1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和十一年五月二十日(水曜日)午前十時十六分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第十一號
昭和十一年五月二十日
午前十時開議
第一 昭和六年法律第四十號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 自動車製造事業法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 土地賃貸價格改訂法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 土地賃貸價格改訂法施行に伴ふ耕地整理法の特例に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 航路統制法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 重要肥料業統制法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 産繭處理統制法案(政府提出、衆議院送付)第一讀會の續(委員長報告)
第八 蠶絲業組合法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 蠶絲業法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 昭和九年度歳入歳出總決算、昭和九年度各特別會計歳入歳出決算報告 會議(委員長報告)
第十一 昭和九年度國有財産増減總計算書報告 會議(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=0
-
001・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 報告ヲ致サセ
マス
〔角倉書記官朗讀〕
昨十九日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提
出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議
院ニ通知セリ
東北興業株式會社法案
東北振興電力株式會社法案
鐵道敷設法中改正法律案
岩手輕便鐵道株式會社所屬鐵道外三鐵道
及兼業ニ屬スル資產買收ノ爲公債發行ニ
關スル法律案
江當軌道株式會社所屬軌道ノ經營廢止ニ
對スル補償ノ爲公債發行ニ關スル法律案
商工組合中央金庫法案
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
產繭處理統制法案可決報〓書
〓絲業組合法中改正法律案可決報〓書
蠶絲業法中改正法律案可決報〓書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
昭和六年法律第四十號中改正法律案
自動車製造事業法案
土地賃貸價格改訂法案
土地賃貸價格改訂法施行ニ伴フ耕地整理
法ノ特例ニ關スル法律案
航路統制法案
重要肥料業統制法案
同日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府
提出案ハ同院ニ於テ之ヲ可決シ奏上セル旨
ノ通牒ヲ受領セリ
國稅徵收法中改正法律案
本日第五部ニ於テ豫算委員古島一雄君ノ補
關選擧ヲ行ヒシニ其ノ結果小久保喜七君當
選セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=1
-
002・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ
會議ヲ開キマス、日程第一、昭和六年法律
第四十號中改正法律案、日程第二、自動車
製造事業法案、政府提出、衆議院送付、第
一讀會、是等ノ二案ヲ一括シテ議題トスル
コトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=2
-
003・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス、小川商工大臣
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタ
メ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ〕
昭和六年法律第四十號中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十一年五月十九日
衆議院議長富田幸次郞
貴族院議長公爵近衞文麿殿
昭和六年法律第四十號中改正法律案
昭和六年法律第四十號中左ノ通改正ス
第一條第一項中「同業者二分ノ一以上ノ
加盟アルトキハ」ヲ「加盟者ノ員數ガ同業
者ノ二分ノ一以上ナルトキ又ハ加盟者ノ
生產高若ハ販賣高ガ同業者ノ生產高若ハ
販賣高ノ二分ノ一以上ナルトキハ」ニ、
同條中「主務大臣」ヲ「政府」ニ改ム
第二條中「主務大臣」ヲ「政府」ニ、「加盟者
三分ノ二以上ノ」ヲ「加盟者三分ノ二以上
ニシテ其ノ生產高又ハ販賣高ガ加盟者ノ
生產高又ハ販賣高ノ三分ノ二以上ヲ占ム
ルモノノ」ニ改ム
第二條ノ二政府生產制限又ハ操業短縮
ニ關スル協定ニ付前條ノ命令ヲ發シタ
ル場合ニ於テ特ニ必要アリト認ムルト
キハ統制委員會ノ議ヲ經テ其ノ命令ノ
效力ヲ有スル期間ヲ限リ當該產業ニ於
ケル企業ノ新設又ハ生產設備ノ擴張ニ
付命令ヲ以テ許可ヲ受ケシムルコトヲ
得
第二條ノ三第一條ノ統制協定ノ加盟者
ノ爲其ノ統制協定ニ依ル共同販賣ニ關
スル事業ヲ營ム者ハ命令ノ定ムル事項
ヲ政府ニ屆出ヅベシ
第二條ノ四重要ナル產業ヲ營ム者ニシ
テ其ノ生產高又ハ販賣高ガ當該產業ニ
於ケル生產高又ハ販賣高ノ二分ノ一以
上ヲ占ムルモノハ命令ノ定ムル事項ヲ
政府ニ屆出ヅベシ
前項ノ產業ノ種類ハ統制委員會ノ議ヲ
經テ政府之ヲ指定ス
第三條政府第一條ノ統制協定又ハ前二
條ノ規定ニ該當スル者ノ生產若ハ販賣
ノ數量、販賣價格若ハ之ニ影響ヲ及ボ
スベキ取引條件ガ商品ノ圓滑ナル供給
ヲ妨ゲ又ハ不當ニ價格ヲ騰貴セシメ若
ハ價格ノ低落ヲ阻止シ其ノ他當該產業
若ハ之ト密接ナル關係ヲ有スル產業又
ハ一般消費者ノ公正ナル利益ヲ害スト
認ムルトキハ統制委員會ノ議ヲ經テ其
ノ變更又ハ取消其ノ他公益上必要ナル
事項ヲ命ズルコトヲ得
第四條行政官廳必要アリト認ムルトキ
ハ第一條ノ統制協定ノ加盟者若ハ統制
協定ニ加盟セザル同業者又ハ第二條ノ
三若ハ第二條ノ四ノ規定ニ該當スル者
ニ對シ業務ニ關シ檢査ヲ爲シ又ハ報告
ヲ爲サシムルコトヲ得
第六條第一項中「第一條第一項」ノ下ニ
「、第二條ノ三又ハ第二條ノ四第一項」ヲ
加フ
第七條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ千
圓以下ノ罰金ニ處ス
一第二條ノ規定ニ依ル政府ノ命令ニ
違反シ當該統制協定ニ依ラザル者
二第二條ノ二ノ規定ニ依ル政府ノ命
令ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ企業ノ
新設又ハ生產設備ノ擴張ヲ爲シタル
者
三第三條ノ規定ニ依ル政府ノ命令ニ
從ハザル者
第九條及第十條中「重要ナル產業ヲ營ム
者」ヲ「第一條ノ重要ナル產業ヲ營ミ若
ハ營マントスル者又ハ第二條ノ三若ハ第
二條ノ四ノ規定ニ該當スル者」二度六.
附則第二項中「五年間」ヲ「十年間」ニ
改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
參照
昭和六年法律第四十號ハ重要產業ノ統
制ニ關スル法律ナリ
自動車製造事業法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十一年五月十九日
衆議院議長富田幸次郞
貴族院議長公爵近衞文麿殿
自動車製造事業法案
自動車製造事業法
第一條本法ハ國防ノ整備及產業ノ發達
ヲ期スル爲帝國ニ於ケル自動車製造事
業ノ確立ヲ圖ルコトヲ目的トス
第二條本法ニ於テ自動車製造事業ト稱
スルハ命令ヲ以テ定ムル自動車又ハ自
動車部分品ノ組立又ハ製造ヲ爲ス事業
スタン
第三條自動車製造事業ヲ營マントスル
者ハ政府ノ許可ヲ受クベシ但シ其ノ組
立又ハ製造ヲ爲ス自動車又ハ自動車部
分品ノ數量ガ命令ヲ以テ定ムル數量ニ
達セザルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
政府ハ自動車又ハ自動車部分品ノ需要
供給ヲ參酌シ自動車製造事業確立上支
障ナシト認メタル場合ニ非ザレバ前項
ノ許可ヲ爲スコトヲ得ズ
第四條前條ノ許可ヲ受クルコトヲ得べ
キ者ハ帝國法令ニ依リ設立シタル株式
會社ニシテ其ノ株主ノ半數以上、取締
役ノ半數以上、資本ノ半額以上及議決
權ノ過半數ガ帝國臣民又ハ帝國法令ニ
依リ設立シタル法人ニ屬スルモノニ限
ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務
ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ
半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人
又ハ外國法人ニ屬セザルモノナルコト
ヨルス
前條ノ許可ヲ受ケタル者前二項ノ規定
ニ該當セザルニ至リタルトキハ許可ハ
其ノ效力ヲ失フ
第五條第三條ノ許可ヲ受ケタル會社
(自動車製造會社)ハ政府ノ指定スル期
間內ニ其ノ事業ヲ開始スベシ
政府ハ正當ノ事由アリト認ムル場合ニ
限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコト
ヲ得
自動車製造會社前二項ノ期間內ニ其ノ
事業ヲ開始セザルトキハ第三條ノ許可
ハ其ノ效力ヲ失フ
第六條自動車製造會社ニハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ第三條ノ許可ヲ受ケタル年
及其ノ翌年ヨリ五年間其ノ事業ニ付所
得稅及營業收益稅ヲ免除ス
第七條北海道、府縣及市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノハ前條ノ規定ニ依リ所
得稅及營業收益稅ヲ免除セラレタル自
動車製造會社ニハ其ノ免除セラレタル
事業ニ對シ又ハ其ノ免除セラレタル事
業ニ屬スル資本金額、從業者、營業用
ノ工作物若ハ物件、使用動力又ハ收入
ヲ標準トシテ課稅スルコトヲ得ズ
第八條自動車製造會社其ノ事業ノ爲必
要ナル器具、機械又ハ材料ヲ政府ノ認
可ヲ受ケ輸入スルトキハ本法施行ノ日
ヨリ五年間命令ノ定ムル所ニ依リ輸入
稅ヲ免除ス
第九條自動車製造會社ハ事業擴張ノ場
合ニ於テ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事業ニ
屬スル設備ノ費用ニ充ツル爲株金全額
拂込前ト雖モ其ノ資本ヲ增加スルコト
ヲ得
第十條自動車製造會社ハ政府ノ認可ヲ
受ケ其ノ事業ニ屬スル設備ノ費用ニ充
ツル爲商法第二百條ノ規定ニ依ル制限
ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ
社債ノ總額ハ拂込ミタル株金額ノ二倍
ヲ超ユルコトヲ得ズ
最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存ス
ル財產ガ拂込ミタル株金額ニ滿タザル
トキハ前項ノ規定ヲ適用セズ
第一項ノ規定ニ依リ募集スル社債ニ付テ
ハ工場抵當法ニ依リ會社ノ事業ニ屬スル
モノヲ抵當ト爲スコトヲ要ス但シ特別
ノ事情アル場合ニ於テ政府其ノ必要ナ
シト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十一條自動車又ハ自動車部分品ノ輸
入ガ自動車製造事業ノ確立ヲ妨グルノ
虞アルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ期間ヲ定メ自動車又ハ自動車部分
品ノ輸入ヲ制限スルコトヲ得
第十二條自動車又ハ自動車部分品ノ輸
入ニ因リ其ノ市價ノ低落ヲ來シ自動車
製造事業ノ確立ヲ妨グルノ虞アルトキ
ハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ關稅調
査委員會ノ議ヲ經テ期間ヲ定メ自動車
又ハ自動車部分品ニ對シ關稅定率法別
表輸入稅表ニ定ムル輸入稅ノ外其ノ物
品ノ價格ノ五割ニ相當スル金額以下ノ
輸入稅ヲ課スルコトヲ得
第十三條自動車製造會社ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ事業計畫ヲ定メ政府ノ認可
ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦
同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ事業計畫
ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第十四條自動車製造會社其ノ事業ノ全
部又ハ一部ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止
セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依
リ政府ノ許可ヲ受クベシ
自動車製造會社ノ合併又ハ解散ノ決議
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ
受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十五條政府ハ自動車製造會社ニ對シ
業務及財產ノ狀況ニ關シ報告ヲ爲サシ
ムルコトヲ得
政府ハ自動車製造會社ニ對シ業務及會
計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又
ハ處分ヲ爲スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ當
該官吏ヲシテ自動車製造會社ノ事務
所營業所、工場、倉庫其ノ他ノ場所
ニ臨檢シ業務若ハ財產ノ狀況又ハ帳簿
書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコト
ヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス
證票ヲ携帶セシムベシ
第十六條政府公益上必要アリト認ムル
トキハ自動車製造會社ニ對シ自動車若
ハ自動車部分品ノ販賣價格若ハ販賣條
件ノ變更ヲ命ジ又ハ自動車若ハ自動車
部分品ノ需要供給ヲ調節スル爲必要ナ
ル事項ヲ命ズルコトヲ得
政府公益上必要アリト認ムルトキハ自
動車製造會社ニ對シ其ノ設備ノ擴張又
ハ改良ヲ命ズルコトヲ得
第十七條政府軍事上必要アリト認ムル
トキハ自動車製造會社ニ對シ軍用自動
車又ハ其ノ部分品ノ製造、自動車ニ關
スル特殊事項ノ〓究又ハ特殊設備ノ施
設其ノ他軍事上必要ナル事項ヲ命ズル
コトヲ得
第十八條政府第三條ノ許可、第十一條
ノ制限又ハ第十六條ノ命令ヲ爲サント
スルトキハ自動車製造事業委員會ノ議
ヲ經ベシ
自動車製造事業委員會ニ關スル規程ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條自動車製造會社本法若ハ本法
ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲
ス處分ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行爲
ヲ爲シタルトキハ政府ハ其ノ業務ヲ停
止シ若ハ制限シ、第三條ノ許可ヲ取消
シ又ハ取締役若ハ其ノ職務ヲ行フ監査
役ノ解任ヲ爲スコトヲ得
第二十條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五千圓以下ノ罰金ニ處ス
一第三條ノ規定ニ違反シテ許可ヲ受ケ
ズシテ自動車製造事業ヲ營ミタル者
二第十一條ノ規定ニ依ル制限ニ違反
シ自動車又ハ自動車部分品ノ輸入ヲ
爲シタル者
三附則第四項ニ揭グル者ニシテ同項
ノ規定ニ依ル範圍ヲ超エテ自動車製
造業ヲ營ミタルモノ
第二十一條自動車製造會社第十六條又
ハ第十七條ノ命令ニ違反シタルトキハ
其ノ取締役又ハ其ノ職務ヲ行フ監査役
ヲ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十二條自動車製造會社左ノ各號ノ
一ニ該當スルトキハ其ノ取締役又ハ其
ノ職務ヲ行フ監査役ヲ千圓以下ノ罰金
三四八
一第十三條第一項ノ規定ニ違反シ認
可ヲ受ケザル事業計畫ヲ實施シタル
トキ
二第十三條第二項ノ命令ニ違反シ事
業計畫ヲ變更セズシテ之ヲ實施シタ
ルトキ
三第十四條第一項ノ規定ニ依リ許可
ヲ受クベキ事項ヲ許可ヲ受ケズシテ
爲シタルトキ
四第十五條第二項ノ命令又ハ處分ニ
違反シタルトキ
第二十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一第十五條第一項ノ規定ニ依ル報〓
ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報告ヲ爲シタル
者
二第十五條第三項ノ規定ニ依ル當該
官吏ノ臨檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌
避シ又ハ其ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サ
ズ若ハ虚僞ノ陳述ヲ爲シタル者
第二十四條自動車製造會社其ノ他ノ自
動車ニ關スル營業者ハ其ノ代理人、戶
主、家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ
業務ニ關シ本法若ハ本法ニ基キテ發ス
ル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反
シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ
故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第二十五條本法又ハ本法ニ基キテ發ス
ル命令ニ依リ適用スベキ罰則ハ其ノ者
ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他
ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成
年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定
代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成
年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ
付テハ此ノ限ニ在ラズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ自動車製造事業ヲ營ム
者又ハ其ノ事業ヲ承繼シタル者ハ本法施
行ノ日ヨリ三月ヲ限リ第三條ノ規定ニ拘
ラズ其ノ事業ヲ營ムコトヲ得
前項ニ揭グル者前項ノ期間內ニ第三條ノ
許可ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ
對スル許可又ハ不許可ノ處分ノ日迄亦前
項ニ同ジ
昭和十年八月九日以前ニ於テ自動車製造
事業ヲ開始シタル者又ハ其ノ事業ヲ承繼
シタル者ニシテ本法施行ノ際現ニ其ノ事
業ヲ營ムモノハ前二項ノ期間經過後ト雖
モ第三條ノ規定ニ拘ラズ命令ノ定ムル所
ニ依リ昭和十年八月九日以前ニ於テ營メ
ル事業ノ範圍內ニ於テ其ノ事業ヲ營ムコ
トヲ得
第十五條第一項第三項及第二十三條乃至
第二十五條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ自
動車製造事業ヲ營ム者ニ之ヲ準用ス
本法施行ノ日ヨリ一月以內ニ第三條ノ許
可ヲ申請シタル者自動車製造事業ノ爲必
要ナル器具、機械又ハ材料ヲ政府ノ認可
ヲ受ケ輸入スルトキハ本法施行ノ日ヨリ
三月間命令ノ定ムル所ニ依リ輸入稅ヲ免
除ス
前項ノ規定ニ依リ輸入稅ノ免除ヲ受ケタ
ル者第三條ノ許可ヲ受クルニ至ラザルト
キハ其ノ輸入稅ヲ追徵ス
第六項ノ規定ニ依リ輸入稅ノ免除ヲ爲ス
場合ニ於テハ輸入ノ際稅金ニ相當スル擔
保ヲ提供セシムルコトヲ得
〔國務大臣小川〓太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=3
-
004・小川郷太郎
○國務大臣(小川〓太郞君) 只今議題ト相
成リマシタ重要產業統制法中改正法律案ニ
付キマシテ、先ヅ提案ノ理由ヲ御說明申上
ゲマス、昭和六年法律第四十號卽チ重要產
業統制ニ關スル法律ノ制定セラレマシタ趣
旨ハ、立法當時不況期ニ際シマシテ、無
統制デアッタ我ガ產業界ニ、適正ナル規律
統制ヲ與ヘテ業界ヲ安定セシメ、國民經濟
ノ健全ナル發達ヲ圖ルコトニ相成リマシタ、
然ル所同法ハ本年八月十日ヲ以テ有效期間
ガ滿了スルノデアリマス、併シナガラ時代
ノ情勢ニ卽シタ產業統制ノ强化ハ巳ムヲ得
ザル所デアリマシテ、產業界ガ好調ニナリ
マシテモ尙適正ナル統制ノ助長ハ之ヲ圖ラ
ナケレバナリマセヌ、卽チ必要已ムヲ得ザ
ル場合ニハ產業自由ノ原則モ之ヲ制限シ、
適宜許可制度ヲ布キ得ルヤウナ途ヲ開キマ
スト同時ニ、他方最近ノ經濟情勢ニ應ジ、
依存產業又ハ一般消費者ノ利益擁護ヲ期ス
ル爲メ、公益的見地ニ立ッテ所謂「カルテル」
以外ノ企業獨占體デアル共販會社ヤ「トラス
ト」ヲモ取締ルノミナラズ、是等ノモノノ
經濟力濫用ヲ防止スル爲ニハ、特ニ價格ニ
付テモ相當干涉シ得ルヤウ、適當ナル方策
ヲ講ズル必要ガアリマス、仍テ同法ヲ改正
致シマシテ、施行期間ヲ更ニ五箇年延長致
シタイト考ヘマシテ本案ヲ提出致シマシタ
次第デアリマス、今改正ノ主要ナル點ヲ申
上ゲマスレバ、第一ハ適正ナル統制助長ノ
實ヲ擧ゲマス爲ニ、第二條ノ規定ニ依ッテ「ア
ウトサイダー」等ニ對シ統制服從命令ヲ發
シマシタ場合ニ於キマシテ、特ニ必要ナル
場合ニハ當該產業ニ付テ許可ヲ受クルニア
ラザレバ、新規事業ヲ爲シ得ザルヤウ、許
可制ヲ布キ得ル途ヲ開キマシタコト、第二
ハ共同販賣事業ヲ營ム者ヤ、所謂「トラス
ト」ヲ取締ルコトト致シマシタコト、第三ハ
一般消費者ノ利益ヲ擁護シ、其ノ他公益的
監督ニ遺憾ナカラシムル爲メ、十分ナル考
慮ヲ用ヒタコトデアリマス、其ノ他行政ノ
實際ニ徵シマシテ、不備ノ點ヲ二三改正致
シマシタガ、是等法案ノ細目ニ亘ル說明ハ、
委員會等ニ於キマシテ之ヲ申上ゲルコトト
致シタイト思ヒマス、何卒御審議ノ上速カ
ニ御協贊アラムコトヲ希望致シマス、次ニ
自動車製造事業法案提案ノ理由ニ付キマシ
テ御說明申上ゲマス、自動車製造事業ハ國
防上緊要缺クベカラザル事業デアリマスト
共ニ、所謂基礎工業ノ一トシテ產業上モ亦
最モ重要ナル地位ヲ占メ、之ガ發達ノ如何
ハ、我ガ國國防上竝ニ產業上、極メテ重大ナ
ル影響ヲ有スル次第デアリマス、然ルニ斯
業ハ未ダ本邦ニ於テ、其ノ確立ヲ見ルニ至
ラザルノ狀態デアリマシテ、之ガ確立ノ必
要ハ夙ニ痛感セラレテ來タノデアリマス、
特ニ最近ニ於ケル內外諸般ノ情勢ハ、國防
ノ整備及產業ノ發達ヲ圖ル上ニ於キマシテ、
斯業ノ本格的確立ヲ急務ト爲スニ至ッタノ
デアリマス、惟フニ自動車製造事業ノ本格
的確立ノ根本方策ハ、斯業ヲ大量生產ノ基
礎ノ上ニ確立スルコトニアルノデアリマシ
テ、從ッテ之ガ爲ニハ一般ニ最モ需要多キ、
所謂大衆向自動車製造事業ノ確立ヲ圖ラネ
バナラナイノデアリマス、然ルニ我ガ國ニ
於キマシテハ、旣ニ自動車ノ部分品工業及
小規模ノ自動車工業ハ、或程度ニ發達シ
來リ、大量生產ノ基礎ノ上ニ立ツ自動
車製造事業モ亦漸ク發達ノ〓ニ就イタノデ
アリマスガ、未ダ幼稚ナル狀態ニアルノデ
アリマシテ、自動車ノ大部分ハ外國製
ノ部分品ヲ組立テル外國系會社ノ供給
ニ俟ツノ外ナキ現狀ニアルノデアリマ
ス、仍テ政府ニ於キマシテハ愼重ニ諸般
ノ〓究調査ヲ遂ゲマシテ、昨昭和十年ノ夏、
大衆向自動車ノ製造事業ノ確立ニ關スル根
本方策ヲ決定シ、之ヲ公ニ致シマシタ次第
デアリマス、今囘提案致シマシタ此ノ自動
車製造事業法案ハ、右ノ根本方策ヲ骨子ト
シ、其ノ後ニ於ケル事業ノ推移及內外各般
ノ情勢ノ變化等ヲモ十分考慮致シマシテ立
案致シタノデアリマシテ、本邦自動車製造
事業ノ確立發展ヲ圖ル上ニ於テ、極メテ重
要且緊切ナルモノデアルト考ヘルノデアリ
マツ、而シテ本法律案ノ大要ハ、先ヅ大量
生產ヲ基調トスル自動車製造事業ハ、需給
關係等ヲ考慮致シマシテ、之ヲ政府ノ許可
事業トナシ、豫メ企業ノ濫立ヲ防止シ、以
テ大量生產ノ基礎ヲ維持スルニ努メルコト、
許可ヲ受ケタル事業ニ對シテハ國防上竝ニ
產業上ノ見地ヨリ、適當ノナル助成竝ニ必
要ナル統制ヲ行フコト、及內外ニ於ケル諸
般ノ情勢ト斯業ノ國防上竝ニ產業上ニ於ケ
ル重要性トニ鑑ミ、斯業ノ確立ヲ確保スル
爲メ、必要ナル場合ニ於テス輸入ノ制限又
ハ關稅ノ增課ヲ爲シ得ル所ノ途ヲ設ケタル
コト等デアリマス、何卒十分御審議ノ上、
御協贊アラムコトヲ希望致ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=4
-
005・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 質疑ノ通〓ガ
ゴザイマシタ、大河內子爵ニ許可ヲ致シマ
ス
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=5
-
006・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 短期議會ニ度々皆樣
ヲ御煩ハセ致シマシテ誠ニ恐縮ニ存ジマス、
併シ此ノ問題ハ外ノ問題ト違ヒマシテ、國
民一般殊ニ財界ニハ至大ア影響ヲ與ヘルモ
ノデアリ、殊ニ現內閣成立以來、財界ニハ
非常ニ不安ナ空氣ガ漂ヒ〓アシテ、其ノ爲ニ
株ノ暴落ヲ來シ、今後如何ナル政策ヲ政府
ガ執ラルヽデアラウト云フコトハ、非常ニ
憂慮ノ念ヲ以テ迎ヘラレテ居ル此ノ際デア
リマス、ソレデ現内閣成立ノ時ニ於キマシ
テハ、此ノ内閣ハドウモー非常ニ强力ナ統制
政策デモ執リハシナイカト云フコトヲ一般
ニ疑ハレタノデアリマス、何デモ、生產、
販賣、消費ノ末ニ至ルマデ、非常ニ强力ナ
監督ヲ行ヒ、干涉ヲ行フノデアルカト云フ
ノデ、財界擧ゲテ心配ヲシタト云フコトハ、
是ハ明カナ事實デゴザイマス、併シ我々ノ
知ッテ居ル所デハ、大命ヲ受ケラレタ廣田首
相ノ御性格ト云ヒ、或ハ後ニ商工大臣ノ職
ニ就カレタ川崎君ト云ヒ、小川博士ト云ヒ、
決シテサウ云フ無理ナコトヲオヤリニナル
御方ヂヤナイ、其ノ顏觸レヲ拜見シタダケ
デモ、是ハ決シテ亂暴ナ政策ヲ行ハレル氣
遣ヒハナイダラウト云フコトハ確信致シテ
居リマシタ、殊ニ衆議院ニ於ケル質問應答
ノ情況ニ依リマシテモ、大體ニ於テ產業政
策ニ對シテハ自由經營ヲ以テ原則トスル、
サウシテ國家全體ノ必要ノアルモノ竝ニ國
民生活ノ安定ヲ期スルモノ、是ダケニ對シ
テハ最少限度ノ統制ヲ行フト云フ御方針ニ
拜セラレタ、併シ此ノ事ハ一應此ノ壇上ニ
於キマシテモ、議場ニ於キマシテモ明カニ
致シテ置クコトガ必要ダト存ジマシテ、其
ノ點ヲ聊カ質問致シタイト存ジマス、卽チ
第一問ト致シマシテハ、原則トシテ伺ヒマ
スノデスガ、現內閣ノ詰リ產業統制ニ對ス
ル態度如何ト云フコトヲ伺ヒマス、卽チ自
由經營ト云フコトヲ基本トシテ居ルト云フ
コトガ第一、サウシテ已ムヲ得ズ國家管理
ヲ爲サレルニシテモ、是ハ國家全體ノ利害
ニ關スルモノ、或ハ國民生活ノ安定ニ至大
ノ關係ノアルモノ、斯ウ云フヤウナモノヲ
撰ッテ最少限度ノ統制ヲ加ヘラレルコト、例
ヘバ瓦斯デアルトカ、電氣デアルトカ、肥
料デアルトカ、自動車デアルトカ、鐵)アア
ルトカ、石油デアルトカ、米、斯ウ云フヤ
ウナモノニ付キマシテハ、特別法ヲ以テ相
當ノ統制ヲ加ヘラレテ居リマス、又軍事上
ノ必要ノアル所ノ飛行機デアルトカ、硝酸
類ノ製造デアルトカ、或ハ機關銃ノ製造、
斯ウ云フヤウナモノニ付キマシテモ、相當
ノ統制ガ加ヘラレルコトト存ジマス、是等
ノ仕事ニ付キマシテハ、今後現行法ノ統制
グラヰノ所デオ止メニナリマセウカ、ソレ
トモ今後ドノ邊マデ行クモノデゴザイマセ
ウカ、此ノ邊ノ御見込ヲ一ツ伺ヒタイト存
ジマス、尙第二ノ質問ト致シマシテハ、重
要ナル個々ノ產業ニ付テハ少シ煩ハシウゴ
ザイマスガ、如何ニモ財界ニハ非常ナ重大
ナル影響ノアルモノデゴザイマスカラ、個
個ノモノニ付テ御尋ヲ致シマス、ドウカ商
工大臣ニ於カレテモ、御面倒デハゴザイマ
スガ、個々ノ問題ニ付テ御答ヲ戴キタイ、
第一ハ紙デゴザイマス、紙ハ御承知ノ通リ
一ツノ大會社ガゴザイマシテ、八十〓パト
セント」位ヲ占メテ居ル現狀デゴザイマ
ス、之ニ付キマシテハ或ハ世間デハ、其
ノ勢ヲ利用シテ値ヲモット上ゲハシナイ
カト云フヤウナコトヲ申シテ居ル所モゴ
ザイマス、サウ云フコトヲ言ッテ居ル人
モゴザイマス、之ニ付テハ或ハ價格ノ統制
ガ必要ダト云フコトヲ言ウテ居ル人モ居ル
ヤウデゴザイマス、何分ニモ紙ト云フモノ
ハ、御承知ノ通リ文明ノ進步ニ從ッテ其ノ數
量ヲ增加スルモノデアリ、國民ノ文化或ハ
日常ノ生活ニ至大ノ關係ガアルモノデア
リ、殊ニ小學兒童ヲ得意トシテ居ル關係カ
ラ、〓育上カラ云ッテモ非常ナ重大ナモノデ
ゴザイマス、之ニ付キマシテハ當業者ガマ
サカ勢ニ乘ジテ無謀ナ値上ヲシヨウトハ私
ハ考ヘマセヌノデスガ、何カ建前カラ云フ
ト、ソンナ風ニ言ッテモ仕方ガナイヤウナ風
ニモ見ラレマス、或ハ是ハ價格ノ統制グラ
ヰハオヤリニナルオ積リデアリマスカ、如
何デゴザイマスカ、先ヅ此ノ點ヲ伺ヒマス、
次ハ麥酒デゴザイマス、麥酒モ、是モ六十
「パーセント」位ノモノヲ一ツノ會社ガ獨占
シテ居ル、是ハ紙トハ大分性質ガ違ヒマス
ガ、違フコトハ違ヒマスガ、或ハ次第ニ依
リマシテ價格ノ統制モ或ハ行ハレルノカト
云フヤウナコトヲ民間デ言ッテ居ル人モゴ
ザイマス、是モ伺ヒタイト存ジマス、第三
ハ「ガソリン」、是ハ此ノ間御承知ノ通リ値
上ガゴザイマシタ、是ハ原油ノ髙クナッタコ
トヤ、運賃ノ引上ノ關係カラ已ムヲ得ナイ
コトトハ存ジマスルガ、社會上重大ナ關係
ヲ持ッテ、チヨット値上ヲシテモアノ通リノ
騒ギヲ起スモノデゴザイマス、今後モ之ニ
付テハ或ハ價格ニ付テハ相當ナル御制限デ
モゴザイマスカ、ドウ云フ御方針デゴザイ
マスカ、之ヲ伺ヒタイ、第四ハ鐵デゴザイ
マス、鐵ハ日鐡ガ出來マシテカラ、値ガ下
ルト云フコトニ我々ハ承知シテ居リマシタ
所ガ、何ダカ一向下ル樣子モゴザイマセ
又、モウ少シ是ハ下ゲタラ宜カラウヂヤナ
イカト云フヤウナ說モゴザイマス、或ハ又
之ニ反シテ、一方カラアヽ云フ勢ガアルノ
ダカラ、ドン〓〓上ゲハシナイカト云フヤ
ウナコトヲ言ッテ居ル人モアリマス、上ゲル
ガ宜イカ上ゲナイガ宜イカ、ソンナコトヲ
私ガ彼此申ス譯ヂヤゴザイマセヌガ、政府
ノ御方針ノアル所ヲ承レバソレデ宜シイ、
第五ハ「セメント」、「セメント」工業ハ御承
知ノ通リ、「アウトサイダー」ノ關係ガ大分
ヤカマシイノデゴザイマシテ、サウシテ外
地ト內地トニ亙ッテ何等カノ統制ヲ加ヘナ
ケレバナラナイト云フコトヲ屢〓言ハレテ居
リマス、之ニ對スル政府ノ御方針ヲ承リタ
イ、尙「セメント」會社ニ付キマシテハ、操
業短縮ヲ半分モヤッテ居リマシテ、サウシテ
値ハ依然トシテ高イ、一割以上ノ配當ヲ
ヤッテ居ル、是ハ不良會社ヲ保護スル爲ニヤ
ルノダラウナント云フコトヲ新聞ニ書イテ
アリマス、是ハ新聞ノコトデゴザイマスカ
ラ、强チ私ハ之ヲ信用スル譯デモ何デモゴ
ザイマセヌガ、斯ウ云フコトニ付キマシテ
〓、政府ハ相當ナ統制ノ御意見モアラウカ
ト存ジマシテ、此ノ點モ伺ヒマス、第六ハ
砂糖、砂糖ハ御承知ノ通リ「カルテル」ヲ
造ッテ居リマス、「カルテル」ヲ造ッテ居レ
バ、是ハ或ハ値上ニナリハシナイカト云フ
ヤウナ聲モアルヤウニ聞イテ居リマスガ、
之ニ付キマシテ何カ又政府ガ、價格ノ統制
デモオヤリニナルヤウナ御考デモアルカ、
之ヲ伺ヒタイ、以上ノ數品ハ財政上カラ云ッ
テモ、經濟上カラ云ッテモ、非常ナ重大ナ關
係デゴザイマスカラ、之ヲ政府ガ如何ニ統
制セラレルカト云フコトハ、財界一般ノ重
大ナル關係ノアル仕事ト存ジマスカラ、甚
ダ商工大臣御迷惑ト存ジマスルガ、財界ヲ
安心セシメルト云フ目的ヲ以チマシテ、成
ルベク詳細ニ具體的ノ御答ヲ御願ヒ致シタ
イト存ジマス
〔國務大臣小川〓太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=6
-
007・小川郷太郎
○國務大臣(小川郷太郞君) 大河內子爵ノ
御質問ニ御答ヘ申上ゲマス、第一ノ御質問
ハ、產業統制政策ノ根本義トモ拜承致シマ
シタノデアリマス、政府ハ組閣ノ當時聲明
シマシタ通リニ、產業ノ發展、貿易ノ伸張
ニ力ヲ盡シテ、更ニ又國民生活ノ安定向上
ニ努ムルト云フコトヲ政綱トシテ居リマ
ス、此ノ政綱ハ、各人ノ自由ナ創意ト活動
トヲ前提トスル、現在經濟機構ノ下デ行ハ
レルベキモノデアルト考ヘテ居リマス、
世間往々統制經濟トカ何トカ云フ名ノ
下ニ、現在經濟機構ヲ打破シテ、社會主義
ナリ或ハ共產主義ナリ、或ハ計畫經濟主義
トカ云フヤウナモノヲ實行セムト考ヘテ居
ル者モアルノデアリマス、サウ云フ考方ガ誤リ
傳ヘラレマシテ、經濟界ニ不安ヲ釀シタト
云フコトモアッタヤウニ思フノデアリマス、
併シ此ノ社會主義トカ、共產主義トカ云フ
ヤウナモノハ、行ハルベキモノヂヤナイノ
デス、若シ行ハレタトシタ所デソレガ產業
ノ發展、貿易ノ仲張ヲ來スモノデモナイ、
デ其ノ統制經濟ノ名ノ下デ、或ハ現在ノ經
濟機構ガ打壞レルノヂヤナイカト人ガ想像
シタダケデスラ、產業界ガ不要ニナッタト云
フコトニ依ッテモ、之ヲ知ルコトガ出來ルノ
デアリマス、政府ハ飽ク迄モ現在ノ經濟機
構ノ下デ、產業ノ發展貿易ノ伸張ヲ期シ、
國民生活ノ安定ヲ期セムトスルモノデアリ
マス、之ニ依ッテ財界ノ不安ヲ一掃シタイト
考ヘテ居ルノデアリマス、併シ現在ノ經濟
機構ノ下デ產業貿易ノ伸張、國民生活ノ安
定ヲ期スト申シマシテモ、全然自由放任ノ
產業政策ヲ行ハムトスルモノデハナイノデ
ス、現在ノ經濟機構ノ齎ス弊害ハ之ヲ矯メ
ナケレバナリマセヌ、ソコニ產業自由ノ原
則ニ產業統制主義ヲ加へテ行ク必要ガアル
ノデアリマス、蓋シ現在ノ經濟機構ノ下ニ
於キマシテハ、無謀、不當ノ競爭ガ起ル、
甚ダシキハ重複投資ヲ敢テ致シマシテ、以
テ產業界ヲ不安ナラシムルコトガアルノデ
アリマス、又經濟力ノ濫用ニ依リマシテ、
其ノ產業ニ依存シテ居ル所ノ產業ヲ不當ニ
脅威シ、又ハ一般消費者ノ利益ヲ害スルコ
トモ起ルノデアリマス、產業ノ發展、貿易
ノ仲張ヲ圖ルカラニハ、其ノ產業界ノ不安
ニ陷ルコト、又依存產業ガ壓迫サレルコト、
ソレヲ其ノ儘ニシテ置ク譯ニハ行カナイノ
デアリマス、又國民生活ノ安定ヲ圖ルカラ
ニ、一般消費者ノ利益ノ害セラレルノヲ
見テ、其ノ儘ニシテ置ク譯ニハ行カナイ、
ソコニ此ノ統制主義ガ入ッテ來ルノデアリ
マス、又今日ノ財界ヲ觀マスト云フト、外
國ノ經濟政策ニ依リマシテ、產業界ガ不安
ニナッテ居ルコトモ多クアルノデアリマス、
此ノ不安モ除キ去ラナケレバナラナイノデ
アリマスカラ、ソコニ一ツノ統制主義ガ入ッ
テ來ルノデアリマス、ソレデ現ニ行ハレテ
居リマスル重要產業統制法ハ、產業自由ノ
原則ニ統制主義ヲ加ヘル趣旨ノ下デ立法セ
ラレテ居ルノデアリマスガ、此ノ法律ハ財
界不安ノ眞只中ニ、產業ヲ不安カラ救ハム
コトヲ眼目トシテ出來テ居リマス、其ノ目
的ハ大體ニ達成セラレタノデアリマス、然
ルニ今日ニ於キマシテハ、財界ノ背景ガ其ノ
當時ニ比シテ大イニ異ルモノガ出テ來タノ
デアリマス、勿論今日ト雖モ無暴不當ノ競
爭ニ依ッタリ、又ハ重複投資ニ依ッテ此ノ產
業界ノ不安ヲ招イタリ、或ハ國民經濟全般
ノ上カラ見テハ無駄ナコトヲスルヤウナコ
トガナイデモアリマセヌデスガ、更ニ此ノ
經濟力ノ濫用ニ依リマシテ、其ノ產業ニ依
存シテ居ル產業ノ利益ガ脅カサレタリ、又
一般消費者ノ利益ガ脅カサレタリスルコト
モ起ッテ來ル虞ガアルノデアリマス、玆ニ於
テ現行產業統制法ヲ改正致シマシテ、共販
會社ヲ取締リ「トラスト」ヲ取締リ、更ニ公
益規定ヲ以テ消費者ノ利益ヲ擁護スルト云
フ趣旨ヲ强メテ行カウト考ヘタノデアリマ
ス、要スルニ從來ノ立法ニ比シマシテ、產
業統制主義ヲ一層强化セムトスルモノデア
リマス、重要產業統制法ハ法律ニモ規定シ
テアリマス通リニ、生產販賣ニ關スル產業
ニ付テ、產業統制策ノ一般法ト是ハ見ルベ
キモノデアリマス、然ルニ特殊ノ產業ニア
リマシテハ、特ニ之ガ發達ヲ促シテ、又國
防上ノ要求ニ應ズル爲ニ、此ノ一般法ノ規
定ノミデハ不十分デアル、更ニ統制ヲ强化
セネバナラヌモノモアル、ソレハ特別法ニ
依ッテ其ノ趣旨ヲ貫カウトスルノデアリマ
ス、只今大河內子爵カラ御述べニナリマシ
タヤウナ瓦斯、石油、自動車、鐵サウ云
フヤウナ色々ナ事業ハ、特ニ統制ヲ强化
スル必要カラ、特別法ガ規定セラレテ居ル
ノデアリマシテ、今上程セラレテ居リマス
ル自動車製造業法モ、其ノ趣意ニ外ナラナ
イノデアリマス、ソレカラ後ニ上程セラレム
トシテ居リマス所ノ重要肥料業統制法モ亦
其ノ趣意ニ外ナラヌノデアリマス、デ今後
ニ於キマシテモ、產業上、國防上ノ必要ニ
依リマシテ、此ノ一般法ヨリモ更ニ統制ヲ
强化スル必要ガアリマシテ、立法ヲ要スル
コトガアルト考ヘテ居リマス、要スルニ自
由ヲ基調トシ、各人ノ自由確保ヲ認メ、產
業ノ發達ヲ圖ルト共ニ、國民生活ノ安定ヲ
圖ル趣旨ニ依リマシテ、其ノ產業ノ狀態、
國民經濟ノ情勢、社會上ノ情勢、國防上ノ
必要ニ依リマシテ、其ノ時、其ノ場合ニ應
ジテ適當ナル統制ヲ加ヘムトスルモノデア
リマス、現在ノ經濟機構ニハ資本主義ト云
フモノガアリマスガ、若シサウ云フ言葉ヲ
使ヒマスナラバ、此ノ產業統制主義ハ其ノ
資本主義ヲ是正スルモノデアルト、斯ウ考
ヘテモ差支ナイト存ズルノデアリマス、是
デ大體產業統制政策ノ根本義ニ關スル御答
ヲ致シマシタノデアリマス、ソレカラ第二
ノ御質問ハ、紙麥酒、「ガソリン」、鐵
「セメント」、砂糖等ニ付テ特ニ御尋ガアリ
マシタ、是ハ斯ウ云フ事業ノ內容ニ付キマ
シテハ、色々ナ材料ヲ持ッテ居リマスガ、餘
リ細カナコトハ却テ御聽苦シイト思ヒマス
カラシテ、ソレハ委員會デ能ク御話致シマ
スガ、大要ニ付テ御答ヘ申上ゲマス、第
ハ紙デアリマスガ、大河內子爵ノ述ベラレ
マシタヤウナ心配、又多少ノ誤解モアリマ
スガ、色々宣傳モ言ハレテ居ルヤウニ思フ
ノデアリマス、紙ハ製紙聯合會ト云フ「カル
テル」ガ餘程以前カラアッタノデアリマス、デ
是ハ新聞紙以外ノ用紙ニ付キマシテ色々協
定ヲシテ居ルノデアリマス、此ノ値段ガ高
クナルト云フ心配モアリ、世間ノ色々ノ批
評モアリマシタノデ、現ニ行ハレテ居リマ
ス產業統制法ニ依リマシテ、實ハ昭和九年
ノ四月ニ此ノ「カルテル」ニ對シテ警告ヲ發
シタノデアリマス、デ其ノ當時ノ値段ト今
日ノ値段トヲ比ベテ見マスレバ、今日ノ値
段ノ方ガ下ッテ居ルノデアリマス、デ法律ノ
權威ハ何モナイト云フ世間ノ批評モアリマ
スケレドモ、サウデモナイト考へルノデア
リマス、ソレカラ新聞紙ノ用紙デアリマス
ガ、是ハ今日ハ一ツノ會社ニ依ッテ製造サ
レテ居リマス、謂ハバ「トラスト」ニナッテ
居ルト言ッテ宜シイノデアリマス、所ガ其ノ
「トラスト」ハ現行法デハ取締ルコトガ出來
ナイノデアリマス、ソコデ今度ノ改正法律
案ハ、其ノ「トラスト」ヲ取締ル規定ヲ置イ
タノデアリマス、ソレデアリマスカラ、若
シ新聞紙ノ用紙ガ不當ニ騰貴スルトカ、或
ハ下ルベキモノヲ不當ニ阻止スルトカ云フ
ヤウナコトガアリマスレバ、第三條ノ規定
ヲ發動サセマシテ、ソコニ一ツノ統制ガ加
ヘラレルコトニナルノデアリマス、ソレデ
此ノ法律ガ御協賛ヲ得マシテ通過致シマス
コトニナリマスレバ、此ノ法ノ運用ヲ遺憾
ナクヤリタイト考ヘテ居ルノデアリマス、
ソレカラ次ハ麥酒デアリマスガ、麥酒モ昭
和八年ノ七月ニ日本麥酒會社ト日本麥酒鑛
泉會社ガ合併致シマシテ、是ガ非常ナ供給
量ヲ持ッテ居ルノデアリマシテ、謂ハヾ是ハ
「トラスト」ニナルトモ考ヘラレルノデアリ
やく、ソレガ九年ノ三月ニ大日本麥酒會社
ト麒麟麥酒會社ガ共販會社ヲ造リマシタノ
デ、是ハ一ツノ「カルテル」ト見ラレルノデ
アリマス、ソコデ此ノ共販會社ガ出來マシ
タニ付キマシテ、此ノ値段ヲ不當ニ上ゲテ
行ク虞ナキヤト云フ心配モアリマシタノデ、
昭和九年五月ニ此ノ麥酒釀造業ヲ重要產業
ト指定シタノデアリマス、指定シマシタノ
デ屆出ノ義務モ出來テ來マシタノデアリマ
スガ、別ニ此ノ法律ハ發動ハサセマセヌデ
シタ、併シナガラ其ノ重要產業ト指定致シ
マシテ、重要產業統制法ノ監督ヲ受ケルト
云フコトニナッテ、實ハ値上リハ阻止セラレ
タト見テ宜カラウト思フノデアリマス、其ノ大
日本麥酒會社ハソレ自身「トラスト」トナッ
テ居リマスガ、其ノ「トラスト」ハ現行法デハ
取締ルコトガ出來ナイノデアリマス、所ガ
今新聞用紙ニ付テ申シマシタト同ジヤウニ、
此ノ「トラスト」ニ付キマシテハ、此ノ改正法
律ガ出來マスルト云フト、前ニ申シマシタ
ト同ジ趣旨デ、十分ノ取締ガ出來ルノデア
リマス、ソレカラ第三ハ「ガソリン」デアリ
マスガ、「ガソリン」ハ昭和七年ノ十一月ニ之
ヲ重要產業ト指定シタノデアリマス、ソレ
カラ九年ニ御承知ノ通リニ石油業法ガ出來
タノデアリマス、ソコデ販賣ニ關係致シマ
シテハ、矢張リ此ノ重要產業統制法モ適用
サレル譯デアリマシテ、重要產業統制法ト
石油業法トガ兩方行ハレテ居ルヤウナ形デ
アリマス、デ唯玆ニ問題ニナッテ御尋ニナリ
マシタノハ、「ガソリン」ガ値上リガアル、デ
此ノ法律ガドウ動イテ居ルノデアルカト云
フコトデアラウト思フノデアリマス、デ「ガ
ソリン」ハ御承知デモアリマセウガ、實ハ
日本ノ市場ニ於キマシテハ、供給過剩ト云
フヤウニナリマシテ、外國ノ供給會社ガマ
ア畢竟スルニ日本ニ一ツノ投賣ヲシテ居ッ
タヤウナ形モアルノデアリマシテ、世界ノ
標準ノ値段ヨリハ下ッテ居ッタノデアリマス、
最近ニ其ノ外國會社ノ態度ガ違ッテ來、サウ
シテ供給會社ノ狀態ガ變ッテ來マシタノデ、
ソレデ「ガソリン」ノ原料トナル原油ガ高ク
ナリ、運賃ガ高クナリ、採算上値上ヲセナケ
レバナラヌト云フコトニ相成ッタノデアリ
マス、敢テ此ノ重要產業統制法ナリ、石油
業法ノ運用ガ十分ニ出來ナイデ、或ハ監督
ガ緩過ギテ、サウ云フ風ニナッタノダトハ考
ヘ得ラレナイノデアリマス、是ハ何分石油
業ヲ日本ニ於テ守リ立テテ行クト云フコト
ヲ考ヘ、世界ノ市場關係ヲモ見マシテ、「ガ
ソリン」ノ最近ニ於ケル値上ハ已ムヲ得ザ
ルモノデアルト考ヘテ居ルノデアリマス、
ソレカラ第四ハ鐵デアリマスガ、鐵ハ先ヅ
銑鐵ニ付テ申上ゲマスレバ、日本製鐵會社
ガ先ヅ謂ハバ「トラスト」、ソレ自體「トラス
ト」ニナッテ居ルトモ考へラレルノデアリマ
スガ、併シ是ハ日本製鐵業、日本製鐵會社
法ト云フ特別法ニ依ッテ「コントロール」ヲ
サレテ居ル譯デアリマス、最近銑鐵ノ價ハ
上ッテ居リマス、ソレデハ此ノ法律ノ「コン
トロール」ハ十分行カヌノヂヤナイカト云
フ御疑ガアルーダラウカト思ヒマスガ、是ハ
御承知ノ通リ銑鐵ノ需要ガ近年ニ於キマシ
テ非常ニ大トナッテ來マシテ、供給ガ之ニ副
ハナイノデアリマス、サウ云フ關係カラ此
ノ銑鐵ノ價ハ上ッテ居ルト思フノデアリマ
ス、ソレカラ重要ナル鋼材製品ニ付キマシ
テハ、日本製鐵ト「アウトサイダー」ト協定
致シマシテ共販會社ヲ造ッテ居リマスカラ、
是ハ產業統制法ニ依ッテ又監督ヲシテ行ク
譯デアリマス、此ノ方面ノ問題ハ世間デサ
シテヤカマシクナッテ居ルトハ考ヘテ居リ
マセヌ、唯銑鐵ニ付キマシテ議論ガアルト
思フノデアリマスガ、ソレハ前申上ゲマシ
タヤウナ事情デアリマス、ソレカラ第五、
「セメント」デアリマスガ、此ノ「セメント」
ハ御承知ノ通リニ非常ニヤカマシイ問題ヲ
惹キ起シテ居ルノデアリマスガ、實ハ產業
統制法ガ行ハレテ、一番能ク發動シタモノ
ガアルト云フナラバ、此ノ「セメント」業ニ
對シテデアリマス、第二條ノ發動ヲ致シタ
ノデアリマス、ソレデ此ノ發動ト共ニ別ニ
値下ヲ命ジタノデアリマス、其ノ値下ヲ命
ジタニ依リマシテ、「セメント」ノ價ハ相當
下ッテ居ルト思フノデアリマス、產業統制法
ガ相當ニ利キ目ノアッタト云フコトハ、此
ノ「セメント」業ニ於テハ、最モ是ハ證明セ
ラレルノデアリマス、ソレニモ拘ラズ、今
日ニ於キマシテハ「アウトサイダー」ガ生產
設備ヲ增加スルト云フヤウナ色々ナコトガ
アリマシテ、ナカ〓〓此ノ業界ガ安定シマ
セヌ、ソコデ此ノ「セメント」ニモ當嵌ルコト
デアリマスガ、斯ウ云フ場合ニ於キマシテ
ハ必要ニ依ッテハ許可制度ヲ執ルカモ知レ
マセヌシ、又是ガ今囘ノ改正案ノ一ツノ箇
條ニナッテ居リマス、此ノ箇條ガ働イテ行キ
マス時分ニハ、又此ノ「セメント」界ハ依ツ
テ以テ更ニ安定スルコトガ出來ルダラウト
豫期シテ居ルノデアリマス、最後ニ砂糖デ
アリマスガ、砂糖ハ昭和七年ノ十一月ニ之
ヲ重要產業ト指定致シマシテ、九年ノ十二
月ニ警〓ヲ致シマシテ、ソレ以後ニ於キマ
シテ値上リハナイヤウニ考ヘテ居リマス、
多少ノ警告ヲ發シテカラ後チヨット下ゲマ
シテ、又少シ上ッテ居リマスガ、併シ警告當
時ニ比シマシテ、値上リハアリマセヌ、今
後此ノ改正法ガ行ハレルト云フコトニナリ
マスレバ、第三條ニ消費者ノ利益ヲ擁護ス
ルト云フ詳細ナル規定ガ設ケラレテ居リマ
シテ、不當ニ高クナル、安クナルモノヲ不
當ニ阻止スルトカ云フヤウナ場合ニハ、玆
ニ第三條ガ發動致シマシテ、サウシテ適正
ナル消費者ノ利益ヲ擁護シテ行クト云フヤ
ウナコトニ相成リマスノデ、今後ニ於キマ
シテハ、モット社會ノ要求ニ應ジテ經濟力
ヲ濫用ヲスルモノヲ抑ヘテ行キ得ルト思フ
ノデアリマス、ソレト同時ニ產業界ニモ安
定ヲ與ヘル、斯ウ云フコトガ所期セラル
コトト考ヘテ居ルノデアリマス、大體御質
問ニ御答ヘ致シマシタガ、尙詳細ナルコト
ハ數字ニモ亙リマスルカラ、委員會デ申上
ゲタイト存ジマス
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=7
-
008・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 非常ニ明瞭ナ、要領
ヲ得タ御說明ヲ得マシテ、誠ニ此ノ點ハ感
謝致シマス、繰返シテ申上ゲルヤウデゴザ
イマスガ、此ノ問題ノ動キ方ト云フモノハ、
日本ノ財界ニ非常ナ關係ヲ持ツモノデアリ、
延イテ日本ノ前途ニモ容易ナラザル關係ガ
アル、法律ガ濫用サレヽバ困ルノハ、何モ
此ノ規定ニハ限リマセヌデゴザイマスガ、
此ノ法ノ如キモノハ、此ノ點ニ於テ最モ當
局者ノ注意ヲ要スルコトカト存ジマス、ド
ウカ其ノ點ヲ當局ニ於テ能ク御考ニナリマ
シテ、小川商工大臣御在職中ハ宜カラウカ
トモ存ジマスルガ、又將來ノコトモ誠ニ懸
念ニ堪ヘナイ次第モゴザイマスカラ、是非
此ノ運用ニ付キマシテハ、出來得ル限リ穩
健ナル方法ヲ以テ御進ミニナルコトヲ玆ニ
希望致シマシテ、私ノ質問ハ是デ止メテ置
キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=8
-
009・池田政時
○子爵池田政時君 只今上程サレマシタ兩
案ハ、重要輸出品取締法案外二件ノ特別委
員ニ併託セラレムコトノ動議ヲ提出致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=9
-
010・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=10
-
011・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 池田子爵ノ動
議ニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=11
-
012・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=12
-
013・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 日程第三、土
地賃貸價格改訂法案、政府提出、衆議院送
付第一讀會、中島政務次官
土地賃貸價格改訂法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十一年五月十九日
衆議院議長富田幸次郞
貴族院議長公爵近衞文麿殿
土地賃貸價格改訂法案
土地賃貸價格改訂法
第一條政府ハ地租法第九條第一項ノ規
定ニ依リ昭和十三年一月一日ニ於テ土
地ノ賃貸價格ヲ改訂シ昭和十三年分ヨ
リ改訂賃貸價格ニ依リ地租ヲ徵收ス
第二條改訂賃貸價格ハ各地目每ニ昭和
十一年四月一日ニ於テ土地ノ情況類似
スル區域內ニ於ケル標準ト爲ルベキ土
地ノ賃貸價格(標準賃貸價格)ニ依ル
前項ニ定ムルモノノ外賃貸價格ノ算定
ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
第三條昭和十一年四月一日後昭和十二
年十二月三十一日迄ノ間ニ於テ賃貸價
格ヲ設定シ又ハ修正シタル土地ノ改訂
賃貸價格ハ地租法第九條第三項ノ例ニ
準ジ之ヲ定ム
昭和十一年四月一日後昭和十二年十二
月三十一日迄ノ間ニ於テ分筆又ハ合筆
ヲ爲シタル土地ノ改訂賃貸價格ハ其ノ
分筆又ハ合筆前ノ土地ニ付前條ノ規定
ニ依リ定メラルベキ賃貸價格ヲ地租法
第三十三條ノ例ニ準ジ配分又ハ合算シ
テ之ヲ定ム
第四條改訂賃貸價格ニ依ル各土地ノ地
租額ガ從前ノ賃貸價格ニ依ル地租額ノ
四倍ヲ超ユルトキハ其ノ四倍ヲ超ユル
金額ニ相當スル地租ハ昭和十五年分迄
之ヲ免除ス
第五條第二條第一項ノ區域及標準賃貸
價格ハ賃貸價格調査委員會ノ議ニ付シ
政府ニ於テ之ヲ定ム
第六條稅務署長ハ第二條第一項ノ區域
及標準賃貸價格ノ調査書ヲ作成シ之ヲ
賃貸價格調査委員會ニ提出スベシ
第七條各稅務署所轄內ニ賃貸價格調査
委員會ヲ置ク但シ稅務署所轄內ニ在ル
市ニ付テハ命令ヲ以テ特ニ賃貸價格調
査委員會ヲ置クコトヲ得
第八條賃貸價格調査委員會ハ之ヲ置ク
ベキ區域內ノ各市町村ニ於テ地租納稅
義務者ノ選擧シタル調査委員ヲ以テ之
ヲ組織ス
各市町村ニ於テ選擧スベキ調査委員ノ
數ハ市ニ在リテハ十人、町村ニ在リテ
ハ一人トス但シ市町村ノ情況ニ依リ命
令ヲ以テ之ヲ增減スルコトヲ得
第九條選擧期日前十五日ノ現在ニ於テ
地租名寄帳ニ納稅義務者トシテ記載セ
ラレタル個人(地租法第七十條又ハ第
七十三條第一項但書ノ規定ニ依リ地租
ヲ免除セラルル者又ハ地租ヲ徵收セラ
レザル者ヲ含ム)ハ當該市町村內ニ於
テ調査委員ヲ選擧シ又ハ調査委員ニ選
擧セラルルコトヲ得但シ左ノ各號ノ一
ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一無能力者
二破產者ニシテ復權ヲ得ザルモノ
三國稅滯納處分ヲ受ケタル後一年ヲ
經ザル者
四六年ノ懲役若ハ禁錮以上ノ刑ニ處
セラレ又ハ舊刑法ノ重罪ノ刑ニ處セ
ラレタル者
五六年未滿ノ懲役又ハ禁鋼ノ刑ニ處
セラレタル者ニシテ其ノ刑ノ執行ヲ
終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至
ル迄ノモノ
六地租法第八十三條又ハ第八十六條
第二項ノ規定ニ依リ處罰セラレタル
後五年ヲ經ザル者
法人ニシテ地租ノ納稅義務ヲ有スル者
ハ前項ノ規定ニ準ジ調査委員ヲ選擧ス
ルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ選擧ニ關
スル代表者ヲ定メ當該市町村長ニ申〓
スベシ
第一項各號ノ一ニ該當スル者ハ前項ノ
規定ニ依ル法人ノ代表者タルコトヲ得
ズ
第十條投票及開票ニ關スル事務ハ市町
村長之ヲ擔任シ其ノ他ノ選擧ニ關スル
事務ハ稅務署長之ヲ擔任ス
第十一條稅務署長ハ調査委員ノ選擧期
日ヲ定メ之ヲ市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ
少クトモ選擧期日七日前ニ之ヲ公示ス
ベシ
前項ノ公示ニハ投票及開票ノ日時及場
所ヲ記載スベシ
第十二條調査委員ノ選擧ハ無記名投票
ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ
投票所ニ到リ被選擧人一人ノ氏名ヲ投
票用紙ニ記載シテ投票スベシ
投票用紙ハ選擧ノ當日投票所ニ於テ之
ヲ選擧人ニ交付スベシ
第十三條市町村長ハ當該市町村內ニ於
テ選擧資格ヲ有スル者ノ內ヨリ二人ノ
立會人ヲ選任シ投票及開票ニ立會ハシ
之ヘン
立會人ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ手當
ヲ支給ス
第十四條投票ノ效力ハ立會人ノ意見ヲ
聽キ市町村長之ヲ決定スベシ
第十五條市町村長ハ投票ヲ調査シ直ニ
左ノ事項ヲ稅務署長ニ通知スベシ
一投票人及投票ノ數竝ニ有效投票及
無效投票ノ數
二投票ヲ無效ト決定シタル事由
三被選擧人ノ住所、氏名、生年月日
及其ノ得票數
第十六條稅務署長前條ノ通知ヲ受ケタ
ルトキハ之ヲ調査シ當選人ヲ決定スベ
第十七條投票ノ多數ヲ得タル者ヲ以テ
當選人トス得票數同ジキトキハ年齡多
キ者ヲ取リ年齡モ亦同ジキトキハ稅務
署長抽籤シテ之ヲ定ム
第十八條稅務署長當選人ヲ決定シタル
トキハ其ノ氏名ヲ公示シ且之ヲ當選人
及市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ
當選人ノ氏名ヲ公示スベシ
第十九條調査委員ニ當選シタル者ハ正
當ノ事由ナクシテ之ヲ辭スルコトヲ得
ズ
第二十條調査委員第九條第一項各號ノ
一ニ該當スルニ至リタルトキハ其ノ職
ソルツ
第二十一條調査委員ニ缺員ヲ生ジタル
トキハ當選人ト爲ラザリシ者ノ中得票
數多キ者ヨリ順次之ヲ補充ス其ノ得票
數同ジキトキハ第十七條ノ規定ヲ準用
ス
第十八條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準
用ス
第二十二條調査委員ノ選擧ニ於テ賞選
人ノ數ガ定數ニ達セザルトキ又ハ調査
委員ニ缺員ヲ生ジ前條ノ規定ニ依リ補
充スベキ者ナキトキハ補缺選擧ヲ行フ
但シ賃貸價格調査委員會開會後缺員ヲ
生ジタル場合ニ於テハ之ヲ行ハザルコ
トヲ得
第二十三條賃貸價格調査委員會ハ稅務
署長ノ通知ニ依リ之ヲ開ク其ノ開會日
數ハ三十日以內トス
第二十四條賃貸價格調査委員會ハ開會
ノ始ニ於テ調査委員中ヨリ會長ヲ選擧
スペン
會長事故アルトキハ出席シタル調査委
員中ノ年齡多キ者會長ノ職務ヲ代理ス
第二十五條賃貸價格調査委員會ハ定員
ノ過半數ニ當ル委員出席スルニ非ザレ
バ決議スルコトヲ得ズ
議事ハ出席員ノ多數ヲ以テ之ヲ決ス可
否同數ナルトキハ會長ノ決スル所ニ依
ル
第二十六條賃貸價格調査委員會ノ決議
ハ會長之ヲ稅務署長ニ通知スベシ
第二十七條昭和十二年九月三十日迄ニ
賃貸價格調査委員會成立セザルトキハ
稅務署長ニ於テ第二條第一項ノ區域及
標準賃貸價格ヲ定ム
賃貸價格調査委員會開會ノ日ヨリ第二
十三條ノ期間內又ハ昭和十二年九月三
十日迄ニ決議終了セザルトキハ稅務署
長ニ於テ第二條第一項ノ區域及標準賃
貸價格ヲ定ム
第二十八條稅務署長ハ賃貸價格調査委
員會ノ決議ヲ不當ト認ムルトキハ十日
以內ノ期間ヲ定メ再議ニ付ス仍其ノ決
議ヲ不當ト認ムルトキ又ハ再議期間內
ニ決議終了セザルトキハ稅務署長ニ於
テ第二條第一項ノ區域及標準賃貸價格
マルチノ
第二十九條稅務署長又ハ其ノ代理官ハ
賃貸價格調査委員會ニ出席シ意見ヲ陳
述スルコトヲ得
第三十條調査委員ニハ命令ノ定ムル所
ニ依リ手當及旅費ヲ支給ス
第三十一條第二條第一項ノ區域及標準
賃貸價格ヲ定メタルトキハ稅務署長ハ
之ヲ市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ
二十日間關係者ノ縱覧ニ供スベシ縦覧
期間ハ豫メ之ヲ公示スベシ
第三十二條自己ノ納稅義務ヲ有スル土
地ニ適用セラルベキ標準賃貸價格ニ關
シテ異議アル者ハ前條ノ縱覽期間滿了
ノ日ヨリ二十日以內ニ不服ノ事由ヲ具
シ稅務署長ヲ經由シテ稅務監督局長ニ
異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ申立アリタル場合ト雖モ政府ハ
稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第三十三條前條第一項ノ申立アリタル
トキハ稅務監督局長ハ之ヲ審査決定シ
異議申立人ニ通知スベシ
第三十四條前條ノ決定ニ對シ不服アル
トキハ訴願ヲ爲シ又ハ行政裁判所ニ出
訴スルコトヲ得
第三十五條稅務署長又ハ其ノ代理官ハ
土地ノ所有者、質權者、地上横者其ノ
他利害關係人ニ對シ賃貸價格ノ調査上
必要ナル事項ヲ質問スルコトヲ得
第三十六條賃貸價格ノ調査又ハ決議ニ
從事シタル者ハ其ノ調査又ハ決議ニ關
シ知リタル祕密ヲ正當ノ事由ナクシテ
他ニ漏洩スルコトヲ得ズ
第三十七條町村組合ニシテ町村ノ事務
ノ全部又ハ役場事務ヲ共同處理スルモ
ノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、
其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長ト看做ス
市制第六條又ハ第八十二條第三項ノ市
ニ於テハ本法中市ニ關スル規定ハ區
ニ、市長ニ關スル規定ハ區長ニ之ヲ適
用ス
町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本法中
町村ニ關スル規定ハ町村ニ準ズベキモ
ノニ、町村長ニ關スル規定ハ町村長ヲ
準ズベキモノニ之ヲ適用ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
地租法第七十一條第一項ニ規定スル申請
期間ハ昭和十三年分地租ニ限リ命令ヲ以
テ之ヲ變更スルコトヲ得
〔政府委員中島彌團次君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=13
-
014・中島彌團次
○政府委員(中島彌團次君) 只今議題トナ
リマシタ土地賃貸價格改訂法案ノ大體ノ御
說明ヲ申上ゲマス、曩ニ御協贊ヲ得マシテ
制定致シマシタ地租法ニ於キマシテハ、地
租ノ課稅標準タル土地賃貸價格ハ之ヲ十年
每ニ改訂シ、其ノ第一囘ノ改訂ヲ昭和十三
年ニ於テ行フコトトナッテ居ルノデアリマス
〔議長公爵近衞文麿君議長席ニ復ス〕
仍テ此ノ規定ニ基キ昭和十三年ニハ、現行
ノ賃貸價格ヲ改訂スル必要ガアルノデアリ
マスルガ、之ガ爲ニ行フ調査ニハ相當ノ日
時ヲ必要ト致シマスルノデ、本年度ヨリ著
手スルコトトシ、之ニ要スル經費ノ一部ヲ
追加豫算ニ計上スルト共ニ、土地賃貸價格
改訂法ヲ制定スルコトニ致シマシタ次第デ
アリマス、改訂賃貸價格ノ調査ノ方法ハ、
大正十五年ニ於ケル賃貸價格ノ調査方法ト
同一デアリマシテ、改訂賃貸價格ハ各地目
每ニ、土地ノ情況、類似スル區域內ニ於ケ
ル標準賃貸價格ニ依ルコトト致シ、其ノ區
域及標準賃貸價格ハ、地租納稅者ノ選擧シ
タル調査委員ヨリ成ル委員會ノ議ニ付シテ
決定スルコトト致シタノデアリマス、又調
査委員ノ選出モ、前囘ノ通リ原則トシテ市
部ハ十人、町村ハ一人ト致シマシタ、尙賃
貸價格ノ改訂ニ依リ、負擔ニ激增ヲ來スモ
ノニ付キマシテハ、其ノ負擔ヲ緩和スル爲
メ適當ナル規定ヲ設ケマシタ、何卒御審議
ノ上速カニ御協贊ヲ與ヘラレムコトヲ希望
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=14
-
015・池田政時
○子爵池田政時君 只今議題トナリマシタ
土地賃貸價格改訂法案ハ、重要法案デアリ
マスガ故ニ、其ノ特別委員ノ數ヲ十五名ト
シ、其ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提
出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=15
-
016・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=16
-
017・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 池田子爵ノ動議
ニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=17
-
018・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗
讀致サセマス
〔角倉書記官朗讀〕
土地賃貸價格改訂法案特別委員
侯爵大隈信常君侯爵佐佐木行忠君
伯爵溝口直亮君子爵渡邊千冬君
子爵今城定政君子爵增山正興君
男爵紀俊秀君有吉忠一君
三井〓一郞君男爵今園國貞君
男爵松平外與麿君菅原通敬君
西野元君仲田傳之〓君
靑木才次郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=18
-
019・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第四、土地
賃貸價格改訂法施行ニ伴フ耕地整理法ノ特
例ニ關スル法律案、政府提出、衆議院送
付第一讀會、小林參與官
土地賃貸價格改訂法施行ニ伴フ耕地整
理法ノ特例ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十一年五月十九日
衆議院議長富田幸次郞
貴族院議長公爵近衞文麿殿
土地賃貸價格改訂法施行ニ伴フ耕地整
理法ノ特例ニ關スル法律案
第一條昭和十一年四月一日以後昭和十
二年十二月三十一日迄ノ間ニ於テ耕地
整理法第十三條第二項ノ規定ニ依リ賃
貸價格ヲ配賦シタル整理施行地區內ノ
土地ノ賃貸價格ハ稅務署長整理施行者
ノ申請ニ依リ其ノ地區內ノ從前ノ土地
ニ付土地賃貸價格改訂法ニ依リ調査シ
タル賃貸價格(以下調査賃貸價格ト稱
ス)ノ合計額ヲ工事完了ノトキノ現況
ニ依リ每筆相當ニ配賦シテ之ヲ定ム
命令ノ定ムル期間內ニ前項ノ申請ナキ
トキハ第三項ノ規定ニ依リ定メタル賃貸
價格ヲ以テ前項ノ土地ノ賃貸價格トス
第一項ノ規定ニ依リ賃貸價格ヲ配賦ス
ル迄ハ其ノ土地ノ賃貸價格ハ調査賃貸
價格ノ合計額ヲ耕地整理法第十三條第
二項ノ規定ニ依リ配賦シタル賃貸價格
ニ按分シテ之ヲ定ム
耕地整理法第十三條第二項但書ノ規定
ハ第一項及前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二條耕地整理法第十四條、第十四條
ノ二及第十五條ノ規定ハ昭和十一年四
月一日以後昭和十二年十二月三十一日
迄ノ間ニ於テ同法第十三條第二項ノ規
定ニ依リ賃貸價格ヲ配賦シタル整理施
行地區內ノ土地ニシテ同法第十四條、
第十四條ノ二及第十五條ノ規定ニ依リ
賃貸價格ヲ修正シ又ハ設定シタルモノニ
付前條ノ調査賃貸價格ヲ算出スル場合
ニ之ヲ準用ス但シ前條第三項ニ規定ス
ル場合ニ於テハ整理施行者ノ申請ヲ要
セズ
第三條第一條第一項又ハ第三項ノ規定
ニ依リ賃貸價格ヲ配賦シ又ハ按分シタ
ル土地ニシテ現ニ耕地整理減租年期ヲ
有セザルモノアルトキハ其ノ賃貸價格
ハ之ヲ配賦シ又ハ按分セザリシモノト
看做ス此ノ場合ニ於テハ土地賃貸價格
改訂法第三條第一項ノ規定ヲ適用ス
第四條第一條第一項ノ規定ニ依リ賃貸
價格ヲ配賦シタル土地ニ付テハ配賦シ
タル年ノ翌年分ヨリ配賦シタル賃貸價
格ニ依リ、同條第三項ノ規定ニ依リ賃
貸價格ヲ按分シタル土地ニ付テハ昭和
十三年分ヨリ同條第一項ノ規定ニ依リ
賃貸價格ヲ配賦スル年ノ分迄其ノ按分
シタル賃貸價格ニ依リ地租ヲ徵收ス
第五條耕地整理法第十六條、第十六條
ノ三、第十六條ノ四、第十六條ノ六及
第十六條ノ七ノ規定ハ第一條第一項又
ハ第三項ノ規定ニ依リ賃貸價格ヲ配賦
シ又ハ按分シタルトキニ於テ整理施行
地區內ニ同法第十六條ノ三又ハ第十六
條ノ四ノ規定ノ適用ヲ受クル土地アル
場合ニ之ヲ準用ス但シ第一條第三項ニ
規定スル場合ニ於テハ整理施行者ノ申
請ヲ要セズ
第六條前條ノ規定ニ依リ耕地整理法第
十六條ノ三又ハ第十六條ノ四ノ規定ヲ
準用シテ賃貸價格ヲ定メタル土地ニ付
テハ賃貸價格ヲ定メタル年ノ翌年分ヨ
リ其ノ賃貸價格ニ依リ地租ヲ徴收ス但
シ第一條第三項ノ規定ニ依リ賃貸價格
ヲ按分シタル土地ニ付テハ昭和十三年
分ヨリ同法第十六條ノ三又ハ第十六條
ノ四ノ規定ヲ準用シテ定メタル賃貸價
格ニ依リ地租ヲ徴收ス
第七條昭和十一年四月一日以後昭和十
二年十二月三十一日迄ノ間ニ於テ耕地
整理法第十三條第二項ノ規定ニ依リ賃
貸價格ヲ配賦シタル整理施行地區內ニ
從前ノ土地ノ調査賃貸價格ニ依ル地租
額ガ從前ノ賃貸價格ニ依ル地租額ノ四
倍ヲ超ユル土地アルトキハ其ノ四倍ヲ
超ユル金額ニ相當スル地租ハ整理施行
地區內ノ全部又ハ一部ノ土地ニ配分シ
テ昭和十五年分迄之ヲ免除ス
前項ノ規定ニ依リ地租ノ免除ヲ受クベ
キ土地及金額ハ稅務署長整理施行者ノ
申請ニ依リ之ヲ定ム命令ノ定ムル期間
內ニ其ノ申請ナキトキハ稅務署長職權
ヲ以テ之ヲ定ム
第八條昭和十三年一月一日以後耕地整
理法第十三條第二項ノ規定ニ依リ賃貸
價格ヲ配賦スルトキニ於テ整理施行地
區內ニ土地賃貸價格改訂法第四條ノ規
定ニ依リ地租ノ免除ヲ受クベキ土地ア
ル場合ハ其ノ殘期間免除額ニ相當スル
地租ハ整理施行地區內ノ全部又ハ一部
ノ土地ニ配分シテ又ヲ免除ス
前項ノ規定ニ依リ地租ノ免除ヲ受クベ
キ土地及金額ハ稅務署長整理施行者ノ
申請ニ依リ之ヲ定ム命令ノ定ムル期間
內ニ其ノ申請ナキトキハ稅務署長職權
ヲ以テ之ヲ定ム
第九條昭和十一年三月三十一日迄ニ耕
地整理法第十三條第二項竝ニ昭和六年
法律第二十九號附則第三條第一項第三
項、第六條第一項、第十七條第一項及第
十九條ノ規定ニ依リ賃貸價格ヲ配賦シ、
按分シ又ハ定メタル土地ニシテ耕地整
理法第十六條ノ三、第十六條ノ四又ハ
昭和六年法律第二十九號附則第十五條
ノ規定ヲ適用シ又ハ準用シタルモノニ
對スル土地賃貸價格改訂法第四條中ノ
賃貸價格ハ耕地整理法第十六條ノ三、
第十六條ノ四又ハ昭和六年法律第二十
九號附則第十五條ノ規定ヲ適用シ又ハ
準用セザル額トス
第十條耕地整理法第十三條第三項ノ規
定ハ第一條第一項第三項、第二條、第
五條、第七條第一項及第八條第一項ノ
場合ニ之ヲ準用ス
第十一條昭和十五年十二月三十一日迄
ハ耕地整理法第三十四條第二項、第五
十條第一項及第六十五條第二項ノ規定
中賃貸價格ニ關シ命令ヲ以テ別段ノ定
ヲ爲スコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員小林絹治君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=19
-
020・小林絹治
○政府委員(小林絹治君) 大臣ハ只今樞密
院ノ本會ノ方ニ出席ヲ致シテ居リマスカラ、
私ガ代ッテ御說明申上ゲマス、本法案ハ只今
大藏省カラ御說明ノアリマシタ土地賃貸價
格改訂法案ト關聯スルモノデアリマス、卽
チ耕地整理組合法中ニハ、賃貸價格及地租
ニ關シ、特別ノ規定ガ設ケラレテ居リマシ
テ、整理施行地ノ賃貸價格及地租ニ付テハ、
是等ノ規定ニ依ッテ處理致シテ居リマスノ
デ、土地賃貸價格及地租ニ關スル規定ノ特
例ヲ設クル必要ガアルノデアリマス、是レ
本案ヲ提出スル所以デアリマス、本法案ノ
骨子ハ大體ハ次ノ三點デアリマス、卽チ第
一點ハ、昭和十一年四月一日以後昭和十二
年十二月三十一日迄ノ間ニ於テ、耕地整理
法ニ依リ賃貸價格ヲ配賦致シマシタ耕地整
理施行地ノ改訂方法ニ關スル規定ヲ設ケマ
スルコト、第二ハ、土地賃貸價格改訂法中、
地租負擔ノ激增緩和ニ關スル規定ヲ耕地整
理施行地ニ適用スル方法ニ付キ特別ノ規定
ヲ設ケマスルコト、第三點ハ、耕地整理法
中ニハ同意表決等ノ要件トシテ、賃貸價格
ノ計算ヲ要スル規定ガアリマスルガ、是等
ノ規定ノ適用ニ付テハ、當分ノ間改訂賃貸
價格ニ依ルヲ要シナイ旨ノ規定ヲ設クルコ
トト致シタ點デアリマス、何卒御審議ノ結
果御協贊アラムコトヲ御願ヒ申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=20
-
021・池田政時
○子爵池田政時君 土地賃貸價格改訂法施
行ニ伴フ耕地整理法ノ特例ニ關スル法律案
ハ、重要法案デアリマスガ故ニ、其ノ特別
委員ノ數ヲ十五名トシ、其ノ指名ヲ議長ニ
一任スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=21
-
022・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=22
-
023・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 池田子爵ノ御動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=23
-
024・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔角倉書記官朗讀〕
土地賃貸價格改訂法施行ニ伴フ耕地整理
法ノ特例ニ關スル法律案特別委員
公爵山縣有道君侯爵西〓從德君
伯爵後藤一藏君子爵豐岡圭資君
子爵富小路隆直君子爵秋田重季君
勝田主計君男爵周布兼道君
男爵三須精一君松村義一君
門野幾之進君林平四郞君
名取忠愛君油井德藏君
大谷尊由君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=24
-
025・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第五、航路
統制法案、政府提出、衆議院送付、第一讀
會賴母木遞信大臣
航路統制法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因
テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十一年五月十九日
衆議院議長富田幸次郞
貴族院議長公爵近衞文麿殿
(小字ハ衆議院ノ修正ナリ)
航路統制法案
航路統制法
第一條本法ニ於テ海運業ト稱スルハ一
般ノ需用ニ應ジ船舶ニ依リテ人又ハ物
ヲ運送スル事業ヲ謂フ
第二條本法ハ帝國臣民又ハ帝國法人ガ
遠洋區域、近海區域又ハ勅令ヲ以テ定
ムル沿岸區域ニ於テ營ム海運業ニ之ヲ
適用ス
第三條政府ハ海運業ノ健全ナル發達ヲ
圖ル爲必要アリト認ムルトキハ海運業
者ニ對シ不當ナル競業ノ防止ニ關シ勸
告ヲ爲スコトヲ得
前項ノ勸〓其ノ效ヲ奏セザル場合ニ於
テ政府ハ必要アリト認ムルトキハ海運
業者ニ對シ航路ノ經營ニ關スル協定ヲ
爲スベキコトヲ命ジ又ハ航路ノ經營ヲ
禁止若ハ制限スルコトヲ得
前項ノ航路ノ經營ノ禁止又ハ制限ハ實
情ニ依リ巳ムコトヲ得ズト認ムル場合
ヲ除クノ外前項ノ規定ニ依リ命ゼラレ
タル協定成ラザル場合ニ非ザレバ之ヲ
爲スコトヲ得ズ
第四條政府ハ運賃其ノ他ノ航路ノ經營
條件ガ公益ニ反スト認ムルトキハ海運
業者ニ對シ其ノ經營條件ニ關シ必要ナ
ル命令ヲ爲スコトヲ得
第五條海運業者ハ命令ノ定ムル事項ヲ
行政官廳ニ屆出ヅベシ
〓第三條及第四條ノ規
第六條行政官廳ハ〓必要アリト認ムル
定ニ依ル措置ヲ爲ス爲
トキハ海運業者ニ對シ其ノ業務及財產
ノ狀況ニ關シ檢査ヲ爲シ又ハ報告ヲ爲
サシムルコトヲ得
第七條帝國臣民又ハ帝國法人ニ非ザル
者ノ營ム海運業ニシテ其ノ資本ノ全部
又ハ一部ガ帝國臣民又ハ帝國法人ニ屬
スルモノニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ本法ヲ準用ス
第八條第三條第二項又ハ第四條ノ規定
ニ依ル命令ヲ爲サントスルトキハ勅令
ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外航路
統制委員會ノ議ヲ經ルコトヲ要ス
航路統制委員會ニ關シ必要ナル事項ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條第三條第二項ノ規定ニ依ル航路
ノ經營ノ禁止若ハ制限ニ關スル命令又
ハ第四條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタ
ル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十條第六條ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ
忌避シ又ハ同條ノ規定ニ依リ命ゼラレ
タル報〓ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ報〓ヲ爲
シタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十一條海運業者ハ支配人其ノ他ノ代
理人又ハ船長其ノ他ノ從業者ガ其ノ業
務ニ關シ本法又ハ本法ニ基ク命令ニ違
反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザル
ノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルコトヲ得ズ
第十二條本法又ハ本法ニ基ク命令ニ依
リ海運業者ニ適用スベキ罰則ハ其ノ者
ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他
ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成
年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定
代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成
年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ
付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條第五條ノ規定ニ違反シタル者
ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣賴母木桂吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=25
-
026・頼母木桂吉
○國務大臣(賴母木桂吉君) 只今御上程ニ
ナリマシタ航路統制法案ニ付テ御說明申上
ゲマス、我ガ國ノ海運ハ明治初期以來、政
府及當業者ノ不撓ノ努力ニ依リマシテ、逐
年異常ナル發達ヲ遂ゲマシテ、現在」於キ
マシテハ三大海運國ノ一ト致シマシテ、世
界ノ邊陬ニマデ航路網ヲ擴充スルニ至ッタ
ノデアリマス、然ルニ近時我ガ國海運ノ顯
著ナル發展ニ伴ヒマシテ、動モスレバ邦船
相互ノ間ニ於キマシテ、無謀ナル競爭ヲ惹
起スルノ傾向ヲ馴致シツヽアルノデアリマ
シテ、我ガ國運ノ伸暢ノ上ニ於テ誠ニ遺憾
トスル所デアリマス、四面環海ノ我ガ國ト
致シマシテハ、海運ガ經濟上竝ニ國防上極
メテ重要ナル使命ヲ有シマスコトハ、改メ
テ申ス迄モナイコトデアリマシテ、斯クノ
如キ競爭ハ啻ニ我ガ海運資本ヲ空費シ、海
運業ノ健全ナル發達ヲ阻害スルノミナラ
ズ、我ガ海運政策又ハ通商貿易政策ニモ背
馳スル結果ヲ招來スルノデアリマス、仍テ
速カニ斯クノ如キ弊害ヲ芟除シ、適正ナル
規律統制ノ下ニ航路ノ運營ヲ爲サシメ、斯
業ノ合理的經營ニ依リマシテ、對外競爭力
ノ根幹ヲ培養セシメ、以テ近年益〓激化ノ
趨勢ニアル國際海運競爭ニ處シ、本邦海運
ヲシテ更ニ一段ノ進出ヲ圖ラシメムガ爲
ニ、玆ニ本案ヲ提出致シマシタ次第デアリ
ママ、何卒御審議ノ上、御協贊アラムコト
ヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=26
-
027・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 質疑ノ通〓ガゴ
ザイマスカラ之ヲ許シマス、橋本辰二郞君
〔橋本辰二郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=27
-
028・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 只今玆ニ提案サレマシタ
ル航路統制法ハ、政府當局ノ說明ニ依リマ
スレバ、我ガ國海運ノ健全ナル發達ヲ圖ル
ノ目的ヲ以テ、航路ニ於ケル不當ナル競爭
ヲ防止スルノ趣旨ニ基カレマシテ、御提案
ニナッタト云フコトデアリマス、航路ノ統制
ニ關シテハ、本員ハ昨春第六十七議會ニ於
キマシテ、之ガ必要ナル所以ヲ强調致シタ
ルノデアリマスル、併シナガラ畢竟法律ナ
ルモノハ死物デアリマシテ、之ヲ活用スル
ノハ人ニアルノデアリマス、本法案ノ成立
ハ我ガ國海運ノ堅實ナル對外進展ヲ期スル
上ニ於キマシテ、其ノ運用ダニ宜シキヲ得
マシタナラバ、相當ノ效果ヲ擧グルモノト
見テ宜カラウカト思フノデアリマス、由來
我ガ國ニ於キマシテハ、海運ガ經濟上竝ニ
國防上極メテ重要ナル使命ヲ有シテ居ルノ
デアリマス、其ノ消長ナルモノガ國運ノ隆
替ニ多大ノ關係ヲ有シテ居リマスコトハ、
我ガ國柄ニ顧ミマシテ玆ニ多言ヲ要シナイ
所デアリマス、我ガ國ハ多年海運立國ヲ以
テ國是トナシ、今日ニ至リマシタル所以ノ
モノモ、亦實ニ玆ニ存スルト言ハナケレバ
ナリマセヌ、而シテ我ガ海運ハ近時顯著ナ
ル發達ヲ遂ゲ、諸外國海運ガ、未ダ不況ノ
域ヲ脫スルニ至ラズシテ、尠カラズ苦惱致
シテ居リマスルニモ拘ラズ、獨リ躍進的ニ
進展シツヽアルコトハ、誠ニ國家ノ爲メ慶賀
ニ堪ヘザル所デアリマス、翻ッテ國際間ノ情
勢ヲ通觀致シマスト、諸外國ニ於キマシテ
ハ、競ッテ自國船主義ヲ標榜致シマシテ、他
國海運ノ進出ヲ極力排除シ、自國海運ヲ保
護强化スルコトニ汲々タルノ有樣デアルノ
デアリマス、斯カル情況ノ下ニ於キマシテ、
今後我ガ海運ガ能ク諸外國ノ海運ト頡頏
シ、國際競爭ノ覇ヲ制セムガ爲ニハ、政府
及關係當業者トモ、鞏固ナル一致團結ノ精
神ヲ以テ、渾然一體トナリ、外國海運ニ當
ラナケレバ、到底所期ノ日的ヲ達成シ得ナ
イモノデアリマス、斯カル觀點ニ於キマシ
テ、政府ガ本案ニ依リ、不當ナル競爭、卽
チ我ガ國海運ノ健全ナル發達ヲ阻碍シ、對
外輸送力ヲ弱メ、動モスレバ外國船ヲシテ
乘ズル機會ヲ與フルノ虞アル競爭ヲ防止
シ、以テ我ガ航路ニ適正ナル秩序ヲ與ヘテ、我
ガ國海運仲張ノ基調ヲ玆ニ確立セムトセラレ
ルニ付キマシテハ、本員ハ敢テ贊意ヲ表スルニ
吝ナルモノデアリマセヌ、唯本員ノ希望ス
ル所ノモノハ、當局ガ能ク本案ノ根本精神
ノ存スル所ニ留意セラレテ、其ノ運用ニ當
リ愼重ニ考慮ヲ拂ヒ、所謂角ヲ矯メムトシ
テ牛ヲ殺ス如キコトヲ避ケラレルコトデア
リマス、尙又此ノ場合ニ於キマシテ遞信大
臣ニ一言御尋ネ致シテ置キタイコトガアリ
マス、本案ハ先キニ申述ベタル如ク、不當
ナル競爭ニ因ル我ガ海運經濟力ノ空費ヲ防
止シ、我ガ航路ニ規律ヲ與ヘムトスル一ツ
ノ基調的ナ方策タルニ過ギナイノデアリマ
シテ、我ガ海運ノ海外進出ハ、單ニ本案ノ
如キ消極的取締ノミニ依リマシテハ、到底
之ヲ企圖シ得ナイモノト考ヘマス、御承知
ノ如ク、「イギリス」ニ於キマスル不定期航
海補助施設、船質改善ニ對スル低利資金融
通施設、北米合衆國ニ於キマスル船質改善
ニ對スル低金利融通施設、現ニ米國議會ニ
提案中ナリト稱セラレル所ノ所謂「コープ
ランド」案、又ハ「フランス」ニ於ケル「タツ
ソ」法ニ依ル所ノ運航補助施設、船舶抵當
貸付法ニ依ル補助金交付施設等、諸外國ニ
於キマシテハ、其ノ定期船タルト又不定期
船タルトヲ問ハズ、相當厚ク保護ヲ與ヘテ、
專ラ自國海運ノ保護助長ニ努力致シツヽア
ル情況デアリマス、故ニ我ガ國ニ於キマシ
テモ之ニ對應シテ、今後更ニ强力ナル積極
的助長方策ヲ講ズルデナカッタナラバ、我
ガ國海運ノ仲展ヲ期シ得ラレザルハ勿論、
再ビ昭和五年、六年、七年ニ於ケル如キ不
況ニ沈淪スルノ虞ナキカヲ保シ難イト考ヘ
ルノデアリマス、就キマシテハ政府ニ於カ
レマシテハ、單ニ此ノ統制案ノミニ御滿足
デナク、今後ノ我ガ海運ノ助長ニ付テ、何
等カ積極的施設ヲ實施セラルヽノ御意嚮ガ
アリヤ否ヤト云フコトヲ、此ノ場合ニ於キ
マシテ伺ヒタイト思ヒマス
(國務大臣賴母木桂吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=28
-
029・頼母木桂吉
○國務大臣(賴母木桂吉君) 御質問ニ御答
ヘ致シマス、我ガ國ノ海運事業ガ國民經濟
上カラ見マシテモ、國防ノ見地カラ考ヘマ
シテモ、亦國際貸借改善ノ上カラ見マシテ
モ、極メテ重要ナル使命ヲ有シテ居ルノデ
アリマシテ、是ノ發達助長ヲ圖リマスコト
ハ、我ガ國ノ國是トシテ今日マデ各種ノ方
策ヲ遂行シテ參ッタノデアリマス、本案ハ御
存ジノ通リニ躍進日本ノ先驅ヲ務メマスル
海運業ヲ、世界ノ各方面ニ活躍セシメマシ
テ、外國ノ船ト十分ニ競爭シテ打チ勝チ得
ラルヽヤウニ致シタイ、ソレニ付テハ內國
般邦船ガ互ニ競爭ヲ致シマシテ、二重ノ
投資ヲシ、又無駄ノ競爭ヲシテ互ニ傷キ
倒レルト云フコトハ、是ハドウシテモ防止
シナケレバナラヌト考ヘテ、先刻モ說明致
シマシタ通リニ提出致シタ譯デアリマス、
只今橋本サンノ此ノ目的ヲ達スルノハ法ニ
アラズ人ニアリ、是ハ確カニ千古ノ名言デ
アルト私ハ考ヘルノデアリマス、デアリマ
スカラ十分ニ此ノ邊モ考慮ヲ致シマシテ、
先ヅ以テ勸〓ヲシ、協定ヲ勸メ、ソレデモ
イカヌト云フ場合ニ於キマシテハ、斯道ノ
練達堪能ノ士竝ニ海運事業ニ非常ナル關心
ヲ持ッテ居ラルヽ人々ヲ集メテ委員會ヲ組
織シテ、而シテ十分ニ此ノ目的ヲ達シ得ラ
ルヽヤウニ致シタイト考へテ居リマス譯デ
アリマス、兎ニモ角ニモ此ノ法ヲ亂暴ニ適
用スル者ガアリマシタナラバ、或ハ非常ナ
懸念ヲサレル方モアルデアラウト考ヘマス
ガ、是ハサウ云フヤウナ組織ニ於テ十分ニ
防止シ得ラルヽト考ヘマス、尙將來ヲドウ
スルカ、海運政策ニ付テハドウスルカ、私
ハ只今日本ノ船舶ガ自由ニ各所ニ發展ヲ致
シテ居ルコトヲ甚ダ喜ブモノデアリマス
ガ、未ダ所謂海運界ノ檜舞臺トモ稱スベキ
「ニューヨーク」、「ロンドン」ト云フヤウ
ナ、歐洲ト北米ヲ結付ケマスルモノノ、シッ
カリシタモノノ無イコト、邦船ノ無イコトヲ
甚ダ遺憾ニ存ジマスカラ、此ノ邊ニ向ッテ一
ツ進出致シマシテ、列强ヲシテ日本ノ海運
ニ付テ、十分ノ認識ヲセシムルヤウニスル
コトハ、國威ヲ發揚スルコトデアリ、又日
本ノ將來ドウシテモ發展シテ行カナケレバ
ナラヌモノト考ヘテ、只今調査ヲ致シテ居
リマス、尙從來ノ政策デ相當ノ效果ヲ得テ
居リマスモノハ之ヲ繼續シ、又航路ノ補助
ニ關スル問題等ハ、之ヲ再檢討致シマシ
テ、合理的ニ日本海運界ノ發展ノ爲ニ、改
訂ヲ加ヘル必要ガアルノデハナイカト云フ
コトヲ痛感ヲ致シマスルカラ、此ノ問題ニ
付キマシテハ、銳意調査ヲ進メル積リデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=29
-
030・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 只今航路統制ニ對スル重
ネテノ御說明竝ニ現遞信當局ガ懷抱セラル
ル所ノ我ガ海運政策ノ一端ヲ伺フコトガ出
來タノデアリマス、其ノ當否竝ニ方法等ニ
付キマシテハ批判ヲ差控ヘマシテ、他ノ機
會ニ於キマシテ詳細ニ意見ノ交換ヲ試ミタ
イト思ヒマス、私ノ質問ハ是デ終リト致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=30
-
031・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 侯爵德川義親君
〔侯爵德川義親君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=31
-
032・徳川義親
○侯爵德川義親君 航路統制法案ニ付キマ
シテ、時間ガゴザイマセヌカラ私ハ極メテ
簡單ニ質問ヲ致シタイト存ジマス、只今橋
本サンノ御質問竝ニ遞信大臣ノ御說明ニ依
リマシテ、主ナルコトハ承知致シマシタ、
私モ大體ニ於キマシテ橋本サンノ御質問ト
似タ所ガゴザイマス、ソレハ此ノ法案ハ通
商貿易ト密接ナ關係ガゴザイマシテ、我ガ
躍進日本ノ尖端ヲ行ク海運國策トモ云フベ
キ此ノ海運業ノ發展ト云フコトハ、極メテ
大切ナコトデアリマスノデ、此ノ法案ニ依
リマシテ我ガ海運業ガ健全ナル發達ヲスル、
是ハ極メテ大切ナコトト存ジマス、本法案
ニ依リマシテ我ガ國ノ會社ハ、之ヲ統制シ
强化スルコトガ出來ルト存ジマス、併シナ
ガラ之ニ對シテ外國船ノ競爭ハドウ云フ風
ニシテ之ヲ取締リ、或ハ是ト對抗スルコト
ガ出來ルノデアリマセウカ、統制サレルト
云フコトハ必要ナコトデハアリマス、又同
時ニ我ガ國ノ海運業ガ强化サレルコトハ分ッ
テ居リマスケレドモ、此ノ國際海運業ノ激
甚ナ競爭ニ際シテ、果シテ斯ウ云フ統制法
ニ依ッテ統制サレテ居ル場合ニ、激シイ競爭
ガヤッテ行ケルカドウカ、是ハ或ハ此ノ本法
案ヲ出サレマシタ趣旨トハ少シ遠フカモ知
レマセヌケレドモ、私ハ此ノ國際海運業ノ
激烈ナ競爭ニ際シテ、ドウ云フ方法ヲオ執
リニナル、或ハ覺悟ヲ持ッテオイデニナル
カ、ソレガ私ハ伺ッテ見タイト存ジマス、第
二ハ此ノ問題ハ相當ニ外交上大キナ關係モ
アルノデハナイカト存ジテ居リマス、卽チ
昨日提出サレマシタ重要輸出品取締法案ノ
如キモノモ、其ノ意味ニ於テ重要ナル法案
ト存ジマスルガ、我ガ國ノ商品ガ海外ニ著
シク進出致シテ參リマシテ、列强ハ之ニ非
常ニ脅威ヲ感ジテ居リマス爲ニ、時ニ依リ
マシテハ通商條約モ無視致シマシテ、邦貨
ニ壓迫ヲ致シテ居リマス、我ガ國ハ今特ニ
商權ヲ確保スル爲ニ戰ッテ參ラナケレバナ
リマセヌ、或ハ通商擁護法ノ如キモノヲ發
動サセテ、我ガ商權ヲ護リマス大切ナル時
ト私ハ存ジマス、此ノ航路統制法案ノ如キ
モノハ、或ハ逆ニ彼等ニ對シテ、隙ヲ見セ
テ乘ゼラレル機會ヲ與ヘルモノガアリハシ
ナイカ、是ハ或ハ私ノ杞憂ニ過ギナイカモ
知レマセヌ、併シ是カラ强ク戰ッテ行カナケ
レバナラナイ場合ニ、此ノ法案ノ適用
如何ニ依ッテハ、强ク戰フコトガ出來ナタ
ナル虞ガアリハシナイカ、是ガ私ハ伺ッテ見
タイ第二ノ問題デアリマス、第三ハ此ノ統
制法案ノ第七條ニ「帝國臣民又ハ帝國法人
ニ非ザル者ノ營ム海運業ニシテ其ノ資本ノ
全部又ハ一部ガ帝國臣民又ハ帝國法人ニ屬
スルモノニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本
法ヲ準用ス」トゴザイマス、此ノ箇條ハ帝
國法人ニ非ザル者ノ營ム海運業者ハ如何ニ
シテ本法ヲ適用スルコトガ出來ルノデアリ
マセウカ、此ノ點ニ付キマシテ外務當局ト
モ御打合ノ上ニ此ノ條項ガ差加ヘラレタノ
デゴザイマセウカ、此ノ點ハ可ナリ外交上
ノ相當ナ問題デアルノデハナイデゴザイマ
セウカ、此ノ以上ノ三點ニ付テ私ハ伺ヒタ
イノデアリマス
〔國務大臣賴母木桂吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=32
-
033・頼母木桂吉
○國務大臣(賴母木桂吉君) 德川侯爵ノ御
問ニ御答ヲ致シマス、外國船ノ競爭ヲ取締
ラナケレバイカナイヂヤナイカト云フヤウ
ナ意味デアルト伺ヒマシタ、御存ジノ通リ
ニ、日本ノ船舶ガ今日ノ發展ヲ來シマシタノ
ハ、自由ニ外國ノ港灣ニ突入致シマシテ、
アノ低廉ナ經費、詰リ經營ガ日本ノ船ハ非
常ニ廉ク行ッテ居リマスノト、サウシテ勇敢
ナ從業員等ノ努力ニ依リマシテ、今日發展
シテ參ッテ來テ居ルノデアリマス、若シモ外
國ノ船ヲ取締ルト云フコトニナリマスレバ、
報復手段トシテ外國ニ於テ日本ノ船ガ取締
ラレルト云フコトニナルノデアリマス、是
ハ我ガ國海運ニ取リマシテハ、非常ナ怖ロ
シイコトデアリマシテ、自由ニ何處ニデモ
進出シテ鬪フト云フ所ニ、日本ノ海運ノ强
味ガアルノデアリマスカラ、取締ラレナイ
ヤウニ、此方デ取締ラナイコトニ依ッテ、外
國ニ於テ取締ラレナイト云フコトガ、一番大
切ナコトデハナイカト考ヘテ居リマス、此
ノ法ハ外國船ヲ取締ルト云フコトガ目的デ
ハナクシテ、外國船ガ來レバ、外國船ト血
ミドロニナッテ鬪フ、ソレデ打勝ツ、其ノ打
勝タシムル爲ニ、邦船同志ノ競爭ヲ、無駄
ナ競爭ヲ防止シ、無駄ナ費用ヲ使ハナイヤ
ウニ、サウシテ餘力ヲ蓄ヘテ外國船ト競爭
ヲサセヤウト云フコトガ、私共ノ根本趣旨
デアリマシテ、此ノ法案ヲ提出致シマシタ
譯デアリマス、尙外國關係ニ付キマシテハ、
外務當局者ヨリ御答辯申上ゲル方ガ宜カラ
ウト存ジマス、ドウソ左樣御承知ヲ願ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=33
-
034・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 政府委員
〔政府委員猪野毛利榮君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=34
-
035・猪野毛利榮
○政府委員(猪野毛利榮君) 只今外務大臣
ハ樞密院ニ行ッテ居リマスルカラ、私ガ代ツ
テ御答辯ヲ申上ゲタイト存ジマス、德川侯
爵ノ外務省關係ニ付テノ御質問ハ、第二點
ト第三點デアルト考ヘマス、卽チ第二點ハ
日本品ノ輸出ガ旺盛ノ時ニ於テハ、寧ロ通
商擁護法ノ如キモノヲ發動サセテモ、シッカ
リヤルベキ時デアルガ、コンナ時ニ統制法
ヲ出シタリシテハ外國ニ乘ゼラレル虞ハナ
イカ、斯ウ云フ御趣旨ノヤウニ拜承ヲ致シ
マシタ、御存ジノ通リ、通商擁護法ハ、日
本ガ輸入超過ノ場合ニ是ハ發動スベキモノ
デアリマシテ、輸出超過ノ場合ニハ發動セ
ナイ方ガ宜シカラウト思ウテ居リマス、若
シ之ヲ發動致シマスレバ、却テ相手國カラ
イヂメラレテ損害ヲ受ケル、斯ウ云フ狀態
ニナル次第デアル、尙此ノ統制法ハ外國ト
ノ競爭ヲ强化シ得ル爲ニ、日本人間ノ不要
ナル競爭ヲ防止シ得マスルカラ、外國カラ
ハ却テ乘ゼラレルト云フヤウナコトナク、
寧ロ日本ニ於テ此ノ統制法ガ出來タコトヲ、
彼等ハ關心ヲ以テ見ルダラウ、斯ウ云フ見
解ヲ私共ハ持ッテ居ルノデアリマス、ソレカ
ラ第三點デアリマスガ、帝國臣民又ハ帝國
法人ニ非ザルモノヲ如何ニシテ取締ルカ、
斯ウ云フ御趣旨ノヤウニ拜聽致シマシタガ、
帝國臣民又ハ帝國ノ法人ニ非ザルモノガ內
地ニ入ッテ來タ時ニ、初メテ通商條約ノ許ス
範圍內ニ於テ、之ヲ取締ルベキモノデアル
ト考ヘラレマスルカラ、是ハ尙勅令ヲ以テ
定メルコトニ致シタイト存ジマス、以上ヲ
以テ私ノ答辯ト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=35
-
036・徳川義親
○侯爵德川義親君 時間ガゴザイマセヌカ
ラ、私ノ質問ハ是デ打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=36
-
037・池田政時
○子爵池田政時君 只今議題トナリマシタ
航路統制法案、是モ亦重要ナル法案デゴザ
イマスカラ、其ノ特別委員ノ數ヲ十五名ト
シ、其ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提
出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=37
-
038・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=38
-
039・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 池田子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=39
-
040・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔角倉書記官則讀〕
航路統制法案特別委員
公爵一條實孝君侯爵德川義親君
伯爵堀田正恒君子爵野村益三君
子爵松平保男君子爵井上勝純君
男爵東久世秀雄君黑崎定二君
男爵近藤滋彌君男爵橋元正輝君
竹越與三郞君坂野鉄次郞君
八田嘉明君橋本辰二郞君
野村德七君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=40
-
041・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 日程第六、重要
肥料業統制法案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會、小川商工大臣
重要肥料業統制法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十一年五月十九日
衆議院議長富田幸次郞
貴族院議長公爵近衞文麿殿
重要肥料業統制法案
重要肥料業統制法
第一條本法ハ肥料ノ需給ノ圓滑及價格
ノ公正ヲ圖リ肥料製造業及農業經營ノ
改善發達ヲ期スルコトヲ目的トス
第二條本法ノ適用ヲ受クル肥料ノ種類
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ニ於テ肥料製造業ト稱スルハ命令
ノ定ムル所ニ依リ肥料ヲ製造スル事業
ヲ謂フ
第三條肥料製造業者ハ肥料ノ需給ノ圓
滑及價格ノ公正ヲ圖リ肥料製造業ノ改
善發達ヲ期スル爲政府ノ認可ヲ受ケ肥
料ノ種類別ニ肥料製造業組合ヲ設立ス
ルコトヲ得
第四條肥料製造業者肥料製造業組合ヲ
設立セザル場合ニ於テ政府必要アリト
認ムルトキハ肥料製造業者ニ對シ肥料
製造業組合ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル
者命令ノ定ムル所ニ依リ設立ノ認可ヲ
申請セザルトキハ政府ハ定款ノ作成其
ノ他設立ニ關シ必要ナル處分ヲ爲スコ
トヲ得
第五條肥料製造業組合ハ法人トス
肥料製造業組合ハ營利ヲ目的トシテ其
ノ事業ヲ營ムコトヲ得ズ
第六條肥料製造業組合ハ左ノ事業ヲ行
フコトヲ得
一肥料ノ製造總數量及各組合員ニ對
スル其ノ割當ノ決定、肥料ノ販賣價
格ノ決定其ノ他肥料ノ生產又ハ販賣
ニ關スル決定
二組合員ノ委託ニ依ル肥料ノ販賣但
シ前號ノ決定ヲ實行スル爲必要アル
場合ニ限ル
三組合員ノ肥料製造業ニ必要ナル物
ノ供給
四其ノ他組合ノ目的達成上必要ナル
事業
第七條肥料製造業組合ハ設立ノ認可ア
リタル時又ハ第四條第二項ノ規定ニ依
リ定款ノ作成アリタル時成立ス
肥料製造業組合ノ設立アリタルトキハ
主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登
記ヲ爲スベシ登記シタル事項中ニ變更
ヲ生ジタルトキ亦同ジ
肥料製造組合ノ設立又ハ登記シタル事
項ノ變更ハ其ノ登記ヲ爲スニ非ザレバ
之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第八條肥料製造業組合ハ肥料ノ種類每
ニ一箇トス
第九條肥料製造業組合ニハ所得稅及營
業收益稅ヲ課セズ
第十條肥料製造業組合ノ設立アリタル
トキハ其ノ種類ノ肥料製造業者ハ其ノ
組合ノ組合員トス
肥料製造業組合ハ政府ノ認可ヲ受ケ本
法施行地域外ニ於テ肥料製造業ヲ營ム
者ヲ組合員ト爲スコトヲ得
第十一條肥料製造業組合第六條第一號
ノ決定ヲ爲シタルトキハ命令ノ定ムル
所ニ依リ其ノ實施前豫メ之ヲ政府ニ屆
出デ其ノ承認ヲ受クベシ
肥料製造業組合ノ組合員ハ前項ノ規定
ニ依ル屆出前ニ於テハ其ノ決定ニ基キ
肥料ノ生產又ハ販賣ヲ爲スコトヲ得ズ
屆出後命令ノ定ムル期間內亦同ジ
政府肥料ノ需給ノ圓滑又ハ價格ノ公正
ヲ圖ル爲其ノ他公益上必要アリト認ム
ルトキハ第一項ノ決定ノ全部又ハ一部
ノ變更又ハ取消ヲ爲スコトヲ得
第十二條肥料製造業者又ハ肥料製造業
組合ハ政府ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ
肥料ノ生產、販賣、輸出、輸入、移出
又ハ移入ニ關シ統制協定ヲ爲スコトヲ
得ズ
第十三條肥料製造業組合肥料ノ製造總
數量及各組合員ニ對スル其ノ割當ノ決
定又ハ肥料ノ販賣價格ノ決定ヲ爲サザ
ル場合ニ於テ政府公益上必要アリト認
ムルトキハ其ノ決定ヲ爲スベキコトヲ
命ズルコトヲ得
第十四條政府公益上必要アリト認ムル
トキハ肥料製造業組合ノ組合員ニ對シ
肥料ノ生產又ハ販賣ニ關スル組合ノ決
定ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十五條政府ハ肥料製造業組合又ハ其
ノ組合員ニ對シ其ノ業務ニ關シ報〓ヲ
爲サシメ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ
發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ當
該官吏ヲシテ肥料製造業組合又ハ其ノ
組合員ノ事務所其ノ他ノ場所ニ臨檢シ
業務ノ狀況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件
ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於
テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシム
ベシ
第十六條肥料製造業組合ノ決議又ハ組
合ノ役員ノ行爲ガ法令、定款若ハ政府
ノ處分ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害
シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ
政府ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一決議ノ取消
二役員ノ解任
三組合ノ事業ノ停止
四組合ノ解散
第十七條本法ニ規定スルモノヲ除クノ
外肥料製造業組合ノ設立、登記、組織、
管理、解散、〓算其ノ他組合ニ關シ必
要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條政府公益上必要アリト認ムル
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ期間ヲ定
メ肥料ノ輸出又ハ輸入ヲ制限スルコト
ヲ得
第十九條第十一條第三項ノ規定ニ依ル
處分、前條ノ規定ニ依ル制限其ノ他本
法施行ニ關スル重要事項ニ付政府ノ諮
問ニ應ゼシムル爲重要肥料業委員會ヲ
置ク
重要肥料業委員會ニ關スル規程ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第二十條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五千圓以下ノ罰金ニ處ス
一第十一條第二項ノ規定ニ違反シータ
ル者
二第十二條ノ規定ニ違反シ政府ノ許
可ヲ受ケズシテ統制協定ヲ爲シタル
者
三第十四條ノ規定ニ依ル命令ニ違反
シタル者
四第十八條ノ規定ニ依ル制限ニ違反
シ肥料ノ輸出又ハ輸入ヲ爲シタル者
前項第四號ノ場合ニ於テハ其ノ肥料ハ
之ヲ沒收スルコトヲ得若シ其ノ全部又
ハ一部ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ
其ノ價額ヲ追徵スルコトヲ得
第二十一條第十三條ノ規定ニ依ル命令
ニ違反シタル者ハ三千圓以下ノ罰金ニ
處ス
第二十二條正當ノ事由ナクシテ第十五
條ノ規定ニ依ル報〓ヲ爲サズ若ハ虚僞
ノ報告ヲ爲シ又ハ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若
ハ忌避シ其ノ他政府ノ命令又ハ處分ニ
違反シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處
ス
第二十三條當該官吏又ハ其ノ職ニ在リ
タル者本法ニ依ル職務執行ニ關シ知得
シタル個人又ハ法人ノ業務上ノ祕密ヲ
漏洩シ又ハ竊用シタルトキハ一年以下
ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
職務上前項ノ祕密ヲ知得シタル他ノ公
務員又ハ公務員タリシ者其ノ祕密ヲ漏
洩シ又ハ竊用シタルトキ罰前項ニ同ジ
第二十四條肥料製造業組合、肥料製造
業組合ノ組合員、肥料製造業者其ノ他
肥料ニ關スル業ヲ爲ス者ハ其ノ代理人、
戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其
ノ業務ニ關シ本法若ハ本法ニ基キテ發
スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違
反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザル
ノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得
ズ
第二十五條本法又ハ本法ニ基キテ發ス
ル命令ニ依リ適用スベキ罰則ハ其ノ者
ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他
ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成
年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定
代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成
年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ
付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十六條肥料製造業組合第十一條第
一項ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲サザルトキ
ハ組合ノ役員ヲ五百圓以下ノ過料ニ處
ス
第二十七條肥料製造業組合本法又ハ本
法ニ基キテ發スル命令ニ依ル登記ヲ爲
スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ爲シタ
ルトキハ組合ノ役員又ハ〓算人ヲ三百
圓以下ノ過料ニ處ス
第二十八條非訟事件手續法第二百六條
乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料
ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
登錄稅法第十九條第七號中「又ハ輸出組
合聯合會」ヲ「、輸出組合聯合會又ハ肥料製
造業組合」ニ、「又ハ輸出組合法」ヲ、「輸出
組合法又ハ重要肥料業統制法」ニ改ム
〔國務大臣小川〓太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=41
-
042・小川郷太郎
○國務大臣(小川〓太郞君) 只今議題トナ
リマシタ重要肥料業統制法案ハ、商工、農
林兩省ノ共同提案ニ係ルモノデアリマスル
ガ、便宜上私カラ大體ノ趣旨ヲ御說明申上
ゲマス、申ス迄モナク肥料ハ全國民ノ過半
數ヲ占メ、而モ其ノ大部分ガ過小經營者デ
アル農家ノ必需品デアリマシテ、肥料代ハ
是等農家ノ農業經營ニ要スル現金支出中、相
當大ナル部分ヲ占メテ居ルモノデアリマス
ルガ故ニ、農家ニ肥料ヲ豐富且低廉ニ供給
致シマシテ、農業生產費ノ低減ヲ圖ルコト
ハ啻ニ農家經濟改善上ノ急務デアリマス
ノミナラズ、我ガ國全般ノ經濟政策ノ上カ
ラ見マシテモ、亦最モ緊要ト存ズル次第デ
アリマス、肥料ヲ豐富且低廉ニ供給致シマ
スル爲ニハ、販賣肥料中ノ指導的地位ヲ占
ムル化學肥料ニ付キマシテ、其ノ需給ノ圓
滑ト價格ノ公正ヲ圖ルコトガ最モ肝要ト存
ゼラレルノデアリマス、而シテ是等ノ化學
肥料ヲ製造スル化學肥料工業ハ、一面ニ於
テ基礎工業トシテ、他面ニ於テ軍需工業ト
シテ、產業上竝ニ國防上極メテ重要ナル地
位ヲ占メテ居ルモノデアリマス、從ッテ其ノ
製品ノ需給ノ圓滑ト價格ノ公正ヲ圖リマシ
テ、斯業經營ノ安定ヲ期シ、其ノ事業ノ改
善發達ヲ圖リマスコトハ、獨リ農業トノ關
係カラ見テ最モ緊要デアリマスノミナラズ、
產業上竝ニ國防上カラ考ヘマシテモ、極メ
テ必要デアルト申サナケレバナリマセヌ、
然ルニ現在ノ肥料ノ配給狀態ヲ見マスルニ、
或モノハ今尙其ノ製造事業ノ發達ガ十分ト
云フ域ニ達シテ居ナイ爲ニ、年々相當數量
ノ生產不足ヲ生ジマシテ、價格モ亦騰貴シ
勝チデアリ、又或モノハ生產過剩ニ陷リマ
シテ、其ノ事業ノ安定ヲ得難イ狀態デアリ
マス、本法ハ是等ノ肥料ニ付キマシテ、其
需給關係ヲ調節シ、需給ノ圓滑ヲ期シマ
スルト共ニ、出來ルダケ其ノ價格ヲ低廉ナ
ラシムルト云フ意味ニ於テ、公正ナル價格
ノ維持ヲ圖リマシテ、依ッテ以テ一面ニ於
テハ農家ノ利益ヲ保護シ、農家經濟ノ改善
ニ資シ、他面ニ於テハ肥料製造業ノ基礎ヲ
安定セシメ、其ノ事業ノ合理的ナル發達ヲ
促スコトヲ目的トシテ立案致シタモノデア
リマス、尙政府ハ曩ニ第六十七囘帝國議會
ニ肥料業統制法案ヲ提出致シマシタノデア
リマスルガ、今囘提案致シマシタ本法律案ノ
立案ニ當リマシテハ、曩ノ議會ニ於ケル各
種ノ論議ノ外、更ニ當業者及消費者ノ團體
ノ意見モ參酌致シマシテ、現下ノ情勢ニ對
處シテ、肥料ノ需給ノ圓滑ト價格ノ公正ヲ
圖リマス上ニ最モ適切妥當デアルト考ヘラ
レル方策ヲ考究シ、其ノ成案ヲ得タ次第デ
アリマス、詳細ハ更ニ委員會ニ於キマシテ
御說明申上ゲルコトト致シマスガ、何卒十
分御審議ノ上、御協賛アラムコトヲ希望致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=42
-
043・池田政時
○子爵池田政時君 重要肥料業統制法案、
此ノ法案モ亦重要法案デアリマスガ故ニ、
其ノ特別委員ノ數ヲ十五名トシテ、其ノ指
名ヲ議長ニ一任ノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=43
-
044・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=44
-
045・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 池田子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=45
-
046・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔角倉書記官朗讀〕
重要肥料業統制法案特別委員
公爵鷹司信輔君侯爵井上三郞君
伯爵酒井忠正君子爵靑木信光君
子爵〓岡長言君子爵高橋是賢君
柴田善三郞君男爵辻太郞君
男爵伊藤一郞君男爵岩村一木君
藤山雷太君內藤久寛君
江口定條君松澤〓次郞君
水野甚次郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=46
-
047・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第七、產繭
處理統制法案、日程第八、蠶絲業組合法中改
正法律案、日程第九、蠶絲業法中改正法律
案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、
委員長報〓、是等ノ三案ヲ一括議題トナス
コトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=47
-
048・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、委員長大森男爵ノ登壇ヲ望ミマス
產繭處理統制法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十一年五月十九日
委員長男爵大森住
貴族院議長公爵近衞文麿殿
蠶絲業組合法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十一年五月十六日
委員長男爵大森住
貴族院議長公爵近衞文麿殿
蠶絲業法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十一年五月十九日
委員長男爵大森住一
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔男爵大森佳一君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=48
-
049・大森佳一
○男爵大森佳一君 只今議題ニナリマシタ
三箇ノ法律案ニ付キマシテハ、御付託ニナ
リマシタ以來、委員會ハ熱心ナル審議ヲ遂
ゲマシテ、玆ニ其ノ〓況ヲ御報告申上グル
コトニナッタノデアリマス、先ヅ產繭處理統
制法案ハ、產繭處理ニ關スル組織及方法ニ
關スル改善ヲ致シテ、政府當局ノ言葉ヲ藉
リテ申シマスルナラバ、繭ノ處理ヲ合理化
シ且公正圓滑ナラシメテ、以テ養蠶及製絲
業ノ改善向上ヲ圖リ、延イテ繭絲價ノ安定
ニ資セシムルコトヲ目的トシテ居ルノデア
リマシテ、其ノ內容ヲ少シク申上ゲマスル
ナラバ、第一ニ從來僅カナ日數ニイヤデモ
必ズ賣ラナケレバナラナイ、處分セネバナ
ラナイ事情ニ置カレマシタル生繭ノ所謂成
行取引ヲ、成ルベク出來ルダケ乾繭取引
ニ、若シクハ特約取引ニ、若シクハ組合製
絲等ノ合理的ナル方法形態ニ導カウトス
ル、所謂一種ノ指導精神ヲ定メマシテ、業
者ノ嚮フ所ヲ明カニスルト云フコトガ一ツ、
第二ハ繭取引ヲ公正圓滑ナラシムル爲ニ、
取引所ノ第三者ノ檢定ノ制度ヲ設ケマシ
テ、檢定取引ヲ强制スルト云フコトガ一
ツ、第三ハ特約取引ノ改善竝ニ取扱方針ノ
統一ヲ圖ル爲ニ、其ノ認可制度ヲ設ケタイ
ト云フコトガ一ツ、第四ニ產繭處理ニ關ス
ル關係團體ノ自治的統制ヲ强制的ニ之ヲ補
强スル、確保スルト云フコトガ一ツ、此ノ
四ツガ產繭處理統制法案ノ要點デゴザイマ
ス、他ノ二ツノ法律案ハ何レモ蠶絲業團體
ノ整備ニ關スル所ノ改正デゴザイマシテ、
蠶絲業組合法中改正法律案ノ要點ハ、養蠶
業組合ノ組織構成ヲ改善シテ、其ノ自治的
統制ノ强化ヲ圖ルト共ニ養蠶實行組合ノ設
立及解散ヲ行政官廳ノ認可制度トスルコト
デアリマス、又蠶絲業法中改正法律案ノ要
點ハ、蠶絲業者ノ共同施設ニ關スル組合制
度ヲ設ケマシテ、其ノ經營ノ改善、合理化
ヲ圖ル爲ニ、從來製絲業法中ニアリマシタ
所ノ製絲業者ノ生絲共同施設組合制度ニ關
スル規定ヲ蠶絲業法中ニ移シ換ヘマシテ、
組合構成ノ業者ノ範圍ヲ獨リ製絲業者ノミ
ナラズ、他ノ蠶絲業者ニモ及ボスヤウニ致
シテ居ルノデアリマス、抑、、我ガ國ノ蠶絲業
ガ、農村ハ勿論ノコト、國民經濟竝ニ貿易
上ニ於キマシテ、極メテ重要ナ地位ヲ占メ
テ居リマスルコトハ申上ゲルマデモナイコ
トデアリマス、然ルニ此ノ重要產業タル蠶
絲業ガ、最近海外經濟界ノ影響ト、竝ニ人
造絹絲工業ノ躍進トニ依リマシテ、著シイ
打擊ヲ受ケツヽアリマスルコトハ誠ニ遺憾
トスル所デアリマス、サウシテ此ノ際蠶絲
業ノ更生ヲ圖リマスルコトハ、極メテ我ガ
國ト致シマシテ緊要ナルコトト言ハナケレ
バナリマセヌ、從ッテ政府ニ於キマシテモ、
蠶絲業ノ更生刷新ヲ圖ル爲ニ恆久的ノ方策
ノ樹立、實行ニ付テ種々ト努力ヲ盡シテ居
ルヤウデアリマスルシ、是亦然ルベキコト
ト存ズルノデアリマスル、卽チ是等ノ三法
案ノ恆久的方策ノ具體的施設ノ一端トシテ
極メテ重要デアリ、急施ヲ要スル所ノモノ
デアルト存ゼラレマス、御承知ノ如ク此ノ
法案ハ所謂農村關係ノ重要法案トシテ、殊
ニ前々議會以來種々論議ノ多カッタモノデ、
法案ハ曾テ審議未了トナッタモノデアリマ
ス、併シナガラ今囘ノ提案ニ付キマシテ
ハ、政府ニ於テ其ノ後民間ニ於ケル輿論ニ
モ能ク之ヲ聽キ、十分ノ考究ヲ遂ゲテ產繭
法案第一條、第五條ニ於テ適當ナル修正ヲ
加ヘラレタ結果、今囘ノ業界ニ於キマシテ
モ擧ッテ之ガ成立ヲ希望シテ居ルト云フヤ
ウナ情勢デアルト云フコトデゴザイマス、
ソコデ委員會ニ於キマシテハ以上申述ベマ
シタヤウナ諸種ノ點ヲ中心ト致シマシテ、
當局トノ間ニ種々質疑應答ヲ重ネマシテ
尙技術ニ亙ルコトニ付キマシテモ、特ニ技
術官ノ說明ヲモ聽取致シマシタノデアリマ
シテ、其ノ詳細ノコトニ付キマシテハ速記
錄ニ依ッテ御承知ヲ願ヒタイノデアリマス
ガ、主ナルモノ二三ヲ申上ゲテ見マスル
ナラバ、輸出生絲販賣統制施設ノ必要論ノ
如キ、普通蠶種ノ國家管理制度ヲ調査〓究
スルト云フコトノ如キ、特約取引ノ認可、
竝ニ檢定取引ノ强制等ニ關シマシテ、其ノ
執行ヲ能ク注意深ク圓滿ナラシメナケレバ
イケナイト云フヤウナコト等ノ問題ニ付キ
マシテ、各委員ヨリ質問若シクハ意見ガ出
タノデアリマシテ、之ニ對シマシテモ政府
ハ十分ニ考究ヲ致シ、ソレゾレ其ノ意圖ニ
副フヤウニスルト云フ趣旨ノ答辯ガアリマ
シタ次第デゴザイマス、之ヲ要シマスルニ
委員會ニ於キマシテハ、右三法案ガ蠶絲業
ニ關スル恆久方策トシテ、極メテ緊要適切
デアルコトヲ認メ、一面ニハ法案ニ對スル
業界ノ情勢ニ鑑ミマシテ、委員會ハ全會一
致ヲ以テ原案ノ通リ可決致シタ次第デゴザ
イマス、尙產繭處理法案ニ付キマシテハ、
次ノ希望決議ヲ併セテ可決致シタ次第デア
リマシテ、希望決議ヲ朗讀致シマスルナラ
バ
政府ハ輸出生絲販賣統制ニ關スル成案ヲ
速ニ議會ニ提出セラレムコトヲ望ム
ト云フ一項デアリマス、是ハ申ス迄モナク
蠶絲業統制上、將又其ノ恆久方策トシマシ
テ、殘サレタル一ツノ重要ナル懸案事項デ
アリマス、我々ト致シマシテハ此ノ產繭處
理統制法案ヲ可決スルト共ニ、之ガ促進ヲ
期スルコトヲ必要ト認メマシテ、此ノ委員
會ハ此ノ要望ヲ表明シタ次第デアリマス、
以上委員會ニ於ケル審議ノ經過竝ニ結果ヲ
御報告致シマシタ次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=49
-
050・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 別ニ御發言モナ
ケレバ三案ノ採決ヲ致シマス、三案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ガゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=50
-
051・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=51
-
052・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=52
-
053・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=53
-
054・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 直チニ第二讀會
ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=54
-
055・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=55
-
056・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 第二讀會、全部
ヲ、御異議ガナケレバ問題ニ供シマス、三
案全部、委員長ノ報告通リデ御異議ガゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=56
-
057・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=57
-
058・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=58
-
059・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=59
-
060・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=60
-
061・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=61
-
062・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 第三讀會、全部
第二讀會ノ決議通リデ御異議ガゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=62
-
063・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=63
-
064・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第十、昭和
九年度歲入歲出總決算、昭和九年度各特別
會計歲入歲出決算報告、日程第十一、昭和
九年度國有財產增減總計算書報〓、會議、
委員長報〓、是等兩報告ハ一括シテ委員長
ノ報告ヲ煩ハスコトニ御異議ガゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=64
-
065・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、委員長東久世男爵
昭和九年度歲入歲出總決算竝昭和九年度
各特別會計歲入歲出決算及旣往年度檢査
未確定金額ノ檢査確定シタルモノヲ審査シ
第一
昭和九年度歲入歲出總決算歲入經常
部第一款租稅第一項所得稅申幸橋稅
務署、小樽稅務署、長崎稅務署、北
稅務署、倉敷稅務署、幸橋稅務署、
小松稅務署ノ徵收不足ニ係ルモノ七
件下京稅務署ノ徵收過ニ係ル件、
第三項營業收益稅中小樽稅務署、北
稅務署ノ徵收不足ニ係ルモノ二件、
第二款印紙收入第一項印紙收入中安
藝區裁判所浮津出張所外一箇所ノ登
錄稅トシテ印紙ヲ以テ納付セシメタ
ル件、第三款官業及官有財產收入第
一項森林收入中東京營林局ノ收入ニ
至ラサリシ件、第六款雜〓入第一項
免許及手數料中靑島總領事館ニ於テ
歲入ニ編入スヘキ件、第三項辨償及
違約金中東京遞信局ニ於テ歲入ニ編
入スヘキ件、第十一項雜入中農林省
ニ於テ歲入ニ編入スヘキ件、京都府及
靑森縣ニ於テ歲入ニ編入スヘキ件
昭和九年度歲入歲出總決算歲入臨時
部第二款雜收入第三項返納金中大藏
省ノ收入未濟ニ係ル件、第四款公共國
體工事費分擔金第一項治水事業費分
擔金中宮崎縣ノ收入未濟ニ係ル件
昭和九年度歲入歲出總決算歲出經常
部陸軍省所管第二款軍事費第四項衣
糧費中陸軍被服本廠ノ支出ニ係ル
件第五項兵器及馬匹費中陸軍兵器
本廠ノ支出ニ係ル件
昭和九年度歲入歲出總決算歲出經常
部海軍省所管第二款軍事費第五項造
船造兵及修理費中海軍省經理局ノ支
出ニ係ル件、第九項艦營費中吳海軍
經理部ノ支出ニ係ル件
昭和九年度歲入歲出總決算歲出臨時
部內務省所管第四款道路改良費第一
項道路改修及助成費中神奈川縣ノ支
出ニ係ル件、第九款北海道拓殖費第
六項河川費中北海道廳ノ支出ニ係ル
件
昭和九年度歲入歲出總決算歲出臨時
部陸軍省所管第二款國防充備費第三
項兵器其他整備費中陸軍兵器本廠ノ
支出ニ係ル件、第十六款滿洲事件費
第一項滿洲事件費中陸軍省經理局主
計課ノ支出ニ依ルモノ一一件
昭和九年度歲入歲出總決算歲出臨時
部海軍省所管第三款航空隊設備費第
一項航空隊設備費中吳海軍經理部ノ
支出ニ係ル件
昭和九年度歲入歲出總決算歲出臨時
部農林省所管第一款產業奬勵費第二
項開墾及土地改良費中農林省ノ支出
ニ係ル件、第二十款農業土木費第四
項助成費中農林省ノ支出ニ係ルモノ
二件、大分縣ノ支出ニ係ル件
昭和九年度各特別會計歲入歲出決算
外務省所管對支文化事業歲出第一款
對支文化事業費第三項事業費中外務
省ノ支出ニ係ル件
昭和九年度各特別會計歲入歲出決算
大藏省所管專賣局歲出第一款專賣局
作業費第二項事業費中東京地方專賣
局ノ支出ニ係ル件
昭和九年度各特別會計歲入歲出決算
大藏省所管關東局歲入經常部第一款
租稅第三項所得稅中大連民政署ノ徵
收不足ニ係ル件
昭和九年度各特別會計歲入歲出決算
陸軍省所管陸軍造兵廠歲出第一款陸
軍造兵廠作業費第三項材料素品費中
陸軍造兵廠小倉工廠ノ支出ニ依ル件、
陸軍造兵廠火工廠ノ支出ニ係ル件
昭和九年度各特別會計歲入歲出決
算文部省所管官立大學歲入經常部第
一款官立大學第三項諸收入中長崎醫
科大學ノ徵收ニ至ラサリシ件、歲出
經常部第一款官立大學第二項校費中
岡山外六醫科大學ノ支出ニ係ル件、金
澤醫科大學ノ支出ニ係ル件
昭和九年度各特別會計歲入歲出決算
遞信省所管通信事業業務勘定歲出第
一款通信業務費第三項諸拂戾立替及
補塡金中貯金局ノ支出ニ係ル件
同上簡易生命保險歲出第一款簡易生
命保險費第二項事業費中簡易保險局
ノ支出ニ係ル件
昭和九年度各特別會計歲入歲出決算
鐵道省所管帝國鐵道資本勘定歲入第
一款資金收入第二項公債金中鐵道省
ノ收入ニ係ル件、第三項雜收入中鐵
道省ノ徴牧ニ係ル件
同上用品勘定歲入第一款用品及工作
收入第一項用品及工作收入中鐵道省
ノ徴收ニ係ル件、歲出第一款用品及
工作費第一項用品及工作費中鐵道省
ノ支出ニ係ルモノ二件
同上收益勘定歲入第一款作業收入第
二項雜收入中鐵道省ノ徵收ユ係ル件
昭和九年度各特別會計歲入歲出決算
拓務省所管朝鮮鐵道用口資資歲出第
一款朝鮮鐵道用品費第二項用品及工
作費中朝鮮總督府鐵道局ノ支出ニ係
ル件
昭和九年度各特別會計歲入歲出決算
拓務省所管臺灣總督府歲出經常部第
十三款交通局第三項遞信事業費中臺
灣總督府交通局遞信部ノ支出ニ係ル
件、臺灣官設鐵道用品資金歲出第一
款用品及工作費第一項用品及工作費
中臺灣總督府交通局鐵道部ノ支出ニ
係ル件
昭和六年度歲入歲出總決算歲入經常
部第一款租稅第一項所得稅中永代橋
稅務署ノ徵收過ニ係ル件、第三項營
業收益稅中永代橋稅務署ノ徵收過ニ
係ル件、神田橋稅務署ノ徵收不足ニ
係ル件
昭和六年度歲入歲出總決算歲出經常
部司法省所管第三款刑務費第二項事
務費中鹿兒島刑務所ノ支出ニ係ル
件第三項收容費中鹿兒島刑務所ノ
支出ニ係ル件
昭和六年度歲入歲出總決算歲出臨時
部司法省所管第二款營繕費第二項新
營費中鹿兒島刑務所ノ支出ニ係ル件
昭和七年度歲入歲出總決算歲入經常
部第一款租稅第一項所得稅中淀橋稅
務署、幸橋稅務署、米澤稅務署ノ徵
收不足ニ係ルモノ三件
昭和七年度歲入歳出總決算歲出經常
部司法省所管第三款刑務費第三項收
容費中鹿兒島刑務所ノ支出ニ係ル件
昭和七年度歲入歲出總決算歲出臨時
部内務省所管第七款北海道拓殖費第
五項道路橋梁費中北海道廳ノ支出ニ
係ル件
昭和七年度各特別會計歲入歲出決算
文部省所管官立大學歲出經常部第一
款官立大學第二項校費中大阪工業大
學ノ支出ニ係ル件、歲出臨時部第二
款災害費第二項大阪工業大學應用化
學科實驗室其他火災復舊費中大阪工
業大學ノ支出ニ係ル件
昭和七年度各特別會計歲入歲出決算
拓務省所管臺灣總督府歲入經常部第
一款租稅第六項所得稅中臺南州ノ徵
收不足ニ係ル件
昭和八年度歲入歲出總決算歲入經常
部第一款租稅第一項所得稅中〓戶稅
務署、布施稅務署、小松稅務署、永
代橋稅務署、神田橋稅務署、北稅務
署、京橋稅務署ノ徵收不足ニ係ルモノ
七件、第三項營業收益稅中總戶稅務
署、布施稅務者、永代橋稅務署、北
稅務署、京橋稅務署ノ徵收不足ニ係
ルモノ五件、第五項相續稅中長岡稅
務署ノ徵收ニ係ル件
昭和八年度歲入歳出總決算歲出臨時
部農林省所管第十九款農村經濟更生
施設費第三項助成費中農林省ノ支出
ニ係ル件
昭和八年度各特別會計歲入歲出決算
文部省所管帝國大學歲出經常部第五
款北海道帝國大學第二項校費中北海
道帝國大學ノ支出ニ係ル件
同上學校及圖書館歲出經常部第一款
學校及圖書館第二項校館費中第六高
等學校ノ支出ニ係ル件
昭和八年度各特別會計歲入歲出決算
拓務省所管朝鮮總督府歲入經常部第
一款租稅第二項所得稅中京城府ノ徵
收不足ニ係ル件、朝鮮鐵道用品資金
歲出第一款朝鮮鐵道用品費第二項用
品及工作費中朝鮮總督府鐵道局ノ支
出ニ係ルモノ二件
昭和八年度各特別會計歲入歲出決算
拓務省所管臺灣總督府歲入經常部第
一款租稅第二項所得稅中臺北州、臺
中州ノ徵收不足ニ係ルモノ二件、臺
南州ノ徵收過ニ係ル件
昭和八年度各特別會計歲入歲出決算
拓務省所管關東廳歲入經常部第一款
租稅第三項所得稅中大連民政署ノ徵
收不足ニ係ル件
右ハ政府ニ對シ將來ノ注意ヲ促スヘキモ
ノト認ム
第二
其ノ他異議ナシ
右ノ通議決セリ依テ及報〓候也
昭和十一年五月十八日
委員長男爵東久世秀雄
貴族院議長公爵近衞文麿殿
昭和九年度國有財產增減總計算書ヲ審査
第一
高雄州ノ徵收ニ係ル潮州郡新埤庄外
二庄所在官有原野ノ貸付ヲ爲シタル
件
臺北州ノ徵收ニ係ル臺北州海山郡三
峡庄所在官有原野ノ貸付及拂下ヲ爲
シタル件
右ハ政府ノ措置穩當ヲ關クモノト認ム
第二
鐵道省ノ徵收ニ係ル東京市深川區洲
崎辨天町地先所在埋立豫定地ヲ貯木
場トシテ使用許可ヲ爲シタル件
樺太廳眞岡林務署ノ徵收ニ至ラサル
林木賣拂ニ當リ監督其ノ宜シキヲ得
サル件
官有物中農林省ニ於テ東京米穀事務
所倉庫ノ利用其ノ宜シキヲ得サル件
官有物中鐵道省ニ於テ神戶市須磨區
及同市林田區所在國有地ノ管理其ノ
宜シキヲ得サル件(既往年度)
樺太廳及同廳元泊林務署ノ徵收ニ係
ル元泊郡知取東柵丹磯牛所在國有林
立木ヲ島外移出用トシテ拂下ヲ爲シ
タル件
樺太廳豐原林務署ノ徵收ニ係ル島內
用賣拂材ノ島外移出ニ當リ措置其ノ
宜シキヲ得サル件
樺太廳留多加林務署ノ徴收ニ係ル留
多加郡三〓村多蘭內所在國有林立木
ノ賣拂ヲ爲シタル件
樺太廳留多加林務署ニ於テ收入ニ至
ラサル國有林木ノ管理其ノ宜シキヲ
得サル件
右ハ政府ニ對シ將來ノ注意ヲ促スヘキモ
ノト認ム
第三
其ノ他異議ナシ
右ノ通議決セリ依テ及報〓候也
昭和十一年五月十八日
委員長男爵東久世秀雄
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔男爵東久世秀雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=65
-
066・東久世秀雄
○男爵東久世秀雄君 只今議題ニナリマシ
タ昭和九年度ノ決算竝國有財產增減總計算
書ニ付キマシテ、委員會ノ御報〓ヲ申上ゲ
やっ、昭和九年度歲入歲出ノ總決算ハ、歲
入ニ於キマシテ經常部ニ屬シマスルモノガ
十三億四千二百餘萬圓、臨時部ニ屬スルモ
ノガ九億四百餘萬圓、合計二十二億四千六
百餘萬圓デゴザイマス、之ニ對シマシテ歲
出ノ決算額ハ經常部ニ於キマシテ十二億二
千四百餘萬圓、臨時部ニ於キマシテ九億三
千八百餘萬圓、合計二十一億六千三百餘萬
圓デゴザイマス、歲入歲出ヲ差引キマシテ
八千三百餘萬圓ノ剩餘ヲ生ズル計算デゴザ
イマス、此ノ剩餘額カラ致シマシテ、昭和
十年度ニ繰越シマシテ歲入等ノ財源ニ充テ
マシタ金額七千二百餘萬圓ヲ差引キマス
ト、結局昭和九年度ニ於キマス一般會計ノ
純剩餘金ハ、一千百餘萬圓ト相成ル計算デ
ゴザイマス、此ノ剩餘金ハ、昭和八年度以
前ニ生ジマシタ剩餘金七百餘萬圓ヲ含ンデ
居ルノデゴザイマス、昭和九年度ニ於キマ
シテ新ニ生ジマシタ剩餘金ハ四百餘萬圓デ
ゴザイマス、此ノ外ニ特別會計ガ三十四會
計ニナッテ居リマシテ、其ノ決算金額ヲ一々
申上ゲマスコトハ繁雜ニ亙リマスカラ、詳
シクハ決算書類デ御承知戴キマシテ、玆ニ
申上ゲルコトヲ省略致シタイト思ヒマス、
次ニ國有財產增減總計算書ニ付テ申上ゲマ
ス、昭和九年度中ニ於キマシテ增加致シマ
シタ國有財產ノ額ハ十一億九百餘萬圓、減
少致シマシタ額ハ七億二千三百餘萬圓デゴ
ザイマス、結局昭和九年度ニ於キマシテ國
有財產ニハ三億八千六百餘萬圓ノ增加ト相
成ッタノデゴザイマス、從ッテ昭和九年度末
ニ於キマスル國有財產ノ總額ハ八十九億七
千九百餘萬圓トナリマス、此ノ增減ノ理由
ハ種々デゴザイマシテ、煩雜ニ亙リマスカ
ラ此處ニハ申上ゲマセヌ、委員會ハ去ル五
日ニ第一囘ヲ開會致シマシテ、政府ヨリ
般的ノ說明ヲ聽取リマシテ、決算ハ直チニ
各分科ニ付託ヲ致シマシタ、國有財產增減
書ハ先例ニ依リマシテ小委員ヲ選ビマシ
テ、小委員會ニ付託致シマシタ、分科會竝
ニ小委員會ハ審査期限ノ短イノニモ拘ラ
ズ、連日開會ヲサレマシテ、愼重ニ審査ヲ盡
サレ、去ル十八日ニ第二囘ノ委員會ヲ開會
致シマシテ、各分科ノ主査竝ニ小委員會ノ
委員長カラ詳細ナル報告ガゴザイマシテ、
其ノ報告通リ決定致シマシテ、御手許ニ廻ッ
テ居リマス報〓書ヲ提出致シタノデゴザイ
マス、委員會ニ於キマシテ議決セラレマシ
タ件數ハ政府ノ措置穩當ヲ闕クモノト認ム
ルモノ二件デゴザイマス、是ハ臺灣總督府
歲入ニ於キマシテ、官有原野ノ貸付又ハ處
分ニ關シマシテ其ノ措置宜シキヲ得ナカッ
タモノデゴザイマシテ、高雄州及臺北州ノ
徵收ニ係ルモノデゴザイマス、政府ニ對シ
テ將來ノ注意ヲ促スベキモノト認メタモノ
ガ九十六件デゴザイマス、其ノ主ナルモノ
ハ歲入ノ徵收過竝ニ歲入ノ徵收不足、物件ノ
購入、補助金ノ交付等ニ關スル件デゴザイマ
シテ、之ヲ一々申上ゲルコトハ省略致シマス、
其ノ他ハ全部異議ナイト云フコトニ相成ツ
タノデアリマス、次ニ政府ニ對シマシテ將來
ノ注意ヲ促スト云フ程度デハ輕キニ失スル
ト云フノデ、委員會ニ於キマシテハ更ニ希
望決議ヲ附加ヘテ議決セラレタノデゴザイ
マス、只今ソレヲ朗讀致シマス
昭和九年度決算ヲ審査スルニ外務省所管
在外公館竝文部省所管官立學校ニ於ケル
會計監督ニ付遺憾ノ點アリ、政府ハ將來
嚴密ナル注意アラムコトヲ望ム
ト云フノデゴザイマス、此ノ希望決議ト相
成リマシタ事項ハ、第一ハ一般會計ノ歲入ト
特別會計ノ對支文化事業費ノ外務省ノ支出
ニ係ル事業費ニ於キマシテ、靑島ノ總領事館
勤務ノ副領事ノ茂木某ガ大正十五年以降昭
和十年迄ノ間ニ於キマシテ收入印紙ノ賣却
代金、手數料、政府貸付金ノ利子、民團ニ
支給スベキ學校ノ補助金等約三十餘萬圓ヲ
橫領費消致シク事件デゴザイマス、之ニ對
シマシテハ政府ハ監督ノ不行屆ニ對シテ甚
ダ遺憾トスルコトヲ述べラレテ居リマス、
之ガ善後處置トシテ一般的ニ在外公館ニ對
シマシテ嚴重ナル訓令ヲ發セラレマシテ、
綱紀ノ肅正ニ努メテ居ルコトヲ申サレテ居
リマス、委員會ニ於キマシテハ論議ノ結果、
此ノ件ニ限ラズ廣ク在外公館ノ會計監督ト
云フ點ニ關シマシテ、嚴密ナル注意ヲ促ス
必要ガアルト認メマシテ、此ノ希望決議ガ
提出セラレタノデアリマス、第二ハ文部省
所管ノ特別會計ニ於キマシテ、大阪ノ工業
大學ニ於キマシテ、同大學ノ書記早川某ト
云フ者ガ、昭和四年カラ八年ノ三月ニ至ル
間ニ於キマシテ、物品ノ購入代金等ノ支拂
ヲナスニ當リマシテ、小切手ヲ橫領又ハ僞
造致シマシテ、總額八萬七千餘圓ヲ費消シ
タ事件デアリマス、政府ハ此ノ事件ニ對シ
マシテ監督ノ不十分デアッタコトヲ遺憾ト
セラレマシテ、將來十分ニ注意ヲスルト云
フコトヲ申サレテ居リマシタガ、委員會ニ
於キマシテハ此ノ事件ニ限ラズ昭和九年度
ノニ於キマシテ、他ニモ官立學校ノ職員ノ
不正事件ガアリマスノデ、一般的ニ希望決
議トシテ政府ニ嚴密ナル注意ヲ促ス必要ア
リトシテ希望決議ヲ附加ヘマシテゴザイマ
ス、次ニ國有財產ノ增減總計算書ニ付キマ
シテハ、國有財產ノ範圍、數量、價格竝ニ
其ノ算定ノ方法、整理增減ノ事由等ニ付キ
マシテ、詳細ニ愼重ニ審査ノ上全部承認ヲ
致シマシタノデゴザイマス、尙附加ヘテ申
上ゲマスコトハ、昭和四年ニ決算委員會ニ
於キマシテ希望トシテ決議セラレマシタ國
有財產法ヲ外地卽チ臺灣朝鮮等ニ施行スル
ノ問題デゴザイマス、其ノ後每年決算委員
會ニ於キマシテ論議セラレマシテ、質問應
答ガゴザイマシタガ、今囘政府ハ昭和十二
年度ノ初頭ニ於キマシテ、國有財產法ヲ外
地ニ施行スルヲ適當ト認メマシテ、本年度
ノ追加豫算ニ各外地ニ於キマス準備ノ經費
ヲ要求スルコトニ相成ッタサウデゴザイマ
ス、誠ニ結構ノコトト存ジマス、終リニ
言申上ゲマスコトハ、委員會ニ於キマシテ
一委員ヨリ致シマシテ、決算ニ關シ貴族院
ノ決議ニ對スル政府ノ善後處分ニ付キマシ
テ、文部省ノ事例ヲ引カレマシテ政府ノ意
嚮ヲ質問サレマシタ、之ニ對シマシテ又意
見ノ御陳述モゴザイマシテ、文部大臣ハ之
ニ對シマシテ御意見ニ副フヤウニ努力スル
旨ヲ述ベラレマシタ、尙學校ノ會計監督ニ
付テハ、一層嚴密ナル注意ヲスル旨ヲ言明
セラレマシタ、又決算ノ審査方針ニ付キマ
シテ、一委員カラ意見ノ陳述ガゴザイマシ
ク、ソレハ委員會ニ於キマシテ從來先例ト
シテ取扱ッテ居リマスル決算ノ審査方針ノ
四ツノ項目ガゴザイマス、是ガ審査報告ヲ
致シマス上ニ於キマシテ、當嵌マラナイ點
モアルヤウニ考ヘラレルカラ、今後調査考
究ノ上ニ適當ニ改メラルヽ必要ガアリハシ
ナイカト云フ意見ヲ述べラレマシタ、以上
ヲ以チマシテ決算委員會ノ報〓ヲ終ルコト
ニ致シマス、尙詳シイコトハ速記錄ヲ御覽
下サルコトヲ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=66
-
067・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 採決ヲ致シマス、
決算委員長ノ報告通リデ御異議ガゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=67
-
068・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、日程ハ是ニテ全部終了致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=68
-
069・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 報〓ヲ致シマス
〔角倉書記官朗讀〕
本日委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ
氏名左ノ如シ
職業紹介法中改正法律案特別委員會
委員長侯爵大隈信常君
副委員長高鳥順作君
重要輸出品取締法案特別委員會
委員長伯爵林博太郞君
副委員長男爵松岡均平君
米穀自治管理法案特別委員會
委員長子爵片桐貞央君
副委員長男爵高木喜寛君
本日委員長ヨリ豫算委員小久保喜七君ヲ第
六分科擔當委員ニ選定シタル旨ノ報〓書ヲ
提出セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=69
-
070・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 次會ノ日程ハ決
定次第、彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本
日ハ是ニテ散會致シマス
午後零時二十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01119360520&spkNum=70
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。