1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和八年三月十七日(金曜日)午前十時十三分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第二十六號
昭和八年三月十七日
午前十時開議
第一 關税定率法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 昭和七年法律第四號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 農村負債整理組合法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 農業動産信用法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 漁業法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 震災被害者に對する租税の免除猶豫等に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 昭和五年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議
第八 昭和五年度特別會計第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議
第九 昭和六年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議
第十 昭和六年度特別會計第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議
第十一 昭和六年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議
第十二 昭和六年度豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議
第十三 昭和六年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議
第十四 昭和六年度特別會計豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議
第十五 昭和七年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議
第十六 昭和七年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議
第十七 昭和七年度特別會計豫備金外に於て豫算超過支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議
第十八 外國爲替管理法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十九 大正二年法律第九號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十 擔保附社債信託法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十一 刑事訴訟法中改正法律案(衆第二十四號)(衆議院提出) 第一讀會
第二十二 刑事訴訟法中改正法律案(衆第二十五號)(衆議院提出) 第一讀會
第二十三 民事訴訟法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第二十四 度量衡法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第二十五 大正七年法律第四十三號中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=0
-
001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ書記官ヲ
シテ報告ヲ致サセマス
〔瀨古書記官朗讀〕
一昨十五日本院ニ於テ可決シタル左ノ衆議
院提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ
衆議院ニ通知セリ
水產會法中改正法律案
同日本院ニ於テ左ノ衆議院提出案ニ對シ第
二讀會ヲ開カサルコトヲ議決シタル旨ヲ衆
議院ニ通知セリ
行政執行法中改正法律案
同日議員ヨリ左ノ質問主意書ヲ提出セリ依
テ卽日之ヲ政府ニ轉送セリ
奉天榊原農場ニ關スル質問主意書(公爵
近衞文麿君外一名提出)
昨十六日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領
セリ
關稅定率法中改正法律案
昭和七年法律第四號中改正法律案
昭和五年度第一豫備金
支出ノ件
昭和五年度特別會計第
一豫備金支出ノ件
昭和六年度第一豫備金
支出ノ件
昭和六年度特別會計第
一豫備金支出ノ件
昭和六年度第二豫備金
支出ノ件
昭和六年度豫備金外ニ
於テ後算超過及豫算外
支出ノ件(承諾ヲ求ムル件)
昭和六年度特別會計第
二豫備金支出ノ件
昭和六年度特別會計豫
備金外ニ於テ豫算超過
及豫算外支出ノ件
昭和七年度第二豫備金
支出ノ件
昭和七年度特別會計第
二豫備金支出ノ件
昭和七年度特別會計豫
備金外ニ於テ豫算超過
支出ノ件
農村負債整理組合法案
農業動產信用法案
漁業法中改正法律案
震災被害者ニ對スル租稅ノ免除猶豫等ニ
關スル法律案
同日衆議院ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
刑事訴訟法中改正法律案(衆第二十四號)
刑事訴訟法中改正法律案(衆第二十五號)
民事訴訟法中改正法律案
度量衡法中改正法律案
同日委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ
氏名左ノ如シ
日本製鐵株式會社法案特別委員會
委員長子爵井上匡四郞君
副委員長男爵斯波忠三郞君
製絲業法中改正法律案特別委員會
委員長子爵松平直平君
副委員長男爵赤松範一君
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
大正七年法律第四十三號中改正法律案可
決報告書
大正二年法律第九號中改正法律案可決報
告書
通信事業特別會計法案可決報〓書
擔保附社債信託法中改正法律案修正報〓
書
同日內閣總理大臣ヨリ左ノ通政府委員仰付
ケラレタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
第六十四囘帝國議會文部省所管事務政府
委員
文部省宗〓局長下村壽一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=1
-
002・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 一昨十五日荒木
陸軍大臣ヨリ、本院ノ感謝決議ニ對スル左
ノ關東軍令官ノ返電ニ接シマシタ
貴族院カ院議ヲ以テ當軍ニ寄セラレタル
深厚ナル感謝電ニ接シ將兵一同感激ニ堪
ヘス爾後益、奮勵努力御期待ニ添ハンコ
トヲ期ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=2
-
003・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ會議ヲ開
キマス、一昨十五日、赤池濃君都合ニ依リ
豫算委員ノ辭任ノ申出ガゴザイマシタ、之
ヲ許可スルコトニ御異存ゴザイセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=3
-
004・徳川家達
○讓長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス就キマシテハ第九部ニ於テ補開選
擧ヲ行ハレムコトヲ望ミマス、又同日、大
谷尊由君都合ニ依リ日本製鐵株式會社法案
外一件ノ特別委員ノ辭任ノ申出ガゴザイマ
シタ、許可スルコトニ御異存ゴザイセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=4
-
005・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス、就キマシテハ其補關トシテ馬場鍈
一君ヲ指名イタシマス荒木陸軍大臣ガ發
言ヲ求メラレマシタ
〔國務大臣荒木貞夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=5
-
006・荒木貞夫
○國務大臣(荒木貞夫君) 〓河省ノ平定ニ
付キマシテ、過般貴族院ヲ代表セラレマシ
テ、議長ヨリ關東軍ニ對シテ感謝激勵ノ祝
電ヲ戴キマシタコトニ付キマシテ、玆ニ軍
部當局ト致シマシテモ改メテ御禮ヲ申上ゲ
やく、今ヤ略ボ兵匪ノ主力ヲ掃蕩イタシマ
シテ、熱河省モ省境ナル長城ノ線ニ到達ヲ
致シマシテ、治安前途ノ方策モ略ボ豫測シ
得ルニ至リマシタノデ、此機會ニ於キマシ
テ一應右ニ關スル經過竝ニ昨秋以來ノ行動
ノ〓要ヲ御報告イタシタイト存ジマス、御
承知ノ如ク第六十三議會後間モナク、帝國
ハ朝野一致ノ總意ヲ以チマシテ、滿洲國ヲ承
認ヲ致シマシタ、兩國間ニ日滿議定書ヲ締
結セラレマシテ、關東軍ノ責務モ亦其以前
ト大イニ異ッテ參リマシテ、申ス迄モナク、同
軍ハ日滿議定書ニ基ク共同防衞及治安維持
ノ義務ヲモ加重セラレタノデアリマス、依
テ關東軍ハ北滿ノ治安克復ニ全力ヲ盡シマ
シテ、當時旣ニ冬季ニ入リマシタノニ拘ラ
ズ、祁寒ヲ排シ寡兵ヲ以テ、寧日無キ討伐
ヲ敢行イタシマシテ、先ヅ撲炳珊ヲ平ゲテ、
北ハ黑龍江岸ニ達シ、西ハ蘇炳文ヲ討伐
イタシマシテ一擧興安嶺ヲ超エテ、呼倫
貝爾一帶ノ地ヲ平定イタシマシテ、長驅滿
洲里ニ進入ヲ致シテ、監禁邦人ヲ救出シタ
ノデアリマス、東ハ丁超、李杜、王德林ヲ
追フテ、蘇國國境マデヲ〓掃ヲ致シテ、南方
遼東ノ三角地帶モ亦今略ボ平定ニ歸シマシ
タノデ、十二月ニ至ッテ關東軍ハ一先ヅ其
兵ヲ收メタノデアリマス爾後專ラ力ヲ熱
河省內ノ治安維持ニ努力イタシマシテ、慘
禍ノ生民ニ及バザラヌコトヲ顧慮シテ、幾
囘カ湯玉麟ノ恭順ヲ期待イタシテ、政治
的解決ヲ試ミタノデアリマスガ、湯玉麟ハ
一旦滿洲國執政ニ對シテ臣禮ヲ取ッタノニ
モ拘ラズ、一方張學良及南京政府ノ强壓ニ
强ヒラレマシテ、其態度ヲ明カニ致シマセ
又、却テ逐次省内ニハ多數ノ兵匪及張學良
ノ正規軍ノ進入ヲ許シマシテ、該地ヲ根據
トシテ滿洲國ノ治安ヲ攪亂シ、公然反滿抗
日ノ態度ヲ取リマシテ、而モ聯盟ノ空氣ガ
對日惡化ヲ傳ヘラレルニ至リマスヤ、其態
度益ミ露骨積極的トナッテ、熱河省住民ノ疲
弊ト困難トハ其極ニ達スル情況ニ至リマ
シタノデ、遂ニ滿洲國ト之ガ討伐ニ關スル議
ヲ決定イタシマシテ、關東軍ハ日滿議定書
ニ基イテ行動ヲ開始スルニ至ッタノデアリ
やく、元來熱河省ハ御承知ノ如ク、滿洲
國ノ領域デアルコトハ從來ノ地理的歷史的
關係ハ固ヨリ、滿洲國建國後ノ宣言ニ依リ
マシテ、極メテ明白ナル事實デアリマス、
是ハ恰モ既往滿洲諸地方ノ掃匪ト同樣、全
ク滿洲國國內問題デアリマシテ、之ガ掃蕩
及治安維持ハ寧ロ滿洲國必須ノ行事デア
リ、又關東軍當然ノ責任ナノデアリマス、
世界ノ一部ニ於テ、當時此問題ニ關シテ、
色ミ論議セラレマシタコトハ蓋シ個中
ノ消息ニ通ゼザルノ致ス所ト信ズルノデア
リマス、關東軍ハ滿洲國側ト協議ノ結果、
熱河省ノ省民ノ生產ノ爲メノ便益、卽チ特
產物播種期以前ニ行動スルコトガ必要デア
ルト云フコトガ一ツト、一方ニ於キマシテ
ハ、今後ニ於ケル國內一般治安ノ策案トヲ
顧慮イタシマシテ、二月ノ下旬以來酷寒ヲ
冒シ、滿洲國軍ト共ニ、敢テ掃匪行動ヲ開
始スルコトニナッタノデアリマス、當時ノ氣
候ハ零下十五度ヨリ四十度ニ達シマシテ、
又時ニハ一部ノ解氷ヲ見ルヤウナ、氣候モ
アッタノデアッテ、作戰上非常ノ不便ヲ感ジ
タノデアリマスルガ、克ク之ヲ耕シ、又敵
ノ兵力モ當時我ニ數倍イタシテ居ッタノデ
アリマス、皇軍ハ方針決定後、周到ナル用
意ヲ以チマシテ準備ヲ急イデ、二月ノ二十
三日ニ至フテ甲兵〓ハ主力ヲ以テ通遼、
部ヲ以テ彰武及朝陽寺附近カラ出動ヲ起
シ、乙兵團ハ主力ヲ以テ錦州、一部ヲ以テ
綏中附近ヨリ運動ヲ開始イタシマシテ、途
中開魯、北票及沙帽山附近ニ於テ敵ノ抵抗
ヲ排除シテ、恰モ當時非常ナル吹雪ト寒氣
トニ遇遭イタシマシタガ、之ヲ冒シテ、重
疊セル天嶮ヲ突破シ、疾風迅雷ノ勢ヲ以テ
前進ヲ致シタノデアリマス、同月二十八日
頃ニハ兩兵團共主力ヲ以テ各、下窪、朝陽ニ
進入ヲ致シ、更ニ進ンデ甲兵團ノ主力ハ三
月四日〓ネ赤峰ニ乙兵團ノ主力ハ六日〓
ネ承德、卽チ熱河省城ヲ確實ニ占領イタシ
タノデアリマス、之ニ先ッテ甲兵團ノ茂木騎
兵團、及ビ乙兵團ノ川原挺身隊ハ快速果
敢ナル行動ヲ以テ、幾多ノ困難ヲ克服シ
テ、三月一日ニハ赤峰及遼源ヲ經テ、同二
日ニハ平泉ヲ占領シ、續イテ川原挺身隊ハ
主力ニ先ダツコト二日、卽チ四日ハ承德、
卽チ熱河省城ヲ陷レマシテ、更ニ敗退スル
敵ヲ窮追シテ、長山峪附近ニ於ケル激戰ノ
後、遂ニ三月十日午後二時三十分、確實ニ
古北口ヲ占據イタシタノデアリマス、又別
ニ乙兵團ノ服部部隊ニ屬スル所ノ米山先遣
隊ハ遼泉ヨリ南下イタシマシテ、寡兵ヲ
以テ數千ノ敵ヲ擊破シ、早クモ五日長城線
ノ冷口附近ニ到達シテ之ヲ占領シ、爾餘ノ
服部部隊モ相次デ長城線ノ中央デアリマス
ル所ノ喜峰口附近ノ線ニ進出ヲ致シマシ
テ、玆ニ長城要衡ノ一帶ヲ確保シテ、到ル
處ニ日章旗ノ關ルヲ見ルニ至ッタノデアリ
やく、此間張海鵬ノ指揮イタシマスル滿洲
國軍ノ主力ハ、稍、遲レマシテ九日ニ赤峰ニ
入リ、其一部ハ目下西北國境近ク、卽チ林
東、烏丹城附近ニ於ケル所ノ敵匪ヲ掃蕩中デ
アリマス、斯ノ如ク致シマシテ關東軍及滿
洲國軍ハ、幸ニ僅々十數日ニシテ百餘里ノ
惡路ヲ突破イタシマシテ、熱河省ヲ席捲シ、
目下省內殘存兵匪ノ掃蕩ト共ニ、治安ノ恢
復維持ニ努メツツ、一方省民ノ慰撫ニ力ヲ
盡シツツアルノデアリマス、而シテ從來湯
玉麟ノ批政ニ苦ンデ居リマシタ同地方ノ住
民ハ〓シテ親日的傾向ガ濃厚デアルモノ
ガアリマスルカラ、今後治安ノ恢復ハ比較
的迅速ニ實現セラルルコトヲ期待シテ居ル
次第デアリマス、一方我ガ飛行隊ハ、此最
險惡ナル天候ト敵ノ地上ヨリスル射撃トヲ
意トセズシテ、果敢猛烈危險ナル行動ニ依
リ、爆擊ニ、偵察ニ、將又地上戰鬪ニ、活
潑ナル活動ヲ續ケマシテ、敵ニ甚大ナル打
擊ヲ與ヘ其志氣ヲ根柢ヨリ挫折セシメ
テ、其活動ハ目覺シキモノガアッタノデア
リマス、同時ニ國民後援ノ各種愛國號ノ多
クガ、之ニ參加活動イタシマシタルコトヲ
特ニ御報告スルコトヲ誠ニ光榮ト致シマシ
テ、玆ニ議會ヲ通ジマシテ感謝ノ意ヲ表ス
ル次第デアリマス、此間熱河省內ノ兵匪ノ
集團ハ皇軍竝ニ滿洲國軍ノ神速果敢ナル
攻擊ニ依リマシテ、脆クモ其第一線ヲ放棄シ
テ、更ニ天嶮ヲ賴ミマシタ赤峰、葉柏壽、
凌源等ノ線モ亦相次デ我ノ爲ニ奪取セラル
ル所トナリマスルヤ、玆ニ一大動搖ヲ來シ
マシテ、遂ニ承德附近ニ於ケル所ノ抵抗モ
斷念ヲシ、一部ヲ留メテ頭强ナル抵抗ヲ爲
サシメテ、主力ハ大混亂ノ裡ニ長城ヲ超エ
テ關內ニ遁走ヲ致シマシテ、又其一部ハ西
方多倫、豐寧方面ニ潰走ヲシ、是等兵匪ノ
各將領中ニハ我ニ歸順ヲ申出ヅル者ガ尠ク
アリマセヌ、斯ク致シマシテ迅速ナル平定
ヲ見ルニ至リマシタコトハ、皇國ノ爲メ誠
ニ慶賀ニ存ズル次第デアリマス、目下尙ホ
退路ヲ遮斷セラレマシテ、省內ニ殘存ヲ致
シテ居リマスル部隊モ尠クナイヤウデアリ
マスルガ、是等ハ武力ト招撫トノ二ツニ依ツ
テ、遠カラズ肅〓セラルルモノト確信イ
タシテ居ルノデアリマス、更ニ平津方面ニ
於キマシテハ東北軍ノ首腦部ハ承德附近
ニ於テ最後ノ抵抗ヲ試ミムト致シマシタ
ガ、遂ニ實行スルニ至ラズシテ熱河省內ニ
在ッタ部隊ハ、續々關內ニ敗退シテ參リマ
スルノデ、學良ハ急遽其總豫備ヲ以チマシ
テ古北口附近ヲ確保セシムルト共ニ、山海
關、喜峰口方面ノ防備ヲ嚴ニ致シマシテ、
只管平津地方ニ於ケル自己ノ地盤ノ保持ニ
努メテ居リマシタガ、其指揮統制ハ行ハレ
ズ、最後ノ一戰ヲ長山峪附近ニ試ミマシタ
ガ、是亦瓦餅ニ歸シマシテ目下ハ唯關內
ニ居リマシタ軍隊ノ一部ガ尙ホ長城線ニ於
テ挑戰シツツアリマスルガ、近ク是等モ掃蕩
セラルルコトト信ジマス、而シテ蔣介石軍
ノ北上ニ伴ヒマシテ、京〓地方ノ形勢ハ一
變ヲ致シマシテ、張學良ノ下野ガ傳ヘラ
レ、目下各將領ガ勢力ノ抗爭裡ニ、此方面
ニ於ケル局面ノ變化ガ豫期セラルル狀況ニ
アルノデアリマス、又山西軍ハ一部ヲ張家
口ヨリ多倫方面ニ移動ヲ致シマシテ退
却シ來レル義男軍ヲ併セ、熱河省ノ側背ヲ
脅威シツツアリマスルガ、今後支那側ニシ
テ故意ニ我ニ挑戰シ來ラザル限リハ、戰禍
ノ擴大スルガ如キコトハナキモノト信ジ、
又極東平和ノ爲メ之ヲ希フモノデアリマ
ス、顧ミマスルニ北滿始メ世果ノ視聽ヲ集
メマシタ熱河問題ガ、今日ノ如ク神速且ツ
比較的少數ノ犠牲ニ依リマシテ、偉大ナル
效果ヲ收メ得マシタコトハ、其一切ノ過去
ニ顧ミマシテ是レ一ニ全ク陛下ノ稜威
ト、國體ノ神聖ト相俟ツノ天佑ニ依ルコト
ヲ深ク感激スルモノデアリマス、又此結果
ヲ得マシタコトハ、關東軍作戰指導ノ宜シ
キコトト、第一線將兵ノ忠烈ナルニ因ルコ
トハ勿論デアリマスルガ、一方ニハ學國一
致的ノ國民ノ至誠熱烈ナル後援ガ、彌ガ上
ニモ將兵ノ意氣ヲ昂上セシメ得マシタ賜ナ
リト、深ク感謝ニ堪ヘザル所デアリマス、
唯此間ニ發生イタシマシタル犠牲ニ對シマ
シテハ誠ニ遺憾ニ存ジ且ツ深ク同情
ト敬意ヲ表シ、今後一層最善ノ努力ヲ
拂ヒマシテ、是等犠牲者ノ志ヲ無ニセ
シメザランコトヲ期スル次第デアリマス、
全滿洲國ノ治安ニ關シマシテハ前途尙ホ
幾多ノ努力ヲ必要ト信ジマスルガ、今ヤ略
ボ其治安ノ基礎ニ付テ曙光ヲ認メ得ルニ至
リマシテ、多年ノ禍亂ヨリ東洋平和ヘノ
第一步ニ進ミ行キマシタコトハ、皇國ノ爲メ
御同慶ニ存ズル次第デアリマス、此上ハ皆
樣ノ御協力ヲ得マシテ、共ニ擧國一致、皇
國ノ精神ヲ發揚シテ、一日モ速ニ所期ノ目
的ヲ達成イタシマシテ、光輝アル平和ノ確
立ニ邁進イタシタイト庶幾フ次第デアリマ
ス、以上ヲ以テ御報告ヲ終リマス(拍手)
〔土方寧君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=6
-
007・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 土方寧君ハドウ
云フコトデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=7
-
008・土方寧
○土方寧君 陸軍大臣ノ御報告ノ一部分ニ
付テ、御尋ヲ致シタウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=8
-
009・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 宜シウゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=9
-
010・土方寧
○土方寧君 極ク簡單デゴザイマスカラ、此
席デ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=10
-
011・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御大聲ニ、陸軍
大臣ニ能ク聞エマスヤウニ願ヒタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=11
-
012・土方寧
○土方寧君 我ガ皇軍ガ、熱河ノ學良其他
ノ雜兵ヲ、驚異的ノ速力ヲ以テ一掃シマシ
テ、關內ニ追ヒヤッテシマッタ功績ノ偉大ナ
ルコトハ皆國民ノ感激シテ居ルコトト思
ヒマス、現在長城ノ古北口ヤ喜峰口其他ノ
要害地ニ、我ガ軍隊ガソレノ〓陣地ヲ張ッ
テ、防禦ノ任ニ就イテ居ルヤウデアリマス
ガ、併ナガラ支那側ノ方ハ、日本軍ハ關內
ニ進出シナイト云フコトノ方針ヲ承知シテ
居リマスカラ、彼等ハ比較的多數ノモノヲ
集結シテ、繰返シ繰返シ逆襲シテ居ルヤウ
デアリマス、其都度擊退ハシテ居ルヤウデ
アリマスガ、多少ノ死傷ハアルヤウデアリ
マス勿論支那ノ方ハ何百ト云フ死傷ガア
ルヤウデアリマスガ、ソレニ比ベマスレバ
何十人デアリマスカラ、比較的少イノデア
リマスケレドモ、併ナガラ支那兵ハ苦力ヤ
兵匪ノ如キモノデ、我ガ將土ノ如キト實ニ
比較ニナラヌ程價値ガ違ヒマス、二三十人
デモ死傷ガ生ズルト云フコトハ實ニ遺憾ニ
堪ヘマセヌ、私ハ新聞ノ記事ヲ見ル度ニ、
度ミ途中デ暗淚ヲ催シテ、先ヲ讀ムコトガ
出來ナイヤウナコトガアル位デ、夜寢マシ
テモ何ダカ長城方面ノ將士ノコトガ腦裡ニ
浮ビマシテ、不安デナリマセヌ、外交上ノ
都合ガアリマシテ、固ヨリ關內ニ進出スル
ト云フコトハヨク〓〓愼マナケレバナラ
ヌト云フコトハ承知シテ居リマス、併ナガ
ラ何時モ消極的ニ防禦スルト云フコトハ困
難ナ話デ、本當ノ防禦ト云フモノハ、我ミ
素人デモ分ルコトデアリマス、機ヲ見テ攻
勢ニ出デナケレバ本當ノ防禦ハ出來ナイト
思ヒマスガ、假令必要上關內ニ進出イタシ
マシテモ、我國トシテハ決シテ北支ニ進出
シテ、之ヲ侵略スルモノデナイト云フコト
ハ分ッテ居リマスケレドモ、兎角宣傳戰ニ於
テハ常ニ敗ケマスカラ、關內ニ於ケル情勢
ヲ明カニシテ置イテ、サウシテ彼ノ方面ノ
軍隊ニ對シテハ、必要ガアレバ何時デモ關
內ニ進出セヨト云フコトヲ御命令ニナリマ
シタナラバ、或ハ彼等ノ逆襲ナント云フコ
トハ、モウ斷絕スルコトガ出來ルカト思ヒ
マスガ、誠ニ私ハアノ方面ニ、比較的少數
デ任ニ就イテ居ル軍隊ノ上ヲ考ヘテ不安ニ
堪ヘマセヌカラ、ドウ云フ御考デアルカソ
レヲ伺ヒタイノデアリマス
〔國務大臣荒木貞夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=12
-
013・荒木貞夫
○國務大臣(荒木貞夫君) 只今御尋ネノ、
長城附近ニ於ケル所ノ皇軍ノ一部ガ、長城
外ニ進出シ得ザルガ爲ニ、徒ニ戰鬪ヲ繼續
シ多クノ貴キ犧牲者ヲ出ス、之ニ對スル處
置ニ關シテ誠ニ御尤モナル、殊ニ第一線ニ
活動イタシテ居リマスル將兵ニ對スル御同
情ノアル、又軍ノ威信ニ關シテノ十分御理
解アル御說ト存ジマシテ、誠ニ敬服ヲ致ス
ノデアリマス、御承知ノヤウニ絕エズ防勢
ニ立ッテ、殊ニ地域ヲ限ラレテ長城ヨリ一步
モ出デズシテ、而モ敵ハ長城カラ內部ニ隨
意ニ侵入シ得ルト云フコトニ對シマシテ
第一線竝ニ此方面ノ作戰ヲ指導イタシテ居
ル者ノ誠ニ苦痛ト致シテ居ル所デアリマス
ルガ、當初ヨリ申上ゲマスルヤウニ、般
ノ禍亂ヲ少ク致シマシテ、當然日支兩國ハ
提携ヲ致シテ參ランナラヌモノデアリマス
ルシ、又列國ノ平和ニ對スル所ノ考ヲモ、
十分ニ尊重イタシマセナケレバナラヌガ爲
二、幾多ノ困難ヲモ忍ンデ今日ノヤウナ隊
勢ヲ取ァテ居ルノデアリマス、併ナガラ長キ
ニ亙ッテ斯樣ナコトヲ致シマスルコトハ、御
承知ノヤウニ過去ニ幾多悲慘ナル例ヲ持ッ
テ居ルノデアリマスル、之ニ對シテハ
關東軍作戰ノ當事者ト致シマシテハ旣ニ決
スル所ハアリマシテ、之ニ對スル所ノ處置ニ
付テハ遺算ナキヲ期シテ居ルノデアリマス、
一方外務當局トノ緊密ナル連繫ヲ保チマシ
テ、此方ノ考ヘテ居リマスル所ノ誠意ヲモ
支那軍ノ方面ニハ傳ヘマシテ、禍亂ヲ少ク
シテ兵禍ヲ治メルト云フコトニ付テノ處置
ハ執ッテ居リマス、遺憾ニシテ此意思ガ十分
ニ通ゼズ又一方彼等ノ京津地方ニ於ケル
所ノ政治的ノ處置カラシテ心ニモナイ戰
鬪ヲ惹起サシテ居ルヤウデアリマスルガ
最近數日ノ形勢ヲ見マシテ、必ズ近キ間ニ
大ナル犧牲ヲ拂フコトナク此方面ガ安定
スルコトヲ信ジテ居リマスル若シ是ニシ
テ尙ホ支那側ニ十分ノ誠意ヲ認メ得マセヌ
時ニハ、之ニ對スル相當ノ處置ヲ執ルコト
ニ付テハ外務當局ト十分ニ連繫ヲ致シマ
シテ、廟議モ亦之ニ對シテハ考ヘル所ガア
リマスル、之ニ依リマシテ只今御申述べ
ノ點ハ十分ニ誤リナク實行シ得ルコトト
關稅定率法中改正法律案
關稅定率法別表輸入稅表中左ノ通改正ス
第百三十五號ノ二ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
一三五ノ三麻黃
第百七十四號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
一七四ノ二生酒石
第六百七號ノ二ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
六〇七ノ三蒟蒻芋
-粉狀ノモノ
二其ノ他
第六百十二號第一項己ノ五ニヲ左ノ如ク改ム
ニ丸太及割材
ニノ一
工、
エサルモノ
ニノ二
ルモノ
ニノ三其ノ他
同號第一項癸ヲ左ノ如ク改ム
癸其ノ他
イ
ルモノ
ロ其ノ他(丸太及割材ヲ含ム)
考ヘテ居リマス、御諒承ヲ願ヒタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=13
-
014・土方寧
○土方寧君 能ク分リマシタ、有難ウゴザ
イマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=14
-
015・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ議事日程
ニ移リマス日程第一關稅定率法中改正
法律案、第二、昭和七年法律第四號中改正
法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
關稅定率法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和八年三月十六日
衆議院議長秋田〓
貴族院議長公爵德川家達殿
無稅
無稅
斤一六·〇〇
每每百百
斤五·五〇
長十八メートルヲ超
末口ノ直徑三十
センチメートルヲ超
無稅
長十メートルヲ超エ、
末口ノ直徑三十セン
チメートルヲ超エサ
每立方メートル二·〇〇
每立方メートル二·五〇
厚二百ミリメートルヲ超エサ
每立方メートル五·五〇
每立方メートル二·〇〇
第六百十七號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
六一七ノ二骨灰
第六百四十六號中「骨灰、」ヲ削ル
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和七年法律第四號中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和七年法律第四號中改正法律案
昭和七年法律第四號中左ノ通改正ス
別表輸入稅表番號第六百五號ノ項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
六〇七ノ三蒟蒻芋
同第六百十二號ノ項中ニノ二ヲ左ノ如ク改ム
ニノ二
ニノ三其ノ他
癸其ノ他
イ
ロ其ノ他(丸太及割材ヲ含ム)
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔參照〕
昭和七年法律第四號ハ輸入稅ノ從量稅率ニ關スル法律ナリ
〔政府委員堀切善兵衞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=15
-
016・堀切善兵衞
○政府委員(堀切善兵衞君) 只今議題トナ
リマシタ關税定率法中改正法律案ノ辯明ヲ
申上ゲマス、政府ハ改正法律案ニ揭ゲラレ
テ居リマス各品ニ對スル輸入稅率ノ改正ノ
要旨ニ付、關稅調査委員會ニ諮問イタシマ
シタ所、成案ヲ得マシタノデ、玆ニ本改正
案ヲ提出イタシタ次第デアリマス、改正案
ノ品目ハ木材外四品デアリマシテ、政府ハ
是等物品ノ生產、輸入及需給等ノ情況ニ鑑
ミ現行稅率ハ現下ノ實情ニ適セザルモノ
ト見テ、本改正法律案ヲ提出イタシタ次第
デアリマス尙ホ詳細ナル點ニ關シマシテ
ハ委員會ニ於テ御說明ヲ致ス考ヘデアリマ
ス、何卒御案議ノ上、速ニ御協贊ヲ與ヘラ
無稅
昭和八年三月十六日
衆議院議長秋田〓
貴族院議長公爵德川家達殿
長十メートルヲ超エ、末口ノ直徑三十センチメート
ルヲ超エサルモノ
厚二百ミリメートルヲ超エサルモノ
レムコトヲ希望イタス次第デアリマス、次
ニ昭和七年法律第四號輸入稅ノ從量稅率ニ
關スル法律中改正法律案ニ付テ御說明申上
ゲマス政府ハ只今御說明申上ゲマシタ關
稅定率法中改正法律案ニ依リ、此際差當リ
措置スルヲ適當ト認メマシタ物品ニ關スル
稅率ノ改正案ヲ提出イタシマシタノデアリ
マスルガ、是等品目中新ニ從量稅率ヲ按配
シタルモノニ對シテハ、其生產、輸入竝ニ
需給關係等諸般ノ狀況ヲ勘案イタシタ上、
之ガ關稅率ヲ定メタノデアリマスルカラ、
自然本法別表ニ揭ゲラレタル諸品ト同樣ニ
取扱フベキモノト認メマシテ、本改正法律
案ヲ提出イタシタ次第デアリマス、尙ホ詳
細ノ點ニ關シマシテハ委員會ニ於テ御說明
ヲ致ス考ヘデアリマス何卒御審議ノ上速
ニ御協贊ヲ與ヘラレムコトヲ希望イタス次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=16
-
017・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 只今堀切大藏政
務次官ノ說明セラレマシタ兩案ノ、特別委
員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔瀨古書記官朗讀〕
關稅定率法中改正法律案外一件特別委員
侯爵德川義親君子爵吉田〓風君
子爵梅園篤彥君男爵橋元正輝君
倉知鐵吉君西野元君
次田大三郞君吉田羊治郞君
鈴木幸作君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=17
-
018・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第三、農村
負債整理組合法案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會
農村負債整理組合法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和八年三月十六日
衆議院議長秋田〓
貴族院議長公爵德川家達殿
農村負債整理組合法案
農村負債整理組合法
第一章總則
第一條本法ハ農山漁村ニ居住スル者ノ
經濟更生ヲ圖ル爲隣保共助ノ精神ニ則
リ其ノ者ヲシテ負債整理組合ヲ組織セ
シメ組合ノ樹立シタル負債償還計畫及
經濟更生計畫ヲ履行セシメ以テ其ノ負
債ノ整理ヲ爲サシムルコトヲ目的トス
第二條本法ニ於テ負債トハ負債整理組
合ノ組合員ノ負擔スル私法上ノ金錢債
務ニシテ組合設立前ニ生ジタルモノヲ
謂フ但シ本法施行後ニ生ジタルモノハ
命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ認可
ヲ受ケタルモノニ限ル
第三條負債整理組合ノ組合員本法ニ依
リ負債整理ヲ爲サントスルトキハ命令
ノ定ムル所ニ依リ負債整理組合ニ對シ
其ノ旨ヲ申出ツベシ
負債整理組合前項ノ申出ヲ受ケタルト
キハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員
及債權者間ニ於ケル負債ノ金額、利率、
償還期限、償還方法其ノ他ノ條件ノ緩
和ニ關スル協定ニ付斡旋ヲ爲スベシ
第四條前條ノ幹旋ニ依リ協定成ラザル
負債ニ付テハ負債整理組合ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ市町村負債整理委員會ニ
對シ其ノ協定ノ斡旋ヲ請求スルコトヲ
得
市町村負債整理委員會ノ組織、權限其
ノ他必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
第五條前條ノ市町村負債整理委員會ノ
斡旋ニ依リ協定成ラザルトキ又ハ負債
整理組合ノ事務所ノ所在地タル市町村
ニ市町村負債整理委員會ナキ爲其ノ斡
旋ニ依ルコト能ハザルトキハ債務者タル
組合員又ハ債權者ハ金錢債務臨時調停
法第二條第一項ノ期日ニ關スル制限ノ
規定ニ拘ラズ同法ニ依ル調停ノ申立ヲ
爲スコトヲ得
第六條第三條第一項ノ規定ニ依リ負債
整理ノ申出アリタル負債ニ付金錢債務
臨時調停法ニ依ル調停事件繫屬スルト
キハ裁判所又ハ調停委員會ハ第三條第
二項又ハ第四條ノ規定ニ依ル斡旋ノ終
了ニ至ル迄其ノ調停手續ヲ中止スルコ
トヲ得
第七條負債整理組合ヨリ負債整理資金
ノ貸付ヲ受ケタル組合員ガ其ノ貸付ノ
條件ヲ具備セザルニ至リタル場合ニ於
ケル負債整理組合ノ不動產其ノ他ノモ
ノノ取得ニ關シテハ地方稅ヲ課スルコ
トヲ得ズ
第八條信用組合其ノ他勅令ヲ以テ定ム
ル法人ニシテ命令ノ定ムル所ニ依リ行
政官廳ノ認可ヲ受ケ第十一條ノ事業ヲ
行フモノハ本章ノ適用ニ關シテハ之ヲ
負債整理組合ト看做ス但シ第二條中組
合設立前トアルハ行政官廳ノ認可前ト
ス
前項ノ法人ガ第十一條ノ事業ノ認可ヲ
申請スルコトヲ得ル期間ハ本法施行ノ
日ヨリ三年間トス
第九條本法中町村トアルハ町村制ヲ施
行セザル地ニ於テハ之ニ準ズベキモノ
トス
第二章負債整理組合
第十條負債整理組合ハ組合員ノ經濟更
生ヲ圖ル爲隣保共助ノ精神ニ則リ組合
員ヲシテ其ノ負債ノ整理ヲ爲サシムル
コトヲ目的トス
第十一條負債整理組合ハ其ノ目的ヲ達
スル爲左ノ事業ヲ行フ
一組合員ノ負債償還計畫及經濟更生
計畫ノ樹立
二債務者タル組合員及債權者間ニ於
ケル負債ノ金額、利率、償還期限、
償還方法其ノ他ノ條件ノ緩和ニ關ス
ル協定ノ斡旋
三組合員ニ對スル負債整理資金ノ貸付
四前各號ニ揭グルモノノ外組合員ノ
負債整理ニ必要ナル事業
負債整理組合ハ組合員ガ負債整理ノ爲
其ノ所有地ヲ處分スル場合ニ於テ組合
員タル小作人其ノ他ノ者ガ其ノ土地ヲ
購入セントスルトキハ命令ノ定ムル所
ニ依リ之ニ要スル資金ノ貸付ヲ爲スコ
トヲ得
第十二條負債整理組合ハ法人トス
第十三條負債整理組合ハ一定ノ地區內
ニ居住スル者ヲ以テ之ヲ組織ス
前項ノ地區ハ部落其ノ他之ニ準ズル區
域ニ依ル但シ特別ノ事由アルトキハ町
村ノ區域ニ依ルコトヲ得
第十四條負債整理組合ノ組織ハ無限責
任及保證責任ノ二種トス
無限責任ノ組合ニ在リテハ組合財產ヲ
以テ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハザル
場合ニ於テ組合員ノ全員ガ連帶無限ノ
責任ヲ負擔シ保證責任ノ組合ニ在リテ
ハ組合財產ヲ以テ其ノ債務ヲ完濟スル
コト能ハザル場合ニ於テ組合員ノ全員
ガ其ノ出資額ノ外一定ノ金額(保證金
額)ヲ限度トシテ責任ヲ負擔ス
第十五條負債整理組合ヲ設立セントス
ルトキハ設立者ハ規約ヲ作成シ命令ノ
定ムル所ニ依リ地方長官ニ設立ノ認可
ヲ申請スベシ
規約ニハ本法ニ規定アルモノヲ除クノ
外左ニ揭グル事項ヲ記載シ設立者之ニ
署名又ハ記名捺印スルコトヲ要ス
一目的
二名稱
三組織
四地區
五事務所ノ所在地
六組合員ノ加入說退ニ關スル規定
七事業ノ執行ニ關スル規定
八役員ニ關スル規定
九損失分擔ニ關スル規定
十組合ガ公〓ヲ爲ス方法
十一存立時期又ハ解散ノ事由ヲ定メ
タルトキハ其ノ時期又ハ事由
十二無限責任ノ組合ニ在リテハ組合
費ノ分擔ニ關スル規定
十三保證責任ノ組合ニ在リテハ出資
一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法竝ニ保
證金額ニ關スル規定
第十六條前條第一項ノ認可ノ申請ヲ爲
スコトヲ得ル期間ハ本法施行ノ日ヨリ
三年間トス
第十七條負〓整理組合ハ其ノ設立ノ日
ヨリ二週間以內ニ其ノ主タル事務所ノ
所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ
-第十五條第二項第一號乃至第五號
及第十一號ニ揭ゲタル事項
二設立認可ノ年月日
三理事及監事ノ氏名及住所
四保證責任ノ組合ニ在リテハ出資一
口ノ金額及其ノ拂込ノ方法
前項ニ揭グル事項ニ變更アリタルトキ
ハ二週間以內ニ其ノ登記ヲ爲スベシ
第十八條本法ニ依リ登記スベキ事項ハ
登記前ニ在リテハ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第十九條負債整理組合ガ本法ニ基キテ
爲ス登記ニ付テハ登錄稅ヲ課セズ
第二十條負債整理組合ノ設立登記ノ申
請書ニハ無限責任ノ組合ニ在リテハ產
業組合法第十六條ノ五第一項第三號
ニ揭グル事項ヲ、保證責任ノ組合ニ在
リテハ同條同項第一號、第二號及第四
號ニ揭グル事項ヲ記載シタル組合原簿
ヲ添附スベシ
組合員ノ加入ニ因ル變更登記ノ申請書
ニハ無限責任ノ組合ニ在リテハ加入者
ノ氏名及住所ヲ、保證責任ノ組合ニ在
リテハ加入者ノ氏名、住所及保證金額
ヲ記載シタル組合原簿ヲ添附スベシ
第十七條第三項及第十八條竝ニ產業組
合法第十六條ノ四第一項及第十六條ノ
五第二項ノ規定ハ組合原簿ニ之ヲ準用
ス但シ同法第十六條ノ四第一項中地方
長官トアルハ事務所所在地ノ登記所トス
第二十一條負債整理組合ハ規約ノ定ム
ル所ニ依リ其ノ組合員ヲシテ組合ノ負
債償還ノ一部ニ充ツル爲積立金ヲ醵出
セシムルコトヲ得
前項ノ積立金ノ管理、處分其ノ他必要
ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條負債整理組合ノ組合員ハ命
令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外總
組合員ノ三分ノ二以上ノ同意アルニ非
ザレバ脫退スルコトヲ得ズ
脫退シタル組合員ハ脫退前ニ生ジタル
組合ノ債務ニ付第十四條第二項ノ規定
ニ依ル責任ヲ負擔ス
第二十三條負債整理組合ニ加入シタル
組合員ハ其ノ加入前ニ生ジタル組合ノ
債務ニ付テモ亦第十四條第二項ノ規定
ニ依ル責任ヲ負擔ス
第二十四條產業組合法第三條、第四條、
第六條、第七條、第二十三條、第二十
五條乃至第三十一條ノ二、第三十二條
乃至第三十八條、第三十九條、第四十
九條、第六十條第一項(〓算ニ關スル規
定ヲ除ク)、第六十條ノ二、第六十一條
(〓算ニ關スル規定ヲ除ク)、第六十二
條第六十五條、第六十八條、第六十
九條、第七十四條ノ二第一項及第九十
三條ノ二、民法第四十七條、第四十八
條第六十條、第七十三條乃至第八十
二條及第八十四條第一號竝ニ非訟事件
手續法第三十五條第二項、第三十六
條、第三十七條ノ二、第百十七條、第
百十九條乃至第百二十二條、第百三十
六條乃至第百三十八條第百四十二
條、第百四十三條、第百四十七條乃至
第百五十七條、第百七十五條乃至第百
七十七條及第二百六條乃至第二百八條
ノ規定ハ負〓整理組合ニ之ヲ準用ス但
シ產業組合法第九十三條ノ二中三百圓
トアルハ二百圓トシ民法第四十八條及
第七十七條中一週間トアルハ二週間ト
ス
產業組合法第十一條、第十二條、第十
七條第一項、第十八條乃至第二十一
條、第四十條乃至第四十二條、第四十
五條、第四十八條、第五十三條、第五
十六條及第五十七條ノ規定ハ保證責任
ノ負債整理組合ニ之ヲ準用ス
第二十五條負債整理組合ノ理事又ハ監
事何等ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ組合
ノ事業ノ範圍外ニ於テ貸付ヲ爲シ又ハ
投機取引ノ爲ニ組合財產ヲ處分シタル
トキハ一年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ千
圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ規定ハ刑法ニ正條アル場合ハ之
ヲ適用セズ
第三章負債整理事業資金特別融
通及損失補償
第二十六條市町村ハ負債整理事業ヲ助
成スル爲必要アリト認ムルトキハ負債
整理組合又ハ第八條ノ規定ニ依リ負債
整理事業ヲ行フ法人ニ對シ主務大臣ノ
定ムル所ニ依リ特別融通ヲ爲スコトヲ
得
第二十七條市町村ガ前條ノ規定ニ依リ
特別融通ヲ爲スコトヲ得ル期間ハ本法
施行ノ日ヨリ五年間トシ其ノ融通ノ期
限ハ本法施行ノ日ヨリ二十年ヲ超ユル
コトヲ得ズ
第二十八條北海道府縣ハ第二十六條ノ
規定ニ依ル特別融通ヲ爲スニ因リ市町
村ガ損失ヲ受ケタルトキ之ニ對シ其ノ
特別融通總額ノ十分ノ三以内ノ金額
(損失補償金)ヲ補償スルノ契約ヲ爲ス
コトヲ得
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ主務大臣
大藏大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第二十九條政府ハ前條ノ損失補償ノ契
約ニ基キ北海道府縣ガ損失補償ヲ爲シ
タルトキ之ニ對シ其ノ損失補償金ノ半
額ニ相當スル金額ヲ補給スルノ契約ヲ
爲スコトヲ得但シ補給金ノ總額ハ三千
萬圓ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十條第二十八條ノ規定ニ依リ北海
道府縣ガ市町村ニ對シテ爲ス損失補償
ノ契約ニ於テハ北海道府縣ノ損失補償
金中其ノ四分ノ一ニ相當スル金額ヲ當
該市町村ニ於テ負擔スベキ旨ヲ定ムペ
シ但シ特別ノ事由アルトキハ命令ノ定
ムル所ニ依リ市町村ノ負擔スベキ金額
ノ割合ニ付別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第三十一條第二十六條ノ規定ニ依ル特
別融通ヲ爲シタルニ因リ市町村ノ受ケ
タル損失及其ノ額ハ負債整理事業資金
特別融通損失審査會之ヲ決定ス
負債整理事業資金特別融通損失審査會
ノ組織及權限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十二條第二十九條ノ契約ニ基キ政
府ガ北海道府縣ニ對シ支拂フベキ補給
金ハ國債證劵ヲ以テ之ヲ交付スルコト
ヲ得
第三十三條政府ハ前條ノ規定ニ依リ交
付スル爲必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ
發行スルコトヲ得
第三十四條本法ニ依リ交付スル國債證
劵ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大
臣之ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
登錄稅法第十九條但書中「第十四號」ヲ
「第十四號乃至第十六號」ニ改メ同條第八
號中「自作農ノ創設維持」ノ下ニ「又ハ負
債整理」ヲ加へ「又ハ產業組合聯合會」ヲ
「、產業組合聯合會、負債整理組合又ハ農
村負債整理組合法第八條ノ規定ニ依リ負
債整理事業ヲ行フ法人」ニ改メ同條ニ左
ノ二號ヲ加フ
十五市町村、負債整理組合又ハ農村負
債整理組合法第八條ノ規定ニ依リ負債
整理事業ヲ行フ法人ガ負債整理事業
資金貸付ノ爲ニスル抵當權ノ取得ノ
登記
十六市町村、負債整理組合又ハ農村負
債整理組合法第八條ノ規定ニ依リ負債
整理事業ヲ行フ法人ヨリ負債整理事業
資金ノ貸付ヲ受ケタル者ガ其ノ貸付ノ
條件ヲ具備セザルニ至リタル場合ニ於
ケル市町村、負債整理組合又ハ農村負
債整理組合法第八條ノ規定ニ依リ負債
整理事業ヲ行フ法人ノ所有權ノ取得ノ
登記
〔國務大臣後藤文夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=18
-
019・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 農村負債整理組
合法案提出ノ理由ヲ申述ベマス農山漁村
ノ經濟更生ヲ圖ルガ爲ニハ農山漁家ノ負
債整理ノ途ヲ講ズルノ必要ガゴザイマス
而シテ農山漁村ニ於ケル此負債ノ整理ニ付
キマシテハ、農山漁村住民ガ其隣保共助ノ
精神ヲ基調トスル團結ノ力ニ依リマシテ、
組織的ニ、計畫的ニ之ヲ行フコトハ適切ナ
ル方法デアルト信ズルノデアリマス、依テ
政府ニ於キマシテハ負債整理組合ニ關スル
制度ヲ立テマシテ、尙ホ之ニ伴フ負債整理
資金ノ融通ニ關スル方策ヲ講ズルコトト致
シ、玆ニ農村負債整理組合法案ヲ提出イタ
シマシタ次第デゴザイマス、本法案ノ要旨ヲ
簡單ニ申述ベマスレバ、第一ニ農山漁村ノ
住民ヲシテ隣保共助ノ精神ニ則リ、無限責任
又ハ保證責任組織ノ組合ヲ組織セシメ、之
ニ依ッテ負債整理ノ事業遂行ヲ致サセヤウ
トスルノデアリマス、第二ニ市町村負債整
理委員會ヲ設置シマシテ、之ヲ以テ負債整
理組合ノ斡旋ニ依ル負債條件緩和ニ關スル
協定ガ成ラナカッタ場合ニ於ケル協定斡旋
ノ機關ト致シマシタ、第三ニ負債整理組合
及市町村負債整理委員會ノ斡旋ニ依ッテ、負
債ノ條件緩和ニ關スル協定ガ成立イタシマ
セヌ場合ニ於キマシテハ金錢債務臨時調
停法ニ依ル調停トノ聯絡ヲ取ルコトト致シ
マシタ、第四ニ負債整理組合ノ負債整理事
業ノ遂行ヲ容易ナラシムル爲ニ、市町村ニ
於キマシテハ負債整理組合等ニ對シ、負債
整理資金ノ特別融通ヲ爲シ得ルコトト致シ
マシタ、サウシテ市町村ガ此特別融通ノ結
果損失ヲ受ケマシタトキハ其損失ニ付テ
道府縣ハ市町村ニ對シテ特別融通總額ノ三
割以内ノ金額ヲ補償スルコトト致シマシタ、
又政府ハ道府縣ニ對シテ、三千萬圓ヲ超エ
ザル限度ニ於テ其損失補償金ノ半額ヲ補給
シテヤルコトト致シ、尙ホ道府縣損失補償
金中政府カラ補償ヲ受ケザル額ニ付キマシ
テハ原則トシテ道府縣ト市町村トノ間ニ
其損失ヲ分擔ヲスルコトニ定メタノデアリ
マく、以上ハ本法案ノ要旨デゴザイマス、
何卒御審議ノ上御贊成アラムコトヲ希望イ
タシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=19
-
020・池田政時
○子爵池田政時君 只今議題ニ上ボリマシ
タ農村負債整理組合法案ハ重要ナ法案デア
リマスガ故ニ、其特別委員ノ數ヲ十五名ト
シ、其指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提出
イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=20
-
021・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=21
-
022・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 池田子爵ノ動議
ニ御異存ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=22
-
023・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=23
-
024・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名
ヲ書記官ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔瀨古書記官朗讀〕
農村負債整理組合法案特別委員
侯爵松平康昌君伯爵黑木此之一
子爵野村益三君子爵片桐
子爵舟橋〓賢君
男爵平野長祥君男爵藤村製作所に
男爵足立豐君山岡萬之助君
菅原通敬君稻畑勝太郞君
林平四郞君上松泰造君
岩田宙造君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=24
-
025・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第四、農業
動產信用法案、第五、漁業法中改正法律案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會、後藤農
林大臣
農業動產信用法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和八年三月十六日
衆議院議長秋田〓
貴族院議長公爵德川家達殿
農業動產信用法案
農業動產信用法
第一章總則
第一條本法ニ於テ農業トハ耕作、養畜
又ハ養蠶ノ業務及之ニ附隨スル業務ヲ
謂フ
水產動植物ノ採捕若ハ養殖又ハ薪炭生
產ノ業務及之ニ附隨スル業務ハ本法ノ
適用ニ關シテハ之ヲ農業ト看做ス
第二條本法ニ於テ農業用動產トハ農業
ノ經營ノ用ニ供スル動產ヲ謂フ
前項ノ農業用動產ノ範圍ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第三條本法ノ先取特權又ハ農業用動產
ノ抵當權ヲ取得スルコトヲ得ル者ハ信
用組合及勅令ヲ以テ定ムル法人ニ限ル
第二章農業經營資金貸付ノ先取
特權
第四條信用組合其ノ他勅令ヲ以テ定ム
ル法人ガ農業ヲ爲ス者ニ對シ左ニ揭グ
ル行爲ヲ爲スニ必要ナル資金ノ貸付ヲ
爲シタルトキハ其ノ債權ノ元本及利息
ニ付債務者ノ特定動產ノ上ニ先取特權
ライス
一農業用動產又ハ農業生產物ノ保存
二農業用動產ノ購入
三種苗又ハ肥料ノ購入
四蠶種又ハ桑葉ノ購入
五薪炭原木ノ購入
六命令ヲ以テ定ムル水產養殖用ノ種
苗又ハ餌料ノ購入
前項ノ法人ガ農事實行組合、養蠶實行
組合其ノ他勅令ヲ以テ定ムル法人ニ對
シ其ノ農業用動產ヲ保存シ又ハ購入ス
ル爲ニ必要ナル資金ノ貸付ヲ爲シタル
トキ亦前項ニ同ジ
第五條農業用動產保存資金貸付ノ先取
特權ハ貸付ヲ受ケタル資金ヲ以テ保存
シタル農業用動產ノ上ニ存在ス
農業生產物保存資金貸付ノ先取特權ハ
貸付ヲ受ケタル資金ヲ以テ保存シタル
農業生產物ノ上ニ存在ス
前二項ノ先取特權ハ農業用動產又ハ農
業生產物ニ關スル權利ヲ保存、追認又
ハ實行セシムル爲ニ必要ナル資金ノ貸
付ニ付テモ亦存在ス
第六條農業用動產購入資金貸付ノ先取
特權ハ貸付ヲ受ケタル資金ヲ以テ購入
シタル農業用動產ノ上ニ存在ス
第七條種苗又ハ肥料ノ購入資金貸付ノ
先取特權ハ貸付ヲ受ケタル資金ヲ以テ
購入シタル種苗又ハ肥料ヲ用ヒタル後
一年內ニ之ヲ用ヒタル土地ヨリ生ジタ
ル果實ノ上ニ存在ス尙桑樹ノ肥料購入
資金貸付ノ先取特權ニ在リテハ其ノ果
實タル桑葉ヨリ生ジタル物ノ上ニモ亦
存在ス
第八條〓種又ハ桑葉ノ購入資金貸付ノ
先取特權ハ貸付ヲ受ケタル資金ヲ以テ
購入シタル蠶種又ハ桑葉ヨリ生ジタル
物ノ上ニ存在ス
第九條薪炭原木購入資金貸付ノ先取特
權ハ貸付ヲ受ケタル資金ヲ以テ購入シ
タル薪炭原木ヨリ生產シタル薪炭ノ上
ニ存在ス
第十條水產養殖用種苗購入資金貸付ノ
先取特權ハ貸付ヲ受ケタル資金ヲ以テ
購入シタル種苗ヲ養殖シタル物ノ上ニ
存在ス
水產養殖用餌料購入資金貸付ノ先取特
權ハ貸付ヲ受ケタル資金ヲ以テ購入シ
タル餌料ヲ用ヒテ養殖シタル物ノ上ニ
存在ス
第十一條先取特權ノ優先權ノ順位ニ付
テハ農業用動產又ハ農業生產物ノ保存
資金貸付ノ先取特權ハ動產保存ノ先取
特權ト、農業用動產又ハ薪炭原木ノ購
入資金貸付ノ先取特權ハ動產賣買ノ先
取特權ト、種苗若ハ肥料、蠶種若ハ桑
葉又ハ水產養殖用ノ種苗若ハ餌料ノ購
入資金貸付ノ先取特權ハ種苗肥料供給
ノ先取特權ト看做ス
第三章農業用動產ノ抵當權
第十二條農業用動產ハ農業ヲ爲ス者又
ハ農事實行組合、養蠶實行組合其ノ他
勅令ヲ以テ定ムル法人ガ信用組合又ハ
勅令ヲ以テ定ムル法人ニ對シテ負擔ス
ル債務ヲ擔保スル場合ニ限リ之ヲ目的
トシテ抵當權ヲ設定スルコトヲ得
農業用動產ノ抵當權ニハ本法其ノ他ノ
法令ニ別段ノ定アルモノノ外不動產ノ
抵當權ニ關スル規定ヲ準用ス但シ民法
第三百七十八條乃至第三百八十七條ノ
規定ハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條農業用動產ノ抵當權ノ得喪及
變更ハ其ノ登記ヲ爲スニ非ザレバ之ヲ
以テ善意ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得
ズ
前項ノ規定ハ登記ノ後ト雖モ民法第百
九十二條乃至第百九十四條ノ規定ノ適
用ヲ妨ゲズ
第一項ノ登記ニ關シ必要ナル事項ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條抵當權ノ目的タル農業用動產
ノ所有者ガ之ヲ讓渡セントスルトキハ
命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ讓受人ニ對
シ抵當權ノ存在スル旨ヲ告知スルコト
ヲ変大
前項ノ規定ハ抵當權ノ目的タル農業用
動產ヲ他ノ債務ノ擔保ニ供セントスル
トキニ之ヲ準用ス
第十五條抵常權ノ目的タル農業用動產
ノ所有者ガ之ヲ譲渡シ又ハ他ノ債務ノ
擔保ニ供シタル場合ニ於テハ遲滯ナク
前條ノ〓知ヲ爲シタル旨ヲ抵當權者ニ
告知スルコトヲ要ス
抵當權ノ目的タル農業用動產ニ付第三
者ガ差押ヲ爲シクル場合ニ於テハ其ノ
所有者ハ遲滯ナク其ノ旨ヲ抵當權者ニ
告知スルコトヲ要ス
第十六條先取特權ト農業用動產ノ抵當
權ト競合スル場合ニ於テハ抵當權者ハ
民法第三百三十條ニ揭グル第一順位ノ
先取特權者ト同一ノ權利ヲ有ス
第十七條農業用動產ノ抵當權ノ實行ニ
關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
第四章罰則
第十八條抵當權者ニ損害ヲ加フル目的
ヲ以テ抵常權ノ目的タル農業用動產ヲ
損傷シ又ハ隱匿シタル者ハ一年以下ノ
懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス但シ所
有者ノ意思ニ反シテ損傷シタル者ニ付
テハ刑法ニ依ル
第十九條抵當權ノ目的タル農業用動產
ノ所有者抵當權者ニ損害ヲ加フル目的
ヲ以テ該動產ニ關シ讓渡、質入其ノ他
抵當權ヲ侵害スベキ行爲ヲ爲シタルト
キハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰
金ニ處ス
前項ノ動產所有者ノ代表者又ハ代理人
本人ノ爲ニ前項ノ行爲ヲ爲シタルトキ
亦同ジ
第二十條前二條ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ
論ズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
登錄稅法第三條ノ六ノ次ニ左ノ一條ヲ加
フ
第三條ノ七農業用動產ノ抵當權ニ關ス
ル登記ヲ受クルトキハ左ノ區別ニ從ヒ
登錄稅ヲ納ムヘシ
一抵當權ノ取得
債劵權額千分ノ二
但シ稅額金二十錢未滿ナルトキハ
二十錢トス
二抹消シタル登記ノ囘復
農業用動產每一箇金十錢
三假登記
農業用動產每一箇金十錢
四附記登記
農業用動產每一箇金五錢
但シ一件ニ付稅額金一圓ヲ超ユル
トキハ一圓トス
五登記ノ更正、變更又ハ抹消
農業用動產每一箇金十錢
但シ一件ニ付稅額金一圓ヲ超ユル
トキハ一圓トス
漁業法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和八年三月十六日
衆議院議長秋田〓
貴族院議長公爵德川家達殿
漁業法中改正法律案
漁業法中左ノ通改正ス
第十五條漁業權又ハ入漁權ノ各共有者
ハ他ノ共有者ノ三分ノ二以上ノ同意ア
ルニ非ザレバ其ノ持分ヲ處分スルコト
可以
第十五條ノ二漁業權又ハ入漁權ノ各共
有者ガ其ノ共有ニ屬スル漁業權又ハ入
漁權ヲ變更セントスル場合ニ於テ他ノ
共有者ノ住所又ハ居所分明ナラザルト
キハ勅令ノ定ムル所ニ依リ裁判所ノ許
可ヲ以テ其ノ者ノ同意ニ代フルコトヲ
得
第十八條第二項中「若ハ家資分散」ヲ削ル
第二十八條中「分割、變更」ヲ「分割シ其
ノ他變更シ」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加
フ
第十五條ノ二ノ規定ハ漁業權ヲ分割シ
其ノ他變更セントスル場合ニ於テ登錄
シタル入漁權者ノ住所又ハ居所分明ナ
ラザル場合ニ之ヲ準用ス
第三十三條中「漁場ノ標識ノ建設」ノ下ニ
「又ハ漁具ノ標識ノ設置」ヲ加フ
第三十四條第一項第五號中「遺棄」ノ下ニ
「又ハ漏泄」ヲ加へ同項第六號ノ次ニ左ノ
一號ヲ加フ
七水產動植物ノ移植ニ關スル制限又
ハ禁止
同條第三項中「製品及漁具」ヲ「製品、漁
具及第一項第七號ノ水產動植物」ニ改ム
第三十五條第一項ヲ左ノ如ク改ム
汽船「トロール」漁業、母船式漁業、汽
船捕鯨業又ハ機船底曳網漁業ハ命令ノ
定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ク
ルニ非ザレバ之ヲ營ムコトヲ得ズ
第四十二條第三項中「市制」ヲ削リ「市町
村」ヲ「町村」ニ改ム
第四十三條第二項中「漁業ニ關スル」ヲ
「漁業又ハ其ノ經濟ノ發達ニ必要ナル」ニ
改メ同條第三項中「漁業組合ハ」ノ下ニ
「本法ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外」
ヲ加フ
第四十三條ノ二漁業組合ハ左ノ事業ヲ
行フコトヲ得
水產動植物ノ蕃殖保護其ノ他漁場
ノ利用ニ關スル施設
二船溜、船揚場、漁礁其ノ他組合員
ノ漁業ニ必要ナル設備ノ設置
三組合員ノ漁獲物其ノ他ノ生產物ノ
加工、保藏、運搬又ハ販賣ニ關スル施
設
四組合員ノ漁業又ハ其ノ經濟ノ發達
ニ必要ナル物又ハ資金ノ供給ニ關ス
ル施設
五組合員ノ遭難防止又ハ遭難救恤ニ
關スル施設
六前各號ニ揭グルモノノ外組合ノ目
的ヲ達スルニ必要ナル施設
前項ニ揭グル組合ノ施設ハ組合員ノ利
用ニ支障ナキ場合ニ限リ組合員タルコ
トヲ得ザル者ヲシテ命令ノ定ムル所ニ
依リ之ヲ利用セシムルコトヲ得
第四十三條ノ三前條第一項第三號又ハ
第四號ノ事業ヲ行フ漁業組合ハ組合規
約ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ出資ヲ爲
サシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ組合員ニ出資ヲ爲サ
シムル漁業組合(漁業協同組合)ノ組合
員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
出資一口ノ金額ハ均一ニ之ヲ定ムベシ
出資一口ノ金額ノ最高限ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第四十三條ノ四漁業組合ハ組合規約ノ
定ムル所ニ依リ其ノ經費ヲ組合員ニ分
賦スルコトヲ得
第四十三條ノ五第四十三條ノ二第一項
第三號又ハ第四號ノ事業ヲ行フ漁業組
合ノ組織ハ無限責任、有限責任及保證
責任ノ三種トス
無限責任ノ組合ニ在リテハ組合財產ヲ
以テ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハザル
場合ニ於テ組合員ノ全員ガ連帶無限ノ
責任ヲ負擔シ有限責任ノ組合ニ在リテ
ハ組合員ノ全員ガ經費負擔額ノ外其ノ
出資額ヲ限度トシテ責任ヲ負擔シ保證
責任ノ組合ニ在リテハ組合財產ヲ以テ
其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハザル場合
ニ於テ組合員ノ全員ガ其ノ出資額又ハ
經費負擔額ノ外一定ノ金額(保證金額)
ヲ限度トシテ責任ヲ負擔ス
第四十三條ノ六無限責任又ハ保證責任
ノ漁業組合ヨリ脫退シタル組合員ハ脫
退前ノ組合債權者ニ對シ其ノ脫退ヲ登
記シタル後二年間前條第二項ノ規定ニ
依ル責任ヲ負擔ス
第四十三條ノ七新ニ無限責任又ハ保證
責任ノ漁業組合ニ加入シタル組合員ハ
其ノ加入前ニ生ジタル組合ノ債務ニ付
テモ亦第四十三條ノ五第二項ノ規定ニ
依ル責任ヲ負擔ス
第四十三條ノ八漁業協同組合ハ命令ノ
定ムル所ニ依リ行政官廳ノ許可ヲ得テ
自ラ漁業ヲ營ムコトヲ得
第四十三條ノ九漁業協同組合ハ組合規
約ノ定ムル所ニ依リ組合ノ地區內ニ住
所ヲ有スル者ニシテ漁業者ニ非ザルモ
ノヲ組合口ト爲スコトヲ得
第四十三條第四項ノ規定ハ漁業者ニ非
ザル組合員ニハ之ヲ適用セズ
第四十三條ノ十漁業組合ハ組合規約ノ
定ムル所ニ依リ組合規約ニ違反シタル
組合員ニ對シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第四十四條漁業組合聯合會ハ所屬ノ漁
業組合及漁業組合聯合會ノ共同ノ目的
ヲ達スル爲行政官廳ノ許可ヲ得テ之ヲ
設立スルコトヲ得
漁業組合聯合會ハ法人トス
漁業組合聯合會ハ第四十三條ノ二第一
項第三號若ハ第四號ノ事業ヲ行フ漁業
組合又ハ漁業組合聯合會ヲ以テ之ヲ構
成ス
漁業組合聯合會ノ組織ハ有限責任及保
證責任ノ二種トス
第四十三條第三項、第四十三條ノ二、
第四十三條ノ三第二項乃至第四項、第
四十三條ノ四、第四十三條ノ五第二項、
第四十三條ノ六、第四十三條ノ七及前
條ノ規定ハ漁業組合聯合會ニ之ヲ準
用ス但シ第四十三條ノ二中組合員トア
ルハ所屬ノ組合、聯合會及組合員トス
第四十五條中「營業稅」ヲ「營業收益稅」ニ
改ム
第四十八條第三號ヲ左ノ如ク改ム
三解散又ハ事業ノ停止
第四十九條中「管理、」ノ下ニ「構成者ノ權
利義務及加入脫退、組織變更、」ヲ加フ
第四十九條ノ二漁業組合又ハ漁業組合
聯合會ノ役員何等ノ名義ヲ以テスルヲ問
ハズ組合若ハ聯合會ノ事業ノ範圍外ニ
於テ貸付ヲ爲シ又ハ投機取引ノ爲ニ組
合若ハ聯合會ノ財產ヲ處分シタルトキ
ハ一年以下ノ懲役若ハ禁鋼又ハ千圓以
下ノ罰金ニ處ス
前項ノ規定ハ刑法ニ正條アル場合ニハ
之ヲ適用セズ
第五十八條第二項中「漁獲物及漁具ハ之ヲ
沒收ス」ヲ「漁獲物、製品及漁其ハ之ヲ沒
收スルコトヲ得」ニ、「價額ヲ追徵ス」ヲ
「價額ヲ追徵スルコトヲ得」ニ改ム
第五十九條中「汽船「トロール」漁業」ノ下
ニ「又ハ母船式漁業」ヲ、「汽船捕鯨業」ノ
下ニ「又ハ機船底曳網漁業」ヲ加へ「罰金ニ
處シ」ヲ「罰金ニ處ス此ノ場合ニ於テハ」ニ、
「漁獲物及漁具ハ之ヲ沒收ス」ヲ「漁獲物、
製品及漁具ハ之ヲ沒收スルコトヲ得」ニ、
「價額ヲ追徴ス」ヲ「價額ヲ追徵スルコト
ヲ得」ニ改ム
第六十一條中「漁場」ノ下ニ「又ハ漁具」ヲ
加フ
附則
第一條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之
ヨルエ
第二條本法施行前ヨリ引續キ第四十三
條ノ二第一項第三號又ハ第四號ノ事業
ヲ行フ漁業組合ハ本法施行ノ日ヨリ五
年ヲ限リ其ノ組織ニ關シ第四十三條ノ
五ノ規定ニ依ラズ仍從前ノ規定ニ依ル
コトヲ得
第三條本法施行前ニ設立シタル漁業組
合聯合會ハ本法施行ノ日ヨリ五年ヲ限
リ其ノ構成者及組織ニ關シ第四十四條
第三項及第四項ノ規定ニ依ラズ仍從前
ノ規定ニ依ルコトヲ得
前項ノ聯合會ニシテ前項ノ期間內ニ其
ノ構成者及組織ニ關シ第四十四條第三
項及第四項ノ規定ニ依ル聯合會ト爲ラ
ザルモノハ其ノ期間滿了ノ日ニ於テ解
散ス
第四條印紙稅法第四條第一項第十一號
中「產業組合聯合會、」ノ下ニ「漁業組合、
漁業組合聯合會、」ヲ加フ
〔國務大臣後藤文夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=25
-
026・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 農業動產信用法
案提出ノ理由ヲ申述ベマス、農山漁村ニ於
ケル金融ノ實情ニ鑑ミマシテ、農漁業者ノ
擔保力ノ增加ヲ圖リ、其生產資金供給ノ圓
滑ヲ期スル爲ニ、新タニ先取特權及農業
用動產ノ抵當權ニ關スル制度ヲ設ケマシテ、
信用組合等ニ依ル農漁業金融ノ圓滑ヲ圖ル
ニ資スルコトト致シ、玆ニ農業動產信用法
案ヲ提出イタシタ譯デゴザイマス、法案ノ
要旨ハ第一ニ農業及漁業等ノ經營用品ノ購
入等ニ必要ナ資金ノ貸付ヲ致シマス場合ニ
於ケル特別ノ先取特權ヲ認メルコトト致
シ、第二ニ農業者及漁業者等ノ債務ノ擔保
ニスル爲メ、農業及漁業等ノ經營ニ用フル
重要ナ動產ノ上ニ抵當權ヲ設定シ得ルコト
ト致シマシタ第三ニ以上ノ先取特權若ク
ハ農業用動產抵當權ヲ取得シ得ルモノハ信
用組合、其他特定ノ法人ニ限ルコトト致シ
タノデアリマス、以上ガ要旨デゴザイマス、
何卒御審議ノ上御協賛アラムコトヲ希望イ
タシマス、次ニ漁業法中改正法律案提出ノ
理由ヲ申上ゲマス、漁業法ニ於キマシテ現
在認メテ居リマス漁業組合ハ漁業者ノ共
同ノ團體デアリマシテ、漁村ニ於ケル重要
ナ機關デゴザイマス、從來漁業權又ハ入漁
權ノ主體トナリ、又組合員ノ爲ニ漁業ニ對
スル各種ノ共同施設ヲ行ッテ參リマシタガ、
現行ノ規定ノ下ニ於キマシテハ漁村ノ經
濟團體トシテノ機能ヲ十分ニ發揮スル上ニ
尙ホ遺憾ノ點ガゴザイマス、故ニ之ガ機能
ヲ擴充イタシマシテ、漁業組合ヲシテ隣保
共助ノ精神ニ基キ、漁村ノ中樞機關トシテ
活動スルニ便ナラシメマスルコトガ、漁村
經濟ノ更生ヲ圖ルノ方途トシマシテ、極メ
テ肝要デアルト存ズルノデアリマス、又時
勢ノ變遷、漁業ノ進步ニ伴ヒマシテ、現行
漁業法中水產動植物ノ蕃殖保護ト漁業取
締ニ關スル事項其他ニ付キマシテモ、多少
ノ改正ヲ致スコトト致シタイノデアリマス、
玆ニ改正案ノ要旨ヲ簡單ニ申述べマスレバ
第一ニ漁業組合ノ目的ヲ擴張イタシマシ
テ、新タニ組合ノ經濟ノ發達ニ必要ナル共
同施設ヲ爲シ得ルコトト致シマシタ、第二
ニ漁業組合ノ一種トシテ、漁業共同組合ナル
出資團體ヲ新タニ認メマシテ、特定ノ經濟
施設ヲ爲シ得ルモノト致シ、其組織ヲ無限
責任、有限責任及保證責任ノ三種ト致シマ
シタ、又是ト同種ノ施設ヲ爲シ、漁業共同組合
デナイ漁業組合ノ組織ハ、無限責任、又ハ保證
責任ノ二種ト致シマシタ、第三ニ漁業組合聯合
會ハ前述ノ特定ノ經濟施設ヲ行フ漁業組合
又ハ漁業組合聯合會ヲ以テ設立シ得ルコト
ト致シマシテ、其組織ハ有限責任又ハ保證
責任ノ二種ト致シマシタ、第四ニ水產動植
物ノ蕃殖保護、漁業取締ニ關スル規定ニ付
テ必要ナル改正ヲ加へタノデアリマス第
五ニ漁業權又ハ入漁權ノ處分等ニ關スル規
定ニ付テ必要ナル是正ヲ加ヘマシタ、以上
ガ本法案ノ要旨デゴザイマス、御審議ノ上
何卒御協賛アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=26
-
027・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ニハ質疑ノ通
告ガゴザイマス三室戶子爵ニ發言ヲ許シ
やっ、同君ノ御登壇ヲ望ミマス
〔子爵三室戶敬光君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=27
-
028・三室戸敬光
○子爵三室戸敬光君 只今日程ニ上ボッテ
居リマス第四第五、特ニ第五ニ付キマシ
テハ私ハ農林大臣ニ質問ヲ致シタイノデ
アリマス、第五ノ法案ヲ始メ只今議題ニナッ
テ居リマスル所ノ二案ハ非常ニ農林大臣
ノ御苦心ノ作デアルト云フコトニ付テハ敬
意ヲ表スルノデアリマス、併ナガラ玆ニ一
ツ前以テ御伺ヲ申上ゲタイコトハ此漁村
ノ所謂漁業組合、漁民ト云フモノニ對シ
テドレ位ノ關心ヲ平素農林大臣ハ御持チ
ニナッテ居ルカト云フコトヲ伺フノデアリ
マス、是ハ事實ノ問題ヲ捉ヘテ中スコトガ
最モ明瞭ト思ヒマス曩ノ日本院ニ於キマ
シテ請願委員諸君ノ詳密ナル御調査ニ基
キマシテ或漁業組合ヨリ特別ノ、自分ノ
部落ノ前ノ海面ヲ使用ヲスルコトヲ許シテ
貰ヒタイ、斯樣ナ請願ガ出タノデアリマ
ス、而モ其請願ハ委員會ニ於テ採擇トナリ、
本會議ニ於テモ滿場一致デ通過ヲ致シタモ
ノデアリマス私共ハソレガ通過イタシマ
シタ以後ニ於キマシテ其後農林大臣ハ其
通過セル請願ニ對シテ、ドウ云フコトヲ爲
サレタノデアルカト云フコトヲ注意ヲ致シ
テ居リマスルガイマダニ何等ソレニ付テ
考究サレテ居ラナイノデアリマス、只今モ
申上ゲマシタヤウニ、幾多ノ御作ニ係ル所
ニ漁村ノ繁榮ニ關スル爲ニハ御苦心ノ跡ハ
見エマスルガ、事實問題ニ付テ今申上ゲタ
ヤウナ請願ニ對シテ何等ノ考慮ヲ拂ハレ
テ居ラヌト云フコトハデス、ドウ云フ御所
存デアルノデアリマスカ、私ハ疑ヲ玆ニ懷
クノデアリマス、尙ホ事柄ヲ明瞭ニ致シマ
スル爲ニ、最近ノコトデハアリマスガ、其事件
ノ要領ヲ申上ゲマス是ハ神奈川縣ノ或事
柄デアリマシテ、長ク其沿岸ニ居住イタシ
テ居ル所ノ所謂漁民ナル者ハ自分ノ村ノ
前ニアル所ノ沿岸十町、海ノ方ヘハ二十町
ト云フヤウナ廣イ範圍ニ於キマシテ漁業ガ
出來得ナイノデアリマス、何トナレバ他ノ
一個人ニ許サレテアルカラデアリマス漁
業法ノ第五條ニハドウ云フコトガ書イテア
ルカト申シマスト、「水面ヲ專用シテ漁業ヲ
爲スノ權利ヲ得ムトスル者ハ行政官廳ノ免
許ヲ受クヘシ、前項ノ免許ハ漁業組合カ其
ノ地先水面ノ專用ヲ出願シタル場合ノ外之
ヲ與ヘス」、殊ニ第二項ニ於キマシテハ斯ノ
如ク明瞭ニ地先水面ノ專用ヲ出願シタル場
合ノ外之ヲ與ヘズ而モ是ハ漁業組合デア
リマス、然ルニ今申上ゲル所ノ事實問題
ハ漁業組合ニ非ザル隣村ノ一個人ガ許可
サレテ居ル、ソレガ爲ニ自分ノ村ノ前ニ大
キイ海ガアル、其處ニ魚ガ躍ッテ居ルノニ其
處ニ漁業ヲスルコトガ出來ナイ、船ヲ通ス
コトモ出來ナイ、ソレハ漁業ノ妨ゲニナル
ト云フ理由デアルサウデアリマス斯樣ナ
コトヲ放擲サレテ居リマシテ何ノ是ガ漁
村ノ繁榮更生ヲ講ゼラレルコトデアリマセ
ウカ、斯カル事實問題ニ付テ今少シ考慮ヲ
拂ハレテ、然ル後ニ此提案ヲサレテ居ル法
案ノ如キモノガ出マシテ玆ニ初メテ意義
アル法案ト申スコトガ出來ルノデアリマ
ス而モ今申シマシタ事實問題ハ昨年十
一月十四日ニ從來ノ權利者ノ期限ガ滿期ニ
ナルノデアリマス、又今申上ゲル所ノ部落
民ハ昭和六年六月二十五日農林省ニ出願ヲ
致シテ居ルノデアリマス、其コトガアルニ
モ拘ラズ卽チ期限ニ先ダツコト六箇月ト
十五日前ニ神奈川縣知事ガ許可シテ居ルノ
デアリマス、何ノ爲ニ期限到來前一一百日近
イ以前ニ於テ之ヲ許可シタノデアリマス
カ、是ハ當局大臣トシテ御取消ガ出來ナ
イノデアルカドウデアルカ、出來ナケレ
バ出來ナイト云フ法理上ノ理由ヲ伺ヒタ
イノデアリマス、又先刻申上ゲマシタ漁
業法第五條ニ於キマシテハ如何ナル者ニ
許可ヲスルノデアルカト云フコトハ明瞭ニ
揭ゲラレテアルノデアリマス、然ルニ漁業
組合ニ非ザル一個人ニ、從來カラ幾多ノ因
緣ニ依ッテ許可サレテ居ルノデアリマス、尙
ホ又申上ゲマスレバ大正十五年、此問題ハ
行政訴訟ニナリマシテ時ノ縣知事池田宏
君カラハ行政裁判所ノ長官ニ宛テマシテ
來ル大正二十一年卽チ昭和七年ハ丁度滿期
ニナル時デアルカラシテ、其時ニハ何等ノ
拘束ヲ受ケズシテ方法ヲ講ジヤウト云フコ
トヲ書面ヲ以テ行政裁判所長官ニ答ヘテ
居ルノデアリマス地方官ノ任免黜陟ガ始
終激シイ爲ニ、其當時ノ知事ヨリ今ハ何代
カ代ッテ居リマス、然ルニ昭和七年ノ六月ニ
ナリマシテハ十一月ノ十四日ト云フノガ
期限デアルニモ拘ラズ、一一百日程前ニ遡ッテ
直ニ許可ヲシタト云フコトハソコニ何等
カ忌ハシキモノガアルノデハナイカト云フ
コトヲ想像スルコトハ決シテ無理カラヌ
コトデアルト思フノデアリマス此期限ニ
先ダッテ許可ヲ致シタ、他ニモ競願カアル
ニ拘ラズ許可ヲシタト云フコト之ニ對シ
マシテ大臣ハドウ云フ御考ヘデアリマセウ
カ私ハ是等ノコトヲ此處ニ質問イタスコ
トヲ避ケタイ爲ニ、事前ニ於キマシテ農林
大臣ニモ御話ヲ伺ハムガ爲ニ、昨年來四度
バカリ大臣ヲ訪問イタシタノデアリマス
併シ非常ニ御繁忙デアリマスカラ、イツモ
御目ニ懸レナカッタ、併シ祕書官ヲシテ、大臣
ノ御意向ハ第一囘ヨリハ第二囘、第二囘ヨ
リハ第三囘、第三囘ヨリハ、第四囘ニ至リマシ
テ、段々請願者ノ意思ガ通ルヤウナ風ノ御
傳言デアッタノデアリマス、固ヨリ是ハ書イ
タモノハナイノデアリマスルカラ大臣ガ
左樣ナコトハ申サナイト言ハレレバソレ
迄デアリマスガ、左樣ナコトモアッタノデア
リマス、而モ私ハ一月十五日デアッタカト
思ヒマスガ大臣ヲ御訪問イタシマシタ、
其時ニハ祕書官ヲシテ、是ハ水產局長、次
官其他ト二三日ノ中ニヨク相談ヲスルト云
フコトデアッタ、然ラバ誠ニ有難イコトデ
アルカラ、其採否ハ兎ニ角トシテ、一度私
ニ御會ヒ下サレヨ、其結果ヲ伺ヒマセウト
云フコトヲ御約束ヲシテ歸リマシタ所ガ、
其後爾來杳トシテ私ニ御話ヲ下サル所ノ機
會ヲ御與ヘ下サラナカッタノデアリマス、是
等モ當局大臣トシテ、眞ニ請願ノ趣旨、漁
民ノ希望ト云フコトヲ始終御考ヘニナッテ
居ルナラバ何トカ都合ヲシテ私共ニ御話
ガナケレバナラヌ、然ルニ左樣ナコトモナ
イト云フニ至リマシテハ是デ果シテ行政
大臣トシテ仕事ガ出來ルノデアリマセウ
カ、又國務大臣トシテ斯樣ナ扱ヒヲナサル
ト云フコトハドウ云フ思召デアルカ、眞ニ
漁民ノ上ヲ始終御心配ニナルナラバ唯形
式ノ上ニ於テ法文ノ改正ヲスルデナク精
神的ニ漁村ノ更生等ヲ圖ラナケレバナラヌ
ト思フノデアリマス、此故ニ此上院ヲ通過
イタシマシタ所ノ、只今申上ゲマシタ所ノ
問題ニ付キマシテハ、ドウ云フ御考ヘデオ
イデニナリマスルノカ玆ニ改メテ明白ニ
御答ヲ願ヒタイノデアリマス、而シテ是ハ
私ガ唯願フニアラズシテ、本院ヲ通過イタ
シテ居ル所ノ請願デアルト云フコトニ能ク
御氣ヲ御付ケニナリマシテ、御答辯ヲ願フ
次第デアリマス
〔國務大臣後藤文夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=28
-
029・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 三室戶子爵ノ御
尋ニ御答ヲ致シマス御尋ノ漁業權ノ免許
ノ取消ニ關シテノ請願ノコトハ承知イタシ
テ居リマス是ハ三室戶子爵ノ仰セラレタ
ヤウニ、地先水面ノ專用ノ漁業權デハゴザ
イマセヌ、地先水面ノ専用ノ漁業權ハ其地先
ノ漁村ノ漁業組合ニ許スコトニナッテ居リ
マス、只今問題トシテ御揭ゲニナッタノハ專
用漁業權デハナイノデアリマシテ是ハ個
人ニモ許セルコトニ法制ガナッテ居リマス、
ソレデ只今御尋ノ漁業權ハ、旣ニ過去ニ於テ
數十年間繼續シテ存在イタシテ居リマス
ソレヲ昨年ノ五月神奈川縣知事ガ其權限ニ
基イテ期間ノ更新ヲ致シタノデアリマス、
其後ニ至リマシテ只今ノ漁業組合等ノ陳情
等ガ當局ヘ參ッテ居ッタヤウデアリマス尤
モ此漁業組合ト漁業權者トノ間ニハ過去
ニ於キマシテモ長ラク紛議ガ續イテ參ッテ
居ルコトハ私モ承知シテ居リマス、併ナガ
ラ神奈川縣知事ガ其權限ニ基イテ昨年ノ五
月デアッタト思ヒマスガ確ト私時日ノ所
ヲ記憶イタシテ居リマセヌケレドモ或ハ
間違フテ居ルカモ知レマセヌ許可ヲ致シ
マシタコトハ之ヲ今更主管ノ農林省トシ
テ取消ヲ致スト云フコトハ出來ナイノデア
リマス漁村ノ更生ヲ考ヘ其地元ノ漁民
ノ利害得喪ニ付テハ御同樣ニ熱心ナル考ヲ
有ッテ居リマス、日夜サウ云フコトニ付テハ
苦慮ヲ致シ、苦心ヲ致シテ居ル譯デアリマ
ス、此御揭ゲニナッタ特定ノ場所ノ問題ハ
只今申シタヤウナ事情デアリマス神奈川
縣知事ノ處置ヲ不都合デアルト認メル譯ニ
ハ參リ兼ネルノデアリマス、法規ノ上カラ
之ヲ取消スト云フコトモ致シ兼ネルノデア
リマスソレカラ三室戶子爵ノ私ヲ御訪ネ
ニナリマシタ經過ニ付テ色ミ御話ガアリマ
シタガ、是ハ如何ヤウナ次第デアリマシタ
カ私モ其都度ノコトハ深ク承知イタシテ居
リマセヌ或ハ禮ヲ缺クコトガアリマシタ
ナラバ深ク御詫ヲ申上ゲタイト存ジマス
〔子爵三室戶敬光君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=29
-
030・三室戸敬光
○子爵三室戸敬光君 大臣カラ御答辯ヲ承
ハリマシタガ此地先ハ漁業專用權デナイ
ト云フコトデアリマシタガ併ナガラ其沿
岸ニ他ノ人ミガ何ノ權利デアリマシテモ
其前デ其土地ノ人ガ自分ノ店先デス、其處ニ
於テ仕事ヲスルコトガ出來ナイト云フヤウ
ナ結果ヲ來スヤウナ、多クノ權利ヲ許可サ
レテアルト云フコトガ、私共ハ意味ヲナサ
ナイト思ヒマス、自分ノ店先ニ往來ヲ止メ
ラレマシテモ、商品ハ自分ノ店ニ置クコト
ガ出來ルノデアリマス、漁村ニ於テ海ヲ使
用スルコトガ出來ナイト云フコトハ首ヲ
縊ッテドウカセイト云フコトデアリマス、其
結果ヲ來スコトガ宜クナイ、之ニ付テハ行
政上相當ナ處置ヲ執ラレルノガ宜カラウト
思フノデアリマス、今日ハ嚴正ナル法律ノ
適用ニ付テ司法官ノヤリマスル方針ニ付キ
マシテモ世ノ事情、世態、人情等ヲ斟酌シ
テ、直ニ意義ノアル判決ヲ下スヤウニナッテ
居ルコトハ御承知ト思ヒマス、況ヤ行政的
ノ事業ト云フモノハ區區タル法規ノ末ニ
拘泥シテ居リマシテハ眞ニ立派ナル行政
ハ行ハレナイノデアリマス、事前ニ於テ二
百日モ前ニ取消ヲスル、認可ヲスルト云フ
ヤウナヤリ方ハ果シテ穩健デアリマセウ
カドウデアリマセウカ、法規ノ末ニ走ラズシ
テモウ少シ活用、活キタ點ヲ御捉ヘニナラ
ナケレバナラヌト思フノデアリマス又此
海面ハ先刻モ申上ゲマシタ通リ、非常ニ廣
範圍ニ亙ッテ居ルノデアリマス、山本只今ノ
内相ガ大正十年頃ニ農林······其時分ハ農商
務大臣ト申シタヤウデアリマスガ、其局ニ
當ラレテ居リマスル時ニ、此事件ヲ何トカ
宜イ工合ニ、爭ヒノ當事者間ニ話ノ付クヤ
ウニト云フヤウナ御心配ヲナサッタヤウデ
アリマス、併シ間モナク大臣ハ職ヲ御離レ
ニナッテソレ切リニナッタヤウデアリマス
私共ハ眞ニ農村ノ更生ト云フヤウナコトヲ
口ノ上デナク、腹カラ左樣ニ御思召ス大臣
デアッタナラバ、左樣ナ方法ニ依ルコトモ一
案ト思フノデアリマス、然ルニ唯神奈川縣
知事ノヤッタコトデアルカラ、致方ナイコ
トデアルト云フヤウナ不深切極マル法文
ノ末ニ囚ハレタル御說ハ大臣トシテノ御
位置カラ少シ御考ヘニナッテ宜カラウト思
フノデアリマス折角御答辯ヲ下サイマシ
タケレドモ此點ニ付キマシテ今少シ大臣
ノ御抱負ノアル所ヲ伺ヒタイノデアリマス、
幸ニ御答辯ヲ下サレバ仕合セト存ジマス
〔國務大臣後藤文夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=30
-
031・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 重ネテ御尋ネデ
ゴザイマスルガ、此問題ニ關シマスル私ノ
所見ハ只今申シタ通リデゴザイマス唯過
去ニ於キマシテ長ク紛議ノ續イタ所デアル
ヤウデアリマス私ハ只今ノ新タナル更新
ガ行ハレタ其後ニ於テ、是等ノ事情ヲ承知
イタシタヤウナ譯デアリマス、地元ノ漁業
組合、地元ノ漁業權ヲ有ッテ居ル人達トノ
間ニ紛爭ノ續イテ居ルト云フコトハ決シテ
好マシクナイ狀態デアルト思ヒマス私モ
衷心ヨリ此紛爭ガ適當ニ解決サレルコトヲ
其地方ノ爲ニ希望イタシテ居リマス併ナ
ガラ此權利ノ許否又ハ行政官廳トシテノ之ニ
對スル處置ノ問題トシテハ只今私ノ申シ
タ見解ヲ申述ベルヨリ致方ガナイノデゴザ
イマス、左樣御諒承ヲ願ヒタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=31
-
032・三室戸敬光
○子爵三室戸敬光君 簡單デゴザイマスカ
ラ是カラ······只今農林大臣ノ御答ヲ得マシ
タガ、私共ハ甚ダ不滿足デアリマス只今
ノ御答ナラバ態〓御立チ下サッテ御答ヘハ
要ラナカッタノデアリマス、今少シ精神ノ
籠ッタ御答ヲ伺ヒタイト思ッタノデアリマス
ガ、既ニ再ビ斯ノ如キ御答デアルトスレバ
是レ以上私ガ願ヲテモ無用ト存ジマスカラ、
私ハ質問ハ是デ打切ルコトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=32
-
033・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 兩案ノ特別委員
ノ氏名ヲ書記官ヲシテ···只今議長ノ申シ
カケマシタコトハ誤リデゴザイマス、兩案
トモ製絲業法中改正法律案特別委員ニ付託
イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=33
-
034・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第六、震災
被害者ニ對スル租稅ノ免除猶豫等ニ關スル
法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、
堀切政府委員
震災被害者ニ對スル租稅ノ免除猶豫等
ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和八年三月十六日
衆議院議長秋田〓
貴族院議長公爵德川家達殿
震災被害者ニ對スル租稅ノ免除猶豫等
ニ關スル法律案
第一條政府ハ震災(昭和八年三月三日
ノ震災及之ニ伴フ火災又ハ海嘯ヲ含ム
以下同ジ)ニ因ル被害者ノ震災地ニ於
テ納付スベキ昭和七年分第三種所得稅
第四期分ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ之
ヲ免除スルコトヲ得
第二條政府ハ震災ニ因リ著シク利用ヲ
妨ゲラレタル土地ニ付命令ノ定ムル所
ニ依リ其ノ地租ヲ免除スルコトヲ得
第三條政府ハ震災地ニ於テ納付スベキ
昭和八年分ノ第三種所得稅、個人ノ營
業收益稅及乙種資本利子稅ニ限リ課稅
ニ關スル申〓及申請竝ニ課稅標準ノ決
定ニ關シ命令ヲ以テ特例ヲ設クルコト
ヲ得
第四條政府ハ震災地ニ於テ昭和八年三
月三日以後ニ納付スベキ租稅ニ付命令
ノ定ムル所ニ依リ其ノ徵收ヲ猶豫スル
コトヲ得
第五條第一條、第三條及前條ノ震災地
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條第一條又ハ第二條ノ規定ニ依リ
免除セラルル租稅ハ法令上ノ納稅資格
要件ニ關シテハ免除セラレザルモノト
看做ス
前項ノ規定ハ北海道地方稅及縣稅ニシ
テ震災ニ因リ減稅セラルルモノニ付之
ヲ準用ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員堀切善兵衞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=34
-
035・堀切善兵衞
○政府委員(堀切善兵衞君) 玆ニ問題トナ
リマシタ震災被害者ニ對スル租稅ノ免除猶
豫等ニ關スル法律案ノ說明ヲ致シマス去
ル三月三日ノ三陸地方ニ於ケル震災ハ相當
激甚デアリマシテ殊ニ之ニ伴フ海嘯ハ一
層其慘禍ヲ大ナラシメ、被害者ニ對シテハ
誠ニ同情ニ堪ヘナイ次第デアリマス被害
者中ニハ國稅ノ納稅者ニシテ土地ノ損傷、
家屋ノ倒壞流失家財其他營業用商品、原
料品等ノ滅失毀損等ノ爲ニ、租稅ノ負擔力
ヲ減殺セラレタル者ガ尠クナイノデアリマ
ス納稅者ノ租稅負擔力ノ減殺セラレタル
場合ノ救濟方法ニ關シマシテハ現行法中
ニモ一部其規定ガアリマスケレドモ震災
ノ如キ非常災害ニ對應スル方法ト致シマシ
テハ十分デアリマセヌノデ從來モ震災ノ
場合ニ於キマシテハ租稅ノ免除猶豫等ニ
關シテ特ニ救濟ノ方法ヲ講ジタ例ガアルノ
デアリマスルガ今囘モ亦特ニ之ガ救濟ノ
方法ヲ講ズル必要アリト認メマシテ本案
ヲ提出シタ次第デアリマス何卒御審議ノ
上速ニ協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希望イタシ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=35
-
036・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案ハ地租法中
改正法律案外五件ノ特別委員ニ付託イタシ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=36
-
037・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第七ヨリ第
十七マデ承諾ヲ求ムル件、衆議院送付、堀
切政府委員
昭和五年度第一豫備金支出ノ件
昭和五年度特別會計第一豫備金支出ノ
件
昭和六年度第一豫備金支出ノ件
昭和六年度特別會計第一豫備金支出ノ
件
昭和六年度第二豫備金支出ノ件
昭和六年度豫備金外ニ於テ豫算超過及
豫算外支出ノ件
昭和六年度特別會計第二豫備金支出ノ
件
昭和六年度特別會計豫備金外ニ於テ豫
算超過及豫算外支出ノ件
昭和七年度第二豫備金支出ノ件
昭和七年度特別會計第二豫備金支出ノ
件
昭和七年度特別會計豫備金外ニ於テ豫
算超過支出ノ件
右本院ニ於テ承諾スヘキモノト議決セリ
因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和八年三月十六日
衆議院議長秋田〓
貴族院議長公爵徳川家達殿
〔政府委員堀切善兵衞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=37
-
038・堀切善兵衞
○政府委員(堀切善兵衞君) 只今議題トナ
リマシタ昭和五年度第一豫備金支出外十件
ニ關スル事後承諾ヲ求ムル件ニ付キ、其大
體ノ說明ヲ致シタイト存ジマス昭和五年
度第一豫備金ノ豫算額ハ六百萬圓デアリマ
スルガ昭和五年勅令第百四十五號ニ依ル
第一豫備金ヨリ補充イタシマシタル主ナル
事項ハ外國在勤俸、軍事救護費、諸拂戾
及補塡金、恩給等デアリマシテ其總額ハ
五百九十九萬九千九百八十九圓デアリマス、
各特別會計ニ於テモ其第一豫備金ヨリ豫
算超過ノ支出ヲ致シタモノガアリマス、次
ニ昭和六年度第一豫備金支出ニ付キ申上ゲ
マ ·昭和六年度第一豫備金ノ豫算額ハ六
百萬圓デアリマスルガ、昭和六年勅令第二
百四十七號ニ依ッテ、第一豫備金ヨリ補充イ
タシマシタル主ナル事項ハ外國在勤俸軍
事救護費、刑務所收容費、家畜傳染病豫防
費恩給等デアリマシテ其總額ハ六百萬
圓デアリマス、各特別會計ニ於キマシテモ
其第一豫備金ヨリ豫算超過ノ支出ヲナシタ
モノガアリマス次ニ昭和六年第二豫備金
支出ニ付キ申上ゲマス昭和六年度一般會
計第二豫備金ノ豫算額ハ八百萬圓デアリマ
シテ、其支出ノ主タル事項ヲ擧ゲマスレバ、
「ジユネーヴ」一般軍縮會議參列費、滿洲事
件費、中華民國方面臨時艦艇派遺諸費補足
等デアリマシテ豫算金額ヲ支出イタシマシ
タ次ニ昭和六年度豫備金外支出ニ付キ申
上ゲマス昭和七年一月二十一日第六十囘
帝國議會ニ於テ衆議院ガ解散セラレマシタ
結果緊急支出ヲ要スル使途ニ對シ政府
ハ己ムヲ得ズ昭和七年二月一日ヨリ同年三
月四日迄ノ間ニ於テ歲計剩餘金及公債金ノ繰
入ヲ以テ豫算超過及豫算外ノ支出ヲ爲シタ
モノガアリマス其事項ノ主ナルモノハ恩
給「ジユネーヴ」一般軍縮會議參列費、衆
議院議員總選擧諸費衆議院議員總選擧檢
察費、衆議院議員總選擧通信取扱費、滿洲
事件費、中華民國方面臨時艦艇派遣諸費補
足等デアリマシテ、其總額ハ七千五百七十
萬七千五百五十八圓デアリマス、各特別會
計ニ於キマシテモ第二豫備金及豫備金外ニ
於テ歲計剩餘金又ハ歲入金ヲ以テ豫算超過
及豫算外ノ支出ヲ爲シタモノガアリマス
次ニ昭和七年度第二豫備金支出ニ付キ申上
ゲマス昭和七年度一般會計第一一豫備金ノ
豫算額ハ八百萬圓デアリマシテ、其支出ノ
主ナル事項ヲ擧ゲマスレバ、「ジユネーヴ」
一般軍縮會議參列費、同補足、國際聯盟總
會臨時會議參列費及各省所管ニ關ハル火災
風水害其他ニ因ル復興費等デアリマシテ
其總額ハ七百四十九萬三千百八十圓デアリ
マス、各特別會計ニ於キマシテモ其第二豫
備金ヲ支出シ又豫備金外ニ於テ其歲入金
ヲ以テ豫算超過支出ヲナシタモノガアリマ
ス何卒御審議ノ上承諾ヲ與ヘラレムコト
ヲ望ム次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=38
-
039・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名
ヲ、書記官ヲシテ朗讀ヲ致サセマス
〔小林書記官朗讀〕
昭和五年度第一豫備金支出ノ件(承諾ヲ
求ムル件)外十件特別委員
公爵德川圀順君子爵裏松友光君
子爵大岡忠綱君男爵德川喜翰君
安立綱之君中川小十郞君
小坂順造君根津嘉一郞君
白勢春三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=39
-
040・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 日程第十八、外
國爲替管理法案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會ノ續委員長報告、兒玉特別委員
長ノ登壇ヲ望ミマス
外國爲替管理法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和八年三月十五日
委員長伯爵兒玉秀雄
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵兒玉秀雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=40
-
041・兒玉秀雄
○伯爵兒玉秀雄君 只今議題ニナリマシタ
外國爲替管理法案ノ委員會ノ經過竝ニ結果
ヲ御報告申上ゲマス
〔副議長公爵近衞文麿君議長席ニ著ク〕
本案ハ外國爲替取引ニ關シマスル制限又ハ
禁止ノ廣汎ナル權限ヲ政府ニ附與シ且ツ
外貨證劵ノ處分ニ付キ絕對ノ權限ヲ政府ニ
與ヘ且ツ金ノ輸出禁止ニ關スル事項ヲ規
定イタシマシタル所謂非常立法ニ屬スル
モノデアリマス、從ヒマシテ貿易上金融上
ハ勿論ノコト一般ノ經濟界ニ重大ノ影響
ヲ與フルモノデアリマス委員會ハ開會ヲ
致シマスルコト前後六囘、愼重ニ審議ヲ重
ネマシタ、本案ハ旣ニ提出ノ際ニ於キマシ
テ大藏大臣ヨリ說明ガアリマシタノデ大要
ハ盡キテ居リマスルガデス其後委員會ニ
於キマシテ質問應答ノ結果ト致シマシテ
本法ノ內容竝ニ施行ノ方針等ニ付キマシテ
明瞭ニナリマシタル點ガゴザイマスルカ
ラ其點ヲ御報告申上ゲテ置キタイト思ヒ
やく、本案ノ終局ノ目的ト致シマスル所
ハ、爲替ノ安定ニアリマスルノハ勿論ノコ
トデアリマスルガデス當面ノ目的ト致シ
マシテハ資本逃避ヲ徹底的ニ防止スルコ
ト爲替ノ思惑ヲ取締ルコト竝ニ爲替ノ
作用ニ依リマシテ所謂間接ニ貿易管理ヲス
ルノ三點ニアルノデアリマス昨年ノ七月
ニ資本逃避防止法ガ實施セラレタル以來ノ
實蹟ヲ見マスルト大體ニ於テ所期ノ目的
ヲ達成シタル譯デアリマスルガ元來資本
逃避防止法ハ單純ナル資本逃避ヲ目的ト致
シテ居リマスルノデ資本ノ國外ノ逃避及
爲替ノ思惑ヲ徹底的ニ取締リマスルノニハ、
不十分ノ點ガ少クナイノデアリマス、而シ
テ現時ノ國際經濟ノ情況ヲ見マスルト、列
國ハ或ハ爲替ノ管理ニ依ッテ、或ハ貿易ノ管理
ニ依ァテ、更ニ又關稅ノ障壁ヲ高ク致シマシ
テ、極メテ複雜ナル實情ニアルノデアリマ
ス、言葉ヲ換ヘテ申シマスナラバデス、現
在ノ國際經濟關係ハ全然常軌ヲ逸シテ安定
ヲ缺イテ居ルノデアリマスルガ故ニ玆
豫期セザル經濟上ノ突發事件發生ノ憂ヘガ
少クナイノデアリマス此機ニ臨ミマシテ
臨機適切ナル處置ヲ致シマスルノニハ、廣汎
ナル爲替管理ヲ爲シ得ルノ權限ヲ政府ニ附
與イタシマシテ、經濟上自衞的ノ處置ヲ全
ウスルノ必要ヲ認メタ次第デアリマス要
スルニ本法ノ趣旨ト致シマスル所ハ資本逃
避防止法ノ缺點ヲ補ヒマシテ、且ツ爲替ノ
作用ニ依リマスル貿易管理ヲモ行ヒ得ル所
ノ重大ナル權限ヲ、新タニ政府ニ與ヘムト
スル所ノモノデアリマス本法ガ只今中上
ゲマシタ如クニ、廣ク爲椿管理ニ關シマス
ル權限ノ範圍、竝ニ之ガ罰則ノ程度ヲ〓括
的ニ規定シテ居ルニ過ギマセヌガ爲ニ實
際ニ之ヲ行使スル所ノ程度ハ一ニ施行命令
ニ依ッテ定メラレル譯デアリマス、從ヒマシ
テ施行命令ニ規定セラルベキ所ノ其範圍
ハ本法審議上重要ナル部分ニ屬スルノデ
アリマスルカラ今其大要ヲ申上ゲテ見タ
イト思フノデアリマス、施行命令ノ中ニ規
定セラルベキ第一ノ條項ハ資本逃避防止
ニ付キマシテハ現行省令ノ規定全部ヲ採
リ入レマス更ニ取締事項ヲ追加ヲ致シマ
ス、從テ無爲替ノ輸出等ニ付キマシテモ
新タニ取締ヲ設クルコトニナッテ居リマス、
第二、爲替ノ思惑取引ハ出來ルダケ抑制ス
ル方針デアリマス第三、外國貿易其他正
常ノ取引ニハ出來ルダケ迷惑ヲカケナイコ
トト致シマシテ、萬一取締ノ必要ヲ生ズル
場合ニ於キマシテモ嚴ニ其必要ノ程度ヲ
超エナイコトニ致シタイト云フ考ヲ持ッテ
居ラレルノデアリマス、第四、外國爲替ノ公
定ノ如キハ今直ニ之ヲ實行スルノ考ヘハ
持ッテ居リマセヌ、第五、爲替取引ヲ日本銀
行其他ニ集中スルト云フコトモ、今直ニ實行
スル考ヘハ持ッテ居ラレナイノデアリマス
第六、爲替ノ先物取引ニ付キマシテハ尙ホ
考慮中デアリマスカラ明言スルコトハ憚リ
マスルガ、是モ今直ニ實行スル必要ハナイ
ト考ヘテ居ラレルノデアリマス第七、信
用狀ニ付キマシテモ、差當リ貿易關係ナキ
モノニ限ッテ之ヲ取締ルト云フ考ヘデアリ
マス第八、關東州ニモ或範圍ノ取締令ヲ
施行シタイト云フ考ヲ持ッテ居ルト云フコ
トデアリマス要シマスルノニ本法施行ノ差
當リノ目的ト致シマスル所ハ資本逃避ヲ
徹底的ニ取締ルノ範圍ニ止マル所ノモノデ
アリマシテ、其目的ヲ貫徹スルガ爲ニハ貿
易ニ影響ノナイ限度ニ於キマジテ新タニ
無爲替逆爲替及信用狀等ノ取締ヲ属行イ
タシマシテ、專ラ思惑ニ依ル弊害ヲ除去セ
ムトスルノ程度ニ過ギナイノデアリマス
從ヒマシテ今直ニ爲替作用ニ依ル貿易管理
マデヲ實行セムトスル所ノ意思ハ毫モナイ
ト認メラレルノデアリマス、又政府ハ不自
然ナル爲替ノ騰落ヲ防グコトハ期シマスル
ケレドモデス積極的ニ爲替ノ安定ヲ圖ル
ベキ方策ヲ講ズル考ヘハナイト認メマス
尙ホ衆議院ニ於キマシテハデス本法ノ重
大性ニ鑑ミテ本法ニ修正ヲ加ヘマシテ重
要ナル事項ニ付キマシテハ外國爲替管理
委員會ニ諮問スベシト云フ一條ヲ附加ヘテ
居リマス政府ハ之ニ同意ヲ表シテ居ルノ
デアリマス、是ガ爲替管理法ノ內容竝ニ施
行細則ノ大體ノ說明ト御承知ヲ願ヒタウゴ
ザイマス、次ニ質問應答ノ大要ヲ申上ゲマ
ス、詳細ノコトハ速記錄ニ讓リタイト思ヒ
やく、質問ノ第一ハデス衆議院ノ修正ニ
基イテ別ニ委員會ヲ設置スルト云フ事柄
ハ本法ノ運用ノ敏活ヲ缺クバカリデナ
〃、組織、人選ノ如何ニ依リテハ、却テ弊
害ヲ生ズルノ虞ハナイカト云フ質問デアリ
マス政府ハ委員會ニハ唯重要ナル事項
ヲ諮問スルノミデアッテ、細カイコトマデ
ヲ付議スル意味ハナイノデアルカラ、運用
上左ホド妨ゲニナラナイノミナラズ、却テ
本法ヲ施行スル上ニ於キマシテ一般民心ニ
安心ヲ與ヘル利益ガ多イト思フガ故ニデス、此
修正案ニハ同意ヲシタノダト說明ヲサレテ
居リマス爲替取引ノ機關ヲ一銀行ニ集中
スルノ意思アリヤ否ヤト云フ質問ニ對シマ
シテハ、政府ハ斯ノ如キ最後ノ手段ニ出ヅ
ルヨリハデス專ラ關係業者ト協調ヲシテ
恰モ一ツノ機關ノ如ク、爲替銀行ヲシテ政
府ノ政策ニ順應シテ、國家的ニ活動スル
ヤウニ仕向ケタイ考ヲ持ッテ居ルノダト說
明サレテ居リマス爲替相場ノ取極メニ關
シマシテ爲替ガ急激ノ變動ヲナサムトス
ル場合ニ於キマスル對策ニ付キマシテハ
政府ハ爲替相場ヲ一定シヤウト思フナラバ
デス中央銀行ヲシテ一切ノ重替行爲ヲ
取扱ハシメテ、如何ナル事柄モ其「バランス」
ヲ破ルコトナキ方策ヲ講ズルニアラザレバ
デス其目的ハ達シ難イ、而シテ爲替相場
ヲ公定スルト云フ事柄ハ、非常ニ人爲的ノ
方策ヲ加ヘルコトガ多イ、故ニデス、申口
サウ云フ方法ヲ執ルヨリハ思惑取引ヲ抑
制ヲ致シマシタナラバ相場モ自然ニ安定
ニ赴ク次第デアリマスルカラ、政府ハ英國
ノ例ノ如ク、爲替平衡資金ノ如キモノヲ設
ケテ、其安定ヲ策スル考ヘモナク、又其必
要モ認メナイト云フ明白ナル答辯ガアリマ
シタ次ニ本法ニ金ノ輸出禁止ニ關スル條
項ヲ加ヘタノハ本件ヲ立法事項ナリト認
メタルニ依ルカト云フ質問ガゴザイマシ
タ此質問ニ對シマシテ、政府ハ頗ル率直
ニ同感ノ意ヲ表サレテ居リマス、金ヲ輸出
シタリ或ハ禁止シタリスルコトハ重大ナ
ル事項デアッテデス、時ノ大藏大臣ガ勝手
ニ省令デヤルガ如キ輕イ事柄デハナイ、矢張
リ少クトモ緊急勅令ヲ以テヤルベキモノデ
アルト云フ事柄ヲ嚴肅ナル意味ニ於テ明
言サレテ居リマス本法第四條ニ於キマス
ル電力會社ノ社債等、外國證劵ノ强制處分
ニ關係イタシマシテハ政府ハ是ハ傳家ノ
寶刀トシテ、決シテ濫リニ行使スベキ性質
ノモノデハナイ、且ツ公益ノ爲ニデス、國家
經濟ノ大局ニ基イテ發動スベキモノデアリ
マシテ單純ニ會社又ハ個人ノ利害ニ依リ
テ發動スベキモノニアラズトノ意見ヲ述べ
ラレテ居リマス爲替ノ低落又ハ動搖ハ日
本ノ經濟財政ノ不安ノ重大ナル原因デアル
カラシテ爲替ノ安定ノ維持ハ本法ニ依リ
テ望ミ難イ須ラク財政ノ基礎ノ堅實ナル
ヲ期スベシト云フ御質問ニ對シマシテ、最
モ熱烈ナル質目應答ガ繰返サレマシタ、政
府ハソレハ原因ニナルニハ違ヒナイガ我
國ハ他國ト國情ノ相違ニ基イテ假令財政
ノ「バランス」ガ合ハナイト云ッテモ、日本ノ
信用ガ無クナリ爲替相場ノ下落ニ非常ナ
ル原因ニナルト云フコトハ外國トハ其程
度ガ違フト云フ風ニ說明サレテ居リマス
結局兩者意見ノ相違ニ歸スルノ觀ヲ呈シマ
シタ無爲替ノ取締ニ關係イタシマシテ
政府ハ其趣旨トスル所ハ無爲替ニ依リマ
スル資本逃避ヲ防止セムトスルモノデアリ
やゝ、從テ貿易商ガ委託ニ依リ輸出スル場
合、又ハ銀行ガ爲替ヲ附セザル場合、或ハ
本支店間ノ附替ニ依ル場合等、無爲替デナ
ケレバ出來ナイ場合ニ於キマシテハ商賣
上差支ナク取扱ヒ得ルヤウナ途ヲ講ジタイ
ト申シテ居リマス海外投資ノ場合ニ於キ
マシテモ國民經濟上又ハ軍事上必要缺ク
ベカラザル投資ニ關シテハキ義トシテハ
之ヲ認ムベキ旨說明サレテ居リマス、大一
本法ノ施行ニ關係シマシテ最モ至難ニ感ゼ
ラルルノハ本法ヲ關東州ニ適用セムトス
ル場合デアリマス御承知ノ通リニ關東州
ハ國際上特殊ノ地位ニ在リマス又日本ノ
法制ニ於キマシテモ、或ハ之ヲ外國トシテ
取扱ヒ、或ハ內地並ミニ取扱フテ居ル次第
デアリマス、從テ本法施行ニ際シマシテ關
東州ヲ外國ト見テ取扱フベキヤ否ヤト云フ
コトニ關係シテハ利害ガ錯雜スルノデア
リマス政府ハ之ヲ關東州ヲ外國ト看做シ
テ同地方ノ特殊ノ事情ヲ參酌シテ、適當
ナル規定ヲ設ケタイト云フ考ヲ持フテ居ラ
レマシテ滿洲國トノ關係、滿鐵會社トノ
關係ヲ初メトシテ、錢鈔取引問題ニ至リマ
スマデ、最モ詳細ニ亙リマシテ質問應答ガ
重ネラレタノデアリマス、而シテ其實施ニ
當リマシテハ同地方ニ於ケル貿易ヲ阻害
シナイヤウ深甚ナル注意ヲ以テ取扱フテ貰
ヒタイト云フ希望ガ附加ヘラレテ居リマ
ス其他質問應答ハ澤山ゴザイマスルガ
例ヘバ產金ニ關シマスル問題、輸入ノ場合
ニ於キマスル資本逃避防止ノ問題、本法ニ
對シマスル違法行爲ノ私法上ノ效果ニ關ス
ル問題等ハ之ヲ省略シテ置クコトニ致シ
マス斯クシテ質問ガ終了イタシマシテ討
議ニ移リマシタ討議ノ場合ニ於キマシテ
ハ一委員ヨリ本法ハ其運用ノ如何ニ依リ
マシテハ良法トモナリ又惡法トモナリ、
一般經濟界ニ甚大ナル影響ヲ及ボスモノデ
アルカラ、政府ハ其運用ニ當リマシテ專ラ
公益ヲ旨トシ周到ナル用意ト明敏ナル
判斷トヲ以テ、公正適實ナラシムルコトニ
注意ヲシテ貰ヒタイ、職權濫用ノ弊ニ陷ル
ヤウナコトノナイヤウニ注意ヲシテ貰ヒタ
イ、且ツ正常ナル取引ヲ阻止シ、或ハ私人
ノ權利ヲ侵害スル如キ弊ガ萬一ニモ起ラザ
ルヤウニ期シテ貰ヒタイ、又爲替管理委員
會、爲替管理部ノ組織、人選ニ關係シテモ、
深甚ナル注意ヲ拂ッテヨク實際ニ卽シ其
適正ナルコトヲ得セシムルヤウニ十分留
意ヲ促シタイ、其理由ニ基キマシテ、其意
味ニ於キマシテ希望條件ヲ提出セラレマシ
テ、其結果ヲ本會議ニ報〓セラレタキ旨述
ベラレマシタ、尙ホ本法ヲ關東州ニ施行ス
ル場合ニハ、滿洲國、滿鐵其他ノ經濟上、取
引上、緊切ナル關係アルヲ考ヘテ、尙ホ地方
的特殊事情等ヲ參酌シテ、適切ナル方策ヲ立
テラレタイ、又爲替相場ノ安定ヲ圖ラムトセ
バ、財政計畫ヲ樹立スルコトガ最大急務デ
アル事柄ヲ切言セラレマシテ、政府ニ對シテ
警告的ノ意見ヲ開陳セラレマシタ、又他ノ委
員ハ、今日內外ノ狀勢ニ鑑ミテ、我ガ國民經濟
ノ利益ヲ擁護スル必要上、本法ハ最モ適切ナ
ル立法ト信ズルノデアル、而シテ此非常時ニ
際シテハ先ヅ此處數年間ハ我ガ經濟界ヲ
堅實ナラシムルガ爲ニ、國稅ノ自然增收ヲ
俟ッテ而シテ後ニ增稅ヲ斷行セラルルト共
ニ、國費ノ大削減ヲ圖ヲテ財政ノ均衡ヲ取ル
ヨリ外ニハ途ガナイノデアル、髙橋大藏大
臣ノ財政政策ニ全然贊成ノ意ヲ表スル者デ
アルト言ハレマシタ、而シテ我產業界ノ健
全ナル發達ヲ遂ゲシムルノニハ圓價ノ騰
貴ヲ或程度マデ抑制シテ、假令實勢以下ト
思ハルル相場ニテモ產業上ノ實情ニ應ズ
ルヤウ調節セラレタイト云フ意見ヲ述ベラ
レテ居リマス、意見ノ陳述ガ終リマシテ
次デ採決ニ入リマシタ、採決ノ結果衆議院
送付ノ本案ニ對シテハ全會一致之ニ贊成
ノ意ヲ表シテ可決セラレマシタ次第デアリ
やっ、次デ希望條件モ亦可決セラレマシタ
唯今希望條件ヲ御披露申上ゲタイト思ヒマ
ス
希望條件
政府ハ本法ニ依リ附與セラレタル權限ノ
廣汎ナルニ鑑ミ其ノ運用ヲ愼シムヘキハ
勿論外國爲替管理委員會其ノ他ノ組織及
之ガ人選ニ深甚ナル注意ヲ拂ヒ本法ノ公
正適切ナル施行ヲ期スヘシ
ト云フニアリマス是デ私ノ委員會ノ經過
竝ニ結果ノ報〓ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=41
-
042・柳澤保惠
○伯爵柳澤保惠君 委員長ニ一言質問イタ
シタイノデアリマスガ只今ノ御報〓ノ最
後ニ希望條件ト言ハレテ居ラレマスガ希
望決議ト云フノナラ分リマスガ希望條件
ト云フノハ如何デスカソレハ希望決議ト
云フ意味ニ解シテ宜シイノデアリマスカ、
チヨット伺ッテ置キマス
〔伯爵兒玉秀雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=42
-
043・兒玉秀雄
○伯爵兒玉秀雄君 只今柳澤伯爵ヨリノ御
注意的ノ御質問ニ對シテ御答ヲ致シマス
委員ヨリハ希望決議ト云フコトヲ申サレテ
居リマス、私ガ宣告イタシマシタノガ希望
條件ト宣〓ヲ致シテ居リマス結局同樣ノ
意味ニ御了解ヲ願ッテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=43
-
044・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 簡單ニ御質問ヲ致シ
マス、此案ハ大變廣汎ナノデゴザイマスガ、
只今委員長ノ御說明ヲ伺ヒマスト、政府ハ
是ニ施行規則ヲ定メテ施行規則ノ方ハ可
ナリ狹ク具體的ニナルヤウニナッテ居ルヤ
ウニ伺ヒマシタソレデ疑問ノ大部分ハ消
滅イタシマシタノデスガ、二點バカリ分リ
兼ネル點ガアルノデアリマスガ澤山分リ
兼ネル點ガゴザイマスガ重要ナ點ハ二點
バカリゴザイマス、其一ツハ思惑取引ヲ取
締ルト云フコトニ付テハ大變斯ウ今ノ
施行規則ダケノヤウデハ非常ニ狹クシカ
ヤラレナイノデ思惑取引ヲ取締ルコトハ
甚ダ困難ダラウト思ヒマスガ思惑取引ハ
如何ナル具體的ノ方法ヲ以テ之ヲ御取締リ
ニナリマスカ、其コトヲ伺ヒタイ尙ホ只
今逆爲替ヲ取締ルヤウナ風ニ了解サレマシ
タガ之
大地震海防空港防空港第29號號號號大財遞信局問題思ヒマ
スガゴイ
マセヌガ外ニ銀行モゴザイマスノ殊デニザ外
國人名義ヲ以テヤル場合ガアリマス
是ハ餘程困難ダラウト思ヒマスガヽサンス
フ場合ニ如何樣ナ方法ニ出ラレマスカ實
務ノコトデゴザイマスカラ、ドナタカラデ
モ宜シウゴザイマス、成ルタケ分リ易ク御
說明ヲ願ヒタイト思ヒマス
〔伯爵兒玉秀雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=44
-
045・兒玉秀雄
○伯爵兒玉秀雄君 大河內子爵ノ御質問ニ
對シマシテ一應ノ御說明ヲ申上ゲマス
尙ホ御分リノナイ點ハ政府ノ方カラ御答
ヘアルコトト思ヒマス此思惑取引取締
是ガ今囘出マシタ外國爲替管理法ノ施行ト、
資本逃避防止法ノ相違ノアル一ツノ重モナ
ル點デアルト考ヘテ居リマス資本逃避防
止法ニ於キマシテハ思惑取引ノ取締リガ
不十分デアリマスガ故ニ此缺點ヲ補フト
云フ事柄ガ其一ツノ重モナル點ニナッテ居
ルマス場合ハ無爲替而シテ思惑取引ノ行ハ
ノ場合デアルヤウデ
アリマス、從テ無爲替ノ取締ヲスルト云フ
コトニ政府ハ重キヲ置イテ居リマスリ但ニ、シ
無爲替ハ只今モ御說明申上ゲマシタ通
或場合ニ於キマシテハ本社ト支店トノ間
ニ附替勘定ノ場合モアリマスシ又全
銀行爲替ヲ附ケマセヌ場合モアリマバフス然
シ又委託ニ依ッテ此品物ヲ捌クト云
場合モアリマス新人心动中心地味フルトーマン(現名
ナラヌノハム
トスル場合ノ如キニ於キマシテハ
先ヅ荷物ヲ先方ニ送リマシテサウシテ之
ヲ賣ッタ上ニ於テ、後ノ結末ヲ付ケル必要ガ
アルノデアリマス此場合ニ於キマシテ無
切換に大切りル事實ヲ生ジ
一斯ノ如キ場合
於キマシテハ政府ハ全然取締ルト云フ考
ナイノデ飽ク迄モ貿易助長ノ上カラ
便宜ヲ圖リタイト云フコトヲ申シテ居リマ
唯ソレデナシニ資本逃避ヲ目的ト
無爲替ヲ利用イタシマシ
之ヲ
大阪市立大学中学校- )次ニ逆
是ハ逆爲替ハ
外國ニ於キ
マス日本ノ銀行ノ支店ガ之ヲ行ヒマス場合
政府ガ豫メ之ニ注意ヲ與ヘテ而
ドリンクスラッチュア一此點ハ容易ニ取締レヤウ台灣檜木精力
併シ外國銀行ガ惡意ヲ以テ逆
テハ只今大河內子爵ノ御說明ニナリマシ
&サラダム可ナリ困難ナ點ガアルノデハナ
イカト私モ想像シテ居リマス甚ダ簡單ナ
說明デアリマスケレドモ之ヲ以テ御了解
ヲ得レバ仕合セト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=45
-
046・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 委員長カラ御懇篤ナ
ル說明ヲ得マシテ、誠ニ感謝イタシマス、
又委員會ノ御方ガ非常ニ詳細ニ御調査下ッ
タコトモ誠ニ感謝イタシマス尙ホモウ一
遍政府ニ確メテ置キマスサウスルト思
惑取引ノ思惑ヲ取締ルト云フコトハ畢竟
無爲替ヲ取締ルト云フコトダケニ限ル斯
ウ云フ風ニ了解シテ宜シウゴザイマスカ
尙ホ此外ニ方法モゴザイマスナラバソレ
ヲ御說明ヲ願ヒタイト存ジマス、ソレカラ
逆爲替ノコトハ只今委員長カラ伺ヒマシタ
ガ政府ハ矢張リ同ジヤウナ御考ト承知シ
テ宜シウゴザイマスカ、其二點ヲ政府カラ
伺ヒタイト思ヒマス
〔政府委員冨田勇太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=46
-
047・冨田勇太郎
○政府委員(冨田勇太郞君) 只今ノ御質問
ノ思惑取引ノ取締及ビ逆爲替ヲ取締リ得ル
カト云フ點デアリマスソレハ只今委員長
ノ御報〓ノ通リデアリマスガ更ニ私ヨリ
敷衍シテ說明ヲ申上ゲマス本法ノ施行ノ
上ニ於キマシテ一番ムヅカシイノガ思惑取
引ノ取締デアリマス第一ニドウ云フ取引
ガ思惑デアルカ取引ノドウ云フ部分ガ思
フ點ガ非常ニムヅカシイノ
金叶帮您忙思惑ニ付キマシテハ銀行ノ
ソレト銀行以外ニナッテ居
リマス商人ノ思惑ト、斯ウ云フ風ニ分ケテ
考ヘルコトガ必要ト存ジマス銀行ノ場合
ニ於キマシテハ御承知ノ如ク爲替銀行ハ
常ニ爲替ノ賣ニ對シマシテハ買ヲ致シマス
ル買ニ對シマシテハ賣ヲ致シマシテ常
ニ爲替賣買共ニ「カヴアー」ヲ取ッテ居ルト
云フコトガ通常ノ狀態デアリマスヲカロ
銀行ノ取引ノ中ニ於キマシテ買ノ方ガ賣
ヲ超過イタシテ居ル賣ノ方ガ買ヲ超過イ
タシテ居ルト云フヤウナ場合ニ於キマシテ
ハ、所謂「カヴアー」ノ取レナイ場合ニ於キ
マシテハ其部分ガ思惑デアルカナイカト
云フ問題ノ起ル點デアリマス、然ルニ爲替
順利シテ備替ニ資金或程度迄ハ期節ニ依
ヲ準備スル必要ガアリ
マス其爲ニ或銀行ニ於キマシテ或時期
ニ於テハ相當ノ買持ニナル部分ガアリマス、
卽チ資金ヲ買溜メマシテ「カヴアー」ノ取レナ
イ部分ガアリマス、斯ウ云フコトハ之ヲ一〓
ニ「カヴアー」ガアリマセヌカラ、思惑取引
デアルト云フ風ニ斷定ハ出來マセヌケレド
モ銀行ニ依リマシテ普通ノ取引ヲ非常ニ
超過スルトカ或ハ期節ニ依リマシテ實際ニ
必要デナイ資金ヲ持ッテ居ルヤウナ場合ニ
於キマシテハ是ハ思惑ノ範圍ニ入ルモノ
ガアラウト考ヘラレマスサウ云フコトノ
鑑定ハ一應ムツカシイヤウデハアリマスル
ケレドモ監督官ニ於キマシテ常時爲替銀
行ノ取引ノ狀態ヲ監視シテ居リマスレバ
ナイ部分トガ自ラ分ッ
上海青浦青房物业管理有限公司來ルヤウニ存ジマス、サウ云フ方法ニ依
シテ爲替銀行ノ思惑取引ヲ抑制イタシ
ソレカラ爲替銀行
是
南東引 商 級
粹利
非常ニ長ク致シマシテ、長期ノ爲替ヲ取組ム
トカ、或ハ實際ノ必要以上ノ爲替ノ取組ヲ數
スト云フヤウナモノハ、共ニ是ハ思惑ノ範圍
八ッテ參リマスルケレドモ、商取引ハ御承
知ノ如ク多少ノ思惑ガ入ッテ居リスルカラ
若シ思惑デアルト云ッテ全部之ヲ禁止シマス
ルト云フト、非常ニ貿易其他ノ取引ニ支障
ヲ來ス結果ト相成ラウト考ヘラレマス
第一デサウ云フ關係ヲ有フテ居リマスル所ノ
思惑ヲドウ云フ程度ニ抑制スルカト云フ
コトハ是ハ取締ノ實行上ノ間題ニ致シタ
イト考ヘテ居リマスソレカラ然ラバサウ
是ハ此法律ノ第一條ノ中
其中ノ第ニ「外國通貨又高等学校法人所
、ソレニ依リマシテ思惑取引ハ總テ
groups其取締ニ依ッテ思惑ヲ取締
其他第三ノ外國ニ送金シ
ソレカラ第四ノ逆爲替ノ場合
總テ思惑ノ分子ガ入ッテ參リマス或
サウ云フモノニ
サウ云フモ
思惑ト監督
官廳ノ判定イタシマシタルモノハ之ヲ許
可シナイ方針デ行キタイト考ヘテ居リマ
スソレカラ逆爲替ノ點、是モ委員長ヨリ
御報告アッタ通リデアリマスガ、是ハ外國ニ
於キマスル日本ノ銀行ノ支店ノ取引ニ於
テ、一般的ノ取締ヲ致シマスルガ、其外ニ
逆爲替ト云フモノハ、外國デ取組ミマスル
ケレドモ結局ハ內地デ以テ其代金ガ授受
サレマス、ソレデ外國ニ於テ授受ヲ致ス際
ニ於テソレガ政府ノ許可スベキ逆爲替デ
ナケレバ其資金ノ授受ヲ許可イタシマセ
ヌサウ云フ方法ニ依リマシテ逆爲替ヲ取
締ッテ行ク考ヘデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=47
-
048・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 本案ヲ第二讀
會ニ移スコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=48
-
049・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=49
-
050・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=50
-
051・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=51
-
052・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=52
-
053・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス
副議長(公爵近衞文麿君)本案全部ヲ問題
ニ供シマス全部原案ニ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=53
-
054・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=54
-
055・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=55
-
056・清岡長言
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=56
-
057・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=57
-
058・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=58
-
059・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會ノ決議
通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=59
-
060・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=60
-
061・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 日程第十九、
大正二年法律第九號中改正法律案、第二
十擔保附社債信託法中改正法律案、以上
二案ハ同一委員ニ付託セラレマシタカラ
一括シテ委員長ノ報〓ヲ求メマス、富谷錐
太郞君
大正二年法律第九號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和八年三月十六日
委員長富谷鉎太郞
貴族院議長公爵德川家達殿
擔保附社債信託法中改正法律案
右別册ノ通修正議決セリ依テ及報〓候也
昭和八年三月十六日
委員長富谷鉎太郞
貴族院議長公爵德川家達殿
(特別委員ノ修正ニ係ル部分ノ
ミヲ印刷シ其ノ他ハ之ヲ略ス
小字及-ハ修正ナリ)
第二十二條第一項第一號及第四號中「第
十九條第一項」ヲ「第十九條」ニ改メ同項
第四號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
四ノ二受託會社カ擔保ノ價格ニ付調
査シタル結果ノ表示
同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
社債カ其ノ總額ヲ數囘ニ分チ發行スル
モノナル場合ニ於テハ前項ニ揭ケタル
事項ノ外左ノ事項ヲモ公告スヘシ但シ
第十九條第三號乃至第七號ニ揭ケタル
事項ハ其ノ同ニ發行スル社債ニ關スル
モノトス
-社債ノ總額ヲ數囘ニ分チ發行スル
旨ノ表示及其ノ囘ノ發行金額
二旣ニ發行ニ係ル每囘ノ金額、其ノ
未償還額竝未償還額ノ利率及償還期
限
三其ノ囘ノ發行ニ付第十九條ノ四第
一項ノ契約證書アルトキハ其ノ證書
ノ表示
四前號ニ揭ケタル契約證書若ハ其ノ
謄木ヲ應募者ノ閱覽ニ供スヘキ時及
場所
前二項ノ公〓ハ受託會社ノ承認ヲ得テ
之ヲ爲スヘシ
第三十四條中「商法第二百四條第二項」ヲ
「商法第二百四條ノ三第一項」ニ同條第
一號中「第十九條第一項」ヲ「第十九條」ニ
改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
社債カ其ノ總額ヲ數囘ニ分チ發行スルモ
ノナル場合ニ於テハ其ノ第一囘ノ發行エ
付テハ前項ニ揭ケタル事項ノ外第二十
二條第二項第一號及第三號ニ揭ケタル
事項ヲモ登記シ第二囘以後ノ發行ニ付
テハ其ノ囘ノ發行金額竝第十九條第三
號第五號乃至第七號、第二十二條第
二項第三號、前項第三號及第四號ニ揭
ケタル事項ヲ其ノ發行每ニ登記スヘシ
第三十五條第一號中「第十九條第一項」ヲ
「第十九條」ニ同條第四號中「前條」ヲ『前
條第一項」ニ改メ同條第二號ノ次ニ左ノ
一號ヲ加フ
二ノ二社債カ其ノ總額ヲ數囘ニ分チ
發行スルモノナルトキハ第二十二條第
二項第一號及第三號ニ揭ケタル事項
第四十條第一號中「第十九條第一項」ヲ
「第十九條」ニ同條第二號中「第三十四
條」ヲ「第三十四條第一項」ニ改メ同條ニ
左ノ一項ヲ加フ
社債カ其ノ總額ヲ數囘ニ分チ發行スル
モノナル場合ニ於テハ社債原簿ニ其ノ
發行每ニ前項ニ揭ケタルモノノ外第二
十二條第二項第一號及第三號ニ揭ケタ
ル事項ヲモ記載スヘシ
第六十七條ノ二社債ノ總額ヲ數囘ニ分チ發
行スル場合ニ於テ或ル囘ノミノ社債權者ニ
利害ノ關係アリテ其ノ他ノ囘ノ社債權者ニ
損害ヲ及ホササル事項ハ其ノ囘ノ社債權者
ノ集會ノ決議ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ社債權者ノ集會ニハ社債權者集會ニ
關スル規定ヲ準用ス
三
第六十七條ノ二社債ノ總額ヲ數囘ニ分
チ發行スル場合ニ於テ社債權者集會カ
ノ決議或ル囘ノミノ社債權者ニ損害ヲ及
ホスヘキトキハ其ノ囘ノ社債權者ノ集
會ノ決議アルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ
ハ前條第二項ノ規定ヲ準用ス
前項ノ社債權者ノ集會ニハ社債權者集
會ニ關スル規定ヲ準用ス
第百十九條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ社債カ其ノ總額ヲ數
囘ニ分チ發行スルモノナルトキハ不動
產登記法第百十六條又ハ第百十七條ノ
規定ニ拘ラス申請書ニハ社債ノ總額
社債ノ總額ヲ數囘ニ分チ發行スル旨ノ
表示及社債ノ利率ノ最高限度ノミヲ記
載スヘシ
第百十九條ノ二信託契約ニ依ル物上擔
保附社債カ其ノ總額ヲ數囘ニ分チ發行
スルモノナル場合ニ於テ社債ヲ發行シ
タルトキハ其ノ囘ノ發行金額ニ付引受
又ハ募集ノ完了シタル日ヨリ二週間內
ニ其ノ囘ノ發行金額及其ノ囘ノ社債ニ
關スル第十九條第五號乃至第七號ニ揭
ケタル事項ヲ登記スヘシ
商法第二百四條ノ三第三項ノ規定ハ前
項ニ規定スル登記ノ期間ニ之ヲ準用ス
第一項ノ登記ハ其ノ社債ヲ擔保スル權
利ノ登記ニ附記シテ之ヲ爲ス
〔富谷鉎太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=61
-
062・富谷しょう太郎
○富谷銈太郞君 只今問題トナリマシタ此
第十九第二十ノ特別委員トシテ御報告ヲ
申上ゲマス簡單ニ申述ベル積リデゴザイ
マス、其第一ノ第十九デアリマスガ、大正二
年法律第九號中改正法律案デゴザイマス
フデミサキャンチカップル
種々ノ關係ガゴザイ
案其モノトシテハ餘程重要ナ
トモノト考へ考ヘルノデゴザイマスルガ我ミ付
託サレマシタ問題ノ範圍ニ於テハ或程度
マデ原案デ差支ナイト云フヤウナ考ヘデ參
リマシタ外ニ特ニ御報告申ス程ノコトハ
ゴザイマセヌ、ソレカラ第二十デアリマス
ガ、擔保附社債信託法中改正法律案是一
前ノ裁判所ノ區劃ト違ヒマシテ實際上所
謂經濟關係ノアル問題デゴザイマスルノデ、
大分注意ヲ致シテ決議ヲシナケレバナラヌ
ト云フヤウナ所カラ此案ニ付テハ都合、
委員會ヲ三囘開キマシテ十日ト十四日ト
ソレカラ昨日デゴザイマス此三日間ニ於
イ議論モ起リ得ルノデア
台北市長選區中國傳遞其間ニ各委員諸君ノ御協定等
能ク御了解ニナッタノ
デ先ヅ差支ナイ程度ニ於テ此御報〓ヲ致
スコトニナッタノデゴザイマス、此報〓ノ模
樣、ソレカラ各委員諸君ノ御提出ノ御意見等
ニ付テハ速記錄ニ依ッテドウゾ御了解ヲ願
ヒタイト思ヒマス但シ此速記錄ノ中デマ
ダ出來上ッテ居ラヌノガ
一番終ヒノ日ニ當リマスルノデ、九九ノ好好好好明十六
分ガ出來テ居リマセヌノデ
御手許ニ參リマセウカラ、ドウゾソレデ御
覽ヲ願ヒタイノデアリマス之ヲ以テ御報
告ト致シマス何卒御協贊下サルコトニ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=62
-
063・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 只今富谷委員
長ヨリ報〓セラレマシタ兩案ノ中、大正二
年法律第九號中改正法律案ヲ第二讀會ニ
移スコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=63
-
064・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=64
-
065・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=65
-
066・子爵〓岡長言君
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=66
-
067・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=67
-
068・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=68
-
069・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 原案ニ御異存
ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=69
-
070・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=70
-
071・子爵西大路吉光君
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=71
-
072・子爵清岡長言君
○子爵清岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=72
-
073・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=73
-
074・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=74
-
075・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 第二讀會ノ決
議通リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=75
-
076・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=76
-
077・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 次ニ擔保附社
債信託法中改正法律案ヲ、第二讀會ニ移ス
コトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=77
-
078・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=78
-
079・子爵西大路吉光君
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=79
-
080・子爵〓岡長言君
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=80
-
081・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=81
-
082・副議長(公爵近衛文麿君)
○副議長(公爵近衛文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=82
-
083・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 委員長報告通
リデ御異仔ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=83
-
084・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=84
-
085・子爵西大路吉光君
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=85
-
086・子爵〓岡長言君
○子爵〓岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=86
-
087・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=87
-
088・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=88
-
089・副議長(公爵近衛文麿君)
○副議長(公爵近衛文麿君) 第二讀會ノ決
議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=89
-
090・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=90
-
091・副議長(公爵近衛文麿君)
○副議長(公爵近衛文麿君) 日程第二十
刑事訴訟法中改正法律案衆第二十四
號、衆議院提出第一讀會、第二十二、刑事
訴訟法中改正法律案、衆第二十五號、衆議
院提出第一讀會
刑事訴訟法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和八年三月十六日
衆議院議長秋田〓
貴族院議長公爵德川家達殿
刑事訴訟法中左ノ通改正ス
第百十三條勾留ノ期間ハ二月トス己ム
コトヲ得サル事由アル場合ニ於テハ其
ノ理由ヲ附シタル決定ヲ以テ一月以内
ノ期間ヲ定メテ之ヲ更新スルコトヲ得
刑事訴訟法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和八年三月十六日
衆議院議長秋田〓
貴族院議長公爵德川家達殿
刑事訴訟法中左ノ通改正ス
第二十七條第四項中「及第二十九條」ヲ削
ル
第二十九條削除
第三十條中「前條ノ場合ヲ除クノ外」ヲ削ル
第三十條第三項中但書ヲ削ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=91
-
092・副議長(公爵近衞文慶君)
○副議長(公爵近衞文慶君) 兩案ハ行政執
行法中改正法律案外三件特別委員ニ付託イ
タシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=92
-
093・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 日程第二十
三民事訴訟法中改正法律案、衆議院提出、
第一讀會
民事訴訟法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和八年三月十六日
衆議院議長秋田〓
貴族院議長公爵德川家達殿
民事訴訟法中左ノ通改正ス
第三百五十九條削除発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=93
-
094・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 本案モ行政執
行法中改正法律案外五件特別委員ニ付託イ
タシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=94
-
095・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 日程第二十
四度量衡法中改正法律案、衆議院提出、
第一讀會
度量衡法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和八年三月十六日
衆議院議長秋田〓
貴族院議長公爵德川家達殿
度量衡法中左ノ通改正ス
第六條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ勅令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ
在ラス
第十二條、第十六條及第十七條中「販賣
ノ免許ヲ受ケタル者」ヲ「販賣ノ業ヲ營ム
者」ニ改ム
第十四條第一號ヲ左ノ如ク改ム
第六條ノ規定ニ違反シテ度量衡器ノ
製作、修覆又ハ販賣ノ業ヲ營ミタル者
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=95
-
096・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 本案ハ意匠法
中改正法律案外一件特別委員ニ付託イタシ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=96
-
097・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 日程第二十
五、大正七年法律第四十三號中改正法律案、
衆議院提出、第一讀會ノ續、委員長中御門
侯爵
大正七年法律第四十三號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和八年三月十六日
委員長侯爵中御門經恭
貴族院議長公爵德川家達殿
〔侯爵中御門經恭君演壇ニ登ル〕
○侯爵中御門經恭大正七年法律第四十
三號中改正法律案ストーム·タウイントワール
ノ御報告ヲ致シマス
條中ニ「昭和二年法律第十八號第一條ノ規
天道城大地震力有限公司港南九九地址
シテ此法案ハ地種變更免租年期ニ關スル
法律デアリマシテ北海道ニ於ケル國有地
ノ拂下ヲ受ケ、免租期間中ニアル土地ニ對
シマシテ其免租期間中ニ開拓シ開墾ヲ
シタリ又ハソレニ類スル等シイ勞費ヲ加
ヘテ地目變換ヲナシマシタ場合ニ於テハ
更ニ二十箇年內ノ地種變更免租年期ヲ許可
スルコトガ出來ルヤウニナッテ居リマスノ
デ唯御料地ノ拂下ノ場合ニ限リマシテ
現在ハ此地種變更免租年期ガ與ヘラレテ居リ
マセヌノデ、是ハ明カニ國有地拂下ノ場合
ト異フテ居リマシテ權衡ヲ失スルノデアリ
マスソレデ此點ヲ直シマシテ御料地拂下
ノ場合ニ於キマシテモ國有地拂下ト同樣
地種變更免租年期ヲ與ヘルト云フ趣旨デゴ
ザイマス衆議院提出デゴザイマスルノデ、
政府ノ所見ヲ聽キマシタル所、政府モ同意
ヲ與へ委員會ニ於キマシテモ何等異議ナ
ク滿場一致ヲ以テ可決イタシマシタ右
御報告ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=97
-
098・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 本案ヲ第二讀
會ニ移スコトニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=98
-
099・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=99
-
100・子爵西大路吉光君
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=100
-
101・子爵濟岡長言君
○子爵濟岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=101
-
102・副議長(公爵近衛文麿君)
○副議長(公爵近衛文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=102
-
103・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=103
-
104・副議長(公爵近衛文麿君)
○副議長(公爵近衛文麿君) 原案ニ御異存
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=104
-
105・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=105
-
106・子爵西大路吉光君
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=106
-
107・子爵濟岡長言君
○子爵濟岡長言君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=107
-
108・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=108
-
109・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=109
-
110・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 第二讀會ノ決
議通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=110
-
111・副議長(公爵近衛文麿君)
○副議長(公爵近衛文麿君) 御異議ナイト
認メマス、次ノ議事日程ハ決定次第彙報ヲ
以テ御通知イタシマス本日ハ是ニテ散會
イタシマス
午後零時十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006403242X02619330317&spkNum=111
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。