1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和八年一月三十一日（火曜日）午前十時十八分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=0
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001・中御門經恭
○委員長(侯爵中御門經恭君) ソレデハ前
囘ニ引續キマシテ、是ヨリ開會イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=1
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002・山岡萬之助
○山岡萬之助君 私ハ本案ノ條約トノ關係
其他立案ノ基礎ニ關シテ明瞭ニ致シタイ爲
ニ、其經路トシテ少シク御尋ネ致シタイノ
デアリマス、本案ガ此條約ニ於ケル小切手
ニ關スル統一法ヲ制定スル條約、此所謂統
一法トドウ云フ點ニ於テ異ッテ居ルカ、此
半面ヲ言ヘバ所謂第二附屬書ヲ何處迄活用
シテ統一法ヲ變更シテ立案セラレタノカ、
第二附屬書ノ面カラ見マスレバ、ソレハ活
用シタ點ト活用シナイ點、斯ウ二ツニナル
コトト思ヒマス、從テ第一ニ先ヅ附屬書ヲ
活用シテ統一法ト異リタル立案ハドノ點ニ
アルカ、ソレヲ御說明願ヒタイ、次ニ第二
トシテ第二附屬書ヲ活用シナカッタ點、ド
ウ云フ意味ニ於テサウ云フ留保ノ關係ヲ利
用シナカッタノデアルカト云フ點モ、少シ
ク本案審議ニ離レタヤウデアリマスガ、ソ
レヲ伺ッテ置キタイト思ヒマス、此法案ハ
曩ニ帝國議會ニ於テ協賛ヲ經マシタル手形
法ト密接ナ關係ガアリマシテ、當時手形法
ノ審議ニ於テ條約トノ關係ガ論議イタサレ
テ居リマシテ、條約ト法律トノ關係ヲドノ
點迄調和シテ置カナケレバナラヌカト云フ
點ガ論議セラレテ居リマス、其中ニ水上委
員カラ一箇條カ二三ノ文句ガ修正サレタ時
ハ、案ハドウ云フ風ニナルカト云フ斯ウ云
フ問ヒニ對シテ、政府ノ答辯ハ統一法ノ目
的ヲ達シナイコトニナル、一部分ガ改マレ
バソレハ國內法トハナルガ條約ガ批准出來
ナクナル、斯ウ云フ風ナ趣旨ノ質問應答ガ
アリマシタガ、併シ此意味ハ一箇條カ或ハ
二三ノ字句ガ修正サレルト云フ質問カラ出
テ居ルノデスガ、ソコノ點ガドウ云フ意義
ニ於テ左樣デアルカト云フコトハ、多少明
瞭ヲ缺イテ居リマス、私共ノ考ヘデハ本案
ハ統一法ヲ基礎ニシテ、外國文カラ飜譯ヲ
致シタモノデアリマスルカラ、卽チ其飜譯
ノ字句ニ於テ適當ナラザルモノガアレバ之
ヲ修正スル、而シテ其修正ノ程度ガ條約ノ
本旨、趣旨ニ於テ一致スル限リ、字句ノ修
正ハ少シモ害ガナイモノト考ヘラレル、卽
チ其意義ニ於テ、內容ニ於テ同一デアル限
リ條約ノ根本義ヲ害スルモノデナイト考ヘ
ラレル、ソコデ條約ヲ成立セシメ、卽チ批
准ヲ致スト云フノニハ條約上ノ關係カラ本
案ガ此趣旨ニ於テ一致ヲ缺クト言ヘバ前ノ
說明ノヤウニナルデアリマセウガ、是ダ
ケノ質問應答デハ甚ダ明瞭ヲ缺クノデアリ
やく、條約ニ關スル大權作用ト、立法權ト
ノ關係ガ玆ニ矢張リ牽聯ヲ持ッテ來ルト思
ヒマス、デ私ハ此條約ト法律トノ關係ガ今
後屢〓起キテ來ル問題デアラウカト思ヒマ
ス、國內法ノ關係ガ近世ノ風潮ニ於テ世界
的ニ統制サレル傾向ガ出テ參リマシテ、例
ヘバ今日世界ノ經濟事情、社會事情等ガ世
界主義カラ轉ジテ國民主義ニナリツヽアル
コトハ是亦事實デアリマスケレドモ、併ナ
ガラ世界ノ交通ガアリマスル以上ハ、矢張
リ法制關係ニ於テ之ヲ統一スルト云フコト
ハ屢〓アリ得ルコトデアリマス、サウシマ
スルト、帝國議會ニ於ケル立法權ノ作用ト、
條約ニ關スル大權ノ作用トハ、是ハ相當ニ
考ヘテ置カナケレバナラズ、又條約ヲ締結
スル場合ニ於テ、國內トノ關係ヲ餘程考慮
ニ置イテ行カナケレバナラヌ、斯ウ云フ見
地カラ、卽チ條約締結ニ付テモ原則トシテ
統一的ナ方針ヲ取ル、去リナガラ各國トモ
特殊ナル國情ガアル、我國ニハ我國ノ國情
ガアリマスルカラ、其ノ國情ニ適スル爲ノ
立法ヲスル意味ニ於テ適當ナル留保ヲナス
ト云フコトハ是ハ大體ノ趣旨デアラネバ
ナラヌト考ヘマス、是レ故ニ本案ニ關シマ
スル條約ニ於テモ、根本原則デアリマスル
統一法ヲ制定スルト同時ニ、其ノ附屬書ニ
於テ留保ヲ澤山規定シテ居ルヤウナ譯デア
リマスルカラ、其ノ留保ヲ條約締結ニ際シ
テ能ク明ニシテ置ク限リ、決シテ唯條約ヲ
以テ國內ノ關係ヲ拘束シ、國內ノ權利、利
益ヲ害スルヤウナコトハ出テ來ナイト思ヒ
マ 、若シ其處ニ注意ガ足ラズシテ、唯世
界的ニ統制スルト云フ上ニ走ッテ行キマス
ナラバ、ソレガ爲ニ國內ノ利益ヲ甚シク害
スルコトニナルト考ヘルノデアリマス、此
條約ニ於テ卽チ留保ノアリマスル所ハ、左
樣ナ意味デアルト考ヘマス、故ニ立法ヲ致
シマスル場合ニ於テハ、是等飜譯ノ關係ニ
於テ又留保ノ關係ニ於テ、幾多ノ點ニ於テ
十分ニ論議シ、審査ヲ盡スコトガ出來ルモ
ノト私ハ考ヘマス、ソレ故ニ手形ノ法ニ於
テノ委員會ノ速記錄ニ現ハレマシタル趣旨
デハ私ハ適當デナイカト考ヘル一人デアリ
マン、サウ云フ趣旨ニ於テ先キニ政府委員
ノ御答辯ヲ煩サウト思フ次第デアリマスカ
ラ、其ノ點ヲ先ヅ御說明ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=2
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003・長島毅
○政府委員(長島毅君) 御質問ノ第一ノ點、
卽チ此小切手法ニ付テドノ程度ニ於テ留保
ヲ用ヒタカ、又ドノ程度ニ於テ留保ヲ用ヒ
ナカッタカト云フ點ニ付テ先ヅ御說明申上
ゲタイト思ヒマス、小切手法ノ先ヅ留保ヲ
用ヒマシタ方カラ申上ゲマスト、小切手法
ノ第二條ノ第三項デアリマス、支拂地ノ記
載ノナイ所ノ小切手ハ、振出地ヲ卽チ支拂
地ニスルト云フコトニ小切手法ニハナッテ
居リマスガ、統一法ノ方デハ支拂人ガ主タ
ル營業所ヲ有スル地ニ於テ拂フベキモノト
斯ウナッテ居リマス、所ガ主タル營業所ノ
所在地ハ何處ニ在リマスカト云フコトガ、
小切手面デ分リマセヌカラ、小切手ノ取引
ノ上ニ非常ニ不便デアルト云フコトヲ感ジ
マシタノデ、是ハ又更ニ內幕ノ話ニナリマ
スガ、其點ニ付テ我ガ代表カラ主張ヲ致シ
マシテ、其結果此第二附屬書ノ三條デ留保
ガ出來ル、特別ノ規定ガ出來ルト云フコト
ニナリマシタカラ、ソコデ小切手統一法ト
違ヒマシテ、振出地デ支拂フベキモノデア
ルト云フ風ニ致シマシタ、詰リ支拂人ノ主
タル營業所デ支拂フト云フコトニナッテ居
リマスノハ、振出地デ拂フト云フコトニ留
保イタシタノデアリマス、ソレカラ其次ハ
第三條デアリマスガ、統一法ノ方デハ單ニ
振出人ガ小切手ニ依ッテ處分シ得ル資金ガ
ナケレバナラヌ、預金ナシニ無暗ニ小切手
ヲ振出スコトハ出來ナイト云フコトニ規定
シタ譯デアリマス、如何ナル時期ニ於テ之
ヲ有スベキヤヲ定メテ居ラナイノデアリマ
ス、而シテソレハ矢張リ附屬書ノ五條ニ於
キマシテ、其如何ナル時期ニ於テ資金ヲ有。ツ
テ居レバ宜シイ、又居ラネバナラヌカト云
フコトヲ規定スルコトガ出來ルヤウニナツ
テ居リマスカラ、此留保ヲ用ヒマシテ、詰
リ呈示ノ時ニ、小切手ノ呈示ノ時ニ處分シ
得ル資金ヲ有ッテ居レバ宜シイ、又有ッテ居ラ
ネバナラヌト云フ風ニ致シマシタ、ソレカラ
六條ノ三項デアリマスガ、自己宛ノ振出ノ小
切手ハ、自己宛ノ振出小切手ト云フモノハ、
一ツノ營業所カラ他ノ營業所ニ宛テタル場
合ニ限ルト云フコトニ統一法ハナッテ居リ
マス、例ヘバ本店カラ支店ニ宛テ、支店カラ
本店ニ宛テタ場合ニ限ルト云フコトニナッ
テ居リマスガ、是モ第二附屬書ノ八條ニ留
保出來ルヤウニナッテ居リマシテ、我ガ實
業家等ノ希望ニ依ッテ總テノ場合ニ於テ此支
店、本店、本店、支店ノミナラズ、自分ガ
自分ニ宛テテモ矢張リ振出シガ出來ルヤウ
ニ致シタノデアリマス、ソレカラ其次ニハ
小切手ノ呈示期間ノコトデアリマス、是ハ
小切手法ノ方デハ二十九條ニナッテ居リマ
ス、之ニ付キマシテ附屬書ノ第十四條デ、
詰リ先ヅ第一ニハ一般ニ其呈示期間ヲ定メ
ラレルト云フコトニ······伸バセルト云フコ
トニナッテ居リマシテ、統一法デハ八日デ
アリマスノヲ十日ニ致シマシテ、是ハ詰リ
日本國デ振出シテ日本國デ支拂フト云フ風
ノ小切手デアリマス、尙ホ其外ニ此統一法
ノ、附屬書第二ノ方デハ此自分ノ植民地ト
本國トノ間ニ於ケルモノニ付テ留保ガ出來
ルヤウニナッテ居リマシテ、又其外洲ノ
···歐羅巴洲ト亞細亞洲ノ間ニ於ケル、ソレ
カラ歐羅巴洲ヲ除イタ外ノ洲ニ於ケル相互
ノ間トノ呈示期間ニ付テハ特別ニ規定スル
コトガ出來ルヤウニナッテ居リマス、ソレ
ハ矢張リ特別ニ規定ガ出來ルヤウニ留保致
シテ居リマス、併シソレハ附則ノ方ノ六十
八條デ出來ルヤウニナッテ居リマス、是
ハ勿論勅令ニ委任ヲ致シテ居リマスガ、ソ
レニ留保ヲ致シテ居リマス、ソレカラ附屬
書ノ十八條ニ依リマスト計算小切手ト云フ
モノガアリマスガ、是ハ獨逸等ニ主モニ行
ハレテ居ルノデアリマスガ、計算小切手ヲ
用ヒル用ヒナイカト云フコトガ、勝手ニ出
來ルト云フコトニナッテ居リマシテ、我國
デハ計算小切手ハ用ヒナイ、是ハ矢張リ實
業家ノ希望ニ依ッタモノデアリマス、其結果
此小切手法トソレカラ統一法ノ附屬法ノ小
切手トハ一箇條卽チ喰違ヒマシテ、一箇條
小切手法ノ方ガ少イコトニナッテ居リマス、
ソレカラ其次ハ第二附屬書ノ第六條ニ依リ
マスト各國ハ······是ハ此前ニモ申上ゲタコ
トデアリマスガ、各國ハ支拂保證トカ其他
ニ色ミノ制度ヲ自分デ勝手ニ設ケラレルト
云フコトニナッテ居リマスノデ、我國ニ於
キマシテモ此機會ニ於テ多年實業家ノ希望
シテ居リマス支拂保證ノ規定ヲ設ケマシテ
此小切手法ノ第十一章ニ其規定ガ出來テ居
ルノデアリマス、尙ホ此統一法デハ振出地
ヲ一ツノ記載ノ要件ニ致シテ居リマスガ、
從前ノ振出地ヲ要件トシテ居ラヌ、例ヘバ
日本ノ國ノヤウナモノモアリマスノデ、サ
ウ云フ小切手モ本條約ノ效力ヲ發生シテカ
ラ後六ケ月ハ尙ホ效力ガアルト云フコトニ
ナッテ居リマス、附屬法第一條デ、ソレモ
附則ノ方デ六十六條ヲ以テ留保シタ次第デ
アリマス、大體利用ヲ致シマシタノハサウ
云フ點デアリマスガ、利用ヲ致シマセヌノ
ハ此附屬書ノ方デ申上ゲヌトチヨット解リ
兼ネルト思ヒマスガ、第二附屬書ノ第二條
ノ方ハ是ハ利用ヲ致シマセヌ、是ハ其盲人
等ガ點字ヲ用ヒテ手形小切手ヲ振出ス場合
ノ規定デ、其留保デアリマスガ、日本ノ國
デハ記名捺印ヲ以テ其用ヲ達シテ居リマス
カラ、別段此留保ヲスル必要ハナイコトニ
ナッテ居リマス、ソレカラシテ第四條ノ銀
行若クハ是ト同視セラレルモノノミニ小切
手ハ宛テテ出サレル、ソレヲ支拂人トセネ
バナラヌノデアリマス、此場合ニ銀行以
外ノモノヲ支拂人ニ致シテモ其小
切手ハ無效デナイコトニナッテ居リ
さく、併シ之ヲ無效ニスルコトガ出來ル、
斯ウ云フモノハ無效ダト云フコトヲ各國ノ
規定デ設ケテモ宜イト云フコトニナッテ居リ
マスガ、日本ノ國デハサウ云フ必要ハナイ、
無效ニハセヌ、唯制裁スルト云フコトデ宜
シイト云フノデソレハ無效ニハ致シマセヌ
ノデアリマス、ソレカラシテ七條デアリ
マスガ、此小切手ノ讓渡禁止ト云フ記載ヲ
シタ時ニハ其小切手ノ所持人ト云フモノニ
ハ其記載ノ下ニ交付ヲ受ケタ所持人ニ對シ
テダケ拂フコトガ出來ル、斯ウ云フ讓渡禁
止ノ記載ヲシタモノハ其小切手ハ其讓渡禁
止ノ第一ノ所持人ダケニ拂ハレテ、ソレカ
ラ後ハ拂ハレナイト云フ規定ヲ設ケテモ宜
イコトニナッテ居リマス、ソレモ用ヒナイコ
トニ致シタノデアリマス、ソレカラシテ第
十條ノ小切手ガ銀行ニ非ザル、詰リ統一法
ノ第八條ニ依リマスト此前ニモ御話ヲ致シ
マシタヤウニ、小切手ハ第三者方デ支拂ハ
レル、卽チ其小切手ノ支拂銀行ガナイ所デ
モ拂ヘルガ、第三者ガ銀行デナケレバナラ
ヌヤウニナッテ居リマスケレドモ、銀行デナ
イ所デモ拂ハレル、銀行デナイ所ヲ支拂場
所ニシテモ宜シイ、斯ウ云フヤウナ規定ヲ
設ケルコトニナッテ居リマスガ、是モ日本
ノ實情トシテハ必要ガナイノデ、ドウシテ
モ矢張リ支拂場所トシテモ日本ノ取引ノ慣
習ノ上カラ考ヘマスレバ、是ハ銀行ニシテ
置ク方ガ宜シイト云フノデ、其處デ此留保
ハ用ヰナイコトニ致シマシタ、ソレカラ
寸順序ヲ間違へマシタガ、統一法ノ第九條
デアリマスガ、結局此持參人拂ヒノ小切手
ト云フモノハ、自分ガ支拂人ニナル時ニハ
振出セナイト云フコトニ決メテモ宜シイ、
恐ラク是ハ紙幣類似ノヤウナモノヲ自分デ
發行スルヤウナコトニナリマスカラ、サウ
云フコトヲ禁止シテ居ル國ガアルヤウデア
リマスガ、サウ云フ國ニ對シテハ持參人拂
ヒノ小切手ハ自己宛ノモノハ一切禁止スル
コトガ出來ル、斯ウ云フ留保ニナッテ居リ
マスガ、是ハ日本ナドデハ非常ニ便利ニ行
ハレテ居ルノデアリマスカラ、無論此留保
ヲ用ヰルコトハ出來ナイノデアリマシテ、
ソレヲ用ヰナイコトニ致シタノデアリマ
ス、ソレカラ統一法ノ十三條ハ支拂手形ノ
補充ノコトデアリマスガ、支拂手形補充ノ
コトヲ法令ノ中ニ揭ゲナイデモ宜シイ、恐
ラクハ是ハ一般私法ニ讓ルト云フ意味ト存
ジマスガ宜イト云フコトニナッテ居リマス
ガ、是ハモウ我國デハ事實、我國ノ解釋モ
之ト同樣ニナッテ居ルノデアリマスカラ、勿
論是ガ留保ヲ爲スコトハ爲シマセヌデス、
又爲スコトモ出來ナイノデアリマス、ソレ
カラ其次ニハ附屬書第二第十二條デアリマ
スガ、統一法ノ第二十一條ヲ適用シナイデ
宜シイ、サウ云フ留保デアリマス、詰リ善
惡無過失ニシテ小切手ヲ得タモノハ大體ニ
於テ手形ヲ返還シナイデ宜シイト斯ウ云フ
ノデアリマス、其規定ヲ設ケナイデ宜シイ
ト云フノデアリマスガ、一寸何處ノ國ニ斯
ウ云フ規定ガアリマスカ、斯ウ云フ規定ハ
小切手ノ流通ヲ害スルモノデ我國ノ法制ト
ハ無論違フテ居ルノデアリマスカラ、現行
商法トモ違フテ居ルノデアリマスカラ、無
論之ヲ留保スル必要ハナイノデアリマス、
附屬書第二ノ十三條デアリマスガ、小切手
保證ヲ小切手ノ上ニシナイデ、外ノ書面デ
保證ヲスルト云フノデアリマス、是ハ佛蘭
西ニアルサウデアリマスガ、ドウモ我國ノ
從來ノ手形法上、手形法トハ大變振合ガ違
ヒマスノデ留保イタサヌコトニシタノデア
リマス、其次ニハ附屬書第二ノ第十六條デ
アリマス、卽チ呈示期間ガ、小切手ノ呈示
期間ガ未ダ過ギナイ間デモ小切手ノ支拂委
託ノ取消ガ出來ルヤウニシテモ宜シイト云
フノデアリマスガ、是ハ無論我國デハ留
保ヲ用フル必要ガアリマセヌ、又用ヒルコ
トモ出來ナイノデアリマス、其次ハ呈示期
間經過後デモ小切手ノ支拂ノ委託ノ取消ヲ
禁止スルコトガ出來ルヤウニナッテ居リマ
スカ、是モ我國デハ留保ヲ致ス必要モアリ
マセヌシ、又出來ナイデ宜イト思フノデア
リマス、尙ホ締約國ハ小切手ノ喪失盜難
ノ場合デモ特別ノ規定ガ設ケラレルヤ
ウニナッテ居リマス、デ是ハ結局我商法
デ申シマスレバ二百八十條ノヤウナ規定
ヲ用ヒルコトニナルノデアリマシテ、或
ハ此第二項ノ方ハ留保ヲシテ居ルト云フ
コトニナルカモ知レマセヌノデアリマス、
ソレカラ其次ニハ附屬書第二ノ二十條デア
リマスガ、統一法デハ御承知ノ通リニ其小
切手ヲ適當ノ時期ニ呈示シ、ソレカラ拒絕
證書ヲ作リマスカ、或ハ拒絕證書ニ代ヘマ
シテ、ソレト同ジヤウナ宣言ヲスルト云フ
ヤウナコトガ振出人ニ對スル遡求權ニナッ
テ居リマスガ、之ヲ遡求權ノ保全ノ條件ニシ
ナイト云フコトガアリマス、之ヲ留保シヤ
ウト云フノデアリマス、是ハ無論我國ノ現
行法ノ方針ト違ッテ居リマスカラ、此留保ヲ用
フルコトハ出來ナイノデアリマス、ソレカ
ラ其次ハ二十一條ハ詰リ前ニ申シタヤウニ
遡求權保全ノ條件ト致シマシテハ、必ズシ
モ拒絕證書ヲ作ラヌデ宜シイ、支拂拒絕ノ
宣言ヲ以テスレバ宜イト云フコトニナッテ
居リマス、之ヲ拒絕證書ノ方式ヲ以テシナ
ケレバナラヌ、常ニ拒絕證書デシナケレバ
イカヌト云フヤウナ留保ガ出來ルコトニ
ナッテ居リマスガ、我國トシテハ是ハ誠ニ不
便デアリマスカラ、此留保ハ採用ヲ致サナ
カッタノデアリマス、ソレカラ附屬書ノ第
二ノ二十二條ハ、是ハ拒絕證書ヲ作成シマ
ストソレカラ其ノ前者ニ通知ヲスル、詰リ
償還請求ノ通知ヲスルト云フ制度ニナッテ
居リマス、是ハ我國モ同樣デアリマスガ
···其際ニ拒絕證書作成ノ機關、拒絕證
書ヲ作ッタ人、機關、例ヘバ執達吏、公證人
ノヤウナ者ガ之ニ代ッテ通知ヲスルト云フ
制度ヲ設ケヤウ、其代リ其費用ハ拒絕證書
遡求權行使ノ時ニ前者ニ請求スルコトニシ
ヤウ、サウ云フ留保デアリマスガ、是モ實
際我國ニ於テ用ヒテ居リマセヌ制度デアリ、
留保スル必要ガナイト云フノデ留保ヲ致サ
ナカッタ次第デアリマス、尙二十三條ハ此前
者ニ對スル請求ノ場合ニ、若シ此統一法ニ
書イテアル利率ト法定ノ利率ト違ッタ時ニ、
其法定ノ利率デ宜シイト云フノデアリマス、
是ハ無論我國ノ法定利率ガ變リマスコトヲ
豫想イタシマシテ、留保ヲ致シテ置ク必要
ハアリマスガ、現在ハ此留保ヲ用フル必要
ハナイノデアリマシテ、統一法ノ法定利率
ガ同樣ニナッテ居リマスカラ、其必要ガナ
イノデアリマス、ソレカラシテ附屬書第二
ノ二十五條ノ不當利得ノ返還請求デアリマ
スカ、是ハ無論我ガ國デハ必要デアリマセ
ヌノデ留保シナイノデアリマス、二十四條
ハ所持人ガ遡求ヲ致シマス場合ニ於テ、
定ノ手數料ヲ要求スルコトガ出來ル、斯ウ
云フノデアリマスガ、是ハ我國ニナイ制度
デアリマスカラ、之ヲ使用イタシマセヌデ
アリマシタ、大體ソレダケデアリマス、此
際御參考ニ申上ゲテ置キタイト思ヒマスノ
ハ是ハ併シ今後ノコトデアリマシテ、チ
ヨットサウ云フコトヲ申上ゲルノモ如何カ
ト思ヒマスガ、手形法ノ時ニハ第二附屬ノ
留保ハ全部包括的ニ之ヲ致シマシタ、御批
准ノ際ノ留保ハ全部包括的ニ致シタノデア
リマス、其中ノ或ルモノニ付テハ留保ヲス
ベキヤ否ヤト云フコトノ疑ノアルモノガア
リマシテ、解釋上疑ガアリマシテ、ソレヲ
問合セテモハッキリシナイモノガアリマシ
タノデ、一々留保ノ條文ヲ細カク分ケテモ、
之ヲドレヲ留保シ、ドレヲ留保セズト云
フコトガ、非常ニ煩雜デアリマシテ、無論
留保ハ致スノデアリマスカラ、其所デ手形
ノ時ニハ包括的ニ附則第二ヲ全部留保イタ
シマシタノデアリマス、或ハ小切手ノ時ニ
モサウ云フコトニナルカモ知レマセヌガ、
是ハ將來ノコトデスカラ分リマセヌガ、或
ハサウ云フコトニナルカト思ヒマス、サウ
云フコトニナリマスレバ、現在留保ヲ致シマ
セヌモノデアリマシテモ、今後ノ狀勢ニ依ッテ
必要ナリトスレバ之ヲ留保スルト云フヤウナ
コトモ出來ルコトニナル次第デアリマス、
併シ現在ノ所デハ······現在ノ所デハアリマ
セヌ、將來モ此程度ノ留保ヲシテ置ケバ大
丈夫ダト云フ風ニ考ヘテ居ル次第デアリマ
ス、ソレカラ條約ト法律ノ問題デアリマスガ、
此小切手法ハ詰リ此附屬書ノ第一······條約
ノ第一附屬書トシテ出來テ居リマスル部分
デアリマシテ、此條約ノ一番初メノ所ノ第
一條ニハ締約國ハ本條約ノ第一附屬書タル
統一法ヲ原本文ノ一ニ依ルカ又ハ自國語ニ
依ッテ各自ノ領域ニ施行スルト云フコトニ
ナッテ居リマシテ、其趣旨ハ無論譯ノ結果文
字ノ變ル所ハ仕方ガナイケレドモ、條文ノ
順序ニシロ、或ハ項ノ分ケ方、總テガ出來
ルダケ原文ニ合セテ貰ヒタイ、唯意味ダケ
ヲ取ッテ文字ヲ取變ヘルコトハイケナイト
云フ趣旨ノヤウデアリマス、ソレハ多少各
國ニ窮屈デアリマスケレドモ、結局ハ法ハ
法文デ統一シテ、サウシテ何處ノ國デモ直
グ外ノ國ノ法律ト對照ヲシテ、彼之レ齟齬
ヲ生ジナイヤウニ其儘成ベク譯シテ貰ヒタ
イト云フ希望ノヤウデアリマス、ソコデ、
ココデ御審議ヲ願ヒマス程度ニ付テ申上ゲ
マスレバ、無論其譯ノ間違〃テ居ルヤウナ
所ハ、ソレハモウ御訂正ヲ下サルコトハ十
分出來ルノデアリマス、而シテ又若シモ此
法律ガドウモ今日本ノ國ニ布イテハイケナ
イト云フコトニナレバ······何ト言ヒマスカ、
御否決ニナルト言ヒマスカ、イケナイト
云フコトノ御意見ヲ御發表下サルコトニナ
ルノデアリマス、サウナレバ自然條約ノ方
モ無用ニナリマスカラ······無用ニナルノミ
ナラズ、條約ヲ實施スルコトガ出來マセヌ
カラ、自然批准モ出來ナイト云フ結果ニナ
ルカモ知レマセヌガ、併ナガラ議會トシテ
ハ無論此法案ハ日本トシテハ不都合ナモノ
ダト云フ御考デアレバ、法案トシテ御審議
ニナルコトハ無論出來ナイコトデアリマス、
ソレカラ留保ノ點モ尙ホ此外ニ留保スベキ
モノガアルノヂヤナイカト云フヤウナ點ニ
付テハ十分ニ御審議ヲシテ戴イテ宜イノデア
リマス、唯併シ私共トシテハ成ベク此法案ヲ
通過シテ戴クコトニ旣ニ手形法モ
通ッテ居ルコトデアリマスカラ、又手形法ノ
字句ノ例モアルコトデアリマスカラ、其限
度ニ於テハ成ルベク此法案通リニシテ戴キ
タイト云フ希望ヲ持ッテ居ルニ過ギナイノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=3
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004・山岡萬之助
○山岡萬之助君 只今ノ御說明デ大要了解
イタシマシタガ、尙ホ最後ノ伺ヒヲスル前
ニ、小切手ニ關シ法律ノ或牴觸ヲ解決スル
爲ノ條約、是ガ大體ノ事柄デゴザイマスガ
ドウ云フ方針趣旨デ是ガ出來テ居ルカ、ソ
レト此法案ノ附則ニ於キマスル涉外規定ガ、
アリマスルガ、ソレ等トノ關係ヲドウ云フ
風ニ御考ヘニナッテ立案ノ際扱ハレタノデ
アルカ、ソコラ邊ノ大要ヲ一應承ッテ置キ
マシテ細カイコトハ附則ノ審議ノ時ニ別ニ
承ルコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=4
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005・長島毅
○政府委員(長島毅君) 大體デ申上ゲマス
レド、此牴觸ニ關スル條約ハ七十六條ニナ
リマスガ、此小切手法ノ附則ノ第七十六條
以下ニ取入レマシテ、殆ド變"テ居ラヌ、全
部其儘取入レタト云ッテ宜イト思ヒマス、而
シテソレハマダ細カイ所ニナリマスト違ヒ
マスガ、殆ド我國ノ國際私法ト同樣デアリ
マスカラ、先ヅ殆ド同ジダト申上ゲテ宜イ
ト思ヒマスガ、唯併シ違ッテ居ル點ヲ申上
ゲマスト、例ヘバ此條約ノ二條ノ末項ニア
リマス「各締約國ハ自國民ガ爲シタル小切
手上ノ行爲ニシテ本條前項ノ規定ノ適用ニ
依リテノミ他ノ締約國ノ領域內ニ於テ有效
ト見做サルベキモノノ效力ヲ認メザルノ權
能ヲ有ス」、詰リ此能力ノ問題デアリマスガ、
日本ノ國ノ者ガ······一寸例ハ能ク分リマ
セヌガ、例ヘバ佛蘭西ナラ佛蘭西デ小切手
交付ヲ致シマストシテ、其佛蘭西ノ國デ、
日本ノ國デハ能力ノ無イ者デアルガ······佛
蘭西ハ果シテサウ云フコトニナッテ居リマ
スカ存ジマセヌガ、サウデナイト存ジマ
スガ、假ニ例ヲ取ッテ日本デハ無能力デア
ルタ、佛蘭西デハ能力ガアルト云フコトヲ
假定シマシテ、其佛蘭西デ日本人ガ手形上
ノ行爲ヲ致シマスト、サウスルト其地ノ法
律デ能力者ナラバ能力者ニナルト云フコト
ニナッテ居リマスデスナ、二條ノ二項ノ方
ハ······併シソレガ日本ヘ參リマシタ時
ニ、日本デハ能力者デナイ者ノ手形行
爲デスカラ其效力ハ認メナイデモ宜シ
イノダ、例ヘバ十九歲ノ日本人ガ佛蘭
西デ手形行爲ヲシテ、佛蘭西ハ十九歲ガ
能力者デアッタ時ニハ有效ニスルガ、日本
デハソレガ無效ニスルト云フヤウナ留保ガ
アリマス、斯ウ云フ留保ハ用ヒマセヌデシ
タ、餘リサウシナイテモ宜カラウ、能力ニ
關スル規定ノ如キハ大體同樣ナノダカラト
云フ······今チョット氣付イタノデ申上ゲマ
スガソレ以外ニハ確カ條約通リ違ッテ居リ
マセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=5
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006・山岡萬之助
○山岡萬之助君 是ハ單純ニ承ッテ置クノ
デスガ、日本ノ法制ノ下ニ於テハ條約ヲ締
結シ、大權作用ニ依ッテ公布セラレマス
レバ、矢張リ國民ハソレヲ遵守スル義務ヲ
發生シテ參リマス、國際私法ノ關係ニ於テ
勿論我國デモ法例ノ規定ノ中ニハ色ミトサ
ウ云フ國際私法ノ關係ガ規定サレテ居リマ
スルガ、此條約ヲ締結シ之ヲ公布イタシマ
スレバ、遵守ノ效力ヲ生ズルカラ同ジコト
ヲ國內法ニ書カヌデ宜モクナイカト云フ風
ニモ渉外規定ニ關スル限リ思ヒマスガ、卽
チ國內法デアリマスレバ我國ニ於テノ法律
ハ留保イタサレテハナラヌノデアリマスカ
ラ、サウ云フコトニナルノデアリマスガ、
私法ノ關係ノコトハサウ云フコトデ留保ス
ル、條約トシテ公布スレバソレデ足リルヤ
ウニモ思ヒマスガ、ドウ云フ風ナ御考デア
リマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=6
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007・長島毅
○政府委員(長島毅君) 統一法ノ方面ノ方
ハ御承知ノ通リ是ハ統一法トシテ國內ニ公布
スルノデアリマス、是ハ涉外規定ハ御說ノ如ク
ニ涉外規定トシテ此儘批准イタシテモ宜イ
ノデアリマスガ、併ナガラ一般人ニ法律ト
シテ分リ宜イ爲ニハ、矢張リ小切手法ノ附
則ノ方ニ之ヲ取入レマシテ纒メマシタ方
ガ、詰リ一般人ノ私權關係ヲ支配スルダケ
ノ分ヲ此牴觸條約ノ中カラ引張リ出シマシ
テ、此處ニ入レル方ガ非常ニ分リ宜イト云
フコトモアリマスシ、御承知ノ如クニ能ク
理窟ハ、ソレヲ批准スレバ直グ效力ヲ生ズ
ルヤウナ法律デアリマシテモ、能ク國內法
ハ又國內法トシテソレト同ジヤウナ內容ノ
モノヲ出スト云フコトハ從來モ行ハレテ、
サウ云フ例モアリマシタヤウデアリマス、
無論ナイコトモアリマスガ、ソレデ其便宜
ノ方ヲ用ヒタヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=7
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008・山岡萬之助
○山岡萬之助君 段々御說明ヲ承リマシテ
大要理會ヲ致シマシタガ、此法案ヲ成立イ
タシマシテ、法律ニナリマスル以上ハ、勿
論實施イタスベキ筋合デアルコトハ論ヲ俟
タヌノデアリマスケレドモ、條約ガ完全ニ
各國ノ間ニ批准交換サレマシテ、サウシテ
所期ノ目的ヲ達シマスルコトニナリマセヌ
ケレバ、大體法案制定ノ趣旨ニ副ハナイコ
トデハアルノデアリマスガ、併シ其條約關
係ト云フモノヲ、必然的ニ立法ニ結ビ付ケ
テ行クト云フコトハ、根本觀念ニ於テ認メ
ルコトノ出來ナイコトデアルト思ヒマス、
是故ニ、前囘ニ於テモ伺ヒマシタノハ、本
案ハ現行法ヨリモ優ッテ居ルモノデアラウ
カ否カト云フコトヲ承ッタノデアリマス、
政府ノ大體ノ御答辯ハ、現行法ヨリモ宜シ
イノデアル、斯ウ云フ御說明デアリマシタ
シ、又本日條約ノ關係ニ付テ詳細ナル御說
明ヲ得マシタノデアリマス、サウ云フ次第
デ、留保關係其他審議スベキ件ハ後ノ問
題ト致シマスガ、其條約ノ關係ニ於テハ所期
ノ目的ハ、勿論條約ガ各締盟國ニ於テ批准サ
レルト云フコトガ道行キニハアリマスケレ
ドモ、假リニ不幸ニシテ、ドウ云フ事情カ
デ條約ト云フモノガ完全ニ成立タナカッタ
ト云フ場合ニ於テモ、現行法ヨリモ、ヨリ
良キ法律デアルト確信スルナラバ、之ヲ內
地ニ於テ實施シテ行クベキモノト、私ハ斯
ウ一應思フノデアリマス、政府ハ條約ノ如
何ニ拘ラズ、本案ヲ國內法トシテハ、ヨリ
良キモノトシテ實施スルト云フ迄ノ御考ヘ
ヲ御持チデアリマスカ、ドウデアリマスカ、
多少假定ノコトニハナリマスケレドモ、
兎ニ角モ條約ト云フモノガ今日締盟各國ノ
間ニ完全ニナッテ居リマセヌ以上ハ、ソコ
迄ノ確信ヲ持チマセヌト云フト、立法ノ協
贊ヲ與ヘルト云フコトハ如何ト思フノデア
リマス、政府ノ確信ノアル所ヲ、司法大臣
ヨリノ御說明ヲ願ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=8
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009・小山松吉
○國務大臣(小山松吉君) 只今ノ御尋ネノ
點ハ、若シモ條約ガ條約トシテ效力ヲ發生シ
ナイヤウナ場合ニ於テ政府ハドウ考ヘルカ
ト云フコトデアリマスガ、小切手法、手形
法モ同ジデアリマス、斯ウ云フ法律ハ完全
ナル法ノ施行ト致シマシテ、各國ノ間ニ其
融通ノ圓滿デアルト云フコトヲ圖リタイノ
デアリマスガ、若シモ萬一條約ノ效力ガ發
生シナイヤウナコトガアリマシテモ、政府
ト致シマシテハ改正ヲ致シマス場合ニ、此法
案ノヤウナモノヲ施行スルコトガ適當デア
ラウト考ヘテハ居リマス、ソレダケ申上ゲ
テ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=9
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010・岸清一
○岸〓一君 只今ノ山岡君ノ御質問ニ關聯
シタ質問デアリマスガ、此法案ハ假リニ日
本ガ國際聯盟ヲ脫退スルコトガアリトシテ
モ政府ノ方デハ國內法トシテ施行シタイト
云フ御希望ガアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=10
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011・小山松吉
○國務大臣(小山松吉君) 國際聯盟脫退ト
云フコトハチヨット今何ントモ申上ゲラレマ
セヌガ、若シモ國際聯盟ニ關係ノナイ場合
ニ於テモ私ハ法ノ改善ト云フ上カラ至極適
當ナル法律デアルト考へテ居ル次第デアリ
マス、ソレダケ申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=11
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012・野村徳七
○野村徳七君 只今ノ岸博士ノ質問ニ關聯
シマシテ御尋シマスガ、此條約ハ聯盟理事
國ノ常任委員國タル四箇國······三箇國ノ批
准ヲ要スル、斯ウ云フコトガ國際聯盟ノ規
約ノヤウデアリマス、サウ云フ約束ノ下ニ
出來上ッテ居ルヤウデアリマス、爲替手形ノ、
手形法案ハ日本ガ常任理事國デアッタ場合
ニ批准ヲ了シタ、デ今ノヤウナ假リニ聯
盟ヲ脫退シタト云フヤウナ假定ノ場合ヲ
想像シマシテ、其場合ニ日本ガ之ニ批准ヲ
與ヘマシタトシマシテモ、脫退シマシタナ
レバ、ソレハ當然考ヘマシテ、脫退後ノ事
デリマス爲ニ、常任理事國トシテノ權利ト
言ヒマスカハ如何ナモノデアリマセウカ、
サウシマスレバ、當然後ノ常任理事國ノ三
箇國、佛伊、獨ト云フ三ケ國ノ常任理事
國ノ批淮ヲ要スル譯デアリマス、サウシナ
ケレバ效力ヲ發生シナイト考ヘラレノデア
リマス、デ其場合ニモ今ノ大臣ノ御答ニ依
リマスト、日本ハ現在ノ國內法ヨリモ優秀
ナ、優ッタ點ガ少カラズアル此小切手法案ナ
リ、手形法案デアル爲ニ、將來施行シテモ宜
イ、施行シタ方ガ宜イト云フヤウナ御考ノ
ヤウデアリマスカラ、我ミハ常任理事國ノ
權限、批准ノ權限、或ハ聯盟ヲ日本ガ脫退
スル、セナイト云フヤウナコトヲ一切考慮
セズシテ、此法案ニ對シテ審議ヲ進メテモ、
サウ云フ考ヲ持ッテ進ンデモ宜イト解釋シ
テ宜シイノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=12
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013・小山松吉
○國務大臣(小山松吉君) 私ガ岸委員ノオ
尋ネニ對シテ答ヘマシタ趣意ハ、此法案ハ
極メテ小切手法トシテ適當デアリマスカラ
シテ、國際聯盟ヲマア脫退、其他ノ問題等
ニ依テ或ル經緯ガ起リマシテモ斯ウ云フ法
ヲ我國ニ施行スルコトガ適當ダト云フコト
ヲ申上ゲマシタノハ、此ノ法ノ內容ガ現行法
ニ比シテ優レルモノアリト云フ立場カラ申
上ゲタノデ、條約ガ若シモ或ル事情ニ依テ
批准サレマセズ、又國際聯盟ノ關係ニ於テ
效力ヲ發生シナイコトニナリマスト、國際
聯盟ニ於テノ各締約國トシテノ法案ト云フ
モノハ、是ハ實施シナイコトニナル譯デア
リマス、法律關係トシマシテハ······併シ斯
ウ云フ風ナ立派ナ內容ヲ具ヘテ居ル法案ガ出
來テ居ルノデアリマスカラ、斯ウ云フ法ヲ
將來施行スルト云フコトハ私ハ適當デアル、
斯ウ云フ趣意デ申上ゲタノデアリマス、若
シ國際聯盟ノ方ノ關係カラ條約ガ效力ヲ發
生セズ、又ハ前囘御說明申上ゲマシタヤウ
ニ、常任理事國ノ三箇國ノ效力發生條件ニ
滿サレナイ爲ニ效力ヲ生ジマセヌ時ハ法案
トシテ施行スルコトハ出來ナイ譯ニナルノ
デアリマス、其趣意ダケヲ御了解ヲ得ル爲
ニ申上ゲテ置キマス、是ハ國際聯盟ノ理事
會デ締約イタシマシタ統一法カラノ法案デ
アリマス、之ヲ施行スルト云フ趣意デナイ、
ソレダケ申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=13
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014・岸清一
○岸〓一君 只今ノ司法大臣ノ御答辯ニ多
少ノ不明ナ點ガアルノデス、只今野村委員
ノ御質問ニ對スル御答ニ依リマスルト、假
ニ何カノ原因ノ爲ニ、又或ハ國際聯盟ノ脫
退トカ云フコトノ爲ニ、此手形小切手ノ統
一法ト云フモノガ效力ヲ生ジナイヤウナコ
トニナレバ、此法案ト云フモノモ國內法ト
シテモ實施シナイコトニナルデアラウト云
フコトニナルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=14
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015・小山松吉
○國務大臣(小山松吉君) 左樣デゴザイマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=15
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016・長島毅
○政府委員(長島毅君) チヨット御說明イ
タシテ置キマスガ、是ハ御承知ノ通リ聯盟
理事國ノ三箇國ガ詰リ批准スルコトニナツ
テ居リマス、ソコデ現狀ニ於テハ日本ト伊
太利ハ非常ニ····佛蘭西ト獨逸ハマダ手形
法ヲ批准イタシテ居リマセヌガ、是ハ外務
省カラ聞イテ貰ヒマス所ニ依リマスト、政
變ノ爲ニ解散トカ色ミナコトガアッテ間ニ合
ハナイノデ、外ノ法案モ同ジ運命ニアル譯
デアリマシテ、ソレデ佛蘭西ニ付テハ上院ハ
此月末ニハ通過シテ下院ニ渡スト云フ豫定
ダサウデアリマス、ソレカラ獨逸モ一月早
早出ス豫定ダト云フコトデアリマス、併シ
最近ノ報告ハ能ク分リマセヌガ、何レモ草
案ハ出來テ居リマシテ、案ソレ自身ニハ反
對ガナイト云フコトデアリマス、サウ云フ
情勢デアリマスカラ、恐ラクハ此手形ニ付
テモ佛獨ハ批淮ヲスルコトト存ジマス、小
切手ニ付テモサウ云フコトニナリマスレバ
現狀ニ於テハ聯盟理事國ノ四箇國ガ批淮
ヲスルコトニナル譯デアリマス、ソレデ假
ニ日本ヲ除キマシテモ三箇國ニナリマスカ
ラ效力ハアル譯デアリマス、ソコデ日本モ
御承知ノ如クニ脫退通告後三箇年ハ其地位
ニ在ル譯デアリマスカラ、脫退ヲ通告イタ
シマシテモ、直グニ二箇年、二箇年ハ效力
ハアル譯デアリマスカラ、直グニハ詰リ脫
退ト云フコトハ思へマセヌ、兎ニ角何レニ
致シマシテモ效力ヲ生ズルト致シマシテモ
三箇國ノ聯盟理事國ガ批准ヲ致シマスレバ
此條約ハ效力ヲ持ツ譯デアリマス、而シテ
此條約ハ聯盟ノミナラズ、非聯盟國モ皆條
約ニ入ルコトニナッテ居リマス而モ此條
約ニハ調印シテ居ルノデアリマスカラ、結
局日本ガ脫退イタシマシテモ條約ノ效力ニ
ハ影響ガナイト云フコトニナルノデアリマ
ス、大體サウ云フ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=16
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017・山岡萬之助
○山岡萬之助君 此本案成立ノ後ニ於ケル
實施ニ關シマシテ私ノ伺ヒマシタ所ニ牽聯
シテ岸委員及野村委員カラ御質問ガアリ、
政府トノ間ニ質問應答ガアッタノデアリマ
ス、私ハ其點ヲモウ少シ明カニ致シテ置キ
タイト思フノデアリマス、詰リ條約ト牽聯
シテ、此條約ヲ締結シタル趣旨ハ、此ノ條
約ガ締約國ノ間ニ成立ッテ、サウシテ手形
關係ガ世界的ニ統一サレテ行クト云フ望マ
シキコトカラ出發イタシテ居ルノデアリマ
スカラ、通例ノ情態ニ於テハ左樣ニ相成ル
ベキモノデアル、從ッテ本案ガ成立シテ法
律トナッタ場合ハ其條約ト併行シテ進ンデ
行クモノデアル、斯ウ云フコトハ勿論ノコ
トデアルノデ、是以上論議ヲスルト云フコ
トハ實ハ此法案ヲ論ズルニハ無意味ノヤウ
ナコトデアリマス、然レドモ前ニ申上ゲタ
ヤウニ立法權ト大權ノ作用ト云フ如キハ餘
程ハッキリシテ置ク必要ガアルト思フ、條
約ニ結ビ付ケテ立法ノ制限ヲスルト云フヤ
ウナコトハ、ソレハモウ政府委員ノ御說明
ニナッタヤウニアルベキ筈ハナイ譯デアリ
さく、前ノ手形法ノ審議ノ時ニ字句ノ修正
ヲモ出來ナイノデアルト云フガ如キ嫌ア
ル意味ガ委員會ノ議事錄ニ現ハレテ居ル、
ソレデアリマスルカラ進ンデ是ガ法律トシ
テ成立ッタ場合ニ於テハ條約ノ如何ニ拘ラ
ズ實施サレルモノデアルカドウカト云フコ
トハ卽チ一步進ンダ第二段ノ御尋ネニナル
ノデアリマス、是故ニ岸委員、野村委員ノ
質問ニ對スル政府ノ答辯ガアッタ、第一段ノ
通例ノ場合ノ御答辯ト私ハ解スルノデアリ
せい、ソコデ今後條約ト云フ關係カラ全然
離レテ國內法トシテヨリ良キモノデアルナ
ラバ、實施期間ハ或ハ何時ニナルカ知リマ
セヌガ、何時カ實施サルベキモノデアルト
斯ウ考ヘナケレバナラヌト思フノデアリマ
ス、各條ガ都合好ク行カナカッタ場合ニハ
是ハ施行シナイ、施行シナイヤウナ法律ヲ
議會ニ於テ協贊ヲ與ヘルト云フヤウナコト
ハ是ハモウ餘程考ヘナケレバナラヌ、斯樣
ニ思ハレルノデアリマス、ダカラシテ趣旨
ニ於テハ是ハ條約ニ關係ナク行ヒ得ルモノ
デアルカ、若シ條約ニ關係シテノミ行フト
云フノデアルナラバ、條約關係カラ將來脫
退シタ場合ニハ法律ヲ廢止シナケレバナラ
ヌト云フコトニナルノデアリマス、ソレハ
條約ノ趣旨、法律ノ趣旨、條約ヲ基礎トシ
テ成立ッテ居ル、斯ウ云フコトガ法律ノ
上ニ結ビ付ケラレテ居ル場合ハ當然サウナ
リマセウケレドモ、私共ハ斯ウ思フノデア
リマス、手形法ヲ制定シ、小切手法ヲ制定
シテサウシテ行ク以上ハ、內國ノ利便カラ
見テ從前ヨリモ優ッテ居ルモノデアル、從
前ヨリ害ノアルモノデアルト云フナラバ、
是ハドウシテ見テモ其點ハ條約ノ如何ニ拘
ハラズ餘程考ヘナケレバナラヌ、段々ノ御
說明デ從前ノ法律ヨリモ餘程宜シイノデア
ルト云フオ話デアリマスカラ、國內法トシ
テハ迎フベキ法律タルコトヲ信ズルノデア
リマス、ソレナラバ此法律デ、將來他ノ如
何ニ拘ラズ實施セラルベキモノデアル、斯ウ
云フコトハ私ハ考ヘテ宜イコトデアルト思
ヒマスシ、ソレガ又立法權ノ動キノ根本デ
アラウカト思ヒマスノデ、政府ノ御答辯ハ
此私ノ考ヘテ居ル所ト違ッテ居ル
ノデアリマセウカ、念ノ爲ニ今一
度御尋シテ置キタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=17
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018・長島毅
○政府委員(長島毅君) 此法律ガ現行法カ
ラ優ッテ居ルコトハ、前ニ申上ゲタ通リ優ッ
テ居ルノデアリマスガ、詰リ此法律ノ出マ
シタ動機ト申シマスレバ、結局優ッテ居ル
ト云フコトニ加フルニ、詰リ此國際間ニ小
切手法ガ統一サレルト云フ理想ガ玆ニ實現
セラレル、詰リ此二ツノモノガ重ナリマシ
テ、此現行法ヲ改正スルノハ非常ニ良イト
云フコトニナッテ居ルノデアリマス、勿論此
法律ダケデモ良イノデアリマスカラ、若シ
率直ニ政府ノ考ハドウカト云フコトヲ御聽
キニナレバ、無論此法律ダケデモ施行シテ
宜シイト云フコトヲ御答シ得ルノデアリマ
スガ、唯併シ玆ニ御考慮ヲ願ハナケレバナ
リマセヌノハ、兎ニ角現行商法ト云フモノ
ハ、相當長イ習慣ノ下ニ行ハレテ居ルモノ
デアリマスカラ、唯其現行法ニ優ッテ居ル
ト云フコトダケデ、其統一ノ方ニ步ミ寄ラ
ヌデモ、直グ之ヲ改正シテ宜イカドウカト
云フコトハ、モウ一度改メテ一般ノ實業家
ノ考モ聽イテ、考慮サセテ戴キタイト思ヒ
マヽ、併ナガラ玆デ今率直ニ此法律ガ良イ
ノデアルカラ、施行シテモ差支ナイヂヤナ
イカト云フ御問デアルナラバ、ソレハ無論
良イモノデアリマスカラ、ソレハ施行シテ
宜イト思ヒマス、併ナガラ果シテ此假定ノ
場合、此條約ガ成立シナカッタ場合ニ、必
ズ施行スルト云フ御約束ヲスルコトハチ
ヨット暫ク御猶豫ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=18
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019・野村徳七
○野村德七君 是モ假定ノ場合デスガ、手
形法案ニ對シマシテハ日本ガ批准ヲ了シマ
シタ、所ガ現在ノ聯盟ノ空氣ト云フヤウナ
モノカラ假定シマシテ、日本ガ此小切手法
案ニ對シテ批准ヲセナイ、言ヒ換ヘマスレ
バ此場合ニ聯盟ヲ脫退シテ居ルト云フヤウ
ナコトガ起リマシタ場合ニモ、先程政府委
員ノ御說明ニ依リマスルト、是ハ聯盟加入
國如何ニ拘ラズ、其以外ノ國デモ條約國ト
シテ參加シテ統一法ノ下ニ國內法ヲ作ッテ
實施スルコトガ出來ルノデアル、斯ウ云フ
精神カラ申シマスレバ、手形法案ハ正規ノ
手續ヲ履ミ、總テ遺憾ナキ手續ヲ了シタコ
トデアリマスケレドモ、小切手法案ハ後ニ
申述ベマシタヤウナ假定ノ事實ニ遭遇シマ
シタト致シマシタ場合デモ、是ハ法案ノ性
質カラ申シマスレバ、手形法案ナリ小切手
法案ト云フモノハ姉妹案デアッテ離スベカ
ラザル法案デアル、其場合ニ一ツハ正規ノ
批准ヲ了シ、一ツハ遺憾ナ經過ヲ見テ、サ
ウシテ批准ノ手續ナドモ、其場合只今ノ聯
盟ノ規約ニ依リ批准ハ手續ヲ了セナイ、サ
ウ云フ場合ハ假定ノ場合デアリマスケレド
モ、此法案ハドウ云フ風ニ取扱ハレテ行ク
モノデアリマスカ、或ハ手形法案ノミガ國
內法トシテ條約國ノ批准ガ揃ヒマシタナラ
バ、效力ヲ生ズルト共ニ勅令デ實施サレテ
行ク、併シ小切手法案ハ遺憾ナガラ批准ヲ
了セヌ爲ニ實施ガ出來ナイ、斯ウ云フヤウ
ナコトノ徑路ヲ辿ッテ行クモノデアリマセ
ウカ、甚ダ假定ノ事實ヲ擧ゲテ御尋スルノ
ハ無理カモ知レマセヌガ、サウ云フ場合ニ
ハドウナッテ行クモノデアリマセウカ、伺
テ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=19
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020・長島毅
○政府委員(長島毅君) 手形統一條約ノ方
ノ批准ガ出來マスレバ、無論手形法ハ施行
スルコトニナリマスガ、サウナリマスレバ
小切手ノ方ハ假リニ條約ヲ批准シマセヌ場
合ガアリマシテモ、無論實施シナケレバナ
ラヌト思ヒマス、寧ロ手形法ガ出マシ
テ同ジ統一關係ニアリマス小切手法ヲ
出サナイ譯ニハ行カナイ、其時ハ條約
ノ成立不成立ニ構ハズ、此小切手法ハ
無論施行スベキモノダト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=20
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021・山岡萬之助
○山岡萬之助君 只今政府委員ノ野村委員
ニ對スル御答辯ノ點デ、私ノ前ニ御尋シタ
點モ餘程明カニナッタト存ジマスカラ、私ハ
モウ其點ハ其程度ニ止メル積リデアリマ
ス、唯字句ノ點ニ於テ、卽チ原文統一法ト
ノ關係ニ於テ、必シモ斯ウ云フ風ニ書カネ
バナラナイト云フコトデナイ點、卽チ法案
ノ文字ガ甚ダ日本ノ今マデノ法律カラ見ル
ト、何トナク何カ適當デナイヤウニ思ハレ
ル節ガアルノデアリマス、例ヘテ申シマス
じゃ、此第五條ニ於テ「小切手ハ左ノ何レ
カトシテ」ト云フガ如キハ、餘リ何トナクモ
ウ少シドウニカ書ケサウナモノト思ヒマス、
ソレカラ第十五條ノ末項デアリマスガ、「小
切手ノ振宛テラレタル」ト云フガ如キモ、
餘リ良キ字句トハ思ヘナイノデアリマス、
ソレカラ第二十二條ノ「人的關係ニ基ク」ト
云フコトモ、餘リ「人的」ト云フヤウナ文字
ハ、例ヘバ一身上ト申シテ少シモ差支ナイ
ト思フ、ソレカラ此第三十九條第二號ニ於
テ、「支拂人ノ宣言」トアリマスガ、支拂人
ガ何トカ言フコトデアリマスレバ、「宣言」
ト云フト何カエライ大キナ言葉ニナッテ居
リマスケレドモ、必シモ斯ウ言ハヌデモ、
何トカモウ少シ落著イタ字ハナイカ知ラヌ、
斯ウ思ハレマス、ソレカラ第四十一條第四
項ニ於テ「通知ヲ爲スベキ者ハ如何ナル方法
ニ依リテモ之ヲ爲スコトヲ得」ト云フノデス
ガ、是モドウモ何ントカモウ少シ考ヘヤウ
ガアルデハナイカト思ハレマス、ソレカラ
第四十七條ノ末項デアリマスガ、其處ニ
「單純ナル人的事由ハ不可抗力ヲ構成スル
モノト認メズ」ドウモ餘リニ何カ書物ニデ
モ書イタヤウナ譯デ「構成スルモノト認メ
ズ」ト言ハヌデモ、モウチヨット單純ニ言ヒ
現ハシヤウガアルノデハナイカト思ハレマ
ス、ソコニ人的事由ト云フ字ガ出テ居リマ
ス、私ガ一應讀ミマシタ中ニサウ云フ點モ
アリマスシ、尙ホ八十條ニ於テ「小切手ハ
一覽拂タルコトヲ要スルヤ否ヤ」ト言ッテ居
リマス、斯ウ言ハイデモ、モウ少シ何トカ
適當ニ行クンヂヤナイカ、其ヤウナ風ニ字
句ノ點モマア兎ニ角ドウカト思ハレル、卽
チ單純ニ申シマスレバ練レテ居ラナイト云
フヤウニ思ハレル節ガアルノデアリマス、
是等ノ點ヲ適當ニ修正シテ然ルベキヤ、政
府委員ニ於テ御考慮下サルコトヲ望ミマシ
テ今日ハ私ハ此程度デ······発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=21
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022・長島毅
○政府委員(長島毅君) 是ハ要ラナイコト
ヲ申上ゲルカモ存ジマセヌガ、是ハ山岡委
員ノ十分御承知ノ通リニ結局此法律ト、ソ
レカラ條約ノ第一附屬書トヲ同ジ文字デ出
セト云フ詰リ考ヘナンデス、條約ノ附屬書
ノ一部ヲ公布シロト云フコトニナッテ居ル
モノデアリマスカラ、附屬書ト全然同一ノ
文句デ行ク、從來條約ノ譯ト云フモノガ條
約ノ本文ヲ一字一句文字ヲ漏ラサナイヤウ
ニヤッテ來テ居ル慣行ニナッテ居ル譯デス、
サウ云フ條約ノ附屬書ダケドウモチヨット
違ッタ文字ニスルコトガ出來マセヌト云フ
コト、ソレカラ御承知ノヤウニ是ハ前申上
ゲタヤウニ附屬書其モノカ若クハ其極ク忠
實ナル譯文ヲ施行シロト云フ條約ニナッテ
居ルモノデスカラ、ウッカリ意味デ以テ拵ヘ
マシテ裁量シテ、チットヤリ難イヤウナ關係
ガアリマシタモノデスカラ、成ルベク條約
ノ字ヲ一ツ〓〓遺脫シナイヤウニ、而モ成
ルベク日本語ニ近イヤウニシヤウト云フノ
デ非常ニ是ハ苦心ヲシタノデ、御指摘ノ部
分ナドハ最モ實ハ苦心シタ部分ナンデス、
斯ンナ殊ニ「振宛テラレタル」ト云フ字ハ非
常ニ困リマスシ、實業家ノ方ニ聽キマシタ
ノデスケレドモ、ドウモ良イ字ガナクテ斯
ウ云フヤウニシタ次第デアリマス、尙ホ中
ニハ全部手形法ノ時ノ譯ヲ踏襲シタモノモ
アリマス、勿論手形法ノ譯ガ惡イノカモシ
レマセヌガ、ソレヲ踏襲シタノモアリマ
ス、サウ云フ點ヲ一ツ十分御考慮ノ中ニ御
入レ下サルコトヲ御願ヒシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=22
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023・山岡萬之助
○山岡萬之助君 政府委員ノ御苦心ノ在ル
所ハ只今承ハリマシタ、デ此譯ノ字句ノ
字一句合フヤウニト云フコトモ、是モ條約
ヲ公布イタシマスル以上ハ、條約ニ從來一
字一句合フヤウニ致ス、是モ慣習上必要ナ
コトデアリマセウケレドモ、翻譯トシテモッ
ト練レル譯シ方ノ出來ル部分ガアリマスレ
バ、ソレヲ適當ニ飜譯シテ譯シテ、外務省
カラ條約文トシテ出マス所ノモノモ、亦左
樣ニ修正スレバ其點ダケハ調子ガ合フヤウ
ニ思ヒマス、唯手形法トノコトニ付テハモ
ウ議會デ協贊ヲ與ヘタコトデアリマスシ、
十分考慮ヲ加ヘナケレバナラヌコトト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=23
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024・秋月種英
○子爵秋月種英君 チヨット私ハ山岡サン
ノ御質問ニ關聯シテ御尋ネシタイノデアリ
マスガ、此前ノ手形法ノ委員會ノ審査ノ樣
子ヲ其儘踏襲ヲシテ本委員會ガ此小切手法
案ヲ審查スルト云フコトハ、少シ考ヘナケ
レバナラヌカト思ッテ居ルノデス、ト云フノ
ハ御承知ノ通リ手形法ノ時ハ臨時議會デ、
日ガアリマセヌデ、批准ニナル日モ切迫シ
テ居ッタト云フ關係上、大體其委員諸君ノ
方ミモマア已ムヲ得ヌト云フ意味ニ於テ可
決サレタ事情デアルノデアリマス、ソレデ
其時モ先程山岡委員カラ御話ガアリマシタ
通リ、種々ナル議論ガ起リマシテ、別ニ其
手形法ヲ反對スル意味デナク、其審査ノ氣
持ニ於テノ議論デアッタノデアリマス、ソレ
デ此法案ニ付キマシテモマダ日モアリマス
コトデスカラ、能ク其氣持ヲ明ニシテ、サ
ウシテ審議ヲ進行イタシタイト、斯ウ思ッテ
居ルノデゴザイマス、ソレデ私ガ御尋ネ致
シタイノハ、條約ニ依リマスト云フト度ミ
御話ノゴザイマシタコトデスケレドモ、「第
一附屬書タル統一法ヲ原本文ノ一ニ依リ又
ハ自國語ニ依リ各自ノ領域ニ施行スルコト
ヲ約ス」是ハ譯文デアリマス、此自國語ニ
依リ各自ノ領域ニ於テ施行スル云々ト云
フノハ原文ヲ其儘ソックリ各自國語ニ於テ
スルノカ、又ハ原文ノ意味ヲ明カニスルヤ
ウニ自國語ニ於テスルト云フ意味デハナイ
カト私ハ思フノデゴザイマスガ、若シ原文
其モノヲ自國語ニ於テ其儘ヲ一言一句言ヒ
現ハスコトガ出來ナイヤウナ場合ニハ、是
ハ問題ニナルダラウト思ッテ居リマス、サレ
バト言ウテ、原文ヲ其儘デハ其國々ノ人ハ
分ラナイト云フヤウナ關係ニモナルノデゴ
ザイマス、今迄ノ先例其他ハドウナッテ居
リマスカ分リマセヌケレドモ、此小切手法
案ナンカモ勿論手形法ト姉妹法律デアリマ
スカラ、是ト能ク一致シナケレバナラヌ點
モアリマスケレドモ、チヨット此度ノ小切
手法案ノ條文ヲ讀ンデ見マシテモ、今迄ノ
內地ノ立法ノ文句ト餘程變ヲテ居リマス、又
意味モ分ラヌヤウナ點モアルヤウニ思ヒマ
スノデ、條約ガ御批准ニナッテ條約トシテ
效力ヲ發シ、ソレニ依フテ統一法ヲ作リ、內
地法ガ出來ルト云フヤウナ場合ニ國民ガ能
ク分ヤウニ、此小切手法案モ出來テ居ッタ方
ガ便宜デナイカト思フノデアリマスガ、サ
ウ云フ點ニ先程モ御說明モアリマシタケレ
ドモ、成ルベク國民ガ讀ンデモ斯ウ云フ意
味ダナドト分リ易イヤウニ此法案モ作ッタ
方ガ宜イノヂヤナイカト思ヒマス、其點ヲ
更ニチヨット御尋ネヲ致シタイト思ッテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=24
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025・長島毅
○政府委員(長島毅君) 此條約附屬書ノ全
部又ハ一部ノ事項ヲ其儘自國語ニ於テ施行
スト云フコトノ意味ニハ、實ハ相當議論モ
アリマシタノデアリマスガ、要スルニ其全
體ノ空氣トシテハ成ルベク一ツ近イモノ、
併ナガラ無論適當スル、ソレニ對當スル譯
語ガナイヤウナ場合ハ困リマスケレドモ成
ルベク同ジデヤッテ貰ヒタイト云フ希望ノ
意味デアリマシテ、此翻譯ヲ致シマスル際
こち、是ハ前ニ大臣カラモ申上マシタヤウ
ニ司法省デ委員會ヲ設ケマシテ、サウシテ
相當堪能ナ方ニオ寄リヲ願ッテ、サウシテ
成ルベク原文ニ卽シテ而カモ日本文ニナッ
テ、サウシテ一般人ニ分リ易イヤウニ、此三
ツノ希望ヲ最モ調和シタト云フマア積リデ
アリマスガ、併シオ讀ミニナリマスト、成
ル程從來ノ邦文ノ文字ト非常ニ違ッテ居リ
マス、是ハ今申シタヤウニ成ルベク原文
ト同ジヤウニ譯シテ貰ヒタイト云フ希望
ヨリ來タ所デアリマシテ、此三ツノ點ヲ如
何ニ調和シテ行クカト云フコトハ隨分委員
會デハ苦心ヲシテヤッテ戴イタノデ、相當
其意味ニ於イチヤ能ク出來テ居ルト思フノ
デアリマス、尙ホソレハ現行手形法ニシテ
モチヨット素人ノ人ガ讀メバ分リ難イノデ
アリマシテ、ドウモ此人的抗辯ト云フヤウ
ナ文字モ實ハドウ云フ言葉デ現ハシテモ分
リ難イ言葉ナンデス、實際······併シ箇々ノ
條文ニ入ッテ一々御說明ヲ申上ゲルコトニ
ナルダラウト思ヒマスガ、大體論トシテハ
サウ云フ經過ニナッテ居リマス、発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=25
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026・岡部長景
○子爵岡部長景君 今ノ譯文ニ付テノ御意
見モ御尤モト思ヒマスガ、マア同時ニ配列
ニ付テ通則ト云フモノハ是ハ第一附屬書ノ
本文ノ最後ノ章ヲ成シテ居ル譯デアリマ
ス、ソレガ此方ニ支拂保證ノ章ガ一章加ッ
タ爲ニ通則ノ後ニ又支拂保證ノ一章ガ加〃
テ、通則ガ最後ニ無クナッテシマッテ居ル、
是等ノ通則ト云フモノガ途中ニ入ルト云フ
ヤウナコトハ形トシテ非常ニ拙イヤウニ思
ヒマスガ、通則ガ此本文ノ最後ニ此章ガ來
テ支拂保證ト前後サシテ、其次ニ通則ガ來
ルト云フノガ法文トシテ形ヲ成スヤウニ思
ヒマスガ、其所等ノ點モ餘リ條約文ノ第十
章ハ通則デアルカラシテ此方ノ十章モ通則
ヲ其儘ニシテ、又通則デナイ一般的ノ特殊
ノモノヲ其後ヘクッ付ケタ所ハ如何ニモ法
文トシテ體ヲ成サナイヤウニ思フノデアリ
マスガ、是ハ如何デアリマスカ、発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=26
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027・長島毅
○政府委員(長島毅君) 御承知ノヤウニ日
本ノ法文ト致シマスト、一番終ヒノ通則ナ
ント云フモノガアルモノハ絕對ナイ、雜則
ト云フカ何ダカ分リマセヌガ、是ハ手形法
ニアリマス、通則ト云フモノハ······是ハ何
トモ是等ヲ取替ヘルコトモイカナイラシ
イ、通則ナント云フ字ヲ止メテシマヒタイ
ガ、ドウシテモ置カナケレバナラヌト云フ
ノデ手形法ノ時ニ置キマシタ、此十一章ノ
支拂保證モ一體附則ノ中ニ置カウカ何處ニ
置カウト云フコトハ非常ニ〓究サレタ問題
ナンデス、併シ御說ノヤウニ十章ノ間ニ嵌
メルノガ宜イカ存ジマセヌケレドモ、ソコ
ラニナルト御說ノ方モ御尤モノヤウニ思ヒ
マスガ、私共ノ方ノ考デハ、附屬書ソレ自身
デナイモノヲヤラウド云フノデ、此處迄デ
附屬書ヲ切ルト云フコトニ致シマシテ、ド
ウモ附屬書ノ第一ノ中ニ之ヲ嵌メテシマウ
ノモ困リハシナイカ、要スルニドチラニ重
キヲ置クカト云フコトニナル、附屬書ダケ
ヲ纒メテハドウカ、或ハ附屬書ノ後へ入レ
ルカ、ソンナコトハ構ハナイデ、體裁ニ入
レルカト云フ形狀論デアリマスカラ、ドチ
ラデモ議論ハ立ツノデアリマス、私ノ方ハ、
附屬書ノ中ニ入ッテ居ル分ダケヲ一ツニ
寄セルト云フコトニ重キヲ置イタノデアリ
マスカラ、支拂保證ハ其後ニナッタノデア
リマス、此通則ト申シマシテモ實ハ總則ノ
ヤウナモノデナクテ、御讀ミニナッテモ分
ルヤウニ規定殘リト云ッタヤウナモノナン
デス、是ハ大體ガ······ソレデアリマスカラ、
總則ノヤウナモノデスト順序ヲ考ヘナケレ
バナリマセヌケレドモ、雜則ノヤウナモノ
デアリマスカラ、何處ニ置イテモ差支ナイ
ヤウナ形ニナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=27
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028・岡部長景
○子爵岡部長景君 實ハサウ云フヤウナ形
ノモノダカラ、尙ホ途中ニ入ルノガオカシ
イヤウニ思ヒマス、ソレカラ又現法律文ノ
第三十九條ニ計算小切手ト云フモノガ省カ
レタ爲ニ條文ガスッカリ狂ッテ居リマスガ、
サウ云フモノヲ形ヲ整ヘタ方ガ宜イデハナ
イカ、何レ又其場合ニ至ッテ御質問ヲ致シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=28
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029・秋月種英
○子爵秋月種英君 此法律ガスッカリ御批
准ガ濟ンデ效力ヲ發生スル場合ニ公布
サレル、其場合ニ第一ノ附屬書モ第二ノ
附屬書モ公布サレルコトトナッテ居リマス、
公布サレル場合ニハ原文其儘デ公布サレル
ノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=29
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030・長島毅
○政府委員(長島毅君) 原文ト譯ト兩方ガ
公布サレル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=30
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031・中御門經恭
○委員長(侯爵中御門經恭君) 如何デゴザ
イマセウカ、大體ノ御質問ハ此位ノ程度カ
ト御察シヲ致シマスルガ、次囘カラ各章ニ
互ッテ審議ヲ致シタイト思ヒマスガ、今日
ハ是位ノ程度デ散會イタシタイト思ヒマ
ス、御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=31
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032・中御門經恭
○委員長(侯爵中御門經恭君) 今日ハ是デ
散會イタシマス
午前十一時五十二分散會
出席者左ノ如シ
委員長侯爵中御門經恭君
副委員長山岡萬之助君
委員
子爵秋月種英君
子爵岡部長景君
男爵渡邊修二君
岸〓一君
野村德七君
山上岩二君
國務大臣
司法大臣小山松吉君
政府委員
司法政務次官八並武治君
司法省民事局長長島毅君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006401665X00219330131&spkNum=32
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