1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和十二年八月六日（金曜日）午後二時二十一分開議
議事日程 第十號
昭和十二年八月六日
午後二時開議
第一 昭和十二年度歳入歳出總豫算追加案（第二號） 會議（委員長報告）
第二 昭和十二年度各特別會計歳入歳出豫算追加案（特第二號） 會議（委員長報告）
第三 昭和十二年度歳入歳出總豫算追加案（第三號） 會議（委員長報告）
第四 昭和十二年度各特別會計歳入歳出豫算追加案（特第三號） 會議（委員長報告）
第五 農村負債整理資金特別融通及損失補償法案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第六 製鐵事業法案（政府委員、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第七 大正十二年法律第五十二號中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會の續（委員長報告）
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=0
-
001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報告ヲ致サセマ
ス
〔石橋書記官朗讀〕
昨五日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出
案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院
ニ通知セリ
人造石油製造事業法案
帝國燃料興業株式會社法案
同日委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ
氏名左ノ如シ
製鐵事業法案特別委員會
委員長伯爵樺山愛輔君
副委員長男爵周布兼道君
紀元二千六百年記念日本萬國博覽會抽籤
劵附囘數入場劵發行ニ關スル法律案特別
委員會
委員長伯爵橋本實斐君
副委員長男爵井田磐楠君
產金法案特別委員會
委員長伯爵兒玉秀雄君
副委員長男爵矢吹省三君
關稅定率法中改正法律案特別委員會
委員長伯爵黑木三次君
副委員長男爵東〓安君
大正十二年法律第五十二號中改正法律案
特別委員會
委員長子爵秋月種英君
副委員長男爵渡邊修二君
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
昭和十二年度歲入歲出總豫算追加案第
二號)、昭和十二年度各特別會計歲入歲出
豫算追加案(特第二號)、昭和十二年度歲
入歲出總豫算追加案(第三號)、昭和十二
年度各特別會計歲入歲出豫算追加案(特
第三號)可決報〓書
農村負債整理資金特別融通及損失補償法
案可決報告書
製鐵事業法案可決報告書
通信事業特別會計ニ於ケル簡易生命保險
及郵便年金ノ事務ノ取扱ニ要スル經費ニ
關スル法律案可決報告書
大正十二年法律第五十二號中改正法律案
可決報告書
請願委員會特別報告第一一號
同日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府
提出案ハ同院ニ於テ之ヲ可決シ奏上セル旨
ノ通牒ヲ受領セリ
酒造組合法中改正法律案
本日委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ
氏名左ノ如シ
昭和十年度第一豫備金支出ノ件(承諾ヲ
求ムル件)特別委員會
委員長子爵白川資長君
副委員長藤沼庄平君
本日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
紀元二千六百年記念日本萬國博覽會抽籤
劵附囘數入場劵發行ニ關スル法律案可決
報告書
產金法案可決報告書
金準備評價法案可決報〓書
金資金特別會計法案可決報告書
日本銀行金買入法廢止ニ關スル法律案可
決報告書
朝鮮銀行法中改正法律案可決報〓書
臺灣銀行法中改正法律案可決報告書
外國爲替管理法中改正法律案可決報〓
書
橫濱正金銀行條例中改正法律案可決報〓
書
關稅定率法中改正法律案可決報告書
昭和七年法律第四號中改正法律案可決報
告書
大正十四年法律第五十一號中改正法律案
可決報告書
鐵ノ輸入稅免除ニ關スル法律案可決報〓
書
大正九年法律第五十三號中改正法律案可
決報告書
昭和十年度第一豫備金支出ノ件、昭和十
年度特別會計第一豫備金支出ノ件、昭和
十年度特別會計豫備費支出ノ件、昭和十
年度滿洲事件第一豫備金支出ノ件、
自昭和十一年一月昭和十年度第二豫備金
至同年三月
支出ノ件、自昭和十一年一月昭和十年度
至同年三月
豫備金外ニ於テ豫算超過及豫算外支出ノ
件、自昭和十一年一月昭和十年度特別會
至同年三月
計第二豫備金支出ノ件、自昭和十年一月
至同年三月
昭和十年度特別會計豫備金外ニ於テ豫算
超過及豫算外支出ノ件、昭和十一年度第
二豫備金支出ノ件、昭和十一年度特別會
計第二豫備金支出ノ件、昭和十一年度特
別會計豫備金外ニ於テ豫算外支出ノ件
(承諾ヲ求ムル件)可決報〓書
昭和十二年勅令第百三十號(承諾ヲ求ム
ル件)可決報告書発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=1
-
002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、日程第一、昭和十二年度歲
入歳出總豫算追加案第二號、日程第二、昭
和十二年度各特別會計歲入歲出豫算追加
案〓、特第二號、日程第三、昭和十二年度歲
入歲出總豫算追加案、第三號、日程第四、
昭和十二年度各特別會計歲入歲出豫算追加
案特第三號、會議、委員長報告、是等ノ
四案ヲ一括シテ議題トナスコトニ御異議ゴ
ザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=2
-
003・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、豫算委員長林伯爵
〔左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サルモ參照
ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ倣フ〕
一昭和十二年度歲入歲出總豫算追加案
(第二號)
一昭和十二年度各特別會計歲入歲出豫算
追加特案(第二號)
一昭和十二年度歲入歲出總豫算追加案
(第三號)
一昭和十二年度各特別會計歲入歳出豫算
追加案(特第三號)
右衆議院ヨリ受領シタル各案ヲ審査シ總
テ衆議院議決案ノ通可決スヘキモノナリ
ト議決セリ依テ及報〓候也
昭和十二年八月五日
委員長伯爵林博太郞
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵林博太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=3
-
004・林博太郎
○伯爵林博太郞君 只今上程サレマシタ昭
和十二年度歲入歳出總豫算追加第二號、同
各特別會計歲入歲出豫算追加特第二號、同
歲入歲出總豫算追加第三號、同各特別會計
歲入歳出豫算追加特第三號ノ豫算委員會ノ
經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、昭和十二
年度歲入歲出總豫算追加第二號ハ、歲入歲
出共ニ各〓千三百三十餘萬圓、歲入ノ內容ヲ
申上ゲマスト、普通歲入、是ハ主トシテ木
材デアリマスルガ、百餘萬圓、前年度剩餘
金繰入千二百三十餘萬圓ニ相成ッテ居リマ
ス、歲出ノ內容ヲ申上ゲマスト、特別議會
經費二十餘萬圓、衆議院議員改選ニ要スル經
費三十餘萬圓、企畫廳設置ノ經費二十餘萬、
圓外國爲替管理法運用ノ經費增加二十餘
萬圓、情報委員會擴充等ノ經費十餘萬圓、
北海道拓殖費森林費ノ增加五十餘萬圓、陸
軍各部隊建造物ノ災害復舊及新營ニ要スル
經費三十萬圓、滿洲事件費ノ增加八十餘萬
圓國庫豫備金ノ增加一千萬圓、此ノ中ノ
一二主ナルモノヲ說明致シテ見マスレバ
滿洲事件費ノ增加ノコトデゴザイマス、前
年度來中支方面へ增派中ノ海軍兵力ヲ引續
キ維持スル等ニ要スルモノデアルト云フコ
トデアリマス、又國庫豫備金ノ增加ハ、昭
和十二年度一般會計第二豫備金ハ此ノ年度
ノ初ニ衆議院議員總選擧等ノ爲、四百七十
餘萬圓ヲ支出致シマシタリ、北支事件經費
ハ千十餘萬圓ヲ支出シテシマヒマシテ、殘
リハ僅カ數萬圓トナッテシマッタノデアリマ
スノデ、今後豫算外ニ生ズル災害費等ガア
ルベキコトノ豫想ノ下ニ、經費ニ充ツル爲
ニ千餘萬圓ヲ追加シタモノデアルトノ說明
デアリマシタ、次ニハ昭和十二年度各特別
會計歲入歲出豫算追加特第二號、是ハ關東
局、通信事業、朝鮮總督府及樺太廳ノ各特
別會計ニ屬スルモノデアリマス、其ノ內譯
ヲ申シマスルト、通信事業特別會計ニ於ケ
ル電信電話營繕費、朝鮮總督府特別會計ノ
對在外鮮人施設費及臨時取締費、樺太廳特
別會計ニ於ケル災害費、鐵道車輛ノ增備費
及第二豫備金增額等デアリマス、次ニハ昭
和十二年度歲入歲出總豫算追加第三號、是
ハ歲入歲出共各七百三十餘萬圓ト相成ッテ
居リマス、歲入ノ內容ヲ申シマスルト、
普通歲入四百三十餘萬圓、是ハ主トシテ
金資金特別會計ヨリノ繰入金デアリマス、
前年度剩餘金ノ繰入ガ二百九十餘萬圓デ
アリマス、之ガ內容ハ歲入ノ方面ニ屬シマ
ス、次ニ歲出ノ內容ヲ簡單ニ申上ゲマス
ト、保健社會省新設ニ八十餘萬圓、是ハ主
トシテ保健社會本省竝ニ保健院廳舍營繕費
等デアリマス、產金奬勵ニ四百二十餘萬圓、
機械工、石炭礦現場係員竝ニ高等海員等ノ
養成ニ百九十餘萬圓、勞務需給調整施設、
其ノ費用竝ニ補助ニ關スルモノガ十餘萬圓
ト相成ッテ居リマス、玆ニ竝ベマシタ中デ、
產金增加ノ爲ニ奬勵金ヲ交付致シマシテ、
資源ノ開發ヲスルト共ニ、選鑛場、精鍊場
ノ新增設ヲ助成スルニ要スルト云フノガ、
產金奬勵四百二十餘萬圓トナッテ居リマス、
昭和十二年度各特別會計歲入歲出豫算追加
特第三號、是ハ造幣局、國債整理基金、
金資金、關東局、學校及圖書館、通信事業、
朝鮮總督府、臺灣總督府、簡易生命保險、
郵便年金ノ各特別會計ニ屬スルモノデアリ
マット、其ノ內金資金特別會計ハ、金準備評
價法ニ依リ日本銀行、朝鮮銀行、臺灣銀行
ガ政府ニ納メル金額竝ニ日本銀行金買入法
ニ依リマシテ、日本銀行ガ政府ニ納メル金
額之ヲ以テ特別資金ヲ造リマシテ、其ノ
歲入歲出ヲ一般會計ト區分シテ經理スル爲
ニ設ケタモノデ、本年度ニ於ケル歲入歲出
ヲ計上シタモノデアルト云フ說明デアリマ
ス、豫算委員會ハ八月四日竝ニ五日午前十
時ヨリ開會致シマシタノデゴザイマシテ、
愼重ニ審議致シマシタ、質問ノ主ナルモノ
ヲ簡單ニ述ベテ見マス、一、內政ニ付テ、
政府ハ此ノ非常ノ時ニ當リマシテ色々ト施
設ヲ爲サレ又革新ヲ爲サレル、是ハ誠ニ結
構デアルガ、政府ノ無駄排除ニ付テハ極力
ヤラレル方針デアルカドウデアルカト云フ
コトデアリマス、政府ハ、無駄ハ此ノ際ニ
於テ何處迄モ排除スルノハ當然ノコトデア
ル、又我慢ノ出來ルダケハ我慢ヲシンナケレ
バナラナイノデアル、增稅ト公債ヲ以テ、
國民ノ負擔ガ頗ル多クナッテ來タ、此ノ時ニ
當リマシテ官吏ノ增員ヲスルガ如キコトモ
出來ルダケ我慢ヲスルト云フ答辯デアリマ
シタ、又企畫廳ニ專任總裁ヲ置クト云フコ
トハ極メテ必要デハナイカ、之ニ對シマシ
テハ、專任ニスルカドウカト云フコトハ考
慮シテ居ルト云フコトデアリマス、〓育問
題ト致シマシテハ、學制改革及義務〓育延
長ノ問題ガ出タノデアリマス、一、〓育制
度ノ改革ハ徐々ニ改正ヲ期スベキモノデア
ルガ、政府モ其ノ意思ヲ以テヤッテ行クノデ
アルカ、第二ハ、前內閣ノ時ニ作ラレク文
〓審議會トノ關係ハドウデアルカ、第三ハ
義務〓育ノ延長ハ必ズシモ全體ノ學制改革
ニ伴ハズシテ、獨自ニヤッテ差支ガナイモノ
デアルト思フガ、政府ハ其ノ考ハドウデア
ルカ、第四ニハ、精神文化〓究所ノ整備ヲ
ドウシテヤッテ行クカ、第五ハ、熟練職工ノ
養成ヲ商工省ニ爲サシメルト云フコトハド
ウ云フ譯デアルカ、寧ロ實業學校、工業專
門學校等ノ、文部省ノ畑ノ中ニ於テサセル
ノガ適當デアルト思フガ、其ノ點ハドウデ
アルカ等ノ質問ガ出タノデアリマス、政府
ハ次ノ如ク答辯ヲシテ居リマス、學制改革
ハ今日ノ急務デハアリマス、併シ〓育ノ本
質カラ見ルナラバ重大ナモノデアルカラ、
愼重ニ考慮シナケレバナラナイ、仍テ有識
者ノ意見ヲ聽キ、當局獨善主義デナク、〓
育審議會ヲ作ッテ之ニ諮リタイト思ッテ居ル、
前ニ出來タ文〓審議會ハ、國體觀念ト國民
精神ノ作興ヲ是ハ目的トシテ作ラレタモノ
デアル、今囘ノ〓育審議會ニ於テハ制度ダ
ケデハナク、〓育ノ內容ヲモ併セテ考ヘル
モノデアルカラ、文〓審議會ノコトハ今度
十分ニ〓育審議會デヤルノデアルカラシテ、
文〓審議會等ハ其ノ中ニ包容セラルベキモ
ノデアルト云フ說明デアリマス、義務〓育
延長ハ全〓育制度ト關聯シテ考ヘルノガ正
當デアルト思フ、又其ノ內容モ併セテ考ヘ
ル必要ガアッテ、切離スト云フコトハ考ヘテ
居ラナイ、斯ウ云フ答辯デアリマス、精神
文化〓究所ノ整備ハ、未ダ具體的ニ言フ所マ
デハ進ンデ居ラナイ、又工務局長カラ、熟
練職工ノ養成ハ目下ノ急務デアル、見習工
ノ養成、特ニ指導者ノ養成ハ今日頗ル不足
シテ居ル、生產力ヲ大イニ增サムトス
ル今日ニ於テ急ニ間ニ合ハナイ、此ノ故ニ
公共團體、組合等ノ養成ヲ助成スルト共ニ、
政府モ實際上ノ設備及訓練ヲシテ、指導シ
得ル者ヲ養成シタイト思フ、是ニハ相當ノ
機械ノ設備モ必要デアリマス、學校ノ實驗
所ヲ利用スルコトモ考へテ居ルケレドモ、
實際上ニハモット大キナ目的ニ副フヤウニ
シナケレバナラナイ、故ニ新シキ養成機關
ヲ作ルコトニシタト云フ答辯デアリマス、
保健社會省ト生命保險ニ付キマシテノ質問
ガ出マシタ、今日國民ノ體位向上、庶民ノ
福社增進ト云フコトハ頗ル結構ナコトデア
ル、大隈內閣ノ時ニ、簡易保險ト云フモノ
ガ出來上ッタノデアル、簡易保險ノ趣旨ハ民
間ノ保險デ出來ヌコトヲヤル所ニ長所ガ
アル、薄資ノ者ニ生活ノ安定ヲ與ヘルト云
フコトモ之ニ依ッテ出來ル、其ノ意味デ以テ
當時可決シタノデアル、之ヲ社會局ニ入レ
テモ萬更ラ緣ノナイコトデハナイ、併シ之ヲ
遞信省ニ入レタノハ、郵便局ヲ利用スルト
云フ目的ガアッタカラデアリマス、郵便局ノ
利用ノ爲ニ頗ル簡易保險ト云フモノガ發達
ヲシタト云フコトハ明カナ事實デアル、而
モ短時日ノ間ニ大ナル發展ヲナシ得タノデ
アリマス、將ニ今日以後ニ於テ益〓發展セム
トスル今日ニ當リマシテ、急ニ之ヲ保健社
會省ニ入レルト云フコトハ、暖地ニ於ケル
柑橘類ヲ俄ニ東北地方ニ移植スルノト同ジ
コトデアル、簡易保險ト郵便局トハ誠ニ水
魚ノ關係ニアルモノデアル、政府ハ此ノ點
ニ於テ困ッテ、運用ダケハ郵便局デヤルト云
フヤウナコトニシタノデアル、是デハドウ
モ發達スル氣遣ヒハナイ、保健社會省ハ生
命保險ト簡易保險ト、又兩者ヲ併セテ管轄
スルコトニナッタノデアル以上、兩者間ニ摩
擦ヲ來スト云フコトハ當四然ノコトデアルガ、
其ノ點ハ如何スルノデアルカ、生命保險ノ
資金ノ運用ニ付キマシテハ、是ハ莫大ナル
金高ニナルノデアルガ、大藏省、保健社會
省商工省ノ共管トスルト云フコトニナル
ト、頗ル事ガ煩瑣ニナルガ、ドウシテ斯ウ
云フ風ナ三省ノ管轄ニスルコトニシタノデ
アラウカ、サウカト思フト一方カラ見レバ
損害保險ダケハ商工省ノ下ニ置クコトニナッ
テ居ル、此ノ兩者ノ監督ヲ別ニシタ理由ハ
又如何ナル所ニ存スルノデアルカト云フヤ
ウナ點ニ付キマシテ精細ナル質問ガアリマ
シタ、政府ハ次ノ如ク答ヘマシタ、生命保
險ハ一定ノ死亡率ニ依リマシテ料金ヲ計上
シテ居ルモノデアル、併シ今度保健社會省
ニ移シタト云フコトニナレバ、死亡シタ時
ニ保險金ヲ支拂フト云フ役目ダケデナク、
衞生ノコトヲ十分ニ考ヘテ、國民ノ體位ヲ
向上サセルモノデアリマスカラ、死亡ノ率
ヲ少クスルト云フコトモ考ヘルコトガ出來
ルノデアル、是ガ又大キナ使命デアル、デ
移管シタ爲ニ產業資金ノ方ニ惡イ影響ヲ受
ケヤシナイカト云フ御心配ガアッタ、之ニ三
省ガ關與スル資金ノ運用ト云フヤウナコト
ニ付テノ御話ガアッタケレドモ、是等ハ商工
省大藏省ニ於キマシテ保險率等ノ〓究ヲ
スルト云フコトガ、是ハモウ專門ノ上カラ
良イ知識ガ出ルノデアル、サウ云フ譯デ保
健社會省ガ主體トナッテ之ニ商工省、大藏省
ガ與ッテ萬全ヲ期スルト云フ意味デヤルノ
デアル、政治ハ將來ニ於テ益〓複雜化スル
ノデアル、甲乙丙丁ノ各省ガ、三省四省五
省互ニ相連絡ヲシテ互ニ無駄ノナイヤウニ、
且頗ル其ノ間ノ摩擦ノナイヤウニ御互ニ相
談ヲシテ行クナラバ、一省デヤルヨリハ遙
カニ良イコトガ出來ルト思フノデアル、船
山ニ登ルト云フコトガアルケレドモ、是ハ
段々慣レテ來レバ、省ガ殖エタトコロデ少
シモ差支ナク、船ハ舵ノ通リニ動クモノデ
アルト云フヤウナ答辯デアリマシタ、又簡
易保險、生命保險ヲ一省ニ纏メルト云フコト
ハ却テ此ノ意味ニ於テ摩擦相剋ヲ防グコト
ニナル、ソレカラ治水、治山ニ付テノ質問
ガ出マシタ、是ハ此ノ前ノ議會ノ時ニ於テ
ノ豫算委員會ノ經過ノ時ニ詳シク述ベマシ
タカラ大體省略ヲ致シマスガ、砂防ト云フ
コトガ水害ノ一番大キナ原因デアル、今日ノ
非常時ニ於テモ之ヲ疎カニシテハ相成ラヌ
ノデアル、今日國防ニ非常ニ金ハ掛カルケ
レドモ、國防ニ掛ルカラト云ッテ、此ノ方面
ヲ疎カニスルナラバ是ハ丁度喩ヘテ見レバ
一圓ヲ惜ンデ百圓ヲ損スルト云フノト同ジ
コトデアルカラ、此ノ際ニ於テモ益〓此ノ
點ハ氣ヲ附ケナケレバナラヌノデアルガド
ウデアルカト云フ質問デアリマス、之ニ對
シテハ政府ハ、是ハ頗ル必要ナコトデア
ル治山治水ト云フコトハ一日モ疎カニス
ルコトハ出來ナイ、故ニ個人トシテハ實ニ
何處迄モ同情ヲシテ、ヤラウト思ッテ居ル
ガ、併シナガラ國防其ノ他差措キ難キ費用
ガ頗ル輻湊シテ居ッテ、此ノ赤字時代トモ言
フベキ今日ニ於テ、是ハナカ〓〓困難ナコ
トデアル、內務省モ、大藏省モ是ニハ共鳴
ヲシテ居ルコトデアリマシテ、出來得ルダ
ケハ割イテ居ルノデアルシ、又此ノ點ニ於
テ大イニ努メルト云フコトデアリマス、第
二ニハ國防ノ問題ニ入リマス、自動車工業
ノ一大〓究機關ノ必要ヲ今日ハ認メテ居ル
ガ、政府ハ此ノ點ニ付テ如何ニ考ヘテ居ル
カ、速カニ之ヲ實行スルヤ否ヤ、政府ハ十
分ニ、此ノ點ハ必要デアルカラ目下協議中
デアルト云フコトデアリマス、航空事業ノ
發達、操縱士ノ積極的養成、今日ハ陸海軍
ニ委囑シテ僅カニ養成シテ居ルガ、之ヲ積
極的ニ養成スル考ハナイカ、航空路ノ開發
ハドウデアルカ、防空ト云フコトハドウ云
フ風ニ今後ヤッテ行クノデアルカト云フコ
トニ付テノ質問ガアリマシタガ、是等ハ何
レモ緊急國策トシテ十分ニ是ハヤラナケレ
バナラナイモノト認メルト云フ答辯ガアリ
マシタ、第三、財政稅制改革ノコトニ付テ
ノ質問モ出タノデアリマス、政府ハ稅制ニ
付キマシテハ、餘リ急激ナ變化ヲ與ヘタク
ナイ、稅制ノ調査會ト云フモノデ十分ニ
色々ノ意見ヲ徵シテ、サウシテヤル積リデ
アル、趣旨トシテハ國稅、地方稅ト、交付
金トヲ併セテ考ヘテ、增減ガナイト云フ所
ヲ標準トシテヤリタイ、尤モ或地方、又個
人ニ依リマシテ、多少ノ差異ハ是ハ已ムヲ
得マセヌガ、大體ニ於テ其ノ方針デ增減ナ
ク行クト云フコトヲ標準ニスル、北支事變
ニ付キマシテノ四億ノ豫算ト云フモノハ、
是ハ一體何時迄ノ見込デアルカ、是ハ陸海
軍ノ關係ガアルコトデアルカラ大藏省カラ
ハ言ヘナイ、稅ヲ一億圓增徵シタヤウデア
ルガ、其ノ根據理由ハドウデアルカ、是 2
付キマシテハ必ズシモ一部增稅ニ依ラナケ
レバナラヌトハ決マッテ居ラナイ、併シナガ
ラ筋合ハサウ思フ、金融政策、通貨政策等
ノコトモ全部公債ニ依リマスヨリハ、相當
度合ニ於テ其ノ一部分ヲ稅ニ依ルト云フコ
トガ按排上適當デアルト自分ハ考ヘルシ、
又其ノ方ガ宜イト、斯ウ云フ大藏大臣ノ答
辯デアリマシタ、北支事變ノ今後ノ經過ニ
依ッテ一億圓以內デ濟ムヤウナコトガ起レ
バ其ノ餘ッタ金ハ減稅ニ持ッテ行クカト云
フ質問ガアリマシタ、政府ハ、其ノ時ハ御
意思ノ所ヲ十分含ンデ考慮スル、斯ウ云フ
譯デアリマス、正貨準備ハ八億ヲ維持スル
コトガ出來ルト云フガ、長ク續クト思フ
カ、政府ハ之ニ對シテ、國際收支ハ自力デ
維持シナケレバナラナイ、自ラ爲替トハ別
デアル、爲替ト同時ニ考フベキモノデナイ、
爲替ノ上下ト云フコトハ別デアル、嘗テ金
ノ輸出禁止ヲ行ッテ爲替ヲ下ゲテ調節ヲシ
タコトモアッタ、又其ノ時ハ下ゲルコトガ
必要デアッタ、今度ハ爲替ヲ下ゲテハイケナ
イト云フコトガ必要デアル、爲替ノ率ヲ是
レ以上ニ下ゲナイデ、國際收支ヲ調節シナ
ケレバナラナイ、生產力ノ擴充、生活ノ安
定物價ノ騰貴ヲ避ケルト云フヤウナコト
ノ上ニ、是ハ必要デアル、此ノ問題ハ北支
事變ガアラウト無カラウトヤラナケレバナ
ラナイ、生產力モ增サナケレバナラナイ、
國防モ充實セザルヲ得ナイ、故ニ積極的ニ
國際收支ヲ破ラナイデ之ヲ改善シテ、例へ
バ輸出デアルトカ、產金デアルトカ、受取
勘定ノ增加トカ、或ハ愈〓行詰マレバ消費
ノ制限デアルトカ云フヤウナコト迄行ッテ
モ、日本帝國ハ自力デ行ッテ、何ガ何デモ
之ヲ維持シナケレバナラナイノデアルト、
斯ウ云フ確乎タル意見ノ答辯ガアリマシタ、
生產力ノ擴充ノ重點ハ何處ニ置クカ、政府
ハ、ソレハ國防ニ置カナケレバナラナイ、又
之ニ關シテ品目モ決スルノデアル、人造
石油、天然石油、鐵成ルベク國產ニ依
ルト云フ意味ニ於テモ、原料ノ無イモノ
ハ成ルベク國產ノ代用品ヲ考ヘテ行カナ
ケレバナラナイ、企畫廳ヲ中心トシテ資
源ノ綜合的計畫ヲ樹テヨウト思フ、又戰
時ノ需要ニ止マラズ、平時ニ於テモ之ヲ
調達シ得ルヤウニシナケレバナラナイ、卽
チ戰時ノ平時化ト云フコトガ必要デアルト
云フコト等ノ應答ガゴザイマシタノデアリ
マス、尙外交ニ付キマシテモ、特ニ北支ノ
コトガ色々質問應答ガアリマシタガ、是ハ
特ニ省イテ置キマス、斯ク致シマシテ八月
五日午後質問ヲ終リマシテ、討論ニ入リマ
シタ、玆ニ贊成意見ノ發表ガアリマシタ、
ソレカラ採決ニ入リマシタル處、此ノ豫算
案全部政府原案ノ通リ全會一致ヲ以テ可決
ニ相成リマシタ次第デゴザイマス、此ノ段
御報告ヲ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=4
-
005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モゴ
ザイマセヌケレバ採決ヲ致シマス、四案全
部ヲ問題ニ供シマス、四案全部、原案ニ贊
成ノ諸君ノ御起立ヲ願ヒマス
〔總員起立〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=5
-
006・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 全會一致ト認メ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=6
-
007・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第五、農村
負債整理資金特別融通及損失補償法案、政
府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員
長報告、委員長久我侯爵
農村負債整理資金特別融通及損失補償
法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十二年八月五日
委員長侯爵久我通顯
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔侯爵久我通顯君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=7
-
008・久我通顯
○侯爵久我通顯君 只今上程サレマシタ農
村負債整理資金特別融通及損失補償法案ノ
委員會ニ於ケル經過竝ニ結果ヲ御報告申上
ゲマス、委員會ハ四日委員長及副委員長ノ
選擧ヲ致シ、引續キ議案ノ審査ニ入リ、先
ヅ農林大臣ヨリ提案ノ理由ノ御說明ガアリ
マシテ質疑ニ入ッタノデアリマス、本案ハ
御承知ノ通リ前議會ニ提案サレマシタ政府
案ト全ク同一デアリマシテ、既ニ其ノ際質
疑モ十分行ハレタノデアリマスガ、各委員
ヨリハ二日間ニ亙リ御熱心ナル御質疑ガア
リ、之ニ對シ農林大臣初メ政府委員ヨリ懇
切ナル御答辯ガアリマシタ、質疑應答ノ詳
細ハ速記錄ニ付テ御承知ヲ願ヒ之ヲ省略致
シマスガ、其ノ主ナル點ヲ御紹介申上ゲマ
スト、從來ノ負債整理事業ノ實績ニ鑑ミマ
シテ、諸般ノ手續ノ簡易化ヲ圖リ、又關係
各官廳ノ連絡協調ヲ保ッテ、本事業ノ普及
徹底ヲ圖ル要アリト認メラレルガ、之ニ對
スル政府ノ所見如何、又本事業ノ發達ヲ圖
ル爲ニハ單ニ法規ノ改廢ノミニ止ラズ、之
ヲ精神的方面ヨリ見テ、農村ノ〓育ニ付尙
努力ヲ要スルノ點多々アリト認メラレルガ、
之ニ對スル政府ノ所見如何トノ問ニ對シテ、
文部當局ヨリモ至極同感ナルヲ以テ努力ス
ル旨御答辯ガアリマシテ、次イデ討論ニ入
リ採決ノ結果、全員一致ヲ以テ原案ヲ可決
致シタノデアリマス、右御報〓致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=8
-
009・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ二讀
會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=9
-
010・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=10
-
011・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=11
-
012・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=12
-
013・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=13
-
014・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=14
-
015・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報告通リ
デ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=15
-
016・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 異議ナイト認メ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=16
-
017・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=17
-
018・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=18
-
019・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=19
-
020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=20
-
021・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、二讀會ノ決議通リ
デ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=21
-
022・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=22
-
023・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第六、製鐵
事業法案、政府提出、衆議院送付、第一讀
會ノ續、委員長報〓、委員長樺山伯爵
製鐵事業法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月五日
委員長伯爵樺山愛輔
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵樺山愛輔君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=23
-
024・樺山愛輔
○伯爵樺山愛輔君 御報告申上ゲマス、此
ノ本法案ノ提出ノ理由ハ、製鋼國策ノ見地
ヨリ立案シ、產業ノ發達國防ノ整備ヲ期
シ、又製鐵事業ヲ政府ノ許可ヲ得ベキ事業
トシテ、適當ナル監督ヲ行フコト等デアリ
やく、本法案ノ骨子トスル所ハ四ツアリマ
ス、第一ハ鐵鋼ノ事業ハ許可ヲ要スル事業
トシテ、製鐵事業ヲ合理的形體ニ導イテ、
健全ナル發達ヲ期スト云フノガ第一デアリ
マス、第二ハ銑鋼一貫作業設備ヲ有スル能
力ハ、現在ノ年三萬五千「トン」以上ノ規定
ヲ十萬「トン」以上ニ改メ、又新ニ砂鐵、貧
鑛ノ製鍊事業ニ對シテハ、所得稅、收益稅ヲ
免除シテ、原料資源ノ利用發達促進ニ資セ
シメ、土地收用法ノ適用、機械輸入等ノ免
稅ヲ圖ルコトデアリマス、第三ハ製鐵事業
者ニ對シテ國防上適當ナル監督ヲ行フコ
ト、又販賣及原料ノ獲得ニ付テ統制協定等
ヲ行フコト、第四ハ製鐵事業法運用ニ付、
官吏及學識經驗アル者ヨリ成ル製鐵事業委
員會ヲ組織スルト云フコトノ四箇條ガ骨子
トナッテ居リマス、質疑事項ニ付テノ四五ノ
點ヲ申上ゲマス、製鐵擴充計畫ニ伴フ鐵鑛
石、石炭ノ供給及是等原料ノ運送能力ニ關
スル見透シハドウデアルカ、之ニ對シテ鐵
鑛石、石炭ニ付テハ可及的ニ內地、朝鮮、
滿洲ノ製鐵資源開發ヲ圖リ、鐵鑛石ハ平時
ニ於テ一部ヲ輸入ニ仰グモ、大部分自給シ得
ル方針ヲ立テムトシツヽアリ、石炭モ亦日
滿ヲ通ジテ大體自給シ得ル見込ナリ、是等
原料運送ニ要スル船舶ノ手當ニ付テモ、目
下遞信省ニ打合中ニシテ、之ニ對シテモ適
當ナル措置ヲ講ジテ居ル、次ニ砂鐵、貧鑛
等ノ助成ノ具體的計畫ハドウデアルカ、製鐵
事業法ニ於テ砂鐵、貧鑛ノ使用ニ對シ免稅ス
ルノ外、本年度豫算ニ補助金ヲ計上シテ、海
綿鐵製造ノ半工業化試驗ノ〓究費補助ヲ爲シ
ツヽアルガ、尙砂鐵ノ採取設備ト砂鐵等ノ
燒結設備ニ對スル補助金ニ付テモ目下〓究
中ナリ、次ニ茂山ノ開發ノ情況ハドウデア
ルカ、差當リ精鑛三百萬「トン」ヲ豫定シ、港
灣等ノ運搬施設ニ付テモ具體化シツヽア
リ、尙〓津ニ日本製鐵ノ工場ヲ設置スルコ
トニ付テモ、大體關係廳ノ意嚮纏リタル現
狀ニシテ、可及的速カニ之ガ開發ヲ爲スヤ
ウ努メツヽアリ、次ニ製鐵ニ關スル根本的
計畫ノ樹立ト共ニ、本法案ヲ通常議會ニ提
出スルヲ適當トセザルヤ、鐵鋼ノ自給計畫
及ビ之ニ伴フ原料資源ノ開發、其ノ他諸般
ノ問題ニ付目下〓究シツヽアルモ、本法案
ハ製鐵事業ノ合理的發展ヲ期セムトスルモ
ノニシテ、製鐵事業ヲ現狀ノ儘ニ放置スル
時ハ、不合理ナル設備ガ濫設セラルルノ虞
アルヲ以テ、本法ニ依リ適當ナル統制ヲ加
ヘムトスルモノデアル、次ニ日本製鐵株式
會社ハ本事業法施行後ニ於テモ斯業ノ中心
トナルベキモノト思料セラルルガドウデア
ルカ、所謂「アウトサイダー」ニ對シテモ合
理的發展ヲ遂グルヤウ致ス所存デアルガ、
日本製鐵株式會社ガ國策會社トシテ斯業ノ
指導的地位ニ立ツハ勿論ナリ、次ニ許可制
度ニ伴フ弊害、例ヘバ許可手續ノ遲延等ニ
付テハ如何ナル措置ヲ講ズルカ、本法ハ許
可制ヲ採ルト雖モ、積極的增產ヲ目標トス
ルモノナルヲ以テ、本法ニ基ク手續ハ可及
的迅速ニ取扱フコトト致シタシ、其ノ他ノ
質問事項ハ、前議會提出法案ニ對スル本法
案ノ修正點及ビ修正ノ理由如何、次ハ日本
製鐵株式會社ニ對シテハ政府ハ單ニ監督ヲ
爲スニ止マラズ、政府ガ同社株式ノ過半數
ヲ必ズ保有スベキ旨ノ法律ノ主旨ニ鑑ミ、
事業經營ノ內部ニ付テモ積極的ニ指導ヲ行
フノ要アリト認メラルヽガドウデアルカ、
次ニ砂鐵〓究ノ成績如何、次ニ本法案施行
ノ結果、小規模株式會社ガ不當ノ壓迫ヲ被
ル虞ハナイカ、是等ノ點ニ付テ色々質問應
答ガゴザイマシタガ、是ハ速記錄ニ依ッテ御
覽ヲ願フコトニ致シタイト存ジマス、討論
ニ移リマシテ、滿場一致ヲ以テ本案ヲ可決
致シマシタ、右御報〓申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=24
-
025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ二讀
會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=25
-
026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=26
-
027・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=27
-
028・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=28
-
029・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=29
-
030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=30
-
031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報告通リ
デ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=31
-
032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=32
-
033・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=33
-
034・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=34
-
035・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=35
-
036・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=36
-
037・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通リ
デ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=37
-
038・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=38
-
039・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本日委員長ヨリ
報告書ノ提出ガアリマシタ關稅定率法中
改正法律案、昭和七年法律第四號中改正法
律案、大正十四年法律第五十一號中改正法
律案、鐵ノ輸入稅免除ニ關スル法律案、大
正九年法律第五十三號中改正法律案及昭和
十二年勅令第百三十號、承諾ヲ求ムル件、是
等ノ六案ヲ此ノ際議事日程ニ追加シテ、
括シテ議題トシ、委員長ノ報告ヲ煩シタイ
ト存ジマス、御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=39
-
040・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長黑木伯爵
關稅定率法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵黑木三次
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和七年法律第四號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵黑木三次
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
大正十四年法律第五十一號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵黑木三次
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
鐵ノ輸入稅免除ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵黑木三次
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
大正九年法律第五十三號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵黑木三次
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十二年勅令第百三十號
右承諾スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵黑木次三
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵黑木三次君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=40
-
041・黒木三次
○伯爵黑木三次君 只今上程ニ相成リマシ
タル關稅定率法中改正法律案外五件ノ委員
會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス
〔副議長侯爵佐佐木行忠君議長席ニ著
乞
昨日午後ヨリ委員會ヲ開キマシテ、又本日
午前十時ヨリ委員會ヲ再開致シ、質疑應答ヲ
行ヒマシテ、十一時頃ヨリ燃料問題ニ關シ
マシテハ祕密會ヲ開催致シタ次第デゴザイ
やく、正午近ク質問モ盡キマシタルヲ以テ
直チニ採決ニ入リ、先ヅ昭和十二年勅令第
百三十號ニ對シ承諾ヲ與フベキカ否カヲ諮
ヒマシタル處、全員異議ナク、次イデ殘ル
關稅定率法中改正法律案外四件ヲ一括採決
シ、是レ亦全員異議ナク可決サレマシタ、
今其ノ委員會ノ模樣ヲ少シク申上ゲタイト
存ジマス、全般ニ亙リマス質問ハ現在ニ於
テ我ガ國關稅制度ハ確立セズト言フコトハ
出來ナイガ、整頓セリトハ言ヒ難イ、時々
無方針ニ移動スル弊ガアリト思フ、勿論內
外ノ情況ニ依ルモノナリト思フガ、一定ノ
主義方針アル筈デアル、第七十議會ニ提出
ノ目的ト今囘ノ提出ノ目的ノ間ニ多少ノ距
離ガアリト思フ、前內閣ノ提出シタル關稅
改正ハ增收ヲ一ノ目的トシタノデアッテ、例
ヘバ輸出統制稅法案ニ力ヲ用ヒラレテ居ル
ニ關セズ、現內閣ニ於テハ之ヲ顧ミラレナ
イト云フノデ、何處ニ方針ガアルノデアル
カ、斯樣ナ全體的ノ御質疑ガゴザイマシタ、
之ニ對シテ政府當局ノ御答辯ハ、御質問ノ
通リ今囘ノ提案ニ於テハ關稅制度ニ一定ノ
主義ハ現レテ居リマセス、併シ當局モ相當
一貫シタモノヲ作リタク考ヘテ居ルノデア
ル、併シ之ニ對シテハ相當各種ノ問題ガアッ
六、例ヘバ國內產業ノ保護トカ、生產力ノ
擴充トカ、殊ニ日滿鮮ヲ一體トシテノ計畫
ガゴザイマスルノデ、問題ガ多岐ニ亙ルガ
故ニ、他日此ノ計畫ヲ立テテ諸君ノ前ニ之
ヲ提出シタイト云フ御答辯デゴザイマシタ
又此ノ改正ニ依ッテ關稅收入ニドレダケノ增
減ガアルノカ、斯樣ナ御質問ニ對シマシテ
ハ、改正サレタ結果增收高ハ本年度ハ六百
四十萬圓デ、平年度ハ一千八百五十萬圓ノ
增收ノ豫想デアル、斯樣ナ御答辯デゴザイ
マシタ、又一委員ハ、日滿關稅問題ニ對ス
ル政府ノ所見ハ如何ナモノデアルカト云フ
御質問ニ對シマシテ、政府當局ハ、此ノ問
題ハ頗ル重大ナル問題デアッテ、第三國ニ關
係ヲ及ス所謂最惠國約款ノ問題ガアルカラ、
目下考慮中デアル、併シ第三國ガ介入シ
テモ構ハナイモノニ付テハ旣ニ決メテアッ
テ、第三國ノ介入ノ問題ダケガ未決ノ儘デ
アルノダ、斯ウ云フ御答辯デゴザイマシ
タ、又一委員ヨリ此ノ度ノ關稅定率法中改正
法律案ト、昭和七年法律第四號中改正法律
案其ノ他ニ對シマシテ、施行期日ガ同一デ
ナイ、卽時ノモアレバ、又十月一日ヨリ施
行ノモノモアル、其ノ理由ハドウデアルカ、
斯樣ナ御質問ガゴザイマシタノデ、之ニ對
シテ政府ハ是ハ種々ノ經濟上ノ影響ヲ考慮
シタ結果デアル、例ヘバ砂糖ノヤウナモノ
ハ三割五分ノ附加稅ヲ免ズルノガ卽時ニヤ
レバ消費者ニハ有利デアルケレドモ、生產
者側ヨリ見タ時ニハ幾多考慮スル點ガアル
ノデアル、ソレデアルガ故ニ斯樣ニ十月一
日ト云フヤウナ日ヲ選ッタノデ、何ガ故ニ然
ラバ十月一日ト云フモノヲ選ッタ根據ハ何
處ダト言ヒマスト、ソレハ普通ノ議會ノ時
ニハ三月ノ末日迄ニ議了サレマシテ、四月
ノ一日ニ施行サルヽソレニ約一月ニ提出
サレマスルカラ二箇月アル、今度モ八月ノ
議會デアルカラ、十月ノ一日位ガ宜クハナ
イカ、斯ウ云フ肚デアル、斯樣ナコトデゴ
ザイマシタ、又此ノ關稅定率改正ニ依ッテ
物價ニ對シテ如何ナル影響ヲ與ヘルノデア
ルカ、卽チ砂糖ハ免稅ノ爲ニ輸入量ガドノ
位ニナルカ、紙ニ關シテモ紙ノ値ガ下ルノ
デアルカ、又輸入ガ增加スルカ、鐵.
輸入稅ノ有無ニ依ラズ必要ナモノデアルガ
故ニ原價ノ騰貴ヲ見ハシナイカ、而シテ
市價ノ安クナル見込ガアルノデアラウカ、
斯樣ナ御質問ガゴザイマシタ、之ニ對シマ
シテ政府ハ、砂糖ニ關シテハ關稅ダケハ下
駄ヲ穿イタヤウナ現象デアルカラ、是ダケ
市價ニ影響スルデアラウ、而シテ紙ニ關シ
テハ是ハ供給ガ不足デアルカラ、市價ニハ餘
リ······只今ノ市價ニ對シテハ餘リ影響ハナ
イコトト思フ、併シナガラ紙ハ是ヨリ上ラ
ナイト云フ消極材料トナルト思フト云フ話
デゴザイマシタ、鐵ニ對シテモ同ジヤウナコ
トガ言ハレルト、斯樣ナ御答辯デゴザイマ
シタ、又一委員カラ、此ノ關稅定率法中改正
法律案ニアリマスル酒精ノ製造ニ供スル原
料ニハ、政府ノ輸入ニ係ルモノヲ免除スル
コトト斯樣ナ件ガアルガ、是ハ農村ニ於テ
產出スル多量ノ原料ニ對シテ輸入ヲ許スト
云フヤウナコトガアレバ、農村ヲ壓迫シヤ
シナイカト斯樣ナ御質疑ガゴザイマシタ、
然ル處、是ハ凶作ノ時ノ用意デアッテ、常ニ
斯樣ナモノヲ政府ガ輸入ヲ許スト云フヤウ
ナコトハナイノデアル、斯樣ニ言明サレタ
次第デゴザイマス、又木材ノ輸入稅免除ニ
關シマシテ一般木材ノ輸入稅ヲ引下ゲルト
云フコトヲ希望スル人モアリマスルガ、滿
洲木材ノ輸入ハ日滿產業ノ統一ト云フ點カ
ラモソレヲ爲スベキデアルト信ズルガ、政
府ノ方針ハドウデアルカ、斯樣ナ御質問ニ
對シテ、是ハ種々ナ問題ガ是亦複雜シテ居
ルノデアルカラ、此ノ次ノ議會迄ニハ何ト
カ致シテ此ノ點ヲ解決シタイト思フト、斯
樣ナ御答辯デゴザイマシタ、又自動車ニ關
シテ色々ト御質問ガゴザイマシテ、是モ部
分品ガ日本ノ製品ハ外國製品ニ劣リハシナ
イカ、斯ウ云フヤウナ御質疑ガゴザイマシ
タノデゴザイマスガ、政府當局ハ、或ハ多
少ノ劣リハアルカモ知レナイケレドモ、暫
ク國產ヲ守リ立ツル意味デ御互ニ辛抱シタ
イモノダト斯樣ナ御答辯デアリマシタ、又
砂糖ノ附加稅撤廢ニ關シマシテ、沖繩ノ黑
糖ニ影響ハシナイカト云フ御質疑ガゴザイ
マシタガ、政府ハ是ハ黑糖ハ含マナイノデ
アッテ、且大ナル影響モナイデアラウト云フ
コトハ內務當局トモ話△ロッテアルト云フヤ
ウナ御話デゴザイマシタ、又鐵ノ輸入稅免
除ニ關シマシテハ鐵ノ輸入稅ヲ免除サレテ
モ、爲替管理ガアッテ、輸入ハ依然困難デア
ル、何等カ之ガ緩和ノ方法ハナイカ、斯樣
ナ御質問ニ對シマシテ政府當局ハ、只今ハ國
際收支ガ我ガ財政ノ重要問題トナッテ居ルガ
故ニ、今ノ所消極的許可ノ方法ヲ採用スル
ノ已ムナキニ立至ッテ居ル、此ノ消極的ト申
シマスルト、或種類ノ證明ガアルモノニ限ッ
テ之ヲ許スト斯樣ナコトデアルト云フ御話
デゴザイマシタ、又輸入免除ニ付テ二年ト
云フ年限ヲ切ッテ居ルノデゴザイマス、其ノ
二年ト云フモノハ何カ目安ヲ付ケテ附ケタ
モノデアルカ、又鐵ノ自給ノ見込ハドウ云フ
風ナモノデアルカ、斯樣ナ御質疑ニ對シマ
シテ、商工省ニ······是ハ私案デアルガ、自
分達ハ考ヘルノニ、大體五年後ニハ自給ヲ
可能トスル目的デ進ンデ居ルノデアル、平
時ハ鑛石ハ三分ノ一ヲ支那南洋ニ仰イデ居ッ
テ、又有事滿洲以外ヨリ仰グコトガ出來ナイ
トナレバ、其ノ鑛石ハ何トカ砂鐵及硫化鐵
ノ採掘ニ依ッテ之ヲ充タスコトガ出來ル、但
シ此ノ二三年ハナカ〓〓困難ナコトデアラ
ウ、斯樣ナ御話デゴザイマシタ、又五年後
ノ數量ハ然ラバドノ位ニナルカト申シマス
ルト日滿合セマシテ約一千萬「トン」ノ豫定
デアル、斯樣ナコトデゴザイマシテ、委員
會ニ於キマシテハ以上ノ政府ノ答辯ヲ諒ト
致シマシテ諸案ヲ可決致シタ次第デゴザイ
マス、右御報〓申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=41
-
042・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 只今議題ト
ナリマシタ六案中最後ノ承諾案ヲ除キ、先
ヅ關稅定率法中改正法律案外四件ノ法律案
ヲ議題ト致シマス、別ニ御發言モナケレバ
五案ノ採決ヲ致シマス、五案ノ第二讀會ヲ
開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=42
-
043・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=43
-
044・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=44
-
045・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=45
-
046・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=46
-
047・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=47
-
048・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 五案ノ第二
讀會ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問
題ニ供シマス、五案全部委員長ノ報〓通リ
デ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=48
-
049・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=49
-
050・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=50
-
051・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=51
-
052・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=52
-
053・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=53
-
054・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 五案ノ第三
讀會ヲ開キマス、五案全部第二讀會ノ決議
通リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=54
-
055・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=55
-
056・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 昭和十二年
度勅令第百三十二號、承諾ヲ求ムル件ニ付
テ採決ヲ致シマス、本件ニ對シ委員長報告
通リ承諾ヲ與フルコトニ御異議ハゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=56
-
057・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=57
-
058・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 本日委員長
ヨリ報〓書ノ提出セラレマシタ產金法案、
金準備評價法案、金資金特別會計法案、日
本銀行金買入法廢止ニ關スル法律案、朝鮮
銀行法中改正法律案、臺灣銀行法中改正法
律案、外國爲替管理法中改正法律案、橫濱
正金銀行條例中改正法律案、以上八案ヲ此
ノ際議事日程ニ追加シ、一括議題トナシ、委
員長ノ報〓ヲ煩シタイト存ジマス、御異議
ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=58
-
059・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス、委員長兒玉伯爵
產金法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵兒玉秀雄
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
金準備評價法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵兒玉秀雄
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
金資金特別會計法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵兒玉秀雄
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
日本銀行金買入法廢止ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵兒玉秀雄
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮銀行法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵兒玉秀雄
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臺灣銀行法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵兒玉秀雄
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
外國爲替管理法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵兒玉秀雄
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
橫濱正金銀行條例中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵兒玉秀雄
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵兒玉秀雄君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=59
-
060・兒玉秀雄
○伯爵兒王秀雄君 只今上程セラレマシタ
產金法案外七件ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ
御報告致シマス、產金法案ハ現下ノ情勢ニ
鑑ミマシテ、國際收支ヲ改善スルニハ產金
ノ增加ヲ圖リマシテ、之ヲ政府ニ集中シ、
以テ對外決濟力ヲ豐富ナラシムルト共ニ、
正貨準備ヲ不變ノ地位ニ安定セシムルノ必
要ヲ認メマシテ、新產金ハ其ノ製成ニ至ル
迄一切ノ過程ニ於キマシテ政府ノ監督ノ下
ニ置キ、政府ニ集中セムトスルノ法案デア
リマス、金準備評價法案ハ、現在兌換準備
ト致シマシテ保有スル金ノ評價ヲ、國際的
時價ニ近キ程度ニ換算セムトスルモノデア
リマス、金資金特別會計法案ハ、日本銀
行、朝鮮銀行、臺灣銀行ノ各銀行ガ政府ニ
納付致シマス金額ハ之ヲ特別會計ト致シマ
シテ、主トシテ爲替資金ノ調整、金ノ運
營ニ當ラシメ、兼テ國債ニモ運用セシメム
トスル趣意デアリマス、要スルニ以上ノ三
法案ガ相俟ッテ、其ノ運營宜シキヲ得テ、初
メテ金ノ集中機能ヲ完ウセムトスルノ計畫
デアリマス、以上ノ如ク政府ガ自ラ金ヲ買
入レマシテ、其ノ結果ト致シマシテ、現行
ノ日本銀行ノ金買入法ハ之ヲ存置スルノ必
要ナキガ故ニ之ヲ廢止セムトスルノデアリ
やく、又朝鮮及臺灣兩銀行法ノ改正ハ、現
時ノ經濟狀態ニ照シマシテ、其ノ保證發行
限度ヲ擴張セムトスルノデアリマス、外國
爲替管理法ノ改正ハ、無爲替輸入中外國送
金ノ伴ハザル分ヲモ追加致シマシテ管理法
ヲ强化セムトスル趣旨デアリマス、右諸案
ニ關シマシテ質疑ノ主ナルモノハ、本法施
行ノ結果、日本銀行ノ準備金ハ評價金額八
億圓ヲ嚴守スル政府ノ方針デアルガ、果シ
テ能ク其ノ目的ヲ達成シ得ルノ見込ガアル
カ、此ノ質問ニ對シマシテ、從來ハ金現送
ノ場合ニ於キマシテハ、日本銀行保有ノ金
ヲ以テ之ニ充當シマシタル結果、日本銀行
ノ準備金ハ常ニ變動ヲ免レナカッタノデア
リマスガ、今囘ハ金ノ運用ヲ擧ゲテ特別會
計ニ於テ之ヲ掌ルコトニ相成リマシタガ故
ニ、之ガ變動ヲ防ギ得ルノミナラズ、現時
ノ經濟情勢ヨリ推斷致シマシテ、之ヲ維持
スルコトハ困難ニ非ズトノ政府ノ言明デア
リマス、次ニ日本銀行ノ準備金評價換ノ結
果ハ國際信用ニ惡影響ヲ及ス虞ハナイノデ
アルカ、旣ニ一定ノ價格ヲ以テ金ノ買上ヲ
續行シテ參リマシタル同一ノ趣旨ニ依リマ
シテ、今囘國際的時價ニ換算スルノニ外ナ
ラナイノデアルガ故ニ、別ニ日本銀行ノ信
用ニ對シテ國際的ニ惡影響ヲ及ス虞ハナイ
ト信ズル旨ノ答辯デアリマス、又本法案ノ
如キ金融ノ中樞機關ニ關スル重要法案ヲ、
特別議會ニ提出スルノ理由ハ、何處ニアル
ノデアルカ、之ニ對シマシテ、政府ハ現時
ノ經濟情勢、政治情勢ニ鑑ミマシテ、此ノ
法案ヲ卽行スルコトガ、緊急已ムヲ得ザル
モノデアルト云フ答辯デアリマス、尙新產
金ノ增加ノ大要ニ關シマシテ、政府ノ說明
ニ依リマスト、五年後ニ於キマシテ、金ノ
年產額ハ約百三十一萬「トン」ニ達シ、時價
五億圓ニ上ルノ見込デアルト說明シテ居リ
やく、此ノ外幾多ノ質疑ガアリマスガ、是
ハ速記錄ニ讓ルコトニ致シマシテ、次イデ
討論ニ入ッタノデアリマス、此ノ場合ニ於キ
マシテ、一委員ヨリ一國ノ金融中樞機關ニ
手ヲ觸レムトスル場合ニ於キマシテハ、最
モ塡重ナル考慮ヲ要スルコトハ勿論デアル
ガ、而シテ本法案ノ取扱運用ニ付テモ、財政
經濟ノ根本ニ鑑ミテ十分ナル注意ヲ加ヘラ
レムコトヲ希望セラレ、更ニ又本法案ノ趣
旨ハ一般國民ニ徹底セシメルノ最モ必要ナ
ル旨ヲ述ベラレテ、尺貫法ノ適用ニ論及セ
ラレマシタ、斯クノ如ク致シマシテ、討論
ヲ終結シ、採決ニ入リ、全員一致產金法外
七件共可決セラレタノデアリマス、右御報
告申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=60
-
061・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 別ニ御發言
モナケレバ、八案ノ採決ヲ致シマス、八案
ノ第二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマ
セヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=61
-
062・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=62
-
063・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=63
-
064・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=64
-
065・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=65
-
066・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=66
-
067・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 八案ノ第二
讀會ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部ヲ
問題ニ供シマス、八案全部委員長ノ報告通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=67
-
068・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=68
-
069・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=69
-
070・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=70
-
071・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=71
-
072・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=72
-
073・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 八案ノ第三
讀會ヲ開キマス、八案全部第二讀會ノ決議
通リデ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=73
-
074・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=74
-
075・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 本日委員長
ヨリ報〓書ノ提出アリマシタ紀元二千六百年
記念日本萬國博覽會抽籤劵附囘數入場劵發
行ニ關スル法律案ヲ此ノ際議事日程ニ追加シテ
議題トナスコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=75
-
076・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス、委員長橋本伯爵
紀元二千六百年記念日本萬國博覽會抽
籤劵附囘數入場劵發行ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十二年八月六日
委員長伯爵橋本實斐
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵橋本實斐君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=76
-
077・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 只今上程セラレマシタ、
紀元二千六百年記念日本萬國博覽會抽籤劵
附囘數入場劵發行ニ關スル法律案ノ特別委
員會ニ於ケル經過竝ニ結果ヲ御報告致シマ
ス、本案ノ內容ニ付キマシテハ、過日商工
大臣ヨリ詳細ナル御說明ガゴザイマシタカ
ラ之ヲ省略致シマス、特別委員會ハ昨日及
ビ今日ノ二囘ニ互リマシテ之ヲ開キマシテ、
先ヅ委員長及ビ副委員長ノ互選ヲ行ヒマシ
テ、次イデ直チニ會議ヲ開キマシテ、政府
當局ヨリ本案提出ノ理由ヲ聽取致シマシタ、
質疑ニ入ルニ先ダチマシテ、一委員ヨリ政
府ニ對シ參考資料ノ請求方ノ通知ガゴザイ
マシタ、各委員ト政府當局トノ間ニハ最モ
熱烈ナル質疑應答ガ重ネラレマシテ、其ノ
間屢〓速速ノ中止ヲ致シマシテ懇談ヲ行ヒ、
又或場合ニハ委員外ノ一議員ヨリ、本件ガ
上程ニナリマス迄······今日ニ至リマス迄ノ
經過ヲ詳細ニ御說明ニナッタコトモゴザイ
マシタ、是ヨリ質疑應答ノ主ナルモノヲ御
紹介致シマス、先ヅ一委員ヨリ國體ノ尊嚴
ノ宣揚顯示トハ如何ナル意味カ、且之ヲ博
覽會開催ニ大キナ名目トシテ揭ゲタコトハ
適當ヂヤナイト思フガ、之ニ對シテハドウ
デアラウカ、斯ウ云フ趣旨ノ御質問ガゴザ
リマシタニ對シマシテ、政府當局ヨリ神武
天皇ノ御聖跡ノ保存、顯彰等ヲ行フコトヲ
意味シ、之ヲ博覽會開催ノ趣旨ニ謳フコト
ハ、外國人等ニ對シマシテ日本ノ現在ニ於
ケル文化產業ノ進步ヲ認識セシメ、我ガ萬
邦無比ノ立派ナ國體ヲ認識セシメルニアル
ノデアル、斯ウ云フ御答辯デゴザイマシタ、
又國體尊嚴ノ宣揚顯示ヲ目標トシナガラ、
其ノ博覽會ノ開催ヲ國民ノ射倖心ニ賴ラシ
ムルコトハ不都合デハナイカ、之ニ對シマ
シテ政府當局ヨリハ、國家ノ文化產業ノ進
運ヲ廣ク顯示スル爲ノ博覽會ヲ開キ、財源
ヲ抽籤劵附入場劵ノ發行ニ求ムルコトハ
一ツニハ成ルベク多數國民ヲシテ之ニ參與
セシメ、他ニ於キマシテハ目下國家財政ノ
現狀ニ鑑ミ國庫ニ巨額ノ負擔ヲ望ムコトガ
出來ナイ、依ッテ已ムヲ得ズ他ニ財源ヲ求
ムルコトトナッタノデアル、仰セノ通リ抽
籤劵附入場劵ヲ發行致シマスコトハ、幾分
射倖ノ嫌ヒニハ亙リマスルガ、由テ以テ
國民ノ良俗ヲ紊ルノ弊迄ニハ至ッテ居ナイ
ト思フノデ、此ノ方法ニ依ッタノデア
ル、而シテ之ヲ實行致シマスルニ付キマ
シテハ、其ノ弊害ノ生ゼザルヤウニ相當ノ
取締ヲ行ヒ、又努メテ其ノ目的通リニ致シ
タイノデアル、斯ウ云フ御答辯デゴザイマ
シタ、又一委員ヨリ致シマシテ、射倖ノ可
否如何、且博覽會ガ射倖心ニ依ッテ出來タト
思フ時ニハ、國民ハ果シテ如何ナル感想ヲ
懷クデアラウカ、斯カル問ニ對シマシテハ、
射倖ノ倫理道德上ノ意義ハ別ト致シマシ
テ、行政上ニ於テハ、格別ノ弊害ヲ釀サナ
ケレバ一應差支ナイト見ルノデアルカラシ
テ、此ノ方法ヲ採用致シタ、斯ウ云フ御答
辯デゴザイマシタ、又二千六百年記念博覽
會ノ開催ニ付キマシテ抽籤劵附ノ入場劵ニ
依ルノハ、最モ博覽會關係者ノ勞ヲ少クシ
テ其ノ目的ヲ達成スル方法ヲ選ンダト言ハ
レテモ仕方ガナイデハナイカ、是ハ寧ロ官
民ノ熱誠ヲ傾倒シテ行フ方法ニ依ッタ方ガ
宜イト思フガ、政府ガ其ノ態度ニ出ナカッタ
コトハ誠ニ遺憾デアル、政府ノ所見如何、
此ノ御質問ニ對シマシテハ、博覽會、殊ニ
萬國博覽會ト致シマシテハ、巨額ノ經費ヲ
要シ、且計畫ヲ確實ニ執行スル爲ニハ、豫
メ相當ノ資金ヲ手取リ出來ル方法ニ依ラ
ナケレバナラヌ、國庫現狀ニ鑑ミマシテ、
且又サシタル弊害ヲ伴ハナイト考ヘラレル
ノデ、前賣ノ抽籤劵附ノ入場劵ノ發行ヲ採
用セザルヲ得ナカッタ、斯樣ナ御答辯ガゴザ
イマシタ、又或委員ヨリ致シマシテ、萬國
博覽會ノ計畫趣意書ニ國體宣揚等ノ文字ヲ
用ヒラルヽモ、寧ロ二千六百年記念事業ト
致シテ、博覽會開催ニ依リ、我ガ國ノ文化
產業上ヨリ見タル國ノ進展ヲ廣ク外國ニ認
識セシムルコトガ、博覽會ノ主ナル目的ト考
フルコトガ適當デアル、博覽會ノ開設ガ必要
ナラバ、國家財政上政府ノ執ラレタ方法ニ依
ラザルヲ得ナイノデハナイカト解スルコト
ガ寧ロ至當ナノデハナイカ、斯ウ云フ意味
ノ御質疑ニ對シマシテハ、商工大臣ヨリ、私
共ノ考モ誠ニ仰セノ通リデアル、次ニ或議
員ヨリ、特別議會ニ提出スベキ法案ノ性質ハ
自ラ定ッテ居ル、三年後ノ萬國博覽會ノ法律
案ヲ今此ノ忙シイ特別議會ニ提出致シタ理
由ハ何デアルカ
〔議長伯爵松平賴壽君議長席ニ復ス〕
之ニ對シマシテ、從來ノ諸外國ノ例ニ徵シ
マスルモ、萬國博覽會ノ準備ハ凡ソ十年前
位カラ取掛ラナケレバナカ〓〓準備ガ滿足
ニ參ラヌ、今般ノ如キハ旣ニ餘日少クナッテ
居リマシテ、準備ヲ致スモ既ニ立遲レノヤ
ウナ感モアル、仍テ非常ニ取急ギ特別議會
ニモ拘ラズ緊急上程ヲ致シタ次第デアル、
ソレカラ又他ノ委員ハ、國家ガ富籤其ノ他
射倖的ノ施設ヲ許ス場合ナラバ兔モ角、國民
ガ爲セバ罰セラレ、公益法人ガ之ヲ行フ場
合ニハ罰セラレナイト云フガ如キ法制ヲ執
ルコトハ、何トシテモ公平デハナイ、此ノ點
政府ト考ヲ根本的ニ異ニシテ居ル、政府ノ
所見ハ伺ハナクテモ既ニ分ッテ居ルカラト、
斯ウ云フヤウナ御發言ガゴザリマシタ、又
或議員ハ、博覽會ヲ擧行スルコトトナレル
今日之ニ反對スルモノデハナイ、紀元二千
六百年ノ記念ノ祝典ノ一事業トシテ行ハレ
ル以上ハ、寧ロオ祭リ騷ギデナク堅實ニ執
リ行ハレナケレバナラヌ、而シテ昭和十五
年ニ博覽會開設ノ曉、凡ソ四千萬人カラノ
入場者ヲ見込マルヽ以上ハ、其ノ主要ノ入
場者ハ地方ノ農民デナケレバナラヌ、之二
十圓劵ノ前買ヲ爲サシムル外、上京滯在等
ニ尠ナカラザル費用ヲ負擔サセナケレバナ
ラヌ、果シテ農民ハ此ノ負擔ニ能ク堪ヘル
デアラウカ、政府ハ宜シク此ノ場合ヲ豫想
シテ、鐵道其ノ他運輸ノ關係、乃至ハ東京
ニ宿泊等ノ便宜ヲ、今カラ十分考慮セラル
ル必要ガアルト思フガ、御所見ハ如何カ、
斯ウ云フヤウナ御質問ガゴザリマシタ、其
ノ點ニ對シマシテ、政府ハ十分考慮ヲ廻ラ
ス積リデアル、尙一般ノ博覽會ト異ナリ特
ニ二千六百年ノ記念ノ祝典ノ一ツノ事業ト
シテ執リ行ハルヽ博覽會デアルカラ、當局
ト致シマシテモ質實ニ之ヲ執リ行ヒタイモ
ノデアルト、精々今カラ努メテ居ル次第デ
アル、又他ノ委員ヨリハ、東京府ノ車稅ノ
額及ビ之ヲ道路修理費ニ東京市ニ移管シテ
ハドウカト云フヤウナ御質疑ニ對シマシテ
ハ、政府當局ノ御答辯ト致シマシテ、東京
府ニハ雜種稅トシテ車稅ガ三百二十三萬圓
アル、尙其ノ附加稅ガ二百九十萬圓アル、
併シナガラ是ハ一般ノ收入トナッテ居リマシ
テ、特ニ從來道路ノ修理等特定ノ費目ニ使用
セラレテ居ルノデナイコトハ御承知ノ通
リデアル、仍テ法制ノ建前上、仰セノヤウナ便
宜ヲ圖ルコトハ今ノ制度トシテハ困難デアル
ト云フヤウナ意味ノ御答辯ガゴザイマシタ、
尙或ハ國際博覽會條約ト今囘ノ博覽會ノ開
設トノ關係等ニ付キマシテモ御質疑ガゴザ
リマシタガ、是等ハ速記錄ニ讓ッテ御覽ヲ願
ヒタウゴザイマズ、斯クテ質疑ガ盡キマシテ
討論ニ入リマシク、一委員ヨリハ本案ニ對シ
テ、凡ソ二千六百年ノ記念ノ祝典タル博覽
會ト、ソレカラ射倖的行爲トヲゴッチヤニシ
タ案デアルカラ、斯クノ如キモノニハ到底
贊成ハ出來ナイト、强キ反對ノ意向ヲ表明
セラレ、又他ノ二名ノ委員ヨリハ本案贊成
ノ意見ノ開陳ガゴザリマシタ、而シテ其ノ
中一名ヨリ特ニ政府ニ對シ、將來他ノ事業
ニ今囘ノ如キ抽籤劵附ノ射倖的ナル方法ヲ
採用セザルヤウ希望ヲ述ベラレタノデアリ
やっ、採決ニ當リマシテ、反對ヲ表明セラ
レタル者ハ二名、贊成ヲ表示セラレタル者
多數デアリマシテ、本案ハ玆ニ確定致シタ
次第デアリマス、特別委員會ノ經過竝ニ結
果ヲ御報告申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=77
-
078・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ討論ニ移
リマス、通〓者ガゴザイマシタカラ之ヲ御
許シ致シマス、土方寧君
〔土方寧君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=78
-
079・土方寧
○土方寧君 此場合私ハ長イコトハ申シ
マセヌ、ケレドモ本案ノ如キモノヲ無言
ニシテ默過スルト云フコトハ、一議席ヲ與
ヘラレテ居ル本員ニ取リマシテハ良心ガ許
シマセヌカラ、簡單ニ反對ノ意見ヲ述ベテ
置キタイト存ジマスル、賭博及類似ノ行爲ハ
我ガ國ニ古來法禁デアリマスニ拘ラズ、現
在デハ刑罰ガ輕イカラ世人ガ注目シマセヌ
ケレドモ、數デ言ヒマスト確カ統計上第一
位デアリマス、賭博及類似ノ行爲ノ犯罪者ハ
確カサウ記憶シテ居リマス、維新後ハ、從
來ト違ヒマシテ賭ケ事ノ方法モ色々新シク
入ッテ來タモノガアリマス、昔カラノ花札ト
カ賽コロダトカ云フヤウナモノノ外ニ「トラ
ンプ」、先年大審院判事ノ弄花事件モアリマシ
ク、ソレカラ近頃ハ賭ケ事ノ好キナ支那カ
ラ麻雀ト云フヤウナモノガ入ッテ來タ、是等
ハ兔角賭博ニ惡用セラルヽコトガ多イヤウ
デアリマス、畢竟同性質ノコトデ、色々ナ
理由デ誤解シテ居リマスカラ、國民全體ガ、
昔ノヤウニ賭ケ事類似ノコトガ左程惡イモ
ノデナイト云フヤウニ考ヘルヤウニナッテ、
西洋人ノ思想ニ感染シテ居ルノヂヤナイカ
ト思ヒマス、古イコトデアリマスガ、勸
業銀行ガ出來テ間モナク割增附社債劵發行
ヲ許サレマシタ、當時私ハトンデモナイ惡
例ヲ開イタモノダト考ヘマシタ、併シ是ハ
社債卷募集ハ應ズル者ガサウ數アリマセヌ
カラ左程害ハナイカ分カラヌ、今度ノ如キ
ハ隨分多數ノ人カラ此ノ抽籤附ノ入場劵ヲ
買ッテ貰フ積リデアリマシテ、ソレダケ害ガ
多イ譯デゴザイマス、モットヒドイノハ、今
日ハ詳シク論ジマセヌガ、牽聯シテ居ルコ
トデアリマスカラチヨット簡單ニ御話シマス
ガ、馬劵附競馬ナドト云フモノハ怪シカラ
ヌモノデアリマス、第一馬匹改良ノ必要カ
知レマセヌガ、之ガ爲ニ何程人心ガ惡化シ
テ居ルカ知レマセヌ、馬ト人トハ比較ニナ
リマセヌ、日露戰役後、實業界ガ繁昌シタ
時ニ盛ニ行ハレタ、人心ガ輕佻浮薄ニ流レ
ル、當時明治天皇ガ御軫念遊サレ、戊申詔
書ヲ拜スルニ至リマシタ、其ノ時ノ政府ハ、
此ノ詔書ニ依ッテデアリマセウ、馬劵附競馬
ハ禁止シマシタ、處ガ約十年經ッテ後明治天
皇ガ御崩御ニナッテ、十年經ツト云フトモウ
其ノ詔書ハ無效ニナッタト考ヘテ居ル、或ハ
腦中ニナカッタカモ分カラナイ、大正十年ニ
至リ又馬券附競馬ヲ許サナケレバ馬匹ノ
改良ガ出來ナイト云フノデ復活ヲシヨウト
シタ、私當時反對シタガ無效ニ終ッタ、徒
勞ニ屬シテ、又發行シテソレガ今ダニ行ハ
レテ居ル、是ガ何程堅實ナルベキ農民ニ惡
影響ヲ及シ、家庭的ニ幾多ノ悲劇ヲ演ジテ
居ルカト云フコトハ、其ノ例乏シクナイノ
デアリマス、斯樣ナ工合ニ、人心ヲ惡化ス
ルヤウナコトガアル事柄ニ付テ許サレテ居
リマシテ、賭ケ事ヲスルコトハサウ惡イコ
トデナイト云フヤウニ考ヘルヤウニナッタ
ヤウデアリマス、殘念ナコトデアリマス、
先日松村君ノ質問ニ對シテ、司法大臣ノ如
キハ射倖的行爲ハ法律上惡デハナイト言ッ
テ居ラレル、全ク西洋人ニナッテシマハレ
タト私ハ思ヒマス、日本人ノ國民性カラハ
ソンナコトハ考ヘラレナイト思ヒマス、射
倖的ナノハ惡ヂヤナイ······明治十五年デア
リマシタカ軍人ニ賜ッタ勅諭、二十三年ノ十
月三十日ニ公布ニナッタ〓育勅語、國民〓育
ノ基礎ニナッテ居ル是ハ諸君御忘レニナッ
タカ知レマセヌガ、欽定憲法ヨリ後デアリ
マスガ、其ノ實施前ニ公布ニナッテ居リマ
ス、其ノ終ヒノ方ニハ勅語ノ中ニモ「皇祖皇宗ノ
遺訓ニシテ」「朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺シ」トア
リマス、私ノ考デハ、此ノ〓育勅語ノ趣旨ヲ服
膺シテ居ナケレバ欽定憲法ノ立憲政治ニ參
與スルダケノ資格ハ、國民トシテ無イト考
ヘマス、此ノ〓育勅語ニモ「恭儉已レヲ持シ」
ト云フコトガアリマスガ、射倖的ト云フノ
ハ、決シテ恭儉ト云フコトハ言ヘマセヌ、
先刻申シタ通リ大正十二年ニ震火災ガ關東
地方ニアッテ、一時民心ガ混亂狀態ニ陷ッタ
ノヲ大正天皇ガ深憂アラセラレ、精神作興
ノ詔書ヲ拜シタコトガアリマス、此ノ趣旨
カラ見マシテモ斯樣ナコトハ決シテ是認ス
ベキモノデハナイ、斯樣ナコトヲ許スコト
ニシマスト云フト、前內閣カラモ同ジヤウ
ナコトヲ言ッテ居リマスガ、〓學刷新ダト
カ、國民精神作興ダトカ申シタ所デ何ニモ
ナリマセヌ、反對ノ結果ノヤウナコトヲ政
府ガヤルノデアリマス、實ニ情ナイコトト
思ヒマス、此ノ二千六百年ノ記念スベキ博
覽會、其ノ時ニハ色々ナ學會等ノ會合モア
リマセウカラ、此ノ博覽會ニ於キマシテハ、
無論我ガ國現在ノ發展躍進シタ產業ノ精華
ヲ、有形ノ物ヲ各種陳列シテ列國人ニ見セ
ルノガ博覽會其ノモノデアリマスガ、私ハ
ソレダケヂヤナイト思フ、維新後僅カ七十
年ノ中ニ、何百年モカカッタ西洋ノ物質文
明ト云フモノヲ受入レテ、今日ノ產業ノ發
展ヲ得タト云フノハ、精神的文化ノ基礎ガ
アッタカラ出來タノデアリマス、其ノ根本ノ
精神ニ於テ我ガ國ノ文化ノ精華タル質實剛
健ナル國民性ト云フモノヲ、此ノ二千六百
年ノ博覽會其ノ他色々ノ會合ノ折ニ、直接
間接ニ列國民ヲシテ認識セシムルト云フコ
トガ、今後通商貿易上、外交上我ガ國ノ實
情ヲ彼等ニ會得セシムル爲ニ最モ絕好ノ機
會ト思フノデアリマス、我ガ國獨得ノ長所
デアル精神文化ト云フモノヲ此ノ機會ニ發
揚シテ、彼等ニ認識セシムルト云フコト、
是ハ有形ヲ見セルダケヂヤナイ、モット大キ
ナコトデアリマスガ、此ノ絕好ノ機會デア
ル、サウ思フ時ニ、趣旨ニ反スルヤウナ事
ヲショウト云フノデアリマスカラ、實ニ情
ナイ、斯樣ナコトヲ仰シヤルナラバ〓學刷
新ダトカハ御止メナサイ、汚ナイコトヲ言
フヤウデアリマスガ、アンナ大キナコトヲ
仰シヤッテモ百日ノ說法屁一ツト云フコト
ニナッテ何ニモナリマセヌ、色々西洋ノ文化
ト日本ノ文化ヲ比較シテ、立憲政治ノ基礎
ニナル國民生活ニ付テモ論及シタイト思ヒ
マスガ、場合ガ場合デアリマスカラ、此ノ案
ニ極力反對スルト云フコトヲ斷言シテ終リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=79
-
080・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 松村義一君
〔松村義一君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=80
-
081・松村義一
○松村義一君 私モ土方先生ト同様ニ本案
ニ反對ヲ致スモノデゴザイマス、政府ハ熱
心ニ本案ニ協贊ヲ求メラレマシタ、尙私共
ノ平素尊敬ヲ致シテ居リマスル阪谷男爵ハ、
紀元二千六百年記念事業ノ準備委員長ト云
フ御立場カラ、是等ノ問題ニ熱心ニ關係ヲセ
ラレマシタ爲ニ、委員會ニモ態々御出席下
サイマシテ其ノ經過等モ述ベラレテ、皆贊
成シテ吳レトハ仰シヤイマセヌガ、サウ云
フヤウナ意味合ヲ以テ御話ニナリマシタ、
サウ云フ際ニ、私之ニ反對ヲ致シマスト云
フコトハ誠ニ遺憾ニ存ジマス、併シナガラ
已ムヲ得ヌコトデゴザイマス、私モ委員ノ
一人デゴザイマスルノデ、先ヅ政府ニ對シ
マシテ、本案ニ示スガヤウナ射倖行爲ハ風
〓上許スベカラザルモノデアル、從ッテ一般
ニハ禁止サレテ居ルノデアリマスガ、特ニ
此博覽會ヲ開催致シマスル爲ニ特ニ之ヲ認
メルト云フ事情ハアルデアラウ、必ズヤ相
當ナル已ムヲ得ザル理由ガアルデアラウ、
其ノ理由ヲ我々ガ諒解ガ出來ルヤウニ能ク
申述ベテ貰ヒタイト云フコトヲ質問致シマ
シタ、政府ノ御答ハ、何等ソレニ觸レタヤ
ウナ御答ハゴザイマセヌ、從ッテ再三、再四
其ノ問題ニ付キマシテ追及シテ尋ネマシタ
ケレドモ、結局何ニモ御答辯ガゴザイマセ
ヌデシタ、只今委員長ノ御報〓ニ依リマス
ト云フト、其ノ點ニ付キマシテノコトハ餘
リ詳シク御報告ナカッタヤウデゴザイマス
ルガ、要スルニ政府ハ何等特別ニ此ノ博覽
會ノ爲ニ斯樣ナ宜シクナイ射倖行爲ヲ許ス
ト云フコトニ付テノ御說明ガナカッタノデ
アリマス、阪谷男爵及ビ其ノ他ノ委員
ノ御方カラノ御話ニ依リマスルト、要
スルニ斯ウ云フ射倖行爲ヲ此ノ博覽
會ニ認メナケレバナラナカッタ理由ト致シ
マシテハ、此ノ豫算額ガ約三千五百萬圓、
三千四百五十萬圓デゴザイマスルガ、其ノ
金ヲ得ルガ爲ニハ斯ウ云フ事ヲスルシカナ
イ、斯ウ云フコトヲスルニ非ザレバ此ノ博
覽會ハ出來ナクナルノデアル、此ノ規模ノ
計畫ハ出來ナクナル、從ッテ此ノ射倖行爲ヲ
認メルカ、然ラザレバ此ノ博覽會ヲ止メル
シカナイノデアル、サウ云フ譯デ之ヲヤル
ヤウニナッタノデアル、斯ウ云フ御話デゴザ
イマシタ、併シ此ノ點ニ付キマシテハ私共
ハ非常ナル疑惑ヲ有ッテ居ルガ、斯クノ如キ
コトヲ致サナクトモ、紀元二千六百年ヲ奉
視スル紀念事業タル此ノ博覽會ハ立派ニ遂
行出來ルモノデアルト、私共ハ斯樣ニ確信
ヲ致スノデゴザイマス、第一此ノ經費ノ豫
算ヲ見マスルト、只今申上ゲマシタヤウニ豫
算ノ總額ガ三千四百五十萬圓デゴザイマス
ルガ、其ノ收入ノ大部分三千五十萬圓ハ入
場劵ノ收入ニナッテ居ルノデアリマス、ソレ
カラ使用料ハ二百萬圓ト云フヤウナ譯デゴ
ザイマスカラ、入場劵ト使用料ニ依ッテ此ノ
經費ヲ賄ッテ行キタイ、斯ウ云フノガ此ノ豫
算デアリマス、併シナガラ私共ハ之ニ對シ
テ非常ナ疑惑ヲ持ツノデゴザイマス、博覧
會ガ東京横濱ニ開カレマスナラバ、外國人
モ澤山來ルデゴザイマセウ、日本人モ全國
カラ集ッテ澤山參ルデゴザイマセウ、ソレガ
爲ニ東京橫濱ニ落チル金ノ額ハ頗ル大キナ
モノガアルト思フノデアリマス、然ルニ東
京府モ、東京市モ、東京ノ商工會議所モ、
橫濱市モ、神奈川縣モ亦此ノ商工會議所
モ、直接博覧會ニ金ヲ出シテ居リマセヌ、
一文モ出シテ居リマセヌ、御承知ノヤウニ
是等ノ團體卽チ東京府、市、商工會議所、
神奈川縣、橫濱市商工會議所其ノ他ノ實業
團體、十團體ガ集ッテ協會ヲ作ッテ、此ノ博
覧會ヲ主催サレルノデゴザイマスガ、其ノ
協會カラノ繰入金ト云フモノガ僅カニ五十
一萬六千圓シカナイノデゴザイマス、主催
者ハ殆ド金ヲ使ハヌ、サウシテ其ノ博覧會
ニ依ッテハ東京橫濱ハ非常ナ金ガ入ッテ來ル
ト云フ譯デゴザイマスルノデ、私ハ其ノ邊
ガ頗ル理解ガ出來ナイモノガアルノデアリ
マス、相當ニ金ガ入ルノデゴザイマスカラ、
東京市或ハ橫濱市或ハ商工會議所其ノ他ノ
實業團體等ニ於テ、十分ニ金ヲ補助スルノ
ガ然ルベキデアル、サウシテ此ノ博覧會ヲ
大イニ盛大ナラシメルト云フコトガ、極メ
テ必要缺クベカラザルモノデアルト私ハ思
フノデアリマス、十〓體、有力ナル十團體
ガ協會ヲ造リマシテ、サウシテ自分共ハ殆
ド金ヲ出サヌ、僅カニ五十萬圓シカ金ヲ出
サヌ、サウシテ一方ニ於キマシテハ、此ノ
射倖行爲ニ依ッテ國民ノ投機心ヲ煽ッテ、多
クノ入場者ヲ得タイ、サウシテ金ヲ得タイ
ト云フコトハ如何ニモ、忌憚ナク申上ゲレ
バ狡イヤリ方ト申上ゲナケレバナラヌト思
フノデアリマス、又國庫ニ於キマシテモ補
助金ガ出ルノデアリマスガ、是モ僅カニ五
十萬圓、博覽會ガ東京橫濱ニ開催致サレマ
スレバ、政府トシテモ、鐵道收入ナリ其ノ
他相當ノ收入ガアルト思フノデアリマス
而モ紀元二千六百年ヲ記念奉祝スル爲デゴ
ザイマスレバ、モウ少シ多額ノ補助ヲ致シ
テ然ルベキデアラウト思フノデアリマス、
金ヲ出サナケレバナラヌヤウナ政府或ハ公
共團體自ラ金ヲ出サヌ、而シテ此ノ金ヲ得
ルガ爲ニハ國民ノ射倖心ヲ煽ッテ金ヲ得ル、
如何ニモ私ハ殘念千萬ナコトダト思フノデ
アリマス、又三千五十萬圓入場劵ヲ得ナク
テモ、今ノヤウニ國庫或ハ主催者等ノ團體ガ
補助スレバ出來ルト思フノデアリマスガ、
尙博覽會ヲ經營セラルヽ團體ナリ、或ハ之
ニ從事スル職員ナリ、或ハ政府ノ官吏ナリ
ガ、博覽會ノ內容ヲ充實致シマシテ、誠心
誠意之ガ爲ニ力ヲ入レマシテ、內容ヲ充實
シ、又其ノ宣傳等ニ付テノ力ヲ入レル、サ
ウシテ獻身的ニ盡力致シマシテ、入場者ヲ
多クスルヤウニ努メマスルナラバ、相當ノ入
場者ヲ得ラレルト思フノデアリマス、自カ
ラ團體ナリ或ハ職員ナリ官吏ナリガ自カラ
安逸ヲ貪ッテ、敢テ申シマスガ自カラ安逸
ヲ貪ッテ、國民ノ投機心ニ依ッテ澤山ノ入場
者ヲ得ヨウト云フコトハ、是ハ非常ニ不
都合ナコトト申サナケレバナラヌト思フノ
デアリマス、寧ロ紀元二千六百年ノ祝典
ヲ記念スルモノデアリマスレバ、非常ナ努
力ヲ拂ッテ澤山ノ入場者ヲ得ルヤウニ努力
シナケレバナラヌト思フノデアリマス、ソ
レヲ自ラガ安逸ヲ貪ッテ射倖心ニ依ッテ入場
劵ヲ多ク得ヨウト云フ、斯ウ云フ計畫ヲス
ルト云フコトハ、又甚ダ殘念ニ思フノデア
リマス、之ヲ要シマスルニ、私ハ簡單ニ申
上ゲマスガ、金ヲ出スベキ所デハ金ヲ出サ
又、又自カラ努メナケレバナラヌ所デハ自
ラ努メナイ、サウシテ唯國民ノ射倖心ヲ
煽ッテ多クノ入場ヲ得、之ニ依ッテ金ヲ得ヨ
ウト云フノデアリマス、而モソレガ紀元二
千六百年ヲ奉祝スル萬國博覽會デアル、而
シテ我ガ國體ノ立派ナ所ヲ中外ニ顯示スル
ノデアル、是ガドウシテ贊成出來マスカ、贊
成シタクテモ贊成ガ出來ナイ所以ハココニ
アルノデアリマス、尙先程委員長ノ御報告
ニ依リマスルト、將來斯クノ如キ射倖心ヲ
煽ルヤウナ計畫ハ、現內閣デハ致サナイヤ
ウニト云フ希望ノ御意見ガ委員會へ出タト
云フコトデアリマス、是ハ委員會ニ於キマ
シテモ先程委員長ノ御報告ハゴザイマセヌ
デアリマシタガ、或委員ノ質問ニ對シマシ
テ商工大臣カラ、是ハ殆ド政府ヲ代表スル
意味ニ於キマシテ、將來現內閣ニ於テハ斯
ウ云フヤウ射倖心ヲ煽ル計畫ハ致サナイ、
是ダケハスルガ、此ノ外ハモウシナイ、斯
ウ云フコトヲ初メ言明ヲサレマシタ、併シ私
ハ是ハ甚ダヲカシイコトダト思フノデアリ
マス、人ガ過ッテ罪ヲ犯シマシタル後ニ、是
ハ惡カッタ、從ッテ將來斷ジテ斯クノ如キコ
トハ致シマセヌト云フコトハ能ク分ルノデ
ゴザイマスルガ、未ダ行爲ヲ行フ前ニ當ッテ、
此ノ事ハ惡イガ是ダケハヤラシテ吳レ、外
ノ事ニハヤラヌノダ、是ハ甚ダ不徹底ナ議
論ト申サナケレバナラヌト思フノデアリマ
ス、從ッテ其ノ意味ノコトヲ商工大臣ニ追
究致シマシテ、將來ヤラヌト言ハレルガ、
併シナガラ是ト同樣ナル若シクハ同樣以上
ノ國家的ニ必要ナ事業ガアッテ、而モ斯ウ云
フ抽籤附ト云フヤウナコトガ必要デアル場
合ニ於テハ、ソレヲ許サヌト云フノハヲカ
シイノヂヤナイカ、苟モ之ヲヤッタ以上ハ、
是ト同樣若シクハ同樣以上ノ必要ナルコト
ニ付テ、之ヲ許サヌノダト云フコトニナッタ
ラ、極メテ政治ハ不公平ト言ハナケレバナ
ラヌ、又斯クノ如キ政治ハ極メテ出鱈目ト
言ナケレバナラヌト私ハ考ヘマスルノデ、
其ノ事ヲ商工大臣ニ段々申上ゲテ見マスル
ト結局商工大臣ハ最後ニ、將來斯ウ云フ
ヤウナコトハ成ルベクセナイ、絕對デナイ、
成ルベクセナイコトニスルノダ、斯ウ云フ
御話デアリマス、ソレナラ趣旨ハ通ルノデ
アリマス、併シナガラ成ルベクセナイト云
フノデゴザイマスカラ、將來再ビ苟モ此ノ
事ガ認メラレマシタナラバ斯クノ如キコ
トガ二度三度モ繰返サレル虞ハ十分アルト
申サナケレバナラヌノデアリマス、從ッテ委
員長ガ先程御報告ニナリマシタヤウニ、サ
ウ云フ委員カラ御希望ガアリマシテモ、其
ノ御希望ハ全ク無駄ト申サナケレバナラヌ
ト思フノデアリマス、先ヅ惡ケレバ此ノ案
カラ潰シテシマフコトガ必要デアルト私ハ
確信スルノデアリマス、以上ノ意味ニ於キ
マシテ、甚ダ政府當局ニ對シテモ申譯ナイ
ヤウデゴザイマスガ、又殊ニ私共ノ尊敬致
シテ居リマスル阪谷男爵ニモ相濟マヌ譯デ
ゴザイマスケレドモ、以上ノ理由ヲ以テ斷
然此ノ案ニ反對ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=81
-
082・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 討論ハ是ニテ終
了致シマシタ、本案ノ採決ヲ致シマス、本
案ノ第二讀會ヲ開クベシトスル諸君ノ起立
ヲ御願ヒ致シマス
〔起立者多數〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=82
-
083・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 過半數ト認メマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=83
-
084・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=84
-
085・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=85
-
086・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=86
-
087・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=87
-
088・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報〓通リデ
御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=88
-
089・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=89
-
090・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=90
-
091・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=91
-
092・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=92
-
093・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=93
-
094・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=94
-
095・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=95
-
096・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 大藏政務次官ヨ
リ發言ノ要求ガゴザイマシタカラ、之ヲ御
許シ致シマス、太田政務次官
〔政府委員太田正孝君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=96
-
097・太田正孝
○政府委員(太田正孝君) 過日本議場ニ於
ケル水野甚次郞君ノ御質問中、大藏大臣ニ
對シテ御尋ニナリマシタ點ニ付キマシテ、
大藏大臣ニ代ッテ御答へ申上ゲマス、御質問
ノ要點ハ空軍ノ充實ヲ期スル前提トシテ、
航空省若シクハ空軍省ヲ設置スル等ノ爲、
之ガ資金調達ノ方法トシテ、國ニ於テ富籤
ヲ發行スルノ意思ガアルカドウカト云フコ
トデアリマス、政府ハ、目下ノ處、所謂國
營富籤ノ發行ニ付テハ何等考ヘテ居リマセ
ヌ、尙其ノ善イカ惡イカト云フコトニ付キ
マシテハ、色々ノ事情ヲ考量シ、〓究致シ
タイト存ジマス、尙御質問中ニハ、先般議
會ノ協贊ヲ經テ實施致シマシタ增稅ニ付テ
ノ御話ガゴザイマシタ、アノ增稅ハ國家ノ
大局ヨリ見テ必要已ムヲ得ザルニ出デタモ
ノデアリマシテ、一般國民ニ於テモ此ノ事
情ニ付テハ能ク之ヲ諒トセラレテ居ルコト
ト存ズルノデアリマシテ、今日迄實施ノ經
過ニ見マスルト、或ハ水野君ノ申サレルヤ
ウナ、相續稅ヲ多クカケラレルノヲ免レル
爲ニ、三月以前ニ隱居シタリスルヤウナ事
例モアッタカモ知レマセヌガ、若シアッタト
シテモソレハ極メテ一部ノ例外デアリマシ
テ、大體ニ於テハ殊更納稅ヲ避ケルガ如キ
者モナク、又別段ノ苦情モナク、至極圓滿
ニ施行セラレ、豫期ノ成績ヲ擧ゲツヽアリ
マスカラ、左樣御諒承ヲ願ヒタイト存ジ上
ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=97
-
098・水野甚次郎
○水野甚次郞君 簡單デゴザイマスカラ此
ノ席カラ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=98
-
099・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 宜シウゴザイマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=99
-
100・水野甚次郎
○水野甚次郞君 只今大藏政務次官ヨリ、
私ノ質問ニ對スル御答辯ガアリマシタコト
ヲ光榮ト存ジマス、私ガ先般申上ゲマシタ
コトハ、增稅ヲ致シマスルガ爲ニ、國民ヲ
自暴自棄ニサスコトハナイカト言ッタノデア
リマス、卽チ何故カト申シマスルト云フト、
幾ラ儲ケテモ、儲ケタモノハ六分以上ハ超
過利得トシテ取ルト言ッタヤウナコトニセ
ラレマスルト云フト、働ク氣力ヲ失フ、サ
ウ云フコトガアルノデアリマス、噓ト仰シ
ヤレバ何時デモ例示致シテモ構ヒマセヌ、
斯樣ニナリマシテ働クコトヲ嫌ガルヤウナ
結果ニナリマスコトハ、誠ニ憂フベキ問題
デハナイカト思フノデアリマス、依ッテ私
ガ當籤論ヲ提示致シマシタノハ、富籤其ノ
モノヲ第一義トスルノデハゴザイマセヌ、
增稅ニ代ル、國民ニソレダケノ理解ヲ得テ
增稅ニ代ルベキ獻金ノヤウナモノニ御指導
ナサッタラ如何デゴザイマセウカ、之ニ對
シテ富籤ハ第二義デアリマス、先程土方博
士ヨリ馬劵ノ害ヲ論ゼラレマシタ、私モ同
感デアリマス、馬劵ノ如キモノコソ速カニ
御止メニナル必要ガアリハシナイカ、何ト
ナレバ鬪爭心ヲ養成シ、射倖心ヲ養成スル
コト、是ヨリ大ナルモノハゴザイマスマイ
ケレドモ、私ノ申上ゲマスルコトハ永久的
ニ之ヲ行フノデハゴザイマセヌ、所謂國民
ニ、萎徴退嬰セムトスル國民ニ對シテ活ヲ
入レルノデアルト思フノデアリマス、此ノ
點ニ付テ十分御〓究ヲ顧ヒタイト存ズルノ
デアリマス、私ハ此ノ問題ニ關シマシテ他
日又論ズル機會ガゴザイマセウト思ヒマス
カラ、質問ハ之ヲ以テ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=100
-
101・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本日ハ尙衆議院
ヨリ重要法案ノ送付ヲ受ケルコトト存ジマ
ス、就キマシテハ是ニテ一應、六時マデ休
憩ヲ致シマス
午後四時十七分休憩
午後七時十八分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=101
-
102・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔角倉書記官朗讀〕
本日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
昭和十二年度歲入歲出總豫算追加案第
四號)
昭和十二年度各特別會計歲入歲出豫算追
加案(特第四號)
豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲ス
ヲ要スル件(追第一號)
北支事件特別稅法案
昭和十二年法律第四十九號中改正法律案
特別會計ニ於ケル北支事件特別稅收入ニ
相當スル金額ヲ一般會計ニ繰入ルルコト
ニ關スル法律案
本日政府ヨリ左ノ法律案ハ緊急事件トシテ
議決スルコトヲ請求スル旨ノ通牒ヲ受領セ
リ
北支事件特別稅法案
昭和十二年法律第四十九號中改正法律
案
特別會計ニ於ケル北支事件特別稅收入ニ
相當スル金額ヲ一般會計ニ繰入ルルコト
ニ關スル法律案
本日衆議院ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
刑事補償法中改正法律案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=102
-
103・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 休憩前ニ引續キ
會議ヲ開キマス、本日衆議院ヨリ送付ヲ受
ケマシタ政府提出ニ係ル北支事件特別稅法
案、昭和十二年法律第四十九號中改正法律
案及特別會計ニ於ケル北支事件特別稅收入
ニ相當スル金額ヲ一般會計ニ繰入ルルコト
ニ關スル法律案ヲ、此ノ際議事日程ニ追加
シテ、一括シテ議題トナシ、第一讀會ヲ開
クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=103
-
104・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、賀屋大藏大臣
〔左ノ通牒文及法案ハ朗讀ヲ經サ
ルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之
ニ做フ〕
北支事件特別稅法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十二年八月六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
北支事件特別稅法案
北支事件特別稅法
第一條北支事件特別稅ハ之ヲ左ノ五種
トス
一所得特別稅
二臨時利得特別稅
三利益配當特別稅
四公債及社債利子特別稅
五物品特別稅
第二條所得特別稅ハ所得稅ヲ納ムル者
ニ之ヲ課ス
第三條第一種所得稅ヲ納ムル者ノ所得
特別稅ハ法人ノ本法施行後一年內ニ終
了スル各事業年度ノ所得(〓算所得ヲ
除ク)ニ付之ヲ賦課シ其ノ所得ニ對ス
ル第一種所得稅額(臨時租稅增徵法ニ
依ル增徵稅額ヲ含ム)ノ百分ノ十ニ相
當スル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第四條第二種所得稅ヲ納ムル者ノ所得
特別稅ハ本法施行後一年內ニ支拂ヲ受
クル第二種所得(國債ノ利子ヲ除ク)ニ
付之ヲ賦課シ其ノ所得ニ對スル第二種
所得稅額ノ百分ノ五ニ相當スル金額ヲ
以テ其ノ稅額トス
第五條第三種所得稅ヲ納ムル者ノ所得
特別稅ハ昭和十二年分第三種所得ニ付
之ヲ賦課シ其ノ所得ニ對スル第三種所
得稅額(臨時租稅增徵法ニ依ル增徵稅
額ヲ含ム)ノ百分ノ七·五ニ相當スル金
額ヲ以テ其ノ稅額トス
第六條第一種所得稅ヲ納ムル者ノ所得
特別稅ハ事業年度每ニ之ヲ徵收ス
第二種所得稅ヲ納ムル者ノ所得特別稅
ハ第二種所得金額支拂ノ際支拂者ニ於
テ徵收シ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ム
ベシ
第三種所得稅ヲ納ムル者ノ所得特別稅
ハ其ノ稅額ヲ三分シ左ノ三期ニ於テ之
ヲ徴收ス
第一期昭和十二年十月一日ヨリ三十
一日限
第二期昭和十三年一月一日ヨリ三十
一日限
第三期昭和十三年三月一日ヨリ三十
一日限
第七條臨時利得特別稅ハ臨時利得稅ヲ
納ムル者ニ之ヲ課ス
第八條法人ノ臨時利得特別稅ハ本法施
行後一年內ニ終了スル各事業年度ノ
利得ニ付之ヲ賦課シ其ノ利得ニ對スル
臨時利得稅額(臨時租稅增徵法ニ依ル
增徵稅額ヲ含ム)ノ百分ノ十五ニ相當
スル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第九條個人ノ臨時利得特別稅ハ昭和十
二年分利得ニ付之ヲ賦課シ其ノ利得ニ
對スル臨時利得稅額(臨時租稅增徵法
ニ依ル增徵稅額ヲ含ム)ノ百分ノ十五
ニ相當スル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第十條法人ノ臨時利得特別稅ハ事業年
度每ニ之ヲ徴收ス
個人ノ臨時利得特別稅ハ其ノ稅額ヲ三
分シ左ノ三期ニ於テ之ヲ徵收ス
第一期昭和十二年十月一日ヨリ三
十一日限
第二期昭和十三年一月一日ヨリ三
十一日限
第三期昭和十三年三月一日ヨリ三
十一日限
第十一條利益配當特別稅ハ本法施行地
ニ本店ヲ有スル法人ヨリ利益ノ配當ヲ
受クル者ニ之ヲ課ス
所得稅法其ノ他ノ法律ニ依リ第二種所
得稅ヲ課セラレザル者ニハ利益配當特
別稅ヲ課セズ
第十二條利益配當特別稅ハ本法施行後
一年內ニ前條ノ法人ヨリ支拂ヲ受クル
利益ノ配當ニ付之ヲ賦課シ配當金中配
當率年七分ノ割合ヲ以テ算出シタル金
額ヲ超ユル金額ノ百分ノ十ニ相當スル
金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第十三條利益配當特別稅ハ配當金支拂
ノ際支拂者ニ於テ徵收シ翌月十日迄ニ
之ヲ政府ニ納ムベシ
第十四條公債及社債利子特別稅ハ本法
施行地ニ於テ公債又ハ社債ノ利子ノ支
拂ヲ受クル者ニ之ヲ課ス
所得稅法其ノ他ノ法律ニ依リ第二種所
得稅ヲ課セラレザル者ニハ公債及社債
利子特別稅ヲ課セズ
第十五條公債及社債利子特別稅ハ本法
施行後一年內ニ支拂ヲ受クル公債又ハ
社債(外貨債特別稅法第一條第二項ニ
規定スル外貨債ヲ除ク)ノ利子ニ付之
ヲ賦課シ利子金額中國債ニ在リテハ利
率年四分、國債以外ノ公債及社債ニ在
リテハ利率年四分五厘ノ割合ヲ以テ算
出シタル金額ヲ超ユル金額ノ百分ノ十
ニ相當スル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第十六條公債及社債利子特別稅ハ利子
金額支拂ノ際支拂者ニ於テ徵收シ翌月
十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第十七條第六條第二項、第十三條又ハ
前條ノ規定ニ依リ徵收スベキ稅金ヲ徵
收セザルトキ又ハ其ノ徵收シタル稅金
ヲ納付セザルトキハ國稅徵收ノ例ニ依
リ之ヲ支拂者ヨリ徵收ス
第十八條所得稅法第十二條及大正九年
法律第十二號第三條ノ規定ハ第一種所
得稅ヲ納ムル者ノ所得特別稅及法人ノ
臨時利得特別稅ニ付之ヲ準用ス
所得稅法第七十二條及第七十三條ノ規
定ハ第三種所得稅ヲ納ムル者ノ所得特
別稅及個人ノ臨時利得特別稅ニ付之ヲ
準用ス
第十九條利益配當特別稅ヲ課セラルル
利益ノ配當又ハ公債及社債利子特別稅
ヲ課セラルル公債又ハ社債ノ利子ニ付
所得稅(第一種所得稅ヲ除ク)又ハ資本
利子稅ヲ課スル場合ニ於テハ其ノ利益
配當金額又ハ利子金額ヨリ利益配當特
別稅又ハ公債及社債利子特別稅相當額
ヲ控除シタル殘額ヲ以テ其ノ配當金額
又ハ利子金額ト看做ス
第二十條物品特別稅ハ左ニ揭グル物品
ニシテ命令ノ定ムルモノニ之ヲ課ス
第一種
一貴石若ハ半貴石又ハ之ヲ用ヒタ
ル製品
二眞珠又ハ眞珠ヲ用ヒタル製品
三貴金屬製品又ハ貴金屬ヲ用ヒタ
ル製品
四鼈甲製品
五珊瑚製品
第二種
-寫眞機、寫眞引仲機、映寫機、
同部分品及附屬品
二寫眞用乾板、フイルム及感光紙
三蓄音器及同部分品
四蓄音器用レコード
五樂器及同部分品
第二十一條物品特別稅ノ稅率ハ價格百
分ノ二十トス
前項ノ價格ハ第一種ノ物品ニ付テハ小
賣業者ノ販賣價格、第二種ノ物品ニ付
テハ製造場ヨリ移出スル時ノ價格トス
但シ保稅地域ヨリ引取ラルル物品ニシ
テ引取人ヨリ稅金ヲ徵收スルモノニ付
テハ引取ノ際ニ於ケル價格トス
第二十二條物品特別稅ハ第一種ノ物品
ニ付テハ小賣業者ヨリ、第二種ノ物品
ニ付テハ製造者ヨリ之ヲ徵收ス但シ保
稅地域ヨリ引取ラルル物品ニ付テハ命
令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外引取人
ヨリ之ヲ徵收ス
第二十三條第一種ノ物品ノ小賣業者ハ
每月其ノ販賣シタル物品ニ付、第二種
ノ物品ノ製造者ハ每月其ノ製造場ヨリ
移出シタル物品ニ付其ノ品名每ニ數量
及價格ヲ記載シタル申〓書ヲ翌月十日
迄ニ政府ニ提出スベシ
第一種又ハ第二種ノ物品ヲ保稅地域ヨ
リ引取ル者ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ
除クノ外引取ノ際其ノ物品ニ付前項ニ
準ズル申〓書ヲ政府ニ提出スベシ
申告書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ
申〓ヲ不相當ト認メタルトキハ政府ハ
其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第二十四條物品特別稅ハ每月分ヲ翌月
末日迄ニ納付スベシ但シ第二十二條但
書ノ場合ニ於テハ引取ノ際之ヲ納付ス
ベシ
第二十五條左ニ揭グル物品ニ付テハ命
令ノ定ムル所ニ依リ物品特別稅ヲ免除
ス
一輸出スルモノ
二第一種又ハ第二種ノ物品ノ製造ノ
用ニ供スルモノ
三其ノ他命令ヲ以テ定ムル用途ニ供
スルモノ
第二十六條第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營
マントスル者又ハ第二種ノ物品ヲ製造
セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
政府ニ申〓スベシ其ノ小賣業又ハ製造
ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第二十七條第一種又ハ第二種ノ物品ノ
製造者又ハ販賣者ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ其ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル
事實ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ物品ノ小賣業者又ハ第二種ノ
物品ノ製造者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ製造又ハ販賣ニ關シ必要ナル事項
ヲ政府ニ申〓スベシ
第二十八條收稅官吏ハ第一種又ハ第二
種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ニ對シ質問
ヲ爲シ又ハ左ニ揭グル物件ニ付檢査ヲ
爲シ若ハ監督上必要ノ處分ヲ爲スコト
ヲ得
一第一種又ハ第二種ノ物品ニシテ製
造者又ハ販賣者ノ所持スルモノ
二第一種又ハ第二種ノ物品ノ製造、
貯藏又ハ販賣ニ關スル一切ノ帳簿書
類
三第一種又ハ第二種ノ物品ノ製造、
貯藏又ハ販賣上必要ナル建築物、機
械器具、材料其ノ他ノ物件
第二十九條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依
リ所得特別稅、臨時利得特別稅、利益
配當特別稅又ハ公債及社債利子特別稅
ヲ連脫シタル者ハ其ノ逋脫シタル稅金
ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處シ
直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ自首シタル
者又ハ稅務署長ニ申出デタル者ハ其ノ
罪ヲ問ハズ
第三十條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ
物品特別稅ヲ逋脫シ又ハ通脫セントシ
タル者ハ其ノ逋脫シ又ハ通脫セントシ
タル稅金ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處シ
直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ罰金額ガ二
十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓ト
ス
第三十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第二十三條ノ規定ニ依ル申〓ヲ怠
リ又ハ詐リタル者
二政府ニ申告セズシテ第一種ノ物品
ノ小賣業ヲ營ミ又ハ第一一種ノ物品ヲ
製造シタル者
第三十二條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
-第二十七條第一項ノ規定ニ依ル帳
簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ
隱匿シタル者
二第二十七條第二項ノ規定ニ依ル申
告ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三第二十八條ノ規定ニ依ル收稅官吏
ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞
ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ
拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第三十三條第二十九條又ハ第三十條ノ
罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第
三項但書、第三十九條第二項、第四十
條、第四十一條、第四十八條第二項、
第六十三條及第六十六條ノ規定ヲ適用
セズ
第三十四條第一種又ハ第二種ノ物品ノ
製造者又ハ販賣者ノ代理人、戶主、家
族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ
業務ニ關シ本法中物品特別稅ニ關スル
規定ニ違反シタルトキハ其ノ製造者又
ハ販賣者ヲ處罰ス
第三十五條北海道、府縣、市町村其ノ
他ノ公共團體ハ北支事件特別稅ニ付附
加稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第三十六條本法ニ於テ保稅地域ト稱ス
ルハ關稅法ノ定ムル所ニ依ル
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
物品特別稅ニ關スル規定ハ昭和十三年三
月三十一日以前ニ於テ物品特別稅ヲ課セ
ラルベキ販賣、製造場ヨリノ移出又ハ保
稅地域ヨリノ引取ヲ爲シタル第一種又ハ
第二種ノ物品ニ付之ヲ適用ス
本法施行前ヨリ引續キ第一種ノ物品ノ小
賣業ヲ營ム者又ハ第二種ノ物品ノ製造ヲ
爲ス者本法施行後一月內ニ其ノ旨ヲ政府
ニ申〓スルトキハ本法施行ノ日ニ於テ本
法ニ依リ申〓シタルモノト看做ス
明治四十年法律第二十一號第一條第一項
ニ左ノ一號ヲ加フ
十一北支事件特別稅
明治四十四年法律第四十五號第二條中
「又ハ骨牌稅法」ヲ「骨牌稅法又ハ北支事
件特別稅法」ニ改メ同法第三條中「又ハ骨
牌稅法」ヲ「、骨牌稅法又ハ北支事件特別
稅法」ニ、「又ハ骨牌」ヲ「骨牌又ハ北支事
件特別稅法第二十條ニ揭クル物品」ニ改
ム
大正九年法律第五十一號中「骨牌」ノ下ニ
「、北支事件特別稅法第二十條ニ揭クル第
二種ノ物品」ヲ加フ
昭和十二年法律第四十九號中改正法律
案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十二年八月六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十二年法律第四十九號中改正法律
案
昭和十二年法律第四十九號中左ノ通改正
ス
「九千六百萬圓」ヲ「四億六百二十萬圓」ニ
改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔參照〕
昭和十二年法律第四十九號ハ北支事件ニ
關スル經費支辨ノ爲公債發行ニ關スル法
律ナリ
特別會計ニ於ケル北支事件特別稅收入
ニ相當スル金額ヲ一般會計ニ繰入ルル
コトニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十二年八月六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
特別會計ニ於ケル北支事件特別稅收入
ニ相當スル金額ヲ一般會計ニ繰入ルル
コトニ關スル法律案
關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺太廳
ノ各特別會計ニ於ケル北支事件特別稅收
入額ヨリ徵稅費ヲ控除シタル殘額ニ相當
スル金額ハ豫算ノ定ムル所ニ依リ之ヲ當
該特別會計ヨリ一般會計ニ繰入ルベシ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣賀屋興宣君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=104
-
105・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今ノ議題トナ
リマシタ北支事件特別稅法案、昭和十二年
法律第四十九號中改正法律案竝ニ特別會計
ニ於ケル北支事件特別稅收入ニ相當スル金
額ヲ一般會計ニ繰入ルルコトニ關スル法律案
ニ付キ、提案ノ理由ヲ說明申上ゲマス、先ヅ
北支事件特別稅法案ニ付御說明致シマス、
北支事件其ノ後ノ情勢ニ伴ヒ、之ガ爲ニ要ス
ル經費モ相當多額ニ上ル見込デアリマシテ、
之ガ財源ノ大部分ハ公債ニ求ムルノデアリ
マスルガ、其ノ一部ハ此ノ際之ヲ國民ノ負
擔ニ求ムルコトヲ適當ト認メマスノデ、玆
ニ本案ヲ提出致シタ次第デアリマス、今本法案
ノ大體ノ骨子ヲ申述ベマスレバ、先ヅ所得稅
付テ增徵スルコトニ致シマシテ、第一種所得稅
一割、第二種所得稅五分、第三種所得稅七分
五厘ヲソレ〓〓增徵スルコトト致シタノデ
アリマス、次ニ臨時利得稅納稅者竝ニ比較的
高率ノ配當金及高利率ノ公社債利子ノ支拂
ヲ受ケマスル者ハ、比較的擔稅力アリト認
メマシテ、臨時利得稅ニ付テハ法人個人共
ニ其ノ稅額ノ一割五分ヲ增徴スルコトト致
シ、配當金ニ付テハ配當金中年七分ヲ超ユ
ル金額ノ一割、公社債利子ニ付テハ國債ハ
利率年四分、地方債及社債ハ利率年四分五
厘ヲ超ユル金額ノ一割ニ相當スル金額ノ特
別稅ヲ課スルコトト致シタノデアリマスル、
其ノ他貴石、貴金屬製品、寫眞機、蓄音器、
樂器等ノ特殊物品ノ消費者ハ、相當擔稅力
アリト認メマシテ、是等ノ物品ニ對シ從價
二割ノ特別消費稅ヲ賦課スルコトト致シマ
シタ次第デアリマス、右申シマシタ如ク今
囘ノ增稅ニ當リマシテハ、一般大衆ノ負擔
ニ歸スル租稅ノ增徵ハ出來得ル限リ之ヲ避
ケタ積リデアリマス、尙今囘ノ增稅ハ事ノ
性質上之ヲ本年度限リ、又ハ一年限リノモノ
ト致シマシタノデアリマス、其ノ歲入額ハ
昭和十二年度ニ於テハ六千六百餘萬圓、昭
和十三年度ニ於テ三千四百餘萬圓、合計一
億百餘萬圓ノ豫定デアリマス、次ニ昭和十
二年法律第四十九號中改正法律案ニ付說明
申上ゲマス、今囘ノ北支事件ニ關スル經費ニ
付キマシテハ、過日帝國議會ノ御協贊ヲ經
マシテ、其ノ財源ニ充ツル爲ノ公債發行ヲ
爲シ得ル法律ノ制定ヲ見タノデアリマスル
ガ、其ノ後北支ニ於ケル事態ノ推移ハ、更
ニ本經費ノ增額ヲ必要ナラシメテ居ルノデ
アリマス、然ル處之ガ財源ハ北支事件特別
稅ノ收入及ビ後ニ申述ベマスル外地特別會
計ヨリノ繰入金收入ト、是等收入ノ昭和十
三年度分ヲ以テ償還スベキ豫定ノ借入金ニ
依リマスル部分ノ外、三億千十七萬餘圓ダ
ケハ今日ノ場合之ヲ公債ニ求ムルノ必要ガ
アリマスルノデ、前記昭和十二年法律第四
十九號中ノ公債發行限度ヲ擴張スル爲、本
法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス、終リ
ニ特別會計ニ於ケル北支事件特別稅收入ニ
相當スル金額ヲ一般會計ニ繰入ルルコトニ
關スル法律案ニ付キ說明申上ゲマス、今囘
一般會計ニ於キマシテ、北支事件費竝ニ該
經費支辨ノ爲ノ借入金ノ償還ニ付、之ガ財
源ノ一部ニ充當スル爲、臨時ニ北支事件特
別稅ヲ創設スルコトト致シマシタノデ、關
東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺太廳ノ
各特別會計ニ於キマシテモ、一般會計ニ於
ケル北支事件費竝ニ該經費支辨ノ爲ノ借入
金ノ償還ニ寄與スル目的ヲ以テ、右ニ準ズ
ル同種ノ新稅ヲ實施シ、其ノ收入額ニ相當
スル金額ハ之ヲ豫算ノ定ムル所ニ依リ一般
會計ニ繰入ルル計畫ト致シマシタ處、之ガ
會計上ノ處理ニ關シテハ法律ノ制定ヲ必要
ト致シマスルノデ、本法律案ヲ提出致シマ
シタ次第デアリマス、以上三案ニ付キマシ
テハ、何卒御審議ノ上速カニ御協贊アラム
コトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=105
-
106・戸澤正己
○子爵戸澤正已君 只今議題トナリマシタ
北支事件特別稅法案外一一件ハ、重要ナル法
案デアリマスルガ故ニ、其ノ特別委員ノ數
ヲ二十五名トシ、其ノ指名ヲ議長ニ一任ス
ルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=106
-
107・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=107
-
108・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=108
-
109・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗
讀致サセマス
〔角倉書記官朗讀〕
北支事件特別稅法案外二件特別委員
公爵山縣有道君侯爵四條隆愛君
侯爵細川護立君伯爵酒井忠正君
子爵靑木信光君子爵八條隆正君
子爵西尾忠方君子爵織田信恒君
有吉忠一君潮惠之輔君
川村竹治君男爵松尾義夫君
男爵松岡均平君男爵高崎弓彥君
男爵伊江朝助君男爵松平外與麿君
菅原通敬君次田大三郞君
深井英五君森平兵衛君
小倉正恒君下出民義君
久保市三郞君長野忠次君
野村德七君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=109
-
110・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本日衆議院ヨリ
提出サレマシタ刑事補償法中改正法律案ヲ
此ノ際議事日程ニ追加シテ、第一讀會ヲ開
クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=110
-
111・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス
刑事補償法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和十二年八月六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
刑事補償法中左ノ通改正ス
第四條第二項及第三項中「又ハ重大ナル
過失」ヲ削ル
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法ハ本法施行前ニ生ジタル事件ニ付亦
之ヲ適用ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=111
-
112・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ハ之ヲ大正
十二年法律第五十二號中改正法律案ノ特別
委員ニ附託ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=112
-
113・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第七、大正
十二年法律第五十二號中改正法律案、衆議
院提出第一讀會ノ續、委員長報告、委員長
秋月子爵
大正十二年法律第五十二號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月五日
委員長子爵秋月種英
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔子爵秋月種英君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=113
-
114・秋月種英
○子爵秋月種英君 只今日程ニ上リマシタ
大正十二年法律第五十二號中改正法律案委
員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報〓申上ゲマス、
本案ハ前議會ニ提出ニナリマシタ案デゴザ
イマシテ、前議會ニ於キマシテ十分御報〓
申上ゲマシタノデスカラ、簡單ニ申上ゲタ
イト存ジマス、本案ハ大正七年ニ高等試驗
令ガ施行ニナリマシタ爲ニ、明治二十六年
司法省令ニ依リマス辯護士試驗規則ノ受驗
者ガ、受驗資格ガ設ケラレマシタ爲ニ受驗
ガ出來ナクナリマシタノデ、其ノ際五箇年
間ノ延期ニナリマシタノデゴザイマス、處
ガ其ノ後大正十二年ニ更ニ五箇年間延長ス
ルト云フ法律案ガ提出ニナリマシタ、ソレ
ガ昭和二年ト昭和七年ニ延期ニナリマシタ、
其ノ期限ガ今年ノ終リデオ終ヒニナリマス
ノデ、前議會ニ更ニ五年間延期ヲスルト云
フ法律案ガ衆議院カラ提出ニ相成リマシタ
ノデゴザイマス、本院ニ於キマシテハ今日
迄延期ニナリマシタ事情、竝ニ現在ノ事情
ヲ十分考慮致シマシテ、今直チニ之ヲ打切
ルト云フコトハ社會上面白カラザル結果モ
起リマス憂モアリマスノデ、此ノ度限リト
云フコトニ認メラレマシテ、其ノ意味ヲ具
體的ニ現ス爲ニ五年間ヲ四年間延期ヲス
ル斯樣ニ決リマシテ、本院ニ於キ成立ヲ
致シマシテ衆議院ノ方ニ送リマシタ處ガ、
解散ノ爲ニ不成立トナリマシタノデ、此ノ
度提出ニナリマシタノハ、本院ニ於テ修正
セラレマシタ案、卽チ四年間延期ヲスル、
斯ウ云フ意味ニ於テノ改正案ガ提出ニナリ
マシタノデ、特別委員會ニ於キマシテハ何
等ノ議論モナク本案ニ贊成ヲ致シマシタノ
デゴザイマス、其ノ際委員ノ一人ヨリ二ツ
ノ希望條項ヲ附シテ可決ヲシタイ、斯ウ云
フヤウナ御意見モ出マシテ、委員會ニ於キ
マシテハ全會一致ヲ以チマシテ、希望決議
モ併セマシテ決定致シタノデゴザイマス、
今其ノ決議案ヲ朗讀致シマス
本法ニ定メタル期間ノ延長ハ今囘ヲ
以テ最終トシ將來更ニ延長スルコトナ
キヲ期ス
本法實施ニ當リテハ辯護士ノ素質ノ
低下ヲ來スコトナキヤウ特ニ留意セラ
レムコトヲ望ム
斯樣ナ二ツノ希望條件ヲ附シマシテ全會一
致可決致シマシタ次第デゴザイマス、此段
御報告申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=114
-
115・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=115
-
116・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=116
-
117・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=117
-
118・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=118
-
119・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=119
-
120・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=120
-
121・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、本案全部委員長ノ報告通リデ
御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=121
-
122・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=122
-
123・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=123
-
124・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=124
-
125・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=125
-
126・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=126
-
127・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=127
-
128・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=128
-
129・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 明日ハ午前十時
ヨリ開會致シマス、議事日程ハ決定次第、
彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニ
テ散會致シマス
午後七時三十六分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01019370806&spkNum=129
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。