1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
重要肥料業統制法案
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委員氏名
委員長 公爵 鷹司信輔君
副委員長 子爵 清岡長言君
侯爵 井上三郎君
伯爵 酒井忠正君
子爵 青木信光君
子爵 高橋是賢君
柴田善三郎君
男爵 辻太郎君
男爵 伊藤一郎君
男爵 岩村一木君
藤山雷太君
内藤久寛君
江口定條君
松澤清次郎君
水野甚次郎君
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昭和十一年五月二十一日(木曜日)午前十時十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=0
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001・鷹司信輔
○委員長(公爵鷹司信輔君) ソレデハ是ヨ
リ委員會ヲ開キマス、先ヅ政府ノ御說明ヲ
願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=1
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002・小川郷太郎
○國務大臣(小川〓太郞君) 重要肥料業統
制法案提案ノ理由ハ、大體本會議ニ於テ申
述ベタ通リデアリマスガ、尙今少シク詳細
ニ御說明申上ゲマス、近時、我ガ國ニ於ケ
ル販賣肥料ノ施用ハ逐年增加致シマシテ、
內地ノミニ於テ、其ノ消費額ハ二億圓餘ノ
巨額ニ達スル狀態デアリマスガ、右ノ中、
硫安石灰窒素、及ビ過燐酸石灰等ノ化學肥
料ハ四割餘ヲ占メ、其ノ價格ガ比較的經濟
的デアリマスルガ爲ニ、其ノ施用ハ今後益〓
增大スル傾向ニアリマスノミナラズ、其ノ
市價ノ高低ハ全販賣肥料ノ市價ヲモ左右ス
ル地位ニアルノデアリマス、斯クノ如ク化
學肥料ハ肥料トシテ重要ナル地位ヲ占メテ
居リマスノミナラズ、之ガ供給ノ源ヲ爲ス
化學工業ハ、化學ノ最モ進步シタ理論ヲ應
用シクモノデ、其ノ發達如何ハ、直チニ化
學工業全般ノ發達ニ重大ナ影響ヲ齎スモノ
デアリマシテ、且又軍需工業トシテ國防上
ニモ重大ナル意義ヲ有スル工業デアリマ
ス、而シテ化學肥料界ノ現狀ヲ見マスル
二、其ノ中最モ重要ナル硫安ニ於キマシテ
ハ、國內生產ハ未ダ消費ヲ充スニ至ラズ、
年々相當數量ノ不足分ハ之ヲ外國硫安ノ輸
入ニ依ッテ充サナケレバナラヌ狀態デアリ
マシテ、其ノ市價ノ如キモ兎角騰貴勝デア
ルコトハ旣ニ皆サン御承知ノ通リデアリマ
ス、石灰窒素ニ付キマシテハ、未ダ其ノ消
費額ガ少ク供給モ略〓之ニ伴ッテ居リマスガ、
肥料トシテモ今後益〓其ノ施用ヲ增加セ
シムベキモノデアリマスト共ニ、其ノ工業
資源カラ見マシテモ、今後十分國內ニ發達
スル見込アルモノデアリマス、又過燐酸石
灰ニ付キマシテハ、我ガ國ニ於ケル生產能
力ハ著シク過剩デアリマシテ、現ニ生產制
限ヲ行ッテ居ルノデアリマスガ、其ノ統制ハ
動モスレバ亂レ勝デ、業界ハ安定ヲ得タリ
ト云フコトヲ得ナイ狀態デアリマス、硫
安、石灰窒素及過燐酸石灰ニ付キマシテ
ハ、當業者ハ各種々ノ形ニ於テ統制協定ヲ
實施シテ居ルノデアリマスガ、其ノ內容、
方法等ハ、必ズシモ公正ヲ得タリトハ爲シ
難イ實情ニアルノデアリマス、以上ノ實情
ニ鑑ミマシテ、本法ハ、是等ノ化學肥料工
業ニ對シマシテ、其ノ發達不十分ナルモノ
ニ付テハ進ンデ事業ノ新設擴張ヲ促シ、業
界ノ安定ヲ得ザルモノニハ適當ナル規律ヲ
得シメマシテ、合理的ナル改善發達ヲ期ス
ルト同時ニ、農業經營ノ改善發達ニ資スル
爲ニ國家的見地ヨリ必要ナル統制ヲ行ヒ、
、是等肥料ノ需給ノ圓滑ト、價格ノ公正ヲ圖
ルコトヲ目的トシテ立案セラレタモノデア
リマス、案ノ內容ヲ簡單ニ御說明申上ゲマ
スレバ、差當リ本法ノ適用ヲ受クル肥料ノ
種類ハ硫安、石灰窒素及過燐酸石灰ノ三種
類ト致シ、是等三種ノ肥料ノ製造業者ヲシ
テ、各一箇ノ肥料製造業組合ヲ組織セシ
メ、業者ハ法律上當然其ノ組合ノ組合員タ
ラシムルコトト致シマシテ、此ノ組合ヲシ
テ、先ヅ自治的ニ生產及販賣ニ關スル統制
事業ヲ行ハシメ、政府ハ之ニ對シテ嚴重ナ
ル監督ヲ行フ仕組ト致シマシタ、卽チ肥料
製造業組合ガ右ノ生產又ハ販賣ニ關スル決
定ヲ爲シタルトキハ、政府ニ屆出デシメテ
其ノ承認ヲ受ケシメ、政府ハ其ノ決定ヲ不
適當ト認ムルトキハ、之ガ變更又ハ取消ヲ
爲シ、其ノ決定ニ從ハザル組合員ニ對シマ
シテハ、組合ノ決定ニ從フベキコトヲ命ジ、
又組合ニ於テ右ノ決定ヲ爲サザルトキハ、
其ノ決定ヲ爲スベキコトヲ命ジ得ルコトト
致シマシタ、而シテ本法施行後ニ於テハ、
政府ノ許可ナクシテハ、生產販賣等ニ關ス
ル當業者ノ任意ノ統制協定ヲ認メナイコト
トシ、又需給調節上ノ必要ニ應ジテハ、政
府ハ輸出入ト制限ヲ行ヒ得ルノ途ヲ拓クコ
トト致シマシタ、尙本法施行ニ關スル重要
事項ニ付キマシテハ、政府ノ諮問ニ應ゼシ
ムル爲メ、內閣ニ重要肥料業委員會ヲ設置
致シマシテ、朝野ノ學識經驗アル人々等ヲ
委員トシテ公正ナル輿論ニ聽キ、本法ノ運
用上遺憾ナキヲ期スルコトト致シマシタ、
以上案ノ大體ヲ申上ゲマシタガ、要ハ重要
化學肥料製造業ノ合理的ナル發達ヲ促シ、
豐富且低廉ナル肥料ヲ農家ニ供給スルヤウ
ニ致シタイト云フ趣旨ニ外ナラナイノデア
リマス、何卒十分御審議ノ上御贊成アラム
コトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=2
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003・鷹司信輔
○委員長(公爵鷹司信輔君) 御質問ゴザイ
マセヌノデゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=3
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004・岩村一木
○男爵岩村一木君 此ノ提案ノ趣旨ニ付キ
マシテハ商工大臣カラ詳細ナ御話ガアリマ
シタノデ能ク了承致シマシタ、本法案ノ條
文ニ付キマシテ御尋ネ致シマス前ニ、本法
關係ニ關スル政府ノ意嚮ヲ伺ヒタイコトガ
ゴザイマス、尤モ關係大臣ノ御列席ヲ願ヘ
レバ幸ヒト思ヒマスケレドモ、豫算會議
其ノ他ノ會議ノ爲ニ到底御揃ヒデ御出席ハ
ムヅカシイコトト思ヒマス、從ッテ私ノ質疑
ニ對シマシテ或時ハ當該政府委員カラ御答
ガアリマセウト思ヒマスガ、場合ニ依ッテハ
本日闕席ノ大臣ニ御出席ヲ願上ゲ、サウシ
テ重ネテ當該大臣ニ御尋ヲ致スコトガアル
カモ存ジマセヌ、此ノコトヲ政府委員カラ
豫メ御話ヲシテ戴キマシテ、其ノ時ニ再ビ
同ジ質疑ノ要旨ヲ繰返スヤウナコトハ致シ
マセヌカラ、豫メ其ノ點ハ御了承ヲ願ヒマ
ス、尙種々他ノ委員ノ御質疑モアルコトト
存ジマスカラ、一問一答ヲ避ケテ、極ク簡
單ニ、質疑ノ要點ハ少シ長クナリマスケレ
ドモ一度ニ全部ヲ申上ゲテ、サウシテ御答
ヲ願ヒタイト思ヒマスカラ左樣御了承ヲ願
ヒマス、第一ニ、昨年議會ニ提案サレマシ
タ法案ト今度提案サレマシタ法案トハ其ノ
形式內容ガ異ッテ居リマス、例ヘバ許可制ガ
取レタリ、取引業者ノ條項ガ除カレタリ、其
ノ他種々私共ト致シマシテモ氣付イタ點モ
ゴザイマスガ、巷間恰モ是ガ骨拔キトナッタ
ヤウニ傳ッテ居リマス、併シナガラ政府ノ御
說明ニ依ッテモ大體分リマスケレドモ、生產
業者ノ側ヲモ、又消費者ノ側ヲモ、篤ト有ラ
ユル方面カラ御考究ニナッテ、サウシテ立案
サレタ法律デアルカラ、趣旨ニ於テハ昨年
御提出ノ法案ノ趣旨モ、又本年ノ提案ノ趣
旨ニ於テモ相違ノアル筈ハナイト思ヒマス
ガ、此ノ點ニ於テ御確メヲ致シテ置キマス、
第二ニ本法デ適用サレマス所ノ肥料ハ先ヅ
硫安、過燐酸及石灰窒素ノ三種類ト限定サ
レテ居リマスガ、何故ニ販賣肥料全部ニ適
用ヲナサラナイノデアリマセウカ、尤モ販
賣肥料ノ中ニハ、大豆糟トカ、魚肥、米糠
等ノ有機質ノ肥料ガアリマシテ、是等ヲ含
メテノ立案ニハ相當種々ノ面倒ガアラレル
ノデ、出來易イモノカラヤッテ行クト云フ御
考カモ存ジマセヌガ、ソレナラバセメテ化
學肥料ダケデモ全部統制ナサレタラドウ
カ、此ノ御考ガ政府ニ於テナイカドウカト
云フコトヲ伺ヒマス、尙此ノ三種類ノ取締
ニ限ラレルト、從來多量ニ生產サレテ居リ
マス所ノ窒素ト燐酸ト加里トノ結合サレタ
化學肥料、合成肥料ト云フモノハ、此ノ法
ノ適用ヲ受ケレバ自然的ニ此ノ種ノ肥料ノ
奬勵トモナルヤウナコトニナリマスガ、本
法ニ是等合成化學肥料ヲ挿入スル御意嚮ガ
ナイカドウカ、又當局デ御調ベニナリマシ
タ合成肥料、化學肥料ノ生產量竝ニ是ガ內
地朝鮮別ノ數量ヲ過去三箇年別ニ付テ伺
ヒタイト思ヒマス、第三ニハ、本法ハ肥料
製造業者ヲ統制スル法案デアリマスルガ、
肥料ノ品質ヲ主トシテ取締ル方ニ肥料取締
法規ト云フモノガゴザイマス、此ノ法案ハ
明治四十一年實施以來三十年ニ垂トシテ居
リマスガ、マダ一度モ改正サレテ居リマセ
又、農村ノ諸事情竝ニ農村ノ環境ト云フモ
ノハ月ト共ニ日ト共ニ立法當時トハ違ッテ
居ルコトハ御承知ノ通リデゴザイマスガ、
此ノ改正ヲ致シマセヌカラト言ッテ、今ノ農
村ノ事情ニ適切ダカラシテ改正サレナイモ
ノデハナイダラウト私ハ思フノデアリマス、
改正致シマス所ノ要點ハ種々アリマシテ、
例ヘバ不良ノ原料ノ制限ナドハ朝鮮ノ肥料
取締法規ニサヘモ明記シテアル、之ヲ以テ
スレバ農家ヲシテ誤ラサナイヤウニシテア
リマスケレドモ、本法ニハ、肥料取締法規
ニハ今尙何等ノ制限ガナイ、ソレガ爲ニ隨
分粗惡ノ原料ノモノヲ知ラズ識ラズニ農家
ガ使ハサレテ居ルノデアリマス、肥料ノ取
締法規ノ中ニハ肥料檢査官ト云フモノガ
アッテ之ヲ檢査スル規定ガアリマス、仍テ民間
肥料製造業者ノ品質ノ取締ニ付キマシテハ保
證票ナルモノヲ作リマシテ、肥料ニ附ケテ其ノ肥
料ノ成分ヲ保證致シテ居リマス、萬一此ノ保證
票ニ保證致シマシタ成分カラ不足デモシテ
居リマシタヤウナ場合ニハ、刑法上ノ罪罰
迄モ受クルコトニナッテ居リマス、之ニ反シ
マシテ農林省關係ノ產業組合及商工省關係
ノ商業組合ノ肥料製品ニ對シマシテハ兩組
合共營利事業デナイト云フ建前カラ、此ノ
大切ナ肥料ノ成分ヲ保證スル保證票ナルモ
ノヲ添付シナクテモ宜シイ、肥料檢査官ノ
檢査ヲ受ケナイデモ宜シイ、仍テ成分ハド
ウアラウトモ法律ノ制裁ハ受ケナイノデア
リマス、唯此ノ成分表ト云フモノヲ附ケテ
居リマスケレドモ、此ノ成分表ニ若シ不足
ガアッテモ別ニ御咎メノナイヤウナ實情ニ
アルノデアリマス、斯ウ云フ風ナコトデア
リマスカラシテ、最近ハ存ジマセヌガ、コ、
數年前ニハ或地方ノ產業組合ノ肥料ハ不安
心デ、極言スレバ惡イ肥料ノ捨テ所ト云フ
ヤウナ感ジガ致サナイコトモナカッタノデ
アリマスガ、併シナガラ數多クアル產業組
合ノコトデアリ、又人間ノスルコトデアリ
マスカラシテ、時ニ間違ヒナシトモ思ハレ
マセヌ、此ノ感ジモ或程度迄事實デアッタ
ノデアラウト思ヒマスガ、二三年此ノ方商
工省ノ方ノ商業組合デ造ル所ノ肥料ガ、是
亦同ジヤウナコトヲ耳ニ致シマス、勿論兩
組合トモ民間ト同ジヤウナ保證票ヲ付ケナ
イ立場ニアリマスルガ爲ニ十分留意シテ製
造モシ、出荷モシテ居ルト思ヒマスガ、如
何セハ肥料檢査官ノ檢査モナイト云フコト
デアリマスカラ、成分ガ不足ナレバ其ノ儘
デ濟ンデシマフ、若シカ其ノ組合ト云フモ
ノガ、組合ノ組合員ト云フモノガ農家デア
リマスナラバ、成分ノ足リナイ肥料トモ知
ラズニ施肥致シマスノデ、誠ニ氣ノ毒ナ結
果トナルノデアリマス、尙實例ヲ擧ゲマス
ノハ差控ヘマスガ、或縣ノ產業組合デハ配
合シテハイケナイト云フヤウナ原料ヲ配合
シテ農家ニ使用サセマシタ爲ニ、農林省ノ
當局カラ特ニ注意ヲ受ケタヤウナコトヲ聞
イテ居リマス、斯樣ナ實情ニアリマスノデ、
兩組合トモ勿論粗惡肥料成分不足ノモノヲ
故意ニ算盤ノ上カラ割出シテ全部ガ全部製
造スルモノトハ思ヒマセヌケレドモ、檢査
ヲサレナイ爲ニ、斯ウ云フヤウナ疑ヲ掛ケ
マスル、此ノ差別ヲ撤廢シテ苟モ肥料製造
業者ニハ保證票ヲ添付サセ、關係官廳ノ監
督ヲ受ケテ、斯カル疑モ受ケズ農民ガ安心
シテ使ヘルコトガ出來ルヤウニスベキモノ
デアラウト思ハレマス、品質ガ不良デアリ
マスト、肥料成分ヲ十分ニ吸收出來ズ不作
ニ陷ルコトナシト致シマセヌ仍テ肥料取締
法規ヲ改正シテ農家ニ安心ヲ與ヘルヤウ是
等兩組合製造ノ肥料ニモ保證票ヲ添付サス
ベキモノデアラウト思ッテ居リマス、從來兩
組合ニ對シマシテ、國家ガ相當ナ保護ヲナ
シ、是ガ助成ニ努メテ居リマスデ、此ノ組
合ノ完全ナル發達ト云フモノハ、時勢ニ應
ジテ私ハ必要ナモノト思ッテ居リマス、又肥
料檢査官ニハ品質ノ取締ノ權限ハアリマス
ケレドモ、量目ノ取締ノ權限ガゴザイマセ
ヌ、從ッテ農家ナドハ今尙肥料ヲ買ヒマス時
ニ一俵幾ラト云フ買ヒ方デアリマスカラシ
テ、一叺ニ十貫モアレバ八貫モアル、是ハ度
量衡ガ內務省關係デアリマス故ニ、肥料檢
査官ガドウモ此ノ權限ヲ持ッテ居ナイガ爲
ニ、取締ルコトガ、事實ニ於テ取締ッテモ構
ハナイヤウナコトデアリマスガ、取締ルコ
トガ出來ナイ、例ヘバ十貫目ト云ッテ十貫目
ヨリ足リナイモノヲ出シテ居ルヤウナコト
モナイデモナイト思ッテ居リマス、デアリマ
スカラシテ、此ノ肥料檢査官ヲ內務省ノ兼
務ニデモサセナケレバナラナイ、斯ウ云フヤ
ウナコトニ、兼務ニデモサシタナラバ、斯
ウ云フヤウナ不正モ自ヅト取締ルコトガ出
來ヤシナイカト思ッテ居リマス、尙又府縣ニ
依リマシテハ取締ノ仕方ガ非常ニ區々デア
リマシテ、或府縣デハ許シテ居リマスケレ
ドモ、是ガ他府縣ニ行クト許サレナイ、斯
ウ云フヤウナコトニ付テハ當局ニ於テ何カ
統制ハ出來ナイモノデアラウカ、從來肥料
取締法規改正ノ議ガ出タコトモ屢〓アリ、政
府トシテハ之ヲ考慮スルト云フコトデアリ
マシタ、是等法案ヲ整備シテ陣容ヲ整ヘル
ノニハ約二十萬乃至三十萬程度ノ費用ガ要
ルガ、大藏省ガ應諸シナイノデ、實施出來ヌ
ト云フヤウナ風聞ヲ耳ニ致シマスガ、此ノ
品質ニ依リマス所ノ農家ノ損失ト云フモノ
ハ、非常ニ大キク、二十萬ヤ三十萬程度ノ
モノデハナカラウト思フノデアリマス、殊
ニ農林省ノ方ハ島田サンガ大臣デ居ラレル
關係上、庶政一新ノ今日時勢ニ合フヤウニ、
生產ノ取締ト、品質ノ取締トハ車ノ兩輪ノヤ
ウニ思ヒマスカラシテ、局當當者ニ於テハ、
モウ既ニ御腹案モアルト思ヒマスノデ、出
來ルダケ早ク、早イ時期ニ於テ改正ヲ願ヒ
タイト思フノデアリマス、之ニ對シテ農林
省ノ方ノ御考ハ如何カ、商工省ト致シマシ
テ、商業組合ニ對スル、如何ナル是等ニ對
スル監督ヲ爲シテ居ラッシヤルカヲ伺ヒタ
イト思ヒマス、從ッテ本法施行ニ當リマシテ
ハ、民間配給業者ト、產業組合竝ニ商業組
合トノ差別ヲ付ケラレヤシナイカ、民業ノ
壓迫ヲ受ケヤシナイカト云フコトヲ、非常
ニ心配シテ居ルヤウニ聞イテ居リマスガ、
此ノ取締ハ如何ニ爲サル御積リデアリマセ
ウカ、第四ト致シマシテ本法ハ硫安、過燐
酸石灰、石灰窒素ノ三種ニ限定サレタ肥料
ニ付テ運用スルト云フコトデアリマスケレ
ドモ、昨年上程ノ時モ、亦今年モ種々議論
ガアリマスコトハ、此ノ事情ノ相違ヲ致シ
テ居リマス、是等三種ノ肥料ヲ一ツノ法律
ニ收メルガ爲ニ、非常ナ面倒ガアルンデ、
ソレガ爲ニ要ラナイ手數、不要ナ議論モ起
ルノデナイカト思ハレマス、硫安ハ內地產
デ不足ヲ告ゲテ今尙二三十萬瓲カラノ歐米
カラノ輸入ヲシテ居ルト云フヤウナ事實ヲ
聞イテ居リマス、過燐酸石灰ト云フモノハ
內地生產ノミデ有餘ルト云フ狀態デ、此ノ
性質ノ相違スルモノヲ一ツノ法律ニ收メル
ト云フコトガ無理ガアルノデハナカラウカ、
硫安ナラバ硫安ノ法律、過燐酸石灰ナラ過
燐酸石灰ノ法律、斯ウ云フヤウニ別々ナ法
律ヲ作ラレタラ如何カト思ヒマスガ、サウ
云フヤウナ御考ハナカラウカ、第五ニハ過
燐酸石灰ノ原料ノ燐鑛石ハ昨年中ニ輸入サ
レタモノガ、約九十萬瓲、其ノ內ノ十五萬
瓲ト云フモノハ、移入竝ニ內地產デ、七十
五萬瓲ト云フモノガ輸入ニ俟ッテ居ルヤウ
ナ始末デ、此ノ輸入ヲ、輸入スルコトヲ取
扱ッテ居リマスモノハ、僅カ三社カ四社デ取
扱ッテ居ルト云フ現狀デアリマスカラシテ、
之ヲ政府ガ監督管理配給ト云フヤウニスレ
バ、之デ取締ルコトガ出來マスノデ、之ニ
付キマシテ、商工大臣ノ御考ハドウ云フ風
ナ御考ヲ持ッテ居ラレルカ、尙一步進ミマシ
テ、硫安ニモ相當ナ關係ガアルコトデアリ
マスガ、硫安ノ原料デアリマス所ノ「パイラ
イト」ハ、是ハ內地產ノミデアッテ、「パイライ
ト」ノ所有主ハ、住友·古河·藤田·岩崎·久原
五社ノ經營スルモノガ主デ、他ニモ二三アリ
マスガ、此ノ五社ガ一年ニ一二囘會合シテ、
半年位ノ「パイライト」ノ供給ノ値ヲ決メテ
居ル、或時ハ供給ニ不足ヲ與ヘヤシナイカ
ト案ゼラレルヤウナコトモアリマスノデゴ
ザイマス、從ッテ「パイライト」ノ値段ガ引
締ッテ參リマス、從ッテ硫安ハ上ル、硫安ノ
値ハ上ルト云フ始末デ、結局ハ硫安、過燐
酸ノ値段ニモ波及シテ來ル、從ッテ公正ナル
價格ヲ本法デ決メマスガ如キ時ニ此ノㄱパ
イライト」ノ値段ニ依ッテ支配サレル時モア
ルダラウト思ハレマス、之ニ付テ當局ノ從
來ノ對策ハ何レニモ手ガナクテ、手ヲ拱キ
マシテ是等資本家會社ノ態度ヲ傍觀シテ、
徒ニ肥料ハ高イ、高イト云フ有樣ニシテシ
マッタノデアリマスガ、原料ヲ取締ルノガ一
番安全デ、容易ノコトデアルト思ハレルノ
デアリマス、是等ニ對スル對案モ本法ニ
含マレテ居リマスカドウカヲ伺ッテ置キ
タイト思ヒマス、第六ニハ硫安ニ付テ昨
年ノ議會デモ、昨年十月頃迄ニハ內地ノモ
ノデ自給自足ノ出來ルヤウナ政府ノ御答辯
ガアッタヤウニ記憶ヲ致シテ居リマスルガ、
然ルニマダ二十萬瓲モ輸入シナケレバナラ
ヌ狀態デ、マア昨今ハ値段モ下落ヲ致シマ
シタガ、値段モ一時ハ非常ニ高カッタト云
フヤウナコトヲ聽イテ居リマス、內地ニ於
キマスル所ノ硫安製造ニ關シマシテハ
土地ヲ廣ク要スル事業デアリマスシ、
其ノ市價モ外國ニ比シテハ高ク、窒素ト
水素トノ合成機ノ如キハ未ダ内地產デハ
用ヒ得ナイ、輸入品ニ仰ガナケレバナラナ
イト云フ狀態デアリマスルカラシテ、固定
資本モ非常ニ掛ルコトトハ思ヒマスルガ、
併シナガラ昨年末ヨリノ硫安ノ値段ト云フ
モノハ公正ナル價格デアルトハ言ハレナイ
ト思ッテ居リマス、當業者ニ就テ之ヲ聽キマ
スト生產業者ハ內地ノ各驛「レール」デ十貫
一叺ヲ三圓五十錢デ賣ッテ居ルト云フコト
デアリマスガ、實際ニハ朝鮮ナドデハ高イ
時ニハ五圓二十錢位ニモナッタト云フヤウ
ナ表ヲ見マシタ、之ニ付キマシテハ中間商
人ガ利益ヲ得ルモノデアルトハ思ヒマ
ス、全部ノ利益ガ中間商人デナイ迄モ或
ハ生產者ニモ潤ヒガアルカト存ジマス
ケレドモ、所謂取引業者ガ格外ノ利益
ヲ得タモノデアルト稱サレテモ仕方ガナイ
コトデハナカラウカト思ヒマス、假令輸出
入業者ノ統制ニ關シマシテ、其ノ條項ガ今
度ノ法案ニ入ッテ居リマスルガ、此ノ取引業
者卽チ商品ヲ賣捌ク取引業者ヲ取締ルコト
ヲ致シマセヌケレバ、到底安イ良イ肥料ヲ
農家ニ配給スル當局ノ理想ニ到達ハムヅカ
シイノデハナカラウカト思ヒマス、尙又東
北地方ノ或地方デハ取引業者ハ本年ノ八九
月頃ニナリマスト早クモ來年ノ六七月ニ施
肥スル所ノ肥料ノ商賣ヲスルモノデ、誠ニ不
合理千萬ナ取引ガ行ハレマス、是ハ商賣人
同志ハ宜イト致シマシテモ、農家ガ不安ナ値
段ニ押ヘラレナケレバナラヌ、又或場合ニ
ハ高イモノヲ買フコトニナル結果トナリマ
スノデ、取引改善ヲ要スルモノモ多々アル
ノデアリマス、仍テ取引業者ノ取締ハ是非
必要ト思ヒマスノニ、此ノ條項ノ削除サレ
テ居ルモノハ如何ナルコトデアリマセウ、
最近ニ之ニ關聯致シマシタ問題デアリマス
ルガ、產業組合ノ方ノ全購聯ノ方デ硫安ノ
思惑買ヲシタ爲ニ安値ニナッタ、ソレガ爲ニ
紛爭ヲ起シタト云フコトハ新聞紙ニ傳ヘラ
レテ居リマス事實デアリマシテ、昨年取引
業者ノ中ニモ全購聯ヲ含マシテ置イテ、本
年ハ含マシテ置カナイト云フコトハ非常ナ
矛盾ガアリハシナイカ、是ハ殆ド產業組合
ノ全購聯ト云フモノノ商人ト殆ド或點ハ變
ラナイヤウナ行爲ヲシテ居ル事實ガアルノ
デアリマスルガ、是等ニ付キマシテノ取締ノ
方ハ本法デドウ云フ風ニナサル御積リデア
ルカ伺ッテ置キタイト思ヒマス、第七ニ此ノ
春頃カラノ硫安ノ値段ガ當局ハ公正ナル價
格トハ思ッテ居ラレナイコトデアラウト思ッ
テ居リマス、當局モ高イコトヲ承知シテ居
ラレルニ拘ハラズ、硫安配給組合ニ何故ニ
必要量ノ輸入ヲ爲サルヤウナ方策ヲ講ゼラ
レナカッタカ、又何故ニ昨年議會ノ答辯デ責
任ヲ以テ居ラッシヤルヤウナコトガアリマ
シタガ增產ヲ慫慂セラレナカッタノカ、硫安
配給組合ハ當局トモ需給ノコトニ付テノ打
合セハ始終爲スッテ、サウシテ外安ノ輸入數
量ナドヲ決シテ居ルト云フヤウニ聽イテ居
リマスガ、假令從來ハ命令權ガナイト云ヘ
バソレマデノコトデアリマスケレドモ、此
ノ硫安組合トノ打合セノ時ニ何故ニ輸入ノ
鍵ヲ握ッテ居ルト云フ組合ニ對シテ强要ヲ
爲サナカッタカ、之ニ付キマシテハ農林商工
兩省ノ所ニ於キマシテ何カ意見ノ相違ガア
ルヤウニ思ヒマスルノデ、之ニ付テハ其ノ
間ノ事情ヲ明瞭ニシテ御答ヲ願ヒタイト思
ヒマス、第八ニハ昨年提案ノ法案ニハ主務
大臣云々ト云フコトガアリマシタガ、本年
ハ政府云々ト云フコトニ改メラレテ居リマ
ス、是ハ本法ニ依ッテ朝鮮臺灣モ適用スル所
デアラレタヤウニ考ヘラレマスガ、風聞ス
ル所ニ依ルト拓務省ノ反對デ內地ノミノ適
用法トナッタカノヤウニ伺ヒマス、是ガ事實
デアッタト致シマシタナラバ、何故ニ拓務省
ハ之ニ付テ反對ヲサレタカ、拓務省デハ同
法ニハ昨年モ同意シテ居ラレル關係上、朝
鮮ニモ臺灣ニモ同法デ是ト同ジ意味ノ律令
ヲ出スト云フヤウナコトモ聞イテ居リマス
ガ、朝鮮ニハ硫安ヲ造ル會社、燐酸肥料ヲ
造ル會社ハ同一會社デ以テ一社シカアリマ
セヌ、臺灣ニハ是亦一社シカ燐酸肥料ヲ造
ル會社ガアリマセヌノデ、ドウシテ是ガ組
合ト云フモノヲ造ルコトガ出來マセウ、若
シカ組合ハ造レナクトモ本法ヲ直グ其ノ儘、
適用ガ出來ルト云フヤウナコトニスルト、
斯ウ云フコトニナリマシテモ、農林·商工主
務省ハ一應拓務省ヲ經ナケレバナラヌ、ド
ウセサウ云フ風ニスルモノデアリマシタナ
ラバ要ラザル手數ヲ掛ケルコトナシニ、初
メカラ一ツノ法律デ朝鮮臺灣ニモ適用サレ
マシタナラバ簡單デ、單一化セラレヤシナ
イカト思ハレマス、今審議サレテ居リマス
所ノ米穀自治管理法案ニ於テモ内地同樣ニ朝
鮮臺灣ニ一ツノ法律デ適用出來マス所ノ建
前ニナッテ居ル、内地ニモ統制ヲ致シマシテ、
臺灣朝鮮ガ稍〓緩和サレルヤウナコトガア
リマシタナラバ、臺灣朝鮮ニ內地ノ事業家
ガ起リ、亂立ノ惧ナシトハ致シマセヌ、
又逆ニ臺灣、朝鮮ハ法網ヲ潜ルヲ幸ヒト致
シマシテ却テ惡イ結果ニナリハシナイカト
思ハレマス、結局今度ハ朝鮮臺灣ニ付テ是
ガ統制ヲシナケレバナラナイト云フヤウナ
結果ニナリマスガ、此ノ點ニ付キマシテハ
ドウ云フ御意嚮ヲ持ッテ居ラレルカ、第九ト
致シマシテ主務官廳ガ農林·商工兩省デアッ
テ、ソレニ或事項ニ付テハ拓務省ト相談ヲ
スル、斯ウ云フコトニナリマスト、實際ノ
運用ニ當ッテハ諸事圓滑ニ運ブト云ッテハ非
常ニ疑ハレルモノデアリマス、從來農林ト
商工省ノ關係デサヘ色々複雜ナ關係ガアル
ト聞イテ居リマスガ、主務省ガ兩省ニ分レ
テ居リマスト云フコトハ尙更運用上ニ非常
ニ支障ガ起リハシマイカ、殊ニ肥料ト云フ
モノハ季節的ナ商品デアリマスルカラシテ、
之ニ對シテ非難ガ起リハシマイカト思ヒマ
ス、例ヘバ昭和六年ノ十二月ニ硫安輸出入許
可規則決定ニ當リマシテ、商工省ガ或事ヲ
立案シテ農林省ニ〓ハシマシタ所ガ、農林省
ハ之ニ對シテ不贊成デアッタ、ソレガ故ニ不
同意ヲ唱ヘナイデ一箇月餘リモ握リ潰サレ
タト云フ事實ガアルノデアリマス、斯ウ云フ
唯握リ潰サレルト云フヤウナ事實ハ何等私
共ノ關係致シマセヌコトデアリマスルガ、
ソレガ爲ニ肥料ノ騰貴ヲ來シテ農家ニ不利
益ヲ與ヘタト云フ結果ニナッタノデアリマ
ス、斯ウ云フヤウナ事實ニ徵シマシテモ諸
事運用上遺憾ナイコトヲ期スルコトガ出來
ルカドウカ疑問ト思ハレマス、尤モ今ノ兩
當局ハ立案當時デアリマスカラシテ、意思
ハ非常ニ疎通ヲシテ居ラレルヤウデアリマ
スケレドモ、官吏ト云フモノハ色々御役柄
ガ變ハルモノデアリマスルカラシテ、非常
ニ此ノ邊ハ當事者ノ心持モ一ツ、心持一ツ
デ出來ルヤウナコトモアルモノデアリマス
ルカラシテ、又舊ノヤウニ商工·農林ノ意
思ノ疎隔スルヤウナコトガナイトモ限ラナ
イト思ッテ居リマス、非常ニ立入ッタ話デア
リマスガ、商工省ニ於テ起案シテ、此ノ本
法ノ色々ノ事項ハ商工省ニ於テ起案シテ、
之ヲ農林省ニ廻ス、其ノ囘答ヲ農林省ガ商
工省ニスルト云フコトニナルト思ヒマスカ
ラ、前例ノヤウナ長引クト云フヤウナコト
モアリマスルカラシテ、是ガ囘答期、或ハ
一週間ノ中ニ囘答スルトカ、十日ノ中ニ囘
答スルトカ云フヤウナ御打合デモ、下準備
デモアリマセウカ、サウデモナイト、諮問
期間ニ時日ヲ取ラレテ、更ニ兩省ノ交涉中
ニ、此ノ活潑ナル肥料ノ消費ノ時期ヲ失フ
ト云フコトガ起レバ、民間ノ怨嗟ノ聲モ起
リ、農家ノ施肥ニ支障ヲ來タスト云フコト
ニナリマスノデ、是等ノ運用ノ妙ノ一端ニ
付テ、兩省間ハ果シテ斯ウ云フヤウナ下準
備ヲシテ必ズ居ラレルモノデアリマスカ、
伺ヒタイト思ヒマス、第十ニハ農林、商
工兩省ニ於テ需給ノ推算ヲナサルヽニドウ
云フモノヲ基礎トシテナサッテ居ラレルデ
アラウカ、之ヲ伺ヒタイト思ヒマス、卽チ
農林省ノ肥料要覽ヲ見マスト內地ニ於ケル
肥料ノ消費中、販賣肥料ノ消費額ニ於キマ
シテハ、生產サレタモノハ、皆消費サレタ
カノヤウニ計算ヲサレテ居リマス、假令消
費見込額ト其ノ欄ニハ書イテアリマスケレ
ドモ、當局ノ書イテアリマスコトニハ、當
局ノ言遁レノ爲カモ存ジマセヌガ、在庫品、
「ストック」ニ考ヘ及バナイト云フコトハ、私
ハ是ハ誤ッテ居ルダラウト思ヒマス、消費見
込額及在庫量トデモシテアレバ、マダ宜シ
イカモ知レマセヌケレドモ、生產サレタモノ、
卽チ是レ消費サレタモノト云フ計算ハ間違ッテ
居ルト思ッテ居リマス、各府縣ノ調ベニ依ッテ
纏マリマシタト稱スル消費量ニ於テモ誤リガ
多ウゴザイマス、之ニ依レバ各府縣別ノ消費
高ハ實際トハ非常ナ數量ヲ異ニシテ居リマス
ルノデ、當局モ此ノ府縣別ノ消費高ハ肥料要
覽ニ除イテアルト云フヤウナコトハ、斯ウ
云フコトガ理由デアラウト私ハ思ッテ居リ
マスガ、之ニ關聯シテ、各府縣ニ依ッテ統計
ノ取方ガ非常ニ違ッテ居リマス、肥料取締法
ノ實施以來三十年、是等モ何トカ唯時期ヲ
假スニ非ズシテ、何カ一定ナ法則ヲ以テ、
ソレ〓〓統計ヲ取ラナケレバナラナイノデ
ハナカラウカ、別ニ從來ノコトヲ彼此申上
ゲルノデハアリマセヌケレドモ、今後需給
數字ヲ計算シテ、サウシテヤル仕事デアリ
マスルカラ、斯ウ云フヤウナ杜撰ナ數ヲ以
テ決スルノハ、正確ナル判斷ヲ誤ル虞レガ
アルト思ヒマス、硫安ノ今度ノ需給數量
ハ、此ノ肥料要覽ニ依ラレタコトデハナイ
カト思ヒマスガ、世間デハ官廳ノ出ス所ノ
數字ト云フモノハ、非常ニ信賴ヲ致シテ居
リマスルノデ、統計數字ニ付テハ從來トノ
比較關係モアルコトデアリマセウケレド
モ、農林省モ、商工省モ何トカ御改正ニナ
ル必要ガアルノデハナカラウカト思ヒマ
ス、昨年來ノ硫安ノ値上リニ付テノ農林·商
工兩省ノ需給推算ノ見込違ノ爲ニト言ッテ
ハ、或ハ失禮カモ知レマセヌガ、要スルニ
計算ノ違ヒニ、徒ラニ不足、不足ト云フヤ
ウナ爲ニ、其ノ需要ヲ起シテ値上リヲ生ジ
タリト云フヤウナコトモ聞イテ居リマス、
而シテ數量ガ實際ニ足リナイカト言ヘバ、
現在ハ硫安ノ如キモノハ不足ヲスルガ如キ
虞レガアル數字デハナイト聞イテ居リマ
ス、當局ノ數字ノ發表ハ餘程御注意ヲ要ス
ルコトデアリマスルガ、是等ニ對シテハ、
當局ノ御考ハドウ云フコトデアリマセウ
カ、第十一ニ尙念ノ爲ニ御尋ヲ致シマス
ガ、本法施行ニ付キマシテ、農林·商工·拓
務·大藏ノ四省ノ意嚮ハ圓滿ニ纏ッテ居リマ
セウカ、若シカ多少トモ此處ニ意見ノ食違
ヒガアリマスルト、運用ニ當ッテ非常ニ支障
ヲ來タスト思ヒマス、斯ウ云フコトハ念ヲ
押ス必要モナイコトカト思ヒマスケレド
モ、先日農村負債整理組合ノ委員會ニ於キ
マシテ、私ノ質問ニ對シテ島田農林大臣ハ
明確ニ且懇切ナル御答辯ガアリマシタガ、
其ノ委員會ニ於キマシテモ、政府ノ意ノア
ル所ヲ諒ト致シマシタ所ガ、其ノ日ノ午後
ノ衆議院ノ本會議ニ於キマシテ、大藏大臣
ハ之ニ關シテ多少意見ノ異ナルガ如ク感ゼ
ラルヽコトヲ述ベテ居リマスノデ、更ニ此
ノコトハ念ヲ押シテ伺ッテ置キマス、ソレカ
ラ第十二ニハ衆議院ノ附帶決議ハ政府トシ
テ快ク御承認ノ上實行ヲ爲サル御積リデア
ルカ、ドウカ、特ニ第二項ノ政府ハ肥料配
給上ノ不圓滑ヲ防止スル爲相當量ヲ常時貯
藏シ云々トアリマスガ、政府ガ常時「ストッ
ク」ヲスルト云フコトハ、政府ガ之ヲ買上ゲ
テ、サウシテ保管ヲシテ不足ノ時ニ消費者
ニ出スト云フ意味デアルカ、サウ致シマス
ト非常ナ金額ニ上ボルコトト思ヒマス、又
硫安ノ輸入損失ヲ國家ガ或程度補償スルト
云フコトハ、現狀ノ財政ニ鑑ミマシテ適當
デアラウカ、ドウカ、仍テ政府ハ結局本法
施行細則等ニ依リマシテ、製造業者ニ常時
貯藏ノ義務ヲ負ハスコトニナリハシマイカ
ト思ハレルノデアリマス、サウ致シマスル
ナラバ、製造業者トシテハ是等ノ諸掛リヲ
モ見積ルコトトナリマシテ、値段ニモ關係
ヲ有ツコトニナル、サウデゴザイマセヌケ
レバ製造業者ノ算盤ガ採レナクナルコトニ
ナリハシナイカト思ハレルノデアリマス、
常時「ストック」ニ付テハ肥料ト云フ商品ハ
先程モ申シマシタヤウニ、季節的ノモノデ
アリマスルガ故ニ需要期前ニハ勿論不足ヲ
來タサナイヤウナ程度ニ用意ヲシナケレバ
ナラヌノデアリマス、併シナガラ不需要期ニハ、
卽チ農家ノ使ハナイヤウナ時ニハ多額ノ金ヲ
寢カスト云フヤウナ、常時「ストック」ト云フ
ヤウナコトハ左程ノ必要ガナイノデハナカラ
ウカ、之ニ御贊成ヲナスッタト云フ商工·農林
兩省ノ御考ヲ伺ヒタイ、斯ウ云フヤウナコ
トニ致シマスト本法ノ趣旨ニ反スルヤウナ
結果ニナリハシナイカト云フヤウナ疑ガ感
ゼラレマス、尙又第十三ト致シマシテ本法
施行ニ當ッテ、是ハ私ノ搜シ方ガ惡イカモ知
レマセヌガ、豫算ニ費用ガ計上サレテ居ナ
イヤウニ思ハレルノデアリマス、是ハ私ノ
見方ガ惡イカモ存ジマセヌ、只昨年度ノ時
ハ商工·農林兩省デ僅カノ豫算デアリマシタ
ガ、多少計上サレテ居ッタト思ヒマスガ、或
ハ斯ウ云フヤウナコトモ大藏省ガ反對デモ
シテ居ヤシナイカト思ヒマシテ、便宜上伺ッ
テ置キマス、先ヅ以上ノ御答辯ヲ伺ヒマシ
タ上デ更ニ各條項ニ依ッテ、質疑ヲ進メテ見
タイト思ッテ居リマスルカラシテ、御答辯ヲ
願ヒタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=4
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005・小川郷太郎
○國務大臣(小川〓太郞君) 第一ノ御質問
ハ昨年提案ヲシマシタ案ト、今囘ノ提案シ
タ案トガ、同一趣旨デアルカト云フコトデ
アリマスガ、立法ノ趣旨ハ大體ニ於キマシ
テ昨年提案致シタモノト同ジ趣旨デアリマ
ス、卽チ業者ノ自治的統制ヲ基礎トシテ政
府ガ公益的監督ヲ行フ、斯ウ云フ大體ノ筋
合デアリマス、許可事業トスルコトヲ止メ
タ事ナリ、其他一二例ヲ擧ゲテ御出デニナ
リマシタガ、ソレハ世間デ能ク骨拔キダト
云フ批評モアリマスケレドモ、實ハ衆議院
ノ論議ニモ聽キ、又生產者及消費者ノ方ノ
團體ノ意見ニモ聽キマシテ、今囘ノヤウニ
改メルノガ妥當デアルト考ヘタノデアリマ
ス、許可制度ノ如キハ硫安ニ付キマシテハ
供給不足ト云フヤウナ際ニ、許可制度ト云
フ如キハ宜クナイ、是ハ消費者ノ側カラノ
サウ云フ意見ガアッタノデアリマスカラ、今
囘ノ如ク改メタコトガ妥當デアルト思マヒ
ス、大體ノ筋ハ昨年ノ提案シタモノト同樣
デアリマス、ソレカラ第二ニハ此ノ硫安、
石灰窒素、過燐酸石灰ノ此ノ三種ニ限ッテ、
全部ニ、······肥料全部ニ何故及ボサナカッタ
カト、斯ウ云フ御趣旨デアッタト思マヒス
ガ、此ノ三種ノ肥料ガ最モ重要ナモノデア
リマシテ、是ガ肥料ノ價格ヲ大體動カス重
要ナモノデアルシ、消費量カラ見マシテモ
大部分ヲ占メテ居マスカラシテ、之ヲ押ヘ
レバ、十分ダト考ヘタノデアリマス、合成
肥料ナンカノ御話モアリマシタガ、此ノ三
種ヲ押ヘマスレバ、合成肥料モ從ッテ押ヘ
ルコトニナリマスカラ、デ、先ヅ此ノ差當
リ、此ノ三種デ目的ヲ達シ得ルモノト考ヘ
テ居リマス、勿論將來ノ化學肥料ガ發達シ
マシタ場合ニハ追加スルコトモアリマス、
ソレデ命令ニ依ルトシタ譯デアリマス、ソ
レカラ第三ノ御質問ハ、肥料取締法ニ關係
シテ居リマスノデ、是ハ農林當局ノ方カラ
答ヘテ戴ク方ガ便宜カト思ヒマス、ソレカ
ラ第四ハ、硫安·石灰窒素·過燐酸石灰ノヤウ
ナ性質ノ異ッタ物ヲ一ツニシテ規律スルヨ
リハ、別々ニヤッタノガ宜イヂヤナイカト、斯
ウ云フ御趣旨ノ御質問デアッタト拜承致シマシ
タ、成程多少此ノ事情ハ異リマスケレドモ、三
種ノ肥料ハ何レモ我ガ國ノ重要肥料デアリマシ
テ、其ノ圓滑ナル需給及公正ナル價格ヲ維持
ヌルト云フ必要ニ付テハ同ジナノデアリマ
シテ、大體業者ノ自治的統制ヲ基礎トスル
ト云フ建前デ行キマスコトハ皆同ジヤウニ
規律シ得ルト思フノデアリマス、ソレデ硫安
ハ硫安デ一ツノ製造業組合ヲ拵ヘマスカラ、
之ヲ一〓ニシタ組合デアリマシテ、硫安ハ
硫安、石灰窒素ハ石灰窒素、過燐酸石灰ハ
過燐酸石灰デ、各〓別ナ組合ヲ拵ヘテ、ソ
レガ自治的統制ヲ行ヒ、政府ハ之ヲ監督シ
テ行クト、斯ウ云フコトデアリマスカラ一
ツノ法律デ規律シテ差支ナイヤウニ考ヘル
ノデアリマス、ソレカラ第五ハ、肥料ノ重
要原料ニ付テノ御尋デアリマシタガ、本法
ヲ制定致シマシタ後ニハ、肥料業組合ト云
フヤウナモノガ、ソレヲ建前トシテ統制致
シマスカラ、其ノ組合デ共同購入ノ途モア
リマシテ、御示シニナッタ重要原料ハ成ル
ベク此ノ共同購入ト云フヤウナ方法デ廉價
ニ購入シ得ルコトモ出來得ルト考ヘルノデ
アリマス、第六ノ御質問ハ取引業者ノ取締
ガ十分デナイヂヤナイカト云フ、詰リ此ノ
本法ニ於キマシテ、取引業者ヲ取締ルコト
ノ規定ガナイト云フヤウナ······ソレハドウ
云フ譯カト云フヤウナ御趣旨ダト拜承致シ
タノデアリマス、成程今度提出致シマシタ
本法律案ニハ、其ノ規定ハアリマセヌガ、
併シ此ノ本法ニ依リマシテ生產者ヲ統制ヲ
爲シマスト云フト其ノ生產者ノ販賣價格ガ
明カニ公表セラレルコトニナルノデアリマ
ス、デ自然配給機關ニ於キマシテモ、適當
ナル統制ガ行ハレルト期待スルノデアリマ
ス、併シソレニモ拘ラズ、此ノ配給機關ガ
暴利ヲ貪ルト云フヤウナコトガアリマスレ
バ、ソレハ暴利取締令デ之ヲ取締リ得ルト
考ヘテ居リマス、ソレデ今度ノ法律案ニハ
取引業者ノ取締規定ヲ置カナカッタノデア
リマス、ソレカラ第七ハ、硫安配給組合ニ
關シテ、不足シマシタ肥料ヲ輸入スルヤウ
ナコトニ關聯シテノ御尋デアッタノデゴザ
イマスガ、事實問題トシマシテモ硫安配給
組合ニ對シテハ屢〓勸メマシテ、不足ノ量ノ
輸入ハ爲サシムルヤウニシテ居リマシテ、
現ニ本肥料年度ニ於キマシテモ、十二、三
萬瓲ノ外安ヲ組合ヲシテ輸入セシムルコト
トシテ居ルノデアリマス、ソレカラ第八ハ
主務大臣トシテアルノヲ、政府ト改メテ、
臺灣·朝鮮等ヲ通ジテ同ジヤウニ之ヲシテ行
クノカト云フヤウナ御質問デアリマシタ、
寧ロ旨ク行カナイノヂヤナイカト云フヤウ
ナ御意見ヲ以テノ御質問ダト拜承致シマシ
タ、此ノ法律ハ勿論外地ニハ、結局施行致
シマセヌガ、肥料ノ生產又ハ販賣ニ對スル
統制ハ、內地外地ヲ通ジテ行ハナケレバ完
璧ヲ期シ難イ、ソレデ外地ニ於キマシテハ、
本法ト同ジ趣旨ノ法制ヲ實施セシメマシテ
是ガ運用ニ付キマシテハ、重要事項ニ付キ
マシテハ、雙方打合セヲ行ヒマシテ、常ニ同
一ノ方針ヲ採ルコトニシタイト思ヒマシテ、
既ニ外地ノ官廳トモ協議濟ミデアリマス、
御心配ハナイト御答ヲシテ差支ナイノデア
リマス、ソレカラ第九ハ此ノ農林·商工ノ間ニ、
マア從來肥料問題ニ關係シテ、能ク意思ガ
疏通シテ居ラヌデ、打合セガ十分ニ出來ナ
イデ、意見モ違ヒ、事務ガ澁滯シテ居ルト
云フヤウナ事實ヲ御述べニナリマシテ、今
後旨ク行クカト云フヤウナ御質問デアッタト
拜承致シマシタ、農林·商工間ノ連絡ハ十
分留意スル積リデアリマシテ、現在此ノ法
律案ヲ提案スルニ際シマシテモ、重要事項
ハ兩省ノ間デ相當打合セヲシテ居リマス、
尙重要事項ハ内閣ニ設置スル委員會ニ付議
致シマスカラ、商工·農林ノ間デ意見ノ相
違ガアッテ停頓スルト云フヤウナコトハナ
イト考ヘテ居ルノデアリマス、ソレカラ第
十八、肥料ノ需給推算ニ關シテノ御質問デ
アリマシタ、肥料要覽ノ中ニ宜シクナイ點
ヲ御示ジニナリマシタガ、統計ノ數字等ニ
付キマシテノコトハ政府委員カラ一ツ說
明ヲシテ戴ク方ガ宜イカト思ヒマスガ、ド
ウモ各府縣ノ統計上ノ不備ガアリマスノデ、
實ニ統計ハ正確ヲ期セナケレバナリマセヌ
ケレドモ、旨ク行ッテ居ナイコトガアルカト
モ思ヒマス、今後十分留意シマシテ完備ス
ルヤウニ致シタイト思ヒマス、ソレカラ第
十一ハ、農林·商工·拓務·大藏ノ意見ハ圓滿
ニ纏ッテ居ルカト云フ御質問デアリマシタ、
是ハ實ハ意見ハ完全ニ一致シテ居ルノデア
リマス、農林·商工ノコトハ前申上ゲマシ
タガ、拓務ハ前ノ御質問ノ中デモ御答ヘ申
上ゲマシタヤウニ、是モ能ク相談ヲシテ居リ
マス、關係各省ノ意見ハ一致シテ居ルト御
答へ致シタイノデアリマス、ソレカラ第十
二ニ、衆議院ノ附帶決議デアリマスガ、此
ノ附帶決議ノ趣旨ハ政府モ尤モダト考ヘテ
居ルノデアリマス、併シ其ノ實現ヲスルト
云フコトニナリマシテハ財政ノ關係モアリ
マスノデ、直グ直チニ之ヲ具體化スルトモ
答ヘ難イノデアリマス、能ク〓究考慮致シ
マシテ善處ヲシタイト考ヘテ居リマス、ソ
レカラ最後ニ此ノ法律ヲ行フニ付テノ經費
ガ豫算ニ載セラレテナイヂヤナイカト云フ
御質問デアリマシタガ、豫算ノ中ニ農林·商
工·内閣ニ分ケマシテソレゾレ必要ナ經費
ヲ計上シテアリマス、合計年約四萬圓バカ
リアリマス、大體御答へ致シマシタガ、尙
政府委員カラ補足ヲシテ貰フコトニ致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=5
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006・戸田保忠
○政府委員(戸田保忠君) 只今御尋ノアリ
マシタ中ノ第三ノ肥料取締法ノ改正ノ意思
ナキヤト云フ御尋デアリマスガ、是ハ御說
明ニモアリマシタヤウニ非常ニ古イ法律デ
アリマシテ、今日ノ時勢ニ適應シナイ所ガ
ゴザイマスノデ、我々農林當局ト致シマシ
テモ常ニ其ノ不備ヲ實ハ痛感致シテ居ル次
第デアリマス、個々ノ問題ト致シマシテハ
別デアリマスガ、大體ニ於キマシテ御尋ニア
リマシタヤウニ是非近キ將來ニ改正致シタ
イト思ヒマシテ、是迄モ色々準備ヲ進メテ
居リマス、其ノ際ニチヨット御話ノアリマシ
タヤウニ、成ルベク地方廳ニ多數置イテ居
リマス肥料取締官ノ人件費ガ少クナルト云
フヤウナ關係カラ、實現ガ是マデ思フヤウ
ニ運ビマセヌデアリマシタ、最近ニ於キマシテ
ハ更ニ一方肥料ノ方ノ、各種ノ肥料ノ狀況ガ
段々進步シテ變ッテ參ルト云フコトモアリ、色
色今日ノ法律デハ不合理ナ點モアリ、ソレカ
ラ組合制度等ニ依ッテ之ヲ免レルト云フヤウ
ナ缺陷モ漸次現レルト云フヤウナ狀況デアリ
マスノデ、私共トシマシテハ出來ルダケ早
ク此ノ改正ヲ期シタイト思ッテ準備ヲ進メ
テ居ル次第デアリマス、ソレカラ一言、商
工大臣ノ御答デ盡キテ居ルト思ヒマスガ、
需給推算ニ付テノ肥料要覽ハ本省カラ出シ
テ居ル統計デアリマスカラ、チヨット御答ヘ
申上ゲテ置キマス、肥料要覽ノ數字ノ取扱
ニ付テハ御尋ノアリマシタヤウナ大體次第
デアリマスガ、此ノ硫安等ノ需給推算ヲ致
シマス際ニハ、是ハ又別個ノ見地カラ在庫
高等ノ支拂別ニ致シマスシ、ソレカラ積極
的ニ議會等デ御要求ガアッテ發表シタコト
ハアリマスケレドモ、色々「デリケート」ナ
關係ガアリマスカラ、省トシテ積極的ニ之
ヲ公表ハ致シマセヌデ、議會ノ御要求ノアツ
タ時ダケ發表シテ居ルノデ、サウシテソレ
ヲ作リマスノニモ、農林·商工デ別種ノ見
地カラ各種ノ材料ヲ基礎ト致シマシテ農林·
商工デ打合濟デアリマセヌ場合ニハ發表シタ
コトモゴザイマセヌ、當業者ノ方ト色々話
ヲ致シマス際ニ、兩者ノ意見ガ場合ニ依ッテ
多少分レルコトハ無論アリマスノデスガ、
兩省デハ肥料要覽ノミカラデハナク、特別
ノ考ヲ以テ相談ノ上デヤッテ居リマス點ヲ
特ニ申上ゲテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=6
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007・岩村一木
○男爵岩村一木君 只今ノ大臣竝ニ政府委
員ノ御答デ了承致シマシタガ、大臣ノ御答
ノ中デ別々ニ組合ヲ作ラシタラ宜イヂヤナ
イカト云フコトヲ、チヨット第八條ニ「肥料製
造業組合ハ肥料ノ種類每ニ一箇トス」トシテ
ゴザイマスノデ、其ノ點ハ私能ク了承致シ
テ居リマスルガ、唯硫安ト云フモノハマダ
輸入ニ仰ガナケレバナラナイモンデアル、
燐酸肥料ト云フモノハ內地デ以テ過剩ニ
生產サレテ居ル、斯ウ云フヤウナ性質
ガ違フノデアルカラシテ、別々ニ別ナ法律
ノ下ニ置カレタラ如何ナモンデアラウト云
フコトヲ御尋ネ致シタノデゴザイマス、ソ
レカラ硫安配給組合ニ對スル兩當局トノ、
外安ノ輸入ニ關スル經過ニ付テハ別ニ御答
モアリマセヌカラシテ、之ニ付テハ追究ヲ
申上ゲマセヌ、ソレカラ朝鮮·臺灣ノ方ニ
ハ一ツシカ肥料製造會社ガアリマセヌノデ、
之ヲ組合ヲ向フデ作ラスト云フコトハ一ツ
ノモノデハ出來ナイト思ヒマス、ソレナラ
バコチラノ法律ヲ拓務省ヲ經テ適用ヲサス
モノデアルノナラバ、此ノ法律ヲ其ノ儘向
フヘ適用サシタラ宜イヂヤナイカ、律令其
ノ他ヲ出サナイデモ、ソンナ手數ノ掛ルモ
ノヲ拵ヘナイデモ宜イヂヤナイカ、斯ウ云
フコトヲ私御尋ネ申上ゲタノデアリマス、
ソレカラ需給ノ推算ニ付テハ今御話シ戴キ
マシタノデ、肥料要覽ニ依ラレタノデハナ
イト思フ、又肥料要覽ニ用ヒルヤウナ數字
デアッタラ大變デアリマスケレドモ、併シナ
ガラ、一般ノ人ノ信用スルモノハ肥料要覽
トカ、商工要覽ニ依ルモノデアルカラシテ、
數字ヲ御出シニナル時ハ餘程注意ヲ爲スッ
テ戴キタイ、之ニ對シテ何カ御考ヲ願ッテ置
キタイ、斯ウ云フコトヲ申シタノデアリマ
ス、ソレカラ農林省ノ政府委員ノ肥料取締
法規ニ對スル御答デアリマシタガ、是ハ考
慮ヲシテ置イテ近イ將來ニ之ヲ實施スル、
新ウ云フ御話デアリマスルケレドモ、肥料
取締法規實施以來既ニ三十年、色々其ノ當
局者ハ違ッテ居リマスケレドモ、改正ナサル
案ト云フモノハ常ニアルノダラウト思ッテ
居リマスカラシテ、シヨウト思ヘバ直グニ
モ出來ハシナイカト思ハレマス、殊ニ人件
費ノ如キモノヲ御話ガアルケレドモ、是一
仄聞スル所ニ依ルト二十萬カ三十萬ト云フ
御話デアリマスガ、肥料ノ品質ノ不良ニ依ツ
テ農家ニ損ヲ及ボスト云フコトハ二十萬三
十萬ノ金デハナイダラウト思フ、大切ナコ
トデアリマスルカラシテ、能ク農林大臣ト
モ御相談ヲ戴イテ、サウシテ此ノ次ノ議會
ニデモ肥料取締法規ノ改正ヲ御出シニナッ
テ戴クト云フヤウナ意氣込デアッテ戴キタ
イト思ヒマス、今マデノ私ノ質問ニ對スル
御答ニ付テハソレダケ申上ゲテ置キマスガ、
尙政府ノ方トシテ御答ガ戴ケレバ結構ダト
思ヒマス、是ハ後程デモ宜シウゴザイマス、
今度ハ肥料業統制法ノ條項ノ質問ヲ致シタ
イト思ヒマス、第二條ニ「本法ノ適用ヲ受
クル肥料ノ種類ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム、本
法ニ於テ肥料製造業ト稱スルハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ肥料ヲ製造スル事業ヲ謂フ」此
ノ「命令ノ定ムル所ニ依リ」ト云フノハ、先程御
話ノヤウニ硫安·過燐酸石灰·石灰窒素トナッ
テ居リマスガ、是ハ生產數量ハドノ位ヲ見
當トシテ居ラレルカ、ソレヲ伺ッテ置キタ
イ、ソレカラ第四條ノ二項ト申シマスカ、
「前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル者
命令ノ定ムル所ニ依リ設立ノ認可ヲ申請セ
ザルトキハ政府ハ定款ノ作成其ノ他設立ニ
關シ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得」、此ノ「處
分」ト云フ意味ハドウ云フ意味デアリマセウ
カ、又組合ヲ設立シナイト云フ意味ハ、政
府ノ方デ無理ヤリニ定款ヲ都合ノ好イヤウ
ニ作ッテソレヲヤラスト云フコトガ處分事
項ニナッテ居リマスカ、ソレヲ伺ヒタイ、ソ
レカラ第十條ノ二項デゴザイマスガ、「肥料
製造業組合ハ政府ノ認可ヲ受ケ本法施行地
域外ニ於テ肥料製造業ヲ營ム者ヲ組合員ト
爲スコトヲ得」此ノ「本法施行地域外」ト云フノ
ハ、本法施行地ト云フモノハ內地デアッテ、
施行地域外ト云フモノハ朝鮮·臺灣デアル、
サウスルト是ハ滿洲化學ノ方ノ御取扱ハド
ウナッテ居リマセウカ、先程大臣カラノ御話
ニ依テ、モウ當務者トモ拓務省ノ方トモ全
部打合ガ濟ンデ居ルカラシテ、此方ノ法規
ハ其ノ儘適用スルト云フコトデアリマスケ
レドモ、朝鮮窒素、若シクハ臺灣肥料ト云
フモノハ、輸出組合ガ出來ルヤウニナレバ
加入ノ意思デモ當局ニ漏ラサレテ居ルノデ
アルカ、其ノ邊ヲ伺ヒタイト思ヒマス、ソレ
カラ十一條ノ「肥料製造業組合第六條第一號
ノ決定ヲ爲シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ
依リ其ノ實施前豫メ之ヲ政府ニ屆出デ其ノ
承認ヲ受クベシ」、此ノ「實施前豫メ」ト云フ
コトハ、色々活潑ナ肥料デモアリマスノデ、
實施前ト云フコトハ大體ドノ位ヲ目安ニ置
イテオ出デニナルカト云フコトヲ伺ヒタイ、
ソレカラ矢張リ十一條ノ三項デアリマスガ、
「政府肥料ノ需給ノ圓滑又ハ價格ノ公正ヲ圖
ル爲其ノ他公益上必要アリト認ムルトキハ
第一項ノ決定ノ全部又ハ一部ノ變更又ハ取
消ヲ爲スコトヲ得」、ト云フコトガゴザイマ
スガ、此ノ「價格ノ公正」ト云フコトハ何レ
是ハ別個ニ御質問申上ゲタイト思ッテ居リ
マスガ、是ハ最高價格、最低價格ト云フモ
ノヲ御定メニナッテ御示シニナルカドウカ、
斯ウ云フコトモ是ハ必要ナ問題デアリマス
ノデ伺ッテ置キマス、ソレカラ第十二條「肥料
製造業者又ハ肥料製造業組合ハ政府ノ許可
ヲ受クルニ非ザレバ肥料ノ生產、販賣、輸
出、輸入、移出又ハ移入ニ關シ統制協定ヲ
爲スコトヲ得ズ」、斯ウ云フコトガ書イテゴ
ザイマスガ、之ニ依ッテ見マスレバ、或ハ共
同販賣會社ト云フヤウナモノハ出來ナイ規
則ニナッテ居ルヤウニ思ヒマス、併シナガラ
小川商工大臣ガ衆議院ニ於キマシテ御答
辯ニナリマシタ速記錄ヲ拜見致シマスト、
外ニ許可サヘ受ケレバ統制協定ヲ爲シテモ
構ハナイノダト云フ風ニ取ラレテ居リマス
ガ、是ハ政府ノ根本方針トシテ許可ヲナサ
ル御積リデアルカドウカ、斯ウ云フコトヲ
伺ッテ置キマス、ソレカラ第十九條、是ハ內
閣ニ置カレル重要肥料業委員會デアリマス
ガ、此ノ構成ニ付テハ矢張リ衆議院ノ方デ
商工大臣カラ御答辯ガアリマシタガ、重ネ
テ本院デモ御答辯ヲ爲スッテ置イテ戴キタ
イト思ヒマス、ソレカラ若シ此ノ法案ガ成
立致シマシタラ、其ノ施行ノ期日ト云フモ
ノハ勅令ヲ以テ定メルト云フコトニナッテ
居リマスガ、大體商工·農林當局ノ御考ハ何
時頃カラ實施ナサル御積リデアルカ、斯ウ
云フコトヲ先ヅ伺ッテ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=7
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008・小川郷太郎
○國務大臣(小川〓太郞君) 各條ニ亙ッテ
ノ解釋ノ問題ナドモアリマスノデ、ソレハ
一ツ政府委員カラ答ヘテ戴ク方ガ却テ便宜
ダト思ヒマス、唯私ガ御答申上ゲタイノハ、
第十九條ノ肥料業委員會ヲドウ云フ風ニ構
成スルカト云フコトデアリマス、此ノコト
ハ衆議院デモ中上ゲテ居リマスガ、私カラ
此ノ席デモ申上ゲテ置キタイト思ヒマス、
此ノ重要肥料業ノ委員會トシマシテハ、關
係各省高等官凡ソ八名、學識經驗アル者凡
ソ十二名位、合セテ二十名位デ委員會ヲ組
織シタイト考ヘテ居リマスデ、何カ官吏ノ
方ニ傾ク弊ガアルト云フ色々ナ非難ガアリ
マスノデ、ソレヲ避ケテ、寧ロ民間ノ人ヲ
多クスルト云フコトニ考ヘテ居ルノデアリ
そう、其ノ學識經驗アル者ノ中ニハ貴衆兩
院議員、生產者及消費者ヲ代表スベキ者等
ヲ考慮ノ中ニ入レテ居リマス、外ノコトニ
付キマシテハ便宜上政府委員カラ說明ヲシ
テ戴キマシテ、尙私ガ答ヘナケレバナリマ
セヌコトハ私カラ御答申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=8
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009・岩村一木
○男爵岩村一木君 是ハ後程政府委員ノ御
說明ガアリマシタ後デ結構トハ思ヒマスガ、
第十條ノ二項ノ、先程私ガ伺ヒマシタ「肥料
製造業組合ハ政府ノ認可ヲ受ケ本法施行地
域外ニ於テ肥料製造業ヲ營ム者ヲ組合員ト
爲スコトヲ得」、是ノ解釋ニ付キマシテハ朝
鮮·臺灣、先程カラ私ガ諄イヤウニ伺ッテ居
リマスル此ノコトニ付テ、ハッキリ大臣ノ御
答辯ヲ得テ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=9
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010・小川郷太郎
○國務大臣(小川郷太郞君) 本法施行地域
外ト申シマスノハ朝鮮·臺灣·滿洲、斯ウ考ヘ
テ居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=10
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011・岩村一木
○男爵岩村一木君 滿洲化學ノ取扱ハドウ
云フ風ニナッテ居リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=11
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012・小川郷太郎
○國務大臣(小川〓太郞君) 滿洲ハ實ハ外
國ニナルノデアリマスガ、併シ矢張リ滿洲
化學ノコトモ考ヘナケレバナリマセヌ、今
申シマシタヤウナ趣旨デ大體本法ヲ施行致
シマシタ後ニハ內地ノ統制方針ト協調ヲ保
タシムルヤウニ方針ヲ極メテ居ルノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=12
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013・岸信介
○政府委員(岸信介君) 御質問ニゴザイマ
シタ各條文ノ解釋等ノ點ニ付キマシテ一應
申上ゲマス、第一點ノ第二條ノ二項ノ命令
ノ問題デアリマスガ、命令ノ定ムル所ノ肥
料ヲ製造スル事業ト數量ニ付テノ御尋デアッ
タト拜承致シマスガ、之ニ關シマシテハ硫
安·石灰窯業·過燐酸ト云フモノヲ專業ニヤッ
テ居リマスモノハ其ノ數量ハ別ニ制限ハシ
ナイ積リデゴザイマス、複製硫安、御承知
ノヤウニ瓦斯會社等ガ複製硫安ヲ造ッテ居
ルヤウナ事業ニ付キマシテハ年產一萬瓲ニ
達シナイ複製硫安ノ製造、是ハ除ク考ヘデ
アリマス、ソレカラ第四條ノ二項ノ「必要ナ
ル處分」ト云フコトニ關スル御尋デアリマシ
タガ、是ハ第四條ノ一項デ作ラナイ場合ニ
政府ノ方ニ於テ設立ヲ命令スル、所ガ尙其
ノ手續ヲドウモ實行スルコトガ出來ナイト
云フ風ノ各種ノ事情ガアリマシタ場合ニ於
キマシテ政府トシテハ公益上ドウシテモ組
合ノアルコトヲ必要トスル、斯ウ考ヘテ居リ
マスカラ其ノ目的ヲ達シマス爲ニ政府ニ於
テ色々手續ヲシテヤッテ事實上組合ノ設立
ガ出來ルヤウニスル、斯ウ云フ意味デアリ
マス、ソレカラ十一條ノ一項ハ實施前豫メ
之ヲ政府ニ屆出ルト云フ、實施前豫メト云
フ事柄ノ期間ノ問題ニ付テノ御尋デアリマ
シタガ、是ハ色々ノ事情ヲ十分調査シ考慮
ノ上デ極メナケレバナルマイト思ヒマス、
ハッキリドノ位ト云フコトヲ今申上ゲルコ
トハ出來マセヌケレドモ、實際上各組合等
ニ於キマシテ斯ウ云フ統制ニ關スル決定ヲ
爲シマス場合ニ於キマシテハ少クトモ一箇
月前位ニサウ云フ決定ヲスルモノデハナイ
カ、斯ウ云フ風ニ考ヘマス、從ッテサウ云フ
風ノ最低一箇月ト云フ風ノコトガ大體標準
ニナルノデハナイカト、斯ウ考ヘテ居リマ
ス、尙各種ノ事情ヲ十分調査シ、又業界ノ
希望ナリ、何ナリト云フ風ノモノヲ聽イテ
適當ニ定メタイ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リ
マス、ソレカラ第十二條ノ統制協定ニ付テ
許可ヲ得ナケレバナラナイ、例ヘバ共販會
社ヲ造ルト云フヤウナ場合ハ十二條ニ依ッ
テ許可ヲ受ケナケレバナラヌコトニナルノ
デアリマスガ、サウ云フコトヲ政府トシテ
ハ許可スルカドウカト云フ御尋デアリマシ
タガ、是ハ商工大臣ガ衆議院デモ御答ニナ
リマシタ通リ其ノ內容ヲ審査致シマシテ適
當ナモノデアレバ許可ヲ與ヘルシ、ソレガ
適當デナイト認メル場合ニハ許可ヲ與ヘナ
イ、斯ウ云フコトニナルデアラウト思ヒマ
ス、ソレカラ最後ニ施行期限ノ問題デアリ
マスガ、之モ本法ノ制定サルヽ趣旨ニ鑑ミ
マシテ成ルベク速カニ施行サレルコトガ望
マシイコトト思ヒマスケレドモ、色々ナ業
界ノ實情モアルコトデゴザイマスシ、尙施
行ノ準備モアリマスノデ今大體ドノ位ノ期
限ダ、何時頃カラヤルト云フコトヲ豫メ申
上ゲル迄ニマダ至ッテ居リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=13
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014・岩村一木
○男爵岩村一木君 私今聽キ漏ラシタノカ
モ知レマセヌガ、二條ノ「命令ノ定ムル所
ニ依リ肥料ヲ製造スル事業ヲ謂フ」、命令ノ
定ムル所ニ於キマシテハ硫安ハ今ノ御話ヲ
伺ヒマスト約一萬瓲、過燐酸石灰、ソレカ
ラ石灰窒素ヲ造ッテ居ルモノハ全部、斯ウ云
フ意味デ、數量ノ御制限ハナイノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=14
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015・岸信介
○政府委員(岸信介君) サウ云フ考デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=15
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016・岩村一木
○男爵岩村一木君 チヨット第十二條ノコ
トデアリマスガ、「政府ノ許可ヲ受クルニ非
ザレバ肥料ノ生產、販賣、輸出、輸入、移
出又ハ移入ニ關シ統制協定ヲ爲スコトヲ得
ズ」是ハ御說明デ能ク分リマシタガ、私ハ
衆議院ノ速記モ讀ミマシタガ、政府ノ根本
方針ト致シマシテハ良ケレバ作ラス、斯ウ
云フコトデハアリマセヌデスカ、ソレヲ
伺ッテ置キタイ、要スルニサウデアルナラ
バサウ云フ緩イ意味ガアルナラバモウ少
シ何カ書キヤウガアリハシナイカ、斯ウ
思フノデアリマスガ、重ネテ伺ッテ置キ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=16
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017・小川郷太郎
○國務大臣(小川〓太郞君) ドウモ是ハ矢
張リ其ノ內容ヲ能ク審査致シマシテ適當ノ
モノナラバ許可ヲスルシ、然ラザルモノハ
許可セヌト申上ゲルヨリ外ニ具體的ニハ申
上ゲ兼ネマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=17
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018・鷹司信輔
○委員長(公爵鷹司信輔君) 外ニ御質問ゴ
ザイマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=18
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019・岩村一木
○男爵岩村一木君 ソレデハ今度ノ此ノ法
案ノ要點ト云フノハ公正ナル價格ヲ極メ
ル、斯ウ云フコトガ要點ニナルヤウニ思ヒ
マスガ、公正ナル價格ノ極メ方ガ各種類別
ニ依ッテ違ヒガアルト思ヒマスガ、ソレヲ一
ツ政府委員カラデモ御說明ヲ願ヒタイト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=19
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020・小川郷太郎
○國務大臣(小川郷太郞君) 此ノ法律案ハ
第一條ニモ目的ガ書イテアリマスヤウニ價格
ノ公正ヲ圖リ、同時ニ其ノ需給ノ圓滑ヲ圖
ル、デ、價格ノ公正ト云フコトガ一ツノ眼目
デアルコトハ今御話ニナリマシタ通リデア
リマス、ドウ云フ價格ガ公正デアルカト云
フコトハ、是ハ大分ムヅカシイ問題デアリ
マスガ、畢竟公正ト申シマスノハ生產者ニ
モ偏セズ、消費者ニモ偏シナイデ、基ノ
時、其ノ場合ニ於キマシテ人ガ見テ以テ正
シイ價格ダト云フ、サウ云フコトヲ狙ッテ居
ルソデアリマス、ドウシテサウ云フ風ナコ
トヲ認定スルカト申シマスト、先ヅ肥料ノ
生產費ト、ソレカラ農村ノ事情、肥料製造
業ノ收支ノ實情、一般會社ノ收支ノ實情、
或ハ一般金利ノ狀況、物價指數其他各般ノ
經濟事情ヲ參酌シマシテ、マア妥當ナリト
認メラレルモノト、斯ウ云フコトニナリマ
ス、衆議院デモ色々此ノ問題ニ付テ質問應
答ガアリマシタガ、動モスルト此ノ價格ハ
生產費ヲ基準トシテ、ソレノミデ決マルヤ
ウナ風ノ意見ヲ以テノ質問ガ隨分多カッタ
ノデアリマス、生產費モ公正ナル價格ヲ決
メル上ニ於テ參酌シナケレバナラヌコトハ
當然デアリマスガ、ソレダケデ價格ガ公正
デアルカドウカヲ決メルベキモノデハナ
イ、消費者ノ方ノコトモ考へナケレバナラ
又、一般經濟事情モ考ヘナケレバナラヌ、
其ノ色々ノ方面カラ公正ナル價格ト云フモ
ノガ決メラルベキモノダト思フ、從ッテ其ノ
事情ガ動キマスト云フト、公正ナル價格ハ
何時デモ同ジモノヂヤナイ、硫安ハ百圓ガ
公正ナル價格デアルカト云フトサウモ決ラ
ナイ、其ノ時、其ノ事情ニ依ッテ公正ト認
メラレルモノガ自然定ッテ來ルノデアル、斯
ウ云フ考ヲ持ッテ居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=20
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021・鷹司信輔
○委員長(公爵鷹司信輔君) ソレデハ本日
ハ此ノ程度デ止メマシテ、明日朝十時カラ
一日續イテ續會致シタイト思ヒマス
午前十一時四十二分散會
出席者左ノ如シ
委員長公爵鷹司信輔君
副委員長子爵〓岡長言君
委員
侯爵井上三郞君
子爵靑木信光君
柴田善三郞君
男爵辻太郞君
男爵伊藤一郞君
男爵岩村一木君
藤山雷太君
內藤久寛君
江口定條君
松澤〓次郞君
國務大臣
商工大臣小川〓太郞君
政府委員
農林省農務局長戶田保忠君
商工政務次官池田秀雄君
商工省工務局長岸信介君
商工書記官小金義照君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006901546X00119360521&spkNum=21
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