1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和十年三月二十四日（日曜日）午後一時四十六分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第二十二號
昭和十年三月二十四日
午後一時三十分開議
第一 政府貸付金處理に關する法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會
第二 府縣制中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第三 北海道會法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第四 市制中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第五 町村制中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第六 不動産融資及損失補償法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第七 産業組合中央金庫特別融通及損失補償法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第八 營業收益税法中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會の續（委員長報告）
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=0
-
001・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔瀨古書記官朗讀〕
昨二十三日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府
提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆
議院ニ通知セリ
昭和十年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債發行ニ關スル法律案
昭和七年法律第一號中改正法律案
市町村立尋常小學校費臨時國庫補助法中
改正法律案
公立學校職員年功加俸國庫補助法中改正
法律案
裁判所構成法中改正法律案
裁判所ノ廢止及設立ニ關スル法律案
大正二年法律第九號中改正法律案
司法代書人法中改正法律案
辯護士法中改正法律案
公證人法中改正法律案
執達吏規則中改正法律案
執達吏手數料規則中改正法律案
昭和十年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債追加發行ニ關スル法律案
民事訴訟法中改正法律案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ衆議院提出
案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院
ニ通知セリ
刑事訴訟法中改正法律案
同日臨時利得稅法案兩院協議委員ニ於テ互
選シタル正副議長ノ氏名左ノ如シ
議長侯爵中御門經恭君
副議長伯爵酒井忠正君
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
政府貸付金處理ニ關スル法律案
同日衆議院ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
地租法中改正法律案
同日議員ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
民間航空事業促進ニ關スル建議案(侯爵
西〓從德君外二名發議)
本日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
米穀自治管理法案
米穀統制法中改正法律案
籾共同貯藏助成法案
南朝鮮鐵道株式會社所屬鐵道買收ノ爲公
債發行ニ關スル法律案
本日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府
提出案ハ同院ニ於テ之ヲ可決シ奏上セル旨
ノ通牒ヲ受領セリ
勞働者災害扶助法中改正法律案
工場法中改正法律案
鑛業法中改正法律案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=1
-
002・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、日程第一、政府貸付金處理
ニ關スル法律案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會、高橋大藏大臣
政府貸付金處理ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十年三月二十三日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
政府貸付金處理ニ關スル法律案
本法施行ノ際現ニ存スル政府貸付金中勅
令ノ定ムルモノニシテ其ノ貸付先ニ於テ
既定ノ條件ヲ以テシテハ元利金ノ支拂ヲ
爲スコト著シク困難ト爲レルモノ其ノ他
特殊ノ事由アルモノニ付テハ政府ハ公益
ノ爲必要アリト認ムル場合ニ限リ委員會
ノ議ヲ經テ貸付條件又ハ延滯セル元利金
ノ支拂方法ヲ變更スルコトヲ得
前項ノ委員會ノ組織及權限ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣高橋是〓君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=2
-
003・高橋是清
○國務大臣(高橋是〓君) 只今議題トナリ
マシタ政府貸付金處理ニ關スル法律案、提
出ノ理由ヲ說明イタシマス、政府ガ一般會
計ノ歲出ニ依リ關東震災ノ復舊、復興ノ爲
メ、公共〓體、又ハ學校等ニ貸付ケマシタ
貸付金ノ總額ハ一億七千百八十餘萬圓ニ上
ボッテ居リマシテ、右ハ議會ノ協贊ヲ經マシ
タ豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ニ關ス
ル件等ニ依リマシテ、豫メ定メラレタ貸付
條件ニ依リマスルニ、昭和四年度ヨリ之ガ
償還ヲ開始シ、昭和九年四月一日マデニハ
五千五百四十餘萬圓ノ元利金ヲ支拂フベキ
コトニナッテ居リマスガ、右元利金ノ大部分
ハ延滯イタシテ居リ、之ヲ此儘放置シテ置
キマス時ハ、將來益〓延滯額ガ累增イタシテ、
之ガ處置ノ困難ヲ加フルノ憂ガアリマスカ
う、此際適當ナル對策ヲ講ズル必要ガアル
ノデゴザイマス、勿論是等政府貸付金ハ國
民ノ負擔ニ於テ行ハレタモノデアリマスカ
ラ、所定ノ條件ニ依ッテ之ガ償還ヲ爲サシ
ムルコトハ當然ノコトデアリマシテ、殊
今日ノ如キ國庫ノ財源不足ノ折柄、ージン·
必要ヲ感ズルノデアリマスルガ、是等貸付
先ハ何レモ公共團體、學校等、公益ノ目的
ヲ有スル團體デアリマシテ、中ニハ近年打
續ク經濟界ノ不況ニ依リ支拂財源ヲ得ルニ
窮シ、巳ムヲ得ズ延滯ヲ致シテ居ルモノモ
アリマスノデ、右ノ如キモノニ對シテハ、
當初ノ條件通リ取立ヲ爲スコトニ依リマシ
テ、其財政上ニ過重ノ負擔ヲ爲サシメ、延
イテハ公益上ノ機能ヲ維持セシムル能ハザ
ルガ如キ結果ヲ生ジテハナラヌノデアリマ
ス、ソコデ是等ノ貸付先ニ對シ、其貸付條
件又ハ延滯セル元利金ノ支拂方法ヲ、適當
ニ變更スルコトハ巳ムヲ得ザル措置デアリ
マシテ、又斯クスルコトガ其囘收ヲ促進ス
ルコトニモナルコトト考ヘルノデアリマス、
以上述べマシタ關東震災貸付金以外ノ、
般會計竝テ特別會計ノ支出ニ依ル、旣存ノ
政府貸付金等ノ中ニモ、略ボ同樣ノ事情ニ
アルモノガアリマスノデ、此際斯カル事情
ニアル貸付金ニ付キマシテハ、貸付條件又
ハ延滯セル元利金ノ支拂方法ヲ、變更シ得
ル途ヲ開ク必要ガアルト思ヒマス、尤モ斯
ノ如キコトハ極メテ重要ナル事柄デアルノ
ミナラズ、又之ガ途ヲ開クコトニ依リマシ
テ、一般ニ延滯ノ氣風ヲ助長スル等ノ餘弊
ヲ生ズルガ如キコトガアッテハナリマセヌ
カラ、之ガ取扱ハ十分之ヲ愼重ニ致スコト
トシ、新ニ委員會ヲ設ケ、之ガ議ヲ經テ實
行スルコトト致シタイノデアリマス、右ノ
趣旨ニ依リマシテ政府貸付金處理ニ關スル
法律案ヲ提出イタシタ次第デアリマス、何
卒御審議ノ上協贊ヲ與ヘラレムコトヲ希望
イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=3
-
004・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御質疑ガナケレ
バ、本案ハ之ヲ酒造組合法中改正法律案外
三件ノ特別委員ニ付託イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=4
-
005・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第二、府縣
制中改正法律案、日程第三、北海道會法中
改正法律案、日程第四、市制中改正法律案、
日程第五、町村制中改正法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報〓、
是等ノ四案ハ之ヲ一括シテ議題ト爲スコト
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=5
-
006・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、白川子爵
府縣制中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十年三月二十三日
委員長子爵白川資長
貴族院議長公爵近衞文麿殿
北海道會法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十年三月二十三日
委員長子爵白川資長
貴族院議長公爵近衞文麿殿
市制中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十年三月二十三日
委員長子爵白川資長
貴族院議長公爵近衞文麿殿
町村制中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十年三月二十三日
委員長子爵白川資長
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔子爵白川資長君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=6
-
007・白川資長
○子爵白川資長君 府縣制中改正法律案外
三件ノ委員會ノ經過及結果ヲ御報告申上ゲ
やく、本案ハ先日委員會ヲ開キマシテ、委
員長及副委員長ヲ選擧イタシマシテ、直
質問ニ移リマシテ、其翌日更ニ質問ヲ續ケ
マシテ、討論ノ上採決ヲ致シマシテ、衆議
院ノ修正通リニ可決決定イタノマシタモノ
デゴザイマス、大體此提案ノ理由ヲ簡單ニ
申上ゲマスルト、衆議院議員選擧法ノ改正
法律ハ御承知ノ如クニ、旣ニ昨年ノ六月ノ
法律第四十九號ヲ以テ公布ニナッテ居リマ
スノデ、之ニ伴フ所ノ附屬ノ諸法令ノ改正
モ旣ニ其必要ナル手續ヲ了シテ居ルノデゴ
ザイマス、之ニ伴フテ一面ニ衆議院議員選
擧法改正ノ趣旨ニ照シ合セマシテ、又一面
ニハ地方議會ノ議員選擧ニ於ケル過去ノ經
驗ニ徴シマシテ、地方議會ノ議員選擧ニ關
スル規定ノ改正ヲ行フト共ニ、併セテ其他
若干ノ事項ニ付キマシテ、事務的ニ必要ナ
リト考フル點ニ付テ改正ヲ加ヘラレタモノ
デゴザイマシテ、玆ニ此法律ノ改正提案ト
ナリマシタモノデゴザイマス、改正案ノ要
旨ハ、市制、町村制、府縣制及北海道會法
ノ四ツノ法律ニ關スルモノデゴザイマシ
テ、其內容ハ相當多數ノ項目ニ亙ッテ居ルノ
デゴザイマスガ、其主ナルモノヲ申上ゲマ
スレバ、議員選擧ニ關スル事項ガ一番主要
ナル部分デゴザイマシテ、此議員選擧ニ關
スル改正事項ヲ二ツニ分ケルコトガ出來マ
ス、第一ハ、直接ニ昨年ノ衆議院議員選擧
法ノ改正ニ伴フ事項、第二ハ、直接ニ昨年
ノ衆議院議員選擧法ノ改正ニ伴フモノデハ
ナイノデゴザイマスルガ、過去ノ實蹟ニ照
シ合セマシテ、此際改正ヲ加フルコトガ適
當ト認メタ事項デゴザイマス、之ヲ第一ト
第二ニ分ケマシテ、第一ノ方ノ、直接ニ衆
議院議員選擧法ノ改正ニ伴フ事項ト致シマ
シテ、其中ノ主ナル點ヲ申上ゲテ見マスレ
バ、第一ノ中ノ一ツハ、成ルベク容易ニ投
票場所ヲ增設シ得ルト云フ途ヲ、法文ノ上
ニ加ヘタノデゴザイマス、第二ハ、選擧人
ノ年齡ニ關スル點、其年齡ヲ算定イタシマ
スノニ、選擧人名簿確定ノ期日ニ依リマシ
テ之ヲ算定スルト云フコトニ致シクノデア
リマス、第三ハ、議員又ハ當選者ニ缺闕ヲ
生ジマシタ時ニハ、選擧ノ期日カラ一年以
內ハ一般次點者ヲ繰上ゲテ之ヲ補充スルコ
トトナッテ居リマス、第四ニハ、所謂連坐訴
訟ノ手續ヲ御承知ノ如ク衆議院議員選擧法
ト同樣ニ改正イタシタノデゴザイマス、是
等ノ四點ガ衆議院議員選擧法ノ改正ニ伴フ
所ノ事項デゴザイマシテ、之ニ伴ヒマシテ
選擧法ノ罰則其他ノ規定ヲ準用スル諸規定
ヲ整ヘマシテ、是等ノ運用ニ遺憾ノナイコ
トヲ期シテ居ルノハ勿論デゴザイマス、是
等ガ直接改正ニ伴フ所ノ事項デアリマ
ス、第二ハ、選擧ノ過去ノ實蹟ニ徵シ
マシテ、此際改正ヲ加フルコトガ必要ダ
ト認メテ改正ニナッタ事項デゴザイマス、
其主ナル點ガ三ツゴザイマスノデ、改
正案ニ於キマシテハ、單ニ勅令ヲ以テ
指定サレタル所ノ市ノミナラズ、將來ハ市
ノ全部ニ互ッテ議員候補者ノ屆出ノ制度ヲ
採用シタノデアリマス、之ニ伴ヒマシテ立
會人ノ屆出、所謂連坐ノ訴訟等ニ關スル規
定ヲ設ケマシテ、衆議院議員選擧又ハ道府縣
會議員選擧ニ於ケルト同樣ナル選擧運動及
其費用ニ關スル取締規定ヲ適用スルト云フ
コトニナッタノデゴザイマス、議員候補者制
度ノ趣意ハ、選擧ニ於ケル無用ノ競爭ヲ避
ケマシテ、選擧運動ノ統制ト其取締ノ徹底
ヲ期スルノニアルノデゴザイマス、此制度
ハ衆議院議員選擧竝ニ道府縣會議員及大中
都市ノ市會議員選擧ニ關シテ施行サレマシ
タ選擧ノ肅正上、相當ノ效果ヲ擧ゲテ居ル
ノデゴザイマスカラ、此際一步ヲ進メマシ
テ、市ト云フ市ノ全部ニ付キマシテ、之ヲ
實施シヤウト云フ趣意ナノデゴザイマス、
今一ツハ不在者投票ノ制度デ、各種地方議
會ノ議員選擧ニ關シテ、所謂不在者投票ノ
制度ヲ採用スルコトトシタノデゴザイマス、
大正十四年衆議院議員選擧ニ關シマシテ、
此制度ヲ採用イタシマシテ以來旣ニ數次ノ
選擧ヲ重ネテ、今ヤ官民共ニ此制度ニ習熟
シ來ッタノデゴザイマスカラ、此際之ヲ地方
議會ノ議員選擧ニモ及ボシテ、成ルベク多
數ノ選擧人ヲシテ、現實ニ選擧ニ參加スル
ノ機會ヲ多ク與ヘヤウト云フ趣意ナノデゴ
ザイマス、三ツ目ハ、尙ホ比較的稀ニ生ズ
ル場合デハゴザイマスルガ、縣會議員選擧
ニ關シマシテ、人口ノ著シク少イ郡ヲ一選
擧區ト爲シテ居ルノデゴザイマスガ、是等
ノ郡ハ府縣條例ヲ以チマシテ、隣接ノ郡ト
併セテ一選擧區トスルコトノ出來ル途ヲ開
キマシテ、各選擧區ニ關スル議員ノ配當ヲ
成ルベク均衡ヲ得セシメルヤウニシタイト
云フ方法ヲ新ラシク執ッタノデゴザイマス、
以上三ツガ直接衆議院議員選擧法ノ改正ニ
關係ハナイノデゴザイマスルガ、矢張リ是モ
議員選擧ノ制度ノ改正トシテ、此三ツノ點
ヲ採ッタ次第ナノデゴザイマス、以上第一、
第二ノ方面ハ、議員ノ選擧ニ關スル制度ノ改
正デゴザイマスガ、更ニ議員選擧デナイ方
面ニ於キマシテ、而モ地方自治ノ實蹟ニ徵
シテ、從來ノ制度ニ對シテ若干ノ改善ヲ加
フルコトトシタノデゴザイマス、其一ツハ
租稅滯納處分中ノ者ニ對シ、其市町村公民
權ヲ停止スルト云フコトニ致シタノデゴザ
イマス、納稅ノ義務ハ我ミノ最モ重要ナル
義務ノ一ツデゴザイマスルガ、現ニ市町村
ノ公職ニアル者ノ中デ、租稅ノ滯納ヲスル
者モアル事實ガゴザイマスノデ、斯ノ如キ
ハ市町村住民ノ義務乃至責任ノ觀念ニ照シ
マシテ、誠ニ遺憾千萬ノコトデゴザイマス
カラシテ、是等公共的精神ノ向上ヲ圖リマ
ス爲ニ、租稅滯納處分中ノ者ノ公民權ヲ停
止スルト云フコトヲ規定ヲ致シタノデゴザ
イマス、ソレカラモウ一ツハ市會又ハ道府
縣會ノ權限ニ屬スル事件デゴザイマシテ、
豫メ市會又ハ道府縣會ノ議決ヲ經マシテ、
其範圍ヲ定メテ、市會又ハ道府縣會ノ閉會
中、市參事會又ハ道府縣參事會ニ於テ之ヲ
議決スルコトガ出來ル所ノ途ヲ開イテカラ
ニ、事務ノ便宜ト簡捷ヲ圖ル趣旨デゴザイ
ママ、斯ウ云フ規定ヲ設ケタノデゴザイマ
スガ、モウ一ツノ第三ハ、市町村府縣會等
地方議會ノ內部ニ於キマシテ行ハレル所ノ
選擧ニ、同數ノ得票者ガ二人以上ゴザイマ
シタ時ニハ、從來ハ先ヅ年齡ノ多イ者ヲ取
ル方法ヲ用ヰテ當選者ト定メタノデゴザイ
マスガ、是ハ地方議會ノ內部ニ於キマシテ、
屢ハ行ハレテ居ル選擧ノ結果ガ、大體正確ニ
豫見スルコトガ出來ルノデゴザイマシテ、
屢〓弊害ガ伴ッテ來タ事例ガ澤山ゴザイマス、
ソコデ年齢關係ヲ見ズシテ、斯ノ如キ場合
ニハ直ニ抽籤ヲ用ヰルト云フ方法ヲ採ッタ
ノデゴザイマス、其四ハ、臨時府縣會ニ付
キマシテ場合ニ依リテハ、通常ノ會期ハ七
日ト云フコトニ臨時府縣會ノ會期ガ定ッテ居
ルノデゴザイマスガ、七日ト必シモ拘束セ
ラレナイデ、七日ヨリ短イ期間ヲ定メルコ
トガ出來ルト云フコトニ、必要ガナイ場合
デモ七日ト云フコトニ定ッテ居ルト甚ダ不
便デゴザイマスカラ、七日以下ノ期間ヲ定
メテ臨時府縣會ガ開カレルト云フ方法ヲ規
定シタ次第デゴザイマス、以上ガ大體改正
ノ要點デゴザイマス、衆議院ニ於キマシテ
ハ種々論難ガゴザイマシタノデゴザイマス
ルガ、最モ論難ノ重要ナルモノハ、此租稅
ノ滯納處分中ノ者ニ選擧權ヲ與ヘルト云フ
コトニ付テ論議サレマシタノデゴザイマス
ルガ、結局ノ所衆議院ニ於キマシテハ此點
ニ付キマシテ修正ヲ加ヘマシテ、被選擧權
ヲ與ヘナイト云フ風ニ修正ニナリマシタ、
其外修正ニ付テ色ミ細カクゴザイマスガ、ソ
レハ大體速記錄ニ讓リマスデゴザイマス、
委員會ニ於キマシテハ、或委員ガ衆議院ノ
修正ニ付テハ、貴族院ニ於テモ同一トナッタ
時ニハ、政府ノ御所見ハドウデアルカト云
フコトデ聽キマシタ所ガ、政府デハ、原案
ノ程度マデ政府ノ意見ガ含ミ居ルト思フカ
ラ、此程度ニ於テ善處シタイト云フ御答辯
デゴザイマシタ、又或一委員ハ、滯納處分
ノ公平ヲ期スル爲ニ、何トカ方法ガアルノ
カト云フ質問ガゴザイマシタ時ニ、政府デ
ハ此實際ノ運用ハ公正ニシタイト思フカ
ラ、訓令ヲ出シタイト思フト云フヤウナ御
答辯デゴザイマシタ、其外色ミ細カイ所ノ
質疑應答モゴザイマシタガ、大體此租稅滯
納者ノコトガ主タルモノデゴザイマス、本
案ノ委員會ニ於キマシテハ、衆議院ノ修正
通リ可決確定イタシマシタ、此段御報告申
上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=7
-
008・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御質疑ガナケレ
バ採決ヲ致シマス、以上四案ノ第二讀會ヲ
開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=8
-
009・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=9
-
010・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ各案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=10
-
011・今城定政
○子爵今城定政君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=11
-
012・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=12
-
013・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=13
-
014・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 全部ヲ問題ニ供
シマス、全部委員長ノ報告通リデ御異議ゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=14
-
015・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=15
-
016・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ各案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=16
-
017・今城定政
○子爵今城定政君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=17
-
018・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=18
-
019・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=19
-
020・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 全部第二讀會ノ
決議通リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=20
-
021・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=21
-
022・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 日程第六、不動
產融資及損失補償法中改正法律案、政府提
出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報
〓、委員長大河內子爵
不動產融資及損失補償法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十年三月二十三日
委員長子爵大河內輝耕
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=22
-
023・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 不動產融資ノ法律案
ニ付キマシテ、委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御
報〓イタシマス、此內容ハ極メテ簡單ナ、年
限ヲ延バスト云フコトダケデゴザイマス、ソ
レニ付キマシテノ質問應答ノ大要ヲ申上ゲ
マスト云フト、先ヅ最初ニ政府カラ、此趣
意ヲ說明サレマシタ、ソレデ此融通ノ期限
ハ昭和十年九月ニ終ルコトニナル、サウシ
テ今マデ融通サレタ額ハ三千八百二十一萬
圓アル、甚ダ法律ニ比シテ貧弱ナ嫌ハアルケ
レドモ、併シ根抵當、其他ノ方法ニ依ッテ豫
メ本法ノ發動ニ備へタ金高モ可ナリ多額ア
ルノデアルカラ、此法律ノ效果ハ相當ニ擧ッ
テ居ルト言ッテ差支ナイ、斯ウ云フ初メニ說
明ガゴザイマシタ、ソレカラソレニ對シテ
成程政府委員ノ說明通リニ融通額ガ非常ニ
少イ、ドウ云フ譯デサウ云フ風ニ少イノダ
ラウ、其原因ハドウデアラウカ、此御尋ニ
對シテハ政府ハ此法律ガ出來マシタ當時ハ
資金ガ固定イタシマシテ、非常ニ金融市場
ガ困ッテ居ッタ、所ガ段々其後景氣ガ好クナ
リマシテ、今マデノ固定貸モ其後ハ固定貸
デハナクナリ、資金ノ融通モ比較的樂ニ得
ラレルト云フヤウナ關係カラシテ、思ッタ程
是ガ殖エナイノデアル、是ガ第一ノ原因デ
アル、ソレカラ第二ノ原因トシテハ、本來
銀行アタリカラ貸付ケタノハ大分前ノコト
デ、其頃ハ不動產ノ價格ガ大分高カッタ爲ニ、
高イ評價格デ抵當ニ取ッテ居ル、今日ニナ
リマストソレガズット低クナリマスノデ、甚
ダ資金ヲ融通シテヤルコトニ困難ナ事情ガ
アルノデ、此點カラモ殖エナイノダ、ソレ
ガ第二點デアル、斯ウ云フコトデアリマシ
タ、ソレカラ第三點ト致シマシテハ、是ハ能
ク言フコトデ、斯ウ云フ融通ヲ銀行ガ受ケ
タト云フコトニナリマスト、ドウモ銀行ノ
信用ノ上カラ世間へ出シテ見ットモナイ、
見ットモナイト云フダケナラ宜シイノデス
ガ、其爲ニ信用ヲ疑ハレルト云フヤウナコ
トガアッタナラバ、營業上非常ナ大事ヲ起ス、
其點ヲ虞レテヤラナイノダ、併シ此點ハ一
般ニ理解ガ付イテ來テ、疑問ノ解消ハ進メ
ラレツツアル、斯ウ云フ說明デゴザイマシ
タ、ソレカラ第四ノ理由ト致シマシテハ
利率ガ高過ギル、融通ノ時ノ利率ガ少シ高
過ギルカラ、今金融市場ノ事情カラ見ルト、
旨ク參ラナイ事情ガアルガ、是ハ追ッテ何ト
カナルダラウト云フ說明デゴザイマシタ、
ソレカラ次ニ、ソレデハ今ノ利率ト云フノ
ハドノ位ノモノカ、此質問ニ對シテハ預金
部デ五分三厘デ貸シテ、利鞘ヲ七厘取ッテ居
ルト云フ說明デゴザイマシタ、何故モット下
ゲナイノカ、此質問ニ對シマシテハ、此利
率ハ昭和七年ニ決メタ利率デアルカラ、近
來ノ情況ニ鑑ミテ又モットズット引下ゲテモ
宜イ、引下ゲルコトニヤリタイモノデアル
ト云フ、斯ウ云フ說明デゴザイマシタ、ソ
レカラ償還期限ガ昭和十五年ニナッテ居ル
ガ、之ヲコチラヲ三年延バシタナラバ、ソ
チラノ十五年ノ方モ延長スル必要ガアルヂ
ヤナイカ、此質問ニ對シマシテハ、成程最
長ハ今十五年ニナッテ居ルガ、マダ今後之ヲ
引延バシタ所デアト九年間、間ガアルノデ、
大體ハ十年デ一切合切整理ガ付クト云フ見
込デ初メヤッタノデアルカラ、九年ナラ、一
年位短クシテ大體九年位ナラ宜カラウト云
フ、斯ウ云フ御答辯デアリマシタ、ソレカ
ラ此融通ト云フモノハ一體銀行ノ救濟バカ
リヤルノヂヤナイ、債務者ノ救濟ヲモ含ン
デ居ルノダ、ソレデサウ云フヤウナコトデ
アリマスレバ、今少シ大藏省ガ銀行ヲ督勵
ヲシテ、サウシテモウ少シ融通ヲシ易クス
ルヤウニシタラドウカ、銀行ノ救濟トシテ
ハ目的ヲ達成シテ居ルケレドモ、債務者ノ
救濟トシテ聊カ不十分ノ嫌ガナイノデハナ
イ、此質問ニ對シマシテハ、政府モ勿論サ
ウ考ヘテ居ル、何モ銀行バカリ宜ケレバソ
レデ宜イト云フモノヂヤナイノデアルカラ、
其必要ハ能ク認メテ居ルノデアルカラ、其
趣旨ニ從ッテ將來努力シヤウト思フト云フ
御答辯デゴザイマシタ、ソレカラ十五年先
ニドウナルノカ、斯ウ云フ御問ヒガアリマ
シタ、ソレニ對シマシテハ、十五年經チマシ
テカラハ、債權ノ性質ノ良イモノハ不動產
銀行デ肩代ヲシテヤル惡イモノニ付テハ、
マア損失ノ整理ヲスルトカ、何トカシナケ
レバナルマイト思フ、併シソンナニ成績ガ
決シテ惡イ情況デハナイ、斯ウ云フヤウナ
質問應答ガゴザイマシタ、大體デソレデ質
問ヲ終リマシテ、全會一致ヲ以テ可決イタ
シマシタ、右御報〓申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=23
-
024・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=24
-
025・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=25
-
026・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=26
-
027・今城定政
○子爵今減定政君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=27
-
028・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=28
-
029・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=29
-
030・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 本案全部、委員
長ノ報告通リデ。御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=30
-
031・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=31
-
032・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=32
-
033・今城定政
○子爵今城定政君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=33
-
034・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=34
-
035・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=35
-
036・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 第三讀會ヲ開キ
やっ、全部第二讀會ノ決議通リデ御異議ハ
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=36
-
037・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=37
-
038・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第七、產業
組合中央金庫特別融通及損失補償法中改正
法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
ノ續、委員長報〓、伊集院子爵
產業組合中央金庫特別融通及損失補償
法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十年三月二十三日
委員長子爵伊集院兼知
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔子爵伊集院兼知君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=38
-
039・伊集院兼知
○子爵伊集院兼知君 只今上程ニナリマシ
タ產業組合中央金庫特別融通及損失補償法
中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ申
上ゲマス、本委員會ハ去ル二十二日、二十三
日ノ兩日ニ亙リ開會イタシマシテ、先ヅ當
局ノ說明ヲ求メマシタ、本案ハ御承知ノ通
リ第二條ニアル期限三年トアルノヲ六年ニ
改メ、今三年間融通期限ヲ延バシテ行キタ
イト云フ趣旨デアリマス、ソレハ元來損失
補償ニハ一億圓ノ資金ヲ以テ融通イタスコ
トニナッテ居ルノデアリマスガ、實際融通シ
テ居ル所ノ金額ハ三千七百萬圓程ノ金ガ出
テ居ルノデ、大部分ハ殘ッテ居ルノデアリマ
ス、又昨年ハ多クノ災害ガアリマシテ農民
ガ非常ニ困ッテ居ルノデアリマス、又產業組
合ノ現狀ニ鑑ミマシテ、融通期間ヲ延長シ
以テ本制度ノ趣旨ヲ達成セシメタイト云フ
コトデアリマス、質問ニ入リマシテ多クノ
委員カラ種々ノ御質問ガアリマシタガ、是
ハ速記錄ニ讓リマスガ、此際申上ゲテ置ク
コトガ一ツアルノデアリマス、當局ノ答ノ
中ニ、他ノ金利トノ釣合ヲ考ヘテ今後利子
ノ引下ヲ考慮スルト云フコトガアリマシタ、
討論ニ入リ、二人ノ方ガ本改正案ニ付キ贊
成ノ意見ヲ述べラレマシタ、採決ノ結果ハ
全會一致ヲ以テ可決スベキモノト議決相成ッ
タノデゴザイマス、是デ報〓ヲ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=39
-
040・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=40
-
041・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=41
-
042・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=42
-
043・今城定政
○子爵今城定政君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=43
-
044・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=44
-
045・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=45
-
046・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 本案全部、委員
長ノ報告通リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=46
-
047・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=47
-
048・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=48
-
049・今城定政
○子爵今城定政君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=49
-
050・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=50
-
051・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=51
-
052・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 本案全部、第二
讀會ノ決議通リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=52
-
053・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=53
-
054・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 日程第八、營業
收益稅法中改正法律案、衆議院提出、第
讀會ノ續、委員長報告、大河內子爵
營業收益稅法中改正法律案
右別册ノ通修正議決セリ依テ及報〓候也
昭和十年三月二十三日
委員長子爵大河內輝耕
貴族院議長公爵近衞文麿殿
(小字及-ハ特別委員修正)
營業收益稅法中左ノ通改正ス
第七條第六號中「又ハ演劇興行」ヲ削ル
附則
施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ昭和十一年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
本法施行前ニ終了シタル法人ノ各事業年度分
ノ營業收益稅ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=54
-
055・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 營業收益稅法中改正
法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上
ゲマス、此法案ヲ議スルニ先ダチマシテ、委
員長ト致シマシテ私ハ一言茲ニ述ベタイコ
トガアル、ソレハ此法案ハ年來ノ懸案デゴザイ
マシテ、ドウモ思フヤウニ參ラナカッタ、所ガ此
會期ニナリマシテカラハ政府當局ハ非常ナ雅量
ヲ示サレテ、之ニ對シマシテ何處迄モ妥協ノ精神
ヲ以テ我ミニ當ラレ、有益ナ材料ヲ提示サ
レ、加之少シ露骨ニ申セバ我ミヲ指導シテ
デス我ミノ目的ヲ達セラレルヤウナ態度ニ
出ラレ、玆ニ本案ノ成立ヲ見マシタコトハ、
內務大臣ハ勿論ノコト、之ヲ輔佐サレル所
ノ政府當局ニ對シテ、委員長ト致シマシテ
深甚ノ敬意ヲ表スル次第デゴザイマス、偖、
此收益稅ノ改正ノ內容ニ付キマシテハ、是
ハマダ說明モゴザイマセヌカラ、御承知ト
ハ存ジマスガ簡單ニ申述べマス、是ハ演劇
稅デゴザイマシテ、演劇ノ興行ニ付キマシ
テハ其性質ガ營業收益稅ナルニ拘ラズ、營
業牧益稅ガカケラレマセヌデ、一種ノ雜種
稅ガカケラレテアル、其雜種稅ハ可ナリ高
イ雜種稅デゴザイマシテ、ソレデマア高イ
ダケナラマダ宜シウゴザイマスガ、儲カッテ
モ儲カラナクテモ、苟モ芝居ヲ打ツトナレ
バ幾ラカノ稅ヲ拂ハナケレバナラヌ、其標
準タルヤ極メテ茫漠トシテ、何デモ御用金
ヲ申付ケラレタラ否應ナシニ拂フ、詰リ此
土地デ芝居ヲ打ツナラバ幾ラ拂ヘ、斯ウ云
フ不合理極マル稅ニナッテ居ッタ、其爲ニ地
方殊ニ農村等ニ於キマシテハ、芝居ヤ活動
ハヤルコトガ出來ナクナッテ閉鎖サレタモ
ノガ澤山ゴザイマス、農村ノ娯樂ノ爲ニ誠
ニ遺憾ナコトデアル、唯稅制ノ不合理デア
ルト云フコトバカリデナク、農村ノ娯樂、
思想ト云フヤウナ問題カラ言ッテモ誠ニ不
合理デアル、何トカシナケレバナラナイト
云フコトデ以テ、度ミ提案ニナリマシタ稅
法ノ改正案デゴザイマス、ソレデ此度ノ質
間應答モ先年來ノト變リマセヌデシタ、大
體中上ゲマスガ、一體斯ウ云フ風ナ、儲ケ
テモ儲ケナイデモ取ル、殊ニ何等標準モナ
シニ稅ヲ取ルト云フヤウナコトハ、稅制ト
シテ甚ダ不合理ナモノデハアルマイカト云
フ質問ニ對シマシテハ、政府ハソレヲ肯定
サレマシテ、誠ニ是ハ質問者ノ言フガ如
ク、不合理ナ稅デアルト云フコトハ認メル
ト云フコトデゴザイマシタ、ソレカラ又第
二ノ質問ト致シマシテハ、今日ハ映畫國策
トカ何トカ云フコトヲ言ハレテ、藝術ノ民
衆化ト云フコトガ頻リニ唱ヘラレテ居ルニ
拘ラズ、斯樣ナ大キナ稅ヲ取ルト云フコト
ハドウ云フ譯カ、或ハ奢侈稅トモ言フヤウ
ニ見テ居ルカモ知レナイガ、此芝居ヤ活動
ヲ以テ奢侈ダト云フ時代ハ、少シモウ時代
思潮ニ外レテ居リハシナイカ、斯ウ云フ質
問モアッタノデス、ソレニ對シマシテ政府ノ
方デハ、如何ニモ其通リデアル、如何ニモ
サウ云フモノヲ奢侈ダト云フヤウニ見テシ
マフト云フコトハ、政府ト雖モ感服シナ
イ、何分ニモ從來ノ行掛リモアルコトデア
ルシ、幾ラカ、贅澤ト云フノデハナイケレ
ドモ、多少奢侈ガカッタモノダト云フコトヲ
見テ居ルノダト云フコトデゴザイマシタ、
ソレナラバ第三ニ何故、サウ云フ風ニ不合
理ト認メルモノヲ何故止メナイカト云フ質
問ニ對シマシテハ、此稅ト云フモノハ三百
五十萬圓モ取レル、サウシテ之ヲ營業收益
稅ニスレバタッタ十萬圓位ノモノデアルカ
ラ、ドウモ地方ノ財源ニ困ル、此財政窮迫
ノ際止メタイ稅モ澤山アル、澤山アルニ拘
ラズ、斯ウ云フ稅ヲ止メル、是バカリヲ止
メルト云フコトハドウシテモ出來ナイ、成
程不合理ノ點モアルシ、或ハ又過重ダト云
フ所モアルシ、藝術ノ爲ニモ好マシクナイ
ガ、今ノ財政狀態デハ如何トモ仕方ガナイ
カラ先ヅ一般ノ稅制整理マデ待ッタ方ガ宜
カラウト思フカラ、ソレデ今日マデヤラズ
ニ居ッタノダ、斯ウ云フ政府ノ答デアッタ、
ソレデ委員ノ中デモソレナラバモウ少シ合
理的ニヤル方法モアラウ、觀覧稅ナドモ宜
カラウ、極ク安イモノニ對シテハ觀覽稅ヲ
カケルト云フコトハソレハ宜クナイケレド
モ、斯ウ云フ不合理ナ演劇稅ヲ止メレバ芝
居モ安クナルカラ、ソレニ對シテ少シ位ノ
輕イ觀覽稅ヲカケタラ却ッテ宜イヂヤナイ
カ、殊ニ歌舞伎座ノ「ボックス」デオサマッテ居
ル人ナドハ、チットハ稅ヲ背負ッテモ宜カラ
ウ、サウ云フヤウナ質問モ出タノデス、是
ハ政府トシテハ別ニ肯定モ、否定モサレマ
セヌデ、唯一ツノ參考ニ止ッテ、無論是デ政
府ヲ拘束スル譯デモナイ、サウ云フヤウナ
質問應答ヤ、意見ノヤウナモノモアッタト
云フコトダケヲ申上ゲテ置キマス、ソレデ
段々色ミ斯ウ云フヤウナ質問應答ヲ繰返シ
テ見ルト、段々政府ト我〓ノ主張ガ······我ミ
ト申シテハ如何デスガ、多數ノ方ミノ主
張ガ近クナッテ來ク、何處カニ妥協點ヲ發見
シタイモノダト云フコトデ色ミ懇談ヲ致シ
マシタ所ガ、或一委員ハ斯ウ云フ提案ヲサ
レタ、此改正案ニ依リマスト云フト昭和
十一年四月一日カラ之ヲ施行サレルト云フ
コトニナッテ居ルガ、サウ云フ風ニ何時カラ
ヤルト云フコトデハ成程政府モ困ルダラ
ウ、ソレマデニ成程一年モアルカラ準備ガ
出來ナイトハ言ヘナイケレドモ、何月幾日
カラヤルトスレバ何月幾日カラヤラナケレ
バナラヌ、是デハ政府ノ狀態トシテナカ〓〓
ヤルコトニ苦シムデアラウカラ、何カ其處
ヲ一ツ緩和策ヲ執ッテ、此施行期日ヲ勅令ニ
讓ルヤウナコトニシタラバ宜カラウト云フ
コトデゴザイマシタラバ、內務當局ノ方カ
ラソレハ宜シイ、サウ云フ風ニ施行期日ヲ
改メテ、サウシテ勅令ニ讓ルコトナラバ案
ノ成立ニ政府モ毫モ異議ハナイ、斯ウ云フ
コトデゴザイマシタ、ソレデ政府ト相談ヲ
致シマシテ、實ハ政府ニ案ヲ書イテ貰ッタ
ヤウナ譯デアリマシテ、ソレヲ我ミノ案ト
シテ提出ヲ致シマシテ、サウシテ修正ヲ致
シタ譯デアリマス、所ガ又或一委員カラ、
斯ウ云フ御質問ガアッタ、政府ハ頻リニ一般
稅制ノ整理マデ待テト云フコトヲ言フシ、
又此法律ノ表面カラ見レバ勅令ヲ以テ之ヲ
定ムダカラ何時ヤッテモ宜イト云フ風ニ見
エル、誠ニ形ノ上カラ工合ガ惡イガ、我ニ
ノ修正シタ精神ト云フモノハサウ云フコト
デナイ、行政ノ便宜ヲ圖ッテ勅令ニ讓ルコト
ハ讓ルケレドモ、此法律ガ出來タ以上ハ之
ヲ棚ザラシニシテ置イテ、抛ッタラカシテ置
クト云フコトハシテ吳レテハ困ル、遲滯ナ
ク調査ニ著手シテ、斯ウ云フ不合理ナ稅ハ
一日モ早ク何トカシテ貰ヒタイ、財政窮乏
ノ今日、我〓ハ減稅ト云フコトヲ望ムト云
フコトハ出來ナイケレドモ、稅ノ合理化ト
云フコトハ一日モ捨テ置クコトガ出來ナ
イ、一般稅制ノ整理ガ何時出來上ガルノダ
カ譯ハ分ラナイ今日デアルノニ、サウ云フ
所マデ我ミガ待ッテ居ラレナイカラト云フ
コトデ、政府モ其趣旨ハ諒ト致シマシテ、
出來得ル限リ早ク是ハ實行シテ、其改正ノ
趣旨ニ副フコトニシヤウ、斯ウ云フヤウナ
コトデ是ハ修正可決セラレマシタ、ソレカ
ラ委員長ガ斯ウ云フコトヲ申上ゲテハ甚ダ
恐縮デゴザイマスガ、委員會ノ空氣ト致シ
マシテハ、稅ノ合理化ト云フコトノミナラ
ズ、國民思想ノ上、又藝術ノ發展ノ上カラ
斯ウ云フ改正ヲ見タコトハ政府當局モ喜
ビ、又委員一同モ非常ニ喜ンデ之ニ贊成ヲ
致シマシタ、斯ウ云フ空氣デゴザイマシタ
カラ其事ヲ御傳ヘ致シテ置キマス、右御報
告イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=55
-
056・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 別ニ御發言ガナ
ケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=56
-
057・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=57
-
058・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=58
-
059・今城定政
○子爵今城定政君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=59
-
060・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=60
-
061・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=61
-
062・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 第二讀會ヲ開キ
やく、本案全部、委員長ノ報告通リデ御異
議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=62
-
063・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=63
-
064・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=64
-
065・今城定政
○子爵今城定政君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=65
-
066・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 直ニ第三讀會ヲ
開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=66
-
067・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=67
-
068・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 本案全部、第二
讀會ノ決議通リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=68
-
069・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=69
-
070・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 本日衆議院ヨリ
送付セラレマシタ米穀自治管理法案外二件
ノ第一讀會ヲ此際議事日程ニ追加シ、括
シテ議題トナスコトニ御異議ハゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=70
-
071・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=71
-
072・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 米穀自治管理法
案米穀統制法中改正法律案、籾共同貯藏
助成法案、政府提出、衆議院送付、第一讀
會山崎農林大臣
米穀自治管理法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因
テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十年三月二十四日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
(小字及-ハ衆議院ノ修正)
米穀自治管理法案
米穀自治管理法
第一條本法ハ內地、朝鮮及臺灣ヲ通ズ
ル過剩米穀ヲ統制スル爲內地、朝鮮及
臺灣ニ於テ米穀ノ自治管理ヲ行ハシム
ルコトヲ目的トス
第二條米穀生產者、土地ニ付權利ヲ有
スル者ニシテ米穀ヲ小作料トシテ受ク
ルモノ及命令ヲ以テ指定スル之ニ準ズ
ル者ハ米穀統制組合ヲ設立スルコトヲ
得
第三條米穀統制組合ハ法人トシ第一條
ノ自治管理ヲ行フヲ以テ目的トス
第四條米穀統制組合ハ其ノ目的ヲ達ス
ニ限リ之ヲ行フモノトス
ル爲左ノ事業ヲ行フ
六
一第四十三條(第五十七條第二項ニ
於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ
依リ組合ニ於テ統制スベキ米穀ノ數
量ヲ組合員ニ對シ割當ツルコト
二組合ニ於テ統制スベキ米穀ヲ貯藏
スルコト
三前號ノ規定ニ依リ貯藏シタル米穀
ニ付組合員ニ資金ノ融通又ハ其ノ斡
旋ヲ爲スコト
六
四第四十九條、第五十條(第五十七
條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含
七
ム)又ハ第五十八條ノ規定ニ依リ米
穀ノ賣渡ヲ爲スコト
五勅令ノ定ムル所ニ依リ貯藏米穀ニ對シ
倉荷證劵ヲ發行スルコト
六
五第二號ノ規定ニ依リ貯藏シタル米
穀ニシテ貯藏ヲ解除シタルモノヲ委
託ヲ受ケ販賣又ハ保管シ其ノ他米穀
ノ自治管理ニ附帶シ必要ナル行爲ヲ
爲スコト
米穀ヲ取扱フ販賣組合(以下米穀販賣組合
ト稱ス)ノ存スル市町村ニ於テ特別ノ事情
アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ前項ニ規
定スル米穀統制組合ノ事業ハ行政官廳ノ許
可ヲ受ケ米穀販賣組合ニ於テ之ヲ行フコト
ヲ得
第五條米穀統制組合ノ地區ハ內地ニ在
リテハ市町村、朝鮮ニ在リテハ府郡
島、臺灣ニ在リテハ廳又ハ郡市ノ區域
一成八
特別ノ事由アルトキハ米穀統制組合ノ
地區ハ前項ノ區域ニ依ラザルコトヲ得
命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外市町
村等ノ區域ニ增減アリタルトキハ其ノ
區域ヲ地區トスル米穀統制組合ノ地區
モ亦之ニ應ジテ增減アリタルモノトス
第六條米穀統制組合ノ名稱中ニハ米穀
統制組合ナル文字ヲ用フベシ
本法ニ依リ設立シタル米穀統制組合ニ
非ザレバ其ノ名稱中ニ米穀統制組合タ
ルコトヲ示スベキ文字ヲ用フルコトヲ
得ズ
第七條米穀統制組合ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ其ノ地區內ノ第二條ニ揭グル者
ヲ以テ其ノ組合員トス
第八條米穀統制組合ヲ設立セントスル
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ地區
內ノ組合員タル資格ヲ有スル者ノ三分
ノ二以上ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ
定款ヲ議定シ其ノ他必要ナル事項ヲ定
メ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
第九條行政官廳ハ必要アリト認ムルト
キハ區域ヲ指定シ組合員タル資格ヲ有
スル者ニ對シ米穀統制組合ノ設立ヲ命
ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル
者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ創立總會ヲ
開キ定款ヲ議定シ其ノ他必要ナル事項
ヲ定メ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
設立ヲ命ゼラレタル者命令ノ定ムル期
間內ニ設立ノ認可ヲ申請セザルトキハ
行政官廳ハ定款ノ作成其ノ他設立ニ關
シ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第十條米穀統制組合ハ設立ノ認可アリ
タル時又ハ前條第三項ノ規定ニ依リ定
款ノ作成アリタル時成立ス
前項ノ場合ニ於テハ行政官廳ハ遲滯ナ
ク組合設立ノ旨竝ニ組合長及副組合長
ノ住所及氏名ヲ〓示スベシ
第十一條米穀統制組合成立シタルトキ
ハ其ノ地區內ノ組合員タル資格ヲ有ス
ル者ハ總テ其ノ組合員トス
第二條ニ該當スル者ニシテ第七條ニ依リ組
合員タル資格ヲ有セザルモノハ定款ノ定ム
ル所ニ從ヒ米穀統制組合ニ加入スルコトヲ
得
第十二條米穀統制組合ニ總代會ヲ置
總代會ハ組合長、副組合長及總代ヲ以
テ之ヲ組織ス
第十三條米穀統制組合ノ組合員ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ組合員中ヨリ總代ヲ
選擧スベシ
第十四條左ニ揭グル事項ハ總代會ノ議
決ヲ經ベシ
收支豫算
二經費ノ分賦牧入方法
三事業報告及收支決算
四借入金
五定款ノ變更
六第三十七條ニ於テ準用スル第八條
ノ同意
六
七第四十三條(第五十七條第二項ニ
於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ割當
前項第一號、第二號、第四號及第五號
ニ揭グル事項ノ決議ハ行政官廳ノ認可
ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十五條定款ノ變更ハ總代會ニ於テ之
ヲ組織スル者半數以上出席シ出席者ノ
三分ノ二以上ヲ以テ之ヲ議決ス
定款ノ變更ガ地區ノ增減ニ關スルトキ
ハ前項ノ規定ニ依ル議決ノ外新ニ編入
セラレ又ハ削除セラルベキ區域內ノ組
合員タル資格ヲ有スル者又ハ組合員ノ
三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス
第十六條本法ニ規定スルモノヲ除クノ
外總代會ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ
以テ之ヲ定ム
第十七條特別ノ事情アル米穀統制組合
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ總代會ヲ設ケ
ズ組合員ノ總會ヲ以テ之ニ充ツルコト
ヲ得
總代會ニ關スル規定ハ總會ニ之ヲ準用
ス
第十八條米穀統制組合ニ左ノ役員ヲ置
組合長一人
副組合長一人
評議員數人
役員ハ組合員中ヨリ之ヲ選任ス但シ組
合長及副組合長ハ其ノ他ノ者ヨリ之ヲ
選任スルコトヲ妨ゲズ
役員ノ選任及解任ハ總代會ニ於テ之ヲ
行フ
役員ノ解任竝ニ第二項但書ノ規定ニ依
ル組合長及副組合長ノ選任ハ行政官廳
ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ
生ゼズ
組合長ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ行政
官廳ハ總代ヲ指定シ組合長ノ職務ヲ行
ハシムルコトヲ得
組合長及副組合長ノ選任及退任ハ第四
項及第二十六條ノ場合ヲ除クノ外其ノ
旨ヲ行政官廳ニ屆出ヅベシ
行政官廳第四項ノ認可、第五項ノ指定
若ハ第二十六條ノ解任ヲ爲シ又ハ前項
ノ屆出ヲ受ケタルトキハ遲滯ナク其ノ
旨ヲ告示スベシ
第十九條組合長ハ組合ヲ代表シ組合ノ
事務ヲ總理ス
副組合長ハ組合長ヲ輔佐シ組合長事故
アルトキハ其ノ職務ヲ代理ス
評議員ハ組合長ノ諮問ニ應ジ竝ニ組合
ノ業務執行及財產ノ狀況ヲ監査ス
第二十條總代會ノ議決ヲ經ベキ事項ニ
關シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ總代
會成立セザルトキ又ハ之ヲ招集スルノ
暇ナキトキハ命令ノ定ムル場合ヲ除ク
ノ外組合長之ヲ專決處分スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ專決處分ヲ爲シタル
トキハ組合長ハ次ノ總代會ニ之ヲ報〓
スハン
第二十一條米穀統制組合ハ第十八條ノ
役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ職員ヲ
置クコトヲ得
前項ノ職員ニ關シ必要ナル事項ハ命令
ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條米穀統制組合ハ定款ノ定ム
ル所ニ依リ其ノ組合員ニ對シ經費ヲ分
賦シ及過怠金ヲ徵收スルコトヲ得
米穀統制組合ノ經費又ハ過怠金ヲ滯納
スル者アル場合ニ於テ其ノ組合長ノ請
求アルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ
依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ米穀統制
組合ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町
村ニ交付スベシ
市町村ガ前項ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ
三十日以內ニ其ノ處分ニ著手セズ又ハ
九十日以內ニ之ヲ結了セザルトキハ組
合長ハ行政官廳ノ認可ヲ得テ之ヲ處分
スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村制
第百十一條第一項及第四項ノ規定ヲ準
用ス
前二項ニ規定スル徴收金ノ先取特權ノ
順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノ
ノ徵收金ニ次ギ其ノ時效ニ付テハ市町
村稅ノ例ニ依ル
朝鮮及臺灣ニ於ケル米穀統制組合ノ經
費及過怠金ノ分賦徵收、滯納處分、先
取特權ノ順位及時效ニ關シテハ命令ノ
定ムル所ニ依ル
經費ノ分賦及過怠金ノ徵收ニ關シテハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ異議ノ申立、訴
願及行政訴訟(朝鮮ニ在リテハ異議ノ
申立、臺灣ニ在リテハ異議ノ申立及訴
願ニ限ル)ヲ爲スコトヲ得
第二十三條米穀統制組合ハ定款ノ定ム
ル所ニ依リ使用料及手數料ヲ徵收スル
コトヲ得
第二十四條使用料及手數料ノ徵收、米
穀ノ寄託其ノ他米穀統制組合ト組合員
トノ間ニ於ケル權利義務ニ關シテハ本
法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ別段
ノ規定アルモノヲ除クノ外民事訴訟ヲ
提起スルコトヲ得
第二十五條行政官廳ハ米穀統制組合ニ
對シ組合ノ事務ニ關スル報〓ヲ爲サシ
メ組合ノ業務執行又ハ財產ノ狀況ヲ檢
査シ、定款、收支豫算又ハ經費ノ分賦
收入方法ノ變更ヲ命ジ其ノ他監督上必
要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十六條行政官廳ハ米穀統制組合ノ
決議若ハ選擧又ハ役員ノ行爲ガ法令若
ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害
スルノ虞アリト認ムルトキハ決議、選
擧若ハ當選ヲ取消シ、役員ヲ解任シ、
總代ノ改選ヲ命ジ、組合ノ事業ヲ停止
シ又ハ組合ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
第二十七條米穀統制組合解散又ハ合併
ヲ爲サントスルトキハ總代會ノ議決ヲ
經且其ノ組合員ノ三分ノ二以上ノ同意
ヲ得尙合併ノ場合ニ在リテハ定款ヲ議
定シ其ノ他必要ナル事項ヲ定メ行政官
廳ノ認可ヲ受クベシ
米穀統制組合分割ヲ爲サントスルトキ
ハ前項ノ規定ニ準ズル議決及同意ノ外
分割ノ各組合ノ組合員又ハ組合員タル
資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意
ヲ得且定款ヲ議定シ其ノ他必要ナル事
項ヲ定メ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
第十條及第十五條ノ規定ハ前二項ノ場
合ニ之ヲ準用ス
前三項ニ規定スルモノヲ除クノ外解
散合併又ハ分割ニ關シ必要ナル事項
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八條米設ヲ取扱フ販賣組合日
下米穀販賣組合ト稱ス)ノ存スル市町村
ニ於テハ勅令ノミムル所ニ衣リ米設流
制組合ノ事業ハ行政官廳ノ許可ヲ受ケ
米穀販賣組合ニ於テ之ヲ行フコトヲ得
米穀統制組合又ハ其ノ事業ヲ行フ米穀
販賣組合ナキ市町村ニ於テハ勅令ノ定
ムル所ニ依リ農會ハ行政官廳ノ許可ヲ
受ケ米穀統制組合ノ事業ヲ行フコトヲ
得
朝鮮及臺灣ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ米穀ヲ取扱フ產業組合又ハ農會ハ
行政官廳ノ許可ヲ受ケ米穀統制組合ノ
事業ヲ行フコトヲ得
第二十九條米穀統制組合ノ事業ヲ行フ
團體ハ行政官廳ノ許可ヲ受ケ團體員ニ
非ズシテ其ノ區域內ニ於テ米穀統制組
合ノ組合員タル資格ヲ有スル者ニ對シ
第一項
團體員ニ準ジ第四條〓ニ揭グル事業ヲ
行フコトヲ得
〓第一項
前項ノ場合ニ於テハ第四條〓ニ掲グル
事業ヲ行フ團體ハ前項ニ規定スル者ヨ
リ〓體員ノ例ニ準ジ使用料及手數料ヲ
徵收スルコト得
第三十條米穀統制組合ノ事業ヲ行フ團
六
體ガ第四十三條ノ規定(第五十七條第
二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル
割當ヲ爲ス場合ニ於テハ總會又ハ總代
會ノ議決ヲ經ルコトヲ要ス
米穀統制組合ノ事業ヲ行フ場合ニ於ケ
ル前項ノ團體ノ監督及總會又ハ總代會
ニ關シテハ勅令ヲ以テ特例ヲ設クルコ
トヲ得
第三十一條米穀統制組合及其ノ事業ヲ
行フ團體ハ團體相互ノ聯絡ヲ圖リ米穀
ノ自治管理ヲ行フ目的ヲ以テ地方米穀
統制組合聯合會ヲ設立スルコトヲ得
地方米穀統制組合聯合會(臺灣ニ於テハ
廳ノ區域內ノ米穀統制組合ヲ含ム)及其
ノ事業ヲ行フ團體ハ團體相互ノ聯絡ヲ
圖リ米穀ノ自治管理ヲ行フ目的ヲ以テ
中央米穀統制組合聯合會ヲ設立スルコ
トヲ得
第三十二條地方米穀統制組合聯合會
及中央米穀統制組合聯合會ハ法人トス
第三十三條地方米穀統制組合聯合會ノ
地區ハ內地ニ在リテハ道府縣、朝鮮ニ
在リテハ道、臺灣ニ在リテハ州、中央
米穀統制組合聯合會ノ地區ハ各內地、
朝鮮又ハ臺灣ノ區域ニ依ル
第三十四條地方米穀統制組合聯合會
及中央米穀統制組合聯合會ニ總會ヲ置
ク
總會ハ會長、副會長及議員ヲ以テ之ヲ
組織ス
第三十五條地方米穀統制組合聯合會ノ
議員ハ命令ノ定ムル所ニ依リ米穀統制
組合又ハ其ノ事業ヲ行フ〓體ノ代表者
ヲ以テ之ニ充ツ
中央米設統制組合聯合會ノ議員ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ地方米穀統制組合聯
合會(臺彎ニ於テハ廳ノ區域內ノ米穀
統制組合ヲ含ム)又ハ其ノ事業ヲ行フ
團體ノ代表者ヲ以テ之ニ充ツ
第三十六條地方米穀統制組合聯合會
及中央米穀統制組合聯合會ニ左ノ役員
マルクノ
會長一人
副會長一人又ハ二人
評議員數人
役員ハ議員中ヨリ之ヲ選任ス但シ會長
及副會長ハ其ノ他ノ者ヨリ之ヲ選任ス
ルコトヲ妨ゲズ
前項但書ノ規定ニ依ル會長及副會長ノ
選任ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザ
レバ其ノ效力ヲ生ゼズ
〓第一項
第三十七條第四條〓第六條、第八條乃至
第十條、〓第一項
〓第十一條〓、第十四條乃至第十六條、第
十八條第五項乃至第七項、第十九條乃
至第二十一條、第二十二條第一項及第
二十三條乃至第二十六條ノ規定竝ニ第
二十七條中解散ニ關スル規定ハ地方米
穀統制組合聯合會及中央米穀統制組合
聯合會ニ之ヲ準用ス
第三十八條勅令ノ定ムル所ニ依リ行政
官廳ノ許可ヲ受ケ道府縣ヲ區域トスル
米穀ヲ取扱フ販賣組合聯合會(以下道
府縣米穀販賣組合聯合會ト稱ス)ハ地
方米穀統制組合聯合會ノ事業ヲ、內地
ヲ區域トスル米穀ヲ取及フ坂賣組合聯
合會(以下全國米穀販賣組合聯合會ト
稱ス)ハ內也ヲ區域トスル中央米設統
制組合聯合會ノ事業ヲ行フコトヲ得
第三十九條地方米穀統制組合聯合會ノ
事業ヲ行フ道府縣米穀販賣組合聯合會
ハ其ノ地區內ニ於ケル米穀統制組合及
所屬組合ニ非ズシテ米穀統制組合ノ事
業ヲ行フ團體ニ對シ所屬組合ニ準ジ第
〓第一項
三十七條ニ於テ準用スル第四條〓ニ揭
グル事業ヲ行フコトヲ得
前項ノ規定ハ中央米穀統制組合聯合會
ノ事業ヲ行フ全國米設販賣組合聯合會
ニ之ヲ準用ス
第四十條中央米穀統制組合聯合會又ハ
地方米穀統制組合聯合會ノ事業ヲ行フ
全國米穀販賣組合聯合會又ハ道府縣米
穀販賣組合聯合會第四十三條ノ規定
六
(第五十七條第二項ニ於テ準用スル場
合ヲ含ム)ニ依ル割當ヲ爲ス場合ニ於
テハ總會又ハ總代會ノ議決ヲ經ルコト
乙酸
第三十條第二項ノ規定ハ前項ノ團體ニ
之ヲ準用ス
前條ニ規定スル米穀統制組合及其ノ事
業ヲ行フ團體ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ代表者ヲ第一項ノ總會又ハ總代會
ニ出席セシメ表決權ヲ行使セシムルコ
トヲ得
第四十一條政府ハ每年內地、朝鮮及臺
灣ヲ通ジ米穀需給推算ヲ行ヒ米穀ノ供
給過剩ナリト認ムルトキハ其ノ過剩數
量ノ範圍內ニ於テ定ムル一定數量ノ米
穀ヲ內地、朝鮮及臺灣ニ於テ統制セシ
ムルコトヲ得
前項ノ米穀需給推算ノ方法ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第一項ノ一定數量ノ內地、朝鮮及臺灣
ニ對スル割當ノ割合ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ內地、朝鮮及臺灣ノ米穀管外移
出數量ノ增加趨勢ノ外ニ米穀管外移出
數量、米穀收穫ノ豐凶等ヲモ參酌シテ
之ヲ定ム
第四十二條前條第一項ノ米穀需給推算
及統制スベキ米穀ノ數量竝ニ同條第三
項ノ割當ノ割合ニ付テハ米穀自治管理
委員會ニ諮問シテ之ヲ定ム
米穀自治管理委員會ノ組織及權限ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十三條政府ハ各內地、朗鮮及臺灣
ニ於ケル中央米穀統制組合聯合會又ハ
其ノ事業ヲ行フ全國米穀販賣組合聯合
會ニ對シ第四十一條ノ規定ニ依リ定マ
リタル數量ノ米穀ヲ割當テ其ノ米穀ニ
付統制ヲ命ズ
政府ハ第四十一條ノ規定ニ依リ內地、朝鮮
中央米穀統制組合聯合會又ハ其ノ事業
及臺灣ニ對シ割當テタル數量ヲ各內地、朝
ヲ行フ全國米穀販賣組合聯合會前項ノ
鮮及臺灣ニ於ケル
規定ニ依リ米穀ノ統制ヲ命ゼラレタル
トキハ其ノ結制ヲ命ゼラレタル數量ヲ
地方米穀統制組合聯合會又ハ其ノ事業
ヲ行フ道府縣米穀販賣組合聯合會ニ對
○其ノ米穀ニ付統制ヲ命ジ
シ割當テ〓地方米穀統制組合聯合會又
ハ其ノ事業ヲ行フ道府縣米穀販賣組合
聯合會ハ其ノ割當テラレタル數量ヲ米
穀統制組合又ハ其ノ事業ヲ行フ團體ニ
對シ割當ツルコトヲ要ス
米穀統制組合又ハ其ノ事業ヲ行フ團體
ハ其ノ割當テラレタル數量ヲ團體員及
第二十九條ニ規定スル者ニ對シ割當ツ
ルコトヲ要ス
朝鮮及臺灣ニ於テ統制セシムベキ米穀
ノ數量ノ割當ニ付テハ前三項ノ規定ニ
關シ勅令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
第四十四條中央米穀統制組合聯合會若
ハ其ノ事業ヲ行フ全國米設阪賣組合ノ聯
合會、地方米穀統制組合聯合會若ハ其
ノ事業ヲ行フ團體又ハ米穀統制組合若
ハ其ノ事業ヲ行フ團體前條ノ規定ニ依
ル割當ヲ爲サザル場合ニ於テハ政府ハ
之ニ代リ割當ヲ爲スコトヲ得
第四十五條前二條ノ割當ニ關シ必要ナ
ル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十六條米穀統制組合又ハ其ノ事業
ヲ行フ團體ハ其ノ割當テラレタル數量
ノ米穀ヲ貯藏スルコトヲ要ス但シ其ノ
貯藏ヲ解除シタルモノ及第四十九條第
一項又ハ第五十條ノ規定ニ依リ政府ノ
買入ヲ爲シタルモノニ付テハ此ノ限ニ
在ラズ
第四十七條米穀統制組合又ハ其ノ事業
ヲ行フ團體ノ團體員ハ第四十三條又ハ
第四十四條ノ規定ニ依リ割當テラレタ
ル數量ノ米穀ヲ命令ノ定ムル所ニ依リ
米穀統制組合又ハ其ノ事業ヲ行フ團體
ニ寄託スルコトヲ要ス第一一十九條ニ規
定スル者ニ付亦同ジ
第四十八條米穀統制組合又ハ其ノ事業
ヲ行フ團體ハ第二項ノ場合及勅令ノ定
ムル場合ヲ除クノ外第四十六條ノ規定
ニ依リ貯藏シタル米穀ニ付其ノ貯藏ノ
解除ヲ爲スコトヲ得ズ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ勅令ノ
定ムル所ニ依リ第四十六條ノ規定ニ依
リ貯藏シタル米穀ニ付其ノ貯藏ノ解除
ヲ命ズルコトヲ得
第四十九條政府ハ米穀統制組合又ハ其
ノ事業ヲ行フ團體ガ貯藏スベキ米穀中
貯藏能力其ノ他ノ事情ニ依リ貯藏困難
ナリト認ムルモノニ付當該團體ヨリ賣
渡ノ申込アリタル場合ニ於テハ買入ヲ
爲ス
前項ノ買入價格ハ內地ニ在リテハ米穀
統制法第二條ノ最低價格、朝鮮及臺灣
ニ在リテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ米穀
生產費、物價其ノ他ノ經濟事情ヲ參酌
シテ定メタル價格トス
第五十條政府ハ必要アリト認ムルトキ
ハ米穀統制組合又ハ其ノ事業ヲ行フ團
體ガ第四十六條ノ規定ニ依リ貯藏シタ
ル米穀ニシテ當該米穀年度ヲ越ユルモ
其ノ貯藏ヲ解除セラレザルモノニ付買
入ヲ爲ス
前項ノ買入價格ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
第五十一條命令ヲ以テ指定スル地ニ於
ケル米穀取扱業者ハ米穀商統制組合ヲ
設立スルコトヲ得
前項ノ米穀取扱業者ノ範圍ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第五十二條米穀商統制組合ハ法人トシ
第一條ノ自治管理ヲ行フヲ以テ目的ト
ス
〓第一項
第五十三條第四條〓、第六條及第八條乃
至第二十七條ノ規定ハ米穀商統制組合
ニ之ヲ準用ス
第五十四條勅令ノ定ムル所ニ依リ米穀
取扱業者ノ組織スル商業組合又ハ重要
物產同業組合法若ハ朝鮮重要物產同業
組合令ニ依ル同業組合ハ行政官廳ノ許
可ヲ受ケ米穀商統制組合ノ事業ヲ行フ
コトヲ得
第二十九條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ
準用ス
第五十五條米穀商統制組合及其ノ事業
ヲ行フ團體ハ團體相互ノ聯絡ヲ圖リ米
穀ノ自治管理ヲ行フ目的ヲ以テ中央米
穀商統制組合聯合會ヲ設立スルコトヲ
得
第三十二條乃至第三十七條中中央米穀
統制組合聯合會ニ關スル規定ハ中央米
穀商統制組合聯合會ニ之ヲ準用ス
五
第五十六條勅令ノ定ムル所ニ依リ政府
ハ第四十一條ノ統制ヲ爲スモ米穀ノ供
給過剩ニシテ米價ガ米穀統制法ニ基キ
テ發スル命令ニ定ムル標準最低價格ヲ
下ラントスル虞アリト認ムルトキハ米
穀自治管理委員會ニ諮問シテ一定數量
ノ米穀ヲ內地、朝鮮及臺灣ニ於テ統制
セシムルコトヲ得
六
第五十七條前條ノ場合ニ於テハ政府ハ
地方
各內地、朝鮮及臺灣ニ於ケル中央米穀
統制組合聯合會若ハ其ノ事業ヲ行フ團
體及中央米穀商統制組合聯合會又ハ米
穀商統制組合若ハ其ノ事業ヲ行フ團體
ニ對シ前條ノ一定數量ヲ割當テ其ノ米
穀ニ付統制ヲ命ズ
第四十三條第二項乃至第四項、第四十
四條乃至第四十八條及第五十條ノ規定
ハ前項ノ規定ニ依リ統制ヲ命ゼラレタ
ル場合ニ之ヲ準用ス
七
第五十八條政府ハ米穀統制組合若ハ其
ノ事業ヲ行フ團體又ハ米穀商統制組合
若ハ其ノ事業ヲ行フ團體ガ前條ノ規定
ニ依リ貯藏スベキ米穀中貯藏能力其ノ
他ノ事情ニ依リ貯藏困難ナリト認ムル
モノニ付當該團體ヨリ賣渡ノ申込アリ
タル場合ニ於テハ買入ヲ爲ス
前項ノ買入價格ハ內地米ニ在リテハ米
穀統制法第二條ノ最低價格、朝鮮米又
ハ臺灣米ニ在リテハ勅令ノ定ムル一定
價格以內ニ於テ時價ニ準據シテ定メタ
ル價格トス
第五十九條內地ニ於ケル米穀統制組
合、地方米穀統制組合聯合會、中央米
穀統制組合聯合會、米穀販賣組合又ハ
米穀ヲ取扱フ販賣組合聯合會ハ命令ノ
定ムル場合ヲ除クノ外米穀統制法第二
條ノ最低價格及最高價格ノ範圍內ノ價
格ヲ以テスルニ非ザレバ米穀ノ販賣ヲ
爲スコトヲ得ズ農業倉庫業者ニ付亦同
第六十條米穀ヲ取扱フ販賣組合聯合會
ハ定款ノ定ムル機關ノ議ヲ經テ其ノ所
屬組合又ハ所屬聯合會ニ對シ米穀ノ平
均賣ノ實行ニ關シ必要ナル指令ヲ爲ス
コトヲ得
五十八
第六十一條朝鮮及臺灣ニ於テハ第十二
條、第十八條、第十九條及第三十六條
ノ規定(第三十七條又ハ第五十三條ニ
於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ關シ命令
ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
五十九
第六十二條地方米穀統制組合聯合會若
ハ其ノ事業ヲ行フ團體、中央米穀統制
組合聯合會告ハ其ノ事業ヲ行フ團體又
ハ中央米穀商統制組合聯合會ノ役員命
令ノ定ムル第四十三條ノ規定(第五十
六
比條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含
ム)ニ依ル割當ヲ爲スニ必要ナル行爲
ヲ爲サザルトキハ五百圓以下ノ過料ニ
處ス米穀統制組合若ハ其ノ事業ヲ行フ
團體又ハ米穀商統制組合若ハ其ノ事業
ヲ行フ國體ノ役員命令ノ定ムル第四十
六
三條ノ規定(第五十七條第二項ニ於テ
準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル割當ヲ爲
スニ必要ナル行爲ヲ爲サザルトキ亦同
第六十三條非訟事件手續法第二百六條
乃至第二百八條ノ規定ハ前條ノ過料ニ
之ヲ準用ス
第六十四條米穀統制組合若ハ其ノ事業
ヲ行フ團體又ハ米穀商統制組合若ハ其ノ
事業ヲ行フ團體ノ役員故ナク第四十六
六
條ノ規定(第五十比條第二項ニ於テ準
用スル場合ヲ含ム)ニ違反シタルトキ
ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ役員第四十八條第一項ノ規定
六
(第五十七條第二項ニ於テ準用スル場
合ヲ含ム)ニ違反シタルトキ亦前項ニ
同ジ
二
第六十五條米穀統制組合若ハ其ノ事業
ヲ行フ團體、地方米穀統制組合聯合會
若ハ其ノ事業ヲ行フ團體、中央米穀統
制組合聯合會若ハ其ノ事業ヲ行フ團體、
米穀商統制組合若ハ其ノ事業ヲ行フ團
體又ハ中央米穀商統制組合聯合會ノ役
員第二十一條ノ職員、總代、議員、
組合員又ハ代議員本法ニ依ル割當又ハ
貯藏ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ要求
若ハ約束シタルトキハ二年以下ノ懲役
ニ處ス因テ不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當
ノ行爲ヲ爲サザルトキハ五年以下ノ懲
役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之ヲ
沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スル
コト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
三
第六十六條前條第一項ニ揭グル者ニ對
シ賄賂ヲ交付、提供又ハ約束シタル者
ハ二年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰
金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
四
第六十七條第四十九條、第五十條(第
六
五十七條第二項ニ於テ準用スル場合
七
ヲ含ム)及第五十八條ノ規定ニ依ル米
穀ノ買入ニ關スル一切ノ歲入歲出ハ米
穀需給調節特別會計ニ屬セシム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十一條第一項ニ規定スル一定數量ノ
內地、朝鮮及臺灣ニ對スル割當ノ割合ハ
當分ノ内同條第三項ノ規定ニ拘ラズ內地
百分ノ三十五、朝鮮百分ノ四十三、臺灣
百分ノ二十二トス但シ政府ハ內地、朝鮮
及臺灣ニ於ケル米穀收穫ノ豐凶等ニ依リ
米穀自治管理委員會ニ諮問シテ之ヲ變更
スルコトヲ妨ゲズ
米穀統制法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因
テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十年三月二十四日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
(-ハ衆議院ノ修正)
米穀統制法中改正法律案
米穀統制法中左ノ通改正ス
第二條第三項中「前項」ヲ「前二項」ニ改メ
同條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
政府ハ第一項ノ最低價格ノ決定ニ付テ
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ金利及保管料
ヲ加算スルコトヲ得
第四條ノ二政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ米價ガ最低價格ト最高價格トノ平均
價格以上ニ在リ且災害、事變其ノ他避
クベカラザル事由アル場合ニ於テ米穀
ノ配給上特ニ必要アリト認ムルトキハ
米穀ノ市價ニ惡影響ヲ及ボサザル場合
ニ限リ所有米穀ノ總數量ヨリ最高價格
ヲ維持スル爲必要ナル數量ヲ控除シタ
ル數量ノ範圍內ニ於テ道府縣ニ對シ米
穀ノ賣渡ヲ爲スコトヲ得
前項ノ賣渡ノ價格ハ時價ニ準據シテ之
可愛人
第八條及第九條中「高粱又ハ黍」ヲ「高粱、
黍、小麥又ハ小麥粉」ニ改ム
第十二條中「高粱若ハ黍」ヲ「高粱、黍
小麥若ハ小麥粉」ニ、「高粱又ハ黍」ヲ「高
粱黍、小麥又ハ小麥粉」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條ノ二ノ規定ニ依ル米穀ノ賣渡ニ關
スル一切ノ歲入歲出ハ米穀需給調節特別
會計ニ屬セシム
籾共同貯藏助成法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十年三月二十四日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
籾共同貯藏助成法案
籾共同貯藏助成法
第一條政府ハ產業組合、農會其ノ他勅
令ヲ以テ指定スル團體ガ米穀ノ出廻數
量ノ調節又ハ備荒貯蓄ノ目的ヲ以テ籾
ヲ貯藏スルトキハ之ヲ助成スル爲貯藏
團體ニ對シ米穀需給調節特別會計ニ屬
スル米穀ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ交付ニ關シ必要ナル事項ハ命令
ヲ以テ之ヲ定ム
第一項ノ規定ニ依リ交付スル助成米ノ
數量ハ每年三十萬石ヲ超ユルコトヲ得
ズ
第二條政府ハ本法ニ基ク命令ニ違反シ
タル團體ニ對シ其ノ交付ヲ受ケタル米
穀ノ價格ニ相當スル金額ノ全部又ハ一
部ノ返還ヲ命ズルコトヲ得
第三條本法ニ依ル助成米ノ交付ニ關ス
ル一切ノ歲入歲出ハ米穀需給調節特別
會計ニ屬セシム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣山崎達之輔君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=72
-
073・山崎達之輔
○國務大臣(山崎達之輔君) 只今御上程ニ
ナリマシタル米穀關係三案ノ提案理由ヲ御
說明申上ゲマス、政府ハ昭和八年十一月ヨ
リ米穀統制法ヲ施行イタシマシテ、米價ノ
公定竝ニ季節的出迥リ調節ヲ根幹ト致シマ
シテ、米穀ノ統制ヲ圖ッテ居ルノデアリマス、
更ニ昭和九年五月ヨリ臨時米穀移入調節法
ヲ施行イタシマシテ、兩者相俟ッテ米穀政
策ヲ行ッテ居ル次第デゴザリマスルガ、米穀
統制法實施ノ經過及諸般ノ米穀事情竝ニ財
政上ノ影響等ニ鑑ミマシテ、且又第六十五
議會ニ於ケル貴衆兩院ノ御決議ノ趣旨ヲ尊
重イタシマシテ、更ニ米穀對策ニ付テ考究
ヲ遂ゲマスルガ爲ニ、昨年九月米穀對策調
査會ヲ內閣ニ設ケタノデゴザイマス、而シ
テ臨時米穀移入調節法ハ本年三月三十一日
ヲ以テ效力ヲ失フコトト相成リマスノデ、
調査會ニ於キマシテモ銳意調査〓究ヲ進メ
ラレマシテ、本年一月中旬ヲ以テ米穀對策
諸案ヲ議決セラレ、答申セラルル所ガアッ
タノデアリマス、政府ハ此答申ニ基キマシ
テ米穀自治管理法案、米穀統制法中改正法
律案及籾共同貯藏助成法案ノ三案ヲ立案イ
タシマシテ、提案スルニ至ッタ次第デゴザイ
マス、以下順次其〓要ヲ御說明申上ゲタイ
ト存ジマス、先ヅ米穀自治管理法案ハ內地、
朝鮮及臺灣ヲ通ズル過剩米穀ヲ統制イタシ
マス爲ニ、米穀ノ自治管理ヲ行ハシメマ
スルコトヲ目的トスルモノデアリマシテ、
卽チ內地、外地一貫ノ方針ヲ以テ公平ナル
統制方策ヲ立テマスルト共ニ、生產者等ヲ
シテ自治的ニ米穀ノ調節ヲ圖ラシメマシテ、
政府ト民間ト相協力シテ米穀統制ノ目的ヲ
達成セムトスルモノデゴザイマス、而シテ
本案ハ過剩米穀ヲ統制スルノ方法ニ依ルモ
ノデアル、近來御承知ノ通リ內地、朝鮮及
臺灣ヲ通ジマシテ米穀ノ供給ノ增加、殊
朝鮮米及臺灣米ノ移入數量ノ增加ニ依リマ
シテ、供給過剩ノ結果ヲ招來イタシマシタ、
一朝大豐作等ニ際會イタシマスレバ米ノ非
常ナル供給過剩ヲ生ジマシテ、米價ヲ著シ
ク低落セシメルコトニ相成リマスノデアリ
マスルカラ、過剩數量ノ生ジマスル場合ニ
ハ、米穀生產者ノ團體、米穀取扱業者ノ團
體等ニ於テ自治的ニ右過剩米穀ノ管理ヲ行
ハシメルノデゴザリマス、其他ノ一般販賣
米ノ取引ノ自由ニ付テハ制限ヲ加ヘザル趣
旨デアルノデゴザイマス、法案ノ內容ハ政
府ハ每年米穀年度ノ初ニ於キマシテ內地、
朝鮮及臺灣ノ全體ヲ通ジマシテ、其米穀年
度ニ於ケル需給推算ヲ行フノデゴザイマス、
而シテ此需要推算ノ結果米穀ノ過剩數量ヲ
生ジマスル場合ニハ其數量ノ範圍內ニ於
キマシテ一定數量ヲ定メマシテ、之ヲ內地、
朝鮮及臺灣ニ割當テマシテ統制ヲ致スコト
ニナルノデゴザイマス、而シテ右ノ一定數
量ノ內地、朝鮮及臺灣ニ對スル割當ハ、內
地、朝鮮及豪灣ノ米穀管外移出數量ノ增加
ノ趨勢ノ外ニ、米ノ管外移出數量、米穀收
穫ノ豐凶等ノ關係ヲモ參酌イタシマシテ定
メルコトト致シタノデアリマス、尤モ其割
當ハ諸般ノ關係ヨリ當分ノ中ノコトハ法ニ
明定スルコトガ適當ト考ヘマシテ、當分ノ
內ハ內地百分ノ三十五、朝鮮百分ノ四十
三、臺灣百分ノ二十三ト致シマシテ、唯
內地及朝鮮、臺灣ニ於ケル其時ノ豐凶
ノ關係等ニ依ッテ之ヲ變更スルノ餘地
ヲ存スルコトト致シタノデアリマス、
而シテ統制ヲ行フ機關ト致シマシテハ、內
地、朝鮮及臺灣ニ於キマシテ市町村等ノ一
定地區ヲ區域ト致シマシテ、米穀生產者、
地主等ヲ以テ組織イタシマスル米穀統制組
合ヲ設立イタサセマシテ、更ニ此組合ノ相
互ノ連絡ヲ圖リ、其機能ヲ全カラシメマス
ル爲ニ、上級系統機關トシテ聯合會ノ制度
ヲ設ケルコトト致シタノデアリマス、併ナ
ガラ内地ニ於キマシテハ、米穀販賣組合及
其聯合會ヲシテ、此米穀統制組合及其聯合
會ノ業務ヲ代行シ得ルノ途ヲ設ケテ居ルノ
デアリマス、尙ホ農會モ米穀統制組合又ハ
代行スル販賣組合ノナイ市町村ニ於キマシ
テハ、業務代行ヲ爲シ得ルノ途ヲ開イテ居
ルノデアリマス、斯樣ニ致シマシテ、政府
ハ內地朝鮮及臺灣ニ於ケル上級系統機關ニ
對シマシテ、一定數量ノ統制ヲ命ジ、其上
級系統機關ハ其所屬團體ニ對シマシテ、系
統的ニ統制スベキ數量ヲ割當テルコトト致
スノデアリマス、而シテ米穀統制組合又ハ
其業務ヲ代行スル團體ニ於キマシテハ、割
當テラレマシタル數量ダケノ米穀ヲ貯藏イ
タシマシテ、內地米ノ價格ガ相當程度値上
リヲ致シマシテ、政府ヨリ解除ノ許可ガア
リマスル迄ハ、其貯藏ヲ繼續イタスコトト
致シタノデアリマス、勿論政府ハ其團體ノ
貯藏能力、其他ノ事ヲ參酌イタシマシテ、
若シ貯歲ガ困難デアルト認メマスル部分ニ
付キマシテハ、希望ニ依リマシテ、一定價
格ヲ以テ買上ゲルト云フコトニ致シタノデ
アリマス、以上ノ如ク米穀生產者ノ團體ヲ
シテ自治的管理ヲ行ハシメマスルガ、其後
ニ於ケル天候ノ如何等ニ依リマシテ、實際
ノ收穫高ガ增加イタシマスル等ノ爲ニ、更
ニ米穀ノ供給過剩ヲ來タスコトガゴザイマ
スルノデ、斯樣ナ場合ノ爲ニ、政府ハ更ニ
第二次的ニ米穀生產者ノ團體、米穀取扱業
者ノ團體等ニ對シテ、統制ヲ命ズルコトガ
出來ルト云フコトニ致シタノデゴザイマ
ス、本案ハ大要以上ニ申述ベマシタ通リデ
ゴザイマシテ、本案ニ依リマシテ統制ヲ行
ヒマスルノハ、米穀ノ供給ガ過剩ナルガ爲
ニ生產者ハ勿論、米穀ノ取扱業者ニ於キマ
シテモ、多クハ困難ヲ感ジテ居ル場合デゴ
ザイマスルノデ、是等ニ對シマシテ、本案
ハ相當ノ便益ヲ與ヘルモノト考ヘルノデア
リマス、又米價ガ最低價格ヨリ一定程度値
上リヲ致シマスル場合ニハ、貯藏米穀ハ解
除ヲ受ケマシテ、市場ニ出廻リ得ルコトト
相成リマスルノデゴザイマスカラ、之ニ依ッ
テ需給ノ關係ガ圓滑トナリマシテ、消費經
濟ニモ好影響ヲ及ボスモノト存ゼラレルノ
デアリマス、尙ホ本案ガ實施イタサレマス
ル場合ハ、相當供給過剩ノ年柄ニ於キマシ
テモ、政府ハ從來ノヤウニ、大量ノ買上、
買入ヲ爲スコトヲ防グコトガ出來ルノデゴ
ザリマスルカラ、假令貯藏米ニ對シマシテ、
助成金ヲ交付スルコトト致シマシテモ國
庫ノ負擔ハ之ニ依ッテ相當ニ輕減サレマシ
テ、米穀統制法ノ運用等ニモ好結果ヲ齎ス
コトニ相成ルココト信ズルノデゴザイマ
ス、次ニ米穀統制法中改正法律案ニ付テ、
一言ヲ申上ゲマス、本改正案ハ第一ニ出廻
期ニ於キマシテ、農家ガ米ノ賣急ギヲナシ
マシテ、政府ヘノ賣渡申込ガ一時ニ殺到ス
ル等ノ弊ヲ防止イタシマスル爲ニ、最低價
格ニ金利及保管料ヲ加算スルコトト致シタ
ノデアリマス、第二ハ非常災害等ノ場合ニ、
政府所有米ヲ賣渡シマシテ、應急ノ措置ヲ
ナシ得ルノ途ヲ開クコトト致シタノデアリ
マス、第三ハ粟、高梁及黍ト同樣ニ、米ノ
代用食糧デアリマスル小麥及小麥粉ニ付キ
マシテモ、輸入ノ制限及輸入稅增減免除ヲ
ナシ得ルコトト致シタノデアリマス、最後
ノ籾共同貯藏助成法案ハ、籾ノ共同貯藏ニ
付キマシテハ、旣ニ昭和五年及同八年ノ大
豐作ニ際シマシテ、之ヲ奬勵實行イタシ、
相當效果ヲ收メテ居ルノデゴザイマスガ、今
囘ハ此籾ノ共同貯藏ノ助成ヲ恆久的施設ト
シテ行ハムトスルモノデゴザイマス、卽チ
產業組合、農會等ノ團體ガ米ノ出廻數量ノ
調節又ハ備荒貯蓄ノ目的ヲ以テ籾ヲ貯藏イ
タシマスル場合ニハ、政府ハ此貯藏〓體ニ
對シマシテ、金利及保管料ニ相當スル政府
所有米穀ヲ交付スル所ノ方法ヲ以テ奬勵ヲ
致シマシタ、依テ以テ米穀統制法等ニ依ル
出廻調節ト相俟チマシテ、米穀ノ統制ヲ圖
ラムトスルモノデゴザイマス、右三法律案
ノ提案理由ハ以上申上ゲマシタヤウナ次第
デゴザイマス、會期切迫イタシマシテ、御
審議上ノ不便ハ如何ニモ恐縮ニ存ジマスル
ガ、何卒御審議ノ上御協贊ヲ賜ラムコトヲ
切ニ御願ヲ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=73
-
074・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 質疑ノ通〓ガゴ
ザイマス、上山滿之進君
〔上山滿之進君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=74
-
075・上山滿之進
○上山滿之進君 私ハ只今上程サレマシタ
法案ニ對スル直接ノ質問ノ前ニ、總理大臣
ニ伺ヒタイト思フコトガアリマス、總理大
臣ハ貴族院ノ審議權ト云フモノヲドウ云フ
風ニ御考ニナッテ居リマスルカト云フコト
ヲ私ハ疑ハザルヲ得ヌノデアル、此案ガ衆
議院ニ上程サレテ今日迄、二十五日間衆議
院デハ審査イタシテ漸ク今日通過イタシマ
シタ、私ハ衆議院ノ審査ハ遲レタトハ思ヒ
マセヌ、何シテモ凡ソ七十箇條ノ大法案デ
アル、之ニ對シテ質問ヲシマスルト二日三
日ノコトハ別論ト致シマシテ、大體ニ於テ
二十五日ト云フモノハ長イコトハナイ、長
過ギハシナイノダト思フノデアリマス、實
ハ衆議院ノ速記錄モ大半讀ミマシタ、大體
ニ於テ其質問ハ如何ニモ要領ヲ得テ居ルノ
デアリマス、無駄ナ質問ガ殆ド無イト言フ
テ宜シイノデアリマス、以テ衆議院ノ審査
ガ無益ノ時ヲ費シタト云フコトハナイト、
斯ウ云フ風ニ思フ、所ガ此會期ノ殆ド全部
ヲ、殘リノ全部ヲ衆議院ガ費シ、貴族院ニ
ハ今日初メテ上程サレマシタ、今明日シカ
ナイ、ドウシタラ宜シイノデアリマスカ、
若シ貴族院ノ審議權ト云フモノニ重キヲ置
カレルナラバ、宜シク御考ノアルベキコ
トト思フノデアリマス、此唯二日間、或ハ
時ニ例ノアルコトデゴザリマシテ會期ノ延長
ガアルカモ知レマセヌ、會期ノ延長ガアリ
マシタ所デ、此五日ヤ七日延バシタ所ガド
ウニモ斯ウニモ仕方ガナイ、質問ハ迚モ盡
キナイ、サウ云フ場合ニ當ッテ政府ハドウ
云フ御考ヲ御持チニナッテ居リマスカ、審議
未了ニナッテモ已ムヲ得ヌト云フ御考ナラ
バソレデ宜シウゴザイマスシ、ソレカラ短
イ間ダケレドモ無理ニ審議シテ吳レイト、
斯ウ云フ其無理ナ要求ヲナサルノデアリマ
セウカ、只今農林大臣ハ會期切迫ノ場合氣
ノ毒ダケレドモ審議シテ吳レイ、是ハ一應
ノ御挨拶トシテハ承リマスケレドモ、本心
デ無理ニ審議セイ、斯ウ言ハレマシテモ實
ハ審議シテ議決スルコトハ出來ナイ、審議
シナイデ議決シナケレバナラヌ、俗ニ言フ
盲判ヲ押セト云フコトヲ要求セラルルノデ
アリマスカ、若シサウデアリマスレバ貴
族院議員ハ、貴族院議員ノ職責ヲ盡サヌデ
宜シイト云フ御考デアリマセウカ、或ハ會
期ヲ數十日延長ヲスルト云フ御內示デモア
リマセウカ、頗ル惑フノデアリマス、是ガ
特別委員會ニ移リマスト、特別委員ハ早速
非常ナ勉强ヲセナケレバナリマセヌガ、旣
ニ先キガ極ッテ居ル、早ク言ヘバ勉强シ甲斐
ガナイ、無益ニ人間ノ能力ヲ消費スルト云
フコトニナルノデアリマスガ、ドウ云フ風
ノ御考デアリマセウカ、誠ニ申シニクイコ
トデゴザリマスケレドモ、政府ハドウモ貴
族院ノ審議權ト云フモノヲ輕ンジテ居リハ
セヌカト思フノデアリマス、若シソンナコト
ガ多少デモアリマスナラバ、此問題ハ此間
題トシテ將來非常ナ惡例ヲ貽スコトニナ
ル、衆議院デ議事ノ都合デ大變長クナッタ
ト云フ時、貴族院ニ會期ノ切迫シタ場合ニ
持ッテ來テ、ドウカ通過シテ吳レイト言フ
テ、無理ニ御賴ミニナリマスカドウカ知リ
マセヌケレドモ、過去ニ於ケテハサウ云フコ
トガアッタヤウデアリマスガ、ソレハ非常ニ
迷惑スル、盲判ヲ押セト云フコトニナル、
我ヒハ盲判ヲ押シテハ相濟ミマセヌ、到底
相濟ミマセヌ、構ヘテ質問ヲ長引カスト云
フコトハ致シマセヌ、決シテ致シマセヌケ
レドモ、何シテモ七十條ノ大問題デ、サウ
シテ此問題ハ根本ニ於テモ非常ナ難問題ヲ
澤山ニ包藏シテ居ル、是ガ到底少々ノ期間
デ審議ノ出來ルモノデアリマセヌ、之ニ對
シテ總理大臣ノ御所見ヲ伺ヒタイ、ソレカ
ラ今一ツ貴族院ノ審議權ト此處デ申シマセ
ウカ、貴族院ノ意思ト云フモノヲ、貴族院
ノ議決ト云フモノヲ頗ル政府ハ輕ンジテオ
出デニナル、斯ウ云フコトガ一ツアルノデ
アリマス、ソレハ此米穀問題ノ取扱方デア
リマス、貴族院ハ第六十五議會、卽チ昨年
ノ三月ノ議會ニ於テ、此前ニ法案ヲ通過イ
タシマシタ其際ニ附帶決議ヲシテ居リマス、
皆サン御承知ノコトト思ヒマスケレドモ、
チヨット讀上ゲマス、附帶決議ノ文句ハ、「政
府ハ米穀ノ現狀ニ鑑ミ速ニ現行制度ヲ改正
シ米穀ニ對スル根本政策ヲ樹立シ以テ臨時
議會ニ提出セラレンコトヲ望ム」、斯ウ云フ
附帶決議ヲ附ケテ居リマス、我ミハ唯徒ニ
附帶決議ヲ附ケタノデハナイ、而モ此附帶
決議ヲ附ケマスニ付テハ委員會ノ終リニ
政府ニ交渉マデシタ事柄デアルノデ、此附帶
決議ニハ明カニ現ハレテ居リマセヌケレド
モ、此意味ハ米穀統制法デヤッテ行クト非常
ナ國庫ノ負擔ガ重イ、ソレハ一昨年ノ出來
米ヲ買上ゲマシテ、千七十萬石買ッテ、二億
六、七千萬ト云フ金ヲ兔モ角モ一時ハ出シ
タノデアリマス、此儘デ行クトドウナルカ
分ラヌ、國庫ノ負擔ハ年々增加シテ止マル
所ヲ知ラナイ、ソレデドウカシテ此負擔ヲ免
カレサスヤウニシテ貰ヒタイト云フコトガ
其主ナ點デアッタノデアリマス、ソレハ決議
文ニハ現ハレテ居リマセヌケレドモ、此時
ノ速記錄ニ依ッテ明カデアリマス、私ハ其當
時ノ特別委員デアリマシタカラ能ク承知シ
テ居ルノデアリマス、所ガ今度、其後ニ米穀
對策調査會ナルモノヲ開カレマシテ、之二
對スル政府ノ態度ハ全ク極ッテ居リマセヌ、
米穀對策調査會ハ公開ノ會デハアリマセヌ
ケレドモ、祕密會ト云フ性質デアリマセヌ
カラ、細カイコトハ如何カト思ヒマスガ、
大要ハ申上ゲテ差支ナイト思ヒマス、政府
ハ空手デ出タ、農林省ハ空手デ出タ、サウ
シテソコニ各委員、各委員カラ色ミナ質問
ガ出マシタ、其出タ中ノ政友會案ト其調査
會デモ稱セラレテ居ッタノデアリマスガ、政
友會案ト民政黨案ト、此兩方ノ案ダケガ···
殆ドダケト言フテ宜シイ、ダケガ議題ニナッ
タ、サウシテ此兩方ノ案ヲ兩黨ノ妥協ニ依ッ
テ色〓揉ミ直シテ、揉ミ直シタカ、揉ンデ惡
クシタカモ知レマセヌガ、兔モ角モ一ツニ
シタ、サウシテ出來タノガ今度ノ案ナンデ
アリマス、政府ハ何等自分ノ所見ト云フモ
ノハ初メカラアリマセヌ、從テ其調査會ヲ
指導スルト云フコトハ一切ナイ、右カラ吹
キ、左カラ吹ク兩方ノ風ヲ中和シテサウシ
テ出來タモノ、是ガ此案ノ眞相デアリマス、
是ハ山崎農林大臣ハ終始委員會ニ出テオ出
デニナリマシタシ、又私ガ不法ノ言ヲ發ス
ルト云フコトハ仰シヤラヌダラウト思フ
サウシテ貴族院ノ希望決議ノ骨子デアル國
庫ノ負擔ヲ如何ニスルカト云フ問題ニ付テ
ハ、殆ド一切此調査會デハ觸レヌノデア
ル、一切ト申シテモ、全ク無イト云フコト
デハアリマセヌノデ、實ハソレニ對シテ私
ハ一ツノ案ヲ出シマシタ、無論通過シマセ
ヌガ、私ハ私ノ案ガ通過シタカラドウ、シ
ナイカラドウト、ソンナケチナ考ヲ有ッテ居
リマセヌ、唯私ノ考ハ、ドウシテモ此國庫ノ負
擔ガ斯ノ如ク大キイト云フコトハ、而モ之
ガ年々重ナリサウデアルト云フコトハ見テ
居ラレナイ、ソレヲドウカシテ救フタラ宜
カラウト云フノデ、私ハ私トシテ一案ヲ出
シタ、私ノ案ガドウナラウトソレハ構ヒマ
セヌガ、國庫ノ負擔ガエラク增加スルト云
フコトノ點ハ餘程政府デハ御考ニナラネバ
ナラヌ、ソレガ殆ド問題ニナラナイ、是ハ
一體ドウ云フ御考デアリマスカ、總理大臣
ニ是モ伺ヒマスガ、貴族院ハ昨年愼重審議
ノ結果、法案ヲ通過サセ、サウシテ之ニ熱
心ナル希望決議ヲ加ヘタ、ソレニ拘ラズ此
希望決議ニ對シテハ風馬牛相關セザル態度
ヲ御執リニナッテ居ル、是ハ一體ドウ云フコ
トデアルカ、貴族院ノ附帶決議ト云フノヲ
何ト御考ニナッテ居ルノデアルカ、私ハ誠ニ
諸君ト共ニ遺憾ニ堪ヘナイ、如何ニモ農林
大臣ハ衆議院デ、此自治管理法案ガ通過ス
レバ國庫ノ負擔ハ減少スルモノデアルト云
フコトヲ言ッテ居ラレマス、私ハソレヲ疑
フ、私ハ幾ラデモ項目ヲ擧ゲテ減少シナイ
ト云フコトヲ證據立テルコトガ出來ルノデ
アル、例ヘバ多少減少シタカラト云ッテモ、
一億ヤ二億ノヤウナ問題ハ多少ノ減少ニ
依ッテ覆フコトハ出來ナイ、殊ニ是ハマダ御
考ガ熟サナカッタカモ知レマセヌケレドモ、
此新法案ニ依ッテ國庫ノ負擔ガ減少スルト
云フコトヲ强ク主張サレタノハ、衆議院ニ
於テ初メテデアリマス、調査會デハ私ノ質
問ニ對シテ國庫ノ負擔ハ減リマスト云フ位
ノ御答ガアリマシタケレドモ、具體的ニド
ウシテ減ルト云フコトハ御話ハナカッタ、蓋
シ甚ダ邪推ガマシクテ恐入リマスケレド
モ、調査會ノ案ガ決ッテ後ニ色ニ考ヘテ、考
ヘタ結果斯ウ云フ點モ是ハ減ルト言ハレ
ル、サウ云フ點モ減ルト言ハレルト云フコ
トガ出テ來タノデナイカト、斯ウ私ノヤウ
ナ者ハ思フ、ソレハ兔モ角モトシテ、一體
初カラ國庫ノ負擔ヲ減ラスト云フコトガ主
タル目的デナケレバ、我ミガ昨年附帶決議
ヲ附ケテ臨時議會ニ要求シタ趣意ハ立タナ
イ、是ハ皆樣モ御異議ハナイト思フ、ソレ
ハ其時ノ速記錄ガ見事ニ證明ヲシテ居ルノ
デアリマス、サウ致シマスト、ドウ一體總
理大臣ハ此貴族院ナルモノヲ御覽ニナッテ
居ルカト云フコトガ私了解ガ出來ナイ、之
ヲ先決問題トシテ御尋イタシタイ、ソレカ
ラ今一ツ序デゴザイマスカラ······只今農林
大臣ハ案ノ御說明ヲナサレマシタガ、衆議
院デ修正シテ居ルラシイノデアリマス··
居ルラシイノデナイ、現ニ文書ガ廻ッテ來テ
居リマス、其コトニ付テハ一言モ言及サレ
ナイ、殊ニソレニ御同意カ御同意デナイカ
ト云フコトヲ承リタイ、ソレカラ御同意ニ
ナルトスレバ、今度ノ修正ニ依ッテ豫算ガ澤
山要ル譯デ、今衆議院ニ提出シテアル豫算
ヨリハ澤山要ル筈デアリマスガ、ソレヲド
ウナサルカ、豫算不足ノ儘デト云フコトハ
豫算ヲ出シタ趣意ニ合フマイト思フ、其點
ヲ伺ヒタイ、尙ホ此案ノ實體ニ付テ質問シ
タイノデアリマスガ、先決問題トシテ只今
ノ三ツダケヲ伺ッテ置キタイ
〔國務大臣岡田啓介君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=75
-
076・岡田啓介
○國務大臣(岡田啓介君) 貴族院ノ審議權
ヲ尊重イタサネバナラヌト云フコトハ是
ハ言フ迄モナイコトト思ヒマス、此米ノ法
案ノ如キ重要法案ヲ、會期切迫シマシタ本
日提出スルヤウニ至リマシタノハ誠ニ申譯
ガナイノデアリマシテ、將來斯ノ如キコト
ノナイヤウニ深ク意ヲ用ヰタイト思ッテ居
リマス、モウ會期モアリマセヌノデ、誠ニ
御無理ヲ願フノデアリマス、私トシテハ何
卒御審議下サレルコトヲ御願スル外ハナイ
ノデアリマス、次ニ貴族院デ議決シタコト
ヲ政府ハ何ト思フカト云フ御尋デアリマシ
タガ、貴族院ガ議決サレマシタコトモ、是
モ尊重イタスベキコトハ勿論デアリマス、
此案モ亦一面ニ於テハ政府ノ經費ノ負擔ノ
輕減ガ考ヘテアルト云フコトヲ私ハ聞イテ
居リマス、必シモ議決サレマシタ院議ヲ無
視シテ居ルモノデハナイデアラウト思ッテ
居リマス、第三ノ御質問ノ點ハ、是ハ農林
大臣カラ御答ヲ致シタ方ガ適當ト考ヘマス
カラ、農林大臣カラ御答ヲシテ貰ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=76
-
077・上山滿之進
○上山滿之進君 簡單デアリマスカラ、此
處カラ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=77
-
078・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 宜シウゴザイマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=78
-
079・上山滿之進
○上山滿之進君 總理大臣ニ重ネテ伺ヒマ
スガ、是カラハ愼シムト、是ハマア無論愼
マナケレバナラヌ問題デアリマスガ、是カ
ラノ問題ヂヤナイノデアリマス、當面ノ問
題ヲドウスルカ、人間業デハ二日間デハ出
來マセヌ、人間デアル人ハ心得テ居ル、ド
ウシタラ宜イカ、ソレヲ伺フノデス、盲判
ヲ捺セト云フノカ、盲判ハドウシテモ捺セ
ナイ、又是ダケノ大キナ法案ニ對シテ盲判
ヲ捺スヤウナ通リ一片ノ簡單ナ問題デハナ
イ、ドウシタラ宜イカ當面ノ問題デ、將來
ノ問題デアリマセヌ、將來ノ問題ハ勿論ノ
コトデアリマスガ、當面ノ問題デアリマス、
ドウシタラ宜シイデゴザイマセウカ、ソレ
ヲ伺ヒタイ
〔國務大臣岡田啓介君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=79
-
080・岡田啓介
○國務大臣(岡田啓介君) 只今ト致シマシ
テハ政府ハ誠ニ御無理ナコトヲ御願スルノ
デアリマスケレドモ、御審議ヲ御願スルト
申上ゲルヨリ外ニ申上ゲヤウガアリマセヌ
〔國務大臣山崎達之輔君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=80
-
081・山崎達之輔
○國務大臣(山崎達之輔君) 私ヨリ御答ヲ
申上ゲマスル分ハ二點デアッタカト存ジマ
ス、第一ノ衆議院ニ於テ修正ヲ致シタ點ニ
付テハ、政府ハドウ云フ考デアルカト云フ
點デアッタト思ヒマス、政府ハ原案ヲ提出イ
タシマシテ御審議ヲ願ッテ居ル譯デアリマ
スルガ、此案ニ付キマシテ、貴衆兩院御一
致ノ御意見ニ依ッテ修正ヲ加ヘラレマスル
場合ニハ、固ヨリ十分之ヲ尊重イタス考デ
アリマス、第二ハ衆議院ノ修正ガ假ニ其儘
可決、當院ニ於テモ御決定ニナルモノト致
シマシテ、其場合ニ豫算ニ影響ガアリハシ
ナイカト云フ點デアリマス、此點ハ何レ豫
算ト關聯シテ御說明ヲ申上ゲマセヌケレ
バ、徹底イタスコトハ困難ト思ヒマスルガ、
結論ヲ申上ゲマスレバ、只今衆議院ニ提出
ヲ致シテ居リマスル追加豫算ヲ、此際追加
ヲ更ニ致サナケレバナラヌ程ノ關係ガアル
モノデハナイノデアリマスガ、是ハ數字ニ
關スルコトデアリマスルカラ、他日ノ機會
ヲ俟ッテ申上ゲタイト存ジマス
〔山上滿之進君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=81
-
082・上山滿之進
○上山滿之進君 ソレデハ次ノ此案ニ關係
ヲシマス具體的問題ニ付テ、一ツ二ツ御尋
ヲ致シマス、私ハ本來農村救濟策ト米穀政
策トヲ一〓ニスルノガイカヌ、其爲ニ米穀
政策ガ非常ニ立チニクイノデアルト云フ意
見ヲ持ッテ居リマス、ソレカラ米價ハ一般物
價ニ釣合ハナケレバナラヌ、今日ノヤウナ
高米價政策ハ宜シクナイ、斯ウ云フ意見ヲ
持ッテ居リマス、尙ホ今日最低米價ノ基準ニ
ナッテ居リマス生產費ヲ取ルノハ、誠ニ宜シ
クナイト云フコトヲモ主張シテ居ル一人デ
アリマス、併ナガラ會期切迫ノ場合デ、餘
リ長イ根本論ヲ此處デ皆樣ノ御聽キニ達ス
ルト云フコトハ如何カト思ヒマスルカラ差
控ヘマス
〔副議長伯爵松平賴壽君議長席ニ著ク〕
但シ是等ノ意見ハ嘗テ新聞紙上ニモ揭載イ
タシマシタシ、尙ホ皆樣ノ御手許ヘハ其後
ニ之ヲ「パンフレット」ニシテ差上ゲタト思ヒ
マスカラ、若シマダ御持デゴザイマシタラ
バ、サウシテ御讀ミガゴザイマセヌケレバ、
讀ンデ戴クト云フコトニ致シタイト思ヒマ
ス、今日此處デ質問ヲ致シマスノハ二ツ或
ハ三ツノ點ニナッテ居リマス、第一、此國庫
負擔ノ無限ノ增加ヲドウスルカト云フ問題
デアリマス、現在ノ米穀統制法ハ一昨年
十一月カラ行ハレマシテ、是ハ若シ政府ノ
定メタル最低價格ナラバ、何時デモ言フテ
來ル者ニ米ヲ買ッテヤル、無限ニ買ッテヤル、
斯ウ云フコトニナッテ居ルノデアリマス、ソ
コデ一昨年皆樣ノ御承知ノ通リニ一千七十
萬石ト云フモノヲ買入レタノデアリマス
昨年ハ斯ノ如キ大凶作デアリマシタカラ買
ハヌデ、少シハ買ヒマシタカ知レマセヌ、
兔モ角モ目立ツ程ノ買方ハシナイデ濟ンダ
ケレドモ、是ガ昨年ノヤウナ大凶作デナカッ
タラバ、想フニ又矢張リ買ッテ居ッタニ相違
ナイ、サウ致シマスト年々多額ナ國庫ノ國
帑ヲ費シテ米ヲ買フ、買ッダ米ガドウナルカ
ト云フトナカ〓〓賣レナイ、賣リヤウガナ
イ、現ニ今デモ凡ソ一千萬石バカリ矢張リ
政府ガ持ッテ居ル筈デアリマス、ドウナルノ
カチヨットモ見當ガ付カヌ、ソコデ年々ソン
ナ風ニ買ハンナラヌモノデアラウカドウカ
ト云フコトヲ調ベル爲ニ、自分デ表ヲ作ッテ
見マシタ、但シ此表ノ材料ハ總テ農林省
ノ米穀局カラ得タモノデアリマス、此表ハ
昭和二年カラ昭和九年迄年々生產費ガドウ
ナル、ソレカラ十一月ガ丁度端境ニナリマ
スカラ、其十一月ノ深川ノ正米相場ヲ取ッ
テ、此生產費ト正米相場ト比較シテ見マス
ト、必ズ高イ、生產費ノ方ガ高イ、詰リ米
ヲ買ッテ吳レト云フコトヲ要求シテ來ル者
ガ必ズ出テ來ル値段デス、過去八年間ニ於
テ、此中ニハ確カ凶作ノ年モアルト思ヒマ
シタガ、八年間ヲ通ジテ其通リデアルナラ
バ、將來ヲ推シテ、將來モ八年間キットサ
ウダトハ誰モ申セマセヌケレドモ、將來モ
大多數ノ年ハ米ヲ買ハナケレバナラヌ、多
額ニ買ハナケレバナラヌ、斯ウ云フ推測ヲ
下スト云フコトハ誰モ無理ト思ハヌト思フ
ノデアリマス、唯現行ノ統制法ハ一昨年カ
ラ初メテ行ハレマシタカラ、唯一度シカ之
ニ嵌ッテ居リマセヌケレドモ、若シ是ガ昭和
二年度カラ一昨年ノ統制法ガ行ハレテ居ッ
タモノナラバ、ズット二年カラ八年迄每年
買ッテ居ナケレバナラヌト云フ算盤ガ出ル、
斯ウ云フ其情況デアリマスガ、偖之ヲドウ
シタラ宜イカト云フコトガ問題ナノデアリ
マス、農林大臣ハ今度ノ自治管理、詰リ過
剩米給制ニ依ッテ、過剩米統制デヤレバ過剩
米デ抑ヘルカラ、ソレデ餘リ希望買上ハナ
イチノダト云フコトヲ言フテ居ルラシイノ
デアリマス、是ハ私共實ニ了解ヲスルコト
ガ出來ヌノデアリマス、統制米······過剩米
ヲ統制スルノハ統制米ト假リニ申シマセウ
カ、統制米ニ行クモノハ是ハ統制サレルノ
デスカラ、命令デ行クノダカラ是ハ賣ッテ
行ク外アリマセヌ、併シ政府デ持ッテ來テ賣
ルノハ是ガ統制米、是ガ自由米ト云フヤウ
ニ區別ガアル筈ガナイ、何デモカンデモ構
ハヌ、米ガアレバサウ云フ自分ノ懷ガ出來
秋ニ苦シケレバ、サウシテ早ク金ニ換·ヘタ
イト思フナラバ、ドウシテモ賣ッテ來ル、ソ
レハ未來ニ統制ガアルカラ統制米ノ方ニ行
ケト言ッタッテ聽キハシマセヌ、誰ダッテ聽
キハシマセヌ、皆自分ノ都合デ賣ルノデア
リマス、又實ヲ言フト出來秋ニソンナニ賣
リタクハナイ、併シ賣ラザルヲ得ヌカラ賣
ル、ソレガ統制ニ掛ッタッテ、統制ヲ遠慮シ
テ希望買上ヲ言フテ來ヌト云フコトハ到底
アルベカラザルコトデアリマス、デ、政府ノ計算
ハ過剩米ヲ凡ソ五百萬石スルモノト見テ計算ヲ
立テテオ出デニナリマスガ、是ハマアドウ
ナルカ分ラヌ、五百萬石トマア假リニ致シ
マシテモ、五百萬石ハ統制サレマセウ、過
剩米トシテ······ケレドモ之ヲ平年作トシテ
見タ所ガ六千萬石カ六千二百萬石デスカ
ラ、詰リ五千五百萬石、詰リ十倍以上ノ米
ガマダ自由ニ賣買出來ル米ガアル、自由ニ
賣買出來ル米ヲナゼ澤山ニ持ッテ來ヌト云
フコトガ言ハレマスカ、迚モ言ヘナイノ
デアリマス、殊ニ尙ホ此過剩米ヲ統制スル
ケレドモ、ソレガ貯藏困難ナヤウナ場合ニ
ハ、買ッテヤルト云フノガ百五十萬石ト見テ
アリマス、此百五十萬石ガ多イトカ少イト
カ云フコトハ私ハ言フコトハ出來マセヌ、是
ハ全ク見當ノ付カヌコトデアル、ケレドモ
百五十萬石ハ確カデアルト云フコトガドウ
シテ言ヘルカ、言ヘヤウガナイ、ソレカラ
尙ホ其米ガ持越ニナッテ統制ガ一年限リヤ
ルンデスカラ、一年ノ末ニ持越ニナルト云
フト是モ買ッテヤラヌナラヌ、是モ三百萬石
ノ中何百萬石ニナルカ分ラナイ、サウ云フ
分ラナイコトヲ以テ國庫ノ負擔ガ大イニ··
サモ負擔ガ現實ニ減ルカノヤウニ言ハレル
ト云フコトハ、私ハ殊ニ分リニクイノデア
リマス、デ、先程モ申シマシタ通リニ、初
メカラ國庫ノ負擔ヲ減ズルト云フコトハ大
シタ問題デハナカッタ、政府デハサウ致シマ
スト誠ニ困ル、殊ニ政府ノ發表サレタ所ニ
依リマスト、平年作デモ二百二十萬石過剩
米ガ出ルノデアリマス、平年ト云フコトハ
普通ト云フコトデアラウト思フ普通ノ年ニ
二百二十萬石モ過剩米ガ出ル、要ラヌ米ガ
出ル、サウスルトソレヨリモウ少シ作柄ガ
良ケレバ、無論又ズット殖エテ來ルノデアリ
マス、普通デモ二百二十萬石ノ過剩米ガ出
ルト云ヘバ、想フニ年々過剩米ガ出ルト言ッ
テ大體宜シイ、年々過剩米ガ出マスト云フ
ト、前ノ年ノ過剩米ト云フモノガ翌年ニ持
越シテ、前ノ年ノ過剩米ノ始末ハ其年デ付
ケルカラ、其年ノ末ニナルト翌年ニ米ヲ持
越ス、是ハ政府ガドウシテモ買ハナケレバ
ナラヌ、場合ニ依ッタラバ買ハヌデモ、米屋
ガ買ッテ吳レテ濟ムカモ知レマセヌガ、先ヅ
買ハナケレバナラヌモノト見ナケレバナラ
又、後ヲ追駈ケ〓〓年々平年デモ二百二十
萬石ト云フモノハ剩ッテ來ル、政府ノ倉ヘ
積ム、其米ハ政府ガドウシテモ買ハナケレ
バナラヌ、ドウシテ是デ以テ國庫ノ負擔ガ
減ルノデアリマスカ、是ハ政府ガ今一ツ出
シテ居ラレル、衆議院ニ出シテ居ラレル表
ニ依リマスト五百五十萬石デアッテ、サウス
ルト今ノ法律ト今度ノ法律ト較ベルト、今
度ノ法律ノ方ガ二千八百五十六萬圓ト云フ
モノガ、此負擔ガ低イト、斯ウ云フ計數ヲ
出シテ居ラレル、是ハ此處デ批評シテモナカ
ナカ追ッ付キマセヌカラ申シマセヌガ、餘リ
ニモヒドイ表ヲ御出シニナッテ居ル、餘リニ
モ國庫ノ負擔ガ減ズルト云フコトヲ强ク御
示シニナッタ表デアルト思フ、此點ニ付テ農
林大臣ノ御意見ヲ伺ヒタイ、ソレカラ今一
ツハ米ノ需給推算ヲシナケレバナラヌ、今
度ノ法律ニ依リマスト來年ハドノ位米ガ足
ラヌダラウカ、剩ルダラウカト云フコトヲ
測定ヲシマス爲ニ需給推算ヲ行フ、需用供
給ノ推算ヲ行フ、產額ト輸入額、移入額等
ヲ加ヘタモノカラ輸出額ヲ引イテ、サウシ
テ消費額ヲ引イテ、殘リデドノ位一體足リ
ルトカ足リヌトカ云フコトヲ計算シヤウト
云フノデアリマス、此計算ハ誰モ多少米ノ
コトヲ考ヘテ居ル者ハ致スコトデアリマス、
私自身モ度ミシテ見タノデアリマス、併シ一
度モ當ックコトガナイガ、政府デモ常ニヤッテ
オ出デニナルヤウデアリマスガ、一々ハ承知
シマセヌケレドモ、私ノ知ッテ居ル限リニ
於テ政府ノ今日迄ノ豫測ト云フモノハチ
ヨットモ當ッテナイノデアリマス、ソレハ昭
和七年度デアッタト思ヒマスガ、此時ヒドク
米ガ足リナイト云フノデ外國米ヲ輸入シタ
コトガアル、所ガ案外ニ米ガ澤山アッタ、仕
方ガナイカラ此外國米ヲ又出シテ、賣出シタ
ト云フコトガアルノデアリマス、尙ホ近クハ
昨年ノ三月ニ衆議院ノ要求ニ依ッテ、農林省
ハ需給推測ヲ出シテ居ル、ソレハ三月デア
リマス、今度ノ需給推測ハ、此新法ニ依ッテ
ヤル需給推測ハ、先ヅ十二月ト、第二囘ハ
二月ニヤル、是ハ三月デアルノデスガ、比
較的過去ノ實蹟ヲ基ニシタ數字ノ擧ガッタ
時デアル、其時衆議院ニ提出シタ計數ト、
今度實際十月ノ末日ノ計算ト較ベテ見マス
ト、移入デ、朝鮮臺灣カラ移入スル移入米
額ガ二百萬石違ッテ居ル、大凡ソ、大數二百
萬石違ッテ居ル、ソレカラ消費量、消費量ハ
四百萬石違ッテ居ル、出入リカラ申シマスト
六百萬石違ッテ居ル、斯ウ云フ需給推測デモ
宜イト言ハレルナラバ非常ニ無茶ナコトデ
アルト私共ハ思フノデアル、農林大臣ハ衆
議院デ段々推測ヲスルモノガ慣レルカラ、
段々ウマク當ルヤウニナルトカ云フヤウナ
コトヲ仰ッシヤッテオ出デニナリマスガ、是
ハ慣レル、慣レヌノ問題デナイ、推測ヲス
ル人ノ能力ノ問題デナイ、能力ノ問題ハナ
イ、全ク誰ニモ豫見ノ出來ヌ事柄デアル、
サウ云フ風ニナルノデアリマス、早イ話ガ
消費量デアリマスガ、來年ノ消費量ハドノ位
要ルダラウカト云フコトハ誰ガドウシテ
豫測スルコトガ出來ルノデアリマスカ、國
民ガ少シ景氣ガ好イトカ、少シ米ガ安イト
カ云フノデ、チヨット氣ヲ許シテ食ヒ過ギレ
バ直グ何百萬石ト違フノデアル、私能ク申
シマスガ、一人當リ五升ト云フ米ハドンナ
米カ、五升ト云フ米ハ國民ノ一人當リ一年
ノ消費量ガ多イトカ、少イトカデ五升違フ
トスレバ、總高ニ於テ先ヅ七千萬人ト見マ
シテ、五升ト云フ米ガ三百五十萬石ノ違ヒ
ニナル、五升ト云フ米ヲ碎イテ、每日ニ分
ケテ見マスト、三百六十五日ニ割ッテ見マス
ト、一勺何才ト云フモノニナル、一勺ト云
フ米ハ計ッタコトモアリマセヌガ、ソレヲ飯
ニ炊イテ、小サナ茶椀ニ一杯アルカ無イカ
位デアル、小サナ茶椀ニ一杯アルカナイカ
ノ米ヲ、食フカ食ハナイカニ依ッテ一年ニ
百五十萬石多イカ少イカト云フ問題ガ起
ル、ソンナモノヲ豫測スルト云フコトハ
是ハ神樣デモ蓋シ出來ヌダラウト思ヒマ
ス、來年景氣ガドウナル、米ノ値ハドウナ
ル、サウ云フ到底出來ナイコトヲ以テ基準
ニシテ、ソレデ米ガ剩ル、足リヌト云フコ
トヲ極メテ、之ヲ實際ノ政策ニ應用シヤウ
ト云フノデアル、私共モ需給推算ヲ取リマ
ス、取ルノハ大體ノ模樣ヲ見ヤウト云フノ
デ取ルノデ、模樣ヲ見テ、ドウモ是ガオカ
シイト思ヘバ、マルッキリ捨テシマフ、ドウ
カスルトソレガ役ニ立ツコトガアルサウ
云フ程度デ取ルナラバ宜シイケレドモ、實
際政策ニ應用シテ、統計ノ上デ是ダケ出タ、
ソレデ是ダケ必ズ食フモノダト云フヤウナ
コトニシテ、實際政策ニソレヲ應用シヤウ
ト云フコトハ、非常ニ無理ナコトデアル、
無理ヲ何故シナケレバナラヌカ、皆過剩米
ト云フノデナイト、誠ニ都合ガ惡イモノデ
スカラ、サウ云フコトニナッタンデス、政府
ニ御尋シタイノハ、私ハ到底過剩米ノ推測
ト云フモノハ出來ヌト思ヒマスガ、但シ十
石違ッテモイカヌトカ、五十石違ッテモイカ
ヌト云フノヂヤアリマセヌ、或程度ハ許ス
ケレドモ、何百萬石ト云フ數量ノ違フ性質
ノアル消費量ヲ押ヘルト云フコトハ出來ヌ
ト思フノデアリマスガ、政府ハ其過剩米ノ
間違ガ何十萬石、或ハ何百萬石迄ハ許サレ
ルト云フ御積リデアリマスカ、ソレデソレ
ガ或程度ノ、或限度ノ過剩米ヲ許スト云フ、
是ダケハ間違ッテモ構ハヌト云フ數字ガア
レバ伺ヒタイ、ソレガナイ以上ハ誠ニ分ラ
ナイ、三百萬石剩ッテモ、五百萬石剩ッテモ、
又足リヌデモ、ドウモソレハ仕方ガナイ、
統計ノ相違ダ、斯ウ云フ風ニナッテハ統計
ノ爲ニ我ミハ囚ハレル、締計ニ使役サレル
コトニナル現ニ政府ハ昭和十年度、昭和
十一年度ノ需給推算ニ於テ、國民ノ消費量
ヲ七千二百萬石ト押へテオ出デニナルラシ
イ、七千二百萬石ト云フコトハ何カラ出タカ、
是ハ過去五年間ノ平均カラ出テ居ルラシイ、
諸君ニ御考願ヒタイノデアリマスガ、一體
國民ガ消費スルノニ平均ノ消費量ガ幾ラデ
アルカラ、ソレデ是ハ此上ハ食フチヤイカ
又、平均ノ消費量ガ幾ラデアルカラ、此處
マデハ食ッテモ宜イト云フヤウナコトヲ考
ハ六、一體飮食ヲスルモノト御考ニナシティ
居ルカ、是ハ頗ル疑ハザルヲ得ナイ、今消
費量ノコトダケヲ申シマシタケレドモ、移
入量ニシテモ是モチットモ分リマセヌ、殊ニ
朝鮮ノ移入ノ如キハ、朝鮮人ハ自分ノ食フ米
ヲ食ハヌデ賣出ス、丁度消費量ト結果ハ反
對デアリマスケレドモ、同ジ原因カラ出テ
來ル、米ガ高ケレバ自分ノ食フモノヲ食ハ
ヌデグン〓〓賣出スノデスカラ、チョットモ
ソコニ計算ノ立チヤウガナイ、政府ハ需給
推算ノ過剩米ト云フ數字ハ、過剩米ノ數量
ハ何百萬石或ハ何十萬石マデ過誤ヲ許スト
云フ御積リデアルカ、ソレヲ許スト云フ御
積リデナケレバ全ク分ラナクナル、マダ申
上ゲタイ、御尋シタイコトモアリマスガ、
此場合、私是デ措キマス
〔國務大臣山崎達之輔君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=82
-
083・山崎達之輔
○國務大臣(山崎達之輔君) 御質問ノ第一
點ハ國庫ノ負擔ヲ相當程度ニ輕減シ得ルト
政府ハ言フノデアルケレドモ、實際ニ於テ
ハ負擔ノ輕減ハ本案ニ依ッテ期待スルコト
ハ困難デハナイカ、斯ウ云フヤウナ御趣旨
ト承ッタノデアリマスガ、政府ト致シマシテ
ハ、先程提案說明ニ申上ゲマシタヤウニ、
此法案ヲ幸ニ御協賛ヲ希フコトガ出來マシ
タナラバ、之ニ依ッテ國庫ノ負擔ハ相當ニ輕
減シ得ルモノト信ズルノデゴザリマス、上
山サンノ御疑ハ斯樣ナ自治管理案ヲ施行イ
タシテモ、之ニ依ッテ政府ノ買上米ノ減少ハ
多クヲ期待スルコトハ困難デハナイカト云
フ點ガ第一點ノヤウデゴザリマシタガ、私
共ハ本案ノ施行ニ依リマシテ、政府ノ買上
米ヲ減少スルト云フコトガ、法案ノ寧ロ
重要ナル目的ト致シテ居ル點デアリマシ
テ、且又之ニ依リマシテ政府ノ買上米ハ相
當ニ輕減シ得ルト云フコト、是ハ私共信ジ
テ疑ハヌノデアリマス、何故左樣デアルカ
ト申シマスレバ、細カイコトハ省略ヲ致シ
マスルガ、需給推算、之ニ付テハ別ニ御議
論モゴザイマスルケレドモ、ソレハ後デ申
上ゲルコトニ致シマシテ、需給ノ推算ヲ立
テマシテ、其米穀年度ニ於ケル過剩數量ノ
大體ノ豫定ヲ致シマシテ、之ヲ民間ニ於テ
貯藏ヲ致スト、殊ニ內地ノミデナク、朝鮮、
臺灣ニ於キマシテモ一定量ノ統制ヲ致ス
ト、斯樣ニ相成リマスルコトニ依ッテ、米價
ノ最低價格ヲ割リマスル危險ヲ非常ニ防止
シ得ル效果ノアルト云フコトハ私共疑ハ
ヌノデアル、斯樣ナコトニ致シマシテ、
面ニハ米價ノ最低價格ヲ割リマスル場合ヲ
非常ニ之ニ依ッテ少ナク致シ、又一面ニハ過
剩數量ト考ヘラレマスルモノヲ、之ヲ民間
ニ於テ貯藏ヲ致スト、此仕組ヲ取リマスル
コトニ依ッテ、政府買上米ノ殺倒ヲ非常ニ防
止シ得ル效果ガアルト云フコトハ、是ハド
ウモ私疑フ必要ハナイノヂヤナイカト考へ
ルノデアリマス、更ニ上山サンノ御疑ハ、
米ノ供給ハ大體ニ於テ過剩ノ情勢デアルノ
デアルカラ、年々結局過剩米ト云フモノガ
餘ッテ行ッテ、國ノ負擔ハ增大スルバカリデ
ハナイカト、斯ウ云フ御疑念ノヤウデゴザ
イマス
〔上山滿之進君「違ヒマス」ト呼フ〕
私共モ大體ニ於キマシテ、最近ノ情勢カラ
推論イタシマシテ、此儘デ參リマシタナラ
バ米ノ供給ハ無論年ニ依ッテ非常ナ差ハゴ
ザイマスルケレドモ、大體ノ傾向トシテハ
過剩ノ傾向ニアルト云フ、此事實ハ認メナ
ケレバナラヌト思ヒマス、從ヒマシテ一面ニ
於テハ、米ノ供給ニ關スル調節ヲ圖ル意味ニ
於ケル統制ト云フヤウナ點ニ付キマシテ、之
ヲ考慮イタシテ行クベキコトハ、是ハ先年來
ノ議會ノ御論議ニモ上ボッテ居ルコトデゴザリ
マスルシ、又先般ノ對策調査會ニ於テモ、
附帶決議トシテ現ハレテ居ルコトデゴザリ
やく、尙ホ又政府ハ實際ニ於テ、或ハ朝鮮
或ハ臺灣等ニ於テ、此問題ニ付テ相當ノ施
設ヲ講ジツツアルコトモ御承知ノ通リデア
リマスガ、尙ホ其點ニ付キマシテハ將來一
層ノ施設ヲ講ズルコトノ必要ハ政府モ之ヲ
認メテ居ル譯デアル、併ナガラ假リニ之ガ
左樣ナ情勢デアルト致シマシテモ、現在ノ
米穀統制法ノ下ニ於ケル關係ト、今囘ノ自
治管理法施行ノ場合トヲ比較シテ考慮イタ
シマスレバ、之ニ依ッテ財政上ノ負擔ハ相
當ニ輕減シ得ルト云フコトハ、私ハ申上ゲ
マシテ敢テ誤リデナカラウト信ズルノデア
リマス、上山サンノ第三ノ御疑ハ、政府ガ
衆議院ニ參考書類トシテ出シテ居ル財政負
擔ニ關スル將來ノ推算ハ極メテ杜撰ナモノ
ヂヤナイカト、斯樣ナ御意見デゴザイマ
ス、此點ハ固ヨリ御承知ノ通リニ、將來ニ
於ケル米ノ需給關係ト云フモノヲ、マダ米
ノ植付モ致シテ居リマセヌ今日ニ於テ、
應ノ計算トシテ立テマスル譯デアリマスル
カラ、是ガ正確デナイト云フコトハ是ハ
モウ致方ナイコトデアリマスケレドモ併
ナガラ大體ノ需給ヲ假定イタシマシテ、其
假定ノ下ニ於ケル計算ト致シマシテハ私
共ハ固ヨリ是ハモウ正確ト云フコトハ誰モ
申上ゲルコトハ出來ナイコトデアリマスケ
レドモ、大體ノ傾向トシテ斯樣ナ傾向ニア
ルト云フコトノ御認メヲ願ヒマスル程度ノ
御參考ニナル計算デハナイカト思フノデア
リマス、尤モアノ計算ノ中ニハ色ミノ出
入リガアルコトハ御認メノ通リデアリマス、
或部分ハ寧ロモウ少シ計數ヲ多クスル方ガ
宜クハナイカト思フ點モアリマスシ、又減
シテ計算スル方ガ適當ヂヤナイカト云フ點
モ、是ハ色ミ出入リニ付テノ御議論ハ當然
アリ得ルコトト思ヒマスケレドモ、大體ノ
結論トシテ先ヅ此程度ノ傾向ヲ有ッテ居ル
ト云フ位ノ御認メヲ願ヒマスル材料トシテ
ハ、多少御參考ニナリ得ルコトデハナイカ
ト思フノデアリマス、呉ミモ申上ゲマスガ、
將來ニ於ケル金ノ計算ノコトハ、是ハ實際
困難ナコトデアリマシテ、議論ノ餘地ノナ
イヤウナ正確ナ財政上ノ計算ヲ事前ニ彈キ
出シマスト云フコトハ、是ハモウ殆ド不可
能ニ近イ、困難デアルト云フコトハ、是八
御了解ヲ願ッテ置カナケレバナラヌト思ヒ
せく、デ私共考ヘマスル所ヲ以テ見マスレ
バ只今申上ゲマスルヤウニ、今囘ノ法案
ニ依リマシテ、國庫ノ負擔ハ相當ニ輕減シ
得ルモノデアリ、又此負擔ノ輕減ヲ圖リ得
ルト云フコトガ、米穀政策トシテハ極メテ
重要ナコトデアルト云フコトモ私共ハ考ヘ
テ居ル譯デアリマシテ、假リニ之ヲ近イ例ヲ
取リマシテ御參考ニ供シマスレバ、是モ上
山サン、モウ十分御承知ノコトデアリマシ
テ、甚ダ恐縮ナ次第デアリマスケレドモ、
御參考マデニ一言イタシマスレバ、例ヘバ
昭和八年ノアノ豐作ノ場合ニ於キマシテ、
政府ハ一方ニハ御承知ノヤウニ千七十萬
石ノ買上ゲヲ實行イタシ、更ニ民間ニ於キ
マシテ、內地朝鮮等ヲ通ジマシテ約九百萬
石ノ籾ノ貯藏ヲ行ッタ譯デアリマス、玄米ト
致シマシテ約四百五十萬石、若シアノ場合
ニ民間ニ於ケル籾ノ貯藏ト云フコトガナ
カッタナラバ、アノ年ノ政府ノ買上米ガ千七
十萬石デ止マリ得タカドウカ、私ハ恐ラク
政府買上米ハ、アノ時民間ノ籾貯藏ナカリ
セバ、更ニ二百萬石ト申シマセウカ、三百
萬石ト申シマセウカ、相當量ノ增加ガアッタ
ノデハナイカト思フノデアリマス、所ガ米
穀統制法ノ立前ト致シマシテ、一旦政府ガ買
上ゲマスレバ、殆ド其米ハ民間ニ出シ得ナ
イ謂ハバマルデ封ジラレテシマフ譯デアリ
マシテ、殆ド需給ノ調節ニ之ヲ使フト云フコ
トハマア出來ナイコトニ相成ッテ居リマス、所
ガ之ヲ政府ノ倉ニ納メマセヌデ、民間ノ倉デ
貯藏ヲ致シテ置キマスルト云フト、其後ニ於
ケル米價ノ事情等ニ依リマシテ貯藏ノ解除
ト云フ途モアル譯デアリマシテ、餘程私共ハ
其點ニ於テ調節ノ作用ガ起リ得ルト考ヘル
ノミナラズ、左樣ナコトニ依リマシテ、政
府ノ買上數量ト云フモノガ相當ニ減少セラ
レルト云フコトハ、ドウモ私共ハ間違ヒノ
ナイコトデハアルマイカト斯樣ニ考ヘル譯
デアリマス、デ申ス迄モナク政府ノ倉ニシ
マッテ置キマス位、經濟的ニハ不引合ノモノ
ハナイト思ヒマスノデ、政府ノ倉ニシマハ
ナイデ、他ノ方法ニ依ッテ需給調節ガ出來マ
スレバ、是ガ政府ノ倉ニシマフ場合ニ比較
イタシマシテ、財政上ノ負擔ガ輕クナルト
云フ此事實ハ、御認メ願ッテ宜イノヂヤナイ
カト考ヘルノデアリマス、第二ハ需給推算
ト云フコトガ、此自治管理案ノ基礎的要件
ト相成ッテ居ルガ、此事タルヤ、極メテ困難
ナコトデアッテ、殊ニ消費量ノ推算ノ如キハ
殆ド不可能ナコトデアルカフ、之ヲ實際政
策ノ基準ト致スコトハ不都合デハナイカト
云フ御意見デゴザイマス、申スマデモナク
需給推算ノ極メテ困難ナ計算デアリマスル
コトハ、是ハ御說ノ通リデゴザイマス、併
ナガラ最近ニ於キマシテ、相當此點ニ付キ
マシテハ、農林省ノ事務當局ニ於キマシテ
モ漸次習熟イタシテ參ルノデアリマスル
シ、更ニ又今囘ノ法案ガ幸ニ成立イタシマ
スレバ、斯樣ナ點ニ付キマシテ一層ノ力ヲ
用ヰタイト考ヘテ居リマスノデ、其計算ノ
誤算等ハ成ルベク少カラシメ得ルコトト信
ズルノデアリマス、尤モ米ノ需給ノコトハ
其計算ヲ致シマスル時ト、其後ノ情勢ノ變
化ニ依リマスル當然ノ計算ノ相違ト云フコ
トハ是ハ起リ得ル譯デアリマス、例ヘバ第
二囘收穫豫想ニ依リマシテ、需給推算ヲ立
テマシテ、其後ニ於ケル天候ノ如何ニ依ッテ
米ノ實收ニ非常ナル開キガ起ルト云フヤウ
ナ、斯樣ナコトハ、是ハ殆ド不可抗力的ノ
計算ノ異動ハ起リ得ル譯デアリマスケレド
モ、唯其場合ニ對スル對策ヲ一ツ立テテ置
ケバ、ソレデ宜イ譯ヂヤナイカ、卽チ左樣
ナ場合ノ爲ニ必要ナ際ニハ、第二次統制ヲ
行フト云フ途ヲ設ケテアルノモ其爲デアリ
やく、更ニ又若シ供給ノ方ガ豫想以外ニ少
クシテ、供給不足ノ狀態ニアリマスル場合
ニ於テハ、貯藏米ヲ解除イタスト云フコト
ニ依ッテ調節ガ取レル譯デアリマシテ、斯樣
ナコトヲ致シマスルコトガ現在ノ統制法ノ
ヤウニ、政府ノ倉ニマルデ封印ヲシテ閉メ
込ンデシマフト云フ組織ヨリモ、餘程私共
ハ實際ノコトニ役立ツト思フノデアリマ
ス、斯樣ニ固ヨリ需給ノ推算ハ困難デアリ
マッハ、困難デアリマスケレドモ、總テ米ノ
政策ヲ考ヘマスル場合ニ、需給推算ト云フ
コトヲ、之ヲ基礎ニシテ考ヘテ行クト云フ
コト、是ヨリ外ニ方法ガナイ譯デアリマス
カラ、假令計算ガ困難デアルカラト云ッテ、
之ヲ以テ政策ノ基礎トシテ考ヘテ行クコト
ハ不都合デアルト云フ御議論ハ、或ハ私ノ
伺ヒ誤リカ知レマセヌケレドモ、如何ナコ
トデアラウカト云フ風ニ考ヘル次第デアリ
マス、ソレデ最後ニ需給推算ハ困難ナコト
デアル、困難デアルカラ政府ハ何十萬石位
マデノ違算ハ差支ナイト云フヤウナ考ヲ
有ッテ居ルノデアルカト云フコトデゴザイ
マスガ、是ハ何十萬石マデノ違算ハ宜シイ
トカ、宜シクナイトカ云フ風ニ考ヘテハ居
ナイノデアリマシテ、第一囘ノ需給推算ニ
依ッテ、過剩米穀ノ統制ヲ行ヒマシテ、其後
米ノ需給關係ニ相違ヲ生ジマシタル場合ニ
ハ、先刻申上ゲマシクヤウナ或ハ第二次統
制ヲ施行シ、或ハ是ト反對ノ場合ニハ、貯
藏ヲ解除スルト云フヤウナ方法ニ依ッテ計
算上ノ間違ハ調節イタシテ行ク、此方法ヲ
考ヘテ居ル譯デゴザイマス、或ハ御滿足ヲ
得ルコトハ出來ナイカト存ジマスガ、之ヲ
以テ一應ノ御答ト致シマス
〔上山滿之進君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=83
-
084・上山滿之進
○上山滿之進君 度〓此處ニ登リマシテ誠
ニ恐縮デゴザイマス、ケレドモ農林大臣ノ
御答ガドウモ重要ナ點ニ於テ私ノ問ハムト
スル所ニ當ッテ居ナイト考ヘ、已ムヲ得ズ今
暫ク御〓聽ヲ煩シマス、先以テ誤解ヲ正シ
テ置キマス、農林大臣ハ、上山ハ過剩米ガ生
ズルモノト、日本ノ米界ノ事情デハ過剩米
ガ生ズルモノト思ッテ居ルヤウダ、斯ウ云フ
風ニ仰シヤッタノデアリマス、私ハ絕對ニサ
ウデナイノデアリマス、是ハ他ノ機會ニ於
テ伺ハウト思ヒマシタノデスガ、農林省デ
ハ過剩米ガ年々生ズル、ソレデドウカシナ
ケレバナラヌ、斯ウ云フコトヲ衆議院デモ
言ッテ居ラレル、私ハサウ考ヘナイ、是ハ御
聞違ヒデゴザイマスカラ正シテ置キマス、
實ハ外地米ノコトハ申サヌ積リデアリマシ
タケレドモ、只今農林大臣ガ外地米ニ引掛
ケテノ只今ノ御發言デアリマスカラ、チョッ
ト申サンケレバナラヌノデアリマス、私ノ
所見ニ依レバ、外地米ガ內地ヲ壓迫スルト
申シマスケレドモ、ソレハ一年ヲ通ジテデ
ハナイノデ、出來秋ニ壓迫スルノデ、年
ヲ通ジテハ大體ニ於テ過剩米ナシ、斯ウ云
フ風ニ私ハ見ルノデアリマス、是モ昭和二
年度カラ八年度マデノ統計ヲ取リマシタ、
全部農林省ノ米穀局ノ材料ニ據リマシタ、
此統計ニ依リマスト昭和二年度カラ八年度
マデ七年間、內地ノ產額ヲ以テ消費額ヲ償
フコトハ無論足ラヌノデアリマス、內地ノ
產額ト朝鮮及臺灣ノ移入額トヲ加ヘテ、サ
ウシテ消費額ヲ償フカト云フト
〔議長公爵近衞文麿君議長席ニ復ス〕
昭和三年度ト昭和六年度トヲ除イテハ、是
デモ足リナイノデス、是ハ計數ガ極メテ明
瞭ニ現ハシテ居ル、昭和三年度ト云フノハ
朝鮮ガ豐作ノ年デアッタ、昭和六年度ト云フ
ノハ內地モ朝鮮モ共ニ大豐作デアッタ年デ
アル、大豐作ノ年ハ是ハ別論トシテ米ガ非
常ニ剩ル、其他ノ年ハ全部足リヌ、是ハ事
實デスカラ······唯問題ハ昭和七年度以降ハ
是モ足リマセヌガ、昭和七年度以降ハ朝鮮
及臺灣ノ移入高ガ多クナッタ、漸次多クナッ
タ、昨年アタリハ非常ニ多クナッタ是ハ別
ノ原因ガアルノデス、詰リ內地ガ高米價政
策ヲ執ッタ爲ニ米ガ高ケレバ朝鮮人デモ臺
灣人デモ、米ヲドン〓〓賣ッテ出ス方ガ宜イ
ノダカラ、ソレダカラズット移入ガ殖エテ來
ル、何ノ不思議モナイ、是ノ殖エルノガ惡
イト云フコトナラバ高米價政策ガ惡イト云
フコトニナル、高米價政策ガ良イト云フナ
ラバ、是ノ殖エルノハ當然忍バナケレバナ
ラヌ、當リ前ノコトナノデアル斯ウ云フ
見地カラ大體ニ於テト私申シテ置キマス、
大體ニ於テ過剩米ガ年々アルト云フコトハ
私ハ否定シマス、ソレカラ先刻申述べマシ
タ中ニ此五百萬石ノ過剩米ガアル、ソレヲ
統制スルカ、又ハ統制シナイデ今日ノ儘ノ
統制法ダケデヤルカ、其國庫ノ負擔ノ差額
ハドウダト云フ表ヲ政府カラ御出シニナリ
マシタト申シマシタ、チヨット今數字ヲ忘レ
マシタガ、ソレハ其計算ノ結果ハ一一千七八
百萬圓ダケ新法ニ依ッテ國庫ノ負擔ガ減ル
ト斯ウ云フコトヲ出シテオイデニナル、誠
ニ申シニクイコトデアリマスガ、私ハ國庫
ノ負擔ガ減ルト言ハナケレバ都合ガ惡イカ
ラ出サレタノヂヤナイカト云フヤウナ、ド
ウモ邪推デゴザイマセウ、邪推デゴザイマ
セウガ、サウ云フ風ナ邪推シカ起ラナイノ
デアリマス、一年ニ二千七八百萬圓ト云フ
モノノ負擔ガ輕減スルト云フコトハ到底ア
リ得ベカラザルコトデアル、常識デ、唯表
ノ中ヲ詳シク點檢シマスト、非常ナ穴ガ澤
山ニアル、其穴ヲ調べマスト、今ノヤウナ
モノハ出テ來ナイ、唯表ヲ一見シタ時ハサ
モ二千八百萬圓減ルヤウナ風ニ、餘リ詳シ
ク表ヲ讀マヌ人ニハ見エルヤウニ出來テ居
ルト思フ、私意地ノ惡イコトヲ申スヤウデ
アリマスケレドモ、ソレデナケレバ何故ソ
ンナモノヲ御出シニナッタカト云フコトハ
私分ラヌ、殊ニ先刻モ申シマシタ通リニ、
初メカラ政府ガ國庫ノ負擔ヲ減サウト云フ
積リハナイ、ソレハ調査會ノ經過ニ依ッテ明
カナンデアル、アトデサウ言ハナケレバナ
ラヌカラ、ソレデ今ハ非常ニ熱心ニ此國庫ノ
負擔ヲ減スンダト仰シヤルノデアリマスガ、
ドウモ餘リ私經過ヲ能ク知ッテ居ルカラ實
ハ私ガ惡イノデ、經過ヲ知ラナケレバソン
ナコトヲ思ハヌ、經過ヲ知ッテ居リマスト、
ドウシテモソンナ風ニシカ思ハレヌ、今此
處デ表ヲ點檢シマスト云フコトハ到底出來
マセヌカラ私ハシマセヌケレドモ、驚クベ
キコトデアルト私ハ思フ、ソレカラ需給推
算ノ問題ハ是ハ非常ナ此案ノ骨子ヲナスノ
デアリマス、ソレニ對スル御答辯ガ誠ニ要
領ヲ得ナイ、オ前ノ言フヤウナコトガ起ッタ
ナラバ第二次統制ヲヤルンダ、ソレデ又過
剩米ガ殖エレバ過剩米ノ殖エタト云フ數字
ヲ出シテ計算スルト斯ウ仰シヤルノデス
ガ、第二次統制ト云フノハ私ハ慥カ一月ノ
米ノ實收額ガ極ッテ、二月頃ニオ出シニナル
コトト思フ、所ガソレヨリモ遲レテ三月デ
スヨ、去年出タノハ三月デスヨ、其三月ニ
出タ分ニ朝鮮、臺灣カラノ移入ガ二百萬石
ノ見當違ガアル······見當違トハ言ヒマセ
又、見込違ガ、正味二百萬石ノ見込違ナン
デ、第二次統制ノ二月ノニハ大シテサウ云
フ見込違ハナイダラウガ、去年ノ三月ノニ
ハ六百萬石ノ見込違ガアッタト云フコトハ
早ク仰シヤッテ居リマス、ソレカラ第二次統
制ノ後ニ第三次、第四次デモヤルヤウナ御
口吻ニ聞エマシタガ、是ハ何カノ御間違デ
アラウト思フ、第二次統制ヲヤレバ今度ノ
新法ニ依レバ第二次統制シカヤレナイ、第
三次統制ハヤルコトハ出來ナイ、第二次統
制ハ去年ノ衆議院ニ需給推算ヲ出サレタヨ
リモ一箇月前、ソコデ誰ガ惡イトモ何トモ
言フノヂヤナイ、需給推算ハ出來ヌモノダ
ト思フ、需給推算ヲドウシテモシナケレバ
此法ガ行ハレナイ、ダカラ此法ハドウシテ
モ行ハレナケレバナラヌモノダト云フコト
ヲ農林大臣ガ前提ニ御置キニナレバ別論デ
ス、ソンナ全ク出來ナイモノヲ相手ニシ
テ、サウシテ無理ヤリニ此法律ヲ行フト云
フコトハドウシテモ私ニハ理解ガ出來ヌ、
若シ御答辯ガアリマスレバ伺ヒマスシ、又
御答辯ニ依リマシテ今ノヤウナ私迄年々過
剩米アリト云フコトヲ言ッテ居ルト云フヤ
ウナニ御考ニナル間違デモナケレバ私ハモ
ウ此壇上ニ起チマセヌ何カアリマシタラ
巳ムヲ得マセヌカラ御許シヲ得テ又····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=84
-
085・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 農林大臣
〔國務大臣山崎達之輔君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=85
-
086・山崎達之輔
○國務大臣(山崎達之輔君) 上山サンノ重
ネテノ御發言ハ結局數字ニ依リマシテ御意
見モ伺ヒ、又當局ノ考モ申上ゲマセヌケレ
バ盡シ難イヤウニ考ヘマスノデ、此場合ハ
御遠慮申上ゲテ置キタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=86
-
087・上山滿之進
○上山滿之進君 私ノ質問ハ是デ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=87
-
088・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 大河內子爵
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=88
-
089・大河内輝耕
○子爵大河內輝絣君 ドウモ會期切迫ノ際
ニ皆樣ヲ御煩シ致シマシテ誠ニ恐縮ニ存ジ
マン、實ハ私ノ質問ハ豫算委員會デ致シマ
シタノデ、農林大臣ガソレハ此方ヘ提出ニ
ナッテカラ答ヘルト云フノデ御答ダケガ留
保ニナッテ居ッタ、實ハ御答ダケ伺ッテモ宜
シイノデスケレドモ餘リ事ガ分リマセヌ
カラ、チヨット簡單ニ要點ダケ說明サシテ戴
キマス、私ノ質問スル所ハ此前貴族院カラ
モアア云フ希望決議ガアリマシタノデス
ガ、到底今度ノ法案デハ其目的ヲ達スルコ
トハ出來ナイ、此法案ヲ以テ滿足シナイ、
尙ホモウ一層政府ハ進ンデ之ガ考究ヲ重ネ
テ貰ヒタイ、斯ウ云フ私ハ考ナノデス、其
點ヲ質問イタシタイ、ソレハドウ云フ譯カ
ト云フト、ドウモ政府ノ此米ノ政策ガ徹底
シナイ、方角ガ間違ッテ居ルヤウニ私ハ思
フ、此米穀ガド云フ譯デ斯ウ云フコトニナッ
テ來タカト云フト是ハ外地米ノ方カラ斯
ウ云フコトニナッテ來タ、外地米ノ方ニ頭ヲ
向ケナイデ置イテ、之ヲドウカシロト言ッ
タッテ出來ル話デナイ、今度ノ法案ニ付テ
二三ノ點ヲ簡單ニ中上ゲマスト第四十一
條ニ此統制ノコトガ書イテアル過剩米ガ
出タラバ統制スル一體其過剩米ト云フノ
ガドウ云フモノカト云フト是ガ本當ニ實
際ノ過剩米ヂヤナイ、唯政府デ過剩米ト認メ
クモノヲ過剩米ト見タダケノ話デ、神樣ノ
作ッタ過剩米デモ何デモナイ、サウシテ是ダ
ケノ出來タモノヲドウ云フ風ニ統制スルカ
ト云フト、假リニ朝鮮ヲ例ニ取リマス其
四割三分ヲ朝鮮デ統制スル、而モソレハ生
產費デ買上ゲル、斯ウ云フコトニナル、ドノ
位ノ數量カト思ッテ見マスト豫算ナドヲ見マ
スト云フト過剩米ト云フノハ五百萬石
位年々ソレハ遠フニハ違アリマセヌガ、
政府ハ大概其位ノ見込ハ立ッテ居ルノデ、
サウスルト四割ト云フカラ二百萬石、
ソレ位ノモノヲ何デ買上ゲルカト云フト生
產費デ買上ゲル是ハ第一點トシテ餘程オ
カシイ、生產費ハ從來上山サンノ御主張ノ
ヤウニ率勢米價ト云フヤウナモノデヤルナ
ラ宜シウゴザイマスケレドモ、何分人間ノ
作ッタ生產費デスカラ、必ズ高クナルニ極ツ
テ居ル此點カラドウシテモ外地ノ米ハド
ンドン生產ヲ奬勵サレテ來ル、是ガ本案ガ
外地米生產奬勸案デアルト云フコトノ第一
點デアリマス、ソレカラ第二點ト致シマシ
テハ外ノ米ハドウナルカ、朝鮮ニ例ヲ取
リマスト千八百萬石ノ生產ガアルソレニ
對シテ、僅ニ二百萬石ダケハ政府デ何トカ
統制ノ途ガ付ク、アトノ千六百萬石ハ大手
ヲ振ッテ內地へ入ッテ來ル、アチラノ生產費
トコチラノ生產費ト比ベテ見レバ私ハ素
人ノコトデ能ク分リマセヌガ、朝鮮ノ方ハ
勞力モ安イシ土地モ安イ、又手厚イ保護モ
受ケテ居ルシ、稅モ安イ、總テノ條件ガ內
地トハ違ヒマスカラ、向フノ生產費ガ內地
ノ生產費ニ比ベテ安イニ極ッテ居ル、ソレデ
向フノ千六百萬石ノ米ガ大手ヲ振ッテ內地
ニ入ッテ來レバ、ドウシテモ內地ノ米ガ騰リ
ヤウガナイ、內地ノ米ガ引下ゲラレテ、外
地ノ米ガ上ゲラレル、サウ云フコトニナル
ノハ當リ前ノコトデアル、ソンナコトヲ捨
テテ置イテ、ソレデ農村救濟ダナント言ッ
テ居ルノガ間違ッテ居ル、コンナコトヲ何時
マデモヤッテ居ッテハ、農村救濟ナドハ何年
經ッテモ出來ハシナイ、ソレガ第二點、ソレ
カラ第三點ト致シマシテハ第二次統制ト
云フコトガアル、是ハ第二次統制ノ方ハ何
ノ價格デ統制スルカト云フト數字ハ是ハ
大シタコトハゴザイマスマイ、只今上山サ
ンノ御述ニナッタ通リデアリマス、數字ハ大
シタコトハゴザイマスマイガ、併シ是ハ外
地デ買ヒマス時ニハ、其價格ハ勅令ヲ以テ
定メルトアリマスガ、內地米ノ生產費ヲ標
準トシテ定メラレルコトノヤウニ承知イタ
シテ居ル是ハ豫算委員會デ質問ヲ致シマ
シテ答辯ハ得テ居ル、ソレデサウ云フ風ナ
工合ニナッテ、朝鮮ノ米ヲ買フノニ、內地ノ
價格デ買フ、詰リ內地ノ米ノ最低價格カラ
運賃、格差ヲ引イタモノデ買フト云フコト
ニナレバドウシテモ內地米ノ生產費ガ標
準ニナッテ來ル、ソレデ買フト云フコトニナ
レバソレデハ外地ノ米ハ作ッタダケ得ダ
ト云フコトニナル、サウ云フ風ニシテ外地
ノ米ヲ買フト云フコトニナレバ朝鮮ノ米
ハドン〓〓殖エテ來ルニ極ッテ居ル、サウシ
テ內地ノ米ハソレガ爲ニドウシテモ下ゲラ
レルサウスルト政府デソレヲ買フト云フ
コトニナル、仕方ガナイカラソレヲ買フ
買フカラ政府デドウニモナラナクナッテ、又
米穀資金デモ殖ヤシテ買フ、吸上ゲテ置イ
テ其側カラ注ギ込ンデ行ク、コンナ底拔ケ
ノ政策ヲヤッテ居ッテハ、何時マデ經ッテモ何
ニモナラナイ、終ヒニハ財政上ドンナコト
ニナッテシマフカ分ラナイ、思切ッテ外地米
ヲ何トカナサラナケレバ迚モイケナイト
思フ、併シ此點ニ付テ私ハ農林大臣ノ御考
ハ今伺ハウトハ申シマセヌ唯私ノ希望ス
· 氏、ドウモ此案ハ餘リ完全ナ目的ハ達
セラレナイヤウニ思フカラ、將來篤ト考慮
シヤウトカ、殊ニ國策審議會ナドモ出來ル
ト云フヤウナコトデゴザイマスカラ、サウ
云フモノニ御掛ケニナルトカ御掛ケニナラ
ヌト云フコトハ御隨意デゴザイマスガ、是
ハ要スルニモット能ク御考ニナッテ、サウシ
テ少シモ農村ノ困ルコトガナイヤウニ同
時ニ外地ノ農村モ困ラナイト云フヤウナ案
ヲ是非共御立テニナルコトガ必要ダラウト
思ヒマス、其事ニ付テ御答ヲ得レバ、私ハ
ソレデ宜シイノデアリマス
〔國務大臣山崎達之輔君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=89
-
090・山崎達之輔
○國務大臣(山崎達之輔君) 大河內子爵ニ
御答ヲ申上ゲマスガ、米ノ問題ハ申上ゲマ
スルマデモナク極メテ困難ナ問題デゴザリ
やっく、生產者ノ關係、消費者ノ關係、又同
時ニ內地、外地ノ關係、諸般ノコトヲ考慮
ニ入レマシテ解決ヲ圖ラナケレバナリマセ
ヌノデ、本當ノ意味ニ於テノ根本的トカ云
フヤウナコトハ是ハ容易ナコトデハナイ
ト考ヘルノデアリマス、殊ニ大河內子爵モ
御心配ニ相成リマシタヤウニ、內地、外地
ノ關係ノ如キ、此數年來相當ノ論議ヲ重ネ
ラレテ居リマシテ、動モスレバ、是ガ朝鮮
等ノ統治ノ關係ニモ如何デアラウカト云フ
ヤウナ懸念モナキニシモアラザル狀態デ
アッタノデアリマス、今回幸ニ對策調査會ニ
於キマシテ、各委員各位ガ數箇月ニ亙リマ
シテ、熱心ナル御〓究ヲ煩ハシ、又朝鮮、
臺灣等ニ於キマシテモ、今囘ハ何トカ此數
年來ノ內地外地ノ紛爭見タヤウナ關係ニ
ナッテ居ルコトニ對シテ、解決ヲ與ヘルコ
トガ諸般ノ意味合カラ必要デアル、斯樣ナ
氣持ヲ持タレマシテ、全ク內地外地ノ間ニ
何等ノ間隔ナク、一致點ニ到達イタシタヤ
ウナコトデアリマス固ヨリ此案ヲ御覽ニ
ナリマスル角度々々ニ依リマシテノ御不滿
ハ、是ハ私ハ餘儀ナイコトト思ヒマスルケレ
ドモ、諸般ノコトヲ綜合シテ御考ヲ願ヒマ
スレバ、私ハ御懸念ナド左樣ニ不完全ナ案
トハ實ハ是ハ露骨ニ申上ゲマスガ考ヘ得
ナイノデアリマス。併ナガラ如何ナル政策
ト雖モ一度ソレガ解決スレバ、ソレデモウ
後ハ永久ニ宜シイカト言ヘバ是ハ左樣ニ
ハ參リマセヌ、無論此度幸ニ兩院ノ御協賛
ヲ經マシテ、此案ガ成立イタシマシテモ
今後ニ於テ米ノ問題ニ付テ政府ガ不斷ノ考
究ヲ重ネテ參ルト云フコトハ是ハ私ハ當
然努ムベキコトデアルト斯樣ニ考ヘテ居ル
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=90
-
091・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 此處カラ申上ゲマ
ス意見ノ相違ハ此際申シマセヌ多分意
見ノ相違ハナイノダラウト思ヒマス、幸せ
シテ〓農林大臣ガ御述ニナッタヤウナコト
ニナレバ誠ニ結構デアリマス、併シ農林
大臣モ尙ホ今後モ考究ヲ重ネテ宜クナルヤ
ウニシタイモノダト云フ今御希望、御決心
ノコトヲ表明サレマシタ、私ノ希望ハ先ヅ
其點ニ於テ滿足デアルト存ジマス、是デ私
ノ質問ハ止メテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=91
-
092・池田政時
○子爵池田政時君 只今上程サレマシタ各
案ハ極メテ重要ナ法案デアリマスガ故ニ、
其特別委貝ノ數ヲ十八名トシ、其指名ヲ議
長ニ一任スルノ動議ヲ提出イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=92
-
093・今城定政
○子爵今減定政君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=93
-
094・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 池田子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=94
-
095・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗
讀イタサセマス
〔小林書記官朗讀〕
米穀自治管理法案特別委員
侯爵細川護立君侯爵松平康昌君
伯爵有馬賴寧君子爵靑木信光君
子爵藪篤麿君子爵片桐貞央君
內田重成君上山滿之進君
男爵〓誠之助君男爵松岡均平君
男爵稻田昌植君有賀光豐君
次田大三郞君金杉英五郞君
久米田新太郞君小林嘉平治君
絲原武太郞君山上岩二君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=95
-
096・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 本日衆議院ヨリ
送付セラレマシタ南朝鮮鐵道株式會社所屬
鐵道買收ノ爲公債發行ニ關スル法律案、其
第一讀會ヲ此際日程ニ追加シテ議事ヲ開ク
コトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=96
-
097・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=97
-
098・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 南朝鮮鐵道株式
會社所屬鐵道買收ノ爲公債發行ニ關スル法
律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、
兒玉拓務大臣
南朝鮮鐵道株式會社所屬鐵道買收ノ爲
公債發行ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十年三月二十四日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
南朝鮮鐵道株式會社所屬鐵道買收ノ爲
公債發行ニ關スル法律案
政府ハ南朝鮮鐵道株式會社所屬鐵道買收
ノ爲之ニ必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ發
行スルコトヲ得
(國務大臣伯爵兒玉秀雄君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=98
-
099・兒玉秀雄
○國務大臣(伯爵兒玉秀雄君) 只今議題ト
ナリマシタ南朝鮮鐵道株式會社所屬鐵道ノ
買收ノ爲ニハ公債ヲ發行スル法律案、提出
ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、本案買收豫定
ノ鐵道ハ朝鮮國有鐵道光州驛ヨリ南下イタ
シマシテ、麗水ニ至ル迄、百哩ノ鐵道デア
リマスルガ、朝鮮國有鐵道慶北北部線ノ建
設計畫ノ進捗ニ伴ヒマシテ南部朝鮮ニ於
キマスル國有鐵道ノ運輸系統ヲ整備スル必
要ガアリマスノデ、昭和十年度ニ於キマシ
テ本鐵道ヲ買收セムトスルモノデアリマ
ス仍テ之ガ買收代金ト致シマシテ交付イ
タシマス公債ヲ發行スル必要ガアリマスノ
デ、本案ヲ提出イタシタル次第デアリマ
ス何卒御審議ノ上御協贊ヲ與ヘラレムコ
トヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=99
-
100・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御質疑ガナケレ
バ特別委員ノ氏名ヲ朗讀イタサセマス
〔小林書記官朗讀〕
南朝鮮鐵道株式會社所屬鐵道買收ノ爲公
債發行ニ關スル法律案特別委員
公爵鷹司信輔君子爵秋田重季君
子爵梅園篤彥君岡喜七郞君
男爵北大路實信君小坂順造君
今井五介君各務鎌吉君
上郞〓助君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=100
-
101・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 廣田外務大臣ヨ
リ發言ノ要求ガゴザイマシタカラ此際之ヲ
許シマス
〔國務大臣廣田弘毅君演壇ニ登ル)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=101
-
102・廣田弘毅
○國務大臣(廣田弘毅君) 今囘北滿鐵道ノ
讓渡交渉成立イタシマシタ機會ニ、此交涉
ノ經過ニ付テ御報告ヲ申上ゲタイト思ヒマ
ス、御承知ノ通リ本鐵道交涉ハ過去二十一
箇月ニ亙ッテ交渉イタシタノデアリマスガ、
其間幾多曲折ヲ經マシテ昨日二十三日ヲ以
チマシテ滿「ソ」兩國間ニ讓渡交涉竝ニ關係
文書ノ調印ヲ終ヘテ效力ヲ發生イタシタデ
アリマス尙ホ此讓渡交涉ニ付キマシテ
盡力イタシマシタ日本ト致シマシテハ此
條約ノ實施ヲ圓滿ナラシムルガ爲ニ、帝國
政府ト致シマシテモ、此條約ニ或種ノ約束
ヲ取交ハシタノデアリマス、抑〓東支鐵道
ト云フモノハ嘗テハ帝政露國ノ時代ニ於キ
マシテハ其極東政策ノ實施ノ根幹ト致シ
テ居ッタモノデアリマス、之ニ依リマシテ帝
政露國ハ南北滿洲ニ對シマシテ、色ミ侵略
的行動ニ出デタコトモアッタノデアリマス、
其結果ト致シマシテ日露戰爭モ起ッタデア
リマシテ戰爭ノ結果同鐵道ノ寬城子以南
ハ帝國ニ讓受ケルコトト相成ッタノデアリ
マス世界戰爭ノ末期ニ於キマシテハ同
鐵道ハ一時聯合國ノ管理ノ下ニアッタノデ
アリマスガ、千九百十七年ハ革命ガ「ロシア」
ニ起リマシテ、其後千九百二十四年ニハ此
鐵道ニ關係イタシマシテ、露支、露奉協定
ト云フモノガ結バレルコトニナリマシテ
此鐵道ハ全ク商業的ノ目的ニ使フト云フコ
トニ相成ッタノデアリマス然ルニ其後モ
色ミ「ソヴイエト」聯邦ト支那トノ間ニ國際
的紛爭モ起ッタノデアリマス、昭和六年ニ滿
洲事件ガ起リマシテ、其結果ト致シマシテ
滿洲國ガ獨立國ト相成ッタノデアリマシテ、
滿洲國ト致シマシテハ從來ノ東支鐵道ト
云フ名前ヲ變更イタシマシテ、北滿鐵道ト
改稱シ「ソヴイエト」聯邦トノ間ニ共同經
營ヲ續ケテ居ッタノデアリマスガ、其間ニモ
幾多面倒モ發生イタシマシテ一時ハ甚ダ
此鐵道ノ存在スル爲ニ、日、滿ㄱソ」三國
ノ關係ニ不安ヲ來タシタコトモアッタノデ
アリマス、斯ウ云フ事態デアリマスノデ、何
トカシテ此鐵道問題ヲ解決セナケレバイケ
ナイト云フ觀念ガ日本ノ內地ニモ起リマス
シ、又「ロシア」ノ方面ニ於テモ同ジ考ガ起ッタ
ノデアリマス、其爲ニ日本內地ニ於キマシテモ、
色ミ其方法ニ付テ盡力イタシタ人モアッタノ
デアリマスガ、私モ當時「ロシア」ニ在勤
イタシテ居リマス際ニ、矢張リ其必要ヲ
「ソヴイエト」聯邦政府ノ方ニ說キマシテ
此鐵道ノ讓渡ノ意思ノ有無ヲ問合セタ際ニ、
先方デモ矢張リ同ジ意向ヲ持ッテ居リマシ
タノデ、昭和八年ノ五月ニナリマシテ先方
ノ政府カラ正式ニ日本ニ對シマシテ、此鐵
道ヲ日本國カ或ハ滿洲國ニ讓渡シタイト云
フ正式ノ提議ガ出サレタノデアリマシタ、
帝國政府ニ於キマシテハ色ミ此點ニ付キ
マシテ審議イタシマシテ、滿洲國トモ相談
イタシマシタ結果、此鐵道ハ直接關係ノア
リマスル滿洲國ニ買ハスルコトガ適當デア
ルト認メマシテ其意思ヲ先方「ソヴイエト」
聯邦政府ニ傳ヘタノデアリマスガ、先方ニ
於キマシテモ、之ニ同意ノ旨ヲ囘答イタシ
マシテ、交涉ヲ著手スルコトニ相成ッタノ
デアリマス、斯ウ云フ隨分長イ間ノムヅカ
シイ問題デアリマシタノデ、其交涉ニハ比
較的長イ時日モ要シタノデアリマスガ、是
ハ已ムヲ得ザル結果デアッタト思フノデア
リマス、今玆ニ今囘成立イタシマシタ滿「ソ」
間ノ協定及我ガ帝國ノ關係ヲ致シテ居リマ
ス問題ノ極ク〓略ヲ御說明イタシタイト思
フノデアリマス、先ヅ此交涉ノ實體ト申シ
マスカ客體ト申シマスカ讓渡ノ根本ト
ナリマスコトハ、「ソヴイエト·ロシア」ノ此
鐵道ニ對シテ、鐵道及附屬事業其他財產ニ
對シテ有シテ居リマス一切ノ權利ヲ滿洲國
ニ讓渡スト云フコトニナルノデアリマス
尙ホ其實例ト致シテ申上ゲマスト、鐵道ノ
延長ガ千七百「キロメーター」アリマシテ
略ボ日本デ仙臺カラ鹿兒島ニ至ル距離ニ近
イモノデナイカト思フノデアリマス其外
ニ又複線ニナッテ居ル點モ數ヘマスト、其方
ノ鐵道ノ延長ガ千五百「キロメーター」アル
ノデアリマス、之ニ附屬イタシマス多數ノ
機關車、貨車、客車等ガアルノデアリマス
其他此鐵道ニ所屬イタシマス各種ノ建築物、
又二千五百「キロメーター」ニ達スル電信線、
電話線、給水設備、其他附屬ノ製造工場ナ
ドモアルノデアリマス、發電所ノ如キハ十
六箇所ニ達スルノデアリマス又此鐵道ニ
附屬イタシテ居リマス森林ガ十八萬町步ア
ルノデアリマス、又一ツノ炭鑛ガ屬シテ居
リマシテ、是ハ滿洲里方面ノ「チヤライノ
ウル」ノ炭礦デアリマス、其含炭量ガ三億噸
ニ達スルノデアリマス、是等ノモノヲ總テ
滿洲國ニ引繼グヤウニナリマシテ、其他ニ
支那ノ北平又ハ上海方面ニ於キマスル鐵道
所屬ノ財產モ引繼グ手續ヲ講ジテ居ル次第
デアリマス又此鐵道ト「ロシア」側ノ鐵道
トノ間ニハ、從來色ミ運轉材料ヲ御互ニ流
用イタシテ居ル問題ガアッダノデアリマス
ガ、是等ノ問題ハ總テ現在存在シテ居ルモ
ノヲ御互ニ取ルト云フコトニ致シマシテ、
一切帳消ニ致シマシテ、將來互ニ請求ヲセ
ナイコトニ致シタノデアリマス、此權利ノ
代償額ト致シマシテ、當初「ロシア」ノ方デ
ハ二億五千萬金「ルーブル」ヲ主張イタシ
マシタ、之ヲ日本ノ金ニ換算イタシマスル
ト、六億二千五百萬圓デアッタノデアリマ
ス、之ニ對シマシテ滿洲國ハ當初五千萬圓
ヲ主張イタシタノデアリマス斯カル雙方
ノ主張ノ値段ニ懸隔ガアリマスノデ、此値
段ノ協定ニ付キマシテハ相當困難ナ問題ガ
アッタ.ノデアリマスガ、幸ニ「ソヴィエト」聯
邦ニ於キマシテモ、非常ナ讓歩ノ精神ヲ以
テ之ヲ引下ゲ、又滿洲國ト致シマシテモ十
分ニ之ニ應ズル態度ヲ以チマシテ、結局ノ
所鐵道ノ代金ヲ一億四千萬圓ト云フコトニ
致シマシテ、其外ニ此鐵道ノ從業員ヲ總テ
引揚ゲルコトニ相成リマスノデ、之ニ對ス
ル退職資金ト致シマシテ、約三千萬圓ヲ滿
洲國ガ支出スルコトニ相成ッタノデアリマ
ス又此鐵道ハ隨分長イ間經營ヲ致シマシ
タ關係上、此鐵道ニ對シマシテ種々ノ債權
債務ガ存在シテ居ルノデアリマス、此債權
債務ニ付キマシテハ先方ヨリ其貸借對照表
ト云フモノヲ提出イタシマシテ、其內容ヲ滿
洲國デ取調ベマシタ結果、大體全部引受ケテ
モ差支ナイ、決シテ債務ノ方ガ債權額ヨリ超
エルコトハナイト云フ認定ガ付キマシタノ
デ、其儘引受ケルコトニ相成ッタノデアリマス、
尤モ千九百十七年ノ露國革命以前ニ於ケル
同鐵道ノ株主、社債權者、其他ノ債權者ニ
對シマスル要求ニ付キマシテハ是ハ先方
政府ニ於テ其責任ニ任ズルコトニ相成ッテ
居ルノデアリマス、代金ノ支拂方法ニ付キ
マシテハ一億四千萬圓ノ三分ノ二ハ滿洲又
ハ日本ニ於ケル商品ヲ買入レルト云フコト
デ之ニ充ツルコトニ相成リマシテ、三分ノ
一ハ現金デ支拂フコトニナリマシタ、其更
ニ半分ヲ調印ト同時ニ支拂フコトニ相成リ
マシテ、是ハ昨日其交付ヲ終ッタノデアリ
やマ、此支拂方法ニ付キマシテハ當初色ミ
兩國間ニ交涉ヲ致シタノデアリマスガ、結
局鐵道代金等ノ現金ノ分ト致シマシテハ
滿洲國ヨリ國庫證劵ヲ一應先方ニ渡シマシ
テ、期限ガ到來イタシマシタ場合ニ、興業
銀行デ之ヲ引換ヘルコトニ相成ッテ居ルノ
デアリマス、是ハ調印後三箇年內ニ支拂ヲ
スル筈デアリマス又商品拂ノ部分ハ今東
京ニアリマスル「ソ」聯邦政府ノ通商代表ニ
於キマシテ品物ノ購買契約ヲ致シマシテ
其契約書ヲ滿洲國ノ方ヨリ日本ニ派遣イタ
シテ居リマスル財務官ノ方デ取調ベマシ
テ、此條約ニ違反シナイ場合ニハ其代金ヲ
直接小切手ニ依ッテ日本ノ商人ニ渡スト云
フコトニ相成ッテ、此方法ニ依リマシテ全部
ノ金ノ支拂ヲスルコトニナッテ居ルノデア
リマス「ソヴィエトㄴ聯邦側ト致シマシテ
ハ斯カル代金ヲ以テ此鐵道ヲ讓渡スルノ
デアルカラ將來此代金ノ支拂ニ於テ何等
ㄱロシア」ノ方ニ損害ヲ來スヤウナコトガ
アッテハ困ルカラト云フノデ、日本政府ノ方
ニ於テ其保障ヲ求メラレタノデアリマス
之ニ對シマシテ我方ト致シマシテハ決シテ
此支拂ニ付テ「ソヴィエト」聯邦ノ方ニ損失
ヲ掛ケルト云フコトハ決シテアリ得ナイト
思フカラ其點ハ十分安心スルヤウニト云
フコトニ致シマシテ、先ヅ第一ニ滿洲國ニ
於テ此既定ノ支拂ヲ完全ニスルト云フコト
ヲ保障イタシマシテ、尙ホ其實際ノ手續ト
致シマシテハ、他日何等カ支拂ノ困難ヲ滿
洲國デ感ズルヤウナ場合ニハ日本政府ニ
於テ適當ニ十分ナル盡力ヲシテ支拂ノ不能
ナカラシムルヤウニ、完全ニ其支拂ヲ行ハ
シメルヤウニ盡力スルト云フコトヲ約束イ
タシタノデアリマス、尙ホ斯カル保障ヲ致
シマスルニ付キマシテハ、滿洲國政府ヲシ
テ完全ニ其義務ノ履行ヲ日本ニ對シマシテ
約束ヲ致サセタノデアリマス然ルニ實際
ノ情況ヲ申シマスルト、滿洲國モ建國〓々
ノ際デアリマスノデ、到底是ハ日本ノ援
助ヲ待ツノ外ハナイト云フ次第デアリマス
ノデ、政府ト致シマシテモ其間ニ十分斡旋
ヲ致シマシテ、日本ノ興業銀行外十二ノ銀
行ト四ツノ信託會社ヨリ成ル日本銀行團ト
云フモノト滿洲國ノ間ニ、一億八千萬圓ノ
公債募集ノ契約ヲ致サセタノデアリマス
從ヒマシテ此支拂ト云フモノハ銀行トノ其
契約ニ依リマシテ、完全ニ行ハレ得ルモノ
ト信ゼラレルノデアリマス、又此銀行團ト致
シマシテモ、十分滿洲國ノ立場ヲ諒解シ、政府
ノ滿洲國援助ニ對スルト同ジ精神ヲ以テ、出
來ルダケ有利ノ條件ニ依ッテ此公債ノ募集ヲ
爲シ得ルヤウニ努力ヲ致シテ吳レタノデア
リマス、從ヒマシテ公倩募集ノ際ニ若シ市場
ノ情況等ニ何等カ不利ノ點ガアリマスレバ
銀行團ノ方ヨリ五千萬圓ノ範圍內ニ於テ前
貸ヲシテモ宜イト云フコトニ成ッテ相居ルノデ
アリマス、尙ホ此代金ノ中ノ約一億圓ニ近
イ高ハ日本又ハ滿洲國ノ商品ヲ買入レル
ト云フコトニ相成ッテ居リマスノデ、其買入
レニ付キマシテハ賣手ノ方ヨリ法外ノ値段
ヲ言ハヌヤウニ、又買手ノ方ヨリ法外ニ安
イ値段ヲ附ケナイヤウニ其間ニ適當ナ値
段ヲ決メサセルヤウニ、政府ハ盡力ヲ致ス
ト云フ約束ヲ致シテ居ルノデアリマス尙
ホ斯カル狀態ニ於キマシテモ或ハ値段ノ協
定又ハ賣買契約ノ履行ニ付テ紛爭等ノ起
ル場合モ想像致シマシテ、關係國ヨリ委員
ヲ出シマシテ、調停委員ニ依ッテ其適當ナル
解決方法ヲ勸〓スルコトニ致シタノデアリ
マス、尙ホ萬一其調停委員會ノ調停ニ依リ
マシテ解決ガ出來ナイ場合ニ於テハ、關係
國間ノ外交交渉ニ依ッテ之ヲ決定スルト云
フ方法モ立テタノデアリマス、今囘ノ鐵道
ノ讓渡ニ依リマシテ約六千人ノ職工ガ本國
ニ引揚ゲルコトニ相成ルノデアリマス之
ニ對シマスル退職資金ハ從來ノ鐵道ノ規則
ニ依ッテ支拂フコトト相成ッテ居リマス、又
此鐵道ト「ロシア」側ノ鐵道トノ連絡ノ爲
二、引續キ交涉ヲ致シマスシ、又電信ノ連
絡ノ點ニ付キマシテモ交涉ヲ致スコトニ
ナッテ居ルノデアリマス、斯樣ノ狀態ニ於キ
マシテ昨日調印ヲ致シマスト同時ニ、此鐵
道ノ權利ト云フモノハ完全ニ滿洲國ニ歸シ
マシテ、滿洲國ノ國有鐵道ト相成ッタノデア
リマス、所ガ此鐵道ヲ將來如何ニシテ經
營、運轉スルカト云フコトニ付キマシテ
ハ、是迄滿洲ニ於キマシテ最モ經驗ノアル
滿鐵ヲシテ、委任經營ノ任ニ當ラシムルコ
トニ致シタノデアリマス、從ヒマシテ從來
滿鐵ニ於キマシテ滿洲國ノ委任經營ヲ受ケ
テ居リマスル諸鐵道ト一括イタシマシテ、
滿洲ニ於ケル總テノ鐵道ハ滿鐵ノ經營ノ下
ニ一元的ニ相成ルコトニ相成リマシタ、之
ニ依リマシテ交通ノ便モ十分ニ開ケマシ
テ滿洲ニ於ケル產業ノ發展ニモ大イニ資
スルコトデアルト思フノデアリマス、斯カ
ル狀態デアリマシテ此鐵道ノ讓渡交涉ト云
フコトハ滿「ソ」兩國間ニ於ケル和衷協同
ノ精神ニ依ッテ成立イタシマシテ、之ニ依ッ
テ延イテ日、滿「ソ」三國間ノ關係ニモ甚
ダ重大ナル好影響ヲ及ボスト思フノデアリ
マツ、尙ホ滿洲國ト「ソヴィエト」聯邦トノ
間ニ於キマシテモ、又日本ト「ソヴィエト〓
聯邦トノ間ニ於キマシテモ、幾多懸案ハ存
在シテ居ルノデアリマスガ、此鐵道交涉ニ
臨ミマシタヤウナ、雙方和衷協同ノ精神ヲ
以テ問題ノ解決ニ當ッテ參リマシタナラバ、
私ハ必ズヤ各種ノ懸案モ無事ニ解決シ得ル
モノト信ズルノデアリマス幸ニ此交涉ニ
付キマシテハ滿洲國ニ於テハ無論、日本ニ
於キマシテモ亦「ソヴィエト」聯邦ニ於キマ
シテモ、非常ナ滿足ヲ以テ此交涉ヲ纏ムルコ
トヲ得タノデアリマスカラ、之ニ依リマシ
テ尙ホ將來ニ於テモ一層、此和衷協同ノ精
神ヲ增進シテ參ル方針デ參リタイト思フノ
デアリマス、以上交涉ノ成立及此交涉ノ大
體ノ經過ニ付キマシテ、御報告申上ゲル次
第デアリマス(拍手起ル)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=102
-
103・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 明日ハ午前十時
ヨリ開會イタシマス、日程ハ決定次第彙報
ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散
會イタシマス
午後四時四十四分散會
貴族院議事速記錄第十四號正誤
頁段行誤正
一三三四四餘圓四圓
一三五三二五分共公共
四○一七路線線路
-四一三一六然瞭瞭然発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X02219350324&spkNum=103
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。