1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和十年三月二日(土曜日)
午後二時十分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第二十號
昭和十年三月二日
午後一時開議
第一 朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 札幌軌道株式會社及矢作水力株式會社所屬軌道の經營廢止に對する補償の爲公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第三 宮崎縣營鐵道及軌道竝に大隅鐵道株式會社所屬鐵道買收の爲公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第四 自動車交通事業法中改正法律案(吉川吉郎兵衞君外七名提出) 第一讀會
第五 舊獨逸膠州租借地還付に關する條約實施に伴ふ損失の補償に關する法律案(久山知之君外二名提出) 第一讀會
第六 五大都市に特別市制實施に關する法律案(中井一夫君外四名提出) 第一讀會
第七 五大都市に特別市制實施に關する法律案(小山松壽君外六名提出) 第一讀會
第八 百貨店法案(眞鍋儀十君外三名提出) 第一讀會
第九 百貨店法案(三上英雄君外一名提出) 第一讀會
第十 傷痍軍人及戰公傷病死者遺族等の鐵道船舶等乘車船優遇に關する法律案(吉川吉郎兵衞君外四名提出) 第一讀會
第十一 大正九年法律第五十六號中改正法律案(北海道拓殖鐵道補助に關する件)(東武君外五名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十二 大正九年法律第五十六號中改正法律案(北海道拓殖鐵道補助に關する件)(山本厚三君外四名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 登録税法中改正法律案(金光庸夫君外三名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 刑事判決宣告猶豫に關する法律案(一松定吉君外三名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十五 小作調停法中改正法律案(藤田若水君外四名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 衞生組合法案(田中祐四郎君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 衞生組合法案(鷲野米太郎君外五名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十八 衞生組合法案(野田文一郎君外一名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十九 傳染病豫防法中改正法律案(田中祐四郎君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十 傳染病豫防法中改正法律案(鷲野米太郎君外五名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十一 産師法案(土屋清三郎君外三名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十二 産師法案(野方次郎君外四名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十三 産師法案(山道襄一君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━
〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
朝鮮事業公債法中改正法律案
札幌軌道株式會社及矢作水力株式會社所屬軌道の經營廢止に對する補償の爲公債發行に關する法律案
宮崎縣營鐵道及軌道竝に大隅鐵道株式會社所屬鐵道買收の爲公債發行に關する法律案
(以上三月一日提出)
一議員より提出せられたる議案左の如し
畜産組合法中改正法律案
提出者
高田耘平君 多田滿長君
三善信房君 大石倫治君
河野一郎君
公證人法中改正法律案
提出者
一松定吉君 藤田若水君
谷原公君 作田高太郎君
手代木隆吉君 竹田儀一君
中山福藏君 濱野徹太郎君
内藤正剛君
五大都市に特別市制實施に關する法律案
提出者
小山松壽君 本田彌市郎君
川橋豊治郎君 松永東君
中亥歳男君 三宅磐君
吉川吉郎兵衞君
傷痍軍人及戰公傷病死者遺族等の鐵道船舶等乘車船優遇に關する法律案
提出者
吉川吉郎兵衞君 田中武雄君
川橋豊治郎君 川淵洽馬君
原吉郎君
臨時地方財政補整金法案
提出者
前田米藏君 中島知久平君
堀切善兵衞君 田子一民君
山本条太郎君 倉元要一君
岩崎幸治郎君 久原房之助君
島田俊雄君 松野鶴平君
花城永渡君 安藤正純君
東武君 高橋熊次郎君
高見之通君 加藤久米四郎君
山口義一君 岡田忠彦君
河上哲太君 野田俊作君
金光庸夫君 若宮貞夫君
野田文一郎君 風見章君
加藤鯛一君 中村繼男君
小山谷藏君 岸衞君
伊禮肇君 高橋壽太郎君
清瀬一郎君
昭和八年法律案第五十三號辯護士法中改正法律案
提出者
宮澤清作君 梅村大君
小島智善君 熊谷直太君
村松久義君
皇紀二千六百年記念圖書館建設に關する建議案
提出者
眞鍋勝君 青木亮貫君
田中祐四郎君
大牟田港修築促進に關する建議案
提出者
野田俊作君 貝谷眞孜君
大牟田驛三池港間臨港線促成に關する建議案
提出者
野田俊作君 貝谷眞孜君
北海道に航空隊設置に關する建議案
提出者
田中喜代松君 林路一君
東武君
北海道中部に鐵道局増設に關する建議案
提出者
田中喜代松君 林路一君
東武君
雪國地帯の鐵道敷設速成に關する建議案
提出者 八田宗吉君
野岩羽鐵道速成に關する建議案
提出者
八田宗吉君 佐藤洋之助君
船田中君 戸田虎雄君
湖南鐵道敷設に關する建議案
提出者 八田宗吉君
柳津野澤間及坂下喜多方間鐵道敷設に關する建議案
提出者 八田宗吉君
磐梯山猪苗代湖を中心とする國立公園指定に關する建議案
提出者 八田宗吉君
(以上二月二十八日提出)
一去二十八日岡田内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
外務省歐亞局長 東郷茂徳
第六十七囘帝國議會外務省所管事務政府委員被仰付
一去二十八日衆議院規則第十五條但書に依り議長に於て議席を左の通變更せり
三二九 宮川一貫君
四二八 志賀和多利君
一去二十八日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第三部選出請願委員 栗原彦三郎君
一去二十八日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
借地借家調停法中改正法律案(藤田若水君外四名提出)外六件委員
理事 内藤正剛君(理事中山福藏君昨二十七日委員辭任に付其の補闕)
一去二十八日議長に於て選定したる委員左の如し
市町村立尋常小學校費臨時國庫補助法中改正法律案(政府提出)委員
川口義久君 坂本一角君
竹内友治郎君 佐々木家壽治君
戸田虎雄君 土倉宗明君
宮本雄一郎君 磯部清吉君
星島二郎君 山下谷次君
木村正義君 豐田豐吉君
猪股謙二郎君 眞鍋勝君
原淳一郎君 末松偕一郎君
森峰一君 塩月學君
府縣制中改正法律案(政府提出)外三件委員
東郷實君 川口義久君
鈴木辰三郎君 箸本太吉君
大野伴睦君 中野種一郎君
渡邊伍君 木村正義君
三上英雄君 松尾孝之君
大本貞太郎君 内ヶ崎作三郎君
勝田永吉君 齋藤隆夫君
土屋清三郎君 作田高太郎君
福田虎龜君 松谷與二郎君
産繭處理統制法案(政府提出)外二件委員
大口喜六君 横川重次君
今井健彦君 佐藤洋之助君
篠原義政君 田邊七六君
菅野善右衞門君 助川啓四郎君
有馬淺雄君 加藤知正君
近藤壽市郎君 生田和平君
山村豐次郎君 中野猛雄君
綾部健太郎君 水島彦一郎君
多田滿長君 平川松太郎君
田中貢君 西村丹治郎君
齋藤直橘君 林平馬君
百瀬渡君 飯塚春太郎君
鷲澤與四二君 鈴木正吾君
杉山元治郎君
一去二十八日に於ける特別委員の異動左の如し
政府貸付金處理に關する法律案(政府提出)委員
辭任 中村繼男君 補闕 岸衞君
辭任 松田竹千代君 補闕 平川松太郎君
借地借家調停法中改正法律案(藤田若水君外四名提出)外六件委員
辭任 竹下文隆君 補闕 牧野賤男君
衞生組合法案(田中祐四郎君外二名提出)外四件委員
辭任 尾崎天風君 補闕 丸山浪彌君
一昨一日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第三部選出
請願委員 伊禮肇君(栗原彦三郎君補闕)
一昨一日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第一部選出豫算委員 東武君
一昨一日委員長及理事互選の結果左の如し
市町村立尋常小學校費臨時國庫補助法中改正法律案(政府提出)委員
委員長 川口義久君
理事
土倉宗明君 木村正義君
眞鍋勝君
府縣制中改正法律案(政府提出)外三件委員
委員長 東郷實君
理事
箸本太吉君 中野種一郎君
作田高太郎君
産繭處理統制法案(政府提出)外二件委員
委員長 大口喜六君
理事
加藤知正君 菅野善右衞門君
篠原義政君 多田滿長君
齋藤直橘君 鷲澤與四二君
一昨一日に於ける特別委員の異動左の如し
府縣制中改正法律案(政府提出)外三件委員
辭任 川口義久君 補闕 船田中君
營業收益税法中改正法律案(中谷貞頼君外二名提出)委員
辭任 田村實君 補闕 小林絹治君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=0
-
001・濱田國松
○議長(濱田國松君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、此際御諮リ致スコトガアリマス、文學
博士坪內雄藏君ハ去ル二十八日逝去セラレ
マシタ、諸君御承知ノ如ク、博士ハ學藝界
ノ先覺者デアリマシテ、我國文化ノ發達ニ
貢獻セラレマシタコトハ實ニ多大デアリマ
ス(「ヒヤ〓〓」)今博士逝去ノ報ニ接シマシ
テ、洵ニ痛惜哀悼ノ至リニ堪ヘマセヌ、就
キマシテハ本院ハ院議ヲ以テ弔辭ヲ贈呈致
シタイト存ジマス、尙ホ其文案ハ議長ニ一
任セラレンコトヲ望ミマス-此際發言ノ
通〓ガアリマス、順次之ヲ許シマス-安
藤正純君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=1
-
002・安藤正純
○安藤正純君 簡單デアリマスカラ自席デ
御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=2
-
003・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=3
-
004・安藤正純
○安藤正純君 坪內博士ハ、我國近代文學
ノ指導者トモ言フベキ地位ニ在ッタ人デア
リマシテ、明治、大正、昭和ノ三代ニ亙リ
マシテ、日本ノ文學竝ニ演劇ヲ通ジテ、近代
精神ヲ發揮シ、獨リ國內ノミナラズ、世界
的文豪トシテ仰ガレタコトハ、天下周知ノ
事實デゴザイマス(拍手)特ニ翁ガ晩年ノ三
大業績トモ稱スベキモノハ、半生ノ心血ヲ
注イダ所ノ「シエクスピア」全集四十卷ノ飜
譯ヲ完成致シマシタコト、東洋唯一ノ演劇
博物館ヲ創立セラレマシタコト、竝ニ財團
法人國劇向上會ヲ設立シテ、全財產ヲ投ゼ
ラレタコトデゴザイマス(拍手)尙ホ明治ノ
中葉ニ當リマシテ、歐化熱ト國粹論トガ衝
突ヲ致シマシテ、國民ノ思想ガ亂麻ノ如ク
ナレルヲ深ク慷慨セラレ、和漢洋ノ三文學
ノ調和ヲ圖リ、國民思想ノ健全ト統一
トニ努力ヲセラレマシテ、是ガ爲ニ或ハ
學園ヲ創立シ、或ハ幾多ノ著述ヲ刊行
セラレ、以テ知識偏重〓育ニナッテ居リマ
スル其當時ノ弊風ヲ矯正セラレマシテ、知
識〓育ノ外、情操〓育ノ唱道、道德〓育ノ
鼓吹ト云フコトニ盡力ヲセラレ、引續イテ
長ク是ガ爲ニ努力ヲセラレマシタ翁ノ〓育
上及ビ思想上ノ功績ト云フモノハ、翁ノ文
學藝術ニ對スル偉動ニ劣ラザルモノガアル
ト信ズルノデアリマス(拍手)而モ身ヲ持ス
ルコト謹嚴、死ニ至ル迄筆ヲ放タズ、指導
ヲ怠ラズ、高潔ノ人格ヲ以テ一世ノ師表ト
ナッタコトハ、全ク軍界ニ於ケル乃木將軍ノ
人格ト等シキモノガアルト存ジマス(拍手)
言フ迄モナク國家ニ對スル勳功ト云フモノ
ハ、文武兩面ニアルコトハ申上ゲル迄モゴ
ザイマセヌ(拍手)今ヤ世界的文豪トシ、我
國ノ文學思想方面ヲ指導セラレタル所ノ坪
內博士ノ逝去ニ會シマシテ、哀悼措ク能ハ
ズ、衆議院ガ弔詞ヲ呈スルト云フコトハ、
私共ノ感激ニ堪ヘザル所デゴザイマス拍
手)謹デ玆ニ我黨ヲ代表シテ弔意ヲ表シ、
御提案ニ對シテ贊成ヲ表スル次第デゴザイ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=4
-
005・濱田國松
○議長(濱田國松君) 內ケ崎作三郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=5
-
006・内ヶ崎作三郎
○內ケ崎作三郞君 自席ニ於テ發言スル御
許シヲ得タイノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=6
-
007・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=7
-
008・内ヶ崎作三郎
○內ケ崎作三郞君 明治、大正、昭和ノ三
聖代、約七十年間ノ歷史ヲ顧ミマスルニ、
國威ノ發揚、國防ノ充實、經濟ノ仲展、〓
育ノ普及、科學ノ進步等、洵ニ驚クベキモ
ノガアリマス、同時ニ文學、藝術ノ興隆モ
亦顯著ニシテ、輝カシキ黃金時代ヲ現シテ
居ルノデアリマス、比較的短日月ノ間ニ、
斯ル成果ヲ齎シ得タルハ、他ノ諸方面ト等
シク、斯道ノ爲ニ活動シタル多クノ先覺者
ノ貢獻ニ依ルコトハ申ス迄モアリマセヌ
ガ、只今議題ニ上ッテ居リマスル逍遙坪内
雄藏君ノ寄與ノ甚ダ大ナルコトヲ認メザル
ヲ得ナイノデアリマス(拍手)其五十年ニ亙
レル〓育事業、其和漢洋ヲ包含シタル滋味
豐カナル學風、其名利ニ恬淡トシテ、終始
一貫藝術ニ精進シタル努力、卽チ新興小說
ノ先驅トナリ、又劇界刷新ノ中心トナリタ
ル意義アル勵精、特ニ世界的文豪「シエクス
ピア」全集ノ、金玉ノ名句ニ富ム邦語譯ノ
完成、其記念トシテ設立セラレタル演劇
博物館ノ施設、財團法人國劇向上會及ビ日
本「シエクスピア」協會ノ創立等、算ヘ來レ
バ、其赫々タル功績ハ指ヲ屈スルニ遑ガナ
イノデアリマス(拍手)七十七歲ヲ一期トシ
テ、永ヘニ眠リニ入ッタル此文豪ノ一生ハ、
現代文藝復興ノ一大金字塔ノ如ク吾人ノ眼
ニ映ズルノデアリマス(拍手)吾人ハ君國ノ
運命ヲ雙肩ニ荷ヒテ奮鬪シタル政治、國
阪財政、科學ノ巨人ニ感謝スルト共ニ、
國民ノ情操ヲ陶冶シ、其文化ノ內容ヲ豐富
ニシタル偉人ニ對シテモ、同ジク感謝スル
コトヲ當然ナリト考ヘマス(拍手)今ヤ此文
豪ノ軀ハ、靜ニ相模灣頭、梅花薰ズル邊ニ
橫ッテ居ルノデアリマス、然レドモ嘗テ其親
ノ如キ慈愛ノ指導ヲ受ケタル者、其名著傑
作ニ依ッテ深甚ナル感動ヲ蒙リタル者、其劇
ヲ鑑賞シテ藝術ノ極致ヲ悟リシ者、又ハ間
接ニ其高風〓節ヲ仰イデ憧憬ノ情ヲ寄セタ
ル者、皆聲ヲ呑ミ、悵然トシテ文豪ノ長逝
ヲ悲ミツヽアルノデアリマス(拍手)否、其
死ハ世界各國ノ文壇ニ於テ哀惜セラレツヽ
アルノデアリマス、彼ハ今更藝術ノ本尊ノ
如ク、又趣味ノ源泉ノ如ク、社會大衆ヨリ
敬慕セラレツヽアルノデアリマス、國民ト
其指導者トノ間ノ此美ハシキ情〓ノ發露
ハ、正ニ現代ニ於ケル一〓凉劑タルヲ失ハ
ナイノデアリマス(拍手)由來我國ハ武士道
ノ〓土タルト共ニ文藝ノ故〓デアリマス、
我ガ海陸ノ精銳ハ、能ク帝國ヲ守護シ、東
亞ノ平和ヲ維持シツヽアルノデアリマス、
而シテ他面長キ傳統ヲ有スル文學藝術ハ、
過去ノ如何ナル時代ニ比スルモ、遜色ナイ
幾多ノ作品ヲ誇ッテ居ルノデアリマス、果
セル哉世界各國ハ、漸ク我國文化ノ〓究ニ
熱心ナル態度ヲ示スニ至ッタノデアリマス、
彼等ハ我國ノ力ヲ認メルト共ニ、心ヲモ
知ラントスルニ至ッタノデアリマス、實ニ欣
快ノ事デアリマス(拍手)本院ガ此際、故逍
遙坪內雄藏君ニ、院議ヲ以テ弔意ヲ表スル
ハ、偶〓我國文化ノ本質ノ一面ヲ中外ニ宜
揚スル手段ナリト信ジマス、誠ニ適切ナル
擧トシテ、滿腔ノ誠意ヲ以テ、我黨ヲ代表
シテ之ニ贊成スル所以デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=8
-
009・濱田國松
○議長(濱田國松君) 岸衞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=9
-
010・岸衞
○岸衞君 簡單デアリマスルカラ、自席ヨ
リノ發言ヲ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=10
-
011・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=11
-
012・岸衞
○岸衞君 故坪内先生ガ、明治、大正、昭
和ノ三代ヲ通ジマシテ、日本文化ニ貢獻致
シマシタルコトハ、洵ニ甚大ナルモノガア
リマスルコトハ、旣ニ安藤、內ケ崎兩君ヨ
リ述ベラレマシタル通リデアリマシテ、本
邦文藝界ニ於キマスル所ノ元勳デアルコト
ハ、誰モ異論ノナイ所デアリマス、既ニ兩
君ヨリ詳細ニ先生ノ御高德ヲ述べラレマシ
タルガ故ニ、私ハ之ヲ省略ヲ致シマスルガ、
斯ル世界的文豪ニ對シマシテ、院議ヲ以チ
マシテ厚ク弔意ヲ表シマスルコトハ、定之
當然ノコトヽ存ジマシテ、玆ニ吾々同志一
同ヲ代表致シマシテ衷心ヨリ、敬虔ノ念ヲ
以テ此動議ニ贊意ヲ表スル次第デアリマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=12
-
013・濱田國松
○議長(濱田國松君) 議長ノ發議ニ對シテ
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=13
-
014・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ玆ニ議長ノ手許ニ於テ起草シタル
文案ヲ朗讀致シマス
衆議院ハ我カ國文化ノ發達ニ貢獻セラレ
タル文學博士坪內雄藏君ノ長逝ヲ哀悼シ
恭シク弔詞ヲ呈ス
〔拍手起ル〕
此弔詞ノ贈呈方ハ議長ニ於テ取計ヒヲ致シ
マス-是ヨリ日程ニ入リマス、日程第一、
朝鮮事業公債法中改正法律案ノ第一讀會ヲ
開キマス-兒玉拓務大臣
第朝鮮事業公債法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
朝鮮事業公債法中改正法律案
朝鮮事業公債法中左ノ通改正ス
第一條中「六億六百二十万圓」ヲ「六億千
五百八十万圓」ニ改ム
附則
本法ハ昭和十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣伯爵兒玉秀雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=14
-
015・兒玉秀雄
○國務大臣(伯爵兒玉秀雄君) 只今議題ト
相成リマシタ朝鮮事業公債法中改正法律案
ノ提出ノ理由ヲ說明致シマス、朝鮮總督府
特別會計ニ於キマシテハ、昭和十年度以降
五年間ノ繼續事業ト致シマシテ、鐵道ノ建
設及改良ノ追加工事ヲ施行スルノ豫定デア
リマシテ、其總額九百五十五万圓ヲ、朝鮮
事業公債法ノ法定額ニ追加致シマシテ、合
計六億一千五百八十万圓ニ增加セントスル
爲ニ本法律案ヲ提出致シマシタル次第デア
リマス、何卒御審議ノ上ニ協贊ヲ與ヘラレ
ンコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=15
-
016・濱田國松
○議長(濱田國松君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=16
-
017・青木雷三郎
○青木雷三郞君 本案ハ議長指名九名ノ委
員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=17
-
018・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=18
-
019・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
二及第三ハ同種ノ議案デアリマスカラ、
括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=19
-
020・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第二、札幌軌道株式會社及矢
作水力株式會社所屬軌道ノ經營廢止ニ對ス
ル補償ノ爲公債發行ニ關スル法律案、日程
第三、宮崎縣營鐵道及軌道竝ニ大隅鐵道株
式會社所屬鐵道買收ノ爲公債發行ニ關スル
法律案、以上二案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開
キマス-內田鐵道大臣
第二札幌軌道株式會社及矢作水力株
式會社所屬軌道ノ經營廢止ニ對スル
補償ノ爲公債發行ニ關スル法律案(政
府提出)第一讀會
第三宮崎縣營鐵道及軌道竝ニ大隅鐵
道株式會社所屬鐵道買收ノ爲公債發
行ニ關スル法律案(政府提出〕
第一讀會
札幌軌道株式會社及矢作水力株式會社
所屬軌道ノ經營廢止ニ對スル補償ノ爲
公債發行ニ關スル法律案
政府ハ左ノ軌道ノ經營廢止ニ關スル補償
ノ爲之ニ必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ發
行スルコトヲ得
一札幌軌道株式會社所屬軌道
一矢作水力株式會社所屬軌道
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
宮崎縣營鐵道及軌道竝ニ大隅鐵道株式
會社所屬鐵道買收ノ爲公債發行ニ關ス
ル法律案
政府ハ左ノ鐵道及軌道買收ノ爲之ニ必要
ナル額ヲ限度トシ公債ヲ發行スルコトヲ
得
一宮崎縣營鐵道及軌道
一大隅鐵道株式會社所屬鐵道
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣內田信也君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=20
-
021・内田信也
○國務大臣(内田信也君) 只今上程ニナリ
マシタ二法律案ノ提案理由ヲ簡單ニ申上ゲ
マス、今囘提案致シマシタ事項ハ、軌道ノ
營業廢止補償ト、地方鐵道及軌道ノ買收ノ
爲公債發行ニ關スルモノデゴザイマス、先
ヅ軌道ノ營業廢止補償ニ付テ申上ゲマスト、
補償致サントスル軌道ハ、北海道ニ於ケル
札幌軌道及岐阜縣ニ於ケル矢作水力株式會
社經營ノ軌道デゴザイマス、是等ハ何レモ
是ト接近竝行シテ國有鐵道ヲ敷設致シマシ
タ結果、其影響ヲ受ケマシテ、營業ヲ繼續
スルコトガ出來ナクナリマシタノデ、今囘
其營業廢止ニ依ッテ生ズル損害ヲ補償セン
ト致ス次第デゴザイマス
次ハ地方鐵道及軌道ノ買收デゴザイマス
ガ、買收セントスル鐵道及軌道ハ、宮崎縣ニ
於ケル宮崎縣營鐵道及軌道ト、鹿兒島縣ニ
於ケル大隅鐵道トデゴザイマス、是等ハ何
レモ建設工事ノ進捗上、買收ヲ必要トスル
モノデゴザイマス、何卒御協贊ヲ與ヘラレ
ンコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=21
-
022・濱田國松
○議長(濱田國松君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-永田良吉君
〔永田良吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=22
-
023・永田良吉
○永田良吉君 只今御提案ニナリマシタ第
三ノ地方鐵道買收法律案ノ中、私ハ大隅ニ
關係ノアル大隅鐵道買收ノ件ニ付キマシテ、
至極簡單ナ質問ヲ致シタイト思フノデアリ
マス、大隅國ハ從來國鐵ノ恩惠ニハ少シモ
浴シテ居ナカッタノデアリマス、日本ノ百二
十二ノ選擧區ノ中ニ、吾々第三區ハ百六十
方里モアルノデアリマシテ、香川縣ヨリカ
ズット大キイ、サウ云フ大キナ選擧區ニ對シ
六未ダ國鐵ノ一寸モナカッタ、ソレガ漸ク
今囘先ヅ實現サレルヤウニナッタコトハ、國
家ノ爲ニ同慶ニ堪ヘヌ次第デアリマス、ケ
レドモ唯私ハ、此鐵道ノ買收ニ付テ鐵道當
局ノ方ニ少シ御尋シテ置カンケレバナラヌ
從來ノ歷史ヲ知ッテ居ルノデアリマス、ソレ
ニ付テ御尋シテ置キタイト思フノデアリマ
ス、丁度今カラ二十一年ノ昔、櫻島ノ大噴
火ガアリマシタ、アノ際ニ吾々此地方ノ
者ガ、如何ニ政府ニ縋ッテモ鐵道ヲ通シテ吳
レナイカラ、先ヅ唐諸一俵デモ賣ッテ鐵道ヲ
建設シヨウデハナイカト云フ譯デ、オ互ハ
些少ナガラ株ヲ一ツ持チ二ツ持チシテ、大
隅鐵道ハ今カラ二十一年前ニ、オ互ノ地方
民ガヤッタノデアリマス、隨テ此株ノ持主ハ
決シテ他ノ地方ノ資本家デアルトカ、サウ
云フモノヽ株ノ持主デハナカッタノデアリ
やく、全部地方ノ村長、村會議員、有志等
ヲ以テヤッテ居ッタノデアリマス、然ルニ今
回是ガ買收ニ當ッテ、先ヅ政府當局ハ、此買
收基礎ノ單價ヲドウ云フ風ニ立ッテ居ラレ
ルカ、之ニ付テ私ハ御尋シタイノデアリマ
ス、承リマスト現在ノ株主ハ、或ハ地方ノ
有志等ガ段々地方ノ疲弊ニ堪ヘズ、或ハ
二ノ有力ナ人ニ集メラレテ居ル傾向モアリ
マスケレドモ、是等ヲ地方ノ元ノ動
機ヲ察セズシテ、單ニ之ヲ資本家デア
ルト云フヤウナ見解ヲ以テ、政府ガ買收サ
レマシタ場合ハ、非常ニ地方ノ株主ガ迷惑
ヲスルノデアリマス、又モウ一ツ申上ゲテ
置キタイコトハ、此鐵道ヲ今囘國鐵ガ建設
ヲサレル場合、ドウ云フ方面ニ線路ヲ新シ
ク敷設セラレルカ、之ニ付テモ御尋シタイ
ノデアリマスガ、尙ホ此鐵道ヲ建設スル際
ニ於テ、株主バカリデハナイ、吾々地方ノ者
ハ、其當時鐵道ノ敷地ヲ極ク安イ地租-地
價金ノ三倍ト云フ値ヲ以テ私設鐵道ノ買收
ニ應ジタ、地價金三倍ト申上ゲマスト、
私共ノ地方デ先ヅ田地ガ一反當リ僅カ五六
圓デアル、畑地ガ一反當リ二圓ト云フヤウ
十、全國ニ類ノナイヤウナ安イ値ヲ以テ、
私設鐵道ノ買收ニ敷地ヲ提供シタノデアリ
マス、或ハ家ヲ移轉シタノモ、或ハ水田ガ
二ツ三ツニ割レタモノモアリマスガ、サウ
云フ苦痛ヲ忍ンデ、吾々地方民ハ私設鐵道
會社ノ買收ニ應ジタノデアリマス、サウ云
フ犧牲ヲ拂ッタ地方ノ有志、農民ニ對シテ、
今囘線路ヲ承リマスト、從來ノ線路ニハ多
少據ラヌ點ガアル、是ガ私ハ甚ダ地方トシ
テ迷惑ヲ感ズル譯デアリマス、オ互ガ土地
ヲ安ク寄附シタト云フノハ、又苦シイナガ
ラ藷ヲ賣ッテ株ヲ持ッタト云フノハ、將來私
設鐵道ガヤッテ居ル線路ニ沿ウテ、國鐵ガ敷
設セラレルト云フコトヲ期待シテ、櫻島噴火
ノ二十年前ニ此鐵道ハ建設ニ地方民ガ熱
ヲ以テ當ッタノデアリマス、所ガ最近承リマ
スト、此私設鐵道ガ建設當時ノ事情ト現在
トハ非常ナル相違ガアルノデアリマス、現
在ハ御覽ノ通リ鐵道省モヤッテ居ラレマス
ガ、地方ニモ非常ニ自動車ガ跋扈ヲシテ居
ル、其爲ニ此地方ハ自動車ト競爭シテ、負
ケサウナ貧弱ナ狀態ニアルノデアリマス、
ソレガ爲ニ此鐵道ハ年々缺損ヲ來シテ居ル、
サウシテ缺損ヲ致シテ居ルヤウナ貧弱ナ鐵
道デアルカラ、鐵道省ハ之ヲ買殺スト云フ
ヤウナコトガアリハシナイカ、之ヲオ互ハ
心配シテ居ルノデアリマス、元々二十年前
ニ於テハ立派ナ嫁サンデアッタノデス、モウ
其孫ガ生レル年ニナッテ、今頃ニナッテ鐵道
省ニ嫌ナコトヲ言ウテ貰ッテハ、非常ニ地方
ノ者ガ迷惑ヲ致シマスカラ、何卒多少ノ缺
損ハアッタニシテモ、從來ノ行掛リヲ能ク御
考慮ノ上、本鐵道ヲ買收セラレルヤウニ考
慮ヲ御願シタノデアリマスガ、之ニ對シテ
鐵道當局ハ、ドウ考慮ヲ拂ッテ居ラレマス
カ、此點ヲ質問シテ置キタイト思フノデア
リマス、尙ホ本鐵道ノ迂廻ノ狀態ニ於テ、
一番南ニ寄ッテ居ル所ニハ、我國ノ一番大事
ナ吾平山陵ト云フ御陵ガアルノデアリマス、
御陵ニ對シテハ或ハ參宮鐵道デアルトカ、
色々ナ事モ各地ニ於キマシテ行ハレテ居ル
ノデアリマスガ、斯ウ云フ日本ノ國ノ大事
ナ御陵ノ在ル所デアリマスカラ、多少位ハ
迂廻シテモ、從來ノ線路通リニ建設サレン
コトヲ希望スル次第デアリマス、尙又停車
場等ニ於テモ、承リマスト多少廢止ニナリハ
セヌカト云フコトヲ聞イテ、オ互ハ非常ナ
心配ヲ致シテ居ルノデアリマスガ、是等モ
何卒從來ノ停車場ノ在ル所ニハ、必ズ國ト
シテモヤッテ戴キタイ、私設鐵道ガヤッタ位
ノ事ヲ、國ガヤラヌト云フコトハ不公平ト
思ヒマスカラ、サウ云フ點ニ付テモ御配慮
ヲ御願シタイノデアリマス、尙又本年ハ大
隅ニ於キマシテ大演習ガ行ハレルト云フコ
トヲ聞イテ居ルノデアリマス、又海軍ノ航
空隊等モ建設セラレマシタカラ、之ニ對シ
テモ鐵道ノ建設ハ急グ必要ガアルト思ヒマ
ス、尙ホ是ハ鹿兒島トノ關係ノ連絡モアリ
マスカラ、是ガ延長速成等ニ對シテ、當局
ハドウ云フ事ヲ思ッテ居ラレルカ、是モ簡單
ニ御伺致シテ置キタイト思ヒマス
尙ホ最後ニ私ハ、現在ノ社員ハ永イ間此
鐵道ノ事務ニ從事シテ居リマシテ、殆ド月
給モ渡ラズニ永イ間苦ンデ參ッタノデアリ
マスカラ、是等モ今囘買收ノ際ニハ、舊社
員モ或ハ國鐵ノ社員等ニ轉化シテ、優遇シ
テ戴クヤウニ御願シタイト思ヒマスガ、是
等ニ付テハ如何ナル考慮ヲ拂ッテ居ラレル
カ、此點ヲ御尋シテ置キタイト思ヒマス、
至極簡單デアリマスガ、之ヲ以テ私ノ質問
ヲ終リマス(拍手)
〔國務大臣內田信也君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=23
-
024・内田信也
○國務大臣(內田信也君) 只今永田君ヨリ
御質問ノ、大隅鐵道買收ニ關スル件ニ付テ
御答致シマス、買收價格ニ付キマシテハ、
委員會ニ於テ詳細申述ベマスガ、地方鐵道
法ニ依リマシテ、益金五分以內ノ時ハ、御
承知ノ通リ建設費以內デ協定スルコトニナッ
テ居リマシテ、尙ホ鐵道省ノ慣例ト致シマ
シテ、益金ノ還元額ト建設費トノ折半、卽
チ損失ノ場合ニ於テハ益金ノ還元額ガ赤デ
「マイナス」デスカラ、卽チ還元額ガ零トナ
リマスカラ、益金ノ還元額ト建設費トヲ寄
セテ二デ割ッタト云フコトハ、建設費ト零ヲ
寄セテ二デ割ルコトニナル、卽チ建設費ヲ
二デ割ルコト、卽チ建設費ノ半額ト云フコ
トニナリマシテ、其方法ニ付キマシテハ會
社ト協定濟デアリマスガ、然ラバ建設費ガ
ドノ位ニナルカ、營業ノ內容ガドウナルカ
ト云フコトハ、是ハ今後ノ問題ニ殘サレテ
居リマスカラ、數字ノ點ハ只今明ニ申上ゲ
ルコトハ出來ナイノデアリマス、尙ホ線路
ニ付テ、從來大隅鐵道ヲ敷設シタ時ニハ、
安ク地方民ガ賣ッテ損ヲシテ居ルノダカラ、
ソレヲ能ク考慮シテ、大體大隅鐵道ノ現在
ノ線路ヲ尊重シロト云フ御言葉デアリマシ
タガ、御尤デゴザイマス、ソレデ鐵道ト致
シマシテハ大體從來ノ線路、卽チ現今敷イ
テアル所ノ大隅鐵道ノ線路ヲ通ルコトニ
ナッテ居リマス、固ヨリ線路ノコトデゴザイ
マスカラ、一寸デモ外レテハイカヌト云フ、
嚴格ナ譯ニ參リマセヌケレドモ、大體建設
上其線路ヲ通ルト云フコトヲ御承知願ヒタ
イト思ヒマス、尙ホ第三ニ停車場モ現今ノ
停車場ノアル所へ停車場ヲ据エテ吳レロト
云フ御話デゴザイマスガ、是モ地方民ガ其
處ニ停車場ガアッテ利便ヲ得テ居ルモノヲ、
ソレヲ一〓ニ取外シテシマフト云フコトハ、
地方民ノ既得權ヲ尊重スル意味カラ宜クナ
イト思ヒマスカラ、現在アル停車場ヲ大體
尊重シテ、技術上差支ナキ限リ置ク積リデ
ゴザイマス、尙ホ御陵參詣ノ便ヲ圖ルト云
フコトモ、固ヨリ御言葉ノ通リ、便ヲ圖ッテ
驛ヲ設置致シマス、又現業員ハドウスルカ
ト云フ御話デゴザイマスガ、固ヨリ大隅鐵
道ヲ買收シテ、失業者ヲ拵ヘルヤウナコト
ガアッテハ、現政府トシテモ其本旨デゴザイ
マセヌカラシテ、現業員ハ鐵道省ニ於テ引
繼グ積リデゴザイマスカラ、御安心ヲ願ヒ
タイ次第デゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=24
-
025・濱田國松
○議長(濱田國松君) 次ノ通〓者〓水德太
郞君
〔〓水德太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=25
-
026・清水徳太郎
○〓水德太郞君 私ハ簡單ニ鐵道大臣ニ要
領ダケ御尋シタイト思ヒマス、御承知ノ通
リ我ガ國有鐵道ハ、近年非常ニ好況ニ入リ
マシテ、一昨年カラ日ニ月ニ收入增加ヲ來
シテ居ルノデアリマス、洵ニ御同慶ノ至リ
デアリマス、然ルニ之ニ反シマシテ、地方
鐵道ハ年ト共ニ不況ニ入リマシテ、經營ニ
頗ル困難ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、洵
ニ同情ニ堪ヘナイノデアリマス、然ルニ此
度御提案ニナリマシタ私設鐵道ノ買收ハ、
洵ニ僅ナノデアリマシテ、是デハ私設鐵道
ノ救濟ハ如何カト懸念ニ堪ヘナイノデアリ
マス、現今ノ私設鐵道ノ狀況ヲ調ベテ見マ
スト、地方鐵道及軌道全體デ、其會社ノ數
ハ三百五十六會社アルノデアリマス、其中
デ缺損續キデアリ、無配當ヲ續ケテ居リマ
スモノガ二百三十一會社アルノデアリマス、
サウシテ配當ヲシテ居ル會社ハ僅ニ百二十
五社デアリマスガ、其中ノ八十五社ト云フ
モノハ、配當率ガ六分未滿ニ過ギナイノデ
アリマス、六分以上ノ配當ヲシテ居ルモノ
ニアリマシテハ、僅ニ四十社デアリマス、
之ヲ要シマスルニ、私設鐵道及軌道ノ全體
ヲ通ジテ、無配當或ハ〓損ニナッテ居ルモノ
ガ、六五%アルノデアリマス、大半ハ經營出
來ナイヤウナ狀況デアルノデアリマス、サウ
シテ二四%ガ六分未滿ノ配當デアッテ、僅ニ
一一%卽チ約一割ニ過ギナイモノガ、六分以
上ノ配當ヲシテ居ルニ過ギナイト云フヤウ
十、哀レナ狀況ニアルノデアリマス、之ヲ
ドウ救濟シテ行クカト云フコトガ、非常ニ
大切ナ問題デアルノデアル、然ルニ國有鐵
道ガ好況ニアルノニ、ドレダケノ考ヲ以テ
今日ソレ等ニ臨ンデ居ラレルカト云フコト
ガ、今私ノ御尋セントスル所デアリマス
第一番ニ御尋シヨウトスルノハ、私設鐵
道ノ買收ハ何故コンナニ少イノカ、私設鐵
道ノ經營ガ未曾有ニ困難デアルノニ、殆ド
未曾有ニ少イノハドウ云フ譯デアルカ、御
察シ申シマスルニ、近年鐵道疑獄ガ出來テ、
非常ニ朝野ヲ騒ガシテ居リマス、殊ニ現内
閣ノ一枚看板ハ綱紀肅正デアル、綱紀肅正
デアルカラ、君子危キニ近寄ラズトシテ、
成ベク危險ヲ避ケヨウト云フ御考デアルノ
カ、ソレナラバ誰デモ出來ルコトナノデア
ル、綱紀肅正ト云フコトハ、仕事ヲ爲サヌ
ト云フコトナラバ、誰ダッテ出來ル話デア
ル、何時モヨリ餘計ニ買收シテ、尙且ツ醜
聞ノナイコトデアッテコソ、本當ノ綱紀肅正
デアルト私ハ考ヘテ居ルノデアリマス(拍
手)殊ニ內田鐵道大臣ハ同情深クテ勇氣ガ
アルトシテ、皆サンカラ敬意ヲ拂ハレテ居
ルガ、君子危キニ近寄ラヌノハ、ソレハ寧ロ
臆病デハナカラウカ、恐ラクハ君子ノ方ニ
步ミツヽアルノカモ知レナイケレドモ、サ
ウ云フコトハ鐵道大臣ノ本意デハナイノヂ
ヤナイカ、心ニモナイコトヲシテ居ラレル
ノヂヤナイカ、思ヒ切ッテ買收シタイノヂヤ
ナイカ、輿論ノ起ルノヲ待ッテ居ルノヂヤナ
イカ、斯ウ云フノヂヤナカラウカト思ヒマ
スカラ、私ハ輿論ノアル儘ヲ、玆ニ露骨ニ、
率直ニ申上ゲテ置キタイト思フノデアリマ
ス、例ヲ引クコトハ私ハ甚ダ好ミマセヌケ
レドモ、先達テ風水害ノ見舞ニ岡山縣ニ參
リマシタノデアリマス、岡山縣ニ行キマシ
タ時ニ、中國鐵道ト云フノヲ初メテ視察シ
マシタガ、何處ノ誰ガ經營シテ居ルカ存ジ
マセヌケレドモ、津山ト岡山ヲ連絡シテ居
ル線路デアリマス、此線路ガ私設鐵道デア
ル爲ニ、貨物ハズット西ノ方ヲ廻ッテ、三角
形ノ二邊ヲ通ッテ、高梁カラ岡山ニ行ッテ居
ルノデアリマス、詰リ津山カラ新見ヲ經過
シテ、高梁ヲ經過シテ岡山ニ行ッテ居ル三
角形ノ二邊ヲ通ッテ居ルノデアリマス、之ヲ
若シ國有鐵道ニ買收シマシタナラバ、其三
角形ノ二邊ノ短イ方、底邊ノ方ヲ通ッテ、津
山カラ岡山ニ直接來レルノデアルカラ、公
衆ガ便利ヲスルノミナラズ、鐵道モ助カル、
非常ニ公共ノ爲ニ宜イコトヽ感ジマシタノ
デアリマス(拍手)何ト云フ馬鹿ナコトヲシ
テ居ル、私設鐵道ハ經營ガ困難デアルカラ
料金ガ高イノデ、貨物ガサウ云フヤウナ廻
リ方ヲシテ居ル、斯ウ云フヤウナ線ガ、
一擧ゲマシタナラバ、相當ニ澤山アル、私
ハ委員會ニ於テ之ヲ述べルコトヲ敢テ厭ハ
ヌ者デアリマス、兔ニ角國有鐵道ノ連絡經
營上又軍事上是非買收シナケレバナラヌ線
ガ澤山アル、而モ其鐵道ハ經營困難デ氣息
奄々タル狀況デアル、ソレヲ敢テシナイト
云フノハ-綱紀肅正ノ內閣デアルカラ、
敢テシナイト云フノナラ、私ハ是ハ總理大
臣ニ伺ヒタイト思フノデアリマス、總理大
臣ノ綱紀肅正ハ、仕事ヲセズニ居レト云フ
ノデアリマセウカ、サウデハナイト思フ、
大ニ仕事ヲシテ綱紀肅正ヲ圖ルト云フノデ
アルト思フ、鐵道大臣ハ其就任ノ挨拶ニ於
テ、綱紀肅正ヲ一番先ニ訓示ナサッタ、訓
示ヲナサッタガ、仕事ヲセズニ綱紀肅正ヲセ
イト云フノヂヤナイト云フ風ニシカ、私等
ハ取レヌノデアリマス、サウ云フ綱紀肅正
ガ現内閣ノ一枚看板デアルト云フナラバ、
洵ニ心細イ現内閣デアルト思フノデアリ
マス
第二番目ニ御尋致シタイコトハ、私設鐵
道ヲ救濟スルニ當ッテ、買收ガ出來ナイナラ
バ、更ニ補助金ヲ御增シニナル御考ハナイ
カドウカ、成程先達テ吾々ガ協贊致シマシ
タ豫算ノ中ニハ、二十万圓ノ增額ガ含マレ
テ居リマシテ、吾々モ喜ンデ協贊致シタノ
デアリマス、併シ此二十万圓ト云フノハ一
昨々年三土鐵道大臣ガ、鐵道ガ不況ニナッ
テ、收入減ダカラト言ッテ減ラサレタ五十万
圓ノ内、昨年ハ景氣ガ好イカラト言ッテ三十
万圓復活シテ-景氣ガ好クナレバ復活ス
ルト云フ言責ノ下ニ、昨年ハ三十万圓復活
ヲナサレテ、殘リノ二十万圓ヲ今年ハ約束
履行ヲナサッタノデアル、ダカラ是ハ私等ハ
有難イニハ違ヒナイケレドモ、當然ダト思ッ
テ居ルガ、此上ニ增ス必要ガアルノヂヤナ
イカ、現在私設鐵道ニ於テ補助金ヲ受ケナ
ケレバナラヌ資格ノモノガ澤山アッテ、其資
格ノモノニ悉ク補助金ヲヤルト云フコトニ
致セバ、更ニ二百五十万圓位要ルノデアリ
マス、併シソレダケノ金ヲ一度ニ鐵道省カ
ラ增シテ吳レト云フコトハ、是ハ私ハ無理
ナ要求ダト思ヒマスカラ、徐々デ結構デアル、
來年ハ五十万圓、其次ハ尙ホ五十万圓ト云フ
ヤウニ、徐々ニ御增シニナル、僅カデモ宜シイ、
御增シニナル御考ハナイカドウカト云フコト
ヲ、第二番目ニ御尋シタイノデアリマス
尙ホ第三ニ御尋シタイコトハ、私設鐵道
ノ買收モ十分行カズ、補助金ノ增額モ思フ
ニ任セズトスルナラバ、外ニ何カ救濟ノ途
ヲ講ジナケレバナラヌ、其救濟ノ方法ハ何
處ニ眼ヲ著ケタラ宜イカ、私ハ出來ルモノ
ナラバ、低利資金ヲ融通シテ上ゲタラドウ
カト思フ、何トカ低利資金ヲ融通スルノ途ヲ
講ズル御考ハナイカドウカ、安イ利息デ借
リテ居ルモノデモ、今日私設鐵道ハ六分乃
至七分ノ利息デ借リテ居ルノデアリマス、
高イモノニナルト一割デゴザイマス、之ヲ
其半分以下デ、低利資金ヲ融通スルコトガ
出來タナラバ、救濟出來ルノヂヤナカラウ
カト思フノデアリマスルガ、之ニ對シテ鐵
道大臣ハ思ヲ致サレル所ハナイデアリマセ
ウカ、御考ヲ聽カシテ戴キタイノデアリマ
ス
尙ホ終リニ臨ミマシテ御尋シタイノハ、
自動車ノ許可ノ件デアリマス、今日私設鐵
道ガ斯クモ不況ニ陷リマシタ其主ナル原因
ト云フモノハ、自動車ノ普及デアルノデア
リマス、故ニ自動車ガ若シ私設鐵道ト並行
スルモノデアリマシタナラバ、私設鐵道ガ
其經營ヲ出願シタ場合ニハ、外ノ出願ヨリ
モ先ニ許ス御考ハナイカドウカ、慥カ鐵道
省デハ、從來サウ云フ風ニ取扱ッテ來テ居ル
ト思ヒマスガ、更ニハッキリ鐵道大臣カラ
其點ヲ聽イテ置キタイノデアリマス、私設
鐵道ノ經營ヲ樂ニスル爲ニ、自動車ノ競爭
ヲ避ケル爲ニ、競爭ニナル場合ハ此私設鐵
道ニ經營サセルト云フ方針ノ下ニ進ムコト
ガ、私設鐵道ヲ救濟スル大切ナ問題ト考ヘ
テ居ルノデアリマス、尙ホ一言附加ヘテ御
尋シテ置キタイノハ、一昨々年マデハ鐵道
省ハ隨分私設鐵道ヲ壓迫シテ來タノデアリ
マス、競爭シテ來タノデアリマス、是ニ於
テ昨年モ一昨年モ、世論囂々トシテ其不當
ヲ詰ッタ結果ト致シマシテ、又此頃收入モ增
加シタ結果デモアリマセウ、如何ニモ其競
爭ノ態度ハ穩カニナッテ參リマシタガ、尙ホ
行屆カヌ點ガアルノデアリマス、親ノ心子
知ラズデ、收入サヘ增セバ國有鐵道ノ使命
ヲ果セルモノト思ッテ、私設鐵道ヲ壓迫シテ
居ル當局者ガ見當ルノデアリマス、洵ニ情
ケナイコトデアリマスカラ、此邊ニ關シマ
シテ、鐵道大臣ノ御考ハ何處ニ在ルカ、聽
カシテ貰ヒタイノデアリマス
之ヲ要スルニ、以上五ツノ點ハ、今日ノ
惱メル私設鐵道ヲ救濟スル所ノ最モ大切ナ
問題ト思ヒマスニ依ッテ、御尋スル次第デゴ
ザイマス、尙ホ日程ニ上ッテ居リマスル線ニ關
シマシテハ、何レ委員會ニ於キマシテ詳細御尋
シタイト思フノデアリマス、之ヲ以テ終ルコト
ニ致シマス(拍手)
〔國務大臣內田信也君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=26
-
027・内田信也
○國務大臣(內田信也君) 〓水君ノ御尋ニ
御答致シマス、第一ノ御尋ハ、現今私設鐵
道ガ困窮シテ居ルガ、政府ハ何故買收ヲヤ
ラナイノカト云フ御尋デゴザイマシタ、是
ハ御言葉ノ聞誤リカモ存ジマセヌガ、サウ
云フ御質問デアッタトスレバ、少シク意見ヲ
異ニスルノデアリマス、御承知ノ通リ私設
鐵道ノ買收ハ、建設上ノ必要、又ハ運輸系
絡上ノ必要カラ起ルモノデアリマシテ、私
設鐵道ヲ救濟スルガ目的デ、買收ハ致サヌ
方針デゴザイマス、而シテ本年大變買收ガ
少イヂヤナイカ、大變臆病ヂヤナイカト云
フ御尋デゴザイマスガ、只今申上ゲタ通リ、
私鐵ノ買收ハ建設工事ノ進行上必要已ムヲ
得ザルモノヲヤル、其點ニ於テ只今上程シ
テ居リマスル此二線ヲ以テ必要ナモノトシ
テ、是レ以上ハ建設上必要已ムヲ得ザルモ
ノトハ考ヘテ居ラナイノデアリマス、併シ追
テ近々尙ホ數本ノ建設上必要ナル買收線ガ、
一兩年ノ內ニアルカト想像シテ居ルノデア
リマス、尙ホ運輸系絡上ノコトハ是ハ議論
デアリマシテ、運輸系絡上デスカラ、建設
ノ進行上ノ如ク絕對的ノモノデアリマセヌ
デ、必要トモ言ヘレバ不必要トモ言ヘル、
ソレヲ悉ク國有鐵道ニ買收シテシマヘバ便
利カモ存ジマセヌガ、財政モ考ヘナケレバ
ナリマセズ、殊ニ本年ノ財政ノ如キ、洵ニ
憂フベキモノガアリマスガ故ニ、運輸系絡
上ニ基ク買收ハ、絕對的ノモノデナイト存
ジテ之ヲ差控へ、他日財政ノ餘裕ヲ見テ之
ヲ買收セント欲スル者デアリマス、又頗ル
臆病デ仕事ヲセヌト云フ御叱リモ受ケマシ
タガ、少シク言葉ガ端的デ申過ギルカモ知
レマセヌガ、仕事ハ私鐵ノ買收ダケガ仕事
ヂヤナイト私ハ思ッテ居ルノデアリマス、有
體ニ申スト、私ハ改良工事竝ニ鐵道ノ直接
ノ狭義ノ目的デナイ、廣イ意味ノ社會救濟、
若クハ富源ノ開發等ニ向ッテハ、就任以來徵
力ヲ致シテ居ル積リデアリマス、尙ホ又近
日ハ東北振興會ノ決議ニ基イテ、鐵道會議
ニ付シテ、鐵道會議ノ諮問ヲ得レバ、東北
振興ノ爲ニ建設線ノ繰上等ヲ致ス決心デゴ
ザイマスカラ、私鐵ヲ買收シナイカラ意氣
地ガナイト云フ御咎メハ、少シク私ハ諒承
致シ難イ點デゴザイマス、ソレカラ第二ノ
御尋ハ、私鐵ノ補助金ヲ增額セヌカ、七百
三十万圓ヲ今年七百五十万圓ニ復活シタヾ
ケデハ足ラヌデハナイカト云フ御咎メデゴ
ザイマスガ、是ハ見方ニ依リマシテ、一方
カラ論ジマスルト、昨年一昨年ノヤウニ不
景氣デ、私設鐵道ガ本年ヨリ儲カラナカツ
タ時ニ、七百万圓ノ補助金デ私鐵ガ卄ンジ
テ居ックモノヲ、今年ハ景氣ガ好クナッテ利
益ガアルノニ何故之ヲ增加シタノカト、斯
ウモ論ゼラレルノデゴザイマス、デスカラ
シテ、是ハ見方ニ依ル次第デアリマシテ、
其見方カラスレバ、二十万圓增額ハ聊カ時
宜ヲ得テ居ナイト思フノデアリマスケレド
モ、併シ國有鐵道トシテモ、懷ロ工合ハ
昨年ヨリハ大分恢復シテ居リマスシ、且ツ
院議ヲ以テ國有鐵道ノ益金ガ恢復シタ場合
二、七百五十万圓ニ復活シロト云フ決議
ガアリマシテ、私等モ當時議員トシテ、之
ニ參與致シタノデアリマスルガ故ニ、院議
ヲ尊重シテ今囘七百五十万圓ニ增シタ次第、
之ヲ御諒承願ヒタイノデアリマス、此上ノ
コトハ只今ハマダ考ヘテ居リマセヌノデゴ
ザイマス、ソレカラ第三、私設鐵道ニ低利
資金ヲ融通スル考ナキカ、是ハ大藏省預金
部ノ低利資金ハ、營利會社ニ之ヲ融通スル
コトハ、困難ナ事情ニアルコトハ御承知ノ
通リト存ジマス、故ニ鐵道省ト致シマシテ
ハ昨年三土君時代以來、大藏省ト再三交涉
ヲ重ネタサウデスケレドモ、マダ話ガ纏ラ
ナイノデゴザイマス、仍テ大藏省預金部ノ
低利資金ニ依ラズシテ、唯民間ノ資金ノ融
通ニ對シテ、鐵道省ハ力ヲ貸シテ、
其金利ノ引下ニ盡力致シマシテ、多
少成功シテ居ル次第デゴザイマス、
第四、私鐵ト並行シタ自動車ノ出願ガアッタ
場合ニハ、私鐵ノ優先權ヲ認メナイカト云
フ御尋デゴザイマスガ、例ヘバ公共團體ニ
對シテモ、優先權ヲ自動車ニ對シテハ與ヘ
ルト云フコトニナッテ居リマスノデ、他ノ主
義ト相反セザル條件ノ下ニ於キマシテハ、
固ヨリ私設鐵道ノ利益ヲ尊重シテ、私設鐵
道ニ優先權ヲ與ヘル積リデゴザイマス、第
五、國鐵ガ私鐵ヲ壓迫セヌカト云フ御話デ
ゴザイマスガ、是ハ決シテ壓迫スルヤウナ
氣分ヲ持ッテ居リマセヌ、併シ動モスレバ、
地方鐵道當局等、卽チ國有鐵道ノ地方鐵道
局ノ旅客課等ニ於キマシテハ、仕事ニ熱心
ナル餘リ、動モスレバ私鐵ト競爭スルガ如
キ態度ヲ執ルコトガアル、現ニ私ガ鐵道省
ヘ入ル以前、昨年ノ二月デゴザイマスカ、
數寄屋橋ノ所ヲ通リマスト、彼處ノ「ガードL
ニ成田山ノ豆撒ノ廣〓ヲ鐵道省ガ出シテ、
盛ニ乘客ヲ吸收スル大キナ廣〓ガ出テ居ッタ
ノデゴザイマスガ、國有鐵道ト致シマシタ
ナラバ自ラ任務ガアル、ソレヲドウモ成田
山ノ節分ノ豆撒ノ廣〓マデ繪ヲ描イタモノ
ヲ出シテ、私設鐵道ト競爭スルガ如キコト
ハ、一例デハアリマスケレドモ、斯ウ云フ
氣分ハ宜シクナイトシテ、私ハ就任後直チ
ニ局長會議ヲ開イテ、斯ウ云フコトノナイ
ヤウニ、私設鐵道ヲ壓迫セヌヤウニト云フ
コトヲ、一例ヲ擧ゲテ之ヲ訓戒致シタノデ
アリマシテ、決シテ私設鐵道ヲ壓迫スルヤ
ウナ氣分ハ有ッテ居ラヌト云フコトヲ申上
ゲテ御答ト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=27
-
028・清水徳太郎
○〓水德太郞君 簡單デスカラ此席カラ補
足シテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=28
-
029・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=29
-
030・清水徳太郎
○〓水德太郞君 只今ノ私設鐵道ノ買收ニ
關スル御答辯ハ、私ノ全般ヲ御聽キニナ
ラナイデ、一部分ノコトヲ捉ヘテノ御答辯
デアッテ、是ハ確ニ羮ニ懲リテ膾ヲ吹イテ居
ラレル結果トシテ、サウ云フ御言葉ガ出タ
ノヂヤナカラウカト御察シシマスガ、軍事
上ナリ、又運輸系統ノ上ニ於テ、救濟ノ意
味ヂヤナクテ、國家ノ見地カラ、國有鐵道
ニ買收シタ方ガ宜イト云フ線ガ相當ニアル
ノデスカラ、若シサウ云フコトガナイト思ッ
テ居ラレルノナラバ、鐵道大臣ハ洵ニ御氣
ノ毒デスガ、素人デ居ラッシヤルト思フノ
デス、ソレハ議論ニナリマスカラ、此程度
ニ止メテ置キマシテ、詳細ハ委員會ニ讓リ
タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=30
-
031・濱田國松
○議長(濱田國松君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=31
-
032・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 日程第二及第三ハ、兩案
ヲ一括シテ議長指名十八名ノ委員ニ付託セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=32
-
033・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=33
-
034・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=34
-
035・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 議事日程變更ノ緊急動議
ヲ提出致シマス、卽チ此際前田米藏君外四
十八名提出、航空國策樹立ニ關スル建議案
ヲ議題トナシ、委員長ノ報告ヲ求メ、其審
議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=35
-
036・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=36
-
037・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、航空國
策樹立ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、
建議委員長ノ報〓ヲ求メマス-田中祐四
郞君
航空國策樹立ニ關スル建議案(前田米
藏君外四十八名提出)(委員長報告)
航空國策樹立ニ關スル建議案
航空國策樹立ニ關スル建議
政府ハ民間航空ノ使命ト其ノ世界的大勢
トニ鑑ミ卽時航空國策ヲ樹立シテ其ノ實
現ヲ期セラレコトヲ望ム
右建議ス
報告書
一航空國策樹立ニ關スル建議案(前田米
藏君外四十八名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十年二月二十三日
建議委員長田中祐四郞
衆議院議長濱田國松殿
〔田中祐四郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=37
-
038・田中祐四郎
○田中祐四郞君 只今緊急上程ニナリマシ
タ航空國策樹立ニ關スル建議委員會ノ經過
竝ニ結果ヲ御報告申シマス、此建議ハ御承
知ノ如ク各派一致ノ提案デアリマシテ、去
ル二十三日ノ建議委員會ニ於キマシテ、特
別ノ取扱ヲ致シタ案件デアリマス、提案ノ
趣旨ハ上原平太郞君カラ說明ガアリマシタ、
之ニ對シテ二三ノ委員諸君カラ、提案者竝
ニ政府當局ニ對シテ質疑應答ヲ重ネマシテ、
愼重ニ之ヲ審議致シタノデアリマス、航空
事業ノ充實ハ、交通上、產業上、或ハ又文
化上、喫緊急要ノ事業デアルコトハ勿論デ
アリマスルガ、既ニ國防上ニ於キマシテハ、
相當近來擴張ガ出來マシテ、大ニ人心ヲ强
ウスルコトガ出來テ居リマスルガ、民間ノ
航空事業ハ他國ノソレニ比シマシテ、極メ
テ貧弱幼稚デアル、之ヲ又都市ニアリマシ
テハ、國防ノ第二線ニ働キ掛ケネバナラヌ
事業デアリマスガ爲ニ、國家ト致シマシテ
ハ、是非共急速ニ是ガ進展ヲ圖ラネバナラ
又、斯ウ云フ急要性ヲ認メマシテ、愼重審
議ノ上、委員會ハ滿場一致之ヲ可決致シタ
譯デアリマス、是ガ建議案ノ內容ニ付キマ
シテハ、本會ニ於テ提出者ノ中ヨリ說明サ
レルヤウデアリマスカラシテ、私ハ唯其經
過竝ニ結果ダケヲ、簡單ニ御報告申上ゲテ
置ク譯デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=38
-
039・濱田國松
○議長(濱田國松君) 討論ニ入リマス、竹
內友治郞君
〔竹內友治郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=39
-
040・竹内友治郎
○竹内友治郞君 只今日程ニ上ッテ居リマ
スル航空國策樹立ニ付キマシテ、此案ニ付
テ建議委員長ノ御報告ニ對シテ、私ハ滿腔
ノ熱意ヲ以テ贊成致ス者デゴザイマス、茲
ニ其贊成意見ヲ開陳致シタイト思ヒマスガ、
暫ク御〓聽ヲ請ヒタイト思ヒマス(謹聽)
航空國策ト申シマスル以上、筋合ト致シ
マシテハ、獨リ民間航空ダケデナク、國軍
ノ航空勢力ハ、當然此問題ニ包含サレルノ
デアリマスガ、此點ニ關シマシテハ、建議委
員長カラ御述ニナリマシタル通リニ、陸海
軍當局ノ御施設ニ對シマシテ信賴スルト云
フ意味ニ於キマシテ、本建議案ハ專ラ民間
航空ヲ目指スモノデゴザイマス、併ナガラ
性質上民間航空ト國軍ノ航空トハ密接不可
分ノ關係ガアル、卽チ國民ナシニ國軍ナシ
ト云フ大本義ト少シモ變リアリマセヌ、隨
テ私ガ贊成趣意ヲ述ベマスニ付テハ、自然
國軍ノコトニ言及スルコトアルベシト、御
承知置キヲ請ヒマス、偖テ御承知ノ如ク我
ガ民間航空ノ現狀ト云フノハ、不振、貧弱、
實ニ沙汰ノ限リデゴザイマス、一言ニ申シ
マスルト、現代ハ全ク航空時代デアル、此
世界的大勢カラ置キ去リニサレタルノ感ガ
アルノデゴザイマス、是デ私ハ我ガ朝野ヲ
通ジテ實ニ能ク平氣デ居ラルヽモノデアル
カナト〓嘆ニ堪ヘマセヌ、航空ノ事ニ付テ
稍〓認識ヲ有ッテ居ラルヽ方々デモ、是ガ國防
上ニ必要デアルト云フ程度ノ認識デアリマ
ス、焉ゾ知ラン世界的大勢ハ、實ニ日常ノ
文化生活、產業活動ノ上ニ缺クベカラザル
ノ交通機關トマデ相成ッテ居ルコトガ、現在
ノ世界ノ大勢デアル、之ヲ少シモ我ガ朝野
ハ心得テ居ラヌ狀態ニ在ルコトヲ、洵ニ遺
憾ニ存ズル者デアリマス(拍手)此航空事業
ガ最モ發達致シマシタル歐米各國ニ於キマ
シテモ、此出發點ハ矢張國防上ノ必要ニ驅ラ
レテ、玆ニ注意シタト云フコトハ申ス迄モ
ゴザイマセヌ、然レドモ此現代文明ノ最尖
端ヲ行キマス所ノ航空、此航空ガ有ツ必然
性ソレガ人類ノ生活ニ當然及ボスベキ威
力、效用ト云フモノヲ、彼等歐米列國人ハ最
モ早ク認識シ、最モ早ク之ヲ實際化スル上
ニ於テ、驚クベキ慘澹タル犧牲ヲ拂ッテ居ル
ノデアリマス、其結果ハ遂ニ今日ノ如ク航空ガ
日常生活ニ缺クベカラザルモノニナッタ、斯ク
テコソ初メテ最初ノ出發點デアリマシタル、國
防ノ道具トシテ役ニ立ツト云フ道理ガ、愈〓
ハッキリ證明サレタノデアリマス、ソコデ私
ハ甚ダ滿場ノ賢明ナル諸君ニ對シ、所謂釋
迦ニ說法ヲスルト云フ憾ミヲ免レマセヌノ
デゴザイマスガ、歐米各國ノ現狀ハドンナ
モノデアルカト云フコトヲ、暫ク申上ゲル
コトノ御許シヲ得タイノデアリマス、ソレ
ハ此議場ヲ通ジテ、全ク無自覺デアル國民
ノ目ヲ醒シタイト存ズルカラデアリマス、
又國民ノ自ヲ醒スニ非サレバ、決シテ此偉
大ナル航空事業ト云フモノヲ大成スルコト
ガ出來ナイ、斯ル確信ノ下ニ御迷惑デゴザ
イマスルガ、暫ク歐米列國ニ於ケル航空界
ノ現狀ノ一端ヲ申上ゲルコトノ御許シヲ願
ヒマス
歐米ノ民間航空ノ狀況ヲ悉ク申上ゲルコ
トハ、勿論不可能デモゴザイマスシ、又其
必要モゴザイマセヌ、ソレデ私ハ一例ト致
シマシテ、英吉利ニ於テ民間航空ガ、現在
ノ如キ盛況ニ達シタル次第ノ一端ヲ申上ゲ
ルコトニ致シタイト存ジマス、英吉利ニ於
ケル民間航空ハ、今日ハ旣ニ朝野官民ノ驚
クベキ協力、努力ニ依リマシテ、英吉利國
內ニ於ケル民間航空ハ、最早政府ノ補助ヲ
得ズニ、獨立獨行シテ出來ル程度ニマデ發
達致シマシタ、此處マデ立到リマスルニ付
テ-英吉利ノ民間航空ガ如何ニシテ斯ノ
如キ成績ヲ擧ゲタカト云フ次第ハ、御承知
ノ通リ世界大戰ノアノ苦キ經驗ニ彼等ガ懲
リタ結果、是ハドウシテモ民間航空ヲ發達
サセナケレバナラヌト云フコトデ、今日ヨ
リ十一年前、卽チ千九百二十四年、其時ニ
上ハ皇室ヲ初メ、國民擧ッテノ一ツノ成案
ガ出來タノデアリマス、ソレハ政府ノ發令
ニ基イテ-我國デ言フナラバ公益法人組
織ノ飛行倶樂部、是ガ出來マシテ、實ニ現
皇帝「ジヨージ」陛下ガ總裁トナラレテ、此
倶樂部ノ事業ヲ統轄サレテ居ルノデゴザイ
マス、此飛行倶樂部ハ英吉利本國內ニ二十
幾ツカノ倶樂部ガ出來テ居ルノミナラズ、
屬領地全般ニ亙ッテ此航空倶樂部ノ事業ガ
悉ク行ハレテ居リマス、此倶樂部ハドウ云
フ仕事ヲ致シタカト云フト、第一ニ航空事
業ノ基礎事業タル飛行場、之ニ伴フ航空燈
臺、無線電信聯絡所、若クハ「ラヂオ·ビー
コン」、斯ウ云フ設備ヲ英吉利本國內隈ナク
建設致シタノデアリマス、ソレデ、現在英
吉利ニハ四百箇所ノ飛行場ガアリマス、政
府ノ卽チ國軍ノ有ツ飛行場ハ無論此外ニア
リマス、而シテ此四百箇所ニ上ル飛行場ハ、
何デソンナニ必要デアルカト云フト、是八
恰度鐵道デ言フナラバ實ニ鐵道線路デアル、
試ニ之ヲ日本ノ現在ノ設備ニ較ベテ言ヒマ
スト、御承知ノ通リ東京大阪間、是ガ日本ノ
航空路ノ一番大切ナ幹線デアリマスルガ、
此東京大阪間ニ於テ、飛行場ハ唯一ツ宛有
ルヨリ外ハアリマセヌ、然ルニ英吉利デハ、
此東京大阪間ノ距離ニ對シテ、五里乃至七
里每ニ必ズ飛行場ヲ置イテ居ル、是デアリ
マスカラ、飛行機ト云フモノハ、絕對ニ安全
デアルノデアリマス、此四百箇所以上ニ上
ル飛行場ヲ設置スルト云フ仕事ハ、大部分
此民間ニ於ケル飛行倶樂部ガ受持ツノデア
リマス、其費用ハ、設立當初ニ於テハ政府
カラ補助ヲ受ケタコトハゴザイマスケレド
モ、爾來全ク地方自治體及有志ノ寄附金ニ
依ッテ是ハ賄ハレテ居ルト云フ、實ニ是ハ官
民協力ノ產物デアルノデアリマス、而シテ
此飛行倶樂部ハ、今一ツ重大ナル任務ヲ有ッ
テ居リマス、ソレハ飛行士ヲ養成スルト云
フ仕事デアリマス、是ガ今日デハ民間航空
ニ從事スル所ノ飛行士ヲ、年々六百人ヅツ養
成シテ居リマスルガ、イザ非常時ト云フ時ニ
ナレバ、月ニ六百人ヅツヲ養成シ出シテ、ソ
レヲ以テ國軍ノ航空勢力ノ補充ニ充テルト
云フ計畫ニナッテ居ルノデゴザイマス、一年
ニ六百人養成スルト云フコトデサヘモ、是
ハ非常ナ大事業デアリマス、然ルヲイザ非
常時ニナルト云フト、月ニ六百人ヲ造出ス
ト云フ設備ハ、驚クベキ廣大ノモノデアル
ト云フコトヲ考ヘナケレバナラヌ、此大事
業ヲ民間ノ公益法人タル飛行倶樂部ガ擔ッ
テ居ルノデアリマス、更ニ今一ツノ此飛行
倶樂部ノ仕事ハ、英吉利全體ニ對シテ、此
飛行ニ關スル一般ノ輿論ヲ喚起シテ、國ヲ
擧ゲテ飛行熱ニマデ熱中サセルト云フダケ
ノ空氣ヲ作リ上ゲルト云フ此仕事、是ガ實
ニ英吉利ノ民間航空ヲ、今日ノ如ク盛況ニ
達セシメタル背景デゴザイマス、デゴザイ
マスカラ、現ニ民間航空ノ現狀トシテ、英
國皇太子ガ自家用ノ飛行機ヲ七臺カラ持ッ
テ居ラッシヤル、之ニ倣ッテ民間ノ貴族富
豪、是等ガ自家用トシテ持ッテ居ルモノガ
七百臺、實ニ驚クベキ盛況デス、啻ニ此飛
行機ヲ旅行用或ハ其他ノ仕事ニ用ヒルバカ
リデナク、丁度我國ノ「ゴルフ」熱、或ハ「ズ
キー」熱、野球熱ト同ジ風ニ、道樂トシテ、
趣味トシテ飛行機ヲ民間ニ於テ、盛ニ飛バ
シテ居ルト云フ盛況ニ達シテ居ルノデゴザ
イマス、現在ノ民間飛行ノ實際勢力ヲ申シ
マスト云フト、民間デ造ッタ飛行場ガ、前
申上ゲタ通リ四百、ソレカラ現在飛行機ガ
千五百機、飛行士ガ、職業トシテ現ニ從事
シテ居ル者ガ四千百人、其他「スポーツ」ト
シテ、趣味トシテ、所謂道樂ノ意味デ以テ
乘リ得ル人ガ、現在ニ於テ少クトモ五千ヲ
下ラヌト云フコトデゴザイマス、大體ニ於
テ英吉利民間航空勢力ノ要部ヲ爲ス所ノ飛
行士ガ、現在ニ於テ約一万人ニ上ッテ居ル
ト云フコトデアリマス、之ヲ數字ヲ以テ我
國ノ現狀ニ比較致シマスト云フト、斯ウ云
フコトニナリマス、我國デハ民間航空ノ
持ッテ居ル飛行場ガ、全國悉ク浚ヒ上ゲテ
九箇所シカアリマセヌ、飛行機ガ僅ニ民間
航空機トシテ百五十二、飛行士ガ五百八十
九人ト云フ英吉利ニ較ベマシテ、何トモ申
シヤウナキ不振ブリデアルノデアリマス、
殊ニ少シ內容ヲ申上ゲマスルト、民間飛行
機ノ百五十二、是ガ大部分ハ陸海軍デ使ヒ
古シノ、極ク古イ〓〓モノヲ拂下若クハオ
貰ヒシタト云フ種類ノモノガ大部分デス、
本當ニ金ヲ出シテ買ッタ民間飛行機ト云フ
モノハ、政府カラ補助ヲ戴イテ居ル航空會
社ニ、恐ラク二十以下位ノモノデセウ、其
外デ先ヅ飛行機ノ爲ニ、民間デ金ヲ出シテ
買ッタト云フモノハ、新聞社位ノモノデハナ
イカト思ヒマス、勿論自家用飛行機ナドヽ
云フモノハ藥ニシタクモナイ、斯ウ云フ現
狀デス
ソコデ此際英吉利ノ民間航空ト、英吉利
ノ空軍ノ關係ヲ簡單ニ一言申上ゲマス、英
吉利空軍ノ權威者ノ發表スル所ニ依リマス
ト、斯ウ云フコトヲ申シテ居リマス、是ハ
少シ懸値ガアルト思ヒマスガ、斯ウ申シテ
居リマス、明日英吉利ガ開戰スルトシテ、
現在英吉利空軍ガ持ッテ居ル空軍勢力ト云
フモノハ、三週間デ以テ全ク消耗シテシマ
フ、後ハ現在ノ民間航空勢力ガ三箇月間續
〃、其先ハ每月六百人宛民間航空デ養成シ
來タル者ヲ以テ、陸海軍ノ航空勢力ヲ維持
スル、斯ウ云フ計畫デアルト申シテ居リマ
ス、之ヲ見テ先ヅ考ヘラルヽコトハ、實際
英吉利ノ國ノ費用デヤッテ居ル空軍ト云フ
モノハ比較的ニ小サイ、アノ佛蘭西トカ、
獨逸トカ大變優勢ナ空軍ヲ持ッテ居ル中ニ
立ッテ居ッテ、僅ニ空軍ノ現有勢力一千八百
機デアリマス、是ハ日本デ云フト陸海軍ヲ
通ジテノ數デアリマスカラ、決シテ大キナ
數デナイ、詰リ是ハ民間航空勢力ヲ、イザ
トナッタラ賴ムト云フ肚ガアルカラ、斯ノ
如キ經濟的軍備デ間ニ合セテ居ル譯デアル
ノデアリマス、所ガ此處デ考フベキコト
ハ、英吉利ノ國ハ極メテ經濟的ノ軍備ヲス
ル、民間航空ハ全ク力ト金デ犠牲ニナル、
是ハ一寸不思議ニ考ヘラレル、殊ニアノ
勘定高イ英吉利人ガ、何故斯ウ云フ犠牲ニ
甘ンズルカト云フコトヲ考ヘ來ル所ニ、玆
ニ一ツドウシテモ空軍ニ賴ラナケレバナラ
ヌ已ムヲ得ザル理由ガ、其裏ニ潜ンデ居ル
コトヲ窺ヘルノデアリマス、ソレハ(「ス
ピード」ヲ出シテ早クヤレ」ト呼フ者アリ)簡
單ニヤリマス、諸君御承知ノ通リニイザ非
常時ト云フ時ニ於テ、戰場ニ於ケル飛行士
ノ任務ハ、詰リ偵察、爆擊、戰鬪ノ此三ツ
ノ仕事デアル、所ガ此中最モムヅカシイノ
ハ戰鬪デアリマス、コチラノ飛行機ガ行ッ
テ向フノ飛行機ヲ射落スト云フ仕事、此仕
事ハ歐洲大戰ノ例ニ鑑ミテ、年ヲ取ッタ者ハ
全ク役ニ立タナイ、是ハ必ズ若イ者ニ限ル、
實際歐洲大戰ニ於テ一人デ五十機乃至八十
機ト云フ多クノ敵機ヲ射落シタ者ハ、何レ
モ二十代ソコ〓〓ノ飛行士デアルサウデア
リマス、斯ウ云フ次第デアル、若シ此戰時
ニ必要ナル飛行士全部ヲ、悉ク國軍デ平素
カラ用意シテ置クト云フコトニナリマス
ト、勢ヒ是ハ豫後備制度ニナリマスガ故ニ、
澤山ノ年ヲ取ッタ飛行士ヲ抱ヘルコトニナ
リマスカラ、戰鬪ノ際ニ於テ一番大切ナ任
務ニ不適當ノ人ガ多クナルト云フコトニナ
ルノデアリマス、之ヲ防イデ本當ノ最新最
銳ノ飛行士ヲ造ッテ行クト云フコトハ、ドウ
シテモ民間航空ニ賴ルニ非ンバ出來ナイ、
斯ク英吉利空軍ノ當局者ハ聲明致シテ居ル
ノデアリマス、是ハ我ガ陸海軍ノ事情ニ照
シテ、當嵌ルヤ否ヤハ私ノ斷言スル限デア
リマセヌガ、併シ歐羅巴大戰ノ經驗ニ鑑ミ
タル英吉利當局ノ、民間飛行士ニ依賴スルノ
此言ハ、相當合理的デアリ、耳ヲ傾クベキコ
トデハナイカト私ハ思フノデアリマス、ソ
コデ更ニ他ノ歐羅巴列國、佛蘭西デアルト
カ獨逸ニ於テ、是等民間航空ガ如何ニ盛ン
デアルカト云フコトハ、是ハ大體英國ト同
樣ノ狀態デアリマスカラ、是ハ省キマス、
唯私ハ北米合衆國ニ於ケル狀況ヲ極ク簡單
ニ一言致シマス、ソレハ紐育華盛頓ノ間、
アノ間デ、定期ニ發著スル飛行機ガ每日十
一囘發著致シテ居ル、私ハ我ガ日本ノ東京
大阪間デハ急行列車デモ是程ハ出テ居ルマ
イト思ヒマス、ソレカラ北米合衆國內ノ東
西橫斷、卽チ紐育カラ桑港又ハ「ロスアン
ゼルス」マデ參リマス航空路、是ハ汽車デ
行キマスト、ドンナ最大急行デモ四晝夜ヲ
要スルノデアルガ、僅カ二十時間デ旅行出
來ル定期航空ヲ每日行ッテ居ル、而モソレヲ
三會社デ競爭致シテ居ル、如何ニ亞米利加
ニ於ケル航空ガ日常生活ニ缺クベカラザ
ル狀態ニナッテ居ルカト云フコトハ、此點
ニ於テ窺ヒ知ルニ餘リアルト存ズルノデア
リマス、ソコデ序ニ今一ツ歐米ノ民間航空
ノ盛況ヲ窺フ一ト致シマシテ、國際航空路
ノ現況ヲ極ク簡單ニ申上ゲマス、英吉利ハ
倫敦ヲ起點トシテ露西亞ノ浦潮斯德ヘ行ク
定期航空路ガ一ツ、新嘉坡ヲ經テ「シド
二ー」ニ行キマス航空路ガ一ツ、南阿弗利
加ノ南阿聯邦カラ「ケープタウン」迄行キマ
ス航空路ガ一ツ、斯ウ云フ風ニ何レモ一万
粁以上ノ國際航空路ヲ、定期發著致シテ居
ル、而シテ此航空路ハ何レモ汽船デ行キマ
ス三分ノ一以下ノ日數デ、之ヲ旅行致スコ
トガ出來ルト云フ譯デアリマス、佛蘭西ハ
矢張巴里カラ新嘉坡ヲ經テ、印度支那ノ柴
棍カラ河內マデ參リマス一線ト、西半球ノ
南亞米利加ノ「ヴエノスアイレス」マデ參リ
マス所ノ線ガ一ツ、之ヲ定期航空致シテ居
リマス、和蘭デサヘモ「アムステルダム」バ
タビヤ」間ノ定期航空路ヲ有ッテ居ッテ、英
佛以上ノ成績ヲ擧ゲテ居ルト云フコトデア
リマス、而シテ北米合衆國ハ、南北亞米利加
ヲ一手ニ獨占スルト云フ意氣込ヲ以テ、桑
港ヲ起點ト致シマシテ、墨西哥、古倫比亞、
智利、進ンデ亞爾然了ノ「ヴェノスアイレ
スマデニ到ル航空路ヲ一手デ掌握致シテ
居リマス、斯ウ云フ狀況デアリマスルカラ、
世界地圖ヲ開イテ見ルト、日本ヲ中心ト致
シマシテ、東西南北カラ外國ノ航空路線ガ
日本ニ肉迫シテ居ルト云フ狀態デアルノデ
アリマス、然ルニ日本ハ國際航空線ハ一本
モ有ッテ居ラヌ、强テ申セバ、東京新京
間ハ國際航空線ト申セマセウガ、是ハモウ
大體國內線ニ外ナラヌ、斯ウ云フ驚クベ
キ世界的進步ヲ控ヘテ、我國ハ頓ト振ッテ
居ラナイト云フ情勢デアリマス、ソコデ
私ハ以上申述ベタル次第ニ依リマシテ、
歐米列國ノ狀態ト、我國ノ民間航空トノ懸
隔ノ、餘リニ大キイノニ驚カザルヲ得ナイ
ノデアリマス、私ハ相當ニ此問題ノ必要性
ヲ考ヘル上ニ於テ、暫ク御靜聽ヲ請ヒタイ
ト存ジマス、丁度此懸隔ハ明治三十年代、
アノ時ニ歐米各國ハ旣ニ電車自動車ガ日
常ノ交通機關トシテ盛ニ行ハレテ居ッタノ
ニ、我國デハ東京市ノ交通機關デサヘモ電
車自動車ハ一ツモナイ、馬車ト人力車ニノ
ミ依賴シテ居ッタ、此懸隔ト能ク似テ居ルト
思ヒマス、諸君、若シ今日デナクテモ、十
年前ト假定致シマシテモ、相變ラズ三十年
代ノ鐵道馬車乃至人力車ダケニ賴ル東京市
ノ交通機關デアッタナラバ、ソレガドノ位市
民ノ文化生活ヲ脅スカ、多分恐ラク日常生
活ガ殆ド行詰ルデアラウト思ヒマス、之ヲ
考ヘマスト、道理ニ二ツハアリマセヌ、歐羅
巴及ビ亞米利加ガ、旣ニ現代ノ交通機關ノ
最尖端ヲ行キ、航空ガ日常化シテ居ルノニ、
我國ガ少シモ之ニ及バヌト云フコトハ、結
局我國ノ產業及ビ文化ガ何時カ破綻スルコ
トナシト限ラヌト覺悟シナケレバナラヌト
思ヒマス、斯ウ云フ考カラ、私ハ是ハ一刻
モ猶豫スルコトノ出來ナイ重大問題、而モ
ソレハ決シテ國防ダケノ問題デナク、殊ニ
吾々ノ文化生活、產業活動ノ上ニ於テ、少
シモ猶豫スルコトノ出來ナイ問題デアルト
考ヘルノデアリマス(拍手)
次ニハ國防的見地ニ立チマシテ一言スル
コトヲ、御許シヲ願ヒタイト思ヒマス、御
承知ノ通リ今日航空勢力ガ陸海軍ノ勢力ノ
上ニ加ッタルガ爲ニ、戰爭ヲスル方式ガ革命
的ニ一變シタト云フコトデアリマス、其結
果トシテ此島國デアル我ガ日本帝國ハ、英
吉利同樣ニ從來ハ國防上非常ナ防禦力ヲ天
惠的ニ有ッテ居ッタ特別ナ利益ガアッタニモ
拘ラズ、飛行機ガ出來タ爲ニ、其防禦力ノ
價値ト云フモノハ激減致シタコトデアリマ
ス、之ヲ補ヒマス方法ハ、全ク航空勢力ヲ、
國軍トシテモ民間ノ航空勢力トシテモ充實
スル外ニ、此戰鬪上ニ於ケル革命的變化ニ
對シテ、對應スル途ガナイト云フコトヲ考
ヘルノデアリマス、吾々ガ航空策樹立ニ對
シテ大ニ切言スル所以ハ、自ラ理由アリト
云フコトヲ御諒知願ヘルト思フノデアリマ
ス、斯ウ云フ次第デアリマスカラ、政府ハ
一日モ早ク之ニ關スル國策樹立ヲ爲サレン
コトヲ切望セザルヲ得ナイ、從來何デ政府
ガ此重大問題ヲ閑却ナスッテ居ッタノカ、殆
ド諒解ニ苦シムノデアリマス、是ハ獨リ吾
吾ガ諒解ニ苦シムバカリデナク、此憂ヲ有ッ
テ居ル者天下ニ少クナイノデアリマス、ド
ウカ政府ハ此憂ヲ解クベク速ニ航空國策樹
立ノ計ヲ立テラレンコトヲ切望セザルヲ得
ナイ、政府ハ色々ノ質問ニ對シテ、曾テ此
民間航空ハ必要デナイナドヽ云フコトヲ仰
シヤッテハ居ラヌ、如何ニモ御尤ダ、極メテ
必要ダト云フコトノ御答辯ガアッタニ拘ラ
ズ、實際ノ施設ハ不幸ニシテ少シモ之ニ伴ッ
テ居ラナイ、全ク空言ニ終ッテ居ルノデゴ
ザイマス、ソレデ私ハ又從來通リ空言ニ終
リハセヌカト云フコトヲ疑ハザルヲ得ヌノ
デアリマスカラ、此際岡田内閣總理大臣ニ
於カレマシテハ、此建議案ガ恐ラク三派共
同提出デゴザイマスルカラ、無論本案ハ通
過スルコトヽ存ジマスルガ、ドウカ必ズ是ハ
責任ヲ以テ、國策樹立ヲ斷行スルト云フコト
ノ聲明ヲ、賜リタイノデゴザイマス、承ル所
ニ依ルト、最近床次遞信大臣ニハ、貴族院
ニ於テ來年以後巨額ノ豫算ヲ計上シテ、此
仕事ヲヤルト云フコトノ御聲明ガアッタ趣
キ承ッテ居リマス、所ガ私ハ之ヲ從來遞信省
デオヤリニナッタ如クニ、國民全體ニ愬ヘ、
國論ヲ喚起スルト云フ御働ヲナサラズシテ、
單ニ豫算ヲ計上シテ大藏省ヘ要求スルト云
フコトデハ、是ハ到底私ハ如何カト怪マザ
ルヲ得ヌノデアル、先以テ此必要ヲ認識シ、
且ツ歐米ニ於テ如何ニ官民協力一致デ、此
大業ヲ爲シ遂ゲ得タカト云フ實例ニ鑑ミテ、
先以テ國論ヲ喚起シテ、國民ノ血ヲ沸カス
マデニ痛烈ナル空氣ヲ作リ出スベク、政府
ガ重大ナル決心ノ下ニ此仕事ヲオヤリニナッ
テ、而シテ後ニドンナ大キナ豫算ヲ御出シ
ニナラウトモ、恐クハ大藏省トテモ是ハ削
除スルコトガ出來ナイ、此點ハ民衆政治家
ノ巨擘ノ一人デアル床次遞信大臣、無論其
邊ノ御用意ニ缺ケル筈ハナイトハ信ジマス
ルガ、私ハ此仕事ノ必ズ最近ニ一日モ早ク
成績ヲ擧ゲルコトヲ希ヒマス餘リ、特ニ斯
ウ云フ餘計ナ御注意マデ申上ゲル次第デゴ
ザイマス、ドウゾ此邊ヲ御考慮下サレマシ
テ、直チニ現代ノ要求ニ應ジ、又列國ノ大
勢ニ遲レヌヤウニ對策ヲ立テラレンコトヲ
切ニ希望シテ、此建議案卽チ委員長報〓ニ
贊成致ス次第デゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=40
-
041・濱田國松
○議長(濱田國松君) 採決致シマス、本案
ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=41
-
042・濱田國松
○議長(濱田國松君) 起立總員(拍手)仍テ
本案ハ可決サレマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=42
-
043・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 議事日程變更ニ關スル緊
急動議ヲ提出致シマス、卽チ日程第十一乃
至第二十三ヲ繰上ゲ上程シ、其審議ヲ進メ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=43
-
044・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=44
-
045・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、日程第
十一及第十二ハ同一委員ニ付託シタル議案
ナルニ依リ、一括議題ト爲スニ御異議アリ
マセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=45
-
046・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第十一、大正九年法律第五十
六號中改正法律案、日程第十二、大正九年
法律第五十六號中改正法律案、右兩案ヲ
括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ
報告ヲ求メマス-橫川重次君
第十一大正九年法律第五十六號中改
正法律案(北海道拓殖鐵道補助ニ關
スル件)(東武君外五名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第十二大正九年法律第五十六號中改
正法律案(北海道拓殖鐵道補助ニ關
スル件)(山本厚三君外四名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一大正九年法律第五十六號中改正法律案
(北海道拓殖鐵道補助ニ關スル件)(東
武君外五名提出)
一大正九年法律第五十六號中改正法律案
(北海道拓殖鐵道補助ニ關スル件)山
本厚三君外四名提出)
右ハ本院ニ於テ兩案ヲ併合シ別紙ノ通(內
容同一)修正スベキモノト議決致候此段及
報〓候也
昭和十年二月二十五日
委員長橫川重次
衆議院議長濱田國松殿
〔別紙〕
大正九年法律第五十六號中左ノ通改正
ス
同法ニ左ノ一項ヲ加フ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ前項ノ期
間ノ外更ニ五年ヲ限リ勅令ノ定ムル所ニ
依リ北海道拓殖費ヨリ補助ヲ爲スコトヲ
得
附則
本法ハ昭和十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際營業開始ノ日ヨリ十五年ヲ
經過シタルモノニ付テハ營業開始ノ日ヨ
リ二十年ニ達スル迄本法施行ノ日ヨリ改
正規定ニ依リ更ニ補助ヲ爲スコトヲ得
〔橫川重次君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=46
-
047・横川重次
○橫川重次君 只今議題ニナッテ居リマス
大正九年法律第五十六號中改正法律案、東
武君外五名提出、及山本厚三君外四名提出
ニ係ルモノデアリマスガ、兩案ノ委員會ノ
審査ノ報告ヲ申上ゲマス、大正九年法律第
五十六號ハ、北海道拓殖鐵道補助ニ關スル
件デアリマシテ、改正案ノ趣旨ハ、現行法
ニ於ケル補助年限十五年ヲ二十年ニ延長セ
シメタイト云フノデアリマス、委員會ニ於
キマシテハ、各委員ニ依リ鐵道、內務、北
海道當局ニ對シマシテ熱心ナル質疑應答ガ
行ハレタノデアリマスガ、玆ニハ極ク其〓
要ノミヲ御報告申上ゲルコトニ致シマシテ、
御諒解ヲ得タイト思フノデアリマス、北海
道ニ於ケル私設鐵道及軌道一般ガ、現行ノ
補助年限ニ於テ其補助ヲ打切ラレマシテ、
獨立シ得ラレルヤ否ヤト云フ點ガ、先ヅ第
一ニ重要ナ點トシテ質疑セラレタノデアリ
マス、申ス迄モナク鐵道軌道ノ發達ハ、拓
殖事業ノ根基ヲ爲スモノデアリマシテ、是
ガ興廢ハ單ニ經營會社ノ存廢ノ問題デハナ
イノデアリマシテ、實ニ拓殖、植民ノ成敗
ノ岐ルヽ所ニ繫ルノデアリマスカラ、
最モ重大ナル問題デアリマス、現地ノ
鐵道軌道ノ經營ノ實情ニ徵シテ之ヲ見
マスノニ、補助會社一一十二社中、收支
辛ウジテ償フモノハ僅ニ二三ニ過ギナイ現
狀ニアルノデアリマシテ、其大部分卽チ
二十二社中ノ二十社ハ、著シイ缺損ヲ
續ケテ居ルヤウナ次第デアリマス、政府ノ
助成金ヲ以テ借入金ノ利拂ト爲シテ居ルモ
ノモアリ、洵ニ其營業狀態ハ不振ナノデゴ
ザイマス、之ヲ建設費ニ對シマス收益ノ率
カラ申シマシテ、北海道以外ノ實績ト之ヲ
比較シテ見マスト、軌道ニ於キマシテハ、
建設費ニ對シマス收益率ハ、北海道ニ於テ
四七%デアリマス、北海道以外ノ全部ニ付
テ見マスト、五四%ニナッテ居リマシテ、
七%ノ開キガゴザイマス、ソレカラ地方鐵
道ニ於キマシテハ、建設費ニ對シマス收益
率ノ比較ハ、北海道ニ於キマシテハ、
八%、其他ノ地方ニ於キマシテハ、四〇%
デアリマシテ、實ニ二二%ノ開キガアルノ
デゴザイマス、斯樣ニ相成ッテ居リマシテ、
殆ド總テノ會社ガ補助ヲ受ケナガラ、無配
當或ハ無配當ニ近イ程度ノ配當ヲ辛ウジテ
爲シ得ルト云フ狀態デアリマシテ、今日補
助ノ打切リ等ガアリマシタ場合ニ於テハ、
廢線ノ已ムナキニ至ル虞アルモノ少シトシ
ナイノデアリマス、政府モ此點ニ關シマシ
テハ、北海道拓殖計畫進行上ノ齟齬ノ點
ト、昭和六年七年及九年ノ相次グ農產物ノ
不作ノ二ツノ原因ヲ擧ゲマシテ、未ダ各會
社ガ獨立ノ域ニ達シ得ナイ實情ニ在ルコト
ヲ認メテ居ルノデアリマス、次ニ然ラバ如
何ナル理由ニ依ッテ、特ニ著シク該地ノ鐵
道、軌道ガ不振ノ立場ニアルカト云フ、眞
ノ原因ヲ究メル意味ニ於キマシテノ質疑ガ
重ネラレタノデアリマス、一般的經濟不況
乃至他ノ運輸企業ノ發達等ニ依ル影響ハ、
是ハ日本全國ノ問題デアリマスルカラ、玆
ニ言フベキ限リデハアリマセヌガ、該地ノ
特殊事情ニ依ルモノガアリ得ルト致シマシ
クナラバ、是ハ十分公平ナル立場カラ、議
會ヲ通ジテ之ヲ明カニシ、之ヲ認メテ行カ
ネバナラヌモノト思フノデアリマス、今最
モ其顯著ナル二三ヲ擧ゲマスルナラバ、第
一ハ地理的條件デアリマス、人口密度、是
ハ內地ノ十分ノ一デアリ、朝鮮ト比較致シ
マシテモ、三分ノ一ニ過ギナイ程度ノ、非
常ニ稀薄ナル人口ノ密度ヲ有ッテ居リマス、
ソレカラ雪害冷害、是ハ皆樣夙ニ御承知ノ
如ク、一年ノ或ル部分ハ運轉其他ノ不可能
ニナル程度ニ迄非常ナル雪害ガアリ、又其
爲ニ要シマスル營業費ハ、他ノ地方ニ比較
致シマシテ、非常ニ嵩ムト云フヤウナ狀態
ニアルノデアリマス、其原因ノ第二ハ金融
的條件デアリマス、是ハ朝鮮其他ノ地方ト
比較致シマシテモ、非常ニ高金利ニアルト
云フコトガ明ニナッタノデアリマス、其理由
第三、政府ノ拓殖計畫進行ノ遲延、是ハ昭
和二年ニ於キマシテ、二十年計畫ニ依ル北
海道拓殖計畫ガ樹立セラレタノデアリマス
ルガ、其後種々ナル事情ニ依リマシテ、非
常ナ齟齬ヲ致シテ居リマスコトハ、政府、
北海道長官ノ自ラ證明スル所デアリマシ
テ、是ガ卽チ政府ノ責任ニ於キマシテ、地
方私設鐵道ガ、其進行ノ遲々タルニ依ル原
因ニ依リマシテ、比較的其思フ如キ進行成
績ヲ擧ゲ得ザル現狀ニアルコトモ、其重大
ナル原因ノ一ツニナッテ居ルノデアリマス、
其理由第四、拓殖費ノ大削減、是ハ三割以
上ノ削減ガセラレテ居リマスノデ、是モ實
ニ著シク拓殖事業進行上ノ阻害ト相成ッテ
居ル、隨テ其鐵道經營其他ニ付キマシテノ
惡影響ノアリマスコトハ、是亦當然デアル
ノデアリマス、其後昭和六年、七年、九年
ノ不作、是ハ旣ニ前ニ述ベマシタ如キコト
デアリマス、大體右樣ノ次第デ、朝鮮臺灣
等ニ比較致シマシテモ、遙ニ劣ル自然的條
件ノ下ニ置カレテ居ルノデアリマシテ、大
體以上ノヤウナ事實ガ質疑應答ノ中ニ明カ
トナッタノデアリマス、而シテ既ニ朝鮮、
臺灣、樺太ニ於キマシテハ、同樣ノ趣
旨ニ基キマスル補助ニ對シ、昨年ノ議會
ニ於テ各、五箇年ノ補助期間ノ延長ヲ決
定致シマシテ、北海道ノミガ其改正ニ漏
レテ居リマスコトハ、洵ニ不合理不公正
ノコトデアリマス、殊ニ最近ノ國際事情ニ
鑑ミマシテ、國防觀念ノ常識ニ照シテ之ヲ
見マスルモ、北方ノ守リヲ堅ク致シマスル
上ニ、鐵道事業ノ寄與スベキコトハ、是一
明デアルノデアリマス、最モ留意セネバナ
ラヌ點ト思フノデアリマス、委員會ハ以上
ヲ以チマシテ討論ニ入リマシテ、林委員ヨ
リ兩案ヲ併合シ、別紙ノ通リ修正スベキモ
ノト議決サレタシトノ動議ノ提出ガアリマ
シテ、政友委員ノ代表トシテ丸山委員、民
政委員ノ代表ト致シマシテ〓水委員ヨリ贊
成ノ意見ノ陳述ガアリマシテ、全會一致ヲ
以テ可決致シタ次第デゴザイマス、之ニ對
シ北海道長官カラ、主トシテ財政上ノ理由
ヨリ致シマシテ、本案ノ趣旨ニ遽ニ贊成致
シ兼ネル旨ノ陳述ガゴザイマシタ以上ガ委
員會ノ大體ノ經過及結果ノ報告デアリマス
ルガ、尙ホ一點特ニ御報告申上グベキコト
ガアルノデアリマス、ソレハ補助金算定ニ
關シマシテ、政府ガ重大ナル誤リヲシテ居
ルト云フコトガ、松尾君、林委員、手代木委
員等ニ依リマシテ、委員會ニ於キマシテ明
ニセラレマシタ點デアリマス、卽チ政府ハ
大正十一年內務省令第八號ニ依リマシテ「北
海道拓殖促進ノ爲必要アリト認ムル地方鐵
道及軌道ノ補助施行ニ關スル件」此內務省
令ニ依リマシテ、補助金ノ算出ノ樣式ヲ定
メテ、是ガ明記シテアルノデアリマスガ、
卽チ第一條ノ第三項ニ於キマシテ「營業費
ハ當該地方鐵道及軌道ノ營業費決算額ヲ基
礎トシ北海道廳長官ノ査定シタル額」トア
リマシテ、補助金ノ算定上ノ基礎トナリマ
スル所ノ營業費ハ、之ヲ查定スル場合ニハ、
當該地方鐵道及軌道ノ營業費ノ決算額ヲ基
礎トシテ爲スベキコトヲ規定シテアルノデ
アリマシテ、北海道長官ノ査定デアレバ何デ
モ宜イト云フ規定デハナイノデアリマス、
勿論査定スベキ對象ガ玆ニ明ニ規定シテア
ルノデアリマシテ、此明ナル規定ガアルニ
モ拘リマセズ、昨年ヨリ致シマシテ、突如ト
シテ長官ノ任意ノ裁畫ニ依リマシテ、營業
費決算額ヲ基礎トセザル、卽チ營業費決算
額ニ全ク關係ノナイ特定ノ公式ヲ基礎ト致
シマシテ、之ヲ計算致シマシテ、內務省令
ニ依ッテ規定セラレテ居リマスル營業費ニ
等シキ「ウエート」ヲ以テ之ヲ加算シテ居ル
ノデアリマス、是ハ明ニ省令ノ規定ニ背反
セルモノデアルト思フノデアリマシテ、此
點ニ付キマシテハ、前述ノ三委員ヨリ强ク
政府ノ反省ヲ求メラレタノデアリマス、若
シ經濟上ノ事由其他ニ依リマシテ、計算ノ
基礎ヲ變更スル必要アリト致シマスルナラ
バ、是ハ省令ヲ改正シテ、ソレニ依ッテ行フ
ベキコトガ至當デアルト云フ點ニ付キマシ
テ、明ニ述ベラレテ居ッタノデアリマス、政
府ハ之ニ對シテ〓究中デアルト云フヤウナ
答辯デアリマシタガ、是ハ事柄ハ相當各軌
道、鐵道會社ニ對シマシテハ、重大ナ經濟
的影響モアリマスルシ、又法ノ運用ノ上カ
ラ申シマシテモ、斯樣ナ自由裁量ヲ餘リニ
擴メマスルコトハ、洵ニ立憲法治國ト致シ
マシテ遺憾ノ次第デアルノデアリマス、此
點ヲ特ニ申添ヘテ置キマス、何卒前段申上
ゲマシタヤウナ經過ニ依リマシテ可決致シ
タノデアリマスルカラ、委員會ノ決定通リ
御贊成アランコトヲ切ニ御願致シマス(拍
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=47
-
048・濱田國松
○議長(濱田國松君) 委員長報告ハ兩案ヲ
併合シテ一案トナシ、修正議決シタモノデ
アリマス、兩案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=48
-
049・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第三讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=49
-
050・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ
開キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=50
-
051・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=51
-
052・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
大正九年法律第五十六號中改正法律案
(北海道拓殖鐵道補助ニ關スル件)
第二讀會(確定議)
大正九年法律第五十六號中改正法律案
(北海道拓殖鐵道補助ニ關スル件)
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=52
-
053・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ御發議ガアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ確定致シマシタ(拍手)日程第十三、登錄
稅法中改正法律案法ノ第一讀會ノ續ヲ開キ
やっ、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長
福井甚三君
第十三登錄稅法中改正法律案(金光
庸夫君外三名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
登錄稅法中改正法律案(金光庸夫君外
三名提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
昭和十年二月二十六日
委員長福井甚三
衆議院議長濱田國松殿
〔別紙〕
登錄稅法中左ノ通改正ス
第十六條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ保險業法ノ規定ニ從ヒ會
社カ其ノ保險契約全部ノ移轉契約ニ因
リテ不動產又ハ船舶ニ關スル權利ヲ移
轉シタル場合ニ於テ其ノ權利ノ取得ニ
付之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔福井甚三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=53
-
054・福井甚三
○福井甚三君 只今上程サレマシタル登錄
稅法中改正法律案委員會ノ經過竝ニ結果ヲ
御報告申上ゲマス、本案ハ至ッテ簡單デアリ
マシテ、卽チ保險業者ガ合併ヲ致シマスニ
付キマシテ、其保險契約ノ全部ノ移轉契約
ニ基クコトデ、改正シナケレバナラヌト云
フ案デアルノデアリマス、此案ハ合併ニ最
モ必要ナ案デアリマスルカラ、寧ロ政府ヨ
リ提案セラルベキ筈ノ案デアルノデアリマ
ス、斯樣ノ意味ニ於キマシテ、政府委員ノ
說明ヲ聽キ、委員諸君ハ熱心ニ審議ヲセラ
レマシテ、其結果ガ山下委員ヨリ、本案ノ
趣旨ヲ明ニスルガ爲ニ字句ノ修正ト、附則
ト致シマシテ施行ノ期日ヲ定メテ置ク方ガ
宜カラウ、斯ウ云フ譯デ修正動議ヲ提出サ
レタノデアリマス、其修正ノ箇所ハ「前項
ノ規定ハ保險業法ノ規定ニ從ヒ」ト云フ下
ニ「會社カ其ノ」ト云フコトヲ加ヘテ明ニセ
ラレタノデアリマス、施行ノ期日ヲ定ムル
ニ付キマシテハ、附則ト致シテ「本法施行
ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」ト云フコト
ニシテ、修正動議ヲ出サレマシテ、滿場ニ
御諮リヲ致シマシタ所ガ、滿場一致之ヲ可
決セラレタ次第デアリマス、以上御報告申
上ゲマス、何卒御審議ノ上確定アランコト
ヲ御願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=54
-
055・濱田國松
○議長(濱田國松君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=55
-
056・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=56
-
057・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ
開キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=57
-
058・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=58
-
059・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
登錄稅法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=59
-
060・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ確定致シマシタ(拍手)日程第十四及第十
五ハ、同一委員ニ付託シタル議案ナルニ依
リ、一括議題トナスニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=60
-
061・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第十四、刑事判決宣告猶豫ニ
關スル法律案、日程第十五、小作調停法中
改正法律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會ノ
續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-
原惣兵衞君
第十四刑事判決宣告猶豫ニ關スル法
律案(一松定吉君外三名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第十五小作調停法中改正法律案藤
田若水君外四名提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一刑事判決宣告猶豫ニ關スル法律案二
松定吉君外三名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十年二月二十八日
委員長原惣兵衞
衆議院議長濱田國松殿
報〓書
一小作調停法中改正法律案(藤田若水君
外四名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十年二月二十八日
委員長原惣兵衞
衆議院議長濱田國松殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=61
-
062・原惣兵衞
○原惣兵衛君 簡單デアリマスカラ此席カ
ラ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=62
-
063・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=63
-
064・原惣兵衞
○原惣兵衞君 只今議題トナッテ居リマス
ル刑事判決宣告猶豫ニ關スル法律案ノ內容
ハ、由來裁判ガアリマシタラ必ズ確定決定
スルト云フコトニナッテ居リマシタノヲ、裁
判所ハ特ニ一定ノ犯罪ニ對シマシテハ、少
クトモ將來ノ改悛ノ見込ガアルト云フヤウ
ナ場合ニ於キマシテハ、其本人ノ裁判ヲ一
時宣告ヲ猶豫スルノ言渡ヲスル、ソレニ依ッ
テ一定ノ期間ノ經過シマシタ時ニ於テハ、
本人ノ改悛ノ情ガ十分デアリマスルガ故
ニ丁度免訴ノ判決、少クトモ罪ノ無カッタ
者ト同一ノ狀態ニ置カウト云フノガ本案ノ
趣旨デアリマス、細カキ內容ハ法律案ニア
リマスカラ、御一讀ヲ願ヒタイノデアリマ
ス、其意味ニ於テ宣告ヲ猶豫シテ其罪ナカ
ラシメ、罪ヲ犯サヾルト同一ノ狀態ニ置イ
テ、本人ノ將來ヲ感化シテ行カウト云フノ
ガ、刑事政策ノ立場カラ實行セラレタモノ
デアリマスカラ、滿場一致反對ナク可決致
シマシタ、左樣御承知願ヒマス、今一ツハ小
作調停法中改正法律案デアリマス、先般ノ
借地借家ノ法律案ト同樣ニ、代理人ニ辯護
士ヲ入レルト云フノガ本案ノ趣旨デアリマ
シテ、是モ異議ナクシテ滿場一致可決致シ
マシタ、以上御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=64
-
065・濱田國松
○議長(濱田國松君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=65
-
066・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=66
-
067・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ
開キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=67
-
068・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=68
-
069・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メ
そく、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
刑事判決宣告猶豫ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)
小作調停法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=69
-
070・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ御發議ガアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定サレマシタ(拍手)日程第十六乃
至第二十三ハ、同一委員ニ付託シタル議案
デアリマスカラ、一括議題トナスニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=70
-
071・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第十六、衞生組合法案、第十
七、衞生組合法案、第十八、衞生組合法案、
第十九、傳染病豫防法中改正法律案、第二
+、傳染病豫防法中改正法律案、第二十一、
產師法案、第二十二、產師法案、第二十三、
產師法案、右八案ヲ一括シテ第一讀會ノ續
ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-
石坂豐一君
第十六衞生組合法案(田中祐四郞君
外二名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第十七衞生組合法案(鷲野米太郞君
外五名提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第十八衞生組合法案(野田文一郞君
外一名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第十九傳染病豫防法中改正法律案
(田中祐四郞君外二名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第二十傳染病豫防法中改正法律案
(鷲野米太郎君外五名提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第二十一產師法案(土屋〓三郞君外
三名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第二十二產師法案(野方次郞君外四
名提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
第二十三產師法案(山道襄一君外二
名提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
衞生組合法案(田中祐四郞君外二名
提出)
一衞生組合法案(鷲野米太郞君外五名
提出)
-衞生組合法案(野田文一郞君外一名
提出)
右ハ本院ニ於テ三案ヲ併合シテ一案ト爲
シ別紙ノ通(內容同一)修正スヘキモノト
議決致候此段及報〓候也
昭和十年二月二十八日
委員長石坂豐
衆議院議長濱田國松殿
〔別紙〕
衞生組合法
第一條衞生組合ハ公衆衞生ノ改良發達
ヲ圖ルヲ以テ目的トス
第二條衞生組合ハ法人トス
第三條衞生組合ハ其ノ目的ヲ達スル爲
左ノ事業ヲ行フ
一衞生思想ノ普及ニ關スル事業
二傳染性疾患及寄生蟲病ノ豫防救治
ニ關スル事業
三〓潔保持ニ關スル事業
四其ノ他公衆衞生上必要ナル事業
衞生組合ハ行政官廳又ハ市長ノ指示ヲ
承ケ前項ノ事業ニシテ國、道府縣又ハ
市ニ屬スル事務ヲ補助スルコトヲ得
第四條衞生組合ノ區域ハ市內ニ於テ市
長之ヲ定ム
第五條衞生組合ハ其ノ區域內ノ世帶主
ヲ以テ其ノ組合員トス
衞生組合ハ組合規約ノ定ムル所ニ依
リ前項ニ揭グル者ノ外組合區域內ニ學
校病院、工場、倉庫、營業所又ハ事
務所等ヲ設クル者ヲ組合員ト爲スコト
ヲ得但シ國、道府縣、市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノハ此ノ限ニ在ラズ
第六條衞生組合ヲ設立セントスルトキ
ハ其ノ區域內ノ組合員タル資格ヲ有ス
ル者七人以上發起人ト爲リ組合規約ヲ
作成シ組合員タル資格ヲ有スル者二分
ノ一以上ノ同意ヲ得テ地方長官ノ認可
ヲ受クベシ
第七條地方長官必要アリト認ムルトキ
ハ市長ニ對シ區域ヲ指定シ衞生組合ノ
設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ衞生組合ノ設立ヲ命
ゼラレタル市長ハ組合規約ヲ作成シ地
方長官ノ認可ヲ受クベシ
第八條衞生組合ハ組合規約ノ定ムル所
ニ依リ總會ヲ開キ組合ニ關スル事件ヲ
議決ス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ代會
ヲ以テ總會ニ代フルコトヲ得
總會ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定
ム
第九條衞生組合ニ組合長及副組合長一
人又ハ二人ヲ置ク
組合長及副組合長ハ組合員中ヨリ之ヲ
選擧ス
前項ノ選擧ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
組合長及副組合長ノ外組合規約ノ定ム
ル所ニ依リ衞生組合ニ他ノ役員ヲ置ク
コトヲ得
第十條組合長ハ組合ヲ代表シ組合一切
ノ事務ヲ擔任ス
副組合長ハ組合長ヲ輔佐シ組合長事故
アルトキハ其ノ職務ヲ代理ス
副組合長二人アルトキハ組合長ノ豫メ
定メタル順序ニ依リ之ヲ代理ス
第十一條衞生組合ノ經費ハ組合規約ノ
定ムル所ニ依リ組合員之ヲ負擔ス
第十二條組合規約ヲ變更セントスルト
キハ市長ヲ經テ地方長官ノ認可ヲ受ク
ベシ
第十三條地方長官ハ衞生組合ニ對シ監
督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲
スコトヲ得
市長ハ衞生組合ニ對シ事務ノ報〓ヲ爲
サシメ、書類帳簿ヲ徴シ、實地ニ就キ
事務ヲ視察シ若ハ出納ヲ檢査シ又ハ事
業ニ關シ必要ナル事項ヲ指示スルコト
ヲ得
第十四條地方長官ハ總會ノ議決若ハ選
擧又ハ役員ノ行爲ガ法令若ハ組合規約
ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキ
ハ議決若ハ選擧ヲ取消シ、役員ヲ解任
ジ、組合ノ事業ヲ停止シ又ハ組合ノ解
散ヲ命ズルコトヲ得
第十五條衞生組合ノ解散、分合及區域
ノ變更ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
傳染病豫防法ニ依リ設立シタル市內ノ衞
生組合ニシテ本法施行ノ際地方長官ノ指
定シタルモノハ本法ニ依リ設立シタルモ
ノト看做ス
前項地方長官ノ指定シタル衞生組合ハ遲
滯ナク組合規約ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ
受クベシ
報〓書
一傳染病豫防法中改正法律案(田中祐四
郞君外二名提出)
一傳染病豫防法中改正法律案(鷲野米太
郞君外五名提出)
右ハ本院ニ於テ兩案ヲ併合シ別紙ノ通
(內容同一)修正スヘキモノト議決致候此
段及報告候也
昭和十年二月二十八日
委員長石坂豐
衆議院議長濱田國松殿
〔別紙〕
傳染病豫防法中左ノ通改正ス
第二十三條地方長官ハ傳染病豫防救治
ノ爲町村內ニ衞生組合ヲ設ケシムルコ
トヲ得
地方長官ハ衞生組合法ニ依ル衞生組合
及前項ノ衞生組合ニ對シ〓潔方法消毒
方法其ノ他傳染病ノ豫防救治ニ關シ必
要ナル事項ヲ指示シテ之ヲ履行セシム
ルコトヲ得
市町村ハ衞生組合法ニ依ル衞生組合及
第一項ノ衞生組合ニ於テ傳染病豫防救
治ノ爲支出スル費用ノ全部又ハ一部ヲ
補助スルコトヲ得
第二十四條中「第二十三條第二項」ヲ「第
二十三條第三項」三段人
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
報〓書
一產師法案(土屋〓三郞君外三名提出)
一產師法案(野方次郞君外四名提出)
一產師法案(山道襄一君外二名提出)
右ハ本院ニ於テ三案ヲ併合シテ一案ト爲
シ別紙ノ通(內容同一)修正スヘキモノト
議決致候此段及報告候也
昭和十年二月二十八日
委員長石坂豐
衆議院議長濱田國松殿
〔別紙〕
產師法
第一條產師トハ助產ヲ業トスル者ヲ謂
フ
第二條產師タラムトスル者ハ一一十年以
上ノ女子ニシテ左ノ資格ヲ有シ內務大
臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
一修業年限四箇年以上ノ高等女學校
ノ卒業者又ハ之ト同等以上ノ學力ヲ
有スル者ニシテ內務大臣ノ指定シタ
ル產師學校ヲ卒業シタル者
外國ノ產師學校ヲ卒業シ又ハ外國
ニ於テ產師ノ免許ヲ得タル者ニシテ
命令ノ規定ニ該當スル者
三產師試驗ニ合格シタル者
產師試驗ハ內務大臣之ヲ行フ
產師試驗ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之
3 4
第三條聾者、啞者、盲者又ハ精神病者ニ
對シテハ產師ノ免許ヲ與フルヲ得ス
堕胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ犯シ
刑ニ處セラレタル者又ハ禁錮以上ノ刑
ニ處セラレタル者ニ對シテハ產師ノ免
許ヲ與ヘサルコトアルヘシ
第四條產師ハ妊婦、產婦、褥婦又ハ胎
兒生兒ニ異常アリト認ムルトキハ直
ニ醫師ノ診療ヲ請ハシムヘシ自ラ其ノ
處置ヲ爲スコトヲ得ス但シ臨時應急ノ
處置ハ此ノ限ニ在ラス
第五條產師ハ自ラ診察又ハ檢案セスシ
テ死產證書又ハ死胎檢案書ヲ交付スル
コトヲ得ス
第六條產師ハ何等ノ方法ヲ以テスルヲ
問ハス業務上技能、經歷又ハ命令ヲ以
テ定ムル事項ノ廣〓ヲ爲スコトヲ得ス
第七條產師ハ產簿ヲ備へ十箇年間之ヲ
保存スヘシ
第八條產師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道
府縣產師會ヲ設立スヘシ
道府縣產師會ハ日本產師會ヲ設立スル
コトヲ得
產師ハ土地ノ狀況ニ依リ郡市區產師會
ヲ設立スルコトヲ得
產師會ハ法人トス
產師會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ產事衞
生ノ改良發達ヲ圖ルヲ以テ目的トス
產師會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ會
員ヨリ徵收スヘキ收入ニ關シ民事訴訟
ヲ提起スルコトヲ得
前各項ニ規定スルモノノ外產師會ニ關
シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條產師第三條第一項ニ該當スルト
キハ其ノ免許ヲ取消スヘシ
產師墮胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ
犯シ刑ニ處セラレタルトキ又ハ禁錮以
上ノ刑ニ處セラレタルトキハ免許ヲ取
消シ又ハ期間ヲ定メテ業務ヲ停止スル
コトアルヘシ其ノ免許前ニ係ル場合亦
同シ
前二項ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖第
三條第一項ノ原因止ミタルトキ又ハ改
悛ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ與フル
コトヲ得
前三項ノ處分ハ內務大臣之ヲ行フ但シ
第二項ノ處分ヲ行フ場合及改悛ノ情顯
著ナル者ニ對シ前項ノ再免許ヲ與フル
場合ニ於テハ中央衞生會ノ審議ヲ經ル
コトヲ要ス
第十條免許ヲ受ケスシテ助產ノ業ヲ爲
シタル者又ハ第四條乃至第七條ノ規定
ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ
科料ニ處ス業務停止中ノ產師ニシテ助
產ノ業ヲ爲シタル者亦同シ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
產婆規則ハ之ヲ廢止ス
本法施行前產婆名簿ニ登錄セラレタル者
ハ本法ニ依リ產師ノ免許ヲ受ケタル者ト
看做ス
本法施行前地方長官ヨリ業務ノ地域及期
限ヲ定メテ假ニ產婆ノ業ヲ免許セラレタ
ル者ハ本法施行後ト雖仍其ノ業務ヲ爲ス
コトヲ得且其ノ期限ハ申請ニ依リ之ヲ更
新スルコトヲ得
本法施行ノ際從前ノ規定ニ依リ產婆名簿
ニ登錄ヲ受クル資格ヲ有スル者及本法施
行後五箇年以內ニ從前ノ規定ニ依リ產婆
名簿ニ登錄ヲ受クル資格ヲ得タル者ハ第
二條ノ規定ニ拘ラス產師ノ免許ヲ受クル
コトヲ得
〔石坂豐一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=71
-
072・石坂豐一
○石坂豐一君 只今上程サレマシタル衞生
組合法案、傳染病豫防法中改正法律案及產
師法案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申
上ゲマス、本委員會ハ以上ノ法案ニ付キマ
シテ審議ヲ重ヌルコト四囘ニ及ビマシタ、
其詳細ハ皆樣ノ御手許ニ配付シテアリマス
ル速記錄ニ讓ルコトヽ致シマシテ、今玆ニ
其主ナル事項ニ付テ一一三一御紹介ヲ申上ゲタ
イト思ヒマス、衞生組合法ハ市ニ施行スル
モノデアリマシテ、現在傳染病豫防法中ニ
規定シテアリマス極メテ微弱ナル衞生組合
ヲ强化シテ、之ニ法人格ヲ與ヘ、以テ公衆
衞生事務ノ徹底ヲ期シタイト云フノガ其主
眼デアリマス、此法案ハ從來屢〓本院ニ於テ
可決セラレタノミナラズ、第五十九議會ニ
於キマシテハ、政府案トシテ本院ニ提出セ
ラレ、其都度本院ヲ通過シテ貴族院ニ廻ッテ
居ルモノデアリマス、提案者及委員諸君ガ
此點ニ關シ政府委員ニ質疑セラレ、國務大
臣ノ出席ヲモ求メテ所見ヲ質シタノデアリ
マスルガ、政府ニ於キマシテハ、衛生組合
ノ强化ヲ圖リ、其活動ヲ促スコトハ敢テ異
論ノナイ所デアル、サリナガラ市町村ノ固
有事務デアル所ノ衞生事務ヲ處理スルガ爲
ニ、更ニ市町村ニ遊離シタル所ノ法人格ヲ
設クルコトハ、俄ニ贊意ヲ表シ難イト云フ
ノデアリマス、斯ノ如クニシテ幾度カ質疑
應答ヲ重ネマシタ末ニ質問ヲ終了致シマシ
テ、採決ノ結果此三案共滿場一致ヲ以テ可
決スベキモノト確定致シマシテ、サウシテ
三案ハ其內容同一デアリマスカラ、之ヲ一
案ニ修正可決致シタ次第デアリマス、又傳
染病豫防法中改正法律案モ、此衞生組合法
ニ關聯スル法案ノ改正デアリマシテ、是ハ二
案提出サレテ居ルノデアリマスガ、之ヲ打ッ
テ一案トシテ可決シタノデアリマス
次ニ產師法案ノ說明ヲ申上ゲマス、現行
產婆規則ハ我國婦人ノ知識〓育幼稚ノ時代
ニ於キマシテ、便法ヲ以テ規定サレテ居ル
所ノ極メテ簡易ナル制度デアリマス、今ヤ
世界ノ一等國タル我ガ民族ノ出產ヲ助クル
所ノ貴キ此職務ニ對シ、國家ノ公認ハ餘リ
ニモ簡單デアリ、餘リニモ其程度ガ低イノ
デアリマス、故ニ今玆ニ其地位ヲ高メ、醫
師、齒科醫師、藥劑師、獸醫師等其他ノ公認
ノ職務ト同等ニ其標準ヲ高メマシテ、社會
的ノ地位ヲ向上セシメントスルノガ本案ノ
主眼デアリマス、此法律案モ旣往三囘バカ
リ本院ヲ通過シテ居ルモノデアリマスガ、
委員會ニ於キマシテハ現在ノ產婆ノ計數ヲ
土臺ト致シマシテ、政府ニ所見ヲ質シタノ
デアリマス、政府ニ於キマシテハ產婆ノ數
ガ五万六千五百九十人ノ中、試驗合格シテ
居ル者ガ四万八千五百六十三人デアル、其
他指定學校ヲ卒業シタ者ガ三千七十六人、
從來開業ノ者ハ三千三百五十七人トナッテ
居ル、去リナガラ本案ノ如ク俄ニ資格ヲ高
メタナラバ、サナキダニ僻陬地ノ產婆ノ居
ナイ所ガマダ二千三百箇村モアルノデアル
カラ、其窮屈ナル資格試驗ノ結果、一層不
足ヲ來ス心配ガアルカラ、本案ニハ贊成ガ
出來ナイト云フコトデアリマシタ、サリナ
ガラ委員會ハ前述ノ如キ試驗合格、又ハ學
校ヲ卒業シテ居ル者ノ多キ計數ニ鑑ミマシ
テ、政府ノ言フコトハ少ジモ心配スルニ足
ラヌ、寧ロ斯ノ如キ有資格者、又ハ學校卒
業者ガ絕對優勢ナル今日ニ於テハ、寧ロ此
地位ヲ向上スルト云フコトガ適當ノ處置デ
アルト云フ空氣ガ、委員會內ニ充滿シテ居ッ
タヤウニ認メタノデアリマス、斯ノ如クシ
テ十分ノ質疑ト論議ヲ重ネマシタ末、採決
ノ結果、此三案ハ內容同一デアリマスカラ、
之ヲ一案ニ修正致シマシテ可決ヲ致シマシ
タ
以上審査ノ經過及ビ結果ヲ申上ゲル次第
デアリマスルカラ、何卒滿堂諸君ノ御協賛
ヲ仰グ次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=72
-
073・濱田國松
○議長(濱田國松君) 日程第十六乃至第十
八ノ衞生組合法案ト、日程第十九及第二十
ノ傳染病豫防法中改正法律案トハ、關聯シ
タル議案デアリマスカラ、先ヅ此五案ノ審議
ヲ爲シ、次ニ日程第二十一乃至第二十三ノ
產師法案ノ審議ヲ致シマス、委員長報告ハ衞
生組合法案ノ三案ヲ併合シテ一案ト爲シ、
又傳染病豫防法中改正法律案ノ二案ヲ併合
シテ一案ト爲シ、各修正議決シタモノデア
リマス、仍テ五案ノ第二讀會ヲ開クニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=73
-
074・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ五案ノ第二讀會ヲ開クコトニ決シ
マシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=74
-
075・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 直チニ五案ノ第一一讀會ヲ
開キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=75
-
076・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=76
-
077・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ五案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
衞生組合法案第二讀會(確定議)
衞生組合法案第一讀會(確定議)
衞生組合法案第二讀會(確定議)
傳染病豫防法中改正法律案
第二讀會(確定議)
傳染病豫防法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=77
-
078・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ御發議ガアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ
確定致シマシタ(拍手)次ニ日程第二十一乃
至第二十三ノ產師法案ノ審議ニ入リマス、
委員長報告ハ三案ヲ併合シテ一案ト爲シ、
修正議決シタモノデアリマス、三案ノ第二
讀會ヲ開クニ御異議アリマセヌ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=78
-
079・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ三案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=79
-
080・青木雷三郎
○靑木雷三郎君 直チニ三案ノ第二讀會ヲ
開キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=80
-
081・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=81
-
082・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
產師法案第二讀會(確定議)
產師法案第二讀會(確定議)
產師法案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=82
-
083・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ御發議ガアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ
確定致シマシタ(拍手)--日程第四、自動
車交通事業法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開
キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-
提出者吉川吉郞兵衛君
第四自動車交通事業法中改正法律案
(吉川吉郞兵衞君外七名提出)
第一讀會
自動車交通事業法中改正法律案
自動車交通事業法中左ノ通改正ス
第三十七條ノ次ニ左ノ一一條ヲ加フ
第三十七條ノ二公共團體ハ公益上ノ必
要ニ因リ主務大臣ノ許可ヲ受ケテ第一
條又ハ第十七條第二項ノ事業(未ダ運
輸ヲ開始セザル自動車運輸事業及未ダ
供用ヲ開始セザル自動車道事業ヲ含
ム)ノ買收ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ事業ノ一部ヲ買收セ
ラルルニ因リテ、殘存事業ノ全部又ハ
部ニ付事業ヲ繼續スルコト能ハザルト
キハ自動車運輸事業者又ハ自動車道事
業者ハ公共團體ニ對シ殘存事業ノ全部
又ハ一部ノ買收ヲ請求スルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依ル買收價格、買收範
圍其ノ他買收ノ條件ハ當事者間ノ協議
ニ依ル協議調ハザルトキ又ハ協議ヲ爲
スコト能ハザルトキハ主務大臣之ヲ裁
定ス
前項ノ裁定中買收價格ニ付不服アル者
ハ裁定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月內
ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三十七條ノ三前條ノ規定ニ依リ買
收ヲ爲シタル自動車運輸事業路線ノ全
部又ハ一部ニ付テハ公益上ノ必要ニ因
ルノ外他事業者ニ自動車運輸事業經營
ノ免許ヲ爲スコトヲ得ズ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=83
-
084・吉川吉郎兵衞
○吉川吉郞兵衞君 簡單デアリマスカラ、
自席ヨリ發言ヲ御許シ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=84
-
085・濱田國松
○議長(濱田國松君) 簡單ナラバ許可致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=85
-
086・吉川吉郎兵衞
○吉川吉郞兵衞君 只今上程ニナリマシタ
本案ハ、昭和六年旣ニ制定セラレマシタ自
動車交通事業法、其中ニ强制買收ノ一項ヲ
加ヘテ戴キタイト云フ趣旨デアリマス、本
案同樣ノモノガ曩ニ同僚ヨリ提出サレマシ
テ、滿場ノ贊成ヲ得テ、只今委員付託ト
ナッテ居リマス、是ト殆ド同樣ノ案デアリマ
スガ故ニ、先ニ倣ヒマシテ此案モ皆サンノ
多數ノ御贊成ヲ得タイト存ジマス、ドウゾ
何分宜シク御願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=86
-
087・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ質疑ノ通〓ハア
リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=87
-
088・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ東武君外五名提
出、大正九年法律第五十六號中改正法律案
外一件ノ委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=88
-
089・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=89
-
090・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
五、舊獨逸膠州租借地還付ニ關スル條約實
施ニ伴フ損失ノ補償ニ關スル法律案ノ第一
讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シ
マス-提出者立川平君
第五舊獨逸膠州租借地還付ニ關スル
條約實施ニ伴フ損失ノ補償ニ關スル
法律案(久山知之君外二名提出)
第一讀會
舊獨逸膠州租借地還付ニ關スル條約實
施ニ伴フ損失補償ニ關スル法律案
第一條舊獨逸膠州租借地ニ永久的土著
ノ帝國臣民ヲ移植シ帝國ノ利便ニ資セ
ムカ爲ニ政府ノ奬勵保護ノ下ニ政府ノ
施設ニ策應シ永久計畫ヲ以テ舊獨逸膠
州租借地ニ既墾地ヲ買收シ若ハ未墾地
ヲ開拓シ又ハ膠州灣內ニ於テ養貝事業
ヲ經營セル個人又ハ山東懸案解決ニ關
スル條約及山東懸案細目協定ノ實施ニ
伴ヒ帝國軍隊ノ撤退後治安障害ニ因リ
テ農業又ハ養貝事業ヲ經營スルコト能
ハサルニ至リタル爲被リタル損失ニ對
シテハ政府ハ本法ニ依リ之ヲ補償スル
コトヲ得
第二條前條ニ規定スル補償金ノ總額ハ
三百七十五萬圓以內トス
第三條補償金ハ主務大臣補償審査會ノ
審查ヲ經テ之ヲ決定シ額面金額ニ依リ
國債證劵ヲ以テ之ヲ交付ス
補償審査會ニ關スル規定ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第四條政府ハ前條ノ規定ニ依ル交付ニ
必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ發行スル
コトヲ得
第五條本法ニ依リ補償金ヲ交付スル場
合ニ於テハ政府ハ當事者ニ對シ補償ノ
目的タル租借權ノ讓渡其ノ他必要ナル
條件ヲ附スルコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔立川平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=90
-
091・立川平
○立川平君 只今上程サレマシタ法律案提
案ノ趣旨ヲ簡單ニ御說明申上ゲタイト存ジマ
ス、本案ハ大正十三年第五十議會ニ請願トシ
テ採擇サレ、昭和元年第五十二議會ニ建議案
トシテ可決サレ、昨第六十五議會ニ於テ法
律案トシテ本院ヲ通過シ、貴族院ニ於テ不
幸容議未了ニナッタモノト、全然內容同一デ
アルノデアリマス、御承知ノ通リ大正三年
我國ハ對獨戰爭ニ於キマシテ、膠州灣ヲ占
領致シタノデアリマスガ、我國ノ人口食糧
問題解決ノ一助トシテ、又一面ニ於テハ北
支那ニ於ケル我ガ國力ヲ確保スル爲ニ、此
膠州占領ヲ機會ト致シマシテ、此處ニ政府
ハ移民ヲ奬勵シ、殊ニ土著性ノ多イ農民ノ
移住ヲ奬勵シタノデアリマス、是ニ於テ我
ガ多數ノ農業家ハ、進ンデ此地ニ進出致シ
マシテ、爾來八年舊獨逸租借地內ニ多大ノ
勞資ヲ投ジテ、農場開拓或ハ又養貝事業ニ
努メタノデアリマス、而シテ此間政府ハ常
ニ山東ニ於ケル我ガ特殊權益竝ニ專管居留
民ヲ確保スベキ旨ノ聲明ヲ致シ、移住民ハ
一ニ此聲明ニ信賴シテ居ッタノデアリマス、
然ルニ大正十年華盛頓ニ於キマシテ、山東
懸案解決ニ關スル條約ガ締結サレ、續イテ
北京ニ於テ山東縣案細目協定ガ結バレタノ
デアリマス、此結果山東ハ支那ニ還付セラ
レマシテ、曾テ正當、合法的ニ取得シタ農
場ノ旣得權ハ、實際ニ於テ剝奪セラルヽ結
果トナリマシテ、投下シタ多大ノ資本モ、
勞力モ空シク水泡ニ歸シテ、移住民ハ悲慘
ナル境遇ニ轉落シタノデアリマス、是ハ實
ニ國策ノ犠牲トナッタモノト言ハナケレバ
ナラヌノデアッテ、國家ハ斷ジテ之ヲ默過ス
ベキモノデハナイト思フノデアリマス、獨
リ是等ノ被害者ニ對シテ同情シナケレバナ
ラナイノミナラズ、斯ノ如キコトヲ此儘放
置シテ顧ミナイト云フコトハ、我ガ國民將
來ノ海外發展ニ對シマシテモ、多大ナル障
碍ヲ與フルコトヽ信ジマス、是等國策ノ犧
牲トナリ、甚大ナル損害ヲ受ケマシタ人々
ニ對シテ、國家ニ其損失ヲ補償セシメタイ
ト云フノガ本案ノ趣旨デアルノデアリマス、
何卒御審議ノ上御贊成アランコトヲ希望致
シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=91
-
092・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ質疑ノ通〓ハア
リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=92
-
093・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ政府提出、政府貸
付金處理ニ關スル法律案委員ニ併セ付託セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=93
-
094・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=94
-
095・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
六、日程第七ハ、同種ノ議案デアリマスカ
ラ、一括議題トナスニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=95
-
096・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第六、五大都市ニ特別市制實施
ニ關スル法律案、日程第七、五大都市ニ特別
市制實施ニ關スル法律案、右兩案ヲ一括シ
テ第一讀會ヲ開キマス、順次提出者ノ趣旨
辯明ヲ許シマス-日程第六、提出者中井
一夫君
第六五大都市ニ特別市制實施ニ關ス
ル法律案(中井一夫君外四名提出)
第一讀會
第七五大都市ニ特別市制實施ニ關ス
ル法律案(小山松壽君外六名提出)
第一讀會
五大都市ニ特別市制實施ニ關スル法律
案
第一條本法ニ於テ市ト稱スルハ京都市、
大阪市、橫濱市、神戶市及名古屋市ヲ
謂フ
第二條市ハ從來ノ區域ニ依リ之ヲ府縣
ノ區域外トス
第三條市ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法
令ノ範圍內ニ於テ其ノ公共事務竝從來
法令又ハ慣例ニ依リ府縣又ハ市ニ屬ス
ル事務及將來法律勅令ニ依リ市ニ屬ス
ル事務ヲ處理ス
第四條市ハ內務大臣之ヲ監督ス
第五條市制其ノ他ノ法令又ハ慣例ニ依
リ從來地方長官及府縣參事會ノ權限ニ
屬スル事項ハ市ニ於テハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ主務大臣又ハ市長之ヲ行フ
第六條市制其ノ他ノ法令ニ依リ從來府
縣參事會ニ訴願シ得ヘキ事項ハ市ニ於
テハ直ニ之ヲ行政裁判所ニ出訴スルコ
トヲ得
第七條市ハ市制其ノ他ノ法令ニ依ルモ
ノノ外從來ノ府縣稅及賦金ノ例ニ依リ
市稅及賦金ヲ賦課徵收スルコトヲ得
第八條市ハ府縣ト其ノ事務ノ一部ヲ共
同處理スル爲其ノ協議ニ依リ規約ヲ定
メ內務大臣ノ許可ヲ得テ府縣市組合ヲ
設クルコトヲ得
府縣市組合ハ法人トス
府縣市組合ノ事務ハ內務大臣ノ指定シ
タル府縣知事又ハ市長之ヲ管理ス
府縣市組合ニ關シテハ府縣制第百二十
六條ノ三第一項及第百二十六條ノ四乃
至第百二十六條ノ七ノ規定ヲ準用ス
第九條市制第百七十條第一項ノ懲戒審
査會ノ組織ニ關シテハ別ニ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第十條本法ニ規定スルモノノ外總テ市
制ノ定ムル所ニ依ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ爲府縣ニ屬スル財產、營造物
及事業ノ處分竝權利義務ノ歸屬ニ關シ必
要ナル事項ニ付テハ關係アル府縣會及市
會ノ意見ヲ徵シ主務大臣之ヲ定ム
五大都市ニ特別市制實施ニ關スル法律
案
第一條本法ニ於テ市ト稱スルハ京都市、
大阪市、横濱市、神戶市及名古屋市ヲ
謂フ
第二條市ハ從來ノ區域ニ依リ之ヲ府縣
ノ區域外トス
第三條市ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法
令ノ範圍內ニ於テ其ノ公共事務竝從來
法令又ハ慣例ニ依リ府縣又ハ市ニ屬ス
ル事務及將來法律勅令ニ依リ市ニ屬ス
ル事務ヲ處理ス
第四條市ハ內務大臣之ヲ監督ス
第五條市制其ノ他ノ法令又ハ慣例ニ依
リ從來地方長官及府縣參事會ノ權限ニ
屬スル事項ハ市ニ於テハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ主務大臣又ハ市長之ヲ行フ
第六條市制其ノ他ノ法令ニ依リ從來府
縣參事會ニ訴願シ得ヘキ事項ハ市ニ於
テハ直ニ之ヲ行政裁判所ニ出訴スルコ
トヲ得
第七條市ハ市制其ノ他ノ法令ニ依ルモ
ノノ外從來ノ府縣稅及賦金ノ例ニ依リ
市稅及賦金ヲ賦課徵收スルコトヲ得
第八條市ハ府縣ト其ノ事務ノ一部ヲ共
同處理スル爲其ノ協議ニ依リ規約ヲ定
メ內務大臣ノ許可ヲ得テ府縣市組合ヲ
設クルコトヲ得
府縣市組合ハ法人トス
府縣市組合ノ事務ハ內務大臣ノ指定シ
タル府縣知事又ハ市長之ヲ管理ス
府縣市組合ニ關シテハ府縣制第百二十
六條ノ三第一項及第百二十六條ノ四乃
至第百二十六條ノ七ヲ規定ヲ準用ス
第九條市制第百七十條第一項ノ懲戒審
査會ノ組織ニ關シテハ別ニ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第十條本法ニ規定スルモノノ外總テ市
制ノ定ムル所ニ依ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ爲府縣ニ屬スル財產、營造物
及事業ノ處分竝權利義務ノ歸屬ニ關シ必
要ナル事項ニ付テハ關係アル府縣會及市
會ノ意見ヲ徴シ主務大臣之ヲ定ム
〔中井一夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=96
-
097・中井一夫
○中井一夫君 只今上程セラレマシタ京
都大阪、名古屋、橫濱、神戶ノ五大都市
ニ、特別市制ヲ實施スルノ法律案ニ付テ、
其提案ノ理由ヲ簡單ニ御說明申上ゲス、最
近ニ於ケル大都市ノ生々發達ハ、洵ニ重大
ナル文化現象デアリマシテ、政治、經濟、
社會上、種々特異ナル重要問題ヲ提供致シ
テ居リマス、而モ大都市タルヤ一國文化ノ
中軸デアリマシテ、又實ニ政治、經濟、社
會、學術ノ淵叢デゴザイマス、其隆替消長
ハ、直チニ以テ國家ノ盛衰興亡ニ影響スル
ハ勿論、國民生活ノ形態內容ニ至大ノ感化
ヲ及ボスモノデアリマス、是レ大都市行政
ニ對シマシテハ、特ニ深甚ノ注意ヲ拂ヒマ
シテ、特別ナル行政ノ下ニ在ル機能ノ發揮助
長ヲ爲サネバナラヌトセラルヽ所以デアリ
マス、蓋シ人口ノ都市集中ハ世界的趨勢デ
アリマスケレドモ、就中大都市ニ於キマシ
テ其著シキヲ見ル我國ニアリマシテハ、東
京大阪等、所謂六大都市ノ伸展、眞ニ驚異
ニ値スルモノガアリマス、今ヤ其包容スル
人口ハ六十万乃至六百万ニ達スルノミナラ
ズ、大都市構成ノ一部ト見ルベキ隣接町村
ヲ加ヘマスルナラバ、其人口ハ洵ニ七百万
人ニ近キモノガアラントシテ居リマス、尙
ホ是等大都市ノ有スル經濟、金融、產業交
通貿易ノ實力モ、亦驚クベキモノガアル
ノデアリマス、飜ッテ其自治生活ノ機能ヲ見
マスルト、其實力ハ優ニ府縣ヲ凌駕スルモ
ノガアリマスノミナラズ、各般ノ公共施設
事業、頗ル廣汎、多岐ニ亙ッテ居ルノデアリマ
シテ、時代ノ進運ニ適應スベキ諸施設ノ企
畫、亦一日モ忽セニスルコトガ出來ヌノデ
アリマス、而モ其忽セニスベカラザルノ狀
態ハ、實ニ刻下ノ急務デアルト言ハネバナ
ラヌ程、酷イ狀態ニ相成ッテ居リマスルコト
ハ、到底他ノ他方ノ中小自治團體ノ比デハ
ナイノデアリマス、然ルニ今尙ホ大都市
ヲ規律致シ、其職能ヲ遂行セシムベキ、
適正ナル特殊制度ガ設ケラレナイノデアリ
マシテ、唯僅ニ一部特例ヲ認メラルヽノ
外ハ、全ク割一的市制ノ下ニ、中小都市
ト併列セラレマシテ、消極的ニハ國家ノ二
重監督ヲ蒙リ、積極的ニハ大都市ノ機能ヲ
發揮スベキ、獨立ノ機能ヲ與ヘラレナイノ
デアリマス、彼此レ相俟ッテ甚シク其自治的
活動ヲ阻害致シマシテ、一大集團タル自治
生活ノ本質、及作用ニ思ヲ致サヾルコト
ハ、洵ニ遺憾トスル所デアリマス、是レ延
テハ大都市々民生活ノ福社安康ヲ保持スル
能ハズ、又以テ國家行政經濟等ノ上ニモ、
重大ナル惡弊ヲ殘シツヽアルモノト謂ハナ
ケレバナラヌノデアリマス、大都市制度確
立ノ要望ハ、旣ニ之ヲ久シウ致シテ居リマ
ス、其實施ニ付キマシテモ、夙ニ輿論的ノ
支持ガアリマス、唯其實施方法ニ付テノミ
多少ノ攻究ヲ殘スバカリト相成ッテ居ルノ
デアリマス、今ヤ正ニ大都市制度實施ノ機
ガ至ッテ居ルノデアリマシテ、是レ以上遷延
ヲ許サヾルモノガゴザイマス、玆ニ大都市
ノ有スル特異性ニ考察致シマシテ、尙ホ現
行制度下ニ於ケル不備不便ヲ除去致シ、以
テ我國ニ於ケル所ノ大都市行政制度ノ確立
ヲ期セントスル所以デアリマス、是レ本案
ヲ提出致シタ理由ナノデアリマスガ、尙ホ
本案ニ付キマシテハ、固ヨリ我國ノ大都市
ノ首位ニアリマスル東京市ヲ包含致スノ
ガ、當然ノ事ナノデアリマスケレドモ、東京
市ニ付キマシテハ、旣ニ其帝都タルノ特別
ノ事情ニ依リマシテ、所謂都制ヲ布クノ議
ガアリ、又是ガ布カレルコトガ、當然、相
當ノコトデアルト吾々ハ考ヘテ居ルノデア
リマス、ソレガ爲ニ特ニ此案ニ於キマシテ
ハ、所謂六大都市ヨリ東京市ヲ除外致シマ
シテ、大阪以下四大都市、卽チ五大都市ニ
本案ヲ布カルベキ旨ヲ明ニ致シタ次第ナノ
デアリマシテ、決シテ東京市ノミヲ此制度
以外ニ除外致シテシマフノ趣旨デハナイノ
デアリマス、冀クハ諸君ニ於カレマシテ
モ、私共ノ申シマスル所ヲ能ク御諒察下サ
レマシテ、御賛同ヲ賜ハランコトヲ切ニ御
願ヲ致ス次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=97
-
098・濱田國松
○議長(濱田國松君) 日程第七、提出者本
田彌市郞君
〔本田彌市郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=98
-
099・本田彌市郎
○本田彌市郞君 諸君、私ハ本法案ニ付キ
マシテ、詳細ノ辯明ハ只今中井君ニ依ッテ盡
サレテ居リマス、本案ハ最初中井君ト共ニ
御相談ヲシテ出スコトニナッテ居リマシタ
ガ、手續上相違ヲ來シマシテ、二ツニ分
レテ居リマスガ、趣旨モ總テ同ジモノデ
アリマス、私ガ敢テ玆ニ贅辯ヲ費ス必要ハ
認メマセヌ、御承知ノ通リ此特別市制ハ殆
ド二十年來ニ亙リマスル懸案デ、而モ本院
ハ數囘通過ヲシテ居ルノデゴザイマス、ソ
レガ或ハ貴族院ニ於テ審議未了トナリ、其
他ニ依ッテ今日未ダ目的ヲ達成スルコトガ
出來ナイト云フヤウナ次第デゴザイマス、
ドウカ諸君ニ於カレマシテハ、滿場一致ヲ
以テ御贊成アランコトヲ偏ニ御願致シマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=99
-
100・濱田國松
○議長(濱田國松君) 質疑ノ通〓ガアリマ
セヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=100
-
101・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 日程第六、第七ノ兩案ハ
一括シテ政府提出、府縣制中改正法律案外
三件委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=101
-
102・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=102
-
103・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第八及第九ハ同種ノ議案ナルニ依リ、括
議題トナスニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=103
-
104・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第八、百貨店法案、日程第九、
百貨店法案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會ヲ
開キマス、順次提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマ
ス-日程第八、提出者眞鍋儀十君
第八百貨店法案(眞鍋儀十君外三名
提出)第一讀會
第九百貨店法案(三上英雄君外一名
提出)第一讀會
百貨店法案
百貨店法
第一條本法ニ於テ百貨店ト稱スルハ衣
食住ニ關スル多種類ノ商品ノ小賣業ヲ
營ム者ヲ謂フ
衣〓住ニ關セサル物品ヲ小賣スル場合
ト雖百貨店ノ營業所ニ於テ之ヲ爲スト
キハ之ヲ百貨店ノ營業ト看做ス
第二條百貨店ノ業務ヲ營マムトスル者
ハ事業方法其ノ他命令ノ定ムル事項ヲ
具シ主務大臣ニ申請シ免許ヲ受クヘシ
主務大臣前項ノ免許ヲ爲スニ當リテハ
特定ノ審議機關ノ審議ノ結果ヲ參酌ス
ルコトヲ得
特定ノ審議機關ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ地區營業者ノ代表者、同業組合ノ代
表者、所管公吏ヲ以テ之ヲ組織ス
第三條百貨店ハ本店其ノ他ノ營業所ノ
位置ヲ變更シ又ハ店舗若ハ賣場ヲ新設
若ハ擴張セムトスルトキハ主務大臣ノ
認可ヲ受クヘシ
前項ノ認可ニ付テハ前條ノ規定ヲ準用
ス
第四條百貨店ハ支店、出張所若ハ代理
店ヲ設置シ又ハ出張販賣ヲ爲スコトヲ
得ス
第五條百貨店見切品、棚浚、殘品其ノ
他名義ノ何タルヲ問ハス相場外ノ價格
ヲ以テ廉賣ヲ爲サムトスルトキハ商品
ノ種類、品質、數量、仕入時價及原價、
賣價竝廉賣ノ事由ヲ具シ主務大臣ノ認
可ヲ受クヘシ
第六條主務大臣ハ百貨店ノ營業方法カ
公益ニ反シ又ハ一般小賣業者若ハ消費
者ノ公正ナル利益ヲ害スルモノト認ム
ルトキハ之ヲ制止スル爲必要ナル事項
ヲ命シ又ハ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ
得
第七條主務大臣ハ百貨店ノ所爲ニシテ
本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違
反シタリト認ムルトキハ其ノ業務ヲ停
止シ又ハ其ノ認可若ハ免許ヲ取消スコ
トヲ得
第八條百貨店ハ重要物產同業組合其ノ
他ノ同業組合ニ加入スヘシ
第九條百貨店ハ左ノ各號ノ時間外ニ於
テ營業ヲ爲スコトヲ得ス
一四月一日ヨリ九月三十日迄ハ午前
八時開店午後六時閉店
二十月一日ヨリ翌年三月三十一日迄
ハ午前九時開店午後五時閉店
第十條百貨店ハ每月一齊ニ三日以上ノ
休日ヲ設クヘシ
第十一條主務大臣必要アリト認ムルト
キハ百貨店ニ對シ其ノ營業若ハ財產ノ
狀況報〓ヲ爲サシメ又ハ營業若ハ財產
ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第十二條主務大臣ノ免許ヲ受ケスシテ
百貨店ノ業務ヲ營ミタル者ハ三千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第十三條百貨店ニ非スシテ百貨店ノ支
店又ハ出張所、代理店若ハ出張販賣ナ
ルカ如ク裝ヒテ營業ヲ爲シタル者ハ千
圓以下ノ罰金ニ處ス
第十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
千圓以下ノ罰金ニ處ス
-第三條乃至第五條又ハ第八條乃至
第十條ノ規定ニ違反シタル者
二第六條ノ規定ニ依ル命令又ハ處分
ニ違反シタル者
三第七條ノ規定ニ依ル業務停止ノ處
分ニ違反シタル者
四正當ノ理由ナクシテ第十一條ノ規
定ニ依ル報〓ヲ爲サス若ハ虛僞ノ報
告ヲ爲シタル者又ハ同條ノ規定ニ依
ル檢査ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケタル者
第十五條百貨店ノ業務ヲ營ム者ハ其ノ
代理人、戶主、家族、同居者、雇人其
ノ他ノ從業者カ本法又ハ本法ニ基キテ
發スル命令ニ違反シタルトキハ自己ノ
指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ
免ルルコトヲ得ス
第十六條本法又ハ本法ニ基キテ發スル
命令ニ依リ百貨店ノ業務ヲ營ム者ニ適
用スヘキ罰則ハ其ノ者カ法人ナルトキ
ハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ
執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產
者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適
用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能
力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ
在ラス
第十七條主務大臣ハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ本法ニ依ル職權ノ一部ヲ地方長官
ニ委任スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
重要物產同業組合法第四條但書ハ之ヲ廢
止ス
本法施行ノ期日ニ於テ現ニ營業ヲ爲ス
百貨店又ハ其ノ店舗若ハ賣場ハ本法ニ
依リ免許又ハ認可ヲ受ケタル者ト看做
ス
本法施行ノ期日ニ於テ現ニ營業ヲ爲ス百
貨店ノ旣存ノ支店、出張所又ハ代理店ハ
第四條ノ規定ニ拘ラス其ノ營業ヲ繼續ス
ルコトヲ得
主務大臣ハ前二項ノ場合ニ於テ其ノ營業
繼續ニ付必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
本法施行ノ期日以前ニ於テ百貨店ノ本店
其ノ他ノ營業所ノ設置若ハ位置變更ニ著
手シ又ハ店舗若ハ賣場ノ新設若ハ擴張ニ
著手シタル者ハ本法ニ依リ免許又ハ認可
ノ申請ヲ爲スコトヲ要ス若シ免許又ハ認
可ヲ得ルコトヲ得サル場合ニ於テハ其レ
ニ因リテ生シタル損失ニ付政府ニ對シ補
償ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル補償額決定ノ方法ハ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
百貨店法案
百貨店法
第一條本法ニ於テ百貨店ト稱スルハ衣
食住ニ關スル多種類ノ商品ノ小賣業ヲ
營ム者ヲ謂フ
衣食住ニ關セサル物品ヲ小賣スル場合
ト雖百貨店ノ營業所ニ於テ之ヲ爲スト
キハ之ヲ百貨店ノ營業ト看做ス
第二條百貨店ノ業務ヲ營マムトスル者
ハ事業方法其ノ他命令ノ定ムル事項ヲ
具シ主務大臣ニ申請シ免許ヲ受クヘ
主務大臣前項ノ免許ヲ爲スニ當リテハ
特定ノ審議機關ノ審議ノ結果ヲ參酌ス
ルコトヲ得
特定ノ審議機關ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ地區營業者ノ代表者、同業組合ノ代
表者、所管公吏ヲ以テ之ヲ組織ス
第三條百貨店ハ本店其ノ他ノ營業所ノ
位置ヲ變更シ又ハ店舗若ハ賣場ヲ新設
若ハ擴張セムトスルトキハ主務大臣ノ
認可ヲ受クヘシ
前項ノ認可ニ付テハ前條ノ規定ヲ準用
ス
第四條百貨店ハ支店、出張所若ハ代理
店ヲ設置シ又ハ出張販賣ヲ爲スコトヲ
得ス
第五條百貨店見切品、棚浚、殘品其ノ
他名義ノ何タルヲ問ハス相場外ノ價格
ヲ以テ廉賣ヲ爲サムトスルトキハ商品
ノ種類、品質、數量、仕入時價及原
價、賣價竝廉賣ノ事由ヲ具シ主務大臣
ノ認可ヲ受クヘシ
第六條主務大臣ハ百貨店ノ營業方法カ
公益ニ反シ又ハ一般小賣業者若ハ消費
者ノ公正ナル利益ヲ害スルモノト認ム
ルトキハ之ヲ制止スル爲必要ナル事項
ヲ命シ又ハ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ
得
第七條主務大臣ハ百貨店ノ所爲ニシテ
本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違
反シタリト認ムルトキハ其ノ業務ヲ停
止シ又ハ其ノ認可若ハ免許ヲ取消スコ
トヲ得
第八條百貨店ハ重要物產同業組合其ノ
他ノ同業組合ニ加入スヘシ
第九條百貨店ハ左ノ各號ノ時間外ニ於
テ營業ヲ爲スコトヲ得ス
一四月一日ヨリ九月三十日迄ハ午前
八時開店午後六時閉店
二十月一日ヨリ翌年三月三十一日迄
ハ午前九時開店午後五時閉店
第十條百貨店ハ每月一齊ニ三日以上ノ
休日ヲ設クヘシ
第十一條主務大臣必要アリト認ムルト
キハ百貨店ニ對シ其ノ營業若ハ財產ノ
狀況報〓ヲ爲サシメ又ハ營業若ハ財產
ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第十二條主務大臣ノ免許ヲ受ケスシテ
百貨店ノ業務ヲ營ミタル者ハ三千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第十三條百貨店ニ非スシテ百貨店ノ支
店又ハ出張所、代理店若ハ出張販賣ナ
ルカ如ク裝ヒテ營業ヲ爲シタル者ハ千
圓以下ノ罰金ニ處ス
第十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
千圓以下ノ罰金ニ處ス
-第三條乃至第五條又ハ第八條乃至
第十條ノ規定ニ違反シタル者
二第六條ノ規定ニ依ル命令又ハ處分
ニ違反シタル者
三第七條ノ規定ニ依ル業務停止ノ處
分ニ違反シタル者
四正當ノ理由ナクシテ第十一條ノ規
定ニ依ル報〓ヲ爲サス若ハ虛僞ノ報
告ヲ爲シタル者又ハ同條ノ規定ニ依
ル檢査ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケタル者
第十五條百貨店ノ業務ヲ營ム者ハ其ノ
代理人、戶主、家族、同居者、雇人其
ノ他ノ從業者カ本法又ハ本法ニ基キテ
發スル命令ニ違反シタルトキハ自己ノ
指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ
免ルルコトヲ得ス
第十六條本法又ハ本法ニ基キテ發スル
命令ニ依リ百貨店ノ業務ヲ營ム者ニ適
用スヘキ罰則ハ其ノ者カ法人ナルトキ
ハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ
執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產
者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適
用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能
力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ
在ラス
第十七條主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ本法ニ依ル職權ノ一部ヲ地方長官
ニ委任スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
重要物產同業組合法第四條但書ハ之ヲ廢
止ス
本法施行ノ期日ニ於テ現ニ營業ヲ爲ス百
貨店又ハ其ノ店舗若ハ賣場ハ本法ニ依リ
免許又ハ認可ヲ受ケタル者ト看做ス
本法施行ノ期日ニ於テ現ニ營業ヲ爲ス百
貨店ノ旣存ノ支店、出張所又ハ代理店ハ
第四條ノ規定ニ拘ラス其ノ營業ヲ繼續ス
ルコトヲ得
主務大臣ハ前二項ノ場合ニ於テ其ノ營業
繼續ニ付必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
本法施行ノ期日以前ニ於テ百貨店ノ本店
其ノ他ノ營業所ノ設置若ハ位置變更ニ著
手シ又ハ店舗若ハ賣場ノ新設若ハ擴張ニ
著手シタル者ハ本法ニ依リ免許又ハ認可
ノ申請ヲ爲スコトヲ要ス若シ免許又ハ認
可ヲ得ルコトヲ得サル場合ニ於テハ其レ
ニ因リテ生シタル損失ニ付政府ニ對シ補
償ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル補償額決定ノ方法ハ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
〔眞鍋儀十君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=104
-
105・眞鍋儀十
○眞鍋儀十君 百貨店法提案ノ理由ヲ簡單
ニ說明致シマス、資本主義機構ノ社會組織
下ニ於キマシテハ、企業トシテハ先ヅ大資
本ヲ擁スルト云フコトガ、競爭場裡ニ勝利
ヲ占メル決定的ノ條件デアリマス、大資本
ガ中小資本ヲ併呑シ、若クハ征服シ、玆シ
企業ノ集中傾向ガ現レテ來ルノデアリマス
ガ、是ハ必然的ニ中小資本ノ、換言スルナ
ラバ、社會ノ中堅階級ヲ成シテ居ル中小商
工業者ニ、非常ナ重壓ヲ加ヘルト云フヤウ
ナ結果ヲ招來シテ來ルモノデアリマス、是
ガ爲メ倒產、廢業相踵グト云フ實情ヲ見マ
ス時ニ、非常ニ法律トシテ完備シテ居ル日
本ガ、何ガ故ニ百貨店法ノミヲ制定シナイ
カト云フコトニ對スル疑問ガ、當然湧イテ
來ナケレバナラヌト思ヒマス、昭和七年政
府ハ百貨店法ヲ提出スルノ準備ヲ整ヘマシ
テカラ、百貨店協會ノ自制聲明ニ依リマシ
テ提出ヲ留保サレタモノデアリマスガ、其
後百貨店協會ハ、自制聲明ヲ蹂躪致シマシ
テ、紳士協約ハ全ク今日空文ニナッテ居リマ
スルノデ、今囘本案ヲ提出致シタモノデア
リマス、百貨店ガ小賣商ニ如何ナル影響ヲ
及ボシマスカハ申ス迄モゴザイマセヌガ、
名古屋ノ松坂屋ガ一軒新築サレルト云フコ
トハ、九尺二間ノ商店ガ一千一百軒出來タ
ノト同一デアリマス、大阪ノ阪急百貨店ガ
一軒出來タト云フコトハ、九尺二間ノ商店
ガ二千二百軒出來タト同一デアリマス、東
京ノ三越一軒ハ九尺二間ノ商店ニ比較致シ
マスナラバ、正ニ二千五百軒ノ增加ニ該當
致シマス、斯樣ナモノガ無制限ニ新設セラ
レマスルコトハ、此資本ノ重壓ヲ受ケル立
場ニ考ヘテ見マシタ時ニ、ドウシテモ本案
ハ制定サレナケレバナラヌ必要ノ痛感ヲ致
ス者デアリマス、東京デハ小賣專業ノ賣上
ハ凡ソ五億圓デゴザイマスガ、此外ニ卸小
賣ガ一億五千万圓位ノ年賣上ヲ上ゲテ居リ
マス、然ルニ東京ノ僅ニ三四十軒ニ足ラザ
ル百貨店ガ、此中二億五千万圓ノ賣上ヲ致
シテ居ルコトカラ考ヘマスレバ、數字ノ上カ
ラ見マシテモ、非常ナ重壓ヲ蒙ッテ居ルト申
サナケレバナリマセヌ、是等ヲ整調是正シ、
融和解決致シマスルノニハ、色々ノ方法ガ
アラウト思ヒマス、或ハ國民同盟ヨリ嘗テ
提出セラレタコトノアリマスル高率課稅ニ
依ルコトモ其一ツデアリマセウ、諸外國ニ
於テモ、資本ノ重壓ハ同樣ニ中小商工業者
ガ受ケテ居ルノデアリマスルガ、佛蘭西ハ
矢張此課稅主義ニ依ッテ居リマス、千八百八
十年カラ千九百五年迄ニ、此課稅ハ三倍ニ
累進サレタ程課稅ヲ致シテ居リマス、此外
ニモ尙ホ利益ニ對スル收益稅、賣上ニ對ス
ル累進稅ト云フヤウナモノヲ課ケマシテ、
百万法以上ノ賣上ニ對シマシテハ、百万法
カラ二百万法ガ千分ノ一、二百万法カラ一
千万法ガ千分ノ二、二千万法カラ一億法ガ
千分ノ三、一億法カラ二億法ガ千分ノ四、
二億法以上ハ千分ノ五ノ累進課稅ヲ致シテ
居リマス、ソレデモ現在佛蘭西ニ於キマシ
テハ、全國ノ二十分ノ一ハ矢張此百貨店ニ
於テ賣上ヲ致シテ居ルト云フヤウナ實情デ
アリマシテ、中々累進課稅ヲヤリマスト消
費者ニ轉嫁スル傾ガアリマスノデ、其處ハ
考ヘナケレバナラナイ、立法上ノ考慮ヲ要
スルノデアリマス、獨逸ハ建物ニ對シテ制
限ヲ致シテ居リマス、例ヘバ二階以上
ハ、上層建築ヲ火災其他ノ爲ニ危險ヲ感
ズルコトニ使用シテナラナイトカ、或ハ
食堂ヲ併置シテナラナイトカ、或ハ建物ノ
大キサニ比較シテ累進課稅ヲ課ケルトカ、
現在「ヒットラー」ニナリマシテカラハ、百万
「ライヒス·マルク」以上ノ賣上ニ對シマシ
テハ、千分ノ一三·五ノ課稅ヲ致シテ居リマ
ス、是モ大資本ヲ整調スル好結果ヲ得テ居
リマセヌ、伊太利ノ如キハ反對ニ、今度ハ
小賣商ノ方ノ制限ヲ試ミテ居リマシテ、五
百「リラ」以上ノ保證金ヲ取リマシテ、小賣商
ノ增加ヲ防イデ居リマスガ、所謂免許制度
ヲ採ッテ居リマスルケレドモ、私共ノ議論ノ
建前カラ申セバ、小サイ者カラ五百「リラ」
ノ保證金ヲ取ルコトヨリモ、大資本ヲ擁シ
テ居ル者ノ方ニ稅金ヲ加ヘルコトガ、社會
政策上、立法トシテハ當然ノ立法デナケレ
バナラヌト考ヘマス、過日カラ問題ニナッ
テ居リマシタ產業組合ノ如キハ、色々ノ融
資其他ノ好條件ニ惠マレテ居リマスガ、都
會ノ中小商工業者ハ斯樣ナ特典ヲ受ケテ居
ラヌノデアリマス、殊ニ商品劵ノ如キハ、
一枚一万圓カラ十万圓ニ及ブモノモアリマ
シテ、左樣ナモノヲ長キハ一年カラ五年、
無利子デ百貨店ガ利用シテ居リマス總額ハ、
年七八百万圓ヨリ二千万圓ニ達スル年モゴ
ザイマシテ、商品劵ノ如キハ五十日ヲ一囘
轉ト致シマシテ、年ニハ五六囘ヅヽ囘轉ス
ル程好條件ニ惠マレテ居リマスノニ、普通
ノ中小商工業者ハ、左樣ナ特典ヲ持ッテ居
リマセヌガ爲ニ、非常ニ困憊ヲ致シテ居ル
實情デアリマス、是ニ於キマシテ巳ムヲ得
ズ私ハ嘗テ政府ガ提出セントシタル法案ニ
準據致シマシテ、本法案ヲ提出致シマシテ、
最モ穩健ナ、惡ク云ヘバ微溫的ナ、常識的
ナ立法化ヲ試ミヨウト致シテ居ル者デアリ
マス、本案ノ內容ハ、僅ニ分支店ノ設置、
濫賣其他ニ付テ規定シテ居ルノミデアリマ
シテ、同一小賣戰線ニ、百貨店モ小賣業者
モ共同致シマシテ、配給機能ノ圓滑ヲ期セ
ントスル精神ニ外ナラヌノデゴザイマスカ
ラ、何卒諸君ノ御贊同ヲ得マシテ、本案ガ
通過スルヤウ御盡力ヲ御願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=105
-
106・濱田國松
○議長(濱田國松君) 日程第九、提出者三
上英雄君
〔三上英雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=106
-
107・三上英雄
○三上英雄君 此法案ハ只今眞鍋君ガ說明
ヲ致シマシタル法案ト全然其內容ヲ同ジク
致シテ居ルノデアリマス、隨テ私ハ其提案
ノ趣旨說明ハ眞鍋君ノソレヲ援用シ、茲ニ
此法案ノ理由書ニ記述シテアリマスル所ヲ
援用致シタイト思フノデアリマスガ、唯
言申上ゲタイコトハ、近代資本主義經濟機
構ノ一ツノ重大ナル弊害ト致シマシテ、此
百貨店ガ厖大ナル資本ヲ有ッテ、其絕大ナル
威力ヲ發揮シテ、多數ノ小賣商人ニ對シテ
重壓ヲ加ヘテ居ルノデアリマス、之ヲ例へ
バ東京市ニ於テ見マスルノニ、一箇年ノ間
ニ百貨店ガ七億九千万圓ノ賣上高ガアルノ
デアリマスガ、其金額ハ小賣商人ノ全賣上
高ノ三分ノ一ニ達シテ居ルト云フガ如キ、
實ニ驚クベキ數額ヲ示シテ居ルノデアリマ
ス、斯樣ナル狀態デアリマスルガ故ニ、小
賣商人ハ疲弊其極ニ達シ、轉落ノ途ヲ辿リ
ツヽアル狀態デアッテ、其慘狀ハ洵ニ同情ニ
堪ヘザルモノガアルノデアリマス(拍手)此
故ニ於テ、吾々ハ此救濟ヲスルト云フコト
ハ、洵ニ同胞愛ノ現レトシテ當然ノ責デア
ルト言ハナクテハナラヌノデアリマス(拍
手)吾々ハ農村ノ疲弊ヲ救濟シ、中小商工
業者ノ窮乏ヲ救ヒ、又消費者ノ立場ヲ考慮
シ色々ノ方面ニ於テ圓滿ナル政治ヲ爲スヤ
ウニシナクテハナラヌ、此法案ヲ出シタル
ノ故トテ、決シテ吾々ハ徒ニ百貨店ヲ敵視ス
ル者デハナイノデアリマス、要ハ共存共榮
ヲ致シマシテ、國家ノ施設經營ガ本當ニ政
治ノ要諦デアル、公平ニ行ハレルト云フコ
トヲ期スルニ存スルノデアリマス、畏クモ
明治大帝ガ明治元年五箇條ノ御誓文
ト共ニ賜リマシタ所ノ御宸翰ノ一節ニ
「天下億兆一人モ其處ヲ得サル時ハ皆
朕カ罪ナレハ」ト仰セ給ッタノデアリマス、
又非常ニ民ニ對シテ仁愛ニ滿チテ居ラセラ
レタ所ノ彼ノ仁德天皇ガ、皇居ノ高キ所ニ
上リ給ウテ民ノ竈ヨリ煙ノ立ツノヲ御覽ゼ
ラレテ「タカキヤニノボリテミレバ煙タツ
民ノ竈ハ賑ヒニケリ」ト云フ御製ヲ賜ッタ
ノデアリマス、此皇室ノ御聖恩ニ、吾々ハ
深ク感激ヲシナケレバナラヌノデアリマス、
我ガ政府當局ハ常ニ調査攻究トノミ稱シ、
日一日ト遷延スルコトナク、奮然一番シテ
是ガ對策ヲ確立シナケレバナラヌト信ズル
ノデアリマス、斯樣ナ次第デアリマスカラ、
私共ハ此百貨店ノ自制ノミヲ俟ッテ、而シテ
如上ノ目的ヲ達スルト云フコトハ、極メテ
至難デアル、統制アル此百貨店法ノ制定ヲ
俟ッテ、サウシテ其目的ヲ貫徹シナケレバナ
ラヌト考ヘテ居ルノデアリマス、ドウカ皆
樣ノ御理解アル御同情ノ下ニ本案ヲ協贊セ
ラレマシテ、吾々ノ目的ヲ達成スルコトガ
出來ルヤウニ切ニ御願ヲ申上ゲマシテ辯明
ニ代ヘル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=107
-
108・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ質疑ノ通〓ハア
リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=108
-
109・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 日程第八、第九ノ兩案ヲ
一括シテ、東武君外三名提出度量衡法中改
正法律案外二件委員ニ併セ付託セラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=109
-
110・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=110
-
111・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
+、傷痍軍人及戰公傷病死者遺族等ノ鐵道
船舶等乘車船優遇ニ關スル法律案ノ第一讀
會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマ
ス-吉川吉郞兵衞君
第十傷痍軍人及戰公傷病死者遺族等
ノ鐵道船舶等乘車船優遇ニ關スル法
律案(吉川吉郞兵衞君外四名提出)
第一讀會
傷痍軍人及戰公傷病死者遺族等ノ鐵道
船舶等乘車船優遇ニ關スル法律案
第一條本法ニ於テ鐵道トハ國有鐵道(連
絡航路ヲ含ム)、一般交通ノ用ニ供スル
地方鐵道及軌道竝南滿洲鐵道株式會社
所屬ノ鐵道ヲ謂フ
第二條本法ニ於テ船舶トハ一般交通ノ
用ニ供スル爲航路ヲ定メ定期ニ航行シ
テ旅客ヲ運送スル船舶ニシテ命令ヲ以
テ指定スルモノヲ謂フ
第三條傷痍軍人ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ增加恩給及傷病年金受給者ニ在リテ
ハ無賃、一時賜金受給者ニ在リテハ旅
客運賃ノ五割引ニテ鐵道ニ乘車スルコ
トヲ得
第四條傷痍軍人ニシテ傷痍、疾病又ハ
老齡等ノ爲他人ノ扶助ヲ要スル者ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ附添人一名ヲ限リ
本人相當ノ無賃又ハ旅客運賃割引ニテ
之ヲ同伴スルコトヲ得
第五條戰公傷病死者ノ遺族ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ靖國神社大祭若ハ招魂祭
ニ參拜ノ爲又ハ遺骨ノ出迎受領ノ爲旅
行スルトキハ其ノ往復ニ限リ無賃又ハ
旅客運賃ノ五割引ニテ鐵道ニ乘車スル
コトヲ得
第六條第三條、第四條及第五條ニ揭ク
ル者船舶ニ依リ旅行スル場合ニ於テ本
法ノ規定ニ依リ無賃ニテ乘車シ得ル旅
行ニ相當スルトキハ旅客運賃ノ五割引、
五割引運賃ニテ乘車シ得ル旅行ニ相當
スルトキハ旅客運賃ノ二割引ニテ乘船
スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=111
-
112・吉川吉郎兵衞
○吉川吉郞兵衞君 極メテ簡單デアリマ
スカラ、自席ヨリ發言ヲ御許シヲ願ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=112
-
113・濱田國松
○議長(濱田國松君) 簡單ナラバ御許シシ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=113
-
114・吉川吉郎兵衞
○吉川吉郞兵衞君 只今議題ニナッテ居リ
マスル傷痍軍人及戰公傷病死者遺族等ノ鐵
道船舶乘車船優遇ニ關スル法律案デアリマ
ス、此案ハ詳細ナル說明ヲ省略致シタイノ
デアリマスルガ、旣ニ曩ニ二案程同樣ノモ
ノガ提出サレマシテ、滿場ノ贊成ヲ得テ今
委員會ニ付託サレテ居リマスルノト全ク同
案デアリマスルガ故ニ、必要ニ應ジマシテ
提出者ノ中ヨリ委員會ニ於テ詳細ナル說明
ヲ致シタイト存ジマスルガラ、何卒曩ト同
樣多數ノ御贊成アランコトヲ切ニ御願ヲ致
シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=114
-
115・濱田國松
○議長(濱田國松君) 質疑ノ通告ハアリマ
セヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=115
-
116・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ八田宗吉君外七名
提出家祿賞典祿給與未濟ニ關スル法律案
委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=116
-
117・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=117
-
118・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、是ニテ議
事日程ハ議了致シマシタ、次會ノ議事日程
ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日ハ是ニ
テ散會致シマス
午後五時散會
衆議院議事速記錄第二十號中
正誤
頁段行誤正
三七一二一四同時ニ、取ハ豫算同時ニ、又ハ豫算発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02119350302&spkNum=118
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。