1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十二年八月二日(月曜日)
午後一時十四分開議
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議事日程 第七號
昭和十二年八月二日
午後一時開議
第一 横濱正金銀行條例中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 貿易及關係産業の調整に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第三 貿易組合法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第四 工業組合法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第五 百貨店法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第六 酒造組合法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
横濱正金銀行條例中改正法律案
(以上七月三十一日提出)
一議員より提出せられたる議案左の如し
刑事補償法中改正法律案
提出者
名川侃市君 平川松太郎君
牧野賤男君 手代木隆吉君
辯護士法中改正法律案
提出者
立川平君 板野友造君
江原三郎君 中野治介君
東武君 工藤十三雄君
山本芳治君
交通機關調整法案
提出者
田中好君 綾部健太郎君
未成年者飮酒禁止法中改正法律案
提出者
坂東幸太郎君 村松久義君
喜多壯一郎君 川合直次君
杉山元治郎君 杉浦武雄君
江藤源九郎君 志賀和多利君
山陰線豐岡鳥取間電化に關する建議案
提出者
稻田直道君 高橋圓三郎君
若宮貞夫君
玉島港修築に關する建議案
提出者 星島二郎君
宇野港金光間鐵道建設に關する建議案
提出者 星島二郎君
内鮮融和に關する建議案
提出者 松尾三藏君
鹽賠償價格引上に關する建議案
提出者
前川正一君 黒田寿男君
河合義一君
東北振興に關する建議案
提出者
熊谷直太君 田子一民君
工藤鐵男君 工藤十三雄君
村松久義君 高橋壽太郎君
西方利馬君 小山田義孝君
伊藤五郎君 大石倫治君
菅野善右衞門君 仲西三良君
土田莊助君
早岐町に無水「アルコール」製造國營工場設置に關する建議案
提出者 佐保畢雄君
北海道土地賃貸價格特別課率制定に關する建議案
提出者
遠山房吉君 山本厚三君
澤田利吉君 一柳仲次郎君
坂東幸太郎君 大島寅吉君
松浦周太郎君 南雲正朔君
岡田春夫君 手代木隆吉君
燒津漁港修築促進に關する建議案
提出者
高木粂太郎君 山田順策君
平野光雄君 坂下仙一郎君
津倉亀作君
撫順炭輸入高増加に關する建議案
提出者 加藤鐐造君
在外日本人團體代表者中央會議機關設置に關する建議案
提出者
田原春次君 阿部茂夫君
衆議院議員の國政研究室竝宿舍國費建設に關する建議案
提出者
山崎常吉君 安藤孝三君
赤松克麿君 小池四郎君
清瀬一郎君
馬事振興に關する建議案
提出者
大石倫治君 三善信房君
小笠原八十美君
地方競馬規則改正に關する建議案
提出者
大石倫治君 三善信房君
小笠原八十美君
阿武隈川社川泉川の水源に大貯水池設置に關する建議案
提出者
仲西三良君 小柳牧衞君
決議案(國民負擔の均衡に關する件)
提出者
櫻内幸雄君 多田滿長君
武知勇記君 工藤鐵男君
松尾四郎君 眞鍋儀十君
松田竹千代君 手代木隆吉君
平野光雄君 末松偕一郎君
小泉又次郎君 小川郷太郎君
大麻唯男君 川崎克君
高田耘平君 田中武雄君
野村嘉六君 山本厚三君
平川松太郎君 北勝太郎君
永山忠則君 安藤正純君
今井健彦君 志賀和多利君
板谷順助君 倉元要一君
福井甚三君 砂田重政君
清瀬規矩雄君 東郷實君
松野鶴平君 鈴木英雄君
出井兵吉君 大石倫治君
木下成太郎君 青山憲三君
大野伴睦君 上田孝吉君
中井一夫君 大本貞太郎君
西岡竹次郎君 永田良吉君
麻生久君 淺沼稻次郎君
河上丈太郎君 片山哲君
亀井貫一郎君 鈴木文治君
杉山元治郎君 田万清臣君
三輪壽壯君 三浦虎雄君
今井新造君
(以上七月三十一日提出)
一議員より提出せられたる議案左の如し
燒津漁港修築に關する建議案
提出者
山口忠五郎君 宮本雄一郎君
深澤豐太郎君 倉元要一君
塩川正藏君
町村吏員互助會に對し國庫補助金下付に關する建議案
提出者
宮本雄一郎君 服部岩吉君
小山田義孝君 田中亮一君
高橋泰雄君 土倉宗明君
曾和義弌君 坪山徳彌君
山口忠五郎君 松川昌藏君
庄司一郎君
北海道帝國大學に水産學科及人文科學に關する學部設置に關する建議案
提出者
木下成太郎君 山本厚三君
岡田春夫君 坂東幸太郎君
手代木隆吉君 板谷順助君
東條貞君 南雲正朔君
大島寅吉君 東武君
澤田利吉君 松浦周太郎君
遠山房吉君 一柳仲次郎君
南條徳男君 田代正治君
官幣大社札幌神社に明治天皇合祀に關する建議案
提出者
木下成太郎君 山本厚三君
岡田春夫君 坂東幸太郎君
手代木隆吉君 板谷順助君
東條貞君 南雲正朔君
大島寅吉君 東武君
澤田利吉君 松浦周太郎君
遠山房吉君 一柳仲次郎君
南條徳男君 田代正治君
北海道拓殖計畫改訂案樹立促進に關する建議案
提出者
木下成太郎君 山本厚三君
岡田春夫君 坂東幸太郎君
手代木隆吉君 板谷順助君
東條貞君 南雲正朔君
大島寅吉君 東武君
澤田利吉君 松浦周太郎君
遠山房吉君 一柳仲次郎君
南條徳男君 田代正治君
(以上八月一日提出)
一議員より提出せられたる質問主意書左の如し
全國購買組合聯合會の護謨工業界進出に關する質問主意書
提出者 内藤正剛君
外地に於ける國語問題に關する質問主意書
提出者 東郷實君
産繭處理統制に關する質問主意書
提出者
庄司一郎君 宮澤清作君
(以上七月三十一日提出)
一去三十一日辭任したる常任委員左の如し
第七部選出豫算委員 堤康次郎君
第四部選出建議委員 野溝勝君
一去三十一日委員長及理事互選の結果左の如し
産金法案(政府提出)外六件委員
委員長 武田徳三郎君
理事
原玉重君 堀内良平君
綾部健太郎君 石坂養平君
一去三十一日議長に於て選定したる委員左の如し
軍機保護法改正法律案(提出政府、貴族院送付)委員
中崎俊秀君 川崎末五郎君
原夫次郎君 中村不二男君
片岡恒一君 福田悌夫君
村瀬武男君 生田和平君
庄司一郎君 宮崎一君
羽田武嗣郎君 名川侃市君
永田良吉君 原口初太郎君
赤松克麿君 石坂繁君
前川正一君 今井新造君
昭和十年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)外十件委員
坂東幸太郎君 岡田春夫君
伊藤東一郎君 喜多壯一郎君
仲西三良君 伊藤五郎君
釘本衞雄君 田中源君
松川昌藏君 池田七郎兵衞君
木村作次郎君 大本貞太郎君
木本主一郎君 岩元榮次郎君
林路一君 玉野知義君
黒田寿男君 加藤勘十君
一去三十一日に於ける特別委員の異動左の如し
農村負債整理資金特別融通及損失補償法案(政府提出)委員
辭任 岡田春夫君 補闕 澤田利吉君
陪審法中改正法律案(政府提出)委員
辭任 立川平君 補闕 世耕弘一君
關税定率法中改正法律案(政府提出)外三件委員
辭任 佐藤洋之助君 補闕 中井一夫君
辭任 一柳仲次郎君 補闕 松浦周太郎君
辭任 赤城宗徳君 補闕 野中徹也君
船員法改正法律案(政府提出)委員
辭任 増永元也君 補闕 紅露昭君
一昨一日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第四部選出建議委員 米窪滿亮君(野溝勝君補闕)
第七部選出豫算委員 土屋清三郎君(堤康次郎君補闕)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、政府ハ只今カラ院內ニ於テ閣議ヲ開カ
ルヽ爲メ、各國務大臣ハ暫ク出席ガ出來ナ
イトノコトデアリマス、日程第一、横濱正
金銀行條例中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キ
マス-太田大藏政務次官
第橫濱正金銀行條例中改正法律案
(政府提出)第一讀會
横濱正金銀行條例中改正法律案
横濱正金銀行條例中左ノ通改正ス
第十六條第二項但書ヲ削リ第三項ヲ左ノ
如ク改ム
大藏大臣ニ於テ必要ト思考スルトキハ
前項ノ規定ニ依ル副頭取ノ外副頭取一
人ヲ置キ日本銀行理事ヲシテ之ヲ兼子
シムルコトアルヘシ
頭取副頭取及取締役ノ職權及責任ハ定
款ヲ以テ定ムヘシ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
日本銀行條例第十七條中「四人」ヲ「五人」
ニバル
橫濱正金銀行條例第二十八條及日本銀行
條例第二十五條ノ規定ハ之ヲ本法ニ適用
セズ
〔政府委員太田正孝君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=1
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002・太田正孝
○政府委員(太田正孝君) 横濱正金銀行條
例中改正法律案ニ付テ御說明致シマス、現
在我國ノ外國爲替事情ニ顧ミマスレバ、今
後ニ於ケル爲替政策ハ極メテ重要ナルモノ
トナッテ參ッタノデアリマス、之ニ伴ヒマシ
テ橫濱正金銀行ハ今後一層其公共的機能ヲ
發揮シテ行カネバナラヌコトニナリマシタ、
此意味ニ於キマシテ同行ヲシテ我國金融ノ
中樞機關デアリマスル日本銀行ト緊密ナル繋
リヲ持タシメマシテ、其業務ニ付テ金融爲替
政策ノ立場カラ遺憾ナキヲ期セシムル必要
ガアルト信ジマス、仍テ此際大藏大臣ニ於
テ必要ト認メマス場合ニハ、橫濱正金銀行
ニ副頭取ヲ一名ヲ增置致シマシテ、日本銀
行理事ヲシテ之ヲ兼ネシメ得ル制度ヲ設ケ、
尙ホ之ニ伴ッテ日本銀行理事ノ定員ヲ一名
增加スルヲ適當ト考へマシテ、本案ヲ提出
シタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上御協
贊アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=2
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003・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=3
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004・中山福藏
○中山福藏君 本案ハ政府提出、產金法案
外六件ノ委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=4
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005・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中山君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=5
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006・小山松壽
○議長小山松壽君 御異議ナシト認メマス、
仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第二乃
至第五ハ便宜上一括議題ト爲スニ御異議ア
リマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=6
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007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第二、貿易及關係產業ノ調整
ニ關スル法律案、日程第三、貿易組合法案、
日程第四、工業組合法中改正法律案、日程
第五、百貨店法案、右四案ヲ一括シテ第一
讀會ヲ開キマス-木暮商工政務次官
第二貿易及關係產業ノ調整ニ關スル
法律案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會
第三貿易組合法案(政府提出、貴族
院送付)第一讀會
第四工業組合法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)第一讀會
第五百貨店法案(政府提出、貴族院
送付)第一讀會
貿易及關係產業ノ調整ニ關スル法律案
第一條政府ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル
場合ニ於テ特ニ必要アリト認ムルトキ
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ貿易審議會ノ
議ヲ經テ期間及物品ヲ指定シ輸出又ハ
輸入ノ制限又ハ禁止ヲ爲スコトヲ得
貿易ニ關スル條約又ハ之ニ準ズベ
キモノニ依リ貿易ヲ調節セントスル
トキ
二國際收支ノ適合ヲ圖リ又ハ特定國
トノ輸出及輸入ノ均衡ヲ圖ル爲貿易
ヲ調節セントスルトキ
三貿易業者ノ不當ナル競爭ニ因リ輸
出品又ハ輸入品ノ海外市場ニ於ケル
價格ノ著シキ低落又ハ騰貴其ノ他貿
易上ノ弊害ヲ生ジ又ハ生ズルノ虞ア
ル場合ニ於テ之ヲ矯正シ又ハ豫防セ
ントスルトキ
四國民經濟ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲
重要物資ノ供給ヲ適正ナラシメント
スルトキ
第二條政府ハ前條各號ノ一ニ該當スル
場合ニ於テ輸出品若ハ輸入品ニ關スル
業ヲ營ム者又ハ輸出品若ハ輸入品ニ關
スル事業ヲ行フ組合ヲシテ輸出品又ハ
輸入品ニ付統制ヲ行ハシムル必要アリ
ト認ムルトキハ統制協議會ヲシテ其ノ
統制ニ關シ必要ナル重要事項ヲ調査審
議セシムルコトヲ得
第三條政府ハ輸出品又ハ輸入品ニ關ス
ル統制ニ付輸出品若ハ輸入品ニ關スル
業ヲ營ム者又ハ輸出品若ハ輸入品ニ關
スル事業ヲ行フ組合ノ間ノ共同ノ利害
ヲ調整スル爲必要アリト認ムルトキハ
統制協議會ヲシテ其ノ調整ニ關シ必要
ナル重要事項ヲ調査審議セシムルコト
ヲ得
第四條政府ハ前二條ノ場合ニ於テ國民
經濟ノ健全ナル発達ヲ圖ル爲特ニ必要
アリト認ムルトキハ貿易審議會ノ議ヲ
經テ輸出品若ハ輸入品ニ關スル業ヲ營
ム者又ハ輸出品若ハ輸入品ニ關スル事
業ヲ行フ組合ニ對シ統制協議會ノ議決
シタル事項ニ從フベキコトヲ命ズルコ
トヲ得
第五條輸出品若ハ輸入品ニ關スル業ヲ
營ム者又ハ輸出品若ハ輸入品ニ關スル
事業ヲ行フ組合ノ範圍ハ命令ヲ以テ之
フルト
第六條本法ニ定ムルモノノ外貿易審議
會及統制協議會ニ關シ必要ナル事項ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ
第一條ノ規定ニ依リテ爲ス制限若ハ禁
止、第二條ノ統制又ハ第三條ノ利害調
整ニ關係アル事項ニ付報〓ヲ徵シ又ハ
帳簿其ノ他ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
第八條第一條ノ規定ニ依リテ爲ス制限
又ハ禁止ニ違反シテ輸出又ハ輸入ヲ爲
シ又ハ爲サントシタル者ハ一年以下ノ
懲役若ハ禁錮又ハ三千圓以下ノ罰金ニ
處ス
前項ノ場合ニ於テハ輸出又ハ輸入ヲ爲
シ又ハ爲サントシタル物品ニシテ犯人
ノ所有シ又ハ所持スルモノヲ沒收スル
コトヲ得若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收
スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追
徴スルコトヲ得
第九條第四條ノ規定ニ依ル命令ニ違反
シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十條第七條ノ規定ニ基キテ發スル勅
令ニ依ル報〓ヲ爲サズ、虛僞ノ報〓ヲ
爲シ又ハ帳簿其ノ他ノ檢査ヲ拒ミ、妨
ゲ若ハ忌避シタル者ハ五百圓以下ノ罰
金ニ處ス本法ニ基キテ發スル勅令ニ依
リ政府ニ提出スル許可ノ申請書其ノ他
ノ書類ニ虚僞ノ記載ヲ爲シタル者亦同
第十一條輸出品若ハ輸入品ニ關スル業
ヲ營ム者又ハ輸出品若ハ輸入品ニ關ス
ル事業ヲ行フ組合ハ其ノ代理人、戶主、
家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務
ニ關シ前三條ノ罪ヲ犯シタルトキハ自
己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處
罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十二條本法ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナ
ルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ
業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ
禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ
之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同
一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此
ノ限ニ在ラズ
第十三條前二條ノ場合ニ於テハ懲役又
ハ禁錮ノ刑ニ處スルコトヲ得ズ
第十四條本法ノ罰則ハ本法施行地ニ本
店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ代
表者、代理人、使用人其ノ他ノ從業
者ガ本法施行地外ニ於テ爲シタル行爲
ニモ之ヲ適用ス本法施行地ニ住所ヲ有
スル人又ハ其ノ代理人、使用人其ノ他
ノ從業者ガ本法施行地外ニ於テ爲シタ
ル行爲ニ付亦同ジ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ施行後五年間ヲ限リ其ノ效力ヲ有
ス
前項ノ期間內ニ爲サレタル本法ニ依リ處
罰セラルル行爲ニ付テハ本法ノ罰則ハ前
項ノ期間經過後ト雖モ仍之ヲ適用ス
貿易組合法案
貿易組合法
第一章貿易組合
第一節總則
第一條貿易組合ハ輸出組合及輸入組合
ノ二種トス
第二條貿易組合ハ貿易ノ振興ヲ圖ル爲
共同ノ施設ヲ爲スヲ以テ目的トス
第三條貿易組合ハ法人トス
第四條貿易組合ハ其ノ名稱中ニ其ノ種
類ニ從ヒ輸出組合又ハ輸入組合ナル文
字ヲ用フベシ
貿易組合ニ非ザルモノハ其ノ名稱中ニ
輸出組合、輸入組合又ハ貿易組合ナル
文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第五條主務大臣ハ本法ニ依ル職權ノ一
部ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第六條本法ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記前ニ在リテハ之ヲ以テ第三者ニ對抗
スルコトヲ得ズ
第七條本法ニ依リ登記スベキ事項ハ其
ノ事實ノ生ジタル後二週間以內ニ之ヲ
登記スベシ
登記スベキ事項ニシテ主務大臣ノ認可
ヲ要スルモノハ其ノ認可書ノ到達シタ
ル時ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第八條非訟事件手續法第百四十一條乃
至第百五十一條ノ六、第百五十四條乃
至第百五十八條及第百六十五條竝ニ產
業組合法第五條、第六條、第九十六條、
第九十七條及第百四條ノ規定ハ貿易組
合ニ之ヲ準用ス
第二節輸出組合
第九條同一種類ノ重要輸出品ノ輸出ヲ
業トスル者又ハ同一市場ヲ目的トシテ
商品ノ輸出ヲ業トスル者ハ輸出組合ヲ
設立スルコトヲ得但シ特別ノ事情アル
トキハ取扱商品ヲ異ニスル重要輸出品
ノ輸出ヲ業トスル者ヲ以テ之ヲ設立ス
ルコトヲ得
前項ノ重要輸出品ハ主務大臣之ヲ指定
ス
第十條同一又ハ重複スル地區ニ於テ二
箇以上ノ同種ノ輸出組合ヲ設立スルコ
トヲ得ズ但シ特別ノ事情アルトキハ此
ノ限ニ在ラズ
第十一條輸出組合ハ左ノ事業ヲ行フコ
トヲ得
-組合員ノ營業ニ關スル統制
二組合員ノ取扱商品ノ委託輸出、輸
出ノ斡旋、保管、選別、包裝、荷造
其ノ他組合員ノ營業ニ關スル共同施
設
三海外市場ノ調査、新販路ノ開拓其
ノ他組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル
施設
組合ハ前項ノ事業ノ外組合員ノ取扱商
品ノ買取輸出、組合員ニ對シ其ノ營業
ニ必要ナル資金ノ貸付、組合員ノ爲ニ
スル其ノ營業上ノ債務ノ保證又ハ組合
員ノ貯金ノ受入ヲ併セ行フコトヲ得
第一項ニ揭グル組合ノ施設ハ組合員ノ
利用ニ支障ナキ場合ニ限リ組合員ニ非
ザル者ヲシテ命令ノ定ムル所ニ依リ之
ヲ利用セシムルコトヲ得
第十二條營業上ノ弊害ヲ豫防シ若ハ矯
正スル爲又ハ貿易ノ振興上必要アリト
認ムルトキハ主務大臣ハ輸出組合ニ對
シ必要ナル施設ヲ命ズルコトヲ得
第十三條輸出組合ハ定款ノ定ムル所ニ
依リ其ノ經費ヲ組合員ニ分賦スルコト
ヲ得
第十四條輸出組合ハ定款ノ定ムル所ニ
依リ定款違反者ニ對シ過怠金ヲ課スル
コトヲ得
第十五條輸出組合定款ノ定ムル所ニ依
リ組合員ノ營業ニ關スル統制ヲ行フ場
合ニ於テハ總會ノ議決ヲ經テ之ニ關ス
ル規程ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
其ノ規程ヲ變更セントスル場合亦同ジ
第十六條輸出組合第十一條第一項第
一號ノ事業ニ關スル定款ノ規定又ハ前
條ノ規程ヲ定メ又ハ變更セントスル場
合ニ於テ總會ノ可決セザリシトキト雖
モ貿易ノ振興上組合員ノ營業ノ統制ヲ
圖ル必要アルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受
ケ總會ヲ開キ總組合員ノ三分ノ一以上
ニシテ其ノ輸出高ガ總組合員ノ輸出高
ノ三分ノ二以上ヲ占ムル組合員ノ同意
ヲ以テ之ガ議決ヲ爲スコトヲ得但シ第
九條第一項但書ノ規定ニ依リ設立シタ
ル組合ニ在リテハ取扱商品每ニ各總組
合員ノ三分ノ一以上ニシテ其ノ輸出高
ガ總組合員ノ輸出高ノ三分ノ二以上ノ
同意アルコトヲ要ス
第十七條輸出組合第十五條ノ規程ニ基
キ組合又ハ組合員ノ輸出數量、輸出價
格其ノ他命令ノ定ムル事項ニ付決定ヲ
爲シタルトキハ遲滯ナク之ヲ主務大臣
ニ屆出ヅベシ
主務大臣必要アリト認ムルトキハ前項
ノ決定ノ變更又ハ取消ヲ爲スコトヲ得
第十八條營業上ノ弊害ヲ豫防シ若ハ矯
正スル爲又ハ貿易ノ振興上特ニ必要ア
リト認ムルトキハ主務大臣ハ輸出組合
ノ組合員、其ノ組合ノ組合員ニ非ズシ
テ其ノ組合ノ地區內ニ於テ組合員タル
資格ヲ有スル者又ハ其ノ組合ノ組合員
タル資格ヲ有セザル者ニシテ其ノ組合
ノ地區內ニ於テ其ノ組合ノ組合員ノ取
扱商品ト同種ノ商品ヲ販賣ノ目的ヲ以
テ輸出ヲ爲スモノ若ハ其ノ組合ノ組合
員ト同一市場ヲ目的トシテ商品ヲ販賣
ノ目的ヲ以テ輸出ヲ爲スモノニ對シ其
ノ組合ノ統制ニ從フベキコトヲ命ズル
コトヲ得
第十九條前條ノ規定ニ依リ主務大臣輸
出組合ノ統制ニ從フベキコトヲ命ジタ
ル場合ニ於テ其ノ統制ニ從ヒ輸出スベ
キ商品ノ輸出ヲ爲サントスル者ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ其ノ商品ガ其ノ統制
ニ從ヒテ輸出セラルルモノナルコトニ
付行政官廳ノ檢閱ヲ受クベシ
第二十條主務大臣第十八條ノ規定ニ依
リ輸出組合ノ統制ニ從フベキコトヲ命
ジタル場合ニ於テ其ノ統制ニ從ヒ輸出
スベキ商品ノ輸出ニ關シ取締上必要ア
リト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ保稅
地域內ニ於テ又ハ店舗、倉庫、工場其
ノ他ノ場所ニ臨檢シ物品、帳簿其ノ他
ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ當該官吏ハ輸出組合
ノ檢査員ヲシテ必要ナル補助ヲ爲サシ
ムルコトヲ得
第一項ノ場合ニ於テ當該官吏第十八條
ノ規定ニ依ル命令又ハ前條ノ規定ニ違
反シテ商品ノ輸出ヲ爲シ又ハ輸出ヲ爲
サントシタル者アリト認ムルトキハ被
疑者若ハ參考人ヲ尋問シ又ハ犯罪ノ事
實ヲ證明スベキ物件ヲ搜索シ若ハ之ガ
差押ヲ爲スコトヲ得
臨檢、尋問、搜索及差押ニ關シテハ間
接國稅犯則者處分法ヲ準用ス
第二十一條同一種類ノ重要輸出品ノ輸
出ヲ業トスル者ヲ以テ設立セル輸出組
合又ハ其ノ組合員ハ其ノ營業ニ關スル
重要物產同業組合法ニ依ル同業組合ニ
加入セズ又ハ之ヨリ脫退スルコトヲ得
第二十二條輸出組合ヲ設立セントスル
トキハ豫メ地區ヲ定メ其ノ地區內ニ於
テ組合員タル資格ヲ有スル者ノ過半數
ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ定款其ノ
他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ主
務大臣ノ認可ヲ受クベシ但シ第九條第
一項但書ノ場合ニ於テハ取扱商品每ニ
各組合員タル資格ヲ有スル者ノ過半數
ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
前項ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキト
雖モ特別ノ事由アル場合ニ於テハ主務
大臣ノ認可ヲ受ケ創立總會ヲ招集スル
コトヲ得
第二十三條創立總會ニ於ケル議決及役
員ノ選任ハ設立同意者ノ三分ノ二以上
ノ同意ヲ以テ之ヲ爲ス但シ第九條第一
項但書ノ場合ニ於テハ取扱商品每ニ各
設立同意者ノ三分ノ二以上ノ同意アル
コトヲ要ス
第二十四條設立同意者ハ創立總會ニ於
テ代理人ヲ以テ其ノ議決權ヲ行フコト
ヲ得
前項ノ代理人ハ設立同意者タルコトヲ
要ス但シ法人タル設立同意者ハ其ノ業
務ヲ執行スル役員又ハ支配人ヲ代理人
ト爲スコトヲ得
代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ差出ス
ベシ
第二十五條輸出組合ノ定款ニハ左ノ事
項ヲ記載スベシ但シ第二十八條ノ規定
ニ依ル輸出組合ニ在リテハ第七號乃至
第九號、第四十五條ノ規定ニ依ル輸出
組合ニ在リテハ第六號乃至第九號及第
十五號ニ揭グル事項ハ之ヲ記載スルコ
トヲ要セズ
-目的
二名稱
三地區
四事務所ノ所在地
五組合員タル資格ニ關スル規定
六組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
七出資一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法
八剩餘金ノ處分及損失分擔ニ關スル
規定
九準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
十組合員ノ權利義務ニ關スル規定
十一事業及其ノ執行ニ關スル規定
十二役員ニ關スル規定
十三會議ニ關スル規定
十四會計ニ關スル規定
十五存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定
メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第二十六條輸出組合ハ設立ノ認可アリ
タル時又ハ第四十五條第二項ノ規定ニ
依リ定款ノ作成アリタル時成立ス
第二十七條組合員ハ出資一口以上ヲ有
スペン
組合員ノ有スベキ出資口數ハ五十口ヲ
超ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アル
トキハ定款ノ定ムル所ニ依リ之ヲ增加
スルコトヲ得
第二十八條第十一條第一項第二號及第
二項ノ事業ヲ行ハザル輸出組合ニ在リ
テハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ヲシ
テ出資ヲ爲サシメザルモノト爲スコト
ヲ得
第二十九條組合員ノ責任ハ第十三條ノ
規定ニ依ル費用負擔ノ外其ノ出資額ヲ
限度トス
第三十條輸出組合ハ定款ノ定ムル所ニ
依リ組合財產ヲ以テ其ノ債務ヲ完濟ス
ルコト能ハザル場合ニ於テ組合員ノ全
員ガ其ノ出資額ノ外一定ノ金額(保證
金額)ヲ限度トシテ責任ヲ負擔スルモ
ノト爲スコトヲ得
第三十一條輸出組合ハ出資ノ第一囘ノ
拂込アリタル後二週間以內ニ各事務所
ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ
但シ第二十八條ノ規定ニ依ル輸出組合
又ハ第四十五條ノ規定ニ依ル輸出組合
ニ在リテハ其ノ成立後二週間以內ニ之
ヲ爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ但シ第二十八
條ノ規定ニ依ル輸出組合ニ在リテハ第
三號及第四號ニ揭グル事項竝ニ第二十
五條第七號ニ揭グル事項、第四十五條
ノ規定ニ依ル輸出組合ニ在リテハ第三
號及第四號ニ揭グル事項竝ニ第二十五
條第七號及第十五號ニ揭グル事項ハ之
ヲ登記スルコトヲ要セズ
一第二十五條第一號乃至第三號、第
七號及第十五號ニ揭グル事項
二事務所
三出資ノ總口數及拂込ミタル出資ノ
總額
四第三十條ノ規定ニ依ル輸出組合ニ
在リテハ各組合員ノ氏名又ハ名稱、
住所及保證金額
五成立ノ年月日
六理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭グル事項中ニ變更ヲ生ジタル
トキハ其ノ登記ヲ爲スベシ但シ前項第
三號ニ揭グル事項ニ付テハ每事業年度
末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後一月
以內ニ登記ヲ爲スコトヲ得
第三十二條組合員ハ總組合員ノ五分ノ
一以上ノ同意ヲ得テ會議ノ目的タル事
項及其ノ招集ノ理由ヲ記載シタル書面
ヲ理事ニ提出シテ總會ノ招集ヲ請求ス
ルコトヲ得
理事ガ正當ノ理由ナクシテ前項ノ規定
ニ依ル請求アリタル後二週間以內ニ總
會招集ノ手續ヲ爲サザルトキハ請求者
ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ招集スル
コトヲ得
第三十三條輸出組合ニハ理事及監事ヲ
置クベシ
理事及監事ハ總會ニ於テ組合員又ハ組
合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ
中ヨリ之ヲ選任ス但シ組合設立當時ノ
理事及監事ハ創立總會ニ於テ第二十二
條第一項ノ場合ニ在リテハ設立同意者
又ハ設立同意者タル法人ノ業務ヲ執行
スル役員ノ中ヨリ、第四十五條第一項
ノ場合ニ在リテハ組合員タル資格ヲ有
スル者又ハ組合員タル資格ヲ有スル法
人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ之ヲ
選任スベシ
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ
前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スル
コトヲ得此ノ場合ニ於ケル選任ハ主務
大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效
力ヲ生ゼズ
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定
ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第三十四條第十一條第一項第一號ノ事
業ヲ行フ輸出組合ニシテ全國ヲ地區ト
スルモノ若ハ第十八條ノ規定ニ依ル命
令アリタルモノ又ハ第四十五條ノ規定
ニ依ル輸出組合ノ理事ノ選任及解任ハ
主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其
ノ效力ヲ生ゼズ
組合ガ前項ノ規定ノ適用ヲ受クルニ至
リタル場合ニ於テ現ニ其ノ職ニ在ル理
事ハ其ノ選任ニ付前項ノ規定ニ依ル認
可ヲ受ケタルモノト看做ス
第一項ニ揭グル組合ノ理事ノ選任ニ付
テハ前條第三項ノ規定ニ依ル認可ヲ受
クルコトヲ要セズ
第三十五條組合員ハ總會ニ於テ各一箇
ノ議決權ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ
依リ一人ニ付議決權總數ノ十分ノ三ヲ
超エザル範圍內ニ於テ出資口數ニ應ジ
二箇以上ノ議決權ヲ有セシムルコトヲ
得
第三十六條組合員ハ代理人ヲ以テ議決
權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ之
ヲ出席ト看做ス
前項ノ代理人ハ組合員タルコトヲ要
ス但シ法人タル組合員ハ其ノ業務ヲ執
行スル役員又ハ支配人ヲ代理人ト爲ス
コトヲ得
代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ組合ニ
差出スベシ
第三十七條經費ヲ組合員ニ分賦スル輸
出組合ニ在リテハ其ノ經費ノ收支豫算
及分賦收入方法ハ總會ノ議決ヲ經ベシ
但シ組合設立當時ノ經費ノ收支豫算及
分賦收入方法ハ創立總會ニ於テ之ヲ議
決スベシ
前項ノ總會ノ議決ハ總組合員ノ半數以
上出席シ其ノ議決權ノ四分ノ三以上ヲ
以テ之ヲ爲スベシ但シ定款ニ別段ノ定
アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十八條組合員タル資格ヲ有スル者
輸出組合ニ加入セントスルトキハ組合
ハ正當ノ理由ナクシテ加入ニ困難ナル
條件ヲ附シ又ハ其ノ加入ヲ拒ムコトヲ
得ズ
第三十九條組合員ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ一定ノ期間前ニ豫〓ヲ爲シ輸出組
合ノ承諸ヲ得タル場合ニハ事業年度ノ
終ニ於テ脫退スルコトヲ得
組合ハ正當ノ理由ナクシテ前項ノ承諾
ヲ拒ムコトヲ得ズ
第四十條檢査ヲ行フ輸出組合ニ在リテ
ハ檢査員ヲ置クベシ
檢査員ノ選任及解任ハ主務大臣ノ認可
ヲ受クベシ
第四十一條輸出組合ハ檢査員ノ服務ニ
關スル規程ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受
クベシ
第四十二條主務大臣必要アリト認ムル
トキハ檢査員ノ選任又ハ解任ヲ爲スコ
トヲ得
第四十三條主務大臣必要アリト認ムル
トキハ輸出組合ニ對シ經費ノ收支豫算、
其ノ分賦收入方法、定款又ハ第十五條
ノ規程ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第四十四條輸出組合ノ事業若ハ財產ノ
狀況ニ依リ其ノ事業ノ繼續ヲ困難ナリ
ト認ムルトキ又ハ組合ノ行爲ガ法令、
定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シタル
トキ若ハ公益ヲ害スル虞アルトキハ主
務大臣ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一總會ノ決議ノ取消
二役員ノ解任
三事業ノ停止
四解散
第四十五條主務大臣貿易ノ統制ヲ圖リ
國民經濟ノ健全ナル發達ヲ期スル爲特
ニ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ地區及組合員タル資格ヲ定
メ其ノ地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ
有スル者ニ對シ輸出組合ノ設立ヲ命ズ
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル
者主務大臣ノ指定スル期限迄ニ設立ノ
認可ヲ申請セザルトキハ主務大臣ハ定
款ノ作成其ノ他設立ニ關シ必要ナル處
分ヲ爲スコトヲ得
第四十六條前條第一項ノ規定ニ依リ輸
出組合ノ設立ヲ命ゼラレタルトキハ創
立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項
ヲ定メ役員ヲ選任シ設立ノ認可ヲ申請
スペシ
前項ノ創立總會ニ於ケル議決及役員ノ
選任ハ出席者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ
以テ之ヲ爲ス
第四十七條主務大臣第四十五條第二項
ノ規定ニ依リ定款ヲ作成シタルトキハ
輸出組合ノ理事及監事ヲ命ズ
前項ノ理事ハ遲滯ナク總會ヲ招集スベ
シ
前項ノ總會ニ於テハ組合設立當時ノ經
費ノ收支豫算及分賦收入方法ヲ議決ス
ベシ
第三十七條第二項ノ規定ハ前項ノ議決
ニ之ヲ準用ス
第四十八條第四十五條ノ規定ニ依ル輸
出組合ハ第十一條第一項第二號及第二
項ノ事業ヲ行フコトヲ得ズ
第四十九條第四十五條ノ規定ニ依ル輸
出組合成立シタルトキハ其ノ組合ノ地
區內ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者
ハ其ノ組合ノ組合員トス
第五十條第四十五條ノ規定ニ依ル輸出
組合ハ其ノ組合員ヲシテ出資ヲ爲サシ
ムルコトヲ得ズ
第五十一條第四十五條ノ規定ニ依ル輸
出組合ハ合併ヲ爲スコトヲ得ズ
第五十二條設立ノ登記ハ理事及監事ノ
全員ノ申請ニ因リテ之ヲ爲スベシ
申請書ニハ定款及創立總會又ハ總會ノ
決議錄ノ謄本、組合ノ設立アリタルコ
トヲ證スル書面、出資ノ總口數ヲ證ス
ル書面、出資ノ第一囘ノ拂込アリタル
コトヲ證スル書面竝ニ理事及監事ノ資
格ヲ證スル書面ヲ添附スベシ但シ第四
十五條ノ規定ニ依ル輸出組合ニシテ主
務大臣ノ處分ニ因リ成立シタルモノニ
在リテハ創立總會又ハ總會ノ決議錄、
出資ノ總口數ヲ證スル書面及出資ノ第
一囘ノ拂込アリタルコトヲ證スル書面、第
四十五條ノ規定ニ依ル輸出組合ニシテ主
務大臣ノ處分ニ因ラズシテ成立シタル
モノ又ハ第二十八條ノ規定ニ依ル輸出
組合ニ在リテハ出資ノ總口數ヲ證スル
書面及出資ノ第一囘ノ拂込アリタルコ
トヲ證スル書面ハ之ヲ添附スルコトヲ
要セズ
第五十三條事務所ノ新設、移轉其ノ他
登記事項ノ變更ノ登記ハ理事又ハ〓算
人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲スベシ但シ合
併又ハ出資一口ノ金額若ハ保證金額ノ
減少ニ因ル變更ノ登記ハ理事及監事ノ
全員ヨリ之ヲ爲スベシ
申請書ニハ申請人ノ資格ヲ證スル書面
及登記事項ノ變更ヲ證スル書面ヲ添附
スベシ但シ前ニ登記ノ申請ヲ爲シタル
申請人ガ同一登記所ニ前項ノ申請ヲ爲
ス場合ニ於テハ其ノ資格ヲ證スル書面
ヲ添附スルコトヲ要セズ
出資一口ノ金額又ハ保證金額ノ減少ノ
登記申請書ニハ前項ニ規定スル書面ノ
外本法ニ依リ催〓ヲ爲シタルコト及異
議ヲ述ベタル債權者アル場合ニ於テハ
之ニ對シ辨濟ヲ爲シ又ハ擔保ヲ供シタ
ルコトヲ證スル書面ヲ添附スベシ
第五十四條解散ノ登記ハ合併ニ因ル解
散ノ場合ニ於テハ解散シタルトキノ理
事及監事ノ全員、其ノ他ノ場合ニ於テ
ハ〓算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲スベシ
申請書ニハ解散ノ事由ヲ證スル書面及
理事ガ〓算人タラザル場合ニ於テハ申
請人ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スベシ
前條第三項ノ規定ハ合併ニ因ル解散ノ
登記ノ申請ニ之ヲ準用ス
輸出組合ガ命令ニ因リテ解散シタルト
キハ登記所ハ主務大臣ノ囑託ニ因リテ
登記ヲ爲スベシ
第五十五條〓算結了ノ登記ハ〓算人ノ
申請ニ因リテ之ヲ爲スベシ
第五十六條民法第四十四條第一項、
第四十五條第二項第三項、第四十
八條、第五十條、第五十二條第二項、
第五十三條乃至第五十五條、第五十九
條第六十條、第六十一條第一項、第
六十二條、第六十四條、第六十六條、第
七十條及第七十三條乃至第八十三條、
非訟事件手續法第三十五條第二項、第
三十六條、第三十七條ノ二、第百三十
六條乃至第百三十八條、第百三十八條
ノ三、第百七十五條、第百七十六條及
第百七十八條竝ニ產業組合法第十條、
第十一條第一項、第十二條、第十八條
乃至第二十二條、第二十四條、第二十
六條乃至第三十一條ノ二、第三十三條、
第三十四條ノ二第一項、第三十五條、
第三十六條、第三十八條ノ二乃至第四
十六條、第四十八條、第五十一條乃至
第五十八條、第六十條、第六十條ノ
二、第六十二條(第一項第四號ヲ除ク)、
第六十三條第一項、第六十三條ノ二乃
至第六十五條、第六十六條第一項、
第六十七條、第六十八條、第七十條
乃至第七十三條、第七十四條第一項、
第七十四條ノ二第一項、第七十七條第
三項及第七十八條ノ規定(第二十八條
ノ規定ニ依ル輸出組合ニ付テハ產業組
合法第十一條第一項、第十二條、第十
八條乃至第二十二條、第四十條乃至第
四十三條、第四十四條第二項、第四十
五條、第四十六條、第四十八條、第五
十三條乃至第五十八條、第六十二條第
二項但書、第六十八條及第七十七條第
三項ノ規定ヲ、第四十五條ノ規定ニ依ル
輸出組合ニ付テハ產業組合法第十條、
第十一條第一項、第十二條、第十八條
乃至第二十二條、第四十條乃至第四十
三條、第四十四條第二項、第四十五條、
第四十六條、第四十八條、第五十一條
第三號乃至第五號、第五十二條乃至第
五十八條、第六十二條第一項第一號第
三號、第六十三條ノ二、第六十四條、
第六十六條第一項、第六十七條、第六
十八條及第七十七條第三項ノ規定ヲ除
ク)ハ輸出組合ニ之ヲ準用ス但シ民法
第四十五條第三項及第四十八條第一項
中一週間トアルハ二週間トシ產業組合
法中地方長官又ハ監督官廳トアルハ主
務大臣トス
第三節輸入組合
第五十七條同一種類ノ重要輸入品ノ輸
入ヲ業トスル者又ハ同一市場ヨリノ商
品ノ輸入ヲ業トスル者ハ輸入組合ヲ設
立スルコトヲ得但シ特別ノ事情アルト
キハ取扱商品ヲ異ニスル重要輸入品ノ
輸入ヲ業トスル者ヲ以テ之ヲ設立スル
コトヲ得
前項ノ重要輸入品ハ主務大臣之ヲ指定
ス
第五十八條輸入組合ハ左ノ事業ヲ行フ
コトヲ得
一組合員ノ營業ニ關スル統制
二組合員ノ取扱商品ノ委託輸入、輸
入ノ斡旋其ノ他組合員ノ營業ニ關ス
ル共同施設
三海外市場ノ調査其ノ他組合ノ目的
ヲ達スルニ必要ナル施設
組合ハ前項ノ事業ノ外組合員ニ賣渡ス
目的ヲ以テ爲ス其ノ取扱商品ノ輸入、
組合員ニ對シ其ノ營業ニ必要ナル資金
ノ貸付、組合員ノ爲ニスル其ノ營業上
ノ債務ノ保證又ハ組合員ノ貯金ノ受入
ヲ併セ行フコトヲ得
第一項ニ揭グル組合ノ施設ハ組合員ノ
利用ニ支障ナキ場合ニ限リ組合員ニ非
ザル者ヲシテ命令ノ定ムル所ニ依リ之
ヲ利用セシムルコトヲ得
第五十九條前條第一項第二號及第一一項
ノ事業ヲ行ハザル輸入組合ニ在リテハ
定款ノ定ムル所ニ依リ組合員ヲシテ出
資ヲ爲サシメザルモノト爲スコトヲ得
第六十條第六十二條ノ規定ニ依リ準用
シタル第四十五條ノ規定ニ依ル輸入組
合ハ第五十八條第一項第二號及第二項
ノ事業ヲ行フコトヲ得ズ
第六十一條第五十八條第一項第一號ノ
事業ヲ行フ輸入組合ニシテ全國ヲ地區
トスルモノ若ハ第六十二條ノ規定ニ依
リ準用シタル第十八條ノ規定ニ依ル命
令アリタルモノ又ハ第六十二條ノ規定
ニ依リ準用シタル第四十五條ノ規定ニ
依ル輸入組合ノ理事ノ選任及解任ハ主
務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ
效力ヲ生ゼズ
組合ガ前項ノ規定ノ適用ヲ受クルニ至
リタル場合ニ於テハ現ニ其ノ職ニ在ル
理事ハ其ノ選任ニ付前項ノ規定ニ依ル
認可ヲ受ケタルモノト看做ス
第一項ニ揭グル組合ノ理事ノ選任ニ付
テハ第六十二條ノ規定ニ依リ準用シタ
ル第三十三條第三項ノ規定ニ依ル認可
ヲ受クルコトヲ要セズ
第六十二條第二節ノ規定ハ輸入組合ニ
之ヲ準用ス
第二章貿易組合聯合會
第六十三條貿易組合聯合會ハ輸出組合
聯合會、輸入組合聯合會及輸出入組合
聯合會ノ三種トス
第六十四條貿易組合聯合會ハ所屬ノ貿
易組合及貿易組合聯合會ノ共同ノ目的
ヲ達成スルヲ以テ目的トス
第六十五條貿易組合聯合會ハ法人トス
第六十六條貿易組合聯合會ハ其ノ名稱
中ニ其ノ種類ニ從ヒ輸出組合聯合會、
輸入組合聯合會又ハ輸出入組合聯合會
ナル文字ヲ用フベシ
貿易組合聯合會ニ非ザルモノハ其ノ名
稱中ニ輸出組合聯合會、輸入組合聯合
會輸出入組合聯合會又ハ貿易組合聯
合會ナル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第六十七條輸出組合聯合會ハ輸出組合
又ハ輸出組合聯合會ヲ以テ之ヲ組織ス
輸入組合聯合會ハ輸入組合又ハ輸入組
合聯合會ヲ以テ之ヲ組織ス
輸出入組合聯合會ハ輸出組合又ハ輸出
組合聯合會及輸入組合又ハ輸入組合聯
合會ヲ以テ之ヲ組織ス
第六十八條貿易組合聯合會ヲ設立セン
トスルトキ又ハ第七十一條ノ規定ニ依
リ準用シタル第四十五條ノ規定ニ依リ
其ノ設立ヲ命ゼラレタルトキハ命令ノ
定ムル所ニ依リ所屬ノ各組合及聯合會
ニ於テ選任シタル創立委員ヲ以テ創立
委員會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項
ヲ定メ役員ヲ選任シ主務大臣ノ認可ヲ
受クベシ
第六十九條創立委員會ニ於ケル議決及
役員ノ選任ハ創立委員總數ノ三分ノ二
以上ノ同意ヲ以テ之ヲ爲ス
第二十四條ノ規定ハ創立委員ニ之ヲ準
用ス
前二項ノ規定ハ第七十一條ノ規定ニ依
リ準用シタル第四十五條ノ規定ニ依ル
貿易組合聯合會ニ付テハ之ヲ適用セズ
第七十條貿易組合聯合會ノ理事及監事
ハ總會ニ於テ所屬ノ組合及聯合會ノ理
事又ハ監事ノ中ヨリ之ヲ選任ス但シ聯
合會設立當時ノ理事及監事ハ創立委員
會ニ於テ之ヲ選任スベシ
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ
前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スル
コトヲ得此ノ場合ニ於ケル選任ハ主務
大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效
力ヲ生ゼズ
第七十一條貿易組合ニ關スル規定ハ第
十六條及第五十六條ノ規定ニ依リ準用
シタル產業組合法第三十八條ノ二ノ規
定ヲ除クノ外貿易組合聯合會ニ之ヲ準
用ス但シ第十一條及第五十八條中組合
員トアルハ所屬ノ組合、聯合會及組合員
トシ、第十八條中其ノ組合ノ組合員ニ
非ズシテ其ノ組合ノ地區內ニ於テ組合
員タル資格ヲ有スル者又ハ其ノ組合ノ
組合員タル資格ヲ有セザル者ニシテ其
ノ地區內ニ於テ其ノ組合ノ組合員ノ取
扱商品ト同種ノ商品ヲ販賣ノ目的ヲ以
テ輸出ヲ爲ス者若ハ其ノ組合ノ組合員
ト同一市場ヲ目的トシテ商品ヲ販賣ノ
目的ヲ以テ輸出ヲ爲ス者トアルハ所屬
ノ組合又ハ聯合會ニ非ズシテ所屬ノ組
合又ハ聯合會タル資格ヲ有スル組合又
ハ聯合會トシ、第三十四條及第六十一
條中全國トアルハ道府縣ノ區域ヲ超ユ
ル區域トス
第三章貿易組合中央會
第七十二條貿易組合中央會ハ貿易組合
及貿易組合聯合會ノ普及、發達及聯絡
ヲ圖ルヲ以テ目的トス
第七十三條貿易組合中央會ハ法人トス
第七十四條貿易組合中央會ハ其ノ名稱
中ニ貿易組合中央會ナル文字ヲ用フベ
シ
貿易組合中央會ニ非ザルモノハ其ノ名
稱中ニ貿易組合中央會ナル文字ヲ用フ
ルコトヲ得ズ
第七十五條貿易組合中央會ハ全國ヲ通
ジテ一箇トシ其ノ設立ハ主務大臣ノ認
可ヲ受クベシ
中央會ノ設立ニ關シ必要ナル事項ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第七十六條貿易組合中央會ハ貿易組合
又ハ貿易組合聯合會ヲ以テ之ヲ組織ス
第七十七條貿易組合中央會ノ定款ニハ
左ノ事項ヲ記載スベシ
一目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四會員ノ加入及脫退ニ關スル規定
五會員ノ權利義務ニ關スル規定
六資產ニ關スル規定
七事業及其ノ執行ニ關スル規定
八役員ニ關スル規定
九會議ニ關スル規定
十存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メ
タルトキハ其ノ時期又ハ事由
第七十八條貿易組合中央會設立ノ認可
アリタルトキハ其ノ事務所ノ所在地ニ
於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ
-前條第一號、第二號及第十號ニ揭
グル事項
二事務所
三資產ノ總額
四成立ノ年月日
五理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭グル事項中ニ變更ヲ生ジタル
トキハ其ノ登記ヲ爲スベシ但シ前項第
三號ニ揭グル事項ニ付テハ每事業年度
末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後二月
以內ニ登記ヲ爲スコトヲ得
第七十九條貿易組合中央會ニハ理事及
監事ヲ置クベシ
第八十條貿易組合中央會ノ理事及監事
ハ總會ニ於テ會員タル貿易組合又ハ貿
易組合聯合會ノ理事又ハ監事ノ中ヨリ
之ヲ選任ス但シ中央會設立當時ノ理事
及監事ノ選任方法ハ勅令ノ定ムル所ニ
依ル
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ
前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スル
コトヲ得此ノ場合ニ於ケル選任ハ主務
大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效
力ヲ生ゼズ
第八十一條第六條乃至第八條、第二十
六條、第三十二條、第三十五條、第三
十八條、第四十三條、第四十四條及第
五十二條乃至第五十六條ノ規定ハ貿易
組合中央會ニ之ヲ準用ス但シ第八條ノ
規定ニ依リ準用シタル非訟事件手續法
第百四十一條竝ニ第五十六條ノ規定ニ
依リ準用シタル產業組合法第十一條第
一項、第十二條、第十八條乃至第二十
二條、第四十條乃至第四十六條、第四
十八條、第五十一條乃至第五十八條、
第六十三條ノ二、第六十四條、第六十
六條第一項、第六十七條、第六十八條、
第七十七條第三項及第七十八條ノ規定
V クラノ
第四章罰則
第八十二條左ノ場合ニ於テハ貿易組合、
貿易組合聯合會又ハ貿易組合中央會ノ
理事、監事又ハ〓算人ヲ十圓以上五百
圓以下ノ過料ニ處ス
-本法ニ依リ行政官廳ノ認可ヲ受ク
ベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザル
トキ
二本法ニ依ル登記ヲ爲スコトヲ怠リ
又ハ不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
三本法ニ依ル屆出ヲ爲スコトヲ怠リ
又ハ不正ノ屆出ヲ爲シタルトキ
四行政官廳又ハ總會若ハ總代會ニ對
シ不實ノ申立ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽
シタルトキ
五本法ニ依リ行政官廳ノ徵スル報〓
ヲ差出サズ又ハ其ノ檢査ヲ拒ミ其ノ
他行政官廳ノ命令又ハ處分ニ從ハザ
ルトキ
六本法ニ依ル總會又ハ總代會ノ招集
ヲ怠リタルトキ
七本法ニ依リ事務所ニ備置クベキ書
類ヲ備ヘザルトキ、其ノ書類ニ記載
スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記
載ヲ爲シタルトキ又ハ正當ノ理由ナ
クシテ其ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
八本法ニ違反シテ組合員又ハ所屬ノ
組合若ハ聯合會ノ持分ヲ拂戾シタル
トキ
九本法ニ違反シテ組合又ハ聯合會ガ
組合員若ハ所屬ノ組合又ハ聯合會ノ
持分ヲ取得シ又ハ質權ノ目的トシテ
之ヲ受ケタルトキ
十本法ニ違反シテ破產ノ宣告ヲ請求
セザルトキ
十一本法ニ違反シテ出資一口ノ金額
若ハ保證金額ヲ減少シ、脫退シタル組
合員若ハ所屬ノ組合若ハ聯合會ノ責
任期間ノ短縮ヲ爲シ又ハ組合若ハ聯
合會ノ合併ヲ爲シタルトキ
十二本法ニ依ル公〓ヲ爲スコトヲ怠
リ又ハ不正ノ公〓ヲ爲シタルトキ
十三〓算ノ場合ニ於テ本法ニ違反シ
テ辨濟ヲ爲シ又ハ財產ノ分配ヲ爲シ
タルトキ
十四法令又ハ定款ニ違反シテ剩餘金
ヲ處分シタルトキ
十五組合、聯合會又ハ中央會ノ目的
ニ非ザル營利事業ヲ爲シタルトキ
第八十三條第四條第二項、第六十六條
第二項又ハ第七十四條第二項ノ規定ニ
違反シタル者ハ十圓以上五百圓以下ノ
過料ニ處ス
第八十四條非訟事件手續法第二百六條
乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料
ニ之ヲ準用ス
第八十五條第十八條ノ規定(第六十二
條又ハ第七十一條ノ規定ニ依リ準用ス
ル場合ヲ含ム)ニ依ル行政官廳ノ命令
ニ違反シタル者又ハ其ノ命令ニ違反シ
テ商品ノ輸出若ハ輸入ヲ爲サントシタ
ル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十九條ノ規定(第六十二條又ハ第七十
一條ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)
ニ違反シテ商品ノ輸出若ハ輸入ヲ爲シ
又ハ爲サントシタル者亦前項ニ同ジ
前二項ノ場合ニ於テハ犯人ノ所有シ又
ハ所持スル商品ヲ沒收スルコトヲ得若
シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能
ハザルトキハ其ノ價額ヲ追徵スルコト
ヲ得
第八十六條輸出又ハ輸入ヲ業トスル者
ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、
雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ
前條ノ罪ヲ犯シタルトキハ自己ノ指揮
ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ル
ルコトヲ得ズ
第八十七條第八十五條ノ罰則ハ其ノ者
ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他
ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成
年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定
代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成
年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ
付テハ此ノ限ニ在ラズ
第八十八條正當ノ理由ナクシテ第二十
條ノ規定(第六十二條又ハ第七十一條
ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ
依ル當該官吏ノ臨檢、檢査、搜索又ハ
差押ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ
五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第八十九條貿易組合又ハ貿易組合聯合
會ノ證票若ハ檢査證ヲ不正ニ使用シタル
者行使ノ目的ヲ以テ證票若ハ檢査證ヲ
僞造若ハ變造シタル者又ハ僞造若ハ變造
ノ證票若ハ檢査證ヲ使用シタル者ハ三年
以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第九十條貿易組合又ハ貿易組合聯合會
ノ理事、監事若ハ〓算人又ハ檢査員其
ノ職務ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ要
求若ハ約束シタルトキハ一一年以下ノ懲
役ニ處ス因テ不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相
當ノ行爲ヲ爲サザルトキハ五年以下ノ
懲役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之
ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收
スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追
徵ス
第九十一條前條第一項ニ揭グル者ニ對
シ賄賂ヲ交付、提供又ハ約束シタル者
ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰
金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第九十二條第八十九條ニ揭グル罪ハ刑
法第三條ノ例ニ、第九十條ニ揭グル罪
ハ刑法第四條ノ例ニ從フ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
輸出組合法ハ之ヲ廢止ス
舊法ニ依リ設立セラレタル輸出組合又ハ
輸出組合聯合會ニシテ本法施行ノ際現ニ
存スルモノハ本法ニ依ル輸出組合又ハ輸
出組合聯合會ト看做ス
本法施行ノ際貿易組合、貿易組合聯合會
又ハ貿易組合中央會ニ非ズシテ其ノ名稱
中ニ輸出組合、輸入組合、貿易組合、輸
出組合聯合會、輸入組合聯合會、輸出入
組合聯合會、貿易組合聯合會又ハ貿易組
合中央會ナル文字ヲ用フルモノハ本法施
行後六月以內ニ其ノ名稱ヲ變更スルコト
al.
第八十三條ノ規定ハ前項ノ期間內之ヲ前
項ニ揭グルモノニ適用セズ
舊法ニ依リテ爲シタル認可、處分、手續
其ノ他ノ行爲ハ設立ノ認可ヲ除クノ外本
法中之ニ相當スル規定アル場合ニ於テハ
本法ニ依リテ之ヲ爲シタルモノト看做ス
第三十四條第一項(第七十一條ノ規定ニ
依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ該當スル輸
出組合又ハ輸出組合聯合會ノ理事ニシテ
本法施行ノ際現ニ其ノ職ニ在ル者ハ其ノ
選任ニ付同條ニ依リ認可ヲ受ケタルモノ
ト看做ス
本法施行前舊法ノ罰則ヲ適用スベカリシ
行爲ニ付テハ仍舊法ニ依ル
登錄稅法第十九條第七號中「輸出組合、
輸出組合聯合會」ヲ「貿易組合、貿易組合
聯合會、貿易組合中央會」ニ、「輸出組合
法」ヲ「貿易組合法」三四人
印紙稅法第四條第一項第十一號中「輸出
組合又ハ輸出組合聯合會」ヲ「貿易組合又
ハ貿易組合聯合會」三四八
商工組合中央金庫法中「輸出組合」ヲ「貿
易組合」ニ、「輸出組合聯合會」ヲ「貿易組
合聯合會」ニ改ム
工業組合法中改正法律案
工業組合法中左ノ通改正ス
第一條工業者ハ其ノ工業ノ改良發達ヲ
圖ル爲共同ノ施設ヲ爲ス目的ヲ以テ工
業組合ヲ設立スルコトヲ得但シ特別ノ
事情アルトキハ二種以上ノ工業者ヲ以
テ之ヲ設立スルコトヲ得
第三條第二項中「資金ノ貸付」ノ下ニ「、組
合員ノ爲ニスル其ノ營業上ノ債務ノ保證」
フタン
第四條工業組合ハ其ノ名稱中ニ工業組
合ナル文字ヲ用フベシ但シ第二十八條
ノ三ノ規定ニ依ル工業組合ハ統制工業
組合ナル文字ヲ用フベシ
工業組合ニ非ザルモノハ其ノ名稱中ニ
工業組合ナル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第二十八條ノ三ノ規定ニ依ル工業組合
ニ非ザルモノハ其ノ名稱中ニ統制工業
組合ナル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第五條中「ノ一部」ヲ削ル
第六條工業組合ハ定款ノ定ムル所ニ依
リ定款違反者ニ對シ過怠金ヲ課シ又ハ
其ノ違反ニ係ル工產品ニシテ違反者ノ
所有スルモノニ付抑留其ノ他必要ナル
處分ヲ爲シ特ニ必要アルトキハ沒收ヲ
爲スコトヲ得
第六條ノ二中「行フ場合ニ於テハ」ノ下ニ
「總會ノ議決ヲ經テ」ヲ加フ
第六條ノ三工業組合前條ノ規程ニ基キ
製造又ハ加工ノ數量、販賣價格、加工
料金其ノ他命令ノ定ムル事項ニ付決定
ヲ爲シタルトキハ遲滯ナク之ヲ行政官
廳ニ屆出ヅベシ
行政官廳必要アリト認ムルトキハ前項
ノ決定ノ變更又ハ取消ヲ爲スコトヲ得
第七條營業上ノ弊害ヲ豫防シ若ハ矯正
スル爲又ハ工業ノ健全ナル發達ヲ圖ル
爲必要アリト認ムルトキハ行政官廳ハ
工業組合ニ對シ必要ナル施設ヲ命ズル
コトヲ得
第八條中「又ハ矯正スル爲」ヲ「若ハ矯正
スル爲又ハ工業ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲」
三段五人
第八條ノ二前條ノ規定ニ依ル命令アリ
タル場合ニ於テ行政官廳取締上必要ア
リト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ工場、
倉庫、店舗其ノ他ノ場所ニ臨檢シ物品、
帳簿其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコト
ヲ得
前項ノ場合ニ於テ當該官吏ハ工業組合
ノ檢査員ヲシテ必要ナル補助ヲ爲サシ
ムルコトヲ得
第一項ノ場合ニ於テ當該官吏前條ノ規
定ニ依ル命令ニ違反シタル者アリト認
ムルトキハ被疑者若ハ參考人ヲ尋問シ
又ハ犯罪ノ事實ヲ證明スベキ物件ヲ搜
索シ若ハ之ガ差押ヲ爲スコトヲ得
臨檢、尋問、搜索及差押ニ關シテハ間接
國稅犯則者處分法ヲ準用ス
第八條ノ三行政官廳第八條ノ規定ニ依
ル命令ヲ遵守セシムル爲特ニ必要アリ
ト認ムルトキハ其ノ命令ニ從フベキ者
ニ對シ其ノ製造又ハ加工ノ設備ノ使用
ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ行政官廳取締上必要
アリト認ムルトキハ製造又ハ加工ノ設
備ニ付封印ヲ施シ、其ノ要部ヲ取外シ
其ノ他必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第十四條第一項但書ヲ削リ同項ノ次ニ左
ノ一項ヲ加フ
前項ノ代理人ハ設立同意者タルコトヲ
要ス但シ法人タル設立同意者ハ其ノ業
務ヲ執行スル役員又ハ支配人ヲ代理人
ト爲スコトヲ得
第十五條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ第二十八條ノ三ノ規定ニ依ル工業
組合ニ在リテハ第六號乃至第九號及第
十五號ニ揭ゲタル事項ハ之ヲ記載スル
コトヲ要セズ
第十五條ノ二工業組合ハ設立ノ認可ア
リタル時又ハ第二十八條ノ三第二項ノ
規定ニ依リ定款ノ作成アリタル時成立
ス
第十六條工業組合ハ出資ノ第一囘ノ拂
込アリタル後二週間以内ニ各事務所ノ所
在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ但シ
第二十八條ノ三ノ規定ニ依ル工業組合
ニ在リテハ其ノ成立後二週間以内ニ之
ヲ爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ但シ第二十八
條ノ三ノ規定ニ依ル工業組合ニ在リテ
ヘ第三號及第四號ニ揭ゲタル事項竝ニ
第十五條第七號及第十五號ニ揭ゲタル
事項ハ之ヲ登記スルコトヲ要セズ
一第十五條第一號乃至第三號、第七
號及第十五號ニ揭ゲタル事項
二事務所
三出資ノ總口數及拂込ミタル出資ノ
總額
四第十八條ノ二ノ規定ニ依ル工業組
合ニ在リテハ各組合員ノ氏名又ハ名
稱住所及保證金額
五成立ノ年月日
六理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭ゲタル事項中ニ變更ヲ生ジタ
ルトキハ其ノ登記ヲ爲スベシ但シ前項
第三號ニ揭ゲタル事項ニ付テハ每事業
年度末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後
一月以内ニ登記ヲ爲スコトヲ得
第二十條第二項及第三項ヲ左ノ如ク改ム
理事及監事ハ總會ニ於テ組合員又ハ組
合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ
中ヨリ之ヲ選任ス但シ組合設立當時ノ
理事及監事ハ創立總會ニ於テ第十二條
第一項ノ場合ニ在リテハ設立同意者又
ハ設立同意者タル法人ノ業務ヲ執行ス
ル役員ノ中ヨリ、第二十八條ノ四第一項
ノ場合ニ在リテハ組合員タル資格ヲ有
スル者又ハ組合員タル資格ヲ有スル法
人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ之ヲ
選任スベシ
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ
前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スル
コトヲ得此ノ場合ニ於ケル選任ハ行政
官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效
力ヲ生ゼズ
第二十條ノ二第三條第一項第一號ノ事
業ヲ行フ工業組合ニシテ全國ヲ地區ト
スルモノ若ハ第八條ノ規定ニ依ル命令
アリタルモノ又ハ第二十八條ノ三ノ規
定ニ依ル工業組合ノ理事ノ選任及解任
ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ
其ノ效力ヲ生ゼズ
組合ガ前項ノ規定ノ適用ヲ受クルニ至
リタル場合ニ於テ現ニ其ノ職ニ在ル理
事ハ其ノ選任ニ付前項ノ規定ニ依ル認
可ヲ受ケタルモノト看做ス
第一項ニ揭ゲタル組合ノ理事ノ選任ニ
付テハ前條第三項ノ規定ニ依ル認可ヲ
受クルコトヲ要セズ
第二十一條ノ二組合員ハ代理人ヲ以テ
議決權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テ
ハ之ヲ出席ト看做ス
前項ノ代理人ハ組合員タルコトヲ要ス
但シ法人タル組合員ハ其ノ業務ヲ執行
スル役員又ハ支配人ヲ代理人ト爲スコ
トヲ得
代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ組合ニ
差出スベシ
第二十二條第一項中「ノ一部」ヲ削ル
第二十八條中「又ハ定款」ヲ「、定款又ハ第
六條ノ二ノ規程」ニ改ム
第二十八條ノ三行政官廳當該工業ノ統
制ヲ圖リ國民經濟ノ健全ナル發達ヲ期
スル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ命
令ノ定ムル所ニ依リ地區及組合員タル
資格ヲ定メ其ノ地區內ニ於テ組合員タ
ル資格ヲ有スル者ニ對シ工業組合ノ設
立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル
者行政官廳ノ指定スル期限迄ニ設立ノ
認可ヲ申請セザルトキハ行政官廳ハ定
款ノ作成其ノ他設立ニ關シ必要ナル處
分ヲ爲スコトヲ得
第二十八條ノ四前條第一項ノ規定ニ依
リ工業組合ノ設立ヲ命ゼラレタルトキ
ハ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル
事項ヲ定メ役員ヲ選任シ設立ノ認可ヲ
申請スベシ
前項ノ創立總會ニ於ケル議決及役員ノ
選任ハ出席者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ
以テ之ヲ爲ス
第二十八條ノ五行政官廳第二十八條ノ
三第二項ノ規定ニ依リ定款ヲ作成シタ
ルトキハ工業組合ノ理事及監事ヲ命ズ
前項ノ理事ハ遲滯ナク總會ヲ招集スベ
シ
前項ノ總會ニ於テハ組合設立當時ノ經
費ノ收支豫算及分賦收入方法ヲ議決ス
ベシ
第二十二條第二項ノ規定ハ前項ノ議決
ニ之ヲ準用ス
第二十八條ノ六第二十八條ノ三ノ規定
ニ依ル工業組合ハ第三條第一項第二號
及第二項ノ事業ヲ行フコトヲ得ズ
第二十八條ノ七第二十八條ノ三ノ規定
ニ依ル工業組合成立シタルトキハ其ノ
組合ノ地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ
有スル者ハ其ノ組合ノ組合員トス
第二十八條ノ八第二十八條ノ三ノ規定
ニ依ル工業組合ハ其ノ組合員ヲシテ出
資ヲ爲サシムルコトヲ得ズ
第二十八條ノ九第二十八條ノ三ノ規定
ニ依ル工業組合ハ合併ヲ爲スコトヲ得ズ
第三十條中「設立セムトスルトキ」ノ下ニ
「又ハ第三十三條ノ規定ニ依リ準用シタ
ル第二十八條ノ三ノ規定ニ依リ其ノ設立
ヲ命ゼラレタルトキ」ヲ加フ
第三十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
前二項ノ規定ハ第三十三條ノ規定ニ依
リ準用シタル第二十八條ノ三ノ規定ニ
依ル工業組合聯合會ニ付テハ之ヲ適用
セズ
第三十二條第一項中「又ハ所屬ノ工業者」
ノ下ニ「若ハ所屬ノ工業者タル法人ノ業
務ヲ執行スル役員」ヲ加ヘ同條第二項ヲ
左ノ如ク改ム
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ
前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スル
コトヲ得此ノ場合ニ於ケル選任ハ行政
官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效
力ヲ生ゼズ
第三十三條但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ第三條中組合員トアルハ所屬ノ組
合、聯合會、工業者及組合員トシ第二
十條ノ二中全國トアルハ道府縣ノ區域
ヲ超ユル區域トス
第三十四條第二項中「、總會又ハ創立委員
會ノ決議錄」ヲ「又ハ總會ノ決議錄ノ謄
本、組合ノ設立アリタルコトヲ證スル書
面」ニ改メ同項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ第二十八條ノ三ノ規定ニ依ル工業
組合ニシテ行政官廳ノ處分ニ因リ成立
シタルモノニ在リテハ創立總會又ハ總會
ノ決議錄ノ謄本、出資ノ總口數ヲ證ス
ル書面及出資ノ第一囘ノ拂込アリタル
コトヲ證スル書面、其ノ他ノモノニ在
リテハ出資ノ總口數ヲ證スル書面及出
資ノ第一囘ノ拂込アリタルコトヲ證ス
ル書面ハ之ヲ添附スルコトヲ要セズ
第三十八條中「第三十五條乃至第三十七
條」ヲ「第三十五條、第三十六條」ご飯く.
「第百四條ノ規定」ノ下ニ「(第二十八條ノ
三ノ規定ニ依ル工業組合ニ付テハ產業組
合法第十條、第十一條第一項、第十二條、
第十八條乃至第二十二條、第四十條乃至
第四十三條、第四十四條第二項、第四十
五條、第四十六條、第四十八條、第五十
一條第三號乃至第五號、第五十二條乃至
第五十八條、第六十二條第一項第一號第
三號、第六十三條ノ二、第六十四條、第
六十六條第一項、第六十七條、第六十八
條及第七十七條第三項ノ規定ヲ除ク)」ヲ
加フ
第三十九條第三號ヲ第四號トシ以下順次
繰下ゲ同條第二號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
三本法ニ依ル屆出ヲ爲スコトヲ怠リ
又ハ不正ノ屆出ヲ爲シタルトキ
第四十條中「第二項」ヲ「第二項(第三十三
條ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)又
ハ第三項(第三十三條ノ規定ニ依リ準用
スル場合ヲ含ム)」ニ改ム
第四十二條第八條ノ規定(第三十三條
ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ
依ル行政官廳ノ命令ニ違反シタル者ハ
千圓以下ノ罰金ニ處ス
販賣ノ目的ヲ以テ前項ノ犯罪ニ係ル工
產品ナルコトヲ知リテ其ノ交付ヲ受ケ
タル者亦前項ニ同ジ
前二項ノ場合ニ於テハ犯人ノ所有シ又
ハ所持スル工產品ヲ沒收スルコトヲ得
若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト
能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追徵スルコ
トヲ得
第四十二條ノ二工產品ニ關スル業ヲ爲
ス者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居
者雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ
關シ前條ノ罪ヲ犯シタルトキハ自己ノ
指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ
免ルルコトヲ得ズ
第四十二條ノ三第四十二條ノ罰則ハ其
ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其
ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、
未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ
法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關
シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年
者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十二條ノ四正當ノ理由ナクシテ第八
條ノ二ノ規定(第三十三條ノ規定ニ依
リ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル當該官
吏ノ臨檢檢査、搜索又ハ差押ヲ拒ミ、妨
ゲ又ハ忌避シタル者ハ五百圓以下ノ罰
金ニ處ス
第四十三條中「五百圓」ヲ「千圓」ニ改ム
第五十二條第三項中「一月」ヲ「二月」ニ改
ム
第五十五條中「第十九條」ノ下ニ「、第二十
一條」ヲ加へ但書中「第三十八條ノ二、」ヲ
削リ「及第七十七條第三項」ヲ「、第七十七
條第三項及第七十八條」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十條ノ二第一項(第三十三條ノ規定
ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ該當スル
工業組合又ハ工業組合聯合會ノ理事ニシ
テ本法施行ノ際現ニ其ノ職ニ在ル者ハ其
ノ選任ニ付同條ニ依リ認可ヲ受ケタルモ
ノト看做ス
百貨店法案
百貨店法
第一條本法ニ於テ百貨店業者ト稱スル
ハ同一ノ店舗ニ於テ命令ヲ以テ定ムル
賣場面積ヲ有シ命令ノ定ムル所ニ依リ
衣〓住ニ關スル多種類ノ商品ノ小賣業
ヲ營ム者ヲ謂フ
第二條同一ノ建物ニ於テ二人以上ノ小
賣業者各命令ヲ以テ定ムル賣場面積ヲ
有シ相連繫シテ營業ヲ爲ス場合其ノ賣
場面積及販賣スル商品ガ相合シテ前條
ノ規定ニ依ル賣場面積及商品ノ種類ニ
該當スルトキハ各小賣業者ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ之ヲ百貨店業者ト看做ス
第三條百貨店業ヲ營マントスル者ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ
受クベシ
第四條百貨店業者ハ左ノ場合ニ於テハ
命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可
ヲ受クベシ
-支店、出張所其ノ他ノ店舗又ハ配
給所ヲ設置セントスルトキ
二本店、支店、出張所其ノ他ノ店舗
ノ賣場面積ヲ擴張セントスルトキ
三店舗以外ニ於テ小賣ヲ爲サントス
ルトキ
第五條主務大臣必要アリト認ムルトキ
ハ前二條ノ許可ヲ爲スニ當リ之ニ制限
又ハ條件ヲ附スルコトヲ得
第六條百貨店業者ハ閉店時刻以後及休
業日ニ於テ營業ヲ爲スコトヲ得ズ
前項ノ營業ノ範圍、閉店時刻及休業日
ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
第七條百貨店業者ハ其ノ統制ヲ圖リ小
賣業ノ圓滿ナル發達ヲ期スル爲主務大
臣ノ認可ヲ受ケ百貨店組合ヲ設立スル
コトヲ得
第八條百貨店業者百貨店組合ヲ設立セ
ザル場合ニ於テ主務大臣必要アリト認
ムルトキハ百貨店業者ニ對シ百貨店組
合ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル
者主務大臣ノ指定スル期限迄ニ設立ノ
認可ヲ申請セザルトキハ主務大臣ハ定
款ノ作成其ノ他設立ニ關シ必要ナル處
分ヲ爲スコトヲ得
第九條百貨店組合ハ法人トス
百貨店組合ハ營利事業ヲ爲スコトヲ得ズ
第十條百貨店組合ハ左ノ事業ヲ行フコ
トヲ得
一組合員ノ營業ニ關スル統制
二組合員ノ營業ニ關スル指導
三小賣業ニ關スル〓究又ハ調査
四其ノ他組合ノ目的達成上必要ナル
事業
第十一條百貨店組合ハ設立ノ認可アリ
タル時又ハ第八條第二項ノ規定ニ依リ
定款ノ作成アリタル時成立ス
百貨店組合ノ設立アリタルトキハ各事
務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲ス
ベシ登記シタル事項中ニ變更ヲ生ジタ
ルトキ亦同ジ
百貨店組合ノ設立又ハ登記シタル事項
ノ變更ハ其ノ登記ヲ爲スニ非ザレバ之
ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第十二條百貨店組合ハ全國ヲ通ジテ一
箇トシ組合ノ設立アリタルトキハ百貨
店業者ハ其ノ組合員トス
第十三條百貨店組合ハ第十條第一號ノ
事業ヲ行フ場合ニ於テハ之ニ關スル規
程ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ其
ノ規程ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第十四條主務大臣小賣業ノ圓滿ナ、ル發
達ヲ圖ル爲其ノ他公益上必要アリト認
ムルトキハ前條ノ規程ノ全部又ハ一部
ノ變更又ハ取消ヲ爲スコトヲ得
第十五條主務大臣小賣業ノ圓滿ナル發
達ヲ圖ル爲其ノ他公益上必要アリト認
ムルトキハ百貨店組合ニ對シ組合員ノ
營業ノ統制ニ關シ必要ナル事項ヲ命ズ
ルコトヲ得
第十六條主務大臣小賣業ノ圓滿ナル發
達ヲ圖ル爲其ノ他公益上必要アリト認
ムルトキハ百貨店組合ノ組合員ニ對シ
組合ノ統制ニ從フベキコトヲ命ズルコ
トヲ得
第十七條行政官廳ハ百貨店業者又ハ百
貨店組合ニ對シ其ノ業務ニ關シ報〓ヲ
爲サシメ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ
發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
行政官廳監督上必要アリト認ムルトキ
ハ當該官吏ヲシテ百貨店業者又ハ百貨
店組合ノ店舗、事務所其ノ他ノ場所ニ
臨檢シ業務ノ狀況又ハ帳簿書類其ノ他
ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場
合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶
セシムベシ
第十八條百貨店業者本法若ハ本法ニ基
キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處
分ニ違反シ又ハ第五條ノ規定ニ依リ許
可ニ附シタル制限若ハ條件ニ違反シタ
ルトキハ主務大臣ハ業務ノ停止若ハ法
人ノ役員ノ解任ヲ爲シ又ハ第三條若ハ
第四條ノ許可ヲ取消スコトヲ得
第十九條百貨店組合ノ決議又ハ組合ノ
役員ノ行爲ガ法令、定款若ハ行政官廳
ノ處分ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害
シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ
主務大臣ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一決議ノ取消
二役員ノ解任
三組合ノ事業ノ停止
四組合ノ解散
第二十條本法ニ規定スルモノヲ除クノ
外百貨店組合ノ設立、登記、管理、解
散〓算其ノ他組合ニ關シ必要ナル事
項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一條第十四條乃至第十六條ノ規
定ニ依ル命令又ハ處分其ノ他本法施行
ニ關スル重要事項ニ付主務大臣ノ諮問
ニ應ゼシムル爲百貨店委員會ヲ置ク
百貨店委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第二十二條第三條ノ規定ニ違反シ主務
大臣ノ許可ヲ受ケズシテ百貨店業ヲ營
ミタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
ー第四條ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベ
キ事項ヲ許可ヲ受ケズシテ爲シタル
者
二第十五條又ハ第十六條ノ規定ニ依
ル命令ニ違反シタル者
第二十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
-第六條ノ規定ニ違反シテ營業ヲ爲
シタル者
二正當ノ事由ナクシテ第十七條ノ規
定ニ依ル報〓ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ報
告ヲ爲シ又ハ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ
忌避シ其ノ他行政官廳ノ命令又ハ處
分ニ違反シタル者
第二十五條百貨店業者又ハ百貨店組合
ハ其ノ代理人、戶主、家族、雇人其ノ
他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法若ハ
本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キ
テ爲ス處分ニ違反シタルトキハ自己ノ
指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ
免ルルコトヲ得ズ
第二十六條本法又ハ本法ニ基キテ發ス
ル命令ニ依リ適用スベキ罰則ハ其ノ者
ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他
ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成
年者又ハ禁治產者ナルトキ、ハ其ノ法定
代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成
年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ
付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十七條百貨店組合本法又ハ本法ニ
基キテ發スル命令ニ依ル登記ヲ爲スコ
トヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ爲シタルト
キハ組合ノ役員又ハ〓算人ヲ三百圓以
下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ營業ヲ爲ス百貨店業者
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ第三條ノ許可ヲ
受ケタルモノト看做ス
〔政府委員木暮武太夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=7
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008・木暮武太夫
○政府委員(木暮武太夫君) 只今議題トナ
リマシタ四ツノ法案ノ中、先ヅ貿易及關係
產業ノ調整ニ關スル法律案カラ提案ノ理由
ヲ御說明申上ゲマス、我ガ國民經濟ノ發展
ヲ期スル爲ニハ、貿易ノ伸張ヲ圖ルノ必要
アルコトハ申上ゲルマデモナイノデアリマ
シテ、幸ニシテ我國ノ貿易ハ數年來比較的
好調ヲ續ケマシタコトハ御承知ノ通リデア
リマスガ、近時諸外國ノ我國商品ニ對シマス
ル輸入防遏ノ措置ハ、容易ニ緩和ヲ見ザル
情勢ニアルノデアリマシテ、此情勢ノ下ニ
於キマシテ、我ガ貿易ノ維持發展ヲ圖ル爲
ニハ、外ニ對シマシテハ相手國ノ各般ノ事
態ニ臨ミマシテ、出來得ル限リ是等ノ防遏
ノ措置ヲ豫防若クハ緩和スル爲ニ、敏速ニ
有效適切ナル措置ヲ講ジ得ルノ準備ヲ調ヘ
テ置ク必要ガアルノデアリマス、更ニ現下
ノ內外ノ情勢ニ鑑ミマスルニ、生產力ノ擴
充ヲ緊要トスルノ事情ニアリマシテ、是ガ
爲メ相當必要ナル原料、材料等ノ輸入ノ增
大ヲ來シマシテ、國際收支ハ必シモ樂觀
ヲ許サザルノ情勢ニアルノデアリマス、ソ
レ故ニ國際收支ノ適合ヲ圖ルノ必要アルコ
トハ固ヨリ、重要物資ノ供給ヲ適正ナラシ
ムルコトヲ必要トスルノデアリマス、是等
ノ目的ヲ達成スルガ爲ニハ、輸出及ビ輸入
雙方ニ統制ヲ加フル必要ガアルノデアリマ
シテ、其結果隨テ關係產業ノ利害ノ調整ヲ
モ必要トスルノデアリマスガ、政府ハ出來
得ル限リ是等ノコトヲヤリマスルノニ、關
係業者ノ自治的統制ニ依ルコトト致シタイ
ノデアリマス、貿易ノ統制ヲ必要トスル場
合或ハ既ニ實施セル統制ニ付キマシテ、
貿易ノ部門ト國內產業ノ部門トノ間ノ利害
ノ衝突ガアル場合ニ於キマシテハ、關係業
者ヲシテ自治的ニ適當ナル統制、又ハ利害
調整ノ方策ヲ執ラシムル途ヲ開クコトニ致
シタノデアリマス、若シ夫レ關係業者ニ於
キマシテ、自治的ニ是等ノ方策ヲ實施致シ
マセヌ場合ニ於キマシテハ、特ニ政府ニ於
キマシテ必要ト認メマスル場合ニ於キマシ
テハ、權威アル審議機關ノ議ヲ經マシテ、
關係業者一般ニ對シテ其實施ヲ政府ニ於テ
命ジ得ルノ途ヲモ開イタノデアリマス、尙
ホ近時ノ内外ノ經濟情勢ハ變轉極マリナイ
ノデアリマシテ、以上ノ如キ關係業者ノ自
治的ノ統制ノ實施ヲ俟ツ暇ガナイ場合モア
リマスシ、又彼等ノ統制ヲ以テシテハ十分
デナイ場合モ豫想セラレマスルノデ、斯ル場
合ニハ政府ハヤハリ權威アル審議機關ノ議
ヲ經マシテ、輸出、輸入ノ制限又ハ禁止ヲ
爲シ得ルノ途ヲモ開イタノデゴザイマス、
是ガ貿易及關係產業ノ調整ニ關スル法案デ
ゴザイマシテ、固ヨリ現下ノ國際情勢ニ對
處致シマスル臨時ノ措置デアリマスルカラ、
其有效期間ヲ五箇年間ト限定致シマシタ次
第デアリマス
第二ニ貿易組合法案提案ノ理由ヲ御說明
申シマス、政府ハ從來諸般ノ對策ト共ニ、
輸出組合制度ノ運用ニ依リマシテ、外國ノ
情勢ニ應ジ或ハ輸出統制ヲ行ハシメ、或ハ
海外市場ノ調査開拓等ノ共同事業ヲ行ハシ
メマシテ、輸出貿易ノ伸張ヲ圖ッテ今日マデ
參ッテ來タノデアリマス、併シナガラ輸出組
合運用ノ實績ニ徵シマシテ、此際輸出統制
機構ヲ一層整備スル必要ヲ認メタノデアリ
マス、例ヘバ急迫セル海外情勢ニ對應シ
テ、遲滯ナク輸出統制ヲ實施致シマスル爲
ニハ、組合ノ任意ノ設立ヲ俟ツコトガ出來
ナイヤウナ場合ガアリマスルカラ、其場合
ニハ政府ガ强制設立ヲ命ジ得ルモノト爲ス
コトモ必要デアルシ、又組合ノ統制ニ服ス
ベキ範圍ヲ擴張致シマシテ、統制ニ間隙ヲ
ナカラシムルコトモ實際上必要デアリマ
ス、又他面、輸入貿易ノ方面ニ於キマシ
テ、原料國策乃至貿易調整等ノ立場カラ、
輸入品ノ買付先ヲ分散致シマシタリ、或國
カラノ輸入ヲ制限スル爲ニ、輸入ノ統制ヲ
爲サシムルノ必要ガアリマスルノデ、新シ
ク輸入組合ノ制度ヲ設ケマシテ、輸入貿易
ヲ組織化スルコトト致シマシタノデアリマ
ス、又自分ノ國ノ物產ノ買付ヲ要求スル求
償貿易國ニ對シマシテハ、輸出組合ト輸入
組合トヲ相提携セシメマシテ、其國ノ物產
ノ買付ヲ圖ラシムルト共ニ、販路開拓等ノ
共同事業ヲモ行ハシムル必要ガアルノデア
リマス、尙ホ輸出組合、輸入組合及ビ是等
組合ノ聯合會ノ普及發達及ビ連絡ヲ圖リマ
スル爲ニ、貿易組合中央會ヲ設クル必要ガ
アルノデアリマス、本法案ハ是等ノ目的ノ
爲ニ立法致シマシタノデゴザイマシテ、從
來ノ輸出組合法ハ之ヲ廢止スル積リデゴザ
イマス
次ニ工業組合法中改正法律案ノ提案ノ理
由ヲ御說明申上ゲマス、我國中小工業ノ現
狀ヲ見マスルト、其最大ノ缺陷ト致シマス
ル所ハ業界ノ無秩序、無統制ニ起因スル濫
造濫賣ニアルノデアリマシテ、是ガ軈テ
貿易ノ進展ヲ阻碍スル所ガ大ナルモノガア
ルノデアリマス、此弊害ハ工業組合制度ノ
發達ニ依リマシテ漸次改善サレツヽアルノ
デアリマスガ、尙ホ統制確保ノ方法ニ付キ
マシテ遺憾ノ點ガアリマスノデ、是ガ整備
ヲ圖ル必要ヲ認メタノデアリマス、殊ニ近
時ノ國際貿易ノ情勢ニ依リマシテ、曩ニ申
シマシタヤウニ、輸出及ビ輸入ノ統制ノ確
立ヲ急務トスル事情ガゴザイマスカラ、其
圓滑ナル實施ヲ圖リマス爲ニハ、貿易ノ統
制ト云フモノニ對應シテ、關係工業者方面
ニ於キマシテモ、亦統制ヲ圖ル爲ニ適當ナ
ル組織ヲ必要ト致スノデアリマス、仍テ此
際工業組合法ノ適用範圍ヲ擴張致シマスル
ト共ニ、統制ヲ主トスル工業組合ノ制度ヲ
新シク認メマシテ、工業組合ノ統制組織ノ
擴充及ビ統制確保ノ方法ヲ講ジマシテ、同
時ニ之ニ伴ウテ工業組合ニ對スル監督規定
ヲ補フナド、工業組合制度ヲ整備致シマシ
テ、由テ以テ現下ノ產業經濟ノ實勢ニ對應
シテ、適切ナル統制ヲ圖ラントスル次第デ
ゴザイマス
以上御說明申上ゲマシタ三法案ハ前議會
ニ提出致シタノデアリマスガ、其中貿易及
關係產業ノ調整ニ關スル法律案ダケハ、其
後ノ情勢ノ變化ニ伴ヒマシテ多少變更ヲ加
ヘマシテ、今度新ニ提案ヲ致シマシタ次第
デゴザイマス、何卒御審議ノ上御協賛ヲ與
ヘラレンコトヲ御願致ス次第デアリマス(拍
手)
モウ一ツ御說明申上ゲマス、百貨店法案
提出ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、我國ノ中
小商業者ノ更生振興ヲ圖ルコトガ、現下ノ
急務トナッテ居ルコトハ申ス迄モナイノデ
ゴザイマス、固ヨリ中小商業者窮迫ノ原因
ハ色々アルノデアリマシテ、一部分ノ原因
ハ彼等自身ノ經營上ノ缺陷ニ基ク所モアル
ノデアリマスガ、又一面大規模經營ニ依ル
百貨店ノ進出ノ結果、相當大ナル影響ヲ受
ケテ居ルコトモ否定スルコトガ出來ナイ事
實デアリマス、尤モ百貨店ハ其大ナル資本
信用ト、近代的ナ組織經營トニ依リマシ
テ、小賣制度ノ合理化ニ貢獻シテ、消費者
ニ利便ヲ與ヘテ居ルコトハ申ス迄モナイノ
デゴザイマス、併シ何ト申シマシテモ、其
急激ナル進出ハ一般中小商業者ニ少カラザ
ル影響ヲ及ボシテ居ルノデアリマス、是ガ
爲ニ政府ハ曩ニ日本百貨店商業組合ヲ組
織致サセマシテ、其營業統制規定ニ基
キ、政府ノ監督ノ下ニ、彼等ノ營業ニ關シ
マシテ各種ノ制限ヲ實施致サセ、一般中小
商業者トノ利害ノ調整ヲ圖ラシムルコトニ
努メテ參ッタノデゴザイマス、然ルニ最近ニ於
テ百貨店ノ新設又ハ擴張ガ相次イデ行ハレ
マシテ、百貨店同士ノ競爭ヲモ惹起スルヤ
ウナ次第トナリマシテ、其弊害ノ及ブ所ガ、
百貨店ノ配給機關トシテノ作用ヲモ損フノ
デハナイカト云フヤウナ虞モ段々アルヤウ
ニナッテ參ッタノデアリマシテ、從來ノ商業
組合ダケデハ小賣商業ノ保護ノ目的ヲ十分
達シ難イ狀態ニ立至ッテ居ルノデアリマス、
ソコデ新ニ百貨店法ヲ制定致シマシテ、百
貨店ノ新設擴張竝ニ其營業ニ適切ナル統制
ヲ加ヘマシテ、百貨店相互ノ不當ナル競爭
ヲ排除致シマスルト共ニ、百貨店ト中小商業
者トノ關係ヲ調整致シマシテ、小賣業全般
ノ圓滿ナル發達ヲ期シタイ、斯ウ存ジマシ
テ玆ニ本法案ヲ提出致シマシタ次第デゴザ
イマス、何卒十分御審議ノ上御協贊アラン
コトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=8
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009・小山松壽
○議長(小山松壽君) 各案ニ對シ質疑ノ通
告ガアリマスガ、陸軍大臣ヨリ報〓致シタ
イトノコトデアリマス、又陸軍大臣ハ他ニ
緊急ノ用件モアルトノコトデアリマスカラ、
此際其說明ヲ求メタイト考ヘマス、御諒承
ヲ乞ヒマス(拍手)-杉山陸軍大臣
通州事件ニ關スル陸軍大臣ノ報〓
〔國務大臣杉山元君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=9
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010・杉山元
○國務大臣(杉山元君) 今囘通州ニ勃發致
シマシタ事件ニ付テ申上ゲマス、御承知ノ
進リ通州ハ冀東防共自治政府ノ所在地デア
リマシテ、治安維持ニハ同政府ノ保安隊ガ
任ジテ居ルノデアリマス、元來此保安隊ハ
我方ニ好意ヲ持ッテ居リマシテ、七月二十七
日、通州ノ城外ニ駐屯ヲ致シテ居リマスル
第二十九軍部隊ノ武裝解除ヲ致シマスル時
ニ於キマシテハ、我軍ニ協力ヲシテ解除ニ從
事ヲ致シテ居リマスル、又塘沽ノ對岸大沽
ニアリマスル支那軍攻擊ノ時ニモ、我軍ト
協同動作ヲシタノデアリマス、通州ニ於ケ
ル我ガ居留民ハ、平時內地人約百十名、朝
鮮人約百八十名デアリマシテ、我ガ駐屯軍
ハ常ニ一小部隊ヲ守備ニ任ゼシメテ居ッタ
ノデアリマスルガ、此事件ガ勃發ヲ致シマ
シタ當時ハ、居留民ハ約三百八十名ニ增加
ヲ致シテ居リマシタ、我軍ハ守備隊其他ヲ
合シテ約百名ニナッテ居ッタノデアリマス
七月二十九日駐屯軍ハ主力ヲ以テ北平周
邊ニアリマスル支那軍掃蕩ヲ實施シテ居ッ
タノデアリマスルガ、通州ノ守備隊ガ襲撃
ヲ受ケテ苦戰ニ陷ッテ居ルトノ報〓ガアリ
マシタノデ、軍司令官ハ直チニ飛行隊ヲ救
援ニ出動セシメマシテ、通州附近ノ狀況偵
察竝ニ支那軍爆擊ニ任ゼシメタノデアリマ
ス、然ルニ三十日ニ至リマシテ、軍司令官
ハ通州ノ襲撃ハ冀東保安隊ノ叛亂デアルト
云フコトヲ知リマシテ、直チニ南苑ノ敵ヲ追
擊中デアリマシタ河邊部隊ヨリ一部ヲ引拔
キマシテ、通州救援ニ急行セシメタノデア
リマシタガ、該部隊ハ三十日午後四時過ギ
ニ通州ニ到著致シタノデアリマスケレドモ、
敵兵ハ依然通州城ニ占據シテ居リマシテ、
之ヲ擊攘シナケレバ市街內ノ居留民ノ狀況
ヲ詳ニスルコトガ出來ナカッタノデアリマ
ス、且ツ電信電話線ハ悉ク切斷ヲセラレ、
無線通信モ何等ノ應答ナク、飛行機モ亦天
候及ビ敵兵ニ阻マレテ利用スルコトガ出來
マセズ、加フルニ北平ト通州間ニハ敗殘兵
ガ出沒ヲ致シテ居リマシテ、連絡ヲスルコ
トガ出來マセナンダ爲ニ、狀況不明デ焦燥
ト憂慮ノノ中ニ經過ヲシテ居ッタノデアリマ
スルガ、三十一日夕ニ至リマシテ、漸ク居
留民六十名ヲ收容シ得タケレドモ、其他ハ
不明デアルト云フコトヲ知リ得タ次第デア
リマス、其後到著ヲ致シマシタ諸報〓ヲ綜
合シマスルニ、居留民三百八十名ノ中百八
十名ヲ收容スルコトガ出來タノデアリマス
ルガ、其他ハ行方不明デ目下搜索中トノコ
トデアリマス、今後生存者モ可ナリ出テ來
ルトハ存ズルノデアリマスルガ、相當數ノ
者ハ暴虐ナル支那兵ノ爲ニ殺害ヲサレタモ
ノト想像致シテ居リマス、又我ガ特務機關
ハ、細木中佐ハ生死不明デアリ、甲斐少佐
以下七名ハ戰死デアリマシテ、通州守備隊
ハ戰死五名、負傷七名ヲ出シテ居リマス、
尙ホ眞相ハ引續キ調査中デアリマシテ、只
今申述ベマシタ事柄ノ中ニモ、事實ト異ナ
ル點モアルカトモ存ズルノデアリマスルガ、
取敢ヘズ只今マデニ判明致シマシタ所ヲ申
上ゲル次第デアリマス
本事件ハ殷汝耕ノ最モ信賴ヲシテ居リマシ
タ〓導總隊ガ支那側ノ煽動ニ眩惑サレマシ
テ、第一、第二總隊ノ一部ヲモ誘ヒ込ミ、
約三千名ガ寢返リヲシタコトニ依ッテ惹起
サレタル兵變デアリマシテ、全ク豫想シ得
ナカッタ所デアリマス、併ナガラ無辜ナル多
數ノ同胞ガ暴戾殘虐ナル支那兵ノ手ニ掛リ
マシテ、悲慘ナル最期ヲ遂ゲルニ至リマシ
タル事柄ハ、洵ニ殘念至極デ、最モ遺憾ト
スル所デアリマシテ、此度犠牲ニナラレタ
方々ニ對シマシテハ、衷心哀悼ノ意ヲ表ス
ル者デアリマス、之ヲ以テ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=10
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011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ日程ノ第二乃
至第五ニ對スル質疑ヲ許シマス、此際一言
致シマス、本日ハ質疑者多數ニ上ッテ居リ
マスノデ、質疑者諸君ハ各派交涉會ノ申合
セニ依リ各〓十五分以内ニ於ケル質疑ヲ爲サ
ルヽヤウ御注意アランコトヲ豫メ申上ゲ
テ置キマス、通〓ニ依ッテ順次之ヲ許シマ
ス-岡崎久次郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=11
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012・岡崎久次郎
○岡崎久次郞君 只今陸軍大臣ノ報〓ヲ拜
聽致シマシタガ、只今提案サレテ居ル四項
目ハ商工關係デアリマスガ、商工大臣ハ出
席出來ナイノデアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=12
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013・小山松壽
○議長(小山松壽君) 先刻御報告申上ゲマ
シタヤウニ、只今臨時閣議中ノ趣デアリマ
ス、政府委員ガ居リマスカラ政府委員ニ御
質疑ニナッタラ如何デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=13
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014・岡崎久次郎
○岡崎久次郞君 陸軍大臣ハ出席シテ居ラ
レル··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=14
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015・小山松壽
○議長(小山松壽君) 陸軍大臣ハ今退席致
サレルノデアリマス
〔岡崎久次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=15
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016・岡崎久次郎
○岡崎久次郞君 私ハ貿易及關係產業ノ調
整ニ關スル法律案、此問題ニ付キマシテ、
提案ニ對シテ質疑ヲ行ハントスル者デアリ
マス、只今御說明ニ依リマシテ拜聽致シマ
シタ所、本案ハ貿易審議會ノ議ヲ經テ、日
本ノ輸出及ビ輸入貿易總額六十億ニ達セン
トスル產業ノ根幹デアル輸入及ビ輸出ノ總
テニ亙ッテ、之ヲ制限シ又ハ禁止シヨウ、輸
出ヲ止メ、輸入ヲ止メ、制限ヲシ或ハ禁止
ヲシヨウト云フ法律ノ制定デアリマス、其
次ニアリマスル貿易組合法モ稍〓ソレヲ第
一ノ垣根トシテ輸出入ヲ制限シヨウトスル、
又工業組合法モ、之ヲ强化シテ輸出ヲ止メ、
輸入ヲ制限シヨウト云フ案デアリマスガ、
全體日本ノ貿易上商工省ガ輸出ヲ制限シ、
或ハ禁止セントスル消極的ナ御考ヲ常ニ
持ッテ居ラレル、今囘ノ此三ツノ法律ニ依ッ
テ、商工省ハ商工行政ノ消極主義ヲ積極的
ニ現ハシテ來タ、此三ツノ垣根ニ依ッテ、輸
出モ是デ制限ガ出來ルカラ結構、輸入モ是
デ止メラレルカラ結構、日本貿易ノ衰退ヲ
來セバ結構ダト仰シヤルヤウナ意味ニ聽取
レタガ、是ハ私ハ甚ダ腑ニ落チナイ、凡ソ
產業ノ根幹ヲ成ス日本ノ貿易-最近三四
箇年間ト云フモノハ、貿易ガ輸出入ノ均衡
ヲ得タ爲ニ、產業モ隆興シ、國際收支モ調
節セラレ、ソシテ躍進日本ノ工業ガ進步シ、
及ビ國家ノ收支モ僅ニ之ニ依ッテ償ッテ來タ
ノデアリマス、而シテ來ルベキ紀元二千六百
年ニハ、世界ノ國民ヲ集メテ萬國大博覽會
ヲ開設シテ、躍進日本ノ工業ノ姿ヲ示サン
トスル、此日本國民ノ意氣ニ燃エタル場合
ニ於テ、政府ハ輸出ヲ制限シ、輸入ヲ調節
シ、禁止セントスル法律ヲ進ンデ出シテ居
ラレル、甚ダ以テ私ハ腑ニ落チヌト思フ、
サウシテソレノミナラズ、此三ツノ關係法
律ニ依ッテ悉ク手モ足モ縛ラウ、是ガ此案ノ
趣旨デアリマス、或ハ時節柄必要デアルカ
モ知レヌ、ソレナラバ手モ足モ抑ヘル一方
ニ、是ガ對策トシテ大イニ輸出ヲ振興シ、
輸入ヲ安全ナラシメル方策ノ案ヲ出スナラ
宜イケレドモ、ソレ無シニ唯制限バカリシヨ
ウトスル商工省ノ消極政策ハ、玆ニ至ッテ極
マレリト私ハ言フ(拍手)斯クシテ如何ニシ
テ國民生活ノ安定ヲ期スルコトガ出來ルカ、
斯クシテ如何ニシテ產業ノ發展ガ出來ルカ、
斯樣ナ考ヲ以テ常ニ統制々々ト言ッテ、當世
流行ルカモ知レナイケレドモ、(笑聲)統制
經濟ダト言ッテ、上カラ指導監督セントスル
其心得方ハ、一ツ御考へ方ヲ御直シニナッタ
ラ如何デセウカ(拍手)最近ノ有ユル法律ヲ
御覽ナサイ、政府ハ何デモ統制シナケレバ
ナラヌト言ッテ、總テヲ統制サレルノデア
ル、斯樣ナ風デ、統制好キナ商工省トシテ
ハ御滿足カモ知レヌケレドモ、國民トシテ
ハ甚ダ御滿足デハアリマセヌ(笑聲)全體日
本ノ輸出業ト云フモノヲ、アナタ方ハ常ニ
薄利デ賣ルトカ、濫賣ダトカ、濫造ダトカ
言ッテ貶サレルガ、關西--大阪ヲ中心トス
ル日本ノ產業ノ勃興ハ此輸出ニアルノデア
ル、輸出アッテ初メテ工業ノ活潑ナル動キガ
アルノデアル、輸出ト云フモノハ貿易上、
產業上ノ大乘デアル、大乘ノ上ヲ走ッテ居ル
ノガ輸出デアル、何故ナレバ世界國民ノ前
ニ其商品ヲ陳列シテ、良イカ惡イカヲ見セ
テ買ハセル、此大乘的輸出ノ問題ニ付テ、
ドウモ輸出ハ安ク賣ルカラ怪シカラヌトカ、
濫賣ヲスルノハ怪シカラヌトカ、濫造スル
ノハ怪シカラヌノト言ハズニ、少シ指導奬
勵シテヤッタラドウデスカ、輸出業者ハ孜々
トシテ汗ト膏デ働イテ居ル、日本ノ輸出ナ
ドハ實際職工ノ汗ト膏ノ結晶デアルト云フ
コトヲ御考ニナラナケレバイカヌノデアル、
之ヲ御考ニナラズニ、常ニ統制法ヲ以テ色
色輸出ニ稅ヲ課ケテ、輸出ガ出來ナクナル
カラ嬉シイナアト云フ馬鹿ナ案ヲ出サレタ
政府モアル、ソコデ以テ消極ナル形ヲ以テ
國民ノ產業ヲ指導ナサラウト云フコトガ抑〓、
事ノ間違デアル、我國ノ貿易ト致シマシテ
ハ、餘計買ッテ居ル國ト、餘計賣ッテ居ル國
トアルガ、我國デハ餘計買ッテ居ル國ガ中
中多イ、例ヘバ諾威、瑞典ノ如キ、獨逸ノ
如キ、加奈陀ノ如キ、濠洲ノ如キ、亞米利
加モ吾々ハ生絲ノ大ナル輸出國デアルカラ、
好イ御客樣ダト思フガ、吾々ハ亞米利加カ
ラモ餘計買ッテ居ルノデアリマス、斯ウ云フ
國ニ對シテ、此方ガ餘計賣ッテ居ル處ハ日
蘭會商ダ、日濠會商ダト、色々ヤカマシイ
コトヲ言ハレテ、此方カラ餘計買ッテ居ル
處ハグーモスーモナイ、何ノ政策モ行ハ
レナイ、日本カラ日獨會商デモ、日加會
商デモヤッテ、向フニ少シ日本ノ品物ヲ買ハ
シテヤル、或ハ輸入稅ヲ安クサセルトカ、
種々ナル對策ヲ講ゼラルベキガ當然デアル、
事此處ニ至ラズシテ、常ニ消極的ニ向フ
カラ來ルノヲ待ッテ居ルト云フヤウナ外交
政策ハ、甚ダ間違ッテ居ルト思フノデアル
(拍手)
ソレカラ又輸入、輸出ノ中央會ヲ拵ヘル
ナラバ、輸出ノ振興ノ爲ニ旗ヲ御振リニナッ
タラドウダ、之ニ對シテ政府ハドウ云フ對
策ヲ持ッテ居ラレルノカ、是モ私ハ聽キタ
イ、輸入モ亦將來產業ノ原料トシテノ輸入
デアルカラ、國民ハ輸入ノ豐富ヲ希望シテ
居ル、無論爲替管理等ガアッテ、現在ハ非常
ニ不便ニナッテ居ルンダガ、豐富ナル輸入
ヲ希望シテ居ルノデアル、豐富ナル輸入ハ
豐富ナル輸出ニ依ッテノミ出來ルノデアル、
現在ノ如ク金ヲ現送シテ買ッテ居ルト云フ
ノハ制限ガアル、左樣ナ消極ノコトデナク、
須ク輸出ヲ增加シテ、之ニ依ッテ輸入ヲ增
シ、又更ニ輸出ヲ增加シテ輸入ヲ增ス、輸
出入相均衡ヲ保ッタル昭和十年、十一年ノ如
キガ一番良イ國家ノ形デアル、斯樣ナ風ニ
考ヘル時ニ、商工省ノ輸出ニ對スル對策ト
シテ、消極的デナク、如何ナル對策ガアル
カヲ承リタイ、又輸入勝デ、買勝チノ國ニ
對スル對策トシテハ、如何ナル方法ヲ執ル
ノデアルカ、是モ聽キタイ、將來ニ於ケル
貿易ノ均衡ハ如何ニシテ爲サル御積リナノ
カ、金ノ勘定ヲスル大藏省ナゾニ頭ヲ抑ヘ
ラレルノデナク、商工行政トシテ、日本工
業ノ爲メ、產業ノ爲メ、モット指導原理ヲ
ハッキリシテ、勇敢ニ、積極的ニ振興ナサラ
ヌト、日本ノ貿易ハ段々萎縮スル、現在六
億圓ノ輸入超過ニナッテ居ルヂヤアリマセ
ヌカ、之ニ對抗スルニハ輸出ノ振興ヨリ外
ニ何モ對策ハナイ筈デアル、何モ對策ヲ持
タズニ徒ニ輸出、輸入ヲ制限シヨウト云フ
ヤウナコトハ、是ハ消極的ナ政策デ、行詰
リヲ來サザルヲ得ヌ政策デアルト云フコト
ヲ考フル時ニ、商工省ノ對策ヲ私ハ承リタ
イト思フノデアリマス(拍手)
〔政府委員木暮武太夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=16
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017・木暮武太夫
○政府委員(木暮武太夫君) 岡崎サンノ御
質問ニ對シテ簡單ニ御答申上ゲマス、貿易
及關係產業ノ調整法ヲ提案致シマシタ理由
ハ、只今御叱リヲ受ケマシタヤウニ、日本
ノ貿易ヲ萎靡沈滯サセルト云フヤウナ氣分
デ出シタノデハゴザイマセヌ、御承知ノ通
リ最近ノ各國ガ段々ト一頃ノ自由主義經濟
カラ離レテ、自主的ニ「ブロック」經濟ヲ作リマ
シテ、サウシテ輸入輸出ノ上ニ色々ノ措置
ヲ致スヤウニ相成ッテ居リマスル、此世界ノ
貿易ノ現狀ニ顧ミマシテ、我國モ我國ノ輸
出輸入ニ國家ノ權力ヲ以テ統制ヲ加ヘル、
斯ウ云フ立場ヲ執ッテ、自主的ナ立場ヲ執ッ
テ居ル各國ト協調シテ、其間ニ日本ノ貿易
ヲ調整シテ、輸出ヲ伸バスベキモノハ伸バ
シテ行クト云フ方法ニ出ヅルコトガ、極メ
テ時宜ニ適シタルモノデアルト云フ考デ、
本法案ヲ提出致シタ次第デアリマス、而シ
テ將來我國ノ貿易ノ前途ニ對シテ、ドウ云
フ風ニ積極的ニヤルカト云フコトハ、此法
律ニ依リマシテ積極的ニ貿易調整ノ計畫ヲ
樹テヽ、サウシテ輸出ノ增加ヲ圖ルト共ニ、
又國內ニ於ケル所ノ國產原料ヲ使用スル產
業ヲ輸出產業ニ振換へ、其製品ノ輸出ノ增
進ヲ圖ルト云フヤウナコトニ依リマシテ、
極力輸出ノ增進ト云フコトニ全力ヲ盡シテ
努メル積リデゴザイマス、簡單ニ御答致シ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=17
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018・小山松壽
○議長(小山松壽君) 芦田均君
〔芦田均君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=18
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019・芦田均
○芦田均君 只今議題トナッテ居リマス問
題ノ中デ、貿易及關係產業ノ調整ニ關スル
法律案ニ付テ二三ノ質問ヲ致シマス、此法
律案ハ第七十議會ニ提案サレタ貿易調整法
ノ換骨奪胎シタル法案ト考ヘマスガ、其案
トノ一番大キナ差異ハ、國際收支ノ均衡ヲ
圖ル爲メ輸入ヲ制限若クハ禁止ヲスル爲
ニ、政府ガ獨裁權ヲ求メラレテ居ル點デア
ルト存ジマス、是ガ此法律ノ眼目トナッテ居
ルノデアリマシテ、只今政府委員ガ岡崎君
ニ御答ニナッタ點ノ如キハ、要スルニ枝葉末
節ノ問題ニ過ギナイノデアリマシテ、吾々
ハ此御答辯ニ深ク注意ヲ拂フ必要ハナイト
考ヘマス(笑聲)輸入禁止ヲ行フ場合ニ於テ
ハ、對外的ニハ諸外國ノ報復手段ヲ當然豫期
シナケレバナラヌノデアリマスカラ、必然
我ガ輸出ノ減少トナリ、國民經濟ニ重大ナ
影響ヲ與ヘルコトハ論ヲ俟タヌト思ヒマ
ス、又對內的ニハ、輸入禁止ノ結果國內物
價ノ急騰トナリ、延イテハ輸出ノ萎靡トナ
リ、國民經濟ノ混亂トナリ、貿易關係ノ產
業ガ萎縮スルコトモ、當然免レ得ナイ結果デ
アリマス、ケレドモ國際收支ノ現狀ガ今日
ノ如キ狀態デアル以上、政府ガ斯ル法律ヲ
御制定ニナラウト云フ、其事情ニ付テハ吾
吾モ之ヲ諒承スルノデアリマス、ソレ程今
日ノ我國ノ國際收支ハ旣ニ危イ地點ニ到達
シテ居ルノデアル、唯此法律ノ實行ニ當ッテ、
政府ガ餘程其手段方法ヲ御考ニナラナケレ
バ、國內經濟ニ極メテ甚大ナル惡影響ヲ及
ボスコトヲ吾々ハ憂慮致スノデアリマス、
隨テ此法律ノ運用ニ付テ一一三ノ質問ヲ致シ
タイト考ヘマス
第一點ハ只今岡崎君ノ御質問ニ依ッテ略、
盡キテ居ルノデアリマスガ、凡ソ貿易ノ管
理ヲ行ッタ場合ニハ、貿易ガ全面的ニ萎靡ス
ルコトハ、最近數年間ニ於ケル世界ガ親シ
ク經驗シタ所デアリマシテ、所謂全體主義
國家ト言ハレテ居ル獨逸、伊太利ハ勿論ノ
コト、其他ノ自由主義國家ニ於テモ貿易管
理ノ結果ガ、其國貿易ノ全面的收縮ニナッテ
居ルコトハ爭フベカラザル事實デアリマ
ス、隨テ岡崎君モ言ハレタ如ク、政府ガ輸
入ヲ管理シヨウト云フ場合ニ於テハ、其半
面ニ必ズ輸出促進ノ對應策ガナケレバナラ
ヌ、獨逸ノ如キ國家ニ於テサヘモ、輸入ノ管
理ト同時ニ輸出促進ノ手段ヲ執ッテ居ルノ
デアリマスカラ、此點ニ付テハ商工當局ノ
御答辯ハ甚ダ不滿足デアッタト存ジマス
第二ニ御伺致シタイコトハ、輸入ノ制限
若クハ禁止ヲ行フト致シマスナラバ、ドノ
品目ニ輸入制限若クハ禁止ヲナサル御考デ
アルカト云フ問題デアリマス、恐ラク政府
ハ此質問ニ對シテ具體的ニ品目ハ考ヘテ居
ナイト御考ニナルカト思ヒマス、併シ昨今
ノヤウニ輸入超過ガ非常ニ莫大ナ數字ニ達
シテ居ル事態ヲ前ニシテ此法律ヲ提案シナ
ガラ、具體的ニ如何ナル輸入品ヲ制限スル
カ考ヘテ居ナイト云フノデハ、政府ハ頗ル
無責任ナリトノ議ヲ免レナイト思ヒマス(拍
手)然ラバ具體的ニ何ヲ制限スルカト云フ
質問ニ對シテ、眞先ニ贅澤品ヲ禁止スル、
其次ニハ國民ノ生活ニ比較的影響ノ少イ品
目、譬ヘテ言ヘバ寫眞機、酒、煙草(蓄音機、
或ハ「フイルム」ト云フ如キ品目ヲ制限スル
ト御答ニナルカト思ヒマス、所ガソレ等ノ
品目ハ全部總計シテ見テモ、一年ニ五十万
圓ニ足ラナイ金額デス、此僅バカリノ商品
ノ輸入ヲ禁止シテ見タ所ガ、現在ノ大輸入
超過ノ趨勢ヲ如何トモスルコトガ出來ナイ、
隨テ若シ政府ガ有效ニ現實ニ此大入超ヲ防
ギ止メヨウトスレバ、勢ヒ輸入品目中デ最
モ大ナル、例ヘバ棉花、羊毛ト云フ、軍需
工業ニ直接關係ノナイ、主トシテ纖維原料
ノ輸入ヲ制限スルコトガ、唯一ノ殘サレタ
方法デアルト考ヘル、ソコデ若シ此棉花若
クハ羊毛等ノ纖維原料ヲ輸入制限スルコト
ニナッタナラバ、國內ノ經濟事情ニ如何ナル
影響ヲ與ヘルカ、言フ迄モナク物價ハ急騰
ヲ告ゲマス、國民生活ニ多大ノ影響ヲ與ヘ
ルノミナラズ、紡績品及ビ毛織品ノ輸出ハ
止マリマス、斯樣ナ重大ナ問題デアルカラ、
私ハ政府ガ此際輸入ノ制限若クハ禁止ニ付
テハ、如何ナル品目ニ目標ヲ置イテ居ルカ
ノ點ニ付テ、明瞭ナル御答辯ヲ得タイノデ
アリマス
第三ニ御尋致シタイコトハ、此法律ノ中
ニ定メテアル貿易審議會ノ構成ノ問題デア
リマス、貿易審議會ノ構成ハ專ラ勅令ニ委
任スルト書イテアリマス、勿論貿易審議會
ハ貿易ノ統制ニ關スル全般的ノ指導方針ヲ
定メル機關デアリマスカラ、商工省附屬ノ
一諮問機關デアルヤウナ性質ノモノデアッ
テハ、何等ノ權威ヲ爲サナイ、我ガ貿易ノ
指導精神ヲ定メル機關トシテハ、或ハ金融
問題、農林關係ノ諸問題、其他廣ク各般ノ
問題ニ付テ、經驗學識アル人間ヲ御選擇ニ
ナラナケレバナラヌコトハ言フ迄モナイノ
デアリマス、第七十議會ニ吾々ノ同僚カラ
此點ニ付テ前商工大臣ニ質問ヲ致シタノデ
アリマスガ、伍堂商工大臣ハ其答辯ニ於テ、
貿易審議會ヲ商工省ニ附屬セシムベキデア
ルカ、或ハ直接內閣ニ附屬セシムベキカノ
問題ニ付テハ、只今考慮中デアルト答ヘラ
レテ居リマス、私ガ聽カント欲スル點ハ、
商工省ハ今デモ尙ホ御考慮中デアルノカ、
ソレトモ半歲經ッタカラ何トカ決心ガ付キ
マシタカ、決心ガオ付キニナッタラ、其決心
ト理由トヲ御尋致シタイ、斯ウ云フコトデ
アリマス
第四ニ御尋シタイコトハ、國民生活ニ關
係ノ深イ物資ノ分配及ビ消費ノ統制ヲ行フ
ト云フコトデアレバ、輸入禁止ハ比較的其
影響ヲ與ヘルコトガ少イカト思ヒマス、
面ニ於テ重要ナ物資ノ輸入ヲ禁止シテ置キ
ナガラ、其分配及ビ消費ニ付テ何等ノ統制
ヲ加ヘラレナイト云フコトデアッテハ、徒ニ
物價騰貴ヲ招クノミデアッテ、國民生活ハ益〓
混亂ニ陷ル外ハナイ、然ラバ政府ハドノ程
度マデ將來輸入統制ト相俟ッテ物資ノ配分
及ビ消費ニ付テ徹底シタ統制政策ヲ執ラレ
ル御考デアルカ、是ガ私ノ第四ノ質問デア
リマス、恐ラク政府當局ハ之ニ對シテ、現
在ノ政府ハ決シテ左樣ナ徹底シタ統制政策
ハ考ヘテ居ナイト御答ニナルカト思フ、現
ニ先程政府委員ハ此席上ニ於テ、提案理由
ノ說明ノ中デ、此輸入制限及ビ禁止ハ極メテ
暫定的ノモノニ過ギナイトハッキリ言ハレ
テ居リマス、又商工大臣竝ニ賀屋大藏大臣
ハ、統制政策ト云フコトヲ口ニスルコトヲ
憚ッテ、政府ハ出來ルダケ自治的統制ヲ希望
シテ居ル、決シテ官憲ノ威力ニ依リ、徹底
シタ統制ヲ試ミル意思ハナイト、屢〓言明サ
レテ居ルノデアリマス、吾々ガ疑ヲ持ツノハ、
斯樣ナ考ヘ方デ、吾等ノ眼前ニシテ居ル今
日ノ事態ニ、果シテ適切ナル施設ヲ行フコ
トガ出來ルカト云フ問題デアリマス、ソレ故
ニ私ハ最後ニ極ク簡單ニ統制問題ニ關スル
私見ヲ述ベテ、政府ノ御考慮ヲ煩シタイト
考ヘマス
先程申シマシタヤウニ、此提案ヲ必要ト
シタル我國現在ノ情勢ニ付テハ、私モ十分
之ヲ諒トスル者デアリマスケレドモ、其結
果ガドウナルカ、結局國際收支ノ均衡ノ爲
ニ國內ノ生產ノ擴充ヲ犠牲ニスルト云フコ
トニ歸著スルノデアリマス、卽チ現內閣
ガ一枚看板トシテ居ラレル三原則ノ一ツヲ
救フ爲ニ、其三原則ノ一ツヲ犠牲ニスルト
云フコトナノデアリマス、言葉ヲ換ヘテ言
ハイ、賀屋三原則ノ蛸配當ト云フコトデア
リマス、ケレドモ其理由ニ依ッテ私ハ此案
ニ反對ダト言フノデハナイ、斯樣ナ法律ヲ
制定シナケレバナラヌ我國ノ環境ハ、十分
ニ之ヲ認識シテ居ルノデアリマスガ、斯樣
ナ法律案ヲ此議會ニ於テ審議スル際ニ、政
府當局モ亦立法府タル議會モ、此次ニ來ル
ベキモノガ何デアルカト云フコトヲ十分見
透シヲ付ケテ、當然ニ來ルベキ結果ニ對シ
テ周章狼狽シナイダケノ決心ヲシテ置カウ
デハナイカト云フノデアリマス、私ノ見ル
所ニ依レバ、政府ガ獨裁的ニ貿易ヲ統制ス
ルト云フコトハ、軈テ全面的經濟統制ノ前
觸レトナルニ過ギナイノダ、サウ云フ意味
ニ於テ此法案ハ極メテ重要ナ意味ヲ持ッテ
居ルト考ヘルノデアリマス、日本ノヤウニ
原料品ニ乏シク、外國ノ市場ニ常ニ依存シ
テ居ル國ニ於テハ、統制ヲ强化シテ段々自
給自足ノ方向ニ傾クコトハ、必然經濟的ノ
孤立ニ陷ルコトヲ意味スルノデアル、ソレ
ニモ拘ラズ現在ノヤウナ、只今吾々ガ見テ
居ルヤウナ中途半端ナ統制、到ル處不徹底
ナ統制ヲ行ッテ居ルガ、左樣ナ統制デハ、モ
ウ動キガ取レナクナル時期ガ參リマス、ダ
カラ遠カラズ日本モ此中途半端ナ統制カラ
一步ヲ進メテ、ドウシテモ獨逸「ナチス」ノ經
驗シタト同ジヤウナ徑路ヲ辿ル外ニ行ク途
ハナイ、今ノ日本ハ、獨逸デ云ヘバ、一昨年
カラ昨年ノ獨逸經濟ノ狀態ニアルノデス、
僅ニ國防充實計畫ニ一步ヲ進メタ程度ニ過
ギナイ今日、旣ニ在外正貨ハ涸渴シテ居リ、
爲替ハ弱勢ニナッテ居リ、物價ハ急騰シテ居
ルト云フヤウナ、憂慮ニ堪ヘナイ事態ニナッ
テ來テ居ル、ダカラ此傾向ヲ救フノニハド
ウスレバ宜シイカ、恐ラク政府ハ、獨逸ガ昨
年來實施シタヤウナ四箇年計畫ヲ眞似スル
コトニ、多大ノ誘惑ヲ感ジテ居ルコトト私
ハ想像シテ居ル、獨逸ハ此四箇年計畫ニ
依ッテ、今マデノ部分的ナ、暫定的ナ統制カ
ラ經濟ノ全面的統制ヲ行ッタ、之ニ依ッテ物
價ヲ引上ゲルコトモ、勞銀ヲ引上ゲルコト
モ皆禁止サレテシマッテ居ル、詰リ價格決定
ノ自由ガ失ハレ、需要供給ノ原則モ行ハレ
ナクナッテシマッタ、總テハ國家ノ命令ニ
依ッテ定メラレルノデアリマス、肉類ノ需
要供給モ、農產物ノ市場モ總テ統制セラレ
テシマッタ、ソコデ獨逸ノ經濟〓究所ハ獨
逸人ノ家庭ノ獻立マデ作ッテ發表シテ居リ
やく、之ヲ一ロデ言ヘバ「バター」ヨリモ大
砲ト云フコトガ、今日ノ獨逸ノ至上命令ニ
ナッテ居ル、斯ウ云フ徑路ガ、軈テ來ラン
トスル日本ノ經濟界ノ動向ヲ暗示シテ居ル
ノデハナイカ、ソコデ我國現在ノ情勢、
口ニ言ヘバ來年度ノ豫算ガ三十八億圓カラ
四十億ニ達セントスル、此現在ノ情勢カラ
云ヘバ、結局日本モ獨逸ト同ジ途ヲ迪ル外
ニ(「時間々々」ト呼フ者アリ)行ク途ガナイ
ノデハナイカ、斯ウ云フコトデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=19
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020・小山松壽
○議長(小山松壽君) 芦田君、時間ガ參リ
マシタ、御注意ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=20
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021・芦田均
○芦田均君(續) 時間ガ參リマシタカラ、
是デ私ノ質疑ヲ終リマス(拍手)
〔政府委員木暮武太夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=21
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022・木暮武太夫
○政府委員(木暮武太夫君) 只今ノ芦田サ
ンノ御質問ニ逐次御答ヲ申上ゲマス、第
ノ御質問ハ、先程岡崎サンノ御質問ノ中ニ
アリマシタト同ジ輸入禁止ヲ命ズル法律ヲ
ヤル場合ニハ、萎縮シテ居ル輸出ニ對
シテ當局ハモット考ヘル所ガナクテハナ
ラヌデハナイカト云フ御質問デアリマ
スカラ、之ニ御答ヲ申上ゲマス、政府ハ
輸入ノ禁止、抑制ヲ致シマスル場合ニ
於キマシテモ、輸出產業ノ原料テアル
モノニ對シマシテハ、適當ナル輸入ヲ許シ
マシテ、サウシテ此事業ガ沈衰スルコトヲ
防グヤウニ致シマスルコトガ第一、次ニハ
輸入ヲ禁止致シマシタモノヽ代用品ノ生產
ヲ國內デ奬勵致シマシテ、由テ以テ之ニ依ッ
テソレニ代ルベキ所ノ輸出工業ヲ盛ニ致シ
マスルコトガ第二デアリマス、其次ニハ求
償貿易ノ見地ニ立チマシテ商品別ニ、或ハ
又市場別ニ貿易ノ調整ヲ行ヒマシテ、輸出
ノ振興ヲ圖ラウトモ考へテ居ルノデアリ
マス、更ニ又第四ト致シマシテハ、國內ニ
於ケル所ノ原料ヲ以テ興シマスル所ノ產業
ヲ輸出產業ニ變ヘサセルト云フ方法モ、亦
出來ルノデハナカラウカト考ヘテ居ルノ
デアリマス、是ガ第一ノ御質問ニ對スル御
答デゴザイマス
第二ノ御質問ハ、輸入ノ禁止又ハ制限ヲ
スル場合ニ、ドウ云フ品目ヲ選ブカト云フ
御質問デゴザイマシタ、之ニ御答申上ゲマ
ス、法律ニアリマスル通リ、本法ニ依ッテ輸
出、輸入ノ抑制、禁止ヲ致シマスルモノハ、
第一條ノ各號ニアルヤウナ事情ガ發生致シ
マシタ場合ニ、之ニ應ズル爲ニ必要ナル品
目ヲ選ンデ、此法律ヲ實施致スノデゴザイ
マシテ、隨テ政府ト致シマシテハ、現在其
事態ガマダ發生致シマセヌノニ、ドレ〓〓
ヲ具體的ニ輸入ヲ禁止スルカ、抑制スルカ
ト云フ品目ヲ定メテ居ラナイノデゴザイマス
ソレカラ第三ハ貿易審議會ノ御質問デゴ
ザイマシタガ、此問題ハ重大デゴザイマス
ルカラ、後デ大臣ガ出マシテカラ的確ニ御
答ヲ致スコトガ至當ト存ジマスルガ、唯
言御答ヲ申上ゲテ置キマス、此法律ニ依リ
マシテ貿易竝ニ其背後ニアル內地ノ產業ニ
關係致シマスル問題ヲ審議スルノガ貿易審
議會デアリマスルカラシテ、是ハ當然商工
省ノ中ニ置クベキモノデアルヤウニ考ヘラ
レルノデアリマスケレドモ、更ニ的確ナル
答辯ハ大臣ガ出マシテカラ申上ゲルコトニ
致シマス
第四ノ御質問ハ輸入禁止ヲ行フ場合ニ、
物資ノ分配、更ニ進ンデハ消費者ノ消費ノ
抑制、統制ト云フヤウナ所ニ行クノダラウ、
又行カナケレバ無意味デハナカラウカト云フ
ヤウナ御意見モ大分ゴザイマシタガ、之二
對シテ御答ヲ申上ゲマスルト、輸入ノ制
限禁止ヲ行ヒマスル場合ニ、貿易竝ニ其
背後ニアリマスル所ノ關係產業ニ關スル限
リニ於キマシテハ、此法律ニ於テ調整ヲ圖
ルコトガ出來ルノデゴザイマシテ、更ニ其先
カラ先マデ行キマシタ消費者ノ消費ノ抑制
或ハ禁止ト云フヤウナコトニ付テハ、此法
律ニ於テハ豫想致シテ居ラナイノデゴザ
イマス、更ニ新シイ事態ガ發生致シマスル
ナラバ、更ニ新シイ法律ナリ、何等カノ方
策ガ執ラルベキモノデアルト考ヘルノデゴ
ザイマス、此段御答申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=22
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023・小山松壽
○議長(小山松壽君) 眞鍋儀十君
〔眞鍋儀十君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=23
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024・眞鍋儀十
○眞鍋儀十君 只今政府ノ御提案ニ相成リ
マシタ百貨店法ニ對シマシテ御質疑申上ゲ
タイト存ジマス、提案ノ理由ニモ謳ッテゴ
ザイマス通リ、中小商工業者ノ實情ニ鑑
ミマシテ、小賣業者ノ圓滿ナル發達ヲ期シ
テ、百貨店ノ統制ヲ圖ラウトシテ居ラレル
ヤウデアリマス、併シ本案ハ昭和七年ニ所
謂政府草案ナルモノガ世ニ現ハレテ參リ、
殊ニ昨年ハ議員案ガ本議場ヲ通過致シタモ
ノデアリマス、更ニ今年前議會デ政府案ガ正
確ニ登場致シマシテ、其狙ッテ居ル全貌ト申
スモノガ業者ニハッキリ看取サレマシタ、斯
ウシテ永イ年月ヲ經テ居リマスル間ニ、其
都度、百貨店ヲ刺戟致シマシテ、殆ド新設、增
築、有ユル擴大强化ガ逸早ク行ハレテシマッ
タノデアリマス、最早今日ニ於テハ百貨店ハ
飽和狀態ニ達シタトモ申シ得ルト存ジマス、
此時ニ當ッテ本案ガ提出セラレマシタ、殊
ニ其第四條ハ今後ト雖モ百貨店ノ支店、分
店ヲ許可シ得ルモノデアリマス、新設百貨
店ガ比較的困難ナモノトナルデゴザイマセ
ウ、此點カラ申シマスルト既設百貨店ノ同
業摩擦ノ緩和トナリ、濫立競爭ノ防止トハ
ナリマスケレドモ、中小商業者ノ受クル利
益ハ極メテ稀薄トナッテシマヒマシタ、換言
スレバ旣得權ノ擁護トナリ、旣得權ノ確保
トナルト云フヤウナ見方ヲ、今日世間ニ於
テハスルヤウニナッテシマッタノデアリマ
ス、巷間本案ヲ稱シテ百貨店保護法ト申シ
テ居リマス、一面中小商業者ヲシテ旣設百
貨店ニ一指モ染ムルコト能ハザラシムルト
共ニ、新設百貨店ニ對シテ極メテ嚴重ナル
制限ガ行ハレルト致シマスレバ、徒ニ既設
百貨店ニ優越感ヲ滿喫セシムルコトニナリ
ハセヌカト云フ點ニ私共ハ心配ヲ持ッテ
居リマス(拍手)現ニ三越ノ十二年度上半期
ノ如キ利益金ガ二百二十万圓、利益率ハ二
割三分搦ミニナッテ居リマス、白木屋ノ如キ
モ「ターミナルデパート」ニ依リマシテ、大
森大塚五反田ニ、更ニ小田急賣店ノ如キ
ハ五千坪ノ計畫ヲ以テ實處ニ著手致シテ居
リマス、更ニ松坂屋ノ如キハ隣地買收ニ成
功致シマシテ、地上八階、地下三階、十一
階六千坪ノ大建築ガ旣ニ其工事認可ヲ受ケ
テ居リマス、伊勢丹ノ如キモ一万三百坪シ
カナカッタモノガ、更ニ五千坪ノ認可ヲ受ケ
テ居リマスルガ、是ハ實際上ノ狭隘ヲ〓ゲ
タルモノニアラズシテ、將來「オリムピックㄴ
ヲ目指シ、博覽會ヲ狙ッテ、旣得權確保ノ
爲ニ斯樣ナ出願ガ爲サレタモノト見ラレテ
居リマス、サウシテ本法ノ第四條ハ、今後
ト雖モ既設百貨店ノ支店出張所其他店舗、
配給所ノ許可ガ爲シ得ラレルモノト致シマ
スレバ、眞ニ中小商業者ノ救濟ニアラズシ
テ、逆ニ百貨店ニ對シテ阿諛スルモノデア
リ、大資本ノ跳梁ヲ逞シウスルノ結果ニナ
ルト云フ杞憂ヲ世間ニ懷カセルニ至ッタモ
ノデゴザイマス(拍手)中小商工業者ヨリ見
マスレバ、此新規計畫ガ許可セラレタ場合
三、マダ何トカ對抗ノ途モ付キマスガ、
旣設百貨店ガ本店、出張所ノ名義ヲ以テ、
本店以上ノ大規模ノ分店ヲ建設致スコトニ
ナリマスレバ、中小商工業者ハ既設百貨店一デ、
ノ「レッテル」戰術ニ依リテ特ニ其脅威ヲ受
クルト共ニ、新設百貨店ノ無名ノモノナラ
バ、或ル程度マデノ實力ヲ以テ對抗セント
スル中小商業者ノ意氣込モ、玆ニ全ク挫ケ
ザルヲ得ナイ結果ニ陷ッテシマフノデゴザ
イマス、眞ニ商工業者ニ理解ヲ有セラル
政府當局デアルナラバ、何ガ故ニ本員等ガ
曩ニ提出シタル禁止主義ニ依ラズシテ許可
主義ニ依リタルヤ、私共ハ今日ノ時勢ニ鑑
ミ、許可主義ニ依ルベキニアラズシテ、斷
然禁止主義ニ依ルベキモノト考ヘルガ、此
點政府當局ノ明快ナル御答辯ヲ煩シタイト
存ズル(拍手)然ラバ本案ハ否決スベキヤ否
ヤニ付テ申シマスレバ、本當ニ是コソ溺ル
ル者ハ藁ヲモ摑ムデアリマセウ、轍鮒ノ惱
ミニ汲々タル中小商工業者ハ、是デモ欲シ
イト申シテ居リマス、サウシテ最後ノ賴ミ
ノ綱ヲ此許可制度ノ運用ニ繫イデ居リマ
ス、其第一關心ハ諮問委員會ノ構成デア
リ、第二ノ關心ハ諮問事項デアリマス、此
運用ノ妙ヲ得ルコトニナレバ、ソコニ多少
打開ノ途ハ付クデゴザイマセウ、私ハ委員
會ノ構成分子ニ付テハ、後刻適當ノ機會ニ
於テ御質問ヲ申上ゲマス、唯諮問事項ニ付
テハ此壇上ニ於テ一言御答辯ヲ得テ置カナ
ケレバナラヌ、卽チ第二十一條ハ營業統制
上ノ規定、命令、處分ガ諮問事項ニナッテ居
リマスケレドモ、本法ニ於ケル諮問事項ノ
一番重大ナルモノハ營業認可デナケレバナ
リマセヌ、其營業認可ヲ閑却シテ、此二十
歩つ「其ノ他」ト云フ文句ノ中ニ追込ン
之ヲ等閑ニセラレマシタコトハ、私ハ
諮問事項ニ對スル順序トシテ轉置セラレタ
條文ダト存ジマス、殊ニ其諮問機關ニハ必
ズ審議ヲ要スルノカ、或ハ諮問セザルコト
モ得ルノカ、或ハ其答申ニ基キテ決定セラ
ルヽモノナリヤ、若クハ參酌ニ止メテ、採
否ハ自由ナモノナリヤ、斯樣ナ點ニ付テハ
中小商工業者ハ非常ナル關心ヲ持ッテ居ル
モノデアッテ、此運用ヲ誤レバ、本法ハ有名
無實ニ終ルモノト考ヘテ居リマス(拍手)卽
チ現在準備中ノモノニ對シテハ當然許可ヲ
セラルヽデアリマセウ、其開業準備中ナル
モノハ建築中ノモノデアリ、計畫中ノ
モノデアリ、又ハ敷地買收後ノモノデア
リ、建築契約中ノモノデアリ、請負濟ノ
モノデアリ、其ノ孰レデアルノカ、是コソ
先決問題デ、私ハ諮問ノ中心點デナケレ
バナラヌト存ジマスガ、此點ニ對シ政府ハ
如何ナル用意ヲ有セラレ、如何ナル決心ヲ
以テ中小商業者ノ希望ニ副ハントセラルヽ
ヤ、其點ヲ明確ニ承リタイト存ジマス
私ハ本法審議ノ上ニ於テ豫メ政府ノ所見ヲ
一點質シテ置キタイノハ、政府ハ此際社會正
義ニ立脚シ、次ノ點ニ付テ如何ナル所見ヲ
有セラレマスルカ、卽チ小賣商ノ保護法ヲ
制定シテ、一定年限間百貨店ノ新設ヲ禁止ス
ルトカ、一定ノ人口以下ニ於テハ之ヲ許可セ
ザル御意思ハ有セラレナイヤ、更ニ小賣制
限法ヲ設ケテ、低額ノ商品ハ販賣セシメズ
トノ制限ヲ加ヘラルヽノ意思ナキヤ、或ハ
「チエッコ」ニ於ケルガ如ク均一大百貨店ハ意
味ナキモノトシテ、之ヲ禁止スルノ御意思
ハナキカ、或ハ濠太刺利ニ於ケル如キ食糧
品ノ小賣制限ニ對シテ實行サルヽ意思ハナ
イカ、特ニ私ガ聲ヲ大ニシテ御伺シテ見タ
イノハ、卽チ大資本ノ力ヲ以テスルニアラ
ザレバ經營シ得ザル百貨店ヲ此際見限ッテハ
之ヲ橫ニ竝ベタ卽チ商店街法ヲ制定シテ、
中小商工業者ニ對シ百貨店ノ有スル特權
ヲ、或ハ商品劵ノ如キモノヲ此商店街ニ許
可スルノ意思ナキヤ、殊ニ中小商工業者ノ疲
弊因憊ハ、農村ニ於ケル疲弊困憊ト同一デ
アリマス、其原因ハ百貨店ノ外ニ同業者ノ
多過ギルコト、信用力ノ脆弱ナルコトニモ
存シテ居リマス、ソコデ政府ハ小賣業統制
法ヲ制定シ、小賣商ノ數ノ制限ヲ爲スト共
ニ、價格ノ統制ヲ實行スルノ意思ナキヤ、
若シ是ガ實行シ得ラレルトスレバ、一ハ以
テ同業者無用ノ競爭ヲ止メ、一ハ以テ消費
者保護ニモナルベキ筈デアルト思ヒマスカ
ラ、此點ニ對シテ政府ノ御答辯ヲ煩シタイ
ト存ジマス
最後ニ、私ハ熱意アル農村對策ニ對シ
マシテ、政府ガ御勉强ニナッテ居リマスル
コトニ敬意ヲ表シマス、ケレドモ負債ニ
惱ミ、金融ニ苦ンデ居リマス者モ、+ハ
リ商工業者ニゴザイマス、農村デハ負債整理
資金特別融通法竝ニ損失補償法ニ依ッテ是
ガ救濟ノ途ハ付クデゴザイマセウ、又特融ノ
手續ノ簡易化ニ於キマシテモ、全國千三百
ノ信用組合ヲ以テ之ヲ代行セシムルノ方法
モゴザイマセウ、又農事實行組合、養蠶實
行組合、漁業組合ナドヲシテ之ヲ代行セシム
ルコトニナリマスレバ、其成績必ズ見ルベキ
モノガアラウト存ズル、農村ノ此熱意アル
施設ニ對シ、商工當局ガ之ニ劣ラザルノ熱
意ヲ以テ、中小商工業者ノ爲ニ努力セラレ
ナケレバナラヌ筈デアルガ、之ニ劣ラザル
ノ熱意ヲ有セラルヽヤ否ヤ、此壇上ニ於テ
ハッキリ御答ガ願ヒタイト存ジマス、其他昨
日、一昨日カラ實行セラレルコトニナリマ
シタ國家ノ再補償ニ對シテモ、都會地ニ於
ケル特別ノ存在タル信用保證協會ニ對シ、
之ヲ徹底化、簡易化ヲ圖ッテ、農村同樣ノ再補
償ガ得ラレルヤウニ努力ヲシテ見ル御決心
ガアルカ、今申シマシタヤウナコトハ副次
的ナヤウニモ見エルガ、是ガ第一義的デア
リマス、此決心ト覺悟ガ付イテ居レバ、私
共ハ本策ガ通過致シタ後ト雖モ、國民ハ安
心シテ此運用ニ委シ得ルト考ヘマスガ、若
シ本案ノ通過後ト雖モ、今日ノヤウナ商工
當局ノ因循姑息ナル態度ヲ以テシテハ、其
效果ガ半減或ハ全滅スルノデハナカラウカ
ト云フ杞憂ヲ持ッテ居リマスルノデ、國民ノ
安心ノ行クヤウ此壇上ヨリ御答辯アラレン
コトヲ切望致シマシテ、私ノ質問ヲ打切ル
次第デアリマス(拍手)
〔政府委員木暮武太夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=24
-
025・木暮武太夫
○政府委員(木暮武太夫君) 眞鍋サンノ極
メテ熱心ナル御質問ニ對シテ御答ヲ申上ゲ
マス、第一點ハ只今議題ニナッテ居リマスル
百貨店法ト云フモノガ、旣設百貨店ノ保護
ニ堕スルノ嫌ナキヤト云フ點デゴザイマシ
タヤウニ思ヒマス、先程提案ノ理由ヲ御說
明申上ゲマシタ中ニモ、詳シク申上ゲマシ
テ御諒承ヲ願ヒマシタ通リニ、本法ハ資本
的ニ信用的ニ大キク、其進出ガ凄マジク、
現在疲弊困憊致シテ居リマスル所ノ、中小
商業者ノ權益ヲ侵サントスル勢ヲ以テ迫ッ
テ居リマスル百貨店ノ統制ヲ行ハント致
スモノデゴザイマシテ、其壓迫ヲ緩和シテ
行カウ、是ガ卽チ本法ノ目的デゴザイマシ
テ、決シテ今ノ百貨店ヲ保護スルノ厚
キニ過グルト云フヤウナ嫌ノナイヤウニ
出來テ居リマス譯デゴザイマス、而シ
テ御承知ノ通リ百貨店ト云フモノノソ
レダケヲ別ニ見マスルナラバ、小賣業制度
ヲ合理化致シマシテ、消費者ノ立場カラ見
マスルト、可ナリ相當ノ社會的ノ效用ヲ發
揮致シテ居ルモノデゴザイマシテ、此百
貨店獨特ノ立場モ考慮致シマシテ、此程度
ノ統制ヲ以テ滿足スベキモノデアルト考ヘ
テ居ルノデゴザイマス、殊ニ本法ニ於キ
マシテハ、必要ナル統制ハ政府ガ之ヲ命令
致シマスルシ、或ハ又自治的ニ營業統制規
定ニ依ッテヤリマスルモノニ對シマシテモ、
政府ハ嚴重ニ之ヲ監督ヲ致シマスルトカ、
或ハ公益上必要ナルモノハ、政府ガ之ニ其
統制ヲ命ズルコトガ出來ルト云フ權利ヲ保
有致シテ居リマスル點ナドヲ考ヘマシテ、
本法ノ精神ニ申シマシタ通リ、中小商業者ノ
保護ト百貨店ノ壓迫ヲ緩和スルト云フ意味
ノ法律デアルト云フコトヲ、御諒承ヲ願ヒ
タイノデアリマス
第二ニ、第四條ヲ何故議員案ノ如クニ禁止
條文トシナイデ、許可事項トシタカト云フ
御言葉デゴザイマスルガ、只今申上ゲマシ
タ通リニ、百貨店ガ小賣業制度ヲ合理的ニ
改善シテ、消費者ノ立場カラ見ルト、或ル
一ツノ社會的ノ效用ノアルト云フコトヲモ
考へ、殊ニ我國ノ如ク將來人口ハ段々ト增
加シテ行ク社會狀態ノ趨勢ニ鑑ミマシテ、支
店トカ或ハ出張所ノ設置ヲ全然禁止シテシ
マフト云フコトモ如何ナルモノデアルカ、
穩當ナラザルモノデアルト考ヘマシテ、許
可ノ事項ト致シタノデアリマス
ソレカラ百貨店委員會ニ諮問スベキモノハ、
主ナルモノハドウ云フコトダト云フコトデ
ゴザイマシテ、色々斯ク〓〓ノコトヲ諮問
致シナイヤウナラバ、折角ノ百貨店委員會ト
云フモノモ魂ノナイ脫殼ノヤウナモノダ、其
運營ニ依ッテ此百貨店法ト云フモノノ値打ガ
出テ來ルノダト云フ御說デゴザイマシテ、
洵ニ御尤ナル點ガ多イノデゴザイマス、此
百貨店委員會ニ對スル諮問事項ノ主ナルモ
ノト致シマシテハ、第一ハ許可標準デゴザ
イマス、法律ノ三條竝ニ四條ノ許可標準、
第二ハ百貨店組合設立ノ認可、第三ハ百貨
店組合ノ統制規定ノ取消又ハ變更、施設命
令及ビ統制命令、斯ウ云フヤウナモノヲ其
諮問事項ト致スノデアリマス
最後ニ御意見トシテ御申述ニナリマシタ
コトノ部分デゴザイマスガ、或ハ小賣商保護
法ヲ制定スル意思ガアルカ、小賣制限法、或
ハ又食料品小賣制限法、商店街法、或ハ小賣
業統制法ト云フモノヲ制定スル意思ガ當局
ニアルカト云フ御意見デアリマス、今議會
ニ協贊ヲ仰ガントシテ、只今提出致シマシ
タ百貨店法ニ依リマシテ、中小商工業者ヘノ
對策ハ全部デハナイノデゴザイマシテ、或
ハ金融ノ點ニ付テモ、或ハ商工業組合ヲ制
定サセ、或ハ又共同ノ施設ニ依ッテ其改善ヲ
爲サシムルトカ、色々他ニモ中小商工業者
ノ維持改善ヲ圖ルベキ手段ガゴザイマスノ
デアリマシテ、眞鍋サンノ御申述ノヤウナ
モノハ、生產者ト配給者ト消費者ト云フ間
ノ利害ノ色々錯綜致シテ居リマスル今日、
俄ニ是等ノ制定ヲ言明スル譯ニハ參リマセ
ヌノデゴザイマス
最後ニ農村ニ對スル金融ニ對シ政府ガ盡
力ヲ吝マナイト同ジヤウニ、中小商工業者
ニ對スル金融ニ付テ、骨ヲ折ル決意ガアル
カト云フ御質問デゴザイマシタガ、是ハ全
ク眞鍋サンノ御說ノ通リ御同感デゴザイマ
ス、今日ノ中小商工業者ノ疲弊困憊ノ主ナ
ル原因ガ、其金融難ニアルト云フコトヲ考
ヘマシテ、商工組合中央金庫ノ發動、或ハ
國家、或ハ府縣ナドノ損失補償制度ノ徹底
普及ト云フコトヲ決心ヲ以テ致シマシテ、
御期待ニ副フヤウニ努メル積リデゴザイマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=25
-
026・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中田儀直君
〔中田儀直君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=26
-
027・中田儀直
○中田儀直君 只今議題トナッテ居リマス
ル工業組合法中改正法律案ニ關聯致シマシ
テ、一二御尋ヲ致シタイト思フノデアリマ
ス、提案ノ御說明ニモアリマスル如ク、今
囘ノ改正ハ主トシテ統制ノ强化、監督ノ徹
底ト云フコトヲ眼目ニ致シテ居ルヤウデア
リマス、現在ノ貿易ノ情勢ノ對策ト致シマ
シテ、之ニ對應シテ統制强化ト云フコトハ、
是ハ已ムヲ得ザルコトカトモ考ヘルノデア
リマスルガ、併シ一面ニ於キマシテ、單十一
組合ノ統制强化、監督ノ徹底ト云フコトニ
ノミ力ヲ入レルコトニナリマシタナラバ、
組合員ハ組合ト云フモノニ對シテ恐レヲ懷
クヤウナコトハナカラウカ、是ハ決シテ現
在尙ホ指導助長ヲ要スル中小工業者ニ對ス
ル團結トシテ出來上リマシタ工業組合ニ對
スルノ、圓滿ナル發達ヲ期スルコトガ出來
ナイノデハナカラウカト考ヘル次第デアリ
やく、私ハ統制强化ト云フコトヲ行ヒマス
ルト同時ニ、一面ニ於テハ之ニ對シテ組合
員ヲシテ組合ニ親シミヲ持タセルヤウナ施
設ヲ講ズル必要ガアルデハナカラウカ、卽
チ工業組合ノ關係者ガ屢〓希望ヲ申述ベテ
居リマスル、工業組合ニ對シテ家族貯金ヲ
スルコトヲ認メテ貰ヒタイ、斯樣ナコトニ
依ッテ組合員ヲシテ是ハ自分達ノ組合デア
ルンダト云フヤウナ觀念ヲ持タセルト云フ
コトハ、一面ニ於テ單ニ組合ノ統制强化、
監督ノ徹底、恰モ民衆ガ警察官ニ對スル如
キ感ジヲ與ヘルヤウナコトバカリデナク、
斯樣ニ親切ニ指導誘抜スルト云フヤウナ精
神色彩ヲ加味スルト云フコトハ必要デア
ルト考ヘルノデアリマス、私ハ斯樣ナ見地
カラ致シマシテ、一ツノ方法ト致シマシテ、
此家族貯金或ハ組合ニ對シテ手形ノ割引ヲ
許ス、サウシテ機能ヲ活潑ナラシメルト云
フヤウナコトニ付テ、政府當局ハ如何ナル
御考慮ヲ拂ハレテ居ルカト云フコトヲ御尋
致シタイト思フノデアリマス
次ニ申ス迄モナク我國ニ於キマシテ最大
ノ消費者ハ國家デアリマス、現在ニ於キマ
シテハ、殊ニ國防豫算ガ非常ニ厖大ナ額ニ
達シテ居リマスル關係カラ致シマシテモ、
此實行ノ如何ニ依リマシテ、國內ノ經濟ニ
影響スル所ガ非常ニ大ナルモノガアルト考
ヘルノデアリマス、現在ノ如ク軍需工業ガ、
大工場若クハ大都市ヲ中心トスル一地方ニ
於テノミ賄ハレルト云フヤウナ事情デアリ
マシタナラバ、富ノ偏在ガ益〓助長セラレマ
シテ、都市ト地方農村トノ貧富ノ懸隔ハ愈〓、
甚シクナルト考ヘルノデアリマス、隨テ此
結果ト致シマシテ、軍部ノ提唱スル廣義國
防ノ見地カラ致シマシテモ、洵ニ憂フベキ
事態ガ發生スルノデハナカラウカ、斯樣ナ
コトハ旣ニ國民齊シク之ヲ憂ヘテ居ルノデ
アリマス、此點ニ對シマシテ軍部當局ハ如
何ナル御考慮ヲ拂ハレテ居ルカ、此問題ニ
付キマシテハ屢〓識者ノ間ニ問題ニサレテ
居ルノデアリマスルガ、政府ノ之ニ對スル聲
明ハ、常ニ軍需工業ノ地方分散ト云フコト
ヲ申サレテ居ルノデアリマスルケレドモ、
實際ニ於テ決シテ是ハ徹底サレテ居リマセ
又、洵ニ其政府ノ聲明スル所ノ實行ハ遲々
トシテ居ルデアリマス、私ハ斯樣ナ點ハ中
小工業者ヲ助長スル意味カラ致シマシテモ、
最モ大ナル考慮ヲ拂ハナケレバナラヌト考
ヘル次第デアリマス、此點ニ對シマシテ軍
部當局ノ御答ヲ得タイト思フノデアリマス
ルガ、今日ハ御出席ガナイヤウデアリマス
ルカラ、此點ハ他ノ機會ニ於テ求メルコト
ト致シマシテ、前ニ申上ゲマシク第一點ニ
付キマシテ、商工當局ノ御答辯ヲ得タイト
思フノデアリマス(拍手)
〔國務大臣吉野信次君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=27
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028・吉野信次
○國務大臣(吉野信次君) 只今御尋ニナリ
マシタ通リ、工業組合制度ハ組合員ガ一致
團結シテ、殊ニ家族的ノ意味デヤラナケレ
バ、其運用ガ旨ク參リマセヌノデアリマス
カラ、從來モ統制ノミナラズ、共同施設ト
云フコトニ付キマシテハ、十分之ヲ助長ス
ルコトニ努メテ居リマシタガ、御話ノ通リ
ニ將來モ益〓其方面ニ氣ヲ付ケテ參リタイ
ト思ッテ居リマス、ソレカラ貯金ノ點ノ御
話ガゴザイマシタガ、現行法ノ下ニ於テモ、
組合員ハ貯金ヲシテ宜シイト云フコトニ
ナッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=28
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029・小山松壽
○議長(小山松壽君) 紅露昭君
〔紅露昭君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=29
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030・紅露昭
○紅露昭君 私ハ只今議題ト相成ッテ居リマ
スル百貨店法案ニ對シテ、數點商工當局ノ
御所見ヲ伺ヒタイト思フノデアリマスガ、
同僚眞鍋君ヨリ既ニ御質問ガアリマシタカラ、
重複ノ點ヲ避ケタイト思ヒマス
先ヅ第一ニ御伺致シタイコトハ、本法案
ハ世界ノ大勢ニ逆行シタ時代遲レノ立法デ
ハナイカト云フ點デアリマス、御承知ノ如
ク世界各國ニ於キマシテモ、此百貨店進出
防止ノ議ガ度々持上リマシテ、各國トモ之
ニ對シテ阻止スル制度ヲ設ケタノデアリマ
スガ、常ニ失敗ニ終ッテ居ルノデアリマス、
卽チ御承知ノ露西亞ニ於キマシテモ、革命
勃發ト同時ニ百貨店禁止ノ議ガ持上リマシ
テ、之ヲ禁止致シマシタガ、國民ハ非常ナ
ル不便ヲ感ジマシテ、昭和九年ノ秋カラ國
營ヲ以テ之ヲヤラシテ居ルノデアリマス、
佛蘭西ニ於キマシテモ往年此法案ガ出マシ
テ、特殊ノ稅金ヲ百貨店ノ賣上金額ニ課シ
マシタケレドモ、稅金ノ徵收ノ困難ト、其
他色々ナ弊害ガ百出致シマシテ、遂ニ一般
課稅ニ變ッタノデアリマス、亞米利加ニ於キ
マシテモ、御承知ノ如ク各州トモ今ハ自由
放任ニ致シテ居ルノデアリマス、唯數年前
或ル一ツノ州ニ於テ特別課稅ヲ課スト云フ
ヤウナ制限ヲ加ヘマシタケレドモ、後日憲
法違反デアルト云フ所ノ判決ガ下リマシテ、
現在デハ自由放任デアリマス、獨逸ニ於キ
マシテモ、「ヒットラー」ガ政權ヲ掌握致シマ
シテ以來、ヤハリ之ニ對シテ、或ル制限ヲ
加ヘマシタケレドモ、稅金ノ納付ノ困難ト
同時ニ、失業者ノ續出ト云フコトニ依リマ
シテ、今デハヤハリ自由放任ノ制度ニ相成ッ
テ居ルノデアリマス、斯ノ如ク各國トモ常
ニ統制ヲ試ミ、又進出ヲ阻止シタガ、失敗
ニ終ッテ居ルニ拘ラズ、眞鍋君ノ所謂遲蒔キ
ナガラ世界ノ大勢ニ反シテ、商工當局ガ今
頃本案ヲ御出シニナルト云フコトハ、ドウ
云フヤウナ御考デアルノカ、此點ニ對スル
商工大臣ノ御說明ヲ伺ヒタイト思フノデア
リマス
更ニ第二ノ點ニ付テ御質問申上ゲタイノ
ハ、本法案ガ實施サレマスト云フト、却テ
中小ノ商業ハ今日以上ニ困難ナル立場ニ立
至リハシナイカト云フ懸念ノアルコトデア
リマス、申上ゲル迄モナク、先程眞鍋君モ言
ハレマシタ通リニ、今日中小商工業者ノ疲
弊困憊ノ原因ハ、幾多ノ理由ガ揭ゲラレテ
居ルノデアリマス、第一ハ餘リニモ此中小
商工業者ノ數ノ多イコトデアリマス、第二
ノ理由ト致シマシテハ、先程眞鍋君ノ言ハ
レマシタ金融難デアリマス、更ニ第三ノ理
由トシテ、學者及ビ實際家ガ常ニ擧ゲテ居
リマスルコトハ、開業ノ比較的容易ナルコ
トデアルト云フコトガ大體ノ原因ニナッテ
居リマス、假リニ私共ハ眞鍋君ト觀點ヲ異
ニ致シマシテ、人口ノ點カラ之ヲ見テ見タ
イト思フノデアリマス、內閣統計局ノ大正
十五年ヨリ昭和五年迄ノ十箇年間ノ人口增
加ノ率ヲ調ベテ見マスルト云フト、此十箇
年間ニ八百四十万人增加致シテ居ルノデア
リマス、此八百四十万人ノ中就職シ得タ者
ハ、僅ニ其二割デアル百七十万人デアリマ
ス、此百七十万人ノ中ニ、ドウ云フ方面ニ
是等ノ人ガ職ヲ求メ得タカト申シマスルト、
農業ニ從事シタ者ハ十箇年殆ド增減ガアリ
マセヌ、又工業ニ從事シタ者ハ若干殖エテ
居リマスルガ、論ズル程ノ數字デハアリマ
セヌ、交通業ニ從事シタ者ハ却テ減ッテ居リ
マス、唯知識階級ノ就職者ガ若干增加シテ
居リマスルケレドモ、是亦殆ド數フルニ足
ル程度デハアリマセヌノニ、茲ニ驚クベキ
コトハ物品販賣業ニ從事スル者ガ百七十万
人ノ就職者ノ中、其殆ド八割ニ達スル所ノ
百二十万人ト云フ增加ヲ示シテ居ルノデア
リマス、而モ此百二十万人ノ中、六大都市
ニドレ位ノ人ガ居ルカト申シマスルト、驚
クベキ計數ヲ示シテ居リ、九割四分ノ百十
二万八千人ト云フ所ノ多數ノ人ガ六大都市ニ
居住シテ、而モ商工省ノ所謂中小ノ物品販賣
業ニ從事致シテ居ルノデアリマス、是デハ全
ク共食ヒデアリマス、是デハヤッテ行ケナイ
ト云フコトハ當然デアリマス、現ニ第七十
議會ニ於キマシテ、本百貨店法案ノ委員會
ニ於テ議論トナリマシタガ、東京市ノ如キ
ハ五人ニ一人ノ物品販賣業者ガアルト云フ
ヤウナ、悲シムベキ統計ガ現ハレテ居ルノ
デアリマス、デアルカラシテ私ハ此統計ノ
上カラ行キマシテモ、此百貨店法案ガ實施
サレルコトニ依ッテ、斯ノ如キ增加率ヲ示シ
テ居ル所ノ中小ノ商業者ガ、百貨店ヲ抑ヘ
ルコトニ依ッテ吾々ハ救ハレルノデアル、吾
吾ハ助カルノデアルト云フヤウナ觀念ヲ、
日本全國九百万人ニ垂ントシテ居ル所ノ中
小商業者ニ與ヘマシタナラバ、ソレコソ私
ハ由々シキ社會問題ヲ惹起スルト思フノデ
アリマス(拍手)デアルカラ私ハドウシテモ
商工當局トシテハ、此百貨店ヲ抑ヘル半面
ニ於テ、此急激ナル所ノ增加ヲ致シテ居リ
マスル中小商業者ヲ、如何ニシテ救濟スル
カト云フ對策ヲ講ジナケレバナラヌト思フ
ノデアリマスガ、商工大臣ハ之ニ對シテ如
何ナル御所見ヲ有スルカ承リタイト思フノ
デアリマス、尙ホ經營方法或ハ金融難ニ付
テハ、眞鍋君ヨリ御質問ガアリマシタカラ
省略致シマス
更ニ第三點トシテ御伺致シタイコトハ、
百貨店ヨリモ寧ロ連鎖店及ビ共同連鎖店ガ
却テ中小商業者ヲ脅スモノデナイカト云フ
點デゴザイマス、御承知ノ如ク此連鎖店及
ビ共同連鎖店ハ、西曆千九百年カラ千九百
二十年ノ間ニ、世界各國ニ急速ニ發展シテ
參リマシタモノデアリマシテ、我國ニ於キ
マシテモ御承知ノ如ク製菓會社或ハ麥酒ノ
會社ニ於テ、是等ノヤウナ一大製造會社ト
特殊ノ小賣業者トノ間ニハ契約ガ締結致サ
レマシテ、是等ノ販賣業者ハ特殊ノ利益ヲ
得テ居ルノデアリマス、此連鎖店ガ世界ノ
列國ニ於テドウ云フヤウナ情勢ニアルカト
申シマスルト、寧ロ百貨店ヨリモ數倍恐ル
ベキ進出ヲ致シテ居ルノデアリマス、最近
ニ於ケル米國ノ一例ヲ申上ゲマシテモ、米
國ニ於ケル全小賣業者ノ賣上金額ハ二百五
十億弗ト稱セラレテ居リマスルガ、百貨店
ハ其一割ノ二十五億弗デアリマス、然ルニ
連鎖店及ビ共同連鎖店ノ總賣上金額ハ五十
六億弗ト相成ッテ居リマシテ、全小賣業者ノ
賣上金額ノ二割二分ヲ突破シテ居リマスル
シ、又百貨店ノ賣上金額ノ二倍强ニナッテ居
ルノデアリマス、又店舗ノ數ニ付テ之ヲ見
マシテモ、米國ノ小賣業者ノ總數ハ百五十
二万六千軒デアリマス、百貨店ハ僅ニ三千
四百餘軒デアリマス、然ルニ連鎖店ハ實
ニ十四万數千軒ヲ超エテ居リマシテ、百貨
店ノ四十倍强ト相成ッテ居ルノデアリマス、
其外獨逸、英國、佛國、伊太利等殆ド是ト
同樣ニ連鎖店ハ進步發展ヲ遂ゲテ居リマス、
若シ將來小賣業者ノ領域ヲ蠶食スルモノハ
何デアルカト云ヘバ、百貨店ニ非ズシテ共
同連鎖店或ハ連鎖店デナイカト私ハ考ヘル
ノデアリマスルガ、商工當局ハ之ニ對シテ
如何ナル御所見ヲ持ッテ居ルカ御伺致シ
タイノガ私ノ第三點ノ質問デアリマス
更ニ第四點トシテ御伺致シタイコトハ、所
謂超廉賣市場ノ問題デアリマシテ、此超廉
賣市場ト云フコトニ付テハ、或ハ譯シ方ガ不
適當カモ知レマセヌ、併ナガラ早稻田大學
ノ伊藤〓授ナドハ、斯ウ云フヤウナ直譯的
ノ言葉ヲ用ヒテ居ラレマスノデ、私ハ便宜
之ヲ援用シテ居ルノデアリマスルガ、要ス
ルニ御承知ノ米國ノ大西洋ヤ太平洋兩方ノ
沿岸ニ數年前カラ急速ナル發展ヲ致シマシ
ク、所謂廉賣ヲ斷行シテ居ル、アノ販賣政
策ヲ指スノデアリマスルガ、御承知ノ如ク
彼等ノ販賣政策ハ、五分ノ一ノ販賣政策ヲ
採ッテ居リマシテ、豫メ商品ヲ五分ノ一ヅヽ
ニ分ケマシテ、五分ノ一ニ依ッテ殆ド破格ノ
販賣ヲシテ客ヲ吸引スル、殘リノ第二ノ五
分ノ一ハ所謂トン〓〓販賣ト言ヒマシテ、
損益ナシデアリマス、第三番目ノ五分ノ一
ノ販賣ニ依ッテ、第一ニ失ハレタ所ノ販賣ノ
損失ヲ補充スルノデアリマス、而シテアト
ノ五分ノ二ノ販賣ニ依ッテ、利益ヲ得ルト云
フ販賣政策デアリマス、是デスラモ尙且ツ米
國ニ於キマシテハ百分ノ九、所謂九分位ノ利
益ヲ得テ居ルサウデアリマスガ、私考ヘマス
ニ、若シ此超廉賣ノ販賣制度ガ我國ニ傳播致
シマシタナラバ、百貨店或ハ連鎖店以上ノ脅
威ヲ感ズルノデナイカ、斯樣ニ考ヘルノデア
リマス、併ナガラ此問題ニ對シテハ各學者、
各實際家及ビ各〓究者ハ樂觀論ヲ唱ヘテ居
リマス、其理由トスル所ハ、米國ノヤウナ
流行ノ「テンポ」ノ速イ國家、及ビ卸値ト小賣
値ノ非常ナ開キノアル國家ニ於テハ進出ノ
餘地ハアルケレドモ、日本ノ國家ノ如ク小賣業
者ガ八分乃至最高一割六分位ノ利益ヲ以テ
甘ンジテ居ル國家ニハ、進出ノ餘地ナシト
云フコトデ、殆ド顧ミラレナイト云フヤウ
ナ情勢ニアルノデアリマスケレドモ、御承
知ノ如キ經濟情勢ニ於テ、果シテ學者及ビ
實際家、〓究者ノ言フ如ク之ヲ放任シテ宜
イカドウカト云フコトハ、私考ヘナケレバ
ナラナイ問題ト思ヒマスガ、商工當局ハ之
ニ對シテ御〓究ニナッタカドウカ、御〓究
ニナッタトスレバ、對策如何ト云フコトガ第
四トシテ御伺シタイ點デアリマス
更ニ第五點トシテ御伺致シタイコトハ、
法案ノ條文上ノ疑義デアリマス、詳細ナル
コトハ委員會ニ讓リマシテ、極メテ重要ナ
ル點ニ付テ一三御伺致シタイト思ヒマス、
箇條書ニシテ申上ゲマス、其第一ハ本百貨
店法案ヲ通讀致シマスルニ、從業員ニ關ス
ル規定ガ全然缺如サレテ居リマス、是ハ商
店法ニ讓ルノ意思デアルカドウカ、若シ商
店法ニ讓ルトスレバ、內務省ト十分御打合
セニナッタカドウカ、又内務省ハ本案ト重大
ナル關係アル商店法ヲ、何ガ故ニ本議會ニ
御提案ニナラナカッタカ、又商工省ハ單獨ニ
而モ急速ニ本法案ヲ此短期議會ニ提案スル
所ノ特別ノ必要ト理由ガアッタカ、此點デア
リマス
更ニ第二ニ御伺致シタイコトハ百貨店ノ新
設擴張其他ニ付キマシテ許可制度ヲ採ルコ
トニナッテ居リマスガ、其許可ヲ與ヘル所謂
標準ト云フモノヲ、本法案ニ何等示シテ居
ラナイノデアリマス、無論是等ヲ許可スル
ニ付キマシテ、其都市ノ人口、小賣業者ノ
數或ハ交通機關、其他各種ノ經濟狀況ヲ
標準トシテ、十分ニ檢討討究ノ結果御許シ
ニナルベキモノト思フケレドモ、是等ノ標
準ヲ示サナイノハ何デアルカ、若シ許ス標
準ヲ示ストスレバ、將來勅令カ省令ニ讓ル
積リデアルカドウカ、之ヲ御伺シタイノデ
アリマス
更ニ第三點トシテ御伺シタイコトハ附則
ノ第二項デアリマス、附則ノ第二項ニ依リマ
スルト云フト、本法施行ノ際現ニ營業シテ
居ルモノハ許可ヲ得タルモノト看做ス、斯
樣ニ書イテアリマスガ、本法施行ノ際新設
若クハ擴張準備中ノモノ、例ヘバ百貨店ノ
建築許可ヲ得テ既ニ建築中ニアルモノ、或
ハ許可ヲ得テ建築準備中ノモノ、斯ウ云フ
モノニ對シテハ如何ナル御取扱ヲ爲サル意
思デアルカト云フコトガ第三デアリマス
更ニ私共ノドウシテモ承服スルコトノ出
來ナイ一ツノ條文ガアルノデアリマス、ソ
レハ今度ノ此法案ヲ見マスルト、一囘ノ警
告モ發セズ、一囘ノ催告モ致サズシテ、商
工省ノ行政命令一本ヲ以テ、如何ニ澤山ノ
資本ヲ投ジテ居ル所ノ百貨店デモ、或ハソ
レ等ノ法人デモ、或ハソレ等ノ法人ノ役員
デモ、總テ營業ノ免許ノ取消ニシロ、部
ノ停止ニシロ、役員ノ解任ニシロ、全部商
工省ノ意思ノ儘ニ出來得ルコトニナッテ居
ルノデアリマス、私共ハ之ヲ見ル時ニ慄然
トシテ驚カザルヲ得ナカッタ、他ノ刑法、或
ハ刑罰法規、刑事訴訟法、國稅徴收法、或
ハ所得稅法、營業稅法、收益稅法、サウ云フ
モノト比較致シマシテモ、斯ノ如キ亂暴ナ
所ノ規定ヲ置イタ法律ハナイノデアリマス、
此點ニ對スル商工當局ノハッキリシタ御答辯
ヲ得タイト思フノデアリマス
更ニモウ一ツ驚クベキ法文ガアルト云フ
コトハ、第十七條ニ於キマシテ、商工省ノ
監督權ノ範圍ガ非常ニ擴大强化サレマス、
商工省ノ判任官、或ハ府縣ノ商工課ノ役人
ガ其現場ニ臨ンデ、何等ノ理由ナク、何等
ノ犯罪ナシトシテモ、其組合ノ事務所、店舗
其他ノ場所ニ臨檢シテ、業務ノ狀況ヲ調査
スルコトハ勿論、帳簿ノ檢査、捜査モ出來
マス、又場合ニ依ッテハ報〓モ求メラレマス、
監督上必要ナル處分モ出來ル、而モ之ニ反
スルカ、之ヲ拒ムカ、之ヲ囘避シテモ、直
チニ數千圓以下ノ罰金又ハ過料ニ處スト云
フヤウナ驚クベキ規定ガアルノデアリマス、
尙ホ最モ驚クベキハ、是等ノ者ガヤッタナラ
バ率ザ知ラズ、是等ノ從業者ノ家族、雇人
其處ノ從業者ガ爲シタル場合ニ、自己ノ指
揮ニ出デナイ、自己ガ知ラナイト言ッテモ、
其處罰ヲ免レナイト云フヤウナ規定ニ相成ッ
テ居リマス、私共ハソレ程商工當局ガ百貨
店業者ヲ潰シタケレバ潰スモ結構、彈壓ヲ
加ヘルモ結構デアル、併ナガラ他ノ刑罰法
規ニ比較シテ是程重大ナル所ノ法文ヲ、此
百貨店法ニ設ケタト云フコトハ、其理由那
邊ニアリヤト云フコトヲ伺ヒタイノデアリ
マス、尙ホ詳細ナルコトハ委員會ニ讓リマ
シテ、商工當局ノ御答辯ヲ御伺致シマス
〔政府委員木暮武太夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=30
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031・木暮武太夫
○政府委員(木暮武太夫君) 紅露サンノ御
質問ニ御答申シマス、第一點ハ只今議題ニ
ナッテ居リマスル百貨店法ハ、時代ニ逆行シ
タ法律デハナイカト云フノデ、佛蘭西ハ課
稅主義デアルトカ、或ハ獨逸、伊太利ハド
ウトカ、亞米利加ノ例ナドヲ御引キニナッタ
ノデゴザイマス、併ナガラ御承知ノ通リ、
亞米利加ハ百貨店ハ餘リ發達シテ居ナイデ、
「チェーン·ストア」ト言ヒマスカ、連鎖店ノ
方ガ發達致シテ居リマスヤウナ譯デ、或ハ
獨逸、伊太利ノ如キハ、小賣店ノ免許制度
ヲ布イテ居リマスヤウナ譯デ、各國事情ガ
異ッテ居リマス、我國ノ中小商業者ニ對スル
百貨店ノ最近ニ於ケル其厖大ナル資本ト信
用トヲ以テノ進出壓迫ト云フモノニ對シマ
シテハ、何カ緩和スルノ必要アリト云フコ
トハ、世間ノ輿論デゴザイマシテ、此法案
ヲ出シマスコトハ決シテ時勢ニ逆轉シタモ
ノデナイト、當局ハ信ジテ居ルノデゴザイ
マス
第二ハ百貨店ガ出來ルト、今度ハ百貨店
法ガ出來テ、百貨店ヲ將來ドン〓〓許可シ
ナイト云フヤウナコトニナルト、小賣業者
ガ安心シテ段々其人數ガ殖エテ、却テ中小商
業者ノ人ガ苦シムノデハナカラウカト云フ
御意見デゴザイマスガ、是ハ一ツノ議論ト
シテハサウ云フヤウナコトモ申サレルカト
思ヒマスケレドモ、唯小賣業者、中小商業
者ノ生活ノ疲弊困憊シテ居リマスコトヲ向
上安定セシムルト云フコトハ、唯此法律ニ
依ッテバカリデナイノデアリマシテ、先程眞
鍋君ノ御質問ニ御答致シマシタ通リ、或人
金融制度ノ改善ニ依リ、或ハ商業組合ノ擴
充發展ニ依リマシテ、色々ノ方策ニ依ッテ中
小商業者ノ維持向上ヲ圖ラウト致シテ居ル
ノデゴザイマシテ、本法ガ出來マシタ爲ニ、
殊更ニ小賣業者ガ苦シムト云フヤウナコト
ハ、當局ト致シマシテハ豫見致シ難イノデ
ゴザイマス
第三點ト致シマシテハ、所謂連鎖店、均
一店ト云フヤウナモノニ對シテ、政府ハド
ウ考ヘテ居ルノカト云フ御話デゴザイマス
ルガ、先程申上ゲマシタ通リ、亞米利加ノ
如ク連鎖店ノ非常ニ發達シテ、「デパート
メント·ストア」ノ方ガ餘リ發達シテ居リマ
セヌ處ニ於テハ連鎖店ニ對スル色々ナ法律
ガ州ニ於テ出來テ居リマスヤウナ譯デ、我
國ニ於キマシテハ、今日マダ均一店或ハ連
鎖店ト云フモノニ付テハ法律ヲ作リマシテ
是ガ統制ヲ行ッテ、由テ以テ中小商業者ノ是
等カラ來ル壓迫ヲ緩和スル程度ニ迄ナッテ
居ラヌト、政府デハ考ヘテ居ルノデゴザイ
マス
次ハ超廉賣ノ問題ト申シマスルカ、所謂
百貨店デヤッテ居リマスル〓政策ノコトデ
アラウト考ヘルノデアリマスガ、御承知ノ
通リ、二三年前カラ出來マシタ所ノ百貨店
組合ノ自制協定ニ依リマシテ、現在ニ於キ
マシテモ是ガ統制ハ致シテ居ルノデアリマ
ス、今後ニ於キマシテモ此囮政策、超廉賣
政策ト云フモノニ對シマシテハ、百貨店組
合ノ自制協定ニ依ッテ之ヲ致サセタ上、更ニ
政府ハ之ヲ嚴重ナル監督ヲ致サウト云フ方
針デアルノデアリマス
ソレカラ本法案ニハ從業員ノコトガ書イ
テナイガ、ドウ云フ譯カト云フ御質問ガゴ
ザイマシタガ、是ハ社會局或ハ內務省關係
ノ商店法ノ如ク、其處デ働イテ居リマス人
ノ保健トカ體位ノ向上ト云フヤウナ、從業
員ヲ目標トシタ法律デハナイノデアリマシ
テ、中小商業者ニ對スル所ノ、百貨店ノ壓
迫ヲ緩和スルト云フ所ニ狙ヒヲ置キマシタ
ノデアリマスカラ、從業者ノ問題ハ本法ニ
ハ何等觸ルヽ所ガナイノデアリマス、御諒
承ヲ願ヒタイト思ヒマス
ソレカラ許可ノ標準ト云フモノヲ書イテ
ナイガドウカト云フコトデアリマシタガ、
是ハ先程眞鍋サンニ詳シク御答申上ゲマシ
タ通リ、此法律ニ依ッテ今後出來マスル百
貨店委員會ニ於ケル重要ナル諮問事項ト致
シテ居ルノデゴザイマス
ソレカラ現在計畫中又ハ準備中ノモノニ
對スル取扱ハドウダト云フ、適切ナル御質
問ガゴザイマシタガ、御答申上ゲマス、御承
知ノ通リ本法施行當時旣ニ營業ヲ致シテ居
リマスモノハ、第三條ノ許可ヲ受ケタルモノ
ト看做サレルコトハ勿論デアリマスガ、建設
又ハ準備中ノモノハ第三條ノ許可ヲ受ケル
コトヲ要スルノデアリマス、但シ百貨店ノ
許可標準ハ、只今申上ゲマシタ通リ、此法律
ニ依ッテ出來マスル所ノ百貨店委員會ニ諮問
ノ上決定致シマスル豫定デアリマスルカラ、
其一ツ〓〓ノ特別ナル準備中ノモノハ、如
何ナル工事ノ進捗ノ狀態デアルカト云フ具
體的ノ條件ニ依ッテ、其許可如何ト云フコト
ヲ決定スルコトニ相成ルノデゴザイマス
次ニ申上ゲマスコトハ、役員ノ解任或ハ
營業ノ免許ノ取消ト云フヤウナコトヲ、政
府ガ保有致シテ居リマスルコトハ、亂暴デ
ハナイカト云フ御話デゴザイマスルガ、是
ハ極メテ極端ナ場合ヲ考ヘマスルト、統制
命令ヲドウシテモ聽カナイヤウナ場合ニハ、
斯ウ云フコトヲヤラナクテハナラヌノデアリマ
ス、此議會ニ於キマシテ皆樣方ノ御協贊ヲ
經ベク提出致シマシタ他ノ幾多ノ法律ニモ、
同ジヤウナ條項ガアルノデゴザイマス
最後ノ色々帳簿ノ檢査或ハ事務所ニ對ス
ル臨檢ト云フヤウナコトニ付テノ御非難モ
ゴザイマシタガ、是ハ統制ヲセシメテ、之ヲ
嚴重ニ監督ヲシテ、由テ以テ中小商業者ニ
對スル百貨店ノ壓迫ヲ緩和シヨウト云フ大
キナ目的カラ見マスト、斯ウ云フヤウナコ
トヲ致サナケレバナラヌト云フ趣旨ニ於テ
規定致シマシタニ外ナラナイノデアリマス、
此段御答致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=31
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032・小山松壽
○議長(小山松壽君) 北勝太郞君
〔北勝太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=32
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033・北勝太郎
○北勝太郞君 農林水產物ノ輸出ニ付キマ
シテ、根本問題ヲ二三御尋致シタイト思フ
ノデアリマス
貿易組合法ニ依ッテ輸出組合ヲ結成致シ
マス目的ハ、今更申ス迄モナク、一ツハ輸
出品ノ檢査ヲ致シマシテ、粗製濫造品ノ爲
ニ、日本ノ品物ノ聲價ヲ失墜シナイヤウニ
ト云フコトト、モウ一ツハ輸出數量ノ制限
ニ依ッテ不當廉賣ノ弊害ヲ防除シヨウト云
フ、此二ツガ主ナルモノデアリマス、而シ
テ農產物ノ輸出ニ對シマシテ檢査ヲ致シマ
スコトハ、道府縣農產物檢査所ニ於テ官廳
ノ仕事トシテ既ニヤッテ居ルノデアリマス、
之ヲ更ニ輸出組合ヲシテ檢査ヲサセルト云
フコトハ、單ニ輸出組合ニ手數料ヲ得セシメ
ルト云フコトノ外、何等ノ意義ヲ有タヌノ
デアリマス、デアリマスカラ、旣ニ官廳ガ
行ヒツヽアル檢査ニ付キマシテハ、苟モ營
利ヲ主トスル觀念カラ、更ニ二重ノ檢査ヲ
サセルト云フヤウナコトガアッテハ相成ラヌ
ト思フノデアリマスガ、當局ハ此問題ヲド
ウ御取扱ニナル積リデアルカ、御伺致シタ
イト思フノデアリマス
二次ニ輸出數量ヲ制限スルコトデアリマ
スガ、輸出制限ハ生產制限ト關聯ヲ有タ
ナケレバナラヌモノデアリマス、農林水產
物ノ如キ天然產物ハ、其年ノ豐凶ニ依ッテ
生產數量ガ定マルモノデアリマシテ、人爲
デハ如何トモスルコトガ出來ナイ性質ノモ
ノデアリマス、而モ長ク貯藏スルコトガ出
來ナイ性質ノモノガ多イノデアリマスカラ、
其年度ニ出來タモノハ、其年度內ニ之ヲ處
分スル必要ノアルモノガ多イノデアリマス、
隨テ內地ニ向カナイ所ノ是等ノ輸出品ニ付
キマシテハ、海外ノ價格ガ縱令少々安クト
モ、皆海外ニ捌カサナケレバ、農家ガ一年
中働イタ勞苦ト云フモノハ、全ク水泡ニ歸
シテシマフノデアリマス、斯ル特異性ヲ有
スル農林水產物ノ輸出ヲバ、輸出組合ノミ
ニ限定致シマスト云フコトハ、此數量決定
權ヲ彼等ノミノ掌中ニ歸スルコトニナリマ
スガ爲ニ、此制限數量ハ必シモ海外ノ需要
數量ト一致スルモノデナイニ拘ラズ、此輸
出制限數量ト云フモノガ、常ニ彼等ノ逆用
スル所トナルノデアリマス、生產數量ガ制
限數量ヲ超過スルト云フ理由ヲ以テ、集荷
値段ヲ叩ク所ノ口實ニ用ヒラレマシテ、全
ク營利ノ具ニ供セラレテシマフノデアリ
マス、斯クシテ彼等ガ暴利ヲ占メマシタ例
ハ、實ニ枚擧ニ遑ガナイノデアリマス、此
現象ハ取リモ直サズ現在ノ制度ニ大
キナ缺陷ガアルコトヲ雄辯ニ物語ッテ
居ルモノデアルト思ヒマス、今日農產物
ノ輸出總額ハ一箇年、生絲ヲ除キマシテ、
實ニ五億六千五百万圓ノ巨額ニ達シテ居ル
ノデアリマス、此巨額ナル農民ノ汗ト膏ノ
結晶ニ對シマシテ、之ヲ輸出商ノ營利ノ具ニ
供シ農民ヲ一部貿易商ニ隸屬スルモノノ如
キ取扱ヲ爲スト云フコトハ、農民ノ生存權
擁護ノ爲ニ斷ジテ放任スベキ問題デナイト
思フノデアリマス、故ニ私ハ農林水產物ハ、
輸出組合ト竝行シテ生產者自ラノ國體、卽
チ非營利ノ產業組合聯合會ノ輸出ヲ認メテ
ヤラナケレバナラヌト思フノデアリマス、
商工當局ハ產業組合聯合會ノ直接輸出ヲ認
メル御考ガナイカト云フコトヲ、此際承ッテ
置キタイノデアリマス
世間往々ニシテ產業組合ニ輸出ヲ許シマ
スト賣デモ致シマスルガ如キ杞憂ヲ懷カレ
ル者ガアルノデアリマス、併ナガラ產業組
合ハ生產者ノ利益ヲ代表スベキモノデアリ
マシテ、如何ナル場合ニ於テモ濫賣ナドス
ベキモノデナイコトハ、今更此處デ取立テ
テ申上ゲルマデモナイト考ヘルノデアリマ
ス、然ルニ商工當局ハ產業組合ヲ統制上ノ
障碍トナルガ如キ御取扱ヲ爲サレ、產業組
合ノ進出ヲ喜バズ、之ニ妨害ヲ致サナイマ
デモ、便宜ヲ與ヘヨウト云フ考ガナイノデ
アリマス、是ハ洵ニ私ハ遺憾デアルト思ヒ
マス、寧ロ私ハ輸出組合ノ現在採ッテ居ル
取引方法コソ、濫賣ノ危險ヲ多分ニ含ムモノ
デアルト思ッテ居ルノデアリマス、卽チ輸出
組合ハ自ラ海外ニ統制ノアル「オフアー」ヲ
致シテ居ナイ、組合員各自各個ガ勝手ナ「オ
フアー」ヲヤッテ居ルノデアリマス、政府ハ
將來輸出組合員ノ各自各個カラスル此取引
方法ヲ改メテ、輸出組合自ラヨリスル所ノ
統一アル取引ニサセラレル御考ガナイカド
ウカ、ソレト同時ニ產業組合聯合會トノ二
本建輸出ニ統一スル所ノ御考ガナイカ、卽
チ二元輸出ニセラレル所ノ御考ガナイカ、
之ヲ承ッテ置キタイト思フノデアリマス、而
シテ產業組合ノ輸出ニ付キマシテハ、必然
的ニ農林商工兩省ノ共管ニスベキ性質ノモ
ノデアルト思フノデアリマス、是ハ當然ノ
處置デアルト思フノデアリマスルガ、政府
ノ御考ハ如何デアルカ、尙ホ私ハ他ニ質疑
ヲ致シタイ事ガアリマスガ、是ハ總テ委員
會ニ讓ルコトニシマシテ、是ダケノ點ヲ御
伺シテ置ク次第デアリマス(拍手)
〔政府委員木暮武太夫君登壇〕,発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=33
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034・木暮武太夫
○政府委員(木暮武太夫君) 北サンノ御質
問ニ極メテ簡單ニ御答申上ゲマス、輸出組
合ガ檢査ヲ致シマスコトハ、我國ノ商品
粗製濫造ヲ防イデ、本邦品ノ海外ニ於ケル
聲價ヲ墜サヾルヤウニ致シマス爲ニ檢査ヲ
致スノデアリマシテ、特別法ニ依ッテ檢査ヲ
致シマスル場合ニハ、二重ニ檢査ヲスル必
要ハナイト當局デハ考へテ居リマス、尙ホ
此點ニ付テハ、農產物ト貿易組合トノ關係
ニ付テ、〓括的ニ御答申上ゲルコトガ御理
解ヲ得ル所以デアルト申上ゲテ置キマス
ガ、貿易組合法ヲ農產物關係ニ適用致シマ
スル場合ニ於テハ、商工、農林兩省デ協議
シテ行フト云フコトハ、旣ニ過グル第七十
議會ニ於キマシテ、本案ノ特別委員會デ商
工大臣ト農林大臣ガ言明ヲ致シテ居リマス
次第モアルノデアリマス、隨テ運用ニ依リ
マシテ農產物關係業者ノ利益ヲ十分保護シ
得ルモノト私共ハ考ヘテ居ルノデアリマ
ス、以上ノ點デ御諒承ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=34
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035・小山松壽
○議長(小山松壽君) 加藤鐐造君
〔加藤鐐造君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=35
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036・加藤鐐造
○加藤鐐造君 工業組合法ノ改正ニ關聯致
シマシテ、重要ナ二三ノ點ヲ極メテ簡單ニ
質問致シタイト考ヘルノデアリマス
第一ニハ工業組合員指導ニ關スル點デア
リマス、今囘ノ工業組合法ノ改正ニ依リマ
シテ、工業組合員ニ對スル監督ノ點ハ益〓
强化サレルノデゴザイマスルガ、併シ私ハ
工業組合員指導ニ關スル點ニ於キマシテ、
マダ甚シク缺ケル點ガアリハシナイカト考
ヘルノデゴザイマス、工業組合ヲ構成シテ
居リマスル所ノ工業家ハ、言フ迄モナク所
謂中小工業家デアリマシテ、經濟界ノ動向
或ハ變化等ニ對スル所ノ知識ガ極メテ乏シ
イノデアリマス、今囘ノ統制ニ依リマシテ、
工業組合法ノ改正ニ依リマシテ、統制違反
者ニ對シマシテ益〓激烈ナ處罰ヲ爲スコト
トナルノデアリマス、工業家ガ統制違反ヲ
犯スニ至リマスル原因ハ、色々アルノデゴ
ザイマスルガ、其最モ大キナ原因ハ、經濟
界ノ情勢竝ニ變化、或ハ工業組合法規等ヲ
知悉シナイト云フ點ニアルノデゴザイマス、
其爲ニ延イテハ組合員自體ガ所謂統制ヲ忌
避スルト云フヤウナ場合ガ屢〓アルノデゴザ
イマス、政府ハ工業組合法ヲ改正致シマシ
テ、サウシテ統制ヲ益〓强化致シマスル半面
ニ、斯ル業者ノ知識不足ニ基ク點カラ起ル
所ノ問題ヲ未然ニ防止スル爲ニ、是等ノ無
智ナル工業家ニ對スル所ノ指導啓發ヲ爲ス
對策ヲ政府ハ持ッテ居ラレルカドウカト云
フ點ヲ伺ヒタイノデゴザイマス
第二ニハ是ハ直接ニハ內務省所管ニ屬ス
ル問題デゴザイマスルガ、工業組合傘下ニ
於ケル所ノ勞働者ニ、工場法適用ヲ一般化
スル意思アリヤ否ヤト云フ點デゴザイマス、
工業組合ハ今囘ノ改正ニ依リマシテ一般化
スルト共ニ、其統制ハ一段ノ强化ガ行ハレ
マスルコトハ今申シマシタ通リデゴザイマ
スルガ、此改正法ニ依リマスルト、工業組
合ハ將ニ一企業家的ナ生產ヲ營ムコトニナ
ルノデゴザイマス、然ルニ其傘下ニ働イテ
居ル所ノ勞働者ノ中ニハ、殆ド何等ノ保護
法規ノ適用ガナイノデアリマシテ、低賃銀
ト長時間勞働ニ曝サレテ居ル次第デゴザイ
やっく、工業組合ガ一企業家的ナ存在ト化シ
テ行キマシテ、勞働者ガ此統制ノ埒外ニ取
殘サレテ居ルト云フコトハ、最モ吾々ノ遺
憾トスル所デアリマスルガ、工業組合下ノ
工業家ノ一工場々々々ノ勞働者ハ五人以下
ノ者デアリマシテモ、之ヲ合計致シマスレ
バ相當多數ノ勞働者ガアル譯デアルノデア
リマス、工業組合ガ一企業家、一工業家化
サレマスル以上、其傘下ニアル所ノ勞働者
ヲ一體ト見テ、此際工場法ヲ改正致シマシ
テ、全般的ニ適用スル所ノ方針ヲ執ラレテ
ハドウカ、執ラルベキデハナイカト考ヘル
ノデアリマスルガ、其點ニ對スル政府ノ所
見ヲ伺ヒタイノデゴザイマス
第三ニハ、ヤハリ是モ健康保險ニ關スル問
題デアリマスルガ、工業組合傘下ニ於キマ
スル所ノ勞働者ニ、健康保險組合ヲ組織セ
シメル所ノ意思アリヤ否ヤト云フ點デゴザ
イマス、現行ノ健康保險法第二十八條ニ依
リマスルト、二ツ以上ノ事業家ガ共同致シ
マシテ、其從業者ヲシテ健康保險組合ヲ作
ラシメルコトガ出來ルノデアリマス、工業
組合ノ企業ハ、先程申シマシタヤウニ大部
分ガ小企業デアリマシテ、其從業員ハ今日
尙ホ健康保險法ノ保護ノ下ニ置カレテ居ナ
イノデゴザイマス、工業組合ヲ一企業家、
一工業家的ニ爲サウト致シマスナラバ、政
府ハ健康保險法ノ第二十八條ヲ活用致シマ
シテ、サウシテ中小工業家ノ下ニ働イテ居
リマス勞働者全體ヲ、健康保險ノ保護ノ下
ニ置クベキデハナイカト考ヘルノデアリマ
ス、此點ハ唯單ニ勞働者自身ガ希望シテ居
ルバカリデナク、實ニ工業家自體モ希望シ
テ居ル點デアリマシテ、此際政府ハ保健社
會省ノ新設ヲサレルト云フコトデアリマス
ガ、其時期ニ鑑ミマシテ、斯ル健康保險法
ノ活用ヲスル所ノ意思アリヤ否ヤト云フ點
ヲ承リタイノデアリマス(拍手)
〔政府委員木暮武太夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=36
-
037・木暮武太夫
○政府委員(木暮武太夫君) 御答ヲ申上ゲ
マス、工業組合ノ統制ノコトニ付キマシテ、
業者ガ割合ニ知識ガナイト云フコトハ御說
ノ通リデアリマシテ、從來ト雖モ當局ハ其
指導ニ付キマシテ萬全ヲ期シテ居ルノデア
リマスガ、今後ハ斯ウ云フ工業組合法中改
正法律案ヲ提出致シマシテ、是ガ成立ノ曉
ニハ更ニ從來以上ニ其指導ヲ怠ラナイ積リ
デゴザイマス
〔政府委員勝田永吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=37
-
038・勝田永吉
○政府委員(勝田永吉君) 御答申上ゲマス、
只今ノ御質問ハ內務省ニ關係スル限リニ於
キマシテハ、畢竟工場法竝ニ健康保險法ノ
適用ノ範圍ヲ擴メヨト、斯ウ云フ御趣旨ト
諒承スルノデゴザイマスルガ、御承知ノ通
リニ事業主ノ負擔ノ關係モゴザイマスノデ、
只今ノ所ハ是レ以上直チニ御要求ニ應ジマ
スト云フ、斷定的ノ御答ヲ致スコトガ出來
ナイノデアリマス、併ナガラ健康保險法ト工
場法ノ適用ノ範圍ガ違ヒマスルコトガ宜シ
イノデアリマスルカ、又ハ之ヲ同一ニスル
コトガ宜イノデアルカト云フコトニ付キマ
シテハ、各〓見方ノ相違ニ依リマシテ結論
ガ違ッテ參リマス、此點ニ付キマシテハ成ベ
ク適用範圍ヲ擴メルヤウニ、將來考慮致シ
タイト、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス(拍
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=38
-
039・中山福藏
○中山福藏君 四案ニ對スル質疑ハ此程度
ヲ以テ終局セラレンコトヲ望ミマス
(「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=39
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040・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中山君ノ動議ニ贊成
ノ諸君ハ起立ヲ願ヒマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=40
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041・小山松壽
○議長(小山松壽君) 起立多數、質疑ハ終
局ト相成リマシタ、各案ノ審査ヲ付託スベ
キ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=41
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042・中山福藏
○中山福藏君 日程第二乃至第四ノ三案ヲ
一括シテ、議長指名二十七名ノ委員ニ付託
シ、日程第五ハ議長指名十八名ノ委員ニ付
託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=42
-
043・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中山君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=43
-
044・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=44
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045・中山福藏
○中山福藏君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出、船員法
改正法律案ヲ議題ト爲シ、委員長ノ報〓ヲ
求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス
(「贊成」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=45
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046・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中山君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=46
-
047・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、船員法
改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委
員長ノ報告ヲ求メマス-漢那憲和君
船員法改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一船員法改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十二年八月二日
委員長漢那憲和
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一政府ハ海運ノ重要性ト船員ノ特殊性
トニ鑑ミ刑法ヲ改正シ船員ガ著シク其
ノ職務ヲ怠リタルコトニ因リテ生ジタ
ル過失ニ非ザレバ罰セザルヤウ之ヲ法
文化スベシ
二政府ハ船員ノ業務上ノ過失ニ對シテ
ハ海員審判所ノ審判後ニ非ザレバ刑事
訴追ヲ爲サザル方針ヲ採ルベシ
三政府ハ船員ノ業務上ノ過失ニ對シテ
ハ愼重ナル態度ヲ以テ臨ミ輕々ニ之ヲ
處斷セザルヤウ檢察當局ニ對シテ訓令
ヲ發スベシ
四政府ハ海難ニ際シ船員ノ喚問取調ヲ
爲スニ當リテハ其ノ業務ニ支障ヲ來サ
ザルヤウ十分ニ理解アル態度ヲ以テ臨
ムベク檢察官ニ訓令ヲ發スベシ
〔漢那憲和君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=47
-
048・漢那憲和
○漢那憲和君 私ハ只今議題ト相成リマシ
タ船員法改正法律案ノ委員會ノ經過及ビ
結果ヲ御報告致シタイト存ジマス、委員ハ
七月三十日參集致シマシテ、先ヅ委員長及
ビ理事ノ選擧ヲ行ヒ、委員長ニハ不肖私、
理事ニハ岡野龍一君、長井源君、高橋泰雄
君及ビ田代正治君ノ四君ガ當選セラレマシ
ク、引續キ會議ヲ開キマシテ、政府當局ノ
說明ヲ聽キ、後質疑ニ入ッタノデアリマス、
抑ミ本法案ハ前議會ニ於キマシテ、滿場一
致附帶決議ヲ以テ衆議院ヲ通過致シタノデ
アリマス、其當時委員會ニ於テ專ラ論議ノ
焦點トナリマシタノハ、船員ノ過失ニ基ク
刑罰ニ關スルモノデアリマシタ、卽チ現行
法ニ於キマシテハ、船員ハ重大ナル過失ニ
基ク海難ニ對シテハ、船員法第七十三條ヲ
適用セラレ、通常ノ過失ニ基ク海難ニ對シ
テハ、刑法第百二十九條ヲ適用セラルヽコ
トト相成ッテ居リマス、然ル所海難ハ船員ノ
技倆ノ巧拙、判斷ノ適否及ビ注意ノ疎密
等、人的要素ノ外ニ、天候、地勢、潮流竝
ニ船舶ノ構造及ビ運動力等、物的要素ニ因
ルモノガ甚ダ多イノデアリマシテ、從來ノ
事實ニ徵シマスルニ、海難ノ多クハ不可抗
力ニ因ルモノデアリマス、而シテ海上ノ事
ハ、證據ノ求メ難キ關係上、此不可抗力ニ
因ルモノ、又ハ他船船員ノ行爲ニ因ル場合
デモ、尙且ツ自己ノ過失ナリト誤認セラレ
易クアリマシテ、是ガ爲ニ無辜ノ者ガ罰セ
ラルヽ危險ガ甚ダ多イノデアリマス、且又
船員ニ對スル裁判所ノ判決ハ、往々ニシテ
海員審判所ノ採決ト相反スルノミナラズ、
其適正ヲ疑ハシムルモノガゴザイマス、是
ハ畢竟海事ニ明カナラザル檢察官及ビ司法
官ガ其審理ニ當ル爲ニ、實情ニ卽セザル結
果ニ陷ルカラデアリマス、更ニ其上ニ船員
ニ在ッテハ、取調ノ爲ニ官廳ニ召喚セラレ
ルコトハ、延イテ船舶ノ行動ヲ阻碍スルコ
トニ相成リマシテ、遂ニハ失業ノ機會ヲ投
ゲ與ヘルコトニ相成ルノデアリマス、以上
ノ立場ニ於テ船員ハ到底安心シテ其業務ニ
精勵スルコトハ出來マセヌカラ、船員ノ特
殊性ヲ認メテ海事常識ニ於テ過失ナリト認
メラルヽ種類ノモノニ對シテノミ、刑罰ヲ
加ヘルヤウニシテ貰ヒタイ、畢竟船員ニ對
シテハ、重大ナル過失ニ對シテノミ刑罰ヲ
以テ臨ムヤウニシテ貰ヒタイト云フノガ、
當時ノ委員會ニ於ケル空氣デアリマシタ、
主トシテ此趣意ニ依ッテ質疑應答ガ重ネラレ
タノデアリマス、之ニ對シテ政府ハ、船員
ノ特殊性ハ之ヲ認メルガ、今直チニ法案
ヲ修正シテ、法文ニ明記スルコトハ、他ト
ノ釣合ガアルカラ同意スルコトハ出來ナイ、
是ハ刑法改正ノ際ニ特ト考慮スルコトニ致
シタイト云フノデアリマシタ、ソコデ當時
ノ委員會ニ於キマシテハ、諸般ノ情勢カラ
判斷致シマシテ、四箇條ノ附帶決議ヲ以テ
本法案ヲ可決スベキモノトシテ滿場一致ヲ
以テ可決致シマシタ、政府モ此附帶決議ヲ
尊重スル旨ノ言明ヲ致シマシテ、本會議ニ
於テモ亦滿場一致可決セラレタ次第デアリ
マス
以上ハ本法案ニ關スル前議會ノ審議ノ大要
デアリマスルガ、本委員會ニ於キマシテ
ハ、委員長井源君カラ、政府ハ本法案ニ關
スル前議會ニ於ケル陳述ヲ今日其儘承認ス
ルノカ、將又之ヲ加除訂正スル意思ガアル
カ、又附帶決議ハ今日モ尙ホ之ヲ尊重スル
ヤヲ質シマシテ、之ニ對シテ政府ハ前議會
ノ陳述ヲ其儘承認シ、附帶決議ハ之ヲ尊重
スル旨ノ明確ナル答辯ガアッタノデアリマ
ス、其外船員ノ思想問題、海上勞働問題、
船籍ト船員ノ國籍ニ關スル問題、米國移民
法ガ我ガ船員ニ適用セラルヽ場合ニ關スル
問題、船員保險法ノ問題等ニ關シマシテ、
委員ト政府トノ間ニ熱心ナル質疑應答ガ重
ネラレタノデアリマス、尙ホ委員小山亮君
カラ、船員ノ所謂二重處罰ヲ矯正スル一方
法トシテ、船員ニ對シテモ海軍ノ査問委員
會ニ類スル制度ヲ設クル意思ナキヤトノ質
問ガアリマシタ、政府ハ之ニ對シテ現行海
員懲戒法ハ處罰主義ニ偏スル嫌ヒガアルカ
ラ、之ヲ事實審査主義ニ改正シタキ意向ヲ
有スルコトヲ言明セラレマシタ、又水先案
內人ノ取扱ニ付テハ、船員ニ準ズベキモノ
ト思フガドウカト云フ質問ニ對シマシテ、
政府ハ之ヲ肯定セラレタノデアリマス
斯業ニシテ本日質問ヲ終了シ、直チニ討
論ニ入リマシテ、民政黨ノ長井源君カラ黨
ヲ代表シテ各派共同提案ニ係ル四箇條ノ附
帶決議、卽チソレハ前議會同樣ノモノデア
リマスガ、只今朗讀致シマス
-政府ハ海運ノ重要性ト船員ノ特殊性
トニ鑑ミ刑法ヲ改正シ船員ガ著シク其
ノ職務ヲ怠リタルコトニ因リテ生ジタ
ル過失ニ非ザレバ罰セザルヤウ之ヲ法
文化スベシ
二政府ハ船員ノ業務上ノ過失ニ對シテ
ハ海員審判所ノ審判後ニ非ザレバ刑事
訴追ヲ爲サザル方針ヲ採ルベシ
三政府ハ船員ノ業務上ノ過失ニ對シテ
ハ愼重ナル態度ヲ以テ臨ミ輕々ニ之ヲ
處斷セザルヤウ檢察當局ニ對シテ訓令
ヲ發スベシ
四政府ハ海難ニ際シ船員ノ喚問取調ヲ
爲スニ當リテハ其ノ業務ニ支障ヲ來サ
ザルヤウナ分ニ理解アル態度ヲ以テ臨
ムベク檢察官ニ訓令ヲ發スベシ
ト云フ四箇條ノ附帶決議ヲ附シテ可決スベ
シトノ陳述ガアリ、政友會ノ高橋泰雄君、
第一議員倶樂部ノ山崎常吉君、社會大衆黨
ノ米窪滿亮君及ビ第二控室ノ小山亮君カラ、
ソレ〓〓贊成意見ヲ述べラレマシテ、斯ク
テ滿場一致本案ハ可決セラレタノデアリマ
ス、以上御報告申上ゲマス、尙ホ此場合政
府ハ附帶決議ヲ尊重スル旨、本議場ニ於テ
言明セラレンコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=48
-
049・小山松壽
○議長(小山松壽君) 此際永井遞信大臣ヨ
リ發言ヲ求メラレマシタ、之ヲ許シマス
永井遞信大臣
〔國務大臣永井柳太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=49
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050・永井柳太郎
○國務大臣(永井柳太郞君) 遞信省ト致シ
マシテハ船舶ノ操縦ガ極メテ困難ナル事
情、及ビ海難原因ノ複雜ナル事情等ニ付キ
マシテ、能ク諒承致シテ居リマスカラ、司
法當局トモ篤ト協議ノ上、御希望ノアル所
ヲ十分尊重致シマシテ、出來ルダケノ努力
ヲ致シタイト存ジマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=50
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051・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=51
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052・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議······只今ノ宣
言ヲ取消シマシテ後ニ戾リマス-久山司
法政務次官
〔政府委員久山知之君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=52
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053・久山知之
○政府委員(久山知之君) 附帶決議ノ御趣
旨ニ對シマシテハ、篤ト諒承致シテ居リマ
ス、就キマシテハ事情ノ許シマス限リ院議
ヲ尊重致シタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=53
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054・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=54
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055・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=55
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056・中山福藏
○中山福藏君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=56
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057・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中山君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=57
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058・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
船員法改正法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=58
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059・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ
可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=59
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060・中山福藏
○中山福藏君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出、人造石
油製造事業法案及ビ帝國燃料興業株式會社
法案ノ二案ヲ一括議題ト爲シ、委員長ノ報
〓ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=60
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061・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中山君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=61
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062・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、人造石
油製造事業法案、帝國燃料興業株式會社法
案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キ
マリ、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長
古屋慶隆君
人造石油製造事業法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
帝國燃料興業株式會社法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一人造石油製造事業法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十二年八月二日
委員長古屋慶隆
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一本事業ノ成否ハ國防、產業竝國民生
活ニ重大關係ヲ有スルノミナラズ財政
上尠カラザル負擔ヲ增加スベキヲ以テ
政府ハ事業ノ經營ニ付監督上萬遺憾ナ
キヲ期スベシ
一政府ハ銳意內外燃料資源ノ開發ニ努
メ特ニ國內油田ニ付テ其ノ調査竝試掘
ニ關シ積極的方針ヲ確立スベシ
-本事業ノ遂行ニ當リ必然的ニ招來ス
ル市價ノ〓騰ハ之ヲ悉ク消費者ニ負擔
セシメザルヤウ政府ハ特別ノ考慮ヲ拂
スタン
希望條項
一、政府ハ必要ト認メタル時ニハ帝國燃
料株式會社ニ命ジ同會社ヲシテ人造石
油製造又ハ販賣其ノ他之ガ目的達成上
必要ナル諸事業ヲ營マシムベシ
報告書
一帝國燃料興業株式會社法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十二年八月二日
委員長古屋慶隆
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一本事業ノ成否ハ國防、產業竝國民生
活ニ重大關係ヲ有スルノミナラズ財政
上尠カラザル負擔ヲ增加スベキヲ以テ
政府ハ事業ノ運營ニ付監督上萬遺憾ナ
キヲ期スベシ
一政府ハ銳意內外燃料資源ノ開發ニ努
メ特ニ國內油田ニ付テ其ノ調査竝試掘
ニ關シ積極的方針ヲ確立スベシ
-本事業ノ遂行ニ當リ必然的ニ招來ス
ル市價ノ昂騰ハ之ヲ悉ク消費者ニ負擔
セシメザルヤウ政府ハ特別ノ考慮ヲ拂
スペン
希望條項
一政府ハ必要ト認メタル時ニハ帝國燃
料株式會社ニ命ジ同會社ヲシテ人造石
油製造又ハ販賣其ノ他之ガ目的達成
上必要ナル諸事業ヲ營マシムベシ
〔「商工大臣ハドウシタ」、ト呼ヒ其他發
言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=62
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063・小山松壽
○議長(小山松壽君) 出席ヲ今要求シテ居
リマス-只今出席サレルコトト思ヒマス
〔古屋慶隆君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=63
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064・古屋慶隆
○古屋慶隆君 人造石油製造事業法案竝ニ
帝國燃料興業株式會社法案ノ委員會ニ於ケ
ル經過竝ニ結果ヲ簡單ニ御報〓ヲ致シマス
本案ハ產業上、國防上洵ニ重大ナル法案
デアリマシテ、此前ノ議會ニ於キマシテモ
十分ニ有ユル方面カラ審議ヲセラレタノデ
アリマス、今囘モ各委員諸君ガ有ユル方面
カラ御熱心ニ御質疑ガアリマシテ、政府モ所
信ヲ十分ニ披瀝致サレタノデアリマス、先
ヅ政府ノ披瀝致サレタ要旨ノ梗〓ヲ極ク簡
單ニ報〓致シマス、政府ハ我國ニ於ケル液
體燃料需給ノ趨勢ニ鑑ミマシテ、人造石油事
業ノ確立ヲ圖リ、以テ液體燃料ノ供給ヲ確保
スルハ、產業上及ビ國防上喫緊ノ要務ナルヲ
以テ、本事業ノ急速且ツ統制アル振興ヲ圖ル
爲メ、差當リ七箇年計畫ヲ以テ日滿兩國ヲ通
ジ揮發油及ビ重油各〓年產額百万竏ヲ目標
トスル振興計畫ノ實現ヲ期スルコトトナッ
タノデアルガ、是ガ爲ニハ巨額ノ資金ヲ必要
トスルヲ以テ、是ガ圓滑ナル調査ニ對シ
適當ナル援助ヲ與プルニアラザレバ、所
期ノ目的ヲ達スルコト困難ナリト信ジテ居
ルノデアル、仍テ茲ニ帝國燃料興業株式會
社法案竝ニ人造石油製造事業法案ヲ制定致
シマシテ、半官半民ノ資本組織ニ依ル帝燃
會社ヲ設立セシメ、政府ノ特別ナル保護助
成及ビ指導監督ノ下ニ、民間企業ニ對スル
投資其他ノ事業ヲ經營セシメ、人造石油事
業法ノ運用ト相俟ッテ事業ノ徹底ヲ期シタ
イト、斯ウ云フ趣旨デアルノデアリマス、
洵ニ御尤ナル趣旨デアッテ、此點ニ付テハ委
員會ニ於テハ一人ノ反對者モナイノデアリ
マス
委員會ニ於キマシテハ詳細ニ論議ハ盡サ
レマシタガ、逐一其論議ヲ御紹介スルト云
フコトハ此際避ケマシテ、詳細ハ速記錄ニ
就テ御一覽ヲ願ヒタイト思ヒマス、其質問
ダケ簡單ニ一ツ申上ゲマス、第一ニ生產費
ノ見透シニ付テハ政府ハドウ云フ意見ヲ持ツ
テ居ルカ、第二ニ原料石炭ノ供給ニ付テハ差
支ナイカドウカ、第三ニ人造石油製造ノ爲ニ
ハ樺太ノ封鎖炭田ヲ開發スルヲ以テ最モ有
效適切ト信ズルガ政府ノ所見如何、第四ニ
帝國燃料株式會社ノ事業ノ範圍ニ付キ政府
ハドウ云フ考ヲ持ッテ居ルカ、是等ガ質問中
ノ最モ主ナル點デアッタト私ハ思フノデア
リマス、種々質問應答ヲ致シマシタガ、委
員會ハ全會一致ヲ以チマシテ本案ヲ速ニ可
決スベキモノナリトシテ、政府ノ原案通リ
可決致シマシタ
ソレト同時ニ之ニ付テ附帶決議ノ申出ガ
アリマシテ、此附帶決議ニ付テ採決ヲ致シ
マシタ、先ヅ初ニ社會大衆黨ノ松永君カラ
斯ウ云フ附帶決議ガ出タノデアリマス
-政府ハ本法ノ運用ニ際シ資本家本位
ニ堕シテ消費者大衆ヲ壓迫セザルヤウ
善處スベシ、其爲ニ
イ液體燃料委員會ニ消費者代表タル委員
ヲ相當數參加セシムルコト
(ロ)「ガソリン」市價ヲ不當ニ昂騰セシメザ
ルコト
(ハ)自動車稅ヲ漸次廢減スルコトニ政府ハ
努力スベシ
(ニ)政府ハ本法ノ運用ニ際シ液體燃料工
業ノ發展ヲ圖ル爲メ特許及ビ技術上ノ
祕密ヲ自由ニ事業者間ニ於テ交換利用
セシムルヤウ善處スベシ
ト斯ウ云フ附帶決議ガ出タノデアリマス、
然ルニ不幸ニシテ此附帶決議ハ少數ニ依ッ
テ消滅致シマシタ、モウ一ツ民政黨ノ粟山
君カラ附帶決議ガ出マシタ
附帶決議
一本事業ノ成否ハ國防、產業竝國民生活
ニ重大關係ヲ有スルノミナラズ財政上
尠カラザル負擔ヲ增加スベキヲ以テ政
府ハ事業ノ運營ニ付監督上萬遺憾ナキ
ヲ期スベシ
一政府ハ銳意內外燃料資源ノ開發ニ努
メ特ニ國內油田ニ付テ其ノ調査竝ニ試
掘ニ關シ積極的方針ヲ確立スベシ
-本事業ノ遂行ニ當リ必然的ニ招來ス
ル市價ノ昂騰ハ之ヲ悉ク消費者ニ負擔
セシメザルヤウ政府ハ特別ノ考慮ヲ拂
スペシ
斯ウ云フ附帶決議ガ提出サレマシタ、此附
帶決議ハ多數ヲ以テ委員會ヲ通過致シマシ
タ、更ニ第一倶樂部ノ窪井君カラ希望條項
ガ提出サレマシタ、玆ニ朗讀致シマス
政府ハ必要ト認メタル時ニハ帝國燃料株
式會社ニ命ジ同會社ヲシテ人造石油製造
又ハ販賣其ノ他之ガ目的達成上必要ナル
諸事業ヲ營マシムベシ
此希望條項モ多數ニ依ッテ委員會ヲ通過致
シマシタ、卽チ委員會ハ右二ツノ方案ヲ多
數ヲ以テ通過セシムルト同時ニ、此希望決
議ナリ希望條項ヲモ多數ヲ以テ通過致シマ
シタ、此段御報〓致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=64
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065・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=65
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066・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=66
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067・中山福藏
○中山福藏君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=67
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068・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中山君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=68
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069・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナイト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
人造石油製造事業法案
第二讀會(確定議)
帝國燃料興業株式會社法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=69
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070・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案共委員長
報〓通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=70
-
071・中山福藏
○中山福藏君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出農村負債
整理資金特別融通及損失補償法案ヲ議題ト
爲シ、委員長ノ報〓ヲ求メ、其審議ヲ進メ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=71
-
072・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中山君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=72
-
073・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-農村
負債整理資金特別融通及損失補償法案ノ第
一讀會ノ續ヲ開キマス委員長ノ報告ヲ求
メマス-寺田市正君
農村負債整理資金特別融通及損失補償
法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一農村負債整理資金特別融通及損失補償
法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十二年八月二日
委員長寺田市正
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
政府ハ本法實施ニ當リテハ農村負債整理
事業ノ徹底促進ヲ圖ルガ爲左ノ事項ヲ實
行スベシ
-本法ノ運用ニ當リテハ負債整理事
業ノ本質ニ鑑ミ政府ハ債務者ノ負擔
ニ歸スベキ利子ニ付極力其ノ低減ニ
努ムベシ
二市町村ヲ經由スル負債整理資金ノ
原資ノ金利ハ他ノ機關經由ノモノト
同率程度ニ引下グベシ
三負債整理ノ爲ニスル負債ノ條件緩
和ノ徹底ヲ圖リ特ニ融資銀行ヲシテ
其ノ交涉ニ應ゼシメ苟モ本法制定ノ
趣旨ニ反スルガ如キ結果ニ陷ルコト
ナキヤウ嚴ニ督勵スベシ
四政府ハ本法及農村負債整理組合法
ノ運用ニ關スル命令等ヲ制定又ハ改
正スルニ當リテハ極力其ノ簡易化ニ
努メ且其ノ手續及運行ノ敏速ヲ期ス
ベシ
五負債整理組合ノ組織ニ關シテハ組
合員ノ資格、員數等ニ關スル從來ノ
形式的劃一的制限ヲ改廢シテ組合ノ
設立ヲ容易ナラシメ負債整理普及
促進ノ目的ヲ達スルニ遺憾ナカラシ
ムベシ
〔寺田市正君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=73
-
074・寺田市正
○寺田市正君 私ハ只今上程サレマシタ農
村負債整理資金特別融通及損失補償法案ノ
委員會ニ於ケル經過竝ニ結果ヲ御報告申上
ゲマス、委員會ハ去ル三十日委員長、理事ノ
選擧ヲ致シマシテ、委員長ニハ不肖私ガ、
理事ニハ松田正一君、岡田喜久治君、吉植
庄亮君、西川貞一君、此四君ガ當選サレマ
シタ、直チニ引續キ議案ノ審査ニ入リマシ
テ、先ヅ有馬農林大臣カラ提案ノ御說明ガ
ゴザイマシテ質疑ニ入ッタ譯デアリマス、本
案ハ御承知ノ通リ前議會、第七十議會ニ提
案サレマシタ政府ノ原案ト全ク同一ノ原案
デゴザイマシテ、旣ニ其際質疑討論等モ十分
盡サレタノデゴザイマシタガ、併シ當局者
ガ迭ッテ居リマシタガ故ニハ十分ノ質疑ヲ盡
シタイト云フコトデアリマシテ、先ヅ質疑
ヲ爲サイマシタ方ガ松田正一君、三善信房
君西川貞一君、山川賴三郞君、北勝太郞
君、須永好君、小山亮君、木村武雄君、西
方利馬君、田中邦治君、平野力三君カラ、三
日間ニ亙リマシテ熱心ナル御質問デゴザイ
マシタ、之ニ對シマシテ農林大臣初メ政府
委員ノ方々カラ懇切ナル御答辯ガゴザイマ
シタ、其中二三ノ主ナル點ダケヲ一寸御紹
介申上ゲテ置キタイノデアリマス
先ヅ第一ニ金融機關ヨリノ負債ガ整理ノ
對象トナリマシタ場合、特ニ融資銀行ヨリ
ノ負債ガ整理ノ對象トナリマシタ場合ニ、
是等ノ金融機關ヲシテ十分條件緩和ヲ爲サ
シメナケレバ、却テ金融機關救濟ノ爲ニ本
制度ガ利用サレルト云フ結果トナルノデハ
ナイカ、サウ云フコトニナリマスト、本制
度制定ノ趣旨ニ反スルコトトナル虞ガアル
ガ、政府ニ於テ此對策ガアルカト云フ質問
ガアッタノデアリマス、之ニ對シマシテ政府
ヨリモ、此質問ノ趣旨ニハ全ク同感デアル
カラ、金融機關ノ協力ニ依ッテ、負債整理ノ
趣旨ヲ達成シ得ルヤウ、十分監督指導ニ努
メル考デアルト云フ御答辯デゴザイマシ
ク、其次ニハ負債整理組合ノ設立等ニ關ス
ル手續ガ甚ダ煩雜デアルガ、之ヲモット簡易
ニシテ、其普及ヲ圖ル必要ガアルト思フガ、
政府ハ之ニ對シテドンナ考ヲ持ッテ居ルカ
ト云フ質問デアリマシタ、之ニ對シマシテ
政府ヨリハ、本案ノ實施ト共ニ、從來負債
整理事業ノ進捗ノ障碍トナッテ居ッタ諸點ヲ
出來ルダケ排除シテ、關係官廳ニ於テモ十
分連絡協調シテ、組合普及ニ努メル考デア
ルト云フ御答辯デアリマシタ、其次ニハ負
債整理ノ進捗ノ爲ニハ、債權者、債務者ノ
間ニ立チテ負債整理ノ調停ヲ爲ス特別ノ官
吏ヲ、各府縣ニ設置スル必要ガアルト思フ
ガ、政府ハ如何ナル所見ヲ持ッテ居ルカト
云フ質問デアリマシタ、之ニ對シマシテモ、
政府ハ全ク同感デアルカラ、何トカ然ルベ
ク考慮スルト云フ御答辯ガアッタノデアリ
マス、最後ニ今一ツ申上ゲテ置キマスガ、
負債整理事業ハ信用組合ヲシテ之ニ積極
的ノ關與ヲ持タシメナケレバ、其普及モ困
難デアリ、且ツ整理ノ效果モ擧ゲラレナ
イノデアルガ、從來ハ兎角信用組合ノ負
債整理事業ニ對スル關與ガ不十分デアッタ、
將來ハ是非此信用組合ヲシテ積極的ニ關與
セシムルヤウニ指導督勵ヲ加ヘル考ガア
ルカドウカト云フ質問ニ對シマシテ、政府
ヨリハ本制度實施ノ上ハ、廣ク信用組合ノ
負債整理事業ノ代行ヲ認メル考デアリ、十
分信用組合ヲシテ負債整理ニ協力セシムル
考デアルト云フ御答辯デアリマシタ、其他
尙ホ詳細ノ點ハ速記錄デ御承知ヲ御願申上
ゲテ置キマス、是等ノ質疑ガ終局致シマシ
テ討論ニ入ッタノデアリマス、討論ニ入リマ
シテ、先ヅ第一民政黨ノ岡田喜久治君ガ、
原案贊成ノ趣旨ヲ詳細ニ御述ニナリ、併シ
此原案ダケデハ不十分デアルカラ、左記五
項ノ附帶決議ヲ附シタイト云フ御希望デアツ
タノデアリマス、其附帶決議ヲ玆ニ讀上ゲ
マス
政府ハ本法實施ニ當リテハ農村負債整
理事業ノ徹底促進ヲ圖ルガ爲左ノ事業
ヲ實行スベシ
本法ノ運用ニ當リテハ負債整理事業
ノ本質ニ鑑ミ政府ハ債務者ノ負擔ニ歸
スベキ利子ニ付極力其ノ低減ニ努ムベ
シ
二市町村ヲ經由スル負債整理資金ノ原
資ノ金利ハ他ノ機關經由ノモノト同率
程度ニ引下クベシ
三負債整理ノ爲ニスル負債ノ條件緩和
ノ徹底ヲ圖リ特ニ融資銀行ヲシテ其ノ
交涉ニ應ゼシメ苟モ本法制定ノ趣旨ニ
反スルガ如キ結果ニ陷ルコトナキヤウ
嚴ニ督勵スベシ
四政府ハ本法及農村負債整理組合法ノ
運用ニ關スル命令等ヲ制定又ハ改正ス
ルニ當リテハ極力其ノ簡易化ニ努メ且
其ノ手續及運行ノ敏速ヲ期スベシ
五負債整理組合ノ組織ニ關シテハ組合
員ノ資格、員數等ニ關スル從來ノ形式
的劃一的制限ヲ改廢シテ組合ノ設立ヲ
容易ナラシメ負債整理普及促進ノ目的
ヲ達スルニ遺憾ナカラシムベシ
此附帶決議ヲ附シテ原案ヲ贊成サレタノデ
アリマス、之ニ對シマシテ政友會ノ吉植庄
亮君、第一議員倶樂部ノ平野力三君、社會大
衆黨ノ須永好君、東方會ノ木村武雄君、第
二控室ノ小山亮君、何レモ皆此原案ニ贊成
シ、且ツ此附帶決議ニ贊成ト云フ希望ヲ述べ
ラレタノデアリマスガ、唯其中ニ社會大衆
黨ノ須永君カラハ、斯ウ云フ希望ヲ述ベラ
レタノデアリマス、希望條項トシマシテ
一政府ハ負債整理組合法金錢債務臨時
調停法等ノ運用ニ改善ヲ加へ以テ債務
ノ條件緩和ヲ圖リ不合理ナル高利債ニ
苦シム貧農ノ負債整理ノ促進ヲ圖ルベシ
二政府ハ農村ニ於ケル不合理ナル高利
債ノ今後ノ增加ヲ抑止シ且惡竦ナル債
權取立ヲ防止スル爲ニ惡金融業者竝ニ
惡「ブローカー」ノ取締ヲ嚴重ニスベシ
三政府ハ速ニ低利ナル農業中期竝ニ短
期信用ヲ與フ爲メ適當ナル方策ヲ樹立
久久)
四政府ハ信用組合竝ニ負債整理組合ガ
小作農民ニ資金貸付ニ際シ甘土代及作
株等ヲ信用對象トスルヤウ取計フベシ
斯ウ云フ希望條項ヲ附ケラレタノデアリマ
ス、ソコデ討論ガ終局致シマシタカラ、採
決ニ入リマシテ全員一致ヲ以テ原案ヲ可決
致シマシタ、續イテ附帶決議ノ採決ヲ致シ
マシタガ、岡田君提出ノ附帶決議ニ又全員
一致ヲ以テ可決致シタノデアリマス、須永
君ノハ希望トシテ述ベラレタノデアリマス
ガ、動議トシテハ成立致シマセヌデシタカ
ラ、採決ニハ及ンデ居リマセヌ、以上ノヤ
ウナ次第デ以テ原案ヲ可決シ、且ツ附帶決
議ヲ一致デ以テ可決致シマシタガ、此附帶
決議ニ對スル政府、特ニ現在ノ農林當局ノ
所信ヲ伺ヒタイト云フ西方委員カラノ申出
ガアリマシタガ、ソレハ何レ本會議デ農林
大臣カラノ御言明ガアルコトダラウト云フ
ノデアリマシタ、此段御報告ヲ申上ゲテ置
キマス(拍手)
〔國務大臣伯爵有馬賴寧君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=74
-
075・有馬頼寧
○國務大臣(伯爵有馬賴寧君) 只今委員長
ヨリ御報告ニナリマシタ附帶決議ノ事項ハ、
何レモ重要ナ點ト考ヘマスノデ、本法ノ施
行ニ當リマシテハ十分其點ニ注意ヲ致シマ
シテ、御希望ノ點ガ實現致シマスルヤウニ
努力ヲ致ス積リデゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=75
-
076・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=76
-
077・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=77
-
078・中山福藏
○中山福藏君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=78
-
079・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中山君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=79
-
080・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
農村負債整理資金特別融通及損失補償
法案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=80
-
081・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第六、酒
造組合法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-太田大藏政務次官
第六酒造組合法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)第一讀會
酒造組合法中改正法律案
酒造組合法中左ノ通改正ス
第三條ノ二第一項ニ左ノ一號ヲ加フ
三組合員ノ營業ニ關スル統制
第五條ノ三酒造組合定款ノ定ムル所ニ
依リ組合員ノ營業ニ關スル統制ヲ行フ
場合ニ於テハ之ニ關スル規程ヲ定メ政
府ノ認可ヲ受クヘシ其ノ規程ヲ變更セ
ムトスル場合亦同シ
第五條ノ四政府ハ特ニ必要アリト認ム
ルトキハ酒造組合ノ組合員ニ對シ其ノ
組合ノ統制ニ從フヘキコトヲ命スルコ
トヲ得
第六條ノ七第三條ノ二、第五條ノ二第
一貫、同條第四項、第五條ノ三及第五
條ノ四ノ規定ハ酒造組合聯合會ニ之ヲ
準用ス
第六條ノ八第三條ノ二第一項第三號、
第五條ノ二第一項、同條第四項、第五
條ノ三及第五條ノ四ノ規定ハ酒造組合
中央會ニ之ヲ準用ス
第十條ノ二第五條ノ四ノ規定ニ依ル命
令ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ
處ス
組合員ハ其ノ代理人、戶主、家族、同
居者、雇人其ノ他ノ從業者カ其ノ營業
ニ關シ前項ノ命令ニ違反シタルトキハ
自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ
處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第十條ノ三前條ノ罰則ハ組合員カ法人
ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人
ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又
ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人
ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト
同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ
此ノ限ニ在ラス
附則
本法ハ昭和十二年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員太田正孝君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=81
-
082・太田正孝
○政府委員(太田正孝君) 茲ニ議題トナリ
マシタ酒造組合法中改正法律案ニ付テ其大
要ヲ御說明致シマス、御承知ノ通リ酒造組
合ハ近年著シイ發達ヲ遂ゲツヽアルノデア
リマス、殊ニ先年酒造組合法ノ一部ヲ改正
シテ、酒造組合ノ事業ヲ明ニ定メマシテカ
ラ、組合員ノ營業ニ關スル共同施設ノ發達
ヲ見ルニ至リマシテ、酒造組合員ノ福利ハ
益〓增進サレツヽアルノデアリマス、ケレド
モ未ダ組合員ノ營業ニ關スル統制ノ規定ヲ
缺イテ居リマス爲メ、折角組合員ガ生產又
ハ販賣ナドニ關スル自治的協定ヲ致シマシ
テモ、十分其實ヲ擧ゲル域ニ達シテ居リマ
セヌ、仍テ玆ニ組合員ノ營業ニ關スル統制
ノ規定ヲ設ケマシテ、益〓酒造組合ノ圓滿
ナル發達ト、組合員ノ福利增進トヲ期セン
トスル次第デアリマス、何卒御審議ノ上速ニ
御協贊セラレンコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=82
-
083・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-服部岩吉君
〔服部岩吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=83
-
084・服部岩吉
○服部岩吉君 極メテ簡單ニ二三質疑ヲ致
シタイト思ヒマス、本案ハ只今御說明ノ如
ク酒造組合ニ統制ヲ加ヘラレタノガ改正ノ
主タル點デアリマス、此法案ハ御承知ノ通
リ前林內閣デ提案サレタノデアリマス、又
前々ノ廣田內閣デ立案サレタ法案デアリマ
ス、此統制ノ目的ハ、生產ト價格ニマデ統
制ヲナシ得ルヤウニショウト云フノデアリ
やく、業者及ビ消費側ニモ相當利益ヲ齎ス
モノト考ヘラレマス、一面又收益保全ノ目
的ヲモ達スルコトガ出來ルト考ヘラレルノ
デアリマス、極メテ適當ナル改正ト考ヘラ
レマス、併シ此法案ノ改正ダケデハ私ハ十
二分ノ統制ハ難カシイト思ヒマスカラ、關
聯致シマシテ二三御伺致シタイト思フノデ
アリマス
廣田內閣デハ此酒造組合法ノ一部ヲ改正
サレマシテ統制ヲ加ヘラレタノデアリマス、
ソレト同時ニ此統制ノ目的ヲ達成スル爲ニ、
酒類ノ販賣ヲ免許制度ニ立案サレタノデア
リマス、所ガ林內閣デハ單ニ此組合ノ方ノ
改正ダケデアッテ、販賣ノ免許制度ト云フモ
ノヲ提案シナカッタノデアリマス、所ガ今囘
ノ政府ガ此改正法律案ヲ提出サレルニ及ビ
マシテ、此免許制度ト云フモノヲ提案サレ
テ居ナカッタコトハ洵ニ遺憾ニ思フノデアリ
マス、政府ハ現在組合ガ自治的ニ統制ヲ致
シテ居リマスヨリモ、今囘ノ此法文化シタ
統制ガ一層效果ノアルコトハ認メラレマス
ガ、併シソレダケデハマダ目的ガ達シ得ラ
レナイト思フノデアリマス、之ニ對シマシ
テ政府ハ販賣業者ニ向ッテ、將來免許制度ニ
セラルヽヤウナ御意思ガアリマスルカ、此
機會ニ承ッテ置キタイト思フノデアリマス
モウ一ツハ庫出稅ノ問題デアリマス、從
來ノ四期分納制度ヲ改メマシテ、庫出稅制
ニ改正スルヤウニ廣田內閣ニ於キマシテハ
立案サレタノデアリマス、所ガ廣田內閣ハ
崩壞致シマシタ爲ニ、其實現ヲ見ルコトガ
出來ナカッタノデアリマス、所ガ林內閣ニ於
テ吾々ハ此庫出稅制ヲ提案サレルダラウト
期待シテ居リマシタガ、林內閣ニ於キマシ
テモ此庫出稅制ニ改正サレル所ノ案ヲ御出
シニナラナカッタノデアリマス、今日此收
稅ノ保全ノ上カラ行キマシテモ、亦一部ノ業
者ガ四期分納ノ點ヲ惡用致シマシテ、早期造
リ、早賣リト云フヤウナコトヲ致シマシテ、盛
ニ廉賣ヲ致シ、一般忠實ナル所ノ業者ニ非常
ナ不利ヲ蒙ラシメテ居ルノデアリマス、斯樣ナ
コトデハ完全ナル所ノ、眞面目ナ發展ヲ爲
サシメルコトハ出來ナイト思フノデアリマ
ス、斯ウ云フ意味合ニ於キマシテ、此庫出
稅法ヲ次ノ議會ニ御出シニナルカナラナイ
カ、前ノ石渡主稅局長、現在ノ次官ハ之ヲ
改正スルト、先ヅ初年度ニ於テ三四千万圓
ノ歲入缺陷ガ出來テ財政上困ル、ソレカラ
此稅制ニ改革シタ轉換期ニ於テ一部ノ業者
ガ非常ニ困難ヲ來スデアラウ、斯ウ云フ點
ヲ考慮ノ中ニ入レラレテ居ルサウデアリマ
ス、併ナガラ斯樣ナ不合理ナ分納制ヲ何時
マデモ存續シテ置ク必要ハナイト思フノデ
アリマス、此機會ニ政府ノ所信ヲ承ッテ置
キタイト思フノデアリマス、極メテ簡單ニ
私ノ意見ヲ申述ベマシテ質問ヲ終リマス
(拍手)
〔政府委員太田正孝君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=84
-
085・太田正孝
○政府委員(太田正孝君) 服部サンノ御質
問ニ對シテ御答致シマス、其第一ハ、此統制
規定ハ宜シイガ、一步ヲ進メテ酒類販賣業
免許制度ヲ採ッテハ如何ト云フ御質問デア
リマス、申上ゲル迄モナク現在二十四万ニ
及ブ業者ガ統制出來レバ洵ニ結構ナコトデ
アリマシテ、酒類販賣業免許制度ニ依ッテ
業者ノ素質ノ向上ヲ齎ス利益ガアリマスケ
レドモ、一面ニ於テハ營業ノ自由ニ關スル
大キイ問題ヲ控ヘテ居ルノデアリマス、ケレ
ドモ利益ノ多イコトハ認メテ居リマスノ
デ、服部サンノ御趣意ニ副フヤウニ成ベク
事ヲ進メテ行キタイモノダト考ヘテ居リマ
ス
第二點ハ、酒造稅ノ四期分納ノ制度ヲ改
メテ、庫出稅ヲ採用シタラドウカト云フコ
トデアリマスガ、服部サンノ御說ノ如ク早
賣リヲ防グ等ノ利益ハアリマス、サリナガ
ラ經營ノ大小、資本ノ大小ナドニ依ッテ影
響ガ異ル點モ考ヘネバナラズ、又石渡君カ
ラ言ハレタル通リ、次年度ニ於ケル歲入ニ
相當響キ、而モ酒稅ハ重大ナル國家ノ歲入
デアル點ヲ考ヘマシテ、其財政ニ及ボス影
響ナドヲ能ク調査〓究致シタイト考ヘテ居
ルノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=85
-
086・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=86
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087・中山福藏
○中山福藏君 本案ハ政府提出產金法案外
六件ノ委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=87
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088・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中山君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=88
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089・小山松壽
○議長(小山松壽君) 異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、是ニテ議
事日程ハ議了致シマシタ、明三日ハ定刻ヨ
リ本會議ヲ開キマス、議事日程ハ公報ヲ以
テ通知致シマス、本日ハ是ニテ散會致シマス
午後四時十七分散會
衆議院議事速記錄第七號中正誤
頁段行誤正
-一五二二七得ナケレバ經ナケレバ
一六六四二四指展
-一四末指肢発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007113242X00819370802&spkNum=89
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