1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十二年八月七日(土曜日)午前十時十二分開議
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議事日程 第十一號
昭和十二年八月七日
午前十時開議
第一 請願委員長報告
第二 昭和十年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第三 昭和十年度特別會計第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第四 昭和十年度特別會計豫備費支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第五 昭和十年度滿洲事件第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第六 自昭和十一年一月至同年三月昭和十年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第七 自昭和十一年一月至同年三月昭和十年度豫備金外に於て豫算超過及び豫算外支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第八 自昭和十一年一月至同年三月昭和十年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第九 自昭和十一年一月至同年三月昭和十年度特別會計豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第十 昭和十一年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第十一 昭和十一年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第十二 昭和十一年度特別會計豫備金外に於て豫算外支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第十三 船員法改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 通信事業特別會計に於ける簡易生命保險及郵便年金の事務の取扱に要する經費に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十五 燃料國策に關する建議案(公爵島津忠重外五名發議) 會議
第十六 函館本線余市驛、積丹郡余別村間に鐵道敷設の請願 會議
第十七 小樽港鐵道省埋立地内に漁船揚場設置の請願 會議
第十八 横莊鐵道買收に關する請願 會議
第十九 公社債證書に紀元年数記載の請願 會議
第二十 靜岡縣小笠、榛原の兩郡南部に酒精工場設置の請願 會議
第二十一 アンゴラ兎飼養奬勵に關する請願 會議
第二十二 豫定線釜石、盛間鐵道速成の請願 會議
第二十三 釜石港に防浪建築築造の請願 會議
第二十四 雪國地方土地賃價格調査に關する請願 會議
第二十五 革類關税改訂に關する請願 會議
第二十六 呉線安藝阿賀、藝備鐵道志和口の兩驛間鐵道敷設の請願 會議
第二十七 船員法の適用を受けさる船員に對する法令制定の請願 會議
第二十八 燒津漁港修築の請願 會議
第二十九 因美線津山、片上鐵道柵原の兩驛間鐵道敷設の請願 會議
第三十 函館本線南小樽驛改築の請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=0
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報告ヲ致サセマ
ス
〔石橋書記官朗讀〕
昨六日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出
案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院
ニ通知セリ
昭和十二年度歲入歲出總豫算追加案第
二號)
昭和十二年度各特別會計歲入歲出豫算追
加案(特第二號)
昭和十二年度歲入歲出總豫算追加案第
三號)
昭和十二年度各特別會計歲入歲出豫算追
加案(特第三號)
農村負債整理資金特別融通及損失補償法
案
製鐵事業法案
紀元二千六百年記念日本萬國博覽會抽籤
劵附囘數入場劵發行ニ關スル法律案
產金法案
金準備評價法案
金資金特別會計法案
日本銀行金買入法廢止ニ關スル法律案
朝鮮銀行法中改正法律案
臺灣銀行法中改正法律案
外國爲替管理法中改正法律案
横濱正金銀行條例中改正法律案
關稅定率法中改正法律案
昭和七年法律第四號中改正法律案
大正十四年法律第五十一號中改正法律
案鐵ノ輸入稅免除ニ關スル法律案
大正九年法律第五十三號中改正法律案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ衆議院提出
案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院
ニ通知セリ
大正十二年法律第五十二號中改正法律案
同日本院ニ於テ承諾スルコトヲ議決シタル
左ノ政府提出案ハ卽日之ヲ奏上シ又承諾ス
ルコトヲ議決シタル旨ヲ衆議院ニ通知セリ
昭和十二年勅令第百三十號
同日北支事件特別稅法案特別委員會ニ於テ
當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
委員長伯爵酒井忠正君
副委員長男爵松岡均平君
同日議員ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
燃料國策ニ關スル建議案(公爵島津忠重
君外五名發議)
同日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府
提出案ハ同院ニ於テ之ヲ可決シ奏上セル旨
ノ通牒ヲ受領セリ
裁判所構成法中改正法律案
大正十年法律第百二號中改正法律案
刑事訴訟法中改正法律案
同日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
船員法改正法律案可決報〓書
本日政府ヨリ左ノ答辯書ヲ受領セリ
貴族院議員侯爵德川義親君外五名提出度
量衡制度ニ關スル質問ニ對スル答辯書
〔左ノ質問主意書及答辯書ハ朗讀
ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
度量衡制度ニ關スル質問主意書
一、現行度量衡法ハメートル法ノ强制統
一ノ主義ニ基クモノナルガ我國ニ於
テハ古來尺貫法慣用セラレ歷史及文
化ノ經緯トナリ國民生活ノ基準ヲナ
セルガ故ニ之ヲ廢棄シテメートル法
ノ使用ヲ强制スルハ到底ソノ實現ヲ
期シ難キノミナラズ國家財政多事窮
迫ノ際土地臺張等ノ改刪ノ如キハ至
難ノ問題ニ屬シ且ツ民間經濟亦多年
不況ニシテ殊ニ農村及中小商工業ノ
疲弊セル今日度量衡ノ根本的變革ヲ
行フハ不可能ト謂フベシ。他方朝鮮
及臺灣ニ於テハ曩ニ尺貫法ノ實施ヲ
勵行シ漸ク之ガ普及ヲ見ルニ至レル
ノ時再ビ變更スルハ我帝國ノ威信ヲ
傷クベク更ニ外國貿易關係等ニ於テ
ハ廣範圍ニ亙リ依然ヤードポンド法
ノ併用ヲ認ムルノ已ムヲ得ザルモノ
アリ、依是觀之メートル法統一ノ主
義ニ立脚スル現行度量衡法ハ我國情
ニ副ハザルコト瞭カニシテ一般國民
ハ度量衡ノ混亂ニ惱マサレ一日モ速
カニ之ガ解消調整ヲ翅望スルヤ切ナ
ルモノアリ、依テ該法ヲ尺貫法及メ
ートル法併用ノ主義ニ改正スベキハ
多言ヲ俟タザル所ナリ。今ヤ猶豫期
間モ滿了期ニ切迫シ此上ノ遷延ヲ許
サヾルモノアルガ故ニ次期議會ニ於
テ必ズ之ヲ解決シ國民ヲシテ歸趨ス
ル所ヲ知ラシムルコト極メテ緊要ナ
リ政府ハ宜シク度量衡制度調査會ノ
審議ヲ促進シ眞ニ我國情ニ卽シタル
制度ノ確立ヲ期スルノ要アリト信ズ
之ニ對スル政府ノ所見如何
二、現在小學校ニ於テハメートル法ヲ主
トシテ〓授シ尺貫法ニ關スル知識ハ
殆ド之ヲ授ケ居ラザレドモ斯ノ如キ
ハ生活上必須ナル知識ヲ缺キ日常ノ
計算ニサヘ支障ヲ來シ家庭及社會ノ
實情ニ副ハザルコト甚シク國民ノ等
シク遺憾トスル所ナリ當局ニ於テハ
篤ト反省考量ヲ加へ尺貫法ニ關スル
知識ヲ充分ニ〓授シ歷史文化等我國
情ニ卽シタル知識情操ノ涵養ニ資シ
以テ〓學刷新ノ效果ヲ擧グル樣最善
ヲ期セラルヽコト必要ナリト思考ス
之ニ對スル政府ノ所見如何
右議院法第四十八條ニ依リ及質問候也
昭和十二年八月四日
提出者
侯爵德川義親伯爵柳原義光
男爵千秋季隆內田重成
菅原通敬土方久徵
贊成者
公爵島津忠重公爵一條實孝
公爵德川圀順公爵山縣有道
公爵伊藤博精公爵島津忠承
公爵岩倉具榮侯爵山內豐景
侯爵四條隆愛侯爵淺野長之
侯爵細川護立侯爵中御門經恭
侯爵大隈信常侯爵佐竹義春
侯爵小村捷治伯爵松木宗隆
伯爵山田英夫伯爵黑木三次
伯爵酒井忠正男爵坂本俊篤
男爵大井成元子爵梅小路定行
子爵松平直平子爵靑木信光
子爵冷泉爲勇關屋貞三郞
子爵伊集院兼知子爵白川資長
子爵西大路吉光子爵野村益三
子爵今城定政子爵高倉篤麿
子爵豐岡圭資子爵秋月種英
子爵片桐貞央子爵大河內輝耕
子爵池田政時子爵〓岡長言
子爵西四辻公堯子爵松平保男
子爵新庄直知子爵加藤泰通
子爵立花種忠子爵谷儀
子爵秋元春朝子爵水無瀨忠政
子爵松平忠壽子爵米田國臣
子爵松平乘統子爵米津政賢
子爵八條隆正子爵伊東二郞丸
子爵保科正昭子爵西尾忠方
子爵井上勝純子爵岡部長景
子爵富小路隆直子爵裏松友光
子爵秋田重季子爵戶澤正己
子爵岩城隆德子爵三室戶敬光
子爵高橋是賢子爵梅園篤彥
子爵實吉純郞子爵蒔田廣城
子爵植村家治子爵安藤信昭
子爵毛利元恒子爵松平康春
子爵土岐章子爵高木正得
子爵大岡忠綱子爵三島通陽
子爵京極高修子爵增山正興
子爵綾小路護佐藤三吉
木場貞長三上參次
松井茂鈴木喜三郞
小山松吉男爵紀俊秀
男爵千田嘉平小幡酉吉
芳澤謙吉小原直
男爵東久世秀雄出淵勝次
林賴三郞武富時敏
平生釟三郞佐藤鐵太郞
三井〓一郞岡喜七郞
男爵金子有道勝田主計
男爵今枝直規坂西利八郞
太田政弘男爵小畑大太郞
男爵菊池武夫男爵福原俊丸
結城豊太郞柴田善三郞
男爵有地藤三郞男爵淺田良逸
男爵黑田長和男爵井田磐楠
男爵岩倉道倶男爵今園國貞
男爵渡邊汀今井田〓德
黑崎定三大橋八郞
男爵高木喜寛男爵松尾義夫
男爵前田勇男爵井上〓純
男爵高崎弓彥男爵伊江朝助
男爵周布兼道男爵大藏公望
男爵矢吹省三男爵北島貴孝
男爵伊藤文吉男爵足立豐
男爵關義壽男爵三須精
男爵松平外與麿男爵松田正之
男爵橋元正輝男爵安場保健
男爵渡邊修二男爵杉溪由言
男爵岩村一木男爵山根健男
男爵德川喜翰高田早苗
橋本圭三郞市來乙彥
坂野鉄次郞小野寺長治郞
山岡萬之助三浦新七
宮田光雄遠藤柳作
有賀光豐岡田文次
靑木周三赤池濃
八田嘉明藤沼庄平
松村義丸山鶴吉
大塚惟精吉田茂
松本學加藤政之助
小久保喜七樺山資英
若尾璋八小坂順造
大橋新太郞藤山雷太
堀啓次郞澁澤金藏
內藤久寬各務鎌吉
瀧川儀作中村圓一郞
森平兵衛石川三郞
小倉正恒松本眞平
林平四郞根津嘉一郞
上郞〓助江口定條
金杉英五郞西本健次郞
名取忠愛久保市三郞
高鳥順作橋本辰二郞
武井覺太郞上松泰造
磯村豐太郞三橋彌
金子元三郞山隈康
藤原銀次郞久米田新太郞
油井德藏仲田傳之〓
細田安兵衞鵜澤總明
鈴木幸作平尾喜三郞
長野忠次濱口儀兵衞
佐々木八十八田中德兵衞
三木與吉郎大澤德太郞
山本米三野村德七
平沼亮三金成通
風間八左衞門絲原武太郞
靑木才次郞水野甚次郞
小野耕大藪守治
米原章三岩崎〓行
山上岩二出光佐三
松岡潤吉大西虎之介
氏家〓吉瀨川彌右衞門
上野喜左衞門
昭和十二年八月七日
内閣總理大臣公爵近衞文麿
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
貴族院議員侯爵德川義親君外五名提出
度量衡制度ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯
書差進候
貴族院議員侯爵德川義親君外五名提
出
度量衡制度ニ關スル質問ニ對スル答
辯書
一、度量衡制度及其ノ運用ノ問題ハ國防
上產業上竝ニ一般國民生活上重大ナル
關係ヲ有スルヲ以テ度量衡制度調査會
ニ於テ愼重ナル審議ヲ行ヒツツアリ、
政府ニ於テハ同調査會ノ審議ヲ促進シ、
其ノ答申ヲ俟テ速ニ我國度量衡制度ノ
確立ヲ圖ルコトト致度
ニ、小學校ニ於ケル度量衡〓育ニ付テハ
現行度量衡法ノ制定實施ニ伴ヒ主トシテ
メートル法ヲ〓授スルコトト爲シタルモ
一方日常ノ計算ニ習熟セシメ社會生活
上必要ナル知識ヲ與フベキ算術〓育ノ
要旨ニ照シ尺貫法ヲモ〓授スル必要ア
ルヲ以テ之ニ關スル〓材ヲ加味シ來リ
タルモ更ニ社會ノ實狀ニ鑑ミ尺貫法〓
授ノ分量ヲ增加シ日常生活ニ支障ナキ
樣努メ居レリ
尙文部省トシテハ今後度量衡制度調査
會ニ於ケル調査審議ノ結果ヲ俟チ質問
ノ趣旨ニ付テモ十分考慮シ〓育上萬遺
憾ナキヲ期セントス
右及答辯候也
昭和十二年八月七日
商工大臣吉野信次
文部大臣安井葵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、日程第一、請願委員長報告、
委員長伯爵酒井忠克君
〔伯爵酒井忠克君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=2
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003・酒井忠克
○伯爵酒井忠克君 委員會ニ於キマスル經
過竝ニ結果ニ付テ、第二囘ノ報告ヲ簡單ニ
申述ベマス、去ル八月三日第一囘ノ御報〓
ヲ致シマシタ以後ノモノニ付テノ御報告デ
ゴザイマス、第一囘ノ報〓ノ際ニ申上ゲマ
シタ審議ノ經過竝ニ結果ハ第一囘文書表揭
載ノ分ニ付テノモノノミデゴザイマシテ、
八月二日ニ第二囘ノ文書表ヲ提出致シテ居
リマス、委員會ハ其ノ後八月五日ニ開會致
シマシタ、請願委員會特別報〓ハ矢張リ同
五日ニ提出致シテ居リマス、八月三日以後
受領致シマシタル請願書ノ件數ハ十三件デ
アリマシテ、之ガ連署人數ハ二千八百二十
三名デゴザイマス、是等ノ請願書ハ何レモ
文書表未揭載デゴザイマス、八月五日開會
致シマシタ委員會ニ於キマシテハ、第二回
文書表揭載ノ二十四件ノ中ノ二十二件ニ付
テ愼重審査致シマシタル結果、議院ノ會議
ニ付スベシトスルモノ、卽チ採擇ト決シマ
シタモノガ十五件デゴザイマス、以上ノ審
査ニ於キマシテハ大シテ問題モゴザイマセ
ヌデシタカラ、其ノ質疑應答ニ付テハ此處
ニ申述ベマスコトヲ省略致シマシテ、速記
錄ニ依ッテ御覽ヲ願ヒタイト存ジマス、尙二
十四件中ノ二十二件ダケヲ審査致シマシタ
ノハ、其中、二件、第三十四號ト第四十七
號ハ、政府委員ノ御都合デ御出席ガナカッタ
分ト、又擔當委員ノ方デ、御都合デ御缺席
ニナリマシタ爲ニ審査ニ至ラナカッタノデ
ゴザイマス、以上御報告致シマシタモノト
第一囘御報告ノモノトヲ合計致シマスト、
都合委員會ハ三囘開會シ、文書表報告ハ二
囘、委員會特別報告ハ二囘提出致シタコト
ト相成ッテ居リマス、昨六日迄ニ受領致シマ
シタ請願書ノ總件數ハ六十四件、連署人數
ハ四萬四千二百七十九名デアリマシテ、此
中、文書表ニ揭載致シマシタモノガ四十九
件、連署人數ガ四萬千四百二十四名ト相
成ッテ居リマス、尙文書表未揭載ノモノガ
十五件ゴザイマス、連署人數ガ二千八百五
十五名、以上二囘ノ委員會ニ於キマシテノ
審査ノ結果、採擇ニ決シマシタモノハ、第
一囘特別報告ニ於キマシテ二十二件、第二
囘特別報告ニ於キマシテ十五件ト相成ッテ
居リマス、以上ハ八月六日午後四時締切迄
ノ御報告デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=3
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004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第二ヨリ日
程第十二迄ノ承諾ヲ求ムル件、會議、委員
長報〓、是等ノ十一件ヲ一括シテ議題トス
ルコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=4
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005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長白川子爵
〔左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參
照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ倣フ〕
昭和十年度第一豫備金支出ノ件、昭和
十年度特別會計第一豫備金支出ノ件、
昭和十年度特別會計豫備費支出ノ件、
昭和十年度滿洲事件第一豫備金支出ノ
件、自昭和十一年一月昭和十年度第二
至同年三月
豫備金支出ノ件、自昭和十一年一月昭
至同年三月
和十年度豫備金外ニ於テ豫算超過及豫
算外支出ノ件、自昭和十一年一月昭和
至同年三月
十年度特別會計第二豫備金支出ノ件、
自昭和十一年一月昭和十年度特別會計
至同年三月
豫備金外ニ於テ豫算超過及豫算外支出
ノ件、昭和十一年度第二豫備金支出ノ
件、昭和十一年度特別會計第二豫備金
支出ノ件、昭和十一年度特別會計豫備
金外ニ於テ豫算外支出ノ件
右承諾スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月六日
委員長子爵白川資長
貴族院議長伯爵松平賴壽殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=5
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006・白川資長
○子爵白川資長君 昭和十年度第一豫備金
支出ノ件、承諾ヲ求ムル件、外十件ノ特別
委員會ノ經過及結果ヲ御報告申上ゲマス、
委員會ハ昨日開會致シマシテ、委員長及副
委員長ヲ選擧政シマシテ、ソレカラ會議ヲ
始メマシタノデゴザイマスソレカラ政府委
員ノ說明ガゴザイマシテ、質問ニ移リマシ
テ、一二ノ質問ガゴザイマシテ、承諾ヲ
與ヘルコトニ致シマシタ、簡單ニ申上ゲマ
スルト、昭和十年度ニ於テハ一般會計第一
豫備金ヨリ六百萬圓、同滿洲事件第一豫備
金ヨリ五百萬圓、特別會計第一豫備金ヨリ
二百五十八萬餘圓、同豫備費ヨリ三百三十
四萬圓、合計一千六百九十二萬餘圓ヲ支出
シタノデゴザイマス、次ニ昭和十一年一月
ヨリ同年三月ニ至ル間ニ於キマシテ、般
會計第二豫備金ヨリ三百九十七萬餘圓、特
別會計第二豫備金ヨリ十二萬餘圓、合計四
百十萬餘圓ヲ支出致シタノデゴザイマス、
右ハ何レモ豫備金或ハ豫備費豫算ノ範圍內
ノ支出デゴザイマスガ、右ノ外昭和十一年
二月一日ヨリ三月三十日ニ至ル間ニ於キマ
シテ、一般會計ニ於キマシテ國庫剩餘金及
公債金ノ繰入ヲ以テ、豫算超過及豫算外ノ
支出ヲ致シマシタ金額ガ一千四十七萬餘圓
デゴザイマス、特別會計ニ於キマシテ其ノ
國庫剩餘金ヲ以テ豫算超過及豫算外ノ支出
ヲ致シマシタ金額ガ五百九十萬餘圓デアリ
マス、次ニ昭和十一年度ニ於キマシテハ四
月ヨリ十二月ノ間ニ於キマシテ、一般會計
第二豫備金ヨリ九百三十九萬餘圓、特別會
計第二豫備金ヨリ二百七十八萬餘圓、合計
一千二百十七萬餘圓ヲ支出致シタノデゴザ
イマス、右ノ外尙特別會計豫備金ニ於キマ
シテモ同期間國庫剩餘金ヲ以テ豫算外支出
ヲ致シタモノガ五百十六萬餘圓デゴザイマ
スト云フコトデゴザイマシテ、質問ニ移リ
マシテ、一委員カラ豫算外支出ト云フコト
ガ殆ド恆例ニナッテ居ルヤウデアルガ、是ハ
甚ダ不都合デハナイカト云フ質問ニ對シマ
シテ、政府委員ハ、收支ノ適合ヲ以テ原則ト
スルノデアリマスルケレドモ、現下ノ事情
ニ於テハ誠ニ巳ムヲ得ナイコトデアリマス
ルカラ、將來尙十分ニ注意シ戒心ヲスルト
云フ御說明デアリマシタ、ソレカラ大シタ
質問デモゴザイマセヌデ、討論ニ移リマシ
テ、別段議論モ出マセヌデ採決ニ移リマシ
テ、採決ノ結果、承諾ヲ與フベキモノトシ
テ可決ニナリマシタノデアリマス、此ノ段
御報〓ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=6
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007・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ採決ヲ致
シマス、十一件ニ對シ委員長ノ報告通リノ承
諾ヲ與フルコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=7
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008・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=8
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009・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十三、船
員法改正法律案、日程第十四、通信事業特
別會計ニ於ケル簡易生命保險及郵便年金ノ
事務ノ取扱ニ要スル經費ニ關スル法律案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委
員長報〓、是等ノ二案ヲ一括シテ議題トス
ルコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=9
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010・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長西〓侯爵
船員法改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十二年八月六日
委員長侯爵西〓從德
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
通信事業特別會計ニ於ケル簡易生命保
險及郵便年金ノ事務ノ取扱ニ要スル經
費ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月五日
委員長侯爵西〓從德
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔侯爵西〓從德君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=10
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011・西郷從徳
○侯爵西〓從德君 船員法改正法律案ノ委
員會ノ經過竝ニ結果ノ御報〓ヲ、極メテ簡單
ニ申上ゲマス、委員會ハ八月四日正副委員
長ノ互選ヲ終リマシテ、引續キ委員會ヲ開
會致シマシタ、船員法改正法律案ハ本邦海
運ノ進步發展及社會情勢ノ著シキ變遷推移
ニ伴ヒ、現行船員法ハ實情ニ卽セザルニ至
リマシタルヲ以テ、船員ノ保護監督ヲ遺憾
ナカラシムルト共ニ、海運ノ健全ナル發展
ヲ期スルガ爲ニ改正ニナル案デゴザイマ
ス、先ヅ遞信大臣ノ說明ヲ伺ヒマシテ質問
ニ移リ、五日ニハ又司法大臣ノ說明ヲ承
リ、六日迄各政府當局ト質疑應答ヲ重ネマ
シタ、本法律ハ商法、刑法ニ關聯スルノミ
ナラズ、船主、船長、高等船員、下級船員
ハ申ス迄モナク、百般ノ船舶關係者ニ關係
ヲ致シマスノデ、委員ト政府トノ間ニハ幾
多ノ見解竝ニ意見ノ相違ガゴザイマシテ、
殆ド次期通常議會ニ再提出シテハ如何ト云
フヤウナ點ニ迄至リマシタ、詳細ハ速記錄
ニ付テ御覽ヲ願ヒマス、幾多質疑應答中最
モ重キヲ致シマシタ點ハ、高等船員ノ刑罰
問題デアリマシテ、假ニ例ヲ擧ゲマスレバ
醫師ノ誤診ト同樣ニ見ルカ、陸上交通其ノ
他ト共ニ交通上ノ責任者卽チ「タクシー」ノ
運轉手ト云フヤウナモノト同樣ニ見ルカト
云フ點デアリマシテ、船長ノ如キハ國家ノ
進運上優遇且尊敬スベキ紳士デアリマシ
テ、其ノ自尊心ヲ傷ツケルト云フコトノ不
可ナルコトハ申ス迄モナク、海員ハ多クハ
多大ノ損害ヲ伴フノミナラズ、時トシテハ
人命ニ關スルコトガアリマスノデ、事ハ直
チニ社會問題トナリ易ク、而モ事實ハ海上
ノ事デゴザイマシテ、判斷ハ陸上ト異ッテ困
難ヲ極ムルノデゴザイマシテ、檢察當局ニ
於テ一步誤レバ寃罪ヲ被ルト云フ虞ガアル
ト云フ點ト、司法當局ハ海上ノ特異性ヲ認
ムル方法竝ニ認識等ニ付テ遺憾アリト云フ
點デゴザイマシク、質問應答ヲ終リマシタ
後討論ニ入リマシテ、一委員ヨリ希望決議
事項ノ申出ガアリマシテ、之ヲ委員會ノ議
ニ付シマシタ處、修正ノ上左ノ通リ決定致
シマシタ
希望決議
一、政府ハ海運ノ重要性ト海上任務ノ特
殊性ニ鑑ミ速ニ現行刑法ヲ改正シ船員
ヲシテ安ジテ其ノ職務ニ從事スルヲ得
セシムルヤウ〓究調査スル事
二、政府ハ船員ノ業務上ノ過失ニ對シテ
ハ海員審判所ノ審判後ニ非ザレバ刑事
訴追ヲ爲サヾル方針ヲ採ル事
三、政府ハ檢察當局ニ對シ船員ノ業務上
ノ過失ニ對シテハ特ニ其ノ取扱ヲ愼重
ニシ輕々處斷スルガ如キ事ナキヤウ訓
令ヲ發スル事
四、政府ハ檢察當局ニ對シ海難ニ際シ船
員ノ喚問取調ヲ爲スニ當リテハ充分ニ
船員ノ任務ヲ理解シ其ノ業務ニ支障ヲ
來サヾルヤウ注意スベキ旨訓令ヲ發ス
ル事
五、水先人ニ對シテモ船員ト同樣ノ取扱
ヲナス事
終リニ採決ニ入リマシテ、右希望決議ヲ付
シテ原案ヲ全會一致可決致シマシタ、次ニ
第二議案デゴザイマス通信事業特別會計ニ
於ケル簡易生命保險及郵便年金ノ事務ノ取
扱ニ要スル經費ニ關スル法律案、右特別委
員會ノ經過竝ニ結果ニ付テ御報〓ヲ致シマ
ス、本案ハ簡單ニ申上ゲマスレバ、內閣恩
賞局ノ恩給年金事務ノ一部ヲ郵便局デ取
扱ッテ居リマスヤウニ、新省ガ出來マシテモ
簡易生命保險及郵便年金ノ事務ヲ郵便局デ
取扱ヒマスノデ、ソレニ要スル經費ニ關ス
ル法律案デゴザイマス、質疑應答モ比較的
短簡デアリマシテ、討論ニ入リマシテ、
委員カラ將來兩省ニ亙ルトモ被保險者ノ利
益ヲ損スルコトナク、又ハ折角今日迄急速
ニ發達進步ノ中途ニアル簡易生命保險及郵
便年金制度ノ益〓發達ヲ圖ルコト、民間ト
ノ摩擦ヲ顧慮シテ寧ロ民間事業ヲ庇護シ、
要スレバ合同ヲ奬勵スル等、經營ノ合理化
等ヲ圖ラレタイトノ希望ヲ述ベラレマシ
タ、其ノ後採決ニ入リマシテ全會一致政府
原案ニ贊成ニ相成リマシタ、報〓ヲ終リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=11
-
012・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ兩案ノ採決ヲ致シマス、兩案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=12
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013・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=13
-
014・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=14
-
015・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=15
-
016・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=16
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017・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=17
-
018・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 兩案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、兩案全部、委員長ノ報告通リ
デ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=18
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019・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=19
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020・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=20
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021・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=21
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022・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=22
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023・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=23
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024・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 兩案ノ第三讀會
ヲ開キマス、兩案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=24
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025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=25
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026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十五、燃
料國策ニ關スル建議案、公爵島津忠重君外
五名發議、會議、書記官ヲシテ案文ヲ朗讀
致サセマス
〔角倉書記官朗讀〕
〔左ノ提出文ハ朗讀ヲ經サルモ參照
ノタメ玆ニ載錄ス)
燃料國策ニ關スル建議案
右貴族院規則第六十九條ニ依リ提出候也
昭和十二年八月六日
發議者
公爵島津忠重伯爵樺山愛輔
男爵安保〓種伊澤多喜男
橋本圭三郞倉知鐵吉
贊成者
公爵一條實孝公爵鷹司信輔
公爵山縣有道公爵島津忠承
公爵岩倉具榮侯爵西〓從德
侯爵四條隆愛侯爵淺野長之
侯爵細川護立侯爵中御門經恭
侯爵佐竹義春侯爵井上三郞
侯爵池田宣政侯爵久我通顯
侯爵小村捷治伯爵川村鐵太郞
伯爵柳原義光伯爵兒玉秀雄
伯爵林博太郞伯爵山田英夫
伯爵溝口直亮伯爵酒井忠克
伯爵後藤一般男爵坂本俊篤
男爵大井成元子爵梅小路定行
子爵靑木信光子爵冷泉爲勇
松浦鎭次郞男爵幣原喜重郞
關屋貞三郞子爵西大路吉光
子爵野村益三子爵井上匡四郞
子爵立見豐丸子爵高倉篤麿
子爵豐岡圭資子爵秋月種英
子爵片桐貞央子爵大河內輝耕
子爵曾我祐邦子爵池田政時
子爵〓岡長言子爵西四辻公堯
子爵松平保男子爵新庄直知
子爵加藤泰通子爵立花種忠
子爵谷儀子爵秋元春朝
子爵松平忠壽子爵米田國臣
子爵松平乘統子爵米津政賢
子爵八條隆正子爵伊東二郞丸
子爵保科正昭子爵西尾忠方
子爵井上勝純子爵岡部長景
子爵富小路隆直子爵裏松友光
子爵秋田重季子爵戶澤正己
子爵岩城隆德子爵三室戸敬光
子爵實吉純郞子爵蒔田廣城
子爵鍋島直繩子爵梅園篤彥
子爵安藤信昭子爵毛利元恒
子爵舟橋〓賢子爵松平康春
子爵土岐章子爵高木正得
子爵大岡忠綱子爵三島通陽
子爵京極高修子爵綾小路護
田中館愛橘渡邊暢
大島健眞野文二
長岡半太郞男爵松井慶四郞
織田萬宇佐美勝夫
小山松吉男爵紀俊秀
小野塚喜平次男爵千田嘉平
小幡西吉有吉忠
男爵千秋季隆小原直
二上兵治男爵東久世秀雄
林賴三郞松村眞一郞
潮惠之輔後藤文夫
若林賚藏平生釟三郞
佐藤鐵太郞內田重成
仁井田益太郞男爵赤松範
男爵今枝直規坂西利八郞
太田政弘塚本〓治
下村宏男爵菊池武夫
男爵福原俊丸結城豊太郞
男爵有地藤三郞男爵淺田良逸
男爵井田磐楠男爵岩倉道倶
男爵今園國貞白根竹介
男爵渡邊汀今井田〓德
堀切善次郞男爵飯田精太郞
黑崎定三大橋八郞
男爵辻太郞男爵高木喜寛
男爵松尾義夫男爵松岡均平
男爵前田勇男爵井上〓純
男爵高崎弓彥男爵中村謙
男爵周布兼道男爵東〓安
男爵近藤滋彌男爵矢吹省三
男爵大森住一男爵北島貴孝
男爵伊藤文吉男爵原田熊雄
男爵沖貞男男爵伊藤郞
男爵足立豐男爵奧田剛郞
男爵關義壽男爵三須精
男爵長基連男爵松平外與麿
男爵松田正之男爵橋元正輝
男爵安場保健男爵渡邊修二
男爵杉渓由言男爵肝付兼英
男爵加藤成之男爵岩村一木
男爵山根健男男爵德川喜翰
男爵深尾隆太郞橋本圭三郞
山岡萬之助三浦新七
遠藤柳作菅原通敬
田所美治有賀光豐
岡田文次八田嘉明
藤沼庄平松村義
丸山鶴吉大塚惟精
松本學加藤政之助
樺山資英土方久徵
小坂順造堀啓次郞
深井英五菊池恭三
瀧川儀作小倉正恒
松本眞平林平四郞
根津嘉一郞上郞〓助
金杉英五郞名取忠愛
橋本辰二郞武井覺太郞
磯村豐太郞三橋彌
金子元三郞山隈康
久米田新太郞油井德藏
仲田傳之〓宇野勇作
細田安兵衞長野忠次
松本勝太郞濱口儀兵衞
岩田宙造田中德兵衞
三木與吉郞大澤德太郞
金成通風間八左衞門
絲原武太郞小野耕
米原章三金岡又左衞門
大和田健三郞岩崎〓行
松岡潤吉氏家〓吉
瀨川彌右衞門
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
燃料國策ニ關スル建議
燃料問題ハ時局ニ鑑ミ國策上一日モ忽ニ
スルコト能ハス政府ハ單リ人造石油事業
ノ奬勵ニ止マラス此際更ニ力ヲ天然資源
ノ開發ニ致シ速ニ確乎タル自給自足ノ燃
料國策ヲ樹立スヘシ
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=26
-
027・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 發議者島津忠重
君ノ登壇ヲ望ミマス、發言ヲ御許シシマス
〔公爵島津忠重君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=27
-
028・島津忠重
○公爵島津忠重君 只今日程ニ上リマシタ
燃料國策ニ關スル建議案ニ付キマシテ、大
體ノ趣旨ヲ申述ベマス、國防上及產業上、
液體燃料ノ供給ヲ確保スルコトハ現下ノ我
ガ國ニ於ケル其ノ需給ノ實情ニ鑑ミマシテ、極
メテ緊要ナル重大事デアリマス、人造石油製
造事業法案ガ旣ニ兩院ヲ通過致シマシテ、
液體燃料ノ產額ハ將來年ト共ニ增加スル傾
向ニアリマスガ、一朝有事ノ際、之ヲ以テ
シテ果シテ自給自足ヲ持シ得ルヤ否ヤ、未
ダ遽カニ十分ノ信賴ヲ置クニ足ラザルノ感ガ
アルノデアリマス、仍テ政府ハ此ノ際急遽、
力ヲ內外ノ天然資源ノ開發ニ致サレ、速カ
ニ確乎タル自給自足ノ燃料國策ヲ樹立セラ
レムコトヲ希望致シマス、卽チ政府ガ積極
的ニ力ヲ此ノ方面ニ致サルルコトハ、今日
ノ場合最モ緊要デアラウト思フノデアリマ
ス、是レ卽チ本建議案ヲ提出スル所以デア
リマス、何卒諸君ノ御贊同ヲ仰ギタク、切
ニ御願スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=28
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029・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ採決ヲ致
シマス、本建議案ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ願
ヒマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=29
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030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 全會一致ト認メ
マス、商工大臣ヨリ發言ノ要求ガゴザイマ
シタ、御許シヲ致シマス
〔國務大臣吉野信次君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=30
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031・吉野信次
○國務大臣(吉野信次君) 只今決議ニ相成
リマシタ建議案ノ御趣旨ニハ、政府ニ於キ
マシテモ全ク同感デゴザイマスカラ、今後
國ノ內外ニ亙リ、石油天然資源ノ開發助成
ニ付キマシテハ、一段ノ努力ヲ致ス考デゴ
ザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=31
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032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ニテ一時休憩
ヲ致シマシテ、体憩後ハ三時半再開ノコト
ニ致シタイト存ジマス、併シ委員會ノ都合
其ノ他ニ於キマシテ、多少時間ノ延ビルコ
トモゴザイマセウガ、其ノ節ニハ揭示及「ラ
ヂオ」ヲ以テ御知セヲ致シマスカラ左樣御承
知ヲ願ヒマス、是ニテ休憩ヲ致シマス
午前十時三十九分休憩
午後四時六分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=32
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033・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔小林書記官朗讀)
本日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案
ハ直ニ裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院ニ
通知セリ
船員法改正法律案
通信事業特別會計ニ於ケル簡易生命保險
及郵便年金ノ事務ノ取扱ニ要スル經費ニ
關スル法律案
本日本院ニ於テ承諾スルコトヲ議決シタル
左ノ政府提出案ハ直ニ之ヲ奏上シ又承諾ス
ルコトヲ議決シタル旨ヲ衆議院ニ通知セリ
昭和十年度第一豫備金支出ノ件
昭和十年度特別會計第一豫備金支出ノ件
昭和十年度特別會計豫備費支出ノ件
昭和十年度滿洲事件第一豫備金支出ノ件
自昭和十一年一月昭和十年度第二豫備金
至同年三月
支出ノ件
自昭和十一年一月昭和十年度豫備金外ニ
至同年三月
於テ豫算超過及豫算外支出ノ件
自昭和十一年一月昭和十年度特別會計第
至同年三月
二豫備金支出ノ件
自昭和十一年一月昭和十年度特別會計豫
至同年三月
備金外ニ於テ豫算超過及豫算外支出ノ件
昭和十一年度第二豫備金支出ノ件
昭和十一年度特別會計第二豫備金支出ノ
件
昭和十一年度特別會計豫備金外ニ於テ豫
算外支出ノ件
本日本院ニ於テ可決シタル左ノ建議ハ文書
ヲ以テ直ニ之ヲ政府ニ呈出セリ
燃料國策ニ關スル建議
本日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
昭和十二年度歲入歲出總豫算追加案第
四號)、昭和十二年度各特別會計歲入歲出
豫算追加案(特第四號)、豫算外國庫ノ負
擔トナルベキ契約ヲ爲スヲ要スル件道
第一號)可決報告書
北支事件特別稅法案可決報〓書
昭和十二年法律第四十九號中改正法律案
可決報〓書
特別會計ニ於ケル北支事件特別稅收入ニ
相當スル金額ヲ一般會計ニ繰入ルルコト
ニ關スル法律案可決報告書
本日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府
提出案ハ同院ニ於テ之ヲ可決シ奏上セル旨
ノ通牒ヲ受領セリ
貿易及關係產業ノ調整ニ關スル法律案
貿易組合法案
工業組合法中改正法律案
百貨店法案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=33
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034・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 休憩前ニ引續キ
會議ヲ開キマス、委員長ヨリ報〓書ノ提
出ガアリマシタ、昭和十二年度歲入歲出總
豫算追加案、第四號及昭和十二年度各特別
會計歲入歲出豫算追加案、特第四號、豫算
外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲スヲ要ス
ルノ件、追第一號、是等ノ三案ヲ此ノ際議
事日程ニ追加シテ、一括シテ議題トナシ、
委員長ノ報〓ヲ煩シタイト存ジマス、御異
議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=34
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035・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長林伯爵
一昭和十二年度歲入歲出總豫算追加案
(第四號)
一昭和十二年度各特別會計歲入歲出豫算
追加案(特第四號)
一豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲
スヲ要スル件(追第一號)
右衆議院ヨリ受領シタル各案ヲ審査シ總
テ衆議院議決案ノ通可決スヘキモノナリ
ト議決セリ依テ及報〓候也
昭和十二年八月七日
委員長伯爵林博太郞
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵林博太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=35
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036・林博太郎
○伯爵林博太郞君 只今上程相成リマシタ
昭和十二年度歲入歲出總豫算追加、第四號、
同各特別會計歲入歲出豫算追加、特第四號、
豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約爲スヲ要
スル件、追第一號ノ、豫算委員會ノ經過竝
ニ結果ヲ御報告致シマス、一、追加第四號ハ
歲入歲出共ニ四億一千九百六十餘萬圓デア
リマス、歲入ノ內譯ハ北支事件特別稅六千
六百五十餘萬圓、特別會計ヨリ北支事件費
財源ノ受入二百八十餘萬圓、北支事件費ノ
財源ニ充ツベキ公債金ノ增加三億千十餘萬
圓北支事件ノ財源ニ充ツベキ借入金三千
六百五十餘萬圓、前年度剩餘金繰入ノ增加
三百四十餘萬圓デアリマス、右ノ內外地會
計カラノ繰入金ハ、一般會計ノ北支事件ニ
關スル財源ニ充テル爲ニ關東局、朝鮮總督
府、臺灣總督府、樺太廳ノ各特別會計ニ於
ケル北支事件特別稅收入濟額カラ、徵稅費
ヲ控除シマシタ殘額ニ相當スル金額ガ計上
サレテアルノデアリマス、北支事件ノ財源
ニ充ツベキ公債金ノ增加ハ全部北支事件公
債ニ依ルノデアリマス、又借入金ハ昭和十
三年度ニ於テ收入トナルベキ北支事件特別
稅及外地特別會計カラノ受入金ヲ以テ返還
セラルベキ一時借入金デアリマス、以上ハ
歲入ノ方面デアリマシタガ、歲出ノ內容ヲ
申シマスト云フト、是モ御承知ノ如ク大部
分北支事件ニ關スルモノデアリマス、北支
ニ關スル其ノ後ノ事態ニ顧ミ經費支出ノ必
要ヲ生ジタ爲デアリマス、外務省ニ於テハ
居留民救護費等ノ增加四百十餘萬圓、陸軍
省ニ於テハ軍隊增派等ニ要スル經費ガ二億
五千七百餘萬圓デアリマス、此ノ二億ナニ
ガシノ中ニハ、主ナモノハ人件費ガ四千七
百三十五萬圓デアリマス、是ハ出征ノ將士、
留守部隊等ノ俸給、旅費、手當等デアリマ
ス、又物件費トシマシテハ二億四百八十六
萬圓計上サレテアリマス、是ハ陣中ノ用
品、糧秣、被服、兵器、馬匹、衞生材料等
ノ費用ガ計上サレテ斯ウナルノデアリマ
ス、海軍省所管ニ於テハ、艦船部隊ノ行動
等ノ經費ガ增加シタノデ九千五百萬圓ガ計
上サレテ居リマス、大藏省所管ニアリマシ
テハ、北支事件第一豫備金ノ增加ガ六千萬
圓北支事件公債發行ニ伴フ利子等ノ增加
ガ三百二十餘萬圓、北支事件特別稅徵收ニ
要スル經費ガ二十餘萬圓、大藏省ノ分ハ、
合セテ六千三百四十餘萬圓ニ相成ッテ居ル
次第デゴザイマス、二、特第四號ニ付テ申
上ゲマス、國債整理基金、公債金、關東局、
通信事業、朝鮮總督府、臺灣總督府、樺太
廳ノ各特別會計ニ屬シテ居ルモノデアリマ
ス、各外地特別會計ニテモ內地同樣ノ稅制
ヲ行ッテ、收入ヨリ徵稅費ヲ控除シタ殘リノ
額ヲ一般會計ニ繰入レテ經費支辨ノ一端ニ
資スルコトトナッタノデアリマス、昭和十二
年度ノ見込額ハ、朝鮮總督府特別會計ニ於
テ、特別稅ノ收入ハ百六十萬九千餘圓デア
リマス、之ニ要スル徴稅費ガ三萬六千圓、
差引繰入金百五十八萬三千餘圓、臺灣總督
府特別會計ニ於キマシテハ、特別稅ノ收入
ガ百九萬九千餘圓、徴稅費ガ三萬四千圓掛
リマシテ、差引繰入ノ額ハ百六萬五千餘圓
トナッテ居リマス、樺太廳ノ特別會計ニ於
テハ、特別稅ノ收入額ガ七萬四千餘圓、徴
稅費ニ六千圓掛リマシテ、差引繰入ノ額ガ
六萬八千餘圓デアリマス、以上ハ拓務省ノ
所管デアリマシテ、總額二百七十一萬七千
餘圓トナッテ居リマス、又關東局特別會計ニ
於キマシテハ、此ノ外ニ北支事件ノ經費ガ
追加サレテアルノデアリマス、卽チ關東局
特別會計デ計上シマシタ額ハ三十二萬餘圓、
此ノ中北支事件費特別稅ノ歲入ガ十七萬餘
圓、徴稅費ニ掛ッタ一萬圓ヲ除キマシテ十六
萬餘圓デアリマス、北支事件ニ關シマシテ
管內ノ治安維持ノ必要上、是ハ地理的ノ關
係デ非常ニ重大ナ必要ガアリマスノデ、十
四萬圓ガ計上サレテアリマス、是ハ警備ヲ
嚴ナラシムル必要ガ特ニアルノデ、警備薄
ノ處ニ於キマシテ警察官增派ノ必要ヲ認メ
マシテ、其ノ處置ヲ講ズル爲ニ必要ナル經
費ガ計上サレテ居ルト云フコトデアリマス、
三、追第一號、北支事件ニ關シマシテ本年
度ニ要スル經費支辨ノ爲、總額三千六百五
十九萬千三百二十一圓ヲ限リ、二箇年以內
ノ期限ヲ以テ借入ヲスルト云フ權能ヲ得ム
トスルモノデアリマス、此ノ借入金ハ昭和
十二年度ニ收入スベキ內地ノ北支事件特別
稅及關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府、樺
太廳ノ各特別會計ニ於ケル北支事件特別稅
ヲ財源トシテ、一般會計ニ繰入ルベキ繰入
金ヲ以テ返償スル計畫トナッテ居ルノデア
リマス、以上三案ノ說明デアリマス、本日
午前十時ヨリ總會ヲ開キマシテ、大藏大臣
始メ關係大臣ノ說明ガアリマシタ後ニ質問
ニ入リマシタ、質問ノ要領ヲ申上ゲマスト、
今囘ノ增稅ハ北支事件費デ、斷ジテ他ノ方
面ノ費用ニ流用スルト云フコトハイケナイ
ト思フガ此ノ點ハドウデアルカ、政府ノ答
辯ニハ、他ノ費用ニ充テル考ハ少シモナイ
ト云フコトデアリマス、又二千六百年記念
博覽會以外ニハ射倖心ヲ釣ルヤウナ方法ハ
今後ハ行ハナイト商工大臣ハ言ハレタガ、
併シ政府ノ一部ニハ、他日飛行機ナドノ問
題ガ起ッタ場合ニハ同様ノ方法ヲ講ジテ宜
イト云フヤウナ御話ガアッタガ、ソレデモ尙
商工大臣ハ前ノ特別委員會ニ於ケル約束ヲ
守ラレルカ、ドウデアルカト云フ質問ニ對
シマシテ、商工大臣ハ特別委員會ニ於テ述
ベタ通リデアリマスト云フ御答デアリマシ
タ、豫算委員外ノ一議員カラ質問ガアリマ
シタ、卽チ防空ニ關スルコトデアリマス、
防護團、防火團等今日適切ナルモノガ出來
テ居ルノハ結構デアルケレドモ、是ニハ色
色ノ種類モアッテ其ノ統制ガ頗ル不備デア
ル、此ノ點ヲ如何ニ見テ居ルカ、又如何ニ
統制ヲシヨウトスルカト云フ質問デアリマ
ス、政府ハ之ニ對シテ、防護團、防火團ト
云フモノト町會トノ關係ハ色々ノコトヲ耳
ニシテ居リマス、當局ニテモ出來ルダケ早
ク統制ガ取レテ、ソレガ徹底スルヤウニス
ルコトニ努メルト云フ考デアルト云フ答辯
ガアリマシタ、他ニ重要ナル質問モアリマ
シタガ、是ハ祕密ノ問答デアリマスカラ此
處ニハ差控ヘマス、是ヨリ討論ニ入リマシ
テ、一委員カラ贊成意見ノ發表ガアリマシ
ク、豫算案ヲ檢討シテ見マスト、大部分ハ
北支事件費デアリマス、而シテ其ノ財源ハ
公債ト增稅トノ兩者併用デアル、併シナガ
ラ是ハ適切ナル編成法デアルト考ヘル、
併シ事件ノ前途如何ニモ見透シガ付カナイ、
其ノ計算ガ明確ナリヤ否ヤ分ラナイノハド
ウモ是ハ已ムヲ得ナイト思フ、局地不擴大
ノ目的ヲ以テ、隱忍ニ隱忍ヲシテ支那ノ反
省ヲ求メツヽアルニモ拘ラズ、中央軍ノ北
上シツヽアルヤウナ噂ヲ聞イテ居ル、其ノ
前途ハ分ラナイ、斷乎不動、東洋ノ平和ノ
爲ニ、正義觀念ニ基キマシテ公債增稅ニ應
ズベキデアル、北支ノ我ガ將士ノ忠勇艱苦
ヲ想ヒ起シマスト云フト、負擔ト云フ如キ
コトヲ口ニスベキ場合デハナイト考ヘル、
軍民融合ノ精神ニ則リ、祖國愛ヲ傾注シテ
邦家ノ爲ニ盡スベキ時デアルト考ヘマス、
仍テ本豫算ニ贊成スルト云フコトヲ言ハレ
タノデアリマス、午前十一時採決ニ入リマ
シテ、全部政府原案通リ可決ニ相成リマシ
ク、右御報〓ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=36
-
037・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ討論ニ入
リマス、前田子爵
〔子爵前田利定君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=37
-
038・前田利定
○子爵前田利定君 只今議題ニ上ッテ居リ
マスル豫算各案ヲ檢討致シテ見マスルト云
フト、其ノ歲出ニ於キマシテハ大部分北支
事件ニ關係ヲ持ッテ居リマスモノデアリマ
ス、之ヲ賄ヒマス財源ハ公債ニ依ルノ外、
一部臨時的增稅ニ之ヲ求メマシテ、之ヲ
併用スル仕組ニナッテ居ルノデアリマス、
現下ノ我ガ財政ノ實勢ニ於キマシテ、誠
ニ妥當ナル編成デアルト思ヒマス、唯
本件ガ前途見据エノ未ダ付カザル今日ニ於
キマシテ、果シテ豫算ノ數量ガ正鵠ヲ得テ
居ルヤ否ヤト云フコトニ付キマシテハ、尙
論議ノ餘地ガアルト思ヒマス、併シ大體ニ
於テ之ヲ認ムルモノデアリマス、北支事件
發生以來、我ガ態度ハ局地解決ヲ目標ト致
サレマシテ、事件不擴大ノ方針ニ終始セラ
V、又之ヲ念願トシテ隱忍自重、彼ノ誤謬
ヲバ正シ、其ノ反省ヲ促シテ居ックノデアリ
マス、之ガ爲ニハ多大ナル勞力ト努力ヲ拂ッ
タノデアリマス、元來日本ガ支那ニ求メル
所ノモノハ、彼ノ領土ニ非ズシテ、東洋平和
確保ノ爲ニ日支兩國ノ眞ノ和親提携ニアル
ノデアリマス、申上ゲル迄モナク東洋永遠
ノ平和ヲ確保致シマスルコトハ、我ガ大日
本帝國ノ重大ノ使命デハアリマスケレドモ、
我ニ隣シ、國シテ居ル所ノ支那ニ於キマシ
テモ、其ノ片棒ヲ荷フベキ筋合デアルト思
ヒマス、東洋ニ位置スル所ノ日支ノ兩國ガ、
東洋平和ノ爲ニ相提携シ和親ヲスルト云フ
コトハ、兩國ニ共通スル所ノ使命デアルト
私ハ信ズルノデアリマス、而シテ此ノ日支
ノ和親提携ト云フコトニ付キマシテハ、我
ガ全國民ヲ通ジマシテ支持シ、一致シテ居
ル所ノ常ニ變ラザル所ノ對支方針デアルト
思ヒマス、彼ノ侮日抗日ヲ高唱致シマシ
テ、我ガ日本ヲ仇敵視シ、我ニ反對的行動
ヲ執ラムトスルガ如キコトハ、彼ノ爲ニ
計ッテ甚ダ吉ナラズ、又其ノコトハ不可能デ
アリマシテ、不正義千萬ナル次第デアリマ
ス、畢竟ズルノニ彼ハ反省自覺ガ、彼ノ迷
妄ノ爲ニソレノ出來ナイコトニ起因スルモ
ノデアラウト思フノデアリマス、サレバ我
ガ皇軍ニ於カレマシテモ、蘆溝橋事件以來、
各地各所ニ於テノ彼ノ不法射撃ヲ受ケ、遂
ニハ天津ノ襲擊トナリ、通州ノ虐殺トナリ
マシタ、佛ノ顏モ三度ト申シマスガ、幾度
トモ知レナイ彼ノ不信行爲ニ對シマシテ
ハ、堪忍ノ袋ノ〓ヲ切リマシテ、我ガ皇軍
ハ猛然トシテ正義膺懲ノ擧ニ出デ、火蓋ヲ
切ッテ放タレタノデアリマス、幾日ヲ待タズ
シテ當面ノ敵ヲ撃攘シマシテ、平津一帶ノ
方面ヲ鎭定致サレマシタ、併シナガラ徒ラ
ニ戰捷ノ餘威ヲ驅ッテ軍ヲ長驅セシメズ、僅
カナル部隊ヲ長辛店方面ニ止メテ、其ノ他
ノ兵ハ多ク之ヲ收メ、殘敵ヲ掃攘シ、平津
ノ治安維持ニ留意ヲサレマシテ、尙且徐ロ
ニ彼ノ反省自覺ノ日ノ來ルノヲ待ッテ居ラ
レルノデアリマス、恰モ慈母ガ、不孝ノ子
供ガ一日モ早ク悔悟シテ溫キ母ノ膝ノ下ニ
來ラムコトヲ待ツ如キ熊度デアリマス、彼
ノ通州ノ虐殺ノ如キ、鬼畜ニ等シキ暴虐無
道ナル彼ノ保安隊ニ對シテモ、我ガ皇軍ハ
單ニ其ノ武器ヲ取上ゲタニ止リマシテ、ソ
レ等ノ兵士ニ對シマシテ一ツノ面打ヲモ加
ヘザル如キ、我ガ皇軍ノ正義ニ立脚シ、實
ニ仁義ノ軍トモ申スベキ、佛陀ノ慈愛ヲ含
ンデ居ルモノト私ハ思フノデアリマス、然
ルニ彼ハ如何デアリマセウカ、事件以來不
信ト不法ノ行爲ヲ連續シマシテ、今日尙和
平和解ハ絕對ニ不可ナリト强調ヲシテ居リ
マシテ、二十九軍ノ殘敵ノ集結ヲ急ギ、中
央軍ヲ續々トシテ北上ノ途ニ著カシメテア
ルノデアリマス、我レ戰ヲ挑ムニ非ズ、我
レ戰ヲ好ムニ非ザレドモ、彼ノ出樣如何ニ
依リマシテハ兩國ノ間ニ如何ナル關係ガ惹
起サレマスカ、今日測リ知レナイノデアリ
やく、我々國民ハ更ニ〓〓重大ナル決意ト
覺悟ヲ促スコトノ已ムヲ得ナイ場合ニ立到
ルモ保セラレナイノデアリマス、然レドモ
我ニ於キマシテハ斷乎トシテ不動ノ決意ヲ
持チ、東洋永遠ノ平和ヲ確保スルニ付キマ
シテハ、已ムニ已マレナイ場合ニ於キマシ
テハ、彌陀ノ利劍ヲ振翳シマシテ彼ノ頭ニ
加ヘ、抗日侮日ノ勢力ヲ粉碎シ、彼ノ迷妄
ヲ一掃致シマシテ、東洋ノ安定ハ眞ニ日支
兩國ノ和親提携ニ依ッテ初メテ美シキ果實
ヲ得ラレルモノデアルト云フコトヲ、如實
ニ示ス場合ガナイトモ申サレヌト思フノデ
アリマス、今囘ノ豫算案ハ此ノ國民的正義觀
念ガ溢レル程ニ盛ッテアルノデアリマス、其
ノ財源ノ一部ヲ現代國民ガ負擔致シマスト
云フコトハ、北支ノ野ニ我ガ忠勇ナル將兵
ガ、力戰苦鬪ヲ致シテ居リマスコトニ相俟
チマシテ、我々共ガ愛國ノ精神ノ一端ヲ披
瀝致シマスト云フコトハ、玆ニ擧國一致、
軍民融合ノ實ヲ擧グル一ツデアラウト思ヒ
マス、銃後ニ於ケル我々國民ハ、目下炎熱
灼クガ如キ北支ノ荒野ニ熱砂ヲ踏ミ、炎天
下ニ奔馳シテ君國ノ爲ニ死生ノ巷ニ出入シ
テ居リマスル我ガ忠勇ノ將士ノ上ヲ思ヒ浮
ベマシタナラバ、斯樣ナル負擔ノ上ニ付キ
マシテ彼此申スコトニハ當ラヌト思フノデ
アリマス、我々共ハ銃後ノ國民ト致シマシ
テ、國防獻金ヲ致スト同樣ノ氣持ヲ以チマ
シテ、此ノ負擔ヲ敢テスルト云フコトハ、
所謂我ガ祖國タル日本、此ノ日本ニ對スル
祖國愛ノ一齊射擊ノ外ニナイト思フノデア
リマス、此ノ意味ヲ以チマシテ私ハ豫算各
案ニ對シマシテ、之ヲ贊成ヲスル者ノ一人
デアリマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=38
-
039・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ニテ討論ヲ終
リマス、是ヨリ採決ヲ致シマス、三案全部
ヲ問題ニ供シマス、原案ニ同意ノ諸君ノ起
立ヲ願ヒマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=39
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040・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 全會一致デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=40
-
041・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 委員長ヨリ報〓
ノ提出ガアリマシタ、北支事件特別稅法案、
昭和十二年法律第四十九號中改正法律案及
特別會計ニ於ケル北支事件特別稅收入ニ相
當スル金額ヲ一般會計ニ繰入ルルコトニ關
スル法律案、以上三案ヲ此ノ際議事日程ニ
追加シ、一括シテ議題トナスコトニ御異議
ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=41
-
042・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 委員長ノ報告ヲ
煩シマス、酒井忠正君
北支事件特別稅法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十二年八月七日
委員長伯爵酒井忠正
貴族院議長伯爵松平頼壽殿
昭和十二年法律第四十九號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十二年八月七日
委員長伯爵酒井忠正
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
特別會計ニ於ケル北支事件特別稅收入
ニ相當スル金額ヲ一般會計ニ繰入ルル
コトニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十二年八月七日
委員長伯爵酒井忠正
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵酒井忠正君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=42
-
043・酒井忠正
○伯爵酒井忠正君 只今上程致サレマシタ
三案ニ付キマシテ、其ノ特別委員會ノ經過
竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、委員會ハ昨
日開キマシテ、正副委員長ノ選擧ニ引續キ
マシテ、大藏大臣ヨリ案ノ內容ノ說明ヲ聽
取致シタノデアリマス、本日更ニ開キマシ
テ質問應答ヲ重ネタノデアリマス、北支事
件特別稅法案ハ北支事件費ノ一部ニ充テル
爲ニ、所得稅竝ニ臨時利得稅ノ增徵ヲ爲ス
ト共ニ、比較的高率ノ配當金又ハ高利率ノ公
社債ノ利子ニ對シマシテ特別稅ヲ課スルト
共ニ、數種目ノ特殊物品ニ對シテ、特殊物
品消費稅ヲ課セムトスルモノデアリマス、
其ノ歲入ハ昭和十二年度竝ニ昭和十三年度
ヲ合シマシテ一億百餘萬圓デアリマシテ、
尙關東州、朝鮮、臺灣、樺太ニ於キマシテ
モ同趣旨ノ課稅ヲ爲サムトスルモノデアリ
マス、外二法案モ亦北支事件費財源ニ關ス
ルモノデアリマス、委員會ニ於キマシテハ、
極メテ熱心ナ質問ガ行ハレマシタ、其ノ主
ナルモノノ要點ト、之ニ對シマスル政府ノ
應答ノ内容ヲ申上ゲタイト存ジマス、先ヅ
北支事件特別稅法案ノ立法ノ理由ニ關スル
質問ニ對シマシテハ、政府ハ今囘ノ北支事
件費ハ勿論財政上ノ必要ヨリ出デシコトデ
アルガ、一面時局ニ對スル認識ノ上ヨリモ、
一部ハ之ヲ現代ノ國民ノ負擔ニ求メルノヲ
適當ト認メテ、此ノ程度ノ特別稅ヲ課スル
コトトシタト云フ答デアリマス、次ニ事件
ガ長引イタ時ハ、此ノ一時的課稅ヲ更ニ繼
續スル考カト云フ質問ニ對シマシテ、政府
ハ今囘提出致シク特別稅ハ全ク一時的ニ設
ケタモノデアル、是ハ事件不擴大ノ方針ノ
下ニ立案シタモノデアルガ、萬一事件ガ支
那ノ出樣ニ依ッテ更ニ擴大致スト云フヤウ
ナコトガアッタナラバ、其ノ際適當ノ措置ヲ
講ズルト云フ答デアリマシタ、尙增稅ハ國
民ノ負擔ノ均衡ヲ圖ル所ノ稅制整理ヲ整ヘ
タ上デ以テ行フノヲ本則ト考ヘルガ、此ノ
點ニ關スル政府ノ所見ヲ質シマシタノニ對
シマシテ、本特別稅ハ一時的ノモノデアル
カラ、現行稅法ノ上ニ大體ノ基本ヲ置イタ
ノデアルケレドモ、此ノ增稅ハ稅制整理ト
ハ全ク別個ノモノトシテ、切離シテヤル考
デアルノデ、國民負擔ノ均衡ノ問題ハ、將
來中央、地方ヲ通ジテ稅制整理ノ際ニ、愼
重考慮致シタイト云フ答デアリマシタ、其
ノ他增稅ハ物價ニ影響ヲ及スト思フガ、物
價騰貴ノ傾向ニアル今日、增稅スル結果ニ付テ
政府ハ如何ニ考ヘテ居ルカト云フ質問ニ對シ
マシテハ、今囘ノ課稅ガ直接影響ヲ及スベキ
特殊物品消費稅ハ、其ノ課稅種目ガ特殊物品
ニ限定シテアルカラシテ、物價ニ及ス影響ハ
少イト考ヘルト云フコトデアリマシタ、又高
利公債借換ノ意思ハナイカト云フ質問ニ對シ
マシテ、此ノ問題ニ付テハ愼重調査ノ上、將
來善處ヲシタイト云フ答デアリマシタ、尙特
殊物品消費稅ヲ課スル理由並ニ特殊物品ノ
內容ニ付テノ質問、公債消化ノ問題等ニ付
テ、質問應答ガ行ハレタノデアリマス、質
問ヲ終了致シマシテ討論ニ移ッタノデアリ
マスルガ、其ノ際委員ヨリソレ/〓贊成ノ
意見ガ開陳サレタノデアリマスガ、其ノ中
ニ述ベラレマシタ希望ヲ總括シテ申上ゲタ
イト思ヒマス、今囘ノ增稅ハ以前ニ三億ノ大
增稅ヲナシ、其ノ上ニ更ニ一億圓ヲ盛ルト
云フコトハ、稅制ノ上カラ論ズレバ良イヤ
リ方トハ申セナイ、併シ此ノ度ノ經費ハ絕對
的ノモノデアル財政上巳ムヲ得ザルモノト
言ハナケレバナラナイ、政府ハ其ノ施行ニ
當ッテ十分ニ注意ヲナスコトハ勿論デアル
ガ、又一面ニ於テ負擔不均衡ヲ是正スルノ
根本的稅制ヲ樹立致シテ速カニ議會ニ其ノ
案ヲ提出サレタイ、又此ノ度ノ事件ニ付テ
旣ニ五億以上ノ經費ヲ要シテ居ルコトヲ見
テモ、國家財政經濟上重大ナ秋デアル、國民
モ之ニ對シテ重大ナル覺悟ヲ以テ當ルベキ
デアルト共ニ、又政府ニ於テモ此ノ度ノ增稅
ヲ、國民ノ愛國ノ精神ニ重キヲ置ク趣旨ヲ
明カニシテ、其ノ徵稅方法等ニ付テモ留意サ
レタイ、又此ノ度ノ增稅ハ全ク一時的ノモ
ノデアルコトヲ明カニシテ、又其ノ財源ヲ
最モ效果的ニ用ヒラレタイ、更ニ財政ノ膨
脹ガ物價ニ影響ヲ及スモノデアルカラシ
テ、政府ハ國民生活ノ安定ニ一層留意セラ
レタイト云フヤウナ希望ノ意見モ述ベラレ
タノデアリマス、次イデ討論ヲ終リマシテ
採決ニ移リマシタ處、三案共全會一致ヲ以
テ原案通リ可決致サレタノデアリマス、右
御報告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=43
-
044・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ三案ノ採決ヲ致シマス、三案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=44
-
045・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=45
-
046・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=46
-
047・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=47
-
048・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=48
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049・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=49
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050・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 三案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ナケレバ全部ヲ問題ニ
供シマス、三案全部、委員長ノ報告通リデ
御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=50
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051・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=51
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052・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=52
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053・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=53
-
054・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=54
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055・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=55
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056・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 三案ノ第三讀會
ヲ開キマス、三案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=56
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057・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=57
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058・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報告ヲ致サセマ
ス
〔石橋書記官朗讀〕
本日衆議院ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
恩給法中改正法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=58
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059・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 只今衆議院ヨリ
提出ヲ受ケマシタ恩給法中改正法律案ヲ、
此ノ際議事日程ニ追加シ、第一讀會ヲ開ク
コトニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=59
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060・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス
恩給法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和十二年八月七日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
恩給法中左ノ通改正ス
第二條第一項中「傷病賜金、」及同條第二
項中「、傷病賜金」ヲ削ル
第四十六條ニ左ノ二項ヲ加フ
軍人公務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹
リ失格原因ナク且恩給ヲ受ケスシテ退
職シタル後其ノ程度增進シタルトキハ
新ニ普通恩給及增加恩給ヲ給ス但シ重
大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
定ム
第二號表
傷
病
原
因
甲
號
乙
號
備
階
症狀等差
務公キヘス準ニ鬪戰ハ又鬪戰
普
通
公
務
前項ノ傷病ノ程度ハ勅令ヲ以テ之ヲ
第四十六條ノ二第一項中「公務員公務ノ
爲」ヲ「公務員(下士官以下ノ軍人ヲ除ク)
公務ノ爲」ニ、「又ハ其ノ公務員カ下士官
以下ノ軍人ニシテ退職後一年內ニ」ヲ「又
等
特別項
第一項
第二項
第三項
第四項
第五項
第六項
第七項
第八項
第九項
第十項
特別項
第一項
第二項
第三項
第四項
第五項
第六項
第七項
第八項
第九項
第十項
考
退職後」ニ改ム
第六十六條
親任奏任
勅任三等乃至五等六等乃至九等
勅任待遇奏任待遇
將官佐官尉官
円円円
二、四〇〇一、八〇〇一、二〇〇
二、〇〇〇五〇〇〇〇〇
一六〇〇一、二〇〇八〇〇
一、二八〇九六〇六四〇
:.七五〇五〇〇
八〇〇六〇〇四〇〇
六四〇四八〇三二〇
310 つ三九〇二六〇
四一〇三一〇二一〇
三二〇二四〇一七〇
円円円
一、九二〇一、四四〇九六〇
、六〇〇一、二〇〇八〇〇
一、二八〇九六〇六四〇
〇二四七六八五一二
八〇〇六〇〇四〇〇
六四〇四八〇三二〇
五二〇三九〇二六〇
四一〇三一〇三O
三二〇二四〇L·b.
二六〇二〇〇一 〇 〇
特別項ハ各號第一項ノ金額ニ其ノ十分ノ五以內ヲ加ヘタルモノトス
ハ下士官以下ノ軍人公務ノ爲傷痍ヲ受ケ
又ハ疾病ニ罹リ別ニ勅令ノ定ムル程度ニ
達シ失格原因ナクシテ之カ爲退職シ又ハ
削除
別表第二號表ヲ左ノ如ク改ム
判任
一等二等三等四等
判任待遇
准士官下士兵
円円円
一、〇八〇九九〇九〇〇
九〇〇八二五七五〇
七二〇六六〇六〇〇
五七六五二八四八〇
四五〇四一三三七五
三六〇三三〇三〇〇
二九〇二六〇二四〇
二三〇三0二〇〇
一 〇一七〇一七〇
一心 C一四〇二二〇
円円円
八六四七九二七二〇
七二〇六六〇六〇〇
五七六五二八四八〇
四六一四二三三八四
三六〇三三〇三〇〇
二八八二六四二四〇
二三〇二一〇二〇〇
一八〇一七〇一七〇.
一五〇1 n.一三〇
一二〇一一〇一〇〇
別表第三號表ヲ左ノ如ク改ム
第三號表
親任奏
階
傷勅任三等乃至五等
病症等勅任待遇奏
原狀等差
因將官佐
円
第一款三五〇三〇〇
甲戰鬪
又ハ第二款三三〇二八〇
戰鬪第三款三一〇二六〇
羅
スヘ第四款二九〇二四〇
號キ公第五款二七〇二二〇
務
第六款二五〇二〇〇
円
第一款三二〇二八
乙普
第二款三〇〇二六〇
通第三款二八〇二四〇
公第四款二六〇二二〇
號第五款二四〇二〇〇
務
第六款二二〇一八〇
別表第四號表ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
軍人ニシテ從前ノ規定ニ依ル賑恤金、傷
病賜金、傷病年金又ハ之ニ準スヘキモノ
ヲ受ケタル者ニ對シテハ再診ヲ要セスシ
テ本法施行ノ翌日ヨリ普通恩給及增加恩
給ヲ給ス
前項ノ普通恩給及增加恩給ノ年額ニ付テ
ハ第四十六條ノ規定ニ依ル普通恩給增加
恩給ノ年額ニ關スル規定ヲ準用ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=60
-
061・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モゴ
ザイマセヌケレバ、本案ハ之ヲ大正十二年
任判任
六等乃至九等一等二等三等四等
任待遇判任待遇
官尉官准士官下士兵
円円円円円
二六〇二四〇二二〇二〇
二四〇二二〇二〇〇一八〇
二二〇二〇〇一八〇一七〇
二〇〇一八〇一七〇i m. .
一八〇一七〇1.0.一二〇
一七〇T-10,一二〇一〇〇
円円円円円
○二四〇二二〇二〇0一一六O
二二〇二〇〇一七〇四O
一八〇一八〇一四〇一二〇
一六〇一六〇一二〇一〇
一二〇一二〇一〇〇八〇
一〇·一〇〇八〇六〇
法律第五十二號中改正法律案ノ外一件特別
委員ニ付託ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=61
-
062・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十六ヨリ
日程第三十マデノ請願、會議
意見書案
函館本線余市驛、積丹郡余別村間ニ鐵
道敷設ノ件
北海道余市郡余市町大字黑川町十一
番地農東秀夫外千三百三十一名呈出
右ノ請願ハ北海道積丹半島ノ沿岸ハ沖合
漁業ノ根據地多ク交通機關ノ所要切ナル
ニ依リ函館本線余市驛ヨリ古平郡古平
町、美國郡美國町及積丹郡入舸村ヲ經テ同
郡余別村ニ至ル鐵道ヲ速ニ敷設シ以テ地
方產業ノ振興ニ資セラレタシトノ旨趣ニ
シテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモ
ノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依
リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
小樽港鐵道省理立地内ニ漁船揚場設置
ノ件
北海道小樽市若竹町十三番地漁業渡
邊金作外百七名呈出
右ノ請願ハ北海道小樽市ノ海岸一帶ハ產
業ノ發展ニ伴ヒ逐次埋立テラレ昔時ヨリ
漁業者ノ船揚場竝漁獲物處理場トシテ使
用シ來リタル海濱地ハ次第ニ岸壁トナリ
就中鐵道省ノ施行ニ係ル埋立ハ船入澗ニ
二箇所ヲモ含ム廣範圍ノ地域ニ亙リ爲ニ
漁船竝人命ノ損傷頻出シテ斯業者ノ生活
ヲ脅威スルコト甚大ナルニ依リ鐵道省埋
立地内適當ノ地點ニ漁船八十隻ヲ陸揚シ
得ル程度ノ船揚場ヲ速ニ設置セラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採
擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
橫莊鐵道買收ニ關スル件
秋田縣平鹿郡横手町新町四番地公吏
瀧澤敏夫外百四十二名呈出
右ノ請願ハ秋田縣平鹿郡橫手町ヨリ同縣
由利郡本莊町ニ至ル私設横莊鐵道ノ完通
ハ橫黑線竝ニ釜石線ト相俟テ表裏日本ヲ
連絡シ運輸交通上緊要ナルニ拘ラス同鐵
道ノ買收ハ單ニ本莊、前〓間ノ西線ニ限
ラル斯クテハ老方、前〓間ノ未成區間存
スルノミナラス東線ニ屬スル社線ノ運賃
高率ニシテ運輸設備亦不良ナル爲不利不
便尠カラサルニ依リ速ニ旣成社線ハ之ヲ
國有ニ移スト共ニ未成區間ノ敷設ヲ圖リ
以テ東北地方ノ振興ニ資セラレタシトノ
旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇ス
ヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五
條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
公社債證書ニ紀元年數記載ノ件
愛媛縣松山市湊町四丁目三十一番地
會社員大野悌呈出
右ノ請願ハ從來國債、地方債、社債等ノ
發行ニ際シテハ何レモ其ノ發行年ト支拂
年トヲ同一元號ト爲セルタメ取扱上尠カ
ラサル不便アルハ洵ニ遺憾ナルニ依リ紀
元二千六百年ノ紀元節ヲ期シ以後之等公
社債ノ發行ニ當リテハ上記元號ノ外ニ紀
元年數ヲ併記セシメ其ノ取扱上ノ簡明ヲ
圖ルト共ニ國體觀念ノ把握、國民精神ノ
强化ニモ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴
族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議
決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册
及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
靜岡縣小笠、榛原ノ兩郡南部ニ酒精工
場設置ノ件
靜岡縣小笠郡池新田村長本間清一外
十八名呈出
右ノ請願ハ靜岡縣小笠郡、榛原郡ノ南部
地方ハ東ハ駿河灣ニ、西ハ遠州灘ニ面ス
ル半島地形ニシテ氣候溫暖ナル爲各種農
產物ノ生產ニ富ミ殊ニ甘藷ノ栽培ニ適シ
將來益有望ナルノミナラス土地價格亦低
廉ニシテ好適ノ工場地ナルニ依リ同地方
ノ內適當ノ箇所ニ酒精製造國營工場ヲ設
置シ以テ地方農家經濟ノ發展ニ資セラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體
ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
アンゴラ兎飼養奬勵ニ關スル件
神奈川縣高座郡大和村下鶴間四千二
百八十四番地著述業鷲澤與四二外五
名呈出
右ノ請願ハアンゴラ兎ノ飼養產毛業ハ農
山漁村ノ副業トシテ經濟更生上重要ナル
役割ヲ爲スノミナラス延テハ毛織物原料
資源ノ補充ニ貢獻シツツアル新興事業ナ
リ仍テ之カ振興奬勵ノ爲國立種兎場或ハ
試驗場ヲ速ニ設置シ兎ノ系統種類ノ改良、
飼料成分、病氣竝之カ治療法等ノ〓究ヲ
爲サシムルト共ニ成助金交付制度ヲモ設
ケ資金ノ圓滑ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシ
テ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノ
ト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ
別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
豫定線釜石、盛間鐵道速成ノ件
岩手縣釜石市大字釜石第三地割七十
七番地公吏小野寺有一外五百三名呈
出
右ノ請願ハ豫定線釜石、盛間鐵道ヲ敷設
スルハ山田線、釜石線ノ開通ト相俟テ東
北本線ト岩手縣東部沿岸地方ヲ連絡シ諸
線ノ機能ヲ全カラシムルニ依リ該鐵道ヲ
建設線ニ編入シ速ニ工事ニ著手セラレタ
シトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ
採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
釜石港ニ防浪建築築造ノ件
岩手縣釜石市大字釜石第三地割七十
七番地公吏小野寺有一外二百三十三
名呈出
右ノ請願ハ岩手縣沿岸ニ於ケル津波ノ慘
害ハ古來周期的ニ繰返ヘサレ就中太平洋
岸ニ於ケル產業經濟ノ主動地タル釜石市
ハ常ニ之カ中心地トシテ被ル損害多大ナ
ルヲ以テ其ノ防止施設トシテ防浪建築ヲ
海岸市街地要部一帶ニ計畫中ナルモ同市
獨力ニテハ實現不可能ナルヲ以テ速ニ同
建築築造ノ助成ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニ
シテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモ
ノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依
リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
雪國地方土地賃貸價格査調ニ關スル件
秋田縣鹿角郡小坂町小坂五番地農木
村甚太郞外三萬七千二百八十九名呈
出
右ノ請願ハ雪國地方ハ他地方ニ比シ自然
竝文化ノ恩澤ニ浴スルコト薄ク近時打續
ク災害ノ爲農民ノ疲弊困憊其ノ極ニ達セ
リ仍テ政府ハ雪國地方ノ土地賃貸價格ノ
調査ニ當リテハ十分ニ特殊事情精査ノ上
全國畫一ノ方法ヨリ分離シテ適切ナル對
策ヲ講セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致
候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
革類關稅改訂ニ關スル件
大阪市東區本町五丁目株式會社由良
商店取締役社長由良小一郞外二名呈
出
右ノ請願ハ曩ニ革類ノ關稅定率ニ關シ一
部製革業者ヨリ國產品保護ヲ理由トシテ
高率ナル引上運動アリタルモ輸入防遏ハ
單ニ關稅ノ高低ノミニ依存スルモノニ非
ス之カ關稅引上ハ却テ内ニハ軍需品竝日
用必需品ノ物價騰貴ヲ招來シ外ニハ報復
關稅ヲ誘致シ斯業ノ海外發展ヲ阻害スル
コト多大ナルニ依リ革類關稅ハ現狀ヲ維
持セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ
議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
吳線安藝阿賀、藝備鐵道志和口ノ兩驛
間鐵道敷設ノ件
廣島縣吳市長水野甚次郞外十八名呈
出
右ノ請願ハ吳線安藝阿賀驛ヨリ山陽本線
西條驛ヲ經テ藝備鐵道志和口驛ニ至ル鐵
道ヲ敷設スルハ沿線地方ノ產業上資スル
所大ナルノミナラス藝備竝山陰山陽兩道
間ノ捷路ト爲リ且藝豫連絡ノ要津ナル阿
賀港ノ修築完成ト相俟テ益運輸交通上及
軍事上須要ナルニ依リ速ニ實現セラレタ
シトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ
採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
船員法ノ適用ヲ受ケサル船員ニ對スル
法令制定ノ件
名古屋市南區熱田新田字根走九十九
番地平民稻垣諭治郞呈出
右ノ請願ハ船員法ノ適用ナキ平水區域ノ
船舶ノ船員竝總噸數二十噸未滿ノ船舶
ノ船員其ノ他ハ近ク制定實施セラレムト
スル船員保險法ノ適用ナキノミナラス陸
上勞働者ニ適用アル勞働者災害扶助法、
退職積立金及退職手當法、健康保險法、
工場法、最低年齡法等社會立法ノ恩惠ニ
モ浴セス悲境ニアル者尠カラサルハ甚遺
憾ナルニ依リ速ニ港灣等ニ於テ之等船員
ヲ保護監督スルノ法令ヲ制定實施セラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體
ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
燒津漁港修築ノ件
靜岡縣志太郡燒津町長長島忠太郞呈
出
右ノ請願ハ靜岡縣志太郡燒津港ハ本邦樞
要ノ遠洋漁業地ナルニ拘ラス未激浪ヲ遮
蔽スル一筋ノ防波堤スラナク多數漁船ハ
灣形ナキ海面ニ假泊スルノ情態ニアリ爲
ニ海陸ノ連絡不完全ニシテ魚類ノ鮮度ヲ
傷ツクルノミナラス大型漁船ハ他港ニ走
リテ其ノ漁獲物ヲ處理スルノ傾向アルハ
同地方水產業ノ進展上遺憾ナルニ依リ昭
和十三年度ヨリ燒津漁港ノ修築ニ著手セ
ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ
大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
因美線津山、片上鐵道柵原ノ兩驛間鐵
道敷設ノ件
岡山縣津山市長代理助役守安重太外
五十四名呈出
右ノ請願ハ因美線津山、片上鐵道柵原ノ
兩驛間ニ鐵道ヲ敷設スルハ內海屈指ノ良港
片上港ト鳥取市トヲ結フ捷徑トナリ津山
市ヲ中心トスル美作一圓竝鳥取縣東部ニ
於ケル豐富ナル物資ヲ內海方面ニ輸送シ
且之等地方ニ於テ消費スル魚類、石炭、
鐵材、木材、肥料等ヲ運搬シ產業、軍事
竝觀光上資スル所大ナルニ依リ速ニ之カ
實現ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致
候因テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及送
付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
函館本線南小樽驛改築ノ件
北海道小樽市富岡町三丁目二十三番
地商金子元三郞外二名呈出
右ノ請願ハ函館本線南小樽驛ハ小樽市ニ
於ケル旅客運輸ノ關門タル重要地位ヲ占
メ之カ改築ヲ所望スルコト切ナルニ拘ラ
ス同驛ハ明治十三年ノ建築ニ係リ待合室
ノ狹小、改集札所ノ不便、驛前廣場ノ皆
無等其ノ施設狹隘ヲ極メ之カ利用上不利
不便尠カラサルハ甚遺憾ナルニ依リ速ニ
適切ナル改築計畫ヲ樹立實施セラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採
擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=62
-
063・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是等ノ請願ハ、
請願委員長ノ報告通リ採擇スルコトニ御異
議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=63
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064・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=64
-
065・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本日ノ議事ハ是
ニテ全部終了致シマシタ、本日ハ是ニテ散
會致シマス
午後四時四十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X01119370807&spkNum=65
4. 会議録のPDFを表示
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