シテ其審議ヲ經セシムルノ制ヲ設
クル意思ナキヤ各種權利ノ許可ニ當リ最
モ公正ヲ期スベキコトハ申ス迄モナイコト
デ政府モ此コトニ付テハ十分ニ念ト致シ
テ居リマスガ、特別ノ委員ヲ設ケテサウ
シテ審議ヲ經セシムルノ制ヲ設クルト云フ
コトニ付キマシテモ今後向ホ十分ノ考慮
ヲ致シタイト思フノデゴザイマス、第六、地
方長官、官吏、警察署長ノ選任ニ付テ、政
黨臭味ノ濃厚ナル者ヲ廢シテ、純眞ナル人
ヲ登庸スルヤ否ヤト云フコトニ付キマシテ
ハ先刻上山君ノ御質問ニ御答へ申シタ如
キ精神デアリマシテ尤モナル是ハ御質問
カシ、大ニ兩廳シテ居ルコトデアリマス4/4
此精神ニ依リマシテ十分ニ其方ハ公
平ニ致シタイト思フノデゴザイマス續イ
テ此地方官及事務官、身政分
ヲ保障スルト云ハ
府ニ於テモ成ルベク此際ニサウ云フ方ニ
向ッテ進ミタイト思ウテ居ルノデゴザイマ
ス是モ如何ニモ御同感デゴザイマスガ
只今此處デ斯ク致シマスト云フコトヲ御答
ヘ申スコトハハッキリト申上ゲ兼ネルノデ
ゴザイマスソレハ惡シカラズ御了承ヲドウ
ゾ願ヒマス是デ御答ハ濟ミマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=52
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053・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ニテ本日ハ延
會イタシタイト考へマス、次ノ議事日程ハ
決定次第御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ
散會イタシマス
午後零時二十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006203242X00519320608&spkNum=53
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