1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和八年三月十一日(土曜日)
午後一時二十八分開議
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議事日程 第二十四號
昭和八年三月十一日
午後一時開議
第一 製絲業法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第三 南滿洲鐵道株式會社の株式引受に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第五 東京都制案(政府提出) 第一讀會
第六 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第七 農村負債整理組合法案(政府提出) 第一讀會
第八 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第九 兒童虐待防止法案(政府提出) 第一讀會
第十 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第十一 保險業法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十二 穀類搗精製粉取締法案(荒川五郎君外二名提出) 第一讀會
第十三 穀類搗精製粉取締法案(山本莊一郎君外二名提出) 第一讀會
第十四 中央卸賣市場法中改正法律案(上田孝吉君外二名提出) 第一讀會
第十五 輸出生絲販賣統制法案(胎中楠右衞門君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 日本蠶絲株式會社法案(胎中楠右衞門君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 國務院創設に關する決議案(野田文一郎君外四名提出)
第十八 決議案(教育の根本的改革に關する件)(富田幸次郎君外十七名提出)
第十九 決議案(思想惡化の對策に關する件)(櫻内幸雄君外十七名提出)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
南滿洲鐵道株式會社の株式引受に關する法律案
(以上三月九日提出)
東京都制案
農村負債整理組合法案
兒童虐待防止法案
(以上三月十日提出)
一議員より提出せられたる議案左の如し
中央卸賣市場法中改正法律案
提出者
上田孝吉君 深澤豐太郎君
野方次郎君
米穀搗精製粉取締法案
提出者
山本莊一郎君 平野桑四郎君
八田宗吉君
司法保護法案
提出者
小林かなえ君 志賀和多利君
牧野賤男君 小野寺章君
上野基三君
(以上三月九日提出)
寺院現境内地竝墓地無償下戻に關する法律案
提出者
安藤正純君 土井權大君
高見之通君 高橋熊次郎君
河上哲太君 田中善立君
宮川一貫君 楠基道君
(以上三月十日提出)
米籾貯藏奬勵に關する建議案
提出者 多木久米次郎君
棉花耕作奬勵に關する建議案
提出者 佐藤庄太郎君
民法親族編竝相續編中改正に關する建議案
提出者 守屋榮夫君
足利學校保全費國庫支辨に關する建議案
提出者
栗原彦三郎君 大竹貫一君
人造絹絲織物業者救濟に關する建議案
提出者 栗原彦三郎君
足利市に國營精練所設置に關する建議案
提出者 栗原彦三郎君
中等學校に於て支那語教授に關する建議案
提出者 鷲澤與四二君
朝鮮に裁判所構成法及辯護士法實施に關する建議案
提出者
一松定吉君 牧山耕藏君
作田高太郎君 眞鍋勝君
武富濟君 清瀬一郎君
手代木隆吉君 福田虎龜君
原夫次郎君 高橋義次君
中山福藏君 内藤正剛君
小野寺章君 廣瀬爲久君
梅村大君 森田政義君
立川平君 花城永渡君
宮澤裕君 須之内品吉君
青木雷三郎君 松木弘君
朝鮮に訴願法及行政裁判法實施に關する建議案
提出者
廣瀬爲久君 小野寺章君
梅村大君 森田政義君
立川平君 花城永渡君
宮澤裕君 須之内品吉君
青木雷三郎君 松木弘君
清瀬一郎君 福田虎龜君
牧山耕藏君 作田高太郎君
一松定吉君 眞鍋勝君
武富濟君 西脇晉君
手代木隆吉君 原夫次郎君
高橋義次君 内藤正剛君
中山福藏君
西宮驛に乘降場増設に關する建議案
提出者 蔭山貞吉君
神崎驛に乘降場増設に關する建議案
提出者 蔭山貞吉君
甲府下諏訪間縣道を國道に編入に關する建議案
提出者
竹内友治郎君 大崎清作君
川手甫雄君 有馬淺雄君
平野桑四郎君 百瀬渡君
内海志布志間鐵道速成竝宮崎迄延長に關する建議案
提出者
渡邊與七君 佐藤重遠君
平島敏夫君 田尻藤四郎君
水久保甚作君
帝國農會に對する國庫補助金増額に關する建議案
提出者
荒川五郎君 高田耘平君
鬼怒川魚族絶滅防止竝増殖助成に關する建議案
提出者
高田耘平君 岡田喜久治君
日光國立公園の地域に關する建議案
提出者
高田耘平君 岡田喜久治君
小中川農業水利事業速成に關する建議案
提出者
小高長三郎君 今井健彦君
醫療制度改善竝治療費の低減に關する建議案
提出者 岡本一巳君
新潟港を第一種重要港灣に指定に關する建議案
提出者
松木弘君 田邊熊一君
山本悌二郎君 武田徳三郎君
加藤知正君 鈴木義隆君
高橋金治郎君 出塚助衞君
渡邊幸太郎君 山田又司君
佐藤與一君 増田義一君
山田助作君 原吉郎君
宗教法制定促進に關する建議案
提出者
安藤正純君 土井權大君
高見之通君 高橋熊次郎君
河上哲太君 田中善立君
宮川一貫君 楠基道君
古美術品輸出取締竝國寶保存機關充實に關する建議案
提出者 川崎克君
木曾揖斐長良三川増補工事促進に關する建議案
提出者
佐竹直太郎君 加藤久米四郎君
楠基道君 濱田國松君
丹下茂十郎君 田中貞二君
氏名の表示に關する建議案
提出者
池田敬八君 増田義一君
山枡儀重君 土屋清三郎君
斯波貞吉君
公用文書等に用ゐる文字竝其の書方及數字に關する建議案
提出者
池田敬八君 増田義一君
山枡儀重君 土屋清三郎君
斯波貞吉君
霞ヶ浦航空隊所在地元町村に補助金交付に關する建議案
提出者
葉梨新五郎君 山崎猛君
堀江正三郎君
(以上三月九日提出)
那賀川改修工事促進に關する建議案
提出者 紅露昭君
四國に國立種馬所設置に關する建議案
提出者
伊藤皆次郎君 紅露昭君
森昇三郎君 宮脇長吉君
上原平太郎君 田村實君
兵役義務者及傷痍軍人待遇施設促進に關する建議案
提出者
上原平太郎君 宮脇長吉君
原口初太郎君
癈兵院法改正に關する建議案
提出者
伊坂秀五郎君 木下成太郎君
越前岬に燈臺建設に關する建議案
提出者
猪野毛利榮君 小高長三郎君
一瀬一二君
宗谷支廳管内酪農業及糠業奬勵に關する建議案
提出者
坂東幸太郎君 山本厚三君
手代木隆吉君 大島寅吉君
常磐石炭鐵道運賃低減に關する建議案
提出者
鈴木辰三郎君 山崎猛君
佐藤庄太郎君
常磐石炭鐵道運賃低減に關する建議案
提出者
中井川浩君 比佐昌平君
富山より東京大阪名古屋各地間及富山朝鮮滿洲間定期航空路開設に關する建議案
提出者 野村嘉六君
富山より東京大阪名古屋各地間及富山朝鮮滿洲間定期航空路開設に關する建議案
提出者
高見之通君 土倉宗明君
島田七郎右衞門君
屠畜税竝檢査手數料廢止に關する建議案
提出者
小林かなえ君 上野基三君
益谷秀次君
電氣計器檢定料金引下竝檢定事務移管に關する建議案
提出者 松尾四郎君
會社組合の會計檢査に關する建議案
提出者
森昇三郎君 山村豐次郎君
世耕弘一君
尋常小學校及中等學校に於て珠算教授に關する建議案
提出者 小林絹治君
八戸港開港に關する建議案
提出者 藤井達也君
池田川之江間國營自動車運輸開始に關する建議案
提出者
森昇三郎君 紅露昭君
伊藤皆次郎君 河上哲太君
生田和平君 須之内品吉君
舞鶴港修築促進竝擴張に關する建議案
提出者 水島彦一郎君
新舞鶴海岸驛驛舍建設に關する建議案
提出者 水島彦一郎君
警察官鐵道乘車賃割引復活に關する建議案
提出者 水島彦一郎君
京都府下四郡に國營自動車運輸に關する建議案
提出者 水島彦一郎君
肥料政策確立に關する建議案
提出者
松本忠雄君 小川郷太郎君
小山邦太郎君
(以上三月十日提出)
一議員より提出せられたる質問主意書左の如し
航空に關する再質問主意書
提出者 永田良吉君
郡市町村農會技術員俸給國庫補助に關する質問主意書
提出者 高田耘平君
(以上三月九日提出)
一去九日議長に於て選定したる委員左の如し
醫師法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)外一件委員
加藤鐐五郎君 犬養健君
野方次郎君 鈴木安孝君
渡邊幸太郎君 深澤豐太郎君
大口喜六君 久山知之君
山村豐次郎君 金城紀光君
佐々木平次郎君 坂本一角君
土屋清三郎君 木檜三四郎君
青木亮貫君 坂東幸太郎君
内ヶ崎作三郎君 福田虎龜君
簡易森林火災保險法案(小山邦太郎君外十七名提出)委員
清瀬規矩雄君 兼田秀雄君
杉本國太郎君 平野桑四郎君
金光庸夫君 小林かなえ君
小山邦太郎君 海野數馬君
栗原彦三郎君
營業收益税法中改正法律案(木暮武太夫君外二名提出)委員
大崎清作君 戸田虎雄君
高橋金治郎君 堀川美哉君
庄晋太郎君 竹下文隆君
西脇晉君 中井川浩君
中村繼男君
一去九日に於ける特別委員の異動左の如し
造幣局工場及其の附屬設備の新營費に關する法律案(政府提出)外二件委員
辭任 高見之通君 補闕 田中喜代松君
辭任 加藤鐐五郎君 補闕 小谷節夫君
辭任 矢野庄太郎君 補闕 中亥歳男君
少年教護法案(荒川五郎君外六十六名提出)委員
辭任 山枡儀重君 補闕 作田高太郎君
日本製鐵株式會社法案(政府提出)外一件委員
辭任 林路一君 補闕 綾部健太郎君
衆議院議員選擧法中改正法律案(政府提出)委員
辭任 清水徳太郎君 補闕 岡田喜久治君
一昨十日齋藤内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
拓務書記官 稻垣征夫
第六十四囘帝國議會拓務省所管事務政府委員被仰付
一昨十日委員長及理事互選の結果左の如し
醫師法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)外一件委員
委員長 加藤鐐五郎君
理事
鈴木安孝君 深澤豐太郎君
青木亮貫君 坂東幸太郎君
簡易森林火災保險法案(小山邦太郎君外十七名提出)委員
委員長 清瀬規矩雄君
理事
兼田秀雄君 海野數馬君
營業收益税法中改正法律案(木暮武太夫君外二名提出)委員
委員長 大崎清作君
理事
高橋金治郎君 中井川浩君
一昨十日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
造幣局工場及其の附屬設置の新營費に關する法律案(政府提出)外二件委員
理事 中亥歳男君(理事矢野庄太郎君昨九日委員辭任に付其の補闕)
一昨十日に於ける特別委員の異動左の如し
造幣局工場及其の附屬設備の新營費に關する法律案(政府提出)外二件委員
辭任 横山泰造君 補闕 丹下茂十郎君
辭任 倉元要一君 補闕 杉本國太郎君
少年教護法案(荒川五郎君外六十六名提出)委員
辭任 作田高太郎君 補闕 山枡儀重君
辭任 栗原彦三郎君 補闕 伊豆富人君
簡易森林火災保險法案(小山邦太郎君外十七名提出)委員
辭任 海野數馬君 補闕 手代木隆吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=0
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001・秋田清
○議長(秋田〓君) 諸君、是ヨリ會議ヲ開
キマス、只今政府ハ院內ニ於テ閣議開會中
ノ爲メ、出席差支ノ趣デアリマスルカラ、暫
時休憩致シマス
午後一時二十九分休憩
午後二時四十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=1
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002・秋田清
○議長(秋田〓君) 休憩前ニ引續キ會議ヲ
開キマス、日程第一、製絲業法中改正法律
案ノ第一讀會ヲ開キマス-農林大臣後藤
文夫君
第製絲業法中改正法律案(政府提
出)第一讀會
製絲業法中改正法律案
製絲業法中左ノ通改正ス
第一條第二項中「本法」ヲ「第二條乃至第
十一條及附則第二項ノ規定」ニ改メ同條
ニ左ノ一項ヲ加フ
玉絲ノ製造ヲ業トスル者ハ命令ヲ以テ
規定スル者ヲ除クノ外第十二條乃至第
二十七條ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ製
絲業者ト看做ス
第八條中第一號ヲ削リ第二號ヲ第一號ト
シ第三號ヲ第二號トシ第四號ヲ第三號ト
ス
第十二條製絲業者ハ其ノ製絲業ノ改良
發達ヲ圖ル爲共同ノ施設ヲ爲ス目的ヲ
以テ生絲共同施設組合ヲ設立スルコト
ヲ得
第十三條生絲共同施設組合ハ法人トス
第十四條生絲共同施設組合ハ組合員ノ
製造シタル生絲ニ加工シ又ハ加工セズ
シテ其ノ生絲ノ共同販賣ヲ行フ
生絲共同施設組合ハ前項ノ事業ノ外左
ノ事業ヲ行フコトヲ得
組合員ノ營業ニ必要ナル物ノ共同
購入、共同設備ノ設置及資金ノ貸付
二組合員ノ製造シタル生絲ノ檢査
三組合員ノ營業ニ關スル指導、〓究
及調査
四前各號ニ揭グルモノノ外組合ノ日
的ヲ達スルニ必要ナル施設
第十五條生絲共同施設組合ノ組織ハ無
限責任、有限責任及保證責任ノ三種ト
ス
無限責任ノ組合ニ在リテハ組合財產ヲ
以テ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハザル
場合ニ於テ組合員ノ全員ガ連帶無限ノ
責任ヲ負擔シ有限責任ノ組合ニ在リテ
ハ組合員ノ全員ガ其ノ出資額ヲ限度ト
シテ責任ヲ負擔シ保證責任ノ組合ニ在
リテハ組合財產ヲ以テ其ノ債務ヲ完濟
スルコト能ハザル場合ニ於テ組合員ノ
全員ガ其ノ出資額ノ外一定ノ金額(保
證金額)ヲ限度トシテ責任ヲ負擔ス
第十六條生絲共同施設組合ハ其ノ名稱
中ニ生絲共同施設組合ナル文字及組合
ノ組織ヲ示スベキ文字ヲ用フベシ
生絲共同施設組合ニ非ザルモノハ其ノ
名稱中ニ生絲共同施設組合ナル文字ヲ
用フルコトヲ得ズ
第十七條本法ニ依リ登記スベキ事項ハ
登記前ニ在リテハ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第十八條本法ニ依リ登記スベキ事項ハ
其ノ事實ノ生ジタル後二週間以內ニ之
ヲ登記スベシ
登記スベキ事項ニシテ行政官廳ノ認可
ヲ要スルモノハ其ノ認可書ノ到達シタ
ル時ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第十九條生絲共同施設組合ノ組合員タ
ル資格ノ制限ニ關シ必要ナル事項ハ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十條生絲共同施設組合ヲ設立セン
トスル者ハ定款ヲ作成シテ行政官廳ノ
認可ヲ受クベシ
第二十一條生絲共同施設組合ノ定款ニ
ハ左ノ事項ヲ記載シ各設立者之ニ署名
又ハ記名捺印スベシ
一目的
二名稱
三組織
四地區
五事務所ノ所在地
六出資一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法
七組合員ノ有スベキ出資口數ニ關ス
ル規定
八保證責任ノ組合ニ在リテハ保證金
額ニ關スル規定
九剩餘金處分及損失分擔ニ關スル規
定
十準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
十一組合員タル資格ニ關スル規定
十二組合員ノ加入及脫退ニ關スル規
定
十三事業及其ノ執行ニ關スル規定
十四役員ニ關スル規定
十五會計ニ關スル規定
十六組合ガ公〓ヲ爲ス方法
十七存立時期又ハ解散ノ事由ヲ定メ
タルトキハ其ノ時期又ハ事山
第二十二條生絲共同施設組合ハ出資ノ
第一囘ノ拂込アリタル後二週間以内ニ
各事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ
爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ
-前條第一號乃至第四號、第六號、
第八號、第十六號及第十七號ニ掲グ
ル事項
二事務所
三出資ノ總口數及拂込ミタル出資ノ
總額
四無限責任ノ組合ニ在リテハ各組合
員ノ氏名又ハ名稱及住所
五保證責任ノ組合ニ在リテハ各組合
員ノ氏名又ハ名稱、住所及保證金額
六設立認可ノ年月日
七理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭グル事項中ニ變更ヲ生ジタル
トキハ其ノ登記ヲ爲スベシ但シ前項第
三號ニ揭グル事項ニ付テハ每事業年度
末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後一月
以內ニ登記ヲ爲スコトヲ得
第二十三條生絲共同施設組合ニハ理事
及監事ヲ置クベシ
理事及監事ハ總會ニ於テ之ヲ選任ス但
シ組合設立當時ノ理事及監事ハ定款ヲ
以テ之ヲ定ムベシ
第二十四條組合員ハ總會ニ於テ各一個
ノ議決權ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ
依リ一人ニ付議決權總數ノ十分ノ三ヲ
超エザル範圍内ニ於テ出資口數ニ應ジ
二個以上ノ議決權ヲ有セシムルコトヲ
得
第二十五條生絲共同施設組合ハ定款ノ
定ムル所ニ依リ定款ニ遠反シタル組合
員ニ對シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十六條組合ノ事業又ハ組合財產ノ
狀況ニ依リ其ノ事業ノ繼續ヲ困難ナリ
ト認ムルトキ又ハ組合ノ行爲ガ法令、
定款若ハ行政官廳ノ命令ニ違反シ其ノ
他公益ヲ害スルノ虞アルトキハ行政官
廳ハ總會ノ決議ヲ取消シ、理事、監事
若ハ〓算人ヲ解任シ、組合ノ事業ヲ停
止シ又ハ組合ヲ解散スルコトヲ得
第二十七條民法第四十四條第一項、第
四十五條第二項第三項、第四十八條、
第五十條、第五十二條第二項、第五十
三條乃至第五十五條、第五十九條、第
六十一條第一項、第六十二條、第六十
四條、第六十六條、第七十條、第七十
三條、第七十四條、第七十八條乃至第
八十一條及第八十四條第一號、非訟事
件手續法第百十七條、第百十九條乃至
第百二十二條、第百三十八條、第百三十
八條ノ三、第百四十一條乃至第百五十
八條、第百六十五條、第百七十五條乃
至第百七十八條及第二百六條乃至第二
百八條竝ニ產業組合法第五條、第六條、
第十條、第十一條第一項、第十二條、第
十七條第一項、第十八條乃至第二十四
條、第二十六條乃至第三十一條ノ三、
第三十三條、第三十四條ノ二乃至第三
十七條、第三十九條乃至第四十六條、
第四十七條、第四十八條、第四十九條
乃至第五十八條、第六十條、第六十條
ノ二、第六十二條(第一項第四號ヲ除
ク)、第六十三條第一項、第六十三條ノ
二乃至第六十五條、第六十六條第一項、
第六十七條、第六十八條、第七十條乃
至第七十四條、第七十四條ノ二第一項、
第九十三條ノ二及第百四條ノ規定、ハ生
絲共同施設組合ニ之ヲ準用ス但シ民法
第四十五條第三項及第四十八條第一項
中一週間トアルハ二週間トシ同法第八
十四條中二百圓トアルハ三百圓トシ非
訟事件手續法第百二十條第二項中定款
トアルハ定款及出資ノ第一囘ノ拂込ア
リタルコトヲ證スル書面トシ產業組合
法中主務大臣、地方長官又ハ監督官廳
トアルハ行政官廳トシ同法第二十九條
ノ二第一號中各組合員ノ氏名、住所ト
アルハ各組合員ノ氏名又ハ名稱及住所
竝ニ其ノ製絲工場ノ名稱、所在地及繰
絲機ノ釜數トス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
登錄稅法第十九條第七號中「產業組合中
央會、」ノ下ニ「生絲共同施設組合、」ヲ、「產
業組合法、」ノ下ニ「製絲業法、」ヲ加フ
日本勸業銀行法第十五條第三項及第三十
二條第一項第三號、農工銀行法第七條ノ
五及第二十三條第三號竝ニ北海道拓殖銀
行法第八條第四項中「產業組合、」ノ下ニ
「生絲共同施設組合、」ヲ加フ
〔國務大臣後藤文夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=2
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003・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 製絲業法中改正
法律案提出ノ理山ヲ申述べマス、曩ニ制定
セラレマシタ製絲業法ニ於キマシテハ、製
絲業ハ之ヲ營ムノニ免許ヲ要スルコトヽ致
シマシテ、之ニ由ッテ從來ノ我ガ製絲業界
ノ缺陷デアリマシタ、不健全ナル小規模工
場ノ出現ヲ阻止致シマシテ、斯業界ヲ健實
ナラシムルニ資セント致シタノデアリマス、
併ナガラ一方現存ノ製絲工場ハ、總テ同法
ニ依ッテ存續ヲ認メラレテ居リマス、其多數
ノ現存小規模工場ニ付テハ、別ニ適當ナ改
善ノ方策ヲ講ズル必要ガアリマス、卽チ其
共同施設ヲ講ズルガ如キハ、共方策ノ一デ
アリマシテ、政府ニ於テモ現ニ是ガ奬勵ヲ
致シツヽアル次第デアリマスルガ、是ガ爲
ニハ右ノ目的ヲ達スルニ適當ナ組合ノ制度
ヲ設クルコトガ、必要ト存ゼラルヽノデア
リマス、本法律案ハ右ノ趣旨ニ依リマシテ、
新ニ製絲共同施設組合ノ制度ヲ設ケントス
ルモノデアリマシテ、之ニ依ッテ製絲業ノ改
善發達及統制ニ資セント致ス次第デアリマ
スル、何卒御審議ノ上御協贊アランコトヲ
希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=3
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004・秋田清
○議長(秋田濟君) 通〓順ニ依ッテ質疑ヲ
許シマス-加藤知正君
〔加藤知正君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=4
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005・加藤知正
○加藤知正君 只今上程ニナリマシタ製絲
業法案ニ付キ、關聯シマシテ二三ノ質問ヲ
致シタイト考ヘル次第デアリマス、先以テ
政府當局ニ御伺致シタイト思フコトハ、我
國ノ生絲ノ最大顧客デアリマス亞米利加ガ、
諸君御承知ノ如ク金融上ノ大恐慌ヲ起シテ
居ルノデアリマス、此米國ニ於ケル金融恐
慌ハ、世界各國ニ對シテ非常ナル衛動ヲ與
ヘ、殊ニ我國ニ對シテハ特ニ一大衝動ヲ與
ヘテ居ルノデアリマス、ソレハ何故デアリ
マセウカ、諸君、試ニ昨昭和七年度ニ於ケ
ル日米貿易ヲ見マスルト、不況ノ中ニモ米
國カラ我國ガ輸入政シマシタル金額ハ五億
九百万圓ニ達シ、我國カラ米國へ輸出致シ
マシタ金額ハ、四億四千五百万圓ニナッテ
居ルノデアリマス、斯ル巨額ノ貿易ハ、世
界各國多シト雖モ、他ニハ全ク一國モナイ
ノデアリマス、其米國ニ於テ、諸君御承知
ノヤウナ金融ノ大恐慌ヲ來シテ居ルノデア
リマスカラ、我國ニ對シテ一大衝動ヲ與ヘ
ルノハ、當然ノ事デアルト思フノデアリマ
ス、而シテ我國ヨリ輸出致シマシタ四億四
千五百万圓中ニハ、生絲ノ輸出額ガ殆ド其
大部分ヲ占メテ居ルノデアリマスカラ、若
シ米國ニ於ケル金融恐慌ノ結果、生絲消費
ノ減退トナリ、隨テ絲價ノ暴落ヲ來シ、繭
價ノ慘落ヲ來スヤウナコトガアリマシテハ
大變デアルト、我ガ內地ニ於ケル二百餘万
ノ蠶絲業者ガ、非常ニ心配ヲ致シテ居ルノ
ハ當然ノ事デアルト思フノデアリマス、諸
君、去ル昭和五年以來不況ニ重ヌルニ不況
ヲ以テシタノガ、昨年ノ夏秋蠶、就中晚秋
蠶ヨリ漸ク絲價ハ囘復シ、繭價ガ囘復致シ
マシタノデ、我ガ蠶絲業者ハ全ク蘇生ノ思
ヲ致シタノデアリマス、ソコデ本年ハ幾ラ
安クテモ絲價ハ八百圓以上ヲ維持シ、繭價
ハ五六圓位ハスルデアラウト云フ考デ、ソ
レヲ樂ミニ我ガ養蠶業者ハ、旣ニ蠶種ハ勿
論、桑園ノ用意カラ、肥料ノ用意マデ致シ
テ、手具脛引イテ養蠶期ノ到來ヲ、今ヤ遲
シト待構ヘテ居ッタ矢先ニ、此生絲ノ最大得
意デアル米國ニ於テ、疾風迅雷的ニ起ッタ金
融大恐慌ノ報道ニ接シテハ、如何ニ心配ス
ルナト言ハレマシテモ、心配セザルヲ得ヌ
ノデアリマス、尤モ此事ニ關シテハ、人ニ
依リ色ミト說ヲ爲ス者ガアリマシテ、決シ
テ心配スルニハ及バヌ、新大統領ハ就任
〓々銳意是ガ救濟策ヲ講ジ、兌換ノ停止、金
輸出ノ禁止、紙幣ノ增發等ヲ行フ他ノ一面
三、非常ナル節約ヲヤッテ失業者ノ救濟
ヲ爲ス等、著々トシテ是ガ恐慌ノ對策
ヲ講ジテ居ルカラ、此上好クナルトテモ
惡クハナルマイ、成程米國ガ金ノ輸
出ヲ禁止シタ結果、我國ノ爲替ハ多少上ル
カモ知レナイ、隨テ生絲貿易ノ上ニハ多少
ノ影響ハアルカモ知レヌガ、併シソレトテ
モ大シタ心配ハ要ラヌコトヽ思フ、若シ萬
一爲替ガ暴騰スルヤウナコトガアレバ、則
チ彼ノ爲替管理法ニ依フテ、程好ク之ヲ調節
スルカラシテ、何モ心配ハ要ラヌノデア
ル、其中ニ米國ニ於ケル所ノ「インフレー
ション」政策ノ效果ガ現ハレテ、米國內地
ノ景氣モ段々好クナルノニ違ヒハナイ、其
結果亞米利加ニ於ケル生絲ノ消費ハ增加ス
ルコトニナッテ、自然絲價ノ上ニ良イ影響ヲ
與ヘルコトニナルデアラウカラ、寧ロ左樣
ナ心配ハセヌ方ガ宜イト云フ者ガナイデモ
アリマセヌ、所ガ全ク之ト反對ノ意見ヲ有
スル者ハ、次ノヤウナコトヲ申スノデアリ
PV、成程左樣ニ聞ケバソレハサウカモ知
レヌ、ケレドモ其亞米利加ニ於ケル「イン
フレ」景氣ナルモノガ、果シテ半年後ニ來
ルノデアルカ、一年後ニ來ルノデアルカ、乃
至ハ二年三年ノ後ニ來ルノデアルカ、今日
ノ情勢ヲ以テシテハ、殆ドソレヲ測リ知ル
コトガ出來ナイノデアル、我國ニ於ケル實
蹟カラ之ヲ見テモ、直チニ左樣ナ景氣ガ來
ルモノトハ思ハレナイ、假ニ至極旨ク行っ
タトシタ所デ、半年後ニ來レバ先ヅ上等ト
セナケレバナラナイガ、其間ニハ我國デハ
春夏秋ノ養蠶ヲセナケレバナラナイ、繭ヲ
取ラナケレバナラナイ、而モ米國ノ景氣ガ
本當ニ囘復セヌ爲ニ、絲價ノ囘復ヲ見ルコ
ト能ハズシテ、其取ッタ所ノ繭ガ、或ハ二
圓トナリ、一圓トナリ、中ニハ賣手ガアッテ
モ買手ガナイト云フヤウナコトニナラヌト
モ限ラヌノデアル、デアルカラ斯樣ナ前途
暗澹タル場合ニ於テハ、決シテ一時的ノ氣
休メヲ言フテ居ルベキデハナイト申ス者ガ
アルノデアリマス、政府當局ハ之ニ對シ如
何樣ニ考ヘラルヽカハ存ジマセヌガ、樂觀
スルヨリモ寧ロ悲觀シテ、コヽ暫クハ惡ル
クナルトテモ良クハナラヌト判斷シテ、之
ニ備フル途ヲ講ズルト云フコトガ、政府當
局トシテハ當然過ギル程當然ノ責任デハア
リマスマイカ、之ニ付テハ政府當局ハ如何
樣ニ考ヘテ居ラレルカ、特ニ此點農林大臣
ノ御所見ヲ伺ヒタイノデアリマス、而シテ
是ハ獨リ私ノミデハアリマセヌ、全國二百
餘万ノ蠶絲業者ハ、皆之ヲ伺ヒタイト考へ
テ居ルノデアリマスカラ、冀クハ農林大臣
ハ其御考ヲ以テ、此點ニ對シ明快ナル御答
辯ヲ與ヘラレタイノデアリマス
尙ホ只今御提案ノ製絲業法中改正法律案
ニ付テ伺ヒタイ、本案ハ御承知ノ如ク、昨
年ノ第三次臨時議會ニ提案セラレタ製絲業
法ノ、不備ナ所ヲ改正シヨウト云フノデア
ルガ、アノ當時提案セラレタ法案ノ目的ト
スル所ハ、百五十釜以下ノ者ハ、十年後ニ
其營業權ヲ停止シテシマフト云フコトデ
アッタノデアリマス、併シ是ニハ幾多ノ反對
ガアリマシタノデ、假令百五十釜以下ノ製
絲家ト雖モ其旣得權ヲ認メテ、子々孫々ニ
之ヲ經營スルコトノ出來ルヤウニ、修正致
シタノデアリマス、然ル所此製絲業法ガ實
施セラレマシタ結果、百五十釜以下ノ製絲
業者ガ、親ノ代カラ子ノ代、孫ノ代ト、順
序好ク之ヲ繼續シテ營業スルコトガ出來レ
バ、何ノ心配ハナイノデアリマスガ、併シ
永イ間ニハ都合ニ依リ、他人ノ手ニ渡サナ
ケレバナラヌヤウナコトガ、出テ來ナイト
モ限ラナイノデアリマシテ、其場合ニハ當
然其既得ノ權利ハ消滅シテシマフノデアリ
マス、之ガ爲ニ本法施行前ニハ、何ノ懸念
モナク製絲家ニ對シテ資金ノ融通ヲ致シテ
吳レタ銀行家ガ、萬一ノコトヲ慮リ、資金ノ
融通ヲ躊躇スルヤウニナリ、中ニハ全ク資
金ノ融通ヲセヌト云フ銀行スラ、アルヤニ
聞クノデアリマス、ソコデ之ヲ此儘ニシテ
置ケバ、自然百五十釜以下ノ製絲家ハ、資金
關係カラ其營業ニ一大支障ヲ來シ、遂ニハ
之ガ爲ニ倒レナケレバナラヌコトニナル、
是ハ洵ニ中小製絲業者ノ爲ニハ重大ナル間
題デアルカラ、是非此製絲業法ヲ改正シテ、
斯樣ナ心配ノナイヤウニシテ貰ハネバナラ
ヌト申ス製絲家ガ、段々多クナルノデアリマ
スガ、農林大臣ハ此點ヲ如何樣ニ考ヘラル
ルノデアルカ、又此改正法律案ヲ作成セラ
ルヽニ當リマシテ、是等ノ點ニ考慮ヲ拂ハ
レタカドウカト云フコトヲ、此際御伺ヲ致
シタイノデアリマス
尙ホ此度玆ニ此製絲業法中改正法律案ヲ
出シ、共同施設ヲ奬勵セラルヽト云フコト
ハ吾々共ノ最モ希望スル所デアリマスル
カラ、此改正法律案ハ勿論大々的ニ歡迎ス
ルノデハアリマスルケレドモ、併ナガラ甲
乙丙丁トアリマシタ所ノ、此百五十釜以下
ノ各製絲工場中、都合ニ依リ甲乙丙丁ハ其
共同組合ノ中ニ加盟致シタガ、戊己ト云フ
ヤウナ者ガ、都合上之ニ加盟セナカッタ場
合ニ於テハ、是カ既得權其モノヲドウ云フ
風ニ政府當局ハ取扱フ積リデアルカト云フ
コトヲ御尋致シタイノデアリマス、若シ其
組合ニ加盟シナイ爲ニ、其旣得權ヲ無視ス
ルヤウナコトニナリマシタナラバ、ソレコ
ソ此組合奬勵ノ爲ニ、却テ中小製絲家ヲ壓
迫スルヤウナコトニ相成リハセナイカ、此
點ニ付テ懸念ヲ有ノテ居ル當業者モアルコ
トデアリマスカラ、此點ニ付キ農林大臣ノ
御答辯ヲ戴キタイノデゴザイマス、尙ホ色
色質問致シタイコトガアリマスケレドモ、
詳細ノコトハ委員會ニ讓リマシテ、私ノ質
問ハ此程度ニ止メテ置ク次第デアリマス
(拍手)
〔國務大臣後藤文夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=5
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006・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 只今ノ加藤君ノ
御尋ニ御答ヲ致シマス、米國ノ經濟恐慌ガ
我國ニ多大ナル影響ヲ生ズル、殊ニ亞米利
加へ輸出スル品物ノ大宗デアル生絲ニ影響
ヲ及ボシ、隨テ養蠶業者ニモ影響ヲ及ボ
ス、洵ニ心配ナコトデアル、是ハ私モ御同
感デアリマス、其憂ヲ深ク致シテ居リマ
ス、併ナガラ亞米利加ノ經濟界ノ恐慌ヲ救
濟スル各種ノ千段ガ、行ハレヤウト致シテ
居リマス、其結果ガ如何ニ成リ行キマスル
カ、相當ナ效果ハ擧ルデアラウト思ヒマス
ルケレドモ、今日未ダ確的ニ將來ヲ豫測シ
兼ネル有樣デアリマス、此際ニ於テハ我國
ノ蠶絲業界ニ於キマシテモ、自ラ求メテ不
利益ナ狀況ヲ呈スルヤウナコトノナイヤウ
ニ深イ考慮ヲ拂ヒ、愼重ナル態度ヲ執ラナ
ケレバナラヌト思フノデアリマス、併ナガ
ラ將來ノ繭價等ヲ考ヘマシテ、決シテ今日
樂觀ヲ致ス譯ニハ參リマセヌ、吾々トシテ
モ之ニ付テハ色々ト考慮ヲ廻ラシテ參フテ
居リマス、差當リ乾繭ノ保管ヲ奬勵スルト
云フヤウナコトニ付テモ、相當ナ施設ヲ致
シタイト云フ考デ參ッテ居ル譯デアリマス
ソレカラ製絲業法ガ、小サイ製絲工場ヲ
持フテ居ル人達ニ、金融上ノ不便ヲ與ヘタト云
フヤウナ、今御話ガゴザイマシタガ、製絲
業法ノ結果左樣ニナルト云フコトハ、何カ
ノ是ハ誤解デハナイカト思ヒマス、若シサ
ウ云フ事情デアリトシマスレバ-只今ノ
製絲業法ハ、小サイ製絲工場ニ付テモ、旣
存ノモノハ御話ノ通リ其儘認メルコトニ相
成ッタノデアリマス、ソレデ旣存ノモノガ
又將來ドウカサレルノデハナイカト云フ懸
念ハ、只今ノ所ゴザイマセヌ、唯小サイ製絲
工場ガ、金融上ノ不便ヲ從來モ感ジテ居リ
マシタシ、昨今ノ事情デハ、殊ニ感ジテ居ル
ノデアラウト思ヒマス、ソレガ爲ニモ、小
サイ工場ノ共同的ナ施設ニ依ル組合ガ出來
マスコトガ、便利デアラウト思ヒマス、是
ハ獨リ金融ダケノ問題デハアリマセヌ、小
規模工場ノ不利益ヲ除クニモ必要デアリマ
ス、加藤君モ御贊成下サイマシタヤウニ、
之ニ依ッテ今ノヤウナ不便モ段々防ゲルヤ
ウニナルノデハナイカト考ヘテ居ル次第デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=6
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007・秋田清
○議長(秋田〓君) 百瀨渡君
〔百瀨渡君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=7
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008・百瀬渡
○百瀨渡君 本員ハ製絲業法中改正法律案
ノ上程ニ相成リマシタル此場合ニ於キマシ
テ、其骨子トモ申スベキ中小製絲家ノ事業
經營ニ關シ、當局ニ對シテ一二ノ質疑ヲ試
ミ、以テ本案審議ノ資ニ供セントスル者デ
アリマス
只今政友會ノ加藤君ヨリモ御話ノアリマ
シタルガ如ク、國際貿易ノ大宗タル我國ノ
製絲業ノ、唯一ノ需要地タル米國ノ經濟恐
慌ノ結果、我國ノ蠶絲業界ニ一大衝動ヲ與
ヘ、而モ一般斯業關係者ニ一大不安ト、
大脅威ヲ與フルノ結果ヲ招來スベキコトハ、
洵ニ爭ハレヌ事實デアルト信ズルノデアリ
マス、卽チ製絲業ノ取引ガ、去ル六日以來
其立會ヲ停止致シマシテ、而モ再開ノ直後
ニ生絲ノ大暴落ヲ生ジタルガ如キハ、絲業
界ノ前途ニ深刻ナル不安ヲ與ヘルモノデア
リマシテ、多量ノ原料ヲ有シマスル所ノ大
製絲家ハ別ト致シマシテ、原料薄ノ資金難
ニ惱ミツヽアリマスル所ノ中小製絲家ハ、
遂ニ休業シ若クハ閉業ノ已ムナキ狀態ニ陷
ルノデアリマシテ、昨今悲痛ナル所ノ叫ヲ
擧ゲマシテ、操絲休止ヲ爲シ、若クハ全ク
閉業ヲ斷行スル者ガ續出スルノ形勢ニアル
コトノ、情報ニ接シテ居ルト同時ニ、全國
ニ於ケル一般養蠶家ハ、今ヤ春蠶ノ掃立ヲ
目睫ノ間ニ控ヘテ居リマシテ、洵ニ是等ノ
悲觀的惡材料ノ爲ニ、極メテ深刻ナル不安
ト脅威ニ襲ハレツヽアルノデアリマス、養
蠶ノ掃立ノ準備ニ對スル何等ノ覺悟モ、未
ダ定ッテ居ラナイヤウナ狀態デアリマシテ、
是等ノ前途洵ニ寒心ニ堪ヘザルモノガアル
ノデアリマス(拍手)何ト申シマシテモ、中
小製絲家ハ昨今洵ニ氣息奄々タル狀態ト申
シテモ、差支ナイノデアリマス、之ニ對シ
テ政府當局ニ向ッテ、起死囘生ノ途ヲ講ゼ
ヨトマデハ要望セナイマデモ、斯ノ如キ大
勢ヲ旣倒ニ挽囘スルコトニ努メ、一面ニハ
中小製絲家ノ目下惱ミツヽアリマスル所ノ、
資金ノ困惑狀態ヨリ救濟スルノ途ヲ講ズル
ト共ニ、一般養蠶家ヲシテ自暴自棄ニ陷ラ
シメザルヤウ、是ガ指導精神ヲ確立スルニ
力ムルノ必要ガアルト信ズルノデアリマス
(拍手)其一例ヲ申上ゲマスルナラバ、養蠶
家ニ對シテハ、只今農林大臣ノ御答辯ニナ
リマシタガ如ク、乾繭助成ノ方法ヲ復活致
シマシテ、萬一ノ場合ニモ安心シテ業ニ從
事セシムル途ヲ講ズルト共ニ、又中小製絲
業者ニ對シテハ、原料購入上ノ資金難ヲ緩
和スルノ途ヲ講ズルコトハ、刻下非常時ニ
處スル所ノ、政府當然ノ責務ト私ハ信ズル
モノデアルノデアリマス(拍手)以上ニ對シ
マシテ、政府當局ハ之ニ適應スベキ覺悟ト
準備トガナクテハナラナイト信ズルノデア
リマシテ、目下執リツヽアル方策ガ、ドノ
程度ニマデ進メラレツヽアルノデアリマス
ルカ、之ヲ承知シタイノデアリマス、而シ
テ財源關係ヲ有スルモノハ、ドノ程度ニマ
デ大藏當局ニ其折衝ヲ爲サレ、若クハ爲サ
レツヽアルカ、ソレヲ伺ヒタイノデアリマ
ス、而シテ併セテ此場合ニ於キマシテ、蠶
絲業ノ更生ニ對スル所ノ、當局ノ先刻ノ御
答辯ヨリ今少シク進ンダル所ノ、具體的ノ
對策ヲ御答辯ニ相成ルコトヲ私ハ要望致シ
テ、此質問ヲ打切ル積リデアリマス(拍手)
而シテ更ニ此共同施設ニ對シマシテ規定サ
レテアリマスル所ノ各條項ニ付キマシテモ、
本員ハ甚ダ疑ヲ存シテ居ルノデアリマスル
ガ、之ニ付キマシテハ、何レ適當ノ機會ニ
於キマシテ、政府ニ其所信ヲ質スコトヲ申
上ゲマシテ、私ハ以上ヲ以チマシテ質問ト
致ス次第デアリマス(拍手)
〔國務大臣後藤文夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=8
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009・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 製絲業法ノ改正
ニ依ッテ、小規模製絲工場ノ共同施設ヲ奬勵
シ、是ノ活動ニ便ヲ與ヘヤウト云フ事柄ハ、
軈テハ今百瀨君ノ御尋ノ、中小製絲工場ノ
困厄ヲ救フ一助ト相成ルコトヽ考ヘテ居ル
ノデアリマス、又製絲家ガ繭ノ仕入等ニ當ッ
テ資金ヲ要スル、此資金ノコトニ付キマシ
テハ、昨年モ當局ニ於テ相當心配ヲシ、府
縣ノ力ヲ合セテ資金ノ融通ノ便ヲ圖フタノ
デアリマス、是等ノ施設ハ今年モ出來ルダ
ケ實行ヲ致シテ見タイト、折角考究中デアリ
やっ、ソレカラ更ニ財政ノ關係ヲ有スル施
設ト云フ御尋ハ乾繭保管助成ノ經費ノ追
加豫算ノ問題ヲ御聽キニナッタコトヽ思ヒ
マス、是ハ先程私ノ加藤君ニ御答シタ事柄
デ御承知ヲ願ヒタイノデアリマス、政府部
內ノ交涉ノ經緯ヲ、餘リ詳シク申スコトハ
避ケタイト思ヒマス、此施設ヲ致シタイ、
斯ウ云フ見込デ努力致シテ居ル譯デアリマ
ス、ソレカラ一般ノ蠶絲業ノ將來及是ガ統
制ノ方策ト云フコトニ付キマシテハ、是迄
モ色々〓究サレテ居ルモノガアマリス、議
會ニ於テモ色々問題トナッテ居リマス、是等
ノ點ニ付テハ、政府モ銳意調査モ致シテ居
リマスシ、又適切ナル方途ヲ將來ニ於テ色
色講ジタイト云フ考ヲ、有ヲテ居ル譯デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=9
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010・秋田清
○議長(秋田清君) 百瀨君ハ御濟ミデス
カ-百瀨渡君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=10
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011・百瀬渡
○百瀨渡君 只今ノ政府當局ノ御答辯デハ、
本員ハ滿足スル者デハアリマセヌガ、更一
ヨリ以上ノ質疑ハ委員會ニ讓リマシテ、是
デ打切リニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=11
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012・秋田清
○議長(秋田清君) 戶田由美君
〔戶田由美君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=12
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013・戸田由美
○戸田由美君 我國ノ養蠶製絲業ハ、米國
ノ經濟界ノ混亂ヲ控ヘマシテ、一層非常ナ
ル難局ニ陷ヲタト云フコトニ付キマシテハ、
旣ニ加藤、百瀨兩君ヨリ御話ノアフタ次第
デアリマシテ、今更繰返シテ申上ゲルマデ
モアリマセヌ、之ニ付キマシテ、加藤君ガ
日夜我國ノ製絲養蠶業ニ關シマシテ、立法
府ニ參加セラレル立場ノ最善ヲ盡シテ、國
家國民ノ爲ニ御盡瘁ニナッテ居ラレルコトニ
對シマシテモ、亦我縣ノ先輩ノ百瀨議員ガ、
非常ナル憂フベキ御病體ヲ押シテ、此壇
上ニ於テ我國ノ養蠶製絲業ノ爲ニ斃レルト
雖モ、尙且ツ辭セザルノ熱烈ナル御精神ヲ
以テ、只今ノ質問ヲ爲サレルト云フヤウナ
コトニ對シマシテハ、吾々ハ洵ニ感激ニ打
タレル次第デアリマス(拍手)コト程左樣ニ
我國ノ製絲養蠶業ハ、洵ニ國家ノ重大事デ
アリマシテ、之ニ鑑ミマシテ後藤農林大臣
ガ、此時局ニ最モ適切ナル所ノ製絲業法ノ
改正案ラ御提出ニナリマシタコトモ、亦私
ハ多ト致ス次第デアリマス、私ハ此法案ニ
付キマシテ、極メテ簡單ニ二三ノ要點ニ付
テ、農林大臣ノ御答辯ヲ願ヒタイト存ズル
ノデアリマス
先ヅ第一ニ加藤君及百瀨君ヨリ質問ノア
リマシタ、本法ノ精神デアリマスル中小
製絲業ノ發達向上ヲ期スルト云フ、此目的
ニ對シマシテハ、ドウシテモ此經營ニ對シ
マシテ、十分ナル資金ノ後援ガナイ限リ
ハ、徒ニ中小製絲業ヲ共同經營セシメ、
合同合併セシメマシテモ、恰モ嘗テ當局
ガ爲サレマシタ中小銀行ヲ强制的ニ併合セ
ラレマシタ結果ガ、軈テ我國ノ金融界、銀
行業界ニ大破綻ヲ起サシメタト云フヤウナ
結論ヲ得ルヤモ測ラレヌ、私ハ資金ノ後援
ナキ單ナル中小製絲家ノ共同經營ハ、或ハ
其慘害ヲ一層重大ナラシムルト云フコトヲ
恐レマスガ故ニ、只今ノ農林大臣ノ御說明
ハ、洵ニ不徹底デアリマスルガ故ニ、是以上
更ニ責任ノアル共同施設ヲ厲行セシムル等
ニ付キマシテハ、政府ハ必ズヤ必要ナル資
金ヲ融通提供セシムルノ意思アリト云フ所
ノ、御答辯ヲ願ヒタイノデアリマスルガ、
之ニ關スル農林大臣ノ御考ハ如何デアリマ
ス、更ニ私ハ之ヲ御伺致シタイノデアリマ
ス(拍手)
次ニ中小製絲業者ガ今日非常ナル難關ニ
陷リマシテ、動モスレバ其營業ヲ持續スル
コトガ出來得ナイト云フヤウナ狀態ニ在リ
マス結果、是ガ我國ニ如何ナル影響ヲ及ボ
スカト云フコトハ、私ガ諄ク申ス必要モア
リマセヌガ、一面ニ於テハ輸出生絲ノ品質
ヲ粗惡ナラシメ、或ハ品種ノ不統一ナル內
面ニ於キマシテハ、非常ナル勞働社會上ノ
問題ヲ起スト云フコトハ、言フマデモナイ
次第デアリマス、中小商工業者ノ發達、基
礎ノ安定ヲ圖ルト云フコトハ、最モ我國ノ
製絲業界ニ於テ必要ナルコトヽ云フコトハ
明デアリマス、之ニ關聯シテ私ハ農林大臣
ニ御意見ヲ承リタイガ、經營上、資金上ノ
事柄ハ偖措キマシテ、今日ノ我國ノ經濟界
各方面ノ非常ナル打擊時期ニ於キマシテ、
現在ノ工場法ノ適用ヲ餘リニ規則的ニ御厲
行爲サルト云フコトハ、軈テ是等ノ中小製
絲家ノ經營ヲ益、困難ナラシメマシテ、勞
働者ヲ保護スル目的ノエ場法厲行ガ、軈テ
中小製絲家ノ破綻トナリマシテ、之ニ從業
スル勞働者モ亦禍ヲ受ケルト云フヤウナ結
果ニナリマシテ、過ギタルハ及バザルノ歸
結ヲ見ルコトヲ私ハ考ヘマシテ、此際ニ工
場法ノ属行ニ對シマシテ、當局ハ如何ナル
御考ヲ爲サルヽカ、又今後多少ノ緩和ヲ爲
サル御意思ハナイカト云フコトヲ、承リタ
イノデアリマス
更ニ又モウ一ツノ點ハ、法ハ死物デアリ
マく、如何ニ立派ナ法令ヲ制定セラレマシ
テモ、之ヲ施行致シマスル實際ニ於テ、其
法ノ精神ヲ死物ニ致ス場合ニ於キマシテハ
折角ノ法律モ何ニモナラヌト云フコトガ、
生ズルノデアリマス、昨年ノ臨時議會ニ於
キマシテ、加藤君及百瀨君ヨリ申上ゲマシ
タ如ク、百五十釜以下ノ小製絲家ノ設立ニ
對シマシテ免許制度ヲ採リ、其從來ノ經營
者ニ對スル既得權ヲ尊重致スノ修正ガ行ハ
レタノデアリマス、此精神カラ申シマスレ
バ最近ノ奧州方面ノ震災海嘯等ニ因リマ
シテ、假ニ百五十釜以下ノ中小製絲家ノ工
場ガ滅失シタ場合、或ハ火災ニ因フテ滅失シ
タヤウナ場合ニ於キマシテ、新タニ其工場
ヲ再建致サントスル際ニ、施行細則ニ依リ
マスレバ、政府當局ハ其資金關係、自分ノ
資力ノ如何ニ依リマシテハ、旣得權サヘモ
之ヲ認メナイトスルヤウナ虞ノアル法律ヲ、
定メテ居ラレルト云フヤウナ弊害ガ生ズル
ノデアリマス、本法ヲ本當ニ致ス上ニ於キ
マシテハ、此法ノ施行ニ當リマスル其施行
細則、其外ノ實行細則ヲ同時ニ御提出ニ
ナラヌ限リハ、私共ハ此法律ヲ絕對ニ
信ズルコトガ出來得ナイト云フコトヲ
恐レルノデアリマス、此法律ノ施行ニ當
リマシテ、ソレ等ノ點ニ對シマシテ、
農林大臣ハ如何ナル御考ヲ有ッテ居ラルヽ
カ承リタイ
最後ニ唯一ツ吏ニ御伺致シタイノハ、洵
ニ我國ノ製絲養蠶ガ總テノ方面ニ於テ、貿
易上或ハ勞働問題、社會問題、有ユル方面
ニ於テ、重大ナル事柄デアルコトハ申スマ
デモナイ、而モ數年間我國ノ業界ハ非常ナ
ル打擊ヲ受ケ、殊ニ昨年ノ如キハ養蠶製絲
ノ不振ノ爲ニ、私共ノ長野縣ニ於キマシテ
ハ、各方面ニ非常ナル事態ガ生ジマシテ、
私ハ嘗テ天下ノ動亂ハ我ガ長野縣ヨリ始マ
ルト云フコトヲ、政府當局ニモ、政治上ノ
先輩ニモ警告ヲ致シタコトガアッタノデア
リマス、不幸ニシテ今日是ガ實現セントス
ルヤウナ狀態ニナッタ其源ハ、養蠶製絲ノ不
振ニアルノデアリマス、此重大ナル問題ガ
分リ切ッテ居ルノニ拘ラズ、會期ガ將ニ盡キ
ントスル今日、此法案ヲ御提出ニナリマシ
テ、衆議院ヲ通過シ、是ガ貴族院ニ送付サ
レマシタ場合ニ、果シテ今期議會中ニ本法
律案ガ通過スルカドウカト云フコトサヘ
モ、吾々ハ疑フノデアリマス、若シ通過シ
ナイト云フヤウナ場合ガアリマシタナラバ、
中小製絲家ノ非常ナル破壞、混亂ガ來ルコ
トハ明デアリマス、之ニ對シマシテ農林大
臣ハ、必ズ今期議會中ニ是ガ成案ヲ見ルト
云フコトニ付テ、如何ナル所信ヲ有ッテ、如
何ナル努力ヲ爲サルカト云フコトヲ最後ニ
承リマシテ、私ノ質問ヲ打切リマス(拍手)
〔國務大臣後藤文夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=13
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014・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 此法律ガ今日ノ
場合、中小ノ製絲工場ニ對シテ、相當ナ力
ヲ附與スル便宜ヲ供給スルモノデアルト
思ッテ居リマス、現在ニモ段々此共同施設
ヲヤラウトシテ居ル者ガアリマシテ、政府
ニ於テモ是ガ助成ヲ今致シテ居ルノデアリ
やく、一層斯ウ云フ確カリシタ組合法人ガ
出來マスレバ、其點ガ餘程能ク秩序ガ立ッテ
參ルト思ヒマス、隨テ資金ヲ得ル便宜モ得
易クナルト云フ點ニ於テ、中小製絲工場ノ
資金難ノ緩和ニ役立ツコトヽ考ヘテ居ルノ
デアリマス
ソレカラ工場法ノ施行ヲ緩和スルコトニ
付テ、何カ考ハナイカト云フ御話デアリマ
ス、工場法ノ施行ト實際ノ工業ノ實情ト云
フモノトヲ、能ク調和サシテ行クト云フコ
トハ、是非必要ナコトデアルト思ヒマス、
併ナガラ工場法ガ制定サレテ居リマスル以
上ハ、此法規ノ範圍內ニ於テ實施サレル外
ハナイモノト思ヒマス、若シ今日ノ工場法
ガ、我國ノ現狀ニ適切デナイ點ガアリマス
しや、是ハ相當ナ改正ヲモ將來考ヘナケレ
バナラヌコトデアラウト考ヘマス、御話ノ
ヤウナ點ニ付テハ、能ク又攻究ヲ致シタイ
ト存ジマス
ソレカラ震災デアルトカ、火災デアル
トカ云フコトデ、小製絲工場ガ滅失シタ
ヤウナ場合ニ、是ハモウ既得權ハ存續セ
ヌト云フヤウナコトニナルノデハナイカト
云フ御話デアリマシタガ、是ハ旣得權ヲ存
續サセルト云フ方針デ取扱ヲ致シテ居リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=14
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015・戸田由美
○戸田由美君 モウ一ツ最後ニ申上ゲマス
ガ、此改正案ハ今期議會中ニ、ドウシテモ
通過ヲサセナケレバナラヌ、ソレニ對スル
御見込ハアルカドウカト云フコトヲ、御答
辯ナリタイノデアリマス
〔國務大臣後藤文夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=15
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016・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 此法律案ガ衆議
院ニ於キマシテ、順序好ク御進行ガ願ヘマ
スルナラバ、貴族院ノ方デ通過ヲスル餘日
ハ十分ニアルト考ヘテ居リマス、ソレカラ
尙ホ先刻加藤君ノ御尋ニ、一ツノ御答ヘ漏
シマシタコトヲ追加致シタイト思ヒマス、
此組合ハ强制組合デアリマセヌ、隨テ甲乙
丙ト云フ者ガ組合ヲ作ル場合ニ、丁ト云フ
者ガ入ラナイカラト云,テ、之ヲドウスル、
非常ナ不利益ナ地位ニ之ヲ故ラニ陷レシメ
ルヤウナ處置ヲスル、サウ云フ考ハ少シモ
ゴザイマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=16
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017・秋田清
○議長(秋田〓君) 質疑ハ終局致シマシ
タ、日程第二、右議案ノ審査ヲ付託スヘキ
委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=17
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018・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ胎中楠右衞門君外二
名提出、輸出生絲販賣統制法案外一件ノ委
員ニ、併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=18
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019・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=19
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020・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
三、南滿洲鐵道株式會社ノ株式引受ニ關ス
ル法律案ノ第一讀會ヲ開キマス-拓務大
臣永井柳太郞君
第三南滿洲鐵道株式會社ノ株式引受
ニ關スル法律案(政府提出)第一讀會
南滿洲鐵道株式會社ノ株式引受ニ關ス
ル法律案
第一條政府ハ現ニ所有スル南滿洲鐵道
株式會社ノ株式ノ外更ニ共ノ株式額面
一億八千萬圓ヲ引受クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル株式引受ハ株式申込
證ヲ以テスルコトヲ要セズ
第二條前條第一項ノ規定ニ依リ株式ヲ
引受ケタルトキハ政府ハ其ノ引受ノ日
ニ於テ南滿洲鐵道株式會社ノ發行ニ係
ル英貨社債額面四百萬磅ノ元利支拂義
務ヲ承繼ス此ノ場合ニ於テハ大正九年
法律第三十四號ニ依リ政府ノ引受ケタ
ル株式ニ付株金二百八十四萬四千圓、
前條第一項ノ規定ニ依リ政府ノ引受ケ
タル株式ニ付株金三千六百二十萬八千
圓ノ拂込アリタルモノト看做ス
第三條前條ノ英貨社債ノ元金償還貸
入銷却ノ方法ニ依ル場合ヲ除ク)又ハ利
子支拂ニ要シタル邦貨金額ガ其ノ償還
社債ノ額面金額又ハ支拂利札ノ劵面金
額ヲ英貨一磅ニ付九圓七十六錢三厘ノ
割合ヲ以テ換算シタル金額ニ比シ多額
ナルトキハ其ノ超過額ニ相當スル金額
ヲ南滿洲鐵道株式會社ヨリ政府ニ納付
シ少額ナルトキハ其ノ不足額ニ相當ス
ル金額ヲ政府ヨリ南滿洲鐵道株式會社
ニ交付ス
前項ノ元金償還又ハ利子支拂ニ要シタ
ル邦貨金額ノ計算方法其ノ他必要ナル
事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣永井柳太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=20
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021・永井柳太郎
○國務大臣(永井堀太郎君) 只今議題トナ
リマシタ、南滿洲鐵道株式會社ノ株式引受
ニ關スル法律案提出ノ理由ヲ、說明致シタ
イト存ジマス、滿洲國成立以來內外ノ情勢
ニ鑑ミマスルニ、滿洲國ノ經濟開發ハ極メ
テ緊要デアリマシテ、南漏洲鐵道株式會社
ノ使命ハ、從來ニ比シテ一層重大ナルモノ
ガアルニ至ッタノデゴザイマス、而シテ同社
ハ滿洲國ニ於ケル新規鐵道ノ建設、既設鐵
道ノ改良等ニ、巨額ノ資金ヲ調達セネバナ
ラナイコトニナッタノデ、今回其資本金額ヲ
總額八億圓トナシ、新タニ三億六千万圓ヲ
增加スルコトニ致スノデゴザイマス、此增
資株式ノ中半數ハ、同社事業ノ國家的性質
ニ鑑ミマシテ、政府ニ於テ引受クルコトヲ
適當ト認ムルノデアリマス、政府ノ株金拂
込ニ付キマシテハ、現ニ同社發行ニ係ル英
貨社債額面四百万磅ノ元利支拂義務ヲ繼承
シ、之ヲ以テ政府ガ只今持ッテ居リマスル未
拂込株式及今回引受ケント致シマスル株式
ノ、株金拂込ノ一部ニ充當スルヲ適當ト認
メマシタノデ、之ニ關スル本法案ヲ提出致
ス次第デゴザイマス、何卒御審議ノ上御協
贊ヲ賜ランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=21
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022・秋田清
○議長(秋田濟君) 日程第四、右議案ノ審
査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマ
ス
第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=22
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023・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=23
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024・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=24
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025・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第五、
東京都制案ノ第一讀會ヲ開キマス-內務
大臣山本達雄君
第五東京都制案(政府提出)第一讀會
東京都制案
東京都制
第一章總則
第一款都及其ノ區域
第一條東京都ハ從來ノ東京府ノ區域ニ
依ル
第二條都ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法
令ノ範圍內ニ於テ其ノ公共事務竝ニ從
來法令又ハ慣例ニ依リ府縣及市制ニ依
ル市ニ屬スル事務及將來法律勅令ニ依
リ都ニ屬スル事務ヲ處理ス
第三條都ノ境界變更ヲ要スルトキハ法
律ヲ以テ之ヲ定ム但シ區市町村又ハ市
制町村制ニ依リ市町村ノ設置ヲ件ハザ
ル場合ニ於テハ都參事會竝ニ關係アル
府縣參事會、區市町村會及市制町村制
ニ依ル市町村會ノ意見ヲ徴シ內務大臣
之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テ財產アルトキハ其ノ
處分ハ都參事會竝ニ關係アル府縣參事
會、區市町村會及市制町村制ニ依ル市
町村會ノ意見ヲ徵シ內務大臣之ヲ定ム
但シ特ニ法律ノ規定アルモノハ此ノ限
ニ在ラズ
都ノ境界變更ニ伴フ府縣又ハ市制町村
制ニ依ル市町村ノ廢置分合、境界變更
又ハ財產處分ハ前二項ノ規定ニ依ル
所屬未定地ヲ都ノ區域ニ編入セントス
ルトキハ第一項但書ノ例ニ依ル
第四條都ト市制町村制ニ依ル市町村ト
ノ境界ニ關スル爭論ハ內務大臣之ヲ裁
定ス其ノ裁定ニ不服アル都又ハ市制町
村制ニ依ル市町村ハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
都ト市制町村制ニ依ル市町村トノ境界
判明ナラザル場合ニ於テ前項ノ爭論ナ
キトキハ內務大臣之ヲ決定スベシ共ノ
決定ニ不服アル都又ハ市制町村制ニ依
ル市町村ハ行政裁判所ニ出訴スルコト
ヲ得
第一項ノ規定ニ依ル裁定及前項ノ規定
ニ依ル決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ
理由ヲ附シ之ヲ都及關係アル市制町村
ニ依ル市町村ニ交付スベシ
前三項ノ場合ニ於テハ市制第五條及町
村制第四條ノ規定ヲ適用セズ
第二款都住民及其ノ權利義務
第五條都內ニ住所ヲ有スル者ハ都住民
トス
都住民ハ本法ニ從ヒ都ノ財產及營造物
ヲ共用スル權利ヲ有シ都ノ負擔ヲ分任
スル義務ヲ負フ
第六條帝國臣民タル年齡二十五年以上
ノ男子ニシテ二年以來都住民タル者ハ
都公民トス但シ左ノ各號ノ一ニ該當ス
ル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一禁治產者及準禁治產者
二破產者ニシテ復權ヲ得ザル者
三貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ
受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四一定ノ住居ヲ有セザル者
五六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處
セラレタル者
六刑法第二編第一章、第三章、第九
章、第十六章乃至第二十一章、第二
十五章又ハ第三十六章乃至第三十九
章ニ揭グル罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役
ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ
執行ヲ受クルコトナキニ至リタル後
其ノ刑期ノ二倍ニ相當スル期間ヲ經
過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五
年ヨリ短キトキハ五年トス
七六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又
ハ前號ニ揭グル罪以外ノ罪ヲ犯シ六
年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執
行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキ
ニ至ル迄ノ者
都ハ都會ノ議決ニ依リ前項ノ規定ニ依
ル二年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル二年ノ期間ハ都ノ
境界變更ノ爲中斷セラルルコトナシ
第七條都公民ハ都ノ選擧ニ參與シ都ノ
名譽職ニ選擧セラルル權利ヲ有シ都ノ
名譽職ヲ擔任スル義務ヲ負フ
左ノ各號ノ一ニ該當セザル者ニシテ名
譽職ノ當選ヲ辭シ又ハ其ノ職ヲ辭シ若
ハ其ノ職務ヲ實際ニ執行セザルトキハ
都ハ都會ノ議決ニ依リ一年以上四年以
下都公民權ヲ停止スルコトヲ得
一疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘザル者
二業務ノ爲常ニ都內ニ居ルコトヲ得
ザル者
三年齡六十年以上ノ者
四官公職ノ爲都ノ公務ヲ執ルコトヲ
得ザル者
五四年以上都又ハ區市町村ノ名譽職
ニ任ジ爾後同一ノ期間ヲ經過セザル
者
六其ノ他正當ノ事由アリト認ムル者
前項ノ規定ニ依ル處分ヲ受ケタル者其
ノ處分ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ
出訴スルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依ル處分ハ其ノ確定ニ
至ル迄執行ヲ停止ス
第八條陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者
(未ダ入營セザル者及歸休下士官兵ヲ
除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ
者ハ都ノ公務ニ參與スルコトヲ得ズ兵
籍ニ編入セラレタル學生生徒(勅令ヲ
以テ定ムル者ヲ除ク)及志願ニ依リ國
民軍ニ編入セラレタル者亦同ジ
第三款都條例及都規則
第九條都ハ都住民ノ權利義務又ハ都ノ
事務ニ關シ都條例ヲ設クルコトヲ得
都ハ都ノ營造物ニ關シ都條例ヲ以テ規
定スルモノノ外都規則ヲ設クルコトヲ
得
都條例及都規則ハ一定ノ公〓式ニ依リ
之ヲ告示スベシ
第二章都會
第一款組織及選擧
第十條都會議員ハ其ノ被選擧權アル者
ニ就キ選擧人之ヲ選擧ス
議員ノ定數ハ百人トス
第十一條都會議員ハ各選擧區ニ於テ之
ヲ選擧ス
選擧區ハ區市ノ區域又ハ從前郡長ノ管
轄シタル區域ニ依ル
各選擧區ニ於テ選擧スベキ議員數ハ人
口ニ比例シ都條例ヲ以テ之ヲ規定スベ
シ
各選擧區ノ配當議員數ハ總選擧ヲ行フ
場合ニ非ザレバ之ヲ變更セズ但シ新ニ
區市ヲ置キタル場合ニ於テ之ニ關係ア
ル選擧區ニ關シテハ此ノ限ニ在ラズ
前項但書ノ場合ニ於テ議員ノ配當ニ關
シ必要ナル事項ハ內務大臣之ヲ定ム
第十二條都公民ハ總テ選擧權ヲ有ス但
シ公民權停止中ノ者又ハ第八條ノ規定
ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條選擧權ヲ有スル都公民ハ被選
擧權ヲ有ス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被
選擧權ヲ有セズ
選擧事務ニ關係アル官吏及都區市町村
ノ有給吏員ハ其ノ關係區域內ニ於テ被
選擧權ヲ有セズ
都ノ官吏及都區市町村ノ有給ノ吏員〓
員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノ者ハ都
會議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
衆議院議員ハ都會議員ト相兼ヌルコト
ヲタナ
第十四條都會議員ハ名譽職トス
議員ノ任期ハ四年トシ總選擧ノ日ヨリ
之ヲ起算ス
第十五條都會議員中闕員ヲ生ジタルト
キハ三月以内ニ補開選擧ヲ行フベシ但
シ第四十一條第二項ノ規定ノ適用ヲ受
ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラザリ
シ者アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ
者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ此ノ場
合ニ於テハ第四十七條第三項ノ規定ヲ
準用ス
第四十七條第四項及第五項ノ規定ハ補
關選擧ニ之ヲ準用ス
補闕議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任
ス
第十六條區市町村長ハ每年九月十五日
ノ現在ニ依リ選擧人名簿ヲ調製スベシ
選擧人名簿ニハ其ノ區市町村內ニ住所
ヲ有スル選擧人ヲ登錄スベシ
選擧人名簿ニハ選擧人ノ氏名、住所及
生年月日等ヲ記載スベシ
第十七條區市町村長ハ十一月五日ヨリ
十五日間區役所、市役所、町村役場又
ハ其ノ指定シタル場所ニ於テ選擧人名
簿ヲ關係者ノ縱覽ニ供スベシ
區市町村長ハ縱覽開始ノ日前三日目迄
ニ縱覽ノ場所ヲ〓示スベシ
第十八條選擧人名簿ニ關シ關係者ニ於
テ異議アルトキハ縱覽期間內ニ之ヲ區
市町村長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合
ニ於テハ區市町村長ハ其ノ申立ヲ受ケ
タル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定シ名
簿ノ修正ヲ要スルトキハ直ニ之ヲ修正
スベシ
前項ノ規定ニ依ル決定ニ不服アル者ハ
都參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル
者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ都長官
又ハ區市町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スル
コトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ決定ヲ爲シ又ハ名
簿ノ修正ヲ爲シタルトキハ區市町村
長、第二項ノ規定ニ依ル裁決アリタル
トキハ都長官直ニ其ノ要領ヲ〓示スベ
シ
第十九條選擧人名簿ハ十二月二十五日
ヲ以テ確定ス
選擧人名簿ハ次年ノ十二月二十四日迄
之ヲ据置クベシ
前條第二項又ハ第三項ノ場合ニ於テ裁
決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿
ノ修正ヲ要スルトキハ區市町村長ハ直
ニ之ヲ修正スベシ
前項ノ規定ニ依リ名簿ヲ修正シタルト
キハ區市町村長ハ直ニ其ノ要領ヲ告示
スベシ
第二十條第十八條ノ場合ニ於テ決定若
ハ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ
選擧人名簿無效ト爲リタルトキハ更ニ
名簿ヲ調製スベシ
天災事變等ノ爲必要アルトキハ更ニ名
簿ヲ調製スベシ
前二項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、縱覽、
確定及異誌ノ決定ニ關スル期日及期間
ハ都長官ノ定ムル所ニ依ル
區市町村ノ廢置分合又ハ境界變更アリ
タル場合ニ於テ名簿ニ關シ其ノ分合其
ノ他必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一條都長官ハ選擧ノ期日前一一十
日目迄ニ選擧ヲ行フベキ選擧區、投票
ノ日時及各選擧區ニ於テ選擧スベキ議
目數ヲ〓示スベシ
天災事變等ノ爲投票ヲ行フコト能ハザ
ルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アル
トキハ都長官ハ當該選擧區又ハ投票區
ニ付投票ヲ行フベキ日時ヲ定メ投票ノ
期日前五日目迄ニ之ヲ告示スベシ
第二十二條議員候補者タラントスル者
ハ選擧ノ期日ノ〓示アリタル日ヨリ選
擧ノ期日前七日目迄ニ其ノ旨ヲ選擧長
ニ屆出ヅベシ
選擧人名簿ニ登錄セラレタル者他人ヲ
議員候補者ト爲サントスルトキハ前項
ノ期間內ニ其ノ推薦ノ屆出ヲ爲スコト
ヲ得
前二項ノ期間內ニ屆出アリタル議員候
補者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ヲ超
ユル場合ニ於テ其ノ期間ヲ經過シタル
後議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タ
ルコトヲ辭シタルトキハ前二項ノ例ニ
依リ選擧ノ期日ノ前日迄議員候補者ノ
屆出又ハ推薦屆出ヲ爲スコトヲ得
議員候補者ハ選擧長ニ屆出ヲ爲スニ非
ザレバ議員候補者タルコトヲ辭スルコ
トヲ得ズ
前四項ノ規定ニ依ル屆出アリタルトキ
又ハ議員候補者ノ死亡シタルコトヲ知
リタルトキハ選擧長ハ直ニ其ノ旨ヲ〓
示スベシ
第二十三條議員候補者ノ屆出又ハ推薦
屆出ヲ爲サントスル者ハ議員候補者一
人ニ付二百圓又ハ之ニ相當スル額面ノ
國債證書ヲ供託スルコトヲ要ス
議員候補者ノ得票數其ノ選擧區ノ配當
議員數ヲ以テ有效投票ノ總數ヲ除シテ
得タル數ノ十分ノ一ニ達セザルトキハ
前項ノ供託物ハ都ニ歸屬ス
議員候補者選擧ノ期日前十日以內ニ議
員候補者タルコトヲ辭シタルトキハ前
項ノ規定ヲ準用ス但シ被選擧權ヲ有セ
ザルニ至リタル爲議員候補者タルコト
ヲ辭シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十四條投票區ハ區市町村ノ區域ニ
依ル
都長官必要アリト認ムルトキハ區市町
村ノ區域ヲ分チテ數投票區ヲ設ケ又ハ
數町村ノ區域ヲ合セテ一投票區ヲ設ク
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ投票區ヲ設クル場合
ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
第二十五條區市町村長ハ投票管理者ト
爲リ投票ニ關スル事務ヲ擔任ス
投票所ハ區役所、市役所、町村役場又
ハ投票管理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ
設ク
投票管理者ハ選擧ノ期日前五日目迄ニ
投票所ヲ告示スベシ
第二十六條議員候補者ハ各投票區ニ於
ケル選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ノ
中ヨリ本人ノ承諾ヲ得テ投票立會人
一人ヲ定メ選擧ノ期日ノ前日迄ニ投票
管理者ニ屆出ヅルコトヲ得但シ議員候
補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ
辭シタルトキハ其ノ屆出デタル投票立
會人ハ共ノ職ヲ失フ
前項ノ規定ニ依ル投票立會人三人ニ達
セザルトキ若ハ三人ニ達セザルニ至リ
タルトキ又ハ投票立會人ニシテ參會ス
ル者投票所ヲ開クベキ時刻ニ至リ三人
ニ達セザルトキ若ハ其ノ後三人ニ達セ
ザルニ至リタルトキハ投票管理者ハ其
ノ投票區ニ於ケル選擧人名簿ニ登錄セ
ラレタル者ノ中ヨリ三人ニ達スル迄ノ
投票立會人ヲ選任シ直ニ之ヲ本人ニ通
知シ投票ニ立會ハシムベシ
投票立會人ハ名譽職トス
投票立會人ハ正當ノ事由ナクシテ其ノ
職ヲ辭スルコトヲ得ズ
第二十七條選擧人ニ非ザル者ハ投票所
ニ入ルコトヲ得ズ但シ投票所ノ事務ニ
從事スル者、投票所ヲ監視スル職權ヲ
有スル者又ハ警察官吏ハ此ノ限ニ在ラ
ズ
投票所ニ於テ演說討論ヲ爲シ若ハ喧擾
ニ涉リ又ハ投票ニ關シ協議若ハ勸誘ヲ
爲シ其ノ他投票所ノ秩序ヲ紊ル者アル
トキハ投票管理者ハ之ヲ制止シ命ニ從
ハザルトキハ之ヲ投票所外ニ退出セシ
之ヘン
前項ノ規定ニ依リ退出セシメラレタル
者ハ最後ニ至リ投票ヲ爲スコトヲ得但
シ投票管理者投票所ノ秩序ヲ紊ルノ虞
ナシト認ムル場合ニ於テ投票ヲ爲サシ
ムルヲ妨ゲズ
第二十八條選擧ハ無記名投票ヲ以テ之
ヲカ)
投票ハ一人一票ニ限ル
選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ
投票所ニ到リ選擧人名簿ノ對照ヲ經又
ハ確定裁決書若ハ判決書ヲ提示シテ投
票ヲ爲スベシ
投票時間內ニ投票所ニ入リタル選擧人
ハ其ノ時間ヲ過グルモ投票ヲ爲スコト
ラ得
選擧人ハ投票所ニ於テ投票用紙ニ自ラ
議員候補者一ノ氏名ヲ記載シテ投函ス
ベシ
投票ニ關スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ
定ムル點字ハ之ヲ文字ト看做ス
自ラ議員候補者ノ氏名ヲ書スルコト能
ハザル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ
投票用紙ハ都長官ノ定ムル所ニ依リ一
定ノ式ヲ用フベシ
選擧人選擧人名簿調製期日後其ノ投票
區域域ニ住所ヲ移シタル場合ニ於テ仍
選擧權ヲ有スルトキハ名簿調製期日ニ
於テ住所ヲ有シタル地ノ投票區ノ投票
所ニ到リ投票ヲ爲スベシ
第二十九條確定名簿ニ登錄セラレザル
者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ但シ選擧人
名簿ニ登錄セラルベキ確定裁決書又ハ
判決書ヲ所持シ選擧ノ當日投票所ニ到
ル者ハ此ノ限ニ在ラズ
確定名簿ニ登錄セラレタル者選擧人名
簿ニ登錄セラルルコトヲ得ザル者ナル
トキハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ選擧ノ當
日選擧權ヲ有セザル者ナルトキ亦同ジ
第三十條投票ノ拒否ハ投票立會人ノ意
見ヲ聽キ投票管理者之ヲ決定スベシ
前項ノ規定ニ依ル決定ヲ受ケタル選擧
人不服アルトキハ投票管理者ハ假ニ投
票ヲ爲サシムベシ
前項ノ投票ハ選擧人ヲシテ之ヲ封筒ニ
入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載
シ投函セシムベシ
投票立會人ニ於テ異議アル選擧人ニ對
シテモ亦前二項ニ同ジ
第三十一條投票管理者ハ投票錄ヲ作リ
投票ニ關スル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ
二人以上ノ投票立會人ト共ニ之ニ署名
スベシ
第三十二條投票管理者ハ其ノ指定シタ
ル投票立會人ト共ニ區市ノ投票區ニ於
テハ投票ノ當日、町村ノ投票區ニ於テ
ハ投票ノ翌日迄ニ投票函、投票錄及選
擧人名簿ヲ選擧長ニ送致スベシ
第三十三條選擧長ハ區長、市長又ハ都
長官ノ指定シタル都ノ官吏吏員ヲ以テ
之ニ充ツ選擧長ハ選擧會ニ關スル事務
ヲ擔任ス
選擧會ハ區役所、市役所又ハ選學長ノ
指定シタル場所ニ之ヲ開ク
選擧長ハ豫メ選擧會ノ場所及日時ヲ〓
示スベシ
第三十四條都長官特別ノ事情アリト認
ムルトキハ區劃ヲ定メテ開票區ヲ設ク
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票區ヲ設クル場合
ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
第三十五條第二十六條ノ規定ハ選擧立
會人ニ之ヲ準用ス
第三十六條選擧長ハ總テノ投票函ノ送
致ヲ受ケタル日又ハ其ノ翌日選擧會ヲ
開キ選擧立會人立會ノ上投票函ヲ開キ
投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ計算ス
ベシ
前項ノ規定ニ依ル計算終リタルトキハ
選擧長ハ先ヅ第三十條第二項及第四項
ノ投票ヲ調査シ選擧立會人ノ意見ヲ聽
キ其ノ受理如何ヲ決定スベシ
選擧長ハ選擧立會人ト共ニ投票區每ニ
投票ヲ點檢スベシ
天災事變等ノ爲選擧會ヲ開クコト能ハ
ザルトキハ選擧長ハ更ニ其ノ期日ヲ定
之ハン
第三十七條選擧人ハ其ノ選擧會ノ參觀
ヲ求ムルコトヲ得
第三十八條選擧會場ノ取締ニ付テハ第
二十七條第一項及第二項ノ規定ヲ準用
ス
第三十九條左ノ投票ハ之ヲ無效トス
一成規ノ用紙ヲ用ヒザルモノ
二議員候補者ニ非ザル者ノ氏名ヲ記
載シタルモノ
三一投票中二人以上ノ議員候補者ノ
氏名ヲ記載シタルモノ
四被選擧權ナキ議員候補者ノ氏名ヲ
記載シタルモノ
五議員候補者ノ氏名ノ外他事ヲ記載
シタルモノ但シ爵位、職業、身分、
住所又ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノ
ハ此ノ限ニ在ラズ
六議員候補者ノ氏名ヲ自書セザルモ
ノ
七議員候補者ノ何人ヲ記載シタルカ
ヲ確認シ難キモノ
八都會議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記
載シタルモノ
第四十條投票ノ效力ハ選擧立會人ノ意
見ヲ聽キ選擧長之ヲ決定スベシ
第四十一條都會議員ノ選擧ハ有效投票
ノ最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス
但シ其ノ選擧區ノ配當議員數ヲ以テ有
效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ六分
ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
當選者ヲ定ムルニ當リ得票ノ數同ジキ
トキハ年長者ヲ取リ年齡同ジキトキハ
選擧長抽錢シテ之ヲ定ム
第四十二條當選者選擧ノ期日後ニ於テ
被選擧權ヲ有セザルニ至リタルトキハ
當選ヲ失フ
第四十三條第二十二條第一項乃至第三
項ノ規定ニ依ル屆出アリタル議員候補
者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ヲ超エ
ザルトキハ其ノ選擧區ニ於テハ投票ヲ
行ハズ
前項ノ規定ニ依リ投票ヲ行フコトヲ要
セザルトキハ選擧長ハ直ニ其ノ旨ヲ投
票管理者ニ通知シ併セテ之ヲ告示シ且
都長官ニ報告スベシ
投票管理者前項ノ規定ニ依ル通知ヲ受
ケタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示スベシ
第一項ノ場合ニ於テハ選擧長ハ選擧ノ
期日ヨリ五日以內ニ選擧會ヲ開キ議員
候補者ヲ以テ當選者ト定ムベシ
前項ノ場合ニ於テ議員候補者ノ被選擧
權ノ有無ハ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ選
擧長之ヲ決定スベシ
第四十四條選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選擧
會ニ關スル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二
人以上ノ選擧立會人ト共ニ之ニ署名ス
ベシ
選擧錄、投票錄、投票其ノ他ノ關係書
類ハ選擧長(都長官ノ指定シタル都ノ官
吏吏員選擧長タル場合ニ於テハ都長官)
ニ於テ、選擧人名簿ハ區市町村長ニ於
テ議員ノ任期間之ヲ保存スベシ
第四十五條當選者定マリタルトキハ選
擧長ハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ〓知シ
同時ニ當選者ノ住所氏名ヲ告示シ且選
擧錄及投票錄ノ寫ヲ添ヘ之ヲ都長官ニ
報告スベシ當選者ナキトキハ直ニ其ノ
旨ヲ告示シ且選擧錄及投票錄ノ寫ヲ添
へ之ヲ都長官ニ報告スベシ
當選者當選ヲ辭セントスルトキハ當選
ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ十日以內ニ之
ヲ都長官ニ申立ツベシ
一人ニシテ數選擧區ニ於テ當選シタル
トキハ最終ニ當選ノ告知ヲ受ケタル日
ヨリ十日以內ニ何レノ當選ニ應ズベキ
カヲ都長官ニ申立ツベシ其ノ期間內ニ
之ヲ申立テザルトキハ都長官抽籤シテ
之ヲ定ム
官吏ニシテ當選シタル者ハ所屬長官ノ
許可ヲ受クルニ非ザレバ之ニ應ズルコ
トヲ得ズ
前項ノ官吏ハ當選ノ告知ヲ受ケタル日
ヨリ二十日以内ニ之ニ應ズベキ旨ヲ都
長官ニ申立テザルトキハ其ノ當選ヲ辭
シタルモノト看做ス第三項ノ場合ニ於
テ何レノ當選ニ應ズベキカヲ申立テザル
トキハ總テ之ヲ辭シタルモノト看做ス
都ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ都ニ於テ費用
ヲ負擔スル事業ニ付都長官若ハ其ノ委
任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者若
ハ其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲
ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ
支配人ニシテ當選シタル者ハ其ノ請負
ヲ罷メ又ハ請負ヲ爲ス者ノ支配人若ハ
主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限
責任社員、役員若ハ支配人タルコトナ
キニ至ルニ非ザレバ當選ニ應ズルコト
ヲ得ズ第二項又ハ第三項ノ期限前ニ其
ノ旨ヲ都長官ニ申立テザルトキハ其ノ
當選ヲ辭シタルモノト看做ス
前項ノ役員トハ取締役、監査役及之ニ
準ズベキ者竝ニ〓算人ヲ謂フ
第四十六條選擧長ハ前條第一項ノ規定
ニ依ル報告ヲ爲シタルトキハ直ニ選擧人
名宏ヲ町村長ニ返付スベシ
第四十七條當選者左ニ揭グル事由ノ一
ニ該當スルトキハ三月以內ニ更ニ選擧
ヲ行フベシ但シ第二項ノ規定ニ依リ更
ニ選擧ヲ行フコトナクシテ當選者ヲ定
メ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一當選ヲ辭シタルトキ
二數選擧區ニ於テ當選シタル場合ニ
於テ第四十五條第三項ノ規定ニ依リ
一ノ選擧區ノ當選ニ應ジ又ハ抽籤ニ
依リ一ノ選擧區ノ當選者ト定マリタ
ル爲他ノ選擧區ニ於テ當選者タラザ
ルニ至リタルトキ
三第四十二條ノ規定ニ依リ當選ヲ失
ヒタルトキ
四死亡者ナルトキ
五選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セ
ラレ當選無效ト爲リタルトキ但シ同
一人ニ關シ前各號ノ事由ニ依ル選擧
又ハ補闕選擧ノ告示ヲ爲シタル場合
ハ此ノ限ニ在ラズ
六第五十一條ノ規定ニ依ル訴訟ノ結
果當選無效ト爲リタルトキ
前項ノ事由第四十五條第二項、第三項
若ハ第五項ノ期限前ニ生ジタル場合ニ
於テ第四十一條第一項但書ノ得票者ニ
シテ當選者ト爲ラザリシ者アルトキ又ハ
其ノ期限經過後ニ生ジタル場合ニ於テ
第四十一條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケ
タル得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシ
者アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者
ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ
前項ノ場合ニ於テ第四十一條第一項但
書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシ
者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セ
ザルニ至リタルトキハ之ヲ當選者ト定
ムルコトヲ得
第一項ノ期間ハ第五十八條第八項ノ規
定ノ適用アル場合ニ於テハ選擧ヲ行フ
コトヲ得ザル事由已ミタル日ノ翌日ヨ
リ之ヲ起算ス
第一項ノ事由議員ノ任期滿了前六月以
內ニ生ジタルトキハ第一項ノ選擧ハ之
ヲ行ハズ但シ議員ノ數其ノ定數ノ三分
ノ二ニ滿チザルニ至リタルトキハ此ノ
限ニ在ラズ
第四十八條第四十五條第二項ノ期間ヲ
經過シタルトキ、同條第三項若ハ第五
項ノ規定ニ依ル申立アリタルトキ又ハ
同條第三項ノ規定ニ依リ抽籤ヲ爲シタ
ルトキハ都長官ハ直ニ當選者ノ住所氏
名ヲ告示スベシ
當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者
其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セザ
ルニ至リタルトキハ都長官ハ直ニ其ノ
旨ヲ告示スベシ
第四十九條選擧ノ規定ニ違反スルコト
アルトキハ選擧ノ結果ニ異動ヲ生ズル
ノ虞アル場合ニ限リ其ノ選擧ノ全部又
ハ一部ヲ無效トス但シ當選ニ異動ヲ生
ズルノ虞ナキ者ヲ區分シ得ルトキハ其
ノ者ニ限リ當選ヲ失フコトナシ
第五十條選擧人又ハ議員候補者選擧又
ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選
擧ニ關シテハ選擧ノ日ヨリ當選ニ關シ
テハ第四十五條第一項又ハ第四十八條
第二項ノ規定ニ依ル〓示ノ日ヨリ十四
日以内ニ之ヲ都長官ニ申立ツルコトヲ
得
前項ノ規定ニ依ル異議申立アリタルト
キハ都長官ハ七日以內ニ之ヲ都參事會
ノ決定ニ付スベシ
都長官選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議
アルトキハ第一項ノ規定ニ依ル申立ノ
有無ニ拘ラズ第四十五條第一項ノ規定
ニ依ル報〓ヲ受ケタル日ヨリ三十日以
內ニ都參事會ノ決定ニ付スルコトヲ
得
前二項ノ場合ニ於テハ都參事會ハ其ノ
送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之
ヲ決定スベシ
前項ノ規定ニ依ル都參事會ノ決定アリ
タルトキハ都長官ハ直ニ之ヲ告示スベ
第四項ノ規定ニ依ル都參事會ノ決定ニ
不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコ
トヲ得
第四項ノ規定ニ依ル都參事會ノ決定ニ
付テハ都長官又ハ擧選長ヨリモ訴訟ヲ
提起スルコトヲ得
第十五條、第四十七條又ハ第五十一一條
第一項若ハ第三項ノ選擧ハ之ニ關係ア
ル選擧又ハ常選ニ關スル異議申立期
問、異議ノ決定確定セザル間又ハ訴訟
ノ繫屬スル間之ヲ行フコトヲ得ズ
都會議員ハ選擧又ハ當選ニ關スル決定
確定シ又ハ判決アル迄ハ會議ニ參與ス
ルノ權ヲ失ハズ
第五十一條衆議院議員選擧法第百十條
ノ規定ノ準用ニ依リ當選ヲ無效ナリト
認ムルトキハ選擧人又ハ議員候袖者ハ
當選者ヲ被〓トシ第四十五條第一項ノ
規定ニ依ル告示ノ日ヨリ三十日以內ニ
控訴院ニ出訴スルコトヲ得
衆議院冒選學法第百三十六條ノ規定
ノ準用ニ依リ選擧事務長ガ同法第百十
二條又ハ第百十三條ノ規定ノ準用ニ依
ル罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタルニ因リ當
選ヲ無效ナリト認ムルトキハ選擧人又
ハ議員候補者ハ當選者ヲ被〓トシ其ノ
裁判確定ノ日ヨリ三十日以內ニ控訴院
ニ出訴スルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依ル控訴院ノ判決ニ不
服アル者ハ大審院ニ上告スルコトヲ得
業務防止咳嗽不安心嘗選擧法第八十五條、第八十
七條及第百四十一條ノ規定ハ前三項ノ
規定ニ依ル訴訟ニ之ヲ準用ス
第五十二條選擧無效ト確定シタルトキ
ハ三月以内ニ更ニ選擧ヲ行フベシ
當選無效ト確定シタルトキハ直ニ選擧
會ヲ開キ更ニ當選者ヲ定ムベシ此ノ場
合ニ於テハ第四十七條第三項ノ規定ヲ
準用ス
當選者ナキトキ、當選者ナキニ至リタ
ルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議
員ノ定數ニ達セザルトキ若ハ定數ニ達
セザルニ至リタルトキハ三月以內ニ更
ニ選擧ヲ行フベシ
第四十七條第四項及第五項ノ規定ハ第
一項及前項ノ選擧ニ之ヲ準用ス
第五十三條第四十七條若ハ前條ノ選擧
又ハ補關選擧ヲ同時ニ行フ場合ニ於テ
ハ一ノ選擧ヲ以テ合併シテ之ヲ行フ
第五十四條都會議員被選擧權ヲ有セザ
ル者ナルトキ又ハ第四十五條第六項ニ
揭グル者ナルトキハ其ノ職ヲ失フ其ノ
被選擧權ノ有無又ハ第四十五條第六項
ニ揭グル者ニ該當スルヤ否ヤハ都會議
員ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ因リ被
選擧權ヲ有セザル場合ヲ除クノ外都參
事會其ノ異議ヲ決定ス
一禁治產者又ハ準禁治產者ト爲リタ
ルトキ
二破產者ト爲リタルトキ
三禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
四選擧ニ關スル犯罪ニ依リ罰金ノ刑
ニ處セラレ.タルトキ
都會ニ於テ其ノ議員中被選擧權ヲ有セ
ザル者又ハ第四十五條第六項ニ揭グル
者アリト認ムルトキハ之ヲ都長官ニ通
知スベシ但シ議員ハ自己ノ資格ニ關ス
ル會議ニ於テ辯明スルコトヲ得ルモ其
ノ議決ニ加ハルコトヲ得ズ
都長官ハ前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ
七日以內ニ之ヲ都參事會ノ決定ニ付ス
ベシ都長官ニ於テ被選擧權ヲ有セザル
者又ハ第四十五條第六項ニ揭グル者ア
リト認ムルトキ亦同ジ
第五十條第四項及第五項ノ規定ハ前項
ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ規定ニ依ル決定ニ不服アル者
ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル決定ニ付テハ都長
官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第五十條第九項ノ規定ハ第一項及前二
項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五十五條都會議員ノ選擧ニ付テハ衆
議院議員選擧法第十章及第十一章竝ニ
第百四十條第二項及第百四十二條ノ規
定ヲ準用ス但シ議員候補者一人ニ付定
ムベキ選擧事務所ノ數、選擧委員及選
擧事務員ノ數竝ニ選擧運動ノ費用ノ額
ニ關シテハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第五十六條本法又ハ本法ニ基キテ發ス
ル勅令ニ依リ設置スル議會ノ議員ノ選
擧ニ付テハ衆議院議員選擧ニ關スル罰
則ヲ準用ス
第二款職務權限
第五十七條都會ノ議決スベキ事件左ノ
如シ
ー都條例及都規則ヲ設ケ又ハ改廢ス
ルコト
二歲入出豫算ヲ定ムルコト
三決算報〓ヲ認定スルコト
四法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用
料、手數料及都稅ノ賦課徵收ニ關ス
ルコト
五不動產ノ處分及取得ニ關スルコト
六基本財產及積立金穀等ノ設置及處
分ニ關スルコト
七歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除
クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權利
ノ抛棄ヲ爲スコト
八財產及營造物ノ管理方法ヲ定ムル
コト但シ法律勅令中別段ノ規定アル
モノハ此ノ限ニ在ラズ
九其ノ他法律勅令ニ依リ都會ノ權限
ニ屬スル事項
第五十八條都會ハ其ノ權限ニ屬スル事
項ノ一部ヲ都參事會ニ委任スルコトヲ
得
第五十九條都會ハ法律勅令ニ依リ其ノ
權限ニ屬スル選擧ヲ行フベシ
第六十條都會ハ都ノ公益ニ關スル事件
ニ付意見書ヲ關係行政廳ニ提出スルコ
トヲ得
第六十一條都會ハ行政廳ノ諮問アルト
キハ意見ヲ答申スベシ
都會ノ意見ヲ徵シテ處分ヲ爲スベキ場
合ニ於テ都會成立セズ、招集ニ應ゼズ
若ハ意見ヲ提出セズ、又ハ都會ヲ招集
スルコト能ハザルトキハ當該行政廳ハ
其ノ意見ヲ俟タズシテ直ニ處分ヲ爲ス
コトヲ得
第六十二條都會ハ議員中ヨリ議長及副
議長一人ヲ選擧スベシ
議長及副議長ノ任期ハ議員ノ任期ニ依
ル
第六十三條議長故障アルトキハ副議長
之ニ代ハリ議長及副議長共ニ故障アル
トキハ臨時ニ議員中ヨリ假議長ヲ選擧
天ぷン
前項ノ規定ニ依ル假議長ノ選擧ニ付テ
ハ年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齡
同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第六十四條都長官及其ノ委任又ハ囑託
ヲ受ケタル者ハ會議ニ列席シテ議事ニ
參與スルコトヲ得但シ議決ニ加ハルコ
トヲ得ズ
前項ノ規定ニ依ル列席者發言ヲ求ムル
トキハ議長ハ直ニ之ヲ許スベシ但シ之
ガ爲議員ノ演說ヲ中止セシムルコトヲ
得ズ
第六十五條都會ハ都長官之ヲ招集ス議
員定數ノ三分ノ一以上ヨリ會議ニ付ス
ベキ事件ヲ示シテ都會招集ノ請求アル
トキハ都長官ハ之ヲ招集スベシ
都會ハ都長官會期ヲ定メテ之ヲ招集ス
但シ必要アリト認ムルトキハ都長官ハ
更ニ期限ヲ定メ都會ノ會期ヲ延長スル
コトヲ得
招集及會議ノ事件ハ開會ノ日前三日目
迄ニ之ヲ告知スベシ但シ急施ヲ要スル
場合ハ此ノ限ニ在ラズ
都會開會中急施ヲ要スル事件アルトキ
ハ都長官ハ直ニ之ヲ其ノ會議ニ付スル
コトヲ得會議ニ付スル日前三日目迄ニ
〓知ヲ爲シタル事件ニ付亦同ジ
都會ハ都長官之ヲ開閉ス
第六十六條都會ハ議員定數ノ半數以上
出席スルニ非ザレバ會議ヲ開クコトヲ
得ズ但シ第六十八條ノ規定ニ依ル除斥
ノ爲半數ニ滿チザルトキ、同一ノ事件
ニ付招集再囘ニ至ルモ仍半數ニ滿チザ
ルトキ又ハ招集ニ應ズルモ出席議員定
數ヲ關キ議長ニ於テ出席ヲ催告シ仍半
數ニ滿チザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第六十七條都會ノ議事ハ過半數ヲ以テ
決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル
所ニ依ル議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ
於テモ之ガ爲議員トシテ議決ニ加ハル
ノ權ヲ失ハズ
第六十八條議長及議員ハ自己又ハ父
母、祖父母、妻、子孫、兄弟姉妹ノ
身上ニ關スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ
參與スルコトヲ得ズ但シ都會ノ同意ヲ
得タルトキハ會議ニ出席シ發言スルコ
トヲ得
第六十九條法律勅令ニ依リ都會ニ於テ
行フ選擧ニ付テハ第二十八條、第三十
九條及第四十一條ノ規定ヲ準用ス其ノ
投票ノ效力ニ關シ異議アルトキハ都會
之ヲ決定ス
都會ハ議員中異議ナキトキハ前項ノ選
擧ニ付指名推選ノ法ヲ用フルコトヲ得
指名推選ノ法ヲ用フル場合ニ於テハ被
指名者ヲ以テ當選者ト定ムベキヤ否ヤ
ヲ會議ニ付シ議員全員ノ同意ヲ得タル
者ヲ以テ當選者トス
一ノ選擧ヲ以テ二人以上ヲ選擧スル場
合ニ於テハ被指名者ヲ區分シテ前項ノ
規定ヲ適用スルコトヲ得ズ
第七十條都會ノ會議ハ公開ス但シ左ノ
場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一都長官ヨリ傍聽禁止ノ要求ヲ受ケ
タルトキ
二議長又ハ議員三人以上ノ發議ニ依
リ傍聽禁止ヲ可決シタルトキ
前項ノ規定ニ依ル議長又ハ議員ノ發議
ハ討論ヲ須ヒズ其ノ可否ヲ決スベシ
第七十一條議長ハ會議ヲ總理シ會議ノ
順序ヲ定メ其ノ日ノ會議ヲ開閉シ議場
ノ秩序ヲ保持ス
議員定數ノ半數以上ヨリ請求アルトキ
ハ議長ハ其ノ日ノ會議ヲ開クコトヲ要
ス此ノ場合ニ於テ議長仍會議ヲ開カザ
ルトキハ第六十三條ノ例ニ依ル
前項ノ規定ニ依ル議員ノ請求ニ依リ會
議ヲ開キタルトキ又ハ議員中異議アル
トキハ議長ハ會議ノ議決ニ依ルニ非ザ
レバ其ノ日ノ會議ヲ閉ヂ又ハ中止スル
コトヲ得ズ
第七十二條都會議員ハ都會ノ議決スベ
キ事件ニ付都會ニ議案ヲ發スルコトヲ
得但シ歲入出豫算ニ付テハ此ノ限ニ在
ラズ
前項ノ規定ニ依ル發案ハ議員三人以上
ヨリ文書ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第七十三條議員ハ選擧人ノ指示又ハ委
囑ヲ受クベカラズ
議員ハ會議中無禮ノ語ヲ用ヒ又ハ他人
ノ身上ニ涉リ言論スルコトヲ得ズ
第七十四條會議中本法又ハ會講規則ニ
違ヒ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ル議員アル
トキハ議長ハ之ヲ制止シ又ハ發言ヲ取
消サシメ命ニ從ハザルトキハ當日ノ會
議ヲ終ル迄發言ヲ禁止シ又ハ議場外ニ
退去セシメ必要アル場合ニ於テハ警察
官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
議場騒擾ニシテ整理シ難キトキハ議長
ハ當日ノ會議ヲ中止シ又ハ之ヲ閉ヅル
コトヲ得
第七十五條傍聽人公然可否ヲ表シ又ハ
喧騒ニ涉リ其ノ他會議ノ妨害ヲ爲スト
キハ議長ハ之ヲ制止シ命ニ從ハザルト
キハ之ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於
テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
傍聽席騷擾ナルトキハ議長ハ總テノ傍
聽人ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テ
ハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
第七十六條都會ニ書記ヲ置キ議長ノ指
揮ヲ承ケ庶務ヲ處理セシム
書記ハ議長之ヲ任免ス
第七十七條議長ハ書記ヲシテ會議錄ヲ
調製シ會議ノ顯末及出席議員ノ氏名ヲ
記載セシムベシ
會議錄ハ議長及議員二人以上之ニ署名
スルコトヲ要ス其ノ議員ハ都會ニ於テ
之ヲ定ムベシ
議長ハ會議錄ヲ添へ會議ノ結果ヲ都長
官ニ報告スベシ
第七十八條都會ハ會議規則及傍聽規則
ヲ設クベシ
會議規則ニハ本法及會議規則ニ違反シ
タル議員ニ對シ都會ノ議決ニ依リ五日
以內出席ヲ停止スル規定ヲ設クルコト
ヲ得
第三章都參事會
第一款組織及選擧
第七十九條都ニ都參事會ヲ置キ議長及
都參事會員十五人ヲ以テ之ヲ組織ス
參事會員ハ名譽職トス
第八十條參事會員ハ都會ニ於テ議員中
ヨリ之ヲ選擧スペシ
參事會員中關員アルトキハ直ニ補闘選
擧ヲ行フベシ
參事會員ハ隔年之ヲ選擧スベシ
參事會員ハ後任者ノ就任スルニ至ル迄
在任ス都會議員ノ任期滿了シタルトキ
亦同ジ
參事會員ハ其ノ選擧ニ關シ第九十五條
ノ規定ニ依ル處分確定シ又ハ判決アル
迄ハ會議ニ參與スルノ權ヲ失ハズ
第八十一條都參事會ハ都長官ヲ以テ議
長トス都長官故障アルトキハ其ノ代理
者議長ノ職務ヲ代理ス
第二款職務權限
第八十二條都參事會ノ職務權限左ノ如
シ
一都會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ其
ノ委任ヲ受ケタルモノヲ議決スルコ
ト
二都會成立セザルトキ、第六十六條
但書ノ場合ニ於テ仍會議ヲ開クゴト
能ハザルトキ又ハ都長官ニ於テ都會
ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキ都
會ノ權限ニ屬スル事件ヲ都會ニ代ハ
リテ議決スルコト
三都會ノ議決シタル範圍內ニ於テ財
產及營造物ノ管理ニ關シ重要ナル事
項ヲ議決スルコト
四都費ヲ以テ支辨スベキ工事ノ執行
ニ關スル規定ヲ議決スルコト但シ法
令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ
在ラズ
五都ニ係ル訴願、訴訟及和解ニ關ス
ル事項ヲ議決スルコト
六其ノ他法令ニ依リ都參事會ノ權限
ニ屬スル事項
第八十三條都參事會ハ參事會員中ヨリ
委員ヲ選擧シ都ノ事務ニ關ス計算書
ヲ檢閱シ都長官ノ報告ヲ請求シテ議決
ノ執行及出納ヲ檢査セシムルコトヲ得
都參事會ハ特別ノ必要アルトキハ前項
ノ委員ヲシテ都長官又ハ其ノ指名シタ
ル官吏吏員立會ノ上實地ニ就キ前項ノ
檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第八十四條都參事會ハ都長官之ヲ招集
ス參事會員定數ノ半數以上ヨリ會議ニ
付スベキ事件ヲ示シテ都參事會招集ノ
請求アルトキハ都長官ハ之ヲ招集スベ
第八十五條都參事會ノ會議ハ傍聽ヲ許
サズ
第八十六條都參事會ハ議長又ハ其ノ代
理者及參事會員定數ノ半數以上出席ス
ルニ非ザレバ會議ヲ開クコトヲ得ズ但
シ第二項ノ規定ニ依ル除斥ノ爲參事會
員其ノ半數ニ滿チザルトキ、同一ノ事
件ニ付招集再囘ニ至ルモ仍參事會員其
ノ半數ニ滿チザルトキ又ハ招集ニ應ズ
ルモ出席參事會員定數ヲ闘キ議長ニ於
テ出席ヲ催告シ仍半數ニ滿チザルトキ
ハ此ノ限ニ在ラズ
議長及參事會員ハ自己又ハ父母、祖父
号、妻、子孫、兄弟姉妹ノ一身上ニ關
スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ參與スル
コトヲ得ズ但シ都參事會ノ同意ヲ得タ
ルトキハ會議ニ出席シ發言スルコトヲ
得
議長及其ノ代理者共ニ前項ノ場合ニ當
ルトキハ年長ノ參事會員議長ノ職務ヲ
代理ス
第八十七條第六十條、第六十一條、第
六十四條、第六十五條、第二項及第五
項、第六十七條、第六十九條、第七十一
條乃至第七十四條、第七十六條竝ニ第
七十七條第一項及第二項ノ規定ハ都參
事會ニ之ヲ準用ス
第四章都ノ官吏及吏員
第一款組織及任免
第八十八條都ニ理事四人ヲ置キ內二人
ハ都ノ官吏ノ中ニ就キ都長官之ヲ命ジ
他ノ二人ハ都ノ有給吏員トシ都長官之
ヲ任免ス
第八十九條都ニ有給吏員ヲ置キ都長官
之ヲ任免ス
前項ノ吏員ノ定數ハ都會ノ議決ヲ經テ
之ヲ定ム
第九十條都ニ都出納吏ヲ置キ官吏吏員
ノ中ニ就キ都長官之ヲ命ズ
第九十一條本法ニ規定スルモノノ外有
給吏員ノ組織、任用及分限ニ關シ必要
ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九十二條都ハ都條例ヲ以テ臨時又ハ
常設ノ委員ヲ置クコトヲ得
委員ハ名譽職トス
委員ノ組織、選任、任期等ニ關スル事項
ハ第一項ノ都條例中ニ之ヲ規定スベシ
第二款職務權限
第九十三條都長官ハ都ヲ統轄シ都ヲ代
表ス
都長官ノ擔任スル事務ノ〓目左ノ如シ
-都會及都參事會ノ議決ヲ經ベキ事
件ニ付其ノ議案ヲ發シ及其ノ議決ヲ
執行スルコト
二財產及營造物ヲ管理スルコト但シ
特ニ之ガ管理者ヲ置キタルトキハ其
ノ事務ヲ監督スルコト
三收入支出ヲ命令シ及會計ヲ監督ス
ルコト
四證書及公文書類ヲ保管スルコト
五法令又ハ都會若ハ都參事會ノ議決
ニ依リ使用料、手數料及都稅ヲ賦課
徵收スルコト
六其ノ他法令ニ依リ都長官ノ職權ニ
屬スル事項
第九十四條都長官ハ都吏員ヲ指揮監督
シ之ニ對シ徵戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲
戒處分ハ讀責、二十五圓以下ノ過怠金
及解職トス但シ勅令ヲ以テ指定スル都
吏員ニ對スル解職ハ內務大臣之ヲ行フ
前項ノ規定ニ依リ解職ヲ行ハントスル
トキハ懲戒寒査會ノ議決ヲ經ルコトヲ
要ス懲戒審査會ノ組織及權限ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム
第一項ノ規定ニ依ル都長官ノ解職ノ處
分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルト
キハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
內務大臣又ハ都杉官ハ都吏員ノ解職ヲ
行ハントスル前其ノ停職ヲ命ズルコト
ヲ得此ノ場合ニ於テハ共ノ停酸期間報
酬又ハ給料ヲ支給スルコトヲ得ズ
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間
都北海道府縣、區市町村其ノ他之ニ準
ズベキモノノ公職ニ就クコトヲ得ズ
第九十五條都會又ハ都參事會ノ議沙又
ハ選擧其ノ權限ヲ越エ又ハ法令若ハ會
謀規則ニ背クト認ムルトキハ都〓官ハ
其ノ意見ニ依リ又ハ內務大臣ノ指揮ニ
依リ理山ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ
再選擧ヲ行ハシムベシ但シ特別ノ事由
アリト認ムルトキハ都長官ハ之ヲ再議
ニ付セズ又ハ再選擧ヲ行ハシメズシテ
直ニ取消スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ爲シタル都會又ハ都
參事會ノ議決又ハ選擧仍其ノ權限ヲ越
エ又ハ法令若ハ會議規則ニ背クト認ム
ルトキハ都ハ官ハ之ヲ取消スベシ
前二項ノ規定ニ依ル取消處分ニ不服ア
ル都會又ハ都參事會ハ行政裁判所ニ出
訴スルコトヲ得
第九十六條都會又ハ都參事會ノ議決明
ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ都長官ハ
其ノ意見ニ依リ又ハ內務大臣ノ指揮ニ
依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スベシ
但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ都
長官ハ之ヲ再議ニ付セズシテ直ニ內務
大臣ノ指揮ヲ請フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ爲シタル都會又ハ都
參事會ノ議決仍明ニ公益ヲ害スト認ム
ルトキハ都長官ハ內務大臣ノ指揮ヲ請
フスン
都會又ハ都參事會ノ議決收支ニ關シ執
行スルコト能ハザルモノアリト認ムル
トキハ前二項ノ例ニ依ル左ニ揭グル費
用ヲ削除シ又ハ減額シタル場合ニ於テ
其ノ費用及之ニ伴フ收入ニ付亦同ジ
一法令ニ依リ負擔スル費用、當該官
廳ノ酸權ニ依リ命ズル費用其ノ他ノ
都ノ義務ニ屬スル費用
二非常ノ災害ニ因ル應急又ハ復舊ノ
施設ノ爲ニ要スル費用、傳染病豫防
ノ爲ニ要スル費用其ノ他ノ緊急避ク
ベカラザル費用
第九十七條都會成立セザルトキ、第六
十六條但書ノ場合ニ於テ仍會議ヲ開ク
コト能ハザルトキ又ハ都長官ニ於テ都
會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ
都長官ハ都會ノ權限ニ屬スル事件ヲ都
參事會ノ議決ニ付スルコトヲ得
都參事會成立セザルトキ又ハ第八十六
條第一項但書ノ場合ニ於テ仍會議ヲ開
クコト能ハザルトキハ都長官ハ內務大
臣ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スベキ事件ヲ
處分スルコトヲ得
都會又ハ都參事會ニ於テ其ノ議決スベ
キ事件ヲ議決セザルトキハ前項ノ例ニ
依ル
都參事會ノ決定、裁決又ハ裁定スベキ
事件ニ關シテハ前二項ノ例ニ依ル此ノ
場合ニ於ケル都長官ノ處分ニ關シテハ
各本條ノ規定ニ準ジ訴願又ハ訴訟ヲ提
起スルコトヲ得
前四項ノ規定ニ依ル處分ニ付テハ都長
官ハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ都會又ハ都
參事會ニ報〓スベシ
第九十八條都參事會ニ於テ議決、決定、
裁決又ハ裁定スベキ事件ニ關シ臨時急
施ヲ要スル場合ニ於テ都參事會成立セ
ザルトキ又ハ都長官ニ於テ之ヲ招集ス
ルノ暇ナシト認ムルトキハ都長官ハ之
ヲ專決シ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ都參事
會ニ報告スベシ
前項ノ規定ニ依リ都長官ノ爲シタル處
分ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準ジ訴顳
又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第九十九條都會及都參事會ノ權限ニ屬
スル事項ノ一部ハ其ノ議決ニ依リ都長
官ニ於テ專決處分スルコトヲ得
第百條都長官ハ都ノ行政ニ關シ其ノ職
權ニ屬スル事務ノ一部ヲ區市町村ノ吏
員ニ補助執行セシメ又ハ委任スルコト
ヲ得
都長官ハ都ノ行政ニ關シ其ノ職權ニ屬
スル事務ノ一部ヲ都ノ官吏吏員ニ委任
シ又ハ都吏員ニ臨時代理セシムルコト
ヲ得
第百一條都吏員ハ法律勅令ノ定ムル所
ニ依リ國及府縣其ノ他ノ公共團體ノ事
務ヲ掌ル
前項ノ事務ヲ執行スル爲要スル費用ハ
都ノ負擔トス但シ法令中別段ノ規定ア
ルモノハ此ノ限ニ在ラズ
第百二條官吏ノ都ノ行政ニ關スル職務
關係ハ本法中別段ノ規定アルモノヲ除
クノ外國ノ行政ニ關スル職務關係ノ例
ご此ん
第百三條理事ハ都長官ノ事務ヲ補助ス
理事ハ都長官故障アルトキ豫メ都長官
ノ定メタル順序ニ依リ之ヲ代理ス
第百四條第八十九條ノ吏員ハ都長官ノ
命ヲ承ケ事務ニ從事ス
第百五條都出納吏ハ都ノ出納其ノ他ノ
會計事務ヲ掌ル
第百六條委員ハ都長官ノ指揮監督ヲ承
ヶ財產又ハ營造物ヲ管理シ其ノ他不託
ヲ受ケタル都ノ事務ヲ調査シ又ハ之ヲ
處辨ス
第五章給料及給與
第百七條都會議員、參事會員其ノ他ノ
名譽職員ハ職務ノ爲要スル費用ノ辨償
ヲ受クルコトヲ得
委員ニハ費用辨償ノ外勤務ニ相當スル
報酬ヲ給スルコトヲ得
費用辨償額、報酬額及其ノ支給方法ハ
都條例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
第百八條有給吏員ノ給料額、旅費額及
其ノ支給方法ハ都條例ヲ以テ之ヲ規定
スペン
第百九條有給吏員ニハ都條例ノ定ムル
所ニ依リ退隱料、退職給與金、死亡給
與金又ハ遺族扶助料ヲ給スルコトヲ得
第百十條費用辯償、報酬、給料、旅
費、退隱料、退職給與金、死亡給與金
又ハ遺族扶助料ノ給與ニ付關係者ニ於
テ異議アルトキハ之ヲ都長官ニ申立ツ
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル異議ノ申立アリタル
トキハ都長官ハ七日以內ニ之ヲ都參事
會ノ決定ニ付スベシ關係者其ノ決定ニ
不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スル
コトヲ得
前項ノ規定ニ依ル決定ニ付テハ都長官
ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百十一條費用辨償、報酬、給料、旅
費、退隱料、退職給與金、死亡給與金、遺
族扶助料其ノ他ノ給與ハ都ノ負擔トス
第六章都ノ財務
第一款財產、營造物及都稅
第百十二條收益ノ爲ニスル都ノ財產ハ
基本財產トシ之ヲ維持スベシ
都ハ特定ノ目的ノ爲特別ノ基本財產ヲ
設ケ又ハ金穀等ヲ積立ツルコトヲ得
第百十三條都ハ營造物ノ使用ニ付使用
料ヲ徵收スルコトヲ得
都ハ特ニ一個人ノ爲ニスル事務ニ付手
數料ヲ徵收スルコトヲ得
第百十四條財產ノ賣却貸與、工事ノ請
負及物件勞力其ノ他ノ供給ハ競爭入札
ニ付スベシ但シ臨時急施ヲ要スルト
キ、入札ノ價額其ノ費用ニ比シテ得失
相償ハザルトキ又ハ都參事會ノ同意ヲ
得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第百十五條都ハ其ノ公益上必要アル場
合ニ於テハ寄附又ハ補助ヲ爲スコトヲ
得
第百十六條都ハ其ノ必要ナル費用竝ニ
從來法令又ハ慣例ニ依リ府縣及市制ニ
依ル市ノ負擔ニ屬スル費用及將來法律
勅令ニ依リ都ノ負擔ニ屬スル費用ヲ支
辨スル義務ヲ負フ
第百十七條都稅トシテ賦課スルコトヲ
得ベキモノハ直接國稅附加稅其ノ他法
律勅令ヲ以テ定ムル都稅トス
第百十八條三月以上都內ニ滯在スル者
ハ其ノ滯在ノ初ニ遡リ都稅ヲ納ムル義
務ヲ負フ
第百十九條都內ニ住所ヲ有セズ又ハ三
月以上滯在スルコトナシト雖モ都內ニ
於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若ハ
占有シ、都內ニ營業所ヲ設ケテ營業ヲ
爲シ又ハ都內ニ於テ特定ノ行爲ヲ爲ス
者ハ其ノ土地家屋物件營業若ハ其ノ收
入ニ對シ又ハ其ノ行爲ニ對シテ賦課ス
ル都稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
第百二十條合併後存續スル法人又ハ合
併ニ因リ設立シタル法人ハ合併ニ因リ
消滅シタル法人ニ對シ其ノ合併前ノ事
實ニ付賦課セラルベキ都稅ヲ納ムル義
務ヲ負フ
相續人又ハ相續財團ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ被相續人ニ對シ其ノ相續開始前
ノ事實ニ付賦課セラルベキ都稅ヲ納ム
ル義務ヲ負フ
第百二十一條納稅者ノ都外ニ於テ所有
シ使用シ占有スル土地家屋物件若ハ其
ノ收入又ハ都外ニ於テ營業所ヲ設ケタ
ル營業若ハ其ノ收入ニ對シテハ都稅ヲ
賦課スルコトヲ得ズ
都ノ内外ニ於テ營業所ヲ設ケ營業ヲ爲
ス者ニシテ其ノ營業又ハ收入ニ對スル
本稅ヲ分別シテ納メザルモノニ對シ附
加稅ヲ賦課スル場合及住所滯在都ノ內
外ニ涉ル者ノ收入ニシテ土地家屋物件
又ハ營業所ヲ設ケタル營業ヨリ生ズル
收入ニ非ザルモノニ對シ都稅ヲ賦課ス
ル場合ニ付テハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百二十二條所得稅法第十八條ニ揭グ
ル所得ニ對シテハ都稅ヲ賦課スルコト
司師,
神社、寺院、祠宇、佛堂ノ用ニ供スル
建物及其ノ境內地竝ニ〓會所、說〓所
ノ用ニ供スル建物及其ノ構內地ニ對シ
テハ都稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ但シ有
料ニテ之ヲ使用セシムル者及住宅ヲ以
テ〓會所、說〓所ノ用ニ充ツル者ニ對
シテハ此ノ限ニ在ラズ
國又ハ府縣、區市町村其ノ他ノ公共團
體ニ於テ公用ニ供スル家屋物件及營造
物ニ對シテハ都稅ヲ賦課スルコトヲ得
ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及
使用收益者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
國ノ事業又ハ行爲及國有ノ土地家屋物
件ニ對シテハ國ニ都稅ヲ賦課スルコト
マヨナ
前四項ノ規定ニ依ルモノノ外都稅ヲ賦
課スルコトヲ得ザルモノハ別ニ法律勅
令ノ定ムル所ニ依ル
第百二十三條都ハ公益上其ノ他ノ事由
ニ因リ課稅ヲ不適當トスル場合ニ於テ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ都稅ヲ課セザ
ルコトヲ得
第百二十四條數人ヲ利スル營造物ノ設
置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ
關係者ニ負擔セシムルコトヲ得
都ノ一部ヲ利スル營造物ノ設置、維持
其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ部內ニ於
テ都稅ヲ納ムル義務アル者ニ負擔セシ
ムルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ營造物ヨリ生ズル
收入アルトキハ先ヅ其ノ收入ヲ以テ其
ノ費用ニ充ツベシ前項ノ場合ニ於テ其
ノ一部ノ收入アルトキ亦同ジ
數人又ハ都ノ一部ヲ利スル財產ニ付テ
ハ前三項ノ例ニ依ル
第百二十五條都稅及其ノ賦課徵牧ニ關
シテハ本法其ノ他ノ法律ニ規定アルモ
ノノ外勅令ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得
第百二十六條數人又ハ都ノ一部ニ對シ
特ニ利益アル事件ニ關シテハ都ハ不均
一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ都ノ一部
ニ對シ賦課ヲ爲スコトヲ得
第百二十七條都稅ノ賦課ニ關シ必要ア
ル場合ニ於テハ當該官吏吏員ハ日出ヨ
リ日沒迄ノ間營業者ニ關シテハ仍其ノ
營業時間內家宅若ハ營業所ニ臨檢シ又
ハ帳簿物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ當該官吏吏員ハ共
ノ身分ヲ證明スベキ證票ヲ携帶スベシ
第百二十八條都長官ハ納稅者中特別ノ
事情アル者ニ對シ納稅延期ヲ許スコト
ヲ得其ノ年度ヲ越ユル場合ハ都參事會
ノ議決ヲ經ベシ
都長官ハ特別ノ事情アル者ニ限リ都參
事會ノ議決ヲ經テ都稅ヲ減免スルコト
ヲ得
第百二十九條使用料、手數料及都稅ニ
關スル事項ニ付テハ法令ニ規定アルモ
ノノ外都條例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料
ノ徵收ヲ免レ又ハ都稅ヲ通脫シタル者
ニ付テハ都條例ヲ以テ其ノ徵收ヲ免レ
又ハ通脫シタル金額ノ三倍ニ相當スル
金額(其ノ金額五圓未滿ナルトキハ五
圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クル
コトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、
手數料及都稅ノ賦課徵收ニ關シテハ都
條例ヲ以テ五圓以下ノ過料ヲ科スル規
定ヲ設クルコトヲ得財產又ハ營造物ノ
使用ニ關シ亦同ジ
過料ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不
服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコ
トヲ得
第百三十條都稅ノ賦課ヲ受ケタル者其
ノ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムル
トキハ徵稅令書又ハ徵稅傳令書ノ交付
ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ都長官ニ
異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
財產又ハ營造物ヲ使用スル權利ニ關シ
異議アル者ハ之ヲ都長官ニ申立ツルコ
トヲ得
前二項ノ規定ニ依ル異議ノ中立アリタ
ルトキハ都長官ハ七日以內ニ之ヲ都參
事會ノ決定ニ付スベシ決定ヲ受ケタル
者其ノ決定ニ不服アルトキハ行政裁判
所ニ出訴スルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ使用料及手數料
ノ徵收ニ關シ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ依ル決定ニ關シテハ都
長官、其ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員又
ハ區市町村吏員ヨリモ訴訟ヲ提起スル
コトヲ得
第百三十一條都稅、使用料、手數料、
過料、過怠金其ノ他ノ都ノ收入ヲ定期
內ニ納メザル者アルトキハ都長官ハ期
限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
前項ノ場合ニ於テハ都條例ノ定ムル所
ニ依リ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
滯納者第一項ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケ
其ノ指定ノ期限內ニ之ヲ完納セザルト
キハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處分
スハン
第一項及第二項ノ規定ニ依ル徵收金ハ
國ノ徵收金ニ次デ先取特權ヲ有シ其ノ
追徴、還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ
依ル
都長官ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員ガ前
三項ノ規定ニ依リ爲シタル處分ニ不服
アル者ハ都參事會ニ訴願シ其ノ裁決又
ハ都長官ノ處分ニ不服アル者ハ行政裁
判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ都長官
又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員ヨリ
モ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第三項ノ規定ニ依ル處分中差押物件ノ
公賣ハ處分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止
ス
第百三十二條都ハ其ノ負擔ヲ償還スル
爲、都ノ永久ノ利益ト爲ルベキ支出ヲ
爲ス爲又ハ。天災事變等ノ爲必要アル場
合ニ限リ都會ノ議決ヲ經テ都債ヲ起ス
コトヲ得
都債ヲ起スニ付都會ノ議決ヲ經ルトキ
ハ併セテ起債ノ方法、利息ノ定率及償
還ノ方法ニ付議決ヲ經ペシ
都長官ハ豫算內ノ支出ヲ爲ス爲都參事
會ノ議決ヲ經テ一時ノ借入金ヲ爲スコ
トヲ得
前項ノ借入金ハ其ノ會計年度內ノ收入
ヲ以テ償還スベシ
第二款歲入出豫算及決算
第百三十三條都長官ハ每會計年度歲入
出豫算ヲ調製シ年度開始前都會ノ議決
ヲ經ベシ
都ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ依ル
豫算ヲ都會ニ提出スルトキハ都長官ハ
併セテ財產表ヲ提出スベシ
第百三十四條都長官ハ都會ノ議決ヲ經
テ旣定豫算ノ追加又ハ更正ヲ爲スコト
ヲ得
第百三十五條都費ヲ以テ支辨スル事件
ニシテ數年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出ス
ベキモノハ都會ノ議決ヲ經テ其ノ年期
問各年度ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲ス
コトヲ得
第百三十六條都ハ豫算外ノ支出又ハ豫
算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ設ク
ベシ
特別會計ニハ豫備費ヲ設ケザルコトヲ
得
豫備費ハ都會ノ否決シタル費途ニ充ツ
ルコトヲ得ズ
第百三十七條豫算ハ議決ヲ經タル後直
ニ之ヲ內務大臣ニ報告シ且其ノ要領ヲ
告示スベシ
第百三十八條都ハ都會ノ議決ヲ經テ特
別會計ヲ設クルコトヲ得
第百三十九條都ノ支拂金ニ關スル時效
ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル
第百四十條都ノ出納ハ翌年度五月三十
一日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ都長官之ヲ次ノ通常豫算ヲ議ス
ル會議迄ニ都會ノ認定ニ付スベシ
決算ハ其ノ認定ニ關スル都會ノ議決ト
共ニ之ヲ內務大臣ニ報告シ且其ノ要領
ヲ告示スベシ
第百四十一條豫算調製ノ式、費目流用
其ノ他財務ニ關シ必要ナル規定ハ內務
大臣之ヲ定ム
第七章都ノ監督
第百四十二條都ハ內務大臣之ヲ監督ス
第百四十三條本法中行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得ベキ場合ニ於テハ內務大
臣ニ訴願スルコトヲ得ズ
第百四十四條異議ノ申立又ハ訴願ノ提
起ハ處分ヲ受ケ又ハ決定書ノ交付ヲ受
ケタル日ヨリ二十一日以內ニ之ヲ爲ス
ベシ但シ本法中別ニ期間ヲ定メタルモ
ノハ此ノ限ニ在ラズ
行政訴訟ノ提起ハ處分ヲ受ケ又ハ決定
書、裁定書若ハ裁決書ノ交付ヲ受ケタ
ル日ヨリ三十日以內ニ之ヲ爲スベシ
決定書又ハ裁決書ノ交付ヲ受ケザル者
ニ關シテハ前二項ノ期間ハ〓示ノ日ヨ
リ之ヲ起算ス
異議ノ申立ニ關スル期間ノ計算ニ付テ
ハ訴願法ノ規定ニ依ル
異議ノ申立ハ期限經過後ニ於テモ宥恕
スベキ事由アリト認ムルトキハ仍之ヲ
受理スルコトヲ得
異議ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ
理由ヲ附シ之ヲ申立人ニ交付スベシ
異議ノ申立アルモ處分ノ執行ハ之ヲ停
止セズ但シ行政廳ハ其ノ職權ニ依リ又
ハ關係者ノ請求ニ依リ必要ト認ムルト
キハ之ヲ停止スルコトヲ得
第百四十五條異議ノ決定ハ本法中別ニ
期間ヲ定メタルモノヲ除クノ外其ノ決
定ニ付セラレタル日ヨリ三月以内ニ之
ヲ爲スベシ
都參事會訴願ヲ受理シタルトキハ其ノ
日ヨリ三月以内ニ之ヲ裁決スベシ
第百四十六條內務大臣ハ都ノ監督上必
要アル場合ニ於テハ事務ノ報告ヲ爲サ
シメ、書類帳簿ヲ徵シ及實地ニ就キ事
務ヲ視察シ又ハ出納ヲ檢閱スルコトヲ
得
內務大臣ハ都ノ監督上必要ナル命令ヲ
發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第百四十七條內務大臣ハ都會ノ解散ヲ
命ズルコトヲ得
都會解散ノ場合ニ於テハ三月以內ニ議
員ヲ選擧スベシ
第百四十八條勅令ノ定ムル所ニ依リ左
ニ揭グル事件ハ主務大臣ノ許可ヲ受ク
ベシ
-使用料ヲ新設シ又ハ變更スルコト
二繼續費ヲ定メ又ハ變更スルコト
第百四十九條都債ヲ起シ又ハ起債ノ方
法、利息ノ定率若ハ償還ノ方法ヲ定メ
若ハ變更セントスルトキハ內務大臣及
大藏大臣ノ許可ヲ受クベシ但シ第百三
十二條第三項ノ借入金ハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第百五十條主務大臣ノ許可ヲ要スル事
件ニ付テハ主務大臣ハ許可申請ノ趣旨
ニ反セズト認ムル範圍內ニ於テ更正シ
テ許可ヲ與フルコトヲ得
第百五十一條主務大臣ノ許可ヲ要スル
事件ニ付テハ輕易ナルモノニ限リ勅令
ノ定ムル所ニ依リ其ノ許可ヲ受ケシメ
ザルコトヲ得
第百五十二條都吏員ノ服務規律竝ニ都
出納吏及都吏員ノ事務引繼、身元保證
及賠償責任ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
前項ノ命令ニハ事務引繼ヲ拒ミタル者
ニ對シ二十五圓以下ノ過料ヲ科スル規
定ヲ設クルコトヲ得
第八章區市町村
第一款總則
第百五十三第都ニ區市町村ヲ置ク
第百五十四條區ノ區域及名稱ハ從來ノ
東京市ノ區ノ區域及名稱ニ依リ市町村
ノ區域及名稱ハ從來ノ東京府ノ市町村
(東京市ヲ除ク)ノ區域及名稱ニ依ル
第百五十五條區ハ法人トス官ノ監督ヲ
承ケ法令ノ範圍內ニ於テ勅令ヲ以テ定
ムル公共事務及法律勅令ニ依リ區ニ屬
スル事務ヲ處理ス
市町村ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法令
ノ範圍內ニ於テ其ノ公共事務竝ニ從來
法令又ハ慣例ニ依リ市制町村制ニ依ル
市町村ニ屬スル事務及將來法律勅令ニ
依リ市町村ニ屬スル事務ヲ處理ス
第百五十六條區市町村ノ廢置分合又ハ
境界變更ヲ爲サントスルトキハ都長官
ハ關係アル區市町村會ノ意見ヲ徴シ都
參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得
テ之ヲ定ム
都ノ境界變更ニ伴フ區市町村ノ廢置分
合又ハ境界變更ニ關シテハ第三條第一
項ノ規定ニ依ル
區市町村ノ廢置分合又ハ境界變更ノ場
合ニ於テ財產アルトキハ其ノ處分ハ關
係アル區市町村會ノ意見ヲ徴シ都參事
會ノ議決ヲ經テ都長官之ヲ定ム但シ前
項ノ場合ニ於ケル財產處分ニ關シテハ
第三條第二項ノ規定ニ依ル
所屬未定地ヲ都ノ區域ニ編入スル場合
ニ於テ其ノ所屬スベキ區市町村ヲ定ム
ルニ付テハ第三條第四項ノ規定ニ依ル
第百五十七條區市町村ノ境界ニ關スル
爭論ハ都參事會之ヲ裁定ス其ノ裁定ニ
不服アル區市町村ハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
區市町村ノ境界判明ナラザル場合ニ於
テ前項ノ爭論ナキトキハ都長官ハ都參
事會ノ決定ニ付スベシ其ノ決定ニ不服
アル區市町村ハ行政裁判所ニ出訴スル
コトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル裁定及前項ノ規定
ニ依ル決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ
理由ヲ附シ之ヲ關係區市町村ニ交付ス
ベシ
第一項ノ規定ニ依ル裁定及第二項ノ規
定ニ依ル決定ニ付テハ都長官ヨリモ訴
訟ヲ提起スルコトヲ得
都ノ境界ニ涉リテ第一項又ハ第二項ノ
場合ヲ生ジタルトキハ第四條ノ規定ニ
依ル
第百五十八條區市町村ノ名稱ヲ變更セ
ントスルトキ、區役所、市役所若ハ町
村役場ノ位置ヲ定メ若ハ之ヲ變更セン
トスルトキ又ハ村ヲ町ト爲シ若ハ町ヲ
村ト爲サントスルトキハ區市町村ハ都
長官ノ許可ヲ受クベシ
第百五十九條區市町村內ニ住所ヲ有ス
ル者ハ本法ニ從ヒ區市町村ノ財產及營
造物ヲ共用スル權利ヲ有シ區市町村ノ
負擔ヲ分任スル義務ヲ負フ
第百六十條區市町村內ニ住所ヲ有スル
都公民ハ區市町村ノ選擧ニ參與シ區市
町村ノ名譽職ニ選擧セラルル權利ヲ有
シ區市町村ノ名譽職ヲ擔任スル義務ヲ
負フ
左ノ各號ノ一ニ該當セザル者ニシテ名
譽職ノ當選ヲ辭シ又ハ其ノ職ヲ辭シ若
ハ其ノ職務ヲ實際ニ執行セザルトキハ
區市町村ハ一年以上四年以下其ノ區市
町村ノ公務ニ參與スルノ權ヲ停止スル
コトヲ得
-疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘザル者
二業務ノ爲常ニ區市町村內ニ居ルコ
トヲ得ザル者
三年齡六十年以上ノ者
四官公職ノ爲區市町村ノ公務ヲ執ル
コトヲ得ザル者
五四年以上其ノ區市町村又ハ都ノ名
譽職ニ任ジ爾後同一ノ期間ヲ經過セ
ザル者
六其ノ他正當ノ事由アリト認ムル者
前項ノ規定ニ依ル處分ヲ受ケタル者其
ノ處分ニ不服アルトキハ都參事會ニ訴
願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁
判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依ル處分ハ其ノ確定ニ
至ル迄執行ヲ停止ス
第三項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ都長
官又ハ區市町村長ヨリモ訴訟ヲ提起ス
ルコトヲ得
第百六十一條第八條ノ規定ニ該當スル
者ハ區市町村ノ公務ニ參與スルコトヲ
得ズ
第百六十二條區市町村ハ區市町村內ニ
住所ヲ有スル者ノ權利義務又ハ區市町
村ノ事務ニ關シ區市町村條例ヲ設クル
コトヲ得
區市町村ハ區市町村ノ營造物ニ關シ區
市町村條例ヲ以テ規定スルモノノ外區
市町村規則ヲ設クルコトヲ得
區市町村條例及區市町村規則ハ一定ノ
公〓式ニ依リ之ヲ告示スベシ
第二款區
第一項區會
第百六十三條區會議員ハ其ノ被選擧權
アル者ニ就キ選擧人之ヲ選擧ス
議員ノ定數左ノ如シ
-人口五萬未滿ノ區三十人
二人口五萬以上十五萬未滿ノ區
三十五人
三人口十五萬以上ノ區四十人
議員ノ定數ハ總選擧ヲ行フ場合ニ非ザ
レバ之ヲ增減セズ但シ著シク人口ノ增
減アリタル場合ニ於テ都長官ノ許可ヲ
得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第百六十四條區內ニ住所ヲ有スル都公
民ハ總テ區會議員ノ選擧權ヲ有ス但シ
公民權停止中ノ者、第百六十條第二項
ノ規定ニ依リ區ノ公務ニ參與スルノ權
ヲ停止セラレ其ノ停止中ノ者又ハ第百
六十一條ノ規定ニ該當スル者ハ此ノ限
ニ在ラズ
第百六十五條區會議員ノ選擧權ヲ有ス
ル者ハ被選權擧ヲ有ス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被
選擧權ヲ有セズ
選擧事務ニ關係アル官吏及都區ノ有給
吏員ハ其ノ關係區域內ニ於テ被選擧權
ヲ有セズ
都ノ官吏及都區市町村ノ有給ノ吏員〓
員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノ者ハ區
會議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第百六十六條區會議員ハ名譽職トス
議員ノ任期ハ四年トシ總選擧ノ日ヨリ
之ヲ起算ス
議員ノ定數ニ異動ヲ生ジタル爲解任ヲ
要スル者アルトキハ區長抽籤シテ之ヲ
定ム但シ闘員アルトキハ其ノ闕員ヲ以
テ之ニ充ツベシ
前項但書ノ場合ニ於テ闕員ノ數解任ヲ
要スル者ノ數ニ滿チザルトキハ其ノ不
足ノ員數ニ付區長抽籤シテ解任スベキ
者ヲ定メ闕員ノ數解任ヲ要スル者ノ數
ヲ超ユルトキハ解任ヲ要スル者ニ充ツ
ベキ闕員ハ最モ先ニ闕員ト爲リタル者
ヨリ順次之ニ充テ闕員ト爲リタル時同
ジキトキハ區長抽籤シテ之ヲ定ム
議員ノ定數ニ異動ヲ生ジタル爲新ニ選
擧セラレタル議員ハ總選擧ニ依リ選擧
セラレタル議員ノ任期滿了ノ日迄在任
ス
第百六十七條區會議員中闕員ヲ生ジタ
ル場合ニ於テ第四十一條第二項ノ規定
ノ準用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者
ト爲ラザリシ者アルトキハ直ニ選擧會
ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ム
ベシ此ノ場合ニ於テハ第百七十二條第
三項ノ規定ヲ準用ス
前項ノ規定ノ適用ヲ受クル者ナク若ハ
前項ノ規定ノ適用ニ依リ當選者ヲ定ム
ルモ仍其ノ闕員ガ議員定數ノ六分ノ一
ヲ超ユルニ至リタルトキ又ハ區長若ハ
區會ニ於テ必要ト認ムルトキハ補闕選
擧ヲ行フベシ
第百七十二條第五項ノ規定ハ補關選擧
ニ之ヲ準用ス
補鬪議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任
ス
第百六十八條區會議員ノ選擧ハ其ノ區
ニ於ケル都會議員選擧人名簿ニ依リ之
ヲ行フ
第百六十九條議員候補者ハ選擧人名簿
ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ本人ノ承
諾ヲ得テ投票立會人タルベキ者一人ヲ
定メ選擧ノ期日前二日目迄ニ投票管理
者ニ屆出ヅルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ屆出アリタル者(議
員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコ
トヲ辭シタルトキハ其ノ屈出ニ係ル者
ヲ除ク)十人ヲ超エザルトキハ直ニ其
ノ者ヲ以テ投票立會人トシ十人ヲ超ユ
ルトキハ投票管理者ハ其ノ者ノ中ニ就
キ抽籤ニ依リ投票立會人十人ヲ定ムベ
シ
前項ノ抽籤ハ選擧ノ期日ノ前日之ヲ行
フ第一項ノ屆出ヲ爲シタル議員候補者
ハ之ニ立會フコトヲ得
前項ノ抽籤ヲ行フベキ場所及日時ハ投
票管理者ニ於テ豫メ之ヲ告示スベシ
第二項ノ規定ニ依リ投票立會人定マリ
タルトキハ投票管理者ハ直ニ之ヲ本人
ニ通知スベシ
議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タル
コトヲ辭シタルトキハ其ノ屆出ニ係ル
投票立會人ハ其ノ職ヲ失フ
第二十六條第二項乃至第四項ノ規定ハ
投票立會人ニ之ヲ準用ス
第百七十條前條ノ規定ハ選擧立會人ニ
之ヲ準用ス
第百七十一條當選者定マリタルトキハ
區長ハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ告知シ
同時ニ當選者ノ住所氏名ヲ告示シ且選
擧錄及投票錄ノ寫ヲ添へ之ヲ都長官ニ
報告スベシ當選者ナキトキハ直ニ其ノ
旨ヲ〓示シ且選擧錄及投票錄ノ寫ヲ添
ヘ之ヲ都長官ニ報告スベシ
當選者當選ヲ辭セントスルトキハ當選
ノ〓知ヲ受ケタル日ヨリ五日以內ニ之
ヲ區長ニ申立ツベシ
官吏ニシテ當選シタル者ハ所屬長官ノ
許可ヲ受クルニ非ザレバ之ニ應ズルコ
トヲ得ズ
前項ノ官吏ハ當選ノ告知ヲ受ケタル日
ヨリ二十日以內ニ之ニ應ズベキ旨ヲ區
長ニ申立テザルトキハ其ノ當選ヲ辭シ
タルモノト看做ス
區ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ區ニ於テ費用
ヲ負擔スル事業ニ付區長若ハ其ノ委任
ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者若ハ
其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ
爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支
配人ニシテ當選シタル者ハ其ノ請負ヲ
罷メ又ハ請負ヲ爲ス者ノ支配人若ハ主
トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責
任社員、役員若ハ支配人タルコトナキ
ニ至ルニ非ザレバ當選ニ應ズルコトヲ
得ズ第二項ノ期限前ニ其ノ旨ヲ區長ニ
申立テザルトキハ其ノ當選ヲ辭シタル
モノト看做ス
前項ノ役員トハ取締役、監査役及之ニ
準ズベキ者竝ニ〓算人ヲ謂フ
第百七十二條當選者左ニ揭グル事由ノ
一ニ該當スルトキハ三月以內ニ更ニ選
擧ヲ行フベシ但第二項ノ規定ニ依リ更
ニ選擧ヲ行フコトナクシテ當選者ヲ定
メ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一當選ヲ辭シタルトキ
二第四十二條ノ規定ノ準用ニ依リ當
選ヲ失ヒタルトキ
三死亡者ナルトキ
四選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セ
ラレ當選無效ト爲リタルトキ但シ同
一人ニ關シ前各號ノ事由ニ依ル選擧
又ハ補關選擧ノ告示ヲ爲シタル場合
ハ此ノ限ニ在ラズ
五第百七十五條ノ規定ニ依ル訴訟ノ
結果常選無效ト成リタルトキ
前項ノ事由前條第二項若ハ第四項ノ期
限前ニ生ジタル場合ニ於テ第四十一條
第一項但書ノ規定ノ準用ニ依ル得票者
ニシテ當選者ト爲ラザリシ者アルトキ
又ハ其ノ期限經過後ニ生ジタル場合ニ
於テ第四十一條第二項ノ規定ノ準用ヲ
受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラザ
リシ者アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其
ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ
前項ノ場合ニ於テ第四十一條第一項但
書ノ規定ノ準用ニ依ル得票者ニシテ當
選者ト爲ラザリシ者選擧ノ期日後ニ於
テ被選擧權ヲ有セザルニ至リタルトキ
ハ之ヲ當選者ト定ムルコトヲ得ズ
第一項ノ期間ハ第百七十四條第九項ノ
規定ノ適用アル場合ニ於テハ選擧ヲ
行フコトヲ得ザル事由已ミタル日ノ翌
日ヨリ之ヲ起算ス
第一項ノ事由議員ノ任期滿了前六月以
內ニ生ジタルトキハ第一項ノ選擧ハ之
ヲ行ハズ但シ議員ノ數其ノ定數ノ三分
ノ二ニ滿チザルニ至リタルトキハ此ノ
限ニ在ラズ
第百七十三條第百七十一條第二項ノ期
間ヲ經過シタルトキ又ハ同條第四項ノ
規定ニ依ル申立アリタルトキハ區長ハ
直ニ當選者ノ住所氏名ヲ告示シ併セテ
之ヲ都長官ニ報告スベシ
當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者
其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セザ
ルニ至リタルトキハ區長ハ直ニ其ノ旨
ヲ告示シ併セテ之ヲ都長官ニ報〓スベ
シ
第百七十四條選擧人又ハ議員候補者選
擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキ
ハ選擧ニ關シテハ選擧ノ日ヨリ當選ニ
關シテハ第百七十一條第一項又ハ前條
第二項ノ規定ニ依ル〓示ノ日ヨリ七日
以內ニ之ヲ區長ニ申立ツルコトヲ得此
ノ場合ニ於テハ區長ハ七日以內ニ區會
ノ決定ニ付スベシ區會ハ其ノ送付ヲ受
ケタル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定ス
ベシ
前項ノ規定ニ依ル決定ニ不服アル者ハ
都參事會ニ訴願スルコトヲ得
都長官ハ選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異
議アルトキハ選擧ニ關シテハ第百七十
一條第一項ノ規定ニ依ル報〓ヲ受ケタ
ル日ヨリ當選ニ關シテハ第百七十一條
第一項又ハ前條第二項ノ規定ニ依ル報
告ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ
都參事會ノ決定ニ付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル決定アリタルトキハ
同一事件ニ付爲シタル異議ノ申立及區
會ノ決定ハ無效トス
第二項若ハ第六項ノ規定ニ依ル裁決又
ハ第三項ノ規定ニ依ル決定ニ不服アル
者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル決定ニ付テハ區長
ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第二項若ハ前項ノ規定ニ依ル裁決又ハ
第三項ノ規定ニ依ル決定ニ付テハ都長
官又ハ區長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコト
ヲ得
第一項ノ規定ニ依ル決定アリタルトキ
ハ區長、第二項若ハ第六項ノ規定ニ依ル
裁決又ハ第三項ノ規定ニ依ル決定アリ
タルトキハ都長官直ニ之ヲ告示スベシ
第百六十七條、第百七十二條又ハ第百
七十六條第一項若ハ第三項ノ選擧ハ之
ニ關係アル選擧又ハ當選ニ關スル異議
申立期間、異議ノ決定若ハ訴願ノ裁決
確定セザル間又ハ訴訟ノ繫屬スル間之
ヲ行フコトヲ得ズ
區會議員ハ選擧又ハ當選ニ關スル決定
若ハ裁決確定シ又ハ判決アル迄ハ會議
ニ參與スルノ權ヲ失ハズ
第百七十五條衆議院議員選擧法第百十
條ノ規定ノ準用ニ依リ當選ヲ無效ナリ
ト認ムルトキハ選擧人又ハ議員候補者
ハ當選者ヲ被〓トシ第百七十一條第一
項ノ規定ニ依ル〓示ノ日ヨリ三十日以
內ニ控訴院ニ出訴スルコトヲ得
衆議院議目選擧法第百三十六條ノ規定
ノ準用ニ依リ選擧事務長ガ同法第百十
二條又ハ第百十三條ノ規定ノ準用ニ依
ル罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタルニ因リ當
選ヲ無效ナリト認ムルトキハ選擧人又
ハ議員候補者ハ常選者ヲ被〓トシ其ノ
裁判確定ノ日ヨリ三十日以內ニ控訴院
ニ出訴スルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依ル控訴院ノ判決ニ不
服アル者ハ大審院ニ上〓スルコトヲ得
衆議院議員選擧法第八十五條、第八十
七條及第百四十一條ノ規定ハ前三項ノ
規定ニ依ル訴訟ニ之ヲ準用ス
第百七十六條選擧無效ト確定シタルト
キハ三月以內ニ更ニ選擧ヲ行フベシ
當選無效ト確定シタルトキハ直ニ選擧
會ヲ開キ更ニ當選者ヲ定ムベシ此ノ場
合ニ於テハ第百七十二條第三項ノ規定
ヲ準用ス
當選者ナキトキ、當選者ナキニ至リタ
ルトキ又ハ常選者其ノ選擧ニ於ケル議
員ノ定數ニ逹セザルトキ若ハ定數ニ達
セザルニ至リタルトキハ三月以內ニ更
ニ選擧ヲ行フベシ
第百七十二條第四項及第五項ノ規定ハ
第一項及前項ノ選擧ニ之ヲ準用ス
第百七十七條第百七十二條若ハ前條ノ
選擧、增目選擧又ハ補鬪選擧ヲ同時ニ
行フ場合ニ於テハ一ノ選擧ヲ以テ合併
シテ之ヲ行フ
第百七十八條區會議員被選擧權ヲ有セ
ザル者ナルトキ又ハ第百七十一條第五
項ニ揭グル者ナルトキハ其ノ職ヲ失フ
其ノ被選擧權ノ有無又ハ第百七十一條
第五項ニ揭グル者ニ該當スルヤ否ヤハ
區會議員ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ
因リ被選擧權ヲ有セザル場合ヲ除クノ
外區會之ヲ決定ス
一禁治產者又ハ準禁治產者ト爲リタ
ルトキ
二破產者ト爲リタルトキ
三禁鋼以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
四選擧ニ關スル犯罪ニ依リ罰金ノ刑
ニ處セラレタルトキ
區長ハ區會議員中被選擧權ヲ有セザル
者又ハ第百七十一條第五項ニ揭グル者
アリト認ムルトキハ之ヲ區會ノ決定ニ
付スベシ區會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日
ヨリ十四日以内ニ之ヲ決定スベシ
第一項ノ規定ニ依ル決定ヲ受ケタル者
其ノ決定ニ不服アルトキハ都參事會ニ
訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ規定ニ依
ル裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ
出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル決定及前項ノ規定
ニ依ル裁決ニ付テハ區長ヨリモ訴願又
ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ都長
官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百七十四條第十項ノ規定ハ第一項及
前三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ規定ニ依ル決定ハ文書ヲ以テ
之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交
付スベシ
第百七十九條前數條ニ規定スルモノノ
外區會議員ノ選擧ニ關シテハ第二十一
條乃至第二十五條、第二十七條乃至第
三十四條、第三十六條乃至第四十四
條、第四十九條及第五十五條ノ規定ヲ
準用ス
第百八十條區會ハ區ニ關スル事件及法
律勅令ニ依リ其ノ權限ニ屬スル事件ヲ
議決ス
第百八十一條區會ノ議決スベキ事件ノ
〓目左ノ如シ
-區條例及區規則ヲ設ケ又ハ改廢ス
ルコト
二區費ヲ以テ支辨スベキ事業ニ關ス
ルコト但シ第百九十一條ノ事務及法
律勅令中別段ノ規定アルモノハ此ノ
限ニ在ラズ
三歲入出豫算ヲ定ムルコト
四決算報告ヲ認定スルコト
五法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用
料手數料、加入金、區稅及夫役現
品ノ賦課徵收ニ關スルコト
六不動產ノ管理、處分及取得ニ關ス
ルコト
七基本財產及積立金穀等ノ設置、管
理及處分ニ關スルコト
八歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除
クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權利
ノ抛棄ヲ爲スコト
九財產及營造物ノ管理方法ヲ定ムル
コト伹シ法律勅令中別段ノ規定アル
モノハ此ノ限ニ在ラズ
十區吏員ノ身元保證ニ關スルコト
十一區ニ係ル訴願、訴訟及和解ニ關
スルコト
第百八十二條前二條ニ規定スルモノノ
外區會ノ職務權限ニ關シテハ第五十九
條乃至第七十八條及第八十三條ノ規定
ヲ準用ス
第二項區吏員
第百八十三條區ニ區長ヲ置ク
區長ハ有給吏員トシ其ノ任期ハ四年ト
ス
區長ハ都長官ノ推薦ニ依リ區會之ヲ定
ム
區長ノ在職中ニ於テ行フ後任區長ノ推
薦決定ハ現任區長ノ任期滿了ノ日前二
十日以內又ハ現任區長ノ退職ノ申立ア
リタル場合ニ於テ其ノ退職スベキ日前
二十日以內ニ非ザレバ之ヲ行フコトヲ
得ズ
第三項ノ規定ニ依ル推薦決定アリタル
トキハ直ニ本人ニ其ノ旨ヲ告知スベシ
區長ニ推薦決定セラレタル者其ノ告知ヲ
受ケタルトキハ其ノ告知ヲ受ケタル日
ヨリ二十日以內ニ之ニ應ズルヤ否ヤヲ
申立ツベシ其ノ期間內ニ之ニ應ズル旨
ノ申立ヲ爲サザルトキハ之ヲ辭シタル
モノト看做ス
第百七十一條第三項ノ規定ハ區長ニ推
薦決定セラレタル者ニ之ヲ準用ス
區長ハ其ノ退職セントスル日前三十日
目迄ニ申立ツルニ非ザレバ任期中浪職
スルコトヲ得ズ但シ區會ノ同意ヲ得タ
ルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第百八十四條區長ハ第百六十五條第二
項又ハ第四項ニ揭ゲタル職ト相兼ヌル
コトヲ得ズ
區長ハ其ノ區ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ其
ノ區ニ於テ費用ヲ負擔スル事業ニ付區
長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對シ請
負ヲ爲ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ
同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社
員、取締役監査役若ハ之ニ準ズベキ者、
〓算人及支配人タルコトヲ得ズ
區長ハ會社ノ取締役監査役若ハ之ニ準
ズベキ者、〓算人又ハ支配人其ノ他ノ
事務員タルコトヲ得ズ
區長ハ都長官ノ許可ヲ受クルニ非ザレ
バ他ノ報償アル業務ニ從事スルコトヲ
得ズ
第百八十五條前二條ニ規定スルモノノ
外區吏員ノ組織及任免ニ關シテハ第八
十九條乃至第九十二條ノ規定ヲ準用ス
第百八十六條區長ハ區吏員ヲ指揮監督
シ之ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲
戒處分ハ譴責及十圓以下ノ過怠金トス
第百八十七條區會ノ議決又ハ選擧其ノ
權限ヲ越エ又ハ法令若ハ會議規則ニ背
クト認ムルトキハ區長ハ其ノ意見ニ依
リ又ハ都長官ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シ
テ之ヲ再議ニ付シ又ハ五選擧ヲ行ハシ
ムベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルト
キハ區長ハ議決ニ付テハ之ヲ再議ニ付
セズシテ直ニ都參事會ノ裁決ヲ請フコ
トヲ得
前項ノ規定ニ依リ爲シタル區會ノ議決
仍其ノ權限ヲ越エ又ハ法令若ハ會議規
則ニ背クト認ムルトキハ區長ハ都參事
會ノ裁決ヲ請フベシ
都長官ハ前二項ノ議決又ハ選擧ヲ取消
スコトヲ得
第一項若ハ第二項ノ規定ニ依ル裁決又
ハ前項ノ規定ニ依ル處分ニ不服アル區
長又ハ區會ハ行政裁判所ニ出訴スルコ
トヲ得
第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル裁決ニ
付テハ都長官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコ
トヲ得
第百八十八條區會ノ議決明ニ公益ヲ害
スト認ムルトキハ區長ハ其ノ意見ニ依リ
又ハ都長官ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之
ヲ再議ニ付スベシ但シ特別ノ事由アリ
ト認ムルトキハ區長ハ之ヲ再議ニ付セズ
シテ直ニ都長官ノ指揮ヲ請フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ爲シタル區會ノ議決
仍明ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ區長
ハ都長官ノ指揮ヲ請フベシ
區會ノ議決收支ニ關シ執行スルコト能
ハザルモノアリト認ムルトキハ前二項
ノ例ニ依ル左ニ揭グル費用ヲ削除シ又
ハ減額シタル場合ニ於テ其ノ費用及之
ニ伴フ收入ニ付亦同ジ
法令ニ依リ負擔スル費用、當該官
廳ノ職權ニ依リ命ズル費用其ノ他ノ
區ノ義務ニ屬スル費用
二非常ノ災害ニ因ル應急又ハ復舊ノ
施設ノ爲ニ要スル費用、傳染病豫防
ノ爲ニ要スル費用其ノ他ノ緊急避ク
ベカラザル費用
前三項ノ規定ニ依ル都長官ノ處分ニ不
服アル區長又ハ區會ハ內務大臣ニ訴願
スルコトヲ得
第百八十九條區會成立セザルトキ又ハ
第六十六條但書ノ規定ノ準用ニ依ル場
合ニ於テ仍會議ヲ開クコト能ハザルト
キハ區長ハ都長官ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議
決スベキ事件ヲ處分スルコトヲ得
區會ニ於テ其ノ議決スベキ事件ヲ議決
セザルトキハ前項ノ例ニ依ル
區會ノ決定スベキ事件ニ關シテハ前二
項ノ例ニ依ル此ノ場合ニ於ケル區長ノ
處分ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準ジ訴
願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
前三項ノ規定ニ依ル處分ニ付テハ區長
ハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ區會ニ報〓ス
ベシ
第百九十條區會ニ於テ議決又ハ決定ス
ベキ事件ニ關シ臨時急施ヲ要スル場合
ニ於テ區會成立セザルトキ又ハ區長ニ
於テ之ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルト
キハ區長ハ之ヲ專決シ次囘ノ會議ニ於
テ之ヲ區會ニ報〓スベシ
前項ノ規定ニ依リ區長ノ爲シタル處分
ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準ジ訴願又
ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百九十一條區長其ノ他ノ區吏員ハ從
來法令ノ定ムル所ニ依リ市制第六條ノ
市ノ區長其ノ他ノ區所屬ノ吏員ノ掌ル
國及府縣其ノ他ノ公共團體ノ事務又ハ
將來井律勅令ノ定ムル所ニ依リ國及都
其ノ他ノ公共團體ノ事務ヲ掌ル
前項ノ事務ヲ執行スル爲要スル費用ハ
區ノ負擔トス但シ法令中別段ノ規定ア
ルモノハ此ノ限ニ在ラズ
第百九十二條區長ハ區吏員ヲシテ其ノ
事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ
得
區長故障アルトキハ區吏員中上席者ヨ
リ順次之ヲ代理ス
第百九十三條區出納吏ハ區ノ出納其ノ
他ノ會計事務竝ニ從來法令ノ定ムル所
ニ依リ市制第六條ノ市ノ區收入役ノ掌
ル國及府縣其ノ他ノ公共團體ノ出納其
ノ他ノ會計事務及第百九十一條ノ事務
ニ關スル國及都其ノ他ノ公共團體ノ出
納其ノ他ノ會計事務ヲ掌ル但シ法令中
別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
第百九十四條前數條ニ規定スルモノノ
外區吏員ノ職務權限ニ關シテハ第九十
三條、第九十九條、第百四條及第百六
條ノ規定ヲ準用ス
第三項給料及給與
第百九十五條費用辨償、報酬、給料、
旅費、退隱料、退職給與金、死亡給與
金又ハ遺族扶助料ノ給與ニ付關係者ニ
於テ異議アルトキハ之ヲ區長ニ申立ツ
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル異議ノ申立アリタル
トキハ區長ハ七日以內ニ之ヲ區會ノ決
定ニ付スベシ關係者其ノ決定ニ不服ア
ルトキハ都參事會ニ訴願シ其ノ裁決又
ハ第三項ノ規定ニ依ル裁決ニ不服アル
トキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル決定及裁決ニ付テハ
區長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコ
トヲ得
前二項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ都長
官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百九十六條前條ニ規定スルモノノ外
給料及給與ニ關シテハ第百七條乃至第
百九條及第百十一條ノ規定ヲ準用ス
第四項區ノ財務
第百九十七條舊來ノ慣行ニ依リ區內ニ
住所ヲ有スル者ノ中特ニ財產又ハ營造
物ヲ使用スル權利ヲ有スル者アルトキ
ハ其ノ舊慣ニ依ル舊慣ヲ變更又ハ廢止
セントスルトキハ區會ノ議決ヲ經ベシ
前項ノ財產又ハ營造物ヲ新ニ使用セン
トスル者アルトキハ區ハ之ヲ許可スル
コトヲ得
第百九十八條區ハ前條ニ規定スル財產
ノ使用方法ニ關シ區規則ヲ設クルコト
ヲ得
第百九十九條區ハ第百九十七條第一項
ノ使用者ヨリ使用料ヲ徵收シ同條第二
項ノ使用ニ關シテハ使用料若ハ一時ノ
加入金ヲ徵收シ又ハ使用料及加入金ヲ
共ニ徵收スルコトヲ得
第二百條區ハ其ノ財產ヨリ生ズル收
入使用料、手數料、過料、過怠金其
ノ他法令ニ依リ區ニ屬スル收入ヲ以テ
其ノ支出ニ充テ仍不足アルトキハ區稅
及夫役現品ヲ賦課徵收スルコトヲ得
第二百一條區稅トシテ賦課スルコトヲ
得ベキモノハ勅令ヲ以テ指定スル種類
ノ直接國稅附加稅、都稅附加稅及特別
稅トス
直接國稅又ハ都稅ノ附加稅ハ均一ノ稅
率ヲ以テ之ヲ徵收スベシ但シ第二百二
十六條ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場
合ハ此ノ限ニ在ラズ
直接國稅ノ附加稅タル都稅ニ對シテハ
附加稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
特別稅ハ別ニ稅目ヲ起シテ課稅スル
ノ必要アルトキ賦課徵收スルモノトス
第二百二條夫役又ハ現品ハ直接區稅ヲ
準率ト爲シ且之ヲ金額ニ算出シテ賦課
スベシ但シ第二百二十六條ノ規定ニ依
リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラ
ズ
學藝、美術及手工ニ關スル勞務ニ付テ
ハ夫役ヲ賦課スルコトヲ得ズ
夫役ヲ賦課セラレタル者ハ本人自ラ之
ニ當リ又ハ適當ノ代人ヲ出スコトヲ得
夫役又ハ現品ハ金錢ヲ以テ之ニ代フル
コトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ急迫ノ場合ニ賦
課スル夫役ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二百三條非常災害ノ爲必要アルトキ
ハ區ハ他人ノ土地ヲ一時使用シ又ハ其
ノ土石竹木其ノ他ノ物品ヲ使用シ若ハ
收用スルコトヲ得但シ其ノ損失ヲ補償
スパン
前項ノ場合ニ於テ危險防止ノ爲必要ア
ルトキハ區長、警察官吏又ハ都長官ハ
區內ノ居住者ヲシテ防禦ニ從事セシム
ルコトヲ得
第一項但書ノ規定ニ依リ補償スベキ金
額ハ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハザル
トキハ鑑定人ノ意見ヲ徵シ都長官之ヲ
決定ス決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不
服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコト
ヲ得
前項ノ規定ニ依ル決定ハ文書ヲ以テ之
ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付
スペン
第一項ノ規定ニ依リ土地ノ一時使用ノ
處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アル
トキハ都長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服
アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ
得
第二百四條使用料、手數料及特別稅ニ
關スル事項ニ付テハ法令ニ規定アルモ
ノノ外區條例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料
ノ徵收ヲ免レ又ハ區稅ヲ連脫シタル者
ニ付テハ區條例ヲ以テ其ノ徵收ヲ免レ
又ハ連脫シタル金額ノ三倍ニ相當スル
金額(其ノ金額五圓未滿ナルトキハ五
圓)以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クル
コトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、
手數料及區稅ノ賦課徵收ニ關シテハ區
條例ヲ以テ五圓以下ノ過料ヲ科スル規
定ヲ設クルコトヲ得財產又ハ營造物ノ
使用ニ關シ亦同ジ
過料ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不
服アルトキハ都參事會ニ訴願シ其ノ裁
決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ都長官又
ハ區長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二百五條區稅ノ賦課ヲ受ケタル者其
ノ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムル
トキハ徵稅令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨ
リ三月以内ニ區長ニ異議ノ申立ヲ爲ス
コトヲ得
財產又ハ營造物ヲ使用スル權利ニ關シ
異議アル者ハ之ヲ區長ニ申立ツルコト
ヲ得
前二項ノ規定ニ依ル異議ノ申立アリタ
ルトキハ區長ハ七日以內ニ之ヲ區會ノ
決定ニ付スベシ決定ヲ受ケタル者其ノ
決定ニ不服アルトキハ都參事會ニ訴願
シ其ノ裁決又ハ第五項ノ規定ニ依ル裁
決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ使用料、手數料
及加入金ノ徵收竝ニ夫役現品ノ賦課ニ
關シ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ依ル決定及裁決ニ付テ
ハ區長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スル
コトヲ得
前三項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ都長
官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二百六條區稅、使用料、手數料、加
入金、過料、過怠金其ノ他ノ區ノ收入
ヲ定期內ニ納メザル者アルトキハ區長
ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者定期內ニ
其ノ履行ヲ爲サズ又ハ夫役現品ニ代フ
ル金錢ヲ納メザルトキハ區長ハ期限ヲ
指定シテ之ヲ督促スベシ急迫ノ場合ニ
賦課シタル夫役ニ付テハ更ニ之ヲ金額
ニ算出シ期限ヲ指定シテ其ノ納付ヲ命
ズベシ
前二項ノ場合ニ於テハ區條例ノ定ムル
所ニ依リ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
滯納者第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル
督促又ハ命令ヲ受ケ其ノ指定ノ期限內
ニ之ヲ完納セザルトキハ國稅滯納處分
ノ例ニ依リ之ヲ處分スベシ
第一項乃至第三項ノ規定ニ依ル徴收金
ハ都ノ徵收金ニ次デ先取特權ヲ有シ其
ノ追徵、還付及時效ニ付テハ國稅ノ例
一匹九ノ
前三項ノ規定ニ依ル處分ニ不服アル者
ハ都參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服ア
ルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ
得
前項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ都長官
又ハ區長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ
得
第四項ノ規定ニ依ル處分中差押物件ノ
公賣ハ處分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止
ス
第二百七條區ノ出納ハ每月例日ヲ定メ
テ之ヲ檢査シ且每會計年度少クトモ二
囘臨時檢査ヲ爲スベシ
檢査ハ區長之ヲ爲シ臨時檢査ニハ區會
ニ於テ其ノ議員中ヨリ選擧シタル者二
人以上ノ立會ヲ要ス
第二百八條前數條ニ規定スルモノノ外
區ノ財務ニ關シテハ第百十二條乃至第
百十六條、第百十八條乃至第百二十八
條及第百三十二條乃至第百四十一條ノ
規定ヲ準用ス但シ第百十四條、第百二
十八條及第百三十二條第三項中都參事
會トアルハ區會、第百三十七條中內務
大臣トアルハ都長官トス
第五項區ノ一部ノ事務
第二百九條區ノ一部ニシテ財產ヲ有シ
又ハ營造物ヲ設ケタルモノアルトキハ
其ノ財產又ハ營造物ノ管理及處分ニ付
テハ本法中區ノ財產又ハ營造物ニ關ス
ル規定ニ依ル但シ法律勅令中別段ノ規
定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ財產又ハ營造物ニ關シ特ニ要ス
ル費用ハ其ノ財產又ハ營造物ノ屬スル
區ノ一部ノ負擔トス
前二項ノ場合ニ於テハ區ノ一部ハ其ノ
會計ヲ分別スベシ
第二百十條前條ノ財產又ハ營造物ニ關
シ必要アリト認ムルトキハ都長官ハ區
會ノ意見ヲ徵シ區條例ヲ設定シ部會ヲ
設ケテ區會ノ議決スベキ事項ヲ議決セ
シムルコトヲ得
第二百十一條部會議員ハ區ノ名譽職ト
ス其ノ定數、任期、選擧權及被選擧權
ニ關スル事項ハ前條ノ區條例中ニ之ヲ
規定スベシ
部會議員ノ選擧ニ付テハ町村會議員ニ
關スル規定ヲ準用ス但シ選擧又ハ當選
ノ效力ニ關スル異議ノ決定及被選擧權
ノ有無ノ決定ハ區會ニ於テ之ヲ爲スベ
シ
部會ニ關シテハ區會ニ關スル規定ヲ準
用ス
第二百十二條第二百九條ノ場合ニ於テ
區ノ一部都長官ノ處分ニ不服アルトキ
ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第二百十三條第二百九條ノ區ノ一部ノ
事務ニ關シテハ本法ニ規定アルモノノ
外勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六項區市町村組合
第二百十四條區市町村ハ其ノ事務ノ一
部ヲ共同處理スル爲其ノ協議ニ依リ都
長官ノ許可ヲ得テ區市町村組合ヲ設ク
ルコトヲ得
公益上必要アル場合ニ於テハ都長官ハ
關係アル區市町村會ノ意見ヲ徴シ都參
事會ノ議決ヲ經テ前項ノ區市町村組合
ヲ設クルコトヲ得
區市町村組合ハ法人トス
第二百十五條區市町村組合ニシテ其ノ
組合區市町村ノ數ヲ增減シ又ハ共同事
務ノ變更ヲ爲サントスルトキハ關係區
市町村ノ協議ニ依リ都長官ノ許可ヲ受
クベシ
公益上必要アル場合ニ於テハ都長官ハ
關係アル區市町村會ノ意見ヲ徵シ都參
事會ノ議決ヲ經テ組合區市町村ノ數ヲ
增減シ又ハ共同事務ノ變更ヲ爲スコト
ヲ得
第二百十六條區市町村組合ヲ設クルト
キハ關係區市町村ノ協議ニ依リ組合規
約ヲ定メ都長官ノ許可ヲ受クベシ組合
規約ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
公益上必要アル場合ニ於テハ都長官ハ
關係アル區市町村會ノ意見ヲ徵シ都參
事會ノ議決ヲ經テ組合規約ヲ定メ又ハ
變更スルコトヲ得
第二百十七條組合規約ニハ組合ノ名稱、
組合ヲ組織スル區市町村、組合ノ共同
事務、組合役場ノ位置、組合會ノ組織
及組合會議員ノ選擧、組合吏員ノ組織
及選任竝ニ組合費用ノ支辨方法ニ付規
定ヲ設クベシ
第二百十八條區市町村組合ヲ解カント
スルトキハ關係區市町村ノ協議ニ依リ
都長官ノ許可ヲ受クベシ
公益上必要アル場合ニ於テハ都長官ハ
關係アル區市町村會ノ意見ヲ徵シ都參
事會ノ議決ヲ經テ區市町村組合ヲ解ク
コトヲ得
第二百十九條第二百十五條第一項及前
條第一項ノ場合ニ於テ財產ノ處分ニ關
スル事項ハ關係區市町村ノ協議ニ依リ
之ヲ定ム
第二百十五條第二項及前條第二項ノ場
合ニ於テ財產ノ處分ニ關スル事項ハ關
係アル區市町村會ノ意見ヲ徵シ都參事
會ノ議決ヲ經テ都長官之ヲ定ム
第二百二十條第二百十四條第一項、第
二百十五條第一項、第二百十六條第一
項、第二百十八條第一項及前條第二項
ノ規定ニ依ル都長官ノ處分ニ不服アル
區市町村又ハ區市町村組合ハ內務大臣
ニ訴願スルコトヲ得
組合費ノ分賦ニ關シ違法又ハ錯誤アリ
ト認ムル區市町村ハ其ノ告知アリタル
日ヨリ三月以内ニ組合ノ管理者ニ異議
ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル異議ノ中立アリタル
トキハ組合ノ管理者ハ七日以內ニ之ヲ
組合會ノ決定ニ付スベシ其ノ決定ニ不
服アル區市町村ハ都參事會ニ訴願シ其
ノ裁決又ハ第四項ノ規定ニ依ル裁決ニ
不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スル
コトヲ得
前項ノ規定ニ依ル決定及裁決ニ付テハ
組合ノ管理者ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提
起スルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ都長
官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二百二十一條區市町村組合ニ關シテ
ハ法律勅令中別段ノ規定アルモノヲ除
クノ外區ニ關スル規定ヲ準用ス
第七項區ノ監督
第二百二十二條區ハ第一次ニ於テ都長
官之ヲ監督シ第二次ニ於テ內務大臣之
ヲ監督ス
第二百二十三條本法中別段ノ規定アル
モノヲ除クノ外區ノ監督ニ關スル都長
官ノ處分ニ不服アル區ハ內務大臣ニ訴
願スルコトヲ得
第二百二十四條監督官廳ハ區ノ監督上
必要アル場合ニ於テハ事務ノ報告ヲ爲
サシメ、書類帳簿ヲ徵シ及實地ニ就キ
事務ヲ視察シ又ハ出納ヲ檢閱スルコト
ヲ得
監督官廳ハ區ノ監督上必要ナル命令ヲ
發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
內務大臣ハ都長官ノ區ノ監督ニ關シテ
爲シタル命令又ハ處分ヲ停止シ又ハ取
消スコトヲ得
第二百二十五條區ニ於テ法令ニ依リ負擔
シ又ハ當該官廳ノ職權ニ依リ命ズル費
用ヲ豫算ニ載セザルトキハ都長官ハ理
由ヲ示シテ其ノ費用ヲ豫算ニ加フルコ
トヲ得
區長其ノ他ノ吏員其ノ執行スベキ事件
ヲ執行セザルトキハ都長官又ハ其ノ委
任ヲ受ケタル官吏吏員之ヲ執行スルコ
トヲ得但シ其ノ費用ハ區ノ負擔トス
前二項ノ規定ニ依ル處分ニ不服アル區
又ハ區長其ノ他ノ吏員ハ行政裁判所ニ
出訴スルコトヲ得
第二百二十六條左ニ揭グル事件ハ都長
官ノ許可ヲ受クベシ但シ第一號、節四
號第ハ號及第十一號ニ揭グル事件ニ
シテ勅令ヲ以テ指定スルモノハ其ノ定
ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベ
シ
一區條例ヲ設ケ又ハ改廢スルコト
二基本財產及特別基本財產ノ處分ニ
關スルコト
三第百九十七條ノ規定ニ依リ舊慣ヲ
變更シ又ハ廢止スルコト
四使用料ヲ新設シ又ハ變更スルコト
五均一ノ稅率ニ依ラズシテ直接國稅
附加稅又ハ都稅附加稅ヲ賦課スルコ
六特別稅ヲ新設シ又ハ變更スルコト
七第百二十四條第一項、第二項及第
四項ノ規定ノ準用ニ依リ數人又ハ區
ノ一部ニ費用ヲ負擔セシムルコト
八第百二十六條ノ規定ノ準用ニ依リ
不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ區
ノ一部ニ對シ賦課ヲ爲スコト
九第二百二條ノ準率ニ依ラズシテ夫
役現品ヲ賦課スルコト但シ急迫ノ場
合ニ賦課スル夫役ニ付テハ此ノ限ニ
在ラズ
十繼續費ヲ定メ又ハ變更スルコト
十一區債ヲ起シ竝ニ起債ノ方法、利
息ノ定率及償還ノ方法ヲ定メ又ハ之
ヲ變更スルコト但シ第百三十二條第
三項ノ規定ノ準用ニ依ル借入金ハ此
ノ限ニ在ラズ
第二百二十七條都長官ハ區長、委員其
ノ他ノ區吏員ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ
得其ノ懲戒處分ハ譴責、二十五圓以下
ノ過台金及解職トス但シ區長ニ對スル
解職ハ懲戒審査會ノ議決ヲ經ルコトヲ
要ス
懲戒審査會ハ內務大臣ノ命ジタル都ノ
官吏吏員三人及都參事會員ニ於テ互選
シタル者三人ヲ以テ其ノ會員トシ都長
官ヲ以テ會長トス都長官故障アルトキ
ハ其ノ代理者會長ノ職務ヲ代理ス
都參事會員ノ互選スベキ會員ノ選擧、
補關及任期竝ニ懲戒審査會ノ招集及會
議ニ付テハ都參事會員及都參事會ニ關
スル規定ヲ準用ス
解職ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不
服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコト
ヲ得
都長官ハ區長ノ解職ヲ行ハントスル前
其ノ停職ヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ
於テハ其ノ停職期間給料ヲ支給スルコ
トヲ得ズ
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間
都北海道府縣、區市町村其ノ他之ニ準
ズベキモノノ公職ニ就クコトヲ得ズ
第二百二十八條前數條ニ規定スルモノ
ノ外區ノ監督ニ關シテハ第百四十三條
乃至第百四十五條、第百四十七條及第
百五十條乃至第百五十二條ノ規定ヲ準
用ス但シ第百五十條及第百五十一條中
主務大臣トアルハ監督官廳トス
第三款市
第二百二十九條市會議員ノ選擧ハ其ノ
市ニ於ケル都會議目選擧人名簿及第二
項ノ選擧人名簿ニ依リ之ヲ行フ
市長ハ第二百三十八條ノ規定ニ依リ市
會議員選舉權ヲ有スル者ノ選擧人名
簿ヲ調製スベシ其ノ名簿ノ調製、縱覽、
確定及異議ノ決定ニ關スル期日及期間
ハ都會議〓選擧人名簿ノ例ニ依ル
第二百三十條前條ニ規定スルモノノ外
市會ノ組織及市會議員ノ選擧ニ關シテ
ハ第二十一條乃至第二十五條、第二十
七條乃至第三十四條、第三十六條乃至
第四十四條、第四十九條、第五十五條、
第百六十三條乃至第百六十七條、第百
六十九條乃至第百七十八條及第二百五
十八條第三項ノ規定ヲ準用ス
第二百三十一條市會ノ職務權限ニ關シ
テハ第五十八條乃至第七十八條、第百
八十條及第百八十一條ノ規定ヲ準用ス
第二百三十二條市參事會ノ組織及市參
事會員ノ選擧ニ關シテハ第七十九條乃
至第八十一條ノ規定ヲ準用ス但シ第七
十九條第一項中十五人トアルハ十人ト
ス
第二百三十三條市參事會ノ職務權限ニ
關シテハ第八十二條第一號、第二號及
第六號竝ニ第八十三條乃至第八十七條
ノ規定ヲ準用ス
第二百三十四條市ニ市長、助役一人及
收入役一人ヲ置ク
市ハ必要アルトキハ市條例ヲ以テ助役
一人ヲ增置スルコトヲ得
市ハ必要アルトキハ市條例ヲ以テ副收
入役一人ヲ置クコトヲ得
第二百三十五條市長ハ有給吏員トス但
シ市條例ヲ以テ名譽職ト爲スコトヲ得
名譽職市長ハ市會議員ノ選擧權ヲ有ス
ル者ニ限ル
市長ノ任期ハ四年トス
市長ハ市會ニ於テ之ヲ選擧ス
第百八十三條第四項乃至第七項ノ規定
ハ市長ニ之ヲ準用ス
第百八十三條第八項ノ規定ハ有給市長
ニ之ヲ準用ス
第二百三十六條助役ハ有給吏員トシ其
ノ任期ハ四年トス
助役ハ市長ノ推薦ニ依リ市會之ヲ定メ
市長職ニ在ラザルトキハ市會ニ於テ之
ヲ選擧ス
第百八十三條第四項乃至第八項ノ規定
ハ助役ニ之ヲ準用ス
第二百三十七條收入役及副收入役ハ有
給吏員トシ其ノ任期ハ四年トス
市長又ハ助役ト父子兄弟タル緣故アル
者ハ收入役又ハ副收入役ノ職ニ在ルコト
ヲ得ズ收入役ト父子兄弟タル緣故アル
者ハ副收入役ノ職ニ在ルコトヲ得ズ
第百八十三條第四項乃至第七項及前條
第二項ノ規定ハ收入役及副收入役ニ之
ヲ準用ス
第二百三十八條有給市長、助役、收入
役及副收入役ハ第百六十四條ノ規定ノ
準用ニ拘ラズ在職ノ間其ノ市ノ市會議
員ノ選擧權ヲ有ス
第二百三十九條市長、助役、收入役及
副收入役ハ第百六十五條第二項又ハ第
四項ニ揭ゲタル職ト相兼ヌルコトヲ得
ズ
市長、助役、收入役及副收入役ハ其ノ
市ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ共ノ市ニ於テ
費用ヲ負擔スル事業ニ付市長若ハ其ノ
委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者
及其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲
ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、取締役監
査役若ハ之ニ準ズベキ者、〓算人及支
配人タルコトヲ得ズ
有給市長、助役、收入役及副收入役ハ
會社ノ取締役監査役若ハ之ニ準ズベキ
者〓算人又ハ支配人其ノ他ノ事務員
タルコトヲ得ズ
有給市長ハ都長官ノ許可ヲ受クルニ非
ザレバ他ノ報償アル業務ニ從事スルコ
トヲ得ズ
第二百四十條市ハ處務便宜ノ爲區ヲ劃
シ區長及其ノ代理者一人ヲ置クコトヲ
得
區長及其ノ代理者ハ名譽職トス市會議
員ノ選擧權ヲ有スル者ノ中ヨリ市長ノ
推薦ニ依リ市會之ヲ定ム
第百八十三條第四項乃至第七項ノ規定
ハ區長及其ノ代理者ニ之ヲ準用ス
第二百四十一條市會議員ノ選擧權ヲ有
スル者ニ限リテ擔任スベキ職ニ在ル吏
員又ハ職ニ就キタルガ爲市會議員ノ選
擧權ヲ有スル者選擧權ヲ有セザルニ至
リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ職務ニ在ル者ニシテ禁錮以上ノ
刑ニ當ルベキ罪ノ爲豫審又ハ公判ニ付
セラレタルトキハ都長官ハ其ノ職務ノ
執行ヲ停止スルコトヲ得此ノ場合ニ於
テハ其ノ停止期間報酬又ハ給料ヲ支給
スルコトヲ得ズ
第二百四十二條前數條ニ規定スルモノ
ノ外市吏員ノ組織及任免ニ關シテハ第
八十九條、第九十一條及第九十二條ノ
規定ヲ準用ス
第二百四十三條市長其ノ他ノ市吏員ハ
從來法令ノ定ムル所ニ依リ市制ニ依ル
市長其ノ他ノ市吏員ノ掌ル國及府縣其
ノ他ノ公共團體ノ事務又ハ將來法律勅
令ノ定ムル所ニ依リ國及都其ノ他ノ公
共團體ノ事務ヲ掌ル
前項ノ事務ヲ執行スル爲要スル費用ハ
市ノ負擔トス但シ法令中別段ノ規定ア
ルモノハ此ノ限ニ在ラズ
第二百四十四條市長ハ其ノ事務ノ一部
ヲ助役ニ分掌セシムルコトヲ得但シ市
ノ事務ニ付テハ豫メ市會ノ同意ヲ得ル
コトヲ要ス
市長ハ市吏員ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ
臨時代理セシムルコトヲ得
第二百四十五條助役ハ市長ノ事務ヲ補
助ス
助役ハ市長故障アルトキ之ヲ代理ス助
役數人アルトキハ豫メ市長ノ定メタル
順序ニ依リ之ヲ代理ス
第二百四十六條收入役ハ市ノ出納其ノ
他ノ會計事務及第二百四十三條ノ事務
ニ關スル國及都其ノ他ノ公共團體ノ出
納其ノ他ノ會計事務ヲ掌ル但シ法令中
別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
副收入役ハ收入役ノ事務ヲ補助シ收入
役故障アルトキ之ヲ代理ス
市長ハ收入役ノ事務ノ一部ヲ副收入役
ニ分掌セシムルコトヲ得但シ市ノ出納
其ノ他ノ會計事務ニ付テハ豫メ市會ノ
同意ヲ得ルコトヲ要ス
副收入役ヲ置カザル場合ニ於テハ市會
ハ市長ノ推薦ニ依リ收入役故障アルト
キ之ヲ代理スベキ吏員ヲ定ムベシ
第二百四十七條區長ハ市長ノ命ヲ承ケ
市長ノ事務ニシテ區內ニ關スルモノヲ
補助ス
區長代理者ハ前項ノ區長ノ事務ヲ補助
シ區長故障アルトキ之ヲ代理ス
第二百四十八條前五條ニ規定スルモノ
ノ外市吏員ノ職務權限ニ關シテハ第九
十三條、第九十七條乃至第九十九條、
第百四條、第百六條及第百八十六條乃
至第百八十八條ノ規定ヲ準用ス但シ第
九十七條第二項中內務大巨トアルハ都
長官、第百八十七條第一項、第二項及
第四項竝ニ第百八十八條中區會トアル
ハ市會又ハ市參事會トス
第二百四十九條給料及給與ニ關シテハ
第百七條乃至第百九條、第百十一條及
第百九十五條ノ規定ヲ準用ス但シ第百七
條第二項中委員トアルハ名譽職市長、
區長、區長代理者及委員、第百九十五
條第二項中區會トアルハ市參事會トス
第二百五十條市稅トシテ賦課スルコト
ヲ得ベキモノハ直稅國稅附加稅、都稅
附加稅及特別稅トス
第二百五十一條市會ニ於テ豫算ヲ議決
シタルトキハ市長ヨリ其ノ謄本ヲ收入
役ニ交付スベシ
收入役ハ市長又ハ都長官ノ命令アルニ
非ザレバ支拂ヲ爲スコトヲ得ズ命令ヲ
受クルモ支出ノ豫算ナク且豫備費支出、
費目流用其ノ他財務ニ關スル規定ニ依
リ支出ヲ爲スコトヲ得ザルトキ亦同ジ
第二百五十二條市ノ出納ハ翌年度五月
三十一日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ出納閉鎖後一月以內ニ證書類ヲ
併セテ收入役ヨリ之ヲ市長ニ提出スベ
シ市長ハ之ヲ審査シ意見ヲ附シテ次ノ
通常豫算ヲ議スル會議迄ニ之ヲ市會ノ
認定ニ付スベシ
決算ハ其ノ認定ニ關スル市會ノ議決ト
共ニ之ヲ都長官ニ報告シ且其ノ要領ヲ
告示スベシ
第二百五十三條前三條ニ規定スルモノ
ノ外市ノ財務ニ關シテハ第百十二條
乃至第百十六條、第百十八條乃至第百
二十八條、第百三十二條乃至第百三十
九條、第百四十一條、第百九十七條乃
至第二百條、第二百一條第二項乃至第
四項及第二百二條乃至苐二百七條ノ規
定ヲ準用ス但シ第百十四條及第百二十
八條第二項中都參事會トアルハ市會、
第百三十七條中內務大臣トアルハ都長
官第二百五條第三項及第一一百七條第
二項中區會トアルハ市參事會トス
第二百五十四條市ノ一部ノ事務ニ關シ
テハ第二百九條乃至第二百十三條ノ規
定ヲ準用ス
第二百五十五條市町村組合ニ關シテハ
第二百十四條乃至第二百二十一條ノ規
定ヲ準用ス但シ第二百二十一條中區ニ
關スル規定トアルハ市ニ關スル規定ト
ス
第二百五十六條市長、助役、收入役又
ハ副收入役ニ故障アルトキハ都長官ハ
臨時代理者ヲ選任シ又ハ官吏ヲ派遣シ
其ノ職務ヲ管掌セシムルコトヲ得但シ
官吏ヲ派遣シタルトキハ旅費ハ市費ヲ
以テ辨償セシムベシ
臨時代理者ハ有給ノ市吏員トシ其ノ給
料額、旅費額等ハ都長官之ヲ定ム
第二百五十七條前條ニ規定スルモノノ
外市ノ監督ニ關シテハ第二百二十二條
乃至第二百二十八條ノ規定ヲ準用ス但
シ第二百二十七條第一項及第五項中區
長トアルハ市長、助役、收入役及副收
入役、同條第五項中給料トアルハ報酬
又ハ給料トス
第四款町村
第二百五十八條町村會議員ハ其ノ被選
擧權アル者ニ就キ選擧人之ヲ選擧ス
議員ノ定數左ノ如シ
-人口五千未滿ノ町村十二人
二人口五千以上一萬未滿ノ町村
十八人
三人口一萬以上二萬未滿ノ町村
二十四人
四人口二萬以上ノ町村三十人
議員ノ定數ハ町村條例ヲ以テ特ニ之ヲ
增減スルコトヲ得
議員ノ定數ハ總選擧ヲ行フ場合ニ非ザ
レバ之ヲ增減セズ但シ著シク人口ノ增
減アリタル場合ニ於テ都長官ノ許可ヲ
得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二百四十九條必要アルトキハ町村ハ
區劃ヲ定メテ投票分會ヲ設クルコトヲ
得
前項ノ規定ニ依リ段票分會ヲ設クル場
合ニ於テ必要アルトキハ町村長ハ確定
名簿ニ依リ分會ノ區劃每ニ名簿ノ抄本
ヲ調製スベシ
第二百六十條町村長ハ選擧ノ期日前七
日目迄ニ選擧會場(投票分會場ヲ含ム
以下之ニ同ジ)、投票ノ日時及選擧スベ
キ議員數ヲ告示スベシ投票分會ヲ設ク
ル場合ニ於テハ併セテ其ノ區劃ヲ告示
スパン
投票分會ノ投票ハ選擧會ト同日時ニ之
ヲ行フ
天災事變等ノ爲投票ヲ行フコト能ハザ
ルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アル
トキハ町村長ハ當該選擧會又ハ投票分
會ニ付投票ヲ行フベキ日時ヲ定メ投票
ノ期日前五日目迄ニ其ノ日時及選擧會
場ヲ告示スベシ
第二百六十一條町村長ハ選擧長ト爲リ
選擧會ニ關スル事務ヲ擔任ス
町村長ハ選擧人名簿ニ登錄セラレタル
者ノ中ヨリ二人乃至四人ノ選擧立會人
ヲ選任スベシ
投票分會長ハ町村長ノ指名シタル吏員
ヲ以テ之ニ充テ投票分會ニ關スル事務
ヲ擔任ス
町村長ハ分會ノ區劃內ニ於ケル選擧人
名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ二人
乃至四人ノ投票立會人ヲ選任スベシ
選擧立會人及投票立會人ハ名譽職トス
選擧立會人及投票立會人ハ正當ノ事由
ナクシテ其ノ職ヲ辭スルコトヲ得ズ
第二百六十二條選擧ハ無記名投票ヲ以
テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ
選擧會場ニ到リ選擧人名簿若ハ其ノ抄
本ノ對照ヲ經又ハ確定裁決書若ハ判決
書ヲ提示シテ投票ヲ爲スベシ
投票時間內ニ選擧會場ニ入リタル選擧
人ハ其ノ時間ヲ過グルモ投票ヲ爲スコ
トヲ得
選擧人ハ選擧會場ニ於テ投票用紙ニ自
ラ被選擧人一人ノ氏名ヲ記載シテ投函
スベシ
投票ニ關スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ
定ムル點字ハ之ヲ文字ト看做ス
自ラ被選擧人ノ氏名ヲ書スルコト能ハ
ザル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ
投票用紙ハ町村長ノ定ムル所ニ依リ一
定ノ式ヲ用フベシ
投票分會ニ於テ爲シタル投票ハ投票分
會長少クトモ一人ノ投票立會人ト共ニ
投票函ノ儘之ヲ選擧長ニ送致スベシ
第二百六十三條投票ノ拒否ハ選擧立會
人又ハ投票立會人之ヲ決定ス可否同數
ナルトキハ選擧長又ハ投票分會長之ヲ
決スベシ
投票分會ニ於テ投票拒否ノ決定ヲ受ケ
タル選擧人不服アルトキハ投票分會長
ハ假ニ投票ヲ爲サシムベシ
前項ノ投票ハ選擧人ヲシテ之ヲ封筒ニ
入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載
シ投函セシムベシ
投票分會長又ハ投票立會人ニ於テ異議
アル選擧人ニ對シテモ亦前二項ニ同ジ
第二百六十四條町村長ハ豫メ開票ノ日
時ヲ〓示スベシ
第二百六十五條選擧長ハ投票ノ日又ハ
其ノ翌日(投票分會ヲ設ケタルトキハ
總テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日又ハ
其ノ翌日)選擧立會人立會ノ上投票函
ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ
計算スベシ
前項ノ規定ニ依ル計算終リタルトキハ
選擧長ハ先ヅ第二百六十三條第二項及
第四項ノ投票ヲ調査スベシ其ノ投票ノ
受理如何ハ選擧立會人之ヲ決定ス可否
同數ナルトキハ選擧長之ヲ決スベシ
選擧長ハ選擧立會人ト共ニ投票ヲ點檢
スベシ
天災事變等ノ爲開票ヲ行フコト能ハザ
ルトキハ町村長ハ更ニ開票ノ期日ヲ定
ムベシ此ノ場合ニ於テ選擧會場ノ變更
ヲ要スルトキハ豫メ更ニ其ノ場所ヲ告
示スベシ
第二百六十六條選擧人ハ其ノ選擧會ノ
參觀ヲ求ムルコトヲ得但シ開票開始前
ハ此ノ限ニ在ラズ
第二百六十七條特別ノ事情アルトキハ
町村ハ都長官ノ許可ヲ得區劃ヲ定メテ
開票分會ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票分會ヲ設クル場
合ニ於テ必要ナル事項バ命令ヲ以テ之
ヲ定ム
第二百六十八條左ノ投票ハ之ヲ無效ト
ス
一成規ノ用紙ヲ用ヒザルモノ
二一投票中二人以上ノ被選擧人ノ氏
名ヲ記載シタルモノ
三被選擧權ナキ者ノ氏名ヲ記載シタ
ルモノ
四被選擧人ノ氏名ノ外他事ヲ記載シ
タルモノ但シ爵位、職業、身分、住
所又ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノハ
此ノ限ニ在ラズ
五被選擧人ノ氏名ヲ自書セザルモノ
六被選擧人ノ何人ヲ記載シタルカヲ
確認シ難キモノ
七町村會議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ
記載シタルモノ
第二百六十九條投票ノ效力ハ選擧立會
人之ヲ決定ス可否同數ナルトキハ選擧
長之ヲ決スベシ
第二百七十條選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選
擧會ニ關スル顯末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ
二人以上ノ選擧立會人ト共ニ之ニ署名
スベシ
投票分會長ハ投票錄ヲ作リ投票ニ關ス
ル〓末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二人以上ノ
投票立會人ト共ニ之ニ署名スベシ
投票分會長ハ投票函ト同時ニ投票錄ヲ
選擧長ニ送致スベシ
選擧錄、投票錄、投票、選擧人名簿其
ノ他ノ關係書類ハ町村長ニ於テ議員ノ
任期間之ヲ保存スベシ
第二百七十一條町村會議員ノ選擧ニ付
テハ衆議院議員選擧法第九十一條、第
九十二條、第九十八條、第九十九條第
二項、第百條及第百四十二條ノ規定ヲ
準用ス
第二百七十二條前數條ニ規定スルモノ
ノ外町村會ノ組織及町付會議員ノ選擧
ニ關シテハ第二十七條、第二十九條、
第三十八條、第四十一條、第四十二
條、第四十九條、第百六十四條乃至
第百六十七條、第百七十一條乃至第百
七十四條、第百七十六條乃至第百七十
-八條及第二百二十九條ノ規定ヲ準用ス
但シ第百七十四條第一項中選擧人又ハ
議員候補者トアルハ選擧人トス
第百六十七條第一項、第百七十二條
第二項及第百七十六條第一一項ノ規定ノ
準用ニ依リ選擧會ヲ開クトキハ町村長
ハ豫メ其ノ場所及日時ヲ告示スベシ
第二百七十三條町村會ハ町村長ヲ以テ
議長トス町村長故障アルトキハ其ノ代
理者議長ノ職務ヲ代理ス町村長及其ノ
代理者共ニ故障アルトキハ臨時ニ議員
中ヨリ假議長ヲ選擧スベシ
前項ノ規定ニ依ル假議長ノ選擧ニ付テ
ハ年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齢
同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
特別ノ事情アル町村ニ於テハ第一項ノ
規定ニ拘ラズ町村條例ヲ以テ町村會ノ
選擧ニ依ル議長及其ノ代理者一人ヲ置
クコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第六十二
條及第六十三條ノ規定ヲ準用ス
第二百七十四條法律勅令ニ依リ町村會
ニ於テ行フ選擧ニ付テハ第四十一條、
第二百六十二條及第二百六十八條ノ規
定ヲ準用ス其ノ投票ノ效力ニ關シ異議
アルトキハ町村會之ヲ決定ス
第六十九條第二項乃至第四項ノ規定ハ
前項ノ選擧ニ之ヲ準用ス
第二百七十五條町村會ノ會議ハ公開ス
但シ左ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一議長ノ意見ヲ以テ傍聽ヲ禁止シタ
ルトキ
二議員二人以上ノ發議ニ依リ傍聽禁
止ヲ可決シタルトキ
前項ノ規定ニ依ル議員ノ發議ハ討論ヲ
須ヒズ其ノ可否ヲ決スベシ
第二百七十三條第三項ノ町村ニ於ケル
町村會ノ會議ニ付テハ前二項ノ規定ニ
拘ラズ第七十條ノ規定ヲ準用ス
第二百七十六條議長ハ書記ヲシテ會議
錄ヲ調製シ會議ノ顯末及出席議員ノ氏
名ヲ記載セシムベシ
會議錄ハ議長及議員二人以上之ニ署名
スルコトヲ要ス其ノ議員ハ町村會ニ於
テ之ヲ定ムベシ
第一百七十三條第三項ノ町村ニ於テハ
議長ハ會議錄ヲ添へ會議ノ結果ヲ町村
長ニ報告スベシ
第二百七十七條前四條ニ規定スルモノ
ノ外町村會ノ職務權限ニ關シテハ第五
十九條乃至第六十一條、第六十四條乃
至第六十八條、第七十一條乃至第七十
六條、第七十八條、第八十三條、第百
八十條及第百八十一條ノ規定ヲ準用ス
但シ第七十一條第二項中第六十三條ト
アルハ第二百七十三條トス
第二百七十八條町村長ハ名譽職トス但
シ町村條例ヲ以テ有給ト爲スコトヲ得
第二百三十五條第二項乃至第六項ノ規
定ハ町村長ニ之ヲ準用ス
第二百七十九條助役ハ名譽職トス但シ
町村條例ヲ以テ有給ト爲スコトヲ得
名譽職助役ハ町村會議員ノ選擧權ヲ有
スル者ニ限ル
助役ノ任期ハ四年トス
第百八十三條第四項乃至第七項及第二
百三十六條第二項ノ規定ハ助役ニ之ヲ
準用ス
第百八十三條第八項ノ規定ハ有給助役
ニ之ヲ準用ス
第二百八十條特別ノ事情アル町村ニ於
テハ都長官ノ許可ヲ得テ町村長又ハ助
役ヲシテ收入役ノ事務ヲ兼掌セシムル
コトヲ得
第二百八十一條前三項ニ規定スルモノ
ノ外町村吏員ノ組織及任免ニ關シテハ
第八十九條、第九十一條、第九十二
條、第二百三十四條及第二百三十七條
乃至第二百四十一條ノ規定ヲ準用ス但
シ第二百三十九條第三項中助役トアル
ハ有給助役トス
第二百八十二條町村吏員ノ職務權限ニ
關シテハ第九十三條、第九十九條、第
百四條、第百六條、第百八十六條乃至
第百九十條及第二百四十三條乃至第二
百四十七條ノ規定ヲ準用ス但シ第百八
十六條中十圓トアルハ五圓、第二百四
十四條第一項中助役トアルハ助役又ハ
區長トス
第二百八十三條給料及給與ニ關シテハ
第百七條乃至第百九條、第百十一條及
第百九十五條ノ規定ヲ準用ス但シ第百
七條第二項中委員トアルハ名譽職町村
長、名譽職助役、區長、區長代理者及
委員トス
第二百八十四條第二百五十一條ノ規定
ハ收入役ノ事務ヲ兼掌シタル町村長又
ハ助役ニ之ヲ準用ス
第二百八十五條町村ノ出納ハ翌年度五
月三十一日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ出納閉鎖後一月以內ニ證書類ヲ
併セテ收入役ヨリ之ヲ町村長ニ提出ス
ベシ町村長ハ之ヲ審査シ意見ヲ附シテ
次ノ通常豫算ヲ議スル會議迄ニ之ヲ町
村會ノ認定ニ付スベシ
第二百八十條ノ場合ニ於テハ前項ノ例
ニ依ル但シ町村長ニ於テ兼掌シタルト
キハ直ニ町村會ノ認定ニ付スベシ
決算ハ其ノ認定ニ關スル町村會ノ議決
ト共ニ之ヲ都長官ニ報告シ旦其ノ要領
ヲ告示スベシ
決算ノ認定ニ關スル會議ニ於テハ町村
長及助役共ニ議長ノ職務ヲ行フコトヲ
得ズ
第二百八十六條前二條ニ規定スルモノ
ノ外町村ノ財務ニ關シテハ第百十二條
乃至第百十六條、第百十八條乃至第百
二十八條、第百三十二條乃至第百三十
九條、第百四十一條、第百九十七條乃
至第二百條、第二百一條第二項乃至第
四項、第二百二條乃至第二百七條、第
二百五十條及第二百五十一條ノ規定ヲ
準用ス但シ第百十四條、第百二十八條
及第百三十二條第三項中都參事會トア
ルハ町村會、第百三十七條中內務大臣
トアルハ都長官トス
第二百八十七條町村ノ一部ノ事務ニ關
シテハ第二百九條乃至第二百十三條ノ
規定ヲ準用ス但シ第二百十一條第三項
中區會トアルハ町村會トス
第二百八十八條町村組合ニシテ町村ノ
事務ノ一部ヲ共同處理スルモノニ關シ
テハ第二百十四條乃至第二百二十條ノ
規定ヲ準用ス
前項ノ町村組合ヲ設ケタル場合ニ於テ
組合內各町村ノ町村會又ハ町村吏員ノ
職務ニ屬スル事項ナキニ至リタルトキ
ハ其ノ町村會又ハ町村吏員ハ組合成立
ト同時ニ消滅ス
第二百八十九條町村ハ特別ノ必要アル
場合ニ於テハ其ノ協議ニ依リ都長官ノ
許可ヲ得テ其ノ事務ノ全部ヲ共同處理
スル爲町村組合ヲ設クルコトヲ得此ノ
場合ニ於テハ組合內各町村ノ町村會及
町村吏員ハ組合成立ト同時ニ消滅ス
公益上必要アル場合ニ於テハ都長官ハ
關係アル町村會ノ意見ヲ徴シ都參事會
ノ議決ヲ經テ前項ノ町村組合ヲ設クル
コトヲ得
第一項ノ町村組合ハ法人トス
第二百九十條前條第一項ノ町村組合ニ
シテ其ノ組合町村ノ數ヲ減少セントス
ルトキハ組合會ノ議決ニ依リ其ノ組合
町村ノ數ヲ增加セントスルトキハ其ノ
町村組合ト新ニ加ハラントスル町村
トノ協議ニ依リ都長官ノ許可ヲ受ク
ベシ
公益上必要アル場合ニ於テハ都長官ハ
關係アル町村會又ハ組合會ノ意見ヲ徵
シ都參事會ノ議決ヲ經テ前條第一項ノ
町村組合ノ組合町村ノ數ヲ增減スルコ
トヲ得
第二百九十一條第二百八十九條第一項
ノ町村組合ヲ設クルトキハ關係町村ノ
協議ニ依リ組合規約ヲ定メ都長官ノ許
可ヲ受クベシ
前項ノ組合規約ヲ變更セントスルトキ
ハ組合會ノ議決ヲ經都長官ノ許可ヲ受
クハン
公益上必要アル場合ニ於テハ都長官ハ
關係アル町村會又ハ組合會ノ意見ヲ徵
シ都參事會ノ議決ヲ經テ第二百八十九
條第一項ノ町村組合ノ組合規約ヲ定メ
又ハ變更スルコトヲ得
第二百九十二條前條ノ組合規約ニハ組
合ノ名稱、組合ヲ組織スル町村、組合
ノ共同事務及組合役場ノ位置ヲ定ムベ
シ
第二百九十三條第二百八十九條第一項
ノ町村組合ヲ解カントスルトキハ組合
會ノ議決ニ依リ都長官ノ許可ヲ受クベ
シ
公益上必要アル場合ニ於テハ都長官ハ
組合會ノ意見ヲ徵シ都參事會ノ議決ヲ
經テ第二百八十九條第一項ノ町村組合
ヲ解クコトヲ得
第二百九十四條第二百九十條第一項及
前條第一項ノ場合ニ於テ財產ノ處分ニ
關スル事項ハ關係町村ト組合トノ協議
又ハ組合會ノ議決ニ依リ之ヲ定ム
第二百九十條第二項及前條第二項ノ場
合ニ於テ財產ノ處分ニ關スル事項ハ關
係アル町村會又ハ組合會ノ意見ヲ徵
シ都參事會ノ議決ヲ經テ都長官之ヲ
定ム
第二百九十五條第二百八十九條第一
項、第二百九十條第一項、第二百九十
一條第一項及第二項、第二百九十三條
第一項及前條第二項ノ規定ニ依ル都長
官ノ處分ニ不服アル町村又ハ町村組合
ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第二百九十六條町村組合ニ關シテハ法
律勅令中別段ノ規定アルモノヲ除クノ
外町村ニ關スル規定ヲ準用ス
第二百九十七條町村ノ監督ニ關シテハ
第百四十三條乃至第百四十五條、第百
四十七條、第百五十條乃至第百五十二
條、第二百二十二條乃至第二百二十七
條及第二百五十六條ノ規定ヲ準用ス但
シ第百五十條及第百五十一條中主務大
臣トアルハ監督官廳、第二百二十六條
第二號中基本財產及特別基本財產ノ處
分トアルハ基本財產及特別基本財產竝
ニ林野ノ處分、第二百二十七條第一項
及第五項中區長トアルハ町村長、助役、
收入役及副收入役、同條第五項中給料
トアルハ報酬又ハ給料トス
第五款補則
第二百九十八條區市町村又ハ區市町村
組合、市町村組合若ハ町村組合ノ廢置
分合又ハ境界變更アリタル場合ニ於テ區
市町村ノ事務ニ付必要ナル事項ハ本法ニ
規定スルモノノ外勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二百九十九條勅令ヲ以テ指定スル島
嶼ニ付テハ太章ノ規定ヲ適用セズ
前項ノ地域ニ付テハ勅令ヲ以テ別ニ本
章ノ規定ニ代ハルベキ制ヲ定ムルコト
ヲ得
第九章雜則
第三百條第二條ノ事務中從來法令又ハ
慣例ニ依リ市制ニ依ル市ニ屬スル事務
ニシテ都ノ處理スルモノハ區ノ存スル
區域內ノモノニ限ル
第百十六條ノ費用中從來法令ニ依リ市
制ニ依ル市ノ負擔ニ屬スル費用ニシテ
都ノ支辨スル義務ヲ負フモノハ前項ノ
區域内ノモノニ限ル
第三百一條都ノ境界變更アリタル場合
ニ於テ都ノ事務ニ付必要ナル事項ハ本
法ニ規定スルモノノ外勅令ヲ以テ之ヲ
定ム
第三百二條第十一條、第百六十三條及
第二百五十八條ノ人口ハ內務大臣ノ定
ムル所ニ依ル
第三百三條本法中官吏ニ關スル規定ハ
待遇官吏ニ之ヲ適用ス
第三百四條從前郡長ノ管轄シタル區域
內ニ於テ區市ノ設置アリタルトキ又ハ其
ノ區域ノ境界ニ涉リテ區市町村ノ境界
ノ變更アリタルトキハ其ノ區域モ亦自
ラ變更シタルモノト看做ス
從前郡長ノ管轄シタル區域ノ境界ニ涉
リテ町村ノ設置アリタル場合ニ於テ本
法ノ適用ニ付其ノ町村ノ屬スベキ區域
ハ內務大臣之ヲ定ム
第三百五條町村組合ニシテ町村ノ事務
ノ全部ヲ共同處理スルモノハ第一章第一
款及第二款、第二章第一款竝ニ第四章
第二款ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ一町
村其ノ組合會ハ之ヲ町村會、其ノ名
譽職ハ之ヲ町村ノ名譽職、其ノ組合管
理者ハ之ヲ町村長、其ノ有給吏員又ハ
吏員ハ之ヲ町村ノ有給吏員又ハ吏員、
其ノ組合役場ハ之ヲ町村役場ト看做ス
但シ第三條第一項又ハ第二十條第四項
中町村トアルモノニ付テハ此ノ限ニ在
ラズ
町村組合ニシテ町村ノ役場事務ヲ共同
處理スルモノハ第一章第一款及第二
敦、第二章第一款竝ニ第四章第二款ノ
規定ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ
名譽職ハ之ヲ町村ノ名譽職、其ノ組合
管理者ハ之ヲ町村長、其ノ有給吏員又
ハ吏員ハ之ヲ町村ノ有給吏員又ハ吏
員、其ノ組合役場ハ之ヲ町村役場ト看
做ス但シ第三條第一項、第十六條第二
項又ハ第二十條第四項中町村トアルモ
ノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三百六條第六十四條及第九十條ノ規
定ニ依ル都長官ノ職權ハ警視總監モ亦
之ヲ行フ
第三百七條本法ニ於ケル直接稅ノ種類
ハ內務大臣及大藏大臣之ヲ定ム
第三百八條都區市町村ト府縣又ハ市制
町村制ニ依ル市町村トノ組織スル組合
ノ設置管理其ノ他必要ナル事項ニ關シ
テハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ組合ハ法人トス
第三百九條第二百九十九條ノ島嶼ニ關
スル都ノ行政ノ特別及都會議員ノ選擧
ニ付必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ムルコトヲ得
附則
第三百十條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム但シ第三百十二條第二項ノ
規定ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第三百十一條東京府及其ノ區域內ノ市
區町村ハ之ヲ廢ス
第三百十二條本法施行ノ際東京府及東
京市ニ屬スル財產、營造物、事業及權
利義務ハ區ノ承繼スベキモノヲ除クノ
外都之ヲ承繼ス
前項ノ區ノ承繼スベキモノニ關シ必要
ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三百十三條本法施行ノ際東京府又ハ
東京市ヲ當事者トスル訴訟ノ手續ハ中
斷ス此ノ場合ニ於テハ訴訟ノ目的タル
權利義務ノ歸屬者ハ訴訟手續ヲ受繼グ
コトヲ要ス
第三百十四條本法ノ施行ニ至ル迄東京
府ノ區域內ニ引續キ住所ヲ有シタル者
ハ同一期間引續キ都內ニ住所ヲ有シタ
ル者ト看做ス
第三百十五條本法施行ノ際東京府ノ市
町村住民ニシテ市制第九條第二項又ハ
町村制第七條第一一項ノ規定ニ依リ二年
ノ制限ヲ特免セラレタル者ハ本法第六
條第二項ノ規定ニ依リ特免セラレタル
者ト看做ス
第三百十六條舊刑法ノ重罪ノ刑ニ處セ
ラレタル者ハ本法ノ適用ニ付テハ六年
ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタ
ル者ト看做ス但シ復權ヲ得タル者ハ此
ノ限ニ在ラズ
舊刑法ノ禁錮以上ノ刑ハ本法ノ適用ニ
付テハ禁錮以上ノ刑ト看做ス
第三百十七條本法ニ依リ初テ都會議員
ヲ選擧スル場合ニ於テ必要ナル選擧人
名簿ニ關シ第十六條乃至第十九條ニ規
定スル期日又ハ期間ニ依リ難キトキハ
命令ヲ以テ別ニ其ノ期日又ハ期間ヲ定
ム但シ其ノ選擧人名簿ハ次ノ選擧人名
簿確定迄其ノ效力ヲ有ス
第三百十八條本法施行ノ際都會及都參
事會ノ職務權限ニ屬スル事項ニシテ急
要ヲ要スルモノハ其ノ成立ニ至ル迄ノ
間都長官之ヲ行フ
第三百十九條本法施行ノ際東京市ノ
〓、八王子市又ハ東京府ノ町村ニ屬ス
ル財產、營造物、事業及權利義務ハ各
其ノ區域ヲ以テ區域トスル區市町村之
ヲ承繼ス
本法施行ノ際八王子市又ハ東京府ノ町
村ノ組織スル市町村組合又ハ町村組合
ハ本法ノ規定ニ依リ組織スル市町村組
合又ハ町村組合トシ其ノ財產、營造物、
事業及權利義務ヲ承繼ス
第三百二十條本法施行ノ際東京市ノ區
ノ區會議員、區會ノ議長副議長、區會
書記又ハ區長其ノ他ノ區所屬ノ吏員ハ
各其ノ區域ヲ以テ區域トスル區ノ區會
議員、區會ノ議長副議長、區會書記又
ハ區長其ノ他ノ吏員トシ其ノ任期アル
者ハ從前ノ規定ニ依ル任期滿了ノ日迄、
區長ハ本法ノ規定ニ依ル後任者ノ就
職ニ至ル迄在職ス
本法施行ノ際八王子市又ハ東京府ノ町
村ノ市町村會議員、市會ノ議長副議
長、町村會ノ議長議長代理者、市町村
會書記、市名譽職參事會員又ハ市町村
長、助役、收入役、副收入役、區長、
區長代理者、委員其ノ他ノ吏員ハ各其
ノ區域ヲ以テ區域トスル市町村ノ市町
村會議員、市會ノ議長副議長、町村會
ノ議長議長代理者、市町村會書記、市
參事會員又ハ市町村長、助役、收入
役、副收入役、區長、區長代理者、委
員其ノ他ノ吏員トシ其ノ任期アル者ハ
從前ノ規定ニ依ル任期滿了ノ日迄在職
ス
本法ニ依リ初テ調製セラルル都會議員
選擧人名簿ニ依リ行ハルベキ區市町村
會議員ノ總選擧ノ日ノ前二日目迄ニ區
市町村會議員ノ任期滿了スルモ其ノ區
市町村會議員ハ仍其ノ選擧ノ日ノ前日
迄在職ス
前二項ノ規定ハ市町村ノ一部、市町村
組合及町村組合ニ之ヲ準用ス
第三百二十一條本法施行ノ際必要ナル
規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣男爵山本達雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=25
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026・山本達雄
○國務大臣(男爵山本達)君) 玆ニ東京都
制案ノ上程ニ當リマシテ、提案ノ趣旨竝ニ其主
要ナル事項ニ付キマシテ說明ヲ申上ゲマス
帝都タル東京ハ實ニ我國ニ於ケル政
治文化及經濟ノ中心ヲ成シテ居リマスル
ガ故ニ、其行政ノ成績ノ擧ルト否トハ、延
イテ國勢ノ消長ニ關スル所尠カラザルモノ
ガアルノデアリマス、ソレ故ニ帝都ノ行政
ニ付テ、有效適切ナル制度ヲ樹立スベシト
ノ要望ハ、多年各方面ニ於テ唱ヘラレタル所
デアリマスルガ、何分ニモ其關係スル所
ガ、極メテ廣汎多岐ニ互リ、影響スル所ガ
甚ダ重大デアリマスルガ爲ニ、遂ニ今日マ
デ其實現ヲ見ルニ至ラナカッタノデアリマ
ス、然ル所東京市ハ昨秋隣接五郡八十二
箇町村ヲ合併致シ、東京市ノ區域竝ニ實質
ガ、非常ニ增大致シマシタ爲ニ、現在ノヤ
ウニ府市併存スル所ノ理由ガ極メテ乏シク
ナッタノデアリマス、諸般ノ事情ハ特別ノ制
度ヲ制定スル必要益、切ナルモノ生ジタノ
デアリマス、仍テ政府ニ於キマシテハ此
情勢ニ鑑ミ、愼重考究ノ上、帝都ノ行政ノ
一新ヲ期シ、玆ニ本案ヲ提出スルニ至リマ
シタ次第デアリマス、以下本案ノ內容ニ亙
リ、主要ナル事項ヲ說明申上ゲタイト思ヒ
マス
第一ノ點ハ東京都ノ區域ノ事デアリマ
ス、東京都ノ區域ヲ如何ニスルカノ問題
ハ多年都制實施上ノ重要ナル問題ノ一ツ
トナッテ居ッタノデアリマスガ、昨秋ニ於ケ
ル東京市域ノ擴張ニ依リマシテ、現在東京
市ノ區域ハ、旣ニ甚ダ廣汎ナルモノトナ
リ、殘ル所ハ唯、三多摩竝ニ島嶼ノ區域ヲ
如何ニ取扱フカト云フ間題デアリマス而
シテ之ニ付キマシテハ沿革其他ノ理由ニ
依リマシテ、之ヲ都ノ區域ニ編入スルコト
ヲ適當ナリト認メマシタノデアリマス
第二ノ點ハ都ノ內部構成ヲ如何ニスル
カノ問題デアリマス、新タナル東京都ハ、
其區域モ廣ク、人口モ多ク、都ノ爲スベキ
仕事モ、亦其分量ノ大ナルコトヽ共ニ複雜
多岐ニ亙リマスル關係上、ドウシテモ都ノ
內部ニ於テ、其下級團體トシテ、將來自治
團體ヲ置カネバナラヌノデアリマス而シ
テ都ノ中樞部ヲ成ス所ノ現在ノ東京市部
ト、其外郭地域タル所謂郡部トデハ自ラ
事情ヲ異ニスルモノガアリマスルノデ、之
ヲ同一ノ制度ヲ以テ律スルコトハ、今日ノ
實情ニ卽シ不適當ナルコトヽ考ヘルノデア
リマス、故ニ都區市町村ニ分チマシテ、而
シテ現在ノ東京市ノ區域ニアル處ハ、現在
ノ區ヲ以テ都ノ區トシ、郡部ニアッテハ、市町
村ナル公共團體ヲ置キ、之ニハ大體ニ於テ、
現在ノ市制町村制ト同樣ノ制度ヲ布カント
スルモノデアリマス、以上ノ外ニ、伊豆七島
及小笠原島モ亦東京都ニ屬スルコトヽナル
ノデアリマスガ、此處ニモ大體ニ於テ現行
制度ノ實質ヲ維持スルコトヽ致シタノデア
リマス
第三ノ點ハ、都ノ議決機關ノ構成ノコト
デアリマス、東京都ニハ其議決機關トシ
テ、都會及都參事會ヲ置イタノデアリマス
ガ、都會ハ必要ニ應ジ、會期ヲ定メテ隨
時之ヲ開クコトヽシタルコト、竝ニ都會議
員ノ定數ヲ百名トシタルコト、及都參事會
員ノ定數ヲ十五人トシタルコトノ外ハ大
體ニ於テ府縣會及府參事會ニ準ジ、其構成
ヲ定メマシタ
第四ノ點ハ、都ノ執行機關ノ構成ノコト
デアリマス、本案ニ於キマシテハ都ノ首
腦部ハ都長官及理事四人ヲ以テ組織スルコ
トトシ而シテ都長官ニハ官吏、理事ノ中
二人ハ官吏、他ノ二人ハ公吏ヲ以テ、之ヲ
組織スルコトヽ致シタノデアリマス、右ノ
外補助機關トシテハ尙ホ若干ノ官吏ヲ配
屬シ、且ツ別ニ相當多數ノ公吏ヲ置クコト
ト政シタノデリマス、尙ホ現在ノ市ニハ收
人役ト云フモノガアリマシテ、會計事務ヲ
司ッテ居リマスガ、是ハ現在ノ市ニ於テス
ラ事務遂行上其事情ニ副ハザルモノト認メ
ラレテ居ルノデアリマス、隨テ都ニハ此收
入役ヲ置カズ、別ニ出納吏ノ制ヲ採用スル
コトヽ致シタノデアリマス
第五ノ點ハ都ノ財政ノ事デアリマス、東
京都ノ經濟ニ付キマシテハ都ノ統一制ヲ保
持シ、且ツ一面ニ於テハ事務上ノ支障ヲ排
除スルノ趣旨ヲ以テ、三部制又ハ二部制ノ
經濟組織ハ之ヲ採用セズ、都全體ヲ通ズル
單一經濟組織ト爲スコトヽ致シタノデアリマ
ス、併シ其單一經濟組織ヲ採用スル結果ト
シテ、郡部ニ不當ナル負擔ノ增加ヲ負ハシ
ムルコトヽナッテハナリマセヌノデ、都稅竝
ニ其稅率ノ決定其他ノ方面ニ付キマシテ
ハ、十分ノ考慮ヲ盡シマシテ、從來ノ負擔關
係等ガ、都制ノ實施ニ依ッテ濫リニ變更ヲ
生ズル等ノコトナキヤウ、必要ナル措置ヲ
採リタイト考ヘテ居ルノデゴザイマス
第六ノ點ハ、區ノ制度ヲ如何ニ定メルカ
ノ點デアリマス、現在東京市ノ區ハ各區
ノ事務ノ外ニハ、僅ニ財產及營造物ノ事務
ノミヲ處理シ、區長ハ市長ノ任免スル市吏
員デアリ、獨立ノ課稅權又起債權ヲ認メラ
レテ居ラヌノデアリマスルガ、前ニモ申述
ベマシタヤウニ、都ノ如キ厖大ナル自治體
ニアリマシテハ、或ル範圍ノ事務ハ都內
ノ自治團體ヲシテ之ヲ處理セシムル必要ガ
アル隨テ所謂市部ニ於キマシテモ、區ヲ
シテ自治的ニ若干ノ事務ハ之ヲ處理セシム
ルコトガ適當ノコトデアリマス、此故ニ新
ナル區ニ付キマシテハ、其權能ヲ或ル程度
マデ擴張スルコトヽ致シタノデアリマス
併ナガラ區ノ自治權ヲ普通一般ノ市町村ノ
如ク擴大致シマスルコトハ一面ニ於テハ
都ノ統一制ヲ阻害スルノ虞レガアルト共
ニ、各區ノ間ニ於テハ、其資力ニ可ナリノ
懸隔ノ存スルト云フ點モアリマスルノデ、
此權能ハ稍〓之ヲ限定的トシ、其種類範圍
等ハ勅令ヲ以テ之ヲ定メルコトヽ致シマシ
タ
〔「分ラヌヂヤナイカ」其他發言スル者
多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=26
-
027・秋田清
○議長(秋田〓君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=27
-
028・山本達雄
○國務大臣(男爵山本達雄君)(續) 尙ホ區
ノ獨立ヲ認ムルト共ニ、一面ニ於テハ都ト
區トノ間ノ聯絡ト統一トヲ密ニスルノ必要
上、區長ハ區會ニ於テ之ヲ選定スルノデハ
アリマスルケレドモ、之ニ付キ都長官ノ推
薦ヲ要スルモノト致シタノデアリマス
以上申上ゲマシタ所ハ、都制案中ノ最モ
肝要ナル諸點デアリマス、本案實施ノ曉ニ
ハ帝都行政ノ振作ハ之ヲ期シテ俟ツベキ
モノアリト確信シテ居リマスノデ、政府ハ
是非トモ之ガ實現ヲ見タイト切望致シテ居
ルノデアリマス、何卒愼重御審議ノ上、御
協贊アランコトヲ切ニ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=28
-
029・秋田清
○議長(秋田〓君) 日程第六、右議案ノ審
査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマ
ス
第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=29
-
030・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ議長指名二十七名ノ
委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=30
-
031・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=31
-
032・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第七、
農村負債整理組合法案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-農林大臣後藤文夫君
第七農村負債整理組合法案(政府提
出)第一讀會
農村負債整理組合法案
農村負債整理組合法
第一章總則
第一條本法ハ農山漁村ニ居住スル者ノ
經濟更生ヲ圖ル爲隣保共助ノ精神ニ則
リ其ノ者ヲシテ負債整理組合ヲ組織セ
シメ組合ノ樹立シタル負債償還計畫及
經濟更生計畫ヲ履行セシメ以テ其ノ負
債ノ整理ヲ爲サシムルコトヲ目的トス
第二條本法ニ於テ負債トハ負債整理組
合ノ組合員ノ負擔スル私法上ノ金錢債
務ニシテ組合設立前ニ生ジタルモノヲ
謂フ但シ本法施行後ニ生ジタルモノハ
命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ認可
ヲ受ケタルモノニ限ル
第三條負債整理組合ノ組合員本法ニ依
リ負債整理ヲ爲サントスルトキハ命令
ノ定ムル所ニ依リ負債整理組合ニ對シ
其ノ旨ヲ申出ヅベシ
負債整理組合前項ノ申出ヲ受ケタルト
キハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員
及債權者間ニ於ケル負債ノ金額、利率、
償還期限、償還方法其ノ他ノ條件ノ緩
和ニ關スル協定ニ付斡旋ヲ爲スベシ
第四條前條ノ斡旋ニ依リ協定成ラザル
負債ニ付テハ負債整理組合ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ市町村負債整理委員會ニ
對シ其ノ協定ノ斡旋ヲ請求スルコトヲ
得
市町村負債整理委員會ノ組織、權限其
ノ他必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
第五條前條ノ市町村負債整理委員會ノ
斡旋ニ依リ協定成ラザルトキ又ハ負債
整理組合ノ事務所ノ所在地タル市町村
ニ市町村負債整理委員會ナキ爲其ノ斡
旋ニ依ルコト能ハザルトキハ債務者タル
組合員又ハ債權者ハ金錢債務臨時調停
法第二條第一項ノ期日ニ關スル制限ノ
規定ニ拘ラズ同法ニ依ル調停ノ申立ヲ
爲スコトヲ得
第六條第三條第一項ノ規定ニ依リ負債
整理ノ申出アリタル負債ニ付金錢債務
臨時調停法ニ依ル調停事件擊屬スルト
キハ裁判所又ハ調停委員會ハ第三條第
二項又ハ第四條ノ規定ニ依ル斡旋ノ終
了ニ至ル迄其ノ調停手續ヲ中止スルコ
トヲ得
第七條負債整理組合ヨリ負債整理資金
ノ貸付ヲ受ケタル組合員ガ其ノ貸付ノ
條件ヲ具備セザルニ至リタル場合ニ於
ケル負債整理組合ノ不動產其ノ他ノモ
ノノ取得ニ關シテハ地方稅ヲ課スルコ
トヲ得ズ
第八條信用組合其ノ他勅令ヲ以テ定ム
ル法人ニシテ命令ノ定ムル所ニ依リ行
政官廳ノ認可ヲ受ケ第十一條ノ事業ヲ
行フモノハ本章ノ適用ニ關シテハ之ヲ
負債整理組合ト看做ス但シ第二條中組
合設立前トアルハ行政官廳ノ認可前ト
ス
前項ノ法人ガ第十一條ノ事業ノ認可ヲ
申請スルコトヲ得ル期間ハ本法施行ノ
日ヨリ三年間トス
第九條本法中町村トアルハ町村制ヲ施
行セザル地ニ於テハ之ニ準ズベキモノ
トス
第二章負債整理組合
第十條負債整理組合ハ組合員ノ經濟更
生ヲ圖ル爲隣保共助ノ精神ニ則リ組合
員ヲシテ其ノ負債ノ整理ヲ爲サシムル
コトヲ目的トス
第十一條負債整理組合ハ其ノ目的ヲ達
スル爲左ノ事業ヲ行フ
ー組合員ノ負債償還計畫及經濟更生
計畫ノ樹立
二債務者タル組合員及債權者間ニ於
ケル負債ノ金額、利率償還期限、
償還方法其ノ他ノ條件ノ緩和ニ關ス
ル協定ノ斡旋
三組合員ニ對スル負債整理資金ノ貸付
四前各號ニ揭グルモノノ外組合員ノ
負債整理ニ必要ナル事業
負債整理組合ハ組合員ガ負債整理ノ爲
其ノ所有地ヲ處分スル場合ニ於テ組合
員タル小作人其ノ他ノ者ガ其ノ土地ヲ
購入セントスルトキハ命令ノ定ムル所
ニ依リ之ニ要スル資金ノ貸付ヲ爲スコ
トヲ得
第十二條負債整理組合ハ法人トス
第十三條負債整理組合ハ一定ノ地區內
ニ居住スル者ヲ以テ之ヲ組織ス
前項ノ地區ハ部落其ノ他之ニ準ズル區
域ニ依ル但シ特別ノ事由アルトキハ町
村ノ區域ニ依ルコトヲ得
第十四條負債整理組合ノ組織ハ無限責
任及保證責任ノ二種トス
無限責任ノ組合ニ在リテハ組合財產ヲ
以テ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハザル
場合ニ於テ組合員ノ全員ガ連帶無限ノ
責任ヲ負擔シ保證責任ノ組合ニ在リテ
ハ組合財產ヲ以テ其ノ債務ヲ完濟スル
コト能ハザル場合ニ於テ組合員ノ全員
ガ其ノ出資額ノ外一定ノ金額(保證金
額)ヲ限度トシテ責任ヲ負擔ス
第十五條負債整理組合ヲ設立セントス
ルトキハ設立者ハ規約ヲ作成シ命令ノ
定ムル所ニ依リ地方長官ニ設立ノ認可
ヲ申請スベシ
規約ニハ本法ニ規定アルモノヲ除クノ
外左ニ揭グル事項ヲ記載シ設立者之ニ
署名又ハ記名捺印スルコトヲ要ス
一目的
二名稱
三組織
四地區
五事務所ノ所在地
六組合員ノ加入脫退ニ關スル規定
七事業ノ執行ニ關スル規定
八役員ニ關スル規定
九損失分擔ニ關スル規定
十組合ガ公〓ヲ爲ス方法
十一存立時期又ハ解散ノ事由ヲ定メ
タルトキハ其ノ時期又ハ事由
十二無限責任ノ組合ニ在リテハ組合
費ノ分擔ニ關スル規定
十三保證責任ノ組合ニ在リテハ出資
一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法竝ニ保
證金額ニ關スル規定
第十六條前條第一項ノ認可ノ申請ヲ爲
スコトヲ得ル期間ハ本法施行ノ日ヨリ
三年間トス
第十七條負債整理組合ハ其ノ設立ノ日
ヨリ二週間以内ニ其ノ主タル事務所ノ
所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ
一第十五條第二項第一號乃至第五號
及第十一號ニ揭ゲタル事項
設立認可ノ年月日
三理事及監事ノ氏名及住所
四保證責任ノ組合ニ在リテハ出資一
ロノ金額及其ノ拂込ノ方法
前項ニ揭グル事項ニ變更アリタルトキ
ハ二週間以內ニ其ノ登記ヲ爲スベシ
第十八條本法ニ依リ登記スベキ事項ハ
登記前ニ在リテハ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第十九條負債整理組合ガ本法ニ基キテ
爲ス登記ニ付テハ登錄稅ヲ課セズ
第二十條負債整理組合ノ設立登記ノ申
請書ニハ無限責任ノ組合ニ在リテハ產
業組合法第十六條ノ五第一項第三號ニ
揭グル事項ヲ、保證責任ノ組合ニ在リ
テハ同條同項第一號、第二號及第四號
ニ揭グル事項ヲ記載シタル組合原簿ヲ
添附スベシ
組合員ノ加入ニ因ル變更登記ノ申請書
ニハ無限責任ノ組合ニ在リテハ加入者
ノ氏名及住所ヲ、保證責任ノ組合ニ在
リテハ加入者ノ氏名、住所及保證金額
ヲ記載シタル組合原簿ヲ添附スベシ
第十七條第三項及第十八條竝ニ產業組
合法第十六條ノ四第一項及第十六條ノ
五第二項ノ規定ハ組合原簿ニ之ヲ準用
ス但シ同法第十六條ノ四第一項中地方
長官トアルハ事務所所在地ノ登記所ト
ス
第二十一條負債整理組合ハ規約ノ定ム
ル所ニ依リ其ノ組合員ヲシテ組合ノ負
債償還ノ一部ニ充ツル爲積立金ヲ醵出
セシムルコトヲ得
前項ノ積立金ノ管理、處分其ノ他必要
ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條負債整理組合ノ組合員ハ命
令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外總
組合員ノ三分ノ二以上ノ同意アルニ非
ザレバ脫退スルコトヲ得ズ
脫退シタル組合員ハ脫退前ニ生ジタル
組合ノ債務ニ付第十四條第二項ノ規定
ニ依ル責任ヲ負擔ス
第二十三條負債整理組合ニ加入シタル
組合員ハ其ノ加入前ニ生ジタル組合ノ
債務ニ付テモ亦第十四條第二項ノ規定
ニ依ル責任ヲ負擔ス
第二十四條產業組合法第三條、第四條、
第六條、第七條、第二十三條、第二十
五條乃至第三十一條ノ二、第三十二條
乃至第三十八條、第三十九條、第四十
九條、第六十條第一項(〓算ニ關スル
規定ヲ除ク)、第六十條ノ二、第六十一
條(〓算ニ關スル規定ヲ除ク)、第六十
二條、第六十五條第六十八條、第六十
九條、第七十四條ノ二第一項及第九十
三條ノ二、民法第四十七條、第四十八
條、第六十條、第七十三條乃至第八十
二條及第八十四條第一號竝ニ非訟事件
手續法第三十五條第二項、第三十六條、
第三十七條ノ二、第百十七條、第百十
九條乃至第百二十二條、第百三十六條
乃至第百三十八條、第百四十二條、第
百四十三條、第百四十七條乃至第百五
十七條、第百七十五條乃至第百七十七
條及第二百六條乃至第二百八條ノ規定
ハ負債整理組合ニ之ヲ準用ス但シ產業
組合法第九十三條ノ二中三百圓トアル
ハ二百圓トシ民法第四十八條及第七十
七條中一週間トアルハ二週間トス
產業組合法第十一條、第十二條、第十
七條第一項、第十八條乃至第二十一條、
第四十條乃至第四十二條、第四十五條、
第四十八條、第五十三條、第五十六條
及第五十七條ノ規定ハ保證責任ノ負債
整理組合ニ之ヲ準用ス
第二十五條負債整理組合ノ理事又ハ監
事何等ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ組合
ノ事業ノ範圍外ニ於テ貸付ヲ爲シ又ハ
投機取引ノ爲ニ組合財產ヲ處分シタル
トキハ一年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ千
圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ規定ハ刑法ニ正條アル場合ハ之
ヲ適用セズ
第三章負債整理事業資金特別融
通及損失補償
第二十六條市町村ハ負債整理事業ヲ助
成スル爲必要アリト認ムルトキハ負債
整理組合又ハ第八條ノ規定ニ依リ負債
整理事業ヲ行フ法人ニ對シ主務大臣ノ
定ムル所ニ依リ特別融通ヲ爲スコトヲ
得
第二十七條市町村ガ前條ノ規定ニ依リ
特別融通ヲ爲スコトヲ得ル期間ハ本法
施行ノ日ヨリ五年間トシ其ノ融通ノ期
限ハ本法施行ノ日ヨリ二十年ヲ超ユル
コトヲ得ズ
第二十八條北海道府縣ハ第二十六條ノ
規定ニ依ル特別融通ヲ爲スニ因リ市町
村ガ損失ヲ受ケタルトキ之ニ對シ其ノ
特別融通總額ノ十分ノ三以內ノ金額
(損失袖償金)ヲ補償スルノ契約ヲ爲ス
コトヲ得
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ主務大臣
大藏大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第二十九條政府ハ前條ノ損失補償ノ契
約ニ基キ北海道府縣ガ損失補償ヲ爲シ
タルトキ之ニ對シ其ノ損失補償金ノ半
額ニ相當スル金額ヲ補給スルノ契約ヲ
爲スコトヲ得但シ補給金ノ總額ハ三千
萬圓ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十條第二十八條ノ規定ニ依リ北海
道府縣ガ市町村ニ對シテ爲ス損失補償
ノ契約ニ於テハ北海道府縣ノ損失補償
金中其ノ四分ノ一ニ相當スル金額ヲ當
該市町村ニ於テ負擔スベキ旨ヲ定ムベ
シ但シ特別ノ事由アルトキハ命令ノ定
ムル所ニ依リ市町村ノ負擔スベキ金額
ノ割合ニ付別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第三十一條第二十六條ノ規定ニ依ル特
別融通ヲ爲シタルニ因リ市町村ノ受ケ
タル損失及其ノ額ハ負債整理事業資金
特別融通損失審査會之ヲ決定ス
負債整理事業資金特別融通損失審査會
ノ組織及權限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十二條第二十九條ノ契約ニ基キ政
府ガ北海道府縣ニ對シ支拂フベキ補給
金ハ國債證劵ヲ以テ之ヲ交付スルコト
ヲ得
第三十三條政府ハ前條ノ規定ニ依リ交
付スル爲必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ
發行スルコトヲ得
第三十四條本法ニ依リ交付スル國債證
劵ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大
臣之ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
登錄稅法第十九條但書中「第十四號」ヲ
「第十四號乃至第十六號」ニ改メ同條第
八號中「自作農ノ創設維持」ノ下ニ「又ハ
負債整理」ヲ加ヘ「又ハ產業組合聯合會」
ヲ「、產業組合聯合會、負債整理組合又ハ
農村負債整理組合法第八條ノ規定ニ依リ
負債整理事業ヲ行フ法人」ニ改メ同條ニ
左ノ二號ヲ加フ
十五市町村、負債整理組合又ハ農村負
債整理組合法第八條ノ規定ニ依リ負債
整理事業ヲ行フ法人ガ負債整理事業資
金貸付ノ爲ニスル抵當權ノ取得ノ登記
十六市町村、負債整理組合又ハ農村負
債整理組合法第八條ノ規定ニ依リ負債
整理事業ヲ行フ法人ヨリ負債整理事業
資金ノ貸付ヲ受ケタル者ガ其ノ貸付ノ
條件ヲ具備セザルニ至リタル場合ニ於
ケル市町村、負債整理組合又ハ農村負
債整理組合法第八條ノ規定ニ依リ負債
整理事業ヲ行フ法人ノ所有權ノ取得ノ
奪記
〔國務大臣後藤文夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=32
-
033・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 農村負債整理組
合法案提出ノ理由ヲ中述ベマス、農山漁村
ノ經濟更生ヲ圖ル爲ニ農山漁家ノ負債整理
ノ途ヲ講ズルノ必要ガアリマス、而シテ農
山漁村ニ於ケル此負債整理ニ付キマシテ
ハ農山漁村住民ガ、其隣保共助ノ精神ヲ
基調トスル團結ノ力ニ依リマシテ、組織的
二、計畫的ニ、之ヲ行フコトハ適切ナル方
法デアルト信ズルノデアリマス、仍テ政府
ニ於キマシテハ、負債整理組合ニ關スル制
度ヲ立テマシテ、尙ホ之ニ伴フ負債整理資
金ノ融通ニ關スル方策ヲ講ズルコトヽ致
シ、玆ニ農村負債整理組合法案ヲ提出致シ
タノデアリマス
本法案ノ要旨ヲ簡單ニ中シマスレバ、第一
ニ農山漁村ノ住民ヲシテ、隣保共助ノ精神ニ
則リ、無限責任又ハ保證責任組織ノ負債整理
組合ヲ組織セシメテ、之ヲ負債整理事業遂
行ノ機關ト致シマス、第二ニ市町村負債整
理委員會ヲ設置セシメテ、之ヲ以テ負債整
理組合ノ斡旋ニ依ル負債ノ條件緩和ニ關ス
ル協定ノ成ラザル場合ニ於テ、協定斡旋ノ
機關ト致シマシタ、第三ニ負債整理組合及
市町村負債整理委員會ノ幹旋ニ依ノテ、負債
ノ條件緩和ニ關スル協定ガ成立致シマセヌ
場合ニ於テハ金錢債務臨時調停法ニ依ル
調停トノ連繫ヲ取ルコトヽ致シマシタ、第
四ニ負債整理組合ノ負債整理事業ノ遂行ヲ
容易ナラシムル爲ニハ市村町ニ於テ負債
整理組合等ニ對シ負債整理組合資金ノ特別
ノ融通ヲ爲シ得ルコトヽ致シマシタ、而シ
テ市町村ガ其融通ノ結果損失ヲ受ケマシタ
時ハ、其損失ニ付テ、道府縣ハ市町村ニ對
シ特別融通總額ノ三割以內ノ金額ヲ補償ス
ルコトヽ致シマシタ、又政府ハ道府縣ニ對
シテ三千万圓ヲ超エザル限度ニ於テ、共只
今申シタ損失トナッタ場合ノ損失金ノ半額
ヲ、補給スルコトヽ致シマシタ、尙ホ道府
縣ノ損失補償金ノ中ノ、政府カラ補償ヲ受
ケザル金額ニ付キマシテハ道府縣ト市町
村トノ間ノ分擔ノコトヲ定メタノデアリマ
ス、以上ハ本法案ノ要旨デゴザイマス、何
卒御審議ノ上御協贊アランコトヲ希望致シ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=33
-
034・秋田清
○議長(秋田清君) 通〓順ニ依リ質疑ヲ許
シマス-森田福市君
〔〓田福市君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=34
-
035・森田福市
○森田福市君 私ハ只今上程ニ相成リマシ
タ農村負債整理組合法案ニ對シテ疑ヲ少シ
バカリ質シテ見タイト考ヘマス、本案ハ元
來初メテ此處ニ現レタモノデハアリマセヌ、
御承知ノ通リ六十三議會ニ、ヤハリ政府案
トシテ出マシテ、其政府案ガ大衆農民、漁
民ニ對シテ施ス所ノ結果ニ於テ宜クナイ
ト云フノデ、本院ニ於テ相當ニ修正ヲ加ヘ
テ、サウシテ農民ナリ、漁民ナリヲ、其恩
惠ニ浴セシメルヤウナ案ニ直シテ、之ヲ貴
族院ニ送リマシタル所ガ、貴族院ニ於テ又政
府原案ノ通リニ修正サレテ、サウシテ遂ニ兩
院協議會ト相成リ、兩院協議會ノ結果ハ、不成
立ニ終ッタ運命ヲ持ッテ居ル案ナノデアリマス、
又其前ニハ、議員提案トシテ屢〓此議會ニ
現レタ所ノ歷史ヲ持,テ居ル案ガ、只今又
政府カラ現ハレタ女第デアルノデアリマ
ス、從來我國ニ於テ、斯ウ云フ國民大衆ニ
相當ニ便宜ヲ與ヘ、利益ヲ與ヘル施設ノ法
案ガ、決シテ無カッタノデハナイノデアリ
マス、從來サウ云フ方面ノ案ハ、幾囘トナ
ク出テ居ルノデアリマスガ、是ガ實施ニ當ッ
テハ、實際ニ其效果ヲ國民ガ直接受ケテ居ル
カドウカト云フコトニ付テ見マスルノニ、
動モスレバ是ガ仲介〓デアル所ノモノヽ
利益トナッテ居ッテ、此大衆ノ國民ニ、其利
益ガ徹底シテ居ナイト云フコトヲ遺憾ニ思
フノデアリマス、又此法案ヲ、今日會期押
詰ッテ當局ガ御出シニナリマシタノハ、私
ハ甚グ其誠意ヲ疑フノデアリス、何故ナラバ、
總理大臣ノ施政方針演說ノ中ニ、卽チ議會
再開劈頭ニ於テ、此負債整理組合法案ヲ出
スコトヲ、其施政方針演說ノ中ニ織リ込マ
レタノデアリマス、然ルニモ拘ラズ、政府
部內デ今日ニ至ル迄纏ラズニ、遂ニ斯樣ナ
會期切迫シタ時御出シニナッタコトハ、眞ニ
愼重審議ヲシヨウト思ヘバ、勿論時日ガ定
ラナイノデアリマス、聞ク所ニ依レバ、大
藏省トノ折衝ニ於テ圓滑ニ行カズニ、相當
日子ヲ費シ、次ニ又內務省ニ向テテノ交涉
ニ於テ、是亦相當日子ヲ費シテ、農林大臣
ト內務大臣トノ間デハ解決ヲセズ、新聞紙
ノ傳フル所ニ依レバ、遂ニ是ハ政治解決ト
カ云フコトニナッテ總理大臣ガ介在シテ、漸
ク此解決ヲシテ、而モ斯ウ云フ法案ガ出タ
ト云フコトハ私ハ農林大臣ノ御力ノ程ヲ
疑ハザルヲ得ナイノデアリマス
又此內閣ヲ非常時內閣ト言フタリ、或ハ强
力內閣ト世間デハ稱ヘテ居リマスガ、非常
時ニハ相違アリマセヌ、併シ强力內閣デア
ルカドウカト云フコトハ、寧ロ私ハ其反對
ノ弱力內閣デハナイカト考ヘルノデアリマ
ス(「ヒヤ〓〓」)此非常時內閣ニ於テ此法案
ヲ出スノニ、眞ニ誠意カ政府ニアッテ、サウ
シテ是ガ成立ヲ希望スルノデアリマシタ
ナラバ、今少シ早ク出サレタラ宜シイノデ
アリマス、是ガ卽チ强力內閣デナイ證據ガ
立派ニ現ハレテ居ルノデアリマス、又此法
案ヲ出スニ付テ、政府部內ニ、一體斯ウ云
フ國民ノ、個人ノ負債ヲ政府ガ法律ヲ設ケ
テ助ケテヤルコトハ要ラヌデハナイカト云
フヤウナ議論ガアッタヤニ聞クノデアリ
マス、勿論普通ナラバ私モ同感デアリマス、
平時ナラバ、左樣ナコトヲシテ國民個人ノ
負債ノ整理ヲ國家ガシテヤルト云フコト
ニ對シテハ、相當ニ考慮ヲ要スル問題デア
リマスルガ、今日ハサウデハナイノデアリ
さく、卽チ國民ガ一時ニ此負債ガ殖エク、
負債ガ大變ニ增大シタト云フコトハ、言フ
迄モナク或ル政黨ノ誤マフタル金解禁政策
ノ爲ニ、非常ナル低物價ヲ來シ(「其通リ」
「ノー〓〓」)其低物價ヲ來シタ結果トシテ、
農產物ノ收入ガ非常ニ激減致シタノデア
リマス、農產物ノ販賣代金ノ激減ヲ來シ
タニモ拘ラズ、一方公租公課ノ負擔ト云
フモノハ、更ニ是カ減ジテ居ラヌノデア
リマス、隨テ此公租公課ヲ負擔セント欲
スレバ、勢ヒ農產物ノ收入ヲ以テシテハ足
ラナイ、其足ラナイ所ヲ、負債ニ依ッテ、是ガ
公租公課ノ負擔シテ來タ其結果ガ、玆ニ多
大ノ負債ヲ生ジテ來タノデアリマス(「其通
リ」)國家ノ政策ガ誤ッタ爲ニ、國民ニ左樣ナ
迷惑ヲ掛ケテ居ル場合ハ、國家ノ政策ヲ以
テ是ガ救濟ヲシテヤルト云フコトハ、是一
爲政家ノ義務デアルト承知シナケレバナラ
ナイノデアリマス(拍手)
今囘御提案ニナッテ居リマス所ノ案ヲ見
マスルノニ、前議會ニ於テ、此衆議院ニ於
テ修正シタル點ヲ殆ド御取入ニナッテ居ラ
ヌノデアリマス、資金ノ供給ノ點ニ於テモ、
又補償ノ點ニ於テモ、其何レヲ見テモ、本
院ニ於ケル修正ノ要點ヲ御取入ニナッテ居
ラヌノハ如何ナル理由デアルノデアリマセ
ウカ、私ハ斯樣デハナイカト考ヘテ居ル、恐
ラク新聞紙上ニ於テモ、割增附債劵トカ、
或ハ籖札ノ發賣ニ依フテ資金ヲ得、而シテ其
金ヲ以テ補償ヲストル云フコトニ付テハ
恐ラク今日デハ反對スル人ハナクナッテ居
ルノデアリマス、然ルニ此案ヲ御出シニナ
レバ、又貴族院デ引掛リハスマイカト云フ
御考ノ下ニ、斯ウ云フヤウナ案ヲ作ッテ御出
シニナッタノデハナイノデアルカ、私ハ思フ
ニ、前議會ニ於テノ兩院協議會、或ハ貴族
院ノ修正等ニ思ヲ致シテ見マスルノニ、割
增附債劵ノ發行、或ハ籤札ヲ賣ルト云フコ
トハ、サウ云フ勸業債劵トカ何トカ云フヤ
ウナ方面ノ債劵ヲ賣ッテ居ル銀行ノ主宰者、
若ハ產業組合中央金庫ノ主宰者デアル人々
ガ、貴族院議員ニ席ヲ有サレ、而シテ本案ヲ
審議スル委員ニ當ラレタ場合、ドウシテモ
斯ウ云フ案ト、自己ノ營業トガ對立スル關
係上、私ハ之ニ修正ヲ加ヘラレタノデアラ
ウト考ヘルノデアリマス(拍手)數千万人ノ
農民ノ爲ニ私考ヘマスノハヤハリ僅カナ
特權階級ノ人々ニ氣兼ネヲセラレズニ、國
民大衆ノ爲ニ利益ニナル法案ヲ御出シニ
ナル方ガ宜イノデハナイカト考ヘルノデア
リマス
第一ニ私御尋スル點ハ、此法律案ノ中ニ
アル組織ノ點ヲ一ツ御尋ネシテ見タイト思
フノデアリマス、此前ニ、委員會ニ於テ非
常ニ議論サレ、質疑應答ヲ重ネマシタ所ノ
問題ハ、政府案ハ無限責任デアッタノデア
リマス、然ルニ今囘ノ御提案ハ、無限責任
若クハ保證責任ト云フヤウナ、曖昧ナ二通
ノコトニナッテ、其何レニ依ッテモ宜イト云フ
コトニナッテ居ルノデアリマスガ、實質ニ於
テハ斯ウ云フ風ニナルノデハナイカト私ハ
思フノデアリマス、此組合ハ、勅令ニ依テ
認可ヲ與ヘル人ガ決マルコトニナッテ居リ
マシテ、恐ラク地方長官ガ此認可權ヲ持ッ
ノデアラウト考ヘマスルガ、サウ云フ場合
二、無限責任ト保證責任ハ、恐ラク組合員
ハ保證責任ニ依ッテ許可ヲ受クベク申請ス
ルコトデアラウト信ジマス、サウ云フ場合ニ、
若シ當局ガドウモ此組合員ノ顏觸デハ信用
致シ兼ネルカラ、ヤハリ全員ヲ無限責任組
織ニセヨ、卽チ組織ヲ無限責任ニセヨト云
フノデ、遂ニハ保證責任ト云フモノガ一方
ニアッテモ、實施ニ當ッテハ全部無限責任ニ
ナッテ來ルヤウナ虞ガアルノデアリマス、隨
テ政府ハ此保證責任ダケニ依ルト云フ御考
ハ御有チニナラヌカ、卽チ無限責任ト云フ
モノハ全然之ヲ止メテ、之ヲ一般ニ從來ノ
法律通リニ保證責任トカ、有限責任トカ、無
限責任トカ、云フ一定シタモノニ爲スト云フ
ヤウナコトニ付テハ、ドウ云フ御考ヲ有ッテ居
ルカト云フコトヲ御尋ネ致スノデアリマス
第二點ハ資金ノ供給ノ點デアリマス、資金
ノ供給ノ點ガ、前議會ニ於テ吾々ノ主張致
シマシタノハ、割增附負債整理債劵ノ發行
或ハ又籤札ノ賣却ニ依ッテ其資金ヲ得テ、其
資金ヲ直接組合ニ貸サウ、而シテ是ガ中央
ノ機關トシテハ、負債整理組合中央金庫ト
云フモノヲ設ケテ、統制ヲ取ッテ行カウト
云フ案デアッタノデアリマスガ、今囘ノハ市
町村ガ其組合へ貸金スルコトニナッテ居ル、
果シテ地方ノ市町村ガ此多額ノ金ヲ貸ス所
ノ資力ガアルト、政府ハ思召シテ居ラレル
ノデアリマセウカ、勿論政府ハ市町村債若
クハ府縣債ヲ起サシテ、サウシテ、ソレニ
預金部カラ金ヲ融通ヲスルト言ハレルデア
リマセウガ、順次本案ヲ檢討致シマスト、
地方ニ相當重イ補償ヲシナケレバナラナイ
ヤウニナッテ居ルノデアリマスカラ、果シテ
市町村ガ此資金ノ金融ヲ圓滑ニ組合ニ與ヘ
ルコトガ出來ルデアリマセウカ、又其市町
村ニ對シテハ、一體何處カラ金ヲ貸スト云
フコトニナルノデアリマスカ、法文ノ表向
カラ見タノデハ何等其金ヲ貸ス所ノ機關
ガ整,テ居ラヌノデアリマス、此點ニ關シテ
資金ノ供給ガ、此法律ノ表向ニアルヤウニ、
市町村ガ直接此融通ヲ爲スコトヲ得トアリ
マスガ、其融通ヲ爲ス所ノ市町村ハ何レカ
ラ金ヲ得ルノデアリマスカ、サウシテ其形
式或ハ利子等ノ手段方法等ニ付テ、確乎タ
ル御答ヲ承リタイト考ヘルノデアリマス
又第三點ハ、損失補償ハドウスルノデア
ルカト云フコトヲ、御尋スルノデアリマス、
新聞紙ノ傳フル所ニ依レバ、融資ハ二億
圓デアッテ、其三割卽チ六千万圓ヲ組合ニ
對シテ補償ヲスルガ、內半額卽チ三千万圓
ハ政府ガ補償ヲシ、殘リ三千万圓ハ府縣ト
市町村ガ半分ヅヽ補償スルト云フノデアリ
マスカラ、取敢ヘズ假ニ極度ノ二億圓ヲ貸
スト假定致シマシテモ、市町村ハ千五百万
圓ノ補償ヲシナケレバナラヌコトニナルノ
デアリマス、此疲弊困憊ニ陷ッテ居ル市町
村農村、漁村ニ、果シテ千五百万圓ノ補
償ヲスル資力ガアルト當局ハ御考ニナッテ、
本案ヲ御出シニナッタノデアリマセウカ、又
假ニ斯樣ニナリマシタ場合ニハ、恐ラク此
組合ト云フモノハ成立シナイデアリマセウ、
市町村ニ於テ此補償ヲシテモ、借リヨウト
云フ人間ニ貸スノハ恐ラク中流階級ノ人
人ノミニ終ッテ、眞ニ負債ノ整理ヲシヨウト
云フ、負債ヲ持ヲテ困ッテ居ル所ノ小農及小
作人、或ハ小漁業者等ハ、恐ラク此恩典ニ
浴スルコトガ出來ナイノデハナイカ、此補
償ノアル爲ニ、貸サヌデモ差支ナイ程度ノ
階級ニ、遂ニ貸スヤウナコトニナル虞ガ十
分ニアルト思フノデスガ、農林大臣ハ一體
ドウ云フ風ニ御考ニナルノデアリマセウカ
又第四點ハ斯ウ云フ風ニ御尋ネシタイノ
デス、組合ノ統制機關、卽チ負債整理組合
ヲ部落每ニ作ッタト假定致シマシテモ、ソレ
ガ統制ハドウ云フ風ニシテ御取リニナルノ
デアリマスカ、先般、-丁度此處ニ中島
商工大臣ガ居ラレマスガ、工業組合法モ斯
ウ云フコトガアリマシテ、中央ニ統制機關ガ
必要デアルト稱サレテ、此議會ニ工業組合
法ノ中央會ト云フ所ノ、中央機關ヲ御作リニ
ナル法律案ヲ御出シニナッタノデアリマス、
前ノ議會デモ中央金庫トカ或ハ中央會ト云
フヤウナモノヲ作ッテ、サウシテ眞ニ此組合
ヲ培養シ發達サシテ、目的ヲ達シサセヨウト
思ヘバ中央ニ相當ナ統制機關ガ必要デアルト
論ゼラレタノデアリマス、然ル其機關ヲ更ニ
御作リニナッテ居ラヌノデアリマス、政府ハ
ドウシテ此統制ヲ御取リニナル御考デアリ
マスカト云フコトヲ、承リタイノデアリマス
第五點ハ政府ハ內務省ノ反對ヲ受ケ、大
藏省ノ反對ヲ受ケ、遂ニ政治的解決ヲシテ
漸ク御出シニナッタ案ガ、實際ノ效果ハナイ
案ヲ御出シニナッテ居ルノデアリマス、何故
前議會ニ於テ修正サレタ我ガ黨案ヲ本案ニ
御入レニナルコトガ不可能デアッタノデア
リマスカ、此點ノ御明答ヲ戴キタイノデア
リマス、又內務大臣ニ御尋致シタイノデアリ
マス、若シ此法律ノ如ク、果シテ二億圓ト
云フ金ヲ府縣債ニ依ッタリ、或ハ三千万圓ヲ
時縣及市町村ガ補償ヲ致シマスル場合ニ、
是ガ財源ハ一體地方ノ何レニアルト御考ニ
ナッタノデアリマセウカ、又財源ノミナラ
ズ、資金ノ調達ハドウ云フ形式デオヤリニ
ナルノデアリマスカ、又府縣ガ府縣會ヲ開
イテ、丁度中小ノ商工業者ニ對スルヤウ
ニ、補償ヲスル府縣ガアリ、補償ヲセザル
府縣ガアッタ場合ニ、又此農村負債整理組合
ニ對シテモ、私ハ其通リニナルト思フノデ
アリマスガ、ソンナ多額ナ補償ヲシテマデ
府縣債ヲ發行シテ、組合ニ貸付ケヨウト云
フコトハ、御免ヲ蒙ムルト云フ縣ガ出テ來
マセウ、或ハ左樣ナ縣會議員ガ多イ處ニ對
シテハ、如何樣ナ手段方法ニ依ッテ、此法律
ノ徹底ヲ期サレル御考デアリマセウカ、又
府縣及市町村ハ左樣ナ三千万圓モノ補償ヲ
致ス程ノ餘裕アル財政デアルト、御考ヘニ
ナッテ居ラレルノデアリマセウカ、私ハ勿論
全部ヲ國庫ガ補償シテヤルベキモノデアル
ト考ヘテ居ルノデアリマス、若シ國庫ガ補
償ガ不可能ナラバ、卽チ前議會ニ出シタ我
ガ黨案ニ依ル籤札附ノ割增債劵ヲ發行シ、
或ハ籤札ヲ賣ッテ得タル所ノ金ヲ以テ、補償
スルコトガ一番差支ガナク、一番安全デア
ル、サウシテ是ガ完全ニ遂行出來ルニモ拘
ラズ、其方法ニ依ラヌ本案ニ、內務大臣ハ
御贊成ニナッタ理由ヲ承リタイノデアリマ
ス
又大藏大臣ニ御尋致シタイノデアリマス
ルガ、居ラレマセヌカラ、政務次官殿デモ結
構デアリマス、此府縣債若クハ市町村債
ハ、多分預金部ガ引受ケルト云フ御答辯ガ
アラウト考ヘマスルガ、預金部ニ果シテ左
樣ナル餘裕ガアルノデアリマスカ、昨年ノ
八月二十九日ニ預金部ノ運用委員會ガ開カ
レマシテ、時局匡救ニ要スル預金部ノ融通
資金ハ、一億八千九百万圓ト云フコトデ、
其財源ハ公債引受豫定殘額ガ一億四千百万
圓、不動產金融豫定額殘高ガ三千九百万
圓、郵便貯金ノ增加額見込ガ一千四百万
圓、合計一億九千四百万圓ト云フコトデア
リマシテ、ソレカラ融資ノ額ノ一億八千九百
万圓ヲ差引クト、五百万圓シカ殘ヲテ居ラヌ
勘定ニナッテ居ルノデアリマスガ、其後郵便
貯金ノ利下ガ崇フテ、遂ニ郵便貯金モ二億圓
ヲ減額シタル今日、此二億圓ノ負債整理組
合ニ貸付ケル所ノ融資ハ、何處カラ御作リ
ニナルコトニナッテ、御贊成ニナッタデアリ
マセウカ、此點ヲ承ッテ置キタイノデアリ
マス
大體私ノ質問ハ以上ノ點デアリマスガ、
若シ我黨ノ案ニ依リマスルト、此國家ノ補
償ト云フモノハ、年額僅ニ七百五十万圓デ
濟ムノデアリマス、國家ノ補償ガ一年七百
五十万圓、强テ申シマスルナラバ、陸軍大
臣ノ滿洲事件費ノ交際費ノ半額ニモ達シナ
イ金ヲ以テ、數千万人ノ農民ヲ救濟スルコ
トガ出來ルノデアリマスカラ、農林大臣ハ
其意味ニ於テモ、政府部內ニ於テ大多數ノ
農民ヲ救濟スルコトニ邁進シテ貰ヒタカフ
タノデアリマス、ドウカソレ〓〓能ク分
リマスヤウニ御答アランコトヲ希望スル次
第デアリマス(拍手)
〔國務大臣後藤文夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=35
-
036・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 森田君ノ御尋ニ
御答致シマス、第一ニ負債整理組合ノ組織
ハ無限責任及保證責任トナッテ居ルガ、政
府ハ實行ニ當ッテ保證責任ハ殆ド認メナイ、
强テ皆無限責任ノモノトシヨウトスルノデ
ハナイカ、サウナレバ中々實現ガ困難ニナ
リハシナイカト云フ御尋デアリマス、政府
ハ此負債整理組合ハ、隣保共助ノ精神デ成
ベク皆ガ共同シ、御互ノ負債ヲ共同ノ責任
デ無クシテヤラウト云フ精神ノ一致ノ下
ニ、實行サレルコトヲ希望シテ居リマス、
隨テ無限責任ノ組合ガ成ベク出來ルコトヲ
希望スルノデアリマス、併ナガラ或ハ負債
ノ額ノ少イ者ガ、多イ者ト一〓ニナルコト
モアリマセウ、又資產ノ相當アル者ガ、自
ラ振ッテ此組合ノ中ニ入ッテ、助ケテヤラウ
ト云フ場合モアリマセウ、斯ウ云フ場合、
保證責任ニシテ置クコトガ、サウ云フ人ヲ
バ一般ノ共同ノ仕事ニ參加セシムルニ容易
デハナイカト云フヤウナ意見ガ、前議會ノ
際ニモ出マシテ、ソレハ政府ニ於テモ尤デ
アルト致シマシテ、保證責任ヲモ加ヘルコ
トニ致シマシタ、隨テ實地ニ當リマシテハ
無限責任ノモノモアリマセウシ、又保證責
任ノモノモ出來ルト云フヤウニ相成ルト思
ヒマス、政府ノ希望ハ、無論無限責任ノ出
來ルコトガ、結構デアルト思ッテ居リマス
ソレカラ第二ニ資金ノ供給ノコトデアリ
マスルガ、是ハ前議會ニ於キマシテモ、衆
議院ノ修正ガ政府提案ニ加ヘラレマシテ、
此資金關係ノ問題ガ論爭應答セラレタノデ
アリマス、政府ニ於テモ豫テ前議會ニ提案
ヲ致シマシタ際カラ、資金ノ供給ニ付テ
ハ相當ニ心配ヲシタイト云フ考デ居ッタ
ノデアリマス、其後尙ホ考究ヲ致シマシタ結
果、今囘提案致シマシタヤウナ方法ヲ、設
ケルコトヽ相成ッタノデアリマス、損失補償
ガ政府ダケデナクシテ、市町村ニモ及ブ爲
ニ、非常ニ困難ヲ感ジハシナイカ、其結果ト
シテ小サイ農山漁村ノ住民ノ爲ニハ、實行
サレナイヤウナコトニナリハセヌカト、斯
ウ云フヤウナ御懸念ノ御質問デアリマス、
吾々ノ希望致シマス所ハ、此小農、中小產
ノ人達ガ、此負債整理組合ノ實行ニハ最モ
適シテ居リ、又斯ウ云フ人達ノ負債ガ、之
ニ依ッテ漸次緩和スルコトヲ希望致シテ居
ルノデアリマス、又斯ウ云フ施設デアリマ
スルカラ、市町村モ相當ナ國家及道府縣ノ
損失補償ガアリマスルナラバ、資金ノ融通
ヲ爲シ得ル場合モ、決シテ少クハナイデハ
ナイカト思フノデアリマス、尤モ是ガ實行
ニ當ッテハ、負債整理組合ヲヤル人達、又町
村ノ當局者等デ、熱心ナ立派ナ人達ガ居ル
處ホド、ヤリ宜イデアラウト思ヒマス、尙
ホ此市町村ガ融通シマス整理資金ハ、預金
部ノ資金ヲ成ベク貸與ヘルコトニ致シタイ
ト、斯ウ云フ考デアリマス、併ナガラ預金
部ノ狀況ハ色々事情ガアリマシテ、森田君
ノ御心配ノヤウニ中々出ナイデアラウト云
フ懸念ヲ、御有チニナルカモ知レマセヌケ
レドモ、預金部ノ事情ノ許ス限リニ於テ、
此資金ヲ出シテ便宜ヲ圖リタイト、斯ウ云
フ考ヲ有ッテ居リマス、殊ニ此資金ハ利子モ
安ク、長期ノモノデナケレバナリマセヌ、
外ニ資金ヲ仰グコトハ中々困難デアラウト
思ヒマス
次ニ負債整理組合ガ段々出來テ來タ時分
ニ、此統制ヲドウシテ圖ルカト云フ御話デ
アリマシタガ、是ハ普通ノ行政監督及資金
ノ囘收等ノ際ノ、監督ノ作用デ參レルト思
ヒマス、此組合ハ積極的ニ事業ヲヤル團體
デハゴザイマセヌカラ、此組合自體ノ統制
ト云フ事柄ハ、直チニ必要ヲ感ジナイ問題
デアルト思ヒマス、唯此組合ノ負債整理ノ
仕事ト合セテ、一面ニハ經濟更生ノ各
種ノ施設ガ伴ヒ、努力奮闘ノ結果ガ現ハ
レルコトヲ希望致シマスル、農村ノ更生
施設トシテ色々ナ指導、奬勵ヲ行ッテ行
ク考デアリマス、サウ云フコトカラ自然ニ
負債整理組合ノ、將來出來マシタ上ノ運用、
運行モ刺戟セラレ、奬勵サレルト云フコト
ニ相成リマス
次ニ議會ノ昨年修正シタ案ヲ何故出サナ
カッタカ、是ハ今囘提出シマシタ案ヲ、實際
ノ場合ノ事情ニ鑑ミマシテ適當ダト考ヘマ
シテ、今提出致シタヤウナ案ヲ立テマシタ
譯デアリマス、ソレデ御諒承ヲ願ヒタイト
思ヒマス
次ニ大藏大臣、內務大臣へノ御尋デアリ
マシタガ、是ハ私カラ簡單ニ御答致シテモ
宜シカラウト思ヒマス、府縣市町村ガ補償
ヲスレバ、ソレダケノ金ガ要ル、其資金ヲ
府縣市町村ノ財政デ何處カラ得ルカト云フ
御尋デアリマスガ、是ハ補償ト云フ問題
ハ長イ年月ノ後ニ漸次生ジテ來ル問題デ
アリマス、又國家ノ相當ナ補償モアルノデ
アリマス、現實ノ場合トシテハ、府縣市町村
ガ實際ドレ程ノ損失ヲ生ズルニ至ルカト云
フコトモ、ハッキリ致シマセヌ、府縣ノ財
政、市町村ノ財政カラ見マスレバ、少シモ
損失ガナクシテ、全部國家ガ持ッテ貰ヘレバ
結構デアリマセウケレドモ、斯ウ云フ仕事
ハ矢張共同ノ精神デ參リマスルシ、其共同
ノ精神デ參ル所ニ、適切ナル團體ガソレ
ゾレ幾ラカ責任ヲ分ツト云フコトニナッテ
居リマシテ、初メテ行ハレルノデアリマ
ス、ソレガ爲ニ多少ノ負擔ガ生ズルコトハ、
已ムヲ得ナイコトデアラウト思ヒマス、預
金部ノ資金ノコトニ付テハ、先程申上ゲマ
シタヤウナ次第デアリマスルカラ、ソレデ
御承知ヲ願ヒタイト思ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=36
-
037・森田福市
○森田福市君 簡單デアリマスカラ此席カ
ラ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=37
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038・秋田清
○議長(秋田所君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=38
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039・森田福市
○森田福市君 預金部資金ニ付テハ、先程
申述ベタカラト云フ農相ノ御話デアリマシ
タガ私ハ數字ヲ擧ゲテ、預金部ノ資金ヲ
融通スル餘地ガナイデハナイカト云フコト
ヲ申シタノデアリマスガ、餘裕ガアルトセ
ラルヽナラバ、大藏當局カラ適切ニ數字ヲ
擧ゲテ、其餘裕ガアル點ヲ御示シヲ願ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=39
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040・秋田清
○議長(秋田〓君) 堀切大藏政務次官
〔政府委員堀切善兵衞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=40
-
041・堀切善兵衞
○政府委員(堀切善兵衞君) 只今森田君ノ
御質問ノ如ク、二億圓ノ融資ヲ、預金部ニ
對シテ今直チニ之ヲ〓通シロト云フコトデ
ゴザイマスレバ、是ハ非常ニ困難デアリマ
ス、併ナガラ此二億圓全部、預金部ノ負擔
ト云フ建前デモナイノデアリマス、幸ニ最
近ニ至リマシテ、預金部ノ預金モ徐々ニ又
囘復シテ參ルヤウナ狀況デアリマスノデ、
今後預金部ニ於テ出來得ル限リ、此需メニ
應ズル考デアリマス、而シテドウシテモ是
ハ出來ヌト云フ場合ニハ、預金部バカリデ
ナク、他ノ方法ニ依フテ此資金ヲ求ムル途
ヲ考究致サナケレバナラヌト考ヘテ居リマ
ス、只今ノ所デ二億圓全部、預金部デ之ヲ
出セト仰セラレテモ、ソレハ甚ダ困難デア
ルト申上ゲル外ハナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=41
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042・森田福市
○森田福市君 農林大臣ノ御答辯ハ、私ノ
質問ノ趣旨ニハ一ツモ嵌ッテ居リマセヌカ
う、又今度他ノ機會デ詳シク御尋スルコト
ニ致シマシテ、是デ私ハ質問ヲ打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=42
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043・秋田清
○議長(秋田〓君) 林平馬君
〔林平馬君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=43
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044・林平馬
○林平馬君 私ハ只今上程ニナッテ居リマ
スル、負債整理組合法案ニ對シテ質問ヲ試
ミタイト思フノデアリマス、其質問ニ入リ
マスル前ニ一言申上ゲテ置カナケレバナリ
マセヌガ、今日ノ農村ノ疲弊困憊ハ雪〓、
名狀スベカラザルモノガアルト申上ゲテモ
宜シイト思フノデアリマス、隨テ全國農村民
ハ、負債整理法案ノ一日モ早ク議會ニ現ハレ
ンコトヲ、待チニ待ッテ居ッタ次第デアリマ
ス、然ルニモ拘ラズ、今ヤ議會々期將ニ終
ラントスル時ニ至ッテ、漸ク此重要法案ガ現
レタト云フコトニ對シテハ、少ナカラザル
遺憾ヲ感ズルモノデアリマス、此點ヨリシ
マシテ、果シテ總理大臣竝ニ農林大臣ガ、
我國ノ行詰ッタ農村ニ對スル十分ナル認識
アリヤ否ヤヲ、疑ハザルヲ得ナイノデアリ
マス(拍手)若シ認識アリトスルナラバ其
熱意ト誠意トヲ疑ハザルヲ得ナイノデアリ
マス、サリナガラ今ヤ既ニ過ギタルコトヲ
徒ニ追窮ヲ試ミントスルモノデハアリマセ
又、質問ヲ申上ゲル前ニ、私ハ本法案ガ我
黨ノ主張ト、ドウ云フ關係ガアルカト云フ
コトヲ申上ゲテ置キタイト思ヒマス
諸君、去ル六十二議會ニ於キマシテ、政
府案ニ對スル我黨ノ希望主張ハ、三箇條アッ
タノデアリマス、其一ツハ、組合ニ加入ス
ル所ノ者ガ、政府案ニ於テハ農山漁業ヲ營
ム者ニ限ラレマシタケレドモ、是デハ其範
圍ガ狹イカラ、住民デアルナラバ、他ノ職
業ヲ爲ス者モ加ヘナケレバナラヌト主張シ
タノデアリマス、又第二ニハ、隣保共助ノ
精神ニ則ルモノデアルトハ云フモノノ、無
限責任者ノミヲ以テ組合員タラシメルコト
ハ、餘リニ苛酷デアルガ故ニ、保證責任ヲモ
加ヘナケレバナラヌト主張シテ居ッタノデ
アリマス、更ニ第三ノ主張點ハ、金庫ハ必
シモ今俄ニ必要トスルモノデハナイケレド
モ、低利資金ハ早速用意シナケレバナラヌ
ト、是モ强ク主張シテ居ッタノデアリマス、
然ルニ本法案ヲ見マスルト、此我黨ノ三箇
ノ主張ガ全部取入レラレテアルト云フコト
ハ前囘ノ政府案ニ對シテ一大進步ト認メ
テ宜シイト思フノデアリマス(拍手)
次ニ是ヨリ質問ニハ入リタイト思ヒマ
ス、成ベク簡單ニ申上ゲテ置キタイト思ヒ
マスガ、吾々ノ調査ニ依リマスト、農村ノ
負債ノ總額ハ、金額五十五億ニ達シテ居ル
ト承知シテ居リマス、卽チ其中デ小產者ノ負
債ダケヲ取上ゲテモ、尙且ツ十七八億ニ達
シテ居ルト想像出來ルノデアリマス、此厖
大ナル農村ノ負債ニ對シテ、僅ニ二億ノ少
額ヲ以テ整理セラレントスルノハ、果シテ
整理ノ目的ヲ達シ得ラルヽヤ否ヤ、此點ヲ
伺ヒタイノデアリマス、殊ニ又其二億圓ノ
金ヲ以テ、十七八億圓ノ小產者ノミノ整理
ヲヤル積リデアルカ、其他ノ負債ヲドウ爲
サルカト云フ點ヲ、御聽キシタイノデアリ
やく、殊ニ近來最モ苦ンデ居ルノハ、勸業
銀行ヤ農工銀行カラ借リタ所ノ、所謂不動
產ヲ擔保ニ提供シテ借入レタル此債務者ガ、
最モ苦ンデ居ルト申上ゲテモ宜イノデアリ
マスガ、若シサウ云フ方面ニ對シテモ、卽
チ農工若クハ勸業銀行ニ擔保ヲ入レテ借入
レタル負債モ、此負債整理組合ニ提出シテ、
整理セシメルカ否ヤト云フ點ハ、實ニ重大
デアリマスカラ、特ニ御尋申シタイノデア
リマス
更ニ第三點ハ、此法案ニ依リマスレバ、農
漁山村ニ限ラレテアルノデアリマスガ、農
漁山村以外ノ、卽チ都市ノ中小商工業者ノ
負債ニ對シテハ、如何ニ爲サル御考デアル
カト云フコトデアリマスガ、此點ハ商工大
臣竝ニ大藏大臣ニ對シテ、御尋申上ゲル次
第デアリマス
尙ホ此法案ノ第一條ヲ讀ンデ見マスルト、
經濟更生計畫ト云フコトガ、不可分ノ關係ニ
扱ハレテ居ルヤウニ思フノデアリマスルガ、
政府ハ如何ナル内容ヲ考ヘテ居ルノデアル
カ、法文ノ中ニハ示サレテアリマセヌガ、
此不可分ノ關係ニ置カレル所ノ、更生計畫ノ
內容ヲ御示シヲ願ヒタイノデアリマス、且
又此經濟更生計畫ガ樹立セナイ組合ニハ
資金ヲ融通爲サラナイ御考デアルカト云フ
コトモ、御尋申上ゲル次第デアリマス
次ハ此法案ニ依フテ、縱ンバ今日現存シテ
居ル負債全部ガ整理ガ付イタト致シマシテ
モ、當然玆ニ考ヘナケレバナラナイコトハ、
將來ノ負債ト云フコトニ付テヾアラウト思
フノデアリマス(拍手)卽チ將來出來ル負債
ヲドウスルカト云フコトヲ、政府當局者ガ
考ヘテ置クコトハ、當然ノコトデアラウト
思フノデアリマス、將來ノ負債ニ對シマシ
テハ、吾々ノ考ヲ以テスルナラバ、農村ノ
負擔ヲ輕減スルト云フコトガ、第一ノ條項
デアラウト思フノデアリマス、若シ農村ノ
負擔ヲ輕減スルコトガ、第一ノ必要條項デ
アルナラバ、最モ近キ將來ニ於テ、政府ハ
稅制ノ整理ヲ爲ス場合ニ、十分ニ御考慮爲
サッテ、農村ノ負擔輕減ヲ斷行セラレル御意
思アリヤ否ヤヲ、大藏大臣竝ニ農林大臣ニ
御尋スル次第デアリマス
次ニ將來ノ負債ニ付テ、最モ關係ノ重大
ナルモノハ、農村ノ保險ノ制度デアリマス
是ガ如何ニ必要デアルカト云フコトハ申上
ゲル迄モナイ、先日本會議ニ於キマシテ、
衆議院ハ滿場一致ヲ以テ可決セラレタコト
ニ依ッテモ明白デアリマス、然ルニ農林大臣
ガ貴族院ノ質問ニ御答ニナリマシタ所ニ依
リマスルト、必要トハ思ヒマスルケレドモ、
財政上ノ都合ヲ考ヘテト云フヤウナ、何ト
ナク物足ラナイヤウナ御答ノヤウニ承ッテ
居ルノデアリマスガ、是ハドウシテモ全力
ヲ擧ゲテ、此保險制度ヲ確立シナケレバナ
ラヌト思フノデアリマス、果シテ此點ニ付
テ農林大臣ハドノヤウナ御決心ヲ有タレ
テ居ルカ、明確ナル御答辯ヲ願フ次第デア
リマス
更ニ御尋致シタイコトハ、二億ノ資金ヲ
以テ此負債ヲ整理セントセラレルノデアリ
マスガ、果シテ大藏大臣ハ、此二億圓ト云
フコトニ對スル、的確ナル御承認ヲ御與ヘ
ニナッタカ否カト云フコトヲ、國民ガ安心ス
ル上ニ、ハッキリ御答ヲ願フ次第デアリマ
ス、大體私ノ質問ハ是デ終ヲタノデアリマ
スガ、玆ニ一言ドウシテモ附加ヘテ、伺ッテ
置カナケレバナラヌ點ガアルノデアリマス、
是ハ外デハアリマセヌガ、森田福市君ノ御
話中ノ事ニ關シテヾアリマス、吾々ハ近來
シミ〓〓考ヘサセラレルコトハ、議會政治
ニ對スル信用ガ失墜シテ、段々旣成政黨ヲ
否認セントスル狀態ニ在ル時ニ、此問題ヲ
解決セントスル爲ニハ.共同戰線ヲ張ル必
要ガアルト考ヘテ居ル者デアリマス、隨テ
御互ノ惡口雜言ヲ言ウタリ、或ハ罪ノナス
リ合ヲスルコトハ、斷ジテ愼マナケレバナ
ラナイ、卽チ吾々ハ政黨ノ信用囘復ヲ爲ス
ト云フコトガ、最モ重大ナル一ツノ役目デ
アル、然ラバ卽チ読辯ヲ弄シ、天下ヲ欺ク
ヤウナ言葉ヲ用ヒテ、他黨ヲ罵詈スルガ如
キハ十分愼マナケレバナラヌト思フノデ
アリマス
〔「說線々々」「詭辯ヲ弄ストハ何ダ取消
セ」ト呼ヒ其他發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=44
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045・秋田清
○議長(秋田〓君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=45
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046・林平馬
○林平馬君(續) 然ルニ森田君ノ御話ニ依
リマスルト、今日ノ厖大ナル負債ハ、是ハ
金解禁ノ爲ニ物價ガ下落シテ、農村ノ收入
ガ不足ニナッタ、ソレノ埋合セニ借金ヲシタ
ノガ、今日ノ負債デアルト言ハレタノデア
リマス、サリナガラ是ハ實ニ天下ヲ欺クモ
甚シイト言ハナケレバナラナイ(拍手、發言
スル者アリ)何トナレバ今日、五十五億ノ負
債ガ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=46
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047・秋田清
○議長(秋田清君) 林君、質問ノ範圍外ニ互
ラヌヤウニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=47
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048・林平馬
○林平馬君(續) 今日ノ負債ノ出來タノハ
何時カ-私ハ其點ヲ御尋スルノデアリマ
ス、此點ヲ御尋スル、諸君、吾々ノ考ヲ以
テスルナラバ
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=48
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049・秋田清
○議長秋田清君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=49
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050・林平馬
○林平馬君(續) 今日ノ負債ハ、此金解禁
以來出來タモノデハナク、卽チ大正四五年
頃マデハ農村ノ負債ガ實ニ十三四億圓ニ
止マッタモノデアリマス、然ルニ大正十一二
年頃ニナリマシテ、五六年ノ間ニ一躍三十
億圓ノ巨額ニ達セントシタノデアリマス、
サウシテ其後ハ唯年々ノ金利ガ加ハッタダ
ケデ、今日ノ厖大ナル負債ニナッタノデアッ
テ、決シテ金解禁以來ノモノデナイト考ヘ
テ居ルノデアリマス、然ルニ政府當局ハ吾々
ノ考ヲ肯定サレルヤ否ヤ、果シテ最近ニ
出來タモノデアルカ否ヤト云フコトヲ御尋
スルノデアリマス、諸君、當時ハ米ガ實ニ
一石四十圓、或ハ又繭ガ十二三圓モシタノ
デアリマス、斯樣ニ非常ニ農村ノ物價ガ高
カッタニモ拘ラズ、斯ノ如キ厖大ナル借金ガ
農村ニ出來タト云フコトハ、是レ諸君何ヲ
〓へ何ヲ物語ルモノデアルカ、卽チ政友
會ノ放漫政策ノ結果デハナイカ、(拍手)尙
ホ此動カスベカラザル事實ニ徵シテ、此際
政府當局ニ對シテ、特ニ申上ゲナケレバナ
ラヌコトハ、今ヤ「インフレーション」政策
ヲ實行シテ、世ノ中ノ物價ヲ悉ク上ゲント
シテ居リマスガ、再ビ復タ大正七八年、十年
前後ノヤウナ轍ヲ履マントスルヤウナコト
ニナリハセヌカト深ク憂慮スル次第デアリ
マスガ、此點ニ付テハ十分ナル御警戒ヲ有
タレテ、再ビ放漫政策ノ轍ヲ繰返サレナイ
コトヲ、切ニ御願スル次第デアリマス(拍
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=50
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051・秋田清
○議長(秋田濟君) 後藤農林大臣
〔國務大臣後藤文夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=51
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052・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 第一ニ二億圓ノ
融資ノ計畫デハ、ドレダケノ整理ガ出來ル
カ、是ハ二億圓ノ金ガ負債ノ全部ヲ肩替リ
シヨウト云フ譯デハアリマセヌ、負債ハ
ソレ〓〓負債整理組合ニ於テ世話ヲシ、最後
ニハ調停マデモ持ッテ參リマシテ、債權者債
務者ノ間ニ出來得ル限リノ條件ノ緩和ヲ致
スノデアリマスソレト同時ニ整理組合ハ、
償還ノ計畫ヲ成ベク確實ナ方法ヲ、實地ニ
極ク卽シタ方法ヲ立テルノデアリマス併
ナガラ其際ニ矢張相當ナ頭金ハ、負債ノ整
理ノ相談ヲスル時ニ要ルノデアリマス、ソ
レニ此二億圓ヲ充テヨウトスルノデアリマ
スルカラ、相當ナ金額ノ必要ガ、此二億圓
ノ金ガ出マスレバ出來ルコトニ相成ルト
思フノデアリマス、ソレカラ小サイモ
ノハ一向ヤレナイデ、大キイモノバカリ
ニナルノデハナイカト云フ、先程御尋モ
アリマシタガ、今度ハ大キイモノハ仕樣
ガナイノヂヤナイカト云フヤウナ御尋ガ
アリマシテ、餘リ大キナ負債ハ此方法デ
ハ中々整理ハ困難デアルト思ヒマス、併
ナガラ今日ノ農村ノ人達ノ多數ハ、左程巨
額デハナイガ、相當ナ負債ヲ皆ソレ〓〓持ッ
テ居ルノデアリマス、此一般的ノ負債ガ、
成ベク此方法ニ依ッテ漸次ニ整理サレテ行
クコトヲ希望スルノデアリマス
次ニ農村更生計畫ガ伴ハナケレバナラヌ
ト云フコトデアルガ、ドンナ事ガ農村更生
計畫ノ內容デアルカ、是ハ此處デ細カニ申
上ゲレバ時間ヲ取リマスカラ申上ゲレバ時
間ヲ取リマスカラ申上ゲマセヌ、農村ノ人
達ガ農村ノ資源、勞力、又消費經濟、有ユ
ル方面ヲ動員ヲシテ、秩序ノアル更生ノ計
畫ヲ立テサセヨウト云フノガ、更生計畫ノ
精神デアリマス、是ハソレ〓〓實地ノ場合
ニ卽シテ立テラレル方策デアリマス、今日
力ヲ入レテ參ッテ居ルデアリマス、負債整理
ヲヤルヤウナ所デハ必ズ斯ウ云フモノガ
同時ニ立〃テ、初メテ償還計畫ノ確カナモ
ノガ出來上ルコトニナルノデアラウト思フ
ノデアリマス、次ノ、將來ノ負債ガ出來テ
ハ、負債ヲ整理シテモ仕樣ガナイデハナイ
カ、是ハ御尤デアリマス、將來ノ負債ガ
成ベク出來ナイヤウニスル爲ニハ、只今御
話ノ負擔ノ公正ヲ圖ルト云フコトモ、一ツ
ノ大キナ問題デアリマセウ、同時ニ又更生
計畫ガ立"テ居フテ、成ベク將來負債ノ出來
ヌヤウニシテ行クト云フコトガ伴ハナケレ
バ負債ノ償還其モノモ難カシイノデアリ
マス、ソレカラアトノコトハ、別ニ御答ヲ申
スニモ及バヌカト思ヒマスカラ、是デ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=52
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053・林平馬
○林平馬君 此處ヨリ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=53
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054・秋田清
○議長 秋田〓君)簡單ナラバ宜シウゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=54
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055・林平馬
○林平馬君 私ノ質問ハ大藏大臣ニ要求シ
テ居ルデアリマスカラ、政府委員カラデハ
困リマス、是非共大藏大臣ニ御願致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=55
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056・秋田清
○議長(秋田〓君) 一言致シマス、大藏大
臣ハ只今多少御不快ノ趣ヲ以テ、院內ヲ去
ラレタノデアリマス、政務次官ノ堀切君ガ
居ラレマスカラ、共堀切君ノ答辯デハ御滿
足ニナリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=56
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057・林平馬
○林平馬君 是ハ重大ナル點デアリマスカ
ラ保留政シテ置キマシテ、次ノ機會ニ大
藏大臣ニ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=57
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058・秋田清
○議長(秋田濟君) 後藤亮一君
〔後藤亮一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=58
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059・後藤亮一
○後藤亮一君 只今議題トナッテ居リマス
ル農村負債整理組合法案ニ付テ、二三ノ點
ヲ極メテ簡單ニ質問ヲ致シマス、只今森出、
林兩君ヨリ色々詳細ナル御質疑ガアリマシ
タノデ、成ベク重複ヲ避ケルコトニ致シマ
ス
第一問ハ、總理大臣ニ對シ御伺致シタイ
ノデアリマス、第一問ハ農村負債整理組
合法案ハ單ニ農林省トシテノ案デアリマ
スルノカ、又國策トシテ政府ガ是非共之ヲ
爲サナケレバナラヌモノデアルト、確信ヲ致
シテ出シテ居ラルヽモノデアルカ、斯ウ云
フ點ヲ御伺致スノデアリマス(拍手)少シク
其理由ヲ申上ゲマス
抑〓本案ハ、第六十二議會以來我國ノ大
問題トナッテ居リマス、六十三議會ニ於キマ
シテ、是ガ其體案トナッテ衆議院ニ上程サ
レマシテ、衆議院ニ於キマシテハ、悉クガ
本案ガ農村ノ負債ヲ本當ニ整理シ得ル有效
適切ナモノトシテ、本院ヲ通過セシメタイト
云フコトヲ切ニ希望致シテ居ッタノデアリ
やく、所ガ吾々衆議院ノ多數ノ意嚮ガ容レ
ラレズシテ、兩院協議會マデ參リマシテ、
本院ガ通過致サナカッタト云フコトハ、當時
吾々ノ頗ル遺憾ト致シテ居ッタ所デアリマ
ス、今期議會ノ劈頭ニ於キマシテ、總理大
臣ハ施政方針演說ノ中ニ「農山漁村ノ巨額
ナル負債ガ、其生活ノ重壓タルノ現況ニ鑑
ミマスレバ、是ガ適當ナル整理ヲ爲サシム
ル事コソ、其經濟更生ヲ圖ル爲メ喫緊ナル
要務デアリマス」ト御演說ニナッテ居リマス、
之ニ續イテ高橋大藏大臣ハ「經濟界ノ眞ノ
立直リハ國民ノ過半數ヲ占ムル農民ノ購買
力ガ增大シテ、ソレヨリ出立スルモノデナ
ケレバナリマセヌ」ト申シテ居ラレマス、
洵ニ其通リデアリマス、是等ノ點ヨリ考察
致シマスレバ、本案ハ現政府ノ一ツノ使命
トモ謂フベキ重大ナル案件デナケレバナラ
スノデアリマス、然ルニ吾々ガ頗ル諒解ニ
苦ミマスルコトハ、本案ガ農林省ト內務省
或ハ大藏省トノ間ニ於キマシテ、屢〓意見
ノ釧齬ヲ來シ、ソレガ爲メ會期ノ三分ノ二
ヲ過ギマシタル今日、而モ農林大臣ハ、吾
吾ノ傳ヘ聞ク所ニ依レバ、三億圓ダケノ融
資ヲシタイト云フ御考デアリマシタノニ、
ソレガ二億圓ト云フコトニ減ジテ居ル、我
國ノ農村ノ負債ガ六十億ト假定致シマスル
ナラバ其僅ニ三十分ノ一ニ過ギナイダケ
ノ融資額デアリマス、殊ニ其損失補償ニ對
シマシテハ約三千万圓、卽チ其總額カラ行
ケバ僅ニ二百分ノ一ニ過ギナイ所ノ、此損
失補償ノ額デアリマスガ、果シテ是ダケノ
モノデアリマシテ、此重大ナル我ガ農村救
濟ノ目的ヲ達セラレマスルカ、此點ハ頗ル
疑ハシイノデアリマスルガ、兎ニ角此國民
ノ要望致シテ居リマシタ所ノ農村負債整理
組合法案ガ、斯ノ如ク內閣ニ於テ屢〓意見
ヲ異ニ致シテ、今日マデ延引致シタト云フ
コトハ、果シテ政府ガドウシテモ之ヲシナ
ケレバナラヌト云フ政策ノ一ツトシテ、國策
ノ一ツトシテ揭ゲテ居ラレタモノナラバ、
モット早ク解決シテ提案サレ得ル運ビニ至
ル筈デアル(拍手)然ルニ會期三分ノ二ヲ過
ギタ今日、ヒヨロ〓〓出テ來タノデアリマ
スルガ、果シテ政府ハドレダケノ確信ヲ有フ
テ居ラレルカト云フコトニ對シテ、總理大
臣ノ明快ナル御答辯ヲ御願致スノデアリマ
ス(拍手)
第二ハ農林大臣ニ對シテ御尋ヲ致シマス、
第二ノ質疑ハ、政府ハ本案ヲ以テ最善ノ
案ト御考ニナッテ居リマスルカ、又本案ノ實
施ニ依リマシテ、總理大臣ノ言ハルヽ所
ノ、農村生活ノ重壓ヲ救濟シ得ルモノト確信
シテ御在デニナリマスルカ否ヤト云フ御尋
デアリマス(拍手)少シク共理由ヲ說明致シ
マス、昨年ノ晩秋蠶ガ少シク値ガ高カッタ
トカ、或ハ米ノ値段ガ少シ高カッタト云フ
ヤウナコト、又農村救濟ノ土木事業ガ行ハ
レタト云フヤウナコトニ於キマシテ、多少
久シク手ニスルコトノ出來ナカッタ所ノ現
金ヲ、農村ニ於テ得ルコトガ出來タ、サウ
云フヤウナコトデ、偶ニハ晩酌ノ一合モ買
フコトガ出來タヤウニナッテ、農村ニハ偉イ
景氣デモ出タカノ如ク言ハレテモ居ルノデ
アリマスガ、實際ニ於キマシテハ農村更
生ノ大局カラ見レバ、是等ハ洵ニ九牛ノ一
毛ニモ過ギザル所ノ實情デアリマス、而シ
テ現在ノ負債ハ、屢〓此議場デモ話サレマ
スルガ如ク、六十億乃至七十億トモ稱セラ
レテ居ルノデアリマスガ、是等ノ負債ハ、
主ニ七分或ハ一割以上ノ髙率ナル所ノ利子
ヲ支拂ッテ、農民ハ其重壓ニ苦ンデ居リマ
ス、而シテ假ニ六十億ト致シマシテモ、農
村ハ一戶當リ千圓以上ノ負債ヲ背負ッテ居
ルト云フコトニナリマス、此農村ガ一戶當
リ千圓以上ニナルヤウナ負債ヲ背負ッテ、而
モ高キ利子ニ依ッテ苦ンデ居ル、其農村ノ農
產物ハ如何ト云ヘバ、農產物ハ僅ニ三朱或
ハ五朱位ノ農產物ノ利益シカナイ實情デア
ル、殊ニ最近農村ノ一戶當リノ收入ハ、僅
ニ六七百圓ノモノデアリマス、而シテ是等
千圓以上ノ負債ニ、高キ利子デ苦ンデ居リ
マスル農村、ソレガ僅ニ六七百圓ノ收入シ
カナク、一町未滿ノ田畑ヲ耕作スルコトヲ
以テ其業トシテ居ル者ガ、壓倒的大多數ヲ占
メテ居ルノデアリマスガ、斯ノ如キ實情デ
アリマシテハ、假令營々トシテ働キマシテ
モ、到底農村ノ負債ハ、中々輕減スルコトモ
出來ナケレバ、農村ノ重壓ヲ除去スルコトモ
出來ナイト吾々ハ信ジテ居ルノデアリマス
(拍手)然ルニ果シテ今囘御提案ニナリマシ
所ノ農村負債整法案ガ施行セラレマシタ
ナラバ、是等ノ負債ノ重壓ヲ除去シ、或ハ
只今農村ノ生活ニ苦ンデ居ル所ノ、ソレ等
ノ重壓ガ除キ得ラレマスカ、又總理大臣ヤ
大藏大臣ハ言ッテ居ラレル-我國ノ經濟
界ノ好況ヲ引出スト云フコトハ、少クトモ
農村ノ購買力ヲ增進シナケレバナラヌト
言ッテ居ラレルノデアリマスガ、是等ノ施設
ニ依ッテ、果シテ農村ノ購買力ガ增進シテ、
我ガ經濟界ニ景氣ノ曙光ヲ認メシムルヤウ
ナコトニナルノデアリマスルカ、此點ニ對
スル農林大臣ノ御所見ヲ御伺致スノデアリ
マス(拍手)
第三問ハ、損失補償ノ四分ノ一ハ、市町
村ノ負擔トスルノ原案デアリマスルガ、果
シテ市町村デ之ヲ引受ケル所ノ御見込ガア
リマスカ如何ト云フコトデアリマス、只今
ノ農村ハ農產物ノ値ノ不自然ナル激落ト、
負擔ノ過重ト、サウシテ只今申ス所ノ莫大
ナル負債ノ爲ニ、非常ニ苦ンデ居ルノデア
リマシテ、如何ナル市町村モ、農民自身ガ
疲弊シテ居ルト同時ニ、市町村自體モ疲弊
致シテ居ルノデアリマス(拍手)然ルニ今囘
ノ負債整理法案ニ依リマスルト、其四分ノ
一ハ市町村ニ負擔セシムルト云フ案デアリ
マスルガ、果シテ現在ノ如キ疲弊セル農村
ノ實情ヨリ見マシテ、損失補償ノ四分ノ一
ガ、町村デ果シテ負擔シ得ラレルヤ如何ト
云フコトハ、重大ナル問題デアリマシテ、
私ハ府縣ノ四分ノ一ノ負擔スラ、中々大問題
デアルト考ヘテ居リマス(拍手)然ルニ市町
村ニ之ヲ背負ハセルト云フヤウナコトハ、
到底不可能ノ事デアリマシテ、若シ强テ市
町村ニ之ヲ負擔セシメヨウトスルナラバ
假今此法案ガ成立致シマシテモ、實際ノ效
果ハ全ク無クナルモノデアルト、斯樣ニ吾
吾ハ信ジテ居リマス(拍手)此點ニ對スル農
林大臣ノ御所見ヲ御同致シマス
次ニ、是ハ內務大臣ニ御伺致スノデアリ
やっ、內務大臣ハ夙ニ町村ノ此損失補償ニ
對スル負擔ハ、非常ニ重荷デアルト御感ジ
ニナッタト云フコトハ、洵ニ吾々ト同感デア
リマス、ソレガ爲ニ町村負擔ノ點ニ對シ
テ、內務大臣ハ反對ヲシテ居ラレタト云フ
コトヲ傳ヘ聞イテ居リマス、然ルニ此二三
日ノ中ニ、內務大臣ハ遽ニ御贊成ニナッタ
ヤウデアリマスルガ、最初反對サレマシタ
町村負擔ヲ、只今御贊成ニナリマシタ理由
ハ、如何ナル點ニ存スルカト云フコトヲ御
尋致シマス(拍手)
最後ニモウ一ツ簡單ニ御尋申上ゲタイコ
トハ我國ノ經濟界ガ不況ノドン底ニ沈淪
ヲ致スコトガ、我ガ現在ノ思想問題ニ大ナ
ル影響ヲ及ボスト云フコトハ、私ガ申上ゲ
ル迄モナイコトデアリマス、此思想問題ニ
影響スル所ノ經濟界ノ不振、其源ガ農村ニ
在ルト云フコトハ、總理大臣モ、大藏大臣
モ屢、言明ニナッテ居ラレル、ソレ程マデニ
重大ナル所ノ農村問題デアリマスルガ、現
在農村ニ對スル御施設、特ニ今囘ノ負債整
理、是等ノ問題ト、將來起ルベキ農村ニ於
ケル思想問題トノ關係ニ對シテ、政府ハ如
何ナル御所見ヲ有ッテ居ラレルカト云フコ
トヲ、御尋致シタイノデアリマス、以上ヲ
以テ私ノ質問ヲ終リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=59
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060・秋田清
○議長(秋田濟君) 一寸一言致シマス、齋
藤總理大臣ハ只今參內ノ爲メ退席セラレタ
ノデアリマスス
〔國務大臣後藤文夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=60
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061・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 第一ノ總理大臣
ニ對スル御尋ハ、私カラ御答申上ゲテ宜シ
イト思ヒマス、此法案ハ農林省デ立案ハ致
シマシタガ、政府ノ案トシテ提出ヲ致シタ
ノデゴザイマス
ソレカラ政府ハ此案ヲ以テ最善ノ方策ト
考ヘテ居ルカドウカ、斯ウ云フ御尋デアリ
マツ、今日ノ場合、負債整理組合ト云フ方
法デ負債ヲ整理スルノニハ、此案ガ最モ適
當ナ案デアルト考ヘテ居リマス、唯斯ノ如
キ事柄ニ依ッテ、所謂莫大ナル負債ノ重壓ヲ
救濟シ得ルト思フカドウカト云フ御尋デア
リマスガ、負債ノ額ハ巨額ニ上ッテ居リマ
ス、其巨額ノ負債ノ全部ガ、直チニ整理シ
ナケレバナラヌ負債デナイモノモアリマス
ルガ、併シ負債ノ額ハ大キイノデアリマ
ス、此案ハ、此大キナ重イ負債ノ重壓ヲ救
濟スルニ資スルモノデアルト思ッテ居リマ
ス
ソレカラ第三ニ、負債ト思想問題ト云フ
コトデ、大變ムヅカシイ御尋デアリマシタ
ガ、成ベク農村ノ人達ヲシテ、負債ノ重壓
カラ免レルヤウナ途ヲ開キ、又將來負債ノ
出來ナイヤウニスルト云フ事柄ハ、思想ノ
益、健全ナルコトヲ期スル上ニ結構ナ事デ
アル、必要ナ事デアルト思ヒマス、併ナガ
ラ一般ニ負債ガ將來ニ出來ル問題等ハ唯
一ツノ方法ノミデハ中々始末ノ付クモノデ
ハアリマセヌ、一般ノ經濟狀況ノ好轉ヲ圖
ルヨリ外ニハナイト思フノデアリマス、我
ガ農村ニ於キマシテハ、今日色々ナ問題ハ
アリマスルケレドモ、我ガ國民ノ中デ最モ
思想ノ堅實ナル者デアリマシテ、今日ノ苦
境ニ拘ラズ、農村ハ其堅實ナル國民トシテ
ノ步調ヲ、永ク續ケテ行クモノデアルト云
フコトヲ私ハ期待モシ、又信ジテモ居リマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=61
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062・秋田清
○議長(秋田清君) 內務大臣ハ御答辯ハア
リマセヌカ
〔「委員會々々々」ト呼フ者アリ〕
〔國務大臣男爵山本達雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=62
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063・山本達雄
○國務大臣(男爵山本達雁君) 御答致シマ
ス、只今後藤君ノ御質問ノ中、內務關係ニ
付テ、何故ニ町村ガ此負債整理ニ付テノ責
任ヲ負フノカト云フコトデゴザイマシタ
(「ソレハ違ヒマス」ト呼フ者アリ)丁度今御
話ノ如ク、町村ハ御承知ノ通リニ相當負擔
ガ重ウゴザイマシテ、責任ヲ此上ドウスル
ト云フコトハ成ベク避ケタイト思ヒマシタ、
ソレ故ニ其事ヲ申シマシタガ、ドウモ今日
ノ負債ヲ償還スル組合ヲ作ル上ニ付テ、其
市町村ガ監督ノ任ニ當ラナイト云フト、甚
ダ效果ノ少イコトニ至ル虞ガアル、ドウシ
テモ其中ノ一部ハ矢張町村ガ負擔シテ、サ
ウシテ眞面目ニ正シク之ヲ整理シテ貰ヒタ
イト云ソコトデアリマシテ、私モ色々其道
理ヲ聽イテ參リマスト、成程唯町村ガ負擔
ヲセズシテ、其責任ヲ負ウテ監督スルヨリ
モ、ソコニ相當ナル相違ガアルコトヽ思ヒ
マス、其上又町村ニ於キマシテモ、始終此
負債整理ニ付テ、何トカ政府ニ於テ工夫ヲ
シテ貰ヒタイト云フコトハ度々陳情ヲ受
ケテ居リ、其要求ガアルノデゴザイマス、
今度ノモノモ新聞ニ出マスト、全國ノ町村
ノ代表ノ者モ、是非是ハ町村ガ一部ヲ引受
ケテモ已ムヲ得ナイコトデアルカラ、是ガ
成立ツヤウニ盡力スルヤウニト云フヤウナ、
色々陳情モアリマシテ、遂ニ私ハ同意致シ
タコトデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=63
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064・後藤亮一
○後藤亮一君 簡單デアリマスカラ、自席
カラ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=64
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065・秋田清
○議長(秋田濟君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=65
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066・後藤亮一
○後藤亮一君 農林大臣ノ御答ノ中デ、私
ノ質疑ヲ致シマシタ第三問ニ對スル御答ガ
脫ケテ居ルノデアリマス、卽チ損失補償ノ
四分ノ一ハ町村ノ負擔トスルノ原案トナッ
テ居リマスルガ、果シテ町村ニ於テ之ヲ引
受ケ得ル力ガアル御見込デアリマスカ、如
何、此御尋ニ對シテ御答ガナカッタノデア
リマスカラ其御答ヲ御願致シマス
〔國務大臣後藤文夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=66
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067・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 只今ノ御尋ニ御
答ヲ落シマシタカラ御答ヲ致シマス、市町
村ガ損失ノ四分ノ一ヲ負擔スルコトハ、原
則トナッテ居リマス、市町村ノ事情ニ依リマ
シテハ、此度合ハ變更スルコトガ出來ルト
云フコトニ、法律ハ致シテ居ルノデアリマス、
損失トナルモノガ幾ラニナリマスカ、實際ノ
場合デナイト分リマセヌ、成ベク市町村ガ貸
付ケタ金ガ損失ニナラナイヤウニ、市町村デ
指導モシ、便宜モ圖フテヤッテ行クト云フコト
ガ必要デアリマス、サウ云フ風ニ市町村ト
組合トガ力ヲ揃ヘテ行ク所デ、本當ニ此負
債整理ト云フモノガ、行ヒ得ルノデアリマ
ス實際ノ場合ニ損失ガ起キタ時ニハ、國
ハ三千万圓、府縣ガ約三千万圓ノ限度內、
府縣ノモノヽ一部分ハ市町村ヘ行クコトニ
ナルノデアリマスガ、是ハ負債ノ額ノ何分
ノ一ノ其何分ノ一ト云フ、極ク僅ナ部分ニ
ナルノデアリマス、市町村ガ四分ノ一ヲ負
債スルト申シマシテモ、是ハ最惡ノ場合ノ
話デアリマシテ、實際ハソレマデニ至ラナ
イデ濟ムヤウニ行クコトデアラウカト思ッ
テ居リマス、是ダケノ負擔ガ市町村ニ出來
ナイガ故ニ、實行ガ出來ナイト云フヤウナ
町村モゴザイマセウ、又負擔ハ出來テモ町
村ノ民心ガ一致シナケレバ中々實行サレ
ナイト云フコトモアリマセウケレドモ、私
ハ町村ニ此角擔ガアルト云フコトガ、是ガ
實行ヲ絕對ニ阻害スルモノデアルト云フ風
ニハ考ヘテ居リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=67
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068・後藤亮一
○後藤亮一君 私ノ質問ハ是デ打切リマス
ガ、尙ホ總理大臣ニ對シテ御尋ヲ致シタ事
ニ付キマシテハ、他日他ノ機會ニ於キマシ
テ、總理大臣ヨリ御答ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=68
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069・秋田清
○議長(秋田濟君) 杉山元治郞君
〔杉山元治郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=69
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070・杉山元治郎
○杉山元治郞君 今上程ニナッテ居リマス
農村負債整理組合法案ニ付キマシテ、前ノ
三人ノ代議士諸君ノ質問ト、出來ルダケ重
複ヲ避ケマシテ、簡單ニ質問ヲシテ見タイ
ト思フノデアリマス、農村ガ負債ノ重壓ニ
苦ンデ居リマスコトハ申ス迄モナイ話デ
アリマシテ、私共ガ農村ニ參リマシテ實
際ニ見テ居リマシテモ、甚ダ憂鬱ニ堪ヘナ
イ狀態デアリマス、其一例ヲ申上ゲテ見マ
スナラバ一家ノ主人ガ負債ノ多クノ件數
ヲ有ッテ居リマス爲ニ、殆ド一箇月ノ中ノ大
部分ハ其申譯ニ掛ッテ居ル、殘ッテ居ル所ノ
家族ノ者ガ、折角立チ働キマシテモ、其農
產物ノ出來マシタ時ニ、其負債ノ爲ニ大部
分ガ差押へラレル、斯ウ云フ情勢カラ致シ
マシテ、一家ノ主人モ、亦家族モ、非常ナ
憂鬱ニ包マレテ、其生業ヲ勵ムコトガ出來
ナイ、斯ウ云フ狀態ニ在ルコトヲ見受ケル
ノデアリマス、デアリマスガ故ニ、此負債
ヲ整理致シマスコトハ、農村更生ノ上カラ
致シマシテ、最モ必要ナコトハ申ス迄モナ
イ話デアリマシテ、此法案ノ出マシタコト
ヲ心カラ喜ブ者デアリマスガ、ソレト同時
ニ私ガ伺ッテ見タイト思ヒマス點ハ農村ガ
今日ノヤウニ負債ガ出來マシタコトハ色
色ナ原因ガアラウト思フノデアリマスガ、
最モ重大ナル原因ハ、日本ノ農業經營ト云
フモノト、今日ノ一般ノ經濟組織ト云フモ
ノトガ一致シナイト云フ點、卽チ日本ノ農
業經營ノ形態ハマダ目的自足主義ノ經營
形態ヲ離レ得ナイノニ拘ラズ、一方ニ於キ
マシテハ資本主義ノ交換經濟ト云フモノニ
ナッテ居ル、此自給自足主義ノ日本ノ農業經
營ト云フモノト、交換經濟トノ矛盾衝突ト
云フモノガ、今日ノ農村ノ負債ヲ作ッタ所
ノ重大原因デアラウト思フノデアリマス、
デアリマスガ故ニ、負債整理ヲ致シマスコ
トモ、一方ニ於テ必要デアリマスケレドモ
單ナル此負債整理組合ダケヲ以テハ、多額
ノ農村ノ負債ヲ整理スルコトハ困難デアル、
寧ロ之ヲ致シマスト同時ニ、日本ノ農業經
營ト云フモノガ、今申シマスヤウニ、今日
ノ經濟組織ト云フモノニ順應ジナイト云フ
ナラバ、如何ニシテ順應スルカ、サウ云フ
ヤウナ方面ニ向ッテ政府ガ努力スルコトノ
方ガ、負債整理ノ捷徑デハナイカ、私ハ先
ヅ第一ニ此點ヲ農林大臣ニ伺ッテ見タイト
思フノデアリマス
第二ニ、前ノ三人ノ方々ガ御尋ニナッタ
中ニモアリマシタガ、僅ニ二億圓ノ融資、
或ハ三千万圓ノ補償、是デドレ位ノ負
債ノ整理ノ見込ミガ付クカ今農林大
臣ノ御話ヲ伺ッテ居リマスト云フト
金額ハ少イケレドモ徐々ニ是デヤッテ
行ク時ニハ、大イニ其效果ヲ擧ゲルコトガ
出來得ルト云フヤウナ御話ノヤウニモ聞
及ビマシタガ、一體昇ダケノ金額ト補償ヲ
以テ、五十億以上、六十億モアルト申シテ
居リマス所ノ、農村ノ負債ガ、大體ドレ程
整理ガ付クカト云フ、其大體ノ見透シヲ先
ヅ御伺致シタイト思フノデアリマス、唯ボ
ンヤリト、之ニ依フテ何トカ出來ルダラウ、
大部分ノ整理ガ付クノダト云フヤウナコト
デハ、私共ガ折角此法案ヲ通シマシテモ、
甚ダ味氣ナイ、賴リナイ次第デアリマスル
カラ、ドウカ大體是程ノ負債ノ、何程マデ
ハ整理ガ出來ルデアラウ、サウ云フ點ヲ御
伺シタイノデアリマス
第三ハ、曩ニモ申シマシタヤウニ、農村
負債ノ原因ハ、今日ノ經濟組織ト云フモノ
ト、農業ト云フモノトノ矛盾衝突デアルト云
フコトヲ申シマシタガ、私ハ負債整理ヲ致
シマスルト同時ニ、其根本原因ニ向ッテ對
策ヲ樹テナケレバ、林サンデアリマシタカ、
後藤サンデアリマシタカヾ言ハレマシタヤ
ウニ、又ドン〓〓ト負債ガ增シテ來テ、單
ナル此負債整理法案ダケデハ、恰モ末流ヲ
〓メテ其原泉ヲ〓メナイ、丁度百年河〓ヲ
俟ツヤウナ類ニナルノデハナイカ、斯ウ云
フ意味合カラ致シマシテ、私ハ根本原因ニ
對スル對策ヲ樹テナケレバナラヌト思フ
ガ、其點ニ對シテ當局ハドウ考ヘテ居ルノ
デアルカ、私ノ見マスル點ニ於テハ尙ホ
其點ニ遺憾ノ點ガアルヤウニ考ヘテ居ルノ
デアル、例ヘバ農村負債ノ原因ヲ調ベマシ
ター-新潟縣ノ調査ニ依リマスルト云フ
ト、最モ多クノ原因ハ農產物ノ値下リデア
リマス、是ハ調査戶數ノ七三%六ニナッテ
居リマス、次ハ稅金ノ過重デアリマス、是
ハ四四%八デアリマス、第三ハ土地購入費、
土地購入費ト申シマシテモ、大部分ハ是ハ
自作農創定ニ依リマスル所ノ借金デアリマ
ス、是ハ四三%八、其次ハ肥料代デアリマ
シテ二九%七、其他ニ借金ノ利子ノ累加、
小作料ノ高率、斯ウ云フモノハ負債ノ原因
ノ主ナルモノトシテ擧ゲラレテ居ルノデア
リマス、以上ノモノハ、之ヲ調査戶數ニ當
嵌メマスト、約六〇%以上ニナルノデアリ
マスガ、若シ然リト致シマシタナラバ、
私ハ負債整理ヲ致シマスルト共ニ、今申
上ゲタ點ニ付テ、各、對策ヲ講ジマスル
コトガ、是ハ負債整理ノ、卽チ借金ノ根
本ヲ〓メテ行ク所ノ必要ナ對策ダト考ヘル
ノデアリマス、農產物値下リニ對シマシ
テ、米穀ノ統制、或ハ蠶絲法ナドノ法案
モ見エマシタケレドモ、尙ホ我ガ日本ノ
農村ノ農產物ガ、都會ノ市場ニ適應スルコ
トガ出來ナクテ、常ニ其値下リノ爲ニ困
テ居ルコトハ、私ガ說明スルマデモナイ次
第デアリマス、稅金ノ點モ、前ノ方々ガ申
シマシタカラ、是ハ省イテ置キマス、此點
モ負擔輕減ノ問題ニ付テ、此議場デ、卽チ
少シデモ都市ト農村ノ均衡ダケデモ取ラレ
ナケレバナラナイト云フコトガ、再々述べ
ラレテ居リマスカラ私ハ申シマセヌ、唯第
三ノ點ニ付テ少シク申上ゲタイコトハ、自
作農創設、政府ガ折角自作農ニスルナラバ、
農村ガ宜クナルデアラウト云フヤウナ思召
カラ、自作農創設ヲサレタノデアリマスガ
其時ニ於ケル所ノ見込違ヒカラ、折角自作
農ニナッタ者ガ、其負債ヲ返還スルコトガ出
來ナイバカリデハナイ、元金モ、或ハ利子
モ支拂フコトガ出來ナイト云フノガ今日ノ
狀勢デアリマス
私ガ唯此點ニ付テ申上ゲタイ點ハ政府
ハ或ル資本家階級ノ、時ニサウ云フ見込違
ヒ、或ハ値下リノ場合ニ於テハ、國家ハ其
損失ヲ補償スルコトハ、御承知ノ電氣會社
ノ外債値下リニ對シテ補償シヨウト云フコ
トガアリマスヤウニ、然ラバ此土地購入ニ
依ッテ生ジタ所ノ負債、特ニ自作農創定ニ依
ル所ノ負債ノ如キハ、是ハ政府ガ補償シテ
然ルベキモノデアルト信ジテ居リマス、是
ハ特ニ大藏省、大藏大臣ハ此點ニ付テ、ド
ウ御考ニナッテ居ルカ、私ハ電氣會社ノ外
債ニ對シテスラ、損失ヲ補償シヨウト云フ
ヤウナ御親切ナル大藏省ガ、此困ッテ居ル農
村ニ對シ、而モ政府ガ勸メテ拵ヘタ自作農
創定、其資金ニ困ッテ居ルト云フナラバ、之
ニ對シテ補償ヲシテモ然ルベキデアラウト
思フノデアリマスガ、其點ヲ御伺致シテ置
キタイノデアリマス(拍手)
次ニ肥料ノ點、是ハ再々此議場カラ中サ
レテ居リマスカラ、私ハ省イテ置キマスガ、
唯第六ノ小作料ノ問題、是ガ今日ノ負債ノ
一ツノ原因ニナッテ居ルコトハ、今申シマ
シタヤウニ調査ニ依フテ分ッテ居ルノデアリ
マい、ダカラ是等ノ點ニ付テモ、速ニ政府
ガ小作法ヲ制定シテ、サウシテ公正ナル小
作料ヲ設定シテ、負債ノ原因デアル所ノ一
ツヲ除去スル御精神ガ御在リニナルノデア
ルカドウカ、此事ヲ御伺致シタイノデアリ
マス
尙ホ條文ノ中デ少シ御伺致シタイ點ガア
リマス、條文ノ中デ簡單ニ御伺致シタイ點
ハ、四條ノ負債整理委員會ノ組織ノ問題デ、
是ハ勿論委員會デ細カク御話ニナルノデア
リマセウガ、此委員會ガ丁度產業組合ト同
ジヤウニ、村ノ有力者ガ、之ヲ握リマス關
係、ソレヲ利用スル所ノ者ガ、曩ニ後藤サ
ンモ御聽キニナッタヤウデアリマスガ、村ノ
有力者、村ノ上層階級ニ多ク利用サレテ、
貧農階級ニ其利用ハ薄クナルヤウナ虞ハナ
イカ、サウ云フ點ニ對シテ、負債整理委員
會ト云フモノヽ組織ヲ、勅令ヲ以テ定ムル
時ニ、十分ニソレ等ニ對シテ明ニ書込ンデ
行クノデアルカ、唯、內規ノ中ニ之ヲ定メ
ルノデアルカ、サウ云フ點ヲ一ツ御示シ戴
キタイ
ソレカラ部落ニ一ツ拵へルト云フヤウニ
見エルノデアリマスガ、サウスルト云フト、
ツノ町村ノ中デ、字々每ニ負債整理組合ト云
フモノガ出來ルコトガ可能デアルカドウカ、或
ハ一ツノ部落ニ二ツ以上ノモノガ出來ルコトハ
認メナイノカ、其點ハ此條文ノ上デハ、ハツ
キリ致サヌノデアリマスルガ、サウ云フヤ
ウニ、時ニ依ルト云フト、地主ノ階級ガ出
來ル、私ハ別シテ階級對立ヲ言フノデハナ
イガ、トモスルトサウ云フヤウナ場合ガ町
村ニ見受ケラレルガ、小作農、貧農階級ダ
ケノ負債整理組合ト云フノガ出來テモ、ソ
レヲ許スノカドウカ、次ニ第十一條ノ終リ
ノ方ノ項ニ、負債整理組合員ガ負債整理ノ
爲ニ、所有地ヲ處分スルト云フコトノ條項
デアリマスガ、今日小作問題ガ非常ニ起フ
テ居リマスル事柄ノ中デ、此土地賣買ニ依
ル所ノ土地引揚、是ガ非常ニ多クノ原因ヲ
成シテ居ルコトハ農林大臣モ御承知ノ筈デ
アリマス、此負債整理ノ爲ニ、土地賣買ノ
處置ヲ爲サル時ニ、小作人ニ先買權ト云フ
モノヲ、之ヲ認メテ居ルノデアルカドウ
カ、ソレカラ若シ自山ニ賣買スルト致シマ
スルナラバ、此此作人ニ對シテ、今日申シ
テ居リマスルヤウナ耕作權、或ハ自作農ト
云フヤウナ問題ニ付テ、十分考慮ヲ拂ハレ
テ居ルノデアルカドウカ、以上簡單デアリ
マスルガ、質問致シマスル次第デアリマ
ス(拍手)
〔國務大臣後藤文夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=70
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071・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 第一ニ負債整理
ヲヤルヨリモ、更ニ別ニ負債ヲ生ジナクス
ル、或ハ全體的ノ關係デ、負債ガ緩和サレ
ルト云フヤウナ、色々ナ方策ヲ講ズル必要
ガナイカト云フ御問デアリマス、是ハ勿論
負債ヲ直接眺メテ、其モノヲ整理シテ行ク
ト云フコトハ一ツノ方法デアリマス、或
農產物ノ價格ガ騰貴スルヤウナコトニナ
リ、或ハ色々ナ一般ノ金融關係ガ都合好ク
ナルト云フコトカラ、負債ガ全般的ニ緩和
サレルト云フヤウナ方法ハ、無論有效ナ方
法デアリマス、政府ノヤッテ居リマスル今
日マデノ色々ナ施設モ、ソレヲ矢張リ一面
ハ狙ッテ居ルト申シテモ宜シイノデアリマ
ス、第二ニ、二億ノ金デハ五十億以上ニモ
上ルト言ハレテ居ル所ノ農村ノ負債ガ何程
整理サレルカ、斯ウ云フ御問デアリマス、
五十億以上ニモ上ルト言ハレテ居リマス農
村ノ負債ガ、是ガ此負債整理組合法ト云フ
行キ方デ以テ、全部一氣ニ整理サレルトハ
私ハ決シテ申シマセヌ、巨額ノ負債ハ自ラ
別個ノ整理方法ガナケレバナリマセヌ、又
負債ノ性質ニ依リマシテハ斯ウ云フ方法
デ整理サレナイモノモアルト思ヒマス、併
ナガラ二億ノ金ハ悉クノ負債ヲ整理スル
所ノ整理資金ニ充テテシマフノデハアリマ
セヌ、負債ハ債權債務者ノ間デ妥協シテ緩
和シテ參ル、其際ニ必要ナル一部ノ資金
ガ、此整理資金トシテ供給サレルノデアリ
やく、之ニ依ッテ相當ナ金額ノ負債ガ整理
サレル筋合ニナルト思フノデアリマス第
三ニ、負債ノ根本原因トナル各種ノ事柄ヲ
改メテ行クコトガ必要デハナイカト云フコ
トデアリマスガ、是ハ御尤モノコトデアリ
マヽ、ソレ等ノ點ニ付テハ出來ル限リ努
力致シタイト考ヘテ參フテ居ル次第デアリ
マス、ソレカラ負債整理委員會ハ、ドウ云
フ風ニ構成スルカ、是ハ勅令以下施行細則
等デ定メテ參ル積リデアリマスガ、町村ノ
色々ナ機關、農會デアリマストカ、或ハ產
業組合デアリマストカ、無論町村長等モ入
リマセウ、色々ナ人々ガ、此負債整理委員
會ノ構成分子トシテ入ルト思ヒマス、併ナ
ガラ負債整理委員會ハ、負債整理組合ノ仕
事ヲスルノデハアリマセヌ、負債整理組合
ハ組合員ノ負債ノ條件緩和等ヲスル場合
ノ斡旋ヲシテ行クノデアリマス、又負債整
理組合ノ出來方ニ付テ、色々指導等モ致ス
コトデアラウト思フノデアリマス、ソレカ
ラ次ニ負債整理組合ハ、部落々々デ出來ル
コトヲ大體想像シテ居リマス、併ナガラ二
ツノ部落ニ亙ッテ出來ルコトモアリマセウ
シ、或村デハ殆ド全村ニ亙ルヤウナモノガ
出來ル場合ガアルカモ知レマセヌ、部落部
落デ、玆ニ幾ツモ出來ルコトハ少シモ妨ゲ
ナイノデアリマス、ソレカラ最後ニ色々農
作物ニ對スル權利ノ關係、耕作權等ノ關係
ト云フヤウナモノハ、是ハ小作法ナドト關
聯シテ色々考ヘラレル問題デアリマス、小
作法ニ付キマシテハ屢〓申上ゲマシタヤ
ウニ、私ハ今日マデアリマシタ案ニ付テ
ハ、尙ホ十分考究ヲ要スル點ガアルト思ッ
テ考究中デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=71
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072・秋田清
○議長(秋田〓君) 質疑ハ終局致シマシ
タ-日程第八右議案ノ審査ヲ付託スベキ
委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
第八右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=72
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073・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ議長指名二十七名ノ
委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=73
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074・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=74
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075・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
九兒童虐待防止法案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-內務大臣山本達雄君
第九兒童虐待防止法案(政府提出)
第一讀會
兒童虐待防止法案
兒童虐待防止法
第一條本法ニ於テ兒童ト稱スルハ十四
歲未滿ノ者ヲ謂フ
第二條兒童ヲ保護スベキ責任アル者兒
童ヲ虐待シ又ハ著シク其ノ監護ヲ怠リ
因テ刑罰法令ニ觸レ又ハ觸ルル虞アル
場合ニ於テハ地方長官ハ左ノ處分ヲ爲
スコトヲ得
一兒童ヲ保護スベキ責任アル者ニ對
シ訓誡ヲ加フルコト
二兒童ヲ保護スベキ責任アル者ニ對
シ條件ヲ附シテ兒童ノ監護ヲ爲サシ
ムルコト
三兒童ヲ保護スベキ責任アル者ヨリ
兒童ヲ引取リ之ヲ其ノ親族其ノ他ノ
私人ノ家庭又ハ適當ナル施設ニ委託
スルコト
前項第三號ノ規定ニ依ル處分ヲ爲スベ
キ場合ニ於テ兒童ヲ保護スベキ責任
アル者親權者又ハ後見人ニ非ザルトキ
ハ地方長官ハ兒童ヲ親權者又ハ後見人
ニ引渡スベシ但シ親權者又ハ後見人ニ
引渡スコト能ハザルトキ又ハ地方長官
ニ於テ兒童保護ノ爲適當ナラズト認ム
ルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三條地方長官ハ前條ノ規定ニ依ル處
分ヲ爲シタル場合ニ於テ必要アリト認
ムルトキハ兒童ガ十四歲ニ達シタル後
ト雖モ一年ヲ經過スル迄仍其ノ者ニ付
前條ノ規定ニ依ル處分ヲ爲スコトヲ得
第四條前二條ノ規定ニ依ル處分ノ爲必
要ナル費用ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本
人又ハ其ノ扶養義務者ノ負擔トス但シ
費用ノ負擔ヲ爲シタル扶養義務者ハ民
法第九百五十五條及第九百五十六條ノ
規定ニ依リ扶養義務ヲ履行スベキ者ニ
對シ求償ヲ爲スヲ妨ゲズ
第五條前條ノ費用ハ道府縣ニ於テ一時
之ヲ繰替支辨スベシ
前項ノ規定ニ依リ繰替支辨シタル費用
ノ辨償金徵收ニ付テハ府縣稅徵收ノ例
一段八)
本人又ハ其ノ扶養義務者ヨリ辨償ヲ得
ザル費用ハ道府縣ノ負擔トス
第六條國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道
府縣ノ負擔スル費用ニ對シ其ノ二分ノ
一以內ヲ補助ス
第七條何人ト雖モ左ノ各號ニ揭グル行
爲ヲ爲スコトヲ得ズ
→不具畸形ノ兒童ヲ觀覽ニ供スルコ
ト
二兒童ヲシテ乞食ヲ爲サシメ又ハ兒
童ヲ用ヒテ乞食ヲ爲スコト
三輕業、曲馬其ノ他之ニ類スル危險
ナル業務ニシテ主務大臣ノ定ムルモ
ノニ兒童ヲ用フルコト
第八條地方長官ハ戶戶ニ就キ又ハ道路
ニ於テ諸藝ヲ演ジ又ハ物品ヲ販賣スル
業務其ノ他ノ業務ニシテ兒童ノ虐待ニ
渉リ又ハ之ヲ誘發スル虞アルモノニ付
必要アリト認ムルトキハ兒童ヲ用フル
コトヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得
前項ノ業務ノ種類ハ主務大臣之ヲ定ム
第九條地方長官ハ第二條若ハ第三條ノ
規定ニ依ル處分ヲ爲シ又ハ前條第一項
ノ規定ニ依ル禁止若ハ制限ヲ爲ス爲必
要アリト認ムルトキハ當該官吏又ハ吏
員ヲシテ兒童ノ住所若ハ居所又ハ兒童
ノ從業スル場所ニ立入リ必要ナル調査
ヲ爲サシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ
ハ證票ヲ携帶セシムベシ
第十條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命
令ノ規定ニ依リ地方長官ノ爲ス處分ニ
不服アル者ハ主務大臣ニ訴願スルコト
ヲ得
第十一條第七條ノ規定又ハ第八條第一
項ノ規定ニ依ル禁止若ハ制限ニ違反シ
タル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下
ノ罰金ニ處ス
兒童ヲ使用スル者ハ兒童ノ年齡ヲ知ラ
ザルノ故ヲ以テ前項ノ處罰ヲ免ルルコ
トヲ得ズ但シ過失ナカリシ場合ハ此ノ
限ニ在ラズ
第十二條正當ノ理由ナクシテ第九條ノ
規定ニ依ル當該官吏若ハ吏員ノ職務執
行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋
間ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ陳述
ヲ爲シ又ハ兒童ヲシテ答辯ヲ爲サシメ
ズ若ハ〓僞ノ陳述ヲ爲サシメタル者ハ
五百圓以下ノ罰金ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔內務大臣男爵山本達雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=75
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076・山本達雄
○内務大臣(男爵山本達雄君) 只今議題ト
ナリマシタル兒童虐待防止法案ニ村テ、提
案ノ趣旨ヲ說明申上ゲマス、現時我國ノ實
情ヲ見マスルニ、兒童ニ對スル各種ノ虐待
事實ハ、往々社會ノ耳目ヲ聳動セシメツ
アルノデゴザイマスルガ、ソレト共ニ兒童
ノ心身發達上ニ、甚シキ弊害ヲ伴フ虞ガア
ル特殊業務ニ兒童ヲ使用スルノ事實モ亦少
クナイノデアリマス、而シテ是等ノ事實ハ
何レモ兒童ノ健康ヲ損ヒ、性能ノ發達ヲ沮
ムハ勿論、國家ノ將來ニ償ヒ難キ損失ヲ與
ヘツヽアルコトハ洵ニ想像ニ餘リアル所
デアリマス、殊ニ近時財界ノ不況ニ伴ヒマ
シテ、兒童ニ對スル此種ノ虐遇ハ一層增加
シ、其性質モ亦著シク苛酷ヲ加フルノ傾向
ニ向ヒツヽアルノデアリマス、然ルニ從來
是等ノ虐待行爲ノ豫防又ハ救濟ニ關シマシ
テハ民法、刑罰法令ナドノ中ニ若干ノ制
裁規定ヲ存スルニ止マリ、虐待ノ積極的防
止、及ビ發見セラレタル被虐待兒童ノ保護
救濟ニ關シマシテハ、何等方法ノ定マルモ
ノナキ狀態デアッタノデアリマス、政府ニ於
キマシテハ如上ノ實〓ニ鑑ミマシテ、今囘
特ニ兒童ノ虐待防止ノ爲メ法規ヲ制定スル
ノ急務ナルヲ思ヒ、玆ニ本案ヲ提出スルニ
至リマシタ次第デアリマス
今本案ノ內容ノ主ナル點ニ付テ申上ゲマ
スレバ、第一ハ兒童ヲ保護スベキ責任アル
者ガ兒童ヲ虐待シ、又ハ著シク其監護ヲ怠
リタル場合ニ於テハ、地方長官ヲシテ兒童
保護ノ責任アル者ニ對シ訓誡ヲナシ、又ハ
其監護ニ條件ヲ附スルコトヲ得セシムルコ
トヽシ、必要ナル場合ニハ兒童ノ親權者又
ハ後見人ニ引渡シ、若クハ私人ノ家庭又ハ
適當ナル施設ニ委託スルコトヲ得セシメ、
兒童ノ保護〓養ニ付キ十分ナル注意ヲ加フ
ルコトヽ致シタノデアリマス
第二ハ不具畸形ノ兒童ヲ見セ物ニ供シ、
兒童ニ乞食ヲ爲サシメ、若クハ兒童ヲ用ヒ
テ乞食ヲ爲シ、又ハ輕業、曲馬等ノ危險ナ
ル業務ニ兒童ヲ使用スルコトヲ、嚴罰ヲ以
テ禁止シタノデアリマス
第三ハ兒童ノ虐待ニ涉リ、又ハ之ヲ誘發
スル虞アル業務ニ付テハ地方長官ヲシテ
兒童ノ使用ヲ禁止シ、又ハ其制限ヲ爲シ得
ルコトヽシ、周到ナル監督ヲ加ヘテ、兒童
虐待ノ事實ノ發生ヲ未然ニ防止スルコトヽ
致シタノデアリマス
本法案ハ以上ノ如ク虐待ヲ蒙リタル兒童
保護ノ爲メノ處分及特殊事業ニ於ケル兒童
使用ノ禁止制限ヲ重點トシ、之ニ附隨シテ
其保護處分ニ要スル費用ノ徵收及負擔竝ニ
罰則等ニ關シ、若干ノ必要ナル規定ヲ設ケ
タノデアリマス、思フニ兒童ニ對スル虐待
ノ防止ハ實ニ風〓道德ノ根柢ニ關スル間
題デアリ、社會文化ノ核心ニ觸ルヽ所以デ
アリマシテ、苟モ等閑ニ付スルヲ許サザル
所デアリマス、何卒御審議ノ上御協贊アラ
ンコトヲ願ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=76
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077・秋田清
○議長(秋田清君) 日程第十、右議案ノ審
査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ニ供シマ
ス
第十右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=77
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078・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ丸山浪彌君外十二名
提出未成年者飮酒禁止法中改正法律案外五
件ノ委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=78
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079・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=79
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080・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシターー日程第
十一保險業法中改正法律案ノ第一讀會ノ續
ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマスー
委員長丹下茂十郞君
第十一保險業法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一保險業法中改正法律案(政府提出、貴
族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年三月九日
委員長丹下茂十郞
衆議院議長秋田〓殿
〔丹下茂十郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=80
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081・丹下茂十郎
○丹下茂十郞君 只今上程ニナリマシタ保
險業法中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ其
結果ヲ御報告申上ゲマス
委員會ハ三月一日ヨリ審議ニ掛リマシ
テ、愼重審議一昨九日ヲ以テ討議ヲ了ッタ
ノデアリマス、本改正案ノ要旨ハ、第一株
式會社ト相互會社トノ間ニ於キマシテ、保
險契約ノ移轉ノ途ヲ開クト云フコトデアリ
やく、更ニ第二ニ相互會社ノ任意解散合併
及保險契約移轉ノ決議ノ方法ヲ簡便ナラシ
ムルト云フ、此二點デアルノデアリマス、
此二點ニ付キマシテハ、ソレ〓〓委員諸氏
ヨリ重大ナル質問ガ繰返サレタノデアリマ
スカ、其中簡單ニ一二御紹介ヲ申上ゲテ置
キマス、八木君ヨリ保險契約者ニ對スル利
益配當條件ノ異ッテ居ル會社トノ間ニ於テ、
又內容ノ良好ナル會社ト、然ラザル會社ト
ノ間ニ於テ合同スル場合ニ、兩會社ノ保險
契約者ニ對シテ、不公平ヲ生ズルヤウナ虞
レハナイカト云フ一點デアリマス、之ニ對
シマシテ政府ハ、斯樣ナ場合ニ於テハ利益
配當條項ノ變更ヲ致シ、又各會社ノ保險契
約ニ付テ特殊ノ計算ヲ爲ス等ノ方法ヲ講
ジマシテ、各會社ノ契約者ニ對シテハ、可
及的公平、妥當ナル取扱ヲ爲ス方針デア
ル、斯樣ナ答辯デアリマス、又助川委員ヨ
リハ社會問題ノ大部分ハ、此保險ノ働キ
ニ依ッテ解決スルコトガ出來ルト思フ、今日
社會不安ガ段々甚ダシクナッテ來タノデア
ルガ、現在ノ社會政策的ノ施設ハ主トシ
テ救濟事業、殆ド恩惠的ノモノガ多イ、ソ
レヨリモ保險ノ發達ニ依っテ、是等ノ社會問
題ヲ解決スル方法ガ最モ適當デハナカラウ
カ、故ニ特別ノ立法ニ依リ、或ハ保險業法
ノ改正ニ依ッテ、社會問題ノ解決ノ上ニ貢獻
スルト云フコトニ付テノ質疑ガアッタノデ
アリマス、之ニ對シテ政府委員ヨリハ保
險ハ元來根本義ニ於テ、社會政策ト云フコ
トニ出發シテ居ルモノデアルカラ、今後モ
全然サウ云フ社會問題カラ離レナイヤウニ
改善シテ行キタイト思フ、斯樣ナ答辯デ
アリマシタ、其他重要ナル質疑ガ重ネラレ
タノデアリマスガ、詳細ノ點ハ何卒速記錄
ニ依フテ御諒承ヲ願ヒタイト存ジマス
討論ニ移リマシテ、政友會ノ森田君ヨリ
原案贊成ノ御意見ガアリ、又民政黨ノ八木
君ヨリ、代表セラレマシテ、大體ニ於テ原
案贊成デアルガ、一ツノ希望ヲ附ケラレタ
ノデアリマス、是ハ單ニ八木君ノ希望デア
リマシテ、ソレヲ一寸御紹介申上ゲテ置キ
マスレバ、此保業法ガ改正セラレタ結果、
自然合同ト云フコトガ進ンデ來ルデアラウ
ト思フ、サウ云フ場合ニ於テ、往々是迄ノ
色々ナ場合ニ於テ認メルコトデアルガ、其
筋ノ認可許可ト云フコトガ非常ニ長引イ
テ、共會社ニ損害ヲ來スコトガ多イカラ、
今後ハ成ベク早ク手續ヲ濟マセテ、寧ロ誘
導スルヤウニシテ貰ヒタイト云フ御希望ノ
下ニ贊成セラレタノデアリマス、採擇ニ際
シマシテハ、全會一致ヲ以テ本院ニ於テ可
決スベキモノト決定ニ相成シタ次第デアリ
マス、何卒滿場一致可決アランコトヲ切望
致シマス、以上御報告致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=81
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082・秋田清
○議長(秋田〓君) 本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=82
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083・秋田清
○議長(秋田濟君) 御異議ナシト認メマ
ス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=83
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084・上田孝吉
○上田孝吉君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長ノ報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=84
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085・秋田清
○議長(秋田〓君) 上用君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=85
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086・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ直ニ第二讀會ヲ開キ議案全部ヲ議題ト
致シマス
保險業法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=86
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087・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
又、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決確定致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=87
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088・上田孝吉
○上田孝吉君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=88
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089・秋田清
○議長(秋田濟君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=89
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090・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ動議ハ可決セラレマシタ、次會ノ日程
ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日ハ是ニ
テ散會致シマス
午後五時四十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02519330311&spkNum=90
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