1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
關税定率法中改正法律案
昭和七年法律第四號中改正法律案
—————————————————————
委員氏名
委員長 子爵 梅園篤彦君
副委員長 倉知鐵吉君
侯爵 徳川義親君
子爵 吉田清風君
男爵 橋元正輝君
西野元君
次田大三郎君
吉田羊治郎君
鈴木幸作君
—————————————————————
昭和八年三月十八日(土曜日)午後一時四十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006400404X00119330318&spkNum=0
-
001・梅園篤彦
○委員長(子爵梅園篤彥君) ソレデハ是カ
ラ開會イタシマス、政府提出ノ關稅定率法
中改正法律案竝ニ昭和七年法律第四號中改
正法律案ヲ議題ト致シマス、先ヅ政府委員
ノ提出理由ノ御說明ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006400404X00119330318&spkNum=1
-
002・堀切善兵衞
○政府委員(堀切善兵衞君) 兩法律案提出
ノ理由ハ、過日本議場ニ於テ申述ベマシタ
通リデアリマスルカラ、之ヲ省略イタシマ
シテ、各品目ニ付テノ說明ヲ主稅局長ヨリ
致スコトニ致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006400404X00119330318&spkNum=2
-
003・中島鐵平
○政府委員(中島鐵平君) ソレデハ私ヨリ
關稅定率法中改正法律案ノ各品目每ニ付キ
マシテ、稅率改正ノ理由ヲ成ベク簡單ニ御
說明イタスコトニ致シマス、說明ノ便宜ト
致シマシテ、現行輸入稅表ノ稅番順ニ御說
明イタスコトニ致シタイト思ヒマス、先ヅ
麻黃、生酒石及此法律案ノ最後ニアリマス
ル骨灰ニ付キマシテ御說明ヲ申上ゲマス、
此三ツノ物品ハ從來何レモ、輸入稅表ノ第
二百二十九號ノ「別號ニ揭ケサル藥材、化
學藥及製藥」ト云フ項目ノ中ニ包含セラレ
テ居リマシテ、從價二割ノ關稅ヲ適用シテ
參ッタノデアリマスルガ、此際何レモ之ヲソ
レソレ輸入稅表上ニ特揭イタシマシタ上
ニ、全部之ヲ無稅品ニ改メマスルコトガ適
當デアルト考ヘタノデアリマス、麻黃ト申
シマスモノハ、麻黃ト稱シマスル植物ノ莖
ヲ乾燥イタシタモノデアリマシテ、主トシ
テ滿洲及中華民國ニ產シテ居リマスルガ、
我ガ國ニハ御承知ノ如ク其生產ガアリマセ
ズ、且ツ其代用品トナルモノモナイ有樣デ
アリマシテ、每年外國カラ相當輸入シテ居
ルノデアリマス、是ハ喘息ノ特效藥ニナリ
マス、「エフエドリン」トカ、或ハ麻黃「エ
キス」ナドノ原料ニ供セラレルノデアリマ
スガ、元來此麻黃中ニ「エフエドリン」ト云
フ精分ノ存在シテ居リマスコトヲ發見イタ
シマシタノハ我ガ國ノ學者デアリマシテ、
其原料デアリマスル麻黃ノ關稅率ヲ現行ノ
如ク二割ト云フコトニ致シテ置キマスル時
ハ、外國ニ於キマシテ麻黃カラ「エフエド
リン」ヲ製造イタシマシテ、之ヲ我ガ國ニ
輸入イタスコトトナル虞レモアリマスルノ
デ、內務省ノ藥料振興調査會ニ於キマシテ
モ、本品ノ關稅ハ之ヲ無稅トナスコトガ適
當デアルト云フ決議ヲ致シテ居ル關係モア
リマスノデ、此際此關稅ヲ無稅ニ改メマス
ルコトハ、我ガ國ノ藥業振興ノ立場カラ致
シマシテモ、極メテ適切ナル處置デアルト
考ヘタ次第デアリマズ、尙ホ此麻黄ヲ輸入
稅表中ニ特揭イタシマスニ付キマシテハ、
其稅番ヲ何處ニ置クカト云フコトガ一應問
題トナルノデアリマスガ、是ハ本品ガ元來
植物ノ莖デアリマスルナドノ關係ナドニ鑑
ミマシテ、輸入稅表ノ百三十五ノ一一ニ「イ
リス」根ト云フモノガアリマスルガ、ソレ
等ト大體同一ノ種類ノモノト見マシテ、「イ
リス」根ノ次ニ百三十五ノ三ト云フコトニ
致シマシテ、之ヲ稅表ニ特揭スルコトガ適
當デアルト認メタ次第デアリマス、六一
生酒石ト申シマスルノハ、葡萄酒ヲ製造
イタシマスル際ニ桶ノ中ニ附著シテ出來
マスル所ノ副產物デアリマシテ、其用途
ト致シマシテハ、染色用劑ト致シマシテ
必要ナル吐酒石トカ、又ハ其他ノ酒石酸鹽
類ノ原料ニ供セラレルノデアリマシテ、誠
ニ重要ナル製藥ノ原料品デアリマス、然ル
ニ本品モ亦我ガ國ニハ殆ンド其生產ガアリ
マセズ、現在ハ主トシテ佛蘭西カラ輸入セ
ラレテ居ルノデアリマス、輸入額モ昨年ハ
數量ニ致シマシテ約四十六萬斤、價格ニ致
シマシテ約十五萬圓ニ達シテ居ルノデアリ
マい、本品モ亦其藥用上ノ重要性ニ鑑ミマ
シテ、內務省ノ藥業振興調査會ニ於キマシ
テモ、其關稅ノ撤廢ノ決議ヲ致シテ居ル次
第デアリマス、本品ハ其成分ガ一種ノ加里
鹽類デアリマス關係ナドニ鑑ミマシテ、現
行輸入稅表ノ第百七十四號ノ「硝酸加里」ト
云フ所ガアリマスガ、硝酸加里ノ次ニ百七
十四號ノ二ト云フモノヲ新ニ設ケマシテ、
之ヲ稅表ノ上ニ明記スルコトガ適當ガアラ
ウト考ヘテ居ルノデアリマス、最後ニ骨灰
デアリマスガ、骨灰ト申シマスルノハ、獸
骨ヲ焙燒イタシマシタ白色ノ粉末デアリマ
スガ、本品ハ此頃ニナリマシテ、高級ノ陶
磁器ナドノ原料ト致シマシテ其輸入ヲ必要
トスルニ至ッタノデアリマス、然ルニ本品ハ
其成分ガ燐酸石灰デアリマスルノデ、麻黃
及生酒石ト均シク從來輸入稅表番號第二百
二十九號ニ依リマシテ、矢張リ從價二割ノ
關稅率ヲ適用セラレテ居ッタノデアリマス
ガ、此程度ノ稅ヲ課シテ居リマシテハ、我
ガ國ノ高級磁器等ノ發達等ニモ支障ヲ來ス
虞モアリマスシ、又本品ハ我ガ國ニハ其生
產モナイノデアリマスルカラ、旁、之ヲ無
稅ト致シマシテ、我ガ國ノ陶磁器ノ品質向
上ニ資スルコトガ適當デナイカト考ヘタ次
第デアリマス、尙ホ本品ハ輸入稅表ノ第六
百十七號ノ「骨灰」ノ次ニ六百十七號ノ二ト
致シマシテ之ヲ特揭スルコトト致シ、同時
ニ只今ノ稅表ノ六百四十六號ノ「肥料」ト云フ
題ガアリマスガ、其肥料ノ括弧ノ中ニ「骨
灰」ト云フ文句ガアリマス、其「骨灰」ト云
フ文句ハ、此際之ヲ削除イタシマシテ、其
骨灰ハ今度新ニ特揭イタシマスルニ六百十七
號ノ二ノ「骨灰」中ニ包含スルコトヲ適當ト
考ヘタ次第デアリマス、次ニ稅表番號六百
十二號ノ「ドグラスファ」ナドノ長丸太ニ
付テ御說明ヲ申上ゲマス、御承知ノ如ク「ド
グラスファー」ハ專ラ北米合衆國及加奈陀
カラ輸入セラレテ居リマシテ、一般ニ米松
ト稱ヘテ居ル木材デアルノデアリマス、サ
ウ致シマシテ其中ノ長丸太ト申シマスノハ
特ニ長尺ノ丸太材ヲ謂フノデアリマシテ、
現行輸入稅表番號ノ六百十二號ノ一ノ己ノ
五ノ二ニ······大變複雜シテ居リマスガ一ノ
己ノ五ノ二ニ「長十「メートル」ヲ超エ、末
口ノ直徑三十「センチメートル」ヲ超エサル
モノ」、斯ウ云フコトニ特揭ヲ致シテ居ルノ
ガ卽チ之ニ該當スルノデアリマス、是等ノ
木材ハ御承知ノ通リ主トシテ大キナ建築物
デアリマストカ、又ハ橋梁ナドノ基礎工事
ニ打込ム丸太ナドニ用ヒラレルノデアリマ
スガ、昭和四年ニ於キマスル木材關稅ノ改
正ノ際ニ於キマシテハ、當時未ダ內地ニ於
キマシテハ殆ド此種ノ生產ガアリマセナ
カッタ關係カラ致シマシテ、特ニ當時ハ之ヲ
無稅ニ拵ヘ置イタノデアリマス、然ルニ其
後ニ至リマシテ、是等木材ノ輸入ガ每年相
當多額ニ上ッテ居リマスル狀況デアリマシ
テ、一昨年ハ約四萬立方米、價格ニ致シマ
シテ約七十萬圓ノ輸入ヲ見テ居リマスルシ、
昨年ハ約四萬八千立方米、價格ニ致シマシ
テ約百十八萬圓ニ達シテ居ル狀況デア
リマス、然ルニ御承知デモアリマセウ
ガ、最近朝鮮ノ北部地方ニ於キマシテ
此種ノ長丸太ニ適シマスル落葉松材ガ
多量ニ生產セラレルヤウニナリマシテ、
其產出額ハ昨年ハ約五萬石ニ達シテ居ルノ
デアリマス、而シテ今後所謂北鮮開拓事業
ナルモノガ進捗イタシマスルト共ニ、其生
產額モ漸次增加イタスベキ狀況ニ在ルノデ
アリマス、是等朝鮮材ノ對抗材デアリマス
ル米松ノ關稅ガ無稅トナフテ居リマシテ、競
爭上相當ナ壓迫ヲ蒙ヲテ居ル實情ニアルノ
デアリマスルカラ、北鮮地方ニ於キマスル
其生產ヲ保護助長イタシマスル爲ニハ、此
現在無稅デテリマスル所ノ米松材ノ一部分
ノ木材ノ輸入ヲ抑壓スルノ必要ガアルノデ
アリマス、從ヒマシテ此際此「ドグラス
ファー」ノ長丸太ニ對スル無稅ノ範圍ヲ、其
長サノ點ニ於キマシテ多少縮小イタスコト
ト致シマシテ、長サガ十八「メートル」ヲ超
エマシテ末口ノ直徑三十「センチメートル」
ヲ超ヘナイ、一番長イモノハ之ハマダ生產
ヲ見ナイノデアリマスルカラ、之ヲ從來通
リ無稅ニ据置キマスルト共ニ、今日大體北
鮮產ノ落葉松材ヲ以テ供給シ得ラレルモ
ノト認メラレマスルモノ、卽チ長サ十「メ
ートル」ヲ超エ十八「メートル」ヲ超エナイ、
此程度ノモノハ、之ヲ從來ノ無稅品ヲ有稅
品ト致スコトニ改メマシテ、其稅率ハ其用
途ガ、建築物ノ基礎工事、打込丸太ナドニ
用ヒマスノガ其用途デアリマスカラ、卽チ
消費ノ方面ヲ考慮イタシマシテ、比較的ニ
低イ稅率デアリマスル每立方「メートル」二
圓ト云フコトニ致シタラ如何カトシテ提案
イタシタ次第デアリマス、次ニ所謂南洋材
ナドノ闊葉樹ニ關シマスル改正デアリマス
ガ、是ハ稅表ノ「癸、其他イ、ロ」トアリマ
スル此項目ニ當ルノデアリマス、所謂南洋
材ニ關シマシテハ、昨年ノ六十二議會ニ於
キマシテ衆議院ニ於キマシテ、南洋材ニ對
スル課稅ハ、次期議會ニ必ズ提案スベシト
云フヤウナ附帶決議ヲ附セラレマシタ關係
モアリマシテ、政府ニ於キマシテハ其後愼
重審議ヲ重ネマシタ結果、本案ヲ提出イタ
シタ次第デアリマス、御承知ノ如ク我ガ國
ニ於キマスル一般闊葉樹材ノ輸入ハ相當多
量ニ上ッテ居ルノデアリマシテ、昨年ニ於キ
マシテハ約四十七萬圓、價格ニ致シマシテ
約二百六十萬圓デアリマシタ、其中所謂南
洋材ト稱シテ居リマスルモノノ輸入ハ約四
十三萬石、價格約二百三十萬圓ニ達シ、此
一般闊葉樹材ノ輸入ノ殆ド全部ハ南洋材ノ
輸入ト言ッテ宜シイ位ノ程度ニアルノデア
リマス、昨年來矢張リ依然トシテ內地市場
ニ於キマシテ、其對抗材デアリマスル本邦
產ノ闊葉樹材ヲ壓迫シテ居ルヤウニ認メラ
レルノデアリマス、從ヒマシテ本邦ニ於キ
マスル林業保護ノ立場カラ、是等闊葉樹材
ノ關稅ヲ改正スルノ必要ヲ認ムルニ至ッタ
次第デアリマスカ、其關稅率ノ按排ニ付キ
マシテハ、南洋ニ於キマスル本邦人ノ企業
ニ及ボス所ノ影響ナドノ方面ヲ十分ニ考慮
イタス必要ガアリマスノデ、本品ノ資材ニ
對シマシテハ大體從價一割程度、餘リ高ク
ナイ從價一割程度ノ從量稅デアリマスル每
立方「メートル」二圓ト云フコトニ致シ、其
製材ニ對シマシテハ木材ノ現行關稅率ニ於
キマスル資材ト製材トノ間ノ差ガ、大體六
分程度デアリマスル點ニ鑑ミマシテ、之ヲ從
價一割六分程度ノ從量稅、卽チ每立方「メー
トル」五圓五十錢トスルノヲ適當ト考ヘマ
シタ次第デアリマス、尙ホ一言申添ヘテ
置カネバナラヌト思ヒマスルガ、現行輸入
稅表ニハ本品ノ製材ト資材トヲ厚サ百五十
「ミリメートル」ヲ以テ區分ノ限界ト致シテ
居ルノデアリマスガ、此點ハ木材ノ寸法ニ
關シマスル標準規格ヨリ致シマシテ、針葉
樹材ガ既ニ今日厚サ二百「ミリメートル」ヲ
以テ其區分ノ限界ト致シテ居リマスノデ、
其兩者ノ岐レ目ハ此際針葉樹材ノ場合ト同
樣ニ、之ヲ厚サ二百「ミリメートル」ヲ以テ
區分イタスヤウニ改正スルコトガ適當デハ
ナイカ、斯ウ云フ風ニ考ヘマシテ改正案ニ
ハ百五十「ミリメートル」ヲ厚二百「ミリメー
トル」ニ改メマシタ次第デアリマス、最後
ニ蒟蒻芋ニ付テ御說明申上ゲマス、蒟蒻ハ
御承知ノ如ク我國ノ山間農村ニ於キマシテ、
廣ク栽培セラレテ居リマス農作物デアリマ
シテ、殊ニ群馬、岡山、廣島、茨城、靜岡
及福島ナドノ諸縣ニ於キマシテハ養蠶ノ收
入ト共ニ、農家ノ重要ナル收入ヲ成シテ居
ル模様デアリマス、蒟蒻ノ栽培面積ハ昭和
六年ニ於キマシテハ約八千町步ニ上ボッテ
居リマス、其生產數量ハ約九千四百萬斤デ
アリマシテ、之ヲ切干ニ換算イタシマスレ
バ約千七百萬斤トナリ、其價格ハ約四百四
十萬圓ニ上ボッテ居ルノデアリマス、蒟蒻ノ
栽培面積及生產數量ハ大體ニ於キマシテ年
ト共ニ增加イタス趨勢ニアルノデアリマス
ガ、其價格ニ至リマシテハ、却ッテ年ト共
ニ減少ヲ示シテ居ルヤウナ傾向ニアルノデ
アリマス、蒟蒻ノ輸入狀況ヲ見マスルニ是
ハ全部切干トシテ每年相當ニ多量ノ輸入ヲ
見テ居ルノデアリマス、昭和六年ニ於キマ
シテハ約三百四十萬斤、價格ニ致シマシテ
約四十萬圓ニ達シテ居リマス、昨七年ハ前
年ニ比較シマシテ多少減少ヲ示シテ居リマ
スルガ、ソレデモ尙ホ約百五十萬斤、價格
ニ致シマシテ約十六萬圓ニ達シテ居ルノデ
アリマシテ、其主ナル仕出國ハ蘭領印度及
中華民國デアリマス、然ルニ蘭領印度カラ
參リマスル蒟蒻芋ハ、總テ野生ノモノヲ其
儘採集イタシマシテ、之ヲ切干トシテ居リ
マスニ過ギナイナドノ事情カラ致シマシテ、
極メテ低廉ナル價格ヲ以テ我國ニ輸入サレ
ルノデアリマス、從ッテ是ガ爲ニ內地產ノ
蒟蒻芋ハ著シク壓迫ヲ蒙ルコトトナリマシ
テ、延イテ我國山間農村ノ經濟ニ對スル大
ナル打擊ヲ與ヘツツアル實狀デアリマス、
從ヒマシテ農家經濟ノ窮迫イタシテ居リマ
ス今日ニ於キマシテハ、是等外國品ノ輸入
ヲ相當抑制イタシマスコトハ此際適當ノ處
置デアルヤウニ考ヘラレマス、而シテ其關
稅率ニ付キマシテハ輸入蒟蒻芋ノ内地ニ於
キマスル市場價格、及內地品ノ生產費竝ニ
內外品ノ品質上ノ格差ナドノ點ヲ十分ニ考
慮イタシマシテ粉狀ニ非ザルモノハ、之ヲ
每百斤五圓五十錢、粉狀ノモノハ切干カラ
製粉イタシマスル、其製粉ノ收得率ナドヲ
參酌考慮イタシマシテ、每百斤十六圓ノ稅
率ヲ配スルノガ適當デアルト考ヘマシタ次
第デアリマス、尙ホ本品ハ現行輸入稅表ニ
於キマシテハ特揭セラレテ居リマセズ、稅
表ノ一番最後ノ番號デアリマスル六百四十
七號ヲ適用イタシテ居ルノデアリマス、此
際之ヲ新タニ特揭イタスコトト致シマシ
テ、其稅番ノ順位ハ本品ガ植物ノ地下莖デ
アルナドノ關係カラ致シマシテ、雜品中ノ六
百七號ノ二ニ「カッサヴアルート」ノ次ニ第
六百七號ノ三ト云フモノヲ新設イタシマシ
テ、之ヲ稅表ニ特揭イタスコトト致シタ次
第デアリマス、各品目ニ關シマスル稅率改
正ノ大體ノ事情ハ右ノ通リデアリマスガ、
御質問ガアリマスレバソレ〓〓關係當局カ
ラ御說明申上ゲルコトニ致シタイト存ジマ
ス、次ニ昭和七年法律第四號中改正法
律案ニ付テ簡單ニ御說明申上ゲマス、政
府ハ只今御說明申上ゲマシタ通リ、關
稅定率法中改正法律案ニ依リマシテ、
此際差當リ措置スルコトヲ必要ト認メマシ
タ是等ノ物品ニ關シテ、其稅率ノ改正案ヲ
提出イタシタノデアリマスガ、是等ノ物品
ノ中、麻黃、生酒石及骨灰ノ三品ハ、只今
申上ゲマシタ通リノ現行ノ從價稅カラ全然
無稅品トナルノデアリマスカラ、是等ノ物
品ハ昨年ノ法律第四號トハ何等ノ交渉ヲモ
持タナイノデアリマス、然ルニ此「ドグラ
スフアー」等ノ長丸太、南洋材及蒟蒻芋ノ稅
率ハ現行ノ輸入稅表ニ於キマシテハ只今
御說明申上ゲマシタヤウニ無稅、又ハ從價
稅デアルノヲ、今囘何レモ新ニ從量稅ニ改
メマス關係上、法律第四號、卽チ輸入稅ノ
從量稅率ニ關スル法律トノ間ニ關係ヲ生ジ
テ參ル譯デアリマス、而シテ是等ノ物品ノ
關稅率ハ、只今御說明申上ゲマシタヤウニ
何レモ其生產、輸入竝ニ需給狀況ナドニ關
シマスル諸般ノ實狀ヲ勘案考慮イタシマシ
テ決定イタシタモノデアリマスカラ、是等
物品ハ課稅上自然此法律第四號ノ別表ニ
揭ゲテ居リマスル所ノ諸物品ト同樣ニ取扱
ハルベキモノト考ヘル次第デアリマス、從
ヒマシテ是等ノ物品ハ、之ヲ同法ノ別表ニ
追加イタシマシテ、所謂百分ノ百三十五ノ
課稅カラ之ヲ除外イタスノ必要ガアルノデ
アリマスカラ、此改正法律案ヲ提出イタシ
マシタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006400404X00119330318&spkNum=3
-
004・梅園篤彦
○委員長(子爵梅園篤彥君) 此際一寸御諮
リ致シマス、本日ハ缺席ノ方モ比較的多イ
ヤウデアリマスルシ、又參考資料ヲ御要求ニ
ナル方モアルカト存ジマスノデ、只今ノ政
府委員ノ御說明ニ對シマシテハ簡單ニ御質
問ヲ願ヒマシテ、次囘ニ十分ニ質問ヲ盡ス
ト云フヤウナコニト致シマシタナラバ如何
デゴザイマセウカ
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006400404X00119330318&spkNum=4
-
005・梅園篤彦
○委員長(子爵梅園篤彥君) ソレデハ御質
問ノ方ガゴザイマシタナラバ此際願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006400404X00119330318&spkNum=5
-
006・倉知鐵吉
○倉知鐵吉君 私此關稅定率法中改正法律
案及昭和七年法律第四號中改正法律案ニ付
キマシテ、極ク大體ノ御尋ネヲシテ政務次
官ノ御意見ヲ伺ヒタイト思ヒマス、此關稅
改正ニ對シマシテハ政府ニ於テ關稅委員會
ヲ設ケラレテ、大分長ク御評議ガアッタヤ
ウデゴザイマスガ、其當時ハ改正セラルベ
キ品目ハ相當多數ニ上ッテ居ッタヤウニ思ヒ
マスガ、今度御提案ニナリマシタ際ニハ當
初問題トナッテ居リマシタル品目ノ大多數
ヲ改正セナイコトニ爲サレマシテ、今囘御
提案ノ極ク少數ノ品目ニ止メテ改正ヲ申出
デラレタヤウニ思フノデアリマス、私ハ各
國現在ノ經濟上貿易上ノ趨勢カラ見マシテ
モ、亦殊ニ我ガ國ノ產業ノ現狀カラ考ヘテ
見マシテモ、餘リ多數ノ品目ニ付キ稅率ヲ
動カサレルコトハ適當デナイト存ジテ居リ
マスノデ、今度御提案ニナッタヤウノ程度ガ
極メテ適當ト思フノデゴザイマスガ、ソレ
ニ付テ承リタイノハ政府ハ本案ヲ以テ一應
關稅ノ變更ヲ終ヘタモノト爲サッテ、何カ特
ニ重大ナル事情ノ變化ガゴザイマスレバ兎
云南、普通ノ狀態ニ於テハ先ヅ關稅ノ改正
ハ之デ打切ルト云フ御考ヘデゴザイマセウ
カ、ソレトモ今度出シタノハ取敢ヘズ急グ
モノヲ出シタノデ、是カラ第二囘、第三囘
ト續々關稅改正案ヲ出ス積リデアルト云フ
御考ヘデゴザイマセウカ、其點ヲ伺ヒタイ
ト思フノデアリマス、蓋シ我ガ國ノヤウナ
產業進步ノ中途ニアル國ニ於キマシテハ、
關稅率ハ成ルベク之ヲ一定シマシテ、一旦
定メマシタ以上ハ容易ニ動サナイト云フコ
トガ、當業者ヲシテ安心シテ產業計畫竝ニ
經營ニ從事セシムルヤウニナルノデアリマ
シテ、是ガ必要ダト思フノデアリマスル
ガ、若シ每年ミミ今度ハ此品、此次ハ此品
ト頻リニ關稅ノ改正ヲ爲サレマスト云フコ
トニナリマスト、產業上ノ基礎ニ安定ヲ缺
キマシテ、當業者モ其向フ所ヲ知ラヌト云
フコトニナラウカト思フノデアリマスガ、
只今御尋ネ致シマシタ點ハ、當業者ノ安心
ヲ得セシムル爲ニ明確ニ政府ノ御意見ヲ
伺ッテ置イタ方ガ宜イカト思ヒマスカラ、其
點ヲ御尋スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006400404X00119330318&spkNum=6
-
007・堀切善兵衞
○政府委員(堀切善兵衛君) 只今ノ御質問
ニ對シマシテハ、私共ト致シマシテハ大部
分ニ於キマシテ全然御同感ニ感ジテ居ル次
第デアリマス、關稅委員會ヲ開キマシタコ
トハ本案ヲ提出スル前ニ一囘開イタノデ
アリマスガ、其會ヲ開ク準備ト致シマシテ、
準備會、卽チ幹事會ト云フヤウナモノハ絕
エズ開イテ居リマシテ、大藏省、商工省、
農林省等ノ幹事諸君ガ會合シマシテ、紀二
ズ〓究調査ヲ致シテ居ッタノデアリマス、ド
ウ云フモノヲ關稅委員會ニ出シタラ宜カラ
ウカト云フヤウナ、マア問題ニナリサウナ
モノヲ捨ノテリ見タ次第デゴザイマスガ、ソ
レガ可成リ多數ニ上リマシタノデゴザイマ
シタガ、結局幹事會ノ議ヲ經テ、卽チ各方
面ノ意見ガ纒マリマシテ、關稅調査委員會
ニ提出スルヤウニナリマシタノハ極ク僅カ
ニ落著イタノデアリマス、其提出ヲ見、ソ
コデ決議サレタモノガ今囘提出イタシマシ
タ是ダケニ止マル次第デアリマス、各國ノ
現狀ヨリ見テ、餘リ稅率ヲ動カサナイ方ガ
宜シイヂヤナイカト云フ御趣意、誠ニ御尤
モデゴザイマス、世界各國何レモ非常ニ近
年稅率ヲ高ク致シマシタノデアリマス、最
近ニ於テモ上ゲヤウトシテ居ルヤウナ國モ
少クナイヤウナ狀態デゴザイマス、此間ニ
立チマシテ我國バカリガ急イデ此方カラ先
ニ稅率ヲ下ゲルト云フヤウナコトヲ致シマ
スルト云フト、他日却テ悔ヲ胎サヌトモ限
ラナイノデゴザイマス、何レ是等ノ點モ新
聞ナドニ出テ居リマス通リ、亞米利加邊リ
ガ主唱者ニナッテ國際的ニ稅率ヲ低ククス
ルヤウナ會議ナドモ開カウト云フ噂モアリ
マスノデ、他日ノ準備ニモ我ミハ備ヘテ置
カナケレバナラヌトモ考ヘテ居ルノデアリ
て 、又爲替關係ナドガ非常ニ激變イタシ
マシテ、此前關稅案ヲ提出シマシタ際ニハ、
爲替ガ約三十二三弗ト記憶イタシテ居リマ
スガ、ソレガ最近二十弗ニ落チ、今囘モ亞
米利加ノ金融騷ギデ二十二弗ニ又上リカケ
テ居ルト云フヤウナ次第デゴザイマシテ、
此前提案イタシマシタ所ノ精神カラ言ヘバ
從量稅率ト、從價稅率ノ權衡ヲ得セシムル
ト云フ點ニ重キヲ置キマシタカラ、其均衡
ノ點カラ初ハ三十一二弗ガ二十二弗位ニ落
チマシタノデアリマスカラ、モット上ゲナ
ケレバナラヌヤウナ關係ニナッテ參ルノデ
アリマスガ、併シ此際其均衡バカリデナク、
物價ノ點ナドモ考ヘナケレバナラズ、又此
際更ニ引上ゲテハ外國ノ我國ニ對スル感情
ナドモドウ云フモノカト云フヤウナ種々
ノ點ヲ考慮イタシマシテ、結局ドウシテモ
是ハ改正シタ方ガ宜シイト、各方面ノ意見
ノ一致シマシタモノダケ、卽チ茲ニ提出シ
マシタ、少數ノモノダケヲ提出スルコトニ
ナッタノデアリマス、是デ一應濟ンダト見ル
カ、卽チ打切リト見ルカ、或ハ第二囘、第
三囘ト、更ニ之ヲ出ス考カト云フ御質問デ
ゴザイマスガ、是デ以テ打切リマシテ今期
議會ニハ强ヒテ第二囘、第三囘トハ出サナ
イ積リデアリマス、唯此次ノ本議會等ニ於
キマシテハ、其間ニ尙ホ各品目ニ付テ〓究
調査ヲ重ネナクテハナラヌノハ無論ノコト
デゴザイマスカラ、幹事會ニ於テモソレ等
ノ點ヲ種々調査考究イタス積リデハゴザイ
マスガ、果シテドウ云フ提案ヲ致スコトニナ
ルカハ諸外國トノ關係、國內產業ノ狀況、物價
ノ程度ト種々ノ點ヲ考慮イタシマシテ、之ニ善
處シナケレバナラヌト考ヘテ居リマス、只今ノ
所ハマダ何トモ是ハ御返事申上上ゲ兼ネル
次第デゴザイマス、一旦定メタ以上ハ容易ニ
動カサナイ方ガ良イ、是モ私共ハ全然御同
感ト考ヘテ居リマス、昨年出マシタ三割
五分ノ稅率等ニ付キマシテモ、アレガ基ニ
ナッテ今日ノ日本ノ製造工業、其他農業等ガ
經營セラレテ居リマスル以上ハ、餘リ頻々
ト之ヲ改正イタスト云フコトハ決シテ宜イ
コトトハ考ヘテ居リマセヌ、唯ドウシテモ
各方面ノ情況ヲ觀察イタシマシテ改正イタ
サナケレバナラヌ、其必要ノ急ニ迫ッテ居
ルモノダケヲ改正イタスト云フノガ至當ヂ
ヤナイカト考ヘル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006400404X00119330318&spkNum=7
-
008・倉知鐵吉
○倉知鐵吉君 大體御答辯ノ次第ハ諒承イ
タシマシテゴザイマスガ、尙ホチヨット伺ツ
テ置キタイト思ヒマスノハ、今議會ニ御提
案ガナイコトハ無論デアリマスガ、特別ノ
事情ノ變化ガアル場合ニ、來期ナリ來々期
ナリニ御出シニナル、是モ無論當然ノコト
デアリマスガ、只今ノ所デ今度出サナカッ
タモノハ此次ニ出ス積リダト云フヤウナモ
ノヲ御有チニナッテ居ルカドウカ、今後事情
ガ新規ニ起ッテ來タラ出スカモ知レヌト云
フ程度デアリマスカ、今度出サナカッタガ、
此次マデニハ調ベテ次期議會ニハ出スト云
フ御腹案ノ品目デモゴザイマスカ、只今私
ノ申上ゲマシタ趣意ニ少シ反スルヤウニ思
ヒマスガ、ソコハドノ位ノ考デ居ラレル
カ、少シ無理ナ御注文カモ知レマセヌガ、
大體デ宜シウゴザイマスガ御見込ノ所
ヲ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006400404X00119330318&spkNum=8
-
009・堀切善兵衞
○政府委員(堀切善兵衞君) 取敢ヘズ今日
ノ內外ノ現狀ニ於テ出サナケレバナラヌト
考ヘマシタノハ、只今提出イタシタノデア
リマシテ、後ハマダ今後ノ調査ニ依リマセ
ヌト云フト、是ハ出ス積リダ、或ハ必ズ出
スト云フヤウナコトハ今日申上ゲ兼ネル次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006400404X00119330318&spkNum=9
-
010・梅園篤彦
○員員長(子爵梅園篤彥君) 外ニ御質問ゴ
ザイマセヌカ、······ソレデハ本日ハ此程度
ニ止メマシテ、次囘ニ質問ヲ繼續イタシタ
イト思ヒマス、是ニテ散會イタシマス
午後二時三十一分散會
出席者左ノ如シ
委員長子爵梅園篤彥君
副委員長倉知鐵吉君
委員
子爵吉田〓風君
男爵橋元正輝君
西野元君
次田大三郞君
政府委員
大藏政務次官堀切善兵衞君
大藏省主稅局長中島鐵平君
農林省農務局長長瀨貞一君
農林省山林局長木島駒藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006400404X00119330318&spkNum=10
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。