第70回帝国議会　衆議院　臨時租税増徴法案外五件委員会　第8号　昭和12年3月6日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  付託議案
  　臨時租税増徴法案（政府提出）
  　法人資本税法案（政府提出）
  　外貨債特別税法案（政府提出）
  　揮發油税法案（政府提出）
  　有價證券移轉税法案（政府提出）
  　明治四十年法律第二十一號中改正法律案（樺太に於ける租税に關する件）（政府提出）
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  　　　會議
  昭和十二年三月六日（土曜日）午前十時三十六分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　増田義一君
  　　　理事　高橋守平君　理事　三善信房君
  　　　理事　服部英明君　理事　森肇君
  　　　理事　宮澤裕君
  　　　　　　太田信治郎君　松田喜三郎君
  　　　　　　川崎末五郎君　升田憲元君
  　　　　　　仲井間宗一君　小山倉之助君
  　　　　　　内藤正剛君　松村謙三君
  　　　　　　堀内良平君　作田高太郎君
  　　　　　　池本甚四郎君　矢野庄太郎君
  　　　　　　篠原陸朗君　木暮武太夫君
  　　　　　　松岡俊三君　紅露昭君
  　　　　　　太田正孝君　宮本雄一郎君
  　　　　　　山本芳治君　古河和一郎君
  　　　　　　金光庸夫君　片山秀太郎君
  　　　　　　石坂豐一君　岸田正記君
  　　　　　　水谷長三郎君　河野密君
  　　　　　　加藤勘十君　伊禮肇君
  　　　　　　渡邊泰邦君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　　　　商工次官　村瀬直養君
  　　　　　大藏省主税局長　石渡莊太郎君
  　　　　　　　大藏書記官　松隈秀雄君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　臨時租税増徴法案（政府提出）
  　法人資本税法案（政府提出）
  　外貨債特別税法案（政府提出）
  　有價證券移轉税法案（政府提出）

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• 001・増田義一

  ○增田委員長　是ヨリ臨時租稅增徵法案外
  五件ノ委員會ヲ開會致シマス、小山倉之助
  君ノ質疑ハ留保シテアリマスノデ、此際引
  續イテ質疑ヲ許シマス--小山倉之助君

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• 002・小山倉之助

  ○小山委員　私ノ質疑ハ取引所稅ニ關スル
  コトニナッテ居ッタノデアリマスガ、商工省
  ノ政府委員ガ御見エニナリマセヌカラ、其
  間大藏省ニ關係シタ問題ニ付テ質疑ヲ試ミ
  タイト思フノデアリマス、過般モ關聯質問
  ト致シマシテ御質問申上ゲタノデアリマス
  ガ、外貨債ニ對スル質問デアリマス、政府
  委員ニ御尋シタイノデアリマスガ、外貨債
  ハドウ云フ場合ニ募集サレタモノデアル
  カ、其意味ハ日本ガ金融ニ非常ニ困ッタ時デ
  アッタカ、或ハ資金供給ヲ外國カラ受ケタ
  方ガ、當時ノ經濟狀態トシテ非常ニ有利デ
  アッタカ、ドウ云フ場合デアッタカト云フコ
  トヲ簡單ニ御答ヲ願ヒタイノデアリマス

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• 003・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　外貨債ノ種別ニ付テ、只
  今小山サンカラ御尋ガゴザイマシタ、是ハ
  法律ニモアリマス通リ、國債ニ付テハ五分
  以上ノ國債デアリマス、其他ニ付テハ五分
  五厘以上ノ外貨債デアルノデゴザイマス、
  ソレデ其中ニハ國債ト致シマシテハ、英貨
  六分利債、五分半利債、米貨六分半利、五
  分半利、斯ウ云フヤウナモノガゴザイマ
  ス、ソレカラ地方債ニ致シマスト、横濱市
  六分利、社債ニ致シマスルト七分利、六分
  半利ト云フヤウナモノガゴザイマス、是等
  ノ外貨債ヲ其當時募集致シマシタ理由、斯
  ウ云フ御尋デゴザイマスガ、是ハ主トシテ
  國債ニ付キマシテハ、震災ニ於ケル復興事
  業ニ關係致シマシテ、外國ニ於テ募集致シ
  タ國債、ソレカラ二三年前ニ借換ヲ致シマ
  シタ分ノ國債、斯ウ云フモノヲ含ンデ居ル
  譯デゴザイマス、國債ノ借換ヲ致シマシタ
  當時ニ、金利ガ相當騰ッテ居リマシタヤウ
  ナ關係カラ致シマシテ、借換ニ相當ナル利
  率トナッテ居ル次第デアリマス、ソレカラ社
  債ニ付キマシテハ、是ハ色々ナ理由ガアル
  ダラウト思ヒマスガ、要スルニ外資輸入ニ
  依ッテ我國ノ產業ヲ興シタ方ガ便利ダ、斯ウ
  云フ意味カラシテ起サレタモノガ大部分デ
  ゴザイマス

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• 004・小山倉之助

  ○小山委員　在外正貨ヲ補充スル意味デ、
  民間ニ外債ヲ募集スルコトヲ勸誘シタト云
  フヤウナ事實ガアリマシタカ

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• 005・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　サウ云フヤウナモノモ中
  ニハアルト思ハレマス、勸誘ト云フ意味デ
  ゴザイマスカ、言葉ハ多少惡イカモ知レマ
  セヌガ、外債ヲ募集シタ方ガ我國全體ノ經
  濟狀況カラ考ヘマシテ寧ロ有利デアラウ、
  斯ウ思ハレマシタ場合ニ、政府ガ援助シタ
  コトガアルダラウト思ハレマス

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• 006・小山倉之助

  ○小山委員　只今ノ政府委員ノ御答辯デ明
  白ニナリマシタガ、此外貨債ト云フモノハ、
  要スルニ日本ヲ或ル場合ニ於テハ救援シタ
  性質ノモノデアル、或ハ日本ノ經濟發達ノ
  爲ニ役立ッタ場合モアルデアリマセウ、或ル
  場合ニ於テハ外國ニ資金ヲ置ク爲ニ在外正
  貨ヲ補充スルト云フ意味カラモ募集サレタ
  モノデアッテ、民間ト政府ト其間ニハ相當
  ノ關聯ガアッタノデアリマス、オ互ニ相幇助
  シ來ッタト云フ事實ヲ認メ得ルノデアリマ
  ス、是ハ何レニ致シマシテモ日本ノ過去ノ
  爲ニナッタト云フコトハ、是ハ認メナケレバ
  ナラヌノデアリマス、併シ過去ノ爲ニナッ
  タトハ申セ、何レニシテモ是ハ外國ニ對ス
  ル債務デアリマス、我國カラ言ヘバ日本ニ
  對スル債權デアリマス、ソレデ日本ガ債務
  ヲ負ウテ、支拂ハナケレバナラヌ義務ガア
  ルノデアリマスガ、其債權者ハ外國人デア
  リマス、其外國人ニ對スル債務、外國人ノ持ッ
  テ居ル債權、之ヲ日本人ガ買取ッタト云フコ
  トハ、其理由ノ如何ニ拘ラズ、恰モ曾テ失ッ
  タル所ノ失地ヲ囘復シタト同樣デアリ
  ス、今日支那ニ於テハ失地ヲ囘復セントス
  ル運動ニ參加シタ者ハ、憂國ノ士ト言ハレ
  テ居ル、日本ニ於テモ曾テ關稅權ヲ奪囘ス
  ル爲ニ働イタ者ハ、日本國家ノ功勞者ト認
  メラレテ居ルノデアリマス、サウ云フ性質
  ノモノデアリマスカラ、外貨債ガ日本へ入ッ
  テ來タト云フコトハ、日本ノ爲ニ結構デア
  リマス、日本人ノ力ニ依ッテ、日本人ガ持ツ
  ヤウニナッタノデアリマス、其間ニ多少ノ
  利益ガアラウトアルマイト、要スルニ日本人
  ニ幾分デモ還ッテ來タト云フコトハ、是ハ日
  本ノ經濟界ノ發展及ビ日本人ノ力ニ依ッタ
  モノト認メナケレバナラヌノデアリマス、
  サウ云フ性質ノ外貨債デアリマスカラ、若
  シ之ニ稅金ヲ課ケル絕對ノ必要ガアルト致
  シマスレバ、私ハ悉ク是ハ同率ニ課ケタ方
  ガ宜イノデハナイカ、斯ウ云フ感ジヲ持ッテ
  居リマス、ソレカラモウ一ツハ、サウ云フ
  外貨債ガ外國ニアリト致シマスレバ、其外
  貨債ガ日本ノ手ニ歸スルヤウニ、日本人ガ
  ソレヲ持チ宜イヤウニ仕向ケテ行ク、少ク
  トモ之ニ邪魔ヲシナイ、斯ウ云フ態度ヲ政
  府ガ執ラルヽコトガ至當デアリ、之ヲ益〓
  多ク日本ノ內地ニ還フテ來サセルヤウニ仕
  向クベキデアルト私ハ考ヘテ居ルノデアリ
  マスガ、政府ハドウ云フ風ニ御考ニナッテ
  居リマスカ

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• 007・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今小山サンノ御意見モ
  確ニ一ツノ見方デゴザイマス、併ナガラ此
  外債ヲ募集致シマシテ、ソレニ依ッテ我國ノ
  產業ヲ興ス、斯ウ云フコトハ詰リ資金ヲ外
  國人カラ仰イデ、資金ヲ流入致シテ來テコ
  チラノ仕事ヲ致ス、斯ウ云フ趣旨カラ出テ
  居ルノデゴザイマス、其外債ヲ日本人ガ買
  取ルト、斯ウ云フコトハ詰リ日本人ノ資金
  ニ依ッテ仕事ヲ日本ニ於テ興ス、斯ウ云フ
  コトニ相成ルノデアリマシテ、外資ヲ輸入
  シテ來ルト云フ根本ノ趣旨カラ致シマスト、
  經濟的ニ考ヘマシテ如何カト思ハレル點ガ
  ゴザイマス、併ナガラ我國ニ於キマシテ相
  當資金ノ餘裕ガアッテ、是等ノ外債ヲ買取ル
  ト云フコト其事自體ニ於キマシテハ、今ア
  ナタノ仰シヤッタヤウナ、詰リ外國ニ對ス
  ル債務ヲコチラデ肩替リスルト云フヤウナ
  結果ニナルノデゴザイマスカラ、其點ニ於
  テ內國債ト同樣ニ聊カ意ヲ安ンジテモ宜イ
  ヤウナ點モ副作用トシテ見エルノデゴザイ
  やく、其點カラ致シマスレバ別ニ之ヲ攻擊
  シ非難シ罰スルト、斯ウ云フコトハ毛頭致
  ス必要ハナイト思フノデアリマス、唯是ハ
  御承知ノ通リ爲替ノ關係モアリマスノデ、
  サウ無暗ニ買ハレテハ困ル、斯ウ云フコト
  カラ致シマシテ、爲替管理ニ依ッテ今日取
  締ヲ致シテ居ルコトハ御承知ノ通リダラウ
  ト思フノデゴザイマス、ソレデゴザイマス
  カラ今囘政府ト致シマシテモ、決シテ之ニ
  對シテサウ云フモノヲ持ッテ居ル者ハイケ
  ナインダ、斯ウ云フ見方ヲ致シテ居ル譯デ
  ハ毛頭ゴザイマセヌ、ソレデ今仰シヤイマ
  シタ一律ニ斯ウ云フモノニ課稅シタラドウ
  ダト云フ御說モアルノデゴザイマス、ソレ
  デ此前ノ案ニ於キマシテハ、或ル程度借換
  ヲ行ハレルノト同ジヤウナ性質ノモノトシ
  テ〓究致シテ居ッタノデゴザイマスガ、ソ
  レモ如何カト思ヒマシテ、其中デ特ニ高利
  ナモノデアッテ、相當擔稅力アリト認メラレ
  ルモノダケニ賦課致スト、斯ウ云フコトニ
  修正致シマシテ御提案申上ゲタヤウナ次第
  デゴザイマス

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• 008・小山倉之助

  ○小山委員　大體ノ骨子ハ分リマシタガ、
  マダ私ハ其點ニ意見モアリマスケレドモ、
  其意見ハ拔キニ致シマシテ、ソコデ今度ノ
  案ニ於キマシテハ、所謂國債ニ在リテハ五
  分以上ヲ超過シタル利子相當額ニ十分ノ七、
  國債以外ノ外貨債ニ在リテハ利子五分五厘
  ヲ超エタル利子相當額ニ十分ノ七、斯ウ云
  フヤウニ五分ト、五分五厘ト云フモノヲ區
  別シテ課稅ヲシテ、其以下ノモノハ課稅シ
  ナイト云フコトニナリマスルト、殆ド外債
  額ノ半額ハ免稅トナッテ、半額ガ免稅トナラ
  ナイト云フ結果ニナリハシナイカ、半額ヲ
  免稅シテ半額ダケヲ課稅スルト云フコト
  ハ、ソコニ非常ナ不都合ガ起リハシナイ
  カ、不合理デハナイカト云フ風ニ御考ニナ
  リマセヌカ

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• 009・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　此外貨債ノ利子ニ付キマ
  シテハ所得稅、場合ニ依ッテ營業收益稅、斯
  ウ云フモノガ賦課サレルノデゴザイマス、
  賦課サレタ上ニ、是ダケノ特別稅ヲ賦課ス
  ル、斯ウ云フコトデゴザイマスノデ、此稅
  ノ課ラナイ其他ノ外貨債ヲ決シテ免稅致ス
  趣旨デハゴザイマセヌ、普通ノ所得稅、營
  業收益稅等ノ賦課ヲ受ケマシタ上ニ、是ダ
  ケノ特別稅ヲ課ケヨウ、斯ウ云フコトデゴ
  ザイマス、隨ヒマシテ國債ニ付キマシテ
  ハ五分、斯ウ云フコトヲ目安ニ致シマシタ
  ノハ、今日ニ於キマシテモマダ相當內國債
  ニ於キマシテ五分利債モアルノデゴザイマ
  スカラ、此五分ヲ超過スル所ノ外貨國債、
  斯ウ云フモノヲ目標ニ致シマシタ、ソレカ
  ラ公債、社債ニ付テハ國債ヨリ五厘ノ開キ
  ヲ置キマシテ五分五厘、ソレヲ超エルモノ
  ダケニ特別ノ稅金ヲ課ケル、其課稅ヲ受ケ
  タモノハ其外ニ更ニ普通ノ所得稅、營業收
  益稅ト云フモノモ課稅ヲ受ケル、斯ウ云フ
  コトニ相成ルノデアリマス

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• 010・小山倉之助

  ○小山委員　實ハ私ハ其點ニ非常ナ疑問ヲ
  持ッテ居ルノデアリマスガ、外國債ヲ持ッテ
  居ル人ハ必シモ自分ノ有金デ以テ持ッテ居
  ル人バカリヂヤナイノデ、銀行カラ借金ヲ
  シテ持ッテ居ル者モ相當多イノデアリマス、
  ソレガ借金ノ利息ヲ拂ヒ、綜合課稅ヲ拂フ
  ト云フコトニナリマスト、私ガ此處ニ持ツ
  テ居リマス計算ニ依リマスト殆ド一分ニモ
  當ラナイ、一分ニモ當ラナイヤウナ外貨債
  ノ所有者ニ對シテ、餘リニ重課スルコト
  ハ-私ハ先程ノ議論ニ還ルノデアリマス
  ガ、曾テハ日本ヲ救濟シタ資金デモアッタ、
  曾テハ日本ノ輸入ノ爲ニ外國カラ仰イダ關
  係モアッタ、ソレヲ一分ノ利廻程度ニ止メテ
  置クト云フコトハ、是ハ殘酷ヂヤナイカ、
  寧ロ日本ノ內國ノ公債ニ付テハ源泉課稅ヲ
  執ッテ居ルカラ、外國ノ公債ニ對シテモ源
  泉課稅デ、ソレハ或ハ公債竝ニシマスカ、
  公債ヨリモ少シ高イ率ニシマスカ、兎ニ角
  衡平ニ取扱フコトガ寧ロ是ハ國策上或ハ稅
  制上執ルベキ方針デハナカラウカト思フノ
  デアリマスガ、此點ニ付テハドウ云フ風ニ
  御考ニナリマスカ

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• 011・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　外貨債ノ特別稅ハ超過額
  ノ十分ノ七デゴザイマスルカラ、其利子全體
  ニ對シマシテハモットズット低イ率ニナッテ
  來ルト思フノデアリマス、ソレカラ今綜合
  課稅ヲスルノハ如何カト、斯ウ云フ御尋デ
  ゴザイマスルガ、是ハ御承知ノ通リ內地ニ
  於テ支拂ヲ受ケタモノニハ源泉課稅ヲ致ス
  ト、斯ウ云フコトニナッテ居リマスガ、外國
  ニ於テ支拂ヲ受ケマス分ニ付テハ、外國デ
  拂フノデゴザイマスカラ、實ハ源泉課稅ヲ
  致ス途ガゴザイマセズ、又約款等ニ於テ制
  限ヲ受ケテ居ル點モゴザイマス、サウ云フ
  ヤウナ譯デゴザイマシテ、之ニ課稅致スト
  致スナラバ、ドウシテモ是ハ綜合課稅ヲ致
  スヨリ外ニ仕方ガゴザイマセヌ、國債ノ利
  子ノ問題ハ今度新シイ問題デゴザイマスル
  ガ、社債利子、ソレカラ國債以外ノ公債ノ
  利子ト云フヤウナ外貨債ノ利子ハ、今日マ
  デ既ニ綜合課稅ヲ受ケテ居ッタノデゴザイ
  そく、今日モ現ニ受ケテ居ルノデゴザイマ
  ス.ソレデゴザイマスカラ社債、地方債ノ
  利子ニ付キマシテハ、今度新シイ稅金ト致
  シマシテハ、此十分ノ七ノ特別稅バカリデ
  ゴザイマス、此特別稅ハ御承知ノ通リ初メ
  カラ見マスト非常ニ緩和シテアルノデゴザ
  イマシテ、此案ニ依ッテサウ本人ノ負擔ガ
  重課サレテ困ルト云フヤウナ問題ハ恐ラク
  起ルマイト思フノデゴザイマス、ソレカラ
  第二ノ點ハ國債ノ問題デゴザイマス、國債
  ノ綜合課稅ニ付キマシテハ、是ハ新シイ問
  題デゴザイマス、卽チ今マデハ國債ノ利子
  ニハ所得稅ヲ課ケナイ、斯ウ云フ規定ガアッ
  タノデゴザイマス、隨テ國債ノ利子ハ綜合
  課稅モ源泉課稅モ課ケナカッタノデゴザイ
  マスガ、今囘ハ此點ニ於キマシテ、國債ノ
  利子ノ免稅規定ヲ撤廢致シマシタ關係上、外
  國ニ於テ受取ル所ノ國債ノ利子ニ付キマシ
  テハ、綜合課稅ヲ課ケル、斯ウ云フコトニナッ
  タ譯デゴサイマシテ、此點ニ於テ國債ヲ持ツ
  テ居ル人ニハ多少ノ負擔ノ增加ガ行クカト
  思フノデゴザイマス、併シナガラ一面ニ於
  キマシテハ社債、地方債ノ利子ニ付テハ旣
  ニ今日マデ綜合課稅ヲ致シテ居ルノデアリ
  マスカラ、是トノ權衡上此國債ノ利子ノ所
  有者モ其課稅ヲ受ケルコトハ已ムヲ得ザル
  結果デアッテ、是ダケヲ今日源泉ニ引直ス
  ト云フ譯ニモ行クマイ、斯ウ云フ風ニ考ヘ
  テ居ル次第デゴザイマス

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• 012・小山倉之助

  ○小山委員　此外貨債ハ今ハ大藏省ノ方面
  デ不明瞭ナ點モアリ、大分脫稅シテ居ッタ
  ト云フコトデアリマスガ此點ヲ伺ヒマス、
  ソレカラ只今ドウシテモ綜合課稅ヲスルヨ
  リ外ニ方法ハナイト仰シヤイマシタガ、外
  貨債ハ大體ハ日本ノ外國銀行ナリ、或ハ外
  國爲替ヲ取扱ッテ居ル銀行ヲ通ジテ、倫敦ト
  カ、或ハ紐育デ支拂ハレルノデアリマスカ
  ラ、其利札ヲ外國銀行ハ買フノデハナイノ
  デスカ、若シ買ッタ場合ニ正金銀行デモ調
  ベタナラバ大體ニ於テ明白ニナリマスカ
  ラ之ニ源泉課稅ヲ課ケルコトハサウ困難デ
  モナイト思ヒマスガ、如何ナモノデスカ

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• 013・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　從來脫稅シテ居ル者ガ
  アッタカドウカト云フ御尋デゴザイマスガ、
  是ハマア一般的ノ問題デゴザイマシテ、特
  別ニ此點ニ付テ脫稅シテ居ル者ガアルトモ
  實ハ聞イタコトモゴザイマセヌ、或ハ多少
  落チテ居ル點モアルカト思ヒマスガ、特別
  ニ此點ニ脫稅ガアルト云フコトモ言ヒ兼ネ
  ルカト思ヒマス

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• 014・小山倉之助

  ○小山委員　落チテ居ル點ガ餘リニ多過ギ
  ハシナイノデスカ

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• 015・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　落チテ居ル點ガ多過ギハ
  シナイカト云フ御尋デアリマスガ、相當課
  稅ヲ受ケテ居ル人モアリマス、ソレカラ第
  二ノ御尋ノ源泉課稅ノ問題デアリマスガ、
  其施行ハ中々困難ナ點ガゴザイマス、ソレ
  トモウ一ツハヤハリ外國ニ住ンデ居ル外國
  人ニハ課稅シナイ、ソレカラ又利子ヲ向フ
  ノ「モルガン」ノ財團ナラ財團ニ送ル以前ニ
  ハ引カナイト云フヤウナ約款ガアルノデア
  リマシテ、外國ニ渡ス前ニ控除スルト云フ
  コトハ、旁〓非常ナ困難ナ問題ヲ含ンデ居ル
  モノト思ヒマス、此外貨債-外國ニ於テ
  支拂ハレルモノニ付キマシテ源泉課稅ヲ致
  シテ居ルモノハ一切ゴザイマセヌ、外國ニ
  於テ支拂ハレルモノハ其儘支拂ッテ居ルヤ
  ウナ狀況デアリマス

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• 016・小山倉之助

  ○小山委員　最後ニ外貨債ノ問題ニ付テ御
  伺致シマスガ、約款ノ問題デアリマス、其
  約款ガアルニ拘ラズ、政府ハ之ヲ課稅スル
  ト云フ御決心ニナツタノデアリマスガ、或
  ル民間ノ法曹團ノ意見ニ依リマスト、政府
  ニ對シテ民事訴訟ヲ起シテ、支拂ッタヾケ取
  戾サレルノダ、卽チ其根據ハ、例ヘバ米貨
  六分半公債ニハ斯ウ云フ約款ガアルノデア
  リマス、卽チ「本公債及ビ附屬利札ハ現在
  或ハ將來ニ於テ日本政府或ハ之ニ屬スル其
  他ノ課稅權者ニ依リ課セラルヽコトアルベキ
  如何ナル稅金ヲモ控除スルコトナク支拂ハ
  ルベシ」他ノ約款モ大同小異、同樣ノ意味ヲ
  有ッテ居ルノデアリマスガ、卽チ將來ニ課
  稅セラルヽコトアルベキコトヲ豫想致シマ
  シテ、「課稅權者ニ依リ課セラルヽコトア
  ルベキ如何ナル稅金ヲモ控除スルコトナク
  支拂ハルベシ」稅金ヲ課セラレズニ支拂ハ
  レルノダ、斯ウ云フ約款ノ下ニ此公債ノ賣
  買ガ行ハレル、又日本モ其公債ヲ公募シタ
  ノデアリマスカラ、政府ハ課稅權ヲ行ハナ
  イト云フ約束ヲシタモノト見ラレル、隨テ
  突如トシテ之ニ課稅スルト云フコトニナリ
  マスト、政府ハ民事訴訟ヲ起サレテ、民事
  訴訟上返還請求サルベキモノデアル、若シ
  是ガ事實トナッテ、政府ガ返還シナケレバ
  ナラヌト云フヤウナコトニナリマスレバ、
  結局稅收ハナイト云フコトニナル、稅收ガ
  ナイノヲ見積ッタト云フコトニナリマスル
  ガ、政府ハ此點ニ付テドウ云フ風ニ御考ニ
  ナリマスカ

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• 017・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　免稅約款ニハ二種類ノモ
  ノガゴザイマス、其一ツハ英貨債ニ適用シ
  テ居リマスモノ、今一ツハ主トシテ米貨債
  ニ適用致シテ居ルモノデゴザイマス、ソレ
  デ英貨債ニ適用サレテ居リマスモノハ、日
  本ニ居住シナイ外國人ノ所有ニ屬スル證劵
  及利札ニ對シテ、日本ノ租稅ヲ賦課シナ
  イ.斯ウ云フ免稅約款デゴザイマス、此點
  ハ我國ニ居住シナイ外國人ノ事デゴザイマ
  スノデ、今囘ノ稅法ニハ一切關係ハゴザイ
  マセヌ、ソレカラ第二ノ約款、主トシテ米
  貨債ニ關スル約款デゴザイマスガ、此點ガ
  今御尋ノ點ダラウト思フノデゴザイマス、
  是ハ證劵及利札ハ日本ノ租稅ヲ控除スルコ
  トナクシテ支拂フ、問題ハ此「挖除スルコ
  トナクシテ支拂フ」、茲ニ在ルト思フノデゴ
  ザイマス、是ハ「ウイヅ·アウト·デダクシヨ
  ン」ト云フ文字ヲ用ヒテ居リマス、此「ウイ
  ヅ·アウト·デダクシヨン」ト云フ文字ガドウ
  云フコトデアルカト云フコトニ付キマシ
  テ、コチラニ於キマシモ相當考究ヲ致シ、
  ソレカラ又其米貨債ノ發行團デアル所ノ亞
  米利加ノ發行團トモ協議致シマシタ、此「ウ
  イヅ·アウト·デダクシヨン」ト云フ言葉ハ、
  先程アナタノ仰シヤッタ源泉課稅ヲシナイ、
  斯ウ云フ意味デアル、隨テ其發行團ニ利札
  ガ渡ル時分ニ、日本ノ政府ガ其頭ヲ撥ネテ
  渡スト云フコトハイカヌ、ソレハ此免稅約
  款ニ反スル、併ナガラ日本ノ政府ガ控除ス
  ルコトナク發行團ニ拂へバヨイノデアッテ、
  其後デ日本ニ住ンデ居ル日本人ガソレヲ受
  ケタル後如何ナル課稅ヲ受ケルカト云フコ
  トハ、自分ノ方ハ其免稅約款ニ含マレヌモ
  ノト思フ、斯ウ云フコトデゴザイマス、是
  ハ私共モ實ハサウ思ッテ居タノデアリマシ
  テ、源泉ニ於テ控除シナイデ拂フ、其拂ツ
  タモノヲ後デコチラニ住ンデ居ル者ガソレ
  ヲ受取ッタ場合ニ、コチラデドウ課稅スルカ
  ト云フコトハ、ソレハ此約款ノ外ノ問題デ
  アル、斯ウ云フ風ニ解釋致シマス、其點ハ
  法律ノ方カラ見テモ疑ノナイコトヽ思ヒマ
  スノデ、此點ニ於キマシテ其約款ノ結果稅
  收入ガ入ルマイト云フ心配ハナイト思ヒマ
  ス

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• 018・小山倉之助

  ○小山委員　「ウイヅ·アウト·デダクシヨ
  ン」ト云フ約款ニサウ云フ文句ヲ付ケマス
  時ハドウ云フコトニナルカ分リマセヌガ、
  政府ノ方デハ課稅シナイト云フ考デ公募シ
  タノデナイデセウカ、後デ「ウイヅ·アウト·
  デダクシヨン」ト云フ言葉ニハ課稅シナイ
  ト云フコトハ言ヘナイ、寧ロ支拂方法ヲ言。ツ
  タノデハナイカ、外國ニ對シテハサウ云フ
  稅ヲ課ケタラ、或ハ率ヲ減シテ支拂フノヂ
  ヤナイノダ、全額支拂フノダ、斯ウ云フ意
  味ニ取レルノデアリマスガ、其募集スル當
  時ノ政府ノ心持デハ、課稅ヲシナイデ何處
  マデモ保護シテ行クノダト云フ氣持デヤッ
  タノヂヤナイデセウカ、アナタハ古イコト
  ダカラ御承知ナイカモ知レマセヌガ、其點
  ヲ御伺致シマス

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• 019・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　其當時此「ウイヅ·アウ
  ト·デダクシヨン」ノ問題ニ付キマシテハ、
  只今民政黨ニ居ラレマス勝サンガ亞米利加
  デ起サレタコトデアリマスノデ、其當時ノ
  御話ヲ承ッタコトガゴザイマス、「ウイヅアウ
  ト·デダクシヨン」ト云フモノハ是ハ勝サン
  ガ餘程執著サレタ文句デアッタト思フノデ
  アリマスガ、詰リ源泉ニ於テ控除シナイデ
  拂フ、日本ノ政府ハソレニ對シテ後デ課稅
  權ト云フモノヲ行使スルカドウカト云フ點
  ニ根本的ニ觸レナイデ、唯源泉ニ於テ控除
  シナイデ拂フ、斯ウ云フコトガ約束サレタノ
  デアリマス、隨テ其利子ノ受取者ニドウ課
  稅スルカト云フ問題ニハ觸レテ居ラヌノデ
  アリマス、デスカラ源泉ニ於テ控除シナイ
  ト云フコトハ、亞米利加ノ方デ之ニ應ジマ
  シタ銀行團、各投資團ニ於キマシテモ、日
  本ノ政府ガソレダケノ國債ニ對スル利子ヲ
  拂ッテ吳レヽバソレデ宜シイ、其アトノ金
  ヲ何處ニ持ッテ歸ッテドウ云フ風ニ課稅サ
  レルカト云フコトハ、是ハ又別ノ問題デア
  ラウト思フノデアリマス、隨テ他ノ國ニ於
  キマシテモ、例ヘバ英吉利ニ住ンデ居ル人
  ガ日本ノ國債ノ利子ヲ受取ッタ、斯ウ云フ
  場合ニ於テハ恐ラク英吉利政府ハ之ニ對シ
  テ相當ノ課稅ヲ課ケテ居ルト思ヒマス、日
  本ノ政府ガ日本ニ住ンデ居ル日本人ニ其利
  子ヲ支拂フ場合ノ課稅權ヲ全然抛棄シタ、
  斯ウ云フ約款デハナイト思フノデアリマ
  ス、其後政府ニ於テ〓究致シ、亞米利加ノ
  方ノ法律家、銀行團、投資團ト云フモノト
  モ色々協議シタノデアリマスガ其點ニ付テ
  ハ間違ゴザイマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=19

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• 020・小山倉之助

  ○小山委員　私ハ此點ニ付テハ色々推察サ
  ルベキ件モアルノデアリマスガ、餘リ本問
  題ニ深入リシ過ギマスカラ、此點ハ此程度
  デ止メマスガ、唯課稅ノ技術デアリマス、
  是ハ過般矢野君カラモ質問サレタヤウデア
  リマスガ、施行期日ヲ一月ノ一日マデニ
  遡及サレナイデ、若シ課稅スルト致シマシ
  テモ四月ノ一日カラスルコトガ尤ダ、斯ウ
  云フヤウニ考ヘテ居リマスガ、稅法ヲ制定
  セラレテ、之ヲ四月ノ先ニ遡ッテ課稅スル
  ト云フコトハドウ云フ譯デスカ

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• 021・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　四月一日カヲ之ヲ實施ス
  ルカ、一月一日カラ實施スルカ、是ハドウ
  モ立法ノ技術ノ問題ダラウト思フノデアリ
  Nv.3必シモサウ云フ法律ハ遡及シテハイ
  カヌ、斯ウ言ハレルベキ性質ノモノデモア
  ルマイト思フノデゴザイマス、法律ノ施行
  ニ當リマシテ、法人ノ所得ナドニ付キマシ
  テモ、或ハ其年ノ四月一日以降ノ事業年度
  ニ施行スル分カラ實施スル、又ハ一月一日
  ヲ含ム事業年度分カラ實施スル、斯ウ云フ
  二種類ノ致シ方ヲ從來カラヤッテ居ルト思
  フノデアリマス、ソレカラ又例ヘバ今年カ
  ラ所得稅ノ增率ヲ致シマスガ、其所得ヲ受
  取ッタト云フ今年決定致シマスモノハ、昨年
  ノ所得デアリマスノデ、遡及スルト言ヒマ
  スレバ、其點モ遡及スルト云フ關係ニモ相
  成ラウト思フノデアリマス、併シソレ等ノ
  點ハ從來ニ於テモ、今年ノ所得稅カラ實行
  致シマシテ、法律施行前ニ受取ッタ所ノ所得
  ニ課稅致ス、斯ウ云フコトハ從來カラズット
  其通リニヤッテ居ルコトデゴザイマシテ、本
  年ノ一月一日ニ半年分ヲ申告スル、本年ノ
  六月ニ前半年分ヲ申告スル、十二月ニハ其又
  後半年分ヲ申告スル、斯ウ云フコトデゴザ
  イマスカラ、其課稅ヲ受ケル範圍ヲ一月カ
  ラ致スカ、四月カラ致スカ、何レニセヨ是ハ
  立法上ノ技術ノ問題ダト思フノデゴザイマ
  ス、ソレデ此前ノ案ハ四月一日カラ實施ス
  ル案デアッタカト思フノデゴザイマスガ、今
  囘ハ稅率モズット緩和致シマシタシ、持つ 下
  居ル人ノ負擔モ相當減ルノデゴザイマスル
  カラ、寧ロ四月一日ト云フ中途半端ナ部分
  カラ課稅スルト云フヨリハ、前半年ト云フ
  コトニ致シテ行ッタ方ガ、寧ロ負擔ノ衡平ヲ
  得ルノデハアルマイカ、課稅サレタリ課稅
  サレナカッタリ、斯ウ云フヤウナ狀況ガアリ
  マセズ、兎ニ角一月一日カラ六月マデノ半
  年間ニ受取ッタモノニ課稅スル、斯ウ云フ風
  ニシタ方ガ、寧ロ持ッテ居ル人ノ負擔ノ關係
  カラ言ッタラバ衡平ヲ得ルンヂヤナイカ、斯
  ウ云フ關係カラ致シマシテ、一月一日カラ
  ト云フコトニ致シマッタ次第デゴザイマス

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• 022・小山倉之助

  ○小山委員　大藏省トシテハ御都合ガ宜シ
  イデセウガ、取ラレル方カラ言ヘバ隨分困
  ル事デアラウト思ヒマスカラ、此點ハ一ツ
  御再考ヲ願ヒタイト思ヒマス
  ソレカラ私共ハドウモアナタト問答シテ
  居リマス中ニ、非常ナ不安ヲ感ズルノデア
  リマス、曾テハ公債ニ對シテ稅金ハ課ケナ
  イノダ、斯ウ云フヤウナ趣旨デ、公債ガ募
  集サレタヤウデアリマスガ、ソレガ今度ハ
  資本利子稅ト云フヤウナ形デ稅金ガ課ケラ
  レ、今度ハ又所得稅ト云フモノデ課ケラレ
  ル、國家ノ公債ニ對シテ左樣デアリマス、
  外債ヲ募集スル時ニ當リマシテモ恐ラク
  ハ「ウイヅ·アウト·ディダクシヨン」ト云
  フ言葉ヲ使ッテアリマスガ、斯ウ云フモノニ
  ハ課稅シナイデ、成ベク公募ニ便利ニシテ
  ヤラウ、債權者ノ方ノ便利モ圖,テヤラウ、
  ソレハ相當注意ヲ拂ッテヤラウ、サウ云フ考
  デヤッタモノデアラウト思フノデアリマス、
  然ルニ之ニ對シテ又課稅スル、昨日ノ約束
  ガ今日反古ニサレル、今日ノ約束ハ又明日
  ソレガ破棄サレルカモ分ラヌト云フヤウナ
  感ジヲ與ヘルノデアリマスカラ、特ニ此稅
  制ニ付キマシテハサウ云フコトモ考慮ニ入
  レマシテ、將來共十分御注意願ヒタイト思
  フノデアリマス、私ハ一ツハ斯ウ云フ感ジ
  ヲシタノデアリマス、民事訴訟カ行政訴訟
  デ以テ、政府カラ拂戾シガ出來ルモノダ、
  併ナガラ政府ハ高ヲ括。テ居ル、大體之ヲ
  持ッテ居ル者ハ個人ヨリ保險會社トカ、銀行
  トカ、信託會社トカ、要スルニ大藏省監督
  管內ニアル業者ガ持ッテ居ル、此先生達ガ大
  藏省ニ對シテ訴訟ヲ起シタリナニカシタ
  ラ、是ハ忽チ江戶ノ敵ヲ長崎デ討タレルト
  云フ形ニナリ勝デ、怯エテ是ハシマセヌ、
  其シナイト云フヤウナコトデ結局稅ヲ取ッ
  テモ泣寢入ニナッテシマフ、恐ラクソンナ事
  ハアリマスマイガ、又ソンナ事ハ通ルコト
  デモナイデセウガ、兎角サウ云フヤウナ疑
  ヲ持タレ勝ノ此案デアリマスカラ、成ベク
  此全體ノ案ニ付テ公平ニ、誰ガ見テモ公平
  ダ、正シイト云フ所ニ一ツ御再考ヲ煩シタ
  イト思フノデゴザイマス、此外國貨債ニ付
  テハ私ノ質問ハ此程度ニ止メルノデアリマ
  ス、更ニ取引稅ノ方ニ移リタイデスガ、マ
  ダ商工次官ハ御見エニナリマセヌデスカ

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• 023・増田義一

  ○增田委員長　商工次官、商務局長共ニ本
  省ニ急用ガ起キタト云フノデ本省ヘ赴カレ
  マシテ、登院次第直チニ出席サレルト云フ
  答デアリマス

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• 024・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今ノ小山サンノ最後ノ
  御尋ニ對シテ御答致シマス、大藏省ハ壓迫
  シハセヽカ、斯ウ云フ御尋デゴザイマス
  ガ、サウ云フコトハ決シテゴザイマセヌ、
  稅ニ付キマシテハ從來保險會社デモ銀行デ
  モ、或ハ審査請求ヲ致シ、行政訴訟ヲ致シ、
  屢〓爭ッテ居リマス、目下繫爭中ノ問題モ相
  當ゴザイマス、稅金ノ問題ヲ法律問題トシ
  テ爭フト云フコトハ、是ハ國民ノ當然ノ權
  利デアリマスノデ、吾々モ極ク平靜ナ氣持
  ヲ持ッテ此問題ヲ扱ッテ居ルノデゴザイマシ
  テ、大藏大臣ノ監督下ニアルカラト言ヒマ
  シテ保險會社、銀行等ニ對シテ行政訴訟ヲ
  起シテハイカヌトカ、サウ云フコトヲ申ス
  コトハ從來共チットモゴザイマセヌデスカ
  ラドウゾ其點ハ左樣御諒承願ッテ置キタイ
  ト思ヒマス

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• 025・小山倉之助

  ○小山委員　過殷木暮委員カラ所得稅ニ對
  スル外國ノ資料ヲ要求シタヤウニ記憶致シ
  マスガ、ソレハ出來テ居リマスカ

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• 026・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　外國ノ所得稅ニ付キマシ
  テ法人ノ分ニ付テノ御尋デアッタト思フノ
  デアリマス、目下調製中デアリマスガ、大
  體原稿ハ出來テ居リマスノデ、御必要デア
  リマスナラバ此處デ御說明致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=26

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• 027・小山倉之助

  ○小山委員　宜シウゴザイマス、私ハ實ハ
  大藏大臣ノ御見エニナッタ後ニ、御質問申上
  ゲタイト思ッタノデアリマスガ、時間ノ都合
  上、日本ノ稅制ノ中樞ヲ成ス所ノ、最モ重
  要ナル所得稅ニ付テ御質問ヲ申上ゲルニ當
  リマシテ、一言此處デ御聽取リヲ願ヒタイ
  コトハ、私ガ此所得稅、營業稅、其外所謂
  資本家階級ノ納メテ居ル稅金ニ對シマシ
  テ、十分ナル御質問ヲ申上ゲマスルノハ、
  要スルニ今度ノ稅制改革ノ目的ハ、日本ノ
  國防ヲ充實サセルト云フコトト、日本ノ產
  業ノ發達ヲ期スルト云フコトニアルノデア
  リマシテ、日本ノ軍備ヲドウシテ國防ノ要
  求スル程度ニ於テ充實サセテ行クカ、之ニ
  關シテハ財政ト經濟トハ、是ハ離ルベカラ
  ザル問題デアリマシテ、殊ニ其軍備ノ充實
  ヲ圖ルニ付テ巨額ノ公債ヲ募集スル、今年
  ニ於テ募集スルノミナラズ、是ガ數年間續
  ク、何年續クカ分ラナイ、一方ニ於テ公債
  募集ノ財源ヲ茲ニ作ラナケレバナラヌノデ
  アリマスカラ、產業ノ發達ト云フコトハ最
  モ是ハ重點ヲ置カナケレバナラヌ點デアリ
  やく、ソコデ國防ヲドウ云フ風ニシテ充實
  シテ行クカ、產業ヲドウ云フ風ニ發達セシ
  メテ行クカ、國防充實ヲ圖ル爲メ、財政ノ
  不足ヲ塡補スル所ノ公債ヲ、ドウ云フ風ニ
  シテ繼續的ニ募集サセテ行クカト云フコト
  ニ關スルノデアリマスルカラ、唯徒ニ稅制
  ノ細カイ點ニ亙ッテ一部ノ階級ノ者ヲ擁護
  スルノダ、サウ云フコトハ絕對ニナイノデ
  アリマス、唯〓國防ト產業ノ發展、之ヲ調和
  サセテ行クト云フ點カラ申上ゲマスルノデ
  アリマスルカラ、豫メ此點ハ御諒承ヲ願ヒ
  タイノデアリマス
  大藏省ノ御說明ヲ伺ッテ實ハ申上ゲヨウ
  ト思ッタノデアリマスガ、私ノ手許ニ於テ調
  査致シマシタ點カラ申上ゲマシテモ、會社
  ノ株トカ、或ハ個人ノ持ッテ居ル株トカ云フ
  ヤウナコトヲ眼中ニ置カナイデ、資本ト云
  フ點カラ見マスレバ、恐ラクハ日本ハ亞米
  利加ニ次グ最高ノ稅金ヲ納メナケレバナラ
  ヌ立場ニ置カレルト見ル、茲ニ私ノ調査シ
  タ所ニ依ッテ見マスルト、例へバ英吉利デア
  リマス、英吉利ハ御承知ノ通リ「ノーマル·
  タックス」普通所得稅ヲ一律ニ二割三分七厘
  五毛課ケテ居ル、其外ニ所謂高額所得稅ノ
  「サー·タックス」ヲ計算シテ見マスルト、先
  ヅ最高五萬磅、五萬磅ノ最高率ハ四割一分
  二厘五毛デアリマシテ、之ヲ加ヘマスルト
  大體ニ於テ六十五ニナッテ居リマス、ソレカ
  ラ獨逸ニハ會社稅ガアリマシテ、是ハ一律
  ニ三〇%、ソレニ地方稅五分加ッテ居リマ
  ス、個人所得ハ一律ニ「テン·パーセント」
  ニナッテ居リマスガ、八千馬克以上ハ綜合課
  稅ヲサレテ、其最高ハ四割ニナッテ居リマ
  ス、併シ是ハ個人所得稅ノ一割ト云フモノ
  ヲ控除サレマスカラ大體三割、卽チ會社稅
  ノ三割、地方稅ノ五分ト他ニ綜合課稅サレ
  ル所ノ最高率四割カラ一割ヲ引キマシテ三
  割卽チ是亦六五%ニナッテ居リマス、更ニ
  亞米利加ヲ見マスルト會社所得稅最高一割
  五分、個人所得ノ最モ高イ率、五百萬磅モ
  アリマスガ、日本ニ於テハ五百萬磅ナドト
  云フ收入ガアリマセヌカラ之ヲ二百萬磅ノ
  程度ニ見マシテ、之ヲ六割八分五厘五毛ト
  見マスト、大體ニ於テ八割三分五厘五毛ニ
  ナルノデアリマス、之ヲ顧ミテ日本デ見マ
  スルト、法人所得稅ハ「テン·パーセント」
  其他地方附加稅ハ二割二分、本稅ノ二割二
  分デアリマスカラ、今度ノ臨時增徵案デ其
  半分課ケルト云フコトニ見マシテ一割二分
  厘ソレニ法人營業收益稅ハ四割デアリ
  マシテ、ソレニ又附加稅ガ四割二分課カリ
  マシテ、又其半分ト致シマシテ大體五·四二
  八、ソレニ日本ニ於ケル最高ノ稅率ノ五割
  九分八厘九毛ト云フモノヲ加ヘマスト、大
  體七割七分九厘一毛、斯樣ニナリマス、亞
  米利加ハ八十三·五三、英吉利ハ六十五、獨
  逸モ同樣、日本ガ七十七ヲ超過スル稅金ニ
  ナリマス、詰リ大體資本ニ對シテサウ云フ
  ヤウナモノガ課ケラレテ居ル、世界ニ於テ
  亞米利加ニ次グ第二番目ノ高イ稅金ト相成
  ルノデアリマス、此數字ハ大體ニ於テ御認
  ニナリマスカ、ドウデアリマスカ、此數字
  ヲ確然ト御認ニナラナイデモ、詰リ資本ト
  云フモノヲ中心トシテ行ケバ、實ニ七割七
  分ト云フ高率ニナッテ、亞米利加ニ次グ最高
  ノ資本虐待國デアルト云フコトヲ、御認ニ
  ナリマスカドウデアリマスカ

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• 028・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　外國トノ負擔ノ比較ト云
  フコトハ、是ハ實ニムヅカシイコトデアリ
  マス、今小山サンハ自分ノ計算シタモノヲ
  認メルカドウカ、斯ウ仰シヤイマスト、私
  ハ遺憾ナガラ其儘御認スルト云フコトヲ申
  シ兼ネルノデアリマス、之ニ付テ一二ノコ
  トヲ申上ゲテ見タイノデゴザイマスガ、例
  ヘバ只今御話ノアリマシタ獨逸ノ問題デア
  リマスガ、獨逸ハ法人ノ所得稅トシテ百分
  ノ三十ノ稅率デ課稅致シマス、法人ニ對シ
  課稅致シマシタ上ニ今度配當ヲ受ケル者ニ
  對シテハ、先ヅ一律ニ百分ノ十ノ源泉課稅
  ヲ致シマス、サウシテ次ニ個人所得稅トシ
  テ大體百分ノ十以上ノ稅率ノ適用ヲ受ケル
  者卽チ年所得八千馬克以上ノ者ニ付テハ、
  更ニ綜合課稅ヲ致スト云フコトニ相成ッテ
  居リマス、サウシテ其最高稅率ハ百分ノ五
  十トナッテ居リマス、而モ其最高稅率ノ適用
  ヲ受ケマスノガ十一萬九千五百馬克デゴザ
  イマスノデ、極メテ低イ所デ百分ノ五十ト
  云フ最高稅率ニ達シマスノデスカラ、ソレ
  ガ四百萬ト云フ所ニ行キマスト、全體ノ稅
  額トシテ見マスト、非常ニ大キナ額ニ相成ッ
  テ來ル、斯ウ云フヤウナ關係カラ致シマス
  ルト、獨逸ノ負擔ガ日本ノ負擔ヨリ安イカ
  ト仰シヤラレルト、私ハ安イモノト思ヒマ
  セヌ、ソレカラ今アナタノ仰シヤイマシ
  タ營業收益稅ヲ加ヘテ見ルト、所得稅ハ百
  分ノ十ト日本デハ言ッテ居ルガ、全體トシテ
  ハ百分ノ二十近イモノニ相成ルノデハナイ
  カ、其點モ仰シヤル通リデアリマス、仰シ
  ヤル通リデアリマスガ、我國ニ於テハ補完
  稅トシテ營業收益稅ノ賦課ヲ致シテ居ルノ
  デゴザイマスルガ、獨逸ニ於テハ補完稅ト
  シテハ國ニ於テ千分ノ五ノ財產稅ヲ賦課シ
  テ居ル、隨テソレダケノ財產稅ト云フモノ
  ヲ加ヘテ見ナケレバナラヌ、又其他附加稅
  ノ御計算モ爲サルノデアルナラバ、獨逸ノ
  地方稅デアル所ノ營業稅ト云フモノモ是亦
  考ニ入レテ計算シナケレバナラナイト思
  フノデゴザイマス、英吉利ニ於キマシテモ
  只今御說明ニ相成リマシタ數字ニ於キマ
  シテモ、大體御說ノ通リダト思フノデゴザ
  イマス、併ナガラ是モ五萬磅デ最高ノ稅率
  ニナルノデゴザイマス、ソレデゴザイマス
  ルカラ、最高ノ稅率ノ賦課ヲ受ケル五萬磅
  -一磅幾ラニ計算致シマスカ、假リニ十
  圓ニ計算致シマシテ五十萬圓ト云フ所デ計
  算シテ見マシタラ、恐ラクアチラノ方ガ餘計
  ニナッテ居ルカモ分ラナイ、又御承知ノ通リ
  英吉利ニハ所得稅ノ地方附加稅ハゴザイマ
  セヌガ、「レート」ト云フ-不動產稅ヲ非
  常ニ重ク取ッテ居リマス、地方稅ノ全部ハ殆
  ド皆「レート」デゴザイマスルカラ、此「レー
  ト」ノ收入ハ、一時ハ二億磅近クニ相成ッテ
  居ッタノデゴザイマス、今日ニ於キマシテモ
  一億五六千萬磅ハアルカト思ッテ居リマス、
  ソレデゴザイマスカラ、斯ウ云フ不動產稅
  ト云フモノモ考ヘテ行カナケレバナラヌト
  思フノデゴザイマシテ、英吉利、獨逸ノ負
  擔カラ見テ、我國ノ負擔ガ重過ギヤハセヌ
  カト云フコトハ、今日ノ場合私ハマダソウ
  向フヨリコチラノ方ガ重クナルト云フコト
  ハナイト思ッテ居ルノデゴザイマス、ガ此計
  算ハ非常ニ難シイ計算デゴザイマスノデ、
  政府ト致シマシテモ尙ホ計算ヲ致シテ見ル
  積リデゴザイマスガ、是ハ中々難シイ計算
  デ、今自分ノ計算ヲ認メルカト仰シヤラレ
  ルト、私トシテハ一寸躊躇致ス次第デゴザ
  イマス、ソレカラ佛蘭西ナドニ於キマシテ
  モ、是ハ法人ノ課稅其モノハ比較的低ウゴ
  ザイマス、法人ノ課稅其モノハ比較的低ウ
  ゴザイマスガ、一方ニ配當ニ對シマシテ、
  高イ源泉課稅ヲ致シテ居ルノデゴザイマ
  ス、法人ノ商工業所得稅ガ百分ノ十二デゴ
  ザイマス、ソレヲ徴收致シマス其上ニ今度
  配當金ニハ、源泉ニ於キマシテ有價證劵所
  得稅トシテ百分ノ十二乃至十八程度ノ課稅
  ヲ致シテ居ルカト思ッテ居ルノデゴザイマ
  ス、更ニ其上ニ一般所得稅ノ賦課ヲ受ケル
  ノデゴザイマスカラ、佛蘭西ニ於テモ證劵
  ニ付テハ極メテ重イ稅金デアリマシテ、私
  ハ寧ロ證劵ノ課稅ハ佛蘭西ガ一番重イノデ
  アルマイカト思ッテ居ルヤウナ次第デゴザ
  イマス、サウ云フ譯デゴザイマスノデ、實
  ハ私ノ方カラ計算ヲ差出サズニ甚ダ口幅ッ
  タイコトヲ申上ゲテ申譯ゴザイマセヌガ、
  此計算ハ極メテ困難デアルト云フコトヲ御
  含ミ置キ願ヒタイト存ジマス

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• 029・小山倉之助

  ○小山委員　其計算ガ非常ニ困難デアルト
  云フコトハ、勿論私モ能ク承知シテ居リマ
  ス、アナタノ仰シヤルコトニモ十分ナル理
  由ガアルト私思フノデアリマス、併シ計
  算ノ數字一厘一毛ガ違ハナイト致シマシテ
  モ、大體ニ於テ日本ハ亞米利加ノ次ニ位ス
  ル位重課サレテ居ル、大體其順位ダケハ御
  認メ願ヘルコトヽ期待シタノデアリマス
  ガ、ソレデモ御認メニクイト仰シヤレバソ
  レデ宜シウゴザイマス、ソコデ只今政府委
  員カラ御話シアリマシタ通リ、成程外國ハ
  源泉課稅ハ高イデス、二割五分モ課ケテ居
  ル、二割五分トカ三割トカ云フト非常ニ稅
  率ガ大キイノデアリマス、日本デハ百分ノ
  十ダト言ハレルガ、二割三分トカ二割五
  分トカ言ヘバ數字ガ大キイ、併ナガラ御承
  知ノ通リ、亞米利加ニ於キマシテハ、法人
  カラ受ケル所ノ配當ニ對シテハ、曾テハ九
  割五分控除シタ、今日ニ於テハ八割五分控
  除シテ居ル、英吉利ニ於テハ先ヅ大體ニ於
  テ收益ヲ目的トシテ居ル、收益ニ澤山課ケ
  ル、斯ウ云フ立前ニナッテ居リマスカラ、
  成ベク此資本ニ對シテハ重課シナイ、重ネ
  テ取ラナイ、二重ニモ三重ニモ取ラナイ、
  大體私ハ斯ウ云フ立前ニナッテ居ルト云フ
  コトハ御認メ下サルダラウト思フ、先ヅ此
  點ヲ御質問申上ゲマス
  ソレカラウモーツハ、日本デハ例ヘバ百分
  ノ十ダ、萬分ノ八ダト云フヤフナ工合ニ小
  刻ミニナッテ、稅率ガ低イヤウニ見エマス、
  併ナガラ例ヘバ此資本ニ課セラレル所ノ稅
  金ヲ御覽ニナリマシテモ、所得稅ノ外ニ營
  業收益稅モアレバ、法人所得稅モアリ、超
  過所得稅モアリ、或ハ臨時利得稅モアリ、
  幾多ノ系統ナキ稅ガ小刻ミニサレテ居リマ
  ス、此稅金ヲ全部纒メルト相當高イ率ニナ
  リマス、例ヘバ所得稅ノ百分ノ五ノモノ
  ヲ、百分ノ十ニシタカラト言ッテ、餘リ影響
  ハナイヂヤナイカ、營業稅ヲ三·四ノモノヲ
  四ニシタカラト云ッテ何デモナイヂヤナイ
  カ、臨時利得稅ノ十割ヲ十五割ニシテモ何
  デモナイヂヤナイカ、ドウモ考ハサウナリ
  勝デアリマス、低イ稅率ヲ抑ヘテ居リマス
  カラ、其稅率ヲ少シ上ゲルカラト言ッテ影
  響ガナイト云フ議論ハ立チマス、併シ大體
  ニ於テ法人ノ所得ニ對シテハ重稅ヲ課ケナ
  イ、收益ヲ目的トシテ課ケテ行ク、之ニハ
  相當ノ稅金ヲ課ケル、斯ウ云フ立前デ行ッテ
  居ル英吉利ノ稅制々度、亞米利加ノヤウナ
  稅制ノ立テ方ト、日本ノ方ハ亂雜ニ系統ナ
  クシテ、低イ稅率ヲ一率ニ課ケテ行キマス
  カラ、大衆ニ對シテハ多クノ稅金ヲ課ケル
  ヤウニハ見エナイ、是バカリノ稅金ニ對シ
  テ文句ヲ言フノハ怪シカラヌ、斯ウ云フ議
  論ガ一部ニ起リマス、併シ全體ヲ通ジテ見
  マスルト、私ガ先程申上ゲマシタヤウニ、七
  割ニモ八割ニモ高クナルト云フ風ニ相成リ
  マスガ、政府ハ斯ウ云フ點ニ付テ十分御〓
  究ニナッテ居ルダラウト思ヒマスガ、只今
  私ノ持っテ居リマスル疑問ヲ至當ト御思ヒ
  ニナリマスルカドウカ

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• 030・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　小山サンノ第一ノ御尋デ
  アリマスルガ、英吉利ニ於キマシテハ個人
  ニ對シマシテ、普通所得稅ト云フモノハ二
  度賦課シナイ、併シ亞米利加ニ於キマシテ
  ハ、私今日ハッキリ覺エテ居リマセヌガ、個
  人ノ方ニモ普通ノ所得稅ヲ課ケテ行クト云
  フヤウナ傾向ニ、漸次向ッテ居ルヤウニ思フ
  ノデゴザイマス、英吉利ニ於キマシテハ、
  仰シヤル通リ普通所得稅ノ方ハ二重ニハ課
  シテ居リマセヌ、併シナガラ累進課稅ノ超
  過所得稅ノ方ハ、配當ニ付キマシテハピタ
  リト課稅致シテ居リマス、是モ御承知ノ通
  リダト思フノデゴザイマス、ソレカラ法人
  ガ他ノ法人カラ受ケル所ノ配當ニ付テ課稅
  シテ居ラヌダラウト、斯ウ云フ御話デアリ
  やく、是モ英國ニ於キマシテハ課稅シテ居
  ラヌト存ジマス、亞米利加ニ於キマシテハ
  是亦漸次課稅シテ行ク方ニ進ンデ行クヤウ
  ニ存ジテ居ルノデゴザイマス、獨逸ニ於キ
  マシテハ是ハ全部課稅致シテ居リマス、此
  前臨時利得稅ヲ提案致シマシタ際ニモ、松
  村サンカラ其點ハ一體ドウダト云フ御話ガ
  アッタノデアリマスガ、是ハマア全額課稅シ
  テ行ク主義モアリ、全額課稅シテ行カナイ
  主義モアル、一ツハ稅率ノ問題デアル、負
  擔ト云フモノヲ全體トシテ見テ行カナケレ
  バナラヌ問題デアラウト、斯ウ申上ゲマシ
  タ次第デゴザイマス、今日デモサウ云フ風
  ニ存ジテ居リマス
  ソレカラ第二ノ御尋ノ點デアリマスル
  ガ、アッチニモチヨビリ、コッチニモチヨビ
  リト增稅シテ行ッテ、サウシテ結局ニ於テハ
  大キナ負擔ニナルノデハナイカト斯ウ云フ
  御話デアリマスガ、其點ハアナタノ御所見
  ト多少同感ノ點ガゴザイマス、法人ノ課稅
  ガ、營業收益稅ト言ヒ、所得稅ト言ヒ、臨時
  利得稅ト言ヒ、超過所得稅ト言ヒ、アッチカ
  ラモコッチカラモ同ジヤウナ稅金ヲ賦課ス
  ルト云フコトハ、是ハ稅制全體トシテ如何
  デアルカト、斯ウ云フ御尋デアラウト思フ
  ノデゴザイマス、此御尋ハ實ハ或ル程度ハ
  私モ其事實ハアルダラウト思フノデゴザイ
  マス、ソレニ付キマシテハ、所得稅ヲ全體改
  正致シマス場合ニ於キマシテ-此次ノ稅
  制改正ハドウシテモ主點ヲ所得稅ニ置カナ
  ケレバナラスト思フノデゴザイマス-所
  得稅改正ノ際ニ於キマシテ、是等ノ稅ヲ
  體ドウスルカ、法人ニ、營業收益稅ト云フ
  モノヲ、所得稅ニ一纒メニシテシマフカド
  ウカ、斯ウ云フ點ニ付キマシテハ一ツ十分
  考慮ヲ致シテ見タイト存ジテ居リマス、
  面ニ於キマシテ日本ノ稅金ガ安イ〓〓ト云
  フ所ノ非難ノアリマス-非難ト申シマス
  カ、安イカラ怪シカラヌト、サウ云フ論ハ
  政府ハ其論ヲ別ニ考ヘテ居ル譯デハゴザイ
  マセヌガ、サウ云フヤウナ感ジノ致スノモ、
  低イ稅率ノモノガ、アッチニモコッチニモアッ
  テ、重リ集ッテ來ルト、相當大キナモノニ
  ナッテ來ルト云フコトヲ御氣付ニナラナイ
  點ガアルカト思フノデゴザイマシテ、此點
  ニ付キマシテハ一ツ將來十分考究致シテ見
  タイト存ジマス

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• 031・小山倉之助

  ○小山委員　政府當局モ資本重課ノ點ニ付
  テハ御認メニナッタヤウニ思ヒマシテ、私モ
  滿足致シマスガ、繰返シマスレバ、澤山ノ
  稅率ヲ設ケテ、同ジ稅率ノモノヲ設ケテ、
  稅率ヲ低クシテ、ソレヲ增稅シタカラト言ッ
  テ、世間ニ對シテハソンナ不平ヲ言フノハ
  怪シカラヌト云フヤウニ見セテ置イテ、實
  ハ非常ニ重課サレテ居ル、其重課サレルト
  云フ點ヲ指摘致シマスルト、直チニ資本家
  ノ走狗デアルトカ、資本ノ擁護トカ云フコ
  トヲ言ッテ來ル、是ハ私ハ將來ノ日本ノ國防
  ノ充實ノ上カラ見テモ、或ハ產業ノ發展カ
  ラ見テモ、公債財源ノ資源ヲ培養スルト云
  フ點カラ見テモ、實ハ由々シキ重大ナル問
  題デアリマス、只今政府委員ハ營業收益稅
  其他ノ所得稅ト云フモノヲ一〓ニシテ、更
  ニ根本的稅制改革ヲナサルト云フ御意嚮ガ
  アルヤウニモ聽取シタノデアリマスガ、ソ
  レガ何時出來ルカト思ヒマシテモ、ヤハリ
  根本的ノ稅制改革ヲ致シマシテ、サウシテ
  本當ニ資本ノ培養ヲシ、其資本ガ撒布サレ
  テ、日本內地ニ於ケル社會間題ナドモ起サ
  ナイヤウニ御處置下サランコトヲ希望スル
  ノデアリマス
  私ハ是ハ稅金ノ上カラダケ申上ゲルノデ
  ハアリマセヌ、此處ニ私ノ洵ニ疎漏ナ調査
  資料デハアリマスガー-委員長、午前ハ此
  處デ打切リマシテ、午後カラヤルコトニ願
  ヘマセヌカ

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• 032・増田義一

  ○增田委員長　十二時半マデ御繼續下サ
  イ、一時半カラ又ヤリマスカラ····

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• 033・小山倉之助

  ○小山委員　例ヘバ茲ニ日本製鐵株式會社
  ト云フノガアリマスガ、此會社ハ三億五千
  九百萬圓ノ資本デアリマス、而シテ其株主
  ハ釜石鑛山、輪西製鐵、九州製鋼、三菱合
  資三菱重工業、三菱鑛業、富士製鋼、モ
  ウ一ツ造船ノ方ノ表ヲ見マスルト、川崎造
  船所デアリマスガ、十五銀行、藤本「ビル·
  ブローカー」、大倉鑛業、川崎總本店、岸和
  田紡績、大阪貯蓄、例ヘバ斯ウ云フヤウナ
  工合ニ、私ハ是等ノ會社ニ對シテ重稅ヲ課
  スルト云フコトニ反對スル者デハアリマセ
  ヌ、唯組織ガ斯ウナッテ居ル、日本製鐵ハ一
  割ノ今度ノ改正ニ依ッテ、百分ノ五ガ百分ノ
  十トナッタノデアリマスカラ、一割ノ配當ヲ
  取ラレルノミナラズ、是等ノ多數ノ會社ガ
  皆ヤハリ一割ノ配當ヲ取ラレテ、茲ニ同ジ
  資本ノ系統ガ重課セラレルト云フ結果ニナ
  ルノデアリマス、恐ラク斯樣ナ多數ノ會社
  ハ、全國ニ漲ッテ居ルデアラウト思フノデア
  リマスガ、斯ウ云フ點ニ對シテ、亞米利加
  ハ段々資本ニ對シテモ綜合課稅ヲスル傾向
  ニナッテ居ルト御話デアリマスガ、嘗テハ九
  割五分法人カラ來ル所ノ配當ハ控除シタ、
  現在ハ八割五分ノ控除ヲシテ居ル、卽チ事
  業ニ使フ所ノ、事業擴張ニ使フ所ノ、其國
  ノ工業ノ發達ノ爲ニ使フ所ノ資本ヲ虐待シ
  ナイデ、成ベク其資本ガ十分ニ活動スルヤ
  ウニト云フ其精神ガ、稅制ノ中ニ盛込マ
  レテ居ルノデアリマス、斯樣ナ譯デアリ
  マスカラ、私ハ唯此點ダケヲ一ツノ例ト
  シテ申止ゲテ置キタイト思フノデアリマ
  ス
  ソコデ私ハ各論ニ入ッテ、各稅種目ニ付テ
  御質問ヲ申上ゲルノデアリマスガ、第一ニ
  此第二條ニ「所得稅中法人ノ普通所得及〓
  算所得ニ對スル所得稅ニ付テハ所得稅法第
  二十一條ニ規定スル稅率百分ノ五ヲ百分ノ
  +、百分ノ十ヲ百分ノ二十トシタル場合ノ
  差增額ニ相當スル稅額ヲ增徵ス」ト斯樣ニ
  規定サレテ居ルノデアリマシテ、百分ノ五
  ヲ百分ノ十ニ增徵サレタノデアリマス、然
  ルニ此增徵ヲサレタ分ニ對シマシテハ第二
  十條ニ於テ-是ハ附加稅ヲ課セナイト云
  フ規定デスカ、二十條ハ-デアリマスカ
  一割五分ダケ上リマシタナラバ、例ヘバ
  法人ヨリ受ケル利益、或ハ利息ノ配當、剩
  餘金ノ分配ニ付テハ此五分ノ稅率ハ課ラナ
  イモノト見テ宜イノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=33

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• 034・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　臨時租稅增徵法ノ第二條
  ハ、今日ノ所得稅法第二十一條ノ稅率、卽チ
  普通所得ト〓算所得ニ於キマスル稅率ヲ增
  徵致シタ、斯ウ云フ規定デゴザイマス、臨
  時租稅增徴法ノ第二十條ハ附加稅ヲ課ケナ
  イ、其增徵シタ分ニ付テハ附加稅ヲ徵收シ
  ナイト云フ規定デゴザイマス、今アナタノ
  最後ノ御尋ノ百分ノ五ヲ課稅スルカセヌカ
  ト云フ問題ハ、一寸私ハ分リ兼ネタノデゴ
  ザイマスガ、更ニ御質問ヲ伺ッテ御返事致シ
  マス
  〔「ソレデ宜イノデス」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=34

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• 035・小山倉之助

  ○小山委員　ソレカラ第三條ノ法人ニ限ッ
  テ第二種源泉課稅ノ外、外債利子ハ三割ダ
  ケニ課ケル、百分ノ七十ヲ控除スル、地方
  債社債、預金ノ利子ハ全額課ケルト云フ
  趣旨デゴザイマスカ

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• 036・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　第三條ハ御承知ノ通リ國
  債ノ利子ニ對シマシテハ、今月マデ一切課
  稅シテ居リマセヌデゴザイマシタ、社債、
  地方債利子ニ付キマシテハ、全額課稅シテ
  居ッタノデゴザイマス、ソレデ今囘此國債ノ
  利子ニ付キマシテモ百分ノ七十ヲ引キマシ
  テ百分ノ三十、詰リ三割ダケハ課稅致シタ
  イ、此百分ノ三十ト云フモノハ今度ノ新規
  ノ課稅デゴザイマス、ソレダケハ今度課稅
  致スト、斯ウ云フコトニ致シマシタ次第デ
  アリマス

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• 037・小山倉之助

  ○小山委員　法人ニ對シテハ斯ウ云フモノ
  ヲ課稅スル、併ナガラ個人ニ對シテハ課稅
  シナイト云フコトニナリマスト、個人ニ對
  シテ課稅シナイデ法人ニ對シテ課稅スル、
  私ハ多クノ二重課稅ガアルノミナラズ、斯
  ウ云フ點ニ於テモ此法人、所謂資本ヲ虐待
  スルト云フ結果ニナリハシナイカト思フノ
  デゴザイマスガ···

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• 038・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　法人ニ付キマシテハ、今
  日ニ於キマシテモ社債ノ利子、地方債ノ利
  子ハ、全額課稅致シテ居ルノデゴザイマス、
  個人ニ付キマシテハ、御承知ノ通リ源泉課
  稅ヲ致シテ居ルノミデゴザイマス、ソレデ
  此第三條ノ規定ノ關係ニ付キマシテハ、
  法人ノ所得稅カラ源泉ニ於キマシテ課稅致
  シマシタ第二種ノ所得稅額ヲ、控除スルト
  云フコトヲ致シテ居ルノデアリマス、卽チ
  源泉課稅ト綜合課稅トダブッテハイケナイ、
  二重ニ課稅シテハイケナイ、一囘ダケノ課
  稅ト、斯ウ云フコトニ致シテ居ル次第デゴ
  ザイマス、今度國債ノ利子ニ付テ課稅スル
  ト云フコトニ致シタノデゴザイマスルガ、
  是モ一方ニ於キマシテハ國債ノ利子ニ付テ、
  源泉ニ於テ、百分ノ二ト云フ所得稅ヲ賦課
  致シマスト同時ニ、源泉課稅ヲ受ケタモノ
  ハ、ヤハリ其稅額ヲ法人ノ所得稅額カラ控
  除致シマス、サウシテ二重課稅ヲ避ケル、斯
  ウ云フコトハ致ス積リデゴザイマス、今資
  本ノ虐待デハナイカト云フ御話ガゴザイマ
  シタガ、是ハ社債、公債ニ對スル所ノ課稅
  ガ、今度相當重課ヲ受ケマスノデ、其關係
  上國債ダケヲ無稅ノ儘ニ致シテ置ク譯ニ行
  キ兼ネル事情ガゴザイマスノデ、國債ニ對
  シテモ相當ナ負擔ヲシテ貰フコトニ致シマ
  シタ次第デゴザイマス

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• 039・小山倉之助

  ○小山委員　ドウモ他ノモノガ多少虐待サ
  レルカラ、國債モ少シ虐待シヨウト云フノ
  デ、百分ノ七十ニ相當スル金額ダケ引イテ、
  三割課稅スルト云フノハドウモ、何ト申シ
  マスカ、セヽッコマシイト申シマスカ、重箱
  ノ隅ヲホジクルト申シマスカ、ドウモハッキ
  リシナイヤリ方ト思フノデアリマスガ、法
  人ノ持ッテ居ル國債,地方債、社債、預金利
  子ト云フモノニ對シテハ全額ノ稅ヲ課シ
  テ、サウシテ個人ノ持ッテ居ルモノニ對シテ
  ハ之ヲナサラヌト云フノハ、是ハ餘リニ區
  別ガ甚シクナイカ、斯ウ云フ風ナ感ジガス
  ルノデアリマス、サウ云フ風ニ御思ヒニナ
  リマスデスカ、ドウデスカ

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• 040・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　此問題ハ、今小山サンカ
  ラ御話ノアリマシタ點ハ、結局社債、公債
  ノ利子ト云フモノヲ綜合課稅スルカ、源泉
  課稅スルカト云フ根本問題ニナルト思ヒマ
  ス、是ハ法人ニ付キマシテハ、每期ニ於キ
  マシテ其會社ノ總收入金カラ總支出金ヲ差
  引イテ所得ヲ計算致スノデゴザイマスカ
  ラ、其中ニ社債ノ利子幾ラ、ソレカラ公債
  ノ利子幾ラト云フヤウナコトガ、皆之ニ含
  マレテ來ルノデゴザイマス、隨テ此計算ハ
  比較的簡單デゴザイマスシ、又數十年其通
  リヤッテ居リマス次第デゴザイマス、唯各
  個人ニ付テ之ヲ源泉課稅ニスルカ、綜合課
  稅ニスルカト云フコトガ、大キナ問題デアッ
  タト云フコトハ御存ジノ通リダト思フノデ
  ゴザイマス、隨テ法人ニ付テ綜合課稅ヲス
  ルト云フコトハ、實ハ餘リ問題ガゴザイマ
  セヌ、今日旣ニヤッテ居ルコトデモアリマス
  シ、又源泉課稅ノ稅額ト云フモノヲ、第一種
  ノ所得稅カラ控除致シテ居ルノデゴザイマ
  スカラ、其點ニ付テノ重複課稅モゴザイマ
  セヌ、ソレデゴザイマスノデ只今仰シヤル
  點ハ個人ノ問題デアリマスガ、勿論是ハ稅
  制改正ノ場合ニ於キマシテハ、相當考慮ヲ
  要スル問題ダト思フノデゴザイマス、其問
  題ハ課稅ノ根本ニ觸レル大キナ問題ダト思
  ヒマス、併シナガラソレガ爲ニ特別ニ今日
  社債、地方債ノ利子ヲ、法人ニ對シテ虐待
  致スト、斯ウ云フ趣旨ノモノデハナイヤウ
  ニ存ズルノデアリマス

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• 041・小山倉之助

  ○小山委員　同族會社ニ對スル加算稅額ヲ
  五割增徵致シマシタガ、此點ハ過般モ矢野
  君カラ質問致シマシテ、所得ノ四割マデハ
  課稅シ得ル、同族會社ノ所得ノ四割マデハ
  國家ガ之ヲ取リ得ル、其限度ヲ決メタン
  ダ、斯ウ云フ風ナ御話ガアリマスガ、此處
  ニモ私ハ隨分無理ガアリハシナイカト云フ
  感ジヲスル、併シ私ガ今各條文ニ付テ御尋
  致シマスルノハ、更ニ進ンデ大體ノ私ノ議
  論ヲ進メヨウト云フ點カラシテ居ルノデゴ
  ザイマスガ、四割マデハ取ラウ、取ッテモ宜
  シイ、普通所得ノ稅額、超過所得ノ稅額、其
  他第二種ノ超過所得ト云ソモノヲ除イテ、
  其餘リガアッタナラバ、四割マデハ取ッテモ
  宜イト云フ風ニ解釋シテ宜シイノデゴザイ
  マチカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=41

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• 042・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　此規定ハ百分ノ四〇%デ
  押へタイト、斯ウ云フ規定デゴザイマシ
  テ.無理ヲシタクナイ、斯ウ云フ趣旨カラ
  作リマシタ規定デゴザイマス、隨分無理デ
  ハアルマイカト、斯ウ云フ御尋デゴザイマ
  スガ、吾々ノ心持ト致シマシテハ無理ヲシ
  タクナイ、最高限度此程度デ止メタイ、斯
  ウ云フ趣旨カラ致シマシテ、此處ニ挿入致
  シマシタ規定デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=42

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• 043・増田義一

  ○增田委員長　一寸委員長カラ確メテ置キ
  タイガ、小山君ノ質問ニ對シテ政府ノ答辯
  ヲ得マシタガ、資本ニ對スル重複課稅ノ質
  問、續イデ公債ニ對シテハ餘程利廻ガ好イ
  ヤウナ計算カラ來テ居ルヤウニ思ハレル
  ガ、政府トシテハ產業資本ヲ壓迫シテモ、
  赤字公債ヲ澤山出サナケレバナラナイ場合
  デアルカラ、公債ヲ特ニ優遇シテ居ルノダ
  ト、サウ云フ立前カラ此增徵案ガ出來テ居
  ルト云フコトヲ御認ニナルカドウカ、ソレ
  ヲ一ツ御答ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=43

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• 044・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　國債ノ利子、詰リ金融資
  本ニ對シマシテハ輕過ギルコトハナイカト
  言フ點デアルカト思ヒマスガ、國債ノ利子ニ
  課稅ヲ致スト云フコトハ新ニ致シタノデゴ
  ザイマシテ、其點ハ寧ロ茲ニ新稅ヲ起シマ
  シテ、今マデ無稅デアッタモノニ對シテ課稅
  ヲ致スト、斯ウ云フコトニ致シタノデゴザ
  イマシテ、決シテ金融資本ヲ優遇シ、產業資
  本ヲ虐待スルト、斯ウ云フ意味ハ此稅法ニ
  於テ含マレテ居ナイト思フノデゴザイマ
  ス、資本利子稅ヲ十割增徵致シ、其上ニ第
  二種所得稅ノ五割ノ增徵ヲ致シ、國債ニ對
  シテハ新ニ課稅致スコトニ致ス、斯ウ云フ
  ヤウナコトヲ致シマシテ、金融資本ニ對シ
  マシテハ相當ナ增徵ヲ行ッテ居ル積リデゴ
  ザイマス、法人ノ營業ニ致シマシテモ、銀
  行アリ、保險會社アリ、各種ノ金融資本ニ
  同ジヤウナ稅率デ行クノデゴザイマス、法
  人ニ於テノ增徵率ガアリ、其上ニ金融資本
  ニ對シテノ相當ナ增徵率ガ行ッテ居ルヤウ
  ニ致シテ居ルノデゴザイマシテ、只今委員
  長カラ御尋ノアリマシタヤウナ事實ハ認メ
  ル譯ニハ參ラヌト思フノデゴザイマス

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• 045・増田義一

  ○增田委員長　重ネテ御間シマスガ、公債
  以外ノ配當或ハ利子ハ、公債ニ比シテ、二
  萬圓以上ノ所得ニナルト云フト非常ニ公
  債ヲ持ツヨリモ利廻ガ惡クナルト云フ計算
  ヲ示シテ、何トカ緩和スル途ナキカト云フ
  ヤウナコトヲ陳情サレルコトヲ聞イテ居リ
  マスノデ、公債ヲ持ッテ其利札ノ二萬圓以
  上ノ所得ト、ソレカラ公債以外ノモノヽ、
  卽チ株式ノ配當、ソレカラ社債等ノ二萬圓
  以上ノ所得ト比較スルト、非常ニ公債ノ利
  廻ハ好クナッテ、サウシテ其他ノ方ノハ利
  廻ガ惡クナルト云フ陳情デスガ、其點ニ付
  テ御調ニナッタコトガアリマスカ

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• 046・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　ソレハ先般私共モサウ云
  フ話ヲ聞キマシテ、色々計算致シテ見マシ
  タ、株式ヲ債劵ト同ジ土臺ニ置イテ考ヘテ
  宜イカドウカト云フ所ニ一ツノ疑問ガアル
  ト思フノデゴザイマスガ、之ヲ假ニ同ジ土
  臺ニ置イテ考ヘテ見マシテ、株式ヲ五分五
  厘ノ利廻トシテ、國債ヲ三分七厘ノ利廻ト
  スレバ其處ニ一分八厘ノ利廻ノ差ガアル、
  今日一分八厘ノ利廻ノ差ガアルト致シテ、
  假定致シマシタモノヲ、此間持ッテ來テ居
  ルノデゴザイマスガ、ソレニ依ッテ計算致
  シテ見マシテモ、各種ノ稅ヲ引イテ見マシ
  タ結果ハ、百萬圓ニ至ッテモ尙ホ株式ノ方
  ガ利鞘ガ幾ラカアルヤウデゴザイマス、是
  ハ前ノ案ニ依リマスト、何カ二萬圓ノ所ニ
  バッ點ガクッ附イテ居ッタリ、五十萬圓ノ所
  ニ「マイナス」ガクッ附イテ居リマシタリ、
  百萬圓モ「マイナス」ガクッ附イテ居タリ致
  シマスノデ、只今御話ノアリマシタ二萬圓
  ト云フヤウナ所ハ、或ハ是ハ前ノ案ニ依ツ
  テ計算サレタモノデハアルマイカト思フノ
  デアリマス、是ハ幾ラモ計算ノ仕方ガアル
  ト思フノデアリマスガ、只今私ノ手許ニ此
  間持ッテ來マシタモノヲ計算致シマシタ所
  デハ、百萬圓ノ所得者デアッテモ尙ホ幾分
  ノ利鞘ガアルヤウニ存ジテ居リマス

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• 047・小山倉之助

  ○小山委員　一寸箇條ニ付テモウ一ツ伺ヒ
  タイノデアリマスガ、第十九條ノ臨時利得
  稅ハ百分ノ十ヲ百分ノ十五、百分ノ八ヲ百
  分ノ十ニ御變ヘニナッタノデアリマスガ、臨
  時利得稅ハ元來昭和四、五、六年ヲ基準ト
  スルト云フコトニナッテ居ルヤウデアリマ
  スガ、ヤハリ昭和四、五、六ヲ基準トスル
  ノデアリマスカ、ソレトモ昭和十一、+、
  九年ヲ基準トスルノデアリマスカ、此點ヲ
  一ツ御伺致シマス

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• 048・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　臨時利得稅ニ付キマシテ
  ハ、臨時利得稅法其モノヲ變更致シマセズ
  稅率ヲ變更致シマスノト、ソレカラ施行期
  間ノ延長ノ規定ヲ追加致シテ居リマスノ
  ト、ソレダケデゴザイマスノデ、一昨年議
  會ニ於キマシテ御修正ヲ受ケマシタ通リ、
  四、五、六ノ三箇年ノ平均ヲ基礎ニシテ計算
  致シマス

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• 049・小山倉之助

  ○小山委員　四、五、六ノ計算ヲ致シマス
  ルト、今日ノ如キ軍需「インフレ」、軍需工
  業ノ盛ニナッタ時代ノ利益ト云フモノヲ比
  較致シマスト、其間ニ餘程ノ距離ガアルヤ
  ウニ思フノデアリマスガ、政府ハ此收入千
  五百萬圓ト御覽ニナリマスガ、千五百萬圓
  ヨリモ、モット上ルンデハナカラウカ、モット
  金額ハ多クナカラウカ、所謂稅收入ヲ少シ
  不足ニ御覽ニナッテ居ルノデハアルマイカ、
  此點ヲ御伺致シマス

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• 050・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　臨時利得稅ノ稅收入ガ
  モット餘計ニ取レルノデハアルマイカト云
  フコトハ、昭和九年ノ秋ニ臨時利得稅法案
  ガ世間ニ出マシテ以來、非常ナ物議ヲ釀シ
  タ問題デアルコトハ、小山サン御承知ノ通リ
  デゴザイマス、サウシテ政府ニ於キマシテモ
  此收入ノ見積ニ付キマシテハ、出來ル限リ
  見積過大ニナラヌヤウニト云フコトヲ慮リ
  マシテ、議會ニ於キマシテモ御說明致シマ
  シタコトハ、是亦御承知ノ通リデアラウト
  存ジマス、昨年、昭和十年度ニ於キマスル
  臨時利得稅ハ、實ハ徵收額ガ豫算額ニ到達
  致シマセヌデゴザイマシタ、政府ノ見積ダ
  ケ徵收スルコトヲ得マセヌデゴザイマシ
  タ、ソレデ本年モ昭和十一年度ノ臨時利得
  稅ハドノ位入ルデアラウカ、豫算通リ入ル
  デアラウカドウカト云フコトニ付キマシ
  テ、大分心配致シテ居リマス、一兩日前モ
  東京ノ或ル稅務署長ニ二人三人會ヒマシ
  テ、臨時利得稅ノ模樣ヲ聽イテ見タノデゴ
  ザイマスガ、マア辛ウジテ豫算ダケ取レル
  カドウカト云フ分界點デゴザイマス、ソレ
  デゴザイマスノデ、ソレヲ基礎ニシテ豫算
  ヲ立テヽ見積ヲ致シタノデゴザイマスカ
  ラ、先ヅ大體此邊ノ金額ト御承知下サッテ
  間違アルマイカト思フノデゴザイマス、尤
  モ今後ニ於キマシテ餘程模樣ガ變リマシ
  テ、會社ガ非常ニ儲カッテ來ル、斯ウ云フ
  コトデアリマスナラバ、是ハ又別デゴザイ
  マスガ、今日ノ狀態ニ於キマシテハ、先ヅ
  大體此邊ノ金額ハ動クマイ、斯ウ云フ風ナ
  見方ヲ致シテ居リマス次第デゴザイマス

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• 051・小山倉之助

  ○小山委員　丁度昭和四、五、六年ト云フ
  ノハ御承知ノ通リ不景氣ノドン底ニ在ル時
  代デアリマシテ、其時代ニハ最モ利益ヲ擧
  ゲナカッタ事業ガ、今度ノ軍需「インフレ」
  デ以テ最モ利益ヲ擧ゲルベキ傾向ニアルノ
  デアリマス、例ヘバ鐵工業ニ致シマシテ
  モ、機械工業ニ致シマシテモ、化學工業ニ致
  シマシテモ、又鑛業ニ致シマシテモ、不景
  氣ノドン底ニ在ッタ昭和四、五、六年ヲ基
  準トシテ、今度ハ景氣ノ最高調ニデモ達シ
  ヨウトスル是等ノ事業ガ、最低ノ利益ヲ基
  準トシテ、最高ノ利益カラ租稅ヲ徵收サレ
  ルト云フ結果ニナルノデアリマスカラ、私
  ハ此稅金ハ-後デモ亦全體ノコトヲ申上
  ゲル時ニ御聽シタイト思ッタノデアリマス
  ガ、景氣ノ最高調ニ達スル時ノ利益ヲ、最
  低ヲ基準トシテ、ソレヨリ超過シタモノニ
  對シテ重稅ヲ課スルト云フ結果ニナルノデ
  アリマスカラ、今ノヤウナ御見込ハ違ッテ
  居ルノデハナイカ、モット取レルノデハナ
  イカト云フ氣分ガスルノデアリマス、十年
  度ニ於テ豫定ヨリ取レナカッタト云フノハ
  ドウ云フ原因デアリマスカ、其點ヲ一寸附
  加ヘテ御尋シマス

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• 052・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　御承知ノ通リ臨時利得稅
  ハ、昭和四、五六年當時ト今日トノ差額
  全部ニ對シテ、其過剩額ヲ對象トシテ課稅
  スルト云フノデハゴザイマセヌノデ、其當
  時ノ儲ケガ資本金、積立金ニ對シテ百分ノ
  一シカナカッタ、或ハ百分ノ二シカナカッタ
  ト云フモノデモ、總テ百分ノ七ダケハ儲
  カッタモノト、斯ウ一應類推致シマシテ、
  其超過額ニ對シテ課稅致スノデゴザイマ
  ス、隨テ今三億ノ會社ガ茲ニアルト致シマ
  シタ場合モ、其三億圓ノ會社ハ、二千百萬
  圓ト云フモノハ其當時ニ儲カッテ居ッタモノ
  ト、斯ウ一應類推致シマシテ、其超過額ニ
  對シテ課稅致スノデゴザイマスカラ、サウ
  稅金ハ入ッテ來ナイ譯ニナッテ居リマス、隨
  テ昭和十年度ニ於キマシテハ、政府ノ見込
  ガ或ハ少シ行キ過ギテ居ッタカモ分リマセ
  ヌガ、政府ノ見込ダケ徵收スルコトヲ得マ
  セヌデゴザイマシタ、本年度ハ昨年カラ見
  マスト、更ニ一千萬圓程ノ增加見込ヲ致シ
  テ居ルノデゴザイマスガ、本年度モ先般話
  ヲ聞キマシタ所デハ、ドウモ少シ不足スル
  デアラウカト云フコトデアッタノデゴザイ
  マス、或ハ本年決定ヲ急ギマシテ、大體豫
  算ダケ取レルカ、取レナイカト云フ境目ノ
  程度ニ在ル、斯ウ云フ譯デゴザイマシテ、
  臨時利得稅ノ收入ト云フモノハ決シテサウ
  餘計アルモノデハゴザイマセヌ

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• 053・増田義一

  ○增田委員長　ソレデハ是ニテ休憩致シマ
  ス、午後一時三十分ヨリ引續キ開會致シマ
  ス
  午後零時十七分休憩
  午後一時五十分開議

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• 054・増田義一

  ○增田委員長　休憩前ニ引續イテ開會致シ
  マス

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• 055・小山倉之助

  ○小山委員　私ガ是カラ御質問申上ゲルコ
  トハ、或ハ大臣ノ方カラ御聽キシタ方ガ適
  當デアルカモ分リマセヌガ、マア主稅局長
  ハ將來ノ大臣デ居ラッシヤイマスカラ、十
  分其御襟度ヲ以テ御答ヲ願ヒタイト思ヒマ
  ス、午前中ノ增田委員長ノ御質問ニ一寸觸
  レルコトニナリマスガ、繰返シマスル通リ、
  產業ノ發達ヲ圖ッテ其收益ヲ多クシテ公債
  ノ消化ヲ圖ラナケレバナラヌ、公債ノ消化
  ト產業ノ發達トハ相竝行シテ行カナケレバ
  到底此財政ノ切廻シモ出來ナイシ、國防ノ
  充實モ圖ルコトヲ得ナイコトハ、私ガ前ニ
  述ベタ通リト思フノデアリマス、併シ其基
  礎トナルベキ資本ノ移動ニ對シテ、非常ニ
  大キナ變化ヲ來シハシナイカト云フ懸念
  ガ、茲ニ此度ノ稅制ヲ繞ッテ起ッテ居ルノデ
  アリマス、卽チ今マデノ資本ト云フモノハ、
  大體ニ於テ其落著ク所ハ決ッテ居ッタ、或ハ
  公債ニ行ク金、事業ニ行ク金ト云フヤウナ
  工合ニ、大體此資本ノ傾向ト云フモノガ決ツ
  テ居ッタノニ、茲ニ一ツノ大キナ「ヂスロケ
  ーション」ヲ起スノデハナカラウカト云フ
  ヤウナ說モアルノデアリマス、卽チ公債ニ
  向ケラレテ居ッタ所ノ金ガ產業ノ方ニ行キ、
  產業ニ向ケラレテ居ッタ所ノ金ガ、今度ハ
  公債ノ方ニ向ケラレルト云フ今日ノ狀態ニ
  達シマスル迄ニハ、相當ノ年限ガ必要デアッ
  タノデアリマスガ、旣ニ定ッタ秩序ニ對シ
  テ、茲ニ攪亂ヲ起サセル結果ヲ來シハシナ
  イカ、サウ云フコトデアリマス、ソレデ私
  共屢〓各方面カラ聽カサレルコトデ、又「パ
  ンフレット」ヤウノモノ、陳情ヤウナモノモ
  大分手ニシタノデアリマスガ、例ヘバ個人
  ノ所得稅ニ對シテ、基本所得ヲ超過シタ費
  用ハ公債ニ向ケタ方ガ有利カ、或ハ株ノ方
  ニ向ケタ方ガ利益デアルカ、斯ウ云フコト
  ニナリマスルト、先程增田委員長ヨリモ御
  尋ノアリマシタ通リ、二萬圓以上ハドウモ
  公債ヲ持ッタ方ガ利益ヂヤナカラウカト云
  フ、茲ニ計算ガアルノデアリマス、例ヘバ
  株ノ配當ヲ五分五厘ト致シマシテ、公債ヲ
  三分五厘、九十八圓、十六箇年八箇月ノ支
  拂期間ト致シマシテ、四割控除ノ場合ニ於
  キマシテ、二萬圓ノ收入ヲ株ニ向ケラレマ
  シタ時ハ株ノ利廻ハ四·六九八、公債ノ利廻
  ハ三·四七九、茲ニ一分ノ差ガアリマス、公
  債ト株式トハ一分位ノ差ガナケレバ、危險
  ヲ冐シテ產業ニ資本ヲ向ケルト云フコトハ
  シナイノデアリマス、先ヅ一分位ノ見當ヲ
  置クト云フノガ普通ニナッテ居ルノデアリ
  マスガ、四割控除ヲ致シマシタ場合ニハ、
  丁度二萬圓程度ハ一分ノ差ガアリマシテ、
  釣合ガ取レテ居ルノデアリマスガ、之ヲ今
  度ノ改正ノ如ク二割控除ニ致シマスルト、
  大體一分ノ差ト云フモノヲ見込ミマスレ
  バ、二十萬圓ニ達スルノデアリマス、二十
  萬圓ニ達スルト云フノハ、詰リ從來株ノ方
  ニ向ケテ居ッタ資本ヲ持ッテ居ル人々ハ、公
  債ノ方ニ向ケタ方ガ利益デアル、卽チ中以
  上ノ資產家ト云フ者ハ、寧ロ株ヲ持ツヨリ
  モ公債ノ方ニ向ケタ方ガ宜シイ、安全デ非
  難ノナイ危險ノナイサウ云フ方面ニ向ケラ
  レルコトニナレバ、產業資金ハ結局公債ノ
  方ニ向ケラレル、卽チ一種ノ「ヂスロケー
  シヨン」デアリマス、ソレカラ一部ノ方面
  ニハ從來小サナ預金ヲ集メテ居ッタ銀行ガ、
  公債ヲ持ツコトヲ奬勵シタノデアリマス
  ガ、其銀行會社ノ預金ハ寧ロ是ハ公債ニ向
  ケルヨリハ、株ノ方ニ向ケタ方ガ宜シイ、
  卽チ從來公債ニ向ケラレタ資本ガ株ニ向ケ
  ラレルト云フ傾向ガアル、私ハ必シモ之ヲ
  信ズル者デハアリマセヌガ、斯ウ云フ傾向
  ガアル、卽チ全然茲ニ地位ヲ替ヘテ資本ノ
  方向ニ違ッタ現象ガ起リハシナイカ卽チ資
  本ノ「ヂスロケーシヨン」、或ハ金融ノ秩序
  ヲ妨害スルト申シマスカ、斯樣ナコトヲ致
  シマスコトハ、尙ホ將來ノ發展ヲ期スベキ
  事業ノ上ニ、非常ナ大キナ影響ヲ與ヘルヤ
  ウナコトニナル、此稅制ノ改革ニ依リマシ
  テ、果シテサウ云フ傾向-私ガ只今申上
  ゲマシタコトヲ、ハッキリト御認ニナラナイ
  ト致シマシテモ、サウ云フ傾向ヲ大體察知
  セラレテ居リマスカドウデアルカ、此點ヲ
  伺ッテ置キタイノデアリマス

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• 056・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今小山サンカラ御尋ノ
  アリマシタ今囘ノ臨時增徵案ニ依ッテ、我國
  ノ經濟界ニ於ケル投資ノ方向ガ變リハシナ
  イカ、斯ウ云フ御尋デゴザイマスガ、私ハ
  此程度ノ課稅ニ於テハ、サウ云フコトガ起
  ラウト云フコトハ一寸考ヘラレナイノデア
  リマス、稅ノ負擔ノ變リマスコトハ、相當
  納稅者ノ神經ヲ刺戟スル點ハアルダラウト
  思ヒマス、ソレデゴザイマスカラ、大正九
  年ニ配當ノ綜合課稅ヲ致シ、資本利子ニ對
  スル源泉課稅ヲ實行致シマシタ、詰リ從來
  ヤッテ居ッタコトヲ逆サニ致シタノデゴザイ
  マスガ、其當時ソレガ爲ニ非常ニ此配當ト
  云フモノニ對シテノ壓迫トナッテ、會社ノ
  企業ヲ收縮サセルノデハアルマイカ、隨テ
  我國ノ將來ノ產業ノ上ニ非常ナ惡影響ヲ及
  ボスデアラウト云フコトデ、非常ナル反對
  ノ起ッタコトハ御承知ノ通リデゴザイマシ
  テ、今日ハ餘リ其聲ガゴザイマセヌガ、昭
  和四年、五年ノ經濟界不況ノ際ニ於キマシ
  テハ、殊ニ其聲ガ熾烈デアッタノデアリマ
  ス、併ナガラ配當ノ源泉課稅ヲ綜合課稅ニ
  改メマシタ大正九年カラ今日ニ至ルマデノ、
  我國ノ產業ノ隆盛ニナッテ來テ居リマス狀
  態ヲ考ヘテ見マスレバ、綜合課稅ト云フモ
  ノガ一體ドレダケノ影響ヲ與ヘタカト云フ
  コトハ殆ド分ラヌノデアリマス、非常ニ各
  會社ノ企業ガ隆盛ヲ極メテ居リマスコトハ
  申スマデモナイ所デゴザイマシテ、其當時
  喧シカッタ源泉課稅、綜合課稅ノアレダケ
  ノ問題ハアリマシテモ、產業界ノ全體ニ對
  シテハ今日カラ顧ミマシテ、大シタ影響ハ
  ナカッタノデハアルマイカト考ヘテ居ル次
  第デアリマス、ソレデゴザイマスカラ、其
  當時ノヤウナ非常ナ大變動ヲ行ヒマシタ譯
  デモゴザイマセズ、今囘ノ臨時增徵ハ現行
  法ニ對シマシテ相當ノ稅率ヲ引上ゲタルニ
  止ルノデアリマス、法人ノ稅金ヲ引上ゲ、
  配當ニ對シテ個人ノ賦課率ヲ引上ゲ、四割
  控除ヲ二割控除ニ致シタ、斯ウ云フコトハ
  一方ニ於キマシテハ法人ノ企業ニ對スル負
  擔ニハ相成ルノデゴザイマスルガ、High
  於キマシテ、又國債社債ニ對シマシテモ相
  當ナ負擔ガ行クノデゴザイマスルカラ、之
  ニ依リマシテ只今御示シノヤウナ投資ノ方
  向ニ變動ガ出來テ、隨テ經濟界ヲ混亂サセ
  ルト云ヒマスカ、混亂ト云フ言葉ハ强過ギ
  ルカモ知レマセヌガ、投資ノ動向ヲ變ヘル
  ト云フヤウナ結果ハ見ナイモノト斯ウ云フ
  風ニ存ジテ居ルノデゴザイマシテ、又政府
  ト致シマシテモ出來ルダケサウ云フヤウナ
  波瀾ヲ今日起サセマイト云フコトカラ致シ
  マシテ、各種ノ事情ヲ綜合シテ考ヘマシタ
  次第デアリマス、ソレデ法人ニ對スル負擔
  ノ移動ト云フモノガ一體ドウ云フ風ニナル
  モノデアラウカ、斯ウ云フヤウナコトモ計
  算致シテ見タノデゴザイマス、ソレニ依リ
  マスルト、法人ノ稅ヲ引キマシタ稅引利益、
  ソレニ第一種ノ所得稅、同附加稅、營業收
  益稅、同附加稅、臨時利得稅、法人資本稅、
  家屋稅、同附加稅斯ウ云フヤウナモノヲ合
  計致シマシテ、之ヲ法人ノ稅ヲ引キマシタ
  利益金ニ加算致シマシテ計算シテ見タノデ
  ゴザイマスガ、結局從來ト同ジ配當ヲシテ
  行クモノト假定致シマスルナラバ、留保金
  ニ於キマシテ一億三千八百萬圓程減ルノデ
  ゴザイマス卽チ今日九億ノ保留ヲシテ居ツ
  タモノガ七億六千六百萬位ノ保留トナル、
  隨テ四割九分三厘ノ留保割合デアッタモノ
  ガ四割五分二厘ノ留保割合トナル、一寸四
  分程落チルヤウデアリマスガ、會社全體ト
  シテノ影響ハ其程度ノ影響デアリマスノ
  デ、法人ノ負擔ニサウ大シタ影響ハナイノ
  デハアルマイカ、斯ウ云フヤウナ感ジガ致シ
  テ居ル次第デゴザイマス、ソレカラ一方ニ
  於キマシテ株式、國債斯ウ云フモノヽ差、
  卽チ五分五厘ヲ株式ノ利廻トシ、國債ヲ三
  分七厘ノ利廻トシテ計算致シテ見マスル
  ト、結局國債ハ源泉ニ於テ課稅ヲ受ケマス
  ノデ、三分六厘三毛、此三分六厘三毛ト五
  分五厘ニ對スル個人ノ方ノ負擔、卽チ五千
  圓.七千圓、一萬圓、一萬五千圓、二萬圓、
  三萬圓、五萬圓、七萬圓、十萬圓、五十萬
  圓百萬圓、是ノ累進課稅ニ依ッテ計算シ
  テ行キマスト、結局百萬圓ニ行キマシテモ
  マダ株式ノ方ガ幾分利廻ガ宜シイ、斯ウ云
  フヤウナ計算ガ出來ルノデゴザイマシテ、
  百萬圓ニ至ッテ株式ノ利廻ガ五分五厘ガ三
  分五厘ニナル、然ルニ國債ハ三分四厘八毛
  デアリマスカラ、百萬圓ノ所ニ至ッテモ二
  毛程利鞘ガアル、斯ウ云フヤウナ計算ニ相
  成ルカト思フノデゴザイマス、隨ヒマシテ
  今日ノ此程度ノ課稅ニ於キマシテ配當ノ方
  ノ關係カラ行キマシテモ、ソコニ投資ノ變
  動ト云フモノハ起ラナイ、斯ウ云フ風ナ見
  方ヲシテ居リマス、尤モ此株式ト國債トヲ
  單ニ利廻ノミデ計算致スト云フコトガ、
  方カラ考ヘレバ如何カト思フノデゴザイマ
  シテ、配當ハ一面ニ於キマシテ非常ニ增加
  致シテ居リマス、元五分ノ配當ノアッタモ
  ノガ六分ニナリ、七分ニナリ、八分ニナル、
  隨テ株ノ値段モソレニ連レテ上ッテ來ル、政
  府ハ低金利ノ政策ヲ執ッテ金利ノ方ハ引下
  ゲルト致シマスレバ、金利ノ所得者ハ一
  方ニ於テハ今囘增稅ヲ受ケル其外ニ、旣
  ニ今日ニ於テ五分カラ三分五厘マデ金利ハ
  下ッテ居ルト云フヤウナ三割以上ノ收入ノ
  減ヲ受ケテ居ルノデゴザイマス、低金利ヲ
  政府ガ採リマス結果ハ一方ニ於テ株式ノ値
  段ガ騰ッテ來ル、配當ノ方モ金利ガ安クナツ
  テ借金ヲ持ッテ居ル會社ハ樂ニナッテ來テ、
  配當モ餘計ニナッテ來ル、隨テ一方ハ配當
  ノ增加、一方ハ金利ノ減ト斯ウ云フ結果ニ
  ナッテ現レテ來テ居リマスノデ、單ニ利廻
  ニ依ッテ幾分ノ差ガアルカラト申シテ、株式
  ガ非常ナ壓迫ヲ受ケルト云フコトハ私ハ恐
  ラク起ルマイ、此低金利ノ政策ノ續ク限リ
  ニ於キマシテハ、依然トシテ株式ノ投資ハ
  旺盛ヲ極メルモノト、斯ウ云フ風ニ見テ居
  リマス次第デアリマス

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• 057・小山倉之助

  ○小山委員　私ハ法人ノ方カラ御尋致シマ
  スガ、只今御說明ガゴザイマシタ通リ、私
  モ單ナル利廻カラダケ株ガ高クナルトハ思
  ヒマセヌ、併ナガラ何ト申シマシテモ計算
  ノ基礎ニナルノデアリマスカラ、現在ノ場
  合ニ於テ、今考ヘタ計算ト云フモノガヤハ
  リ基礎ニナッテ來ナケレバナリマセヌ、
  方ニ於テ只今仰シヤル通リ、株價ガ高クナッ
  テ來ルトカ、配當ガ多クナッテ來ル株價ガ
  高クナッテソレガ暫ク旺盛ダト、斯樣ニ申
  サレテモソレハ現在ノ狀態ダカラ斯樣ニ旺
  盛ニナッテ來テ居ルガ、之ニ變化ヲ與ヘルナ
  ラバ其產業ヲ果シテ今ノ儘デ持續シ得ルモ
  ノデアルカドウカ、一方公債ヲ發行シテ無
  理ニ作ッタ所ノ跛行景氣ト云フモノハ、全體
  ニ對シテドウ云フ影響ヲ與ヘルカドウカ、
  デアリマスカラ、詰リ將來ノ見透シト云フ
  モノモ中々困難ニナッテ居レバコソ益〓此公
  債ノ方ニ投資ヲシテ、今儲カルケレドモ後
  ハ怖イ、丁度歐洲大戰ノ當時盛ニ設備ノ膨
  脹ヲ致シマシタガ、其當時ハ儲カッタガ、
  膨脹シタ會社程大キナ損害ヲ受ケタノデア
  リマスカラ、今日ノ資本家或ハ又株ニ投資
  シヨウト云フヤウナ人モ、サウ云フコトヲ
  十分考慮シテ居ルノデアリマス、デアリマ
  スカラ、私ハ計算ダケガ基礎ニナラナイト
  同時ニ、現在ノ情勢ダケデモ亦基礎ニナラ
  ナイト云フコトモ一ツ御考置キヲ願ハナケ
  レバナラナイト思フノデアリマス、ソレデ
  ヤハリ稅ノ上カラ見マスレバ、必シモ資本
  ト云フモノヲ擁護スルト云フ立場ニハナツ
  テ居ナイノデ、ソレガ爲ニ產業ノ發展ニ影
  響ヲ及ボスヤウナコトニナレバ、結局度々
  繰返シマス通リ、公債ノ資源ト云フモノモ
  無クナッテ來ルノデアリマス、其點私共ハ
  洵ニ憂慮シテ居ルノデアリマス、關聯致シ
  マシタ質問ノ中ニ屢〓、例ヘバ會社ノ利益
  ヲドノ位ニ見ルカ、稅ハ是ダケノ程度デア
  ル、ソレヲ引ケバ僅ノ差ニシカナラヌ、斯
  ウ云フ風ニ言ハレルノデアリマスガ、其計
  算ハ是ハ儲ケテ居ル會社モ儲ケテ居ナイ會
  社モ、或ハ瀬死ノ狀態ニアル會社モ平均シ
  テノ計算ト私ハ見ルノデアリマス、故ニ今
  日一流ノ會社、一流ノ事業ニハ相當ノ利益
  ガ擧ッテ、稅ハ多少上ゲラレテモ影響シナ
  イ會社モアリマセウガ、ソレヲ除キマシタ
  大部分ノ會社ト云フモノハ相當影響ヲ蒙ル
  ノデハナイカ、所得稅ヲ十割上ゲ、其外ニ
  營業收益稅其他ノ稅ヲ增徵致シマシタ結
  果、立派ナ會社ニ對スル影響ハ少イト致シ
  マシテモ、其均霑シナイ所ノ會社ニ對シテ
  ハ影響スルノデハナカラウカ、一方ノ會社、
  所謂戰時氣分ニ關係ノアル會社ダケ儲カッ
  タノデハヤハリ跛行景氣ニナリマス、景氣
  ト云フモノハ全般的ニ是ハ亙ッテ行カナケ
  レバナラヌト思フ、普遍的デアレバコソ全
  般ノ景氣モ普遍性ヲ見ルノデアリマス、跛
  行的ニ或ル事業ダケガ發達スル、其發達ス
  ル結果ハ結局公債ヲ以テ支辨サレ、所謂軍
  事費トシテ支辨サレルト云フヤウナコト
  ハ、一部ノ會社、一部ノ事業ダケノ發展助
  長ハ出來マシテモ、全般的ノ事業ノ囘復ヲ
  圖ルコトハ出來ナイ、寧ロ民間ニ資本ノア
  ル時分ニハ、景氣ニ連レテ色々ナ事業ニ投
  資致シマスカラ全般的ニナッテ來ル、ソレ
  デ全般的ノ事業ノ發達ハ國民ガ普遍的ニ其
  影響ヲ受ケル、物ノ消費モ平均シテ行クト
  云フヤウナコトニナリマスカラ、ヤハリ此
  事業ガヤリ宜イヤウニ、資本ガ事業ノ方
  ニ向ケ宜イヤウニ之ヲ助長シテ行カナケレ
  バナラヌト私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、
  ソコデ私ノ乏シキ材料デアリマスルガ、隨
  分留保率ノ少イ會社ガアルノデアリマシ
  テ、茲ニ代表的ノモノヲ調ベテ見マシテ、
  昭和十一年度上半期ニ於テ二百二十三會社
  中九十社ヲ採ッテ調べ得タノデアリマス、第
  一或ル銀行業ニ於キマシテハ二分ノ保留シ
  カアリマセヌ、是ハ中ドコロノ相當良イ方
  ノ銀行デアリマス、製絲業ニ於テハ一分ノ
  保留シカアリマセヌ、或モノニ付キマシテ
  ハ〇·三、或ハ〇·一ト云フモノモアリマス、
  ソレカラ毛織業ヲ採ッテ見マスルト、毛織
  業ノ如キハ今時勢ニ乘フテ居ル事業デアリ
  マスケレドモ、是モ〇·六ト云フヤウナモノ
  モアリマスレバ、人造絹絲業ノ如キ是亦時
  勢ニ乘ッテ居ルノデアリマスルガ、其中デ
  良イ方ガ二分デアリマシテ、惡イ方ニナリ
  マスト又〇·六「レール」業ノ如キモ〇·八、
  製糖業ノ如キモ〇·五、製紙業ノ會社デ〇·
  一ノモアリマス、「セメント」ニ至リマシテ
  ハ〇·六ノモアルヤウナ譯デアリマシテ、
  更ニ又化學工業ニ於テモ〇·九、良イ方ガ二
  分、惡イ方ハ〇·七ト云フヤウナモノガア
  リマス、斯ウ云フ事柄ヲ色々申上ゲテ居リ
  マスト、時間ヲ取ルノミデアリマスカラ此
  程度ニ止メルノデアリマスルガ、隨分多ク
  ノ弱體會社モアリマス、良イ會社モ、弱體
  會社モ共ニヤハリ普通法人デ、普通所得、
  生產所得ガ十割上ゲラレヽバ、ヤハリソレ
  等ノ影響ヲ蒙ル、同時ニ又營業收益稅ガ上
  ゲラレマシテモ、臨時利得稅ガ上ゲラレマ
  シテモ、或ハ法人資本稅ガ上ゲラレマシテ
  モ、有價證劵移轉稅ガ上ゲラレマシテモ、皆
  其影響ヲ蒙ルノデアリマス、デアリマスカ
  ラ、此稅ノ立テ方ト云フモノハ餘程愼重ニ
  シテ行カナケレバナラヌト斯樣ニ考ヘルノ
  デアリマス、ソコデ私ハ今度個人ノ方ノ問
  題ニ移ルノデアリマスルガ、個人ノ所得ノ
  中株式ヲ從來ハ四割控除致シマシタモノガ
  今度ハ二割控除ト改メラレタノデアリマ
  ス、私共ハ過去ノ稅制ノ改革ノ歷史ヲ見マ
  スルト、四割控除ト云フモノハ先程私ガ申
  上ゲマシタ通リ、法人所得ノ方デ亞米利加
  ニ於テハ八割五分ヲ控除シタト云フヤウナ
  同ジヤウナ理由デ資本ニ對シテ重課ヲシナ
  イ、重ネテ課稅ヲシナイ、斯ウ云フ精神カ
  ラ私ハ出發シテ居ルモノト見テ居ルノデア
  リマス、ソレハ或ル一部ヨリ議論ガアリマ
  スル通リ、借金ノ利子ヲ差引クトカ、或ハ
  其諸掛リノ利子ヲ差引クト云フヤウナ意味
  デハナクテ、寧ロ法人ノ資本ニ對スル重課
  ヲ防グト云フ精神カラ出テ居ルモノト私ハ
  考ヘルノデアリマス、然ルニ法人重課ヲ主
  トシテ立テラレタ所ノ此稅制ハ、茲ニ二割
  ヲ減ズルコトニ依ッテ二割ダケ又重課ガ其
  處ニ維持セラレテ行ク、此結果ハ只今申上
  ゲマシタ通リ、四割控除ノ場合ト二割控除
  ノ場合ニ於キマシテハ、甚シク計算上ノ相
  違ガアリマスルノミナラズ、此四割引カレ
  ルト云フ所ノ心理狀態ト、二割控除ト云フ
  所ノ心理狀態ハ、同時ニ又是ガ事業ニ對ス
  ル資本ノ動向ヲ阻止スルモノデハナカラウ
  カト云フ風ニ私ハ考ヘルノデアリマス、
  體此資本ガ事業ニ向クト云フコトハ、單ニ
  私ハ樣式々々ト申シマスルカラ、何デモ株
  ト云フモノダケヲ考ヘテ居ルヤウニ御考ニ
  ナル方モアルカモ知レマセヌガ、元來ハ事
  業ト資本ト云フモノヽ觀點カラ見テ行カナ
  ケレバナラヌト思フノデアリマシテ、元々
  法人、卽チ株ノ集合デアリマスル所ノ法人
  ノ形態ハドウ云フ場合ニ起ルカト申シマス
  ルト、御承知ノ通リ自分ノ事業ヲ擴張スル
  場合、或ハ事業ノ經營者ガ最初カラ資金ヲ
  求メテ法人ニシタ場合モアリマス、其外或
  ハ資本家ガ有利ナ事業トシテ投資シテ株ヲ
  買ッタモノ、銀行ヤ信託、保險會社ガ株ノ
  値ガ高イト云ッテ買ッタモノモアル、併シ資
  本家ガ事業ニ投資シ、又ハ銀行會社ガ株ヲ
  買ッタト云フヤウナ場合ハ、是ハ株ノ利廻
  ガ惡クナリ、危險ニナッタヤウナ場合ニハ、
  何時デモ逃ゲラレル階級デアリマス、然ル
  ニ自ラ事業ニ當リ、其事業ノ擴張ノ爲ニ事
  業ノ株ヲ集メタ人々ハ、是ハ中々逃ゲルコ
  トハ出來ナイ、併シナガラ此戰時體系ニ副
  ウテ日本ノ公債ノ方ニ向ケル資金ヲ蓄積セ
  シムル、其方ノ產業資金ヲ集メルト云フ場
  合ニハ、寧ロ此小サナ事業家ガ之ヲ擴張ス
  ル爲ニ株式ニスルトカ、或ハ最初多少ノ資
  金ヲ集メテ會社ヲ造ルト云フ方ノ仕事ガ多
  イノデアリマス、斯ウ云フ仕事ガ助長サレ
  ナケレバ普遍的ニ事業ノ發達ガ出來ナイ、
  事業ガ起ッテ來ナイ、產業ガ發達シナイ、斯
  ウ云フ仕事ニ對シテ資本ニ重課スルト云フ
  結果或ハ法人ノ所得ニ對シテ四割控除スル
  場合ト二割控除、卽チ虐待サレテ居ル場合
  ニハ產業資金ガ其方ニ向キ惡イ、多少デモ
  優待サレテ居ル場合ニハ其方ニ向キ宜イ、
  斯ウ云フ結果ニナルノデアリマスルカラ、
  此動キ易イ資本ニ對シテハ先程申上ゲマシ
  タル通リ或ル程度マデノ稅率ヲ採ッテモ宜
  シイ、亂雜ナ各種ノ利子ノ稅金ヲ拵ヘテ置
  イテ、ソレヲ合セレバ結局多クナルノデア
  リマスカラ、是ヲ或ル程度マデ統一ヲシチ、
  英吉利ノヤウニ二割ナリ三割ナリト云フ稅
  金ヲ取ル體系ニ改メマシタナラバ、國民ノ
  納得スル所調資本家バカリニ必シモ重課サ
  レテ居ルノデハナイト云フヤウナ感ジヲ與
  ヘル結果ニナリハシナイカト私ハ思フノデ
  アリマスガ、此點ニ付テハ如何ニ御考ニナ
  リマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=57

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• 058・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　小山サンカラ只今產業界
  ノ現狀ヨリシテ、資本ニ對スル課稅ガ餘リ
  强過ギヤシナイカト云フ御注意ヲ戴イタノ
  デゴザイマスガ、御注意ノ點ハ能ク考ヘマ
  シテ、此次ノ改正ノ時分ニ於キマシテ一ツ
  十分考慮致シタイト存ジテ居リマス、唯配
  當金額四割引ヲ二割引ニシテ八割課稅ヲス
  ルト云フコトモ、ヤハリ是ハ資本虐待ノ一
  ツデハナイカ、斯ウ云フ御尋デゴザイマス
  ルガ、此點ニ關シマシテハ大正九年ニ政府
  ハ債務ノ利子ヲ控除シナイ、サウシテ全額
  課稅スル、斯ウ云フ法律案ヲ議會ニ提出シ
  タノデアリマス、然ルニ衆議院ニ於キマシ
  テ、ソレハ二割控除ニシタラ宜シイ、アト
  ノ稅收入ノ足リナイ所ハ配當所得トシテ法
  人ニ課稅シタナラバ宜イデハナイカ、斯ウ
  云フ御修正ヲ受ケマシテ、二割控除ノ爲ニ
  稅收入ノ減ル額ハ會社ニ於テ負擔サスト云
  フコトデ貴族院ニ送ラレタノデゴザイマ
  ス、サウ致シマシタ所ガ、貴族院ハ更ニモ
  ウ二割ヲ控除シテ、稅金ノ少イ所ハ會社カ
  ラ取ッタラバ宜イデハナイカト云フコトデ、
  會社ヘ持ッテ行カレタノデアリマス、ソレ
  デ其當時ノ政府ト兩院ニ於キマスル論議ノ
  アトヲ見マスルト、要スルニ問題ハ、一ツ
  ハ負擔ヲ激變サセルコトハイケナイヂヤナ
  イカト云フコトガ最モ大キナ論點デアッタ
  ヤウデアリマス、其次ハ、債務ノ利子モ控
  除シナイデ配當全額ニ課稅スルコトハ酷過
  ギルヂヤナイカ、此二ツノ論點ヨリ致シマ
  シテ、四割控除ト云フコトガ出來上ッタモ
  ノト思フノデゴザイマス、此法律施行以來
  モウ旣ニ十六七年ニ相成ルノデゴザイマシ
  テ、負擔ノ激變ト云フ問題モ旣ニ今日ニ於
  キマシテハ或ル程度減ジテ居ル問題デゴザ
  イマス、又利子ノ拂ヒニ堪ヘヌ程債務ヲ持ッ
  テ居ルモノハ、大抵今日ハ法人ノ形體ニ
  改メテシマヒマシタシ、又世界各國ノ趨勢
  トシテモ、是ハ個人ニ綜合課稅スル、斯ウ
  云フヤウナ趨勢カラ考ヘマシテモ、四割控
  除ト云フコトハ、今日之ヲ存續致スコトハ
  如何カト思ヒマシタモノデゴザイマスカ
  ラ、此控除率ヲ縮メマシテ二割トシ八割課
  税斯ウ云フコトニ致シタ次第デゴザイマ
  ス、尙ホ會社ニ對スル租稅ガ重過ギテ、今
  後ニ於ケル我國ノ經濟界トシテハ、益〓發展
  シテ行カナケレバナラヌト云フ情勢ニアル
  際、相當心配デアルト云フコトデアリマシ
  テ、此點ハ一面ニ於キマシテ斯ウ云フモノ
  ニハ何デモ課稅シロ、相當高イ稅金ヲ課ケ
  テモ構ハヌト云フヤウナ主張ノ一部ニアリ
  マスル際ニ、吾々局ニ當ッテ居ル者ト致シ
  マシテハ、小山サンノヤウナ觀點カラシテ
  ノ御注意ハ、是ハ十分心得テ伺ハナケレバ
  ナラナイコトダト思フノデゴザイマシテ、
  我國ノ產業ノ發展ヲ考ヘマシテ、御趣旨ノ
  點ハ十分考慮致スコトニ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=58

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• 059・小山倉之助

  ○小山委員　私ハ此點ニマダ多少考モアル
  ノデアリマスガ、、是ハ別ニ致シマシテ、更ニ
  大局カラ此法人ノ受クル所ノ所得ニ對シテ
  稅金ヲ重クスルト云フコトニ付テ、私ハ
  ツ意見ガアルノデアリマス、實ハ內地ニ居
  リマスト、ドウモ會社ノ重役ガ多額ニ金ヲ
  取ッテ居ルトカ、配當ガ非常ニ多イトカ、私
  モ少カラズ反感ヲ持タサレルノデアリマス
  ガ、足一タビ海外ニ出テ見マスルト、ドウ
  シテモソコニ海外ニ於ケル競爭ノ立場ニア
  ル、或ハ護謨山ヲ買フニ致シマシテモ、海
  外ニ於テ砂糖ノ「プランテーシヨン」ヲ持ツ
  ト云フヤウナコトニ致シマシテモ、或ハ海
  外ニ於テ大キナ船ヲ浮ベテ居ル、或ハ海外
  ニ於テ大キナ商賣ヲスルト云フヤウナ、其
  實情ヲ目撃致シマスルト、ドウシテモ大キ
  ナ資本ノ力ガナケレバナラヌト云フヤウナ
  感ジガ致シマス、サウ云フ危險ナ仕事ハ、
  個人デモ會社デモヤハリ或ル程度マデ危險
  ヲ分擔シナケレバナラヌ、先程申上ゲタル
  通リ、一ツノ會社デ以テ多クノ會社ノ株ヲ
  持ッテ居ル、ソレニ重課サレル、元モ重課サ
  レヽバ子モ重課サレル、ソレガ二重ニモ三
  重ニモ重課サレルト云フヤウナ形ニナリマ
  スト、所謂サウ云フ御互ニ危險ヲ分擔スル
  ト云フヤウナ形式ノ會社ハ出來ナイ、是ハ
  同族會社ニ類似シテ居ルノデアリマスガ、
  サウ云フヤウナ會社ニ餘リ重稅ヲ課シマス
  ル、所謂海外ニ於キマシテモ、又內地モ
  同樣デアリマスルガ、大キナ力ヲ以テ外國
  トノ競爭ニ當ルト云フヤウナ機會ガ少クナ
  リハシナイカ、御承知ノ通リ今日ハ力 九
  カッタ」ノ「ガンニー」ガ南米へ輸出セラレ
  ル、英吉利ノ「ピースグッズ」ガ又「ボンベ
  イ」「カルカッタ」ニ輸出サレル、日本ニハ其
  「カルカッタ」ナリ或ハ亞米利加ノ棉ガ其需
  要地ニ仕向ケラレル、斯ウ云フ商賣ハ外國
  人ガヤッテ居ルノデハナクシテ、ソレニ日本
  人ガ携ッテ居ル仕事ガ非常ニ多イノデス、是
  ハ御承知ノ通リデアリマス、外國ト外國ト
  ノ間ノ商賣ヲ日本人ガヤッテ居ル、ソレガ同
  時ニ日本ノ國際貸借ト云フモノヲ助ケテ居
  ル、日本ノ船ガ外國ト外國トノ間ヲ航海シ
  テ運賃ヲ取上ゲル、日本ノ保險會社ガソレ
  ニ又保險ヲ附ケテ金ガ入っテ來ル、國際貸借
  ヲ助ケテ居ルノデアル、サウ云フ意味カラ
  言ヒマシテ、私ハ或ル程度マデハ此法人ガ
  强化シテ行クト云フコトヲ助ケテ行クコト
  モ、是ハ考ヘナケレバナラヌ問題デハナイ
  カ、先程申上ゲマシタ通リ、內地ニ於テ金
  持ガ威張フテ居ルコトハ澤山アル、一般大衆
  ノ所謂大キナ會社ニ對スル反感、是等ノ經
  營ニ當ル人ニ對スル反感ハ吾々モ同樣デア
  ル、足一タビ外國ニ出レバモット大キナ力
  ヲ以テ爭ハナケレバナラヌト云フヤウナ感
  ジヲスルノデアリマシテ、私ハ法人重課モ
  宜シイ、此同族會社ニ對シテ四割ヲ取ル、ソ
  レ以上又他ノ稅金ヲ取ラレルノデアリマ
  ス、恐ラクハ或ハ其他寄附金トカ何トカ云
  フモノモアリマセウ、隨分重課サレルト云
  フコトハ結局此强大ナル力ヲ失,テ來ルノ
  デハナイカ、今日日本ノ棉布ガ世界ニ脅威
  ヲ與ヘテ居ル、舊イ歷史ヲ持ッテ居ル英吉
  利ノ「ランカシヤ」ナリ、或ハ「マンチエス
  ター」ヲ壓倒シテ居ルト云フノハ、向フノ
  所謂結合シテ居ル力ガコッチノ力ヨリモ弱
  イ、コッチノ力ガ强イカラデアル、ソレハ卽
  チ一ツノ統一ヲ圖ッテ居ルカラデアル、其統
  一ヲ圖ルト云フコトハ、ヤハリ一ツノ會社
  ガ幾ツモノ會社ノ株ヲ持ッテ、統一モ圖レバ
  連絡モ取ッテ行ク、ソレガ擴大强化シテ初メ
  テ外國トノ競爭ニ於テ勝ツノヂヤナカラウ
  カ、サウ云フコトモ私ハ織込ンデ御考ニナ
  リマスコトハ、特殊ノ使命ヲ持ッテ居ル現
  在ノ政府ニアル、公債モ消化シナケレバナ
  ラヌ、同時ニ又產業ノ發達モ圖ラナケレバ
  ナラヌ、軍備ハ擴張セラレマシテモ、其背
  後ニ居ル產業ガヒヨロ〓〓トシテ居ルナラ
  バ、或ハ公債ガ繼續的ニ募集セラレナイト
  云フヤウナ狀態デアリマスナラバ、結局第
  一線ニ於テ狹義ノ國防ガ出來マシテモ、其
  銃後ノ國防ト云フモノガ出來テ居ナイ、ド
  ンナニ立派ニ兵隊ガ出來テ居リマシテモ、
  ドンナニ立派ナ銃器ヲ今日持ッテ居ッテモ、
  明日之ヲ繼續スル力ガナケレバ、國防ノ本
  當ノ實ヲ擧ゲルコトハ出來ナイ、外國人ハ、
  日本ノ國防ニ對シテ、日本ノ國力ニ對シテ、
  或ハ滿洲ニ對シテ、今ニ日本ノ背後ノ力ニ
  崩壞ヲ來スンダ、斯ウ云フコトヲ以テ一部
  安心シタ者モアリマシタガ、ソレガ崩壞セ
  ズシテ益〓擴大强化シテ、日本ニ實力ガ附イ
  テ來タト云フコトハ、今迄ノ民間ノ人ノ努
  カ、政府ノ協力、或ハ稅制モ其間ニ隱微ノ
  力ヲ爲シテ居ルモノト思フ、今日既ニ發達
  シタモノヲ取上ゲルコトハ何デモナイ、併
  シ取上ゲタ後ハドウナルカ、尙ホ從來ノ如
  ク發達スベキ稅制ヲ是ハ作ラナケレバナラ
  又、從來ヨリモ更ニ發達スルヤウニ之ヲ仕
  向ケナケレバナラヌ、サウ云フ點カラ申シ
  マスルナラバ、私ハ此大局カラ申シマシ
  テ、或ハ同族會社ニ對スル稅ノ加減モ必要
  デハナカラウカ、英吉利邊リハ相續稅ガ餘
  リニ高イ爲ニ、多クノ金持ハ倒レテシマウ、
  一ツノ會社、一ツノ事業ヲ興シマスルニハ
  五十年ヤ百年ハ掛リマス、其五十年モ百年
  モ掛ヲタサウ云フ事業ヲ、相續稅ガ高イ爲
  二、或ハ其外ノ稅金ガ高イ爲ニ、其事業ニ
  破壞ヲ來スト云フコトニナレバ、是ハ又大
  キナモノヲ作ルノニ五十年、百年ハ掛ラナ
  ケレバナラヌ、今日ハ英吉利ノ稅金ガ餘リ
  ニ高イ爲ニ、アノ堅實ナル英吉利ノ國民ガ、
  愛國心ニ多少稀薄ヲ覺ヘタト云フヤウナコ
  トヲ傳ヘラレテ居ル、今日英吉利ノ金持ガ
  大キナ庭園ヲ十六志ヲ以テ賣出シタト云フ
  ヤウナコトヲ私ハ伺ッテ居ル、デアリマスカ
  ラ大キナ力ヲ以テ、所謂國際間ノ競爭ヲシ
  ナケレバナラヌ、軍備ノ充實ヲシナケレバ
  ナラヌ、銃後ノ國防ヲ圖ラナケレバナラヌ
  ト云フ國家ノ使命ト致シマシテハ、ヤハリ
  唯徒ニ大衆ニ媚ビテ、高イ者ハ出スンダ、澤
  山持ッテ居ル者ハ出スンダト云フヤウナ考
  バカリデ、稅制ヲ茲ニ定ムベキモノヂヤナ
  イ、相續稅ニ對シテモ澤山取レル者カラ取
  ルト申シマシテモ、或ハ所得稅ニ於テモ澤山
  取レル者カラ澤山取ルト申シマシテモ、日
  本ノ所得稅デ以テ一番多額ニ納メテ居ル者
  ハ住友一人デアル、唯一人ノ爲ニ茲ニ高率
  ノ稅率ヲ現シテ置キマスルヨリモ、取レル
  程度ニ緩和シテ取ルベキヂヤナイカ、日本
  ノ稅ヲ納メル納稅者ノ數ヲ圖面デ以テ現シ
  マスト、下ノ方ガ非常ニ廣ク、少シ上ノ方
  ニナルトマルデ竹竿ヲ立テヽ居ルヤウデア
  ルト云フコトヲ私ハ伺ッテ居ルノデアリマ
  スガ、ソレガヤハリ「ピラミッド」型ニ行ク
  ヤウニ、其中間ニ多クノ資力者ガ現レルヤ
  ウニシナケレバナラヌ、ソレガ爲ニハ少シ
  上ッタモノヲ、之ヲ芽生ヘデ抑ヘテシマフト
  云フコトデナク、是ガ段々發達シテ行クヤ
  ウニシナケレバナラヌ、ソレガ爲ニハ私ハ
  今日或ハ一般ノ民衆ノ反感ヲ受ケルヤウナ
  コトハアリマシテモ、相續稅ニ對シテモ多
  少ノ手心ヲシテモ宜イヂヤナイカ、所得稅
  ニ對シテモ多少ノ手心ヲシテモ宜イヂヤナ
  イカ、サウシテ大體ニ於テ今ノ收支ヲ合セ
  得ル程度ニ取レルモノナラバ、先ヅ產業ノ
  發達ヲ圖リ、而シテ其公債ノ財源ヲ得ル資
  金ヲコヽニ作ラナケレバナラヌ、此事ニ失
  敗致シマシタナラバ、ドンナニ立派ナ軍備
  ノ充實ヲ致シマシテモ、ドンナニ立派ナ軍
  艦ヲ造ッテモ、背後ニ力ガナイト云フコトヲ
  見縊ラレテ居ルナラバ、今日ノ軍備ノ擴張
  ハ平和ヲ維持スル所以ダト言ッテモ、却テ平
  和ヲ維持スル所以デハナクナッテシマフ、軍
  艦ガ出來テモ、背後ニアル弱點ヲ突カレル、
  サウ云フ結果ニナリマスカラ、私ハ此點ニ
  付テモ十分御留意ヲ願ヒタイノデアリマ
  ス、此見地カラ申シマスレバ、私ハマダ幾
  多ノ茲ニ是正スベキモノヲ認メルノデアリ
  マス、左樣ナ御考ヲ以テ此稅制ニ當ラレタ
  カドウカ、先程申上ゲマシタ通リ、或ハア
  ナタ方事務當局ト致シマシテハ、兎ニ角財
  源ダケ漁レルダケ漁ッテ見ヨウ、取レルダケ
  取ッテ見ヨウ、有ユル手段方法デ以テ取ッテ
  見ヨウ、斯ウ爲サレタノデアリマスカ、ア
  ナタノ前途ヲ私ハ先程申上ゲ、御要求ヲ申
  上ゲマシタヤウナ意味ニ於テアナタハ大局
  ヨリ御答辯アランコトヲ希望スル次第デア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=59

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• 060・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　小由サンノ只今ノ御尋ハ
  極メテ重要ナル問題デアリマシテ、稅制ガ
  徒ニ大衆ノ主張ニ追隨ヲシテ、其爲ニ一國
  ノ產業ヲ萎靡沈滯セシメルニ於テハ、事頗
  ル重大デアルト、斯ウ云フ御注意デアルト
  思フノデゴザイマス、此點ニ付キマシテハ
  近來先程カラ御話ノアリマシタ通リ、英吉
  利ニ於キマシテモ屢〓サウ云フ論ヲシテ居
  ルノデゴザイマス、其點ハ稅制ノ全體トシ
  テ行過ギルト云フコトハ勿論是ハ不可デゴ
  ザイマスガ、併ナガラ增稅ヲ致シ、國ノ收
  入ノ增加ヲ計ッテ行クト云フ場合ニ於キマ
  シー、負擔力ヲ考ヘ是々ノ收入ヲ上ゲヨウ
  ト致シマス場合ニ於キマシテ、ドウシテモ
  多額ノ所得、又ハ多額ノ財產ト云フヤウナ
  モノガ標準ニサレテ行キマスコトハ、今日
  ノ場合ドウモ已ムヲ得ナイコトデハアルマ
  イカト思フノデゴザイマス、此點ニ付テハ
  別ニ小山サンニモ御異論ノナイ點ダラウト
  思フノデアリマシテ、要ハ行過ギハセヌカ
  ドウカ、問題ハ此點ニアルノダラウト思フ
  ノデゴザイマス、御承知ノ通リ英吉利ノ相
  續稅ニ致シマシテモ、亞米利加ノ相續稅ニ
  致シマシテモ、是ハ隨分高イ相續稅デアリ
  マシテ、其非難ノ從來カラアリマスコトモ
  是亦仰シヤル通リデゴザイマス、今囘ノ增
  徵ニ當リマシテ、所得稅ヲ引上ゲ、殊ニ法
  人ノ所得稅ニ付テ重課ヲ致シ、又相續稅ヲ
  引上ゲマシタ、斯ウ云フ點ニ付キマシテモ
  世界各國ノ立法例其他ヲ參考ト致シタ點モ
  ゴザイマシタシ、又前ニ提案致サレマシタ
  增稅案ニ付テモ之ヲ參照致シタノデゴザイ
  マスガ、結局此程度ノ增稅デアリマスレバ、
  私共ハ只今アナタノ仰シヤイマシタヤウナ
  サウ心配シタ狀態ニハ立到ラナイノデアラ
  ウ、此程度ノモノデアルナラバ、先ヅ今日
  世界ニ我國ガ伍シテ行キマス上ニ於テサウ
  障碍ニハ相成ルマイ、斯ウ云フ見地カラ致
  シマシテ提案致シタ次第デゴザイマス、是
  ガ今後此上ニ更ニ增徵ニ增徵ヲ重ネテ行
  ク、斯ウ云フヤウナ場合ニ立到リマスレ
  バ、若シサウ云フヤウナコトニ立到リマシ
  タ時分ニ於テ、果シテ如何ニ之ヲ持ッテ行
  クカト云フコトニ付キマシテハ、是ハ餘程
  考慮ヲ要スル點ガアルダラウト思フノデア
  リマス、何レニ致シマシテモ此資本ノ大キ
  ナ力デ外國ト對抗シテ行ク、產業ヲ發逹サ
  シテ、其產業ノ力デ以テ對抗シテ行ク、是
  ハ固ヨリ必要ナ、又ヤラナケレバナラナイ
  點ダト思フノデゴザイマシテ、此次ニ於キ
  マスル稅制ノ一般改正ニ當リマシテハ、只
  今アナタノ仰セラレマシタヤウナ要點ニ關
  シマシテハ一ツ十分留意致シマシテ、立案
  致シタイト、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リマス

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• 061・小山倉之助

  ○小山委員　先程私ハ私ノ調ベマシタ材料
  ニ依ッテ各種ノ稅目ヲ較ベマスルト、亞米
  利加ノ次デアル、亞米利加ハ八三、ソレ以
  上、日本ガ七七、必シモソレハ御承服ユナッ
  テ居リマセヌデスガ、數字ニ付テ御承服ニ
  ハナラナイト致シマシテモ、恐ラク御調ベ
  ニナリマスルト大體英吉利ノ上、獨逸ノ上、
  亞米利加ノ次、世界デ二番目ノ高率稅トナ
  ルダラウト思フノデアリマス、ソコデ繰返
  スヤウニナリマスルガ、或稅ハ百分ノ十、
  或稅ハ千分ノ三トカ四トカ云フコトニナッ
  テ居リマスルガ、ソレヲ一分カ二分上ゲレ
  バ何デモナイ、一分カ二分上ゲタ結果ガ非
  常ナ大キナ稅率ニナルノデアリマス、デアリ
  マスカラ私ハ大藏當局ニ對シマシテ、此稅
  金ハ所謂資本ニ對シテハドレダケノ割合ニ
  ナルト云フ其割合ヲ寧ロ天下ニ公表サレマ
  シタ方ガ、國民モ此通リ衡平ニ負擔シテ居
  ルノダト云フコトガ分ルダラウト思フノデ
  アリマス、ソコデ只今申上ゲマシタ通リ、
  世界デ第二ノ-而モ亞米利加ノ如キハ資
  源豐富ナ、英吉利モ同樣資源豐富ナ國柄デ
  アリ、戰後ノ財政ノ整理ノ爲ニ國民ニ殆ド
  極度ノ緊張ト、極度ノ責任ヲ求メタ、戰時
  トハ言ヒナガラ强要シタ國家ノ稅額ト、外
  國カラ資源ヲ仰ガナケレバ何モ出來ナイト
  云フ國柄、ソレ程民間ニ富ノ蓄積ノ出來テ
  居ナイ日本、尙ホ將來原料ヲ求メル爲ニ海
  外ニ對シテ働キ掛ケナケレバナラヌ國柄デ
  アリマス、內地ニ於テ資本ガ大キイト云ッ
  テモ海外ニ働ケバ小サナ資本ニナッテシマ
  フ、海外ニ於テ大キナ資源ヲ求メナケレバ
  ナラヌ國柄デアリマス、私ハ餘リ具體的ノ
  コトヲ申上ゲタクナイノデアリマスルガ、
  海外ニ於テ或ハ石油ノ資源ヲ取リマスニシ
  テモ、或ハ燐鑛ノ資源ヲ取リマスニシテモ、
  木材ノ資源ヲ取ルニ致シマシテモ、相當ノ
  資金ガ要ルノデアリマス、其資金ガナケレ
  バナラヌ國柄デアリマス、其資金ヲ國ノ力
  デ、吾々國民ト政府ノ力デ以テヤラナケレ
  バナラヌ國柄デアリマス、外國ノ如ク、英
  吉利ノ如ク、或ハ亞米利加ノ如ク、或ハ之
  ヲ植民地ニ求メ、亞米利加ノ如キハ自國內
  ニ於テ其大資源ヲ包容シテ居ル國柄トハ違
  ヒマス、內地ニ於テハ貧弱デアル、ヤハリ
  口錢取リ、カスリヲシテ居ル國柄デアリマ
  ス、外國カラ原料ヲ入レテ、サウシテソレ
  ニ加工シテ、ソレヲ外國ニ賣出シテ儲ケテ
  居ル國柄デアリマス、此國柄ニ對シテ、其
  產業ニ對シテ、其產業ノ鍵ヲ握ッテ居ル所ノ
  此大キナ所謂資本ニ對シテ重課スルト云フ
  コトハ、是ハ餘程考ヘナケレバナラヌコト
  ヂヤナカラウカ、外國ハ其程度カラ言ッテモ
  國柄ガ違フ、實力ガ違フ、日本ノ如キハ重
  要ナモノハ殆ドナイ、ソレガ皆海外ニ仰ガ
  ナケレバナラナイ、サウ云フ國柄デアリマ
  スカラ、世界デ第二番目ノ稅金ヲ茲ニ國民
  ニ强ユルト云フコトハドウカ、併シ今度結
  城サンニナリマシテカラ、前ノ馬場サント
  ハ大分違ヒマシテ、殊ニ綜合課稅ヲ源泉課
  稅ニ直シテ、サウシテ社債ヤ地方債ナドヲ
  自由ニ出來ルヤウニ、採算ガ明確ニナリ得
  ルヤウニ變ヘラレテ、サウシテ產業ノ助長
  ノ爲ニ圖ラレタト云フコトハ、私ハ大變宜
  イト思フ、又馬場サンノ如ク、出サナケレ
  バ取ッテ見セルゾ、斯ウ云フ方法モアルゾ、
  有ユル恐喝ヲヤラレタ馬場サンノ態度トハ
  大分御遠ヒニナリマシテ、其稅制ヲ編ムコ
  トニ付テ御盡力ニナリマシタ石渡政府委員
  ニ對シテハ、大イナル敬意ヲ表スルモノデ
  アリマスガ、サウ云フコトヲ御考ニナリマ
  スレバ、私ハ稅制ノ作リ方ニ付テ餘程頭ガ
  變ッテ來ル譯ト思フ唯內地ニ於テ現在發達
  シテ居ルモノト、發達シテナイモノト比較
  シテ見マスト、是ハ兎ニ角擔稅力ガアル、
  餘地ガアルト思ハレル大キイ會社、大キナ
  事業モ、明日ニデモ原料ヲ拒絕サレヽバ直
  グ倒レテシマフ會社デアリマス、外國ニ明
  日カラデモ原料ヲ拒絕サレヽバ直グ倒レテ
  シマフ、サウ云フ關係ニアルノデアリマンカ
  ラ、私ハ斯ウ云フ點モ十分御考ニナッテ留保
  所得ガアッタラ取ッテヤル、利益金ガアッタ
  ラ取ッテヤル、積立金ハ許サヌ、資本利子稅
  デ以テ積立金ガ殖エレバ殖エル程取ル、危
  險ヲ分擔シヨウトシテ子會社ヲ作ラウトス
  レバ、是カラ又稅金ヲ取ッテシマフ、千分ノ
  五デスカ、千分ノ十デスカ取ッテシマフ、サ
  ウ云フ風ナコトヲ餘程私ハ御考慮ニ入レテ
  オヤリニナリマセヌト、或ハ惧ル產業ノ萎
  靡ヲ來シテ、サウシテ公債ノ資源ト云フモノ
  ハ必ズシモ茲ニ充實スルコトハ出來ナイノ
  デハナイカト云フ風ニ考ヘルノデアリマス
  ガ、サウ云フコトニ付テ如何ニ御考ニナリ
  マセウカ、御所見ヲ伺ヒタイノデアリマス

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• 062・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　小山サンノ御心配洵ニ御
  尤ナ點モアリマス、稅金ノ高イコトハ諸種
  ノ點ニ於テ良クナイト思フノデアリマス、
  併シ是ハ一方ニ於キマシテハ國ノ已ムヲ得
  ザル必要ト相絡ンデノコトデアルノデアリ
  マシテ、今ハッキリ茲ニ數字ヲ申上ゲル譯
  ニ行カヌノデアリマスガ、明治二十七八年
  ノ戰役後、三十七八年、ソレヨリ大正二年
  三年位マデノ間ニ於キマシテハ、我國ノ所
  得稅ノ負擔ト云フモノハ、是ハ或ハ世界一
  デアッタカモ分リマセヌ、ソレダケノ負擔ヲ
  致シマシテ、サウシテアレダケノコトヲヤフ
  テ來テ居ル、サウシテ歐洲戰爭ガ始マル
  ト、他ノ國ハ負擔ガ增加シタ、我國ニ於キ
  マシテハ幸ヒナコトニハ國民所得ハ增加シ
  テ、負擔ハ餘リ增加セヌ、斯ウ云フコトニ
  依リマシテ、其後世界ノ他ノ國ト我國トノ
  間ノ負擔ノ割合ト云フモノガ、我國ハドチ
  ラカト云フト減ッテ來テ、他ノ國ハ歐洲戰爭
  ノ結果非常ニ增加シテ來タ、斯ウ云フ關係
  カラ致シマシテ、大正七八年後我國ノ負擔
  ノ關係ト云フモノハ、對外的ニ餘程緩和サ
  レテ來タト思フノデアリマス、併ナガラ是
  モ此數年來ノコトデアッテ、我國モ色々ナ經
  費ノ必要上茲ニ此儘デハドウシテモヤッテ行
  カレヌ、增稅スルト、斯ウ云フコトニ相成リ
  マスト、只今亞米利加ガ第一デ我國ガ其次
  ダト仰シヤルノデアリマスガ、私ハ恐ラク
  ハ我國ハソコ迄ハ行クマイ、モット低イトハ
  思ッテ居リマスガ、如何程ノ所マデ至リマ
  スカ〓略〓他ノ國ノ負擔ニ匹敵シテ來ルノデ
  ハナイカト云フコトハ、是ハ或ハ仰セノ通
  リカト思フノデアリマス、各種ノ租稅ガ
  略^他ノ國ニ匹敵スル位ノ負擔ニナッテ來ハ
  ル、斯ウ云フコトハ或ハ其樣ニ相成ルノデ
  ハアルマイカト云フ風ニ考ヘテ居リマス、サ
  ウシテ來マスト、今マデノ我國ノ稅金ガ比
  較的歐洲諸國、亞米利加等ニ對シテ低イ地
  位ニアッタト云フモノガ漸次負擔ニ於テモ
  相接近シテ來ルト云フヤウナコトガアルカ
  モ知レマセヌガ、併シ是ハ國家的ノ必要カ
  ラ生ズルト云フコトデアリマスナラバ、之
  モ洵ニ已ムヲ得ヌコトデアルト思フノデア
  リマス、斯ウ云フ場合ニ當リマシテハ今ア
  ナタノ仰セノアル通リ、國ノ產業ノ發達ト
  云フコトヲ常ニ考ヘテ稅制ヲ處理シテ行カ
  ナケレバナラヌト思フノデアリマス、儲ケ
  ルコト、配當ノ多イコト、サウ云フコトニ
  眩惑サレナイデ、稅務當局ハ一路國家ノ發
  展、國家經濟ノ發達ト云フコトヲ念頭ニ置
  キ事ヲ處理シテ行ケ、斯ウ云フ御注意ニ付
  キマシテハ謹ンデ拜聽致シマシテ、能ク考
  慮致スコトニ致シマス

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• 063・小山倉之助

  ○小山委員　私マダ御尋シタイコトガ澤山
  アルノデアリマスガ、商工當局ガ御見エニ
  ナル間少シ細カナコトヲ御伺致シマス、主稅
  局長ハ世界デ第二番目ト云フコトニハ御承
  服ニナラナイノデアリマス、大分御氣ニ惱
  ンデ居ルヤウデアリマスガ、併シ非常ナ高
  イ稅率ニ稍〓近イモノデアルト云フコトハ
  御認メニナッタ、各種ノ稅金ヲ計算致シマス
  ト、容易ナル負擔デハナイ、恐ラクハ私ハ
  是以上何處カラ取ルノダ、是以上擔稅力ト
  云フモノヲ何處ニ發見スルノダト云フコト
  ヲ、馬場案ヲ最初ニ見マシタ時ニ驚イタノ
  デアリマス、能ク漁ッタモノダ、漁レルダケ
  ノモノヲ全部漁ッタヤウナ風ニ私ハ見タノ
  デアリマス、併シ結城サンノ稅制改革ニ依ツ
  テ多少緩和セラレタ、此緩和セラレタコト
  ハ確ニ私ハソノダケノ效果ハアルト思ヒマ
  ス、殊ニ此源泉課稅ヲ復活シタト云フコト
  ニ付テハ、木暮君カラモ御尋ガアッタヤウ
  デ、其事ニ付テハ源泉課稅ノ維持セラレルカ
  ドウカト云フコトヲ駄目ヲ押サレタヤウデ
  アリマスガ、實ハ私モ駄目ヲ押シタイヤウ
  ナ氣ガスルノデアリマス、此源泉課稅ニ依ツ
  テ餘程產業ノ資金ト云フモノヽ供給サル
  コトハ緩和サレタ、餘リニ重箱ノ隅ヲ突ツ
  イタヤウナ、餘リニ純理的ニ唯擔稅力應能
  主義バカリデ世ノ中ハ中々旨ク行クモノデ
  ハアリマセヌ、丁度馬場サンノ稅制案ヲ見
  ルト、私ハマルデ學校ノ講義デモ聽クヤウ
  ナ氣ガシタ、結城サンノ稅制改革ヲ見マシ
  テ、稍〓學校ヲ卒業ヲシテ銀行ヤ會社デ以テ
  働イテ居ル人ノ意見ヲ聽クヤウナ氣ガシタ
  ノデアリマス、單ニ大學ノ講義ヲ聽イタヾ
  ケデ是ハ行クモノヂヤアリマセヌ、源泉課
  稅ノ如キハ、所謂綜合課稅カラ言ヘバ應能
  主義ニ反スル、擔稅力ヲソコニ求メナイト
  云フコトハ怪シカラヌト云フコトガアリマ
  スケレドモ、ソレガ社會ニドウ云フ影響ヲ
  及ボスカ、殷鑑遠カラズ、現ニ社債、公債地
  方債ノ募集ハ殆下出來ナカッタ、馬場案ノ發
  表以來、結城サンガ大藏大臣ニナラレタ殆
  ド其瞬間マデ出來ナカッタ、此事實ヲ最モ示
  スコトガ出來ルノデアリマスカラ、必シモ
  理論ニバカリ捉ハレナイデ實際ノ社會ノ實
  情ニ照シテ稅制ノ改革ニ當ラレンコトヲ私
  ハ希望スルノデアリマス、其一ツノ例ト致
  シマシテ、是ハ相續稅ノ問題デアリマスル
  ガ、相續稅ノ如キモ相續シタ時ノ値段デ總
  テノモノヲ計算シテ取上ゲルノデアリマス
  カ、或ハ又相續シタ或ル期間、財產モ變化
  スルデアリマセウガ、變化シタ場合ニハ其
  變化ニ應ジテ稅金ヲ徵收スルノデアルノ
  カ、私ハ寧ロ相續シタ後或ハ一年ナリ一年
  半ナリノ間ハ色々ナ財產ノ價格ニ「フラク
  チュエーシヨン」ガアリマセウカラ、其變化
  シタ場合ニハ其變化ニ應ジテ徵稅スベキデ
  ハナカラウカ、斯樣ニ考ヘルノデアリマス
  ルガ、其點ニ付テ御意見ヲ伺ヒタイノデア
  リマス

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• 064・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　變化ニ應ジテ課稅致シマ
  スコトハ極メテ實際上難カシカラウト思フ
  ノデゴザイマス、是ハ相續ノアリマシタ日
  ノ現在ニ於ケル財產ニ依ッテ、總テ事ヲ決シ
  テ居ルノデアリマシテ、又サウ致シマシタ
  方ガ實際問題トシテモ寧ロ扱ヒ宜イノデハ
  アルマイカ、數年間ニハ財產ノ減ル場合モ
  アリマセウガ、增ス場合モアルコトデゴザ
  イマス、相續シタ日ノ現在ニ依ッテ事ヲ處
  理スル、是ガ現行法ノ扱ヒデアリマスシ、
  又サウ行クベキモノデアラウカト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=64

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• 065・小山倉之助

  ○小山委員　株劵ノ如キモサウデスカ、例
  ヘバ「フラクチュエート」シタ場合ニ其最初
  ノ値段デヤリマスカ

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• 066・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　相續ノ日ノ現在ノ價格デ
  ヤリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=66

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• 067・小山倉之助

  ○小山委員　ソレカラ有價證劵ノ相續ノ際
  ニ有價證劵ニ對シテ移轉稅ヲ取ラヌト云フ
  コトデアリマスガ、サウデアリマスカ

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• 068・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　左樣デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=68

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• 069・小山倉之助

  ○小山委員　ソレハドウ云フ譯デアリマス
  カ、不動產ノ移轉ノ場合ニハ相續稅ヲ拂フ
  シ、有價證劵ノ場合ニハ移轉稅ヲ拂ハヌ···

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• 070・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　相續ノ場合ニ於テハ不動
  產ニハ相續稅ノ外ニ登錄稅ニ於テ千分ノ五
  ノ課稅ヲスル、斯ウ云フコトニ相成ッテ居
  ルノデゴザイマス、ソレデ有價證劵ニモ相
  續ノ場合ニハ課稅シタラ宜イヂヤナイカ、
  斯ウ云フ御疑ガアルカト思フノデアリマス
  ガ、此登錄稅ヲ御覽下サルト、登錄稅ニ於
  テ千分ノ五ト云フヤウナ稅率ハ極メテ低イ
  稅率デゴザイマシテ、自分ノモノ、詰リ保
  存登記デゴザイマス、自分ノモノヲ登記ス
  ル、斯ウ云フヤウナ場合ニ於キマシテモ、
  千分ノ五デアルノデアリマシテ、所有權ヲ
  第三者ニ對抗スル所ノ對抗條件ヲ完備ス
  ル、斯ウ云フ意味ニ於キマシテ登記者ニ利
  益ガアルガ、其利益ハ所有權移轉程ノ利益
  デナイ、隨テ千分ノ五ノ課稅ト云フモノハ
  移轉稅トハ見テ居ラヌノデゴザイマス、普
  通移轉スル場合ニハ無償ノ場合ニハ千分ノ
  四十五、有償ノ場合ニハ千分ノ三十三、斯
  ウ云フ稅率デアリマスノデ、相續ノ場合ノ
  登錄稅ノ千分ノ五ト云フ稅率ハ手數料的ノ
  意味ニ於ケル所ノモノデゴザイマス、隨テ
  ソレヲ課稅スルカラト云ッテ、此有價證劵
  移轉稅ノ方モ課稅スルト云フコトハ如何カ
  ト、斯ウ思ッタモノデゴザイマスカラ、ソレ
  デ課稅シナイコトニ致シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=70

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• 071・小山倉之助

  ○小山委員　サウデスカ-私ハ商工省ノ
  政府委員ノ參リマス迄、私ノ質問ハ留保シ
  テ置キタイト思ヒマス

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• 072・服部英明

  ○服部委員　今ノ相續稅ニ關聯シテ一ツー
  -只今政府委員ハ不動產ノ相續ノ場合ニハ
  課稅スルガ、有價證劵ノ場合ニハ之ヲ取ラ
  又,其趣旨ハ不動產ハ自己ノ所有權保存ノ
  爲ニ登錄スル保存登記ニ見テモ當然ナコト
  ダ、斯ウ云フ御話デ、第三者ニ對抗スル意
  味ニ於テモ手數料トシテ取ルンダ、斯ウ云
  フ御話デアリマシタガ、先日大藏大臣ノ御
  說明ノ一節ニ伺ッテ居リマスノニ、我國ニ於
  テハ特ニ世界各國ニ卓越シタル家族制度ト
  云フモノガアッテ、其家族制度ノ中ニ相續ト
  云フコトヲ最モ重ク見テ、其相續人ガ祖先
  ノ祭祀ヲ致シ、親類友人ト交際ノ出來ルヤ
  ウニ財產ノ立前ヲ致シテ置クト云フコトガ
  必要ナリト認メテ居ルト、斯ウ云フ趣旨ノ
  御陳述ガアリマシタ、ソレニ依ッテ考ヘテ
  見マスト、如何ナモノデスカ、只今ノ相續
  ノ場合ニ有價證劵ニ課サナケレバ、寧ロ此
  相續ト云フモノハ家督ヲ相續スルノデアッ
  テ人間ガ變ル譯デハナイ、外形的ニハ死ン
  ダ人ヲ生キテ居ル人ガ相續スルノデアルカ
  ラ變ルケレドモ、其家族制度ト云フ思想ヲ
  一貫スル場合ニ於テハ、所有權ノ移轉デモ
  何デモナイ、當然祖先ノ財產ヲ享有スルノ
  デアルカラ、此五分ト云フモノモ、相續ノ
  場合ニハ一ツ廢スルト云フヤウナ御考ハア
  ルマイカ、尙ホ來ルベキ稅制改革ニ際シテ
  其心持ヲ以テ御臨ミニナルヤウナ御考ハナ
  イカ、事細カイヤウデアリマスガ、家族制
  度ヲ重ンズルト云フ大藏大臣ノ御趣旨ニ副
  フニハ、其方ガ一貫スルノデハアルマイカ
  ト考ヘマス、將來ノ稅革ニ對シテ其點ニ付
  テサウ云フ御考ヲ御持チニナリマスカドウ
  カ

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• 073・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今服部サンノ仰シヤイ
  マス此不動產ニ對シテ相續ノ場合ニ課スル
  千分ノ五ト云ン登錄稅ヲ、將來ノ稅制改正
  ノ時分ニハ考慮シタラドウダ、高過ギハセ
  ヌカト、斯ウ云フ御話デゴザイマスガ、或ハ
  サウ云フ感ジガ致シマス、此次ノ整理ノ時
  分ニハ一ツ十分攻究致スコトニ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=73

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• 074・内藤正剛

  ○内藤委員　一寸相續ニ關聯シテ-一寸
  政府當局ニ伺ヒマスガ、船舶ニ對スル相續
  稅ハ千分ノ三デアリマスガ、不動產ニ對シ
  テハ千分ノ五ニナッテ居リマス、船舶ニハ色
  色定義モアリマセウガ、大キナモノニナリ
  マスト可ナリ相當ナ價格ガアルト思ヒマ
  ス、ソレヲドウ云フ譯デ此際入レルコトヲ
  シナカッタノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=74

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• 075・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　登錄稅ハ一切手ヲ觸レマ
  セヌデシタ、稅制整理ハ此次ニ讓ッタモノ
  デアリマスカラ整理事項ハ一切今囘ハ手ヲ
  觸レナカッタノデゴザイマス、唯船舶不動產
  ハ是ハズット前カラノ沿革デ登錄稅全體ヲ
  通ズル精神デゴザイマシテ、ソレハ何處カ
  ラ來テ居ルノカ、私ハ實ハドウモハッキリ
  調査シタ結果ヲ申上ゲル譯ヂヤゴザイマセ
  ヌガ、恐ラクハ不動產ハ動カナイ、船ハ動
  ク、船舶ハ是ハ大キイモノデ動クカラ、不
  動產ヨリ幾ラカ安クテモ宜イヂヤナカラウ
  カト云フヤウナ點カラ來テ居ルノデハアル
  マイカ、外ニ一寸考ヘラレナイノデアリマ
  ス、ソレデ總テ相續ノ場合バカリデナク、
  移轉ノ場合モ、擔保ノ場合モ總テ、船舶ノ
  登記ハ幾ラカヅツ安クナッテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=75

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• 076・小山倉之助

  ○小山委員　有價證劵移轉稅デアリマス
  ガ、之ヲ產業組合ニ課ケナイト云フコト
  ハ、此前政府委員竝ニ我黨ノ高橋委員カラ
  詳細ニ申述ベラレタノデアリマスガ、私モ
  同樣ニ考ヘマスノデ、特ニ御考慮ヲ願ヒタ
  イト思ヒマス、アレハ大藏大臣ノ御意見デ
  ハ考慮ナサルト云フ風ニ聞イテ居リマス
  カ。

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• 077・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　大藏大臣ガ考慮サレルト
  言ッタコトハ、私ハ伺ッテ居ラヌノデゴザイ
  マスガ、ソレハ大藏大臣ガ言ハレタノハ、
  或ハ此次ノ時ニ考慮スルト、斯ウ言ハレタ
  ノデハナイカト思フノデゴザイマスガ、是
  ハ此前高橋サンニ御答致シマシタ通リ、不
  動產ノ場合ニモ課稅致ス、隨テ動產ノ場合
  ニモ課稅致ス方ガ寧ロ宜イノデハナイカ、
  斯ウ考ヘタ次第デゴザイマス

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• 078・森肇

  ○森委員　今ノ產業組合ニ關係シテ、不動
  產ニ對シテ課稅シナイト云フコトヲ、此間
  モ頻リニ御說明ニナッテ居ッタノデスガ、產
  業組合關係者カラハ、頻リニ不動產ニ課稅
  シナイノニ、有價證劵ニ課稅スルノハドウ
  云フ譯ダ、昨日ガ昨日マデ言ッテ來テ居ル
  ノデスガ、確カニ課稅シナイノデスカ

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• 079・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　不動產ニ對シテ、是ハ產
  業組合ニハ一切免稅致シテ居ル譯デハゴザ
  イマセヌノデ、產業組合ガ自分デ持ッテ居
  ル所ノ土地ニ付テハ地租ヲ納メマス、不動
  產ヲ取得シテ自分ノ事務所ノ敷地ニスルト
  云フモノモ地租ヲ納メマス、ソレカラ自分
  ノ所ノ資金ノ運用トシテ動產ヲ買フ、是モ
  不動產ノ登錄稅ヲ納メマス、唯產業組合ガ
  國カラ金ヲ融通ヲ受ケテ自作農ノ創設、維
  持ノ仕事ヲヤル、サウ云フ場合ニハ自作農
  ノ土地ニ抵當權ヲ附シマス、其抵當權ノ登
  記是ハ課稅致シマセヌ、ソレカラ其抵當
  權ノ實行ノ結果、自作農カラ所有權ヲ偶〓
  取得スルコトガアルダラウト思フ、此所有
  權ノ取得ト云フモノハ、產業組合本來ノ性
  質トシテ、自分ガ取得スル所ノモノヂヤゴ
  ザイマセヌ、斯ウ云フ場合ニハ課稅致シマ
  セヌ、サウ云フ負債整理組合ノ事業、ソレ
  カラ住宅組合、農業倉庫、サウ云フ場合ダ
  ケニ限ッテ免稅シテ居リマス、ソレカラモ
  ウ一ツハ、產業組合ガ產業組合法ニ依ッテ、
  登錄スル所ノ登記デゴザイマス、是ハ免稅
  シテゴザイマス、詰リ役員ノ登記デゴザイ
  マストカ、事務所ノ登記デゴザイマスト
  カ、斯ウ云フモノハ免稅シテゴザイマス、
  デスガ產業組合ガ、自分デ自分ノ爲ニ不動
  產ヲ取得シタ場合、斯ウ云フ場合ニハ、
  切免稅シテ居リマセヌ、隨テ不動產取得ト
  ノ關係カラ言ヒマスレバ、是ハ有價證劵移
  轉稅モ、ドウモ課稅シタ方ガ宜イノデハア
  ルマイカト、斯ウ云フ風ニ考ヘタモノデゴ
  ザイマスカラ、其通リ致シマシタ次第デア
  リマス

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• 080・高橋守平

  ○高橋委員　只今石渡政府委員カラ御話ガ
  アッタノデアリマスガ、此間ノ委員會ノ速
  記錄ヲ讀ンデ見マスト、其時ニ大體ノ政府
  委員ノ御答辯ハ、不動產ニ課稅ヲスルカ
  ラ、同ジヤウナ考ヘ方デ有價證劵移轉稅モ
  課ケナケレバイケナイノダ、斯ウ云フ風ナ
  御答辯ダト拜承シタノデアリマス、今小山
  委員カヲ質問致シマシタ中ニ、相續稅ノ問
  題移轉稅ノ問題、產業組合課稅ノ關係、
  不動產ト有價證劵移轉稅トノ關係ハ、不動
  產ニ課稅スルカラ、是ト同ジヤウニ有價證
  劵移轉稅モ課ケナケレバナラヌト云フ、其
  考へ方デ行キマスト、不動產ニ對シテ登錄
  稅ガ假令千分ノ五デアリマシテモ、課ケル
  ト致シマスレバ、當然有價證劵ノ相續ニ依
  ル移轉稅モ課稅シテ然ルベキモノダト思フ
  ノデゴザイマシテ、其點ニ變化ガアリマ
  スコトハ論理ガ一貫シナイト思ヒマス、先
  程政府委員ノ御答辯中ニ、少額ト云フ話ガ
  アリマシタガ、ソレハ千分ノ三三ニ比ベル
  ト少額デゴザイマスケレドモ、移轉稅其
  モノハ一番最高ノモノデモ萬分ノ八デアリ
  マス、此萬分ノ八ト云フノハ千分ノ五ニ比
  ベルト非常ニ少額デアルト云フコトガ言ヒ
  得ルノデアリマス、卽チ千分ノ五ガ少額
  デアルト云フノハ、千分ノ三三ニ對シテ少
  額デアルト云フ意味デ、移轉稅ノ稅額ニ比
  ベマスト決シテ少額デナイト來フコトヲ
  ハッキリ申上ゲテ置キマス、サウシテ此論
  理ガ一貫シナイ點ヲ何トカ御說明願ヒマ
  ス

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• 081・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　有價證劵移轉稅ヲ產業組
  合ニ課ケルカドウカト云フ問題デゴザイマ
  スガ、是ハ不動產ヲ取得シタ場合ニ登錄稅
  ヲ課ケル、隨テ有價證劵ヲ取得シタ場合ニ、
  移轉稅ヲ產業組合其他ノ社團法人、財團法
  人ガ課稅ヲ受ケルノハ當然ト思フト斯ウ申
  上ゲタ次第デゴザイマス、只今高橋サンカ
  ラ、ソレデハ相續ノ場合ニ、一體一方ガ課稅
  ヲ受ケテ一方ガ課稅ヲ受ケナイノハドウ云
  フ譯デアルカ、ト云フコトデゴザイマス
  ガ、是モ考へ方ニ依ッテハ御尤デアルト思
  ヒマスガ、有價證劵移轉稅自體ト致シマシ
  テ、萬分ノ八ガ-普通ノ場合ニ於テハ萬
  分ノ八デゴザイマスガ、萬分ノ八卽チ千分
  ノ〇·八、是ガ移轉稅デゴザイマス、ソレカ
  ラ不動產ノ場合ニ於キマシテハ無償移轉ハ
  千分ノ四五、有償移轉ハ千分ノ三三、是ガ
  移轉ノ場合ニ於ケル所ノ移轉稅ニ匹敵スル
  ト思フノデゴザイマス、隨テ三三ヲ課ケ
  ル、四五ヲ課ケルト云フ場合ト、萬分ノ八
  ト云フモノヲ譯ケル場合ガ匹敵スルモノデ
  ゴザイマスカラ、相續ノ場合ニ萬分ノ八ト
  云フモノヲ課稅スルト云フコトハ、一方不
  動產ハ其點カラ云ヘバ、相續稅ヲ課ケタ外
  ニ千分ノ三三ヲ課ケルト云フコトニ相成ル
  ノガ此論理ノ一貫ダト思フノデゴザイマ
  ス、併ナガラ不動產ノ相續ノ場合ニ於キマ
  シテ課ケル千分ノ五ト云フモノハ不動產登
  錄稅法ニ於キマシテハ、移轉ニ課ケル稅デ
  ハゴザイマセヌ、卽チ自分ノ持ッテ居ル財
  產ヲ自分デ登錄シテ、其權利ヲ確保スル、
  是ガ千分ノ五デゴザイマスカラ、千分ノ五
  ト云フノハ移轉ニ依ル所ノ稅金デハナイノ
  デゴザイマシテ、隨テ移轉稅ヲ課ケル、斯
  ウ云フ譯ノモノデハナイノデアリマスカ
  ラ、左樣御諒承ヲ願ヒマス

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• 082・高橋守平

  ○高橋委員　サウ云フ風ナ御考へ方デ居
  ラッシヤルコトガ、ドウモ都市ト農村ノ負
  擔ノ不均衡トカ、動產ト不動產トノ課稅ノ
  不均衡トカ云フコトガ言ハレルト思フノデ
  アリマス、千分ノ五ト云フノハ、是ハ移轉稅
  ノ性質ヂヤナイ、謂ハヾ一ツノ財產確保確
  認ト云フ風ナ意味合ノモノデアルト云フ風
  ナ御話デアリマスガ、馬場大藏大臣ノ考ヘマ
  シタ稅整案ノ中ニハ、其大キナ目標トシテ、
  動產ト不動產トノ負擔ノ均衡ヲ得セシムル
  ト云フコトガ含マレテ居リマシテ、現在ノ
  不動產ノ課稅ハ非常ニ重イト云フノデ、今
  問題ニナッテ居リマスル有償ノ不動產登錄、
  是ガ千分ノ三十三ト云フノガ、千分ノ二十
  五ニ引下ゲラレタト思ッテ居リマス、斯ウシ
  テ成ルベク動產ト不動產トノ負擔ヲ均衡シ
  ヨウト云フ精神ガ現レテ居ッタノデゴザイ
  マスガ、今ノ政府委員ノ御說ヲ承リマスト、
  其千分ノ三十三ノ割合ヲ動スベカラザル標
  準トシテ、千分ノ八ト云フモノガ非常ニ安
  イト云フ風ニ御考ニナッテ居ルヤウデアリ
  マス、何ダカ御說ヲ聽イテ居リマスト、不
  動產ト動產トノ課稅ノ均衡ハ現行法デモ均
  衡ヲ得テ居ルト云フ風ニ聞エルノデアリマ
  スガ、果シテ今後中央地方ノ根本的稅制改
  革ヲナサル時ニ、矢張リ今ノ標準ガ宜シイ
  ノデアルト云フ御考デアリマセウカ、其點
  ヲ伺ヒタイノデアリマス

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• 083・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　千分ノ三十三ハ如何ニモ
  高イト思フノデゴザイマス、是ハ日露戰爭
  ノ際ニ、數囘ニ亙ッテ引上ゲラレテ、千分ノ
  三十五マデ行ッタノデゴザイマス、此前モ御
  說明致シタノデアリマスガ、登錄稅ニハ附
  加稅ヲ課ケルコトヲ得ズト云フ條文ガアル
  ノデスガ、例ノ不動產取得稅ト云フモノガ
  其後發明サレマシテ、實際登錄稅ノ附加稅
  ノヤウナ勢デ不勤產取得稅ガカヽッテ居ル
  ノデアリマス、獨リ此不動產ノ登錄稅バカ
  リヲ考ヘマシテモ、不動產取得稅ヲドウス
  ルカト云フコトヲ考へマセヌト、實ハ負擔
  ノ輕減ニハナッテ來ナイノデゴザイマス、
  是ハ此前モ申上ゲタト思フノデゴザイマス
  ガ、昭和二年ニ不動產價格ノ千分ノ三十五
  ヲ三十三ニ下ゲマシタ、其結果相當ニ國ハ
  收入減ヲ來シタノデゴザイマス、所ガ一二
  年シテ居ル間ニ、不動產取得稅デ殆ド持。ツ
  テ行カレテシマッタノデアリマス、國ガ不
  動產登錄稅ヲ引下ゲルト云フコトハ委讓ス
  ル肚デアルカ、ソレトモ負擔輕減ノ趣旨デ
  アルカ、是ハ不動產ノ取得稅ト相絡ンデ餘
  程〓究シナケレバナラヌダラウト思フノデ
  アリマス、其意味ニ於テ十分〓究サシテ戴
  キタイ、斯ウ申上ゲテ置イタノデゴザイマ
  スガ、勿論此次ノ稅制改革ノ時ニ於キマシ
  テハ、十分考ヘテ參リマス、併シ不動產ノ登
  錄稅ト有價證劵ノ移轉稅、是ハ稅ノ性質ニ
  依ルコト勿論デアリマスノデ、有價證劵ノ
  移轉稅ハ、此間十囘轉スルト云フ御話モ
  アッタノデゴザイマシテ、囘轉度數其他ノ
  關係カラ行キマシテ、稅率ハ勿論不動產ヨ
  リハ低クトモ差支ナイト考ヘルノデアリマ
  スガ、此點ニ對シマシテハ十分考究スルコ
  トニ致シマス

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• 084・内藤正剛

  ○内藤委員　一寸關聯シテ伺ヒマス、臨時
  租稅增徵法ハ稅金ヲ金デ納メル、有價證劵
  移轉稅モ亦金デ納メルコトニナッテ居リマ
  スガ、不動產ノ移轉稅ハ印紙デ納メルコト
  ガ出來ルヤウニナッテ居リマスガ、何故是
  ハ印紙デ納メルコトガ出來ルト書カナカッ
  タノデアリマスカ

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• 085・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　不動產登錄稅ハ大體ニ於
  テ印紙デゴザイマス、今度ノ有價證劵移轉
  稅モ大體ニ於テ-マア大體ト申上ゲテ宜
  イカドウカ分リマセヌガ、三分ノ一ハ印紙
  デ納マリマス、個人間ノ移轉ハ總テ印紙デ
  納メルコトニ致シマシタガ、有價證劵ノ仲
  買人ガ納メル分、之ハ一々印紙ヲ貼ルコト
  ガ非常ナ手數デアリマスノデ、此點ニ付テ
  仲買人方面ニ於キマシテモ相當反對ガアッ
  タモノデアリマスカラ、一箇月分ヲ取纒メ
  テ納メテ宜シイト云フコトニ致シマシタ、
  此分ガ現金デ納メル部分デアリマシテ、其
  他ノ分ハ全部印紙デ納メルコトニ致シテア
  リマス

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• 086・小山倉之助

  ○小山委員　私ハ取引所稅ニ付キマシテ、
  昨日ノ質問ノ繼續ヲ致シタイト思フノデア
  リマス、今商工次官ガ御見エニナリマシタ
  カラ御聽取ヲ願ヒマス、昨日馬場案ト結城
  案ノ餘リニ大キナ變化ニ付テ兩當局ニ伺ヒ
  マシタ所、村瀨委員ハ、馬場案ノ際ニハ中
  央地方ヲ通ズル根本的改革ヲスルノデ斯樣
  ニ改メタ、然ルニ今度結城案ニ於キマシテ
  ハ臨時的ノ案デアルカラ又之ニ贊成ヲサレ
  タノダ、是ハ臨時的ノ案デアルカラ結局臨
  時的ニ考ヘタイト云フコトデ、近キ將來ニ
  考へ直ス時機ガアルト云フコトヲ意味スル
  ノデアリマス、隨分御考ニナッタ後デ曩ノ
  馬場案ニハ御贊成ニナッタノデアリマスカ
  ラ、私ハ前ニ質問致シマシタ通リ、之ニ近イ
  モノカ或ハ此程度ニ決マルノデハナイカト
  思フノデアリマス、度々稅率ヲ變更シテモ
  餘リ影響ノナイコトデアリマスナラバ私ハ
  此儘默スルノデアリマシテ、兩當局ニ御委
  セヲシナケレバナラヌノデアリマスガ、斯
  ウ云フ重大ナル案デアリマシテ、短期取引
  ヲ重ンズルカ長期取引ヲ重ンズルカ、或ハ
  之ヲ竝行シテ兩方發達サセルカ、斯ウ云フ
  重大問題ニ掛ルノデアリマス、私ハ兩當局
  ノ御心持ハ能ク分ッタノデアリマシテ、御協
  議ノ結果何トカ茲ニ御再考ヲ願ヘルノデハ
  ナカラウカ、斯ウ云フ氣分ガ致シマスノデ
  私ハ茲ニ重ネテ御尋ヲ致シタノデアリマス
  私ハ此前モ申上ゲマシタ通リ、法律ニハ素人
  ダト申シテモ宜イノデアリマスルガ、色々〓
  究シテ見マスルト、長期取引ハ投機ノ對象
  物デアルカラ、寧ロ是ハ或ル程度マデハ抑
  ヘナケレバナラヌト云フ意見モアルヤウデ
  アリマス、所ガ實際ニ當リマスルト、短期
  取引ノ方ハ今日寧ロ長期ノ實質ヲ備ヘテ居
  ルノデハナカラウカ、其譯ハ短期取引ニ付
  キマシテ、大正十一年四月十九日第六十一
  號改正取引所法第五條ニ於キマシテ、第二
  十項七日以內ノ期限ヲ以テ履行期トスベキ
  モノ萬分ノ八十五ト定メラレタサウデアリ
  マス詰リ是ハ現物取引ノ精軸デアッタノデ
  アリマシテ、此現物取引カラ短期ト云フモ
  ノハ生レテ來タノダト、斯ウ私共ハ理解シ
  テ居ルノデアリマス、然ルニ其後便利ヲ圖
  リマシテ、大正十一年十一月七日勅令第三
  百五十三號ニ依ッテ、取引所令ヲ發布セラレ
  マシテ、其第十一條ニ三十日間ニ繰延ヲ爲
  シ且ツ總決濟ヲ命ジタト云フコトデアリマ
  ス、茲ニ總決濟ト云フ言葉ノ中ニ相當ノ意
  味ヲ含ンデ居ルト思フノデアリマシテ、其
  後大正十二年六月勅令ヲ改正致シマシテ總
  決濟ト云フ總ノ字ヲ削除シタノデアリマシ
  テ、單ニ決濟ヲ爲サシメルコトヽ、斯ウシ
  タノデアリマス、此總ノ字ヲ取リマシテカ
  ラ茲ニ代行機關ト云フノガ認メラレマシ
  テ、三十日ノ期限ガ參リマシテ決濟ヲシ得
  ナイモノニ對シマシテハ、手形ヲ振出シ日
  步ヲ拂ッテ其期限ヲ延長スルコトガ出來ル、
  恐ラクハ此延長ハ餘リ長キヲ欲シナカッタ
  デアリマセウガ、其後此期限ト云フモノハ
  殆ド無限ニ延長サレテ居ルヤウナ狀態ニナ
  リマシテ、或ハ一年モ、一年越シノモアル
  サウデアリマシテ、サウ云フコトカラ寧ロ
  短期取引ト云フモノハ、萬年取引ダト云フ
  ヤウナ噂ヲサレルニ至ッタ、期限ガ長イガ爲
  ニ稅金ガ高イナラバ、實質カラ見マスルナ
  ラバ今日ノ短期ハ寧ロ今日ノ長期、今日ノ
  長期ハ寧ロ短期ト云フ實質ヲ備ヘテ居ル、
  期限ノ短キヲ以テ稅率低シト致シマスレ
  バ、短期ノ方コソ稅金ガ高クナルノデアリ
  やく、若シ騰貴ヲ防止スルト云フ意味カラ
  申シマスルナラバ、今日ノ短期ノ方ハ遙カ
  ニ投機性ヲ帶ビテ居ル、期限カラ申シマシ
  テモ、性質カラ申シマシテモ、此短期ノ方コ
  ソハ相當ノ稅金ヲ上ゲテモ宜イノデハナイ
  カ、故ニ勅令ニ依ッテ總ノ字ヲ削除シテ取引
  ト改メラレ、取引ガ相當ノ長イ期間繼續セ
  ラルヽヤウナ實質ニナリマシタナラバ、其
  時ニ幾分稅金ガ上ゲラレルベキヂヤナイ
  カ、斯ウ云フ點カラ申シマスト、長期ト云
  フモノト短期ト云フモノハ、ソレ程ノ大キ
  ナ區別ヲシナイデモ宜イデハナイカ、況ヤ
  今日長期ノ性質ト致シマシテハ、有價證劵
  ノ任務モ取扱ッテ居ルシ、或ハ賣買ノ調節、
  過當騰貴ノ抑制ト云フヤウナコトモ此働キ
  ニ依ッテ出來ルシ、經濟界ニ保險ノ作用ヲ爲
  スコトモ出來ルシ、或ハ大量ノ取引モ爲ス
  コトガ出來ル、其他幾多ノ長期ニハ長期ト
  シテ存在スベキ理由ガアリ、又六十年ノ歷
  史ヲ有シ、其間先輩諸公モ相當其健全ナル
  發達ノ爲ニ努力セラレタモノデアリマシ
  テ、寧ロ此取引ハヨリ多ク投機心ニ富ン
  ダ、或ハ刹那ノ利益ヲ追ッテ居ル所ノ關西ノ
  間ニ發達セズシテ、ヨリ堅實ナ長イ取引ヲ
  以テ樂ムト云フヤウナ關東ノ方ニ發達シタ
  ト云フノハ、或ハ人ノ性質カラモアッタノデ
  アリマセウガ是ハ東京ニ寧ロ「フイット」シ
  タ所ノ取引ノ方法デハナカラウカト云フコ
  トモ言ハレテ居ルノデアリマス、昨日モ申
  シマシタ通リ、殆ド長期ト云フモノハ東京
  ニ殘サレタ唯一ノモノデアル、全國ノ大證
  劵取引業者モ恐ラク此長期ヲ利用シテ居ル
  ノデハナカラウカト思フ、ソコデ馬場案ニ
  於キマシテモ短期ヲ萬分ノ三·〇、長期ヲ萬
  分ノ三·五、其差僅カ〇·五トシタト云フコ
  トハ、要スルニ長期短期共ニ殆ド同樣ニ取
  扱ッタ方ガ宜イノデハナイカト云フ考ノ下
  ニ出發セラレタノデアッテ、商工當局モ之ニ
  對シテ御贊成ニナッタ、然ルニ結城サンノ時
  代ニナリマシテカラ世間ニ多少非難ガアッ
  ク、其非難ノ出所ハ恐ラクハ短期ヲ主トシ
  テ居ル所ノ地方デハナカラウカ、寧ロ今日
  短期ノ發展ヲ期シテ居ル所ノ地方デハナカ
  ラウカ、之ヲ具體的ニ申上ゲマスレバ、東
  京ヨリハ寧ロ大阪ノ方デサウ云フ希望ガア
  リ得ルトモ言ヘルノデアリマス、併シソレ
  ハ何處ニ致シマシテモ差支ナイ、ソレハサ
  ウ云フ所謂長期ヲ餘リ優遇スルコトハイカ
  ヌ、サウ云フ非難ノ起リマスコトハ當然デ
  アリマス、而モ短期ヲ十割增稅シ、長期ヲ
  四割增稅シタ、其間ニ非常ナ差別待遇ヲシ
  タト云フコトニ付テ、又ソレノ非難ノアル
  コトモ是ハ當然デアラウト思フノデアリマ
  シテ、石渡主稅局長ニ於カセラレマシテ
  ハ、其差別待遇ヲ是正シヨウト云フ御考ニ
  ナラレノコトニ付テモ、是ハ十分理由ガア
  ルト思ヒマス、ソコデ是ハ兩方八割增稅シ
  ヨウデハナイカ、サウ云フ結論ニ御逹シニ
  ナッタノデアラウト思ヒマスルガ、所ガ公平
  ニ出發セラレマシタ八割增稅ハ、現行法ニ
  依リマスレバ一·〇、馬場案ニ於キマシテ
  ハ〇·五、度々申上ゲマス通リ今度ノ改正
  案ニ依リマスレバ一·八ト云フ偶然ナ茲ニ
  差ヲ生ジタ、此一·八ト云フノハ長期ヲ保
  護スルカ、或ハ短期ヲ保護スルカト云フ重
  大ナ是ハ岐點ニナッテ居ルノデアリマスカ
  ラ、總テ此大キナ幅ヲ縮メルヤウニ長期ノ
  發達モ期シ、短期ノ發達モ期シ、竝行シテ
  長期ニヨリ多キ何ヲ與ヘナイヤウニ平均ニ
  上ゲタ、ダカラ宜インヂヤナイカト云フコ
  トハ理由ニハナリマスルケレドモ、其差ガ
  餘リニ大キクナルコトハ私ハ相當御考慮ヲ
  煩シテ宜イノデハナカラウカ、斯ウ云フ風
  ニ考ヘルノデアリマシテ、私ハ茲ニ御再考
  ヲ求ムル意味ニ於キマシテ、此短期取引ノ必
  シモ健全ヂヤナイ、必シモ短期實物ノ取引
  ニアラズシテ、多クノ騰貴ヲ含ミ、長イ期間
  ヲ要スルヤウニナッタト云フコトヽ、長期ハ
  所謂三箇月目ニハ總決濟スルノデアリマシ
  テ、其間所謂騰貴ノ精神モ餘リ短期程ハ現
  レテ居ナイシ、而モ亦堅實ナル發達ヲシテ
  居ル、之ヲ利用シヨウト云フニ眞面目ナ證劵
  業者或ハ投資家モ多イノデアリマスカラ、
  重ネテ此問題ニ付テ一ツ御考慮ヲ煩ハシタ
  イ、斯ウ云フ意味デ茲ニ申述ベタ次第デア
  リマス、更ニ御考慮ノ餘地ガアルカドウ
  カ、私ハ御尋ハ致シマセヌ、是非一ツソコ
  ノ調和ヲ取ッテ戴キタイ、此事ヲ申シテ置キ
  タイノデアリマス
  ソレカラ之ニ關聯致シマシテ有價證劵移
  轉稅ニ付テ私ハ二三質疑ヲ試ミタイノデア
  リマス、此問題ハ過般モドナタカラカ御質
  間サレタヤウデアリマスガ、此案ニ於キマ
  シテ、今迄自由營業デアッタ者ガ今度ハ單
  ニ申請ニ依ッテ直ニ營業ヲ爲シ、ノミナラズ
  此稅率ハ「第一種有價證劵仲買人ヲ買受人
  トスル賣買取引ニ因ル移轉」此稅率ニ均霑ス
  ルト云フコトデアリマスガ、從來政府ノ監
  督ヲ受ケテ居ル從來ノ證劵業者ト、政府ノ
  監督ヲ受ケナイデ自由自在ニ營業ヲシテ來
  タソレ等ノ證劵業者ト同一ニ取扱フコトハ
  ドウダラウ、セメテ全國ニ散バッテ居リマ
  スル一萬ニ垂ントスル此自由營業者ヲ相當
  監督スベキ何等カノ法律、單行法ヲ御出シ
  ニナル必要ハナカラウカ、御出シニナル意
  思ガアルカドウカ、其單行法ヲ御出シニナ
  ル迄ハ此稅率ニ從來ノ既得權者ト同樣ノ所
  謂權利ト申シマスカ、其恩典ニ與ラシムル
  コトガ穩當デナイカ、斯樣ニ思フノデアリ
  マスガ、村瀨次官ハドウ云フ風ニ御考ニ
  ナッテ居リマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=86

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• 087・村瀬直養

  ○村瀨政府委員　取引所ノ取引員以外ノ所
  謂有價證劵ノ仲買人ニ對シマシテ何等カノ
  取締ヲ爲シ、或ハ其一ツノ方法ト致シマシテ
  免許制度ヲ採ルヤウナコトハ、實ハ商工省
  ニ於キマシテモ從來色々考ヘテ居ッタノデ
  アリマス、又現ニ色々考究ヲ致シテ居ル問
  題デゴザイマス、唯此法律ノ系統ト致シマ
  シテ、稅法ノ中ニサウ云フヤウナ有價證劵
  ノ仲買人ニ對シマスル色々ノ監督規定ヲ設
  ケルト云フコトハ、稍,適當デナイ、斯樣ニ
  考ヘラレマシテ、本稅制案ニ於キマシテハ
  申告制度ヲ採ルコトヽ致シテ居リマス、併
  ナガラ只今御話モゴザイマスルヤウニ、此
  有價證劵ノ仲買ニ對シマシテハ、一般ノ公
  衆ノ利益ヲ擁護スルト云フ點カラ致シマシ
  テ、或ル程度十分ナ取締法規ヲ設ケルコト
  ハ必要デアルト考ヘテ居ルノデゴザイマシ
  テ、之ニ付テハ從來商工省ニ設ケラレテ居
  リマスル取引所制度調査會ノ一ツノ審議項
  目トシテ〓究ヲ致シテ居ルノデアリマス、
  唯稅制ノ問題トソレヲ關聯サセルト云フコ
  トハ、必シモ性質上適當デナイ、斯樣ニ考
  ヘマシテ、其問題ハ別途ニ考究スル方ガ適
  當デアル、斯樣ニ實ハ考ヘテ居ルノデゴザ
  イマス

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• 088・小山倉之助

  ○小山委員　ソレハ稅制ノ中ニ之ヲ織込ム
  譯ニハ勿論行カヌノデアリマスガ、然ラバ
  其自由營業者ヲ既得ノ營業者ト區別シナイ
  ヤウニ、同一ニ取扱フ程度ニサセテ宜シイ
  其自信ノ付クマデニ何等カ茲ニ監督ナリ何
  ナリノ規定ヲ近ク御設ケニナル御考デアリ
  マスカ、ドウデスカ

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• 089・村瀬直養

  ○村瀨政府委員　其場外ノ有價證劵ノ仲買
  人卽チ所謂現物商ト稱シテ居リマス者ニ付
  キマシテハ、現在色々考究シテ居リマシ
  テ、或ル程度成案ニ近イモノモゴザイマス
  ルガ故ニ、之ニ付テハ恐ラクハサウ遠クナ
  イ將來ニ於キマシテ、何等カノ制度ガ出來
  ルコトヲ期待ヲ致シテ居リマスル次第デゴ
  ザイマス

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• 090・小山倉之助

  ○小山委員　此處ニ第五條ニ第一種第二種
  トアリマシテ、第二種ト致シマシテ、「第一
  種以外ノ移轉、甲、取引所ノ實物市場ニ於
  ケル賣買取引ニ因ル移轉」「乙、其ノ他」ト
  斯ウ云フ風ニ區別シテアリマシテ、「其ノ
  他」ト云フ方ニ〓算取引ニ於ケル有價證劵
  ノ移轉稅ガ課ケラレルヤウニナッテ居ルト
  理解シテ居ルノデアリマスルガ、〓算取引
  ニ於キマシテモ、結局ハ實物ヲ賣買取引ス
  ルノデアッテ、其移轉ノ際ニハ實物取引ノ場
  合ト何等異ルコトガナイト思ヒマスガ、之
  ヲ區別シタ理由ハ何處ニ存スルノデアリマ
  スカ、之ニ對スル御答ヲ願ヒタイト思ヒマ
  ス

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• 091・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今ノ小山サンノ御尋ニ
  對シテ私カラ申上ゲテ見タイト思ヒマス、
  本委員會ニ於キマシテ、度々此第五條ノ有
  價證劵移轉稅ノ稅率ニ付テ御疑問ガゴザイ
  マシテ、御質問ガアルヤウデゴザイマス
  ガ、一應此第五條ヲドウ云フ意味ニ於テ規
  定シタカト云フコトヲ私カラ御說明申上ゲ
  タイト思ヒマス、第五條ハ有價證劵ノ稅率
  ヲ規定シマシタモノデゴザイマシテ、ソレ
  ヲ大別ケニシマシテ、第一種ト第二種トニ
  別ケタノデゴザイマス、第一種ト云フノハ
  「有價證劵仲買人ヲ買受人トスル賣買取引
  ニ因ル移轉」此「買受人トスル」ト云フコト
  ハ有價證劵仲買人ガ自己ノ計算ニ於テ買取
  ルモノデゴザイマス、有價證劵仲買人ガ客
  ノ委託ヲ受ケテ行動致シマス時ハ、ソレハ
  問屋ト云フヤウナ資格デゴサイマシテ、問
  屋ハオ客ニ對シマシテハ、賣買ノ場合ニ依ツ
  テ或ハ商法ノ規定ニアリマス通リ、委任ヲ
  受ケタト見ラレ、或ハ代理人デアルト云フ
  風ニ見ラレルノデゴザイマシテ、サウ云フ
  オ客ノ委任ヲ受ケ若クハ代理人トシテ行動
  シテ居リマスル場合ノ有價證劵仲買人ハ、
  此第一種ノ中ニ入ッテ來ナイ、是ハ全ク、先
  ニモ申上ゲマシタ通リ自己ノ計算ニ於テ
  自分ガ一應買取ッテ置ク、斯ウ云フ場合
  ノ稅率デゴザイマス、何故サウ云フ場
  合ニ於キマシテ其稅率ヲ、國債ニ付テ
  ハ萬分ノ一、其他ノ有價證劵ニ付テハ
  萬分ノ二ト云フ風ニ低メテアルカト申
  シマスト、有價證劵仲買人ハ成程自己ノ
  計算ニ於テ有價證劵ヲ取得スルノデア
  リマスケレドモ、是ハ多ク他人ニ賣買致シ
  マスル過程ニ於キマシテ取得スルノデア
  ツテ、普通ノ人ガ有價證劵ヲ買ヒマスル時
  ノ如ク、投資トシテ最後マデ自分ガ持ツト
  云フ意思ヨリモ、オ客ガアッタ時ニ於テ、共
  委託ヲ受ケルト云フヤウナコトデハ、オ客
  モ安心ガ出來ナイト云フヤウナ關係ニナリ
  マスガ、ソコデ一應買取ッテ置クト云フコト
  ニナレバ、オ客ノ方モ賴ミ易イト云フ關係
  上結局ハ他ニ廻ス積リデハアルガ、ソコ
  デ一應買取ルト云フコトニナル、サウシマ
  スルト云フト有價證劵移轉稅ニ於キマシテ
  ハ、有價證劵ノ移轉ガアレバ課稅ヲセナケ
  レバナラナイ、所ガ終局的ニソコニ落著ク
  ノデハナクシテ、實ハ仲買人ハソレヲ又オ
  客ヲ見付ケテ渡シテシマフ、時ニ依リマス
  ト其日ニ買フタモノヲ直グ其日ニ賣ル、ソレ
  カラ仲買人同士デオ客ノ註文ニ依リマシ
  テ、相互ニ融通シ合フト云フ風ニ、全ク自
  己ガ終ヒマデ持ツト云フ意思ガナクテ持ツ
  ノデアリマスガ、併シ有價證劵移轉稅ノ上
  カラ行キマスト、ソコニ所有權ノ移轉ガア
  ルト致シマスレバヤハリ課稅シナイ譯ニハ
  參リマセヌモノデスカラ、ソコデ其場合ニ
  於テモ課稅スルト云フコトニ致シマシタ關
  係上、其稅率ヲ極メテ低イモノニ致シマシ
  ク、其以外ノ場合デアリマスルノガ第二種
  ノ稅率デゴザイマシテ、更ニ是ハ內譯ヲ甲
  ト乙ニ分ケタノデゴザイマス、甲ハ取引所
  ノ實物市場ニ於キマスル取引デゴザイマ
  ス、乙ハ其他ノ取引デゴザイマス、乙ノ方
  カラ御話申上ゲマスト云フト、詰リ一般ノ
  人ガ有價證劵ヲ取得スレバ、國債ノ場合ニ
  於テハ萬分ノ四、其他ノ有價證劵デアリマ
  スレバ、萬分ノ八ヲ納メルト云フコトニナッ
  テ居リマス、而シテ是ハ現物商ノ店ニ行ッテ
  買ヒマシタ場合ニハ勿論デゴザイマス、ソ
  レカラシテ一般ノ人ガ仲買人ヲ通ジテ〓算
  取引ヲヤリマシテ、其〓算取引ノ結果ガ實
  物受渡ニ終リマシタ時モ、ヤハリ此乙ノ稅
  率ヲ以テ課稅サレル、ソレカラ一般ノ人ガ
  取引ヲ通ジマシテ、實物市場デ有價證劵ヲ
  買付ケタト云フ場合ニハ此乙ノ率ヨリモ大
  體ニ於テ半分ノ率、卽チ國債デアレバ萬分
  ノ二、ソレカラ其他ノ有價證劵デアレバ萬
  分ノ四ト稅率ヲ下ゲタノデゴザイマスル
  ガ、是ハ御承知ノ通リ現物店デ買ヒマスル
  時ニ比較シマシテ、取引所ノ實物市場デ買
  ヒマスレバ、取引所ノ實物市場ニ掛ケテ貰
  フト云フ關係上手數料ヲ拂ハナケレバナラ
  ナイ、ソレデ其手數料ノ分ヲ見テ稅率ヲ低
  クシテ置キマセヌト云フト、現物店デ買フ
  方ガ有利デアッテ、誰モ實物市場ヲ通ジテ買
  フト云フ者ガナクナル、ソレデハ實物市場
  ノ方ガ寂レルト云フ所カラシテ、實物市場
  ニ出シマスル場合ノ手數料ノ點モ考慮ニ入
  レマシテ、萬分ノ二ト萬分ノ四ト云フ風ニ
  定メタヤウナ次第デアリマス

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• 092・作田高太郎

  ○作田委員　關聯事項デ一寸、今ノ御說明
  ニ付テ承ッテ置キタイノデスガ、第五條第
  種「有價證劵仲買人ヲ買受人トスル賣買取
  引ニ因ル移轉」ハ說明ガアッタノデスガ、其
  實情ニ於テ商工次官ハ今ノ御說明ニ御賛成
  ニナリマスカ

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• 093・村瀬直養

  ○村瀨政府委員　只今ノ說明デ結構ト存ジ
  マス

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• 094・作田高太郎

  ○作田委員　デ分ラナクナルノデスガ、實
  ハ有價證劵ノ仲買人ヲ買受人ニスルト云フ
  コトハ、ドノ程度ノモノガ買受人ニナルノ
  デアルカ、最近吾々ガ職務上扱ッタ事件デ、
  現物ヲ買ヒマシタモノガ客ノ委託ニ依ッテ
  買フコトハ事實デゴザイマスシテ御話ノ通
  リデアリマスガ、自己ノ計算ニ依ッテ、委託
  ニ依ッテ買ッテ、僅カナ手數料ヲ、例ヘバ〓
  算取引ト言ッタヤウナ確定的ノ手數料デハ
  ナク、目分量ノ手數料ニ依ッテ買受ケテオ客
  ニ渡ス、斯ウ云フ折ニ、同ジ事件デ大審院
  ニ持ッテ行ッタノデスガ、是ハ賣買ニアラズ
  委託ナリト言ツテ通ッタ事件ガアル、同時ニ
  ソレハ性質ハ委託デアルケレドモ、自己ノ
  計算ニ於テ買ッタコトニハ違ヒナイノダト
  云フノデ、賣買ナリトサレタ判例モアル、
  ドレガ賣買ナリヤ、ドレガ委託ナリヤト云
  フコトハ、最高裁判所ノ判例ガ實ハ區々ニ
  ナッテ居ルノデアリマス、今仰セノヤウニ、
  自己ノ計算ニ於テ云々ト云フコトガアリマ
  スガ、自己ノ計算ニ於テ而シテ-〓算取
  引等ニ依ラザル場合ハ、自己ノ計算ニ於テ
  皆ヤル、又客ノ委託ニ依ッテヤルコトモ殆ド
  全部デアル、客ノ委託ニ依ッテ自己ノ計算ニ
  依ッテヤルノガ實情デアルト私ハ思フノデ
  アリマス、客ノ委託ニ依ッタモノハ或ル限ラ
  レタル委託手數料ノミニ依ッテ直グ渡シテ
  シマフノデアッテ、自己ノ計算ニ依ルモノハ
  永久ニ自己ガ持ツノダト云フヤウナ立前デ
  ハ、事實上ノ賣買ニ適應シテ居ラヌ說明ダ
  ト思ヒマス、故ニ商工次官ハ其道ノ「オー
  ソリチー」デアルカラ承ッタノデアリマス
  ガ、私等ノ知ッテ居ル事實トハ全然違フト思
  フノデアリマスガ、重ネテ今ノ御說明デ宜
  シイト御主張ニナルノカ、モウ一遍聽イテ
  置キタイト思ヒマス

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• 095・村瀬直養

  ○村瀨政府委員　只今ノ說明デ結構ダト
  思ッテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=95

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• 096・作田高太郎

  ○作田委員　サウスルト私ガ今申シマスヤ
  ウニ客ノ委託ニ依ル場合ハ自己ノ計算ニ
  依ッテ取得スル場合ハナイト御考ニナルノ
  デスカ

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• 097・村瀬直養

  ○村瀨政府委員　左樣ニ存ジテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=97

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• 098・作田高太郎

  ○作田委員　是ハ議論ハ致シマセヌノデス
  ガ、サウスルト稅法ヲ御拵エニナッタ折ニ彼
  處ノ實情ト云フコトニ付テ御調ガ足ラヌノ
  デハナイカト私ハ考ヘルノデアリマスガ、今
  咄嗟ニ關聯シテ伺フノデスカラ、改メテ私
  ノ確信ヲ得ル程度ニ調ベテ御聽キシタイガ、
  私ガ扱ッタ事件デハサウナッテ居ルノデアリ
  マス、大審院、東京裁判所、其他ニ於ケル判
  例ガ違フノデアリマス、實例ハサウナッテ居
  リマスカラ一應御〓究ヲ願ヒタイ、サウ云
  フ程度ニシテ御決メニナッテ居ルト將來ニ
  於テ是ハ片付キハシナイ、ドッチガ何ヤラ區
  別ノ標準ト云フモノガ分ラナイ、一箇月前
  ニ渡シタノハドウカ、五日前ニ渡シタノハ
  ドウカ、三日ナラドウカ、手數料ガ少カッタ
  ラドウスルカ、多カッタラドウスルカ、幾ラ
  迄ガ委託手數料ノ意味ヲ有スルモノデアル
  カ、實際ニ於テ分ッテナイト云フノガ事實
  デアル、斷ジテ違ヒナイ、確信ヲ持ッテソレ
  ダケハ私ハ斷言スル、サウ云フモノヲ十把
  一カラゲニシテ單純ニ机上ノ議論一四〇ノ
  委託ニ依ルモノト、自己ノ計算ニ依ルモノ
  トノ區別ヲ御立テニナッテ居ルコトハ事實
  ニ卽セザル甚シイモノト私ハ思フ、私ハサ
  ウ思ツテ居ル、デスカラ私モ萬一ノ場合ヲ
  慮ツテ調ベマスガ、此點ダケハモウ一應稅
  率ノ如何ヲ問ハズ、ハッキリシテ置カレヌト
  非常ニ困ッタ問題ガ起ッテ來ルト云フ點ダケ
  申シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=98

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• 099・村瀬直養

  ○村瀨政府委員　只今ノ點ハ了承致シマシ
  タ、大體區別ハ付クト思ヒマスルガ、尙ホ御
  趣旨デゴザイマスカラ能ク取調ヲ致シマス

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• 100・堀内良平

  ○堀內委員　關聯シテ宜シウゴザイマス
  カ、簡單デスカラ-只今實物市場ニ於ケル
  移轉稅ノ場合ト、〓算市場ニ於ケル移轉稅
  ノ場合ニハ手數料ノ關係ガアルカラ實物市
  場ノ方ハ安クシタト云フコトデアリマス
  ガ、一般ノ關係カラ言ヒマスト、却テ實物
  市場ノ方ガ大キナ取引ヲシヨウトスレバ相
  場ノ激變ヲ來シ色々ノ影響ガ多イノデアリ
  マス、所ガ〓算市場ノ方ハサウ云フ弊害モ
  ナイノデアリマス、是ハ少クトモ實物市場
  ト〓算市場ノ賣買取引ハ同ジデナクテハナ
  ラヌト思フノデアリマス、同ジニスレバ弊
  害ガアルト云フコトデアリマスガ、斯ウ云
  フコトニ等差ヲ置イテ實物市場ヲ安クシ
  テ、〓算市場ノ取引業者ヲ高クスルト云フ
  コトニナリマスルト、一面ニ危險性ヲ帶ビ
  テ居ル所ノ實物市場ヲ奬勵シテ、〓算市場
  ヲ抑ヘルヤウナ結果ニナリハシナイカト思
  フノデアリマスガ、其點ヲ一應御說明願ヒ
  タイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=100

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• 101・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今ノ御尋デゴザイマス
  ガ、第二種乙ト云フノハ一般ノ場合ニ於テ
  有價證劵ヲ取得致シマスル所ノ稅率デゴザ
  イマシテ、是ハ不動產ノ登錄稅等トノ權衡
  モ考ヘマシテ、大體國債ハ萬分ノ四、其他
  ハ萬分ノ八程度ヲ以テ適當ト認メタ次第デ
  ゴザイマス、隨テ一般ノ場合ニ有價證劵ヲ
  取得致シマスレバ現物店デ買ヒマシテモ勿
  論此率デアリマス、ソレカラ〓算市場ニ於
  キマシテ〓算取引ヲ行ヒマシタ結果、其現
  物引渡ニ終ル場合ハ數量トシテハ極ク少イ
  ノデゴザイマスガ、其結果現物ヲ引取ッタ
  ト致シマシテモ、現物店ニ於テ買ヒマシタ
  ノト〓算取引ヲ行ヒマシタ結果取得致シマ
  シタ場合トニ於テ、普通ノ人デアリマスレ
  バ、有價證劵ヲ取得シタト云フ行爲ニ付テ
  ハ同一ト見ラレマスル關係上、等シク之ヲ
  第二種乙ノ稅率トシタノデゴザイマス、モ
  ウ一度申上ゲマスレバ、一般ノ人ガ有價證
  劵ヲ取得致シマスレバ其店ノ如何ヲ問ハ
  ズ,詰リ現物商カラ買ヒマシタノト、ソレ
  カラ〓算市場ヲ通ジテ買ッタノト同ジニシ
  テ差支ナイモノト、斯ウ思ッテ居リマス、
  唯實物市場ヲ通ジテ買ヒマスル場合ニ於キ
  マシテハ、是ハ取引所ニ納入致シマスル手
  數料ヲ見マスルト、大體賣買價格ノ萬分ノ
  二乃至三位ノ手數料ヲ出シテ居ルヤウナ實
  情ニアリマスルノデ、ソコニ幾ラカ稅率ノ
  差等ヲ設ケマセヌコトニハ、誰モ實物市場
  ニ於テ買フ者ガナクナル、殊ニ實物市場ニ
  於テ賣買ヲ致シマスレバ稅務署ノ監督モ能
  ク行屆キマシテ、此方デハ脫稅スルト云
  フヤウナコトハ先ヅ不可能デアル、マア其
  他ノ場合ニ非常ニ脫稅ガ多イト云フコトヲ
  申上ゲル譯デハナイノデスケレドモ、其他
  ノ場合ニ於テハ或ハ脫稅スルト云フヤウナ
  機會モ絕無デハナイ、片一方ハ完全ニ捉マ
  ル、其上實物市場ニ出スノハ兎ニ角賣買價
  格ニ對スル萬分ノ二乃至三位ノ手數料ヲ付
  ケテ出サナケレバナラヌト云フコトデアル
  ト、幾ラカ其方ノ率ヲ輕減スルト云フコト
  デナイト實物市場ノ方ガ寂レテ現物商ノ店
  ガ榮エテ行クト云フコトニナリマシテハ、
  是ハ市場政策トシテモ考ヘナケレバナラナ
  イト斯ウ存ジマシテ、茲ニ稅率ノ差等ヲ置
  イタヤウナ次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=101

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• 102・松田喜三郎

  ○松田委員　一寸關聯シテ居リマスガ······

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=102

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• 103・増田義一

  ○增田委員長　松田君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=103

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• 104・松田喜三郎

  ○松田委員　只今ノ御話ヲ聽イテ見マスル
  ト私實ニ意外ニ思フノデアリマス、ト言ヒ
  マスルノハ此不動產ノ登錄稅ノ關係ト有價
  證劵ノ移轉稅、卽チ第二種ノ乙ノ方ニナリ
  マス、卽チ國債ハ萬圓ニ付テ四圓、其他ノモ
  ノハ萬圓ニ付テ八圓、此問題デアリマス、
  是ガ適當デアルト政府ガ考ヘラレルト云フ
  ヤウナル御意見デアリマスルト、政府ガ負
  擔ノ衡平ダトカ或ハ動產、不動產ノ負擔ノ
  均衡ヲ圖ルナドト言ッテモ問題ニナラヌト
  思フ、實ニ意外ナ話ヲ聽ク、是ガ衡平デア
  ル、當然デアル、妥當デアルト云フヤウナ御
  意見デアルカ、其邊ヲモウ一遍明ニ御答願
  ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=104

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• 105・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　私ノ說明ノ致シ方ガ惡
  カッタノデ、只今ノ御質問ガ出タト思フノデ
  ゴザイマスガ、大體此有價證劵ノ移轉稅ノ
  稅率ヲ幾ラニ盛ッタラ宜イカト云フコトニ付
  テハ、中々的確ナ見當ノ付キ兼ネルモノデ
  ゴザイマシテ、一方不動產ノ賣買ノ場合ノ
  登錄稅ガ千分ノ三十三掛ッテ居リマスルノ
  デ、是モ一方ノ標準トシテ睨合ヒハ致シマシ
  タケレドモ、今マデノ所不動產ニ對シテ有價
  證劵ガ幾ラノ比率ヲ保タナケレバナラヌト
  云フコトニ對スル定說モナイノデゴザイマ
  ス,ソレカラ又不動產ニシマシテモ大體論
  ト致シマシテハ不動產ノ方ハ廻轉率ガ少
  イ、ソレカラ有價證劵ハ極メテ廻轉率ガ多
  イト云フコトハ言ヘマスルケレドモ、不動
  產一囘ノ移轉ノ間ニ有價證劵ガ何囘移轉ス
  ルト云フコトモ是ハ有價證劵ノ種類ニ依
  リ、又時期ニ依リマシテ差異モアルコトデ
  ゴザイマシテ、中々兩者ノ間ニ的確ナ比率
  ヲ求メルト云フコトハ極メテ困難ナンデア
  リマス、ソレデアリマスルカラ私ノ先程申
  シタコトガ千分ノ三十三對萬分ノ四乃至八
  ト云フコトニ付テノ或ル比率ガアッテ出タ
  ヤウニ若シ御取リ下サイマシタナラバ、ソ
  レハ私ノ言ヒ方ガ惡カッタノデゴザイマシ
  テ、一方ニ不動產移轉稅モアルカラシテ有
  價證劵ノ移轉稅モ考ヘナケレバナラナイ、
  ソレカラ有價證劵ノ移轉稅ニ付キマシテ
  ハ、其稅率ノ決メ方ハ極メテ困難デアッテ、
  先ヅ有價證劵ノ移轉ノ囘數ノ多イト云フコ
  トモ考慮ニ入レナケレバナラナイ、又ソレ
  ト諸外國ノ立法例等モ參酌シマシテ、彼此
  レ勘案ノ上此程度ニ定メタヤウナ次第デゴ
  ザイマスカラ御諒承ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=105

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• 106・松田喜三郎

  ○松田委員　ドウモマダ私ハ諒解出來ヌ、
  今仰シヤッタ不動產ト云フモノヽ移轉ハ囘
  數ガ少イガ、株劵ノ移動ト云フモノハ囘數
  ガ多イカラマア此邊ガ適當デナカラウカト
  云フ御話デアリマシタガ、是ハ能ク其事ヲ
  考ヘテ戴カナケレバナラヌ、茲ニ不動產ノ
  登錄稅ト云フモノハ只今仰シヤッタ通リニ
  千圓ニ付テ三十三圓デアリマス、其上ニ地
  方稅トシテ附加稅ガ全國平均シマスト二十
  四圓掛ッテ居ル、サウスルト不動產ノ方ノ
  移轉稅ハ千圓ノ移轉稅ニ對シマシテ五十七
  圓ソレニ株劵ノ移轉ハ平均シテ見マスル
  ト千圓ニ付テタッタ六十錢デアリマス、
  國債ノ方ガ四圓、一般ノ方ガ八圓トシマス
  ト其平均ハ六圓デアリマス、萬圓ニ六圓、
  千圓ニ付テハ六十錢デアリマス、不動產
  ノ方ハ平均シテ五十七圓、動產ノ方ハ
  六十錢、何倍違ヒマスカ、是ハ百倍デ
  スゾ、其移轉ノ囘數ガ有價證劵ナルガ故ニ
  多イカラト云フノデ、百分ノ一-或ハ
  百倍ノ稅ニシテ、是ガ妥當デアルト云フ
  ヤウナコトデアリマスルガ故ニ、農村ガ
  不況ニナッテ居ル、不動產ト云フモノヲ賣
  ルノハ、政府ノヤリ方ガ惡イカラデア
  ル、此政府ダケヲ申シマセヌヨ、今マデノ
  政府ノヤリ方ガ、農村、卽チ地方ガ仕事ヲ
  セネバナラヌ、政府ガセンナラヌノヲ地方
  ニサシタ、サウ云フヤウナ關係デ農村ノ負
  擔ト云フモノガ非常ニ多クナッテ、今日四十
  何億圓ト云フヤウナ借錢ヲスルヤウニナッ
  テ居ル、是ハ政府ガ政府ノ仕事ヲ地方ノ人
  間ニサシタ爲デアル、地方ノ人間ハ稅金ヲ
  納メル爲ニ四十何億ト云フ借金ヲシテ居
  ル狀態ニナッテ居ル、サウ云フ不況ノドン底
  ニ政府ハ地方ヲ叩込ンデ、其爲ニ今先祖傳
  來ノ不動產ヲ賣ラナケレバナラス、所ガ賣、ツ
  テ見ルト千圓ニ對シテ五十七圓ト云フ稅デ
  アル、一方資產階級ノ者ガ賣ル所ノ株式ハ
  千圓ニ對シテ六十錢、ドウデスカ、斯ウ云
  フヤウナ違ヒガアルノヲ、是デモ標準ガ立
  タヌトカ、外國デハドウヂヤトカ言ヒマス
  ケレドモ、外國ハドウデモ宜イノデス、日本
  ハ日本、衡平ナルコトヲシナケレバナラヌ、
  負擔ノ均衡ト云フモノハコヽニアル、租稅
  ノ負擔ノ均衡ヲセナケレバナラヌノハコ
  ニアル、百倍ト百分ノ一トヲ同ジニシテ、
  貧弱ナル者、僅ナ資產ヲ持ッテ居ル者ハ何處
  マデモ押込ンデシマフ、有力ナル金ヲ持ッテ
  居ル者ハ何處マデモ援助ヲスルト云フコト
  ヲシ居ッタラ、何時マデ經ッテモ負擔ノ均衡
  ハ出來マセヌ、次ノ議會ニ於テハ之ヲ衡平
  ニスル、是正スルト仰シヤルケレドモ、只
  今ノヤウナコトデハ何ガ出來マスカ、コン
  ナコトデヤッテ行ケマスカ、不動產ノ千圓モ
  株劵ノ千圓モ、價ハ對デスゾ、ソレヲ左樣
  ナ御考ハ容易ナラヌコトダト思ヒマスガ、
  根本的ニハ衡平ニ修正スルト云フ御考ガア
  ルカナイカ、其點ヲモウ一遍御伺シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=106

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• 107・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今色々御話モゴザイマ
  シタガ、之ヲ衡平ニスルト云フコトハ、不
  動產取得ニ對スル稅金モ、有價證劵ニ對ス
  ル稅金モ同ジ稅率ニスルト云フコトハ、是
  ハ迚モ行カヌト思ヒマス、此間モ御質問ガ
  アッタ通リ、有價證劵ハ一日場合ニ依ッテ一
  廻轉スルトカ、十廻轉スルトカ云フモノモ
  ゴザイマス、隨テ其間ニ正確ナル標準ヲ
  取ッテ、一方ノ稅率ト一方ノ稅率トヲ同ジ稅
  率ニシナケレバイカヌト仰シヤルコトハ、
  ソレハ御無理デハアルマイカト思ヒマス、
  不動產取得稅ノ高過ギヤセヌカト云フコト
  ニ付キマシテハ是ハ御同感デゴザイマス、
  併ナガラ此不動產ニ對スル登錄稅、取得稅
  ガ全部農村ノ負擔デアルト云フ御考ハ是ハ
  如何カト思フノデゴザイマシテ、寧ロ市街
  地附近ノ宅地ノ移轉ト云フモノニ付テハ、
  此稅金ガ一面ニ於キマシテハ土地增價稅ト
  云フヤウナモノニ相成ッテ居ルトモ見ラレ
  ルノデゴザイマシテ、一方デハ土地增價稅
  ヲ施行シナケレバイカヌト云フ意見モアル
  位デアリマス、土地增價稅ノ課稅ノ致シ方
  トシテハ二通リアルト考ヘルノデゴザイマ
  シテ、一ツハ何年每ニ土地ヲ評價シ直シテ
  其增價額ヲ對照ニ取ル、ソレカラ一ツハ移
  轉每ニ其前ニ買ッタノト後デ賣ッタノトノ增
  差額ヲ對照ニ取ル、斯ウ云フ行キ方デアル
  ノデゴザイマスルガ、此行キ方ガ何レニ致
  シマシテモ從來旨ク行カヌノデゴザイマ
  ス、隨テ此不動產ノ登錄稅ト云フモノハ
  面ニ於キマシテハ、サウ云フ實際上ノ働キ
  ヲ致シテ居ルトモ云ヘルノデゴザイマス、
  ソレデ或ハ田畑ノ移轉ト云フモノハ、今日
  ノ稅率ヨリモット下ゲタ方ガ宜イト思フノ
  デゴザイマスガ、又一面ニ於キマシテハ、
  同ジク不動產デアッテモ、或ハ移轉稅ヲモッ
  ト上ゲテモ負擔力ニ堪エルモノモアルダラ
  ウト思フノデゴザイマス、ソレデゴザイマ
  スルカラ、此次ノ稅制整理ノ時分ニ於キマ
  シテハ、或ハ不動產ノ中デモ、宅地、ソレ
  カラ市街地附近ノ宅地、田畑-田畑ト申
  シテモ、東京市附近ノ田畑ノヤウニ、畑デア
  リナガラ、實際ノ賣買トシテハ寧ロ宅地ト
  同樣ナル取引ノ致サレル所モアルカト思フ
  ノデゴザイマスガ、是等ニ付テハイマ少シ
  ク檢討ヲ加ヘマシテ、各〓擔稅力ニ應ズルヤま
  ウナ課稅ヲシテ行ク、斯ウ云フコトヲ致シ
  タ方ガ宜イトモ思ッテ居ルノデゴザイマス、
  ソレデ只今ノアナタノ御說ニ付キマシテハ
  一ツ十分考慮ヲ致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=107

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• 108・増田義一

  ○增田委員長　小山委員ニ御諮リ致シマス
  ガ、御要求ニ應ジテ商工省ヨリ村瀨政府委
  員ガ出席爲サレタノデアリマスガ、大變他
  ニ御用ガアルサウデ、頻リニ今迎ヘガ來テ
  居ルノデアリマスガ、尙ホ御質問ヲ繼續ナ
  サレマセウカ

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• 109・小山倉之助

  ○小山委員　私ノハ只今ノ程度デ宜シウゴ
  ザイマス、アトハ又機會ガアッタラ伺ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=109

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• 110・松田喜三郎

  ○松田委員　モウ一點······

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=110

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• 111・小山倉之助

  ○小山委員　私ハマダ終リマセヌ

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• 112・増田義一

  ○增田委員長　小山君ノ質問ガ終レバ松田
  君ノ順序デスカラ、關聯事項ハ此程度ニ止
  メテ置キマス

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• 113・松田喜三郎

  ○松田委員　序デデスカラドウデスカ、ヤ
  ハリ許シテ戴キタイ

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• 114・堀内良平

  ○堀內委員　只今ノ政府委員ノ御說明ニ對
  シテ、ホンノ簡單デスカラ一言御許シヲ願
  ヒタイ

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• 115・増田義一

  ○增田委員長　堀內君ニ一囘、松田君ニ
  囘、松田君ハ今度自分ノ順番ノ時ニハ同ジ
  質問ヲ繰返サナイト云フ條件デ發言ヲ許シ
  マス

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• 116・堀内良平

  ○堀內委員　政府委員ニ一寸御伺シマス
  ガ、實物取引ト云フモノニハ稅金ハナイノ
  デアリマス、ソレデ長期、短期ノ取引ニハ別
  ニ稅金ガアルノデスネ、サウシテ其上デ尙
  ホ取引スル場合ニ、〓算取引ノ方ガ非常ニ
  取引ガ高クナル、實物ノ方ガ安イト斯ウ云
  フノデゴザイマスカラ、甚ダ不公平デ、一方
  デ〓算取引ノ方ニ稅金ヲ重課スルヤウナ嫌
  ヒガアルノデハナイカト云フコトヲ御質問
  申上ゲテ、其點ヲ伺ヒタイト思ヒマス

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• 117・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今ノ堀內サンノ御尋
  ハ、〓算取引ニ於キマシテハ、取引所ノ取
  引稅ガ課カル、其爲ニ現物ヲ-現物ト申
  シマスカ、實株ノ引渡シ-其〓算取引ガ
  實物ノ引渡ニ終フタ場合ニ於テハ有價證劵
  移轉稅ノ賦課ヲ受ケル、隨テ課稅ガ多過ル
  ヤウニ思フガ如何デアルカ、斯ウ云フ御尋
  カト思フノデゴザイマス、ソレハ移轉稅ハ
  今囘創設サレマシタ稅デゴザイマシテ、此
  稅ハ總テノモノニ賦課スルノデアリマス、
  取引稅ハ今マデ賦課ヲ致シマシタモノニ幾
  分ノ增率ヲ致シタノデゴザイマスガ、取引
  所ニ於ケル取引稅ト云フモノヽ賦課ハ從來
  モ受ケテ居リ、其受ケテ居ル外ニ、實物ヲ
  〓算市場デ引取ル場合ニハ、普通通リノ有
  價證劵移轉稅ガ課カル、實物市場デ引取ル
  ニモ移轉稅ガ課カル、斯ウ云フコトデアリ
  マスカラ、普通ノ場合ニ、有價證劵ノ移轉
  致シマシタ場合ニ、此移轉稅ガ課カッテ、其
  上ニ取引所ニ於テ行ハレマシタ時ニハ取引
  稅ガ課カル、斯ウ云フコトニ相成ル譯デゴ
  ザイマス、其點ハ有價證劵移轉稅ト云フモ
  ノダケガ加ッタト、斯ウ御考ヘ下サッテ宜イ
  ト思フノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=117

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• 118・松田喜三郎

  ○松田委員　ソレデハ、サッキ許サレマシタ
  カラモウ一ツ伺ヒタイ、只今松隈政府委
  員カラ仰シヤイマシタ、卽チ不動產登錄稅
  ノ千圓ニ付テ三十三圓、一方有價證劵移轉
  稅ハ四圓ト八圓、卽チ平均六圓デアリマス
  ガ、之ヲ見合セテサウシテ是ガ適當ナリト
  思ッテシタト言ヒマスガ、石渡政府委員ハ如
  何ニ思ハレマスカ、ソレカラモウ一ツ聽キ
  マスノハ、不動產ノ轉々ハ少イガ、有價證
  劵ノ轉々ハ多イト言ヒマスガ、ドレ位ノ比
  例デ多イカ、一方ノ稅金卽チ登錄稅ハ百倍
  デアリマス、不動產ニ對シテ株ハ百倍モ動
  キマスカ、私ノ考ヘテ居リマスノハ、實物
  市場ニ於ケル所ノ取引店ト云フモノハ一箇
  年卽チ六百億ノ取引ヲシテ居ル、是ガ我國
  ノ株式ノ總額ニ對シテ何ボニ當ルカ、我國
  ノ株式ガ何ボアリマスカ、ソレニ對シテ六
  百億圓ト云フ賣買ガアリマス、賣ガ約三百
  億アリマスカラ、買モ合セマスト六百億ニ
  ナル、此六百億ト云フモノハ日本ノ株式總
  額-卽チ有ユル國債、有ユル地方債、有
  ユル有價證劵ニ對シテ何ボノ移轉ガアリマ
  スカ、不動產ノ移轉ノ度數ト共ニ必ズ御調
  ガアラウト思ヒマス、ナケレバ此案ハ作ラ
  レナイ、アルト信ジマスカラ、其御答ヲ願
  ヒマス

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• 119・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今ノ御尋ハ極メテ難カ
  シイ御尋デゴザイマシテ、有價證劵移轉稅
  ヲ千分ノ〇·八ト斯ウ云フヤウニ決メタコ
  トガ、不動產ノ千分ノ三十三ト均衡ヲ得テ
  居ルカドウカ、斯ウ云フ點ハ、勿論一方ニ
  不動產ノ登錄稅ガ相當ノ賦課ヲ受ケテ居ル
  ト云フコトヲ見合ヒニ致シマシテ、有價證
  劵移轉稅ヲ起シタノデゴザイマス、一カニー
  不動產登錄稅ト云フモノガナケレバ、有價
  證劵移轉稅ト云フヤウナ--是ハ實行上極
  メテ困難ナ稅金デゴザイマスルガ、斯ウ云
  フ稅金ヲ起サナカッタカモ分ラヌノデゴザ
  イマス、併シ一方ニ不動產ニ對スル所ノ登
  錄稅ガアリマスカラ、有價證劵移轉稅モ之
  ヲ設ケル所ノ理由ガアルヂヤナイカ、斯ウ
  云フコトカラ致シマシテ、茲ニ有價證劵移
  轉稅ト云フモノヲ起シタ譯デゴザイマス、
  斯樣ナ譯デゴザイマスガ、三十三ト〇·八ト
  比ベテソレガ良イカ惡イカト云フコトハ、
  是ハ極メテ難カシイ御尋デゴザイマシテ、見
  合ヒヲ致シテ斯ウ云フ稅法ヲ拵エタ、稅率
  モ斯ウ云フヤウニ決メタト云フコトハ申上
  ゲ得ルト思フノデアリマスガ、三十三ト〇·
  八トノ關係ハ如何、斯ウ云フ御尋ハ、的確
  ニ數字ヲ擧ゲテ御答スルコトハ難カシイト
  存ジマス
  ソレカラ今御尋ノ六百億アルガト云フ御
  話デゴザイマスガ、私六百億ト云フ數字ハ
  能ク分リマセヌガ、或ハ株式市場ニ於ケル
  所ノ賣買數デアルカトモ思フノデゴザイマ
  スガ、其中デ〓算市場ニ於ケル有價證劵ノ
  實際ノ移轉ト云フモノハ比較的少イノデゴ
  ザイマセウ、少イモノデゴザイマセウガ、
  之ヲ幾ラト計算致シマスカト云フコトハ中
  中調査ハ困難デゴザイマス、先般御註文ニ
  依リマシテ、是レ〓〓ニ見積ッタト云フ數字
  ハ差出シテゴザイマスガ、此計算ハ極メテ
  困難デゴザイマス、私ガ今幾囘轉モスルト
  斯ウ申上ゲマシタノハ、先般御尋ガアリマ
  シテ、一日ニ十囘轉モ二十囘轉モスルガ、
  其場合ニ一々皆納稅シナケレバナラナイ
  カ、斯ウ云フ御尋デアッタモノデスカラ、一
  日ニ十囘轉シテモ二十囘轉シテモ一々印紙
  ヲ貼用シテ戴カナケレバナラヌ、斯ウ申上
  ゲタ次第デゴザイマス、デアリマスカラ有
  價證劵モ、物ニ依ッテハ十年モ二十年モ移動
  シナイモノモゴザイマセウ、物ニ依ッテハ一
  日ニ十囘轉モ致スモノモアルカモ知レマセ
  又、隨テ是等ノ囘數ヲ平均ヲ取リマシテ計
  算致シタモノハ實ハ持合セガゴザイマセ
  ヌ
  〔松田委員「日本ノ株式ノ總額ニ對シテ
  ドウデスカ」ト呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=119

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• 120・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　株式ト申シマスカ、會社
  ヲ總テ引括メマシテ、合名會社、合資會社、
  株式會社、スッカリ引括メマシテ二百億內外
  ト思ッテ居リマス
  〔松田委員「國債地方債ハ······」ト呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=120

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• 121・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　國債ガ百三億デゴザイマ
  スカ、ソレカラ地方債ノ合計額ガ、今ハッキ
  リシタ事ヲ申上ゲ兼ネマスガ、二十二三億
  デハアルマイカト思ッテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=121

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• 122・小山倉之助

  ○小山委員　有價證劵仲買人ヲ買取人トス
  ル賣買ニ因ル取引移轉デアリマスガ、是ハ
  委託ニ依ル場合ハ課稅シナイト云フノデス
  ナ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=122

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• 123・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　客ノ委託ニ依ッテ買取リ
  マスル場合ニハ、客ノ代理ノ資格デ買ヲテ居
  リマスルノデ、代理人トシテ行動シテ居ル
  モノト認メマス、隨テ有價證劵移轉稅ヲ納
  メル人ハ、其仲買人ニ委託シタ委託者、斯
  ウ云フコトニナリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=123

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• 124・小山倉之助

  ○小山委員　委託ヲ受ケタ場合ニハ、其委
  託ヲ受ケタ株劵ナラ株劵ガ移轉スル時、其
  時ニ納稅スルノデセウ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=124

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• 125・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　例ヘバ甲ト云フ人ガ仲買
  人ヲ通ジテ買ヒマスルト、仲買人ガ買付ケ
  テサウシテ甲ト云フ者ニ渡シマス、其甲ガ
  有價證劵ヲ仲買人カラ取得シタ其時ニ、甲
  ガ納稅スルノデゴザイマス、其稅ッハ、仲
  買人ガ介在致シマシタ場合ニ於テハ、仲買
  人ニ於テ徵收シテ政府ニ納メルト云フコト
  ニ規定サレテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=125

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• 126・小山倉之助

  ○小山委員　其率ハ幾ラデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=126

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• 127・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　其場合ニ於キマシテハ普
  通ノ人ガ取得シテ納メルノデゴザイマスカ
  ラ、ソレハ第二種ノ乙ノ稅率ニナリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=127

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• 128・小山倉之助

  ○小山委員　サウスルト買取ッテ移轉ヲス
  ル時ハ第二種ノ乙ヲ納メルノデスカ、併シ
  客カラ註文ヲ受ケテ、ソレヲ一々直グ移轉
  スル譯デナシニ、仕切ッテ買ッテ居リマス、
  所ガソレヲ客ニ渡ス迄ノ間ニ幾廻轉カスル
  ノデスガ、ソレヲ客ニ渡ス迄ノ期間ヲドノ
  位ニ御認メニナリマスカ、ドノ位ノ期間ニ
  行ハレタ商賣ヲ仲介業商賣ト御認メニナリ
  マスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=128

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• 129・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　仲買人ガ客カラ有價證劵
  ヲ買フテ吳レト言ハレタ時ニ、自分ノ手持ノ
  有價證劵ガアッテ、ソレヲ引渡スヤウナ場合
  ニ於キマシテハ、有價證劵ヲ受取ッタオ客ガ
  第二種乙ノ稅率デ課稅サレルノデアリマス
  ガ、其場合ニ於テハ、仲買人ガ其稅金ヲ徵收
  シテ政府ニ納メルノデアリマス、其場合ニ
  於テ仲買人ガ手許ニ有價證劵ガナイト云フ
  ヤウナコトデ、外ノ仲買人同志融通シ合フ
  ト云フ場合ニ於テ、仲買人ガ自分ノ計算ニ
  於テ一遍仕切ッテ買取ルト云フコトニナリ
  マスト云フト、其仲買人ガ買ッタコトニ對
  シマシテハ、仲買人ガ買受人ニナッタノデ
  アリマスカラシテ、自分ノ計算ニ於ケル取
  得行爲ニ對シテハ、第一種ノ稅ヲ納メル、
  ソレヲ自分ガ一遍買ッテ、自分ノ計算ヲ濟シ
  テシマッテ、其有價證劵ヲ更ニ客ニ引渡スト
  云フ時ニハ、客カラ第二種乙ノ稅金ヲ徵收
  スル、ソレデ仲買人ガ委託ニ依ッテ行動シ
  テ居ル場合、サウ云フ場合モ相當アルト思
  ヒマス、併シ場合ニ依リマシテハ、證劵移
  動ノ實體カラ云フト、恰モ移動デアルカノ
  如クデアリマスルケレドモ、一々委託ト云
  フヤウナ手續ニ依ラナクテ、自己ノ危險計
  算ニ於キマシテ買取ッテシマフ、斯ウ云フコ
  トヲ致シマスレバ、其自己ノ危險計算ノ下
  ニ買取ッタ場合ニ於テハ、ソコニ有價證劵
  ノ實質的ノ移轉ガアック譯デゴザイマスカ
  ラ、其仲買人ノ取得ニ對シテハ、一應ソコ
  デ萬分ノ二ノ課稅ヲスルト云フ機會ガ生ジ
  テ、仲買人ハ納稅ヲシナケレバナラナイ、
  ソレヲ今度ハ客ノ需メニ應ジテ客ニ賣ッテ
  ヤルト云フコトハ、ソコニ又新シイ仲買人
  對客ノ賣買ニ依ッテ、一遍仲買人ノ取得シタ
  有價證劵ガ更ニ客ニ取得サレルコトヽ云フ
  移轉ガ行ハレマス、サウシテ其取得者ガ納
  稅義務者デアリマスガ、オ客ガ取得スルノ
  デアリマスカラシテ、第二種乙ノ稅金ヲ納
  メナケレバナラヌ、隨テ委託ノ場合デアリ
  マスレバ、一囘ノ稅デ濟ム場合ガ、仲買人
  ガ自分ノ危險計算ニ於テ仕切ッテ買ヘバ、仲
  買人ガ一遍納稅シ-ソレハ安イ稅率デゴ
  ザイマス、ソレカラ客ニ賣渡ス時ニ、モウ
  一遍客ガ第二種乙ノ稅率ヲ拂ッテ取得シナ
  ケレバナラヌ、斯ウ云フ關係ニナリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=129

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• 130・小山倉之助

  ○小山委員　先程カラ第二種ノ稅ニ付テ御
  說明ヲ伺ヒマシタガ、ドウモ中々私ニハ分
  リニクヽ思ハレルノデゴザイマスルガ、實
  物市場デ賣買スルノト、〓算市場デ賣買ス
  ル場合ノ有價證劵ノ移轉ヲ二倍ニスルト云
  フノハ餘リニ理由ガナイト思フノデアリマ
  ス、ヤハリ是ハ甲ト乙トハ同一ニ取扱ッテ
  差支ナイモノト思ヒマス、〓算市場ニ於テ
  取引所稅ヲ高ク納メテ居ル、ソレデ市場ニ
  於テ買フタモノハ相當ニ保護サレナケレバ
  ナラヌノニ、若シ斯樣ナ高イ稅率ヲ課ケラ
  レルトスレバ、保護シテ發達サスベキ市場
  ガ繁昌シナイデ、場外ノ取引ヲ却テ助長ス
  ル結果ニナリハシナイカ、取引所ヲ折角設
  ケタ趣旨ト反スル結果ヲ生ジハシナイカ、
  之ヲ憂ヘルノデアリマスガ、御所見如何デ
  アリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=130

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• 131・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今ノ小山サンノ御尋ハ
  同ジ取引所デ行ハレタ賣買ノ中デ、〓算市
  場ノ實物受渡ト、實物市場ニ於ケル有價證
  劵ノ取得トノ間デ、率ガ倍違フノハ少シ開
  キガ過ギハシナイカ、ソレカラ〓算市場ノ
  實物受渡ハ成ベク之ヲ奬勵スベキデアルニ
  拘ラズ、其方ノ率ガ高イト云フコトハ如何
  デアルカ、斯ウ云フ御趣旨ニ解スルノデア
  リマスガ、先程主稅局長カラモ申上ゲマシ
  タ通リ、〓算市場デ賣買ヲ致シマシタコト
  ニ對シマシテハ、今デモ取引所取引稅ガ掛ツ
  テ居ルノデアリマス、是ハ〓算市場ノ賣買
  ニ對スル課稅デゴザイマシテ、一種ノ行爲
  稅トモ謂フベキモノデアリマシテ、賣買兩
  方ニ對シテ課稅シテ居ルノデアリマス、卽
  チ〓算取引ヲシタト云フ其行爲ニ對スル課
  稅デゴザイマシテ、有價證劵ヲ取得スルト
  云フ其有價證劵取得ニ擔稅力ヲ認メテ課稅
  ヲスルト云フ稅デハナイノデゴザイマス、
  所ガ今度新シク有價證劵移轉稅ト云フモノ
  ガ設ケラレマシテ、有價證劵ノ取得ト云フ
  コトニ對シマシテ、擔稅力ヲ認メマシテ課
  稅ヲスルコトニナッタノデアリマス、是ハ有
  價證劵ノ所有權ヲ現實ニ得ルト云フコトニ
  對シマスル課稅デアリマス、サウ致シマス
  ルト云フト、場外卽チ現物屋ノ店デ有價證
  劵ヲ買ヒマシテモ、或ハ〓算取引ヲ行ッタ
  結果、有價證劵ノ取得ニ終ッタト云フ場合
  デアリマシテモ、等シク有價證劵ヲ取得シ
  タト云フ事實ハアルノデアリマス、サウ致
  シマスレバソレハ同ジ率デ課稅シテ差支ナ
  イノデハナカラウカ、現在デモ實物店ニ於
  ケル賣買ニハ課稅ガナク、取引所内ノ〓算
  取引ニ對シテノミ特別ノ行爲稅タル取引
  稅ガアル、卽チ現在デモ〓算取引ト現物店
  ノ賣買トノ間ニハ一ハ課稅サレ一ハ課稅サ
  レナイト云フ差ガ存シテ居ル、今度有價證
  劵移轉稅ガ新シク設ケラレマシテモ、其
  ハ課稅サレ一ハ課稅サレナカッタ其開キハ
  其儘維持サレルコトニナルト思フノデアリ
  やく、デアルカラシテ其間特ニ不衡平ガナ
  イト思ヒマス
  其次ノ御質問デアリマスル、ソレナラ實
  物市場デ買ッタ場合ニ於テ稅率ガ安イノハ
  ドウ云フ譯デアルカト云フコトデゴザイマ
  スガ、是ハ先程モ申上ゲマシタ通リデゴザ
  イマシテ、大體調ベマスルト云フト、實物市
  場ニ於テ賣買取引ヲ致シマス際ニ納メマス
  ル手數料ト云フモノガ、賣買價額ノ-物
  ニ依ッテ少シ違ヒマスガ、萬分ノ二乃至三位
  アルノデゴザイマス、サウ致シマスト、此萬
  分ノ二乃至三位ノ開キヲ置クノガ大體ニ於
  テ適當ト認メラレマスノデ、ソコデ場外ナ
  レバ萬分ノ四デアルベキ所ヲ、實物市場デ
  アレバ萬分ノ二ノ開キヲ置イテ萬分ノ二ト
  シ、ソレカラ場外デアレバ萬分ノ八デアリ
  マスル所ヲ、是ハ稍〓少シ率ガ大キクナリ
  マシタケレドモ萬分ノ四程度ニ開カセテ、
  手數料ヲ出シタガ爲ニ特ニ不利ヲ蒙ムルコ
  トノナイト云フダケノ差ヲ置クコトニシテ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=131

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• 132・小山倉之助

  ○小山委員　私モ實ハ餘リ此ノ方ノ實情ハ
  分ラナイノデアリマスガ、尙ホ私モ取調べ
  マシテ又質問ヲ重ネタイト思フノデアリマ
  ス、ソレカラ第十二條デアリマスガ、有價
  證劵ノ移轉每ニ移轉當事者ガ命令ノ定ムル
  所ニ依リ作成スル有價證劵移轉書ニ印紙ヲ
  貼用スル、是ハ手續トシテハ宜シイト思フ
  ノデスガ、例ヘバ遠距離ノ間ニ賣買スル、
  例ヘバ大阪ト東京ノ仲買人同士デ賣買ノ行
  ハレタヤウナ場合ニハ、從來ノヤリ方デ
  ハ買方ノ註文ヲ受ケタ方ガ立替ヘテ居タ、
  サウスルト結局ソレヲ支拂フノニドチラガ
  負擔スベキカト云フコトハ、從來ノ慣習上
  區別スルコトガ困難デアル、ソコデ何等カ
  ノ方法デ、有價證劵賣買業者ガ遠隔ノ地ニ
  在ルヤウナ關係ノ取引ニ於テハ、買受人ガ
  之ヲ支拂フト云フコトヲスル方ガ實情ニ卽
  シタ徵收法デハナカラウカ、斯ウ云フ風ニ
  モ考ヘルノデアリマスガ、其點ハ如何デア
  リマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=132

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• 133・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　有價證劵移轉稅ハ常ニ買
  受人ニ於テ納稅スルコトニナッテ居リマス、
  是ハ個人間ノ賣買デアリマシテ、此場合ニ
  於テハ有價證劵移轉書ヲ作成シテ、印紙ヲ
  貼用シテ納稅スルノデゴザイマスルガ、其
  場合ニ於テモ納稅義務者ハ買受人トナッテ
  居リマス、ソレカラ仲買人同士ノ賣買ノ場
  合デゴザイマスガ、只今ノ御話ニ依リマシ
  テ隔地者間ノ取引ノ場合ヲ假ニ想像致シ
  テ見マシテ、東京ノオ客ガ東京ノ仲買人ニ
  或ル有價證劵ヲ賣ッテ吳レト、斯ウ言ウテ其
  東京ノ仲買人ガオ客ノ賣註文ヲ持ッテ居ツ
  テ、一方大阪ノ仲買人ハ大阪ノオ客カラ有
  價證劵ヲ買ッテ吳レト斯ウ云フコトヲ言ハ
  レテ、東京ノ仲買人ト大阪ノ仲買人トノ間
  ニ於テ有價證劵ノ賣買ガ成立致シタ、斯ウ
  云フコトニナリマスルト、東京ノ仲買人モ大
  阪ノ仲買人モオ客ノ委託ヲ受ケテ取次ヲシ
  テ居ル場合デゴザイマスカラシテ、是ハ納
  稅義務ハナイノデゴザイマス、サウシテ其
  場合ニ買ッタ、有價證劵ヲ取得シタ者ハ誰デ
  アルカト云フト、大阪ノオ客ナノデアリマ
  ス、其場合ニ於テハ取得者側ノ仲買人、卽
  チ大阪ノ仲買人ガ、取得者タル大阪ノオ客
  カラ有價證劵移轉稅ヲ徵收シテ、之ヲ翌月
  大阪ノ稅務署ニ納メル、斯ウ云フコトニナ
  ルト思ヒマス

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• 134・小山倉之助

  ○小山委員　是ハ委員長ニ對スル發言デス
  ガ、議事進行ノ形式ヲ以テ御許ヲ願ヒタイ
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=134

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• 135・増田義一

  ○增田委員長　宜シウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=135

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• 136・小山倉之助

  ○小山委員　前質問者ハ主ニ地方稅交付金
  其他重大ナル問題ニ付テ御質問ナサレタノ
  ヂアリマシテ、斯樣ナ場合ニハ大臣ガ出席
  セラレタノデアリマス、尙ホ大臣ニ對シテ
  質問センガ爲ニ保留セラレテ居ル方モ相當
  多イト思フノデアリマス、實ハ私ハ努メテ
  大キナ問題ニ觸レナイデ、此臨時租稅增徵
  案ノ內容ニ關シ、稅率ヲ本トシテ質疑ヲ試
  ミテ參ッタ積リデアリマス、然ルニ斯樣ナ
  場合ニ大臣ノ御出席ナク、大臣ニ御質問申
  上ゲタイ點モ遠慮シタ箇所モ相當多イノデ
  アリマス、委員長ハ此增稅案ノ愼重審議ヲ
  期セラレルガ爲ニ、大臣ガ御出席ニナラウ
  ガナルマイガ殆ド午前ト午後ニ亙ッテ之ヲ
  御開キニナリマスコトハ其御精勵ト御熱心
  ニ對シマシテハ私共モ感激シテ居ル所デゴ
  ザイマス、其趣旨ニハ從フノデアリマス、
  併ナガラ重要ナ質問ガアルニ拘ラズ、大臣
  ノ御出席ノナイ時ニモ尙ホ之ヲ繼續シテ居
  ルト云フ次第デアリマスカラ、勢ヒ私ノ大
  臣ニ對シ質問スベキ點ヲ保留致シタイノデ
  アリマスガ、若シ最モ近イ機會ニ大臣ニ對
  スル質問ヲ御許シ下サイマスナラバ、私ノ
  質問ハ今日ハ此程度デ止メタイト思ヒマス
  ガ、御許シ下サイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=136

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• 137・増田義一

  ○增田委員長　小山委員ニ御答致シマス、
  午前ヨリ午後ニ亙ッテ屢〓大藏大臣ノ出席ヲ
  要求シテ居リマス、午前ハ地久節デ參內セ
  ラレタト云フコトデ御出席ナク、午後ハ本
  會議ニ於テ恩給金庫法案ノ說明及ビ質疑ノ
  應答ヲセラレルノデ本會議ニ居ラレマス、
  其後ハ豫算委員會ニ出席ナサルノデ、今日
  ハムヅカシカラウ、尤モ豫算委員會ガ濟メ
  バ直チニコチラヘ出席シテ貰フヤウニ請求
  シテアルノデゴザイマス、決シテ委員長ハ
  ソコニ手拔リハナイノデアリマス、ドウゾ
  御諒承ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=137

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• 138・小山倉之助

  ○小山委員　私モ手拔リガアルトハ申シマ
  セヌ、委員長ノ御精勵デ、私共モソレニ引
  摺ラレテ參ッテ居ルノデアリマスガ、斯樣ナ
  重大ナル增稅案ヲ論議スルニ當リマシテ、
  大臣ノ御出席ガナク、十分論議ヲ盡シ得ナ
  イト云フコトハ、將來ニ遺憾ヲ貽ス所以デ
  アリマスカラ、斯樣ナ場合ニハ或ハ一日位
  休ミマシテ、其間大臣ノ出席シ得ル機會ヲ
  御選ビニナルコトモ、之ハ愼重審議スベキ
  所以ヂヤナカラウカ、徒ニ日ニチヲ詰メテ
  ヤルバカリガ能デハナカラウ、斯樣ニ考ヘ
  ルノデアリマスルガ、成ベク大臣ノ御出席
  ノ數ガ多イコトヲ希望致シタイノデアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=138

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• 139・増田義一

  ○增田委員長　御尤デアリマス、委員長全
  ク同感デアリマス、故ニ大臣ニ質問セラル
  ル以外ノ質疑卽チ政府委員ニテ答辯差支ナ
  イ點ヲドウゾ御質問願ヒタイト云フコトヲ
  申シテ居ッタ譯デアリマス、御諒承ヲ願ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=139

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• 140・小山倉之助

  ○小山委員　留保宜シウゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=140

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• 141・増田義一

  ○增田委員長　承知シマシタ-次ハ松田
  喜三郞君ニ發言ヲ許シマス、大藏大臣ニ對
  スル御質疑ハ保留願ヲテ、政府委員ニテ答辯
  差支ナイ範圍ノモノヲ御質疑願ヒタウゴザ
  イマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=141

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• 142・松田喜三郎

  ○松田委員　私ハ大臣ニ主トシテ御質問ヲ
  シタイ、卽チ大藏大臣、內務大臣、總理大
  臣ガ居リマスレバ一番宜シイ、是等ノ大臣
  ガ御出席ノ上デ特ニ質問サセテ貰ヒタイト
  思ッテ居リマス、私ハ今日ハ簡單ニ一口言ウ
  テ置キマシテ、アトハ大臣ノ御出席ヲ待チ
  マシテ質問サセテ貰フコトニ致シマス、ソ
  レデ只今ノ續キヲ一ツ······是ハ大切ナ事デ
  アリマス、是ハ私ハ何モ政府ノ人ニ當リガ
  惡イト言フノデハアリマセヌ、私ハ斯ウ云
  フヤウナ人間デアッテ農村ノ者デアリマスカ
  ラ言葉ガ粗野ニ亙ルコトガアルカト思ヒマ
  ス、其邊ハ一ツ御許ヲ願ヒタイト思フノデア
  リマス、先ヅ只今ノ不動產ト動產トノ移轉ノ
  囘數ト云フモノハドウシテモ調査セヌト云
  フト、衡平ナル負擔ノ課率ヲ定メルコトハ私
  ハ出來ヌト思ッテ居ル、ソコデ有價證劵ノ卽
  チ只今ノ第二種ノ乙ニ屬シマスモノハ、本當
  ノ取引所以外ノモノデアッテ實際ニ所有ス
  ルモノガ主トシテ之ニ當ルベキモノデアラ
  ウト思ッテ居リマス、頂戴致シマシタ材料デ
  私ガ色々調ベタモノニ依リマスト、八十七
  億一千萬圓アリマス、ソコデ日本ノ會社ノ
  拂込金或ハ積立金ヲ申シテ見マスト約是ガ
  二百六十億圓餘ニナッテ居ル、故ニ先ヅ今日
  ノヤウナ時代デアリマスカラ、二百六十億
  圓ト云フモノハ殆ド倍ノ時價ヲ持ッテ居ル
  ニ違ヒナイ、ダカラ五百億位ハアラウト思
  ヒマス、會社ダケデス、時價デアリマスヨ、
  ソコデ尙ホ國債デアルトカ或ハ地方債デア
  ルトカ斯ウ云フヤウナモノヲ入レテ見マス
  ト、ドウシテモ私ノ推算デハ七百億位ニナ
  ルト思ヒマス、一人デ調ベルノハ無理ダト
  思ヒマスカラ私ノ推察ハ違フカモ知レマセ
  ヌケレドモ、恐ラク六百億以上ノモノデア
  ラウト思ヒマス、サウスルト此株式、有價
  證劵ガ移轉ヲシマスノハ何年ニ幾囘轉シテ
  居ルカハ是デ明ニナッテ來ル、八十億ニ八年
  掛ケルト先ヅ六百四十億デスカラ、公正
  一囘-私ノ貧弱ナ頭デ推算致スノデアリ
  マスカラ正確デハアリマセヌガ、有價證劵
  ノ移轉ハ八年ニ一囘位ダト思ヒマス、ソレ
  ヲモウ一ツ負ケテモ七年ハ掛リマス、有價
  證劵ノ移轉ト云フモノハ七年ニ一遍ハ移轉
  スルニ違ヒナイト思フガ、不動產ハドウデ
  アリマセウカ、何年ニ一遍ゴザイマセウカ、
  吾々人民ノ一代ト云フノハ先ヅ三十年デア
  ル、自分達ガ一代持ッテ居ルト言ッテモ三十
  年餘持ッテ居ルコトハ餘リナイ、二十四五
  年、二十年カモ分ラナイ、サウスルト七年
  ト二十年トハ約三倍デアリマスガ、大負ケ
  ニ負ケテ四倍ト致シマス、四倍マデトシマ
  シテモ株式ガ四囘轉スル迄ニ不動產ハ一囘
  轉シカシナイ、然ルニ一方ノ不動產ハ千圓
  ニ付テ五十七圓ノ稅金ガ掛ッテ居ルノニ、有
  價證劵ハタッタ六十錢シカ掛ッテ居ラヌ、五
  十七圓ト六十錢デアル、是ハドウ考ヘテ見
  テモアナタノ言フヤウナ御考デアッタラ洵
  ニ困ッタモノデス、負擔ノ均衡ナンカ取レ
  ハシマセヌ、是ハ總テ一事ガ萬事デアリマ
  スゾ、今度政府ガ財政ノ大改革ヲ致シマス
  ト云フコトハ、總理大臣初メ大藏大臣モア
  ナタモ始終仰シヤッテ居ル、必ズ十三年度ニ
  ハ國民ガ納得スルヤウニ新ニ大ナル負擔ノ
  改革ヲスルト仰シヤル、其改革ハ最モ衡平
  デアッテ均衡ヲ得タモノニナルデアラウト
  ハ思ッテ居リマスケレドモ、此動產ト不動
  產トノ違ヒナドヲ見マスト云フト、洵ニ憂
  慮ニ堪ヘヌノデアリマス、此點ニ付テハ其
  邊ヲ能ク御考下サレ諒解シテ下サッテ、動產
  ト不動產トノ負擔ノ不均衡ヲ是正スルト云
  フコトニ邁進シテ貰ハナケレバナラヌト思
  ヒマスガ、此點ニ對シマシテ相當ナル自信
  ヲ以テ御答辯願ヒタイト私ハ思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=142

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• 143・池本甚四郎

  ○池本委員　一寸關聯シテ居リマスカラ御
  伺致シマスガ、私質問スル順序ヲ待,テ居
  リマシテ、其時ニ御伺スル積リデアッタノ
  デアリマスガ、動產ト不動產ノ不均衡ノコ
  トガアリマシタノデ、此際一寸御尋シテ置
  キタイノデアリマス、先日來ノ質問應答ヲ
  承ッテ居リマスト、其中ニ過日矢野サンノ
  質問ニ對シマシテ、石渡サンノ御答辯ガアッ
  タノデアリマス、其時ニ不動產ノ高イ理由
  ト致シマシテ、之ニハ市街地ノ土地增價稅
  ト云フヤウナ意味モ加味サレテ居ルノデア
  ル、斯ウ云フ御答辯ニ相成リマシタガ、只
  今モ左樣ニ御考ニナッテ居リマスカ、之ヲ
  御伺致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=143

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• 144・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今松田サンカラ色々御
  話ガゴザイマシタガ、其數字ハ一ツ拜見致
  シマシテ〓究ハ致シマスガ、其數字ニ對シ
  テ是認シロ、斯ウ仰シヤラレルコトハ今日
  只今其數字ヲ其儘然ルベシト云フコトハ一
  寸申上ゲ兼ネルモノト思フノデゴザイマ
  ス、有價證劵ヲ押シナベテ總テガ七年ニ一
  囘ノ囘轉デアルトハ思ハレマセヌノデゴザ
  イマスガ、此點ニ付キマシテハ更ニ能ク〓
  究致シタイト存ジテ居リマス、見込ミマシ
  タ數字ハ-ドウ云フ風ニ一體オ前ハ有價
  證劵移轉稅ヲ見込ンダノカ、斯ウ言ハレマ
  スレバ是ハ法人ノ所有シテ居リマス株劵ノ
  持チ高、ソレカラ一箇年ノ取得高、一箇年
  ニ其法人ガドノ位株劵ヲ取得スルカ、斯ウ
  云フコトヲ見マシテ、サウ云フ處カラ判斷
  シテ參ッタノデゴザイマシテ、今アナタノ
  ヤウナ判斷ノ仕方デハ參ラナカッタノデア
  リマス、隨テサウ云フヤウナ計算ハ致シテ
  居リマセヌノデ、サウ云フヤウナ計算ニ付
  キマシテハ一ツ更ニ〓究ヲ致シタイト存ジ
  マス、ソレカラ只今登錄稅ハ市街地附近ノ
  土地ニ付イテノ增價稅的ノ意味モ含ンデ居
  ルト斯ウ申上ゲタノデアリマスガ、是ハ市
  街地附近ノ宅地ニ付テハサウ云フ御答モ出
  來ルト思フノデアリマス、卽チ前ニ五圓デ
  買ッタト云フ所ヲ今度ハ百圓デ賣ルノダ、
  斯ウ云フコトニ相成リマスレバ五圓デ買ッ
  タモノヲ百圓デ賣リマスカラ九十五圓ト云
  フ値ノ上ック額ガソコニ現レテ來ル、隨テソ
  レニ對シテ或ル稅率ヲ以テ課稅致シマスカ
  ラ其値上リノ部分ガ含ンデ來ル、是ハ寧ロ
  稅率ト申上ゲルヨリモ、詰リ取得稅移轉稅
  ト云フサウ云フ意味モ土地ノ値ノ上ッタ所
  デハ持チ得ル、隨テ若シモ此市街地附近ニ
  於テ土地增價稅デモ起ス場合ニ於テハ移轉
  稅登錄稅ナント云フ風ナモノモ關聯シテ
  餘程是ハ考ヘナケレバナラナイノヂヤアル
  マイカト、斯ウ云フ意味デ申上ゲタ次第デ
  アリマシテ、或ハ私ノ言ヒ方ガ簡單ニ申上
  ゲタモノデゴザイマスカラ、多少ノ誤解シ
  テ居ラレル向モアルカト存ジマスガ、サウ
  云フ意味デ申上ゲマシタ次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=144

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• 145・池本甚四郎

  ○池本委員　實ハ其點ハ私ハアナタノ御答
  辯ヲ承リマシタ時ニ、奇異ナ感ジガ致シタ
  ノデアリマス、隨テ私ハ念ノ爲ニ其後ニ於
  テ速記錄モ調ベテ見タノデアリマスガ、ヤ
  ハリ私ノ疑ヲ持チマシタト同ジコトニナッ
  テ居リマス、是ハ私ハ實ハ重大ナコトデハ
  ナイカト考ヘマスガ、只今申上ゲマシタヤ
  ウニ、成程市街地ノ地價ト狀態、サウ云フ點
  ハ是ハアリマセウガ、併ナガラ先ヅ第一ニ
  之ヲ理論的ニ考ヘテ見マスルナラバ、敢テ
  茲ニ租稅原論ヲ言フ譯デハアリマセヌガ、
  抑〓土地增價稅ト云フモノハ、大體登錄稅
  ト云フモノト、稅ノ根本ノ性質ガ違フノデ
  アリマス、申スマデモナク、增價稅ハ是ハ
  收益稅ダ、ソレカラ登錄稅ハ流通稅デアル、
  サウシテ考ヘテ見マスルト云フト、第一ニ
  其點ニ於テ、直接稅、或ハ登錄稅ハ循環稅
  トモ認メラレマスカラ、根本ノ稅ノ性質ニ
  於テ違フノダカラ、左樣ナ觀念ヲ色々混ゼ
  テ、サウシテ考ヘルベキモノデナイ、又第
  二ニハ今ノ東京ノ地價ト申シマシテモ、彼
  方此方ノ土地ニ依ル狀況ガアルト見マシテ
  モ、日本全國カラ見マスレバ、小サイ部分
  デアル、小サイ部分ヲ標準ニ採ラレテ、サ
  ウシテ全國ノ山ノ中、或ハ田圃ノ端マデ、
  左樣ナオ付合ヒヲシテ居ッテハ堪ラナイト
  思ヒマス、デアリマスカラ私ハ、是ハサウ
  云フ考ヲ持ッテ、此登錄稅ナドヲ、百分ノ三
  十五ト云フヤウナコトニシテ、御居デニナ
  ルノナラバ、是ハ私ハ申セバ、非常ニ間違
  ヒデハナイカト思ヒマス、デ此馬場案ニ依
  リマスルト、先程モ御話ガアリマシタヤウ
  ニ、大體此率ハ減ラサレテ居フタモノヲ、
  今度ハ增シテ御居デニナル、サウ云フ考デ
  アルナラバ、將來根本的ノ改正ノ場合ニ、
  ドウ云フ風ニナルカ分カラナイ、私ハ是ハ
  モウ少シ系統的ニ御尋スル積リデアリマシ
  タガ、私ハ只今關聯致シマシテ、御質問シ
  タヾケデアリマスガ、私ガ只今申上ゲマシ
  タ點ニ付テノ御考ハドウデアリマスカ、承
  リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=145

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• 146・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今池本サンカラ仰セノ
  アリマシタ通リ、私ハ決シテ此不動產ノ登
  錄稅ヲ高イト云フコトヲ否定シテ申上ゲテ
  居ル譯デハゴザイマセヌ、不動產登錄稅、
  ソレカラ不動產取得稅、是等ハ確カニ高ウ
  ゴザイマス、是ハ餘程將來考ヘナケレバナ
  ラヌ問題ダト思ッテ居リマス、ソレデ私ノ
  言ヒ方ガ惡カッタト思フノデアリマスガ、
  土地增價稅ト云フモノヲ、或ル程度含ンデ
  居ルト、斯ウ申上ゲマシタコトハ、先程私
  ガ申上ゲマシタ通リ、其市街地附近ニ於テ
  土地增價稅ト云フヤウナモノヲ考ヘマスル
  時分ニ於テハ、此登錄稅トモ相關聯シテ考
  ヘナケレバナラヌト、斯ウ申上ゲマシタ次
  第デゴザイマス、ソレデ登錄稅ト不動產取
  得稅、增價稅トノ關係デゴザイマスガ、土
  地ノ增價稅ニ付キマシテハ一方ニ於テ其人
  ノ有ッテ居ル土地ト云フモノヲ或ル一定年
  限ノ間ニ評價致シマシテ、其增價致シマシ
  タ總價額ニ課稅致シマスヤリ方ト、ソレカ
  ラ總評價ヲ致シマセズ、移轉每ニ課稅シ
  テ行クモノト二通リゴザイマス、ソレデ移
  轉每ニ課稅シテ行キマスモノハ、是ハ移轉
  稅ト申シマスカ、移轉稅ニ極メテ類似シテ
  來ル稅金ニナル譯デゴザイマス、ソレデア
  リマスカラ、土地增價稅ヲ起スト、斯ウ云
  フヤウナ議ガアリマシテ、大正十一年デゴ
  ザイマスカ、十二年デゴザイマスカ、立案
  致シマシタ時分ニ、非常ニ反對ヲ受ケマシ
  タノハ、一方ニ不動產取得稅ガアルカライ
  ケナイ、之ニ依ッテ或ル程度ノ增價稅ト云
  フモノハ、既ニ其目的ヲ達シテ居ル、然ル
  ニ茲ニ再ビ土地增價稅ヲ起スノハドウ云フ
  譯カト云フ反對論ガ大分アッタノデアリマ
  ス、ソレデアリマスカラ、私ハサウ云フ意
  味ニ於テ多少考慮シナケレバイカヌ點モ
  アルト斯ウ申上ゲタノデアリマシテ、强イ
  テ今日ノ不動產稅ガ高過ギルト云フコトヲ
  否定スル意味デ申上ゲタ譯デハゴザイマセ
  ヌ、左樣ドウゾ御諒承ヲ願ヒス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=146

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• 147・池本甚四郎

  ○池本委員　私ハ只今ハ不動產稅、登錄稅
  ノ高イ安イト云フコトヲ言ッテ居ルノデハ
  ナイノデアリマシテ、アナタノ御考ニ付テ
  私ハ申上ゲテ居ルノデアリマス、不動產登
  錄稅ノ高イト云フコトハ、是ハ決マリキッ
  タ御話デアリマシテ、私ハソレヲ今更言ッ
  テ居ル譯デハナイノデアリマス、左樣ナ觀
  點カラシテ、此登錄稅ヲ見テ居ラレルト云
  フコトガ、私ハイケナイト思フ、是ハ實際
  上カラ見マシテモ、只今申シマシタ如ク一
  部分ニ左樣ナコトガアルコトニ依ッテ、全體
  ノモノニ付キ合ヒサセルコトニナルト、是
  ハ亦理窟カラ考ヘテモ根本ノ精神ガ違フト
  思ヒマス、若シ昔左樣ナコトガ論議サレタ
  ト致シマスルナラバ、私ハ其當時ノ其理窟
  ガ間違ッテ居ルノデアラウト考ヘルノデア
  リマス、併シ是レ以上ハ關聯質間デアリマ
  スカラ申シマセヌガ、兎ニ角左樣ナ此土地
  增價的ノコトヲ加味シテ、茲ニ登錄稅ナン
  カヲ考ヘルト云フ考ヘ方ハソレハイケナイ
  モノデアルト云フコトヲ私ハ强ク申上ゲテ
  置キマス、ドウゾ其點ヲ御考慮願ヒタイト
  考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=147

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• 148・内藤正剛

  ○內藤委員　關聯事項デス

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• 149・増田義一

  ○增田委員長　內藤君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=149

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• 150・内藤正剛

  ○内藤委員　一ツ根本的ニ御伺ヒ致シマス
  ガ、有價證劵ノ移轉稅ニ付テ有價證劵ノ定
  義ハ法文ニ書イテアルト考ヘマスケレド
  モ、有價證劵移轉稅ハ、或ハ不動產ニ對ス
  ル登錄稅ト云ヒ、色々說明ノ仕方ハアリマ
  セウガ、結局歸スル所財產稅ニ外ナラヌト
  思フノデアリマス、而シテ合名會社若クハ
  合資會社ノ持分ノ移轉ニ對シテ、是ハ稅金
  ハ掛カッテ居リマセヌ、有價證劵移轉稅ナル
  ガ故ニ持分ハ有價證劵デナイト云フ所カラ
  掛カラヌカモ知レマセヌガ、私ハ之ヲ見タ
  ノデアリマスガ、ナイヤウニ思ヒマスガ、
  アリマスカ、アリマスレバ宜イ

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• 151・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今ノ御尋ハ第三條ニ
  「會社ノ社員ノ持分ノ移轉ハ之ヲ有價證劵
  ノ移轉ト看做ス」トアルノデアリマス、嚴
  格ノ意味ニ於キマシテハ有價證劵トハ見ラ
  レナイト思ヒマスガ、看做スト云フコトニ
  シテ居リマス

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• 152・松田喜三郎

  ○松田委員　私ハ大臣ノ御出席ノ下ニ御質
  問ヲ致シタイト思フノデアリマスガ、マダ
  時間モアリマスカラ、モウ少シ簡單ナコト
  ニ付テ伺ッテ置キマス、是ハ只今ノコトハ、
  只今ノ此會議デ問題ニナッテ居リマスル所
  ノ不動產ト有價證劵ノ問題ハ、只今ノ程度
  デ尙私ガ得心ガ行キマスヤウニ、動產ノ廻
  轉數、是ハ何カデ分ルノデアリマセウカ
  ラ、此點ヲ一ツ月曜日マデニ御調査シテ私
  ニ御示シヲ願ヒタイト思フ、ソレカラ此間
  題ハ能ク言フコトデアリマスガ、只今申シ
  マシタヤウニ、不動產ト動產トハ百倍ノ負
  擔ヲ株劵デハシテ居ルコトニナッテ居リマ
  スガ、其上ニ又不動產ニ於テ此取得稅ガ掛
  カル、取得稅ニ付テハ澤山皆サンカラ御
  話ニナッテ居リマシタケレドモ、此處ハ
  肚ヲ一ツ、又何時マデモ會議ガアルノ
  デハナイノデアリマスカラ、ザックバラン
  ニ大キナ肚ヲ決メテ貰ヒタイト思フ
  カラ言フノデアリマス、此不動產ノ
  取得稅ノ金額ノ問題ニ付テハ明日ニ讓リ
  マスガ、先刻ノ相續稅ノ時分ニ話シマシ
  タ或ル半面カラノコトヲ話シテ見タイト思
  ヒマス、有價證劵ハ先頃御話ノヤウニ相續
  稅ガ課カラナイガ、不動產ニハ千圓ニ付テ
  五圓、是ハ何トカ御考ニナラヌト云フト洵
  ニ困ッタ不公平ナ案タト思ヒマスガ、是ハ
  今後御考ニナラヌト、大イニ考慮シナケレ
  バナラヌト云フダケデハドウモナラヌノデ
  アリマス、何故カト申シマスト、旣ニ前ノ
  馬場財政ノ時分ニハ、此動產ト不動產ニ對
  スル所ノ負擔均衡問題ヲ、幾分現ハシテ居
  リマス、約二割位現ハシテ居ッタノデアリ
  マスガ、ソレヲピシヤット止メテシマッタ、
  其止メテシマッタ理由ハドウシタモノダラ
  ウト思フ、私ハ一割ヤ二割ハ問題ニシテ居
  リハセヌ、百倍ノ重稅ヲ負フノデアリマス
  カラ、大イニ考ヘナケレバナラヌト思ッテ
  居リマス、ドチラカヲ上ゲルカ下ゲルカシ
  ナケレバナラヌ、上ゲタリ下ゲタリシテ調
  和ヲ取ラナケレバナラヌト思フノデアリマ
  ス、此不動產ニ付テハ登錄稅ト云フモノ
  モ、モットハッキリサセナケレバイケナイ、
  最早アナタノ肚ハ決ッテ居ルニ違ヒナイカ
  ラ-又取得稅ノコトニ付テハ明日ニ讓リ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=152

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• 153・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今ノ御質問ニ對シテ御
  答致シマス、動產ト不動產ノ關係ニ付キマ
  シテハ、茲ニ有價證劵移轉稅ヲ實行致スコ
  トモ、是レ一ツノ關聯シタ問題デゴザイマ
  ス、ソレカラアト不動產ニ對スル、相續ノ
  登錄稅ノ問題、是等ハ稅制ノ整理改革ニ當
  リ考究ヲ要スル問題デゴザイマスガ、實ハ
  今暫ク考ヘタイト存ジマシテ、此次ノ一般
  改正ノ時分ニ讓リマシタ次第デゴザイマ
  ス、其中デモ只今農村々々ト仰シヤイマス
  ガ、實ハ只今不動產取得稅ニ致シマシテ
  干、不動產ノ登錄稅ニ致シマシテモ、市制
  施行地ニ於キマシテモ、是ハ相當ノ收入ニ
  ナッテ居ルノデゴザイマス、ソレデ此中ニ
  田畑ガドノ位アルカト思ッテ、色々材料ヲ
  調ベタノデゴザイマスガ、之ヲ調査致シタ
  モノハ見當リマセヌ、ソレデゴザイマスノ
  デ一ツ登錄稅ノ中ニ、一體田畑ガ幾ラアル
  ノカ、山林ガ幾ラアルノカト斯ウ云フコト
  ヲ一應調査致シマシテ、サウ云フヤウナ材
  料ヲ以テ今少シ私ハ正確ニ計算シテ行キタ
  イト存ジマシテ一應今囘ハ撤囘致シマシタ
  ヤウナ次第デゴザイマス、尙ホ此問題ハ獨
  リ國ダケノ問題デハ片付カヌノデアリマ
  シテ、市町村當局モ餘程國ノサウ云フヤウ
  ナ方針ニ、財政方針ト言ヒマスカ、稅制方針
  ト言ヒマスカ協力致サヌト、サッパリ埒ガ
  開カヌノデス、ソレデ此前昭和二年ニ此登
  錄稅ヲ改正致シマシタ時分ニ、各種ノ會社
  ノ拂込金額其他ノ動產方面ノ登錄稅ヲ引上
  ゲマシテ、サウシテ不動產ノ登錄稅ト云フ
  モノヲ各項目ニ亙リマシテ大分引下ゲマシ
  タ、不動產ノ移轉ニ付テモ、相當ニ引下ヲ
  行ッタノデス、引下ヲ行ッタ所ガ登錄稅ガ
  下ッタト云フコトデ、各府縣市町村ハ國デ
  下ゲタカラト云フノデ、不動產取得稅ヲ寧
  ロ國デ下ゲタヨリ以上ニ課稅シテ持ッテ行ツ
  テシマッタ、其結果不動產ノ取得者ハ登錄
  稅、不動產取得稅ト云フモノヲ通ジテ、何等
  ノ恩典モ受ケ得ラレナイヤウナコトニナッ
  テシマッタ、斯ウ云フヤウナ歷史モゴザイ
  マス、デスカラ此不動產ノ登錄稅ヲ下ゲル
  ナラ下ゲルデ宜シウゴザイマスカラ、將來
  ソレデハ其不動產取得稅ヲ取ッテ行カナイ、
  ドウシテソレヲ取ッテ行カナイヤウニスル
  カト云フコトマデ、詳細ニ〓究シテ置カナ
  ケレバナラナイノヂヤナイカト思ッテ居リ
  マス、ソレカラ今ノ相續稅ノ千分ノ五ト云
  フモノニ付テモ今日ノ各市町村ノ關係者、
  府縣ノ關係者ハ此不動產取得稅ヲ、相續ノ
  時分ニモ賦課サセロト云フコトヲ、每年每
  年陳情ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、此間
  モ此處ニ擔稅力ガアルカラ寄越セト、斯ウ
  云フ要求ヲ受ケテ居ルノデゴザイマス、ソ
  レデ相當ナ交付金モ行クコトニナリ、地方
  財政ヲ如何致スカト云フコトト相關聯致シ
  マシテ、ヤハリ不動產ノ登錄稅、取得稅、ソ
  レカラ相續ノ場合ヲドウスルカト云フヤウ
  ナコトヲ總テ相關聯致シマシテ、考ヘル必
  要ガアルト思フノデアリマス、其意味ニ於
  テ此際一應見送ッタ次第デゴザイマシテ、
  此點ニ對シテ決シテ關心ヲ持ッテ居ナイト
  御覽下サルコトハ、私共非常ニ遺憾ニ存ズ
  ルノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=153

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• 154・増田義一

  ○增田委員長　一寸政府委員ニ伺ヒマス
  ガ、只今松田委員ノ御質問ハ登錄稅、不動產
  取得稅、相續稅ノ關係ニ關スル質問デ、其質
  問中ニ不動產ノ相續稅ハ取ルカ、動產卽チ
  株劵等ニ付テハ、疑義ガアルヤウナ御質問
  ニ聞エマシタ、私ノ承知シテ居ル範圍デハ、
  相續稅ノ場合ハ不動產ノ登錄稅モ取得稅モ
  取ラヌシ、有價證劵ノ移轉稅モ取ラヌ、併シ
  其相續財產ヲ嚴重ニ評價シテ、場合ニ依ル
  ト實際以上ニ高ク稅務署デ見積ッテ相續稅
  ヲ取ル、サウシテ其財產ニ應ジテ累進率ニ
  ナッテ居ルノデアリマス、ソレハ現在デア
  ル、今ノ稅制デハサウデアルヤウニ思ヒマ
  スガ、ソレデ間違ナイノデセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=154

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• 155・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今松田サンノ仰シヤッ
  タノハ、私ハ斯ウ解釋致シタノデゴザイマ
  ス、相續ニ依ル移轉ノ場合ニ相續稅ハ賦課
  サレル、是ハ有價證劵デアッテモ不動產デ
  アッテモ賦課サレル、唯其相續ノ場合ニ有
  價證劵ハ移轉稅ヲ課サナイガ、不動產ニハ
  千分ノ五ト云フ課稅ヲスルト、其點ヲ松田
  サンカラ御尋ガアッタカト思ヒマシテ、共
  點ニ付テ御答ヲ致シマシタ次第デゴザイマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=155

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• 156・増田義一

  ○增田委員長　取得稅ハ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=156

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• 157・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　取得稅ハ賦課致シマセ
  ヌ、不動產取得稅ハ相續ノ場合ニ課稅致ス
  コトヲ認メテ居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=157

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• 158・松田喜三郎

  ○松田委員　ソレカラモウ一ツ······サウス
  ルト私ハ非常ニ愉快ニナッテ來タ、ト云フノ
  ハ今迄ハ考慮シテ見ヨウト云フコトデアッ
  タ、ソレガ大イニト云フコトヲ非常ニ心カ
  ラ强ク言フ、ソレ位吾々ハ總テノ點ニ心配
  シテ居ル、今迄ハ考慮シヨウ、ソレガ今ア
  ナタハ非常ナル力ヲ入レテ大イニ考慮シヨ
  ウト云フコトニナッタノハ一進步デアリマ
  ス、所ガモウ一ツ、此不動產取得稅ト云フ
  モノハ極メテ無意味デアル、全部地方稅デ
  國稅デアリマセヌガ、之ヲ止メサスベキデ
  アルト思ヒマスガ、政府ハ此取得稅ニ付テ
  ドウ思ヒマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=158

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• 159・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　不動產取得稅ト申シマス
  ルモノハ、是ハ初メドウシテ起ッタノカ、私
  モ能ク分ラヌノデアリマスガ、不動產ノ登
  錄稅ニハ附加稅ヲ課スルヲ得ズト云フコト
  ニ相成ッテ居ルノデゴザイマス、所ガ其附加
  稅ト同ジ樣ナ取得稅ガ茲ニ何時ノ間ニカ發
  達シテシマヒマシタ、而モ其稅率ガ相當ナ
  稅率迄行キマシテ、今日ニ於キマシテハ全國
  ニ於テ恐ラク其額二千萬圓ニモ達シテ居ル
  ト思ハレマス、是ハ地方ノ大キナ財源ノ一
  ツニ今日ハナッテ居ルヤウナ狀態テゴザイ
  マス、ソレデ將來ハ此稅ヲ止メロト此處デ
  仰シヤラレテモ、私ガ宜シウゴザイマスト
  云ッテ引受ケル程簡單ナ稅目デハゴザイマ
  セヌ、此點ニ付テハ將來稅制整理ノ際ニ十
  分考慮致シタイト思フノデゴザイマスガ、
  之ヲ止メルト云フコトガ可能デアルトハ、
  私ドウモ一寸今日ノ場合斷言出來ナイノデ
  ゴザイマス、十分一ツ〓究ヲ致シマス

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• 160・松田喜三郎

  ○松田委員　是モ大分-十分ニ考慮ニナ
  リマシタカラ、稍〓進步デアリマス、所ガ一
  寸氣ニ食ハヌコトガアル、此登錄稅ト云フ
  モノハ非常ニ高カッタモノヲ政府ガ下ゲタ、
  所ガ地方ニ於テサウ下ゲテ貰フト、附加稅
  ガ徵レヌヤウニナルカラ、サウ下ゲテ貰ッタ
  ラ困ルト云フヤウナ御話ガアッタカラ斯ウ
  ナッタ····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=160

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• 161・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　サウデハゴザイマセヌ、
  登錄稅ヲ國デ低メマシテモ、地方デ不動產
  取得稅デ課率ヲ上ゲテシマフコトガアル、
  斯ウ申上ゲタノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=161

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• 162・松田喜三郎

  ○松田委員　ソコデ一寸皆サンガ誤解ガア
  リマスガ、私ガ今言ヒマシタノハ地租ノ附
  加稅ノコトデ、先刻言ウタノハ取得稅ノコ
  トデアッタカラ、誤解ノナイヤウニ御願致シ
  マン·。ソレデ取得稅ノコトハ十分ナル考慮
  ヲシヨウ、是ハ地方ノ獨立稅デアッテ國稅デ
  ナイノデアリマスカラ、ソレハソレデ宜シ
  ウゴザイマス、ガ私ハ政府トシテハ斯ウ云
  フモノハ負擔ノ均衡等ノ爲メ、ドウシテモ
  止メサスベキモノデアルト云フ所ノ御言明
  ヲ大臣ニ願フダケニ進ンデ見タイト思ッテ
  居リマスガ、能ク此點ヲ御相談ヲ願フテ置キ
  タイト思ヒマス、ソレデ先程言ヒマシタ不
  動產ノ登錄稅ノコトニ付テ下ゲタル地方カ
  ラ云々ト云フコトガアッタト言ヒマスガ、ソ
  レハ其樣ナ時代モアッタノデアリマセウ、其
  時代ハ農村ナラバ農村-先刻カラ農村ト
  言ッタノハ惡カッタカラ地方ト言ヒマスガ、
  地方ニ於キマシテハ土地ヲ持ッテ居ル者ハ
  其時代ハ好イ時代ガアッタ、所ガ土地ニ重稅
  ヲ課ケマシタガ爲ニ、今日地方ノ中堅ノ百
  姓ハ殆ド倒レマシタ、事實倒レタノデアリ
  マス、是ハ能ク御調査ニナッテ見レバ分リマ
  ス、其地方ニ居ッテ、農村ノ一番ヂヤ、二番
  ヂヤ、大庄屋サンヂヤ、其次ノ金持ヂヤト
  云フヤウナ人ハ大〓潰レテ居リマス、是ハ
  事實潰レテ居リマス、ソレハサウ云フ風ニ
  地方ノ土地ハ稅源ガナカッタカラ、土地ヲ
  持ッテ居リ、不動產ヲ持ッテ居ル者ニ稅ヲ課
  ケタカラ遂ニ殆ド潰レテ居ル、三十年程前
  カラ潰レテ居ル、吾々地方ニ居ルモノデス
  カラ其邊能ク調ベテ居リマス、殆ド上ノ方
  カラ資産家ト云フモノハ殆ド倒レマシタ、
  稅金ノ重壓ノ結果デス、ソレヲ御承知願ヒ
  タイ、所ガ登錄稅卽チ不動產ノ登錄稅ハ農
  村ダケヂヤナイ、都會ニモ非常ナ稅ガ課カ
  ルト言ハレル、所ガソコガ又氣ニ喰ハヌ、
  私ハ例ヲ申シマス、土地ノ賃貸價格ト云フ
  モノハ本年ノ十二月三十一日ニ改訂サレ、
  十三年一月一日カラ實施サレマス、所ガ私
  ノ調査ノ表デ見マスト、アナタガ仰シヤッタ
  ヤウニ、都會デハ高クナイ、道府縣ノ平均
  ヲ見マスト、サウデハナイ、一番高イノガ
  香川縣デ、賃貸價格一段當リ三十四圓三十
  二錢六厘、其次ガ兵庫縣デ三十四圓十六錢
  五厘、其次ガ大阪府デ三十三圓三十四錢四
  厘、是ハ參考デス、其次ガ奈良縣、三十三
  圓二十八錢五厘、佐賀縣ガ三十二圓七十四
  錢三厘、愛媛縣ガ三十一圓四十一一錢四厘、
  群馬縣ガ三十一圓四十一一錢四厘、德島縣ガ
  三十圓九十二錢八厘、和歌山縣ガ三十圓七
  十八錢九厘、岡山縣ガ三十圓五十四錢九厘、
  其次ガ東京府デ三十圓十八錢八厘、其次ガ
  神奈川縣デ三十圓六厘、福岡縣ガ二十九
  圓九十四錢九厘、熊本縣ガ二十九圓九十錢
  五厘、大分縣ガ二十九圓八十二錢八厘、山
  梨縣ガ二十九圓七十四錢三厘、其次ガ京都
  府デ二十九圓五十八錢五厘、其次ガ廣島縣
  デ二十九圓三十九錢八厘、滋賀縣ガ二十九
  圓三十五錢五厘、岐阜縣ガ二十八圓七十五
  錢五厘、靜岡縣ガ二十八圓六十錢四厘、長
  クナリマスカラ是デ止メマス、此次ガ鳥取、
  埼玉、高知、長崎、島根、石川、福井、長
  野、山口、三四五、茨城、富山、愛知、千葉、
  栃木、新潟、山形、鹿兒島、宮崎、福島、
  秋田、岩手、靑森、宮城、北海道、其次ガ
  沖繩縣トナッテ居リマス、最高ハ香川縣デ三
  十四圓三十二錢六厘デアッテ、一番下ノ宮城
  縣ガ十九圓九十二錢六厘、北海道ハ流石ニ
  低ク九圓二十二錢五厘、沖繩ハ五圓二十五
  錢一厘トナッテ居リマス、此例ニ依リマシテ
  モアナタノ言フコトハ違フ、必シモ大都市
  ヲ包含シテ居ルヤウナ所ガ安クナッテ居マ
  セヌ、コヽニ私ハ非常ニ矛盾ガアルト思フ
  ノデアリマス、是ハ今調査中デアリマス、
  調査中デアルカラヨク是正スルトアナタハ
  仰シヤイマスケレドモ、非常ニ上ヲタ所ハ或
  程度以上上ルコトニナル、ソレハ分ッテ居リ
  マスガ、今幸ニ調査中デアリマスカラ、此
  調査中ニ斯ウ云フヤウナ吾々ガ一寸達觀シ
  テ公平デナイ所ガアルカラ、今此調査中ニ
  於テ、御拔カリハゴザイマスマイケレド
  モ、全國ノ稅務署ニヨク御話ニナッテ、此不
  公平ガ幾分アル-澤山ナ不公平デアリマ
  セヌ、幾分ノマダ不公平ガ此處ニアルト思
  ヒマスガ故ニ、斯ウ云フ所マデ吾々農村地
  方ノ者ハ非常ニ心配シテ居ル、斯ウ云フコ
  トヲ能ク御調査ヲ願ウテ不公平ノナイヤウ
  ニシテ貰フコトヲ御願シタイ

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• 163・石渡莊太郎

  ○石渡政府委員　只今御讀ミニナッタ數字
  ハ此前ノ調査ノ結果ニ依リマスル田ダケノ
  數字ダト思ヒマス、ソレハ詰リ宅地ハ一切
  含ミマセヌ、隨テ東京市ノ負擔ト云フモノ
  デハナイノデゴザイマシテ、田カラ行キマ
  スレバ今度ハ米價ノ關係デ下ルトハ思ヒマ
  スガ、香川縣、兵庫縣、大阪、奈良邊リガ
  ヤハリ日本ノ中心部デアッテ、最モ有數ナ所
  デゴザイマスルカラ、大體ニ於テハ私ハ只
  今アナタガ御擧ゲニナッタヤウナ順序ニ相
  成ルト思ヒマス、隨テ東京府ノ田-東京
  府ノ田ト申シマスルノハ大シタ田デモゴザ
  イマセズ、米ナドモ餘リ良イ米ノ出來ナイ
  所デゴザイマス、埼玉、東京、神奈川、此
  邊ハ餘リ田ハ良クハゴザイマセヌ、ソレデ
  ゴザイマスカラ平均致シマシテ、田總體ニ
  於テ下ルトハ思フノデゴザイマスルガ、大
  體ノ順序ハ今アナタガ御讀ミニナッタヤウ
  ナ順序ニナルト思フノデス、ソレカラ宅地
  ハ是ハ私今此處デハッキリシタ數字ヲ申上
  ゲル譯ニ行キマセヌガ、東京市ノ賃貸價格
  ガ關東八州ノ田畑皆集メタ賃貸價格ヨリモ
  更ニ高イ位ノ賃貸價格ニナッテ居ルト思ヒ
  マス、是ハ此前ノ調査ノ時分カラ既ニサウ
  云フヤウナ結果ヲ見テ居ルノデゴザイマシ
  テ、今囘モ勿論サウ云フヤウナ結果ヲ見ル
  モノト思ッテ居リマスカラ、其點ハ此前ノ調
  査ニ於キマシテモ、アナタノ御心配ニナッ
  テ居ルヤウナ結果ニハナッテ居ナイモノト
  私ハ信ジテ居ルノデアリマス、唯御注意ノ
  點ハ今囘ノ調査ニ於キマシテ-目下調査
  中デアルノデゴザイマスカラ、一ツ十分愼
  重ニ調査ハ致シタイ、斯ウ存ジテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007013733X00819370306&spkNum=163

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• 164・松田喜三郎

  ○松田委員　能ク分リマシタ、併ナガラア
  ナタガ仰シヤイマスルガ、能クソレヲ各稅
  務署ニサウ言ッテ公平ニシテ貰ヒタイ、東京
  ガ多イト云フコトハ當リ前デアリマス、全
  國ノ人間ノ一割ガ東京ニ居ルノデアリマス
  カラ此處ガ高クナルノガ當然デアリマス、
  私ハソレデモ高イトハ思ッテ居リマセヌ、能
  ク公平ナル御調査アランコトヲ御願致シマ
  ス、私ハモウ是デ明後日ニ讓ラシテ貰ヒマ
  スルガ、明後日ハ總理大臣或ハ內務大臣、
  大藏大臣モ此重大ナル增稅ノ案ノ委員會デ
  アリマスルカラ出席下サッテ、サウシテ國民
  ノ聲ヲ能ク聽イテ、國民ト共ニ政治ヲスル
  ト云フ心ニナッテ貰ヒタイト思ウテ居リマ
  ス、尙ホ政府ニ色々材料ヲ要求シテ居ルモ
  ノデ未提出ノ分ガ澤山アリマスガ、暇ガ要
  リマストツイ濟ンデシマヒマスカラ、何卒
  早ク御提出ヲ願フコトニ致シマス、私ハ是
  デ終リマス

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• 165・内藤正剛

  ○内藤委員　今石渡サンカラ御答辯ガアリ
  マシタガ、何レ明後日ニ重ネテ御答辯ガア
  ルト思ヒマスカラ一言ダケ申述ベサシテ戴
  キマス、昔大阪市デ市稅デ步一稅ト云フモ
  ノヲ取ッテ居ッタ、ソレハ不動產ノ移轉ノ爲
  ニ取ッタノデアリマス、偶〓都市計畫事業ノ
  伴フニ從ッテ府ノ財源ガ涸渴シマシテ-
  當時私ハ府會議員デアッテ、吾々ガ發明シタ
  モノデ不動產取得稅ト云フモノヲ拵エテ、
  サウシテヤッタノデアリマスガ、都市計畫デ
  財源ガナイ爲ニ、大藏省ナリ內務省ナリノ
  方ニ慥カ運動シタト思フノデアリマス、デ
  アリマスカラ能ク基本ハ分ラヌト仰シヤッ
  タガ、其時ノ書面ハ慥カサウナッテ居ル、ソ
  コデドウ云フコトデアッタカト言ヘバ、土地
  ノ增價稅ト云フモノヲ取ルコトヲ許シマセ
  ヌカラ、ソレニ代ルベキ方法トシテ不動產
  取得稅ト云フモノヲ府稅デ取ッテ、今度ハ市
  ノ方ハ步一稅ヲ失ウテ不動產取得稅ノ附加
  稅ヲ取ルヤウニナッタ譯デアリマス、ソレヲ
  日本全國眞似ヲシテ、東京トカ大阪トカ云
  フヤウナ大キイ地方ナラ宜シイガ、田舍ノ
  何處モ彼處ニモ此問題ガ起ッテ來タ、御分リ
  ナラヌナラ私ガ發明シタノダカラハッキリ
  申上ゲル、ソレデアナタガ調ベヨウトスレ
  バソレヨリ外ニハアリハシマセヌ、ソコデ
  今松田君ガ仰シヤッタヤウニ、都會デ土地增
  價稅ヲ取ル代リニヤッタモノヲ郡部マデオ
  シナベテ、財源ガナイカラ何處モ彼處モ眞
  似ヲシテ、昔ノ話ニアッタヤウニオ庄屋サン
  ガ餘所ニ行ッテ惡イ見本ヲ見セタト云フヤ
  ウナコトヲ爲サルカラー-ソレヲ政府ガ御
  許シニナルカラコンナ非難ヲ受ケルノデア
  リマス、將來ソレヲ改良スル、革正スルト
  云フコトデアレバ、一ツ肚ヲ決メテ明後日
  ニ御答辯ヲ願ヒタイ

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• 166・増田義一

  ○增田委員長　本日ハ此程度ニ於テ散會致
  シマス、明後八日午前十時開會致シマス
  午後五時三十六分散會

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