1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十年二月十九日（火曜日）
午後一時十四分開議
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議事日程 第十五號
昭和十年二月十九日
午後一時開議
質問
一 滿洲對策に關する質問（丸山浪彌君提出）
二 足尾銅山鑛毒に關する質問（栗原彦三郎君外三名提出）
三 中南米諸國に對する通商貿易に關する質問（玉置吉之亟君提出）
四 治鮮政策に關する質問（朴春琴君提出）
五 日本柑橘北米輸出組合に關する質問（田村實君提出）
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第一 不動産融資及損失補償法中改正法律案（政府提出） 第一讀會
第二 産業組合中央金庫特別融通及損失補償法中改正法律案（政府提出） 第一讀會
第三 辯護士法中改正法律案（政府提出） 第一讀會
第四 公證人法中改正法律案（政府提出） 第一讀會
第五 執達吏規則中改正法律案（政府提出） 第一讀會
第六 執達吏手數料規則中改正法律案（政府提出） 第一讀會
第七 司法代書人法中改正法律案（政府提出） 第一讀會
第八 盲人保護法案（風見章君外一名提出） 第一讀會
第九 盲人保護法案（松田竹千代君外一名提出） 第一讀會
第十 盲人保護法案（松山常次郎君提出） 第一讀會
第十一 競爭入札の取締等に關する法律案（福田關次郎君提出） 第一讀會
第十二 大正九年法律第五十六號中改正法律案（北海道拓殖鐵道補助に關する件）（東武君外五名提出） 第一讀會
第十三 大正九年法律第五十六號中改正法律案（北海道拓殖鐵道補助に關する件）（山本厚三君外四名提出） 第一讀會
第十四 自動車交通事業法中改正法律案（上田孝吉君外十一名提出） 第一讀會
第十五 民事訴訟法中改正法律案（牧野良三君外九名提出） 第一讀會
第十六 未成年者飮酒禁止法中改正法律案（杉山元治郎君外二名提出） 第一讀會
第十七 百貨店法案（野田文一郎君外二名提出） 第一讀會
第十八 家祿賞典祿給與未濟に關する法律案（八田宗吉君外七名提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十九 刑法中改正法律案（一松定吉君外四名提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第二十 借地借家調停法中改正法律案（藤田若水君外四名提出） 第一讀會の續（委員長報告）
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001・濱田國松
○議長(濱田國松君) 諸般ノ報告ヲ致サセ
マス
〔書記官朗讀〕
一政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
衆議院議員丸山浪彌君提出滿洲對策ニ關
スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員朴春琴君提出治鮮政策ニ關ス
ル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員田村實君提出日本柑橘北米輸
出組合ニ關スル質問ニ對スル答辯書
(以上二月十九日受領)
滿洲對策ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和九年十二月二十六日
提出者丸山浪彌
滿洲對策ニ關スル質問主意書
一滿洲對策ノ根幹ニ付テ
農工商礦移民方針ノ道程如何
二滿洲撫民政策ニ付テ
武斷工作ニハ遺憾ナキモ文化工作ノ見
ルヘキモノナシ政府ノ所見如何
三移民ノ保護政策ニ付テ
之カ保護政策ノ第一步トシテ先漢民族
昭和十年二月十九日
內閣總理大臣岡田啓介
衆議院議長濱田國松殿
衆議院議員丸山浪彌君提出滿洲對策ニ關
スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
丸山浪彌君提出滿洲對策ニ關スル質問
ニ對スル答辯書
一滿洲國ノ健全ナル發達ヲ促ス爲ニモ
日滿兩國ノ不可分關係ヲ一層强化スル
爲ニモ我國民ノ多數ガ滿洲ニ移住スル
コトハ日滿兩國ノ爲ニ望マシキコトナ
ルヲ以テ我政府トシテモ速ニ一定ノ方
針ヲ確立スル爲目下銳意調査中ナリ。
殊ニ農業移民ニ就テハ治安其ノ他ノ事
情ニ依リ愼重調査ヲ要スルモノアルヲ
以テ昭和七年度以來若干數ノ試驗移民
ヲ送リタルガ大體治安モ確定シ種々ノ
資料モ整備セルニ付近ク對滿農業移民
ニ關スル方針ノ樹立ニ著手スル意嚮ナ
リ
二滿洲ノ事態ガ治安維持ヲ第一トスル
ヲ要スル實情ニ在ルヲ以テ世上此ノ方
面ニ關スル事情ガ比較的多ク報道セラ
ルルモ、滿洲國政府ハ文化工作ニ多大
ノ努力ヲ拂ヒツツアルヲ看取セラルル
モノニシテ、例ヘバ幣制ノ統一、鹽稅、
關稅等ノ輕減、地方制度ノ改正、道路
ノ開設、鐵道及通信施設ノ整備、窮民
ニ對スル低利資金ノ貸付醫療施設ノ普
及、〓育制度ノ改善等著々成績ヲ收メ
ツツアリ、日本側諸機關ニ於テモ此方
面ニ於ケル滿洲國側ノ努力ニ對シ全幅
ノ援助ヲ與ヘツツアリ、日滿文化協會
ノ設立、各地ニ於ケル醫療機關ノ整備
ノ如キハ其一端ナリ。
三漢民族ノ滿洲移住ニ關シテハ滿洲國
政府自體ニ於テ各般ノ狀況ヲ顧慮シテ
措置シツツアルモノト信ズ。
四滿洲國政府自體トシテ萬遺憾ナキ措
置ヲ講ジツツアルコトト信ズルモ我國
トシテモ日滿議定書等ニ依リ關係スル
所アルヲ以テ十分ニ考慮シツツアリ
右及答辯候
昭和十年二月十九日
內閣總理大臣岡田啓介
外務大臣廣田弘毅
陸軍大臣林銑十郞
拓務大臣伯爵兒玉秀雄
治鮮政策ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和十年一月二十五日
提出者朴春琴
治鮮政策ニ關スル質問主意書
一朝鮮ニ於ケル參政權ノ施行ハ半島住
民多年ノ熱望ナリ內閣總理大臣ハ卽時
之カ施行ノ意思アリヤ
二朝鮮ニ於ケル紙幣ハ內地ト共通タル
ヘク速ニ統一サルヘキモノト信ス大藏
大臣ハ之ヲ改正スル意思アリヤ
三門司釜山ニ稅關ヲ設ケ課稅スルカ如
キハ極メテ不合理ナリト信ス大藏大臣
竝拓務大臣ノ所見如何
四滿洲國在住ノ朝鮮人中國籍ヲ有セサ
ル者多數アリ之ニ對スル外務大臣ノ所
見如何
五朝鮮人ニ對シ徵兵ノ義務ヲ課セラル
ル意思ナキヤ陸軍大臣ノ所見如何
六朝鮮米ニ對シ差別的取扱ヲ爲スハ半
島統治上山々シキ大問題ナリト信ス農
林大臣ノ所見如何
七昨年度ノ不作ニ因ル朝鮮農民ノ悲慘
ナル狀況ハ目ヲ蔽フヘキ實情ニアリ拓
務大臣竝農林大臣ハ之ヲ救濟スルノ意
思アリヤ
八在滿朝鮮人ニ對スル邪魔物扱ノ態度
ヲ屢〓、目睹ス斯ノ如キハ赦スヘカラサル
所ナリ之ニ對シ黴底的ナル治安保護機
關ヲ設ケラレタシ內閣總理大臣ノ所見
如何
右及質問候也
昭和十年二月十九日
內閣總理大臣岡田啓介
衆議院議長濱田國松殿
衆議院議員朴春琴君提出治鮮政策ニ關ス
ル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
朴春琴君提出治鮮政策ニ關スル質問ニ
對スル答辯書
一朝鮮統治ノ根本方針ハ一視同仁ノ聖
旨ニ遵ヒ民衆ノ福利ヲ增進シ東洋ノ平
和ヲ確保スルニ在ルハ論ヲ俟タザル所
ナルガ參政權賦與ノ如キハ之ヲ文化ニ
徵シ民力ニ攷へ又一般政治的訓練ノ程
度ヲ量リ其ノ他諸般ノ事情ニ鑑ミ以テ
其ノ適否ヲ決スベク今直ニ之ヲ施行ス
ルハ不適當ト認ム。
二朝鮮銀行劵ヲ日本銀行兌換劵ニ統一
スルコトハ外地ニ於ケル特殊經濟事情
モアリ又朝鮮銀行劵カ長ク流通セル慣
習モアルヲ以テ今日之ヲ速行スルハ其
ノ時期ニ非スト考フルモ今後攻究ヲ要
スル問題ナリト認ム。
三內鮮間ニ於ケル課稅ニ關シ出港稅ニ
付テハ內鮮間ノ消費稅率ノ相異ヨリ其
ノ存在ハ當然ニシテ、移入稅撤廢ノ問
題ニ付テハ政府モ其ノ方針ニ付キテハ
勿論異存ナキモ朝鮮總督府ノ財政上今
直ニ之ヲ撤廢スル能ハザル事情ニ在リ
將來適當ノ機會ニ於テ考慮スベシ
四舊韓國「民籍法」施行前海外ニ渡航
シタル者又ハ其ノ子孫ニシテ未ダ朝鮮
ニ籍ヲ有セザル者アリ殊ニ滿洲ニ於テ
相當多數ノ無籍者アリト聞ク是等無籍
者ハ公私ノ生活上自他共ニ不利不便多
キノミナラス之ヲ政治的ニ見ルモ甚タ
遺憾ナルニ付政府ハ出先官憲ヲシテ常
ニ是等朝鮮人ニ對シ至急就籍方ヲ慫慂
指導セシメツツアリ而シテ就籍ハ現行
法令上(朝鮮戶籍令第一二一條乃至第
一二四條)朝鮮總督府裁判所ノ許可ヲ
得テ之ヲ爲スコトトナリ居レリ尙在滿
朝鮮人ノ就籍ヲ一層便宜ナラシムル方
法ニ付テハ目下〓究中ナリ
五帝國ノ國防ニ內鮮人ノ區別ナク一致
之ニ當ラントスルノ主旨ハ大ニ歡迎ス
ル所ニシテ我朝鮮統治ノ方針亦一視同
仁差別ヲ設ケザル處ナルモ諸般ノ狀況
ニ於テ內地ト同ジカラザルモノアル朝
鮮ニ對シ內地同樣ニ兵役制度ヲ實施セ
ントスルハ不ダ其時期ニ達セズト考ヘ
アリ。
六米穀對策ニ關シテハ米穀對策調査會
ニ於テ內地、朝鮮及臺灣ヲ通ジ一貫セ
ル米穀對策ノ答申アリタルヲ以テ右答
申ニ基キ目下立案中ナリ從テ朝鮮米ニ
對シ差別待遇ヲ爲スコトハ固ヨリ不可
ト認ム。
七昨年度ノ不作ニ因ル朝鮮農民ノ窮狀
ニ對シテハ直接ノ救濟措置トシテ食料
ノ補給、種穀ノ給與等ヲ行ヒタルガ生
活ノ資ヲ得セシムル爲ニハ各種ノ救濟
土木工事ヲ起シ更ニ滿洲、北鮮方面へ
ノ移住奬勵ヲモ行ヘリ之ガ昭和九年度
ニ於ケル費用ハ第二豫備金ノ支出又ハ
第六十六囘臨時議會ノ協贊ヲ得タル追
加豫算ニ依レリ而シテ彼等ノ物心兩面
ニ於ケル生活安定ヲ圖ル爲先年ヨリ實
施セル農村振興運動ヲ一層强化シ自力
ヲ以テスル經濟更生ノ促進ヲ計ルト共
ニ又各般ノ土木工事、砂防工事等ニ因
ル勞銀ノ撒布ニ依リ救濟ノ實ヲ擧グベ
ク昭和十年度豫算ニ於テモ充分此等ノ
點ヲ考慮シ相當巨額ノ經費ヲ計上セリ。
八政府ハ滿洲國ニ在住スル朝鮮人ニ關
シテハ同地在住ノ他ノ同胞ト同樣ニ正
當ナル處遇ヲ受クベキコトヲ根本方針
トシ在滿帝國諸機關竝ニ朝鮮、關東州
等ノ官廳ヲシテ之ガ保護ニ遺憾ナカラ
シメンコトヲ期シツツアリ。
右及答辯候
昭和十年二月十九日
內閣總理大臣岡田啓介
大藏大臣高橋是〓
外務大臣廣田弘毅
陸軍大臣林銑十郞
農林大臣山崎達之輔
拓務大臣伯爵兒玉秀雄
日本柑橘北米輸出組合ニ關スル質問主
意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和十年二月十四日
提出者田村實
日本柑橘北米輸出組合ニ關スル質問
主意書
一本邦產柑ノノ米米輸出問題ニ關シ昨
昭和九年四月政府ハ日本柑橘北米輸出
改善委員會ヲ商工省產業合理局ニ設置
シ之カ根本的改善ノ成案ヲ得ルコトニ
努メラレタルモ日本柑橘北米輸出組合
側委員ノ不當ナル要求ニ依リ該委員會
ハ遂ニ成案ヲ得ルニ至ラス仍テ政府ハ
同年十月十九日農商林工省令ヲ公布セラレ
日本柑橘北米輸出組合ト保證責任大日
本柑橘販賣組合聯合會トニ對シ檢査權
ヲ付與シ右兩團體ニ對シ各四十萬箱ヲ
超エテ輸出シ得サル旨監督命令ヲ發セ
ラレタリト聞ク然ルニ日本柑橘北米輸
出組合側ハ卑劣ナル奸手段ヲ以テ脫法
輸出ヲ敢行シ我カ政府ノ統制方針ヲ無
視シ帝國政府ノ體面ヲ汚シ國內ノ內紛
ヲ海外ニ晒シ北米市場ニ於ケル本邦產
柑橘ノ聲價ヲ失墜セシメタリトノコト
ナルモ右ノ事實如何
二日本柑橘北米輸出組合ハ巧ニ名義人
ヲ假構シ右脫法的輸出ハ該組合ノ關知
スル所ニ非サルヤウ虚構セルモ他日該
組合カ之ニ關係アリタルコト明瞭トナ
リタル場場政府ハ該組合ニ對シ斷乎タ
ル處置ニ出ラルルヤ否ヤ
三今後斯ノ如キ不法行爲ヲ取締リ我カ
國貿易ノ振興上現行省令ニ代ルヘキ法
律ヲ制定セラルル意思アリヤ否ヤ
四抑〓本邦產柑橘ノ北米輸出ハ生產者
ト日本柑橘北米輸出組合トノ間ニ於テ
多年抗爭シ來リタル所ニシテ政府ハ之
カ根本的解決ノ成案ヲ得ル爲商工省產
業合理局ニ日本柑橘北米輸出改善委員
會ヲ昨年四月設置シ生產者側竝輸出組
合側ヨリ各四名宛ヲ外ニ專門家六名ヲ
委員ニ任命シ商工農林兩省ノ高等官六
名ヲ幹事ニ任命シ同年六月十八、十九
ノ兩日第一囘委員會ヲ開キ幹事案トシ
テ提出セラレタル案ノ骨子ハ「輸出數
量ノ全部ヲ生產者ヨリ一定ノ手數料ヲ
以テ輸出組合ニ委託シテ輸出スルコト」
トセリ之ニ對シ生產者側委員ハ同意シ
タルモ輸出商側委員ハ之ヲ一蹴シタル
ヲ以テ更ニ十月二日第二囘委員會ヲ開
キタル際兩省幹事案トシテ提案セラレ
タル案ノ要領ハ「輸出數量ノ半數ハ輸
出組合側ニ於テ之ヲ行ハシメ他ノ半數
ハ生產者側ヨリ出荷セシメ之ヲ輸出組
合ニ委託販賣トセシムルコト」トセリ
本案ニ對シテモ尙且生產者側委員ハ輸
出貿易統制上國家的見地ヨリシテ讓步
シ贊意ヲ表シタリシカ輸出商側ノ委員
ハ頑强ニ自己ノ利害ニノミ固執シ遂
ニ十月四日委員會ハ成案ヲ得ル事能
ハスシテ無期休會ノ形式ニ於テ今日
ニ至レリ玆ニ於テ政府ハ暫定處置トシ
テ十月十九日商工省令ヲ以テ輸出柑橘
農林
取締規則ヲ改正シ日本柑橘北米輸出組
合ト保證責任大日本柑橘販賣組合聯合
會トノ二團體ニ檢查權ヲ與ヘ更ニ兩團
體ニ對シ本年度輸出數量ハ各四十萬箱
ヲ超ユルコトヲ得サル旨依命通牒セラ
レタリ然ルニ輸出組合側ハ右統制命令
ノ發セラルルヲ察知スルヤ急ニ七十五
萬箱ノ賣約ヲ爲シ信用狀ヲ取付ケ省令
公布ノ後ニ於テ尙解約ヲ爲サスシテ右
賣約ヲ履行スヘク名義人ヲ假構シ容器
ノ褄板ニ英國倫敦行ト記セル紙片ヲ貼付
シ我カ積出港ノ稅關ヲ通過シ三十一萬
四千二百二箱ヲ「バンクバー」港ニ陸揚
後巧ナル脫法行爲ニ依リ英領加奈陀ニ
之ヲ販賣シタリ之カ爲ニ我カ帝國政府
ノ統制命令ノ威信ヲ傷ツケタルノミナ
ラス此等英國倫敦行ノ脫法輸出ノ柑橘
ハ檢査制度ナキヲ奇貨トシ北米輸出ノ
選果層ヲ荷造セル極メテ粗惡ナルモノ
モ尠カラス混入シ本邦產柑橘ノ聲價ヲ
失墜セシメ累ヲ今後數年ニ貼スノ暴狀
ヲ敢行シタル由ナリ果シテ之ヲ事實ナ
リトセハ日本柑橘北米輸出組合ノ此ノ
暴擧ニ對シテハ當然組合解散ニ値スヘ
キ斷乎タル處分ヲセラルヘキモノト
確信スル所ナリ政府ニ於テモ此等ノ不
法行爲ヲ取締ルヘク昨年十一月二十七
日更ニ柑橘輸出許可規則ヲ商工省令ヲ
農林
以テ公布セラレ關東州及滿洲國ヲ除キ
柑橘ノ輸出ニ付テハ商工農林兩大臣ノ
許可ヲ受ケシムルコトトナリタリト雖
單ナル省令ヲ以テシテハ取締ノ徹底ヲ
期スルコト能ハサルナリ仍テ之ニ代ル
ヘキ法律ヲ制定セラレ昭和九年度ノ實
績ニ鑑ミ輸出貿易ノ統制振興ヲ期スル
ハ最緊切ナリト信ス之ニ對スル政府ノ
方針如何
右及質問候也
昭和十年二月十九日
內閣總理大臣岡田啓介
衆議院議長濱田國松殿
衆議院議員田村實君提出日本柑橘北米輸
出組合ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差
進候
〔別紙〕
衆議院議員田村實君提出日本柑橘北米
輸出組合ニ關スル質問書ニ對スル答辯書
一本邦柑橘ノ北米輸出問題ニ關シテハ
之ガ改善案ヲ得ムガ爲政府ハ昭和九年
五月柑橘北米輸出改善委員會ヲ設置シ
審議ヲ重ネタルモ輸出業者側及生產業
者側トノ間ノ意見一致セザル爲成案
ヲ得ルニ至ラズ昭和九年十月十九日
商工省令輸出柑橘取締規則ヲ制定シ日
農林
本柑橘北米輸出同業組合ト保證責任大
日本柑橘販賣組合聯合會ニ對シ輸出檢
査施行方ヲ認可スルト共ニ昭和九年度
ニ於ケル日本柑橋北米輸出組合及ヒ大
日本柑橘販賣組合聯合會ノ輸出數量ヲ
各四十万箱ト定メ右ヲ超エテ輸出セン
トスルトキハ商工大臣又ハ農林大臣ノ
承認ヲ受クベキコトトシ以テ北米向輸
出ノ統制ヲ圖ルコトトセリ然ルニ其ノ
後ニ於テ倫敦向ト稱シテ相當多量ノ柑
橘輸出セラレタル所其ノ大部分ハ英領
加奈陀ニ陸揚ゲセラレタル模樣アリ而
シテ右ノ行爲ニ日本柑橘輸出組合又ハ
同組合員ガ關與セルヤ否ヤニ付テハ目
下調査中ニシテ未ダ明確ニ之ヲ判定ス
ルニ至ラズ
二前記ノ如キ所謂脫法的輸出アリタリ
トシ右ガ日本柑橘北米輸出組合ノ行爲
ナルコト明瞭トナリタル場合ニ於テハ
組合ニ對シ相當ノ處置ヲ講ズル意嚮ナ
リ
三商工、農林兩省ニ於テハ前記ノ事實
ニ鑑ミ昭和九年十一月二十七日附省令
ヲ以テ柑橘輸出許可規則ヲ制定シ滿洲
國及關東州ニ輸出スルモノヲ除キ柑橘
ノ輸出ニ際シテハ總テ商工大臣及農林
大臣ノ許可ヲ受クルヲ要スルコトトシ
タルトコロ其ノ後ハ脫法的輸出ノ事實
ヲ見ズ而シテ右省令ニ付テハ目下ノ處
更ニ適當ナル改正ヲ加フルコト等ニ依
リ其ノ所期ノ目的ヲ達シ得ルモノト思
料ス尙別ニ法律ヲ制定スルノ必要アリ
ヤ否ヤニ付テハ愼重調査〓究中ナリ
右及答辯候也
昭和十年二月十九日
商工大臣町田忠治
農林大臣山崎達之輔
〔左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
辯護士法中改正法律案
公證人法中改正法律案
執達吏規則中改正法律案
執達吏手數料規則中改正法律案
司法代書人法中改正法律案
(以上二月十六日提出)
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
私生子ノ名稱ニ關スル法律案
提出者
松定吉君藤田若水君
坂東幸太郞君牧山耕藏君
竹田儀一君中山福藏君
內藤正剛君
建築士法案
提出者
手代木隆吉君多田滿長君
野村嘉六君增田義一君
星島二郞君兒玉右二君
熊谷直太君岡田忠彥君
盲人保護法案
提出者松山常次郞君
產師法案
提出者
山道襄一君風見章君
岸衞君
鐵道運賃低減ニ關スル建議案
提出者保良淺之助君
關ケ原木ノ本間鐵道敷設ニ關スル建議案
提出者
仙波久良君服部岩吉君
佐竹直太郞君
長崎市ニ高等水產學校設置ニ關スル建議
案
提出者
向井倭雄君佐保畢雄君
西岡竹次郞君牧山耕藏君
中村不二男君
國立工藝指導所設置ニ關スル建議案
提出者
靑田勝晴君板野友造君
山本芳治君
各戰役殊勳者優遇卽行ニ關スル建議案
提出者
本田義成君小高長三郞君
岐阜地方及區裁判所移轉改築ニ關スル建
議案
提出者大野伴睦君
(以上二月十六日提出)
大津今津間及今津敦賀間府縣道國道編入
ニ關スル建議案
提出者
服部岩吉君仙波久良君
〓水銀藏君
(以上二月十八日提出)
一去十六日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ
如シ
衞生組合法案(田中祐四郞君外二名提出)
外四件委員
石坂豐一君川島正次郞君
野方次郞君小山田義孝君
尾崎天風君後藤脩君
中野種一郞君松山常次郞君
星島二郞君水久保甚作君
金城紀光君松永東君
土屋〓三郞君靑木亮貫君
川橋豐治郞君作田高太郞君
中川觀秀君江藤源九郞君
度量衡法中改正法律案(東武君外三名提
出)外二件委員
福井甚三君高橋泰雄君
佐藤庄太郞君仁田大八郞君
沼田嘉一郞君山下谷次君
荒川五郞君眞鍋儀十君
岸衞君
一去十六日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如
昭和十年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債發行ニ關スル法律案(政府提出)外
一件委員
辭任後藤亮一君補闕松田正一君
一昨十八日委員長及理事互選ノ結果左ノ如
衞生組合法案(田中祐四郞君外二名提出)
外四件委員
委員長石坂豐一君
理事
中野種一郞君水久保甚作君
靑木亮貫君
度量衡法中改正法律案(東武君外三名提
出)外二件委員
委員長福井甚三君
理事
高橋泰雄君眞鍋儀十君
一昨十八日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如
シ
借地借家調停法中改正法律案(藤田若水
君外四名提出)外六件委員
辭任中井一夫君補闕竹下文隆君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=1
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002・濱田國松
○議長(濱田國松君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御諮リヲ致シマス、第二部選出豫算委
員世耕弘一君、第四部選出豫算委員小池四
郞君、右常任委員辭任ノ申出ガアリマス、
之ヲ許可スルニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=2
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003・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ許可スルコトニ決シマシタ、其部
ノ諸君ハ速ニ補關選擧ヲ行ハレ、御屆ケア
ランコトヲ希望致シマス、尙ホ御諮リ致シ
マス、借地借家調停法中改正法律案外六件、
度量衡法中改正法律案外二件ノ兩委員長ヨ
リ、本日本會議中委員會ヲ開キタシトノ申
出ガアリマス、之ヲ許可スルニ御異議アリ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=3
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004・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ許可スルコトニ決シマシタ-是
ヨリ質問ニ入ルノデアリマスガ、質問ニ入
ルニ先ッテ一言致シマス、質問ノ時間制限ニ
付キテハ、去ル第六十五議會ニ於キマシテ、
諸君御承知ノ如ク、今後質問ノ演說時間ヲ
二十分間以內トスルコト、但シ議長ニ於テ
特別ノ事情アリト認ムルモノニ限リ、三十
分迄之ヲ許容スルコトヲ院議ヲ以テ決セラ
レテ居リマス、固ヨリ諸君ノ御承知ノコト
デアリマセウガ、本日ハ今期議會ニ於ケル
最初ノ質問日デアリマスカラ、念ノ爲メ茲
ニ一言申上ゲテ置キマス-本日ノ日程ニ
揭ゲマシタ質問第一、第四及第五ハ、何レ
モ政府ヨリ答辯書ヲ受領致シマシタ、仍テ
日程ヨリ之ヲ省キマス--質問第二、足尾
銅山鑛毒ニ關スル質問ヲ許可致シマス-
提出者栗原彦三郞君
二足尾銅山鑛毒ニ關スル質問(栗原彥
三郞君外三名提出)
足尾銅山鑛毒ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和九年十二月二十六日
提出者栗原彥三郞
外三名
足尾銅山鑛毒ニ關スル質問主意書
栃木縣上都賀郡足尾町ニ於テ古河鑛業所
ノ經營スル足尾銅山ハ往年其ノ採鑛精鍊ヨ
リ生スル劇毒物ヲ渡良瀨川ニ放流シ其ノ下
流農村ノ田畑一萬二千町步ヲ毒沙漠ト化
シ地方民ニ一千二百萬圓ノ損害ヲ與ヘテ
全ク農民ノ生活ヲ奪ヒ更ニ其ノ請願ヲ阻
止セムトシテ遂ニ兇徒嘯集事件トナリ古
來最忠誠ヲ擢テタル兩毛武常ノ良民數千
名ヲ檢擧スル大不祥事ヲ惹起シ幸ニ審理
ノ結果事實明白トナリ一人ノ有罪者ヲモ
出ササルニ至リシモ當時國家ノ一大騷動
タリシハ今尙記憶ニ新ナル所ナルカ足尾銅
山鑛業者ハ近來政府ノ鑛毒豫防命令ヲ遵
守セス同鑛山各所ノ豫防施設破壞セルモ
之カ修繕ヲ爲サス劇毒物ノ流下ヲ放任ス
ル爲本年初秋以來鑛毒甚シク流下シ下流
住民ニ多大ノ損害ヲ與へ人心ヲ極端ニ不安
ナラシメツツアリ今其ノ被害ノ實況ヲ〓觀
スルニ渡良瀨川ノ下流ニハ桐生市、足利市、
佐野町、藤岡町、小俣町、葉鹿町、廣澤
村山前村、三重村、山邊村、毛野村、
吾妻村、旗川村、渡瀨村、界村、海老瀨
村西谷田村、三鴨村、赤麻村等ノ機業
地アリ其ノ製產額年々一億圓ニ近ク其
ノ營業收益稅、所得稅等ノ納稅額モ實
ニ數百萬圓ニ上リツツアルカ之等ノ機
業地ハ大〓渡良瀨川ニ於テ其ノ製品ヲ
洗酒セルニ近來足尾銅山ノ劇毒物流下
著シク爲ニ製品ノ變色甚シキヲ以テ之
等機業家ハ非常ニ困難シツツアリ又渡
良瀨川ノ下流及同川ノ流入スル赤麻沼
竝舊谷中村潴水池ニハ鮒其ノ他ノ雜魚
及「ガラ」海老、糠海老ト稱スルモノ多量
ニ繁殖シ沿岸ノ住民ハ冬季之ヲ漁獲シ栃
木群馬埼玉茨城地方農民唯一ノ榮養副食
物トシテ極メテ廉價ニ之ヲ販賣シ來レル
カ今秋鑛毒流下激增以來同川竝赤麻沼谷
中潴水池等ノ魚族、海老類及水蟲迄悉ク
死滅シ爲ニ漁獲皆無トナリ沿岸住民ハ冬季
ノ生計ヲ奪ハレシノミナラス附近農民ハ
此ノ唯一ノ榮養食ヲ得ル能ハサルニ至レ
リ若シ夫レ現在ノ狀態其ノ儘明年ノ灌漑
期ニ及フアラハ實ニ栃木群馬兩縣下一萬
二千町步ノ田畑ハ再ヒ毒沙漠ト化スルノ
虞アリ之カ爲ニ人心兢々トシテ其ノ業ニ
安セサルモノ多シ政府ハ速ニ善後處置ヲ
爲スノ必要アリト信ス政府ノ所見如何
右及質問候也
〔栗原彥三郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=4
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005・栗原彦三郎
○栗原彥三郞君 私ハ足尾銅山鑛毒問題ニ
付テ質問ヲ致スノデアリマスガ、此質問ノ
提出者ハ私一人デハアリマセヌ、中島知久
平君、飯塚春太郞君、上野基三君及私ノ四
名デアリマシテ、此四名ハ何レモ鑛毒被害
地方カラ選出セラレテ居ル者デアリマシテ、
卽チ此質問ハ鑛毒被害地方五十七万有餘ノ
被害民ヲ代表シテ政府ニ御尋スル質問デア
ルト御諒承ヲ御願ヒ申シタイノデアリマス、
ソレカラオ前ハ年々足尾銅山ニ關スル質問
書ヲ提出スルデハナイカ、年々質問スルデ
ハナイカト云フ御小言ヲ屢〓聽クノデアリマ
スガ、之ニ付テ一言申上ゲテ質問ニ入リタ
イト思フノデアリマス、栃木縣、群馬縣地
方ニ於ケル、所謂鑛毒被害地方ニハ殆ド
法律ガアッテ無イヤウナモノデアリマシテ、
司法權モ場合ニ依ッテハ發動サレズ、場合ニ
依ッテハ一切ノ政府ノ行政機關モ發動サレ
ズ、被害民ハ全ク金權者ノ爲ニ、非常ニ打ッ
タリ叩カレタリシテ居ルト云フヤウナ狀態
デアリマシテ、一年デモ此質問ヲ止メルヤ
ウナコトガアリ、又私共ガ足尾銅山ヲ監督
スルニ付テ、只ノ一時間デモ眼ヲ緩メマス
ト、直チニ非常ナ鑛毒ガ流レテ來ルヤウナ
コトニナルノデアリマシテ、ドウシテモ之
ヲ止メルコトガ出來ナイノデアリマス、ノ
ミナラズ私共ガ此處へ來テ皆樣ニ御愬ヘヲ
スルト云フコト其事ガ、中々容易ナ事デハ
アリマセヌ、栃木縣ニモ群馬縣ニモ鑛毒問
題ニ奔走スル者、竝ニ田中正造ニ關係アル
者ニ對シテハ、有ユル迫害ヲ加ヘル團體ガ
出來テ居リマシテ、〓訴人係ト言ッテ、碌ニ惡
イ事モシナイノニ、何デモ彼デモ、此鑛毒
問題ニ奔走スル者ヲバ告訴スル、ソレカラ
又惡宣傳ノ係ガアッテ、無暗ニ惡宣傳ヲスル
ト云フヤウナコトデアッテ、所謂鑛毒被害地
方ニ於ケル良民ト云フモノハ、此鑛業主ノ
爲ニ踏ンダリ、蹴ッタリノ酷イ目ニ遭ハサ
レテ居ル中カラ、漸クノコトデ此處ニ來テ
皆樣ニ御願ヲスルノデアリマスカラ、其御
積リデ同情ヲ以テ御聽キ下サランコトヲ御
願申上ゲタイノデアリマス(拍手)
然ラバ鑛毒問題ト云フノハ一體ドウ云フ
問題デアルカト申シマスト、鑛毒問題ハ明
治二十四年頃カラ起ッテ居リマシタガ、極端
ニ鑛毒ノ甚シク流レテ參リマシタノハ、明
治二十九年九月ノ大水害ノ時デアリマシテ、
栃木縣ガ一万一千町步、群馬縣ガ一万三千
町步、埼玉縣ガ四千町步、是ダケノ田畑ガ、
全ク不毛ノ土地トナッタノデアリマシテ、此
問題ヲ解決シテ貰ハウト云フノデ、東京へ
哀訴歎願ニ出テ來ヨウト致シマシタ所ノ鑛
毒被害民ヲ捕ヘテ、兒徒嘯集ナリト稱シマ
シテ、數千人ノ刑事被〓人ヲ出シタ、明治
聖代ニ於ケル重大ナル社會問題デアッタノ
デアリマス、其後明治三十年五月二十七日、
政府ハ足尾銅山ニ對スル豫防命令ト云フモ
ノヲ發シマシテ、或ハ沈澱池ヲ造ラセ、或
ハ毒泥渣ノ堆積場ヲ造ラセマシテ、之ニ依ッ
テ鑛毒ガ下ニ流レ出サナイ所ノ設備ヲ致サ
セタノデアリマス、是ガ時ニ厲行セラレマ
シタ時ニハ、全ク無害ノ狀態ニナッタノデ
アリマスルガ、時ニ属行セラレナイ時ニハ
時々非常ナ毒水ヲ流出シテ參リマシテ、下
流民ニ非常ナ損害ヲ與ヘテ居ッタノデアリ
マス、而シテ其後ニ於ケル經過ヲ見マスル
ト政黨內閣ノ時代ニハ、何時デモ相當ニ
監督ガ行屆イテ、毒ガ流レテ來ナイガ、官
僚內閣ガ出來テ、官僚ガ商工大臣ニナルト、
何時デモ毒ガ流レテ來ルヤウニナル、中島
氏ガ商工大臣トナリマスト、モウ親類ノ者
ガ商工大臣ニナッタンダカラ、豫防命令ナド
ハ遵守シナクトモ宜インダト云フ、此結
果ガ昨年ノ十月、非常ナ鑛毒ヲ流出シテ來
タト云フコトニ相成ッタノデゴザイマス、
是ハ明ニ此官僚ト云フモノヽ腐敗シテ居ル
ニト、竝ニ政黨內閣デアレバ、政黨出
身ノ大臣ト云フモノハ、免ニ角社會カラ
相當ニ非難攻擊サレルコトヲ恐レ、或ハ又
同ジ黨派ノ中カラ、サウ云フ事ヲシテハナ
ラヌト云フヤウナコトヲ言ハレル刺㦸ヲ有ッ
テ居ルカラ、容易ニ惡イ方ヘ加擔シナイノ
ダト云フコトガ-此鑛毒事件ニ依ッテ、政
黨山身ノ大臣ト官僚出身ノ大臣ト云フモノ
ノ遣方ガ、私ハハッキリ分ルト思フノデア
リマス、而シテ一昨年中島氏ガ商工大臣ニ
ナラレテカラ以來ト云フモノハ、此足尾銅
山ニ對スル、所謂明治三十年五月二十七日
ニ發令サレタ鑛毒豫防命令ガ、實際ニ於テ
行ハレナイデ、十七箇所ニ積ンデアル所ノ
毒泥渣、卽チ銅ヲデカシタ時ニ出來タ「カラ
ミ」デアルトカ、其他ノ廢鑛ト云フモノガ三
百五十万立方坪程、十七箇所ノ堆積所ニ積
ンデアルノデアリマスガ、此堆積場所ノ石
垣ノ修繕モセズ、此堆積場カラ流出ス所ノ
毒水ヲ、箱樋ヲ以テ沈澱池マデ送ッテ行ク、
此箱樋ガ全然壞レテ居ッテモ、之ヲ修繕シヨ
ウトシナイノデアリマス、今行ッテ見マシテ
モ、松本村ト云フ村ヲ買收致シマシテ、其
村ヲ毒泥渣ノ積場場ニシテシマッタノデア
リマス、今ハ人家ガ一軒モナイ、毒泥渣ノ
積場場ニシテシマッタノデアリマスルガ、此
松木堆積場カラ本山ノ沈澱池ニ毒水ヲ送ッテ
居ル樋ハ、三尺角バカリノ箱樋デアリマス
ルガ、今ヤ全然-是ガ昨年ノ夏ノ水害デ
流レテシマッタケレドモ、之ヲモ修繕シヨ
ウトシテ居ラナイノデアリマス、更ニ小瀧
ノ堆積場カラ流レ出ス所ノ水ノ箱樋、之ヲ
モ出カシテ居ナイ、モウ昨年ノ十一月頃マ
デハ、足尾銅山ト云フモノハ、全然此鑛毒
豫防命令ヲ遵守セズシテ、全ク鑛毒ノ流シ
放題ニシテ居ッタノデアリマス、其結果ト致
シマシテ昨年ノ大被害ガアッタノデアリマ
ス
ドンナ被害ノ狀態デアルカト申シマスル
ト、約二十日間ニ亙リマシテ、渡良瀨川ノ水
ヘ悉ク赤ク黃色イヤウナ水ト變色ヲ致シマ
シテ、渡良瀨川ノ魚ガ全部死ンデシマヒ、
更ニ渡良瀨川ニ依ッテ織物ノ發達致シマシ
タ、卽チ群馬縣ノ渡良瀨沿岸ノ桐生、同ジ
ク群馬縣ノ廣澤村-是ハ飯塚春太郞君ノ
御居村デアリマス-ソレカラ栃木縣ノ小
俣町、葉鹿町、更ニ山前村、三重村、足利
市、或ハ栃木縣ノ山邊村、或ハ栃木縣ノ毛
野村、久野村、吾妻村、或ハ佐野町、上野
村、藤岡町、サウ云ッタ地方ハ、此渡良瀨川
ノ水ヲ利用致シマシテ、此水デ織物ヲ精製
シ、サウ云フコトニ依ッテ發達致シタノデ
アリマシテ、現ニ此年產額ハ一億圓ヲ下ラ
ナイ程ノ年產額ヲ有ッテ居リ、日本ノ重要產
業中ノ首位ヲ占メテ居ル所ノモノデアルノ
デアリマス、然ルニドウナッタカト申シマス
ルト、此處ニ足利市ノ織物組合ノ有志カラ
送ラレタモノガアリマスルガ、鑛毒ノ無イ
時ニ物ヲ晒シマスト、斯ウ云フ立派ナ織物
ガ出來ルノデアリマス、所ガ鑛毒ノ流レテ來
タ時ニ晒シマシタノハ、斯ウ云フ汚イモノニ
ナッテシマヒマシテ、全ク役ニ立タナイノデ
アリマス、此損害バカリデモ少クナイノミ
ナラズ、爾來渡良瀨川ノ石ニハ鑛毒ガ附イテ
居リマシテ、今日デモ非常ナ金ヲ掛ケテ、
アノ石ヲ一ツ〓〓洗ヒ流シテシマハナケレ
バ、晒シタ織物ヲ干スコトガ出來ナイノデ
アリマス、此損害亦實ニ容易ナラザルモ
ノデアッテ、一ツノ產業ト云フモノハ、僅カ
ナ便宜ガアレバ、此便宜ヲ根據トシテ發達
スルモノデゴザイマス、然ルニ栃木縣、群
馬縣ニ於ケル日本ノ織物地ト稱サレテ居
ル此地方ガ、渡良瀬川ノ利用ト云フモノ
ヲ全然零ニシテシマハレルト云フコトハ、
是ハ一大損害デナクテ何デアリマセウ、諸
君、更ニ又(「重大ナ問題ナノニ商工大臣ガ
居ラヌゾ」ト呼フ者アリ)商工大臣ハ來ラレ
ナイサウデアリマスガ、私ハ商工大臣
トカ、サウ言ッタ人ヨリモ鑛山局長トカ何ト
カ云フ、本當ニ局ニ當ル者ヲ引ッ張リ出シ
テ、其人達ト本當ニ話合ッテ見タイノデス、
大臣ナンテ何モ知ラナイ大臣ハ、寧ロ私ハ
敬遠シタイト思ッテ居ル(「ヒヤ〓〓」拍手、
「栗原君、引ッ張リ出シタカ」ト呼フ者アリ)
來テ居ルサウデス、ソレカラ此渡良瀨川及
渡良瀨川ノ水ガ流レマス所ノ赤麻沼竝ニ利
根川ノ一部ニハ、丁度今寒イ時ニ澤山ノ雜
魚ガ獲レマス、ソレカラ篠海老ト稱シマシ
テ、「ガラ」海老ヨリモ少シ小サイ海老ガ獲
レマス、更ニ糠海老ガ獲レマス、其他ノ雜
魚デアルトカ、糠海老デアルトカ、或ハ「ガ
ラ」海老デアルトカ云フヤウナモノハ、栃木
縣群馬縣、茨城縣、埼玉縣ニ於ケル下層
農民ノ唯一ノ營養用品デアルノデアリマス
ガ、是等モ死ンデ絕對ニ獲レナクナッテシ
マッタノデアリマス、其損害モ相當大キイモ
ノデアルノデアリマス、更ニ此毒ノ流レテ
來タノハ、灌漑期後デアリマシタカラ宜カッ
タノデアリマスガ、是ガ灌漑期デアリマシ
タナラバ、一万二千町步ノ田畑ト云フモノ
ハ、全ク不毛ノ毒沙漠トナラナケレバナラ
ナカッタコトハ、火ヲ睹ルヨリモ明カデアリ
マス、私ハ後デ商工省ノ役人ニ御伺スル積
リデアリマスガ、丁度此毒ノ流レテ參リマ
シタ最中ニ、栃木縣ノ小俣町ト云フ所ニ、
輸出織物ノ撿査所ヲ商工省デ出張シテ造ッ
テ居ッタノデス、其一町ト離レナイ所ガ渡良
瀨川デ、ソレガ堤防ニ突當ッテ非常ニ深ク
ナッテ、淵トナッテ居ル所デアリマスガ、此
毒ガ流レテ來タ爲ニ、其淵ニ居夕魚ガ白ク
ナル程死ンデシマッタノデアリマス、此死ン
ダノヲ商工省ノ出張シテ居ル役人モ食ヒ、
大工モ食ヒ、手傳ニ來タ者モ食ヒマシタ所
ガ、皆腹痛ヲ起シテ、五日モ十日モ寢タノ
デアリマス、此事實ヲ知ッテ居リナガラ、商
工省ガ知ラヌ顏ヲシテ居ルノハ、洵ニ不思
議ダト言ハナケレバナラナイ(「其通リ」ト
呼フ者アリ)商工省ノ役人ガ出張シテ死ン
ダ魚ヲ食ッテ、ソレデ腹下シヲシテ、大變ナ
病氣ヲシテ寢タラ、是ハ鑛毒ノ爲ダ位ノコ
トハ分ラナクチヤナラナイガ、是ハ御存ジ
ガナカッタト云フコトデアルノデアリマシ
テ、其外アノ地方ニ參リマスル役人ハ、他
ノ縣ニ居テハ洵ニ良イ役人ダ、地方ノ爲ニ
ナルト言ッタノガ、栃木縣ニ來ルト鑛毒ノ鑛
ノ字モ禁物ダト云フノデ言ハナクナル、群
馬縣ニ來テモ中々良イ働ハシナクナル、是
ハ全クアノ地方ニハ一種ノ毒瓦斯ガアッテ、
良イ役人ヲ悉ク惡クシテシマフ、又小學校
ノ先生デモ、中學校ノ先生デモ、鑛毒ノコ
トヲ言ヘバ直チニ馘首ニナルト云フノデ、
生徒ガ川ノ魚ガ死ニマシタガ、何デ死ニマ
シタカト言ッテモ、是ガ斯ウ云フコトノ爲ニ
死ンダノダト、本當ノコトヲ〓ヘルト、先
生ガ馘首ニナルト云フノデ、出鱈目ナコト
ヲ生徒ニ〓ヘルノデアリマス、是ガ日本ノ
〓育デアリマセウカ、斯ウ云フ狀態デ居ル
ノデアリマシテ、全ク皆サンガ非常ノ御同
情ヲ下サラナケレバ、此問題ハ容易ニ解決
シナイモノデアルト私ハ考ヘルノデアリマ
ス
ソコデ私ガ商工省ニ向ッテ第一ニ質問ヲ
致シタイノハ、何故鑛業ヲ停止シナカッタ
カト云フ點デアリマス、明治三十年五月二
十七日ニ、政府ガ鑛業主古川市兵衞ニ對シ
テ命令ヲ致シマシタ、足尾銅山鑛毒豫防命
令ノ第三十七項ニハ、明ニ此命令書ノ事項
ニ違反スル時ニハ直チニ鑛業ヲ停止スベ
シト書イテアルノデアリマス、足尾銅山ノ
鑛業主ガ豫防命令ノ條項ヲ悉ク蹂躙致シマ
シテ、公然渡良瀨川ニアノ毒水ヲ放流シ、
二十日間ノ長キニ亙ッテ之ヲ爲シテ居ッタニ
拘ラズ、而モ此明治三十年五月二十七日、
政府ガ發令致シマシタ鑛毒豫防命令ハ、今
日尙ホ儼トシテ存シテ居ルニ拘ラズ、此豫
防命令書ノ第三十七項ニ依ッテ、直チニ鑛業
ヲ停止スベキデアッタニモ拘ラズ、何故此鑛
業ヲ停止シナカッタカト云フコトガ、私ノ御
尋ノ第一項デアリマス
更ニ次ニ御尋申シマスノハ、將來ドウ云
フ取締ヲスル考デアルカト云フコトデアリ
マス、現ニ足尾鋼山ニハ三百五十何万立方
坪ト云フ非常ナ毒泥渣ガアリマス、此毒ハ
物臭泥ト申シマシテ、群馬縣カラ出タ代議
士ノ方ハ能ク御存ジノコトデアリマスガ、
役場ノ小使、學校ノ小使等ガ、始終草ヲ取ラ
サレルノガ厄介デアル所カラ、二三升持ッテ來
テ底ニ振撒クト、草ガ一本モ生ヘナイ、更ニ各
堆積場ハ、明治三十年カラ今日ニ至ルマデ約
四十年間一所ニ積ンデ置イテ、雨ガ降リ、雪
ガ降リ、風ニ曝シテモ、今日尙ホペン〓〓
草一本生ヘナイト云フ程ノ、猛烈ナ毒泥ノ
三百五十何万五方坪ト云フモノガ、十七箇
所ノ堆積場ニ積ンデアリマシテ、其眞下ガ
渡良瀨川デアリマス、山津浪ガ一遍出レバ、
直チニ其毒ハ渡良瀨川ニ流レテ來ル、其毒
ハ唯ノ土ヤ砂ヨリ比重ガ重イノデアリマス
カラ、川ノ底ニ是ガ沈積シテシマヒマスレ
バ、如何ニ立派ナ堤防ガ出來テ居リマシテ
モ、直チニ堤防ガ決潰致シマシテ、丁度明
治三十九年ノ大被害ト同ジヤウニ、此二万
四千町步ト云フ立派ナ田畑ガ再ビ鑛毒ノ毒
沙漠ト化シテシマフコトハ、火ヲ睹ルヨリ
モ明ナノデアリマス、是ガアノ地方ノ人民
ガ戰々兢々トシテ其業ニ安ンゼザル所ノ理
由デアルノデアリマス、明治三十九年ノ大
被害ニハ、私共ヲ初メ田中正造翁ガ眞先ニ
立チマシテ、其毒泥ヲ五尺ノ地ノ下ニ埋メ
ロト云フノデ、一軒々々ニ就テ非常ナ盡力
ヲシ、サウシテ毒泥ヲ地下ヘ埋メテシマッタ
ノデアリマス、併シ其時分ハ田畑ノ價ガ
高カッタト云フコト、竝ニドノ農家ニモ賃機
ト云フモノガアリマシテ、女達ハ每日一圓
ヤ八十錢ノ仕事ガ出來タカラ、之ニ依ッテア
ノ土地ヲドンデン返シヲシテ、今日ノヤウ
ナ立派ナ田畑トスルコトガ出來マシタガ、
今日ハ田畑ガ安クナッテ居リマス、今日ハ機
械工業ガ發達シテ、賃機ト云フモノガ全ク
アリマセヌ、若シ再ビアノ被害地方ガ毒沙
漠トナリマシタナラバ、諸君ドウシテ今度
囘復スルコトガ出來マセウ、私ニハ之ヲ思
ヘバドウシテモ我慢スルコトガ出來ナイノ
デアリマス(拍手)之ヲ政府ハドウ爲サル御
考デアルカト云フコトガ、私ノ御尋スル第
二デアリマス
第三點ハ、此渡良瀨川ノ利用ニ依ッテ發
達致シマシタ桐生、足利、佐野、其他ニ於
ケル織物地方ニ對シテ、渡良瀨川ガ利用
出來ナタナッタト言ッタナラバ、ドウシテ之
ヲ救濟シ、アノ工業地方、織物地方ヲ御救
ヒニナルカト云フ點ヲ御伺シタイノデアリ
マス、丁度昨年ノ此毒水ノ流レテ參リマシ
タ時ニハ、織物ハ非常ニ景氣ガ好カッタノ
デス、景氣ガ好カッタ爲ニ井戶ヲ急ニホジ
クルトカ、或ハ高イ水道ノ水ヲ利用シテ、
斯ウ云フ布ヲ晒ストカ致シマシタガ、若シ
織物ガ不況ナ際ニ斯ウ云フ事ガアリマシタ
ナラバ、彼處ノ何十万ト云フ織物ニ從事シ
テ居ル人達ハ、直チニ其職ヲ失ハナケレバ
ナラナイデハアリマセヌカ、之ヲ思フトド
ウシテ私共ガ安閑トシテ居ラレマスカ、諸
君、私ハ此點ニ付テ政府ノ明快ナル御答辯
ヲ願ヒタイ
更ニ又此毒泥渣ノ堆積サレテ居ル三百五
十何万立方坪ト云フモノハ、容易ナコトデハ
是ガ處理ハ出來ナイト思ヒマス、政府ハ型
デ切ッタヤウニ、年々ソレハ〓究シテ居ル、
其處理ニ付テハ學術的〓究ヲシテ居ルト云
フガ、是ハ〓ノ皮デアッテ、何等ノ〓究モシ
テ居ラナイノデアリマスカラ、サウ云フ驢ヲ
吐イテ人ヲ騙シテ居リマスルヨリハ、政府
ハ進ンデ此堆積毒泥渣ノ處理ニ付テ一ツノ
調査會ヲ設ケ、朝野ノ識者、學者ヲ集メテ、
如何ニシテ之ヲ除去スベキカト云フ〓究ヲ
スル所ノ會ヲ起サレテハドウデアルカ、私
共ハ切ニ之ヲ希望スルノデアリマスルガ、
政府ニ御考ガアルカナイカ、其點ヲ御伺申
シタイノデアリマス(「四十分ニナルヨ」ト
呼フ者アリ)アト直グデアリマス
次ニ內務省ニ對シテ一點ダケ御伺シタイ
ノデアリマス、ソレハ何デアルカト申シマ
スレバ、東京デモ、或ハ其他ノ地方デモ、
菓子屋サンガ銅ノ鍋ヲ使ッテ、ソレニ因テ誰
カヾ腹痛デモ起シタナドヽ云フト、直グニ
新聞ガ段拔デ大騷ギヲシ、警視廳モ大騒ギ
ヲシ、政府デモ大變騒ガレルノデアリマス
ガ、渡良瀨川カラ流出シマスル所ノ鑛毒ニ
因リマシテ、現ニ五十餘万人ト云フ人ガ、
アノ猛烈ナル毒水ヲ飮ンデ居ルノデアリ
マスルガ、之ニ對シテ內務省ハドウ云
フ御考ヲ有ッテ居ルノデアリマスカ、御
聽キ申シタイノデアリマス、ソレカラ序
ニアノ渡良瀬川上流ノ河川改良ガ出來ナ
イト、今年ニモ若シ少シ大キイ雨ガ降リ
マスルト、群馬縣新田、邑樂、山田ノ三郡、
栃木縣足利郡ノ一部ト云フモノハ直チニ
毒泥渣ノ襲フ所トナリマスルガ、大至急ニ
此上流ノ河川改良ヲ斷行シテ貰ヒタイト思
フノデアッテ、政府ハヤル〓〓、今年モ計上
シテ置イタ、今年モ計上シテ置イタト言フ、
私ガ御願ニ出ル度ニ、今年モ計上シテ置イ
タ、計上シテ置イタト云フ御話ヲ聽クガ、
未ダニ實行シナイノデアリマス、噓ナドヲ
言ハズニ、何時頃ハ之ヲ出來スノデアルト
云フコトヲ、御說明ヲ願ヒタイノデアリマス
ソレカラ司法省ニ向ッテモ御尋ヲ致シタ
ノデアルガ、佐野、足利地方ノ織物業者ノ
小僧ガ、仕事ニ使ッタ「カルキ」ヤ何カノ餘
リヲ、其處ラノ溜リ水ノ所ニ持ッテ行ッテ毒
ヲ流シテ、五匹ヤ三匹ノ雜魚ヲ捕ッテモ、直
チニ警察ニ連レテ行ッテ、中々ヤカマシイノ
デアルガ、古河鑛業所ハ五十万人ノ人々ニ
對シテ是ダケノ、而モ大學ノ先生達ガ是ダ
ケ酷イ毒デアルト云フコトヲ證明スルモノ
ヲ流シ、更ニアノ地方ニ流產ノ多イト云フ
コトハ、内務省ノ統計ノ上ニモ明カデアリ
マスガ、ソレヲ何故棄テヽ御措キニナルノ
カ、斯ウ云フ毒ヲ流シテ居ルヤウナ奴ハ、
宜シク司法權ノ發動ガアルベキモノデアル
ト私ハ信ズルノデアリマス、日本ノ憲法治
下ニ於テ、憲法ノ保護ヲ受ケテ居ル吾々ガ、
毒ヲ流シ放題流サレテ、毒水ヲ飮マサレテ
干、ソレニ對シテ何モ言フコトガ出來ズ、
司法官モ之ヲ默ッテ居ルニ至ッテハ、驚入ッタ
話ト言ハナケレバナラナイ、司法大臣ハ耳
ガアリマスカ、アッタラ此點ニ付テ能ク耳ヲ
浚ッテ御聽キヲ願ヒタイノデアリマス
以上私ノ御尋シマシタ點ハ、洵ニ時間ガ
ナイカラ簡單デハアリマスガ、五十万ノ被
害民ニ能ク分リマスヤウニ、御答辯下サイ
マスルコトヲ御願申上ゲマス(拍手)
〔政府委員勝正憲君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=5
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006・勝正憲
○政府委員(勝正憲君) 只今栗原君ノ御質
問ニ御答ヲ申上ゲマス、足尾鑛山ノ鑛毒豫
防施設ニ關シマシテハ、政府ハ常ニ周到ナ
ル注意ヲ拂ッテ、嚴重ナル監督ヲ厲行シツヽ
アリマシタガ、昨年ノ秋ノ十一、二月ノ交
ニ於キマシテ、除害設備ノ中ノ一部分ニ機
能障害ヲ生ジマシテ、其爲ニ一時溷濁水ヲ
渡良瀨川ニ流出致シマシタル事實ニ對シマ
シテハ、政府ハ卽時鑛山ニ命ジマシテ、選
礦取扱礦量ヲ減少セシメ、沈澱池ノ徹底的
浚渫、選礦用水ノ反覆使用等ノ方法ニ依リ
マシテ、溷濁水ノ流出防止ニ關スル應急處
置ヲ實行セシメマシテ、溷濁水ノ放流ヲ絕
對ニ禁止シ、公益上差支ナキヤウ致シマシ
タガ、尙ホ溷濁水ノ流出防止ノ恆久的對策
ヲ考究致シマシテ、今後ハ一層取締ヲ嚴重
ニシ、萬遺憾ナキヲ期スル積リデアリマス、
栗原君ノ御尋ノ中ニ、何故ニ政府ハ直チニ
鑛業停止ト云フコトヲ致サナカッタカト云
フコトデアリマスガ、實ハ昨年ノ秋、溷濁水
ヲ放流セシメタコトニ對シマシテハ、東京
鑛山監督局ハ、其事實ヲ知リマスルヤ、直
チニ局員ヲ現地ニ派遣致シマシテ、原因ヲ
調ベテ、先ヅ選礦取扱礦量ノ減少、曩ニ申
シマシタ沈澱池ノ徹底的浚渫、選礦用水ノ
反覆使用ト云フヤウナ、溷濁水ノ流出防止
ニ關スル應急的處置ヲ實行致サセマシテ、
其結果間モナク沈澱作用モ從前通リニ恢復
致シマシタガ、萬一ヲ慮リマシテ、尙ホ其
趣旨ノ通リニ操業ヲ繼續セシメテ今日ニ
至ッテ居ルノデアリマス、サウ云フヤウナ譯
デアリマスルカラ、操業ノ中止ヲ命ズルニ
モ及バズシテ目的ヲ達シタ次第デアリマ
ス、若シ以上ノ如キ應急設備デマダ水ガ〓
澄ニナラナイト云フヤウナコトニナリマシ
タ場合ニ於キマシテハ、豫防命令ニ基キマ
シテ、適當ナル處置ヲ講ズル積リデアリマ
ス、ソレカラ將來ニ對シテ政府ハ如何ナル
處置ヲ執ル積リデアルカト云フ御尋デアリ
マスルガ、此堆積シタル所ノ礦滓ハ、是ノ
崩潰ヲ防グ爲ニ相當ナル堤防ノ設備ヲ致シ
マシテ、之ヲ滲透シテ流出ヅル所ノ水ニ對
シマシテハ、相當ノ〓澄設備ヲヤルト云フ
ヤウナコトデ今日マデヤッテ居ルノデアリ
マスルガ、若シ調査ノ結果尙ホ不十分ナリ
トスル點ガアリマシタナラバ、相當ナル設
備ヲスルコトニ考慮シテ見タイト思ッテ居
ルノデアリマス、ソレカラ溷濁水ガ渡良瀨
川ニ流出タ爲ニ、川ノ水ガ濁リマシテ、其
爲ニ織物ノ精練ニ故障ヲ起シ、爲ニ織物
業者ハ一時水道水ヲ使ッタト云フ事實
ハ耳ニ致シテ居リマスルガ、果シテ今
日マデ河水ガ使用ノ出來ナイト云フヤウナ
狀況デアリマスルヤ否ヤ、マダ的確ナル調
査ヲ得テ居リマセヌ、能ク調ベマシタ上デ
適當ナル處置ヲ講ズル積リデアリマス、尙
又此根本的ノ除害設備ヲスル爲ニ、調査會
ヲ設ケル意思ガアルカト云フ御尋デアリマ
スルガ、是ハ栗原君モ御承知ノ通リ、〓究
所ニ於キマシテ、學術的〓究ハ相當ニ致シ
テ居リマス、栗原君ハ御否認ニナリマシタ
ケレドモ、ソレハ事實ヤッテ居ルノデアリマ
ス、併シ更ニ調査會ヲ作ッテ此對策ヲ講ズル
ト云フヤウナコトニ付キマシテハ、今日ハ
考ヘテ居リマセヌ次第デアリマス(拍手)
〔國務大臣小原直君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=6
-
007・小原直
○國務大臣(小原直君) 栗原君ノ御質問ニ
御答ヲ致シマス、足尾鑛山カラ渡良瀨川等ニ
流下致シマス鑛毒ノ關係ニ付テ、犯罪ノ處置
上如何ニスベキカト云フ事ニ付キマシテハ、司
法省ニ於テ篤ト考慮致ス考デアリマス(拍手)
〔政府委員男爵大森佳一君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=7
-
008・大森佳一
○政府委員(男爵大森佳一君) 栗原君ノ鑛
毒ニ關シマスル御質問中ノ、同地方ノ衞生
問題ニ關シマシテ御尋ガアリマシタコトニ
付キマシテ御答ヲ申上ゲマス、鑛毒ノ問題
ハ、久シキ以前ヨリ起ッテ居リマスコトハ事
實デアリマシテ、內務省ト致シマシテモ、
ソレカラ生ズル所ノ衞生上ノ問題ニ關シマ
シテ、特別ニ注意ハ拂ッテ居ルノデゴザイマ
ス、種々ソレカラ派生スル問題ガアリマス
ルガ、今日ノ所ニ於キマシテハ、格別非常
ナ病害ヲ發生シテ居ルトモ實ハ考ヘテ居リ
マセヌガ、只今五十餘万人ノ人々ガ腹痛ヲ
起シ、中毒ヲシタト云フヤウナ事實ニ關シ
マシテハ、初メテ承ルノデゴザイマスルガ、
能ク取調ベマシテ、尙ホ注意致スベキ所ガ
アレバ、十分之ヲ致サウト思ッテ居リマス、
尙又河川砂防ノ問題デゴザイマシタカ、或
ハ改修ノ問題デゴザイマスルカ、是モ內務
省ト致シマシテハ、相當ノ腹案ヲ有ッテ居ル
ノデアリマスルガ、此問題ハ相當財政ノ關
係モゴザイマスルシ、尙又鑛毒-毒其モノ
ニ關スル直接シタ事案デゴザイマセヌガ爲
ニ、相當ノ程度ニ必要ハ認メテ居リマスル
ガ、今日實ハ希望スル通リニ實現シテ居ラ
ヌヤウナ次第デゴザイマス、併ナガラ緊急
ナル必要アル問題デモゴザイマスルカラ、
今後ハ成ベク早イ時期ニ於キマシテ、相當
ノ出來ルダケノ處置ヲ致シタイト考ヘテ居
リマス、ソレダケ御答辯ヲ申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=8
-
009・栗原彦三郎
○栗原彥三郞君 宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=9
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010・濱田國松
○議長(濱田國松君) 栗原君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=10
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011・栗原彦三郎
○栗原彥三郞君 後デ適當ナ機會ニモウ一
度聽キマスガ、今日ハ是デ止メテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=11
-
012・濱田國松
○議長(濱田國松君) 質問ノ第三ハ、提出
者不在ニ付キ後〓シト致シマス、日程第一
不動產融資及損失補償法中改正法律案ノ第
一讀會ヲ開キマス-大藏政務次官矢吹省
三君
第不動產融資及損失補償法中改正
法律案(政府提出)第一讀會
不動產融資及損失補償法中改正法律案
不動產融資及損失補償法中左ノ通改正ス
第二條中「三年」ヲ「六年」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員男爵矢吹省三君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=12
-
013・矢吹省三
○政府委員(男爵矢吹省三君) 只今議題ト
ナリマシタ不動產融資及損失補償法中改正
法律案ニ付テ說明致シマス、不動產融資及
損失補償法ハ昭和七年十月之ヲ實施シテ以
來、銀行ノ信用ヲ確保シ、金融界ノ安定ニ
資スル上ニ於テ、多大ノ效果ヲ收メテ參ッタ
ノデアリマスガ、同法ニ依ル不動產資金ノ
融通期間ハ、本年九月末ヲ以テ終了スルコ
トニナッテ居リマス、然ル所最近ニ於ケル銀
行ノ不動產固定資產ノ狀況ヲ見マス
ルニ、是ガ整理ハ必シモ既ニ十分ナル進
捗ヲ見タトハ申サレナイノデアリマス、
而モ經濟界ハ未ダ全般的ノ回復ヲ見ルニ
至ッテ居リマセズ、不動產ノ價格モ亦僅ニ
低落ノ步ヲ止メタルニ過ギヌ狀態ナルニ加
ヘマシテ、昨年中ハ殆ド全國ニ亙ッテ各種ノ
災害ガ相踵イデ起リ、是ガ爲ニ銀行ニ於ケ
ル不動產固定資產ノ整理ハ、一層其進捗ヲ
阻害セラルヽニ至ッタ狀況デアリマス、隨テ
金融疏通ノ情勢ヲ確保スルガ爲ニハ、今後
モ引續キ右固定資產ノ資金化ヲ助成スルノ
必要ガアルノデアリマスガ、是ガ爲ニ本法
ニ依ル不動產資金融通期間ヲ、本年十月以
降三年間延長スルコトヲ適當ト認メマシテ、
本案ヲ提出シタ次第デアリマス、御審議ノ
上御協賛アランコトヲ御願申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=13
-
014・濱田國松
○議長(濱田國松君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=14
-
015・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ政府提出、政府貸
付金處理ニ關スル法律案委員ニ併セ付託セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=15
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016・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=16
-
017・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
二、產業組合中央金庫特別融通及損失補償
法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス-
山崎農林大臣
第二產業組合中央金庫特別融通及損
失補償法中改正法律案(政府提出)
第一讀會
產業組合中央金庫特別融通及損失補償
法中改正法律案
產業組合中央金庫特別融通及損失補償法
中左ノ通改正ス
第二條中「三年」ヲ「六年」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣山崎達之輔君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=17
-
018・山崎達之輔
○國務大臣(山崎達之輔君) 產業組合中央
金庫特別融通及損失補償法ハ、施行以來相
當ノ成績ヲ擧ゲテ居ルノデゴザイマスルガ、
御承知ノ通リ其融通ノ期間ハ本年九月末ヲ
以テ終了スルコトヽ相成ッテ居ルノデアリ
マス、然ルニ產業組合ノ現狀ニ鑑ミマスレ
バ、尙ホ本制度ヲ繼續致シマシテ、組合金
融ノ疏通ニ資スルコトガ必要デアルト考ヘ
ルノデアリマス、仍テ組合金融ノ現況、整
理期間等ヲ考慮致シマシテ、特別融通期間
ヲ尙ホ三箇年延長スルコトヽ致シタイノデ
アリマス、何卒御審議ノ上御協贊アランコ
トヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=18
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019・濱田國松
○議長(濱田國松君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=19
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020・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ政府提出、政府貸
付金處理ニ關スル法律案ノ委員ニ併セ付託
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=20
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021・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=21
-
022・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第三
乃至第七ハ關聯セル議案ナルニ依リ、一括
議題トナスニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=22
-
023・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第三、辯護士法中改正法律案、
日程第四、公證人法中改正法律案、日程第
五、執達吏規則中改正法律案、日程第六、
執達吏手數料規則中改正法律案、日程第七、
司法代書人法中改正法律案、以上五案ヲ一
括シテ第一讀會ヲ開キマス-小原司法大
臣
第三辯護士法中改正法律案(政府提
出)第一讀會
第四公證人法中改正法律案(政府提
出)第一讀會
第五執達吏規則中改正法律案(政府
提出)第一讀會
第六執達吏手數料規則中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第七司法代書人法中改正法律案(政
府提出)第一讀會
辯護士法中改正法律案
辯護士法中左ノ通改正ス
第八條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ管轄區域ヲ同シクスル民事地方裁
判所及刑事地方裁判所アル場合ニ於テ
ハ刑事地方裁判所ニ之ヲ備フ
同條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
第一項但書ノ場合ニ於テハ刑事地方裁
判所所屬ノ辯護士ハ當然民事地方裁判
所ノ所屬トス
第十八條第一項ヲ左ノ如ク改ム
辯護士會ハ地方裁判所ノ管轄區域每ニ
之ヲ設立ス可シ但シ辯護士ノ數寡少ニ
シテ辯護士會ヲ組織スルニ適セサルト
キハ司法大臣ノ認可ヲ受ケ他ノ地方裁
判所所屬辯護士ト合同シテ辯護士會ヲ
設立スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
公證人法中改正法律案
公證人法中左ノ通改正ス
第十條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ管轄區域ヲ同シクスル民事地方裁
判所及刑事地方裁判所アル場合ニ於テ
ハ民事地方裁判所ノ所屬トス
第四十五條第二項、第六十四條第二項、
第六十七條第二項及第七十四條第二項中
「地方裁判所長」ヲ「所屬地方裁判所長」ニ
改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
執達吏規則中改正法律案
執達吏規則中左ノ通改正ス
第五條ノ三第五條及前條第一項ニ定メ
タル地方裁判所長ノ權限ハ管轄區域ヲ
同シクスル民事地方裁判所及刑事地方
裁判所アル場合ニ於テハ控訴院長又ハ
其指定シタル民事地方裁判所長若クハ
刑事地方裁判所長之ヲ行フ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
執達吏手數料規則中改正法律案
執達吏手數料規則中左ノ通改正ス
第十八條第三項ニ左ノ但書ヲ加フ
但管轄區域ヲ同シクスル民事地方裁判
所及刑事地方裁判所アル場合ニ於テハ
控訴院長之ヲ定メ又ハ其指定シタル民
事地方裁判所長若クハ刑事地方裁判所
長控訴院長ノ認可ヲ經テ之ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
司法代書入法中改正法律案
司法代書人法中左ノ通改正ス
第二條ニ左ノ但書ヲ加フ
但ク管轄區域ヲ同シクスル民事地方裁
判所及刑事地方裁判所アル場合ニ於テ
ハ民事地方裁判所ノ所屬トス
第三條、第五條、第六條及第十一條中
「地方裁判所長」ヲ「所屬地方裁判所長」
三段人
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣小原直君登壇)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=23
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024・小原直
○國務大臣(小原直君) 只今上程ニナリマ
シタ辯護士法中改正法律案外四件ノ提案理
由ニ付テ御說明申上ゲタイト存ジマス、本
案ハ何レモ曩ニ本院ニ上程ニ相成リマシタ
裁判所構成法中改正法律案ニ伴フモノデア
リマシテ、同改正法律案ニ於キマシテ、地
方裁判所ヲ民事地方裁判所ト刑事地方裁判
所トニ分離スル途ヲ開キマシタ結果、辯護
士法外四件ノ法律ニ付テ、ソレ〓〓其規定
ヲ改正整理スル必要ヲ生ジタ爲メデアリマ
ス、卽チ地方裁判所ガ民事及刑事ノ各獨立
ノ地方裁判所ニ分離セラレマシタ場合ニ於
ケル辯護士、公證人及司法代書人ノ督督
ノ所屬ヲ明ニシ、又執達吏ニ付キマシテ
モ、之ニ類スル事項ヲ改メル爲ニ、本案ヲ
提出シタ次第デアリマス、要スルニ裁判所
構成法中改正法律案ニ關聯スル整理的ノ趣
旨ノ改正案デアリマス、何卒曩ニ裁判所構
成法ノ改正案ニ付テ、本議場ニ申述ベマシ
タルト同一ノ意味ニ於キマシテ、速ニ御協
贊アランコトヲ切望スル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=24
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025・濱田國松
○議長(濱田國松君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=25
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026・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 日程第三乃至第六ノ四案
ハ一括シテ議長指名十八名ノ委員ニ付託
シ。日程第七ハ、藤田若水君外四名提出、
借地借家調停法中改正法律案外六件ノ委員
ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=26
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027・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=27
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028・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御議異ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第八
乃至第十ハ同種ノ議案ナルニ依リ、一括議
題トナスニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=28
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029・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第八、盲人保護法案、日程第
九、盲人保護法案、日程第十、盲人保護法
案、右三案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマ
ス、順次提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-
日程第八、提出者野田文一郞君
第八盲人保護法案(風見章君外一名
提出)第一讀會
第九盲人保護法案(松田竹千代君外
一名提出)第一讀會
第十盲人保護法案(松山常次郞君提
出)第一讀會
盲人保護法案
盲人保護法
第一條本法ニ於テ盲人ト稱スルハ眼前
一メートルノ距離ニ在リテ指數ヲ辨シ
得サル者ヲ謂フ
視覺機能障礙ニ依リ他ノ生業ニ從事ス
ルコト能ハサル者ハ之ヲ準盲人トス
第二條按摩術營業ハ盲人又ハ準盲人ニ
シテ免許ヲ受ケタル者ニ非サレハ之ヲ
爲スコトヲ得ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前ニ受ケタル按摩術營業ノ免許
ハ本法施行後ト雖仍其ノ效力ヲ有ス
盲人保護法案
盲人保護法
第一條本法ニ於テ盲人ト稱スルハ眼前
一メートルノ距離ニ在リテ指數ヲ辨シ
得サル者ヲ謂フ
視覺機能障礙ニ依リ弛ノ生業ニ從事ス
ルコト能ハサル者ハ之ヲ準盲人トス
第二條按摩術營業ハ盲人又ハ準盲人ニ
シテ免許ヲ受ケタル者ニ非サレハ之ヲ
爲スコトヲ得ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前ニ受ケタル按摩術營業ノ免許
ハ本法施行後ト雖仍其ノ效力ヲ有ス
盲人保護法案
盲人保護法
第一條本法ニ於テ盲人ト稱ヌルハ眼前
一メートルノ距離ニ在リテ指數ヲ辨シ
得サル者ヲ謂フ
視覺機能障礙ニ依リ他ノ生業ニ從事ス
ルコト能ハサル者ハ之ヲ準盲人トス
第二條按摩術營業ハ盲人又ハ準盲人ニ
シテ免許ヲ受ケタル者ニ非サレハ之ヲ
爲スコトヲ得ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前ニ受ケタル按摩術營業ノ免許
ハ本法施行後ト雖仍其ノ效力ヲ有ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=29
-
030・野田文一郎
○野田文一郞君 簡單デアリマスカラ自席
ヨリ發言ヲ御許シ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=30
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031・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=31
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032・野田文一郎
○野田文一郞君 盲人ハ洵ニ氣ノ毒ナ、吾
吾ノ同情スベキ同胞デアルト云フコトハ申
スマデモゴザイマセヌ、之ニ對シテ國家ガ
特別ノ保護ヲ與ヘルコトガ適當ナリト信ジ
マシテ、本案ヲ提出シタノデアリマス、御
贊戒ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=32
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033・濱田國松
○議長(濱田園松君) 日程第九、提出者松
田竹千代君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=33
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034・松田竹千代
○松田竹千代君 自席ヨリ發言ヲ御許シ願
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=34
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035・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=35
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036・松田竹千代
○松田竹千代君 私ノ提案モ、只今野田君
ヨリ御說明ニナリマシタト全ク同一デアリ
やく、仍テ說明ハ省略致シマスガ、唯御願
ダケハ私ヨリモ重ネテ御願申シテ置キマス、
何卒御贊成ヲ顧ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=36
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037・濱田國松
○議長(濱田國松君) 日程第十、提出者松
山常次郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=37
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038・松山常次郎
○松山常次郞君 本席ヨリ述ベルコトノ御
許シヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=38
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039・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=39
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040・松山常次郎
○松山常次郞君 本法律案ハ每年此議場ニ
現レルモノデアリマスルシ、只今野田君ノ
御述ニナッタコトヽ大體同一ノモノデアリ
マスカラ、議場ニ於テ趣旨辯明ヲ述ベルコ
トハ省略致シマス、何卒宜シク御願致シマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=40
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041・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ質疑ノ通〓ハア
リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=41
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042・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 日程第八乃至第十ノ三案
ハ一括シテ、田中祐四郞君外二名提出、衞
生組合法案外四件ノ委員ニ、併セ付託セラ
レンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=42
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043・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=43
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044・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第十
一、競爭入札ノ取締等ニ關スル法律案ノ第
一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許
シマス-提出者福田關次郞君-御不在
デスカ
〔「後廻シニ願ヒマス」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=44
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045・濱田國松
○議長(濱田國松君) 提出者不在ニ付キ後
廻シト致シマス、日程第十二及第十三ハ、同
種議案ナルニ依リ一括議題トナスニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=45
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046・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第十二、大正九年法律第五十
六號中改正法律案、日程第十三、大正九年
法律第五十六號中改正法律案、右兩案ヲ一
括シテ第一讀會ヲ開キマス、順次提出者ノ
趣旨辯明ヲ許シマス-日程第十二、提出
者松尾孝之君
第十二大正九年法律第五十六號中改
正法律案(北海道拓殖鐵道補助ニ關
スル件)(東武君外五名提出)
第一讀會
第十三大正九年法律第五十六號中
改正法律案(北海道拓殖鐵道補助ニ
關スル件)(山本厚三君外四名提出)
第一讀會
大正九年法律第五十六號中改正法律案
大正九年法律第五十六號中左ノ通改正ス
同法ニ左ノ一項ヲ加フ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ前項ノ期
間ノ外更ニ五年ヲ限リ勅令ノ定ムル所ニ
依リ北海道拓殖費ヨリ補助ヲ爲スコトヲ
得
附則
本法ハ昭和十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際營業開始ノ日ヨリ十五年ヲ
經過シタルモノニ付テハ營業開始ノ日ヨ
リ二十年ニ達スル迄本法施行ノ日ヨリ改
正規定ニ依リ更ニ補助ヲ爲スコトヲ得
大正九年法律第五十六號中改正法律案
大正九年法律第五十六號中左ノ通改正ス
同法ニ左ノ一項ヲ加フ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ前項ノ期
間ノ外更ニ五年ヲ限リ勅令ノ定ムル所ニ
依リ北海道拓殖費ヨリ補助ヲ爲スコトヲ
得
附則
本法ハ昭和十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際營業開始ノ日ヨリ十五年ヲ
經過シタルモノニ付テハ營業開始ノ日ヨ
リ二十年ニ達スル迄本法施行ノ日ヨリ改
正規定ニ依リ更ニ補助ヲ爲スコトヲ得
〔松尾孝之君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=46
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047・松尾孝之
○松尾孝之君 只今上程ニナリマシタ大正
九年法律第五十六號、北海道拓殖鐵道補助
法中改正法律案ノ趣旨ヲ簡單ニ說明致シマ
ス、本案ノ要旨ハ、現行法ニ於ケル補助年
限十五年ヲ二十年ニ延長セントスルノデア
リマス、其理由ハ、現在北海道ニハ私設鐵
道及軌道會社ガ二十七社アリマシテ、其中
補助ヲ受ケテ居ルモノガ二十二社アリマ
ス、何レモ開業後相當ノ年數ヲ經テ居リマ
スガ、收支辛ウジテ償フモノハ二三ニ過ギ
ナイノデ、他ノ二十社ハ悉ク著シキ缺損ヲ
シテ居ル實情デアリマス、其缺損ノ割合ハ
一分以上ガ四社、二分以上モ四社、三分以
上ガ二社、四分以上二社、五分以上一社、
六分以上二社ト云フヤウナ慘狀デ、是等ノ
缺損ハ補助アルガ故ニ辛ウジテ償ヒ得ルモ
ノデアリマスガ、借入金ノ利子ノ支拂ニ不
足ヲ生ズルモノモ稀デナイノデアリマス、
隨テ補助ヲ受ケナガラモ無配當、又ハ無配
ニ等シイヤウナ少額ノ配當ヲシテ居ルモノ
モ多數アルノデアリマス、斯樣ナ譯デスカ
ラ、補助年限ガ切レタナラバ維持經營至難
ノ爲ニ、破產者若タハ廢業ノ已ムナキノ結
果ニ至ルモノガ決シテ少クナイノデアリマ
ス、現ニ補助年限ガ滿期ニナリマシテ、氣
息奄々タル會社及滿期ニナラントスルモノ
デ、經營困難ナルモノヲ救濟シ、併セテ全
然現在マデ補助ヲ受ケテ居ラナイ新線ニ對
シ公平ニ補助ヲシテ、助長發達セシメンガ
爲ニ、此際更ニ五箇年ノ延長ヲ必要トスル
ノデアリマス、北海道ノ私設鐵道ノ經營ガ
斯樣ニ振ハナイト云フ原因ハ開道以來既
ニ六十年ヲ經過シテ居リマスガ、政府ノ爲
ス拓殖事業ガ遲々トシテ進マナイコトガ第
一ノ原因デアリマシテ、ソレニ加ヘテ天惠
ニ惠マレテ居ラナイカラデアリマス、隨テ
人口ガ稀薄デ、一平方粁當リノ密度ガ、內
地府縣二百十八人、臺灣百二十八人、朝鮮
九十五人ニ對シ北海道ハ僅ニ二十八人ニ過
ギナイノデアリマス、ソレニ比例シテ產業
ガ內地及外地ヨリ振ハズ、加フルニ冬季ノ
降雪期間ガ長イ爲ニ、除雪ニ莫大ナ費用ガ
要ルノデアリマス、ソレデアリマスカラ北
海道ノ私設鐵道ハ、新設後少クトモ十數年
間ト云フモノハ赤字デ、北海道ノ拓殖促進
ノ爲ニ多大ノ犠牲ヲ拂ッテ御奉公ヲシテ居
ルヤウナ狀態デアリマス、近時北海道ノ拓
殖促進ニ關シマシテ、政府竝ニ一般ガ相當
ノ關心ヲ有ツ所トナリマシテ、最近北海道
拓殖調査會ガ政府部內ニ設置セラレルコト
トナリマシタコトハ、吾々ノ非常ニ喜ンデ
居ル次第デアリマスガ、其拓地植民促進上
ノ先驅トナルベキモノハ先ヅ第一ニ鐵道
軌道ノ普及デアリマス、之ヲ以テ政府ハ特
ニ北海道ノ私鐵軌道ノ速成奬勵ノ爲ニ、太
正九年ニ特別補助法ヲ制定セラレタノデア
リマス、又政府ハ啻ニ北海道私設鐵道ノ奬
勵バカリデハナクシテ、鐵道省ニ於テモ昭
和二年以來今日マデ、北海道拓殖費ニ於テ
拓殖公債利子ナルモノヲ負擔シテ、北海道
內ニ於ケル省線ノ速成ヲ期シウヽアルニ徵
シマシテモ、北海道ノ鐵道速成ガ拓殖政策
遂行上、重要ナル事項デアルコトガ分ルノ
デアリマス、斯ノ如ク政府ノ特別奬勵ガ效
果ヲ奏シ、現在マデ十箇年ノ間ニ約二十數
社ガ新設セラレマシテ、其投資價額ガ約四
千五百万圓、延長線ガ七百五十粁ニ達シ、
省線ノ二千九百粁ノ四分ノ一ニ過ギマセヌ
ガ、省線ノ培養線トナリ、且ツ拓殖促進上
ニ貢獻スル所頗ル大ナルモノガアルノディア
リマス、此場合御參考マデニ北海道ト他府
縣及樺太、臺灣、朝鮮等ノ外地ニ於ケル鐵
道補助トヲ比較シテ見マスルト、樺太ニハ
二會社アッテ、一昨年補助年限ガ切レントス
ル際ニ五年延長シ、臺灣ニモ二社アリマシ
テ、昨年ノ議會デ十年ヲ十五年ニ延長シ、
朝鮮ハ六社アッテ、最初ハ補助年限ガ十年デ
アッタノヲ、大正十二年ニ五年延長シ、更之
昨年ノ議會デ五年延長シテ、現在ハ二十年
ニ改正サレテ居ルノデアリマス、而シテ以
上各地方ノ營業成績ハドウカト云フト、樺
太ヲ除キマスト各府縣ハ勿論ノコト、臺灣、
朝鮮等何レモ好成績ヲ擧ゲテ、相當ノ利益
配當ヲシテ居リマス、是ハ畢竟府縣及臺灣、
朝鮮ハ北海道ニ較ベテ能ク開ケ、人口ノ密
度ガ厚ク、產業ガ振興シ、加フルニ冬季間
ノ除雪ノ如キ經費ガ少ク、又全然不要ナル
等、其條件、卽チ天惠ガ著シク多イカラデ
アリマス、ソレデアリマスカラ是等地方ノ
鐵道ノ補助ト云フモノハ、利益ノ補償ニ
ナッテ居リマスガ、北海道ノ鐵道補助ハ
損失ノ補塡トナルノデアリマス、要スル
ニ經營條件ガ好ク、營業成績優良ナル朝
鮮臺灣ニ對シテスラ、前述ベタヤウニ數
囘延長致シテ、國家ノ仁慈的方策ヲ經營條
件トシテ居ルノデアルカラ、其經營條件ノ
最惡ナル北海道ノ私設鐵道軌道ニ、同一ノ
補助政策ヲ採リテ恩典ヲ與フルト云フコト
ハ、當然過ギル程當然デアルト信ズル者デ
アリマス、故ニ本案ノ如キモノハ政府自ラ
ガ進ンデ提案スベキモノデアラウト思フノ
デアリマス、然ルニ政府ガ提案シナイノデ
之ヲ甚ダ遺憾ニ思ヒマシテ、吾々ガ玆ニ本
案ヲ提出シタ次第デアリマス、而シテ補助
年限延長ノ結果トシテ、金額ハ現在一箇年百
二十八万圓デアリマスガ、本法施行ノ曉ハ
昭和十年度ガ約八万圓、十一年度、十二年
度ハ約十七八万圓デ、結局最後マデニハ總
額九百二三十万圓ヲ支出スルコトニナル見
込デアリマス、何卒北海道ノ爲メ特段ノ御
同情ヲ願ヒマシテ、御協贊アランコトヲ御
願スル次第デアリマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=47
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048・濱田國松
○議長(濱田國松君) 日程第十三、提出者
手代木隆吉君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=48
-
049・手代木隆吉
○手代木隆吉君 簡單デアリマスカラ自席
カラ發言スルコトヲ御許シヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=49
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050・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=50
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051・手代木隆吉
○手代木隆吉君 日程第十三ノ法律案ハ第
十二ノ法律案ト全ク同一趣旨ノ法律案デア
リマス、其理由ニ付キマシテモ全ク同一デ
アリマシテ、只今松尾君ヨリ說明セラレタ
ル通リノ事情ニアル譯デアリマス、何卒本
案ニ對シマシテモ速ニ協贊ヲ與ヘラレマシ
テ、北海道開拓ノ爲ニ十分ナル援助ヲ與ヘ
ラレンコトヲ希望致ス次第デアリマス(拍
手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=51
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052・濱田國松
○議長(濱田國松君) 各案ニ對スル質疑ノ
通〓ハアリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=52
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053・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 日程第十二及第十三ノ兩
案ヲ一括シテ、議長指名九名ノ委員ニ付託
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=53
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054・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=54
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055・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
十四、自動車交通事業法中改正法律案ノ第
一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許
シマス-提出者上田孝吉君
第十四自動車交通事業法中改正法律
案(上田孝吉君外十一名提出)
第一讀會
自動車交通事業法中改正法律案
自動車交通事業法中左ノ通改正ス
第三十七條ノ次ニ左ノ一一條ヲ加フ
第三十七條ノ二公共團體ハ公益上ノ必
要ニ因リ主務大臣ノ許可ヲ受ケテ第一
條又ハ第十七條第二項ノ事業(未ダ運
輸ヲ開始セザル自動車運輸事業及未ダ
供用ヲ開始セザル自動車道事業ヲ含
ム)ノ買收ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ事業ノ一部ヲ買收セ
ラルルニ因リテ殘存事業ノ全部又ハ一
部ニ付事業ヲ繼續スルコト能ハザルト
キハ自動車運輸事業者又ハ自動車道事
業者ハ公共〓體ニ對シ殘存事業ノ全部
又ハ一部ノ買收ヲ請求スルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依ル買收價格、買收範
圍其ノ他買收ノ條件ハ當事者間ノ協議
ニ依ル協議調ハザルトキ又ハ協議ヲ爲
スコト能ハザルトキハ主務大臣之ヲ裁
定ス
前項ノ裁定中買收價格ニ付不服アル者
ハ裁定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月內
ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三十七條ノ三前條ノ規定ニ依リ買收
ヲ爲シタル自動車運輸事業路線ノ全部
又ハ一部ニ付テハ公益上ノ必要ニ因ル
ノ外他事業者ニ自動車運輸事業經營ノ
免許ヲ爲スコトヲ得ズ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔上田孝吉君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=55
-
056・上田孝吉
○上田孝吉君 只今議題トナリマシタ自動
車交通事業法中改正法律案ノ提案ノ趣旨
ヲ、簡單ニ說明致シマス、地方自治團體、
特ニ大都市ノ地域内ニ於キマスル交通機關
ハ、公企業アリ、幾多ノ民營會社アリ、紛
糾錯雜ヲ極メテ居リマス、特ニ乘合自動車
ニ於テ其甚シキヲ感ズルノデアリマス、爲
ニ公共團體モ民營會社モ、資本ノ二重投下
トナリ、無用ノ競爭ヲ激發シテ居リマスル
ノミナラズ、住民ハ乘換、乗繼等ニ依リマ
シテ、賃銀ノ二重ノ負擔ヲ爲シ、或ハ時間
ノ浪費ヲセナケレバナラナイ現狀ニナッテ
居ルノデアリマス、今ヤ是等都市ニ於キマ
スル交通統制ノ聲ハ一般ノ輿論トナッテ
參ッテ居リマス、公共事業ニ付キマシテハ、
軌道、電氣、瓦斯、水道、是等悉ク公共團
體ノ强制買收ニ關スル規定ガアリマスニモ
拘ラズ、獨リ自動車交通事業ニ付キマシテ
ハ從來本事業ガ府縣ノ免許、許可事項ト
ナッテ居リマシタガ爲ニ、法規ノ逸脫トナッ
テ居ルノデアリマス、玆ニ最モ公平ナル本
改正案ヲ提出致シタ趣旨ガアルノデアリマ
ス、詳細ハ委員會ニ讓ルコトニ致シマスル
ガ、何卒御協賛アランコトヲ御願致シマス
(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=56
-
057・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ質疑ノ通告ハア
リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=57
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058・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ東武君外五名提
出、大正九年法律第五十六號中改正法律案
外一件委員ニ、併セ付託セラレンコトヲ望
ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=58
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059・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=59
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060・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
十五、民事訴訟法中改正法律案ノ第一讀會
ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマ
ス-提出者名川侃市君
第十五民事訴訟法中改正法律案收
野良三君外九名提出)第一讀會
民事訴訟法中改正法律案
民事訴訟法中左ノ通改正ス
第百九十條第一項但書ヲ削ル
第三百五十九條削除
第五百十三條第三項中「、第百十五條」ヲ
削リ同項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
左ノ場合ニ於テハ供託物ヲ返還ス可シ
擔保ヲ供シタル者カ擔保ノ事由止
ミタルコトヲ證明シタルトキ
二擔保ヲ供シタル者カ擔保取消ニ付
擔保權利者ノ同意ヲ得タルトキ
三擔保ヲ供シタル者ニ勝訴ノ判決確
定シタルトキ
四訴訟ノ完結後擔保ヲ供シタル者カ
擔保權利者ニ對シ其權利行使ヲ爲ス
ヘキ旨ノ催告ヲ爲シ擔保權利者カ其
行使ヲ爲シタルコトヲ一一週間以內ニ
裁判所ニ疏明セサルトキ
〔名川侃市君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=60
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061・名川侃市
○名川侃市君 只今上程ニナリマシタ民
事訴訟法中改正法律案ノ提案ノ理由ヲ御說
明申上ゲマス、近時判決ノ言渡又ハ其送達
ニ關シマシテ、弊習ノ甚シキモノガゴザリ
マシテ、其極端ナルモノニ至リマスト云フ
ト、時ニ結審後數年ヲ經ルモ、尙ホ之ヲ爲
サヾルモノガアルト云フ有樣デゴザリマス、
是ハ裁判ノ尊嚴威信ヲ失墜致シマシテ、國
民ノ利害休戚ヲ輕ンズルコトノ甚シキモノ
ト謂ハナケレバナリマセヌ、仍テ民事訴訟
法百九十條第一項但書ヲ削除致シマシテ、
此時弊ヲ矯正スルノ必要ガアルト思フノデ
アリマス、次ニ判決ハ一ツノ原被雙方ノ爭
ニ對スル判斷デゴザリマスガ故ニ、行政處
分トハ全然違フノデゴザリマス、隨テ原被
其主張ノ何レガ是デアルカト云フコトヲ判
斷スルニ付テハ、其判斷ノ理由ヲ明記スベ
キハ當然ノ筋合デアルト思フノデアリマス、
然ルニ民事訴訟法三百五十九條ニ於キマシ
テ、區裁判所ノ事件ニ付テハ判決理由ノ省
略ヲ認メテ居リマスル爲ニ、今日ハ甚ダ當
事者ハ判決ノ理由ヲ知ルニ苦ンデ居ルノデ
アリマス、是ハ裁判ノ本旨ニ反シマシテ、
裁判其モノニ對シテ民心ヲ承服セシムルノ
途ガナイト考ヘルノデアリマス、仍テ之ヲ
削除スルノヲ相當ト思ヒマス、次ハ現行民
事訴訟法中擔保物還付ニ關シマスル規定ハ、
其手續ガ煩瑣デゴザリマシテ、是ガ還付ヲ
受ケマスル爲ニ無益ノ日子ト費用トヲ要シ、
其弊害ハ裁判所、當事者及利害關係人ノ等
シク痛感スル所デゴザリマス、仍テ民事訴
訟法五百十二條ヲ本案ノ如ク改正スルノヲ
至當ト致シマシテ、提案致シタ次第デゴザ
リマス、何卒御協贊アランコトヲ御願致シ
マス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=61
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062・濱田國松
○議長(濱田國松君) 本案ニ對スル質疑ノ
通告ハアリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=62
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063・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ藤田若水君外四名
提出、借地借家調停法中改正法律案外六件
委員ニ、併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=63
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064・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=64
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065・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
十六、未成年者飮酒禁止法中改正法律案ノ
第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ
許シマス-提出者杉山元治郞君
第十六未成年者飮酒禁止法中改正法
律案(杉山元治郞君外二名提出)
第一讀會
未成年者飮酒禁止法中改正法律案
未成年者飮酒禁止法中左ノ通改正ス
「未成年者飮酒禁止法」ヲ「飮酒取締法」ニ
改ム
第一條第一項第三項及第二條中「未成年
者」ヲ「二十五歲未滿ノ者」ニ改ム
第三條中「第一條第二項」ノ上ニ「第一條
第一項ノ規定ニ違反シタル者(但シ未成
年者ヲ除ク)又ハ」ヲ加フ
附則
本法ハ昭和十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
〔杉山元治郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=65
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066・杉山元治郎
○杉山元治郞君 私ハ今上程ニナリマシタ
未成年者飮酒禁止法中改正法律案ノ、提
案者ノ一人デアリマスガ故ニ、本案ニ付テ
提案理由ヲ簡單ニ御說明申上ゲテ見タイト
存ジマス、本案ハ既ニ十數囘本會議ニ提出
サレテ居リマスルノデ、詳シク說明ヲ致シ
マスル必要ハナイト存ジマスルガ、先般委
員會ノ際ニ於キマシテモ、多少ノ論議ガゴ
ザイマシタノデ、極ク其要項ノ一二ニ付テ
說明ヲ致シテ置キタイト考ヘルノデアリマ
ス、尙ホ私共ガ本案ヲ提出致シマスル理由
ハ、決シテ自分一個ノ利害ノ關係ノ問題デ
ハゴザイマセヌ、卽チ一國ノ保健衞生、國
民ノ將來ヲ考ヘマスル爲ニ、已ムニ巳マレ
ナイ愛國ノ精神、赤情ヨリ出テ居リマスル
點ヲ、御諒解願ヒタイノデアリマス(「反
對」ト呼フ者アリ)或ハ色々、今御述べニナ
ルヤウニ反對ノ方ガアルカモ分リマセヌ、
併シ私共ガ-多クノ國民大衆ガ之ニ對シ
テ熱心ニ要望シテ居ルノデアル、或ハ今日
選擧權ハ與ヘラレテ居ラナイケレドモ、本
當ニ多クノ家庭ノ婦人ニマデ選擧權ガ擴張
サレルナラバ、恐クハ今反對ヲ述ベテ居ル
所ノ人達モ、或ハ贊成スルヤウニナルカモ
分ラナイト考ヘルノデアリマスガ、私ハ左
樣ニ眞心カラ國民ノ多數ノ家庭ノ者ガ、要
望シテ居ルンダト云フコトヲ御考慮戴キマ
シテ(「ノー〓〓」)色々反對ノ方ガアルカモ
分ラナイガ、其點ハ能ク愼重ニ御考ヲ戴イ
テ、御審議ヲ願ヒタイト考ヘルノデアリマ
ス(「贊成」「反對」ト呼フ者アリ)私共ガ現在
ノ二十歲カラ二十五歲マデ擴張シヨウト致
シマスルノハ、二十五歲マデハ心身共ニ發
達ノ途上ニアル、此大切ナ時期ニ酒精ノ害
カラ避ケシメ、延テハ斯ル慣習カラ遁レシ
メヨウトスル爲デゴザイマス、委員會ニ於
キマシテモ二十五歲マデ云々ノ問題ガゴザ
イマシタガ、二十五歲マデガ心身ガ發達ノ
途上ニアリマスルコトハ、實驗心理學ノ上
カラ見マシテモ、或ハ近來ノ解剖學ヤ組織
學ノ證明スル所デゴザイマシテ、岡田道一
博士ノ〓究ニ依リマシテモ、亦「ミユール
マン」博士ノ筋肉ノ發達ノ調査ニ依ッテモ、
或ハ「ラウベル」〓授ノ骨格發達ノ〓究ニ依ツ
テ見テモ、明ニソレガ證明サレテ居ルノデ
アリマス、二十歲デ男子一人前ノ權利ヲ與
くノ、軍務ノヤウナ重大ナ責任ヲ負ハシテ
置イテ、ソレヲ法律デ權利ヲ剝奪スルト云
フヤウナコトハイケナイ、斯ウ云フコトモ
ゴザイマシタガ、併シ過去ニ於キマシテモ、
一國ノ重大ナ問題ノ爲デアリマスナラバ、
時ニハ與ヘラレタ權利モ制限シ、或ハ剝奪
スルヤウナ場合モ度々アッタト考ヘルノデ
アリマス、私共ハ二十歳ハ一人前ノ男子デ
アル、斯ウ云フコトヲ仰セニナルナラバ、
一面何故ニ選擧權ノヤウナ簡單ナモノヲモ、
モット引下ゲナイカト云フヤウナコトヲモ
考ヘルノデアリマスルガ、其問題ヲ拔キニ
シテ唯二十歲ヲ二十五歲ニ引上ゲルト云フ
コトニ對シテ、反對致シマスル理由ノ點ヲ
考ヘラレナイノデアリマス、二十五歲禁酒
法ノ合理性ト云フモノハ、私共ハ一般禁酒
法ノ合理性如何ニアルト考ヘマス、酒精ヲ濫
用シマスルコトニ依ッテ、其害惡カラ阻止致
シマスルコトハ、勿論個人ノ問題デアリマ
スルガ、一面ソレガ社會問題デアルカドウ
カト云フ點ニ、根本的ナ契機ガアルノデア
リマス、酒ハ生理的ニ有害デアリ、又人ノ
生活ト德性ヲ破ルモノデアル、ダカラ廢止
セネバナラヌト云フノデアリマシテ、個人
ノ節制問題、道德問題ダケデアリマスルナ
ラバ、反對論者モ認メテ居リマスルヤウニ、
或ハ〓化運動ト云フダケデ宜イカモ知レマ
セヌケレドモ、社會福祉ノ問題デアル、更
ニ進ンデハ人類生存、文化一般ノ運命ニ懸
ル所ノ問題デアリマス、酒精ハ個人ノ健康
ト或ハ德性トヲ害スルニ止マラズ、社會大
衆ノ生活ヲ破壞シ、社會的、文化的ナ向上
ヲ妨ゲル一大原因デアルカラデアリマス、
(「ノー〓〓」)私共ハ今日酒ニ重稅ヲ課ケテ
居ルト云フ所以ハ、是ハ單ニ政府ガ財源ヲ
求メルト云フ所以デハナクシテ、ソレヨリ
モ酒精制限ノ意味ガ多分ニ含マレテ居ルノ
デアルト考ヘルノデアリマスルガ、併シ單
ニ經濟的ナサウシタ方法ダケデハ、十分ナ
意味ヲ徹底スルコトガ出來ナイ、吾々ハ社
會的ナ福社、文化一般ノ主眼トスル所ノ社
會正義ノ立場カラ致シマシテ、本案ノ制定
通過ヲ要望致ス者デアリマス、此飮酒ノ惡
癖ヲ矯正シ、此害惡カラ免レシムル色々ノ
方法ガゴザイマセウケレドモ、從來ノ禁酒
法ト云フモノヲ擴大致シマシテ、二十五歲
迄ニ致シマスルコトハ、適當ナル一ツノ方
法デアルト考ヘルノデアリマス、何故カト
云フト、大正十一年未成年者禁酒法ノ實施
以來、其違反者ノ有無調査ヲ見マスルト、
大體ニ遵奉サレテ居ルノデアリマス、而シテ
此慣習ニ染マナイ人ガ多クアル、斯ル事實
カヲ致シマシテ、其慣習ニ染マナイ人々ヲ
シテ、一層染マナイヤウニ致シマスルコト
ハ、本案ノ制定ニ依ッテソレガ可能デアル、
斯ウ云フヤウニ考ヘルノデアリマス、今申
シマスルヤウニ、私共ハ決シテ一箇ノ利害
問題デハナイ、日本國家ノ將來、國民衞生、
特ニ今日ノヤウナ非常時ノ立場カラ致シマ
シテ、ドウシテ見テモ斯ウシタ方法ニ依ツ
テ、是非一國ノ此非常時ヲ突破シテ行カナ
ケレバナラナイ、斯ウシタ衷情ヨリ本案ヲ
提出シテ居ルノデゴザイマスルガ故ニ、何
卒此事ヲ御諒解下サイマシテ、愼重審議ノ
上御贊成アランコトヲ御願スル次第デアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=66
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067・濱田國松
○議長(濱田國松君) 本案ニ對スル質疑ノ
通〓ハアリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=67
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068・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ田中祐四郞君外二
名提出ノ衞生組合法案外四件委員ニ、併セ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=68
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069・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=69
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070・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如タ決シマシタ-日程第
十七、百貨店法案ノ第一讀會ヲ開キマス、
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者中
川觀秀君
第十七百貨店法案(野田文一郞君外
二名提出)第一讀會
百貨店法案
百貨店法
第一條本法ニ於テ百貨店ト稱スルハ命
令ノ定ムル賣場面積ヲ有スル營業所ニ
於テ命令ノ定ムル從業者ヲ使用シ衣〓
住ニ關スル多種類ノ商品ノ小賣業ヲ營
ム者ヲ謂フ
衣食住ニ關セサル物品ヲ小賣スル場合
ト雖前項ノ營業所ニ於テ之ヲ爲ストキ
ハ之ヲ百貨店ノ營業ト看做ス
第二條百貨店ノ業務ヲ營マムトスル者
ハ主務大臣ノ免許ヲ受クヘシ
第三條主務大臣百貨店營業免許ノ申請
ヲ受ケタルトキハ當事者ノ請求ノ有無
ニ拘ラス百貨店開設諮問委員會ヲ開設
シ其ノ答申ヲ求ムルコトヲ得
百貨店開設諸問委員會ニ關スル事項ハ
命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條百貨店ハ左ノ場合ニ於テハ命令
ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受
クヘシ
一支店又ハ出張所ヲ設置セムトスル
トキ
二店舖又ハ賣場ヲ新設、擴張セムト
スルトキ
三出張販賣ヲ爲サムトスルトキ
四無料又ハ割引料金ヲ以テ顧客ニ對
シ交通ノ便宜ヲ與ヘムトスルトキ
五無料配達區域ノ擴張ヲ爲サムトス
ルトキ
六休日規定ノ變更ヲ爲サムトスルト
キ
第五條主務大臣ハ百貨店ニ對シ重要物
產同業組合其ノ他ノ同業組合ニ加入ス
ヘキコトヲ命スルコトヲ得
第六條主務大臣ハ百貨店ノ營業方法カ
公益ニ反シ又ハ一般小賣業者若ハ消費
者ノ公正ナル利益ヲ害スト認ムルトキ
ハ之ヲ制止スル爲必要ナル命令ヲ發ス
ルコトヲ得
第七條主務大臣ハ百貨店使用人保護ノ
爲必要ナル命令ヲ發スルコトヲ得
第八條主務大臣必要アリト認ムルトキ
ハ百貨店ニ對シ其ノ營業若ハ財產ノ狀
況ノ報告ヲ爲サシメ又ハ營業若ハ財產
ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第九條免許ヲ受ケスシテ百貨店ノ業務
ヲ營ミタル者ハ其ノ業務ヲ禁止ス
第十條百貨店主、百貨店ノ業務ヲ營ム
會社ノ取締役、業務ヲ執行スル社員又
ハ〓算人ハ左ノ場合ニ於テハ千圓以下
ノ罰金ニ處ス
一第四條ノ規定ニ違反シタルトキ
二第五條、第六條又ハ第七條ノ規定
ニ依ル主務大臣ノ命令ニ違反シタル
トキ
三正當ノ理由ナクシテ第八條ノ規定
ニ依ル報〓ヲ爲サス若ハ虛僞ノ報告
ヲ爲シタルトキ又ハ同條ノ規定ニ依
ル檢査ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケタルトキ
百貨店主カ未成年者又ハ禁治產者ナル
トキハ前項ニ依リ之ニ適用スヘキ罰則
ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ營業ニ
關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成
年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十一條百貨店主、百貨店ノ業務ヲ營
ム會社ノ取締役、業務ヲ執行スル社員
又ハ〓算人ハ其ノ代理人、戶主、家族、
雇人其ノ他ノ從業者カ其ノ業務ニ關シ
前條ノ罪ヲ犯シタルトキハ自己ノ指揮
ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ル
ルコトヲ得ス
第十二條主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ本法ニ依ル職權ノ一部ヲ地方長官
ニ委任スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
昭和十年一月三十一日ニ於テ現ニ營業ヲ
爲ス百貨店、其ノ支店、出張所、店舗及
賣場ハ本法ニ依リ免許又ハ認可ヲ受ケタ
ルモノト看做ス但シ主務大臣ハ營業繼續
ニ付必要ナル條件ヲ定ムルコトヲ得
昭和十年一月三十一日以前ニ於テ百貨店、
其ノ支店、出張所、店舗及賣場ノ設置ニ
著手シタル者其ノ業務ヲ營マムトスルト
キハ本法ニ依ル免許又ハ認可ノ申請ヲ爲
スコトヲ要ス若免許又ハ認可ヲ受クルコ
トヲ得サル場合ニ於テ百貨店開業ノ準備
ヲ爲シタルコトニ依リ生シタル損害アル
トキハ政府ニ對シ其ノ補償ヲ請求ヌルコ
トヲ得
前項ノ規定ニ依ル補償額決定ノ方法ハ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
〔中川觀秀君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=70
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071・中川觀秀
○中川觀秀君 只今上程サレマシタ百貨店
法案ニ付キマシテ、簡單ニ趣旨ヲ申述ベタ
イト思ヒマス、此百貨店法案ハ一昨年來吾
吾ガ提案致シマシテ、「〓〓、皆樣ノ御協贊ヲ仰
イデ居ルノデアリマスガ、マダ今日マデ是
ガ實現ヲ見ナイノハ甚ダ遺憾デアリマシテ、
重ネテ今囘モ亦提案致シマシタ次第デアリ
マス、御承知ノ如ク農村ノ疲弊困憊ト共ニ、
中小商工業者ガ非常ニ困難致シテ居ル、色
色ソレニハ理由モゴザイマスルガ、其中小
商工業者ガ非常ナ困難ニ陷リマシタ原因ノ
一ツニ、此百貨店ノ非常ナル發達進出ト云
フモノガ、中小商工業者ノ營業ヲ壓迫ヲ致
シマシテ、其結果ガ非常ニ此中小商工業者
ガ困難ヲ致シテ居ルト云フコトハ、皆樣モ
能ク御承知ニナッテ居ルコトデアリ、又御理
解ニナッテ居ルコトデアルノデアリマス、此
中小商工業者ノ疲弊困憊ヲ緩和シマスル意
味ニ於テモ、百貨店ガ其豐富ナル資本ヲ以
チマシテ、有ユル設備ヲシテ、益〓商賣繁昌
ヲヤリマスルト云フコトハ、ソレガ反對ニ
中小商工業者ヲ困ラセルト云フコトニ相成
ルノデアリマス、併ナガラ百貨店モ今日デ
ハ吾々ノ生活上ニ最モ必要ナモノヽ一ツニ
ナッテ居ルノデアリマスカラ、强チ百貨店ヲ
壓迫ヲシ、百貨店ヲ苦シメルト云フヤウナ
意味ニ於キマシテ、此法律ヲ拵ヘヨウト云
フノデハ斷ジテナイノデアリマス、一面中
小商工業者ヲ保護スル意味ニ於キマシテ、
又百貨店其モノヲモ、是ハ保護シテヤラウト
云フ意味ノ法律デアルト云フコトヲ、御諒
解ヲ願ヒタイノデアリマス(拍手)、近頃百
貨店商業組合ニ於キマシテモ、所謂自制案
八箇條ニ依ッテ、自ラ自治的ニ統制ヲ致シテ
居リマスルガ、其統制ガ十分ニ行屆カナイ、
徹底シナイト云フ爲ニ、百貨店自身モ今日
デハ或ハ行詰リヲ生ジ、種々ナル紛擾ヤ苦
情ガ內部ニ起リツヽアルト云フコトモ事實
デアリマス、御承知デゴザイマセウガ、百
貨店ガ昭和八年ニハ三十七軒デアル、ソレ
ガ昨年ハ五十五軒、本年ハモウ六十四店舗
ニ增加致シテ居ルノデアリマス、此六十四
店舗ノ中デ、所謂自治的ニ出來テ居ル百貨
店商業組合ニ加入シテ居ルモノハ、二十六
店舗ニ過ギナイノデアリマシテ、後ノ三十
八ト云フモノハ、是ハ組合ニ加入致シテ居
リマセヌ爲ニ、勝手ニ自由ナ營業振ヲヤッテ
居リマスル爲ニ、此組合ヲ作ッテ居ル百貨
店ハ、此組合ニ加入シナイ百貨店ノ爲ニ統
制ヲ破ラレテ、サウシテ商賣上ニハ非常
ナ迷惑ヲ蒙リ、打擊ヲ受ケテ居ルト云
フコトハ事實デアリマシテ(拍手)百貨店
業者自身ニ於テモ、適當ナ取締法律ガ出來
ルコトヲ希望セラレテ居ルト云フヤウニ、
吾々ハ仄聞致シテ居ルノデアリマス、ノミ
ナラズ商工省當局ニ於テモ、昭和八年ニ百
貨店法ヲ拵ヘヨウト言ッテ居ラレタ當時ニ、
自制案ガ出來マシタ爲ニ、其法律ヲ政府デ
以テ拵ヘルト云フコトヲ見合シタノデア
ル、然ルニ今日ニナッテ見マスルト、色々弊
害ガ現レテ來テ居ル、其弊害ノ中ニハ、商
品劵取締規則デハ、五圓以下ノ商品劵ハ賣
出スコトハ出來ナイト云フコトニナッテ居
リマスルガ、此組合ニ加入シナイ百貨店ナ
ドハ、一圓二圓三圓ト云フヤウナ、小サイ
商品劵ヲ盛ニ出シテ居リマス、是ガ組合ヲ
作ッテ居ル百貨店ナドニハ、非常ナ影響ヲ與
ヘテ居ルト云フコトモ事實デアリマス、是
等ハヤハリ相當ニ之ヲ取締ラセル、監督ヲ
スル、統制ヲ加ヘルト云フコトガ必要デア
リマス、ト同時ニ又組合ニ入ッテ居ナイ百貨
店デハ盛ニ所謂大安賣、大投賣ト云フ工合
デ、盛ニ新聞ナドニモ廣告シマシテ、サウ
シテヤッテ居ルノガ、小サイ小賣商人等ヲ壓
迫スルト云フコトハ多大ノモノデアリマ
ス、是等モドウシテモ統制アル一ツノ法律
ヲ拵ヘテ、其下ニ十分ニ取締ッテ行クト云フ
コトガ必要ナノデアリマス、吾々ハ此百貨
店法案ノ第五條ニ組合ニ加入スルコトヲ命
ズルトカ、或ハ「百貨店ノ營業方法カ公益
ニ反シ又ハ一般小賣業者若ハ消費者ノ公正
ナル利益ヲ害スト認ムルトキハ之ヲ制止ス
ル爲必要ナル命令ヲ發スルコトヲ得」斯ウ
云フ風ニ規定ヲ致シテ、法制ノ下ニ之ヲ取
締ッテ參リマスナラバ、只今申上ゲマスルヤ
ウナ百貨店自身ノ內部的ノ混亂モ、之ヲ防
グコトガ出來得ルノデアリマス、隨テ中小
商工業者ニ對スル壓迫等モ除カレ得ルノデ
アリマス、聞ク所ニ依リマスト、商工省當
局デハ、商業組合法ノ第九條ニ基イテ、組
合ニ加入ノコトヲ命ズルト云フヤウナ意嚮
ヲ以テ、今日ハ進ンデ居ラレルト云フコト
ヲ聽キマスノデ、吾々ガ此百貨店法ヲ議會
ニ提案致シマシテ、之ヲ法制化スルト云フ
コトノ益〓必要デアルト云フコトガ、商工當
局ニ於テモ認メラレテ來タト云フコトヲ、
非常ニ喜ンデ居ル次第デアリマス(拍手)中
小商工業者保護竝ニ百貨店自身ノ營業ヲ擁
護シテヤル意味ニ於キマシテモ、此百貨店
法ガ實現致シマスルコトガ、最モ必要ト考
ヘルノデアリマス、ドウゾ皆樣ノ深厚ナル
御同情ノ下ニ御協贊ヲ與ヘラレマシテ、是
ガ實現ヲ期待致シタイ次第デアリマス、簡
單デアリマスガ、是デ說明ヲ終リマス(拍
手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=71
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072・濱田國松
○議長(濱田國松君) 本案ニ對スル質疑ノ
通〓ハアリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=72
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073・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ東武君外三名提
出、度量衡法中改正法律案外二件委員ニ、
併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=73
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074・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=74
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075・濱田國松
○議長(濱由國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=75
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076・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本
日ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=76
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077・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ」発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=77
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078・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會ノ議
事日程ハ公報ヲ以テ御通〓致シマス、本日
ハ是ニテ散會致シマス
午後二時四十八分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01619350219&spkNum=78
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