1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和九年一月三十一日（水曜日）午後一時三十五分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=0
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001・子爵米倉昌達君
○子爵米倉昌達君 極ク簡單ナル質疑デ
アリマス、木炭ノ製造者ハ農村ニ多イノデ
アリマスカ、或ハ山村ニ多イノデアリマス
カト云フコトヲ伺ヒタイ、ソレカラ又地方
別ニシマシテ、東北地方ガ多イノカ、或ハ
關西、或ハ九州、北海道ト云フ方面ガ一番
炭ヲ澤山ニ製造シテ居ルカト云フコトデア
リマス、ソレカラ尙ホ木炭業ヲ專業ニヤツ
テ居ル者ガ多イノデアリマセウカ、或ハ副
業トシテヤッテ居ル者ガ多イノデアラウカ
ト云フコトデアリマス、ソレカラ山林ヲ持,
テ居リマス、卽チ山ヲ持ッテ居フテ、其自
分ノ所有林ノ木ヲ伐ッテ炭ヲ燒イテ居ル者
ハ宜シイトシテ、炭ノ原料ニナル所ノ所謂
原木ガ容易ニ手ニ入ラナイ、詰リ山ヲ持ヲテ
居ラナイ者ハ原木ヲ買ハナケレバナラナイ
ダラウト思ヒマスガ、斯ウ云フ人ハ非常ニ
高イ金ヲ出シテ、不便ナ思ヒヲシテ原木ヲ
手ニ入レテ炭ニスルトナリマスト、生產費
ガ非常ニ高クナッテ儲ケガ少イ、非常ニ氣ノ
毒ナヤウナ感ガスルノデアリマス、デ斯ウ
云フ安イ炭ガ商人ノ手ニ入ッテ、轉々トシテ
吾人ノ家庭ニ用ヒラレル時ニハ、相當ノ高イ
金額ニ達シテ居ル譯デアリマス、所謂山デ
賣ル炭ハ非常ニ安クテ農村ヲ潤ハセルノニ
ハ非常ニ氣ノ毒ナヤウナ安イ價格デ、農村
ノ者ハ唯苦勞ノミヲシテ居ルト云フヤウナ
有樣デ、非常ニ氣ノ毒デハナイカト云フノ
デアリマスガ、炭ニ對スル價格ト云フコト
ニ付テ、目下ノ所デハ標準モ無イノデアリ
マセウガ、ドウ云フ風ナ御考デアリマスカ
ト云フコトヲ御尋ネ致シマス、ソレカラ序
ニ伺ッテ置キタイノハ、農村或ハ山村デモ、
多角形ノ農業ヲヤッテ居ルノデアリマセウ
ガ、見方ニ依リマシテハ或ハ下手ニヤリマ
スト却テ失敗ヲシテシマフノデハナイカト
云フヤウナ懸念ガ起ルノデアリマス、勿論
其方面ノ指導ハ十分ニシテ居ラレルコトダ
ラウト思ヒマスガ、斯ウ云フ點ニ付テ非常
ニ心配ヲ感ズルノデアリマス、斯ウ云フ方
面ノ指導デアリマス、例ヘバ炭ヲ燒クコト
ニ付テモ、他ノ農業ニ付テモドウ云フヤウ
ナ風ニ御指導ニナッテ居リマスノデスカ、其
事モ伺ヒタイト思ヒマス、ソレカラ併セテ、
近頃自力更生ト云フコトヲ言ッテ居ラレマ
スガ、誠ニ農村ノ狀況ハ悲慘ナ有樣デアリ
マス、更生ト云ヒマスカ蘇生ヲ圖ルト云フ
ノデハナイカト思ヒマス、酷ク農村ガ弱リ
マシテ、餘程ナ名案ヲ以テモ容易ニ囘復スル
コトガ出來ナイト云フヤウナ有樣ニナッテ
ハ、非常ニ事重大ダラウト思ヒマスカラ、
之ニ對シテ十分ノ御考ガアルデアリマセウ
ガ、自力更生ト簡單ニ言ッテ了ヘバ僅カ數
字デ盡キルノデアリマス、又政府當局ガ之
ニ付テ非常ニ御骨折デアルコトハ能ク分,
テ居リマスノデアリマスガ、自力更生ニ付
テドウ云フ風ナ方法ヲ以テ折角努力シテ居
ラレルノデアルカト云フ、此自力更生ニ付
テモ伺ヒタイト思ヒマス、又昨日デゴザイ
マスカ平野男爵カラ海產物ノ保管ニ付テ御
質疑ガアリマシテ、政府當局デハ十分考慮
ヲシテ置クト云フ御話ヲ承リマシタノデア
リマスガ、私モ此點ニ付キマシテハ、平野
男爵ト誠ニ感ヲ同ジウスル者デアリマシ
テ、聊カ重複スルヤウデアリマスカ、此點ニ
付テモウ一度伺ッテ置キタイノデアリマス、
御承知ノ通リ日本ハ海ヲ以テ環ラシテ居リ
マスノデ、海產物ノ澤山アルト云フコトハ
勿論、サウシテ昨日ノ御話ニアリマシタヤ
ウニ、其種類ガ多イカラシテ、直ニ勅令ヲ
以テ指定スルコトガムヅカシイト云フコト
モ能ク分ッテ居リマス、非常ニ困難ダト思ヒ
マヽ、ガ唯農產物ガ惠マレマシテ、海產物
ガ惠マレナイト云フコトモドウカト考ヘマ
スノデ、此農業倉庫業法ノ法案ニ觸レナク
トモ、他ニ又何カ御考究ニナリマシテ、折
角海產物ヲ倉庫ニ保管スルト云フコト、又
ハ海產物ニ對スル金融ト云フコトニ付テ、
何等カ御計畫ガアリマセウカドウカ、或ハ
將來ニ付テ、近キ將來ニ於テ早ク何カ施設
ヲ御進メニナルト云フヤウナ御考ガアリマ
スカ、以上ノ數點ニ付テ當局ノ御考ヲ承リ
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002・政府委員(子爵織田信恒君)
○政府委員(子爵織田信恒君) 尙ホ詳細ノ
點ハ更生部長ノ方カラ御說明ヲ申上ゲタイ
ト思ヒマスガ、大略私カラ御說明申上ゲマ
ス、最初ノ御質問ハ、今囘ノ改正ニ依リマシ
テ、炭ノ値段ガドウ云フヤウニナッテ行クノ
デアルカ、生產者ニ不利益ガ來ヤシナイカ、
若クハ消費者ニ何カ影響ヲ與ヘルコトガア
リハシナイカ、ト云フノガ御質問ノ主點ノ
ヤウニ思ヒマス、尙ホ其他ノソレニ伴フ生
產數量等ノ點ハ後刻申上ゲルコトニ致シマ
ス、此點ハ今囘ノ改正ニ依リマシテ、寧ロ
山村農家ノ炭ノ價格ノ安定ヲ見ル結果ヲ致
スダラウト思フノデアリマス、御承知ノヤ
ウニ從來炭ヲ造リマスル山村農民ハ非常ニ
資金モ少イノデゴザイマシテ、色ミ共同作
業モ出來マセヌシ、其間色ミ商人ガ中間ニ
入リマシテ生產費ヲ割ッテ賣ラザルヲ得ナ
イヤウナ事態モ間ミアッタヤウニ聞イテ居リ
マス、今囘ノ改正ニ依リマシテ、ソレ等
ノ生產サレマシタル炭ガ或ル一ツノ倉庫ニ
集リ、一定ノ檢査ヲ受ケ、規格ノ統一ヲ得ルト
云フコトハ、市場ニ出マシテモ銘柄トシテモ良イ、
銘柄ヲ取リ得ルト思フノデアリマス、ソレガ爲
ニ炭ノ價格ガ、特ニ値段ガ上ルトハ存ジマ
セヌガ、生產者ト致シマシテハ、正當ナル
價格ヲ手取リ出來ルダラウト思ッテ居リマ
ス、次ノ御質問ハ多角農業ニ對シテ何カ政
府ハ特ニ指導上用意ガアルカ、注意ヲシテ
居ル點ガアルノカト云フ御質問デゴザイマ
ス、此多角農業、別ノ言葉デ申シマスレバ
副業トモ申シ得ラレルノカモ知レマセヌノ
デゴザイマスガ、是ハ農業經營上、誠ニ大
事ノコトデゴザイマス、色〓農作物ノ收穫
期等ニ依ッテ勞力ガ相當季節的ニ餘ル場合
ガアルノデアリマス、又土地ト致シマシテ
モ或ル單獨ノ農產物ノ栽培デアリマスルト
土地ガ空クト云フヤウナ場合モアルノデア
リマス、斯ウ云フヤウナ點ヲ如何ニ一年ヲ
割ッテ、ドウ云フヤウニ勞力其他土地ノ利用ヲ
完全ニシテ行クカト云フヤウナ點ガ所謂多角
農業ヲ引起シテ來ル所以デアラウト思ヒマ
ス、ソレニ依ッテ農家ノ經濟モ所謂收入ガ圖
ラレマスノデアリマシテ、必要ナコトト思
フノデアリマス、唯ソコニ能ク議論サレマ
スノハ唯無統制ニ副業ヲ奬勵シテ、各地方
カラ同一ノ農產物ガ出ルト云フヤウナコト
ニナルト、誠ニソレニ依ッテ折角賣出シタ農
產物ノ價格ガ下ッテ來ヤシナイカ、市場ニ
種ノ生產過剩ヲ來シテ結局價格ガ安クナツ
テ、農家ガ不利益ヲ來スコトガアリハシナ
イカト云フヤウナ御議論ガ相當アルノデア
リマス、是モ御尤ノコトデアリマスガ、此
點ニ付キマシテハ農林省ニ致シマシテハ極
力注意ヲ致シマシテ、同一農產物ニ致シマ
シテモ、地方々々ニ依ッテ種子ノ改良ヲ致シ、
季節ヲ違ヘテ市場ニ出シテ來ルト云フヤウ
ナ方法モ考ヘテ居リマス、將來共ニ斯ウ云
フヤウナ點ハ十分考慮イタシ、指導シテ參
ル考デゴザイマス、其次ハ自力更生ト云フ
コトヲ農林省デ言ウテ居ルガ、實際ドウ云
フヤウナコトヲシテ居ルノカト云フ御話デ
ゴザイマス、是ハ所謂農村全體ノ一ツ機構ヲ
堅實ナラシムル根本的ノ政策トモ申スモノ
デアラウト思ヒマスノデ、此內容ニ至リマ
シテハ多々方法ガアルト思フノデアリマ
ス、御承知ノヤウニ我國ノ農村ガ今日ノ疲
弊ヲ來シマシタ一ツノ大キナ原因ハ無秩序、無
統制ト云フコトガ大キナ原因デアルダラウト
我〓信ジテ居ルノデアリマス、之ニ對シマシテハ
先ヅ根本的ニ農村ノ堅實ナル組織ヲ作ッテ、其
上ニ國家ガ政策ヲ行ァテ行クト云フコトガ最モ
緊要ナルコトノヤウニ思フノデアリマス、
ソレニ付キマシテモ唯徒ニ政府ノ方カラノ
ミ計畫ヲ立テテ指導イタシマシテモ、效果
ガ十分デナイノデアリマス、農家自體ガ所
謂自力、自奮、隣保共助ノ精神デ所謂自治
的ニナッテ行クト云フ氣持ト相伴ッテ、始メ
テソコニ更生ノ途ガ辿ラレルノデアラウト
思フノデアリマス、尙ホ其更生計畫ノ細カイ
內容ニ付キマシテハ又更生部長カラモ御說
明申上ゲテ宜シウゴザイマスガ、大體ニ於
テ農村ノ經濟的ノ機構ヲ堅實ニシテ行クト
云フコト、無論又精神的ノ所謂作興ヲ圖ッテ
行ク、農民精神ノ作興其他金融關係等モ圓
滿ヲ期スルヤウニシテ行ク、一方農業ノ經
營ニ對シマシテモ指導宜シキヲ得テ行キタ
イト云フノガ大體ノ方針ナノデアリマス、
最後ニ今囘ノ農業倉庫ノ改正中ニハ水產物
ニ對シテ何モ考慮ガ拂ッテナイケレドモ、是
ハドウ云フ譯デアルカ、又將來ハドウ云フ
考ヲ持ッテ居ルカト云フ御質問ダト存ジマ
ス、昨日申上ゲマシタヤウニ今囘ノ改正ニ
依リマシテ水產物モ相當從來ヨリハ取扱上
便利ヲ得ルコトハ無論デゴザイマスルガ、
御承知ノヤウニ倉庫デ取扱ヒマスル商品ハ
大體檢査ヲ受ケ得ルモノ若クハ檢査ヲ受ケ
テ來タモノト云フモノガ色〓取扱上必要ナ
ノデアリマシテ、所謂一種ノ規格ノ統一等
モ必要デアリマスシ、又商品ノ性質ト致シ
マシテ、普遍性ヲ持ッテ居ルト云フヤウナコ
トガ必要ナコトナノデアリマス、從來トテ
モ倉庫ニ於キマシテ餘地ノアリマスル場合
ニハ水產物モ取扱ッテ居リマシタ、之ニ對
シテ證劵モ······金融ノ途モツイテ居ッタ譯
ナノデアリマシテ、大體水產物ニ於テハ魚
肥ガ多イダラウト思フノデアリマス、肥料
デアリマス、魚ノ肥料ガ多イダラウト思フ
ノデゴザイマスガ、御承知ノヤウニ一種海
產物ノ臭ヒガ致シマスヤウナ關係カラ、米
トカ云フモノト一〓ニハナカ〓〓入レラレ
ナカッタヤウナ場合モアリマスシ、又保管上
ニ付キマシテモ所謂農業倉庫ヲ利用スルニ
ハ混合保管ガ可能ナ品物ガ大體ニ於テ有利
ナノデアリマス、混合保管ガ出來マセヌデ、
指定ノ特別ノ保管ヲ致シマスト保管料ガ高
クナリマス、一設ハ混合保管ヲヤルコトニ
依ッテ保管料ガ安ク便利ヲ得ル譯ナノデア
リマスガ、サウ云ッタヤウナ取扱ガ困難ナ品
物ガ多々アルノガ缺點デアルダラウト思フ
ノデアリマス、併ナガラ此漁村ノコトニ付
キマシテモ農林省ト致シマシテハ十分考慮
ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、將來ソレラ
ノ其他ノ施設ノ發達ト共ニ、又漁村ニ對シ
テモサウ云ッタヤウナ水產物ヲ便宜取扱〃
テ、又金融ノ途モツケテ行クト云フコトハ
〓究イタシ考慮イタシタイト思ッテ居リマ
ス、〓略デアリマスガ之ヲ以テ御了承ヲ願
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=2
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003・村上龍太郎
○政府委員(村上龍太郞君) 只今政務次官
ヨリ申上ゲタ通リ、尙ホ御尋ノ點ニ付キマ
シテ申上ゲマスト、此木炭ノ製造ヲ致ス者
ガ農村ニ多イカ山村ニ多イカ、ソレ等ノ點
ニ付キマシテハ具體的ノ數字ハゴザイマセ
ヌガ、木炭ノ產額、ソレカラ又相當ナ數量
以上ヲ製造イタシマスル村ノ數ノ工合等カ
ラ考ヘマシテ、大體ニ於テ山ツキノ村、謂
ハバ山村ト申スモノノ生產ガ多イヤウニ考
ヘテ居ルノデアリマス、デ生產ノ方面カラ
考ヘテ見マシテモ木炭ノ主トシテ出來マス
ル地方、一千萬貫以上モ生產ヲ致スト云フ
地方ハ、是ハ靑森·岩手·官ロ··田田·山形·福
島デアルトカ、或ハ栃木デアルトカ、新潟·
長野·岐阜·靜岡·三重縣、又西ノ方ニ參リマ
スト、兵庫縣デアルトカ、島根縣·廣島縣
或ハ高知縣、又九州ノ南ノ方ノ縣ト云フ風
ニナッテ居リマスルシ、又或ル數量以上是ハ
六十萬「キログラム」以上ノ生產ヲ致ス村ノ
數ヲ調ベテ見タノデアリマス、ソレ等ノ村
ノ數ノ多イ地方ニ致シマシテモ靑森デアリ
マストカ、岩手デアリマストカ、宮城·秋田·山
形ノ東北地方、或ハ新潟縣·長野縣·岐阜縣、
又中國地方ニ參リマスト島根縣デアルトカ廣
島縣、ソレカラ四國デ申シマスト高知縣、九州
デ申シマスルト、宮崎·鹿兒島ト云フ風ニ大
體山ノ多イ地方ニナッテ居ルノデアリマシ
テ、山村地方ニ多ク生產ヲ致サレテ居ルト
云フ風ナコトガ見エルノデアリマシテ、又
左樣ニ考ヘテ宜シカラウト考ヘテ居ル、デ
其木炭ノ生產ニ從事ヲ致シテ居リマスル者
ガドレ位アルカト云フ御話デアリマシタガ、
木炭ノ生產ニ從事イタシテ居リマスル者ト
致シマシテハ、是モ的確ナ數字デアルトハ
申上ゲ兼ネマスルガ、大體推定ヲ致シマス
ノニ三十萬カラ三十一萬位デ、數字ハ三十
萬八千ト出テ居リマスガ、先ヅ三十萬カ
ラ三十一萬位ノ所デアラウト考ヘテ居リマ
ス、其中專業ニ木炭ヲ製造イタシマスル者
ト副業的ニ木炭ヲ製造イタシマスル者トノ
割合ガドレ位ニナッテ居ルカト申シマスル
ト、專業ノ方ガ數ガ少イノデアリマシテ六
萬餘、ソレカラ副業的ニ燒ク者ガ二十四萬
餘ト云フ風ニ見テ居ルノデアリマス、其他
ニ尙ホ此國有林等ニ傭ハレテ炭燒ニ從事イ
タシテ居ル者モゴザイマセウ、其數ハ別ニ
致シマシテ、生產者ト見ラレル所ノ者ハ〓
略前ニ申上ゲタ通リデアリマス、此副業炭
燒ノ多イノハ御承知ノヤウニ冬期、其他ノ
農閑期ニ於キマシテ炭ヲ燒クト云フ者ガ相
當ニ多イ、ソレニ依ッテ餘剩勞力、剩ッタ勞
力ヲ消化シテ參ルト云フ風ナ關係ガアリマ
スルノデ、相當ニ多クナッテ居ルト斯樣ニ
考ヘテ居リマス、デ其炭ヲ燒ク人〓ハ自分
ノ山ヲ伐ッテ燒イテ居ルノト、人ノ山ヲ伐ッ
テ燒イテ居ルノト何レガ多イカ、ドウナッテ
居ルカト云フ風ナ御尋デアリマスガ、其點
ニ付キマシテハ的確ニ申上ゲルベキ材料ハ
持ッテ居リマセス、尙ホ此木炭ノ價格、或
販賣ニ付テノ御尋デアリマシタガ、現在ニ
於キマシテハ斯樣ニ指導ヲ致シテ居ルノデ
アリマス、ソレハ大體御承知ノヤウニ、木
炭ヲ製造ヲ致シテ居リマスル者ハ非常ニ富
ノ程度ノ低イ者デアリマスルカラ、色ミノ
方面カラ考ヘテ參ルノデスガ、大體三ツノ
方面カラ考ヘテ參ッテ居リマス、其一ツハ此
炭ヲ燒ク技術ノ方面デアリマス、同ジ百貫
ノ木ヲ燒キマシテモ、ソレカラ十貫ノ炭ヲ
取ルノト、十二貫ノ炭ヲ取ルノトデハ採算
上非常ニ違ッテ參ル、卽チ言換ヘマスレバ生
產步止リ、炭ヲ燒ク場合ノ步止リヲドウ云
フ風ニ引上ゲルカト云フ風ナ步止リ、ソレ
カラ炭ノ質デアリマス、炭ノ質ヲ如何ニ良
クスルカ、步止リヲ引上ゲテ、同ジ原料カ
ラ採リ得ル炭ノ質ヲ良クシテ、品質ノ向上
ヲ圖ルト云フコトガ大切デアルト考ヘマシ
テ、各地ニ於キマシテ製炭講習會、練習會
等ヲ每年各地ニ開イテ居ルノデゴザイマス
ソレニハ色〓ナ技術的ノ指導ヲ致シテ居リ
マス、竈ノ築方モアリマセウシ、火ノ焚方
ノ工合、色ミナ細カイ點ニ左樣ナ技術的ノ
指導ヲ致シテ居リマス、第二ト致シマシテ
ハ、此木炭ノ都會ニ出テ來ルマデノ色ミナ
諸掛等ヲ考ヘテ見マスト、運賃ガ相當ナ部
分ヲ占メテ居ル、而モ山ノ中デ燒カレルモ
ノデアリマスカラ、地元ニ於ケル運搬ト云
フモノガ相當ニ困難デアリマスルガ故ニ、
之ニ對シマシテハ林道ヲツケテ、運搬能率
ヲ擧ゲテ運搬費用ヲ成ルベク引下ゲ、ソレ
ニ依ッテ生產費ヲ下ゲルト云フ風ナ奬勵ヲ
致シテ居ルノデアリマス、第三ノ方面ト致
シマシテハ、是ハ經濟的ノ方面ニ相成ルノ
デアリマスガ、經濟的ノ方面ト申シマシテ
モ、金融ノ方面ト販賣ノ方面、是等ハ何レ
モ大切ナ點デアリマス、出來得ルダケ共同
イタシテ賣ルヤウニ指導ハ致シテ參ッテ居
ルノデアリマス、金融ニ致シマシテモ、木
ヲ仕入レル爲ノ金融、或ハ自分等ノ生活費
ノ爲ノ金融ヲ必要ト致スノデアリマス、ソ
レ等ヲ木炭代デ支拂ッテ參ルノデアリマス
カラ、出來得ル限リ低利ナ便利ナ金融ヲ與
ヘナケレバナラヌノデアリマスガ、ソレニ
ハ今度ノ改正法ガ役ニ立ッテ參ルコトト考
ヘテ居ル次第デアリマス、尙ホ申落シタ點
ガアリマスレバ、補足イタシマスガ、木炭
ニ付テ御尋ノ點ハ大要申上ゲタ通リデアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=3
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004・安藤信昭
○子爵安藤信昭君 二三チヨット同ヒタイ
コトガゴザイマス、過日本會議ノ時ニ阪本
彭之助君カラ、法律ヲ改正シテ木炭ノ保管
ヲスルガ、其後他ノ物品ヲモ續々保管ヲス
ルト云フコトガアルカドウカト云フコトノ
質問ガアッタノデアリマスガ、念ノ爲メモ
ウ一度ソレヲ伺ヒタイ、ソレカラ「本法施行
ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」ト云フコト
ガアリマスガ、大凡ソ何時頃カラ施行サレ
ルノデアリマスカ、今後木炭ヲ保管シ、又從
來カラ米トカ繭ヲ保管シテ居リマス物品ノ
量ガドシ〓〓是カラ殖エテ參リマシタ時
ニ、木炭ヲ保管スルコトガ出來ナイヤウナ
不便ガ今後御感ジニナリマスカドウカ、非
常ニソレガ心配デアリマス、其時ニ於キマ
シテ新タニ木炭ノ倉庫ト云フモノヲ御造
リニナル御考ガゴザイマスカ、又此倉庫ヲ
新設スルニ對シテ豫算ト云フモノガドノ位
ゴザイマスカ、又ドノ位掛ルモノカ、其點
ヲ伺ヒタイ、モウ一ツ伺ヒマスガ、農業倉
庫ノアル土地デハ此倉庫ニ保管スルコトガ
出來マス、無イ所ハドウ云フ風ニナッテ居
リマスカ、又金融ニ付キマシテモ非常ニサ
ウ云フ所デゴザイマシタラ不便ヲ感ジ、農
村經濟更生上ニモ非常ナ由々敷キコトダト
考ヘマスガ、政府當局ノ御考ヲ伺ヒタイ、
又木炭ヲ倉庫ニ保管ヲシマスルニ付キマシ
テノ保管料ト云フモノハドノ位掛リマス
カ、其數點ヲ御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=4
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005・織田信恒
○政府委員(子爵織田信恒君) 私カラ〓略
ノ點ダケヲ申上ゲテ置キマス、一番初メノ
御質問ハ恐ラク米穀統制法ニ依ッテ今囘政
府ガ米ヲ買上ゲテ居リマスノデスガ、其結
果農業倉庫ガ塞ガッテ運用上差支ガ起リハ
シナイカト云フ御縣念ノ御質問ダラウト伺
ヒマス、大體ニ於テ今囘政府ガ買上ゲマス
ル米ノ數量ハ御承知ノヤウニ相當ノ額ニ達
スルダラウト思ヒマスノデアリマスガ、政
府ハ其米ヲ直接農業倉庫ニ入レルノデハナ
イノデゴザイマス、所謂市場ニ近イ別ノ營
業倉庫ヲ指定シテ參ルノデアリマシテ、政
府トシテハ此農業倉庫ハ利用ノ自山ヲ成ル
ベク持タシテ置ク、御承知ノヤウニ地方ノ
農家カラ出シマシタモノヲ一時農業倉庫ニ
入レ、ソレカラ聯合倉庫ニ入レテ出シテ行
クト云フヤウニ始終品物ガ流レテ行ク性質
ガアルノデアリマスガ、其處ニ政府ガ米ヲ
入レ込ンデ塞グト云フヤウナコトハ極力避
ケナケレバナラヌコトダト思ヒマス、ソレ
デ出來ルダケ農業倉庫ハサウ云フコトデ以
テ塞ガナイヤウニ努メテ居リマス、現在ハ
去年ノ暮カラ籾ノ貯藏ヲ政府ガ奬勵シテ居
リマスガ、農業倉庫ノ或ル部分ガ其籾ノ貯
藏ニ依フテ塞ガレテ居ル事實ガアルノデア
リマシテ、抑、是ハ一ツノ便法デアリマス
カラ、軈テ此議會デ御協賛ヲ得タイト思ヒ
マスル諸經費ガ出マスルコトニナリマスレ
バ、政府ハ別ニ倉庫ヲ建テマシテ其米ヲソ
チアヘ引移ス計畫ナノデアリマス、チヨット
此四月迄、假ニソレヲ預ッテ貰フト云フ計
畫デアリマス、サウ云フ風ナ事實ガ一方ニ
進ミマスレバ倉庫モ亦空間ガ空クト思フノ
デアリマス、ソレカラ勅令ノ方ハ是ハ從來
米穀竝ニ繭ト云フモノヲ專ラ取扱"テ居ル
ノデアリマスルガ、其他勅令ニ依ッテ特別
ノ農產物ヲ指定スルコトガ出來ルト云フ規
定ガアルノデゴザイマス、ソレガ適用サレ
テ居ルノハ沖繩ト大島ノ砂糖ダケガ指定サ
レテ居ルノデアリマス、後ハ何モマダナイ
ノデアリマス、ソレカラ此木炭ノ倉庫ヲ認
メタ結果產地カラ將來多數ノ炭ガ出タナラ
バドウナルノデアラウカト云フ御質問ダト
思ッテ居リマス、先ヅ現在ニ於テハ只今ノ狀
況其儘デ收容シテ參レルダラウト思ヒマス、
御承知ノヤウニ從來取扱ッテ居リマス炭ト雖
モ米ヤ繭ト一緒ニ倉ノ中ニ積ンデ居ナイノ
デアリマス、所謂庇ナドヲ設ケテ其處ニ積ン
デ居ッタト云フヤウナ狀態ナノデアリマスガ、
又品物ガ炭ノヤウナ品物デアリマスカラ、
サウ云フ庇ヲ出シ又簡單ナ「バラック」ナン
カヲ造ルト云フテモ、從來ノ倉庫ヨリハ簡
單ニ出來ル譯ナノデアリマス、ソレデ
今ノ所デハ之ニ依ッテ特ニ木炭ノ倉庫ヲ方々
ニ建テネバナラヌト云フヤウナ事態デハナイ
ダラウト思ッテ居リマス、併シ將來ノコト
ハ測リ兼ネマスガ、又將來非常ニ炭ノ出テ
參リマスコトガ多クナレバ自然サウ云フヤ
ウナコトガアルカモ知レマセヌガ、現在ノ
所デハサウ云フコトヲ考ヘテ居ラナイノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=5
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006・平野長祥
○男爵平野長祥君 私ハモウ御尋ヲセヌ積
リデアリマシタガ、先刻次官カラノ御說明ニ
依フテ多少疑ヲ生ジマシタノデ伺フノデ
アリマスガ、昨日來次官竝ニ更生部長ヨリ
ノ御答デ、今日マデ水產ニ關シタ品物ヲ····
如何ナル品物デアルカ、ソレハ御說明ガア
リマセヌデシタカラ存ジマセヌガ、兎ニ角
營利ヲ目的トセザル法人ガ販賣又ハ販賣ノ
仲介ノ勞ヲ執ル場合ニハ、ソレハ聯合農業
倉庫ノ場席ガ空イテ居ル時分ニハ保管シタ
例モアルシ、今後モ益、其範圍ヲ擴メテ水
產業者ノ爲ニモ便宜ヲ圖リ、卽チ便益ヲ圖
ルト云フノハ倉庫ニ保管スルノミデナク、
ソレニ對シテ證劵ヲ出シテ金融ノ便ヲ多少
デモ付ケテヤルト云フヤウニ範圍ヲ擴メテ
爲サルト云フヤウナ御答ノヤウデアリマシ
タガ、只今次官ノ御說明ニ依ッテ見マスル
ト云フトドウモ將來ノ御見込ニ付テ私ノ疑
惑ヲ生ジマシタノハ、一體水產ニ關スル產
物、詰リ多種多樣、澤山アリマセウガ、多
クハ魚肥ノ如キモノヲ例トシテ御述ニナリ
マシタ、魚肥ノ如キ臭ヒノアルモノヲ混合
保管ヲシテハ不適當デアル、是ハ無論サウ
デアラウト思ヒマスケレドモ、サモナクシ
テ、古來日本ニ於テハ木炭ハ普通人ノ目ニ
常ニ觸レテ居リ、非常ニ嵩モアリ必要ナモ
ノデアルノデ、始終木炭ト言ヘバ直グニ理
解ガ出來ルヤウデアリマスガ、ソレト同樣
ニ國民ガ一〓モ等閑ニスルコトノ出來ヌ鰹
節ノ如キモノガアルノデアリマス、斯ウ云
フモノハ混合保管ヲ致シマシテモ、繭、米
ナドト少シモ變ラヌ貴キ品物デアリ、容積
モ少クシテ價格ガ澤山アルト云フヤウナ品
物デアリマス、サウ云フモノヲ等閑ニシテ、
單ニ今囘此木炭ヲ本來ノ保管ニ御挿入ニ
ナッテ米、繭等ト同樣ニ取扱ハルルノニ、獨
リ斯ウ云フモノハ除カレテ居ルト云フコト
ハ非常ニ殘念デアル、詰リ水產業者ニ對シ
テ餘リ冷淡ナ改正ノ御方針デハナイカト云
フ風ニ思ッタ故ニ昨日モ伺ッタノデアリマシ
タガ、只今次官ノ御說明ニ依ルト、將來ノ
混合保管ト云フモノニドウモ水產物ト云フ
モノハ適シテ居ラヌト云フヤウナ御說明ノ
ヤウニ承リマシタ、サウシテ見マスト、ソ
レカラ推測スルト、今後モ此木炭ノ如ク本
來ノ保管ト云フヤウナコトニハ御考慮ガナ
イノヂハナイカト云フ風ニ考ヘマシタガ爲
ニ、モウ一應ソコノ所ヲハッキリ御說明ヲ
願ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=6
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007・織田信恒
○政府委員(子爵織田信恒君) 私ノ先程ノ
說明ガ不十分デアッタカト存ジマスルガ、私
先程申シマシタ趣意ハ、水產物ニ關シマシテ
ハ規格ノ統一ガナカ〓〓取レテ居ラナイノ
デ、又取リニクイ點モアルノダラウト思ヒ
マスルガ、水產物ニ付キマシテハマダ政府
デハ指定シテ居ラナイノデアリマス、混合
保管ハ或ル規格ガ統制サレマスルト可能ナ
一ツノ產業ダラウト思フノデアリマス、今
鰹節ノ例ヲ仰セラレマシタガ、御尤ナ御話ダ
ト存ジマスルガ、矢張リ此鰹節ニ對シテハ規
格ノ統一ガ取レテ居ラナイノデアリマス、但シ
此鰹節ニ付テハ、場所ハ忘レマシタガ、或ル地
方ニ於テハ當業者ガ自分デ倉庫ヲ建テテ倉庫
ニ入レテ金融ノ途ヲ付ケテ居ル所モアルサウ
デアリマスルガ、全國的ノ所謂普遍性ヲ持ッタ
商品トシテ取扱ッテ行クト云フノニハモウ
少シ規格ノ統一ト云フコトニ改良ガ試ミラ
L、又努力ガ續ケラレタ上デナイトドウカ
ト思フノデアリマス、先程申上ゲマシタノ
ハ、水產物ニ對シマシテモ、將來政府ト致
シテモ、又民間ト致シマシテモ、漸次サウ
云フ方面ニ改良進步シテ參ルモノト想像シ
テ居ルノデアリマシテ、色〓檢査ノ方法等
モ進ミ又規格モ統一サレルヤウニナッテ參
リマスト、又農業倉庫ノ商品トシテ之ヲ認
メルニ必シモ不可能デナイノデハナイカト
思フノデアリマス、サウ云フ意味デ先刻申
上ゲタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=7
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008・野村徳七
○野村徳七君 私昨日モ伺ヒマシテ大臣カラ
ノ御答辯モ承ッタノデアリマスガ、尙私ノ伺
ハムトスル所ハ、先程他ノ委員カラモ御質
問ガアリマシテ次官ノ御答辯ヲ拜聽シタノ
デアリマスガ、此表ヲ拜見シマシテモ、此
「農業倉庫、聯合農業倉庫、業者數、棟數、
建坪竝收容力調、昭和八年十二月末現在」、
之ヲ拜見シマスト云フト、此農業倉庫ノ收
容力ト云フモノノ總體ガ二千四萬俵ト云フ
表ガ載ッテ居ルノデアリマスガ、ソレガ昭和
七年ノ十二月末現在ハ一千七百八十九萬三
千十四俵ト云フ數字ガ玆ニアリマスガ、是
ハ無論收容サレタ穀物ヲ指サレテ居ルモノ
ト思ヒマスガ、サウデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=8
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009・小平權一
○政府委員(小平權一君) 左樣デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=9
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010・野村徳七
○野村德七君 サウシマスト、此收容穀物
ト云フモノハ主トシテ米穀ト斯ウ察シマス
ガ、然ラバ收容餘力ト云フモノハ極メテ少
イ、漸ク二百十萬俵餘ノ收容餘力ヨリアリ
マセヌ、更ニ其次ノ表ニ「聯合農業倉庫經
營認可順」ト云フ表ガアリマスガ、之ニ依
リマスト、現在ハ六十七萬俵餘ノ收容力ア
ル倉庫ヲ御許シニナッテ居ル、是ハ固ヨリ七
年ノ十二月末ノ現在デアリマスカラ、無論
穀物ハ其後出タリ入ッタリ多少移動ガアル
ト思ヒマスガ、非常ニ大キナ減少ヲ或ハシ
テ居ラヌノヂヤナイカ、ソコヘ本年ハ旣ニ
六百萬俵、四斗俵ニシマスト千五百萬俵位
ナ米穀ガ旣ニ買上ゲラレテ居ル、無論農業
倉庫ハ市場ニ近イ、大都市ノ倉庫業者ノ倉
虞、政府倉庫、有ラユル倉庫ヲ今日ハ利用
サレテ居ラレルヤウデアリマス、事實ソレ
デモ米ガ入ラナイノデ色ミ奔走シテ居ルヤ
ウナ實情デアリマス、倉庫業者モ亦何トカ
シテ此始末ヲスル爲ニ臨時ニ倉庫ヲ建設セ
ントスルヤウナ協議モ致シテ居ル實情デア
リマス、先刻ノ御話カラ伺ヒマスト、成ル
ベク倉庫ハ塞グコトノナイヤウニ······米穀
ノ爲ニ成ルベク塞グコトノナイヤウニ、其
他ノ物ヲ隨時一般的ナ便宜ヲ與ヘルヤウニ
ト云フヤウナ目的ヲ持ッテ居ルト云フ御話
デアリマスケレドモ、今日ノヤウナ實情カ
ラ見マスルト、恐ラク隨分邊鄭ナ倉庫ヘモ
米ガ持込マレテ實際木炭ナドヲ收容サレル
容積ト云フモノハ······餘力ト云フモノハ殆
イドナノヂヤナイカ、殊ニ木炭ト云フモノ
ハ隨分嵩ノ多イモノデアリマスシ、同時ニ
之ニ對シテ比較的金額ノ少イモノデアリマ
ス、無論都會ノ倉庫ナドデハ倉庫業者ノ在
庫品ナドニハ見出スコトノ出來ナイモノデ
アル、販賣業者、問屋トカ仲買トカ云フモ
ノノ納屋ノヤウナモノニ多ク積マレテ居
テ、殆ドナイト斷言シテモ宜イ位ナモノデ
アリマス、勢ヒ農業倉庫業法施行細則ナド
ニハ倉庫ニ對スル色ミナ建設條件ナドガア
リマシテ又繭及繭卵ナドニ對シテハ補助金
モアリ、可ナリ倉庫ニ對シテハ嚴重ナ規定
ガ設ケラレテ居ル、サウ云フ所ヘ持ッテ來テ
木炭ガ收容サレルト云フヤウナコトハ事實
上想像サレマセヌ、昨日モ軒積ミト云フ御
話モアリマシタガ、是ハドウシテモ軒積ミ
ト云ッテモ倉庫ノ軒ト云フヤウナモノハ知
レタモノデ、實際ハ何俵モ積メルモノデ
アリマセヌ、又軒全部ガ利用サレルモノ
デモアリマセヌ、勢ヒ農業倉庫業法施行規
則ノ中ニ此簡易ナ木炭倉庫ト云フヤウナモ
ノノ計畫ガナケレバナラヌ、又サウ云フ事
例ガナケレバナラヌ、補助金ガ要レバ同時
ニ補助金ノ要求モ玆ニ起,テ來ナケレバナ
ラヌト云フ疑問ヲ、持ッテ居ッタノデアリマ
ス、ドウモ其邊ハッキリシタ御答辯ヲ得マ
セヌノデ只今次官カラモ伺ヒマスト云フト
矢張リ同一ニ頗ル簡單ナ方法デアリマス、
併シ是モ火藥ノヤウニ火ヲ引クヤウナ危險
性ハアリマセヌケレドモ、矢張リ火ガアレ
バ導火シテ直グ火ニナル性質ヲ持ッテ居ル
ヤウナモノデアリマス、雪ト炭ト例ヘル位
ナ米ノ軒ヘ持ッテ來テ炭ノヤウナ汚ナイモ
ノハ一樣ニ入レラレルモノデナイ、ドウシ
テモ木炭ニ對シテハ何ントカ設備ガナケレ
バナラナイト思フ、更ニ其點ニ對シテ御答
ヲ願ヘマスレバ結構デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=10
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011・村上龍太郎
○政府委員(村上龍太郞君) 御尤ナ御尋デ
ゴザイマシテ、米ノ入ル所ヘ其儘木炭ガ
入ッテ參ルト云フコトニナリマスト、成程米
ノ收容量ニモ影響イタシマスガ、他方又倉
敷等ノ關係カラ申シマシテモ、極ク簡易ナ
裝置デ、安イ倉敷デナイト木炭ノ方ハヤッ
テ行ケナイ譯デアリマス、先程モ保管料ノ
御尋ガゴザイマシタガ、現在同業組合デア
ルトカ、或ハ產業組合或ハ法人ノ木炭倉庫
等デ保管ヲ致シテ居リマスモノガ、大體大
ザッパニ申シマスルト、一箇月一俵一錢程度
ノ保管料ヲ取ッテ居ルヤウデアリマス、ソレ
ヨリ高イモノモアリマスルシ、又計算ノ仕
方ノ違フノモゴザイマスガ、事例ヲ見マス
ルト左樣ニナッテ居リマス、其處デ農林省ニ
於キマシテハ此木炭ノ倉庫ニ對シマシテ大
正十五年カラボツ〓〓補助ヲ致シテ、是ノ
建設ヲ圖ッテ參ヲテ居ルノデアリマス、現在
卽チ昭和八年迄ニ補助ヲ致シマシテ造リマ
シタ倉庫ガ累計イタシマスルト千九百十三
棟バカリゴザイマス、尤モ是ハ極ク小仕掛
ナ、建築費モ極ク安イ、又一棟ノ大キサモ
大體標準ト致シマシテハ五十坪程度ノモノ
ヲ標準ト致シテ居ル倉庫デアリマシテ、ソ
レヲ段々助成ヲ致シマシテ、今日デハ約千
二百近クノ倉庫ガ出來テ參ッテ居リマス、
產業組合ノ經營ニ屬シマスル倉庫ガ其中デ
四百七十八棟ト云フコトニ相成ッテ居リマ
ス、今後モ是等ノ豫算ノ運用ニ依リマシテ、
色ミ收容力ヲ增シテ參ルヤウニ致シタイ、
尙ホ段々是ノ利用ガ盛ニナッテ參リマスレ
バ、是デハ十分デナイ場合モ生ジマセウ
ガ、差當リト致シマシテハ、是デ以テヤッ
テ參リタイト云フ考デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=11
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012・野村徳七
○野村徳七君 モウ一ツ伺ヒタイノデアリ
マスガ、先程モ自力更生ノ問題ニ關聯シテ御
尋ガアッタヤウニ私ハ御質問ノ精神ヲサウ
拜聽致シタノデアリマス、木炭ノ取扱アル農
業倉庫ニ關スル調査ト云フ表ヲ拜見シマス
ルト云フト、大體是ハ昭和六年度ノ農業倉
庫ノ事業報告書ニ依ルトアリマスカラ二年
前ノモノデアリマスケレドモ、證劵ガ發行
サレテ、實際貸付ケラレテ居ル金額ト云フ
モノハ漸ク三千四百六圓五十九錢ト云フ數
量デアリマシテ、ソレカラ入庫數量カラ之
ヲ考ヘマスト云フト、證劵ヲ發行サレテ、
結リ金融サレタ木炭ノ數量ト云フモノハ約
二「パーセント」二位ナモノデアリマス、百
分ノ二·二位ノモノガ金融サレテ居ルト云フ
ヤウナ表ヲ拜見スルノデアリマス、マア斯
ウ云フ所ニ木炭ヲ公ケニ此業法ノ中ニ入レ
ルコトニシテ、農山村ノ金融ノ便宜、又先
程カラ御話ノ更ニモット木炭ノ製品ヲ統一
ジ、指導ヲ色ミノ方面ニ及ボシテ、良イモ
ノヲ安ク造ラシテ、農村經濟ヲ潤ホサウ、
誠ニ結構ナ御精神デアルヤウニ思ヒマス、
又必ズサウ云フ效果ノアルモノト信ズルノ
デアリマスガ、ドウモ世ノ中ニハ便宜ト弊
害ト······ト云フモノガドウシテモ一致シマ
セヌデ、現在所謂農作飢饉ト云フヤウナ聲
ガアッテ、前年來繭及生絲ノ動搖、最近ハ米
ノ豐作ノ爲ニ却ッテ農村ハ非常ニ困ッテ、所
謂農村問題ガ非常ニヤカマシクナッテ居ル、
統制法ナリ或ハ疲弊救濟ト云フ意味デ米穀
法ナリ、又今日ノ生絲ガ十萬俵ト云フヤウ
ナモノガ政府ノ所有ニ歸シテ居ルト云フヤ
ウナ結果ヲ見テ居ルノデアリマスガ、
又自力更生ト云フ立場カラ行キマスト、由
來農村ハ豐作ノ後ニハ又作物ヲ他ニ轉ジ、
更ニ勤勉力行シテ翌年ノ生產ヲ自ラ調節ス
ルト云フヤウナコトガアッテ、山來農村ソレ
カラ更ニ山村ナドヘ入ルト云フト金融ヲ受
ケル、借金ヲスルト云フコトハ、詰リ處女
性ヲ失ッタ位モット重大ナ關係ヲ以テ、農村
精神ノ上ニハ非常ナ關係ヲ有シテ居ル、精
神生活ノ上ニハ······更ニ又木炭ノヤウナモ
ノハ色〓ノ頂戴シマシタモノヲヲマシテ
モ、私共モ朝鮮デ三四ケ所、山林ノ中デ二
ケ所バカリ、當然ノ結果トシテ其處ニ製炭
ヲヤッテ居リマスノデスガ、此製炭ヲヤルト
云フノハ、ドウシテモ交通ノ便宜ナ農村デ
ナクシテ、可ナリ山村、不便ノ土地ガ多イ
ノデアリマス、其處迄倉庫ヲ造リ金融ノ便
ヲ與ヘル、詰リ農山村ノ人ハ物ヲ作レバモ
ウソレデ金ニナル迄ハ有ユル支出ヲ愼ンデ
自分カラ作ッタモノデ彌縫シテ行クト云フ
ヤウナ氣分ガ段々拔ケテ來テ、物ヲ作レバ
直グ金ニナリ、與ヘラレレバ都會ノ誘惑的
ナ製品ニ消費力ガ向ッテ、直グソレヲ消費ニ
充テテシマウ、サウ云フコトガ現レテ居リ
マスガ、現ニ海外移民ヲ取扱,テ居ル移民
會社ノ如キデモ色ミ拓務省ナドノ御奬勵ガ
アリマシテ、ソレガ流行的ニ働キマシテ、
所謂昭和八年度ハ「ブラジル」移民ナドハ今
迄ノ移民デハ「レコード」ヲ示シテ居ルト言
ヒマスガ、實際ノ手加減カラ言フト、詰リ
昭和九年度ナドハ募集方法ヲ何カ餘程刺戟
的ナモノニシテ改メナケレバ、恐ラク前年
度ノ移民ノ七、八割ハムズカシイダラウト
云フヤウナコトデ、私共現ニソレニ携ハル
會議ニモ出テ參ッタノデアリマスガ、サウ
云フコトヲ申シテ居ル、現ニ農山村困窮ノ
聲ハ高マッテ居リマスケレドモ、實際ハ此
米穀統制法ナリ其ノ他色ミノ關係デ、海外
移民ニ志サウト云フヤウナ周圍ノ環境ヲ促
ス程度ハ緩和サレテ居ルト云フハ事實デア
リマス、況シテ滿蒙ニ移民政策ヲ實行サレ
ムトシテ居ラレルヤウナ今日、政策上カラ
言ヒマシテ自力更生ト云フ先程カラノ御話
ト······只今デハ誠ニ前刻表ヲ見マシテ申
ゲマシタヤウナ金額トシテハ少イ程度デア
ルガ、之ニ段々便宜ヲ與ヘテ、所謂農村金
融ノ便宜ヲ可ナリ農山村ノ僻村僻邑ニマデ
及ボサウト云フコトハ、ドウモ其處ニ非常
ナ詰リ經濟普及、今ノ政策的ノ經濟ノ普及
ニ伴フ半面ノ弊害ガ、斯ウ云フコトニ至ル
ト最モ弊害ヲ强ク、强烈ニ現ハス結果ニナ
リハシマイカト云フコトヲ又一面カラ惧レ
ザルヲ得ナイヤウニ思フノデアリマスガ、
先程自力更生ノ問題ガ山マシタノデ、更ノ
御意見ヲ伺ヘマスレバ大變結構デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=12
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013・村上龍太郎
○政府委員(村上龍太郞君) 現在ノ木炭業
者ガ何等負債ヲセズニ、金ヲ借ラズニ、色ミ
生產ヲ營ンデ居ル所へ新シク金ヲ貸サウト
云フ、サウ云フ趣旨デハナイ、極ク何ト申
シマスカ、富ノ程度ノ低イ人〓ノ生業デア
リマスガ故ニ、原木ヲ仕入レルニ際シマツ
テモ、其外色ミナ生產ヲ行ッテ行ク上ニ於
キマシテモ、色ミ無理ナ借金ヲ致シテヤッテ
參ル、サウシテ出來タ木炭デ以テ拂ッテ行
クト云フノデアリマスカラ、金利等ノ上デ
非常ニ氣ノ毒ナコトニナッテ居ルノヲ、今囘
ノ法律ノ改正ニ依ッテ或ル程度此苦痛ヲ緩
和シタイト云フノガ趣旨ナノデアリマス、
從ヒマシテ此制度ノ運用ニ當リマシテモ、
徒ラニ負債ヲスルト云フコトナドハ、是ハ
最モ戒シムベキ點デアリマシテ、左樣ナコ
トヲ考ヘテ居ルノデハナイノデアリマス、
生產資金トシテ色ミ不利ナ立場ニ在ルモノ
ヲ有利ナ立場ニシテ參ラウト云フコトガ主
眼點デアリマスルシ、又左樣ナコトニ付テ
段々各地方ニ於テ苦痛ヲ訴ヘテ居ルノデア
リマス、現在ニ於キマシテモ申合セノ組合
等ニ依リマシテ色ミヤッテ居ル組合ノ例ナ
ドヲ調ベテ參リマシテモ、金融ノ問題ト販
賣ノ問題、是ガ餘程大切ナ問題デアルト云
フヤウニ思ハレマスルノハ、殆ドソレ等ノ
組合ノ矢張リ第一ノ著眼點ガ販賣金融ノ問
題デアル、如何ニ販賣ノ不便ヲ感ジ、金融
ノ不便ヲ感ジツツアルカト云フコトガ推察
出來ル、浪費ノ結果ヲ生ズルトカ、或ハ負
債ヲシナクテモ宜イノニ負債ヲサセルトカ
云フヤウナコトハ、是ハ嚴ニ戒ムベキコト
デアリマシテ、現在立"テ居ル不利ナ立場
ヲ、出來ル限リ有利ナ方ニ展開ヲシヤウト云
フ趣旨ニ外ナラナイノデゴザイマシテ、其
點ハ能ク御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=13
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014・安藤信昭
○子爵安藤信昭君 今囘ノ改正ニ依リマシ
テ木炭ノ保管ヲスルコトニナリマシタ、今後
他ノ物品ヲモ續々保管ヲスルト云フ御考ガ
政府ニハゴザイマスカ、ソレヲ伺ヒタイ、
尙ホ此改正ノ實行ガ何時頃カラ大體行ハレ
マスモノデアリマスカ、ソレモ伺ヒタイ、
尙ホ農業倉庫ニ對スルドノ位ノ補助ガ政府
カラ年々出テ居リマスカ、此三點ヲ伺ヒタ
イ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=14
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015・小平權一
○政府委員(小平權一君) 御尋ノ點ニ付テ
御答イタシマス、今囘木炭ヲ農業倉庫ノ當
然ノ保管物ト致スコトニ改正案ヲ提案シタ
ノデアリマスガ、其他ノモノニ付キマシテ
ハ是ハ色ミ調査ノ上更ニ必要ガ生ズレバ、
勿論是ハ農產物デアレバ勅令デ指定出來マ
スシ其他ノモノニナリマスト、法律ヲ改正
シナケレバナラヌノデアリマスガ、差當ッテ
サウ色ミナモノヲ殖ヤス考ハ持ッテ居ラナ
イノデアリマス、農產物、水產物等ノ檢査
ガ能ク厲行セラレテ規格ガ統一セラレテ來
マシテ、農業倉庫業法ニ依ッテ扱フコトガ
非常ニ適當デアルト云フモノガ出來テ來マ
スレバ、其時ノ事情ニ從ッテ種類ヲ殖ヤサ
ネバナラヌノデアリマスケレドモ、勅令等
ニ委任サレタ爲ニ無暗ニ色ミナモノヲ指定
スルト云フ考ハ持ッテ居リマセヌ、左樣御了
承ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、ソレカ
ラシテ、施行ノ期日ハ大體、幸ヒ此法案ガ
議會デ御協贊ガ願ヘマスレバ、五月末位マ
デニ準備シテ成ルタケ急イデ施行シタイト
考ヘテ居ル次第デアリマス、ソレカラ農業
倉庫ノ補助金ハ只今ノ所農村振與費ノ方カ
ラシテ約二十萬圓出テ居ルノデアリマス、
是ハ大正六年以來ズット續イテ出テ居ル補
助金デアリマス、其外ニ經濟更生ノ方ノ關
係卽チ時局匡救費トシテ、時局匡救ノ土木
事業ニ該當スル意味ヲ以テ、特ニ時局匡救
豫算トシテ昭和七年度以來認メラレテ居ル
ノデアリマス、ソレガ約八十六萬圓バカリ
ニナルノデアリマス、ソレガ昭和七年度、
八年度ハ八十六萬圓バカリヲ戴クノデアリ
マスガ、昭和九年度ノ豫算ニ於キマシテハ、
約半分ニ減ラサレマシテ四十五六萬圓ニ
ナッテ居ル、今度ノ九年度ノ豫算ニ計上シテ
御協賛ヲ願ッテ居ル次第デアリマス、左樣御
了承ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=15
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016・中村圓一郎
○中村圓一郞君 昨日來段々御質疑ガア
リ、御應答ガアリマシテ、意ヲ盡シタヤウ
ニ考ヘテ居リマスガ、其外ニ伺ヒタイノハ
此木炭ノ將來、表ヲ見マスルト五箇年平均
ガ四億九千萬ナニガシ、約五億萬貫生產額
ガアリマシテ、移出シタノガ二億六千七百
萬貫、約六割移出サレマシテ四割ハ其土地
デ消費サレタヤウニナッテ居ルノデアリマ
スガ、尙ホ將來政府ニ於カレマシテハ、此
木炭ハ御奬勵ニナリマスレバドノ程度マデ
消費サレルノデアリマスカ、又既往ト對照
イタシマシテ、ドウ云フ順序ニ相成ッテ居ル
ノデアリマスカ、段々他ニ電熱、瓦斯ト云
フヤウナモノガアリマシテ、色ニ此木炭ト
ノ釣合等ニ付テハドウ云フ御考ヲ持ッテ居
ラレマスノカ伺ヒタイノデアリマス、更ノ
又先程各委員カラモ御話ガアッタヤウデア
リマスガ、此木炭業、所謂山村ノ窮民ヲ救ヒ
マスノニハ種々ナル施設モゴザイマセウ
ガ、主トシテ是ハ輸送ノ便ヲ圖ルト云フコ
トガ最モ急ナルモノデハナイカト思フノデ
アリマス、倉庫ノ出來マスコトハ私モ至極
結構デアリマスガ、此倉庫ノ所マデ運ビマ
スノニモ、或ハ林道又ハ木炭輸送ニ付キマ
シテノソレ〓〓設備モゴザイマセウシ、御補
助モアラウカト思ッテ居リマスガ、尙ホ此木
炭ヲ製造イタシマス所カラ倉庫マデ、若クハ
倉庫ヨリ致シマシテ汽車ノ便利ノ宜イ所マ
デト云フヤウニ、其間ニ於キマス輸送ノ便、
運賃ノ低下ヲ圖リマスニ付テドウ云フ御考
ヲ持ッテ居リマスカ、寧ロ此方ガ炭ヲ燒ク
者山村デ生活シテ居ル者ニ對シマシテ
ハ、却テ痛切ニ且ツ效用モ多イヤウニ思ハ
レマスノデアリマスガ、一應之ニ對シ御說
明ヲ得タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=16
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017・村上龍太郎
○政府委員(村上龍太郞君) 只今中村サン
カラノ御尋デゴザイマスガ、木炭ノ將來ガ
ドウナルデアラウカト云フ御尋デゴザイマ
スガ、是ハ今的確ニ申上ゲル譯ニハ參ラヌ
トモ思ハレマスガ、只今御尋ノ中ニモゴザ
イマシタヤウニ電熱、瓦斯或ハ又豆炭、關
西方面デ所謂豆炭ナドト申シテ居リマス
ガ、サウ云フ代用品ノ進出ガ一面ニゴザイ
マスル關係上、木炭ノ消費ガ減少スル傾向
ヲ持ッテ參ル、併ナガラ他面ニハ又減ル一方
デハアリマセヌノデ、人口ノ增加モゴザ
イマスルシ、又段々今ハ微々タルモノデ取
ルニ足ラヌノデアリマスガ、木炭カラ瓦斯
ヲ發生イタサセマシテ、ソレヲ原動力トシ
テ使フ裝置ナドノ普及ニ伴フ木炭ノ消費ノ
增加ト云フヤウナ點モゴザイマスルノデ、
普通ナラバドン〓〓殖エテ參ルベキ趨勢ノ
モノデアリマセウガ、大シタ需要ニ變リハ
ナイノデハアルマイカト云フ風ニ極ク大
ザッパナ考デアリマスガ、考ヘテ居リマス、
尤モ御承知ノヤウニ木炭ハ原料ノ森林ノ關
係モゴザイマスルカラ急激ナ增加、急激ナ
變化ト云フ風ナコトハ是ハ原料ノ供給ノ方
面カラ見マシテモチヨット困難ノ點モゴザ
イマス、左樣ニ見テ居リマス、ソレカラ運
搬費ノ重要ナ部分ヲ占メ、ソレニ對スル便
宜ヲ與ヘナケレバナラヌト云フコトハ是ハ
モウ仰セノ通リデアリマス、是ハ特ニ木炭
ニ限リマセヌ、林業一般ニ付キマシテ最モ
重要ナ問題デアリマスルガ、此林道方面ニ
付キマシテモ、從來補助ニ依リ林道ノ敷設
ト云フ風ノコトヲ致シテハ居リマス、又時
局匡救ノ農業土木費ノ中ニモ林道ニ關スル
豫算ガゴザイマシテ、段々施設ヲ致シテ參
リマシテ、殊ニ此林業方面ニ於キマシテハ
著シク運搬費ガ減ジテ參,タト云フ風ナ事
例ナドモ私ハ報告ヲ受ケテ居ルノデアリマ
ス、其他ニ將來ニ於テ現在持ヲテ居リマス
ル林道ニ對スル農林省ノ施設豫算ト云フモ
ノハ繼續シテ參リマシテ、ソレニ依リマシ
テ運搬費ノ輕減、或ハ生產地ニ於ケル荷物
ヲ置ク設備等ニ付テ色ミ施設ヲ進メテ參
ル、斯樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=17
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018・平野長祥
○男爵平野長祥君 チヨット簡單デアリマ
スガ、本法ニ於テ木炭ト稱スル所ノモノハ
ドウ云フ範圍ノモノデアルカ、ソレヲ伺ヒ
タイノデアリマス、例ヘバ只今政府委員ノ
御說明ニナリマシタモノモ、其中ノ一ツデ
アラウト思フノハ、私ガ數年前カラ聞及ビ
マス所ニ依ルト、此「ガソリン」代用品トシ
テ使フ所ノ特殊ノ木炭、何カ金屬性ノモノ
ヲ混合シテ、燒イテ造ッタ所ノ木炭、是
ハ當時我ガ陸軍ニ於テハ貨物自動車ニ專
ラ使ッテ居ルト云フヤウナモコトヲ數年前
カラ聞及ンデ居ル、今日其他ニ於テモ
隨分使ッテ居ルダラウト思フノデアリマス
ガ、ソンナヤウナ特殊ノ木炭、或ハ此毒瓦
斯「マスク」ニ入レテ毒瓦斯ヲ吸收サセルガ
爲ニ造ル所ノ特殊ノ木炭、サウ云フヤウナ
木炭モ此本法ニ稱スル木炭ト云フ中ニ包含
サレテ居ルモノデアリマスルカ、又木炭ノ
粉ヲ以テ製シタル所謂炭團ト云フヤウナ一
種ノ煉炭、之ヲモ矢張リ此木炭ノ中ニ包含
サレルノデアリマスルカ、此木炭ト稱スル
其範圍ヲ一應御說明ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=18
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019・村上龍太郎
○政府委員(村上龍太郞君) 御答申上ゲマ
スガ、防毒用ニ使ヒマスル所謂活性炭、是
ハ農業倉庫等ニハ事實入ッテハ居リマスマ
イシ、又法ノ所謂木炭ノ中ニハ考ヘテ居リ
マセヌ、炭團ノ如キモノモ、此木炭ノ中ニ
ハ考ヘテ居リマセヌ、木炭瓦斯自動車ニ使
ヒマス木炭、是ハ私ノ方ニ於キマシテモ、
森林鐵道デハソレデ運轉イタシテ居リマ
ス、普通ノ木炭ヲ焚イテ使,テ居リマスノ
デ、是ハ格別ノ區別ヲスル必要ハナカラウ
カト思ヒマス、色ミナ炭ガゴザイマスガ、
國有林等デ現ニ森林鐵道ヲ動カシテ居リマ
スモノハ、特殊ノ裝置デ、木炭デナイモノ
デモ動イテ居リマス、只今ノ御尋ノ活性炭
デアルトカ、或ハ炭團ノ如キモノハ、此中
ニハ入ラヌト云フ風ニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=19
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020・平野長祥
○男爵平野長祥君 今サウ云フ普通ノ木炭
デ、「ガソリン」代用ノ貨物列車ヲ動カシテ居
ルト云フ機關ニ御用ヒニナッテ居ル以外ニ、
我軍部デ何カ特殊ノ······私間違ッテ居ルカ
知レマセヌガ、「アルミニウム」カナンカヲ混
合シテ燒イタ所ノ特殊ノ木炭、サウ云フヤ
ウナモノガアルデハアリマセヌカ、ソレ等
ハ矢張リ此中ニ入リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=20
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021・村上龍太郎
○政府委員(村上龍太郞君) 御答申上ゲマ
スガ、木炭ノ生產ヲ爲スモノハ生產シタル
木炭ト申シマシテ、殊ニ農業倉庫ガ產業組
合等ノ經營ニナッテ居リマスル關係上特殊
ノ操作ヲ施シタ木炭ト云フコトニナリマス
トドウシテモ地方ノ產業組合等ノ組合員
ガ造ルト云フ譯ニハ參リマセヌ、普通ノ木
炭ト云フコトニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=21
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022・山縣有道
○委員長(公爵山縣有道君) 大體御質疑モ
盡キタヤウニ考ヘラレマスノデ、御質疑ヲ此
程度ニ止メマシテ、直ニ討論ニ入リタイト
思ヒマスガ、御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=22
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023・山縣有道
○委員長(公爵山縣有道君) 別ニ御發言ガ
ナケレバ、本案ヲ可決スルコトト決定イタ
シマス
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=23
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024・山縣有道
○委員長(公爵山縣有道君) 之ヲ以テ散會
ヲ致シマス
午後二時五十三分散會
出席者左ノ如シ
委員長公爵山縣有道君
副委員長子爵米倉昌達君
委員
子爵安藤信昭君
男爵平野長祥君
中村圓一郞君
久保市三郞君
山本米三君
野村德七君
山上岩二君
政府委員
農林政務次官子爵織田信恒君
農林省山林局長村上龍太郞君
農林省經濟更生部長小平權一君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006502905X00219340131&spkNum=24
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