1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和八年三月二十三日(木曜日)
午後二時三分開議
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議事日程 第二十八號
昭和八年三月二十三日
午後一時開議
第一
昭和五年度歳入歳出總決算
昭和五年度各特別會計歳入歳出決算
第二
昭和六年度歳入歳出總決算
昭和六年度各特別會計歳入歳出決算
第三 昭和五年度國有財産増減總計算書
第四 昭和六年度國有財産増減總計算書
第五 昭和七年三月三十一日現在國有財産現在額總計算書
第六 醫師法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 齒科醫師法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 身元保證に關する法律案(本院提出、貴族院囘付)
第九 寺院現境内地竝墓地無償下戻に關する法律案(安藤正純君外七名提出) 第一讀會
第十 寺院現境内地竝墓地無償下戻に關する法律案(後藤亮一君外一名提出) 第一讀會
第十一 寺院現境内地竝墓地無償下戻に關する法律案(青木亮貫君外一名提出) 第一讀會
第十二 計理士法中改正法律案(世耕弘一君外二名提出) 第一讀會
第十三 辨理士法中改正法律案(原夫次郎君外四名提出) 第一讀會
第十四 競爭入札の取締等に關する法律案(福田關次郎君提出) 第一讀會
第十五 大正十五年法律第五十二號中改正法律案(土地區劃整理に伴ふ清算金に關する件)(安藤正純君外五名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 國祭日忠魂祭制定に關する建議案(山下谷次君外二名提出) (委員長報告)
第十七 氏名の表示に關する建議案(池田敬八君外四名提出) (委員長報告)
第十八 公用文書等に用ゐる文字竝其の書方及數字に關する建議案(池田敬八君外四名提出) (委員長報告)
第十九 大牟田港修築費國庫補助に關する建議案(野田俊作君外一名提出) (委員長報告)
第二十 宇和島港を第二種重要港灣指定に關する建議案(山村豐次郎君提出) (委員長報告)
第二十一 新潟港を第一種重要港灣に指定に關する建議案(松木弘君外十三名提出) (委員長報告)
第二十二 舞鶴港修築促進竝擴張に關する建議案(水島彦一郎君提出) (委員長報告)
第二十三 志々伎神社を國幣社に昇格に關する建議案(森肇君提出) (委員長報告)
第二十四 御室神社昇格に關する建議案(野中徹也君提出) (委員長報告)
第二十五 鬼怒川堰堤に關する建議案(高田耘平君外一名提出) (委員長報告)
第二十六 阿武隈川下流改修促進に關する建議案(佐々木家壽治君外三名提出) (委員長報告)
第二十七 神崎川及猪名川改修に關する建議案(蔭山貞吉君外一名提出) (委員長報告)
第二十八 木曾揖斐長良三川増補工事促進に關する建議案(佐竹直太郎君外五名提出) (委員長報告)
第二十九 那賀川改修工事促進に關する建議案(紅露昭君提出) (委員長報告)
第三十 膽澤川改修に關する建議案(志賀和多利君提出) (委員長報告)
第三十一 河川法及其の關係省令の改正に關する建議案(伊藤皆次郎君外二名提出) (委員長報告)
第三十二 利根運河國有に關する建議案(本多貞次郎君外三名提出) (委員長報告)
第三十三 能登半島運河開鑿に關する建議案(櫻井兵五郎君提出) (委員長報告)
第三十四 日光國立公園地域指定に關する建議案(増田金作君外一名提出) (委員長報告)
第三十五 日光國立公園の地域に關する建議案(高田耘平君外一名提出) (委員長報告)
第三十六 東京前橋新潟間道路を國道に編入に關する建議案(増田金作君外三名提出) (委員長報告)
第三十七 草加栗橋間國道改修速成に關する建議案(野中徹也君提出) (委員長報告)
第三十八 甲府下諏訪間縣道を國道に編入に關する建議案(竹内友治郎君外五名提出) (委員長報告)
第三十九 青海泊間國道改修に關する建議案(鈴木義隆君外一名提出) (委員長報告)
第四十 彼杵早岐間縣道を國道に編入に關する建議案(佐保畢雄君外二名提出) (委員長報告)
第四十一 國立和漢藥研究所設立に關する建議案(猪野毛利榮君外三名提出) (委員長報告)
第四十二 醫療制度改善竝治療費低減に關する建議案(岡本一巳君提出) (委員長報告)
第四十三 市町村吏員優遇に關する建議案(宮本雄一郎君外五名提出) (委員長報告)
第四十四 伊豆七島に府縣制竝町村制施行に關する建議案(三上英雄君外二名提出) (委員長報告)
第四十五 警察署長の地位向上に關する建議案(松尾孝之君外三名提出) (委員長報告)
第四十六 地方財政調整交付金制度制定に關する建議案(栗原彦三郎君外一名提出) (委員長報告)
第四十七 民營職業紹介業者保護に關する建議案(中井一夫君外八名提出) (委員長報告)
第四十八 小額金融法制定に關する建議案(青木雷三郎君提出) (委員長報告)
第四十九 大湊港開港竝北鮮内地間直通航路開始に關する建議案(藤井達也君提出) (委員長報告)
第五十 波見港開港竝修築に關する建議案(永田良吉君提出) (委員長報告)
第五十一 三津濱港開港に關する建議案(武知勇記君提出) (委員長報告)
第五十二 留萌港開港に關する建議案(東武君外二名提出) (委員長報告)
第五十三 八戸港開港に關する建議案(藤井達也君提出) (委員長報告)
第五十四 葉煙草賠償價格の算定に關する建議案(高田耘平君外三名提出) (委員長報告)
第五十五 製造煙草の輸出に關する建議案(山崎猛君外五名提出) (委員長報告)
第五十六 國立煙草試驗場設置に關する建議案(坪山徳彌君外一名提出) (委員長報告)
第五十七 栃木縣立煙草試驗場國營移管に關する建議案(高田耘平君外一名提出) (委員長報告)
第五十八 製油用大豆の關税免除廢止に關する建議案(田村實君外一名提出) (委員長報告)
第五十九 酒造税法中清酒の造石税率等改正に關する建議案(中野種一郎君提出) (委員長報告)
第六十 税務署長の地位向上に關する建議案(水久保甚作君提出) (委員長報告)
第六十一 防空施設促進に關する建議案(江藤源九郎君外五名提出) (委員長報告)
第六十二 齒科軍醫設置に關する建議案(杉山元治郎君外三名提出) (委員長報告)
第六十三 和歌の浦灣附近に海軍航空隊設置に關する建議案(玉置吉之亟君提出) (委員長報告)
第六十四 霞ヶ浦航空隊所在地元町村に補助金交付に關する建議案(葉梨新五郎君外二名提出) (委員長報告)
第六十五 癈兵院法改正に關する建議案(伊坂秀五郎君外一名提出) (委員長報告)
第六十六 兵役義務者及傷痍軍人待遇施設促進に關する建議案(上原平太郎君外二名提出) (委員長報告)
第六十七 第七師團管下陸軍演習場開放に關する建議案(林路一君提出) (委員長報告)
第六十八 大牟田市に區裁判所設置に關する建議案(野田俊作君外一名提出) (委員長報告)
第六十九 金ヶ崎町に區裁判所出張所設置に關する建議案(志賀和多利君提出) (委員長報告)
第七十 神戸刑務所移轉に關する建議案(中井一夫君外一名提出) (委員長報告)
第七十一 神戸刑務所移轉に關する建議案(中亥歳男君外二名提出) (委員長報告)
第七十二 福岡市に少年審判所及矯正院設置に關する建議案(吉田鞆明君外三名提出) (委員長報告)
第七十三 民法親族編竝相續編中改正に關する建議案(守屋榮夫君提出) (委員長報告)
第七十四 長崎中央電信局設置に關する建議案(西岡竹次郎君提出) (委員長報告)
第七十五 忍町に二等郵便局設置に關する建議案(野中徹也君提出) (委員長報告)
第七十六 山村に電話架設に關する建議案(近藤壽市郎君外一名提出) (委員長報告)
第七十七 東京大島間電話開通に關する建議案(牧野賤男君外二名提出) (委員長報告)
第七十八 東京札幌間定期航空開始に關する建議案(丸山浪彌君外五名提出) (委員長報告)
第七十九 臺灣博多港間定期航路開始に關する建議案(吉田鞆明君外三名提出) (委員長報告)
第八十 新潟北鮮間直通定期命令航路開始に關する建議案(田邊熊一君外十四名提出) (委員長報告)
第八十一 富山より東京大阪名古屋各地間及富山朝鮮滿洲間定期航空路開設に關する建議案(野村嘉六君提出) (委員長報告)
第八十二 富山より東京大阪名古屋各地間及富山朝鮮滿洲間定期航空路開設に關する建議案(高見之通君外二名提出) (委員長報告)
第八十三 飛行場設置に關する建議案(永田良吉君外十名提出) (委員長報告)
第八十四 金澤市外河北潟附近に飛行場設置に關する建議案(櫻井兵五郎君提出) (委員長報告)
第八十五 福岡市に陸上飛行場設置に關する建議案(吉田鞆明君提出) (委員長報告)
第八十六 函館附近に飛行場設置に關する建議案(大島寅吉君外一名提出) (委員長報告)
第八十七 函館附近に飛行場設置に關する建議案(佐々木平次郎君外一名提出) (委員長報告)
第八十八 航空省設置に關する建議案(永田良吉君外十名提出) (委員長報告)
第八十九 民間航空奬勵補助法制定に關する建議案(永田良吉君外十名提出) (委員長報告)
第九十 慈善郵便切手發行に關する建議案(内ヶ崎作三郎君外四名提出) (委員長報告)
第九十一 沖繩航路改善に關する建議案(花城永渡君提出) (委員長報告)
第九十二 越前岬に燈臺建設に關する建議案(猪野毛利榮君外二名提出) (委員長報告)
第九十三 電氣計器檢定料金引下竝檢定事務移管に關する建議案(松尾四郎君提出) (委員長報告)
第九十四 朝鮮の私設鐵道買收に關する建議案(岡田忠彦君外二名提出) (委員長報告)
第九十五 朝鮮に裁判所構成法及辯護士法實施に關する建議案(一松定吉君外二十一名提出) (委員長報告)
第九十六 朝鮮に訴願法及行政裁判法實施に關する建議案(廣瀬爲久君外二十二名提出) (委員長報告)
第九十七 乾繭保管料補助に關する建議案(小山邦太郎君外二名提出) (委員長報告)
第九十八 郡市町村農會技術員俸給國庫補助に關する建議案(東武君外十三名提出) (委員長報告)
第九十九 郡市町村農會技術員俸給國庫補助に關する建議案(荒川五郎君外五名提出) (委員長報告)
第百 郡市町村農會技術員俸給國庫補助に關する建議案(中田正輔君外一名提出) (委員長報告)
第百一 帝國農會に對する國庫補助金増額に關する建議案(中田正輔君提出) (委員長報告)
第百二 帝國農會に對する國庫補助金増額に關する建議案(八田宗吉君外五名提出) (委員長報告)
第百三 帝國農會に對する國庫補助金増額に關する建議案(荒川五郎君外一名提出) (委員長報告)
第百四 信濃川魚梯改造に關する建議案(増田義一君外三名提出) (委員長報告)
第百五 鬼怒川魚族絶滅防止竝増殖助成に關する建議案(高田耘平君外一名提出) (委員長報告)
第百六 農家負擔輕減に關する建議案(東武君外九名提出) (委員長報告)
第百七 農家負擔輕減に關する建議案(高田耘平君外五名提出) (委員長報告)
第百八 禁獵區内に於ける鶴保護及農作物被害賠償に關する建議案(天辰正守君外一名提出) (委員長報告)
第百九 水質汚涜防止法制定に關する建議案(青木亮貫君提出) (委員長報告)
第百十 水質汚涜防止法制定に關する建議案(服部岩吉君外二名提出) (委員長報告)
第百十一 小中川農業水利事業速成に關する建議案(小高長三郎君外一名提出) (委員長報告)
第百十二 肥料政策に關する建議案(東武君外八名提出) (委員長報告)
第百十三 肥料政策に關する建議案(高田耘平君外五名提出) (委員長報告)
第百十四 肥料政策に關する建議案(栗原彦三郎君外一名提出) (委員長報告)
第百十五 農具改良奬勵に關する建議案(多木久米次郎君外二名提出) (委員長報告)
第百十六 米籾貯藏奬勵に關する建議案(多木久米次郎君提出) (委員長報告)
第百十七 宗谷支廳管内酪農業及糖業奬勵に關する建議案(坂東幸太郎君外三名提出) (委員長報告)
第百十八 棉花耕作奬勵に關する建議案(佐藤庄太郎君提出) (委員長報告)
第百十九 食用蛙に關する建議案(土井權大君提出) (委員長報告)
第百二十 國有林野整備に關する建議案(依光好秋君外三名提出) (委員長報告)
第百二十一 北海道荻伏漁港修築速成に關する建議案(松尾孝之君外二名提出) (委員長報告)
第百二十二 輸入養鷄飼料取扱に關する建議案(近藤壽市郎君外五名提出) (委員長報告)
第百二十三 耕地擴張改良事業の振興に關する建議案(田中祐四郎君提出) (委員長報告)
第百二十四 耕地擴張改良事業の振興に關する建議案(高橋熊次郎君外二名提出) (委員長報告)
第百二十五 四國に國立種馬所設置に關する建議案(伊藤皆次郎君外五名提出) (委員長報告)
第百二十六 屠畜税竝檢査手數料廢止に關する建議案(小林かなえ君外二名提出) (委員長報告)
第百二十七 宮城縣下に國立米穀倉庫設置に關する建議案(佐々木家壽治君外三名提出) (委員長報告)
第百二十八 公立商船學校卒業生に對し特別教育機關設置に關する建議案(立川平君外五名提出) (委員長報告)
第百二十九 夜間中等學校指定に關する建議案(中川觀秀君外一名提出) (委員長報告)
第百三十 東京帝國大學農學部附屬農業教員養成所獨立に關する建議案(山枡儀重君外三名提出) (委員長報告)
第百三十一 大學令中藥學部設置に關する建議案(山下谷次君外六名提出) (委員長報告)
第百三十二 大學令中藥學部設置に關する建議案(野村嘉六君外六名提出) (委員長報告)
第百三十三 大學令中藥學部設置に關する建議案(福田虎龜君外一名提出) (委員長報告)
第百三十四 那覇市に高等水産專門學校設置に關する建議案(花城永渡君提出) (委員長報告)
第百三十五 中國又は四國に國立理化學大學設置に關する建議案(多木久米次郎君外二名提出) (委員長報告)
第百三十六 宗教團體法制定促進に關する建議案(安藤正純君外七名提出) (委員長報告)
第百三十七 尋常小學校及中等學校に於て珠算教授に關する建議案(小林絹治君提出) (委員長報告)
第百三十八 中等學校に於て支那語教授に關する建議案(鷲澤與四二君提出) (委員長報告)
第百三十九 帝國圖書館完成に關する建議案(河上哲太君外三名提出) (委員長報告)
第百四十 足利學校保全費國庫支辨に關する建議案(栗原彦三郎君外一名提出) (委員長報告)
第百四十一 古美術品輸出取締竝國寶保存機關充實に關する建議案(川崎克君提出) (委員長報告)
第百四十二 大島に中央氣象臺附屬測候所設置に關する建議案(牧野賤男君外二名提出) (委員長報告)
第百四十三 大垣鯖江間鐵道敷設に關する建議案(猪野毛利榮君外一名提出) (委員長報告)
第百四十四 津輕中里小泊間鐵道速成に關する建議案(工藤十三雄君外三名提出) (委員長報告)
第百四十五 岸嶽伊萬里間鐵道速成に關する建議案(藤生安太郎君提出) (委員長報告)
第百四十六 出水宮之城間鐵道敷設に關する建議案(天辰正守君外一名提出) (委員長報告)
第百四十七 出水大口間鐵道敷設に關する建議案(天辰正守君外一名提出) (委員長報告)
第百四十八 大川線竣成年度繰上に關する建議案(天辰正守君外一名提出) (委員長報告)
第百四十九 白石中村間鐵道敷設に關する建議案(佐々木家壽治君外四名提出) (委員長報告)
第百五十 川俣浪江間鐵道速成に關する建議案(佐藤庄太郎君外一名提出) (委員長報告)
第百五十一 七尾氷見間鐵道敷設に關する建議案(栗原彦三郎君提出) (委員長報告)
第百五十二 生保内橋場間鐵道速成に關する建議案(小山田義孝君外一名提出) (委員長報告)
第百五十三 都城外ノ浦間鐵道敷設に關する建議案(水久保甚作君外一名提出) (委員長報告)
第百五十四 内海志布志間鐵道速成竝宮崎迄延長に關する建議案(渡邊與七君外四名提出) (委員長報告)
第百五十五 穴水飯田間鐵道速成に關する建議案(益谷秀次君外一名提出) (委員長報告)
第百五十六 二見三田間鐵道敷設速成に關する建議案(多木久米次郎君外二名提出) (委員長報告)
第百五十七 菱刈大口間に停車場設置に關する建議案(天辰正守君外一名提出) (委員長報告)
第百五十八 牛ノ濱西方間に停車場設置に關する建議案(天辰正守君外一名提出) (委員長報告)
第百五十九 小野信號所を停車場に變更に關する建議案(篠原義政君提出) (委員長報告)
第百六十 上有田驛擴張改良に關する建議案(田口文次郎君外三名提出) (委員長報告)
第百六十一 長濱驛改築に關する建議案(服部岩吉君外二名提出) (委員長報告)
第百六十二 肥前山口驛附近に機關庫設置に關する建議案(田口文次君外二名提出) (委員長報告)
第百六十三 新舞鶴港驛驛舍建設竝旅客取扱に關する建議案(水島彦一郎君提出) (委員長報告)
第百六十四 西宮驛に乘降場増設に關する建議案(蔭山貞吉君提出) (委員長報告)
第百六十五 神崎驛に乘降場増設に關する建議案(蔭山貞吉君提出) (委員長報告)
第百六十六 阿久根驛に急行列車停車に關する建議案(天辰正守君外一名提出) (委員長報告)
第百六十七 吉松八代間鐵道電化竝急行列車運轉に關する建議案(天辰正守君外一名提出) (委員長報告)
第百六十八 大宮小山間鐵道電化速成に關する建議案(野中徹也君提出) (委員長報告)
第百六十九 大阪臨港線電化竝旅客取扱開始に關する建議案(枡谷寅吉君提出) (委員長報告)
第百七十 青森函館間連絡航路特定運賃撤廢に關する建議案(林儀作君外一名提出) (委員長報告)
第百七十一 警察官に對する旅客運賃輕減に關する建議案(一松定吉君外一名提出) (委員長報告)
第百七十二 警察官鐵道乘車賃割引復活に關する建議案(水島彦一郎君提出) (委員長報告)
第百七十三 常磐石炭鐵道運賃低減に關する建議案(鈴木辰三郎君外二名提出) (委員長報告)
第百七十四 常磐石炭鐵道運賃低減に關する建議案(中井川浩君外一名提出) (委員長報告)
第百七十五 兩毛線にガソリン車併用運轉に關する建議案(岡本一巳君外一名提出) (委員長報告)
第百七十六 京都市内國有鐵道高架改築に關する建議案(中野種一郎君外二名提出) (委員長報告)
第百七十七 佐原鹿島間國營自動車運輸開始に關する建議案(今井健彦君提出) (委員長報告)
第百七十八 呼子西唐津間國營自動車運輸開始に關する建議案(藤生安太郎君提出) (委員長報告)
第百七十九 野尻霧島神宮驛間國營自動車運輸開始に關する建議案(水久保甚作君外一名提出) (委員長報告)
第百八十 池田川之江間國營自動車運輸開始に關する建議案(森昇三郎君外五名提出) (委員長報告)
第百八十一 京都府下四郡に國營自動車運輸に關する建議案(水島彦一郎君提出) (委員長報告)
第百八十二 大宮大越間自動車道路開設に關する建議案(野中徹也君提出) (委員長報告)
第百八十三 萬國博覽會開催に關する建議案(竹澤太一君外四名提出) (委員長報告)
第百八十四 滿洲國熱河省方面に緑茶輸出に關する建議案(宮本雄一郎君外三名提出) (委員長報告)
第百八十五 購買組合に對する保護撤廢竝取締に關する建議案(磯部尚君提出) (委員長報告)
第百八十六 足尾銅山鑛煙毒豫防監督に關する建議案(栗原彦三郎君提出) (委員長報告)
第百八十七 鑛業法中改正に關する建議案(栗原彦三郎君提出) (委員長報告)
第百八十八 輸出補償法竝同施行規則中改正に關する建議案(宮本雄一郎君外三名提出) (委員長報告)
第百八十九 人造絹絲織物業者救濟に關する建議案(栗原彦三郎君提出) (委員長報告)
第百九十 輸出人造絹織物國營檢査に關する建議案(猪野毛利榮君外二名提出) (委員長報告)
第百九十一 足利市に國營精練所設置に關する建議案(栗原彦三郎君提出) (委員長報告)
第百九十二 會社組合の會計檢査に關する建議案(森昇三郎君外二名提出) (委員長報告)
第百九十三 國務院創設に關する決議案(野田文一郎君外四名提出)
第百九十四 決議案(明治製糖株式會社の脱税事件に關する件)(清瀬一郎君提出)
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001・秋田清
○議長(秋田〓君) 諸君、諸般ノ報告ヲ致
サセマス
〔書記官朗讀〕
一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
昭和八年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債追加發行ニ關スル法律案
(以上三月二十二日提出)
議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
警察官優遇ニ關スル建議案
提出者
久原房之助君安藤正純君
今井健彥君佐々木平次郞君
高橋熊次郞君高見之通君
加藤久米四郞君板野友造君
島田俊雄君生田和平君
松野鶴平君樋口典常君
靑木精一君田邊七六君
熊谷巖君岡田伊太郞君
田邊熊一君濱田國松君
〓水銀藏君土井權大君
河上哲太君內野辰次郞君
村田虎之助君山口義一君
櫻內幸雄君富田幸次郞君
平川松太郞君土屋〓三郞君
平野光雄君工藤鐵男君
坂東幸太郞君前田房之助君
吉川吉郞兵衞君大麻唯男君
俵孫一君田中隆三君
賴母木桂吉君八木逸郞君
小山松壽君櫻井兵五郞君
鈴木富士彌君松田源治君
井上剛一君伊禮肇君
加藤鯛一君中村繼男君
中野正剛君野田文一郞君
山道襄一君古屋慶隆君
小山谷藏君小池仁郞君
〓瀨一郞君菊池良一君
〓育革新ニ關スル建議案
提出者
安藤正純君久原房之助君
靑木精一君田邊七六君
熊谷巖君岡田伊太郞君
田邊熊一君濱田國松君
〓水銀藏君士井權大君
河上哲太君內野辰次郞君
村田虎之助君今井健彥君
佐々木平次郞君高橋熊次郞君
高見之通君加藤久米四郞君
板野友造君島田俊雄君
生田和平君松野鶴平君
樋口典常君山口義一君
櫻內幸雄君富田幸次郞君
平川松太郞君土屋〓三郞君
平野光雄君工藤鐵男君
坂東幸太郞君前田房之助君
吉川吉郞兵衞君大麻唯男君
俵孫一君田中隆三君
賴母木桂吉君八木逸郞君
小山松壽君櫻井兵五郞君
鈴木富士彌君松田源治君
決議案(思想對策ニ關スル件)
提出者
久原房之助君靑木精一君
田邊七六君熊谷巖君
岡田伊太郞君田邊熊一君
濱田國松君〓水銀藏君
土井權大君河上哲太君
內野辰次郞君村田虎之助君
安藤正純君今井健彥君
佐々木平次郞君高橋熊次郞君
高見之通君加藤久米四郞君
板野友造君島田俊雄君
生田和平君松野鶴平君
樋口典常君山口義一君
櫻內幸雄君富田幸次郞君
平川松太郞君土屋〓三郞君
平野光雄君工藤鐵男君
坂東幸太郞君前田房之助君
吉川吉郞兵衞君大麻唯男君
俵孫一君田中隆三君
賴母木桂吉君八木逸郞君
小山松壽君櫻井兵五郞君
鈴木富士彌君松田源治君
(以上三月二十二日提出)
〔左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ
如シ
大日本北米柑橘輸出組合ニ關スル質問主
意書
提出者胎中楠右衞門君
預金部資金運用利率ニ關スル質問主意書
提出者丹下茂十郞君
(以上三月十八日提出)
輸出百合根ニ關スル再質問主意書
提出者
牧山耕藏君中村不二男君
法規ノ解釋統一ニ關スル質問主意書
提出者
牧山耕藏君松定吉君
荒川五郞君原夫次郞君
麻醉劑取締法規統一ニ關スル質問主意書
提出者永田善三郞君
(以上三月二十二日提出)
一昨二十二日貴族院ヨリ囘付アリタル本院
提出案左ノ如シ
身元保證ニ關スル法律案
一昨二十二日提出者ニ於テ撤囘シタル議案
左ノ如シ
決議案(〓育ノ根本的改革ニ關スル件)
提出者
富田幸次郞君櫻內幸雄君
坂東幸太郞君大麻唯男君
吉川吉郞兵衞君土屋〓三郞君
前田房之助君工藤鐵男君
平川松太郞君平野光雄君
俵孫一君田中隆三村
賴母木桂吉君八木逸郞君
小山松壽君櫻井兵五郞君
鈴木富士彌君松田源治君
決議案(思想惡化ノ對策ニ關スル件)
提出者
櫻内幸雄君富田幸次郎君
坂東幸太郎君大麻唯男君
吉川吉郞兵衞君土屋〓三郞君
前田房之助君工藤鐵男君
平川松太郞君平野光雄君
俵孫一君田中隆三君
賴母木桂吉君八木逸郞君
小山松壽君櫻井兵五郞君
鈴木富士彌君松田源治君
(以上二月二十四日提出)
一去二十日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル
左ノ政府提出案ヲ可決シタル旨同院ヨリ
通牒ヲ受領セリ
(第一號)昭和八年度歲入歲出總豫算追加
案
(特第一號)昭和八年度各特別會計歲入歲
出豫算追加案
(追第一號)豫算外國庫ノ負擔トナルベキ
契約ヲ爲スヲ要スル件
工業組合法中改正法律業
通信事業特別會計法案
製絲業法中改正法律案
震災被害者ニ對スル租稅ノ免除猶豫等ニ
關スル法律案
昭和五年度第一豫備金
支出ノ件
昭和五年度特別會計第
一豫備金支出ノ件
昭和六年度第一豫備金
支出ノ件
昭和六年度特別會計第
一豫備金支出ノ件
昭和六年度第二豫備金
支出ノ件
昭和六年度豫備金外ニ
於テ警算超過及豫算外
支出ノ件
昭和六年度特別會計第
二豫備金支出ノ件
昭和六年度特別會計豫
備金外ニ於テ豫算超過
及豫算外支出ノ件
昭和七年度第二豫備金
支出ノ件
昭和七年度特別會計第
二豫備金支出ノ件
昭和七年度特別會計像
備金外ニ於テ豫算超過
支出ノ件
一昨二十二日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係
ル左ノ議案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒
ヲ受領セリ
農業動產信用法案(政府提出)
漁業法中改正法律案(政府提出)
古物商取締法中改正法律案(本院提出)
一昨二十二日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係
ル左ノ議案ニ對シ第二讀會ヲ開カサルコ
トヲ議決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受領セ
リ
司法代書人法中改正法律案(本院提出)
(承諾ヲ求ムル件)
一今二十三日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係
ル左ノ議案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒
ヲ受領セリ
米穀統制法案(政府提出)
米穀需給調節特別會計法中改正法律案
(政府提出)
關稅定率法中改正法律案(政府提出)
昭和七年法律第四號中改正法律案(政府
提出)
昭和八年法律第三號中改正法律案(政府
提出)
海軍工廠資金臨時補足ニ關スル法律案
(政府提出)
舊韓國起業資金貸付ノ爲發行シタル英貨
興業債劵ノ元利支拂爲替差損金補給ニ關
スル法律案(政府提出)
度量衡法中改正法律案(本院提出)
一去十八日常任委員補關選擧ノ結果左ノ如
シ
第四部選出
豫算委員永田善三郞君(勝正憲君補
関
第六部選出
豫算委員髙田耘平君(町田忠治君
補闕)
一去十八日特別委員理事補團選擧ノ結果左
ノ如シ
輸出組織物取締法中改正法律案(政府提
案)委員
理事中川觀秀君(理事栗原彥三郞
君本月十四日委員辭任ニ付其
ノ補園)
一去十八日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如
シ
醫師法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)委員
辭任犬養健君補闕立川太郞君
辭任立川太郞君補關犬養健君
辭任佐々木平次郞君補闕立川太郞君
六大都市ニ特別市制實施ニ關スル法律案
(犬養健君外四十四名提出)委員
辭任安藤正純君補闕楠基道君
一去二十日特別委員理事補闕選擧ノ結果左
ノ如シ
簡易森林火災保險法案(小山邦太郞君外
十七名提出)委員
理事手代木隆吉君(理事海野數馬君
本月十日委昌辭任ニ付其ノ補
関
理事壽原英太郞君(理事兼田秀雄君
去二十日委員辭任ニ付其ノ補
關
一去二十日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如
シ
輸出絹織物取締法中改正法律案(政府提
出)委員
辭任猪野毛利榮君補闕長田桃藏君
辭任添田敬一郞君補闕藤井啓一君
辭任木檜三四郞君補闕村上紋四郞君
簡易森林火災保險法案(小山邦太郞君外
十七名提出)委員
辭任兼田秀雄君補闕壽原英太郞君
一昨二十二日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ
如シ
簡易森林火災保險法案(小山邦太郞君外
十七名提出)委員
辭任杉本國太郞君補闕菅野善右衞門君
辭任小林錡君補闕宮澤裕君
辭任小山邦太郞君補闕坂東幸太郞君
辭任宮澤裕君補闕小林錡君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=1
-
002・秋田清
○議長(秋田清君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、
御諮リ致シマス、第四部選出豫算委員永田
善三郞君常任委員辭任ノ申出ガアリマス、
許可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=2
-
003・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナケレバ許可致
シマス、其部ノ諸君ハ速ニ補關選擧ヲ行ヒ、
御屆アランコトヲ望ミマス-此際一言致
シマス、去ル十八日ノ本會議ニ於テ、議員多
田滿長君ヨリ議事進行ニ關シ御述べニナリ
マシタ事柄ニ付テ、議長ハ事實取調ノ結果、
建議委員會ニ於ケル手續是正ノ處置ヲ執リ
マシタ、此段御諒承ヲ希ヒマス(拍手)日程
第一乃至第五ハ、一括議題ト爲スニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=3
-
004・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ日程第一、昭和五年度歲入歲出總決算、
昭和五年度各特別會計歲入歲出決算、日程
第二、昭和六年度歲入歲出總決算、昭和六
年度各特別會計歲入歲出決算、日程第三、
昭和五年度國有財產增減總計算書、日程第
四、昭和六年度國有財產增減總計算書、日
程第五、昭和七年三月三十一日現在國有財
產現在額總計算書、右各案ヲ一括シテ議題
ト致シマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-
決算委員長山崎猛君
昭和五年度歲入歲出總決算
第昭和五年度各特別會計歲入歲出決
算
昭和六年度歲入歲出總決算
第二昭和六年度各特別會計歲入歲出決
算
第三昭和五年度國有財產增減總計算書
第四昭和六年度國有財產增減總計算書
第五昭和七年三月三十一日現在國有財
產現在額總計算書
報告書
一昭和五年度歲入歲出總決算、昭和五年
度各特別會計歲入歲出法算
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通議決スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
昭和八年三月十六日
決算委員長山崎猛
衆議院議長秋田〓殿
〔別紙〕
不法又ハ不當ナルモノ
昭和五年度歲入歲出總決算中
歲入ニ於テ
不當ナルモノ二十一件
歲出ニ於テ
不法ナルモノ件
不當ナルモノ七件
昭和五年度各特別會計歲入歲出決算中
歲入ニ於テ
不當ナルモノ十二件
歲出ニ於テ
不當ナルモノ十八件
官有物
不法ナルモノ件
不當ナルモノ三件
合計六十三件
既往年度(昭和二年度、昭和三年度及昭和
四年度)
一般會計
歲入ニ於テ
不當ナルモノ十四件
歲出ニ於テ
不當ナルモノ二件
特別會計
歲入ニ於テ
不當ナルモノ件
歲出ニ於テ
不當ナルモノ二件
合計十九件
總計八十二件
昭和五年度歲入歲出總決算及同特別會計
歲入歲出決算中不法又ハ不當ナリト議決
シタル事項左ノ如シ
不法ナルモノ
一般會計歲出ニ於テ
豫算目的外ノ支出ヲナシタルモノ一件
官有物ニ於テ
官有地ノ處分宜シキヲ得サルモノ一件
計一件
不當ナルモノ
一般會計歲入ニ於テ
租稅ノ賦課徵收ニ關シ措置其ノ宜シキヲ
得サルモノ五件
租稅及租稅外歲入ノ徵收ニ關シ監督其ノ
宜シキヲ得サルモノ七件
租稅ノ徵收不足ニ屬スルモノ四件
租稅外歲入ノ徵收ニ關シ措置宜シキヲ得
サルモノ三件
其ノ他不當ナルモノ二件
計二十一件
一般會計歲出ニ於テ
豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得サルモノ五
件
補助金ノ支給ニ關シ措置宜シキヲ得サル
モノ件
豫算目的外ノ支出ヲ爲シタルモノ一件
計七件
特別會計歲入ニ於テ
租稅外歲入ノ徵收ニ關シ措置宜シキヲ得
サルモノ二件
租稅外歲入ノ徵收ニ關シ督督宜シキヲ得
サルモノ三件
租稅ノ徵收不足ニ屬スルモノ三件
木材ノ賣拂ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得サ
ルモノ件
土地ノ賣拂價格低廉ニ失シタルモノ一
件
土地ノ貸付料及賣拂價格低廉ニ失シタル
モノ一件
林木ノ拂下ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得サ
ルモノ一件
計十二件
特別會計歲出ニ於テ
豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得サルモノ八
件
物件ノ購入ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得サ
ルモノ二件
虛構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲シタルモノ
三件
補助金ノ支給ニ關シ措置宜シキヲ得サル
モノ件
其ノ他不當ナルモノ四件
計十八件
官有物
國有地ノ交換ニ當リ措置宜シキヲ得サル
モノ件
國有財產ノ管理其ノ宜シキヲ得サルモノ
件
官有地ノ管理其ノ宜シキヲ得サルモノ
件
計三件
合計六十三件
既往年度(昭和二年度、昭和三年度及昭和
四年度)
一般會計歲入ニ於テ
租稅ノ徵收不足ニ屬スルモノ八件
租稅ノ徵收過ニ屬スルモノ三件
租稅外歲入ノ徵收ニ關シ五督宜シキヲ得
サルモノ件
租稅ノ賦課徵收ニ關シ措置宜シキヲ得サ
ルモノ二件
一般會計歲出ニ於テ
虛構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲シタルモノ
二件
特別會計歲入ニ於テ
租稅ノ徴收不足ニ屬スルモノ一件
特別會計歲出ニ於テ
虚構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲シタルモノ
二件
合計十九件
總計八十二件
警告ヲ附シタル事項左ノ如シ
昭和五年度
一般會計歲出ニ於テ
物品ノ購入ニ當リ措置宜シキヲ得サルモ
ノ作
新築工事其ノ他ノ費用支出宜シキヲ得サ
ルモノ一作
計二件
特別會計歲入ニ於テ
租稅外歲入ノ徵收ニ關シ措置宜シキヲ得
サルモノ件
特別會計歲出ニ於テ
物品ノ購入ニ當リ措置宜シキヲ得サルモ
ノ二件
工事ノ變更ニ當リ措置宜シキヲ得ス國庫
ニ損失ヲ及ホシタルモノ作
運賃割戾金ヲ以テ新線路ノ建設費ニ充當
シタルモノ一件
計五件
合計七件
注意事項左ノ如シ
昭和五年度
一般會計歲入ニ於テ
未開地ノ處分ニ當リ地上立木ノ算定宜シ
キヲ得サルモノ作
一般會計歲出ニ於テ
豫算目的外ノ支出ヲ爲シタルモノ件
物品ノ購入ニ當リ措置宜シキヲ得サルモ
ノ作
計三件
特別會計歲入ニ於テ
本材ノ賣拂ニ當リ措置宜シキヲ得サルモ
ノ件
土地ノ貸付料及賣拂價格低廉ニ失シタル
モノ作
特別會計歲出ニ於テ
物件ノ購入ニ當リ措置宜シキヲ得サルモ
ノ三件
鹽ノ回送ニ當リ措置宜シキヲ得サルモノ
一作
煙草購入價格ノ決定宜シキヲ得サルモノ
件
貨物集配料金ノ決定宜シキヲ得サルモノ
件
工事ノ設計變更ニ當リ宜シキヲ得サルモ
ノ件
計九件
既往年度(昭和四年度)
一般會計歲入ニ於テ
未開地ノ處分ニ當リ地上立木ノ算定其ノ
宜シキヲ得サルモノ件
特別會計歲出ニ於テ
煙草購入價格ノ決定宜シキヲ得サルモノ
作
計二件
合計十四件
昭和五年度歲入歲出總決算、昭和五年度
各特別會計歲入歲出決算及既往年度未確
定決算中左ノ如ク議決ス
一般會計
歲入經常部
第一款租稅
第一項所得稅
(一)神戶稅務署ニ於テ收入未濟ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報〓一)
円
二〇〇、〇〇〇·〇〇〇
右ハホンコン、エンド、シヤンハイ、
バンキング、コーポレーション神戶支
店ノ事業年度分所得稅ノ內未納ニ屬ス
ル稅額ニシテ本件ハ訴願ノ裁決ニ對シ
テハ再ヒ異議ヲ許ササル所ナルニ之ヲ
事由トシ巨額ノ稅金ニ對シ徵收ヲ爲サ
サルカ如キハ適法ノ措置ト認メ難シ依
テ不當ナリトス
(三)函館稅務署ノ收入ニ至ラサルモ
ノ(會計檢査院報〓二)
一四、五九四·四七〇
右ハ稅務署屬高野某カ徵收簿其ノ他ノ
關係書類ニ虚僞ノ記載ヲ爲シ其ノ取扱
ニ係ル歲入金ヲ橫領シタル總額ノ內ニ
シテ本件ハ監督其ノ宜シキヲ得サリシ
ニ因ルモノニシテ不當ナリトス
(三)佐世保稅務署ノ收入ニ至ラサルモ
ノ(會計檢査院報〓三)
一五、五一一·三七〇
右ハ稅務署屬古場某カ徵收簿其ノ他ノ
關係書類ニ虚僞ノ記載ヲ爲シ其ノ取扱
ニ係ル歲入金ヲ橫領シタル總額ノ内ニ
シテ本件ハ監督其ノ宜シキヲ得サリシ
ニ因ルモノニシテ不當ナリトス
(ハ)宮崎稅務署ニ於テ徵收過ニ屬スル
モノ(會計檢査院報告四)
八、三七二·三五〇
右ハ株式會社日向中央銀行ニ合併シタ
ル橘銀行ノ〓算所得額及妻銀行ノ〓算
所得額ニ對シ稅率百分ノ十ヲ適用セル
ニ因ルモノニシテ本件〓算所得ハ兩銀
行ノ最終事業年度ニ於ケル積立金及繰
越金ノ範圍內ナルヲ以テ稅率百分ノ五
ヲ適用スヘキモノニシテ課稅上稅率ノ
適用ヲ誤リ徵收過ヲ生セシメタルモノ
ニシテ不當ナリトス
(一五)神田橋稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬
スルモノ(會計檢査院報告五)
三、六一六·五八〇
(4)伊丹稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告同上)
三、〇一五·五一〇
(七)小樽稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告同上)
二、五〇〇·四一〇
八横濱稅務署ノ徵收不足ニ屬スルモ
ノ(會計檢査院報〓同上)
二、二〇九·二六〇
營業收益稅ニ於テ同署ノ徵收不足
ニ屬スルモノ四三四·七〇〇
{hv神戶稅務署ノ徵收ニ係ル(會計檢
査院報告同上)
七、九七二·三九〇
右ハ孰モ取扱ノ過誤ニ因リ徵收不足ヲ
生セシメタルモノニシテ不當ナリトス
第五項相續稅
(一〇)八幡稅務署ノ徵收ニ係ル(會計
檢査院報〓六)
円
一八、三二九·〇〇〇
右ハ滋賀縣蒲生郡北比都佐村鈴木某ノ
相續稅拾貳萬八千參百參圓ノ內本年度
所屬年賦延納額トシテ徵收シタルモノ
ニシテ本件ハ贈與ニ係ル營業ニ付遺產
相續トシテ課稅價格ノ決定上措置宜シ
キヲ得ス徵收不足ヲ生セシメタルモノ
ニシテ不當ナリトス
第八項酒稅
(一一)厩橋稅務署ニ於テ徵收ニ至ラサ
ルモノ(會計檢査院報告七)
円
六、四九八·一〇〇
右ハ合資會社大出本店カ酒精及酒精含
有飮料稅法ニ違反シ製造シタル葡萄酒
「ウヰスキー」等ニ對スル稅額ニシテ本
件ハ稅務署ニ於テ徒ニ裁判ノ確定ヲ竢
チ稅金ノ調定ヲ爲ササリシカ爲製造販
賣ニ係ル酒精含有飮料ノ稅金ニ付時效
完成シ爾後ノ稅金モ完納ヲ期スル能ハ
サルノ狀態ニ陷ラシメタルモノニシテ
稅金徵收上措置宜シキヲ得ス不當ナリ
トス
第二款印紙收入
第一項印紙收入
(一二)横濱區裁判所ニ於テ登錄稅トシ
テ印紙ヲ以テ納付セシメタルモ
ノ(會計檢査院報〓八)
円
二、〇〇〇·〇〇
本件ハ裁判所書記長塚某カ各種登記申
請書ニ貼付セル未消印收入印紙ヲ剝離
シ橫領セル總額ノ內ニシテ右ハ監督其
ノ宜シキヲ得サリシニ因ルモノニシテ
不當ナリトス
第三款官業及官有財產收入
第一項郵便電信及電話收入
(一三)熊本遞信局ニ於テ收入ニ至ラサ
ルモノ(會計檢査院報告九)
円
九、八二四·〇四〇
右ハ通信書記堤某カ電話設備費負擔金
及約束郵便料等ノ出納事務ヲ援助スル
カ如ク裝ヒ直接納人ヨリ現金ヲ受領シ
又ハ現金ノ取立ヲ爲シ橫領費消シタル
總額ノ內ニシテ本件ハ監督其ノ宜シキ
ヲ得サリシニ因ルモノニシテ不當ナリ
トス
第四款雜收入
第一項免許及手數料
(一四)神奈川縣ニ於テ歲入ニ編入スヘ
キモノ(會計檢査院報告十一)
円
四五、三〇三·〇〇〇
右ハ橫濱倉庫株式會社ニ對シ免許シタ
ル橫濱市神奈川區地先横濱港北防波堤
外公有水面ノ埋立免許料ノ內ニシテ本
件ハ國庫ノ收入トスヘキ公有水面埋立
免許料ヲ縣ニ歸屬セシメタルモノニシ
チ不當ナリトス
第一項懲罰及沒收金
(一五)東京控訴院ニ於テ歲入ニ編入ス
ヘキモノ(會計檢査院報告十二)
円
六、五二五·〇六五
同控訴院ニ於テ歲入ニ編入スヘ
キモノ三二·二四一
右ハ東京區裁判所ニ於テ沒收ノ裁判確
定又ハ被害者不明等ノ爲孰モ國庫ニ歸
屬シタル刑事證據金ニシテ此等現金ハ
事件ノ完結ニ從ヒ容易ニ歲入納付ノ手
續ヲ爲シ得ヘキモノナルニ放置シタル
モノ尠カラス孰モ其ノ措置怠慢ニ失ス
依テ本件ハ不當ナリトス
(一六)豐原區裁判所ニ於テ歲入ニ編入
スヘキモノ(會計檢査院報告十
三二、二九一·四九〇
右ハ裁判所書記木村某カ沒收ノ裁判確
定等ニ依リ國庫ニ歸屬セル刑事證據金
及證據物品公賣代金ヲ橫領費消セルモ
ノニシテ本件ハ監督其ノ宜シキヲ得ス
不當ナリトス
(一七)高松地方裁判所ニ於テ歲入ニ編
入スヘキモノ(會計檢査院報告
十四)一、六一七·〇〇〇
右ハ裁判所書記池內某カ現金又ハ郵便
爲替ヲ以テ受領セル罰金ヲ橫領費消セ
ルモノナリ本件ハ監督其ノ宜シキヲ得
サリシニ因ルモノニシテ不當ナリトス
第五項恩給法納金
(一八)東京府ニ於テ歲入ニ編入スヘキ
モノ(會計檢査院報告十五)
円
九、三九一·〇〇〇
右ハ東京府屬靑木某カ關係書類ニ虛僞
ノ記載ヲ爲シ又ハ之ヲ破棄隱匿シ同府
立各學校長等ヨリ送付シ來リタル〓育
職員納金ヲ國庫ニ納付セス橫領費消シ
タル總額ノ内ニシテ本件ハ監督其ノ宜
シキヲ得サリシニ因ルモノニシテ不當
ナリトス
第十項雜入
(一九)海軍省經理局ニ於テ收入未濟ニ
屬スルモノ(會計檢査院報告十
六)
円
一、四〇三、四三四·五二〇
右ハ昭和二年度以降艦艇製造費補助艦
艇製造費支辨ヲ以テ株式會社藤永田造
船所ニ請負ハシメタル驅逐艦叢雲及綾波
ノ建造費前金拂ノ內過渡ト爲リタル金
額ニシテ返納ヲ命シタルモ收入ニ至ラ
ス本件ノ如キ多額ノ前金拂ヲ要スル工
事ニ在リテハ之カ工事ノ請負又ハ代金
ノ前金拂ニ際シ特ニ請負人ノ資產及信
用狀態竝工事遂行ノ見込確實ナリヤ否
ヲ考慮スヘキモノニシテ綾波ノ如キ新
ニ契約ヲ爲シ叢雲ノ分ト共ニ前金拂ヲ
繼續シ過渡金ヲ生シ延イテ多額ノ未收
入ヲ生セシメタルモノニシテ不當ナリ
トス
(二〇)東京控訴院及東京地方裁判所ニ
於テ歲入ニ編入スヘキモノ會
計檢査院報〓十七)
七、八九〇·〇〇〇
右ハ東京地方裁判所及同區裁判所ニ於
テ刑事被〓人等ヨリ納付セシメタル保
釋保證金ニシテ裁判確定又ハ被〓人ノ
死亡後拂戾ノ請求ナク國庫ニ歸屬セル
モノナルニ歲入ニ納付ノ手續ヲ爲サス
其ノ儘出納官吏ニ於テ之ヲ保管シ居ル
カ如キハ妥當ノ措置ト認ムルヲ得ス依
テ本件ハ不當ナリトス
(二一)農林省ニ於テ收入未濟ニ屬スル
モノ(會計檢査院報〓十八)
四、三三二·〇〇〇
右ハ沖繩縣島尻郡港川漁業組合ニ交付
シタル漁業共同施設奬勵金ニ對シ本年
度ニ於テ返還ヲ命シタルモ年度內納入
ニ至ラサリシモノニシテ本件ハ奬勵金
ノ交付ニ關シ竣功出來形及組合ノ收支
等ニ付調査十分ナラサリシカ爲遂ニ多
額ノ奬勵金ヲ詐取セラレ之カ返還ヲ命
スルモ納入ヲ受クルニ至ラサルモノニ
シテ不當ナリトス
內務省所管
歲出臨時部
第七款北海道拓殖費
第一項殖民費
(二二)北海道廳外十四箇所及其ノ他ノ
支出ニ係ル(會計檢査院報〓一)
円
三九六、〇二六·〇〇〇
右ハ各廳所屬官吏ニ對シ賞與トシテ支
給シタルモノナルモ其ノ支出總額中俸
給殘餘ヲ以テシタルモノ僅ニ七萬五千
六百餘圓ニ止リ參拾貳萬餘圓ハ事業費
又ハ工事費ヲ流用シ支出シタルモノニ
シテ豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得ス依テ
本件ハ不當ナリトス
第三十一款災害費
第七項靜岡縣災害土木費補助
(二三)靜岡縣ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告二)
円
八、七一〇·七六六
右ハ靜岡縣ニ於テ施行ニ係ル災害復舊
工事中玉機橋架設工事費ニ對スル補助
相當額ノ內ニシテ本件ハ災害復舊ニ非
サル改修工事ニ對シ補助ヲ爲シタルモ
ノニシテ不當ナリトス
大藏省所管
歲出經常部
第二款內閣
第二項事務費
(二四)内閣及其ノ他ノ支出ニ係ル(會
計檢査院報告一)
円
二三〇、九六九·〇〇〇
右ハ官吏ニ對シ慰勞金トシテ支給シタ
ルモノナルモ豫算ニ積算ナキニ之ヲ支
給シ又ハ工事費ヲ事務費ニ流用セルモ
ノ其ノ他多額ノ慰勞金ヲ支出シタルモ
ノニシテ豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得ス
依テ本件ハ不當ナリトス
第八款稅關
第一項俸給
(二五)大藏省、橫濱稅關及其ノ他ノ支
出ニ係ル(會計檢査院報告二)
円
四三、三五八·二二〇
右ハ大藏本省ニ勤務スル稅關及稅務監
督局所屬職員ニ對シ俸給給料賞與及慰
勞金トシテ支給シタル金額ニシテ本件
ハ平素大藏本省ニ在勤シテ其ノ事務ニ
從事シ稅關又ハ稅務監督局ニ勤務セサ
ル者ニ對シ之カ俸給賞與等ヲ本費ノ支
辨ト爲スハ延イテ豫算各項ノ金額ヲ流
用スルノ結果ヲ招來シ豫算ノ使用其ノ
宜シキヲ得ス依テ不當ナリトス
海軍省所管
歳出經常部
第二款軍事費
第五項造船造兵及修理費
(二六)海軍省經理局其ノ他ノ支出ニ係
ル(會計檢査院報告一)
円
五二四、二四六·八七〇
右ハ一三式艦上攻擊機等ノ代價ニシテ
館山海軍航空隊ノ初度設備ニ屬スルモ
ノナルヲ以テ歲出臨時部水陸整備費、
防備部隊設備費ヨリ支出スルヲ相當ト
シ本費ノ支辨ト爲スカ如キハ失當ノ措
置ニシテ本件ハ本項豫算ノ目的外ニ屬
シ不法ナリトス
司法省所管
歲出經常部
第二款法務費
第二項事務費
(二七)司法省、大阪外二控訴院、水戶
外四十地方裁判所及其ノ他ノ支
出ニ係ル(會計檢査院報〓一)
円
二二八、八六一·〇〇
右ハ典獄、典獄補、裁判所書記、供託
局書記、看守長ニ支給セル退官給與金
ニシテ本項豫算中ニハ官吏ニ對スル此
等給與ハ全然積算ナキモノナルヲ以テ
此等經費ハ本費ヨリ支出スヘキモノニ
非スト認メラルルモノニシテ不當ナリ
トス
農林省所管
歲出臨時部
第一款產業奬勵費
第十四項緬羊飼育獎勵費
(二八)農林省、月寒外一種羊場及其ノ
他ノ支出ニ係ル(會計檢査院報
〓一)
円
一四九、八四六〇〇
右ハ官吏ニ對シ賞與及慰勞金トシテ支
)
給シタルモノナルモ一農村振興費事務
費竝調査及〓究費事業費ニ在リテハ豫
算ニ積算ナキニ拘ラス支出シ二細羊飼
育奬勵費及公有林野官行造林費ニ在リ
テハ賞與トシテ支出シタル金額中俸給
豫算ノ殘額ヲ以テシタルハ僅ニ止リ爾
餘ハ他費目ヨリ流用シ支出シタルモノ
ニシテ豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得ス依
テ本件ハ不當ナリトス
商工省所管
歲出經常部
第一款商工本省
第五項度量衡費
(二九)商工省及其ノ他ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告一)
円
七五、八一〇·〇〇〇
右ハ官吏ニ對シ慰勞金トシテ支給シタ
ルモノナルモ本項豫算ハ事業費等ヲ積
算セルニ止リ官吏ニ對スル慰勞金ノ積
算ナキニ拘ラス之カ支給ヲ爲セルカ如
キハ不當ナリトス
特別會計
大藏省所管造幣局
歲出
第一款造幣局作業費
第二項事業費
(三〇)造幣局ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告一)
円
一二一、四〇八·二〇〇
右ハ官吏以下ニ對シ慰勞金トシテ支給
セルモノナルモ本項豫算中慰勞金トシ
テ積算セルハ參萬四千餘圓ナルニ對シ
石炭購買費消耗品費等ヨリ流用シ多額
ノ慰勞金ノ支出ヲ爲セルカ如キハ豫算
ノ使用其ノ宜シキヲ得ス依テ本件ハ不
當ナリトス
大藏省所管印刷局
歲出
第一款印刷局作業費
第二項事業費
(三一)內閣印刷局ノ支出ニ係ル(會計
檢査院報告一)
円
六二六、二二四·〇〇〇
右ハ官吏以下ニ對シ慰勞金トシテ支給
セルモノナルモ本項豫算中慰勞金トシ
テ積算セルハ貳拾八萬四千餘圓ナルニ
對シ多額ノ慰勞金ノ支出ヲ爲シ就中動
力費及材料品費ヨリ流用セルカ如キハ
豫算ノ使用上妥當ノ措置ニ非ス依テ本
件ハ不當ナリトス
大藏省所管專賣局
歲出
第一款專賣局作業費
第一項俸給
(三二)專賣局ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告一)
円
三一、五八四·八〇〇
右ハ大藏本省ニ勤務スル專賣局書記ニ
對シ支給セル俸給及慰勞金竝大藏政務
次官以下大藏本省所屬官吏ニ對シ支給
セル慰勞金ニシテ此等官吏ハ專賣局事
務ニ關與スルハ當然ノ職務ナルヲ以テ
之カ爲特ニ本費ヨリ慰勞金ヲ支出スル
カ如キハ不當ナリトス
大藏省所管預金部
歲出
第一款大藏省預金部支出
第一項事務費
(三三)大藏省ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告一)
円
二三、九三八〇〇〇
右ハ官吏以下ニ對シ慰勞金トシテ支給
セルモノナルモ本項豫算中慰勞金トシ
テ積算セルハ僅ナルニ多額ノ慰勞金ノ
支出ヲ爲セルハ妥當ナラサルノミナラ
ス右ノ內官吏ニ對スル慰勞金ノ大部分
ハ大藏本省內各部局官吏ニ對シ支給セ
ルモノニシテ本件ハ不當ナリトス
大藏省所管賠償金
歲出
第一款賠償金支出
第一項事務費
(三四)大藏省ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告一)
円
二二、三八一·〇〇〇
右ハ官吏以下ニ對シ慰勞金トシテ支給
セルモノナルモ本項豫算中慰勞金トシ
テ積算セルハ僅ナルニ多額ノ慰勞金ノ
支出ヲ爲セルハ妥當ナラサルノミナラ
ス右ノ內官吏ニ對スル慰勞金ノ大部分
ハ大藏本省內各部局官吏ニ對シ支給セ
ルモノニシテ本件ハ不當ナリトス
海軍省所管海軍工廠資金
歲出
第一款材料物品費
第一項材料物品費
(三五)佐世保海軍工廠ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告一)
円
二六、二三七·三九〇
右ハ日本特殊鋼合資會社ヨリ隨意契約
ニ依リ購入シタル「タルピン」翼素材不
銹鋼ノ代價ニシテ本件ハ物品ノ購入ニ
當リ措置其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ不利
ヲ及ホシタルモノニシテ不當ナリトス
文部省所管帝國大學
歲入經常部
第一款東京帝國大學
第三項諸收入
(三六)東京帝國大學ニ於テ收入未濟ニ
屬スルモノ(會計檢査院報〓一)
円
一二、五七一·三八〇
右ハ東京府西巢鴨町巖本某ニ貸付セル
同町所在官有地ニ對スル貸付料總額ノ
內滯納ニ屬スルモノニシテ本件ハ買收
上種々ノ事情アリトスルモ之カ爲本件
貸付料ノ徵收ヲ猶豫スヘキ事由ナク又
前所有者ヨリ借地人ニ對スル權利讓渡
ノ通知書ハ旣ニ發送濟ナルニ拘ラス買
收後漸ク徵收ヲ開始シ而シテ多額ノ未
收入ヲ生セシメタルカ如キハ歲入徵收
上怠慢ノ甚シキモノニシテ不當ナリト
ス
(三七)東京帝國大學ニ於テ歲入ニ編入
スヘキモノ(會計檢査院報〓二)
三、九〇〇·〇〇〇
右ハ東京帝國大學書記矢野某カ學位論
文關係事務擔任中審査手數料ヲ收受シ
收入官吏ニ引繼ヲ爲スノ慣例ナリシヲ
奇貨トシ收受シタル右手數料ノ引繼ヲ
爲サス橫領費消シタル總額ノ內ニシテ
本件ハ監督其ノ宜シキヲ得サリシニ因
ルモノニシテ不當ナリトス
第三款東北帝國大學
第二項諸收入
(三八)東北帝國大學ニ於テ歲入ニ編入
スヘキモノ(會計檢査院報〓三)
円
六二〇·〇〇〇
右ハ東北帝國大學書記德江某カ事務擔
當中學生生徒ヨリ收納シタル授業料〓
究料等橫領費消セシニ因ルモノニシテ
本件ハ監督其ノ宜シキヲ得サリシニ因
ルモノニシテ不當ナリトス
商工省所管製鐵所
作業勘定
歲出
第一款製鐵所作業費
第二項事業費
(三九)製鐵所ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告二)
円
五一五、八一八·〇〇〇
右ハ官吏ニ對シ慰勞手當トシテ支給シタ
ルモノナルモ官吏ニ對スル慰勞手當ノ豫
算額ハ拾五萬餘圓ニ過キサルニ多額ノ
支出ヲ爲セルハ妥當ナラサルノミナラ
ス且特別會計ヨリ慰勞手當ヲ支給スル
カ如キハ豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得ス
依テ本件ハ不當ナリトス
鐵道省所管帝國鐵道
資本勘定
歲出
第一款鐵道建設及改良費
第一項建設費
(四〇)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告一)
円
三、三四二、一五一〇九〇
右ハ官吏以下一般從業員ニ對シ支給シ
タル定期賞與竝退職特別賜金及同手當
等ニシテ本件ハ豫算額ヲ超過シテ支給
シ又特別賜金及手當等ノ支給額ハ各省
一般官吏ニ比シ著シク均衡ヲ失シ豫算
ノ使用其ノ宜シキヲ得ス依テ不當ナリ
トス
第二項改良費
(四一)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告三)
円
一三〇、〇七三·九七〇
右ハ幡生工場新設土工其ノ他豫定工事
費ノ內ニシテ本件工事ハ山陽線幡生驛
隣接地ニ工場新設ニ伴フ道路及水路ノ
變更ニ當リ注意ノ周到ヲ缺キ其ノ結果
之カ善後策ヲ講スルカ爲工事費ヲ支拂
ヒタル儘久シキニ亙リ工事ノ中止ヲ爲
スノ已ムナキニ至リ且都市計畫路線變
更ノ爲要スヘキ工事費ヲ負擔セサルヘ
カラサルニ至リタルモノニシテ不當ナ
リトス
(四二)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告四)
七、八一六·二八〇
右ハ大阪改良事務所所屬職員ノ俸給及
給料ノ支拂ニ當リ妹尾某カ繰替拂出納
官吏ヨリ騙取シタルモノニシテ本件ハ
不當ナリトス
用品勘定
歲出
第一款鐵道用品及工作費
第一項用品及工作費
(四三)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告五)
円
六五四、二〇一·〇〇〇
右ハ淺野小倉製鋼所外七會社ヨリ購入
セル普通鋼材代價ニシテ本件ハ購入鋼
材ニ對シ年度初頭ノ協定單價ヲ改定セ
ス其ノ儘繼續シタルハ失當ニシテ鋼材
ノ購入ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得ス國
庫ニ損失ヲ及ホシタルモノニシテ不當
ナリトス
(四四)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告八)
一、八三三·〇〇〇
右ハ工場技工及工手給料トシタルモ其
ノ實門司鐵道局綾部某カ關係書類ヲ僞
造シ騙取シタル總額ノ内ニシテ本件ハ
虚構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲シタルモノ
ニシテ不當ナリトス
拓務省所管朝鮮總督府
歲入經常費
第一款租稅
第三項營業稅
(四五)京城府ニ於テ徵收不足ニ屬スル
モノ(會計檢査院報告二)
円
一、二一二·五九〇
右ハ株式會社京城德力ノ物品販賣業課
稅標準ヲ決定スルニ當リ其ノ賣上金額
ヲ賣上高ヨリ換算シタル一箇年賣上高
ノ增額ヲ認メサルヲ得サルニ至リタル
ニ因ルモノニシテ不當ナリトス
第七項官有物貸下料
(四六)釜山府ニ於テ收入未濟ニ屬スル
モノ(會計檢査院報〓五)
円
一七、九九五·〇九〇
右ハ釜山府本町一丁目所在官有地ヲ朝
鮮水產輸出株式會社ニ貸付タル料金ト
シテ本年度ニ於テ調定ノ手續ヲ爲シタ
ルモノナルモ本件會社ノ事業ハ公益事
業ニ非サルヲ以テ土地ニ對シ有料貸付
ノ手續ヲ爲スヘキモノニシテ長期ニ亙
リ貸付料ノ決定ヲ爲ササリシカ如キハ
措置緩慢ニ失ス依テ不當ナリトス
歲出臨時部
第六款土木費
第三項治水事業費
(四七)全羅北道ノ支出ニ係ル(會計檢
査院報告七)
円
一八、八二〇·二〇〇
右ハ萬頃江改修用地トシテ全羅北道全
州郡草浦面朴南圭ヨリ買收シタル同道
金堤郡孔德面楮山里ノ代金ニシテ本件
ハ土地ノ買收ニ關シ監督其ノ宜シキヲ
得ス國庫ニ損失ヲ及ホシタルモノニシ
テ不當ナリトス
第十三款耕地改良及擴張費
第三項助成費
(四八)朝鮮總督府ノ支出ニ係ル(會計
檢査院報〓八)
円
一三六、八一〇〇〇
右ハ京畿道金浦郡金浦水利組合ニ對シ
土地改良事業補助トシテ支給シタル金
額ナルモ同組合ハ事業費總額百九拾壹
萬五千餘圓ヲ以テ灌漑改善ヲ行ハムト
スルモノニシテ五年度事業費ヲ査定シ
之ニ對シ補助金ヲ支給シタルモ主タル
工事ニ著手セス事業中止ノ狀態ニシテ
全ク工事實施ノ計畫ナク隨テ本件補助
金ノ交付ハ其ノ目的ニ副ハサルモノト
認メラル依テ不當ナリトス
第三十一款朝鮮師團對抗演習諸費
第一項朝鮮師團對抗演習諸費
(四九)朝鮮總督府遞信局ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告九)
円
五五、一八二·四七〇
右ハ師團對抗演習ニ關シ臨時通信上必
要アリトシ施設シタル工事費ニシテ右
ノ內永登浦水原間、京城廣州間及淮陽
高城間ノ各區間ニ對シ豫定工事費ヲ以
テ電柱建替工事ヲ演習終了後ニ於テ施
行シタルハ妥當ナラス而シテ電線增架
ノ結果永ク其ノ負荷ニ堪ヘサル爲恒久
的施設ヲ爲スノ必要ニ出テタモノトセ
ハ別途豫算ヲ以テ施行スルト相當トシ
本費ノ支辨ト爲スヘキモノニ非ス本件
ハ豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得サルモノ
ニシテ不當ナリトス
拓務省所管臺灣總督府
歲入經常部
第四款雜收入
第二項懲罰及沒收金
(五〇)臺灣總督府ニ於テ收入ニ至ラサ
ルモノ(會計檢査院報告一一)
円
二、三七〇〇 一
右ハ臺灣總督府法院書記岡本某カ罰金
科料トシテ領收セル現金ヲ橫領費消シ
タル總額ノ内ニシテ本件ハ監督其ノ宜
シキヲ得サリシニ因ルモノニシテ不當
ナリトス
歲出經常部
第九款中央〓究所
第二項事業費
(五一)臺灣總督府中央〓究所ノ支出ニ
係ル(會計檢査院報告三)
円
五七一·六〇〇
右ハ中央〓究所平鎭茶業試驗支所ニ於
ケル事業用品購入代及人夫賃等トシタ
ルモノナルモ其ノ實西〓某カ關係書類
ニ虚僞ノ記載ヲ爲シ騙取シタル總額ノ
內ニシテ本件ハ虛構ノ事實ニ對シ支拂
ヲ爲シタルモノニシテ不當ナリトス
第十六款諸支出金
第一項諸支出金
(五二)臺灣總督府稅關ノ支出ニ係ル(會
計檢査院報告四)
円
七、二三四·二六〇
右ハ合名會社新合發材木商行代表者中
野某ニ對シ拂戾シタル關稅ニシテ右會
社ノ代理人カ仕入書ヲ僞造行使シテ關
稅ノ差額ヲ逋脫シタルニ對シ前揭關稅
ヲ追徵シタルモノナルニ再ヒ之カ拂戾
ヲ爲シタルモノナリ尙右ノ外同樣ノモ
ノアリ本件ハ關稅法規ノ解釋ヲ誤リ徵
收濟ニ係ル關稅ノ拂戾ヲ爲シタルモノ
ニシテ不當ナリトス
第四項治水事業費
(五三)高雄州ノ支出ニ係ル(會計檢查
院報告六)
円
一二、五八二·一四〇
右ハ下淡水溪治水工事ニ伴フ用地買收
代金トシタルモノナルモ其ノ實田中某
カ土地賣渡證其ノ他ノ關係書類ヲ僞造
シ騙取シタル總額ノ內ニシテ本件ハ虛
構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲シタルモノニ
シテ不當ナリトス
拓務省所管關東廳
歲入經常部
第一款租稅
第三項所得稅
(五四)大連民政署ニ於テ徵收不足ニ屬
スルモノ(會計檢査院報〓一)
円
四、三九八·六五〇
右ハ株式會社大連機械製作所事業年度
分所得額ヲ決定スルニ當リ假受金中ニ
包含スル當期ノ利益金ヲ脫漏シタルニ
因ルモノニシテ本件ハ不當ナリトス
第二款官業及官有財產收入
第三項土地家屋貸下料
(五五)大連民政署ノ徵收ニ係ル(會計
檢査院報告二)
円
五、八七九·八四〇
右ハ日華土地建物株式會社ニ對シ貸付
シタル大連市新起街地外四筆宅地及王
陽街地外一筆宅地計五千餘坪ノ本年
度竝前年度貸付料中收入ニ係ルモノニ
シテ貸付料ハ未タ發展セサル時期ニ於
テ之ヲ定メタルモノニ係リ既ニ相當繁
榮ヲ來セル現狀ニ適應セサルモノナル
ヲ以テ料金ハ低廉ニ失スルモノト認メ
ラル本件ハ土地貸付ニ關シ措置宜シキ
ヲ得ス不當ナリトス
歲入經常部
第一款官有物拂下代
第一項官有物拂下代
(五六)大連民政署ニ於テ收入未濟ニ屬
スルモノ(會計檢査院報〓三)
円
六三四、九一四·五〇〇
右ハ大連中央土地株式會社外十名ニ賣
渡シタル大連市所在宅地ノ代金年賦
總額百六拾六萬餘圓ノ內ニシテ買受人
ニ對シ孰モ土地ノ引渡ヲ了セルニ多年
ニ亙リ收入ニ至ラサルモノアルカ如キ
ハ歲入徵牧上措置其ノ宜シキヲ得サル
モノニシテ不當ナリトス
拓務省所管樺太廳
歲入經常部
第一款租稅
第二項所得稅
(五七)樺太廳泊居支廳ニ於テ徵收不足
ニ屬スルモノ(會計檢査院報〓
円
一)三、五〇二·一七〇
右ハ樺太工業株式會社事業年度ノ所得
額ヲ決定スルニ當リ惠須取工場ニ於ケ
ル製紙用「パルプ」製〓業所得中六萬六
千餘圓ニ對シ免稅シタルニ因ルモノニ
シテ該工場ノ設置ハ製紙用「パルプ」製
造業ノ擴張ニ屬シ樺太所得稅令ニ所謂
開業ト認メ難キヲ以テ免稅スヘキモノ
ニ非ス依テ本件ハ不當ナリトス
第二款官業及官有財產收入
第六項森林收入
(五八)樺太廳泊居支廳ノ徵收ニ係ル(會
計檢査院報告二)
円
五三、三〇六·七二〇
右ハ名好郡惠須取町佐藤某ニ對シ樺太
國有森林原野產物特別處分令ニ依リ島
外移出用材トシテ拂下ケタル鵜城事業
區國有林所在椴松蝦夷松生立木同燒損
木ノ代金ニシテ本件ハ當初調査ノ粗漏
ニ基因スルモノト認メラルルモノニシ
テ林木ノ拂下ニ當リ措置其ノ宜シキヲ
得ス依テ不當ナリトス
歲入臨時部
第一款官有物拂下代
第一項官有物拂下代
(五九)樺太廳ノ徵收ニ係ル(會計檢査
院報告三)
円
三、二五八·五〇〇
右ハ樺太製麻株式會社ニ對シ製麻工場
用地トシテ賣拂ヒタル豐原郡豐原町大
字南豐原區劃外國有未開地ノ代價ニシ
テ本件ハ土地ノ拂下ニ當リ價格ノ決定
其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ不利ヲ及ホシ
タルモノニシテ不當ナリトス
官有物
(六〇)國有地交換ノ件(會計檢査院報
〓一)
東京府豐多摩郡大久保町所在鐵道省用
地戶山ケ原操車場豫定敷地ノ內價格貳
拾九萬餘圓ト同操車場像定敷地ニ接續
セル西武鐵道株式會社所有地價格貳拾
參萬餘圓ト交換シ差金六萬餘圓ヲ徴收
スルト共ニ交換受地所在物件移轉料ト
シテ拾壹萬餘圓ヲ支拂ヒタルモノアリ
右評價竝地上物件移轉料ノ支拂其ノ當
ヲ得サルモノニシテ彼此權衡ヲ得タル
モノト認ムルヲ得ス本件ハ土地交換ニ
當リ措置其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失
ヲ及ホシタルモノニシテ不當ナリトス
(六一)國有財產ノ管理ノ件(會計檢査
院報〓二)
東京鐵道局ニ於テ隅田川驛構內北部第
二船渠附近荷役場二千八百餘坪及東橫
濱驛構內岸壁寄ノ一部ヲ石炭置場トシ
テ稻垣某外數名ニ無料使用セシメアル
モノアリ右ハ相當料金ヲ徵收シ使用許
可ヲ爲スヘキモノニシテ石炭著荷ニ從
ヒ使用坪數ヲ增加シ無料使用ヲ爲サシ
ムルカ如キハ國有財產ノ管理其ノ宜シ
キヲ得サルモノニシテ不當ナリトス
(六二)官有地ノ管理ノ件(會計檢査院
報〓三)
臺中、臺南兩州ニ於テ濁水溪治水工事ニ
因リ浮復シタル新生地臺中州管內臺南
州管內合計七千八百餘甲アリ右ノ內千
七百餘甲ハ臺中州ニ對シ貸付中ニ屬ス
ルモ爾餘ノ地域ニ在リテハ隨所ニ無斷
開墾行ハレ其ノ面積四千餘甲ニ上レル
如キニ拘ラス多年ニ亙リ何等ノ措置ヲ
講セサルハ官有地ノ管理其ノ宜シキヲ
得サルモノトス其ノ處分如何ハ本島統
治政策上重大ナル關係ヲ有シ根本的處
分方針ヲ確立スルニ至ラサリシトスル
モ本件ノ如キ大面積ニシテ開墾ニ適シ
且周圍ノ事情無斷開墾容易ナルモノニ
對シ取締ノ方法ヲ講セス永年ニ亙リ之
ヲ放任シ何等機宜ノ措置ヲ爲ササリシ
カ如キハ官有地ノ管理其ノ宜シキヲ得
サルモノニシテ不當ナリトス
(六三)官有地處分ノ件(會計檢査院報
〓四)
樺太廳ニ於テ大泊町ニ對シ同町所在市
街官有地三千餘坪此ノ推定價格七萬參
千餘圓ヲ讓與シタルモノアリ
同町ニ於テ成就シタリト爲ス店鋪其ノ
他百餘戶中町ニ於テ公設シ公共ノ用ニ
供セルハ消防番屋及器具置場ニ過キス
爾餘ハ素地ノ儘一般ニ有償轉貸シ之カ
貸付料年額壹萬圓ヲ超過セルガ如キハ
營利ヲ目的トセサル公共ノ利益ト爲ル
ヘキ事業ニ供スルモノト認ムルヲ得ス
依テ本件ハ樺太官有財產管理規則ニ違
背シタルモノニシテ不法ナリトス
旣往年度
昭和二年度
一般會計
歲入經常部
第三款官業及官有財產收入
第二項森林收入
C北海道廳釧路營林區署ニ於テ歲入
ニ編入スヘキモノ(會計檢査院報
円
〓一)一八、一一三·九八〇
右ハ北海道廳森林主事岩間某カ關係書
類ヲ僞造シ同署長ヲ欺キ賣拂處分ヲ爲
サシメ又ハ不正ニ極印ヲ打記シテ盜伐
セシメ若ハ盜伐ヲ默認シタル立木ノ價
格貮萬餘圓ノ內ニシテ本件ハ監督其ノ
宜シキヲ得サリシニ因ルモノニシテ不
當ナリトス
特別會計
大藏省所管
臺灣總督府
歲入經常部
第一款租稅
第七項所得稅
(二)高雄州ニ於テ徵收不足ニ屬スルモ
ノ(會計檢査院報告二)
円
一六、〇九四·八三〇
右ハ高雄市陳某及其ノ同居家族ノ所得
額ヲ決定スルニ當リ新興製糖株式會社
ヨリ陳某ニ支給シタルモノト認定シタ
ル賞與ノ性質ヲ有スル給與ヲ脫漏シタル
ト所得額決定ノ際陳中和物產株式會社
ヨリ同人ニ支給シタルモノト認定シタ
ル賞與ノ性質ヲ有スル給與ヲ脫漏セル
ヲ以テ臺灣所得稅令ニ依リ本年度ニ於
テ追加決定スヘキモノナルニ之ヲ爲サ
サリシニ因ルモノニシテ不當ナリトス
昭和三年度
一般會計
歲入經常部
第一款租稅
第一項所得稅
(三)栃木稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告三)
円
七、〇四九·三一〇
(四)品川、淀橋兩稅務署ニ於テ徵收不
足ニ屬スルモノ(會計檢査院報〓
同上)六、三七二·三六〇
(1五)品川稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告同上)
三、八六三·〇〇〇
(六)兩國橋稅務署ノ徵收不足ニ屬スル
モノ(會計檢査院報告同上)
二、七六〇·二四〇
同署ノ徵收不足ニ屬スルモノ
九二六·一四〇
(+)京橋稅務署ノ徵收過ニ屬スルモノ
(會計檢査院報告同上)
二、七六一·三五〇
同署ノ徵收過ニ屬スルモノ
一、九八八·一七〇
右ハ孰モ取扱ノ過誤ニ因リ徵收上過不
足ヲ生セシメタルモノニシテ不當ナリ
トス
陸軍省所管
歲出經常部
第二款軍事費
第一項俸給
八第一師團經理部ノ支出ニ係ル(會
計檢査院報告四)
円
一七、五七一·七六〇
右ハ俸給賞與旅費雜費等トシタルモノ
ナルモ其ノ實陸軍一等計手石橋某カ關
係書類ヲ僞造シ騙取シタル總額ノ內ニ
シテ本件ハ虛構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲
シタルモノニシテ不當ナリトス
昭和四年度
一般會計
歲入經常部
第一款租稅
第一項所得稅
{LV兩國橋、上京兩稅務署ノ徵收ニ係
ル(會計檢査院報〓五)
円
一四一、二八八·八四〇
營業收益稅ニ於テ兩國橋稅務署ノ
徵收ニ係ル
一四、五七六·九八〇
右ハ株式會社龍紋氷室ノ最終事業年度
分所得稅額及營業收益稅額竝京都市上
京區山田某ノ所得稅額ニシテ本件ハ租稅
ノ賦課徴收上措置其ノ宜シキヲ得サル
モノニシテ不當ナリトス
(一〇)永代橋稅務署ニ於テ徵收不足ニ
屬スルモノ(會計檢査院報告六)
二七、四一五·二八〇
(一一)南稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告同上)
四、八六八·三〇〇
(一二)幸橋外十二稅務署ニ於テ徵收不
足ニ屬スルモノ(會計檢査院報
〓同上)三、八五一·五二〇
(一三)永代橋稅務署ノ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告同上)
二、一九六·三八〇
營業收益稅ニ於テ同署ノ徵收不
足ニ屬スルモノ
二九五·五六〇
(一四)橫濱稅務署ノ徵收過ニ屬スルモ
ノ(會計檢査院報告同上)
二、七三九·〇六〇
營業收益稅ニ於テ同署ノ徵收過
ニ屬スルモノ
一、〇九五·六三〇
右ハ孰モ取扱ノ過誤ニ因リ徵收上過不
足ヲ生セシメタルモノニシテ不當ナリ
トス
第三項營業收益稅
(一五)神田橋稅務署ニ於テ徵收過ニ屬
スルモノ(會計檢査院報〓七)
円
三、九二八·九四〇
右ハ南朝鮮鐵道株式會社事業年度分營
業純益額ヲ決定スルニ當リ稅法施行地
外ヨリ生スル純益拾萬九千餘圓ヲ稅法
施行地內ヨリ生シタルモノト誤認シタ
ルニ因ルモノナリ依テ本件ハ不當ナリ
トス
第五項相續稅
(一六)上京稅務署ニ於テ徵收ニ係ル(會
計檢査院報告八)
円
二、二五六·七七〇
右ハ京都市上京區山口某外四名ノ相續
稅課稅價格參拾壹萬貳千餘圓ニ對スル
稅額壹萬五千餘圓ノ內本年度所屬年賦
延納額トシテ徵收シタルモノナリ本件
ハ課稅價格ノ決定上措置其ノ宜シキヲ
得ス徴收不足ヲ生セシメタルモノニシ
テ不當ナリトス
陸軍省所管
歲出經常部
第二款軍事費
第一項俸給
(一七)第一師團經理部ノ支出ニ係ル(會
計檢査院報〓)
円
一三、三一四·一五〇
右ハ俸給旅費雜費等トシタルモノナル
モ其ノ實陸軍一等計手石橋某カ關係書
類ヲ僞造シ騙取シタル總額ノ內ニシテ
本件ハ虚構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲シタ
ルモノニシテ不當ナリトス
拓務省所管
朝鮮總督府
歲出經常部
第十六款專賣局
第二項事業費
(一八)朝鮮總督府專賣局ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報〓十二)
円
六、四四二·三四〇
右ハ鹽包裝用繩及叺購入代トシタルモ
ノナルモ其ノ實同局鎭南浦出張所本田
某カ書類ヲ僞造シ騙取シタルモノニシ
テ右ノ外同人カ現金ヲ騙取シタルモノ
アリ本件ハ虛構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲
シタルモノニシテ不當ナリトス
臺灣總督府
歲出經常部
第九款中央〓究所
第二項事業費
(一九)臺灣總督府中央〓究所ノ支出ニ
係ル(會計檢査院報告十三)
円
二、一四四·〇五〇
右ハ中央〓究所平鎭茶業試驗支所ニ於
ケル事業用品購入代及人夫賃等トシタ
ルモ其ノ實西〓某カ騙取シタル總額ノ
內ニシテ本件ハ虛構ノ事實ニ對シ支拂
ヲ爲シタルモノニシテ不當ナリトス
警告
一般會計
遞信省所管
歲出臨時部
第五款電話交換擴張費
第二項事業費
(一)遞信省ノ支出ニ係ル(會計檢査院
報告一)
円
二五四、三一三·九三〇
右ハ大阪中央電話局南分局新築其ノ他
工事竝附屬設備ニ要シタル費額貳拾九
萬貳千餘圓ノ內ニシテ本件ハ本費支辨
ト爲スヘキモノニアラス依テ警告ス
(二)遞信省ノ支出ニ係ル(會計檢査院
報〓二)
七六、七五四·二三〇
右ハ株式會社ヒーリング商會ヨリ隨意
契約ニ依リ購入シタル蘆屋郵便局電話
加入者增設用SB型自働交換裝置一千
囘線分ノ代金ニシテ本件ハ物品ノ購入
ニ當リ措置其ノ宜キヲ得ス國庫ニ損失
ヲ及ホシタルモノナリ依テ警告ス
特別會計
鐵道省所管帝國鐵道
資本勘定
歲出
第一款鐵道建設費及改良費
第一項建設費
(三)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査院
円
報告二)三七、一七〇·五〇〇
右ハ株式合資會社西村組ニ請負ハシメ
タル札沼線沼田口第三工區土工其ノ他
工事ニ於ケル築堤ノ工費八萬貳千餘圓
ノ內ニシテ本件ハ工事ノ設計變更ニ當
リ措置宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及ホ
シタルモノナリ依テ警告ス
( 内)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査院
報告六)四九、二六一·五五〇
右ハ島根縣安來町並河某外四名ト契約
シタル長枕木一萬五千餘梃ノ購入代價
ニシテ本件ハ物品ノ購入ニ當リ單價ノ
決定其ノ宜シキヲ得サルモノナリ依テ
警告ス
(五)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査院
報告七)二五、七二〇·〇〇〇
右ハ名古屋鐵道局ニ於テ購入セル軌條
交換ニ伴フ信號線路變更工事用軌條絕
緣日沙幸榮合同型及名鐡型ノ代價ニシ
テ本件ハ物品ノ購入ニ關シ措置其ノ宜
シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及ホシタルモ
ノナリ依テ警告ス
第三項諸拂戾及立替金
(六)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査院
報告十)
円
一二〇、二五三·六三〇
右ハ大日本人造肥料株式會社外一會社
ニ對シ東北本線王子支線ニ依ル託送貨
物ノ運賃割戾金トシテ支拂ヒタル貳拾
八萬餘圓ノ內ニシテ本件ハ運賃割戾金
ヲ以テ其ノ實新線路ノ建設費ニ充當シ
タルモノナリ依テ警告ス
拓務省所管朝鮮總督府
歲入經常部
第三款官業及官有財產收入
第三項森林收入
(+)朝鮮總督府ノ徵收ニ係ル(會計檢
査院報〓四)
円
八、七七六·六〇〇
右ハ朝鮮窒素肥料株式會社カ咸鏡南道
新興郡東上面所在三水嶺國有林ニ於テ
誤伐シタル朝鮮「カラマツ」ニ對スル賠
償金トシテ納入セシメタルモノニシテ
本件ハ賠償金額ノ算定其ノ宜シキヲ得
ス依テ警告ス
注意事項
一般會計
歲入經常部
第三款官業及官有財產收入
第二項森林收入
(一)北海道廳河西支廳ノ徵收ニ係ル
(會計檢査院報告十)
円
一七、五一七·〇六〇
右ハ北海道廳ニ於テ池田町ニ對シ共同
薪炭備林トシテ植樹ノ目的ヲ以テ特賣
シタル國有未開地及其ノ地上立木ノ代
價貳萬七千餘圓ノ內ニシテ本件ハ國有
未開地ノ處分ニ當リ地上立木ノ算定其
ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及ホシタ
ルモノニシテ注意ヲ促ス
內務省所管
歲出臨時部
第四十四款震災復舊費補助
第一項震災土木費補助
(二)神奈川縣ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告三)
円
三、一八八·三五〇
右ハ神奈川縣ニ於テ施行ニ係ル同縣足
柄下郡宮城野村木賀地先國道第二號外
七十箇所ノ道路及護岸復舊工事費貳拾
五萬九千餘圓ニ對シ交付セル國庫補助
金貳拾貳萬餘圖ノ内ニシテ本件ハ本項
豫算ノ目的外ニ屬スルノ嫌アリ依テ注
意ヲ促ス
陸軍省所管
歲出臨時部
第十一款地圖製造費
第一項拂下地圖製造費
(C)第一師團經理部ノ支出ニ係ル(會
計檢査院報〓一)
円
八、八五八〇〇〇
右ハ陸地測量部ニ於テ拂下地圖製造用
材料トシテ購入シタル三菱製特製地圖
用紙ノ代價ニシテ本件ハ物品ノ購入ニ
當リ其ノ宜シキヲ得ス依テ注意ヲ促ス
特別會計
大藏省所管印刷局
歲出
第一款印刷局作業費
第三項材料素品費
124內閣印刷局ノ支出ニ係ル(會計檢
査院報告二)
円
一三、五〇九·七四〇
右ハ東洋インキ製造株式會社ト購入契
約ヲ爲ウ四年度末受入レタル護謨液田
「アラビヤ」護謨ノ代價ニシテ本件ハ物
品ノ購入ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得ス
國庫ニ損失ヲ及ホシタルモノニシテ注
意ヲ促ス
大藏省所管專賣局
歲出
第一款專賣局作業費
第二項事業費
(五)廣島外一地方專賣局ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告二)
円
七七、五三八·六六〇
右ハ日本〓鹽囘送株式會社ト締結シタ
ル運送契約ニ依リ廣島地方專賣局管內
瀨戶田、三田尻、竹原、尾道、松永、
伯方、平生及坂出地方專賣局各收納官
署ヨリ金澤地方專賣局及同局管內伏木、
富山各販賣官署ニ囘送シタル內地鹽千
五百萬餘斤ニ對スル運賃ニシテ本件ハ
內地鹽ノ囘送ニ當リ措置其ノ宜シキヲ
得サルモノニシテ注意ヲ促ス
第四項專賣品賠償及購買費
(六)東京外一地方專賣局ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告三)
円
四三八、九八四·〇四〇
右ハ昭和五年度中東亞煙草株式會社ヨ
リ購入ニ係ル兩切紙卷煙草「ラヂオ」八
十九萬餘本「ロビン」八千九百六萬餘本
「ハツピー」三千百八萬餘本ニ對スル代
價ニシテ本件購入價格ノ決定其ノ宜シ
キヲ得サルモノニシテ注意ヲ促ス
商工省所管製鐵所
用品勘定
歲出
第一款製鐵所用品及工作費
第二項用品及工作費
(七)製鐵所東京出張所ノ支出ニ係ル(會
計檢査院報告一)
円
三八三、二〇〇〇〇〇
右ハ三菱商事株式會社外一會社ヨリ購
入セル十二瓲鑛石荷揚起重機機體四臺
ノ代價ニシテ本件ハ物件ノ購入ニ當リ
特ニ分割購入ヲ爲シ國庫ニ不利ヲ及ホ
シタルモノニシテ注意ヲ促ス
鐵道省所管
收益勘定
歲出
第一款鐵道作業費
第一項事業費
八鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査院
報〓九)
円
七、〇五七、九三四·八六〇
右ハ本年度中省線各譯ニ於テ取扱ニ係
ル特別小口扱貨物ノ集貨配達料トシテ
國際通運株式會社ニ支拂ヒタル請負料
金ニシテ本件ハ特別小口扱貨物集配料
金ノ決定其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失
ヲ及ホシタルモノニシテ注意ヲ促ス
拓務省所管朝鮮總督府
歲入經常部
第三款官業及官有財產收入
第三項森林收入
(九)朝鮮總督府ノ徵收ニ係ル(會計檢
査院報告三)
円
三四、〇二九·四六〇
右ハ大阪市港區北村某ニ賣却セル落葉
松丸太一萬三千餘締ノ代價ニシテ本件
ハ木材ノ賣却ニ當リ措置其ノ宜シキヲ
得ス國庫ニ損失ヲ及ホシタルモノニシ
テ注意ヲ促ス
歲出經常部
第十九款遞信費
第二項遞信事業費
(一〇)朝鮮總督府遞信局ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告六)
円
一一六、一五四·一五〇
右ハ電信電話工事用「ケーブル」類ノ代
金ニシテ外ニ朝鮮師團對抗演習諸費ニ於
テ四千四百餘圓ヲ支出セルモノアリ本
件ハ物品ノ購入ニ當リ措置其ノ宜シキ
ヲ得ス國庫ニ損失ヲ及ホシタルモノニ
シテ注意ヲ促ス
拓務省所管臺灣總督府
歲入經常部
第二款官業及官有財產收入
第十一項官有物貸下料
(一一)臺中州ノ徵收ニ係ル(會計檢査
院報告一)
円
四、四八〇·六二〇
右ハ臺中州彰化郡福興庄外一庄所在官
有原野五百十一甲餘ヲ新高製糖株式會
社ニ貸付セル料金ニシテ本件ハ官有原
野ノ處分ニ當リ賣拂價格及貸付料ノ決
定低廉ニ失シタルモノニシテ注意ヲ促
ス
歲出臨時部
第一款事業費
第二項鐵道改良費
(一二)臺灣總督府交通局鐵道部ノ支出
ニ係ル(會計檢査院報告五)
円
一二、九八八·一七〇
右ハ臺北市加葉某ニ請負ハシメタル基
隆驛擴張ニ伴フ高架公道橋新設工事費
六萬七千餘圓ノ內ニシテ本件ハ設計變
更ニ當リ單價ノ協定妥當ヲ缺キ國庫ニ
損失ヲ及ホシタルモノニシテ注意ヲ促
ス
旣往年度(昭和四年度)
一般會計
歲入經常部
第三款官業及官有財產收入
第二項森林收入
(一三)北海道廳河西支廳ノ徵收ニ係ル
(會計檢査院報告九)
円
五、〇〇〇·〇〇
右ハ北海道廳ニ於テ池田町ニ對シ特賣
シタル國有未開地及生立木「カツラ」外
三種ノ代價貳萬七千餘圓ノ內ニシテ之
カ拂下ニ當リ地上立木ノ算定其ノ宜シ
キヲ得ス國庫ニ損失ヲ及ホシタルモノ
ニシテ注意ヲ促ス
特別會計
大藏省所管專賣局
歲出
第一款專賣局作業費
第四項專賣品賠償及購買費
(一四)東京外一地方專賣局ノ支出ニ係
ル(會計檢査院報告十一)
円
四九〇、一七九·五九〇
右ハ東亞煙草株式會社ヨリ購入ニ係ル
兩切紙卷煙草「ラヂオ」「ロピン」「ハツ
ビー」ニ對スル代價ニシテ本件ハ製造
煙草購入ニ當リ價格ノ決定其ノ宜シキ
ヲ得ス國庫ニ損失ヲ及ホシタルモノニ
シテ注意ヲ促ス
政府ノ辯明ヲ認メタルモノ
特別會計
拓務省所管朝鮮總督府
報〓五朝鮮總督府ノ徵收ニ係ルモノ
報〓書
一昭和六年度歲入歳出總決算、昭和六年
度各特別會計歲入歲出決算
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通議決スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
昭和八年三月十六日
決算委員長山崎猛
衆議院議長秋田〓殿
〔別紙〕
不當ナルモノ
昭和六年度歲入歲出總決算中
歲入ニ於テ
不當ナルモノ十七件
歲出ニ於テ
不當ナルモノ十二件
昭和六年度各特別會計歲入歲出決算中
歲入ニ於テ
不當ナルモノ五件
歲出ニ於テ
不當ナルモノ十九件
合計五十三件
旣往年度(昭和二年度、昭和四年度及昭
和五年度)
一般會計
歲入ニ於テ
不當ナルモノ八件
特別會計
歲入ニ於テ
不當ナルモノ二作
歲出ニ於テ
不當ナルモノ二件
合計十二件
總計六十五件
昭和六年度歲入歲出總決算及同特別會計
歲入歲出決算中不當ナリト議決シタル事
項左ノ如シ
不當ナルモノ
一般會計歲入ニ於テ
租稅及租稅外歲入ノ徵收ニ關シ監督宜シ
キヲ得サルモノ五件
租稅ノ徵收不足ニ屬スルモノ九件
租稅ノ徵收過ニ屬スルモノ二件
租稅ノ賦課徴收ニ關シ措置宜シキヲ得サ
ルモノ件
計十七件
一般會計歲出ニ於テ
工事ノ施行ニ當リ措置宜シキヲ得サルモ
ノ二件
豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得サルモノ四
件
物品ノ購入ニ當リ措置宜シキヲ得サルモ
ノ二件
補助金ノ支給ニ關シ措置其ノ宜シキヲ得
サルモノ二件
其ノ他不當ナルモノ二件
計十二件
特別會計歲入ニ於テ
租稅外歲入ノ徵收ニ關シ監督宜シキヲ得
サルモノ二件
物件ノ賣拂ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得サ
ルモノ作
運賃ノ徵收ニ關シ措置其ノ宜シキヲ得サ
ルモノ作
誤伐木ノ代金徵收上措置宜シキヲ得サル
モノ件
計五件
特別會計歲出ニ於テ
豫算ノ使用宜シキヲ得サルモノ七件
鹽包裝請負單價ノ決定宜シキヲ得サルモ
ノ件
物件ノ購入ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得サ
ルモノ件
虚構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲シタルモノ
三件
補助金ノ支給其ノ宜シキヲ得サルモノ
件
物件ノ運送契約ニ當リ運賃ノ算定宜シキ
ヲ得サルモノ件
其ノ他不當ナルモノ五件
計十九件
合計五十三件
旣往年度(昭和二年度、昭和四年度及昭
和五年度)
一般會計歲入ニ於テ
租稅ノ徵收不足ニ屬スルモノ七件
租稅ノ徴收過ニ屬スルモノ件
特別會計歲入ニ於テ
租稅ノ徵收不足ニ屬スルモノ二件
特別會計歲出ニ於テ
鹽包裝ノ請負單價決定宜シキヲ得サルモ
ノ件
鹽ノ賣渡ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得サル
モノ件
合計十二件
總計六十五件
警告ヲ附シタル事項左ノ如シ
昭和六年度
一般會計歲出ニ於テ
物品ノ購入ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得サ
ルモノ二件
契約ノ變更ニ當リ請負代金ノ決定宜シキ
ヲ得サルモノ一件
計三件
特別會計歲入ニ於テ
國有財產ノ管理處分其ノ宜シキヲ得サル
モノ件
木材ノ賣拂ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得サ
ルモノ件
立木ノ賣拂價格低廉ニ失スルモノ一件
計三件
特別會計歲出ニ於テ
制度廢止ニ伴フ給與金ノ交付宜シキヲ得
サルモノ件
物件ノ購入及請負作業ノ單價決定其ノ宜
シキヲ得サルモノ件
計二件
官有物ニ於テ
官有地ノ貸付其ノ宜シキヲ得ス且貸付料
金低廉ニ失スルモノ一件
國有林ノ豫約賣渡ニ關シ措置宜シキヲ得
サルモノ一件
計二件
旣往年度(昭和五年度)
一般會計歲入ニ於テ
租稅ノ賦課徵收ニ關シ措置宜シキヲ得サ
ルモノ一件
特別會計歲入ニ於テ
土地ノ賣拂ニ當リ價格ノ評定宜シキヲ得
サルモノ件
計二件
合計十二件
注意事項左ノ如シ
昭和六年度
一般會計歲入ニ於テ
土地ノ賣拂ニ當リ措置宜シキヲ得サルモ
ノ件
特別會計歲出ニ於テ
工事ノ施行ニ當リ措置宜シキヲ得サルモ
ノ件
土地買收ニ當リ價格ノ評定宜シキヲ得サ
ルモノ件
計三件
旣往年度(昭和五年度)
一般會計歲入ニ於テ
土地ノ賣拂ニ當リ措置宜シキヲ得サルモ
ノ件
特別會計歲入ニ於テ
名ヲ未墾地ニ藉リ低廉ナル價格ヲ以テ處
分シタルモノ件
計二件
合計五件
昭和六年度歲入歲出總決算、昭和六年度
各特別會計歲入歲出決算及既往年度末確
定決算中左ノ如ク議決ス
一般會計
歲入經常部
第一款租稅
第一項所得稅
(一)大館稅務署ノ收入ニ至ラサルモノ
(會計檢査院報告一)
円
三一、四七二·一二〇
右ハ稅務署屬佐藤某カ關係書類ニ虛僞
ノ記載ヲ爲シ國稅其ノ他ノ歲入金貳萬
六千餘圓酒稅ノ滯納處分ニ因ル差押物
件ノ公賣代金等四千餘圓ヲ横領シタル
モノニシテ本件ハ監督其ノ宜シキヲ得
サリシニ因ルモノニシテ不當ナリトス
(二)志津川稅務署ノ收入ニ至ラサルモ
ノ(會計檢査院報〓二)
七、四七一·四九〇
右ハ稅務署屬櫻井某カ關係書類ニ虛僞
ノ記載ヲ爲シ國稅其ノ他ノ歲入金六千
餘圓及鑛業稅ノ滯納處分ニ因ル差押物
件ノ公賣代金八百圓ヲ橫領シタルモノ
ニシテ本件ハ監督其ノ宜シキヲ得サリ
シニ因ルモノニシテ不當ナリトス
(三)千葉、松戶兩稅務署ノ收入ニ至ラ
サルモノ(會計檢査院報告三)
八五一·一二〇
右ハ稅務署屬工藤某カ關係書類ニ虛僞
ノ記載ヲ爲シ國稅其ノ他ノ歲入金ヲ橫
領シタル總額千八百餘圓ノ內ニシテ本
件ハ監督其ノ宜シキヲ得サリシニ因ル
モノニシテ不當ナリトス
(四)石卷稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告四)
四、九〇六·三二〇
(五)淀川稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告同上)
三、四一二·七八〇
(ヘ)堺稅務署ノ徵收不足ニ屬スルモノ
(會計檢査院報告同上)
三、三七七·四〇〇
資本利子稅ニ於テ同署ノ徵收不足
ニ屬スルモノ四九七·七六〇
(七)東稅務署ノ徵收不足ニ屬スルモノ
(會計檢査院報告同上)
三、一一九·七九〇
資本利子稅ニ於テ同署ノ徵收不足
ニ屬スルモノ四三二·〇〇〇
八岸和田稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬
スルモノ(會計檢査院報告同上)
三、〇五五·一二〇
(九)茨木稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報〓同上)
二、八二四·三〇〇
(一〇)一宮稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬
スルモノ(會計檢査院報告同上)
二、四七八·一一〇
(一一)福井稅務署ノ徵收不足ニ屬スル
モノ(會計檢査院報告同上)
、八八九·九〇〇
資本利子稅ニ於テ同署ノ徵收不
足ニ屬スルモノ
二五三·八〇〇
(一二)神戶稅務署ノ徵收不足ニ屬スル
モノ(會計檢査院報告同上)
一、八一九·四七〇
營業收益稅ニ於テ同署ノ徵收不
足ニ屬スルモノ
一、八〇〇·〇〇〇
(一三)神戶稅務署ノ徵收過ニ屬スルモ
ノ(會計檢査院報告同上)
四、九六七·二七〇
營業收益稅ニ於テ同署ノ徵收過
ニ屬スルモノ
七九七·一六〇
(一四)長岡稅務署ノ徵收過ニ屬スルモ
ノ(會計檢査院報告同上)
二、五五〇·四八〇
營業收益稅ニ於テ同署ノ徵收過
ニ屬スルモノ七一二·八四〇
右ハ孰モ取扱ノ過誤ニ因リ徵收上過不
足ヲ生セシメタルモノニシテ不當ナリ
トス
第十項砂糖消費稅
(一五)龜戶外九稅務署ノ徵收ニ係ル
(會計檢査院報告五)
円
三一、〇三八、三一六·八二〇
右ハ大日本、明治、臺灣、鹽水港、中
央各製糖株式會社及東京精糖株式會社
製造ノ砂糖及糖蜜ニ對シ査定標準率ニ
依リ課稅數量第四種糖三億六千八百九
十六萬餘斤糖蜜第二種甲二千三百一萬
餘斤ト査定シ徵收シタル稅額ナリ本稅
徵收ニ當リ稅務ノ實際上査定標準率ヲ
使用スルノ已ムヲ得サル事情アリトス
ルモ該標準率ヲ適用スル以上直ニ之ヲ
實量ト看做サレ實際ノ引取數量カ之ニ
超過スルモノハ消費稅ヲ課セラレサル
ノ結果ト爲リ課稅上重大ノ影響ヲ生ス
ルモノナルヲ以テ標準率ノ決定ニ當リ
テハ本稅カ元來實量ニ依リ課稅スヘキ
趣旨ナルニ照シ實際引取數量ニ對シ著
シキ差異ナキヲ期セサルヘカラス而シ
テ本件査定標準率ハ之カ製造實績ヲ參
酌スルヲ妥當トシ標準率ハ低キニ失ス
ルモノト認メラルルモノニシテ尙關稅
ニ在リテモ橫濱外四稅關ニ於テ關稅定
率法ニ依リ輸入原料糖二億三千三百七
十四萬餘斤ニ對シ輸入稅ノ免除ヲ爲シ
タルモノアリ要スルニ本件ハ適切ナラ
サル査定標準率ニ依リ消費稅ヲ徵收シ
タルモノニシテ不當ナリトス
第四款雜收入
第二項懲罰及沒收金
(一六)札幌地方、區兩裁判所及其ノ他
ニ於テ歲入ニ編入スヘキモノ
(會計檢査院報告七)
円
三、六〇二·五〇〇
右ハ裁判所書記藤岡某カ受領セル罰金
科料等ヲ橫領シタルモノニツテ本件ハ
監督其ノ宜シキヲ得サリシニ因ルモノ
ニシテ不當ナリトス
(一七)岡山地方裁判所ニ於テ歲入ニ編
入スヘキモノ(會計檢査院報告
八)一、一二七·七五〇
右ハ裁判所書記岡本某カ沒收ノ裁判確
定ニ依リ國庫ニ歸屬セル刑事證據金ヲ
橫領又ハ騙取セルモノナリ右ノ外金品
ヲ橫領又ハ騙取セルモノアリ本件ハ監
督其ノ宜シキヲ得サリシニ因ルモノニ
シテ不當ナリトス
內務省所管
歲出臨時部
第三款港灣改良費
第五項〓水港修築費
(一八)內務省橫濱土木出張所ノ支出ニ
係ル(會計檢査院報告一)
円
一〇六、三一七·二三四
右ハ豆相地方ニ於ケル震災ニ因リ被害
アリタル〓水港岸壁物揚場及埋立ニ對
スル復舊費中岸壁復舊費トシテ本年度
迄ニ支出シタル拾壹萬貳千八百餘圓ノ
内ニシテ外ニ材料價格四百餘圓ヲ使用
セリ
〓水港修築工事ハ總工費七百八拾貳萬
千餘圓ヲ以テ繼續事業トシテ著著之カ
工事ヲ進メ埋立岸壁護岸物揚場等ノ大
部分ヲ完成セシ所震災ニ因リ既成岸壁護
岸物揚場等多大ノ損害ヲ被リタルノ故ヲ
以テ六年度ニ於テ之カ復舊費六拾貳萬
圓ヲ本費豫算ニ追加計上シ完成年度ヲ
九年度ト爲シ之カ復舊工事施行中ニ屬
セリ前揭被害ハ幾分震動ノ影響アリタ
リトスルモ主トシテ當初ノ設計竝施工
上注意ノ周到ヲ缺キタルニ基因スルモ
ノニシテ被害箇所タル岸壁物揚等ハ其
ノ調査十分ナラサルノミナラス基礎根
掘埋戾、裏込工事ヲ施行スルニ営田リ
テハ最留意スヘキ所ナルニ其設計高ニ
對スル實績ハ〓シテ不足セルモノ多ク
又岸壁物揚場背後壁體基礎工事ノ如キ
ハ注意ノ周到ヲ缺キタルモノアリ本件
ハ畢竟工事ノ設計及施行其ノ宜シキヲ
得サリシニ基因スルモノニシテ不當ナ
リトス
第七款北海道拓殖費
第一項殖民費
(一九)北海道廳外十四箇所及其ノ他ノ
支出ニ係ル(會計檢査院報〓二)
円
二五〇、六九六·一三〇
右ハ各廳所屬官吏ニ對シ賞與トシテ支
給シタルモノナルモ本件ハ事業費又ハ
工事費等ヲ流用シ支出シタルモノニシ
テ豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得ス依テ不
當ナリトス
大藏省所管
歲出經常部
第二款內閣
第二項事務費
(二〇)內閣及其ノ他ノ支出ニ係ル〓
計檢査院報告一)
円
一、〇三三、八八九·〇〇〇
右ハ各廳ニ於テ官吏ニ對シ支給シタル
慰勞金ナルモ慰勞金ノ積算ナキニ之ヲ
支給シ又ハ工事費等ヨリ豫算流用ヲ爲
セルモノ及多額ノ支出ヲ官吏ニ對シ爲
シタルモノニシテ豫算ノ使用其ノ宜シ
キヲ得サルモノト認メラル依テ本件ハ
不當ナリトス
第十款諸拂戾及補塡金
第一項諸拂戾及補塡金
(二一)廣島稅務監督局ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告二)
円
三、七九二·〇七〇
右ハ內國稅拂戾金トシタルモノナルモ
其ノ實稅務署屬藤野某カ租稅拂戾請求
書ヲ僞造シ騙取シタル金額ナリ依テ本
件ハ不當ナリトス
海軍省所管
歲出臨時部
第六款營繕費
第六項吳烏小島揚炭設備費
(二二)吳海軍經理部ノ支出ニ係ル會
計檢査院報告二)
円
九二、八八一·四六九
右ハ吳海軍建築部ニ於テ直營ニ係ル烏
小島揚炭設備中岸壁築造外四廉工事費
拾八萬貳千餘圓ノ內ニシテ外ニ材料價
格千貳百餘圓ヲ使用セリ而シテ岸壁築
造箇所ノ選定ニ當リテハ基礎地質ノ適
否ニ關シ十分檢討スヘキモノナルニ拘
ラス尙最適ノ場所ニ非サルコト判明セ
ルニ其ノ儘該位置ヲ選定シ築造スルカ
如キ若强ヒテ該位置ニ施工スルノ要ア
リトセハ他ニ適當ノ工法ヲ選フヘク基
礎工事ヲ略終了シタル後工事ノ續行不
能ニ陷リ多額ノ工費ヲ無用ニ歸セシメ
タルカ如キハ失當ノ措置ニシテ注意ノ
周到ヲ缺クモノト認メサルヲ得ス本件
ハ工事ノ施行ニ當リ計畫其ノ宜シキヲ
得ス國庫ニ損失ヲ及ホシタルモノニシ
テ不當ナリトス
文部省所管
歲出臨時部
第一款營繕費
第三項新營費
(二三)東京聾啞學校ノ支出ニ係ル會
計檢査院報告一)
円
三、八二五·〇〇〇
右ハ工事費又ハ物品代等トシテ支拂ヒ
タル貳萬參千五百餘圓ノ內ニシテ本件
ハ同校書記中村某カ工事ノ請負又ハ物
品供給等ヲ爲サシムルニ當リ詐稱シ金
額ヲ費消シタルモノナリ依テ不當ナリ
トス
農林省所管
歲出臨時部
第一款產業奬勵費
第十三項緬羊飼育奬勵費
(二四)農林省、種羊場及其ノ他ノ支出
ニ係ル(會計檢査院報告一)
一三三、一九三·三九〇
右ハ官吏ニ對シ賞與及慰勞金トシテ支
給シタルモノナルモ豫算上官吏ニ對ス
ル慰勞金ノ積算ナキニ拘ラス金額ヲ支
出シ其ノ他他費目ヨリ流用シ支出シタ
ルモノニシテ豫算ノ使用其ノ宜シキヲ
得ス依テ不當ナリトス
第六款治水事業費
第三項補助及補償費
(二五)農林省ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報〓二)
円
七九、六九八〇〇〇
右ハ高知縣ノ荒廢地復舊事業費豫算額
拾五萬五千餘圓ニ對シ國庫補助金トシ
テ交付シタル金額ナリ
同縣ニ於ケル荒廢地復舊補助事業ハ連
年豫算額ニ對シ多額ノ使用未濟額ヲ生
シ五年度末ニ於テハ拾四萬四千餘圓ニ
達シ内後年度ニ於テ施行スヘキ事業ヲ
豫定セス單ニ金額ノミヲ繰越シタルモ
ノ計五萬四千餘圓ニ及ヘルニ後年度ニ
於テ支出ノ義務アルモノトシ漫然補助
金ヲ交付シタルカ爲六年度末ニ於テハ
金額ノミヲ繰越シタルモノ八萬參千餘
圓ニ達セルカ如キハ失當ノ措置ニシテ
本件ハ國庫補助金ノ交付ニ當リ措置其
ノ宜シキヲ得サルモノニシテ不當ナリ
トス
商工省所管
歲出經常部
第一款商工本省
第五項度量衡費
(二六)商工省及其ノ他ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告一)
円
一一三、六八四·〇〇〇
右ハ官吏ニ對シ慰勞金トシテ支給シタ
ルモノナルモ本項豫算中官吏ニ對スル
慰勞金ノ積算ナキニ拘ラス多額ノ支出
ヲ爲セルハ失當ノ措置ニシテ本件ハ不
當ナリトス
歲出臨時部
第十二款臨時產業合理局費
第三項補助金
(二七)臨時產業合理局ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告二)
円
八、〇〇〇〇〇〇
右ハ國產品使用普及費補助トシテ日本
商工會議所ニ對シ交付シタル金額ナリ
同會議所ニ於テ展覽會講演會其ノ他國
產品愛用宣傳等ニ要スル經費豫算壹萬
貳千圓ニ對シ補助シタルモノニシテ同
會議所ハ補助ノ目的タル事業ヲ其ノ計
畫ノ如ク實施セス交付補助金ニ剩餘ア
ルニ拘ラス漫然之ヲ放任セルカ如キハ
妥當ノ措置ト認ムルヲ得ス右ノ外同會
議所ニ對シ事業費ノ收支正確ナラサル
モノアリ本件ハ不當ナリトス
遞信省所管
歲出臨時部
第二款遞信費
第二項遞信事業費
(二八)大阪外四遞信局及其ノ他ノ支出
ニ係ル(會計檢査院報告一)
円
一八、九五六·五六〇
右ハ名古屋、大阪、廣島、熊本、札幌
各遞信局ニ於テ東京市芝區桑田某外二
名ト購入契約ヲ爲シタル電話「ケーブ
ル」配線用端子函ノ代價ナリ右ハ孰モ
實用新案ニ係ル順信式、信利式或ハ野
村式等ヲ指定ノ上購入契約ヲ爲シタル
モノナルモ之ヲ東京遞信局ニ於テ購入
契約ヲ爲セルモノニ比シ著シク高價ナ
ルモノニシテ本件ハ物品ノ購買ニ當リ
措置其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ不利ヲ及
ホシタルモノニシテ不當ナリトス
(二九)仙臺遞信局ノ支出ニ係ル(會計
檢査院報告二)
一四、七五〇·〇〇〇
右ハ增備用トシテ株式會社ドツドウエ
ル商會ヨリ購入セル電信受信用P(
ダーウツド」和文「タイプライター」五
十臺ノ代金ニシテ米國製日Ⅲナルモ之ヲ同
一用途ニ供セラルル國產品黑澤製ニ比
シ著シク高價ニ當レリ隨テ此ノ種器械
ヲ增備スルニ當リテハ低廉ナル國產品
ヲ購入スルヲ妥當ト認メラルルニ却テ
高價品ヲ購入增備スルカ如キハ失當ノ
措置ト認メラル
本件ハ物品ノ增備ニ當リ措置其宜シキ
ヲ得ス高價品ヲ購入シタルモノニシテ
不當ナリトス
特別會計
內務省所管健康保險
歲入
第一款健康保險收入
第一項保險料收入
(三〇)警視廳ノ收入ニ至ラサルモノ(會
計檢査院報告一)
円
一二、六〇六·九〇〇
右ハ川上某カ事務ニ從事中關係書類及
帳薄ニ虚僞ノ記載ヲ爲シ橫領シタル保
險料等壹萬四千餘圓ノ內ニシテ本件ハ
監督其ノ宜シキヲ得サリシニ因ルモノ
ニシテ不當ナリトス
歲出
第一款健康保險事業費
第四項保健施設費
(三一)社會局及警視廳外二十六箇所ノ
支出ニ係ル(會計檢査院報〓二)
円
一三、九三八〇〇
右ハ官吏ニ對シ慰勞金トシテ支給シタ
ルモノナルモ本項豫算中ニハ慰勞金ノ
積算ナキニ拘ラス之ヲ支出シタルモノ
ニシテ豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得ス依
テ本件ハ不當ナリトス
大藏省所管造幣局
歲出
第一款造幣局作業費
第二項事業費
(三二)造幣局ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告一)
円
一四一、三〇〇·三〇〇
右ハ官吏以下ニ對シ慰勞金トシテ支給
セルモノナルモ本項豫算中慰勞金トシ
テ積算セルハ參萬千餘圓ナルニ對シ多
額ノ支出ヲ爲ン就中石炭購買費ヨリ流
用セルカ如キハ豫算ノ使用其ノ宜シキ
ヲ得ス依テ本件ハ不當ナリトス
大藏省印刷局
歲出
第一款印刷局作業費
第二項事業費
(三三)內閣印刷局ノ支出ニ係ル(會計
檢査院報〓一)
円
六三三、〇六四·〇〇〇
右ハ官吏以下ニ對シ慰勞金トシテ支給
セルモノナルモ本項豫算中慰勞金トシ
テ積算セルハ貳拾參萬九千餘圓ナルニ
對シ多額ノ支出ヲ爲シ就中動力費及材
料品費ヨリ流用セルカ如キハ豫算ノ使
用其ノ宜シキヲ得サルモノト認メラル
依テ本件ハ不當ナリトス
大藏省所管專賣局
歲出
第一款專賣局作業費
第二項事業費
(三四)東京地方專賣局ノ支出ニ係ル(會
計檢査院報告二)
円
二〇六、二六〇·〇三〇
右ハ同局及橫濱出張所ニ於テ隨意契約
ヲ以テ大日本鹽業株式會社ノ請負ニ付
シタル移輸入鹽叺包裝出來高ニ對スル
料金ナリ右契約單價ハ之カ產地ノ相場
ハ低落シ本件單價決定當時運賃諸掛ヲ
加算スルモ右査定ハ高價ニ失スルモノ
ニシテ本件ハ鹽包裝請負單價ノ決定其
ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及ホシタ
ルモノニシテ不當ナリトス
(三五)專賣局ノ支出ニ係ル(會計檢査院
報告三)一九、一九五·〇〇〇
右ハ大藏本省所屬官吏ニ對シ支給セル
慰勞金ナリ此等官吏カ職務上專賣局事
務ニ關與スルノ故ヲ以テ特ニ本費ヨリ
慰勞金ヲ支出スルカ如キハ豫算ノ使用
其ノ宜シキヲ得ス依テ本件ハ不當ナリ
トス
(三六)東京地方專賣局ノ支出ニ係ル(會
計檢査院報告四)
五、五六三·五六〇
右ハ隨意契約ニ依リ國際通運株式會社
ニ請負ハシメ同局淺草工場ヨリ北千住
分工場ニ運搬シタル壓搾截斷濟煙草ノ
運賃ナリ契約單價ハ荷馬車運搬ニ依ル
計算ニ依リ決定シタルモノナルモ市中
ニ於ケル貨物自動車賃金ハ數年來漸落
シ之ニ依ルヲ有利トスルノミナラス事
實上自動車ニ依リ運搬シ居ルモノナル
ヲ以テ本件請負單價ノ決定妥當ナラス
本件ハ物件ノ運送契約ニ當リ運賃ノ算
定其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及ホ
シタルモノニシテ不當ナリトス
大藏省所管大藏省預金部
歲出
第一款大藏省預金部支出
第一項事務費
(三七)大藏省ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告一)
円
一二、三五九·〇〇〇
右ハ官吏以下ニ對シ慰勞金トシテ支給
セルモノナルモ本項豫算中慰勞金トシ
ア積算セルハ僅ナルニ多額ノ支出ヲ爲
セルハ妥當ナラサルノミナラス右ノ內
官吏ニ對スル慰勞金ノ大部分ハ大藏本
省內他部局官吏ニ對シ支給セルモノニ
シテ豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得ス依テ
本件ハ不當ナリトス
海軍省所管海軍工廠資金
歲出
第一款材料物品費
第一項材料物品費
(三八)佐世保海軍工廠ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告一)
円
二〇七、三一八·六五〇
右ハ住友伸銅鋼管株式會社ヨリ納入シ
タル罐用鋼製目無管代價ニシテ本件ハ
購入契約ヲ締結シ單價ハ五年度協定價
格ニ依リ爲セルモ六年度協定價格ニ比
シ一割餘高價ナルヲ以テ之ヲ六年四月
一日以降ノ契約トスレハ廉價ト爲リシ
モノナルニ急遽年度末ニ於テ契約ヲ爲
セシハ當ヲ得ス五年度註文豫定數量ニ
屬セサル本品ヲ高價ナル協定價格ニ依
リ五年度末ニ於テ契約スルカ如キハ失
當ニシテ本件ハ物件ノ購入ニ當リ措置
其ノ宜シキヲ得ス高價ノ購入ヲ爲シタ
ルモノニシテ不當ナリトス
文部省所管學校及圖書館
歲出經常部
第一款學校及圖書館
第二項校館費
(三九)東京聾啞學校ノ支出ニ係ル會
計檢査院報〓一)
円
八、四八五·七六〇
右ハ工事費又ハ物品代等トシテ支拂ヒ
タル貳萬參千餘圓ノ内ニシテ同校書記
中村某カ會計事務擔任中事實ニ副ハサ
ル證明ヲ爲シ總額四千參百餘圓ヲ恣ニ
費消シタルモノナリ依テ本件ハ不當ナ
リトス
(四〇)東京聾啞學校ノ支出ニ係ル(會
計檢査院報告二)
五、〇九三·〇〇〇
右ハ東京市本〓區福島某外二名ニ支拂
ヒタル電氣鏝修理外百六十餘廉ノ代金
六千餘圓ノ内ニシテ同校ニ於テハ物件
ノ購入、工事ノ施行等其ノ殆ト全部ヲ
前記福島某外一名ニ供給又ハ請負ハシ
メ年度末支拂豫算ノ不足ニ對シテハ後
年度ニ繰下ケ支拂ヲ爲スノ見込ヲ以テ
支拂豫算ニ超過スル註文ヲ爲シ且事實
ニ副ハサル證明ニ依リ數年ニ亙リ會計
法規ヲ無視セル取扱ヲ續行シ來リタル
カ如キハ失當ニシテ不當ナリトス
(四一)高岡高等商業學校ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告三)
三、〇六九·七二〇
本件ハ同校職員ノ出張旅費及運動場一
部地均工事費トシタルモノナルモ右ノ
内關係書類ヲ作爲シ旅費トシテ支出シ
學友會負債償却資金等ニ充當シ又運動
場盛土其ノ他工事費「プール」築造資金
ノ一部等ニ充當シタルモノナリ依テ本
件ハ不當ナリトス
商工省所管製鐵所
資本勘定
歲出
第一款製鐵所改良及補充費
第一項第一期改良費
(四二)製鐵所ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告一)
円
四三一、九九七·〇〇〇
右ハ官吏ニ對シ年末等ノ慰勞手當トシ
テ支給シタルモノナルモ官吏ニ對スル
慰勞手當ノ豫算額ニ對シ多額ノ支出ヲ
爲スハ妥當ナラサルノミナラス右ノ內
貳萬餘圓ハ製鐵所ノ事務ニ盡力シタリ
トノ事由ニ依リ商工次官以下本省官史
ニ特別會計ヨリ慰勞手當ヲ支給スルカ
如キハ失當ノ措置ニシテ本件ハ豫算ノ
使用其ノ宜シキヲ得サルモノニシテ不
當ナリトス
作業勘定
歲入
第一款製鐵所作業收入
第一項作業收入
(四三)製鐵所東京出張所ノ徵收ニ係ル
(會計檢査院報告二)
円
五六六、九九三·三二〇
右ハ昭和四、五兩年度中東京及大阪所
在民聞倉庫ニ留置キタル耳附鋼板三萬
六千餘瓲ノ內六年二月三菱商事、三丼
物產外五株式會社ニ對シ瓲當參拾七圓
ヲ以テ賣拂契約ヲ爲シタル一萬七千餘
瓲ノ代價六拾五萬餘圓ノ內ニシテ五萬
餘圓ハ收入未濟ニ屬スルモノナリ
而シテ先物契約ニ依ル耳附鋼板ノ引渡
ニ際シ其ノ價格低落セルノ故ヲ以テ長
期ニ亙リ製品ノ引取ヲ猶豫シ爾後價格
ノ低落甚シキニ及ヒ其ノ大部分ヲ低價
ナル新契約ノ引渡ニ充當セルハ異常ナ
ル市價下落ノ爲契約履行ノ困難アリト
スルモ之カ損失ヲ國庫ニ歸セシメタル
ハ當ヲ得ス本件ハ製品ノ賣却ニ當リ措
置其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及ホ
シタルモノニシテ不當ナリトス
鐵道省所管帝國鐵道
資本勘定
歲出
第一款鐵道建設及改良費
第一項建設費
(四四)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告一)
円
三四、九五〇、六二四·五七〇
右ハ官吏以下一般從業員ニ對シ支給シ
タル定期賞與竝退職特別賜金及同手當
等ナリ本件ハ鐵道作業費、用品及工作
費ニ在リテ多額ノ支出ヲ爲シタルモノ
ニシテ著シク豫算額ヲ超過シ內鐵道作
業費其ノ他建設費等ヨリ官吏以下退官
退職又ハ死亡ノ際特別賜金及同手當ト
シテ支給シタルモノニ係リ之カ支給額
ハ從前ノ內規ニ依リ退官退職又ハ死亡
當時ノ俸給又ハ給料ニ對シ勤續年數ニ
應シ一定率ヲ乘スルモノニシテ從業員
優遇ノ趣旨ニ出テタルモノナリトスル
モ各省一般官吏ニ比シ著シク權衡ヲ失
シ豫算ノ使用其ノ宜シキヲ得ス依テ本
件ハ不當ナリトス
收益勘定
歲入
第一款鐵道作業收入
第一項運輸收入
(四五)鐵道省ニ於テ徴牧ニ至ラサルモ
ノ(會計檢査院報告四)
円
七〇、五八八·〇八〇
右ハ豫納扱ヲ爲セル多摩川砂利木材鐵
道株式會社ノ砂利運賃精算額ノ內未納
ニ屬スルモノナリ
本件ハ中央線立川驛所在同會社專用線
ヨリ發送ニ係ル砂利運賃ニ對シ豫納取
扱ヲ爲スコトトシ每月壹萬圓ヲ豫納セ
シメ來リタルニ會社ハ六年七月分以降
每月之カ納入ヲ怠リタル爲精算ノ結果
尙七萬五百餘圓ノ收入未濟ヲ生スルニ
至リシノミナラス別途會社ヨリ購入ニ
係ル砂利代金ハ右運賃ニ充當スルコト
ナク全額支拂ヲ了セルヲ以テ妥當ノ措
置ニ非ス本件ハ荷物運賃豫納ノ取扱ニ
關シ措置其ノ宜シキヲ得ス多額ノ運賃
ヲ徵收困難ニ陷ラシメタルモノニシテ
不當ナリトス
拓務省所管朝鮮總督府
歲出經常部
第十款稅關
第二項事務費
(四六)新義州稅關ノ支出ニ係ル(會計
檢査院報〓三)
円
一、八三二·六八〇
右ハ雇員給料等トシタルモノナルモ其
ノ實朝鮮總督府稅關監吏安永某カ關係
書類ニ虚僞ノ記載ヲ爲シ騙取シタル總
額ノ內ニシテ本件ハ虚構ノ事實ニ對シ
支拂ヲ爲シタルモノニシテ不當ナリト
ス
第十六款專賣局
第二項事業費
(四七)朝鮮總督府專賣局ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告四)
円
二〇、九四四·三〇〇
右ハ同局廣梁灣出張所資金前渡官吏朝
鮮總督府專賣局屬下村某ニ對シ交付セ
ル前渡資金ノ內返納ニ至ラサルモノニ
シテ前記下村某カ關係書類ニ虚僞ノ記
載ヲ爲シ前渡資金ヲ橫領費消シ又ハ前
渡資金請求計算書ヲ作成シ支出官ヨリ
ノ資金ノ交付ヲ受ケ遞次差繰補塡シ遂
ニ貳萬九百餘圓ノ缺損ヲ生セシメ返納
ニ至ラス實際支拂ナキニ拘ラス本費ニ
決算セラルルニ至リシモノニシテ本件
ハ不當ナリトス
拓務省所管臺灣總督府
歲出經常部
第三款地方廳
第二項事務費
(四八)花蓮港廳及其ノ他ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告二)
円
三一、九三七·〇六〇
右ハ貓公警察官吏派出所新築其ノ他十
數廉ノ工事請負代金及工事用材料事務
用用紙類購入代又ハ運搬費等トシテ支
拂ヒタル金額ニシテ本件ハ孰モ年度內
工事ノ竣功、物品ノ納入又ハ運搬ヲ完
了シタルモノノ如ク裝ヒ事實ニ反スル
竣功檢査調書、檢收調書等ヲ作製シ契
約履行前代金ノ支出ヲ爲シ職員ニ於テ
濫ニ此等現金ヲ出納保管スルカ如キハ
失當ノ措置ニシテ本件ハ不當ナリトス
第十五款林務費
第二項事業費
(四九)臺灣總督府營林所ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告三)
円
二、七〇六·〇〇〇
右ハ營林所羅東出張所大平山派出所ニ
於ケル胴割賃金トシタルモノナルモ其
ノ實臺灣總督府井戶某カ關係書類ニ虛
僞ノ記載ヲ爲シ騙取シタル總額ノ內ニ
シテ本件ハ虛構ノ事實ニ對シ支拂ヲ爲
シタルモノニシテ不當ナリトス
歲出臨時部
第五款補助費
第五項傳染病豫防費補助
(五〇)臺北州ノ支出ニ係ル(會計檢査
院報告四)
円
一六八、八〇一·一七〇
右ハ傳染病豫防ノ爲州地方費ヨリ支出
シタル決算額ニ對シ交付シタル補助金
中經費ノ全額ヲ補助スルコトト爲シタ
ル拾七萬參千餘圓ノ內ニシテ臺灣ニ於
テハ傳染病豫防法第二十五條ノ補助率
ヲ公共團體支出額ノ三分ノ一乃至二分
ノ一トシ更ニ同法施行規則ニ於テハ其
ノ補助率ノ適用ニ關シ規定セルヲ以テ
地方費支出額ノ二分ノ一ヲ超過シ補助
ヲ爲スカ如キハ不當ナリトス
第十款災害費
第五項道路河川其他風水害應急
及復舊費
(五一)臺灣總督府交通局道路港灣課ノ
支出ニ係ル(會計檢査院報〓五)
六一四·一五〇
右ハ蘇澳花蓮港道災害復舊工事ニ使役
セル人夫賃トシタルモノナルモ其ノ實
雇本村某及工夫伊嗪某カ單獨又ハ共謀
シ使役セサル人夫ヲ使役シタルモノノ
如ク裝ヒ騙取シタル總額ノ內ニシテ尙
本件ノ外同工事關係職員カ費消シタル
モノアリ本件ハ虚構ノ事實ニ對シ支拂
ヲ爲シタルモノニシテ不當ナリトス
拓務省所管樺太廳
歲出經常部
第二款官業及官有財產收入
第五項森林收入
(五二)樺太廳ニ於テ徵收ニ至ラサルモ
ノ(會計檢査院報〓一)
円
八七、三四二·四二〇
右ハ豐原町遠藤某ニ對シ名好郡名好村
所在國有林椴、蝦夷松生立木百萬石ノ
年期賣拂契約ヲ爲シタルモノノ內之カ
引渡前伐採請負人北日本林業株式會社
ノ社員タル金川某カ誤伐セル十萬餘石
ニ對スル代金ニシテ該代金ハ拂下名義
人タル遠藤某ヨリ徵收スヘキモノニシ
テ本件ハ樺太國有〓林原野產物賣拂規
則ニ依ルモ伐採搬出又ハ採取ニ從事ス
ル者ノ爲シタル行爲ハ買受人ニ於テ之
カ責ニ任セサルヘカラサルハ當然ニシ
テ名義人タル遠藤某ニ於テ賣拂規則ニ
基ク義務ヲ負擔スヘキモノニシテ本件
ハ誤伐木ノ代金徵收上措置其ノ宜シキ
ヲ得サルモノニシテ不當ナリトス
第五款雜收入
第二項辨償及違約金
(五三)樺太廳惠須取林務署ニ於テ收入
未濟ニ屬スルモノ(會計檢査院
報〓二)
円
一六、二一九·九〇〇
右ハ樺太廳屬川島某カ小倉某外二名ヨ
リ提供セル椴、蝦夷松生立木ノ誤盜伐
賠償金四萬六千餘圓ノ內數囘ニ亙リ橫
領シタルモノナリ本件ハ監督其ノ宜シ
キヲ得サリシニ因ルモノニシテ不當ナ
リトス
既往年度
昭和二年度
一般會計
歲入經常部
第一款和稅
第一項所得稅
(一)永代橋稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬
スルモノ(會計檢査院報〓一)
円
七、四三六·八二〇
右ハ東京市日本橋區林某ノ所得額ヲ決
定スルニ當リ箱根土地株式會社ヨリ受
ケタル貸金利子貳萬九千餘圓ヲ脫漏シ
タルト所得額決定ニ當リ脫漏シタル同
會社ヨリ受ケタル貸金利子六千餘圓ヲ
所得稅法ニ依リ本年度ニ於テ追加決定
スヘキモノナルニ之ヲ爲ササリシ等ニ
円ルモノニシテ不當ナリトス
昭和四年度
一般會計
歲入經常部
第一款租稅
第一項所得稅
(二)彥根稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告二)
円
一二、七四八·六〇〇
Ca)上京稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告同上)
二、四七六·三八〇
(四)石卷稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告四)
三、七六一·九三〇
( 五 )茨木稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告同上)
三、四七五·一〇〇
(六)淀橋稅務署ニ於テ徵收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告同上)
三、二七九·三二〇
(七)上京稅務署ニ於テ徴收不足ニ屬ス
ルモノ(會計檢査院報告同上)
二、九八二·八〇〇
(八)神戶稅務署ノ徵收過ニ屬スルモノ
(會計檢査院報告同上)
二、二六〇·二四〇
營業收益稅ニ於テ同署ノ徵收過ニ
屬スルモノ三三七·四〇〇
右ハ孰モ取扱ノ過誤ニ因リ徵收上過不
足ヲ生セシメタルモノニシテ不當ナリ
トス
特別會計
大藏省所管
專賣局
歲出
第一款專賣局作業費
第二項事業費
(九)東京地方專賣局ノ支出ニ係ル(會
計檢査院報〓六)
円
一八〇、〇三七·九七〇
右ハ同局及橫濱出張所ニ於テ隨意契約
ニ依リ大日本鹽業株式會社ノ請負ニ付シ
タル移輸入鹽百斤入叺包裝出來高五十
六萬餘包ニ對スル料金ナリ右契約單價
ハ著シク高價ナルノミナラス本契約單
價ハ年度內包裝材料品ノ市價ニ著シキ
變動ヲ生シタルトキハ請負單價ノ改定
ヲ爲スヘキ約款アルモノニシテ契約締
結後叺價格ハ漸次低落シ同年度下半期
分ニ付テハ相當單價ノ引下ヲ爲スヲ妥
當ト認メラルルニ何等改定ヲ爲サス而
シテ基準價格ハ之ヨリ幾分低下セシム
ルヲ相當トスルニ却テ高價ニ決定セル
モノニシテ本件ハ鹽包裝請負單價ノ決
定其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ及ホ
シタルモノニシテ不當ナリトス
(一〇)大阪地方專賣局ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告七)
四四、一六七·三八二
右ハ大阪市港區入江某ノ請負ニ付シ內
地收納二等鹽ヲ更裝セシメタル出來高
五十斤入叺二十四萬餘包ニ對スル料金
ナリ而シテ送受入ニ係ル三千八百六十
萬斤ノ內貯藏ノ爲叺ノ汚損甚シク販賣
ニ適セストシ更裝シタルモノニシテ四
年度ニ於テモ更裝シタルモノアリ然ル
ニ四年度ニ於テハ同等鹽二千七百六萬
餘斤ノ囘送受入ヲ爲シタルモノアルヲ
以テ四、五兩年度ノ該鹽拂出ニ當リ三
年度受入鹽中更裝ヲ要スルモノハ其ノ
儘貯藏シ四年度受入鹽ヲ拂出スニ於テ
ハ此ノ如ク多量ノ更裝ヲ要セサルモノ
ニシテ本件ハ鹽ノ賣渡ニ當リ措置其ノ
宜シキヲ得ス國庫ニ不利ヲ及ホシタル
モノニシテ不當ナリトス
拓務省所管
樺太廳
歲入經常部
第一款租稅
第三項營業收益稅
(一一)樺太廳泊居支廳ニ於テ徵收不足
ニ屬スルモノ(會計檢査院報〓
円
十)九、六九一·三〇〇
右ハ樺太工業株式會社事業年度分營業
純益額ヲ決定スルニ當リ惠須取工場ニ
於ケル製紙用「パルプ」製造益合計貳拾
六萬九千貳百參圓ニ對シ該工場ヲ獨立
ノ營業所トシテ新ニ製紙用「パルプ」製
造業ヲ開業シタルモノト認メ課稅ヲ免
除シタルモノナルモ同會社ノ製紙用
「パルプ」製造業ハ大正十年以前ノ開業
ナルヲ以テ右惠須取工場ノ增設ハ該事
業ノ擴張ニ外ナラス隨テ樺太營業收益
稅規則ニ所謂開業ト認メ之ヲ免稅スヘ
キモノニ非ス依テ本件ハ不當ナリトス
(一二)樺太廳大泊支廳ニ於テ徵改不足
ニ屬スルモノ(會計檢査院報告
十一)五、二〇七·七二〇
右ハ王子製紙株式會社事業年度分營業
純益額ヲ決定スルニ當リ稅則施行地外
ノ營業場タル北海道苫小牧工場ノ固定
資產減價償却金拾四萬餘圓ヲ損金ニ計
算シタルニ因ルモノナリ依テ本件ハ不
當ナリトス
警告
一般會計
陸軍省所管
歲出經常部
第二款軍事費
第四款衣糧費
(一)陸軍糧秣本廠及其ノ他ノ支出ニ係
ル(會計檢査院報告一)
円
四三八、四二三·七五〇
右ハ宇品陸軍糧秣支廠ニ於テ戰用糧食
品罐詰肉製造用トシテ廣島市畜產組合
外二十餘組合ヨリ購入シタル牡牛精肉
ノ代價ニシテ本件ハ價格ノ算定適實ヲ
缺キタルノ嫌アリ依テ警告ス
歲出臨時部
第二十四款滿洲事件費
第一項滿洲事件費
(二)陸軍省經理局主計課ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告二)
円
二〇、〇八七·九二〇
右ハ陸軍衞生材料廠ニ於テ東京府中野
町石地某ヨリ隨意契約ニ依リ購入シタ
ル「クレオソート」丸代價ニシテ本件ハ
物品ノ購買ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得
ス國庫ニ損失ヲ及ホシタルモノト認メ
ラル依テ警告ス
海軍省所管
歲出臨時部
第一款艦艇製造費
第一項補助艦艇製造費
(11)橫須賀海軍經理部ノ支出ニ係ル
(會計檢査院報告一)
円
五七四、、四三七·四四〇
右ハ構成材料ヲ官給シ橫濱船渠株式會
社ニ請負ハシメタル龍驤船體部建造請
負代價百七拾參萬餘圓ノ內ニシテ本件
ハ契約ノ變更ニ當リ措置其ノ宜シキヲ
得ス國庫ニ損失ヲ及ホシタルモノト認
メラル依テ警告ス
特別會計
大藏省所屬專賣局
歲出
第一款專賣局作業費
第二項事業費
(四)東京地方專賣局ノ支出ニ係ル(會
計檢査院報告一)
円
二一〇、九七三·〇〇〇
右ハ東京地方專賣局管內元煙草元賣捌
人大山某外九名ニ交付セル給與金ナル
モ此等元賣捌人ハ孰モ元賣捌制度廢止
ニ先チ任意廢業セル者ナルヲ以テ之ニ
對シ本件給與金ヲ支給シタルハ妥當ナ
ラス依テ警告ス
大藏省所管國有財產整理資金
歲入
第一款國有財產整理資金收入
第一項國有財產賣拂代
(五)東京稅務監督局ノ徵收ニ係ル(會
計檢査院報告一)
円
一六一、七五一·一五〇
右ハ東京市深川區冬木町所在土地ヲ會
計規則ニ依リ株式會社東京林產商會ニ
賣拂ヒタル代價ニシテ本件ハ國有財產
ノ管理處分其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損
失ヲ及ホシタルモノト認メラル依テ警
告ス
鐵道省所管帝國鐵道
用品勘定
歲出
第一款鐵道用品及工作費
第一項用品及工作費
(六)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査院報
円
告三)四一一、〇五四·七五〇
右ハ門司鐵道局廣島倉庫ノ檢收ニ係ル
昭和六年度用「クレオソート」油注入竝
枕木二十四萬九千六百七梃ニ對スル素
材及「クレオソート」油ノ代價竝注入作
業請負料金合計四拾參萬餘圓ノ內ニシ
テ本件ハ物品ノ購入及請負作業ヲ爲サ
シムルニ當リ單價ノ決定其ノ宜シキヲ
得スト認メラル依テ警告ス
拓務省所管朝鮮總督府
歲入經常部
第三款官業及官有財產收入
第三項森林收入
(七)咸鏡北道明川郡ノ徵收ニ係ル(會計
檢査院報告二)
円
一一、四二〇·七六〇
右ハ宮城殖林株式會社ニ賣却シタル咸
鏡北道明川郡所在國有林甘吐蜂及氣雲
峰地上立木「カラマツ」ノ代價ニシテ本
件ハ立木ノ賣拂價格低廉ニ失シ國庫ニ
損失ヲ及ホシタルモノト認メラル依テ
警告ス
拓務省所管臺灣總督府
歲入經常部
第二款官業及官有財產收入
第四項森林收入
(八)臺灣總督府營林所ノ徵收ニ係ル(會
計檢査院報告一)
円
五八六、六七三·一七〇
右ハ臺灣材友會ニ對シ拂下ケタル扁
柏、紅檜等丸太ニ對スル代金八拾八萬
六千餘圓ノ內ニシテ本件ハ木材ノ賣拂
ニ當リ措置其ノ宜シキヲ得サルモノニ
シテ警告ス
官有物
(九)官有地ノ貸付ノ件(會計檢査院報〓
こ
右ハ朝鮮總督府ニ於テ京城府西四軒町
所在田及林野ノ官有地ヲ國技館建設ノ
目的ヲ以テ前橋市鈴木某ニ對シ年額料
金四百九拾九圓餘ヲ以テ貸付中ノモノ
アリ本件ハ官有地ノ貸付其ノ宜シキヲ
得ス且貸付料金低廉ニ失スルモノニシ
テ警告ス
(一〇)國有林ノ豫約賣渡ノ件(會計檢査
院報告二)
右ハ臺灣總督府ニ於テ臺中州竹山郡竹
山庄及鹿谷庄所在官有原野ヲ臺灣官有
森林原野及物產特別處分令ニ依リ竹林
ト爲スヲ條件トシ成功期間ヲ二箇年成
功後賣渡ヲ爲スコトヲ豫約シ所在兩庄
ニ無償貸付セルモノアリ本件ハ名ヲ未
成林地ノ造林ニ藉リ成林地ヲ無償貸付
シ且低廉ナル地代金ヲ以テ賣渡ヲ豫約
シタルモノニシテ警告ス
既往年度
昭和五年度
一般會計
歲入經常部
第一款租稅
第一項所得稅
(一一)大田原稅務署ノ徵收ニ係ル(會
計檢査院報告三)
円
五、三八〇·六四〇
營業收益稅ニ於テ同署ノ徵收ニ
係ル、四六四·七六〇
右ハ那須溫泉土地株式會社事業年度ニ
對スル稅額ニシテ本件ハ會社ノ所得額
及營業純益額ヲ決定スルニ當リ經營地
全部ニ對シ施工セル工事費及經營地內
廣場道路等ノ用地代價ヲ當期ノ損金ト
計算セルモノナルモ此等經費ノ全額ヲ
當期損金ト爲スガ如キハ妥當ナル措置
ニアラス依テ警告ス
特別會計
大藏省所管
國有財產整理資金
歲入
第一款國有財產整理資金收入
第一項財產賣拂代
(一二)札幌稅務監督局ノ徵收ニ係ル
(會計檢査院報告八)
円
二八、〇〇〇·〇〇
右ハ函館市汐見町及曙町所在元函館控
訴院官舍敷地ノ一部ヲ社團法人日本放
送協會ニ隨意契約ヲ以テ賣拂ヒタル代
價ニシテ本件ハ土地ノ賣拂ニ當リ價格
ノ評定其ノ宜シキヲ得ス國庫ニ損失ヲ
及ホシタルモノニシテ警告ス
注意事項
一般會計
歲入經常部
第三款官業及官有財產收入
第二項森林收入
(一)北海道廳石狩支廳外五箇所ノ徵收
ニ係ル(會計檢査院報〓六)
円
一五六、九八四·八九〇
右ハ北海道國有未開地處分法第二條後
段ニ依リ賣拂ヒタル札幌外五市所在市
街宅地雜用地等百二十七町餘ノ代金ニ
シテ之ヲ處分法ニ未開地ト看做シ處分
スルハ妥當ナラス又未開地トシ處分ス
ルトキハ地租及登錄稅ヲ免除セラルル
コトトナリ其ノ措置當ヲ得タルモノニ
非ス依テ將來ニ對シ注意ヲ促ス
特別會計
鐵道省所管帝國鐵道
資本勘定
歲出
第一款鐵道建設及改良費
第一項建設費
(二)鐵道省ノ支出ニ係ル(會計檢査院
円
報〓二)五〇、一一五·三一五
右ハ上越線越後湯澤、土合間通信線架
設工事費及之カ雪害ニ對スル應急工事
費合計六萬八千條圓ノ內ニシテ本件ハ
工事ノ施行ニ當リ注意ノ周到ヲ缺キ國
庫ニ不利ヲ及ホシタルモノニシテ將來
ニ對シ注意ヲ促ス
拓務省所管朝鮮總督府
歲出臨時部
第五款營繕費
第九項新營及設備費
(三)新義州營林署ノ支出ニ係ル(會計
檢査院報告五)
円
四九、〇五四·五〇〇
右ハ同署貯木場用地トシテ新義州府敏
浦洞ニ於テ新義州木材株式會社ヨリ水
田及雜種地竝平壤府智某ヨリ水田及田
ヲ買收シタル代價ニシテ本件ハ土地ノ
買收ニ當リ價格ノ評定其ノ宜シキヲ得
ス國庫ニ損失ヲ及ホシタルモノニシテ
將來ニ對シテ注意ヲ促ス
既往年度
昭和五年度
一般會計
歲入經常部
第三款官業及官有財產收入
第二項森林收入
(四)北海道廳石狩支廳外五箇所ノ徵收
ニ係ル(會計檢査院報〓五)
円
一八六、〇〇五·九二〇
右ハ北海道國有未開地處分法第二條後
段ニ依リ賣拂ヒタル市街宅地雜用地等
四十九町六段餘此ノ代金拾九萬八千餘
圓ノ內ニシテ本件ハ事實上開墾セラレ
タル市街宅地等ニ對シ未開地處分法ヲ
適用シ之ヲ未開地トシテ處分シタルモ
ノニシテ將來ニ對シ注意ヲ促ス
拓務省所管
臺灣總督府
歲入臨時部
第一款官有物拂下代
第一項官有物拂下代
(14)花蓮港廳ノ徴收ニ係ル(會計檢査
円
院報告九)七、八八〇·六六〇
右ハ昭和六年三月花蓮港廳〓海區所在
官有原野二百三十八甲餘ヲ廳地方費ニ
對シ賣渡シタル地代金ニシテ本件ハ名
ヲ未墾地ニ藉リ低廉ナル價格ヲ以テ處
分ヲ爲シ國庫ニ損失ヲ及ホシタルモノ
ニシテ將來ニ對シ注意ヲ促ス
政府ノ辯明ヲ認メタルモノ
特別會計
拓務省所管朝鮮總督府
報〓一京城ニ於テ徵收ニ至ラサルモノ
報〓書
一昭和五年度國有財產增減總計算書
右ハ本院ニ於テ是認スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年三月十六日
決算委員長山崎猛
衆議院議長秋田〓殿
報告書
一昭和六年度國有財產增減總計算書
右ハ本院ニ於テ是認スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年三月十六日
決算委員長山崎猛
衆議院議長秋田〓殿
報告書
一昭和七年三月三十一日現在國有財產現
在額總計算書
右ハ本院ニ於テ是認スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年三月十六日
決算委員長山崎猛
衆議院議長秋田〓殿
〔山崎猛君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=4
-
005・山崎猛
○山崎猛君 決算委員會ノ經過竝ニ結果ノ
報告ヲ致シマス、本委員會ニ審査ヲ付託セ
ラレマシタル議案ハ昭和五年度及六年度
ノ歲入歲出總決算、同各特別會計歲入歲出
決算、同國有財產增減總計算書、及昭和七
年三月三十一日現在國有財產現在額總計算
書デアリマス、委員會ハ總會、分科會、小委
員會ヲ通ジテ囘ヲ重ヌルコト二十一囘デ
アリマス質問ノ發言者ハ政友會委員十
六名、民政黨委員五名、國民同盟委員三名、
合計二十四名デアッタノデアリマス、以上ノ
五、六兩年度ノ決算ニ關スル各般ノ數字竝
ニ國有財產ニ關スル計數ハ頗ル浩瀚ナル
モノデアリマスカラシテ、是ハ諸君ノ御手
許ニ配付シテアルベキ筈ノ書類ニ依ッテ詳
細御承知ヲ願ッテ、委細ヲ玆ニ申上ゲルコ
トヲ省略シタイト思フノデアリマス
委員會ノ審査ハ、申上ゲルマデモナク、
各歲入歲出決算書竝ニ國有財產計算書ニ基
イテ、是等ニ對スル會計檢査院ノ檢査報〓、
之ニ對スル政府ノ辯明書等ヲ參照シテ共
審議ヲ進メタノデアリマスガ、其結果ト致
シマシテ、五年度決算ニ對シテハ、不法ト
認メタルモノ二件、不當ト認メタルモノ八
十件、警〓ヲ附シタルモノ七件、注意ヲ促
シタルモノ十四件、右ノ如クニ議決致シマ
シテ、滿場一致ヲ以テ全部ノ議案ヲ承認ス
ルコトニ決定致シタノデアリマス、又六年
度ノ決算ニ對シマシテハ、不法ト認メタル
モノ六十五件、警告ヲ附シタルモノ十二件、
注意ヲ促シタルモノ五件、右ノ如クニ議決
ヲ致シテ、多數ヲ以テ全部ノ議案ヲ承認ス
ルコトニ決定致シタノデアリマス、但シ
國民同盟ノ委員諸君ハ、砂糖問題ニ關スル
徵稅步合ヲ不當ナリトスルノヲ、不法ナリ
ト云フ一點ニ於テ、意見ヲ異ニ致シマシ
テ、此採決ニハ反對ヲ致サレタノデアリマ
ス以上ノ議決ニ至ルマデノ審査ヲ進メル
間ニ、政府委員ト委員諸君トノ間ニ質問應
答ヲ重ネタル、詳細ナル經過ニ付キマシテ
ハ是亦速記錄ニ讓ルコトヽシテ、茲ニ詳
シク申上ゲルコトヲ省略致シタイト思フノ
デアリマス、併ナガラ大體ニ於テ、此審議
中ニ於ケル主ナル數項ニ付テハ、是非共御
報告申上ゲナケレバナラナイト思フノデア
リマス
申上ゲル迄モナク昭和五年度、六年度ノ
決算ハ、民政黨內閣ノ當時ニ於ケル豫算ノ
決算デアリマス、隨テ當時ノ決算ニハ民
政黨內閣ノ主義主張トスル所ノ幾多ノ政
策ガ、全面的ニ現ハレテ居ルト云フコトモ、
申上ゲル迄モナイト思フノデアリマス、卽
チ當時民政黨ニ於キマシテハ、五年度ノ豫
算ヲ行フニ當ッテ、施行豫算ニ對スル實行豫
算ノ編成實施ヲサレ、非募債主義ヲ標榜
シ、所謂緊縮政策ヲ以テ一貫サレタト云フ
コトハ、吾々ノ記憶ニ新ナル所ナノデアリ
マイ、之ニ對シテ當時ノ野黨デアッタ所ノ
政友會ノ方ハ、政策的見地ニ立ッテ正面ヨ
リ反對論ヲ以テ終始シタト云フコトモ、是
亦明ナル事實デアルノデアリマス、今申上
ゲルヤウナ政策上ノ二大政黨ノ對立ノ間ニ
出來タル決算デアリマスルガ故ニ、此五年
度、六年度ノ決算ノ審議ヲ進メル上ニ於
テ、兩政黨ノ政策ノ忠實ナル反映ガ、委員
會ノ審議ノ上ニ現ハレテ來テ、屢と議事進
行ノ上ニ、熱度ノ高調ヲ見ルニ至ッタト云
フコトモ、是亦當然ノ事トシテ御諒承ヲ願
ハナレバナラナイノデアリマス、今申上ゲ
マシタヤウナ狀況ニ於テ論ゼラレマシタル
モノヽ主ナルモノヽ二三ヲ此處デ御紹介
ヲ致シタイト思フノデアリマス
第一ニハ五年度、六年度ノ決算全體ヲ
通ジテノ總體的ノ質問デアリマス、第二ニ
ハ、五年度ノ施行豫算ニ對スル實行豫算ノ編
成實施ヲスルニ當ッテハ、何故ニ臨時議會ヲ
召集シテ、改メテ協贊ヲ求ムルノ態度ニ出
デナカッタカ、斯ウ云フヤウナ質問ガ出テ居
ルノデアリマス、之ニ對シテ政府委員ノ方
ノ答辯ヲ見マスルト、豫算不成立ニ終ッタ場
合ニ於テ、前年度ノ豫算ヲ施行スベキガ本
則デアルケレドモ、當時ノ經濟事情ヨリシ
テ、民政黨內閣ハ前年度豫算以內ニ於テ實
行豫算ヲ拵ヘテ、出來ル限リ節約ヲ行フコ
トガ國家ノ爲メナリト判斷サレタノデア
ル、其結果ノ善カッタカ惡カッタカト云フコト
ニ付テハ爾後ノ成績ニ依ッテ判斷スルヨ
リ外ニ途ハナカラウ、斯ウ云フヤウナ政府ノ
答辯ニナッテ居ルノデアリマス、更ニ又實行
豫算ニ於テ緊縮政策ガ具體化サレ、殊ニ內
務、農林兩省所管ニ屬スル港灣費、道路費、
災害費、產業施設費、補助奬勵費等ガ繰延、
中止ヲセラレテ居リ、是ガ爲ニ地方產業ニ
支障ヲ齎ラシ、歲入減ノ著シキ原因トナッタ
ト思フガ、是ハ如何デアルカト云フ質問モ
アッタノデアリマス、之ニ對シマシテハ
緊縮政策ノ結果ガ一般經濟界ニ影響ヲ及ボ
シ、歲入ノ減少ヲ來シタト云フコトハ御說
ノヤウニモ考ヘル、併シ歐洲大戰後ノ對策
トシテ、世界各國ノ人々ガ「デフレーション」
ヲ以テ、膨脹シタル財政經濟ヲ縮小シテ行
クノガ宜イト考ヘテ當時ノ內閣モ此潮合
ニ乘ッテ「デフレーション」ノ政策ニ依ッテ進
ンダモノデアル、時ノ濱口總理大臣ハ衷心
ヨリ斯ク信ジテ、其手段方法ヲ執ッタノガ國
家ノ爲ナリト考ヘタノデアラウト云フ、政
府委員ノ答辯デアッタノデアリマス、又最
後ニハ公債政策ノ問題デアリマスガ、當時
ノ內閣ハ非募債主義ヲ聲明シテ居フタノニ拘
ラズ、イマ五年度、六年度ノ決算ヲ審査シ
テ見ルト云フト募債ノ事實ガ擧ッテ居ル、
是ハ如何ナルコトデアルカト云フ質問ガ
アッタノデアリマス、之ニ對スル政府ノ答辯
ハ、恐ラク五年度ノ震災善後公債三千八百
万圓ノ問題デアラウト考ヘルガ、是ハ質問
者ノ趣意ノ通リニ、豫定ニハ確ニ無カッタ
ノデアル、然ルニ歲入ノ著シイ減額ノ結果、
年度末ノ歲計計算ノ遣方ガ困難トナッタ爲
ニ、其補塡トシテヤッタモノデアル、偶、震こ
災費ガ公債財源ニ依フテ充テラレルト云フ
コトガ、法律上認メラレテ居ルカラ、此方
法ヲ執ヲテ一般財源ノ餘裕ヲ作リ、之ニ依フ
テ五年度ノ歲計ノ終末ヲ付ケタノデアル、
六年度ニ於テハ滿洲事變費ノ公債七千七
百万圓ヲ除イテ、其外ニ同ジヤウニ道路公
債、電信電話公債及震災善後公債等モ見テ
居ルケレドモ、大體同樣ノ事情デアッタト
云フ意味ノ答辯ヲサレタノデアリマス、質
問者ハ之ニ對シテハ、大體ニ於テ不滿足ノ
意ヲ表シテ質問ヲ打切ァテ居ルノデアリマ
ス
第二ニ御報告スベキハ、賞與金ヲ豫算費
目ノ不當ナル流用ニ依リ支出ヲシタト云フ
件デアリマス、之ニ關シテハ會計檢査院ガ
不當トシテ指摘シタル所ハ、昭和五年度ニ
於テ合計百七十万圓、昭和六年度ニ於テ合
計二百三十万圓ニ上ッテ居ルノデアリマス、
是ハ事業費、工事費其他ノ項ノ流用、又ハ
豫算ノ目的外ニ使用シタル金額ト云フコト
ニナッテ居ルノデアリマス、此繰林使用ハ會
計法十四條ノ規定ニ違反シテ居ルモノデア
ルト云フコトナノデアリマス、特ニ特別會
計ノ八幡製鐵所ノ費目ノ內カラ商工省ノ官
吏ニ對シ、專賣局ノ費目ノ內カラ大藏省ノ
官吏ニ對シ、又北海道ノ拓殖費ノ內ヨリ同
樣ノ流用ヲシテアルト云フコトモ、追究ヲ
シテ質問ガアッタノデアリマス、而シテ會計
檢査院及本院ニ於テ、每年此點ニ付テ不當
トシテ指摘セルニ拘ラズ、政府ハ每年同ジ
事ヲ繰返シテ改ムルコトガナカッタノハ、其
意思果シテ何レニアリヤト、是ハ賞與ニ對
スル質問ノ要領ナノデアリマス、之ニ對シ
テ齋藤內閣總理大臣ハ、ル樣ニ答ヘテ居ル
ノデアリマス、「目的以外ノモノヲ流用シテ
居ルト云フノハ卽チ弊害ガアルト思フノ
デアリマス、ソレ等ノ點ニ付キマシテ矯正
シタイト云フ考ヲ有ッテ居ル」更ニ又將來ノ
問題ニ付テハ斯樣ニ答ヘテ居ルノデアリ
マス「將來ニ於キマシテ御期待ニ副フヤウ
ニ致シタイト云フコトヲ申シテ置キタイト
思ヒマス」斯ウ云フ答辯ヲ得タノデアリマ
ス、同ジク賞與ノ問題ニ付テ、各省ニ於ケ
ル賞與ノ步合ガ統一ヲ缺イテ居ル、區々ニ
ナッテ居ル、之ヲ統一スルノ意思アリヤ否ヤ
ト云フコトモ質問サレタノデアリマス之
ニ對シテ總理大臣ガ答ヘテ居ルノデアリマ
ス「或所ニハ非常ニ重ク行ハレテ居ル所ガ
アル、或所デハ輕ク行ハレテ居ル所ガアル
ソレ等ノ點ニ付キマシテモ、考慮シナケレ
バナラヌト思ッテ居リマス」、更ニ又賞與ノ
費目ヲ豫算上ニ新ニ設ケル意思アリヤ否ヤ
ト云フ質問ニ對シマシテ、政府委員ノ答ハ
打開ケテ申シマスレバ、新ニ費目ヲ設ケル
ト云フコトハ理論上ハ結構デアルケレド
モ、各省各樣ノ立場上、結局豫算ノ膨脹ヲ
來スノ結果トナル虞ガアルガ故ニ、制度トシテ
ハ不備デアルケレドモ、今日迄ノ慣行デ
參クテ居ルノデアリマスト、斯ウ云フ風ナ答
辯ガアッタノデアリマス
次ニハ軍事費ノ問題デアリマス、軍事費
ノ內、海軍ニ關シマシテハ五年度ノ海軍
ノ費用ニ關係致シマシテハ、豫算ノ一割四
分强、卽チ四千百六十餘万圓ノ不用額ヲ出
シテ居ル、其內譯ハ造船、造兵、修理、燃
料ノ諸費用、或ハ補助艦艇製造費、艦船改
裝費、新兵器採用更新費ト云フヤウナモノ
ガアル、又六年度ニ於テハ、保留財源ヲ減稅
ニ振向ケントシタル結果、海軍ハ五千二百
万圓ト云フ、非常ナル巨額ノ節減繰延ヲ敢
テ行ヒ、其上三百八十餘万圓ノ不用額ヲ捻
出シテ居ル、以上ノヤウニ、兩年度ニ於テ
無理ナル經費節減ヲ行ッタル結果、其後國際
情勢ノ急激ナル變化ニ對應スル爲メ、昭和
七年度ニ於テハ二千五百餘万圓ヲ俄ニ繰戾
シ八年度ニ於テハ六千万圓ノ增加ヲ行
ヒ、合計シテ見ルト云フト、丁度是ガ八千
五百万圓ニ上ル、此八千五百万圓ヲ昭和七
年度、八年度ニ計上シタ所ノ費用トシテ、
之ヲ昭和五年度、六年度ニ繰延ベタル八千
八百万圓ト云フ數字ト照シ合セテ見ルト云
フト、丁度茲ニ繰延ベタヾケノモノガ七
年度、八年度ニ要求サレルト云フ形ニナッテ
來テ居ル、斯樣ニ兩三年ノ間ニ非常ナル繰
延ヲシ、繰戾ヲシテ、國防上ノ施設ニ見透
シノ付カナイ遣方ヲシタト云フコトハ國
防ノ重任ニ當ル者ノ重大ナル責任デハナイ
カ、一アッテ二ナキ國防ノ最小限度ヲ、信念
ヲ有タズシテ動カシタ結果ガ、斯ウ云フ風
ニナッタノデアラウト云フ質問ガアッタノデ
アリマス、之ニ對シテ大角海軍大臣ハ財
政ト國防費トノ相關關係ヲ說イテ、箇々別
別デハ行カレナイト云フ理由ヲ說イテ、サ
ウシテ過去ヲ過去トシテ、將來ハ決シテ斯
ノ如キコトナキヤウ、十分努力シタイ考デ
アルト云フコトヲ答ヘタノデアリマス、過
去ヲ過去トシテ、將來ハ決シテ斯ノ如キコ
トノナイヤウニ、十分ニ努力シタイト云フ
コトヲ答ヘラレタ所ガ、民政黨ノ委員ノ方
ヨリ、然ラバ過去ハ重大ナル缺陷ガアッタ
ト云フ意味ニナルカト云フ反問ヲ受ケタノ
デアリマス、之ニ對シテ海軍大臣ハ過去
ノ問題ヲ論議スルコトハ避ケタイト云フ意
味デアルト云フ答辯ヲ與ヘタノデアリマス
次ニハ陸軍ノ問題デアリマス、五年度ノ
陸軍ノ經費ノ決算ニ於テハ、四千八百餘万圓
ヲ削リ、三千七百餘万圓ヲ不用額トシテ之
ヲ除イテ居ル、昭和六年度ニ於テハ五年
度ニ比シテ更ニ二千万圓ヲ減少シテ居ル、
斯ウ云フコトニ依ッテ、戰用資材ノ整備デア
ルトカ、其他國防ノ施設ヲ後年度ニ繰延ベ
テ居ル、斯樣ナコトヲ致シテハ陸軍豫算
ハ國防上ノ必要ナル最小限度デアル以上、
此結果トシテ國防ニ缺陷ヲ生ジタノデハナ
イカト云フ質問ガアッタノデアリマス、之ニ
對シテ荒木陸軍大臣ハ、陸軍費ノ削減ト云
フコトハ甚ダ遺憾トスル所デアル然レ
ドモ時ノ政府ノ政策ニ對應シテ、忍ブベカ
ラザルヲ忍ンデ削減シタノデアル、比較的
不急ノモノヲ選ンデ之ニ充テタルヲ以テ、
敢テ國防ニハ缺陷ヲ生ジタリトハ考ヘナイ
ト云フ意味ノ、答辯ガアッタノデアリマス、
然ラバ將來ハドウカト云フ質問ガ重ネテ
アッタノデアリマス、之ニ對シテハ、將來ハ
努メテ斯ル不安ノナイヤウニ、努力スルコ
トニシタイト云フ答辯ガアッタノデアリマ
ス
次ニハ明治製糖ノ脫稅問題デアリマス、
大要下ノ如キ諸點ニ付テ質問應答ガ重ネラ
レタノデアリマス、明治製糖會社ハ計畫的
ニ、關稅、消費稅等ノ通脫ヲ行ヒタルモノト
思フガ、政府ハ何故ニ之ヲ處罰セザリシカ、
政府ノ處置ハ將來徵稅上支障ヲ來シ、國
民思想上ニ惡影響ヲ與ヘタト思フガ、之二
對シテ政府ノ對策ハ如何ナルモノデアッタ
カ政府ハ六十三議會前ニ於テ、脫稅行爲
ニ對スル行政處分ヲ完了シタノデアル、然
ルニ議員ノ質問ニ對シテハ未解決ノ旨ヲ明
言セルノハ、議會及國民ヲ欺クモノデハナイ
カ、政府ノ所見ハ如何、政府ハ從來度々脫
稅事犯ヲ起シタ砂糖問題ニ付テ、砂糖國營ノ
考ハナイカ、間接國稅反則者處分法ノ改正
ノ考ハナイカ、徵稅手續ノ改正等ニ關シテ
何等カ考ガアルカ、此樣ナ諸點ニ付テ政府
ニ對シテ質問ガアリ、政府ノ答辯ガアッタ
ノデアリマスガ、委員諸君ハ之ニ對シテ滿
足ヲシナカッタノデアリマス、サウシテ委員
諸君ハ結局明ニ脫稅行爲デア,テ、政府ノ
措置ハ不當ナリト認ムルト云フコトニ決定
シタノデアリマス
以上ノ外、內務、農林兩省ノ、地方自治
體ニ對スル方針ガ二途ニ出ヅル爲ニ、匡救
事業其他ノモノガ成績ガ擧ラナイ、而モ自
治體ノ方デハ、非常ニ仕事ノ遺繰ニ於テ、
困難ヲ感ジテ居ルト云フヤウナコトニ付テ
ノ質問モアリマシタ、又東京地方專賣局ノ
支出ニ關スル件ニ於テ不當ナリト認メテ、
之ニ對スル質問モアッタノデアリマス、或ハ
鐵道工事談合ニ關スル件、朝鮮土地改良事
業ニ關スル件、各省ノ各種學校卒業生採用
ニ關スル件、各官省ノ官制定員ト現在定員
ニ關スル件、綱紀ノ頽廢ト官吏ノ犯罪ニ關
スル件、其他各般ノ事項ニ付テ、熱心ニシ
テ詳細ナル質問應答ガ繰返サレタノデアリ
マく、大體以上ノ次第デアリマスガ、委員
會ノ決定ノ通リニ御承認アランコトヲ望ム
次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=5
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006・秋田清
○議長(秋田〓君) 此際鈴木正吾君ヨリ成
規ニ依リ動議ガ提出サレマシタ-昭和六
年度歲入歲出總決算一般會計歲入經常部第
一款第十項砂糖消費稅ノ徵收ハ不法ナリト
認ムトノ決議デアリマス、其趣旨辯明ヲ許
シマス-鈴木正吾君
〔鈴木正吾君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=6
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007・鈴木正吾
○鈴木正吾君 私ハ昭和六年度歲入歲出總
決算一般會計歲入經常部第一款第十項砂糖
消費稅ノ徵收ハ不法ナリト認メル動議ヲ提
出シテ、其提出ノ理由ヲ說明シヨウト存ジ
マス、砂糖消費稅ノ徵收ガ不當デアルト云
フコトハ旣ニ決算委員全員一致ヲ以テ決
定サレタコトデアリマスルガ、私ハ單ニ之ヲ
不當ナリト認メタバケデハマダ足リナイ、
是ハ明ニ不法デアル、斯ウ云フ修正ヲシテ、
此昭和六年度ノ決算委員會ノ報告ヲ承認シ
タイト思フノデアリマス、申ス迄モナク消
費稅ノ徵收ハ其徴收セラルヽモノ自體ノ
實量ニ於テ徵收スルノガ、法ノ成文解釋デ
アッテ、サウヤラナイノハ間違デアリマス、
然ルニ從來稅務署ノ徵稅慣行手段トシテ、
所謂標準步合ナルモノヲ定メテ實量ニ拘
ラズ、共標準步合ニ依フテ徵稅スルト云フ
コトガ、慣行トシテ認メラレテ來タト云フ、
此慣行ハ法律ノ成文解釋トスレバ明ニ間
違ッタコトデアリマスケレドモ、假ニ之ヲ多
年ノ慣行トシテ是認〓シタトシテモ、其標
準步合決定ニ當ッテ、若シ違法行爲ガアリマ
スルナラバ斯ル違法行爲ノ下ニ決定セラ
レタ標準步合ニ依フテ、稅金ヲ取立テルト云
フコトハ全ク不法ノ遣方デアルト吾々ハ
信ズルノデアリマス(拍手)砂糖消費稅ノ標
準步合決定ニ當フテ、如何ナル不正手段ガ行
ハレタカト云フコトハ、旣ニ天下ニ明ニナッテ居
ル事デアリマスガ、簡單ニ其事實ヲ指摘致シ
マスルト、昭和二年六月カラ昭和三年初メニ
掛ケテ、砂糖消費稅ノ標準步合改訂ヲ爲スニ
當リ、其標準步合決定ノ基礎調査トモ謂フベ
キ實績調査ヲ爲スニ當リマシテ、各製糖會社
ハ實績ノ調査ノ結果標準步留ガ高ク出ル
ト標準步合ガ高ク決定セラルヽ虞ガア
ル、卽チ稅金ヲ重ク課ケラレル虞ガアリマ
スルノデ、各會社ガ共謀シテ、如何ニシテ實
績ノ步留ヲ低下シヨウカト云フコトニ付テ、
協議ヲ致シタノデアリマス、卽チ明治製糖
ヲ初メ所謂其當時ニ於ケル臺灣ノ五大製糖
會社ガ、各、自分ノ工場ノ技師長級ノ人間
ヲ工業倶樂部若クハ帝國ホテルニ集合サ
シート、步留低下ノ方法ニ付テ相談ヲヤッタ、
其事ハ此問題ニ關聯シテ檢事局ガ取調ベタ
ル所ニ依フテ、旣ニ明白ニ分ッテ居リマス、
其結果トシテ申合セタコトハ、步留ヲ決定
スルニ當フテ卽チ砂糖ノ原料ヲ釜入スル時
ニ、其原料ヲ拔取〃テ、標準步留ヲ低クシヨ
ウト云フコトデ、又斤量ヲ胡麻化シテ、百
六十何斤入ノ物ヲ使フト稱シナガラ、ソレ
以下ノ斤量ノ原料ノ袋ヲ釜入シテ、詰リス
リ替ヘテ胡麻化スト云フコトサウ云フヤ
ウナ不正手段ヲ講ジテ、步留ノ低下ヲ圖ヲタ
ト云フコトハ、天下周知ノ事實デアリマス、
卽チ此遣リ方ガ脫稅行爲デアル、消費稅ヲ
通脫シ、又ハ通脫ヲ圖ヲタ不法行爲デアリ
マシテ、斯ル不正手段ニ依ッテ決定セラレタ
標準步合ヲ以テ、砂糖消費稅ヲ徵收シタト
云フコトハ明ニ不法行爲デアルト私共ハ
思ハザルヲ得ナイ(拍手)吾々ハ此明治製糖
ノ脫稅事件ヲ、單ナル明治製糖ノ脫稅事件
ト考ヘル其考ソレ自體ガ、事態ノ眞相ヲ認
識シナイモノダト考ヘテ居リマス(拍手)此
問題ハ決シテ明治製糖ダケニ限ラレタ問題
デハナイ、各臺灣ノ製糖會社ガ共謀シテ脫
稅ヲ圖フタ大問題デアル、吾々ハ斯ク信ジテ
居ル、此點ニ付テハ委員會ノ質問ニ於テモ、
吾々ハ明白ニ其事ヲ指摘シテ置イタ、卽チ
各會社ガ共謀シテノ脫稅デアルト云フ理由
ハ、今日ノ資本主義制度ノ下ニ於テ、同ジ
製糖事業ニ携クテ覇ヲ爭フテ居ル五大製糖曾
社ノ工場ノ能力、若クハ砂糖製造ノ技術ニ
對シテ差ガアルベキ筈ハナイ、旣ニ大差ナ
シト云フコトヲ前提トスルナラバ、明治製
糖ハ不正ノ行爲ヲヤッテ、而モ九十六%何ガ
シト云フ步留シカ得ナカッタ、他ノ會社ハ矢
張實績査定中ニ於テ略、同樣ノ步留ヲ示シ
テ居ル、工場ノ能力ニ大シタ違ヒガナク、製
糖ノ技術ニ大シタ違ヒガナイ製糖會社ガ、
實績査定期間中ニ於テ、:略〓同ジ步留ヲ出
シテ居ルト云フ此結果ヲ見テ、明治製糖ダ
ケガ不正行爲ヲ爲シテ、九十七%程度ノ步
留ヲ出シ、他ノ會社ハサウ云フ不正行爲ヲ
シナイデ、同ジヤウナ程度ノ步留ヲ出シタ
ト云フコトハ、殆下常識上考ヘラレナイコ
トダト吾々ハ信ジテ居ルノデアリマス、
又此點ニ付テ各工場ノ能力、技術ニ付テ
政府ニ質問致シマシタ所、政府ハ色々ト言
ヲ左右ニ托シテ、其事ノ眞相ヲ發表スルコ
トヲ嫌フテ居リマシタ、色々會社ノ都合デ必
シモ一定シテ居ナイ如何ニモ各會社ノ技
術及能力ニハ差異ノアルカノ如キ答辯ヲ致
シマシタ、若シ各會社ノ技術及能力ニ著シ
イ差異ガアリマスナラバ標準步合決定ノ
爲ノ實績査定期間中ニ於テ、各會社ガ略、
九十七%程度ノ、同ジ程度ノ步留ヲ示シタ
ト云フコトニ不正ガアル、假ニ工場ノ能力
ニ同ジモノガアリトスルナラバ、矢張明治
製糖同樣ノ不正ガアッタト見ナケレバナラ
ヌ若シ工場ノ能力ニ差異ガナイトスルナ
ラバ同ジ步留ヲ出シタリト云フコトニ
何カノ不正ガナケレバナラヌ斯ウ吾々ハ
考ヘルノデアリマス、ソコデ明治製糖ノ脫
税ナリヤ否ヤノ決定ノ根本ハ、既ニ豫算委
員會ニ於テモ屢、問題ニナッテ居リマス通
リ、明治製糖ガ實績査定期間中ニ於テ爲シ
タ不正行爲ガ、標準步留ヲ決定スル場合ノ
法律的因果關係アリヤ否ヤ、卽チ明治製糖
ガ不正ノ行爲ヲシテ步留ヲ出シタ爲ニ、標
準步合ノ決定ガ故ラニ低クセラレタトスレ
バ、ソレハ明ニ法律的ノ因果關係ガアルカ
ラ脫稅行爲デアルケレドモアノ標準步合
ヲ決定スルノニハ、何モ明治製糖ノ不正行
爲ニ依ッテ累ハサレル所ハナカッタ、明治製
糖ノ不正行爲ハ、標準步合ノ決定ニハ何等
ノ因果關係ハナカッタト云フノガ政府ノ辯
明デアリマシタ此政府ノ辯明ガ一種ノ詭
辯デアルト云フコトハ、津雲委員ガ豫算委
員會ニ於ケル說明ニ依ッテ、徹底的ニ表示セ
ラレタ所デアリマス、卽チ若シ標準步合ノ
決定ニ實績査定ガ影響ガナイト云フナラ
バ何ノ意味デ標準步合決定ノ前ニ步留調
査ヲ致シタノデアルカ、又此步留調査ハ如
何ナル意味ニ於テ爲サレタカト云フコトノ
警視廳カラノ質問ニ對シテ、大藏當局ハソ
レハ標準步留決定ノ基礎調査デアルト云フ
コトヲ言明致シテ居リマス又六十二議會
ノ豫算委員會ニ於テモ、政府委員ハ標準步
合ノ決定ノ有力ナ資料デアッタト云フコト
ヲ言明致シテ居リマス、政府ハ此事ガ眞實
ナ步留決定ノ根本調査デアルベキコトハ
有ユル機會ニ認メテ居ル、又ソレデナケレ
バ實績ヲ査定シタト云フコトハ全然無意
味デアリマス、ソレニモ拘ラズ、後ニ至ヲテ
此問題ガヤカマシクナッテ、世間ヲ胡麻化ス
手段トシテ、因果關係ナシト强辯シテ居ル
ノデアリマス、吾々ハ斯ル胡麻化シニ乘ツ
テ、此問題ヲ此儘看過スルト云フコトハ
國民ニ對シテ相濟マヌコトヽ思ッテ居ルノ
デアリマス(拍手)
今ヤ此明治製糖ノ問題ハ、單ナル明治製
糖ノ脫稅問題ト云フ程度ノ問題デハナイ、
此問題ヲ斯クモ暖味ニボカシテ居ル背面ニ
ハ製糖會社ノ莫大ナル機密費ガ或ル方
面ニバラ撒カレテ、其結果トシテ此問
題ヲ不問ニ附シテ居ルノデアルト云フ疑
ガ、國民ノ間ニ十分存在シテ居ルト云フ
コトヲ、衆議院ハ能ク認識シナケレバナ
ラヌト思フノデアリマス(拍手)吾々ハ現
代ノ思想ノ惡化ノ其重大ナル原因ハ、財閥
ト政黨トガ結託シテ、色々變ナコトヲシテ
居ルト云フ國民ノ間ノ疑ガ、今日ノ國民思
想ヲ惡化スル重大原因デアルト信ジテ居ル
ノデアリマス(「裁判ガアルノダ」ト呼フ者
アリ)國民ハ裁判官デハナイ、裁判官デハ
ナイカラ、證據ガ有ル無イト云フコトデ問
題ノ眞相ヲ言フノヂヤナイ、證據ノ有無ノ
問題ニ非ズシテ、彼等ハ唯何トナシニサウ
云フ空氣ヲ信ズル、財閥ト政黨ト結託シテ
居ルノデナケレバ、斯ル間題ガ議會デ不問
ニ附セラレル筈ハナイデハナイカ(「惡イ事
ハ裁判デヤルノダ」ト呼フ者アリ)惡イ事ハ
吾々ハ議會ニ於テ決スベキダト思フ、裁判
ノ問題トハ違フ、裁判ノ犯罪ノ事實トシテ
ハ旣ニ擧ッテ居ル、吾々カラ言ヘバ(「誰ガ製
糖會社カラ貰ッタカ」ト呼フ者アリ)旣ニ此
問題ニ付テハ政友會ノ長老デアル濱出國
松氏モ、其質問演說ニ於テ、明治製糖問題
ヲ不都合ナル問題トシテ、政府ノ態度ヲ難
詰シテ居ルデハナイカ(拍手)又豫算委員會
ノ決議トシテモ、明治製糖ニ對スル政府ノ
處置不當ナリトシテ、之ヲ不當決議ヲシテ
居ルデハナイカ、是程明白ナコトナラバ
何故之ヲ本議會ニ於テ不當ナリト天下ニ聲
明シナイノデアルカ、ソレヲ言フノデアル、
委員會ニ於テ認メ、其代表者ノ質問演說ニ
於テ、之ヲ不當ナリト認メテ居ルコトヲ、
何故本議會ニ於テ不當ナリト認メテ、天下
ニ其問題ノ疑ヲ解カナイノデアルカ、問題
ノ焦點ハ其處ニアルト私ハ信ズルノデアリ
マス(拍手)
(「何ヲ言ッテ居ルノグ」ト呼ヒ其他發言
スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=7
-
008・秋田清
○議長(秋田濟君) 靜肅ニ-靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=8
-
009・鈴木正吾
○鈴木正吾君(續) ソコデ吾々ハ此問題
ハ國民ノ納稅觀念ノ上ニ、如何ナル惡影
響ヲ及ボスカト云フコトヲ眞實ニ憂慮致シ
マス
(「何ヲ憂慮シテ居ルノダ」ト呼ヒ其他
發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=9
-
010・秋田清
○議長(秋田濟君) 靜肅ニ-大石君ニ注
意致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=10
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011・鈴木正吾
○鈴木正吾君(續) 是ハ昨年六月二十三日
ノ大阪每日新聞ノ中ニ出テ居ッタ記事デア
リマス「鳥取縣大岩村役場ノ宿直室ヲ覗イ
テ慄然タル情景ヲ見タ、宿直室ノ廻ハリノ
壁ニハ、時計屋ノヤウニズラリト十數箇ノボ
ン〓〓時計ガ懸ケラレテ居ル、煤デヨゴレ
ク、如何ニモ時代物ラシイ時計バカリデハ
アルガ、村役場ノ宿直室ニト,テハ異觀ダ、
室ノ隅ニハ疊ガツミ重テネラレテアル片
隅ニハ襖ヤ障子ガ幾枚モツマレアル、華ヤ
カナリシコロヲ物語ル枠ヲ黑ク漆デ塗ッタ
襖、子供ノイタヅラデ破ッタラシイ障子、又
片隅ニハ小サナ「スーツケース」昨日マデ學
童ガ手習ヒヲシテ居タラシイ小机、鍋火
鉢等々、マルデ安物ノ古道具屋ノヤウニ此等
ノ品ハ稅金滯納ニヨッテ差押ヘラレ、ヤガテ
競賣ノ悲運ヲ待ツ物バカリデアル、鈴ガナ
ラウト、納稅日ガ來ヨウト、稅金ヲ納メナ
イ者ガ頻出スル、督促狀ヲ幾枚貰"テモ、
尙ホ納稅出來ナイ者ガ出テ來タ、農家ノ窮
迫サハ稅金ノ滯納ブリニ如實ニ現ハレテ居
ル」自分達ノ僅ナ稅金ノ爲ニ、斯ウ云フヤウ
ナ處分ヲ受ケツヽアル全國ノ國民カラ見レ
バ、明治製糖ノ如キ明白ナル脫稅事件ヲ、不
問ニ附セラレテ居ルト云フコトニ對シテ、國
民ハ憤懣ノ情ニ堪ヘナイモノガアルト私ハ
信ズルノデアリマス、吾々ハ此國民ノ疑惑
ヲ一掃スル意味カラ言ウテモ、此委員會ノ
決定ヲ、不當ナリトスル決定ヲ、不法ナリト
認メテ、之ヲ改メシムルヤウニ、衆議院ハ
滿場一致デ之ニ贊成セラレンコトヲ、切ニ
御願致ス次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=11
-
012・秋田清
○議長(秋田濟君) 是ヨリ採決致シマス、
先ヅ鈴木正吾君提出ノ動議ヲ採決致シマス、
本動議ノ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=12
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013・秋田清
○議長(秋田清君) 起立少數、本動議ハ否
決セラレマシタ
〔「賣名」「臭イゾ」「默レ」ト呼ヒ其他發
言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=13
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014・秋田清
○議長(秋田清君) 靜肅ニ-靜肅ニ
昭和六年度歲入歲出總決算、一般會計歲入
經常部ノ第一款第十項ハ委員長報〓ノ通
リ是認スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=14
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015・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマス
仍テ本項ハ委員長報告ノ通リ是認スルニ決
シマシタ(拍手)其他ハ委員長報告ノ通リ是
認スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=15
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016・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メ、委
員長報告通リ是認スルコトニ決シマシタ(拍
手)日程第六及第七ハ、同一委員ニ付託シ
タル議案ナルニ依リ一括議題ト爲スニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=16
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017・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
日程第六、醫師法中改正法律案、日程第七、
齒科醫師法中改正法律案、右兩案ヲ一括シ
テ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告
ヲ求メマス-委員長加藤鐐五郞君
第六醫師法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第七齒科醫師法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一醫師法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
昭和八年三月二十日
委員長加藤鐐五郞
衆議院議長秋田〓殿
〔別紙〕
醫師法中改正法律案中左ノ通修正ス
第四條ノ二醫師ニ非ザレバ診療所ヲ開
設スルコトヲ得ズ但シ命令ヲ以テ定ム
ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
診療所ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以
テ之ヲ定ム
附帶決議
一診療錄ノ査閱ハ眞ニ監督上必要已ム
ヲ得サル場合ニノミ其ノ事項ヲ限リ地
方長官ハ其ノ査閱事項ヲ診療錄保存者
ニ通知シ且內務大臣ニ報告スヘキコト
ヲ命令ニ規定スヘシ
二醫師ニ非サル者ノ醫業類似行爲及誇
大廣告ハ衞生保健上其ノ弊害甚大ナル
ヲ以テ之カ取締ヲ嚴重ニ爲スハ勿論現
今區區ニ行ハルル地方命令ノ統一ヲ計
リ以テ其ノ取締ノ徹底ヲ期スヘシ
報告書
一齒科醫師法中改正法律案(政府提出、貴
族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和八年三月二十日
委員長加藤鐐五郞
衆議院議長秋田〓殿
附帶決議
一診療錄ノ査閱ハ眞ニ監督上必要已ム
ヲ得サル場合ニノミ其ノ事項ヲ限リ地
方長官ハ其ノ査閱事項ヲ診療錄保存者
ニ通知シ且內務大臣ニ報告スヘキコト
ヲ命令ニ規定スヘシ
二齒科醫師ニ非サル者ノ齒科醫業類似
行爲及誇大廣告ハ衞生保健上其ノ弊害
甚大ナルヲ以テ之カ取締ヲ嚴重ニ爲ス
ハ勿論現今區區ニ行ハルル地方命令ノ
統一ヲ計リ以テ其ノ取締ノ徹底ヲ期ス
ヘシ
〔加藤鐐五郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=17
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018・加藤鐐五郎
○加藤鐐五郞君 諸君、私ハ只今議題ニナ
リマシタル醫師法中改正法律案、齒科醫師
法中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ
御報告致シマス、醫師法中改正法律案ハ
全國五万ノ醫師ガ重大ナル關係ヲ有シテ居
リマスルガ故ニ、委員會ニ於キマシテハ
前後八回ニ亙リ、各方面ヨリ愼重審議致シ
タノデゴザリマスル而シテ其主ナル點ニ
付キマシテ極メテ簡單ニ御報告致シタイ
ト存ジマス
問題ノ中心ト相成リマシタノハ所謂第
四條ノ二、卽チ診療所ノ開設、治療所ヲ開
クト云フコトニ關シテヾアルノデゴザリマ
スト政府ノ主張ハ、診療所ノ開設ト云フ
モノハ獨リ醫師ノミニ獨占サスベキモノ
デハナイ、一般醫師ニ非ザル者ニモ之ヲ許
可シテ、醫師、一般ノ者ト竝行シテ、以
テ醫療ノ普及ヲ圖リタイノデアル斯
ウ云フノガ政府ノ本案提出ノ主張デア
ルノデアリマス、而シテ鳩山文部大臣
ハ國務大臣ト致シマシテ、此委員會ニ
出席致シマシテ、委員ノ醫學生訓育ニ關
スル質疑ニ對シマシテ、斯樣ニ明白ニ答ヘ
ラレタノデアリマス卽チ醫者ヲ以テ單ナ
ル營業デアルト看做スコトハ、洵ニ國家ノ
爲ニ憂フベキコトデアル、醫ハ昔ヨリノ仁
術ト云フ立場ニ於テ〓育ヲ施シタイ、隨テ
診療所ノ開設ト云フコトハ醫師ヲ主體ト
シ、原則トシテ醫者ニ之ヲ認メル、例外ト
シテ醫師ニ非ザル者ニモ、其經營ヲ許スト
云フコトガ本當ノ筋道デアルト、斯樣ニ答
辯サレタノデアリマシテ、內務政府委員ノ
答辯ト鳩山國務大臣ノ答辯トハ、大ナル矛
盾ヲ來シテ居ッタノデアリマス、之ニ對シマ
シテ委員ヨリ致シマシテハ、我國ノ醫師ハ
昔ヨリ醫ハ仁術ナリト謂ハレテ、世間亦斯
樣ニ尊敬シ、醫師亦斯樣ニ自尊致シテ、如
何ニカシテ仁衛ノ立場ヲ守リタイト致シテ
居ルノデアル是ハ世界各國ニ類例ノナイ
我國獨特ノ醫師ノ美風デアッテ、吾々ハ之ヲ
飽迄維持シテ、醫界美風ノ向上ヲ圖ラナケ
レバナラナイ、然ラバ此診療所ノ開設ト云
フ、醫業ト云フコトハ醫師ヲ原則トスベ
キガ當然デハナイカ、殊ニ斯樣ナ診療所ヲ
開設スルノハ醫師ニ限局シテ、他ノ者ニハ
一切許サナイト言フノデハナイ、政府ノ言
フ通リニ公共團體ハ勿論ノコト、或ハ慈善
團體、公益法人、法人、又假令個人ニシテ
モ、政府ノ言フ通リニ其信用、閱歷、人
格、總テヲ調査シテ適當ナル者ニハ之ヲ
許セト云フコトハ政府ト少シモ實質ニ於
テ相違ハ致シテ居ラナイノデアル、唯我國
ノ醫風ヲ向上セシメル爲ニ醫者ヲ主トシ、
例外ヲ認メテ外ノ者ニ許スト云フコトガ
精的ニ我國ノ醫師ヲ優遇スル所以ノ途デ
ハナイカ、殊ニ診療所ノ開設ヲ醫師ノミニ
限ルト云フコトハ一應身勝手ノヤウニモ
聽エルガ、我國ノ立法例ニ於テハ、他ニ左
樣ナモノガアル、例ヘバ辯護士法ニ於テモ、
辯護士ニ非ザレバ法律事務所、辯護事務所
ヲ開設スルヲ得ズトアルデハナイカ藥劑
師法ニ於テモ、藥劑師ニ非ザレバ藥局ヲ開
設スルコトヲ得ズ、但シ命令ニ依ッテ定ム
ル者ハ此限ニ在ラズ、藥劑師ヲ原則トシテ、
其例外規定ヲ認メテ居ルデハナイカ、醫者
ニ於テモ同樣ニスルコトガ、我國ノ醫家ノ
美風ヲ向上サス途デハナカラウカ、左樣ナ
質問ガ交サレマシテ、又委員ヨリ致シマシ
テハ是ハ實質的ニ於テハ政府ト少シモ
相違ハナイノデアル、醫者ガ主義ノ問題ト
シテ之ヲ唱ヘルノデアル、大義名分ト申シ
マスルカ、名分論トシテ之ヲ唱ヘルノデアソ
テ內容ハ政府ノ言フ所ト少シモ相違ハ致
シテ居ラナイ、分リ易ク言ヘバ、表門ヨリ
入ルト裏門ヨリ入ルノ別デアッテ、事實ニ於
テ、醫者ニ於テ醫業ヲ專有シテ他ノ者ニ
許サナイト云フコトハ少シモナイ、實利實
益ノ問題デハ少シモナイ、主義ノ問題デア
ルト云フ、此質疑ニ對シマシテ、政府ハ山
本內務大臣ガ病氣ノ爲ニ、大島政府委員ヲ
シテ、山本內務大臣ノ之ニ對スル答辯ヲ朗
讀セシメタノデアリマスルガ、山本內務
大臣ノ答辯ニ依リマスレバ事實委員諸
君ノ質問ト實際ニ於テハ何等ノ相違ガ
ナイコトハ認メルケレドモ、原則ヲ醫師
トスル此主義ハ、政府ハ全ク反對デアル、
主義ノ問題デアッテ、政府トシテハ醫師
ヲ原則トスルコトヲ好マナイ、醫師及
一般普通人ト竝行シテヤル、斯ウ云フ主張
デアルガ爲ニ、主義ノ上ニ於テ全ク相反シ
テ、同意シ難イト云フコトデアッタノデアリ
やく、斯樣ニ致シマシテ、本改正案ノ最モ
中心問題デアル所ノ診療所開設問題ハヽ實
質ニ於テハ何等ノ相違ハナクシテ、主義ノ
問題、名分ノ問題デ、政府ト全ク相容レザ
ル立場ニ相成リマシテ、委員會ニ於テハ後程
報告申シマスルガ、此主義ノ立場ニ於テ、
第四條ノ二ヲ「醫師ニ非ザレバ診療所ヲ開
設スルコトヲ得ズ但シ命令ヲ以テ定ムル場
合ハ此ノ限ニ在ラズ」ト修正ヲ致シタ次第
デアリマシテ、主義ト主義トノ相違ガ玆ニ
正面衝突政シマシタルコトハ、頗ル遺憾ト
致ス次第デゴザイマス
次ニ問題トナリマシタノハ、診療錄ノ査
閱ト云フコトデアリマス、卽チ醫者ガ診療
ヲ致シマシテ、病名ヲ書キ、經過ヲ書キ
或ハ藥ノ處方ヲ書イタ、所謂診察簿ヲ檢査
スルト云フコトデアリマス、是ハ從來ニ於
キマシテハ、醫師ニ於テ極祕ノモノト致シ
マシテ、假令裁判所ニ證人ニ呼バレマシテ
モ之ヲ拒否スルノ權能ガアッタノデアリ
マスルガ政府ノ改正案ニ於テハ、地方長
官ガ必要アリト認メタルトキハ、警察官吏
ヲシテ之ヲ隨時檢査セシムルト云フノデゴ
ザイマシテ委員諸君ヨリ、是ハ實ニ重大
ナルコトデアル、斯樣ニ致シタナラバ患
者ハ自分ノ名譽ニ關スル病名モ、世間ニ知
ラルヽコトヽナリ、洵ニ不安是ヨリ大ナル
ハナシト云フヤウナ、質疑ガ行ハレタノデ
アリマスルガ、政府ハ之ニ對シテ、如何ニ
モ其點ハ同感デアル、地方長官必要アルト
キハ之ヲ査閱サスルト云フノデアルケレ
ドモ、勝手ニ隨時見サスルノデハナイ、眞
ニ必要已ムヲ得ザル場合ニノミ見サスノデ
アッテ、患者ノ祕密ハ嚴守スルコトハ申ス
マデモナイ、殊ニ是ハ委員諸君ガ言ハルヽ
如ク、選擧ナドニ惡用サレル場合ガアルト
云フコトデアルガ、左樣ナ虞ハ全然ナイ、
此査閱ヲ致スノハ警察官吏デアル所ノ、
醫師ノ資格ヲ有ルス者若クハ藥劑師ガ之ヲ
爲スノデアッテ、左樣ニ祕密ガ漏レルヤウナ
心配ハナイノデアルガ、政府ハ特ニ此點ニ
對シテハ、統一セル所ノ命令ヲ出シテ、左
樣ノ心配ハ除去致シタイト云フコトデアリ
マシタガ故ニ、委員會ニ於キマシテハ後
刻朗讀致シマス附帶決議ニ於テ、左樣ノコ
トナキヤウ特ニ戒メタ次第デアッタノデア
リマス
次ニ問題トナリマシタノハ、醫師ノ廣〓
ニ關スル件デアリマス現行醫師法ニ於キ
マシテハ醫師ハ如何ナル方法ヲ以テスル
ヲ問ハズ、學位、稱號、專門科名ノ外ハ
療法、閱歷、其他ノコトヲ廣告スルコトハ
出來ヌトナッテ居ルノデアリマスルガ、今囘
ノ改正案ハ之ヲ改メマシテ、醫業ニ關シテ
ハ何人タリトモ、從來ハ自分自身デアリマ
シタガ、今囘ハ醫業ニ關シテハ何人タリト
モ學位、稱號、專門科名ノ外ハ、療法、技術、
其他ノコトヲ廣〓シテハナラナイト云フコ
トニ相成ッテ居ルノデアリマス、委員諸君ニ
於テモ、此點ハ如何ニモ尤千萬デアッテ、此
改正ハ是トスルノデアルケレドモ、併ナガラ
醫師ニ斯ノ如ク嚴重デアルニ拘ラズ、全クノ
素人デアル所ノ類似治療者ニ對シテ、政府ハ
全ク之ヲ放任シテ居ルノハ何事デアルカ、醫
者デナイ素人ガ堂々ト新聞ニ一頁モ、半頁
モ誇大ナ廣〓ヲ書イテ、サウシテ十年ノ痼
疾一朝ニシテ治ルガ如キ廣告ヲ出シテ居ル、
之ヲ何故取締ラナイノデアルカ、殊ニ賣藥
ナドニ至リマシテハ如何ニモ癒ルベキヤ
ウナコトヲ吹聽シテ居ル、サウシテ藁デモ
摑ム所ノ病人ヲ之ニ吸付ケルト云フコト
ハ國家保健衞生ノ上ニ於テ、極メテ憂慮
スベキコトデハナイカト云フ、質疑、又醫
師ノ廣〓ダケヲ取締ルケレドモ、醫者ニ於
テ廣〓ニ非ズシテ、専門雜誌デナク、通俗
雜誌或ハ婦人雜誌ナドニ於テ、マダ確定的
效力カ決ッテ居ラナイモノニ對シテモ、如何
ニモ癒ルカノ如ク記事ヲ書イテ宣傳ヲシテ
居ルガ、是ハドウ取締ルノデアルカト云フ
質疑ナドニ對シマシテ政府ハ是等ハ出來
得ル限リ取締ル類似行爲者ノ誇大ナル廣
〓ハ如何ニモ同感デアルガ故ニ是モ取締
ル、出來ルダケ左樣ナ取締ハ嚴重ニ致ス、
尙ホ且ツ全國只今區々ニナッテ居ル取締法
ヲ統一シテ、嚴重ナル取締ヲ爲ス考デアル
ト云フ答辯デアッタノデアリマス
最後ニ質疑ノ問題トナリマシタノハ醫
者ノ類似治療行爲者デアリマス醫者デナ
クシテ、醫者ニ眞似タヤウナコトヲシテ居
ル類似行爲者ニ對シテ、政府ハドウ云フ考
ヲ有"テ居ルカ、我國ノ醫學ガ今日ノ如ク進
步シタル時ニ於テ、尙且ツ素人ノ類似行爲者
ガ必要デアルカ、政府ハ之ヲ必要ト認メル
カ、又類似治療ト云フコトヽ眞ノ醫者ノ
治療ト云フコトヽ何處ニ區別ガアルカ、
ドウ云フ標準ヲ以テ此差別ヲ設ケルノデア
ルカ、之ヲ如何ニシテ取締ルノデアルカト
云フ質疑ニ對シテ、政府ハ病氣ヲ癒スト云
フコトハ醫者ノミニ限ラナイ、類似治療者
デモ、他ノ者デモ、尙且ツ是ガ出來ルノデ
アルガ故ニ、是ハ今禁止スル積リハナイ、
醫療ト醫療類似ト云フコトヽハ一般社會
通念ニ依クテ判斷スル外ハナイケレドモ、醫
療ト云フコトハ藥ヲ盛リ、診斷シ、手術ヲ
スルヤウナコトデアッテ、其他ノコトヲ醫療
類似行爲ト云フノデアルケレドモ、是等ニ
於テモ、醫療ノ範圍ニ立至ッタ場合ハ、嚴重
ニ之ヲ處罰シ、取締ル積リデアルト云フ答
辯ヲ得タノデアリマシテ、委員會ニ於キマ
シテハ是等ニ對シテモ附帶決議ヲ附シタ
次第デアリマシタ、其他色々ノ點ニ於テ
質疑ガ交換サレマシタケレドモ、是ハ時間
ヲ省略スル上ヨリ致シマシテ、一切速記錄
ニ就テ御覽ヲ願ヒタイト存ジマスル
斯クテ討論ニ入リマシテ、政友會ヲ代表
シテ山村君ヨリ致シマシテ、左ノ修正ノ動
議ガ提出サレタノデアリマス、卽チ問題ト
ナリマシタル第四條ノ二、之ヲ次ノヤウニ
修正シタイト云フノデアリマス
第四條ノ二醫師ニ非ザレバ診療所ヲ開
設スルコトヲ得ズ但シ命令ヲ以テ定ム
ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
診療所ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以
テ之ヲ定ム
而シテ附帶決議トシテ、左ノ附帶決議ヲ提
出サレタノデアリマス
附帶決議
一診療錄ノ査閱ハ眞ニ監督上必要已ム
ヲ得サル場合ニノミ其ノ事項ヲ限リ地
方長官ハ其ノ査閱事項ヲ診療錄保存者
ニ通知シ且內務大臣ニ報告スヘキコト
ヲ命令ニ規定スヘシ
二醫師ニ非サル者ノ醫業類似行爲及誇
大廣告ハ衞生保健上其ノ弊害甚大ナル
ヲ以テ之カ取締ヲ嚴重ニ爲スハ勿論現
今區區ニ行ハルル地方命令ノ統一ヲ計
リ以テ其ノ取締ノ徹底ヲ期スヘシ
斯ウ云フ附帶決議ヲ提出致サレタノデアリ
マス、次デ民政黨ヲ代表シテ坂東君ヨリモ原
案贊成ノ御演說ガアリ、次デ希望條項トシ
テ、次ノ四項ヲ本會ニ報〓サレタシト云フ
希望ヲ以テ、希望條項ヲ申述ベラレマシ
タ、卽チ
希望條項
一醫師ニアラザル者ノ診療所開設ニ對
シテハ其人格、經歷、資產、事情等ヲ
嚴重ニ調査シタル上許可スベキコト
二診療錄ハ公安維持ノ目的以外ニ濫ニ
査閱セザルコト
三醫師ニアラザル診療所ノ經營者ニハ
診療錄ノ閱覽ヲ嚴禁スルコト
四醫業類似行爲ニ對シテハ嚴重ナル取
締ヲ爲スコト
斯樣ナ希望條項ガ附セラレタノデアリマ
ス次ニ土屋〓三郞君ヨリ致シテ、政友會
ノ第四條ノ二ト同一ノ修正、而シテ第六條
ノ二ノ削除、卽チ診療錄ヲ査閱スルト云フ
條項ヲ削除スルコトヽ第十一條ノ二ノ一
部ノ削除、第十一條ノ三ノ全部削除ノ動議
ヲ提出サレマシテ國民同盟ノ福田君ガ土
屋案ニ贊成ヲサレタノデゴザイマシタ斯
クテ採決ニ入リマシテ、山村君ノ第四條ノ
二ノ修正說、而シテ附帶決議、是ガ大多數
ヲ以テ通過致シ、斯樣ニシテ醫師法案ハ修
正可決確定致シタノデゴザイマシタ
次ニ齒科醫師法中改正法律案ニ付テ申上
ゲマス此案ハ餘リ多クノ質問應答ナクシ
テ、原案其儘承認致シタノデアリマシタ、
唯此場合山村君ノ附帶決議、醫師法ト同樣
ナ附帶決議ヲ附セラレタノテアリマスガ、
唯「醫師」トアル其上ニ「齒科」ト云フ二字ヲ
加ヘラレタダケデアリマシテ、アト附帶決
議ヲ附シテ原案其儘承認致シタ次第デゴザ
イマス、何卒委員會ノ報〓ノ如ク御贊成ア
ランコトヲ希望致ス次第デゴザイマス(拍
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=18
-
019・秋田清
○議長(秋田〓君) 質疑ヲ許シマス-土
屋〓三郞君
〔土屋〓三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=19
-
020・土屋清三郎
○土屋清三郞君 私ハ只今委員長ノ報告ニ
關ジマシテ政府ニ質疑ヲ致シマス、委員會
ノ審議竝ニ其結果ハ只今委員長ノ報〓ノ通
リデアリマス、特ニ第四條ノ二ノ修正ハ
本員等ガ過去三箇月ニ亙リマシテ、院ノ內
外ヲ通ジ、全國ノ醫師有志ト鬪ッテ來タ所ノ
問題デアリマシテ、其趣旨ガ徹底致サレタ
ノデアリマスルカラ、此事ニ付テハ玆ニ改
メテ言ヲ費スノ必要ハアリマセヌ、唯〓何ト
シテモ默シテ巳ムコトノ出來ナイノハ第六
條ノ二デアリマス、醫道ノ神聖ト社會全面
ノ不安ヲ釀スノ虞ガアリマスガ故ニ、改メ
テ玆ニ政府ニ質問ヲ致スノデアリマス、第
六條ノ二ハ只今委員長カラ報〓ノアリマシ
タ通リ醫師ノ診療簿ヲ衞生官吏ヲシテ査
閱セシムルト云フ規定デアリマス、醫師ノ
診療薄ハ患者ニ關スル記錄デアリマス
卽チ患者ガ醫師ニ診察ヲ求ムルニ當リマシ
テ、或ハ其父母ニモ、或ハ其夫ニモ、妻
モ祕密ニシナケレバナラナイ事項ヲ唯て治
療ヲ受ケナケレバナラナイガ爲ニ、忍ンデ
醫師ニ漏告スル所ノ祕密ノ記錄ガ此診療簿
デアリマス、而シテ刑法ニ於キマシテハ
ア醫師ハ辯護士ト同ジク、業務上知リ得タル
患者ノ祕密ヲ漏〓スルコトハ出來ナイノデ
アリマス、刑事訴訟法竝ニ民事訴訟法ニ於
キマシテモ、醫師ハ業務上知リ得タル患者ノ
祕密ニ關シマシテハ、法廷ニ於テ其證言ヲ拒
絕スル所ノ權利ヲ與ヘラレテ居ルノデアリマ
ス、相俟ヲテ患者ノ祕密ヲ保護セラレテ居ル
ノデアリマス、唯〓之ヲ漏ラサナケレバナラ
ナイ場合ハ特ニ法律ニ依ッテ規定サレナ
ケレバナリマセヌ、例ヘバ傳染病豫防法ニ
於テ患者ヲ屆出ヅルガ如キ、或ハ癩豫防法
ニ於テ、患者ヲ特ニ限ラレタル官署ニ對シ
テノミ屆出ノ義務ヲ負ハセテ居ルコトノ如
キ、卽チソレデアリマス、然ルニモ拘ラズ
今囘ノ改正案ニ於テ、漫然此診療簿ヲ衞生
官吏ノ査閱ニ供セシムルガ如キハ、單リ醫
師ノ正當ナル治療ヲ受ケントスル所ノ患者
ヲシテ、巳ムヲ得ズ他ノ正當ナラザル治療
ニ赴カシムルバカリデナク、旣ニ診療ヲ受
ケテ居ル所ノ患者ニ致シマシテモ、其祕密
ガ暴露セラルヽ恐レガアッテ、社會全面ニ一
大不安ヲ與ヘルモノデアリマス、殊ニ近年
ハ日々人ノ私生活、或ハ家庭ノ祕事ニ關
スルヤウナコトガ、屢こ新聞紙ニ現ハレル
ノデアリマスルケレドモ、是等ノ材料ガ
得テ官署ヨリ漏レテ來ル事實ニ徵シ、官署
ヨリ漏レテ新聞紙ニ現ハレテ、筆劍ノ爲ニ
傷ツケラレタル氣ノ毒ナル人々ガ、巷に
累々タル慘狀ヲ呈シテ居ル點カラ考ヘマシ
テモ、此法案ハ甚ダ不當ナル所ノ案ト考へ
ルノデアリマス、ノミナラズ近年選擧每ニ、
官憲ノ干涉ハ益、苛烈ヲ加ヘマシテ、若モ此
案ガ通ルト云フコトニナリマシタナラバ
全國五万ノ醫師ハ或ハ選擧干涉ノ砲火ノ前
二、暴露セラルヽ危險ナシト云フコトガ出
來ナイノデアリマス、特ニ私ガ此審議ノ間
ニ發見致シマシタ、看過スルコトノ出來ナ
イ一事ハ岩手縣其他ニ於テ、縣令ニ於テ、
警察官吏若クハ衞生官吏ガ醫師ノ診療簿ヲ
査閱スル規定ヲ設ケテ居ルコトデアリマ
ス此一事ハ先ニ申シマシタ通リ、刑法ニ
依ッテ祕密ヲ守ル義務ヲ命ゼラレ刑事訴訟
法竝ニ民事訴訟法ニ依ッテ證言ヲ拒絕スル
ノ權利ヲ與ヘラレ、相俟ッテ患者ノ祕密ヲ
法律ニ依ッテ保護スル、此法律ノ效力ヲ命令
ヲ以テ制限セントスルモノデアッテ、洵ニ許
スベカラザル不穩當ナル規定ト謂ハナケレ
バナリマセヌ、斯樣ナ譯デアリマスカラ、
本員ハ委員會ニ於テ十分ニ此事ヲ主張致シ
タノデアリマスルガ、委員會ニ於キマシテ
ハ、只今委員長カラ報〓ノアリマシタ通リ、
色々ナル希望條件ヲ設ケテ原案ガ通過致サ
レタノデアリマス
旣ニ原案ガ斯樣ニ委員會ニ於テ通過致シ
マシタ以上ハ本議會ノ大勢ハ自ラ明カデ
アリマスノミナラズ、委員會ニ於ケル審議
ノ空氣ニ徵シマスレバ、假令本案ガ衆議院
ヲ通過致シマシテモ、其運命ハ自ラ明瞭ニ
ナッテ居ル今日ニ於テ、私ハ重ネテ玆ニ修正
意見ヲ提出スルノ煩ヲ避ケマス、唯〓政府
ハ問題ノ重大ナルニ十分ナル考慮ヲセラレ
マシテ、今日茲ニ敢テ卽答ヲ求メマセヌカ
ラ、他日本員ノ趣旨ヲ實行ニ於テ國民ノ前
ニ示サレンコトヲ要求シテ此質問ヲ終リマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=20
-
021・秋田清
○議長(秋田〓君) 討論ハ修正案ガ提出セ
ラレテ居リマスカラ、便宜上第二讀會ニ於
テ之ヲ許シマス兩案ノ第二讀會ヲ開クニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=21
-
022・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナイト認メマ
ス、兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=22
-
023・上田孝吉
○上田孝吉君 直ニ兩案ノ第二讀會ヲ開カ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=23
-
024・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=24
-
025・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議案全
部ヲ議題ト致シマス
醫師法中改正法律案第二讀會
齒科醫師法中改正法律案第二讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=25
-
026・秋田清
○議長(秋田〓君) 福田虎龜君ヨリ、定規
ニ依リ醫師法中改正法律案ニ對スル修正案
ガ提出セラレテ居リマス此際趣旨辯明ヲ
許シマス-福田売龜君
醫師法中改正法律案ニ對スル修正案
右成規ニ據リ提出候也
昭和八年三月二十三日
堤出者福田虎龜
醫師法中改正法律案中左ノ通修正ス
第四條ノ二醫師ニ非ザレバ診療所ヲ開
設スルコトヲ得ズ但シ命令ヲ以テ別段ノ
規定ヲ爲シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第六條ノ二ヲ削ル
第十一條ノ二中「又ハ第六條ノ二ノ規定
ニ依ル衞生官吏ノ査閱ヲ拒ミ若ハ妨ゲタ
ル者」ヲ削ル
第十一條ノ三ヲ削ル
〔福田虎龜君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=26
-
027・福田虎龜
○福田虎龜君 私ハ只今議題ニナッテ居リ
マスル醫師法改正案ノ修正ヲ致スノデアリ
マス、修正ノ內容ハ第四條ノ二、之ヲ修正
致シマシテ「醫師ニ非ザレバ診療所ヲ開設
スルコトヲ得ズ、但シ命令ヲ以テ別段ノ規
定アル場合ハ此ノ限ニ在ラス」次ニ第六條
ノ二、地方長官ガ衞生官吏ヲシテ診療簿ヲ
査閱セシムル規定、之ヲ削除致シマスルト
同時ニ、第六條ノ二ニ關聯セル所ノ、第十
一條ノ二ノ一部及第十一條ノ三ヲ全部復除
スル意見デアリマス
第四條ノ二ノ修正ハ、只今委員長ガ報告
サレタト同樣ナ意味デアリマス、私ハ計醫
師法ナルモノガ醫師ノ權限ヲ規定シタモノ
デアリマスルガ故ニ、原則トシテ醫師ヲ以
テ診療所ヲ開設セシムル但シ今日ノ社會
狀態ヨリ考ヘマシテ、醫師ニアラザル者ニ
モ、亦公益上ノ必要ヨリシテ之ヲ開設セシ
ムルト云フコトハ是ハ當然ノ結論デアリ
マく、唯〓私ノ特ニ問題ト致シマスルノハ、
此地方長官ガ衞生官吏ヲシテ命令ヲ以テ診
療簿ヲ査閱セシムルコトデアリマス、之二
對シテ政府ノ說明ハ、此診療簿ヲ査閱スル
コトガ醫風ノ向上デアル、或ハ事務的ニハ
劇藥、毒藥ノ檢査ノ爲ニ必要デアルト、斯
ウ申サレタノデアリマス、併ナガラ只今土
屋君ガ御話ニナッタ通リ、此醫師ノ社會上ニ
於ケル所ノ信賴ハ、此診療ニ依ッテ得タ所ノ
祕密ヲ守ル所ノ權利及義務ヲ持ヲテ居ル、此
一事ガ社會上ノ地位ヲ占メテ居ル理由デア
ルノデアリマス、隨テ若夫レ公共ノ必要カラシテ
診療簿ヲ檢閱スルコトガ必要トスルナラバ、
是ハ具體的ニ其事實ヲ擧ゲネバナリマセヌ、
卽チ傳染病ノ報〓ノ如キ、是ハ傳染病法ニ規
定ヲ致シテ居リマス、癩ノ報告ノ如キ、是モ
尙ホ癩豫防法ニ規定ヲ致シテ居リマス、斯
樣ニ具體的ニ、既ニ規定ヲ致シテ居リマス
以外ニ、一般的ニ、抽象的ニ、地方長官ガ
命令ヲ以テ診療簿ヲ檢閱スルト云フコト
ハ確ニ醫者ニ取リマシテハ重大事デアリ
マス、ノミナラズ醫者ニ打明ケタ所ノ、卽
チ世人ノ信賴ヲ得タ所ノ、此醫者ガ持ッテ居
ル權利義務ガ、此爲ニ蹂躙サレルト云フコ
トハ、確ニ醫者ノ社會上ノ地位ヲ不安ニ陷
レルノミナラズ、世人ヲシテ非常ナル不
安ニ陷ラシメルコトニナルノデアリマス、
(拍手)私ハ醫者ガ持フテ居ル所ノ權利及義
務、卽チ刑法上ニ於テモ、刑事訴訟法ニ於
キマシテモ保障サレタ所ノ、此權利及義務
ト云フモノハ、單ニ今日ノ出來事デハナイ
ト云フコトヲオ話シテ見タイト思フノデア
リマス、英國ニ於キマシテハ、斯樣ナ職務
上ノ地位ト云フモノハ、憲法上明ニ保障サ
レテ居ル所デアリマス、辯護士ニ於キマシ
テモ、醫者ニ於テモ同樣デアリマス、隨テ
此度現政府ガ提出致シマシタ所ノ辯護士法
ノ改正法律案、之ニ於キマシテモ、尙ホ命
令ヲ以テ辯護士ノ權限ヲ犯サントスル所ノ
規定ハ原案ニハアッタノデアリマスケレ
ドモ、辯護士會ノ反對ニ依リマシテ、之ヲ
削除シテ居リマス、同ジ政府ガ、同ジ議會
ニ、同ジ目的ノ取締法律案ヲ出シテ、一ハ
權限ノ制限ヲ削除シ、一ハ權限ヲ犯サント
スルガ如キハ、確ニ法令二途ニ出デタルモ
ノト言ハナケレバナリマセヌ、尙ホ之ヲ歷
史的ニ考ヘテ見マスルト、御承知ノ通リア
ノ「ボア」ノ戰爭ノ原因、ソレガ何處ニアッタ
カト云フコトハ、之ヲ辯護士ノ帳簿ニ依クテ
發見スルコトハ容易デアリマシタケレド
モ、辯護士ガ之ヲ拒ンダ、サウシテ遂ニ戰
爭ノ原因ヲ發見スルコトガ出來ナカッタト
云フコトハ、是ハ確カニ光輝アル所ノ記錄
デアルノデアリマス(拍手)斯樣ニ歷史的ニ
考ヘマシテモ、現實ニ卽シマシテモ、私ハ
此第六條ノ二ヲ削除スルコトガ醫者ノ社會
上ノ地位ヲ確保スル所以デアリマスト同時
ニ、社會人ヲシテ不安ヲ除去スル所ノ方法
デアルト考ヘルノデアリマス、隨テ之ヲ削
除シ、尙ホ之ニ關聯スル所ノ條項ヲ削除ス
ルノデアリマスルガ、政友會ニシロ、民政
黨ニシロ、此第六條ノ二ニ對シマシテハ
重大ナル附帶決議ヲ附ケテ居ルノデアリマ
ス、若シ附帶決議ヲ、實際ニ兩黨ニ於テ各
各希望サルヽナラバ、尙ホ進ンデ此不安ヲ
除去スル所ノ勇氣ガナカッタカ私ハソレ
ヲ非常ニ怪シムノデアリマス、併シ靜ニ退
イテ考ヘマスルト、兩黨ハ共ニ現內閣ノ與
黨デアリマスガ故ニ、御遠慮遊バサレタモ
ノト思フノデアリマス、ドウカ世人ノ爲ニ、
醫師ノ地位向上ノ爲ニ、社會ノ不安ヲ除去
スル爲ニ、モウ一層御奮發アルコトヲ希望
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=27
-
028・秋田清
○議長(秋田〓君) 討論ニ入リマス、通〓
順ニ依リ發言ヲ許シマス-坂東幸太郞
君
〔坂東幸太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=28
-
029・坂東幸太郎
○坂東幸太郞君 私ハ二ツノ修正案ニ對シ
マシテ反對シ、政府ノ原案ニ贊成スル
モノデアリマス、吾々ハ此法律ヲ審議
スルニ當リマシテ、院外ノ運動ニ關
シマシテ彼此レ申ス必要ハナイ、併ナガラ
御承知ノ通リニ本案ニ對シマシテハ、色々
樣々ナ宣傳、若タハ數十通ノ電報及手紙ガ
來テ居ル、隨テ吾々ハ之ニ關シマシテ、ド
ウシテモ其經過ヲ述ベル必要ガアリマスル
カラ之ヲ申上ゲマス
先ヅ第一番ニ考ヘマシタコトハ、此案ヲ
出シマスル政府ノ取扱、ソレヲ委員會ニ於
テ詳細ニ聽イタ、聽イテ見マスルト、政府
ノ說明ニ依リマスルト云フト、是ハ從來多
クノ醫師方面ノ要求ヲ基礎ト致シタモノデ
アル、政府ノ見解ノミナラズ、此醫師會ノ
要求等十分對照シテ、サウシテ最モ適當ナ
モノヲ出シタモノデアルト云フノガ卽チ政
府ノ答辯デアッタノデアル、吾々ハ之ヲ點檢
シマスルト、益、サウデアル、卽チ之ヲ出シ
マスル前ニ、其當然ノ機關デアル中央衞生
會ニ諮問シ、滿場一致ノ贊成ガアッタ、又全
國ノ醫師會、卽チ日本醫師會ト申シマスル
ノハ、全國各醫師會ヲ以テ會員トスル所ノ
機關デアル、此日本醫師會ニ於キマシテ
ハ是亦滿場一致ヲ以テ代表者ガ決メテ、
サウシテ之ヲ政府ニ進言シテ居ル、此樣ナ
順序ヲ考ヘマスルト云フト、何等手續上ニ
對シマシテハ一點ノ疑フ點モアリマセヌ、
是ハ手續上ノ問題デアリマス、隨ヒマシテ
私ハ此點ニ關シマシテ、日本醫師會長ガ公
然ト發表致シマシタ所ノ其意見ヲ此處デ朗
讀致シマス、卽チ日本醫師會長ハ北島多一
君デアリマスガ、之ニ依リマスト云フト「診
療所ノ開設、設備、構造及管理ニ關シ必要
ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム、ニ關シ昨
今種々ナル論議モ行ハレテ居リ候得共、同
規定ハ素ト斯界多年ノ懸案タル非醫師ノ診
療所經營問題ニ關シ、道府縣醫師會ヲ構成
分子トスル本會ニ於テ、數年來各地方醫師
會ノ意見等ヲ參酌シ、種々較查ヲ遂ゲ總會
ノ承認ヲ經、成規ノ手續ヲ經テ其筋ニ稟請
致置候改正要項ノ一ニ該當致候ノミナラズ
去月(二月)十日特ニ本會評議員會ヲ開會致
候當時モ何等ノ異議無之、旁〓本會トシテ
ハ此際政府案ヲ支持シ、且其ノ成立ヲ熱望
シテ止マザルモノニ有之候」是ハ卽チ日本
醫師會長ノ北島君ガ責任ヲ以テ發表シタモ
ノデアリマス、サウシマスルナラバ、院外
運動デアリマスル所ノ其運動ナルモノハ
謂ハヾ日本ノ醫師社會ノ少數意見デアル、
何等取ッテ以テ彼此レ云フ値打ガナイ、サウ
云フ點カラ私ハ之ヲ責任ヲ以テ公言スル者
デアリマス、是ハ單ニ院外ノ運動デアリマ
スルガ、吾々ハ此院外ノ運動ニ依ッテ、何等
ノ影響ヲ受ケテ居ラナイ、苟モ立法府ニ於
テ法律ヲ審議スル場合ニ於テハ、此院外ノ
運動ハ參考トハシマスガ、斷ジテ影響ハ受
ケテハナラナイ、唯順序トシテ一言申上ゲ
タニ過ギナイノデアリマス、而シテ政府案
ノ內容如何ト見レバ、只今加藤委員長ノ報
告ノ通リデアル、卽チ內容ヲ見マスト大要
四ツアリマス、第一ト致シマシテ醫師ニ免
許ヲ與フル場合缺格條項ノ中ニ精神病者ガ
ナカッタ、ソレガ今囘ノ改正案ニハ加ヘテ
アル、第二ニ於キマシテハ、問題ノ第四條
ノ第二項デアル、是ハ從來醫師ニアラザル
者ガ診療所ヲ經營シテ居ル、ソレニ法律ノ
規定ガアリマセヌカラ、地方ノ長官、卽
チ道府縣長官、警視總監、斯ウ云フ地方
長官ガ勝手ナル廳令ヲ發布シテ、之二
依フテヤッテ居ル、ソレダカラ統一ガナイ、
是ニ於キマシテ、醫師社會ニ於キマシテハ
之ヲ統一シテ貰ヒタイト云フ建議ガ澤山出
テ居ッタ、此點カラ考へマシテ、今囘ノ第四
條ノ二ニ依リマシテ法律ヲ以テ統制シテ、
醫業ノ統制統一ヲ圖ラウト云フ目的デア
ル、故ニ此第四條ノ二ハ、最モ適當デアル
ト吾々ハ考ヘル者デアリマス、第三點ニ於
キマシテハ御承知ノ通リ査閱ノ問題デアリ
やく、査閱ノ問題ニ對シマシテ、土屋君ノ
意見ハ非常ニ違フテ居ル(拍手)其理由如何
ト申上ゲマスルナラバ、從來地方ノ廳令ノ
規定ニ依ッテ、彼ノ診療錄ヲ調ベテ居フタ、
是ハ廳令デアッテ法律デハナイ、廳令ニ依〃
テ査閱スル結果、之ヲ査閱スル者ハ警官等
デアル、此警官等ガ大事ナ祕密ヲ要スル所
ノ診療錄ヲ調ベテ、之ヲ漏洩スル場合ガア
ル、之ヲ漏洩スル場合ガアリマスルガ、之
ヲ嚴重ニ取締ルト云フコトガナカッタ、換言
スレバ警官ガ祕密ヲ漏洩シタ場合ニ於キマ
シテ、之ヲ取締ル點ニ付テ非常ニ緩慢デアッ
タ、是ニ於キマシテ、或ル場合ニハ神聖ナ
ル醫師ノ職業ノ侵害トナリ、又或ル場合ニ
ハ國民ノ權利ノ侵害トナル、斯ウ云フ點カ
ラ之ヲ法律デ規定シテ貰ヒタイト云フノガ
醫界ノ希望デアッタ、政府ハ是ニ於キマシ
テ之ヲ認メテ、第六條ノ二ニ於キマシテ、
法律ノ規定ニ依フテ統一シテ査閱スルノ道
ヲ立テタノデアル、所ガ只今土屋君ガ申サ
レマシタガ、之ヲ調ベルニハ廳令ヲ以テス
ル、單ニ一片ノ廳令ヲ以テ國民ノ權利ヲ侵
害スルコトハ適當デナイト言ハレマスガ、
醫師法ヲ改正シテ法律ヲ以テヤリマスナラ
バ、何等權利ノ侵害デナイ、是ニ於キマシ
テ今法律ヲ作ッテ査閱シ、之ヲ嚴重ニ取締ル
ナラバ、査閲ガ統制ヲ致シマス、隨テ吾々ハ
最モ適當ノコトヽ信ジマスルガ故ニ、之ニ
贊成スル者デアル、第四ノ點ニ於キマシテ
モ、亦加藤委員長ノ報告ノ通リ廣〓ノ點デ
アル、廣告ニ於キマシテモ、從來醫師個人
ノ廣〓ノ制限ハアリマスルケレドモ、醫業
ニ關スル所ノ取締ガナカッタ、隨テ本改正
案ノ中ニ於キマシテハ、醫業ニ關シテモ適
當ニ取締ヲスル、詰リ醫業ニ關シマシテモ、
誇大ノ廣告ヲスルト云フコトハ醫師ノ威信
ニ關スル、隨テ醫師ノ品位ヲ向上スル爲ニ
モ必要デアルト云フ點カラ、之ヲ設ケラレ
タモノデアル、又第十一條ノ三ニ於キマシ
テモ、若シ衞生官吏ガ査閲致シマシタ結果、
祕密ヲ漏洩シタ場合ニ於テハ之ヲ嚴罰ニ
處スル、以上點檢シテ參リマスルナラバ、
何等一點タリトモ政府案ハ惡イ點ハナイ、
隨テ之ニ對シテ吾々ハ贊成スル次第デアリ
マス(拍手)
ソコデ今加藤委員長モ報告サレマシタ
ガ、民政黨側トシテ希望條項ヲ附ケテ居リ
マス、卽チ「一、醫師ニアラサルモノノ診
療所開設ニ對シテハ其人格經歷資產及事情
等ヲ嚴重ニ調査シタル上許可スヘキコト
二、診療錄ハ公安維持ノ目的以外ニ濫リニ
査閱セサルコト、三、醫師ニアラサル診療
所ノ經營者ニハ診療錄ノ閱覽ヲ嚴禁スルコ
ト、四醫業類似行爲ニ對シテハ嚴重ナル
取締ヲナスコト」此四ツノ希望條項ヲ附ケ
テ原案ニ贊成シタノデアリマス、ソコデ私
ハ修正案ニ對シマシテ間違ッタ所ヲ二三指
摘シタイト思ヒマス
先ヅ吾々ハ第一ニ日本ノ診療所ノ沿革ヲ
考ヘテ見タイ、私ガ申スマデモナク、從來
日本ノ醫師ハ、治療行爲-診療行爲ト診
療所、此二ツハ全ク一致シテ居ッタノデア
リマス、所ガ時勢ノ變遷ニ伴ヒマシテ、單
ニ醫師ガ醫業ヲ獨占スルト云フコトハ出來
ナイ、卽チ社會共濟ノ觀念、若クハ慈善事
業等カラ、醫師以外ノ者ガ診療所ヲ作ッテ、
醫師ヲ傭聘シテ經營スルト云フコトハ、時
勢ノ要求トナッテ來タノデアル、斯ウ云フコ
トカラ、或ハ大學病院デアリマストカ、各
府縣立ノ病院デアリマストカ、色々ト醫師
以外デ經營スルモノガ出來テ來タ、サウシ
マスレバ醫業ト云フモノハ全ク醫師ノ獨占
デアルト云フコトハ言ヘナクナッテ來タ、斯
ウ云フ點カラ段々ト變化シテ參リマシタ、
例ヘバ國家、公共團體、公益法人、學校、
新聞社、產業組合、或ハ私法人、個人、サ
ウ云フモノガ段々診療所ヲ作ルヤウニナ'フ
テ參ッタノデアリマスカラ、此立派ナル社會
的現象ヲ全部葬リ去ッテ、醫師ガ醫業ヲ獨
占スルト云フコトハ根本ニ於テ間違ヲテ居
ル、私ハ屢〓聞キマシタガ、成程醫ハ仁術
デアリマス、仁術デアルト云フコトハ醫
師ノ醫療行爲ガ仁術デアリマシテ、診療所
ハ仁術デナイ、苟モ醫ガ仁術デアリマスナ
ラバ、仁衛ヲ行フ醫師ハ、仁者ノ心持ヲ以
テシナケレバナラヌ、其醫師ノ一部ニ於テ
獨占論ガアルト云フコトハ、非常ナ間違デ
アル、吾々ハ斯ウ云フ點カラ、醫師ヲシテ
經營マデモ獨占セシムルヤウナ修正案ニ對
シマシテハ絕對ニ反對スルモノデアリマ
ス、而シテ其論者ノ中ニ於キマシテハ、藥
局ト診療所ト云フモノヲ同一ニ見ルト云フ
意見ガアリマスガ、ソレハ違ヲテ居ル、卽チ
藥局ト診療所ハ全然違っテ居ルト云フコト
ヲ申上ゲマス、卽チ診療所ト云フノハ、醫
師ガ醫業ヲ行フ一部デアル、例ヲ以テ申上
ゲマスレバ、醫師ハ診療所デナクテモ、何
處デモ診療ガ出來ル、船デアリマセウガ、
汽車デアリマセウガ、路上デアリマセウガ、
野外デアリマセウガ、何處デモ出來ル、所
ガ藥局ハ藥劑師ガ調劑スル場所デアル、藥
劑師ハ絕對ニ藥局以外デハ調劑カ出來ナイ、
換言スレバ、藥局獨占ト云フノハ、一面カ
ラ申シマスレバ、是ハ藥劑師ノ權利デアリ
マスガ、一面カラ申シマスレバ、藥劑師ノ
一ツノ義務デアル、隨テ診療所ト藥局トハ、
全ク異"テ居ル、デアリマス、隨ヲテ藥劑師以
外ノ者ガ藥局ヲ作ルト云フコトハナイノ
デアリマス、辯護士事務所トモ違ッテ居ル、私
共常識ヲ以テ判斷致シマシテモ、辯護士ナ
ラザル人ガ、辯護士事務所ヲ作ッテ、辯護士
ヲ雇クテヤルト云フ譯ハナイ、診療所ハ今申
シマシタヤウナ必要カラ、醫師以外ニ於テ
ヤル必要ガアル、實際ニ於キマシテモ、診療
所ト、藥局ト、辯護士事務所ハ異ナルモノ
デアリマスカラ、其點ニ關スル御議論ハ間
違ッテ居ルノデアリマス
次ニ査閱シタ場合ノ罰則ノ點ニ關シマシ
テ、福田君カラ第十一條ノ三ノ削除說ガア
リマシタガ、是モ違ッテ居ルト思ヒマス、苟
モ衞生官吏ヲシテ診療錄ヲ査閱セシムル權
利ヲ與ヘタル以上ハ、若シ之ヲ漏洩シタ場
合ニハ罰スル必要ガアル、斯ウ云フ點カラ
第十一條ノ三ハ必要デアル、吾々ハサウ云フ
所ノ考ヲ有テ居リマスノデ、隨テ福田君ノ
第十一條ノ三ノ削除說ニ對シマシテモ反對
スルモノデアリマス
斯ウ考ヘテ見マスト、修正案ノ骨子デア
リマス醫師ニ非ザレバ卽チ診療所ガ出來ナ
イト云フコトハ間違"テ居ル、又實際ニ於テ、
吾々ハ醫師ノ爲ニ取ラナイ、先程申上ゲマ
シタヤウニ、苟モ醫ガ仁術デアリマス以上
ハ、之ヲ獨占スルト云フ觀念ハ、醫師ノ爲ニ
取ラナイト云フ考カラ、此點ニモ反對スル
者デアリマス
以上之ヲ〓究シマスレバ、現在ノ政府ノ
提案ハ適當デアル、換言シマスレバ、理論
ニ於キマシテモ、實際上ノ必要カラシテモ、
又手續ニ於テモ完全デアルト云フ見地カラ、
現在ノ政府ノ改正案ニ對シテ贊成シ、又政
友會及ビ國民同盟ノ修正案ニ對シマシテハ
絕對ニ反對スルモノデアリマス
而シテ齒科醫師法中改正法律案ニ對シテ
ハ希望條項ハナイ、苟モ醫師法ニ於キマシ
テ此條項ガアリマスル以上ハ、敢テ齒科醫
師法ニ於テ希望條項ヲ附ケル必要ハナイ、
サウ云フ點カラ齒科醫師法ニハ無條件デ贊
成シテ居ルノデアリマス、私ハ之ヲ以テ我
ガ民政黨ノ主張ヲ明瞭ニ致シ、此修正案ニ
ハ絕對ニ反對シ、政府案ニハ絕對ニ贊成ス
ル所ノ理由ト致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=29
-
030・秋田清
○議長(秋田清君) 野方次郞君
〔野方次郞君答壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=30
-
031・野方次郎
○野方次郞君 私ハ委員長ノ報〓ニ贊成致
シマシテ、政府原案ニ反對スルノデアリマ
ス、第四條ノ二ノ修正ニ付キマシテハ、醫
業ヲ醫師ヲ原則トシタコトハ、本法ニ依レ
バ、醫師タラントスルニハ免許ヲ要スト云
フコトガアリマス、卽チ國家ガ一定ノ資格
ヲ制限シ、一定ノ素養ヲ條件トシマシテ、
之ニ對シテ醫師ノ免狀ヲ與ヘタコトハ、我
國ノ醫事制度ノ根本觀念ヨリ考フルモ、國
家ノ意思トシマシテハ、醫師ニ非ザレバ診
療所ヲ設置スル能ハザルコトハ明瞭デアリ
マス、隨テ診療所ヲ設置スル者ハ、醫師ニ
限ルト云フコトハ尙ホ明カデアリマス(「ヒ
ヤヒヤ」)唯複雜多岐ナル社會狀態ニ依
リマシテ、醫師以外ノ者ニモ診療所ノ設
置開設ヲナサシムルコトガアルノデアリマ
ス、故ニ之ヲ認メルニ於キマシテハ、其性
質ヲ考ヘ、必要ノ限度ニ制限シテ許スベキ
モノデアルト信ジマス、然ルニ近來非醫師ノ
營利ノ目的ヲ以テ診療所ヲ開設スル者ガ續
出シテ參リマシテ、不正不德ノ行爲ヲ爲ス
者ガ少クナイノデアリマス、故ニ開業醫モ
競爭上、我國古來ノ傳統的精神タル仁義ノ
觀念ガ薄ラギ、醫風ハ衰退スルト云フコト
ヲ私ハ憂フルノデアリマス、隨テ國民保健
衞生上由々シキ問題デアルト信ジテ、之ヲ
虞レルノデアリマス、ソレ故ニ非醫師ノ營
利ヲ目的トシテ診療所ヲ開設スルコトハ、
之ヲ禁遏スル爲ニ、醫師ニ非ザレバ診療所
ヲ開設スルコトガ出來ナイト云フコトヲ原
則ト致シタイノデアリマス、是ハ委員長ノ
御報〓ノ通リ、政府當局モ主義ノ爭デアル
ト言ッテ居リマス、但シ內務大臣ノ認ムル公
益法人、慈善團體、醫育機關、赤十字病院、
濟生會病院、產業組合、其他命令ヲ以テ定
ムルモノハ此限リデナイト云フ修正案ヲ提
出シタ次第デアリマス
尙ホ六條ニ對シマスル希望條項ハ、只今
委員長ノ述ベラレタ通リ、此査閱問題ハ、
密カニ診療ヲ求メントスル病者ノ心情カラ
考ヘナケレバナラヌノデアリマス、既ニ二
千五百年以來、醫師ハ職務上知リ得タル、
人ノ祕密ヲ漏洩シテハナラヌト云フコトハ、
古今東西ノ先哲ノ努力ニ依ッテ成立ッタ所ノ、
醫道ノ道德ノ根柢デアリマスガ、之ヲ破壞
スルノデアリマシテ、極メテ重大デアリマ
ス、又善良ナル醫師個人ヲ侮蔑スルモノデ
アリマス、故ニ、診療錄査閱ハ、刑法デモ、
刑事訴訟法デモ、之ヲ保護シテ居リマスル
爲ニ、醫師ハ祕密ヲ漏洩スベカラズト云フ
原則ニ、今囘ノ診療錄査閱ハ除外例ヲ設ク
ルノデアリマスカラシテ、極メテ愼重ノ査
閱ヲ致スベキモノデアルト信ジマシテ、希
望決議ヲ附ケタ次第デアリマス、政府ハ非
醫師ニ醫業ノ許可ヲ致ス時ニハ其閱歷、
人物其他德望ナドヲ調べルト言。テ居リマ
スガ、內閣ノ迭ヲタ場合ニ於テハ其命令
ガ行ハレルヤ否ヤ疑ハシイノデアリマス
尙ホ齒科醫師法ニ付キマシテハ、是ハ原
案ノ儘認メマシタガ、其理由ハ、齒科醫ト
醫者トハ業態ノ性質、歷史ヲ異ニシテ居リ
マスル故ニ、原案ノ儘ニ致シタノデアリマ
ス、私ハ此意味ヲ以テ修正案ニ贊成ヲ致ス
ノデアリマスルガ故ニ、ドウゾ滿場一致御
贊成アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=31
-
032・秋田清
○議長(秋田濟君) 採決ニ入リマスガ、第一
ニ醫師法中改正法律案、第二ニ齒科醫師
法中改正法律案ノ順序ヲ以テ採決致シマ
ス-醫師法中改正法律案ノ採決ニ先ダチマ
シテ一言致シマス、福田君ノ修正案ト、委
員長報〓ノ修正ト、共通シテ居ル部分ガア
リマス、卽チ福田君ノ修正案ノ第四條ノ二
ト委員長報告ノ修正ノ第四條ノ二ノ第一
項トハ同一デアリマス、仍テ先ヅ共通ノ部
分ニ付キ採決シ、次デ福田君ノ修正案中、
右共通ノ點ヲ除キタル部分ヲ採決シ、次デ
委員長報告ノ修正中、右共通ノ點ヲ除キタ
ル部分ニ付キ採決致シマス-福田君ノ修
正案ト委員長報告ノ修正ト共通セル部分ニ
贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=32
-
033・秋田清
○議長秋田〓君) 起立多數-仍テ共通
ノ點ハ可決セラレマシタ(拍手)次ニ福田虎
龜君ノ修正案中、委員長報告ノ修正ト共通
ノ點ヲ除キタル部分ノ採決ヲ致シマスー
福田虎龜君ノ修正案中委員長報〓ノ修正ト
共通ノ點ヲ除キタル部分ニ對シテ贊成ノ諸
君ノ起立ヲ願ヒマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=33
-
034・秋田清
○議長(秋田清君) 起立少數-仍テ委員
長報告ノ修正ト共通セル點ヲ除キタル部分
ハ否決セラレマシタ-次ニ本案ノ委員長
報〓ノ修正中、福田君ノ修正案ト共通セル
點ヲ除キタル部分ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求
メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=34
-
035・秋田清
○議長(秋田〓君) 起立多數-委員長報
〓ノ修正中、共通ノ點ヲ除キタル部分ハ可
決セラレマシタ(拍手)其他ノ部分ハ原案ノ
通リ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=35
-
036・秋田清
○議長(秋田〓君) 其他ノ部分ハ總テ原案
ノ通リ決シマシタ(拍手)第二ニ齒科醫師法
中改正法律案ニ付キ採決致シマス-本案
ノ委員長報告ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=36
-
037・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ハ委員長報告通リ可決致シマ
シタ(拍手)是ニテ兩案ノ第二讀會ハ終リマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=37
-
038・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ兩案ノ第三讀會ヲ開
カレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=38
-
039・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=39
-
040・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、直チニ兩案ノ第三讀會ヲ開キ、議案全
部ヲ議題ト致シマス
醫師法中改正法律案第三讀會
齒科醫師法中改正法律案第三讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=40
-
041・秋田清
○議長(秋田〓君) 採決ニ入リマス、先ヅ
醫師法中改正法律案ニ付キ採決致シマ
ス-本案ハ第二讀會議決ノ通リ議決スル
ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=41
-
042・秋田清
○議長(秋田清君) 起立多數-仍テ本案
八穀財一讀會議決ノ通リ可決確定致シマシタ
(拍手)次ニ齒科醫師法中改正法律案ハ、第
二讀會議決ノ通リ議決スルニ御異議アリマ
セヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=42
-
043・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ハ第二讀會議決ノ通リ可決確
定致シマシタ-是ニテ兩案共委員長報告
ノ通リ可決致シマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=43
-
044・秋田清
○議長(秋田清君) 日程第八、身元保證ニ
關スル法律案貴族院囘付案ヲ議題ト致シマ
ス
第八身元保證ニ關スル法律案(本院
提出、貴族院囘付)
身元保證ニ關スル法律案
(小字及-ハ貴族院修正)
第一條引受、保證其ノ他名稱ノ如何ヲ
問ハズ期間ヲ定メズシテ被用者ノ行爲
ニ因リ使用者ノ受ケタル損害ヲ賠償ス
ルコトヲ約スル身元保證契約ハ其ノ成
立ノ日ヨリ三年間其ノ效力ヲ有ス但シ
商工業見習者ノ身元保證契約ニ付テハ
之ヲ五年トス
五
第二條身元保證契約ノ期間ハ七年ヲ超
ユルコトヲ得ズ若シ之ヨリ長キ期間ヲ
五
定メタルトキハ其ノ期間ハ之ヲ七年ニ
短縮ス
身元保證契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得
五
但シ其ノ期間ハ更新ノ時ヨリ七年ヲ超
ユルコトヲ得ズ
第三條使用者ハ左ノ場合ニ於テハ遲滯
ナク身元保證人ニ通知スベシ若シ此ノ
通知ヲ怠リタルトキハ其ノ以後ニ於ケ
ル被用者ノ行爲ニ付身元保證人ニ對ス
ル損害賠償請求ノ權利ヲ失フ
被用者ニ業務上不適任又ハ不誠實
ナル事跡アリテ之ガ爲身元保證人ノ
責任ヲ惹起スル虞アルコトヲ知リタ
ルトキ
二被用者ノ任務又ハ任地ヲ變更シ之
ガ爲身元保證人ノ責任ヲ加重シ又ハ
其ノ監督ヲ困難ナラシムルトキ
第四條身元保證人前條ノ通知ヲ受ケタ
ルトキハ將來ニ向テ契約ノ解除ヲ爲ス
コトヲ得身元保證人自ラ前條第一號及
第二號ノ事實アリタルコトヲ知リタル
トキ亦同ジ
身元保證人ガ前條ノ通知ヲ受ケ又ハ前
條第一號及第二號ノ事實アリタルコト
ヲ知リタル後遲滯ナク契約ノ解除ヲ爲
サザルトキハ其ノ權利ヲ失フ
第五條裁判所ハ身元保證人ノ損害賠償ノ
責任及其ノ金額ヲ定ムルニ付被用者ノ監
督ニ關スル使用者ノ過失ノ有無、身元保
證人ガ身元保證ヲ爲スニ至リタル事由及
之ヲ爲スニ當リ用井タル注意ノ程度、被
用者ノ任務又ハ身上ノ變化其ノ他一切ノ
事情ヲ斟酌ス
六
使用本法ノ規定ニ反スル特約ニシテ
身元保證人ニ不利益ナルモノハ總テ之
ヲ無效トス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ本法施行前ニ成立シタル身元保證
契約ニモ之ヲ適用ス但シ存續期間ノ定ナ
キ契約ニ付テハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ起
算シ第一條ノ規定ニ依ル期間其ノ效力ヲ
有ス存續期間ノ定アル契約ニ付テハ本法
施行當時ニ於ケル殘存期間ヲ約定期間ト
五
ス若シ此ノ期間ガ七年ヲ超ユルトキハ之
五
ヲ七年ニ短縮ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=44
-
045・秋田清
○議長(秋田〓君) 囘付案卽チ貴族院ノ修
正ニ同意スルヤ否ヤヲ御諮リ致シマスー
貴族院ノ修正ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマ
ス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=45
-
046・秋田清
○雞長(秋田〓君) 起立多數、仍テ貴族院
ノ修正ニ同意スルコトニ決シマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=46
-
047・上田孝吉
○上田孝吉君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出都市計畫
法中改正法律案ヲ議題ト爲シ、委員長ノ報
告ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=47
-
048・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田孝吉君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=48
-
049・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシター-政府
提出貴族院送付、都市計畫法中改正法律案
ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告
ヲ求メマス-委員長堀川美哉君
都市計畫法中改正法律案(政府提出、貴
族院送付)第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一都市計畫法中改正法律案(政府提出、貴
族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年三月二十三日
委員長堀川美哉
衆議院議長秋田〓殿
附帶決議
一本法改正ノ結果適用ノ範圍急激ニ增
加スルヲ以テ速ニ機關ノ擴大充實ヲ圖
リ且各省ノ連絡ヲ圓滑ニシ以テ其ノ統
制ヲ期スヘシ
二速ニ土地區劃整理法ヲ制定スヘシ
三土地區劃整理ニ對スル國庫補助ノ途
ヲ拓クト共ニ指導助成機關ノ充實ヲ圖
リ且資金融通ノ途ヲ講スヘシ
四都市計畫事業ニ對シ全般的ニ補助ノ
途ヲ講スヘシ
五市町村字名境界ノ改正其ノ他ニ關シ
特ニ事務ノ簡捷ヲ圖ルヘシ
〔堀川美哉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=49
-
050・堀川美哉
○堀川美哉君 諸君、私ハ玆ニ議題トナ,
テ居リマスル所ノ都市計畫法中改正法律案
ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマ
ス、本案改正ノ要點ハ、第一ニ都市計畫法
ヲ總テノ都市ニ及ボスト云フコトガ第一ノ
點デアリマス、從來都市計畫法ハ、勅令ヲ
以テ特ニ指定セラレマシタ都市ニ限ッテ適
用セラレタノデアリマス、今後ハ之ヲ擴張
シテ、特ニ指定ヲ要セズ、本法改正ノ結果
ニ依リマシテ、總テノ都市ガ都市計畫法ノ
適用ヲ受ケル、左樣ニ改メルノデアリマス、
隨テ將來市ニナリマス所ノモノハ、市制實
施ト同時ニ、都市計畫法ノ適用ヲ受ケル、
斯ウ云フコトニナルノデアリマス
第二ノ點ハ更ニ重要ナル改正デアリマシ
テ、都市計畫法ヲ町村ニモ及ボスト云フ原
則ヲ定メタノデアリマス、卽チ從來ノ法
律デハ、町村ハ都市計畫法カラ除外サレテ
居ッタノデアリマスルガ、今囘ハ之ヲ改メマ
シテ、內務大臣ノ指定シタル町村ハ、都市
計畫法ノ適用ヲ受ケルコトヲ得ルト云フ途
ヲ開イタノデアリマス、卽チ內務大臣ニ於
テ指定シマシタ所ノ町村ハ、自ラ都市計畫
ノ主體トナリマシテ、都市計畫事業竝ニ區
劃整理事業ヲ執行スルコトガ出來ルヤウニ
ナッタノデアリマス、此點ハ極メテ重要ナ改
正デアリマシテ、從來都市ニハ都市計畫法
アリ、農村ニハ耕地整理法ガアッタノデア
リマスガ、其中間ノ都市市街地ガ、是等ノ
計畫カラ除外サレテ、何等將來ニ對スル所
ノ改善ノ計畫ガナカッタ、之ニ對シテ數年
來政友會ニ於テ頻リニ主張サレテ居ッタノ
デアリマスガ、今囘政府ハ政友會ノ主張ヲ
認メ、サウシテ此改正案ヲ提出致シタノデ
アリマス
第三ノ點ハ都市計畫區域決定ノ手續ヲ簡
易ニシタノデアリマス、從來都市計畫區域
ノ決定ハ、內閣ノ認可ヲ要シタノデアリマ
ス、之ヲ此改正ニ依リマシテ、內務大臣ニ
於テ決定シ得ルト云フコトニ致シタノデア
リマス、サウシテ都市或ハ町村ノ行政區劃
ト同ジ區域ノ場合ニ於キマシテハ、內務大
臣ニ於テ之ヲ決メル、他ノ行政區劃ヲ包含
致シマス場合ニ於テハ、其關係町村及都
市計畫委員會ニ諮問致シマシテ、サウシテ
內務大臣ノ方デ決メルコトガ出來ル、何レ
ニ致シマシテモ內閣ノ認可ヲ要シナイ、左
樣ニ簡單ニ致シタモノデアリマス
委員會ニ於キマシテハ、此改正案ハ、都
市竝エ町村ノ將來ニ對シマシテ、極メテ重
要ナル關係ヲ有スルモノト認メマシテ、愼
重審議ヲ重ネタノデアリマス、結局本案ハ
時代ノ要求ニ適合セル適當ナル改正案デア
ルト云フコトニ認メタノデアリマス、併ナ
ガラ委員諸君ハ、何レモ過去ニ於ケル所ノ
都市計畫法ノ實際ノ狀態、區割整理ノ實施
ノ狀態、殊ニ其困難、ソレ等ノ點ニ鑑ミマ
シテ、特ニ政府ニ對シテ低利資金ノ融通、
國庫補助ノ點ヲ極メテ熱心ニ主張セラレタ
ノデアリマス、大體都市計畫ノ實施ニ付キ
マシテハ、莫大ナル經費ヲ要スルノデアリ
マシテ、小都市ニ於キマシテモ數百万圓、
中都市ニ於テハ數千万圓ノ經費ヲ要スルノ
デアリマス、之ニ對シテ如何ニ立派ナ計
畫ヲ樹テマシテモ、其實施ガ二十年先カ、
五十年先カ、百年先カ分ラヌ、全ク其計畫
畫餅ニ歸スルノデアリマスカラ、政府ガ
ハ特ニ之ニ對シテ相當ノ補助ノ途ヲ開キ、
或ハ低利資金融通ノ途ヲ開イテ、之ヲ促進
スルノ方法ヲ立テナケレバナラヌト云フコ
トヲ、極メテ熱心ニ主張サレタノデアリマシ
テ、サウシテ結局次ノ如キ附帶決議ヲ附シ
マシタ-今附帶決議ヲ朗讀致シマス
附帶決議
一本法改正ノ結果適用ノ範圍急激ニ增
加スルヲ以テ速ニ機關ノ擴大充實ヲ圖
リ且各省ノ連絡ヲ圓滑ニシ以テ其ノ統
制ヲ期スヘシ
二速ニ土地區劃整理法ヲ制定スヘシ、
三土地區劃整理ニ對スル國庫補助ノ途
ヲ拓クト共ニ指導助成機關ノ充實ヲ圖
リ且資金融通ノ途ヲ講スヘシ
四都市計畫事業ニ對シ全般的ニ補助ノ
途ヲ講スヘシ
五市町村字名境界ノ改正其ノ他ニ關シ
特ニ事務ノ簡㨗ヲ圖ルヘシ
委員會ハ右ノ如キ附帶決議ヲ附シマシテ、
全會一致可決致シマシタ、此段御報告申上
ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=50
-
051・秋田清
○議長(秋田〓君) 本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=51
-
052・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマス、
本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=52
-
053・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=53
-
054・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=54
-
055・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議
題ト致シマス
都市計畫法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=55
-
056・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
ヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=56
-
057・上田孝吉
○上田孝吉君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出、擔保附
社債信託法中改正法律案ヲ議題ト爲シ、委
員長ノ報告ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=57
-
058・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=58
-
059・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ日程ハ變更セラレマシタ-政府提出
貴族院送付、擔保附社債信託法中改正法律
案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報
告ヲ求メマス-委員長〓瀨規矩雄君
擔保附社債信託法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一擔保附社債信託法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年三月二十三日
委員長〓瀨規矩雄
衆議院議長秋田〓殿
〔〓瀨規矩雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=59
-
060・清瀬規矩雄
○清瀨規矩雄君 只今議題ト相成リマシタ
擔保附社債信託法中改正法律案ノ委員會ノ
經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、本案ノ
重點ハ數囘ニ分チテ發行セラレマスル社
債ヲ、同一順位ノ擔保權ヲ以テ擔保トスル
制度ニ改メタイ、卽チ俗ニ申シマス所ノ根
抵當ノ制度ヲ創定シタイ、同時ニ物上擔保
ノ種類ヲ擴張致シタイ、卽チ漁業財團ノ抵
當及自動車交通事業ノ抵當ニ及ボシタイト
云フノガ本案ノ重點デアルノデアリマス、
委員會ハ愼重審議ヲ致シマシタ結果、討論
ニ移リマシテ、政友會ノ金光庸夫君、民政
黨ノ手代木隆吉君、國民同盟ノ栗原彥三郞
君、ソレ〓〓經濟界ノ實情ニ照シ、擔保附
社債ニ依ル事業資金ノ調達ノ方法ガ急速ニ
發達致シツヽアリマスル今日、此改正案ハ
極メテ機宜ヲ得タルモノトシテ贊成シ、全
員一致ヲ以テ可決致シタ次第デアリマス、
此段御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=60
-
061・秋田清
○議長(秋田〓君) 本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=61
-
062・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=62
-
063・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=63
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064・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=64
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065・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議
題ト致シマス
擔保附社債信託法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=65
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066・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
又、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ可
決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=66
-
067・上田孝吉
○上田孝吉君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際安藤正純君外四十
一名提出、〓育革新ニ關スル建議案及久原
房之助君外五十三名提出、警察官優遇ニ關
スル建議案ヲ逐次議題ト爲シ、其審議ヲ進
メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=67
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068・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=68
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069・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ日程ハ變更セラレマシタ、先ヅ安藤正
純君外四十一名提出、〓育革新ニ關スル建
議案ヲ議題ト致シマス、本案ハ建議委員長
ヨリ卽決ノ要求アリタル議案デアリマス、
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者安
藤正純君
〓育革新ニ關スル建議案(安藤正純君
外四十一名提出)
〓育革新ニ關スル建議案
〓育革新ニ關スル建議
政府ハ時代ノ進運ニ鑒ミ速ニ〓育ノ制度
及內容ノ革新ヲ斷行スヘシ
右建議ス
(安藤正純君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=69
-
070・安藤正純
○安藤正純君 私ハ玆ニ政友會民政黨兩黨
ノ共同提出ニ係リマスル〓育革新建議案ノ
趣旨ノ說明ヲ致シマス、抑〓我國ノ〓育制
度ハ明治五年ノ學制領布ニ端ヲ發シタノデ
アリマス、爾來發達ヲ重ネテ今日ニ至リ、
大ニ機構ヲ整ヘテ施設ヲ完備シ、之ヲ外觀
ヨリスレバ洵ニ文化燦然トシテ一代ノ盛觀
ガアルノデアリマス、併シ此制度ハ旣ニ六
十年ノ古キニ及ビマシテ、殊ニ其根幹ハ總
テ明治ノ初期乃至中期ニ制定セラレタモノ
デアリマスカラ、其制度及內容ハ時代ノ變
遷ニ適合セズ、寧ロ國民ノ實生活ト懸離レ
ツヽアルノ憾ガアルノデアリマス、卽チ現
行學制ノ中デモ最モ遲タ施行セラレマシタ
高等女學校令デスラ、實ニ三十七年ノ久シ
キニ及ンデ居ルト云フ狀態デアリマシテ、
而モ其間何レノ學校ノ制度モ殆ド改正ラシ
キ改正サヘモ加ヘラレタコトハナク、舊態
依然トシテ今日ニ至ッテ居ル次第デゴザイ
マリ、申スマデモナク明治中葉時代ノ〓育
ハ主トシテ其原形ヲ外國ノ模倣ニ採ッタ
ノデゴザイマスル、ノミナラズ一般民智ノ
開發ヲ促進スル必要上カラ致シマシテ、下
ヨリ上ニ要求シタ制度デハゴザイマセヌ、
上ヨリ下ニ與ヘラレタル所ノ官僚的奬學制
度デゴザイマシテ、隨テ我國ノ〓育ハ其出
發點ニ於テ旣ニ我ガ國民ノ實生活ヲ基調ト
スルモノデナイ上ニ、官僚制度ノ通弊ト致シ
マシテ、萬事ガ專制的、割一的、非融通性
ノモノトナッテ居ルノデアリマス、而モソレ
ガ數十年間ノ長キニ亙リマシテ、改良ラシ
イ改良モ加ヘラレズニ、今日マデ墨守セラレ
テ來タノデアリマス、一方此間ニ於キマシテ我
國ノ文化竝ニ數多ノ社會的經濟的施設ハ
異常ノ進步發達ヲ致シマシタ、又幾多ノ變
遷推移ヲ重ネテ參リマシタノデ、玆ニ現代
社會ノ實情ト今日ノ〓育トノ間ニ、著シキ
喰違ヒヲ生ジテ來タノデアリマス、現代ノ
社會ハ伸縮性ヲ以テ進化ヲシテ居リマス、
其中ニ立ッテ現代ノ〓育ハ、獨リ固形化シタ
ル感ガゴザイマス、社會人ハ日夜ノ變化ニ
處シテ新シク生キント努力ヲ致シテ居リマ
ス、然ルニ其中ニ立ッテ〓育家ハ變化ヲ冥
想致シマシテ、努力ノ勇氣ヲ缺イテ居リマ
ス、隨テ斯ル〓育施設ト、〓育家ニ依リ〓
育セラルヽ所ノ今日ノ子弟ハ、十分ニ個性
ノ發揮ガ出來ズ、人格ノ完成ヲ缺キ、複雜
多岐ナル現代社會ト懸離ルヽニ至ッタノデ
ゴザイマス、其結果之ヲ社會的ニ見マスレ
バ、學校卒業者ノ就職地獄ヲ現出シ、多數
ノ智識階級ノ失業者ヲ釀成スルニ至ッタコ
トハ、寧ロ當然ノ現象ト言ハナケレバナラ
ヌノデアリマス、併シ私ハ無暗ニ過去ノ〓
育ヲ非議スルモノデハアリマセヌ、明
治年間カラ大正ノ初ニ掛ケテハ、斯ル組
織ハ寧ロ巳ムヲ得マセヌ、而モ我國ノ〓
育ヲ今日マデニ發達セシメタ所ノ幾多ノ
文〓當局者ト、幾多ノ〓育家ノ輝イタル
功勞ニハ敬意ヲ表スル次第デアリマス(拍
手)唯今日ノ時代ノ變化ハ、之ヲ根本的ニ
革新スル所ノ急務ヲ認メテ居ル次第デゴザ
イマス
斯ノ如キ我國ノ〓育ノ現狀カラ鑑ミマシ
テ、吾々ハ其制度內容ノ根本的改革ヲ翹望
ヲシテ已マザル次第デアリマスガ、其改革
ノ指導精神ハ、第一〓育ノ實際化デアリ
やく、言フマデモナク〓育ハ國家百年ノ大
計デアルト同時ニ、實ニ國民生活ノ基礎工
事デアリマス、故ニ歐羅巴各國ノ如キモ、
世界大戰後ノ改造ニ關シマシテ、眞先ニ手
ヲ著ケタモノハ、實ニ〓育制度ノ改善デ
アッタノデゴザイマス、〓育ノ實際化ヲ圖ル
ベシトスル要求ハ、啻ニ我ガ國內ニ於ケル
一般ノ通論タルニ止マラズ、世界大戰後ノ
新思潮トシテ、旣ニ世界ノ公理的ナル指導
精神トナッテ居ルノデアリマス、私ガ玆ニ唱
ヘル〓育ノ實際化ト云フノハ、卽チ〓育ノ
實生活化デアリマス、別ノ言ヒ表シ方ヲ致
シマスレバ、〓育ノ歸著點ガ、同時ニ生活
ノ出發點ニナル〓育ト云フコトデアリマ
ス、國民ノ實生活ヲ地方的ニ見マシテモ、
亦個人ノ希望カラ見マシテモ、極メテ多種
多樣デアリマス、隨テ現在ノ制度ノヤウナ
規則ヅクメノ劃一主義ガ實情ニ適セザルコ
トハ、是ハ分リ切ッタコトデアリマス、其
分リ切ッタコトガ今日迄ニ未ダニ改善サレ
ズニ居ルノデアリマシテ、其結果トシテ生
ミ出サレタル所ノ應報ガ、前ニ申述ベマシ
タ知識階級ノ就職難デアリ、失業問題デア
リ、而シテ其結果ニ達スル途中ニハ、學問
中毒、試驗地獄ノ慘禍ガ橫ッテ居リマス、更
ニ其副產物トシテ生レタルモノガ、學生ヲ
中心トスル社會科學ノ問題デアリ、延テハ
思想國難ノ醱酵場トナッテ居ルヤウナ禍ヲ
釀スニ至ッタ次第デアリマス、是ハ全ク時代
ト背馳シ、實生活ヲ離レテ居ル所ノ〓育ノ
反映デアリマシテ、玆ニ吾々ハ斷乎トシテ
國家現實ノ要求ニ適合スル、〓育ノ實際化
ヲ提唱スル所以デゴザイマス(拍手)
第二ハ大衆〓育ノ確立デアリマス、由來
國家ノ隆昌トカ、若クハ民族ノ發展トカ申
シマスルコトハ、其指導原理ハ少數ナル爲
政者若クハ學者ノ頭カラ出サレルノデアリ
マスガ、之ヲ高調シ、之ヲ發揚スルモノ
ハ、常ニ大衆ノ力ニ俟タナケレバナラナイ
コトハ勿論デアリマス、殊ニ今ヤ大衆ノ理
會ガ國策ノ實現トナリ、國力ノ充實トナル
次第デゴザイマス、故ニ國民大衆ノ〓育ヲ
向上發達セシムルコトハ、國家ノ〓育方針
トシテ頗ル重要ナ事デゴザイマス、私ハ玆
ニ統計ヲ引クコトノ煩ヲ避ケマスガ、現在
我國ノ實情ハ、尋常小學校卒業者ノ中等學
校ニ通ッテ居ル者ト、資力ガナクシテ實業
補習學校ニ入學ヲシテ居ル者トハ、其數ハ
殆ド伯仲ノ間ニアルノデアリマス、然ルニ
前者ニ對スル、卽チ中等〓育ニ對スル施設
ハ最モ厚イノデアリマスガ、後者卽チ補習
〓育程度ニ對スル施設ハ甚ダ貧弱デゴザイ
マく、勿論經費ノ比較ヲ致シマスレバ、問
題ニナラヌ差ガアルノデアリマス、加之
尋常小學校ヲ出タノミデ、資力ノ關係
デ再ビ何等ノ學校ノ窓ヲモ覗キ得ナイ
所ノ不幸ノ國民ハ更ニ〓〓多數デアリ
マス、要スルニ國民〓育ノ現狀ハ、少
數ノ靑少年ガ系統的ノ學校ニ學習スルノ
特典ヲ得マシテ、大多數ノ者ハ全ク〓育
以外ニ放置セラレテ居ルノデアリマス、國
民ノ大多數ガ〓育上ノ利益ニ均霑シ得ラレ
ナイト云フコトハ、從來ハ兎ニ角、今後ニ
於キマシテハ、國家〓育制度ノ缺陷ト言ハ
ナケレバナラナイト思フノデアリマス拍
手)斯ノ如キ狀態ハ、之ヲ〓育ノ機會均等
ノ精神カラ見マシテモ、亦時代ノ趨勢カラ
考ヘマシテモ、到底此儘ニ捨テヽ置クコト
ハ出來ナイノデアリマス
第三ハ〓育ノ社會政策的施設デアリマ
ス、卽チ〓育制度ノ上ニ社會政策的諸施設
ヲ實行致シマシテ、國民ヲシテ當然受ケル
ベキ國家ノ恩惠ヲ普遍セシメナケレバナラ
ナイト存ジマス、現在ニ於キマシテモ尙ホ
吾々ノ同胞ノ中ニハ、小學校ノ〓育ヲ受ケ
ザル者ガゴザイマス、是ハ速ニ絕滅ヲ期セ
ナケレバナリマセヌ、奬學資金-學問ヲ
奬メル奬學資金支給制度ヲ確立致シマシテ、
資力ナキ優秀ナル子弟ヲ推挽スルノ途ヲ講
ズルコトモ、亦國家トシテ爲スベキコトヽ
存ジマス、此點ニ付キマシテ吾々ハ大ニ世
ノ富豪ノ奮起ヲ望マザルヲ得ナイノデアリ
マス
更ニ產業開發ノ要素デアリマスル勞働者
〓育ニ至ッテハ最モ急務デアリマス、現在ノ
如キ勞働者〓育ノ小規模ヲ以テ致シマシテ
ハ、全ク二階カラ目藥ノ感ガゴザイマス、
須ク今後ノ國情ニ鑑ミテ、其機構ヲ擴大ス
ルノ要ガアルト私ハ信ズル次第デゴザイマ
ス
第四ニハ是等各段階ノ〓育全般ヲ通ジマ
シテ、精神〓育ノ徹底デアリマス、凡ソ人
格ヲ陶冶シ、信念ヲ確立シマスルノハ、人
生ノ要義デアリマス、人心ヲ肅正シテ、綱紀
ヲ緊張スルノハ國家隆昌ノ根源デアリマ
ス、而シテ之ヲ徹底スルノ途ハ〓育ヲ措
イテ他ニ途ハナイノデアリマス、然ルニ近
來我國ノ風潮ハ、徒ニ外國文化ノ迎合模倣
ニ忙シクシテ、自然科學的見地ガ誤用セラ
レマシテ、物質偏重ノ弊ガ一世ニ漲ルノ感
ガアリマス、其餘弊ノ及ブ所、此人心ノ弛
緩、綱紀ノ頽廢、近時洵ニ欝クベキモノガア
ルノデアリマス、固ヨリ科學文明ノ進步ハ
喜ブベキモノデアリマス、物質文化ノ發達
ハ勿論國家ヲ利スルコトハ言ヲ俟チマセ
又、唯精神ノ根源ヲ卑ンデ、唯物萬能ニ墮
スルコトハ國家ノ前途洵ニ憂フベキデハ
ナカラウカ、由來我國ハ東洋文明ノ粹ヲ集
メテ、獨自ノ思想文化ノ創造ガアリマス、
此創造精神ハ何物ニモ替ヘ難キ國民ノ貴重
ナル寶デゴザイマス、國體ノ觀念モ、國民
ノ生活モ、此精神ノ基礎ニ培養セラルヽノ
デアリマス、故ニ總テノ〓育ノ基礎ニ、精
神〓育ヲ徹底セシメテ〓育ノ實際化ヲ圖
リ、又一元的ノモノト致シマシテ、國民生
活ノ指導原理ヲ確立シ、國家ノ理想ヲ基調
トシタル人格陶冶ニ重點ヲ置イテ、學校ノ〓
授內容ヲ充實センコトヲ私ハ切望スル次第
デゴザイマス
最後ニ第五ニハ、〓育事項ノ法律化
ヲ提唱セントスル者デアリマス、御承
知ノ如ク〓育事項ハ大部分命令ニ依〃
テ現今實施セラレテ居リマス、現在
〓育上法律事項ニナッテ居リマスモノハ、市
町村義務〓育費國庫負擔法、〓育基金特別
會計法、大學特別會計法等ノ僅カ十數件
ニ過ギナイノデアリマス、〓育ノ本體、〓
育ノ大方針ガ總テ單ナル一片ノ命令ニ依ッ
テ定メラレテ居ルト云フコトハ、〓育事項
ヲ輕ク視ルノ嫌ガゴザイマス、勿論斯ウ申
シタト申シマシテモ、私ハ〓育施設ノ全般
ヲ議會ニ附議セヨト云フヤウナ譯デハゴザ
イマセヌガ、〓育ガ全國民ニ關スル重大事
項タル點カラ鑑ミマシテモ、〓育費ガ國家
ニ於テ、又地方ニ於キマシテ莫大ナル巨額
ニ上ッテ居ル點カラ考ヘマシテモ、〓育制度
ノ基本等ノ重大事項ハ、是ハ國民ノ總意ヲ
要スル議會ノ議ニ附スルノガ妥當デアッテ、
又公明ナル解決ヲ得ラレルモノト信ズル次
第デゴザイマス(拍手)以上ノ革新ヲ斷行ス
ルニ當リマシテハ、廣ク諸機關ニ亙ル〓育
系統ノ改正、修業年限短縮等ノ問題ヲ伴ヒ
マス、又官公兩學ノ差別主義ノ撤廢トカ、
學校卒業ニ伴フ特權ノ打破トカ、或ハ〓育
費ノ低減トカノ問題ガ附隨ヲ致シマス、是
等ハ何レモ〓育界ノ重大問題デアリマシ
テ、因襲ノ久シキ之ヲ改廢スルコトハ非常
ナル困難ト存ジマス、併ナガラ時代ハ之ヲ
急激ニ要求シテ已マナイノデゴザイマス、
文部大臣ハ八年度ノ豫算ニ〓育調査費ヲ計
上セラレマシタコトハ、吾々ノ同感トスル
所デアリマス、政府ハ須ク快刀亂麻ヲ斷ツ
ノ決心ヲ以テ此難衝ニ當リ、速ニ適切妥當
ノ改革案ヲ立テヽ之ヲ斷行シ、以テ昭和維
新ノ新文化建設ニ寄與セラレンコトヲ希望
スル次第デゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=70
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071・秋田清
○議長(秋田〓君) 質疑ノ通告ガアリマス、
之ヲ許シマス-戶田由美君
〔戶田由美君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=71
-
072・戸田由美
○戸田由美君 私ハ現內閣ノ與黨デアリマ
スル政友會、民政黨兩黨ノ共同提案デアリ
マスル〓育革新建議案ニ付キマシテハ、其
趣旨ニハ大體ニ於テ贊成ヲ吝マナイ者デア
リマス、殊ニ只今安藤君カラ詳細ニ革新ノ
要點ヲ御示シニナリマシタコトニ付キマシ
テハ、洵ニ同感禁ズルコトノ出來ナイ者デ
マリマスルガ、併ナガラ私共國民同盟ノ者
ハ、兩黨ノ諸君トハ立場ガ異ッテ居リマ
ス、隨テ自ラ此案ニ贊成ヲ致シマスル理由
モ、多少方面ガ異ッテ居ルト云フコトヲ豫メ
申上ゲナケレバナラナイノデアリマス、殊
ニ私ハ目下ノ我ガ國情ニ於キマシテ、極メ
テ重大ナル〓育、竝ニ隨テ關聯致シマスル
思想問題ニ付キマシテハ、極メテ愼重ニ、
極メテ峻嚴ニ、經濟國難、外交國難或
ハ他ノ政治上ノ問題ヨリ、寧ロ最モ重大性
ヲ御互ノ頭ニ置キマシテ、眞面目ナル檢討
ヲ致シテ、贊成スベキモノハ贊成ヲ致サナ
ケレバナラナイト、斯樣ニ考ヘテ居リマス、
尙且諸君ニ御聽ヲ願ヒタイノハ、諸君ガ非
常ニ熱心ニ御心配ニナッテ此建議案ヲ御提
出ニナリマシテモ、全會一致ノ決議ノ院議
ガ、果シテ事實ニ於テ諸君ノ希望ガ實現サ
レルヤ否ヤト云フコトモ考ヘナケレバナラ
ナイ、此意味ニ於キマシテ本建議案ノ重大
ナル效果ヲ發生セシムル意味ニ於キマシテ
モ、唯徒ニ盲目的ニ鵜呑ヲ致スト云フコト
ハ本案ニ對シテ忠實ナル所以デナイト私
ハ考ヘテ居リマス(拍手)遺憾ナガラ三四ノ
點ニ付キマシテ、提案者竝ニ政府當局ニ對
シマシテ質問ヲ致シタイノデアリマス
先ヅ第一ニ、私ハ文部大臣ニ御伺致シタ
イノデアリマスルガ、政府與黨タル兩黨カ
ラシテ、其代表者デアリマスル文部大臣ニ
對シテ、現在〓育諸令ガ實施サレテ居ル間
ニ於キマシテ、殊更ニ〓育革新ノ建議案
ヲ提案サレルト云フコトハ、考樣ニ依リマ
スレバ、現文部當局ニ對スル一種ノ不信任
案トモ目セラレルカラ、私ハ愼重ニ御考へ
ナサラナケレバナラヌト思フノデアリマス、
文部大臣ハ、果シテ現行諸法令ノ範圍內ニ
於キマシテ、本當ニ我國ノ〓育ノ實績ヲ擧
ゲ得ナイト御感ジニナルノデアリマスカ、
擧ゲ得ルト致シタナラバ、此建議案ニ對シ
テ如何ナル御考ヲ御有チニナルカ、ソレヲ
御示シヲ願ヒタイト思フノデアリマス(拍
手)只今安藤君ノ御說明ニ依リマスレバ、
現在ノ〓育上ノ諸點ニ對シマシテ、改革ス
ベキ點ガ幾多アルト云フコトハ明瞭ニ相成"
タノデアリマスルガ、其御說明ヲ承リマシ
テモ、私共ノ疑問ニ致スノハ、ソレ等ノ點
モ、現在ノ法令ノ下ニ於キマシテ、文部大
臣竝ニ〓育ノ監督權ヲ御持チニナル諸機關
ノ活動ニ依リマスレバ、或ル程度マデ其目
的ヲ達シ得ルモノデハナイカト云フコトヲ
考ヘルノデアリマス、殊ニ文部當局ガ、十
分指導監督ノ權能ヲ御發揮ニナリマスレバ、
現在ノ萎微沈滯致シテ居リマス〓育界ノ空
氣ヲ刷新致シマシテ、又國民精神ノ涵養樹
立ニ對シマシテモ、更メテ〓育制度ノ革新
ヲ俣タズトモ、十分ニ其目的ヲ達シ得ルモ
ノデハナイカト云フコトヲ私ハ信ズルノデ
アリマス、文部大臣ハ、之ニ對シテ如何ナル
御考ヲ御有チニナルカ、御示シヲ願ヒタイ
ノデアリマス
更ニ私ハ齋藤總理大臣ニ御伺致シタイノ
デアリマスガ、先般長野縣ノ〓員ノ赤化問
題ニ付キマシテ、私ハ縣ノ事情ヲ申述ベマ
シテ、總理大臣ニ對シテ、斯ノ如キ事態ヲ
發生セシメタル、由テ來ル原因如何ト云フ
コトニ付テ御所信ヲ求メタノデアリマス
ガ、何故カ總理大臣ハ一言ノ御答モナカッタ
ノデアリマス、戶田由美ハ貧弱デアリマ
ス、之ニ對シテ答辯ノ必要ナシトセラルヽ
ナラバ、又私ハ忍ビマス、併ナガラ苟モ國
民ヲ〓養スベキ小學校ノ〓員ガ、我ガ國體
ノ上ニ於テ相許スベカラザル思想ヲ懷ク者
ガ、數百名簇出シタト云フ現狀ニ對シマシ
テ、總理大臣ガ、此質問者ノ其人ノ如何ニ
依ッテ答辯ナサルナサラヌト云フヤウナ御
考ヲ有ツコトガ、洵ニ現時ノ我國ノ思想ニ
對シテ、非常ナル害惡ヲ爲スモノト考ヘル
ノデアリマス(拍手)此點ニ付キマシテ、私
ハ齋藤總理大臣ニ、此席ニ於テ御答辯ヲ願
ヒタイノデアリマスガ、凡ソ現在ノ經濟事
情。我國ノ社會情勢カラシテ、〓育者ノ間
三十、斯ノ如キ思想ヲ有ツ者ガ簇出スルト
云フコトニ付キマシテ、總理大臣ハ、〓育
者モ人間ナルガ故ニ、經濟ノ困窮、生活ノ
壓迫ニ依ッテ、斯ノ如キ思想ヲ持ツコトモ、
亦已ムヲ得ナイト御考ニナッテ居ルカ、或ハ
〓育者其者ハ普通ノ人間以外ニ取扱フベキ
モノデアル、若クハ其信念ヲ平素ニ於テ〓
養スベキ政府ニ責任ノアルモノデナイカ、
如何デアルカト云フコトノ御信念ヲ承リタ
イノデアリマス
更ニ第三ニ於キマシテ、私共ハ提案者ノ
兩黨諸君ニ御伺ヲ致シタイ、我國ノ學制改
革竝ニ思想問題ニ關聯致シマシテ、既ニ濱
口內閣ノ當時ニ、民政黨ノ田中元文部大臣
ハ學制改革ノ案ヲ提案ナサレテ御〓究ニ
ナッテ居ルノデアリマス、更ニ又昨年現文部
大臣ハ、師範學校長會議若クハ小學校長會
議ヲ御開キニナリマシテ、現在ノ〓育革新
ニ付テ、十分御〓究ヲ爲サッテ居ル筈デアリ
マス、而シテ勿論兩黨ノ諸君ハ、此文部大臣
ヲ出シテ居ル關係上、現在ノ〓育制度ノ改
善ガ一日モ缺クベカラザル必須ノ要項ナル
コトハ、十分御認識ナサッテ居ル筈デアリマ
ス、然ルニ諸君ガ支持スル現內閣ガ、巷間風
評スル所ニ依リマスレバ、最早命旦夕ニ迫
リマシテ、議會後ニハ沒落スルトマデ言ハレ
テ居ル際ニ、責任ノアル兩黨ノ諸君ガ、今更
慌テクサッテ、此建議案ヲ御出シ下サッタト
云フコトニ付テノ其御心持ガ、吾々ニハ諒
解ニ苦シムノデアリマス、諸君ハ如何ナル
確信ガアッテ-或ハ新聞紙ニハ、政友會ノ
諸君ハ軈テ來ルベキ內閣ノ「カンフル」注射
ヲ豫メシテ居ルノデアルト云フヤウナコト
ヲ言ハレテ居ルト云フコトヲ承リマスガ、
斯ノ如キ眞面目ナラザル御態度ヲ以テ、此
重大ナル建議案ヲ御出シニナッタト云フコ
トハ、甚ダ私ハ怪訝ニ堪ヘナイ次第デアリ
甲く、此點ニ付キマシテ、兩黨ノ諸君ノ御
見解ヲ求メタイノデアリマス
更ニ最後ニ私ハ民政黨ノ諸君ニ一言承リ
タイ、此思想問題竝ニ〓育問題ニ關聯致シ
マシテ、諸君ガ決議案ヲ御出シニナッタノ
ハ、遙ニ遠イ昔ノコトデアッタノデアリマ
ス、所謂何時デモ此重大ナル問題ガ棚曝シ
ニ曝サレテ居ヲタ、然ルニ最近ニ於テ、突如
其決議案ヲ御撤囘ニナリマシテ、政友會ト
共ニ共同ノ建議案ト爲サッテ、而モ其案ノ御
說明ヲ御自分デ爲サラズニ、政友會ノ安藤
君ニ御賴ミニナッタト云フコトハ、如何ナル
御都合デアリ、如何ナル御考デアッタカト云
フコトヲ承リタイノデアリマス
而シテ最後ニ、政府ハ此非常時局ニ際シ
マシテ、思想惡化竝ニ〓育ノ改善ニ對シ
テ、十分ニ自分ガ考慮ヲシ、實行シナケレ
バナラヌト云フヤウナコトヲ、兩與黨カラ
詰問サレマシテ、之ニ對シテ恬然トシテ、
果シテ政府ノ責任ヲ盡シ得タリト御考ニナ
ルカドウカ、現內閣ノ政治的良心、政治的
ノ責任觀ヲ詳シク承リタイノデアリマス
(拍手)
〔國務大臣鳩山一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=72
-
073・鳩山一郎
○國務大臣(〓山一郞君) 戶田君ノ御質問
ニ對シテ御答ヲ致シマス、戶田君ハ現在ノ
法令ノ範圍內ニ於テモ、或ル程度ノ〓育ノ
改革ハ出來ルデハナイカト云フ御質問デゴ
ザイマシタ、或ル程度ノ〓育ノ改革ハ勿論
出來マス、併ナガラ先刻安藤君ノ提案理由
ノ說明ヲ拜聽致シテ居リマスト、或ル程度
ノ〓育ノ改革デハ足リナイ、拔本塞源ノ途
ヲ講ズベシト云フヤウナ御考デアッタト思
ヒマス、現在ノ法令ヲ改革スルト云フコトハ非
常ナ難事業デアリマシテ、一度出來タ制度ノ
改革ヲ致シマスト云フコトハ、中々言フニ易ク
行フニ難イノデアリマス、此制度ノ改革ハ、
ドウシテモ根本制度ノ調査ヲ致シテカラ始
メナクテハナラナイト思ヒマシテ、此度豫
算ニ其費用ヲ計上シタ次第デアリマス、今日
マデ文部省ニ居リマシテ、私ガ致シマシタ
事柄モ、法令ノ範圍內ニ於テハ出來ルダケ
ノコトヲヤッテ居ッタ積リデアリマス、安藤
君ガ先刻說明セラレタ〓育ノ實際化、或ハ
大衆ノ〓育、或ハ奬勵資金、或ハ勞務者ノ
〓育、是等ニ付キマシテ、總テ相當ノ施設
ヲ致シ、相當ノ豫算モ新ニ取ッテ居リマス、
併ナガラ拔本寒源ノ途ハ、ドウシテモ愼重
ノ調査ヲ得テ後ニ初メテ爲スベキコトト思
ヒマシテ、此度〓育制度ノ根本ニ對シテノ
調査費用ヲ計上シテ、請君ノ御協贊ヲ得タ
ノデアリマス、此委員會ニ依ッテ適當ナル
案ヲ得マシタ後ニ著々實行スル考デアリマ
ス(拍手)
〔國務大臣子爵齋藤實君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=73
-
074・齋藤實
○國務大臣(子爵齋藤實君) 只今戶田君カ
ラノ御質問ノ中ニ、長野縣ノ〓員ニ多數ノ
嫌疑者ヲ生ジマシテ、其事柄ニ付テノ御尋
ガアリマシタガ、是ハ洵ニ遺憾ナル出來事
デアリマシテ、政府ニ於キマシテハ、極力
只今取調ベマシテ······(「分ッテ居ルデハナ
イカ」ト呼フ者アリ)是ハ能ク取調ベナケレ
バ、此善後ノ策ヲ政府ト致シマシテハ講ジ
得ナイノデアリマス、左樣御承知ヲ願ヒマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=74
-
075・秋田清
○議長(秋田〓君) 是ヨリ討論ニ入リマ
ス-山枡儀重君
〔山枡儀重君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=75
-
076・山枡儀重
○山桝儀重君 私共ハ只今議題トナッテ居
リマス〓育ノ革新ニ關スル建議案ニ、贊成
ヲ致ス者デアリマス、只今提出者安藤君ヨ
リ、其提案ノ趣旨ヲ十分ニ說明セラレマシ
テ、其中ニ〓育ノ改革ヲ爲スベキ目標ニ付
テ、詳細ニ論述致サレタノデアリマス、故
ニ私ハ出來ルダケソレト重複スルコトヲ避
ケマシテ、私共ガ本案ニ贊成致シマスル趣
旨ヲ明ニシ、且ツ只今文部大臣ハ、根本的ノ
改革ヲナス爲ニ調査會ヲ設ケテ、是ガ調査
ヲ爲スト云フコトデアリマスルカラ、共調
査ヲ爲シテ改革ヲ致サレマスル方針ニ付テ、
私共ノ所見ヲ述べテ置キタイト思フノデア
リマス(拍手)
先程安藤君ノ申サレマシタヤウニ、〓育
ハ時代ニ依ッテ變化スルノデアリマス、今
日マデ我國ガ、明治維新以來此文運ノ進步
ヲ見マシタコトハ、〓育ノ效果デアルノデ
アリマシテ、今日世ノ中ニ現今ノ〓育ニ對
シテ種々ナル非難ガ加ヘラレ、或ハ希望ガ
述ベラレテ居ルノデアリマスケレドモ、ソ
レハ今日ノ時代ニ適シナクナッタト云フコ
トデアッテ、過去ノ功績ハ之ヲ沒スベカラ
ザルモノガアルト思フノデアリマス、此時
代ノ變化ニ伴ヒマシテ、注意ヲ致サナケレ
バナラナイ點、數點ヲ述べテ見タイト思フ
ノデアリマス
第一ニ今日〓育ニ對シテ、今日ノ〓育ガ
偏智主義ノ〓育ニ陷フテル居ルト云フ非難ガ
加ヘラレテ居ルノデアリマス、安藤君ハ先
刻人格〓育ニ力ヲ注ガナケレバナラヌト申
サレタノデアリマス、此人格〓育ガ過去ニ
於テ稍、蔑ロニセラレマシタル憾ミノアリ
マスルコトハ、其明治時代ノ必要ガ然ラシ
メタノミナラズ、明治時代ノ〓育ノ思想ヲ
支配致シテ居ッタ所ノモノガ、丁度十九世紀
ノ物質機械主義ノ思想ノ流行致シマシタ時
ニ、我國ガ歐米ノ〓育思想ヲ取入レマシタガ
爲ニ、自然其結果ニ陷フタノデアリマス、併
ナガラソレハ明治維新以前ノ我國ノ長ラク
精神〓育ガ、自然ニ之ヲ補ッテ居リマシタ
カラ、其弊害ガ餘リ現ハレナカッタノデア
リマスケレドモ、其傳統ガ次第ニ薄ライデ
來ルニ從ッテ、偏智〓育ノ弊害ガ現ハレタノ
デアリマス、卽チ過去ノ〓育ハ、知識ノ修
練ニ重キヲ置イテ、人間ノ活動ガ知識ヨリ
モ、寧ロ情ト意思ノ活動ニ在ル、此根本觀
念ヲ忘レタ結果ナノデアリマス、故ニ此點
ニ付テ、將來ノ〓育ハ大ニ力ヲ用ヒマスナ
ラバ、ソコニ自然ニ國體ニ關スル觀念、人
間ノ道德ニ關スル觀念ガ明ニナッテ來ルノ
デアリマス、而シテ共產主義ニ對スル今日
ノ學生ノ共鳴ノ狀況ヲ見マスルト云フト、
頭ノ銳イ者ガ一層共產主義ニ共鳴致スノデ
アリマス、卽チ此巧妙ナル機械的論理ノ組
織ニ心醉致スノデアリマシテ、斯樣ナ結果
ヲ來シマスト云フコトハ、卽チ〓育ガ知
識論理ニ重キヲ置イタ結果デアリマシ
テ、此情意ノ修練ト云フコトニ、〓育ノ重
キヲ置クニ至リマスルナラバ、矯激ナル思
想ハ自ラ雲散霧消スベキ問題デアラウト考
ヘラレルノデアリマス(拍手)
斯樣ニ考ヘマスルト、今日ノ〓育改革ノ
問題ハ、先刻來制度ノ問題ヲ論ジテ居ラレ
タヤウデアリマスケレドモ、制度モ大切デ
アリマスルガ、此〓育ニ對スル態度ヲ新タ
ニ致シマスルナラバ、玆ニ我國ノ〓育ハ
變スルコトガ出來ルノデアリマス、過去ノ
〓育ノ改革ヲ主張スル人ハ、多クハ學校ノ
年限デアルトカ、或ハ學校ノ系統デアルト
カ云フコトニ重キヲ置キ過ギテ、ソレヲ改
革スルコトガ、〓育ノ改革デアルカノ如ク
ニ考ヘテ居リマシタ所ニ、〓育改革ノ誤リ
ガアルノデアリマシテ、今後〓育ノ改革ヲ
スル時ニハ、其制度ヤ組織ヨリモ、此〓育
ノ方針ト、內容ト、〓育者ノ態度ニ重キヲ
置クベキモノデアルト考ヘルノデアリマス
(拍手)安藤君ガ先刻今後ハ大衆ノ〓育ニ重
キヲ置カナケレバナラヌト云フコトヲ申サ
レタノデアリマス、過去ノ〓育ヲ見マス
ト、選バレタル少數ノ者ノ爲ニ、國家ヤ公
共團體ハ莫大ノ經費ヲ費消致シテ居ルノデ
アリマス、私共ハ此大衆ノ〓育ヲ確立致ス
爲ニ、大學其他官立ノ學校ハ、出來ルダケ
私立ノ學校ニ移シマシテ、其費用ヲ以テ大
衆ノ〓育ニ充テルノガ、本當ノ日本ノ〓育
ノ制度デアルト考ヘルノデアリマス(拍手)
更ニ從來ノ〓育ノ觀念ノ誤リハ、普通ニハ
學校卽〓育、〓育卽學校ト云フ風ニ考ヘマ
シテ、學校ニ行ッテ居ル間ダケガ〓育デア
テ、學校ヲ終レバ〓育ハ終ッタ、斯樣ニ考
ヘル觀念ガアリマス爲ニ、學校ノ中ニ於テ
ハ出來ルダケ、一生涯役ニ立ツ所ノモノヲ
全部〓ヘ込マウトスルカラ、玆ニ無理ガ起,
テ來ルノデアリマス、人間ノ〓育ハ學校ニ
於テノミ受ケルノデハナイノデアリマシテ、
社會ニ於テモ受ケレバ、年齡ニ於テモ、死
ヌルマデ〓育ヲ受ケルモノデアリマシテ、
此學校卽〓育、〓育卽學校ト云フ觀念ヲ打
破シテ、〓育ガ何處ニ於テモ行ハレ、年齡
如何ニ拘ラズ行ハレルト云フ考カラ、〓育
制度ヲ建直スト云フコトガ、〓育全般ノ改
革ヲ來ス所以デアルト思フノデアリマス
(拍手)卽チ此結果ト致シマシテ、先刻安藤
君ノ申シマシタ、〓育ノ實際ノ問題ヲ考ヘ
ナケレバナラヌノデアリマス、今日ノ學校
ヲ卒業シタル者ガ役ニ立タナイト云フコト
ハ役ニ立タナイノガ道理ナノデアリマシテ、
學校ノ中ニ於テ種々〓ヘラレマスルガ、社
會ノ經驗ナクシテ、言葉ト文字デ〓フテモ、
ソレハ空暗記デアッテ、役ニ立ツモノデハナ
イノデアリマス、故ニ學校ノ卒業生ガ役ニ
立タナイト云フコトニ相成ル、殊ニ精神文
化ニ於キマシテハ、一度世ノ中ニ出テ、世
ノ中ノ苦勞ヲシタ上デナイト、本當ノコト
ハ分ルモノデハナイノデアリマス、故ニ
應世ノ中ノ苦勞ヲシタ上デ、更ニ學問ヲス
ル時ニ、本當ニ學問ガ生キテ來ルノデアリ
マシテ、斯樣ナ心持ヲ以テ〓育全般ノ制度
ヲ建直スコトガ、日本ノ精神ノ建直シヲス
ルコトニ相成ルト思フノデアリマス(拍手)
次ニ學校ノ制度ヲ今日考ヘマスル人々ガ、
種々ナル學校ノ系統ニ關スル案ヲ樹テヽ社
會ニ公表致シテ居リマス、其案ヲ見マスト云
フト、大體ニ於テ何レモ出來ルダケ學校ノ
系統ノ中ニ於テ種類ヲ少クシテ、簡單明瞭
ニシヨウトスル傾ガアルノデアリマス、是ハ甚
シク世間ノ實際ニ反シテ居ルノデアリマシテ、
今日ノ學校ノ種類ガ實ハ少ナ過ギル、人格
ノ種々ナル複雜ナル構造、竝ニ社會ノ複雜
ナル要求ニ隨ヒマシテ、學校ノ種類ハ複雜
多岐デナケレバナラナイノデ、各〓其好ム
所ニ從ッテ、社會ノ要求ニ從ッテ種々樣々ナ
ル〓育ヲ受ケ得ルヤウニ、制度ヲ改革致サ
ナケレバナリマセヌ、隨テ所謂〓育者ノ仲
間ニ於テ作ラレルヤウナ、箱詰メニシタヤ
ウナ、キチットシタ學校ヲ作ラウト云フコト
ガ、間違ナノデアリマシテ、今度〓育調査
ノ結果立案ヲセラルヽナラバ、此學校ノ種
類ハ複雜多岐ニ互ルモノデアッテ欲シイト
思フノデアリマス
次ニ私共ハ斯樣ナ種々ナル要求ヲ致シ、
希望ヲ有,テ居ルノデアリマスルガ、從來
屢、此〓育ノ改革ノ意見ハ世間ニ公表セラ
レマシタ、文部當局モ亦屢〓立案ヲ致シマ
シタ、併ナガラ此立案ガ實現致サナイノデ
アリマス、種々ナル案ガ出來マスケレド
モ、遂ニ議論倒レニ終ルノデアリマス、何
故ナラバ、此〓育ノ案ヲ〓育者ノ專門家ノ
間ニ於テノミ議論セラルヽカラデアリマ
ス、只今戶田君ガ指摘致シマシタヤウニ、
曾テ濱口內閣ノ當時、田中元文相ハ一ツノ
案ヲ樹テラレマシタガ、各方面カラ議論ガ
起ッテ來マス、中學校ノ案ヲ樹テマスルト、
中學校ノ校長連中ハ之ニ反對スル、然ルニ
他ノ學校ノ諸君ハ、此中學校ノ改善案ハ最
モ適當デアルト云フ、然ルニ今度高等學校
ノ案ニナリマスルト、中學校ノ者、大學ノ者
ハ是ガ適當デアルト申シマスルノニ、高等
學校ノ者ハ之ニ反對スル、斯樣ニ致シマシ
テ內輪デ議論倒レニナッテ、是ガ實行出來ナ
イノデアリマス、故ニ私共ノ希望致シマス
所ハ、文部省ガ〓育ノ改革ノ案ヲ立テマス
ル時ニ、啻ニ之ヲ〓育ノ局ニ當ッテ居ル人
人ノミニ聽カズシテ、社會全體ノ聲ニ聽カ
レル、而シテ學校ノ內容ニ於テモ、工業學
校ノ〓育ノ方針ニ付テハ、之ヲ工業ノ實際
家デ卒業生ヲ使ッテ居ル人ニ聽カレル、商業
ニ付テモ實際家ニ聽カレル、農業ニ付テモ
同樣デアリマス、總テ社會ノ實際家ニ案ヲ
聽カレル、斯ウシテ立案サレルト云フコト
ガ、社會ニ適合スル案ヲ作リ出ス所以デア
リマスト共ニ、斯ウシテ案ヲ作リ上ゲテ置
キマスルナラバ、社會ノ大勢ノ力ニ依フテ
此案ガ實現スルコトノ出來ルヤウニ相成ル
ノデアリマシテ、私共ガ玆ニ建議案ヲ提出
致シマシタノモ、卽チ國民ノ希望スル所ヲ
玆ニ帝國議會ニ反映セシメテ、此國民ノ希
望ト力ニ依ッテ、此改革案ヲ斷行セントスル
趣旨ニアルノデアリマス(拍手)政府當局ハ
此吾々ノ趣旨ノアル所ヲ十分ニ酌取ラレマ
シテ、我國ノ今行詰ッテ居ル狀態ヲ打開スル
爲ニ、〓育ノ根本的改革ヲ斷行セラレンコ
トヲ切ニ希望致シマシテ、本案ニ贊成ヲ致
スノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=76
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077・秋田清
○議長(秋田〓君) 井上剛一君
〔井上剛一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=77
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078・井上剛一
○井上剛一君 私ハ只今上程サレテ居リマ
ス所ノ〓育革新建議案ニ對シマシテ、贊成
ノ意ヲ表スル者デアリマス、本論ニ入ルニ
先チマシテ、一言申上ゲタイコトハ、此建
議案ハ全ク重大ナル案件デアリマスル故ニ、
ソレダケ此案ノ重大性ヲ政府ニ認識セシ
メ、又一般國民ニモ能ク理解セシメンガ爲
ニ、我カ同僚戶田君ヨリ質問ヲ發シタノデ
アリマスガ、何カ御聽キ違ヒノ廉ガアリマ
シタカ、提案者ヨリ御答辯是ナカリシハ、
甚ダ遺憾ニ存ズル所デアリマス(拍手)戶田
君ハ唯非難センガ爲ノ質問デハナイノデ、
又之ヲ無理解ニ導カンガ爲ニ發シタル質問
デハナイノデアリマシテ、其眞劍味ヲ私ヨ
リ玆ニ釋明致シテ置キマシテ、御提案者ノ
說明是ナカリシ點ニ對シテ、遺憾ノ意ヲ表
スル者デアリマス(拍手)
偖テ只今安藤君ヨリ詳細ナル提案理由ノ
御辯明ヲ伺ヒマシテ、私ハ徹頭徹尾同感ノ
誠意ヲ表スル者デアリマス、此場合ニ一言
政府ニ念ヲ御入レ申シ置キマスルガ、此建
議案ハ單ナル建議案トシテ御取扱アッテハ
相成ラヌ、斯樣ニ私ハ思フノデアリマス、
然ルニ先刻總理大臣ノ御出席是ナカリシガ
爲ニ、提案者安藤君ヲシテ數分此壇上ニ佇
立セシムルガ如キハ、或ハ恐ル、事ソレ自
身ガ本案ヲ輕視スルナキヤヲ私ハ疑ハザル
ヲ得ヌノデアリマス(拍手)故ニ現内閣ハ此
案ヲ以テ、重大ナル國策遂行ノ上ニ於テ至
大ノ注意ヲ拂ヒ、絕大ノ努力ト大ナル決心
ノ下ニ、此建議案ノ目的ヲ遂行スルコトニ
努力シ、而シテ之ヲ高閣ニ束ネズシテ、以
テ尊重ノ意ヲ表セラレンコトヲ希望スルト
同時ニ、若シ又齋藤內閣ガ最近ニ冠ヲ掛ケ
ルヤウナコトガアリト致シマスナラバ、之
ヲ後繼內閣ニ引繼ガレンコトヲ、私ハ要望
スル次第デアリマス、吾々ハ此案ニ對シテ、
是レ位ニ眞劍味ヲ以テ重大性ヲ有スルモノ
デアルト云フコトニ、贊意ヲ表スルモノデ
アルト云フコトノ御了解ヲ願ヲテ置キタイ、
而シテ此學制歷史ノ沿革ハ、安藤君ノ御說
明ニ讓リマシテ、私ハ之ヲ省略致シマス、
其他ノ案件ニ對シマシテ、吾々ガ平素〓究
シ、抱懷スル所ノ主張ノ一端ヲ披瀝シ、而
シテ之ヲ政府ニ要望シ、以テ贊成ノ意ニ代
ヘル次第デアリマス、簡單デアリマスガ、
是ヨリ其所信ノ一端ヲ申述ルノデアリマ
ス、少シ言葉ハ前後致シマシタ
此〓育ノ根本改革ニ對シマシテハ、世上
幾多ノ論難〓究ヲ重ネテ居リマスコトハ、
今更申ス迄モナイコトデアル、吾々モ亦此
問題ニ對シマシテハ多年〓究ニ沒頭シ
來ッタ者デアル、先以テ第一ニ吾々ノ指摘シ
タイ點ハ、現在ノ劃一〓育主義ヲ廢シタイ
ト云フコトヲ申上ゲタイト思フ、又〓育ノ
機會均等ノ實ヲ擧ゲシメタイト云フコト
ガ、第一ニ吾々ハ要望スルノデアル、又上級
學校ニ進級ノ目的ノ爲ノ準備〓育ハ、之ヲ絕
對ニ排除シナケレバナラヌト云フコトヲ吾
吾ハ絕叫シタイノデアル、其他或ハ修學年
限ノ短縮デアルトカ、或ハ智育ニノミ偏重
シテ居ル所ノ弊ヲ除去シテ、今ヤ閑却サレ
テ居ル所ノ德育ノ養成ニ全力ヲ注ギタイ、是
ノ重點ヲ捉ヘテ政府ニ注意ヲ喚起致シタイ
ノデアマリス、併ナガラ是等ノ詳細ニ涉ッテ
說明致シマスル場合ニ於テハ、安藤君ノ說
明ト重複スルノ嫌ガアリマスカラ、是等ノ
詳細ノ說明ハ之ヲ省略致シマス、唯此場合
ニ私ハ一言申述ベテ見タイ點ガアル、ソレ
ハ政府ニ對シマシテ大ニ疑義ヲ有スル點デ
アル、卽チ德育ニ關スル問題ニ牽聯致シマ
シテ、私ハ政府ノ決意ヲ促サントスルノデ
アル
今ヤ思想ノ善導ニ對シマシテ、〓育ノ力
ニ多ク俟タナケレバナラヌコトハ申ス迄
モナイコトデアルガ、其外ニ或ハ社會組織
ノ改善、經濟組織ノ改善等、色々原因モア
リマセウガ、苟モ政ヲ爲ス所ノ爲政家ノ態
度ガ、又大ニ思想善導ニ向,テ大ナル關係
ヲ有スルト云フ一事デアリマス、而シテ此
點ニ關シマシテ私ハ、甚ダ之ヲ言フニ忍ビ
ザル者デアリマスガ、吾々ハ泣イテ馬謖ヲ
斬ルノ〓ヲ以テ、敢テ進言セントスル者デ
アル、卽チ本年一月五日ノ宮中不敬事件ノ
如キ、或ハ共產主義者ノ判事登用ニ依リマ
シテ物議ハ囂々トシテ起ッテ居ルコトハ、今更申
上ゲルマデモナイノデアル、此場合ニ於テ
齋藤首相竝ニ小山法相ノ如キハ、臣節ヲ全
ウスル上ニ於テ絕大ナル考慮ヲ拂ハルベキ
ハ、當然ノ歸結デハアルマイカト云フ一事
デアル、斯ウ云フ行爲ソレ自身ガ思想ニ及
ブ所ノ影響ハ、殊ニ大ナルモノデアルト云
フコトヲ、切ニ私ハ痛言ヲ致シマシテ、政
府ノ注意ヲ喚起致スノデアル、更ニ進ミマ
シテ一言政民兩黨ノ諸君ニ注意ヲ御喚起願
ヒタイノデアル、政民兩黨ハ申スマデモナ
〃、吾々國民同盟ニ於キマシテモ、此〓育
制度ノ改善ニ對シマシテハ、幾多ノ政策ヲ
揭ゲテ、以テ國民ニ其所信ヲ發表シテ居ル、
現在ノ政局ニ於キマシテハ、我ガ國民同盟
ハ唯一ノ在野黨デアリマシテ、政民兩黨ハ
現內閣ノ與黨デアリ、而シテ天下ノ大政黨
デアル、政黨ノ重大使命ハ政策ノ實行ニア
ルト私ハ考ヘルモノデアル、然ラバ兩黨ノ
諸君ハ現内閣ニ向ッテ是等ノ改革案ニ對シ
テ進言獻策ヲ爲サレタカ否カト云フコトヲ
私ハ疑ハザルヲ得ナイノデアル、而シテ是
等ノ獻策ヲ爲サレタナラバ、當然現內閣ハ
疾クニ是ガ實行ニ著手スベキ筈デアルト思
フノデアル、而シテ是等ノ獻策、是等ノ進
言ヲ爲サレナイト云フノデアルナラバ、ソ
レハ兩黨各位ノ責任デハアルマイカト思フ、
若シ又是等ノ獻策ヲ爲シテモ現內閣ガ之ヲ
採用セラレザルモノデアルナラバ、兩黨ノ
各位ハ現内閣ノ責任ヲ追窮シ鞭撻シテ、能
ク是ガ改革案ニ對スル諸般ノ設備及方法ヲ
指示セシメナケレバナラヌ筈デアル、斯樣
ニ思フノデアリマス、而シテ其前者デアル
カ後者デアルカ、此案ノ内容ニ對シテハ國
民ハ大ニ聽カンコトヲ要望シテ居ルモノデ
アルト私ハ考ヘルノデアリマス、併ナガラ
私ノ觀ル所ニ依レバ、或ハ兩黨諸君ハ是ガ
獻策ヲ爲サズ、而シテ政府亦是等ノ改革ニ
付テ、大ニ誤フテ居ッタモノデアラウト私ハ
思フノデアリマス、然ラザレバ兩黨諸君ガ
是等ノ改革案ノ實行ヲ爲サシメント欲スル
ナラバ、先以テ會期ノ初ニ於テ提案アッテ
然ルベキモノデアル、然ルニ會期今ヤ盡キ
ントスル今日ニ於テ提案爲サルコトノ如キ
ハ全ク其意ノアル所ヲ忖度スルニ苦シム
ノデアリマス、然レドモ御提案ナサラ
ザルニ優ルコト萬々デアリマスカラ、吾々
ハ之ニ向ッテ絕大ノ敬意ヲ拂ッテ、此理想ノ
一致シタ點ニ於テ、贊成ノ意ヲ表スルニ吝
ナラザル者デアリマス、之ヲ要スルニ、此
案ノ重大性ハ今更呶々ノ言ヲ要セナイ、須
ク政府ニ於テハ、緊褌一番大ニ努力ヲ傾注
セラレ、速ニ國民ノ要望ニ副ハレンコトヲ
熱望致シマシテ、玆ニ贊成ノ意ヲ表スル次
第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=78
-
079・秋田清
○議長(秋田〓君) 討論ハ終局致シマシタ、
採決ヲ致シマス、本案ニ贊成ノ諸君ノ起立
ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=79
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080・秋田清
○議長(秋田清君) 起立多數、本案ハ可決
セラレマシタ、次ニ久原房之助君外五十三
名提出ノ、警察官優遇ニ關スル建議案ヲ議
題ト致シマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=80
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081・秋田清
○議長(秋田〓君) 本案モ亦建議委員長ヨ
リ、卽決ノ要求アリタル議案デアリマス、
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者加
藤久米四郞君
警察官優遇ニ關スル建議案(久原房之
助君外五十三名提出)
警察官優遇ニ關スル建議案
警察官優遇ニ關スル建議
政府ハ宜シク現下ノ事態ニ鑑ミ警察官ノ
給與ヲ厚クシ功勞ノ拔群ナル者ヲ顯彰シ
其ノ遺族ノ生活ヲ保障スル等最善ノ方途
ヲ講セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔加藤久米四郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=81
-
082・加藤久米四郎
○加藤久米四郞君 只今上程ニ相成クテ居
リマスル建議案ハ、本院ニ於ケル各派共同
ノ提案デアリマス、私モ提案者ノ一人ト致
シマシテ、提案ノ理由ヲ簡單ニ說明致シタ
イト思ヒマス、警察官ハ國家ノ治安ヲ維持
スル重大ナル責務ヲ有シテ居リマスルコト
ハ、私ガ申上ゲルマデモアリマセヌ、隨テ
其職務モ極メテ嚴格ナルモノガアルノデア
リマス、卽チ日夜寒暑ノ區別ナク、不眠不
休ノ活動ヲ繼續シナケレバナリマセヌ、殊
ニ近時ニ於キマスル社會ノ情勢ハ、極メテ
複雜ト相成"テ參リマシテ、之ニ財界ノ急激
ナル不況ハ拍車ヲ掛ケマシテ、日ニ月ニ忌
ムベキ矯激ナル思想ヲ胚胎シテ參リマシタ、
動トモ致シマスルト云フト、國家ノ基礎ヲ
危殆ニ導クノ行動ニ出デル者モ少クナイノ
デアリマス、又近時ニ於キマシテ、犯罪行
爲ノ遣方ハ、極メテ惡性ナルモノガ多クナッ
テ參ッタノデアリマス、組織的、團體的ニ徒
黨ヲ組ミマシテ、或ハ兇器ヲ携帶シ、白晝
公然堂々トシテ犯行ヲ爲スガ如キ場合ガ增
加シテ參ッタノデアリマス、是等ヲ搜査シ
檢擧致シマスル警察官自身ニ於キマシテモ、
巳ムヲ得ズ武裝シテ之ニ對抗スルノ必要ガ
生ジテ參ッタノデアリマス、卽チ治安維持ノ
任ニ當ルベキ警察官ノ職責ハ軍人ガ戰場
ニ臨ムト同一デアッテ、身命ヲ賭シテ、身ヲ
挺シテ初メテ其職責ヲ完ウスルコトガ出來
ルノデアリマス、然ルニ警察官ニ對シマスル
待遇ハ極メテ薄イノデアリマス、軍人ノソレ
ニ比シテ頗ル同情ニ値スル點ガ少クアリマ
セヌ、軍人ニ對スル待遇給與ヲ、私ハ今少シ
ク高メタイトモ存ジマスルガ、尙ホ之ニ比
シテ警察官ノ待遇ト給與ハ、極メテ同情ニ値
スルモノガアルノデアリマス、最近民間ニ
於キマシテモ、警察官ニ對スル同情ガ頓ニ
增加シテ參リマシテ、警察官ノ勞苦ヲ慰安
シ、功績ヲ表彰シ、警察官ニ對スル感謝ノ
眞情ヲ披瀝スル者ガ增加シテ參リマシタル
コトハ、喜ブベキ現象デアリマス、然ラバ
國家ハ之ヲ民間有志ノ、此喜ブベキ現象ニ
對シテモ、等閑ニ付スベキモノデハナイト
思フノデアリマス、警察官ノ職務ハ、一般
官吏ノソレノ如クニ、極メテ單純デアリマ
セヌ、洵ニ同情スベキモノデアリマス、申
ス迄モナク社會ノ安寧秩序ヲ維持シ、人命
財產ヲ保護シ、一般民衆ノ幸福ヲ增進スル
爲ニハ、警察官自身ガ其職ニ安ンズルコト
ノ出來ル制度ヲ確立スルコトガ、必要デア
ルト思フノデアリマス、卽チ給與ノ點ニ於
キマシテモ、功勞ヲ表彰スル點ニ於キマ
シテモ、遺族ヲ扶助スル點ニ於キマシテ
モ、是ガ十分デナケレバナラヌト信ズル
ノデアリマス、卽チ之ニ依ッテ警察精神ガ涵
養セラレ、警察精神ガ發揚セラレ、水火モ
敢テ辭セナイト云フ犠牲心ガ、是ヨリ發露
シテ參ルノデアリマス、一片ノ服務規律
ヤ、一片ノ法令ヲ以テ、警察官ノ職務ヲ完
全ニ遂行セシメヨウト思ヒマスルナラバ、
大ナル誤リデアリマス、本年三月一日ニ發
布サレマシタ所ノ巡查分限令ノ如キ、或
巡査懲戒令ノ如キモノダケデハ、勿論不十
分デアリマシテ、是ノミデ滿足スベキ事柄
デナイト信ズルノデアリマス、斯樣ナル事
情ニアルノデアリマスルカラ、何ヲ偖テ措
イテモ、先ヅ第一ニ警察官ニ對スル所ノ給
與ノ點ヲ改善シナケレバナラヌト思フノデ
アリマス、時代ノ進運ニ伴ヒマシテ生活ノ
向上ヲ來スコトハ、各社會階級ヲ通ジテ自
然ノ趨勢デアリマス、生活ガ斯樣ニ向上シ
テ參フテ、給與之ニ伴ハナカッタナラバ、生
活ノ安定ヲ缺クノデアリマス、警察官ノ生
活ガ安定致シマスルナラバ、士氣ハ自ラ旺
盛トナリ、皷舞サレ、勤務ノ能率モ亦從ッテ
增進スルコトハ、必然ノ勢ヒデアルト思フ
ノデアリマス、然ルニ現在警察官ノ待遇ハ
其給與ノ點ニ於テ頗ル同情ニ値ヒスルモノ
ガアリマス、月俸平均警部補ハ六十二圓七
十錢、巡査部長ハ五十八圓三十錢、巡查ハ
四十七圓七十錢ニ過ギマセヌ、勿論加俸ヲ
含メマシテモ、此程度ニ過ギナイノデアリ
マス、諸物價ノ騰貴シテ參リマシタル今日ニ
於キマシテ、一家ノ生計ヲ支持スルコトガ困
難デアリ、子女ノ〓育費ヲ支辨スルコトニモ
足ラナイ實情ニアルノデアリマス、斯樣ニ致
シマシテハ國民ノ生命財產ヲ保護スル所
ノ警察官ヲ待遇スル本當ノ途トハ、私ハ申
サレナイト思フノデアリマス、此際政府ハ成
ベク速ニ巡査給與令ヲ改正シ、俸給及諸給
與ノ增額ヲ圖ルベキモノデアルト私ハ考ヘ
ルノデアリマス
第二點ト致シマシテ、精神的慰安ノ方面、
卽チ敍勳ニ關スル點ヲ申述ベテ見タイト存
ジマス、警察官ハ所謂一種ノ警察精神ヲ有
シテ居リマシテ、必シモ物質上ノ給與ノ點
ニノミ滿足シテ居ルコトハ出來ナイノデア
リマス、名譽ノ表彰ニ關シマスル精神的方
面ニ當リマシテモ、滿足セシメマスルコト
ハ國家ト致シマシテ、之ヲ忘ルヽコトハ
許シマセヌ、然ルニ警部以下ノ警察官ニシ
テ、多年ノ功勞アリ、其成績顯著ナル者ニ對
シマシテ、敍動內規第十四條ニ依リマシテ、
十七年ニシテ初テ勳八等ニ敍セラレル現狀
デアリマス、警察官ハ所謂判任官三等以下ノ
者ガ多イノデアリマス、無論十九年以上デ
ナケレバ動八等ニ敍セラルヽコトガアリマ
セヌ、巡査ハ拜命以來二十八年半ニナリマ
セヌト云フト、勳八等ニ敍セラレルコトノ
恩典ニ浴スルコトガ出來マセヌ、之ヲ軍人
ノ方面ニ較ベテ見マスト、準士官、下士ノ
初敍年數ハ一般敍動內規カラ之ヲ除外サ
レテ居リマス、軍人ト警察官ヲ比較ヲ致シ
テ見マスト、平均八年以上ノ差ガアルノデ
アリマス、餘リニモ權衡ヲ失シテ居ルト考
ヘルノデアリマスルカラ、政府モ適當ニ此
初敍年限ヲ短縮スルノ必要アリト私ハ信ズ
ルノデアリマス(拍手)
更ニ第三點ト致シマシテ、警察官ニ對ス
ル特別功勞章制定ノ件ヲ申上ゲテ見タイト
思ヒマス、警察官ニシテ功勞ガ拔群デアリ、
一般ノ龜鑑トナル者ニ對シマシテハ、明治
四十三年十二月勅令第四百三十八號ノ規定
ニ依リマシテ、警察官及消防官吏ノ功勞記
章ガ附與セラルヽコトニ相成ヶテ居リマス、
而シテ此功勞記章ニ對スル所ノ功勞加俸ナ
ルモノハ、現在地方費デ以テ支辨致シテ居
リマスルカラ、是ガ警部、警視ニ相成リマ
スルト云フト、功勞加俸ヲ給與スルコトガ
今出來ナイコトニナッテ居リマス、斯樣ナ實
情デアリマスルシ、申スマデモナク警察官
ノ職務ハ國家ノ安寧秩序ヲ維持スルノデア
リマスカラ、其職責ヲ全ウシ、功勞顯著ナル
者ニ對シマシテハ、軍人ガ戰場ニ於ケル動
功ト同一ニ取扱ヒマシテ、斯樣ナル功績ア
ル警察官ニ對シマシテハ、軍人ノ金鵄勳章
ニ相當スル特別功勞章ヲ制定スル必要ガア
ルト信ズルノデアリマス(拍手)
更ニ進ンデ第四點ト致シマシテ、遺族ノ
保護ニ關スルコトヲ申上ゲテ見タイト思
ヒマス、警察官ガ職ニ殉ジマシタル場
合ニ於テ、恩給法ノ定ムル所ニ依リ、遺族
扶助料ヲ給與セラルヽノデアリマスル
ケレドモ、其扶助料ヲ算定スル基本ニ
ナリマス恩給ソレ自身ガ、極メテ低額デア
リマスカラ、遺族扶助料ノ金額モ亦極メテ
少額デアリマス、加之死亡後直チニ其扶助
料ノ支給ヲ受クルコトガ出來マセヌ、一家
ノ柱トモ賴ルベキ警察官ガ死亡致シタル場
合ニ於テ、遺族ガ生活ニ困窮ヲ感ズルト云
フ、所謂後顧ノ憂ヲ懷カセシメマスヤウナ
コトデハ、警察官ノ職能ヲ十分ニ發揮セシ
ムルコトハ出來ナイト思フノデアリマス、
卽チ政府ハ此際遺族扶助料ノ增額ヲ圖リ、
同時ニ特別賜金制度ヲ設ケマシテ、遺族ノ
保護ヲ全ウスル必要ガアルト私ハ信ズルノ
デアリマス(拍手)
最後ノ第五點ト致シマシテ、殉職者ニ對
スル所ノ慰靈デアリマス、靈ヲ慰メルコト
デアリマス、慰靈祭祀ハ我ガ日本古來ノ
美風、道德デアリマス、殉職者ニ對シマシ
テ、永ヘニ其靈ヲ慰メ、其德ヲ表彰スルト
云フコトハ、軍人ガ戰場ニ於テ戰死ヲ致シマ
シタル場合ニ於テ、靖國神社ニ合祀ノ榮譽ヲ
擔フテ居ルノト之ヲ比較シテ考ヘテ見マスルト
云フト、私ハ警察官ニ對シテ深甚ナル同情ヲ
禁ズルコトガ出來ナイノデアリマス、殉職
警察官ニ對シテ、卽チ其慰靈ヲ爲スベキ國
家的制度ヲ設ケテ戴キタイト思フノデアリ
やっ、現在警視廳ニハ彌生神社ガアリマス
ケレドモ、社格ハ無格社デアリマス、國家
ト致シマシテモ、各府縣ト致シマシテモ、
是ガ慰靈祭祀ノ方法ヲ講ジ、永ヘニ犧牲ヲ
拂ヒマシタル殉職警察官ヲ表彰シ、之ヲ慰
靈スルノ制度ヲ立テヽ戴キタイト存ズルノ
デアリマス(拍手)
右ハ警察官卽チ警部、警部補、巡査部長、
巡査、全國ニ於ケル總數約十万人ノ現在ノ
待遇ヲ見マシテ、此現狀見ルニ忍ビズト存
ジテ申述ベタノデアリマス、各府縣、警視
廳外務省、朝鮮總督府、臺灣總督府、關
東廳、樺太廳、南洋廳等ニ於テ、ソレ〓〓
待遇ノ改善ニ意ヲ用ヒラレテ居リマスルケ
レドモ、國家ハ國家トシテ、此根本方策ヲ
立テル必要ガアルト信ズルノデアリマス
(拍手)
尙ホ警察官ト其職務ノ性質ガ同一デアリ
マスル彼ノ消防官吏、刑務所ノ官吏、貴
衆兩院ノ守衞等ニ對シマシテモ、同一ニ考
慮セラレンコトヲ切望致シマス(拍手)
終リニ臨ンデ、此同情スベキ警察官ノ待
遇改善ノ建議案ニ對シマシテ、何卒滿場一
致御賛成アランコトヲ御願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=82
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083・秋田清
○議長(秋田濟君) 討論ノ通〓ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-濱野徹太郞君
〔濱野徹太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=83
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084・濱野徹太郎
○濱野徹太郞君 私ハ只今上程ニナッテ居
リマスル警察官優遇ノ建議案ニ、心カラ贊
成ヲ致ス者デゴザイマス、贊成ノ理由ハ一
言ニシテ申シマスルナラバ、現在ノ不安極
マル社會ノ實情ト、之ニ對スル警察官諸君
ガ、身命ヲ賭シテノ活動ト云フ事實ガ、雄
辯ニ之ヲ物語ッテ居ルト存ズルノデアリマ
ス、卽チ我國ノ平時ニ於ケル治安ト云フモ
ノハ、警官諸君ノ努力ニ依ヲテ持持セラルヽ
モノデアル、特ニ最近ニ於ケル社會不安ノ
狀態ヨリシテ、兇暴ナル犯罪ガ、其數ヲバ
愈增シテ來ルニ連レマシテ、警官諸君ノ
心勞ト云フモノハ、一方ナラザルモノガゴ
ザイマス、之ニ對シテ大ニ優遇スベシト
云フ聲ハ、國民當然ノ要求デアリ、民意ノ
總意デアリ、且ツ國家ガ爲スベキ責任デア
ルト私ハ存ズルノデアリマス
御承知ノ通リ最近ニ於ケル警官ノ活動ス
ベキ職務ノ範圍ト云フモノハ、愈〓廣
汎ニシテ且ツ煩雜ヲ加ヘツヽアルノデア
リマス、所謂警察國家カラシテ文化國家
ニ進展スルニ隨ヒマシテ、固有ノ警察
事務ト申スモノヨリモ、更ニ文化警察ト
デモ申スベキヤウナ仕事ガ多クナリマ
シタ、例ヘバ勞働爭議ガ頻發スル、之ニ
對シテ調停ヲ試ミル、最近又人事相談ト云
フヤウナ仕事ガ殖エテ來マシタガ、是等文
化國家ノ實ヲ擧グルト共ニ、警官ノ活躍ス
ベキ範圍ガ廣クナリマシタ中ニ於テ、特ニ
他ノ國家ノ官吏諸君ト、警察官諸君トノ、
如何ナル苦勞ノ程度ガ違ッテ居ルカト云フ
コトヲバ比較シテ見ル必要ガアルト思フノ
デアリマス、勿論國家ヲバ進展ニ向ハシム
ルガ爲ニハ、平素ニ於キマシテ、官吏諸君
ガ眞ニ奉公ノ誠心ヲ以テ、國家ノ爲ニ働イ
テ居ラレルト云フコトハ、衆目ノ見ル所デ
アリマスケレドモ、其日常ノ執務ト云フモ
ノハ、何レニシマシタ所デ「オフィース」ノ、
官廳ノ中ニ居リ、机ノ上ニ於テ仕事ヲスル
ノデアリマス、ケレドモ一度警官諸君ノ活
動ト云フモノヲ見マスルト、先程加藤氏カ
ラ御說明ノアリマシタ通リ、晝ヲ分タズ、
夜ヲ分タズ、眞ニ不眠不休デアルノミナラ
ズ、突ケバ血ノ出ル身體ヲバ街頭ニ曝シテ、
活躍シテ吳レテ居ルデハアリマセヌカ、
例ヲ擧ゲマスルト、一度傳染病ガ發生シマ
スルト、其豫防ト其防疫ノ爲ニ、不眠不休
ノ活動ヲ續ケル中ニ、時アッテハ其病氣ノ爲
ニ、職ニ斃レルコトガアリマス、或ハ又深
夜巡囘シテ居ル中ニ、時ナラヌ强盗ノ兇刄
ニ生命ヲ斃ス時ガアル、極ク簡單ニ其責任
ノ重大ナル一例ヲ指示シマスナラバ、吾々
ガ日々街頭ニ於テ見マス所ノ、交通整理ノ
警官ノ心勞ト云フモノハ、一通リデハアリ
マセヌ、一度是等ノ交通整理ノ警官ガ過ヲ
爲シ、其指頭ノ示ス所ヲ過ツナラバ、立ドコ
ロニ一大修羅場ヲ現出スルト云フヤウナ狀
態ニナルノデアリマス、斯ノ如ク普通ノ官
吏諸君ト比較シテ、其任務ヲ盡スニ當リマ
シテ、身體其モノ、生命其モノヲ犧牲ニスル
機會ガ、非常ニ多イノデアリマス、特ニ最近
ノ情勢ハ、非常ニ機敏ナル警官ノ行動ト、
多大ノ犠牲ヲ要求スルヤウナ實情ニアリマ
ス、司法警察若クハ警察ノ本務トモ申スベ
キ所ノ、犯罪ノ鎭壓ト云フヤウナコトニ付
キマシテ、一考シマスルノニ、從來ノ犯罪
ト云フモノハ、御承知ノ通リ犯人個人ヲ中
心トシテ居ッタモノデアリマス、其爲ス所ノ
コトハ精々ノ限度ニ於テ、足ラザル自己ヲ
補足スルト云フコトデアリマシタ、或ハ又
强盗トカ云フコトヲ暫ク措キマシテモ、殺人ト
カ放火ト云フヤウナ、極惡性ヲ帶ビタ犯罪
ニ於キマシテモ、ソレハ自己ノ私怨ヲ酬ヒ
ルト云フ位ノコトガ、最大ノ限度デアンタ
ト存ジマスガ、最近ニ於ケル犯罪ノ態樣ト
云フモノハ、非常ニ智能犯ト云フモノガ多
クナッタノミナラズ、先程加藤氏ガ申サレマ
シタ通リ、最近ノ犯罪ハ社會思想ト云フモ
トヲ背景トシ、自分ノ主義ト云フモノヲ
バ背景トシテ居ル所ノ團體デアリマス、
ツノ組織サレタルモノガ玆ニ連絡ヲ有シ、
我斃ルヽニ於テ、又後アルベシト云フ意圖
ノ下ニ、精銳ナル武器ヲ擁シテ、ッ
ノ行動ヲ爲シテ居ルノデアリマス
最近ニ於ケル熱海ノ事件ノ如キハ
正ニサウ云フモノデアリマシテ、是等ノ團
體的ノ犯罪ト云フモノハ、極言スルナラバ、
國家ニ對スル叛逆者デアリ、民衆生活ニ對
スル挑戰者デアルト云フモ過言デナイト存
ジマス、而モ警官ノ心勞ト云フモノハ、吾
吾ガ到底想像スルコトヲ許サナイ、卽チ兇
惡ナル犯人ニ對シテ警官ガ向ヒマス時ニ、
之ヲ擊退シ、之ニ武器ヲ以テ對抗シテ殺ス
ト云フコトガ、警官ノ任務ニ非ズシテ、冷
靜ニ其現場ノ狀況ヲ判斷シ、之ヲ擊退シ、
之ヲ殺スト云フコトヨリモ、其儘ニ赤手以
テ之ヲ捕縛スルト云フコトガ、警察官ノ重
大ナル任務デアルト考ヘルノデアリマス、
卽チ最近警官諸君ガ、非常ニ犧牲者ノ多イ
ト云フ此事實情ヲ見マスル時ニ、吾々ハ心
カラ尊敬ノ念ヲ起サネバナラナイト思フノ
デアリマス
更ニ私ハ上級警察官諸君ノ、社會的地位
ヲ一考シテ見タイト存ジマス、御承知ノ通
リ上級ノ警察官、例ヘバ地方ニ於ケル署長
ト云ッタヤウナ格ノ人達ハ、地方ニ於ケル指
道階級ノ一人デアリマス、地方ニ於ケル文
化開發ノ重大ナル責任ヲ帶ビルノデゴザイ
マスカラ、前ニ申上ゲマシタ警察官諸君ノ
廣汎ナル仕事ノ外ニ、尙ホ地方ノ靑年トカ、
有志ト云フモノト伍シテ、共地方ノ文化ヲ
指導シ、開發スルト云フ重大ナル責任ガア
ル爲ニ、社會ノ實情ヲ究メ、文化ノ進展ト
云フコトニ對シテ、身邊ニ暇ナキ〓究ト、
修養ニ努メナケレバナラナイト云ッタヤウ
ナ、重大ナル任務ヲ帶ビテ居ルノデアリマ
ス、然ラバ諸君、斯ノ如キ突ケバ血ノ出ル
生々シイ身體ヲ以テ、街頭ニ出テ自ラ重大
ナル任務ニ服サレル所ノ、警察官諸君ノ待
遇ハ如何デアリマセウカ、此點ニ付キマシ
テハ、旣ニ加藤氏ヨリ詳細說明サレマシタ
ノデ、私ハ數ヲ申上ゲルコトヲ省キマスルガ、
勤務ノ時間カラ申シマシテモ、警官諸君ハ
平時一日十三時間乃至十四時間ノ勤務ニ服
スルノデアリマス、普通ノ官吏諸君ガ、朝
ニ出デタニ歸リマシテモ、精々八時間ノ勤
務ニ過ギナイト云フコトヲ考ヘマスト、月
給ガ少イ、手當ガ足リナイト云フコトノ外
ニ、此勤務時間ノ非常ニ長ク、且ツ劇シイ
ト云フヤウナ點モ、大イニ考慮スル必要ガ
アルト私ハ信ジマス、而モ斯ノ如キ菲薄極
マル待遇ニ付キマシテ、我國七万人ノ警官
ガ、此足ラザル待遇ニ對シテ、如何ナル態
度ヲ取ッテ居ルカト云フコトガ、吾々ノ愼
重ニ考ヘナケレバナラナイ所デアリマス、
最近ノ社會ノ實情ト云フモノハ、自分ノ
本性ニ目覺メ、社會思想ニ促サレマシテ、
待遇ノ足ラザル所アレバ、自ラ立ッテ其傭
主トモ云フベキ人ニ對シテ、賃銀ノ增額
ヲ叫ビ、團體ノ力ニ依フテ之ヲ爲シ遂ゲヨ
ウト云フヤウナ傾向ガ、多々益、、見ラレツ
ツアル現象デゴザイマス、然ラバ警官諸君
ハドウデアリマセウカ、七万人ノ此日本
ニ現在スル警官諸君ノ中ニ於テ、此菲薄
極マル待遇ニ對シテ、一人ノ不滿ヲ漏ス者
無ク、一人ノ不平ヲ訴フル者ガ無イト云フ
コトコソハ、眞ニ我國ノ尊ブベキ警察精神
ノ發露ニ外ナラヌノデアリマス、諸君、我
國ノ尊敬スベキ警察官ノ警察精神ノ發露ト
ハ何デアリマセウカ、平時ニ於テハ極メテ
眞直奉公ノ精神ニ富ンデ居ルコトデアリマ
ス、事ヲ爲スニ當ッテハ剛毅果斷、而モ眞直
ニシテ責任感ノ强イト云フコトデアリマス、
以テ我國民ノ絕大ノ信賴ヲ博シ、外、世界ニ
對シマシテハ、我國ノ警察ト云フモノヽ完
全ニ信賴スベキモノナルコトヲ、廣ク世界
ノ文化アル國家ノ警察界ニ發露シツヽアル
ト私ハ考ヘルノデアリマス、諸君、而モ不
平ヲ言ハズ、不滿ヲ漏サヾル者ニ對シテ、
之ヲ其儘ニ抛棄ンテ、爲サナイト云フコト
ハ爲政家ノ爲スベキ所デナイト私ハ斷言
シテ憚ラナイ、身ヲ殺シテ國家ニ奉公スル
所ノ至誠ノ念ノアル警官ニ對シテハ、進ン
デ優遇ノ實ヲ擧グルト云フコトガ、國家民
人ノ執ルベキ當然ノ態度デアルト斷言シテ
憚ラナイ
然ラバ進ンデ優遇ノ途ハ、之ヲ如何ニス
ベキデアリマセウカ、優遇ノ途ハ多々アリ
マセウ、アリマセウガ之ヲ大別スレバ、或
ハ夫レ物質的、或ハ夫レ精神的ノ待遇ニ之
ヲ見ルコトガ出來ル、物質的待遇ニ付キマ
シテハ、或ハ巡査ノ平均給ガ四十七圓デア
リマス、此四十七圓ト云フノハ、平均給デ
アリマスカラ、奉職以來二十年、三十年經ヲ
タ所ノ、老ヒタル巡査モ、或ハ又新ニ奉職
シタル若キ巡査諸君モ、平均デアリマスカ
ラ、低キ者ハ四十七圓ヲ遙ニ下ル者アリ、
少キ俸給ヲ以テ其生計ヲ維持シテ居ルト云
フ事實ヲ見忘レテハナラナイト思フノデア
リマス、遺族ノ扶助、若クハ表彰ノ規程、
勤務時間ノ短縮、慰靈ノ點ヲ國家自ラ執ル、
洵ニ雙手ヲ擧ゲテ贊成ヲ致ス所デアリマ
ス、然ラバ精神的優遇トハ何デアリマセウ
カ、本建議案ニハ此點ニ付テハ力說シテ居
リマセヌケレドモ、固ヨリ物質的ノ優遇ヲ
セヨト云フ、此建議案ノ裏ニハ正ニ國民總
意ノ現ハレトシテ、精神的ノ優遇ヲ說クコ
トハ當然デアルト私ハ信ズルノデアリマ
ス(拍手)
先ヅ警官諸君ノ精神的ノ優遇ト云フコト
ハ地位ノ安定ト云フコトデアリマス、從
來警察官諸君ニ取ッテ氣ノ毒デアッタト云フ
コトハ、剛直至誠、自ラ職ヲ執ルニ當ッテ、
眞ニ信ズル所アルニ拘ラズ、階級制度ト云
フモノニ禍サレマシテ、心ナラズモ其志ヲ
陳ブルコト能ハズ、時アッテハ休職、時アッ
テハ免職ト云フヤウナ、悲運ニ際會スル機
會ガ屢、アリ、是ガ爲ニ地位ノ安定ト云フ
コトヲ缺イデ居フタト云フコトハ、至極遺憾
ニ存ジテ居フタ所デゴザイマス、最近政府ハ
玆ニ見ル所アリマシテ、巡査分限令、巡査
懲戒令ト云フモノヲ出シマシテ、身分ノ安
固ヲ圖リマシタ、願クハ法ノ運用ヲ完ウシ
マシテ、眞ニ警察官諸君ノ地位ノ安定ヲ
バ願ヒマスルト共ニ、玆ニ私ガ一ツ言
ヒ漏シテナラナイコトハ、警察官ト云フ者
ハ、指揮命令ノ關係ノ上カラ見マシテ、階
級制度ト云フモノヲ嚴トシテ保ヲテ居ルコ
トデアリマス、諸君、階級制度ノ存在ト云
フコトハ、上下ノ別ヲ保ツト云フコトハ、
指揮命令ヲ必要トスル警官ニ取ヲテ、絕對ニ
必要ナコトデゴザイマスルケレドモ、指揮
ヲ完ウシ、命令ノ所期スル所ヲバ實現スル
ガ爲ニハ、單ニ上官カラシテ、其部下ニ峻
嚴ナル命令ト指揮ヲ以テシテハ、到底其實
現ヲ期スルコトハ出來ナイト私ハ信ズルノ
デアリマス(拍手)卽チ下級ノ部下ノ警官諸
君ヲ優遇スルト云フコトノ一端ハ、上級ノ
警官諸君ガ、階級制度ノ存在スル所以ニ鑑
ミマシテ、同情ト理解トヲ以テ部下ニ臨ミ
寛大ナル心ヲ以テ、部下ニ臨ムト云フコト
モ、亦文字ニ現ハレザル精神的優遇ノ一端
デアルト私ハ存ズルノデアリマス(拍手)斯
クシテ私ハ警察官ノ地位ノ安固ト云フコト、
地位ノ安定ト云フコトヲ力說致シマシタケ
レドモ、妥定ノミヲ以テハ未ダ足リナイノ
デアリマス、然ラバ如何ニスベキカ、安定
ヨリ更ニ進ンデ警官ノ昇進ノ途ヲ開キ、向
上ノ途ヲ開クト云フコトガ、必要デアリマ
ス、現在ノ警察官ノ制度ヲ見マスルト、巡
査カラ部長、警部補、警部、サウシテ警視
ト云フ所マデハ、昇進スル途ハ開カレテ居
リマスケレドモ、ソレ以上ニハ如何ニ手腕
ガアリ、人格ガアリ、以テ人ノ長タルノ素
質ヲ備ヘタル所ノ警官ト雖モ、ソレ以上昇
進ノ途ガナイノデアリマス、諸君、人ニ昇
進ノ途ヲ與ヘルト云フコトハ、唯單ナル名
譽心ヲ刺戟スルト云フコトバカリデハ更々
アリマセヌ、苟モ男子ニ生レ來リマシタ者
ハ地位ノ向上昇進ト云フコトハ、自分ノ
活躍スル範圍ヲ廣クスルコトデアリ、責任
ノ高イ地位ニ就クコトデアルト云フコトヲ
考ヘル時ニ警察官ニ對スル、優遇ノ極地ト云
フモノハ、昇進ノ途ヲ更ニ一段ト開クコト
デアルト私ハ存ズルノデアリマス(拍手)御
承知ノ通リ從來郡長ト云フ職ガアリマシタ
時ニ於キマシテハ、警視デアリ、署長デアル
人達ハ、郡長ニ榮轉シマテテ、官吏トシテ
ノ所懷ヲ述ブル機會ヲ、愈、廣クスル機會
ガ與ヘラレテ居リマシタガ、郡長ト云フモ
ノガ廢セラレマシタ今日ニ於キマシテハ、
頗ル其行詰リ狀態ヲ示シテ居ルノデアリマ
ス、私ハ是ニ於テ府縣ノ警察部長ト云フモ
ノヽ位置ヲ考ヘナケレバナラナイ、思フニ
各府縣ニ於ケル警察官ノ師表デアルベキ所
ノモノハ、警察部長ニ外ナラナイノデアリマ
ス、隨テ各府縣ニ於ケル數千ノ警察官ノ師表
トナリ、儀禮トナルベキ所ノ警察部長ガ、擧措
宜シキヲ得ルニ於テハ-指揮宜シキヲ得ル
ニ於テハ、全縣下ノ警察官ノ士氣是レ上ルベ
ク、綱紀ノ振肅ヲ保ヲコトガ出來ルノデアリ
マスケレドモ、遺憾ナガラ從來ノ例ニ依リ
マスト云フト、警察部長ガ來ルト云フト、
人物ノ詮衡ト云フコトヲ十分ニ爲サズ、警
官ノ素質、人格ト云フコトニ付テ、個々ニ
甄別スルノ知識ヲ持合セナキニ拘ラズ、著
任〓々署長ノ大更迭ヲ行フト云フヤウナ實
例ガ見ラレルト云フヤウナコトハ、頗ル遺
憾ニ堪ヘナイ所デアリマス、一體今日ノ警
察部長ハドウ云フ者デアルカ、言換ヘマス
レバ、大學ヲ出タ者デアル、高文ヲ「パス」
シタ者デアル、サウシテソレカラ官廳ノ中
ニ於テ判ヲ捺スコトヲ數年勤メルト云フ
ト、警察部長ノ榮位ニ就クノデアリマス、
彼等ハ眞ニ縣下數千ノ破察官ノ監督官デア
リ、或ハ其師表デアルト云フコトヲ以テ、
終生ノ名譽ト心得テ居ルデアリマセウカ、
否然ラズ、彼等ノ警察部長タルコトハ、單
ニ一時ノ足溜リデアリ、出世ノ道程デアリ
マシテ、機會ガアルナラバ進ンデ內務部長
タリ、進ンデ地方長官タルト云フコトガ、
警察部長ノ念願デアルト私ハ考ヘルノデア
リマス(拍手)斯ノ如ク警察部長タルコトソ
レ自身ヲ以テ、非常ナル光榮デアリ、權威
デアルト考ヘルコトノナキ、警察部長ノ爲
ニ、全縣下ノ警官諸君ノ運命ガ左右セラル
ル傾キガアルト云フコトハ、大ニ考ヘナケ
レバナラヌト思フノデアリマス(拍手)翻ク
テ現在ノ警察ノ署長級ノ人、警視ト云フ諸
君ヲ見マセウカ、諸君、一府縣ニ於キマシ
テハ、普通警官ハ二千人、三千人ノ多キニ
上ァテ居リマス、是等三千人ト云フ多數ノ警
官ノ中ニ於テ、數十年、十年、二十年ノ長
キ勤續ヲシテ、署長トナリ警視トナッタ所
ノ人達ハ、如何ナル者デアラウカ、彼等ハ
正ニ人ノ長タル器デナケレバ、左樣ニハ出
世ハ出來ナイ筈デアリマス、彼ハ實ニ人情
ノ機微ヲ穿フテ居ラナケレバ、斯ウ云フ地位
ヲ贏得ナイノデアリマス、國家ニ對スル奉
公心ガ厚クナケレバ、到底斯ウ云フ地位ニ
ハナレナイノデゴサイマスルカラシテ、旣
ニ數十年ノ長キニ亙リ、下級ノ、警官トシ
テ、眞ニ奉公ノ至誠ヲ致シ、一度人情ノ機
微ト、部下ノ苦勞ト云フモノヲ體驗シテ、人
ノ長タルノ器ヲ備ヘテル居ル署長級、警視
級ノ人デアルトスレバ、全懸下ノ警察官ヲ
支配スルノ警察部長ノ大任ヲ完ウシ得ナイ
ト、何人ガ斷言シ、得ラレルデアリマセウ
カ、言葉ヲ換ヘテ申シマスルナラバ、警察
官ノ士氣ヲ振興シ、眞ニ其意義アル所ノ向
上ノ途ヲ講ゼシムルガ爲ニハ、一府縣ノ警
察部長ヲシテ、良好ナル警官ノ中カラ拔擢
スルト云フヤウナ所マデモ考慮スルコトコ
リ、眞ニ志アル政治家ノ爲ス所デアルト考
ヘルノデアリマス(拍手)私ハ斯クシテ贊成
ノ意味ヲバ表シタノデアリマスルガ、先程
御話ニナリマシタ通リ、加藤氏カラモ申サ
レマシタガ、同樣ナル性質ト職務ヲ有シテ
居リマスル所ノ消防官吏諸君、司獄ニ關係
ノアル所ノ官吏諸君、竝ニ現在貴衆兩院ニ
於ケル守衞ノ如キモ、亦均霑シテ同樣ニ待
遇ヲ向上セシムル必要ノアルコトハ明デア
リマス、特ニ消防官吏ノ中ニ於キマシテ、
消防夫ノ如キハ、何等義務ノ强制スルコトハ
一ツモナクシテ、自ラ進ンデ義勇奉公ノ精
神ノ下ニ、殉職ノ覺悟ヲ以テ事ニ從事シ、從
來此消防夫ニシテ一朝事有ル時ニ生命ヲ賭
シタ人ガアルニ拘ラズ、國家ハ何等之ニ
對シテ慰勞ノ途ヲ講ジテ居ラナイト云フコ
トハ、頗ル不合理デアリ、國民ノ義勇奉公
心ニ一點ノ曇リヲ與ヘルモノデアルト信ズ
ルノデアリマス(拍手)私ハ以上ヲ以テ本建
議案ニ贊成ノ意ヲ表シマス、願クハ吾々ハ
國民ノ名ニ於テ、此建議案ノ趣旨ガ速ニ、
一日モ早ク實現セラレンコトヲ要望シテ止
マナイ次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=84
-
085・秋田清
○議長(秋田〓君) 福田虎龜君
〔福田虎龜君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=85
-
086・福田虎龜
○福田虎龜君 只今上程ニナリマシタ警察
官優遇ニ關スルコトニ付テ、私モ滿腔ノ贊
成ヲ表スル者デアリマス、現代ノ社會生活
ニ於キマシテ、最モ複雜ナル社會上ノ地位
ヲ占メテ居ルモノハ警察官デアリマス、卽
チ警察官ガ國家ノ公安維持ノ爲ニ、或ハ人
民ノ生命財產保持ノ爲ニ、不眠不休ノ活動
ヲ致シテ居リマスト共ニ、一面ニ於キマシ
テハ所謂目前ニ現ハレマシタ事件ニ對ス
ル所ノ卽決、卽チ街頭ノ裁判官トシテ活動
致シテ居ルコトハ、洵ニ私共ノ社會生活ヲ
安全ナラシムル所ノ大キナル動力デアルノ
デアリマス、斯樣ニ其體力、其地位、共一
警察官トシテハ日ニ月ニ益〓之ヲ修養シテ
行カネバナラナイノデアリマスルガ、一旦
事ガ起リマスル時、警察官ガ自分ノ家ヲ顧
ズシテ活動致シテ居リマスルコト、之ニ對
スル所ノ國家ノ待遇ガ甚ダ薄キニアルト云
フコトハ、洵ニ遺憾ナコトデアルノデアリ
Vく、勿論只今御話ニアリマシタ通リ、敍
勳ノ途モアリマス、或ハ巡査分限令ノ制定
モアリマス、或ハ功勞黴章ノ制定モアルノ
デアリマスケレドモ、併ナガラ法ヲ定メナ
ガラ、之ヲ遇スルコトノ其點ニ於キマシテ
ハ國家ハ甚ダ缺ケテ居ルノデアリマス、
更ニ事務的ニ申シマスルト、勤務ノ問題、
俸給ノ問題、或ハ退職給與ノ問題、總テ國
家ガ警察官ニ對スル所ノ待遇ガ甚ダ菲薄デ
アルト云フコトハ私ガ更ニ申ス必要モナ
イノデアリマス、殊ニ最近ノ世相ハ複雜シ
來リマシテ、知能的ノ犯罪、强力的ノ犯罪、
是ハ日ニ增シ多キヲ加へテ參フタノデアリ
やっ、ソレデ警察官ガ、身命ヲ賭シテ之ユ
當ラネバナラヌト云フコトハ申ス迄モナイ
ノデアリマスルガ、實例ヲ申シマスルト、
所謂共產黨ノ三田村ヲ捕ヘマシタ高木警部
補或ハ靜岡縣ノ榑松警部補ノ如キハ、常
ニ反社會運動ト鬪ヒツヽアル所ノ、警察官
ノ鬪ヒノ一端デアリマスガ、實際警察官ハ、
斯樣ニ犯罪ト鬪ヒナガラ、一方ニ於キマシ
テハ、下層大衆、國民大衆ト常ニ接觸致シ
マシテ、之ヲ善導致シテ居ルノデアリマス
私ハ更ニ植民地ニ於ケル所ノ警察官ノ狀
況ヲ申上ゲナケレバナラナイノデアリマスガ、
朝鮮殊ニ北鮮地方ニ於ケル警察官ノ活動ト
云フモノハ、洵ニ淚グマシイ程デアルノデア
リマス、鴨綠江ノ解氷期ヲ外シマシテ、年中襲ヒ
來ル所ノ不逞鮮人ノ群ニ對シマシテ、當日
彼等ガ身ヲ賭シテ鬪ッテ居ルト云フコト、及
ビ關東州ニ於ケル馬賊ト戰フ彼等、竝ニ臺
灣ニ於テ生蕃ノ〓育、生蕃ノ產業、總テ殖
產興業ノ途ヲ此警察官ガヤッテ居ルコトヲ
考ヘマスルト、如何ニモ今日警察官ニ對シ
テ、國家ノ之ヲ遇スルコトガ、甚ダ薄イコ
トヲ重ネテ言ハナケレバナラナイノデアリ
マス
斯樣ニ國ノ遇スル所ノ職務、此職務ニ對
スル待遇ガ菲薄デアリマスルガ故ニ、何ト
カシテ之ヲ更ニ優遇シナケレバナラヌノデ
アリマス、其優遇ノ途、勿論有形ノモノモ
アリマス、無形ノモノモアルノデアリマス
ガ、要ハ國家社會ノ爲ニ健闘シテ居ル所ノ
警察官ヲシテ、後顧ノ憂ナキ保障ノ爲ニ、
其最低ノ給與ヲ國家ガ扱ッテスルコト、是
ガ其一ツデアリマス
其次ハ其地位ヲ獨立不覊ナラシムルコト
デアリマス、尙ホ現代文明ノ知識ヲ吸收シ
テ、大衆指導ノ力ヲ得セシメル所ノ人格ヲ
養成セシムル其機會ト場所、之ヲ與ヘルコ
トガ最モ必要デアリマス、斯クシテ警察精
神ハ、愈〓て其光輝ヲ增スノデアリマスガ、
此決議ニ對シマシテ、私ハ政府當局ニ又一
言致サネバナラナイノデアリマス、總理大
臣ハ幸ヒ見エテ居リマス、善ヲ善トスルコ
トハ洵ニ宜シイノデアリマス、惡ヲ惡トス
ルコトハ洵ニ宜シイノデアリマス、併ナガ
ラ善ヲ善トシテ之ヲ行フ所ノ信念ガアリヤ
ヤ否ト云フコト、及ビ惡ヲ惡トシテ之ヲ斥
ケル所ノ勇氣ガアルヤ否ヤ、此信念ト勇氣
トガナケレバ、政治家トシテノ任務ハ一日
モ遂行ガ出來ナイト思フノデアリマス(拍
手)玆ニ折角滿場ノ決議ヲ以テ上程致シマ
シタル此案ニ付キマシテハ、勇邁シテ、サ
ウシテ此實行ニ當ラレンコトヲ切望致シマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=86
-
087・秋田清
○議長(秋田〓君) 討論ハ終局致シマシタ、
採決ヲ致シマス、本案ニ贊成ノ諸君ノ起立
ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=87
-
088・秋田清
○議長(秋田〓君) 起立總員-本案ハ全
會一致可決セラレマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=88
-
089・上田孝吉
○上田孝吉君 殘餘ノ議事ハ之ヲ延期シテ、
本日ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマ
ス
(「贊成」「反對」ト呼ヒ其他發言スル者
多ク議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=89
-
090・秋田清
○議長(秋田〓君) 靜肅ニ-靜肅ニ-
只今上田孝吉君ヨリ殘餘ノ議事ヲ延期シ散
會スベシトノ動議ガ提出セラレマシタ、而
シテ野田文一郞君ヨリ、議事進行ノ發言ニ
付キ通〓ガアルノデアリマス
(「無用々々」ト呼ヒ其他發言スル者多
シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=90
-
091・秋田清
○議長(秋田〓君) 靜肅ニ-靜肅ニ-
固ヨリ議事延期ノ動議ハ先決問題デアリマ
スカラ、玆ニ上田君ノ動議ニ付キ採決致シ
マス、上田君ノ動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ
求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=91
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092・秋田清
○議長(秋田〓君) 起立多數、仍テ動議ハ
可決セラレマシタ、次會ノ日程ハ公報ヲ以
テ御通知致シマス、本日ハ是ニテ散會致シ
マス
午後五時五十七分散會
衆議院議事速記錄第二十八號中正誤
頁段行誤正
六七二四二法律事務取級ノ法律事務取扱ノ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X02919330323&spkNum=92
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