1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十年三月十五日(金曜日)午前十時二十四分開議
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議事日程 第十七號
昭和十年三月十五日
午前十時開議
第一 札幌軌道株式會社及矢作水力株式會社所屬軌道の經營廢止に對する補償の爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 宮崎縣營鐵道及軌道竝に大隅鐵道株式會社所屬鐵道買收の爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 北洋漁業取締法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 酒造組合法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 行政執行法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第六 營業收益税法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第七 司法保護法案(衆議院提出) 第一讀會
第八 登録税法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=0
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001・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 是ヨリ報〓ヲ致
サセマス
〔角倉書記官朗讀〕
一昨十三日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府
提出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
號外昭和十年三月十六日
兵役法中改正法律案
勞働者災害扶助法中改正法律案
工場法中改正法律案
鑛業法中改正法律案
同日本院ニ於テ採擇スルコトヲ議決シタル
長崎縣日島郵便局ニ電信電話事務開始ノ請
願外十七件ノ請願ハ各〓意見書ヲ附シ卽日
之ヲ政府ニ送付セリ
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
北洋漁業取締法案可決報〓書
酒造組合法中改正法律案可決報〓書
登錄稅法中改正法律案可決報告書
請願文書表(第八囘報〓)
昨十四日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領
セリ
札幌軌道株式會社及矢作水力株式會社所
屬軌道ノ經營廢止ニ對スル補償ノ爲公債
發行ニ關スル法律案
宮崎縣營鐵道及軌道竝ニ大隅鐵道株式會
社所屬鐵道買收ノ爲公債發行ニ關スル法
律案
同日衆議院ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
行政執行法中改正法律案
營業收益稅法中改正法律案
司法保護法案
臨時地方財政補整金法案
同日臨時利得稅法案特別委員會ニ於テ當選
シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
委員長子爵渡邊千冬君
副委員長男爵深尾隆太郞君
本日議院法中改正法律案特別委員會ニ於テ
當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
委員長子爵前田利定君
副委員長男爵黑田長和君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=1
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002・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 是ヨリ會議ヲ開
キマス、日程第一、札幌軌道株式會社及矢
作水力株式會社所屬軌道ノ經營廢止ニ對ス
ル補償ノ爲メ公債發行ニ關スル法律案、日
程第二、宮崎縣營鐵道及軌道竝ニ大隅鐵道
株式會社所屬鐵道買收ノ爲公債發行ニ關ス
ル法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀
會是等ノ兩案ハ之ヲ一括シテ議題トナス
コトニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=2
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003・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、鐵道大臣
札幌軌道株式會社及矢作水力株式會社
所屬軌道ノ經營廢止ニ對スル補償ノ爲
公債發行ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十年三月十四日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
札幌軌道株式會社及矢作水力株式會社
所屬軌道ノ經營廢止ニ對スル補償ノ爲
公債發行ニ關スル法律案
政府ハ左ノ軌道ノ經營廢止ニ對スル補償
ノ爲之ニ必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ發
行スルコトヲ得
札幌軌道株式會社所屬軌道
矢作水力株式會社所屬軌道
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
宮崎縣營鐵道及軌道竝ニ大隅鐵道株式
會社所屬鐵道買收ノ爲公債發行ニ關ス
ル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十年三月十四日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
宮崎縣營鐵道及軌道竝ニ大隅鐵道株式
會社所屬鐵道買收ノ爲公債發行ニ關ス
ル法律案
政府ハ左ノ鐵道及軌道買收ノ爲之ニ必要
ナル額ヲ限度トシ公債ヲ發行スルコトヲ
得
一宮崎縣營鐵道及軌道
大隅鐵道株式會社所屬鐵道
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣內田信也君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=3
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004・内田信也
○國務大臣(內田信也君) 只今上程ニナリ
マシタ二法律案ノ提案理由ヲ簡單ニ申上ゲ
マス、今囘提案イタシマシタ事項ハ、軌道
ノ營業廢止補償ト、地方鐵道及軌道ノ買收
ノ爲メ公債發行ニ關スルモノデゴザイマス、
先ヅ軌道ノ營業廢止補償ニ付テ申上ゲマス
ト、補償イタサムトスル軌道ハ北海道ニ於
ケル札幌軌道及岐阜縣ニ於ケル矢作水力株
式會社經營ノ軌道デゴザイマス、是等ハ何
レモ是ト接近竝行イタシテ、國有鐵道ヲ敷
設イタシマシタル結果、其影響ヲ受ケマシ
テ營業ヲ繼續スルコトガ出來ナクナリマシ
タノデ、今囘其營業廢止ニ依ッテ生ジマスル
損失ヲ補償イタサムトスル次第デゴザイマ
ス、次ハ地方鐵道及軌道ノ買收デゴザイマ
スガ、買收セムトスル鐵道及軌道ハ、宮崎
縣ニ於ケル宮崎縣營鐵道及軌道ト、鹿兒島
縣ニ於ケル大隅鐵道トデゴザイマス、是等
ハ何レモ建設工事ノ進捗上、買收ヲ必要ト
スルモノデゴザイマス、何卒御協賛ヲ與ヘ
ラレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=4
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005・池田政時
○子爵池田政時君 只今議題ト相成リマシ
タ日程第一、第二ノ兩案ハ重要ナル法案
デアリマスル故ニ、其特別委員ノ數ヲ十五
名トシ、其指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ
提出イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=5
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006・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=6
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007・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 池田子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=7
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008・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、書記官ヲシテ特別委員ノ氏名ヲ朗
讀イタサセマス
〔小林書記官朗讀〕
札幌軌道株式會社及矢作水力株式會社所
屬軌道ノ經營廢止ニ對スル補償ノ爲公債
發行ニ關スル法律案外一件特別委員
公爵鷹司信輔君公爵岩倉具榮君
伯爵川村鐵太郞君男爵大井成元君
子爵井上匡四郞君子爵秋元春朝君
子爵鍋島直繩君大島健一君
男爵中村謙一君男爵大藏公望君
靑木周三君堀啓次郞君
三橋彌君風間八左衞門君
靑木才次郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=8
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009・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 日程第三、北洋
漁業取締法案、政府提出、第一讀會ノ續、
委員長報告、委員長有馬伯爵
北洋漁業取締法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十年三月十三日
委員長伯爵有馬賴寧
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔伯爵有馬賴寧君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=9
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010・有馬頼寧
○伯爵有馬賴寧君 只今議題ト相成リマシ
タ北洋漁業取締法案特別委員會ノ經過竝ニ
結果ヲ御報告申上ゲマス、本法律案ハ現在
北洋ニ於ケル我ガ重要漁業デアリマスル所
ノ露領漁業及鮭鱒等ノ母船式漁業ニ付キ
マシテ、其主力的經營主體タル株式會社ヲ、
特別ノ監督ノ下ニ立タシムル制度等ヲ設ケ
マシテ、以テ北洋漁業ノ基礎ヲ鞏固ニシ、
其維持開發上遺憾ナキヲ期シタイト云フノ
ガ其目的デアリマス、委員會ハ六回ニ亙ッテ
開會ヲ致シマシテ質疑應答ヲ重ネタノデア
リマスルガ、其質疑及答辯ノ中主ナルモノ
ヲ申上ゲマスルト、本法ニ依リ特別監督ヲ
受クベキモノノ範圍ハ、ドウ云フモノデア
ルカト云フ質問ニ對シマシテハ、條約ト云
フノハ日「ソ」間ノ漁業條約ヲ指スモノデアッ
テ、母船式漁業ハ本法施行ノ當初トシテハ、
母船式鮭鱒漁業ヲ指定スル方針デアル、株
式會社ノ指定ニ付キマシテハ條約ニ基ク
漁業ヲ營ム株式會社トシテハ日魯漁業株式
會社ヲ、又母船式鮭鱒漁業ヲ營ム株式會社
トシテハ太平洋漁業株式會社ヲ、ソレ〓
指定スル方針デアルトノ答辯デゴザイマシ
ク、母船式蟹漁業ニ付テハドウデアルカト
云フ質問ガアリマシタ、之ニ對シマシテハ
本漁業ハ其性質上之ヲ本法カラ除外スル立
前デハナイガ、本漁業ノ現狀ハ、鮭鱒漁業
ノ場合ト事情ヲ異ニスルモノガアリマスル
ガ故ニ、現在ニ於ケル事情ニ著シキ變化ノ
ナイ限リハ政府ハ本漁業ヲ第一條ノ母船
式漁業ニ指定スル意嚮ハナイトノ答辯デゴ
ザイマシタ、其次ノ質問ハ北洋ニ於ケル我
ガ漁業權益ノ維持開發ノ爲ニハ、半官半民
ノ一大會社ト爲スヤウナ意思ハ政府ニナイ
カト云フ質問デアリマス、之ニ對シマシテ
政府ノ答辯ハ、現在ノ主力的經營主體タル
所ノ會社ヲシテ、本法ニ依ル特別監督ノ下
ニ事業ヲ經營セシメ、十分其實績ヲ擧ゲサ
セマスルヤウニスルコトガ、此際最モ適當
ナル方策デアルト認メテ居ルト云フ旨
ノ答辯ガアリマシタ、其次ノ質問ハ監督ノ
權限ガ廣範圍ニ過ギテ、本法ノ運用如何ニ
依ッテハ事業ヲスル者ガ、困ルヤウナ場
合ガ起キハシナイカト云フ質問デア
リマス、之ニ對シマシテハ會社ヲ保護
シ監督シ、以テ國家的立場ニ於テ事業ヲ
運營セシメルト云フ根本方針ニ立脚シ、各
種ノ監督ハ行ハルベキモノデアリマスガ故
ニ、本法ノ運用上斯ノ如キ懸念ハナイ、又
政府ニ於テハ此點ニ付テ十分運用上留意セ
ムトスル旨ノ答辯ガアリマシタ、其次ノ質
問ハ、本法ニ依リ特別ノ監督ヲ受クル會社
ノ外、將來是ト同一漁業ヲ營ム他ノ企業ノ
出現ヲ認メル方針デアルカト云フ質問デア
リマス、ソレニ對シテハ露領漁業、母船式鮭
鱒漁業ハ國家的必要ニ基イテ、政府ニ於テ
關係當業者ヲ慫慂シ、當業者又國家的見地
カラ大合同ヲ遂行イタシマシタノデアリマ
ス、サウシタ從來ノ經過ニ鑑ミテ、今後同
漁業ノ活動範圍タル地域ニ於テハ、同種ノ
漁業者ノ新ナル出現ニ依ッテ、再ビ從來ノ如
キ經過ヲ繰返スコトノナイヤウニ努メルト
云フコトハ、從來ノ合同方針及本法ノ精神
ニ照シテ、自ラ明カナル所デアルト云フ答
辯デゴザイマシタ、モウ一ツノ最後ノ質問
ハ、本法律案ハ本年之ヲ制定スルコトヲ必
要トスル理由ハ何デアルカト云フ質問ニ對
シマシテハ農林、外務兩大臣カラ、北洋
漁業ニ關スル內外ノ特殊的諸情勢其他ニ鑑
ミマシテ、其主力的經營主體ニ對スル國家
ノ特別ナル監督ノ制度ノ、完備ヲ圖ルト云
フコトノ必要ヲ述ベラレタノデアリマス、
尙ホ此外色ミナ質問ガアリマシタ、ソレハ
北洋漁業ニ於ケル三大漁業ノ合同ノ今日マ
デノ沿革トカ、經過トカ、ソレカラ北洋漁業
ノ範圍トカ、或ハ法文ニアリマスル重要財產
ト云フモノハドウ云フモノヲ指スノデアルト
カ、ソレカラ露領漁業ニ於ケル蕃殖保護ニ關
スル從來ノ施設及將來ノ方針、又北洋漁業ノ
維持開發、又ハ統制ノ爲ニ發スル施設命令ノ
範圍等ノ諸點ニ付キマシテ、質疑應答ガ重ネ
ラレタノデアリマス、續イテ討論ニ移リマシ
テ、一委員カラ斯ウ云フ發言ガアリマシタ、
露領漁業ト云フモノハ「ポーツマス」條約ニ
依ッテ得タ所ノ重要ナ國家的權益デアリマ
ス、デアリマスルガ故ニ之ニ依ッテ生ズル
所ノ利益ト云フモノヲ、一會社ガ壟斷スル
ト云フコトハ面白クナイト云フ理出カラ、
本法原案第四條ノ規定ヲ修正シタイト云フ
修正意見ガ出タノデアリマス、其修正意見ト
申シマスノハ、要スルニ納付金制度ヲ設ケ
テ、會社ガ利益ガアッタラバ其利益ノ一部
ヲ國へ納メサシテ、ソレヲ一般ノ國民ノ利益
ニナルヤウニシタイト云フ意味デアリマス
ガ、其修正意見ノ全文ヲチヨット申上ゲマス、
「第四條、每營業期ニ於テ配當シ得ベキ利益
金額ガ拂込資本金額ニ對シ一年百分ノ十二
ノ割合ヲ超過スルトキハ會社ハ該超過額ノ二
分ノ一ヲ政府ニ納付スベシ但シ當該營業期
ヲ除キ其ノ前三年ニ包含セラルル營業期ニ
於ケル配當シ得ベキ利益金額(該利益金額
中政府ニ納付シタル金額アルトキハ之ヲ控
除ス)ヲ通算シ拂込資本金額ニ對シ一年百
分ノ十二ノ割合ニ達セザルトキハ其ノ不足
額ヲ當該營業期ニ於ケル配當シ得ベキ利益
金額ヨリ控除シ其ノ殘額ガ拂込資本金額ニ
對シ一年百分ノ十二ノ割合ヲ超過スル場合
ニ限リ會社ハ該超過額ノ一一分ノ一ヲ政府ニ納
付スベシ」、「原案第四條ヲ第五條トシ以下順
次之ヲ繰下グ」、斯ウ云フ修正案ガ出タノデ
アリマス、然ルニ他ノ委員カラ只今ノ修正意
見ノ趣旨ハ異存ガナイケレドモ、第四條ニ
政府ガ色ミナ施設ヲ命ズルト云フコトニナッ
テ居ルノニ、ソコヘ納付金制度ヲ入レテ置
換ヘルト云フコトニナルト云フト、會社ガ
若シ利益ガ擧ガラナイヤウナ風ニ計算ヲス
ルト云フコトニナレバ、國庫ニ納メル金ハ
無クナッテ、而モ政府ガ命ズル所ノ施設モシ
ナクテモ宜イト云ッタ、非常ニ會社ニ取ッテ
有利ナヤウナ關係ニモナルカラ、置換ヘルト
云フコトデハドウモドウカト思フ、ソレカラ
若シ兩方ヲ置クト云フコトニナレバ、會社ノ
負擔モ隨分過重ニナルト云フヤウニモ考ヘ
ラレル、ソコデ斯ウ云フヤウナ次ノ意見ヲ述
ベラレタノデアリマス、斯カル納付金制度ト
云フモノハ一方會社ノ獨占的地位ノ保障
ト相俟ツベキモノデアルガ故ニ、此際ハ右
納付金制度ヲ會社ノ獨占的地位ノ保障ノ趣
旨ト共ニ取入レテ、希望決議ヲ付シテ原案
ニ贊成シタイト云フ意見ガ出マシタ、次デ
採決ニ入リマシテ修正意見ハ贊成者少數デ
アリマシテ否決サレマシタ、結局多數ヲ以
テ希望決議ヲ付シテ政府ノ原案ヲ可決スル
コトニ決定イタシタノデゴザイマス、其希
望決議ヲ讀ミマス
北洋漁業ハ内外ノ特殊的諸狀勢ニ鑑ミ其
ノ權益ノ維持仲展上主トシテ現在ノ主力
的經營主體タル會社ヲシテ國家的見地ニ
基キ其ノ經營ニ當ラシメ政府ハ之ニ對シ
特別ナル監督ヲ加フルト共ニ其ノ獨占的
地位ニ付テハ充分之ヲ尊重シ以テ斯業ノ
健全ナル發達ニ遺憾ナキヲ期スルト共ニ
又一面露領漁業ハ「ポーツマス」條約ニ依
リ我國ノ得タル重要ナル權益ナルヲ以テ
之ニ依リテ生スル利益ハ一般國民ニ之ヲ
及ホスヘキモノナリ仍テ政府ハ此ノ趣旨
ニ基キ本制度ノ運用ヲ爲スト共ニ將來其
ノ成績ニ徵シ納付金制度ニ付考慮スル等
適當ナル處置ヲ講セラレンコトヲ希望ス
斯ウ云フ決議デゴザイマシタ、詳シイコト
ハ速記錄ヲ御覽ヲ戴キタイト存ジマス、以
上ヲ以テ簡單デアリマスルガ、御報告申上
ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=10
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011・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御質疑ガナケレ
バ討論ニ移リマス、次田大三郞君
〔次田大三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=11
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012・次田大三郎
○次田大三郞君 私ハ只今議題ニ上ボッテ
居リマスル北洋漁業取締法案ニ付テ贊成ノ
意見ヲ述べマスルト同時ニ、特別委員會ニ
於ケル付帶決議ノ趣旨ニ付キマシテ、只今
ノ委員長ノ御報告ニ若干蛇足ヲ加ヘサシテ
戴キタイト思ヒマス、此法案ニ依リマシテ
政府ノ特別ノ監督ノ下ニ置カレル會社ハ、
第一條ノ規定ニ依ッテ、此法律施行後政府ニ
於テ指定セラルル筈デアリマスルガ、政府
當局ノ御說明ニ依リマスレバ、只今委員長
ノ御報告ニ相成リマシタ通リ、其會社ハ日
魯漁業株式會社及太平洋漁業株式會社ノ二
ツニナルト云フコトデアリマス、日魯漁業
株式會社ハ、御承知ノ如ク「ポーツマス」條
約ニ依ッテ我國ノ權益トシテ獲得シタ露領
沿革ノ漁業、殊ニ鮭鱒漁業ヲ經營シテ居リ
マスル會社デアリマス、又太平洋漁業株式
會社ト中スノハ、其露領ノ沖合、陸岸カラ
三浬以外ニアリマスル公海ニ於キマシテ、
所謂母船式ノ鮭鱒漁業ヲ經營シテ居ル會社
デアリマス、而シテ此太平洋漁業株式會社
ノ株式ノ殆ド全部ハ日魯漁業株式會社ガ
持ッテ居ルノデアリマシテ、此二ツノ會社ハ
形式ハ二ツノ會社デアリマスルガ、實質ハ
一ツノ會社ト見ルベキモノナノデアリマ
ス、此二ツノ會社ヲ、此法律ノ第二條乃至
第五條ノ規定ニ依リマシテ、政府ノ特別ナ
ル監督ノ下ニ置クガ爲ニ、此立法ヲ要スル
ト云フコトデアリマスルガ、何故ニ此二ツ
ノ會社ヲ政府ノ特別ナル監督ノ下ニ置クコ
トニセネバナラヌカト申シマスルト、先ヅ
日魯漁業株式會社ニ付キマシテハ、此法律
ノ第六條以下ノ規定ニ依リマシテ、露領沿
岸漁業ヲ經營セムトスル者ハ、主務大臣ノ
認可ヲ要スルコトニ致シマシテ、而シテ從
來既ニ漁業權ヲ得テ居リマスル者以外ノ者
三、之ヲ認可シナイト云フ方針ヲ立テラ
レタノデアリマス、ソレニ依ッテ以テ日魯漁
業株式會社ヲシテ、大體ニ於テ露領沿岸漁
業ヲ獨占セシムルト云フコトニナルノデア
リマス、又太平洋漁業株式會社ニ付キマシ
テハ、所謂母船式鮭鱒漁業ヲ營ムニハ漁
業法ノ規定ニ依ッテ主務大臣ノ認可ヲ要ス
ルコトニナッテ居ルノデアリマスルガ、今後
ハ右ノ母船式鮭鱒漁業ハ、太平洋漁業株式
會社以外ノ者ニハ許可シナイト云フ方針ヲ
定メラレマシテ、之ニ依ッテ以テ太平洋漁
業株式會社ヲシテ、沖合ノ鮭鱒漁業ヲ獨
占セシムルト云フコトニナルノデアリマ
ス、斯ノ如キ獨占的ノ利益ヲ此二ツノ會社
ニ與ヘマスル以上ハ、之ヲ政府ノ特別ナル
監督ノ下ニ置イテ、政府ノ統制ニ服セシム
ルノ必要アリト云フコトデアリマス、此北
洋ノ鮭鱒漁業ヲ日魯、太平洋ノ兩會社ニ、
形式ニ於テハ此二ツノ會社、實質ニ於テハ
日魯漁業株式會社ノ獨占ニ委シテシマフト
云フコトガ果シテ適當デアルカドウカ、政
府ノ御說明ニ依リマスレバ、從來多數ノ者
ガ北洋漁業ニ從事シタノデアルガ、ソレハ
御互ニ有害無益ノ競爭ヲヤッテ、其結果共
倒レニ陷ル虞ガアッタ、北洋漁業其モノガ潰
レル虞ガアッタカラシテ、政府當局カラ是等
ノ經營者ニ合同ヲ勸奬シテ、當業者モ亦分
立競爭ノ弊ヲ悟リ、協議ノ上合同イタシマ
シテ、今日ニ於テハ日魯漁業株式會社及太
平洋漁業株式會社ノ二ツニ合同シテシマッ
タト云フコトデアリマシテ、之ニ北洋ノ漁
業ヲ獨占セシムルト云フコトハ一應ハ御尤
ノヤウデアリマスルガ、サレバトテ最近行
ハレマシタ沖合ニ於ケル母船式鮭鱒漁業ノ
合同ノ如ク、農林當局ニ於テ當業者ニ對シ
テ相當强ク壓迫ヲ加ヘテ無理ナコト迄ヲシ
テ合同ヲ爲サシメル必要ガアッタカドウカ、
又其合同ノ經緯ニ付キマシテハ、私共ノ合
點ノ行カナイ點ガ多々アルノデアリマスル
ガ、併シ旣ニ合同ガ成立イタシマシテ、日
魯太平洋ノ兩會社ニナッテシマッタ以上、
而シテ又政府ガ此兩會社ニ北洋ニ於ケル鮭
鱒漁業ヲ獨占セシムルコトヲ、方針ト決定
シテシマハレタ以上ハ、此兩會社ニ對シテ
政府ガ相當特別ナ監督ヲ加ヘマシテ、苟モ
國家ガ之ニ格段ナル保護、格段ナル恩惠ヲ
與フルノ趣旨ヲ沒却セシメナイヤウニ致ス
ノハ理ノ正ニ然ルベキコトデアリマシテ、
此點ニ於テ私ハ本法律案ニ贊成スル者デア
リマス、但シ私共ノ疑問トスル所ハ、此兩
會社ニ對シテ此法律案ニ規定シテ居ル特別
ナル監督ヲ致スト云フコトダケデ、ソレデ
事ガ足リテ居ルノデアルカドウカト云フコ
トデアリマス、誰デモ此法律案ヲ一讀イタ
シマスルト直グ氣ガ付クコトデアリマスル
ガ、此監督規定ノ外ニ、會社ガ北洋ノ鮭鱒
漁業ヲ獨占シテ莫大ナ利益ヲ擧ゲマシク場
合ニ、其利益ノ一部分ヲ國家ニ納付セシム
ルト云フコトガ、須ラク此法律中ニ規定セ
ラルベクシテ規定セラレテ居ナイト云フコ
トデアリマス、私共ハ深ク此事ヲ遺憾トス
ル者デアリマス、元來露領沿岸ノ漁業ハ
「ポーツマス」條約ニ依ッテ我國ガ獲得シタ權
益デアリマス、我ガ忠勇ナル陸海軍ノ將兵ガ
血ヲ流シ、命ヲ賭シマシタ結果得ラレタ所
ノ貴重ナル國家ノ權益デアルノデアリマス、
デアリマスルカラ此權益ハ國家自ラ其漁業
ニ從事シテ、其利益ヲ國家ニ歸屬セシムル
カ、然ラザレバ苟モ日本國民タル者ハ何人
タルヲ問ハズ、其漁業ヲ營ンデ其利益ニ均
需スルコトヲ得ル筋合ノモノデナクテハナ
ラヌノデアリマス、併ナガラ實際論ト致シ
マシテ、大勢ノ者ガ此漁業ヲ營ムコトニナ
リマシテハ、競爭ノ結果共倒レニナル虞ガ
アリ、折角ノ權益ヲ駄目ニスル虞ガアルカ
ラシテ、之ヲ日魯漁業株式會社ト云フ一營
利會社ニ獨占セシムルト云フコトデアリマ
スレバ、是亦已ムヲ得ナイコトデアルカモ
知レマセヌ、併ナガラ此場合ニ於テモ、會
社ガ北洋ノ鮭鱒漁業ヲ獨占シマスル結果、
莫大ナル利益ヲ擧ゲマシタ場合ニハ、其利
益ノ一部分ヲ國家ニ納付セシムルト云フコ
トハ、蓋シ當然過ギル程當然ナコトデアル
ト思フノデアリマス、現ニ同ジク國家ノ權
益デアル所ノ北樺太ニ於ケル、石炭石油ノ
採掘ニ從事シテ居リマスル所ノ會社ニ付キ
マシテハ、大正十五年勅令第九號ノ規定ニ
依リマシテ、會社ガ資本金ニ對シ一定ノ率
以上ノ利益ヲ擧ゲマシタ場合ニハ、其一部
ヲ國家ニ納付セシムルノ規定ヲ設ケテ居ル
ノデアリマス、然ルニ此北洋漁業取締法案
中ニハ、遺憾ナガラ斯ノ如キ規定ヲ缺イテ
居ルノデアリマス、卽チ此法律ガ成立シ、
實施セラレマシタ曉ニハドウナルカト申シ
マスルト、北洋漁業ニ關スル權益ハ九十九
〓パーセント」迄、卽チ殆ド全ク日魯漁
業株式會社ガ之ヲ獨占スルノデアリマ
ス、而シテ一般日本國民ハ此國家ノ
權益ニ與カルコトヲ許サレナイノデアリマ
ス、而シテ此獨占ニ依ッテ生ズル利益ガ如
何ニ莫大ナ場合デアリマシテモ、ソレハ
全部會社ノ收得スル所トナルノデアリマ
ス、北樺太石油會社ノ場合ノ如ク、其一部
ヲ國家ニ納付シナイデ宜シイ、況ヤ一般國
民ニ其利益ヲ均霑セシムルト云フガ如キコ
トハ、勿論イタサナクナッテ宜シイト云フ
コトニナルノデアリマス、是ハ果シテ許サ
ルベキコトデアリマセウカ、國家ガ年々軍
艦ヲ北洋ニ派遣シテ、北洋漁業ヲ保護イタ
シテ居リマス、其經費數十萬圓ハ、一般國民
ガ之ヲ負擔シテ居ルノデアリマス、而シテ此
保護ノ下ニ漁業ヲ營ミマシテ、因ッテ出テ來
ル所ノ利益ハ全部日魯漁業株式會社ト云
フ、一營利會社ノ利益ニナリマシテ、國家
モ一般國民モ之ニ與カルコトガナイノデア
リマス、又農林省ニハ北洋漁業關係ノ仕事
ニ從事シテ居ル技術官、其他ノ官吏ガ大勢
居ラレル筈デアリマスルガ、是等ノ官吏ハ
國家ノ官吏トシテ精勵恪勤、日夜其職務ニ盡
瘁シテ居ラルルコトト思ヒマスルガ、今後
御勉强ノ結果、或ハ新シイ漁場ヲ發見スル
トカ、或ハ新シイ漁法ヲ發明スルトカ云フ
ヤウナコトガアッタト致シマシテ、其利益ハ
一營利會社ノ利益トナルノミデアリマシ
テ、一般國民ハ其利益ニ均霑スルコトガ出
來ナイノデアリマス、斯ノ如キ事態ハ果シ
テ我ミノ政治的良心ヲ滿足セシムルモノデ
アリマセウカ、政府當局ハ此法律ノ第四條
ニ、主務大臣ハ會社ニ對シテ北洋漁業ノ維
持開發又ハ統制ノ爲必要ナル施設ヲ命ズル
コトヲ得ル旨ノ規定ガアル、又第二條ノ規
定ニ依リマシテ、會社ノ利益配當ヲ制限ス
ルコトガ出來ルノデアルカラ、ソレデ宜シ
イデハナイカト云フヤウナ御說明デアリマ
ス、併ナガラ利益配當ノ制限ヲ致シマシタ
トシテモ、ソレハ唯株主ニ配當スル金ガ會
社ニ殘ルト云フコトダケデ、會社ノ積立金
ガ增加スルトカ、或ハ會社ノ繰越金ガ增加
スルト云フコトデアリマシテ、ソレニ依ッテ
會社ノ基礎ハヨリ鞏固ニナルノデアリマセ
ウガ、一般國民ハ之ニ依ッテ何等直接ノ利益
ヲ受クルコトハナイノデアリマス、又北洋
漁業ノ維持開發又ハ統制ノ爲メ必要ナル施
設ヲ會社ニ命ジテヤラシメタイト致シマシ
テ、其結果トシテ生ズル所ノ利益ハ果シ
テ誰人ガ之ヲ收メルノデアリマセウカ、申
ス迄モナク日魯漁業株式會社ダケデアリマ
シテ、一般國民ハ之ニ與カルコトガナイノ
デアリマス、例ヘバ北千島ニ北洋漁業ノ根
據地トシテ漁港ヲ造ルコトヲ命ジテ、其漁
港ガ出來上ッタト致シマス、之ヲ利用スルモ
ノハ日魯漁業株式會社所屬ノ漁船ダケデア
リマシテ、一般國民ノ漁船ハ北洋漁業ニ從
事スルコトヲ許サレナイ、其當然ノ結果ト
致シマシテ、殆ド之ヲ利用スル機會ヲ與ヘ
ラレナイノデアリマス、デアリマスカラ此
法律ニ第二條、第四條ノ規定ガアルカラ、
ソレデ宜シイデハナイカト云フ政府當局ノ
御辯明ニハ私共ハ承服スルコトガ出來ナイ
ノデアリマス、要スルニ國家ノ貴重ナル權
益ヨリ生ズル利益ヲ一營利會社ニ獨占セシ
メマシテ、一般國民ニハ之ニ與カルコトヲ
許サナイ、而シテ其會社ハ儲ケ放題ニ儲ケ
テ宜シイ、其利益ハ如何ニ莫大デアリマシ
テモ、全部ソレヲ會社ガ收得シテ宜シイト
云フ此法律案ノ立前ハ、餘リニモ一營利會
社ノ保護ニ過グルモノデハナイカ、私共ハ
考ヘザルヲ得ナイノデアリマス、ソコデ會
社ノ利益ガ莫大デアッタ場合ニハ、其一部分
ヲ國家ニ納付セシムルコトニスル、卽チ北
樺太ノ石油會社ノ例ノ如クスルコトガ我ミ
ノ政治的良心ノ最小限度ノ要求デアリマ
ス、然ルニ此法律案ニハ遺憾ナガラ斯ノ如
キ趣意ノ規定ヲ設ケラレテ居ナイ、唯第二
條乃至第五條ノ監督規定ヲ置イテ居ルノニ
過ギナイノデアリマス、私共ハ之ヲ以テ此
法律案ノ大ナル缺點デアルト考ヘザルヲ得ナ
イノデアリマス、殊ニ近頃左翼、右翼ノ極
端ナル思想ヲ懷キマスル者ハ、動モスレバ
政治家ガ一部資本家、一部財閥ノ利益ノ保
護ニ堕スルト云フガ如キ非難ヲ致シタガル
ノデアリマス、今若シ日露戰爭ノ結果、國
家國民ガ多大ナル犠牲ヲ拂ッタ後獲得シタ
國家ノ權益、其權益ヨリ生ズル利益ハ
之ヲ一營利會社ノ壟斷ニ委セテシマッテ、國
家モ一般國民モ其利益ノ分配ニ與カルコト
ガ出來ナイト云フ立前ノ此法律案ガ、何等
ノ議論モナクシテ貴衆兩院ヲ通過イタシマ
シタ曉ニハ、是等兩翼ノ極端ナル思想ヲ懷
ク者ニ、前申シマスルガ如キ論難攻擊ノ非
常ニ好イ材料ヲ供スルト云フコトニナリハ
シナイカ、而シテ斯ノ如キ論難攻擊ガ一般
國民ノ思想ニ果シテ如何ナル影響ヲ及ボス
デアラウカト云フコトヲ考ヘテ見マスル
ト、是ハ決シテ小問題デアルトシテ等閑ニ
付スルコトヲ容サナイト言ハナケレバナラ
ナイノデアリマス、仍テ私ハ特別委員會ニ
於キマシテ原案ニ修正ヲ加ヘテ、會社ガ獨
占ニ依ッテ莫大ナ利益ヲ擧ゲマシタ場合ニ
ハ其利益ノ一部ヲ國家ニ納付セシムベキ
旨ノ條文ヲ挿入スルノ意見ヲ以チマシテ、
委員各位ニ御相談ヲ致シマシタ所ガ、先程
委員長ヨリ御報告ノアリマシタ通リニ、委員
各位ニ於カレマシテハ、何レモ此趣旨ニハ
御同感デアッタノデアリマス、唯法文ノ修正
ト云フコトニナリマスルト、立法技術上、法
律ヲ書ク技術上尙ホ考慮ヲ要スル點ガアル
カラシテ、原案ハ其儘之ヲ認メルガ、同時
ニ先程委員長ノ讀上ゲラレマシタ通リノ希
望決議ヲ之ニ附ケルト云フコトニ相成ッタ
ノデアリマス、卽チ希望決議ノ後半ハ全ク
私ノ申述べマシタ趣旨ヲ以チマシテ、此法
律案ノ缺陷ニ對シテ不滿ノ意ヲ表シ、政府
ノ適當ナル施設ヲ要望シタモノデアリマ
ス、此希望決議ガ附イテ居リマスルガ故ニ、
私ハ忍ンデ此法律案ニ贊成イタシマスルト
同時ニ、政府ガ成ルベク近キ將來ニ於テ、
成ルベク早イ機會ニ於テ、納付金制度ヲ設
クルコトニ考慮ヲ廻ラサレムコトヲ希望シ
テ已マザルモノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=12
-
013・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 岩倉男爵
〔男爵岩倉道倶君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=13
-
014・岩倉道倶
○男爵岩倉道倶君 會期切迫ノ際ニ時間ヲ
潰シマスコトハ甚ダ恐縮デゴザイマス、私
ハ贊成ノ意味ニ於テ、此本案ノ不明ナル點
ヲ明ニシテ贊成ノ意見ヲ述ベタイト思ヒマ
ス、只今次田議員カラ色ミ御話モゴザイマシ
タガ、斯ノ如キ法律ガ出マスマデニハ、可
ナリ重要ナル沿革ヲ辿ッテ居ルノデゴザイ
マス、御承知ノヤウニ、北千島ト樺太トヲ、
餘程前ノ話デゴザイマスケレドモ、日露ノ
間ニ交換シマシタ時以來、北洋ノ漁業ト云
フモノハ「ロシア」ガ當然認メマシテ、日本
人ノ手ニ依ッテ行ハレテ居ッタノデアリマ
ス、其時分ニハ帆船デ以テ命賭ケデ北洋へ
出掛ケテ漁ヲシテ居ッタノデアリマス、日露
戰爭ノ前ニ郡司大尉ガ、北洋ノ國防上ノ重
要性ト、產業上ノ重要性ヲ特ニ深ク考ヘラ
レマシテ、海軍ノ現役ヲ辭メラレテ、隅田
川カラ「ボート」ニ乘ッテ、北千島ニ出發サレ
タノデアリマス、「ボート」ハ確カ仙臺邊リ
デ難波シマシテ、帆船ニ依ッテ北千島ニ行カ
レマシテ、占守島ニ根據地ヲ据ヱテ、サウ
シテ觀測竝ニ漁業ヲ〓究サレタノデアリマ
ス、ソレデ紅鮭ト申シマシテ、「ロンドンㄴ
ニ行ッテ非常ニ高ク賣レマス種類ノ罐詰
ノ、紅鮭ガ居ルト云フコトヲ發見サレマシ
タノハ、遠ク郡司大尉ニ依ッテ發見サレタノ
デアリマス、普通ノ鮭トハ數倍ノ罐詰ノ値
段ガスルモノデアリマス、デ郡司大尉ノ發
見ニ依リマシテ、日本ニ「キング·サーモン」
ト云フ良イ鮭ガアルト云フコトガ分リマシ
テ、其後段々事業家ガ之ニ力ヲ入レテ來タ
ノデアリマス、日露戰爭ノ勃發シマシタ時
ニ、郡司大尉ハ僅ナ自分ノ隊員ヲ提ゲテ
「カムチヤッカ」ニ上陸イタサレマシテ、結果
トシテハ御氣ノ毒ナコトデアリマシタガ、
露軍ノ捕虜ニナッタノデアリマス、ソ
レデ「ポーツマス」條約ニ依リマシテ、
日本ノ北洋漁業ト云フモノハ確保サレ
タノデアリマシテ、其淵源ハ遠ク帆船時
代明治中期ノ頃カラ日本人ガヤッテ居ル
ノデアリマス、ソレデ郡司大尉ニ依ッテ此
紅鮭ガ居ルト云フコトヲ發見サレマシタコ
トガ、今日ノ北洋ノ大ナル產業トナリマシ
テ、「ロンドン」、「ニユヨーク」カラ金貨ヲ
一億近ク取ッテ來ル產業ニナッテ居ルノデア
リマス、然ルニ此日露ノ間ニ於ケル北京條
約ニ、日本臣民ニ之ヲ許スト云フコトガ書
イアリマス爲ニ、相當ノ統制ノ取レテ居リ
マシタニ拘ラズ、宇田某ト云フ不都合ナ日
本人ガ出マシテ、「ロシア」ノ一部ノ人間ト
共謀シマシテ、突然「ウラジオ」ニ於ケル入
札ニ於テ、日魯會社ノ重要ナル漁區ヲ橫取
ヲシタノデアリマス、殆ド日魯會社ニ爆彈
ヲ投付ケタヤウナコトガ起ッタノデアリマ
ス、其時ハ所謂宇田事件トシテ輿論ノ非常
ナ喚起ヲ見マシテ、此宇田問題ト云フモノ
ハ非常ナ政治的、社會的輿論ヲ捲起シマシ
テ、到頭失敗ニ終リマシタ、此時以來如何
ニモ統制ガナイヂヤナイカ、相當ニ國家ガ
保護シテ居ルニ拘ラズ、誰デモ行ッテ入札ニ
行ケバ取レルノダト云フヤウナコトデハ、
折角此「ロンドン」、「ニユヨーク」カラ金貨
ヲ運ビ得ル產業ガ、何時引繰リ返ルカモ分
ラヌヂヤナイカ、ソレニ對シテハ相當サウ
云フ陷穽ヲ早ク塞ガナケレバイカヌヂヤナ
イカト云フコトヲ私共高調イタシマシタ
ガ、所謂日本臣民ニ許可スト云フ條約ノ文
句ニ縛ラレマシテ立法ガ出來ナカッタノデ
アリマス、今囘初メテ政府ノ認可ニ依リト
云フ一ツノ玆ニ關所ヲ設ケマシテ、初メテ
此陷穽ガ此法案ニ依ッテ塞ガレタノデアリ
マス、次田君ハ頻リニ一營利會社ニ獨占サ
セルコトガ怪シカラヌト、丁度恰モ東京市
ノ瓦斯會社ノヤウニ御解釋ニナッテ居リマ
スガ、此點ハ聊カ事情ガ違ヒマス、ソレデ宇
田問題ノ起リマシタ後ニ、斯ノ如ク日本ノ
側ガ亂立シテ居ッテハイカヌヂヤナイカ、而
モ「ロシア」ノ方ハ國營デ以テズン〓〓ヒタ
押シニ押シテ來ル、此方ハ利害ヲ異ニシタ
個々ノ商人ガ對立ヲシテ居ル、日本人ノ魚
捕リノニ間ニ於テ兄弟相鬩イデ居ルヤウナ
狀態デハイカヌト云フノデ、確カ山本農林
大臣ノ時分ニ慫慂サレマシテ、第一囘ノ統
制ガ出來タノデアリマス、其時ハ低利資金
ヲ、ト云フ話デアリマシタガ、低利資金ト
云フコトハ出來マセヌデシタガ、東洋拓殖
會社カラ九百萬圓ト云フ金ヲ出シマシテ、
群小ノ漁業會社ヲ合同サセマシテ、第一囘
ノ大合同ガ出來タノデアリマス、然ルニ此
九百萬圓ト云フ半分國家ノ息ノ掛ッタ金ニ
依ッテ買收サレマシタ漁業ガ沖取ニ出タノ
デアリマス、「ロシア」ノ領土ニ寄ラズシ
テ、三浬以外ノ公海ニ於テ、流シ網ニ依ッテ
夜、魚ヲ獲ル、是ガ初メノ樣子デハ今日ノ
ヤウニ盛況ニナルトハ思ッテ居リマセヌデ
シタガ、年ヲ經ルニ從ッテ、日本ノ勇敢ナル
漁夫ト技術ニ依リマシテ、非常ニ是ガ豫想
以外ニ獲レルヤウニナリマシテ、昨年ノ如
キハ殆ド日魯漁業會社ノ半分位ナ罐詰ガ出
來ルヤウニナリ、其結果ハドウナリマシタ
カト云フト、三浬以外ハ公海デアルト云フ
立前デアリマスカラ、「ロシア」ガ河ノ中ノ
魚ヲ保護スル爲ニ、河ノ脇ニ對シテハ漁場
ヲ禁止シテ居リマス、然ルニ日本ガドン
ドン沖合デ獲リマスカラシテ、謂ハバ產科
ノ病院ニ入院ニ行ク所ノ產婦人ヲ往來デ捉
ヘテシマフヤウナ、早ク言ヘバ理窟ニナ
ル、其程度ガ相當ニ「ロシア」ノ陸ノ漁場モ
脅威シ、同時ニ日魯漁業會社ノ陸ノ漁場モ
脅威シ、所謂相當ニ蕃殖保護竝ニ陸ノ漁業
ニ對シテ邪魔ニナリマシタ、ソレデ所謂魚
捕リノ慣ヒトシテ、先キデ捕ル方ガ强イノ
デアリマスカラ、所謂陸デ捕ル日魯漁業會
社ト、沖デ捕ル沖取ノ鮭鱒ノ漁業者トノ間
ニ爭ガ起リマシテ、ノミナラズ昨年ハ、六
年目、六年目ガ北洋ノ廻リ年デ、所謂捕レ
ル年デ、幸ヒ昨年ハ六年目ノ大漁ノ年デア
リマシタカラ、沖取モ非常ナ收獲ガアリマ
シタ、日魯會社モ相當ノ收獲ガアリマシ
テ、稍〓此產業トシテハ成果ヲ擧ゲタノデア
リマスルケレドモ、公平ナル高イ所カラ見
マスルト、滅茶々々ニ捕リ過ギテシマッテ、
蕃殖保護ノ方ヲ非常ニ脅威シタ、デ日本ガ
餘リ沖取デ捕リマシタ結果、「ロシア」ノ方
デモ「ロシア」ノ方ダケガ蕃殖保護ヲ考ヘテ
モ駄目ダ、日本ガ沖デ、河ノ入口デ捕ルナ
ラバ、我ミハ河ノ中ニ這入ッテ來ル、子ヲ產
ミニ來ル魚ヲ捕ラウヂヤナイカ、ソレデ三
日カ四日間或場所デハ沖デ建網ト云フモノ
ヲ千間程出シマシテ、其建網ニ掛ッテ袋ニ這
入ル魚ヲ捕ルノデアリマスガ、「ロシア」ノ
方デハ日本ガ斯ノ如ク蕃殖保護ヲ無視
シテヤル以上ハ、我ミノ方デモ遠慮スル
必要ハナイト云ッテ、河ノ中ノ魚ヲ捕リ
始メル虞ガアルノデアリマス、詰リ產
科ノ病院ヘ行ッテ產褥ニ就イテ居ル產婦
人ヲ、皆捉ヘテシマフト同ジコトヲ始メ
ル、魚ト云フモノハ河ヲ遡ッテ、鮭鱒等ハ子
ヲ產ムモノデアリマス、其河ニ這入ッテ來ル
ノヲ河ノ入口デ捕ッテシマフ、幸ニシテ十重
二十重ノ沖取ノ網ヲ遁レテ子ヲ產ミニ這
入ッタモノハ、「ロシア」ガ中デ捕ッテシマフ
ト云フコトニナリマスレバ、是ハ朝鮮ニ於
ケル山林ト同ジコトデ、幾ラデモ伐ッテシマ
ヘバ終ヒニハ山ハ赤〓ニナッテシマフ、其結
果ナカ〓〓殖林シタッテ、今度ハ土ガ燒ケテ
生エナイト同ジ狀態ニ立至ルノデアリマス、
モウ一ツノ事情トシテハ澤山罐詰ガ出來
マシタコトハ結構デアリマシタガ、「ロンド
ン」、「ニユーヨーク」デ必要トスル程度以上
ニ餘計出來タ、其結果ハ何處ノ產業ニモア
リマスル通リ、ヤレ品質ガ惡イ、ヤレ色ガ
惡イ、色ミナ詰リ苦情ヲ附ケラレマシテ、
殆ド三百萬ニ近イ罐詰ハ只取ラレタト同ジ
ヤウナ結果ニナッタ、一方ニ於テハ漁場ヲ荒
廢ニ導キ、一方ニ於テハ市場ニ於テ「マー
ケット·プライス」ヲ崩シ、何方カラ言ッテモ
イケナイ現狀ニ立至ッタノデアリマス、而モ
幸ニ爲替ノ關係ガ、圓ガ安イノデ餘程會社
ノ計算ハ良クナリマシタケレドモ、斯ノ如
キ狀態デ推移スレバ共倒レニナルト云フヤ
ウナ心配ガ見エテ來タノデアリマス、玆
於テ已ムヲ得ズ斯ノ如キ法律案ガ生レタ、
次田君ノ所謂國家ガ一會社ニ獨占サセルコ
トハ怪シカラヌト云フ御議論モ、事情ヲ調
ベテ見レバ已ムヲ得ズ斯ウ云フコトニナル、
ソレデ國家ガ玆ニ監督ヲ加ヘマスト云フコ
トハ當然デアリマスガ、唯納付金ヲシタカ
ラト云ッテ、是ハナカ〓〓行クモノデハナイ、
農林省ノ少數ノ試驗船ニ依ッテ行ハレマシタ
試驗ト云フモノハ、ナカ〓〓ソレヲ以テ直
ニ事業ノ見本トスル譯ニハ行カナイ、矢張リ
相當ノ大キナ船ナリ、相當ナ大キナ施設ヲ
シテ試驗シタモノデナケレバ試驗ニハナラ
ナイ、ソレデ此法案ノ目的トシマス所ハ
鐵道省ノ會計ノ如ク或ル程度ノ益金ガアリ
マシタナラバ、鐵道ノ改良、進步ニ向ケル
ト云フヤウナ精神ニ於テデス、日魯漁業會
社或ハ沖取太平洋漁業會社ニ獨占サセル結
果ハデス、或ル程度ノ利益ノ制限ヲシテ、
詰リ餘剩ノ財力ヲ以テ新シイ漁法トカ、新
シイ漁場ヲ探檢スルトカ、蕃殖保護ヲヤラ
セルトカ、詰リ森林トシテ輪伐シテ何時迄
モ此事業ガ繼續スルヤウナコトニサセタイ、
又一方カラ先ッキ仰シヤイマシタガ、一會社
ニノミヤラシテハ怪シカラヌヂヤナイカト
云フ御議論デアリマスケレドモ、現在北海
道靑森、山形、秋田、此東北ノ寒村ニ百
圓札ヲ見マスト云フコトハ一ニ北洋ノ出
稼デアル、彼等ハ稻ヲ植エマシテ、北洋ニ
出マシテ、平均一年三百圓ノ收入ヲ持チマ
シテ故〓ニ歸リマシテ、今度ハ稻刈ニ從事
スルノデアリマス、凡ソ產業ト云フモノハ
資本家ガ相當利得ヲ得ルト云フコトハ當然
デアリマスガ、之ニ依ッテ成ルベク多クノ人
ヲ培養シテ行ク、產業ニ依ッテ人ヲ能ク〓ハ
シテ行ク、而モソレガ一時的デナクッテ成ル
ベク長ク、二萬餘ノ人ヨリハ三萬人、ニョg
人ヨリハ四萬人ト云フ風ニ、永久ニ北洋漁
業ト云フモノニ依ッテ、此東北竝ニ北海道ノ
寒村ニ所謂現金收入ヲ圖ッテヤルト云フコ
トハ、當然ノ國家竝ニ識者ノ責務デハナイ
カト思フ、一方ニ於テハ漁場ヲ絕滅ニ導ク
心配ガアリ、一方ニ於テハ「ロンドン」、「ニー
ヨーク」ニ於テ罐詰ノ洪水ヲ作ル、之ヲ
棄テテ置ケバ所謂北洋漁業ト云フモノハ十
年ヲ出デズシテ無クナルダラウト思フ、サ
ウスレバ資本家ガ潰レルバカリデナク、東
北ノ所謂寒村僻地ノ人ガ唯一ノ書入レトシ
テ居リマス北洋出稼ト云フモノハ絕無ニナ
ル、此意味ニ於テ私ハ今度ノ法案ハ誠ニ當
ヲ得タ英斷ダト思フ、私ハ只今ノ御演說モ
結構デアルト思ヒマスケレドモ、所謂此產
業ト云フモノガ、所謂水中ノ魚ト云フモノニ
依ッテ現在「ロンドン」、「ニユーヨーク」カラ
金貨ヲ運ビツツアル、而モソレガ蕃殖、保
護竝ニ濫獲ニ依ッテ將ニ行末非常ニ心細イ
狀態ニナッテ居ル、無論消極的ノ意味ニ於テ
此法律ヲ必要トスルノデアル、一會社ヲ保
護シテ儲ケサセヤウト云フ積極的ノ動機カ
ラ生レタモノデナイト云フコトヲ申上ゲル、
ソレデ字田間題カラ久シク堀ラレタ陷穽
ガ、今度初メテ塞ガレルト云フコトハ、寧
ロ今日迄當局ノ懈怠ヲ責メテモ私ハ宜イト
思フ、私ハ此意味ニ於テ是非此案ハ此議會
ニ於テ成立サセナケレバナラナイノダト云
フ意味ニ於テ、贊成ノ意ヲ述べマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=14
-
015・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 他ニ御發言ガナ
ケレバ採決ヲ致シマス、本案ノ第二讀會ヲ
開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=15
-
016・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=16
-
017・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=17
-
018・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=18
-
019・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=19
-
020・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=20
-
021・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 是ヨリ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、全部、委員長報告通リデ御異
議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=21
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022・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=22
-
023・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=23
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024・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=24
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025・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 直ニ第三讀會ヲ
開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=25
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026・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=26
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027・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿者) 第三讀會ヲ開キ
やし、、第二讀會ノ決議通リデ御異議ハゴザ
イマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=27
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028・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=28
-
029・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第四、酒造
組合法中改正法律案、政府提出、第一讀會
ノ續、委員長報告発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=29
-
030・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 私ハ此際報〓前ニ申
上ゲマスガ、主務大臣ハドウ云フ譯デ御出
席ニナラナイカ······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=30
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031・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 主務大臣ハ只今
委員會ニ出席サレテ居リマシテ、政府委員
ガ出席シテ居ラレルサウデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=31
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032・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 ドウ云フ委員會カ存
ジマセヌガ、此案ヲ本會議ニ於テ議シテ居
ルノニ、此位ノ暇ガ取レナイコトハナイト思
ヒマス、御出デニナル譯ニ參リマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=32
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033・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 一應政府ノ方ニ
交渉イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=33
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034・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 此際日程ヲ變更
イタシマシテ、日程第五ヨリ第七マデヲ議
題トスルコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=34
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035・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=35
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036・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第五、行政
執行法中改正法律案、衆議院提出、第一讀
會
行政執行法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和十年三月十四日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
行政執行法中左ノ通改正ス
第一條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ檢束ハ翌日ノ日沒迄トシテ之ヲ
繼續スルコトヲ得ス但シ泥醉者、瘋癲
者、自殺ヲ企ツル者其ノ他救護ヲ要ス
ル者ニ對シテハ遲滯ナク之ヲ保護者又
ハ引取人ニ通知シ其ノ出頭スル迄檢束
ヲ繼續スルコトヲ得
第一項ノ假領置ハ三十日以內ニ於テ其
ノ期間ヲ定ムヘシ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=36
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037・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ、本案ハ之ヲ勞働者災害扶助法中改
正法律案外三件ノ特別委員ニ付託イタシマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=37
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038・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第六、營業
收益稅法中改正法律案、衆議院提出、第
讀會
營業收益稅法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和十年三月十四日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
營業收益稅法中左ノ通改正ス
第七條第六號中「又ハ演劇興行」ヲ削ル
附則
本法ハ昭和十一年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=38
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039・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ、本案ハ之ヲ酒造組合法中改正法律
案外四件ノ特別委員ニ付託イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=39
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040・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿者) 日程第七、司法
保護法案、衆議院提出、第一讀會
司法保護法案
右本院提出案及送付候也
昭和十年三月十四日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
司法保護法
第一條左ニ揭クル者ニシテ必要アリト
認ムルトキハ本法ニ依リ之ヲ保護ス
一刑ノ執行ヲ終リ又ハ刑ノ執行ノ免
除ヲ得タル者
二假釋放ヲ許サレタル者
三刑ノ執行ヲ停止セラレタル者
四刑ノ執行ヲ猶豫セラレタル者
五起訴猶豫又ハ微罪釋放ノ處分ヲ受
ケタル者
六其ノ他刑事處分ヲ受ケタル者
第二條保護事務ハ司法大臣ノ管理ニ屬
ス
第三條地方裁判所所在地ニ地方保護局
ヲ置キ保護事務ヲ行ハシム
必要アルトキハ地方保護分局ヲ置クコ
トヲ得
第四條地方保護局ノ設置、廢止及管轄
ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條地方保護局ニ局長、保護司及書
記ヲ置ク
第六條地方保護局ニ保護事務ニ關スル
諮問機關ヲ置ク
諮問機關ノ組織竝職務ニ關スル規定ハ
命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條地方保護局ハ保護事務ノ補助ヲ
爲サシムル爲適當ト認ムル者ニ保護委
員ヲ囑託スルコトヲ得
第八條地方保護局ハ保護ノ要否ヲ認定
スルニ當リ保護ヲ受クル者ノ父兄親族
其ノ他保護ヲ委託スルニ適當ト認ムル
者ニ出頭ヲ求メ保護ヲ勸說シ又ハ保護
ニ必要ナル事項ヲ指示スルコトヲ得
第九條地方保護局ハ保護ヲ受クル者又
ハ保護ヲ受ケムトスル者ヲ召喚シ又ハ
保護司ヲシテ同行セシムルコトヲ得
第十條地方保護局ハ其ノ事務ヲ行フニ當
リ必要アルトキハ公務所又ハ公務員ニ對
シ囑託ヲ爲シ又ハ補助ヲ求ムルコトヲ得
第十一條保護ノ種類左ノ如シ
一生業助成
二融和調停
三補導援護
第十二條地方保護局被保護者ノ居宅ニ
於テ保護ヲ爲スコト能ハス又ハ之ヲ適
當ナラスト認ムルトキハ保護圍體ヲシ
テ收容セシメ又ハ寺院〓會其ノ他適當
ナル施設若ハ私人ノ家庭ニ收容ヲ委託
スルコトヲ得
第十三條地方保護局ハ被保護者ニ對シ
保護ノ爲必要ナル事項ノ遵守ヲ命スル
コトヲ得
第十四條地方保護局ハ必要アリト認ム
ルトキハ被保護者ヲ保護司ノ觀察ニ付
スルコトヲ得
第十五條保護期間ハ二年以內トス但シ
繼續ノ必要アルトキハ之ヲ更新スルコ
トヲ得
第十六條保護ノ解除竝保護期間ノ更新
ハ地方保護局之ヲ決定ス
第十七條保護團體ヲ設置セムトスル者
ハ司法大臣ノ認可ヲ受クルヲ要ス
第十八條地方保護局ハ收容ヲ委託シタ
ル保護團體又ハ適當ナル者ニ對シ命令
ノ定ムル所ニ依リ收容費ヲ補給スルコ
トヲ得
第十九條保護團體ノ用ニ供スル土地建
物ノ權利ノ取得又ハ所有權ノ保存ノ爲
ノ登記ニ付テハ登錄稅ヲ課セス
第二十條保護團體ノ用ニ供スル土地建
物ニ對シテハ租稅其ノ他ノ公課ヲ課セ
ス但シ有料ニテ之ヲ使用セシメタル者
ニ對シテハ此ノ限ニ在ラス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=40
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041・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 本案ハ之ヲ刑法
中改正法律案外三件ノ特別委員ニ付託イタ
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=41
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042・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第四ト、日
程第八トハ同一委員ニ付託シテゴザイマス
カラ、之ヲ一括シテ上程スルコトニ御異議
ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=42
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043・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=43
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044・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第四、酒造
組合法中改正法律案、日程第八、登錄稅法
中改正法律案、第一讀會ノ續、委員長報告
酒造組合法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十年三月十三日
委員長子爵大河內輝耕
貴族院議長公爵近衞文麿殿
登錄稅法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十年三月十三日
委員長子爵大河內輝耕
貴族院議長公爵近衞文麿殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=44
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045・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 此際私議事進行ニ付
テ一言イタシタウゴザイマスガ、宜シウゴ
ザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=45
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046・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 宜シウゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=46
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047・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 議案ヲ扱フコトニ付
テ、私ハ近頃政府ノヤリ方ガ非常ニ冷淡ダ
ト思フ、今ノ重要ナ次田君ノ演說モアリ、
重要ナ岩倉男爵ノ演說モアルノニ、此處ニ
農林大臣モ商工大臣モ居ラナイト云フコト
ハ、一體ドウ云フ譯ナノデアリマスカ
〔「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ〕
一ツ是ハ議長ヨリ嚴重ニ御注意ヲ願ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=47
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048・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御希望ノ點ハ議
長ヨリモ政府ニ向ッテ注意ヲ致シマス、大河
內子爵
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=48
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049・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 私ハ酒造組合法中改
正法律案ト登錄稅法中改正法律案、此二案
ノ委員會ノ結果竝ニ經過ヲ御報〓ヲ申上ゲ
マス、酒造組合法中改正法律案ト云フノハ、
御承知ノ通リ是ハ工業組合法ニ傚ヒマシテ、
斯ウ云フ改正ヲ致サレルノデ、實ハ酒造組
合ガ別ニ工業組合ヲ作ッテモ宜シイノデア
リマス、ソレデハ手數デアルカラ、斯ウ云
フ風ニ改正スル、大體斯ウ云フコトデアリ
やく、之ニ對シマスル質問トシテハ此度
ノ改正ニ於キマシテ、原料ノ購入ト云フコ
トガアル原料ノ中ニハ石炭ガ入ルノカド
ウカ、是ガ一ツノ質問、是ハ石炭ガ入ル、
尙ホ組合ハ加工ヲスル、加工ト云フノハド
ウ云フ意味カ、之ニ對シテ加工ト云フノハ、
共同精米ト云フヤウナコトヲ云フノデア
ル、但シ酒ノ釀造トカ、燒酎ノ蒸餾トカ、
或ハ麥酒ノ製造トカ云フヤウナコトハ入ラ
ナイ、ソレカラ尙ホ之ニ關聯シタ問題デア
リマスガ、〓酒ト燒酎ト麥酒トノ間ニ稅ノ不
權衡ガアルガ、是ハドウスルカト云フ御尋
ガアッタ、是ハ政府トシテ趣旨ハ御尤、併シ
歲入ニ大分ノ影響ガアルカラ容易ニ實行ハ
出來ナイガ、篤ト考ヘテ置カウ、斯ウ云フ
御答デシタ、尙ホ其次ニ共同施設ヲスルコ
トニ付キマシテハ、貸付ヲスルト云フコト
ガアル、ソレデ酒造組合ニ付テ資金ノ融通
ノ今狀態ハドウナッテ居ルカト云フ御尋
ガアリマシタ、之ニ付キマシテハ今納稅
資金ノ貸付ヲヤッテ居ルガ、此資金ノ融通
ハ是ハ變態デアルカラ、今度ハ此共同施設
ヲヤラシテ、此共同施設ニ付テ資金ノ融通
ヲシタイ、斯ウ云フ考デアル、資金ハドウ
セ組合ニハナイカラ、預金部其他カラ融通
ヲスル、斯ウ云フコトデアリマス、共同施
設ト云フコトノ內容ヲ聽カレタ所ガ、是ハ
營業ノ指導デアル、或ハ經濟上竝ニ技術上
ノ調査ト云フヤウナコト、各般ノ調査研究
ヲ含ムノデアル、斯ウ云フ御答辯デアリマ
シタ、ソレカラ尙ホ今後組合ガ共同施設ヲ
スル方法ハナイカト云フ御尋デゴザイマシ
タガ、之ニ對スル政府ノ答トシテハ、今ノ
所其必要ハナイ、斯ウ云フ御話デゴザイマ
シタ、ソレカラ尙ホ共同施設ニ併セテ貸
付ヲスル、斯ウ云フコトガアッタ、「併セ」ト
云フ意味ハドウ云フ譯カト云フト、之ニ對
スル政府ノ答辯トシテハ、是ハ共同施設ヲ
シナケレバ貸付ハシナイ、斯ウ云フ意味デ
「併セ」ト云フコトヲ入レタ、卽チ共同施設
ガ目的デアッテ、資金ノ融通ハソレニ伴フモ
ノダト云フコトガ、之ニ依ッテ明ニサレテ居
ル、斯ウ云フ御答デゴザイマシタ、次ハ登錄
稅法中改正法律案ノ委員會ノ結果竝ニ經過
ヲ御報告ヲ致シマスガ、是ハ御承知ノ通リ
保險會社ノ契約ノ包括移轉ハ、合併ト同ジ
性質ノモノデゴザイマスルカラ、之ニ合併
ト同ジ登錄稅ヲカケルコトニスル、今マデ
ハ不動產ニハ千分ノ三十三、船舶ニ付テハ
千分ノ二十三デアリマシタノヲ、之ヲ今囘
合併ト同ジト見テ、千分ノ三ニ引下ゲル、大
分ナ大キナ引下ゲニナル、ソレデ之ニ付キマ
シテハ或ル一委員カラ、誠ニ御尤ナ改正デ
アルガ、併シ此爲ニ財政上缺陷ヲ生ズルヤ
ウナコトガアッテハドウデアラウカト、政府
ニ質サレマシタ所ガ、此額ハ極メテ少イコ
トデアル、豫算ノ上ニモ斯ウ云フコトハ見
込ンデナイカラ、之ヲ修正サレテモ少シモ
差支ナイ、大體サウ云フヤウナ御答ガゴザ
イマシタ、ソレデ以上兩案トモ採決ヲ致シ
マシタ所ガ、或ル一委員カラ贊成ノ御意見
ガゴザイマシテ、別ニ御反對ノ御方ハ一人
モナク、全會一致ヲ以テ可決イタシマシタ、
右御報〓イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=49
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050・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御質疑ガナケレ
バ兩案ヲ一括シテ採決ヲ致シマス、兩案ノ
第二讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=50
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051・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=51
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052・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ兩案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=52
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053・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=53
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054・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=54
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055・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=55
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056・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 直ニ第二讀會ヲ
開キマス、御異議ガナケレバ兩案全部ヲ問
題ニ供シマス、全部、委員長ノ報告通リデ
御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=56
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057・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=57
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058・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ兩案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=58
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059・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=59
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060・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=60
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061・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=61
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062・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 直ニ第三讀會ヲ
開キマス、全部第一一讀會ノ決議通リデ御異
議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=62
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063・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=63
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064・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 是ヨリ報〓ヲ致
サセマス
〔瀨古書記官朗讀〕
本日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
造幣局ノ廳舍、工場其ノ他ノ用ニ供スル
建物及其ノ附屬設備ノ新營費ニ關スル法
律案可決報告書
東京高等農林學校及函館高等水產學校ノ
創設ニ伴フ帝國大學特別會計及學校及圖
書館特別會計ノ關涉ニ關スル法律案可決
報告書
日本銀行金買入法中改正法律案可決報〓
書
朝鮮銀行法中改正法律案可決報告書
臺灣銀行法中改正法律案可決報告書発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=64
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065・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程ハ是ニテ全
部終了イタシマシタ、次會ノ日程ハ決定次
第、彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日ハ
是ニテ散會イタシマス
午前十一時三十九分散會
貴族院議事速記錄第十四號正誤
頁段行誤正
一四六二七大小船體大商船隊
貴族院議事速記錄第十六號正誤
頁段行誤正
一八三二Talmun剔扶剔抉
一八四四八接イダ椄イダ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01719350315&spkNum=65
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