1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和八年二月二十一日(火曜日)
午後一時十六分開議
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議事日程 第十五號
昭和八年二月二十一日
午後一時開議
質問
一 足尾銅山鑛毒問題に關する質問(栗原彦三郎君提出)
二 航空に關する質問(永田良吉君外三名提出)
三 和議法に關する質問(金井正夫君外一名提出)
四 河野通治贈位奏請に關する質問(武知勇記君提出)
五 滿洲政策に關する質問(丸山浪彌君提出)
六 民法親族編中養子に關する質問(天辰正守君外一名提出)
七 民事訴訟法に關する質問(天辰正守君外一名提出)
八 鐵道運賃引下に關する質問(藤井啓一君提出)
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第一 大正二年法律第九號中改正法律案(裁判所管轄區域に關する件)(政府提出) 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第三 工業組合法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第五 恩給法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第七 造幣局工場及其の附屬設備の新營費に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 昭和八年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 大阪帝國大學工學部設置に付帝國大學特別會計及官立大學特別會計の關渉に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 樺太事業公債法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十二 貨幣法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 郷又は町村祿高に對し公債證書給與に關する法律案(寺田市正君外四名提出) 第一讀會
第十四 住宅組合法中改正法律案(船田中君提出) 第一讀會
第十五 住宅組合に對し償還資金給與に關する法律案(船田中君提出) 第一讀會
第十六 中央卸賣市場法中改正法律案(八田宗吉君外三名提出) 第一讀會
第十七 中央卸賣市場法中改正法律案(村上紋四郎君外二名提出) 第一讀會
第十八 刑事訴訟法中改正法律案(小林かなえ君外一名提出) 第一讀會
第十九 衞生組合法案(野田文一郎君外四名提出) 第一讀會
第二十 傳染病豫防法中改正法律案(野田文一郎君外四名提出) 第一讀會
第二十一 衞生組合法案(上田孝吉君外十四名提出) 第一讀會
第二十二 傳染病豫防法中改正法律案(上田孝吉君外十四名提出) 第一讀會
第二十三 大正七年法律第四十三號中改正法律案(地種變更免租年期に關する件)(木下成太郎君外十七名提出) 第一讀會
第二十四 六大都市に特別市制實施に關する法律案(犬養健君外四十四名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十五 司法代書人法中改正法律案(立川平君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十六 司法代書人法中改正法律案(斯波貞吉君提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十七 身元保證に關する法律案(一松定吉君外三名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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(左の報告は朗讀を經さるも參照の爲竝に掲載す)
一政府より提出せられたる議案左の如し
恩給法中改正法律案
(以上二月十八日提出)
昭和六年度歳入歳出總決算
昭和六年度各特別會計歳入歳出決算
昭和六年度歳入歳出決算檢査報告
(以上二月二十日提出)
一昨二十日政府より昭和六年度國有財産増減總計算書、昭和七年三月三十一日現在國有財産現在額總計算書及之に添附すべき各省の同増減報告書、同現在額報告書竝會計檢査院檢査報告を受領せり
一政府より受領したる答辯書左の如し
衆議院議員栗原彦三郎君提出足尾銅山鑛毒問題に關する質問に對する答辯書
衆議院議員永田良吉君外三名提出航空に關する質問に對する答辯書
衆議院議員金井正夫君外一名提出和議法に關する質問に對する答辯書
衆議院議員武知勇記君提出河野通治贈位奏請に關する質問に對する答辯書
衆議院議員丸山浪彌君提出滿洲政策に關する質問に對する答辯書
衆議院議員天辰正守君外一名提出民法親族編中養子に關する質問に對する答辯書
衆議院議員天辰正守君外一名提出民事訴訟法に關する質問に對する答辯書
衆議院議員藤井啓一君提出鐵道運賃引下に關する質問に對する答辯書
(以上二月二十一日提出)
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足尾銅山鑛毒問題に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
昭和七年十二月二十六日
提出者 栗原彦三郎
足尾銅山鑛毒問題に關する質問主意書
明治三十年五月二十七日鑛山監督署長より足尾銅山鑛業主に命したる鑛毒豫防命令に基き漸次足尾銅山鑛業所か設置したる高原木外十七箇所の毒泥渣堆積場は數次の震災と四十箇年に渉る歳月との爲に其の堆積物の流下豫防設備自然に損傷して崩壞流下の危險あり殊に最近築造したる原向新堆積場を除く他の堆積場は全部其の堆積量過當に超過し居り今や全堆積量は實に三百萬立方坪と稱さるるに至れり此の莫大なる堆積毒泥渣は人畜草木を害する猛烈なる毒物にして而も其の堆積場は皆渡良瀬川の岸上數丈若は支流溪谷の岸上に在り一朝崩壞せは直に渡良瀬川を流下して沿岸舊被害地方を再ひ毒砂漠とすへきは火を睹るよりも明なり之か爲に舊被害地方人民は戰々兢兢として常に其の業に安むする能はさる状態にあり然るに政府は從來學者專門家に命して此の危險に對し根本的排除の途を調査せしめつつありと主張し來りしか第六十二囘議會に於ける本員の質問に對する商工大臣の答辯に依りて所謂學者專門家の調査は將來の採鑛製煉に關する事項にして堆積毒物の處置に關するものに非さること明白となりたり加ふるに足尾銅山に於ては最近非常なる増産計畫を立てつつあり之か爲に舊被害地方人民の不安其の極に達し田畑を賣却し祖先墳墓の地を捨て他に移住せむとする者をも生するに至れり依て政府は左の二點に付明確なる答辯を望む
一 今や國民思想の激化益甚しからむとするの秋に當り政府か此の堆積毒泥渣の處置を等閑に付し當然の監督を怠り國民をして必然起るへき生命財産の絶大なる危險に直面せしめつつ放任するか如きは思はさるの甚しきものなりと信す政府の所見如何
二 政府は足尾銅山に對する監督を怠り此の儘放任せは數千萬圓の損害を必然被害民に與ふへきを察知しつつ何等の處置を爲さす若一朝堆積場崩壞して多大の被害を人民に與へたる場合は政府は其の監督怠慢の責任に當るへきは當然なり政府は如何にして其の責任を果さむとするや如何
右及質問候也
昭和八年二月二十一日
内閣總理大臣 子爵 齋藤實
衆議院議長 秋田清殿
衆議院議員栗原彦三郎君提出足尾銅山鑛毒問題に關する質問に對し別紙答辯書差進候
(別紙)
衆議院議員栗原彦三郎君提出足尾銅山鑛毒竝煙毒に關する質問に對する答辯書
足尾鑛山に於ける泥渣の處置に關しては政府は常に周到なる注意を拂ひ取締を勵行しつつある所にして堆積場の周圍には完全なる扞止工事を施し指定の堆積方法により堆積せしめつつあるを以て堆積量過當の事實なきは勿論泥渣散逸の虞なきものと認むるも今後も一層監督を嚴にして萬遺漏なきを期する所存なり
右及答辯候也
昭和八年二月二十一日
商工大臣 男爵 中島久萬吉
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航空に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
昭和八年一月二十一日
提出者 永田良吉
外三名
航空に關する質問主意書
一 日華定期飛行開始に關する政府の對策如何
二 太平洋横斷飛行に對する政府の助力對策如何
三 航空局を分離獨立して内閣直屬の航空院を創設する計畫如何
四 民間飛行場増設擴張に關する政府の補助政策如何
五 民間飛行士優遇竝養成に關する政府の對策如何
六 獻納飛行機を民間航空輸送方面に使用する政府の對策如何
七 内臺間航空輸送開始に關する對策如何
八 文部省所管航空研究所に民間飛行士及機關工手養成所を併置する計畫如何
九 陸海空軍の充備及民間航空發展に關する政府の所見特に我か國西南兩方面に對する民間航空路の開始對策は不徹底なるやの感あり之に對する政府の對策如何
一〇 民間航空の發展を期する爲航空公債發行如何
右及質問候也
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昭和八年二月二十一日
内閣總理大臣 子爵 齋藤實
衆議院議長 秋田清殿
衆議院議員永田良吉君外三名提出航空に關する質問に對し別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員永田良吉君提出航空に關する質問書に對する答辯書
一、日華間定期飛行開始に關する政府の對策如何
日支兩國間の定期航空開始の爲には先つ兩國間に一方國の航空機が他方國の領域内に於て運輸事業に從事することを相互許諾する趣旨の協定を要する次第にして政府は從來とも種々努力し來れるも目下の状況にては右定期航空の急速實現は相當困難なる實情なり然れども本件に關し政府は引續き深甚の注意を拂ひ各般に亙り遺漏なきを期しつつあり
二、曩に報知新聞社に於て企圖したる太平洋横斷飛行に對しては政府は經費を支出して必要なる施設を行ひたる外各般に亙り援助を爲したるが將來適當なる計畫を以て右飛行を企つる者ある場合に於ては出來得る限りの援助を爲すべし
三、航空局を現在の儘内閣直屬の航空院とすることに關しては相當考慮を要すと認む而して航空行政機關を統一して航空院を設置することに關しては政府に於ても夙に研究中なるが民間航空事業の奬勵指導は既に遞信省に於て又基礎的學理の研究は文部省に於て統一せられあるも一般器材の製造及研究機關の統一は陸海軍民間各其の用途に從ひ要求する所異なるのみならず本邦の如く陸海軍航空技術の個々に發達せる状態に於ては其の實施に付幾多困難の事情あるを以て猶愼重考究中なり
四、公共の用に供する飛行場を設置し又は擴張せむとする者ある場合其の所要經費の一部を政府に於て補助することに關しては愼重調査考究中なり
五、政府は經費を支出して飛行機操縱士の養成を行ふの外民間飛行學校等に於て養成せられ一定の條件を備ふる者に對しては帝國飛行協會に於て奬勵金を授與しつつあり而して飛行機操縱士にして資格ある者は陸海軍豫備役下士志願の特典を附與することとし又帝國飛行協會に補助金を交付して職務上死亡し又は傷痍を受けたる者に對する慰助を行はしめつつあり
六、陸海軍に獻納せられたる飛行機は何れも軍用機なると獻納者の意志は國防の用に供するに在るとを以て之を民間航空輸送方面に使用するは適當ならざるものと認む
七、内地臺灣間航空路を設置し定期航空を實施するは内臺間交通の便益を増進する爲極めて緊要にして政府に於ても夙に考究中なるが之が爲には相當の經費の支出を要するを以て將來財政の許す限り可成速に其の實施を期せむとす
八、帝國大學附屬航空研究所に飛行機操縱士及機關士養成所を併置することは目今其の計畫なきも將來飛行機操縱士及機關士養成の爲に其の設備を利用せしむる必要を認むるに至るやも計り難し
九の(い) 陸海軍に於ける航空兵力の充備は未だ十分なりと認めざるも差當り國防上必要なる最少限度の兵力は豫算成立と共に概ね整備せらるる豫定なり
九の(ろ) 民間航空事業は國防上經濟上極めて重大の使命を有し保護助長の要緊切なるは言を俟たず然るに我國航空界の現況は之を歐米諸國に比較して甚だ遜色あるは遺憾とする所なり從て今後斯業の發達を促進するが爲施設すべき事項多々あるを以て政府は將來財政の許す限り可成速に諸般施設の進捗を圖り以て本邦航空事業の發展を期せむとす
九の(は) 我國の東北方面に對しては航空線路を開設せるものなく目下仙臺外二ヶ所に飛行場建設中なるが西南方面に對しては既に東京福岡間に定期航空輸送を實施し又福岡臺北間航空線路の開設を鋭意考究中なり
一〇、民間航空事業の發展は政府の庶幾する處なるも之が爲航空公債を發行するは財政の現状に鑑み適當ならずと認む
右及答辯候也
昭和八年二月二十一日
大藏大臣 高橋是清
外務大臣 伯爵 内田康哉
陸軍大臣 荒木貞夫
文部大臣 鳩山一郎
遞信大臣 南弘
拓務大臣 永井柳太郎
海軍大臣 大角岑生
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和議法に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
昭和八年一月二十三日
提出者 金井正夫
外一名
和議法に關する質問主意書
一 和議法實施後
い 和議申請の件數如何
ろ 右件數の内認可せられたるものと不認可となりたるもの及却下せられたるものの各件數如何
は 右認可せられたるものにして後に取消されたる件數及其の理由の區別如何
に 右認可せられたるものの内和議條件の所定通履行せられたるものと履行せられさるものとの件數如何
二 和議法施行の實績其の制定の精神に反し殆と債務踏倒の結果に終れる觀ありと信す此の點に關する政府の所見如何
三 政府は右和議法實施の實績に徴し其の弊害を除去する爲和議法の廢止又は改正を爲すの意見なきや
右及質問候也
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昭和八年二月二十一日
内閣總理大臣 子爵 齋藤實
衆議院議長 秋田清殿
衆議院議員金井正夫外一名提出和議法に關する質問に對し別紙答辯書差進候
(別紙)
衆議院議員金井正夫君外一名提出和議法に關する質問に對する答辯書
一、和議法實施後
和議申立件數、認可、不認可、棄却、和議取消件數は別紙表記通なり
和議取消理由、和議條件の所定通履行せられたるものと然らざるものとの件數不明
二、和議法施行の實績は必ずしも良好ならざるものあるが如し
三、和議法の改正に付ては目下研究中なり
右及答辯候也
昭和八年二月二十一日
司法大臣 小山松吉
和議法に依る和議事件總數及處理表(自大正十二年至昭和六年)
種別
年次
申立件數
申立の結果
未決
和議法第六十三條に依る和議取消
舊受
新受
計
開始後
開始前
計
和議開始決定取消
認可
不認可
和議廢止
其他
棄却
其他
大正十二年 三三 三三 三 一 一 八 七 二〇 一三
大正十三年 一三 三九 五二 一 一五 二 一 五 一二 三六 一六
大正十四年 一六 八七 一〇三 三一 四 一 一〇 二六 七二 三一
大正十五年昭和元年 三一 九六 一二七 二 三九 三 二 一三 二八 八七 四〇
昭和二年 四〇 一三四 一七四 六二 二 二〇 三一 一一五 五九
昭和三年 五九 一四五 二〇四 一 九七 二九 三三 一六〇 四四 一
昭和四年 四四 一八一 二二五 一 七九 一 六 三 一四 四九 一五三 七二 一
昭和五年 七二 一八四 二五六 七六 一七 三 二七 五〇 一七三 八三
昭和六年 八三 一七三 二五六 三 九九 三 一 一六 五〇 一七二 八四
合計 三五八一、〇七二一、四三〇 八五〇一 四三六一一一四二二八六 九八八四四二 二
備考
(一)開始後其他欄は移送、當事者死亡に依り終了したるもの等を計上す
(二)開始前其他欄は取下に當るもの、移送、當事者死亡に依り終了したるもの等を計上す
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河野通治贈位奏請に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
昭和八年一月二十五日
提出者 武知勇記
河野通治贈位奏請に關する質問主意書昭和三年十一月十日 聖上御即位の大典を擧けさせ給ふに際し河野通治は從四位追贈の光榮に浴したり今河野通治の事蹟を按するに河野通治は又の名を通盛と呼ひ通稱を九郎左衞門と稱す伊豫の豪族にして對馬守に任せられ始愛媛縣温泉郡高繩山に後同郡道後湯築城に據り晩年老を同郡河野村善應寺に養ひし人なり(法名を善惠と謂ふ)而して前に北條氏に後に足利氏に屬し或は豐島河原の戰に或は湊川の戰に官軍に對抗し其の部下大森彦七と共に楠正成をして戰死の己むなきに至らしめたる逆賊なり此のことたる太平記豫章記河野家譜河野系圖古文書等に徴證歴然たり斯の如き逆臣河野通治か御贈位の光榮に浴すへき道理あるなし依りて代議士故武内作平氏は之を當時の田中内閣に質し本員亦前後四囘に亙り政府の所見を問ふ所ありたるに今に至るも贈位奏請の誤を悟らす敢て其の非違を掩ひ一國道義の基準を破壞して顧みさるのみならす順逆正邪の別明ならさるは國家の爲痛恨に堪へさるなり即ち故武内代議士の質問に對し田中内閣は左の如き辯明を爲したり
「此の度御贈位になれるは忠臣河野通治にして逆賊河野通治に非す忠臣河野通治は備後守にして逆賊河野通治は對馬守なり而して兩者は各其の通稱を異にせり」(撮意)
更に本員か數度に亙る質問に對しては
「前内閣答辯の通贈位は今猶至當のものと認む」
との辯明を繰返し要領を得さる事夥しきか故に第六十三囘議會に於て本員は贈位奏請當時の内閣書記官長たりし鳩山文部大臣に其の辯明の誤を指摘して反省を促したるに鳩山文相は
「是は内閣に居りました學者が私をして斯樣に言はしめたものでありまして、只今に於きましても其の學者は依然として昭和三年に贈位を致しましたことは適當である、決して逆賊ではない、忠臣であると云ふことを今日も心から信じて居りますので、それを私が取次いで御返事申上げるより致方がございませぬ」(官報速記録より)
と答辯せり政府自ら負はさるへからさる贈位奏請の重大責任を學者一人の建言に轉嫁して其の責を免れむとするか如きは本員等の頗る遺憾とする所なり言ふ迄もなく本問題は一地方に於ける歴史上の研究事項に非す事は國民精神の作興に大なる影響を及ほすへき國家の大事件と思惟するか故に本員は政府從來の辯明に對し以下各項に亙り其の非違を糺問し飽迄も大義名分を正し忠奸の別を明にせむと欲するものなり
即ち政府答辯の主眼點を要約すれは河野家には同時に同一氏名(河野通治)の忠臣と逆臣とありて忠臣は備後守逆臣は對馬守に敍任せらる而して各其の通稱を異にせりと解すへきなり之を史實に徴するに
第一問 河野通治は對馬守に任せられ決して備後守に任せられたることなし其の徴證は豫章記築山本河野家譜豫陽河野家譜河野系圖其の他古文書以下十數種の史料にあり政府は如何なる史料に依りて備後守河野通治なる者を認めたるや
第二問 政府の辯明に依れは河野對馬守通治以外に河野備後守通治と言ふ者ありと主張すれとも河野備後守とは河野備後守通綱(明治十七年正四位を追贈あらせられたる得能氏を稱す)のことにして決して通綱以外に備後守通治なる者存在せさるなり其の證左は即ち左の如し
い 豫章記の本文に通綱得能又太郎任備後守と見ゆ
ろ 善功録(此の書は伊豫國温泉郡南吉井村舊郷士得能家の藏本)に得能備後守とあり
は 得能累世一覽(此の書は前記得能家傳來の古系圖)にも備後守通綱とあり
に 善應寺本河野系圖(河野通治か老を養ひたる愛媛縣温泉郡河野村善應寺所藏)に通綱又太郎號得能冠者元弘年中吉野院一統御宇任備後守云云とあり
ほ 越智氏河野系圖(東京府下中野町河野朗治所藏)に通綱又太郎後に備後守從五位下元弘年中吉野院御一統時舊領賜被補惣領云云とあり
へ 越智性土居系圖(善作苫田郡田邑村土居通博所藏)に通綱又太郎元弘中吉野院御一統之時被補惣領號河野備後守於越前金崎城討死家人三十餘人死とあり
備考 此の系圖の外愛媛縣伊豫郡原町村土居通福及同上浮穴郡久万町土居通清所藏のものも通綱に對しては同樣の記事あり
と 一本河野系圖(續伊豫温故録所載)に通綱又太郎備後守從四位下侍從越前金け崎城戰死五十三歳母別府七郎左衞門尉通朝長女とあり
ち 善應寺本河野軍記にも通綱を備後守とし且通治は對馬守に任せらるとあり
以上の徴證に對し疑問の餘地ありや政府は河野(得能)通綱か備後守に任せられたる史實を否定するや否や
第三問 假に百歩を讓て辯明の如く對馬守河野通治以外に備後守河野通治なる者ありとせは其の氏名を記せる古文書竝史料の存在すへき筈なるに太平記(流布本竝神田本)以外に一本も之を認むる能はさるは如何
第四問 政府は太平記(流布本及神田本)に河野通治なる忠臣の氏名ありと言へとも其の太平記の記事の誤なることは明治十七年河野(土居)備中守通増、河野(得能)備後守通綱に對し正四位を追贈あらせ給ふに際し官報を以て太平記の誤れることを公示せられたるを以て明なり政府は官報公示の事實を否定する勇氣ありや
第五問 政府の辯明に依れは逆臣河野對馬守通治と忠臣河野備後守通治とは其の通稱を異にしたり是れ別人たる證左なりと言へとも河野對馬守通治か通稱を九郎左衞門尉と稱したることは各種の史料に見ゆれとも河野備後守通治なる者の通稱は一も見當らす伊豫史談會幹事景浦直孝氏は親しく辯明書を起草せる鳩山文相の所謂「内閣に居った學者」たる史料編纂官和田英松氏に之を質したるに其の自家の誤れることを明答陳謝したり之に依りても河野對馬守通治以外に河野備後守通治なる者の存在せさること益明白なり政府の辯明既に誤あること明瞭となれる今日猶政府は虚構の史料を以て答へたる辯明書を正鵠を得たるものなりと認むるや
第六問 河野備後守通綱か越前金崎城に於て新田義顯と共に尊長親王に殉し奉りしことは太平記以下土居得能系圖其の他の史料に依りて明にして已に明治十七年官報に依り之を公示せられたり而して太平記之を記述するに際し單に河野備後守とのみ書して其の名(通綱)を記せす依て政府は之を以て通治なりと主張せりされと政府に於ても河野備後守通綱の金崎城戰死の事實を認め居れり是れ大なる矛盾にして假に其の主張を正しとするも二人の備後守(河野通綱と河野通治)か同時に同所に於て戰死したることとなる理にして眞に奇怪なりと謂ふへし加之辯明書起草者の金科玉條とする神田本太平記中には河野(得能)備後守通綱とあるへきを誤て河野(得能)備中守通綱とせる所あり按するに備中守は明治十七年正四位を追贈あらせられたる河野(土居)備中守通増にして通綱に非さることは史上明瞭に徴證あり今一歩を讓て假に神田本太平記の記事を正しとするときは二人の備中守(正史に備中守通増と神田本に所謂備中守通綱)か同時に存在し新田義顯と共に北越に赴きたることとなる詳言すれは二人の備後守と二人の備中守とか共に北越に赴き巳に正四位を追贈されたる河野備後守通綱と昭和三年從四位を追贈されたる河野備後守通治と言ふ二人の備後守か同時に同所に於て戰死したこととなるのみならす政府の所謂河野備後守通治と正史に見ゆる河野對馬守通治と言ふ二人の通治か同時に河野家に在りて官賊に相別れて爭ひたることとなるなり誠に奇怪至極と謂はさるへからす常識を以て判斷するも直に疑惑を生すへき史料に對し何等の精査研究を遂けさりしは何故そ
第七問 太平記にのみ據り他に傍證を得すして疑はしき史實を確定せむとするは論據薄弱なることは斯道大家の齊しく認むる所にして史料編纂所長辻善之助博士も之を告白せられたり然るに政府は唯一の太平記(神田本)のみに據りて明治十七年欽定公示されたる所説を覆さむとするや太平記以外には一も史料なしとは文相の所謂「内閣に居った學者」の公然告白する所なり政府にして猶其の主張を貫かむとするならは必す神田本太平記以外の傍證を公表して其の誤に非さる所以を明にせさるへからす果して之を爲し得る用意と研究ありや否や
第八問 文部省圖書監修官藤岡繼平氏は「私は純正史學の上より飽迄も通治を逆賊と認める文部省の校訂せる教科書は絶對に信頼して貰ひたいものである」と公表されたり内閣と文教の府たる文部省側の此の説と相一致せさるは如何なる理由に依るや
第九問 帝國大學史料編纂所編纂の大日本史料は百年計畫の大事業にして眞に國史の精髓なり然るに河野對馬守通治の氏名は見ゆれとも辯明書の所謂河野備後守通治なる者の氏名は一も認むるなきのみならす忠臣として瑣の記述なし是れ何故に然るや
第十問 内閣か贈位を奏請したる河野通治の事蹟中に皇太子恒良親王及成良親王を奉して北國に下向す云云の記事あり北國に下向あらせ給ひしは恒良、尊長の二親王にして決して成良親王に非す是れ正史に徴證あり然るに猶誤ならすとするや政府は須らく其の證左を明示せさるへからす而して文相の所謂「内閣に居った學者」は成良親王の北越下向は誤なることを既に告白したり畏くも贈位奏請の事蹟記事中に皇族の御名を誤るか如き不謹愼を敢てせる學者の建言を唯一の辯明料資として政府は和田博士(鳩山文相の所謂「學者の説を聞いて取次いで返事するより外に仕方がない」と言ふ其の學者の名)以外の學者には河野通治贈位奏請の至當ならさる史實を尋ね其の教を乞ふの意志なきや
以上縷述せるか如く逆賊河野通治以外に忠臣河野通治なる者の存在せさるは明なる所なり然るに猶其の誤を訂ささるのみならす却て其の誤に非すと主張しなから一も其の徴證を提示せすして唯誤に非すとのみ主張するは畢竟其の執奏の誤を蔽はむとするに外ならす斯の如きは徒に國民をして光輝ある我か國史に疑惑の念を抱かしむるに止まらす國家の信賞必罰の標準をさへ疑はしむるに至るものなり世或は兒島高徳か純正史學の研究上より兎角の論あるに拘らす御贈位の光榮を得たるに比較する者あれと河野通治の問題とは固より雲壤の相違あり重ねて斷す通治は逆賊なり其の逆賊に贈位を奏請し何を以て我か國民思想の善導を遂行せむとするや忠奸の別を混淆せは何を以て我か國忠君愛國の精華を維持し得へきや事眞に國家の重大事なり政府は前述の各質問事項に對し逐條明答して國民の疑惑を解かさるへからす若其の公示を爲し得すとせは速に其の誤を訂して贈位取消の奏請を爲ささるへからす之に對する政府の所見如何
右及質問候也
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昭和八年二月二十一日
内閣總理大臣 子爵 齋藤實
衆議院議長 秋田清殿
衆議院議員武知勇記君提出河野通治贈位奏請に關する質問に對し別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員武知勇記君提出河野通治贈位奏請に關する質問に對する答辯書
曩に贈位せられたる河野通治は勤王の功臣にして明治十七年に贈位せられたる得能通綱、土居通増と同一人に非ずと今尚認め居れり
右及答辯候也
昭和八年二月二十一日
内閣總理大臣 子爵 齋藤實
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滿洲政策に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
昭和八年一月二十六日
提出者 丸山浪彌
滿洲政策に關する質問主意書
帝國の滿洲政策上之か外交方針は國を擧けて焦土と化するも敢て辭せすと言ふ有史以來の一大決心を有するは既に論なき所なるも彼の滿蒙の權益擁護か實に帝國の生命線たる本質に鑑み政府は之か對策上果して遺漏なきや否や予は今之か質問を試みるに當り事外交に關するか故に其の波響する所の偉大なるを惟ひ最愼重に之か前後と其の左右に考慮を拂ひ聊か赤誠を披瀝し以て簡明に政府の所見を問はむと欲す言ふ迄もなく「ジュネーブ」の前途は唯一あるのみ今更に繰返すの要なし而して滿洲國の國防と治安は我か邦の責任に於て之を確保せさるへからさるは言を待たす然り既に然り列國の承認も土賊の平定も單に時期の問題たるのみ早晩所期の解決を見るへし若夫れ此の根本の解決に於て萬か一にも遺算を來さむか予は又何をか言はむ否斯る遺算は斷して絶無なるを確信す
茲に於て予は政府か來るへき時期即ち土賊の平定列國の承認を見たるの將來我か國か滿洲に於ける生命線即ち經濟戰の實質上其の進むへき針路に向て確乎たる政策ありや否や予の寡聞なる未た之に接せす洵に憂惧なきを得さるなり若政府にして之か對策なからむか焦土論は徒に大言壯語にして畢竟一囈語たらむのみ其の愚や及ふへからす其の妄斷乎として排すへきなり
帝國の滿蒙政策は過去三十年に於て失敗を演せり徒に犧牲の大なりしを知ると共に此の大なる犧牲は滿蒙に於て彼の漢民族の發展を助長せしめたるに過きさるは事實の雄辯に物語る所なりされは來るへき將來平和安定後門戸開放機會均等の大旆を翻せる滿洲國の前方に横るは何物なるや實に今日に於て深く心せさるへからす眞に戒むへきは此の點に存す予は既往の經過に鑑み將來の情勢を察し平和後の滿洲に押し寄せ來る所の漢民族は洪水の夫れの如く洵に恐るへきを痛感せすむは非さるなり是れ予か左の數項を提けて敢て政府の所信を問はむと欲する所なり
一 政府は現有の滿洲人をして克く王道政治の理解を與へ彼人をして衷心より日本民族と親善ならしむへく眞個の共存共榮政策に向て何等の考慮を有するや
現在滿洲人の多くは我か軍の躍動に向て疑懼の念に襲はれつつあるは疑なき事實なり故に先つ之か理解の途を講するに非すむは徒に彼人の反感敵愾心を唆るのみにして政府若此の點に重心を置くに非すむは李杜丁超馬占山蘇炳文王徳林の徒輩を將來續出せしむるの怖あるを如何而して努力幸に彼人の理解を得たる後に於ても日本民族か容易に滿洲に移動の至難なるは論なき所なるを以て先つ現有滿洲人をして眞個日滿親善共存共榮の信念を涵はしむるを以て我か生命線擁護の第一歩にして最先の急務なりと信す
二 政府は滿洲現有の八十萬著農鮮人に向て特別格段なる保護を與へ尚更に進むて農業鮮人の移住奬勵に向て何等の考慮政策を有するや
日本民族内地本國人の移動は單純輕易の業に非さるか故に先つ移動上に於ける有利の條件を有する鮮農の移住保護奬勵を以て我か生命線擁護解決の第一歩なりと信す聞くか如くむは政府は昭和八年度に於ても昨年武裝移民五百一戸を送りたる佳木斯に前年と同樣の武裝移民を爲すへき方針にて拓務省政務次官堤氏の視察報告亦然りと、眼孔何そ狹小なる若果して然りとせは予は實に其の愚を悲しまさるを得さるなり年年歳歳莫大の國費を投して天井よりの眼藥恰も雀涙に等しき試驗移民に甘むするか如くむは不知何の時か生命線擁護の實を擧くるを得む政府は須らく活然眼孔を大にし滿洲千七百町歩の未墾地に著目すへし若今の如く軍部萬能主義の下に軍人に非されは移民の能力なきか如き方針に促はれ依然大衆移民の途に進むの勇なくむは到底洪水的來襲の漢民族に備ふる所以に非さるなり否寧ろ無爲無策斷して排すへきなり
三 我が國民をして滿洲の認識を十分ならしむるの政策如何
惟ふに我か日本民族は滿洲の生命線たる實質上の認識に缺くる所あり單に突進軍に勝たさるへからさるの決心の動かさるは眞に喜ふへきも平和後の經濟戰に對する認識不足を如何故に政府は國民をして今日に於て總動員必死の覺悟を以て實業勞働戰に當るの自覺を促ささるへからす政府若此の點を閑却せは焦土論も生命線も何等の意義を爲さす
四 政府は將來日支の前途に於て親善を圖る思慮如何
亞細亞「モンロー」主義の中心は我か日本民族之を荷ふの覺悟を要す予は此の意味に於て今日敢て多きを言はす此の際單に政府より其の思慮の言明を得れは以て足れりとす
右及質問候也
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昭和八年二月二十一日
内閣總理大臣 子爵 齋藤實
衆議院議長秋田清殿
衆議院議員丸山浪彌君提出滿洲政策に關する質問に對し別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員丸山浪彌君提出滿洲政策に關する質問に對する答辯書
一、帝國の對滿政策は日滿兩國間共存共榮の精神に基き滿洲國の健實なる發達を助成し依て以て東洋平和の確保に資するに在り政府は右趣旨に依り此の上共滿洲國政府と提携し兩國民の間に日滿親善共存共榮の信念を益々深からしめむことを期す
二、政府は在滿鮮人の保護撫育に關しては夙に意を致し教育、衞生、金融、産業等に關する凡有施設を爲し殊に滿洲事變後に於ける避難鮮農に關しては極力之が救濟に努めつつあり而して避難鮮農の生活の安定を計るは緊要事なるを以て差當り昭和八年度に於て安全なる土地を選定し鮮農を集團的に收容し將來自作農たらしむる目的を以て安全農村を創設するの計畫を樹立せり尚ほ鮮農將來の移住に對する方策は獨り鮮人の利害のみならず日滿親善にも關係する所大なる問題たるに鑑み政府は此點に留意して萬全の方策を樹立せむことを期す
三、政府は各般の關係に於て日本國民の滿洲國に對する認識を愈々切實ならしめむが爲遺憾なきを期す
四、政府は窮極支那國民が同國亦滿洲國に對し承認を與へ日滿支三國相倚り相助けて以て東洋平和の確保に努むること眞個日支の親善を計る所以なることを了解するに至るべきを確信するものにして右の如き事態招來の爲め施措遺漏なきを期す
右及答辯候也
昭和八年二月二十一日
外務大臣 伯爵 内田康哉
陸軍大臣 荒木貞夫
拓務大臣 永井柳太郎
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民法親族編中養子に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
昭和八年一月三十日
提出者 天辰正守
外一名
民法親族編中養子に關する質問主意書
民法中改正を要する點多多ありと雖吾人の最遺憾に考ふる點は民法親族編中子なき場合に他人の子女を貰受け之を教養し法律の擬制に因りて親子關係を繼續せしめ家督相續の開始に依りて養子は戸主の身分を收得す戸主權を收得したる養子か亂行日日に増長して養親を虐待し家女たる妻を追放したる實例は往往ありと雖家族制度を尊重する我か民法に於ては斯る場合に戸主權を奪ふは一家の廢滅の原因なりとの理由にて右の如き者に對して何等制裁の方法なきは大に遺憾なりとす之に對する當局の所見を問ふ
右及質問候也
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昭和八年二月二十一日
内閣總理大臣 子爵 齋藤實
衆議院議長秋田清殿
衆議院議員天辰正守君外一名提出民法親族編中養子に關する質問に對し別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員天辰正守君外一名提出民法親族編中養子に關する質問に對する答辯書
本質問の趣旨に對しては當局に於ても同感なれども目下民法親族編及相續編改正案の調査中なるを以て遠からず其の實現を見るに至るべく本質問の件も之と同時に解決し度き意嚮なり
右及答辯候也
昭和八年二月二十一日
司法大臣 小山松吉
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民事訴訟法に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
昭和八年一月三十日
提出者 天辰正守
外一名
民事訴訟法に關する質問主意書
民事訴訟は原被告の感情問題に基因するもの多多あるは勿論なるも土地境界確認訴訟の如きは一層感情を激成し殆と無價値の訴訟物に對して其の實價格の幾十倍を費し多年に亙りて紛爭を繼續せるは〓見る所なり而して何れか勝訴を得ると雖其の費用に於て大打撃を蒙り殊に他の案件と異りて子子孫孫に至る迄惡感情は融和せす斯る事件を通常の民事訴訟として審判するは改正民事訴訟法竝我か國古來の淳風美俗の上より見るも改正すへきに非すや
尚人事訴訟法中婚姻關係事件、養子縁組事件、親子關係事件、相續人廢除事件、隱居事件等は直に通常裁判所に持出し所謂公衆の目前に於て家庭内の醜惡を暴露するは我か國淳風美俗を害すること大なり人權を尊重する現代に於ては餘りに矛盾撞著も甚し是等に關しては土地境界確認事件と共に家事調停裁判と謂へる如き一種の特別調停裁判に付すへきものなりと信す之に對する當局の所見を問ふ
右及質問候也
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昭和八年二月二十一日
内閣總理大臣 子爵 齋藤實
衆議院議長 秋田清殿
衆議院議員天辰正守君外一名提出民事訴訟法に關する質問に對し別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員天辰正守君外一名提出民事訴訟法に關する質問に對する答辯書
一、境界確認訴訟を一種の特別調停裁判に付すべきことは其の趣旨に於て贊成なるも右は一般調停制度との關係を考慮して研究すべき問題なりと思料す
二、政府は目下民法中親族編及相續編の改正に伴ひ家事審判法を制定し家庭に關する事件に付道義に基き温情を以て非公開手續の下に審判又は調停を爲すことを考究中なり
右及答辯候也
昭和八年二月二十一日
司法大臣 小山松吉
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鐵道運賃引下に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
昭和八年一月三十一日
提出者 藤井啓一
鐵道運賃引下に關する質問主意書
我か國有鐵道運賃引下に關しては數年間全國各商工會議所より其の筋に陳情したるのみならす昨年第六十三囘議會に本院に於て同趣旨の建議全會一致を以て可決し政府に建議したり然るに今尚何等の引下改正變更等の措置を採られさるを以て茲に左の質問を爲さむとす
一 現行鐵道運賃率は昭和五年四月一日以來(其の後一部改正)實施に係るも大正七年及大正九年の改正に基くものにして其の根本趣旨に於て運賃額の下増收不減收の方針に出てたるものなるを以て(鐵道省中山貨物課長の鐵道運輸委員會に於ける説明)國民經濟の非常なる膨脹したる時代に比し其の經濟事態の非常なる變化を來したる今日に於ては之に適應せさるものなり即ち時代の變遷に伴はさる賃率に非さるや政府の所見如何
二 近來經濟界不況にして其の一局部に於ては昨今稍恢復の曙光を認むるか如きも今尚一般的に於て其の深刻の程度を脱せす各種營業の維持困難を極む即ち物價主要部を組成する鐵道運賃にして依然好景氣時代の賃率を墨守施行せらるるに於ては折角經濟界の恢復を企圖せらるる時期に於て國民經濟及産業の振興を阻止阻害する憂ふへき影響を招來するに非すや政府の所見如何
三 各種貨物就中鮮魚は米、麥、野菜等と共に我か國民必需の食料品にして輓近機械漁業法の發達と共に全國の沿海は勿論遠く支那海「オホーツク」海方面より日日一般國民の食膳に供給せらる然るに其の鐵道運賃率は米、麥、大根、馬鈴薯類の第二十級雜穀一般、野菜味噌、醤油、漬物、小麥粉、乾物類の第十九級に對し鮮魚は第十五級第十四級を以てせらるる實状なり而して鮮魚は單に國民の生活必需品たるに止らす其の價格は極めて低廉にして現に此二、三年間の統計より見るも米一噸當り平均凡そ百二十圓に對し鮮魚は八十圓内外に過きす斯く高率の鐵道運賃を課せらるるに於ては市場價格の大半は動もすれは運賃額を以て占めらるること少からす全國漁民の疲弊困憊の因亦此に存す是に由て之を觀れは現時時局匡救對策若は他貨物運賃率との均衡上適當の變更引下は當然なる急務と信す政府の所見如何
四 最近下關市より大阪地方等に對する鮮魚運送の状況は鐵道便より漸次船舶に移らむとする傾向を來したるは鐵道便よりも船舶運送か運賃低廉にして荷主に有利なるにあり今假に下關市より大阪市に鯖を貨車に積替へ輸送するとせは一函に付運賃四十五錢氷代十錢積込費十五錢函代二十錢計約九十錢一尾當り一錢五厘乃至二錢を要するに對し運搬船にて直行すれは一隻約五十圓程度の經費にて足り三萬尾積と見て一尾當り一厘七毛即ち十分の一の運賃にて足れり而して其の運搬船の隻數は税關特許を得たるもの三百三十隻にして其の八十%見當は最近常に直行し三四年前の四五倍に達せり其の運搬賃も昭和六年九月の如きは約一箇月二十二、三萬圓に及へり斯の如きは全く海陸運送費の高低差異に基因するものにして從て鐵道運賃收入減となるものと言はさるへからす鐵道當局に於て鐵道運賃就中鮮魚運賃引下は鐵道收入減を來すものと憂慮せらるるも却て反對の結果を來すものと言ふへし鐵道貨物運賃の收入増を企圖せられさるへからさる鐵道當局に於て果して如何なる感を有せらるるや其の所見如何
五 鮮魚は急送を要する貨物にして荷姿も惡しく相當困難なりとするも當局は既に其の輸送機關として冷藏車等を設備せり尚且鮮魚は一般民衆の必需品たるに於ては其の運賃率を遞減するは社會政策上當然に非すや若夫れ假に鐵道運賃收入減ありとするもそは自ら別個の對策を講すへきに非さるや政府の所見如何
右及質問候也
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昭和八年二月二十一日
内閣總理大臣 子爵 齋藤實
衆議院議長秋田清殿
衆議院議員藤井啓一君提出鐵道運賃引下に關する質問に對し別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員藤井啓一君提出鐵道運賃引下に關する質問に對する答辯書
一 省の現行貨物運賃は昭和五年四月に改正を行ひたるものなり右の改正を爲すに當り當初は從來の運賃收入に對し不減不増を目標として改正案の研究を進めたるも賃率決定の直前に至り一部の生活必需品及主要産業原料品の運賃引下を爲すこととし年額約六百五十萬圓の運賃引下を行ひ居れり
今日の鐵道貨物賃率を歐洲大戰前即ち大正三、四年頃のものに比較すれば大體五割程度の引上となり居れり
一方物價は三割程度昂騰せるに過ぎざるも鐵道經費の大半を占むる人件費は一般勞銀の昂騰に伴ひ著しく膨脹し從って鐵道の經費は物價の下落せる割合に減少し居らざるを以て今日の鐵道賃率が必ずしも高率なりとは認め難し
二 一般經濟界不況の影響は鐵道も同樣に被り此兩三年來一般貨客收入減の爲鐵道財政は著しく困難なる状態に在り國有鐵道の運賃は鐵道財政の許す範圍に於て出來得る限り之を低廉にすべきものと考へ居るも右の通鐵道財政困難の爲運賃の一般的引下は差當り之を實行すること困難なり
三 省に於ても鮮魚は國民の生活必需品なることを充分に認め特別等級賃率を設けて運賃の低減を圖り居れり然れ共其の等級賃率を米、麥、野菜等と同一にすべきものとは認めず
四 一部の鮮魚が運賃の低廉なる海運に轉嫁することは已むを得ざる處なり尤も省としては右の如き場合特に必要と認むるときは特定運賃を設けて之が轉嫁防止を爲し居れり
五 質問と同樣の見地より現在鮮魚に對しては特別等級賃率を設けて其の運賃の低減を爲し居れり
右及答辯候也
昭和八年二月二十一日
鐵道大臣 三土忠造
一議員より提出せられたる議案左の如し
産師法案
提出者
野方次郎君 加藤鐐五郎君
金城紀光君
地方鐵道及軌道に對する地方税免除に關する法律案
提出者
本多貞次郎君 金光庸夫君
建築士法案
提出者
岡田忠彦君 兒玉右二君
星島二郎君
森林法中改正法律案
提出者
小林かなえ君 田村實君
國立公園法中改正法律案
提出者
小林かなえ君 田村實君
史蹟名勝天然紀念物保存法中改正法律案
提出者
小林かなえ君 田村實君
地方鐵道及軌道に對する地方税免除に關する法律案
提出者
鵜澤宇八君 山本厚三君
吉川吉郎兵衞君 藤井啓一君
漁船保險法案
提出者
鵜澤宇八君 村上紋四郎君
工藤鐵男君 平川松太郎君
漁船保險法案
提出者 小池仁郎君
鑛業陷落地復舊助成に關する建議案
提出者
樋口典常君 山崎達之輔君
野田俊作君 貝谷眞孜君
高倉寛君 田尻生五君
實岡半之助君 原口初太郎君
宮川一貫君 吉田鞆明君
内野辰次郎君 田島勝太郎君
高野喜六君 勝正憲君
中野正剛君 亀井貫一郎君
小池四郎君
關け原木の本間鐵道敷設に關する建議案
提出者
仙波久良君 猪野毛利榮君
佐竹直太郎君
農家負擔輕減に關する建議案
提出者
東武君 福井甚三君
土井權大君 長田桃藏君
島田七郎右衞門君 高橋熊次郎君
加藤知正君 八田宗吉君
熊谷五右衞門君 平野桑四郎君
肥料政策に關する建議案
提出者
東武君 福井甚三君
砂田重政君 八田宗吉君
河野一郎君 木村正義君
山本愼平君 高橋熊次郎君
青山憲三君
大神都特別聖地計畫實施國營に關する建議案
提出者
島田俊雄君 前田米藏君
山口義一君 松田源治君
富田幸次郎君 山道襄一君
古屋慶隆君 濱田國松君
加藤久米四郎君 川崎克君
池田敬八君
國際日忠魂祭制定に關する建議案
提出者
山下谷次君 荒川五郎君
中川觀秀君
農家負擔輕減に關する建議案
提出者
高田耘平君 荒川五郎君
櫻井兵五郎君 平川松太郎君
池田秀雄君 岡田喜久治君
肥料政策に關する建議案
提出者
高田耘平君 荒川五郎君
櫻井兵五郎君 平川松太郎君
池田秀雄君 岡田喜久治君
肥料政策に關する建議案
提出者
栗原彦三郎君 中田正輔君
(以上二月十八日提出)
和歌の浦灣附近に海軍航空隊設置に關する建議案
提出者 玉置吉之亟君
大牟田市に區裁判所設置に關する建議案
提出者
野田俊作君 貝谷眞孜君
大牟田港修築費國庫補助に關する建議案
提出者
野田俊作君 貝谷眞孜君
(以上二月二十日提出)
一議員より提出せられたる質問主意書左の如し
輸出百合根に關する質問主意書
提出者
牧山耕藏君 中村不二男君
長野縣下教育界竝青壯年層に現れたる極左檢擧に關する質問主意書
提出者 戸田由美君
左傾運動取締に關する質問主意書
提出者
世耕弘一君 助川啓四郎君
(以上二月十八日提出)
一昨二十日提出者に於て撤囘したる議案左の如し
蠶絲業更生の根本策樹立に關する建議案
提出者
加藤知正君 清家吉次郎君
横川重次君
(以上二月十六日提出)
一去十八日辭任したる常任委員左の如し
第三部選出決算委員 松谷與二郎君
第八部選出決算委員 野中徹也君
第二部選出建議委員 中井川浩君
一去十八日議長に於て選定したる委員左の如し
小切手法案(政府提出、貴族院送付)委員
鳩山秀夫君 三上英雄君
篠原義政君 志賀和多利君
鈴木安孝君 渡邊幸太郎君
松木弘君 平井信四郎君
中谷貞頼君 崎山嗣朝君
田邊熊一君 世耕弘一君
作田高太郎君 一松定吉君
内藤正剛君 高橋義次君
菊池良一君 中田正輔君
水産會法中改正法律案(小池仁郎君提出)外一件委員
鈴木英雄君 林儀作君
青山憲三君 仁田大八郎君
森肇君 田村實君
鵜澤宇八君 村上紋四郎君
大島寅吉君
地租法中改正法律案(松岡俊三君外四十四名提出)外四件委員
菅原傳君 川口義久君
本多貞次郎君 松岡俊三君
西方利馬君 高橋金治郎君
山口忠五郎君 三尾邦三君
窪井義道君 井上知治君
金城紀光君 高橋熊次郎君
内ヶ崎作三郎君 比佐昌平君
手代木隆吉君 猪股謙二郎君
小池仁郎君 伊禮肇君
農漁業災害保險法案(胎中楠右衞門君外一名提出)外一件委員
砂田重政君 鈴木英雄君
竹澤太一君 増田金作君
兼田秀雄君 杉本國太郎君
助川啓四郎君 青山憲三君
深澤豐太郎君 木本主一郎君
白城定一君 貝谷眞孜君
高田耘平君 村上紋四郎君
中井川浩君 岡田喜久治君
平川松太郎君 栗原彦三郎君
原蠶種國家管理法案(胎中楠右衞門君外一名提出)委員
武田徳三郎君 横川重次君
坪山徳彌君 鈴木辰三郎君
山本莊一郎君 加藤知正君
近藤壽市郎君 水島彦一郎君
三善信房君 生田和平君
永田良吉君 若宮貞夫君
小山邦太郎君 百瀬渡君
清水留三郎君 田中祐四郎君
戸田由美君 鈴木正吾君
一去十八日に於ける特別委員の異動左の如し
鐵道敷設法中改正法律案(政府提出)委員
辭任 岸衞君 補闕 伊豆富人君
少年教護法案(荒川五郎君外六十六名提出)委員
辭任 河上哲太君 補闕 犬養健君
一昨二十日齋藤内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
内閣恩給局長 樋貝詮三
第六十四囘帝國議會政府委員被仰付
一昨二十日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第二部選出
建議委員 岡田喜久治君(中井川浩君補闕)
第三部選出
決算委員 伊禮肇君(松谷與二郎君補闕)
第八部選出
決算委員 岸衞君(野中徹也君補闕)
一昨二十日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
造幣局工場及其の附屬設備の新營費に關する法律案(政府提出)外二件委員
理事 豐田收君(委員木暮武太夫君本日理事辭任に付其の補闕)
一昨二十日委員長及理事互選の結果左の如し
小切手法案(政府提出、貴族院送付)委員
委員長 鳩山秀夫君
理事
篠原義政君 鈴木安孝君
作田高太郎君 内藤正剛君
水産會法中改正法律案(小池仁郎君提出)外一件委員
委員長 鈴木英雄君
理事
青山憲三君 大島寅吉君
地租法中改正法律案(松岡俊三君外四十四名提出)外四件委員
委員長 菅原傳君
理事
窪井義道君 井上知治君
比佐昌平君 猪股謙二郎君
農漁業災害保險法案(胎中楠右衞門君外一名提出)外一件委員
委員長 砂田重政君
理事
兼田秀雄君 深澤豐太郎君
中井川浩君 岡田喜久治君
原蠶種國家管理法案(胎中楠右衞門君外一名提出)委員
委員長 武田徳三郎君
理事
横川重次君 三善信房君
百瀬渡君 田中祐四郎君
一昨二十日に於ける特別委員の異動左の如し
六大都市に特別市制實施に關する法律案(犬養健君外四十四名提出)委員
辭任 上田孝吉君 補闕 三井徳寳君
辭任 板野友造君 補闕 林路一君
辭任 犬養健君 補闕 林儀作君
辭任 沼田嘉一郎君 補闕 山本市英君
辭任 加藤鐐五郎君 補闕 松實喜代太君
辭任 小山松壽君 補闕 山本厚三君
辭任 三宅磐君 補闕 手代木隆吉君
辭任 斯波貞吉君 補闕 大島寅吉君
辭任 本田彌市郎君 補闕 原吉郎君
辭任 川橋豊治郎君 補闕 内ヶ崎作三郎君
小切手法案(政府提出、貴族院送付)委員
辭任 志賀和多利君 補闕 宮澤清作君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=0
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001・秋田清
○議長(秋田〓君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御諮リ致スコトガゴザイマス、水產會
法中改正法律案外一件委員長、及刑事訴訟
法中改正法律案外十三件委員長ヨリ、ソレ
ゾレ本日本會議中、委員會ヲ開キタイトノ
申出ガアリマシタ、之ヲ許可スルニ御異議
ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=1
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002・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メ許可
スルニ決シマシタ只今政府ヨリ國際聯
盟ニ關スル件ニ付キ報〓ノ爲メ發言ノ通〓
ガアリマス尙ホ之ニ對シ祕密會議ヲ要求
セラレマシタ、仍テ是ヨリ會議ノ公開ヲ止
メマス、傍聽人ノ退場ヲ命ジマス
國際聯盟ニ關スル件
〔午後一時十七分祕密會議ニ入ル)
〔午後二時二十三分祕密會ヲ終ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=2
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003・秋田清
○議長(秋田〓君) 是ヨリ會議ヲ公開致
シマス、傍聽人ヲ入場セシメマス-諸君、
是ヨリ議事ヲ進メマス、祕密會ニ於キマシ
テハ、齋藤內閣總理大臣及內田外務大臣ヨ
リ國際聯盟ニ關スル件ニ付キ報〓ヲ聽取
リ且ツ質問應答ガアリマシタ此際島田
俊雄君ヨリ議事進行ノ發言ヲ求メラレテ居
リマス、國際聯盟ニ付キ政府ノ報〓ニ關ス
ル件トノコトデアリマス、之ヲ許シマ
ス-島田俊雄君
〔島田俊雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=3
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004・島田俊雄
○島田俊雄君 只今ノ祕密會ニ於ケル政府
ノ說明ニ關シマシテ一言致シタイト存ジ
マス昨日ノ豫算總會ニ於ケル私ノ質問ニ
對スル答辯ノ意味ニ於キマシテ政府ガ特
ニ祕密會ヲ要求セラレ內田外務大臣ヨリ
國際聯盟會議ニ於ケル理事會、其他各種ノ
滿洲問題ニ關スル會議ノ經過竝ニ所謂勸〓
案ノ內容ニ付キマシテ、大體ノ說明ヲ與ヘ
ラレ尙ホ齋藤首相ヨリ右會議ノ結果、殊
ニ此勸〓案ノ通過ヲ致シタル場合ニ處置ス
ベキ帝國政府ノ態度ニ關シテ、明確ナル言
明ヲ爲サレタルコトニ付キマシテ、私ハ滿
足ノ意ヲ表スル次第デアリマス(拍手)
固ヨリ祕密會議ヲ要求セラレタル所ノ御
趣旨ニ鑑ミマシテ祕密會ニ於ケル政府說
明ノ事實ニ付テ兎角ノ言議ヲ挾ムガ如キ
コトハ致サナイ積リデアリマスガ政府ノ
說明セラレタル〓末ニ考ヘマシテ、聯盟ノ
會議ノ經過ガ政府ノ說キ示サレタル如クデ
アリマシテ而シテ今將ニ通過成立ヲ見ン
トシツヽアル所ノ聯盟ノ勸〓案ナルモノ
ガ、其內容亦政府ノ只今說明セラレタル所
ノ如キモノデアルト致シマスルナラバ、聯
盟ノ諸國ハ滿洲ニ於ケル旣成嚴存ノ事實ヲ
否定シ東洋ノ事情ニ對シテ全然認識ヲ缺
如セルモノト申シテモ差支ナイト考ヘルノ
デアリマス(拍手)事玆ニ至リマスレバ齋藤
首相御言明ノ對策方針、是ハ何人ガ其局ニ
當リマシテモ執ラザルコトヲ得ザル御處
置、萬已ムヲ得ザル方法ト言ハンヨリモ寧
ロ當然ノ處置ト申スベキ次第デアリマシ
テ恰モ私ガ昨日ノ豫算總會ノ席上ニ於テ
此場合ニ於ケル唯一無二ノ態度
民國文化大學シマツデツ此私ハ帝國國
此場合政府ガ敢
然トシテ此態度ニ出ルコトニ廟議ヲ一決致
サレマシタコトヲ聽クコトヲ得タルヲ喜
ブモノデアリマス(拍手)併ナガラ事件ハ今
尙ホ進行中デアリマス、聯盟脫退ノ決意ヲ
致シタカラト申シマシテ、ソレデ總テガ解
決シタト云フ次第デハアリマセヌ、又聯盟
ヲ脫退致シタカラト申シテ、總テガ解決ス
ル譯デモアリマセヌ、問題ハ寧ロ今後ニア
リト言ハナケレバナラヌノデアリマス(拍
手)帝國トシテ爲スベキコト、滿洲ノ治安
維持ヨリ致シマシテ東洋ノ平和、而シテ世
界平和ノ基礎ヲ確立スルガ爲ニハ爲スベ
キ帝國ノ事業ハ寧ロ擧ゲテ今後ニアルト云
フコトヲ、覺悟シナケレバナラヌノデアリ
マス(拍手)政府今日ノ御處置ニ對シテハ吾
吾ハ贊成ヲ致シマス、又全國國民モ共ニ倶
ニ政府ノ御方針ヲ支持致スモノト、深ク信
ズルモノデアリマス(拍手)政府ニ於テハ須
ラク堅忍不拔ノ意氣ヲ以テ、只今御言明ノ
方針ニ邁進セラレ、機宜ヲ制シテ萬違算ナ
カラシムルヤウ全幅ノ努力ヲ拂ハレ、以
テ上御一人ノ聖旨ニ副ヒ奉ルト共ニ、下國
民ノ期待ニ背カザルヤウニ致サルベキモノ
ト考ヘル次第デアリマス(拍手)
玆ニ私ガ昨日ノ豫算總會ニ於ケル質問ヲ
動機トシテ、政府ノ說明セラレタル所ノ報
告ヲ承リマシテ、此機會ニ於テ特ニ發言ノ
御許ヲ得マシテ、是ダケノコトヲ申上ゲ
テ吾々ノ態度ヲ明エシテ置ク次第デアリ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=4
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005・秋田清
○議長(秋田〓君) 本日ノ日程ニ揭ゲマシ
タ、質問ハ、何レモ政府ヨリ答辯書ヲ受領致
シマシタ、仍テ日程ヨリ之ヲ省キマス質
問ノ答辯ニ對スル意見陳述ヲ求ムル通〓モ
アリマスガ、是ハ後刻適當ノ機會ニ之ヲ許
シマス-日程第一大正二年法律第九號
中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス-司
法大臣小山松吉君
第一大正二年法律第九號中改正法律
案(裁判所管轄區域ニ關スル件)(政府
提出)第一讀會
大正二年法律第九號中改正法律案
大正二年法律第九號中左ノ通改正ス
別表裁判所管轄區域表ヲ左ノ如ク改ム
控訴院
地
裁判所判
東京
横濱
裁判所管轄區域表
方區裁
所
東京
八王子
橫濱
横須賀
小田原
浦和
管轄區域
東京府ノ內
東京市島利島新島式根島
地內島早大島鷄渡根島恩走島
神津島
私苗島三宅島大野原島御藏島藺灘波島
八丈島小島靑ケ島鳥島小笠原島
硫黃島南硫黄島北硫黃島南鳥島中ノ鳥島
東京府ノ內
八王子市西多摩郡南多摩郡北多摩郡
神奈川縣ノ內
橫濱市川崎市久良岐郡橘樹郡都筑郡
鎌倉郡高座郡津久井郡
神奈川縣ノ內
横須賀市三浦郡
神奈川縣ノ內
平塚市足柄下郡中郡足柄上郡愛甲郡
埼玉縣ノ內
北足立郡ノ内
浦和町辻村合村美谷本村笹目村
戶田村町芝土村靑木村橫曾根村
川口町植三南蕨六平柳村神根村野田村
尾間木村村町大久保村
宮馬原宮村村上指三片鳩扇橋柳平扇橋柳村村村村町村村村平大與大砂土村
村村室方宮野町町
大上日上光川尾進水室町馬小大
納石村村小村室針谷
加桶町石戶村町村村村村
中丸村常村七鴻川里巢只巢町村町村田間宮村箕田
小谷村吹村原市町志木
大和田町朝霞町內間木村新倉村白子村
片山村
入間郡ノ內
鶴瀨村南畑村水谷村宗岡村三芳村
北埼玉郡ノ内
加須町騎西町志多見村田ヶ谷村笠原村
種足村高柳村禮羽村不動岡町樋遣川村
三田ヶ谷村村君村大越村利島村川邊村
東村原道村元和村豐野村三俣村
大桑村水深村鴻莖村
南埼玉郡ノ內
須賀村綾太久町爲宮村〓久村
江面村箇瀨田村村村平津野喜村村栢間村小林村
管別三篠六十円
浦和
越ケ谷
川越
熊谷
北葛飾郡ノ内
栗橋町靜村豐田村櫻田村行幸村
幸手町上高野村高野村權現堂川村吉田村
八代村田宮村杉戶町豐岡村櫻井村
埼玉縣ノ內
南埼玉郡ノ内
越ヶ谷町岩槻町豐春村內收村粕壁町
川通村武里村櫻井村新村增
大袋村荻島村柏崎村和條土方幡和林村村村
出羽村蒲生村村村八新
川柳村八
潮止村大相模村大澤町慈恩寺村日勝村
百間村河合村黑濱村
北足立郡ノ内
新〓村谷塚村草加町新田村安行村
戶塚村大門村春岡村
北葛飾郡ノ内
堤〓村幸松村豐野村松伏領村旭
吉川町三輪野江村彥成村早稻田村戶ケ崎村村村
八木〓村寶珠花村富多村南櫻井村川邊
金杉村
埼玉縣ノ內
川越市
入間郡ノ內
芳野村古谷村南古谷村髙階村
福岡村村村瀨村富岡村
柳松井村
所澤町入宮山大植間寺口井木妻村小手指村三ヶ島村
元狹山村村村村新生活東金子村岡町
藤澤村村福原村山奧豐
入間川町日東村村田面澤村家田富村村村
三芳野村勝呂村出版人間的町入村大
川角村毛呂村越生西町梅園村
名細村鶴ヶ島村高萩村髙麗川村高麗村
東吾野村霞ヶ關村柏原村水富村元加治村
加治村精明村飯能町原市場村南高麗村
名栗村吾野村
比企郡ノ內
今宿村中山村伊草村三保谷村出丸村
八ツ保村小見野村
埼玉縣ノ內
大里郡兒玉郡
比企郡ノ內
松山町大岡村福田村宮前村唐子村
菅谷村七郷村八和田村小川町竹澤村
大沼 (平村明覺村玉川村龜井村
買取野本村東吉見村南吉見村西吉見村
北吉見村
千葉
秩父
千葉
佐倉
一宮本
〓
松戶
木更津
北條
八日市
場
佐原
秩父郡ノ内
大椚村槻川村大河原村
北埼玉郡ノ內
町羽生町中條村南河原村北河原村
河村星宮村持田村人間はT.M.
埼長星忍野村須加村大阪府
所作
玉村井屈荒泉巢木村村村廣田村須影村河内閣司
川俣村中島村手子林村共和村
埼玉縣ノ內
秩父郡ノ內
横瀬村蘆ケ久保村高篠村原谷村
三澤村白鳥村樋口村野上村
倉大國皆秩居酒粕野菜金澤村矢納村日野澤村吉田町
長若村小鹿野町上吉田村
書籍)用藥兩大瀧村白川村
久三那村浦山神村村影森村
中川村
千葉縣ノ內
千葉市千葉郡
市原郡ノ內
八幡町五井町千種村姉崎町成就好
海上村濕津村市東村(電話)
養菊瀧老間村村村村戶田村牛久町內田村
市西村
鶴舞町高富山村平三村
千葉縣ノ內
印旛郡
千葉縣ノ內
長生郡夷隅郡
千葉縣ノ內
東葛飾郡
千葉縣ノ內
君津郡
市原郡ノ內
里見村白鳥村
千葉縣ノ內
安房郡
千葉縣ノ內
銚子市匝瑳郡海上郡山武郡
香取郡ノ內
常磐村久賀村多古町東條村耳垂汁
吉田村中村飯高村豐和村本數計
中和村
千葉縣ノ內
香取郡ノ內
佐原町滑河町小御門村高岡村神崎町
米澤村瑞穗村新島村東大戶村大須賀村
本大須賀村香西村香取町津宮村大倉村
水戶
豐浦村小見川町神里村八都村森山村
良文村府馬町山倉村栗源町飲食料
神代村笹川町橘村東城村受害者
茨城縣ノ內
水戶市東茨城郡西茨城郡多賀郡
那珂郡ノ内
町平町中野村勝崎田
水戶額川湊田村野谷野磯五村前村臺松渡村村村村石神村神村村村
村芳菅佐村村村村柳河村國田
戶多田村木崎村
鹿島郡ノ內
夏海村大谷村沼前村巴村德宿村
諏訪村鉾田町新宮村上島村白鳥村
茨城縣ノ內
久慈郡
那珂郡ノ內
太田瓜連村靜村大村上野村大宮町
大賀村鹽倉田場村山方村自由閪
野玉口川村村村
小瀨村長八里村製麺時
茨城縣ノ内
新治郡
稻敷郡ノ內
鳩崎村安中村木原村君原村舟島村
阿見村朝日村岡田村莖崎村牛久村
土浦筑波郡ノ內
谷田部町小張村板橋村久賀村三島村
谷井田村豐村鹿島村長崎村十和村
福岡村眞瀨村島名村旭村上〓村
作岡村田水山村菅間村波町田井村
北條町小田村大穗村葛筑城村
小野川
茨城縣ノ內
北相馬郡
稻敷郡ノ內
龍ヶ崎龍ヶ崎町江戶崎町君賀村沼里村奧
馴柴村八原村長戶村根本村柴崎野村村
太田村高田村大須賀村伊崎村阿波村
古渡村浮島村大宮村生板村源〓田村
長竿村金江津村十余島村本新島村
茨城縣ノ內
行方郡
生鹿島郡ノ內
麻大同村中野村波野村豐〓村受けず
鹿島町高松村息栖村輕野村新丸行
矢田部村波崎町
茨城縣ノ內
下妻眞壁郡結城郡猿島郡
東京
宇都宮
前橋
宇都宮
芳賀
大田原
栃木
足利
前橋
沼田
新田
筑波郡ノ內
吉沼村高道祖村
栃木縣ノ內
宇都宮市河內郡
上都賀郡ノ內
鹿沼町菊澤村北犬飼村北押原村南押原村
南摩村加蘇村東大蘆村西大蘆村板荷村
小來川村落合村今市町日光町
鹽谷郡ノ内
三依村栗山村藤原村船生村大宮村
氏家町阿久津村
栃木縣ノ內
芳賀郡
栃木縣ノ內
那須郡
鹽谷郡ノ内
矢板町泉村箒根村鹽原町玉生村
北高根澤村熟田村喜連川町片岡村
栃木縣ノ內
下都賀郡
上都賀郡ノ內
西方村眞名子村〓洲村永野村粕尾村
栗野町
栃木縣ノ內
足利市安蘇郡足利郡
上都賀郡ノ内
足尾町
群馬縣ノ內
前橋市勢多郡佐波郡
群馬郡ノ内
東村元總社村總社町駒寄村古卷村
明治村豐秋村澁川町伊香保町金島村
長尾村白〓井村小野上村
山田郡ノ內
福岡村大間々町
群馬縣ノ內
利根郡
群馬縣ノ內
桐生市新田郡邑樂郡
山田郡ノ內
梅田村川內村相生村廣澤村境野村
毛里田村韮川村矢場川村体泊村
群馬縣ノ內
高崎市碓氷郡
靜岡
高崎
中之條
北甘樂
靜岡
沼津
吉原
下田
濱松
掛川
群馬郡ノ内
佐野村倉賀野町岩鼻村大類村発祥時
京ヶ島村新高尾村中川村六〓村受付印
久留馬村室田町倉田村車〓村箕輪町
相馬村上郊村堤ヶ岡村國府村金古町
〓里村桃井村
多野郡ノ內
藤岡町神流村新町小野村八幡村
美土里村平井村美九里村鬼石町三波川村
吉井町多胡村入野村日野村美原村
群馬縣ノ內
吾妻郡
群馬縣ノ內
北甘樂郡
多野郡ノ內
万場町中里村上野村
靜岡縣ノ內
靜岡市〓水市庵原郡安倍郡志太郡
榛原郡ノ内
中川根村上川根村
靜岡縣ノ内
沼津市田方郡駿東郡
靜岡縣ノ內
富士郡
靜岡縣ノ內
賀茂郡
靜岡縣ノ内
濱松市濱名郡引佐郡
周智郡ノ内
城西村水窪町
磐田郡ノ內
西淺羽村村南御厨村
西田貝原村村見御塚付厨町中泉町
向井天福豐通龍田濱村村村町村袖浦村掛町十束村
池長於田野保村村村
岩田村廣瀬村
笠村大村村川村敷地村
野部村二俣藤町村浦光今富川明井岡熊龍三川村龍山村
山香村佐久間村村村村上阿多古村
下阿多古村
靜岡縣ノ內
小笠郡
榛原郡ノ内
御前崎村白羽村地頭方村相良町菅村村
萩間村川崎町勝間田村坂部村吉田山
初倉村金谷町五和村下川根村
甲府
長野
甲府
鰍澤
谷村
長野
飯山
上田
岩村田
松本
周智郡ノ內
久努西村山梨町宇刈村飯田村園田村
一宮村森町天方村三倉村犬居町
氣多村熊切村
磐田郡ノ內
幸浦村東淺羽村上淺羽村袋井町久努村
山梨縣ノ內
甲府市東山梨郡西山梨郡東八代郡中巨摩郡
北巨摩郡
山梨縣ノ內
南巨摩郡西八代郡
山梨縣ノ內
南都留郡北都留郡
長野縣ノ內
長野市上高井郡上水內郡
更級郡ノ內
桑原村稻荷山町鹽崎村村
更信八府田幡村村村大岡村信級村日原
島厨〓柳級村村村村村村村信里村共和村篠ノ井町
眞御收川更
中津村川中島村稻里村靑木島村
小島田村西寺尾村東福寺村
埴科郡ノ內
〓野村松代町西條村豐榮村東條村
寺尾村
長野縣ノ內
下水內郡下高井郡
長野縣ノ內
上田市小縣郡
北佐久郡ノ內
北御收村
更級郡ノ內
村上村力石村上山田村
埴科郡ノ內
南條村中之條村坂城町戶倉村五加村
埴生村杭瀨下村屋代町森村倉科村
雨宮縣村
長野縣ノ內
南佐久郡
北佐久郡ノ内
岩村田町輕井澤町西長倉村伍賀村平根村
三井村志賀村髙瀨村中佐都村中津村
三岡村南大井村御代田村小沼村北大井村
小諸町大里村川邊村五郞兵衛南御牧村
新田村
布施村春日村協和村本牧村芦田村
横鳥村三都和村
長野縣ノ內
松本市東筑摩耶南安曇部
大
新潟
長野縣ノ內
木曾西筑摩郡
長野縣ノ內
大町北安曇郡
長野縣ノ內
上諏訪諏郡
訪
長野縣ノ內
飯田下伊那郡
長野縣ノ內
伊那上伊那郡
新潟縣ノ內
新潟市
中蒲原郡ノ內
新飯田村臼井村大〓村
鷲卷村小根須根合岸田町村林村茨曾根村
小須戸町町町村村村川総金自由 自由 時間村新小荻川村
新關村村菅東名津村村町大蒲原村
十全村村五松泉村川巢本村
新潟横越村
大江山村石山村大吉町鳥屋野村
曾野木村兩川村龜田町
西蒲原郡ノ内
坂井輪村內野町赤塚村角田村松野尾村
峰岡村浦濱村間瀨村岩室村漆山村
和納村卷町鎧〓村曾根町升潟村
中野小屋村黑埼村味方村四ツ合村大原村
月潟村道上村小吉村
新潟縣ノ內
南蒲原郡ノ內
三條町井栗村大崎村下條村加茂町
田上村大島村長澤村森町村鹿峠村
本成寺村福島村
中蒲原郡ノ內
三條七谷村
西蒲原郡ノ內
彌彦村國上村地藏堂町粟生津村吉田町
米納津村松長村小中川村燕町小池村
島上村
三島郡ノ內
大河津村
新發田新潟縣ノ內
北滿原郡東蒲原郡
村上新潟縣ノ内
岩船郡
新潟縣ノ內
長岡市古志郡北魚沼郡
京都
南蒲原郡ノ內
大面村今町新潟村見附町庄川村
長岡葛卷村中之島村
三島郡ノ內
片貝村來迎寺村塚山村岩塚村深才村
日越村王寺川村宮大積村關板原町村
日吉村脇野町村大昭和本店村村用黑川村與
洞島村島田村簡約寺間町
新潟縣ノ內
柏崎刈羽郡
新潟縣ノ內
六日町南魚沼郡中魚沼郡
高新潟縣ノ內
田高田市東頸城郡中頸城郡
糸魚川新潟縣ノ內
西頸城郡
相川新潟縣ノ內
佐渡郡
京都府ノ內
京都京都市愛宕郡葛野郡乙訓郡宇治郡
久世郡綴喜郡相樂郡
園部京都府ノ內
船井郡南桑田郡北桑田郡
宮津京都府ノ內
與謝郡
峯京都府ノ內
山中郡竹野郡熊野郡
京都府ノ內
加佐郡ノ内
舞鶴舞鶴町岡田上村岡田中村岡田下村入雲村
由良村神崎村四所村高野村中筋村
池內村餘內村中舞鶴町新舞鶴町倉梯村
與保呂村志樂村朝來村東大浦村西大浦村
京都府ノ內
天田郡何鹿郡
福知山加佐郡ノ內
河守上村河守町河西村河東村有路上村
有路下村
大阪府ノ内
大阪市三島郡豐能郡北河內郡
南河内郡ノ内
柏原町志紀村
中河内郡ノ內
大阪長吉村瓜破村矢田村高安村南高安村
大阪
神戶
堺
岸和田
神戶
伊丹
明石
篠山
柏原
姫路
社
堅下村堅上村孔舍衙村大戶村枚岡村
繩手村三野〓村英田村盾津村八尾町
曙川村西郡村若江村彌村阪
髙井田村意岐部村楠根町玉施川刀巽龍小華村町町
加美村長瀬村布町村
久寶寺村
大正村
大阪府ノ內
堺市
泉北郡ノ內
五箇莊村鳳町神石村踞尾村濱寺町
高石町取石村鶴田村北上神村東百舌鳥村
美木多村上神谷村西陶器村久世村深井村
東陶器村八田莊村百舌鳥村
南河內郡ノ内
富田林町新堂村喜村伴
機長村山田村白村村村
赤阪村千早村市見野條木志村町村村駒川天川中大西金高錦河石浦岡向郡内川
彼方村古天長東上野村村村村村村村村村村
三日市村共智元加賀寿
南八下村町置ヶ莊谷村村西
國分村狹山村大草村日野田
平尾村黑山村丹南村丹比村植生
髙鷲村藤井寺町道明寺村
中河內郡ノ內
天美村布忍村松原村三宅村惠我村
大阪府ノ內
岸和田市泉南郡
泉北郡ノ內
信太村國府村大津町忠岡村南王子村
〓莊村伯太村北池田村北松尾村南池田村
南橫山村横山村南松尾村山瀧村
兵庫縣ノ內
神戶市西宮市武庫郡
兵庫縣ノ內
尼崎市川邊郡有馬郡
兵庫縣ノ內
明石市明石郡美嚢郡
兵庫縣ノ內
多紀郡
兵庫縣ノ內
氷上郡
兵庫縣ノ內
姫路市加古郡印南郡飾磨郡神崎郡
兵庫縣ノ內
加東郡多可郡加西郡
大阪
奈良
大津
龍野兵庫縣ノ內
揖保郡赤穗郡佐用郡宍粟郡
岡兵庫縣ノ內
豐城崎郡出石郡養父郡朝來郡美方郡
洲本兵庫縣ノ內
津名郡三原郡
良奈良縣ノ內
奈奈良市添上郡生駒郡山邊郡磯城郡
葛城奈良縣ノ內
北葛城郡高市郡南葛城郡
奈良縣ノ內
宇陀郡
宇陀吉野郡ノ內
小川村四〓村高見村上龍門村
奈良縣ノ內
宇智郡
吉野郡ノ內
條上市町吉野町大淀町下市町秋野村
五黑瀧村丹村白銀村賀名生村宗檜村
生
天川村野迫川村大塔村十津川村下北山村
上北山村川上村中莊村國樔村中龍門村
龍門村
大滋賀縣ノ內
津大津市滋賀郡栗太郡野洲郡髙島郡
水口滋賀縣ノ內
甲賀郡
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和歌山縣ノ內
和歌山市海草郡有田郡
那賀郡ノ内
和歌山安樂川村奧安樂川村調月村東貴志村中貴志村
西貴志村丸栖村田中村山崎村根來村
上岩出村岩出町小倉村中野上村南野上村
東野上町北野上村小川村上神野村下神野村
猿川村長谷毛原村眞國村志賀野村細野村
和歌山縣ノ內
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寺那賀郡ノ內
妙池田村長田村粉河町名手町王子村
狩宿村川原村上名手村麻生津村龍門村
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和歌山
德鳥
高松
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川鳥
高松
丸龜
和歌山縣ノ內
西牟婁郡
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寒川村龍神村上山路村中山路村下山路村
〓川村高城村上南部村南部町岩代村
東牟婁郡ノ内
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和歌山縣ノ內
日高郡ノ内
御坊町発売時三村
志賀村衣和奈田村村由良尾丙井原村精神
青森路村
東內原村湯川村藤田村野口村矢
丹生村早蘇村船着村川中村川南上田町村村
切目村切目川村眞妻村稻原村印
名田村鹽屋村
和歌山縣ノ內
東牟婁郡ノ内
新宮町三輪崎町宇久井村那智村勝浦町
色川村上太田村下太田村下里町
四〓店古座町西向村明太神地
高池町村村村町
小川町三尾川村七川村高田村三津ノ
小口村請川村敷屋村本宮村四
三里村九重村玉置口村北山村
德島縣ノ內
德島市名東郡勝浦郡名西郡板野郡
徳島縣ノ內
那賀郡海部郡
德島縣ノ內
美馬郡三好郡
德島縣ノ內
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高松市大川郡木田郡小豆郡香川郡
綾歌郡ノ內
府中村端岡村山内村昭和村陶村
瀧宮村羽床村羽床上村西分村山田村
粉所村
香川縣ノ內
丸龜市仲多度郡
綾歌郡ノ內
坂出町金山村西庄村林田村松山村
王越村加茂村宇多津町川津村土壌村
川西村飯野村坂本村法動寺村焼酎ハ
栗熊村岡田村長炭村造田村美合村
高知
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觀音寺三豐郡
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藝安藝郡
高知縣ノ內
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一宮市丹羽郡葉栗郡中島郡
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半田町阿久比村龜崎町東浦村大府
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小鈴谷村野間村內海町豐濱町師崎町
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成岩町
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岐阜市稻葉郡羽島郡本巢郡山縣郡
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入幡岐阜縣ノ內
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揖斐郡
|岐阜縣ノ內
可兒郡土岐郡惠那郡
加茂郡ノ內
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小遠敷郡大飯郡
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小松町安宅町牧尾御口幸大杉谷村
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國府村寺井野町上湊村
山根上
吉田村粟生村久常村
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鳳至郡珠洲郡
富山縣ノ內
富山市上新川郡婦負郡
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富山三〓村舟橋村寺田村利田村大森村
五百石町高野村上段村東谷村下段村
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西水橋町東水橋町滑川町濱加積村早月加積村
魚津北加積村東加積村山加積村南加積村中加積村
西加積村下條村上條村相ノ木村宮川村
上市町白萩村柿澤村大岩村音杉村
弓庄村
富山縣ノ內
高岡市射水郡氷見郡
髙岡西礪波郡ノ内
醍醐村小勢村福岡町山王村立野村
東五位村福田村國吉村石堤村赤丸村
五位山村西五位村
富山縣ノ內
東礪波郡
西礪波郡ノ內
廣島
出町
廣島
吳
竹原
石動町南谷村埴生村松澤村若林村
正得村荒川村子撫村宮島村福光町
石黑村南蟹谷村廣瀨村廣瀨舘村西太美村
太美山村東太美村吉江村東石黑村決勝所
西野尻村東蟹谷村北蟹谷村藪波村水(特許
鷹栖村戶出町是戶村林村髙波村
大瀧村
廣島縣ノ內
廣島市安佐郡山縣郡
安藝郡ノ内
戶坂村中山村溫品村府中村船越町
海田市町奥海田村畑賀村中野村瀨野村
熊野町矢野町坂村
佐伯郡ノ內
井口村五日市町石內村內村幡村
觀音村甘市町平良村村大宮八竹內町村
地御前村大野村玖波町津水小原河村
木野村栗谷村原谷村村田內方村上水內村
玖島村友和村淺砂町四和村
吉和村嚴島町
賀茂郡ノ內
西條町吉土實村御薗宇村下見村寺西村
川上村原村吉川村熊野跡村〓田村
板城村賀永村下三永村西高屋村東高屋村
造賀村東志和村志和堀村西志和村
豐田郡ノ內
小谷村入野村河内町戶野村竹仁村
久芳村乃美村川源村椹梨村豐田村
廣島縣ノ內
吳市
安藝郡ノ内
昭和村大屋村江田島村音戶町倉橋島村
下蒲刈島村上蒲刈島村
佐伯郡ノ内
高田村中村鹿川村三高村沖村
深江村大柿町飛渡瀬村
賀茂郡ノ內
上黑瀬村乃美尾村中黑瀨村下黒瀨村〓原村
廣村仁方町
廣島縣ノ內
賀茂郡ノ內
竹原町安登村川尻町中切村野路村
內海町三津口町早田原村三津町下野村
東野村莊野村
豐田郡ノ內
田万里村本〓町下北方村上北方村善入寺村
廣島
山口
南方村沼田西村小泉村忠海町大乘村
吉名村木谷村豐濱村久友村大長村
御手洗町大崎南村西野村中野村東野村
木ノ江町
廣島縣ノ內
尾道市御調郡世羅郡
豐田郡ノ內
大草村船木村高坂村長谷村沼田東村
田野浦村須波村幸崎町髙根島村瀨戶田町
西生口村南生口村東生口村名荷村北生口村
尾道鶯浦村
沼隈郡ノ內
津之〓村瀨戶村赤坂村神村本〓村
東村西村所謂,山波村今津町
松永町柳津村金井町東武浦崎村
百島村山南村
廣島縣ノ內
福山市深安郡蘆品郡神石郡
甲奴郡ノ內
上下町矢野村〓嶽村階見村吉野村
福山甲奴村
領家村上川村
沼隈郡ノ内
山手村〓分村横島村田島村千年村
熊野村水呑村田尻村鞆町走島村
廣島縣ノ內
雙三郡高田郡
三次
比婆郡ノ內
口南村口北村下高野山村上高野山村
廣島縣ノ內
比婆郡ノ內
庄原町高村西城町美古登村八鉾村
小奴可村八幡村田森村東城町久代村
庄原峯田村敷信村
帝釋村本村村小鉢·店
山内西村比和山內北村
甲奴郡ノ內
田總村
山山口縣ノ內
口山口市佐波郡吉敷郡美禰郡
德山山口縣ノ內
都濃郡熊毛郡
萩山口縣ノ內
萩市阿武郡大津郡
岩國山口縣ノ內
玖珂郡大島郡
岡山
鳥取
ト關山口縣ノ內
下關市豐浦郡
船木山口縣ノ內
宇部市厚狹郡
岡山縣ノ內
岡山市御津郡赤磐郡和氣郡邑久郡
上道郡兒島郡
都窪郡ノ內
無料撫町庄村中庄村豐洲村
岡山早島川町妹尾町福田村
(原則
吉備郡ノ內
庭瀨町眞金町髙松町生石村服部村
阿曾村社町強化 福谷村岩田村
近村大総井村足守町
日
岡山縣ノ內
倉敷市淺口郡
都窪郡ノ内
帶江村菅生村中洲村〓音村常盤村
玉島山手村三須村
吉備郡ノ內
岡田村川邊村二万村穗井田村吳妹村
箭田村薗村新本村山田村久代村
秦村神在村
金岡岡山縣ノ內
小田郡後月郡
岡山縣ノ内
高梁上房郡川上郡
吉備郡ノ內
下倉村水內村日美村富山村大和村
見岡山縣ノ內
新阿哲郡
山岡山縣ノ內
津津山市苫田郡勝田郡英田郡久米郡
山岡山縣ノ內
勝眞庭郡
鳥取鳥取縣ノ內
鳥取市岩美郡八頭郡氣高郡
倉吉鳥取縣ノ內
東伯郡
米子鳥取縣ノ內
米子市西伯郡日野郡
松江島根縣ノ內
松江市八束郡能義郡
次島根縣ノ內
木大原郡仁多郡飯石郡
松江
松山
島根縣ノ內
今市簸川郡安濃郡
島根縣ノ內
濱田那賀郡
島根縣ノ內
益田美濃郡鹿足郡
島根縣ノ內
大森通摩郡邑智郡
島根縣ノ內
西〓周吉郡穩地郡知夫郡海士郡
愛媛縣ノ內
松山松山市溫泉郡上浮穴郡伊豫郡
愛媛縣ノ內
大洲喜多郡
愛媛縣ノ內
八幡濱西宇和郡
愛媛縣ノ內
西條新居郡周桑郡宇摩郡
愛媛縣ノ內
今治今治市越智郡
愛媛縣ノ內
宇和島宇和島市東宇和郡北宇和郡南宇和郡
長崎縣ノ內
長崎市
西彼杵郡ノ內
茂木町小ケ倉村土井首村深堀村村
蚊燒村伊王島村高村高濱村日野香見母燒
岬村樺島村川原島村爲石村
長崎時矢脇上村喜々津村大草村伊木力村長與大縣民宿
津村村松村長龜
崎戶町江村田浦島浦村村村多以良村
瀬戶町松見島島福雪平小神七榊浦釜岳村村村村黑崎村
三重村式村村村西浦上村
北高來郡ノ內
古賀村
長崎縣ノ內
東彼杵郡ノ內
大村町三浦村鈴田村西大村萱瀨村
竹松村福重村松原村千綿村彼杵村
村川棚村下波佐見村上波佐見村
大
北高來郡ノ內
諫早町小栗村小野村森山村有喜村
長崎
佐賀
江ノ浦村田結村戶石村眞津山村本野村
長田村深海村小江村湯江村小長井村
長崎縣ノ內
島原南高來郡
長崎縣ノ内
佐世保市
西彼杵郡ノ内
瀨川村西高村黒瀨村
東彼杵郡ノ内
佐世保宮村折尾瀬村早岐町江上村
崎針尾村
北松浦郡ノ内
黑島村小値賀村平村神浦村小佐々村
佐々村吉井村世知原村中里村相浦町
大野村皆瀨村柚木村
長崎縣ノ内
北松浦郡ノ內
平戶町大島村生月村中野村獅子村
平戶紐差村中津良村津吉村志々伎村南田平村
田平村星鹿村第一時志佐町上志佐村
調川村今福町福島村鷹島村江迎村
鹿町村
長崎縣ノ內
武生水壹岐郡
長崎縣ノ內
福江南松浦郡
長崎縣ノ內
嚴原下縣郡上縣郡
佐賀縣ノ内
佐賀佐賀市佐賀郡神埼郡三養基郡
小城郡
佐賀縣ノ内
武雄杵島郡藤津郡
伊萬里佐賀縣ノ內
西松浦郡
佐賀縣ノ內
唐津唐津市東松浦郡
福岡縣ノ內
福岡福岡市糟屋郡宗像郡筑紫郡早良郡
糸島郡
甘福岡縣ノ内
木朝倉郡
福岡縣ノ內
飯塚飯塚市嘉穗郡
福岡
直方
久留米
吉井
柳河
八女
小倉
行橋
田川
大分
杵築
福岡縣ノ內
直方市鞍手郡
遠賀郡ノ內
中間町香月町
福岡縣ノ內
久留米市三井郡
三瀦郡ノ内
安武村大善寺村荒木村西牟田村犬塚村
三潴村
福岡縣ノ內
浮羽郡
福岡縣ノ內
大牟田市山門郡三池郡
三瀦郡ノ内
城島町江上村靑木村三叉村木室村
大溝村木佐木村大莞村蒲池村田口村
濱武村久間田村川口村大野島村大川町
福岡縣ノ內
八女郡
福岡縣ノ內
小倉市若松市八幡市門司市戶畑市
企救郡
遠賀郡ノ內
岡垣村遠賀村水卷村上津役村折尾町
蘆屋町
福岡縣ノ內
京都郡築上郡
福岡縣ノ內
田川郡
大分縣ノ內
大分市別府市大分郡
速見郡ノ內
石垣村北由布村南由布村
北海部郡ノ内
川添村丹生村大在村小佐井村坂ノ市町
神崎村
大野郡ノ内
犬飼町
大分縣ノ內
速見郡ノ内
杵築町朝龜川町岡町坂出
藤原村川崎日村村大神村山東豐上八日村村町
北杵築村東山香村中山香村浦村村
南端村
長崎
大分
白杵
佐伯
竹田
中津
玉津
日田
東域東郡ノ內
富來町上國崎村豐崎村國東町旭日村
武藏町中武藏村西武藏村朝來村西安鼓町
安岐町南安岐村奈狩江村大内村
西威東郡ノ内
田原村朝田村
大分縣ノ內
北海部郡ノ内
臼杵町佐賀關町一尺屋村佐志生村下ノ江村
海邊村下北津留村上北津留村南津留村下浦村
靑江町津久見町日代村四浦村保戶島村
大野郡ノ内
川登村田野村野津市村戶上村南野津村
大分縣ノ內
南海部郡
大野郡ノ內
重岡村小野市村
大分縣ノ內
直入郡
大野郡ノ內
菅尾村百枝村三重町新田村白山村
合川村牧口村長谷川村上〓方村小富士村
〓方村上井田村西大野村今市村大野町
井田村長谷村柴原村
大分縣ノ內
中津市下毛郡
宇佐郡ノ内
天津村長峯村横山村麻生村糸口村
高家村八幡村柳ヶ浦村長洲町和間村
宇佐町西馬城村驛館村四日市町豐川村
兩川村高並村東院内村院內村南院內村
明治村龍王村安心院村津房村佐田村
大分縣ノ內
西域東郡ノ内
高田町河內村田染村東都甲村西都甲村
草地村吳崎村西眞玉村中眞玉村上眞玉村
臼野村三浦村香々地町三重村
東或東郡ノ内
竹田津町上伊美村伊美村姫島村熊毛村
來浦町
速見郡ノ内
立石町
宇佐郡ノ內
封戶村北馬城村
大分縣ノ內
日田郡玖珠郡
院
熊本
熊本
三角
高瀨
御船
山鹿
宮地
熊本縣ノ内
熊本市飽託郡
菊池郡ノ內
北合志村護川村平眞城村大津町調査計
陣內村津田村原水村合志村天然町
西合志村田島村
阿蘇郡ノ內
錦野村山西村
上益城郡ノ內
白水村
下益城郡ノ內
當尾村松橋町豐川村豐福村小野部田村
河江村小川町海東村
熊本縣ノ內
宇土郡
下益城郡ノ內
杉合村守富村
天草郡ノ內
登立町維和村上村中村湯島村
熊本縣ノ內
玉名郡
熊本縣ノ內
上益城郡ノ內
御船町瀧秋瀧倉
島野尾村村六水津嘉越村村豐七村村町村村
髙木村大飯乙木陣木
小坂村村秋村廣安村山
津森村河原村白旗村女
龍福野田村村甲佐町宮內村一七番中村村村
御嶽村名連川村朝日島
濱町白糸村
買取り
光明軒馬見原町小峯村
下益城郡ノ內
杉上村隈庄町豐田村豐野村中山村
年禰村砥用町東砥用村
熊本縣ノ內
鹿本郡
菊池郡ノ内
隈府町河原村旭野村水源村龍門村
迫間村城北村砦村加茂川村菊池村
花房村戶崎村〓泉村
熊本縣ノ內
阿蘇郡ノ內
宮地町坂梨村黑川村永水村尾ヶ石村
內牧町山田村中通村古城村南小或村
北小威村產山村波野村野尻村草部村
鹿兒島
八代
人吉
天草
鹿兒島
加治木
知覽
川內
鹿屋
大島
宮崎
柏村高森町色見村白水村久木野村
長陽村
熊本縣ノ內
八代郡葦北郡
熊本縣ノ內
球磨郡
熊本縣ノ內
天草郡ノ内
本渡町村村赤今津村 〓良〓河內村楠甫村
村志須阿崎村上津浦村下津浦村
柿子村戶村髙戶村樋島村
地本道子浦御所浦村龜浦姬村棚底村宮田村
手本宮栖大島大村村村村浦村場村櫨宇土村純粋 )
大下屋村中田村碇石村村
本日
村佐伊津村御領村鬼池村城河原村
野村二江村坂瀨川村志岐村富岡町
都呂々村福連木村下津深江村小田床村髙濱村
大江村富津村一町田村新合村宮地岳村
宮野河內村深海村早浦村龜浦村魚貫村
久玉村牛深町
鹿兒島縣ノ內
鹿兒島市鹿兒島郡熊毛郡
日置郡ノ内
下伊集院村伊集院町上伊集院村郡山村日置村
吉利村永吉村伊作町田布施村阿多村
鹿兒島縣ノ內
姶良郡伊佐郡
囎唹郡ノ內
財部町末吉町
鹿兒島縣ノ內
川邊郡揖宿郡
鹿兒島縣ノ內
薩摩郡出水郡
日置郡ノ内
串木野村市來町東市來村
鹿兒島縣ノ內
肝屬郡
囎唹郡ノ內
岩川町恒吉村市成村松山村志布志町
西志布志村月野村野方村大崎村
鹿兒島縣ノ內
大島郡
宮崎縣ノ內
宮崎市宮崎郡東諸縣郡兒湯郡
宮崎
那覇
仙臺
福島
飫肥宮崎縣ノ內
南那珂郡
都城宮崎縣ノ內
都城市北諸縣郡西諸縣郡
岡宮崎縣ノ內
延延岡市東臼杵郡
高千穗宮崎縣ノ內
西臼杵郡
覇沖繩縣ノ內
那那覇市首里市島尻郡中頭郡國頭郡
平良沖繩縣ノ內
宮古郡八重山郡
仙臺宮城縣ノ內
仙臺市名取郡宮城郡黑川郡
大河原宮城縣ノ內
柴田郡刈田郡伊具郡亙理郡
古川宮城縣ノ內
志田郡加美郡玉造郡遠田郡栗原郡
宮城縣ノ內
石卷牡鹿郡桃生郡
本吉郡ノ內
十三濱村
宮城縣ノ內
登米登米郡
本吉郡ノ內
柳津町橫山村
宮城縣ノ內
本吉郡ノ內
氣仙沼氣仙沼町戶倉村入谷村志津川町歌津村
小泉村御嶽村大谷村階上村無料
新月村鹿折村唐桑村大島村
福島福島縣ノ內
福島市信夫郡伊達郡安達郡
相馬福島縣ノ內
相馬郡
郡山福島縣ノ内
郡山市安積郡田村郡
白河福島縣ノ內
西白河郡岩瀨郡東白川郡石川郡
福島縣ノ內
若松若松市南會津郡北會津郡耶麻郡河沼郡
大沼郡
山形
平
山形
新庄
米澤
鶴岡
酒田
盛岡
花卷
二戶
遠野
福島縣ノ內
石城郡雙葉郡
山形縣ノ內
山形市南村山郡東村山郡西村山郡北村山郡
東置賜郡ノ內
中川村
山形縣ノ內
最上郡
山形縣ノ內
米澤市南置賜郡西置賜郡
東置賜郡ノ內
高畠町二井宿村屋代村龜岡村和田村
上〓村糠野目村沖〓村赤湯町吉野村
金山村宮內町漆山村梨〓村伊佐澤村
大塚村犬川村小松町中郡村吉島村
山形縣ノ內
鶴岡市
東田川郡ノ內
泉村本〓村山添村黃金村
東大村黑川村要件料泉村渡齋町村村
橫山村押切村藤島前
長沼村八榮島村
東榮村手向村立谷澤村〓川村狩川村
十六合村
西田川郡ノ內
湯田川村田川村福榮村念珠關村溫海村
山戶村豐浦村上〓村大泉村大山田
加茂町西〓村東〓村榮村8日町
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飽海郡
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袖浦村
東田川郡ノ內
大和村八榮里村常萬村余目町新堀村
榮村廣野村
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盛岡市岩手郡紫波郡
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相去村
岩手縣ノ內
二戶郡九戶郡
岩手縣ノ內
上閉伊郡氣仙郡
宮城
盛岡
秋田
宮古岩手縣ノ內
下閉伊郡
岩手縣ノ內
西磐井郡
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千廐町大原町年雜誌
一關八澤村大津保村
要宵町猿松黃矢澤川海越村村村村摺舞薄小澤川衣梨村村村村
奥玉村磐〓水村門崎村
長島村印刷所長坂村
澁民村単語許
岩手縣ノ內
江刺郡
膽澤郡ノ內
水澤町佐倉河村眞城村姉体村
水澤白山村永古前岡城澤村村町衣川村小山村南都田村
若柳村金ケ崎町
東磐井郡ノ內
生母村
秋田縣ノ內
秋田市南秋田郡河邊郡
秋田由利郡ノ内
下濱村
能秋田縣ノ內
代山本郡
秋田縣ノ內
由利郡ノ內
本莊町平町金通 印象矢島町
子吉澤村Kヨ計上內濱潟村村町上〓村
莊龜田町
本小出村院內村直根村川笹子村
五代わ下郷村石澤村西瀧澤村
鮎川村小友村南內越村松北東北ケ内浦 建設村村村岩谷村
下川大內村上川大內村 大正寺村道川村
大舘秋田縣ノ內
北秋田郡鹿角郡
秋田縣ノ內
平鹿郡ノ内
橫手町町沼町田森町睦山
橫手榮村福 醍 淺地 開 舞村三見重館村八植大合合內
田村村里村澤末村村村村村村
吉境舘
阿氣村田根森村旭村朝倉村町
黑川村
秋田縣ノ內
湯澤雄勝郡
青森
平鹿郡ノ内
增田町十文字町
秋田縣ノ內
大曲仙北郡
平鹿郡ノ內
角間川町川西村
青森縣ノ内
靑森市東津輕郡下北郡
靑森上北郡ノ內
横濱村野邊地町甲地村天間林村七戶町
浦野舘村大深内村六ヶ所村
靑森縣ノ內
北津輕郡
五所川中津輕郡ノ内
原新和村
南津輕郡ノ內
畑岡村
靑森縣ノ內
弘前市
中津輕郡ノ内
〓水村和德村豐田村堀越村千年村
駒越村岩木村相馬村東目屋村西目屋村
藤代村大浦村船澤村髙杉村裾野村
弘前南津輕郡ノ内
黑石町石川町大鰐町藤崎町女鹿澤村
富木舘村野澤村大杉村浪岡村五〓村
六〓村十二里村常盤村光田寺村田舍舘村
中〓村山形村猿賀村尾上村淺瀨石村
金田村藏大舘¥寺村柏木町尾崎村町居村
竹舘村村碇ヶ關村
鰺ヶ澤靑森縣ノ內
西津輕郡
靑森縣ノ內
八戶市三戶郡
八戶上北郡ノ内
三本木町十和田村四和村藤坂村六戶村
下田村百石町三澤村
北海道ノ內
札幌札幌市札幌郡石狩郡厚田郡濱益郡
千歲郡
北海道ノ内
タ張郡樺戶郡
岩見澤空知郡ノ內
岩見澤町北村栗澤村幌向村三笠山村
美唄町砂川町瀧川町江部乙村歌志內村
蘆別村赤平村
札幌
札幌
函館
旭川
北海道ノ內
室蘭市有珠郡幌別郡白老郡
室蘭虻田郡ノ內
洞爺村虻田村豐浦村
勇拂郡ノ內
苫小牧町安平村厚眞村鵡川村穗別村
北海道ノ內
浦河浦河郡沙流郡新冠郡靜內郡三石郡
樣似郡幌泉郡
北海道ノ內
小樽小樽市小樽郡高島郡忍路郡余市郡
古平郡美國郡積丹郡
北海道ノ內
岩內郡古宇郡
岩內虻田郡ノ內
倶知安町東倶知安村喜茂別村留壽都村眞狩別村
狩太村
北海道ノ內
函館函館市松前郡上磯郡龜田郡茅部郡
山越郡太櫓郡瀨棚郡
江差北海道ノ內
檜山郡爾志郡久遠郡奧尻郡
壽都北海道ノ內
壽都郡磯谷郡歌棄郡島收郡
北海道ノ內
旭川市上川郡(町6.
空知郡ノ內
音江村上富良野村中富良野村富良野町山部村
旭川南富良野村
雨龍郡ノ内
深川町妹脊牛村秩父別村一己村納內村
多度志村雨龍村北龍村沼田村
勇拂郡ノ内
占冠村
北海道ノ內
上川郡(國町三番中川郡(町三番枝幸郡
紋別郡ノ内
名寄紋別町渚滑村下渚滑村瀧上村興部村
西興部村雄武村
雨龍郡ノ內
幌加内村
增毛北海道ノ內
增毛郡留萌郡苫前郡
ガアリマシテ、
附
平戶區裁判所、
判所ニ於テ之ヲ完結ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=5
-
006・小山松吉
○國務大臣(小山松吉君) 北海道ノ内
稚內宗谷郡
北海道ノ內
釧路釧路市
白糠郡
北海道ノ內
帶廣帶廣市
十勝郡
北海道ノ內
網走網走郡
常呂郡ノ內
釧路常呂村
北海道ノ內
常呂郡ノ内
野付牛野付牛町
留邊蘂町
紋別郡ノ內
生田原村
北海道ノ內
根室根室郡
國後郡
得撫郡
樺太ノ內
豐原豐原郡
留多加郡
樺太
樺太ノ內
眞岡眞岡郡
鵜城郡
則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前濱松區裁判所、福山區裁判所、
宮地區裁判所又ハ江差區
裁判所ニ於テ受理シタル事件ハ各其ノ裁
〔國務大臣小山松吉君登壇〕
只今議題トナリ
マシタル大正二年法律第九號中改正法律案
提出ノ理由ヲ御說明致シマス、大正二年法律
第九號裁判所管轄區域ニ關スル法律ヲ施行
致シマシテ以來、交通機關ノ變遷著シキモノ
之ニ伴ヒ町村ノ中ニハ其所
利尻郡禮文郡天鹽郡
釧路郡厚岸郡川上郡阿寒郡
河西郡上川郡(吐勝河東郡中川郡(計)
廣尾郡足寄郡
料里郡
端野村相內村訓子府村置戶村
佐呂間村
遠輕村上湧別村下湧別村
花咲郡野付郡標津郡目梨郡
色丹郡擇捉郡紗那郡蘂取郡
新知郡占守郡
榮濱郡大泊郡長濱郡富內郡
元泊郡敷香郡散江郡
本斗郡野田郡泊居郡久春內郡
名好郡
轄裁判所ノ管轄ヲ變更スルコトヲ、是非ト
モ必要トスルモノヲ生ジタルノミナラズ、
市町村ノ廢置分合ガアリマシテ、又ハ其名
稱ノ變更セラレタルモノモ多數ニ上ッタノ
デアリマスカラ、右法律ノ別表デアリマス
ル裁判所管轄區域表ヲ改ムル必要ガアリマ
ス、玆ニ本法案ヲ提出致シタル次第デゴザ
イマス、何卒愼重ニ御審議ノ上、速ニ御協
贊アランコトヲ願ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=6
-
007・秋田清
○議長(秋田〓君) 日程第二、右議案ノ審
査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマ
ス
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=7
-
008・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ政府提出小切手法案
ノ委員ニ、併セ付託セラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=8
-
009・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=9
-
010・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第三、
工業組合法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キ
マス-商工大臣中島久萬吉君-岩切政
府委員
第三工業組合法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
工業組合法中改正法律案
工業組合法中左ノ通改正ス
第八條營業上ノ弊害ヲ豫防シ又ハ矯正
スル爲特ニ必要ト認ムルトキハ行政官
廳ハ工業組合ノ組合員又ハ其ノ組合ノ
組合員ニ非ズシテ其ノ組合ノ地區內ニ
於テ組合員タル資格ヲ有スル者ニ對シ
其ノ組合ノ定ムル取締又ハ制限ニ從フ
ベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十八條ノ二中「一定ノ金額」ノ下ニ「(保
證金額)」ヲ加フ
第三十五條第一項中「出資一口ノ金額ノ
減少若ハ第十八條ノ二ノ規定ニ依ル組合
員ノ責任ノ減少」ヲ「出資一口ノ金額若ハ
保證金額ノ減少」ニ、同條第三項中「出資
一口ノ金額ノ減少又ハ第十八條ノ二ノ規
定ニ依ル組合員ノ責任ノ減少」ヲ「出資一
口ノ金額又ハ保證金額ノ減少」三菱五人
第三十九條第十號中「出資一口ノ金額ヲ
減少シ、第十八條ノ二ノ規定ニ依ル組合
員ノ責任ヲ減少シ、」ヲ「出資一口ノ金額
若ハ保證金額ヲ減少シ、」ニ改ム
第四十條ヲ削リ第四十一條ヲ第四十條ト
ス
第四十二條中「前三條」ヲ「前二條」ニ改メ
同條ヲ第四十一條トス
第四十二條第八條ノ規定ニ依ル行政官
廳ノ命令ニ違反シタル者ハ五百圓以下
ノ罰金ニ處ス
工業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同
居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ營業
ニ關シ前項ノ命令ニ違反シタルトキハ
自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ
處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十二條ノ二前條ノ罰則ハ工業者ガ
法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ
法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年
者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代
理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年
者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付
テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十七條工業組合中央會ハ工業組合
及工業組合聯合會ノ普及、發達及聯絡
ヲ圖ル目的ヲ以テ之ヲ設立スルコトヲ
得
工業組合中央會ハ法人トス
第四十八條工業組合中央會ハ其ノ名稱
中ニ工業組合中央會ナル文字ヲ用フベ
シ
第四十九條工業組合中央會ハ全國ヲ通
ジテ一箇トシ其ノ設立ハ行政官廳ノ認
可ヲ受クベシ
工業組合中央會ノ設立ニ關シ必要ナル
事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十條工業組合及工業組合聯合會ハ
工業組合中央會ノ會員ト爲ルコトヲ
得
前項以外ノ者ト雖モ定款ノ定ムル所ニ
依リ工業組合中央會ノ會員ト爲ルコト
ヲ得
第五十一條工業組合中央會ノ定款ニハ
左ノ事項ヲ記載スベシ
一目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四會員ノ加入及脫退ニ關スル規定
五會員ノ權利義務ニ關スル規定
六資產ニ關スル規定
七事業及其ノ執行ニ關スル規定
八役員ニ關スル規定
九會議ニ關スル規定
十存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メ
タルトキハ其ノ時期又ハ事由
第五十二條工業組合中央會設立ノ認可
アリタルトキハ主タル事務所ノ所在地
ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ
ー前條第一號、第二號及第十號ニ揭
ゲタル事項
二事務所
三資產ノ總額
四設立認可ノ年月日
五理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭ゲタル事項中ニ變更ヲ生ジタ
ルトキハ其ノ登記ヲ爲スベシ但シ前項
第三號ニ揭ゲタル事項ニ付テハ每事業
年度末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後
一月以內ニ登記ヲ爲スコトヲ得
第五十三條工業組合中央會ニハ理事及
監事ヲ置クベシ
第五十四條工業組合中央會ノ理事及監
事ハ總會ニ於テ會員タル工業組合若ハ
工業組合聯合會ノ理事若ハ監事又ハ第
五十條第二項ノ會員ノ中ヨリ之ヲ選任
ス但シ中央會設立當時ノ理事及監事ノ
選任方法ハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第五十五條第四條第二項、第十九條、
第二十三條、第二十八條、第二十八條
ノ二及第三十四條乃至第四十一條ノ規
定ハ工業組合中央會ニ付之ヲ準用ス但
シ第三十八條ノ規定ニ依リ準用シタル
非訟事件手續法第百四十一條竝ニ產業
組合法第十一條第一項、第十二條、第
十八條乃至第二十二條、第三十八條ノ
二、第四十條乃至第四十六條、第四十
八條、第五十一條乃至第五十八條、第
六十三條ノ二、第六十四條、第六十六
條第一項、第六十七條、第六十八條及
第七十七條第三項ノ規定ヲ除ク
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ニ第八條ノ規定ニ依ル行政官
廳ノ命令ニ違反スル行爲アリタルトキハ
本法施行ノ後ト雖モ仍從前ノ第四十條及
第四十二條ノ規定ヲ適用ス
登錄稅法第十九條第七號中「工業組合聯
合會、」ノ下ニ「工業組合中央會、」ヲ加フ
〔政府委員岩切重雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=10
-
011・岩切重雄
○政府委員(岩切重雄君) 提案ノ理由ヲ說
明致シマス、本改正法律案ヲ提出致シマシ
タ理由デアリマスガ、現行工業組合法ハ重
要工業品ニ關シマシテ、當業者共同ノ施設
ヲ爲シマスト共ニ、企業ヲ統制致シマシテ
新ニ中小工業ノ健全ナル發達ヲ圖ルコトヲ目
的ト致シテ居ルノデアリマス、而シマシテ
此法律案ハ大正十四年ニ重要輸出品工業組
合法トシテ制定致サレマシテヨリ以來、此
法律ニ依リマシテ工業組合ハ、各種ノ工業ニ
亙リマシテ續々ト設立セラレマシテ、健全
ナル發達ヲ遂ゲタノデアリマス、尙ホ中小
工業ノ改善振興ニ著々トシテ其實效ヲ擧ゲ
テ參ノタノデアリマス、併ナガラ我國ノ產業
界ノ現狀ヨリ見マスルノニ、更ニ工業組合
制度徹底ヲ圖リマシテ、一層其機能ヲ發揮セ
シムル必要ガアリマスノデ、其趣旨ニ基キ
マシテ今囘本法ノ一部ヲ改正致シタヤウナ
次第デアリマス、其改正サレマシタ主要ナ
點ヲ簡單ニ申上ゲマスレバ、第一ニ工業組
合ノ普及、發達及聯絡ノ機關ト致シマシテ、
工業組合中央會ヲ設ケマシテ、之ヲ法制上
根據アル團體タラシムルト共ニ、必要ナル
監督ヲ加フル途ヲ開クコトガ第一デアリマ
ス第二ハ中小工業ニ關シマシテ、企業統
制ノ徹底ヲ期スル爲ニ統制ニ關スル規定
ヲ整理スルコトガ第二ノ要點デアリマス
尙ホ詳細ノ點ハ委員會デ申上ゲルコトヽ致
シマスカラ、何卒審議ノ上御協贊アランコ
トヲ切ニ御願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=11
-
012・秋田清
○議長(秋田濟君) 日程第四、右議案ノ審
査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=12
-
013・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=13
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014・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=14
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015・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第五、
恩給法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-政府委員法制局長官堀切善次郞君
第五恩給法中改正法律案(政府提出)
第一讀會
恩給法中改正法律案
恩給法中左ノ通改正ス
第二條中「增加恩給」ノ下ニ「、傷病年金」
ヲタリ
第六條中「又ハ增加恩給」ヲ「、增加恩給又
ハ傷病年金」ニ改ム
第九條第二號中「六年以上ノ」ヲ「二年ヲ
超ユル」ニ改ム
同條ニ左ノ一項ヲ加フ
在職中ノ職務ニ關スル犯罪(過失犯ヲ
除ク)ニ因リ禁錮以上ノ刑(陸軍刑法又
ハ海軍刑法ニ依ル一年未滿ノ禁錮ノ刑
ヲ含マス)ニ處セラレタルトキハ其ノ權
利消滅ス但シ其ノ在職カ普通恩給ヲ受
ケタル後ニ爲サレタルモノナルトキハ
其ノ再在職ニ因リテ生シタル權利ノミ
消滅ス
第九條ノ二裁定官廳ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ年金タル恩給ヲ受クルノ權利ヲ
有スル者ニ付其ノ權利ノ存否ヲ調査ス
ヘシ
第十三條第二項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ公務傷病ノ程度ニ付テハ出訴ヲ爲
スコトヲ得ス
第十六條第三號中「及盲啞學校其ノ他ノ」
ヲ「、盲學校、聾〓學校及」ニ改ム
第十七條第一項中「前條第一號、第二號又
ハ第四號ニ揭クル公務員若ハ之ニ準スヘ
キ者ノ在職年中」ヲ「前條第一號、第二號
若ハ第四號ニ揭クル公務員若ハ之ニ準ス
ヘキ者ノ在職年又ハ第五號若ハ第六號ニ
揭クル公務員ニシテ國庫ヨリ俸給ヲ受ク
ルモノノ在職年中」ニ、同條第四項中「第
四號若ハ第五號」ヲ「第五號若ハ第六號」
三六八
第十八條第一項中「百分ノ一」ヲ「百分ノ
二」ニ改メ「府縣費ヨリ俸給ヲ給スル文
官、」ノ下ニ「神宮司廳又ハ神宮皇學館ノ
職員タル文官、」ヲ加フ
第二十二條第一項中「學校若ハ」ヲ「學校、
幼稚園若ハ」ニ、「府縣立」ヲ「道府縣立」
ニ、同條第三項中「學校」ヲ「學校又ハ幼稚
園」ニ改ム
第二十四條第二號ヲ左ノ如ク改ム
二判任官以上ノ待遇ヲ受クル監獄ノ
職員(前條第二號ニ揭クル者ヲ除ク)、
感化院職員及矯正院職員
第二十六條第二號ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ下士官准士官以上ノ軍人ト爲リタ
ルトキハ普通恩給ニ付テノ最短恩給年
限ノ計算ニ關シテハ之ヲ退職ト看做ス
第二十八條第二項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ一時恩給又ハ第八十二條ニ規定ス
ル一時扶助料ノ基礎ト爲ルヘキ在職年
ニ付テハ前ニ一時恩給ノ基礎ト爲リタ
ル在職年其ノ他ノ前在職年ノ年月數ハ
之ヲ合算セス
第三十條中「軍人ノ恩給權」ヲ「軍人又ハ
警察監獄職員ノ恩給權」ニ、「十一年ニ達
スル迄」ヲ「准士官以上ノ軍人ニ付テハ十
三年ニ達スル迄、下士官以下ノ軍人及警
察監獄職員ニ付テハ十二年ニ達スル迄」
ニ、「四分ノ三」ヲ「十分ノ七」ニ改ム
第三十一條削除
第三十九條第一項中「半月」ヲ「三分ノ
月」ニ改メ同項ノ末尾ニ左ノ如ク加フ
一年以上引續キ編隊艦船ニ乘シテ上陸
制限ノ下ニ準戰訓練ニ服シタルトキ亦
同シ
第四十條ノ二休職、待命、歸休、停職
其ノ他現實ニ職務ヲ執ルヲ要セサル在
職期間ニシテ一月以上ニ亙ルモノハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ在職年ノ計算ニ於
テ之ヲ半減ス
第四十一條第三號中「六年未滿」ヲ「二年
以下」ニ改ム
同條中第四號ヲ第五號、第五號ヲ第六號
トシ第三號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
四公務員退職後在職中ノ職務ニ關ス
ル犯罪(過失犯ヲ除ク)ニ付陸軍刑法
若ハ海軍刑法ニ依リ死刑、懲役刑若
ハ一年以上ノ禁鋼ノ刑ニ處セラレ又
ハ其ノ他ノ法令ニ依リ禁錮以上ノ
刑ニ處セラレタルトキハ其ノ犯罪
ノ時ヲ含ム引續キタル在職年月數
第四十二條第二項ヲ左ノ如ク改ム
第二十八條、第二十九條及第三十條ノ
規定ハ前項ノ規定ニ依リ在職年ニ通算
セラルヘキ年月數ノ計算ニ付之ヲ準用
ス此ノ場合ニ於テハ準軍人又ハ皇宮警
手トシテノ在職年ハ夫々之ヲ軍人又ハ
警察監獄職員トシテノ在職年ト看做ス
第四十三條第二項中「第四十一條」ヲ「第
四十條ノ二及第四十一條」ニ、「前條第一
項第二號乃至第四號」ヲ「前條第一項」ニ
改ム
第四十六條第三項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ期間ヲ經過シタルトキト雖裁定
官廳ニ於テ恩給審査會ノ議ニ付スルヲ
相當ト認メ且恩給審査會ニ於テ不具癈
疾カ公務ニ起因シタルコト顯著ナリト
議決シタルトキハ議決シタル月ノ翌月
ヨリ之ニ相當ノ恩給ヲ給シ又ハ之ヲ改
定ス
第四十六條ノ二公務員公務ノ爲永續性
ヲ有スル傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ不
具癈疾ノ程度ニ至ラサルモ勅令ノ定ム
ル程度ニ達シ失格原因ナクシテ之カ爲
其ノ職ニ堪ヘスシテ一年內ニ退職シタ
ルトキ又ハ其ノ公務員カ下士官以下ノ
軍人ニシテ退職後一年內ニ之カ爲一種
以上ノ兵役ヲ免セラレタルトキハ之ニ
傷病年金ヲ給ス
前條第二項及第三項ノ規定ハ前項ニ規
定スル條件(傷病ノ程度ヲ除ク)ヲ具備
スル者ニシテ退職當時ノ傷病ノ程度カ
前項ノ勅令ニ定ムル程度ニ達セサリシ
モノノ傷病年金ニ付之ヲ準用ス
前條第四項ノ規定ハ前二項ノ規定ニ依
リ給スヘキ傷病年金ニ付之ヲ準用ス
傷病年金ハ之ヲ普通恩給又ハ一時恩給
ト併給スルヲ妨ケス
第四十七條中「前條」ヲ「前二條」ニ改ム
第四十九條第二項中「及公務傷病ニ因ル
不具癈疾ノ程度」ヲ「、公務傷病ニ因ル不具
癈疾ノ程度及傷病年金ヲ給スヘキ傷病ノ
程度」三尺人
第五十條ニ左ノ一項ヲ加フ
前二項ノ規定ハ傷病年金ノ裁定ヲ爲ス
場合ニ付之ヲ準用ス
第五十一條第二項中「第四號但書」ヲ「第
二號但書及第四號但書」ニ改ム
第五十五條ノ二前二條中增加恩給ノ改
定ニ關スル規定ハ傷病年金ヲ受クル者
再就職シ再就職後公務ノ爲傷痍ヲ受ケ
又ハ疾病ニ罹リ退職シ增加恩給又ハ傷
病年金ヲ受クヘキ場合ニ付之ヲ準用ス
第五十六條中「前二條」ヲ「前三條」ニ改ム
第五十七條中「前三條」ヲ「第四條」ニ改ム
第五十八條第一項第一號中「兵卒」ヲ「兵」
二、同項第二號中「六年未滿」ヲ「二年以
下」長良人
同條第一項ニ左ノ二號ヲ加フ
三之ヲ受クル者三十五歲ニ滿ツル月
迄ハ普通恩給ノ六分ノ一、三十五歲
以上四十歲ニ滿ツル月迄ハ普通恩給
ノ八分ノ一ヲ停止ス但シ增加恩給又
ハ傷病年金ト併給セラルル場合ニハ
之ヲ停止セス
四恩給年額千圓以上ニシテ其ノ恩給
外ノ所得ノ年額五千圓ヲ超ユルトキ
ハ恩給年額ト恩給外ノ所得ノ年額ト
ノ合計額ノ六千圓ヲ超ユル額ノ二割
ニ相當スル金額ヲ停止ス但シ恩給ノ
支給額年額千圓ヲ下ラシムルコトナ
ク其ノ停止年額ハ恩給年額ノ二割ヲ
超ユルコトナシ
同條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項第四號ノ所得ノ範圍及計算方法竝
停止方法ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
同條第二項中「前項」ヲ「第一項」ニ、「增加
恩給」ヲ「增加恩給及傷病年金」ニ改ム
第五十九條文官ハ每月其ノ俸給ノ百分
ノ二ニ相當スル金額ヲ國庫ニ納付スヘ
シ
下士官以上ノ軍人ハ每月其ノ俸給ノ百
分ノ一ニ相當スル金額ヲ國庫ニ納付ス
ヘシ
〓育職員ハ每月其ノ俸給ノ百分ノ二ニ
相當スル金額ヲ國庫ニ納付スヘシ但シ
朝鮮、臺灣又ハ樺太以外ノ地ニ於ケル公
立ノ小學校、實業補習學校、幼稚園、盲
學校、聾啞學校及小學校ニ類スル各種
學校ノ〓育職員ハ其ノ學校又ハ幼稚園
ノ所在地ヲ管轄スル府縣又ハ之ニ準ス
ヘキ地方經濟ニ對シ其ノ俸給(又ハ給
料)ノ百分ノ一ニ相當スル金額ヲ納付
スヘシ
警察監獄職員ハ之ニ俸給ヲ給スル國
庫、府縣其ノ他ノ經濟ニ對シ每月其ノ
俸給(又ハ給料)ノ百分ノ一ニ相當スル
金額ヲ納付スヘシ
待遇職員ハ之ニ俸給ヲ給スル國庫、府
縣其ノ他ノ經濟ニ對シ每月其ノ俸給
(又ハ給料)ノ百分ノ二ニ相當スル金額
ヲ納付スヘシ
第二章第二節中第六十條ノ前ニ左ノ一條
アメリカ
第五十九條ノ二本節ニ於テ退職前ノ俸
給年額ト稱スルハ退職前一年內ノ俸給
(軍人及準軍人ニ在リテハ各階等ニ付
定メラレタル別表第一號表ノ假定俸給
額ヲ以テ其ノ階等ニ對スル俸給額ト
ス)ノ總額ヲ謂フ但シ左ノ特例ニ從フ
一公務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹
リ之カ爲退職シ又ハ死亡シタル者ニ
付退職又ハ死亡ノ際昇給アリタルト
キハ其ノ爲サレタル昇給ノ中級俸ノ
定アルモノ(軍人及準軍人ニ付テハ
別表第一號表ノ假定俸給額ヲ以テ級
俸トス)ニ付テハ一級、其ノ定ナキ
モノニ付テハ昇給前ノ俸給ノ百分ノ
十五ヲ限度トシ退職一年前ヨリ昇給
セラレタルモノトシテ計算ス
二前號ニ規定スル場合以外ノ場合ニ
於テ退職前一年內ニ昇給アリタルト
キハ其ノ昇給カ前俸給二年以上据置
ノ後爲サレタルモノナルトキニ限リ
前號ノ規定ヲ準用ス
轉官職ニ依ル俸給ノ增額ハ之ヲ昇給ト
看做シ前項但書ノ規定ヲ準用ス
前二項ニ規定スル退職前一年內ノ俸給
ノ算出方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
實在職期間一年未滿ナルトキハ其ノ俸
給額ヲ月數ノ割合ニ依リ一年分ニ換算
ス
本節ニ於テ退職前ノ俸給月額ト稱スル
ハ退職前ノ俸給年額ノ十二分ノ一ニ相
當スル金額ヲ謂フ
第六十條中「十五年」ヲ「十七年」ニ、「十六
年」ヲ「十八年」ニ、「在職年五年」ヲ「在職年
七年」ニ、「退職當時」ヲ「退職前」ニ改ム
同條第六項中「第二號若ハ第三號」ノ下
ニ「、第五十五條ノ二」ヲ加フ
第六十一條第一項乃至第四項ヲ左ノ如ク
改ム
准士官以上ノ軍人在職年十三年以上ニ
シテ退職シタルトキハ之ニ普通恩給ヲ
給ス
前項ノ規定ハ第二十一條第二項第一號
ノ準軍人在職年十三年以上ニシテ退職
シ且其ノ身分ヲ免セラレタル場合ニ付
之ヲ準用ス
前二項ノ普通恩給ノ年額ハ在職年十三
年以上十四年未滿ニ對シ退職前ノ俸給
年額ノ百五十分ノ五十ニ相當スル金額
トシ十四年以上一年ヲ增ス每ニ其ノ一
年ニ對シ退職前ノ俸給年額ノ百五十分
ノ一ニ相當スル金額ヲ加ヘタル金額ト
ス
前條第三項ノ規定ハ准士官以上ノ軍人
ニ付之ヲ準用ス
同條第六項ヲ左ノ如ク改ム
陸海軍准士官ニシテ其ノ官ニ二年以上
實在職シ最高ノ俸給ヲ受ケタル者ニハ
高等官八等ノ額ヲ給ス
同條第七項中「又ハ第五十四條第一項第
二號若ハ第三號」ヲ「、第五十四條第一項
第二號若ハ第三號又ハ第五十五條ノ二」
ニ、「十一年」ヲ「十三年」ニ改ム
第六十一條ノ二下士官以下ノ軍人在職
年十二年以上ニシテ退職シタルトキハ
之ニ普通恩給ヲ給ス
前項ノ規定ハ第二十一條第二項第二號
ノ準軍人在職年十二年以上ニシテ退職
シ且其ノ身分ヲ免セラレタル場合ニ付
之ヲ準用ス
前二項ノ普通恩給ノ年額ハ在職年十二
年以上十三年未滿ニ對シ退職前ノ俸給
年額ノ百五十分ノ五十ニ相當スル金額
トシ十三年以上一年ヲ增ス每ニ其ノ
一年ニ對シ下士官ニ在リテハ七圓、
兵ニ在リテハ六圓ヲ加ヘタル金額ト
ス
第六十條第三項竝前條第五項、第七項
及第八項ノ規定ハ下士官以下ノ軍人ニ
付之ヲ準用ス
第六十二條中「十五年」ヲ「十七年」ニ、「十
六年」ヲ「十八年」ニ、「退職當時」ヲ「退
職前」ニ、「又ハ盲啞學校其ノ他ノ」ヲ「盲
學校、聾啞學校又ハ」ニ、「第一項ノ場合
ニ於テ」ヲ「第二項ノ場合ニ於テ」ニ、「又
ハ第五十四條第一項第二號若ハ第三號」
ヲ「、第五十四條第一項第一一號若ハ第三號
又ハ第五十五條ノ二」ニ改ム
第六十三條中「十年」ヲ「十二年」ニ、「十一
年」ヲ「十三年」ニ、「退職當時」ヲ「退職前」
二、「又ハ第五十四條第一項第二號若ハ
第三號」ヲ「、第五十四條第一項第二號若
ハ第三號又ハ第五十五條ノ二」ニ改ム
第六十四條中「十五年」ヲ「十七年」ニ、「十
六年」ヲ「十八年」ニ、「退職當時」ヲ「退職
前」ニ改ム
第六十四條ノ二一時恩給ヲ受ケタル後
其ノ一時恩給ノ基礎ト爲リタル在職年
數一年ヲ二月ニ換算シタル月數内ニ召
集其ノ他ノ强制ニ依ラスシテ再就職シ
タル者ニ普通恩給ヲ給スル場合ニ於テ
ハ當該換算月數ト退職ノ翌月ヨリ再就
職ノ月迄ノ月數トノ差月數ヲ一時恩給
額算出ノ基礎ト爲リタル俸給月額ノ二
分ノ一ニ乘シタル金額ノ十五分ノ一ニ
相當スル金額ヲ控除シタルモノヲ以テ
其ノ普通恩給ノ年額トス但シ差月數一
月ニ付一時恩給額算出ノ基礎ト爲リタ
ル俸給月額ノ二分ノ一ノ割合ヲ以テ計
算シタル金額ヲ勅令ノ定ムル時期ニ於
テ返還シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第六十五條ノ二公務員ノ傷病年金ノ年
額ハ退職當時ノ階等、傷病ノ原因及傷
病ノ程度ニ依リ定メタル別表第三號表
ノ金額トス
前項ノ規定ハ公務員ニ準スヘキ者ニ給
スヘキ〓病年金ノ年額ニ付之ヲ準用ス
第六十六條中「下士」ヲ「下士官」ニ、「不具
癈疾ノ程度ニ至ラサルモ」ヲ「傷病年金ヲ
給セラルルノ程度ニ至ラサルモ」ニ、「第
三號表」ヲ「第四號表」ニ改ム
第六十七條文官、〓育職員又ハ待遇職
員在職年三年以上十七年未滿ニシテ退
職シタルトキハ之ニ一時恩給ヲ給ス
前項ノ一時恩給ノ金額ハ退職前ノ俸給
月額ニ相當スル金額ニ在職年ノ年數ヲ
乘シタル金額トス
第六十八條第一項中「下士以上ノ軍人在
職年十一年未滿」ヲ「准士官以上ノ軍人在
職年三年以上十三年未滿ニシテ又ハ下士
官在職年三年以上十二年未滿」ニ「下士
以上トシテ」ヲ「下士官以上トシテ」ニ改
ム
同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ一時恩給ノ金額ハ退職前ノ俸給
月額ニ相當スル金額ニ在職年ノ年數ヲ
乘シタル金額トス
第六十九條削除
第七十條中「一年」ヲ「三年」ニ、「十年」ヲ
「十二年」ニ、「退職當時」ヲ「退職前」ニ改ム
第七十一條削除
第七十五條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項第一號又ハ第二號ニ規定スル場合
及增加恩給ヲ併給セラルル者ノ死亡シ
タル場合ニハ其ノ死亡ノ月ノ翌月ヨリ
五年間ハ前項ノ規定ニ依ル扶助料ノ年
額ニ各其ノ十分ノ三ニ相當スル金額ヲ
加給ス
別表第一號表ヲ左ノ如ク改ム
第一號表
( 中)
將官及相等官
階等
親任高等官同上
一等二等三
圓〓圓
假定俸給年額七、五〇〇六、五〇〇五、六〇〇
第七十七條第一項中「六年未滿」ヲ「二年
以下」ニ改ム
第八十條ニ左ノ二項ヲ加フ
屆出ヲ爲ササルモ事實上婚姻關係ト同
樣ノ事情ニ入リタリト認メラルル遺族
ニ付テハ裁定官廳ハ恩給審査會ニ諮問
ノ上其ノ者ノ扶助料ヲ受クルノ權利ヲ
失ハシムルコトヲ得
裁定官廳ハ前項ニ規定スル事情ヲ調査
スル爲必要アルトキハ他ノ官廳又ハ公
署ノ援助ヲ求ムルコトヲ得
第八十二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
文官、〓育職員又ハ待遇職員在職年三
年以上十七年未滿、准士官以上ノ軍人
在職年三年以上十三年未滿、下士官タ
ル軍人又ハ警察監獄職員在職年三年以
上十二年未滿ニシテ在職中死亡シタル
場合ニハ其ノ遺族ニ一時扶助料ヲ給ス
同條第二項中「死亡ノ當時」ヲ「死亡前」ニ
改ム
同條第三項及第四項ヲ削リ同條ニ左ノ二
項ヲ加フ
第五十九條ノ二第四項ノ規定ハ死亡前
ノ俸給月額ニ付之ヲ準用ス
第七十三條中遺族ノ順位ニ關スル規定
及第七十四條ノ規定ハ第一項ノ扶助料
ヲ給スル場合ニ付之ヲ準用ス
第九十一條第二項中「六月」ヲ「一年」ニ、
「二年」ヲ「三年」ニ、「三年」ヲ「四年」ニ改
ム
第九十九條削除
佐討官及相當官
同上四同上同上同上七同上八同上
等等五等六等等等
圖國圓圓
四、六〇〇三、九五〇三、二五〇二、三五〇一、七〇〇一、四〇〇
〓
准士官下士官兵
階等判任官陸軍上等兵陸軍一等兵陸軍二等兵
同上同上同上海軍
一等二等三等四等一等兵海軍二等兵海軍三等兵海軍四等兵
圓圓圓圖
假定俸給年額一、二〇〇八五五長大吉六七五六〇〇五四〇阿五五四五〇
別表第三號表ヲ左ノ如ク改ム
第三號表
判任
階等等等四等
傷等一
病
原判任待遇
因症狀等差官下士
准士官兵
圓圓
甲第一三一二二八六二六0
戰鬪又ハ戰
第二二四〇二二〇·〇·
鬪ニ準スヘ款款款款一六
第三一八二一七六0
號キ公務
第四一四六1.5m1·10·
圓圖
乙第一二五二二三十三二一0
款款一六0
第二一九二一七六
務公通普一二〇
第三款一五六一四三
號第四款一三二一二一二一〇
高等官及同待遇者ニ給スヘキ金額ハ判任一等ノ者ニ給スヘキ金額ニ其ノ十分ノ一ニ相
當スル金額ヲ加ヘタルモノトス
別表第四號表ヲ左ノ如ク改ム
第四號表
傷病原因症狀等差下士官兵傷病原因症狀等差下士官兵
第圓圓圓圓
一 日九九〇九〇〇第一目七九二七二〇
甲戰鬪乙普
又ハ第二目八二五七五〇第二目六六〇六〇〇
戰鬪第三目六六〇六〇〇通第三目五二八四八〇
準
スー第四目四九五M.C.公第四目三九六三六〇
キ公第五目三三〇二〇〇第五目二六四二四〇
號務號務
第六目一大五一五〇第六目1-11H二二〇
附則
第一條本法ハ昭和八年十月一日ヨリ之
ヲ施行ス但シ第四十六條ノ二及第五十
八條第一項第四號ノ改正規定ハ昭和九
年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第二條本法施行前給與事由ノ生ジタル
恩給ニ付テハ仍從前ノ規定ニ依ル但シ
第五十八條第一項第四號ノ改正規定ハ
本法施行前給與事由ノ生ジタル恩給ニ
付テモ之ヲ適用ス
第三條第十三條第二項但書ノ改正規定
ハ本法施行前ヨリ行政裁判所ニ繫屬ス
ル事件ニ付テハ之ヲ適用セズ
第四條第十八條第一項ノ改正規定ニ依
ル納付金額ハ同項ニ規定スル公務員ニ
付テ附則第九條ノ規定ノ必要ナキニ至
ル迄ハ第十八條第一項ノ改正規定ニ拘
ラズ同項ニ規定スル公務員ガ第五十九
條(改正前又ハ改正後)及附則第九條ノ
規定ニ依リ納付スル金額ノ合計額ト同
額トス
第五條本法施行前ノ在職ニ付在職年ヲ
計算スル場合ニ於テハ加算年又ハ休職
等ノ減算ニ關スル改正規定ニ拘ラズ仍
從前ノ規定ニ依ル
第六條第四十條ノ二ノ改正規定ハ本法
施行ノ際現ニ進行中ニ屬スル休職、待
命歸休、停職其ノ他同條ニ規定スル
在職期間ニ付テハ其ノ期間ノ終了ニ至
ル迄本法施行後ト雖モ同條ノ規定ヲ適
用セズ
第七條傷病年金ハ本法施行後公務ノ爲
傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル者ニ之
ヲ給ス但シ本法施行前賑恤金(之ニ準
ズルモノヲ含ム)又ハ傷病賜金ヲ受ク
ベキ事由ヲ生ジタル者ニハ本法施行前
其ノ事由ヲ生ジタルトキト雖モ勅令ノ
定ムル所ニ依リ傷病ノ程度ヲ査定シ將
來ニ向ツテ之ヲ給ス
第八條第五十八條第一項第三號ノ改正
規定ハ本法施行前普通恩給ヲ受クルノ
權利ヲ生ジタル者及本法施行ノ際現ニ
在職シ本法施行後退職シテ普通恩給ヲ
受クルノ權利ヲ生ズル者ニハ之ヲ適用
セズ
前項ニ規定スル者本法施行後再就職シ
其ノ普通恩給ヲ改定セラルル場合ニハ
其ノ改定ニ因ル增額分ニ付第五十八條
第一項第三號ノ改正規定ヲ適用ス
第九條第五十九條ノ改正規定ハ勅令ノ
定ムル所ニ依リ本法施行後就職シ又ハ
俸給(又ハ給料)ガ昇給若ハ增額セラレ
タル月ノ翌月ヨリ之ヲ適用ス
第十條第五十九條ノ二第一項但書ノ場
合ニ於テ其ノ公務員ガ同一種類ノ公務
員トシテ實在職年二十年以上勤續シタ
ル者ニシテ特殊ノ事情アルモノニ付テ
ハ當分ノ內同但書各號ニ於ケル制限ノ
一級ヲ二級、百分ノ十五ヲ百分ノ三十
トス
第十一條本法施行ノ際從前ノ規定ニ依
ル普通恩給ニ付テノ最短恩給年限ニ達
シタル者ニハ其ノ者ガ本法施行後改正
規定ニ依ル最短恩給年限ニ達セズシテ
退職シタル場合ト雖モ退職前ノ俸給ニ
依リ之ニ普通恩給ヲ給ス但シ其ノ年額
ハ在職年ノ不足一年ニ付退職前ノ俸給
年額ノ百五十分ノ一ニ相當スル金額ヲ
控除シタルモノトス
第十二條前條ノ規定ハ本法施行ノ際現
ニ休職、再服役其ノ他法令上ノ在職期
限ノ定アル地位ニ在ル者ニシテ本法施
行後其ノ期間ノ終了ニ因リ從前ノ規定
ニ依ル普通恩給ニ付テノ最短恩給年限
ニ達スルモノニ付之ヲ準用ス
第十三條第六十四條ノ二ノ改正規定ハ
本法施行前受ケタル一時恩給ニ付テハ
之ヲ適用セズ
第十四條第七十五條第二項ノ改正規定
ハ公務員ガ本法施行前死亡シタル場合
ニ付テモ之ヲ適用ス但シ此ノ場合ニ於
ケル加給ハ本法施行後ニ屬スル殘存期
間ニ付テノミ之ヲ爲ス
第十五條恩給法施行前同法第二十三條
ニ揭グル公務員トシテ普通恩給(退隱
料)ヲ受ケ引續キ文官ニ任ジ同法施行
後迄在職シタル後本法施行前退職シ同
法第八十五條第一項ノ規定ノ適用ニ依
リ其ノ普通恩給(退隱料)ヲ文官ノ普通
恩給ニ改定セラレザリシ者ニ付テハ同
項ノ規定ニ拘ラズ特ニ恩給法第九十條
第一項ノ規定ヲ適用シ本法施行ノ日ヨ
リ本法施行前ノ規定ニ依リ其ノ普通恩
給(退隱料)ヲ文官ノ普通恩給ニ改定ス
但シ恩給法施行後文官退職ニ因リ一時
恩給ヲ受ケタル者ニ付テハ勅令ノ定ム
ル所ニ依リ其ノ一時恩給ノ金額ヲ改定
ニ因リ增額セラルル普通恩給額中ヨリ
支給ニ際シ控除ス
前項ノ規定ハ恩給法施行後本法施行前
ニ文官トシテ普通恩給ヲ受ケタル者ニ
付テハ之ヲ適用セズ
第一項ニ規定スル者引續キ本法施行後
迄在職スルトキハ恩給法第八十五條第
一項ノ規定ニ拘ラズ恩給法第九十條第
一項ノ規定ヲ適用シ同法第二十三條ニ
揭グル公務員トシテノ普通恩給(退隱
料ヲ文官トシテノ普通恩給ニ改定
ス
第十六條第九十一條第二項ノ改正規定
ハ本法施行ノ際現ニ在職シ從前ノ同項
ニ規定スル期間ヲ經過シタル者ニ付テ
ハ之ヲ適用セズ
第十七條本法施行ノ際現ニ在職シ恩給
法第九十九條第一項ノ規定ノ適用ニ依
リ同法第五十八條ノ規定ノ適用ヲ受ケ
ザル者ノ恩給ノ停止ニ付テハ其ノ者ガ
引續キ其ノ官職ニ在職スル期間ニ限リ
仍同法第九十九條第一項ノ規定ニ依ル
第十八條本法施行前恩給法第九十九條
第一項ノ規定ノ適用ニ依リ同法第五十
八條ノ規定ノ適用ヲ受ケザリシ者又ハ
前條ノ規定ノ適用ニ依リ同法第五十八
條ノ規定ノ適用ヲ受ケザル者ノ當該在
職期間ト他ノ公務員ノ在職年トノ通算
ハ仍從前ノ例ニ依ル
第十九條前條ニ規定スル者ヲ除クノ外
恩給法第九十九條第一項ニ規定シタル
者ノ大正十二年十月一日以後ノ在職年
ハ同日以後ノ他ノ公務員ノ在職年ト五
ニ通算ス但シ本法施行前ニ給與事由ノ
生ジタル場合ニ於テハ其ノ者ガ再就職
シ本法施行後退職又ハ死亡シタル場合
ニ限リ此ノ規定ニ依ル
前項ニ規定スル者ノ大正十二年九月三
十日以前ノ在職年ノ同日以前ノ他ノ公
務員ノ在職年トノ通算ニ付テハ同日以
前ノ舊法ノ例ニ依ル
第一項ニ規定スル者ノ大正十二年十月
一日前後ノ在職年ノ通算ニ關シテハ恩
給法第九十條第一項ノ規定ヲ適用ス
〔政府委員堀切善次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=15
-
016・堀切善次郎
○政府委員(堀切善次郞君) 此度提出致シ
マシタ恩給法中改正法律案ニ付テ、提案理
由ヲ申上ゲマス、現行ノ恩給法ハ御承知ノ
通リ大正十二年ニ、ソレマデ數箇ノ法律ト
シテ分立致シテ居リマシタ幾多ノ恩給ニ關
スル法律ヲ、綜合統一シタモノデアリマスカ
ラ、其間諸種ノ不合理ガ存シテ居リマシタ
コトモ、亦已ムヲ得ナカッタヤウナ次第デア
リマス、ソレデ其後ノ推移ヲ見マスト、此
恩給法中ニ存スル色々ノ不備ト、行政整理
其他ノ事件トガ結合致シマシテ、恩給總額
ハ年々累增ノ一途ヲ迪リマシテ、昨年末卽
チ昭和七年末ニ於キマシテハ、國庫ヨリ給
與致シマスモノダケデモ約一億四千七百万
圓ニ上ルコトヽ相成リマシテ、財政上カラ
見マシテモ、輕視出來得ナイノデアリマス、
而シテ每年ノ累增額ハ年ニ依ッテ多少ノ增
減ガアリマスガ、平均致シマシテ一年約四
百万圓ヅヽ增シテ行クコトヽナッテ居ルノ
デアリマス、尤モ昨年度ハ滿洲事件ノ影響
ニ依リマシテ五百八十万圓バカリ增シテ居
リマスガ是ハ臨時ノコトヽ考ヘテ宜シイ
ト思ヒマス、右樣ナ次第デアリマシテ、此
儘放ッテ置キマスレバ恩給總額ハ段々增
シテ參リマシテ、果シテ何年後ニ此情勢ガ
緩和或ハ停止セラレルカト云フコトハ一
寸判斷ガ付カナイ狀態ナノデアリマス、斯
ノ如ク恩給ノ總額ハ年々增加シテ參リマス
ガ、飜テ之ヲ受クル個人ノ側カラ見マスレ
バ中ニハ十分ノ給與ヲ受ケテ居ルトハ申
サレマセヌ者モアルノデアリマシテ、大正
十二年卽チ現行恩給法ノ制定ニ方リマシテ、
各種ノ恩給ハソレ〓〓增額ヲ受ケテ居ルノ
デアリマスガ、ソレデモ尙ホ公務ノ爲ニ創
痍ヲ受ケ、又ハ疾病ニ罹ッテ職ヲ罷メタ者及
其遺族ノ一部等ニハ給與ガ薄キニ過グル
ト見ネバナラヌ者ガアルノデアリマス
以上ノ理由カラ致シマシテ、今囘ノ提案
ニ於キマシテハ一面現受恩給者又ハ近ク
恩給ヲ受クルニ至ルベキ人々ニ餘リ苦痛ヲ
與ヘナイ方法ニ依リマシテ、恩給總額ノ年
年ノ膨脹趨勢ヲ防止シ、恩給累增ニ對スル
一般ノ不安ヲ除去致シマスト共ニ、他面ニ
於キマシテハ現行法中ニ存スル幾多ノ不備
不當ノ點ヲ整理致シマシテ、兼テ萬已ムヲ
得ザル者ニ付キマシテハ幾分恩給ノ增額
ヲ爲シタ次第デアリマス、政府ノ見ル所ヲ
以テ致シマスレバ突發事件ノナイ限リ、
此改正ニ依リマシテ四五年ノ後ニハ此累增
ヲ停止シ、爾後幾分ヅヽトシマシテモ、恩給總
額ノ漸減ヲ見ルコトヽナル次第デアリマス、
詳細ノ事ニ至リマシテハ委員會ニ於テ申上
ゲルコトヽ致シマシテ、何卒御審議ノ上、
御協賛アランコトヲ希望致ス次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=16
-
017・秋田清
○議長(秋田〓君) 質疑ヲ許シマス-江
藤源九郞君
〔江藤源九郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=17
-
018・江藤源九郎
○江藤源九郞君 今囘政府ガ御提出ニナリ
マシタ恩給法ノ改正ノ御趣旨ニ付キマシ
テハ、全ク同感デアリマス併ナガラ其内
容ヲ拜見致シマスルノニ、國家ノ犠牲ニナ
リマシタ戰公傷病死者等ノ遺族扶助料、
其他ノ改正ニ付キマシテハ私共ガ永年期
待ヲ致シテ居リマシタモノニ較ベマシテ
洵ニ遺憾ヲ感ズルノデアリマス、三十代
ヤ四十代ノ若サヲ以テ恩給ヲ貫フタリ、或
ハ又二重三重ノ恩給ヲ貰ッタリ、現行恩
給法ニ付キマシテハ政府當局ガ御說明ニ
モアリマシタヤウニ、御改正ニナラナケレ
バナラヌ點ガ多々アルコトヲ信ジテ居ルノ
デアリマスルガ、併ナガラ又一面ニ於キマ
シテハ國家保護ノ犠牲ニナッタヤウナ兵
士諸君ノ遺族ヲシテ、或ハ其生活ニ非常ナ
困難ヲ感ゼシムルト云フヤウナコトハ是
非ナイヤウニシタイト思フノデアリマス、
斯ウ云フ點ニ付キマシテ御尋ヲシタイト思
フノデアリマスルガ、詳細ハ委員會ニ於テ
申上ゲタイト思ヒマスルケレドモ、若干此
場合御尋ヲ申上ゲタイト思ヒマス
其第一點ハ、現行法ニ於ケル遺族ノ扶助
料ハ名譽アル犧牲者ノ遺族ヲ遇スル上ニ
於テ大ニ遺憾ヲ感ズルノデアリマス、例
テ申シマスルト、現行法ニ於キマシテ二
等兵ガ名譽ノ戰死ヲ致シマスルト其遺族
ノ扶助料ハ年額百五十圓デアリマス、豫後
備ニナリマスト、子供ノ二三人モアル者モ
少クナイノデアリマシテ、此扶助料ハ一箇
月十二圓五十錢デアルノデアリマス、是ハ
如何ニモ私ハ氣ノ毒ノヤウニ思フノデアリ
マシテ、成程戰死致シマシタ當時ニハ相當
ノ一時賜金ガアリマスルケレドモ、是ハ杖
トモ柱トモ思フ所ノ自分ノ夫ナリ、或ハ親
ヲ失ッタ者ニ對スル國家ノ所謂慰安金デア
リマス其遺族ノ生活ヲ安定シ、保障スル
モノハ扶助料デアリマス、私ハ少クモ其倍
額卽チ二十五圓位ハ給シテヤラナケレバナ
ラヌト思フノデアリマスルガ、色々財源ノ
關係モアリマセウガ、政府當局ニ於カレマ
シテハドウ云フ風ニ御考ヘニナッテ居リ
マスルカヲ伺ヒタイノデアリマス
第二點ハ、戰公傷痍者ノ遺族扶助料ノ件
デアリマスガ、傷痍者ガ天壽ヲ完ウスルコ
トガ出來ナイト云フコトハ是ハモウ異論
ノナイコトデアリマス然ルニ現行法ニ依
リマスルト、其最モ重傷者デアリマスル第
一項症ノ二等兵ノ恩給額ハ年額千五十圓デ
アリマス、此千五十圓貰ッテ居リマスル者
ガ一朝死亡致シマスルト、其遺族ハドレダ
ケノ扶助料ヲ貰フカト申シマスト、僅ニ七
十五圓デアリマス、千五十圓貰ヲテ居ッタ者
ガ急轉直下七十五圓ニ下リマス、是ハ今
囘ノ改正ニ依リマシテ多少緩和サレタノデ
アリマス、今囘ノ改正ニ依リマスルト、死
後五箇年間ハ現行法ニ依リ恩給額ノ三割ヲ、
下給スルト云フコトニナフテ居ルノデアリ
マスカラ、此改正案ニ依リマスルト云フト、
死後五箇年間ハ九十七圓五十錢ヲ貰フコト
ニナルノデアリマスガ是トテモ恩給ノ十
分ノ一以下ニ激變スルノデアリマス、斯ノ
如キ激變ハ全ク名譽アル一家ノ殆ド破滅デ
ハナイカト思フノデアリマシテ、現ニ東京
市ニ於ケル一項症ヲ貰フテ居リマスル所ノ
遺族デ、本人ガ死ニマシタ後、食フニ困ッテ
行方不明トナッテ居ル者モアルノデアリマ
ス政府ハ此氣ノ毒ナ遺族、是等ハ至ッテ
マダ少數デアルノデアリマスカラシテ、何
トカ財源ヲ求メテ此激變ヲ緩和シテ、生活
ノ安定ヲ與ヘルト云フ御意思ガナイノデア
リマセウカ、ソレヲ伺ヒタイノデアリマス
第三點ハ同ジ傷痍者ノ遺族デアリマシ
テ、其配偶者ガ大正十二年十月一日以前ニ
死亡致シマシタ寡婦ガ兵籍ニ登記ガシテア
リマセヌト云フト、現行法ニ依リマシテハ、
扶助料ヲ受ケルコトガ出來ナイノデアリマ
シテ、是ガ爲ニ非常ニ困フテ居ル者モアル
ノデアリマス、是ハ如何ニモ氣ノ毒ダト思
フノデアリマスルガ、是等ノ者モ右期日以
後ニ死亡致シタ寡婦ト同樣ニ、恩典ニ浴セ
シムルヤウニ改正ヲスル御意圖ガオアリニ
ナルコトヽ存ズルノデアリマスルガ、其御
腹案ヲ御尋致シタイト思フノデアリマス
第四點ハ本改正案ニ依リマスルト、
時賜金傷痍軍人中其重キ者、卽チ第一款症
カラ第四款症マデノ者ニハ傷病年金ヲ給
セラレルコトニナッテ居リマスガ、昭和五年
癈兵待遇審議會ノ答申案ニ依リマスルト、
一時賜金癈兵中症狀ノ重キ者ニハ增加恩
給之ニ次グ者ニハ普通恩給ヲ伴ハザル特
別ノ年金、症狀ノ輕キ者ニハ一時賜金ヲ給
スルト云フコトニナッテ居フタノデアリマ
スカ、今囘ノ改正案ヲ見マスト云フト、前
申シマシタヤウニ症狀ノ重キ者ハ全部增加
恩給ヲ給セラレナイデ、特別年金ヲ給セラ
レルコトニナッテ居ルノデアリマス、私ハ此
癈兵待遇審議會ノ答申案ト云フモノハ其
最低限度ヲ示シテ居ルモノト信ジテ居ルノ
デアリマス、然ルニ今囘ノ改正ハ答申案ニ
示サレテ居ルモノヨリ尙ホ惡イノデアリマ
スカラ、何卒少クモ答申案ニアリマスル程
度ニ、是ハ引上ゲテ戴キタイト思フノデア
リマス
第五點ハ現行增加恩給法ハ症狀ノ重イ
モノハ其輕イモノニ比シマシテ恩給額ガ
少イヤウニ思ハレルノデアリマス、又階級
ニ依ッテ差ガ甚シクアリマシテ、立法ノ精神
ニ副ハヌヤウナ點ガアルヤウニ感ゼラレル
ノデアリマス、譬ヘテ申シマスルト、兵士
デ臂ノ關節以上一上肢ヲ失ッタ者ハ、第三項
症トシテ年額六百圓ノ增加恩給ヲ給セラレ
ルコトニナッテ居リマス、而シテ同樣ニ兩方
ノ手ヲ臂關節以上カラ無クシタ者ハ、第
項症デアリマシテ、年額九百圓ヲ給セラレ
ルコトニナッテ居ルノデアリマス、卽チ兩腕ヲ
失ッタ者ハ片腕ヲ失ッタ者ノ五割增ト云フコ
トニナッテ居リマス、假令左手デモ片一方
アリマスレバ、ソレハ非常ニ都合ガ好クア
リマスルガ、兩手ガ無クナッテシマヘバ、
洵ニ氣ノ毒ナモノデアリマス、是ハドウシ
テモ二倍カ三倍ニシテヤリマセヌト、五割
增ト云フコトハ洵ニ私ハ氣ノ毒ダト田心フ
テ居ルノデアリマス、又階級ニ依ル差別
ガ餘リニ甚シイト思フノデアリマス、其
極端ナ一例ヲ申上ゲマスルト、大尉ノ
階級ニアル者ガ兩腕ヲ無クシマスルト
其恩給額ガ千二百圓デアリマス、而シ
テ一階級上ノ少佐ガ同ジヤウニ片手ヲ無
クシマスルト、其恩給額ガ同額ノ千二百
圓デアリマス、大尉ハ兩腕、一階級上ノ
少佐ハ片腕、斯ウ云フコトニナッテ居ル
ノデアリマス、是等モ洵ニ階級ノ下ノ御方
ニ對シテ、同情ニ堪ヘナイノデアリマス
一體增加恩給ト云フモノハ之ヲ給セラレ
レバ普通恩給ガ併給サレルコトニナッテ居ル
ノデアリマシテ、普通恩給ハ階級ニ依ッテ
嚴重ニ其給與ガ變"テ居リマスカラ、增加恩
給ハ元來ノ性質カラ申シマスルト階級ニ
依ッテサウ云フ區別ハ付ケヌデモ宜イヤウ
ニ考ヘラレルノデアリマス、デアリマスル
カラ現行法ノ如ク、六階級モノ多クノ階級ヲ
付ケズニ、將校ト兵士ノ二階級位ニ階級ヲ
減シテ、而モ其恩給額ノ等差ヲ非常ニ少ク
スルト云フコトガ、此恩給ノ目的ニ適フノ
デハナカラウカト思フノデアリマス、重ネ
テ申上ゲマスルガ兵士諸君ガ國家ノ爲ニ犠
牲ニナラレテ、而モ其遺族ガ非常ニ生活ニ
困ラレルト云フヤウナコトハ是ハ日本將
來ノ士氣ニモ非常ニ關係スルコトデアリマ
スカラ、ドウカ其點ニ付キマシテハ、特
深甚ノ御考慮ヲ下サイマシテ、以上私ガ五
點ニ付テ御尋ヲ致シマシタコトニ付キマシ
テハ政府當局ニ於カレマシテモ、何卒御
同情ヲ以テ御答アランコトヲ切ニ御願スル
次第デアリマス(拍手)
〔政府委員堀切善次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=18
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019・堀切善次郎
○政府委員(堀切善次郞君) 只今ノ御質疑
ニ御答ヲ致シマス、此度ノ恩給法改正ノ主
眼ハ、前ニ申述ベマシタヤウニ、財政上ニ
與フル重壓ヲ除クト云フコトヲ主眼ニ致シ
テ居ルノデアリマシテ、其間ニ已ムヲ得ズ
增加スルコトヲ必要ト認メマシタモノニ付
キ、增加スルコトヲ圖ッタノデアリマシテ、
只今御質疑ノ中ニアリマス特殊扶助料ノ增
額ト云フモノモ、他ニハ殆ド增額ヲ致シマ
セヌ間ニ、此方ニ付テ增額ヲ圖リマシタ一
ツナノデアリマス、第一、第二ノ御質疑
ハ、如何ニモ御尤モノ點モアルノデアリマ
スガソレ等ニ付キマシテ考慮ヲ加ヘマシ
テ、原案ニアリマスヤウニ、ソレ等ニ付キ
マシテハ五年間各扶助料ノ三割ヲ加給スル
ト云フコトニ致シマシタ次第ナノデアリマ
シテ各般ノ事情ヲ考慮致シ財政上ノ點
ニモ思ヲ及ボシマシテ此程度デ已ムヲ得
ナカッタ次第ナノデアリマス、第三ノ點ニ付
キマシテハ、兵籍簿ニ載ッテ居リマセヌ寡婦
ノ取扱ニ付キマシテハドレ位ノ數ガア
リマスカ、餘リ明瞭デアリマセヌ、隨テ是
ガ財政上ニドレダケノ影響ヲ及ボスカト
云フコトモ、明ニナッテ居ラナイノデア
リマシテ、是等ノ點ニ付キマシテハ、尙
ホ〓究ヲ進メル積リデ居リマス、第四ノ
點ニ付キマシテハ是亦恩給全體ト致シ
マシテノ漸增ヲ、防止スルト云フ見地カラ
改正ヲ企テマシタ關係上、財政ノ關係上、
巳ムヲ得ナイ次第ト御承知ヲ願ヒタイノデ
アリマス、第五ノ點ニ付キマシテモ、傷病
者ニ對スル增加恩給ニ付キマシテノ御意見
ニ付キマシテハ、一應御尤ノ點ハアルノデ
アリマスガ、此點ニ付キマシテモ、只今ノ
現行ノ程度デ以テ相當デアリ、又是デ巳
ムヲ得ナイモノト考ヘマシテ、此點ハ其儘
ニ致シテ置キマシタ次第デアリマス大體
右樣ニ御承知ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=19
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020・秋田清
○議長(秋田清君) 日程第六、右議案ノ審
査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマ
ス
第六右議案ノ審査ヲ付託スベキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=20
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021・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=21
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022・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=22
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023・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第七乃
至第十二ハ同一委員ニ付託セラレタル議
案ナルニ依リ、一括議題ト爲スニ御異議ア
リマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=23
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024・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマス
仍テ日程第七、造幣局工場及其ノ附屬設
備ノ新營費ニ關スル法律案、日程第八、昭
和八年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公
債發行ニ關スル法律案、日程第九、大阪帝
國大學工學部設置ニ付帝國大學特別會計及
官立大學特別會計ノ關涉ニ關スル法律案、
日程第十、朝鮮事業公債法中改正法律案、
日程第十一、樺太事業公債法中改正法律案、
日程第十二、貨幣法中改正法律案、右ヲ一
括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ
報告ヲ求メマス-委員長金光庸夫君
第七造幣局工場及其ノ附屬設備ノ新
營費ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第八昭和八年度一般會計歲出ノ財源
ニ充ツル爲公債發行ニ關スル法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第九大阪帝國大學工學部設置ニ付帝
國大學特別會計及官立大學特別會計
ノ關涉ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第十朝鮮事業公債法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第十一樺太事業公債法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第十二貨幣法中改正法律案(政府提
出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一造幣局工場及其ノ附屬設備ノ新營費ニ
關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年二月二十日
委員長金光庸夫
衆議院議長秋田〓殿
報〓書
一昭和八年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年二月二十日
委員長金光庸夫
衆議院議長秋田〓殿
報〓書
一大阪帝國大學工學部設置ニ付帝國大學
特別會計及官立大學特別會計ノ關渉ニ
關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年二月二十日
委員長金光庸夫
衆議院議長秋田〓殿
報〓書
一朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提
〓
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年二月二十日
委員長金光庸夫
衆議院議長秋田清殿
報告書
一樺太事業公債法中改正法律案(政府提
出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年二月二十日
委員長金光庸夫
衆議院議長秋田〓殿
報告書
一貨幣法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年二月二十日
委員長金光庸夫
衆議院議長秋田〓殿
〔金光庸夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=24
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025・金光庸夫
○金光庸夫君 造幣局工場及其ノ附屬設備
ノ新營費ニ關スル法律案ノ委員會ニ於ケ
ル審議ノ〓末ヲ御報告申上ゲマス本案ハ
造幣局工場及其附屬設備ノ新營ニ關スル法
案デアリマシテ、造幣局ノ工場ハ大部分
明治初年ノ建造デアリマシテ、改築ヲ要ス
ルモノガアリマス、又勳章工場ハ倉庫ノ
一部ニ假設備ヲシテ居ルノデアリマシテ
是等工場及其附屬設備ノ新營ノ計畫ヲ立
テヽ、其財源ハ財政ノ計畫上、造幣局資金ノ
一部ヲ一般會計ニ繰入レテ、之ニ充當シタ
イト云フノデアリマス、委員會ハ愼重審議
ノ結果、全會一致可決シタ次第デアリマス
此段御報告申上ゲマス
次ニ日程第八ノ昭和八年度一般會計歲出
ノ財源ニ充ツル爲公債發行ニ關スル法律案
,特別委員會ニ於ケル審議ノ〓末ヲ御報
〓申上ゲマス、本案ハ昭和八年度一般會計
歲出ノ財源ニ充ツル爲ニ、昭和八年度一般
會計ニ於テ既ニ成立シテ居リマス所ノ公債
法ニ依ッテ公債ヲ募集スル金額ト、竝ニ滿洲
事件ニ關スル經費支辨ノ爲メ發行ヲ要スル
公債金額ノ外ニ、歲入ノ不足ヲ塡補スル爲
メ六億五千九百四十餘万圓ノ公債ノ發行ヲ
必要トスル、所謂赤字公債法案デアリマス
尙ホ其內若干ノ金額ハ、例年ノ如ク翌年度
ニ繰越サルヽ結果ニナルデアラウカト存ゼ
ラレマスルガ、其繰越額ノ財源ハ、必シモ
八年度內ニ起債スルコトヲ必要ト致シマセ
又、ソレデ翌年度ニ於テ募債スルコトノ出
來ルヤウニシタイト云フノデアリマス、本
案ノ審議ニ際シマシテハ頗ル廣汎ニ、且
ツ〓ニ入リ細ニ亙リ、最モ適切ナル質問應
答ガ重ネラレタノデアリマシタガ、假ニ其
〓要ノミヲ申上ゲルト致シマシテモ、頗ル
長時間ヲ要スルノデアリマスカラ、總テ之
ヲ省略致シタイト思フノデアリマスガ、大
體ニ於テ質問ノ要點ハ歲計收支ノ不均衡
ヲ憂慮スルニアッタヤウデアリマス、之ニ對
シテ藏相ノ答辯ノ要旨ハ近來各國ノ例ニ
見テモサウデアルガ、收支ト云フモノハ必
シモ各年度每ニ均衡ヲ得ネバナラヌト云フ
ニモ及ブマイ一定ノ年限ニ於テ均衡ヲ得ル
見込ガ立テバソレデ宜イデハナイカ、尙ホ此
際增稅等ノ說モアルガ、財界疲弊ノ今日、
却テ負擔ノ輕減ヲセネバナラヌト云フ時機
ニ於ケル增稅ハ其時機デナイデハナイカ、
低金利政策、其他既定ノ財政政策ヲ遂行ス
ルコトニ依ッテ、遂々財界ハ囘復シテ來ル、
昭和十年度ノ豫算編成期、卽チ昭和九年ノ
秋頃ニナレバ一般歲入モ漸次增加シテ、
昭和七年度ニ於テ二億五六千万圓モ減少シ
テ居ル所ノ租稅ヤ印紙收入、官業收入等モ、
漸次囘復ヲ見ルヤウニナルデアラウ、且ツ
增稅モ其頃ニナレバ可能性ガ出來ルト思
フ、又一面ニハ軍事費ヤ、時局匡救費等ノ
歲出ノ減少モ豫期サルヽノデアルカラ、收
支ノ均衡ハ得ラルヽ見込デアルトノコトデ
アリマシタ、左樣ニ致シマシテ、委員會ハ
愼重審議ヲ重ネマシタル結果、豫算案モ既
ニ通過セル今日、已ムヲ得ザル法案ナリト
認メマシテ、全會一致可決シタ次第デアリ
マス、此段御報〓申上ゲマス
次ニ日程第九、大阪帝國大學工學部設置
ニ付帝國大學特別會計及官立大學特別會計
ノ關涉ニ關スル法律案ノ、委員會ニ於ケル
經過竝ニ結果ヲ御報〓申上ゲマス、大阪工
業大學ハ昭和八年度以降大阪帝國大學ニ
移シマシテ、同帝國大學ニ工學部ヲ設置ス
ルコトヽ相成リマシタ結果、昭和七年度末
現在ノ官立大學資金デアッテ大阪工業大學
ノ用ニ供スルモノハ、之ヲ帝國大學資金ニ
組入レテ、大阪帝國大學ノ資金トスル等、
帝國大學特別會計ト、官立大學特別會計ト
ノ關涉ニ關スル規定ヲ設クル法案デアリマ
シテ、委員會ハ愼重審議ノ結果、當然ノ提
案ナリト認メテ、全會一致可決致シタ次第
デアリマス、此段御報告申上ゲマス
日程第十、朝鮮事業公債法中改正法律案
ノ委員會ニ於ケル審議ノ〓末ヲ御報告申上
ゲマス、本案ハ現行朝鮮事業公債法ニ於キ
マシテハ、朝鮮ニ於ケル事業費補助ニ要ス
ル經費ヲ支辨スル爲ニ、公債ヲ發行スルコ
トガ出來ナイコトニナッテ居ルノデアリマ
ス、昭和八年度ニ於ケル事業費補助ニ要ス
ル經費ニ付テハ朝鮮總督府特別會計ノ狀
況ニ鑑ミマシテ、之ヲ公債財源ニ依ルノ外
ハナイカラ、事業費補助ニ要スル經費ニ付
テモ亦、公債財源ニ依ル得ルコトニシタイ
ト云フノガ此案ノ趣旨デアリマシテ、幾多
ノ質問應答ヲ重ネマシタガ、其主要ナル點
ヲ擧ゲテ見マスレバ、木暮委員ヨリノ質問、
卽チ公債增加ノ傾向ガ著シイ今日、事業費
ノ補助、殊ニ產米增殖ノ補助マデモ公債財
源ニ依ルト云フコトハ不條理ノ嫌ハナイカ、
且ツ政府ノ米穀統制政策ト矛盾ハシナイカ、
斯ウ云フ問ニ對シテ、永井拓相ハ斯樣ニ答
ヘテ居ルノデアリマス、土地改良費四百六
十六万圓ヲ全部普通財源ニ依ルト云フコト
ハ、收入激減ノ今日到底堪ヘ得ナイノデ、八
十九万圓ダケハ公債ニ依ッテ募集スルコトニ
シマシタガ、普通ノ財源ノ收入ガ良好ニ向
ハ出來ルダケ早ク之ヲ廢メタイト云フ
考デアル、又產米增殖計畫ハ繼續事業デア
ルカラ、之ヲ中止スル譯ニモ行カナイ、ソ
コデ最小限度ニ之ヲ繼續スルコトニ致シ、
其代リニ棉花ノ栽培ノ方ニ其失業者ヲ移ス
ト云フ計畫ニ致シタノデアリマスト云フ答
辯ヲ致サレマシタ、其他ノ委員諸君トノ間
ニモ、此種類ノ質問應答ガアリマシタ、斯ク
致シマシテ愼重審議ノ結果、全會一致可決
シタ次第デアリマス、此段御報告申上ゲマ
ス
日程第十一、樺太事業公債法中改正法律
案ノ特別委員會ニ於ケル審議ノ〓末ヲ、御
報告申上ゲマス、本案ハ昭和八年度以降ニ
於テ、樺太ニ於ケル電信電話ノ擴張ト改良、
道路ノ開鑿及改良、國有林事業經營其他ノ
繼續事業ニ付テ、合計八百七十五万餘圓ノ
經費ヲ要シマスノデ、是ガ財源トシテ公債
ヲ發行スルコトヽシマシテ、現行ノ樺太事
業公債法ニ於ケル起債法定額三千三百五十
万圓ノ內、昭和七年度末起債餘力六十九万
餘圓ヲ差引キマシタ不足額ノ、八百十万圓ノ
追加增額ヲシタイト云フ案デアリマス、樺
太ニ於ケル財政ノ現狀ニ鑑ミマシテ、是亦
已ムヲ得ザルモノト認メマシテ、全會一致
可決シタ次第デアリマス、此段御報告申上
ゲマス
日程第十二、貨幣法中改正法律案ノ委員
會ニ於ケル審議ノ〓末ヲ御報告申上ゲマ
ス、本案ハ、從來十錢ト五錢ノ補助貨幣ハ、
白銅ヲ以テ鑄造シテ居リマシタガ、此種ノ
補助貨幣トシテハ純「ニッケル」貨幣ノ方
ガ、其性能ニ於テ、白銅貨ヨリモ優ッテ居リマ
ス、殊ニ僞造ヲ困難ナラシムルコトヲ得ル
ノ特長ヲ有シテ居ルノデアリマシテ、近年
各國ニ於テ之ヲ採用スルモノガ次第ニ增加
スル傾向ニ在リマス、從來ノ白銅貨ニ代ヘ
テ、新ニ「ニッケル」貨幣ノ制定ヲスルコト
ト致シマシテ、尙ホ是ト同時ニ貨幣法中ノ
量目ノ表示ハ之ヲ「メートル」法ニ改メタ
イト云フノデアリマス、委員會ハ愼重審議
ノ結果、適當ノ案ト認メマシテ、全會一致
之ヲ可決シタ次第デアリマス、何卒御協賛
アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=25
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026・秋田清
○議長(秋田清君) 先ヅ造幣局工場及其ノ
附屬設備ノ新營費ニ關スル法律案ノ審議ニ
入リマス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ノ聲起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=26
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027・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=27
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028・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=28
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029・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=29
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030・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ議案全部ヲ
議題ト致シマス
造幣局工場及其ノ附屬設備ノ新營費ニ
關スル法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=30
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031・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
ヌ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ可
決確定致シマシタ-次ニ昭和八年度一般
會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債發行ニ關ス
ル法律案ノ審議ニ入リマス、討論ノ通〓ガ
アリマス、之ヲ許シマス-高見之通君
〔高見之通君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=31
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032・高見之通
○高見之通君 只今上程サレマシタル六億
五千万圓ノ赤字公債ニ關シマシテ、贊成ノ
演說ヲ致シマス、特ニ政府ノ參考-殊ニ
大藏大臣ノ參考ニマデ二三申上ゲテ見タイ
ト思フノデアリマス、去ル十四日ノ豫算會
議ニ於キマシテ、私ハ二十二億ノ豫算ヲ贊
成スルニ當リ何等ノ焦慮ナク、坦々トシ
テ贊成ヲ致シタノデアリマス、一點ノ煩悶
モ持タナカッタノデアル、而シテ今囘六億五
千万圓ノ公債ヲ議スルニ當リマシテ、更ノ
私ハ檢討致シテ見タイト思フ點ガアッタノ
デアリマス、ソレハ何デアルカト申シマス
ルト云フト、只今委員長カラ御報告ガアリ
マシタル所ノ、大藏大臣ハ具體的ニ今日數
字其他ノ條件ハ申上ゲ兼ヌルケレドモ、昭
和十年度ニ至ッテハ相當財政ノ狀況ハ見直
スデアラウ此言葉ハ少クモ當座遁レノ言
葉デアルカ、又或ハ眞味ニ滿チタル言葉デ
アルカト云フコトヲ一ツ觀テ見タイ、斯樣
ニ考ヘマシテ、藏相ノ一言一句、非常ニ注
意ヲ致シマシタ所、質疑應答ノ結果、大藏大
臣ハ相當ニ信念ノ上ニ出發サレタルコトデ
アルノヲ見テ、非常ニ滿足致シタノデアリ
やく、ケレドモ吾々ハ去ル十四日ノ豫算總
會ニ於キマシテ、重大ナル二ツノ決議案ヲ
政府ニ與ヘタノデアル、此二ツノ決議案ニ
對シテ、政府ハドレ程之ヲ遵奉スルノ誠意
ヲ有ッテ居ルカ、之ヲ私ハ腹ノ底ヲ聽キタイ
ト考ヘタノデアリマス、第一ハ財政ノ根據
ヲ確立スル爲ニ、國防、行政、稅制ノ調節
ヲ圖ル、第二ハ產業振興ノ根本政策ヲ確立
スル、此二大要點ヲ、殊ニ大體具體的ノ案
ノ持合セハナイト云フ政府ガ、此大豫算ヲ
實行スル上ニ於テハ此二大政策、此二大
標準ノ外ニハナイト吾々ハ確信シテ之ヲ
政府ニ提出シタガ、吾々ハ果シテ之ヲドノ
程度マデ信ズルカ、之ヲ私ハ大藏大臣ニ聽
イテ見マシタル所、大藏大臣ハ非常ナ〓心
ヲ以テ、實ニ此重大ナル豫算ヲ實行スルニ
當ッテハ、此二大決議ノ外ニ途ガナイト言ハ
レル所ノ誠意アル答辯ヲ得テ、吾々ハ大
體滿足ヲシタノデアリマス
諸君特ニ此機會ニ於テ申上ゲテ置キタイ
コトハ此國防、行政、稅務ノ調節、國防
ノ前途モ容易ニ見据ガ立タナイ、稅制ト申
シマシテモ中々前途遼遠デアル、此時ニ當。ワ
テ最モ良キ針路ヲ持フテ居ルモノハ何デア
ルカト云ヘバ、要スルニ行政ノ働デアル、
吾々ハ行政ノ調節ヲ圖ル、斯ク申シタ所ガ、
文部省デ三万圓、司法省デ八千圓、或ハ大
藏省デ二三万圓負ケサセルト云フヤウナ行
政ノ整理、丁度今ヲ去ル數十年前、僅カ八
千万圓ノ財政ヲ眺メテ、サウシテ重箱ヲ楊
枝デツッ突クヤウナ行政整理ヲヤッタ、サウ
云フヤウナ行政ノ調節ト云フ意味デハアリ
マセヌ、吾々ハ何處マデモ積極的ニ、此大
ナル豫算、此重大ナル時局ヲ行クニ付テハ
行政ノ機構、場合ニ依レバ人間ヲ增スモ
宜シイ、積極的ニ行政ノ機構ト云フモノヲ、
所謂能率增進ノ意味ニ於テ此重大ナル豫算
ヲ實行シ、今後此重大ノ財政狀態ヲ乘切ッテ
行ク上ニ於テ、此三ツノ調節ガ必要デアル、
此意味ヲドウ考ヘルカト申シマスルト云フ
ト大藏大臣ハ、如何ニモ其通リデアル、
殊ニ今囘議院ノ方デ常設委員マデ設ケ
ルト云フヤウナ御考ガアッテ、共ニ行政權
ノ責任ノ一部ヲモ負擔シヨウト云フ此
御考ハ、實ニ政府トシテハ滿腔ノ敬意ヲ
拂ッテ贊成スルモノデアル、斯ノ如ク言ハ
レタルコトヲ以テ、第一ノ吾々ノ附帶決
議モ、十分ニ政府ニ呑込マレタルノヲ見テ
相當滿足ヲシタノデアル、諸君、產業ノ振
興ノ爲ニ吾々ハ數項ノ要點ヲ政府ニ出シテ
アリマスルガ、特ニ大藏大臣ニ申上ゲテ置
キタイコトハ何デアルカト申シマスルト、
彼ノ低金利政策ノ徹底デアル、大藏大臣ハ
此席デ低金利〓策ト云フコトノ極意ガア
ル、何デアルカ、勞資協調デアル、斯樣ニ
言ハレタノデアル、洵ニ面白イ議論デア
ルケレドモ私ヲ以テ言ハシムレバ、モウ
一步進ンダ哲理的ノ言葉ハナイカ、何デア
ルカ、低金利政策トハ人間ヲ造ル爲メノ低
金利政策デアル、歐洲戰爭ニ於テ獨逸ハ非
常ニ苦ンデ、一千億ノ借金ヲシタ、一千億
ノ借金ヲシテドウ之ヲ乘切ルカ、其時ノ獨
逸ノ當局、若クハ外交ノ局ニ當フテ居ル人
ハ別デアリマスガ若イ獨逸國民ハ獨逸
復活ノ意氣ニ非常ニ燃エテ居ッテ、之ヲ乘切
ルノハ何等怖ルヽ所ハナイ、普佛戰爭ニ於
テ約五十億佛蘭西ハ拂ッタ、アノ時カラ見レ
バ今日ノ一千億何カアラン、驚クコトハナ
イ、又曾テ「ナポレオン」ノ爲ニ獨逸ガ非常
ニ苦ンダ百年以前ノ時ニ於テ、何ヲ安心シ
テ獨逸ハ復活シタカ、人間ヲ造ルコトデア
ル、人間サヘ造レバ何デモナイ、彼等ハ是
カラ出發シテ種々ノ政策ヲ樹テタノデアリ
マス今日ノ滿洲國問題ガ斯樣ニ出來、又
熱河ノ問題、國際聯盟、日本ニ向フテ色々
ナ問題ガ起ッテ居リマスケレドモ、歸スル所
ハ是ハ歐洲戰爭ノ一大影響ノ現レノ一ツデ
アル、斯ウ云フ重大ナル場合ヲ乘切ッテ行
クト云フコトハ何デアルカト云ヘバ人間
ヲ造ル、人格ヲモット向上セシメルコト、茲
ニ卽チ低金利政策ノ根本ガアルノデアル、單
ニ勞資協調ト云フコトヨリモ、モウ少シ深
イ哲理的ノ意味ノ上ニ低金利政策ヲ吾々ガ主
張スル斯樣ニ大藏大臣ハモウ一步深ク御
考アランコトヲ希望スルノデアリマス、斯
樣ニ考ヘマスルト云フト更ニ私ハ大藏大
臣ニ申上ゲテ置キタイコトハ、此人間ヲ造
ルト云フコトヽ同時ニ、モウ一步進ンデ產
業振興ノ基礎ノ上ニ何ヲ樹テルカト云ヘ
バ、發明、特許ト云フヤウナ方面ニモモ
ウ一段ノ御努力ヲ願ヒタイノデアリマス、
諸君、此歐洲戰爭ニ對シテ、獨逸邊リニ勃
興シテ居ル今日ノ色々ノ點ニ於ケル人間ヲ
造ルコト、此狀況ヲ見マスルト云フト、特
許發明ト云フコトニ向ッテ非常ナル努力ヲ
致シテ居ルノデアリマス吾々ハ是非此點
ヲ力說スル、殊ニ最近ノ思想問題ノ上ニ於
テ特殊ナ流レガアル、何デアルカ、日本國
民ハ非常ニ優秀ナル人種デアル、殊ニ日本
ノ國體ハ世界唯一ノ國體デアッテ、日本ノ國
民ハ人種的ニ優秀デアルト云フコトヲ申シ
マス、私ハ之ヲ深ク信ズルノデアリマシ
テ、日本ノ國民ノ特異性ニ於テモ、若シ之
ニ相當ノ培養ヲ與ヘ、人間ヲ造ルト云フ方
針デ以テ進ンデ行キマシタナラバ、嶄然タ
ル所ノ頭角ヲ有ユル方面ニ現ハスコトヲ私
ハ深ク信ズル故ニ、低金利政策ノ現レルト
共ニ、斯ウ云フヤウナ各方面ノ政策ノ爲
ニ、一段ノ御努力ヲ願ヒタイノデアリマス
更ニ私ハ今日ノ非常重大ノ時局ニ付キ
マシテ經濟會議ヲ提唱致シテ居ルノデ
アリマスガ、是ハ政府ニ於テモ十分ナル
御考慮ヲ願フ所デアル、又昨年大藏大
臣ガ就任以來、大體ノ財政ノ建前及ビ
經濟ニ於ケル所ノ指導方針トシテ言ハ
レルノニハ、今日ハ外ヨリモ寧ロ內デア
ル、經濟的自給自營ト云フ所ニ根本ノ指導
方針ヲ置イテ、而シテ徐ロニ外ヘ向フテ行ク
ベキデアル、斯ウ言ハレルノデアリマスケ
レドモ、今日ノ爲替ノ安イ時ニ於キマシテ、
南洋其他印度、阿弗利加方面ニ於ケル、日
本ノ品物ヲ非常ニ歡迎スル所ノ狀態カラ見
マシテモ、モウ一步進ンデ對外貿易、產業
貿易ニ關スル所ノ十分ナル施設ヲ、此際立
テヽ貰ヒタイト云フコトヲ熱心ニ私ハ主張
スルモノデアリマス、一タビ海外ヘ出テ、
殊ニ阿弗利加及ビ中央亞細亞、印度、新嘉
坡ノ方面ヲ見マスルト云フト、日本ノ品物
ガ非常ニ歡迎サレテ居ル、蘭貢アタリノ夜店
ニ行クト「メード·イン·ジヤパン」ト云フ玩
具ガソコラニ澤山轉ガッテ居ル、然ルニ之
ニ對スル所ノ政府ノ施設ト云フモノハ寥
寥トシテ殆ド問題ニナラナイ、デアリマス
カラ政府ニ於カレマシテハ、此機會ニ於テ
產業、殊ニ貿易ノ增進ト云フコトニ付テ、
一段ノ努力アランコトヲ希望スルモノデア
リマス
最後ニ私ガ申上ゲテ見タイコトハ、質疑
應答ノ中ニ、日本ノ經濟狀態ニ付テ、或ハ
幾ラカ悲觀的觀念ガアルカモ知レヌト思ハ
ルヽヤウナ節モアリマシタガ、是等ノ質疑
應答ノ批判ハ私ハ致シマセヌ、大體ノ建前
ニ於テ、我ガ日本帝國ノ財政及經濟ノ前途
ハドウデアルカ若夫レ日滿ノ經濟統制ガ
成リマシタナラバ、自給自足ノ途ハ十分デ
T 、而シテ今囘ノ國際聯盟ノ間題其他ニ
依フテ、數年來目覺メタル黄色人種ハ如何
ニ日本ノ國民ヲ謳歌シ、日本ノ國民ヲ崇拜
シ、而シテ又如何ニ日本ノ品物ヲ待ッテ居ル
カ、是ニ於キマシテ南洋及ビ新嘉坡ヲ中心
トセル一帶、印度、波斯、中央亞細亞、阿
弗利加、此大ナル所ノ場面ニ日本ノ品物ヲ
持ッテ行キマシタナラバ、帝國ノ產業、貿易
ノ振興ニ於テ、前途洋々タルモノアリト信
ジマス、我ガ日本帝國ノ經濟及貿易ノ前途
ハ、實ニ何等悲觀スベキモノニアラズシテ、
洋々タル前途ヲ有フテ居ルモノデアル(拍
手)要スルニ此前送洋々タルモノヲ活カス
カ否カト云フコトハ政府當局ガ熱烈ニ努
力スルカ否カニノミ歸スルモノデアッテ、大
體ニ於テ我ガ日本帝國ノ經濟界ノ前途ハ
樂觀ヲシテ一向差支ナイト考ヘルノデアリ
マス
諸君、私ハ此際唯一言政府當局ニ〓ヘテ
置ク、丁度今ヲ去ル六百年ノ以前ニ、日本
ノ非常ニ重大ナル時機、所謂蒙古來ノ時ニ、
彼ノ電光影裏春風ヲ斬ルト一喝シタ所ノ佛
光國師ハ時宗ニ何ヲ〓ヘタカ莫煩惱、決
シテ躊躇スル勿レ、何等妄想ヲ起ス勿レ、
一路勇往邁進、進ムアルノミト云フコトヲ
〓ヘテ居ルノデアリマスガ(拍手)希クバ今
日ノ時局ニ對シテ、政府ハ此莫煩惱、獅子
奮迅ノ勇ヲ以テヤラレンコトヲ私ハ希望シ
テ此案ニ贊成スルモノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=32
-
033・秋田清
○議長(秋田濟君) 矢野庄太郞君
〔矢野庄太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=33
-
034・矢野庄太郎
○矢野庄太郞君 只今玆ニ上程セラレテ居
リマス法律案ニ對シテ、私ハ贊成ヲ致シマ
ス、唯〓一二ノ點ニ付テ政府ノ注意ヲ促ガシ
タイト存ジマス、大藏大臣ノ種々ナル機會
ニ於ケル演說ヲ拜聽致シマスト云フト、極メ
テ氣樂ニ考ヘラレテ居ラレルヤウデアリマ
ス、公債ハ增發スル、通貨ハ膨脹スル、
物價ハ上ル、株ノ値段ハ上ル、失業者
ハ少ナクナルト云フ、洵ニ氣樂ナ御
說明デアリマス、勿論一應ハ其通リデアル
コトハ疑アリマセヌガ、併ナガラ「インフレ」
景氣ト云フモノニ對シテ、今少シク科學的
ニ分析致シマスレバ、物價ノ騰貴ト云フ其
姿ガ如何ナルモノデアルカト云フコトハ
直チニ分ルノデアリマス、最近ノ狀態ニ付
テ見マシテモ、昨年ノ六月ノ最低ヲ百トシ
タ所ノ物價ノ指數ヲ見マスト、米ハ幾ラ上ッテ
居ルカ、米ハ僅ニ正米ニ於テ一割位シカ上ッテ
居ラヌノデアリマスガ、之ヲ作ルベキ肥料
ハ幾ラ上ッテ居ルカト云フト二倍ニナッテ居
ル、生絲ハ幾割上リ、綿布ヤ絹織物ハ幾割
上ッテ居ルカ、玆ニ物價ノ上ル程度ニ於テ
非常ナル所ノ差違ガアルノデアリマス、「イ
ンフレ」景氣ガ益、本格的ニナルニ從ッテ、此
物價ト物價トノ間ノ上ル程度ガ非常ニ違フ
テ來ルノデアリマス、一千九百二十三年ノ
關東大地震ノ當時カラ、昭和二年ニ至ル所
ノ佛蘭西ノ「インフレー·プログラム」ヲ精
シク〓究致シマシタナラバ、或ル物價ハ僅
ニ二倍ニシカ上ッテ居ラナイガ、他ノ物價ハ
五倍、八倍、甚シキハ十三倍ニ上"テ居ル
所ノ物價ガアルノデアリマス、斯樣ニ兎ノ
如キ速サデ走ル所ノ物價ト、龜ノ如キ鈍サ
デ步ム所ノ物價トアルノデアリマス、此物
價ト物價トノ間ニ於ケル、極メテ不公平ナ
ル所ノ運動ガ、是ガ「インフレ」景氣ノ殘骸
デアッテ、之ヲ除クト云フコトガ政府ノ使命
デナケレバナラナイ、唯物價ガ上ルカラト
云ウテ、一山幾ラト大雜把ニ考ヘルコトハ、
少クトモ物價運動ヲ科學的ニ〓究シテ居ラ
ナイ缺點ヲ暴露シテ居ルモノト、言ハナケ
レバナラヌノデアリマス(拍手)是ニ於テ通
貨ノ膨脹ヲ來ス場合ニ、物價政策ヲ〓究シ
テ、之ニ對處スルコトヲ忘レテハナラヌモ
ノト私ハ確ク信ズルモノデアリマス、之一
對シテハ或ハ奢侈稅ノ新設、「インフレ」商
品ノ製造者、又ハ取扱商人ニ對シテ非常特
別稅ヲ課スルコトモ一ツノ方法デアリマセ
ウ、政府ハ此點ニ深ク留意シテ、公債ノ發
行ヲ致サレンコトヲ私ハ希望スルモノデア
リマス(拍手)
次ニ私ハ政府ニ對シテ註文致シタイ點ハ、
市場政策ヲ行フコトデアリマス、大藏大臣ニ
先日委員會ニ於テ質問致シマシタ所、自分
モ市場政策ヲ行フノニハ贊成デアル、世ノ
中ニハ自分ヲ極メテ樂觀論者ダト言,テ居
ルカ、實ハ自分程心配性ノ者ハナイノデア
ル、今後市場政策ヲ必ズ實行シテ、通貨ノ
調節ヲ圖ルト言明セラレタノデアリマスル
ガ、私ハ此言明ニ信賴シテ、又贊成ヲスル
ニ吝ナラヌモノデアリマス、併ナガラ昨年
ノ十二月カラ本年ニ掛ケテ、日本銀行ガ公
債ヲ市場ニ賣拂ッタ、其金額ヲ政府委員
ニ質問致シマシタ所、四億三千万圓デア
ルト云フコトデアリマスルガ、其四億三
千万圓ノ中デハ公債ハ僅ニ八千万圓
ニ足ラナイノデアリマシテ、殘ル三億數千
万ト云フモノハ、米穀證劵或ハ極メテ短期
ノ國庫證劵デアルト云フコトデアリマス、
卽チ民間ノ銀行、或ハ保險會社、其他ノ金
融機關ハ、長期ノ公債ハ非常ニ嫌,テ、短期
ノモノナラバ買取ラウト云フノデアリマ
ス、今後「インフレ」ガ益、進行致シマスナ
ラバ、長期ノ公債ハ愈、賣レナクナルダラ
ウト思ヒマス、其時ニ於テ政府ハ如何ナル
對策ヲ以テ之ニ處セントスルノデアルカ、
私ハ公債ヲ發行スル所ノ條件ニ付テ考ヘナ
ケレバナラヌト思ヒマス、卽チ二十年、三
十年ト云フガ如キ長期ノ公債ハ、恐ラク出
ナクナルダラウト考へテ居リマス
〔發言スル者多シ、笑聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=34
-
035・秋田清
○議長(秋田〓君) 靜肅ニ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=35
-
036・矢野庄太郎
○矢野庄太郞君(續) 政府ニ對シテ公債發
行ノ條件ニ付テ、〓究セラレンコトヲ私ハ
希望スルノデアリマス、尙ホ最後ニ私ハ一
言致シテ置キタイ、ソレハ今日此多額ナル
公債ヲ發行シ得ルト云フ素地ハ、一體誰ガ
作ッタノデアルカ(拍手)巨額ナル所ノ國防
費ヲ可決シ得ルノハ、一體其素地ハ誰ガ作,
タノデアルカト云フコトヲ、十分ニ諸君ノ
頭ニ留メテ戴キタイノデアリマス、之ヲ以
テ私ノ滴說ヲ終リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=36
-
037・秋田清
○議長(秋田清君) 本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=37
-
038・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマ
ス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=38
-
039・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=39
-
040・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=40
-
041・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部
ヲ議題ト致シマス
昭和八年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=41
-
042・秋田清
○議長(秋田清君) 別ニ御發議モナイヤウ
デアリマスカラ、第三讀會ヲ省略シテ委員
長報告ノ通リ可決確定致シマシタ(拍手)
-次ニ大阪帝國大學工學部設置ニ付帝國
大學特別會計及官立大學特別會計ノ關涉ニ
關スル法律案ノ審議ニ入リマス、本案ノ第
二讀會ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=42
-
043・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=43
-
044・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=44
-
045・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=45
-
046・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部
ヲ議題ト致シマス
大阪帝國大學工學部設置ニ付帝國大學
特別會計及官立大學特別會計ノ關涉ニ
關スル法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=46
-
047・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
又、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決確定致シマシタ(拍手)-次ニ朝鮮事
業公債法中改正法律案、樺太事業公債法中
改正法律案ノ兩案ヲ一括シテ其審議ニ入リ
マス、兩案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議アリ
マセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=47
-
048・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマ
ス、兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=48
-
049・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=49
-
050・秋田清
○議長(秋田濟君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=50
-
051・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
朝鮮事業公債法中改正法律案
第二讀會(確定議)
樺太事業公債法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=51
-
052・秋田清
○議長(秋田濟君) 別ニ御發議モアリマセ
又、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員長
報〓通リ可決確定致シマシタ(拍手)-次
ニ貨幣法中改正法律案ノ審議ニ入リマス、
討論ノ通〓ガアリマス、之ヲ許シマス-
中村三之丞君
〔中村三之丞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=52
-
053・中村三之丞
○中村三之丞君 私ハ簡明ニ贊成ノ意思ヲ
表明致シタイト存ジマス、現行貨幣法中ノ
量目、品位ノ表示ヲ「メートル」法ニ依テセ
ラレタコトハ、同法實施ノ今日ニ於キマシ
テ妥當ト認ムベキデアリマス、白銅貨ニ代
フルニ純「ニッケル」貨ニ改鑄セラルヽコト
ハ只今委員長ノ御報〓ノ如ク、其性能ニ
於テ、僞造防止ノ點ニ於テ、英米ヲ除ク歐
羅巴各國ニ採用サレテ居ルト云フ事實ニ則
リマシテ、認ムベキ理由ハ存スルノデアリ
PV、又大藏省内ニ設置サレテアリマス貨
幣委員會ハ、之ヲ認メテ居ルト云フコトデ
アリマス、唯吾人ノ觀察ヲ爲スベキ重點ハ
「ニッケル」貨幣ノ鑄造費ガ、白銅貨ノ鑄造
費ニ比較シテ高イト云フコトデアリマス、
政府當局ノ御說明ニ依リマスルナラバ、
箇ニ付テ一錢餘ノ鑄造費ガ增加スルト云フ
ノデアリマス、又現在白銅貨八千五百万圓
ハ、十年間內ニ引上ゲル計畫デアルト云フ
コトデアリマスカラ、「ニッケル」貨鑄造ニ
依リマシテ、每年造幣資金ニ於テ滅少致シ
マスル金額、實ニ二百万圓ニ及ンデ居ルノ
デアリマス更ニ進ンデ「ニッケル」ハ我
國ニ於キマシテ見ルベキ產出量ヲ有シテ居
ラナイノデアル、斯ノ如キ經濟的見地ニ立
チマスルナラバ、「ニッケル」貨ノ新鑄ハ相
當考慮ノ餘地ヲ私共ハ發見スルノデアリ
マく、併ナガラ政府當局ノ御說明ニ依リマ
スルナラバ、經濟ヲ超越シタル國家的見地
ヨリ、緊急已ムヲ得ナイ結果之ニ改メルト
云フコトデアリマス、仍テ吾人ハ此國家的
見地ニ立ッテ、此改鑄ニ贊成ノ意ヲ表スル所
以デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=53
-
054・秋田清
○議長(秋田〓君) 本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=54
-
055・秋田清
○議長(秋田済君) 御異議ナシト認メマ
ス本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=55
-
056・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報〓ノ通リ、
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=56
-
057・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=57
-
058・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部
ヲ議題ニ供シマス
貨幣法中改正法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=58
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059・秋田清
○議長(秋田清君) 別ニ御發議モアリマセ
ヌ第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ可
決確定致シマシタ(拍手)-是ニテ六案全
部議了致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=59
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060・上田孝吉
○上田孝吉君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第二十四乃至
第二十七ヲ繰上ゲ逐次上程シ、其審議ヲ進
メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=60
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061・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=61
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062・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-日程
第二十四、六大都市ニ特別市制實施ニ關ス
ル法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員
長ノ報〓ヲ求メマス-委員長磯部尙君
第二十四六大都市ニ特別市制實施ニ
關スル法律案(犬養健君外四十四名
提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一六大都市ニ特別市制實施ニ關スル法律
案(犬養健君外四十四名提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
昭和八年二月十五日
委員長磯部尙
衆議院議長秋田〓殿
〔別紙〕
六大都市ニ特別市制實施ニ關スル法律案
中左ノ通修正ス
第二條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ東京市ハ東京府ノ區域ニ依ル
附帶決議
政府ハ本議會ニ直ニ東京都制案ヲ提出ス
ベシ
〔磯部尙君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=62
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063・磯部尚
○磯部尙君 六大都市ニ實施スベキ特別市
制法案ハ各派聯合ノ提出法律案デアリマ
ス、其委員會ハ、同法第二條ニ「但シ東京市
ハ東京府ノ區域ニ依ル」ト云フ但書ヲ加ヘ
マシテ、全會一致ヲ以テ提出原案ヲ可決致
シタノデアリマス、從來ノ如ク六大都市ヲ
他ノ都市ト同樣ニ扱ヒマシテ、內務大臣ト
府縣知事トノ二重監督ヲ受ケサセルト云フ
コトハ事務ヲ澁滯ナラシメ、能率ヲ弛緩
セシメマスルノミナラズ、同一地域ニ於テ
府縣知事ト市長ト對立致シマスル結果、權
限ハ錯綜致シマスルシ、機關ハ重複致シマ
スルシ、事業ハ混淆致シマシテ、甚ダ不經
濟デアリ、不統制デアルガ爲ニ、是マデ御
覽ニナリマスル如ク、市政ノ圓滑ナル運用
ト云フモノハ出來ナカッタノデアリマス
是ガ爲ニ今日マデ十數年間、年中行事ノ如
ク、每年議會ニ此法案ハ現レテ參ルノデア
リマシテ、旣ニ同一ノ法律案ガ二囘マデモ
我ガ衆議院ヲ通過致シテ居ルノデアリマ
ス、政府ハ大都市ノ盛衰ガ、我國ノ隆替ニ
關スル重大ナルモノアルコトニ鑑ミラレマ
シテ、又此輿論ノ趨勢ヲ察知セラレテ、
日モ速ニ本法案ノ實施セラレンコトヲ、委
員會ハ望ンデ已マナカッタノデアリマス
尙ホ御承知ノ如ク、東京市ハ昨年十月一
日大東京市ヲ現出致シタノデアリマス、勿
論都制案ヲ實行スルノ時機ハ旣ニ熟シテ
居ルノデアリマス、政府ハ十數年來ノ輿論
ニ鑑ミラレマシテ、昭和四年ニ大都市制度
調査會ト云フモノヲ設置セラレ、爾來各官
公衙ヲ通ジテ、重要ナル點ニ付テハ調査檢
討ヲ重ネラレ、是ガ答柔モ政府ニ參リマシ
テ、都制案ハ旣ニ脫稿セラレタルヤニ吾々
ハ承リ及ンデ居リマスルノデアリマスル
ガ、怠慢ト申シマセウカ、冷淡ト申シマセ
ウカ、將又臆病ト申シマセウカ、未ダ東京
都制案ト云フモノヲ議會ニ提出ニ相成ラヌ
ノデアリマス、委員會ガ全員擧ッテ、內務大
臣ガ何故ニ本議會ニ東京都制案ヲ提出セザ
ルヤヲ詰責シタルニ對シマシテ、政府當局
ノ答辯ハ極メテ聞苦シキモノガアッタノデ
アリマス、是ニ於テ委員會ハ「政府ハ本議會
ニ直ニ東京都制案ヲ提出スベシ」ト云フ決議
ヲ附帶セシメマシテ、是モ全員一致ヲ以テ
可決致シマシタ、此段御報告申上ゲマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=63
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064・秋田清
○議長、秋田〓君) 討論ニ入リマス-本
田彌市郞君
〔本田彌市郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=64
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065・本田彌市郎
○本田彌市郞君 諸君私ハ本案ニ贊成スル
者デアリマス、其理由ヲ至極簡單ニ述ベタ
イト思ヒマス、諸君、六大都市ハ政治、經
濟產業、社會問題等、卽チ文化ノ中心デ
アリマシテ、國家興隆ノ中樞ヲ形成致シテ
居ルノデアリマス六大都市ノ總人口ハ一
千百万人ヲ算シテ居ルノデゴザイマス、共
歲計總額ハ七億圓ニ達シテ居リマス、人口
ニ於テ帝國人口ノ九分ノ一ヲ占メテ居ルノ
デアリマス、豫算ニ於テ帝國基準豫算ノ半
額弱ニ達シテ居ルノデゴザイマス、隨テ其
機能ヲ發揮スルニ當リマシテハ、最モ敏活
ニ都市ノ實力ト、時運ノ進展ニ順應スル施
設ヲ斷行セネバナラナイノデアリマス、然
ルニ現下ノ法制ニ於キマシテハ市ハ悉ク
府縣及主務省ノ二重監督ヲ受ケ、事務ノ敏
捷ヲ缺如致シテ居ルノデゴザイマス、本案
ハ此二重監督ノ弊ヲ除去シ、他面事務ノ敏
捷ヲ圖ルノガ最大ノ眼目デアリマス、レタ
ヲ申シマスレバ市民ガ例ヘバ或ル組合ヲ
組織致シマシテ、共書類ヲ市役所ニ提出シ
マヽ、市役所ハ之ニ對シテ相當ナル調査ヲ
致シマス、此間ニ於テ數日ヲ費シ、ソレカ
ラ監督官廳タル府縣ニ是ガ廻リマス、又此
處ニ於キマシテモ十數日ヲ費スノデアリマ
ス、サウシテ或ハ市ト府トノ意見ノ相違ガ
アル場合ニハ是ガ再ビ市役所ニ戾フテ來
ル又市役所デ願人ヲ呼出シテ調査ヲスル
ト云フヤウナコトデ、漸ク府縣廳ヲ經テ主
務省タル所ノ內務省ニ廻ル、斯ウ云フヤウ
ナコトニナリマシテ、其間實ニ數箇月ニ亙
ル日子ヲ費シ、洵ニ不便デアリマス、又
面監督官廳タル知事ノ下ニ在ル市長ガ、社
會ヨリ見マシテ、遙ニ知事以上ノ地位ニ在
リナガラ、知事ノ監督ヲ受クルト云フガ如
キ遺憾ノ點ガ多々アルノデアリマス、六大
都市關係者ガ、右申述ベマシタ幾多ノ弊害
ヲ取除ク爲ニ、都制案及特別市制ニ關スル
法案ヲ制定シタイト云フニ付キマシテ、如
何ニ要望カ熾烈デアルカト云フコトハ、議
會ノ開カルヽ度每ニ、各市會ノ決議ヲ以チ
マシテ、内務當局及貴衆兩院議員、各政黨
總裁等ニ陳情致シマシテ、年々運動ヲ行ヒ
ツヽアル事實ニ徵シテモ明カデアリマス、
各市長會議、各市會議長會議ヲ開キマシテ
市會委員ノ活動トナリマシタコトハ、諸君
御承知ノ通リデアリマスガ、內務當局ニ於
キマシテモ、玆ニ考フル所ガアルト見エ、
大都市ノ監督官廳タル府縣知事及各市長、
各議長ヲ網羅スル所ノ大都市制度調査委員
會ヲ設置致サレマシテ、關係府縣知事及市
長ヨリ意見ヲ徵シテ、既ニ二囘マデモ委員
會ガ開カレタノデゴザイマス、各都市トモ
促進又ハ期成同盟會ガ設置セラレマシテ、
今ヤ市民運動ガ白〓化シテ居ルノデゴザイ
やく、是ニ由ッテ之ヲ觀ルモ都制、特別
市制ヲ一日モ速ニ六大都市ニ實施スルノ必
要ガアルコトハ一點ノ疑ヲ容ルベキ餘地
ハナイノデアリマス、是レ本案ニ贊成スル
所以デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=65
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066・秋田清
○議長秋田〓君) 本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=66
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067・秋田清
○議長秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=67
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068・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=68
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069・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=69
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070・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部
ヲ議題ト致シマス
六大都市ニ特別市制實施ニ關スル法律
案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=70
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071・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
ヌ第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決確定致シマシタ(拍手)
日程第二十五及第二十六ハ同一委員ニ付
託シタル議案ナルニ依リ、一括議題ト爲ス
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=71
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072・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス日程第二十五、司法代書人法中改正法
律案、日程第二十六、司法代書人法中改正
法律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ
開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委
員長森田政義君
第二十五司汁代書人法中改正法律案
(立川平君外二名提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第二十六司法代書人法中改正法律案
(斯波貞吉君提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一司法代書人法中改正法律案(立川平君
外二名提出)
一司法代書人法中改正法律案(斯波貞吉
君提出)
右ハ本院ニ於テ兩案ヲ併合シ表題ヲ司
法代書人法中改正法律案」トシ別紙ノ通
修正スヘキモノト議決致候此段及報〓候
也
昭和八年二月十六日
委員長森田政義
衆議院議長秋田〓殿
〔別紙〕
司法代書人法中左ノ通改正ス
「司法代書人法」ヲ「律書士法」ニ改ム
第一條乃至第三條中「司法代書人」ヲ「律
書士」ニ改ム
第四條律書士タルニハ檢定委員ノ考試
ヲ受ケ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受ク
ルコトヲ要ス
檢定委員及考試ニ關スル事項ハ司法大
臣之ヲ定ム但シ公證人タル資格ヲ有ス
ル者ハ考試ヲ要セス
第五條乃至第九條中「司法代書人」ヲ「律
書士」ニ改メ第九條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ非訟事件ニ付テハ書類ノ受理ニ至
ル迄ノ代理ヲ爲スコトヲ妨ケス
第十條中「司法代書人」ヲ「律書士」ニ改ム
第十條ノ二律書士ハ其ノ事務取扱ノ統
一及矯正ヲ圖ル爲其ノ所屬地方裁判所
每ニ律書士會ヲ設ケ地方裁判所長ノ認
可ヲ受クヘシ
第十條ノ三律書士ハ其ノ所屬地方裁判
所ノ律書士會ニ加入シタル後ニ非サレ
ハ業務ヲ行フコトヲ得ス
第十一條中「司法代書人」ヲ「律書士」ニ改
メ「又ハ品位ヲ失墜スヘキ行爲ヲ爲シタ
ルトキ」ノ下ニ「若ハ會則ニ違反シタル行
爲ヲ爲シタルトキ」ヲ加フ
附則
本法施行ノ際從前ノ規定ニ依リ司法代書
人タル資格ヲ有スル者ハ本法施行後ト雖
律書士タル資格ヲ有ス
〔森田政義君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=72
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073・森田政義
○森田政義君 司法代書人法中改正法律案
ハ、立川平君カラ提出サレタモノト、斯波
貞吉君カラ提出サレタルモノト、兩案ガアツ
タノデアリマスルガ、此兩案ハ改正ノ趣意
カラ見マシテモ、又改正案ノ草案ヲ見マシ
テモ、一言一句ノ相違ガナカッタノデアリマ
スルカラ、先ヅ審議ヲ進メル上カラ、此兩
案ヲ合一シテ審議ヲスルコトニ諮リマシタ
ル所ガ、滿場一致ヲ以テ此兩案ヲ合一シテ
審議スルニ異議ガナカッタノデアリマス、ソ
コデ此改正案ノ大體ヲ申上ゲマスルト云フ
ト今マデ司法代書人ト書イテアッタコト
ヲ、之ヲ律書士ニ改メル、是ハドウ云フ意
味カト云フト、代書人ト言フト、ドウモ少
シ輕侮ノ念ガ含マレテ居ル、此代書人ノ職
務ハ檢事局又ハ裁判所ニ、自由又ハ財產、
利益ニ關スルコトヲ書イテ出ス職務デアル
カラ、ドウモ代書人デハ少シ輕侮ノ念ヲ含
マレルカラ、之ヲ律書士ニ改メルト云フ點ト、
隨テ此律書士ノ地位ヲ高メル上カラ、是カ
ラ試驗制度ヲ採ルト云フコトヽ、ソレカラ
ドウモ一々非訟事件ニ付テ、本人ノ印ヲ持。フ
テ來イ、サア明日又來イト云フコトガアル
ト、依賴者ノ方ニ於テモ非常ニ不便デアル
カラ、非訟事件ノ或ル範圍ニ付テハ代理ヲ
認メル、ソレカラ試驗制度ヲ採ル當然ノ結
果トシテ、經過的規定ヲ置ク、卽チ從來代
書人タル資格ヲ有シテ居ッタ者ハ、此法律ガ
改正サレルト云フト、當然ニ律書士タル資格
ヲ有スル、此點ニ付キマシテ委員間ニハ熱
心ナル質疑應答ガアリマシテ、其結果少シ
ドウモ改正案ニ十分デナイ點ガアルト云フ
コトヽナリマシテ、試驗ハスルガ、但シ公
證人タル資格ヲ有スル者ハ試驗ハ要ラナイ、
試驗制度ヲ採ッテ、判檢事デアッタ者トカ或
ハ辯護士デアル者デモ、律書士タルニハ試
驗ヲ受ケナケレバナラヌト云フコトハ、餘リ
ニドウモ不都合デアルカラ、公證人タル資格
ヲ有スル者ハ、試驗ヲ受ケズシテ、律書士
タル資格ヲ有スル、ソレカラ非訟事件ニ付
テ、之ヲ唯代理ヲ認メルト云フコトニナルト、
辯護士ノ職務トノ間ニ非常ニ曖昧ヲ生ズル
カラ、曩ニ大阪地方裁判所カラ司法省ノ民
事局ニ質問ヲ發シタ其答辯ヲ見マスト云フ
ト、從來非訟事件ニ付テハ、書類ノ受理ニ
至ルマデハ代理ヲサシテモ構ハナイト云フ
ヤウナ、慣例ニナッテ居ルト云フコトデアリ
マスカラ、ソコデ第九條ノ但書「但シ非
訟事件ニ付テハ書類ノ受理ニ至ル迄ノ代理
ヲ爲スコトヲ妨ケス」詰リ實際ニ取扱ッタコ
トヲ法文デ表ハス、此二點ノ-先ノ「公證
人タル資格ヲ有スル者ハ考試ヲ要セス」ト
云フ修正ハ金井君カラ提出サレマシテ、ソ
レカラ「但シ非訟事件ニ付テハ書類ノ受理
ニ至ル迄ノ代理ヲ爲スコトヲ妨ケス」ト云
フ修正ハ立川君カラ出マシテ、附則ガナカッ
タカラ「本法施行ノ際從前ノ規定ニ依リ司
法代書人タル資格ヲ有スル者ハ本法施行後
ト雖律書士タル資格ヲ有ス」ト云フ修正動
議ガ立川君カラ出マシテ、此修正動議ハ滿
場一致ヲ以テ成立致シマシタノデ、直チニ
討論ニ入リマシテ、本委員會ハ滿場一致ヲ
以テ此修正案ヲ採用スルト云フコトニ可決
確定致シマシタ、右御報告申上ゲマス(拍
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=73
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074・秋田清
○議長(秋田〓君) 委員長報〓ハ兩案ヲ一
括シテ一案ト爲シ、修正議決シタモノデア
リマス、兩案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議ア
リマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=74
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075・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
兩案ノ第二讀會ヲ開クニ致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=75
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076・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=76
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077・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=77
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078・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ
議題ト致シマス
司法代書人法中改正法律案
第二讀會(確定議)
司法代書人法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=78
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079・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
ヌ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ可決
確定致シマシタ(拍手)日程第二十七、身元
保證ニ關スル法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キ
マス、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長
飯村五郞君
第二十七身元保證ニ關スル法律案(一
松定吉君外三名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一身元保證ニ關スル法律案(一松定吉君
外三名提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
昭和八年二月十八日
委員長飯村五郞
衆議院議長秋田〓殿
〔別紙〕
第一條引受、保證其ノ他名稱ノ如何ヲ
問ハズ期間ヲ定メズシテ被用者ノ行爲
ニ因リ使用者ノ受ケタル損害ヲ賠償ス
ルコトヲ約スル身元保證契約ハ其ノ成
立ノ日ヨリ三年間其ノ效力ヲ有ス但シ
商工業見習者ノ身元保證契約ニ付テハ
之ヲ五年トス
第二條身元保證契約ノ期間ハ七年ヲ超
ユルコトヲ得ズ若シ之ヨリ長キ期間ヲ
定メタルトキハ其ノ期間ハ之ヲ七年ニ
短縮ス
身元保證契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得
但シ其ノ期間ハ更新ノ時ヨリ七年ヲ超
ユルコトヲ得ズ
第三條使用者ハ左ノ場合ニ於テハ遲滯
ナク身元保證人ニ通知スベシ若シ此ノ
通知ヲ怠リタルトキハ其ノ以後ニ於ケ
ル被用者ノ行爲ニ付身元保證人ニ對ス
ル損害賠償請求ノ權利ヲ失フ
被用者ニ業務上不適任又ハ不誠實
ナル事跡アリテ之ガ爲身元保證人ノ
責任ヲ惹起スル虞アルコトヲ知リタ
ルトキ
二被用者ノ任務又ハ任地ヲ變更シ之
ガ爲身元保證人ノ責任ヲ加重シ又ハ
其ノ監督ヲ困難ナラシムルトキ
第四條身元保證人前條ノ通知ヲ受ケタ
ルトキハ將來ニ向テ契約ノ解除ヲ爲ス
コトヲ得身元保證人自ラ前條第一號及
第二號ノ事實アリタルコトヲ知リタル
トキ亦同ジ
身元保證人ガ前條ノ通知ヲ受ケ又ハ前
條第一號及第二號ノ事實アリタルコト
ヲ知リタル後遲滯ナク契約ノ解除ヲ爲
サザルトキハ其ノ權利ヲ失フ
第五條本法ノ規定ニ反スル特約ニシテ
身元保證人ニ不利益ナルモノハ總テ之
ヲ無效トス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ本法施行前ニ成立シタル身元保證
契約ニモ之ヲ適用ス但シ存續期間ノ定ナキ
契約ニ付テハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ起算シ
第一條ノ規定ニ依ル期間其ノ效力ヲ有ス
存續期間ノ定アル契約ニ付テハ本法施行
當時ニ於ケル殘存期間ヲ約定期間トス若
シ此ノ期間ガ七年ヲ超ルユトキハ之ヲ七
年ニ短縮ス
〔飯村五郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=79
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080・飯村五郎
○飯村五郞君 只今上程ニ相成リマシタ、
身元保證ニ關スル法律案ノ委員會ニ於ケル
審議ノ經過竝ニ結果ニ付キ、極メテ簡潔ニ
御報告申上ゲ、詳細ハ之ヲ速記錄ニ御讓リ
致シマス、本案ハ現行法令ノ下ニ於キマシ
テハ、極メテ過大ナル責任ヲ負ハサレテ居
リマス所ノ身元保證人若クハ身元引受人
ノ、此著シク過大ナル保證責任ヲ緩和セン
トスルノガ、本案ノ立法ノ精神デアリマ
ス、而シテ斯ノ如キ法律ガ、一日モ早ク實
施セラレンコトハ、多年世人ガ之ヲ要望致
シテ居フタノデアリマス、委員會ハ去ル二月
五日ヨリ十八日マデ、會議ヲ開クコト五
囘、修正ニ次グニ修正ヲ以テシ、極メテ愼
重ニ審議致シマシタ結果、玆ニ政府當局モ
贊成ヲシ、委員諸君ハ勿論-幸ニシテ一
修正案ヲ得タノデアリマス、修正案ニ付キ
マシテ採決ノ結果、滿場一致ヲ以テ之ヲ議
決致シタ次第デアリマス、本院ニ於キマシ
テモ何卒速ニ議決セラレンコトヲ切望致シ
そく、右御報〓申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=80
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081・秋田清
○議長(秋田濟君) 本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=81
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082・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=82
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083・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
〓、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=83
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084・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=84
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085・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部
ヲ議題ト致シマス
身元保證ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=85
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086・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
又、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決確定致シマシタ(拍手)此際質問ノ答
辯ニ對スル意見ノ陳述ヲ許シマス、足尾銅
山鑛毒問題ニ關スル質問ノ答辯ニ對スル意
見陳述-栗原彥三郞君
足尾銅山鑛毒問題ニ關スル質問ノ答辯
ニ對スル栗原彥三郞君ノ意見
〔栗原彥三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=86
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087・栗原彦三郎
○栗原彥三郞君 極ク簡單ニ意見ノ陳述ヲ
致シマス、私ハ足尾銅山鑛毒事件ニ關シマ
シテ、政府ニ質問ヲ致シタノデアリマスル
ガ、其質問ニ對シマシテ、只今答辯書ガ參,
タノデアリマス、然ルニ其答辯書ハ、洵
不親切極ッタモノデアリマシテ、私共ハ斷ジ
テ滿足スルコトハ出來ナイノデアリマス、
此故ニ今少シク政府ヲ反省セシメテ、鑛毒
問題ノ根本的解決ヲ爲サシムル必要ガアリ
ト存ジマシテ、玆ニ意見ノ陳述ヲ致ス次第
デアリマス、私ガ政府ニ質問ヲ致シマシタ
其要點ハ、極ク簡略デアリマスカラ讀上ゲ
テ見マス「今ヤ國民思想ノ激化益〓甚シカ
ラムトスルノ秋ニ當リ政府カ此ノ堆積毒
泥渣ノ處置ヲ等閑ニ付シ當然ノ監督ヲ怠リ
國民ヲシテ必然起ルヘキ生命財產ノ絕大ナ
ル危險ニ直面セシメツヽ放任スルカ如キハ
思ハサルノ甚シキモノナリト信ス政府ノ所
見如何」モウ一ツハ「政府ハ足尾銅山ニ對ス
ル監督ヲ怠リ此ノ儘放任セハ數千万圓ノ損
害ヲ必然被害民ニ與フヘキヲ察知シツツ何
等ノ處置ヲ爲サス若一朝堆積場崩壞シテ多
大ノ被害ヲ人民ニ與ヘタル場合ハ政府ハ其
ノ監督怠慢ノ責任ニ當ルヘキハ當然ナリ政
府ハ如何ニシテ其ノ責任ヲ果サムトスルヤ
如何」ト云フ質問デアリマス、此私ノ質問
ニ對シテ、只今受領致シマシタ答辯書ハ「衆
議院議員栗原彥三郞君提出足尾銅山鑛毒竝
煙毒ニ關スル質問ニ對スル答辯書、足尾鑛
山ニ於ケル泥渣ノ處置ニ關シテハ政府ハ常
ニ周到ナル注意ヲ拂ヒ取締ヲ勵行シツヽア
ル所ニシテ堆積場ノ周圍ニハ完全ナル扞止
工事ヲ施シ指定ノ堆積方法ニ依リ堆積セシ
メツヽアルヲ以テ堆積量過當ノ事實ナキハ
勿論泥渣散逸ノ虞ナキモノト認ムルモ今後
一層監督ヲ嚴ニシテ萬遺漏ナキヲ期スル所
信ナリ」ト斯樣ナノデアリマス、政府ガド
ウシテ斯樣ナ不眞面目ナ答辯ヲシタカト申
シマスレバ、全ク足尾銅山ノ危險極マル現
狀ニ對スル認識ヲ缺イテ居ルノデアリマス
ルガ故ニ、私ハ極ク簡單ニ一口ヲ以テ、足
尾銅山ノ鑛毒ガ如何ニ危險]至極ノモノデア
ルカト云フコトヲ申上ゲテ置キタイノデア
リマス、諸君、明治三十年ノ五月二十七日、
時ノ鑛山監督局長ヨリ古河市兵衞ニ對シ
テ發シマシタ豫防命令ニ依リマシテ、足
尾銅山ニハ實ニ十八箇所ノ毒泥渣堆積場
ト云フモノガアルノデアリマス、其大キ
サハドノ位ナモノデアルカト申シマスレ
バ、今一番大キクシテ一番危險デアルト
云フノハ松木村堆積場デアリマスルガ、
此松木村堆積場ト云フノハ、松木村一箇
村ヲ買收シテ、鑛山カラ出ル毒泥渣ヲ積
ム所ト致シタノデアリマス、其次ニ大キ
イノデ危險極ッテ居ルノハ高原木堆積場
ト申スノデアリマスルガ、是モ非常ニ大キ
ナモノデアリマス、松木堆積場ニハドノ位
ナ毒泥渣ガ積ンデアルカト申シマスレバ、凡
ソ九十万立方坪若クハ百万立方坪ガ積ンデ
アルノデアリマシテ、高サ三百間若クハ四百
間ノ山ノ上カラ、足尾銅山デ出來タ「カラミ」
デアルトカ廢石デアルトカ、非常ニ毒分ノ
多イ所ノモノヲ、山ノ上カラ谷底ニ轉ガシ
落シテ積ンデ居ルノデアリマスルガ、屢〓新
聞ニモ報道セラレタ通リ、足尾ニハ地震ガ
近來澤山アッタノデアリマス、此地震ニ依リ
マシテ、松木堆積場ヲ拵ヘタ石垣ガ澤山崩
レテ居ルノデアリマス、今ニモ流出シサウ
ニナッテ居ルノデアリマスルガ、足尾銅山ニ
於ケル十八箇所ノ堆積場ト云フモノハ一體
何處ニアルカト言ヘバ、渡良瀨川ナリ、松
木川ナリ或ハ小瀧川ナリ、兎ニ角谷川ノ直
グ傍ニ土手ヲ拵ヘテ、其土手ノ上ニ高サ何
十間、何百間ト云フ毒ヲ積ンデ居ルノデア
リマスカラ、丁度飾物ノヤウナ工合ニナッテ
居ルノデアリマス、此毒ガ一朝其處へ流出
シマスレバ、前ノ鑛毒事件ト同ジヤウニ、
栃木、群馬、埼玉、茨城ノ四縣下ニ於テ、
七十六箇町村ハ忽チニ毒砂漠トナッテシマ
ウノデアリマス、此危險ニ直面致シテ居リ
マスルガ故ニ、被害民ハ戰々兢々トシテ其
居ニ安ンズルコトガ出來ナイノデアリマ
ス、今度雨ガ降ルト、此雨デ毒ガ流出スノ
カ、今度雨ガ降ル、今度流出スノデハナイ
カト言ウテ、戰々兢々ト致シテ居ル實情デ
アルノデアリマス、中島商工大臣ハ嘗テ
ハ古河家ノ番頭トシテ働カレタ御方デアリ
マスカラ、此位ナコトハ明瞭ニ知リ拔イテ
居ルノニ拘ラズ、斯樣ナ答辯ヲ爲スニ至リ
マシテハ、私ハ其心事ヲ疑ハザルヲ得ナイ
ノデアリマス(「商工大臣ハ居ナイ」ト呼フ
者アリ)商工大臣ガ居ナクトモ、日本全國
ニ私ノ主張ガ響ケバ、商工大臣ヲ反省セシ
ムルコトガ出來ルノデアリマス、モウ少シ
御親切ニ聽イテ戴キタイ(「簡單々々」ト呼
フ者アリ)私ハ被害民三十万人ノ心ヲ代表
シテ此演壇ニ立ッテ居ルノデアリマスルカ
ラドウゾ御謹聽ヲ願ヒマス(拍手)斯樣ナ
次第デアリマシテ、今ニモ流出サウト云フ
コトニナッテ居リマス、然ルニ此答辯デハ扞
止ガ施シテアルト云フ、成程行ッテ見マス
ト、此位ノ棒杭ヲ打ッテ箒ヲカイテアリマ
スルガ、アノ重量ノ重イ毒泥渣ヲ、箒ヤ棒杭
デ何デアレガ扞止ガ出來マセウ、全ク倍險
狀況ニアルコトハ一遍行"テ見レバ分ルノ
デアルガ、所ガ鑛山監督署ノ役人ハ、行フタ
者ハ一人モナイ、松木堆積場ニ參リマスニ
ハドウシテ行ケルカト申シマスレバ、丁
度四百間程アル谷ガアリマシテ、此四百間
ノ谷ニ四十間バカリノ高サニ針金ノ一本橋
ガ架ッテ居リマス、此針金ノ一本橋ヲ渡ッテ
行カナケレバ、松木堆積場ニハ行カレナイ
ノデアリマスルガ、此堆積場ニ一本橋ヲ渡〃
テ監督署ノ御役人ガ行クカト申シマスレ
バ、サウデハナイ、監督署ノ役人ト云フモ
ノハ、足尾銅山ニ居ル總テノ人ニ聞イテ見
マスルト、ソンナ詰ラナイ所ヲ步イテ銅山
ヲ監督ハシナイノダ、直チニ古川家ノ番頭
ニ案內サレマシテ、懸水ノ倶樂部ニ行クカ
料理屋ニ行ッテ、酒池肉林ノ間ニ於テ此監督
ヲスルノデアリマス、斯樣ナ監督ヲ以テシテ、
ドウシテ完全ナ監督ガ出來ルデアリマセウ
カ、モウ少シ政府ハ眞面目ニ考ヘマシテ、
此事件ヲ根本的ニ解決シテ貰ヒタイト思フ
ノデアリマス、然ラバ此解決ヲスル方法ハ
ドウスレバ宜イカ、現在デモ毒ガ流レテ相
當ニ害ヲシテ居リマスルガ、ソレ等ニ對シ
テハ、今ハ非常ニ農業上ノ知識ガ發達致シ
マシテ、地下水利用ト云フコトガアリ、地
下水ヲ利用スルコトガ十分ニ出來ル地形ニ
アルカラ、地下水ヲ利用スレバ宜イノデア
リ、更ニ此毒泥渣ノ流出ルノニ對シテハ、
將來每日何万立方坪出來ル毒泥渣ハ、之ヲ
流出ル虞ノナイ所ノ廢坑其他ノ谷ヘ持ッテ
行ッテ之ヲ捨テサセルト共ニ從來アッタ毒泥渣
ハ、古川家ガ營業シテ居ル中ニ、之ヲ何處
カヘ持"テ行ッテ捨テサセナケレバナラヌノ
デアリマス、足尾銅山ノ壽命必シモ何百年
アリマセヌ、鑛業者ナント云フモノハ、算
盤ガ合ハナクナレバ今ニモ廢メマス、又銅
ガ出ナクナレバ今ニモ廢メマス、廢メタ曉
ニハドウスル、三百五十万立方坪アル毒ハ、
年々三四十万圓ヅヽ掛ケナケレバ之ヲ止メ
テ置クコトガ出來ナイノデアリマス、其日其
日ニ毒ノ流レ出ナイヤウニスルト云フ設備
デモ年々三四十万圓掛カル、古河ガ無クナ
レバ國家ガ之ヲヤラナケレバナラナ
イ、斯ウ云フコトニナルノデアル、ノミナ
ラズアノ三百五十万立方坪ノ毒泥渣ヲ片付
ケルニハ、技師ニ設計サセルト四千五百万
圓位掛カルト云フノデアリマス、或ハ五千
万圓位掛カルデアリマセウ、マゴ〓〓シテ
居クテ、アレガ五百万立方坪トナリ、一千万
立方坪トナレバ、一億圓モ掛ケナケレバ此
毒泥渣ハ片付ケルコトガ出來ナイヤウニナ
ル、此毒ガアル以上ハ、永久ニ渡良瀨川沿
岸ノ住民、松木川沿岸ノ住民、小瀧川沿岸
ノ住民ト云フモノハ脅威ヲ受ケナケレバナ
ラナイ、古河ガ金ヲ儲ケテ居ル其一面ニ於
テハ、彼處ノ人々ガ今迄ニモ一億万圓以上
ノ損害ヲ被リ、今日デモ年々被ッテ居ル、古
河市兵衞ハ非常ナル財產ヲ拵ヘマシテ、
匹二十万圓ノ犬ヲ買ッタ、藝者ニ何万圓吳
眞相撲取ニ何万圓呉レタト云フ其半面
ニ於テハ、鑛毒被害地ノ人々ハ、今マデ年
年何万圓ト云フ損害ヲ被リ、非常ニ悲劇ガ
アッタノデアリマス、斯樣ナ次第デアリマス
ルカラ、ドウシテモ政府ハ眞面目ニ之ヲ考
ヘラレテ、此毒泥渣ノ處置ヲ致シテ、鑛毒
事件ノ根本的解決ヲシナケレバナラナイト
思フノデアリマス、若シ之ヲ構ハナイデ置
クト云フヤウナコトデアリマシタナラバ、
今日本ノヤウニ非常ナ思想上ノ危險ニ直面
シテ居ルト云フ場合ニ於テ、如何ニ被害民
ガ苦ンデモ、政府ハ富豪資本家ノ用心棒ダ
ケヲシテ居レバ宜イト云フヤウナ狀態デア
リマシテハ、實ニ國民思想ノ上ニ由々シキ
問題ガ起ルバカリデナク、良民ヲ驅ッテ赤化
セシムルヤウナモノデアルト言ハナケレバ
ナラヌノデアリマス、ドウゾ政府ハ、此處
ニハ總理大臣モ居リマセヌ、又商工大臣モ
居リマセヌガ、ドウゾ能ク私ノ演說ヲ讀ミ
マシテ、眞面目ニ解決ヲシテ貰ヒタイノデ
アリマス一體私ノ質問ハ商工大臣ニ對
スル質問デハナイ、思想上惡イ結果ヲ來サ
ナイカト云フノデアルカラ、內務大臣若ク
ハ總理大臣ガ答辯スベキモノヲ、新米大臣
デ、戶惑ヒヲシテ斯樣ナ詰ラナイ答辯ヲシ
テ來タノデアリマスルガ、大臣連中ハ能ク
考ヘテ、サウシテ此問題ノ根本的解決ヲス
ルヤウニシテ貰ヒタイト云フノガ私ノ精神
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=87
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088・上田孝吉
○上田孝吉君 殘餘ノ意見ノ陳述竝ニ日程
ヲ延期シ、本日ハ是ニテ散會サレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=88
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089・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=89
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090・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ハ可決セラレマシタ、次會ノ日
程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日ハ是
ニテ散會致シマス
午後四時二十六分散會
衆議院議事速記錄第十四號中正誤
頁段行誤正
二〇七四四信濃川漁梯改信濃川魚梯改
造ニ關スル造ニ關スル
衆議院議事速記錄第十五號中正誤
頁段行誤正
二四七二四手形法ノ手形條約ノ
二四七二二六十一月一日一月末日
二四七三二四昨年八月本年八月
二四七四一〇法律ノ條約ノ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01619330221&spkNum=90
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