1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十三年二月七日(月曜日)午前十時八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=0
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001・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) ソレデハ是ヨリ
開會致シマス、山隈委員カラ發言ヲ求メラ
レマシタカラ、此ノ際山隈委員ニ發言ヲ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=1
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002・山隈康
○山隈康君 商法改正法律案ノ第三十四條
ト二百八十五條デゴザイマスガ、此ノ關係ニ
對シマシテ從來質問ヲ申上ゲテ置キマシタ
ル處、稍〓其ノ質問ノ趣旨ガ徹底ヲ缺クヤ
ウデアリマスカラ、極メテ簡單ニ改メテ質
問申シマシテ、御答ヲ伺ヒタイト思ヒマス、
第三十四條ノ規定ハ一般ノ財產ニ對シテハ時
價ヲ以テ記載シナケレバナラヌ、財產目錄
ノ調製ノ時ニ於ケル時價ヲ超エテハイケナ
イ、是ガ原則トナッテ居ルヤウデアリマス、
但シ營業用ノ固定財產ニ付テハ、是モ原則
トシテハ時價ヲ以テ記載スルノガ原則デア
ルト存ジマスルケレドモ、其ノ取得價額、
製作價額カラ減損額ヲ控除シタナラバ、假
令ソレガ時價ヲ超エテモ差支ナイ、斯ウ云
フ意味ニ解スベキモノト思フノデアリマス、
而シテ二百八十五條ノ場合ニ於キマシテモ、
會社ガ製作品ノ販賣、若シクハ重要物產ノ
販賣等ヲ目的ト致シマスル其ノ會社ノ最モ
重要ナル財產タル商品、是ハ矢張リ三十四
條ニ依ッテ時價デ記載スベキモノデアルト
云フ原則ヲ之ニ認メテ、サウシテ唯之ヲ固
定財產ノ場合、マア有價證劵ニ付キマシテ
ハ私議論ノ餘地ガナイト思ヒマス、其ノ他
ノ營業用ノ固定財產ニ付キマシテハ取得價
額、若シクハ製作價額ヲ記載スレバ宜シイ、
サウ致シマスルト、三十四條ニ比ベマスル
ト株式會社ノ方ハ寬ニナッテ、三十四條ノ
場合ニハ其ノ製作價額及取得價額カラ減損
額ヲ引カナケレバ記載ガ出來ナイ、會社ノ場
合デハソレハ引カヌデモ其ノ儘記載シテ宜
シイト一應解釋スルヤウデアリマス、ソコ
デ私ノ疑ノ存スル所ハ、第一此ノ個人ノ商
業ニ於キマシテハ其ノ商業帳簿ヲ別ニ登記モ
致シマセヌ、從ッテ第三者ガ取引ヲ致シマス
場合ニ於テハ、日本ノ從來ノ習慣カラ致シ
マシテモ、其ノ商業帳簿ノ財產目錄ニ重キ
ヲ置カズシテ、寧ロ實際ノ取引ノ情況、世間
ノ批評、或ハ物ノ賣買代金ニ對スル支拂情
況等ヲ視察致シマシテ、取引ヲスルノガ常
態デアリマス、會社ノ場合ニ於キマシテハ、會
社ノ狀態ト云フモノハ容勿ニ他ニ見エナイ、
株主デモ或ハ從來ノ監査役デモ唯取締役ノ
提示シタル書面ヲ其ノ儘信ジテ報告ヲスル
ト云フヤウナ狀態デアリマスカラ、第三者
ガ會社ト取引ヲ致シマス場合ニハ、矢張リ
主トシテ財產目錄、貸借對照表ヲ信用シテ
取引スルノガ常態デアルト思ヒマス、此ノ
故ニ個人ノ取引ニ對スル商業帳簿ノ正確ヨ
リモ、寧ロ會社ニ對スル財產目錄等ノ調製
ガ極メテ嚴格正確ヲ要スルト云フコトハ當
然ノ筋合ナリト存ズルノデアリマス、從ッテ
屢〓例ヲ各委員カラ御引キニナリマシタ例
ヘバ百萬圓デ船舶ノ輸送ヲ業トスル會社ガ
百萬圓デ十隻ノ船ヲ買入レ、ソレガ年月ガ
經過スルニ從ッテ五十萬圓ニ其ノ財產ハ低
減シタ、或ハ金、銀銅等ノ採掘、若シク
ハ石炭ノ採掘ヲ業トスル會社、是等ハ往々
斷層ニ依ッテ使用價格ヲ非常ニ減ズル、或ハ
石炭坑ニ於テハ屢〓見マス水害、若シクハ瓦
斯ノ爆發ニ依ッテ坑內ニ火災ヲ起シ、其ノ間
ニ使用價格ガ非常ニ減ズル場合ガアル、其
ノ際ニ於テモ尙當初ノ取得價額デ財產目錄
ニ表示ヲスルト云フコトニナリマスト云
フト、或ハ第三者ハ其ノ財產目錄ニ對シ
テ不安ヲ懷キ、又ハ然ラザルモノハ財產
目錄ヲ目標ト致シマシテ、是ダケノ有力
ノ資產ガアリト信ジテ取引ヲ致シマスレ
バ、第三者ハ不測ノ損害ヲ被ル、ソレデ
第三者ノ取引ノ安全、第三者ニ不測ノ損
害ヲ被ラシメナイト云フコトハ、會社ノ
信用ヲ維持スル所以デアリマスカラ、此ノ
商業帳簿ノ正確ト云フコトハ、一面ニハ會
社ヲ保護シ、他面ニハ取引ノ安全ヲ期スル
ト云フコトノ趣旨ニ解スルモノデハナイ
カト存ズルノデアリマス、又私共此ノ商法
全體カラ見マシテモ、物ノ價格ニハ交換價
格ト使用價格ト二ツシカナイノヂヤナイ
カ、處ガ此ノ二百八十五條ノ固有財產ニ付
キマシテハ使用價格モナケレバ······使用價
格ハ使用ノ年月ニ依ッテ減損スレバ、使用價
格ハ減ッテ來ル譯デアリマス、使用價格デモ
ナケレバ、減損價格デモナイ、交換價格デ
モナイ、結局其ノ財產目錄調製ノ當時ニ於
ケル價格ヲ定ムル基礎デナクシテ、歷史的
過去ノ事實ト云フ買收價額、製作價額ヲ基
礎トシタト云フコトハ甚ダ其ノ意ヲ得ナイ
ヤウニ解スルノデアリマス、寧ロ此ノ場合
ニ於テハ三十四條ハ減損價額ヲ控除シタル
額ヲ記載スルト云フコトヲ得ルノデアリマ
スガ、會社ノ場合ニ於テハ減損價額ヲ控除
シタル額ヲ記載スベシト、斯ウ命令的ニス
ルト云フコトガ會社ノ財產目錄ヲ正確ニス
ル所以デハナイカト確ク信ズルノデアリマ
ス、從來ノ質問モ其ノ點デアリマシタケレ
ドモ、ドウモ質疑ノ正確ヲ失ッタヤウデアリ
やっ、更ニ改メテ御伺ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=2
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003・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 前囘商法中改正
法律案ノ第三十四條及第一一百八十五條ニ付
キマシテ御質問ガアリマシタ、之ニ對スル
私ノ御答ガ極メテ不十分デアリマス、明
確ヲ缺イタノデアリマス、ソレヲ甚ダ恐
縮ニ存ジテ居リマシテ、實ハ今日御許シ
ヲ得マシテ其ノ御答ヲ補充致シタイト存
ジテ居ッタノデアリマス、丁度今重ネテ御
質問ガアリマシタカラ、此ノ機會ニ前囘
ノ私ノ答辯ヲ補充シツヽ御答ヲ致シタイト
存ズルノデアリマス、只今ノ御意見ハ第二
百八十五條ガ第三十四條ヨリモ寬ナリト云
フ點ヲ除キマシテ、至極御尤ニ存ズルノデ
アリマス、第三十四條ノ第一項ハ御指摘ノ
通リニ時價ヲ以テ記載スル、斯ウ云フ原則
ヲ明カニシタモノデアリマス、是ハ現行法
ノ第二十六條ノ第二項ト全ク同趣旨デアリ
マス、デアリマスルカラ、時價ヲ以テ記載ス
ルト云フ原則ハ此ノ案ニ於テモ決シテ動カ
ナイノデアリマス、是ガ根本ニナルノデアリ
マス、第三十四條ノ第二項ハ之ニ稍〓餘裕
ヲ付ケタモノデアリマシテ、其ノ中デ營業用
ノ固定財產ニ付テハ時價ニ據ラナイデ、其
ノ取得價額又ハ製作價額カラ相當ノ減損額
ヲ控除シタル價格ヲ付ケテ宜シイ、斯ウ云
フ途ヲ一ツ開イタモノデアリマス、デアリマ
スルカラ、時價ガ若シ取得價額又ハ製作價
額ヨリ相當ノ減損額ヲ控除シタル額ヨリモ
多イ場合、其ノ時ニハ多クハ時價ヲ付ケマ
セウ、此ノ第二項ノ適用ノアリマスルノ
ハ、時價ガ此ノ價額ニ比シテ下ッテ居リマス
ル場合ニ、其ノ下ッタ時價ヲ付ケルノガ第一
項ノ命ズル所デアリマスルケレドモ、併シ
第二項ノ價額ヲ付ケテモ宜イ、是ハ營業用
ノ固定財產デアリマスカラ、之ヲ今讓渡ス
ルト云フヤウナ關係デハアリマセヌカラ、
此ノ時價以上ノ價額ヲ付ケテモ差支ガナ
イ、弊害ガナイ、其ノ裕リヲ此處ニ付ケタ
モノデアリマス、是ハ御承知ノ通リニ外國法
ニ於テモ此ノ餘裕ヲ認メテ居ルノデアリマ
シテ、此ノ案ニ於テ第二項ノ餘裕ヲ此處ニ
付ケタモノデアリマス、サウシテ株式會社
ニ於キマシテモ、此ノ第三十四條ハ適用ガ
アルノデアリマスルケレドモ、此ノ第三十四
條ヲ株式會社ニ於キマシテ特ニ嚴ニスル意
味ニ於キマシテ、第二百八十五條ヲ設ケタ
次第デアリマス、此ノ第二百八十五條ノ中
デ有價證劵ノ問題ニ付テハ是ハ明カデアリ
マスルカラ、之ニ言及スルコトハ控エマス
ルガ、營業用ノ固定財產デアリマス、此ノ
營業用ノ固定財產ニ付キマシテ、矢張リ第
三十四條ノ第一項ガ株式會社ニモ適用ガア
ルノデアリマシテ、從ッテ時價ヲ付スルト云
フコトハ原則デアリマスルケレドモ、其ノ時
價ガ若シ取得價額、又ハ製作價額ヨリモ上
デアリマシタ場合ニハ、決シテ時價ヲ書イ
チヤイケナイノデアリマシテ、其ノ下ニ位
シテ居ル所ノ取得價額、又ハ製作價額ヲ書
カナケレバナラナイ、斯ウ云フコトヲ規定
シタノデアリマス、デアリマスルカラ、第二
百八十五條ハ取得價額又ハ製作價額ヨリモ
時價ノ方ガ上デアル場合ニノミ適用ノアル
關係デアリマシテ、從ッテ第三十四條第二項ノ
適用セラルヽ場合ト第二百八十五條ノ適用セ
ラルヽ場合トハ、全ク違フノデアリマス、從ッ
テ第二百八十五條ハ決シテ第三十四條ヨリ
モ寛ナモノデハナイノデアリマシテ、第三十
四條ノ原則ニ對シテ一ツノ嚴シキ制限的規
定ヲ置イタモノト私共ハ解シテ居ルノデア
リマス、之ヲナゼ嚴ニシタカト云フコトニ
付キマシテハ、只今御述べニナリマシタト
全ク同一ノ趣旨デアリマス、左樣ナ關係デ
アリマスルカラ、株式會社ニ付テ之ヲ特ニ
嚴ニシタ趣旨ハ御諒承ヲ乞フコトガ出來ル
ト存ズルノデアリマス、尙序ヲ以テ申述ベ
マスルガ、是等ノ解釋ニ付テハ十分〓究ノ
必要モアルコトハ勿論デアリマスルガ、前
前囘デアリマシタカ申述ベマシタ通リ、是
等ノ書類ノ記載方法ニ付テハ命令ヲ以テ之
ヲ更ニ明カニスル積リデアリマス、是ハ商
法中改正法律案ノ施行法案ノ第四十九條ニ
其ノコトヲ明カニ致シテ居リマス、是ハ此
ノ法律案ノ施行準備ノ期間中ニ十分ニ〓究
ヲ致シマシテ、私共ハ固ヨリ素人デアリマ
スルカラ、專門家ナリ實際家ノ意見ヲ十分
ニ徵シマシテ、其ノ上デ此ノ命令ヲ定メタ
イト思フノデアリマス、其ノ時ニ此ノ〓究
ヲ能ク十分ニ遂ゲマシテ、萬遺漏ナク取計
ラヒタイト存ジテ居リマス、右御諒承ヲ御
願ヒシタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=3
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004・山隈康
○山隈康君 第三十四條及第二百八十五條
ニ對スル質問者ノ見解モ政府委員ノ見解モ
大體一致ヲシテ居リマスヤウデアリマス、
唯此處ニ質疑ヲ申上ゲタ點ニ付テ御答ヲ得
ナカッタ點ヲ今少シク御伺ヒシタイト思ヒ
マンク、先刻申上ゲマスル如ク殆ド財產價額
ト云フト經濟上ノ價額ヲ指スノデアリマシ
テ、經濟上ノ價額ハ交換ノ價額ト使用價額
シカナイト思フノデアリマス、其ノ使用價
額デモナク、經濟上ノ交換價額デナイ、唯
歷史的ノ價額、其ノ製作當時ノ價額、經濟
上ノ價額ノ算定ノ基礎トナラナイモノニ
依ッテ記載スルト云フコトガ、如何ナモノデ
アラウト云フ點ト、ソレカラ此ノ際モット
嚴格ナラバ、取得價額又ハ製作價額ニ對シ
テハ減損價額ヲドウスルカ、斯ウ決定サレ
タナラバ、會社ノ方ニ對シテ若シクハ第三
者ノ方ニ對シテ非常ニ正確デハナイノデア
リマセウカ、普通ノ場合ニ於テハ是等ノ減
損價額ヲ控除スルニ拘ラズ、本條ニ於テハ
非常ニ價額ガ半分以上ニ固定財產ノ價額ガ
減ル場合ガ十分想像サルヽノデアリマス、モ
ウ一ツ私ガ此ノ問題ニ付テ疑問ニ堪ヘマセ
ヌノハ、例ヘバ船舶、鑛山、石炭坑ノ採掘等
ヲ目的ト致シマスル際ニ於テ、其固定財產
ガ年々減損ヲスル、ソコデ其ノ會社ハ常ニ
此ノ減損ニ對スル減損補塡基金ト云フモノ
ヲ造ル會社ガアルノデス、處ガ此ノ點カラ
財產目錄ヲ見マスト、財產目錄ニハ固定財
產ニハ元ノ買收價額ノ百萬圓ナラ百萬圓ト
云フモノヲ財產目錄ニ載セル、ソレガ年々
ニ、五十萬圓ト云フモノヲ減損致シマシタ
ラ、減損積立金五十萬圓ト云フモノガ財產
目錄ニ載ッテ居ル、サウスルト、第三者ノ取
引ヲ致シマス者ガ、丁度百五十萬圓ノ資產
ガアルガ如キ感ヲ懷キハシナイカ、固定財
產ハ固定財產トシテチヤント元ノ買收價額、
製作價額デ百萬圓ナラ百萬圓トスル、ソレ
ガ財產目錄調製ノ際ニハ段々色々ナ情況ニ
依ッテ減損致シマシテ、價額ガ半分ニナル、
其ノ半分ニ對スルモノハ減損積立金デ、チ
ヤント積立金トシテ財產目錄ニ擧ゲテ居ル、
斯ウ云フ場合ニ於テハ第三者ガ其ノ會社
ノ資力ニ對シテ大ナル錯誤ヲ來スヤウナ虞
ハナイカト云フ點ト、モウ一ツ御尋ネシタ
イコトハ、只今御尋ノ取得價額、製作價額
ト云フ此ノ第二百八十五條ノ價額ハ、時價
ヲ超ユル場合ニハイケナイ、時價ニ達シナ
イ場合ニ於テノミ、今私ノ聽キヨウガ間違ッ
タカモ知レマセヌケレドモ、取得價額、製
作價額ヲ記載スルト云フコトデアルカラ、
第三十四條ヨリモ寧ロ嚴格デハナイカト云
フ御示シノヤウデアリマスガ、ソレハドウ
モ此ノ法文自體デハ一向サウ云フ風ニ解釋
スル餘地ガナイヤウニ存ゼラレマスガ、此
ノ點モ併セテ御伺ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=4
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005・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 御尤ノ御質問デ
アリマス、便宜上最後ノ點カラ御答ヲ致シマス
ガ、第二百八十五條ハ先程モ申シマシタ通リ
ニ時價ト取得價額トヲ比べマシテ、時價ノ方
ガ上デアリマシタ場合ニハ、必ズ其ノ取得價
額等ヲ書カナケレバナラヌ、卽チ時價及取
得價額トヲ比較致シマシテ、其ノ下ノ價額
ヲ書カナケレバナラヌト云フ解釋ノ下ニ立
案ヲサレタノデアリマス、之ニ對シマシテ
法文上ドウモサウ讀メナイト云フ御議論デ
アリマシタガ、或ハ見解ノ問題ニナリマシ
テ、恐縮デアリマスルケレドモ、第三十四
條ガ一般ノ原則デアリマシテ、是ガ株式會
社ニ矢張リ臨ンデ居ルト云フ頭カラ致シマ
シテ、其ノ三十四條ヲ受ケツヽ更ニ二百八
十五條ガアルノデアリマスカラ、只今申述
ベタヤウナ解釋ノヤウニナルダラウト思
フノデアリマス、併シ其ノ解釋ガ此ノ法文
デ不十分デアルト言ハレマスルナラバ、先
程申述べマシタ通リ、此ノ記載方法ニ付テ
ハ施行法ニ依リマシテ命令デ之ヲ定メマス
ル時ニ、ソレ等ニ付テハ解釋上遺漏ノナイ
ヤウニ十分ノ措置ヲ講ジタイト存ズルノデ
アリマス、只今ノ御質問ハ第一點乃至第四
點ニ亙ッテ居ッタヤウデアリマシタガ、第四
點ニ對シマスル只今ノ御答ヲ以テ自カラ第
一點乃至第三點ノ御答ニ爲シ得ルダラウト
思フノデアリマス、卽チ第一點デアリマス
ルガ、此ノ二百八十五條ニ付テ交換價額デ
モナク使用價額デモナイ、一種ノ所謂歷史
的價額ト謂フベキヤウナモノヲ此處ニ引張
リ出シテ來ルノハ、甚ダ宜シクナイノデアッ
テ、ソレガ人ヲ迷ハシムル因デアルト云フ
御說デアッタヤウニ存ズルノデアリマス、
是ガ若シ所謂歷史的價額デアリマスルナラ
バ、全ク御說ノ通リデアリマスルケレドモ、
併シ此ノ二百八十五條ハ矢張リ交換價額ヲ
主トシテ居ルノデアリマシテ、交換價額ガ
偶〓上ッテ居ル、取得價額等ヨリモ上ッテ居ル
場合ニ、其ノ交換價額ヲ取得價額ノ限度デ
抑制シテ記載スベキモノデアル、斯ウ云フ
趣旨デアリマシテ、矢張リ根本ハ交換價額
ヲ土臺ニシテ居ルモノト御了承ヲ願ヒタイ
ノデアリマス、又第二點デアリマスルガ、
此ノ場合ニ第二百八十五條ニ付テモ矢張リ
減損價額ヲ考ヘナケレバナラナイデハナイ
カ、斯ウ云フ御說デアリマシタガ、第一點
ニ付テ申述ベマシタ通リニ、交換價額トサ
ウシテ製作價額等ヲ比較致シマシテ、製
作價額等ヨリモ交換價額ガ上デアル場合
ニ、其ノ上ノ價額ヲ記載シテハイケナイ、
斯ウ云フノデアリマスカラ、先程申述べ
マシタ通リニ第三十四條ニ比シテ更ニ嚴
格ナモノト申シテ差支ナイダラウト思フ
ノデアリマス、第三點ノ減損補塡基金ノ
問題ニ付テモ矢張リ只今第一點第二點及第
四點ニ付テ申述ベマシタ所ニ依ッテ御諒承
ガ願ヘルダラウト思フノデアリマス、之ヲ
要スルニ第二百八十五條ト雖モ交換價額ニ
依ルコトハ勿論デアリマス、併シ其ノ交換
價額ガ偶、≧製作價額ヨリモ上ッテ居リマス
ル場合、其ノ上ノ方ノ値段ヲ付ケテハイケ
ナイ、製作價額ト云フヨリ低キ價額デ以テ
抑制シテ之ヲ記載スベキモノデアルト云フ
コトヲ明カニシタモノト御諒承ヲ願ヒタイ
ノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=5
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006・山隈康
○山隈康君 チヨット速記ヲ止メテ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=6
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007・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 速記ヲ止メ
テ·
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=7
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008・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) ソレデハ速記ヲ
始メテ······次ハ第七章解散ヲ議題ト致シマ
ス、政府ノ御說明ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=8
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009・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 第七章ハ解散ニ
關スル規定ヲ網羅シタモノデアリマスルガ、
第六十九條ノ第一項ハ解散ノ事由ヲ此處ニ
列記致シテ居リマス、是ハ丁度商法中改正
法律案ノ株式會社ニ關スル規定ト略〓同樣
デアリマスルガ、此ノ第五號ノ「社員ガ一人
ト爲リタルコト」ノ問題デアリマス、是ハ
御承知ノ通リニ株式會社ニ於キマシテハ解
散ノ事由トハシナカッタノデアリマス、併シ
有限會社ニ於テハ之ヲ解散ノ事由ト致シタ
ノデアリマシテ、其ノ理由ハ有限會社ノ設
立ガ簡單デアリマスカラシテ、之ヲ得テ潜
脫的ニ株式會社ノ實質ヲ備ヘルヤウナモノ
ガ有限會社ニナラウトスル虞ガアリ得ルノ
デアリマス、ソレ等ニ付キマシテハ前々囘
以來申述ベマシタ種々ノ規定ヲ以テ之ニ臨
ンデ居ルノデアリマスガ、矢張リソレト似タ
趣旨カラ致シマシテ、個人デアルカ有限會
社デアルカト云フヤウナコトガ甚ダ分ラナ
イ場合ガ生ジ得ル虞ガアリマス、デアリマ
スルカラ、有限會社ニ付テハ所謂一人會社
ハ認メナイコトニシタ方ガ宜クハナイカト
云フヤウナ趣旨カラ、此ノ規定ガ置カレタ
次第デアリマス、第二項ハ社員總會ノ決議
デ解散ヲ致シマスル場合ニ、其ノ解散ノ方
法ハ特別決議ニ依ラナケレバナラナイト
云フコトヲ明カニシタノデアリマシテ、
是亦株式會社ニ於ケルト同趣旨デアリマ
ス、第七十條ハ會社ノ繼續ノ場合デアリマ
ス、是ハ丁度商法中改正法律案ノ第四百六
條、之ガ第一項ガ之ニ該當致シマス、又商
法中改正法律案ノ第九十五條第二項、
是ガ本條ノ第二項ニ該當ヲスル譯デアリマ
ス、是等ノ繼續ノ途ヲ開イタノデアリマシ
テ、有限會社ニ矢張リ是ガ必要ヂヤナイカ
ト思フノデアリマス、第七十一條、矢張リ
會社ノ繼續ノ規定デアリマシテ、會社ノ繼
續ニ付キマシテ現行法ニ付テハ此ノ點ニ關
スル明確ナ規定ガナカッタガ爲ニ、解散ノ登
記ヲシタ後ニ會社ノ繼續ガ出來ルカドウカ
ト云フコトガ疑問ニナッテ居ッタノデアリマ
ス、ソレヲ商法中改正法律案デハソレハ出
來ルノデアル、デアリマスルカラ、〓算中
如何ナル機會ニ於テモ會社ノ繼續ガ出來ル
ノデアル、唯性質上當然ニ〓算ガ結了シマ
スレバ、是ハ出來マセヌケレドモ、其ノ以
前ナラバ何時デモ出來ルト云フコトヲ明カ
ニ致シタ次第デアリマス、矢張リ其ノ關係
ハ有限責任會社ニ付テモ同樣デアリマス、
卽チ第七十一條ノ規定ヲ置イタ次第デアリ
マス、第七十二條ハ〓算人タルベキ者ヲ定
メタ規定デアリマス、是亦商法中改正法律
案ノ第四百十七條卽チ株式會社ニ於ケルト
同樣ノ規定ヲ以テ之ヲ律スル譯デアリマス、
第七十三條ハ殘餘財產ノ分配ニ關スル規定
デアリマシテ、是ハ原則トシテ出資口數ニ
應ジ、卽チ按分主義ヲ採ルコトニ致シマシ
ク、是ハ丁度利益配當ニ於キマシテ本案ノ
第四十四條ガ矢張リ按分主義ヲ原則ト致シ
テ居リマス、ソレト同趣旨デアリマシテ、
株式會社ニ付テモ商法中改正法律案第四百
二十五條ノ本文ト同樣デアリマス、是ハ有
限會社ノ利益配當ニ付テモ申述ベタ所デア
リマスルガ、此ノ有限會社ニ付キマシテハ
優先株、又後配株、斯ウ云フヤウナモノヲ
認メマセヌケレドモ、定款デ此ノ按分主義
ニ對シテ別段ノ定ヲ爲シ得ルコトヲ此ノ第
七十三條デ認メテ居ルノデアリマス、種類
的ニ優先株又後配株ト云フコトハ出來マセ
ヌケレドモ、或個々ノ社員ニ對シテハ按分
主義以上ノ利益ヲ與ヘルトカ、或ハソレ以
下ニ不利益ヲ及スト云フコトハ定款ノ自由
デアリマス、但シ解釋ト致シマシテ、或特
定ノ社員ニ殘餘財產ヲ全然與ヘナイト云フ
約束、是ハ出來ナイカト存ズルノデアリマ
ス、第七十四條ハ〓算人ノ解任ニ關スル規
定デアリマシテ、商法中改正法律案ノ第四
百二十六條、卽チ株式會社ニ關スル規定ト
同樣デアリマス、唯多少變ッテ居リマスノ
ハ第二項デアリマシテ、重要ナ事由ガアリ
マスレバ、裁判所ハ監査役ノ請求ニ依リ又
ハ社員ノ請求ニ依リ〓算人ヲ解任スルコト
ガ出來ルコトニナッテ居ルノデアリマス、株
式會社ニ付テハ御承知ノ通リニ各株主中カ
ラ斯樣ナ解任ノ請求ハ出來ナイノデアリマ
シテ、株主總會ノ決議デ此ノ請求ヲスルコ
トニナッテ居ルノデアリマス、ソレヲ有限會
社ニ於キマシテ特ニ各社員ニ斯樣ナ請求權
ヲ認メマシタノハ、有限會社ニ於テハ御承
知ノ通リニ社員ガ相當ニ重要ナル地步ヲ占
メテ居ルノデアリマスルカラ、其ノ點ニ考
ヲ及シタ次第デアリマス、第七十五條ハ〓
算ニ關スル規定及〓算人ニ關スル規定デア
リマシテ、是ハ合名會社、株式會社ニ關ス
ル是等ノ規定ヲ此處ニ準用致シマシテ、之
ヲ明確ニ致シテ居ル次第デアリマス、甚ダ
準用デ錯雜ニナリマスルケレドモ、矢張リ
商法中改正法律案ノ株式會社ニ關スル規定
モ是ト同樣ナ規定ノ方法デアリマシテ、其
ノ規定方法ヲ踏襲致シマシテ、サウシテ七
十五條ヲ設ケタ次第デアリマス、此ノ準用
ニ係ル條文ノ事項ヲ申シマスルト、先ヅ第
七十五條ノ第一項カラ申述ベテ參リマスル
ガ、商法ノ第九十六條ハ解散ノ登記ニ關ス
ル規定デアリマス、第百十六條ハ〓算ノ目
的ノ範圍內ニ於テハ會社ハ尙繼續スルト云
フ規定デアリマシテ、第百二十二條乃至第百
二十五條ハ裁判所ガ〓算人ヲ選任スル場合
ノ規定、又ハ〓算人就任登記ニ關スル規定、
.清算人ノ職務ニ關スル規定、辨濟期ニ至ラ
ザル債務ノ辨濟ヲ爲ス、其ノ關係ニ關スル
規定デアリマス、第百二十八條ハ數人ノ〓
算人ガアリマシタ場合ニ於ケル其ノ業務執
行ノ方法ニ關スル規定デアリマス、第百二
十九條第二項、第三項ハ〓算人ノ會社代表
ニ關スル其ノ方法ノ規定デアリマス、第百
三十一條ハ殘餘財產ノ分配ニ付テノ規定デ
アリマシテ、假分配ノ便法ヲモ認メタモノ
デアリマス、第百三十四條ハ〓算結了ノ登
記ニ關スル規定デアリマス、第百四十條乃
至第百四十二條ハ設立ノ取消ノ訴、詐害的
設立ノ取消ノ訴、此ノ二ツニ關スル規定デ
アリマス、第四百十八條乃至第四百二十四
條ハ〓算人ノ屆出ノ義務、書類ノ承認作成
ヲ求ムルコトニ關スルモノ、書類ヲ監査役
ニ提出スルコトニ關スルモノ、ソレカラ債
權申出ノ催〓及其ノ公〓關係ノ規定デアリ
マス、尙此ノ債權申出ノ催告及公〓デアリ
マスガ、是ハ固ヨリ債權者保護ニ關スル規定
デアリマシテ、此ノ公〓ニ付キマシテハ、是ハ
此ノ八十八條ニ依リマシテ其方法ヲ明カニ致
シテ居マス、其ノコトハ本案八十八條ニ付テ申述
ベマスルガ、屢〓申上ゲマシタ通リニ、有
限會社ハ其ノ營業コソ大規模ニヤリマセウ
ケレドモ、其ノ組織ナリ、管理ナリハ內
輪デアリマシテ、小規模デアリマス、デア
リマスルカラ、公〓ト云フコトヲ强ヒテハ
居リマセヌケレドモ、此ノ債權者保護ニ對
スル關係ニ付テハ矢張リ株式會社等ト同ジ
ク公〓ヲ必要ト致シマス、從ッテ其ノ方法ニ
付テ規定ヲスル必要ヲ生ジタノデアリマシ
テ、ソレハ卽チ此ノ案ノ八十八條ニナッテ居
ル次第デアリマス、尙第四百二十七條乃至
四百二十九條デアリマスガ、是ハ〓算終了
ニ付テノ總會ナリ、設立無效ノ訴ナリ、又
〓算結了後ノ書類ノ保有ニ關スル規定デア
リマシテ、是等ノ合名會社、株式會社ニ關
スル規定ヲソレヲ其ノ儘有限會社ニ持ッテ
來レバ宜シイト考ヘタ次第デアリマシテ、
第二項デアリマスルガ、第二項ハ本案ノ條
文及商法中改正法律案ノ條文ヲ準用シテ居
ルノデアリマス、第二十八條ハ書類備置ノ
義務ニ付テノ規定デアリマス、是ガ取締役
ニ付テ規定ヲサレテ居リマスカラ、同樣ノ
コトヲ以テ〓算人モ律スル必要ガアルト云
フコトヲ考ヘタ次第デアリマス、第三十條
ハ自己又ハ第三者ノ爲ニ會社ト取引ヲスル
場合ノ其ノ制限ニ關スル規定デアリマス、
第三十一條ハ取締役ニ對スル訴ニ付テノ少
數社員權ニ關スル規定デアリマス、第三十
五條ハ社員總會ノ招集ニ關スル規定デア
リ、第四十條第一項第四號第二項ハ取締役
ノ任務懈怠ノ場合ノ其ノ責任ノ免除ノ制
限ニ關スル規定デアリマシテ、是等取締役
ニ關スル規定ヲ〓算人ニモ持ッテ來ル必要
ヲ感ジタ次第デアリマス、ソレカラ以後ハ
商法中改正法律案ノ規定デアリマシテ、第
二百三十六條乃至第二百三十八條ハ株主總
會招集方法ニ關スル規定、ソレカラ少數株
主ノ總會招集ニ關スル規定、檢査役ノ選任
ニ關スル規定デアリマス、第二百四十四條
第二項ハ議事錄作成ニ付テノ手續規定デア
リマス、第二百四十七條ハ總會ノ決議取消
ノ訴ニ付テノ規定デアリマス、第二百四十
九條、第二百五十四條第二項又同樣デアリ
マス、第二百五十八條ハ取締役ノ員數ノ缺ケ
タ場合ノ措置ノ規定デアリマス、第二百六十一
條ハ取締役ノ會社代表ニ付テノ規定デアリマ
ス、第二百六十六條ハ取締役ノ任務懈怠ノ場
合ノ責任ノ規定デアリマス、第二百六十七條
ハ取締役ニ對スル訴提起ニ關シテノ規定デ
アリマス、第二百六十八條第二項乃至第五
項ハ、右申述べマシタ訴ニ付テノ手續ニ關
スル若干ノ規定デアリマス、第二百六十九
條乃至第二百七十二條ハ取締役ニ對スル報
酬ノ規定、又取締役ノ代行者等ニ關スル規定
デアリマス、第二百七十四條ハ、取締役ガ
監査役ニ對シテ報告ヲスル、或ハ又監査役
トノ關係ニ付テノ規定デアリマス、第二百
八十二條ハ書類ヲ總會ニ提出スル義務ニ關
スル規定デアリマスルシ、第二百八十三條
第一項ハ之ニ關聯致シマシタ其ノ後ノ手續
ノ規定デアリマス、第二百八十四條ハ書類
ノ承認ト責任免除トノ關係ヲ規定シタモノ
デアリマス、以上孰レモ取締役ニ關スル規
定デアリマシテ、矢張リ之ヲ〓算人ニ持ッテ
來ル必要ヲ感ジタ次第デアリマス、尙解散
ニ付テ最後ニ申述ベタイノデアリマスルガ、
是ハ旣ニ一應申上ゲタ處デアリマスルガ、
株式會社ニ付キマシテ商法中改正法律案ニ
於キマシテハ、會社ノ整理及特別〓算ト云
フ重要ナル新設規定ヲ作ッタノデアリマシ
テ、是ガ商法中改正法律案ノ一ツノ重要ナ
ル改正ノ要點デアリマシタ、併シ有限會社
ニ付キマシテ其ノ必要ナシト存ジタノデア
リマシテ、從ッテ會社ノ整理、特別ノ〓算ニ
關スル規定ハ有限會社ニハ其ノ適用ナキモ
ノト御了承願ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=9
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010・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 續イテ第八章ノ
外國會社ノ御說明ヲ伺ヒマセウ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=10
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011・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 第八章ノ外國會
社ニ關スル規定ハ、是ハ極メテ簡單デアリ
マイ、卽チ商法中改正法律案ニ於キマシテ
外國會社ニ關スル規定ガ數箇條アルノデア
リマス、其ノ數箇條ヲ殆ド其ノ儘有限會社
ニ付テ規定ヲシタノデアリマシテ、是ハ外
國會社ニ付テ既ニ申述べタ處デアリマスル
カラ、此處デ重ネテ申上ゲル必要モナイカ
ト存ズルノデアリマス、唯商法中改正法律
案ノ中デ、外國會社ニ關スル規定中、第四
百八十三條ノ準用ダケヲ除イタノデアリマ
ス、此ノ第四百八十三條ハ、外國會社ガ日
本ニ於キマシテ株劵ヲ發行スルトカ若シク
ハ債劵ヲ發行スルトカノ場合ニ於ケル規定
デアリマス、然ルニ有限會社ニ付キマシテ
ハ株劵ノ發行又ハ債劵ノ發行ト云フコトガ
ナイノデアリマシテ、此ノ規定ダケハ全ク
必要ガ無イノデアリマス、デアリマスルカ
ラ、必要無キ此ノ規定ヲ除キマスル外、外
國會社ニ關スル商法中改正法律案ノ規定ヲ
全部此處ニ準用致シマシタ次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=11
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012・山隈康
○山隈康君 簡單デアリマスルガ、第六十
九條、第七十條ニ牽聯シタ事デアリマシテ、
第六十九條ノ第二ニ社員總會ノ決議ニ依ッ
テ解散ガ出來ル、其ノ場合ハ七十條ニ依リマ
シテ、四十八條ノ特別ノ決議ニ依ッテ會社ノ
繼續ガ出來ルト云フ趣旨ニ相成ッテ居リマ
スルガ、之ニ此ノ改正商法ノ九十五條ノ但
書ヲ準用シナカッタ理由ハドウ云フモノデア
リマセウカ、卽チ但書ニハ「同意ヲ爲サザ
リシ社員ハ退社シタルモノト看做ス」此ノ
有限會社ハ政府委員屢、御說明ニ相成リマシ
タ如ク、人的要素、同族會社若シクハ相信
ジタル者ノ間ニ於テ組織サレルモノデアル、
然ルニ其ノ同族若シクハ相信ジタル者ノ
間ノ人間モ限定サレタル五十人以下デ組
織サレタ會社デアル、其ノ會社ガ殆ド總社
員ノ決議デ解散致シマシタ場合、ドウモ此
ノ會社ハ將來見込ガナイトカ、或ハ此ノ會
社ノ社員中ニ不信ノ人ガアッテ會社ガ圓滿
ニ行カナイ、斯ウ云フヤウナ意見ヲ挾ム者
ガアルガ爲ニ結局總會デ解散ノ決議ヲ爲シ
タモノト見ルノデアリマス、然ルニ一旦總
會ニ依ッテ解散ノ決議ヲシテモ、更ニ或事情
ニ依ッテソレハマダ繼續シタラ宜シイト云
フコトヲ四十八條ノ規定ニ依ッテ決議ヲス
レバ、當然會社ガ繼續スル、斯ウ云フ場合
ニ、人的要素デアル相信ジタル者ノ間ニ出
來ル有限會社デアッテ、サウシテ其ノ事業ノ
目的ニ對シテ確信ヲ持タナイ者、若シクハ
其ノ社員中ニ不適當ナ人アリト信ジテ解散
ヲ主張シタル人、卽チ同意ヲシナカッタ者、
四分ノ三ノ外ノ人、サウ云フ人ヲ强ヒテ社
員トシテ繼續セシムルト云フコトハ、有限
會社ノ性質上トシテモ間違ッテハ居ナイカ、
成ル程合名會社ノ場合ハ無限責任デアリ、
是ハ有限責任デアルカラ、其ノ區別ハアリ
マセウケレドモ、相信ズル同族會社ノ場合
ニ於テ、ドウモ甚ダ會社ノ存立ハイケナイ
ト云フ趣旨デ總會デ決議ヲシタモノヲ、ソ
レヲ四分ノ幾ラデスカ、四十八條ノ規定ニ
依ッテ總會デ繼續シタ、ソレヲ人的要素ノ他
ノ社員ガ退社ガ出來ナイト云フコトハ、是
ハ少シク穩當デナイヤウニ思フノデス
ガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=12
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013・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 御尤ノ御尋デア
リマシテ、此ノ點ハ立案ノ際ニモ十分ニ論
議ヲサレタ次第デアリマシタ、御承知ノ通
リニ商法中改正法律案ノ第九十五條ノ第一
項卽チ合名會社ノ繼續ニ於キマシテハ、其
ノ繼續ニ同意ヲシナカッタ社員ハ退社シタ
ルモノト看做サレルコトニナッテ居リマス、
之ニ反シテ矢張リ商法中改正法律案ノ第四
百六條デアリマスルガ、株式會社ノ場合ニ
於テハ、左樣ナ時ニ於キマシテモ退社ト云
フコトハ認メナイノデアリマシテ、矢張リ
特別決議ニ依ッテ解散サレ、其ノ後更ニ特別
決議ニ依ッテ繼續サレル、而シテ其ノ間株主
ノ變動ハナイト云フコトニ相成ッテ居ルノ
デアリマス、而シテ有限會社ヲ其ノ孰レニ
合スベキヤト云フ問題デアリマシテ、卽チ
商法ノ九十五條合名會社通リニスルベキデ
アルカ、或ハ第四百六條卽チ株式會社通リ
ニスルベキデアルカト云フコトハ確カニ考
慮ノ餘地ガアルト信ズルノデアリマス、成
ル程御指摘ニ相成リマシタ通リニ有限會社
ノ社員ハ餘程人的要素ノ色彩ハ帶ビテハ居
リマスルケレドモ、矢張リ先程御述ベニナ
リマシタヤウニ無限責任ハ負ハナイデアリ
マシテ、單純ナル有限責任ヲ負フニ止ルノ
デアリマス、典型的ノ人的會社デアリマス
ルナラバ、是ハ退社ヲセシメナケレバ不都
合デアリマセウ、嫌ヤ〓〓ナガラ其ノ會社
ト運命ヲ共ニシテ而モ無限責任ヲ負フト云
フコトニナルノデアリマスカラ、ドウシテ
モ退社ノ途ヲ開カナケレバナリマセヌケレ
ドモ、株式會社ナリ有限會社ナリガ退社ト
云フコトニ致シマスルノハ、是ハ寧ロ不適
當デハナイカト存ジタ次第デアリマス、サ
ウシテ此ノ案ニ付テ他ノ場合ニモ勿論退社
ハ認メテ居ナイノデアリマス、之ヲ要スル
ニ、此ノ點ニ付テ株式會社ト同樣ニスルカ、
合名會社ト同樣ニスルカト云フ問題デアリ
マシテ、全ク人的會社デハナイ、併シ人的
會社ノ色彩ヲ帶ビテ居ルト斯ウ云フノデア
リマスカラ、〓究上疑問ノ餘地ハアリマセ
ウ、併シ私共ト致シマシテ種々〓究ノ結果、
之ヲ株式會社ト同樣ニスルコトヲ是ナリト
信ジタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=13
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014・山隈康
○山隈康君 只今政府委員ノ御說明ハ能ク
分リマシタ、是レ以上ハ意見ノ相違デアリ
マスルカラ質疑ハ是レデ止メマス、次デ第
七十一條ニ付テ、是ハ法文自體ニ疑義ガア
ル譯デモアリマセヌシ、又法文ガイケナイ
ト云フ意味デモアリマセヌ、立法上ノ理由
ヲ簡單ニ伺ヒタイト思ヒマス、現行商法ト
ハ異ッテ改正商法ニ據リマスレバ、登記ハ會
社ノ成立條件ト相成ッテ居ルヤウデアリ
やっ、ソコデ設定登記ニ依ッテ會社ガ成
立スル、解散ノ登記ニ依テ會社ハ當然消
滅スベキモノデアリマス、ソコデ本當ノ
純理カラ言ヘバ、一旦解散ノ登記ヲ致シ
マスレバ、旣ニ會社ハ消滅スル、更ニ繼續
ノ決議ヲシテ其ノ後ニ會社ガ登記ヲシタ時
ハ、之ヲ純然タル成立條件トスレバ、其ノ
登記ヲシタ時ニ新タナル會社トスルノガ成
立條件ノ趣旨ニハ適合スルヤウデアリマス
ルガ、是ハ併シ實際ノ事情ニ適セズ、便宜
上此ノ規定ヲ設ケタト云フ御趣旨ト解釋ス
ベキモノデアリマスカ、又其ノ他ニ立法上
ノ理由ガアレバ承ッテ置キタイノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=14
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015・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 大體ニ於テ御說
ノ通リデアルト考ヘルノデアリマス、解散
後ノ會社ノ本質ニ付キマシテハ、種々議論
ガアルヤウデアリマスガ、玆ニ其ノ議論ヲ
申述ベルノハ甚ダ恐縮デアリマシテ、ソレ
ハ差控ヘマスルケレドモ、解散後ノ會社ト
雖モ、矢張リ會社トシテハ其ノ本質ヲ有ッテ
居ルノデアリマシテ、〓算結了ヲ以テ終了
スルト云フコトガ普通ノ考ヘ方ニ相成ッテ
居ルヤウデアリマス、其ノ何レヲ問ヒマセ
ズ、兎ニモ角ニモ解散ノ登記ヲシタ然ル後
ニ會社ガ更ニ繼續スルト云フコトデアルカ
ラ、是ハ極メテ異例ノコトデハアリマセ
ウ、併シ解散ノ登記ニナリマシテモ、若シ
會社ノ繼續ト云フコトガアルナラバ、其ノ
營業能力ノ復活セラルヽコトアルベシト云
フ一種ノ條件付ノヤウニ考ヘラルベキモノ
デアルカト思フノデアリマス、サウシテ之
ヲ何ガ故ニ其ノ學說ナリ慣例ノ如何ニ拘ラ
ズ別種ノ會社ニシカナッタカト云フ御尋ニ
對シマシテハ、ソレニ牽聯シテ御述ニナリ
マシタ所ト全ク同樣デアリマシテ、之ヲ違ッ
タ會社ニ致シマスルナラバ、其ノ權利義務
ノ繼承等煩ルサイ問題ヲ生ジマスルカラ、
便宜カラ申シマシテ、同ジ會社ガ同ジク續
イテ行クト云フコトニ規定ヲスルノガ適當
デアラウカト存ジタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=15
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016・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 他ニ御發言モナ
イヤウデアリマスカラ、先キニ進ミマス、
「第九章罰則」全體ヲ問題ニ供シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=16
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017・松阪廣政
○政府委員(松阪廣政君) 罰則ニ付キマシ
テ、私ヨリ簡單ニ御說明申上ゲマス、有限
會社ノ罰則ニ付キマシテハ、本會社ノ性質
ガ合名會社或ハ合資會社ヨリモ、寧ロ株式
會社又ハ株式合資會社ニ類似スル性質ヲ多
分ニ持ッテ居リマス、從ッテ大體ニ於キマシ
テ、罰則ノ立テ方モ商法會社編ニ於ケル罰
則ト同趣旨ノモノヲコチラニ持ッテ參ッテ矢
張リ規定ヲ致シタノデアリマス、固ヨリ商
法ノ罰則中ニハ株式會社ニ特有ノモノガゴ
ザイマス、例ヘバ株式ノ募集ニ當ッテノ虛僞
ノ文書ヲ公知シタトカ、或ハ株式ノ引受ニ
假裝ノ引受或ハ假裝ノ讓渡ヲスルト云フヤ
ウナ行爲ヲ出シテ居リマスガ、株式ニ於テ
本會社ニ左樣ナ規定ノアルベキ筈ノナイノ
ハ當然デアリマス、左樣ナモノヲ除キマシ
テ、大體株式會社ノ罰則其ノモノヲコチラ
ニ持ッテ參ッタノデアリアスルガ、其ノ刑
期金額、刑罰ノ量ニ至リマシテハ、中一
ハ若干本會社ノ罰則ハ引下ゲタモノモゴザ
イマス、ソレハ性質ハ本會社ハ株式會社ニ
ハ似テ居リマスルガ、株式會社ト異ナリマ
シテ、社員ノ數ハ株主ノ數ヨリモ非常ニ少
イ、或ハ社債金ト云フモノハナイ、若シク
ハ他ノ會社ガ一般社會ニ對スル關係ニ於
テ、株式會社ヨリハ餘程異ナルモノガアリ
マスルノデ、ソレ等ノ點點考慮致シマシ
テ、懲役或ハ罰金ノ金額ヲ若干引下ゲタモ
ノモアルノデアリマス、主ナル條文ニ付テ
極メテ簡單ニ申上ゲマスガ、第七十七條
ハ、會社ノ重役又ハ高級使用人ニ對スル特
別背任罪ノ規定デアリマスガ、是ハ商法第
四百八十六條ニ當ルモノデアリマス、唯商
法第四百八十六條デハ七年以下ノ懲役又ハ
一萬圓以下ノ罰金トナッテ居リマスガ、之ヲ
五年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ト云
フコトニ致シタ點ガ相違スル點デゴザイマ
ス、次ニハ第七十八條デアリマスガ、是ハ
商法ノ四百八十九條ニ當ルベキモノデアリ
マイク現行法ニモ二百六十一條ニ大體同一
ノ刑罰ヲ規定致シテ居リマスガ、其ノ刑
期金額ニ至リマシテハ商法ヨリハ幾分下
ゲマシテ、商法デハ五年以下ノ懲役又ハ五
千圓以下ノ罰金トナッテ居リマスノヲ、三
年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ致シ
マシタ、現行法デハ一年以下ノ懲役若シク
ハ禁錮又ハ千圓以下ノ罰金ト云フコトニ
ナッテ居リマスガ、是ヨリハ幾分重クナッテ
居リマス、次ニハ七十九條デアリマスガ、
是ハ出資ノ拂込ヲ假裝スル預合行爲ヲ處罰
スル規定デアリマス、商法第四百九十一
條ニ規定致シテ居ルノト同一デアリマシ
テ、是又刑期、金額ヲ幾分引下ゲテ居リ
やく、其ノ次ニハ第八十一條及第八十二條
何レモ瀆職罪ノ規定デアリマスガ、八十一
條ハ商法ノ四百九十三條ニ該當スルモノデ
アリマス、八十二條ハ商法ノ四百九十四條
ニ當ルベキモノデアリマス、是ハ何レモ刑
期、金額ハ商法ト同ジデアリマス、其ノ次
ニハ第八十五條デアリマス、是ハ過料ノ制
裁規定デアリマスガ、商法ノ四百九十八條
ニ當ルモノデアリマシテ、過料ノ額ハ同額
ニ致シテ置キマシタ、第一號ヨリ第二十一
號迄ゴザイマスガ、是亦株式會社ノ方ノ過
料ニ付キマシテハ株式會社特有ノモノガア
リマスノデ、有限會社ハ幾分項目ハ減ッテ居
リマスガ、大體同趣旨デゴザイマス、甚ダ
簡單デゴザイマスガ、御說明ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=17
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018・山隈康
○山隈康君 是ハ詰ラヌ御尋デゴザイマス
ガ、御配付ニナリマシタ有限會社法案ノ說
明中ニ、何ダカ有限會社ハ株式會社ヨリモ
寧ロ合名會社ニ類似スルカラト云フヤウナ
說明ガアルヤウデアリマス、只今政府委員
ノ御說明ニ依リマスト、株式會社ニ類似シ
テ居ルト云フ御說明デアッテ、是ハ有限會社
ノ本質ヲ決定スル上ニ於テ重大ナル關係ガ
アルト思フノデアリマスカラ、ドウモ兩方
オ並ビニナッタ政府委、員ノ方デ御意見ガ異ッ
テハ、甚ダ私ハ迷フノデアリマスガ、尙ホ
一ツ其ノ點ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=18
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019・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 有限會社ハ株式
會社又ハ合名會社何レニ近イカト云フ點ニ
付テハ、私共ハ常ニ一貫シテ有限會社ハ株
式會社ニ近イモノデアル、寧ロ或意味ニ於
テハ株式會社ノ一種ト考ヘテモ宜イ位ノモ
ノデアラウト存ジテ居ルノデアリマシテ、
其ノコトハ變更ヲシテ居ナイ積リデアリマ
ス、唯株式會社ニ比シマスレバ合名會社ノ
色彩ヲ帶ビテ居ル、詰リオ互ニ信賴スル少
數ノ社員カラ組織セラレテ居ルト云フ點ニ
於テハ合名會社ノ色彩ヲ有ッテ居リマスルケ
レドモ、併シ有限責任デアルト云フ最モ大
イナル點ニ於テ株式會社ト同樣デアリマス
ルカラ、株式會社ニ最モ近接スルモノデア
ルト云フコトハ終始申述ベテ居ッタ積リデ
アリマシタガ、或ハ申上ゲ方ガ惡イガ爲ニ
誤解ヲ生ジタコトガアルカモ知レマセヌ、
此ノ點ハ重ネテ申述ベテ置ク次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=19
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020・山隈康
○山隈康君 何カ此ノ說明書中ニサウ云フ
文句ガアッタト記憶シマスガ、今アナタノ
御說明デナクシテ、文章デソレハ明白ニナッ
テ居ッタト思ヒマスガ····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=20
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021・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 只今御指摘ニナ
リマシタノハ恐ラク第六條ノ說明デハナイ
カト思フノデアリマス、御配リヲ致シマシ
タ說明書ノ第五枚目ノ裏デアリマス、是ハ
定款ノ絕對的記載要件ヲ書イタモノデアリ
マスルガ、其ノ理由ノ三行目ニ「第五號及
第六號ハ寧ロ合名會社ニ關スル商法第六十
三條第三號及第五號ノ規定ニ類似ス、之レ
有限會社ガ人的會社ノ色彩ヲモ帶ブルコト
ヲ示スモノナリ」、或ハ此ノ點デナカッタカ
ト存ズルノデアリマス、併シ此ノ理由書ニ
致シマシテモ倉卒ノ間ニ書上ゲタモノデア
リマスルカラ、恐ラクハ多々間違ガアラウ
カト存ズルノデアリマス、必要ナ場合ニ補
正ヲ致シタイト思ヒマスルガ、併シ有限會
社ノ本質ニ付テ、之ガ株式會社ニ近接スル
モノデアルト云フ趣旨ハ從來申述べ來ッタ
通リデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=21
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022・山隈康
○山隈康君 只今ノ合名會社ニ類似スルカ、
若シクハ株式會社ニ類似スルカト云フコ
トハ見解上ノ問題ダト思ヒマスルカラ、是
レ以上御尋致シマセヌ、罰則中ニ此ノ背任
行爲ニ關スル規定ガアリマシテ、是ハ文章
カラ致シマシテモ、法文ノ體裁カラ致シマ
シテモ、制裁カラ致シマシテモ、刑法ノ背
任ト同樣ノ規定デアリマス、唯是ハ會社ヲ
害セヌト云フコトヲ明白ニスル爲デアッテ、
從來ノ刑法ノ解釋モ同樣ニ出テ居ッタヤウ
ニ思フノデアリマスガ、別ニ特殊ノ理由ガ
存スルノデアリマスルカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=22
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023・松阪廣政
○政府委員(松阪廣政君) 背任罪ノ構成要
件ノ內容ニ付キマシテハ全ク刑法ト同樣デ
ゴザイマス、刑法ノ二百四十七條ト本七十
七條ト、內容ニ於テハ同一デゴザイマス、
有限會社ノ取締役監査役等役員ニ付キマシ
テハ一般刑法ノ背任罪ヨリハ業務的ノ特殊
犯罪デアリマスルカラ、少シ刑法ヨリモ重
ク處罰スルコトガ妥當デアルト云フ考カラ
本條ヲ設ケタ譯デアリマス、刑法ノ背任罪
ノ例外規定ニナル譯デアリマス、尙先程說
明ノ際ニ申落シマシタガ、此ノ瀆職罪ニ付
キマシテ八十一條、八十二條ニ付キマシテハ
前囘ノ商法ノ政府原案ハ「賄賂」ト云フ文字
ヲ用ヰテ、純粹ノ賄賂罪トシテ規定致シテ
居ッタノデゴザイマスガ、貴族院ニ於キマシ
テ不正ノ事實云々ト云フヤウニ修正セラレ
マシタノデ、今囘ハ商法モ貴族院ノ修正通
リノ條文ニシテ提出致シマシタ、從ッテ此ノ
有限會社ノ八十一條、八十二條ノ罰則モ商
法ト同樣ニ規定致シタ次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=23
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024・山隈康
○山隈康君 別ニ質疑ヲ致シマス譯デモゴ
ザイマセヌガ、此ノ機會ニ少シク場所ヲ得
ナイトハ存ジマスルケレドモ、政府委員ニ
私ノ希望ノ一二ヲ申述べタイト思ヒマス、
第一ハ今度此ノ民法其ノ他刑法等ノ法案
ガ御提議ニ相成ルト思ヒマスガ、之ニ對
スル說明書デアリマスナ······是ハドウモ
形式一片ニナッテ專門家若シクハ法律學
者デアレバ之ニ依ッテ直チニ了解ヲ致シ
マセウガ、國民ノ代表、國民ト共ニ此ノ
改正法律案ノ趣旨ヲ了得セムトスルニハ
甚ダ遺憾ヲ免レナイ點ガアリマス、必ズ
シモ精細ニ冗漫ニ亙ルト云フコトハ要求致
シマセヌガ、モウ少シク肉ヲ附ケマシテ立
法ノ趣旨ヲ明確ニシテ戴キタイト云フ希望ガ
ッ、今一ツハ今度ノ此ノ有限會社法ノ說
明書モ本委員會ニ御提出ガナクシテ、小委
員會ノ第二囘目ニ初メテ御提出ニナッタノ
デアリマス、是等ハ私共ノ方デ豫メ說明書
ニ依ッテ案ノ大要ヲ諒得致シマスレバ徒ニ
無用ノ質問ヲシテ議事ノ進行ヲ遲ラシムル
コトノ懸念モナイト思ヒマスカラ、願ハク
ハ今後ハ原案ノ送付ト共ニ說明書ノ方モ御
送付ヲ願ッテ本會、委員會、小委員會全部此
ノ說明書ニ依ッテ一應私共ハ法案ノ趣旨ヲ
了得シタイト思フノデアリマス、此ノ席ニ
於テ各位ニ御願スルノハ不當デアルカモ知
レマセヌガ、ドウゾ其ノ趣旨ヲ政府ノ方ニ
御傳ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=24
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025・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 只今說明書ニ付
テ御希望ガアリマシタガ、私共モ只今ノ御
希望ヲ承リマシテ、寧ロ甚ダシク慚愧ニ存
ズル次第デアリマス、從來法案ノ說明書ニ
ハ御承知ノ通リニ一種ノ型ガアリマシテ、
甚ダ簡單ニ出來上ルヤウニナッテ居ルノデ
アリマス、私共モ從來之ニ對シテ甚シク不
滿ヲ感ジテ居ッタノデアリマシテ、早晩是ハ
改メナケレバイケナイト存ジテ居ッタ次第
デアリマス、如何ニモ不親切デアリマシテ、
書イテ居リマスル私共自身ガ汗顏ニ存ジテ
居ック次第デアリマス、只今ノヤウナ御希望
モアリマシタシ、其ノ點ハ將來ニ於テ十分
ニ考ヘタイト存ズルノデアリマス、サウシ
テ其ノ結果努メテ御趣旨ニ副ヒタイト存ジ
マス、尙此ノ說明ノ御配付ガ遲延致シタコ
トデアリマシテ、是亦全ク慚愧ニ堪ヘナイ
ノデアリマス、決シテ此ノ席上デ辯解ハ致
シマセヌガ、實ハ此ノ有限會社法ヲ私共ノ
方ノ委員會デ立案ヲ致シマシテ、ソレヲ法
制局ヘ持ッテ行クノデアリマス、丁度年末ニ
當リマシテ、法制局ノ審議ガ他ノ法案ノ關
係モアリマシテ大分遲レマシテ、其ノ關係
上或ハ字句ノ修正等モアリハシナイカト、
斯ウ云フ譯デ執筆ヲ差控ヘテ居ッタヤウナ
次第デアリマシテ、ソレガ爲ニ遲延ノ結果
ヲ見タノデアリマシテ、誠ニ申譯ガナイノ
デアリマス、御警告ノ點ハ十分ニ是カラ改
メタイト存ジテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=25
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026・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) ソレデハ第十章
雜則及附則ヲ議題ニ供シマス、御說明ヲ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=26
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027・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 第十章ハ雜則デ
アリマシテ、二、三ノ相互ニ系統ノナイ規
定ヲ玆ニ網羅シタノデアリマス、第八十七
條ハ署名ト記名捺印トノ關係デアリマス、
御承知ノ通リニ商法中改正法律案ニ於キマ
シテモ署名ト云フコトヲ基本ニ致シテ居リ
マスルケレドモ、ソレト別個ニ署名ノ場合ニ
記名捺印ヲ以テ之ニ代ヘルト云フコトヲ規
定致シテ居リマス、矢張リ本案ニ於テモ其
ノ趣旨カラ致シマシテ、署名ヲ基本ニハ致
シテ居リマスルケレドモ、我ガ國ノ慣行等
ニ鑑ミテ記名捺印ヲ以テ署名ニ代フルコト
ヲ得ルノ途ヲ明カニシナケレバナラナイト
存ジタ次第デアリマス、第八十八條ハ先ニ
言及シタ點デアリマスガ、此ノ有限會社ハ
公ニ告ゲル公〓ト云フコトニ付テハ、餘リ
其ノ規定ヲ必要トシナイ趣旨ノモノデアリ
マスルケレドモ、債權者保護ノ爲ニスル公〓
ニ付キマシテハ、固ヨリ之ヲ必要トスルノ
デアリマス、卽チ商法中改正法律案ノ第百
條第一項ニ該當シマス場合、及ビ其ノ第四百
二十一條第一項ニ該當シマスル場合、詰リ
會社ガ或ハ資本ノ減少ヲシヨウ、或ハ〓算
ノ場合、斯ウ云フヤウナ場合ニ會社債權者
ニ其ノ旨ヲ公〓スルト云フコトニナッテ居
リマスガ、公〓ノ方法ニ付テ規定ヲ設クル
必要ヲ生ズルノデアリマス、卽チ第八十八
條ニ依リマシテ、ソレハ裁判所ノ爲スベキ
登記事項ノ公〓ト、同一ノ方法ヲ以テシナ
ケレバナラナイト云フコトヲ、明カニ致シ
マシタ、蓋シ有限會社ニ付キマシテハ、定
款ニ會社ガ公〓ヲ爲ス方法ト云フヤウナモ
ノヲ、記載事項トシテ强制シナカッタガ爲
ニ、此ノ規定ヲ必要トシタ所以デアリマス、
第八十九條ハ有限會社ノ本質論ト牽聯スル
問題デアリマスルガ、實ハ是ハ唯單純ナル
定義ノ問題デアルカモ知レナイノデアリマ
ス、先ニモ申述べマシタ通リ、有限會社ヲ
商法中ノ會社、卽チ第五種ノ會社トスベキ
デアルカ、或ハ商法以外ニ之ヲ規定致シマ
シテ、別個ノ法典トスベキモノデアルカト
云フコトニ付テハ、種々議論ガアッタノデ
アリマス、併シ法制審議會ニ於キマシテ
モ、別個ノ法典トスルコトガ寧ロ便宜デア
ルト、斯ウ云フコトニ相成リマシテ、其ノ
主義ニ從ッタノデアリマス、從ッテ此ノ有限
會社法案ハ商法ヨリモ別個ノ法律ニナッテ
居リマスルガ爲ニ、有限會社自身ハ商法上
ノ會社ト云フコトニハナッテ居ナイノデア
リマス、唯商法ニ關スル規定ガ多ク準用サ
レテ居リマシテ、其ノ實質ニ於テ商法上ノ
會社ト殆ド擇ブ所ガナイノデアリマスルケ
レドモ、規定ノ體裁ハソレトハ違フモノニ
ナッテ居リマス、然ルニ商法以外ノ法典ニ於
キマシテ、種々ノ場合ニ會社ト云フモノヲ
規定シテ居リマス、其ノ會社ニハ矢張リ有
限會社モ同樣ニ認メラレナケレバナラナイ
ノデアリマシテ、商法上ノ會社デハアリマ
セヌケレドモ、他ノ法律ノ適用ノ關係ニ於
テハ、商法上ノ會社ト同一ニ取扱ッテ貰ハナ
ケレバナラナイノデアリマス、其ノ關係ヲ
第八十九條デ明カニシタ次第デアリマス、
次イデ附則デアリマスルガ、御許ヲ得テ此
ノ際續イテ申述ベタイト存ズルノデアリマ
ス、是ハ施行ノ期日ヲ勅令ヲ以テ定ムルコ
トニ致シタノデアリマス、商法中改正法律
案ノ條文ヲ唯準用致シテ居リマスルカラ、
商法中改正法律案ヨリモ先ニ之ヲ施行スル
コトハ、其ノ關係上不可能デアリマス、デ
アリマスルカラ、今ノ考ト致シマシテハ、
商法中改正法律案ト少クトモ同時ニ施行致
シタイト存ジテ居ルノデアリマスルガ、商
法中改正法律案ニ付キマシテハ、準備期間
ヲ必要ト致シマスルカラ、先ヅ一年位ハ置
キマシテ、一年間ノ準備期間ガ終リマシタ
時ニ、相共ニ施行シタイト今日デハ考ヘテ
居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=27
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028・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 何カ御質問ガア
リマシタラ此ノ際願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=28
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029・森平兵衞
○森平兵衛君 私小委員會ニ一二囘關席致
シマシタノデ、質問ヲ御終了ニナルノデア
リマスレバ、少シ御許ヲ願ヒマシテ、御伺
シテ見タイト思ヒマス、若シモ私ノ質問ガ
從來御答ニナッテ居リマスルヤウデシタラ、
速記錄ニ於テ拜見致シマスルガ、今日速記
錄ハマダ印刷ガ出來テ居リマセヌ爲ニ、ド
ウ云フコトガ質問ノ事項ニアッタカ分リマ
セヌノデ、暫ク御許ヲ願ヒマシテ、重複ノ
分ハイツ何日ノ速記錄ニ、ト云フコトニ依ッ
テ御答辯ヲ願ッタラ結構デゴザイマス、此ノ
有限會社法案ノ說明ノ第八デアリマスガ、
「現物出資及財產引受ニ付其ノ會社成立當
時ノ實額ガ定款所定ノ價額ニ著シク不足ス
ルトキハ設立當時ノ社員ハ連帶シテ之ガ塡
補ノ責ニ任ズ」ト云フコトガアリマスガ、
是ハ期間ガドノ位ノ間、塡補ノ責ニ任ズル
モノデアリマスルカ、極端ニ申セバ、五年
デモ十年デモ、其ノ價額ノ著シク不足ヲ生
ジタ場合ハ、出資者ハ其ノ責任ヲ帶ビネバ
ナラヌノデアリマスカラ、是ハ矢張リ相當
ノ期間ノ間不足ヲ生ジナカッタナレバ······隨
分相場ノ變動ニ依ッテ價額ノ減少スルコト
モアルノデアリマスガ、其ノ期間ヲ御明示
ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=29
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030・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 此ノ責任ノ終了
期間ニ付キマシテハ、此ノ案デハ何等規定
ヲ致サナカッタノデアリマス、デアリマスル
カラ普通ノ消滅時效ガ完了致シマスレバ、
是ハ別個ノ問題デアリマスルガ、サモナイ
限リハ、之ニ特殊ノ終了期間ト云フノハナ
イノデアリマス、但シ第十六條ニ於キマシ
テ、此ノ義務ハ會社成立ノ日ヲ基準ト致シ
マシテ、ソレカラ五年ヲ經過シタ後デナケ
レバ、免除スルコトガ出來ナイト云フコト
ヲ明カニ致シマシタ、デアリマスルカラ、
五年內ハ絕對ニ免除ガ出來マセヌケレド
モ、五年ヲ經過致シマスレバ免除スルコト
ガ出來ルノデアリマス、斯樣ナ規定ヲ置キ
マシタ所以ハ、一面ニ於テ此ノ義務ヲ確保致
シマスト共ニ、又他面ニ於キマシテ、此ノ
義務ヲ非常ニ長ク存置シマスルコトハ、却
テ不安ヲ增スノ所以デアリマスルカラ、玆
ニ第十六條ノ規定ヲ設ケタヤウナ次第デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=30
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031・森平兵衞
○森平兵衛君 能ク分リマシタガ、此ノ法
律案デハ第十六條ニ、「五年ヲ經過シタル後
ニ非ザレバ之ヲ免除スルコトヲ得ズ」斯ウ
云フ原則トシテ書イテアリマスルカラ、之
ヲ定款ニ非常ニ價格ノ高低ノ多イモノヲ出
資スル場合ニ、定款デ若シモ此ノ五年ヨリ
短イ期間ニ於テ、之ヲ免除スルト云フコト
ヲ明記致シマシタ所ガ、本條ニ是ガアリマ
スル以上ハ、所謂法律ニ規定シテアルコト
デアリマスルカラ、定款デ定メテモ無效ニ
ナル、斯ウ承知シテ宜シイノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=31
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032・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 全ク御說ノ通リ
デアリマシテ、此ノ第十六條ハ强行法規デ
アリマスト云フコトニ御解釋ヲ願ヒタイノ
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=32
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033・森平兵衞
○森平兵衛君 次ハ十三項ノ、決議ニハ通
常決議ト特別決議ト二種アル、斯ウ云フコ
トデアリマスルガ、是ハ何ガ爲ニ有限會社
ニ限ッテ、決議ノ樣式ヲ二樣ニ御制定ニナッ
タモノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=33
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034・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 此ノ御指摘ニナ
リマシタ第十三トシテ書キマシタ文句ガ甚
ダ簡單ニ失シマスルガ爲ニ、先程矢張リ御
叱リヲ受ケタ點デモアリマスルガ、或ハ誤
解ヲ生ジタノデアラウト恐縮ニ存ズルノデ
アリマス、是ハ全ク株式會社ト同樣デアリ
マシテ、簡單ナ方法ニ依ル決議、卽チ定足
數ノ要ラナイ決議、嚴重ナル方法ニ依ル決
議卽チ定足數ヲ要スル決議ノ二ツノ意味
デアリマシテ、重要ナ事項ニ付テハ、定足
數ヲ必要トスル特別決議ヲ經ナケレバナラ
ナイト云フ趣旨ヲ明カニシタ次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=34
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035・森平兵衞
○森平兵衛君 十六ノ有限會社相互ノ間及
有限會社ト株式會社トノ間ニ於テ、合併ヲ
爲スコトヲ得ト云フコトガアリマスガ、是
ハ合資會社或ハ株式合資會社、合名會社ト
ハ、此ノ有限會社ト云フモノハ絕對ニ合併
ヲスルコトハ得ナイノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=35
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036・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 御說ノ通リデア
リマシテ、合名會社、合資會社及株式合資
會社トノ合併ハ、之ヲ認メナカッタノデアリ
マス、御承知ノ通リニ異種類ノ會社間ノ合
併ト申シマスノハ、種々錯雜ナ問題ヲ生ズ
ルノデアリマス、又實際ニ於テモ、左程廣
クハ行ハレテ居ナイヤウデアリマス、而モ
有限會社ハ、此ノ度新タニ是認セラルヽ會
社デアリマスルカラ、是ガ段々ト發達ヲ致
シマシテ、其ノ實情ニ依リマシテハ、或人
他ノ種類ノ會社トノ合併ヲモ、廣ク認メル
ト云フコトニシタ方ガ、便宜デアルカモ知
レマセヌガ、少クトモ此ノ發達ノ當初ニ於
ケル現狀ニ付キマシテハ、有限會社同志ノ
合併、有限會社ト株式會社トノ合併、此ノ
二種ニ限定シテ置ク方ガ適當デナイカト存
ジタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=36
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037・森平兵衞
○森平兵衛君 之ニ關聯致シマシテ、モウ
一ツ此ノ外ニ法律デドウ認メテ居リマスカ
知ラヌガ、生命保險ノ相互會社デアリマス、
斯ウ云フモノトノ、有限會社ト云フモノノ
合併ハドウナルノデアリマスカ、是ハ有限
ノ會社ノヤウニ考ヘルノデアリマス、御答
ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=37
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038・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 相互會社トノ合
併ハ未ダ之ヲ認メナト云フ趣旨ニ御承知ヲ
願ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=38
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039・森平兵衞
○森平兵衛君 ソレハ相互會社ト云フモノ
ハ無限デアルカラ、斯ウ云フ有限會社ト合
併出來ナイト云フ御趣旨デアリマスカ、御
趣旨モ承リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=39
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040・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 御說ノ通リデア
リマシテ、此ノ相互會社ガ多クノ場合ニ付キ
マシテ、商法上ノ會社ト異ナレルモノトシテ
取扱ハレテ居ル點ガアルノデアリマス、併
シ其ノ最モ大ナルモノハ無限ノ責任ト云フ
關係カラ致シマシテ、有限會社トノ合併ハ
少クトモ今日ニ於テ時期尙早デナイカト存
ジタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=40
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041・森平兵衞
○森平兵衛君 私ノ知ル所ニ依リマスルト、
今日生命保險ノ、何ト申シマスカ、相互會
社ト現在ノ株式會社ノ生命保險トハ合併ス
ルコトヲ得ト云フ特別例ガ設ケラレタヤウ
ニ思フノデアリマスガ、サウ云フ點カラ見
レバ今度ノ有限會社モ矢張リ相互會社トノ
合併ヲ御認メニナッテ宜カラウト思フノデ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=41
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042・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 先程モ申述ベマ
シタ通リニ、有限會社ガマダ今日是デ是認
セラルヽ其ノ當初デアリマスルカラ、其ノ
合併ノ範圍ヲ適當ニ制限シタ方ガ宜クハナ
イカ、卽チ有限會社ニ最モ近イ株式會社ト
ノ間ダケハ二種類間デモ合併ヲ認メマスル
ケレドモ、其ノ他ニハ暫ク之ヲ及サナイコ
トニシテ、有限會社ノ發達ノ經過ヲ見テ、
徐ニソレヲ擴大シテ行ッタ方ガ宜クハナイ
カ、斯樣ニ存ジタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=42
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043・森平兵衞
○森平兵衛君 是以上ハ申上ゲマセヌ、私
ノ質問ハ是デ終了致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=43
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044・奧田剛郎
○男爵奧田剛郞君 逐條デナクテ宜シウゴ
ザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=44
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045・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) ドウゾ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=45
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046・奧田剛郎
○男爵奧田剛郞君 一番最初ニ戾ルコトニ
ナリマスガ、有限會社法案ノ理由書ニ、經
濟界ノ實情ニ鑑ミ云々トアリマスガ、此ノ
經濟界ノ實情ニ鑑ミト云フノハドウ云フ利
益ガアッテ此ノ規定ヲ設ケラレタカト云フコ
トニ、マダ大分疑ヒヲ持ツ向ガアリマスノ
デ、ソレヲ第一ニ少シ承リタイト思ヒマス、
ソレカラ其ノ次ニ之ヲ商法上ノ會社トセズ
シテ、別箇ノ有限會社法案ト云フモノヲ提
出サレタ理由ハ、法制審議會ニ於テ其ノ方
ガ便宜ダト云フ趣旨デアッタト云フ御說明
デアリマシタガ、ソレハドウ云フ便宜ダカ
ト云フコトヲ、具體的ニモウ少シ承レバ承
リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=46
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047・大森洪太
○政府委員(大森洪太君) 御答ヲ致シマス、
先ヅ第一點デアリマスガ、實業社會カラ大
分以前カラ此ノ要望ガ强カッタノデアリマ
スガ、其ノ要望ノ趣旨ヲ綜合致シマスルニ、
御承知ノ通リニ今日經濟的ニ大イナル活動
ヲ致サウト思ヒマスレバ、先ヅ會社ニ依ル
ノ外ハナイ、個人ノ力デ之ニ當リ、或ハ組
合組織ヲ以テ之ニ當ルト云フコトハ不十分
デアルト云フコトハ申述ベル迄モナイノデ
アリマス、然ラバ會社ト致シマシテ如何ナル種
類ノ會社ガ之ニ適當スルカ、商法上認メテ居
リマスル四種類ノ會社ニハ種々其ノ特色ガア
リマスルカラ、其ノ選ブ所ニ從ッテ異ナリマセ
ウケレドモ、今日ノ經濟社會ノ大體ノ傾向ヲ窺
ヒマスルト、有限責任ヲ骨子トシタ會社ト云フ
コトニ甚ダ重キヲ置イテ居ルヤウデアリマ
ス、卽チ自己ノ全財產ヲ蕩盡スル虞ヲ生ズ
ルヤウナ無限責任ノ組織デアリマスト、勢
ヒドウモ怯懦ニナルノデアリマスカラドウ
シテモ有限責任ト云フコトヲ骨子ニシテ有
限責任デハアルケレドモ、大資本ヲ擁シテ、
ソレニ依ッテ仕事ヲシテ行カウ、斯ウ云フ機
運ガ大分以前カラ强イノデアリマシテ、此
ノ狀態ハ恐ラク長ク續クダラウト思フノデ
アリマス、果シテ左樣ダト致シマスルナラバ、
株式會社ガ此ノ組織ニ最モ適スルノデアリ
マスルケレドモ、御承知ノ通リニ株式會社
ハ多數ノ社員、卽チ株主ヲ持ツコトヲ通例
ト致シテ居リマシテ、ソレガ爲ニ多數ノ株
主ガアルト云フコトヲ前提トスル規定ガ多々
アルコト御承知ノ通リデアリマス、又株
式會社ニ於キマシテハ、株式ノ賣出ト云フ
ヤウナコトガアリマシテ、社員ノ異動ガ自
由ニ生ジマスルカラシテ、其ノ點ニ於テ一
抹ノ不安ヲ持ツト云フコトハアリ得ルノデ
アリマス、卽チ株式會社ノヤウニ有限ノ責
任デハアルケレドモ、併シ之ヲ組織スル社
員ノ數ヲ比較的少數ニシテ、御互ヒニ知合ッ
タモノニシテ、而モ其ノ異動ノナイヤウニ
シテ、サウシテ仕事ヲシテ行カウヂヤナイ
カ、斯ウ云フ考ガ自然的ニ起ッテ來ルヤウ
デアリマス、是ガ卽チ有限會社ノ特色デア
リマシテ、御承知ノ「イギリス」法ニ於キマ
スル「プライヴェート·カンパニー」三郎ノ
マシテモ、「ドイツ」「フランス」其ノ他ノ國
ニ於キマス所謂有限責任會社ニ致シマシテ
モ、大同小異ハアリマスルケレドモ、此ノ
二點ニ付テ、先ヅ期セズシテ一致シタ基礎
的ナ觀念デアラウカト存ズルノデアリマス、
此ノ點ガ我ガ經濟界ニ於テモ非常ニ要求ス
ル所トナッタノデアリマシテ、今申述ベタ通
リニ有限責任デハアルガ、併シ少數ノ信賴
者同志デ組織スル會社、成ル程有限責任ト
云フ點カラ申シマスルト、株式會社ト同一
デアリマスケレドモ、社員ガ少イト云フ點
ニ特色ガアルノデアリマシテ、此ノ多少ト
云フ問題ハ或ハ程度ノ問題デアルカモ知レ
マセヌケレドモ、此ノ程度ノ問題ガ自ラ本
貿的ノ問題トナリマシテ、有限責任會社ト
云フ別箇ノ會社ヲ拵ヘル必要ガアルト云フ
聲ガ段々ト高ク相成ッテ參ッタ次第デアリマ
ス、第二點デアリマスガ、之ヲ商法ト別箇
ニ致シマシタコトハ全ク便宜デアリマシテ、
理論上、觀念上、左樣ニ致サナケレバナ
ラナイ理由ハ少シモナイノデアリマス、然
ラバ如何ナル便宜ガアルカト申シマスルト、
御承知ノ通リニ商法ニハ四種類ノ會社ヲ認
メテ居リマシテ、其ノ外ニ更ニ第五種ノ有
限會社ト云フモノヲ商法中ニ認メルト致シ
マスルナラバ、商法ノ會社編ト云フモノハ
徒ラニ厖大ニナリマシテ、其ノ運用ニ致シ
マシテモ、之ヲ通讀ヲ致シマスルニシテモ、
非常ニ不便ヲ生ジハシナイカト思フノデ
アリマス、ソレト有限會社ハ全ク新タナル
會社デアリマスルカラ、在來行ハレツヽア
リマシタ所ノ四種類ノ會社カラ離シテ、之
ヲ別箇ノモノトシテ法律上明カニスルト、
斯樣ニ致シマシタ方ガ、法文ヲ見マスルニ
モ、殊ニ又此ノ法律ヲ運用致シマスル點ニ
於テ甚ダ便益ガアルモノト存ジタ次第デア
リマシテ、此ノ有限會社ヲ認メヨウト云フ
議ガ抑、〓起リマシタ當初カラ、左樣ナ考ガ我々
ノ仲間ニモアッタノデアリマス、デアリマ
スルカラ、全ク便宜ト御承知ヲ願ヒタイノ
デアリマスルガ、此ノ便宜ニハ相當ノ價値
アルモノト私共ハ存ジテ居ルヤウナ次第デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=47
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048・山岡萬之助
○委員長(山岡萬之助君) 他ニ別段御質疑
ハゴザイマセヌカ、他ニ御發言モナイヤウ
デアリマスカラ、此ノ法案ニ對シマスル質
疑ハ一應終ッタモノト致シマシテ、尙今一囘
會議ヲ繼續致シタイト思ヒマス、本日ハ此
ノ程度デ會議ハ止メタイト思ヒマス
午前十一時五十分散會
出席者左ノ如シ
委員長山岡萬之助君
委員
子爵舟橋〓賢君
中川健藏君
男爵奧田剛郞君
森平兵衛君
山隈康君
岩田宙造君
政府委員
司法省民事局長大森洪太君
司法省刑事局長松阪廣政君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007301641X00319380207&spkNum=48
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