第71回帝国議会　衆議院　貿易及び関係産業の調整に関する法律案外二件委員会　第3号　昭和12年8月5日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  付託議案
  　貿易及關係産業の調整に關する法律案（政府提出、貴族院送付）
  　貿易組合法案（政府提出、貴族院送付）
  　工業組合法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）
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  　　　　會議
  昭和十二年八月五日（木曜日）午前十時二十五分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　増田義一君
  　　　理事　寺島權藏君　理事　行吉角治君
  　　　理事　中村梅吉君　理事　川崎巳之太郎君
  　　　　　　飯塚春太郎君　津原武君
  　　　　　　原玉重君　渡邊玉三郎君
  　　　　　　木村淺七君　西村金三郎君
  　　　　　　川副隆君　江羅直三郎君
  　　　　　　中田儀直君　田中源三郎君
  　　　　　　吉植庄亮君　倉元要一君
  　　　　　　松浦伊平君　曾和義弌君
  　　　　　　坂田道男君　高岡大輔君
  　　　　　　北勝太郎君　坂本宗太郎君
  　　　　　　加藤鐐造君　井上良次君
  　　　　　　三田村武夫君
  　出席國務大臣左の如し
  　　　　　　　　商工大臣　吉野信次君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　外務省通商局長　松嶋鹿夫君
  　　　　　　　外務事務官　山形清君
  　　　　　　商工政務次官　木暮武太夫君
  　　　　　商工省工務局長　小島新一君
  　　　　　商工省統制局長　黒田鴻五君
  　　　　　　　貿易局長官　寺尾進君
  　　　　　拓務省殖産局長　植場鐵三君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　貿易及關係産業の調整に關する法律案（政府提出、貴族院送付）
  　貿易組合法案（政府提出、貴族院送付）
  　工業組合法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）

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• 001・増田義一

  ○增田委員長　是ヨリ貿易及關係產業ノ調
  整ニ關スル法律案外二件ノ委員會ヲ開キマ
  ス-御承知ノヤウニ會期モ明後日限リト
  云フコトデ、愈〓時間ガ乏シイノデアリマシ
  テ、只今理事諸君トモ御相談シテ質問應答
  ノ時間ヲ制限致シタイ、ト申シマスノハ十
  二名質疑者ガアリマシテ、是ガ一人三十分
  間ヅツトシテ六時間掛ル譯デアリマス、ソレ
  デ成ベク質疑應答ノ時間ヲ一人三十分ニ限
  定シテ、質疑ノ重複ヲ避ケルヤウニ致シタ
  イト思ヒマス、ドウゾ其意味デ御質問願ヒ
  タイト思ヒマス、尙ホ本日中ニ質疑ヲ終了
  シテ、明日午前中ニ討論ニ移リタイト云フ
  考デアリマスカラ、是亦御含ミ置キヲ願ヒ
  タイト思ヒマス-田中源三郞君

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• 002・田中源三郎

  ○田中委員　最初ニ政府ハ下半期ノ貿易ノ
  「バランス」ヲドウ云フヤウニ見テ居ラレル
  カ、其見透シヲ伺ヒタイト思ヒマス

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• 003・寺尾進

  ○寺尾政府委員　御質問ノ趣旨ガ一體入超
  ハ幾ラニナルカ、何トカ言ヘト云フ御趣意デ
  アリマスト、其點ハ一寸私カラ申上ゲ兼ネマス

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• 004・田中源三郎

  ○田中委員　只今ノ長官ノ御答デアルト、
  下半期ノ貿易ノ輸出入ノ「バランス」ノ見透
  シニ付テハ答ヘ兼ネルト云フコトデアリマ
  スガ、過日來大藏大臣ハ一億圓位ノ出超ニ
  ナルダラウト云フコトヲ本會議デ述ベテ居
  ラレマス、又豫算委員會等ニ於テモ屢〓斯ウ
  云フヤウナ意見ガ出テ居ル、大體貿易局長
  官ノ方ニ於カレテモ此見透シヲ御考ニナル
  ト云フコトハ、此法案ノ上カラ考ヘテモ非
  常ニ重要ナ點デハアルマイカ、答ヘ兼ネル
  ト仰シヤルナラバ、强ヒテ尋ネル譯ニモ行
  カナイ、答ヘテ戴クコトモ出來ナイノデア
  リマスガ、過日來ノ本會議ニ於キマシテモ、
  貿易收支ノ均衡上本年度ハ現在ノ正貨現送
  ノ上ニ於テモ、日銀等ノ手持ノ關係カラ左
  樣ナ心配スル程度デモナイガ、來年度カラ
  ハ產金ノ限度ニ之ヲ止メル、斯ウ云フコト
  ハ屢〓申サレテ居ルヤウデアリマス、然ラバ
  產金ノ額ガ假ニ將來二億圓カ二億二三千万
  圓位出來ルト云フコトニ想定致シマスト、此
  範圍ニ於テ輸出入ノ管理ガ行ハレルト云フ
  コトヲ考ヘナケレバナラヌ、サウスルト必
  然的ニ輸出入ノ統制ノ上ニ於テ、各種ノ物
  價ガ〓騰シテ來ルト云フコトハ明カナ事實
  デアリマス、旣ニ本日ノ新聞ニ於キマシテ
  モ、モウ大分騰ッテ居ル、ハッキリト騰ッタモ
  ノニ付テ新聞ニ報道シテ居ルモノモアルノ
  デアリマス、隨テ物價騰貴ガ國民生活ノ上
  ニ於テ非常ナ脅威ヲ齎ス、爲替管理ノ關係、
  產金ノ程度ニ於テ管理ヲ致シテ行キマスル
  ナラバ、必然的ニ物價ガ〓騰スルト云フコ
  トニ相成ルノデアリマスガ、此點ニ於テ爲
  替管理ト輸出入ノ統制ト產金トノ此三ツ
  相關聯シテ來ル問題ニナッテ來ル、ソコデ貿
  易局ノ方デハドウ云フ風ニ將來ノ御見透シ
  ナリ物價ノ〓騰ニ對シテ、之ヲ調節シテ行
  カレル考デアリマスルカ承リタイ

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• 005・寺尾政府委員

  ○寺尾政府委員　此法律ノ適用ニ依リマシ
  テ、直接ニ物價ノ騰貴ヲ抑制スルト云フコ
  トガ到達セラルヽ意味デハナイノデアリマ
  シテ、今御話ノアリマシタヤウナ物價騰貴
  ト云フヤウナコトニ對シマシテハ、本法ノ
  關係ノミデナク、有ユル觀點カラ是ガ對策
  ヲ講ジテ行カナケレバナラヌト思フノデア
  リマス、併シ本法ノ關係ニ於キマシテモ、
  第一條第四號デ「國民經濟ノ健全ナル發達
  ヲ圖ル爲重要物資ノ供給ヲ適正ナラシメン
  トスルトキ」此條項ノ適用ニ依ッテ、或種ノ
  重要物資ヲ海外ニ留保スルト云フヤウナ措
  置モ執ルコトガ出來ルノデアリマス、サウ
  云フ點カラ申シマスレバ、ヤハリ此法律ノ
  適用ノ結果、間接ニ物價ノ騰貴ヲ抑制スル
  ト云フ風ナ作用モ起ッテ參ルカト思フノデ
  アリマス、全般ノ物價騰貴ニ對スル對策如
  何ト云フ問題ニ關シマシテハ、私カラ御答
  スルコトニ行カヌト思ヒマスカラ、是ハ又
  適當ナ機會ニ於テ他ノ方カラデモ申上ゲタ
  方ガ宜クハナイカト云フヤウニ考ヘテ居リ
  マス

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• 006・田中委員

  ○田中委員　ソレデハ商工次官ナリ大臣ニ
  此處へ出席シテ戴イテ御答辯ヲ願ハナケレ
  バナラヌト云フコトニナルノデスガ、先日
  來芦田サンノ質問ニ對シマシテモ、商工次
  官カラ第一ニハ「政府ハ輸入ノ禁止、抑制
  ヲ致シマスル場合ニ於キマシテモ、輸出產
  業ノ原料デアルモノニ對シマシテハ、適當
  ナル輸入ヲ許シマシテ、サウシテ此事業ガ
  沈衰スルコトヲ防グヤウニ致シマスルコト
  ガ適當デアル」斯ウ云フ風ニ御答ニナッテ居
  リマスルガ、私ハ然ラバ之ニ對シテ輸出産
  業ノ原料デアル棉、羊毛ヲ適當ニ輸入ヲ許
  可スルト云フコトハ、ドウ云フ手續ヲ御執
  リニナルカ、之ヲ伺ヒタイ
  寺尾政府委員御答申上ゲマスガ、今御
  尋ニナリマシタヤウナ物資ニ付テ將來輸入
  ヲ制限スルト云フ風ナ必要ガ起ッテ參リマ
  シタ際ニハ、御話ノ如ク此法律ノ運用ニ依ッ
  テ實施スルコトガ出來ルノデアリマスガ、
  左樣ナ場合ニ於キマシテモ、私共トシテ考
  ヘテ居リマスル所ハ、輸入ノ統制ト云フヤ
  ウナコトハ當業者ノ自治的ナ方法デ出來ル
  ダケヤラセル、本法ノ第二條ニモ此規定ガ
  アリマスヤウニ、運用ノ場合ニ於テ適當ニ
  關係業者ノ間ニ統制ヲ行ハシメルト云フコ
  トモ、此法律ニ依ッテ出來ルコトニナッテ居
  リマスカラ、其規定ノ適當ナ運用ニ依リマ
  シテ、御話ノヤウナ點ニ付テ善處スルコト
  ガ出來ルカト考ヘテ居リマス

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• 007・田中委員

  ○田中委員　今ノ御答ノヤウナコトデアリ
  マシタナラバ、左樣ナ自治的ニ當業者ノ間
  ニ於テ出來レバ宜シイガ、中々サウ云フ風
  ナコトハ實際上ニ於テ私共ハ出來ルモノデ
  ハナイト見テ居ル、必然的ニ輸出入ノ統制
  ヲヤリマスルナラバ、必ズ貿易ノ上ニ於テ
  輸出人ニ於キマシテモ萎靡沈滯スルト云フ
  コトハ、是ハモウ分リ切ッタ事實デアル、其
  間ニ折角開拓致シマシタ色々ナ海外市場ノ
  得意先モ、段々諸外國ニ侵蝕サレテ行クト
  云フコトモ、是ハ分ッテ來ル事實デアリマ
  ス、ソコデ私ハ時間モナイコトデスカラ、
  是ハ其程度ニ止メテ置キマシテ、其次ニ伺
  ヒマスルコトハ、必然的ニ只今申シマシタ
  ヤウニ、輸出入ノ上ニ於テ必ズ今後總テノ
  品物ガ私ハ不足ヲ致シテ來ルダラウト思
  フ、不足ヲ致シテ來ルナラバ自然的ニ又物
  價ガ上ッテ來ルト云フ此問題ハ、只今申シマ
  シタヤウニハッキリト致シテ居ル、ソコデ物
  資ノ消費竝ニ分配ノ方法ヲ付ケテ行カナケ
  レバナラヌト思フノデアリマスルガ、將來
  サウ云フ方面ニ付テハ、政府ハドウ云フ御
  考ヲ持ッテ居ラレルカ、是モ承リタイ

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• 008・寺尾政府委員

  ○寺尾政府委員　其點ニ付キマシテモ、過
  日政務次官ヨリ本會議ニ於テ御答ニナッタ
  ノデゴザイマスガ、御話ノヤウニ輸入等ヲ
  制限致シマシタ際ニ、先程申上ゲマシタヤ
  ウナ統制ノ方法ニ依リマシテ、出來得ル限
  リ其輸入品ニ付テ配給ノ方面ニ付テノ適當
  ナル調整ト云フコトヲ此本法ノ關係ニ於テ
  モヤリ得ルノデアリマス、唯併シ其ヤリ得
  ルノハ、此輸入ニ直接關係シテ居リマス輸
  入業者竝ニ生產業者ノ間ニ於テ、右申シマ
  シタヤウナ調整ニ關スル統制ヲヤルコトガ
  出來ルノデアリマス、更ニソレヨリ進ンデ
  消費ノ先々マデモ本法ニ依ッテ調整ガ出來
  ルカト申シマスト、其點ハ必シモ本法ダケ
  ノ力デハ出來ナイノデアリマス、ソレハ又
  別途其點ニ付テノ然ルベキ方法ト云フモノ
  ヲ考究致サナケレバナラヌト考ヘテ居リマ
  ス

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• 009・田中委員

  ○田中委員　只今ノ御答ヲ伺ヒマシテモ、
  マダ政府ノ方デモシッカリトシタ將來ヤッテ
  行ク腹ガ決ッテ居ナイヤウニ思ハレルノデ
  ス、ソレダカラ只今ノヤウナ御答辯ガアル
  ノデ、畢竟スルニ此問題ハ先程申シマシタ
  通リニ、ドウシテモ金ノ產額ノ-國際收
  支ノ「バランス」ノ上カラー-均衡ヲ保ツ
  上カラ、金產額ノ程度ニ止メルト云フコト
  ニナッテ來マシタナラバ、必然的ニドウシテ
  モ爲替管理ノ關係ニ於テ物價ガ騰貴シテ
  來、サウシテ其輸出入ノ上ニ於キマシテ非
  常ニ沈滯ヲ致シテ來ルシ、國民ノ生活ノ上
  ニ脅威ヲ及ボシテ來ルト云フコトハ、是ハ
  ハッキリシタ事實デアリマス、如何ニ統制ノ
  方法ヲ政府ガ發動サレテ自治的ニ當業者ニ
  ヤラセラレルト言ハレマシテモ、左樣ナコ
  トデアナタノ仰シヤルヤウナ机上論通リニ
  ハ行カヌノデアリマス、デアリマスカラ、
  ハッキリトシタ貿易上ノ見透シヲ付ケテ-
  ハッキリトシタト言ッテモ困難ナコトデアリ
  マスガ、大體ニ於テ見透シヲ付ケテ置イテ、
  適宜ニ其補充スベキ品物ヲ考ヘ出シテ行
  ク、例ヘバ羊毛ナラ羊毛ノ問題ニ對シテハ、
  羊毛ニ代ルベキ代用品ガアルカドウカト云
  フ問題ガ必然的ニ起キテ來ルガ、「ステープ
  ル·ファイバー」ノヤウナ物デ以テ羊毛ニ代
  用スルコトハ絕對出來ナイ、サウ云フ風ニ
  考ヘテ行カレマスナラバ、又繰返シテ申上
  ゲルヤウニナリマスケレドモ、必ズ玆ニサ
  ウ云フ主要ナ總テノ物資ニ對シテ缺乏ガ來
  テ、其價格ガ騰貴シテ來ルト云フ問題ガア
  ル、又反面ニアナタノ只今ノ御答カラ推察
  致シマシテ考ヘテ見ルナラバ、必然的ニ各
  國トノ間ニ「バーター」制ノヤウナ問題ガ
  起ッテ來ルダラウト思ヒマスガ、併シ考ヘテ
  見ルト、日本ハ買フ方ガ多クテ、賣ル方ガ
  進マヌカラ、ロデ言フヤウニ旨ク行クト云
  フコトハ一寸考ヘ得ラレナイ、デアリマス
  カラ此法律ヲ實施サレル上カラ考ヘマスル
  ナラバ、餘程此三點ニ付テシッカリトシタ考
  ヲ以テ進メテ行ッテ戴カナケレバ、私ハ國家
  ノ爲ニ非常ナ不利ヲ來スコトニナルダラウ
  ト思フノデアリマス、此三點ニ付テ先程ア
  ナタカラ答ヘ惡イト云フコトデアリマシタ
  カラ、明日ノ討論マデニ次官若クハ大臣カ
  ラ少シハッキリトシタ御答辯ヲ願ヒタイト
  思ヒマス、ソレデナイトアトノ質問ヲ續ケ
  テ行クコトガ出來ナイノデアリマス、是ダ
  ケ御願ヲ致シテ置キタイト思ヒマス
  其次ニハ工業組合ノ方ノ問題デアリマス
  ガ、昨日モ是ハ渡邊サンカラ頻リニ御質問
  ガアッタヤウデアリマスルガ、統制ダケノ工
  業組合ヲ御作リニナリマスト、從來同業組
  合デヤッテ居リマスルコトト非常ナ摩擦ガ
  生ジテ來ルノデアリマス、私共ノ考デハ現
  在ノ同業組合ガヤッテ居リマス其不備ナ點
  ヲ整備致シマシテ、之ヲ徹底的ニ統制强化
  致シテ行クト云フコトデ十分此目的ハ達成
  セラレルノデハアルマイカト思フノデアリ
  やく、又是カラ考ヘテ見マスルナラバ從
  來ノ同業組合ガヤッテ居リマス所ノ檢査ノ
  權限ヲ工業組合ニ移讓シテ行ク機會ヲ與ヘ
  ルト云フコトガ考ヘラレルノデアリマス、
  斯ウ云フ風ナコトヲ考へテ見マスルナラ
  バ、玆ニ非常ナ工業組合ト同業組合トノ摩
  擦ガ起ッテ來ル、昨日渡邊サンニ對シマシテ
  ハサウ云フヤウナコトハナイヤウニヤッテ
  行クト云フ風ナ御答モアッタヤウデアリマ
  スカ、實際論トシテ同業組合ナリヲ以テ
  ヤッテ居リマスルモノノ上カラ考ヘテ見マ
  スルナラバ、恐ラク法律ハ出シテ居ラレマ
  スルケレドモ、私ハ政府ノ方デモ大分困ッテ
  居ラレルノデハナカラウカ、實際論カラ考
  ヘタラ中々昨日御答ノ程度ノヤウナモノデ
  ハナイト思フ、此摩擦ヲナクシテ、サウシ
  テ同業組合ト工業組合トノ間ニ此法ガ圓滑
  ニ運用サレテ行クト云フコトニ付テハ、ド
  ウ云フ風ニヤッテ行カウト云フ御考ヲ持ッテ
  居ラレルカヲ承リタイ

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• 010・増田義一

  ○增田委員長　只今ノ田中君ノ御質問ニ對
  シテハ工務局長ヨリ答辯ガアル筈デスガ、
  只今見エマセヌカラ後刻出席サレタラ工務
  局長カラ答辯致サセマス

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• 011・田中源三郎

  ○田中委員　ソレデハ時間ノ關係モアリマ
  スルシ、後ノ質問ノ方ノ御都合モアラウト
  思ヒマスカラ、私ハ此程度デ質問ヲ打切リ
  マシテ、尙ホ後ニ時間ノ餘裕ヲ見テ戴キマ
  シテ、適當ニ發言ノ機會ヲ與ヘテ戴キタイ
  ト思ヒマス

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• 012・増田義一

  ○增田委員長　承知致シマシタ-北勝太
  郞君

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• 013・北勝太郎

  ○北委員　去ル一日本會議デ貿易組合法ニ
  對スル私ノ質問ニ對シテ當局カラ御答辯ガ
  アッタノデスガ、洵ニ簡單過ギテ要ヲ得ナカッ
  タ點モアッタノデアリマス、併シソレハ察ス
  ルニ前議會ニ於ケル此法案ノ委員會デ產業
  組合ニ依ル農林水產物ノ輸出ハ、其特異性
  カラ云ッテ一般商品ヤ營利業者ト劃一ノ取
  扱ヲスルコトハ當ヲ得ナイト云フヤウナ理
  由デ兩省ノ會議デ產業組合ノ行フ輸出ハ事
  實上輸出ヲ業トスル者トシテ取扱ッテ居ナ
  イカラ、今後モ兩省ガ合議シテ誤リナキヲ
  期スルト云フ原則ヲ明ニサレタ點ト、又此
  法ニアル主務大臣ト云フノハ商工、農林
  兩大臣トスルコトヲ勅令デ規定スル、斯ウ
  云フコトヲ言明サレタノデアリマス、ソレ
  デ之ヲ尊重スルカラ、何等ノ懸念ヲ要セヌ
  ヂヤナイカト云フヤウナ御趣旨デアッタト
  思フノデアリマス、其點ハ御答辯ヲ諒トシ
  タノデアリマス、偖テ此兩大臣ノ協議ト云
  フコトデアリマスガ、此協議ハ是ハ單ニ商
  工省ヨリ農林省ヘ一片ノ形式的ナ照會ヲ致
  シテ兩省ノ意見ガ一致シタ場合ニ發動スル
  ト云フ意味デアルナラバ、此重大ナ事柄ヲ
  全ク申譯的ニ輕ク扱フト云フモノデアリマ
  シテ、洵ニ不十分ト思フノデアリマス、此
  協議ト云フコトハ當然兩省ノ共同起案ニ依
  ルト云フ具合ニ重ク取扱ッテ貰ハナケレバ
  ナラヌト思フノデアリマスガ、商工當局ノ
  御意見ヲ承ッテ置キタイト思フノデアリマス

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• 014・寺尾進

  ○寺尾政府委員　只今御尋ノ點ニ付キマシ
  テ御答ヲ申上ゲマスガ、御話ノ點ニ付テハ
  唯形式的ニ一片ノ協議ヲスルト云フ風ナコ
  トデハゴザイマセヌデ、商工省ト農林省ガ
  十分ニ協議ヲシテ、其宜シキニ從ッテ行キタ
  イサウ云フ意味デアリマス、左樣御諒承ヲ
  願ヒマス

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• 015・北勝太郎

  ○北委員　次ニ此輸出檢査手數料ノコトデ
  アリマスガ、他ノ方ノコトハ知リマセヌガ、
  北海道ノ靑豌豆ニ付キマシテハ、慥カ產業
  組合聯合會ノ輸出ハ員外輸出ノ取扱ト同樣
  ナ取扱ヲ受ケマシテ、之ガ爲ニ輸出組合ガ
  產業組合聯合會ニ對シテ取引手數料ト云ヒ
  マスカ、或ハ統制手數料ト云ヒマスカ、サ
  ウ云フヤウナ檢査料ヲ徵ッテ居ル事實ガア
  ルノデアリマス、而モ輸出組合ノ分ハ一俵
  六錢デアルノニ、產業組合ノ分ハ四十錢ト
  云フ殆ド七倍ニ近イ手數料ヲ徴ッテ居ッタ爲
  ニ、產業組合ノ輸出ヲ非常ニ困難ナラシメ
  タト云フ實例ガアリマス、此事ハ他ノ方面
  ニ於テモ往々アリ得ベキ事柄ト思フノデア
  リマスガ、本法成立後此點ハドウ云フ工合
  ニ爲サル積リデアリマスカ、之ヲ承ッテ置キ
  タイ

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• 016・寺尾進

  ○寺尾政府委員　只今御尋ニナリマシタ點
  ハ、事實問題ト致シマシテハ旣ニ其點ハ解
  決ガ付イタ問題デアリマシテ、御話ノアリ
  マシタ豆ノ輸出ニ付テ輸出組合ト穀聯トノ
  間ニ完全ナ協調ヲ執リマシテ、其結果御話
  ノ統制手數料ト云フモノモ現在ニ於テハ穀
  聯ガ輸出組合ト全然同一ノ手數料ヲ納メテ
  居ルト云フコトニナッテ居リマス、何等其間
  ニ兩者ヲ區別シテ居ルト云フ風ナコトハ現
  在ハゴザイマセヌ、左樣御承知ヲ御願致シ
  マス

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• 017・北勝太郎

  ○北委員　ソレデハ其點ハ安心シマスガ、
  併シ從來農林水產物ノ輸出ヲシナカッタモ
  ノガ、輸出組合成立後ニ組合員外ニアッテ輸
  出ヲ爲サントスル場合ニ於テハ、先程申上
  ゲマシタヤウニ、統制命令デ組合ノ統制ニ
  服セネバナラヌコトニナル、ソレデ其場合
  ニ輸出組合ハ今言フヤウナ高率ノ手數料ヲ
  取ッタリ、或ハ數量割當ニ無理ヲシタリ、色
  色ノ手段デ組合員外ノ活動ヲ全ク不可能ニ
  スル虞ガアルノデアリマスガ、此點ハ生產
  者ノ將來ノ發展上重大ナ關心事デアルト思
  フノデアリマス、之ニ對シテハ當局トシテ
  今後ノ問題ハ如何ニ取扱ハレル積リデアル
  カ之ヲ承ッテ置キマス

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• 018・寺尾進

  ○寺尾政府委員　統制手數料ト云フモノヲ
  輸出組合ガ取ッテ居リマス場合ニ、組合員外
  ノ「メンバー」ニ關シテモ其統制ヲ及ボス
  ト云フコトガアリ得ル譯ナンデス、其組合
  ニ入ラナイ「アウトサイダー」ノ爲ニ組合
  ノ統制ガ十分ニ行ヘナイト云フ風ナ場合ニ
  ハ、ソレガ爲ニ組合以外ノモノニモ其統制
  ヲ及ボスト云フコトガ是ハアリ得ルト思ヒ
  マス、又同ジク輸出組合ガ檢査ヲシテ居ル
  場合ニ、其檢査ヲ組合以外ノ「アウトサイダ
  그ニマデ及ボスト云フコトハアル譯デア
  リマス、只今御話ノアリマシタノハ恐ラク
  檢査ノ場合デアラウト思ヒマスガ、組合員
  外ニ其檢査ヲ行フ場合ニハ、其檢査手數料
  ト云フモノハ組合員ノ支拂フベキ檢査手數
  料ヨリ高額ナ手數料ヲ支拂ハセルト云フコ
  トハ御話ノ通リデアリマス、是ハ何故サウ
  云フ風ニ區別ヲスルカト申シマスト、組合
  員ハ其組合ニ必要ナル經費ニ對シテ出資シ
  テ居ルノデアリマスカラ、其組合員ガ支拂
  フベキ檢査手數料ト、組合員ニアラザルモ
  ノガ支拂フベキ檢査手數料トノ間ニ適當ナ
  ル額ノ差別ガアルト云フコトハ是ハ已ムヲ
  得ナイト考ヘテ居リマス、併ナガラ其差額
  ガ餘リニ甚シクテ、ソレガ爲ニ組合員外ノ
  モノガ實際商賣ヲスルコトノ出來ヌト云フ
  風ナ-何ト申シマスカ、無理ヤリニ其組
  合ニ入ラナケレバ商賣ガ成立タナイト云フ
  風ナ程度ニマデ特ニサウ云フ高率ナ手數料
  ヲ課ケルト云フ風ナコトハ是ハ面白クナ
  イ、斯樣ニ考ヘテ居リマス、左樣ナコトハ
  方針トシテハ致シタクナイト思ヒマス

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• 019・北勝太郎

  ○北委員　サウシマスルト、實際經費ヲ土
  臺トシタ檢査手數料ヲ取ルノデアッテ、無理
  ニ禁止的ノ高率ナモノハ取ラサヌヤウニス
  ル、サウ云フ工合ニ監督ヲ爲サルト云フ意
  味デアリマスカ

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• 020・寺尾進

  ○寺尾政府委員　組合員ト、組合員外ノモ
  ノノ負擔スベキ檢査手數料ニハ自ラ相違ガ
  アル理由ニ付テハ今申上ゲマシタ通リデア
  リマス、隨テ或ル合理的ナ限度ニ於テ其間
  ニ差ガアルト云フコトハ是ハ已ムヲ得ナイ
  ト思ヒマス、特ニ故意ニ組合員外ノモノノ
  營業ヲ不可能ナラシメルヤウナ意味ヲ以テ
  高率ナル手數料ノ差別ヲ付スルト云フコト
  ハ致シタクナイ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデア
  リマス
  〓北委員次ニ輸入組合ノ問題デアリマス
  ガ、肥料、飼料或ハ農具、農業藥品、種苗、
  其他重要ナル農山漁村ノ必需品ノ輸入ニ付
  キマシテ輸入組合モ亦輸出組合同樣ノ弊害
  ヲ生ズルコトガ豫想セラレルノデアリマ
  ス、營利ヲ目的トセナイモノノ輸入ニ付キ
  マシテハ、輸出組合同樣ノ取扱ヲ爲サルコ
  トガ必要ト思フノデアリマスガ、當局ノ御
  意見ハ如何デアリマスカ、御方針ヲ聽キタ
  イ

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• 021・寺尾政府委員

  ○寺尾政府委員　此點ニ付キマシテハ、
  般的ニ貿易組合法ヲ農產物ノ關係ニ付テ適
  用致ス場合ニハ、商工、農林ノ兩省ガ十分
  ニ協議シテ行フコトニ兩省間ニ取極ヲ致シ
  テ居リマス、御話ノヤウナ點ニ付テモ十分
  ニ違算ノナイヤウニ致シタイト思ヒマス

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• 022・北委員

  ○北委員　農林水產物ニ對シマシテハ、貿
  易調整法ノ運用上、商工、農林兩省ノ共管
  トセラレルコトハ是亦最モ必要デアルト思
  フノデアリマス、而シテ此場合貿易審議會
  及ビ統制協議會ノ構成ニ付キマシテハ、當
  然兩省ガ愼重協議ヲシテ公平ニ決定セラレ
  ルモノト考ヘルノデアリマスケレドモ、農
  林水產物ノ生產者ハ不利益ノ立場ニ陷リ易
  イモノデアリマスカラ、生產者ノ代表者ヲ
  モ委員ニ選ブコトガ必要デアルト思フノデ
  アリマス、此事ニ對シマシテ當局ノ御方針
  ハドウナッテ居リマスカ、承リタイ

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• 023・寺尾政府委員

  ○寺尾政府委員　貿易及關係產業ノ調整ニ
  關スル法律ヲ運用スルニ當リマシテハ、農
  林水產物等デアリマシテ、生產者ニ重大ナ
  ル關係ヲ持ッテ居ルモノニ付キマシテハ、商
  工、農林兩省ノ共同主管トスルト云フコト
  ニ付テ農林省ト打合濟デアリマス、尙ホ貿
  易審議會、統制協議會ニ付キマシテハ、農
  林水產物ニ付テ審議ヲ致シマス場合ニ於テ
  ハ、其生產者ノ代表者ヲ委員ニ加ヘルト云
  フコトニ考ヘテ居ル次第デアリマス

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• 024・北委員

  ○北委員　貿易調整ハ兩省ノ共管ダト云フ
  コトヲ聽キマスガ、其兩省ノ共管ト云フノ
  ハ兩省ノ共同起案マデヤラレル必要ガア
  ルト思フノデアリマス、先程申シタヤウニ、
  ヤハリ一片ノ形式ダケデハイカヌト思フ、
  サウ云フ點マデ愼重ニ御ヤリニナル積リデ
  アリマスカ、承リタイ

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• 025・寺尾政府委員

  ○寺尾政府委員　左樣ナ御趣旨ニ取計ヒタ
  イト存ジマス

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• 026・北委員

  ○北委員　次ハ工業組合法ノコトデ御伺シ
  マスガ、工業組合法ノ第八條モ輸出組合法
  ト同ジヤウナ解釋ヲ御取リニナッテ兩省デ
  協議セラレルト云フコトハ當然ノコトト思
  フメデアリマスガ、此點如何ニナッテ居リマ
  スカ伺ヒタイ

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• 027・寺尾政府委員

  ○寺尾政府委員　只今工務局長ガ此處ニ見
  エマセヌカラ、後デ見エタ時ニ御答致シマ
  ス

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• 028・北委員

  ○北委員　デハ工業組合ニ關スルコトハ後
  廻シニ致シマシテ、尙ホ此際商工省當局ニ
  申上ゲタイノデアリマスガ、商工省ハ如何
  ニ其職責トハ言ヘ、農林省トノ關係ニ付テ
  些カ私ハ公明ヲ缺クヤウニ思ハレル點ガア
  ルト思フ、具體的ニ言フト、ドウモ言葉ガ
  惡イカモ知レマセヌガ、紳士的デナイ、謂
  ハヾ商人式トデモ申シマスルカ、態度ガ狡
  猾デアル、斯ウ云フ工合ニ私ニハ思ハレル
  ノデアリマス、前議會ニ於ケル農林、商工兩
  省ノ答辯ノ喰違ヒナドハ其適例デアルト
  思ッテ居ルノデアリマス、而シテ餘リニモ資
  本家ノ擁護ニノミ急デアッテ、今日農民ガ所
  謂鋏狀價格差ニ惱ミ切ッテ居ル際ニ、更ニ商
  工省ハ之ニ拍車ヲ掛ケサセルヤウニシテ居
  ラレル點デアリマシテ、此御態度ニ對シテ
  ハ吾々農民ハ甚ダ不滿足デアルノデアリマ
  ス、今日農業界ノ輿論ヲ沸騰サセテ居リマ
  スル硫安問題ノ如キモ、商工省ノ態度ハ實
  ニ怪シカラヌト思フノデアリマス、硫安製
  造費ノ調査ナドハ、旣ニ商工省トシテハ十
  分調査セラレテ居リマシテ、內容ハ明瞭ニ
  ナッテ居ルモノダト思フノデアリマス、最モ
  進步シタ工場ニ於ケル本年ノ一瓲當リノ製
  造費ハ、抑〓幾ラニナッテ居ルノデアルカ、
  先ヅ以テ之ヲ承リタイト思ヒマスシ、又全
  體ヲ通ジテノ正直ナル所ノ生產費、卽チ全
  國ノ硫安ノ總生產費ヲ全國ノ生產數デ除シ
  タ所ノ數字ハ抑〓幾ラニナッテ居ルノデア
  ルカ、此御發表ヲ願ヒタイト思フノデアリ
  やく、今囘決定サレタ價格ト云フモノハ、
  斯ウ云フ點カラ見テ多大ナ隱レタ點ガアル
  モノダト思ハレテ居リ、又農民モサウ信ジ
  テ居ルノデアリマス、昭和八年ノ議會ニ於
  ケル當時ノ永井拓務大臣ノ滿化工業ニ對ス
  ル說明ニ依リマスト、瓲當リノ生產費ハ四
  十圓內外デアルト申サレテ居ルノハ、世間
  旣ニ公知ノ事實デアリマス、假ニ今日百步
  ヲ讓ルトシテ五割增ノ六十圓內外トシテ
  モ、今囘發表セラレテ居ル所ノ價格ガ九十
  三圓餘ニナッテ居ル所カラ見テモ、尙ホ三十
  何圓ト云フ開キガアルノデアリマシテ、是
  ハ正ニ暴利取締ニ値スルモノデアル、此開
  キハ日本全農家ノ硫安使用額百八十万瓲ニ
  對シテ計算シテ見マスト、實ニ五千四五百
  万圓ノ巨額ニ上ルノデアリマス、而シテ此
  硫安ノ斯ウ云フ高値ハ、又他ノ肥料ノ價格
  ニ必然的ニ影響ヲ及ボシテ來ルノデアリマ
  スカラ、農家ノ負擔ハ此硫安價格ガ不當ニ
  高ク決メラレタコトニ依ッテ、一億圓以上ノ
  モノハ確ニ負擔ヲ增シテ居ルト思フノデア
  リマス、今ヤ時局ノ爲ニ多數ノ農民ガ動員
  サレテ、戰場ニ馳驅シテ居ル所ノ此際デア
  リマスガ、コンナ暴利ヲ資本家達ニ得セシ
  メテ、而モ是ガ當然ナヤウナ顏付ヲセラレ
  テ居ルトハ何事デアルカ、私ハ解スルニ苦
  シムノデアリマス、是デハ當局ニ果シテ社
  會正義感ガアルカドウカト云フコトガ疑ハ
  シクナルノデアリマシテ、當局ハ速ニ斯ル
  態度ヲ御改メニナッテ、公正妥當ナ價格ニ改
  メシムル爲ニ、適切ナル方策ヲ御執リニナ
  ル考ハナイカ、此點ヲ商工省ノ當局ニ伺ヒ
  タイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=28

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• 029・寺尾進

  ○寺尾政府委員　只今北委員ヨリ、商工省
  ハ從來非常ニ生產者ニ對シテ甚ダ不公明ナ
  態度ヲ執ッテ居ルト云フヤウナ御叱リヲ受ケ
  マシタガ、萬々一サウ云フコトガ事實デア
  ルトスレバ、私共大イニ反省シナケレバナ
  ラヌト考ヘテ居リマス、私共ハ從來トテモ
  左樣ナコトガ無イヤウニ極力努メテ居リマ
  ス、勿論私ハ貿易局ニ居リマスケレドモ、
  唯貿易業者ダケガ宜ケレバ宜イト云フ考ハ
  決シテ持ッテ居ラヌ積リデアリマシテ、今後
  ト雖モ單ニ貿易業者ノミノ立場バカリデナ
  ク、貿易ニ付テノ統制ヲヤルニ際シテハ、
  勿論貿易業者ノ利益ヲ擁護スルト共ニ、生
  產者ノ利益ト云フコトニモ十分注意致シマ
  シテ、其間ニ極メテ公平ナル考ヲ以テ此事
  務ニ當ッテ行キタイ、斯樣ナ覺悟ヲ持ッテ居
  リマス、併シ若シ私共ノヤッテ居リマス態度
  ニ付テ、具體的ニ此點ガ不公明デアルト云
  フコトヲ御指摘下サッテ、色々御注意ヲ戴ク
  コトハ私共非常ニ有難イコトデアリマスカ
  ラ、若シサウ云フコトガアリマシタラドウ
  ゾ御遠慮ナク言ッテ戴キタイ、私共モサウ云
  フコトガナイヤウニ、今後十分注意シテ行
  キタイト思ヒマス、其氣持ダケヲ御諒解願
  ヒタイト思ヒマス、尙ホ其他ノ御質問ニ付
  テハ、私ヨリ御答ヲ致シマスノハ如何カト
  思ヒマスノデ、其所管ノ局長ガ見エタ際ニ
  御答致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=29

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• 030・北勝太郎

  ○北委員　ソレデハ私ノ質問ハ、工業組合
  ニ關スルコトヲ除キマシテ、是デ打切リマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=30

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• 031・増田義一

  ○增田委員長　井上良次君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=31

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• 032・井上良次

  ○井上委員　貿易及關係產業ノ調整ニ關ス
  ル法律案ニ付テノ質疑ヲ致シタイト思ヒマ
  ス、此法案ヲ見マスト云フト、是ハ一種ノ
  「カルテル」ノ統制デアリ、而モ貿易組合法
  案ノ第四十五條及ビ第六十二條ニ依リ一種
  ノ强制「カルテル」トナッテ居リマス、更ニ貿
  易及關係產業ノ調整ニ關スル法律案ノ第四
  條竝ニ貿易組合法案ノ第十八條乃至第六十
  二條ニ依ッテ「カルテル」ノ統制活動ハ廣ク
  生產者ヲモ强制シ得ルコトニナッテ居リ、最
  モ强力ナル貿易「カルテル」ガ統制サレルコ
  トニナッテ居リマス、斯カル强力ナル「カル
  テル」ノ統制ハ、第一ニ注意セナケレバナ
  ラヌ點ハ、「カルテル」ソレ自體ガ大貿易業
  者ニ牛耳ラレルト云フコトニナリハシナイ
  カト云フコトデアリマス、何デサウ云フコ
  トヲ言フカト云フト、統制活動ニ關シマス
  ル議決ハ、組合員ノ員數及ビ出資口數ノミ
  ニ依ルダケデナシニ、其輸出高ノ一定割合、
  卽チ三分ノ二以上ノ組合員ノ同意ニ依ッテ
  成立スルコトニナッテ居リマスカラ、一層野、
  ウ云フ憂ガハッキリスルコトニナッテ來ルノ
  デアリマス、譬ヘテ申シマスト、三井物產
  ノヤウナ大資本ヲ背景トスル大貿易業者ニ
  依ッテ貿易組合ガ牛耳ラレテ、中小貿易業者
  ガ之ニ壓迫サレルト云フコトニナリハシナ
  イカト云フコトヲ吾々ハ憂ヘルノデアリマ
  スガ、此點ニ對シマシテ、政府ハドウ考ヘ
  テ居ラレルカ
  第二ニハ斯ル貿易「カルテル」ノ統制活動
  ガ、生產者ヲモ强制シ得ルコトニナッテ居ル
  結果、從來ニ於テモ屢〓問題ニナッタ生產者
  ノ壓迫ノ事實ガ愈〓露露ニナリハシナイカ
  ト云フコトデアル、卽チ貿易業者、而モ特
  ニ其中ノ大資本家ノ利潤擁護ノ爲ニ、當該
  輸出品關係ノ生產、殊ニ今モ申サレテ居リ
  マシタ農民或ハ都市ノ中小工業者、是等ノ
  人々ノ利益ガ蹂躪サレルダケデナシニ、更
  ニ其下ニ働イテ居リマスル所ノ勞働者ニモ
  重大ナ打擊ヲ與ヘルノデアリマス、ソレハ
  輸出組合ガ一ツノ輸出品ニ對シマシテ品質
  或ハ規格ニ付テ從來ノ生產條件ヲ無視シテ
  統制ヲ爲ス場合ニ能ク問題ガ起ルノデアリ
  マス、例ヘテ見マスルト數年來問題ニナッテ
  居リマスル亞米利加へ輸出サレル柑橘ノ輸
  出組合ト柑橘生產者ノ共同組合トノ間ニ非
  常ナ紛爭ヲ從來續ケテ居リマス、是ナノカ
  ハ能ク其具體的ナコトヲ現ハシテ居ルト思
  ヒマスガ、斯ウ云フ點ニ付テ政府ノ方針ヲ
  先ヅ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=32

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• 033・寺尾進

  ○寺尾政府委員　御答ヲ申上ゲマスガ、御
  質問ノ第一點ハ、今囘ノ貿易組合法竝ニ貿
  易及關係產業ノ調整ニ關スル法律案ノ內容
  ヲ見ルト、ドウモ其大貿易業者、大キナ資
  本家ヲ擁護スルヤウナ氣運ガ見エテ居ル、
  サウ云フコトニナル懸念ハナイカ、斯ウ云
  フ御尋ノヤウニ承リマシタ、其際ニ一ツノ
  例トシテ、此貿易組合法ノ第十六條ト云フ
  モノヲ御引キニナリマシテ、從來ハ其員數
  トカ、出資口數トカ云フモノヲ標準ニシテ
  統制ニ關スル事項ヲ決定シテ居ッタガ、今囘
  ノ改正ニ依ルト輸出高ト云フ風ナモノヲ標
  準ニシタ關係上、結局ニ於テ大資本家、大
  貿易業者ヲ過當ニ保護スルヤウナコトニナ
  リハシナイカ、斯ウ云フ御尋ノヤウデアリ
  マス、第十六條ニ付テ先ヅ申上ゲマスト、
  是ハ從來ノ例ニ依リマスト、或ル一部ノ、
  全體ノ大勢ニ關係ナイヤウナ極ク輸出高モ
  小サイ、又其人員モ少イト云フ人間ダケガ
  反對ヲシタ爲ニ、統制ノ事柄ガ纒マラナイ、
  而モ其統制ヲ實行スルト云フコトガ、貿易
  ノ振興上ドウシテモ必要ダト云フ大局カラ
  判斷致シマシテ、必要ナル場合ニハ特ニ商
  工大臣ノ認可ヲ受ケテカラ、斯ウ云フ總會
  ヲ開イテ、新シイ法律ノ規定ニ基イタ方法
  ニ依テ議決ガ出來ルト云フ規定デアリマシ
  テ、唯其際ニ於テ商工大臣ノ認可ヲ受ケル
  ト云フコトニ致シタ所以ハ、其際ニ果シテ
  此法規ノ特別ナル方法ニ依ッテヤルコトガ、
  全般ノ利益ニナリ、又貿易ノ振興ニ大局カラ
  見テ適應スルカドウカト云フコトヲ、愼重
  ニ商工大臣トシテソレヲ判斷シタ上デ、必
  要ガアレバ許スト云フ趣意ニ出テ居リマス
  ノデ、決シテ今御話ニナリマシタヤウニ特
  ニ大キナ者ダケヲ保護スルト云フヤウナコ
  トニハナラヌト思ヒマスシ、又左樣ナコト
  ニ運用ヲシテハ甚ダ穩カデナイト思ッテ居
  リマス、私共其運用ニ當ル者ト致シマシテ
  ハ、勿論御話ノヤウナ一部大資本家ヲ擁護
  スルコトノナイヤウニ十分ニ注意ヲシテ行
  キタイト心懸ケル次第デアリマス
  ソレカラ第二點ト致シマシテハ、今度ノ
  法律ニ依レバ、統制ニ關スル議決ヲ必要ニ
  應ジテハ生產者ニモ强制スルコトガ出來ル
  ヂヤナイカ、サウ云フ風ナコトニナッテ來ル
  ト、益〓生產者ガ大貿易業者其他ノ大資本家
  ノ爲ニ不當ニ其利益ヲ害セラレルト云フヤ
  ウナコトガ起ッテ來ハシナイカト云フ御尋
  デアリマスガ、此點ニ付キマシテモ、政府
  ハ斯ノ如キ統制ニ關スル協議會ヲ設ケマシ
  テ、其議決ヲ强制スルニ付キマシテハ、每々
  御說明申上ゲテ居リマスヤウニ、統制協
  議會ト云フモノニハ、單ニ關係業者ノミナ
  ラズ、嚴正ナル第三者、學識經驗アル者ト
  カ、或ハ又官吏ト云フ風ナ極メテ公正ナル
  立場カラ物事ヲ考ヘル者ヲ加ヘテ組織シマ
  シタ協議會ニ於キマシテ、愼重ニソレヲ審
  議シ、尙ホ之ヲ强制スル際ニハ、其前提條
  件トシテ貿易審議會ト云フモノヽ議ヲ經タ
  上ニ、之ヲ强制スルト云フ風ニ、極メテ愼
  重ナル方法ヲ執ッテ居リマスカラ、今御話ノ
  アリマシタヤウニ、極ク一部ノ大資本家ヲ
  擁護スルト云フヤウナコトノナイヤウニ萬
  全ノ措置ヲ講ズルコトガ出來ル、斯樣ニ考
  ヘテ居ル次第デアリマス、左樣ナ次第デゴ
  ザイマスカラ、御話ニナリマシタヤウナ事
  態ノ生ズルコトノナイヤウニ、十分運用上
  適當ナル方法ヲ執ルコトガ出來ルト考ヘテ
  居ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=33

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• 034・井上良次

  ○井上委員　長官ノ言ハレル其御精神ニハ
  吾々ハ非常ニ敬服シ、政府ト致シマシテハ
  其態度ヲ以テヤルベキガ當然デアリマスケ
  レドモ、法律ノ結果論及ビ今後本法律案ノ
  發動ニ付テ考ヘ、又此處ニ現レテ居リマ
  ス條文ノ解釋カラ判斷致シマスナラバ、大
  貿易業者ニ貿易組合ハ牛耳ラレルト云フコ
  トハ、火ヲ睹ルヨリモ明カデアラウト私共
  ハ考ヘテ居リマス、隨テ此點ニ付キマシテ
  ハ當局者ガ是等大貿易業者ニ操ラレナイ
  ヤウニ、牛耳ラレナイヤウニ、此法律ニ依ッ
  テ今申シマシタヤウニ大貿易業者ガ利潤ヲ
  高メテ行ク其半面ニ於テ、中小ノ貿易業者
  竝ニ中小商工業者、或ハ農民、斯ウ云フ者
  ガ非常ナ犠牲ニ供セラレルト云フヤウナコ
  トニナッテハ大變ナコトニナルト思ヒマス
  ノデ、此點ニ對シマシテノ取扱ヲ十分御注
  意願ヒタイト思フノデアリマス、尙ホサウ
  云フヤウナ色々ナ統制或ハ審議ノ問題ニ付
  キマシテ、審議委員會ノ委員或ハ統制委員
  會ノ委員ナルモノガ愼重ニヤラレルト云フ
  御話デアリマスガ、此點ニ付キマシテハ、
  貿易ノ關係ガ直接國民大衆ノ生活ニ、或
  國家產業ノ上ニ重大ナル影響ヲ有ッテ來ル
  ノデアリマスカラ、此處デ表決シ或ハ此處
  デ協議サレル問題ハ、極メテ重大デアリマ
  ス、隨テ其委員會ナリ統制協議會ヲ構成シ
  マス所ノ委員及ビ役員ハ、頗ル責任ガ重イ
  ノデアリマス、此點ニ付キマシテ、吾々從
  來ノ官署ガヤッテ居リマス委員會或ハ協議
  會ト云フヤウナモノノ內容ヲ見テ見マス
  ト、殆ドソレガ當業者ノ代表的人々ニ依テ
  左右サレルト云フ幾多ノ經驗ヲ得テ居ルノ
  デアリマス、成程表面的ニハ學識經驗アル
  者ト云フヤウナコトニナリマシテ、誰カラ
  モ非難ヲ受ケナイヤウナ言葉ヲ使ッテ居リ
  マスケレドモ、實際ハ其背後ニ於テ色々自
  己ノ營業ヲ中心ニシ或ハ自己ノ商賣ヲ中心
  ニシテ、算盤ヲ彈イテ協議會ヲ左右シヨウ
  ト云フヤウナ意圖ノ者ガ多イノデアリマ
  ス、當局ト致シマシテハ其人選ニ對シテ、
  昨日モ誰カ申サレテ居リマシタヤウニ、愼
  重ナル銓衡ヲサレンコトヲ御願シテ置キタ
  イト思フノデアリマス
  最後ニ重要ナ點ハ此兩法案ハ大體ニ於テ
  貿易ノ統制ヲ一步進メタモノデアル、併シ
  現下ノ非常時局ニ對應スル法案ト致シマシ
  テハ洵ニ心細イ、卽チ兩法案ハ貿易業者ノ
  所謂自治的統制ニ著目致シマシテ、之ニ若
  干ノ國家統制ヲ加ヘタルニ止マル、併シ現
  下ノ非常時局ニ鑑ミ、又今後ノ國民經濟發
  展ヲ考ヘルトキ、少クトモ重要原料品ノ輸
  入ダケハ直接國家管理ニ移スコトガ必要ダ
  ト思フノデアリマスガ、政府ノ所見如何、
  我國ノ重要原料ノ大部分ハ海外ヨリ輸入ヲ
  仰イデ居ル、特ニ最近ニ於テ其輸入商ガ非
  常ニ多クナッテ居ル、隨テ其輸入方法ノ適不
  適或ハ數量ノ如何ガ悉ク國民經濟ノ上ニ
  重大ナル影響ヲ及ボシマス、平時ニ於テモ
  國民經濟及國民生活ノ觀點ヨリ觀マシテ、
  之等ヲ國家管理ニ移シ以テ國內諸產業ニ對
  スル原料ノ供給ヲ圓滑且ツ合理的ナラシメ
  ルコトガ、特ニ今日ノ情勢ニ於テハ重要デ
  アルト考ヘマス、ソコデ重要原料品ノ輸入
  ヲ國家管理ニ移シテ、我國ノ產業計畫ヲ樹
  立スルコトガ必要デアルト思フガ如何デア
  リマスカ、此點ニ付テノ御答辯ヲ得タイト
  思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=34

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• 035・寺尾進

  ○寺尾政府委員　御答申上ゲマス、今ノ御
  尋ノ管理ト云フ言葉ガ何處マデノ意味ヲ含
  ムノカハッキリ了解致シマセヌガ、貿易及關
  係產業ノ調整ニ關スル法律案ノ第一條ニ於
  キマシテ政府ハ國際收支ノ適合ヲ圖ル爲ニ
  ハ此第一條ニ定ムル條件ニ依リマシテ輸
  出又ハ輸入ノ制限又ハ禁止ヲ爲スコトヲ得
  ト云フ規定ガアリマスカラ、此規定ニ基キ
  マシテ只今御話ニナリマシタヤウナ或ル程
  度ノ輸入ノ管理ト云フコトモ出來ルモノト
  考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=35

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• 036・井上良次

  ○井上委員　或ル程度出來ルト云フ話デゴ
  ザイマスガ、積極的ニ今日ノ非常時局ニ於
  テ是ガ一部大貿易業者ノ所謂非常時局ニ依
  ル火事泥的利潤ヲ目的ニシタ輸入ニ逆用サ
  レル例ガアルノデアリマスカラ、特ニ生產
  力ノ擴充ニ必要ナル機械、器具其他重要產
  業ノ原料品ノ輸入、斯ウ云フモノヲ國家管
  理ノ方針ニ依ッテヤッテ戴キタイト云フコト
  ヲ付加ヘテ置キマス
  尙ホ輸出ノコトニ付テ多少御尋シテ置キ
  タイノデアリマスガ、是ハ一ツ〓〓御尋シ
  タイノデアリマスガ、我國ノ輸出ノ主ナル
  相手國ハ、例ヘバ大阪附近ヲ中心ニ中上ゲ
  マスト云フト、對支貿易、ソレカラ印度、
  南洋、斯ウ云フ方面ガ大體ニ主ナル輸出先
  デアッタノデアリマス、所ガ御承知ノ通リ今
  日ノ北支事變ノ結果、支那向ノ貿易ハ大體
  ニ於テ止ルト見ナケレバナラヌト考ヘマ
  ス、サウシマスト支那ニ對シマシテ輸出シ
  テ居リマシタ我國ノ商品ト云フモノガ完全
  ニ行詰ルノデアリマス、此處デ一寸御尋シ
  テ置キマスガ、色々參考資料ヲ貰ヒマシタ
  ケレドモ、マダ調ベル時間ガアリマセヌデ
  分リマセヌカラ、大體ノ見當デ宜シウゴザ
  イマスガ、支那ニ對シマス輸出ノ年額、ソ
  レカラ其主ナル品目ニ付テ御分リデゴザイ
  マシタラ簡單ニ一ツ御說明ガ願ヒタイト思
  ヒマス

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• 037・寺尾進

  ○寺尾政府委員　ソレハ如何デゴザイマセ
  ウカ、時間ヲ節約スル意味ニ於テ、私ノ方
  ニ表ガ慥カアルト思ヒマスカラ、ソレヲ
  ツ後刻差上ゲルコトニ致シマシタラ如何デ
  セウ

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• 038・井上良次

  ○井上委員　サウデスカ、ソレデハサウ云
  フコトニ願ヒマス、次ニ今日ノ如ク戰時的
  財政經濟ニナッテ來マスト、政府自ラガ申シ
  テ居リマスヤウニ重工業ノ生產力ノ擴充問
  題ガヤカマシクナッテ來マス、此生產力擴充
  ノ結果海外輸出ニ對スル今後ノ見透シニ付
  テ當局ハドウ御考ニナッテ居ルカ、御伺シタ
  イト思ヒマス

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• 039・寺尾進

  ○寺尾政府委員　海外輸出ノ今後ノ見透シ
  ト云フ點ヲ御尋デアリマスガ、是ハ實ハ非
  常ニムヅカシイ問題デハアリマスケレド
  モ、御承知ノヤウニ最近ハ諸外國ニ於キマ
  シテモ相當軍需產業ノ擴張、又他方農產國、
  原料國アタリノ景氣ト云フモノガ相當好ク
  ナッテ、結局日本ノ商品ヲ輸出シテ居リマス
  相手國ノ購買力ト云フモノモ或ル程度マデ
  增加シテ居ルト云フコトガ言ヘルト思ヒマ
  スノミナラズ、又海外ニ於テ御承知ノ如ク
  各種ノ日本ノ商品ヲ特ニ目指シタ所ノ輸入
  制限阻止ト云フコトモ近年非常ニ頻繁ニ行
  ハレテハ參ッテ居リマスケレドモ、最近特ニ
  其情勢ガ一層激化スルト云フノミデハナイ
  ノデアリマシテ、又方面ニ依リマシテハ逆
  ニ此輸入制限阻止ガ多少緩和サレツツアル
  ト云フ方面モアリマス、此時機ニ際シマシ
  テ、輸出ニ付キマシテハ政府ト致シマシテ
  モ出來得ル限リ有ユル方策ヲ講ジマシテ、
  之ガ振興ヲ圖ルコトニ努メテ居リマス、
  例ヲ擧ゲマスト、數年來實行シテ居リマス
  ル政府ノ輸出補償ノ制度ニ付キマシテモ、
  此際一層之ガ普及ヲ圖ル爲ニ、ソレ〓〓適
  當ナル改正ヲ行フ外、又海外ニ於ケル政府
  ノ情報機關ヲ一層整備シ、今後ハ各國ニ對
  シテ出來得ル限リ日本ノ立場カラ積極的ニ
  働キ掛ケテ、所謂求償主義ノ關係ニ立ッテ、
  寧ロ日本カラ斯々ノ物ヲ買フカラオ前ノ方
  デモ一ツ日本ノ品物ヲ買ヘト云フ風ニ、出
  來得ルナラバ此方カラ働キ掛ケルヤウナ方
  法ニ於テ先方ト適當ナル協調ヲ取ッテ輸出
  ノ振興ニ努メテ行クト云フコトニ致シマス
  ナラバ、尙ホ今後共努力ノ如何ニ依ッテハ決
  シテ輸出ノ前途ト云フモノハ悲觀スベキモ
  ノデハナイ、斯樣ニ考ヘテ居リマス、尙ホ
  本年ノ上半期ニ於キマシテモ、御承知ノ通
  リ昨年ニ比較致シマスレバ、或ル程度ノ輸
  出增加ト云フコトハ依然トシテ其趨勢ヲ示
  シテ居リマスノデ、今後出來得ル限リ努力
  致シマスコトニ依リマシテ、尙ホ其趨勢ヲ
  維持シ、出來ルナラバ一層之ヲ增進サセタ
  イト考ヘテ居ル次第デアリマシテ、輸出ノ
  前途ト云フコトニ付テハ極メテ多難デアリ
  マスケレドモ、決シテ私共ハ悲觀ヲ致シテ
  居リマセヌト云フコトヲ玆ニ申上ゲテ置キ
  タイト思ヒマス

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• 040・井上良次

  ○井上委員　非常ニ抽象的デゴザイマシ
  テ、當局トシテハアア答ヘルヨリ仕樣ガナ
  イカト考ヘマスガ、併ナガラ問題ハ支那問
  題ヲ契機ニ致シマシテ大阪ノ貿易ハ停止ノ
  狀態ニ立至ルダラウト考ヘマス、隨テ假ニ
  支那ヘ年額數千万圓或ハ數億圓ノ輸出ガサ
  レテ居ルト云フコトニ致シマスナラバ、北
  支ノ事件ヲ通シマシテ、支那ニ對スル輸出
  ハ止マル、サウスルト新シイ販路ヲ何處カ
  ニ求メルコトニ努力ヲシナケレバナリマセ
  ヌ、特ニ私今對支貿易ノ拒絕ニ對シテ新市
  場ヲ見出スコトニ付テノ當局ノ意見ヲ聽キ
  タイト考ヘテ居リマシタガ、先程ノ御答辯
  ノヤウニ支那へ向イテ居ッタ品物ガ何處へ
  賣レルカト云フコトハ、此處ニ居ッテハ分ラ
  ヌコトデセウシ、非常ニムヅカシイコトデ
  セウカラ、是以上私ハ此問題ニ付テ申シマ
  セヌガ、併ナガラ政府當局ト致シマシテハ、
  特ニ此貿易關係ヲ受持タレル當局ト致シマ
  シテハ、現實ノ問題トシテ北支ニ對スル輸
  出ガ止ルノデアリマス、特ニ大阪ヲ中心ニ
  シマス所ノ對支貿易ノ業者及ビ其事業ニ從
  事スル者ハ是ガ爲失業シナケレバナラヌ狀
  態ニ立至ルノデアリマス、隨テ是ノ新シイ
  市場捌ケロヲ至急ニ開拓スルノ對策ヲ樹テ
  ル必要ガアルト思フガ、之ニ對スル御所見
  ヲ承リタイノデアリマス
  尙ホ日本輸出品ノ主ナルモノハ從來大體
  輕工業ガ中心デアリマス、滿洲ニ向ケテ行
  キマス重工業ノ資材商品ヲ除キマス以外ハ、
  大體ニ於テ輕工業品デアリマス、所ガ此輕
  工業ガ海外ニ發展ヲ致シマシタノハ勿論我
  ガ貿易當局ノ幹旋及ビ海外ニ駐在シテ居リ
  マス各人ノ努力ニモ依リマセウケレドモ、
  問題ハ其生產品ガ極メテ低廉ナル勞働賃銀
  ニ依ッテ造ラレテ居ルト云フコトデアリマ
  ス、アナタ方御存ジハゴザイマスマイガ、
  大阪ノ私共ノ居ル近所ヘ行キマスト、輸出
  商品タル莫大小ヲヤッテ居ル所ガゴザイマ
  スガ、莫大小製品ガアノ位海外ニ賣リ出サ
  レルノハ、其生產工程ガ殆ド家內工業デア
  リマス、十五六ノ小サイ子供ガ朝ノ七時頃
  カラ晩ノ十一時十一時

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• 041・増田義一

  ○增田委員長　井上君ニ一寸御注意ヲ致シ
  マスガ、ドウゾ簡潔ニ願ヒマス

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• 042・井上良次

  ○井上委員　晩ノ十一時、十二時マデ營々
  トシテ働キマシテ、其結果作上ゲタ婦人幼
  年工ノ低賃銀ニ依ル生產品デアルト云フコ
  トヲ吾々ハ見遁シテハナラヌ、私ガナゼ此問
  題ヲ取上ゲタカト言ヒマスト、歐米諸國ノ
  商品ト我國ノ商品ノ比較ハ、向フハ大規模
  工業ノ生產品デアリマス、所ガ日本ハ粗工
  業ノ家内的手工業ガ大部分デアリマス、結
  局商品ノ生產費ヲ切下ゲル以外ニ、日本ハ
  歐米諸國ノ商品ニ對抗シ得ル途ガナイノデ
  アリマス、斯ウ云フ點カラ吾々ハ今後一層
  此貿易ノ振興ヲ圖ルタメノ具體的ナ根本政
  策ニ至リマシテハ、一方ニ於テハ勿論アナ
  タノ方ノ所管デハアリマセヌケレドモ、勞
  働政策ニ相當ノ對策ヲ樹立スルコトデナケ
  レイ、日本ノ將來ノ貿易對策ト云フモノハ
  立タヌデハナイカ、斯ウ私共ハ考ヘルノデ
  アリマス、尙ホ今一ツ申上ゲテ置キタイ點
  ハ、所謂今度ノ生產力ノ擴充ハ主トシテ重
  工業ノモノデゴザイマスカラ、隨テ輕工業
  ノ方ノ勞働人員ガ此方面ニ異動致シマス、
  更ニ是ガ諸原料ノ輸入ニ付キマシテ、極メ
  テ高イ率ヲ示シテ來マスカラ、國際收支ノ
  均衡ガ破レル憂ガアルノデアリマス、サウ
  致シマスト益〓爲替ガ低落致シマシテ、對外
  貿易ガ困難ニナル見透シガ來ルノデアリマ
  ス、其結果ハ益〓ソレガ反覆致シテ來マシ
  テ、生產費ノ低下、勞働賃銀ノ引下、時間
  ノ延長ト云フコトニナル見透シガ付ケ得ラ
  レルノデアリマス、斯ウ云フ點カラ致シマ
  シテ、私共ハ出來ルダケ當局者ガ世界ノ隅
  隅ノ市場ノ狀態ヲ能ク御調査下サイマシ
  テ、一方北支事變ノ擴大ト共ニ、國內的ニハ
  是等輕工業ノ生產力ヲ擴充致シマシテ、新
  シイ商品ヲ海外ニ輸出シ、以テ國家ノ財政
  ヲ裕カニシテ行クト云フヤリ方モヤハリ執
  ラナケレバナラヌト私共ハ考ヘルノデアリ
  マスカラ、斯ウ云フ點ニ付テ一層ノ努力ヲ
  御願シタイノデアリマス、以上ニ對スル御
  所見ガゴザイマシタラ御伺シタイト思ヒマ
  ス

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• 043・寺尾進

  ○寺尾政府委員　御話ノ御趣意ハ洵ニ御尤
  ト存ジマス、私共モ其御趣意ニ副フベク十
  分努力致シタイト考ヘテ居リマス

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• 044・井上良次

  ○井上委員　私ノ質問ハ大體是デ打切リマ
  ス

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• 045・増田義一

  ○增田委員長　田中君、北君カラ工務局長
  ノ御出席ヲ要求サレテ居リマス、只今小島
  工務局長ガ御出席ニナリマシタカラ先程ノ
  御質問ニ對スル御答辯ガアル筈デアリマ
  ス

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• 046・小島新一

  ○小島政府委員　田中委員、北委員カラ工
  業組合ニ關シマシテ御尋ガアッタサウデア
  リマス、先ヅ田中委員ノ御質疑ニ對シマシ
  テ御答ヲ申上ゲタイト思ヒマス、田中委員
  ノ御質疑ノ要旨ハ此際統制工業組合ノ制度
  ヲ設ケズトモ、同業組合法ノ改正ニ依リマ
  シテ其目的ヲ達シ得ルノデハナカラウカ、
  將來統制工業組合ト同業組合トノ間ニ摩擦
  ヲ生ズル虞ガアルノデハナカラウカ、今後
  其兩者ノ關係ヲ如何ニ措置セラルヽ考カト
  云フヤウナ御趣旨デアッタト伺ッテ居リマ
  ス、統制工業組合ノ制度ハ、政府ガ國民經
  濟全體ノ立場カラ特ニ必要ト認メタ場合ニ
  於テハ、出資ニ依ラズシテ經費ノ賦課ニ依
  ル工業組合ノ設立ヲ命ズルト云フコトデア
  リマスルガ、御話ノ如ク同業組合法ノ改正
  ニ依リマシテモ、同ジコトヲ考ヘ得ルノデ
  アリマス、併ナガラ今囘統制工業組合ノ制
  度ヲ特ニ考ヘマシタ趣旨ハ、最近ノ國際情
  勢ノ推移ニ鑑ミマシテ、貿易ノ統制ト云フ
  コトガドウシテモ必要ニナッテ參リ、是ガ圓
  滑ナル施行ヲ致シマスル爲ニハ此貿易業者
  ノ背後ニアリマシテ其生產ニ與カリ、實質
  的ニ我國ノ輸出貿易ニ參與シ乃至原料輸入
  ニ依リマシテ、之ニ基イテ我國ノ產業ヲ擔
  當シテ居リマスル工業者ノ方面ニ於テ適當
  ナル統制ヲ致スト云フコトガ緊要デアル、左
  樣ニ考ヘマシタノデアリマス、之ニ付キマ
  シテハヤハリ現在相當ニ發達致シテ居リマ
  スシ、且ツ又其事業內容モ可ナリ具體的ニ、
  其統制ノ組織方法ト云フ方面ニ於テモ相當
  ニ經驗ヲ經テ參ッテ居リマスル工業組合ノ
  制度ノ方ガ、ヨリ以上其目的ヲ達スルニ適當
  デアラウ、又同ジク貿易統制ニ關聯シマシ
  テ工業統制ヲ致スニ付テモ、關係品種ニ付
  キマシテハ、相當工業組合ノ發達モアリマ
  スノデ、工業組合ニ依ル方ガ是等ノ他ノ組
  合トノ關係モ圓滑ニ行クノデハナカラウ
  カ、又現在工業組合ノ統制ニ付テハ是ガ統
  制ニ關シマスル監督規程モ整備致シテ居ル
  ノデアリマスカラ、是筆ノ諸點カラ考ヘマ
  シテモ、此際統制工業組合ノ制度ニ依リマ
  シテ、生產方面ノ統制ヲ充實致シマシテ、
  之ニ依ッテ貿易統制ト生產統制ト相關聯セ
  シメマシテ、其目的ヲ達スルト云フコトニ
  致シタ次第デアリマス、而シテ統制工業組
  合ヲ今後拵ヘマス場合ニ於キマシテハ、是
  ハ當該工業振興上竝國民經濟上特ニ必要ガ
  アル場合ニ限ラレテ居リマスノデ、今日各
  地方ニ發達シテ居リマスル同業組合ト云フ
  モノト重複致スコトハ大體ナカラウ、左樣
  ニ考ヘテ居リマス、其製品ノ種類ナリ或ハ
  當業者ノ範圍ナリ或ハ其組合ノ地區ナリト
  云フ點カラ致シマシテ、現在アリマス同業
  組合ト特ニ重複致シマシテ、其間ニ摩擦ヲ
  生ズルト云フコトハ大體ナイデアラウ、左
  樣ニ考ヘテ居リマス次第デアリマス
  次ニ北委員ノ御質疑ニ對シマシテ御答申
  上ゲマス、北委員ノ御質疑ノ要旨ハ工業組
  合法ノ第八條ノ命令ヲ出シマスル場合ノ運
  用ニ付キマシテ、農林水產物ニ付テハ貿易
  組合ト同樣ニ取扱フモノト考ヘテ宜シイ
  カ、左樣ナ御趣旨デアッタト伺ヒマシタ、工
  業組合ニ於キマシテ、組合員外ニ統制命令
  ヲ發シマスル場合ニ付キマシテハ、從來ト
  モ其製品ガ農林省ノ主管ノ事項ニ重要ナ關
  係ノアリマスル場合ニ於キマシテハ、農林
  省ト協議ノ上之ガ發動ヲ致シテ居ルノデア
  リマス、大體ニ於テ農林水產物ニ付テハ、
  工業組合ノ見地カラ之ガ統制命令ヲ出ス場
  合ハ先ヅ無イダラウ、極メテ稀ナ場合デア
  ラウト考ヘマスガ、是等ノ場合ニ付キマシ
  テハ、農林省ト篤ト協議致シテ、是ガ運用
  ノ圓滑ヲ圖リタイト考ヘテ居リマス、此點
  ニ付キマシテハ從來農林省ト協議ノ上組合
  法ノ運用ヲシテ參タ通リニ今後モ同樣ノ方
  針ニ依リ運用シテ參リタイ、斯樣ニ考ヘテ
  居リマス次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=46

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• 047・田中源三郎

  ○田中委員　只今ノ御答ニ依リマスト云フ
  ト、此ノ法ヲ適用致シマシテモ、工業組合
  ト同業組合トノ摩擦ハ恐ラクナカラウト云
  フ御推定ト考ヘマス、併ナガラ最近ニ於キ
  マシテハ農村ノ餘剩能力ヲ工業化シマシ
  テ、色々ナ生產ヲ行ッテ居ルモノガ我國ノ貿
  易ノ上ニ於テ相當大キナ力ニナッテ居ル、此
  モノガ同業組合法ニ依ッテ出サレテ居ルモ
  ノモアリマス、故ニアナタノ只今御話ノ通
  リニ、全然摩擦ガナイト想像サレルト云フ
  コトハ、少シク私ハ極言デハナカラウカト
  思フ、私共ハ長ラクノ間傳統的ニ精練サレ
  テ來マシタ所ノ此ノ同業組合ガ各種ノ事業
  ヲ致シテ居リマスル場合ニ於キマシテ、今
  度此法案ガ出來マシタナラバ、玆ニ非常ナ
  摩擦ガ生ジテ來ルト云フコトハ、是ハハッキ
  リト窺ヒ知ルコトガ出來ルノデアリマス、
  寧ロソレナラバ今日ノ時局ニ對シテ思ヒ
  切ッテ同業組合法ヲ一時停止シテ、アナタノ
  御說デ行クナラバ、此法ニ依ッテ總テヲ統括
  シテシマフト云フ風ニ思ヒ切ッタ所マデ行
  クナラバマダシモデアリマスガ、ソレデナ
  カッタナラバ、之ヲ暫定的ナモノト見、或ハ
  此儘之ヲ出シテ行カレル場合ニ於テハ、先
  程申シマシタ摩擦ハ十分アルモノト私ハ解
  シテ居ルノデアリマス、決シテ御說ノヤウ
  ナ工合ニハ行カヌト思ヒマス、此點ハモウ
  少シ具體的ナ御說明ヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=47

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• 048・小島新一

  ○小島政府委員　只今田中委員カラ重ネテ
  ノ御質疑デアリマスガ、御質疑ノ趣旨ハ能
  ク承リマシタ、併ナガラ私共ト致シマシテ
  ハ此貿易統制ニ對應シマシテ、生產統制ヲ
  致シマス場合ハ結局適當ナル生產統制ヲ致
  シマスコトガ生產業者ノ爲ニ有利デアル、
  我國產業貿易全體ノ爲ニ有利デアル、左樣
  ナ場合ヲ考ヘテ居ルノデアリマス、左樣ナ
  意味デアリマスカラ、大體輸出統制ニ關シ
  マスル限リハ、是ハ私共ト關係省ト十分協
  議ヲ致シマシテ、當業者ノ指導ニ當リマス
  ナラバ、大體ニ於テ必要ナル生產方面ノ統
  制ハ期待シ得ルノデハナカラウカ、サウ云
  フ見地カラ特ニ輸出ニ付テ此統制組合ト云
  フモノノ設立ヲ命ズルト云フヤウナ場合
  ハ、只今ノ所餘リ豫想ハ致シテ居ラナイノ
  デアリマス、只今御例示ニナッタヤウナ場合
  ハ、ソレハ從來ノ同業組合ニ依リマシテ十
  分生產方面ノ統制ガ立ッテ居リマスナラバ、
  强ヒテ政府ガ統制組合ノ設立ヲ命ズルト云
  フヤウナコトハ私共ハ只今豫想致シテ居ラ
  ナイノデアリマス、寧ロ問題ハ重要ナル輸
  入品ニ付キマシテ、或ハ急速ニ輸入ヲ統制ヲ
  致シマス爲ニ、之ニ對應シテ其原料ノ使用
  方面ニ於テ或ハ今申上ゲマシタヤウナ法制
  上ノ用意ヲ必要トスルト、斯樣ニ考ヘテ居
  ル次第デアリマス、併ナガラ今後此法ノ運
  用ニ付キマシテハ各種ノ場合ガアリ得ルモ
  ノト思ヒマスカラ、十分御質疑ノ趣旨ヲ諒
  ト致シマシテ、關係組合間ニ摩擦ノナイヤ
  ウニ努力ヲ致シタイ、ト斯樣ニ考ヘテ居リ
  マス

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• 049・田中源三郎

  ○田中委員　工業組合法ニ付テノ質疑ハ此
  程度ニ措キマシテ、此際一點貿易審議會ノ
  問題ニ付テ大臣カラ御答辯ヲ願ヒタイノデ
  アリマスルガ、是ハ只今貿易局長官ガ居ラ
  レマスルカラ、私ノ御尋ネシタ點ヲ御取次
  ヲ願ヒマシテ、明日ノ討論マデニ御答辯ヲ
  願ヒタイノデアリマス、過日本案ガ本會議
  ニ上程サレマシタ場合ニ、商工政務次官カ
  ラノ御答ノ中ニ「內地ノ產業ニ關係致シマ
  スル問題ヲ審議スルノガ貿易審議會デアリ
  マスルカラシテ、是ハ當然商工省ノ中ニ置
  クベキモノデアルヤウニ考ヘラレルノデア
  リマスケレドモ、更ニ的確ナル答辯ハ大臣
  ガ出マシテカラ申上ゲルコトニ致シマス」
  トアルノデアリマス、是ハ商工省ニ置クノ
  カ、內閣ニ置クノカ、ハッキリトシタ御答辯
  ヲ大臣カラ願ヒタイノデアリマス、此點御
  願ヲ致シテ置キタイノデアリマス、尙ホ併
  セテ先程御尋致シマシタ點モ大臣カラ共ニ
  御答辯ヲ願ヘレバ結構デアリマス

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• 050・北勝太郎

  ○北委員　工務局長ニ御伺致シマスルガ、
  農林水產物ノ加工ニ付テ工業組合、同聯合
  會ノ設立、統制品目、是等ニ付キマシテハ、
  從來豫メ農林省ト協議セラレルコトト承知
  致シテ居ッタノデアリマスルガ、改正後ニ於
  ケル本法ノ運用ニ付キマシテハ、商工農林
  兩省ニ於テ完全ナ御協議ヲ遂ゲラレルモノ
  ト承知シテ宜イモノデアルカドウカ、此點
  ヲ御伺致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=50

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• 051・小島新一

  ○小島政府委員　從來トモ工業組合法ノ運
  用ニ付キマシテハ、其製品ノ種類ガ農林省
  所管ニ屬スルモノニ付テハ、出來得ル限リ
  協議ヲ致シテ參ッタノデアリマスルガ、今後
  モ只今北委員ノ御擧ゲニナリマシタヤウナ
  コトニ付キマシテハ、十分農林省ト協議ヲ
  致シマシテ、工業組合ノ運用ヲ致シタイト
  斯樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=51

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• 052・北勝太郎

  ○北委員　日本蜜柑罐詰工業組合聯合會、
  此設立ノ場合ニハ農林省ニ何等ノ御相談ガ
  無カッタト云フコトデアリマスガ、是ハ其時
  ノ手落デアッタト考ヘテ宜イノデアリマス
  カ、將來サウ云フヤウナ扱ハ爲サラヌト云
  フコトデアリマスルナラバ、此處デ御言明
  ヲ願ッテ置キタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=52

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• 053・小島新一

  ○小島政府委員　今御例示ノ場合ニ付テハ
  私能ク承知致シテ居リマセヌカラ、能ク事
  情ヲ調ベテ御答申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=53

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• 054・北勝太郎

  ○北委員　尙ホ產業組合其他農林水產物ノ
  加工事業ヲ營ム非營利法人ハ從來通リ本法
  ノ適用外ニ置カレルモノト承知シテ宜シウ
  ゴザイマスカ、此點モ御伺致シタイノデア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=54

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• 055・小島新一

  ○小島政府委員　工業組合ノ關係ニ付キマ
  シテハ、產業組合ヲ如何ニ扱フカト云フコ
  トニ付キマシテハ農林省ト從來連絡ヲ取ツ
  テ其運用ヲ致シテ居ッタ次第デアリマス、產
  業組合其他ノ非營利法人ヲ如何ニ取扱フカ
  ト云フコトニ付キマシテハ、各個ノ場合ニ
  付キマシテ農林省ト協議ノ上適當ニ取扱ヒ
  タイ、斯樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=55

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• 056・増田義一

  ○增田委員長　原君カラ關聯質問ノ通告ガ
  アリマス-原君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=56

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• 057・原玉重

  ○原委員　只今田中委員カラ御質問三·つ
  タ點ニ付テ關聯シテ二三御伺シタイト思ヒ
  マス、重要物產同業組合ト此工業組合トノ
  關係デアリマスルガ、是ハ田中委員カラ旣
  ニ御質問ガアッタヤウデアリマスガ、私モ重
  要物產同業組合ガ多年活動ヲシテ參リマシ
  タニ付テ、新シク斯ノ如キモノガ出來ルコ
  トニ付キマシテハ、相當考慮ヲ拂ハナクテ
  ハナラヌ問題ダト考ヘルノデアリマス、ソ
  コデ御聽キ致シタイノハ、工業組合法ノ第
  二十八條ノ三竝ニ第十五條但書ニ依リマシ
  テ、出資ヲ必要トシナイ、强制加入ヲスル、
  唯統制ダケヲ目的トスル組合ヲ御認ニナル
  ヤウデアリマスガ、斯ノ如キモノヲ御認ニ
  ナリマシタナラバ、少クトモ此組合ト重要
  物產同業組合トノ摩擦相刺ヲ生ズルヤウナ
  コトガナイカト考ヘルノデアリマス、サウ
  シテ結局ハ中小工業者ニ對シテ非常ナ迷惑
  ガ掛ルト云フコトニナルノデハナイカト思
  ヒマスガ、一般的ニ重要物產同業組合法ニ
  關スル關係ダケデハナクテ、第二十八條ノ
  三ノ組合ニ付テノ關係ヲ一ツ御說明願ヒタ
  イト思フ次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=57

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• 058・小島新一

  ○小島政府委員　只今原委員カラ工業組合
  法ノ第二十八條ノ三ニ依リマスル工業組
  合、卽チ統制工業組合ト同業組合トノ關係
  ニ於キマシテ、其摩擦ヲ生ズル場合ハナイ
  カト云フ御尋デアリマスガ、只今モ田中委
  員ニ御答申上ゲマシタ通リ、大體ニ於テ今
  日同業組合ハ地方產業ニ於キマシテ相當ノ
  發達ヲ致シテ居リマス、ソレ〓〓其組合設
  立ノ趣旨ニ向ッテ活動シテ居ルノデアリマ
  スガ、此工業組合法ノ二十八條ノ三ニ依リ
  マスル工業組合ハ貿易統制ニ依リマシテ急
  速ニ生產方面ノ統制ヲ必要スルト云フヤウ
  ナ場合ニ限ラレテ居ルノデアリマス、而シ
  テソレヲ發動シマスル場合ハ大體我ガ國民
  經濟全體ノ立場カラ是非其統制ヲ必要トス
  ル、サウシテ是ハ恐ラクハ輸入品ニ關シマ
  スル場合ニ於テ考慮セラレルノデアリマシ
  テ、普通ノ各地ノ物產ノ生產、販賣ニ關シマ
  スル場合ニ於キマシテハ、大體政府ノ指導
  ニ依リマシテ、ソレ〓〓組織ニ依リマシテ
  適當ナル組合組織ガ出來得ルデアラウト斯
  樣ニ考ヘテ居リマス、卽チ統制工業組合ヲ
  認メマスル製品ノ種類ガ非常ニ局限サレテ
  居リ、其組合ノ地區竝ニ業者ノ範圍ガ非常
  ニ限ラレテ居リマスノデ、特ニ現在アリマ
  スル同業組合ノ制度トサウ摩擦ヲ生ズルト
  云フヤウナコトハ無イデアラウト考ヘテ居
  リマス、併ナガラ組合ノ制度カラ見マスト、
  如何ニモ二重ニナルヤウナ嫌ヒガアルト云
  フ御質問ハ洵ニ御尤ト存ジマスガ、此統制
  工業組合等ヲ認メマシタ本旨カラ考ヘマシ
  テ、其適用ノ範圍ハ極メテ狹ク、其場合モ
  非常ニ稀デアリマスノデ、現在ノ同業組合
  制度トサウ摩擦ヲ生ズルト云フコトハナカ
  ラウト、斯樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=58

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• 059・原玉重

  ○原委員　サウスルト工業組合法第二十八
  條ノ三ノ發動スル場合ハ輸入品ニ限ルト
  伺ッテ宜シイノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=59

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• 060・小島新一

  ○小島政府委員　貿易統制ニ關シマシテ生
  產統制ヲ必要トスルコトハ旣ニ申述ベマシ
  タガ、此貿易統制ヲ如何ナル品種ニ付キ如
  何ナル場合ニ發動スルカト云フコトハ、其
  場合ニナッテ初メテ定マルノデアリマシテ、
  只今私ガ輸入統制ト云フコトヲ例ニ擧ゲマ
  シタガ、法律上之ニ限ルト云フコトヲ申上
  ゲル譯ニハ參ラヌト思フ、唯併ナガラ吾々
  今日ニ於テハ大體輸出品ニ關スル限リハ、
  特ニ斯ウ云フ風ナ法律デ以テ組合組織ヲ命
  ジナクテモ、政府ノ指導ニ依リマシテ、適
  當ナ統制組合ガ出來ルモノト私ハ考ヘテ居
  リマスト云フコトヲ申上ゲタ次第デアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=60

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• 061・原玉重

  ○原委員　大體此工業組合トカ云フヤウナ
  モノハ、營利ヲ目的トスルモノデアリマス
  カラ、營利ヲ目的トスル方面ノ仕事ハ別ト
  シテ、統制ト云フヤウナコト、或ハ檢査ト
  云フヤウナ公共的ノ仕事ニ付キマシテハ之
  ヲ一切擧ゲテ重要物產同業組合ノ方ニ與ヘ
  ルト云フ工合ニシタ方ガ各〓ノ組合ノ性質
  上適當デアラウト思ヒマスルシ、又其統制
  トカ檢査トカ云フモノヲ實行スル上ニ於キ
  マシテモ、徹底的ニ實行スルコトガ出來ル
  ト考ヘルノデアリマス、卽チ總テノ場合ニ
  於テ根本精神トシテ統制トカ檢査トカ云フ
  ヤウナ公共的仕事ハ、重要物產同業組合ニ
  與ヘル、工業組合ノ如キハ單ニ營利方面ニ
  付テノ色々ノ仕事ダケヲヤラセルト云フ方
  法ニシタ方ガ宜イト考ヘルガ、此點ニ付テ
  ノ商工省ノ御意見ハ如何デセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=61

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• 062・小島新一

  ○小島政府委員　大體商工省ニ於キマシ
  テ、中小工業者ノ振興ヲ圖リマスル場合ニ
  於テハ、其生產ノ技術竝ニ經營方法ヲ改善
  致スト云フコトガ根本デアルト考ヘマスノ
  デ、是ガ組織ト致シマシテハ、單ニ檢査デ
  アリマスルトカ、或ハ所謂價格ノ協定デア
  ルトカ云フコトノミヲ以テハ其目的ヲ達ス
  ルコトガ困難デアリマシテ、ヤハリ其經營
  ノ全體ニ亙リマシテ、或ハ製品ノ共同販賣
  トカ或ハ更ニ遡ッテハ原料材料ノ共同購入、
  又加工ニ付テハ共同ノ設備ト云フヤウナ經
  濟的ノ共同施設ヲ爲スコトガ最モ必要デア
  リマス、而シテ今日ノ時勢カラ統制ト云フ
  コトモ必要ト致シマスガ、其統制モ是等經
  濟的事業ヲ出來ル限リ併セ行ヒマシテ、之
  ニ依ッテ其目的ヲ達スルコトガヨリ以上效
  果的デアルト斯樣ニ考ヘテ居リマシテ、只
  今ノ工業組合ハ大體經濟的ノ共同施設、ソ
  レカラ檢査其他ノ統制等ヲ併セ行フト云フ
  立前ノ下ニ出來テ居ルノデアリマス、隨ヒ
  マシテ原則ト致シマシテハ、ヤハリ現在ノ
  立前デ行ク方ガ中小工業ノ振興ノ爲メ適當
  デアラウト斯樣ニ考ヘテ居リマスノデ、工
  業組合ハ經濟的ノ仕事ノミヲ致シ、而シテ
  從來ノ同業組合法ヲ改正致シマシテ、統制
  ト云フヤウナコトハ全部同業組合ニサスト
  云フヤウナコトハ今日考ヘテ居リマセヌ次
  第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=62

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• 063・原玉重

  ○原委員　統制トカ檢査トカ云フヤウナコ
  トハ重要物產同業組合ニノミ與ヘタ方ガ宜
  イト考ヘルノデアリマスルケレドモ、只今
  ノヤウナ御意見ガ假ニ已ムヲ得ナイト致シ
  マシテモ、少クトモ重要物產同業組合ノ方
  面ニモ此檢査權ヲ與ヘル、統制ヲ爲スベキ
  權利ヲ與ヘルト云フヤウナ御意思ハナイデ
  セウカ、サウ云フ風ニ重要物產同業組合法
  ヲ御改正ナサルコトニ付テノ御意見ハ如何
  デセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=63

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• 064・小島新一

  ○小島政府委員　現在アリマスル重要物產
  同業組合法ノ改正ニ付キマシテハ、今後ト
  モ更ニ努力致シマシテ、十分調査〓究ヲ盡
  シタイト斯樣ニ考ヘテ居リマス次第デアリ
  マス、併ナガラ今御例示ニナリマシタ檢査
  ノ問題デアリマスルナラバ、是ハ現在ノ同
  業組合法ニ於キマシテモ十分ヤリ得ルコト
  デアリマス、而シテ之ヲ各種ノ輸出品ニ向ッ
  テ、輸出品ノ檢査ニ付テ如何ニ適用スルカ、
  如何ナル場合ニ同業組合ノ檢査ヲ認メルカ
  ト云フ問題ニ付キマシテハ、個々ノ場合ニ
  其實情ニ應ジマシテ考ヘタイト斯樣ニ考ヘ
  テ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=64

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• 065・原玉重

  ○原委員　先程ノ田中委員ニ對スル御答辯
  ト云ヒ、又前囘ノ議會ニ於ケル此委員會ニ
  於ケル御答辯ト云ヒ、ドウモ重要物產同業
  組合法ハ相當重ンズルト云フ抽象的ノ御言
  葉ハアリマスルケレドモ、實際ノ問題ニナリ
  マスルト繼子扱ヒデ、モウ廢朽物トシテ餘
  リ顧ミナイト云フ風ノ態度デハナイカト考
  ヘル次第デアリマスルガ、此點ニ付テ重ネ
  テ重要物產同業組合法ヲ廢止シテ、ドン
  ドン新シイ組合法デモ作ルヤウナ風ニスル
  御意見デモオアリニナルカドウカ、ソレト
  モ眞ニ重要物產同業組合法ヲ重要視セラレ
  ルモノナラバ、此法律ニ付テノ缺點ヲ速ニ改
  正シテ、十分活用ガ出來ルヤウニナサラウ
  トスル御意見ガナイデセウカ、伺ヒタイト
  思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=65

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• 066・小島新一

  ○小島政府委員　私共ト致シマシテモ現在
  ノ同業組合制度ガ、例ヘバ地方產業ト云フ
  ヤウナコトヲ考ヘマシテモ、其地方ニ於ケ
  ル生產業者或ハ問屋業者、ソレ等ノ者ガ相
  集リマシテ、其地方產業ニ對スル各種ノ意
  見ヲ述ベラレ、或ハ相談サレルト云フコト
  ハ、是ハ至當ナコトト考ヘマスノデ、同業
  組合制度ニ付キマシテ特ニ兎角ノ考ハ持ッ
  テ居リマセヌ、隨ヒマシテ此組合法ヲ廢ス
  ルト云フ考モ持ッテ居リマセヌ、而シテ今後
  此同業組合ト他ノ組合トノ連絡統制ト云フ
  問題ニ付キマシテハ、重要物產同業組合法
  ノ改正ニ關聯シマシテ私共ト致シマシテモ
  誠意ヲ以テ調査〓究ヲ進メタイ、斯樣ニ考
  ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=66

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• 067・原玉重

  ○原委員　商工關係ノ各組合、又ハ產業組
  合及ビ重要物產同業組合ノ此三ツハ摩擦相
  剋ガナイト仰シヤルガ、實際ニ於テハ非常
  ニ摩擦ヲ生ジ、特ニ中小商工業者ニ對シマ
  シテハ、新シイ產業組合ヤ商工關係ノ組合
  ニ侵害サレマシテ、平素迷惑ヲ蒙ッテ居ルヤ
  ウナ次第デアリマス、前議會ノ此委員會ニ
  於テモ御願シテ置キマシタガ、此產業組合
  ト商工關係ノ組合ト重要物產同業組合ト三
  ツノ關係ニ付テ、何等カ相調和スルヤウナ
  法律デモ設ケルト云フヤウナ點ニ付テノ御
  〓究ガアリマシタナラバ、御意見ヲ承リタ
  イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=67

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• 068・小島新一

  ○小島政府委員　原委員ノ御說ノ如ク現在
  各種ノ組合法制ガ制定サレマシテ、商工省
  關係ニ於テモ商業組合、貿易組合、工業組
  合ト云フヤウナ、是等ガ密接ナル關係ヲ有
  スルニ拘ラズ、ソレ〓〓獨立ノ法制ヲ以テ
  設立セラレタノデアリマスルガ、今後是等
  ノ調整ニ付キマシテモ、十分考究シマシテ、
  是等ノ團體ノ間ノ連絡統一ト云フコトニ付
  テハ遺憾ノナイヤウニ考慮致シタイ、斯樣
  ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=68

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• 069・原玉重

  ○原委員　最後ニ種々ノ產業組合ヤ商工關
  係ノ組合ガ重要物產同業組合ヲ侵害スルヤ
  ウナコトニ付テハ十分御注意ヲ願ヒマシ
  テ、特ニ中小商工業者ヲ害セザルヤウナ御
  留意ヲ願ヒタイノデアリマスルガ、只今ノ
  工業組合法第二十八條ノ三ノ組合ニ付テ
  ハ、特別ナル少數ノ場合ノミデアルシ、成
  ベク斯樣ナ重要物產同業組合ニ關スル中小
  工業者ヲ侵害スルコトハナイヤウニ注意ヲ
  スルト云フ風ニ御伺シテ宜シウゴザイマス
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=69

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• 070・小島新一

  ○小島政府委員　原委員ノ御趣旨ノ通リニ
  私共モ大體考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=70

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• 071・増田義一

  ○增田委員長　井上君先程ノ質問ノ補足ト
  云フコトデアリマスルガ、特別ニ是ハ御許
  シ致シマスルガ、モウ食事ノ時間モ迫ッテ居
  ルノデアリマスカラ極メテ簡潔ニ御質疑ア
  ランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=71

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• 072・井上良次

  ○井上委員　洵ニ恐縮デゴザイマスガ、前
  ニ御問ヒシヨウト思ッテ、スッカリ忘レテ居リ
  マシテ······實ハ大阪府ガ紀元二千六百年記
  念ヲ意味致シマシテ、大阪市ニ國際見本市
  會館ヲ建テルコトニナッテ居リマス、是ハ政
  府カラ約百万圓ノ補助金ヲ得マシテ、大阪
  市ト商工會議所トノ協力ノ下ニ二百六十万
  圓位ノ總豫算デ此會館ヲ建テルト云フコト
  ニナッテ居ッタノデアリマス、所ガ聞ク所ニ
  依リマスト、百万圓ノ補助金ガ四十万圓ニ
  削ラレテシマッタト云フコトデ、工事施行上
  支障ヲ來シテ居リ、又對外貿易ノ振興助長
  ノ急ナル今日、一日モ早ク此會館ノ急設ヲ
  大阪府民全體ハ望ンデ居リマス、特ニ日本
  ノ對外輸出業者ハ擧ゲテ望ンデ居ル譯デア
  リマス、政府ハ一體何デ之ニ補助金ヲモット
  餘計ヤルコトニセナカッタカト云フコトニ
  付テザックバランノ話デスガ、一ツ御聽キ
  ヲシテ置キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=72

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• 073・増田義一

  ○增田委員長　井上君ニ注意致シマスガ、
  是ハ此審議シテ居ル法案ニ直接關係ガナイ
  ヤウナ御質問ト思ヒマスガ·

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=73

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• 074・井上良次

  ○井上委員　關係ハアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=74

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• 075・増田義一

  ○增田委員長　ソレハ見方ニ依ッテハ關係
  ガ絕對ナイトハ言ヘナイカモ知レマセヌ
  ガ、成ベク此法案ニ直接關係ノアル範圍內
  ニ於テ御質疑ヲシテ戴カナイト、最初カラ
  三十分以內ト云フ時間ノ制限ヲシタ所以ノ
  モノモ、成ベク多岐ニ涉ラヌヤウニト云フ
  譯デアリマス、併シ折角ノ御質疑デアリマ
  スカラ政府當局デ御答アルナラバ宜シウゴ
  ザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=75

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• 076・寺尾進

  ○寺尾政府委員　貿易振興ニ關スル補助金
  ニ付キマシテハ、私共トシマシテハ、出來
  得ル限リ必要ナ事業ニ付テハ、多額ノ補助
  金ガ計上サレルコトヲ希望シテ居リマスケ
  レドモ、併シ是ハ色々財源ノ關係其他ガア
  リマシテ、私共ノ希望通リニ參ラナイト云
  フコトモアルノデアリマス、今御話ノ百万
  圓ト云フ額ガ減ッタコトニ付テハ、私共モ承
  知シテ居リマスガ、今申土ゲマシタヤウナ
  色々ナ事情カラサウナッテ居リマスノデ、其
  點御諒承ヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=76

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• 077・増田義一

  ○增田委員長　食事ノ時間ニナリマシタノ
  デ、其時間等モ考慮シマシテ、之ニテ暫時
  休憩致シマス、午後正一時半ヨリ開會致シ
  マスカラ御承知置キヲ願ヒマス
  午後零時十分体憩
  午後一時四十分開議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=77

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• 078・増田義一

  ○增田委員長　休憩前ニ引續キ開會致シマ
  ス-三田村武夫君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=78

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• 079・三田村武夫

  ○三田村委員　當委員會ニ付託サレテ居リ
  マスル諸法案、就中貿易及關係產業調整法
  案ハ今後ノ產業及ビ經濟政策ニ一ツノ新シ
  イ出發點ヲ與ヘ更ニ又ココ數年來唱ヘラ
  レテ參リマシタ所謂國民經濟主義ノ發展强
  化ト云フヤウナ意味ニ相當重要ナル示唆ヲ
  與ヘル法案ダト思フノデアリマス、其意味ニ
  於キマシテ、私ハ旣ニ他ノ委員諸君カラ相
  當論議サレマシタ、或ハ立法技術上ノ問題
  トカ、解釋上ノ問題、運用上ノ問題、サウ云
  フ點ヲ離レマシテ、所謂產業經濟政策ノ新
  動向ニ關スル根本問題、卽チ所謂轉換期ニ
  直面シタ貿易政策乃至ハ產業經濟政策ノ飛
  躍性ノ出發點ト目的ト、斯ウ云フ根本ノ問
  題ニ付テ、政府ノ御所見ヲ御伺シタイト思
  フノデアリマス、是ハ私申上ゲル迄モナ
  ク、政府當局ニ於テモ既ニ御承知ノ通リ此
  立法ノ趣旨モ所謂經濟ノ非常時性ト云フモ
  ノヲ御考ニナリマシテ、長イ間經濟界ノ原
  則ニナッテ居リマシタ所謂自由主義ノ經濟
  國際關係ニ付テ申シマスナラバ、通商自由
  ニ基ク國際經濟主義、サウ云フモノヲ或ル
  程度マデ〓算シテ、自主的ナ國家本位ノ所
  謂國民經濟ト云フモノヲ、此際ニ打立テナ
  ケレバナラヌト云フ、其政治的ナ必要性カ
  ラ出發シタノダト考ヘルノデアリマス、隨
  ヒマシテ啻ニ本法案ノミナラズ、斯ノ如キ
  動向ヲ有ッタ經濟產業關係ノ法律案ハ、今後
  モ甚ダ多ク議會ニモ現レテ來ルト思フノデ
  アリマス、尙ホ更ニ私ハ今囘ノ北支事變ヲ
  契機ト致シマシテ、日本ノ對外關係ハ益〓緊
  迫ヲ〓ゲ、所謂經濟ノ戰時體制ト云フモノ
  ヲ考ヘナケレバナラナイ角度カラ申シマシ
  テモ、所謂國家ノ經濟力ヲ中心トシタ經濟
  ノ武裝化ト云フヤウナモノガ問題ニナルト
  思フノデアリマス、言葉ヲ換ヘテ判リ易ク
  申シマスト、所謂自給自足ノ經濟ヲ立テ
  ル、國家ヲ中心ニシタ國際經濟戰ニ對抗ス
  ベキ經濟ノ武裝化ト云フモノガ必要ニナツ
  テ來ルト思フノデアリマス、其意味ニ於キ
  マシテ貿易關係ノ產業ヲ如何ニ調整スル
  カ、是ハ國力ノ總和カラ言ッテモ非常ニ重要
  ナコトデアリマスノデ、サウ言ッタ意味ノ根
  本問題ニ付テ少シバカリ政府當局ノ御所見
  ヲ伺ヒタイト思フノデアリマス、時間ガ制
  限サレテ居リマスノデ、或ハ御伺シタイ點
  ヲ全部御伺ヒ出來ナイカト思ッテ居リマス
  ケレドモ、甚ダ勝手ナコトヲ前提致シマス
  ガ、御伺スル點ニ付キマシテハ、極メテ簡
  明率直ニ御所見ヲ御伺シタイト思ヒマス、
  第一ニ私本法案ヲ立案サレマシタ御當局ニ
  御伺シタイノデアリマスガ、貿易及關係產
  業ノ調整ニ關スル法律案ノ第一條ノ第四號
  デアリマス、第四號ニ「國民經濟ノ健全ナ
  ル發達ヲ圖ル爲」斯ウ云フ言葉ガ使ッテア
  ルノデアリマス、私ハ甚ダ不勉强ノ爲カマ
  ダ立法上ノ用語トシマシテ國民經濟ト云フ
  言葉ハ餘リ多ク見ラレナイノデアリマス、
  立案サレマス時ニ法律上ノ用語トシテ國民
  經濟ト云フ文字ガ先例トシテアリマシタカ
  ドウカ、其點先ヅ最初ニ御伺シテ置キタイ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=79

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• 080・木暮武太夫

  ○木暮政府委員　御答申上ゲマス、國民經
  濟ト云フ言葉ハ重要產業統制法ニモアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=80

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• 081・三田村武夫

  ○三田村委員　不勉强ノ爲メ私ソレヲ知ラ
  ナカッタノデアリマスガ、繰返シテ恐縮デア
  リマスケレドモ、國民經濟ト云フ言葉ハ私
  達非常ニ意味深ク解シタイト思ヒマス、是
  ハ何ト申シマスカ、從來ノ經濟觀念ヲ中シ
  マスト、一般ニ今日ノ經濟法則ト申シマス
  カ、經濟活動其モノヲ資本主義的ノ經濟社
  會ト申シテ居リマス、ソレト對蹠的ニ吾々
  ハ國民主義的ノ經濟、詰リ國家全體ノ觀念、
  國家モ國民モ一〓ニシタ、所謂同一體ノ原
  則ノ下ニ立ッタ經濟ト云フモノヲ考ヘタイ
  ノデアリマスシ、勿論今日ハソレガ必要ダ
  ト思フノデアリマス、其際ニ國民經濟ト云
  フ言葉ガ法律上ノ用語トシテ出テ來ルト
  云フコトハ、非常ニ意義ガアルト思フノデ
  アリマス、デアリマスカラ、國民經濟ト云
  フ用語-是ハ私法律上ノ用語トシテ考ヘ
  ルノデアリマスガ、國民經濟ト云フ用語ノ
  意義竝ニ〓念、更ニソレニ續イテ用ヒテア
  リマス「國民經濟ノ健全ナル發達」ト云フ
  言葉ガアリマスガ、是ハ私此法律ノ全體ニ
  付テ非常ニ意味ノ深イ法律用語デアルト思
  ヒマスカラ、此國民經濟ノ健全ナル發達ノ
  〓念ト立法目的、斯ウ云フモノヲ一寸御伺
  シタイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=81

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• 082・木暮武太夫

  ○木暮政府委員　御答致シマスガ、大變難
  カシイ御質問デ、私ノヤウナ淺學ノ者ニ能
  ク御答ガ出來ルカドウカ分リマセヌガ、唯
  申上ゲテ置キタイコトハ、此國民經濟ト云
  フ言葉ヲ、只今アナタノ御話ノヤウニ資本
  主義經濟ト對蹠的ニ考ヘタイト云フ御考ノ
  ヤウデアリマスガ、玆ニ申シマスル國民經
  濟ト云フノハ、所謂資本主義經濟ト對蹠的
  ノ意味デ書キマシタモノデハゴザイマセ
  又、唯國民經濟ト云フモノハ、御承知ノ通
  リ近代國家ノ作用ト云フモノガ、古イ二百
  年、三百年前ノ國家ノ作用ノ時分カラ見ル
  ト、非常ニ擴大强化サレタ爲ニ、所謂國家
  經濟ト國民經濟ト云フモノハ非常ニ錯綜シ
  テ、其區別ヲスルコトガ困難ニナッテ參ッテ
  來テ居ルノガ今日ノ狀態デゴザイマス、殊
  ニ各種ノ統制ヲ國民經濟ノ活動ニ、好ムト
  好マザルトニ拘ラズ用ヒルヤウナ場合ニナ
  リマスレバ、國家經濟ト國民經濟ノ定義ノ
  間ノ區別ト云フモノヲ確然トスルコトガ中
  中困難ニナッテ來タヤウニ考ヘマスノデ、其
  意味デ所謂國民經濟ト云フモノヲ非常ニ强
  イ意味ニ御解釋下サルトスレバ、ソレデモ
  宜シイカト考ヘラレルノデアリマス、ソコ
  テイン「國民經濟ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲
  重要物資ノ供給ヲ適正ナラシメントスルト
  キ」ト云フ意味ハ、是ハ今ノ〓念念トカ、或
  ハ健全ナル發達ヲ圖ルト云フ意味ハドウ云
  フ意味カト云フヤウナ文字ノ上ノ御說明ヨ
  リハ、例ヘバドウ云フ場合デアルカト云フ
  コトヲ申上ゲタ方ガ御答ニナルカト存ジマ
  スノデ、場合ヲ申上ゲテ見タイト思ヒマス、
  卽チ重要原料ノ分散買付ニ依リマシテ、
  方的ニ餘リニ其供給先ガ一ツノ國ニバカリ
  偏シテ居ルヤウナ場合ニ、ソレヲ制限ヲス
  ルトカ、或ハ代用原料ノ使用ヲ奬勵致シマ
  シテ、其工業ノ發達ヲ助成スル爲ニ、其代
  用サルル品物ノ輸入ヲ或ル程度制限スルヤ
  ウナ場合デアルトカ、或ハ國內ニ於テ不足
  セル重要ノ物ヲ輸出ヲ禁止シ抑制スル場
  合、例ヘバ機械工作物ノ如キモノハ日本デ
  マダ足ラナイノデスカラ、輸出ヲ奬勵スル
  ト云フ國際貸借尻ノ優良化ト云フ關係カラ
  バカリデナク、物資ノ上カラ見テ、サウ云
  フヤウナモノハ或ル程度制限シナクテハナ
  ラヌ、或ハ鑛材ガ國內ニ於テ非常ニ不足シ
  テ居ル時ニ、之ヲ輸出スルト云フコトモ理
  窟ニ合ハヌデハナイカト云フヤウナ場合ニ
  ハ、サウ云フ國內ニ供給不足セル重要物資
  ノ輸出ヲ制限又ハ禁止スルト云フヤウナ、
  國民經濟ノ維持、發達ヲ圖リマス爲ニ、重
  要ナルモノノ需要供給ヲ調整スル必要ガア
  リマスル場合ニ於キマシテ、當業者ノ自治
  的統制ダケニ依賴スルコトガ出來ナイト云
  フヤウナ場合ニ、此第一條ノ第四號ノ發動
  ヲ見ルコトトナルノデアラウト思ッテ居リ
  Vく、其意味デ、今ノ國民經濟ノ健全ナル
  發達ヲ圖ル爲ト云フ所ヲ御諒解ヲ願ヒタイ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=82

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• 083・三田村武夫

  ○三田村委員　木暮政府委員ノ御說明ニ依
  リマシテ、政府ノ御意圖ハ分リマシタノデ
  アリマスガ、私ガ御尋シマシタノハ詰リ只
  今例示サレマシタ本法適用乃至運用上ノ事
  例ト申シマスカ、事項デス、ソレガ本法ニ
  依ッテ統制サレ、調整サレルト云フコトソレ
  自體、此上ヘ戾ッテ來マシテ、國民經濟ノ健全
  ナル發達ト云フ觀念ニ化シテ來ルト思フノ
  デアリマス、ソレデ私ハ立法ノ根本、立法
  ノ目的ト云フモノニ對シテ、多少新ラシイ
  經濟觀念ト言ヒマスカ、サウ云フ點カラ考
  ヘテ見タイト思フノデアリマス、只今木暮
  政府委員ハ國民經濟ト國家經濟トガ非常ニ
  接近シテ來テ、區別ガ明カデナイト云フ御
  話デアリマシタガ、私ハ國民經濟モ國家經
  濟モ同ジ事デアルト思フノデアリマス、只
  今ノ御說明ニ國家經濟ト國民經濟トヲ觀念
  的ニ御區別ニナッテ居ラッシヤルヤウニ承ッタ
  ノデアリマスガ、私達ハサウ云フ觀方デハ
  ナク、苟モ政府ガ一ツノ制裁ヲ以テ經濟行
  動ヲ律セントセラルル場合ハ、國家意思ニ
  依ッテ經濟ト云フモノハ動クノデアリマシ
  テ、私ハ國民ノ意思ニ依ッテ動クノデハナイ
  ト思フノデアリマス、國家意思ガ國民意思
  ニナルノデアリマス、國民經濟ト國家經濟
  ト同一體デアルト思フノデアリマス、唯私
  ノ意見ヲ是ダケ附加ヘマシテ、私達ハサウ
  此點ヲ解シマシテ、非常ニ意義深ク考ヘル
  モノデアリマス、何故私ガコンナ變ナ理窟
  メイタコトヲ申上ゲタカト申シマスト、是
  ハ特ニ通商關係ノ御仕事ヲ爲サッテ居ラレ
  マス商工當局ニ於テハ、十分御承知ノ通リ
  デアリマスガ、曩ニモ一寸申シマシタヤウ
  ニ、通商ノ自由ト云フモノハ、今日モウ既
  ニナクナッテ居ルノデアリマス、千九百二十
  九年デアリマシタカ、世界ヲ總舐メニ舐メ
  タ經濟恐慌以來、長イ間國際經濟ノ原則ニ
  ナッテ居リマシタ通商ノ自由ト云フモノハ、
  殆ド根本カラ覆ヘサレマシテ、英吉利ハ千
  九百三十二年八月「オッタワ」經濟會議ヲ開
  キ、所謂「ブロック」經濟ノ大先驅ヲナシタ、
  次イデ千九百三十二年六月ノ倫敦會議ノ破
  綻ハ、所謂經濟「ブロック」ノ强化、鎖國經
  濟主義ノ發展、國民主義經濟ノ高揚ト云フ
  コトニ非常ニ役立チマシテ、今日ノ如ク通
  商貿易關係ハ非常ニ困難ニナッテ來タノデア
  リマス、日本ノ商品ガ非常ニ優秀デアッテ、
  而モ廉價デアル、經濟ノ自然ノ原理カラ云
  ヘバ、安イ優秀ナ商品ガドン〓〓其需要ニ依
  テ、海外ニ吐出サレ、優秀ナ、廉價ナ商品ヲ
  造ル國ハ、經濟的ニ大ナル繁榮ヲシ、國民ハ
  幸福デアラネバナラナイニ拘ラズ、今日ハ
  サウデナイ、是ハ國際經濟ノ觀點ニ於テ、
  今日ノ通商貿易ノミナラズ、特ニソレニ關
  聯シタ產業對策ヲ考ヘネバナラズ、私ハ此
  世界的ノ經濟動向ト云フモノヲドウ考ヘ、
  ドウ處置シテ行クカト云フコトガ根本ノ課
  題ニナルト思フノデアリマス、此傾向ガ益〓
  深刻ニナリマスト、所謂經濟戰爭カラ武力
  戰ト云フ「コース」ヲ迪リマシテ、今日モ
  ウ經濟戰爭ト云フモノハ非常ニ熾烈化シテ
  來テ居ルノデアリマス、ソコデ吾々ガ此處
  デ新ラシク取上ゲテ問題ニシナケレバナラ
  ナイモノハ、所謂經濟ノ實勢デアリマス、
  國家經濟ノ自給自足ト云フモノヲ考ヘナケ
  レバナラナイノデアリマス、大キク申シマ
  スト、經濟機構ノ更改ト再編成、其見地カ
  ラ產業及ビ貿易政策ノ基調ヲ何處ニ置ク
  カ、貿易ト外交ト國防力、斯ウ云フ問題ハ
  總テ一貫シテ問題ニナッテ來ルト思フノデ
  アリマス、私達ノ希望ヲ言ヒマスト少シ變
  ニナリマスケレドモ、率直ニ貿易對策上ノ
  氣持ヲ申上ゲマスナラバ、優秀ナ而モ廉價
  ナ商品ガ自然ノ法則ニ從ッテ海外ヘ流レ出
  ナクチヤナラナイニ拘ラズ、ソレヲ阻止サ
  レテ居ル今日ノ現狀、是ハ私達ガ新聞ヲ通
  ジ或ハ實際議會ニ現レテ來ル法案ノ內容ニ
  依ッテマザ〓〓ト知ッテ居ルノデアリマス
  ガ、日蘭會商ト云ヒ、日印會商ト云ヒ、日
  濠會商ト云ヒ、悉クソレナノデアリマス、
  斯ウ云フコトハ率直ニ申シマスト、日本ノ
  外交ノ弱腰ト云フコトガ言ヒタイノデアリ
  マスガ、國際經濟戰ガ深刻ニナリマスト、
  サウ簡單ニオ互ノ利益ハ棄テナイ、利害ニ
  非常ニ强クナリマシテ、日本ニ利益デアレ
  バ、相手國ニ不利益デアルニ違ヒナイ、相
  手國ニ不利益デアレバ、日本ニ利益デアル
  ニ違ヒナイ、之ヲ外交上ノ取引乃至ハ貿易
  上ノ行政手段ニ依ッテ御考ニナル場合ハ、相
  當强イ決意ガ必要デアリマシテ、唯單ニ之
  ヲアヽシテ呉レトカ、斯ウシテ吳レトカ、
  經濟使節ノ交驩トカ、一片ノ會商ニ依ッテ、
  私ハ斯ウ云フ問題ガ根本的ナ調整ヲ見ルモ
  ノデハナイト思フノデアリマス、亞米利加
  邊リハ非常ニ强イ方針デ對外貿易ニ當ッテ
  居ルヤウデアリマスガ、千九百三十三年ノ
  六月改訂サレマシタ亞米利加ノ海軍政策要
  綱ヲ見マスト、亞米利加海軍ノ根本政策ト
  シテ、合衆國ノ海軍ハ其生產ト通商ヲ支持
  シ、且ツ本國ト海外領土ヲ保護スルニ十分
  ナル兵力ヲ保持シナケレバナラヌ、斯ウ云
  フコトヲ言ッテ居ルノデアリマス、詰リ國力
  ガ背景ニナッテ、貿易關係ト云フモノガ調整
  サレルノデアリマシテ、唯一片ノ技術ダケ
  デハイケナイト思フノデアリマス、モット率
  直ニ申シマスト、廉イ良イ商品ガ海外ニ其
  需要ニ依ッテ流レルコトハ自然ノ法則デア
  リマスカラ、其自然ノ法則ヲ阻止スル不自
  然ナ不合理ナ壓力ニ對シテハ、國力ヲ背景
  トシテ處理シナクチヤナラヌ、昨年デアリ
  マスカ問題ニナリマシタ例ノ支那ノ冀東政
  府アタリノ密輸問題デモ、一體密輸ト云フ
  言葉ヲ付ケルノハ不自然デアリマシテ、當
  然行クベキ性質ノモノデアリマス、自然ノ
  要求ヲ阻止スルモノニ對シテ肯カナケレバ
  俺ノ方ハ軍艦デ商船ヲ掩護シテデモ出スゾ
  ト云フ決意ガ加ハラナケレバ、日本ノ通商
  關係ト云フモノハ强クナラナイト私ハ確信
  シテ居ル、ソレダケヲ前提ト致シマシテ政
  府當局ニ御伺シタイ
  目下當面シタ經濟ノ非常時性ニ對處スル
  コトハ勿論デアリマスガ、將來サッキ木暮政
  府委員ノ御話ニナリマシタヤウニ、國家主
  義的ナ民族主義的ナ經濟ノ原則ヲ確立スル
  爲ニ部分的ナ經濟ノ摩擦トカ矛盾トカ云フ
  コトヲ矯メルコトモ必要デアリマスガ、モッ
  ト根本的ニ國內モ國外モ一貫シテ、國自身
  ガ經濟產業ノ大方針ヲオ樹テニナッテ、ソレ
  ニ依ッテ運營サレルコトガ必要デアリマス
  ガ故ニ、サウ云フ方面ニ付テ、私ハ寧ロ此
  法案ヲ甚ダ微溫的ダト思フノデアリマス
  ガ、ドウ云フ御考ヲオ持チニナッテ居リマス
  カ、更ニ其問ニ加ヘテ申上ゲタイコトハ、
  最近吉野商工大臣ト賀屋大藏大臣トノ合作
  ニ依ッテ、所謂經濟三原則ト云フコトヲ言ハ
  レテ居ル、此經濟三原則ヲ大學ノ卒業論文
  ニシテ書クト立派ナモノガ出來ルト思ヒマ
  スガ、之ヲ實際運營スル場合ニハ、非常ニ
  難カシイト思フ、丁度外ス切レ目ノ無イ智
  慧ノ輪ヲ貰ッテ、優秀ナ官僚ガ高等遊〓ヲ
  ヤッテ居ルヤウナ氣ガスルノデアリマス、何
  處ヲ外シテ宜イカ、外レル所ガナイ、見タ
  眼ハ綺麗デアリマスケレドモ、實際何處カ
  ラ弄ッテ宜イノカ弄ル場所ガ分ラヌ、政府ハ
  自ラ其外ス所ノ分ラヌ智慧ノ輪ノ一環ヲ外
  シテ、此處カラ入ッテ此三原則ヲ斯ノ如ク斯
  斯ニ行フノダト云フコトヲ私ハハッキリ御
  示シニナル必要ガアルト思フノデアリマ
  ス、私ノ御伺シタイコトハ貿易關係ニ付テ
  モ、貿易關係ノ三原則ニ付テモ、根本的ニ
  私ガ只今申シマシタ國家同一體ノ原則ニ
  依ッテ御調整ニナル御決意ヲ御持チニナル
  カドウカ、モット具體的ニ申シマスト、今日
  經濟ノ混亂トカ、財政ノ逼迫トカ、生產力
  ノ擴充トカ色々言ハレテ居リマスガ、其由ッ
  テ來ル所ハ所謂資本主義經濟ノ弊害デアリ
  マス、是ハモウ好ムト好マザルトニ拘ラズ、
  必然的ナ運命トシテ今日生產サレナクチヤ
  ナラナイモノデアリマシテ、ソレハ丁度吾
  吾ガ自分ノ體內ニ何カ腫物デモ出來シタヤ
  ウナ氣持ニナラナケレパナラナイ、自分ノ
  身體ヲ健康ニスル爲ニハ邪魔ナ腫物ヲ取除
  ク相當ナ手術ヲ加ヘテデモ取除クコトガ
  必要デアルト同時ニ、國家モ亦國內ニ資本
  主義的弊害ヲ持ッタノデアリマスカラ、勇敢
  ニソレヲ取除ク決意ガ必要デアルト思フノ
  デアリマス、單ナル觀念的ナ、國民經濟ノ
  健全ナ發達トカ言ッテ居ル時代デハナイ、旣
  ニソレハ政治性ヲ帶ビ、實踐化サレナケレ
  バナラナイ時期ダト思フノデアリマスカ
  ラ、サウ云フ方面ニ對シテ如何ナル決意ヲ
  御持チデアリマスカ、御伺シタイノデアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=83

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• 084・木暮武太夫

  ○木暮政府委員　御答致シマス、國民經濟
  ノ觀念ト申シマスカ、定義ト云フヤウナコ
  トニ付テハ、御趣旨ハ能ク諒承致シマシタ、
  是ハ御意見トシテ拜聽致シテ置キマス
  ソレカラ只今ノ御話洵ニ御尤ナ點ガ多イ
  ノデゴザイマシテ、日本ノ商品ガ良品廉價
  デアルニ拘ラズ、到ル處ニ於テ其入ルコト
  ヲ拒絕サレ、或ハ制限ヲ受ケ、或ハ又高關
  稅率ノ適用ニ依ッテ「シャット·アウト」サレ
  テ居ルト云フ此事實ハ、モウ今迄ノ自由主
  義經濟ノ通商時代カラ更ニ數步ヲ世界ノ經
  濟ガ進メタモノデアルト云フ御意見ニハ洵
  ニ御同感デゴザイマス、私共モサウ云フコ
  トヲ考ヘマシテ、日本ノ商品ガ良クテ廉イ
  ニ拘ラズ、賣レナクチヤナラナイ筈ダガ賣
  レナイ、ソコデ色々斯ウ云フヤウナ法律ヲ
  出シタリ、行政手段ニ愬ヘタリ、或ハ相手
  國ト協商商議ヲ行フト云フヤウナコトニ出
  テ居ルノデアリマシテ、根本的ナ問題ヲ定
  メズニ、サウ小サナコトヲヤッテモドウダ
  ト云フヤウナ御意見デアリマスケレドモ、
  根本的ナコトモ勿論必要デアルト同時ニ其
  場合々々ニ生ジマシタ所ノ「フリクション」
  ヲ矯メテ行クト云フコトモ極メテ必要ナコ
  トデ、道ハ近キニ在リ、餘リ足ヲ離サズニ
  足元カラ段々築イデ行クコトガ必要デアル
  ト云フ立前ノ下ニ、著々具體的ニ起リマシ
  タル各「ケース」ノ「フリクション」ヲ無
  クスルト云フコトニ商工當局ハ今日マデ盡
  力ヲ致シテ參ッテ居ルノデゴザイマス、而シ
  テ只今御意見デゴザイマスルガ、資本主義
  ノ弊害ヲ除去スル爲ニ、一ツ根本的ノ考方
  ハナイカト云フ御話デゴザイマスルガ、旣
  ニ本會議ニ於キマシテ總理大臣カラモハッ
  キリト言明致シマシタヤウニ、資本主義經
  濟ニ附隨致シマスル所ノト申シマスルカ、
  或ハ資本主義ガ爛熟致シマシタ結果由ッテ
  生ズルト申シマスルカ、幾多ノ弊害ヲ是正
  スルト云フコトガ今囘申サレテ居ルノデア
  リマスガ、卽チ此法律案ノ如キモ或ル一方
  カラ見ルト餘リニ國家ガ干涉シ過ギルデハ
  ナイカト云フ其御言葉ハ、取リモ直サズ從
  來ノ如ク個人主義經濟ト申シマスカ、個人
  ノ利益ノミヲ追究スルコトヲ許サレテ居タ
  其コトヲ許サナイデ、ソレニ或ル補正ヲ加ヘ
  ヨウト云フコトガ此統制ト云フ形ニナッテ
  現レテ來テ居ルノデゴザイマス、私共ノ考
  ハ、今ノ資本主義經濟ノ爛熟ニ依ッテ生ズル
  弊害ヲ是正シテ行クト云フ根本ノ方針ニ立
  脚致シマシテ、其場合々々ニ處シテ具體的
  ニ段々ト改メテ行キタイ、此法律ナドモ或
  ハ十數年、或ハ五六年前出シタナラバ、直
  ニ世間ノ非難ノ焦點ニナルモノガ、今日デ
  ハ其根本ニハ餘リノ御非難ガナク、部分的
  ニ色々御議論ヲ戴イテ居リマスト云フコト
  モ、時勢ガ此處マデ來タモノデアルト吾々
  ハ考ヘテ居ルノデアリマス
  〔三田村委員發言ヲ求ム〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=84

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• 085・増田義一

  ○增田委員長　三田村君ニ一言御注意申上
  ゲマスガ、御約束ノ時間ガ段々迫ッテ居リマ
  スカラ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=85

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• 086・三田村武夫

  ○三田村委員　モウドレダケデスカ······

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=86

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• 087・増田義一

  ○增田委員長　十分デス、御議論ガ長イヤ
  ウデスカラ、餘リ御意見ニ涉ラヌヤウニ、
  簡潔ニ御願致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=87

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• 088・三田村武夫

  ○三田村委員　ソコデ私御伺シタイコト
  ハ、今マデ申上ゲタコトハ實ハ總論デアッタ
  ノデアリマス(笑聲)詰リ經濟ノ實勢ト云
  フモノガ、ドウシテモ已ムヲ得ナイ必然ニ
  ナッテ來タノデアリマス、況ヤ最近ノ北支關
  係ヲ中心ニシマシテ、其感ヲ强ク致シマス
  ノデ、經濟ノ實勢ノ見地カラ、貿易關係ノ
  產業ノ統制モ必要デアリマスガ、此貿易關
  係、詰リ現在日本ガ必要ナ物資トシテ輸入
  シテ居リマスモノノ中ニハ、私ハ自給自足
  ヲ爲シ得ルモノガ澤山アルト思フノデアリ
  マス、是ハ一朝經濟封鎖デモ受ケレバ、當
  然ソレヲヤラナケレバナラヌノデアリマス
  カラ、寧ロ進ンデ、此際貿易關係ヲ調整ス
  ルコトモ必要デアリマスガ、自給自足ノ根
  本ヲ一ツ御考ニナッタラドウカ、私ハ一ツ此
  處ニ持ッテ居リマスモノノ中ニ「パルプ」資
  源ト云フモノガアルノデアリマス、是ハ年
  僅カ六千万圓位ノヤウデアリマスケレド
  干、是デモ大キイ、而モ今日「パルプ」ト云
  フモノノ資材窮乏ト云フ叫ビガ相當アリマ
  シテ、其爲ニ事實カドウカ知リマセヌガ、
  私ハ事實デナイコトヲ後デ申上ゲタイノデ
  スガ、「パルプ」資材ノ窮乏ト云フコトヲ理
  由トシテ、今日國民ハ非常ニ迷惑シテ居ル、
  紙ガ非常ニ高クナッテ、新聞ハ一圓ガ一圓二
  十錢ニナッタ、紙ト云フモノハ、今日文化生
  活ヲスル國民ニ絕對ナクチヤナラヌモノデ
  アリマシテ、小學校ノ兒童ノ持ツ學習帳マ
  デ紙デアリマス、此「パルプ」資源ニ付テ
  モット產業當局ハ銳イ「メス」ヲ御加ヘニナツ
  テ、先刻私ガ申シマシタ產業經濟對策ノ飛
  躍性ト云フモノヲ御考ニナッテ、自給自足ノ
  途ヲ御考ニナッタラドウカ、斯ウ云フコトヲ
  申上ゲタノデアリマスガ、其點ニ付テノ御
  所見ヲ先ヅ一應御伺致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=88

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• 089・木暮武太夫

  ○木暮政府委員　洵ニ御尤ナ御意見デアリ
  マシテ、旣ニ御存ジノ通リ此議會ニモ商工
  省關係トシテ、或ハ人造石油ノ法律案、或
  ハ燃料會社ノ法案、或ハ又製鐵事業法案ト
  云フヤウナモノノ御協賛ヲ願ッテ、旣ニ本院
  ニ於キマシテハ御協賛ヲ願ッテ、目下貴族院
  デ審議中ノモノガゴザイマス、是ナドモ卽
  チアナタガ只今仰シヤル自給自足ノ經濟ヲ
  確立スル、例ヘバ鐵ニ付テ申上ゲルナラ
  バ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=89

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• 090・三田村武夫

  ○三田村委員　私ハ「パルプ」ニ付テ御伺シ
  タノデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=90

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• 091・木暮武太夫

  ○木暮政府委員　サウ云フヤウナコトヲ現
  在ヤッテ居リマスノデ、原則的ニ自給自足ト
  云フ方策ヲ樹テマシテ、唯貿易ニ依ッテ輸
  入ヲ制限スルトカ、或ハ輸出ヲ抑制スルト
  云フヤウナ小サナコト以外ニ、進ンデ拔本
  塞源的ナ自足自給ノ經濟ヲ樹テタイト云フ
  コトニ實ハ全力ヲ盡シテ居リマスヤウナ譯
  デゴザイマシテ、「パルプ」ノコトニ付キマ
  シテモ、十分〓究ヲ致シテ居リマスヤウナ
  次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=91

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• 092・三田村武夫

  ○三田村委員　政府ノ御意思ハ能ク分リマ
  シタガ、私ハモウ少シ强イ意味デ申上ゲテ
  居ルノデアリマス、甚ダ失禮ナ言葉カモ知
  レマセヌガ、ドウシテモ今日ノ經濟ニ於テ
  ハ、一ツノ飛躍ヲ必要トスルノデスガ、其
  際極メテ優秀ナ官僚ハ餘リニ反省ガ多イト
  思フノデアリマス、常ニ周到デアリ、反省ガ
  强イ、其爲ニ必要ダト云フコトハ分ッテ居ッ
  テモ其處マデパット飛ブコトガ出來ナイ實際
  ノ狀態ニアルノデハナイカト思ヒマス、ド
  ウシテモ大キナ飛躍ト云フモノガ必要デア
  リマシテ、必要ナラバ必要ナ所マデ行ッテシ
  マハウ、其氣持ガ私ハ欲シイノデアリマス、
  「パルプ」ニ付テモ今日日本デ實際使ッテ居ル
  ノハ百十何万瓲位ラシイノデスガ、其中デ
  海外カラ買ッテ居リマスル分ハ三十二万六
  千瓲デアリマスカ、全部デ百十万瓲位デア
  リマス、東京帝國大學、北海道帝國大學ノ演
  習林デ專門ノ權威アル學者ガ〓究調査シタ
  所ニ依リマスト、モット澤山伐レルト思フノ
  デアリマスガ、少クトモ今ノ成長率、詰リ
  每年木ガ大キクナッテ行クダケノ成長率ダ
  ケ伐ッテモ、一年ニ約七十万瓲ノ增產ガ可能
  ダト云フコトヲ聞イテ居リマス、成長率ダ
  ケ伐ルコトハ利息ヲ使フダケデ、元金ニハ
  喰込マヌ、私ハ寧ロ此際元金ニ喰込ンデモ、
  宜イト思フノデアリマスガ、五十年、七十
  年、百年ノ先マデ考ヘテ、成長率ダケ伐ッテ
  行クコトハ、最モ安全デアリマス、其安全
  ナ方法ニ依ッテモ、約七十万瓲ノ增產ガ出來
  ル、何ノ爲ニ三十二万瓲位ノ「パルプ」資材
  -製紙「パルプ」ノ關稅免除ダトカ何ダト
  カ言ッテ居リマスガ、何ヲ苦ンデ買フノカ、
  玆ニ十分アリ餘ル程アルノデハナイカ、サ
  ウシテ七十年、百年、百二十年ノ先マデ安全
  デアレバ、ココ五年ヤ十年相當無理ヲシテ
  モ宜イト思フ、其位勇敢ナ飛躍ガ此際必要
  ダト思フ、更ニ私何故ソレヲ申上ゲルカト
  云フト、最近私達時々不愉快ナコトヲ聞ク
  ノデアリマス、拓務省ノ政府委員モ居ラレ
  マスガ、御承知ノ通リ、日本ノ製紙業ハ今日
  殆ド王子製紙ノ獨占デアリマス、王子製紙
  ガ日本ノ製紙業獨占ノ裏面ニハ、相當不愉
  快ナ、或ハ政略的ナ疑惑マデ聞イテ居ルノ
  デアリマス、サウ云フコトヲ私ハ此處デ申
  上ゲタクナイノデアリマスガ、勿論資本主
  義ノ餘弊ト云フモノハ、木暮政府委員モ御
  認メニナリマシタガ、サウ云フモノガ强ク
  非難サレテ國民主義經濟、國家主義經濟ト
  云フモノガ强調サレテ居ル今日、文化生活
  ニ最モ必要ナ製紙業ト云フモノガタッタ
  資本家ニ獨占サレマシテ、其獨占ノ下ニ需
  要者大衆ハ苦シマナケレバナラヌト云フ
  形態ハ、今日敢然トシテ打破シナケレバ
  ナラヌト思フ、此王子製紙ノ資源獨占、
  此最モ大キナモノハ樺太ニ於ケル森林
  デアリマス、樺太ニ於ケル樺太材ノ九〇
  %ハ王子製紙及ビ王子製紙ノ傍系デアリ
  マスル日本人絹「パルプ」會社ノ手ニ依テ
  伐採サレテ居ルノデアリマス、全ク資源
  獨占ノ形ハ今日其市價ヲ自由自在ニ吊上
  ゲ、且ツ勝手ナ振舞ヲシテ居ルノデアリ
  マス、斯ウ云フコトハ此際私ハ商工當
  局トシテモ農林省ノ主管デハアリマスガ
  餘程銳イ「メス」ヲ御加へニナッテ、ハッキリ
  サレルコトガ必要デアルト思フ、少クトモ
  社會正義ト云フコトヲ强調サレマス現内閣
  ニ於テハ、私ハ其裏面ニ伏在スル色々ナ巷
  間傳ヘラレル所ノ醜聞、サウ云フモノヲ此
  處へ持チ出スノデハアリマセヌガ、少クト
  モ斯ウ云フ問題ニ付テハ、私ハ貿易及ビ貿
  易關係ノ產業調整ヲ御考ニナル際御考ニナ
  ルコトガ必要デアルト思フ、私事實ヲ澤山
  持ッテ居リマスガ、厭ナ事實ヲ別ニ致シマシ
  テ、一寸一二ノ數字ヲ拾ッテ見マスト、第一
  ニ斯ウ云フ事實ガアリマス、是ハ私ハ樺太
  廳ノ調査ト農林省ノ山林局ノ調査ニ付テ調
  ベテ見タノデアリマスガ、王子製紙ハ今日
  樺太材ノ九〇%マデモ持ッテ居ル、而モ樺太
  廳ノ森林ト云フモノハ官有デアリマス、國
  民全體ノモノ、國家ノモノデアリマス、其
  官有林ヲ昭和三年カラ九年マデノ間ニ樺太
  廳ガ王子製紙ニ拂渡シテ居ル、詰リ王子製
  紙ガ樺太廳カラ買受ケタ數量ハ三千八百二
  十八万九千七百五十五石ニナッテ居ル、是ハ
  樺太廳ノ調査デアリマス、所ガ其同ジ三年
  カラ九年マデノ間ニ王子製紙ガ樺太材ヲ使
  用シタ數量、是ハ農林省ノ山林局ガ調ベテ
  居ルノデアリマスガ、王子製紙ガ樺太材ヲ
  使用シタ數量デアリマス、ソレガ七千七百
  一万六百三十二石ニナッテ居ル、サウシマス
  ト差引三千八百七十二万八百七十七石ト云
  フモノハ天カラ降ッテ來タモノカ、詰リ幽靈
  材ニナッテ居ル、何處カラ出テ來タカ出所ノ
  不明ナモノガアルノデアリマス、是ハ獨占
  ノ一ツノ弊デアリマシテ、樺太ノ森林ハ今
  擇伐ト云フモノヲヤッテ居リマス、詰リ其原
  野ノ三五%カ三三%カ三分ノ一ヲ伐ッテ居
  ル所ガ實際伐ルノハ三分ノ一デハナクテ、
  三三%デナクテ、五〇%六〇%或ハ九〇%
  伐ルカモ知レナイ、サウ云フコトカラ斯ノ
  如キ出所不明ナ莫大ナ數字ガ出テ來ルノデ
  アリマス、樺太材ハ前申シマシタ通リ國有
  林デアリマシテ、國民全體ノモノデアル、
  之ヲ一營利會社ガ完全ニ獨占シテ、其獨占
  シタ立場ヲ利用シテ斯ノ如キ疑惑ニ滿チタ
  行動ヲ爲シテ居ルト云フコトハ、私ハ社會
  正義ヲ强調サレル現内閣ノ下ニ於テハ許サ
  レナイコトデアルト思フノデアリマス、今
  日此木材ノ一石ノ値段ガ幾ラカ知レマセヌ
  ガ、大體二圓位デ賣ッテ居リマス、二圓ニ致
  シマスト約一億圓、此私ガ申シマシタ三年
  カラ九年マデノ間ガ三千八百萬石デアリマ
  スガ、十年十一年十二年ヲ加ヘマスト恐ラ
  ク五千萬石ニ及ブト思ヒマス、五千萬石ニ
  及ブトシマスト約一億圓ト云フモノハ國ガ
  損シタ譯ニナル、國際收支ノ適合、又今日
  增稅モ必要デアリマスガ、一億圓アルナラ
  バ此北支事變臨時增稅一億圓ガ助カルト思
  ヒマス、政府ハ此際之ヲ一ツ嚴密ニ御調ベ
  ニナッテ、一億圓御取リニナッタラ然ルベキ
  ダト思ヒマス、又默ッテ伐ッタモノトスレバ、
  倍額ニナリマスカラ二億圓ニナルカトモ思
  フノデアリマス、其他私ハ資源獨占ノ裏面
  ノ色々ナ弊害ヲ知ッテ居ルノデアリマスガ、
  時間ヲ制限サレテ居リマスカラ省略致シマ
  スガ、斯ウ云フ點ニ付テ私ハ資源獨占ノ弊
  ト、是ハ私ガ曩ニ諄々シク討論ヲ致シマシ
  タガ、其討論ニ返ルノデアリマスガ、詰リ
  國民經濟、國家經濟ノ觀念ニ戾ッテ、私ハ國
  內ノ產物、國內ノ資源總テ是ハ國民全體ノ
  モノデアル、國家全體ノモノデアル、殊ニ
  況ヤ國有林ニ於テハ最モ正確ニ最モ嚴肅ニ
  國民全體ノ爲ニ、國家全體ノ爲ニ是ハ利用
  サレナケレバナラヌト思フ、サウ云フ點ハ
  寧ロ此國際收支ノ適合--私ガ事實トシテ
  例示シマシタ「パルプ」ノ問題デモサウデア
  リマスガ、六千万圓位ノ金ハ外國ニ拂ハナ
  クテモ日本ノ國內デ濟ムデハナイカ、ソレ
  ニモ拘ラズ之ヲヤッテ居ルト云フコトハ、
  方ニ於テハ資源獨占ノ弊害ガアリマス、又
  一方ニハ斯ウ云フコトヲ言フ人ガアリマ
  ス、森林關係ノ役人ハ山ノ中ニ木ト一〓ニ
  育ッテ、木ノ成長スルコトハ知ッテ居ルガ、社
  會ノコトハ知ラヌ、木ヲ伐ラレルコトハ自
  分ノ足ヲ切ラレルヨリモ辛イヤウニ思フ、
  ソコニ飛躍性ガナイト云フコトヲ聞イテ居
  リマスガ、是ハ穿ッタ言葉デアルト思ヒマ
  ス、サウ云フ點ヲ十分ニ御考ニナッテ此際是
  非トモ「パルプ」資材ニ付テハ自給自足ノ途
  ヲ御立テニナル御考ガアルカナイカ御伺シ
  タイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=92

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• 093・木暮武太夫

  ○木暮政府委員　御答申上ゲマス「パルプ」
  資源ノ確立ニ付キマシテ農林省、拓務省ナ
  ドト聯絡協議致シマシテ、植林ノ政策殊ニ
  治山治水ノ政策ト云フヤウナコトヲ篤ト考
  究致シマシテ善處致シタイト考ヘテ居ルノ
  デゴザイマス、ソレカラ獨占事業ノ弊害ニ
  付キマシテハ御說ノ所御尤ノ點ガ多イノデ
  ゴザイマシテ、殊ニ最近ノヤウナ色々ノ事
  業ニ免許制ヲ布ク場合ニハ、動モスルト獨
  占ノ弊ニ流レルコトガ多イコトハ洵ニ遺憾
  ト致シマス、隨ッテ商工省ト致シマシテハ獨
  占ノ弊害ヲ除去スルト云フコトニ付キマシ
  テハ、十分ノ用意ト決意ヲ以テ、或ハ屆出
  ヲ爲サシムルトカ其他種々ナル方法ヲ執ッ
  テ居ル次第デゴザイマス、王子製紙ノ樺太
  ニ關スル問題ハ商工省ノ所管以外デゴザイ
  マスカラ、他ノ政府委員カラ申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=93

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• 094・植場鐵三

  ○植場政府委員　樺太ノ山林拂下關係ノ點
  ニ付キマシテ私カラ一言御答ヲ致シテ置キ
  マス、農林省ノソレ等ノ統計ト樺太廳ノ賣
  拂統計トガ外部ニ出マシテ、間々違フト云フ
  事實ハアルノデアリマス、其點ニ付テハ
  色々ノ疑惑ガ常ニ生ズルト云フコトモ只今
  マデ始終吾々ノ耳ニ入ッテ參リマス、併シ一
  體此惡イコトガ行ハレタト云フコトヲ拔キ
  ニ致シマシテ、ナゼサウ云フ統計ガ出來ル
  カト申シマスト、例ヘバ今三田村君ノ御引
  例ニナリマシタ王子ノ場合ニ於テ、樺太廳
  ト王子製紙トノ賣拂契約ガ何千万石ニナッ
  テ居ル、ソレニ「プラス」何ガシカガ實際
  ノ王子ノ工場ニ於ケル消化量ニナッテ居ル
  ト云フ場合ニ於キマシテハ、要スルニ王子
  製紙ガ同種材木ヲ他ノ商人カラ買材スル場
  合ガ相當多イノデアリマス、自然自分デ直
  接拂下ヲ受ケテ工場ニ持ッテ行ッタモノ、ソ
  レニ「プラス」他カラ拂下ヲ受ケタモノヽ
  買材ト、斯ウ云フ數量ガ入リマシテ、王子
  某工場ノ樺太材使用量ト云フモノガ拂下數
  量ノ合計ト違ッテ來ルト云フ場合ガアルノ
  デアリマス、只今御指摘ノ場合ハドウ云フ
  場合カ具體的ニ私ハ存ジマセヌガ、唯併シ
  吾々トシテ非常ニ殘念ニ存ジテ居リマスノ
  ハ、御指摘ニナリマシタヤウナ、例ヘバ立
  木百万石ノ賣拂契約ヲシテ賣拂ッタト云フ
  ノガ、御承知ノ如ク樺太ノ山林ハ大體增大
  致シマシテ五分留リト稱シテ居ルノデアリ
  マスガ、ソレガヤハリ百万石ノ丸太ガ出テ
  行ッタト云フ例ハ曾テアッタノデアリマス、
  併ナガラ御承知ノ通リ昭和七年以降林政改
  革方針ヲ確立致シマシテ、爾後檢査販賣ヲ
  シテ居リマス點ニ付テハ、サウ云フ點ハナ
  イト斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リマス、尙ホ又
  只今商工政務次官ノ御話ノゴザイマシタ
  「パルプ」資源ノ自給自足ト云フ問題ニ付
  キマシテハ、單ニ樺太ダケデハゴザイマセ
  ヌ、北海道、朝鮮、ソレカラ最近又臺灣、
  南洋材、内地ノ各種ノ樹種ト云フモノニ付
  テモ、十分〓究ガ擴メラレテ居リマスノデ、
  關係省ガ寄リマシテ、吾々モ參加シテ十分
  ニ只今〓究中デゴザイマス、御諒承ヲ願ヒ
  タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=94

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• 095・三田村武夫

  ○三田村委員　伺ヒタイ點ハマダ多々アリ
  マスケレドモ、時間ガナクナリマシタカラ
  此邊デ打切リマスガ、唯私共本當ニ國家ノ
  現狀ニ鑑ミテ、眞劍ニ、貿易モ產業モ經濟
  モ一ツノ飛躍ヲ求メタイノデアリマス、益〓
  國際關係ガ惡化シテ參リマスト、ドウシテ
  モ資源ノ貧弱ナ土地ノ狹イ日本ハ自給自足
  ノ途ヲ考ヘナクチヤナラナイノデアリマス
  カラ、ヤハリ理論ニ囚ハレナイデ、實際ヲ
  嚴肅ニ見極メテ、サウシテ勇敢ナ經濟產業
  政策ヲ立テテ欲シイノデアリマス、ソレデ
  ナイト、失禮ナ言葉ニナリマスケレドモ、
  大學ノ卒業論文ヲ書クヤウニ、理詰メデ、
  理窟デ押シテ行ッテモ、今日私ハ經濟ノ問
  題、產業ノ問題、貿易ノ問題ハ片付カヌト
  思フ、ハッキリ爲スベキコトヲ決メテ、サウ
  シテ行カナクチヤナラヌナラ必要ナ手段ヲ
  加ヘル、實力ヲ以テデモ之ヲ遂行スルト云
  フコトガ必要デアリマシテ、國民悉ク其點
  ニ付テハ私ハ熱烈ナ支持ヲ與ヘルト思フノ
  デアリマス、一會社ノ利益擁護ノ爲ニ、斯
  ノ如キ經濟ノ現象ガアルコトヲ私ハ甚ダ遺
  憾ダト思フ、王子製紙一ツ今日其獨占形態
  ヲ發展セシメテ、ソレニ依ッテ、資本主義强
  化ノ爛熟期ト云フコトヲ申シマスガ、爛熟
  期デナク旣ニ其餘弊滿々タル今日ノ資本主
  義的ナ弊害ヲ、其一環ヲ崩スコトニ依ッテ私
  ハ少シデモ社會正義ニ立脚シタ經濟ニ進行
  シ得ルト思フノデアリマス、此點又他ノ機
  會ガアリマシタナラバ、モット事實ヲ以テ御
  伺シタイト思ヒマスガ、今日ハ此程度デ私
  ノ質問ヲ打切リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=95

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• 096・増田義一

  ○增田委員長　昨日中村委員ノ質疑中ニ休
  憩致シタノデ質問ヲ保留シテアリマスガ、
  先程ヨリ發言ヲ要求サレテ居リマスカラ、
  極メテ簡潔ニ其質問ノ繼續アランコトヲ望
  ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=96

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• 097・中村梅吉

  ○中村委員　昨日途中デ本會議ノ爲ニ散會
  致シマシタノデ殘リノ部分ニ付テ御尋致シ
  タイト思ヒマスガ、時間ノ關係モアリマス
  カラ、私ハ便宜上私ノ質疑事項ニ付テ一度
  ニ纒メテ申上ゲマシテ、サウシテ其項目ニ
  付テ御答ヲ願フヤウニスルコトガ議事進行
  上宜イト思ヒマスカラ、左樣ニ致シタイト
  思ヒマス、先程井上委員カラモ、此貿易組
  合法案或ハ工業組合法案等ノ、是等ノ制度
  ノ結果、大資本ノ者ヲ利益シテ小資本ノ者
  ヲ重壓スル結果ニナラナイカト云フヤウナ
  意味ノ御質問ガアッタヤウデアリマス、私モ
  實ハ此點ニ付テ憂慮致シテ居ル一人デアリ
  マス、殊ニ此法案ノ骨子トスル所ハ、努メ
  テソレ〓〓ノ組合ノ自治的ノ統制ニ俟ツト
  云フヤウデアリマスガ、自治的統制ト云フ
  コトニナリマスト、動モスレバ大資本ノ者
  ガ其組合ノ實勢力ヲ獲得スル、ソレガ爲ニ
  小資本ノ者ガ抑壓サレル虞ガアル、是ハ從
  來幾多ノ斯ウ云フ機關ニ於キマシテ其弊ヲ
  殘シテ居ル所デアルト私ハ思フノデアリマ
  ス、ソレカラ、同時ニ統制ト云フコトニ付
  キマシテ、統制經濟デアルトカ、或ハ計畫
  經濟デアルトカ云フヤウナコトガ世間ニ言
  ハレルヤウニナリ、又政治ノ動向ガ進ミツ
  ツアル今日ノ實情ヲ見マスルト、當局ガ動
  モスレバ生產者或ハ當業者ノ利益擁護ニ墮
  スル虞ガアル、一般大衆或ハ消費階級ノ利
  益ト云フモノガ侵害サレルト云フヤウナ弊
  害モアルヤウニ思ハレルノデアリマス、極
  ク近イ例デ私ハ一例ヲ擧ゲテ指摘シテ見タ
  イト思フノデアリマスガ、東京ニ製氷工業
  組合ト云フモノガアリマス、此製水工業組
  合ノ現狀ヲ見マスルト、大製氷會社ガ中心
  ニナリマシテ其組合ガ結成致サレテ居リマ
  ス、サウシテ非常ニ强化シタ統制ヲ致シテ
  居リマス、其爲ニ各工場ガ生產能力ノ四割
  或ハ五割程度ノ生產統制ヲ致シテ居ルノデ
  アリマスガ、大資本ノ工場デ、旣ニ古イ工
  場、又機械モ古クナッテ今日ニ於テハソレダ
  ケノ優秀ノ生產能力ノ無イモノマデガ、算
  盤ノ上デ彈キ出シタ生產能力ノアルモノト
  シテ、其前提ノ下ニ統制ガ行ハレテ居ルト
  云フヤウナ例ガ非常ニ多イ、卽チ其爲ニ最
  近新シイ機械ヲ用ヒテ行ヒマスル小資本家
  ノ事業ガ壓迫サレテ居ルト云フコトト、ソ
  レカラ工業組合ノ强化シタ統制ヲ行フガ爲
  ニ、値段ガ非常ニ吊上ゲラレテ居ルノデア
  リマス、此夏ノ氷ノ需要期アタリニ當リマ
  シテハ、神奈川縣デアルトカ其他隣縣ノ生
  產製水ハ半額或ハ何分ノ一ト云フ値段デ東
  京へ流レ込ムノデアリマス、東京府下ノ工
  業組合ガ强度ノ統制ヲ執ッテ値段ノ吊上ゲ
  ヲ行フ、ソレガ爲ニ消費者モ非常ナ不便ヲ
  感ズルノデアリマスガ、ソレト同時ニ他府
  縣ノ製氷ガ自然色々ノ手段ニ依ッテ流レ込
  ンデ來ルノデアリマス、此流レ込ミニ對シ
  テ、ソレヲ防遏スル爲ニ組合ガ又色々ナ手
  段ヲ講ズル、斯ウ云フヤウナコトデ、其間
  ニ種々ナル弊害ガアルト同時ニ、消費者ノ
  利益ト云フモノガ甚ダシク侵害サレテ居ル
  ト云フ實情ニアルヤウニ思フノデアリマ
  ス、尤モ此製氷工業組合ノ統制强化ノ定款
  ヲ作ルニ當リマシテハ、商工省ニ認可ノ申
  請ガ行ハレタ當時、贈賄事件等ガ起キマシ
  テ、商工省ノ關係官ガ疑獄事件ニ連坐致シ
  タ事實モアルノデアリマシテ、私共ハ統制
  定款ノ成立ニ付テハ、非常ニ其根本ヲ疑ッテ
  居ル者デアリマスガ、尙ホ今日ソレガ儼然
  トシテ存在シテ居リマシテ、私共ハ色々弊
  害ガアルヤウニ見受ケテ居ルノデアリマ
  ス、斯ウ云フヤウナ例ガアリマスシ、ソレ
  等ノ點カラ鑑ミマスト、統制ト云フコトノ
  爲ニ生ズル弊害モ亦見逃スベカラザルモノ
  ガアルヤウニ思ヒマスノデ、此點ニ付テ當
  局ハドウ云フヤウニ運用シテ行カレルカ、
  左樣ナ弊害ヲ將來ナイヤウニセラレル御決
  心、或ハドウ云フ方法、手段ヲ以テ本法ノ
  運用ヲセラレルト云フノデアルカ、其點ニ
  付テノ御所見ヲ承リタイト思フノデアリマ
  ス
  ソレカラ次ニハ貴族院ノ質疑應答ニ依リ
  マシテ、マダ私共ハソレガ曖昧ノ結果ニ終ッ
  テ居ルヤウニ思ヒマスノデ、此機會ニ御所見
  ヲ承リタイト思ヒマス、貿易及關係產業ノ
  調整ニ關スル法案竝ニ貿易組合法案、工業
  組合法案等モサウラシイノデアリマスガ、
  大體內地ニ適用シテ、外地ニハ適用シナイ
  方針デアルト云フヤウデアリマス、私ハ此
  點ニ付テ心配ヲ致シテ居ル一人デアリマシ
  テ、貴族院ノ質疑應答ニ依ッテ吾々ノ諒解
  ガ十分行ケルコトヲ望ンデ居ッタノデアリ
  マスガ、ドウモソレガマダハッキリト解決シ
  テ居ナイヤウニ思ハレルノデアリマス、重
  要產業統制法ノ實施等ノ結果ヲ見マシテ
  モ、內地ニ是ガ施行サレテ外地ニ施行サレ
  ナカッタ爲ニ、重要產業統制法ノ統制ヲ免カ
  レル爲ニ外地ニ工場ヲ建設スルト云フヤウ
  ナ結果ヲ生ジテ、其統制ガ破ラレタ、本法
  案ノ施行ニ當リマシテモ、內地ニノミ適用
  スルコトニナリマスト、外地ノ爲ニ本法案
  ノ目的ト云フモノハ蹂躪サレテシマフ虞ガ
  アル、外地ト申シマシテモ、何レモ我國ノ
  領土內デアリマシテ、關稅等ノ關係ガアリ
  マセヌカラ、其間ノ調節ヲ圖ルト云フコト
  ハ私ハ恐ラク不可能デアラウト思フノデア
  リマス、イッソ是ハ出發カラ內外地共ニ適用
  スルト云フ段取デ掛ルコトガ適切デハナイ
  カ、サウスルコトニ依ラネバ本法案ノ目的
  ヲ十分ニ達スルコトガ出來ナイノデハナイ
  カ、此點ヲ憂慮致ス一人デアリマス、又或
  ハ見方ニ依リマシテ、外地ノ當業者ハマダ
  ソコマデ發達シテ居ナイト云フコトヲ言ヒ
  得ルカモ知レマセヌガ、併シ貿易關係ノ仕
  事ニ携ハル、或ハソレニ直接關係ノアルヤ
  ウナ產業ニ携ハル人達ハ、內地人或ハ然ラ
  ズト雖モ相當知識モ發達シ、十分ナ經驗ヲ
  以テ當ラレテ居ルノデアリマスカラ、是一
  チットモ差別ヲスル必要ハナイ斯樣ニ私共
  ハ考ヘマスノデ、此點ニ付テノ御所見ヲ伺ッ
  テ置キタイト思ヒマス、ソレカラ本法案ニ
  依リマスト輸出組合、或ハ輸出組合聯合會、
  輸入組合、輸入組合聯合會、或ハ輸出入組
  合聯合會ト云フヤウナモノガ出來ル譯デア
  リマス、更ニ必要ニ應ジテ協議會ガ設ケラ
  レ、或ハ常設ノ審議會ガ設ケラレ或ハ又貿
  易組合ノ聯合會ガ設ケラレルト云フヤウ
  ニ幾ツモノ機關ヲ經テ行クヤウデアリマ
  ス、是ハ運用上已ムヲ得ナイコトカモ知レ
  マセヌガ、貿易或ハ產業上ノ事柄ハ非常ニ
  機敏ヲ要スルコトガ私ハ多イト思フノデア
  リマス、他國トノ商業上、所謂平和ノ戰爭ニ
  携ハルノデアリマスカラ、敏捷ヲ要スル、所
  ガサウ云フヤウナ機關ヲ經テ行ク爲ニ、動
  モスレバ此敏捷ガ缺ケルヤウナコトガアリ
  ハシナイカ、此點ヲ私ハ心配ヲ致シマスノ
  デ、當局ハ此運用ニ於テ、左樣ナ商取引ノ
  商機ヲ逸シナイ、敏捷ヲ缺カナイト云フ一
  ツノ決心ヲ持ッテ當ッテ戴キタイ、隨テソレ
  ニ付テノ御所見モ承リタイノデアリマス
  ソレカラ統制協議會ト云フモノヲ作リマ
  シテ、當業者竝ニ第三者ヲ加へタモノニ依ッ
  テ統制上ノ協議ヲ行フト云フコトデアリマ
  スガ、其統制協議會ニハ固ヨリ嚴正ノ立場
  ニアル第三者モ入ルニ致シマシテモ、直接
  利害關係ヲ持ッタ所ノ當業者ガ參加スルノ
  デアリマス、當業者ハ自己ノ利害ノ爲ニハ
  或ル程度マデハ-是ハ吾々議員ガ論議ヲ
  スルドコロデハナイ、本當ニ深刻ナ論議ヲ
  スルヤウナ結果ニナリ、遂ニハ其統制協議
  會ノ議ガ纒ラナイヤウナ事ガ起ルコトヲ豫
  想シナケレバナラヌト思ヒマス、左樣ニ議
  ノ纒ラナイ場合ニ於テ如何ナル裁定ヲスル
  カ、是ハ商工當局ノミデヤルノデアルカ、
  其點ニ一ツノ疑義ヲ持ツノデアリマス、私
  共ノ考ヲ以テ致シマスナラバ、左樣ニ議ノ
  纒ラナイ場合ニ應ズル爲ニ、一ツノ裁定機
  關ヲ設置スル必要ガアルノデハナイカト云
  フコトモ考ヘルノデアリマス、輸出、輸入
  ニ關係致シマシテ、又他ノ場合ヲ想像シテ
  見マスルト、生產業者ト輸出輸入ノ貿易業
  者トノ間ニ利害ノ對立スル場合モ想像シナ
  ケレバナラヌノデアリマス、是等ニ付テモ、
  ドウ云フヤウナ統制、ドウ云フヤウナ協調、
  ドウ云フヤウナ裁定ノ途ヲ立テヽ行クノデ
  アリマスカ、是等ノ點ニ付テ御所見ヲ承リ
  タイト思ヒマス
  ソレカラ輸出品ノ檢査ニ付テハ、今後國
  家機關ニ依ッテ輸出檢査ヲヤッテ行カウト云
  フ方針ノヤウデアリマスガ、私ハ此組合ノ
  設立、組合ノ十分ナ機能ノ發揮ト云フコト
  ヲ組立テラレテ居リマスル上カラ見マスル
  ト、是等ノ檢査ハ組合ニ任セル方ガ適切デ
  ハナカラウカト思フ、何故ナラバ、先刻モ
  申シマシタヤウニ、貿易上ノ事柄等ハ特ニ
  機敏ヲ要スル、ソレニ一々役人ガ檢査ヲセ
  ネバナラヌト云フコトニナリマスト、色々
  豫算ノ關係、手不足ノ關係等カラ致シマシ
  テ、其敏捷ヲ缺ク場合ガ起キハスマイカ、
  ソコデ組合ニソレ等ノ檢査ヲヤラセルコト
  ニ致シマスナラバ、組合ハソレニ必要ナル
  機關ヲ設ケテ、若シソレガ手不足デアルト
  スレバ、關係業者トシテハ自分達ノ醵金ヲ
  多ク負擔致シマシテモ、ソレニ必要ナル方
  策ヲ講ジテ、機敏ナル檢査手續ヲ經テ、輸
  出、輸入ヲスルコトガ出來ルト云フコトニ
  ナルノデハナカラウカト思ヒマス、唯其間
  組合ノミニ任シテ置クト云フコトモ是ハ如
  何カト思ヒマスカラ、ソレニ對シテ關係當
  局ガ、組合カラ檢査ノ通知ヲ致シテ參リマ
  スト.一人ナリ二人ナリノ係官ガソレニ立
  會ッテ、若シ係官ノ方デ手不足デ廻リ切レナ
  イヤウナ場合ニハ、ソレハ常ニサウ云フ結
  果ニハナラヌノデアリマスカラ、先ヅ大體
  ニ於テ檢査ニ立會フト云フ大體大方針ダケ
  ヲ決メテ置キマシテ、萬一行カレナイ場合
  ニハ、組合ノ檢査ノミニ任シテモ、左程大
  シタ弊害ハ起ラナイノデハナイカト云フヤ
  ウニ考ヘマスノデ、此點ニ付キマシテモ御
  所見ヲ承リタイト思ヒマス、殊ニ組合ヲ作
  ル大體ノ方針ハ、同一商品若クハ輸出先ヲ
  同ジウスル關係業者ヲ以テ組織セシムルヤ
  ウデアリマスカラ、同一ノ商品ヲ扱フ組合、
  或ハ同一目的地ニ貿易ヲ致シマス所ノ關係
  業者ノ組合ノ檢査デアルナラバ、決シテ私
  ハ統制ヲ紊シ、統一ヲ缺クヤウナコトハナ
  カラウト思フノデアリマスガ、之ニ付テモ
  一ツ伺ッテ置キタイト思ヒマス
  ソレカラ昨日私ハモウ少シ貿易ノ指導助
  長ニ付テ力ヲ致サレテ欲シイモノデアルト
  云フ點ヲ申上ゲタノデアリマスガ、輸入ト
  輸出トノ調節ヲ圖ル上カラ言ヒマシテモ、
  貿易ノ振興ヲ圖ル上カラ言ヒマシテモ、商
  工當局ニ於キマシテ一ツ盛ニ輸出業者ト輸
  入業者-輸入ニ携ハル者ト輸出ノ貿易若
  クハ輸出生產業ニ携ハル者トヲ合體シテ、
  色々ナ方面ニ計畫的ニ海外ニ出張致シマシ
  テ、サウシテ海外ノ市場ニ於テ見本市ヲ開
  イテ、日本生產品ノ販路擴張ノ政策ヲ講ズ
  ルト同時ニ、ソレニ釣合ッタ所ノ權衡ノ執レ
  タ輸入ノ方策ヲ其現地ニ於テ講ズルト云フ
  ヤウナコトヲ盛ニヤルコトガ、貿易振興ノ
  立前カラ言ッテ必要デハナカラウカ、現ニ東
  京府アタリニ於キマシテモ、屢〓海外見本市
  ト云フモノヲ行ヒマスガ、僅カ一府縣デア
  ル東京府ガサウ云フヤウナ海外見本市ヲ開
  キマシテモ、一囘ノ出張ニ於テ二百万圓ナ
  リ三百万圓ト云フヤウナ商取引ヲサヘ取結
  ブコトガ出來ルノデアリマシテ、是等ノ點
  ニ付テ全國的ニ統制ヲ執リマシテ、商工省
  ガ一層力ヲ入レテ行ハルヽコトガ私ハ必要
  デハナイカ、斯ウ考ヘルノデアリマスガ、
  此點ニ付テ當局ノ御所感ヲ承リタイト思ヒ
  マス
  ソレカラ貿易ノ統制、或ハ關係產業ノ調
  整ト云フ點カラ見マスト、資源ト云フモノ
  ハ極メテ重要ナ關係ヲ持ッテ參リマス、資源
  關係ニ付テ十分ノ調査、十分ノ具體的ナ內
  容ニ觸レテ居ナケレバ、貿易調整ノ眞ノ目
  的ヲ達スルコトハ私ハ出來ナイト思ヒマ
  ス、國內資源ハ固ヨリ、海外ノ資源ニ付テ
  モ同一デアリマス、隨テ資源局アタリデヤッ
  テ居リマス仕事ト、貿易局デオヤリニナル
  仕事等ヲ、或ル程度マデ一元化スルト云フ
  コトモ圓滑ナル執行上必要デハナイカ、斯
  樣ニ考ヘルノデアリマスガ、其點ニ付テ今
  現ニ何等カ御考ガアリマシタナラバ承ッテ
  置キタイト思ヒマス
  ソレカラ前議會ニ於キマシテ輸出統制稅
  法案ト云フモノヲ政府カラ御提案ニナリマ
  シテ、遂ニ是ハ色々ナ關係上議會モ解散ニ
  ナリ、不成立ニ終リマシテ、本議會ニ於テハ
  御提案ニナラナイ法案デアリマスガ、前議
  會ニ於テ此輸出統制稅法案ヲ御提案ニナリ
  マシタ當時ノ御說明ヲ承リマスルト、ソレ
  ニ依ル所ノ約四百万圓ノ金ヲ貿易ノ振興ニ
  充當シテ行クノダ、斯ウ云フヤウニ說明ヲ
  承ッテ居リマシタ、遂ニ其法案ガ今度出サレ
  マセヌノデ、其約四百万圓程ノ財源ハ生レ
  テ來ル途ハナクナッタ譯デアリマス、政府ハ
  貿易ノ振興、貿易ノ助長ト云フヤウナコト
  ニ必要ガアッテ、其財源ニ充テル爲ニ輸出統
  制稅法案ヲ提案ニナッタ、ソレガ全部ノ理由
  デハナイカモ知レマセヌガ、少クトモ一部
  ノ理由ニ相成ッテ居ル、其法案ヲ今度ハ出サ
  レナイ、結局四百万圓ノ財源ヲ得ルコトガ
  出來ナイ、サウシタナラバ其必要ヲ當局ガ
  御感ジニナリマシタ所ノ貿易ノ振興ニ付
  テ、今後ドウ云フ財源ヲ獲得シテ、ドウ云
  フ方策ヲ講ジテ行カレヨウトナサレテ居リ
  マスルカ、ソレヲ承リタイト思ヒマス
  ソレカラモウ一點ダケ伺ヒマスガ、工業
  組合法案ニ於キマシテハ非組合員ニ對シテ
  モ統制ヲ行フ、是ハ統制工業組合ニ付テデ
  アリマスガ、非組合員ニ對シテモ統制ヲ行
  フト云フコトト、組合ノ自治的統制ト云フ
  コトトハ、何トナク觀念ニ於テ私ハ矛盾ガ
  アルノデハナイカト云フヤウナ感ジガ致ス
  ノデアリマス、此點ニ付テモ併セテ御答辯
  ヲ煩ハシテ置キタイト思ヒマス
  私ノ質疑事項ハ以上デアリマスガ、之二
  付テ項目的ノ御答辯ヲ承リマシテ、私ノ諒
  解ガ出來ル範圍デアリマスルナラバ、ソレ
  デ打切リタイト思ヒマス、若シ都合ニ依リ
  マシテハ一二點ダケ御許ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=97

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• 098・木暮武太夫

  ○木暮政府委員　中村サンノ御質問ニ御答
  ヲ申上ゲマス、私ガ一通リ答ヘマシテ、足
  リマセヌヤウナ所ハ貿易局長官カラ更ニ詳
  シク御答申上ゲルコトニ御諒承ヲ願ヒタイ
  ト思ヒマス
  第一ノ貿易ノ統制ハ大キナ產業者ヲ保護
  スルニ墮セザルヤト云フヤウナ御質問デゴ
  ザイマシタガ、御承知ノ通リ統制委員會ニ
  依テ統制方針ヲ決定致シマシテ、生產數量
  ニ付テハ屆出ヲ爲サシメル等ノ監督ヲ致シ
  マス、例ヘバ實例トシテハ小サナ生產者ニ
  對シマシテノ割當ニ最低ノ標準ヲ設ケルト
  カ、或ハ超過生產ニ付キマシテハ適當ノ調
  節方法ヲ講ズルトカ云フヤウナコトヲ致シ
  マシテ、貿易統制ニ依テ大キナ者ヲ保護シ、
  小サナ者ニ不利益ナル結果ヲ來サナイヤウ
  ニ努メル積リデゴザイマス
  ソレカラ統制ト云フコトハ一體當業者ヲ
  利シテ、物價ヲ高メテ、一般ノ大衆ノ利益
  ヲ害スルヤウニナルノデハナイカト云フ御
  話デゴザイマシタガ、御承知ノ通リ統制ト
  カ免許トカ云フコトハ勢ノ趨ク所、之ヲ放
  任致シマスレバ獨占ノ弊害ガ非常ニ多クナ
  リマスコトハ御話ノ通リデゴザイマシテ、
  當局ハ其點ニ付テ特ニ統制ヲ行ヒマスルト
  同時ニ注意ヲ致シテ居ルノデゴザイマス、
  生產統制或ハ販賣統制ニ當リマシテハ、數
  量價格ヲ決定スル場合ニ統制委員會ヲ組織
  セシメマシテ、其委員會ニハ消費者ノ代表
  者モ入リ、或ハ官廳、役所側ノ人モ入ッテ居
  ルト云フヤウナ狀態デ、公正ナル價格ヲ維
  持スルト云フコトニ統制ノ場合ニ注意ヲ致
  シテ、唯當業者ノ利益バカリデナク、一般
  大衆ノ利益ヲ害シナイト云フコトニ氣ヲ付
  ケテ居ルノデゴザイマス、只今製氷會社ノ
  問題ガゴザイマシタノデ、コチラデ判ッテ居
  リマスルコトヲ御參考マデニ申上ゲル方ガ
  宜カラウト思ヒマスルガ、帝都製水工業組
  合ト云フモノノ統制事業ニ付キマシテハ、
  第三者ヲ加ヘマシタ統制委員會ニ於テ其價
  格數量ヲ決定セシメテ、サウシテ公正ナル
  價格ノ維持、公益ニ合致スルコトニ努メサ
  シテ居ルノデアリマス、隨テ價格ハ東京ガ
  大體ニ於テ低廉デアリマシテ、他府縣カラ
  今ノ御話ノヤウニ安ク入ル、或ハ他府縣デ
  ハ安ク統制ニ依テ賣ッテ居テ、剩ッタモノヲ
  「ダンピング」ト申シマスカ、安ク入レル、
  濫賣スルト云ヒマスカ、統制ヲ紊シテ居ル
  ノデアリマス、之ニ付キマシテハ關係合府
  縣ト協議シテ、斯ウ云フコトノナイヤウニ
  ト云フ風ニ實ハ考ヘテ居ルノデゴザイマシ
  テ、私共ノ當局ノ方デ調ベマシタ所ハ、
  噸當リノ値段ガ東京ガ十五圓、茨城縣ガ十
  七圓、岡山縣ハ十七圓五十錢、外ノ府縣デ
  モ十六七圓ト云フヤウナ工合ニナッテ居リ
  マシテ、東京ガ必ズシモ統制組合ガ出來マ
  シタ爲ニ價格ノ〓騰ヲ圖ヲテ、サウシテ大衆
  ノ利益ヲ害スルヤウナ仕事ヲシテ居ルト云
  フヤウナコトハ見受ケラレナイノデゴザイ
  マスケレドモ、今後ニ於キマシテモ苟モ大
  衆ノ利益ニ反スルヤウナコトノナイヤウニ、
  當局ハ十分ノ注意ヲ致シタイト考ヘルノデ
  アリマス、ソレカラ此法律ヲ外地ニ適用ス
  ルカト云フ御尋ガゴザイマシタガ、御話ノ
  如クニ從來統制ガ內外連絡相一貫致シマセ
  ヌ爲ニ、色々ノ弊害ガアルノデゴザイマシ
  テ、內地ダケハ統制ヲヤラレテ居ル、一步
  外地ニ出レバ統制ガ行ハレナイデ潜ッテ仕
  事ヲスルト云フヤウナコトデ、ソコニ非常
  ナル不利益ヲ內地ノ工業家ガ蒙ッテ居ッタコ
  トガ多イノデアリマスガ、本法ハ外地ニ必
  要アル場合ニハ通商擁護法ト同ジク外地ニ
  於テモ施行スルト云フコトト致シタイト考
  ヘテ居リマス、デ內地ト外地トハ御話モゴ
  ザイマシタガ、一般ニ民度ヲ異ニシテ、產
  業ノ組織其他經營ノ狀態ト云フヤウナモノ
  モ一ニ致シテ居リマセヌカラ、此法律ヲ直
  チニ外地ニ適用スルニ當リマシテハ適當ナ
  ル參酌ヲ加フル必要ガアルヤウニ思ヒマ
  ス、言葉ヲ換ヘテ申シマスルナラバ、第
  條竝ニ第三條ノ如キハ組合ト云フモノガ相
  當ニ發達致シテ居リマスル場合ニ是ガ行ハ
  レル規定デゴザイマシテ、外地ニ於テハ組
  合ガ割合ニマダ完備シテ居ラナイ狀態デア
  ルカラ、之ヲ施行スルコトハ如何カト考ヘ
  ラレマス、又貿易審議會ト云フヤウナ重大
  ナル權限ヲ持ツ所ノ機關ヲ作リマス場合ニ
  モ、内外地ノ民度ノ差ト云フヤウナコトデ、
  勢ヒ外地ノ方ニ貿易審議會ヲ作ラセルノハ
  マダ早イデハナイカト云フヤウナコトニナ
  リマスノデ、言葉ヲ換ヘテ申シマスルト、
  要スルニ外地ニ施行セラルルモノハ專ラ第
  一條ノ貿易審議會ノ存在ヲ認メナイコトニ
  致シマシテ、此第一條及ビ之ニ伴フ監督規
  定トカ罰則ト云フヤウナモノヲ外地ニ施行
  スルト云フ豫定デアルノデアリマス、ソレ
  カラ其次ノ御質問ハ統制協議會ハドウモ
  當業者ガ利害ヲ代表シテ相抗爭對立スル結
  果ハ、紛爭ノ餘リ其決定ヲ見ザルヤウナ場
  合ガアルノヂヤナイカ、サウ云フ場合一體
  ドウスルノダト斯ウ云フ御問デゴザイマス
  R B.御承知ノ通リ何カ當業者ノ間ニ於テ
  利害ガ一致シマセヌ場合デアルトカ、或
  第二條ニ依ル統制ヲ行フ場合トカ云フヤウ
  ナ場合ニ、其場合々々ニ依リマシテ、市場
  別或ハ商品別ニ統制協議會ヲ作ルノデゴザ
  イマシテ、ソレニハ當業者バカリデナク、
  官廳ノ人或ハ學識經驗アル人ヲ入レマシ
  テ、サウシテ統制協議會ヲ以テ何カ爭デモ
  アル場合ニハ裁定機關トスル譯デアリマス
  カラ、此處デ色々ノ紛爭ガ起ルト云フヤウ
  ナコトハ當局デハ豫想シテ居ラナイノデゴ
  ザイマス、此處デハ公平ナル意見ガ決定セ
  ラルヽモノデアラウ、此處デ公平ナル意見
  ガ決定セラレタモノヲ更ニ場合ニ依テハ貿
  易審議會ノ議ヲ經テ强制スルト云フコトニ
  相成ルノデアルト考ヘテ居ルノデアリマ
  ス、ソレカラ資源ノコトガ御承知ノ通リ貿
  易ト云フ關係ニ執ッテハ極メテ重大ナル聯
  關ヲ持ッテ居ルコトハ申ス迄モナイノデゴ
  ザイマス、商工省ノ貿易局ニ於テモ資源局
  ト常ニ緊切ナル連絡協調ヲ執リマシテ、萬
  遺憾ナキコトヲ期シテ居リマス次第デゴザ
  イマス、ソレカラ第七十議會ニ於テ成立ヲ
  見マセヌデアリマシタガ、例ノ輸出統制稅
  ヲ財源トスル貿易振興ノ施設ト云フヤウナ
  モノニ付テノ御尋デゴザイマスガ、アノ貿
  易振興ノ施設ト云フモノハ今日ノ時局ニ鑑
  ミマシテ最モ必要デアリ、益〓必要ノ程度
  ヲ强メタモノデアルト商工省ハ考ヘテ居ル
  ノデアリマシテ、輸出統制稅法案ノ成立如
  何ニ拘リマセズ、右既定ノ貿易振興ノ施設
  ト云フモノハ益〓時局ノ重大ト共ニ必要デ
  アルコトヲ感ジマシテ、目下大藏當局ト折
  角協議ヲ致シテ居ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=98

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• 099・中村梅吉

  ○中村委員　今ノ統制協議會ノ問題デス
  ガ、是ハ此機關デ統制ヲ付ケル、意見ノ對
  立ノ纒ラナイヤウナ場合ト云フモノハ豫想
  シテ居ナイト云フコトデアリマスガ、私ハ
  豫想シテ置カヌト云フト、必ズ協議會ハ全
  會一致、或ハ過半數デ圓滿ニ纒マルトノミ
  ハ私ハ考ヘラレナイト思ヒマス、左樣ナ場
  合ニ於テ商工大臣ガ裁定スルトカ、ドウ云
  フ機關ニ依テ裁定ヲスルトカ云フコトダケ
  ハ是ハ決メテ置ク必要ガアルノデハナカラ
  ウカト思フノデアリマスガ、餘リ長時間ヲ
  要シマスコトハ如何カト思ヒマスノデ、附
  加ヘテ此際私ハ申上ゲテ置キマス、ソレカ
  ラ製水工業組合ノ問題デアリマスガ、是ハ
  私ノ知ッテ居ル所ニ依リマスト、今政務次官
  ノ言ハレマシタノハ恐ラク一年ヲ通ジタ値
  段デハナカラウカト思フノデアリマス、夏
  ナドニ於キマシテハ現ニ神奈川縣カラ向フ
  ガ安ク入ッテ來テ居ル、或ハ千葉縣ノ如キハ
  電力ガ非常ニ高イ關係上、隨テ製氷モ餘程
  高イ筈デアリマスガ、千葉縣カラサヘモ或
  ル一部ハ東京ニ入ッテ居ルト云フコトヲ私
  共ハ見受ケテ居ルノデアリマスガ、其間何
  カ値段ノ相違ガナイナラバ他地方カラ東京
  ニ侵入セラルベキ筋合ヒハナイノダト思フ
  ノデアリマスガ、其點ニ付テハ遺憾ナガラ
  只今ノ御說明ニ依リマシテ諒承スルコトガ
  出來ナイノデアリマス、幸ニシテ吾々ノ諒
  承シ得ル御話ガアレバ結構デアリマスガ、
  其點ヲ今希望ヲ附加ヘテ置キマス、時間ヲ
  取ルコトハイカヌト思ヒマスカラ、私ノ質
  疑ハ此程度デ打切ッテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=99

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• 100・木暮武太夫

  ○木暮政府委員　只今重ネテ御質問デゴザ
  イマシタカラ御答ヲ申上ゲマス、只今ノ値
  段ハ一年ヲ通ジテノ値段デハゴザイマセヌ
  サウデ、七月八月ノ値段ダサウデアリマス、
  ソレカラ小賣ニ付テハ統制ヲ致シテ居リマ
  セヌ、生產ニ付テハ統制ヲ致シテ居リマス、
  他府縣カラ入ッテ參リマスト云フコトハ詰
  リ他府縣ハ相當ノ價額デ氷ヲ賣ッテ居ッテ、
  剩ッタモノヲ「ダンピング」的ニ東京ニ持ツ
  テ來ルト云フコトガ事實デアラウト思フノ
  デアリマスガ、能ク御趣旨ノアル所ハ當局
  ニ於テ諒承致シマシタカラ、今後大衆ノ利
  益ニ反スルコトナキヤウ、統制ニ伴フ價格
  ノ昂騰、或ハ大衆ノ利益ヲ無視スルト云フ
  ヤウナコトノナイヤウニ十分注意致シタイ
  ト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=100

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• 101・増田義一

  ○增田委員長　一言致シマス、倉元委員其
  他ヨリ大臣ニ對シテ御質疑ガアッタノデア
  リマス、其要點ハ大臣へ傳達シテアリマシ
  テ、只今商工大臣ガ御出席ニナリマシタノ
  デ、此際御答辯ガアル筈デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=101

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• 102・倉元要一

  ○倉元委員　御答辯ヲ先ニ承ルコトデアリ
  マスガ、最後ニ私ハ極ク簡潔ニ要領ダケヲ
  申上ゲタ方ガ間違ガナイト思ヒマス、其方
  ガ時間ノ節約ニナリヤセヌカト思フ、押問
  答スルヤウナコトニナリマシテハ時間ヲ費
  スト思ヒマスノデ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=102

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• 103・増田義一

  ○增田委員長　宜シウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=103

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• 104・倉元要一

  ○倉元委員　昨日御尋申上ゲマシタ以外ニ
  改メテ大臣ニ伺ヒタイノデアリマスガ、本
  法ノ實施期間ガ-施行期間ガ五箇年ト定
  メラレテ居ルノデアリマスガ、此五箇年ガ
  適當デアルト云フ政府ノ御考ニナル所ヲ
  承ッテ置キタイト思ヒマス、是ハ考方ニ依テハ
  斯ウ云フ法律ノ施行實施ハ成ベク短期間ニ
  切上ゲテ貰ヒタイ、是ガ國民ノ希望デアリマ
  ス、私共ノ感ジカラ申スト三年位デ適當デ
  ハナイカ、斯ウ云フ風ニモ考ヘテ居リマス、
  併ナガラ產業經濟ノ一ツノ新シイ組織構成
  ノ土臺ガ定マルト云フノニハ、長期ノ期間
  ヲ要スルト云フヤウナ政府ノ御考カラ、五
  箇年ト云フ風ナ稍〓長イ間ニ亙ッテノ期間ヲ
  御定メニナッタモノデハナイカト云フヤウ
  ナ推察ヲ持ツノデアリマスケレドモ、成ベ
  ク短キコトヲ私共ハ希望シテ居ル譯デア
  リマス、政府ノ五箇年ト御決定ニナッテ居リ
  マスル其理由ヲ承ッテ置ケバ宜イト思ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=104

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• 105・吉野信次

  ○吉野國務大臣　五箇年ト限リマシタノニ
  付キマシテモ別ニ絕對ノ理由ト云フ程ノコ
  トハナイノデゴザイマスガ、斯樣ニ經濟活
  動ノ自由ニ制限ヲ課スルノデアリマスカラ、
  成ベク早ク廢メタイ、唯現在ノ國際情勢ト
  云フモノハ變態ダ〓〓ト言ヒナガラ斯ウ云
  フヤウナ措置ヲ執ラナケレバナラナイヤウ
  ナ程度ニ諸外國ノ貿易ガ段々固マッテ行ク
  ヤウナ傾向ガアルモノデゴザイマスカラ、
  兎ニ角五箇年ヲ限ッテヤッテ見マシテ、若シ
  五年前ト雖モ其必要ガ無キニ至リマスルナ
  ラバ、是ハ速ニ無論廢止スル積リデアリマ
  ス、サウシテ五年後ニ至リマシテ、更ニ又
  之ヲ恆久化スルト申シマスカ、或ハモウ少
  シ延バスト申シマスカ、サウ云フ必要ガアッ
  タナラバ又其時ノ場合ニ應ジテ考慮シタ
  1.斯ウ云フ考デアリマシテ深イ意味ハ
  ナイノデゴザイマスガ、例ヘバ重要產業統
  制法ニ關スルモノモ一應五箇年トシタト云
  フヤウナ前例ト申シテハ何デゴザイマス
  ガ、ソレニ倣ッタヤウナ譯デアリマス、ゾレ
  カラ昨日デアリマシタカ、貿易審議會ノ構
  成ニ付テ御尋ガアリマシタサウデスガ、御
  尤ノ御尋デゴザイマシテ、アノ審議會ニハ
  當業者ト云フモノハ-政府委員ノ方カラ
  モ御說明ガアッタラウト思ヒマスガ、入レナ
  イ積リデゴザイマス、唯餘リ官僚獨善ニナ
  ラナイヤウニ、貴衆兩院ノ方デアリマスト
  カ、或ハ學識經驗者若干ト云フモノヲ入レ
  マシテ、公正妥當ニ運用スル、サウシテ當
  業者ノ利害カラ打算シタ意見ノ爲ニ政府ガ
  折角採ラウトスル措置モ採レナイト云フヤ
  ウナ弊ニ陷ルヤウナコトハ審議會ノ構成ノ
  時ニモ十分考慮スル積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=105

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• 106・倉元要一

  ○倉元委員　幸ヒ大臣カラモ進ンデ審議會
  ノコトニ付テノ御話ガアリマシタカラ、此
  審議會ヲ設置セラレルニ付キマシテ、其所
  屬ト申シマスカ所管ト申シマスカ、之ニ付
  テハ七十議會デ吾々同志ノ中井一夫君カラ
  本會議ニ於テ質問ガアリ、時ノ商工大臣デ
  アル伍堂君カラ、重要ノ御質問ト思フカラ
  篤ト考慮ヲ致シテ御答ヲ申上ゲルトナッテ、
  解散ニナッテ其儘ニナッタ譯デアリマス、今
  囘此特別議會ニ此法案ガ再ビ出テ參ッタノ
  デアリマス、其間現商工大臣ハ時ノ次官デ
  アラセラレタ、十分ニ此點ハモウ御考慮ニ
  ナッテ旣ニ其原案ハ出來テ居ル、其所管ニナ
  ル場所モ御考へ濟ノコトト、斯ウ云フ風ニ
  私共ハ考ヘテ居リマス、本議會ニナリマシ
  テモ芦田均君カラ同樣ノ意味ヲ以テ御尋ネ
  申上ゲテ、御出席ノ木暮政務次官カラ、是
  ハ私ガ一存デ答ヘル譯ニ行カナイカラ、大
  臣ヨリ其點ハ御答ヘ申上ゲルト云フノデア
  リマス、此處ニ前七十議會ニ於ケル應答速
  記ノ寫シモアリマスケレドモ、之ヲ讀ムコ
  トハ長クナリマスカラ省略致シマス、要ス
  ルニ此經濟產業ノ廣イ範圍ニ於テノ自由ナ
  ル官廳國家ノ權力ニ依ル活動ガ出來ルノデ
  アリマスカラ、其意味ニ於テ拓務省ノ關係
  ガアリ、遞信省ノ關係ガアリ、外務省ハ勿
  論ノコト、各省ニ亙ル關係ヲ持ツ譯デアリ
  マスカラ、單リ商工省ダケノ所管ニ置カレ
  ル審議會デナク、內閣直屬ノ審議會デアル
  ベキ性質ノモノノヤウニ考ヘラレル、斯ウ
  云フコトガ質問ノ要旨デアリマス、大臣ノ
  御考ヲ今日ハハッキリ承ッテ置ク方ガ宜イト
  思ヒマスカラ、此點ニ付テ御意見ヲ伺ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=106

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• 107・吉野信次

  ○吉野國務大臣　御說ノ通リ關係致シマス
  所ハ商工省ノミナラズ、大藏、外務、或ハ拓
  務、遞信ト色々各官廳ニ關係ガアルノデア
  リマスカラ、是等ノ官廳ト密接ナル聯絡ヲ
  取リ、又其努力協調ニ依ッテヤラナケレバナ
  ラナイコトハ申スマデモナイノデアリマス
  ケレドモ、併シ其審議會ナルモノヲ設置致
  シマス所ハ大體ニ於テ商工省內ニ置キタイ
  ト思ッテ居リマス、ト申スノハ、ヤハリ是ハ
  其中心トシテ置クノデアリマスカラ、內閣
  ニ置クコトモ是ハ一ツノ案デゴザイマシ
  テ、必シモ理論上內閣ニ置イテハイケナイ
  ト云フコトヲ申スノデハナイノデアリマス
  ケレドモ、今日ノ重大ナ時局ニ於キマシテ
  商工省ハ全責任ヲ以テ今申シマシタヤウナ
  各官廳ト聯絡協調ヲ取ッテ斷行シタイ、斯ウ
  云フ積リデ大體商工省內ニ置キタイ、斯ウ
  云フ考デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=107

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• 108・倉元要一

  ○倉元委員　今ノ御答ニ依リマシテハッキ
  リ致シマシタ、了承致シマシタ、次ニ昨日
  貿易局長官ニ御尋ネ申上ゲテ御答モ出テ居
  リマスルガ、幸ヒ大臣カラ重ネテ御答辯ヲ
  下サル御親切ニ對シテ私ハ簡潔ニ御尋ネ申
  上ゲマシタ要旨ヲ申上ゲテ置キタイト思ヒ
  マス、先ヅ聯絡ノアル中村君ノ先刻ノ御質
  問ノ中ニ、統制協議會ノ關係ノコトヲ御述
  ベニナッテ、御尤ナ御質問ト私モ承ッタ、私モ
  其點ハ昨日申落シタ譯デアリマス、同樣ニ
  中村君ガ先刻御質問ニナリマシタ御趣旨ト
  同ジコトニ私ハ審議會ノコトヲ御尋ネシ
  タ、此審議會ハ斯ウ云フ產業方面ノ法律ニ
  依ル所ノ運營ノ上ニ參考ニ資セラレル一ツ
  ノ民間意見ノ政府參考機關トシテハ多クノ
  場合諮問機關デアル、私ハ是ハ諮問ノ方ガ
  適當ヂヤナイカ、ドウシテ諮問トナサラナ
  イノカト云フ質問デアッタ、サウ申上ゲル理
  由ヲ申上ゲルト、此非常立法デ國家ハ迅速
  ニ事ヲ處理シナケレバナラヌ、先程中村君
  ノ御質問ノ中ニモ、非常ニ敏速ヲ尙ブト云
  フコトガアッタガ、ソレガ有ユル機關ニ諮ッ
  テ初メテ實施ニ移ルト云フヤウナコトデ
  ハ、往々ニシテ其間弊害ガ起リ、當業者ニ
  迷惑モ生ズル、或ハ一般消費者ノ立場カラ
  言ッテモ迷惑ガ生ズル、斯ウ云フヤウナコト
  ニナル、參考ニ資スルダケノ諮問デ行ケバ、
  委任命令ニ依ッテ政府ハズン〓〓之ヲ執行
  シテ行ケル、斯ウ云フ譯デアリマスカラ、
  私ハ諮問ノ方ガオ宜シクハナイカ、若シサ
  ウデナク何處マデモ議決ヲ經ルモノトノ立
  前デアルナラバ、若シ是ガ否決ヲスルトカ、
  或ハ政府ノ御意思ニ副ハナイ議決ニ終ッタ
  ト云フ場合ニ此執行ヲドウナサルカ、此處
  置ヲドウ云フ風ニ御付ケニナル御見込カ、
  斯ウ云フ御尋ヲシタノデアリマス、所ガソ
  レハモウ從來ノ先例、各法規ヲ通ジテ斯ノ
  如キ機關ノアル場合ニ於テハ、政府ノ考ト
  違フヤウナ議決ニ亙ル場合ハナイト申上ゲ
  テモ宜イ位デアルカラ、恐ラク此審議會モ
  サウ云フヤウナ狀態ニ進ムモノト政府ハ
  思ッテ居ルカラ其心配ハ要ルマイ、斯ウ云フ
  御答デアリマシタガ、私ハ是ハ少クトモサ
  ウ云フ譯ニハ行カヌカモ知レナイ、甚ダオ
  困リノ狀態ニナルヤウナコトガアッテハ、折
  角此非常立法ガ生キテ働カナイ、運營上非
  常ニ支障ヲ來スト云フヤウナコトガアッテ
  ハ困ルカラ、斯ウ申上ゲタノデアリマス、
  ソレダカラ政府ノ御考通リニ運營ヲナサル
  ト云フナラバ、昨日承ッタ組織ノ內容ニ付
  テ、其構成分子ハ官吏ガ過半數デナクテハ
  ナラナイ、支障ヲ來サナイヤウニスルノニ
  ハサウデナケレバナラヌ、ソレナラバ寧ロ
  無クテモ宜イト云フ結論ニ達シマス、斯ウ
  云フコトヲ申上ゲタ譯デアリマス、大臣ハ
  ドウ云フ風ニ此點ヲ御考ニナッテ居リマス
  カ、私ハ諮問トナサル方ガ穩ヤカヂヤナイ
  カ、而モ屋上屋ヲ架スルヤウナ審議會ニ掛
  ケテ、又統制協議會ニ掛ケル、ソコニ二重
  ニ御掛ケニナル場合ガアルト思フ、是ハド
  ウモ斯ウ云フ特別ノ立法ノ立前カラ申スト
  如何カト思フ、第四條ハサウヂヤアリマセ
  ヌカ、サウ私ハ見テ居ル、若シ間違ッテ居ル
  ナラバ是正ヲ願ヒタイノデアリマス、此點
  ニ付テ承リタイ
  〔委員長退席、寺島委員長代理著席〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=108

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• 109・吉野信次

  ○吉野國務大臣　御尤モナ御尋デゴザイマ
  シテ、法律ノ解釋トシテハ正ニ其通リデ
  ゴザイマシテ、議ニ付スルト諮問トハサウ
  云フ御示シノヤウナ差別ガアル譯デゴザイ
  マスガ、唯從來ニ於キマシテモ、貿易局長
  官カラ申サレマシタ通リニ、諮問スルノデ
  アリマシテモ、詰リソレハ法律論ハ諮問デ
  アリマスカラ聽クト聽カザルトハ政府ノ勝
  手デアリマスケレドモ、自ラ其處ニ政治上
  ノ責任モアリマスノデ、從來ト雖モ諮問シ
  テ居リマス、其審議會ヤ是等ノ委員會ガ之
  ヲ可決シナイ場合ニハ、其意ニ反シテ斷行
  スルト云フコトハマアヤラナイノガ、何ト
  申シマスカ、政治上ノ慣例ト申シマスカ、
  行政上ノ慣例ニナッテ居ルノデアリマス、ソ
  レデゴザイマスカラ御話ノ點ハ全然急ヲ要
  スルカ何カノ場合ニハ、貿易審議會ノ議ヲ
  經ルトカ、諮問ニ應ズルトカ云フ風ニセズ、
  獨斷的ニヤル方ガ宜イヂヤナイカ、斯ウ云
  フ結局御議論ニナルダラウト思ヒマスガ、
  ソコハ先刻貿易局長官ノ申上ゲマシタ通
  リ、又私モ申上ゲマシタ通リ、相當是ハ考
  ヘヤウニ依リマシテハ、個人ノ經濟活動ニ
  對スル重要ナ制限デアリマシテ、此法律自
  體スラ既ニ暫定的ニ五箇年ノ施行期限ヲ付
  スルト云フ非常立法デアルト云フ精神カラ
  見マシテモ、ヤハリサウ云フ風ニ獨斷ニセ
  ズシテ、貿易審議會ト云フモノノ議ヲ經タ
  方ガ宜カラウ、サウシテ是ハヤッテ見ナケレ
  バ分リマセヌケレドモ、物ノ考ヘ方ガサウ
  朝ニ在ルト野ニ在ルトニ依ッテ、國家ノ大問
  題ヲ議シマス時ニ、見當ガ違ッタ結論ノ出
  ルコトハ立法者トシテハ實ハ期待シナイノ
  デアリマス、ソレデアリマスカラ、運用ニ
  依ッテヤレルダラウ、尙ホ貿易審議會ノ構成
  ニ付キマシテモ、場合ニ依ッタナラバ役所側
  ノ方ガ過半數ト云フヤウナ御話モアッタノ
  デアリマスガ、是モ何レ勅令デ以テ決メル
  譯デアリマスカラ、運用ヲシタ上デ、ドウ
  シテモサウシナケレバナラヌノデアレバ、
  又サウ云フ風ナヤリ方モゴザイマセウシ、
  又愈〓運用シテ見テ、ドウシテモ貿易審議會
  ト云フモノガ邪魔ニナッテ、國策ヲ遂行スル
  上ニ却テ妨ゲニナルト云フコトニナレバ、
  其時ニハ法律ノ改正モ巳ムヲ得ナイダラウ
  位ノ考ヲ持ッテ居リマス、併シヤハリソコ迄
  行カナクテモ、物ノ見方ハ虛心坦懷ニ國家
  ノ事ヲ論ズル時ニハ、サウ突詰メテ物ヲ考
  ヘナイデモ、宜クハナイダラウカト云フヤ
  ウナ、常識ヲ主トシテ立法致シタヤウナ次
  第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=109

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• 110・倉元要一

  ○倉元委員　決シテ國民ノ立場ナリ、或人
  今日ノ貿易狀態、官僚主義トカ官僚獨善ト
  カ云フヤウナ御立場ノ全然ナイ見地カラノ
  御答ノヤウニ考ヘラレマスガ、ドウカサウ
  思ッテ欲シイノデアリマス、大臣ノ今御答ノ
  ヤウニ、總テノ心持ガソコニ一致シテ行カ
  ナケレバナラヌノデス、是ハ序ニ申上ゲテ
  置キマスガ、今大臣ノ御言葉ニモアリマシ
  タヤウニ、廣汎ナル產業經濟ニ亙ッテ國家ノ
  偉大ナ力ガ働ク、是ハ餘程御注意ヲ下サラ
  ヌト、マルデ國民全體ガ、謂ハヾ產業經濟
  ノ上ニ奴隷的ニ唯服從ノミデ行ケバ宜イト
  云フヤウナコトニナッテ行クノデス、是ハ勢
  ヒガソコニ持ッテ行クノデス、ソレデアリマ
  スカラ動モスルト吾々ハ與ヘラレタル權力
  權限ニ依ッテ物ヲ運ブダケデアッテ、ダカラ
  苦情ハ承ラヌト云フヤウナ構方ガ往々官廳
  ニアルノデス、ソレカラ又一面カラ見ルト、
  前ニ斯ウ云フ風ニヤリ來ッタ、或ハ斯ウ云フ
  風ニ言明ヲシテ居ルノデアル、ダカラ今日
  ニ及ンデ此事實ト相違スルコトガアッテ、國
  家ノ爲ニ不利ト思フコト、當業者ノ爲ニ、
  或ハ國民ノ爲ニ不利ナリト考ヘテモ、吾々
  國家ノ官吏トシテノ體面ヲ保持スル爲ニ
  ハ、之ヲ今變ヘル譯ニハ行カヌト云フコト
  ガ、往々ニシテ官廳ニアリガチデアリマス、
  今申スヤウニ斯ノ如ク廣イ範圍ニ於テ、經
  濟產業ノ上ニ影響ヲ及ボス此法律ガ、實施
  ニ當ッテ、私ノ杞憂デアルカモ知レヌガ、左
  樣ナ考ガ役人ノ御方ニアッテモ是ハ非常
  ナ害ヲ及ボスモノデアリマスカラ、此點ハ
  十分ニ大臣ニ於カレテハ御注意ヲ下サラン
  コトヲ切ニ私ハ御願ヲスル次第デアリマス
  モウ一ツ私ハ御伺シテ置キタイト思ヒマ
  スノハ、法文ノ第一條、第一號カラ第四號
  ニ亙ル法文ノ書キ方デアリマス、エライ細
  カイコトヲセセクッテ、甚ダ不都合ナヤウデ
  アリマスケレドモ、之ヲ國民ガ見テ、斯ウ
  云フ法律ニ依ッテ吾々ハ是カラ產業經濟ノ
  コトヲ考ヘテ行カナケレバナラヌ、斯ウ云
  フコトニナルト思ヒマスカラ、是ハモウ五
  年間働イテ、國民ガ不明ナルコトガ多イ、
  甚ダ疑問ガ多イ法律デアルト適從スル所ヲ
  迷フ、先ヅ第四號カラ申上ゲルト、色々先
  程來他ノ委員諸君カラモ御議論ガアッタヤ
  ウデアリマスガ、國民經濟ノ健全ナル發達
  ヲ圖ル爲メト云フ此目標ガ、私ガ昨日申上
  ゲタヤウニ實ニ茫漠タル、何ヲ摑ヘテ宜イ
  カ分ラヌ、是ハ此局ニ當ル、實行ノ任ニア
  ル役人ノ考次第デ、如何樣ニモ理由ガクッ付
  クト、是デドシ〓〓縛ラレテハ堪ラヌ、斯
  ウ云フ虞ヲ懷ク、サウ云フ非常識ナコトハ
  アリマスマイ、實際ハ今ノ大臣ノ碎ケタ御
  話ヲ承ッテモ、サウ云フ虞ノナイコトヲ確信
  致シマスガ、併シ多數ノ國民ノ中ニハ、非
  常ニ疑惧ノ念ニ驅ラレテ、ビク〓〓シテ仕
  事ヲシテ居ル、是ハ寧ロ前三號ノ總テト、
  第四號ノ後段ノ目的ヲ御書キニナラヌデ、
  「重要物資ノ供給ヲ適正ナラシメントスル
  トキ」ト云フコトダケデ、第四號ヲ通ジテ見
  ルト云フト、國民經濟ノ健全ナル發達ヲ期
  スル爲メデアルコトハ一目瞭然デアリマ
  ス、何モ此處ニ殊更ニ御謳ヒニナルコトハ
  必要ヲ認メナイ、却テ迷ハスモノデアリ、
  不安ニ驅ラシメテ、國民ガ餘計ナ心配ヲス
  ル、私ハ是ハ寧ロ削ッタ方ガ宜イト思フ
  ソレカラ昨日貿易局長官ノ御答デアリマ
  シタケレドモ、軍需品ノ輸入輸出ノ-或
  ハ殆ド輸出ト云フモノハ無イカモ知レマセ
  ヌガ、之ニ對シテハ別項ヲ以テスベキモノ
  デハナイカト私ハ御尋ヲシタ、併ナガラ重
  要物資ノ供給ヲ適正ナラシムルト云フ此中
  ニ包含スルトノ御答デアリマシテ、立法ノ
  立前ガサウナッテ、精神ガサウデアルナラバ
  差支ナイデセウガ、併シハッキリスルノニ
  ハ、是ハ別項ヲ設ケテ、軍需品ノ供給ヲ適
  正ナラシムルトノ一項ヲ別ニ御置キ下サル
  コトノ方ガハッキリシテ宜シイ、斯ウ申上ゲ
  タ譯デアリマス
  ソレカラモウ一ツ申上ゲマスガ、第三號
  ノ「貿易業者ノ不當ナル競爭ニ因リ輸出品
  又ハ輸入品ノ海外市場ニ於ケル價格ノ著シ
  キ低落又ハ騰貴其ノ他貿易上ノ弊害ヲ生ジ
  又ハ生ズルノ虞アル場合ニ於テ之ヲ矯正シ
  又ハ豫防セントスルトキ」トアリマス、斯
  ウ云フ場合ニ此法律ノ適用ガアル、是ハ昨
  日モ申上ゲタノデアリマス、斯ウ面倒臭ク
  ドウモ分リ惡ク御書キニナラヌデモ、輸出
  ヲシテ不正ナ競爭ヲスレバ、ソレハ向フデ
  暴落スルノデアリマス、非常ナ弊害ヲ起ス、
  騰ル場合ハナイ、輸入ノ場合ニハ騰貴ス
  ル、此二ツノ場合ヨリ考ヘラレナイノデア
  リマス、デスカラサウ云フ風ニハッキリ分ル
  ヤウニ御書キ下サル方ガ國民ハ迷ハナイ、
  或ハ此立法ノ任ニ當ラレタ法制局ト云ヒ、
  其他ノ關係者ハ、ドウモソレハ立法技術ノ
  上カラ條文ノ體ヲ成スノニサウデナクチヤ
  イカヌ、斯ウ云フ體裁ノ爲ニ國民ガ迷ッテ迷
  惑ヲセンナラヌト云フ理由ハ私ハナイト思
  フ、改ムベキモノハドシ〓〓改メナケレバ
  ナラヌ、法律解釋上斯ウデナクテハ此事實
  ニ當ラナイト云フコトデアレバ、私共ハ何
  ヲカ言ハンヤデアリマスケレドモ、事實ハ
  斯ウナンダ、私ガ申上ゲタ二途シカナイ、
  ソレト第二號ノ國際收支ノ適合ヲ圖ルト云
  フ此字句、國際收支ノ適合ヲ圖ルト云フコ
  トハ、ドウ云フ意味デアリマスカト云フコ
  トヲ御尋申上ゲマシテ、御答ヲ得タノデア
  リマス、ソレハ此處デ諄ク申上ゲマセヌガ、
  國際收支ノ均衡ト云フコトヽハ又言葉ノ意
  味ガ違ヲタ御答デアリマス、甚ダ解釋上範圍
  モ廣イシ、分リ兼ネル、常識判斷デ行ッテモ、
  斯ウ云フコトダラウト云フヤウナ心配ヲ持
  ツ問題ハ、私註文ヲ付ケテ貿易局長官ニ能
  ク御願ヲシテ置キマシタガ、一般當業者ト
  言ハズ、國民モ、少クモ此業務ニ携ハル者
  ガ貿易ノ收支ノ適合ト云フコトガ自分ノ頭
  ニ分ルダケノ資料ヲ政府カラ御與ヘヲ願ヒ
  タイ、或ハ官報ヲ讀ンダラ分ルヂヤナイカ
  ト言ハレルカモ知レナイガ、ソレハ役場へ
  行ッテ居ル者トカ、又ハ大キナ商店ナラ官報
  ヲ取ッテ居ル者ハアルデセウガ、ソレダケデ
  ハ不十分ヂヤナイカ、之ヲ周知セシメル所
  ノ方法ヲ御執リニナラナケレバナラヌト思
  フ、是亦國民經濟云々ノソレト同樣ニ、國
  民ハ非常ナ心配ヲ持ツ、消費者モ心配ヲ持
  ツ、之ヲ申上ゲタ、所ガ貿易局長官ハ、ソレ
  ハ御尤ナコトデアルカラ、第二號ニ付キマ
  シテハ、政府モ出來ルダケ其手續ヲ執ルコ
  トニ決心スル、斯ウ云フ御答辯ガアッタノデ
  アリマス
  ソレカラモウ一ツ、直ストナレバ序ニ直
  シタイカラ申上ゲマスガ、「貿易ニ關スル條
  約又ハ之ニ準ズベキモノニ依リ」ト云フ此
  「依リ」ハ、將來ニ於テ締結又ハ協約其他ノ
  貿易ニ準ズベキモノ等ガ生レテ來ル、ソレ
  ニモト云フ意味デアリマスルカト云フ私ノ
  御尋ニ對シテ、サウデハナイ、基本條約、
  及ビ協約其他協定等ノ場合ヲ指スノデアル
  ト云フ御答デアリマシタカラ、ソレナラバ
  「基キ」ト御書キニナルコトガ適當デアリマ
  セヌカ、ソレナラバハッキリ致シマス、貿
  易ニ關スル條約又ハ之ニ準ズベキモノニ基
  キ貿易ヲ調整セントスルトキ」、斯ウ云フ風
  ニ、ハッキリ之ニ基イテヤルノダト云フ風ニ
  入レタ方ガ、國民モ成程是ナラバ、ハッキリ
  シテ居ルト云フ風ニ考ヘルダラウト思フノ
  デアリマス、之モ併シ御答ニ依リマシテハッ
  キリ致シマシタガ、私共ハ出來得レバサウ
  云フヤウニ直スコトニ御承知下サレバ結構
  ダト思フノデアリマス、大體ヲ通ジマシテ
  前議會ニ御提案ニナッタ法案ト異ル點ハ、第
  四號ガ新ニ加ッテ居ル、前ノ議會ニハ是ハ無
  カッタ、ソレカラ國際收支ノ適合モ多分無
  カッタヤウナ氣ガシマスガ、此二項ガ加ッテ
  居ル、デスカラ此立法ノ立前ガ同ジ貿易ノ
  コトト申シナガラ、第四號ノ方ハ全然產業
  部門ノ生產ニ關スルコトガ主トシテアルノ
  デ、ダカラ立法ノ立前カラ言ヘバ二ツニナ
  ルベキ性質ノモノデアルト思フガ、便宜上
  貿易ト又密接ノ關係ヲ持ツカラ、併セテ立
  法者ガ入レタ、斯ウ私ハ見テ居ルノデアリ
  マス、隨テ此法ノ名前ガ御變更ニナッテ居
  ル、斯ウ云フコトヲ昨日來私御伺シタ譯デ
  アリマス、此點ニ付テ大臣カラ承ルコトガ
  出來レバ幸デアリマスガ、貿易局長官ノ答
  ヘタ通リデ、自分ハ其通リ考ヘルト、簡單
  ナラ簡單デ宜シイ、何レカニ一ツ御答辯ヲ
  願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=110

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• 111・吉野信次

  ○吉野國務大臣　段々ノ御尋デアリマシ
  テ、大體私ノ考モ貿易局長官ノ述ベラレタ
  所デ宜シイノデアリマス、私モ此立法ハ御
  話ノ通リ、何ト申シマスカ、必シモ上出來
  ダトハ考ヘテ居リマセヌ、國民經濟ノ健全
  ナル發達云々ノ此字句ナドデモ、御承知ノ
  通リ重要產業統制法ニ初メテ使ッタ字ナン
  デ、私モ當時ノ立法者トシテドウモ適當ニ
  現ハス字ガ無イモノデアリマスカラ、假
  斯ウ云フ字ヲ使ッテ居ッタノデアリマス、併
  シサウ云フ風ニ今ノヤウナ精細ナ御議論ヲ
  サレマスト、大分曖昧ナ點ガ出テ參リマス
  シ、又國民ヲシテ嚮フ所ニ迷ハシムルト云
  フヤウナコトガゴザイマスカラ、御話ガア
  ル迄モナク、實ハ此法律ガ發布ニナリマシ
  タナラバ、關係ノ貿易業者ト云フ者ヲ呼集
  メマシテ、一號ハ斯ウ云フ場合ヲ目指シテ
  居ルノダ、二號ハ斯ウ云フ場合デアルト云
  フコトヲ懇切丁寧ニ十分ニ周知セシムル方
  法ヲ執リタイト思ッテ居リマス、自然是等ノ
  抽象的ナ文字ノ解釋ナドニ付キマシテモ、
  貿易審議會ト云フヤウナモノノ決定ニ依ッ
  テ、丁度抽〓的ナ言葉ガ裁判所ノ判決例ニ
  依ッテ明ニナルガ如クニ、段々ニ具體的ノ內
  容ト云フモノガハッキリスルダラウト思フ
  ノデアリマスカラ、御話ノ通リ言葉自體ハ
  一ツ〓〓拾ッテ見マスト、必シモ是デ以テ完
  全デアルト云フ風ニハ私モ考ヘテ居リマセ
  ヌデスケレドモ、御趣旨ノ所ハ十分注意シ
  テ、之ヲ運用致シタイ、斯樣ニ考ヘテ居リ
  マス、ソレカラ法律ノ目的ナドニ付キマシ
  テモ、全ク御話ノ通リデアリマシテ、ソレ
  デ實ハ名稱モ改メマシタヤウナ譯デアリマ
  ス、或ハ木ニ竹ヲ接イダヤウナ感ジヲ御持
  チニナルカモ存ジマセヌケレドモ、併シ目
  的ハ貿易ノ振興デナクトモ、手段方法ハヤ
  ハリ輸出入其モノヲ制限禁止スルト云フコ
  トデゴザイマスカラ、マア一ツノ法律ノ體
  系的案デモアリ、非常時デモアリマスカラ、
  斯ウ云フヤウナ考デ名稱モ改メ、今中シマ
  シタ二ツノ事ヲ考ニ採入レマシテ、立法ヲ
  行ヒマシタコトハ御承知ノ通リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=111

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• 112・倉元要一

  ○倉元委員　此變則ナ非常立法ニ依ル-
  是ハ私ハ變則ト申上ゲタイ、人間生活ノ上
  ニ、人間ハ自分ノ天賦ノ性能ニ依ッテ自由
  ニ働クト云フ天地ガ欲シイノデス、ケレド
  モ是ハ國家ノ存立ノ上、國民生活ノ上カラ
  考ヘテ、時代ノ大勢ガ玆ニ行ク以上仕樣ガ
  ナイ、個人ノ犠牲ガ相當ニ拂ハレルト云フ
  コトハ共存共榮ノ上カラ已ムヲ得ナイ、斯
  ウ觀念シマス、併ナガラ左樣ナ變則的ナ法
  律ガ此偉大ナ權力ヲ以テ働ク、ソレニ付テ
  官廳ニ於ケル此運營ニ當ラレル人ニ切ニ御
  願シタ點ニ付テハ、大臣ハドウ云フ風ニ思召
  シテ居ラッシヤルカ、一ツ是ハ國民ニ對シテ
  アナタノ御言葉ガ如何ニ能ク徹底スルカ、
  聽キタイノデアリマス
  〔寺島委員長代理退席委員長著席〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=112

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• 113・吉野信次

  ○吉野國務大臣　全ク同感デゴザイマス、
  御示シノ通リニ愼重ニ戒メマシテ、事ヲ誤
  ラナイヤウニ致シタイト思ッテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=113

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• 114・倉元要一

  ○倉元委員　此審議會ノ決定致シマシタ事
  ガ實施ニナリマス場合ニ、此形式ハドウ云
  フ風ニナッテ行クノデアリマセウカ、其都度
  省令ガ出ル譯デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=114

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• 115・吉野信次

  ○吉野國務大臣　其都度省令ヲ出ス積リデ
  居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=115

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• 116・倉元要一

  ○倉元委員　私ノ大臣ニ對スル質問ハ打切
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=116

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• 117・吉野信次

  ○吉野國務大臣　田中サンカラ御尋ガアリ
  マシタ點ニ御答ヲ致シマス、第一點ハ本年
  ノ下半期ニ於ケル貿易ノ收支ニ關スル政府
  ノ見透シニ付テノ御尋デアッタト思ヒマス
  ガ、ドウモ具體的ノ數字デドノ位輸出ニナ
  ルダラウト云フコトハ御示シスルコトガ非
  常ニ困難デゴザイマス、殊ニ御承知ノ通リ
  最近ノ事變ナドモゴザイマスカラ······併シ
  若シ事變ナカリセバ、サウシテ上半期ノ實
  績ノヤウナ風ニ進ムモノデアルナラバ、申
  スマデモナク今年ノ入超ハ物其モノノ增加
  モゴザイマスケレドモ、値段ガ高クナッタト
  云フ爲メノ部分モアルノデゴザイマスカ
  ラ、去年ト同樣ニ數量ガ出ルモノナラバ-
  又上半期ノ實績カラ申シマスト去年通リ
  ハ出ル見込デゴザイマスカラ、サウ云フ見
  地カラ申シマスト、去年ノ下半期ヨリハ金
  額ニ於テモ幾分增スダラウト云フ程度ノコ
  トハ豫算總會ニ於テモ私カラ申上ゲタノデ
  アリマス、併シ幾ラ〓〓ノ數字ガドウナル
  ト云フコトハ、一寸私トシテモ申上兼ネル
  ノデアリマス、併シ何レニ致シマシテモ相
  當ニ此入超ガ上半期ニ多イノデゴザイマス
  ルカラ、相當ニ國際收支ノ關係ハ窮窟ニナ
  ルダラウト思ヒマス、其結果御心配ニナッテ
  居リマスルヤウニ、ヤハリ或ハ或ル品物ニ
  付キマシテハ、下半期ニ於テハ輸入其モノ
  ヲ幾ラカ抑ヘナケレバナラヌト云フ事態ガ
  生ズルデアラウト云フコトモ、略〓今日カラ
  豫想シ得ルノデゴザイマス、サウ致シマス
  ト、國內ノ需要ガソレダケナイノナラバ別
  問題デゴザイマスケレドモ、國內ノ需要ガ
  アルノニ其輸入ヲ抑ヘルノデゴザイマスカ
  ラ、是亦御心配ノ通リ其物ノ値段ガ非常ニ
  騰貴スル譯デゴザイマス、ソレデゴザイマ
  スカラ、ソレヲ唯勅令デ以テ是レ〓〓ノ物
  ハ是レダケシカ入レナイノダト云フコト
  デ、ヤリッパナシデハ譬ハ甚ダ古ウゴザイ
  マスケレドモ、マア狼ノ群ニ一片ノ肉ヲ投
  ゲ與ヘタト云フヤウナ結果ニナッテハ、其物
  ガ非常ニ暴騰致シマスカラ、ソコデ此法律
  ノ運用ニ依リマシテ、輸入ヲスル物、其輸
  入品ヲ原料トシテ生產スル物、其販賣業者
  ト云フ風ニ、縱ニ關係產業者ノ統制協議會
  ト云フモノヲ設ケマシテ、ソコデ或ル程度
  ノ輸入ノ抑制ト申シマスカ、マア無イ袖ハ
  振レナイノダ、ソレダケシカナイノダト云
  フコトヲ觀念致シマシテ、ソレヲ國內產業
  ノ方ニ於テ如何ニ適當ニ割振ルカト云フヤ
  ウナコトヲヤラセマス、卽チソレハ需給ノ
  調整トデモ申シマセウカ、ソコデ需給其モ
  ノヲサウ云フ風ニ調整致シマスト、自ラ其
  物ニ對シテ放任シテ居ッタ場合ノ如ク物ガ
  不當ニ騰ルト云フヤウナコトガナイヤウニ
  ナルダラウト思ヒマスカラ、サウ云フコト
  ヲヤリタイト思ッテ居リマス、唯其場合ニ注
  意シナケレバナリマセヌノハ、斯ノ如クニ
  シテヤリマシテ、其物ヲ原料トシテ出來タ
  物ガ、一方ニ於テハ輸出品デアルコトガゴ
  ザイマスシ、又國民生活ノ必需品デアル物
  モアル譯デゴザイマス、サウ云フ點ハ餘程
  注意致シマセヌト輸出ノ阻碍ニナル、又國
  民生活ノ安定ヲ害スルト云フ結果ニナリマ
  スカラ、ドウ云フ物ヲドノ程度ニ抑制スル
  カト云フコトハ、餘程深甚ナ考慮ヲ拂ハナ
  ケレバナラナイト思フノデアリマス、唯上
  半期ニ於テハ色々ナ物ガ-實ハ私共カラ
  見ルト見越トカ、何トカト云フコトデ-
  言葉ハ惡ウゴザイマスケレドモ、國內產業
  ノ生產設備、生產ノ狀況ニ鑑ミマシテ、相
  當ノ數量ガ幸ヒ入ッテ居ルノデアリマスカ
  ラ、先ヅ下半期ニ於テ適當ナ抑制ヲ加ヘマ
  シテモ、今申シマシタヤウナ觀點カラ、國
  民經濟ノ全局ニサシタル惡影響ハ及ボサナ
  イデモヤレルノデハナイカ、斯ウ云フ見透
  シヲ大體持ッテ居リマス、尙ホ貿易審議會ヲ
  商工省ニ置クコトニ付キマシテハ、先程御
  答申上ゲマシタ通リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=117

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• 118・増田義一

  ○增田委員長　貴族院ノ豫算委員會カラ商
  工大臣ノ出席ヲ頻リニ要求サレテ居ルノデ
  アリマスカラ、此場合貴族院ノ方へ讓步シ
  テハ如何デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=118

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• 119・倉元要一

  ○倉元委員　一寸私重要ナ點ヲ一點ダケ殘
  シテ居リマスカラ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=119

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• 120・増田義一

  ○增田委員長　極メテ簡單ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=120

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• 121・倉元要一

  ○倉元委員　モウ一點私忘レテ居リマシタ
  ガ、例ノ「重要物資ノ供給」云々ト云フ、
  アノ第一條第四號ノ運用ノ場合デスネ、ソ
  レハヤハリ此重要物資ハ是レ〓〓ノモノデ
  アルト云フコトヲ御明示ニナルコトヲ昨日
  モ要求シテ置キマシタガ、ソレハサウナル
  ノデセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=121

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• 122・吉野信次

  ○吉野國務大臣　是モ有體ニ申上ゲマス
  ガ、實ハ一號、二號、三號ト云フモノデ足
  リルノデハナイカト私共ハ一應考ヘモ致シ
  マシタ、所ガ單ニ「國際收支ノ適合」トカ、或
  ハ二號ニ書イテアリマスルコト以外ニ、尙
  ホドウモ物ニ依テハ、例ヘバ-多分貿易
  局長官カラモ例トシテ示サレタダラウト思
  ヒマスルガ、羊毛ナラ羊毛ガ濠洲ノ方ニ餘
  リ賴リ過ギテ居ル、日本國內ノ需要ノ八割
  モ濠洲カラノミ買ッテ居ル、斯ウ云フヤウニ
  一ツニ偏倚シテ居ルト云フコトハ、色々ノ
  場合困ル、現ニ濠洲ガ日本ノ品物ニ不當ナ
  コトヲ致シマシタ時ニモ、アヽ云フ風ニ通
  商擁護法ヲ發動ハシタモノヽ、實ハコチラ
  ノ身ガ痛イト云フヤウナコトモアリマシタ
  ガ、サウ云フヤウナ場合ニ、ドウシテモ原
  料ノ買付ヲ分散シタイト云フコトヲ考ヘマ
  スル時ニ、一號ニアラズ、二號ニアラズ、
  三號ニアラズト云フヤウナコトガアルモノ
  デスカラ、言葉ガ御示シノ通リニ非常ニ曖
  味デアリマスケレドモ、ヤハリ四號ノ規定
  ヲ置キマセヌト、實際ノ問題トシテ困ルコ
  トガアリハセヌカ、斯ウ云フ意味デ、謂ハヾ
  補足的ノ意味デ此條項ヲ置イタモノデゴザ
  イマスカラ、今玆ニ何々ト云フ具體的ノ重
  要物資ノ品目ヲ列記シテヤルト云フマデノ
  實ハ考ハナイノデアリマス、ソレデ斯ウ云
  フヤウナ抽象的ノ文字ヲ書キマシタノデア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=122

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• 123・倉元要一

  ○倉元委員　能ク御趣旨ハ分リマシタ、併
  シ是ハ非常ニ迷ヒマス、此事ダケハ申上ゲ
  テ置キマスガ、今例ニ御引キニナッタヤウナ
  例カラ申上ゲルト、國內ニ缺乏シテ居ル物
  資ヲ海外カラ輸入セナケレバ日本ノ產業ガ
  成立タヌト云フヤウナ、サウ云フ物資デア
  ルコトヲ豫想セラレル、海外トノ取引ノ上
  カラ、サウ云フ風ナコトニ大體ノ考ヲ置イ
  テ然ルベキモノト思フ、大體サウ承知シテ
  宜シイノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=123

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• 124・吉野信次

  ○吉野國務大臣　サウ云フ場合モゴザイマ
  セウシ、ソレカラ又羊毛ハ同ジ例ニ入ルノ
  デゴザイマスガ、例ヘバ成ベク輸入品ヲ少
  クシタイト云フノデ、假ニ代用工業ノ、ソ
  レニ代ルベキモノヲ國內デ奬勵シタイト云
  フ場合モ考ヘラレル譯デアリマス、羊毛ハ
  兩方ノ場合ニ入ル譯デアリマスカラ、偶〓一
  ツノ例ニナリマシタガ、サウ云フヤウナ極
  ク限ラレタ場合ダケニ付キマシテ、四號ト
  云フモノヲ適用致シタイ、斯樣ニ考ヘテ居
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=124

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• 125・原玉重

  ○原委員　先程政府委員ノ方カラ斯樣ナ答
  辯ヲ得マシタノデスガ、工業組合法ノ第二
  十八條ノ三ヲ發動セシメル場合ハ、主トシ
  テ輸入品ニ關スル場合デアッテ、而モ極メテ
  稀ナル場合デアル、重要物產同業組合法ト
  摩擦ヲ生ゼシメタリ、中小商工業者ヲ苦シ
  メタリシナイヤウニ十分注意ヲスルト云フ
  御話デアリマシタガ、大臣モ御同感デセウ
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=125

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• 126・吉野信次

  ○吉野國務大臣　御所見ノ通リデゴザイマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=126

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• 127・増田義一

  ○增田委員長　木村淺七君ニ發言ヲ許シマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=127

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• 128・木村淺七

  ○木村委員　私ノ質問モ大臣カラ御答ヲ願
  ヒタイト思フノデアリマスガ、豫算委員會
  ノ關係上已ムヲ得ナイトシマシテ政府委員
  カラ御答ヲ願ヒタイト思ヒマス、先ヅ先程
  中村委員カラ、貿易調整ニ關スル法律案ハ
  外地ニモ適用スルノカト云フ質問ニ對シ
  テ、木暮政務次官カラ、外地ノ業界ノ狀況
  ニ鑑ミテ、第一條ニ於ケル貿易審議會、或
  ハ二條三條ニ於ケル統制協議會ト云フ風ナ
  モノヲ設ケルコトハ適當デナイ、故ニサウ
  云フ條項ハ省略シテ適用シタイト云フ御答
  ガアッタノデアリマスルケレドモ、其外地ニ
  適用スル條項ニ付キマシテ、モウ少シ具體
  的ニ御答ヲ願ヒタイト思ヒマス、私一問一
  答デ一々御答ヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=128

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• 129・寺尾進

  ○寺尾政府委員　御答ヲ申上ゲマス、此貿
  易及ビ關係產業ノ調整ニ關スル法律案ヲ外
  地ニ施行スルカドウカト云フ點ニ付テハ、
  先刻政務次官カラ御答ヲ申上ゲマシタヤウ
  ニ、此法律ノ全部ニ亙ッテ其儘外地ニ之ヲ施
  行スルト云フコトハ、實際上困難デアルト
  考ヘテ居リマス、卽チ政務次官カラモ申上
  ゲマシタ通リ、本法ノ第二條、第三條ノ統
  制ニ關スル規定ト云フモノハ、其前提ト致
  シマシテ、或ル程度マデ組合制度ト云フモ
  ノガ發達シタコトヲ必要トスルノデアリマ
  スケレドモ、外地ニ於テハ未ダ斯ノ如キ組
  合制度ガ完備シテ居リマセヌ關係上、之ヲ
  直チニ施行スルコトハ出來ニクイコトト考
  ヘテ居ル次第デアリマス、又同樣ニ貿易審
  議會ニ關スル規定モ、內外ノ民度ノ相違ト
  カ、一般外地ノ制度トノ關係上、直チニ之
  ヲ施行スルコトガ出來ナイト考ヘテ居リマ
  ス、隨テ外地ニ施行スルコトガ出來ルノハ
  第一條關係ダケニ限ルト、斯樣ニ考ヘテ居
  ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=129

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• 130・木村淺七

  ○木村委員　サウシマスルト外地ニハ統制
  組合ト云フヤウナモノガ作ラレテ居ラナイ
  カラ、第一條ダケシカ適用ガ出來ナイト云
  フ風ナ御話デアリマスケレドモ、然ラバ第
  一條ノ目的ヲ達スル爲ニ、輸出入ノ均衡ヲ
  圖ル爲ニ調節スルト云フ風ナ問題、或ハ第
  一條ノ一號カラ四號マデニ揭ゲタ事項ノ調
  節ヲスルト云フヤウナ場合ニ於テ、實際ニ
  行フ場合ニ於キマシテハ、輸出入業者ノ輸
  出組合、若クハ輸入組合ト云フモノノ設立
  ガナケレバ、之ヲ適正ニ行フト云フコトハ
  不可能デアルト思ヒマスガ、此點ニ付テハ
  如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=130

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• 131・寺尾進

  ○寺尾政府委員　只今御答辯ヲ申上ゲマシ
  タ通リ、必要ガアリマス場合ニ於テハ、政
  府ハ第一條ノ關係ノ事柄ダケハ之ヲ外地ニ
  施行スルト云フ意味ニ於テ御答ヲ申上ゲテ
  居リマス、其意味ハ、第一條ノ第一號乃至
  第四號ノヤウナ事態ガ生ジマシタ場合ニ
  第一條ノ貿易審議會ニ關スル事項ヲ除イ
  テ、其以外ノ事柄ヲ外地ニ施行スル、言葉
  ヲ換ヘテ言ヒマスレバ、第一條ノ輸出又ハ
  輸入ノ制限禁止ト云フコトハ、是ハ內地同
  樣ニ施行スルコトガ出來ルト云フ意味デゴ
  ザイマス、唯ソレニ附帶致シマシテ、各種
  ノ之ニ必要ナル統制ヲヤラシメルコトニ付
  テハ、差當リ外地ニ左樣ナ組合制度ガ發達
  シテ居リマセヌカラ、其點ヲ直グニ外地ニ
  施行スルコトハ、事實上困難デアル、斯ウ
  云フ意味ヲ申シタノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=131

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• 132・木村淺七

  ○木村委員　第一條ノ第一號カラ四號ニ揭
  ゲタ事項ヲ實施スル場合ニ於キマシテモ、
  輸入ノ制限禁止ヲスルト云フ場合ニ於キマ
  シテモ、輸出、輸入ニ當ル者ハ貿易業者デ
  アリマス、トシマスレバ結局ハ貿易組合法
  ヲ外地ニモ適用セシメテ、イツ如何ナル場
  合ニ於テモ、斯ウ云フ第一條ノヤウナ事態
  ヲ發生シタ場合ニ於テハ直チニ、外地ニ於
  テ審議會ガナクテモ、總督府ノ獨斷的ノ考
  ニ依ッテモ施行シ得ルヤウナ風ニ仕向ケテ
  行クコトガ適當デハナイカト思フ、一體輸
  出組合法モ現在外地ニ於テハ適用サレテ居
  リマセヌ爲ニ、日本ノ全體ノ輸出貿易ノ調
  整、又ハ輸出ノ全般的ノ統制ヲ圖ルト云フ
  點カラ申シマシテモ、外地ニ於テ輸出組合
  ノ適用ヲ見ナイト云フコトハ輸出制ニ
  於テ統制上甚ダ惡イ影響ヲ來シテ居ル事實
  ガ多々アルノデアリマス、恐ラク此事實ハ
  政府ニ於テモ御認メニナッテ居ルコトダラ
  ウト思フ、承ル所ニ依リマスト、外地ノ總
  督府ニ於キマシテハ、サウ云フ時期デナイ
  ト考ヘテ居ルラシイト云フ話デアリマスケ
  レドモ、少クトモ今日ノ國際收支ノ適合ヲ
  圖リ、輸出入ノ均衡ヲ圖ルト云フ風ナ、此
  國家トシテノ大目的ヲ達成スル意味カラ申
  シマスレバ、又日本ノ內地ニ於テ輸出組合
  ヲ結成スル場合ニ於テハ、第九條迄モ適用
  致シマシテ、「アウトサイダー」迄モ此輸出
  統制ニ服セシムルト云フヤウナ强制ヲシテ
  居リマス、隨テ當業者ノ好ムト好マザルト
  ニ拘ラズ、此統制ヲ强制サレテ居ルト云フ
  狀態ニ於キマシテハ、外地ニ於ケル所ノ區
  區ノ利害ニ依ッテ、此國家ノ全面的ノ輸出統
  制ヲ圖ルコトノ實行ガ出來ナイト云フコト
  ハ洵ニ殘念デアリマス、加之重要ナ輸出品
  ト云フモノハ、何レモ政府ガ嚴重ナル所ノ
  檢査ヲ施行シテ居ル、然ルニ外地ニ於キマ
  シテハ國家ニ依ル所ノ嚴格ナル檢査モ實施
  ヲシテ居ラナイ立前上、外地ニ輸出組合法
  ノ適用ガナイコトヲ利用致シマシテ-惡
  用致シマシテ、日本ノ輸出統制ヲ紊ル結果、
  延イテハ此製品ガ海外ノ市場ニ流レ出ルヤ
  ウナコトデアッテ見マスレバ、是コソ日本ノ
  輸出貿易ノ伸展ヲ阻碍スルコト最モ大ナル
  コトト考ヘマスガ、政府ハ此外地ニ對シマ
  シテ、外地ト能ク協議ヲ致シマシテ、何故
  ニ一日モ早ク此輸出組合法ノ實施ヲ見ルヤ
  ウニ今日迄ニ出來ナカッタカ、是ハ洵ニ遺憾
  ニ存ズル所デアリマスガ、此點ニ向ッテ政府
  ハ外地トノ交渉ニ於テ、ドノ位ノ努力ト交
  涉ヲシテ居ルカ、又現在ニ於テモサウ云フ
  全般ノ輸出統制ノ上カラ見マシテ、外地ヲ
  モ統制ニ包含セシムルト云フ立前カラ、必
  要ナル問題迄モ何故ニ外地ガ之ニ應ジナイ
  カト云フコトニ付キマシテ、政府ノ御所見
  ヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=132

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• 133・寺尾進

  ○寺尾政府委員　御答ヲ申上ゲマス、貿易
  組合法其モノヲ直チニ外地ニ適用シテ居ラ
  ヌト云フコトニ付キマシテハ、之ヲ直チニ
  外地ニ適用致シマスコトハ、現在ノ輸出組
  合法ト致シマシテハ、單ニ統制事業ヲヤッテ
  居ルノミナラズ、各種ノ積極的ナ共同施設
  ト云フモノヲ行ッテ居ルコトハ御承知ノ通
  リデアリマス、斯樣ナ次第デアリマスカラ、
  統制事業ヲ行ッテ居ル組合ノ中ニ、海外ノ業
  者ト云フモノヲ一ツニシテ組合ノ構成ヲ
  圖ッテ行ク、組合ニ屬セシメテ行クト云フコ
  トハ、今日ノ狀態カラ申シマシテ、マダ其
  時期デナイノデハナイカト考ヘテ居リマス
  ノデ、此貿易組合法自體ヲ其儘外地ニ適用
  スルト云フコトハ如何カト考ヘテ居リマス
  ガ、併シ此內地ノ貿易組合ニ於テ、統制ヲ
  ヤリマス際ニ、外地ガヤハリ此統制ト一ツ
  ニナッテ行カナケレバ、十分ニ外地ノ統制ガ
  確保出來ナイト云フコトハ、御承知ノ通リ
  デアリマシテ、今御話ノアリマシタヤウニ、
  商工省ト外地ト適當ナ連絡ヲ圖ッテ內外共
  ニ此統制ヲ確保シテ行クコトノ必要ナコト
  ハ御話ノ通リデアリマス、從來トテモ輸出
  檢査等ニ付キマシテ、內地ガ檢査ヲヤッテ居
  リマス際ニ、外地ニ於キマシテモヤハリ是
  ト同樣ノ檢査ヲ、例ヘバ朝鮮總督府ノ如キ、
  既ニ幾ラカノ品目ニ付テ檢査ヲ行ッテ居リ
  マシテ、內外呼應シテ統制ヲヤルト云フコ
  トニ努メテ居リマスト同時ニ、又必要ノア
  ル場合ニハ、內地ノ業者ト外地ノ業者トノ
  間ニ、輸出數量ニ關スル協定ヲ實行致シマ
  シテ、何ト申シマスカ、オ互ニ割合ト云フ
  モノヲ決メテ、オ互ニ衝突致シマセヌヤウ
  ニ、全體トシテ統一アル方法ヲヤッテ行クト
  云フコトニ留意致シテ居ル次第デゴザイマ
  シテ、例ヘバ之ヲ品物ニ付テ申上ゲマスト、
  電球ニ付テ英吉利トノ間ニ或ル輸出數量ノ
  協定ヲ行ッテ、其統制ヲヤッテ居リマスガ、
  其場合ニ付テハ、今御話ノゴザイマシタヤ
  ウニ外地ト內地トノ兩者ヲオ互ニ協議セシ
  メマシテ、其間ニ一ツノ輸出數量ノ統制ヲ
  ヤリマシテ、其統制ガ滿足ニ行ハレルヤウ
  ナコトヲ考ヘテ居ルノデアリマス、將來此
  點ニ付テハ十分ニ氣ヲ付ケマシテ、內地ノ
  統制ニ付テハ、外地ニモヤハリ其統制ヲ同
  時ニ實行スルコトハ、今申上ゲタヤウナ各
  種ノ方法ニ依ッテ適當ノ助成ニ努メルコト
  ニ、外地ト-拓務省ト、從來トテモ協議
  ヲ致シテ居リマスガ、今後モ尙ホ其方針ニ
  依ッテ努力ヲ致シタイト考ヘテ居ル次第デ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=133

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• 134・木村淺七

  ○木村委員　外地ノ貿易ハ、例ヘバ臺灣ニ
  致シマシテモ、朝鮮ニ致シマシテモ、過去ニ
  於キマシテハ主トシテ對支那或ハ滿洲國ト
  云フ風ナ方面ノ貿易ガ多カッタノデアリマ
  スケレドモ、最近ハ外地ニ於ケル海外貿易
  ト云フモノモ、亞細亞洲ノミナラズ、南洋、
  阿弗利加、南米、合衆國、歐羅巴方面ニ迄
  モ漸次輸出ガ仲展シテ參ッテ居ルヤウナ狀
  況デアリマシテ、日本ノ內地ニ於キマシテ
  輸出組合ヲ結成ヲ致シマシテ、全世界ニ向ッ
  テ、全面的ナ統制ヲスルト云フ風ナ商品ニ
  對シマシテ、外地ガ、何等ノ輸出ノ統制ヲ
  行ッテ居ラナイト云フコトハ、其輸出ノ伸展
  上惡イ影響ヲ及ボスコトハ先程申上ゲタ通
  リデアリマシテ、品種ニ應ジテ、全面的ノ
  統制ヲ行フヤウナ品種ニ付キマシテハ、內
  地トノ狀況ヲ斟酌致シマシテ內地ト一日
  モ早ク協議致シマシテ輸出組合ヲ結成セシ
  メテ、內外一貫シタル所ノ統制ヲ行フコト
  ガ國家ノ爲ニ非常ニ利益デアル、又不正ナ
  業者ノ利益ヲ防止スルト云フ立前カラ申シ
  マシテモ、最モ緊要ナル問題デアラウト考
  ヘルノデアリマス、滿洲國ガ創立以來、日
  本ハ滿洲國ト同盟ヲ結ビマシテ、滿洲ノ健
  全ナル發達ヲ願ヒ、產業ノ進展ヲ希フ上カ
  ラ申シマシテモ、日滿兩國ノ經濟ニ於テ
  貫シタ統制ヲヤッテ行カウト云フ立前カラ
  申シマシテモ、全ク内地ト外地間ノ統制ノ
  如キモノモ完全ニ行ハレテ居ラナイト云フ
  狀況ハ、洵ニ遺憾ト存ズル次第デアリマシ
  テ、此點ニ向ヒマシテハ諄々シク申上ゲマ
  セヌガ、政府ニ於キマシテモ十分ニ考慮ヲ
  願ヒマシテ、日本ノ全般的ナ統制ノ、完全
  ナル圓滿ナル所ノ遂行ノ期セラレルヤウ
  ニ、一日モ早ク御配慮ヲ願ヒタイト思ヒマ
  ス、ソレカラ今日午前中ノ委員カラノ質問
  ニ對シテ、貿易局長ハ、日本ノ將來ノ輸出
  貿易ト云フモノニ對シテ、樂觀的ナ御言葉
  ガアッタノデアリマスガ、現內閣ハ財政經濟
  ノ立前カラ申シマシテ、三原則ト云フコト
  ヲ言ッテ居ラレマス、生產力ノ擴充ヲ圖ル意
  味カラ申シマシテモ、又國內ニ於ケル物資
  ノ需給調節ヲ圖ルト云フ立前カラ申シマシ
  テモ、根本的ニ是等ノ生產力ノ擴充ヲ圖リ、
  是ガ將來平和的ノ場合ニ於キマシテモ、安
  全ナ產業ノ擴充ヲ圖ルト云フコトハ、結局
  輸出ノ增進ヲ圖ルト云フコトノ外ニ方法ガ
  ナイト思ヒマスシ、國際收支ノ均衡ヲ圖ル
  上ニ於テモ同樣デアリマスケレドモ、最近
  ノ海外貿易ノ狀況ヲ見マスト、關稅ガ段々
  上ッテ來ル、輸入ノ制限ヲ受ケルト云フ風ナ
  コトデアリマシテ、又國內ノ生產ノ狀況ヲ
  見マシテモ段々物價ガ騰貴ヲ致シマシテ、
  生產費モ上ッテ來ル、勞銀モ若干上ッテ來ル
  ト云フ風ナ狀況デアリマシテ、日本ノ輸出
  貿易モ過去ニ於ケルヤウナ增進ノ勢ヒト云
  フモノガ非常ニ鈍ッテ參ッタ今日ニ於キマシ
  テ、吾々ハ昨今ノヤウナ輸入ガ非常ニ多ク
  テ、輸出モ若干ハ增加シテ居リマスケレド
  モ、國際收支ノ均衡ヲ圖ル上カラ申シマシ
  テモ、輸出ノ增進ヲ何トカシテ積極的ナ方
  法ヲ講ジテ、是ガ增進ヲ助長スルヤウナ政
  策ヲ執ラナケレバナラナイト思フノデアリ
  マス、過去ノ對外的ノ會商、日印會商或ハ
  日蘭會商、日埃會商、色々ナ會商ニ於キマ
  シテモ、漸次輸出ノ制限ヲ受ケテ來タ、輸
  出ノ活動ノ範圍ト云フモノガ段々狹メラレ
  テ來テ居ルヤウナ狀況デアルノデアリマ
  ス、斯ウ云フ時ニ當ッテ現在ノヤウナ非常時
  局デアレバアル程、政府ニ於キマシテモ輸
  出ノ增進ニ積極的ナ助長ノ政策ヲ執ラナケ
  レバナラナイト思フノデアリマス、政府ハ
  此春ノ議會ニ於キマシテ輸出ニ對シテ課稅
  ヲシテ迄モ、輸出增進ノ助長策ヲ講ジヨウ
  ト考ヘテ居ッタノデアリマスルケレドモ、吾
  吾ハ此輸出品ニ課稅ヲシテ迄モ輸出ノ助長
  ヲスルト云フ問題ニ付キマシテハ、甚ダ疑
  義ヲ持ツ一人デアリマス、是等ノ政府ガ考
  ヘタ必要ナル所ノ施設ニ依リ、政府ハ時局
  ガ困難デアル此場合、輸出ノ增加ヲヨリ以
  上シナケレバナラナイ時期ニ當ッテ、積極的
  ノ政策ト云フモノヲ益〓計畫スル必要ガア
  ルト思フノデアリマスケレドモ、政府ハ此
  點ニ向ッテ、來ルベキ通常議會ニ於キマシテ
  ハドウ云フ風ナ提案ヲサレルカ分リマセヌ
  ガ、現在ドウ云フ御考ヲ持ッテ居リマスルカ、
  御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=134

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• 135・寺尾進

  ○寺尾政府委員　洵ニ御尤ナ御尋デゴザイ
  マシテ、今囘ノ議會ニ政府ガ此貿易關係ノ
  法案ヲ提出致シマシタノモ、御話ノ趣意ノ
  一端ニ副フ次第デゴザイマスガ、勿論唯是
  ノミヲ以テ將來ノ輸出貿易ノ振興ヲ期スル
  譯ニハ參リマセヌ、尙ホ其他ニ於キマシテ
  御話ノ如ク積極的ニ輸出ヲ振興スル爲ニ、
  何等カ適切ナ方策ヲ執ラナケレバナラヌト
  云フコトハ實ハ洵ニ御話ノ通リデ、私共極
  メテ御同感デアリマス、之ニ付キマシテハ、
  兎ニ角今日ノ時代ニ於キマシテハ能ク海外
  ノ情勢ニ卽應致シマシテ、海外ノ事情ニ應
  ジテ、品物ニ依リ、又其相手ノ國ニ依リマ
  シテ、具體的ナ適切ナ方策ヲ立テルコトガ
  必要デアラウト考ヘテ居リマス、政府ハ其
  趣旨ヲ以チマシテ、十分考究ノ上適切ナル
  方法ヲ執リタイ、斯樣ニ考ヘテ居ル次第デ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=135

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• 136・木村淺七

  ○木村委員　時間ノ都合モアリマスノデ質
  問ヲ續ケマスガ、最近ノ狀況ニ考ヘマシテ、
  政府ハ自動車ノ輸入ニ付テ何トカ考ヘル必
  要ヲ認メナイカ、ト言ヒマスルコトハ御承
  知ノヤウニ自動車製造事業法ガ先般制定ヲ
  サレマシテ、國內ノ自動車ノ製造ヲ奬勵シテ
  居ルノデアリマスルケレドモ、マダ國內ニ
  於ケル需要ヲ全部充タス域ニ至ッテ居リマ
  セヌ、又過去ニ於テ「フォード」ノ會社或
  ハ「シボレー」ノ會社、是等ガ一定ノ數量
  ノ內地ニ於ケル所ノ組立ノ割當ヲ持ッテ居
  ルノデアリマスルケレドモ、最近ノ北支事
  變ノ突發ニ依リマシテ、全國的ニ「トラック」
  若クハ乘用車ガ軍用ニ徵發ヲサレタト云フ
  風ナ立前カラ、「トラック」ガ非常ニ市中ニ
  減リマシテ、爲ニ貨物ノ輸送ニモ現在不圓
  滑ナ狀況ニ相成ッテ居ル隨テ業者ガ非常ニ
  困ルノミナラズ、之ニ依ッテ國內ニ於ケル物
  資ノ圓滿ナル配給ニ迄モ惡イ影響ヲ及ボシ
  テ此爲ニ幾分デモ物價ノ騰貴ヲ來スコトガ
  アッテハ相成ラヌト考ヘルノデアリマス、
  現在ノ輸人爲替ノ管理ノ立前カラ申シマシ
  テモ、組立テタル自動車ノ輸入「トラック」
  ノ輸入ト云フモノハ、非常ニ制限ヲ受ケテ
  居ルヤウナ現狀デアリマスガ、現在ノ此突
  發シタ北支事件ニ依ッテ、軍用ノ必要上徵發
  ヲサレテ、市中ニ於ケル自動車ガ特段ノ不
  足ヲ來シタト云フ此事態ガ、產業上甚ダ惡
  イ影響ヲ及ボスト云フ事態ニ鑑ミテ、自動
  車ニ對シテ或ル一定ノ期間ヲ限ッテ輸入ノ
  制限ヲ相當ニ緩和スル、爲替管理ヲ緩和ス
  ルト云フ手段ヲ執ル必要ガアルト考ヘルノ
  デアリマスルガ、此點ニ付テ御所見ヲ御伺
  ヒ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=136

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• 137・寺尾進

  ○寺尾政府委員　御話ノ點ニ付キマシテハ
  十分愼重協議致シマシテ、善處致シタイト
  考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=137

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• 138・木村淺七

  ○木村委員　工務局長ニ伺ヒタイノデアリ
  マスガ、工業組合ガ全國的ニ普及ヲサレマ
  シテ、生產ノソレ〓〓ノ同業者ガ何レモ統
  制ヲ實施シテ居リマス、自治的ノ統制ヲ
  ヤッテ居リマス、又統制ヲ强化サレル意味合
  ニ於キマシテ、政府ハ工業組合法ノ第八條
  ノ適用マデ致シテモ、此統制ノ强化ヲ圖ッ
  テ健全ナル生產業ノ發展ニ資シテ居ル狀況
  デアリマスルガ、此生產ノ統制ノ實際ノ方
  法ヲ見マスルノニ、何レモ生產ノ總數量ト
  云フモノヲ決定スル、或ハ生產ノ業態ニ依
  リマシテハ、品種別ニ生產ノ總數量ヲ決定
  スル、又ソレニ對シテ若干ノ超過生產ヲ認
  メルト云フ風ナコトヲヤッテ居ルノデアリ
  マスルケレドモ、全國ヲ劃一的ニ統制スル
  ト云フ風ナ立前カラ、兎角國内ノ各生產地
  ニ於ケル特殊的ノ事情ト云フモノガ全然沒
  却サレテ居ル狀況デアリマシテ、是デハ本
  當ニ必要ナ製品モ、或ハ生產ガ過剩デアッ
  テ生產ノ減少ヲ必要トスル所ノ品種モ、何
  レモ同一ナル統制ノ下ニ服セザルヲ得ナク
  ナル狀況デアリマシテ、眞ニ嚴正ナル統制、
  輸出ノ增進ヲ期待スル當業者ノ共同ノ利益
  ヲ增進スルト云フ立前カラ見マスルト、矛
  盾ヲスルヤウナ點ガ多々アルノデアリマ
  ス、是等ニ向ッテ政府ハ工業組合ノ統制ノ
  指導ノ任ニ當ラレテ居ルノデアリマスルケ
  レドモ、此統制ノ方法ニ付キマシテモ、政
  府ハ從來ノ御考ヲ何等カ是正スルヤウナ必
  要ヲ認メテ居リマセヌカドウカ、此點ヲ先
  ヅ伺ヒタイト思フノデアリマス、尙ホ工業
  組合ニ於テ生產ノ統制ヲスル場合ニ於キマ
  シテ、業者ニ生產數量ノ割當ヲ實施シテ居ル
  ノデアリマスルケレドモ、業界ニ於ケル狀
  況ハ時々變遷ヲシテ參リマス、殊ニ重要ナ
  輸出品ニ於キマシテモ、海外市場ノ需要ノ
  變遷ニ依ッテハ需要スル所ノ品種ガ時々增
  減變化スルト云フコトハ當然ノコトト考ヘ
  ルノデアリマスルガ、從來工業組合ノ生產
  統制ニ依リマシテ品種別ノ統制ヲ行ッタ場
  合ニ於キマシテ、當業者ハ此品種ノ割當ト
  云フモノニ縛ラレテ、海外ニ於テ賣行ノ好
  イ、需要ノアル所ノ品種ガアリマシテモ、
  其生產ニ轉換スルコトガ出來ナイ、又過去
  ニ於テ其海外ノ需要ノアル品種ノ生產ヲ
  ヤッテ居ル生產業者ガ十分ナル生產ヲ見テ
  モ、尙且ツ海外市場ニ於テ需要ヲ充タスニ
  足リナイト云フ場合ニ於キマシテモ、他ノ
  當業者ハ、過去ノ需要ノ狀況ニ依ッテ割當
  ラレタ品種以外ノモノニ生產ノ轉換ガ出來
  ナイト云フ風ナ現狀ハ、生產統制ノ立前カ
  ラ行キマシテ一大缺點デアルト考ヘルノデ
  アリマス、此點ニ向ッテ、現在ノ統制法ニ鑑
  ミマシテ、政府ハ何等カ本當ニ適切ナル統
  制ヲ行ハシメルヤウニ、指導精神ト致シマ
  シテ從來ノ態度ヲ御變へニナル必要ヲ認メ
  テ居リマスカドウカ、此點ニ付テ御所見ヲ
  伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=138

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• 139・小島新一

  ○小島政府委員　只今木村委員カラ工業組
  合ニ於キマスル各種ノ統制ノ實情ヲ御述べ
  ニナリマシテ、將來是ガ缺陷ノ是正ト云フ
  コトニ關スル意見ヲ求メラレタノデアリマ
  ス、御趣意ノアル所ハ能ク拜承致シマシテ、
  洵ニ御尤ト思フノデアリマス、此工業組合
  ニ依リマス統制ハ、決シテ個々ノ產業ヲ萎
  縮セシメルコトガ目的デハナイノデアリマ
  シテ、結局重要輸出品デアリマスナラバ、
  其輸出品ヲ將來確實ニ、サウシテ益〓其販路
  ノ擴張ヲ圖ルコトヲ本來ノ目的トシテ居ル
  コトハ申ス迄モナイノデアリマス、殊ニ國
  際收支ノ適合ヲ圖ル意味ニ於キマシテ、益〓
  輸出ノ振興ヲ圖ルベキ時デアリマスカラ、
  從來工業組合ニ依リマス統制方法等ニ付テ
  缺陷ト認メラレルヤウナモノガアリマスナ
  ラバ、私共トシテハ出來ル限リ之ヲ是正シ
  テ參リタイト考ヘテ居ル次第デアリマス、
  只今御質疑ニナリマシタ從來ノ全國的ノ組
  合統制ト云フモノハ、動モスレバ地方ノ產
  業ノ特殊事情ト云フコトヲ輕視スル虞モア
  リ、或ハ又其品種別ノ統制ヲヤリマスルナ
  ラバ、個々ノ營業者ハ過去ノ實績ニ依ル其
  營業權ノ確保ト云フコトヲ念慮スルガ爲
  ニ、不必要ナル生產ヲ年々續ケテ參リ、或
  ハ必要ナル品種へノ轉換ヲ致サナイト云フ
  缺陷ガ動モスレバアリ得ルコトト存ジテ居
  リマス、此點ニ關シマシテ木村委員ノ御述
  ニナリマシタコトハ洵ニ御尤ノコトト私共
  考ヘテ居リマス、今後ハ此統制ノ擴充固ヨ
  リ必要デアリマスルガ、此統制ヲ實施致シ
  マスル場合ニ於キマシテハ、篤ト我國ノ生
  產事情竝ニ海外市場ト云フモノヲ〓究致シ
  マシテ、是等ノ生產輸出ノ實情ニ卽シタル
  統制ヲ致スコトニ致シタイト考ヘテ居リマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=139

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• 140・木村淺七

  ○木村委員　尙ホ御伺シタイト思ヒマス
  ガ、輸出組合法ガ外地ニ適用サレヌト云フ
  コトハ、輸出統制上甚ダ困ル、工業ノ統制
  ノ上カラ見マシテモ、ヤハリ外地ニ於テ統
  制ヲサレテ居ラナイコトガ多イノデアリマ
  シテ、內地ニ於キマシテハヤハリ工業組合
  法ノ第八條ノ適用ヲ受ケテ、全體ガ適用サ
  レテ居ル、隨テ新規業者ト云フモノガ業界
  ノ需給ノ狀況ニ應ジテ割當テラレナイ、是
  ハ業界ノ狀態ニ於テハ巳ムヲ得ナイコトト
  思フノデアリマスケレドモ、外地ニ於テ工
  業組合法ト云フモノガ實施サレテ居ラナイ
  爲ニ、內地ニ於テ生產制限ヲ受ケテ居ルモ
  ノヲ、外地ニ持ッテ行ッテ工場ヲ建設致シマ
  シニ、外地ニ於テ自由ナ生產ヲスルト云フ
  風ナコトガ現在アルノデアリマス、斯ウ云
  フコトハ日本ノ內地ノ工場ノ統制ノ上カラ
  見マシテ、日本ノ全體ノ工業生產品ノ需給
  ノ均衡ヲ紊ルコトデアリマシテ、全體ノ工
  業ノ進展ノ上カラ見マシテ、由々シイ事態
  デアルト考ヘルノデアリマス、先程貿易局
  長ニ御伺シマシタ通リ、外地ニ於キマシテ
  モ色々事情ガアルノデハアリマセウケレド
  モ、一ツノ例ヲ擧ゲテ申シマスレバ、例へ
  バ人絹ノ輸出織物ノ如キハ、朝鮮ニ於キマ
  シテモ漸次勃興ヲシテ來テ居ルノデアリマ
  スケレドモ、內地ニ於テ人絹ノ輸出織物ガ
  生產ノ統制ヲ受ケテ居ルト云フ立前カラ、
  大キナ人組會社若クハ紡績會社ト云フモノ
  ガ、大規模ノ工場ヲ外地ニ設ケマシテ、大
  量ノ生產ヲスルト云フ狀況デアリマス、サ
  ウシテ輸出ノ統制ヲ受ケテ居リマセヌカ
  ラ、外地デ自由ニ海外ニ輸出ヲスルト云フ
  狀況デアルノデアリマス、斯ウ云フコトデ
  アッテ見レバ輸出ノ統制ヲ紊ルコトハ勿論
  デアリマスガ、生產ノ統制ヲ紊ッテ、工業組
  合法ノ精神カラ申シマシテモ、國內ニ於ケ
  ル中小業者ノ共通ノ利益ヲ增進スル爲ニ、
  大資本ニ對抗シテモ中小業者ガ經濟上ノ對
  立ノ出來ルヤウニ導ク所ノ工業組合ノ精神
  ト云フモノガ、全然沒却サレテ居ルノデア
  リマシテ、何トカ外地ニ於キマシテモ、人
  絹ノヤウナ織物、而モ內地ニ於ケル中小工
  業者ノ製品ト云フモノハ極メテ少イ、大キ
  ナ資本家ガ朝鮮ニ進出ヲシテ、大規模ノ生
  產ヲスルト云フ現狀デアリマシテハ、外地
  ニ於ケル事情ト云フモノモ、是ハ內地ガ徒
  ニ外地ニ其生產ノ勃興ヲ希望スルト云フコ
  トダケデアッテ、果シテ日本全體ノ工業ノ圓
  滿ナル進展ヲ期待シ得ルカドウカト云フコ
  トヲ吾々疑ヒタイ、斯ノ如キ狀況デアリマ
  シテハ甚ダ憂フベキ所ノ結果ヲ來スノデア
  リ、內地ニ於ケル所ノ工業ノ統制ニ向ヒマ
  シテモ、當業者ノ中ニ於キマシテハ此統制
  ニ對シテモ色々ナ異論ヲ持ッテ居ル所ノ業者
  モ相當ニアルノデアリマス、外地ガ只今申
  上ゲマシタヤウナ統制外ニ全然置カレテ居
  ルト云フ風ナコトハ、私共ハ國內ニ於ケル
  所ノ此工業統制ノ圓滿ヲ期スルト云フ立前
  カラ申シマシテモ甚ダ遺憾ニ存ズルノデア
  リマスガ、此點ニ向ヒマシテ外地ニ一日モ
  早ク此工業組合ノ統制ガ實施サレルヤウナ
  方法ヲ政府ニ於キマシテモ御考ニナッテ居
  リマスルカドウカ、又過去ニ於テ外地トノ
  御交渉ト云フヤウナモノガドウ云フ風ナコ
  トニナッテ居ルカ、此點ニ付テ御所見ヲ伺ヒ
  タイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=140

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• 141・小島新一

  ○小島政府委員　木村委員カラ内外地ノ統
  制ノ問題ニ付テノ御尋デアリマスガ、御話
  ノ如ク內地ニ於テ相當統制ヲ强化シテ參リ
  マスニ付キマシテハ、自然外地ニ於ケル統
  制ヲ如何ニスルカト云フコトガ問題ニナッ
  テ參リマス、從來是等ノ問題ニ付キマシテ
  ハ、例ヘバ重要產業統制ニ關スル法律ト云
  フヤウナモノニ付キマシテハ、之ヲ外地ニ
  モ施行致シマシテ、內外地一貫シタル統制
  ヲ實施スルト云フコトニ根本ノ方針ガ定ッ
  タノデアリマス、其他ノ各種ノ重要ナル產
  業ニ付キマシテモ同ジヤウナ方針デ參リタ
  イト考ヘマシテ、拓務省、朝鮮總督府等ノ當
  局トモ種々折衝ヲ致シテ居リマス、而シテ
  例ヘバ朝鮮等ニ於キマシテハ特ニ統制ニ資
  スベキ組合ト云フモノハマダ出來テ居リマ
  セヌ、從來重要物產同業組合ニ該當スルモ
  ノガアリマシタガ、是トテモマダ十分普及
  シテ居リマセヌ、況ヤ統制ト云フモノヲ實
  質的ニ效果ヲ擧ゲシムルヤウナ工業組合ノ
  制度ト云フモノハナイノデアリマス、サリ
  トテ現在ノ工業組合法ヲ其儘外地ニ施行ス
  ルト云フ譯ニモ參リマセヌノデ、今後ハ出
  來ルダケ速ニ外地ニ此工業組合法ト同ジヤ
  ウナ法令ノ制定ヲ願ヒマシテ其規定ニ基イ
  タ工業組合ノ制度ト、內地ニ於キマスル工
  業組合ノ制度ト此二者ヲ連絡協調セシムル
  コトガ最モ實際的デアラウ、左樣ニ考ヘテ
  居リマス、サウ云フ趣旨ニ於キマシテ外地
  當局ト折衝致シマシテ近ク此新シイ組合ニ
  關スル法規ガ制定ヲ見マシテ、之ニ基イテ
  個々ノ產業ニ付キマシテ工業組合ノ組織ヲ
  見ルコトト相成ラウト思ヒマス、今後モ出
  來ル限リ外地當局ト折衝致シマシテ、內外
  地ヲ通ジテ一貫シタル統制ヲ實施シテ行キ
  タイ、斯樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=141

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• 142・木村淺七

  ○木村委員　御話ノ點ハ能ク了解シタノデ
  アリマスルガ、尙ホ輸出ノ人絹織物ニ付キ
  マシテ實際ノ實情ヲ申上ゲマスト云フト、
  朝鮮ニ於キマスル所ノ人絹織物ハ大體ニ於
  テ一箇年間ニ百二十万反位ノ生產シカ現在
  アリマセヌケレドモ、朝鮮ニ內地カラノ移
  出ハ四百万反以上モアルト云フ風ナ狀況デ
  アリマシテ、朝鮮モ漸次此鮮內ニ於ケル所
  ノ需要ニ應ズル爲ニ生產ノ增加ヲ見テ居リ
  マスルケレドモ、先程申上ゲマスヤウニ朝
  鮮ニハ輸出統制ガ實施サレテ居リマセヌ關
  係上、朝鮮ニ內地カラ移出ヲサレマシテ、
  其商品ガ海外市場ニ流レテ行クト云フ所ノ
  數量ガ相當アルノデアリマス、ソレデ內地
  ノ輸出組合ニ於キマシテモ統制ノ手數料ヲ
  徵收シテ居ル、其統制ノ手數料ハ相當ノ金
  額ニ上ルノデアリマシテ、外地ニ於テ輸出
  スル場合ニ於テハ全然輸出ノ統制ガアリマ
  セヌ爲ニ、統制手數料ノ徵收ヲ見ナイ、卽チ
  外地カラ輸出ヲシ場合ニ於テハ同一ナ商品
  ガ非常ニ安ク付クト云フヤウナ狀況デアル
  ノデアリマス、ノミナラズ外地ノ生產費ト
  云フモノモ、亦外地ニ於ケル所ノ加工費ト
  云フモノモ、內地ニ於ケル所ノ生產費竝ニ
  加工賃ヨリハ現在實際ニ於テ安イト云フ風
  ナ狀況デアルノデアリマシテ、斯ウ云フコ
  トデアッテ見レバ、外地ニ統制ガナイ爲ニ輸
  出ニモ惡イ影響ヲ及ボシ、又生產ノ工業方
  面ニモ非常ニ惡イ影響ヲ及ボス、內地ノ當
  業者ト朝鮮ノ當業者ノ利害ト云フモノガ相
  刺ヲ致シマシテ、內外ノ當業者ガ相反目ス
  ルト云フ風ナ狀況デアリマス、而モ聞ク所
  ニ依リマスルト、內地ニ於ケル所ノ人絹染
  色ノ聯合會ト云フモノハ、內地ニ於ケル所
  ノ輸出人絹織物染色加工ノ統制ヲヤッテ居
  リマス、所ガ朝鮮ニ於テハ全然統制ヲ行ッテ
  居ラナイ爲ニ內地ヨリモ安ク染色加工ヲス
  ル、ソコデ內地ノ業者モ朝鮮ノ當業者ニ向ッ
  テ内外地ヲ一貫シタル所ノ統制ノ協調ヲ申
  込ンダノデアリマスケレドモ、外地ガ之ニ
  應ジナイ爲ニ、日本輸出人絹染色聯合會ニ
  於キマシテハ、外地ニ持ッテ行ッテ染色工場
  ヲ設立致シマシテ、外地ノ當業者ヨリモヨ
  リ以上ニ安イ賃銀ヲ以テ加工ヲシヨウ、卽
  チ外地ノ同業者ニ向ッテ染色加工ノ競爭ノ
  戰端ヲ開イタト云フ風ナ狀況デアルノデア
  リマシテ、斯ノ如ク內外地ニ於ケル所ノ當
  業者ノ利害ノ相剋ト云フモノヲ此儘ニ置キ
  マスナラバ、是ガ非常ナル惡イ影響ヲ各方
  面ニ及ボスト云フコトニ相成ッテ來ルノデ
  アリマシテ、是等ノ點ニ鑑ミマシテ何トカ
  政府ハ一日モ早ク外地ニ同樣ナ生產竝ニ加
  工方面ニ於キマシテノ統制ヲ實施スルコト
  ニ御盡力ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、
  段々長クナリマスルカラ、私ハ此點ニ向ッテ
  政府ハ從來相當ナル努力ト御配慮ヲ願ッテ
  居ッタコトダト思フノデアリマスケレドモ、
  此點ニ向ッテ尙ホ一層ノ御配慮ヲ希望致シ
  マシテ私ハ質問ヲ打切リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=142

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• 143・増田義一

  ○增田委員長　高岡大輔君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=143

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• 144・高岡大輔

  ○高岡委員　私ハ北勝太郞君ガ工業組合ニ
  付テ御尋ヲ致シマシタシ、更ニ坂本宗太郞
  君ガ工業組合ニ付テ質問ヲサレルノデ、時
  間ヲ節約致ス意味ニ於キマシテ貿易及關係
  產業ノ調整ニ關スル法律案ト貿易組合法
  案、此二ツダケニ付テ御尋シタイト思ヒマ
  ス、私ハ此二法案ニ世間デト云ヒマスカ、
  私ガ耳ニシマシタ今日マデノ聲ハ、非常時
  ノ波ニ乘ッタ非常立法ダト、斯ウ云フ工合ニ
  私ハ聞イテ、是ハ非常ナル强硬ナ法律ダト、
  斯樣ニ考ヘテ居リマシタガ、段々御話ヲ聞
  キ委員諸君ノ御質問ヲ聞イテ行キマスト云
  フト、是ハモウ非常ニ消極的デアリ、又此
  法律ハ實ヲ云フトモウ時期ハ失シテシマッ
  タヤウナ感ガ致スノデアリマス、斯ウ云フ
  法案ハ日本ノ商品ガ世界各國ニ目醒マシイ
  躍進ト云ヒマスカ、外國ガ驚異ノ眼ヲ瞠ッテ
  居ル間ニ之ヲヤルト云フコトハ必要デアッ
  タカモ知レマセヌケレドモ、今日ノヤウニ
  モウ下リ坂ニナッタ時ニコンナコトヲスル
  ト、丁度諸外國ニ對シテ手ヲ付イテ謝マル
  ト云フヤウナ感ガ私ハスルノデアリマス、
  英國人ヲ初メ外國ノ貿易業者ヲ見テ居リマ
  スト、取ルダケハ取ッテシマッテカラ、ソン
  ナニ取ッテハイケナイヂヤナイカト言ハレ
  タ時ニ、ソレナラ少シオ前ニ返サウト云フ
  風デ、丸デ喧嘩ヲスル前ニ取ッテ置イテカ
  ラ、ソレカラ分配問題ヲ言フノニ、日本ノ
  政府ノヤリ方ト云フモノハ、何時モ退却ニ
  退却ヲシ切ッテ、モウ是レ以上退却出來ナイ
  ト云フ時ニ初メテ泣キヲ入レテ妥協ト云フ
  カ、サウ云フ熊度ヲオ執リニナルヤウナ氣
  ガスルノデアリマス、此二法案モ成程此處
  ニハ貿易ノ伸張、斯ウ言ッテ居ルガ、是デ貿
  易ノ伸張ハ望マレナイ、唯國際收支ノ釣合
  ト云ヒマスカ、適合ト云フコトハ、是ハ審
  議會或ハ統制審議會ノ力ト云ヒマスカ、ソ
  レデ出來ルカト思ヒマス、ト云フノハ賣ル
  ダケノ金額シカ買ハナイノダカラ所謂輸入
  ト輸出ノ金額デ合セルナリ數量デ合セルナ
  リ、サウヤッテ行クコトハ國家ノ力ヲ用フレ
  バ出來ナイトモ限リマセヌケレドモ、貿易
  ノ仲張ヲ圖ルト云フコトハホンノ附ケタリ
  デアッテ、ドチラカト云ヘバ此非常時局ニ際
  シ軍需品ノ爲ニハ一切ノ貿易業者ハ此際忍
  ベト、斯ウ云フ意味ニ私ハ此法案ヲ解釋セ
  ザルヲ得マセヌ、又今日ノ時代ヲサウ私ハ
  認識スルノデス、第一此貿易組合法案ノ所
  ニ重要輸出品ト書イテアルガ、此重要輸出
  品ト云フノハ、商工省ガオ作リニナリマシ
  タ本邦重要貿易品、此品目ダラウト思ヒマ
  ス、サウ致シマスト、輸入ノ方ヲ眺メマス
  ト總テガ殆ド原料品デス、然ラバ國內ニ於
  ケル代用品ノ助成ヲスル爲ニ斯ウ云フ原料
  ヲ一ツ禁止シテヤラウ、斯ウ云フコトデア
  ルナラバ國內ニ是ガ代用品ノ工業ト云フモ
  ノヲ助成スルナリ乃至ハソレノ目當ト云フ
  モノガナケレバナリマセヌガ、ドウモ私ノ
  見タ所デハ代用品ノ問題ニ付テハマダ政府
  御當局ハ-成程世間デ彼此レ一二聲ハ多
  少聞エテ居リマスガ、是ゾト思ハレル代用
  品ハ私等ハマダ耳ニシテ居ナイノデアリマ
  ス、サウ致シマスト、代用品ノコトヲ先ヅ
  考ヘナイノニ原料ヲ制限シテ行ク、成程先
  程商工大臣ガ仰シヤイマシタヤウニ、羊毛
  ヲ買ッテ來ル、濠洲バカリニ八割モ賴ッテハ
  イケナイ、アノ日濠交涉ヲ好轉スル爲ニハ、
  オ前ノ方デソンナニ我儘ヲ言フナラバ今マ
  デ買ッタ半分モ買ハナイ、其殘リハ亞米利加
  ノ方カラ買フ、或ハ滿洲ノ曠野ニ於テ吾々
  ハ緬羊政策ヲ樹テルノダト、斯ウ云フコト
  ヲ仰シヤル意味ノコトニナルカ知レマセヌ
  ケレドモ、マダ私ハソコマデ政府ノ肚ガオ
  出來ニナッテ居ルカドウカト云フコトニハ
  甚ダ疑ヲ持ツ一人デアリマス、結局先ヅ第
  一ニ御尋シナケレバナラヌノハ、此法案ガ
  決シテ仰シヤルヤウニ積極的ト云フカ、貿
  易ノ伸展ヲ圖リ云々ノ明文ノ通リニ行クモ
  ノカ、行カナイモノカ、斯ウ云フ點ニ對シ
  マシテ政府ハ本當ニ之ヲ御信ジニナッテ居
  ラッシヤルカ、或ハ御答辯ヲナサルベキ筋合
  ノモノデナケレバソレハマア控ヘテ置クト
  仰シヤッテモ宜シウゴザイマスガ、願ヘマス
  レバ、政府ハ一體本當ニ此際ドウ云フ氣持
  デオ居デニナルカ、一ツ信念ノ程ヲ承リタ
  イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=144

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• 145・寺尾進

  ○寺尾政府委員　御話ノ御趣意ヲ十分諒解
  致サナカッタカト思フノデスガ、詰リ今日議
  會ニ提出ニナッテ居リマス此法案其モノダ
  ケデハ、到底貿易ノ振興ハ期セラレナイ、
  之ニ付テハ先ヅ第一ニ根本的ニ貿易振興ニ
  關スル方策ト云フモノヲ樹テヽ積極的ニ實
  行スル所ノ決意ガアルカト云フ風ノ御尋ノ
  ヤウニ拜承致シマシタガ、ソコノ所ガハッキ
  リ呑込メマセヌノデ、要スルニドウ云フ御
  尋カモウ一應一ツ····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=145

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• 146・高岡大輔

  ○高岡委員　此法案ノ性質ト云フヨリモ、
  今日此法案ニ依ッテ積極的ト云ヒマスカ、
  貿易ノ仲張ヲ圖ラウトナサッテモ、是ハモウ
  時期旣ニ逸シタヤウナ氣ガスル、數年前ノ
  日本ノ商品ガ非常ニ進出シテ諸外國ノ方デ
  半分頭ヲ下ゲタ時ニ、政府ガソレナラバ、
  私ノ方デハ斯ウ云フコトヲヤリマスガ、此
  邊デ然ラバ割當制ヲ決メルカ、斯ウ云ッタヤ
  ウナ工合ニ民間ノ力ヲ或ル程度政府ガ之ヲ
  是正スルト云フカ、統制スルト云フカ、サウ
  云フ政府ト民間トノ「コンビ」ニ依ッテ海外
  貿易ト云フモノガ決マルト云フナラバ宜イ
  ケレドモ、今日ノヤウニ下リ坂ニナッテシ
  マッテ居ル時ニ斯ウ云フ法案デハトテモ私
  ハ仲展ト云フコトハ出來ナイト思フ、サウ
  ナリマスト其次ニアリマス所ノ國際收支ノ
  適合ヲ圖ル爲ナノダ、ダカラ其御精神ガ國
  際收支ト云フ點ニダケ重點ヲ御置キニナリ
  マシタノカ、ソレトモヤハリ貿易ノ伸展ト
  云フモノヲ御考ニナッテヤハリ此法案ヲ御
  作リニナッテ居ルノカ、文字ハサウ書イテア
  リマスケレドモ、今日ノ時勢、又此法案ノ必
  要ト云フヨリモ、商工省ト云フカ、國家ガ
  必要ナノハ國際收支ノ「バランス」ヲ取ラ
  ウト云フノガ必要ナノカ、ソレトモ貿易ヲ
  伸展シナケレバナラヌト云フノカ、其點ヲ
  承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=146

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• 147・寺尾進

  ○寺尾政府委員　國際收支ノ適合ヲ圖ルト
  云フコトモ是亦貿易振興ノ爲ニ極メテ必要
  ナ項目デアラウト思ヒマス、單ニ國際收支
  ノ適合ヲ圖ルト云フコトガ主要ナ目的デア
  ルト云フコトヲ申上ゲル譯ニハ參ラナイト
  思ヒマス、ソレモ併シ今日ノ時勢ニ鑑ミテ、
  最モ必要ナルコトデアラウト思ヒマスカ
  ラ、國際收支ノ適合ガ圖ラレナイ場合ニ於
  テハ、今日ノ將來ノ貿易振興ノ對策ヲ考ヘ
  ルコトハ出來ナイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=147

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• 148・高岡大輔

  ○高岡委員　國際收支ガ此商工省ノ御示シ
  ニナッテ居ルモノカラ割出シテ行クト、原
  料品デアリマス、ダカラ輸出ガ非常ニ少イ
  今日デアリマスカラ、其收支ノ「バランス」
  ヲ取ラウトスレバ、結局軍需品ハドウシテ
  モ買ッテ行カナクチヤイケナイカラ、軍需品
  ダケハ買フガ、民間ノ方ハ暫ク待ッテ吳レ、
  斯ウ行カナケレバ國際收支ノ均衡ト云フモ
  ノガ取レテ行カナイ、斯ウ思ヒマス、ソレ
  ヲヤッタトスレバ、今度ハ民間ノ方ノ收支ガ
  出來ナクナル、私ハソコニドウシテモ矛盾
  ガアルヤウナ氣ガスルノデアリマスケレド
  モ、是ハ私ノ頭ガ惡クテ勘違ヒシテ居ルノ
  デアレバ致シ方アリマセヌケレドモ、私
  左樣見ルノデアリマス、サウシテ更ニ續ケ
  テ參リマスガ、外國ノヤッテ居リマス斯ウ
  云ッタヤウナ法案ハ、此處ニモ參考書ヲ出シ
  テ戴イテ居リマスケレドモ、何遍見直シマ
  シテモ、全部ガ報復手段デアリマス、所ガ
  日本ハ報復手段的ニヤラウトシタ所デ、實
  ハ日本ハ弱味ヲ色々持ッテ居リマスノデ、オ
  前ノモノヲ買ハナイト言フコトハ、ナカナ
  カ是ハ面倒ダト思フノデアリマス、日本ハ
  ドウシテモ買ハナクチヤイケナイ立場ニ
  立ッテ居ッテ、サウシテ其商品ヲ諸外國ニ盛
  ニ賣出サナクチヤイケナイ、サウ云フ立場
  ニ居リマスノデ、外國ガヤッテ居リマスヤウ
  ナ氣持デ此法案ノ運用ヲ御考ニナルト云フ
  ト、私ハ其結果ガ到底所期ノ目的ヲ求メル
  コトハ困難デハナカラウカ、斯樣ニ考ヘル
  ノデアリマス、其時ニ私ハ御尋シナケレバ
  ナラヌノハ、此法案ノ積極的ト云フヤウナ
  點ガアリマシタナラバ、私ハ何度モ讀返ス
  ノデアリマスケレドモ、ドウモ法案ノ積極
  性ナルモノガ見當ラナイノデアリマス、ド
  ウ云フ所ガ貿易ノ進展ヲ圖ルヤウナ風ニ相
  成ルノカ、一ツ其點ヲ御示シ願ヒタイ、或
  ハ今マデ個人々々ニヤッテ居ッタモノガ今
  度ハ一ツノ組合デ纒リ、或ハ組合ノ力デ海
  外ノ販路ヲ開拓シタリ、色々ナコトヲヤル
  ノダカラ、今度ハ貿易ガ發展スルノダト云
  フヤウナ點ガアリマシタラ、サウ云フ點ヲ
  一ツ御〓ヘヲ願ヒタイト思ヒマス

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• 149・寺尾進

  ○寺尾政府委員　實ハ私共ノ考ト致シマシ
  テハ、此貿易及關係產業ノ調整ニ關スル法
  律案ニ規定致シテ居リマス、例ヘバ第一條
  ノ第一項乃至第四項ト云フモノハ、是ハ何
  レモ貿易ノ伸張ト云フコトニ重大ナル關係
  ヲ持ッテ居ルモノト考へテ居リマシテ、必シ
  モ是ガ全部消極的ナモノト言フコトハ出來
  ナイト考ヘテ居ルノデアリマス、例ヘバ第一
  項ノ「貿易ニ關スル條約又ハ之ニ準ズベキ
  モノニ依リ貿易ヲ調節セントスルトキ」是
  ハマア早イ話ガ、一ツ印度ニ對シテ日本カ
  ラ輸出スベキ綿布ノ數量ニ付テ協定ヲシタ
  イト云フコトニナリマシテ、ソレガ爲ニ貿
  易ヲ調節スルト云フコトガ起ッテ參リマス
  ノデアリマスガ、サウ云フコトヲ實行致シ
  マスルコトハ、畢竟スルニサウ云フ措置ヲ
  執ルコトニ依ッテソレ以上ニ日本ノ輸出貿
  易ガ阻碍サレルト云フコトヲ、其程度ニ於
  テ喰ヒ止メルト云フコトデアリマシテ、是
  ハ兎ニ角日本カラノ輸出貿易ノ維持ト云フ
  爲ニ必要ダ、之ヲ自然ノ儘ニ放擲シテ置キ
  マスナラバ、ソレダケ貿易ト云フモノガ減
  退スルノヲ、其程度ニ喰ヒ止メル爲ニ、言
  ヒ換ヘレバ貿易ノ維持ノ爲ニ必要ガアルト
  云フコトデアリマス、又第二項ノ點ニ付テ
  申シマスルナラバ、特定國トノ輸出及輸入
  ノ均衡ヲ圖ル-或國ニ對シテ日本ガ入超
  關係ニ立ッテ居ル、ソコデ其國ニ對シテハド
  ウシテモ輸出ヲ振興サセナケレバナラヌ、
  左樣ナ場合ニ於テ、其相手國カラ入ッテ來ル
  輸入品ニ對シテ此法律ニ依ッテ一ツノ輸入
  制限ヲ實行スル、之ニ依ッテ逆ニ日本カラ此
  方ニ輸出スル品物ニ付テ、先方ニ對シテ或
  ル程度之ニ對スル優遇ノ方法ヲ講ズルコト
  ヲ要求スル、例ヘバ現在ノ關稅率ヲ引下ゲ
  ルト云フ風ナ交涉ヲスル爲ニ、先ヅ此輸入
  ノ制限ヲスル、ト云フ風ナ場合モ起ッテ參リ
  マスルノデ、左樣ナ場合ニ日本ノ要求ト云
  フモノガ貫徹セラレマスレバ、其限度ニ於
  テ日本ノ輸出ヲ促進スルト云フコトニモナ
  ルノデアリマス、一々各條項ニ付テ御話ヲ
  申上ゲルコトハ如何カト思ヒマスガ、此法
  律ニ規定シテ居ル事柄ハ、今申上ゲタヤウ
  ナ事柄モ左樣デアリマスルノミナラズ、又
  此第二條、第三條以下ニ於テモ、統制ニ關
  スル、政府ガ適當ナル方針ヲ定メテ統制ヲ
  ナサシメ、又之ヲ確保シテ行クト云フ所ノ
  方法ヲ決メテ行クコトガ、結局ハ輸出貿易
  ノ振興ト云フコトニ重大ナル關係ヲ持ッテ
  居ルト考ヘルノデアリマス、勿論是以外ニ
  貿易ノ振興ノ方策ガナイト云フ譯デハ勿論
  ナイノデアリマスケレドモ、此法律ノ關係
  以外ニ於テ、積極的ニ輸出貿易ヲ振興スル
  方策、海外ニ販路ヲ開拓スル適當ナル方策
  等ニ付テハ、更ニ別途ニ之ヲ攻究シテ行カ
  ナケレバナラヌト云フノハ勿論ノコトデア
  リマス、左樣ニ御承知ヲ願ヒタイト思ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=149

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• 150・高岡大輔

  ○高岡委員　私ハドウモ言葉ガ下手ナノデ
  長官ハ御聽違ヒニナッタノダラウト思ヒマ
  スケレドモ、私ノ言ヒマスノハ、積極的ニ
  日本ノ貿易ヲ進展スルト云フ爲ニ此法律ノ
  上ニ盛ラレタト言フカ、此中ニ含マレテ居
  ルト言フカ、組織的ト言ヒマスカ、斯ウ云
  フコトヲヤルンダト言フコト、「貿易ニ關ス
  ル條約又ハ之ニ準ズベキモノニ依リ貿易ヲ
  調節セントスルトキ」トカ云フヤウナ文字
  ヲ讀ンデ、此御說明ヲ戴クノデナクシテ、
  例ヘテ言ヘバ、先刻言ヒマシタヤウニ、海
  外ノ販路開拓ニハ斯ウ云フコトヲヤッテ行
  クンダ、之ニハ斯ウ云フ統制ヲヤッテ行ク
  ンダト云フヤウナコトヲ一ツ御話ヲ願ッタ
  ラト斯ウ思フノデアリマスケレドモ、モウ
  時間ガアリマセヌカラ、一々御說明ヲ聽カ
  ナクテモ、頭ノ良イ方ガ御揃ヒデアリマス
  カラ、色々ト御考ダラウト思ヒマス、ソレ
  デ敢テ是ハ御尋致シマセヌガ、一ツ考ヘテ
  戴ケレバ非常ニ幸ダト思フノデス、商工省
  ト言ヒマスカ、日本ノオ役人ノアナタ方ニ
  對シテ私ハ一ツ御願ガアルノデスガ、體
  此貿易ハ空船デハドウニモ出來ナインダ、
  ダカラ結局ハ物々交換ナンダ、斯ウ云フ御
  考ニ一ツオナリ下サイト言ウタ所デ、是一
  中々願ハレルモノデモナイケレドモ、之ヲ
  一ツオ耳ニ御聽取ヲ願ヒタイト思フ、ト言
  フノハ過般ノ日印會商ノアリマシタ時モ、
  印棉不買同盟ナンカヤッテ大分ワイ〓〓騷
  ガレタコトモアリ、色々ナコトガアリマシタ
  ガ、私ハアノ時若モ日本ガ、ソレナラバアナ
  タノ方デ棉ダケ買ッテコッチノ綿布ヲ買ハナ
  イト仰シヤッタ所デ、空船デアナタノ所ノ棉
  ヲ買フト云フヤウナコトハ出來ナイカラ、ア
  ナタノ方デ日本ノ綿布ヲ買ハナケレバ結局
  空船デハ行ケナイカラアナタノ原棉モ買ハ
  レマセヌ、結局アナタノ方ガ私ノ方ノ綿布ヲ
  買ッテ下サラナイ以上ハ、何處カ他ニ市場ヲ求
  メテ、或ハ南米ニ日本ノ綿布ノ市場ヲ求メ
  テ、サウシテコッチカラ品物ヲ持ッテ行ッテ、ゾコ
  ノ原棉ヲ買フヨリ外ナイ、斯ウ云ッタヤウナ
  工合ニモウ少シ理窟ト言ヒマスカ、理窟ニ囚
  ハレルト云フト甚ダ何デスガ、餘リモノヲ詮
  索サレルコトナク、大體ノ標準ハ物々交換デ、
  日本ノ物ヲ買ハナケレバアナタノ方ノ物ヲ
  買ハナイ、此趣意デ、此一本調子デ進マレ
  ルト云フコトガ、結局國際收支ノ均衡モ是
  デ取レテ行キマセウシ、ソレカラ一切ノ貿
  易ノコダハッタコトガ此精神デサヘ居レバ、
  私ハ或ル程度開拓ト言フカ、ヤレテ行クノ
  ヂヤナイカト考ヘルノデアリマスガ、之二
  對シテ政府當局ノ御意見ヲ承ッタ所デ、俺ハ
  斯ウ云フ肚ダナント云フヤウナコトハ、斯
  ウ云フ公開ノ席上デハ仰シヤラナイ方ガ宜
  イダラウト思ヒマスカラ、是ハ御答辯ヲ求
  メナイコトニ致シマス、ソコデ尙ホ私ハ色
  色根本的ナ問題ヲ御尋シタイノデアリマス
  ケレドモ、何分時間モアリマセヌシ、是ハ
  モウ旣ニ衆議院デモ議論サレ、貴族院カラ
  囘付サレテ來タモノデアリマスカラ、一二
  細カイ點ダケヲ御聞キ致シマスカラ、簡單
  ニ御說明ヲ願ヒタイト思ヒマス
  貿易ニ或ル場合ニ制限ヲ受ケルト云フヤ
  ウナ場合ガアリマスガ、其場合ノ割當ニ付
  テハ、其時ノ各組合員ノ現勢力ト言フカ、
  其時ノ數量ヲ土臺トシテ、何時迄モヤッテオ
  イデニナルノカ、ソレトモ刻々ニソレガ變ッ
  テ行クトカ、或ハ何箇年ノ標準ヲ取ルトカ、
  何箇月ノ標準ヲ取ルトカ云フヤウニシテオ
  イデニナルノカ、私ハ何故斯ウ云フコトヲ
  聞クカト言ヒマスト、或ル一定ノ時ノ現勢
  力ト言ヒマスカ、生產力ト言ヒマスカ、輸出
  額ト言ヒマスカ、ソレニ依リマスト、元カ
  ラ大キイ人ハ何時迄モ大キイシ、新シク發
  展シテ來ヨウトスル所謂新興勢力ノ商店ト
  言フカ、サウ云フ商賣人ガ、非常ニ私ハ困
  ルト思フノデアリマス、一體割當ヲスル場
  合ニハ、ドウ云フ處ヲ標準ニナサルノカ、
  御說明ガ願ヘレバ仕合セダト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=150

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• 151・寺尾進

  ○寺尾政府委員　寔ニ御尤ナ御尋デゴザイ
  マシテ、統制ヲ致シマスル際ニ、組合員ノ
  間ニ割當ヲ行フ場合ニハ、從來ヤッテ居リマ
  ス方法ハ、大體或ル程度マデ過去ノ實績ト
  云フモノヲ基準ト致シマシテ、組合員ニ割
  當テルト同時ニ、又其數量ノ或ル部分ハ是
  ハ實績以外ニ、新規ノ業者ニ適當ナ標準デ
  割當テルト云フ風ナ方法ヲ執ッテ居ルノデ
  アリマス、併シ具體的ナ問題ニ當リマシテ、
  ソレヲドウ云フ限度ニ、ドウ云フ方法デヤル
  カト云フコトハ、御話ノ通リ實際困難ナ事
  情ガアリマスノデ、是等ノ點ニ付キマシテ
  ハ、將來トモ十分考究致シマシテ、適富ニ
  其方法ヲ誤ラナイヤウニ實行致シタイト考
  ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=151

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• 152・高岡大輔

  ○高岡委員　政府ノ今ノ御考ノ中ニ、斯ウ
  云フ輸入ノ制限トカ或ハ禁止ノヤウナコト
  ヲ、非常時ダカラ兎ニ角ヤッテ行カナケレバ
  ナラヌト云フ爲メノ是ハ立法デアリマスケ
  レドモ、斯ウ云フコトヲナサルト、或ハ支
  那ハ此頃北支問題デイケマセヌケレドモ、
  其他ノ國デ合辦會社ガ出來マシテ、日本ノ
  資本ガ海外ヘ相當流レ出ルト云フコトハ、
  覺悟ノ上デゴザイマセウケレドモ、サウ云
  フ點ハドノヤウニ見テオイデニナリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=152

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• 153・寺尾進

  ○寺尾政府委員　今ノ御尋ハ內地ニ於テ貿
  易統制等ヲヤル結果トシテ、內地ガ非常ニ
  窮屈ニナル、隨テ海外ニ資本ガ流レテ行ク
  ト云フ風ナ場合ガ起ラナイカト云フ御尋デ
  ゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=153

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• 154・高岡大輔

  ○高岡委員　サウデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=154

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• 155・寺尾進

  ○寺尾政府委員　是ハ現實ノ場合トシテ、
  左樣ナコトモ起ッテ參ルト考ヘテ居リマス、
  其統制ノ方法ガ非常ニ不適冨デアルト云フ
  風ノ爲ニ、今御話ノヤウナ事態ガ生ズルト
  云フコトニ付キマシテハ、十分考慮致サナ
  ケレバナラナイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=155

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• 156・高岡大輔

  ○高岡委員　其場合餘リ事態ガ大キクナリ
  マシタラ、ヤハリ政府デハ此法案ハ外地マ
  デ及ブヤウニスルノデゴザイマセウカ、先
  程カラ其點ヲ重要視サレテ、委員ノ方々ガ
  幾度モ〓〓繰返シテ、斯ウ云フ場合ニ外地ニ
  及ブカドウカト云フコトヲ御尋ニナッタノダ
  ラウト思ヒマスガ、其場合ニハヤハリ外地
  ニ-日本人デアルトカ、乃至ハ合辦ノ場
  合ハ、ドウ斯ウト云フヤウニ、色々法律ヲ
  御作リニナルノデアリマセウカ、其點ヲ御
  伺シテ置キタイ、能ク英國デモ、獨逸デモ
  アリマスネ、外國ニ其會社ガアリマシテモ、
  獨逸人ガヤッテ居ルトカ、乃至ハ獨逸ノ資本
  ダト云フト、之ニ對シテ稅金ヲ課スルト云ッ
  タヤウナ工合ニヤッテ居リマス、サウ云フヤ
  ウニ、此法案ガ適用サレテ外地ニ及ブノカ
  ドウカ、其點ヲ伺ヒタイ、斯ウ云フ譯デア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=156

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• 157・寺尾進

  ○寺尾政府委員　只今ノ御尋ハ、朝鮮トカ
  臺灣トカ云フ風ナ外地ニ關スル問題デゴザ
  イマセウカ、ソレトモ諸外國ニ關スル問題
  デゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=157

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• 158・高岡大輔

  ○高岡委員　諸外國デス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=158

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• 159・寺尾進

  ○寺尾政府委員　諸外國ニハドウモ此法律
  ヲ施行スルヤウナ譯ニハ、一寸參ラナイカ
  ト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=159

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• 160・高岡大輔

  ○高岡委員　サウナリマスト、ソレニ對シ
  テハ別ノ法律ヲ以テナサル御意思デアリマ
  セウカ、ドウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=160

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• 161・寺尾進

  ○寺尾政府委員　只今左樣ナコトハ考ヘテ
  居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=161

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• 162・高岡大輔

  ○高岡委員　ソレナラ大分是ハ世間デ······

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=162

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• 163・寺尾進

  ○寺尾政府委員　御尋ヲ一寸誤解シテ居ッ
  タヤウデアリマス、現在爲替管理法ニ依ッテ
  資本ノ移動ニ付テハ一定ノ取締ヲシテ居リ
  マスカラ、其問題ニ依ッテハ勿論爲替管理法
  ノ對象トナルヤウナ事柄ガ起リマシタ際ニ
  ハ、勿論其適用ヲ受ケルコトハ申ス迄モナ
  イコトデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=163

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• 164・高岡大輔

  ○高岡委員　貿易組合法ニ付テ簡單ニ御尋
  致シマス、貿易組合法ノ十一條デアリマス
  ガ「組合員ニ非ザル者ヲシテ命令ノ定ムル
  所ニ依リ之ヲ利用セシムルコトヲ得」トア
  リ、組合員デナクテモ何デモ出來ルヤウニ
  ナル、此處ニ不公平ノ點ガ出テ參ルヤウナ
  氣ガシマスガ、サウ云フコトハアリマセヌ
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=164

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• 165・寺尾進

  ○寺尾政府委員　玆ニ書イテアリマス通
  リ、原則トシテ輸出組合ノ事業ト云フモノ
  組合員ノ爲ニスルト云フコトガ當然デ
  アリマスケレドモ、併シ組合員ノ利用ニ支
  障ノナイ場合ニ限ッテ、組合員デナイ者ヲシ
  テ命令ノ定ムル所ニ依ッテ之ヲ利用セシム
  ルコトガ出來ルト云フコトヲ規定シタノデ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=165

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• 166・高岡大輔

  ○高岡委員　「支障ナキ場合ニ限リ」ト云フ
  此處デ此法案ガ生キテ來ルト思ヒマス、左
  樣ニ諒承シテ次ニ移リマス、第十六條ニ總
  組合員ノ三分ノ一以上ニシテ輸出高ガ三分
  ノ二以上ト云フヤウニナッテ居リマスガ、結
  局口數ヲ多ク持ッタ者ガ勢力ヲ得ルコトニ
  ナル、是ハ弱肉强食ノヤウナ氣ガ致シマス
  ガ、三分ノ一、三分ノ二ト云フノハ、ドウ
  云フ點カラ割出サレタモノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=166

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• 167・寺尾進

  ○寺尾政府委員　御答申上ゲマス、此場合
  ニ於テ組合員ノ議決權ト云フノハ、平等デ
  アルト云フ主義デ出來テ居リマス、此條文
  ヲ設ケマシタ趣意ハ、極ク少數ノ組合員デ
  アッテ、且ツ其組合ノ取扱輸出高ト云フモノ
  モ極メテ僅少デアルノニ、サウ云フ組合員
  ガ反對ヲシタ爲ニ、是非共是ハ實行シナケ
  レバナラヌト云フヤウナ、必要ナル統制マ
  デ實行スルコトガ出來ナイト云フ風ナコト
  ガアッテハ、甚ダ困ルト云フ趣意ヲ以チマシ
  テ、總組合員ノ三分ノ一以上デ且ツ其輸出
  高ガ總組合員ノ輸出高ノ三分ノ二以上ヲ占
  ムル組合員ガ同意シタナラバ其際ハサウ
  云フ意思ニ基イテ、統制ヲヤラセテモ宜イ
  ヂヤナイカト云フ意味カラ、此規定ガ置カ
  レテ居ルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=167

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• 168・高岡大輔

  ○高岡委員　能ク分リマシタ、ソレカラ少
  シ飛ビマスガ、第五十條竝ニ五十一條ノ「第
  四十五條」ヲドウ解釋シタラ宜イノデアリ
  マスカ、ドウ云フ場合ヲ言フノデアリマス
  カ、是ダケデハ一寸分リ兼ネルノデアリマ
  スガ、御說明ガ願ハレナイデアリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=168

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• 169・寺尾進

  ○寺尾政府委員　四十五條ノ意味ノ說明デ
  ゴザイマスカ

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• 170・高岡大輔

  ○高岡委員　サウデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=170

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• 171・寺尾進

  ○寺尾政府委員　從來ノ輸出組合法ニ依リ
  マスト、御承知ノヤウニ、輸出組合ト云フ
  モノハ、强制設立デナイノデアリマシテ、
  自由設立ノヤウナ規定ニナッテ居ルノデア
  リマス、一ツノ地區內ニ於テ組合員タル資
  格ヲ有スル者ノ過半數ノ同意ヲ得テ、之ヲ
  設立スルト云フコトニナッテ居リマシテ、其
  地區內ニ於ケル有資格者ト雖モ、其組合ニ
  加入スルト云フコトヲ希望シナイ者ハ、組
  合員ニナラナイデ濟ム譯デアリマス、所ガ
  此貿易ノ統制ヲ圖リ、國民經濟ノ健全ナル
  發達ヲ期スル爲ニ、ドウシテモ貿易組合ヲ
  將來設立シナケレバナラナイト認メラル
  場合ニ於テハ、其當業者ガ其組合ヲ設立ス
  ル意思ガナイ、或ハ又一部ノ者ガ反對シテ、
  ドウシテモ組合ノ設立ガ出來ナイ、併シド
  ウシテモサウ云フ場合ニ貿易ノ統制上、其
  組合ヲ作ラセル必要ガアルト云フ場合ガ
  起ッテ來ルカト思ヒマス、サウ云フ場合ニ於
  テハ、商工大臣ガ地區竝ニ組合員タル資格
  ヲ定メテ、其地區內ニ於テ組合員タル資格
  ヲ有スル者ニ對シマシテ、輸出組合ノ設立
  ヲ命ズル、强制的ニ其組合ヲ作ラセルト云
  フコトノ途ヲ開イタ譯デアリマス

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• 172・高岡大輔

  ○高岡委員　モウ私ノ時間ガ二三分過ギタ
  ヤウデアリマスガ、モウ一點ダケ述ベサセ
  テ戴キタイ、此罰則ノ中ニ「檢査證ヲ僞造
  若ハ變造シタル」ト云フノデアリマスガ、
  僞造ハ分リマスガ、變造ト云フトドノ程度
  ノモノカ、非常ニ私ハ實際上面倒ナモノダ
  ト思ヒマスガ、此點ヲ明文化スル譯ニモ行
  キマセヌデセウガ、此變造ト云フコトニ付
  テハ、十分政府ノ公平ナル御處理ヲ願ヒタ
  イト云フ希望ヲ申上ゲタイノデアリマス、
  尙ホ農產物ノ問題トカ、或ハ輸出輸入ニ現
  レナイ所謂日本ノ稅關ヲ通ラナイデ、海外
  ニ輸出或ハ輸入サレテ居ルモノガ色々アリ
  マスケレドモ、是等ノ問題ハ先程速記錄ニ
  載ッタ譯デハアリマセヌケレドモ、直接御話
  ヲ承リマシタカラ、大體私ノ質問ハ此程度
  デ打切リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=172

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• 173・増田義一

  ○增田委員長　加藤鐐造君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=173

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• 174・加藤鐐造

  ○加藤委員　私ノ質問致シタイト思フ事柄
  ハ、大部分既ニ他ノ委員諸君カラ御質問ガ
  アリマシタノデスガ、併シソレニ對スル所
  ノ御答辯ニ付テハ、色々不滿ナ點ガアルノ
  デゴザイマスルガ、併シ時間ノ關係モアリ
  マスルノデ、私ハ此際重複スル問題ニ付テ
  ハ質問ヲ避ケタイト思フノデアリマス、ソ
  レデ私ハ簡單ニ特殊ナ具體的ナ問題ニ付
  テ、二三質問ヲ致シテ見タイト思フノデア
  リマス、先ヅ貿易關係ニ付テデアリマスル
  ガ、從來アリマシタ所ノ輸出組合法ナリ、又
  今囘提案サレマシタ所ノ二ツノ法案ナリ、
  ソレ等ノ法律ニ依ッテ行ハレル所ノ統制下
  ニ於テ、屢〓大資本ヲ有スル所ノ輸出商人竝
  ニ輸入商人ノミガ利益ヲ占メテ、サウシテ
  小資本ノ業者デアルトカ、或ハ直接生產者
  等ハ、屢、不利ナ立場ニ置カレルト云フコト
  ハ、他ノ委員諸君ノ質問ニ於テ伺ッタノデゴ
  ザイマスルガ、只今私ガ質問致シマスル問
  題ハ、ヤハリ此問題ニ關聯致シテ居ル好キ
  實例デアルト思ヒマスルノデ、伺ッテ見タイ
  ト思フノデアリマス、陶磁器ノ問題デアリ
  マスルガ、昨年陶磁器ノ對米價格統制ガ實
  行サレマシタニ付キマシテ、一口ニ申シマ
  スレバ非常ナ利益ヲ蒙リマシタ者ハ、名古
  屋ノ大輸出商人デアッタノデアリマス、サウ
  シテ一方ニ於キマシテ非常ナ不利益、卽チ
  損害ヲ蒙リマシタノハ、岐阜、愛知兩縣下
  ニ於ケル所ノ陶磁器ノ生產業者、竝ニ其下
  ニ働イテ居リマスル所ノ多數ノ勞働者デ
  アッタノデアリマス、ソレハ私ガ御說明申上
  ゲルマデモナク、其當時殊ニ岐阜縣下ニ於
  キマスル所ノ價格ハ、非常ニ安ク亞米利加
  ニ輸出サレテ居ル、其爲ニ亞米利加ノ陶磁
  器生產者トノ間ニ、利害關係ニ於キマシテ
  摩擦ヲ生ズルヤウニナリマシテ、亞米利加
  ノ方デハ關稅ヲ上ゲルカ、値段ノ統制ヲヤ
  ルカト云フヤウナ問題ヲ持出サレマシテ、
  其結果名古屋ノ陶磁器輸出組合ト工業組合
  トノ間ニ、非常ナ紛擾ガ捲キ起ッタノデアリ
  マスルガ、結局價格統制ヲ斷行スルト云フ
  コトニナッタノデアリマス、之ニ依リマシテ
  名古屋ニ於ケル所ノ日本陶磁器株式會社、
  或ハ名古屋製陶所等ノ大工場ニ於テ生產サ
  レタ所ノ製品、所謂高級製品ガ、價格統制
  ノ結果俄ニ其輸出數量ガ殖エテ參リマシ
  テ、一方ニ於キマシテ、殊ニ岐阜縣下ニ於
  ケル所ノ價格ノ安イ珈琲碗皿ト云フヤウナ
  モノノ輸出ガ、大激減ヲスルコトニナッタノ
  デアリマス、デ此問題ガ輸出組合ト工業組
  合トノ間ニ論議サレルニ付キマシテ、商工
  省ガ中ヘ入ラレマシテ、利益ヲ受ケル所ノ
  名古屋ノ輸出組合カラ、非常ナ損害ヲ蒙ム
  ル所ノ岐阜縣ノ製造業者ニ對シマシテ、補
  償金ヲ出サセルト云フ斡旋ヲセラレタノデ
  ゴザイマス、唯單ニ斡旋ヲセラレタノミデ
  ナク、其上ニ若シ製造業者ガ、其所屬ノ工
  業組合ニ於テ相當ノ共同施設ヲスルナラ
  バ、商工省ハ相當ノ補助金ヲ輸出組合カラ
  出ス、補償金ニ添ヘテ出シテヤッテモ宜イト
  云コトニナッタノデゴザイマス、サウ云フ商
  工省ノ斡旋ニ依リマシテ、一應此問題ハ解
  決ガ付イタノデゴザイマス、然ルニ其後名
  古屋ノ輸出組合ハ、折角商工省ガ中ニ入ッテ
  斡旋ノ勞ヲ執ッテ、五万圓ト云フ補償金ヲ出
  サセルヤウニ契約ヲ結バレタニ拘ラズ、其
  後ソレヲ實行シナイ、勿論全然實行シナイ
  ト云フ譯ニモ行カナイノデアリマスカラシ
  テ、色々勝手ナ理窟ヲ付ケマシテ、例ヘバ
  最初ノ契約ハ無條件ニ此補償金ヲ出スト云
  フノデアリマシタニ拘ラズ、何等カノ設備
  ヲシタナラバ、其設備シタ金額ニ相當スル
  ダケノモノヲ出サウト云フヤウナ條件ヲ持
  出シマシテ、未ダ此金額ハ全額支拂ハレテ
  居ナイノデアリマス、其共同設備ニ致シマ
  シテモ、工業組合側ニ於キマシテ設備ノ計
  畫ヲ立テマシテモ、ソレニ難癖ヲ付ケマシ
  テ、サウ云フ計畫デアッテハ此補償金ハ出セ
  ナイト云フヤウナコトヲ言ヒマシテ、今日
  未ダ名古屋輸出組合ハ、其補償金ヲ全額支
  拂ッテ居ナイノデアリマス、此問題ニ付キマ
  シテ、商工省ハ其當時勿論斡旋ノ勞ヲ執ラ
  レタダケデハゴザイマスルガ、併ナガラ其
  當時ノ事情ハ、唯單ニ斡旋ノ勞ヲ執ッタト云
  フ輕イ意味デハナクシテ、政府ガ責任ヲ以
  テ支拂ハセルト云フヤウナ關係ニナッテ居ッ
  タト思フノデゴザイマス、是ト同時ニモウ
  一ツ工業組合ガ適當ナ共同施設ヲ致シタ場
  合ニ、政府ハ其助成金ヲ出サウト云フ御言
  葉ニ付テモ、何等實行サレテ居ナイ、此點
  ニ付テノ今日ノ商工省ノ御考ハ如何デアリ
  マスカ、何ノ理由ヲ以テ、此輸出組合ニ對
  シマシテ支拂ノ請求ヲ、商工省ハナサレナ
  イカ、又商工省ガ約束セラレタ所ノ助成金
  ヲ出サレナイカト云フ問題ニ付キマシテ、
  伺ッテ見タイノデアリマス
  ソレニ關聯致シマシテ、其當時陶磁器工
  業組合ノ製造業者ノ下ニ働イテ居リマスル
  所ノ勞働者ガ、ヤハリ此對米價格統制ノ爲
  メ、對米輸出ガ減リマスレバ勞働者ハ失業
  シナケレバナラナイ、賃銀切下ヲ受ケナケ
  レバナラヌト云フノデ、勞働者ニモ其補償
  ヲスルヤウニ、輸出組合ニ對シテ斡旋シテ
  貰ヒタイト云フ要求ヲ致シマシテ、商工省
  ニ其斡旋ヲ御願致シタノデゴザイマス、當
  時寺尾貿易局長官ハヤハリ貿易局長ト致シ
  マシテ、私ガ勞働組合ノ依賴ヲ受ケテ御願
  致シマシタ時ニ、能ク一ツ斡旋ノ勞ヲ執ッテ
  ヤラウ、君ノ希望モ達セラレルヤウニ取計
  ラッテヤラウト云フ、御言葉ガアリマシタニ
  モ拘ラズ、其後何等具體的ナ施設ヲ見ルコ
  トガ出來ナイノデゴザイマス、此點ニ付キ
  マシテ長官ノ御意見ヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=174

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• 175・寺尾進

  ○寺尾政府委員　只今御質問ノアリマシタ
  事柄ニ付テハ、私モ確ニ其際ニ立會ヒマシ
  テ、工業家ノ受ケタ損失ヲ補償スル意味ニ
  於テ、輸出組合ヨリ一定ノ金額ヲ工業家側
  ニ支拂フコトノ幹旋ヲ致シタコトモ事實デ
  アリマス、輸出組合トシテハ、其話合通リ
  ニ支拂ヲ致シタモノト、實ハ私今日マデ考
  ヘテ居ッタノデアリマス、尤モ私ハ其後直接
  貿易局ニ關係セヌ立場ニ居リマシタノデ、
  ハッキリ知リマセヌガ、若シモ輸出組合側ガ
  正當ノ理由ナクシテ、一旦支拂フコトニ取
  決メタモノヲ、支拂ハナイト云フコトデア
  レバ、是ハ甚ダ穩カデナイト思ヒマス、果
  シテ事情ハ如何ニナッテ居リマスカ、十分調
  査致シタ上デ、適當ノ措置ヲ致シタイト考
  ヘテ居ル次第デゴザイマス
  ソレカラ是ハ工務局關係ニナリマスガ、
  工業家ニ對シテ一定ノ補助金ヲ交付スルト
  云フ約束ヲ致シマシタ、然ルニソレヲ實行
  シテ居ナイヂヤナイカト云フ點ニ付キマシ
  テハ、一寸只今其眞相ガ分リ兼ネマスノデ、
  後刻取調ベマシタ上デ何分ノ御返事ヲ致シ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=175

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• 176・小島新一

  ○小島政府委員　只今工業組合ノ共同施設
  ニ關シマスル補助金ノ問題ニ付テ御尋ガゴ
  ザイマシタ、是ハ色々手續上遲レテ居リマ
  スガ、目下工務局ニ於テ調査審議中デアリ
  マく、左樣御諒承願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=176

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• 177・加藤鐐造

  ○加藤委員　商工省ガ約束セラレタ助成金
  ノ問題ニ付テ、目下審議中トノ御話デゴザ
  イマスガ、此問題ハ既ニ一年以上モ前ニ御
  約束ニナッタ問題デアリマシテ、今更調査審
  議中ト云フノモヲカシイト思フノデアリマ
  スガ、サウ云フ御考デアリマスナラバ、是
  非共至急商工省ノ方針ヲ決定シテ戴キマシ
  テ、適當ナ施設ニ對シマシテハ、此補償金
  ノ支拂ト同時ニ御下付ニナルヤウニ御願シ
  タイノデアリマス、ソレカラ此補償金ノ問
  題ニ付キマシテモ、貿易局長官ハマダ支拂ッ
  タカ支拂ハナイカ知ラヌト云フ御話デアリ
  マスガ、長官ハ御知リニナラナイトシテモ、
  恐ラク商工省ニ於テ直接關係ノ諸君ハ、十
  分知ッテ居ラレル筈デゴザイマス、各關係
  ノ陶磁器工業組合カラ、屢〓商工省ニ對シ
  テ其コトヲ督促シテ居ルノデアリマス、ソ
  レニ對シマシテ商工省ハ非常ニ冷淡ナ態度
  ヲ執ッテ居ラレルヤウニ、私ハ聞イテ居ルノ
  デアリマスカラシテ、此際問題ノ解決ニ付
  キ是非積極的ナ熊度ヲ執ッテ、一ツ名古屋ノ
  輸出組合ニ對シマシテ、斷乎タル態度ヲ執ッ
  テ戴キタイト云フコトヲ御願致シタイノデ
  アリマス、尙ホ此問題ニ關聯シテモウ一ツ
  御伺致シタイノハ、對米珈琲碗皿ノ價格統
  制ノ結果、一打一圓二十錢ト云フ最低價格
  ガ決定セラレタノデゴザイマスガ、最近物
  價騰貴ニ依リマシテ、實際檢査ノ合格品ヲ
  見マスルト、一圓二十五錢程度ノ物ハ合格
  シテ居ナイ、少クトモ一圓四十錢位ノモノ
  デナイト合格シテ居ナイノデアリマス、卽
  チ檢査セラルル側ノ人々ノ言フコトヲ聞キ
  マスルト、物價騰貴ニ依ッテ今マデ一圓二十
  五錢程度ノモノデハ、不合格ニスルヨリ外
  仕方ガナイト云フヤウナコトヲ言ッテ居ラ
  レマスガ、此價格統制ト云フコトハ、飽マ
  デ價格統制デアリマシテ、品質ヲ基準ニシ
  テ統制シテ居ルノデハナイノデアリマス、
  一圓二十五錢ト云フ價格ヲ基準トシテ統制
  シテ居ルノデアリマスルカラ、如何ニ物價
  ガ騰貴致シマシテモ、ヤハリ最低價格ガ
  圓二十五錢デアリマスルナラバ、一圓二十
  五錢以上ノ品ハ合格品トシナケレバナラナ
  イト思フノデアリマス、ソレヲ物價騰貴ヲ
  理由トシテ、少クトモ一圓四十五錢以上デ
  ナケレバ合格サセナイト云フコトハ、先程
  私ガ申シマシタヤウニ、日本陶器株式會社
  デアルトカ、或ハ名古屋製陶所ト云フヤウ
  ナ、大工場ニ於ケル所ノ高級品ガ、此物價
  騰貴ニ依ッテ、岐阜縣ニ於ケル下級品ノ價格
  ガ騰貴シテ參リマシタニ付テ、今マデ一圓
  二十五錢以下ハ、ハネラレテ居タ品物モ、
  一圓二十五錢以上ニナッテ來タノデ、只今申
  シマシタ日陶、名陶等ニ於ケル高級品ノ分
  野ニ侵略シテ參リマシテ、是等ノ高級品ノ
  輸出量ヲ減額セシメルト云フノデ、此日陶、
  名陶ノ高級品、所謂「ディナー·セット」ヲ護
  ル爲ニ、斯ウ云フ方針ガ採ラレテ居ルノデ
  ハナイカト私ハ思フノデアリマス、其點ニ
  付テノ御所見ヲ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=177

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• 178・寺尾進

  ○寺尾政府委員　御話ノ御趣意ハ一應御尤
  ノヤウニ拜聽シマシタ、此點ニ付キマシテ
  モ甚ダ迂濶デゴザイマスガ、詳細ノコトハ
  私承知シテ居リマセヌカラ、早速取調ベテ
  適當ナ措置ヲ執リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=178

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• 179・加藤鐐造

  ○加藤委員　商工省ハ或ハ輸出組合、或ハ
  工業組合ノ指導監督ヲサレルニ付テモ、是
  等ノ具體的ナ事實ニ付テ餘リ御存ジナイヤ
  ウデアリマス、サウシタ具體的ナ事實ヲ知
  ラズシテ、唯徒ニ煩瑣ナ法律ヲ設ケテ統制
  ヲ云々サレテモ、ソレハ恐ラク唯徒ニ直接
  生產業者ヲシテ不利ニ陷入レルノミデアッ
  テ、私ハ效果ノ薄イモノデアルト考ヘルノデ
  アリマス、私ハ今後統制ガ益〓强化サレルニ
  從ヒマシテ、少クトモ私ガ今質問致シマシ
  タ位ノ問題ハ、何時デモ答辯出來ル位ノ具
  體的ナ知識ヲ持ッテ居ッテ戴キタイト思フノ
  デアリマス、今知ラナイト云フ御言葉デゴ
  ザイマスカラ、後程適當ナ機會ニ伺フト致
  シマス、次ニ工業組合法ノ關係ニ付キマシ
  テ二三伺ッテ見タイト思フノデアリマス、私
  ハ一般質問ノ際ニモ申上ゲマシタガ、今囘
  工業組合法ノ改正ニ依リマシテ、統制ハ益〓
  强化サレルヤウデアリマス、併シソレハ唯
  監督方面ノミノ强化デアリマシテ、指導方
  面ニ於ケル强化ト云フコトハ、甚ダ考ヘラ
  レテ居ナイヤウデアリマス、勿論其指導方
  面ニ於ケル强化ト云フコトハ、業者ノ自覺
  ト相俟ッテ進マナケレバナラナイモノデア
  ルト云フコトハ、私モ知ッテ居ルノデアリマ
  スカラ、今法文ノ改正ニ依ッテ直チニ私ハ此
  點ヲ追及スルノデハナイノデアリマスガ、
  此方面ニ於キマシテ、殊ニ具體的ニ如何ニ
  指導シ、今日ノ沒落ニ瀕シテ居ル所ノ中小
  工業家ヲ、如何ニ更生セシムルカト云フ點
  ニ付キマシテノ、具體的ナ親切ナ方針ガ樹
  テラレナケレバナラナイト私ハ考ヘルノデ
  アリマス、其第一ト致シマシテ、私ハ金融
  方面ニ付テ伺ッテ見タイノデアリマス、先ヅ
  第一ニ、是ハ金融ト云フ言葉デ申シマシテ
  ハ語弊ガアルノデアリマスルガ、助成金ノ
  問題デアリマス、最初昭和五六年頃、工業
  組合ガ作リ始メラレマシタ當時ニ於キマシ
  テハ、政府モ相當助成金ヲ出シテ居ラレタ、
  殊ニ陶磁器工業組合ニ對シマシテハ、最初
  ノ一年頃ニ於テハ、年額七十万圓以上支出
  セラレマシテ、或ハ共同施設、或ハ共同事務
  所サウシタ設備ニ對シマシテ助成金ヲ出
  サレテ居ッタノデアリマス、所ガ最近ニ至リ
  マシテ段々ソレガ減リマシテ、最近デハ年
  額二十五万圓位シカ出シテ居ラレナイヤウ
  ニ伺ッテ居ルノデアリマス、私考ヘルノニ、
  今日コソ此助成金ヲ益〓增加サレマシテ、或
  ハ共同販賣ノ强化、或ハ共同施設ノ完備、
  原料、材料ノ共同購入ト云フ方面ニ、指導
  的ナ力ヲ注ガナケレバナラナイト考ヘルノ
  デアリマス、殊ニ例ヘバ私ガ申シマシタ陶
  磁器工業組合ニ於キマシテ、今日最モ必要
  ナモノハ、加工完成ニ對スル共同施設ヲ、
  政府ガ積極的ニ指導奬勵セラレテ、ソレニ
  對スル助成金ヲ出來ルダケ交付セラレ、サ
  ウシテ此工業組合ノ使命デアル、生產者ヨ
  リ直接消費者ヘト云フ一ツノ目的ヲ達スル
  爲ニ、或ハ又今日非常ニ發展致シマシタ工
  業組合ノ力ヲ以テ、此輸出商人ノ手ヲ經ズ
  シテ、直接諸外國ヘモ輸出シ得ルヤウナ方
  法ヲ講ゼラレナケレバナラナイ時デアルト
  私ハ考ヘマス、其點ニ付キマシテ政府ノ御
  所見ガ伺ヒタイノデアリマス、序ニ商工中
  央金庫ノ問題ヲ伺ヒマスガ、昨日他ノ委員
  カラ商工中央金庫ハ、其貸出金額ガ非常ニ
  少額デアルト云フ御質問ガアリマシタガ、
  私モ同感デアリマス、併シ中央金庫ハ創立
  後マダ日ガ淺イノデアリマスカラ、其點ハ
  已ムヲ得ナイト致シマシテモ、此中央金庫
  ノ利子ガ非常ニ高イ、貸出利率ガ年利五分
  七厘トナッテ居リマス、サウシテ手形ノ割引
  日步ガ一錢五厘トナッテ居リマスガ、是ハ非
  常ニ高イ、決シテ是ハ低利デハアリマセヌ、
  今日市中ニ於テ取引ガ行ハレテ居ル利息ヲ
  見テモ、東京市中ノ銀行利息モサウデアラ
  ウト思ヒマスガ、名古屋ヲ中心トスル地方
  ノ市中銀行ノ日步ハ一錢一厘以下デアリマ
  ス、普通營利銀行ノ日步ガ一錢一厘以下デ
  アルニ拘ラズ、低利資金ト云フ名目ノ下ニ
  貸出サレタ中央金庫ノ日步ガ一錢五厘ト云
  フノハ、餘リニ懸隔ガアリ過ギルト考ヘル
  ノデアリマス、少クトモ營利銀行ヨリモ以
  下ノ利息デナケレバナラナイト私ハ考ヘル
  ノデアリマスガ、此點如何ナル御考ヲ以テ
  斯ノ如キ御方針ヲ持ッテ居ラレルカト云フ
  コト、モウ一ツハ貸付ニ際シマシテ、理事
  ノ個人保證ヲ强制セラレテ居ルヤウデアリ
  マス、勿論ソレニハ色々ナ理由ヲ附ケテ居
  ラレマスルガ、此理事ノ個人保證ト云フコ
  トガ、絕對條件デアルトスル限リニ於テ、
  此金ヲ一般商工業者ガ利用スル際ニ於テ、
  非常ナ支障ヲ來スト考へラレルノデアリマ
  スガ、勿論其人ノ信用程度ト云フコトモ考
  慮シナケレバナラナイト思ヒマスルガ、併
  シ私ハモウ少シ政府ハ、其人ヲ信用スル方
  針ヲ執ッテオヤリニナッタラドウカ、サウ云
  フ意味ニ於テ、理事ノ個人保證ト云フコト
  ハ絕對條件トシナイ、萬巳ムヲ得ナイ場合
  ノ條件トスルト云フヤウナ方針ヲ採ラレタ
  ラドウカト云フ點ニ付テ伺ヒタイノデアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=179

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• 180・小島新一

  ○小島政府委員　只今加藤委員カラ、工業
  組合法ノ運用ニ付キマシテ御話ガアリマシ
  タ、洵ニ御尤モト存ジマス、大體ノ御趣意
  ニ付テハ私共全ク同感デアリマス、工業組
  合法ヲ今囘改正致シマシテ、統制ニ關シマ
  スル方面ノ組織、機能ヲ擴充致シマスルト
  同時ニ、是ガ監督ノ規定ヲ整備致シマシタ
  ノデアリマスガ、工業組合ノ發達ト云フコ
  トヲ念願致シマスル私共ト致シマシテハ、
  決シテ是等ノ統制若クハ監督ノ規定ノ整備
  ヲ以テ滿足スルモノデハゴザイマセヌ、全
  ク御趣旨ノ如ク、是ガ指導方面ニ力ヲ致ス
  ト云フコトハ極メテ必要ナコトト考ヘテ居
  リマス、先般成立シマシタ豫算ニ於キマシ
  テモ、此工業組合ノ經營ノ指導ト云フ意味
  ニ於キマシテ、各府縣ニ商工主事ヲ特ニ配
  置致シマシテ、一層各地方ノ實情ニ卽シタ
  ル工業組合法ノ運用ヲ致シ、同時ニ中央地
  方ノ連絡ヲ圖リタイト、斯樣ニ考ヘマシタ
  ノデアリマス、而シテ此工業組合ヲ組織致
  シテ居リマスルモノハ、御話ノ如ク全ク中
  小工業者デゴザイマス、殊ニ陶磁器等ニ於
  キマシテハ一層其資力、信用等ノ方面ニ於
  キマシテモ、大キナ工業者ト竝ンデ立ッテ行
  クノニハ、工業組合ニ依リマシテ其原料、
  材料ノ共同購入ヲ行ヒ、加工ノ共同設備ヲ
  致シ、製品ノ共同販賣ヲ致スト云フヤウナ
  コトガ最モ適切デアルト斯樣ニ考ヘテ居ル
  次第デアリマス、之ニ付キマシテハ、政府
  ノ助成金ガ洵ニ少イコトハ御話ノ通リデア
  リマスガ、今後出來ル限リ此工業組合ニ對
  スル政府ノ助成金額ヲ增加致シタイ、斯樣
  ニ私共モ考ヘテ居リマス次第デアリマス、
  是等ノ經濟的ノ共同施設ノ完備ニ依リマシ
  テ、中小工業者ノ製品ガ生地ヨリ加工、加
  工ヨリ更ニ完成品ニ至リマシテ、直接ニ輸
  出方面ニ向ヒマスルコトヲ、私共モ希望致
  シテ居リマスヤウナ次第デアリマス
  次ニ工業組合ノ資金ノ問題ニ關聯シマシ
  テ、中央金庫ノ金利ガ高イデハナイカト云
  フヤウナ御尋デゴザイマスガ、中央金庫ノ
  金利ハ、只今自己資金ハ五分ノ利率ヲ以テ
  貸出シテ居ルノデアリマスルガ、低利資金
  ハ三分九厘デ之ヲ融通致シテ居ルノデア
  リマシテ、大部分ハ此低利資金ニ依リマス
  資金ヲ中央金庫ヨリ工業組合等ニ融通シテ
  居ルト云フヤウナ狀態デゴザイマス、尙ホ
  此中央金庫ノ資金ノ貸付ニ付キマシテ、個
  人保證ヲ條件トシテ居ルガ、此點ニ付テ改
  善ノ意嚮ハナイカト云フ御話デゴザイマス
  ガ、中央金庫ノ方ノ貸付ヲ爲シマス方面ノ
  心組ミト致シマシテハ、苟モ組合ノ理事者
  ハ、其組合ノ將來ノ發展ト言ヒマスカ、基
  礎ト云フモノニ付テハ十分ノ責任ト自信ト
  ヲ持ッテ居ルコトガ望マシイ、隨ヒマシテ組
  合ノ理事ノ任ニ當ル方ハ、其組合ノ借入ニ
  付テハ個人保證ヲシテ迄モ、尙且ツ其資金
  ノ運用ニ付テハ十分ノ效果ヲ擧ゲ得ルト云
  フヤウナ確信ガアッテ欲シイ、斯樣ナ心持デ
  アラウト思フノデアリマス、現在必シモ中
  央金庫ノ資金ノ貸付ニ付キマシテハ、個人
  保證ト云フモノヲ絕對的ノ條件トハ致シテ
  居ラナイノデアリマスルガ、今申上ゲマシ
  タヤウナ貸付ヲ爲ス方面ノ心持ト致シマシ
  テハ、組合員間ノ結合ノ狀態デアリマスト
  カ、或ハ理事者ノ意氣込デアリマストカ、
  決心デアリマストカ、左樣ナコトニ關シマ
  ス心證ヲ得ル意味ニ於キマシテ、個人保證
  ヲ要求スルト云フ場合ガ多イデアラウト思
  フノデアリマス、併ナガラ私共ノ方ト致シ
  マシテハ、個人ノ保證ト云フコトハ絕對的
  ノ條件デナクテ、之ニ依ラズシテ中央金庫
  ノ資金ガ組合ニ流レ入リマスヤウニ努力致
  シタイト、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=180

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• 181・川崎巳之太郎

  ○川崎委員　關聯事項デ、工務局長ニ御伺
  シタイ、工業組合改正法ヲ見マスルト、第
  二十八條ノ三ニ色々ノムヅカシイコトガ出
  テ居リマシテ、國民經濟ノ健全ナル發達ヲ
  期スル爲ニハ、行政官廳ガ工業組合ノ設立
  ヲ命ズルコトガ出來テ、其地區ニ於ケル業
  者ヲ强制的ニ會員ニスルコトガ出來ル、サ
  ウシテ左樣ニシテ作ラレタ所ノ組合デハ、
  其會員ニ出資ヲ命ズルコトガ出來ナイ、左
  樣ナ工業組合ハ合併ヲ爲スコトガ出來ナイ
  トカ、大層ムヅカシイ强力ノ工業組合ガ出
  來ルヤウニナッテ居リマスガ、サウスルト他
  ノ以前カラアッタ、今二十五万圓カラ二十七
  万圓カノ補助ヲセラレテ居ル組合ガ、其種
  類ハ餘程アルラシクテ、參考ニ御〓シ下サッ
  タ書類ニ依ルモ、種類ダケガ昨年末デ百三
  四アルト思ッテ居リマス、是等組合ノ數ハ大
  變澤山ノモノデアルト思ヒマスシ、其中ニ
  中小ノ生產業者ガ澤山アルコトト思ヒマ
  ス、ソレ等ノ組織シテ居ル舊來ノハ、同業
  組合ト云フ名前デアリマスガ、其組合ニ於
  テハ相應ニ大正ノ中頃カラ仕事ヲヤッテ居
  リマスノデ、色々經濟上社會上ニ事業ヲ營
  ンデ居ルヤウデゴザイマス、ソコデ舊來ノ
  同業組合ト云フ名前ノ工業組合ト、今度第
  二十八條ノ三項ニ依ッテ設ケラレル新シイ
  大層力ノ强イ工業組合トノ間ニ、相剋摩擦
  ガ大分アルダラウト想像セラレルノデアリ
  マス、相像ノミナラズ多分他ノ委員諸君ノ
  所ニモ廻ッテ居ルダラウト思ヒマスガ、當業
  者カラエライ其摩擦ト相刺ガアッテ大變ニ
  困ルガ、ナゼソンナ新シイモノヲ拵ヘテ喧
  嘩サセルヤウニスルノカ、舊來出來テ居ル
  モノヲ統制强化スル、若クハ助成スル方ニ
  力ヲ注イデ吳レナクテハ困ルヂヤナイカト
  云フ、斯ウ云フモノガ來テ居リ、或ハ當局
  ノ方々モ御覽デアルカト思ヒマスガ、其舊
  イノト新シイモノトノ對立、相別摩擦ヲ減
  スコトニ付テ、ドウ云フ御考ヲ持ッテ居ラッシ
  ヤイマスカ、或ハ一向構ハヌト云フ御考デ
  ゴザイマスカ、一寸其點ダケヲ御伺シタイ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=181

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• 182・小島新一

  ○小島政府委員　只今御尋ノ點ガ、或ハ私
  ガ誤解シテ居ルカモ知リマセヌガ、從來ア
  リマスル共同施設ト同時ニ、統制ヲモ實施
  致シマスル工業組合ノ制度ハ其儘ニ相成ッ
  テ居リマスノデ、若シモ貿易ニ直接關係ノ
  アリマスルヤウナ工業者ガ、自治的ニ工業
  組合ヲ作リマシテ統制ヲ致スト云フ場合ニ
  於キマシテハ、今後ニ於キマシテモ出資ニ
  依リマスル從來ノ工業組合ヲ作ッテ參ッテ、
  一向差支ナイノデアリマス、寧ロ私共ト致
  シマシテハソレヲ希望シテ居リマス、唯併
  ナガラ貿易ノ統制ヲ急激ニ實施致シマス必
  要ガアリ、之ニ對應シマスル生產統制モ亦
  急速ニ組合組織ヲ實施スル必要ガ起ッタ場
  合ニ於キマシテハ、行政官廳ガ工業組合ノ
  設立ヲ命ズルト云フコトガアリ得ル、此政
  府ノ設立命令ニ依リマシテ出來マシタ工業
  組合ヲ特ニ統制組合、斯ウ申スノデアリマ
  スガ、從來アリマス工業組合ト今後出來マ
  ス統制工業組合トノ間ニハ、何等摩擦相剋
  ト云フコトハナイデアラウ、寧ロ兩者ハ相
  俟チ、相連絡ヲ保チマシテ、生產統制ヲ致
  スコトニ相成ラウト、斯樣ニ考ヘテ居リマ
  ス

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• 183・加藤鐐造

  ○加藤委員　只今ノ商工金庫ノ利率ノ問題
  デアリマスガ、本年五月五日ニ開カレマシ
  タ第一囘通常總代會ノ報告書ヲ見マスト、
  定期貸付利率ハ證書貸付、手形貸付等ノ五
  分七厘以內、手形割引ハ一錢五厘以內トナッ
  テ居リマスガ、事實ハソレヨリモ安ク御貸
  出シニナルト云フ御話デアリマスカ

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• 184・小島新一

  ○小島政府委員　手形ノ割引率ニ付キマシ
  テハ、預金部ヨリ低利資金ヲ廻シテ貰ッタ
  モノニ付キマシテハ、先般話合ヒガアリマ
  シタモノト別デアル、斯樣ニ私ハ承知致シ
  テ居リマス

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• 185・加藤鐐造

  ○加藤委員　時間ガ經チマスノデソレ位ニ
  シマシテ、其他ニモ色々伺ヒタイ問題モア
  ルノデアリマスガ、モウーツダケ一番重要
  ナ點ニ付テ伺ッテ見タイト思ヒマス、是ハ貿
  易局ト兩方ニ關聯シタ問題デアリマスガ、
  今日中小工業家ガ非常ニ燃料問題ニ惱ンデ
  居ルコトハ御承知ノコトト思フノデアリマ
  ス、軍需工業其他ノ大工業ガ勃興致シマシ
  タ半面ニ於キマシテ、中小工業ガ燃料ノ暴
  騰ト又其不足ニ惱ンデ居ルト云フコトハ御
  承知ノコトト思ヒマス、殊ニ陶磁器ナドノ關
  係ニ於キマシテハ、滿洲ノ撫順炭ト云フモ
  ノハ絕對ニ必要ナノデアリマス、陶磁器ノ
  燒製上撫順炭ト云フモノガナイト、ドウシ
  テモ完全ニ燒ケナイト云フコトニナッテ居
  リマス、卽チ撫順炭ガサウシタ特殊ナ性能
  ヲ持ッテ居リマスノデ、年々相當多額ノ撫順
  炭ガ、陶磁器ノ方面ニ消費サレテ居ルノデ
  アリマス、所ガ是ガ最近非常ニ不足ナノデゴ
  ザイマス、御承知ノ通リ撫順炭ハ石炭工業聯
  合會ト、日滿商事トノ間ニ契約ガ出來テ居
  リマシテ、年々三百万餘瓲ノ契約高三十〇
  テ居リマスガ、ソレガドウモ最近ハ契約高
  ダケ內地ニ輸入サレナイ、殊ニ昨年度ノ如
  キハ三百万瓲ノ中デ、輸入ガ百万餘瓲モ契
  約高ヨリモ少イト云フヤウナ狀態ニナッテ
  居ルノデアリマス、是ハドウ云フ事情デア
  ルカト云フコトヲ伺ヒタイノデゴザイマ
  ス、其理由ハ石炭商等ニ聞キマスト、撫順
  炭ガ滿洲ニ於ケル產業勃興ニ依ッテ、其方面
  ニ消費セラレタト云フヤウナコトヲ言ッテ
  居リマスガ、私共ハサウデハナイト思フ、
  是ハ恐ラク今日ノ强力ナ石炭「トラスト」
  ガ、其撫順炭ノ輸入ヲ押ヘテ居ルト云フコ
  トニ原因シテ居ルト思フノデアリマス、サ
  ウシテ値段ノ釣上ゲ等ヲヤッテ居ルノデハ
  ナイカト思フノデアリマスガ、斯ウシタ今
  日ノ物價騰貴ニ際シマシテ、殊ニ絕對必要
  ナル燃料等ノ物價ヲ出來ルダケ急激ニ上ラ
  ナイヤウニスル爲ニハ、此撫順炭ノ如キモ
  ノヲ少クトモ契約高ダケ輸入シテ、ソレ以
  上ニ其協定高ヲ增サセルト云フ方針ヲ、
  ツ政府ガ御執リニナラナイト、此中小工業
  家ハ非常ニ困ルノデハナイカト思フノデア
  リマス、サウ云フ點ニ付テノ政府ノ御考ヲ
  伺ッテ見タイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=185

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• 186・小島新一

  ○小島政府委員　御話ノ如ク各種工業ノ重
  要ナル燃料資源デアリマス石炭ノ問題ハ、
  工業ノ振興上極メテ重要ナル問題デアリマ
  ス、石炭聯合會ニ於テ石炭ノ生產、販賣ノ
  統制ヲ致シテ居ルノデアリマスルガ、之ニ
  付キマシテハ現在重要產業統制法ニ基キマ
  シン、十分政府ガ監督ヲ致シテ居ルノデア
  リマス、而シテ只今御例示ニナリマシタ撫
  順炭ノ內地ニ輸入シマスル數量ガ少イシ、是
  ハ石炭聯合會ニ於キマスル統制方法ガ惡イ
  爲ニ、若クハ强ヒテ撫順炭ノ輸入ヲ阻止シ
  テ居ル爲ニ、內地ニ入ラナイノデハナイカ
  ト云フ御話デアリマシタガ、左樣ナ事實ハ
  ナイト私共ハ考ヘテ居リマス、是ハ全ク滿
  洲ニ於キマスル各種產業ノ勃興ニ伴ヒマシ
  テ、石炭ノ需要ガ急增致シマシタ結果、內
  地ニ於テ期待シマス程ノ撫順炭ノ輸入ガ出
  來難イ事情ニナッテ居リマスル次第デアリ
  やく、今後石炭ノ增產計畫ト云フモノニ付
  キマシテハ、申ス迄モナク日滿、內外地一
  體ト致シマシテ是ガ生產、販賣ノ計畫ヲ立
  テル必要ガアラウト思ッテ居リマスルケレ
  ドモ、只今マデノ所ト致シマシテハ、右申
  シマスヤウナ事情ニ依リマシテ、撫順炭ガ
  內地ニ入ラヌト云フヤウナコトニナッテ居
  ルノデアリマス

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• 187・加藤鐐造

  ○加藤委員　私ハマダ他ノ委員會ニ行カナ
  ケレバナラナイ關係上質問ヲ打切リマシ
  テ、最後ニ一ツダケ希望ヲ申上ゲテ置キタ
  イト思フノデアリマス、只今申シマシタ燃
  料ノ問題デアリマスルガ、最近非常ニ石炭
  「トラスト」ノ壓迫ノ下ニ、中小工業者ガ困ッ
  テ居ル、私共ノ地方ニ於キマスル陶磁器モ、
  ドウカシテ此壓迫ヲ逃レヨウトシマシテ、
  最近石炭ノ共同購入ト云フコトヲ色々努力
  シテヤッテ居ルノデアリマス、所ガ是モ生產
  地ニ於ケル石炭商ハ餘リ妨害ハシナイノデ
  アリマスルガ、直接地元ニ於キマスル石炭
  商ガ、色々ノ方法ヲ以テ妨害スルノデアリ
  マス、斯ウシタ問題ニ付キマシテモ、商工
  省ハ將來石炭商ガサウシタ無理ヲ言ッタ場
  合ニハ、石炭商ヲ或ル程度抑ヘル、サウシ
  テヤハリ工業組合ノ一ツノ目的デアル所ノ
  燃料ノ共同購入ト云フヤウナ點ニ付キマシ
  テモ、十分ノ御援助ヲ願ヒタイト云フ點ヲ
  希望致シマシテ、質問ヲ打切リタイト思ヒ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=187

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• 188・増田義一

  ○增田委員長　坂本宗太郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=188

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• 189・坂本宗太郎

  ○坂本委員　色々ト御伺致シタイ點ガゴザ
  イマスルガ、非常ニダブッテ居リマスルノ
  デ、私ハ實際ニ工業組合ノ經營ノ立場カラ、
  組合員ノ痛切ニ要望シテ居リマスル點ヲ申
  上ゲテ見タイト思ヒマス、他ノ委員諸賢ガ
  其點ニ觸レナイコトヲ非常ニ遺憾ニ思フノ
  デアリマスガ、其點ヲ申上ゲ、又政府當局
  ノ御考ヲ拜聽致シタイト思フノデアリマ
  ス、工業組合法ガ制定發令致サレマシテ以
  來、中小工業者ガドレ程助カッテ居ルカ、到
  底同業組合ノ比デハナイノデアリマス、卽
  チ經濟機能ヲ與ヘラレ、而シテ統制權ヲ與
  ヘラレタト云フコトハ、中小工業ノ產業發
  展ノ上ニ非常ナル貢獻ノアッタコトト思フ
  ノデアリマス、殊ニ此中小工業ニ於キマシ
  テハ、經濟ノ機能ガ完全ヲ期セナケレバ、
  其發達ハ到底望マレナイノデアリマシテ、
  此點ニ付キマシテ私共ガ常ニ遺憾ニ思ッテ
  居ル點ヲ御伺致シタイノデアリマス、組合
  ニ手形ノ割引ガ出來ナイト云フコトデアリ
  マス、產業組合ニ於キマシテハ、手形ノ割
  引ト云フコトガ出來ルノデアリマスケレド
  モ、工業組合ニ於キマシテハ、此點ヲ認メ
  ラレテ居ラナイノデアリマス、是ガ事業經
  營ノ上ニ非常ナル不便デアルノデアリマ
  ス、是ハドウシテモ經濟機能ヲ與ヘラレマ
  シタ以上ハ、手形ノ割引ガ工業組合ニ於テ
  出來ルト云フコトハ、是ハ當然與ヘラルベ
  キコトデアルト思フノデアリマスガ、是ガ
  與ヘラレテ居ナイ、尙ホ併セテ申上ゲマス
  レバ、地方ニ於キマシテハ非常ニ金利ガ高
  イノデアリマシテ、地方ノ銀行等ガ手形ノ
  割引ニ付キマシテハ、相當ナル高利ヲ取ッテ
  居ルノデアリマスガ、組合員ガ遺憾ナガラ
  他ノ地方ノ銀行カラ、サウ云フ高イ手形ノ
  割引ヲセナケレバナラナイト云フコトハ、
  工業組合自體ノ趣旨ニ悖ッテ居ルコトト思
  フノデアリマス、尙ホ組合員ノ家族ノ貯金
  ヲ許サナイ、組合ハ唯組合員ダケノ貯金ハ
  扱ヒマスルケレドモ、家族ノ貯金ヲ認メナ
  イト云フコトモ、甚ダ不合理ナコトデアリ
  マシテ、銀行其他ノ方面ニ極メテ低率ナル
  利率ニ於テ預金ヲ致シマス時ニ、組合ニ於
  キマシテ幾分デモ高ク取扱フコトガ出來ル
  ノニ、家族ノ貯金ヲ扱フコトガ出來ナイト
  云フコトモ、極メテ不合理ノコトト思フノ
  デアリマス、是等ノ點ニ付キマシテ、是非
  政府當局ノ御考ヲ承リタイ、左樣ナコトヲ
  御認メ下サルカドウカ、此點ヲ御伺致シタ
  イト思ヒマス、尙ホ次ニハ先刻來他ノ委員
  カラモ御話ガアリマシタガ、工業組合ト同
  業組合ト併立シテ居リマス地方ガアリマシ
  テ、同一ノモノガ兩組合ニ加入シテ居ラナ
  ケレバナラナイヤウナ場合ガ往々アルノデ
  アリマス、是ガ既ニ非常ナル不合理デアリ
  マシテ、工業組合ニ入ッテ居ル場合ニハ、元
  ノ同業組合カラ組合員トシテ籍ヲ拔クコト
  ガ出來ルノデアルト云フコトニ、法令ヲ改
  メテ戴キタイ、之ニ付キマシテハ相當ニ問
  題ニナッテ居ルコトデアリマシテ、政府當局
  トシテモ〓究サレテ居ルコトト思フノデア
  リマスガ、併シ事實ニ於テ非常ナ不便デア
  ルノデアリマス、是等ノ點ニ付キマシテハ
  如何御考ニナラレテ居リマスカ、此點ヲ御
  伺致シタイト思ヒマス、尙ホ第三ニハ、農
  林省ト商工省トノ間デアリマスガ、地方ニ
  於キマシテハ、兩省ノ圓滿ナル聯繫ヲ、最
  モ必要ト致シマスヤウナ場合ガ多イノデア
  リマス、然ルニモ拘ラズ、何トナク是ガ對
  立スルヤウナ形跡ヲ能ク吾々窺フコトガ出
  來ルノデアリマス、是ハ大乘的ノ見地カラ、
  地方產業ノ發展ノ上カラ考ヘマシテモ、ド
  ウシテモ相提携シテ產業ノ發展ヲ圖ラレル
  コトガ當然デアルト思フノデアリマス、是
  ガ何トナク摩擦ガアルヤウニ拜見致シテ居
  ルノデ、非常ニ遺憾ニ思ヒマス、尙ホ言葉
  ヲ强ク申シマスト、農林省ノ方ハ何トナク
  地方產業等ニ付キマシテモ餘リニ出シヤバ
  リ過ギル、心臟ガ强過ギルト云フヤウニ考
  八、而シテ商工省ノ方ハソレ等ニ對シマ
  シテモ、ドウモ割負ケヲシテ居ルヤウナ感
  ガアル、是ハ地方ノ關係ニ致シマシテモ、
  ヤハリサウ云フ風ナ狀況ヲ目ノアタリ吾々
  ハ屢〓見セ付ケラレルコトガアルノデアリ
  マスガ、是ハ目下產業ノ振興ヲ叫ビマス時
  ニ、ドウシテモ兩省相聯繫シテ產業ノ發
  展ニ盡シテ戴クコトガ吾々ノ希望デアリマ
  ス、此意味合ニ於テ以上三點ヲ伺ヒマシテ
  私ノ質問ヲ打切ルコトニ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=189

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• 190・小島新一

  ○小島政府委員　只今坂本委員ヨリ、工業
  組合ノ運用ノ實際的見地ニ立チマシテ種々
  御質疑ガゴザイマシタ、其御述べニナリマシ
  タ趣旨ハ、私共ト致シマシテモ洵ニ感ヲ同ジ
  クスル點ガ多イノデゴザイマス、第一ノ金融
  ノ點ニ付キマシテ、手形ノ割引ト云フコト
  ハ、工業組合ノ經濟的活動ノ上ニ於テ極メ
  テ必要デアルト云フ點ハ、洵ニ御話ノ通リ
  デアリマス、私共ト致シマシテモ、工業組
  合ノ金融事業ヲ整備致シマス上カラ、是非
  共手形割引ト云フコトハ、法制上之ヲ認ム
  ルコトガ必要デアル、緊切デアルト云フ風
  ニ考ヘテ居リマス、今囘ノ法律案ニ於テハ、
  ソコマデ及ンデ居リマセヌガ、是非近キ將
  來ニ於テハ、手形ノ割引ト云フコトヲ工業
  組合ノ金融事業ノ中ニ加ヘタイト、斯樣ニ
  考ヘテ居リマス、尙ホ家族貯金ニ付テモ御
  話ガアリマシタガ、是モ同樣ニ、工業組合
  ニ於テ組合員ノ貯金ノミナラズ、其家族ノ
  貯金ニ付テモ取扱フト云フヤウナコトニ付
  テモ、篤ト考究致シタイト思ッテ居ルヤウナ
  次第デゴザイマス、第二ニ同業組合トノ關
  係ニ付キマシテ御尋ニナリマシタガ、現在
  ノ法制ニ於キマシテハ、工業組合ノ組合員
  ハ重要輸出品ニ關シマス限リ、重要物產同
  業組合ニ加入セズ、又之ヲ脫退致ス途ガ開
  ケテ居ルノデアリマスケレドモ、內地織物
  其他ノ物產ニ付キマシテハ、依然トシテ工
  業組合員ハ重要物產同業組合ニ加入スベキ
  義務ヲ負ウテ居リマス、此點ニ於キマシテ
  各地方ニ於テ、ソレガ無駄ト申シマスカ、
  二重ノ加入ヲシテ居ルト、ソレダケノ負擔
  ヲ受ケルト云フヤウナ不便ガアルト云フ點
  ニ付キマシテモ、御質問ノ點ハ御尤ト存ジ
  マス、是等ノ點ニ付キマシテハ、出來ル限
  リ是等ノ二重負擔ト云ヒマスカ、ソレ等ノ
  統制ノ混淆ト云ヒマスカ、ソレ等ヲ改善致
  シタイ、斯樣ニ考ヘテ居ル次第デアリマス、
  尙ホ組合制度ニ關スル商工、農林兩省ノ今
  後ノ連絡、統一、協調ト云フコトニ付テノ
  御話ガアリマシタガ、私共モ出來ル限リ農
  林當局ト常時協議ヲ致シマシテ、各種組合
  法ノ運用ニ付キマシテハ、其連絡統一ニ遺
  憾ノナイヤウニ今後共努力致シタイ、斯樣
  ニ考ヘテ居ル次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=190

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• 191・増田義一

  ○增田委員長　質問ハ是ニテ終了致シマシ
  タ、明日ハ午前十時ヨリ開會致シマシテ、
  討論ニ入ル積リデアリマスカラ、ドウゾ必
  ズ御出席ニナルヤウニ希望致シマス、本日
  ハ是ニテ散會致シマス
  午後六時十一分散會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113166X00319370805&spkNum=191