1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
漁船保險法案(政府提出)
漁船再保險特別會計法案(政府提出)
森林火災國營保險法案(政府提出)
森林火災保險特別會計法案(政府提出)
—————————————————————
會議
昭和十二年三月十九日(金曜日)午後二時四十四分開議
出席委員左の如し
委員長 紫安新九郎君
理事 小山邦太郎君 理事 横川重次君
野田文一郎君 日比野民平君
多田滿長君 高木粂太郎君
松尾四郎君 登坂良作君
小林かなえ君 東條貞君
益谷秀次君 田中彌助君
今給黎誠吾君 平野力三君
山崎釼二君
出席國務大臣左の如し
農林大臣 山崎達之輔君
出席政府委員左の如し
農林省山林局長 村上龍太郎君
農林省水産局長 原辰二君
本日の會議に上りたる議案左の如し
漁船保險法案(政府提出)
漁船再保險特別會計法案(政府提出)
森林火災國營保險法案(政府提出)
森林火災保險特別會計法案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=0
-
001・紫安新九郎
○紫安委員長 是ヨリ開會致シマス、漁船
保險法案、漁船再保險特別會計法案、之ヲ
一括致シマシテ直ニ討論ニ入リマス-多
田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=1
-
002・多田滿長
○多田委員 漁船保險ハ漁業者及ビ吾々多
年ノ要望デアリマシテ、漁業經營ノ安全ヲ
圖リ、延イテ漁業ノ改良發達ヲ促進スル意
味ニ於キマシテ、本法ノ提案ヲ見タト云フ
コトハ、今疲弊ニ陷ッテ居ル漁村、而モ何等
顧ミラレナイ、又救ハレザル漁業者ニ對シ
テ、一道ノ光明ヲ與ヘタモノトシテ、私共
ハ之ヲ歡迎スル者デアリマス、漁船保險ト
同時ニ考慮シナケレバナラヌコトハ、水產
資源開發ノ問題デアリマス、此資源ニシテ
涸渴シマスルナラバ、如何ニ多クノ漁船ヲ
作ッテ見タ所デ、殆ド用ヲ爲シマセヌ、隨テ
保險法モ又存在ノ意義ヲ失フコトニナルノ
デアリマスカラ、此點ニ付テ大イニ留意ス
ル必要ガアルト存ジマス、然ルニ遺憾ナガ
ラ、我國ノ水產資源ハ、漸次減退ノ狀況ニ
アルノデアリマス、故ニ今後是ガ開發ニ全
力ヲ盡ス必要ガアルト思ヒマスガ、其手段
トシテハ、先ヅ水產國策ノ樹立ガ必要デア
ルト存ジマス
卽チ先ヅ第一ニ漁村ノ更生振興ヲ圖ルコ
ト、是ガ爲ニハ我國漁業ノ中樞トモ見ルベ
キ沿岸漁業ノ振興ヲ圖ル必要ガアリマス、
輓近沿岸漁業ハ、多年ノ濫獲ニ依リマシテ、
資源ガ日ニ〓〓涸渴致シマシテ、爲ニ漁村
ノ窮乏ハ年ト共ニ甚ダシクナッテ居リマス、
デアリマスカラ速ニ改正法ニ依ル漁業組合
ノ機能ヲ發揮セシムルト共ニ、一方ニ於キ
マシテハ、漁業組合中央金庫ヲ創設シマシ
テ、之ヲ中心トシテ漁村金融ノ改善ヲ圖ツ
テ行ク、又一方ニ於テハ沿岸漁場復興計畫
ヲ樹立シマシテ、沿岸魚介類ノ繁殖保護ニ
付テ、徹底的ニ調査〓究シテ、是ガ計畫ヲ
樹立シ、實行ヲ圖ル必要ガアルノデアリマ
ス、卽チ一例ヲ擧ゲテ申シマスナラバ、水
質汚毒防止ニ關スル施設ヲスルトカ、或
又機船底曳網ニ付テ、十分ナル考慮ヲ廻ラ
スト云フガ如キコトガ、必要デアラウト思
ヒマス
第二ニ遠洋漁業ノ振興ヲ圖ル必要ガアリ
やく、我國ノ遠洋漁業ハ、近來長足ノ進步
ヲ遂ゲテ居リマスケレドモ、更ニ南北兩洋
ノ資源ヲ開發致シマシテ、國富ノ增進ヲ圖
ルコトガ肝要デアリマス
第三ニハ又水產物ノ輸出增進ヲ圖ル必要
ガアリマス、現下通商上ニ色々ナル障碍ガ
アルニ拘リマセズ、我ガ水產物ノ輸出額
ガ、累年遞增ノ步調ヲ取リツヽアルト云フ
コトハ、水產ガ極テ彈力性ノアル貿易品デ
アルト云フコトヲ證明スルモノデアリマス
カラ、今後此點ニ付テ官民ノ施設經營宜シ
キヲ得マシタナラバ、輸出額ヲ倍加シ國際
貸借ノ改善ニ、多大ノ貢獻ヲ現スコトハ明
瞭デアルト存ジマス、更ニ又是ト相俟ッテ
水產〓究機關ヲ改革强化シ、又水產〓育施
設ニ對シテ革新ヲシテ行ク、或ハ又漁村中
堅人物ヲ養成シテ、漁村ヲ指導改善スルト
カ、或ハ又漁村負擔ノ公正ヲ圖ヲテ漁村ノ
經濟更生施設ヲ擴充スルトカ、或ハ又漁業
組合ヲ更ニ一段ト活動セシムル爲ニ、助成
方法ヲ講ズルトカ、又ハ漁港網ノ完成ヲ期
スルトカ、或ハ又水產物ノ利用振興ヲ圖。
テ行クトカ、色々ノ方法ヲ講ズル必要ガア
ルノデアリマシテ、是等ノ點ニ付テハ、幾
分政府ニ於テモ手ヲ著ケタモノモアリマセ
ウガ、更ニ又徹底的ニ施設計畫ヲシテ是ガ
實現ニ努メマシデ、疲弊ニ陷ッテ居ル漁村
ヲ救濟スル必要ガアルト思ヒマス、斯樣ニ
シテ初メテ漁船保險モ亦極テ意義ノアルモ
ノトナッテ來ルノデアリマス、所デ本法施
行ニ當リマシテハ、漁村ノ現狀ニ鑑ミテ、
此法律ノ趣旨ヲ徹底セシムル爲ニ、保險料
金ヲ出來ルダケ安クシテ、同時ニ又資金化
融通ノ道ヲ全ウセシムル爲ニ、保險金額ヲ
出來ルダケ引上ゲテ行クト云フコトノ必要
ガアラウト思ヒマス、卽チ今日デハ新造費
ノ七掛ヲ時價ト致シテ居リマスシ、更ニ又
七掛ヲ以テ保險金額ト認メテ居ルノデアリ
マスガ、之ヲ各八掛ニ引上ゲテ行クト云フ
ヤウナコトガ必要デアラウト思ヒマス、更
ニ又將來漁船再保險ノ特別會計ノ刺餘金ニ
付テモ十分考慮ヲシテ戴キタイト思フノデ
アリマス、御承知ノ如ク特別會計ニ對シテ
ハ動モスレバ一般會計カラ搾取ラレルダケ
搾リ取ルト云フ有樣デアリマシテ、特別會
計設定ノ趣旨ニ反スルヤウナコトガ屢。ア
ルノデアリマス、デアリマスカラ此特別會
計法ニ於キマシテモ、此點ニ留意致サレ
マシテ、漁村振興ノ爲ニ、卽チ其剩餘金ノ
出來タ時ハ保險料金ノ引下ノ爲ニ、出來ル
ダケ充當シテ行クト云フヤウナ方法ヲ講ジ
テ行ク必要ガアラウト存ジマス、更ニ又
中小漁船ニ力ヲ盡シテ戴キタイト思フノデ
アリマス、此漁船保險實施計畫表ヲ見マス
ト、全國漁船數及ビ加入豫定數ノ中デ、第一
年度ニ動力附漁船ガ六萬六千隻、總噸數四
十萬八千噸ノ中デ、加入豫定隻數ハ四千八
百六十隻、加入豫定噸數ハ三萬噸、其加入
隻數ノ割合ヲ見マスト、七%三五二、加入
噸數ノ割合ハ七%三五三ニナッテ居ルノデ
アリマス、段々遞增サレテハ居ッテ、第九年
度ニナリマスト、加入隻數ノ割合ハ五二%
三〇五、加入噸數ノ割合ガ同ジク五二%二
九九トナッテ居リマス、所デ無動力漁船ノ方
ヲ見マスト、第一年度ニ於テハ二十九萬三
千隻、總噸數四十三萬一千噸、此中デ加入
豫定隻數ガ二千四十隻、加入豫定噸數ガ三
千噸、加入隻數ノ割合ハ僅ニ〇·六九六%、
加入噸數ノ割合ハ〇·六九六%トナッテ居リ
ママ、隻數、噸數共ニ動力附汽船ノ十分ノ
ニモ足ラヌ狀態ニナッテ居リマスシ、同ジ
ク九年度ノ豫定數ヲ見マシテモ加入隻數ノ
割合ハ、四%八三九、加入噸數ノ割合ハ、
四·八三五%デアリマシテ、動力附漁船ニ比
較致シマシテ、約十一分ノ一ト云フコトニ
ナッテ居ルノデアリマシテ、今日漁村ノ現
狀ヲ見マシテモ中小漁船ガ頗ル多ク、而モ
中小漁船ノ持キガ多ク資金難ニ困ッテ居リ、
遭難ノ場合ニ於テ困却ノ程度ガ多イノデア
リマスカラ、本法運用ニ當ッテハ此點ヲ特
ニ注意シテ戴キタイト思ヒマス、又本法ト
離ルベカラザル關係ニアリマシテ、寧ロ不
卽不離ノ立場ニ在ルモノハ、海難防止ノ點
デアリマス、委員ノ質問ノ中ニモ屢ニ現レ
マシタ漁溜ノ完成トカ、或ハ漁船ニ對スル
無電設備ヲ奬勵助成スルト云フヤウナ方法
ヲ講ジマシテ、出來ルダケ此遭難率ヲ少ク
セシムルト云フ方法ヲ、講ジテ戴キタイト
思フノデアリマス、更ニ又漁業從事者ノ保
險ノ問題、及ビ遺族救護ノ點ニ付テ、特ニ
注意ヲスル必要ガアルト思フノデアリマ
ス、自由勞働者ノ大部分ハ、大體ニ於テ此
保險ニ惠マレテ居ルノデアリマスケレド
モ、漁業者ニ對シテハマダ其點ガ及ンデ居
ラヌノデアリマス、同時ニ又鑛業ニ從事ヲ
シテ居ル勞働者ノ如キモノハ、鑛業法ニ依
リマシテ、死亡致シマスレバ葬祭料三十圓
以上、又賃銀ノ三百六十日以上分ヲ支給ス
ルト云フコトニナッテ居ルノデアリマスケ
レドモ、漁業者ニ對シテハ、此點モ惠マレ
テ居リマセヌ、漁業法ノ第四十條ニ、旣
從業者ノ遺族扶助ニ關スル規定ハ、勅令ヲ
以テ之ヲ定ムルト云フコトニナッテ居リマ
ス、併シ二十年モ經過致シテ居ッテ、マダ
是ガ發表ヲ見ナイト云フコトニナッテ居ル
ノデアリマスカラ、此點ニ付テモ早速政府
ニ於テハ、是ガ實現ヲ圖ルヤウニ努力サレ
マシテ、漁場從業者ノ保險ノ問題、同時ニ
遺族扶助ノ點ニ付テ、是ガ施設ヲ一日モ早
ク完成セラレンコトヲ希望スルノデアリマ
ス,運用上ニ付キマシテ、斯樣ノ點ヲ御留
意ヲ願ッテ戴クト云フコトデアリマシタナ
ラバ、先ヅ大體結構ダト私共ハ存ジテ居ル
ノデアリマシテ、此處ニ最後ニ附帶決議ト
シテ六箇條ヲ附シマシテ、民政黨ヲ代表シ
テ本兩案ニ贊成ヲ致シタイト存ジマス、卽
チ漁船保險法案ニ對スル附帶決議ト致シマ
シテ
海難防止竝漁業從事者及其ノ遭難遺
族救護ニ關スル施設ヲ講スヘシ
漁業組合中央金庫ヲ速ニ設置スヘシ
水產資源開發ノ爲沿岸魚介類ノ繁殖
保護竝遠洋漁業ノ振興ヲ計ルヘシ
漁船兩保險特別會計法案ニ對シテ、附帶決
議トシテ
一、本法制定ノ趣旨ヲ徹底セシムル爲保
險金額算定標準ヲ引上ルト共ニ保險料
金ヲ引下クヘシ
漁船再保險特別會計ニ剩餘金ヲ生シ
タル時ハ保險料金引下ノ資ニ充當スヘ
漁村ノ現狀ニ鑑ミ本法運用ニ當リテ
ハ中小漁船ニ對シテ特ニ意ヲ用フヘシ
之ニテ私ノ本兩案贊成ノ意見ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=2
-
003・紫安新九郎
○紫安委員長 登坂君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=3
-
004・登坂良作
○登坂委員 私モ漁船保險法案及ビ漁船再
保險特別會計法案、此二案ニ對シマシテ希
望條項ヲ附シマシテ、本案ニ贊成スルノデ
アリマス、此兩法案ハ漁業經營ノ一局面ニ
保險制度ヲ取入レラレマシテ、從來放任サ
レテ居リマシタ漁業金融ニ關シ、多少ノ彈
力性ヲ加味セシメタル點ニ於キマシテ、頗
ル有益ナルモノデアルト信ズルノデアリマ
ス、我等ハ本法ガ其形ニ墮スルコトナク、
運用宜シキヲ得テ大イニ利用擴大セラル
コトヲ希フモノデアリマス、卽チ希望條項
トシテ先ヅ第一ニ、本法制定ノ趣旨ヲ徹底
セシムル爲保險金額算定標準ヲ引上ルト共
ニ保險料金ヲ引下クヘシト云フコト、第二
ニ漁船再保險特別會計ニ餘剩金ヲ生シタル
時ハ保險料金引下ノ資ニ充當スヘシ、又第
三ニハ漁村ノ現場ニ鑑ミ本法運用ニ當リテ
ハ中小漁船ニ對シテ特ニ意ヲ用フヘシト云
フコトノ三條項ヲ附シタル所以デアリマス、
ソレカラ我國ノ漁村ハ山村ト共ニ疲弊困憊
ノ極度ニアリマシテ、而モ比較的政治ノ施
設ノ惠澤ニ浴スルコトガ薄イノデアリマ
ス、國民生活ノ安定ヲ緊喫ノ要務ナリト絕
叫セラレテ居リマス現下ノ時勢ニ徵シマシ
テ、特ニ當局ノ熱意ヲ具現セラレンコトヲ
望ミマス、私共ガ第四ノ希望條項トシテ海
難防止竝ニ漁業從事者及ビ遭難遺族救護ニ
關スル施設ヲ講ズベシ、第五ニ漁業組合中
央金庫ヲ速ニ設置スベシト希望スルノモ、
全ク其意ニ外ナラナイノデアリマス、私共
ハ其外ニモ漁獲品ノ貯藏、加工竝ニ販賣方
法ノ改善施設、又漁村指導施設等ニモ十分
當局ノ力ヲ注イデ戴キタイト考ヘテ居ルノ
デアリマス、更ニ第六ノ希望條項トシマシ
テ、水產資源開發ノ爲メ、沿岸魚介類ノ繁
殖保護竝ニ遠洋漁業ノ振興ヲ圖ルベシト云
フ希望ヲ附シテアリマスガ、此水產資源ノ
開發ニ關シマシテハ、漁獲方法ノ改善ト共
ニ、漁獲對象物タル魚介類ノ涵養增殖ニ
對スル方策ガ、最モ第一義的ニ肝要ナルコ
トヽ考ヘテ居ルノデアリマス、魚族ガ潰滅
シテシマヒマスナラバ、漁民漁村ノ更生振
興ト云フコトハ全クアリ得ナイノハ申上ゲ
ル迄モアリマセヌ、此方面ニ關シマシテハ
吳レ〓〓モ希望ニ堪ヘナイ幾多ノ點ガアリ
やく、卽チ海田魚礁ヲ荒廢セシメルヤウナ
濫獲、酷漁ノ漁撈方法ヲ避クル爲ニ萬全ノ
處理方法ヲ講ジテ戴キタイ、例ヘバ漁船底
曳網ニ對スル善後處理方法、是等ニ付キマ
シテハ質問ノ際ニ、私共ノ意ノアル所ヲ申上
ゲテ置キマシタカラ省略致シマスガ、斯ウ云
フヤウナ最モ水產業界ノ最近ノ問題ニナッ
テ居リマス事柄ニ對シテハ、速ニ善處シテ
戴キタイト思フノデアリマス、或ハ魚族ヲ
衰頽涸渴セシメル所ノ水質汚毒ノ防止ニ關
スル施設、竝ニ法案ノ制定ヲ速ニ御工夫ヲ
願ヒタイト云フコト、又ハ海流或ハ水溫ト
云フモノガ非常ニ魚族ト密接ナル關係ヲ有
シテ居ルト云フコトハ、定論ニナッテ居ル
ノデアリマスガ故ニ、斯ウ云フ根本對策ハ
官廳ノ特ニ御〓究ニ價スル事柄デアッテ、民
間ノ容易ニ手ノ屆カザル是等ノ所ニ、御工
夫ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、サウシ
テ魚族ノ廻游移動ノ狀況ヲ漁民ニ先ンジテ
探索ヲシテ戴キタイ、斯ウ云フヤウナ方面
ノ施設ヲ、更ニ御考ヲ願ヒタイト思フノデ
アリマス、以上ノヤウナ六項ノ希望條項ヲ
附帶決議ニ致シタク考ヘテ居ルノデアリマ
シテ、吾々ハ本案ニ贊成ヲ致ス次第デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=4
-
005・今給黎誠吾
○今給黎委員 漁業振興、漁村救濟ノ爲ニ
相當スル役目ヲ果スベキデアラウ所ノ、多
年ノ要望デゴザイマシタ此漁船保險法案、
竝ニ之ニ關聯致シマシタ法案ガ提出サレマ
シタコトハ、私共漁業ニ關シマシテ相當關
心ヲ持ッテ居ル立場カラ、熱意ヲ以テ贊同ノ
意ヲ表スル者デアリマス、併ナガラ此漁業
振興、漁村救濟ニ關スル問題ノ幾多殘サレ
テ居リマスコトハ、先日來此委員會、若ク
ハ本會議デ質問應答ヲサレマシタ其議論ノ
中ニ盡サレテ居ルト考ヘマスシ、又先刻來
兩君ヨリ贊成ノ意ニ附加ヘラレマシタ條件
ニ悉ク網羅サレテ居ルト考ヘマシテ、私共
ハ寧ロ今後ニ於キマシテ左樣ナ問題ガ著々
實現ヲシ、施設ヲサレルコトニ依ッテ(株)
テ兎角不振ヲ極メテ居リマス漁業ガ、振興
スルベキモノデアルト信ジテ疑ヒマセヌ、
左樣ナ意味ニ於キマシテ、本法ガ最モ順調
ニ今後運行サレマスコトヲ希望致シマスト
共ニ、只今申述ベラレマシタ總テノ條件ニ
贊成ヲ致シマシテ、本案ニ賛同ノ意ヲ表ス
ル者デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=5
-
006・山崎達之輔
○山崎委員 私ハ政府提出ニ係リマス漁船
保險法、之ニ竝ンデ出テ居リマス漁船保險
ノ特別會計法ニ對シテ贊成ノ意見ヲ申述ベ
タイト思ヒマス、一言只今マデニ論議サレ
マシタ中ノ、各派ノ諸君ノ御演說ノ附帶決
議ニ付キマシテモ、同樣贊成ノ意見ヲ加ヘ
テ置キタイト思ヒマス、其他ニ社會大衆黨
ノ立前ト致シマシテ、附加致シテ此際開陳
致シテ置キタイト思フコトハ、漁船保險法
ニ對スル點デ二點ゴザイマス、演說ノ中ニ
十分ニ申述ベタイノデアリマスガ、時間ガ
サウナイヤウデアリマスカラ、箇條書ニ申
上ゲタイト思ヒマス
政府ハ漁業組合ノ全國的統一ヲ强
メ、是ガ協同事業ノ發達ヲ助成シ、漁
民經濟ノ自主的更生ニ資セラレタシ
二政府ハ漁業勞働者ニ對シ政府竝ニ漁
業主ノ全額負擔ニ依ル災害保險法ノ實
現ニ努メラレタシ
此二點デゴザイマス、第一點ノ政府ハ漁業
組合ノ全國的統一ヲ强メ、是ガ協同組合化
ノ爲ニ努力セヨト云フコトハ、今日水產界
ノ傾向ヲ見マスルト云フト、多クハ大水產
事業關係ノ會社ノ獨占スル所ニ、漸次ナッテ
行クヤウニ見エルノデアリマス、殊ニ市場
或ハ冷凍船ナドノ大ナル組織、市場獨占ト
云フヤウナコトヲ會社組織デドン〓〓進メ
テ參リマスカラ、大規模ナル水產業中心ト
少々、是等ノ資本家ノ手ニ依ッテ之ガ握ラ
レ、最近ニ於テハ市場ヲ獨占スル連中ガ、電
話一本持ツダケデ何等ノ冐險ナシニ、水產
業ノ利益ヲ獨占シテ行ク傾向ノ進ミツヽア
ルコトハ、統計ノ示ス所デアリマス、之ヲ
放置シテ行クナラバ、今日漁民ノ生活ハ、
如何ナル施設ヲ致シテモ、何等ノ救濟施設
タリ得ナイコトハ、一目瞭然タル所デアリ
やっ、之ヲ矯スニハドウシテモ漁業組合ノ
協同組合化ヲ、政府ガ極力援助ヲ致シテ、
是ガ全國的統一ヲ爲シ、總テノ共同販賣事
業、或ハ共同購買事業ヲ助成致シマシテ、
サウシテ漁民自身ノ經濟ノ更生ヲ圖ラセル
ト云フコトガ、一番私ハ漁業政策トシテハ
急務デハナイカ、斯樣ニ考ヘルノデアリマ
ス、是ガ第一點ノ希望ノ要點デゴザイマス
第二點ハ漁業勞働者ニ對シテ、政府竝ニ
漁業主ノ全額負擔ト云フコトハ、言換ヘマ
スナラバ漁業勞働者ノ收益ガ非常ニ少ナイ
爲ニ、勢ヒ是ハ政府ガ之ニ對スル相當ノ補
給ヲシテヤラナケレバ、保險ガ成立タナイ
ト云フ考ヲ、私達ハ持ツノデアリマス、ソ
コデ現在政府ハ水產會ヲ通ジテ、幾多ノ救
濟施設ニ金ヲ出サレテ居ルガ、モウ一步進
ンデ金ヲ御出シニナッテ、之ヲ保險制度ノ
下ニオヤリニナルト云フコトニナレバ、是
ハ當然成立ッテ來ル、同時ニ其事業主ガ、其
費用ノ一半ヲ負擔致シマシテ、サウシテ救
濟保險ノ形ニ於テ、漁業勞働者ノ災害保險
法ヲ作レバ、是ハ私ハ漁業方面ニ於ケル船
舶或ハ漁具ト云フヤウナ物ニ對スル政策
カラ一步進ンデ、人間ニ對スル政策ニ、十
分發展シテ來ルト考ヘルノデアリマス、是
パドウシテモ政府ニ此次ノ政策トシテ是非
ヤッテ戴キタイ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリ
マス、是ガ簡單デアリマスガ、私ノ漁業保
險法ニ對スル二ツノ希望ノ要點デゴザイマ
ス、以上ヲ以チマシテ贊成ノ意思表示ヲ致
シンス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=6
-
007・平野力三
○平野委員 私ハ只今ノ山崎君ト同樣ノ希
望條件デ、本案ニ贊成致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=7
-
008・紫安新九郎
○紫安委員長 討論ハ終局シタモノト認メ
やく、御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=8
-
009・紫安新九郎
○紫安委員長 異議ナシト認メマス、兩案
〓ニ對シテ各〓附帶決議ガ提出サレテ居リマ
スカラ、各案每ニ採決致シマス、漁船保險
法案、之ニ對シテ採決致シマス、本案ニ贊
成ノ諸君ハ起立ヲ願ヒマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=9
-
010・紫安新九郎
○紫安委員長 全會一致本案ハ可決セラレ
マシタ-次ニ民政黨ノ多田君、政友會ノ
登坂君、昭和會ノ今給黎君提案ノ本案ニ附
スベキ附帶決議ハ同一デアリマスルカラシ
テ、一括シテ採決致シマス、之ニ贊成ノ諸
君ハ起立ヲ願ヒマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=10
-
011・紫安新九郎
○紫安委員長 此附帶決議ハ全會一致デ決
定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=11
-
012・紫安新九郎
○紫安委員長 次ニ漁船再保險特別會計法
案〓本案ニ付キ採決致シマス、本案ニ贊成
ノ諸君ハ起立ヲ願ヒマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=12
-
013・紫安新九郎
○紫安委員長 全會一致本案ハ可決セラレ
マシタ-次ニ民政黨ノ多田君、政友會ノ
登坂君、昭和會ノ今給黎君提案ノ、本案ニ
附スベキ附帶決議ハ同一デアリマスルカ
ラ、一括シテ採決致シマス、之ニ贊成ノ諸
君ハ起立ヲ願ヒマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=13
-
014・紫安新九郎
○紫安委員長 全會一致此附帶決議ハ決定
致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=14
-
015・紫安新九郎
○紫安委員長 次ニ森林火災國營保險法
案、森林火災保險特別會計法案、此兩案ヲ
一括シテ討論ニ入リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=15
-
016・小山邦太郎
○小山委員 私ハ民政黨側ノ委員ヲ代表致
シマシテ、森林火災國營保險法案竝ニ森林
火災保險特別會計法案ニ對スル、我黨ノ態
度ヲ明ニ致シタイト思ヒマス、此法案ハ我
國ノ森林經營ノ實情ヨリ見マシテ、極メテ
適切ナル施設ト存ジマスルノデ、森林火災
國營保險法案ニ對シテハ、二ツノ附帶決議
ヲ附シ、森林火災保險特別會計法案ニ對シ
テハ、一ツノ附帶決議ヲ附シマシテ、本案
ヲ原案無修正ノ儘贊成ヲ致シタイト思フモ
ノデアリマス、御案內ノ通リ我國ハ世界有
數ノ山林國デアルニモ拘ラズ、其火災危險
ノ率ニ於テ、極メテ高率ヲ示シテ居リマス
ルコトハ、愛林思想ノ上カラ致シテ洵ニ恥
辱トスル所デアリマス、ノミナラズ山林經
營ノ將來カラ考ヘマシテ、遺憾ニ堪ヘナイノ
デアリマス、之ヲ以チマシテ衆議院ニ於キ
マシテハ、既ニ何囘カニ亙ッテ或ハ建議案ノ
形式ヲ以テ、或ハ議員提出ノ法律案トシテ、
是ガ損害ノ補塡ノ途ヲ開キ、更ニ罹災地ノ
造林計畫ヲ便ナラシムル爲ニ、火災保險制
度ノ確立竝ニ普及ニ對シテ、努力ヲ續ケ來ッ
タ次第デアリマス、然ルニ此度是等ノ實情
ニ卽センガ爲ニ、政府ニ於テ此法案ノ成案
ヲ見テ、議會ノ協賛ヲ得ントセラレテ居ル
ノデアリマス、其熱意、其努力ニ對シテ吾々
ハ滿腔ノ賛意ヲ表スル次第デアリマス、併
ナガラ其規模計畫ニ對シマシテハ、當初ノ
計畫トシテハ此程度、此範圍ヲ以テ妥當ナ
リト存ジマスルケレドモ、更ニ我國ノ森林
經營ノ大局カラ考ヘテ見マスルナラバ、將
來ハ一段其規模ヲ擴大シ、卽チ其制限ヲ擴
張シテ、此法案ニ於テ保險ノ目的物トシテ
定メテ居リマスル人工造林樹齡二十年以下
ト云フガ如キモノモ、之ヲ二十年以上、卽チ
壯齡林ニ及ボサシムルコトハ、極メテ大切
デアルト存ズルノデアリマス、政府ノ說明
セラレルガ如ク、火災ノ危險ハ幼齡林ニ於
テ最モ多イ、サウシテ又其火災ニ一度罹ッタ
場合ニ於テハ、幼齡林ノ場合ニ殆ド全額損
害ト相成リマスル爲ニ、再造林ヲ極メテ困
難ナ立場ニ置カシムル實情ニアリマスルノ
デ、之ニ保險補償ノ途ヲ講ジマシテ、權災
ノ場合ニ再造林ノ計畫ヲ容易ナラシメント
スル此度ノ計畫ハ、極メテ妥當デアルト存
ジマスル、ケレドモ最近ニ於ケル我國ノ植
伐ノ狀況ヲ檢討致シテ見マスルト、年々歲
歲伐採林ハ其面積ヲ非常ニ擴大シテ居ルノ
ニ反シテ、植栽面積、卽チ造林面積ハ之ニ
伴ハナイ嫌ガアリマス、卽チ昭和二年ノ實
績ヲ調ベテ見マスルト、植栽面積二十萬一
千町步ニ對シテ、造林面積ハ十八萬五千町
步デアリマシタモノガ、昭和九年ニハ植栽
面積ハ著シク增加致シテ二十四萬八千町
步、之ニ對シテ造林面積ハ十九萬七千町步
デアル、更ニ越エテ十年ニハ伐採面積二十
四萬町步ニ對シテ、植栽面積ハ僅ニ十八萬
一千町步デアル、此比例ノ保チ得ナイト云
フコトハ、治山治水ノ將來カラ考ヘマシテ、
實ニ寒心ニ堪ヘナイノデアリマス、是等ヲ
匡救スルガ爲ニハ、ドウシテモ森林經營ヲ
容易ナラシムルヤウニ助成シテ行カナケレ
バナラナイ、其途ハ一デハ足リマセヌガ、
一面ニハ火災等ニ對スル損害補償ノ途ヲ講
ズルト同時ニ、他面ニ於テハ金融ノ途ヲ開
カナケレバナラヌト思ヒマス、現在山林ニ
對スル金融ノ途ハ勸業銀行、農工銀行等デ
開ケテ居リマスルケレドモ、其投資ノ對象
物デアル山林ガ、擔保物トシテ極メテ不便
デアリ、又危險デアルト云フヤウナコトカ
ラ、貸出金額ハ少額ニ失シ、貸出利率モ可
ナリ他ノ率カラ比ベマスルト、高率ニナッテ
居リマス、斯ノ如キ狀態ヲ以テシテハ、未
立木地ヲ多ク所有致シテ居リマスル日本ノ
森林經營ヲ充實セシムル上ニ、遺憾ノ點ガ
非常ニ多イノデ、先程漁船ニ對シテ多田君
ヨリ漁船ノ特異性ヲ十分認メタル特殊金
融機關ノ必要ヲ强調セラレタノデアリマス
ルガ、森林經營ニ對シテモ、他ノ事業ト異
リマシテ、非常ニ長期ニ亙ル仕事デアリマ
スルカラ、是等ノ特異性ヲ十分諒解シタル
特殊金融機關ノ特設ヲ必要トスルト同時
ニ、此金融ヲ確實ニ、而モ容易ナラシムル
爲ニハ、ドウシテモ森林其モノヽ危險ニ對
スル保障ガナケレバナラナイト思ヒマス、
斯ウ云フ方面ニ付テ考ヘテ見マスルナラ
バ,幼齡林ノミニ保險ヲ止メルト云フコト
ハ甚ダ遺憾デアリマシテ、勿論壯齡林ニ對
シテハ、民間ニ於テ之ヲ行フト政府ハ說明
セラレテ居リマスルケレドモ、營利ヲ目的
トシタル民間ノ保險事業ニ之ヲ委ネテ居。
テハ、保險率ハ極メテ高率デアッテ、是ガ運
用ノ上ニ遺憾ノ點ガ多イ、隨ヒマシテ折角
國營ヲ以テ、森林火災ニ對スル保險制度ヲ
確立セラレタノデアリマスルカラ、此範圍
ヲ擴大シテ、幼齡林ヨリ漸次壯齡林ニ及ブ
ノ途ヲ講ジテ戴キタイ、更ニソレハ人工壯
齡林ノミナラズ、植樹ノ種類ニ依リマシテ
ハ、例ヘバ北海道ニ於ケル白楊樹ノ如ク、
人工植林ヲ困難トスル樹種モアリマス、是
等ニ對シテハ假令天然植林トハ申シナガ
ラ.其天然ノ稚樹ニ相當ノ人エヲ加ヘテ育
成造林スルノデアリマスカラ、是等ニモ保
險ノ途ヲ開クノ方法ヲ講ジテ戴キタイ、此
二點ハ我國ノ森林經營ノ上カラ、極メテ大
切ナコトヽ思ヒマスルノデ、之ヲ森林火災
國營保險法案ニ附帶シテ決議ト致シタイト
思フノデアリマス、卽チ
本法適用ノ範圍ヲ壯齡林ニモ擴大ス
ルノ方途ヲ講スヘシ
二、人工植林困難ニシテ天然稚樹ヲ育成
セル森林ニ付テモ保險ニ付スルノ方法ヲ
開クヘシ
此二ツガ森林火災保險法案ニ對スル附帶
決議デアリマス
第二ニ此森林火災國營保險法案ノ目的ヲ
達スル爲ニ、當然必要ナル特別會計法案ニ
對シテハ、是亦原案ノ儘認メタイノデアリ
マスルガ、是ガ運用ニ當リマシテ、漸次其
目的ヲ達成セシメル爲ニハ、保險料ノ引下
ヲ行フノデナケレバ、其趣旨目的ヲ徹底ス
ルコトガ困難デアルト同時ニ、又極力是ガ
實施ニ當リマシテハ、保險料ノ引下ニ努力
セラレンコトヲ望ミマス、卽チ
本法制定ノ趣旨ヲ徹底セシムル爲保險料
金ノ引下ニ努力スヘシ
ト云フ一條項ヲ附帶決議ト致シテ本案ニ贊
成スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=16
-
017・小林かなえ
○小林委員 私ハ森林火災國營保險法案竝
ニ森林火災保險特別會計法案、此兩案ニ對
シマシテ政友會ノ委員ヲ代表シテ其態度ヲ
明ニシタイト思ヒマス、吾々モ只今小山君
ノ述ベラレマシタト同樣ニ、森林火災國營
保險法案ニ對シテハ
本法適用ノ範圍ヲ壯齡林ニモ擴大ス
ルノ方途ヲ講スヘシ
二、人工植栽困難ニシテ天然ノ稚樹ヲ育
成セル森林ニ付テモ保險ニ付スルノ方法
ヲ開クヘシ
此二ツノ附帶決議、竝ニ特別會計法案ノ方
ニ付キマシテハ
本法制定ノ趣旨ヲ徹底セシムル爲メ
保險料金ノ引下ニ努ムヘシ
此附帶決議ヲ附シテ、全部原案ニ贊成スル
者デアリマス、其理由ハ只今小山君ノ述べ
ラレマシタト同樣デアリマシテ、更ニ之ヲ
繰返ス必要ハナイト思ヒマス、唯簡單ニ吾
吾ノ意見ヲ申上ゲタイト思フノデアリマ
ス、小山君ノ言ハレマシタヤウニ、我國ノ
森林ニ對スル火災ノ被害額ガ非常ニ多イト
云フコトハ、國民全部ノ常ニ憂ヘテ居ル所
デアリマス、是ハ一ニ火災防止ニ對スル國
民ノ公德心ノ缺乏ト云フコトガ、重大ナル
原因デハアリマセウケレドモ、併ナガラサ
レバト言ッテ此儘ニ森林ニ對スル火災ノ災
害ヲ放置シテ置キマスレバ、常ニ生活ニ喘
イデ居ルヤウナ山村ノ方面ノ救濟トシテ
モ、洵ニ其途ヲ得ナイモノデアリマス、隨
テ吾々ハ多年此法案ノ出ルコトヲ要望シ、
努力シ來ッタノデアリマシテ、本法案ハ樹齡
二十年以上ノ人工林ニ限ルト云フヤウナ、
極メテ範圍ノ狹イモノデアリマシテ、私ノ
屬スル政友會ノ中ニハ、寧ロ範團ノ狭イノ
ニ非常ナ不滿ガアル位デアリマシテ、是非
壯齡林ニモ及バナケレバナラヌト云フ意見
モアッタ狀態デアリマス、併ナガラ村上政府
委員ノ御答辯ニ依リマスレバ、中々危險率
或ハ保險價格ノ算定ト云フヤウナコトモ、
短イ期間ニ之ヲ決メルト云フコトノ困難ナ
ル事情モアルヤウデアリマス、又財政ノ關
係モアリマシテ、今直グニハ是ガ實施サレ
ナイトシマシテモ、是ハ益〓其範圍ヲ擴メ
ラレマシテ、只今小山君ノ言ハレマシタヤ
ウナ方法ニ依ッテ、是非共モット廣イ範圍ニ
於テノ、本法ノ適用ノ出來ルヤウナ御心配
ヲ願ヒタイト考ヘルノデアリマス、ソレカ
ラヤハリ小山君ノ言ハレマシタヤウナ人工
栽培ガ困難デ、殆ド不可能ト云フヤウナ種
類ノモノガアリマシテ、天然ノ稚樹ヲ育成
シナケレバ、中々森林經營ガ出來ヌト云フ
ヤウナモノニ對シテモ、本法ノ適用ガ出來
ナイヤウナ狀態ニナッテ居リマスガ、北海道
ナドニ於テハ斯ウ云フモノガ極メテ多イト
思フ、其他全國各地ニヤハリ特有ノ樹モア
リマシテ、仔細ニ檢討スレバ、サウ云フ種
類ノモノモアラウト思ヒマスガ、ドウカ斯
ウ云フ方面ニモ、出來ルダケ適用ノ範圍ヲ
擴ゲテ戴キタイト考ヘルノデアリマス、更
ニ私ガ御願致シタイコトハ、此前質問ノ時
ニモ申上ゲタノデアリマスケレドモ、此森
林火災保險法ノ條文ノ書キ方ガ、非常ニ對
等デアルベキ立前ニナッテ居ルニ拘ラズ、通
知義務ノ遲滯トカ、其他極メテ簡單ナ條件
ニ依ッテ損害ノ塡補責任免除ト云フヤウナ
規定モ大分アリマシテ、所謂冷カナ法律家
的ノ觀察カラ見ルト、如何ニモ政府ノ法律
論ニ依ッテ、塡補ノ責任ヲ逃レルヤウナ狀態
ニ解釋サレル點モアルノデアリマス、此點
心配ヲシテ伺ッタノデアリマスガ、政府ノ御
答辯ニ依リマスレバ、所謂親心ノ觀念ヲ以
テ、出來ルダケ損害ハ塡補シテヤル意思デ
居ルカラ、少シク期間ガ遲レタ位ノコトニ
佐乃、直グニ怠ッタト云ッテ、塡補ノ責任ヲ
免レルヤウナ意思デハナイ、斯ウ云フ御考
デアリマスカラ、私モ此點ハ安心ヲシテ居リ
V·3·併ナガラ此趣旨ハドコ迄モ下ノ方ノ
官吏ニ徹底スルヤウニ、御通達ヲ願ヒタイ
ト考ヘルノデアリマス、若シ政府ノ御答辯
ノ如キ考デ、本法ヲ適用シテ下サルナラバ、
之ニ依ッテ山村ノ受クル所ノ利益ト云フモ
ノハ、非常ナルモノガアルデアラウト思ヒ
マス、由來森林ノ多イ山村方面ト云フモノ
ハ、從來農村對策トシテノ色々匡救事業ナ
ドノオ蔭ヲ受ケテ居ラヌノデアリマス、非
常ニ人智ハ低ク、補助金ヲ受クル方法モ知
ラヌト云フヤウナ者ガ多イノデアリマシ
テ、今日非常ニ悲慘ナル狀況ニアルノデア
リマス、是ハ一ニ先達テ政府委員ノ仰ッシヤ
イマシタヤウニ、良キ指導者ガ山村方面ニ
ナイト云フコトガ、大キナ問題デアラウト
思ヒマス、ドウカ出來ルダケ政府ニ於カレ
テモ、此方面ノ救濟ヲ御考下サッテ、例ヘバ
林業試驗場ヲ諸所ニ設ケラレルトカ、或ハ
指導者ヲ派セラレルトカ、今少シ山村方面
ノ人々ガ、國家ノ施設ニ對スル恩惠ニ浴ス
ルコトガ出來ルヤウニ、御考慮ヲ願ヒタイ
ト考ヘルノデアリマス、更ニ此機會ニ當リ
マシテ、農業經營ノ基礎ヲ安定セシムル爲
ニ、速ニ農產物保險法ヲ制定スルコトニ、
政府ノ御努力ヲ願ヒタイト思ヒマス、前述
ノ如ク、國營保險法案ニ對シテハ二個ノ、
特別會計法案ニ對シテハ一個ノ附帶決議ヲ
付シマシテ、全部原案ニ賛成スル者デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=17
-
018・紫安新九郎
○紫安委員長 今給黎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=18
-
019・今給黎誠吾
○今給黎委員 意見ダケヲ申上ゲマス、只
今上程サレテ居リマス此兩案ニ對シマシ
テハ、先刻來民政黨ノ小山君、政友會ノ小
林君カラ附帶決議ヲ提出サレマシタガ、其
附帶決議ト同一ノ附帶決議ヲ提出ヲ致シマ
シテ、私ハ贊成ヲ致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=19
-
020・紫安新九郎
○紫安委員長 山崎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=20
-
021・山崎達之輔
○山崎委員 私ハ森林火災國營保險法案ヌ
對スル贊成ノ意思表示ヲ致シマス、併セテ
森林火災ノ特別會計法ニ對シテハ贊成デゴ
ザイマス、唯社會大衆黨ノ希望ト致シマシ
テ、贊成意見ノ中ニ、斯ウ云フ點ヲ申述ベ
タイト思ヒマス、ソレハ「政府ハ民營林地
帶ニモ森林火災豫防ノ爲ニ官立ノ氣象觀測
ト管理機關ヲ擴大シ、以テ森林被害ノ絕滅
ニ努メラレタシ」ト云フ一項デアリマス、
又「政府ハ次期議會ニ重要農作物保險法案
ヲ必ズ提出セラレタシ」他ノ委員カラモサ
ウ云フ論議ガアッタヤウデアリマス、此二點
ニ付キマシテ十分ニ政府ガ此法律ノ執行ニ
當リマシテハ、必ズ斯樣ナ點ニ付テモ政策
ヲ持タレマセヌト、測ラザル國家ニ對スル
損害ガ多クナッテ來ルノヂヤナイカ、斯樣ナ
杞憂ヲ持チマス爲ニ、敢テ此點ヲ附加致シ
マシテ贊成ノ意見トシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=21
-
022・紫安新九郎
○紫安委員長 討論ハ終局致シマシタ、是
ヨリ採決致シマス、先ヅ森林火災國營保險
ガ案ニ付テ採決致シマス、本案ニ贊成ノ諸
君ハ起立ヲ願ヒマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=22
-
023・紫安新九郎
○紫安委員長 全會一致、本案ハ可決セラ
レマシタ-次ニ民政黨ノ小山君、政友會
ノ小林君、昭和會ノ今給黎君カラ御提案ノ
本案ニ付スベキ附帶決議ニ付キマシテハ同
一デアリマスカラ一括シテ採決致シマス、
之ニ賛成ノ諸君ハ起立ヲ願ヒマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=23
-
024・紫安新九郎
○紫安委員長 全會一致此附帶決議ハ決定
致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=24
-
025・紫安新九郎
○紫安委員長 次ニ森林火災保險特別會計
法案ニ付テ採決致シマス、本案ニ贊成ノ諸
君ハ起立ヲ願ヒマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=25
-
026・紫安新九郎
○紫安委員長 全會一致本案ハ可決セラレ
マシタ-次ニ民政黨ノ小山君、政友會ノ
小林君、昭和會ノ今給黎君カラ提案ノ本案
ニ附スベキ附帶決議ニ付キマシテハ、同
デアリマスカラ、一括シテ採決致シマス、
之ニ贊成ノ諸君ハ起立ヲ願ヒマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=26
-
027・紫安新九郎
○紫安委員長 全會一致此付帶決議ハ決定
致シマシタ、是ニテ散會致シマス
午後三時四十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01419370319&spkNum=27
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。