1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
臨時米穀移入調節法案
政府所有米穀特別處理法案
米穀需給調節特別會計法中改正法律案
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委員氏名
委員長 子爵 青木信光君
副委員長 男爵 稻田昌植君
侯爵 大隈信常君
侯爵 中御門經恭君
伯爵 有馬頼寧君
子爵 片桐貞央君
子爵 綾小路護君
三井清一郎君
内田重成君
上山滿之進君
伊澤多喜男君
男爵 福原俊丸君
男爵 淺田良逸君
赤池濃君
長岡隆一郎君
藤山雷太君
松本眞平君
絲原武太郎君
昭和九年三月二十三日（金曜日）午後一時五十九分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=0
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001・青木信光
○委員長(子爵靑木信光君) ソレデハ是ヨ
リ開會ヲ致シマス、此法案ニ付キマシテハ
先刻本會議デ大臣ヨリ說明ガアリマシタノ
デスガ、尙ホ一應御說明ヲ願ヒマセウカ、
サモナクバ、直グサマ御質問ノ方ニ移リマ
セウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=1
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002・伊澤多喜男
○伊澤多喜男君 一應御說明ヲ願ヒマセウ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=2
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003・青木信光
○委員長(子爵靑木信光君) 是ハ束ネテ御
說明ヲ願ヒマシテ、尙ホ又御審議具合ニ依
リマシテハ、此法案ノ順序ニ御審議願ッタラ
宜カラウト思ヒマス、ソレデハ御說明ヲ願
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=3
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004・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 臨時米穀移入調
節法案、米穀需給調節特別會計法中改正法
律案、政府所有米穀特別處理法案、ト云フ
順序デ御說明ヲ申上ゲマス、昭和九米穀年
度卽チ昨年ノ十一月カラ始マリマシテ、今
年ノ十月末日ニ至リマスル此一年ノ間ニ於
キマシテ、此年度ガ受入レマス米穀ノ生產
高ハ內地ガ約七千八十餘萬石、朝鮮ハ約千八
百十九萬石デアリマシテ、例年ニ比シテ著
シキ增收ヲ示シテ居ルノデアリマス、其外
昭和八米穀年度カラノ持越米ガ約九百萬石
ヲ算シテ居リマス、從テ內地ニ於ケル米穀
ノ需給關係ハ著シイ供給過剩ノ狀態ヲ呈シ
テ居ルノデアリマシテ、斯ノ如キ供給過剩
ノ狀態カラ需給ノ均衡ノ採レマシタ狀態ニ
致シマスルコトハ、ナカ〓〓急ニハ參リ兼
ネルノデアリマス、政府ニ於キマシテモ、
之ニ善處スル爲ニ、米穀統制法ノ運用ノ外
ニ籾貯藏ノ奬勵等ノ施設ヲモ致シテ居ル次
第デアリマスガ、內地市場ニ多量ノ朝鮮米
又ハ臺灣米ガ移入セラレテ參リマシテ、此
供給過剩ノ狀態ニ對シテ一層ノ壓迫ヲ致ス
事情ガアリマスルノデ、朝鮮米及臺灣米ノ
內地移入ノ數量ヲ調節スルコトガ今日ノ米
穀事情ニ照シテ肝要ノコトト存ゼラレルノ
デアリマス、サウシテ右移入數量調節ハ臨
時應急ノ對策ト致シマシテ、玆ニ朝鮮米及
臺灣米ヲ政府ニ於テ買入ヲ行フコトト致シ
マシテ、在來ノ季節調節ト云フ方法ノ上ニ、
更ニ稍〓長キニ亙ッタ朝鮮米ノ調節ヲ行ヒ
得ル途ヲ此際開カムトスルノデアリマシテ、
臨時米穀移入調節法案ヲ提出イタシタ譯デ
アリマス、此法案ノ要旨ハ、第一ガ政府ハ
米穀統制法ノ規定ニ依リマシテ、朝鮮米及
臺灣米ノ內地移入ヲ月別平均的ナラシムル
爲ニ、出廻期ニ於テ買入ヲ行ヒ、出廻期後
ニ於テ右買入米穀ノ賣渡ヲ行ヒ、所謂季節
的出廻數量ノ調節ヲ行ッテ居ルノデアリマ
スケレドモ、是ハ單ニ季節的ノ調節ニ止マ
ルノデアリマシテ、現在ノ如ク米穀ノ斯樣
ニ過剩ノ際ニ於キマシテハ調節上甚ダ遺憾
ノ點ガアリマスルケレドモ、更ニ應急ノ處
置ト致シマシテ昭和九年三月三十一日、卽
チ昭和九會計年度ノ終リ迄、內地移入ノ米
穀ノ數量ヲ調節スル爲ニ朝鮮米及ビ臺灣米
ノ調節買入ヲ行ヒ得ルコトト致シタノデアリ
マス、而モ只今申上ゲマシタル如ク本案ハ臨
時應急ノ施設デアリマシテ朝鮮米及ビ臺灣米
ノ對策ニ付キマシテハ尙ホ〓究ノ上成案ヲ
得ルコトニ努メタイト考ヘテ居ルノデアリ
マス、第二ニ右ノ制度ニ依ッテ買入ルベキ朝鮮
米及ビ臺灣米ノ價格ハ勅令ヲ以テ定ムル一定
ノ價格ヲ最高價格トシテ、其時々ノ時價ニ準據
シテ之ヲ定ムル見込デアリマス、第三ニ勅
令ノ定ムル所ニ依ッテ第一條ニ依ッテ買入レ
タル米穀ノ賣渡、貯藏及ビ加工ヲナスコト
ヲ得ルモノト致シマシテ、其賣渡ノ價格ハ
時價ニ準據ヲシテ之ヲ定ムルコトト致シタ
ノデアリマス、第四ニ本法ニ依ッテ政府ノナ
ス行爲ニ依ッテ生ズル一切ノ歳入歲出ハ總
テ米穀需給調節特別會計ニ屬セシムルコト
ニ致シタノデアリマス、是ガ臨時米穀移入
調節法案ノ要旨デゴザイマス、次ニ米穀需
給調節特別會計法中改正法律案ノ要旨ヲ御
說明申上ゲマス、只今申上ゲマシタ臨時米
穀移入調節法ヲ施行イタシ、及ビ現行ノ米
穀統制法ヲ運用イタシマスル爲ニ米穀需給
調節特別會計ノ事業資金ヲ增額スルノ必要
ガアルノデアリマスノデ、同會計法ノ米穀
證劵及借入金ノ額ヲ通ズル最高金額ノ限度
ハ七億圓デアリマスルガ、之ニ一億五千萬
圓ヲ加ヘマシテ八億五千萬圓ニ改メタイト
思フノデアリマス、尙ホ更ニ年ノ豐凶ハ何
人モ的確ニ之ヲ豫想スルコトガ困難デアリ
マスルガ、萬一異常ナル豐年ヲ迎フル等ノ
コトガアリマスレバ、右ノ八億五千萬圓ノ
金額ヲ以テシテハ或ハ事業資金ニ不足ヲ〓
グルコトナキヲ期セナイノデアリマス、從
テ最近遭遇イタシマシタ昭和八年度ノ如キ
增產ト云フモノヲ考慮ノ中ニ入レマスト云
フト、右事業資金ノ額ヲ更ニ最高三億圓ノ
範圍內ニ於テ必要ナル限度ダケ勅令ヲ以テ
增額シ得ルコトニ豫メ御協賛ヲ得テ斯カル
場合ニ備ヘタイト考へルノデアリマス、尙
ホ政府ノ米穀買入數量等ハ作柄ナドニ依リ
マシテ相違ヲ來スノデアリマスカラ、此特
別會計ノ事業費ノ豫算ハ大體ノ普通ノ場合
ヲ豫想シテ計上シテ置キマスルガ、米穀ノ
數量又ハ市價ノ變動等ノ爲ニ買入數量ノ增
加其他避クベカラザル豫算ノ不足ヲ生ジマ
スル場合ニ處スル爲ニ事業費豫算ニ豫備費
ノ設定ヲ致スコトニ改メタイト思フノデア
リマス、右三點ガ米穀需給調節特別會計法
中改正法律案ノ要旨デゴザイマス、次ニ米
穀特別處理法案ノコトデゴザイマス、本法
案モ今日ノ米穀ノ供給過剩ノ狀態ヲ考ヘマ
シテ、米ノ新規利用ニ關スル試驗〓究及新
規用途開拓ノ爲ニ米穀需給調節特別會計ニ
屬スル米穀ヲ處分スル途ヲ開イテ米ノ消費
ニ新方面ヲ開拓センコトヲ期待イタスノデ
アリマス、但シ右ノ處分ニ依リマシテ米穀
ノ市價ニ惡影響ヲ與ヘルコトハ妥當デナイ
ト考ヘラレマスノデ、其ヤウナ場合ヲ避ク
ルコトト致シ、且ツ此處分ノ愼重ヲ期スル
爲ニ、米穀處理委員會ヲ設ケテ米穀處分ニ
關スル重要事項ハ之ニ諮問スルコトニ致シ
タノデアリマス、尙ホ此法案ニ依リマシテ
政府ノ爲ス行爲ニ依リ生ズル一切ノ歲入歲
出ハ總テ米穀需給調節特別會計ニ屬セシム
ルコトト致シタ次第デアリマス、以上三案
ノ大體ノ趣旨デゴザイマス、何卒御審議ノ
上ニ御協賛アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=4
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005・長岡隆一郎
○長岡隆一郞君 議事進行ニ付テ簡單ニ發
言ヲ御許シヲ願ヒタイ、本案ノ議事ヲ進メ
マスル前ニ議事進行ニ付テ委員長竝ニ政府
委員各位ニ御聽キヲ願ッテ置キタイト思ヒ
やく、簡單ナコトガアル、私ハ何カ此三案
ニ對シテ反對ヲ致シ、握リ潰シヲ計畫シテ
居ルト云フヤウナ風評ガゴザイマスルガ、
決シテ左樣ヲ譯デハゴザイマセヌ、出來ル
ナラバ圓滿ニ議事ヲ進メテ、本員ノ質疑
ガ、氷解イタシマスルナラバ、折角衆議院
ヲ滿場一致ニ近キ多數ヲ以テ通過シタ案デ
ゴザイマスルガ故ニ、本員モ出來ルナラバ
贊成イタシタイト考ヘテ居ルノデアリマス
ガ、何分本案ハ本期議會ニ提出セラレマシ
タ重大法案中ノ重大法案デゴザイマスルガ
故ニ、十分ノ審議ヲ致サレテ頂キタイト考
ヘルノデゴザイマス、本案ノ性質カラ顧ミ
マシテモ、全國ノ農民ノ利害休戚ニ關スル
コト重大、消費者ノ利害關係ニ影響スル所
重大、又朝鮮臺灣新附ノ民ノ利害休戚ニ關
スルコト重大デアルノミナラズ、旣ニ只
今迄二億數千萬ノ損害ヲ國庫ニ掛ケマシタ
米穀特別會計ニ對シテ、更ニ四億五千萬圓
ト云フ巨額ノ費用ヲ追加シヤウト云フモノ
デアリマスルガ故ニ、是ハ餘程愼重ニ審議
シナケレバナラヌト考ヘマス、然ルニ會期
餘ス所僅ニ明日明後日、若シ之ヲ〓究モセ
ズ愼重ニ審議ヲ盡サズ、輕卒ニ之ヲ鵜呑ミ
ニスルト云フコトガゴザイマシタナラバ、
國民ハ貴族院ガ愼重審議ノ任務ヲ盡シタモ
ノト信ズルカドウカ、又國民ハ議會ノ信用
頗ル增加シタリト思フヤ否ヤ、勿論委員長ニ
於キマシテ故意ニ議事ヲ遷延セシムル目的
ヲ以テ質問シ發言スル者ニ對シテハ、適當
ノ御處置ヲ爲サルコトガ當然デゴザイマス
ケレドモ、其然ラザルモノニ對シテハ貴族
院ノ先例ニ徵シ、十分審議ヲ盡サシテ頂キ
タイト云フコトヲ希望イタシマス、若シ萬
萬一多數ヲ以テ質問ヲ打切リ、咄嗟ノ間ニ
會期盡キルニ垂トシテ居ル際ニ之ヲ採決
サレルト云フヤウナコトガアリマシタナラ
バ、他日之ニ關シ重大ナル責任問題ヲ惹起
スト云フコトヲ私ハ豫言シテ置キマス、世間
デハ此六十五議會ニ於テ議案ノ審査ノ遲々
タルコトニ付テ、其遷延セルコトニ對シ
テ、政府竝ニ議會共ニ責アリト言ッテ居リ
マスガ、是ハ議會ニ責任アリト信ジマセ
又、勿論從來ノ政府ト雖モ重大法案ニ付テ
提出ヲ遲ラシタト云フ例ハ澤山アルノデゴ
ザイマスルケレドモ、現內閣ノ如ク重大法
案ノ提出ヲ遲延セラレタノハ初メテノ例デ
アリマシテ、會期ノ三分ノ二ニ至ル迄ハ僅
ニ事務的手續的ノ諸法律案ヲ出サレタノミ
デアル、三月ニ至ッテ重要法案ガ突如トシテ
貴族院ニ殺到シテ來タト云フヤウナ譯デア
リマスルカラ、之ニ對シテ卽チ審議ノ遲延
シタル責任ハ政府ニアルトシテモ、是ハ議
會ニハ、貴衆兩院トモナイト信ジマス、尙
ホ政府ニ對シテ議事進行ニ付テ御注意ヲ申
上ゲタイノデアリマスルガ、政府ノ御當局
ノ方ガ、議案ノ通過ニ付テ色ミ諒解ヲ求メ
ラレルト云フコトハ是ハ當然ノコトト考ヘ
ルノデアリマスルケレドモ、近來甚ダ不愉
快ナ雜音ヲ放送サレル方ガアル、例ヘバ重
要議案ト云フモノハ會期ノ初メニ出スト嬲
リ物ニナッテ却ッテ傷ガ付クカラ、各省ノ巧
妙ナ駈引トシテハ、會期ノ切迫シタ時ニド
サクサ紛レニ之ヲ出スノデアル、或ハ貴族
院ノ會期ハ僅カデアルケレドモ、衆議院デ
既ニ十分ノ審議ヲ盡シテ居ルノデアルカラ
衆議院ノ速記錄ヲ見レバ大體二三日デ審議
ガ完了スル筈デアルトカ、或ハ又或會派ノ
幹部ト諒解ガ付イテ居ルカラ會期內ニ押切ッテ
通ス積リデアルトカ、議員ノ審議權ノ內容
ニ立入ッテ威嚇的ノ言辭ヲ弄スル方ガアル、
是ハ噓デアレバ甚ダ幸ヒデアリマスルケレ
ドモ、若シ萬一閣僚ニ非ザル屬僚ニシテ斯
カル不謹愼ナ宣傳ヲ爲ス者ガアルナラバ、
首相ヨリ嚴重ナル御注意ヲ願ヒタイ、本案
ハ衆議院ニ於テ三月十三日ニ提出セラレ、
二十二日ニ通過シタノデアリマスルガ、其
間十一日間ノ審議期間ヲ要シテ居ルノデア
リマス、貴族院ニ於テ假ニ三分ノ二ノ審議
期間ヲ要スルモノトシマシテモ、七日以上
ヲ要スルノデゴザイマス、勿論會期延長ノ
コトハ何レノ內閣ト雖モ間際マデ是ハ言明
サレマセヌ、是ハ當然ノコトト考ヘマスケ
レドモ、明日明後日ノ間ニ此重大ナル法案
ヲ審議シ得ザルコトハ、是ハ法律問題デモ
ナク、事務的ノ問題デモナク、常識上當然
ノコトデアリマスルガ故ニ、此問題ニ付テ
モ今日御答辯ハ求メマセヌ、求メマセヌケ
レドモ常識上首相ニ於テ相當ノ御考慮アラ
ムコトヲ希望イタシマス、私ノ議事進行ニ
關スル發言ハ是ダケデゴザイマスルガ、引
續キ此質問ニ入ルニ先立ッテ、議事ヲ進メル
ニ當リマシテ、政府ヨリ參考書類ノ提出ヲ
御願ヒ致シマス、第一ハ、衆議院ノ臨時米
穀輸入調節法案外二件ノ委員會ニ政府ヨリ
提出セラレマシタ參考書類一切、及ビ衆議
院ノ豫算委員會ニ本法律案竝ニ米穀問題ニ
關係アル書類ヲ提出サレマシタトスレバ其
一切ノ書類、殊ニ朝鮮米ノ生產費ノ算定ニ
付キマシテ、衆議院ニ於キマシテ十分ナル
材料ヲ御提出ニナラナカッタヤウデアリマ
スルガ、其後時日モ經ッテ居リマスルカラ、
朝鮮米ノ生產費ヲ御算出ニナリマシタ十分
ナル基礎材料ト云フモノガ、朝鮮總督府ノ出
張所等ニ於テアリマスルナラバ、是ハ印刷
シテ御配付ヲ願フ暇ガナケレバ、其書類ヲ
此處ニ御見セ下サイマスルナラバ、我ミ其
原文ニ付テ拜見イタシタイト思ヒマス、ソ
レカラ今一ツハ、朝鮮ニ於テ內地生產品ニ
對シテ課シツツアル移入稅ノ種類、稅額、
其豫算及ビ決算、是ハ何故ニ斯ウ云フ書類
ヲ要求スルカト申シマスレバ、今度ノ米ノ
問題ニ付キマシテ朝鮮總督府ニ於テ差別待
遇云々ト云フコトヲ頻ニヤカマシク言ハレ
ルノデアリマス、此事ハ質問ニ入リマシテ
カラ尙ホ申上ゲタイコトモゴザイマスルガ、
私ノ知ル範圍ニ於テハ、朝鮮ノ製品ヲ內地
ニ移入スル際ニ、內地ノ稅關ニ於テ移入稅
ヲ取ッテ居ル例ハナイト思ヒマスルガ、朝鮮
ニ於キマシテ、內地ニ於テ生產セラレタル
品物ガ朝鮮ニ入リマスル時ニ移入稅ヲ徵ッ
テ居ル、詰リ內地ニ對シテ差別待遇ヲ致シ
テ居ルト云フコトヲ確ニ聽イテ居ルノデゴ
ザイマス、就キマシテハ本案審査ノ參考上、
現ニ朝鮮ニ於テ內地製品ニ對シ課シツツア
ル移入稅ノ種類、稅額、其豫算及ビ決算、
之ヲ至急要求イタシタイノデゴザイマス、
ソレカラ今一ツ朝鮮總督府ニ於テハ、內地
ニ朝鮮米ガ流入セザル爲ニ、朝鮮ニ於テ朝
鮮米ノ消費ヲ奬勵シツツアルト云フニ拘ハ
ラズ、昭和八年十二月一日朝鮮總督府農林
局發表ノ「朝鮮ノ農業」ト云フ本ガアルサウ
デアリマスガ、ソレニ於テハ朝鮮ニ於テハ
朝鮮ニ於テハ朝鮮ニ於テ產出セラレタル米
ノ消費ヲ極力節約シテ、成ルベク內地ニ澤
山米ヲ送ルト云フコトヲ御奬勵ニナッテ居
ル方針ヲ、公ニセラレテ居ルト云フコトデ
ゴザイマスルガ、此只今申シマシタ昭和八
年十二月一日朝鮮總督府農林局發表ノ「朝
鮮ノ農業」、此本ヲ御配付願ヒタイ、但シ之
ガ委員全部ニ配付サレルダケノ部數ガナイ
ナラバ、政府委員ノ方、或ハ朝鮮總督府ニ
現存スル部數ダケデ宜シウゴザイマス、之
ヲ見タイト云フ者ハ、此席上ニ於テ代ル〓〓
見ルコトニナルデアリマセウカラ、一部デ
モ二部デモ結構デアリマスカラ、此印刷物
ヲ御提出ヲ願ヒタイ、以上要求イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=5
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006・松本眞平
○松本眞平君 私モ簡單ニ議事進行ニ付テ、
只今長岡委員カラ會期非常ニ切迫ノ際デ
アルガ、十分愼重審議ヲセネバナラヌト云
フ御話デアリマシタ、誠ニ此法案ハ重大法
案デモアリマスルノデ、私共モ同樣ナ考ヲ
有ッテ居ル者デゴザイマス、併ナガラ會期ガ
如何ニモ切迫ヲ致シテ居リマスルノデ成ル
ベク之ヲ普通ノ意味合カラシテノ質疑應答
ヲ重ネマスル以上、到底是ハモウ現在ノ限
ラレタル會期ニ於テハ、質疑應答ノ結了モ
困難デアルト云フコトハ、誠ニ明カデアル
ト思フノデアリマス、勿論會期ヲ延長スル
ト云フコトニナリマスレバ、是ハモウ議論
モナイノデアリマスルケレドモ、先ヅ只今
ノ所ニ於テハ、會期延長ナイモノト見マシ
テ考ヘマスル場合ニ於テハ、到底是ハ審
議ノ時間ヲ持タナイ、斯樣ニ考ヘマス、就
キマシテハ私ハ丁度衆議院ニ於テ質疑應答
ガ大分重ネラレテ、只今長岡サンノ御話ノ
ヤウニ、十數日ニ亙ッテ質疑應答ヲ重ネラレ
タノデアリマスルカラ、此質疑應答ニ付テ
ノ最モ重要ナル點ヲ國務大臣若クハ政府委
員ニ於テ整理ヲシテ、重要ナリト思フ問題
ニ付キマシテ、質疑應答ノ始マル前、若ク
ハ或ハ明日ノ委員會ノ最初ニ於テナリ、適
當ナル整理ヲシテ、質疑應答ノ點ヲ要領ダ
ケヲ御說明ニナッタラバ、大變議事進行ノ上
都合宜クアルマイカト、斯樣ニ考ヘマスノ
デ、其點ニ付テ然ルベク委員長ニ於テ御取
計ヒヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=6
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007・青木信光
○委員長(子爵靑木信光君) 承知シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=7
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008・上山滿之進
○上山滿之進君 私ハ本會議ノ續キヲ質問
イタシタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=8
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009・青木信光
○委員長(子爵靑木信光君) 今長岡君カラ
ノ御希望ノ書類ハ、當局ノ方カラ參考ニ御
出シニナリマスカ······長岡君ノハ當局ノ方
カラ參考書類ヲ御廻シ致シマス、ソレカラ
松本君ノハ御希望デアリマスカラ、承ッテ置
キマス、上山君ドウゾ······発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=9
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010・上山滿之進
○上山滿之進君 私ノ質問ニ入ル前ニ御願
ヒシテ置キタイノデアリマスガ、只今オ出
デニナリマシタカラ宜シウゴザイマスケレ
ドモ、成ルベク拓務省ノ方、朝鮮臺灣ノ方
ガ此委員會ノ席ニ出席サレルコトヲ希望イ
タシマス、大變ニ問題ガ朝鮮臺灣ニ關係ガ
深イノデアリマスカラ、御聽キニナッテ居ル
コトガ御便宜デモアラウト思ヒマスシ、又
私共ノ方デモ大變仕合デアリマスカラ、其
コトヲ豫テ御願ヒシテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=10
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011・青木信光
○委員長(子爵靑木信光君) 拓務省ノ方ニ
御願ヒシテ置キマス、成ルクケ臺灣朝鮮ノ
關係ノ政府委員ノ御出席ヲ願ヒタイト思ヒ
やく、ソレカラ御質問ハ只今順序デナク三
案關聯シテ居リマスカラ、之ヲ三案束ネテ
一ツ御審議ヲ願ヒ、御質問モ全部ニ付テ御
質問下サレテ宜カラウト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=11
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012・上山滿之進
○上山滿之進君 私ハ先刻本會議デ第一問
トシテ質問ヲ致シマシタ、詰リ本年度ノ持
越米ノ問題デアリマス、此持越米ガ非常ニ
多イト云フノト、ソレダケデナイト云フコ
トガ、此法案ヲ審議スルノニ根本ヲ爲スモ
ノト思フノデアリマス、ソレデ此點ニ付テ
質問ヲ致シタイト思ヒマス、計數ニ關係ヲ
致シマスカラ、必シモ農林大臣ヲ煩サウト
ハ思ヒマセヌノデ、御都合デ政府委員ノ諸
君ガ御話シ下スッテモ、誠ニ滿足イタシマ
ス、第一ニ昭和九年度ノ米ノ產額、卽チ昨
年ノ秋作ノ高、是ガ七千八十四萬石ト云フ
コトニナッテ居リマス、此額ガ私ハ四百八十
萬石、四百五十萬石バカリ多イト云フコト
ヲ申シタノデアリマス、本會議デ申シマシ
タケレドモ、今一應其理由ヲ玆ニ申シマス
ガ、年々ノ第二囘豫想收獲額、之ニ對シテ
其年ノ實收額ガ、過去ノ統計ニ依レバ多ク
ナッタノモ少クナッタノモアリマスケレド
モ、一番多イノハ確カ百五十七萬石ト云フ
モノガ多クナッテ居ルノガアリマス、ケレド
モ普通ハ大變少イノデアリマス、其中デ一
昨年ハ二十一萬、二十二萬石バカリ、咋
々年ハ十九萬石バカリ、斯ウ云フ數ニナッテ
居リマス、所ガ突然トシテ昨年ハ是ガ四百
八十八萬石ト云フモノガ殖エテ居リマス、
是ハドウシテモ斯ウ云フコトハ眞實トハ考
ヘラレヌノデアリマス、其由ッテ來ル所ハ恰
モ昨年ノ實收額調査ノ時初メテ此調査方法
ヲ變ヘマシテ、是ハ無論政府ノ印刷物ニモ
アリマスシ、政府デ御否定ニナル筈ハナイ
ノデアリマスカラ、其調査方法ヲ變ヘタノ
ハドウ云フ風ニ變ヘタカト言ヒマスト、是
迄ハ或少數ノ人間ガ大體見込デ調ベテ、此
位アルダラウ、此位出來ルダラウト云フコ
トヲ調ベル、所ガ今度ノ昨年ノ調査方法ニ
依リマスト、實地ニ付テ調ベタ、調査委員
ヲ澤山增シマシテ、サウシテ實地ニ付テ、
實際米ノアル所ニ付テ調ベタト云フノデア
リマス、ソレデ是ハ無論サウ云フ風ニ嚴密
ニ調ベマスト數量ノ增加スルト云フコトハ
當リ前ナンデス、其嚴密ニ調査シタ爲ニ數
量ガ殖エタト云フコト以外ニハ、四百八十
八萬石ノ增加ト云フモノガ說明ガ出來ヌノ
デアリマス、サウ致シマスト先ヅ四百五十
萬石殖エタ、詰リ形式上殖エタ、實際ニ增
收ガアッタノヂヤナイ、過去ニ於テハ隱レテ
居ッタ、調査ガ不十分ダッタカラ隱レテ居ツ
タ、今度ハ調査ガ嚴重ニナッタカラ本當ニ頭
ヲ出シテ來タ、詰リ是迄隱レテ居ッタモノガ
表面ニ現ハレタ其額ガ先ヅ四百五十萬石ト
見ナケレバ、昨年ノ收穫豫想高ト實收高ト
ノ開キガ何ントシテモ說明ガ出來ヌノデア
リマス、若シ私ノ言フ通リデアルトスレバ、
昨年ノ收穫高ハ六百萬石殖エテ居ル、詰リ
一昨年ガ六千三十九萬石デアリマスカラ、
先ヅ六百六十萬石ニ昨年ハナッタ、斯ウ云フ
風ニ見エルノデアリマス、六百六十萬石ト
云フ數字ハ如何ニモ是ハ大キナ數字デアリ
マシテ、無論昨年ガ從來ニ比ベテ豐作デアッ
タト云フコトハ疑ハレヌ、併シ全ク例ガ無
イカト言ヒマスト、昭和六年ハ六千六百八
十七萬石ト云フコトガ出テ居リマス、此外
ニハナイヤウデアリマスガ、兎モ角モドチ
ラニシテモ一ツ例ガアッタトシテ、二ツトハ
過去ニ於テハ例ガナイノデ、豐作デアッタト
云フコトハ爭ヘマセヌケレドモ、七千萬石
ト云フモノト六千六百萬石ト云フノハ大變
ナ開キニナッテ來ル、一割ノ開キニナリマ
ス、此點ヲ明カニシタイト思ヒマス、政府
デハ先刻御說明モアリマシタガ、兎モ角モ
數字ガ七千八十何萬石ト出タカラ、此數字
ニ依ルヨリ外ニ途ガナイノダ、減ッタト云フ
コトハ言ヘナイト仰ッシヤル、是ハ一應御尤
デ、政府ガ例ヘバ此米穀要覽ヲ作リ、事務
的ニ今ノ數字ヲ主張サレルト云フコトハ、
是ハ已ムヲ得ヌコトデアリマスケレドモ、
併シ事務的ノ問題ヲ離レテ常識的ニ、又ハ
政治的ト云フト大キイデスケレドモ、常識
的ニ考ヘテ、四百五十萬石カ、或ハ四百萬
石カ、五百萬石カソレハ分リマセヌケレド
モ、或程度ノ誤差ヲ認メテ、サウシテ數百
萬石殖エタ、昨年ノ實收ハ調査方法ノ變更
ニ依ッテ數百萬石殖エタラウト云フコトヲ
御認メニナラナケレバナラヌト斯ウ思フノ
デアリマスガ、其點ヲ第一ニ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=12
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013・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 私カラ最初御答
シマシテ、尙ホ補充スルコトガアリマスレ
バ政府委員カラ御答ヲ致サセマス、調査方
法ノ變更ノ爲ニ、調査方法ガ元ノ儘デアッタ
ナラバ出タデアラウ數字ヨリハ殖エタデ
アラウト云フ推測ヲサレルト云フコトニ
付テハ御同感デアリマス、併ナガラ其調査
方法ノ變更ノ爲メノ實收高ノ增加ノ數字ガ
何程デアルカト云フコトハ、全ク其判斷ヲ
致シ兼ネルノデアリマス、殊ニ昨年ノ豐作
具合ト云フモノガ各地ノ實地調査ニ依ッテ
見マシテモ、又試驗場ナドノ調査ニ依ッテ見
マシテモ、餘程ヒドイノデアリマシテ、從
テ若シ出來具合ト云フ極ク常識的ノ觀察ガ
例年ト同ジ位デアッタト云フ時ニ例年ヨリ
モ違ッタ數字ガ出來タト云フノデアリマス
レバ、マア凡ソ其位ノ調査方法變更ノ爲ノ
增加デアラウト云フ推測ガ割合ニシ易イノ
デアリマスケレドモ、今囘ノ實收ノ調査ハ
方法ノ變更ノ爲ト、昨年ノ作柄ノ非常ニ良
カッタ爲メト增加ヲドンナ具合ニ見テ居ル
ト云フコトハ判斷ヲシ兼ネルノデアリマス、
殊ニ調査方法ノ變更ガ多少增額ヲ示シタデ
アラウトハ考ヘラレマスルガ、唯一囘ノ實
績デアリマシテ、此調査方法ノ變更ガ今後
數囘繰返ヘサレルコトニ依ッテ、前ノ調査方
法ノ時代ト、或基礎數字ノ同ジ所ヲ取リマ
シテ、サウシテ同ジヤウナ增加ヲ示スヤウ
ナ實績デモ出テ參リマスレバ、的確ニサウ
云フコトガ判斷ガ出來マスデス、的確ニ行
カナクテモ凡ソ何百萬石カ方法變更ノ增加
デアラウト云フヤウナコトガ申サレマスケ
レドモ、ドウモ調査方法ヲ變ヘタダケデ、
而モソレハ一囘變ヘタダケデアリマシテ、
而モ非常ニ常識的ニ見テモ、大豐作ト見ラ
レル時ニ遭遇シテノ現ハレタ數字デアリマ
スカラ、我ミガ現實ニ政策ヲ考ヘマスル上
ニ、安全ナ數字ヲ基礎ニ致サウトシマスレ
バ、矢張リ實收高トシテ現實ニ現ハレタ數
字ヲ以テスルコトガ此際ニハ一番穩當デハ
ナカラウカ、斯ウ實ハ考ヘテ居ル譯デアリ
やっ、尙ホ政府委員カラ補充スルコトガア
レバ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=13
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014・上山滿之進
○上山滿之進君 是ダケ調査方法ノ變更ニ
依ッテ殖エタダラウト云フコトノ正確ナ數
字ヲ伺ヒタイト云フコトハ無理ナンデスカ
ラ、ソレハ私ハ申シマセヌガ、唯大體ニ於
テ數百萬石殖エタト云フコトハ、御認メ下
サッテ何ンニモ不都合ハナイト思フノデア
リマス、又サウ御認メニナラナケレバ、何
故ニ第二囘豫想ニ對シテ、四百八十八萬石
殖エタカト云フコトハ、是ハ其方ノ說明ヲ
伺ハヌトドウシテモ分ラヌノデアリマス、
是ハ試驗場等ノ報告ニ依ルノデアリマセウ
ガ、ソレハドウ云フ報〓ガアッタカ分リマ
セヌガ、ドウモ理解シ兼ネル、サウシテ古
今未曾有ノ大豐作ト云フコトヲ先ニ決メテ
掛カリマスト、又一應豫想ガ立チマスケレ
ドモ、是ハ七千八十四萬石ト云フモノガ出
タカラ古今未曾有ノ大豐作ト仰シヤルデア
ラウト思フガ、現ニ昭和六年ノ如キハ六千
六百八十七萬石、之モ古今未曾有ノ大豐作
ト見ナケレバナラヌ、昭和六年ダッタノデス
カ、兎モ角四百八十萬石ト云フ大キナ數字
ニハ無論ナッテ居ナイ······分リマシタ、先キ
ノハ昭和六年度、今ノ申シマシタノハ、昭
和六年、昭和六年ニ於テ百五十七萬石殖エ
テ居リマス、其次ハソレダケノ豐作デナイ
ノデアリマスガ、ソレデモ一昨年ノ數字ハ
六千萬石ト上ガッテ居リマスガ、ソレガ第二
囘豫想ニ對シテ二十一萬六千石ト云フコト
ニナル、然ルニ四百八十八萬石ト云フト餘リ
突飛ナ數字、其突飛ナ數字ノ起ッテ來タ原因
ト云フモノハ、ドウシテモ今ノ調査方法ノ變
更ニ依ルトヨリ外考ヘラレナイ、色ニナコト
ヲ申シマスレバソレハマア色ミナ原因ガア
ルト思ヒマスガ、斯ウ云フ大キナ數字ガ出
ルノハ原因ハ外ニハナイ、數囘アッタト仰
セニナリマスケレドモ、是ハ何囘ヤッテモ同
ジコトデアル、詰リ豫想ト云フモノニ對ス
ル實收ハ年々多少ハ違ヒマス、サウシテ收
穫豫想ト云フモノヲ御變ヘニナラヌト云フ
コトデアレバ、サウシテ產額ノ實收調査ト
云フモノヲ今ノ儘デ御進メニナルトスレ
バ、或ハ此通リノ數字ハ、四百八十八萬石
ト云フ數字ガ今後出テ來ヤシナイカ、ソレデ
ハ何時デモ第二囘豫想ニ對シテ收穫實收額ト
云フモノガ四百何十萬石モ違フ、是ハ又餘リ
ニ亂暴ナコトデ有ルベカラザルコトニナル、過
去ニ於テハ、大體ニ於テ第一囘第二囘、ソレ
カラ實收豫想、此實收豫想ナルモノガ年ニ依ッ
テ違ヒマスケレドモ、矢張リ大體ハ足並ヲ揃
ヘテ行ッテ居ル目標トスル調査ノ品物ガ同
ジ場所ニ於ケル同ジモノデアリマスカラ大
體動クベキ筈ガナイ、ソレデドウモ四百八
十八萬石ト云フモノガ殖へタト云フコトハ調査
方法ノ變更ニ依ルヨリ外ニ仕方ガナイト思フ、
サウスルトドウシテモ七千何百萬石ト云フ
增加ハ誤ッタ數字トハ申シマセヌ、正シイ數
字デアリマセヌケレドモ、過去ニ於テ現レナ
カッタモノガ、今度現ハレテ來タ、今度ノ方
ガ是正シタ、過去ヲ是正シタノデスケレド
モ、過去ノ數年間ニ比ベテ豐作デアル、豐
作デアルト云フコトヲ論ズルノニハ役ニ立
タヌ數字ニナルト思ヒマス、ソレニ對シテ
何カ御考ヘハアリマセヌカ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=14
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015・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) チヨットソレニ
對シテ御答申シタイト思ヒマス、ドウモ論
ジマスト物ノ觀方ノ相違ニ歸着スルカ知レ
マセヌガ、モウ少シチヨット申上ゲテ見タ
イト思ヒマス、私共ハ矢張リ是カラ一年位
ノ間ノ政策ヲ考ヘマス時ニ、大體七千萬石
ト云フ增產ノ數字ヲ抑ヘテカカルコトガ適
當デアルト思ッテ居リマス、是カラ差引ヲ餘
リセナイ方ガ實際成績ガ宜イト實ハ信ジテ
居リマス、ソレハ今一囘ノ豫想ト或ハ二囘
ノ豫想······第一囘二囘ノ豫想ノ場合ガ色〓
違ッテ來マスガ、豐凶ナドノ具合ニ依ッテ、
兎ニ角豫想ト實收高トノ相違ガ、上山サン
ノ御推測デハ調査方法ノ變更ノ爲ニ四百萬
石相違ノ數字ガ出タノデハナイカト云フ風
ニ仰シヤイマシタガ、豐作ノ年ニハ御承知
ノ通リニドウモ實收高ガ豫想ヨリ多クナル
コトガ屢〓アルノデアリマス、殊ニ其豐作
ノ程度ノ激シイ時ニ矢張リ殊ニ多クナルト
云フ傾キガアリマス、前ノ例ニ依リマシテ
モ、昭和五年ニ百五十萬石デアリマシタ
カ、矢張リ第二囘ノ豫想ヨリモ實收ガ多カッ
タヤウナ事例ガアリマス、百四五十萬石乃
至二百萬石ト云フ相違ガ出テ居ル例ハアリ
マス、是ハ豐作ノ時ニ出勝ナノデアリマ
ス、サウ云フ過去ノ例ヲ鑑ミマシタナラバ、
四百四五十萬石ノ增加ノ中半分位ハ矢張リ
實收現在高ノ調査方法ヲ變ヘズトモ出タカ
トモ知レヌト想像サレマス、サウスルトア
トノ殘リガ調査方法ノ變化カラ來タモノト
一應推測サレルカ知レマセヌガ、今年ノ豐
作ノ具合ハ過去ノ豐作ヨリモ更ニ激シイヤ
ウデアリマス、サウシマストマダ〓〓前ノ
通リノ調べ方ヲシタトシテ見マシテモ、豫
想ヨリ實收高ガ、今私ガ申シタヨリモ多カツ
タカモ知レヌト思ヒマス、ソレカラ實際調
査ニ當リマシテハ可ナリ嚴重ニ今度調ベル
方法ガ變ッタコトニ依フテ調ベタノデアリマ
スケレドモ、ナカ〓〓此調ベト云フモノハ
如何ニ方法ヲ變ヘテ正確ニシマシタカラト
云ッテ必ズ實數通リニ出テ來ルトハマダ〓〓
限ラナイノデアリマシテ、今年ノヤウニ豫
想外ノ豐作ニ面シタ時ニ出テ來ル實數ヲ考
ヘマスト、彼是レドウモ調査方法ノ變化カ
ラ起ッタダラウト云フ數字ヲ、的確ナ數字デ
ハナイニシテモ數百萬石ト見積ルコトガ適
當デアルヤ否ヤト云フコトニハ餘程マダ疑
問ヲ置カナケレバナラヌ事情ニアルヤウニ
思ハレマス、從テ矢張リ此數字ニ現レタ實
收高其モノヲ抑ヘルコトガ、我〓トシテハ
實際政策ノ根據ノ數字トシテ用ユルノガ適
當ダラウ、斯ウ實ハ考ヘテ居リマス次第デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=15
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016・上山滿之進
○上山滿之進君 私ハドウモ腑ニ落チマセ
ヌガ、ソレハ金ヲ用意スル方カラ言ヘバ成
ル可ク多ク······成ル可クヂヤアリマセヌ
ガ、多ク見積ッテ、サウシテソレニ應ズル所
ノ金ヲ取ッテ置クト云フコトガ安全デアル
コトハ是ハモウ確カデアリマス、併シ一方
金ヲ出ス方カラ云ヒマスト、サウ云フ大事
ナ計數ガ違フ、又私ハ其違フ方ガ正シイト思
フノデスガ、多大ナ計數ガ違フ、政府デモ
尙ホ考究ヲ要スルカニ仰セニナル、ソンナ
モノヲ目標ニシテ金ヲ出ス、大變ナ金ヲ出
スト云フコトハ餘程考ヘモノヂヤアリマセ
ヌカ、是ハ若シ豫算デモ取ルト云フコトニ
ナルト、蓋シサウ云フコトニ農林省ハ御調
ベニナラヌダラウト思フ、豫算ヲ取ルト云
フコトニナルト、現實ニ其年ノ歲計ガ幾ラ
ニナルト云フンダカラ、唯是ハ殆ド法律一
本出セバ事業資金ヲ殖ヤスコトハ出來ル、
其金ハ外カラ借リテ置クト云フノデ、卽チ
金ヲ出スノニハ都合ノ好イ氣樂ナ金ノ出シ
方デアル、將來國民ノ負擔ニ非常ニ大キナ
負擔ニナルト云フコトハ勿論デスケレドモ、當
面ノ問題トシテハ誠ニ金ノ出シ宜イ方法デ
アル、斯ウ云フ出シ宜イ方法ニ成ル可ク多ク
見積ッテ置クヤウナ形、御考ハサウヂヤアリ
マスマイガ、形ニナルト云フコトハ餘程問題
ヂヤナイカ、ソレデ私共數百萬石違フ、又
私ノ言ウタ方法デ考ヘルト、ドウモサウシ
カナラヌ、數百萬石ハ謂ハバ空ナモノデア
ルト云フコトハ大事ナ問題ダト思フ、續イ
テ伺ヒマスガ、今度ハ在米調べノ問題デア
リマスガ、此在米調ベガ一昨年十一月卽チ
昭和七年ノ十一月一日ノ在米調べ、此時モ
在米調べノ方法ガ從來ト御變ヘニナッタ、細
カイコトハ能ク存ジマセヌガ、大體ハ矢張
リ產額實收高調ト同ジコトデアル、詳シク
調ベラレタ爲ニ非常ニ在米ガ殖エテ來タト
云フコトガアル、其殖エタ在米高ガ、私ノ
見込デハ三百三十萬石バカリニナル、是人
政府ハ固ヨリ其調べ上ッタ數字ヲ正シイモ
ノトシテ御扱ヒニナッテ居ルノデアリマス
ガ、是モ極メテ明瞭デアルト思フ、上三)
ノハ、大正六年度ヨリ昭和七年度迄ノ間ニ
於テ、一人當リ消費量ガ一石一斗ヲ潜ッタノ
ハ二囘シカナイ、一石一斗ヲ潜ッタノデモ、
又一番低イノデモ一石七升一合ト云フコト
ニナッテ居ル、所ガ今ノ在米調ノ調査方法ヲ
改訂セラレタ、昭和七年度ノハ、一石一升四
合ト云フモノニナッテ居ル、六升三合減ッテ
居ル、何故ニ過去十數年間今ノヤウナ形勢
デアルモノガ、突然昭和七年度ニナッテ一
石一升四合ニナッタト云フコトハドウシテ
モ常識デ考ヘラレヌ、是ハ何處カニ原因ガ
ナケレバナラヌ、其原因ヲ段々考ヘテ見マ
スト、在米調ノ方法ガ變ッタト云フコトノ外
ニハナイ、アレバ御〓エヲ願ヒタイノデア
リマスガ、全クナイト思フ、在米調ノ方法
ガ變ッテ在米ガ多クナッタト云フト、消費量
ガ丁度ソレダケ減ッテ來ルト云フコトハ當
然ノコトデアル、在米ヲ調査シタ結果多ク
ナッタモノヲ、其儘在米調ノ方ニ御書キニナ
ルカラ······御書キニナルカラ惡イト云フノ
デハナイ、之ハ仕方ガナイ、御書キニナッタ
ケレドモ、後ノ見方ガ惡イ、御書ニナッタカ
ラ一人當リノ消費量ガ減ッテ來ルノデアリ
マス、ソレヨリ外ニ何カ在米調ガ多クナッタ
ダラウト云フ理由ガアレバ宜イノデス、又
昭和七年度ハ一人當リ消費量ガ一石一升四
合デ國民全般ガ我慢シタト云フコトノ實證
ハ上リヤウガナイ、アリ得ベカラザルコト
デアル、ドウシテモ此處ガ間違ッテ居ル、私
ハ昭和七年度ノ實際ノ調ベヲシテ見タノデ
スガ、是ハ無論總テ政府ノ材料ニ依ッテデア
リマスガ、昭和六年ノ十一月カラ昭和七年
ノ八月迄十箇月間、此間ハ是ハ固ヨリ從來
通リノ在米調ノ調査方法デ行キマシタカ
ラ、ソレガ善イ惡イハ別間題デス、正シイ
カ正シクナイカハ別問題デアルガ、兎ニ角
問題ニナル、ソレハ一人當リノ十箇月ノ平
均ガ八升九合ト云フモノニナッテ居ル、九月
十月ノ二箇月ト云フモノガ十一月一日ノ在
米高ニ支配サレテ、ソレデ十一月一日ノ在
米高ハ此年ニ非常ニ多カッタ爲ニ、政府ハ調
ベニ依ルト、九、十ノ二箇月ト云フモノハ
一箇月平均六升二合ト云フモノニナッテ居
ル、前ガ一箇月八升九合、其處デ二升七合
ト云フモノガ減ッテ居ル、ドウモ國民ガ此二
箇月ダケガ非常ニ儉約シテ居ルトカト云フ
コトハドウシテモ考ヘラレヌ、此政府ノ調
ベノ結果、結局茲ニ米穀要覽ニ上ガッテ居リ
マス一石一升四合ト云フ一年間ノ消費量ガ
出テ居ル、私ハ何ノコトハナイ、前十箇月ノ
八升九合ト云フモノガ矢張リ其後ノ九、十
ノ二箇月ニモ使ハレタモノト假定スルノガ
相當デアル、之ハ又酒造米ノ問題ガアリマ
スガ、是ハ餘リ問題ガ細カクナリマスカラ
止メマス、ノミナラズ酒造米ノコトハ、十箇
月デアルカラ差引計算スルト五分ノ一ノ違
ヒニナル、先ヅ大體ニ於テ八升九合ト云フ
モノガ一年中通ジテ攝ラレタ、サウスルト
一石一斗四升ト云フモノガ一石六升八合ト
云フモノニナラナケレバナラヌ、サウナル
ト三百三十萬石消費量ガ殖エルト云フコト
ハ在米調ガ減ル、ソレカラ昭和七年ノ十一
月一日ノ此在米調ト云フモノハ政府統計ニ
上ガッテ居ル八百九十萬石、ソレカラ三百三
十萬石バカリ引イタモノデナケレバナラ
ヌ、斯ウ云フコトニナル、サウナルト、從來
吾レ人共ニナンカナシニ理想持越米五百萬
石ト言ッテ居ッタガ、此理想持越米ガ此時カ
ラハ、大體三百五十萬石ト見テ、八百五十
萬石ト云フ計算ニナラナケレバナラヌ、是
ハ私ハ何百何十何萬石ハ如何デゴザルト云
フ質問ハ致シマセヌガ、大體ニ於テ數百萬
石ハドウシテモ在米調ガ殖エタ、在米調ノ
殖エタコトハ一昨年ノ十一月一日以後今日
ニ到ル迄モチヤントソレガ續イテ居ルノデ
アルカラ、矢張リ今日ノ、例ヘバ本年度ノ
終ヒノ持越米ガ一千六百萬石ト仰セニナレ
バ、ソレカラ數百萬石ダケハ前カラ殖エテ
居ルモノデアッテ、私ニ言ハセレバ、三百五
十萬石ハ前カラ殖エテ居ルモノデアル、今
年新ニ殖エルノデハナイト云フコトヲ言ハ
ザルヲ得ヌ、其點ヲチヨット御意見ヲ伺ヒタ
イ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=16
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017・荷見安
○政府委員(荷見安君) 只今色ミ御計數ニ
付キマシテ、ソレハ御見込デゴザイマスカ
ラ別ニドウモ御批評申上ゲル程ノコトデゴ
ザイマセヌガ、私共ノ見マスル所ニ依リマ
スト、昭和七年ハ此要覽デモ四頁カラ五頁
ニ亙ッテ御覽ヲ願ヒマスト分リマスルガ、非
常ナ凶作デゴザイマシテ、大體平年作デゴ
ザイマスト六千萬石カラ六千一百萬石ハ收
穫出來マスガ、此七米穀年度卽チ昭和六年
ノ產米ハ五千五百萬石ト云フ非常ニ凶作デ
ゴザイマシタ、私共ガ外米ヲ輸入シナケレ
バナラヌト云フコトヲ考ヘマシタノハ此時
ノ問題デゴザイマス、サウ云フ風ニ供給量
ガ少ナカッタノデアリマスカラ、結局消費量
モ一人當リト云フモノハ、約算スルト少ク
ナッテ參リマシテ、調査ノ方法ガ變ッタコト
モドレ程影響シテ居ルコトデアリマスカ、
チヨット申上ゲ兼ネマスガ、アルカモ知レ
マセヌガ、大體ハ非常ナ凶作ガ齎シタ結果
ノヤウニモ考ヘラレマス、又此二十六頁ノ
十一月一日現在ノ表ノ所ニモゴザイマスヤ
ウニ、今上山委員ノ仰セニナリマシタ此十
一月末ノ持越量ガ八百九十萬石カラ三百何
十萬石カガ差引カレルコトガ正シクハナイ
カト云フ御話ニ付キマシテハ、此八百九十
萬石ノ中、其次ノ欄ニゴザイマス、政府所
有米ハ三百十九萬石バカリゴザイマスノ
デ、此民間持越ハ五百七十一萬石バカリノ
持越ノ數字ニ相成ッテ居リマス、ソレカラ三
百何十萬石カヲ引キマスト、民間持越ガ全
國ニ亙リマシテ、內地米及朝鮮米、臺灣米及
外國米モ重ネマシテ、二百萬石位ニナルノ
デアリマス、唯端境持越ガ民間ニ二百萬石
ト云フコトハ、非常ニ少イ數字ニナリマス
ノデ、是ハ別ニドウ斯ウト云フ御見込ヲ批評ス
ル譯デハゴザイマセヌガ、調査ノ方法ガ改
マッタト申シマスヨリハ、一層供給量ガ減リ
マシタ爲ニ、一面此一人當リノ消費量ハ減ッ
タヤウニ出テ居リマスシ、又色ミノ米價ノ
關係ヤ、何カ其他ノ經濟事情デ民間ノ食延
バシト云フヤウナコトモアッテ增加シタノ
ヂヤナイカ、私共ハ最初ニ此年ノ需給ヲ計
算イタシマス時ニハ、非常ニ窮窟ニナルト
考ヘテ居リマシテ、色ミ應急ノ施設迄イタ
シタ年柄デゴザイマスガ、年未ニ至ッテ米穀
ノ數量ハ其時ノ事情ニ見マシテモ、存外豐富
デアッタヤウニ考ヘラレマス、ドウモ買入レ
マシタ外米ノ處分モ出來ナカッタト云フヤ
ウナ狀態デアリマスカラ、年度ノ代リ目ノ
現在高調査ガ變リマシタ爲ニ、數百萬石殖
エタト云フコトデハナイノデハナイカ知ラ
又、兎ニ角別ニ調査ガゴザイマセヌノデス
カラ、ソレヲ正確ニサウデアルナイト云フ
コトヲ私申上ゲルコトガ出來マセヌデス
ガ、事情ハサウ云フ事情デアリマスト云フ
コトダケ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=17
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018・上山滿之進
○上山滿之進君 今ノハ私ハ只今後段ニ於
テ說明ヲシタ昭和七年度ノ需要供給ヲ前十
箇月、後二箇月、卽チ十一月カラ八月迄ノ
十箇月、九月、十月ノ二箇月トシテ計算シ
テ居ルノデス、是ハ勿論御認メニナルト思
フノデス、又ナラナケレバナラヌト思フノ
デアリマスカラ、前十箇月ノ方ハ一箇月一
人當リ八升九合、九、十ノ二箇月ハ六升二
合、二升七合モ違フ、小三升違フト云フコ
トハドウ御說明ニナリマスカ、是ハモウ直
グ此次ニ出來テ來ル十一月ノ在米調ベガ多
カッタカラ、今度ハサウ云フ風ニ消費量ガ
減ッテ來タ、ソレハ固ヨリ問題ニナラヌト
思ヒマス、ソレニ何カ御說明ガアレバ伺ヒ
やく、御說明ガナケレバ私先ヘ進ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=18
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019・荷見安
○政府委員(荷見安君) ソレハ月ミノ消費
量ノ變化ハ成程在米調査ハ致シマスルケレ
ドモ、ドノ月ガ同ジデアルカ、少クアルカ
ト云フコトハ今モ上山委員カラ御話ニナリ
マシタヤウニ、私藏米ノ關係モアリマスシ、
又七八月以後ニナリマスト、食用農產物ト
致シマシテ、農村ニ於キマシテハ、或ハ馬
齡薯ガ出來マストカ、麥ガ穫レマストカ、
色ミナ物ガ出來マス關係上、必シモ同一ノ
消費步合デ以テ出スト云フコトハ困難カト
思ヒマス、勿論麥ノ消費ナリ、馬齡薯ノ消
費ナリト云フヤウナモノノ消費ノ統計ガ私
共取ッテゴザイマセヌノデ、之ヲ數字的ニ申
上ゲルコトハ困難カト思ヒマスガ、幾分今
ノ御疑問ノ何故九、十兩箇月ニ消費ガ減ッテ
殘存ガ擴大シタカト云フコトニ付キマシテ
ハ、或ハ他ノ代用食等ガ農家ニ出來マシテ、
米モ少カッタ年合デゴザイマスカラ、農家デ
ハ外ノモノヲ比較的餘計食料ニ供スルヤウ
ナ關係ガアリマシテ、斯ウ云フ數字ガ出テ
來タノデハナイカ知ラント思ヒマスノデ、
其調査方法モ成程所在地別ニ調査スルコト
ニナリマシテ、一層正確ヲ期シタ次第デハ
ゴザイマスケレドモ、尙ホ府縣ニ配置シマ
シタ專任職員ノ數モ一府縣一人宛位判任官
ヲ增シマシテ監督サセタヤウナコトデ、別
ニ詳細ニ手ガ盡シ得マシタト云フコトヲ申
上兼ネルノデアリマスガ、大體ガ統計ノ調
査方法ニ依ルモノハソレ程大キクハナカッ
タノデハナカラウカト思ヒマス、是ダケ申
上ゲテ御參考ニ供シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=19
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020・上山滿之進
○上山滿之進君 モウ此上申シマセヌガ、
明瞭ニ七年度ノ前十箇月ト後二箇月ト、前十
箇月ノ平均······平均デ私ハ申上ゲタノデ、
月ミノコトデハアリマセメ、平均ガ八升二
合、ソレカラ後ノ二箇月ハ新シイ在米調ニ
掛ッタ時ハ六升二合ト云フコトデ、是ハモウ
極ク明瞭ト考ヘマス、ソレカラモウ一ツ、
私獨リデ誠ニ相濟ミマセヌガ、モウ一ツ關
聯シテ居リマスカラ伺ッテ私ハ少シ休ミマ
ス、本年三月一日ノ現在米調ベガ出マシテ
其高ガ五千四百餘萬石ト云フコトニナッテ
居リマス、是ハ勿論問題ノナイ數字デアリ
マスガ、是ト前年度ノ供給量九百萬石、ソ
レカラ今ノ實收高ガ七千萬石、ソレカラ移
入調査、朝鮮カラ三百六十萬石、臺灣ハ百
四十萬石移出ハ少シノ數字デアリマスカラ
强イテ申シマセヌガ、合計デ移入モ移出モ
僅ノ數字デアリマスカラ申シマセヌガ、今
ノ數字ヲ差引キマスト三千八十四萬·····
八十五萬石ト云フコトニナリマス、是ハモ
ウ無論問題ノアルベキ數字デハナイノデス、
之ヲ此今年度ノ推定人口六千六百八十六萬
一千ト云フモノニ割リマスト四箇月ノ消費
額ガ四斗六升一合、是ガ一箇月ガ一斗一升
五合ト云フモノニナルノデ、是ハモウ表ハ
レタ數字ニ依ッテ計算シタノデアリマスカ
ラ勿論政府ニ御異存ガアラウ筈ガナイ、デ
之ヲ昨年ノ同期間、一昨年ノ十一月一日カ
ラ昨年ノ二月末日迄ノ四箇月迄ノ食料ニ比
ベテ見マスト丁度一升、一箇月一升增シテ
居ル、一箇月一升ト致シマシテ其ナリデ進
ンデ行キマスト夥シイ數字ニナル一年間約
一斗九升ト云フモノニナル、ソレデ昨年ノ
消費量一石九升八合デシタカラ是ニ加ヘ
マスト、一石二斗八升五合ト云フ、是ハ大
變ナ數字ニナル、ソレデソレニ依ッテ
立テタ算盤ノ結果ヲ申シマスト、私ハ之ヲ
今宜イトハ思ヒマセヌガ、サウ致シマス
ト此三月カラ十月迄八箇月間ノ消費總額ノ
見込ガ五千五百萬石ト云フモノニナル、サ
ウシテ是ニ朝鮮カラノ移入、是ハ政府ノ見
込通リデアリマスガ、政府ノ見込通リニ計
算ヲ致シテ、ソレヤ是ヤヲ差引イテ見マス
ト、要スルニ次ノ年度ノ持越米ハ六百五十萬
石ニシカナラナイ、千六百七八十萬ト云フ
ノガ千萬減ッテ六百五十萬石ニシカナラヌ、
ドウモ是ガ少シ數字ガ大キイト思フノデア
やく、前四箇月ノ數字ハ是ハモウ明カニ政
府ノ調査ニ依ッテ現レテ居ルコトデアリマ
スカラ、是ハ間違イナイトシナケレバナラ
ヌ、サウスルト只問題ハ三月以後ノ八箇月
間ニ於テ前四箇月ト同ジ消費ヲスルカセヌ
カト云フコトガ問題ニナリマスケレドモ、
兎モ角モ斯ウ云フ數字ガ出ル、併シ此數字
ガ非常ニ大キイト思フ、五月一日ノ現在見
込ヲ調ベテ見テ、モウ一遍考ヘヌト實ハ私
ハ必ズ斯ウナルトハ申セマセヌケレドモ、
豐年ノ翌年ハ消費ガ必ズ增加スル、是ハモウ
決マッテ居ルノデスカラ、サウシテソレハ先刻
本會議デモ申シタノデアリマスガ、過去ノ年
ニ於テ非常ニ產額ガ增加シタリスルト、產
額ノ增加シタダケ持越米ガ殖エルカト云フ
ト決シテ殖ヘテナイ、現ニ昭和三年度ハ增
產ガ七百萬石デアルガ持越ノ增ハ二百萬石、
昭和六年ハ增產七百萬石デ持越ガ三百萬、
昭和八年度ハ增產五百萬石デ持越米ハ、百
萬石ニ足ラヌ、最近ノ事實ニ於テモ豐年デ
アルト云フト澤山喰フノデス、澤山喰フカ
ラ喰ヒ減ラシデ、サウシテ持越米ガ丁度增
產ニ近イ數字ノ持越ノ增ト云フモノハナイ、
必ズ三分ノ一カ二分ノ一カ知ラヌケレド
モ、ウント減ッテ來ル、是ハモウ實際サウ
デアル、ソコデ御尋ネシタイノハ昨年ハ非
常ニ豐作デアッタカラ、今年ハ甚ダ消費ガ
增加スルト思フノデアリマスガソレハ如何
デアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=20
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021・荷見安
○政府委員(荷見安君) 豐年ノ時ハ御話ノ
ヤウニ消費ガ增加イタシマスカラ、今年モ
相當增加スルモノデナイカト考ヘテ居リマ
ス、只此數字ノ問題デゴザイマスガ、昭和
六年ニハ此要覽デ御覽ニナリマスヤウニ、
外國輸出ガ百六十萬石バカリアッテ、平年ヨ
リ約百五十萬石位ハ外國ニ出タ分ガ多クナッ
テ居リマスカラ、若モ之ヲ賣却出來マセヌ
デ內地ニ置イタト致シマスト、只今御話ノ
分ヨリ幾分持越ハ餘計ニナルト思ヒマス、
政府ト必シモ意見ガ一致セヌ譯デアリマセ
又、或部分ハ一致シタカト私ノ方デハ思ハ
レル、ソレデ要スルニ、千六七百萬石本年
ノ持越デアルト云フコトハ、餘リ過大デア
ル、何百萬石減ルトハ申シマセヌガ、ソレ
ハ申シマセヌケレドモ、今申シタ本年度ノ
消費ノ額カラ云ヒマシテ、サウシテ將來ガ
過去ト同ジニ行クモノト見マシテ、結局持
越ハ六百萬石ニナルカ、七百萬石ニナルカ、
八百萬石ニナルカ知リマセヌガ、千六百萬
石ト云フヤウナ數字ハドウシテモ出テ來ナ
イ、ソコデ問題ハ非常ニ米ノ洪水デアッテ、
衆議院ナドデモ洪水ト云フコトガ昨日ナド
傍聽シテ居ルト二度モ三度モ出タ、衆議院
ノ人モサウ思ッテ居ル、ソレデ天下一般非
常ニ米ノ洪水デアルト云フコトヲ云ヒマス
シ、政府モ何ダカ洪水ラシイト仰シヤルヤ
ウナ形ニ見エルシ、此爲ニ非常ニ世間デ惑
フテ、人心ガ不安ニ陷ル、サウシテ此米ノ
問題ノ解決ト云フモノヲ非常ニムヅカシク
ナリハセヌカト云フコトヲ實ニ私ハ遺憾ニ
思フノデアリマス、是ハ意見ノヤウニナリ
マシタガ、此邊デ私ハ止メテ置キマセウ、
又後ノ機會ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=21
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022・絲原武太郎
○絲原武太郞君 私ハ會期モ切迫ノコトデ
ゴザイマスカラ、成ルベク本案ノ方ニ近イ
モノカラ簡單ニ伺ヒマス、本法案卽チ臨時
米穀移入調節法案ガ今囘兩院ヲ通過シマ
スレバ、此實施ノ時期ハ何月頃カラ實際ニ
外地米ノ買入ヲ實行セラレル御考デアリマ
スカ、ソレカラ昭和八年度ノ朝鮮ト臺灣米
ハ昨年ノ十一月以來何程ノ數量ガ內地ニ移
入サレテ居リマセウカ、而シテ內地ノ各地
ニ分布ノ狀態ハ如何ヤウニナッテ居リマセ
ウカ、第一之ヲ伺ッテ置キタイト思ヒマス、
其內此移入米ニ付キマシテハ玆ニ參考資料
ヲ戴イテ居リマスガ、私ガ御伺ヒ致シマス
ノハ、昭和八年度產米ニ付テデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=22
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023・荷見安
○政府委員(荷見安君) 只今ノ御尋ネノ臨
時米穀移入調節法案ノ施行ヲ成ルダケ早ク
實行イタシタイト思ッテ居リマス、ソレデ大
體一二箇月程度ノ準備期間ガアリマスレバ、
間ニ合フト思ヒマスカラ、五月頃カラハ施
行出來ルコトニナリハセヌカト思ヒマス、
尙ホ御尋ネノ朝鮮米ノ內地ノ移入數量デア
リマスガ、十一月以降三月上旬マデノ分ガ、
三百九十六萬五千石ト云フコトニナッテ居
リマス、ソレカラ臺灣ノ米ガ、二月下旬マ
デノ間ニ十一月カラ累計イタシマスト、百
四十五萬三千石ト云フコトニナッテ居リマ
ス、朝鮮米ノ移入ハ前年ニ比ベテ、同期間
ニ六十四萬二千石ノ增デゴザイマス、臺灣
ノ方ノ米ハ前年ニ比ベマシテ十七萬七千石
ノ減ニナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=23
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024・絲原武太郎
○絲原武太郞君 次ニ御伺ヒ致シタイト思
ヒマスノハ、當法案ガ通過イタシマシテ、
實施ノ曉ニハ朝鮮產米ニ對シマシテハ移入
ハ自由ニナリマセウシ、又買上價格ヲ補償
セラルルヤウナ結果トナル譯ヂヤナイカト
思ハレマス、仍ッテ內地ニ於ケル企業家又ハ
地主農民ガ之ニ對シテ愈、增產ノ奬勵ニナ
ルヤウナ風ニ考ヘラレマスルガ、此點ニ付
キマシテ農林省ハ如何ナル御考ヲ御持チデ
ゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=24
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025・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 米穀法ヲ實施シ
テ臺灣米ノ買上ヲスルコトニナレバ、買上
ヲシテモ、一面ニ入ッテ來ル米ハ自由ナノデ
アルカラシテ、朝鮮米ノ値段ガソレダケ幾
ラカ高クナッテ來ルト云フ結果、益、增產ヲ
奬勵スルノ結果ニ陷ルノデハナイカ、斯ウ
云フ御尋ネデゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=25
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026・絲原武太郎
○絲原武太郞君 左樣デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=26
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027・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 是ハ米價ガ高ク
維持サレマスレバ、增產ヲ奬勵スル惧ガア
ルノデハナイカト云フコトガ常ニ言ハレルコ
トデアリマシテ、內地ノ統制法ニ依ル米價
維持ニ付テモ同ジヤウナコトガ一部ノ人カ
ラ論議サレマスシ、値段ガ高クサレルト云
フコトハ、ドウシテモ增產ノ傾向ヲ生ズル
デアラウト云フ惧ハアルノデアルト思ヒマ
ス、併ナガラアルト存ジマスルガ、此法案
ハ御承知ノ通リ臨時法デアリマシテ今年カ
ラ來年ノ出來秋ニ掛ケテノ米ガ買上ヲスル
コトニ依ッテ、値段ガ幾ラカ良クナルト云フ
コトハ又翌年モ增產ヲ奬勵スルデアラウト
云フコトハ考ヘラレヌデモゴザイマセヌケ
レドモ、ソレヨリモ內地ノ米價ニ對スル壓
迫ヲ除クノ效果ガ相當適切デアル、其爲ニ
此臨時便法ヲ講ズルコトガ今ノ場合ハ應急
處置トシテ相當デアラウト考ヘテ居ルノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=27
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028・絲原武太郎
○絲原武太郞君 此只今ノ御答デ增產ノ傾
向ヲ來タスデアラウト云フ御答辯デアリマ
ス、此增產ノ關係ニ付キマシテハ、更ニ後
段ニ又御伺ヒ致シタイト思ヒマス、次ニ御
伺ヒ致シタイト思ヒマスコトハ本法案ガ法
律トナリマシテ、實施セラレルヤウニナリ
マスレバ、自然朝鮮竝ニ臺灣、外地米ハ外
地ノ要求ニ應ジテ買上ヲセラレルコトニ相
成ラナクチヤナラヌカト思フノデアリマス、
左樣ナ風ニナリマスルト、此內外地ヲ通ジ
マシテ此米穀ノ需要供給ヲ推算シテ、而シ
テ此統制ヲセラレネバナラヌコトニ相成ル
デアラウト考ヘラレルノデアリマスガ、內
地ノ需給上ノ必要ナダケノ外地米ヲ輸入シ
マスルヤウナ政策ヲ、此需給調節法ニ依リ
マシテ····此統制法ニ依リマシテ、ナサ
ル御考ハアリマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=28
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029・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 此米穀ノ移入ノ
調節法ハ、內地ノ米穀ノ需給關係ノ均衡ヲ
圖ルガ爲ニ實行シヤウトシテ居ルノデアリ
マシテ、朝鮮臺灣ニ於ケル買上ノ要望ニ應
ジテ買上ゲルト云フ趣旨ハ全然ゴザイマセ
又、內地ノ需給ノ關係ヲ圖ッテ內地ニ入ッテ
來ル米ノ數量ヲ調節スル爲ニ買上ヲ行ハム
トスルモノデアリマス、尙チヨット前ニ御答
シタコトニ附加ヘテ置カナケレバナラヌノ
ハ、値段ガ幾ラデモ高ク維持サレルト云フ
コトハ、安イ場合ヨリハ增產ト云フ方ノ傾
ヲ生ズル働キヲナスデアラウト云フコトヲ
申シタノデアリマス、現實ニ此買上ヲスル
カラ增產ヲスルダラウカト云フコトハ自カ
ラ問題ガ違ヒマス、或ハ代作ノ奬勵デアリ
マストカ云フヤウナコトヲ考ヘテ居リマス
ガ、增產ノ問題ハ更ニ延イテ內地ニ入ル米
ガ多クナルダラウカドウカト云フ問題ニ
入ッテ來マスレバ尙ノコト、關稅法ノ問題モ
考慮シテ居リマスカラ、現實ニ、之ヲヤレ
バ、現實ニ增產ガ生ズルト云フコトヲ申ス
ノデハアリマセヌ、此コト自體ノ影響ヲ申
スト、是ハサウ云フ働キヲ持ツノデアル
ガ、他ノ政策ガ加ッテ參ルト云フコトモ我〓
ノ方デ努力ヲ致シテ居ルコトデアリマスカ
ラ、ソレダケチョット條件付ケテ御答ヲ致シ
テ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=29
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030・絲原武太郎
○絲原武太郞君 只今ノニ次イデ御伺ヲ致
シマスガ、外地ニ於ケル此過剩米ハ、今囘
ノ臨時米穀移入調節法ニ依リマシテ兎ニ角
或程度迄ハ政府デ買上ゲラレルコトニナル
ノデアリマス、從テ此內地移入ハ、內地ガ
不足ヲ生ジマス必要ナ數量ダケヲ矢張リ政
府ノ手ヲ經マシテ、出來得ル限リ月別的ニ
平均シテ內地ニ移入セラレタナラバ、內地
ノ米價ノ調節上非常ニ其價格等ガ安定スル
コトニナリマスガ、此所迄進ンデ御實行ナ
サル御考ハアリマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=30
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031・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 此法案ハ御覽ノ
通リニ、サウ云フコトニハ相成ッテ居ラナイ
ノデアリマス、此法案ノ運用ニ依ッテハ無論
サウ云フ譯ニ參リマセヌ、今御話ノヤウナ
問題ハ我ミモ關係ノ各省ト色ミ考究シタ際
ニモ出タ話デアリマスケレドモ、實際ノ實
行案トシテサウ云フ手段ヲ今直ニ取ルト云
フ結論ニハ到達イタサナカッタノデアリマ
シテ、今日ノ場合ハ斯ウ云フ臨時ノ對策ヲ
以テ移入米ノ調節ニ臨ンデ行カウト云フ結
論ニナリマシテ、此法案ヲ提出シタ譯デア
リマス、今後內外地ヲ通ジテノ需給關係、
米穀調節問題ト云フモノト共ニ、只今ノヤ
ウナ問題ニ觸レテノ問題ヲ考究イタシテ見
ヤウト考ヘテ居ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=31
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032・絲原武太郎
○絲原武太郞君 私ハ只今ノ御答辯ニ
依リマシテ大體ノ御考慮アラレマスルコ
トハ諒承イタシタノデゴザイマスガ、
此外地ノ過剩米ト內地米ノ關係ニ付キマ
シテハ、只今申上ゲマシタ所迄參リマ
セネバ、此米穀ノ統制、或ハ此內地ノ
米穀ノ價格維持ト云フヤウナ點ハ、將來ノ
解決ニ付キマシテハ私ハ最モ困難ナモノト
考ヘルノデアリマス、此點ハ更ニ一ツ御考
究下サイマシテ、只今申上ゲマシタ所マデ
御進メニナリマスヤウニ御考究ヲ御願ヒ致
シタイト思ヒマス、若シ外地ニ於ケル過剩
米ヲ前述ノ如キ方法ニ依ッテ解決セラレ、又
進ンデ若シ內地ニ移入シマス所ノ必要アル
持越ノ過剩米ガアル場合ニハ、內地ニ移入
シナイデ、外地ニ於テ之ヲ賣却スル、或ハ
加工其他ノ方法ニ依ッテ始末セラレルコト
ガ最モ私ハ適當ナル方法デナイカト思フノ
デアリマス、此點ニ付キマシテ、米穀ノ加
工其他ノ外國輸出ト云フ方ハ、主ニ外地米
ヲ以テナサルルト云フヤウナ御考ハアリマ
セヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=32
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033・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 只今ノ所マダ左
樣ナコトニ、勿論方法モ立ッテ居リマセヌ
シ、矢張リ內地、外地ノ米ヲ買上ゲヲ致シ
マシタモノヲ、出來ルダケ適當ナ處分ヲ致
ス方法トシテハ、只今ノ方法ヘ考ヘル積リ
デアリマス、御意見ノ點ナドハ今直ニ實行
スルコトニハ相成ッテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=33
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034・絲原武太郎
○絲原武太郞君 次ニ倉庫ノ件ニ付イテ御
尋ネ申上ゲタイト思ヒマス、是ハ衆議院ニ
於キマシテモ質問ニナリマシテ、御答ヘニ
ナッテ居ルヤウデアリマスルガ、今囘臨時米
穀移入調節法案ヲ外地ニ實行ニナルト云フ
コトニ付テ、其外地ノ倉庫ノ準備ハ旣ニ御
調査ニナッテ居リマスカ、御見込ニ依リマス
ト、七百萬石ノ程度ハ買上ゲニナルヤウナ
御考ヘノヤウデアリマスルガ、七百萬石ト
申シマスルト、約十萬坪位ノ倉庫ヲ必要ト
サレルノデハナイカト推定サレルノデアリ
マス、是ハ本件ニ付キマシテハ旣ニ御調査
濟デアリマスカ、若シ倉庫ガ非常ニ不足ダ
ト云フコトニナリマスト、此法案ハ實施ヲ
致シ難イコトニ相成リマスガ、此點ニ付テ
御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=34
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035・荷見安
○政府委員(荷見安君) 此臨時米穀移入調
節法案ヲ實行シマスノニ付テノ倉庫ノ問題
デアリマスガ、是ハ只今デハ若モ必要ガア
ル場合ニハ買入レヲ致シマストシテ最高限
度デアリマスル七百萬石程度ヲ買ヒマスレ
バ只今デハソレマデノ倉庫ハゴザイマセ
又、只今デハ朝鮮ニ於キマスル收容力ノ關
係ハ四十萬石カラ五十萬石ノ程度ノモノハ
アリマス、其他ハ政府デ昨年ノ暮カラ本年
ノ始メニカケテ、季節出廻リ數量調節ノ爲
ニ買入レマシタ朝鮮米ガ約百二十萬石朝鮮
ニアル譯デアリマス、其季節調節出廻リノ
爲ニ買入レマシタ米ハ、若モ米價ガ標準最
低價格ヨリ五分以上ニナリマスレバ、賣拂ッ
テシマフコトヲ適當トスルモノデアリマシ
テ、大體年內ノ出廻リヲ調節スル爲ニ買ッタ
米デアリマスノデ、若モ是ガ此夏場ニカケ
テ販賣ガ出來マスレバ、百二十萬石位ノ收
容力ハ生レル譯デアリマス、サウ致シマス
ト云フト、此五月以後ニ買入レル所ノ二百
四五十萬石ノ米ト云フモノハ、是ハ相當餘
裕ガ付ク譯デアリマス、ソレカラ來年ノ作
柄ヲ見マセヌケレバ、ドレ位買フヤウニナ
ルカ判然イタシマセヌガ、若モ其他ニ必要
ガアリマスレバ、是ハ民間ノ倉庫業者ニ對
シテ、倉庫ノ建設等ヲ勸誘イタシマシテ、
相當數量ガ擴張出來ルデアラウト考ヘテ居
リマス、必シモ內地ト同樣ニ行クト云フ譯
デハゴザイマセヌガ、內地ニ於キマシテモ
昨年末以來、民間ノ倉庫業者デ建築サセマ
シタモノハ、約二百萬石程度ノ收容力ノア
ル倉庫ヲ建設サセマシテ、而モ急イデアル
ト、燻蒸ガ出來マスヤウナ倉庫ガ約二十日
間デ竣エシテ居ルヤウナ事情デアリマシテ、
若モ非常ニ必要デアレバ、急イデ建築モ致
サセマス、又政府ノ方ニ於テモ幾分經費ガ
取ッテゴザイマスカラ、已ムヲ得ナイ時ニハ、
適當ナ所ニ倉庫ヲ建築スルト云フコトニ考
ヘテ居リマスカラ、此收容力ノ點ニ於テハ、
買入レヲ必要トスル實情ニ立至レバ、何ト
シテモ間ニ合セルコトガ出來ルト考ヘテ居
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=35
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036・絲原武太郎
○絲原武太郞君 次ニ御尋ネシタト思ヒマ
スコトハ、上山君ノ方カラ昭和八年度ノ生
產米ノ、九年ノ持越米ニ付キマシテノ色ミ
高遠ナル御質問モアリマシタシ、政府カラ
ソレニ御答ニナッテ居リマスガ、マダ御意見
ガ一致シマシタヤウナ御答辯ガナササウニ
承ッテ居リマス、政府ノ方ノ此持越豫想米
ハ、只今配布ニナリマシタ書〓ニアリマス
カドウデゴザイマスカ、大體ドノ程度ノ持
越米ト御推定ニナッテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=36
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037・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 此端境期ニ於ケ
ル持越米ノ政府ガ抱イテ居リマス大體ノ推
算ハ千六七百萬圓ト云フコトデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=37
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038・絲原武太郎
○絲原武太郞君 若シ果シテ政府ノ御推定
ニナッテ居リマス數量ノ持越米ヲ、昨年度ハ
之ヲ持越スコトニ相成リマスト、又丁度昭
和八年度ノ內外兩地ニ於キマシテノ產米ノ
豐作ト云フヤウナコトハ豫期シナイノデア
リマスルケレドモ、大體ニ於キマシテ、本
年ノ如キ狀態ヨリシテ考ヘマスレバ、內外
ヲ通ジマシテハ、内外地ノ人ノ消費ニ依リ
テハ或ハ生產過剩ト云フヤウナコトニ相成
ルモノデナイカト推定モセラレルノデアリ
マス、此點ニ付テ政府ハ如何ヤウナ御考ヘ
ヲ御持チデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=38
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039・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 大體左樣ニ推測
サレルノデアリマス、此昭和九年ノ新シイ產
米ガ、昭和八年ト同ジ程度ニ內外地ヲ通ジ
テ增產ヲサレタト云フヤウナコトデアルト
シマスレバ、サウシテ端境期ノ今年ノ持越
米ガ千六七百萬石程度デアルト云フ推定ヲ
取リマスルト、矢張リ相當ナ過剩ガ玆ニ現
ハレテ參リマス、丁度今御協賛ヲ願ッテ居
リマスルヤウナ、非常資金ノ計畫ヲ一應立
テテ置ク必要ガアルヤウニ思フノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=39
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040・絲原武太郎
○絲原武太郞君 只今御答辯ヲ得マシタヤ
ウナ感ジガ、ドウモ私等モ最近ニナッテカ
ラ考ヘラレルノデアリマス、就キマシテハ
今囘法案モ御提出ニナリマシテ、種々米穀
加工其他ノコトニ付キマシテノ〓究モセラ
レルヤウデアリマスルガ、現在マデニ此過
剩米ガ將來相當ナ數量ガ年々生產サレルモ
ノトシマシテ、之ニ對スル恒久的ノ對策ガ
是非必要デアルト考ヘマス、卽チ米穀ノ用
途ノ轉換或ハ內外地ヲ通ジマシテノ代作、
進ンデ減作ヲスルトカ、兎ニ角內外地ヲ通ジ
マシテノ生產統制ニ付キマシテハ、相當此
際考慮ヲ要スベキモノト考ヘルノデアリマ
ス、之ニ付キマシテ從來既ニ御調査ナリ御
〓究ニナッテ居リマスカ、若シ居リマスレ
バ、其調査ナリ〓究ノ御發表ヲ御願ヒ致シ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=40
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041・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 近年ノ如キ米穀
需給ノ狀況ヲ見マスルト、是ガ更ニ將來永
續キスルモノデアルトシマスレバ、ドウシ
テモ消費ノ增加、一面ニハ生產ノ方ノ統制
ト云フコトガ必要デアルト考ヘテ居リマ
ス、併ナガラ米ノ消費ノ增加ニ關シテ新規
ノ方面ヲ開拓スルト云フヤウナ問題ハ、實
ハ今日マデ餘リ考究サレテ居リマセヌ、昨
年來當局ニ於キマシテモ銳意是ガ考究ヲ進
メテ參ッテ居リマス、政府所有米ヲ斯ウ云
フコトノ爲ニ使フ途ヲモ拓イテ行カウト云
フ法案ノ御協贊ヲ願ッテ居ルノモ實ハ其爲
メデアリマス、之ニ依ッテ相當ナ程度ノ將
來用途ノ開拓ガ出來ハセヌカト云フヤウナ
推測ハ有ッテ居リマスケレドモ、的確ナコト
ハ今申上ゲラレマセヌ、更ニ內外地ヲ通ジ
テノ生產統制ノ問題ハ先年來ノ宿題ニナッ
テ居ルノデアリマシテ、當業者ト關係當局
ノ間ニ協議ヲ試ミテ見タヤウナコトモゴザ
イマスケレドモ、マダ具體的ノ成案ヲ得ル
マデニハ今日至ッテ居リマセヌ、此處デ發表
ヲシテ御話スルヤウナモノハ出來テ居ナイ
ノヲ甚ダ遺憾ト思ヒマスノデアリマス、今
後速ニ考究ヲ進メテ見タイト考ヘテ居ル次
第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=41
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042・絲原武太郎
○絲原武太郞君 生產統制ニ付キマシテ考
ヘマスルノニ、內地ニ付キマシテモ相當考
慮ヲ要スル場合ハ前申上ゲマシタ通リデア
リマスガ、殊ニ外地ノ朝鮮等ニ於キマシテ
ハ、最モ此點ニ付キマシテ此際格別ノ注意
ヲ要スルコトト考ヘル、然ル故ニ朝鮮ニ於
キマシテハ、內地ニ於ケル米穀ノ生產狀況
竝ニ外地カラ移入シマス所ノ米穀ノ關係ニ
於キマシテ、ソレ等ヲ通ジマシテ過剩ノ狀
態ヲ今日齎ラシテ居リマスルガ、之ニ適應
シマシテノ政策ヲ執ラネバナラヌト云フコト
ガ考ヘラレルノデアリマス、此際朝鮮ノ產
米增殖ヲ打切ッテ、其他ノ代作卽チ產棉增殖
トカ其他徹底シタ計畫ヲセラレテ、イッソ朝
鮮ニ於ケル產米增殖ノ計畫ハ打切ラレルヤ
ウナ御意思ガアリマスカドウデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=42
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043・今井田清徳
○政府委員(今井田〓德君) 朝鮮ノ產米增
殖計畫ニ付キマシテハ、將來新規ナ事業ハ
見合セタイ、政府ガ補助ヲ與ヘマシテ支出
スル所ノ產米增殖計畫ハ、新規ナモノニ付
キマシテハ將來之ヲ當分ノ間見合セタイ、
卽チ今日ノヤウナ狀況ニアリマス間ハ見合
セタイト云フコトヲ考ヘテ居リマス、併シ
既ニ工事ニ着手イタシテ居リマスル分ニ付
キマシテハ種々ノ狀況ニ鑑ミマシテ、之ヲ
繼續スルモ已ムヲ得ナイモノト考ヘテ居ル
次第デアリマス、尙ホ又代作奬勵等ニ付キ
マシテテハ、先程農林大臣ヨリ御答ヘニナ
リマシタ通リ、種々調査ハ致シテ參ッタノデ
アリマス、又米穀對策ト云フ意味カラノミ
生ジタ譯デハアリマセヌガ、棉作ノ奬勵等
ニ付キマシテモ先年來相當ノ助成金ヲ出シ
マシテ、極力之ヲ奬勵イタシテ居ルノデア
リマシテ、是等ノ結果ニモ鑑ミマシテ、將
來米作ヲ新シク轉換スルト云フコトニ付キ
マシテモ考究ヲ致シタイト考ヘテ居ル次第
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=43
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044・絲原武太郎
○絲原武太郞君 次ハ朝鮮ニ於ケル米ノ消
費ノ狀況ヲ見マスルノニ、人口ガ年々增加
シマスルニ拘ラズ、朝鮮ニ於ケル米ノ消費
ハ反對ニ年々減少シテ居ルヤウニ考ヘラレ
マス、一例ヲ申上ゲマスト、是ハ果シテ此
數字ハ確實ナモノデアルカドウカ分リマセ
ヌケレドモ、農會方面ノ調査ニ依リマスル
ト、大正七年カラ大正十一年マデニ於ケル
五箇年ノ平均ハ、生產ガ一千四百四十四萬
四千石デアリマシテ、內地ニ移入シテ居リ
マス數量ハ二百五十四萬八千、而シテ朝鮮
ニ於ケル自然消費シタ在米カ分リマセヌ
ガ、兎ニ角其消費シタ數量ガ一千六百八十
四萬六千、大正十二年カラ昭和二年マデニ
至ル所ノ五年間ノ平均ノ生產ガ一千五百
十五萬三千石、內地移入數量ハ四百四十
九萬五千石、而シテ朝鮮デ消費サレマシタ
數量ハ千十九萬四千石、次ニ昭和三年カラ
昭和七年ニ至リマス五箇年ノ平均數量ヲ見
マスルト生產千五百七十二萬二千石、內地
移入ノ數量ガ六百五十九萬石、差引朝鮮ニ
於テ消費スル所ハ九百十三萬二千石、斯樣
ナ數字ガ示サレテ居リマス、之ヲ見マスル
ト年々生產ハ增加シ、消費ノ方ハ追ミ減少
スル、斯ウ云フ現象ニ相成ル、朝鮮ノ農業
ガ追〓進步發達スルト云フコトニナリマス
ルト勢ヒ內地ニ向ッテ、是コソ洪水ノヤウニ
入ッテ來ナケレバ始末ノ付カナイコトニ相
成ルノデアリマス、付キマシテハ前段ニ於
キマシテ外地ノ米ハ外地デ始末スルヤウナ
方法ヲ御採リニナル御考ヘハアリマセヌカ
ト云フコトヲ伺ッタノデゴザイマスルガ、兎
ニ角外地ニ於テ今少シク食料其他ニ消費ノ
方法ヲ講ゼラレルコトガ最モ必要ト思フノ
デゴザイマス、此點ニ於キマシテハ現在朝
鮮方面デハ如何ヤウナ狀態ニアリマスル
カ、伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=44
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045・今井田清徳
○政府委員(今井田〓德君) 朝鮮ニ於キマ
シテ消費量ガ大體ニ於キマシテ年々減ル傾向
ノアルコトハ統計ノ上ニ現ハレタ數字ニ付
キマシテハ御話ノ通リノ結果ガ現ハレテ居
ルノデアリマス、ソレ等ノ原因ニ付キマシ
テハ勿論財界ノ好況、不況、年ノ豐凶等ニ
因リマシテ異ナルコトト存ズルノデアリマ
スガ、大體ニ於キマシテ減少ノ傾向ヲ持ッテ
居リマス、之ニ付キマシテハ今日ノ米穀事
情ニ鑑ミマシテ朝鮮ニ於キマシテモ出來ル
ダケ米ヲ消費シタイト云フヤウナ方針ヲ以
チマシテ朝鮮內ニ於テ消費サレ、又滿洲方
面カラ多量ニ輸入セラレテ居リマス代用食
ノ粟ノ關稅ヲ高メマシテ幾分デモ粟ニ代プ
ルニ米ノ消費ヲ以テシタイ、又直接ニ米ノ
消費ヲ殖ヤシタイ、ソレガ爲ニハ細民ニ他
ノ代用食ヲ止メル爲ニ負擔ヲ過重セシメナ
イ範圍ニ於キマシテ、米ノ消費ヲ勸メタイ
ト云フヤウナ考ヘヲ以チマシテ、籾ノ現物
ヲ極ク低利ニ細民ニ貸與ヘマシテ、サウシ
テ他ノ代用食ニ代フルニ米ヲ以テスルト云
フヤウナ方法ヲ採ッテ居ルノデアリマス、何
レモ非常ニ著シイ效果ヲ直ニ擧ゲルト云フ
譯ニハ相成ッテ居リマセヌガ、左樣ナ種々ノ
方面ニ於キマシテモ既ニ相當施設ヲシテ
參ッタノデアリマス、今後尙ホ只今申シマシ
タヤウナ施設以外ニ於キマシテモ朝鮮内ニ
於テ食料品トシテ或ハ其他ノ方途ニ米ヲ消
費スルコトニ付キマシテハ、十分ニ〓究イ
タシタイト考ヘテ居リマス、唯先程朝鮮內
ニ於テ出來タ米ハ全部朝鮮內デ始末スルヤ
ウニト云フヤウナ御話ガアッタノデアリマ
スルガ、朝鮮ト致シマシテハ今日產業上米
ガ最モ重要ナル生產物ニナッテ居リマシテ、
之ヲ年々內地ニ移出イタシマシテ、ソレニ依ツ
テ得タル所ノ收入ニ依ッテ內地カラ多クノ
雜貨ヲ移入シテ居ルト云フ狀況デゴザイマ
スカラシテ、鮮內ニ於テ他ノ方途ニ之ヲ始
末スル爲ニ著シク不利益ヲ蒙ルト云フコト
ニナリマスト云フト、今日ノ內地外地ノ移
出入ニモ惡影響ヲ及ボスト云フコトニナラ
ウト存ジマス、ソレ等ノ各般ノ狀況ヲ考慮
イタシマシテ只今ノ此趣旨ニ付キマシテハ
今後十分ニ〓究努力イタシタイト考ヘテ居
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=45
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046・絲原武太郎
○絲原武太郞君 餘リ長クナリマスカラ私
ハ一應之デ打切リマシテ更ニ····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=46
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047・上山滿之進
○上山滿之進君 チヨット私ハ先刻ノ質問
ニ關聯シテ政府ニ要求シタイ、先刻申述べ
マシタ昭和九年度米穀需給ノ私ノ計算ノ中
デ、昨年十一月カラ本年ノ二月迄ノ四箇月
間ニ於ケル需要供給ノ關係ノ數字ヲ申上ゲ
マシタ、是ハ私全部政府ノ統計ニ依ッタ積リ
デアリマス、多分間違ナイト思ヒマスガ、
之ヲ一應御調ベヲ願ヒタイ、ソレカラソレ
ニ續ケテ三月カラ十月迄ノ需給ノ豫想ノ計
算モ願ヒタイ、隨分將來ノ需給ノ豫測ヲス
ルコトハ困難デアルコトハ私モ自分デ經驗
モシテ居リマセヌケレドモ、一通リ需給ノ
計算ガ出來ナケレバ又何モ考ヘラレヌト云
フコトニナルノデ已ムヲ得ズ困難ヲ忍ンデ
需給ノ計算ヲ吾レ人共ニスルノデアリマ
ス、政府ハ九年度米穀需給ノ推算ヲ三月一
日ノ在米高ノ分ル前ニ既ニ衆議院デ說明サ
レタノデアリマスガ、本院ニモ今年ノ三月
一日ヲ基礎ニシタ此見込ヲ御提出ヲ願ヒタ
イ、唯朝日新聞ニ出テ居リマス端境期ノ持
越米實ニ千六百萬石トシテアルノデアリマ
スガ、何ダカソレハ政府ノ今日ニ於ケル御
推測ト合フヤウニ思ハレル、是ハ誠ニ困ル
ノデ、消費ノ見込高ガ四千五百何十萬石ト
云フ計算ガ前年同期間ノ消費ニ對シテ人口
增加ニ因ル消費額ヲ加へテ出シタノデアリ
やく、是ハ御斷リシテ置キマスガ、是ハ駄
目ナンデ、過去ノ四箇月ヲ基礎トシテ此後
ノ八箇月モ計算サレナケレバナラヌ、但シ
後ノ八箇月ノ中デ過去ノ四箇月ニ消費シタ
ヨリハ或ハ多クナリ、或ハ少クナルト云フ
見込ノモノガアレバ、其見込ヲ付ケテ之ヲ
差引キスルナリ、又ハ增加スルナリシテノ
計算デナケレバ役ニ立タヌ、過去ガ一箇月
一人當リ一石一斗一舛五合ト云フモノヲ將
來ニ於ケル八箇月ニ對シテハ例ヘバ一石五
舛トカ一石九舛トカ云フモノニサレタノデ
ハ何ニモ譯ガ分ラヌノデアリマス、ソレデ
過去ニ於テ是ダケ消費シテ居ッタ、將來ハ是
ヨリ增スデアラウトカ減ルデアラウトカ云
フ御見込ガ立テバ此御見込ガ立ッタ理由ヲ
明カニシテ貰ヒタイ、例ヘテ申セバ過去ノ
一石一斗一舛五合、此中ニハ酒造米ガ含マ
レテ居リマスカラ其酒造米ハ無論計算ヲシ
テ除カナケレバナラヌ、將來ノ八箇月ノ消
費ノ量ニハ入レテハナラヌノデアリマスカ
ラサウ云フヤウニ大キナ數量デ、的確ナル
理由ガアルモノハ別トシテ唯何カナシニ前
年ノ同期ノ消費量ニ、今年ノ人口ノ增加ニ
依ル消費ヲ加ヘタノヂヤ意味ヲナサヌノデ
アリマス、此意味デ本年ノ需給推算ヲ御提
出ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=47
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048・荷見安
○政府委員(荷見安君) 今ノ御話ノ點ハ、
御話ノヤウナ組立ニ依ッテソレヂヤ作ッテ見
やっ、唯私共ガ是迄作リマシタ需給ノ推算
ハ隨分久シイコト此一人當リ消費額ト云フ
モノヲ以チマシテ、ソレデ推算イタシマシ
タノデス、トコロガ人口ノ統計ガ五箇年ニ
一遍カ出來マスト、其結果其間ノ增加步合、
將來ノ增加步合ガズット違ヒマシテ、其度其
度ニ御承知ノヤウナ要覽ノ一人當リ消費額
ヲ改訂イタスヤウナコトニナリマスノデ、却
テ過去十五箇年位ノ趨勢カラ見マシタ消費
增ノ步合ト云フヤウナモノヲ出シマシテ、
ソレデ取ッタ方ガ宜カラウカト思ッテ、最近
一二年ソレヲ試ミテ居リマス、ソレカラサ
ウ云フ分モ一ツ作ッテ御目ニ掛ケタラドウ
カト思ッテ居リマス、唯私共ノヤリ方ガチ
ヨットモウ一人當リ消費ヲ使ハズニヤッテ居
ル方法ヲヤッテ居リマスモノデスカラ、ソ
ダケ御含ミヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=48
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049・上山滿之進
○上山滿之進君 誠ニ結構デ、新シイ方法
ガ發見サレルト云フコトハ結構デアリマス
カラ、是ハ私モ喜ンデ戴キマスシ、又此問
題ヲ根柢的ニ〓究シヤウトスルニハ、サウ
云フ色ミナ調査ノ方法ガ必要デアリマス、
ケレドモ前ト現在ト······過去ト現在ト將來
トヲ比較シヤウトスルノニハ、大體其調査
ノ方法ガ同ジデナケレパナラヌ、ソレデ是
ハ惡イト云フノヂヤアリマセヌケレドモ、
在米調ニシテモ、實收高調ニシテモ、調査
ノ方法ヲ御變へニナッタラ非常ニ面倒ガア
リマス、是ハ變ヘタノガ惡イト云フノヂヤ
ナイ、良クナッタカラ宜イケレドモ、實ハ時
ガ惡イノデ、天道樣ガ斯ウ云フ豐作ニシタ
年ニソイツガ出テ來タモノダカラ、誠ニ始
末ニ了ヘナイ、是ハ仕方ガナイノデス、良
イコトダカラ仕方ガナイケレドモ困ル、ソ
レデ今ノ御話モドウゾ過去ノヤリ口ニ依ッ
テ、詰リ過去ト現在ト將來トヲ對比シテ見
ルコトノ出來ルヤウナ·····簡單ニ對比シテ
見ルコトノ出來ルヤウナ風ノモノヲ要求ス
ル、其外學問的ニ〓究ヲスル爲ニ斯ウシタ
ラ宜カラウ、アアシタラ宜カラウト云フモ
ノガ御有リナラバ有難ク受ケテ置キマスケ
レドモ、主トシテ要求スルノハ從來ノ調査
報告ト云フコトデアリマス、ドウゾ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=49
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050・長岡隆一郎
○長岡隆一郞君 私モ材料ヲ亦御願イタシ
タイノデスガ、先程二三ノ御願ヲ致シテ置
キマシタ、今絲原サンカラノ質問應答ノ時
ニ伺ッテ居リマシタガ、將來ニ於ケル過剩米
ノ新消費方法ヲ御〓究ニナルト云フコト、
旣ニ相當ノ豫算ヲ御計上ニナッテ居ルヤウ
デスガ、是ハナカ〓〓ムヅカシイコトダラ
ウト思フノデス、殊ニ米ガ國際的商品ニ非
ズシテ主トシテ國內デ消費サレルモノデア
ルト云フコトガ惱ミノ種ニナッテ居ルデス
ガ、今マデ海外ニ此內地及ビ外地ノ米ヲ輸
出サレタ總額、輸出先ト云フモノガドノ位
アリマスカ、是ハモウ祕密ニサレテ居ルト
云フ話モ聽キマスガ、祕密ナラバ祕密ト云
フコトノ取扱ニシテ、餘所ニ洩ラサヌト云
フコトノ條件デ御話ヲ願ヒタイ、ソレカラ
モ一ツ、此總理大臣ガ、二月二十三日デゴ
ザイマシタカ、衆議院ノ豫算總會デ朝鮮及
ビ臺灣ニ各特別會計ヲ設ケテ米穀ノ需給調
節ヲ圖ルト云フコトヲ御言明ニナッタノガ、
其後色ミノ御事情デ御沙汰止ミニナッテ、此
米穀特別會計、卽チ內地人ノミノ負擔ニ依
ル特別會計ニ依ッテ朝鮮米臺灣米ヲ御買上
ゲニナルコトニマア變っテ來タ、其事ヲ兎ヤ
斯ウ言フノヂヤアリマセヌガ、其理由ノ
ツトシテ臺灣米ハ貯藏ガ困難ダカラ云々ト
云フ御言明モアッタヤウデシタガ、是ハ其特
別會計ノ問題ヂヤナイノデ、臺灣ニ於テ貯藏
スルトスレバ、臺灣ノ特別會計ニシテ貯藏
スルニセヨ、內地ノ特別會計ニシテ貯藏ス
ルニセヨ、同ジ事デアッテ、是ハ理由ニナラ
ヌト思フノデス、モウ一ツノ理由トシテ、
特別會計ヲ更ニ二ツ設ケルト事務費ガ非常
ニ掛ルト云フコトデ以テ、事務費ガ增加ス
ルト云フコトヲ方針ノ御變更ノ一ツノ
理由ニ數ヘテ居ラレタノデスガ、私共ハサ
ウ實ハ考ヘナイノデスガ、各特別會計卽チ
朝鮮臺灣ニ特別會計ヲ設ケテ實行スルトセ
バ其事務費幾何、今囘ノ新シイ、變更サレ
タ御方針ニ依ッテ內地人ノ負擔ニ依ル米穀
特別會計ニ依ッテ朝鮮米、臺灣米ヲ假ニ貯藏
スルトスレバ其事務費如何、此兩者ノ事務
費ノ比較ヲ一ツ至急御〓シヲ願ヒタイ、ソ
レダケ御願イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=50
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051・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 只今ノ御要求ノ
調ベガ出來マスレバ差上ゲテモ宜シイト思ヒ
マスガ、餘リ細カイ調べハドウダッタカト思
ヒマス、細カナ調ベガ出來テ居リマスカ、
ドウデスカ、御話ニナリマシタ色ミナ經過
ヲ審議中ニハ經テ居リマスケレドモ、政府
部內デモナンデアリマスガ、最後ノ結論デ
具體的ナ案ガ出タ譯デスカラ、若シ差上ゲ
ラレル材料ガアレバ差上ゲマス、ソレデ今
御話ニナッタ內デチヨット申上ゲテ置キタイ
ト思フ、特別會計ヲ朝鮮臺灣ニ設ケルト云
フコトヲ總理ガ話サレタ時ノ特別會計ハ、
實ハ朝鮮ノ特別會計ノ中デト云フコトデハナ
クシテ、別個ニ矢張リサウ云フ特別會計ヲ
二ツ設ケルト云フ意味デ御話ニナッタノダ
ト思ヒマス、從テ內地ニ設ケル特別會計ノ
增額ハ其負擔ノ歸スル所ガ內地ノ人ニ止マル
ガ、朝鮮臺灣ニ特別會計ヲ設ケタ時分ニハ、
一應朝鮮臺灣ノ······他ノ一般ノ特別會計ト
同ジニ負擔ノ關係ガ臺灣朝鮮デ考ヘラレル
ノダト云フ立前デハナカッタ、全部內地ノ負
擔ニ於テスルト云フ特別會計トシテ初カラ
考究サレテ居ッタモノダ、其點ヲチヨット申
上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=51
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052・長岡隆一郎
○長岡隆一郞君 其點ハ實ハ二月十三日ノ
豫算總會デハ明カニナッテ居ナイデスナ、ソ
レデ首相ノ肚ノ中ニサウ云フ御考ガアッタ
カモ知レマセヌケレドモ、我ミ國民トシテ
ハサウ考ヘテ居ナカッタノデス、併シ其事ハ
モウ過去ノコトデ、今議論シテモ仕方ガア
リマセヌガ、兎ニ角モ事務費ノ增加ト云フ
コトガ唯一ノ理由ニナッテ居ルヤウデスカ
ラ、此方針ヲ變更サレルニ付テ、此事ヲ總
理大臣ガ重ナル理由トシテ言ハレル以上
ハデスネ、是ハモウ事務費ノ比較ト云フモ
ノヲ御示シ願ハニヤナラスノデス、私ハ何
レ材料ヲ總テ戴イタアトデ改メテ質問ヲ致
シタイト思ヒマスカラ、質問ノ時ニ詳シイ
コトハ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=52
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053・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 只今ノ御要求デ
アリマスガ、サッキチヨット私申上ゲマシタ
ヤウニ、最後ノ決定案ト云フモノハ今御協
贊ヲ願ッテ居ル案デアリマシテ、朝鮮臺灣ニ
別個ニ特別會計ヲ設ケタ場合ノ事務費トカ、
豫算ナゾノ計算マデハ出來テ居リマセヌデ
ス、只今申シタヤウナ考ヘ方ノ一ツハ、卽
チ全體的ニ考ヘテ見マシテ、同ジ特別會計
ヲ三ツモ持ッテ居ッテ、朝鮮臺灣ニ特別會計ヲ
設ケテ、是カラ新ニ米ナドヲ買入レ色ミナ
施設ヲヤラウトシマスレバ、ドウシテモ新
ニ事務費ガ要ルダラウ、內地ハ既ニ朝鮮臺
灣ニ付テモ米ノ買入ヲスルコトニナッテ居ッ
テ、特別ニ朝鮮ニハ相當數量ヲ持ッテ居リマ
スカラ、旣設調節以上ノ買入レヲシマスル
ニシテモ之ガ爲ニ格別ニ人手等ヲ增ストカ、
施設ヲ餘計ニスルト云フ必要ハナイノデ、
人員ヲ少シ增シマスレバ、旣ニ二百萬石近
クノ米ヲ買ッタリ何カシタ經驗ヲ持ッテ居リ
マスカラ、モウ大シタコトハナイダラウ、
ソレヲ新ニ特別會計デ以テ新シイ機構デ、
ソレダケノ仕事ヲヤルト云フコトニナリマ
スレバ、相當事務費ガ想像サレテ、極ク是
ハ推測デ考ヘタ比較論ナノデアリマス計算
ヲ作レトカ、新ナル特別會計ヲ設ケタ場合
ハ豫算ハドウナルト云フコトハ、成ルベク
ナラバ御勘辨ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=53
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054・長岡隆一郎
○長岡隆一郞君 ソレハ議論スル譯デアリ
マセヌガ、實ハソレハ意外ニ承ル、兎ニ角
總理大臣ガ衆議院ニ公約サレタ方針ヲ御變
更ニナッタ、閣內ニ如何ナル事情ガアルカ
ソレハ別トシテ、ソレノ最モ主ナ原因ガ事
務費ノ增加ニアルト云フ以上ハ、特別會
計ヲ二ツ餘計ニ設ケルコトニ依ッテ、負擔
ヲ何レニスルカト云フコトハ是ハ別デス、
是ハ別トシテ、特別會計ヲ二ツ設ケルコ
トニ依ッテ事務費ガ非常ニ增大スルカラ方
針ヲ變ヘタイト言ッテ居ラレタ以上ハ、是
ハ常識上、事務費ノ比較ト云フノハ御〓究
ニナラニヤナラヌ筈ト思ヒマス、唯空ニ想
像ニ依ッテ、アレダケノ大方針ヲ御變ヘニ
ナッタ理由ニハナラヌト思ヒマス、私等常識
デ考ヘルト、內地ニ入ッテ來タ朝鮮米ヲ御買
上ゲニナレバ、是ハ今ノ御話ノ通リデアリ
マセウ、併ナガラ先程倉庫ノ御話カラ推測
シマスト、外地ニ於テモ外地米ヲ御買上ゲ
ニナルト云フ以上ハ、農林省ノ御役人ガ御
出張ニナッテ、駐在ニナッテ居ル方モアルカ
モ知レマセヌガ、サレルヨリモ朝鮮總督府
ノ方ガナサレタ方ガ却ッテ事務費ハ安イノ
デハナイカト云フ考モスルシ、唯漠然事務
費ガ掛ルダラウト云フコトデ變更サレタノ
ダ、ソレニ對スル計算ノ基礎ハナイ、要求
ガアレバ是カラ新シク作ルノダト云フナラ
バ是ハ机上ノ計算ダケデ、何モ益ガアリマ
セヌガ、衆議院ニ於ケル首相ノ辯明、首相
ノ辯明ト云フモノハ、甚ダ根據ガ薄弱ナモ
ノヲ以テサレタモノデアルト云フ印象ヲ殘
シテ問答ヲ打切ルヨリ外ナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=54
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055・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 他ノ政府委員カ
ラ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=55
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056・賀屋興宣
○政府委員(賀屋興宣君) 只今ノ御質問ニ
付キマシテ、當時〓究イタシマシタ經緯ヲ
多少中上ゲテ見タイト思ヒマス、朝鮮、臺
灣発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=56
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057・長岡隆一郎
○長岡隆一郞君 ナケレバナイデモ宜シウ
ゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=57
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058・賀屋興宣
○政府委員(賀屋興宣君) ナイト云フノ
ハ、全然空デモナイノデアリマス、特別會
計ヲ設ケルコトトシテ、拓務省デモ〓究ニ
ナリマシテ、ソレハ成案デハアリマセヌ
ガ、ソレカラ尙ホソレヲ只今比較シテ提出
イタスコトガ不適當ダト思ヒマスノハ、其
賣買契約、其他ガ、其時拓務省ガ立テラレ
タモノト、今政府ガ提出シタノハ、必シモ
同一デハナイノデアリマス、ソレカラ我ニ
考ヘマシテモ、朝鮮ハ朝鮮、臺灣ハ臺灣デ
ヤラレマスト、朝鮮ハ朝鮮ノミデナク、朝
鮮臺灣內地、合セマシタ各方面ノ其全體
ノ需給ヲ考ヘマシテ、サウシテ朝鮮デ之
ヲ幾ラ買上ゲルト云フヤウニ一應考ヘナケ
レバナリマセヌ、臺灣モ同ジコト、內地モ
同ジヤウニ考ヘル、サウシテ其三ツガ合
サッテ色ミ交涉シテ全體ノ考ガ決マルト云
フコトニナリマスガ、サウ云フ場合ニ內地
一ツダト、大體一ツデ行クト云フコトダ
ト、常識カラ申シマシテ相當ソコラノ點ハ
影響モアルヤウニ考ヘラレマス、チヨット是
ハ我ミノ常識デアリマスガ、ドウシテモ物
價ガ上リマスレバ餘計經費ガ要ルト云フ關
係デ、一應未定ナノデアリマスガ、朝鮮、
臺灣デ假ニ立テラレタ案ヲ見マシテモ、隨
分餘計掛ルノデス、全ク今度ノ案ト同ジモ
ノヲ三ツニ分ケテヤルト云フノハ今計算シ
テ居リマセヌガ、ソレガ相當餘計掛ルト云
フノハマア何ト申シマスカ、色〓經費ヲ組
ミマス時ノ感ジカラ申シマシテ、是ハ間違
ヒナイコトト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=58
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059・長岡隆一郎
○長岡隆一郞君 ソレハ一應ノ御辯明ニハ
ナリマスケレドモ、私ハ今日ハ質問シテ居
ルノヂヤアリマセヌカラ敢テ議論ガマシイ
コトハ言ヒマセヌガ、拓務省デ調ベタモノ
ガ經費ガ多ク掛カルト云フコトハ無理ハナ
イノデ、拓務省ハ特別會計ヲ別ニスルコト
ハ反對ナノデスカラ、何レ不利益ナ材料ヲ
出スニ違イナイ、ダカラ其材料ヲ見レバ事
務費ガ餘計掛カルト云フコトノ根據ヲ打破
リ得ルト思ッタノデスガ、今ノヤウナ御話デ、
三者別々ニヤレバ聯絡ガ取レヌト云フコトハ
是ハ甚ダ今日マデノ成行キノ、我〓ノ不滿ナ
點ヲ裏書キシテ居ルノデ、政府部內デ特別會
計ガ三ツニナッテモ、能ク御打合セニナレバ
執行ガ區々ニナル筈ハナイ、如何ニ拓務省ト農
林省ノ間、若クハ朝鮮ト臺灣ト農林省ノ間
ニ意思ノ疎通ヲ缺イテ居ルカト云フコトヲ
裏書キサレルヤウナ不滿足ナ答辯ト思ヒマ
スケレドモ、併シ今ノヤウナコトデアレバ
私ノ要求シタ第二ノ書類ト云フモノハ執拗
ク要求ハ致シマセヌ、ソレデ宜シウゴザイ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=59
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060・三井清一郎
○三井〓一郞君 移入調節ハ結構ナコトデ
アリマスガ、此前ニ米穀統制法ノ第八條、
第九條ガ、朝鮮臺灣等ニ實施ニチッテ居ル、
果シテ此第八條、第九條ノ粟、黍ノヤウナ物
ノ移入ヲ制限セラレテ居リマスカドウカ、
拓務省ノ政府委員デモ、或ハ朝鮮總督府ノ
政務總監デモ宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=60
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061・北島謙次郎
○政府委員(北島謙次郞君) 粟ニ付キマシ
テハ去年ノ五月カラデアッタカト記憶シマ
スガ、或ハ四月デアッタカモ知レマセヌ、百斤
ニ付キマシテ基本稅率五十錢、ソレニ三割
五分ノ附加稅ガ課カッテ居リマシテ、總計イ
タシマシテ六十八錢カ七錢カニナッテ居リ
マスガ、ソレヲ去年ノ四五月以來百斤一圓
ト云フコトニ致シマシテ現在引上ゲヲスル
コトニナッテ居リマス、只期限ガ本年三月三
十一日迄ト云フコトニナッテ居リマシテ、更
ニ今年ノ四月一日以後ドウスルカト云フコ
トニ付テハ目下協議イタシテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=61
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062・三井清一郎
○三井〓一郞君 サウスレバ移入ノ制限
ヲ、關稅デ移入ヲ自然ニ押ヘル、斯ウ云フ
措置ヲ御取リニナッテ居ルノデアリマスガ、
關稅率ヲ上ゲテ移入ヲ制限スルト··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=62
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063・北島謙次郎
○政府委員(北島謙次郞君) 移入制限ト云
フト語弊ガアルカモ知レマセヌガ、要スルニ
移入稅ノ稅率ヲ多少引上ゲタ、サウシテ多
少ナリトモ粟ノ關稅ガ上リマスト米ノ消費
ヲ增加スルコトニナルデアラウト云フ積リ
デサウ云フコトニ致シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=63
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064・三井清一郎
○三井〓一郞君 私ノ御尋ネシタイノハ旣
ニ米穀移入調節法ヲ政府ガ御定メニナッテ、
外地米ノ爲ニ内地米ガ價格其他ニ於テ壓迫ヲ
受ケナイヤウニ御考慮ニナリ、旣ニ昭和八年
三月ニ法律ニ出マシタ所ノ米穀統制法ノ第八
條、第九條デ粟、高梁又ハ黍ノ移入ヲ制限ス
ルコトヲ得ト、是ハ朝鮮臺灣等ニ實施スルコ
トニナッテ居リマスカラ、單ニ只稅率ヲ少シ上
ゲタノデハ、朝鮮ノ如キハ御承知ノ粟ヲ喰
フテ生活シテ居ル、此消費方面ニ於テノ調
節ハ少シモ取レテナイト云フ感ジガ致シマ
スガ、政府デ一方ニ移入調節ヲ御實行ニナ
ルト同時ニ、消費方面ニ於テモ移入ヲ制限
スル御考ガアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=64
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065・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 只今政府委員カ
ラ御答イタシマシタヤウニ、第九條ニ依ル
粟ノ移入稅ノ增加ト云フコトヲ今實施イタ
シテ居リマシテ、ソレデ之ヲ明年度モ繼續
スル方針ニ致シテ居リマス、第八條ノ移入
制限ノコトニ付キマシテハ又今年實施ヲ致
シマスカドウカト云フコトハ何等決定ニ相
成ッテ居ラナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=65
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066・三井清一郎
○三井〓一郞君 昨年此法律案ガ出マシタ
際ニ、私ハ此條文ヲ見テ、朝鮮ノ市場ニ入ッ
テ來ル······滿洲カラ入ッテ來ル粟ヲ制限サレ
タナラバ餘程朝鮮ノ增產計畫ニナッテ米ガ非
常ニ出來ルガ、之ガ內地移入米ヲ減ズルト云
フ考ヘデ居ッタノデアリマスガ、然ルニ是ガ御
實施ニナラナイ、又今後ニ於テ移入調節法案
迄、非常ナ特別會計ヲ御作リニナッテ、米ヲ
政府ガ買上ゲテ貯藏スル迄ノ決心ニナリ尙
且ツ粟、高粱ト云フヤウナモノノ移入ヲ制
限シナイト云フコトニナルト、單ニ法律制定
ノ時ノ趣旨ガ非常ニ不明瞭ニナルヤウニ考
ヘマスガ、矢張リ政府デハ移入制限ハ法律
ニハ明文ハアルケレドモシナイ、斯ウ云フ
御決心ナノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=66
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067・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 政府ニ於キマシ
テハ第八條ノ實施ヲ將來イタサナイト云フ
考ハ有ッテ居ル譯デアリマセヌノデ、唯只今
ノ所デハ九條ニ依ル移入稅ノ增徵ニ依リマ
シテ、相當ナ調節ガ出來ルダラウト云フコ
トデ立法イタシテ參ッテ居リマスガ、其推移
ヲ見テ若シ必要ガアレバ第八條ハサウ云フ
場合ニ處スル爲ニ設ケテアリマスノデ、只
今ハマダサウ云フ所迄致スト云フ決定ヲ致
シテ居リマセヌト云フコトヲ申上ゲテ置キ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=67
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068・三井清一郎
○三井〓一郞君 御迷惑デアリマセウガ、
朝鮮ノ方カラ粟ガ昭和八平ニドレダケ······
最近三四年間ニ移入ヲサレ、ドレダケ消費
サレタカ、ソレカラ稅率ヲ高メタ結果ドレ
ダケ減ックト云フ調ベガ出來マシタナラバ、
今日デナクテモ宜シウゴザイマス、次ノ機
會ニ於テ御答ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=68
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069・北島謙次郎
○政府委員(北島謙次郞君) 只今ノ御尋ネ
ニチヨット分ッテ居ルコトダケ御答申上ゲテ
置キマス、移入額ハ昭和八年ガ百四萬六千
石、昭和七年ガ百五十八萬石、其前ノ六年
ガ百一萬五千石、昭和五年ガ百七十一萬七
千石、ソレ以前モ大體百五十萬石カラ最高
二百六十萬石ト云フ風ニナッテ居リマス、ソ
レカラ消費ノ分モ分ッテ居ル筈デアリマス
ガ、チヨット後デ探シテ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=69
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070・三井清一郎
○三井〓一郞君 我々ハ過去ノ此米ノ生產
消費關係ニ付テ多少〓究シテ見テ居リマス
ガ、此消費方面ニ付テモウ少シ注意スル必
要ハナイカト感ジテ居ルノデアリマス、御
承知ノ原內閣當時デアリマスガ、米騒動ガ
アッテ七十二圓ト云フ高價ヲ現シタ時ニ米
ガ其前年度デシタカ、農商務大臣ガ外米管
理ヲシナイ、中止スルト云フヤウナ議會デ
御話ガアッタカト思ヒマスガ、サウ云フコト
ガ響イタ爲カドンドン米ガ騰ガッテ、米ガ騰
ルニ從ッテ消費者ハ安イ內ニ買ッテ置カウ、
モット高ク騰ガルカラト云フノデ各家庭、消
費者ハ一斗取ルモノヲ二斗モ五斗モ取ルト
云フヤウニ取ッテ置イタガ爲ニ米騒動ガ終ッ
テ愈〓端端期ニナッテ見ルト、全國ノ持ッテ
居ル米ガ五百萬石モ餘ッタト云フ滑稽ナ話
ガアリマシタ、ソレデ政府ノ發表スル所ノ
豫想ダトカ若クハ繰越高ト云フヤウナモノ
ハ非常ニ米ノ相場ニ影響スルノミナラズ消
費者ノ頭ヲ刺激スルノデアリマスカラ、是
ハ餘程私ハ正確ヲ要スルト考ヘル、ソコデ
政府デ此消費方面ヲ閑却シテ單ニ生產方面
バカリ制限スルト云フコトハドウデアラウ
カ、無論此朝鮮政務總監ガ衆議院デ御答辯
ニナッテ、三百六十萬町步ノ增產計畫ノ中百
五十萬町步ハ實行シテ、二百萬町步ハ延バス、
全然ヤラヌノヂヤナイ、延バスト云フコト
ヲ御答辯ニナッテ居ル、私ハ此邊ノ御著意ハ
至極結構ダト思ヒマスガ、尙ホ消費方面ニ
付テ考ヘナケレバナラヌト思ヒマスノハ我
我人類ノ胃袋ノ其働キガ決ッテ制限ガアル
以上ハ米ヲ食ハナイデモ麵麭ヲ食ヒ若クハ
果物ヲ食ヒ、色ミ文化ノ進ムニ從ッテ食料
品ガ多種多樣ニナッテ色とナモノガ出來マ
スカラ昔ノヤウニ一人四合當リニ計算スル
トカ云フヤウナコトデ出スト云フコトハ私
ハ消費ノ計算上餘程考慮スベキモノト考ヘ
テ居リマスガ、政府モ是等ノ色ミ、他ノ食
料品、輸入品或ハ果物等ガ盛ニ栽培セラレ
ルヤウナ今日ニ於テ尙ホ時ノ如ク消費方面
ニ著意ナサレテ行ク御考デセウカ、之等ニ
付テドウ云フ考慮ヲ廻ラシテ居ラレルカヲ
承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=70
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071・北島謙次郎
○政府委員(北島謙次郞君) 先程粟ノ消費
額ニ付テ御尋ネガアリマシタカラ、チョット
御答ヘシテ置キマス、消費ノ總額ハ昭和六
年ニ於テハ是ハ朝鮮デアリマスガ、六百五
十八萬石見當デアリマス、一人當リノ消費
量ガ三斗二升五合、昭和七年ガ六百十七萬
四千石ト少シデアリマス、一人當リノ消費
額三斗三合、昭和八年ガ六百五十八萬六千
石、一人當リノ消費量ガ三斗一升九合ト云
フコトニ相成ッテ居リマス、ソレカラ此米
ノ消費ノ增進ヲ圖ル方策ト致シマシテハ只
今問題ニナッテ居リマスル粟ト云フヤウナ
モノヲ或程度ニ於テ稅率ヲ引上ゲマシテ、
サウシテ多少ナリトモ米ノ消費ヲ增加イ
タシタイト云フノモ一方法デアリマスガ、
唯々御考ヲ願ッテ置キタイト存ジマスノハ
此栗ハ殆ド朝鮮ノミガ消費イタシテ居ル
ノデアリマシテ、而モ其輸出スル國ハ殆ド
全部、滿洲デゴザイマス、ソレデ從來ニ於
キマシテモ此粟ノ關係ニ於キマシテハ滿洲
ト朝鮮トハ非常ナ密接ナ關係ガアッタノデ
アリマスガ、去年稅率ヲ引上ゲマシタ關係
上、滿洲方面ニ於ケル粟ノ生產者ノ方々ニ
ハ矢張リ相當ナ打擊ヲ與ヘテ居ルノデアリ
やく、然ルニ一方所謂日滿經濟關係ニ於
キマシテハ是ハ世上デモ色ミ問題ニナッテ
居リマスルヤウニ、日滿關係ノ所謂「ブロッ
ク」經濟ダトカ何トカ云フヤウナ、或ハ統制
經濟トカ云フヤウナ色〓ナ見地カラ、此日
滿親善ヲ圖ル必要ガアルト云フヤウナ非常
ニ强イ說モアリマス際ニ、米ノ爲ノ犠牲ト
ハ申シマシテモ、斯ウ云フ稅率ヲ上ゲルト
云フコトニ付テハ、滿洲方面トシマシテハ、
非常ニ苦痛ヲ感ジテ居ルノデアリマス、從
ヒマシテ之ヲ非常ニ著シク稅率ヲ引上ゲマ
シタリ、或ハ輸入若クハ輸入ヲ事實上非常
ニ制限シタリ禁止シタリスルヤウナコト
ハ、對滿洲國關係ニ餘程考ヘナケレバナラ
ヌ點モアルノデハナカラウカト云フ風ニマ
ア考ヘテ居ル次第デアリマシテ、米問題ノ
ミノ見地カラ、此粟ノ稅率ヲ非常ニ引上ゲ
タリ、或ハ其輸入額ヲ制限禁止シタリスル
コトハ、別個ノ見地カラ見マシテ、又果シ
テ適當カドウカト云フ風ノ多少、少シ疑ヒ
ノ點モナイデモナイト思ッテ居リマシテ、
サウ云フ點ヲ考慮イタシマシテ、色ミ目下
〓究イタシテ居ル次第デアリマス、ソレカ
ラソレ以外ノ消費ノ增進ノ方策ト致シマシ
テハ、先程政務總監モ御述ベニナリマシタヤ
ウニ酒米ノ問題ダトカ、或ハ臺灣米ニ於キ
マシテハ、從來酒ノ專賣ナンカモ外國米カ
何カヲ輸入シテ釀造ノ原料ニ使ッテ居ッタガ、是
モサウ云フコトハ此際避ケマシテ、外國ノ
輸入、外國ノ輸入ハ勿論一切禁止シテ臺灣ニ
生產セラレタ米ヲ原料ニシテ釀造ヲシタ
イト云フ風ニ考ヘテ居リマス、其外僅カ
ナ數量デアリマスルガ、米ノ粉ヲ原料ニ
シタ麵類、サウ云フ方面ノ消費ヲ增進イタ
シマシタリ、或ハ又ソレヲ支那方面ニ、或ハ滿
洲方面ニ輸出スルヤウナ策モ目下考ヘテ居
リマス、ソレカラ臺灣ノ方面ニ於キマシテ
ハ、又出來マスコトナラ、而モ國際關係上
大シタ支障ガナイト致シマスレバ、南支那
方面ニ米ヲ出來ルダケ輸出ヲ圖リタイ、サ
ウ云フヤウナコトモ考へテ居リマス、マダ
的確ナ非常ナ效果ガアル施設ハ今ノ所目星
イモノトシテ申上ゲル程ノモノガアリマセ
ケレドモ、十分考究イタシテ見タイト云
フ希望ヲ有ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=71
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072・三井清一郎
○三井〓一郞君 今拓務省ノ政府委員ノ答
辯ハ能ク了解イタシマシタガ、唯私ハ農林
大臣ニ御聽キシタイノハ、此國民消費ノ
人當リヲ御決定ニナルノニ、日本ノ文化ノ
進マナイ、米ヲ食ヒ、雜穀ヲ食フ、御承知
ノ通リ獻立ガ、副食物ガ不完全ナ時代、今
日文化ガ進ンデ總テ主食品ヨリ、却テ副食
物デ榮養ヲ攝ル、少量ニシテ榮養ヲ攝ッテ、
健康ヲ增進スルト云フノデ殊ニ臺灣、朝鮮
ガ何シマシテカラハ、非常ニ日本デハ果物
ヲ使フヤウニナッタコトハ御承知ノ通リデ
アリマス、モウ何レノ家庭デモ食後ニハ果
物ヲ食ベヌ所ハナイ、是ハ健康上宜イト云
フノデアリマス、從テ今迄三杯食ッタ者ハ二
杯デ宜イト云フコトニナリマスト、米ノ消費
量ハ非常ニ減ルノデアリマス、是等ノ一人
當リノ消費量ヲ御決定ニナルノニ、斯ウ云
フ點ヲ御考慮ニ入レテオヤリ下サレテ居ル
カドウカ、サウセヌト云フト、米ノ消費ノ
計算ガ非常ニ差ガ出來テ使ハナイ米ガ餘計
使フヤウナ計算ニナッタリ致シマス、斯ウ云
フ點ヲ私ハ憂ヘルノデアリマス、是等ノ點
ニドレ程ノ御考慮ヲ煩シテ御出デニナリマ
スカ、若シ御漏シガ出來ルナラ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=72
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073・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 文化ノ進ムト共
ニ主食物ノミニ賴ラナイデ他ノ副食物或ハ
嗜好物ノヤウナモノガ加ハル爲ニ、主食物
デアル米ノ消費ニ影響サレルト云フヤウナ
コトヲ考慮ニ入レテ考ヘル必要ハナイノ
カ、サウ云フコトヲ考ヘテ居ルノカト云フ
御尋ト存ジマスガ、ソレハ或程度ニ矢張リ
サウ云フコトガ考ヘラレルノデアラウカト
思ヒマス、殊ニ麵麹、菓子類等ノ多ク消費
サレルト共ニ米ノ消費ガ都會地等デハ幾ラ
カ影響サレルノデハナイカト云フヤウナコ
トモ考ヘラレヌノデハアリマセヌガ、併ナ
ガラドウモ經濟界ノ好況及ビ不況ニ依ル消
費ノ增減ト云フモノガ矢張リ著シイヤウニ
存ジマス、ソレデ今後米ノ消費ノ趨勢ヲ考
ヘマスル時ニ御話ノヤウナ點ヲ或程度ニ矢
張リ考慮ハ致サナケレバナラヌト思ヒマス
ルガ、ドウモ計算ニドウ云フ風ニ上ゲテ宜
シイカ、又計算ニ上ゲル時ニ非常ニ影響ガ
主食物ニ來テ居ルヤウニハ感ジラレテ居リ
マセヌノデアリマス、米穀總攬ナドニ現ハ
レテ居ル是マデノ計數ナドヲ見マシテモ、
マダサウ云フコトヲ判斷スル十分ナ結論ヲ
得ラレルヤウナ數字ガ上ッテ參リマセヌ、外
ノ影響カラ來ル場合ノ消費ノ增減ガ大キイ
モノデアリマスカラ······併シ斯ウ云フコト
ハ常ニ考慮ノ中ニ入レテ將來ノ判斷ハ致シ
テ居ル必要ハアルト存ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=73
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074・三井清一郎
○三井清一郞君 サウ云フ點ヲ御考慮ニ入
レテ戴クコトヲ希望シテ置キマス、ソレカ
ラ此移入調節法案ガ特別會計ノ中ニ入ッテ、
而シテ朝鮮ナリ獨立シタ特別會計ノ外地ニ
出來ル產米ノ移入ヲ制限シヤウ······制限ス
ルノヂヤアリマセヌガ、買入レヤウ、斯ウ
云フコトニナリマスガ、此點ニ付テ衆議院
デ段々質問應答ガアッテ此速記錄ヲ見マシ
テ拓務大臣ノ答辯モアリマスケレドモ、ド
ウモハッキリシテ居ナイ、總テ內地デ米ヲ買
フト云フコトハ將來朝鮮ト內地トハモウ同
一ノヤウナ經濟單位ニシテ行カウト云フヤ
ウナ意味デアリマシタガ、先刻農林大臣ノ
是ハ內地ノ米ノ調節ノ政策上ヤルノダカラ
內地人ノ負擔ニ屬スル所ノ特別會計デ買入
レルト云フ御話デ大體ハ了解シタヤウデア
リマスルガ、拓務省ノ御意見ト農林省ノ御
意見トハ少シ違フヤウデアリマス、根本ガ
違ッテ居ナケレバ結構デアリマスガ、如何デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=74
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075・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 此問題ニ付キマ
シテ今御話ノアリマシタ買入レガ內地ノ米
ノ需給調節ノ必要カラ生ジテ其趣旨デ移入
米ヲ調節スル爲ニ買上ゲヲ行フノデアル、
特別會計ヲ內地ノ特別會計ノ總額ニ於テ資
金ヲ充實シテ參ル、此點デハ別ニ何ニモ意
見ノ相違ガアルト云フ譯ヂヤゴザイマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=75
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076・三井清一郎
○三井〓一郞君 サウスレバ農林大臣ノ御
答辯ヲ私ハ信賴シテサウ考ヘマス、次、ニ朝
鮮臺灣等ニ御買上ニナル約七百萬圓ト云フ
此米ハ先刻ノ御答辯デハ、倉庫ニ十分ニ入ッ
テ居ナイト云フコトデアリマスガ、我ミノ
經驗上米ハ成ルベク滿洲ヤ、朝鮮ノヤウナ
乾燥シタ所ニ貯藏シタ方ガ貯藏減リガ少ナ
イノデアリマスカラ、無論農林省ニ於テモ
サウ云フ點ニ御注意アッテ、今度朝鮮ニドレ
ダケ買上ゲニナルカ知レマセヌガ、買ッタモ
ノハ內地ニ移入セナイデ、朝鮮デ相當建築
ナドハ、アヽ云フ乾燥シタ土地ハ、大シテ
掛ラナイノデアリマスカラ、朝鮮デ建築サ
と、一貯藏ニナルモノト思ヒマスガ、果シ
テサウ云フ御計畫ガアリマスカ、或ハ內地
ヘ移入シテ來テ內地ノ倉庫ニ改メテ御貯藏
ナサルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=76
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077・後藤文夫
○國務大臣(後藤文夫君) 朝鮮デ買上ゲマ
ス米ハ出來ルダケ朝鮮デ貯藏シタイト云フ
ノデアリマス、從テ必要ガアリマスレバ、
將來倉庫等ノ建設モ考慮シタイト思ッテ居
リマス、此法律ハ買上ガ來年ノ三月末日マ
デト云フコトデ、臨時ノモノニナッテ居リマ
ス、將來之ヲ永ク持越シテ置ク場合ハ米ノ
貯藏ノコトヲ考ヘテ、今年カラ直グスルカ
ドウカニ付テハッキリ決メテ居リマセヌ、出
來ルダケ向フニ貯藏シテ置キタイ、萬一向
フノ貯藏ノ具合ガ惡イ時ハ、內地ニ多少移
シテ貯藏スルモノガアルカ知レマセヌガ、
是亦季節朝鮮米等ノ買上等ヲ致シテ見マシ
テモ、大體朝鮮ハ米ノ貯藏ニハ適スルト云
フコトハ能ク分ッテ居リマス、籾デ買上ゲタ
モノハ無論向フニ貯藏モ致シテ居リマス、
只今ノ所直ニ大規模ニ朝鮮ニ建設ヲシテ行
クト云フ程ノ計畫ハ持ッテ居リマセヌノハ、
是ハ臨時法デアル爲ニ將來此米ノ處置ノ如
何ニ依リマシテハ、倉庫等ヲ朝鮮ニ建設シ
テ入レテ置クト云フコトニ考慮イタサナケ
レバナラヌカト思ッテ居ルヤウナ譯デアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=77
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078・三井清一郎
○三井〓一郞君 先刻拓務省ノ政府委員ノ
御答辯中ニ、粟ヲ滿洲カラ輸入シテ居ル、
日滿經濟統制上、或ハ經濟「ブロック」形成
上、是モ餘程考慮シナケレバナラヌト云フ
御答辯ガアリマシテ、至極私モ御同感デア
リマス、私ハ此機會ニ於テ拓務大臣ガ居ラ
レレバ結構ト思ヒマスガ、併シ拓務省ノ政
府委員ノ御答辯デモ滿足シマスガ、今後ノ
日滿ノ「ブロック」形成ダノ、或ハ日滿經濟ヲ
統制シヤウト云フコトニナリマスト、私ハ
滿洲ニ行ッテ見テ、矢張リ農業國ダ、斯ウ見
テ來タノデアリマス、此農業國ニ而モ拓務
省ハ多數ノ日本移民ヲ滿洲ニ送ッテ居ル、其
移民ハ皆第一著ニ何ヲヤルカト云フト、農
民ノ特長ハ、米ヲ生產スルコトデアリマス、
或ハ高梁ヲヤル、豆ヲヤル、滿洲ニ於ケル
粟トカ、黍トカ、サウ云フヤウナモノニ付
テハ却テ滿洲人若クハ朝鮮ガ得意デアリマ
シテ、直グニ日本ノ移民ガ水田ヲ開拓シテ
米ヲ作ルト云フコトニナリマスルガ、此滿
洲デ農產品食料品ガドン〓〓出來出シテ、
サウシテ日本ガ必ズソレヲ受ケ容レナケレ
バナラヌト云フコトニナルト、矢張リ植民
地ニ、過去ニ於テ增產計畫ヲヤッテ其增產計
畫ガ若干進ムト直グニ制限ヲシナケレバナ
ラヌ問題ガ起ッテ來ルト同樣ナコトガ起キ
ハセヌカ、今日日滿經濟ヲドウスルカト云
フ問題ノアル時ニ於テ、此根本ノ方針ヲ御
立テニナッテ居ルコトト私信ズルノデアリマ
ス、ドウモ此ヤリ方ガ矛盾ガ生ジハシナイカ、
此矛盾ガ一旦生ジタナラ將來ニ非常ナ、國
民生活ニ影響ヲ及ボシハセヌカ、ソコデ私
ハ拓務省ハ日滿經濟統制ニ付テドウ云フ根
本ノ御方針ヲ御持チニナッテ居ルカ、又日本
ノ移民ヲ送ッテ此移民ニドウ云フ生產品ヲ
奬勵シテ作ラスヤウニ御考ニナッテ居ルカ、
朝鮮ノ粟ノ移入ヲ防グコトガ出來ナイト同
樣ナコトニ陷リハシナイカ、斯ウ云フコト
ヲ心配スルノデアリマス、我ミノ考ヘテ居
ル所ハ日滿經濟統制ハ滿洲デ一番良ク出來
ル、例ヘバ棉花ヲ作ッテ、日本ハ海外ヨリ棉
花ヲ輸入シテ居ルカラ棉花ヲウント奬勵シ
テ作ラス、或ハ羊毛所謂羊ヲ飼ハシテ、羊
毛ヲドン〓〓生產シテ、濠洲ヤ亞米利加カ
ラ入ッテ來ルモノヲ防グトカ、若クハ早ク「パ
ルプ」工場ヲ起シテ二千八百萬町步ノ大森林
ヲ利用シテ「パルプ」ヲ作ッテ「パルプ」ノ輸入
ヲ驅逐シ、且ツ何カノ場合ニ之ガ綿布ノ原
料トモナリ或ハ人絹ハ勿論ノコト、此人造
羊毛ノ原料トナル、斯ウ云フモノヲ早ク奬
勵シテ作ル、兎ニ角日滿經濟ニ付テ、有無
相通ズルト云フ大原則ニ基イテ、統制ヲシ
テ行カナケレバナラヌノヂヤナイカト感ゼ
ラレルノデアリマス、是等ニ付テ拓務省ノ
此食料品ニ對スル經濟統制ハドウ」云フ根本
方針デ御進ミニナッテ居ルカ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=78
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079・北島謙次郎
○政府委員(北島謙次郞君) 先程私ハ粟ノ
關稅ニ付テ、對滿洲國ノ關係ヲ考慮シナケ
レバナラヌト云フコトヲ申上ゲマシタノハ、
必ズシモ粟ノ稅率ヲ絕對ニ上ゲテハイカヌ
ト云フ意味デ申上ゲタ意味デハナイノデア
リマス、此場合ニ依リマスルト云フト、是
ハ對滿洲國關係ニ於テ多少向フニ迷惑ヲ掛
ケテモ已ムヲ得ナイト云フ氣持ハ有ッテ居
ル、唯併シ粟ハ全然滿洲ト朝鮮ノミノ關係
デアッテ、之ヲ非常ニ急激ニ上ゲルト云フコ
トニナリマスルト云フト、滿洲ノ農民ハ現
在ハ矢張リ非常ニ困ッテ居ルヤウナ狀態デ
アリマシテ、現ニ大豆ガ現在非常ニ安クテ
困ッテ居リ、又今年ノ如キハ粟モ增產デ向フ
自身モ餘程供給過剩ニ惱ンデ居ルヤウナ情
勢デアリマス、向フモ非常ニ矢張リ困ル、
之ガ單純ナル外國デアリマスレバ、是ハマ
ア日本トシテ米穀需給ノ關係カラ見テ粟ノ
稅率ヲ場合ニ依ッテハウント引上ゲルカシ
テ輸入ノ禁止ヲスルノモ已ムヲ得ヌカト思
ヒマスガ、相手ガ滿洲國デアリマスル以上
ハ外ノ外國ト違ッテ餘程特別ノ考慮ヲシナ
ケレバナルマイト云フ意味デ申上ゲタノデ
アリマス、絕對ニ將來之ヲ上ゲルノハイカ
ヌト云フ意味デ申上ゲタ次第ヂヤゴザイマ
セヌ、ソレカラ一般的ノ日滿經濟關係ニ於
キマスル農產物ノ地位ニ付テノ御話デアリ
マシタガ、大體御說ハ殆ド同感ニ考ヘテ居
リマス、別ニ違ッタ意見モナイノデアリマシ
テ、御話ノ移民ノ如キハ內地人ノ移民ハマ
ダ極ク僅ニ五百人見當ヲ一年ニ送ッテ居ル
ヤウナ情勢デアリマスガ、假ニ是ガ全部米
ヲ作リマシタ所デ、恐ラク內地ノ米問題ニ
影響スルヤウナ事態ヲ招來スルコトハ當分
恐ラクハ考ヘル必要ハナイト思ヒマスガ、
問題ハ恐ラクハ朝鮮人ニ付テノ御話カト思ヒ
マスガ、朝鮮ハ現在數十萬或ハ百萬ト稱セ
ラレテ居リマスガ、滿洲國ニ現在居リマシ
テ、サウシテ將來モ或ハ益、滿洲方面ニ渡
ル者ガ多クナリ、其結果ドウシテモ朝鮮人
ノ移民トナリマスト、矢張リ米ヲ作ルコト
ニナッテ、延イテハ滿洲デ生產サレタ米ヲ內
地ニ輸入スル際ニ之ヲ全然防遏スルコトガ
出來ナイ、關稅モ引上ゲルコトガ出來
ナイト云フヤウナコトニナリマスレバ、
御話ノヤウナ非常ニ憂フベキ結果ニナ
ルト思ヒマスケレドモ、是ハ現在ニ於キ
マシテモ米自體ニ付キマシテハ矢張リ
日本白分自身外國カラノ輸入ハ禁止シテ
居リマシテ、是ガ滿洲ノ米ガ現在ハ百
數十萬石ト思ヒマスガ、ソレガ五百萬石
トナリ千萬石ニナッテ、而モソレガ日本ヲ消
費地トシテサウ云フ風ニ增產デモサレル
ト云フコトニナリマスレバ、是ハ餘程考物
ダト思ヒマス、併シ遠キ將來、二十年、三
十年ノ先キニナリマスレバ兎モ角ト致シマ
シテ、差當リ現在ニ於キマシテ滿洲ニ於テ
ソレ程米ガ非常ニ增產ニナッテ、ソレガ日本
ノ方ニ累ヲ及ボスヤウナコトハ、マア觀念論
トシテハ兎モ角、實際問題トシテ、サウ云フ
コトハ殆ド考ヘル必要ハナイデハナイカ、
又假ニサウ云フコトニナリマスレバ、ソレ
ハ日本トシテ現在ノヤウナ米穀ノ需給狀況
ガ續キマス以上ハソレハ適當ノ對策ヲ講ズ
ルト云フコトガ必要デアリ已ムヲ得ヌカト
考ヘテ居リマスガ、是ハ實際問題ト致シマ
シテハ御話ノヤウナ事態ハ現在ノ事態デハ
考ヘラレマセヌシ、又二十年、三十年先キ
ニナリマスレバ、現在コソ日本ハ米ノ供給
ノ過剩ニ惱ンデ居リマスケレドモ、其際ニ
ナリマスレバ人口ノ增加其他ニ依ッテ寧ロ
供給不足ヲ憂フルヤウナコトニナル可能性
ガ大イニアリハシナイカト云フ風ニ私ハ考
ヘマシテ、少クトモ其米ノ問題ニ付テ今カ
ラ日滿兩國ノ關係ヲソレ程心配シ、殊ニ內
地人ノ移民ノ問題ニ付キマシテハ、殆ド心
配ノ必要ハナイノデハナイカ、マア朝鮮人
ノ問題ニシマシテモ矢張リソレ程心配ノ點
ハナイノジヤナイカト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=79
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080・三井清一郎
○三井〓一郞君 內地カラ移民ヲ送ル、朝
鮮カラ滿洲ヘ入リ込ムト云フヤウナコトヲ
私ハ決シテ彼是レ考ヘテ居ルノヂヤナイノ
デス、ドシ〓〓ヤッテ殆ド滿洲ノ半分、或ハ
三分ノ二ノ人口ヲ日鮮人デ充タスコトモ結
構デアリマス、唯拓務省トシテ是カラ十年、
二十年先キハドウデアラウカ、今實際的ニ
サウ云フコトハ起ラヌト云フノデハ、私ハ遠
キ將來ヲ達觀シタ對策ガ玆ニ立タヌヤウニ
思ッテ、今滿洲ト斯ウ云フ關係ニアル場合ニ
於テ、日滿ノ經濟統制ノ基礎的條件ト云フ
モノハ確立シテ居ナケレバナラヌト、斯ウ
考ヘタカラ御分リデアッタナラバ御答辯ヲ
願ッタノデアリマスガ、併シ是レ以上ハ拓務
大臣若クハ總理大臣ニ聽クヨリ仕方ガアリ
マセヌ、私ハ質問ヲ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=80
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081・青木信光
○委員長(子爵靑木信光君) 如何デゴザイ
マセウカ、大分時間モ遲クナリマシタガ、
マダ參考書類モ參ルモノガアリマスカラ、
今日ハ是デ延シマシテ、明日開會スルコト
ニ致シテハ如何デゴザイマセウカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=81
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082・青木信光
○委員長(子爵靑木信光君) ソレデハ明日
ハ午前十時ヨリ開會イタシマス、是ニテ散
會イタシマス
午後四時五十四分散會
出席者左ノ如シ
委員長子爵靑木信光君
副委員長男爵稻田昌植君
委員
侯爵大隈信常君
侯爵中御門經恭君
伯爵有馬賴寧君
子爵片桐貞央君
子爵綾小路護君
三井〓一郞君
內田重成君
上山滿之進君
伊澤多喜男君
男爵福原俊丸君
男爵淺田良逸君
赤池濃君
長岡隆一郞君
松本眞平君
絲原武太郞君
國務大臣
總理大臣子爵齋藤實君
農林大臣後藤文夫君
政府委員
大藏書記官加屋興宣君
農林政務次官子爵織田信恒君
農林省米穀部長荷見安君
拓務省殖產局長北島謙次郞君
朝鮮總督府政務總監今井田〓德君
臺灣總督府總務長官平塚廣義君
臺灣總督府財務局長岡田信君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006503745X00119340323&spkNum=82
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