1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和八年三月二日（木曜日）
午後一時三十二分開議
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議事日程 第二十號
昭和八年三月二日
午後一時開議
第一 衆議院議員選擧法中改正法律案（政府提出） 第一讀會（前會の續）
第二 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第三 工業組合法中改正法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第四 鐵道敷設法中改正法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第五 帝國鐵道會計法中改正法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第六 地方鐵道補助法中改正法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第七 兩備鐵道株式會社所屬鐵道外四鐵道及兼業に屬する資産買收の爲公債發行に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第八 富山鐵道株式會社所屬鐵道中堀川新笹津間經營廢止に對する補償の爲公債發行に關する法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第九 日本興業銀行法中改正法律案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十 昭和五年度第一豫備金支出の件（承諾を求むる件）
第十 昭和五年度特別會計第一豫備金支出の件（承諾を求むる件）
第十 昭和六年度第一豫備金支出の件（承諾を求むる件）
第十 昭和六年度特別會計第一豫備金支出の件（承諾を求むる件）
第十 昭和六年度第二豫備金支出の件（承諾を求むる件）
第十 昭和六年度豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件（承諾を求むる件）
第十 昭和六年度特別會計第二豫備金支出の件（承諾を求むる件）
第十 昭和六年度特別會計豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件（承諾を求むる件）
第十 昭和七年度第二豫備金支出の件（承諾を求むる件）
第十 昭和七年度特別會計第二豫備金支出の件（承諾を求むる件）
第十 昭和七年度特別會計豫備金外に於て豫算超過支出の件（承諾を求むる件）
第十一 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一議員より提出せられたる議案左の如し
速記士法案
提出者
金井正夫君 竹下文隆君
小林かなえ君
速記士法案
提出者
中山福藏君 手代木隆吉君
内藤正剛君 一松定吉君
（以上三月二日提出）
民營職業紹介業者保護に關する建議案
提出者
中井一夫君 安藤正純君
野方次郎君 瀬川嘉助君
山本芳治君 川橋豊治郎君
大野伴睦君 上田孝吉君
鷲野米太郎君
小野信號所を停車場に變更に關する建議案
提出者 篠原義政君
（以上三月一日提出）
肥前山口驛附近に機關庫設置に關する建議案
提出者
田口文次君 石川又八君
田中亮一君
上有田驛擴張改良に關する建議案
提出者
田口文次君 石川又八君
田中亮一君 藤生安太郎君
（以上三月二日提出）
一昨一日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第三部選出
決算委員 松谷與二郎君（伊禮肇君補闕）
第三部選出
請願委員 中野寅吉君（小島智善君補闕）
第四部選出
決算委員 喜多孝治君（山本芳治君補闕）
第七部選出
決算委員 宮澤裕君（青山憲三君補闕）
第七部選出
請願委員 大島寅吉君（手代木隆吉君補闕）
一昨一日常任委員理事補闕選擧の結果左の如し
請願委員
理事 大島寅吉君（理事手代木隆吉君二月二十八日委員辭任に付其の補闕）
一昨一日辭任したる常任委員左の如し
第一部選出
請願委員 山田助作君
一昨一日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第二部選出
建議委員 海野數馬君
一昨一日委員長選定の結果左の如し
行政執行法中改正法律案（一松定吉君外三名提出）外七件小委員
委員長 松木弘君
一昨一日委員長及理事互選の結果左の如し
日本製鐵株式會社法案（政府提出）外一件委員
委員長 若宮貞夫君
理事
鈴木英雄君 岸田正記君
田尻生五君 松本忠雄君
田島勝太郎君 岸衞君
一昨一日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
造幣局工場及其の附屬設備の新營費に關する法律案（政府提出）外二件委員
理事 松谷與二郎君（理事中川觀秀君二月二十七日委員辭任に付其の補闕）
工業組合法中改正法律案（政府提出）委員
理事 水久保甚作君（理事田尻生五君二月二十八日委員辭任に付其の補闕）
一昨一日に於ける特別委員の異動左の如し
行政執行法中改正法律案（一松定吉君外三名提出）外七件委員
辭任 原夫次郎君 補闕 中山福藏君
司法代書人法中改正法律案（立川平君外二名提出）外一件委員
辭任 中山福藏君 補闕 内藤正剛君
工業組合法中改正法律案（政府提出）委員
辭任 野村嘉六君 補闕 八木逸郎君
日本製鐵株式會社法案（政府提出）外一件委員
辭任 中野正剛君 補闕 風見章君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=0
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001・秋田清
○議長(秋田〓君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御諮リ致シマス、第三部選出決算委員
松谷與二郞君常任委員辭任ノ申出ガアリマ
ス、許可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」-呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=1
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002・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナケレバ許可シ
ママ、其部ノ諸君ハ速ニ補闘選擧ヲ行ヒ、
屆出アランコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=2
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003・上田孝吉
○上田孝吉君 日程變更ノ緊急動議ヲ提出
致シマス、卽チ此際日程第三乃至第十一ヲ
繰上ゲ上程シ、逐次其審議ヲ進メラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=3
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004・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=4
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005・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、日程第
ミ、工業組合法中改正法律案ノ第一讀會ノ
續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス
委員長丹下茂十郞君
第三工業組合法中改正法律案(政府
提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一工業組合法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和八年三月一日
委員長丹下茂十郞
衆議院議長秋田〓殿
〔丹下茂十郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=5
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006・丹下茂十郎
○丹下茂十郞君 諸君、只今上程ニ相成リ
マシタ政府提出工業組合法中改正法律案ノ
委員會ノ經過竝ニ其結果ノ御報告ヲ申上ゲ
やっ、委員會ハ二月二十二日ヨリ五囘ニ亙
リマシテ會議ヲ開キ、所管大臣及政府委員
ニ對シテ質疑ヲ行フタノデアリマス、昨日ヲ
以チマシテ愼重審議ノ結果討議ヲ終了致シ
タノデアリマスガ、當委員會ニ於キマシテ
ハ、政友會ノ森田君、玉置君、助川君及民
政黨ノ中村君等ヨリ、ソレ〓〓重要ニシテ
且ツ有益ナル質疑ヲ行ハレタノデアリマ
ス、併シ〓ネ法案其モノニ付キマシテハ、
餘リ大シタ御意見ハアリマセヌノデ、主ト
シテ統制經濟ヲ中心トスル所ノ、所謂大工
業者ノ企業統制、生產統制、或ハ價格ノ統
制等ニ對シマシテ、現在ノ中小工業者ノソ
レニ比較致シマシテ、極メテ不公平デア
リ、偏重、偏輕ノ嫌ヒガアリ、延テハ一般
ノ市價ニ及ボス所ノ影響、消費者ノ利害關
係等ニ付テ、又或ハ大工業ト中小工業トノ
統制計畫ノ矛盾、例ヘバ大工業家ハ續々設
備ノ增加計畫ヲ行ヒマシテ、所謂操業短縮
ニ對スル所ノ緩和ヲ致シテ居ルニモ拘ラ
ズ、極メテ小規模ナル工業者ハ其設備ヲ
增加スルコトガ出來ズシテ、同ジ割合ニ於
テノ統制ニ服從シナケレバナラナイ、斯樣
ナル不公平ナル統制下ニ置カレテ居ル點、
或ハ又政府ハ工業組合及昨年制定サレマシ
タル商業組合法ニ依ッテ、中小商工業者ノ
統制ヲ圖ヲテ、卽チ產業ノ合理化ニ依ァテ當
業者ノ福利增進ヲ企圖サレテ居ルノデアル
ケレドモ、現在ノ中小商工業者ノ惱ミハソ
レデナクシテ、此資金ノ乏シイト云フ所ニ
アル、此點ニ付テ、政府ハ府縣或ハ市ノ保
證ニ依ル所ノ低利資金ノ融通ヲ以テ、大ナ
ル期待ヲ掛ケラレテ居ルケレドモ、ソレハ
現在ノ中小商工業者ノ資金難ハ容易ニ救ハ
レナイノデアル、寧ロ系統的ニ是等ノ金融
機關ヲ設ケルコトガ必要デハナイカト云フ
點、或ハ旣ニ當議會ニ於キマシテモ、種々
ノ形式ニ依ッテ現レテ居リマス所ノ、地方農
村ノ團體デアル產業組合ト中小商工業者ト
ノ對立抗爭ノ關係ガ、漸次激化シテ居ル情勢
デアル、是ガ將來ニ於ケル所ノ衝突激化ノ
點ニ對シテハ、洵ニ憂慮ニ堪ヘナイト云フ
コトニ付テ、商工當局ノ意見ヲ求メラレタ
人前は、殊ニ動モスレバ商工當局ト農林當局
トガ、兎角對立關係ニアッテ、場合ニ依ッテ
ハ寧ロ反目抗爭ヲスルト云フヤウナ現狀デ
アル事柄ニ鑑ミテ、兩者間ノ協調聯絡ニ依
テ、斯ル弊害ノ增大セザルヤウ注意ヲ望マ
レタル點、或ハ又工業組合法ニ依リマシテ
適用サレテ居ル現在ノ重要工業ノ品目ガ、
實際ノ必要上追加ヲ要スル點ニ付テハ、若
シモ當業者ガ本法ニ依ッテ所期ノ目的ヲ達
シ得ル實情ニアルナラバ、之ヲ追加スルコ
トガ出來ルカ否カト云フヤウナ點ニ付キマ
シテ、極メテ剴切ナル質疑ガ熱心反覆應酬
サレタノデアリマス、而シテ政府ノ答辯ハ
大體ニ於テ誠意ヲ以テ熱心是等ノ質疑ニ對
シテ答ヘラレマシテ、質問者ニハ大體ニ於
テ滿足ヲ與ヘタノデアリマスルガ、其詳細
ナル點ハ冗長ニ互リマスカラ玆ニ省略致
シマス、願クハ委員會ノ速記錄ニ依ッテ御
諒承ヲ御願致シタイト思フノデアリマス
之ヲ要スルニ本改正案ハ、第一ニ工業組
合及聯合會ノ發達ニ伴ヒマシテ、組合ノ普
及聯絡ノ機關トシテ、旣ニ設立サレテ居リ
マスル所ノ中央會ニ法制上ノ根據ヲ與ヘテ、
其活動ニ便ナラシメヨウトスルノガ主要ナ
ル點デアリ、又第二ニ工業組合ノ締制事業
ヲ徹底セシムル爲ニハ、統制命令ニ關スル
所ノ規定ニ變更ヲ加ヘントシタモノデアリ
マシテ、何レモ現在ノ時勢ニ對シテ最モ必
要ナル改正デアルト、委員會ニ於テハ滿場
一六、本院ニ於テ可決スベキモノト決定致
シタ次第デアリマス、何卒各位ニ於カセラ
レマシテモ、滿場一致本案ニ御贊成アラン
コトヲ切望致シテ、以上御報告申上ゲマス
(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=6
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007・秋田清
○議長(秋田清君) 本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=7
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008・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマ
ス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=8
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009・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=9
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010・秋田清
○議長(秋田濟君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=10
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011・秋田清
○議長(秋田済君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部
ヲ議題ト致シマス
工業組合法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=11
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012・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
ヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決確定致シマシタ(拍手)日程第四乃至第
八ハ、同一委員ニ付託シタル議案ナルニ依
リ、一括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=12
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013・秋田清
○議長、秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第四、鐵道敷設法中改正法律
案、日程第五、帝國鐵道會計法中改正法律
案、日程第六、地方鐵道補助法中改正法律
案、日程第七、兩備鐵道株式會社所屬鐵道
外四鐵道及兼業ニ屬スル資產買收ノ爲公債發
行ニ關スル法律案、日程第八、富山鐵道株
式會社所屬鐵道中堀川新笹津間經營廢止ニ
對スル補償ノ爲公債發行ニ關スル法律案、
右ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委
員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長前田米藏
君
第四鐵道敷設法中改正法律案(政府
提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
第五帝國鐵道會計法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第六地方鐵道補助法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第七兩備鐵道株式會社所屬鐡道外四
鐵道及兼業ニ屬スル資產買收ノ爲公
債發行ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第八富山鐵道株式會社所屬鐵道中堀
川新笹津間經營廢止ニ對スル補償ノ
爲公債發行ニ關スル法律案(政府提
巴第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一鐵道敷設法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年三月一日
委員長前田米藏
衆議院議長秋田〓殿
附帶決議
一政府ハ既定建設豫算ヲ繰延ヘ又ハ削
除セル線路ニ就テハ財政ノ狀勢ニ依リ
緩急輕重ヲ調査シ速ニ之ヲ復活スヘシ
二政府ハ百四號線ノ豫算ヲ削除シ百三
號線ヲ建設セムトスル計畫ナルモ之カ
實施ニ先チ尙愼重ニ調査ヲ遂ケ萬遺算
ナキコトヲ期スヘシ
報〓書
一帝國鐵道會計法中改正法律案(政府提
出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年三月一日
委員長前田米藏
衆議院議長秋田〓殿
附帶決議
政府ハ鐵道省ノ自動車經營ニ就テハ民業
ヲ壓迫セサル樣特ニ留意シ且省營自動車
ニ依リ交通機關ノ施設ヲ爲シ能ハサル雪
國地方ニ對シテハ速ニ鐵道建設ノ對策ヲ
樹立スヘシ
報告書
一地方鐵道補助法中改正法律案(政府提
出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年三月一日
委員長前田米藏
衆議院議長秋田〓殿
附帶決議
政府ハ地方鐵道補助金ノ減額ニ對シテハ
鐵道收益增加ノ場合ハ昭和九年度ヨリ之
ヲ復活スヘシ
報〓書
一兩備鐵道株式會社所屬鐵道外四鐵道及
兼業ニ屬スル資產買收ノ爲公債發行ニ
關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年三月一日
委員長前田米藏
衆議院議長秋田〓殿
報〓書
一富山鐵道株式會社所屬鐵道中堀川新笹
津間經營廢止ニ對スル補償ノ爲公債發
行ニ關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年三月一日
委員長前田米藏
衆議院議長秋田〓殿
〔前田米藏君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=13
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014・前田米藏
○前田米藏君 私ハ只今議題ニ相成リマシ
タ、鐵道敷設法中改正法律案外四件ノ委員
會ノ經過竝ニ結果ニ付キマシテ御報告申上
ゲマス、委員會ハ委員ノ諸氏ガ非常ニ熱心
ニ御勉强下サイマシテ、其質疑應答ハ多種
多樣ニ亙ッテ居リマスノデ、此際ソレヲ一々
御報告申上ゲマスコトハ差控ヘテ、速記錄
ニ依ッテ皆樣ニ御承知ヲ願ヒタイト思フノ
デアリマス、唯極ク簡單ニ二三點ダケヲ御
報告ヲ申上ゲタイト存ジマス
鐵道敷設法中改正法律案ノ中デ、議論ノ
中心ニ相成リマシタノハ、四國ノ所謂百三
號線及百四號線ノ問題デアリマシテ、多年
民間ノ望ンデ居ッタ所ノ百四號線ヲ、豫算ヨ
リ削除セラレマシテ、百三號線ヲ今囘計上
シタル理由如何ト云フノデアリマス、政府
ノ之ニ對スル答辯ハ、鐵道ニ於ケル各種ノ
技術ノ進步ト、ソレカラ距離ノ點カラ、建
設費ノ點カラ、收益ノ點カラ、百三號線ガ
百四號線ト比較シテ非常ニ優レテ居ルガ故
ニ、百四號線沿線ノ人々ニハ洵ニ御氣ノ毒
デアリマスケレドモ、百三號線ヲ選ンダノ
デアルト、斯ウ云フ答辯デアリマス、而シ
テ百四號線ノ沿線ノ人々ニ對シテハ、省營
「バス」ヲ至急開通スルコトニ取計ヒマシ
テ、此方面ニ於ケル運輸連絡ヲ遺憾ナクス
ル積リデアルト、政府ハ答辯致シテ居ルノ
デアリマス、委員ノ中ニハ此政府ノ答辯ニ
對シマシテ、政府ハ宇和島市ヲ非常ニ重要
視シテ、之ヲ起點ト致シマシテ色々ノ御說
明ヲナサレ、或ハ路線ガ短イ、或ハ建設費
ガ少イ、或ハ收益ガ多イト云フヤウナ御說
明デアルケレドモ、此鐵道其モノヲ四國循
環鐵道ト云フ大ナル使命ノ上ヨリ考ヘテ見
タナラバ、鐵道當局ノ主張必シモ首肯シ難
シト云フノガ、委員ノ論難ノ點デゴザイマ
シタ、而シテ此點ニ付キマシテ再三再四應
答ガゴザイマシタガ、詳細ナ事ハ速記錄デ
御覽ヲ願フコトニ致シマス
又今回鐵道省ハ從前ト異リマシテ、自動
車ヲ本格的ニ經營致スト云フノデアリマシ
テ、此點ニ付キマシテハ、自動車ヲ本格的
ニ經營スルト云フノデアルガ、其爲ニ民間
業者ヲ壓迫スルコトハナイカト云フ質問ニ
對シマシテ、政府ハ民業ノモノニ對スル壓
迫ヲ成ベク避ケタイト思フ、隨テ民業者ニ
シテ、其施設ガ相當ニ改善セラレ、民衆交
通ノ利便ニ遺憾ナキヤウナ事ニナリマシタ
ナラバ、鐵道省ハ好ンデ省營「バス」ヲ開始
スル考ハナイト申サレテ居ルノデアリマ
ス、又鐵道敷設法中ニ載ッテ居リマス豫定
線路ニシテ、今後省營「バス」ヲ開通スル場
合ニ於テ、將來敷設線ニ載セラレタ鐵道線
路ハ、モウ無クナルノカ、取止メニナルノ
カト云フ質問ニ對シテハ、サウデハナイ、
省營「バス」開始後ト雖モ、旅客貨物ノ運輸
ノ效用如何ニ依リマシテハ、矢張鐵道ヲ建
設スルコトニ、決シテ吝カナモノデハナイ
ト云フコトノ答辯ヲ致シテ居ルノデアリマ
ス
又私設鐵道補助法ノ問題ニ付キマシテ
ハ、何故ニ補助ヲ減額致シタカト云フ點ニ
付キマシテハ、近時ノ財界ノ現狀ニ鑑ミマ
シテ、低金利デアルト云フコトハ爭フコト
ノ出來ナイ事實デアルカラ、私設鐵道ノ社
債若クハ借入金等ニ於キマシテモ、低金利
ノ恩惠ニ浴スルノデアル、又一方鐵道當局
ノ說明ニ依リマスト云フト、非常ニ鐵道省
ノ收入ヲ減シテ參リマシテ、盛ナル時ヨ
リハ年額一億餘圓ノ減收ニナッテ居リマ
スカラ、或ハ營業方面ニ於テ、或ハ經理ノ
方面ニ於テ、總テ整理節約ヲ爲シテ、緊
縮ヲ目的ト致シテ居ル鐵道省ト致シマシ
テハ、僅ナガラ私設鐵道ノ補助金ヲ減ラ
シテ、而シテ斯ノ如ク各方面共節約ヲ
スルト云フ事實ヲ、鐵道二十万ノ從業員ニ
示シテ、從業員ノ緊張作興ヲ求メル一助ニ
モ致シタイノダト云フ說明デゴザイマス
鐵道買收法ニ付キマシテハ、曩ニ犬養內
閣ニ於ケル床次鐵道大臣ノ時ニ計畫セラレ
タル買收線路ト、現三土鐵道大臣ノ今囘御
提案ニナッタ買收線ハ、殆ド全部違ヲテ居ル
ノハ何故デアルカ、同ジ政友會所屬ノ大臣ニ
シテ、而シテ次官以下事務官ノ迭ラナイ今
日ニ於テ、何故ニ左樣ニ變ッタノカト云フ質
問デアリマス、之ニ付キマシテ三土鐵道大
臣ノ說明ハ、床次鐵道大臣ノ時ニハ、鐵道買
收方針ハ運輸連絡ヲ主トシテ、國有鐵道運
輸連絡ノ必要アリト認メラレタル線路ヲ、
買收ノ計畫ヲ御樹テニナッタノデアル、然
ルニ僅カ數箇月後デハアリマスケレドモ、
非常時局匡救ト云ヒ、軍事費ノ增加ト云ヒ、
公債發行ガ多額ニ上ルノ今日ニ於テ、出來
ルダケ公債發行ヲ少クシタイト云フ鐵道當
局ノ考ヨリ致シマシテ、運輸連絡上必要ナ
ル買收ハ一先ヅ止メマシテ、鐵道建設工事
ノ進行上已ムヲ得ザル分ダケニ止メテ、公
債ノ發行額ヲ減ジタノデアルト云フ說明デ
ゴザイマシタ、斯樣ナル質問應答ノ後ニ質
疑ヲ打切リ、討論ニ入リマシタ、政友會ノ
田邊七六君ヨリ附帶決議ヲ附シテ、政府原
案ニ贊成ヲスルト云フコトデアリマシタ、
其附帶決議ヲ朗讀致シマス、附帶決議ト致
シマシテハ
一政府ハ既定建設豫算ヲ繰延ヘ又ハ削
除セル線路ニ就テハ財政ノ狀勢ニ依リ緩
急輕重ヲ調査シ速ニ之ヲ復活スヘシ
二政府ハ百四號線ノ豫算ヲ削除シ百三
號線ヲ建設セムトスル計畫ナルモ之カ實
施ニ先チ尙愼重ニ調査ヲ遂ケ萬遺算ナキ
コトヲ期スヘシ
地方鐵道補助法中改正法律案ニ對スル附帶
決議ハ
政府ハ地方鐵道補助金ノ減額ニ對シテハ
鐵道收益增加ノ場合ハ昭和九年度ヨリ之
ヲ復活スヘシ
帝國鐵道會計法中改正法律案ニ對スル附帶
決議ト致シマシテハ
政府ハ鐵道省ノ自動車經營ニ就テハ民業
ヲ壓迫セサル樣特ニ留意シ且省營自動車
ニ依リ交通機關ノ施設ヲ爲シ能ハサル雪
國地方ニ對シテハ速ニ鐵道建設ノ對策ヲ
樹立スヘシ
此附帶決議ヲ爲シテ原案贊成ノ言明ヲ爲サ
レタノデアリマス、之ニ對シマシテ寺田委
員ヨリ、政府ハ附帶決議ニ對シテ如何ナル
考ヲ有タレルカヲ質問セラレタノデアリマ
ス、三土鐵道大臣ハ、田邊君ノ御提出ノ附
帶決議ニ付キマシテハ、各項目トモ其趣意
ヲ諒承致シマシタ、就テハ右附帶決議ガ
會議ニ於テ院議トナリマシタ場合ハ、各事
項ノ趣意ニ適フヤウ十分努力致シタイト考
ヘテ居リマスト云フコトデアリマシタ(拍
手)此政府ノ言明ニ對シマシテ寺田君ハ、
此言明ヲ信賴ヲ致シテ原案贊成ダト云フコ
トデアリマシタ、民政黨ノ〓水委員ヨリハ
政府原案ハ全部贊成デアル、又鐵道敷設法
中改正案ニ對スル附帶決議ノ中、第二項
ハ贊成ヲ致シ兼ネルガ、其他ノ附帶決議ハ
全部贊成デアルト云フコトデアリマシタ、
國民同盟ノ小池委員ヨリハ、政府原案
竝ニ附帶決議ハ全部贊成デアルト云フ
コトデアリマシタ是デ討論ヲ終リマ
シテ、採決ニ相成リマシテ、政府原案ハ全
會一致ヲ以テ通過ヲ致シマシタ、附帶決議
ハ、所謂鐵道敷設法中改正案ニ對スル附帶
決議ダケハ大多數ヲ以テ通過シ、其他ノ附
帶決議ハ全會一致ヲ以テ通過致シタ次第デ
アリマス、以上ガ本委員會ニ於ケル經過デ
アリマス、此委員會ノ決定ニ御贊成下サイ
マシテ、御可決アランコトヲ希望スル次第
デアリマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=14
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015・秋田清
○議長(秋田〓君) 討論ノ通〓ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-寺田市正君
〔寺田市正君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=15
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016・寺田市正
○寺田市正君 私ハ只今上程サレマシタル、
鐵道敷設法中改正法律案外四件ノ委員長ノ
報告ニ贊成ノ意ヲ表スル者デアリマス、極
メテ簡單ニ其贊成ノ理由ヲ申上ゲタイト思
フノデアリマス、私共ハ是等ノ各法案ニ付
キマシテ、只今委員長カラ御報告ニ相成リ
マシタル通リ、希望決議ヲ附帶致シマシテ
原案ニ贊成スルモノデアリマスガ、先ヅ第
一ノ鐵道敷設法中改正法律案ノ此案ニ對シ
マシテ、二項ノ決議ヲ附シタイト云フノデ
アリマス、卽チ第一ハ「政府ハ既定建設豫算
ヲ繰延ヘ又ハ削除セル線路ニ就テハ財政ノ
狀勢ニ依リ緩急輕重ヲ調査シ速ニ之ヲ復活
スヘシ」ト云フノガ、一ツノ決議デゴザイ
マス
御承知ノ通リ政府ガ今囘敷設法中改正法
律案ニ依リマシテ、新ニ新線トシテ追加ス
ルモノガ三線アルノデアリマス、一ツハ根
室國ノ中標津ヨリ釧路國ノ標茶ニ通ズル所
ノ線路デアリマス、今一ツハ靜岡縣ノ二
俣ヨリ愛知縣ノ豐橋ニ通ズル所ノ線路デゴ
ザイマス、モウ一ツハ八幡濱宇和島間ノ中
デ、卯之町宇和島間ノ線路デアリマス、此三
ツノ線路ガ新シク今囘此敷設法中ニ追加サ
レル線路ニナッテ居リマス、此追加線ノ調査
ノ完成シマシタ時日ヲ見マスルト二俣豐
橋間ガ昨年ノ十月デアリマス、中標津標茶
間ガ昨年ノ九月デゴザイマス、何レモ國防
上ノ關係、經濟上ノ關係等ヨリ、必要ナ線
路デアルノデアリマスガ、去年ノ九月、+
月ニ調査ガ終ッテ、十一月ニ早ヤ豫算ヲ組ン
デ、十二月ニハ鐵道會議ヲ經テ、一月ニハ
本院ニ其鐵道豫算ガ上程サレマシテ、旣
豫算ハ本院ヲ通過致シマシテ貴族院ニ廻ノ
テ居ルヤウナ、洵ニ迅速機敏ナル御處置ニ
ナッテ居ルノデアリマス、斯ウ云フ迅速機敏
ナル現內閣ノ方針態度ト云フモノニ付キマシ
テハ、私共滿腔ノ歡迎ヲ以テ希望致スノデ
アリマスガ、ソレト同樣ニ、今尙ホ敷設法
中ニ規定サレテ、豫定線トシテ其儘殘ヲテ
居ル百四十何線ニ付キマシテモ、同樣ノ迅
速機敏ヲ以テ此建設ニ著手セラレンコトヲ、
一言希望シテ置カナケレバナラヌノデアリ
マス(拍手)
斯ノ如ク新ニ追加サレマシタ三線モアル
ノデアリマスガ、然ルニ又一方ニハ、今囘
繰延及削除サレタ線路ガアルノデアリマ
ス、繰延サレマシタ線路ガ十三線ニナッテ
居リマス、全然豫算ヨリ削除サレタ線路ガ
六線ニ及ンデ居リマス、尙ホ一部區間削除
サレタモノガ四線アルノデアリマス、斯ウ
云フ繰延若クハ削除サレマシタ線路ニ對シ
マシテモ、財政ノ狀勢ニ依リ、又時勢ノ變
化ニ依リ、或ハ其線路ノ輕重緩急ヲ圖リマ
シテ、速ニ是ガ復活ヲ圖ヲテ戴クト云フコト
ガ、鐵道國有ノ精神デアリ、同時ニ地方產
業發達ヲ助成スル所以デアルト私共ハ思フ
ノデアリマス(拍手)其趣旨デ卽チ此希望決
議ヲ附帶スル所以デアルノデアリマスガ、
尤モ政府當局ニ於キマシテモ、此削除セル
豫定線ニ付キマシテハ省營自動車ヲ運轉
致シマシテ、成ベク交通運輸ノ便ヲ缺クヤ
ウナコトハ致サナイト云フ御方針ノヤウデ
ゴザイマスガ、是ハ全然豫定線ヲ削除サレ
テ、何等ノ交通機關ヲ設ケラレナイト云フ
コトヨリハ、洵ニマシナル方法デアラウト
思フノデアリマスケレドモ、又時代ノ變遷
ニ依リ、或ハ旅客貨物ノ增加セル趨勢等ニ
依リマシテハ、此省營「バス」ダケデハ交
通運輸ノ完全ヲ期スルコトガ出來ナイダラ
ウト思フコトガアルノデアリマス、左樣ナ線
路ニ付キマシテハ、ヤハリ之ヲ復活ナサイマシ
テ、サウシテ玆ニ鐵道ノ線路ヲ建設サレル
ト云フコトニ努力シテ戴キタイト云フノ
ガ、卽チ第一ノ決議ノ趣旨ニ外ナラヌノデ
ゴザイマス、尤モ繰延若クハ削除サレマシ
タ所ノ線路ト云フモノハ、現內閣バカリデ
ハゴザイマセヌ、ソレ以前ノ内閣ニ於キマ
シテモ、削除若クハ繰延等モアルノデアリ
マス、卽チ前ノ民政黨內閣ノ江木鐵道大臣
ノ時代ニモ、此繰延削除サレタ線路ガアリ
マスガ、今日私共ガ此處ニ提出シマス所ノ
此決議ハ、所謂前々ノ內閣、前內閣等ニ於
テ繰延削除サレタ線路ニモ同樣ノ意味ヲ
以テ、卽チ財政ノ狀勢ニ依ッテ、緩急輕重ヲ
圖ッテ、之ヲ速ニ復活サレタイト云フ趣旨ヲ
モ含ンデ居ルモノト云フコトヲ、御諒承ヲ
願ヲテ置クノデアリマス(拍手)
此敷設法中ニ第二ノ、モウ一ツノ希望決
議ト致シマシテ、「政府ハ百四號線ノ豫算ヲ
削除シ百三號線ヲ建設セムトスル計畫ナル
モ之ガ實施ニ先チ尙愼重ニ調査ヲ遂ケ萬違
算ナキコトヲ期スヘシ」ト云フ、此決議ニ
對シマシテモ、一言申上ゲテ置カナケレバ
ナラヌノデアリマスガ、政府ガ百四號線ヲ
削除シマシテ、百三號線ノ方ヲ建設シヨウ
ト云フ御計畫ト御趣旨トハ、本會議竝ニ委
員會等ニ於ケル種々ノ質問應答ニ依リマシ
テ、私共諒承致シタノデアリマス、併ナガ
ラ今尙ホ百四號線ノ方ガ、四國全體ノ鐵道
ノ上カラ見テ必要ナル線路ナリト云フ確信
ヲ以テ、主張サレル方々ガアリマスガ、或
ハ之ニ對シテ政府ガ百四號線ヲ削除シテ止
メタケレドモ、代フルニ省營自動車ヲ以テ
スルノデアルカラ、何等交通運輸ヲ阻止ス
ルヤウナコトハナイト云フ主張モアルノデ
アリマスガ、ソレニ對シマシテ又百三號線
ノ方ハ、旣ニ民營自動車等モアッテ、サウシ
テ交通運輸ノ途モアルノデアルカラ、ドウ
シテモ四國全體ノ上カラ見テモ、ヤハリ此
百四號線ノ建設ノ方ヲ御願シタ方ガ宜イト
云フ、斯ウ云フ意見モアル、卽チ百三號線
ノ方ニ省營自動車ヲ廻シタ方ガ宜イト云フ
ヤウナ、御意見モアッタヤウデアリマス、而シ
テ今囘政府ガ愛媛縣ニ於キマシテ、愛媛鐵
道ト宇和島鐵道ノ二ツヲ買收シテ居ルノデ
アリマスガ、鐵道大臣ノ御說明ニ依リマス
ルト、宇和島鐵道ノ買收ハ、奧地開發ノ爲
デアルト云フコトヲ言。ッテ居ラレルノデア
リマス、サウ云フ趣旨カラ行キマスト、愛
媛鐵道ヲ買收シテ、卽チ大洲ヨリ內子町
マデハ、現在愛媛鐵道ガ通ジテ居ルノデ
アリマスガ、此內子町ヨリ更ニ坂石マデ
延長シテ戴クト云フコトニナレバ、是亦
所謂奧地開發ノ趣旨ニモ適フ所以デアル
カラ、其邊ヲモ調査シテ、是等ニ對スル
建設ニ著手サレルコトヲ希望スルト云フ
ヤウナ御意見等モアリマシタシ、又第百
三號線ノ方ニ於キマシテモ、八幡濱ヨリ
卯之町、吉田ヲ經テ字和島ニ至ルト云フ線
路ノ中デ、更ニ舌田、川上、三瓶町等ヲ經
由シテ吉田ニ通ズルト云フ線路ヲ選ンダ方
ガ宜イト云フヤウナ、熱心ナル主張モアッタ
ヤウデアリマシテ、洵ニ此第百四號線ヲ止
メテ百三號線ニ爲サレタト云フ上ニ付テハ、
尙ホ十分ニ調査〓究サレル餘地ガアルヤウ
ニ吾々ハ考ヘテ居ッタノデアリマス、サウ
云フ趣旨カラ行キマシテ、玆ニ百四號線ノ
豫算ヲ削除シ、百三號線ヲ建設スルニ當ッ
テハ、是ガ實施ニ先ッテ、尙ホ愼重ニ調査ヲ
遂ゲテ、萬々違算ナキヲ期セラレタイト云
フ、此希望ヲ附スル所以デアリマス、然ル
ニ民政黨ノ人々ハ政府ガ既ニ斯ノ如キ變
更ヲスル以上ハ固ヨリ十分ノ調査ヲシタ
ノデアルカラ、左樣ナル希望決議ヲ附スル
必要ハナイト云フノデ、反對サレルノデア
リマスケレドモ、昔カラ念ニハ念ヲ入レロ
ト云フコトモアリ、愼重ノ上ニモ愼重ニ、
調査ノ上ニモ調査ヲ遂ゲテ、本當ニ愛緩縣
ナリ、四國全體ノ上ニ於テ、交通運輸產業
發達ト云フ爲カラ、其最善ノ途ヲ講ズルト
云フコトニ努力シナサイト云フコトハ是
レ卽チ現鐵道當局ヲ信賴シ、同情スル所以
ナリト私共ハ思フノデアリマス、隨テ此決
議ヲ附スルコトハ最モ妥當ナリト信ズル譯
デアリマシテ、民政黨諸君ノ反對セラルヽ
所以ヲ吾々ハ解スルニ苦シムノデアリマス
其次ニ帝國鐵道會計法中改正法律案ニ付
キマシテハ、卽チ「政府ハ鐵道省ノ自動車經
營ニ就テハ民業ヲ壓迫セサル樣特ニ留意シ
且省營自動車ニ依リ交通機關ノ施設ヲ爲シ
能ハサル雪國地方ニ對シテハ速ニ鐵道建設
ノ對策ヲ樹立スヘシ」ト云フ、此附帶決議ヲ
致シタイト思フノデアリマス、御承知ノ通
リ鐵道省ガ、今回省營自動車ヲ經營スルコ
トノ出來ル法律ガ、此改正案ノ趣旨デアリ
マスガ、鐵道省ガ省營自動車ヲ經營致シマ
シテ、サウシテ地方ノ鐵道ニ依ルコトノ出
來ナイ、卽チ交通運輸ノ不便ヲ感ジタ地方
ニ、此自動車ヲ運轉サレルト云フコトハ、
洵ニ機宜ノ處置ナリト思フノデアリマス、
併ナガラ此鐵道省ノ省營自動車ト云フモノ
ハ、所謂豫定線デアッテ、今尙ホ其建設ニ著
手シナイ所ノ地方ニ於テ之ヲ經營サレルコ
トガ、最モ妥當ナル方法ナリト思フノデア
リマス、ソレヲ濫ニ、私設鐵道ノアル所ニ
竝行シタ、接近シテ居ル所ノ場所トカ、或
ハ現ニ民營自動車ヲ運轉シテ居ルヤウナ地
方ニ、此省營自動車ヲ運轉サレルト云フコ
トニナレバ、勢ヒ此民營事業ヲ壓迫スルト
云フ不幸ヲ來スノデゴザイマス、委員會ニ
於キマシテモ問題トナリマシタノガ、熊谷、
桐生、足利、此方面等ニ於テ省營自動車ヲ
運轉スルヤノ計畫ガアルガ、斯クテハ卽チ
民營ヲ壓迫スル所ノ嫌ヒガアルト云フノデ、
大分非難ガアッタヤウデアリマス、斯ウ云
フ方面ニ付テハ、現鐵道大臣モ特ニ注意致シ
マシテ、所謂民營事業ヲ壓迫セザルヤウ努メ
ルト云フコトデゴザイマスルカラ、私共ハ
此鐵道大臣ノ聲明ニ信賴ハ致ス者デアリマ
スケレドモ、玆ニ此附帶決議ヲ明ニ致シテ置
キマシテ、サシテ民營事業ノ壓迫ヲシナイ
ヤウニ、將來共ニ注意シナクテハナラヌト
云フコトヲ、玆ニ明ニシテ置キタイノデゴ
ザイマス、同時ニ省營自動車ニ依ル交通機
關ノ施設ヲ爲スコトノ出來ナイ雪國地方ニ
對シテハ、鐵道建設ノ對策ヲ樹テヽ戴カナ
クテハナラヌ、固ヨリ斯ノ如キ地方ハ、其
建設費用モ多額ヲ要シマセウシ、或ハ鐵道
收益ノ步合モ甚ダ少イカモ知レマセヌケレ
ドモ、到底省營自動車ノ運轉ノ出來ナイ所
ノ雪國地方デアリマシタナラバ、ドウシテ
モ鐵道國有ノ精神ニ依リマシテ、玆ニ此鐵
道ヲ敷設スルト云フ對策ヲ御樹テニナルト
云フコトガ、最モ至當ノ事ナリトシテ此決
議ヲ附シタノデアリマス(拍手)
最後ニ地方鐵道補助法中改正法律案ニ對
シマシテ、一ツノ附帶決議ガ添フノデアリ
マス、「政府ハ地方鐵道補助金ノ減額ニ對
シテハ鐵道收益增加ノ場合ハ昭和九年度ヨ
リ之ヲ復活スヘシ」ト云フノデアリマス、
御承知ノ通リ今囘七百五十万圓ノ地方鐵道
補助金ノ內カラ五十万圓ダケ減額サレマシ
テ、今後ニ於テハ七百万圓ダケシカ、地方
鐵道ニ補助セヌト云フコトニ相成フタノデ
アリマスガ、斯クテハ地方鐵道ノ益、窮迫
ト云フコトヲ免レヌノデアリマス、申上ゲ
ルマデモゴザイマスセヌガ、元來地方鐵道
ノ補助ヲシテ來タト云フコトハ、要スルニ
鐵道國有ノ精神ニ基イテ、全國各地ノ鐵道
ガ總テ國有國營ト云フコトニ相成リマスレ
バ、固ヨリ此地方鐵道ノ補助ハ必要ハナイ
ノデアリマスケレドモ、マダ財政其他ノ關
係上、國有鐵道ノ普及ガ圖ラレマセヌカ
ラ、ソレ故ニヤハリ地方ノ鐵道ヲ補助シ奬
勵シテ、サウシテ國有鐵道ト相俟ッテ、此
交通運輸機關ノ整備ヲ致シテ居ルノデアリ
ママ、斯ウ云フ趣旨カラ致シマシテ、地方
鐵道ニ年々補助シ來ッタ、此金ハ僅ニ五十
万圓トハ言ヒナガラ、卽チ地方鐵道ノ受ク
ル打擊ト云フモノハ、甚ダ大キナモノガア
ルト思フノデアリマス、殊ニ此時局窮迫ノ
場合デアリマシテ、卽チ短距離ニ於ケル所
ノ地方鐵道ナドハ、收入ガ甚ダ減ジテ居ル
ト云フヤウナ折柄デ、寧ロ此際コソ大ニ補
助ヲ戴キタイト云フヤウナ氣持デ居ル折柄
デゴザイマスカラ、今囘ノ此五十万圓ノ削
除サレマシタ點ニ付キマシテ、若モ昭和八
年度ニ於テ收益ガ增加致シマシタ場合ニ於
テハ、昭和九年度ヨリ此減額サレマシタル
補助金ノ增加ヲ復活シテ戴キタイト云フノ
ガ、私共ノ此決議ノ趣旨デアッタノデアリ
やって私共ハ此四ツノ決議ヲ附帶致シマシ
テ原案ニ贊成シ、卽チ委員長ノ報告ニ贊成
ノ意ヲ表スル者デゴザイマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=16
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017・秋田清
○議長(秋田清君) 〓水德太郞君
〔〓水德太郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=17
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018・清水徳太郎
○清水德太郞君 私ハ只今議題ニナッテ居
リマスル諸案ニ付キマシテ、民政黨側ヲ代
表シテ簡單ニ意見ヲ申述ベタイト思ヒマス、
先ヅ第一ニ鐵道敷設法中改正法律案ニ關聯
シテ意見ヲ申述ベマス、此度ノ豫算ニ計上
サレ、敷設鐵道法ニ追加セラレマシタ三線
ト云フモノハ從來ノ行方ト非常ニ趣ヲ異
ニシテ居ルノデアリマス、從來ノ敷設法ニ
追加セラレマス場合ニハ、豫定線トシテ追
加セラレ、後ニ至ッテ適當ナ機會ニ豫算ニ
計上セラレル例ニナッテ居ルノデアリマス、
然ルニ今囘ハ、敷設法ニ追加セラレルヤ否
ヤ、直チニ共ニ豫算ニ計上セラルヽヤウニ
ナッタノデアリマス、隨テ長イ聞豫定線トシ
テヤッテ居ル路線ヨリ、先越スコトニナル
ノデアリマス、後ノ雁ガ先ニナルト云フ形
デアリマス、加之此三線ヲ計上スルガ爲ニ、
他ニ非常ニ迷惑ヲ蒙ル線ガ出來テ來ルノデ
アリマス、豫算面カラ全然影ヲ無クシタモ
ノモアリ、又繰延ラレタモノモアルノデア
リマス、故ニ此路線タルヤ、非常ナ重要ナ
ル線デナケレバナラヌノデアリマス、故
委員會ニ於キマシテハ、約一箇月ニ亙ッテ
論難サレタノデアリマシタ、尙ホ其外ニ從
來豫定線ニアッテ、新ニ豫算ニ計上セラレタ
線ガ一ツアリマス、尙ホ從來豫定線ニアリ
マシテ、建設線ニ豫算トシテ期間ノ延長ノ
加ッタモノガ二線アリマス、其外完成年度ヲ
繰上ゲタ線ハ十線アリマス、是等ノ新線計
上ト言ヒ、繰上ト言ヒ、建設費用總額ヲ增
スコトナシニ、此計畫ガ出來テ居ルモノデ
アリマスルカラシテ、他ニ何處カ埋合ヲシ
ナケレバナラヌコトガ出來テ參ッタノデア
リマス、是ニ於テカ著手年度モ、完成年度
モ、繰延ベル線ガ十三線出來タノデアリマ
ス、洵ニ思切ッタ繰延デアリマス、サウシテ
其外ニ完成年度ヲ減ラシタモノハ八線アル
ノデアリマス、更ニ豫算面カラ影ヲ失ッテ、
自動車經營ニナッタモノハ六線アルノデア
リマス、サウシテ又一部分ヲ削除サレタ線
ガ四線アルノデアリマス、其內一ツハ自動
車經營ニ移ルノデアリマス、斯樣ニ一方ニ
於テハ非常ナ利益ヲ得ル所ガアルト共ニ、
他方ニ於テハ災難ヲ被ルモノガアリマス、併
ナガラ當局ハ、從來ノ如ク堂略ノ爲ニ出タ
モノデハナク、時勢ノ變遷ニ依フテ緩急ヲ
圖フタモノデハナイカ、玆ニ公平ナ見地カ
ラシテ此革斷ヲナサッタモノト私等ハ信ジ
マシテ、之ニ贊成スル者デアルノデアリマ
ス(拍手)唯遺憾ナコトニハ、其中ニ新ニ繰
上ゲラレマシタ廣島縣ノ本〓線ノ如キハ
鐵道政務次官名川侃一氏ノ地盤デアリ、前ノ
議會ニモ、今度ノ議會ニモ、續イテ繰上ゲラレ
タ線ニシテ、土讃線ト云フモノガアリマス、ソ
レハ讚岐ノ三土鐵道大臣ノ地盤カラ、德島
縣ノ阿波ヲ經テ土佐ニ至ル路線デアリマ
ス、斯樣ナ路線ガ入ッテ居ル爲ニ、世論囂
囂タルモノガアルノデアリマス、甚シキ
ハ我田引鐵ダトカ、或ハ羊頭ヲ懸ゲテ狗肉
ヲ賣ルモノデアルト云フ非難サヘ加フルモ
ノガアルニ至ッタノヲ甚ダ遺憾トスル者デ
アリマス、故ニ私等ハ此附帶決議ヲ爲スニ
至ラントスル者デアリマス
「政府ハ既定建設豫算ヲ繰延ヘ又ハ削除
セル路線ニ就テハ財政ノ狀勢ニ依リ緩急
輕重ヲ調査シ速ニ之ヲ復活スヘシ
次ニ鐵道會計法中改正案ニ付テノ意見ヲ
述ベタイト思ヒマス、從來自動車ノ經營ハ、
鐵道ノ附帶事業トシテ成ッテ居ッタノデアリ
や 、然ルニ近年自動車ノ經營ガ著シク增
シタニ付テ、鐵道ト同格ニ進メヨウト云フ
此會計法ノ改正ハ、洵ニ機宜ニ適シタモノ
デアルト思ヒマス、吾々ハ贊成スル者デア
リマス、併ナガラ自動車ノ路線ヲ選定スル
ニ當ッテハ、鐵道ノ線路ヲ建設スル場合ト違ッ
テ、別ニ法律ヲ豫メ作ルノデハアリマセ
又、鐵道ニ於キマシテハ鐵道敷設法ト云フ
モノヲ作ッテ、ソレカラ後ニ豫算ニ計上スル
ト云フ、鄭重ナル扱ヲスルノデアリマス
ガ、自動車ノ經營ニ付キマシテハ、當局大
臣ノ自由裁量ニ任ズル點ガ非常ニ多イノデ
アリマス、隨テ此計畫ニ付テハ吾々院議
ヲ以テ十分警告ヲ發スル必要ヲ認メルノデ
アリマス、是ニ於キマシテ、斯ウ云フ附帶
決議ガ出來タノデアリマス、「政府ハ鐵道
省ノ自動車經營ニ就テハ民業ヲ壓迫セサ
ル樣特ニ留意シ、且省營自動車ニ依リ交通機
關ノ施設ヲ爲シ能ハサル雪國地方ニ對シ
テハ速ニ鐵道建設ノ對策ヲ樹立スヘシ」、
斯ウ云フ附帶決議ニ吾々ハ贊成スル者デア
ルノデアリマス
尙ホ地方鐵道ノ補助ニ關シテノ法律案ニ
關スル意見ヲ申述ベマス、從來ハ御承知ノ
通リ五分ノ補助金ヲ政府ガ與ヘマシテ、鐵
道建設費ニ對シテ二分ヲ超エテ利益ガアル
場合ニハ、其五分ノ補助金ヲ超エタダケ減
ラスコトニシテ、七分ト云フモノヲ限度ト
シテ居リマシタノデアリマス、此度ノ改正
案ハ、其内一分ヲ減ジテ、建設費ニ對シテ
一分ヲ超エテ利益ノアル場合ニハ五分カ
ラソレダケヲ引ク、六分ヲ限度トスルト云
フ案デアリマス、此理由ト致シマシテハ、
金利ガ安クナッタ、其利益ノアル線ヲ減ラス
ダケ、利益ノナイ線ニ餘計ニ補助金ヲヤラ
ウト云フ考カラデアル、斯ウ云フノデアリ
せい、私等ハ其精神ニハ贊成スル者デアリ
マス、併ナガラ形ニ於テ出テ來タコトハ
違ッテ居ルノデアリマス、ソレハ從來ノ七百
五十万圓ヲ減ラシテ、政府ハ七百万圓ト致
シテ居ルノデアリマス、サウスルト五十万
圓減ヲタノデアリマス、從來通リニ之ヲ實行
シテ行クト致シマスレバ、餘裕ガ僅ニ十万
圓シカ殘ラヌノデアリマス、新ナ願出ニ對
シテハ、タッタ十万圓シカナイノデアリマス
カラ、其目的ヲ達スルコトハ出來ナイノデ
アル、所ガ吾々ガ調ベテ見マスニ、鐵道ノ補
助金ヲ受ケル資格ノアル會社ニシテ、旣
出願シテ居ル會社ガ三十五會社アルノデア
リマス、サウシテ之ニ全部補助金ヲヤルト
假定シマシタナラバ、更ニ二百八十万圓ノ
追加ヲ要スルノデアリマス、尤モ其悉クニ
補助金ヲヤルト云フ必要モナイデアリマセ
ウガ、其內少クモ三分ノ一ト云フモノハ、
非常ニ大切ナモノガアルノデアリマス、卽
チ國家ガ敷設スベキ線路ヲ私設鐵道ニ於テ
之ヲ敷設シテ、サウシテ數年間補助スルコ
トニ依ッテ、將來獨步キノ出來ル所ノ立派ナ
會社ガアルノデアリマス、斯ウ云フ會社ニ
對シテハ、ドウシテモ早ク補助ヲシテヤラ
ナケレバナラヌノデアリマス、然ルニ之ニ
對スル補助金ハ幾ラ要ルカト言フト、少ク
モ百万圓ヲ要スルノデアル、然ラバ七百五十
万圓ニ百万圓ヲ加ヘタ八百五十万圓ナケレ
バナラヌノデアリマス、然ルニ之ヲ減ラシ
タト云フコトハ、全ク論理ノ矛盾デアリマ
ス、殊ニ三土サンハ中々時局匡救ト云フコ
トニ付テ思ヲ致シテ居リマシテ、私設鐵道
會社ト云フモノハ、此節ハ全體ノ六割ハ無
配當デアル、サウシテ其鐵道ノ從事員ハ、
國有鐵道ノ從事員ノ待遇ノ半分位ナ境遇ニ
在ルノデアル、隨テ寧ロ時局匡救ノ必要ガ
アル、株主デモ資產家ヨリモ中產階級ノ人
ガ多イ、地方ノ利益ノ爲ニ義理デ入ッタ者
ガアル、ソレハ長ク補助ヲ受ケテ居ナイト
困ル、斯樣ナ狀況デアル、殊ニ餘所ノ畑、
內務省ノ畑ニマデ鍬ヲ入レラレル三土サンデ
アルカラ、斯ウシタ事ニハ十分思ヲ致サレ
ル筈デアリマス、然ルニ五十万圓減ラサレ
タト云フコトハ、甚ダ當ヲ得ナイト追窮致
シマシタラバ、實ハ鐵道ノ收入ガ減ッタカラ
デアル、成程サウカモ知レヌ、併ナガラ此
補助金ノ性質ト云フモノハ、元來一般會計
カラ補助スベキ性質ノモノデアル、鐵道ノ
特別會計ト云フモノハ、本來鐵道企業ニ關
スルモノデアッテ、私設鐵道ノ補助金ノ金ト
云フモノハ、別ノ方面カラ出スベキ性質ノ
モノデアル、之ヲ便宜上特別會計ニ委ネタ
ガ爲ニ、斯ル災難ヲ受クルト云フナラバ、
幸ヒ此頃鐵道省ノ收入ガ非常ニ增シツヽア
ルト云フコトデアリマス、貨車ハ此頃拂底
ヲ來シテ居ルト云フコトデアル、關東ノ震
災後ニ初メテ出テ來タ現象デアル、鐵道省
ノ工場ニ於キマシテハ、晝夜兼行デ貨車ヲ
造ッテ居ルト云フコトデアリマス、サウ云フ
次第デアリマスカラ、昭和八年度ニ於キマ
シテハ、恐クハ少クモ五十万圓ハ增スデア
ラウト思ヒマス、必ズ五十万圓以上增スデ
アリマセウカラ、五十万圓以上增シマシタ
場合ニハ、是非復活シテ貰ヒタイト思フノ
デアリマス、ソレデ斯ウ云フ決議ガ出來マ
シタ「政府ハ地方鐵道補助金ノ減額ニ對シ
テハ鐵道收益增加ノ場合ハ昭和九年度ヨリ
之ヲ復活スヘシ」斯ウ云フ決議ニ對シテ私
等ハ贊成スル者デアリマス
尙ホ終リニ臨ミマシテ、吾々ハ政友會ノ
諸君ト意見ヲ異ニスル點ガアルノデアリマ
ス、ソレハ愛媛縣ノ百四號線ヲ削ッテ、百三
號線ヲ入レルト云フ、此問題ニ付キマシテ
ハ、約一箇月ニ亙リマシテ、吾々ハ耳ニ胼
胝ノ出來ル程聞カサレタノデアリマス、隨
テ其良否ハ十分知リ拔イタノデアリマス、
附帶決議ノ必要ヲ認メナイノデアリマス、
先程寺田君ガ附帶決議ヲスルコトガ當局ノ
信賴ヲ增スト仰ッシヤッタケレドモ、吾々ノ
考デハ、絕對信用スルナラバ、附帶決議
ハ無用ト考ヘルノデアリマス、當局ヲ信
賴シマスガ故ニ、私等ハ此附帶決議ニ反
對ノ者デアリマス、尙ホ終リニ一ツ附加
ヘテ申サナケレバナラヌ、ソレハ私設鐵
道ノ買收デアリマス、路線ノ買收デアリ
マスガ、中ニハ一年繰延ベテモ宜イト思フ
モノモアリマス、併ナガラ是ハサウシマ
スト、官線ノ計畫ヲ一年延バサナケレバ
ナラヌモノガ出來テ來ル、ソレデ吾々ハ
此前ノ政友會內閣ノヤウニ、不正事件ノナ
イコトヲ希望シテ贊成スル者デアリマス
尙ホ最後ニ兩手ヲ擧ゲテ贊成シナケレバ
ナラヌ一ツノ問題ガアリマス、ソレハ富山
鐵道ニ對スル補償金ノ問題デアリマス、元
來此鐵道ニ對シテ競爭線ヲ造ッタノガ抑、ノ
誤リデアル、鐵道大臣ニ質シマシタ所ガ、
自分ガ當時ノ當局デアッタナラバ、斯ウ云フ
線ヲ造ラナイデ、鐵道ヲ買收シタデアラウ
ト云フコトヲ御答ニナリマシタ、洵ニ御尤
デアル、政友會內閣時代ノ罪亡シニ、此補
償金ヲ與ヘラレタト云フコトニ付テハ、
吾々ハ雙手ヲ擧ゲテ贊成スル者デアリマ
ス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=18
-
019・秋田清
○議長(秋田清君) 伊豆富人君
〔伊豆富人君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=19
-
020・伊豆富人
○伊豆富人君 私ハ只今議題トナッテ居リ
さく、各案ニ對スル委員長報告ニ贊成ノ意
ヲ表スル者デアリマス、其理由ヲ極メテ簡
潔ニ申上ゲタイト思ヒマス、鐵道敷設法中
ニアリマス既定線ヲ、今囘政府ガ財政ノ都
合上打切リ若クハ繰延ベラレタル點ニ付キ
マシテハ、吾々ハ遺憾ノ點モアルノデアリ
マス、併ナガラ是等ニ付キマシテハ、速
財政ノ許ス時期ニ於キマシテ、是ガ緩急輕
重ヲ計ッテ復活スベシト云フ附帶決議ニ對
シマシテ、鐵道大臣カラ其意ヲ尊重スルト
云フ聲明ガアリマシタノデ、之ヲ信賴シテ
贊成ヲ致シタイト思ヒマス、次ニ私設鐵道
補助法中改正法律案ハ、此私設鐵道ガ時
勢ノ變遷ニ依リマシテ、自動車等ノ競爭ノ
爲ニ、何レモ經營困難ニナッテ居ル折柄、其
補助金ヲ減額サレマスコトハ、私設鐵道ニ
對シマシテ、洵ニ殘酷ニ考ヘマスケレド
モ、之ニ對シマシテモ、政府ハ昭和九年度
カラ是カ補助額ヲ元ノヤウニ復活スルト云
フコトヲ聲明セラレマシタガ爲ニ、之ニ贊
成ヲスルノデアリマス、次ニ第百四號線ヲ
打切ヲテ、第百三號線ヲヤラレルト云フコ
トハ、鐵道大臣ノ說明ニ依リマシテ、私共
ハ第百四號線ヨリモ第百三號線ノ方ガ、建
設費物資ノ關係、工事ノ難易ノ都合上、此
方ガ宜シイト思フノデアリマスガ、之ニ對
シテ政友會ハ希望決議ヲサレタノデアリマ
ス、其希望決議ヲ見マスルト、愼重ニ行ヘ
ト云フコトデアリマシテ、別ニ積極的ニ反
對スベキ理由ヲ見出サナイノデアリマス、
斯ノ如キ次第デアリマスカラ、私共ハ政府
ノ此附帶決議ヲ尊重スルト云フ聲明ニ對シ
マシテ、此本案ヲ贊成スルモノデアリマ
ス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=20
-
021・秋田清
○議長(秋田〓君) 討論ハ終局致シマシ
タ、只今上程審議中ノ五案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=21
-
022・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、五案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=22
-
023・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ五案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=23
-
024・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=24
-
025・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、直チニ五案ノ第二讀會ヲ開キ、議案全
部ヲ議題ト致シマス
鐵道敷設法中改正法律案
第二讀會(確定議)
帝國鐵道會計法中改正法律案
第一讀會(確定議)
地方鐵道補助法中改正法律案
第二讀會(確定議)
兩備鐵道株式會社所屬鐵道外四鐵道及
兼業ニ屬スル資產買收ノ爲公債發行ニ
關スル法律案第二讀會(確定議)
富山鐵道株式會社所屬鐵道中堀川新笹
津間經營廢止ニ對スル補償ノ爲公債發
行ニ關スル法律案第二讀會(確定議)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=25
-
026・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
ヌ、第三讀會ヲ省略シテ、五案共委員長報
告ノ通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第
九、日本興業銀行法中改正法律案ノ第一讀
會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマ
ス、委員長金光庸夫君
第九日本興業銀行法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一日本興業銀行法中改正法律案(政府提
〓
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和八年三月一日
委員長金光庸夫
衆議院議長秋田〓殿
〔金光庸夫君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=26
-
027・金光庸夫
○金光庸夫君 日本興業銀行法中改正法律
案ノ委員會ニ於ケル審議ノ〓末ヲ御報〓致
シマス、本案ハ日本興業銀行ガ中小商工業
金融上支障アル條項ニ付テ改正セントスル
モノデアリマシテ、委員會ハ愼重審議ノ結
果、現行ノ日本興業銀行法ニ於テハ、工場
財團抵當貸付ハ、無制限ニ貸付ヲ爲シ得ル
コトニナッテ居ルガ故ニ、大工業金融ニ對シ
テハ十分デアルガ、工場財團ニナッテ居ナ
イ所ノ工場敷地建物ヲ擔保トスル貸付ハ、
所謂工場抵當貸トシテ、中小工業金融上最
モ重要ナル業務デアルニモ拘ラズ、現行條
文ハ此貸付ニ制限ヲ置イテ居ル爲メ、十分
ニ其機能ヲ發揮スルコトガ出來ナイノデア
リマス、卽チ此工場抵當貸付ハ市街宅地
建物ト合シテ、拂込資本金額ノ三分ノ一一ヲ
超過スルコトヲ得ザル制限ガアリマシテ、
現在貸出餘力ハ僅ニ百九十餘万圓ニ過ギマ
セヌ、然ルニ我ガ財界ノ情勢カラ見マスレ
バ、中小工業金融ノ必要ハ益其度ヲ加ヘ
一日モ忽セニスルコトガ出來ナイ現狀デア
リマシテ、速ニ之ヲ無制限ニ貸出シ得ルコ
トヽスル必要ガアリマスノデ、委員會ハ適
當ナ改正案ト認メ、全會一致可決致シタ次
第デアリマス、尙ホ之ニ關聯シテ、特殊銀
行ノ貸付ノ遲延利息日步四錢ハ高利ニ失ス
ルトノ點ニ付キ、熱心ナル質疑應答、竝一
是ガ低減ニ關スル希望意見等ガアリマシタ、
此段併セテ御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=27
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028・秋田清
○議長(秋田清君) 本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=28
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029・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマ
ス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=29
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030・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス
アリマセヌカ
ス、
又、
第十発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=30
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031・秋田清
○議長(秋田清君) 〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=31
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032・秋田清
○議長(秋田清君) 仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、
ヲ議題ト致シマス
日本興業銀行法中改正法律案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=32
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033・秋田清
○議長(秋田清君) 卽チ第三讀會ヲ省略シテ、
通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第十、
昭和五年度第一豫備金支出ノ件外十件、
諾ヲ求ムル件ヲ議題ト致シマス、
次官堀切善兵衞君
昭和五年度第一豫備金
支出ノ件
昭和五年度特別會計第
一豫備金支出ノ件
昭和六年度第一豫備金
支出ノ件
昭和六年度特別會計第
一豫備金支出ノ件
昭和六年度第二豫備金
支出ノ件
昭和六年度豫備金外ニ
於テ豫算超過及豫算外
支出ノ件
昭和六年度特別會計第
二豫備金支出ノ件
昭和六年度特別會計豫
備金外ニ於テ豫算超過
及豫算外支出ノ件
昭和七年度第二豫備金
支出ノ件
昭和七年度特別會計第
二豫備金支出ノ件
昭和七年度特別會計豫
備金外ニ於テ豫算超過
支出ノ件
上田君ノ動議ニ御異議
御異議ナシト認メマ
議案全部
第二讀會(確定議)
別ニ御發議モアリマセ
委員長報告
承
大藏政務
承諾ヲ
求ムル
件
〔政府委員堀切善兵衛君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=33
-
034・堀切善兵衞
○政府委員(堀切善兵衛君) 昭和五年度第
一豫備金支出外十件ニ關スル事後承諾ヲ求
ムル爲メ、玆ニ議案ヲ提出致シマシタルニ
付キ、其大體ノ說明ヲ致サウト存ジマス
昭和五年度第一豫備金ノ豫算額ハ六百万
圓デアリマスガ、昭和五年勅令第百四十五
號ニ依リ、第一豫備金ヨリ補充致シマシタ
ル主ナル事項ハ、外國在勤俸、軍事救護費、
諸拂戾及補塡金、恩給等デアリマシテ、其
總額ハ五百九十九万九千九百八十九圓デア
リマス、各特別會計ニ於キマシテモ、其第
一豫備金ヨリ豫算超過ノ支出ヲ爲シタルモ
ノガアリマス
次ニ昭和六年度第一豫備金支出ニ付キ申
上ゲマス、昭和六年度第一豫備金ノ豫算額
ハ六百万圓デアリマスガ、昭和六年勅令第
二百四十七號ニ依リ、第一豫備金ヨリ補充
致シマシタル主ナル事項ハ、外國在勤俸、
軍事救護費、刑務所收容費、家畜傳染病豫
防費、恩給等デアリマシテ、其總額ハ六百
万圓デアリマス、各特別會計ニ於キマシテ
モ、其第一豫備金ヨリ豫算超過ノ支出ヲ爲
シタルモノガアリマス
次ニ昭和六年度第二豫備金支出ニ付キ申
上ゲマス、昭和六年度一般會計第二豫備金
ノ豫算額ハ八百万圓デアリマシテ、其支出
ノ主ナル事項ヲ擧ゲマスレバ「ジユネーヴ」
一般軍縮會議參列費、滿洲事件費、中華民
國方面臨時艦艇派遣諸費補足等デアリマシ
テ、豫算全額ヲ支出致シマシタ
次ニ昭和六年度豫備金外支出ニ付キ申上
ゲマス、昭和七年一月二十一日、第六十囘
帝國議會ニ於テ、衆議院ガ解散セラレタル
結果、緊急支出ヲ要スル費途ニ對シ、政府
ハ已ムヲ得ズ昭和七年二月一日ヨリ同年三
月四日迄ノ間ニ於テ、歲計剩餘金及公債金
ノ繰入ヲ以テ、豫算超過及豫算外ノ支出ヲ
爲シタルモノガアリマス、其事項ノ主ナル
モノハ、恩給、「ジユネーヴ」一般軍縮會議
參列費、衆議院議員總選擧諸費、衆議院議
員總選學檢察費、衆議院議員總選擧通信取
扱費、滿洲事件費、中華民國方面臨時艦艇
派遣諸費補足等デアリマシテ、其總額ハ七
千五百七十万七千五百五十八圓デアリマス、
各特別會計ニ於キマシテモ、第二豫備金
及豫備金外ニ於テ、其歲計剩餘金、或ハ歲
入金ヲ以テ豫算超過及豫算外ノ支出ヲ爲シ
タルモノガアリマス
次ニ昭和七年度第二豫備金支出ニ付
キ申上ゲマス、昭和七年度一般會計
第二豫備金ノ豫算額ハ八百万圓デアリマシ
テ、其支出ノ主ナル事項ヲ擧ゲマスレバ、
「ジユネーヴ」一般軍縮會議參列費、同補
足、國際聯盟總會臨時會議參列費、及各省
所管ニ亙ル火災風水害其他ニ因ル復舊費等
デアリマシテ、其總額ハ七百四十九万三千
百八十圓デアリマス、各特別會計ニ於キマ
シテモ、其第二豫備金ヲ支出シ、又豫備金
外ニ於テ、其歲入金ヲ以テ豫算超過支出ヲ
爲シタモノガアリマス、何卒御審議ノ上承
諾ヲ與ヘラレンコトヲ望ミマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=34
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035・秋田清
○議長(秋田〓君) 日程第十一、右議案ノ
審査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シ
マス
第十一右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委
員ノ選擧発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=35
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036・上田孝吉
○上田孝吉君 昭和五年度第一豫備金支出
ノ件外十件ハ、議長指名十八名ノ特別委員
ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=36
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037・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=37
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038・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
衆議院議員選擧法中改正法律案ノ第一
讀會ノ前會ノ續ヲ開キマス、質疑ヲ繼續致
シマス、通告順ニ依フテ發言ヲ許シマス、久
山知之君
第衆議院議員選擧法中改正法律案
(政府提出)第一讀會(前會ノ續)
〔久山知之君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=38
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039・久山知之
○久山知之君 私ハ只今上程ニナッテ居リ
やく、選擧法改正ノ法案ニ對シマシテ御質
問ヲ致シタイト思ヒマス、御承知ノ通リ現
行法ハ、旣ニ三囘ノ選擧ニ於キマシテ、遺
憾ナク其缺陷ヲ暴露致シタノデアリマス、
隨テ吾々トシマシテハ此法律ノ改正ニ對
シマシテ、非常ニ熱烈ナル希望ヲ有ヲテ居
ルノデアリマス、現內閣ニ於キマシテモ、
此點ヲ認メラレマシテ、我黨ノ木村代議士
ニ依ッテ指摘サレマシタ如ク、旣ニ重要ナ
ル政綱ノ一ニ御揭ゲニナッテ居ルノデアリ
マド、又世上政治ノ實際ニ通ジナイ人達ノ
噂ニ依リマスルト、現內閣ハ所謂黨利黨略
ニ離レテ居ル立場ニ於テ、何カ適切ナル、
時勢ニ適應シタ選擧法改正ヲ提案スルニ違
ヒナイ、斯樣ナル期待ヲ以テ之ヲ迎ヘテ居ッ
タノデアリマス、然ルニ今囘提案サレマシ
タ內容ヲ檢討致シマスルト、吾々ノ期待ニ
反スルモノガ非常ニ多イノデアリマス、私
ハ此點ヲ現內閣ノ爲ニ、又吾々直接利害關
係ヲ持ッテ居ル一人ト致シマシテ、非常ニ遺
憾ニ考ヘテ居ル、而モ昨日ノ多數ノ質問者
ニ對スル答辯ニ依リマスルト、齋藤總理大
臣、山本內務大臣ハ、彼ノ選擧公營ノ問
題、竝ニ比例代表ノ問題ニ對シテハ、目下
法制審議會ニ於テ審議中デアルカラ、之ヲ
提案シナカッタ、斯樣ナ御答辯ニ相成ッテ居
ルノデアリマス、私ハ此法制審議會ナルモ
ノハ、憲法上ノ責任ヲ有フテ居ル所ノ機關
デハナイト考ヘテ居ル、而モ內閣ノ重大ナ
ル責任ヲ背負ッテ御立チニナッテ居ル齋藤總
理大臣ガ、此法制審議會ニ未ダ審議中デア
ルカラ、此問題ハ提案シナカッタト云フ御答
辯ヲ御與ヘニナッテハ、私ハアナタノ責任
ガ濟マナイデハナイカト考ヘル、而モ假ニ
百步ヲ讓リマシテ、之ヲ認メルニ致シマシ
テモ、若シ法制審議會ニ於テ、此問題ガ審
議サレ、其終結ヲ〓ゲマシタ曉ニ於テ、齋
藤總理大臣ハ重ネテ此議場ニ、此問題ヲ御
提案ニナル御意思デアルカドウカ、此點ヲ
私ハ承シテ置キタイノデアル
更ニ御伺致シタイノハ、若シ左樣ナ事實ガ
アリト致シマスレバ、今囘御提案ニナリマシ
タ此法案ハ、何ガ故ニ取急イデ、是等ノ重大
ナル、所謂劃期的ノ法案ト同時ニ提案爲サラ
ナイデ、切離シタ形式ヲ以テ御提案ニナッタカ
ト云フ、此一事ヲ御尋ヲ申上ゲタイノデア
リマス、私ハ旣ニ多數ノ同僚諸君ニ依リマ
シテ、有ユル方面ノ法案ニ對スル御質問ガ
アリマシタ後デアリマスカラ、重ネテ同一
問題ニハ觸レタクナイノデアリマス、今囘
ノ選擧法改正案ノ目的ハ何デアルカト云フ
ト、政府ノ御提案ノ理由ニ明ニサレテ居リ
マスル通リニ、所謂選擧ノ自由公正ヲ認ム
ルコト、更ニ選擧費ノ低減ヲ圖ルコト、竝
ニ買收行爲ノ防止、選擧千涉ノ彈壓ト云フ、
此四大目標デアラウト私考ヘテ居ルノデア
リマスガ、今囘提案サレマシタ法案ノ內容
ヲ具サニ檢討致シマスルト、ドウモ吾々實際
ノ選擧ニ當リマシテ、苦キ經驗ヲ嘗メテ居
ル一人ト致シマシテ、首肯シ難キ幾多ノ缺
點ヲ發見スルノデアリマス、私ハ先ヅ其條
文ヲ擧ゲテ御伺致シタイノデアリマスル
ガ、第九十六條ニ依リマスルト「議員候補
煮、選擧事務長又ハ選擧委員ニ非ザレバ選
擧運動ヲ爲スコトヲ得ズ但シ議員候補者又
ハ選擧事務長ノ文書ニ依ル承諾ヲ得テ選擧
演說會ニ出演スルハ此ノ限ニ在ラズ」斯樣
ナ法文ガ揭ゲラレテ居ルノデアリマス、現
行法ニ依リマスルト、選擧運動ハ所謂文書
ト言論ノ運動ヲ認メラレテ居ルノデアリマ
シテ、之ニ對シテハ第三者ガ無制限ニ參加
スルコトガ出來得ル條文ヲ揭ゲラレテ居ル
ノデアリマス、第三者ト致シマシテ演說會
ニ出演シ、或ハ文書ヲ以テ特定ノ候補者ニ
對スル選擧運動ヲ許サレテ居ル、今囘御提
案ニナリマシタ法案ノ中ニ、此條項ヲ削除
サレタ理由ニ對シテ、私ハ御伺ヲ致シタイ
ノデアリマス、更ニ此第三者ノ所謂善良ナ
ル意思ノ下ニ行ハレテ居ル選擧運動ヲ禁止
サレルト云フコトハ私ハ選擧ノ自由公正
ヲ保ツ上ニ於テ、非常ニ重大ナル影響ヲ及
ボスモノデハナイカト思フ、此條文ヲ其儘
解釋致シマスルト、何レニ選擧ノ自由ガア
リマスカ、甚ダ不自由千萬ナ次第デハナイ
カト思フ、更ニ又第百二條ノ「選擧運動ノ
費用ハ議員候補者一人ニ付左ノ各號ノ額ヲ
超ユルコトヲ得ス、選擧區內ノ議員ノ
定數ヲ以テ選擧人名簿確定ノ日ニ於テ之ニ
記載セラレタル者ノ總數ヲ除シテ得タル數
ヲ四十錢ニ乘シテ得タル額」ト云フノガ、
卽チ現行法ノ選擧費用デアリマスルガ、今
囘ノ御提案ニ依リマスルト、此「第百二條
第一項第一號及第二號中「四十錢」ヲ「二十
五錢」ニ改ム」ト斯樣ニ相成ッテ居ル、私ハ
選擧費用ノ低減ハ、固ヨリ衷心ヨリ之ヲ歡
迎スル者デアリマス、今日ノ選擧界ノ總テ
ガサウデアルトハ、私ハ決シテ考ヘテ居ナ
イノデアリマスルガ、兎モスレバ金力ニ依,
テ選擧ガ爭ハレ易イ、少クモ金ノアル候補
者ガ、金ノ無イ候補者ヨリハ、選擧ノ當選
率ガ多イト云フ風ニ、一般カラ見ラレテ居
ルノデアリマス、隨テ選擧費ノ低減ニ對シマ
シテハ吾々ハ衷心ヨリ之ニ贊成ヲ致スノ
デアリマスルガ、併シ物ニハ限度ガアリマ
シテ、此極端ナル選擧費ノ低減ノ結果ガ、果
シテ實行サレ得ルカドウカト云フコトハ、
是ハ將來ノ選擧ノ上ニ於テ、重大ナル問題
デナケレバナラヌト考ヘルノデアリマス、
御承知ノ如ク現行法ニ依リマスルト、先ヅ
私ノ關係ノ深イ選擧區、卽チ岡山縣第一區
ノ狀態ヲ例ニ取ッテ御話申上ゲマスルガ、岡
山縣第一區ニ於テハ、有權者ノ總數ガ約十
五万人デアル、サウシテ議員ノ定員ガ五名
デアリマシテ、之ヲ確定名簿ニ依ル、所謂
議員ノ定數ニ依フテ除シマスルト一人當リ
ノ有權者ノ數ガ、三万人ニナルノデアリマ
ス、現行法ノ四十錢ヲ三万人ニ掛ケマスル
ト、一万二千圓ガ法ニ於テ許サレタル所ノ所
謂選擧費デアル、然ルニ今囘ノ御提案ニ依、
ル二十五錢ヲ此三万人ニ乘ジマスルト、僅
ニ七千五百圓ト相成ルノデアリマス、御承
知ノ如ク今日ノ選擧ハ、所謂言論文書ニ依。フ
テノ公明ナル選擧ガ行ハレナケレバナラナ
イト思フ、若シ文書ヲ以テ選擧ヲ爭フ場合
アリト致シマスルト、先ヅ第一囘ノ文書發
送ハ、無料郵便ノ恩惠ニ浴スルコトガ出來
マスルガ、第二囘目ノ選擧文書ハ、必ズ郵
便切手ヲ貼ラナケレバナラナイノデアル、
三錢ノ切手ヲ貼ッテ、印刷費ヲ支拂ヒマス
ルト、一通ノ書狀ハ少クモ五錢ヲ必要トサ
レテ居ル、サウ致シマスルト、一囘郵便デ
選擧文書ヲ發送スルダケデ、七千五百圓ト
云フ負擔ヲ吾々ハ負ハナケレバナラヌノデ
アル、是デハ如何ニ選擧費低減ガ政府ノ目
的デアッテモ、、到底實行シ得ナイ制度デハナ
イカト思フ、演說會ヲ開催致シマシテモ、
一日少クモ四十圓ヤ五十圓ノ費用ハ必要ト
サレテ居ル、其演說會ノ開催ノ費用ハ、何
レノ方面カラ之ヲ補塡スルコトガ出來マス
カ、私ハ斯ウ考ヘテ參リマスルト、是ハ法
文ノ上カラ見マスレバ、如何ニモ親切ナル
案ノヤウデアルガ、其實ハ選擧運動禁止ノ
條項デアルト申上ゲテモ差支ナイト思フ、
成程今日ノ選擧界ハ腐敗シテ居ルト云フノ
ガ一般的ノ通念デアルケレドモ、選擧界ノ
腐敗シテ居ル、選擧界ノ堕落シテ居ルト云
フコトハ、私ハ單ナル法文ノ末ニ依ッテノ
ミ之ヲ匡正スルコトハ出來ナイト思フ、私
自身ノ體驗ヲ申上ゲルコトハ甚ダ失禮デア
ルト考ヘマスルガ、私ハ元來金ノ無イ人間
デアル、金ヲ持タナイ候補者デアル、金ノ
使ヘナイ候補者トシテ、過去三囘、殆ド血
ミドロノ苦イ、苦シイ體驗ヲ經テ來テ居ル
ノデアリマスガ、其私ヲ以テ致シマシテモ、
少クモ此提案セラレマシタ程度ノ法律ヲ改
正サレタヾケデハ、迚モ七千五百圓ヤソ
コラノ選擧費用ヲ以テ、今日ノ選擧ヲ爭
フコトハ出來ナイト云フ確信ヲ有ッテ居ル
ノデアリマス、此點ニ對シテ、政府ハ果シ
テ如何ナル御成案ヲ御有チニナッテ居ル
カ、又此案ガ單ニ選擧費用ガ非常ニ少イト
云フバカリデハナクシテ、若シ從來屢、吾
吾ノ體驗致シマシタヤウナ選擧干涉ガ行ハ
レル時代ガ參リマシタラバ、此一ツノ字句
ヲ以テ、總テノ反對黨ノ候補者、反對黨ノ
當選代議士ヲ彈壓スルコトガ出來ハシナイ
カト私ハ考ヘル、斯ウ云フ危險至極ノ法案
ヲ、御提案ニナリマスル政府ノ御意思ヲ忖
度スルニ私ハ苦シム者デアル、元來今囘ノ
此選擧法改正ノ御提案ニ對シマシテ、吾々
甚ダ遺憾ニ感ジマスルコトハ何デアルカト
云フト、今日ノ選擧區ノ制度ハ、金ノ要ル
ヤウナ制度ニ相成ヶテ居ルノデアリマス、何
故斯樣ナコトヲ申上ゲルカト云フト、御承
知ノ如ク現行選擧區制ハ、過グル大正十三
年ノ當時ニ、政友會ト憲政會トガ妥協致シ
マシテ、サウシテ作ラレタノガ今日ノ此選
擧區制デアル、當時憲政會ノ諸君ハ大選擧
區ヲ主張サレタ、政友會ハ小選擧區ヲ主張
致シタノデアル、此大選擧區ト小選擧區ガ
妥協致シマシテ、サウシテ生レタノガ所謂
中選擧區制デアリマスルガ、此中選擧區制
ハ完全ニ大選擧區ト小擧選區ノ制度ニ於
ケル、各、ノ缺點ヲ具備致シテ居ルノデアリ
マー、而モ現行法ニ依リマシテモ、今囘提案
致サレマシタル改正法案ニ致シマシテモ、此
選擧區ガ現在ノ儘デアル以上ハ、私ハ各方面ニ
非常ナル缺陷ガ生ジテ來ルコトヲ虞レザルヲ
得ナイノデアル、私其點ヲ簡單ニ申述ベタ
イト存ジマスルガ、先ヅ第一ハ只今申シマ
シタ選擧費用ノ問題デアル、何故今日ノ選
擧ニ買收ガ行ハレルカ、何ノ爲ニ買收ヲ必
要トスルカト云フ、此一事ヲ私ハ考ヘテ見
タイ、元來候補者ガ其選擧區ニ馴染ガア
リ、信望ガアリ、サウシテ實際ノ意味ニ於
テ、多數ノ有權者ニ推薦サレルダケノ資格
ノアル人デアッタナラバ、買收ナドハ私ハ絕
對ニ必要デハナイト思フ、唯有權者ニ迎ヘ
ラレナイヤウナ候補者、若クハ馴染ノ少イ
候補者ガ立ッタ場合ニ、始メテ買收ノ必要
ヲ生ジテ來ルノデアリマス、其實例ト致シ
マシテハ、過去ノ選擧ニ於キマシテ、候補
者ノ立ッタ地元ノ投票ト、候補者ノ立チマシ
タ地元ヨリ離レテ行ク程、投票ガ散漫ニナ
ルト云フ、此事實ヲ私共看遁スコトガ出來
ナイノデアリマス、地元ニ於テハ、大多數
ノ投票ガ其候補者ニ集ッテ參リマスガ、所謂
自分ノ勢力範圍ヲ離レヽバ離レル程、投票
ガ散漫ニナッテ來ル、是ハ卽チ候補者ノ信
望ガ選擧區民ニ徹底シナイ結果デアルト私
ハ考ヘテ居ル、ソコデ例ヘバ一區ニ五名ノ
候補者ガアルト致シマシテ、其五名ノ中デ
投票ノ少イ人、落選ノ心配ノアル人ガ、有力
ナル候補者ノ膝元ニ行フテ投票ヲ買收スル、
其膝元ノ投票ヲ買收スルコトハ、一票ガ二票
ニナッテ現レテ參ルノデアリマス、ソコデ萬
已ムヲ得ザル手段トシテ此買收ガ行ハレテ居
ル、膝元ヲ荒サレテハ堪ヲタモノデハナイ、
ソコデ金ノアル人ハ之ニ對抗致シテ、自分デ
モ向フノ候補者ノ膝元ヲ突擊ヲ致シ、夜討
ヲヤリ、朝駈ヲヤル、是ガ今日ノ買收ノ實
情デハナイカト私ハ考ヘテ居ル、斯ク致シ
マスト、選擧區ノ廣イト云フコトハ、私ハ
一ツノ買收ノ原因ニナリハシナイカト考ヘ
ルノデアル
更ニ第二ニ考ヘタイノハ、選擧ノ際ニ當
リマシテ棄權ノ多イト云フコトデアル、何
故棄權カ多イカト云フト、此頃ノ選擧ハ、
都會ハ別ト致シマシテ、農村ニ參リマス
ト、選擧熱ハ頗ル微弱デアル、候補者ノ人
物如何ニモ依リマスガ、是非此人ヲ此選擧
デ當選セシメタイト云フ熱ノ程度ガ低イノ
デアリマス、隨テ日當デモ出シテ選擧場ニ
行ッテ貰ハナケレバ、所定ノ投票ヲ得ルコ
トスラ出來ナイト云フ事實ガ屢、現レテ
參ヲテ居ル、一番甚シイノハ何デアルカト云
フト、近來行ハレテ居リマス府縣會議員ノ
補闕選擧、最近行ハレマシタ東京府會議員
ノ選擧當時ノ實情ヲ調ベテ見マシテモ、驚
ク勿レ棄權率七割何分ト云フ狀態ニ相成ッ
テ居ル、此選擧ニ對スル熱ノナイト云フコ
トハ、立憲治下ニ於ケル吾々國民トシテ、
非常ニ遺憾ニ考ヘマスガ、此問題ハ姑ク措
イテ問ハナイト致シマシテモ、是ハ確ニ現
行法、殊ニ選擧區制ガ今日ノ狀態デ此儘ニ
續クト致シマスレバ、中々買收行爲ハ止マ
ナイノデハナイカトスラ考ヘザルヲ得ナイ
ノデアリマス、更ニ中選擧區ト申シマスル
カ、此制度ニ依リマスルト、洵ニ遺憾ナ事
デハアリマスルガ、正面ニハ敵ヲ控ヘテ居
ル、敵ト戰フテ居ル、其敵ト戰ヒツヽ
面ニ於テハ又同志間ニ非常ナル軋轢ヲ生ジ
テ參ルノデアリマス、今日ノ立憲制度ヲ少
クモヨリ以上發達セシムル爲ニハ、ドウシ
テモ政黨ノ基礎ヲ確實ニシナケレバナラナ
イト思フ、其政堂間同志ノ間ニ軋轢ヲ生ズ
ルト云フコトハ、私非常ニ遺憾デハナイカ
ト考ヘルノデアリマス(拍手)更ニ又今日ノ
選擧區制ニ依リマスト、政黨ノ幹部ノ有力
ナル諸君ガ、選擧ニ對シテ非常ナ不安ヲ感
ゼラレル狀態デアル、前閣僚ト云ヒ、前議長
ト云ハレルヤウナ有力ナル諸君ガ、一選擧
每ニ段々此議場ニ議席ヲ失ハレルト云フコ
トハ、唯其人一人ノ不幸デハナイト思フ、
此意味ニ於キマシテモ、私ハ現行ノ所謂中
選擧區制ニ重大ナル缺陷ガアルノデハナイ
カト考ヘルノデアリマス(拍手)斯ウ考ヘテ
參リマスト、尙ホ幾多ノ事實ガアル、選擧
干涉ニ致シマシテモ、只今ノヤウニ、〓 區
少クモ三人五人ノ候補者ガ、互ニ鏑ヲ削ッテ
居ル、其勢力ガ分散シテ居ル、其分散シテ
居ル勢力ノ或ル一部分ニ對シテ、部分
的ニ選擧干涉ヲ行フコトガアリマスレ
バ、其結果ハ洵ニ重大デアリマシテ、
或ル特定ノ候補者ヲ落選セシムルコト
ハ寧ロ易々タルモノデハナイカト私ハ
考ヘルノデアリマス、更ニ選擧ノ取締ノ點
カラ考ヘテ見マシテモ、例ヘパ二人ノ候補
者ガ互ニ鎬ヲ削ッテ居ル、擊劔ノ試合ヲ
致シテ居ル、其際ニハ審判官ガ之ヲ審判ス
ルノニ、何等ノ苦痛ヲ感ジナイノデアリマ
スガ、三人五人ノ人ガ、同時ニチヤンバラ
ヲヤッタラドウナル、如何ニ頭腦ノ明晰ナル
人デモ、其道ノ達人デモ、同時ニ數人ノ試合
ヲ完全ニ索判スルコトハ私ハ出來マイト思
フ、此意味ニ於テ選擧ノ取締上ニモ、重大
ナル影響ガアリハシナイカト考ヘルノデア
リマス、斯ウ考ヘテ見マスト、所謂比例代
表、所謂選擧ノ公營ガ實施サレマスル曉ニ
於テハ選擧區制ノ變更モアリマセウ、ケ
レドモ現在ノ法律、今日提案サレテ居リマ
ス法律ガ實施サレル範圍內ニ於テハ、先以
テ選擧區制ノ改正ガ必要デハナイカト思
フ私ハ此意味ニ於テ、小選擧區制ヲ主張
セザルヲ得ナイノデアリマス(拍手)
最後ニ私ハ齋藤首相ニ一言申述ベタイト
存ジマスルガ、齋藤內閣ノ成立致シマシタ
ノハ、所謂時局ガ重大デアル、非常時デアル
カラ、齋藤子爵ニ大命ガ降下シタノデアル
ト一般ニ信ゼラレテ居ル、私ハ過去四十年
ニ亙リマシテ、吾々ノ先輩、吾々ノ同志ガ、
血ト淚ニ依フテ鬪取ッタ立憲制度ヲ、非常
時、重大時デアルガ爲ニ、根本的ニ覆サレ
タト云フコトヲ非常ニ遺憾ニ考ヘテ居リマ
スガ、併シ過去ヲ私ハ決シテ彼此レ議論ス
ルモノデハナイ、ケレドモ少クモ現在ノ狀
態ヲ顧ミマシテ、齋藤內閣ノ存在スルコト
ガ、果シテ政界ヲ淨化スル所以デアルカド
ウカ、或ハ九重ノ雲深キニ隱レ、政權ノ推
移ヲ私議スル者ガアル、或ハ暮夜待合ニ會
合致シ、而モ重大ナル國家ノ問題ヲ、部
ノ官僚ノ徒ガ私議致シテ居ル事實ヲ、私共
ハ屢〓耳ニ致スノデアル、此意味ニ於テ、甚
ダ失禮デハアリマスガ、若シ齋藤首相政界
ノ淨化ヲ圖リ、選擧ノ革正ヲヤルト云フ熱
烈ナル御意思ガ御有リニナレバ、アナタガ
此際十分考慮シテ、善處サレル其一事ガ、
私ハ選擧法改正、或ハ選擧ノ取締ヲ嚴重ニ
サレル事ヨリ以上ニ、重大ナル意義ガア
リ、效果ガアルト主張セザルヲ得ナイノデ
アリマス(拍手)願クハ此點ニ關シマシテ、
關係各閣僚ノ明快ナル御答辯ヲ要求シタイ
ト思ヒマス(拍手)
〔國務大臣子爵齋藤實君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=39
-
040・齋藤實
○國務大臣(子爵齋藤實君) 御答致シマ
ス、法制審議會ニ此案ヲ諮問致シマスト云
フコトハ、學術經驗ニ富ンデ居ル所ノ人ヲ
以テ組織シタル法制審議會ニ、是ハ重大ナ
ル案ナルニ依ッテ諮問致シマシタ、而シテ
其得タルモノヲ、政府ノ機關ニ於テ審査〓
究ノ上ニ、法案ト致ス手續ヲ取ッタノデア
リマス、ソレカラ此比例代表其他ノ事ニ付
キマシテノ御說ハ、昨日申シタ通リデアリ
マシテ、是ハ更ニ適當ノ案ヲ得マシタ上ニ
其手續ヲ致ス考デアリマス、現在提出致シ
テ居リマス所ノ案ト、何等分割致シテ差支
ナイト考ヘマシテ、此案ヲ提出致シタ次第
デアリマス、最後ニ御述べニナリマシタコ
トニ付テ申殘シマシタガ、是ハ私ハ、誠心
誠意御話ノヤウナ考ヲ有ッテ居ルノデアリ
マスガ、微力御認メ下サルダケノ結果ヲ得
ナイノハ、甚ダ遺憾ナ次第デアリマスガ、
ドウゾ左樣御諒承願ヒマス(拍手)
〔政府委員齋藤隆夫君登荷但〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=40
-
041・齋藤隆夫
○政府委員(齋藤隆夫君) 久山君ノ御質問
ノ內容ノ法律ノ條文ニ關スル點ニ付キマシ
テハ、私カラ御答致シマス、此度ノ選擧法
改正ノ要旨ハ、昨日來質問應答ヲ重ネラレ
マシタル通リニ、第一ハ成ベク選擧費用ヲ
バ減少スルコト、第二ハ選擧ノ取締ヲ嚴重
ニスルコト、此二ツガ改正ノ要旨トナッテ
居ルノデアリマス、其選擧費用ヲ減少スル
方法ト致シマシテハ、第一ニ第三者ノ選擧
運動ヲ整理スルコト、卽チ第三者運動ノ無
節制デアルコトヲ相當ニ整理スルコト、モ
ウ一ツハ選擧事務所ヲ減ラシ、選擧運動者
ヲ減ラシ、又ハ選擧ニ使用スル勞務者ノ數
ヲ制限スル、是ガ大體ノ項目トナッテ居ル
ノデアリマス、其中ノ第三者運動ノ調節ニ
付テ只今御尋ガアリマシタガ、改正ヲ致シ
マシタ理由ヲ大體明ニ致シテ置キタイノデ
アリマス、御承知ノ通リニ現行選擧法ニ於
キマシテハ、第三者ハ言論文書ヲ以テ自由
ニ選擧運動ヲスルコトガ出來ナイヤウニナッ
テ居リマス、固ヨリ立憲政治ハ自由政治デ
ゴザイマシテ、國民ノ言論ノ自由ヲ認メ、
政治運動ヲ解放スル所ニ、立憲政治ノ大精
神ガ橫ハッテ居ルノデアリマスルカラシテ、
殊ニ選擧ノ場合ニ於キマシテハ、國民ノ政
治的意識ガ、最モ高潮スル時デアリマスカ
ラ、成ベク國民ノ政治運動ノ自由ヲバ制限ヲ
スルト云フコトハ、吾々立法者ニ於テモ餘
程考ヘナクテハナラヌノデアリマス、併ナ
ガラ過去三囘ノ選擧ノ實情ヲ見マスルト云
フト、第三者ノ運動ハ無節制デアリマスガ
爲ニ、是ガ極メテ亂雜ニ流レマシテ、延テ
候補者ノ負擔スル費用ガ非常ニ增加スルノ
デアリマス、御承知ノ如ク現行法ニ依リマ
スト云フト、第三者ガ候補者若クハ選擧事
務長ト意思ヲ通セズシテ爲シタル選擧運動
ノ費用ハ候補者ハ〓係ヲシナイ、意思ヲ通
ジタル場合ノミニ限ッテ、候補者ノ費用ニ
加算スルコトニナッテ居ルノデアリマス、
玆ニ隱レテ第三者ハ、表面ハ候補者若クハ
選擧事務長ト意思ヲ通ゼサルモノヽ如クニ
裝ウテ、自由勝手ニ言論文書ニ依ヶテ運動
ヲ爲ス、其運動ノ費用ハ何處カラ出ルカト
云フト、結局候補者ノ懷ロカラ出ルト云フ
ノガ事實デアリマス、此宿弊ガアリマスル
ガ爲ニ、選擧費用ガ非常ニ增加シマスカラ
シテ、其處ヲ相當ニ調節スルト云フコトガ
宜シイノデハナイカト云フ見地カラ致シマ
シテ、此法條ヲ設クルニ至ッタノデアリマ
ス、殊ニ此第三者ガ勝手ニ推薦狀ヲ出ス、
アナタ方モ皆御經驗デゴザイマセウガ、候
補者ノ知ラヌ間ニ於テ各種ノ推薦狀ヲ出ス、
又推薦者ノ連名ヲ取ルガ爲ニ、自然戶別訪
問ヲヤッテ、餘リ役ニモ立タヌ所ノ推薦狀ヲ
無暗ニ濫發シテ置イテ、其費用ハ結局候補
者ノ懷カラ出サネバナラヌト云フコトニナ
ル、一體今日選擧界ニ立ツ者ガ、濫ニ第三
者ノ文書ニ依ル推薦狀ヲ貰ハネバ、選擧運
動ガ出來ヌト云フコトハ、私ハ甚ダ悲シム
ベキコトデアルト思ヒマス、故ニ今囘ハ思
切ッテ第三者ノ推薦狀ト云フモノヲ一切
止メル、斯ウシタノデアリマス、ソレカラ
シテ演說會モ、苟モ選擧應援ノ演說會ハ、
候補者若クハ選擧事務長ノ承諾ヲ得ルニ非
ザレバ爲スコトガ出來ナイ、而モ實際ニ於
キマシテハ、承諾ヲシタカ否ヤト云フコト
ガ、後ニ問題ニナリマスルカラシテ、文書
ニ依フテ承諾ヲバ得ルト云フコトニ限定シタ
ノデアリマス、斯ウ云フ趣旨カラシテ、第
三者ノ運動ニ對シテ相當ノ制限ヲ加ヘタノ
デアリマス
次ニ選擧費用ノ御話ガアリマシタガ、御
承知ノ通リ今日ハ選擧區內ノ有權者ヲ議員
定數デ割ッテ、ソレニ四十錢ヲ乘ジタコト
ニ相成ッテ居ルノデアリマス、所ガ最前申シ
マスルヤウニ、今囘ハ第三者ノ運動者モ非
常ニ制限ヲシ、更ニ選擧事務所、法定運動
員、尙ホ進ンデ勞務者ノ數モ、餘程制限ヲ
致シマシタカラシテ、是等ノ關係ニ依リマ
シテ、此四十錢ト云フモノガ、二十五錢ニ減
ズルト云フコトニ付テハ數字上ニ相當ノ
根據ヲ有,テ居ルノデアリマス、色々計算ヲ
致シマシタ結果、是ダケノ費用ガアッタナ
ラバ選擧運動ヲヤレル、斯ウ私共ハ論結ヲ
下シタノデアリマス、サウ云フ數字上ノ根
據ニ付キマシテハ、委員會ニ於テ十分ニ述
ベル積リデアリマスカラシテ、ドウカ委員
會ノ時マデ御待ヲ願ヒタイト思ヒマス、是
ハ吾々ハ唯無闇ニ減ジタノデゴザイマセズ
シテ、最前申上ゲマシタ通リニ、色々ノ方
面ニ於テ運動ノ方法ヲ制限致シマシタ結果
トシテ、是ダケノ費用ガ割出サレタノデア
リマス
ソレカラシテ選擧區ノ御話ガアリマシタ
ガ、是ハモウ選擧法改正每ニ問題ニナルノ
デアリマシテ、此議場ニ於キマシテモ、屢、
議論ガ交換サレテ居リマス、小選擧區ノ利
害、大選擧區ノ利害、中選擧區ノ利害ニ付
テハ、屢〓議論ヲ交ヘラレマシタ結果、小選
擧區モ宜シクナイ、大選擧區モ宜シクナイ
ト云フコトデ、前ノ三派內閣ノ當時ニ於
テ、中選擧區ト云フコトニ相成ッテ、一區ヨリ
三名以上五名以下ノ議員ヲ選擧スルコトニ
ナッテ、三囘經驗シタノデアリマス、是ハ
見ル人ニ依ッテ違ヒマスガ、私等ハヤハリ今
日ノ中選擧區ガ最モ宜イヤウニ思ッテ居リ
マス、併シ是ニモ色々議論ガゴザイマス
ガ、此選擧區ニ今手ヲ著ケルヤウナ考ハ、
政府トシテモ毛頭有ッテ居リマセヌ、是ダケ
ノコトヲバ御答ヲ致シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=41
-
042・秋田清
○議長(秋田清君) 久山知之君
〔久山知之君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=42
-
043・久山知之
○久山知之君 只今總理大臣ヨリ比例代表
竝ニ選擧公營ノ問題ニ對スル御答辯ヲ得タ
ノデアリマス、御席ニ見エナイヤウデアリ
マスガ、私ハ重ネテ內務大臣ニ對シテ此問
題ヲ御伺致シタイノデアリマス、總理大臣
ノ御言葉ニ依リマスルト、此選學法改正ハ
事頗ル重大デアル、重大デアルガ故ニ、法
制審議會ニ諮問ヲ發シタノデアル、斯ウ云
フ御答辯ヲ得タノデアリマス、私ハ苟モ國
家非常時ニ際シ、其責任ヲ雙肩ニ擔ッテ御
起チニナッテ居ル齋藤總理大臣ガ苟モ過グ
ル臨時議會當時ニ於テ御聲明ニナリマシタ
選擧法改正ノ問題、此問題ニ對スル成案ヲ
御有チニナッテ居ナカッタト云フコトハ、洵
ニ驚クベキ事實デハナイカト思フ(「ヒヤ
ヒヤ」拍手)若シ假ニ政府ノ御述ベニナッタ
所ヲ是認致スト致シマシテモ、齋藤內閣ハ、
窮乏ノ極ニ陷ッテ居ル國民ニ對シ、明日ノ
糧ヲ得ルコトモ出來ナイヤウナ多數ノ國民
ニ對シテ、自力更生ヲ主張サレテ居ル內閣
デアル、國民ニ對シテハ自力更生ヲ主張シ
テ置イテ、自分ハ他力本願ヲ主張スルニ至ッ
テハ實ニ怪シカラヌ御言葉デハナイカト
思フ(拍手)先ニモ申上ゲマシタヤウニ、法
制審議會ハ憲法ノ認メテ居ル機關デハナ
イ、謂ハヾ齋藤內閣ノ御知慧拜借所、所
謂諮問機關ニ過ギナイノデアリマス、其
諸問機關ガ、マダ審議ヲ終了シナイカラ
ト云フコトニ藉口シテ、彼此レ此處デ陳辯
サレルト云フコトハ、私ハ到底滿足スル
コトガ出來ナイノデアリマス、更ニ只今ノ
御說明ニ依リマスト、法制審議會ニ於テ成
案ヲ得タ曉ニ於テハ、重ネテ其問題ヲ提案
スルカモ知レナイ、斯ウ云フヤウナ御口吻
ヲ拜聽致シタノデアリマスガ、苟モ憲法附
屬ノ大典ト言ハレテ居ル選擧法改正案ガ、
屢、議場ニ提案サレル其事ダケデモ、私ハ
重大ナル問題デハナイカト思フ、何故成案
ヲ得ルマデ御練リニナラナカッタカ、何ガ故
ニ切離シテ此法案ダケヲ御提案ニ相成ッタ
ノデアルカ、サウ云フ必要ガ何處ニアッタノ
デアルカ、願クバ今一囘明瞭ナル御答辯ヲ
得タイト存ジマス
更ニ齋藤政府委員ノ御答辯ニ依リマスト、
第三者ノ運動ハ無節制デアル、推薦狀ヲ出
シテモ、結局候補者ニ費用ノ負擔ヲサセル
ノデアル、隨テ選擧費ノ節約ノ立場ニ於テ
之ヲ禁止スルノデアルト云フ御答辯デアッ
ク、成程サウ云フ事實モアリマセウ、サウ
云フ事實モアリマセウガ、選擧ニ善良ナル
第三者、卽チ國民ヲ參加セシメナイト云フ
法案ヲ提案サレルト云フコトハ、私共何ト
シテモ承知ガ出來ナイノデアリマス、費用
ノ要ルコトハ、是ハ甚ダ遺憾ニ思フ、費用
ハ極力之ヲ減少シナケレバナリマセヌガ、
ソレガ爲ニ善良ナル第三者ノ選擧運動マデ
犧牲ニスルト云フコトハ、私共甚ダ怪訝ニ
堪ヘナイノデアリマス、更ニ文書ヲ出シテ
貰ハナケレバ、推薦狀ヲ出シテ貰ハナケレ
バ候補者ニナレナイヤウナ人間ハ、候補者
トシテ立ツ資格ガナイト云フヤウナ御話ガ
アッタノデアリマスルガ、是ハ少々間違デハ
ナイカト思フ、賴ンデ推薦狀ヲ書イテ貰フ
ノデハナイ、私ガ御尋シヨウト云フノハ、所
謂善良ナル第三者ガ、自發的ニ推薦狀ヲ出
シタクテモ、出サレナイヤウナ法律ガイケ
ナイト云フノデアル(拍手)若シ之ヲ徹底的
ニ取締ラレマスルト、手紙ノ中ニ、誰某候
補ヲ應援シテ貰ヒタイト云フ一句ガアッテ
干、直チニ選擧違反ニナルデハアリマセヌ
カ、サウ云フ窮屈ナコトハ私ハアルマイト
思フ、外ノ人ナラバ存ジマセヌ、齋藤總理
大臣ヤ、山本內務大臣ノヤウナ、直接選擧
ノ御體驗ヲ有ッテ居ナイ方々ハ、或ハサウ云
フ御解釋ニナルカモ存ジマセヌガ、苟モ立
憲政治ノ苦イ尊イ經驗ヲ御嘗メニナッテ居
ル所ノ齋藤政府委員ノ口カラ、斯樣ナ御答
辯ヲ承ハルト云フニ至ッテハ私共實ニ時代
錯誤ノ極デハナイカト思フ、マダ御尋致シ
タイコトガ澤山アリマスガ、私ハ玆ニ一ツ
ノ卑近ナ例ヲ擧ゲテ最後ノ言葉ヲ殘シテ置
キタイ、現在ノ職業ノ中デ一番資本ノ要ラ
ナイノハ角力取デアル、角力取デハアルガ、
角力取ニモ化粧〓ガ必要デアル、假リニ推
薦狀ト云フ化粧廻ハ外シマシテモ、廻シマ
デ外シテハ私ハ角力ハ取レマイト思フ、ド
ウカ今一囘明瞭ナル御答辯ヲ願ヒタイ
〔國務大臣男爵山本達雄君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=43
-
044・山本達雄
○國務大臣(男爵山本達雄君) 御答致シマ
ス、今御質問ノ、政府ガ此改正案ヲ出シテ
來ルト云フノニハ、必ズソレニ付テハ選擧
ノ肅正ヲ主トシテアルノデアルカラシテ、
必ズ成案ヲ持フテ居ル筈デアル、然ルノニ唯
一ツノ機關タル法制審議會ニ於テ、其案ガ
マダ全部出來ナイノニ、一部ノモノヲ出ス
ト云フガ如キコトハ、甚ダドウモ當ヲ得ナ
イ、無責任デハナイカト云フ如キ御質問ニ
承リマシタガ、御承知ノ如ク法制審議會ナ
ルモノハ、貴衆兩院ニ於テノ主ナル方々モ
入ッテ居リマス、又學者モソレ〓〓ノ人ガ
えき、法律家モ、總テノ方面ノ權威ノアル
人カラ成立ッタ此委員デゴザイマス、ソレデ
アリマスカラシテ、政府トシテハ此委員ノ決
議ト云フモノハ、餘程重ジテ居ルノデゴザイ
マス、而シテ此案ヲ出シマシタノモ、必ズ是
ダケハ一〓ニ固マラナケレバ用ヲ爲サヌト
云フモノデハナイノデゴザイマス、ソコデド
ウ云フモノガ殘ッテ居ルカト云ヘバ、比例代
表デゴザイマス、是ガ一番ノ主ナルモノトシ
テアルノデアリマス、併シ是ハ諸君モ御承知
ノ通リ、各國ニ於テ、同ジク比例代表ト申
シマシテモ、色々其國々ニ依ッテ違ヒガア
ルノデゴザイマス、サウ云フコトデゴザイ
マスカラシテ、法制審議會ノ權威者ガ寄ツ
テ居ッテモ、之ヲ容易ニ斯ウシタラ宜シイ
ト云フコトノ決リガ付カナイノデアリマ
ス、ソレ故ニ審議會ニ於テ之ヲ別ニシテ、
他ノモノヲ、昨日モ申上グル如ク、數箇月
ニ亙フテ審査ヲ濟マシテ、決議シタ其答案
デゴザイマス、此答案ナルモノハ、政府ト
シテハ選擧革正ニ付テ、非常ニ必要ナ事柄
トシテ出シタ案デゴザイマス、是ハ決シテ
無意味ナモノデハナイト、政府ハ固ク信ジ
テ居ルノデアリマス、ソコデ唯色々ト仰セ
ラレルガ、是ハ何モ一ツノモノデ、是ガナ
ケレバ是ハ出サレヌト云フモノデハナイ、
是ハ十分ニ生キタ效力ノアルモノデアルト
思ッテ案ヲ出シタノデアリマス、ソレ故ニ政
府ニ於テハ、十分ナル意味ヲ以テ出シタコ
トヽ御承知ヲ願ヒタイノデアリマス、ソレ
カラ公營ニ付テ、法制審議會ニ於テマダ未
定デアルカラシテ後ニ殘シタ、斯ウ云フ御
言葉デアリマシタガ、是ハ決シテサウデナ
イノデゴザイマス、昨日モ此處デ一通リ詳
シク申述ベマシタ如ク、法制審議會ニ於テ
か、既ニ公營ガ宜シイト決シタノデゴザイ
マス、併ナガラ之ヲ取扱ヒマスル政府ニ於
キマシテ、色々取扱ニ付テ取調ヲシ、論議
ヲシマシタ結果ニ於テ、ドウモ一利一害ガ
アッテ、之ヲ其儘呑込ンデ出スト云フコト
ハ宜シクナイト思ウタノデアリマス、ソレ
故ニ是ハ後ニ殘シタト云フノデゴザイマ
ス、ソコデ今日出シマシタル此案ガ、決シテ
不完全ナモノダ、斯ウ云フ譯デハアリマセ
ヌデス、ソレハソレダケノモノガ改マッテ
參リマシタナラバ、非常ニ革正ヲスルモノ
ト私共ハ信ジテ居ルノデゴザイマス、ソレ
ダケ申上ゲマス(拍手)而シテ色々詳シイ御
質問モアリマシタガ、如何ニモ實際ニ當ッテ
居ル方々デアリマシテ、微ニ入リ細ヲ穿ッテ
ノ御質問デアリマシテ、ドウモ此點ニ付キ
マシテハ、政府委員ヨリ詳シク申上ゲル方
ガ便宜ナリト思ヒマスカラシテ、是ダケ申
上ゲマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=44
-
045・秋田清
○議長(秋田〓君) 齋藤政府委員
〔政府委員齋藤隆夫君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=45
-
046・齋藤隆夫
○政府委員(齋藤隆夫君) 第三者運動ノ制
限ニ付キマシテ
〔「必要ナシ」其他發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=46
-
047・秋田清
○議長(秋田清君) 靜肅ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=47
-
048・齋藤隆夫
○政府委員(齋藤隆夫君)(續) 再度ノ御質
問ガゴザイマシタカラシテ、一言御答シテ
置キマス、純理上ヨリ申シマスルナラバ、
國民ノ政治運動、若クハ選擧運動ヲ制限
スルト云フコトハ宜シクナイノデアリマ
ス、併ナガラ現行法ニ於テモ、御承知ノ通
リ隨分制限シテ居リマス、例ヘバ法定運動
員ニ非ザレバ選擧運動ヲスルコトガ出來
ヌトカ、或ハ戶別訪問ヲスルコトガ出來ヌ、
現行法ニ於テモ、選擧運動ハ本當ニ制限ヲ
シテ居ルノデアリマス、選擧界ノ實情ニ照
シマシテ、又選擧界ノ弊害ニ照シマシテ、
第三者運動ヲ適當ニ制限スルト云フコト
ハ、今日ノ事情己ムヲ得ナイト信ジテ制限
ヲ加ヘタノデアリマス、議論ノ岐レル所ハ
致シ方アリマセヌ、法案提出ノ理由ハ斯ノ
如キモノデアリマスカラ、左樣御承知ヲ願
ヒマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=48
-
049・久山知之
○久山知之君 簡單デアリマスカラ、自席
デ發言ノ御許ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=49
-
050・秋田清
○議長(秋田〓君) 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=50
-
051・久山知之
○久山知之君 色々御答辯ヲ得マシタガ、
私到底此程度デ滿足スルコトハ出來ナイノ
デアリマス、何レ他日機會ヲ得マシテ、重
ネテ質問致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=51
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052・秋田清
○議長(秋田〓君) 〓瀨一郞君
〔〓瀨一郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=52
-
053・清瀬一郎
○済瀨一郞君 私ハ僅ニ二ツノ御問ヲ申上
ゲマス、嚴肅ナル意味ヲ以テ御尋ヲ致スノ
デアリマスルガ、一ツハ內務大臣ノ御信念
ヲ伺ヒ、他ノ一ツハ內閣總理大臣ノ御信念
ヲ伺フノデアリマス、簡單デアリマス、先
ヅ私ハ內務大臣ニ對シ、選擧制度ノ改革ヲ
求メラルヽ本當ノ政治上ノ動機、何故ニ一
體我國デ選擧ノ改革ヲシナケレバナラヌ
カ、其處ノ所ノ意味合ヲ伺ッテ置キタイト
思フノデアリマス
昨日內務大臣ハ、選擧ニ關スル多年ノ弊
竇ヲ芟除シ、選擧ノ自由ト公正トヲ圖ルノ
デアルト、斯ウ仰シヤッタ、是ハ常套文句ト
云フモノデアリマス、選擧ノ自由公正ヲ圖
ル、是ハ常套ノ文句ダ、サウ云フコトハ、
日本ノ現代ガ選擧ヲ改革スベシト言ッタ心
持ヲ道破シタモノデハアリマセヌ、活版刷
ナンダ、一體何故ニ今ノ時代ニ於テ選擧ノ
改革ヲ必要トスルカ、思ヲ玆ニ致サレタコ
トガアルデアリマセウカ、今日ハ啻ナラヌ
世ノ中ニ相成ッテ居ル、世間デ非常時ト仰シ
ヤルト、直グニ財政ノ窮乏ノコトヲ聯想サ
レマスルガ、私ハ政治的ノ非常時ト、斯樣
ニ思ッテ居ル
今日立憲思想ニ對シテ、之ヲ信用セザル聲
ガ到ル處ニ揚ッテ居ル、或者ハ今日ノ議會
ト、今日ノ政黨ト、今日ノ內閣デハ、日本
國家ヲ誤ルンダト憤慨シテ、身ヲ挺シテ之
ヲ改革シヨウトシテ居ル、單ニ是ハ右傾論
者、國粹論者ト云ッテ片付ケル譯ニハ私ハ
參ルマイト思フ、他ノ者ハ今日ノ政界ノ狀
態ヲ熟視シテ、尋常一樣ノ改革デハイケナ
インダ、議會政治ヲ〓覆シ、謂ハヾ立憲君
主政體ヲ覆ヘサナケレバナラヌトマデ唱ヘ
テ居ル者ノアルコトハ、司法大臣ガ祕密會
デ以テ御報告ノ通リナンデアル、私ハ祕密
會ノ內容ヲ此處デハ演說ハ申シマセヌ、ダ
ガ併シ新聞ニ報道サレテ居ルダケデモ、是
ハ容易ナラヌ重大事件デアル、昨年ノ春以
來、當局ノ調ベヲ受タケ者ガ、旣ニ一万人
ニ及ンデ居ル、其原因ハ何處ニ在ルカト云
く、立憲政治ニ對スル疑惑デアリマスル
ガ、選擧ノ改革ト云フモノハ、實ニ是ニ根
ヲ發シテ居ル、今ノ選擧法デ以テ議院ヲ構
成シ、此儘ヤッテ行ッテ置イテ、一部ノ者ニ
對シテ議會ヲ信用シロト言ッタッテ、信用ノ
出來ル筈ハアリマセヌ、立憲政治ノ弱點ハ
內務大臣御承知デアリマセウ、內務大臣モ
壯年ノ際ニハ書物モ御讀ミニナッタト存ジ
マスルガ、立憲政治ノ弱點ハ是ナンデア
ル、一ツハ遺憾ナガラ立憲政治ハ、動モ
スルト云フト國民ニ迎合シテ、徹底的ナル
國家ノ目標ト云フヨリモ、目前ニ於ケル
人氣ヲ博シヨウト云フ政治ニナルノガ、
是ガ一ツナンデアル、ソレカラシテモ
ウ一ツハ、選擧ニ對シテ多額ノ經費ヲ
要スルガ爲ニ、一部資本家ト結托シテ、
財閥政治ニ陷ルト云フコトガ、是ガ二ツナ
ンデアル(拍手)之ヲ一體改メルニハドウス
ルカ、〓化的ノ方法モアリマセウケレドモ、
最モ有力ナル方法ハ法律ナンデアル、卽チ
選擧法ノ改革ガ、最モ今日ノ時勢ヲ匡救ス
ル重大要項デアルノデアリマス(拍手)一體
思ヲ此處へ致サレテヾアリマセウカ、選擧
界ノ弊竇ヲ芟除スル、選擧ノ公平ヲ圖ルナ
ント云フコトハ、是ハ誰デモ申スコトデア
リマスルガ、昨年以來非常時局ガ起リ、團
サンハ殺サレ、犬養サンハ殪サレタト云フ後
ニ於テ、俄然トシテ選擧法改革ノ論ガ起ッ
タト云フ根本ハ、此非常時ニ對應スルモノ
デアル、是ガ御分リニナリマシタラ、非常
時局ハ讀ンデ字ノ如ク、急速ノ解決ヲ要ス
ル非常時問題ナンデアル、今ノ非常時局ニ
對應スルモノデアルト云フコトガ御分リニ
ナッタラ、非常時救濟ノ爲ニ、急速ニ解決ヲ
要スルコトハ一ツノ結論デス、火事ガ起ッ
テ居ル、喞筒ハ之ヲ消ス所ノモノデアルガ
火事ガ起ッテカラ、ボツ〓〓喞筒ノ〓究ヲ爲
サッタッテ間ニ合ハナイ、若シアナタガ比例
代表ハ反對ダ、選擧公營ハ反對ダト云フ結
論ヲ仰シヤルナラバ、是ハ分ッテ居ル、私ハ
議論ガ違ヒマスヨ、私ノ議論ハ違ヒマスケ
レドモ、昨年八月以來〓究シタ結果、選
擧公營ハイケナイト云フ斷案デ以テ、此法
案ヲ吾々ニ諮ハレルナラ、眞面目ニ〓究シ
テ見マセウ、審議シテ見マセウ、ダケレド
モ此非常時局ヲ救濟シナケレバナラヌ、選
擧法案ヲ-先刻モ仰シヤッタ、ロヲ法制
審議會ノ審議ニ藉リテ、是カラボツ〓〓〓
究スルノデハ、吾々帝國議會ノ議員ハ、眞
面目ニ御相手スルコトハ出來ナイ(拍手)成
程比例代表ノコトハ、是ハ法制審議會デ審
議未了デス、ダケレドモ選擧公營ノコトハ
審議ヲ盡シタンデス、人ゴトノヤウニ仰シ
ヤルガ、アナタガ法制審議會ノ委員ナンデ
ス、異存ガアルナラバ、何故其時ニ仰シヤ
ラナイノデス、法制審議會ノ答申ガ十一月
ニ出テ來タガ、ソレカラ考ヘテ見ルト云フ
ト、都合ガ惡イ、何ノコトデス、內務大臣
自身モ、內務政務次官モ、內務ノ事務次官
モ、法制審議會ノ委員ナンデス、其時ニ眞
面目ニ〓究ヲ爲サッテ、是ガ惡ルケレバ惡イ、
善ケレバ善イト云フ斷案ヲ下サレテ、初メ
テ是ハ非常時局ニ處決スル人ノ態度ト思ハ
レル(拍手)善イ惡イノ事ハ委員會デ申シマ
ス、善イ惡イノ事ハ委員會デ申シマスルガ、
一體アナタハ此選擧法ノ改正ハ、我國ノ緊
急ヲ要スル思想對策ニ牽聯アルト云フコト
ヲ御承知デアルカナイカ承ッテ、次ノ質問ニ
移リマス(拍手)
總理大臣ノ御信念ヲ伺ヒタイ、簡單ニ申
シマス、今ノヤウナ性質ノ案デアリマスル
ガ、此法案ガ握潰シカ、又ハ重要ナ要項不
成立ノ場合ニハドウナサルンデアリマスカ、
此局面ヲ見マスルト、大分危ブナサヽウダ、
デ私ハサウ云フコトヲ申スノデハナイ、本
年ノ一月二十一日ニ總理大臣ハ御演說ニ
ナッタ、世間デ言フ施政方針ノ演說ナンデス、
其演說ノ時ニ、總理大臣ハ、選擧ノ改革ハ
此內閣ノ一ノ使命ト仰シヤッタ、自ラ重要ナ
ル使命ダト言ッタモノガ、出來ナカッタラオ
前ドウスルカ、斯ウ云フノガ是ハ形式論ナ
ンデス、數年前マデ能ク此處デヤッタ憲法
ノ形式論デス、併シ私ハ左樣ナ此形式張ッ
タ論ヲスルノデナイ、アナタノ演說ノ揚足
ヲ取ルノヂヤナイ、ダガ併シ此來歷ヲ此處
デ一ツ冷靜ニ御考ヲ願ヒタイ、非常時議會
ト稱セラレマシタ去ヌル第六十二議會デ以
テ、私ガ選擧法改正案ヲ出シタ、是ニハ提案
ニ付テ民政黨ノ方モ御贊成ヲ下サッタノデ
アリマス、是ハ大體選擧公營ヲ根幹トシ
タモノデ、アリマシタガ、委員會ニ於テ
ハ、政友會ノ委員諸君モ大變御贊成下スッタ、
其時ノ委員長デアラレタ熊谷君ハ、一ツ總
理大臣ノ御出席ヲ求メテ、政府ノ意見ヲ聞
イテ見ヨウ、斯ウ云フコトデアッタノデス、
デ此委員會ノ空氣ヲ首相ガ御承知ナクッテ
ハ不都合ダト云フノデ、委員ノ加藤久米四
郞君カラシテ、〓心ナ御演說ガアッタ、總理
大臣ノ面前ニ於テ熱心ニ御演說ガアッタ、大
臣御記憶デアラウト思フ、其内容ハ此處デ
繰返ス必要ハアリマセヌガ、一ツハ選擧區
ノ問題ヲドウスルカト云フコト、モウ一ツ
ハ强制投票ヲ採ルノガ宜イヂヤナイカ、モ
ウ一ツハ私的運動ヲ禁止スルコトヲ希望ス
ル、是ハ〓心ナ御演說デアリマシタ、ソレ
カラ選擧ハ公營ニスベシ、洵ニ徹底シタル
御意見デアリマシテ、私モ列席致シテ非常
ニ感動シタノデス、之ニ付テ首相ノ御意見
ヲ聞イタ所ガ、總理大臣又大體今ノ意見ニ贊
成ダ、次ノ通常議會ニハ、斯ウ云フ趣意デ
法案ヲ立テヽ提出スルト御言明ニナッタ、斯
ウ云フコトガアルノデス、ソコデ此案ヲ立
テルニ付テモ、委員會ニ議論ガアッタ、普通
選擧法ヲ作ノタ時ノ如ク、各派ノ代表者ニデ
モ御諮リニナッタラ宜カラウト言ッタノデア
リマシタガ、總理大臣ハ法制審議會ニ諮問ス
ルンダ、是ハ私反對デアリマシタケレドモ、
兎モ角案ヲ作ルノハ政府ノ權能デ、深クハ
異議ヲ言ハナカッタ、ソコデ法制審議會ガ出
來テ、法制審議會ハ八月カラ十一月ニ至ル
-3,是ハ御追從デモ何デモナイ、非常ニ
熱心ニ審議ヲシタノデス、法制審議會答申
ノ要項ハ、選擧公營ヲ初メ、檢事ニ司法警
察官ヲ隷屬セシメ、肅正委員會ヲ設ケル、
今ノ連座規定モアッタ、次ノ議會ニハ政府カ
ラ提案スルト、斯ウ云フ御約束ヲナサレテ
法制審議會ニ於テハ兎モ角モ順序好ク審議
ガ進ンデ來タ、左樣ナ經過デアリマシタガ
故ニ、此議會ニ居リマスル者ハ、政友會、
民政黨ノ諸君竝ニ吾々モ、亦今日ニ至ルマ
デ選擧法ノ改正案ヲ提出スルコトヲ見合セ
タノデアリマス、是ハ懈ケタノデモ何デモ
ナイ、一ニ總理大臣ノ言明ヲ信ジテ、加藤
君ノ御演說ニ贊成サレタ選擧公營ヲ爲サル
ノデアラウ、選擧區制モ御改正ニナルカモ
分ラナイ、政府ノ大臣モ數名御加入ニナッテ
居ル法制審議會ニ於テ選擧公營ノ案ヲ採用
シテ居ル、レ比較的徹底シタル案ヲ總理大
臣ハ御出シニナルノデアラウカラト云フ期
待ノ下ニ、吾々ハ今日マデ案ヲ提出シナカッ
タノデアル、之ニ付テハ吾々ノ方ニ過チハ
アラウトハ存ジマセヌ、此狀況ノ下ニ於テ
各派ノ者ガ議員提出案ヲ出サナイト云フノ
ハ議會ノ慣例デ私ハ當然ダト思フ、然ラ
バ待チニ待ッテ到頭政府ガ何ヲ御出シニナツ
タカト云フト、今囘ノ案ナンデアル、見ル
ト云フト期待トハ非常ナ相違デ、去年カラ
懸案ニナッテ居リマスル大問題ハ悉ク應ヘ
テ居ナイ、此空氣デハ恐クハ此案ハ握潰シ
カ、或ハ此案ノ眼目デアリマスル連座制ハ
ナクナッテシマフ、將來ノコトヲ言ッテハイ
ケマセヌケレドモ、ソレハ觀念ナサラヌト
イカヌ、此案カラ連座制ガナクナッテハ此案
ハ魂ガナイ、握潰シカ否決カ、ドッチカニ會
ヒマシテ、總理大臣ハソレデモ宜シイガ、
待チニ待ッタ日本國民ハ、選擧改革ハ遂ニ得
ラレナイデシマッタト云フコトニナルノ
ダガ、ソレハ一體アナタハドウ爲サルノ
ダ(拍手)今ハ御覽ノ通リボツ〓〓ト市會
議員ノ選擧ガ全國ニ始ッタ、今カラ今年
ノ九月マデニハ到ル處ニ地方選擧ガ行
ハレマス、此度選擧法ガ革デモサレテ居
リマスルト、ソレニ準ジテ今年ノ市會選擧
ハ順調ニ行ク望ミモアル、然ルニ根本ノ此
法律ガ出來ナイデハ舊態依然タル市會ノ
選擧ヲヤラナケレバナラヌト云フコトニナ
ル(拍手)賄賂ハ矢張橫行ヲ致シテ居リマス
ヨ、戶別訪問モシテ居ルノデアリマス、又
選擧ノ費用ダト申シタ所ガ、法律ノ定メタ
モノヽ五倍ヤ十倍デハナイノデス、非常ニ
亂雜ニ亙ッテ居リマスルガ斯樣ナル政治ヲ
一箇年間辛抱シナケレバナラヌト云フノ
ハ、誰ノ責任カト云ヘバ、皆是レ總理大臣
ト內務大臣御二人ノ責任デアリマス(拍手)
私共議院ニ居ル者ハ此責任ハ負ヒマセヌ
ヨ、否決シタッテ責任ヲ負ヒマセヌ、私ハ此責
任ヲドウ爲サルカヲ此處デ承ッテ後ニ審議
ニ進ミタイト思ヒマス、單ニ今內務大臣ニ
申上ゲタ通リ、私共選擧ヲ改革スルト言ッ
テ、自分ノ選擧ガ樂ニナルヤウニト云フ、
ソンナ吝チナコトハ思ウテ居リマセヌ、サ
ウヂヤナイ、根本ノ日本ノ思想界ノ此動搖
ヲ、少シデモ鎭メンガ爲ニ役ニ立ツノダッタ
ラ、自分ノ選擧ニハ不利益デモ、連座規定
デ腹ヲ切ル場合ガアッテモ、マカリ違ヘバ
ヤリタイトモ思ウテ居ルノデアリマスル
ガ、其改革ヲアナタ方御二方ノカデ御阻ミ
ニナッタ、サウ云フコトヲシテ上陛下ニ
對シ奉リ、下吾々國民ニ對シテ、何ノ顏アッ
テ其地位ニ居ラレルノデアリマセウカ(拍
手)私ハ言葉ヲ激スルヤウデアリマスルケ
レドモ、選擧法案ニ對スル政府ノ態度ハ、
甚ダ其意ヲ得マセヌ、今申ス通リ法制審議
會ニ、內務大臣ハ委員ヂヤナイカ、碌スツ
ポ御出席モシテ居ラレマセヌ、何デ出テ來
ラレヌ、出テ來テ今ノヤウニ仰シヤレバ宜
イ、ソコデ法制審議會ガ答申シテ內閣ニ出
シタ所ガ、內閣ノ閣僚デ一人カ二人ガ反對
シタ、ソコデ閣議デ以テ決メテハ事面倒ダ
ト云フノデ、慌テヽ決議ヲシナイデ內務省
ニ下渡シテ折衷案ヲ作ラシタ、今更改ッテ
聽クニ及バヌ、內務省ノ局長、課長ニ拵ヘ
テ貰フテ、サウシテ持ッテ來タ、法制審議
會、法制審議會ト仰シヤルケレドモ、法制
審議會ハ迷惑ダ、此案ハ山本內務大臣以下
局長、課長ガ拵ヘタノデアル、是ハ事實デ
ス、ソンナモノヲ此處ニ持ッテ來テ、法制審
議會ガドウノ斯ウノト言フハ甚ダ迷惑デア
ル、私モ委員ダガ、コンナモノヲ決議シタ
コトハナイ(拍手)是ハ全ク遁辭デス、樞密
院ヘ掛ルト云フト、信念ヲ以テ内閣デ作ッタ
案ニ樞密院ガ反對デモスレバ正々堂々總
理大臣ガ出テ行ッテ、國民ノ選擧權ハ此處
ダ、缺格條項ハ廢メナケレバナラヌ、破產
者ハ經濟動搖ノ爲ニ生ズルノダ、樞密院ノ
意見誤レリト云フコトヲ、閣僚諸君ガ出テ
行ッテ議論ヲ上下サレタノデアッタラバ、ソ
レデアナタガ御敗レニナッタラ、却テアナタ
ニ味方スル、所ガ樞密院ニハ法制局ノ長官
カ內務事務次官カラ御遣リニナッテ、年寄
ニ頭ヲペコ〓〓下ゲル、サウシテ斯ウ云
フ風ニ修正セヌト樞密院ハ通リマセヌ、
アヽサウカト言ッテ御拔キニナッタノガ
缺格條項ダ、信念モ何モアッタモノデハナ
イ(拍手)缺格條項ト云フト小サイヤウデア
リ.マスケレドモ、繫ル所ハ國民ノ最高ノ權
利タル選擧權ノ實體ニ關スルモノデアル、
ソレヲアナタハ一體樞密院ニ乘出シテ行ッ
テ、樞密院議長以下議員ニ向ッテ、熱誠ヲ以
テ國民ノ爲ニ議論デモ爲スフタカ、潮君ガ出
テ行ッテ是ハ君イカヌソ、ソンナラ斯ウシマ
セウ、サウ云フ風ナコトデ出來タノガ此案
デアル、法制審議會ノ案デハアリマセヌ、
法制審議會ハ破產者デアッテモ、自分ノ過失
デ破產シタノデハナイ、貨幣價値ガ動搖ス
ルカラ自然破產ニナッタノダカラシテ、選擧
權ハ取ラナイノダ、斯ウ決議シタノデス、
アナタハ缺席ナスッタカモ知レマセヌケレ
ドモ、決議シタノデアル、又犯罪者デアッテ
モ刑ノ執行ヲ了ッタ者ニ、陛下ノ赤子ニ長
ク選擧權ヲ取上ゲルト云フコトハイケナイ
ノダ、此決議ヲシタノデアリマスガ、一口
樞密院ニ言ハレテ、內閣ノ意見モ披瀝ナ
サラズ、遂ニ今日ニ及ンデ居ルノデアリマ
スルガ、私ハ齋藤總理大臣ハ本當ハ-人
ノ心ヲ忖度シチヤ失禮ダガ、本當ハ選擧公
營モヤッテ見タイト云フ御考ダラウト思フ
ノデス、ケレドモソレヲヤレバ閣內デ反對
サレテ喧嘩ニナッテ、内閣ニ罅ガ入ッテハ困ル、
國民ノ選擧權ヨリハ、マア〓〓議會ノ濟ム
マデ此處ニ居ラウト云フ、居据リ根性ガ是
ニ至ラシメタノデアル(拍手)聞ク所ニ依リ
マスト、此頃負債整理法案デモ、擔當ノ農
林大臣ハヤリタイト言ヒマシテモ、擔當以
外ノ大臣ガ反對ダト云フノデ、ソレダッタラ
ヤラズニ、何處カヽラ賴ンデ議員提出案デ
モ出シテ貰ハウカ(拍手)負債整理法案ガ出
ナイノト同ジヤウナ形デ以テ、選擧法ガ歪
メラレテ、コンナモノニナッテ來タノデハ
アリマスマイカ、アナタハ元軍人デアラレ
ク、サウ云フ風ナ精神デ以テ政治ニ臨マル
ルト云フコトハ、私ハ甚ダ遺憾ニ思フ(拍
手)二十年前ノ齋藤實ニ立歸ッテ、此非常時
ヲ匡救スルト云フ大抱負ヲ有ッテ、更ニ臨
マレンコトヲ希望致シマスルガ、併ナガラ
之ニ對スル御辯明ヲ承リマシテ、私ノ卑見
ヲ更ニ開陳シタイ、斯樣ニ思ヒマス(拍手)
〔國務大臣子爵齋藤實君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=53
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054・齋藤實
○國務大臣(子爵齋藤實君) 只今〓瀨君カ
ヲ縷ミ御述べニナリマシタケレドモ、私ノ
考ハ、昨年委員會ニ於テ申シマシタ所ト、
今日モ何モ變ッテ居ラヌノデアリマス、併ナ
ガラ比例代表ノ如キ問題ハ、御承知ノ通リ
審議會ニマダ繋屬シテ居リマス、ソレカラ
又公營案トシテハ、是ハマダ審議未了デア
リマスカラ、左樣御承知ヲ願ヒタイノデア
リマス(「何處デ未了ダ場所ヲ言ヘ」ト呼フ
者アリ)ソレハ主務省ニ於テ審議中デアリ
マス
〔國務大臣男爵山本達雄君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=54
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055・山本達雄
○國務大臣(男爵山本達雄君) 只今〓瀨博
士ノ說ヲ承リマシタガ、流石ニ是マデ承ッテ
居リマスル如ク、博識デ經驗ニ富ム人デア
リマシテ、其御質問ノ趣ニ於キマシテモ、
如何ニモ秩序的ニ御話ニナリマシテ、謹
聽致シタコトデゴザイマス、私ハ色々職
務的ニ於テ、如何ニモ無責任ニアッタ如ク
御考デアルト伺ヒマスガ(「其通リ」ト呼フ
者アリ)成程私ハ此選擧ニ付テハ、自ラ
是マデ當ッタコトモアリマセヌ、又其事ニ
付テ今日ノ內務ノ地位ヲ辱メル前ニ色々苦
ンデ、斯クモシタナラバト思ウテ〓究シタ
コトモ洵ニ乏シイノデアリマス、サウ云フ
ヤウナコトデアリマスガ、遂ニ自身ノ地位
ニ於テ之ヲ扱ハナケレバナラヌコトニナッ
タ、ソコデドウシテモソレヲ爲スニ付テ
ハ、世ノ中ノ知識經驗ノアル方々カラ說ヲ
亜ノン
〔發言スル者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=55
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056・秋田清
○議長(秋田清君) 靜肅ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=56
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057・山本達雄
○國務大臣男爵山本達雄君)(續) サウシ
テソレニ依ッテ宜シキニ依ッテ之ヲ料理ヲシ
タイ、斯ウ云フコトデアルノデゴザイマ
ス、初メ此法制審議會ニ於キマシテモ、其
事ニ付キマシテ質問ガアリマシタ、私ノ身
トシテハ、如何ニモ此改正ノ必要ハ感ジマ
ス、併ナガラ如何ニシテ之ヲヤッタナラバ
宜イカト云フコトニ付テハ、甚ダ未熟デア
リマスカラ、ドウゾ白紙ノ如ク思ウテ審議
ヲシテ貰ヒタイト云フ如キ、極ク自身ノ心
ヲ打明ケマシテ、其權威ノアル方々ニ御願
シタヤウナコトデアリマス、サウ云フコト
デアリマスカラシテ、審議會ノ言フコトヲ
主ニ參考ト致シマシテ、又內務ノ屬僚-
屬僚ト仰シヤルガ其通リデアリマス、屬僚
アタリノ意見ヲ餘程聞キマシテ、サウシテ
善惡ヲ判斷シテ、是ナラバ宜カラウト云フ
コトデ、此案ヲ出シタコトデゴザイマス、
ソレデ私ノ心トシテハ今申ス如キコトデア
リマスカラ、此案ガ洵ニ宜シイ、適切ナル
案デアル、皆是迄經驗ノアル方々ガヤッテ、
而シテ是迄久シク事務ヲ執ァテ居ル所管省
ノ重立ツ者ガ評議ヲシマシテ、決定シタル
コトデアリマスルカラシテ、是ハ先ヅ今日
ノ此現狀トシテハ是ガ一番良イコトデア
ル、而シテソレニ付テ他日又公營或ハ比例
代表ノ如キモノガ決議ヲサレテ、是ガ宜イト
云フコトニナッタナラバ、其時ニ於テソレヲ
出シテモ少シモ差支ハナイ、サウシタイ、
併シソレヲ俟ッテ、此モノハ出サナイト云フ
コトハ、是ハ別ニ意味ヲ成シテ居リマセ
又、是ハ是デ單獨ニヤッテ、幾分ナリトモ、
十分ナル完結ニハ至ラズトモ、是ハ選擧肅
正ノ上ニ付テハ宜シイモノデアルト、固ク
信ジマシテ出シタコトデゴザイマス(拍手)
〔〓瀨一郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=57
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058・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 言葉答メハ私ハ致シマセヌ
ケレドモ、選擧公營ノ問題ガ、主務省デ調
査未了ダト云フコトハヲカシイ、一體選擧
法ハ我國デハ憲法附屬ノ法律デアリマスル
ガ、外ノ國デハ是ハ憲法ナノデス、憲法ノ
中ニ規定サルヽ重要ナ要綱ガ、國民ノ選擧
權ニ關スルコトデアル、內務省ノ役人ニ拵
ヘテ貰フテ、吾々ガ出テ來ルト云フ筋ノモノ
デハアリマセヌ(拍手)唯併シ立憲國ニ於テ
今內閣ト云フモノガアリマスルカラ、內閣
デ以テ案ヲ作ッテ、責任ヲ以テ議會ニ御諮
ヒニナルノナラバ、ソレハ議シマスル、内
閣ノ所管ノ人ハ內務大臣ガ此處ニ居ラレ
ル、審議未了ダッテ此人ガ決メラレル、
內務省ト云フ合議構關ハ日本ニアリマ
セヌヨ、內務省ノ小使ヤ、課長ヤ、局
長ガ寄ッテ合議シタッテ、國民ノ權利ハソ
ンナ所ニ、千鈞一髪懸カルモノデハアリマ
セヌ、最高ノ內閣デ以テ御決メニナッテ、
之ヲ〓書ヲスルノニ、オ前ヤッテ來イト
云フノガ、是ガ內務省ノ役人ノスル仕
事デアル、政府ノ仕事ノ中ニハ、無論役人
ヲ御使ヒニナルベキ仕事ハ多々アルノデア
リマスルケレドモ、選擧法ノ骨子ヲ內務省
ノ役人ニ聞イテ、ソレデ決スルト云フノデ
ハ、是ハ認識不足ト云フモノダ、アナタノ
肚デ爲スベキコトデアル、言葉ハ咎メマセ
ヌケレドモ、サウ云フ考ヲ有〃テ居ラレマ
スルカラ、斯ウ云フ案ガ出テ來ル、結局ハ
サウスルト是ハ內閣ノ案デハナクシテ、內
務省ノ審議結了シタル御案ト云フノダラウ
ト思ヒマス、選擧取締法內務省案、ソンナ
モノヲ吾々ハ相手ニ、眞面目ニ議論ヲスル
ノハ耻カシイ(拍手)私ノ聞イタノハサウデ
ハナイノデス、此通リ選擧法ハ重大ナモノ
デアル、アナタガ選擧法ヲ出ス〓〓ト仰シ
ヤリナガラ、終ヒニコンナモノヲ御出シニ
ナッタ、本當ノ案ヲドノ黨派モ有ッテ居リマ
ス、私ノ方ノ國民同盟デモ有ッテ居ル、政友
會デモ、民政黨デモ有ッテ居ル、各派ニ
於テ重要ナル案ヲ藏スルニ拘ラズ、アナ
タガ出ス〓〓トペテンヲ仰ヲシヤル爲ニ、
遂ニ選擧法ガ出來ナカッタラ、其責任ヲ
ドウ爲サルカ、大正九年原敬總理大臣ノ
時分ニ、其提出サレタ選擧法ハ通過スル
デアラウケレドモ、普通選擧ト之ヲ較ベ
ナケレバナラヌガ、之ニ付テハ國民ノ意
見ヲ聞クト言っテ、原サンハ議會ヲ解散ナ
スッタ、アノ論ハ-政友會ノ方モ居ラ
レテ失禮ダガ、私ノ議論ハ原サント違ッテ
居ル、違ッタケレドモ、選擧法ヲ國民ニ問フ
ト云フ態度ハ、私ハ立派ダト思フ(拍手)併
シアナタニ御註文シテ、議會ヲ解散シテ選
擧法ヲ國民ニ御問ヒナサイト言ッタ所ガ、是
ハ出來ヌ話ダ、出來ヌ話ヲ昔ノヤウニ演說
ヲスルト云フコトハ好マヌガ、出來サウナ
コトハ、自分ガ嘗テ選擧法ヲ出ス〓〓ト
言っテ碌ナモノヲ出サズ、議會デ握潰シニ
ナッタンダカラ御上ニ對シテモ濟マヌ、國民
ニ對シテモ濟マヌト言ッテ、セメテ懺悔ナ
サル御心ハナイカト云フノガ質問デアル、
卽チ〓瀨ノ言フ通リ、此選擧法ガ出來ナン
ダラ俺ハ腹ヲ切ルトカ、出來ヌデモ世ノ中
ハ頰冠リダ、蛙ノ面ニ水ダト仰シヤルノカ
「イエス」カ「ノー」カ、此二ツヲ質問シタイ
ノデアリマス(拍手)
〔國務大臣子爵齋藤實君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=58
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059・齋藤實
○國務大臣(子爵齋藤實君) 御答ヲ致シマ
スガ、主務省ニ於テ審議ト申シマスノハ、
此案ニ付テ色々手續ノ調査ヲセネバナラヌ
ノデアリマス、是ハ今ノ内閣デ方針ヲ決メ
ルノト違ヒマシテ、之ヲ施行スルニ當フテ
ハ色々ナ詳細ナル調査ヲ要シマスカラ、
主務省デ調査シテ居リマス、ソレガ未了デ
アル、斯ウ申シタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=59
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060・清瀬一郎
○濟瀨一郞君 簡單デアリマスカラ、一言
最後ニ申上ゲマス、私ハ此施行法ノ問題ヲ
今言及シテ居ルノデハナイ、私ノ第二ノ質
問ト云フモノハ、國民ガ獲得スベカリシ選
擧法ガ、獲得出來ナカッタト云フコトニ付
テ、如何ナル形ノ責任ヲ御執リニナルカト
云フ一點デアル、可カ、否カ、ソレヲ仰シヤ
ラナイデ、願ミテ他ヲ言ハレルノハ、私ハ
總理大臣ノ心境ヲ疑フ、此頰冠リ主義ト云
フコトハ、國民精神ニ非常ナル惡影響ヲ及
ボシマスル故ニ、侍ナラバ侍ノ通リニ俺ハ
腹ヲ切ル、腹ヲ切ラナイト云フ御返事ヲ承
リタイ、斯樣ニ思フノデアリマス
〔國務大臣子爵齋藤實君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=60
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061・齋藤實
○國務大臣(子爵齋藤實君) 公營案ト云フ
モノニ對シマシテ、案其モノハ私共ハ報〓
ヲ得マシテ無論認メテ居ルノデアリマス、
而シテ之ヲ如何ニ取扱"テ宜シイカト云フ
方法ガ付キマセヌケレバ、是ハ本當ノ運用
ガ行ケルト云フ譯ニハイカヌノデス、責任
論ハソレカラ後ノコトデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=61
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062・秋田清
○議長(秋田〓君) 大島寅吉君
〔大島寅吉君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=62
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063・大島寅吉
○大島寅吉君 本案ニ對シマシテハ、旣ニ
多數ノ諸君ニ依ッテ質疑ガ行ハレテ居ルノ
デアリマス、隨テ其多クヲ盡シテ居リマス
カラ、重複スル點ハ成ベク之ヲ避ケル積リ
デアリマスルガ、唯政府ノ御答辯ニ依リマ
シテモ諒解ノ出來ナイ點、或ハ審議スル上
ニ於キマシテ必要ナリト思フ點ヲ、二三簡
單ニ御伺致シタイト思フノデアリマス
第一ニ御伺致シマスルノハ、根本問題
此選擧法改正ニ對スル根本精神ニ付テ伺
ヒタイノデアリマス、現內閣ガ選擧法ノ
改正ヲ、重大使命ノ一ツトシテ擧ゲラレテ
アルコトハ私ノ申上ゲルマデモナイノデ
アリマス、而シテ之ニ對シマシテ、上程サ
レテ居ル所ノ改正案ノ內容ガ、最モ其骨子
トモ云フベキ比例代表、或ハ公營案ト云フ
ヤウナモノヲ除外シテカラニ、單ニ嚴罰主
義ニ依ッテヤルト云フコトハ昨日來多數ノ
諸君ニ依ッテ色々質疑サレテアリマスルカ
ラ、本員ハ其點ニ付テハ申上ゲマセヌ、唯
嚴罰ニ依ッテ犯罪ヲ防止スルト云フガ如キ
コトハ斷ジテ出來得ナイモノデアル、寧
ロ嚴罰ハ犯罪ヲ多クセシムル所以デアルト
本員ハ信ズルノデアリマス(拍手)併シ選擧
法ノ改正ニ伴フテ、關聯シテ吾々ガ考ヘナケ
レバナラヌコトハ選擧ノ根本精神ニ於キ
マシテ、所謂思想ヲ善導シ、選擧界ヲ淨化
スル上ニ於キマシテハ、一年ヤ二年ノ仕事
デハナイノデアリマス、勿論十年ヤ二十年
ノ後ヲ期シテ考ヘナケレバナラヌ、ソレニ
ハドウ云フコトガ要ルカト云フト、本員ノ
申ス迄モナク〓育ノ普及、或ハ思想ノ善導ト
云フヤウナコトニ依ッテ、之ヲ行フヨリ仕方
ガナイノデアリマス、然ルニ昨日來司法大
臣ノ御答辯中ニ、所管ハ違フガ公民〓育ノ
コトニ付テハ、只今〓究中デアルト云フコ
トヲ申サレテ居ルノデアリマス、此問題ニ
付キマシテハ多年ノ懸案デアリ、又爲政者
トシテ常ニ留意シナケレバナラヌ所デアリ
マスルカラ、御〓究ニナッテ居ルコトデハ
アリマセウガ、併ナガラ本員ハ寡聞ニ致シ
マシテ、未ダ現內閣ニ於テ此〓育方針ニ付
テ、如何ナルコトヲヤラウカト云フ御調査
御〓究ノアッタコトヲ聞カナイノデアリマ
ス(拍手)若シ文部省ナドニ於テ、此點ニ付
テ御調査御〓究ガアリマスナラバ、詳細ニ
ソレヲ承リタイノデアリマス、又現內閣ニ
於テ未ダ此點ニ付テ、本員ガ考ヘルガ如
キ調査〓究ガナイト致シマスルナラバ、
如何ニモ改正案ニ對シテ不徹底デアリ、
又〓育ノ方面ニ付テモ關心ヲ持タナイト云
フコトニ付キマシテハ、政府ハ果シテ本改
正ヲ以テ、施政方針ノ御演說ノ中ニアリマ
シタ如キ、眞面目ナル國民ノ胸底ニ湧起シ
ツヽアル政界ノ革新ノ要望ニ副ヒ、誠實ト
熱意トヲ盡サンコトヲ期スルノデアルト言
ハレテ居リマスガ、此趣旨ニ適ヒ得ルデア
リマセウカ、本員ハ頗ル政府ノ意ノアル所
ヲ疑ハザルヲ得ナイノデアリマス、今ヤ我
ガ國民ノ中ニ、眞面目ナル所ノ者ハ國家ノ
前途ヲ深ク憂ヘテ、如何ニセバ政界ガ革正
出來ルカ、如何ニスレバ思想ガ善導出來得
ルカ、斯樣ニ心配ヲ致シテ居ルノデアリマ
ス、又先程〓瀨君ヨリモ思想上ノ事ニ付テ
御話ガアリマシタガ、選擧界ノ腐敗ガ如何
ニ思想上ニ重大ナル惡影響ヲ及ボスカト云
フコトニ付テ、聊カ申上ゲテ見タイト思ヒ
マス
過日ノ豫算會議ニ於キマシテ、齋藤首相
ハ今日ノ惡思想ハ外來ノ思想デアル、依テ
之ヲ取締ルコトガ容易デナイト云フ意味ノ
事ヲ申サレテ居ッタノデアリマス、勿論今日
ノ惡思想ガ、日本固有ノモノデナイト云フ
コトハ、當然ノ事デアリマス、併ナガラ共
產主義ニ至リマシテハ「ソヴエート」露西亞
ハ、有ユル方法ヲ以テ世界各國ニ宣傳ヲ致
シテ居ルノデアリマス、併シ何レノ國ニ於
テモ、未ダ其成果ヲ擧ゲ得ナイノデアリマ
ス、獨リ我ガ日本ニノミ、掘レドモ〓〓盡キ
ナイ所ノ根ヲ張ッテ、而モ多數ノ〓育者ニ
マデ主義者ガ出ルト云フニ至ッテハ、其原
因ガ何レニアルニ致シマシテモ、我ガ國民
ノ中ニハ、斯樣ナ惡イ病氣ニ感染スルヤウ
ナ、惡イ素質ヲ持ッテ居ルノデハナカラウ
カト頗ル憂慮ニ堪ヘナイノデアリマス、
苟モ政治ニ志ス者ハ、斯ル病源ニ付テ之ヲ
〓究シ、是ガ對策ヲ講ジナケレバナラヌコ
トハ勿論デアリマス、勿論今日ノ思想問題
ハ、由ッテ來ル所ガ多岐多樣デアリマスル
カラ、之ヲ一言ヲ以テ言盡スト云フヤウナ
コトハ甚ダ困難デアリ、不可能ノ問題デハ
アリマス、併ナガラ斯ク我ガ日本ノ思想ガ
惡化シテ、共產黨ナドガ潛行的ニ手ヲ伸バ
シテ行クト云フコトハ、現代ノ我ガ日本ノ
狀況ヲ觀察致シマスルト、〓育ニ缺陷ノア
ルコトハ申ス迄モナイノデアリマスルガ、
一面ニ於テ餘リニ現代ノ日本ガ金力萬能ニ
偏シテ居ルノデアリマス、何事モ金ニ依ッテ
出來ザルハナイ、甚シキニ至ッテハ金力ヲ
以テ官權ヲモ左右スルノデアリマス、殊
選擧ナドニ直面致シマスルト云フト、政治
家ニ金ノ要ル所へ付込ンデ、財閥ハ政治家
ヲ動カシ、政治家ハ又官權ヲ左右致シマシ
テ、金力ト官權ノ力ニ依ッテ當選スル者ガ
多イノデアリマス、此金力ト官權ノ濫用ハ
政治ヲ毒スルノミナラズ、思想上ニ重大ナ
ル影響ヲ及ボス、隨テ今日ノ議會ノ多數ハ
國民ノ意思デナイト云フヤウナコトヲ申ス
者ガアルノデアル(「ノー〓〓」拍手)甚シキ
エ至ッテハ議會ヲ否認スル者マデモアルノ
デアリマス、又一方ニ於テハ、此時代思想
ニ反抗スル所ノ、不平不滿ヲ持ツ者ガ共產
黨ニ走ルノデアリマス、是ハ確ニ共產黨員
ハ是ノミデアルトハ本員申サナイガ、
是モ一ツノ原因デアル、如何ニ今日ノ狀態
ガ、惡化シテ居ルカト云フコトガ分ルノデ
アリマス、ソコデ政治家ガ政治ノ源ヲ〓
メ、選擧界ヲ淨化セントスルニハ、爲政者モ
政治家モ、最モ眞劔デナケレバナラヌノデア
リマス、元來識者ガ選擧法ノ改正ヲ、現內閣
ヲシテ之ヲ行ハシメヨウト云フ、其要望ス
ル所以ノモノハ、政黨內閣デアルト云フト、
一黨一派ノ利害ニ囚ハレテ公平ナル改正
ガ出來ナイ、故ニ現內閣ヲシテ之ヲ行ハシ
メヨウト云フノデアリマス、然ルニ恐ラク
又現內閣モ玆ニ見ル所ガ相一致致シマシタ
カラ、選擧法ノ改正ヲ、重大使命ノ一ツト
シテ數ヘ上ゲラレタモノト信ジマス、然ル
ニ本員ヲシテ三憚ナク言ハシムルナラバ、
敢テ政府ヲ彈効スルノデハアリマセヌケレ
ドモ、今日ノ如キ方法ヲ以テ、果シテ選擧
界ヲ淨化スルコトノ確信ガ御有リニナルデ
アラウカ、如何デアリマス、私ハ此點ニ付
テ伺ヒタイノデアリマス
第二ハ選擧公營ニ付テ承リタイノデアリ
マスルガ、此事ニ付キマシテモ、既ニ十分
ニ論議サレテアリマス、併シ私ハモウ少シ
ク進ンデ、此公營ト云フ事ニ付テ承ッテ見
タイ、新聞紙ノ報ズル所ニ依リマスルト云
フト、政黨員ノ中ニ-政黨出身ノ閣僚ノ
中ニ反對ガ多カッタト言フノデアリマス、斯
樣ナ其反對ノ理由ノ一二ヲ擧ゲテ見マスル
ト云フト、第一ニ斯樣ナ取締ノ方法ヲ以テ
ヤッテモ、益〓潛行運動ヲシテ盛ナラシムル
ダケデアル、從來トテモ選擧ニ金ノ要ッタ
ノハ、斯樣ナ意味デハナイ、多ク買收其他
ニ要ッタノデアルカラ、潛行運動ヲ助長セシ
メルコトニナル、是ガ第一ノヤウデアリマ
ス、又其次ニハ自治體ノ町村吏員ヲシテ、
選擧ニ干涉スルヤウナコトガアッテハ宜シ
クナイト云フヤウナ點デアリマス、其次ニ
ハ選擧ノ根本精神ニ反スル、立憲政治ヲ阻
害スル、選擧ノ公營ナドヽ云フヤウナコト
ハ、外國ニモ其例ガナイト云フヤウナコ
トヲ申サレテ居ルヤウデアリマス、私ハ之
ニ付テ聊カ私ノ考ヲ申上ゲテ見タイト思ヒ
マスルガ、第一益〓潜行運動ヲ助長スルト
云フヤウナ事ニ至ッテハ、驚クノ外ハナイ
ノデアリマス、潜行運動ノ如キハ、法律ノ
力ニ依ッテ之ヲ禁ズルコトハ出來マセヌ、
殆ド是ハ、恰モ犯罪ヲ法律デ以テ防止出來
ナイト同ジ事デアル、所謂濱ノ眞砂ハ盡ク
ルトモ世ニ盜人ノ種ハ盡キマジト云フガ
如ク、如何ニ法律ヲ嚴重ニシテモ、潜行運
動ヲ果シテ防止シ得ルヤ否ヤト云フコトハ
頗ル疑問デアルノデアリマス、吾々ガ公營
案ヲ主張スル所以ハ、選擧ヲ明ルクセント
スルノデアリマス(拍手)現行法ニ依リマス
ルト、如何ニ吾々ガ選擧ヲ公平ニヤッテ、サ
ウシテ吾々ガ公然タル演說トカ或ハ文書ニ
依ッテ運動ヲ致サント致シマシテモ、到底今
日ノ方法デハ、制限内ノ選擧費ヲ以テ爲シ
得ナイノデアリマス、今日ノ選擧費ノ制限
ノ如キハ、全ク空文ト云フモ當然デアラウ
ト思フノデアリマス、又町村吏員ヲシテ之
ニ關與サセルト云フガ如キハ、本員ノ多ク
ヲ申上ゲルマデモナイ、我ガ日本ノ自治體
ハ、外國ノ發達トハ異ニ致シテ居ルノデア
ル、寧ロ今日ノ如キ警察官ヤ或ハ地方官ガ、
政府ノ手先トナッテ働クヤウナ場合ニ於テ、
此橫暴ヲ阻害シ得ルト思ハヌノデアリマス、
又憲政ノ發達ヲ阻害スルト云フガ如キニ
至ッテハ、「アングロサクソン」ナドノ、所謂
自治體ガ先ニ發達ヲ致シテ、ソレカラ議會
政治ガ出來タヤウナモノト、我ガ日本ノ、
明治大帝ノ大御心ニ依ッテ、神武天皇御建
國ノ御精神ニ依リ附與セラレタル憲法政治ト
ハ、其發達ヲ異ニ致シマスルコトハ當然デ
アリマスルカラ、此場合ニ於テ法律ノ力ニ
依リ、立法者ガ之ヲ指導シ、又ハ監督スル
上ニ於テ、何等外國ノ例ナドヲ考ヘル必要
ハナイト思フノデアリマス(拍手)ソコデ審
議會ノ參考案トシテ答申致シマシタ所ノ公
營案ハ、完全ナルモノトハ申シマセヌ、併
ナガラ比較的良イ案デアルト信ズルノデア
リマス、勿論惡イモノハ之ヲ修正スルモ宜
シイ、併ナガラ假ニ一步ヲ讓リマシテ、現
行法ヨリ優レテ居ラヌト致シマシテモ、現
行法ヨリモ著シク弊害ヲ認メナイ以上
ハ、國民ノ心ヲ新ニシ、思想ヲ善導スル
上ニ於テ、新シイ方法ヲ採用スルコト
ガ效果アリト信ズルノデアリマス(拍
手)今日ノ如キ腐敗シタル選擧界ヲ淨
化スルニハ、公營案ノ如キ思ヒ切ッタ方法
ヲ採ルニ非ザレバ、外ニ良法ハナイノデア
リマス、然ルニ政府ハ一方ニ於テ公營案ヲ
除外スルニモ拘ラズ、一方ニ於テハ事務費
ヲ極度ニ制限シ、運動員ヲ減少致シマシテ、
サウシテ之ヲ取締ラウト云フガ如キハ、寧
ロ反對ニ潜リノ事務員ヲ作リ、潜リノ運動
員ヲ作ルコトニナリハシナイカト私ハ思フ
ノデアリマス、然バ政府ハ何故ニ公營案ヲ
採用サレナイノデアリマスルカ
第三ニハ選擧費ノ制限デアリマス、是一
先程小山君カラ四十錢ノモノヲ二十五錢ニ
スルト言ハレテ居リマスガ、御質問ノアッタ
通リ二十五錢ニ改正サレテアルノデアリマ
ス、政府ハ果シテ斯ル金高ヲ以テ選擧運動
ガ爲シ得ラレルト信ジテ御出デニナルデア
ラウカ如何カヲ伺ヒタイノデアリマス、如
何ニ現內閣諸公ガ選擧ニ對シテノ御體驗ガ
ナイト致シマシテモ、恐ラク私ハ此制限以内
デハ、運動ハ爲シ得ナイト信ズルノデアリ
マス、前總理大臣ノ犬養政友會總裁ハ、昨
年ノ選擧ノ後ニ於テ、御體驗ニ依リマシテ、
斯樣ニ選擧費ガ多ク要ッテハ困ル、是ハド
ウシテモ選擧法ヲ改正シナケレバナラヌ、
又比例代表ノ如キモノガ至極宜カラウト、
仰セラレタト云フコトデアリマスガ、斯樣
ナ選擧費ノ制限ヲ設ケルガ如キハ、何等ノ
意味ヲ爲サヌノデアリマス、殊ニ本員ノ承
リタイノハ、百十條ノ規定ノ但書デアリマ
ス、百十條ノ規定ノ但書ヲ、何故政府ハ削
除セラレナカッタカト云フコトデアリマス、
是ハ選擧費ヲ制限スル趣旨ニモ反シマス、
私ハ十三年ノ選擧法改正ノ當時或ル代議士
ニ承ッタ、今日デハ歿クナッテ居リマスガ、
或ル代議士ニ聞キマシタ、今後ハ選擧費ガ
超過ヲスレバ失格スルコトニナルカラ容易
デアリマセヌナト質問致シマシタ所ガ、其
代議士ノ言フノニハ、ナニアレハ何デモナ
ィ、アレハ時々遊說先カラ手紙ノ二三本モ
選擧事務長ニ宛テヽ出シテ置ケバソレデ宜
イノダ、是ガ所謂十分ニ選擧事務長ヲ監督
シタコトニナル、斯樣ニ申シタノデアリマ
ス、是ハ今日歿クナッテ居リマスルガ、當時
政友會所屬ノ代議士デアリマシタ、私ハ之
ヲ承リマシテ實ニ啞然ト致シタノデアル、
如何ニ立法者ガ不面目デアルカ、初カラ、
法律ヲ作ラヌ前カラ、旣ニ法律ヲ潛ルコト
ヲ考ヘテ居ル、斯樣ナコトデハ、ドウシテ
モ選擧界ヲ淨化スルト云フヤウナコトノ出
來ル筈ガナイノデアリマス、殊ニヤカマシ
ク論ジラレテ居リマスル百三十六條ノ但書
削除、卽チ連座規定ノコトデアリマスルガ、
此意味ト百十條ノ但書トハ、略、同一ノ趣
旨デアリマスカラ、百三十六條ノ但書ヲ無
クシマシタ上ニ於キマシテハ、選擧費ノ百
十條ノ但書モ亦同樣ニ之ヲ削除スルノガ趣
旨ニ適ヒハセヌカト本員ハ考ヘルノデアリ
マス
又第四ニハ、投票所ヲ增設致スト云フコ
トハ、是ハ洵ニ結構ナコトデアリマス、棄
權防止ニ對スル良イ方法デアリマスルガ、
同時ニ政府ハ之ニ對シマシテ、餘リ投票所ヨ
リ遠隔ノ地ニアル所ノ者ニ對シマシテハ、
相當ノ汽車賃或ハ車馬賃ト云フヤウナモノ
ヲ供シテ、サウシテ一面ニ於テハ投票棄權
ヲ防止スルト同時ニ、又犯罪ヲ犯サシメザ
ルヤウニスルコトガ、宜シイ方法デハナイ
カト思フノデアリマスルガ、政府ハ此點ニ
付テハ如何ナル御考ヲ御有チニナッテ居リ
マスルカ、以上ノ中ニ、第一ノ根本精神ニ
付テハ總理大臣ニ伺ヒタイ、後ハドナタデ
アッテモ宜シイ、政府委員ヨリ御辯明ヲ承リ
タイノデアリマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=63
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064・秋田清
○議長(秋田清君) 齋藤政府委員
〔政府委員齋藤隆夫君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=64
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065・齋藤隆夫
○政府委員(齋藤隆夫君) 成ベク簡單ニ御
答致シマス、選擧公營ヲ何故ニ採用シナ
カッタカ、昨日以來屢、此問題ガ現レテ參リ
マスカラシテ、實ハ私自身カラ選擧公營ヲ
採用スルコトガ出來ナカッタ事由ヲバ、相當
詳細ニ述べタイト思ッテ居タノデアリマス
ケレドモ、之ヲ述ベマスルト大分時間ガ掛
リマスカラシテ、詳シイコトハ委員會ニ讓
リマスガ、併シ法制審議會ニ於ケル選擧公
營ノコトニ付テ、大分誤解ガアリマスルカ
ラ、其點ハ此機會ニ於テ明ニシテ置キタイ
ト思ヒマス、法制審議會ニ於テ選擧法改正
ノ要項ヲ寒議スルニ當リマシテ、大體五ツ
ノ項目ヲ定メタノデアリマス、第一ハ投票
買收防止ニ關スル件、ドウシタナラバ投票
買收ヲ防止スルコトガ出來ルカ、第二ハ選
擧費用ノ減少ニ關スル件、第三ハ選擧干涉
防止ニ關スル件、第四ハ其他ノ制度改正ニ
關スル件、第五ハ比例代表ニ關スル件、此
五ツノ項目ヲバ定メマシテ、ソレニ基キマ
シテ逐次審議ヲ重ネテ行,タノデアリマス、
其中デ比例代表ノコトハ、是迄モ御話ノア
リマシタヤウニ、中々是ハ難カシイコトデ
アリマスカラシテ、暫ク後〓シニシマシ
テ、第一ヨリ第四ニ關スル事項ニ付テ、昨
年十一月二十一日ニ政府ニ答申シテ居リマ
ス、其答申ヲ見マスルト、第一、第三、第
四、之ニ付キマシテハ、相當具體的ノ答申
ガ出テ居リマスケレドモ、第二ノ選擧費用
減少ニ關スル件、此項目ニ付キマシテハ、
唯選擧運動ハ公營ヲ以テ原則トスルコト、
是ダケノコトデアリマシテ、其他ノコトニ
付テハ、何等具體的ノ案ハ無イノデアリマ
ス、故ニ答申ダケヲ見マスルト、一體此選
擧公營ト云フコトハドウ云フコトデアル
カ、之ヲ原則トスルコトハドウ云フコト
デアルカ、是ハサッパリ分ラヌノデアリマ
ス、唯法制審議會ニ主査委員會ト云フモノ
ガアリマシテ、法制審議會ノ委員ハ確カ六
十四名デアリマスガ、其中デ二十七名ノ委
員ガ主査委員ニ選バレマシテ、此主査委員
會ニ於テ、公營案ガ現ハレマシテ、相當ニ
贊成反對ノ意見ヲ鬪ハシタ末、極メテ少數
ノ差ヲ以テ其主査委員會ニ於テハ公營案ハ
通過シタノデアリマス、所ガ此主査委員會
ノ案ヲバ總會ニ提出致シマシタ所ガ、總會
ニ於キマシテハ、コンナ細々シイコトヲバ
總會ニ於テ論議スベキモノデナイ、斯ウ云
フコトヲ論議シテ居フタナラバ、何時マデ
經ッテモ總會ハ終リヲ〓ゲルコトハ出來ヌ
ニ依フテ、此案ノ內容ニ付テハ一切觸レナ
イ、卽チ主査委員會デ折角相當細カシク決
メマシタ所ノ公營案ノ內容ニ付テハ、總會
ニ於テハ一言半句觸レズシテ、唯其儘政府
ニ參考トシテ送ルト云フコトダケユナッタ
ノデアリマス、ソコデ政府ニ於キマシテハ、
改正案ヲ立案スルニ當リマシテ、參考トシ
テ送フタ文書デアリマスルケレドモ、主査委
員會ニ於テハ相當ノ審議ヲ盡サレタ問題デ
アリマスルカラシテ、此參考案ニ付テハ十
分ニ重キヲ置イテ之ヲ尊重シテ、出來得ル
ナラバ此公營案モ採用シタイト云フノデ、
各種ノ方面ニ基イテ非常ニ〓究シテ見タノ
デアリマス、其結果ドウナッタカト云フト、
若シ新ニ斯ノ如キ制度ヲバ設ケルト云フコ
トニナリマスルト、諸般ノ方面ニ於テ、言
フベカラザル所ノ差支ヲ生ズルノミナラ
ズ、選擧公營ノ大目的ハ、選擧費用ヲ減少
スルト云フコトデアリマスルケレドモ、此
案ニ依テハ選擧費用ハ決シテ減ラナイ、候
補者ノ負擔スル費用モ減ラナイノミナラ
ズ、候補者ノ負擔スル費用ノ外ニ、更ニ尠
クトモ政府ニ於テ四百万圓內外ノ金ヲ出サ
ナケレバナラヌ、一選擧每ニ四百万圓內外
ノ金ヲ政府デ出サナケレバナラヌ、而モ此
金ニ依テ選擧界廓〓ト云フ如キ立憲政治ノ
根本ニ關スル大目的ヲ達スルコトガ出來ル
ナラ宜シイガ、此金ノ使ヒ途ハドウ云フ所
ニ使フカト云フト、實ニ詰ラナイ所デア
リマス、無益ナコトニ向ッテ四百万圓ノ金
ヲ投ジナケレバナラヌ、故ニ主査委員會ニ
現ハレタ所ノ選擧公營案ニ依テハ、決シテ
選擧費用減少ノ目的ヲ達スルコトハ出來ナ
イノミナラズ、選擧ニ向ヲテ官吏、公吏、卽
チ地方長官市町村長、斯ウ云フモノヲバ干
與セシメル結果トシテ、動モスレバ是等ノ
官吏ノ處置ニ對シテ公平ヲ失シテ居ルト云
フ非難モ起リマセウシ、或ハ之ニ依テ直接
間接、表面裏面ニ選擧運動、選擧干涉ノ端
ヲ開キ、延テ自治體ノ基礎ヲ破壞スルコト
モアリ、ソレバカリデハナイ、選擧運動ハ
全ク機械化スル、惡ク言フナラバ選擧運動
モ全ク杓子定規ニシテシマッテ、選擧運動
ノ自由ヲ非常ニ拘束スル、其結果トシテ政
治上ノ意見ノ普及徹底等ヲ妨ゲル、表面ノ
政治運動ヲ拘束スル結果トシテ自然ニ裏面
運動ヲバ助長シテ、選擧廓〓ノ目的ヲ達ス
ルコトガ出來ナイ、ノミナラズ斯ウ云フコ
トヲヤッタラバ、益〓、選擧界ヲ腐敗サシテシ
マヨ、斯ウ云フ結論ニ吾々ハ到達シタノデ
アリマス、併ナガラ此詳細ニ付キマシテハ、
更ニ具體的ニ委員會ニ於テ陳述スル積デア
リマス、斯ウ云フ次第ニ依フテ、現在ニ置キ
マシテハ、選擧公營ハ此度ノ改正案ニ於テ
採用シナカッタノデアリマス、其外法文内
容ノ些末ノコトニ付キマシテハ、總テ委員
會ニ讓リマスガ、其主ナル所ノ質問ノ趣旨
デアリマスル選擧公營ヲ採用シナカッタ理
由ハ、大體以上ノ通リデアリマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=65
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066・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ニ對スル質疑ハ、此程
度ヲ以テ終局セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=66
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067・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=67
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068・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ニ對スル質疑ハ終局ト爲スニ
決シマシタ、日程第二、右議案ノ審査ヲ付
託スヘキ委員ノ選擧ヲ議題ニ供シマス
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=68
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069・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ議長指名三十六名ノ
委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=69
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070・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=70
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071・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、是ニテ日
程ハ議了致シマシタ、次會ノ日程ハ公報ヲ
以テ御通知致シマス、本日ハ是ニテ散會
午後五時散會
衆議院議事速記錄第十九號中正誤
頁段行誤正
三七〇二一「プランツウイ「プランヴイル
ルトシヤフト」トシヤフト」
三七一一一七「インカム·デ「インカム·デ
ンマチユア」ベンチユア」
衆議院議事速記錄第二十號中正誤
頁段行誤正
三九七三六接直關係直接關係発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02119330302&spkNum=71
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