1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
有限會社法案
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委員氏名
委員長 山岡萬之助君
子爵 舟橋清賢君
中川健藏君
仁井田益太郎君
男爵 奥田剛郎君
森平兵衞君
山隈康君
岩田宙造君
大西虎之介君
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昭和十三年二月四日(金曜日)午前十時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=0
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001・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 是ヨリ商法中改
正法律案特別委員小委員會ヲ開會致シマス、
付託議案デアリマスル有限會社法案、之ヲ
議題ト致シマシテ、政府ノ大體ノ御說明ヲ
承ルコトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=1
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002・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 有限會社法案ニ
付テ一應ノ御說明ヲ申述ベタイト存ジルノ
デアリマス、先ヅ有限會社ノ大綱ニ付キマ
シテ申述ベマシテ、ソレカラ順次其ノ內容
ニ入ッテ行キタイト存ズルノデアリマス、今朝
甚ダ簡單ナル說明書ヲ御手許ニ差上ゲテ置
キマシタガ、印刷ガ極メテ不鮮明デ恐縮ヲ
致シテ居ル次第デアリマス、其ノ說明書ニ
基キマシテ申述ベテ行キタイト存ズルノデ
アリマス、先ヅ有限會社ヲ認メマスル必要
ニ付キマシテハ、此ノ前大臣カラ申述べマ
シタ通リニ、大分以前カラ實業界ニ要改ガ
アルノデアリマシテ、又學界ニ於キマシテ
モ、法曹界ニ於キマシテモ、此ノ要望ヲ支
援致シテ居リマシテ、御承知ノ通リニ株式
會社ノ株主ト同樣ニ有限責任デハアリマス
ルケレドモ、比較的小人數ノ社員カラ組織
セラレマスル關係上、此ノ點ニ於テハ合資
會社ノ色彩ヲ帶ビマスル特殊ノ營利法人ガ、
商業形態トシテ非常ニ歡迎セラレテ居リマ
スルコトハ申述ベル迄モナイノデアリマシ
テ、現ニ此ノ種類ノ會社ヲ是認シテ居ル國
モ多イノデアリマス、又之ヲ是認シテ居リ
マセヌデモ、法案ニ於テ是認ヲシヨウトシ
テ居ル國モ多數アルノデアリマシテ、今日
之ヲ是認シ、又ハ是認セムト致シテ居リマ
ス國ハ、然ルベキ國ノ中デ殆ド其ノ全部ダ
ト申述ベテモ宜シイノデアリマス、我ガ國
ニ於キマシテモ、先程申シマス通リニ、
以前カラ此ノ要望ガアリマシタケレドモ、
御承知ノ通リニ商法中ノ會社編ノ全般的ノ
改正ヲ致サナケレバナラナイ關係ガアリ
マシタ爲ニ、此ノ會社編ノ全般的ノ改正ヨ
リ先ダッテ有限會社ヲ認メルト云フコトモ如
何カト思ハレタノデアリマス、先ヅ商法中
會社編ノ全般的ノ改正ト共ニ有限會社ニ付
テ調査〓究ヲスルコトヲ可ト存ジタ次第デ
ゴザイマス、左樣ナ次第デ今囘商法中改正
法律案ト此ノ有限會社法案トヲ同時ニ提出
シタヤウナ次第デアリマス、ソコデ御承知
ノ通リニ各國ニ於キマシテモ、有限會社ヲ
認メテ居リマスル其ノ有限會社ノ內容ニ付
キマシテハソレ〓〓異同ハアリマスルケレ
ドモ、先ヅ大體ニ似カヨッタモノデアリマ
シテ、是等ノ共通ノ點ヲ參酌シツヽ最モ是
ガ宜イト云フ形態ヲマア調査シタノデアリ
マシテ、ソレニ基イタ次第デアリマス、ソ
レデ此ノ本案ニ於キマスル有限會社ノ大綱
ヲ申述ベテ見マスルト、先ヅ第一ニ此ノ法
人ノ目的ハ全ク會社ト同樣デアリマシテ、
商行爲其ノ他ノ營利事業ヲ目的トシテ設立
セラレタル所ノ營利社團法人デアリマス、
デアリマスルカラ之ヲ商法中ニ插入致シマ
シテ、第五種ノ會社トシテモ少シモ差支ナ
イノデアリマスルケレドモ、前囘申上ゲマ
シタ通リニ立案竝ニ運用ノ便宜上カラ之ヲ
別法案ニ致シタ次第デアリマス、第二ニハ
社員ノ責任ハ株式會社ノ社員、卽チ株主ト
同樣ニ其ノ出資ノ金額ヲ限度トスルノデア
リマシテ、卽チ有限責任デアリマス、尤モ
是ガ原則デアリマシテ、一二ノ例外ノ場合
ガアルノデアリマス、ソレハ後ニ申述ベマ
スルガ、原物出資ナリ、財產引受ノ財產ノ
價格ノ評價ノ著シク不田デアリマシタ場合
ニ、之ヲ適正ニ致シマスルガ爲ニ、此ノ不
足額ヲ塡補スル責任ガアリマス、又是ハ矢
張リ後ニ申シマスルガ、出資ハ全部卽時ニ
提供ヲシナケレバナラナイノデアリマスル
ガ、ソレ等ノ漏レガアリマシタ場合ニ、
其ノ未濟部分ニ付テ矢張リ塡補責任ガアリ
マス、是等ガ設立ノ際ニモ生ジマスルシ、
又資本增加ノ際ニモ生ズルノアリマス、
是等ノ塡補責任ガ今申シタ出資ヲ限度トス
ル有限責任ノ例外ニ相成ラウカト存ズルノ
デアリマス、第三ニ社員ノ數デアリマス
ルガ、先程申述ベマシタ通リニ、有限會社
ハ相互ニ信賴致シマスル少數者ヲ以テ組織
スルト云フ所ニ一ツノ特徵ヲ有ッテ居リマ
スルガ爲、多數ノ社員ヲ包容スルト云フコ
トハ避ケナケレバナラナイノデアリマシテ、
是ガ多數ノ社員ヲ包容スルト云フコトニナ
リマスルト、株式會社ト全ク變リハナク
ナッテシマウ虞ガアルノデアリマス、其ノ點
ヲ考慮致シマシテ、社員ノ數ヲ原則トシテ
五十人ト云フコトニ致シマシタ、五十人ヲ
超エテハイケナイト云フコトニ致シマシタ、
此ノ五十人ノ限度ニ付テハ是亦議論トシテ
種々問題ガ起ルト存ズルノデアリマスルガ、
外國ノ法則ハ必ズシモ參考ニハナリマセヌ
ケレドモ、簡單ニ其ノ一般ヲ申シマスルト、
五十人以下ニ制限致シテ居リマスルモノハ
「イギリス」法、「チリ」法、「トルコ」法ニ、「ス
ペイン」ノ法案デアリマス、三十人以下ニ制
限スルコトガ出來ルトシテ居リマスモノガ
「リフィテンシユタイン」ノ法律デアリマス、
二十五人以下ニ制限シテ居リマスモノガ
ㄱイタリー」ノ法案デアリマス、又二十人以
下ニ制限シテ居リマスモノガ「ベルギー」ノ
法案デアリマス、ソレカラ何等人數ノ最高
限ヲ制限致シテ居リマセヌモノハ「ドイツ」
法、「オースタリー」法、「フランス」法、「スイ
ス」法等デアリマス、併シ此ノ人數ヲ制限シ
テ居リマセヌ國ニ於キマシテモ、或モノハ
資本ノ最高額ヲ限定シテ居ルモノモアリマ
ス、卽チ人數ノ方デナク、資本ノ方カラ限
定スルト云フ建前ノモノモアルヤウデアリ
マス、以上種々ノ法制ガアルノデアリマス
ルガ、是亦例外ガアリマスルケレドモ、極メ
テ〓括的ニ申シマスルト、比較的近ク立案
サレタ法則ニ於キマシテハ、人數ノ制限ト
云フコトニ重キヲ置イテ居ルヤウデアリマ
ス、想フニ此ノ有限會社ノ得失カラ、人數
ノ制限ヲシタ方ガ宜イト云フ實際上ノ見地
カラ、斯樣ナ傾向ニ相成ッタモノト存ズルノ
デアリマス、從ッテ此ノ法案ニ於キマシテモ
五十人ヲ限則トスルト云フコトガ適當デハ
ナイカト存ジタ次第デアリマス、尤モ此
ノ五十人ノ限度ニ付テハ幾分緩和的規定
ヲモ設ケテ置キマシタ、ソレハ後ニ申述
ベタイト存ズルノデアリマス、第四ニ資
本ノ額デアリマスルガ、有限會社ハ、小
規模ノ會社、小仕掛ノ會社デアリマスケレ
ドモ、此ノ小仕掛ト云フコトハ、卽チ小人
數ノ社員ガシンミリト互ニ相寄ッテ組織ヲ
スルト云フ趣旨デアリマシテ、其ノ營業ノ
範圍ニ限定ヲスルト云フ趣旨デハナイノデア
リマス、從ッテ資本ノ最高限度ハ限定ヲ致シ
マセヌデシタ、併シ資本ノ最小限度ヲ定メ
マシテ、之ヲ一萬圓ト致シマシテ、卽チ資
本金一萬圓ヲ下ラザル有限會社ハ有リ得ナ
イト云フコトニシタノデアリマス、ソレハ
後ニモ申シマスルガ、此ノ有限會社ノ特質ニ
鑑ミマシテ、其ノ設立手續等ニ付キマシテ
ハ、株式會社ノ如ク嚴重ナル規定ヲ以テ臨
ミハ致サナカッタノデアリマス、卽チ株式會
社ニ比シマスルト、其ノ設立ガ大分容易ニ
ナル譯デアリマス、デアリマスルカラ兎モス
レバ此ノ會社ヲ濫設スルト云フ弊害ガナイ
トモ限ラナイノデアリマシテ、個人ガマル
デ此ノ有限會社ノヤウナ顏ヲスルト云フコ
トノ弊害ガ考ヘラレマスルカラシテ、資本
ノ最小限度ヲ定メルコトガ適當デアルト存
ジタ次第デアリマス、第五ニ出資一口ノ金
額ハ、百圓ヲ下ルコトノ出來ナイモノト致
シマシテ、出資ヲ均一ニ致シマシタ、丁度
其ノ關係ハ株式會社ノ株式ト同樣ニナルノ
デアリマシテ、唯此ノ金額ヲ百圓ト致シマ
シタノハ、今日ノ經濟事情カラ考ヘマシテ、
一口此ノ位ノ程度ノ所ガ宜クハナイカト存
ジタノデアリマス、ソレカラ第六ハ、持分
ノ讓渡ニ付テ重大ナル制限ヲ加ヘタノデア
リマス、是亦有限會社ノ特質ニ順應スルモ
ノデアリマシテ、少數ノ相互ニ信賴スル社
員ノミヲ以テ組織スル會社デアリマスカラ、
此ノ社員ガ常ニ移動スルト云フコトハ甚ダ
面白クナイノデアリマス、持分ヲ讓渡致シ
マスレバ、其ノ結果ニ於テ社員ノ移動ヲ生
ジマスルカラ、ソレヲ防ギマスル爲ニ、持分
ノ讓渡ハ社員總會ノ特別決議ガ必要デアル
ト云フコトニ致シマシタ、又持分讓渡ノ結
果、前申シマシタ人數ノ最高限度ヲ逸脫ス
ルト云フヤウナ場合ニハ、此ノ讓渡ガ無效
デアルト云フコトニ致シマシタ、斯ク讓渡
ニ付テ重大ナル制限ヲ置キマシタケレド
モ、社員相互ノ間デ持分ヲ讓渡シマス場合
ハ、是ハ社員ニ移動ヲ生ジマセヌカラシテ、
此ノ點ニハ緩和的規定ヲ以テ臨ンダ次第デ
アリマス、第七ニハ、設立ノ際ニ出資金額
ノ拂込ヲ必要トスル、又現物出資ヲ認メマ
スルナラバ、其ノ全部ノ財產ノ卽時提供ヲ
必要トスルコトニ致シマシタ、卽チ分割拂、
分割給付ト云フコトヲ認メナカッタノデア
リマス、是ハ有限會社ノ設立手續ハ比較的
容易デアリマスカラ、是ガ甚ダ亂雜ニナリ
マシテ、有限會社ノ基礎ガ危クナルト云フ
コトガアリマシテ、由々敷キ大事デアリマ
スルカラ、全額卽時提供ト云フコトニ致シマ
シテ、サウシテ、此ノ基礎ノ確實ヲ圖ッタ次第
デアリマス、第八ハ、現物出資及財產引受
ノ場合デアリマスルガ、此ノ評價ガ著シク
不當デアリマスルナラバ、設立當時ノ社員
ハ連帶シテ之ガ塡補ノ責任ヲ持ツト云フコ
トニ致シマシタ、是亦有限會社ノ基礎ノ確實
ヲ圖ル所以デアリマシテ、サウシテ又有限
會社ガ比較的容易ナル設立手續ニ乘ジ
テ、濫設サレルコトノナイコトヲ期シタ
次第デアリマス、第九ハ、拂込ノ未濟ナ
モノガアリ、又現物出資ノ給付ノ未濟
ナモノガアリマシタナラバ、會社設立
當時ノ取締役、監査役、ソレカラ社員、是
等ガ連帶シテ塡補ノ責ニ任ズルト云フコト
ヲ明カニ致シタノデアリマス、第十ハ、監
査役ヲ置クカ否カト云フコトハ法律デハ强
制致シマセヌデシタ、置イテモ宜イ、又置
カナクテモ宜イト云フコトニシタノデアリ
やっく、是ハ元々相信賴スル社員同士デ出來
テ居ルノデアリマスルカラ、常ニ必ズ監査役
ヲ置カナケレバナラヌト云フコトハ寧ロ水
臭イノデアリマシテ、大抵ノ所ハ社員相互
ノ間デ、其ノ同意ナリ決議ナリデ賄ヒ得ル
ト云フコトニ致シマシタ、監査役ノ制度ヲ
必要制度トハ致サナカッタノデアリマス、第
十一デアリマスルガ、先程申シマシタ第八
及第九ノ塡補責任ヲ資本增加ノ場合ニモ認
メタノデアリマス、申上ゲル迄モナク資本
增加ハ或意味ニ於テ設立ノヤウナモノデア
リマス、デスカラ設立ノ際ニ生ジマスル第
八第九ノ責任ハ、當然資本增加ノ場合ニモ之
ヲ認メナケレバナラナイト存ジタ次第デア
リマス、第十二ハ、社員總會ニ於ケル決議
權デアリマスルガ、是ハ出資一口ニ付テ
個ト致シマシタ、勿論是亦原則デアリマシ
テ、定款デ別段ノ定ヲスルコトヲ認メテ居
ルノデアリマスルガ、此ノ出資一口ニ付テ
一票ト云フ原則ハ、株式會社ト矢張リ同趣
旨デアリマシテ、實行上ニモ是ガ極メテ便
利デアラウト思ッタ次第デアリマス、第十三
ハ決議デアリマスルガ、此ノ社員總會ノ決
議ハ矢張リ株主總會ト同樣ニ、事ノ輕重ニ
依リマシテ通常決議ト特別決議トノ二種ヲ
認メマシタ、申上ゲル迄モナク通常決議ハ
比較的容易ナ決議方法デアリマスルシ、特
別決議ハ比較的重大ナル決議方法デアリマ
ス、尙後ニ申述ベマスルガ、此ノ有限會社
ニ付キマシテハ特別決議ニ於キマシテ、株
式會社ヨリモ嚴重ナル決議方法ヲ定メタノ
デアリマス、尤モ其ノ表決數ニ於テ嚴重デ
ハアリマスルケレドモ、後ニ申述ベマスル
通リニ招集ノ手續ナリ、方法ナリ、是ハ餘
程樂デアリマシテ、餘程ノ裕リヲ存スル規
定ヲ置キマシテ、又書面ニ依ル決議ト云フ
便法モ認メタ次第デアリマス、第十四ガ卽
チソレデアリマシテ、通常決議ト特別決議
トノ區別ナク、總テ書面ニ依ル決議ノ途ヲ
開キマシタ外ニ、社員總會ニ於テハ株式會
社ノ株主總會ニ比ベマシテ、餘程其ノ手續
ニ裕リヲ認メタノデアリマス、是ハ株式會
社ノ如ク株主ガ多數デアル、サウ云フコト
ヲ前提トシテ居リマスル會社ト、社員ガ比
較的少數デアルト云フコトヲ基礎ト致シテ
居マスル有限會社トノ間ニ、自カラ其ノ差
異ノ生ジテ來ルノハ當然デアラウト存ジタ
次第デアリマス、第十五ハ少數社員ノ權利
ニ付テデアリマス、是ハ丁度少數株主權ニ
當ルノデアリマシテ、多數者ノ橫暴ヲ抑制
スルト申シマスルカ、少數者ノ正當ナル權
利行使ノ途ヲ矢張リ有限會社デモ開ク必要
ガアルト存ジタノデアリマス、但シ後ニ申
述べマスルガ、此ノ少數社員ノ權利ノアル
モノニ付テハ、有限會社ニ於キマシテハ定
款デ別段ノ定ヲ設ケルコトガ出來ル、卽チ
此ノ權利ヲ法律ニ定メマシタヨリモ弱クス
ル、又全ク無クスルト云フコトモ定款デ定
メ得ルト云フコトニ致シタ次第デアリマス、
第十六ハ合併ノ問題デアリマスルガ、有限
會社ノ合併ハ有限會社ト有限會社トガ合併
シテ有限會社ヲ殘シ、又ハ有限會社ヲ作ル
ト云フノガ一ツ、ソレカラ有限會社ト株式
會社トガ合併ヲ致シマシテ、有限會社ガ殘リ
又ハ作ラレル場合モアリマスルシ、又株式
會社ガ殘リ、又作ラレル場合モアリマスガ、
併シ合併ニ付テハソレダケヲ認メタノデア
リマシテ、合名會社トノ合併、合資會社ト
ノ合併、株式合資會社トノ合併ハ不必要デ
アルト云フ考カラ之ヲ認メマセヌデシタ、
又有限會社同士ノ合併ハ、有限會社ト株式
會社トノ合併ノ結果、殘リ又ハ拵ヘラル
會社ガ合名會社デアルトカ、合資會社デア
ルトカ、株式合資會社デアルト云フヤウナ
コトハ、是亦必要ナシトシテ認メナカッタノ
デアリマス、第十七ハ、有限會社ガ、其ノ
組織ヲ變更致シマシテ株式會社トナシ得ル
途ヲ開イタノデアリマス、有限會社ヲ拵ヘマ
シテ、是ガ段々ト營業ヲヤッテ居リマスル其
ノ營業ノ實績ニ徵シマシテ、多數ノ株主ヲ
糾合シテ株式會社トシテ營業ヲシタ方ガ宜
イト斯ウ思フナラバ、其ノ組織變更ヲ致シ
マシテ、株式會社ニスルト云フ途ヲ開クコ
トガ適當ダト考ヘタノデアリマス、唯此ノ
場合ニ、株式會社ニ付キマシテハ先程申
述ベマシタ通リニ、設立手續ガ比較的嚴
重デアリマスルカラ、先ヅ有限會社ヲ作ッ
テ置イテ、然ル後ニ之ヲ株式會社ニ直ス
ト云フ所謂脫法的ノ手續ガ起リ得ルコト
モ豫想致シマシテ、有限會社ヲ組織變更
ニ依リマシテ株式會社ニシマスル場合ニ
ハ、裁判所ノ認可ヲ經ナケレバナラナイ
コトニ致シマシタ、先程申述ベマシタ有
限會社ト株式會社トガ合併ノ結果株式會社
ガ出來ルト云フ場合モ、矢張リ裁判所ノ認
可ヲ必要ト致シマシタ、第十八ハ、株式會社
ガ其ノ組織ヲ變更シテ有限會社トナレルト
云フ途ヲモ開イタノデアリマス、是ハ將來
モ此ノ必要ガ起リマセウガ、此ノ法律ガ施
行サレマスルナラバ、從來有限會社的會社
デハアリマスケレドモ、有限會社ニ關スル
規定ガナイガ爲ニ、已ムヲ得ズ株式會社ト
シテ設立サレタト云フモノモアリマセウ、
サウ云フモノガ此ノ規定ニ依リマシテ組織
ヲ變更シテ有限會社ニナル、卽チ元々希望
スル本來ノ形ニ立チ直ルト云フ途ヲモ開カ
ナケレバナラナイノデアリマシテ、第十八
ハソレ等ノ必要ノ爲ニ設ケタノデアリマ
ス、第十九ハ、貸借對照表ノ公〓ハ强制シ
ナイコトニ致シマシタ、是亦小規模ト云フ
特質ニ鑑ミタノデアリマシテ、斯樣ニスル
コトガ適當デアラウト存ズルノデアリマ
ス、第二十ハ、社債ノ募集ニ付テノ規定ハ
設ケマセヌデシタ、卽チ株式會社ノ如キ、
廣ク社債ヲ募集スルト云フヤウナコトハ、
有限會社ニハ適當デナイト考ヘタノデアリ
やっ、尙之ニ牽聯致シマシテ、前年此處デ
申述ベマシタ株式社會ニ付テ、會社ノ整理
特別〓算ト云フ制度ヲ設ケマシタガ、有限
會社ニハ是亦其ノ必要ナキモノト考ヘマシ
テ、整理、特別〓算ノ規定ハ有限會社ニハ
及バナイモノト致シタノデアリマス、以上
ハ大體ニ於テ、斯樣ナ趣旨ニ於テ有限會社
ト云フモノヲ拵ヘヨウトシタト云フコトヲ大
略申述ベタノニ過ギナイノデアリマシテ、
甚ダ簡單デ恐縮デアリマシタガ、更ニ內容
ニ入リマシテ申述ベタ方ガ或ハ適當カト存
ズルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=2
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003・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 此ノ際大體ニ付
テ御質問ガアリマシタラ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=3
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004・奧田剛郎
○男爵奧田剛郞君 此ノ有限會社法案ナル
モノガ出來マシタ理由ハ、諸國ノ立法例モ
相當ニアリ、現在ニ於テ斯ウ云フモノガア
ルノガ便利ダト云フノガ趣旨デアリマセウ
カ、ソレトモ斯クノ如キ有限會社ナルモノヲ
設ケルト云フ事柄ガ、何カ差迫ッテ必要デア
ルト云フ理由ガ他ニアルノデゴザイマセウ
カ、ソレヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=4
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005・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 現在特ニ差迫ッ
テ斯ウ云フ會社ガ、有限會社トシテ出來ナ
ケレバナラナイト云フコトハアリマセヌケ
レドモ、御承知ノ通リニ丁度株式會社ノ株
主ト同樣ニ有限デアルケレドモ、併シ合名
會社ノヤウニ、比較的少人數ノ親シイ者ガ
寄合ッテサウシテ斯ウ云フ會社ヲ組織スル、
斯ウ云フ營業經營ノ狀態ガ甚ダ此ノ實業界
ノ實情ニ適スルノダサウデアリマシテ、旣
ニ諸國ニ於テモ設ケラレ、又其ノ實績モ非
常ニ擧ガッテ居リマスノミナラズ、我ガ國實
業界ニ於テ多年ノ要望トシテ是ガ現レテ
居ッタノデアリマス、併シ前ニモ申述ベマシ
タ通リニ、商法中ノ會社編ノ全般的改正ト
云フコトヲ控ヘテ居ッタモノデアリマスカ
ラ、實ハソレヨリモ先ヅ先ニ手ヲ著ケルベ
キデアッタカモ知レマセヌケレドモ控ヘテ
居ッタヤウナ次第デ、今度商法中改正法律案
ノ御審議ヲ願ッテ居ルノデアリマスガ、幸ニ
是ガ成立スルニ至リマスナラバ、是ト併セ
テ共ニ有限會社ト云フモノヲ是認シテ行キ
タイト思ッタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=5
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006・奧田剛郎
○男爵奧田剛郞君 實業界ノ要望ト申シマ
スノハドウ云フ方面デアルカ、ドウ云フ形
式デ要望ガアッタノデゴザイマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=6
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007・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 常ニ司法省其ノ
他ノ官廳ニ對シマシテ、斯ウ云フモノヲ拵
ヘロト云フ所ノ要求ガ、屢〓書面ニ依リ又
ハ口頭ニ依ッテアリマシタ、尙昭和四年以後
內閣ニ於テ設ケラレマシタ法制審議會ニ對
シマシテ、又此ノ法制審議會ノ內ニ於キマ
シテ、斯カル會社ヲ認メナケレバナラヌト
云フコトガ强ク論議ヲサレマシタ、其ノ結
果法制審議會ノ決定要綱ノ一ツトシテ、斯カ
ルモノヲ認ムベシ、サウシテ之ヲ商法中デ
ナク、便宜上ノ問題デアリマスケレドモ、
別法典トスベシト云フ要綱ガ決定サレタ次
第デアリマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=7
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008・山隈康
○山隈康君 此ノ法案ヲ見マスト、準用致
シマシタ商法ト云フノハ、商法改正草案ヲ
目指スモノト存ズルノデアリマスガ、大體
準用致シマシタ商法改正草案ノ條文ガ二百
箇條以上ニ及ンデ居ルノデアリマシテ、而
モ其ノ二百箇條ノ中ニ更ニ他ノ商法ヲ援用
シタ部分ガ相當アルヤウデアリマス、若シ
此ノ商法改正草案ガ此ノ準用部分ニ對シテ
變更ヲ加ヘラレタ場合ニハ、直チニ此ノ法
案ニ影響ヲ來スモノト思フノデアリマス、
此ノ故ニ商法ノ改正法案ガ審議確定シタ後
ニ、初メテ此ノ法案ヲ審議スルノガ至當デ
ハナイカト考ヘラレル、同時ニ御提出ニナッ
タ點カラシテ大體政府ノ御意嚮ハ想像ハ付
キマスガ、尙此ノ點ニ付テ一應政府ノ御所
見ヲ伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=8
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009・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 此ノ席ニ於キマ
スル審議ノ方針ニ付キマシテハ、固ヨリ私ノ
申上グベキ所デハアリマセヌケレドモ、御
說ノ通リニ商法中改正法律案ノ條文ヲ甚ダ
多ク準用シテ居リマスル結果、商法中改正
法律案ニ若シ變更ガ加へラレマスナラバ、
勢ヒ此ノ法案ニモ影響ヲ及スコトハ全ク御
意見ノ通リデアリマス、唯先程申シマシタ
通リニ、有限會社ハ商法上ノ會社ト殆ド全
ク同一ノ性質ノモノデアリマスカラ、之ヲ
起案致シマスニ付テハ、ドウシテモ準用ト
云フコトガ便利デモアリ、又必要デモアル
ノデアリマシテ、準用ニ依ッテ其ノ關係ヲ明
カニスルト云フコトガ蓋シ適當デアラウト
思ッタノデアリマス、デ私共ニ致シマシテハ、
此ノ兩法案ガ同時ニ成立致シマスルコトヲ
固ヨリ希望ハ致シテ居リマス、唯商法中改正
法律案ノ規定ガ變更サレルナラバ、此ノ法
案ニモ多少ノ變更ヲ生ズルト云フコトハ蓋
シ已ムヲ得ナイコトカト存ジテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=9
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010・山隈康
○山隈康君 斯ウ云フ場合ハナイデセウカ、
商法改正法律案ノ一部ガ改廢サレタ場合ニ
於テハ、更ニ此ノ有限會社法ノ審議ヲ變ヘ
ナケレバナラヌ必要ノアルコトノ御想像ハ
ナイデセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=10
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011・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 若シ商法中改正
法律案ニ重大ナル變更ガ加ヘラレマスルナラ
バ、ソレヲ其ノ儘準用シテ居リマスル部分
ニ付テ、有限會社ノ內容ヲ變更シナケレバナ
ラナイト云フコトハ起ルカモ知レナイノデ
アリマス、併シ私共ハ有限會社ノ大綱トシ
テハ、今申述べタヤウナ趣旨ニ從ッテ作ラ
ルベキモノト存ジマスルカラ、若シ萬一商
法中改正法律案ノ或種ノ規定ニ重大ナル變
更ガ及サレマスルナラバ、其ノ準用ノ部分
ヲ此ノ點カラ除イテ、サウシテ別ニ規定ヲ
スルト云フ方法ヲ執ルノ外ハナイカト存ジ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=11
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012・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 他ニ大體ノ御質
問モナイヤウニ思ハレマスカラ、大體ノ御
質問ハ尙適當ナル場所デ御發議相成ッテ差
支アリマセヌカラ、此ノ條章ヲ追ッテノ審議
ニ入リタイト思ヒマス、御異議ハゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=12
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013・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 御異議ナイモノ
ト認メマス、然ラバ第一章總則ヲ議題ニ供
シマス、大體政府ノ御說明ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=13
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014・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 第一章ノ總則ニ
於キマシテハ有限會社ノ意義ヲ明カニ致シ
マシテ、ソレニ牽聯ヲ致シマシテ此ノ法案
ノ基礎的關係ニ立ツモノ若干ヲ規定シタノ
デアリマス、卽チ第一條ハ御覽ノ通リニ有
限會社ノ意義ヲ定メタモノデアリマス、卽
チ先程モ申述ベマシタ通リニ、商法上ノ會
社ト同樣ニ「商行爲其ノ他ノ營利行爲ヲ爲
スヲ業トスル目的ヲ以テ本法ニ依リ設立」
セラレマシタ所ノ社團法人ヲ謂フノデアル
ト云フコトヲ明カニ致シタ次第デアリマス、
第二條ハ有限會社ガ商行爲ヲ業ト致シマセ
ヌ場合デモ、卽チ營利事業デハアリマスル
ケレドモ、商行爲トシテ列擧セラレタル以
外ノ營利事業ヲ業ト致シマスル場合ニ、商
行爲ヲ業ト致シマセヌカラ、性質上ハ商人
デナイノカモ知レマセヌケレドモ、是ダケ
別種ノ取扱ヲ爲スコトハ固ヨリ不當デアリ
マスカラ、矢張リ商人ト看做スト云フ規定
ヲ置イタノデアリマシテ、商法中改正法律
案ノ第四條第二項ト同ジ趣旨ニ取扱フト云
フ意味デアリマス、第三條ハ有限會社ノ商
號ニハ、有限會社ト云フ文字ヲ用フルト云
フコトヲ明カニシタノデアリマシテ、是一
矢張リ商法中改正法律案ノ第十七條ト同樣
デアリマス、尙有限會社デナイモノハ商號
中ニ、有限會社タルベキコトヲ示スヤウナ
文字ヲ用ヒテハイケナイ、有限會社ノ營業
ヲ他ヨリ讓受ケタモノデアリマシテモ、自己
自身ガ有限會社デナイ限リハ、左樣ナ文字ヲ
用ヒテハイケナイト云フコトニシタノデアリ
マシテ、是亦商法中改正法律案ノ第十八條
ト同樣ノ趣旨デアリマス、第四條ハ商法ノ
條項ヲ準用シテ居ルノデアリマスルガ、是
ハ商法ノ中ノ會社編ノ總則ニ關スルモノ若
干ノ規定デアリマシテ、會社ノ住所ニ關ス
ル規定、又會社ハ他ノ會社ノ無限責任社員ト
爲ルコトハ出來ナイト云フ規定、ソレカラ
會社ノ成立ハ設立ノ登記ヲ本店ノ所在地デ
爲スコトニ依ッテ行ハレルノデアル、卽チ登
記ガ會社ノ成立要件デアルト云フ點、ソレ
カラ裁判所ノ解散命令、卽チ會社ガ或期間
內開業ヲシナイ、或ハ又公序良俗、其ノ他
法令ニ反スル行爲ヲ爲シタ場合ニ對スル解
散ノ規定、ソレカラ登記ニ付キマシテ、官
廳ノ許可ヲ要スル事項ニ關スル其ノ他ノ登
記期間ハ、許可書ノ到達シタ時カラ始マル
ト云ッタヤウナ規定ヲ有限會社ニ矢張リ準
用スルト云フコトニナルノデアリマシテ、
是亦極メテ當然ノコトデハナイカト存ジタ
次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=14
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015・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 只今說明ノアリ
マシタ總則ニ付テ御質疑ガゴザイマシタ
ラ、此ノ際御質疑下サイマスヤウニ······別
ニゴザイマセヌケレバ、第二章設立ヲ議題
ト致シマス、政府ノ說明ヲ求メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=15
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016・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 第二章ハ設立ニ
關スル規定ヲ網羅シタモノデアリマス、先
程申述ベマシタ通リニ、有限會社ハ株式會
社ニ比ベマシテ、其ノ設立ノ手續ガ餘程容
易デアリマス、又簡單デアリマス、有限會
社ガ小規模ノ會社デアリマスカラ、是ニ對
シテ左程重大ナル規定ヲ以テ臨ム必要ガナ
イ、寧ロソレハ却テ弊害ガアルト考ヘタカ
ラデアリマス、御承知ノ通リニ商法中ノ會
社デハ、合名會社、合資會社ガ設立手續ガ
極メテ簡單デアリマシテ、定款ノ作成及設
立ノ登記ト云フダケノ手續デアリマス、此
ノ有限會社ハ株式會社ヨリハ容易デアリマ
ス、併シ合名會社、合資會社ヨリハ稍、錯
雜デアリマシテ、丁度其ノ中間ニ位スルモ
ノデアリマス、卽チ有限會社ノ設立手續ト
致シマシテハ、先ヅ定款ヲ作成致シマス、
ソレカラ設立手續中ニ出資全額ノ拂込ヲシ
テシマハナケレバナリマセヌ、又現物出資
ガアリマスルナラバ、此ノ現物出資財產全
部ノ提供ヲシテシマハナケレバナリマセ
又、又定款ニ取締役、監査役ヲ置クコトヲ
定メマシタ場合ニ、何ノ某ヲ取締役ニ、何
ノ某ヲ監査ニスルト云フコトヲ極メナイ
デ、唯是等ノ者ヲ置クト云フコトニ致シマ
シタ場合ニ、此ノ取締役、監査役ノ選任ヲ
致サナケレバナリマセヌ、是ハ會社成立前
ニ社員總會ノ形デ選任サセルト云フコトニ
致シマシタ、デスカラ、定款ニ左樣ナ規定
ガアリマシタ場合ニハ、社員總會ヲ開イテ
選任ヲスルト云フコトモ設立手續ノ一ツデ
アリマス、サウシテ設立登記ヲスル、設立
登記ニ依ッテ會社ガ成立ヲスル、是ダケガ設
立ノ手續デアリマス、ソレ等ニ關シテ第二
章ガ規定ヲ設ケテ居ルノデアリマシテ、第
五條ハ、有限會社ノ設立ニ付テハ先ヅ以テ
定款ヲ作ラナケレバナラヌト云フコトヲ明
カニシタノデアリマス、第二項ハ、商法ノ
規定ヲ準用シテ居リマスルガ、是ハ御承知
ノ通リ、定款ハ公證人ノ認證ヲ經ナケレバ
其ノ效力ガナイト云フコトヲ此ノ草案デ明
カニシタノデアリマス、矢張リ有限會社ニ
付テモソレト同ジク公證人ノ認證ニ依ラナ
ケレバナラナイモノト致シタ次第デアリマ
ス、第六條ハ定款ノ絕對的記載要件ヲ規定
シタモノデアリマス、是ハ株式會社ノ定款
ニ類似ヲ致シマスルガ、唯甚ダシク趣ヲ異
ニ致シテ居リマスノハ、第五號及第六號デ
アリマス、御承知ノ通リニ、株式會社ノ定款
ニ於キマシテハ總株主ノ氏名ヲ書クト云フ
ヤウナコトハ致シマセヌ、又ソレヲ强制シ
テモ到底出來ナイコトデアリマスシ、又不
必要ナコトデモアリマス、併シ有限會社ニ
於キマシテハ、先程來申述ベマス通リニ、
社員ガ何人デアルカト云フコトガ相當重要
ナ問題ヲ持ツノデアリマシテ、此ノ點ニ於
テ稍〓人的會社的色彩ヲ持ツノデアリマ
ス、デアリマスカラ、第五號、第六號ト云
フモノヲ玆ニ挿入シタ次第デアリマス、尙
株式會社ノ定款ノ絕對的記載要件ト比ベマ
シテ、會社ガ公〓ヲナスノ方法ト云フノガ
脫ケテ居リマス、是ハ有限會社ガ小規模ノ
會社デアルト云フ關係カラ致シマシテ、左
程公告ヲスルト云フ必要ガ濃厚デナイノデ
アリマシテ、特ニ公〓ニ付テノ定款ノ定メ
ヲ必要トシナイト云フコトニ致シタノデア
リマス、併シ有限會社ト致シマシテモ絕對
ニ公〓ノ必要ハナイト云フ譯デハナイノデ
アリマシテ、或場合ニ公〓ヲスル必要モア
リマス、ソレ等ノ公〓ニ付キマシテハ第十
條ノ雜則中ニ規定ヲ致シマシタ、卽チ第八
十八條ノ規定デアリマス、是ハ其ノ場合ニ
申述ベタイト存ズルノデアリマス、第七條
ハ定款ノ相對的必要事項ニ付テノ規定デア
リマシテ、商法ノ株式會社ト此ノ點ハ大シ
タ違ヒガナイノデアリマス、卽チ茲ニ書イ
テアリマスル第一號乃至四號ノ事項ハ、若
シ之ヲ定メマスナラバ、必ズ定款ニ記載シナ
ケレバナラナイト云フコトヲ明カニ致シタ
モノデアリマス、第八條ハ社員ノ數ノ最大限度
ニ關スル規定デアリマシテ、原則トシテ五十
人ガ最高限度デアルト云フコトハ先程申述
ベタ所デアリマス、然ルニ此ノ第一項ノ但書ニ
一ノ緩和的規定ヲ設ケマシテ、特別ノ事情
ノアル場合ニ於テハ裁判所ノ認可ヲ得タ時
三、此ノ限リデナイ、卽チ或ハ五十五人
デモ宜シイ、六十人デモ宜シイ、斯ウ云フ
譯デアリマス、ソレハ他ノ關係カラ矢張リ
斯樣ナ希望ガアッタノデアリマスルガ、同業
組合式ノ有限會社デアリマストカト云フヤ
ウナ場合、同ジヤウナ者ガ七十人寄ッテ居
ル、是ガ一ツ不可分ノ關係ニ於テ有限會社
ヲ拵ヘタイケレドモ、五十人ト云フコトニ
ナルト、ドウシテモ二ツニシナケレバナラ
ナイ、ソレガ甚ダ不便デアル、不都合デア
ル、斯ウ云ッタ場合、此ノ七十人ト云フ一ツ
ノ團體ヲ以テ一ツノ有限會社ニスルコトガ
左シテ不都合ガナイナラバ、矢張リ左樣ナ
場合ニ一ツノ有限會社ヲ拵ヘルト云フコト
ヲ認メタ方ガ宜イ、斯樣ナ關係カラ致シマ
シテ、左樣ナ特殊ノ事情ガアリマシテ、其
ノ特殊ノ事情ガ是認セラルヽナラバ、是ハ
裁判所ノ正シイ判斷ノ結果ニ依リマシテ、
有限會社トシテ宜シイ、斯ウ云フコトニ致
シタノデアリマシテ、第一項本文ニ對スル
緩和的規定ヲ置イタノデアリマス、第二項ハ、
是ハ實際ニ於テ餘リ多ク起ルコトハナイデ
アリマセウガ、遺產相續ナリ、遺贈ナリノ
場合ニ社員ノ數ニ變更ヲ生ズル場合ガアリ
得ルノデアリマス、例ヘバ丁度五十人ノ社員
ガアリマシテ、謂ハバ滿員デアリマス、其
ノ中ノ甲ガ死ニマシテ遺產相續ガ始リマシ
タガ、甲ノ子供ガ「エー」、「ビー」、「シー」、
ノ三人アル、斯ウ云フ場合丁度社員ノ數ガ
五十二人ニナリマス、左様ナ遺贈ナリ、遺產
相續ノ場合ニ殖エルコトハ、是ハ致シ方ガ
ナイノデアル、ソレハ許シテモ宜イト云フ
コトヲ第二項デ明カニ致シタノデアリマス、
第九條ハ先程申シマシタ資本ノ總額ノ最小
限度ニ關スル規定デアリマシテ、最高限度
ハ之ヲ定メル必要ナシト云フコトニ致シマ
シタケレドモ、此ノ有限會社ノ設立手續ハ
比較的容易デアリマスカラ、唯一個人ガ名
ヲ有限會社ト云フモノニ藉リテ、サウシテ
濫設ヲスルト云フヤウナコトガアッテハイケ
マセヌカラシテ、限度ヲ一萬圓ト致シマシ
テ、有限會社ノ信用確保ヲスルト云フコト
ニ致シタ次第デアリマス、第十條ハ矢張リ
先程申シマシタ出資一口ノ問題デアリマス
ガ、是ハ均一制度ニ致シマシタ、均一制度
ニ致シマスト、丁度株式會社ノ株式ト同樣
デアリマスガ、斯樣ニ致シマスコトハ、議
決權ノ計算ニモ利益配當ニモ大變樂ナノデ
アリマスカラ、又斯ウ云フ均一制度ニハ我
我既ニ習熟ヲ致シテ居リマスカラ、有限會
社ニ付キマシテモ其ノ主義ヲ採ッタノデア
リマス、但シ其ノ金額ニ付テハ、株式ハ御
承知ノ通リニ原則トシテ五十圓デアリマス
ケレドモ、是ハ百圓ヲ下ルコトガ出來ナイ
ト致シマシタ、今日ノ狀態ニ於キマシテハ
百圓ト云フノガ結構ヂヤナイカト思ッタ次
第デアリマス、次ニ第十一條デアリマスガ、
後ニ申述ベマスガ、有限會社ニ於キマシテ、
此ノ會社ヲ代表スル又此ノ會社ノ業務ヲ執
行スルト云フ者ハ取締役デアリマス、デアリ
マスカラ、取締役ハ是ハ必ズ必要ナル機關
デアリマス、普通取締役ハ定款デ以テ之ヲ
定メルモノデアリマセウ、取締ハ何某又ハ
何ノ某及何ノ某、斯ウ定メルノデアリマセウ
ガ、場合ニ依リマシテハ、定款デ取締役ノ名
前ヲ定メナイト云フヤウナコトモアリ得ル
ノデアリマセウ、處ガ會社ガ成立致シマス
ト、直チニ取締役ガ必要デアリマスカラ、
會社成立前ニ取締役ヲ定メテシマハナケレ
バナラヌ、ソコデ會社成立前ニ社員總會ヲ
開キマシテ、左樣ナ場合ニハ取締役ヲソコ
デ選任スルト云フコトヲ必要手續ニ致シタ
ノデアリマス、矢張リ後ニ申シマスガ、社
員總會ハ取締役ガ招集スルノデアリマスガ、
此ノ場合ハ取締役ガマダ出來テ居リマセヌ、
マダ會社成立前デアリマスカラ、其ノ招集
ニ付キマシテハ各社員ノ招集デ宜シイ、餘
程其ノ招集ノ手續ヲ自由ニ致シマシタ、是
ガ第二項ノ規定デアリマス、第十二條ハ矢
張リ先程申述べマシタ出資全額ノ拂込ヲ必
要トスル、又現物出資ヲ認メマスナラバ、其
ノ目的タル資產ノ全部ノ給付ヲ必要トスルト
云フコトニ致シマシタ、商法中改正法律案ニ
於キマシテハ、御承知ノ通リニ、現物出資ヲ
認メマスルナラバ、現物出資ニ付テハ必ズ全部
卽時ニ給付ヲシナケレバナラナイト云ノコ
トヲ明カニ致シマシタ、併シ現金出資ニ付
テハ、御承知ノ通リニ、勿論分割拂込ヲ認
メテ居ルノデアリマス、然ルニ有限會社ニ
付キマシテハ此ノ分割拂込ハ絕對ニ認メナ
イノデアリマス、詰リ斯ウ云フ會社ハ、其
ノ設立ガ容易デアリマスカラ、是ガ濫用サ
レテハイケナイト云フコト、及ビ其ノ基礎
ガ、法律デハ非常ニ其ノ手續ニ付テ干涉ハ
致シマセヌケレドモ、其ノ性質自體ニ於テ基
礎ガ確實ニナッテ居ナケレバイケナイト云フ
趣旨カラ致シマシテ、斯樣ニ全額ノ拂込及
給付ヲ必要トスルヤウニシタノデアリマス、
デアリマスカラ、有限會社ガ一旦出來マシ
テ、更ニ之ヲ手廣クヤラウト云フヤウナ場
合ニハ資本ノ增加ノ途ヲ選ブノ外ハナイノ
デアリマシテ、分割拂込ガナイノデアリマ
スルカラ、第二次、第三次ノ拂込ヲ命ズル
ト云フコトハアリ得ナイノデアリマス、只
今申述べマシタ通リ、現物出資ハ之ヲ卽時
全部給付ヲシナケレバナリマセヌケレドモ、
其ノ出資ノ目的物ニ依リマシテハ、登記登
錄等ヲ要スルモノモアリマス、此ノ登記登
錄ノ手續ハ會社ガ成立シテカラデ宜シイト
云フコトニ致シタノデアリマシテ、商法中
改正法律案モ左樣ニナッテ居リマス、ソレト
同趣旨ニ其ノ規定ヲ第二項ニ準用シタ次第
デアリマス、サウシナケレバ登記登錄ヲ二
度モヤラナケレバナラヌト云フ煩ガ起リ
得ルカラデアリマス、第十三條ハ設立登記
ニ關スル規定デアリマシテ、其ノ期間ハ拂
込又ハ給付ノアッタ時カラ二週間內ニヤラ
ナケレバナラナイト云フコトヲ第一項デ明
カニ致シマシタ、第二項ハ其ノ登記事項デ
アリマシテ、定款ノ絕對的必要事項ノ中デ
登記ヲ必要ト致シマスルモノ、目的ニ、商
號ニ、資本ノ總額ニ、出資一口ノ金額デア
リマス、其ノ他ノ登記事項ニ付キマシテハ
〓ネ株式會社ノ登記事項ト同樣デアリマス、
尙第三項ニ商法中改正法律案ノ規定ヲ準用
シテ居リマスルガ、ソレハ法中改正法律案
第一編總則第三章商業登記ニ關スル規定ト、
ソレカラ會社ニ付テノ規定デアリマスルガ、
支店所在地ニ於テ爲スベキ設立ノ登記、ソ
レカラ支店新設ノ場合ノ登記、本店又ハ支
店ノ移轉ノ登記、ソレカラ一般登記事項ガ
變更ニナッタ場合ノ登記ノ規定デアリマス、
是等ハ總テ會社ト同樣ニ取扱ッテ宜イト思
ヒマシテ、玆ニ之ヲ準用致シタ次第デアリ
マイク、第十四條デアリマスガ、是ハ先程申
述ベマシタ塡補責任ノ規定デアリマシテ、
現物出資ニ、財產引受、此ノ二ツニ付キマ
シテ財產ノ評價ガ著シク過當デアッタ、斯ウ
云フ場合、卽チ實額ガ少イノニ評價ヲ非常
ニ高クシタ、卽チ羊頭ヲ揭ゲテ狗肉ヲ賣ッタ
ト云フ場合デアリマス、サウ云フヤウナ場
合ニハ、會社成立當時ノ社員ガ之ニ關係シ
テ、其ノ評價ヲ致シタノデアリマスルカラ、
之ニ責任ヲ持タセマシテ、會社ニ對シテ是
等ガ連帶シテ其ノ不足額ヲ支拂フ責メガア
ルト云フコトニ致シマシタ、是ガ社員ガ其
ノ出資ノ金額ヲ以テ限度トシテ、有限責任
デアルト云フ所ノ例外ヲナスモノデアリマ
ス、卽チ有限會社ノ基礎ノ鞏固ヲ圖リマス
ガ故ニ、斯樣ナ規定ヲ以テ臨ンダ次第デア
リマス、是レ卽チ先程申シマシタ有限會社
ノ設立手續ニ付テ法律ノ慣習ガ株式會社ニ
比シテ甚ダ少イノデアリマスルカラ、一四
法律ノ手續ヲ簡易ニ致シマスルト共ニ、他
面斯樣ナ責任ヲ課スルコトヲ以テ必要ト存
ジタ次第デアリマス、第十五條ハ拂込ノ未
濟ナ金額ガ、或ハ現物出資ノ給付ノ未濟ナ
財產ガアリマシタナラバ、會社成立當時ノ
取締役、監査役、社員、是等ガ連帶シテ其
ノ未濟部分ノ拂込ヲスルトカ、若シクハ給
付未濟財產ノ價額ノ支拂ヲシナケレバナラ
ナイト云フコトニ致シタノデアリマシテ、
此ノ塡補責任ハ前條ノ塡補責任ト其ノ趣旨
ガ全ク同樣デアリマス、次ニ第十六條デア
リマスルガ、前二條ノ塡補責任ノ規定ハ、
此ノ有限會社設立ニ關スル規定ノ中デ
重要ナモノノ一ツデアリマス、是ガ塡補責
任ノ規定ヲ此處ニ置イテアルノデアリマス
ルケレドモ、會社自身ノ、之ヲ免除ヲ致シマ
シタコトハ、法律ガ此處ニ揭ゲル嚴格ナル
規定ヲ設ケタ趣旨ガ全ク沒却ヲサレマスル
カラ、是ハ會社成立ノ日ヨリ五年ヲ經過シ
タ後デナケレバ免除ガ出來ナイ、五年內ハ
決シテ免除ハ出來ナイモノデアルト云フコ
トヲ明カニ致シマシテ、前二條ノ責任ノ確
保ヲ圖ッタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=16
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017・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 第二章ニ御不審
ノ點ガアリマシタラ、御質問ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=17
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018・山隈康
○山隈康君 此ノ法案ハ先刻申述ベマスル
如ク改正商法ノ準用ヲ此ノ法典ニ求メマス
ルト、三百條以上ノ大法典デアリマス、只
法文ヲザット取調ベマスニシテモ、一日位デ
ハナカ〓〓容易ニ一應法文ノ朗讀モ出來ナ
イ次第デアリマス、從ッテ御尋ネ致シマス
ルコトガ、或ハ的外レノ御尋カモ知レマセ
ヌガ、其ノ點ハ豫メ御諒承ヲ願ッテ置キタ
イト思ヒマス、第一、是ハ小サイコトデア
リマスルケレドモ、十三條ニ付テ御伺ヒシ
タイト思ヒマス、十三條ノ登記事項ニ、「第
六條第一號乃至第四號ニ揭グル事項」、サウ
シテ先刻特ニ御話ニナリマシタ第六條ノ第
五ノ社員ノ氏名及住所ト云フコトハ、是ハ
記載ガナクシテ、ソレハ更ニ此ノ第七ノ最
後ノ改正商法ノ六十四條ノ第二項、卽チ六
十四條ノ第二項ニ依リマスルト、商法ノ六
十三條ヲ準用シタイ、六十三條卽チ一、目
的二、商號、三社員ノ氏名及住所、ソコ
デ若シ此ノ準用デ差支ナイトスレバ、六十
三條ノ第一乃至第三デ云ッタヤウナコトヲ
揭ゲル必要ガナイト思ヒマスルガ、若シソ
レガ揭ゲル必要ガアルトスレバ、何ガ爲ニ
此ノ六條ノ第五項ハ之ニ揭ゲズシテ殊更ニ
準用ニ御讓リニナッタノデアリマスカ、立法
上特別ノ理由ガアルノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=18
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019・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 只今御指摘ノ通
リニ、第六條ノ第五項デアリマスルガ、是
ハ定款ノ記載事項ニ致シマシタコトヲ先程
申述ベタ通リデアリマス、併シ是ハ第十三
條ノ登記事項ニハナッテ居ナイノデアリマ
ス、卽チ之ヲ登記スルノ必要ガナイノデア
リマス、或ハ是ハ人的會社タル色彩ヲ持ッ
テ居ルノデアリマスカラ、定款ニ之ヲ明カ
ニスルト共ニ、登記事項ノ方ニモスルガ宜
イト、斯フ云フ御意見モアラウカト存ズル
ノデアリマス、實ハ立案ノ際ニモ其ノ手續
ガ大部論議ノ目的ニナッタノデアリマス、併
シ此ノ社員ノ移動ト云フコトニ付テハ先程
申述ベマシタ通リニ、極度ニ之ヲ防止シテ
居リマスケレドモ、併シ起ルコトハ起リ得
ルノデアリマス、左樣ナ場合ニ一々之ヲ登
記スルト云フコトガ煩雜デハナイカ、又之
ヲ登記ニシテ、一般ニ公ニスル程ノ必要モ
ナクハナイカ、斯樣ニ考ヘマシテ、社員ノ
氏名、住所ニ付テハ登記事項ニ致サナカッタ
ノデアリマス、併シ此ノ社員ノ氏名、住所
ハ第二十條ニモ明カデアリマスルガ、社員
名簿ニハ記載ヲシテ置カナケレバナラナイ
ノデアリマス、卽チ定款ト社員名簿ト相俟
チマシテ誰ガ社員デアルカト云フコトハ明
白ニナルノデアリマスカラ、必ズシモ登記
ヲスルノ必要ナシ、斯ウ云フ考ヘデ十三條
カラハ除イタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=19
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020・山隈康
○山隈康君 ソコニ私ハ疑ヲ存スルノデア
リマスガ、最後ノ此ノ六十四條第一一項ノ規
定ハ有限會社ニ之ヲ準用ストアリマスルノ
ハ、六十四條ノ二項ニハ目的、商號、社員
ノ氏名及住所トアリマスルカラ、之ニ依ル
ト、登記ヲシナクチヤナラナイノヂヤナイ
カ、ソレトモ登記ハ要ラヌト、斯ウ云フコ
トニナリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=20
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021・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 此ノ第十三條ノ
第三項ニ於キマシテ、商法中改正法律案ノ
第六十四條第二項ヲ準用致シマシタノハ、
設立登記ヲ本店ノ所在地ト致シマシタ後
二、支店ノ所在地デ二週間內ニ同ジ趣旨ノ
登記ヲシロト云フ部分ヲ明カニスルガ爲ニ
準用シタノデアリマシテ、是ハ記載項目ニ
ハ關係ナシニ支店ニ於テヤレト云フ其ノ趣
旨ヲ明カニスルガ爲ノ準用デアッタノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=21
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022・山隈康
○山隈康君 只今政府委員ノ仰セノ如ク、
サウソレデ解釋ガ出來ルノデスカ、單ニ第
二項ト書イテアル以上ハ第二項全部ヲ指ス
カノヤウニ解セラレマスガ、第二項中ノ
部デスネ、其ノ點ノ解釋ハ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=22
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023・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 或ハ極メテ正確
ニ申シマスレバ、非難ノ餘地ガアリマスカ
モ知レマセヌケレドモ、先ヅ運用ニ於テ決
シテ支障ノナイモノト存ジテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=23
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024・山隈康
○山隈康君 第十四條ト第十五條、兩條ニ
對シテ御尋ヲ致シタイト思ヒマス、此ノ會
社ノ成立當時ニ於ケル實價ガ定款ニ定メタ
ル價格ニ著シク不足スル場合又ハ拂込若シ
クハ給付ノ未濟ナル出資ノアル場合、此ノ
際ニ對シマシテハ勿論出資者ニ、社員ニ對
シテ直接ニ請求若シクハ强制執行等ヲ爲ス
權利ノアルト共ニ、他面ニハ是等ノ取締役、
監査役及社員ニ連帶請求權ガアルト解釋出
來ルノデアリマス、斯ウ云フコトハ認メラ
レルノデアリマセウカ、斯ウ云フ場合ニ、
社員、取締役及監査役ニ對シテ請求シタ場
合是等ノ人々ハ社員ニ十分ソレヲ支拂フ
資格ガアリ、且强制執行モ容易ニ執行ガ出
來ルト云フコトヲ署名ヲ致シマシテ、直接
ニ取締役及監査役ニ對シテ請求ヲ爲スコト
ニ對スル抗辯權ハ御認メニナッテ居ナイノ
デアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=24
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025・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 只今御述ニナリ
マシタヤウナ點ハ、御承知ノ通リニ、合名
會社ノ社員ノ直接ノ責任ニ付テハ規定ガア
ルノデアリマシテ、會社ノ債權者ガ合名會
社ニ請求シ得ルコトハ勿論デアリマスルガ、
併シ合名會社ノ社員ニ請求スルト云フ場合
ニ、今御指摘ニナリマシタ抗辯權ヲ認メテア
リマスルコトハ、是ハ御承知ノ通リデアリ
やっ、丁度ソレト同ジヤウナ規定ヲ設ケタ
方ガ宜クハナイカト云フ御意見ノヤウニ伺ヒ
マシタガ、サウ致シマスルト、成程此ノ請
求ヲ受ケル方ノ取聯役、監査役、社員=
對シテハ好都合デアリマセウケレドモ、
此ノ資本ノ充實ト云フコトヲ期スル關係
ノ規定デアリマスルガ故ニ、左樣ナ抗辯
權ヲ許シテ居リマシテ、手續ガ長クナ
ル、又事ガ煩雜ニナルト云フコトハ賴モ
シクナイノデアリマシテ、是ハサウ云
フ抗辯權デナシニ、總テ明カニ連帶ノ
責任ヲ持ツコトニシタ方ガ宜クハナイカト
思ッタ次第デアリマス、御承知ノ引受ナキ株
式或ハ拂込ノ未濟ナル株劵ガアリマシタ場合
株式會社ノ發起人ニ矢張リ其ノヤウナ責任
ヲ課シテ居ル次第デアリマス、デスカラ、是
ハ合名會社ノ社員ニ對スル債權者ノ請求ノ
場合トハ選ヲ異ニシテ置ク方ガ所期ノ目的
ヲ達スルニ適當デハナイカト存ズル次第デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=25
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026・山隈康
○山隈康君 此ノ兩條ニ對シテ私甚ダ疑ヲ
持ッテ居リマスノハ、此ノ取締役監査役、社
員ガ連帶ヲシテ不足額若シクハ給付未濟額
ノ支拂ヲスル義務ガアル、此ノ際ニハ何人
ガ會社ヲ代表シテ請求ヲ爲ス訴訟ヲ提起ス
ルノデアリマセウカ、普通ノ會社ニ於ケル
ガ如キ監査役ガ會社ニ代ッテ請求ガ出來マス、
又十分ノ一ノ株主カラ會社ニ對シテ請求ニ
ナリマシタ場合ニ於テハ、十分ノ一ノ株主
ヨリ代人ヲ指定スルコトガ出來ルト云フ規定
モアルヤウデアリマス、併シソレガ指定シ
ナカッタ場合若シクハ其ノ他ノ場合ニ於テ
規定ガナイ以上ハ、總會デ其ノ代人ヲ選定ス
ル權利ヲ商法上ニハ必要ダト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=26
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027・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 只今御述ベノ點
ハ後ニ申上ゲヨウト存ジテ居ッタノデアリ
マスケレドモ、取締役、監査役ニ對スル訴
ノ提起ニ付キマシテハ、其ノ代表者ヲドウ
スルカト云フコトニ付テハ商法中改正法律
案ニ其ノ規定ガアルノデアリマシテ、ソレ
ヲ後ニ取締ノ方ニ準用シテ居リマスカラ、
其ノ關係デソコハ都合好ク參ルト存ジテ居
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=27
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028・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) モウ宜シウゴザ
イマスカ、ソレデハ第三章ニ移リマス、社
員ノ權利義務、之ヲ議題ニ供シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=28
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029・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 第三章ハ社員ノ
權利義務ト云フ表題ノ下ニ規定ヲ致シタノ
デアリマス、丁度此ノ編別ノ體裁ハ株式會
社ニ對スル規定ヨリモ寧ロ合名會社又ハ民
法上ノ規定ニヨク似テ居ルノデアリマス、
斯樣ニ編別ヲ定メマシタ方ガ明カデアルト
存ジタ次第デアリマス、第十七條ハ社員ノ
責任ノ基本ヲ定メタ規定デアリマシテ、原
則トシテ出資ノ金額ヲ限度トスル有限責任
デアルト云フコトヲ明カニ致シタノデアリ
マス、唯「本法ニ別段ノ規定アル場合ヲ除ク
ノ外」トアリマスカラ、本法ハ旣ニ其ノ例外
ヲ一二箇所認メテ居ルノデアリマス、ソレ
ハ先程申述べマシタ第十四條ノ塡補責任、
第十五條ノ塡補責任、ソレカラ後ニ、是ハ
第十四條、第十五條ハ設立ノ場合ノ規定デ
アリマスルガ、同樣ノ趣旨ノ規定ガ資本增
加ノ場合ニモアルノデアリマス、ソレハ第五
十四條及第五十五條デアリマス、只今御配
リヲ致シマシタ此ノ說明書ノ中ニ、第十七
條ノ說明ト致シマシテ、第五十五條ヲ指摘
スルコトヲ脫カシテ居リマシテ誠ニ恐縮デ
アリマス、尤モ此ノ第五十五條ハ取締役、
監査役ノ塡補責任デアリマシテ、取締役、
監査役ガ社員デナイ場合モアリ得ルノデア
リマスルカラ、或ハ是ハ社員ノ責任ニ當ラ
ナイモノトシテ除クコトガ至當デアッタカ
モ知レマセヌケレドモ、併シ取締役、監査
役ガ社員デアリ得ル場合モアルノデアリマス
カラ、此ノ說明ノ中ニ第五十五條モ共ニ援用
シタモノト御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス、
是ハ條文ノ問題デハナイノデアリマシテ、條
文ニ對スル私共ノ說明ガ疎漏デアッタト云フ
點ノ御諒承ヲ仰グ次第デアリマス、第十八
條ハ各社員ガ出資ノ口數ニ應ジテ持分ヲ持
ツト云フコトヲ明カニ致シタノデアリマ
ス、株式ト云フ文字ハ避ケマシタケレド
モ、實質ニ於テ何等相違ガナイノデアリマ
シテ、出資ノ口數ニ應ジテ持分幾ツヲ持ツ
ト云フ、斯ウ云フ工合ニ致シマシタ、其ノ
方ガ先程申上ゲマシタ通リ議決權ノ計算ニ
付キマシテモ利益配當ノ割合ニ付キマシテ
モ大變樂ダカラデアリマス、第十九條ハ矢
張リ先程言及致シマシタ持分ノ讓渡ニ關ス
ル規定デアリマス、卽チ社員ハ此ノ社員總
會ノ特別決議デナケレバ:·····第四十八條ニ
定ムル社員總會ト云フコトハ特別決議ニ關
スル規定デアリマス、其ノ特別決議ニ依ル
ニ非ザレバ其ノ持分ノ全部又ハ一部ヲ他人
ニ讓リ渡スコトガ出來ナイノデアリマス、
而シテ此ノ社員總會ノ特別決議ニ依ラナケ
レバナラナイト云フ要件ハ之ヲ輕減スルコ
トヲ許サナイノデアリマス、輕減スルコト
ハ許シマセヌケレドモ之ヲ加重スルコトハ
或ハ結構デアルカモ知レマセヌ、デアリマ
スルカラ法文デ以テ第一項ノ但書ニ定款デ
以テ此ノ制限要件ヲ加重スルコトハ結構デア
ルト云フコトヲ明カニ致シマシタ、デアリ
マスルカラ此ノ特別決議ハ後ニ申上ゲマスル
通リ四分ノ三以上ノ決議ト云フコトニナッ
テ居リマスルガ、是ハ或ハ五分ノ四以上ノ
決議ト云フコトニ致シマスルナリ、或ハ全
員ノ一致ト云フコトヲ必要トスルト云フコ
トニ致シマスルナリ、ソレハ自由デアリマ
ス、斯ク持分ノ讓渡ヲ非常ニ制限致シマシ
タコトハ、社員ノ人ニ重キヲ置キマスルコ
トト、サウシテ社員ノ移動ガ甚シク生ズル
ト云フコトヲ避ケナケレバナラナイト考ヘ
テ結果デアリマス、第二項ハ持分讓渡ノ結
果ニ依リマシテ、サウシテ社員ノ數ガ殖エ
ルト云フヤウナ場合ガ、生ズルノデアリマ
ス、例ヘバ甲社員ガ持分ヲ三ツ持ッテ居ル、
其ノ三ツヲ「エー」、「ビー」「シー」ニ一ツ
宛讓渡スル、斯ウナリマスト甲ガ無クナリ
マシタ代リニ「エー」、「ビー」「シー」三人
ノ社員ニナリマスルカラ社員ノ數ガ全體ニ
於テ殖エマス、其ノ結果先程申シマシタ五
十人ノ制限ヲ超エルヤウナ場合ニ、其ノ讓
渡ソレ自身ガ無效デアルト云フコトヲ明カ
ニ致シマシタ、併シ讓渡デアリマシテモ遺
贈デアリマスルナラバ、先程申述べマシタ
第八條第二項ノ關係デ、ソレハ構ハナイノ
デアルト云フコトヲ矢張リ第二項デ明カニ
致シマシタ、第一項、第二項、斯樣ニ持分
ノ讓渡ニ制限ヲ設ケマシタケレドモ、社員
相互ノ間ノ持分ノ讓渡デアリマスルナラ其
ノ結果社員ノ移動ヲ生ズルト云フコトハナ
イノデアリマスルカラ、是ハ左程虞ルヽ必
要ガナイノデアリマシテ、從ッテ第三項ニ緩
和規定ヲ置イタ次第デアリマシテ、定款デ
別段ノ定ヲスルコトハ構ハナイト云フコト
ニ致シタ次第デアリマス、第二十條ハ持分
ノ移轉ニ付テノ對抗要件デアリマシテ、社
員名簿ニ其ノ旨ヲ記載シナケレバナラナイ
ト云フコトニ致シマシタ、是ハ矢張リ株式
會社ニ於テ同樣ノ規定ガアリマシテ、ソレ
ト趣旨ヲ同ジクシタ次第デアリマス、第二
十一條ハ有限會社ハ其ノ持分ニ付テ指圖式
證劵、無記名式證劵、是等ヲ發行スルコト
ガ出來ナイト云フコトヲ明カニ致シタノデ
アリマス、詰リ有限會社ハ先程來申述ベマ
スル通リ、小規模ノ會社デアリマス、尤モ
其ノ營業ハ是ハドノ位手廣クヤッテ三月ノ
ノデアリマシテ、資本ノ最高限度ニモ制限
ガアリマセヌケレドモ、其ノ組織ナリ其ノ
管理ナリニ付キマシテハ、甚ダ簡單ニヤッテ
行クト云フノガ特質デアリマスルカラ、此
ノ持分ニ付テノ證劵ヲ賣出スト云フヤウナ
コトハ、其ノ性質ニ反スルノデアリマス、
又賣出シノ結果社員ニドン〓〓移動ヲ生
ズルト云フコトガアリマスレバ、尙更
以テ有限會社ノ特質ニ副ハナイノデア
リマスルカラ、斯樣ナ證劵ノ發行ガ出來
ナイト云フコトヲ明カニ致シマシタ、
第二十一條ハ持分ヲ數人デ共有スルコトハ
認メマスルト同時ニ、其ノ共有ノ場合ニ商
法中改正法律案ノ株式共有ノ場合ノ規定ヲ
此處ニ持ッテ來タノデアリマス、卽チ御承知
ノ通リニ株式會社ニ於テ株式共有ノ場合ニ
ハ權利行使者ヲ一人定メテ會社ニ屆出ルコ
トニナッテ居リマス、又共有者ニ對スル通知
催告ハ其ノ一人ニ對シテ爲セバ宜イコトニ
モナッテ居リマス、尙拂込ニ付テハ共有者ノ
連帶責任ト云フコトニナッテ居リマス、ソレ
等モ矢張リ持分共有ノ場合ニ持ッテ來タノ
デアリマシテ、同樣ニ取扱ハウト致シタ次
第デアリマス、第二十三條ハ持分ノ質入ニ
付テノ規定デアリマス、第一項ニ於テ持分
ガ質權ノ目的ニナル、卽チ持分ヲ質ニ入レ
ルコトガ出來ルト云フコトヲ明カニ致シマ
シタ、併シ之ヲ入質致シマシタ結果、社員
ニ移動ヲ生ズルト云フヤウナコトガアリマ
シテハ、是亦有限會社ノ特質ニ副ハナイデ
アリマスルカラ、第十九條第一項ノ持分讓
渡ニ付テノ重大ナル制限、ソレカラ制限ノ
規定ヲ先ヅ準用致シマシタ、ソレカラ持分
ノ質入ニ付テハ矢張リ社員名簿ニ記載ヲシ
ナケレバ對抗ガ出來ナイト云フ趣旨カラ致
シマシテ、第二十條ノ規定ヲ準用致シタ次
第デアリマス、次ニ第二十四條デアリマス
ガ、是ハ株式ニ付テ商法中改正法律案ガ規
定シテ居リマスルモノノ中デ、必要ナモノ
ヲ此ノ持分ニ準用シタノデアリマス、卽チ
質權ノ物上代位ニ關シマスル規定、又登錄
質ヲ致シマスルナラバ、卽チ會社ニ明カニ
ナルヤウナ質入ヲ致シマスナラバ、其ノ質
權ノ效力ハ利益配當金、殘餘財產分配金ニ
モ及ブト云フコトヲ明カニ致シマシタ、其
ノ登錄規定、ソレカラ又株式會社ハ自己ノ
株式ヲ取得スルコトヲ原則トシテ禁止ヲシ
テ居リマス、併シ或ハ限定ノ場合ニハ取得
スルコトモ認メラレテ居リマスルケレドモ、
ソレ等ノ場合ニハ是等ヲ成ルベク早ク處置
シナケレバナラナイト云フ規定ヲ設ケラレ
テ居リマス、ソレ等ノ規定、又株式ノ消却
ニ關スル規定、是等ヲ矢張リ持分ニ持ッテ來
タノデアリマシテ、株式ト同樣ナ取扱ヲ存
シタ次第デアリマス、又本條ノ第二項ハ株
式會社カラ株主ニ對スル通知催告ニ付キマ
シテハ、便利ナ方法ガ認メラレテ居リマシ
テ、ソレヲ矢張リ此ノ會社ガ社員ニ對スル
通知催告ニモ持ッテ來タノデアリマシテ、矢
張リ同樣ノ取扱ニスルコトヲ適當ト認メタ
カラデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=29
-
030・山隈康
○山隈康君 甚ダ恐縮デスガ、チョット十四
條十五條ニ遡ッテモウ少シ不明ノ所ガアリ
マスカラ、御許シヲ願ッテ御尋ネ致シタノデ
スガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=30
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031・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 宜シウゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=31
-
032・山隈康
○山隈康君 有限會社ノ場合ニ於キマシテ、
取締役、監査役、社員ガ連帶シテ不足額若
シクハ未濟財產ノ價額ヲ支拂フト云フ義務
ヲ負擔ヲサセテ居リマスガ、斯ウ云フ實際
問題ト致シマシテ、總テノ者ガ殆ド債務者
デアリマスルカラ、此ノ者ニ對シテ此ノ種
ノ請求ヲ爲ス機會ト云フコトハ、法文デハ
立派デアリマスルケレドモ、實際問題トシ
テ大シタ效果モナイヤウニ考ヘルノデアリ
マス、是ハ何デスカ、會社ニ對スル債權者
ハ此ノ種ノ權利ヲ、私ハ條文全部ヲ讀ンデ
居リマセヌカラ分リマセヌガ、債權者ガ是
等ノ權利ヲ行使スルコトハ認メテアルノデ
スカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=32
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033・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 商法直接ニハソ
レヲ認メテ居リマセヌケレドモ、民法ノ御
承知ノ代理訴權、ソレヲ持ッテ來マスレバソ
レガ適用出來ヨウカト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=33
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034・山隈康
○山隈康君 第二ニ御伺ヒ致シマスガ、先
刻御尋ヲ致シマシタ取締役ニ對シテ訴訟ヲ
起ス際ニハ、商法改正草案ノ二百七十七條、
此ノ準用デ差支ナイト云フコトデアリマシ
タガ、此ノ規定ヲ見マスルト、唯株主總會
ハ他人ヲシテ代表ヲセシムルコトヲ得ト云
フ代表ヲセシメナケレバナラナイト云フ命
令規定ハナイ譯デス、若シ斯ウ云フ場合ニ
於テ、サウ云フ事例ハ少イカモ知レマセヌ
ノデスガ、總會デ代表者ヲ選任シナカッタ場
合ニハドウナリマスカ、例ヘバ株主ノ十分
ノ一ニ當ル者ガ、會社ニ對シテ此ノ責任ヲ
問ウテ吳レ、十四條十五條ニ基キ請求ヲナ
シテ吳レト云フ請求ガアッタ場合ニ、總會ガ
幸ニ代表者ヲ選定スレバ宜イノデスガ、ソ
レヲ疎却シタ場合ニ於テハ、何カノ救濟ノ
方法ガアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=34
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035・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 商法中改正法律
案ノ第二百七十七條ハ、御承知ノ通リニ當
然監査役ガ會社ヲ代表スルコトニナッテ居
ルノデアリマス、從ッテ此ノ有限會社ニモ監
査役ガアリマス場合ニハ、其ノ監査役ハ當
然會社ヲ代表スルコトニナリマスカラ、監
査役ガアリマス場合ハ先ヅ問題ガ生ジナイ
ノデアリマスケレドモ、監査役ガナイ場合
モアリマスシ、又監査役ガアッテモ社員總會
ガ他ノ者ヲシテ代表スルコトヲ可トスルナ
ラバ、代表セシメルコトガ出來ルノデアリ
やく、デアリマスカラ、是ハ社員總會ノ權
限トシテ之ヲ規定シタノデアリマシテ、斯
ク規定シテ置キマスレバ、社員總會ニ於テ
ハ必ズヤ代表者ヲ定メマセウカラ、只今御
指摘ノヤウナ心配ハナカラウト存ジテ居リ
マス、併シナガラ若シ取締役ニ訴ヲ提起ス
ベキデアルニモ拘ラズ提起シナカッタ、卽チ
社員總會デ取締役ニ對シテ訴ヲ提起スルコ
トヲ否決シタト云フ場合ニハ、矢張リ商法
ノ規定ニ依レバ少數社員ガ出テ來ルノデア
リマス、唯社員ガドウシテモ代表者ヲ選定
シナカッタト云フ場合ニ付テハ、直接少數社
員カラ代表者ヲ選定シロト云フ所ノ請求權
ハ認メテ居ナイノデアリマス、デアリマス
カラ、其ノ點ニ付テハ成程御說ノヤウナ困ッタ
場合ガ生ズルカモ知レマセヌケレドモ、是
ハ株式會社ト同樣デアリマシテ、實際ニ於
テソコ迄心配スル必要ハナイカト立案ノ際
ニ考ヘテ居ッタヤウナ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=35
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036・山隈康
○山隈康君 只今ノ說明ハドレ迄行キマシ
タデセウカ、第四章全部デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=36
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037・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 第三章ダケデア
リマス、其ノ範圍デドウゾ一ツ······一ツ御尋
ネシタイノデスガ、此ノ二十二條ノ共有ノ場合
デアリマスガ、社員ノ數ハ五十人ヲ超ユルコ
トヲ得ナイ、ソコデ共有ノ場合ハ代表者ヲ
一人屆出ル、サウスルト代表者ノ數ガ五十
人ヲ超エナケレバ、共有者ノ數ハ幾人ニナッ
テモ宜イト云フコトニナリマスカ、ドウ云
フ次第デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=37
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038・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 是ハ共有者ガ五
十人ヲ超エテハイケナイ、斯ウ云フ趣旨デ
アリマシテ、代表者ノ數デ之ヲ標準ニシナ
カッタノデアリマス、サウシマセヌケレバ此
ノ五十人云々ト云フ制限ガ共有ノ方法ニ依ッ
テ亂サレルト存ジタノデアリマス、共有者
個々矢張リ五十人ヲ計算スル基本ニナルト
存ズルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=38
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039・山隈康
○山隈康君 手前ニ遡ッテ恐縮デスガ第八
條ノ規定ニ、社員ノ數ニ變更ヲ生ズル場合
ニ、遺產相續ノ場合ハ法律ノ規定ニ依ッテ當
然相續スルカラ已ムヲ得ナイト思ヒマスガ、
遺贈ノ場合ハ法律ノ規定デナクテ、其ノ人
ノ意思ニ依ルコトデアリマスカラ、之ニ更
ニ加ヘル必要ハナイカノヤウニ考ヘラレマ
スガ、之ヲ一ツ承リタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=39
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040・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 全ク御說ノ通リ
デアリマシテ、御尤ニ存ズルノデアリマス、
遺贈ト、生前贈與ト分ケル必要ハ全然ナイ
ノデアリマス、唯此ノ場合ニ死人ノ意思ヲ
尊重シタ方ガ宜クハナイカ、唯ソレダケノ
感ジカラ致シマシテ遺贈ヲ加ヘタノデアリ
マス、遺贈デ斯樣ニ五十人ヲ超ユル場合ハ
多クアルマイカラト云フ考ヘモアリマシテ、
併シソレハ理論ニハナラナイノデアリマス
ガ、要スルニ死人ノ意思ヲ尊重スルト云フ
コトニ重キヲ置イタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=40
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041・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 議題トナリマシ
タ以外ノモノデモ、ドウゾ自由ニ御質問下
サルヤウニ、牽連事項ニナリマセウカラ左
様ニ一ツ·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=41
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042・山隈康
○山隈康君 此ノ二十四條ノ株式ノ消却、
併合、轉換、此ノ場合ニ於テ、質權ガ設定
セラレマシタ際ニハ會社ハ株主ニ對シテハ其ノ
新タナル株劵······株券ト申シマスカ社員ニソレ
ヲ交付スルコトハ出來ナイ譯デスネ、質權
トシテノ問題ニナッタ場合ニ於テハ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=42
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043・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 此ノ株式ノ併合
ト云フヤウナコトハ、合併ノ場合ニアリ得
ルノデアリマシテ、其ノ場合ニ新シク吳レ
テヤルト云フ趣旨デ是ガ準用ニナッテ居ル
ト存ズルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=43
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044・山隈康
○山隈康君 御尋ネ申シマシタ趣旨トチヨッ
ト違フノデアリマスガ、併合ノ場合、若シ
クハ轉換ノ場合デモ、新シイ株式ガ出來ル
ト思フノデアリマス、ソレガ、轉換前、併
合前ニ質權ノ目的トナッタ場合ニハ、其ノ新
ナル株式ハ株主、社員ニハ交付出來ナイト
解スベキモノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=44
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045・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 先程ノ御尋ノ趣
旨ヲ誤解致シマシテ恐縮致シマシタ、今ノ
御尋ハ、或ハ消却ノ場合ニ該當スルカト存
ジマスガ、消却ヲ致シマシタ場合ニ、此ノ
代金ノ上ニ是ガ及ンデ行クト云フコトガ、
二百十二條ノ關係デ以テ明カニナルト存ズ
ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=45
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046・山隈康
○山隈康君 私ノ御尋スルノハ消却ノ場合
デハナイノデアリマス、此ノ株式ノ消却、
併合、轉換ノ場合、質權ガ設定サレタ時ハ
質權者ハ會社ニ對シテ前條第一項ノ株式ノ
受クベキ株劵ノ引渡ヲ請求スルコトヲ得ト
云フ規定ガアルノデアリマスカラ、此ノ場
合ニハ株主ニ對シテハ引渡拒絕ヲ會社ハス
ベキモノデアルカドウカト云フコトヲ拜聽
シタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=46
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047・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 此ノ準用ノ關係
ガ矢張リ先程六十四條第二項デ御批判ニナ
リマシタ點ト同ジコトニナルカトモ存ズル
ノデアリマスガ、此ノ場合ニ於キマシテ準
用ニナリマスル實質ハ消却ノ場合ダケデア
リマス、從ッテ總テ此ノ條文ノ中カラ消却
ノ分ダケヲ準用スルト書イタ方ガ宜イカト
モ思ッテ居リマスガ、マア大體御分リカトモ
思ッテ居ルヤウナ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=47
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048・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 宜シウゴザイマ
スカ······ソレデハ第四章、會社ノ管理、之
ヲ議題ト致シマシテ第二十五條乃至第四十
三條迄ノ御說明ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=48
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049・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 第四章ハ會社ノ
管理ノ規定デアリマシテ、取締役、監査
役ノ職責等ニ付テノ規定ヲ網羅致シタモノ
デアリマス、第二十五條ハ有限會社ニハ一
人又ハ數人ノ取締役ヲ置クコトヲ要スルコ
トヲ明カニンタノデアリマス、取締役ハ會
社ノ代表機關デアリ、又業務執行機關デア
リマシテ、是ガ必要ナ機關デアルコトハ申
ス迄モナイノデアリマス、後ニ監査役ニ付
テ申述ベマスルガ、監査役ハ必ズシモ必要
機關デハアリマセヌケレドモ、取締役ダケ
ハ必ズ之ヲ要スルノデアリマス、唯株式會
社ニ付キマスルヤウニ、取締役ハ三人以上
ト云フ必要ハナイノデアリマシテ、一人デ
モ宜シイノデアリマス、從ッテ一人又ハ數人
ト云フコトヲ文字デ明カニ致シマシタ、尙
丁度株式會社ニ於キマスルト同樣ニ、取締
役モ社員タルコトヲ必要トシナイノデアリ
やっと、ソレハ此ノ第三十二條デ商法中改正
法律案ノ第二百五十四條ヲ準用シテ居ル結
果デアリマスルガ、前年株式會社ニ付テ申
述ベマシタ通リ、矢張リ適材適所ト云フ關
係カラ致シマシテ、廣ク適材ヲ求メルト云
フ爲ニハ、社員タル資格ニ限定シナイ方ガ
宜イト存ズルノデアリマシテ、株式會社ト
同ジ趣旨カラ致シマシテ、矢張リ此ノ有限
會社モ左樣ニ定メタヤウナ次第デアリマス、
第二十六條ハ取締役ガ數人アリマスル場合
ニ付テノ、其ノ業務執行等ノ關係ヲ規定シ
タノデアリマシテ、是ハ矢張リ商法中改正
法律案ノ第二百六十條卽チ株式會社ニ於ケ
ル規定ト全ク同樣デアリマス、第二十七條
ハ取締役ガ會社ノ代表機關デアルト云フコ
トヲ明カニシタモノデアリマシテ、其ノ代
表權限ニ付キマシテハ第三十二條ノ、取締
役ニ付テノ株式會社ノ規定ヲ準用シテ居ル
ノデアリマス、卽チ商法中改正法律案ノ第
二百六十一條デアリマスガ、是ハ御承知ノ
通リニ數人取締役ガアリマシタナラバ、其
ノ數人ハ原則トシテ各自會社ヲ代表スルノ
デアリマスルガ、會社ニ於キマシテ、共同
代表ノ定ヲスルコトモ出來レバ、特定代表
者ヲ定メルコトモ出來ルト云フコトニ相成ッ
テ居リマス、矢張リソレト同樣ニ有限會社
ヲモ律シヨウトシタノデアリマス、第二十
八條ハ取締役ノ書類備置キノ義務等ニ付テ
規定シタモノデアリマス、此ノ中デ第三項
デアリマスルガ、社員及會社ノ債權者ハ營
業時間內ハ何時ニテモ是等ノ書類ヲ閱覽ス
ル請求權ガアルト云フコトヲ明カニシタノ
デアリマシテ、此ノ點ニ付テハ株式會社ト
全ク同樣デアリマス、デスカ此ノ程度ニ於
テハ是等ノ書類ヲ公ニスルト云フコトハ必
要デアリマシテ、是ハ公ニ知ラシメル最小
限度ノ必要ヲ此處ニ明カニシタ次第デアリ
やく、第二項ハ社員名簿ノコトヲ規定シタ
ノデアリマスガ、丁度株主名簿ニ當ルノデ
アリマシテ、有限會社デハ之ヲ社員名簿ト
云フ名前デ規定ヲ致シタノデアリマス、第
二十九條ハ御承知ノ取締役ノ會社ニ對
スル競業禁止事務ニ關スル規定デアリマス、
是モ株式會社ニアリマスル規定ト同樣デア
リマシテ、競業禁止ノ義務ノアルコト、ソ
レカラ會社ガ之ニ付テ介入權ヲ有ツコト、
又ソレ等ノ權利ノ消滅期間ト云フモノヲ定
メタノデアリマシテ其ノ內容ニ於キマシテ
ハ、株式會社ノ取締役ニ於ケルト同樣デ
アリマス、第三十條モ株式會社ノ取締役
ニ付テト略〓同樣ノ規定デアリマシテ、取
締役ガ自己又ハ第三者ノ爲ニ會社ト取引
ヲ爲ス場合ノ制限ヲ規定シタノデアリマ
ス、株式會社ニ於キマシテハ、監査役ノ承
認ヲ必要トスルコトニナッテ居リマシタガ、
有限會社ニ於キマシテハ、監査役ノアル場
合アリ、又無イ場合モアリマスルカラ、若
シ監査役ガアレバ其ノ承認ヲ經ナケレバナ
リマセヌケレドモ、監査役ガナイ場合ニハ
社員總會ノ認許ヲ得ルト云フコトニ致シタ
次第デアリマス、次ニ第三十一條ハ少數社
員權ノ一ツノ場合デアリマシテ、社員總會
ガ取締役ニ對スル訴ノ提起ヲ否決シマシタ
場合ニ、少數社員ガ此ノ訴ノ提起ヲ會社ニ
請求スルコトガ出來ル、サウ云フ場合ニハ
會社ハ請求ヲ受ケタ日カラ一月內ニ訴ノ提
起ヲ必要トスルト云フコトヲ規定シタノデ
アリマス、尙此ノ權利ニ付キマシテハ、後
ニ第三十二條デ株式會社ニ付テノ商法中改
正法律案ノ第二百六十八條第二項乃至第五
項ヲ準用シテ居リマス、此ノ第二百六十八
條第二項乃至第五項ハ此請求ハ總會終結ノ
日カラ三箇內ニシナケレバナラナイト云フ
コト、又此ノ訴ノ取下、和解、抛棄ニ付テ
ノ制限又ハ擔保請求ニ關スル事項、又會社
ガ敗訴シタ場合ノ損害賠償ニ關スル事項デ
アリマシテ、是等ヲ全ク株式會社ニ於ケル
ト同樣ニ致サウト云フ趣旨デアリマス、但
シ玆ニ御注意ヲ御願ヒ致シタイコトハ、此ノ
第三十一條ノ第二項ノ規定デアリマス、第
一項ニ於キマシテ、少數社員權ノ規定ヲ此
ノ場合ニ設ケタノデアリマス、併シ有限會
社ノ特質ニ鑑ミマシテ、是等ノ少數社員權
ヲ常ニ法律上認メルト云フコトニ致シマス
ルト、或ハ水臭クナル、有限會社ノ御互ニ
裕リノアル間柄ヲ疏隔スルト云フ虞ガ生ズ
ルカモ知レナイノデアリマシテ、定款デ別
段ノ定ヲシテモ宜シイト云フ理由ヲ認メタ
ノデアリマス、是ハ株式會社ニハナイコト
デアリマス、デアリマスルカラ定款デ斯ウ
云フ場合ノ少數社員權ノ要件ヲ非常ニ重ク
スルト云フコトモ適當デアリマス、又斯ウ
云フ場合ノ少數社員權ヲ全ク廢メテシマウ
ト云フコトモ結構デアリマス、一ニ有限會
社內部ノ意思ヲ尊重致シマシテ、定款ニ依ッ
テ如何樣ニデモ出來ルト云フ途ヲ開イタノ
デアリマス、此ノ少數社員權ニ付テハ丁度只
今申述ベマシタヤウニ、第三十一條第二項
ノ自由ヲ認メタ場合モアリマス、又認メナ
イ場合モアリマス、是ハ事ノ輕重ニ從ッタノ
デアリマスルガ、第三十一條ノ場合ハ其ノ
自由ガ認メラレタ一ツノ例デアリマス、次
ニ第三十二條デアリマスルガ、是ハ御覽ノ
通リニ商法中改正法律案ノ規定ヲ玆ニ多
ク準用シタノデアリマス、是ハ株式會社ノ
取締役ニ關スル商法ノ規定ノ中デ、有限會
社ノ取締役ニ持ッテ來ルコトヲ必要トスル
モノヲ玆ニ擧ゲタノデアリマス、ソレ等ノ
規定ノ事項ノ內容ヲ申シマスルト、取締役
ノ選任ノ方法ニ關スル規定、取締役ト會社
トノ關係、卽チ委任ニ關スル規定ニ從フト
云フ規定、又取締役ノ解任ニ關スル規定、
取締役ノ員數ノ缺ケマシタ場合ノ職務代行
者ノ選任ヲスルト云フコトニ關スル規定、
取締役ノ會社代表權限ニ付テノ規定、又會
社代表權限ヲ有スル者ト認ムベキ名稱ヲ附
シタ取締役ノ爲シタ行爲ニ付テ、會社ガ責
任ニ任ズルト云フ規定、詰リ代表權ガナイ
ケレドモ外部カラ見レバ如何ニモ代表權ガ
アルト云フヤウナ名前、例ヘバ常務取締役
或ハ會長ト云フヤウナ名前ヲ附ケタ其ノ取
締役ノ行爲ニ付テ、會社ガ責ニ任ズルト云
フ規定デアリマス、ソレカラ取締役ノ會社
及第三者ニ對スル損害賠償責任ノ規定、取
締役ニ對スル會社ノ訴提起ニ關スル規定、
取締役ノ受クベキ報酬ニ關スル規定、取締
役ノ選任決議ノ無效又ハ取消デアルト云
フ訴ニ伴フ假處分ニ付テ、ソレニ從ッテ
取締役ノ職務執行ヲ停止スル、又職務代
行者ヲ選任スルト云フ、斯ウ云フ趣旨ノ規
定、ソレカラ取締役ノ解任ヲ目的トスル株
主總會前ニ、問題ニナッテ居リマスル取締役
ノ職務執行ノ停止ヲスル、又ハ職務代行者ヲ
選任スルト云フ、斯ウ云フ規定デアリマシ
テ、是等ノ諸規定ハ有限會社ノ取締役ニモ矢
張リ之ヲ適用スルコトヲ必要トスルト存ジ
タノデアリマスルカラ、準用ノ形式デ以テ玆
ニ規定ヲ致シタヤウナ次第デアリマス、第
三十三條ハ監査役ノ規定デアリマス、前ニ
モ申述ベマシタ通リニ、監査役ハ有限會社ニ
於テハ必ズシモ常ニ之ヲ要スルモノデハナ
イノデアリマス、定款デ一人又ハ數人ノ監査
役ヲ置クコトヲ定メルコトガ出來ル譯デア
リマス、デ此ノ監査役モ取締役ト同樣ニ社
員タルコトヲ必要トシナイノデアリマシテ、
是亦商法中改正法律案ト其ノ趣旨ヲ同ジク
スルノデアリマス、是ハ矢張リ商法ノ第二百
五十四條以下ヲ第三十四條デ準用シテ居リ
マスル結果、ソレガ明カナルノデアリマス、
サウシテ定款ニ監査役ヲ置クト云フコトヲ
定メマシテモ、何ノ何某ヲ監査役ニスルト
云フコトヲ決メマセス場合、置カナケレバ
ナラナイガマダ人ガ決ッテ居ナイト云フ場
合矢張リ社員總會デ之ヲ選任シナケレバ
ナラナイノデアリ、マシテ、是ハ設立ノ際ニ
取締役ノ選任ニ付キ申述ベマシタアノ第十
一條ヲ本條ノ第二項ニ準用致シマシテ、ソ
レヲ明カニ致シテ居ルノデアリマス、第三
十四條ハ有限會社ノ監査役ニ商法中改正法
律案ノ規定ヲ持ッテ來タノデアリマシテ、御
承知ノ通リニ商法中改正法律案ノ監査役ニ
付キマシテハ、多クノ取締役ノ規定ヲ準用
シテ同一ニ律シテ居リマス、ソレ等ノ規定
ヲ玆ニ準用致シタノデアリマシテ、準用ニ
ナッテ居リマスル條文ノ事項ヲ擧ゲテ見マ
スルト、選任ノ方法、ソレカラ會社トノ關
係ニ關スル規定、解任ニ關スル規定、員數
ノ缺ケタ場合ニ於ケル職務代行者ノ選任ニ
關スル規定、會社及第三者ニ對スル損害賠
償責任ニ關スル規定、ソレカラ監査役ニ對
シテ會社ガ訴ヲ提起スルト云フ場合ノ規定、
報酬ニ關スル規定、選任決議ガ無效デアリ、
又ハソレヲ取消スト云フ訴ニ伴ヒマシテ假
處分ガ生ズル、其ノ假處分ニ依リマシテ監
査役ノ職務ノ執行ヲ停止スル、又ハ職務代
行者ヲ選任スルト云フ場合ノ規定、監査役
ノ解任ヲ目的トスル株主總會前ニ於キマシ
テ、其ノ職務ノ執行ヲ停止スル、又ハ職務
代行者ヲ選任スルト云フ規定、ソレカラ監
査役ノ職務權限ニ關スル規定、監査役ガ取
締役又ハ支配人ヲ兼ネテハイケナイト云フ
規定、又取締役ニ對シテ訴ヲ提起スル場合
ノ會社代表者ニ付テ、監査役ヲ以テ之ニ充
ツルト云フ規定、又監査役ト取締役ノ連帶
損害賠償ニ付テノ規定、是等ノ諸規定モ矢
張リ有限會社ノ監査役ニ持ッテ來ル必要ヲ
感ジタノデアリマシテ、準用ノ形式ニ於キ
マシテソレヲ明カニシタノデアリマス、次
ニ第三十五條デアリマスルガ、本條以下數
條ハ社員總會ニ關スル規定デアリマス、此
ノ第三十五條ニ於キマシテハ社員總會ノ招
集者ハ原則トシテ取締役デアルト云フコト
ヲ明カニ致シマシタ、是亦商法中改正法律
案ノ株式會社ニ於ケルト其ノ趣旨ハ同樣デ
アリマス、本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク
ノ外トアリマスルガ、其ノ別段ノ定ト申シ
マスルト、例ヘバ先程申シマシタ第十一條
ハ各社員ガ招集シ得ルコトヲ規定致シテ居
リマス、又第三十七條ニ依リマシテ少數社
員權ノ行使トシテ是等ノ者ガ招集スル場合
モアリマス、ソレ等ヲ指シタノデアリマシ
テ、ソレ等以外ノ場合ニ於テハ取締役ガ常
ニ之ヲ招集スルノデアリマス、第三十六條
ハ招集ノ手續ニ付テノ規定デアリマスルガ、
御覽ニナリマスルヤウニ、是ガ株式會社ノ
株主總會ノ招集ニ比ベマシテ餘程餘裕モアリ、
又簡單ニモナッテ居リマス、詰リ御承知ノ通
リニ株式會社ニ於キマシテハ、會日ヨリ二
週間前ニ各株主ニ通知ヲ發シナケレバナリ
マセヌガ、有限會社ニ於テハソレハ一週間
前デ宜シイト云フコトニナッテ居リマス、ノ
ミナラズ此ノ期間ハ定款デ以テ更ニ之ヲ短
縮シテモ構ハナイト云フコトヲ明カニ致シ
テ居リマス、此ノ趣旨ハ有限會社ノ社員ハ
比較的少數デアリマスルシ、互ニ知ッテ居ル
ノデアリマスカラ、二週間ト定メルトカ又
ソレヲ公ニ告ゲル公〓ヲスルト云フヤウナ
必要ハナイノデアリマシテ、之ヲ簡單ニ致
シタノデアリマス、尙此ノ外ニ招集ノ手續
ニ付キマシテハ、第三十八條ノ便宜的方法
モアリマスルシ、又後ニ申述ベマスルガ、
第四十二條モ書面表決ト云フ便利ナ方法モ
考ヘラレテ居ルノデアリマス、次ニ第三十
七條デアリマスルガ、是ハ少數社員權ノ行
使トシテノ總會招集ノ請求ノ規定デアリマ
ス、是亦株式會社ト同樣デアリマスルケレ
ドモ、此ノ第二項デ御覽ニ相成リマスル通
リニ、第三十一條第二項ヲ準用致シマシ
タ、是ハ先程モ申述ベマシタ通リニ、定款
デ別段ノ定ヲシテモ宜イト云フ規定デアリ
マシテ、此ノ少數社員權ノ行使ニ付テノ要
件ヲ更ニ制限致シマシテ、又之ヲ全然認メ
ナイコトニシテモ宜イノデアリマシテ、此
ノ點ニ付テ會社ノ自由ヲ認メタノデアリマ
ス、次ニ第三十八條デアリマスルガ、是ハ
先程言及シタ所デアリマスルガ、總社員ノ
若シ同意ガアリマスルナラバ、招集手續ヲ
經ナイデ、卽チ一週間前トカ、或ハ定款所
定ノ期間前トカ云フヤウナ必要モナク、又
通知ヲ發スルト云フ必要モナイノデアリ
マシテ、總社員ノ同意サヘアレバ、或機
會ニ集ッタ、其ノ他ノ目的ノ爲ニ集ッタ席
上デヤッテモ宜イノデアリマス、或ハ電話等
ノ呼出シデモ宜イノデアリマシテ、之ヲ極
メテ便利ニ致シタ次第デアリマス、第三十
九條ハ議決權ノ數ノ問題デアリマシテ、是
ハ原則トシテ出資ノ一口ニ付キ一箇ノ議決
權ヲ持ツコトニナッテ居リマス、併シ但書
ニ於キマシテ定款ヲ以テ此ノ議決權ノ數ニ
別段ノ定ヲスルコトヲ認メテ居リマス、御
承知ノ株式會社ニ於キマシテ十一株以上有
スルモノノ議決權ヲ制限シテモ宜イト云フ
規定ガアリマスガ、アノヤウニ制限シテモ
宜イノデアリマス、又必ズシモ十一株以上
ト定メル必要モナイノデアリマシテ、是等
ニ付別段ノ定ヲシマスルコトハ定款ノ自由
デアリマス、但シ是ハ解釋上ノ問題デアリ
マスルガ、當然ノ結果トシテ是認サレルト思
ヒマスルガ、此ノ議決權ヲ全ク剝奪スルト
云フコトハ、是ハ會社トシテノ性質上定款
ノ規定ヲ以テシテモ出來ナイカト存ズルノ
デアリマス、第四十條デアリマスルガ、
是ハ特別決議ヲ要スル事項ヲ此處ニモ列
擧シテ居ルノデアリマス、是ハ矢張リ御
承知ノ商法中改正法律案ニ於ケル規定ト
同樣ノ規定ヲ此處ニ持ッテ來タノデアリマ
スガ、第四十條ノ第一項ニ揭ゲテアリマスル
事項ハ何レモ重要ノ事項デアリマスルカ
ラ、是ハ必ズ特別ノ決議ヲ必要トスルト
云フコトヲ明ニ致シタノデアリマス、ソ
レカラ第三項ノ規定デアリマスガ、是ハ所
謂事後設立ニ付テノ制限デアリマシテ、
此ノ事後設立ノ規定ガナイ場合ニ屢〓是ガ
濫用サレタト云フコトヲ承ッテ居リマス、ソ
レデスカラ、斯樣ナ場合ニハ獨立決議ヲ必
要トスル、是亦商法中改正法律案ノ規定ト
全ク同樣デアリマス、次ニ第四十一條デア
リマスルガ、是ハ社員總會ニ付キマシテ株
式會社ノ株主總會ノ規定ヲ準用シヨウトシ
タモノデアリマシテ、準用ニナッテ居リマ
ス、規定ノ内容ハ總會招集ノ時期、詰リ每
年一囘、或ハ利益配當ヲスルナラバ、其ノ
度每斯ウ云フ規定デアリマス、ソレカラ總
會ノ招集ヲ決スル方法、總會ニ於ケル檢査
役ノ選任、總會ノ決議方法、是ハ通常決議
ノ決議方法デアリマス、議決權ノ數ノ算定、
總會ノ延期、續行、議事錄ノ作成、總會決
議ノ取消、變更、ソレカラ決議無效確認ノ
訴、是等ニ付キマシテ商法中改正法律案ニ
於キマシテ現行法ヲ大分改メタリ、又新設
致シマシタモノガアリマス、ソレ等ノ規定ト
同樣ニ有限會社ヲモ支配ヲシヨウト云フ、
斯ウ云フ趣旨デアリマシテ、矢張リ準用ノ
形式ヲ以テソレヲ明カニ致シタノデアリマ
ス、第四十二條デアリマスルガ、是ハ先程
申述ベマシタ書面決議ノ便法ヲ此處ニ開イ
タ次第デアリマス、矢張リ有限會社ノ特質
カラ致シマシテ、常ニ必ズ寄ッテ顏ヲ合ハ
セテ、ソコデ論議ヲ經タ上デナケレバ、
決議ガ出來ナイトスルコトハ、寧ロ甚
ダ水臭イ關係デアリマシテ、若シ總社員ノ
同意ガアリマスルナラバ書面デ之ヲ簡
易ニ運ンデモ宜イト云フ趣旨カラ、此ノ
第四十二條ノ規定ヲ設ケタ次第デアリマ
ス、第四十二條ノ第一項ハ總會ノ決議ヲ爲
スベキ場合ニ總社員ノ同意ガアリマスレ
バ、書面デ決議ヲシテモ宜イ、必ズシモ相
集ッテ辯論ヲ鬪ハセタ上デナケレバ、決議ガ
出來ナイト云フコトデナク、書面ニ依ル表
決ヲ此處ニ是認シタノデアリマス、第二項
ハ第一項ト似テ非ナル場合デアリマスルガ、
決議ノ目的タル事項ニ付キマシテ總社員ガ書
面ヲ以テ同意ヲ表シマシタナラバ、書面ニ
依ル決議ガアッタモノト看做ス譯デアリマ
ス、第一項ノ場合ハ總社員ニ於テ豫メ此ノ
問題ニ付テハ書面ニ依ル表決デ宜シイト云
フ同意ガアッタ場合デアリマス、處ガ第二項
ハ總社員ガ豫メ此ノ事項ニ付テハ書面ノ表
決デ宜シイト云フコトハ決メナイノデアリ
マスルガ、或事項ニ付テ總社員ガ書面デ返
事ヲシタ、ソレガ悉ク同意ニナッテ居ルト云
フヤウナ場合デアリマス、例ヘバ取締役ノ
方カラ何ノ某ヲ取締役ニ選任スル件ト云フ
ノデ總會ヲ開キタイト云フ通知ガアッタ場
合總社員ガ皆悉ク贊成シタ、斯ウ云フ返
事ヲ出シマシタナラバ、其ノ總テノ返事ガ
集リマシタ時ヲ以テ書面ニ依ル決議アリタ
ルモノト看做シテ宜シカラウト云フノガ第
二項ノ趣旨デアリマス、第三項ノ書面ニ依
ル決議ハ總會ノ決議ト同樣デアッテ、又之ヲ
同樣ニスル必要ガアレバコソ此ノ規定ガ出
來タ次第デアリマス、ソレカラ末項デアリ
マスガ、是ハ書面ニ依ル決議ニ付キマシテ
モ、議決權ノ數デアルトカ、決議ノ取消又
ハ變更、決議無效確認ノ訴、是等ノ關係ニ
付テハ矢張リ總テ普通ノ總會ト同樣ノ規定
ヲ以テ臨マナケレバナラナイノデアリマシ
テ、其ノ關係ヲ此處ニ明カニ致シタ次第デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=49
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050・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 御質問アリマセ
ヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=50
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051・山隈康
○山隈康君 三十一條ニ付テ御伺ヒ致シタ
イト思ヒマス、先刻私ノ疑ヲ差插ンデ置キ
マシタ取締役ニ對シテ訴ヲ提起スル場合ニ、
監査役ガナク、又十分ノ一以上ニ當ル株主
ヨリ代表者ヲ指定シナカッタ場合ニ於テハ
甚ダ困ルデハナイカト云フコトヲ申述べ
タ次第デアリマスルガ、此ノ規定ニ依リマ
スルト、「社員ガ訴ノ提起ヲ會社ニ請求シタ
ルトキハ、會社ハ請求ノ日ヨリ一月內ニ之
ヲ提起スルコトヲ要ス」トアリマスカラ、
此ノ際ニ於テハ監査役ガナク又ハ代表者ヲ
指定シナカッタ場合ハ、此ノ會社ノ總會デ是
非トモ代表者ヲ選定スル義務ガアッテ、其ノ
選定ヲシナケレバ、會社ノ訴訟ガ提起ガ出
來ヌノデアリマスルガ、是デ當然强制セラ
レルト解シテ差支ナイノデアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=51
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052・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 全ク御說ノ通リ
デアラウト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=52
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053・山隈康
○山隈康君 ソレカラ只今ノ最後ノ書面ニ
依ル決議、サウシテ是ハ總會ノ決議ト同様
ノ效力ヲ有スル、是ハ非常ニ重大ノコトデ
アリマスルガ、實際問題トシテハドンナモ
ノデアリマセウカ、社員ガ五十名トカ若シ
クハ場合ニ依ッテハ六十名以上、七十名モ社
員ノ數ノ增加ヲナスコトモ想像セラレルノ
デアリマス、是ガ宅廻リシテ、書面デ出シ
テ、其ノ書面ハ是ハ俺ガ出シタノヂヤナイ、
斯ウ云フ場合相當ノ論議ノ餘地ガアリハシ
ナイト思フノデアリマス、此ノ場合ニ於テ
今少シク書面ニ依ル場合ニ付テハ、其ノ書
面ガ正確デアルト云フコトヲ保證スル法律
上ノ規定ガナケレバ大分、是ハ簡便ハ非常
ニ簡便デアルケレドモ、論議ノ餘地ガ十分
ニアリハシナイカト思フノデアリマス、以
上ニ付テ御尋ネ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=53
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054・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 御尤ノ御意見デ
アリマスルガ、是等ノ御懸念ハ二樣ノ點カ
ラ之ヲ考ヘテ見タイト存ズルノデアリマス、
先ヅ此ノ書面表決ニ付キマシテモ矢張リ決
議取消ノ訴ガ適用ガアルノデアリマス、是
ガ甚ダシク不公正ニナサレマシタ場合ニハ
決議取消ノ訴ヲ提起スルコトガ出來ルノデ
アリマシテ、其ノ途ハ決シテ杜絕ハサレテ
居ナイノデアリマス、又成程五十人、或
ソレ以上ノ場合ニ於キマシテ書面表決ヲ致
シマスルト、正確ヲ缺クト云フ場合モアリ
マセウケレドモ、斯樣ナ場合總テ總社員ノ
同意ヲ要件ト致シテ居リマスカラ、第一項
然リ、又第二項然リデアリマス、總社員ガ
左樣ニ同意致シマスルノハ餘程事ガマア穩
健ニ運バレル場合デアリマシテ、社員ノ中
デ其ノ事項自身ニ付テ反對デモアルヤウナ
場合ニハ、必ズヤ斯樣ナ總社員ノ同意ト云
フコトハ得ラレマセヌカラ、實際ノ運用ニ
於キマシテ、固ヨリ將來ノコトデアリマス
ルカラ、豫想ハ出來マセヌケレドモ、相當
圓滿ニ運ブノデハナイカト考ヘテ居ルヤウ
ナ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=54
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055・山隈康
○山隈康君 只今決議ノ無效ヲ訴ヘルコト
ガ出來ルカラ、ソレニ依ッテ是正ノ出來ル
ト云フ御說明デアリマシタ、私共ハ左樣ナ
決議無效ニ依ッテ救濟ヲセヌデモ、決議無效
ノ訴ガ成ルベク出來ナイヤウニスルト云フ
ノガ立法者ノ用意デハナイカト思フノデア
リマス、殊ニ會社ハ往々場合ニ依リマスル
ト、重役爭ヒ、其ノ他ニ於テ意見ノ異ル場
合ガアリマス、デ一二ノ人ガ反對ヲスル、
其ノ同意ヲ得レバ書面表決ガ出來ルト云フ
際ニ、或ハ色々ナ書面ガ本人ノ同意ヲ得ズ
シテ出ナイトモ······想像ガ出來ル譯デス、
相當ナ小サイ會社デモ此ノ種ノ紛議ハ常ニ
免レナイヤウニ存ジマスルガ、マアサウ云
フ心配ガナイト云フ前提ノ下デアレバ、モ
ウ見解ノ相違ト云フコトニ歸スルノデアリ
マスルガ、何カ斯ウ不安ノヤウナ感ジヲ致
スノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=55
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056・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 此ノ案ノ論議ノ
際ニ於キマシテモ此ノ書面表決ノ問題ニ付
テハ種々議論ガ上下サレタノデアリマス、
只今御說ノヤウナコトモ問題ニナッタノデ
アリマスルケレドモ、斯ウ云フ會社ノマア
特質カラ考ヘテ行キマシテ、サウシテ而モ
總社員ノ同意ヲ必要トシテ居ルノデアリマ
スルカラ、先ヅ大丈夫運用サレルデアラウ
ト云フヤウナ總テ見込ニ落著イタヤウナ次
第デアリマシテ、尙決議取消ノ訴ニ付キマ
シテハ甚ダ小サイコトヲ申述ベテ恐縮デア
リマスルガ、固ヨリ斯樣ナ決議取消ノ訴ノ
出マスルコトハ歡迎スル次第デハアリマセ
ヌケレドモ、ソレガ若シ提起ヲサレマシタ
場合デモ其ノ瑕疵ガ補完セラレマシタ時、
又ハ會社ノ現況、其ノ一切ノ事情ヲ斟酌シ
テ寧ロ請求ヲ棄却シテ然ル場合ハ請求ノ棄
却ガ出來ルト云フ、御承知ノ商法中改正法
律ノ規定ガ矢張リ此處ニ準用ニナリマスカ
ラ、其ノ場合ニ左樣ナ適當ナ處置ヲモ講ズ
ルコトガ出來ルト云フヤウニ御了承願ヒタ
イノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=56
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057・山隈康
○山隈康君 是ハ四十條ノ末項ノ、是ハ商
法ノ二百四十五條ト同趣旨デアリマスカ、
此ノ法文ノ解釋ヲ今一應願ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=57
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058・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 是ハ御承知ノ通
リノ事後設立ト申シマスカ、ソレニ關スル
規定デアリマシテ、會社ガ設立後二年以內
ニ其ノ設立前カラアリマスル財產デアリマ
シテ、之ヲ營業ノ爲ニ繼續シテ使ヒマスル
モノヲ、或一定價格以上ノ高イ値段デ買取
ル、斯ウ云フヤウナコトニ付テ制限ヲ設ケ
タモノデアリマス、卽チ會社設立前カラ存
在シテ居ル財產ヲ會社設立後間モナキ期間
內ニ買フ、而モ其ノ財產タルヤ直グ使用シ
テシマウモノデハナイノデ、相當繼續シテ
營業ノ爲使用スルモノデアル、斯ウ云フヤ
ウナ場合デアリマス、左樣ニ致シマスト、
丁度現物出資ナリ、財產引受ナリト實質ニ
於テ大差ガナイノデアリマス、デアリマス
カラ、斯樣ナモノヲ買ヒマス際ニハ得テ不
當ナ値段デ買受ケルト云フ約束ガ考ヘラレ
ルノデアリマシテ、實際ニ於テモ左樣ナ弊
害ガ屢〓起ッタサウデアリマス、デアリマス
カラ、一面ニ於テ現物出資ナリ、財產引受
ナリニ付キマシテ相當嚴重ナ規定ガ設ケラ
レテ居リマス關係上、他面之ニ付テモ矢張
リ十分ナル覺悟ヲ以テ臨マナケレバナラナ
イト云フ見地カラ致シマシテ、是ハ特別決
議ヲ必要トスルト云フコトニ定メタヤウナ
次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=58
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059・山隈康
○山隈康君 能ク了解ヲ致シマシタガ、是
ハ例ヘバ會社ガ出來テ、會社營業ノ場所ガ
マダ會社ノ所有ニナッテナイヤウナ場合ヲ
多ク指スノデアリマスカ、實際問題トシ
テ.発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=59
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060・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 御說ノヤウナモ
ノハ最モ適例デアラウト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=60
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061・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 別段御發言モナ
イヤウデアリマスカラ、本日ノ議事ハ此ノ
程度デ止メマシテ、明日以後午前中繼續シ
テ議事ヲ進メタイト思ヒマスガ、ソレデ宜
シウゴザイマセウカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=61
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062・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) デハ御異存ナケ
レバ左樣ニ決シマシテ、本日ハ是ニテ散會
致シマス
午後零時十七分散會
出席者左ノ如シ
委員長山岡萬之助君
委員
子爵舟橋〓賢君
中川健藏君
男爵奧田剛郞君
山隈康君
岩田宙造君
大西虎之介君
政府委員
司法省民事局長大森洪太君
司法省刑事局長松阪廣政君
司法省調査部長井上登君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00119380204&spkNum=62
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