1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十三年二月十四日(月曜日)午前十時十三分開議
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議事日程 第十一號
昭和十三年二月十四日
午前十時開議
第一 商業組合法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 商法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 商法中改正法律施行法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 日滿司法事務共助法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 有限會社法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=0
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001・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 報〓ヲ致サ
セマス
〔石橋書記官朗讀〕
正三位勳一等男爵松井慶四郞君
從四位勳一等菅原通敬君
從二位勳一等松浦鎭次郞君
去ル十日願ニ依リ貴族院議員ヲ免セラル
同日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
商法中改正法律案可決報告書
商法中改正法律施行法案可決報告書
日滿司法事務共助法案修正報告書
有限會社法案可決報〓書
昭和十三年二月十五日
一昨十二日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受
領セリ
昭和十三年度歲入歲出總豫算案竝昭和十
三年度各特別會計歲入歲出豫算案
豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲ス
ヲ要スル件
同日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
請願委員會特別報〓第一一號発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=1
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002・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 去ル十日子
爵大河內正敏君、子爵議員補闕選擧ニ當選
セラレマシタ、又同日有田八郞君、貴族院
令第一條第四號ニ依リ貴族院議員ニ任ゼラ
レマシタ、仍テ其ノ部屬ハ、大河內子爵ヲ
第四部ニ、有田君ヲ第九部ニ定メマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=2
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003・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 去ル十一日
議長ハ憲法發布五十年祝賀上奏書ヲ携ヘテ
參內、宮內大臣ヲ經テ上奏書ヲ捧呈致シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=3
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004・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 是ヨリ本日
ノ會議ヲ開キマス、嘉納治五郞君海外旅行
ニ付會期中、請暇ノ申出ガゴザイマシタ、
之ヲ許可スルコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=4
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005・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=5
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006・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 懲罰委員菅
原通敬君議員辭職ニ付同委員ニ關員ヲ生ジ
マシタ、仍テ第四部ニ於テ其ノ補闕選擧ヲ
行ハレムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=6
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007・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 此ノ際大藏
大臣ニ發言ヲ許シマス、賀屋大藏大臣
〔國務大臣賀屋興宣君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=7
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008・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 玆ニ昭和十三年
度歲入歲出總豫算ノ大要竝ニ事變下ニ於ケ
ル我ガ國經濟界ノ現狀ニ付說明致シマスル
コトハ、私ノ最モ光榮ト致ス所デアリマス、
支那事變ノ經過ハ諸君御承知ノ通リデアリ
マシテ、國民政府ノ無反省ナル態度ニ鑑ミ、
帝國政府ハ爾後之ヲ對手トセズ、新興支那
政權ノ成立發展ヲ期待致シマシテ、更生新
支那ノ建設ニ協力スルノ根本方針ヲ確立致
シマシタノデ、愈〓事變ノ長期ニ亙ル建前
ヲ持シ、財政經濟上諸般ノ對策ニ遺憾ナキ
ヲ期スル必要ガアルノデアリマス、而シテ
今後事變ノ關係ニ於テ必要トスル多量ノ物
資ト資金トノ需要ニ備ヘ、其ノ供給ヲ確保
致シマスルト共ニ、國民經濟ノ維持ニ萬全
ヲ期シマスルコトハ、持久戰ニ處スル我ガ
財政經濟政策ノ基礎的方針ト信ズルノデア
リマス、政府ハ昨年事變擴大ト共ニ、我ガ
財政經濟ノ態勢ヲシテ非常時態ニ卽應セシ
ムルヤウ諸般ノ方策ヲ講ジテ參ッタノデア
リマスルガ、今後ニ於テモ此ノ基礎的方針
ニ從ヒ、益〓是等方策ノ徹底ニ努力致ス積リ
デアリマス、昭和十三年度豫算ノ編成ニ當
リマシテモ、事變ノ長期ニ互ルコトヲ建前
ト致シマシテ、物資ト資金トハ之ヲ軍ノ需
要充足ニ集中致シ、軍需ニ關係アル資材ト
資金トノ他ノ方面ニ於ケル消費ハ、極力之
ヲ減少スル方針ノ下ニ、事變關係施設ノ充
實ヲ期シ、其ノ他ノ諸經費ハ眞ニ緊急差措
キ難キモノノ外、之ガ計上ヲ見合スコトト
致シタノデアリマス、斯ク致シマシテ編成
サレタル昭和十三年度歲入歲出總豫算ノ金
額ハ、歲入歲出共ニ二十八億六千七百餘萬
圓デアリマス、之ヲ前年度豫算額ト比較致
シマスルニ、前年度豫算ノ中ニハ臨時軍事
費特別會計ノ設置ニ伴ヒ、同會計ニ移シ整
理セラルヽ歲入歲出ノ金額ヲ含ンデ居リマ
スルノデ、之ヲ控除シテ算ヲ改メマスルモ
ノ、卽チ改算豫算額ト比較致シマスルト、
歲入ニ於テ四千餘萬圓、歲出ニ於テ七千六
百餘萬圓ヲソレ〓〓減少スルコトトナリマ
ス、而シテ歲入豫算中普通歲入ハ、經常部
二十億二千三百餘萬圓、臨時部一億五千餘
萬圓、合計二十一億七千三百餘萬圓デアリ
マシテ、之ヲ前年度改算豫算額ト比較致シ
マスルニ、經常部ニ於テ一億九千五百餘萬
圓ヲ增加シ、臨時部ニ於テ八千二百餘萬圓
ヲ減少シ、差引一億千二百餘萬圓ノ增加ト
ナッテ居ルノデアリマス、此ノ歲入經當部ノ
增加ハ、大體ニ於テ租稅收入、印紙收入、
官業及官有財產收入ノ增加ニ基クモノデア
リマシテ、此ノ中租稅收入ノ增加ハ一億七
千二百餘萬圓デアリマスルガ、是等ノ增加
ハ主トシテ經濟界ノ好況ニ伴フ自然增收ニ
依ルモノデアリマス、又臨時部普通歲入ノ
減少致シマスルノハ、主トシテ特別會計ヨ
リ一般財源受入ノ減少スルモノ六千百餘萬
圓アルノニ依ルモノデアリマスルガ、是ハ
今年度ニ於テハ南洋廳ヲ除ク外地特別會
計竝ニ帝國鐵道、通信事業ノ兩特別會計ヨ
リ、臨時軍事費特別會計へ財源ヲ繰入レル
コトト致シマシタル結果、是等特別會計ヨ
リ一般會計ヘノ一般財源繰入ハ、之ヲ行ハ
ザルコトト致シタ爲デアリマス、次ニ歲出
豫算ノ內譯ハ、經常部十六億四千餘萬圓、臨
時部十二億二千七百餘萬圓デアリマシテ、
之ヲ前年度改算豫算額ニ比較致シマスルニ、
經常部ニ於テ一億三千七百餘萬圓ヲ增加シ、
臨時部ニ於テ二億千四百餘萬圓ヲ減少致シ
テ居ルノデアリマス、右歲出豫算ノ大體ニ
付〓略ノ說明ヲ致シマスルニ、軍備ノ充實
ニ付キマシテハ、既定計畫ノ遂行ヲ期スル
ト共ニ、緊急已ムヲ得ザル新規計畫ニ要ス
ル經費ニ付キマシテモ、努メテ之ヲ計上致
シタノデアリマス、次ニ事變ニ伴フ陸海軍
兩省以外ニ於ケル施設ニ關スル經費トシテ、
軍事扶助費ノ增加、軍事援護事業ノ充實ニ
要スル經費等五千六百餘萬圓ヲ新規ニ計上致
シ、此ノ外ニモ防空ニ關スル經費、農產資源
開發ニ關スル經費、輸出增進ニ關スル經費、
液體燃料ニ關スル經費、技術員養成ニ關ス
ル經費、民間航空ニ關スル經費等、現下ノ
時局ニ顧ミ緊要ナル經費ヲ計上致シタノデ
アリマス、尙地方財政調整補給金ハ、前年
度ト同樣一億圓ヲ計上シ、又事變ニ伴フ豫
算超過及豫算外支出ノ必要ニ應ズル等ノ
爲、國庫豫備金ヲ三千七百萬圓ダケ增加致
シタノデアリマス、而シテ右以外一般ノ新規
經費ハ、極力之ガ計上ヲ見合セマスルト共
ニ、既定經費ニ付キマシテ一億四千百餘萬
圓ノ節減繰延ヲ行フコトト致シタノデアリ
マス、昭和十三年度豫算ニ於ケル歲入ノ不
足ハ公債財源ニ依ルコトト致シタノデア
リマスルガ、其ノ公債發行豫定額ハ總額
六億九千四百餘萬圓デアリマシテ、之ニ
朝鮮總督府、帝國鐵道、通信事業ノ各特
別會計ニ於テ、其ノ歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲發行スル豫定ノ公債、合計一億六
千六百餘萬圓ヲ加ヘマスルナラバ、其ノ
總額ハ八億六千餘萬圓ト相成リ、之ヲ前年度
改算豫算上ノ公債發行豫定額ニ比較致シマ
スルニ、一億九百餘萬圓ヲ減少スルコトト相
成ルノデアリマス、右政府提出ノ豫算案ニ付
キマシテハ、衆議院ニ於テ政府提出案ノ通リ
可決セラレタ次第デアリマス、尙事變關係ノ
軍事費ニ付キマシテハ、追テ臨時軍事費特
別會計ノ追加豫算ヲ提出致シ、必要ナル經
費ノ協贊ヲ求ムル豫定デアリマス、租稅制
度ノ中央及地方ヲ通ズル全般的改正ニ付キ
マシテハ、政府ニ於キマシテモ豫テヨリ其
ノ必要ヲ認メ、調査ヲ進メテ參ックノデアリ
マスルガ、偶〓支那事變勃發致シマシテ、稅
制ノ基礎トナルベキ經濟事情、及ビ國民ノ
負擔力ニ相當ノ變化ヲ生ジツヽアリマスル
ノデ、之ヲ一應見合セルコトト致シ、追テ
經濟上ノ事情ノ安定ヲ見マシタル際、其
ノ改正ヲ斷行致ス積リデアリマス、併シナ
ガラ部分的ノ事項ニ付キマシテハ、此ノ際
一部ノ改正ヲ行フコトヲ適當ト認メマシテ、
本議會ニ其ノ改正法律案ヲ提出致シタ次第
デアリマス、尙臨時軍事費ノ財源ハ、大部
分之ヲ公債ニ依ルノ方針デアリマスルガ、
其ノ一部ハ銃後ノ奉公ト致シマシテ、廣ク
國民ニ於テ租稅ヲ以テ之ヲ負擔スルコトガ
適當デアルト認メラレマスノデ、現下ノ事
態ニ應ズル臨時的增稅案ヲ、本議會ニ提出致
シマシタ次第デアリマス、增稅ニ當リマシ
テハ、比較的擔稅力アリト認メラレマス方
面ニ對シ增稅ヲ致スコトト致シマシテ、
國民ノ負擔力ニ適應セシムルコトニ努メマス
ルト共ニ、事變ノ影響等ニ因リマシテ著シ
ク收益ヲ減少致シマシタ者ノ負擔ヲ輕減セ
シムルコトガ必要デアルト認メマシテ、其
ノ臨時的措置ヲ講ジタイト存ジテ居ル次第
デアリマス、次ニ此ノ機會ニ、事變下ニ於
ケル我ガ國經濟界ノ現狀ニ付キマシテ一言
申上ゲタイト思ヒマス、今囘ノ事變ニ處ス
ル經濟政策ニ付キマシテハ、政府ハ曩ニ第
七十一囘、及第七十二囘帝國議會ニ於テ、
必要ナル法律ノ協贊ヲ得テ之ヲ施行致シマ
スルト共ニ、其ノ他各般ノ措置ヲ講ジテ參ッタ
ノデアリマス、幸ニシテ是等ノ施設ハ、國
民ノ理解アル協力ノ下ニ所期ノ效果ヲ收メ
マシテ、我ガ經濟界ハ事變ノ擴大セルニ拘
ラズ、貿易、產業、金融、爲替、物價等各
方面トモニ、大體ニ於テ此ノ事變下ト致シ
マシテハ、順調ナル經過ヲ迪ッテ居ルノデア
リマシテ、邦家ノ爲誠ニ喜バシク存ズル次第
デアリマス、金融界ノ情況ニ付申述ベマス
ルニ、事變ノ當初ニ於キマシテハ、一時金
融ハ相當引締リノ狀態ヲ呈シタノデアリマ
スルガ、政府資金ノ支拂ノ進捗ト、各種ノ
方策ノ實施トニ依リ、金融ノ基調ハ次第ニ
緩和セラレテ參ッタノデアリマス、殊ニ昨年
末ニ於ケル資金ノ移動ハ、近年稀ニ見ル繁
忙ヲ呈シタノデアリマスルガ、極メテ平穩
裡ニ經過致シ、越年後ノ情況モ至極順調デ
アリマシテ、今後ニ於キマシテモ金融ハ、引
續キ圓滑ニ推移致スモノト考ヘテ居ルノデ
アリマス、尙起債市場ニ於キマシテモ、最
近金融情勢ノ緩和ニ伴ヒマシテ、其ノ再開
ノ機運ガ熟シテ參リ、旣ニ一部社債ニ付テ
ハ其ノ發行ノ決定ヲ見ルニ至リマシタガ、
政府ト致シマシテハ、今後ニ於ケル起債界
ノ堅實ナル伸暢ヲ期待致シテ居ルノデアリ
マス、國防產業其ノ他時局ニ顧ミ、緊要ナル
產業ノ生產力擴充ニ付キマシテハ、臨時資
金調整法ノ運用上特ニ留意致シマスルト共
ニ、是等事業資金ノ供給ニ付キマシテモ、
政府資金ヲ以テスル興業債劵ノ引受其ノ他
ノ方策ニ依リ、其ノ潤澤ナルヲ期シテ居ル
ノデアリマス、今後ニ於キマシテモ、政府
ハ貯蓄ヲ奬勵シテ資本ノ蓄積ヲ圖リ、又臨
時資金調整法ノ適切ナル運用ニ依リマシテ、
是等事業資金ノ需給關係ヲ一層圓滑ナラシ
ムル方針デアリマス、尙政府ハ庶民金融ノ
整備改善ヲ圖ル爲、本議會ニ庶民金庫法案、
恩給金庫法案及無盡業中中改正法律案ヲ提
出致シタ次第デアリマス、公債ノ圓滑ナル消
化ヲ圖ルコトハ、是ガ多額ノ發行ヲ必要ト
スル此ノ際、財政上ヨリスルモ國民經濟上
ヨリスルモ、極メテ重要ノコトト考へマス、
政府ハ之ガ爲預金部資金其ノ他政府關係資
金ノ運用ニ付キマシテ、特ニ考慮ヲ廻ラス
ト共ニ、廣ク民間各種金融機關、其ノ他一
般國民ノ國家的見地ニ立ツ協力支援ヲ要望
致シテ居ル次第デアリマス、尙昨年實施致
シマシタ公債ノ民衆化、卽チ郵便局ノ賣
出及割增金附貯蓄債劵ノ賣出ハ好成績ヲ
收メタノデアリマスルガ、今後ニ於テモ
時々之ヲ行ヒマスルト共ニ、又銀行預金
其ノ他ニ依ル貯蓄ヲ奬勵シテ、一般國民ノ
貯蓄心ノ涵養、公債保有ノ慣習ヲ養成致
シ、他面金融機關ノ公債消化力ノ增進ニ
努メ、以テ今後ニ於ケル公債ノ發行ニ遺憾
ナキヲ期シテ居ルノデアリマス、國際收支
ノ適合ヲ圖リ、爲替相場ヲ維持安定セシメ
マスルコトハ、時局ニ關シ必要トスル物資
ノ輸入ヲ確保スル上ニ缺クベカラザル要件
デアリマシテ、現下ノ財政經濟政策ノ根幹
ヲ爲スモノデアリマス、事變以來ノ爲替相
場ノ情況ヲ見マスルニ、事變ニ依リ何等ノ
影響ヲ受クルコトナク、對英一志二片ノ水
準ハ微動ダモ致サナカッタノデアリマス、而
シテ爲替相場ハ之ヲ引下ゲマシテモ、目下
ノ情勢ノ下ニ於キマシテハ、國際收支ノ改
善ニ資スルコトヲ得ナイバカリデナク、却
テ經濟界ノ混亂ヲ惹起シ、各種ノ障碍ヲ惹
キ起スノ虞ガアルノデアリマス、此ノ意味
ニ於キマシテ政府ハ今後トモ引續キ、此ノ
爲替水準ヲ堅持スル方針デアリマスルノデ、
之ガ爲ニ國際收支ノ全體ニ付調整計畫ヲ樹
立シ、一層輸出ノ振興、產金ノ奬勵ヲ圖リ、
尙一般物資ノ輸入ノ調整、貿易外支拂勘定
ノ減少、金ノ利用節約等ノ方策ノ徹底ニ努
メマスルト共ニ、是等ニ依リマシテ、國際
收支ノ適合ヲ期スルニ萬全ノ用意ヲ致ス積
リデアリマス、次ニ事變勃發後ニ於ケル我
ガ國物價ノ情況ヲ見マスルニ、一般ニハ未
ダ著シキ騰貴ヲ致シテ居ラナイノデアリマ
ス、是ハ主トシテ海外ニ於ケル物價ガ低落
ノ傾向ニアリマシタノト、國民ノ間ニ消費
節約ガ行ハレマシタコト等ニ基クモノト認
メラレルノデアリマス、併シナガラ今後事
變費關係政府資金ノ撒布ガ多キヲ加へ、又
輸入貿易調整ノ進行ニ伴ヒマシテ、物價問
題ハ其ノ重要性ヲ加フルニ至ルモノト考ヘ
ラレマスルノデ、之ガ對策ニ付テハ特ニ愼
重ヲ期シ、以テ適正ナル物價ノ保持ニ努ム
ル必要ガアルモノト考へルノデアリマス、
物價對策ノ基本ハ申ス迄モナク、物資需給
ノ調整ヲ圖ルニアルノデアリマスルカラ、
政府ハ軍需關係ノ物資、其ノ他重要物資ニ
付、其ノ需給ノ情況ヲ考ヘ、生產ノ增加
ヲ圖リ、又消費ノ制限、代用品ノ使用等ノ
徹底ヲ期スルト共ニ、是等物資ノ配給ニ付
テモ、諸般ノ方策ヲ講ズル積リデアリマス、
尙政府ハ是等ト共ニ賣惜、買占ヲ戒シメ、
投機ヲ抑制シ、暴利ノ取締ヲ嚴ニ致ス方針
デアリマスガ、更ニ現在一部物品ニ付實施
致シテ居リマスル最高價格制ノ範圍ヲ、必
要ニ應ジ擴張スル等、直接物價ヲ調整スル
方面ニ於テモ、對策ニ付遺憾ナキヲ期スル
方針デアリマス、而シテ是等物價對策ハ、
根本ニ於テ國民ノ自省ヲ俟ツニアラズンバ、
到底所期ノ成果ヲ收ムルコトガ出來ナイノ
デアリマスルカラ、此ノ點ニ於テ國民ノ眞
摯ナル協力ヲ特ニ切望致ス次第デアリマス、
最近我ガ國ノ經濟力ハ著シキ發展ヲ致シテ
居ル次第デアリマスガ、今後ノ持久戰ニ備
フル爲ニハ、益〓其ノ擴充ヲ圖リ、之ヲ軍事
目的遂行ニ集中スル必要ガアルノデアリマ
ス、而シテ此ノ經濟力ノ擴充及集中ヲ最モ
效果的ナラシメ、而モ國民經濟ノ維持ニ支
障ナカラシムル爲ニハ、生產力ノ擴充、國
際收支ノ適合及物資需給ノ調整ノ觀點ヨリ、
政府及民間ヲ通ズル國家全體ノ經濟活動ニ
付計畫性ヲ與フル必要ガ愈。緊切トナッタ
ノデアリマス、政府ハ各種具體策ノ考究ヲ
進メ、之ガ實行ヲ期シテ居ル次第デアリマ
スガ、其ノ過程ニ於テハ各方面ニ種々ノ摩
擦ガ生ズルコトハ避ケ難イ所ト考ヘルノデ
アリマス、此ノ點ニ付キマシテハ、政府ニ
於テモ極力善處致ス積リデアリマスルガ、
事變ノ目的達成ノ爲、一般國民ニ於テモ右
ハ國家ノ發展途上ニ於ル一大試鍊トシテ、
進ンデ此ノ困難ヲ克服スル堅キ心構ヲ必要
ト致スノデアリマス、我ガ國ノ經濟事情ヲ
詳ニセザル諸外國ノ中ニハ、支那事變勃發
後我ガ國經濟力ノ持久性ニ付キマシテ、
懸念ヲ致シテ居ルト云フ向モアッタノデア
リマスルガ、其ノ豫想ニ反シ、我ガ經濟界
ハ諸君御承知ノ通リ、事變以來聊カモ動搖
スルコトナク、極メテ平靜堅實ニ運行セラ
レツヽアルノデアリマス、私ハ國民ガ愛國
ノ至情ヨリ堅忍不拔、以テ事變終局ノ目的
貫徹ニ努力セラルヽコトヲ信ジテ疑ハナイ
ノデアリマシテ、我ガ充實セル經濟力ニ加
フルニ、此ノ國民ノ一致協力ヲ以テ致シマ
スルナラバ、事變ガ如何ニ長期ニ互ル場合
ニ於テモ、毫モ憂慮ノ要ナキモノト確信致
ス次第デアリマス、終リニ臨ミマシテ政府
提出ノ豫算案ニ付キマシテハ、何卒速カニ
協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希望致ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=8
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009・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 是ヨリ豫算
委員會及昭和十二年法律第九十二號中改正
法律案特別委員會開會ノ爲、委員退席ノ要
求ガゴザイマシタ、之ヲ許可致シテ御異議
ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=9
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010・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=10
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011・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 國務大臣ノ
演說ニ對シ質疑ノ通告ガゴザイマスガ、此
ノ際日程ニ移リ、日程終了後ニ質疑ノ發言
ヲ許シタイト存ジマス、御異議ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=11
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012・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=12
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013・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程第一、
商業組合法中改正法律案、政府提出、第
讀會、吉野商工大臣
〔左ノ提出文及法律案ハ朗讀ヲ經
サルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス以下
之ニ倣フ〕
商業組合法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十三年二月九日
內閣總理大臣公爵近衞文麿
商工大臣吉野信次
商業組合法中改正法律案
商業組合法中左ノ通改正ス
第三條第二項中「資金ノ貸付」ノ下ニ「、組
合員ノ爲ニスル其ノ營業上ノ債務ノ保證」
アルター
第三條ノ二商業組合ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ行政官廳ノ許可ヲ受ケ其ノ組合
員ノ取扱商品ニ付商品劵ヲ發行スルコ
トヲ得
第三條ノ三商業組合商品劵ヲ發行シタ
ルトキハ組合員ハ之ニ對シ其ノ取扱商
品ニ付引換ノ義務ヲ負フ
第三條ノ四商業組合商品劵ヲ發行シタ
ル場合ニ於テ其ノ組合員商品劵ノ引換
ヲ爲スコト能ハザルトキ又ハ其ノ引換
ヲ停止シタルトキハ其ノ商業組合ハ商
品劵ノ所有者ニ對シ劵面ニ表示シタル
金額ヲ限度トシテ辨濟ノ責ヲ負フ
第三條ノ五商品劵ヲ發行シタル商業組
合自ラ商品ヲ販賣スル場合ニ於テ前三
條中組合員トアルハ組合及組合員トス
第三條ノ六保管事業ヲ行フ商業組合ハ
行政官廳ノ許可ヲ受ケ組合員ノ寄託物
ニ付倉荷證劵ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ許可ヲ受ケタル商業組合ハ組合
員タル寄託者ノ請求ニ因リ寄託物ノ倉
荷證劵ヲ交付スルコトヲ要ス
商法第三百八十三條ノ二第二項及第三
百八十三條ノ三ノ規定ハ第一項ノ倉荷
證劵ニ之ヲ準用ス
第三條ノ七前條第一項ノ許可ヲ受ケタ
ル商業組合ノ作成スル倉荷證劵ニハ商
業組合倉庫證劵ナル文字ヲ記載スルコ
トヲ要ス
商業組合ニ非ザル者ノ作成スル預證劵
及質入證劵又ハ倉荷證劵ニハ商業組合
倉庫證劵ナル文字ヲ記載スルコトヲ得
ズ
第三條ノ八商業組合倉庫證劵ノ發行ア
リタル寄託物ノ保管期間ハ寄託ノ日ヨ
リ六月以內トス
前項ノ寄託物ノ保管期間ハ六月ヲ限度
トシ之ヲ更新スルコトヲ得但シ更新ノ
際ニ於ケル證劵ノ所持人組合員ニ非ザ
ルトキハ組合員ノ利用ニ支障ナキ場合
二郎九ノ
第三條ノ九商法第三百七十五條乃至第
三百七十八條及第三百八十一條乃至第
三百八十三條ノ規定ハ商業組合ガ商業
組合倉庫證劵ヲ發行シタル場合ニ之ヲ
準用ス
第五條中「ノ一部」ヲ削ル
第七條中「行フ場合ニ於テハ」ノ下ニ「總
會ノ議決ヲ經テ」ヲ加フ
第七條ノ二商業組合前條ノ規程ニ基キ
販賣價格、販賣數量其ノ他命令ノ定ム
ル事項ニ付決定ヲ爲シタルトキハ遲滯
ナク之ヲ行政官廳ニ屆出ヅベシ
行政官廳必要アリト認ムルトキハ前項
ノ決定ノ變更又ハ取消ヲ爲スコトヲ得
第八條中「又ハ矯正スル爲」ヲ「若ハ矯正
スル爲又ハ商業ノ健全ナル發達ヲ圖ル
爲」ニ改ム
第九條中「又ハ矯正スル爲」ヲ「若ハ矯正
スル爲又ハ商業ノ健全ナル發達ヲ圖ル
爲」ニ改ム
第九條ノ二前條ノ規定ニ依ル命令アリ
タル場合ニ於テ行政官廳取締上必要ア
リト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ店舗、
倉庫其ノ他ノ場所ニ臨檢シ物品、帳
簿其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ
得
前項ノ場合ニ於テ當該官吏前條ノ規定
ニ依ル命令ニ違反シタル者アリト認ム
ルトキハ被疑者若ハ參考人ヲ尋問シ
又ハ犯罪ノ事實ヲ證明スベキ物件ヲ捜
索シ若ハ之ガ差押ヲ爲スコトヲ得
臨檢、尋問、搜索及差押ニ關シテハ間
接國稅犯則者處分法ヲ準用ス
第九條ノ三第九條ノ規定ニ依ル命令ア
リタル場合ニ於テ特ニ必要アリト認ム
ルトキハ其ノ命令ノ效力ヲ有スル期間
ヲ限リ當該商業組合ノ地區內ニ於テ新
ニ當該商業ヲ營マントスル者ヲシテ命
令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ許可ヲ
受ケシムルコトヲ得
第十二條第一項但書中「二以上アルトキ
ハ」ノ下ニ「命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除ク
ノ外」ヲ加フ
第十三條但書中「二以上アルトキハ」ノ下
ニ「命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外」ヲ
加フ
第十四條第一項但書ヲ削リ同項ノ次ニ左
ノ一項ヲ加フ
前項ノ代理人ハ設立同意者タルコトヲ
要ス但シ法人タル設立同意者ハ其ノ業
務ヲ執行スル役員又ハ支配人ヲ代理人
ト爲スコトヲ得
第十五條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ第十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業組
合ニ在リテハ第七號乃至第九號、第二
十七號ノ二ノ規定ニ依ル商業組合ニ在
リテハ第六號乃至第九號及第十五號ニ
揭ゲタル事項ハ之ヲ記載スルコトヲ要
セズ
第十五條ノ二商業組合ハ設立ノ認可ア
リタル時又ハ第二十七條ノ二第二項ノ規
定ニ依リ定款ノ作成アリタル時成立ス
第十六條商業組合ハ出資ノ第一囘ノ拂
込アリタル後二週間以内ニ各事務所ノ
所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ但
シ第十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業組合
又ハ第二十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業
組合ニ在リテハ其ノ成立後二週間以内
ニ之ヲ爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ但シ第十七條
ノ二ノ規定ニ依ル商業組合ニ在リテハ
第三號及第四號ニ揭ゲタル事項竝ニ第
十五條第七號ニ揭ゲタル事項、第二十
七條ノ二ノ規定ニ依ル商業組合ニ在リ
テハ第三號及第四號ニ揭ゲタル事項竝
ニ第十五條第七號及第十五號ニ揭ゲタ
ル事項ハ之ヲ登記スルコトヲ要セズ
一第十五條第一號乃至第三號、第七
號及第十五號ニ揭ゲタル事項
二事務所
三出資ノ總口數及拂込ミタル出資ノ
總額
四第十九條ノ規定ニ依ル商業組合ニ
在リテハ各組合員ノ氏名又ハ名稱、
住所及保證金額
五成立ノ年月日
六理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭ゲタル事項中ニ變更ヲ生ジタ
ルトキハ其ノ登記ヲ爲スベシ但シ前項
第三號ニ揭ゲタル事項ニ付テハ每事業
年度末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後
一月以內ニ登記ヲ爲スコトヲ得
第十七條ノ二第三條第一項第一號及第
二項竝ニ第三條ノ二ノ事業ヲ行ハザル
商業組合ニ在リテハ定款ノ定ムル所ニ
依リ組合員ヲシテ出資ヲ爲サシメザル
モノト爲スコトヲ得
第十七條ノ三行政官廳當該商業ノ統制
ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ
前條ノ規定ニ依ル商業組合ノ地區內ニ
於テ其ノ組合ノ組合員ニ非ズシテ組合
員タル資格ヲ有スル者ニ對シ其ノ組合
ニ加入スベキコトヲ命ズルコトヲ得但
シ其ノ組合ノ組合員數ガ其ノ組合ノ地
區內ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者
ノ數ノ三分ノ二以上ナル場合ニ限ル
前項ノ規定ニ依ル命令アリタルトキハ
其ノ組合ノ地區內ニ於テ組合員タル資
格ヲ有スル者ハ總テ其ノ組合ノ組合員
トス
第一項ノ規定ニ依ル命令アリタル商業
組合ハ合併ヲ爲スコトヲ得ズ
第二十一條第二項及第三項ヲ左ノ如ク改
ム
理事及監事ハ總會ニ於テ組合員又ハ組
合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ
中ヨリ之ヲ選任ス但シ組合設立當時ノ
理事及監事ハ創立總會ニ於テ第十二條
第一項ノ場合ニ在リテハ設立同意者又
ハ設立同意者タル法人ノ業務ヲ執行ス
ル役員ノ中ヨリ、第二十七條ノ三第一
項ノ場合ニ在リテハ組合員タル資格ヲ
有スル者又ハ組合員タル資格ヲ有スル
法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ之
ヲ選任スベシ
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ
前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スル
コトヲ得此ノ場合ニ於ケル選任ハ行政
官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效
力ヲ生ゼズ
第二十一條ノ二第三條第一項第二號ノ
事業ヲ行フ商業組合ニシテ全國ヲ地區
トスルモノ、第九條若ハ第十七條ノ三
第一項ノ規定ニ依ル命令アリタル商業
組合又ハ第二十七條ノ二ノ規定ニ依ル
商業組合ノ理事ノ選任及解任ハ行政官
廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力
ヲ生ゼズ
組合ガ前項ノ規定ノ適用ヲ受クルニ至
リタル場合ニ於テ現ニ其ノ職ニ在ル理
事ハ其ノ選任ニ付前項ノ規定ニ依ル認
可ヲ受ケタルモノト看做ス
第一項ニ揭ゲタル組合ノ理事ノ選任ニ
付テハ前條第三項ノ規定ニ依ル認可ヲ
受クルコトヲ要セズ
第二十二條ノ二組合員ハ代理人ヲ以テ
議決權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テ
ハ之ヲ出席ト看做ス
前項ノ代理人ハ組合員タルコトヲ要ス
但シ法人タル組合員ハ其ノ業務ヲ執行
スル役員又ハ支配人ヲ代理人ト爲スコ
トヲ得
代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ組合ニ
差出スベシ
第二十三條第一項中「ノ一部」ヲ削ル
第二十六條中「又ハ定款」ヲ「、定款又ハ
第七條ノ規程」三人人
第二十七條第四號ヲ第五號トシ同條第三
號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
四第三條ノ二又ハ第三條ノ六第一項
ノ許可ノ取消
第二十七條ノ二行政官廳當該商業ノ統
制ヲ圖リ國民經濟ノ健全ナル發達ヲ期
スル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ命
令ノ定ムル所ニ依リ地區及組合員タル
資格ヲ定メ其ノ地區內ニ於テ組合員タ
ル資格ヲ有スル者ニ對シ商業組合ノ設
立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル
者行政官廳ノ指定スル期限迄ニ設立ノ
認可ヲ申請セザルトキハ行政官廳ハ定
款ノ作成其ノ他設立ニ關シ必要ナル處
分ヲ爲スコトヲ得
第二十七條ノ三前條第一項ノ規定ニ依
リ商業組合ノ設立ヲ命ゼラレタルトキ
ハ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル
事項ヲ定メ役員ヲ選任シ設立ノ認可ヲ
申請スベシ
前項ノ創立總會ニ於ケル議決及役員ノ
選任ハ出席者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ
以テ之ヲ爲ス
第二十七條ノ四行政官廳第二十七條ノ
二第二項ノ規定ニ依リ定款ヲ作成シタ
ルトキハ商業組合ノ理事及監事ヲ命ズ
前項ノ理事ハ遲滯ナク總會ヲ招集スベ
シ
前項ノ總會ニ於テハ組合設立當時ノ經
費ノ收支豫算及分賦收入方法ヲ議決ス
ベシ
第二十三條第二項ノ規定ハ前項ノ議決
ニ之ヲ準用ス
第二十七條ノ五第二十七條ノ二ノ規定
ニ依ル商業組合ハ第三條第一項第一號
及第二項竝ニ第三條ノ二ノ事業ヲ行フ
コトヲ得ズ
第二十七條ノ六第二十七條ノ二ノ規定
ニ依ル商業組合成立シタルトキハ其ノ
組合ノ地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ
有スル者ハ其ノ組合ノ組合員トス
第二十七條ノ七第二十七條ノ二ノ規定
ニ依ル商業組合ハ其ノ組合員ヲシテ出
資ヲ爲サシムルコトヲ得ズ
第二十七條ノ八第二十七條ノ二ノ規定
ニ依ル商業組合ハ合併ヲ爲スコトヲ得
ズ
第二十九條中「設立セントスルトキ」ノ下
ニ「又ハ第三十二條ノ規定ニ依リ準用シ
タル第二十七條ノ二ノ規定ニ依リ其ノ設
立ヲ命ゼラレタルトキ」ヲ加フ
第三十條ニ左ノ一項ヲ加フ
前二項ノ規定ハ第三十二條ノ規定ニ依
リ準用シタル第二十七條ノ二ノ規定ニ
依ル商業組合聯合會ニ付テハ之ヲ適用
セズ
第三十一條第二項中「受クベシ」ヲ「受ク
ルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ」ニ改
ム
第三十二條中「商業組合ニ關スル規定ハ」
ノ下ニ「第三條ノ二乃至第三條ノ五、第
九條ノ三及」ヲ加ヘ同條但書ヲ左ノ如ク
改ム
但シ第三條、第三條ノ六及第三條ノ八
中組合員トアルハ所屬ノ組合、聯合會
及組合員トシ第二十一條ノ二中全國ト
アルハ道府縣ノ區域ヲ超ユル區域トス
第三十三條第二項中「、總會又ハ創立委員
會ノ決議錄」ヲ「又ハ總會ノ決議錄ノ謄
本、組合ノ設立アリタルコトヲ證スル書
面」ニ改メ同項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ第二十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業
組合ニシテ行政官廳ノ處分ニ因リテ成
立シタルモノニ在リテハ創立總會又ハ
總會ノ決議錄ノ謄本、出資ノ總口數ヲ
證スル書面及出資ノ第一囘ノ拂込アリ
タルコトヲ證スル書面、第二十七條ノ
二ノ規定ニ依ル商業組合ニシテ行政官
廳ノ處分ニ因ラズシテ成立シタルモノ
又ハ第十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業組
合ニ在リテハ出資ノ總口數ヲ證スル書
面及出資ノ第一囘ノ拂込アリタルコト
ヲ證スル書面ハ之ヲ添附スルコトヲ要
セズ
第三十七條中「第三十五條乃至第三十七
條」ヲ「第三十五條、第三十六條」三段六、
「第百四條ノ規定」ノ下ニ「(第十七條ノ二
ノ規定ニ依ル商業組合ニシテ第十七條ノ
三第一項ノ規定ニ依ル命令アリタルモノ
ニ付テハ產業組合法第十條、第十一條第
一貫、第十二條、第十八條乃至第二十二
條、第四十條乃至第四十三條、第四十四
條、第二項、第四十五條、第四十六條、
第四十八條、第五十一條第三號乃至第五
號第五十二條乃至第五十八條、第六十
二條第一項第三號、第六十三條ノ二、第
六十四條、第六十六條第一項、第六十七
條、第六十八條及第七十七條第三項ノ規
定ヲ、其ノ他ノモノニ付テハ產業組合法
第十一條第一項、第十二條、第十八條乃至
第二十二條、第四十條乃至第四十三條、第
四十四條第二項、第四十五條、第四十六
候、第四十八條、第五十三條乃至第五十
八條、第六十二條第二項但書、第六十
八條及第七十七條第三項ノ規定ヲ、第二
十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業組合ニ付テ
ハ產業組合法第十條、第十一條第一項、
第十二條、第十八條乃至第二十二條、
第四十條乃至第四十三條、第四十四條
第二項、第四十五條、第四十六條、第
四十八條、第五十一條第三號乃至第五
號第五十二條乃至第五十八條、第六十
二條第一項第一號第三號、第六十三條ノ
ニ、第六十四條、第六十六條第一項、第
六十七條、第六十八條及第七十七條第三
項ノ規定ヲ除ク)」ヲ加フ
第三十七條ノ二左ノ場合ニ於テハ商業
組合ノ理事、監事又ハ〓算人ヲ十圓以
上千圓以下ノ過料ニ處ス
第三條ノ二ノ規定ニ違反シ行政官
廳ノ許可ヲ受ケズシテ又ハ第二十七
條第四號ノ規定ニ依ル處分ニ違反シ
テ商品劵ヲ發行シタルトキ
二第三條ノ六ノ規定ニ違反シ行政官
廳ノ許可ヲ受ケズシテ又ハ第二十七
條第四號ノ規定ニ依ル處分ニ違反シ
テ商業組合倉庫證劵ヲ發行シタルト
キ
第三十八條第三號ヲ第四號トシ以下順次
繰下ゲ同條第二號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
三本法ニ依ル屆出ヲ爲スコトヲ怠リ
又ハ不正ノ屆出ヲ爲シタルトキ
第三十九條中「第四條第二項」ノ下ニ「(第
三十二條ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含
ム)」ヲ加フ
第四十條中「前二條」ヲ「前三條」ニ改ム
第四十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第九條ノ規定(第三十二條ノ規定
ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)二九九,
行政官廳ノ命令ニ違反シタル者
二第九條ノ三ノ規定ニ依ル行政官廳
ノ命令ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ商
業ヲ營ミタル者
商業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、
同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ
營業ニ關シ前項ノ罪ヲ犯シタルトキ
ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ
其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十二條ノ二正當ノ理由ナクシテ第
九條ノ二ノ規定(第三十二條ノ規定ニ
依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル當該
官吏ノ臨檢、檢査、搜索又ハ差押ヲ拒
ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ五百圓以
下ノ罰金ニ處ス
第四十三條中「五百圓」ヲ「千圓」ニ改ム
第四十七條商業組合中央會ハ商業組合
及商業組合聯合會ノ普及、發達及聯絡
ヲ圖ル目的ヲ以テ之ヲ設立スルコト
ヲ得
商業組合中央會ハ法人トス
第四十八條商業組合中央會ハ其ノ名稱
中ニ商業組合中央會ナル文字ヲ用フベ
第四十九條商業組合中央會ハ全國ヲ通
ジテ一箇トシ其ノ設立ハ行政官廳ノ認
可ヲ受クベシ
商業組合中央會ノ設立ニ關シ必要ナル
事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十條商業組合及商業組合聯合會ハ
商業組合中央會ノ會員ト爲ルコトヲ得
前項以外ノ者ト雖モ定款ノ定ムル所ニ
依リ商業組合中央會ノ會員ト爲ルコト
ヲ得
第五十一條商業組合中央會ノ定款ニハ
左ノ事項ヲ記載スベシ
-目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四會員ノ加入及脫退ニ關スル規定
五會員ノ權利義務ニ關スル規定
六資產ニ關スル規定
七事業及其ノ執行ニ關スル規定
八役員ニ關スル規定
九會議ニ關スル規定
十存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メ
タルトキハ其ノ時期又ハ事由
第五十二條商業組合中央會設立ノ認可
アリタルトキハ主タル事務所ノ所在地
ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ
一前條第一號、第二號及第十號ニ揭
ゲタル事項
二事務所
三資產ノ總額
四設立認可ノ年月日
五理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭ゲタル事項中ニ變更ヲ生ジタ
ルトキハ其ノ登記ヲ爲スベシ但シ前項
第三號ニ揭ゲタル事項ニ付テハ每事業
年度末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後
二月以內ニ登記ヲ爲スコトヲ得
第五十三條商業組合中央會ニハ理事及
監事ヲ置クベシ
第五十四條商業組合中央會ノ理事及監
事ハ總會ニ於テ會員タル商業組合若ハ
商業組合聯合會ノ理事若ハ監事又ハ第
五十條第二項ノ會員ノ中ヨリ之ヲ選任
ス但シ中央會設立當時ノ理事及監事ノ
選任方法ハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第五十五條第四條第二項、第二十條、
第二十二條、第二十四條、第二十六條、
第二十七條及第三十三條乃至第四十條
ノ規定ハ商業組合中央會ニ之ヲ準用ス
但シ第三十七條ノ規定ニ依リ準用シタ
ル非訟事件手續法第百四十一條竝ニ產
業組合法第十一條第一項、第十二條、
第十八條乃至第二十二條、第四十條乃
至第四十六條、第四十八條、第五十一
條乃至第五十八條、第六十三條ノ二、
第六十四條、第六十六條第一項、第六
十七條、第六十八條、第七十七條第三
項及第七十八條ノ規定ヲ除ク
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一條ノ二第一項(第三十二條ノ
規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ該
當スル商業組合又ハ商業組合聯合會ノ
理事ニシテ本法施行ノ際現ニ其ノ職ニ
在ル者ハ其ノ選任ニ付同條ニ依リ認可
ヲ受ケタルモノト看做ス
登錄稅法第十九條第七號中「商業組合
聯合會、」ノ下ニ「商業組合中央會、」ヲ
加フ
〔國務大臣吉野信次君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=13
-
014・吉野信次
○國務大臣(吉野信次君) 今只議題トナリ
マシタ商業組合法中改正法律案ノ提案理由
ヲ御說明致シマス、我ガ國ノ中小商業者ノ
疲弊困憊ノ由ッテ來ル原因ハ色々アラウト
存ジマスルガ、業者自身ノ經營ノ不合理、
業界ノ無統制ニ因ルコトモ少クナイノデア
リマシテ、是等ニ基ク諸種ノ弊害ハ商業組
合制度ノ發達ニ依リマシテ漸次改善セラレ
ツヽアルノデアリマス、併シナガラ現行ノ
制度ハ尙其ノ事業活動ノ範圍竝ニ統制確保
ノ方法ニ付キマシテ遺憾ノ點ガアリマスノ
デ、之ガ整備ヲ圖ル必要ガアリマス、殊
第七十一議會ニ於キマシテ、ソレ〓〓御協
贊ヲ得マシテ、貿易組合法ヲ制定シ、工業
組合法ヲ改正シ、以テ貿易統制ノ確立ト、
之ニ對應スル關係工業者方面ノ統制確保ヲ
圖ッタノデアリマス、ソコデ右ニ關聯致シマ
シテ配給業者タル商業者ノ方面ニ於キマシ
テモ、綜合的ノ統制ヲ圖ルニ適當ナル組織
ヲ必要ト致スノデアリマス、仍テ此ノ際商
業組合法中一部ノ改正ヲ行ヒマシテ、右ノ
色々ナ事情ニ鑑ミマシテ、商業組合ノ事業
範圍竝ニ其ノ統制機能ヲ擴充致シマスルト
共ニ、統制確保ノ方法ヲ講ジ、之ニ伴ッテ商
業組合ニ對スル監督規定ヲ補充致シマスル
外、商業組合ノ中樞的ノ指導機關デアリマ
スル商業組合中央會ノ制度ヲ法制上認メル
コトニ致シタイ、サウ云フヤウナ色々ナ點
カラ商業組合制度ヲ整備致シタイト存ズル
ノデアリマス、是ガ本案ノ提案ノ理由デゴ
ザイマスノデ、何卒十分御審議ノ上、御協
贊ヲ與ヘラレムコトヲス布望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=14
-
015・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御質疑ガナ
ケレバ、本案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サ
セマス
〔丸龜書記官朗讀〕
商業組合法中改正法律案特別委員
侯爵嵯峨公勝君子爵植村家治君
子爵增山正興君男爵飯田精太郞君
三浦新七君有賀光豐君
森平兵衛君大和田健三郞君
出光佐三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=15
-
016・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程第二、
第三及第五ハ同一委員ニ付託セラレタ議案
デアリマスルカラ、日程ノ順序ヲ變更シテ
三案ヲ一括シテ議題ト爲スコトニ御異議ゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=16
-
017・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=17
-
018・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程第二、
商法中改正法律案、日程第三、商法中改正
法律施行法案、日程第五、有限會社法案、
政府提出、第一讀會ノ續、委員長報告、委
員長大隈侯爵
〔左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參
照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ倣
フ〕
商法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十三年二月十日
委員長侯爵大隈信常
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
商法中改正法律施行法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十三年二月十日
委員長侯爵大隈信常
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
有限會社法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十三年二月十日
委員長侯爵大隈信常
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔侯爵大隈信常君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=18
-
019・大隈信常
○侯爵大隈信常君 只今上程ニナリマシタ
三法律案中、商法中改正法律案ハ去ル第七
十囘ノ帝國議會ノ際ニ本院ニ於キマシテ愼
重審議ヲ重ネマシタル上、原案ニ二三ノ修
正ヲ加ヘマシテ可決致シマシタコトハ、旣
ニ諸君ノ御承知ノ通リデアリマス、而シテ
今囘ノ政府提出案ニ付キマシテハ、右本院
ニ於キマシテ修正ヲ加へタ所ヲ尊重致サレ
マシテ、原案ニ之ヲ取入ラレテ居ルノデア
リマス、又其ノ外ニ二三前囘ノ案ニ變更ヲ
加ヘラレテ居ル箇所モアリマス、併シナガ
ラ是等ハ比較的輕微ナ點デゴザイマス、扨
本法律案ハ商法第一編ノ總則及第二編ノ會
社ニ付キマシテ、全般的ノ改正ヲ試ミタモ
ノデアリマシテ、或ハ現行規定ヲ補充シ、
又ハ變更シタルモノ、或ハ全然規定ヲ新設
シタルモノ等ガ寳ニ多岐ニ亙ッテ居ルノデ
アリマス、其ノ內容ニ付キマシテハ、旣
第七十議會ノ際ニ十分檢討ヲ致シマシタノ
デアリマシタガ、尙今囘モ更ニ審議ヲ加へ
マシテ、試ニ適切且有力ナル法典トシテ之
ヲ歡迎スベキモノト委員會ニ於テ認メク次
第デアリマス、次ニ商法中改正法律施行法
案ハ、商法改正ニ伴ヒマシテ新舊法ノ調和
ヲ圖ル爲ノ經過規定、竝ニ新法ヲ施行スル
上必要ナル補充規定ヲ包含シテ居ルモノ
デアリマシテ、是亦愼重ニ審議ヲ致シマシ
タ結果、誠ニ適切且必要ナル法律デアリマ
スト云フコトヲ認メタ次第デアリマス、次
ニ有限會社法案ニ付キマシテハ、本法案ハ
商法ニ規定シテ居リマス所ノ四ツノ種類ノ
會社以外ニ、別箇ノ新ラシイ會社ノ制度ヲ
創設シタ所ノモノデアリマス、其ノ重要性
ニ鑑ミマシテ、委員會ニ於キマシテハ小委員
會ヲ設ケマシテ、精査スルコトガ最モ適當ト
考ヘマシタ故ニ、山岡萬之助君外八名ノ委
員ヲ小委員ニ選定致シマシテ、審査スル
コトニ致シタ次第デアリマス、而シテ右小
委員會ハ山岡萬之助君ヲ委員長ニ致サレ
テ、熱心ニ會議ヲ重ネラレ、政府ヨリ周到
綿密ナル說明ヲ聽取サレマシテ、銳意且
愼重ニ審議ヲ重ネラレタ結果、特別委員會
ニ於テ小委員會ノ決議ノ結果ヲ委員長ヨリ
御報〓ヲ受ケタノデアリマス、其ノ詳細ナ
ルコトハ速記錄ニ總テ讓ルコトニ致シタイ
ト存ジマスガ、尙其ノ中ノ重要ナル事項ヲ
一二玆ニ御紹介申上ゲタイト思ヒマス、卽
チ其ノ第一ハ有限會社ノ制度ヲ新タニ認メ
タ所ノ必要、竝ニ實益ニ付テ質問ガアッタ
ノデアリマスガ、之ニ對シマシテハ政府ハ
有限會社ハ有限責任ヲ負擔スルト云フコト
ニ於キマシテ、全ク株式會社ト同樣デアリ
マスケレドモ、社員ノ數ガ比較的少數デア
ル、而モ其ノ社員ガ互ニ相信賴スルモノデ
アル、且ツ又社員ノ移動ヲ努メテ制限ヲス
ル點ニ於キマシテハ、合名會社ノ色彩ヲ帶ブ
ルモノデアリマスガ故ニ、斯樣ナ特殊ノ會
社ガ營業上ノ企業組織トシテハ誠ニ手頃デ
アリ、又便利デアルト云フ關係カラ、旣
是迄モ多數ノ外國ニ於キマシテハ是認セラ
レテ居リ、ソレ〓〓十分ニ其ノ實績ヲ擧
ゲテ居リマスモノデアリマス、又我ガ國ニ
於キマシテモ、以前ヨリ實業界ノ熱心ナル
希望ガアッタガ爲ニ、今囘商法中改正法律
案ニ於テ會社編ヲ全般的ニ改正ヲ試ミマス
ト同時ニ、右ノ要求ニ順應スル爲ニ、此ノ
有限會社法案ト云フモノヲ提出シタノデア
ルト云フ御話デアリマス、第二ニハ有限會
社ニ付テ何等弊害ヲ生ズル虞ハナイカト云
フ點ニ付キマシテノ御質問デアリマスガ、
之ニ對シマシテハ、致府ハ有限會社ハ株式
會社ニ比シテ其ノ組織ガ單純デアル爲ニ、
其ノ設立モ比較的容易デアリマスガ、特ニ
此ノ法案ニ於キマシテハ出資ハ其ノ全額、
又現物出資ガアッタ場合ニハ其ノ全部ヲ設
立手續中ニ拂込ンデ、又給付スベキコトヲ
强制シテ居ル、且出資未濟ノモノガアリマ
シタ時、又現物出資等ノ評價ガ過當デアリ
マス時ニハ、全員ハ之ガ塡補ニ付テ連帶ノ
責ヲ負フト云フコトニナッテ居リマシテ、
此ノ資本增加ノ場合ニモ同樣デアリマス、
卽チ會社ノ基礎ヲ鞏固ニスルニ付キマシテ
ハ、十分ノ注意ヲ拂ッテ居ルバカリデナク、
會社ノ債權者ノ權益ヲ保護スルコトニ付キ
マシテハ、殆ド全ク株式會社ニ於ケルト同
樣ナ嚴格ナル規定ヲ以テ之ニ臨ンデ居ルノ
デアリマス、尙有限會社ガ合併又ハ組織變
更ニ依ッテ、株式會社トナス場合ニ於キマ
シテモ、嚴重ナル要件ヲ定メテ居ルノデア
リマスカラ、株式會社ヲ脫法的ニ有限會社
ノ形ヲ以テ設立スルト云フヤウナ危險ハア
リマセヌ、之ヲ要スルニ諸種ノ弊害ヲ防止
スルノ用意ニ缺クル所ガナイ、斯ウ云フ御
說明デゴザイマシタ、又第三ニハ有限會社
ノ取締役モ商法中ノ改正法律案ニ於ケル株式
會社ト同樣ニ、社員外ノ者ヲ以テ之ニ充テ
ルコトガ出來ルト云フ途ヲ開イテ居ルノデ
アリマスガ、是ハ弊害ハナカラウカト云フ
是モ質問デアリマシタガ、之ニ對シテ政府
ノ說明ニ依リマスレバ、是ハ定款ヲ以テ取
締役ニ社員タルコトヲ必要トスル旨ノ定ヲ
ナスト云フコトハ、決シテ妨ゲナイノデア
リマス、而シテ株式會社ノ現在ニ於ケル實
情ニ徴シテ見マスルノニ、株主ニアラザル
者ヲ株主ニ假裝シテ、之ヲ取締役トスルト
云フ事例ハ相當ニ多イ、左樣ナ場合ニ貸シ
タ所ノ株式ノ返還等ニ付キマシテ、厄介ナ
ル紛爭ノ生ズルコトガ少クナイガ爲ニ、斯
樣ナル弊害ヲ起ラナイヤウニスル爲ニ、其
ノ選任ノ範圍ヲ擴ゲタニ過ギナイノデアリ
マシテ、株式會社ニ於キマシテモ固ヨリ甚
ダ必要ナル規定デアリマスガ、有限會社ニ
於キマシテモ社員ガ少數ナル關係モアリ、
又社員タルコトヲ假裝シタ場合ニ、其ノ持
分ヲ返還スルノガ株式ヲ返還スルヨリモ面
倒ダト云フ關係上、右ノ必要竝ニ實益ハ株
式會社ニ比シテ更ニ大ナルモノガアルノデ
アル、斯ウ云フ御說明デアリマシタ、仍テ
特別委員會ニ於キマシテハ、是等ノ諸點ハ
勿論デアリ、其ノ他全般ニ付キマシテ愼重
ニ審議ヲ進メマシタ結果、本法案ノ內容ハ
誠ニ適切且穩當デアリマシテ、實業界ニ多
大ノ便益ヲ與ヘルモノデアルト認メタ次第
デアリマス、以上申上ゲマシタ通リニ特別
委員會ニ於キマシテハ、只今上程サレマシ
タ所ノ三法律案ヲ、何レモ政府原案ノ儘之
ヲ可決スルコトニ致シタ次第デゴザイマ
ス、唯最後ニ一委員ヨリ、此ノ有限會社ノ
取締役ヲ社員外ヨリ選任スルコトハ、他ノ
重壓ニ依ッテ社員ノ希望セザル者ノ選任ヲ
强要セラルヽノ危險ガアル、例ヘバ金融會
社ガ自己ノ推薦スル者ヲ選任セザレバ、金
融ノ途ヲ塞グコトヲ强要スルガ如キ、又會
社ノ目的タル事業ノ許可ヲ塞グガ如キ場合
ニ、暗ニ特定ノ人ヲ取締役トシテ選任スベキ旨
示唆スルガ如キ實例ハ、從來ト雖モ會社ノ
體驗スル所デアリマスガ故ニ、政府ハ本案
ガ社員外ノ取締役ノ選任ヲ認メタト云フノ
ハ、會社ノ自治權能ヲ尊重シタルモノナルき
コトヲ明カニシ
〔議長伯爵松平賴壽君議長席ニ著ク〕
且此ノ自治權能ヲ阻却スルガ如キ弊害ヲ除
去スル爲ニ、格段ノ注意ヲ拂ハレムコトヲ
希望スルト云フ旨ヲ申述ベラレタルコトヲ玆
ニ附加ヘタ次第デアリマス、右御報告申上
ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=19
-
020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 只今委員長ノ報
告ヲ煩シマシタ三案中、第五ニ付キマシ
テハ討論ノ通〓ガゴザイマスカラ、先ヅ日
程第二及第三ノ二案ヲ議題トシ、之ヲ採決
ヲ致シタイト存ジマス、二案ノ第二讀會ヲ
開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=20
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021・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=21
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022・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=22
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023・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=23
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024・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=24
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025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=25
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026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 二案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、二法案ハ全部委員長ノ御報告
通リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=26
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027・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=27
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028・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=28
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029・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=29
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030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=30
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031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=31
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032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 二法案ノ第三讀
會ヲ開キマス、二法案全部、第二讀會ノ決
議通リデ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=32
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033・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=33
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034・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ日程第
五、有限會社法案ヲ議題ニ供シマス、是ニ
ハ反對意見ノ通〓ガアリマシタカラ、之ヲ
許可ヲ致シマス、土方君
〔土方寧君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=34
-
035・土方寧
○土方寧君 私ハ本案ハ有害無益ト云フ考
ヲ持ッテ居マス、反對デアリマス、ソレ故ニ
本案ガ先日提出ニナリマシタ時ニ政府委員
カラ說明ガアリマシタ、何等其ノ必要ナル
所以ヲ知ルコトガ出來マセヌノデ質問致シ
マシタガ、一向要領ヲ得ナイ、重ネテ伺ッテ
モドウモ滿足セヌ、御答ガ出來ヌト云フ見
込ガ付キマシタカラ止メマシタ、ソレカラ
委員付託ニナッテ愼重御審議ニナッタ結果ヲ
先刻委員長カラ御報〓ニナリマシタ、幾分
提案ノ時ノ政府委員ノ說明ヨリハ詳シウ御
話ガアリマシタケレドモ、ソレデモドウモ
私ハ之ガ必要ナル所以ヲ了解スルコトガ出
來マセヌ、ソレ故ニ成ルベク簡單ニ本案ニ
反對スル意見ヲ述ベタイト思ヒマス、御承
知ノ通リニ現行商法ニハ四種ノ會社ガアリ
マス、其ノ他ニ今度斯ウ云フ特別ノモノヲ
設ケヨウ、何ノ必要ガアル、少シモ解スル
コトハ出來マセヌ、合名會社ハ昔カラ何處
ノ國ニモアッタノデ、比較的少數ノ、互ニ相
知リ相信ズル者ガ共同シテ或事業ヲ經營ス
ルト云フ組織デアリマス、全社員ガ無限責
任社員デアリマス、ソレデ規約ノ定メヤウ
次第デアリマスケレドモ、餘リ社員ガ少イ
時ニハ全部分擔シテ其ノ會社ノ事業ニ携ル
ト云フヤウナコトガアル、處ガ外ノモウ一
ツノ合資會社ト云フノハ、少ナクトモ一人
ハ無限責任社員ガアル、一人デモ、モット多
クテモ宜シウゴザイマスケレドモ、是ハ實
ハ質問ノ時ニモチヨット申シマシタガ、同
ジコトニナルガ、中古カラノコトデアリマ
ス、當時ハ嚴格ニ利息制限法ガ行ハレマシ
ク、制限以上ノ利息デ貸シタナラバ、日本
ノ利息制限トハ違ヒマシテ、非常ニ嚴格ニ
元本迄失フト云フコトニナッテ、サウ云フ利
息制限法ノ適用ヲ免レル爲ニ、營業者ニ金
ヲ貸スト云フヤウナ意味デ出資ヲスル、利
益ガナカッタラ利息ニ當ルモノヲ貰ヘナイ
カモ分ラナイ、アッタ以上ハ制限以上ノ利
息ヲ貰ヘルト云フヤウナ意味デアリマシ
テ、事業ヲ經營スル者ガ無限責任社員ダケ
デ、實ハ有限責任社員ハ資本ヲ投ジタ債權
者ミタイノモノデアリマス、其ノ起ッタ理
由ハ今デハ必要ガナイノデアリマス、多ク
ノ國デハ其ノ制限法ヲ廢シテシマッテ、最
近社會立法ガ幾分利息制限法ニ似寄ッタ制
限法ヲ實施シテ居リマスガ、又起ッタ理由
ハナクナッタ、是モ亦誠ニ有益ナ組織デア
リマスカラ、今日多クノ國ニ認メラレテ居
ル、處ガ株式會社······有限責任株式會社ト
云フモノハ近代ノモノデアリマシテ、產業革
命以來ノモノデアリマス、一番先ニ產業革命
後、會社ノ組織ト云フモノハ、大規模ノ事
業ヲスルト云フコトニ著手シタト云フノハ
「イギリス」デアリマス、當時今日我々ガ當
リ前ノヤウニ思フ有限株式會社ト云フモノ
ハ、無論何處ニモナイノデアリマス、實業
家ガ多數ノ人カラ少額株金ヲ集メテ、大資
本ヲ合同シテ大事業ヲシヨウ、其ノ計畫ヲ
スル、發起人ヤ取締役ガ一ツデ、事業ノ經
營ニ與ル人ハ少數デ、大多數ガ與ラナイ、
其ノ代リ其ノ會社ガ失敗シタナラバ、有限
ノ比較的少額ノ株金ヲ出資シタ者ハ、自分
ノ全財產ヲ以テ責任ヲ負ハナケレバナラヌ
ト云フコトデアレバ不安デナラナイカラ、
誰デモ應募者ガナイ、ソレデアルカラ出
資限リ、株劵限リト云フコトニシテ多數
ノ人カラ金ヲ集メテ、大資本ヲ作ッテ事業
ヲシテ行カウト云フコトデ、「イギリス」
デ始メマシタガ、裁判所ハ認メナイ、ソ
ンナ不合理ノコトハナイ、凡ソ人ガ他人
ニ對スル責任ヲ自分ノ財產ノ一部分ニ局
限スルト云フヤウナ勝手ノコトガ出來ル
モノヂヤナイ、ソレガ一人デ出來ナケレバ
十人デモ百人デモ出來ナイ、會社ト云フモ
ノハ法人デ、ソレハ人間ガ便宜上組織スル
ダケノ話デ、實際ハ社員ノ團體デアル、彼
等ガ彼等ノ財產ノ一部分ニ責任ヲ局限スル
ト云フコトハ出來ルモノデハナイ、ドウシ
テモ認メナイ、處ガ左樣ナコトデハ迚モ今
ノヤウナ會社ガ出來ヤウガナイト云フノ
デ、後ニハ遂ニ公益上ノ理由デ有限責任ト
云フモノハ認メラレタ、公益上ノ理由ト云
フノハ、今日我々ガ普通ニ言フヤウナ大規
模ノ株式會社ノ組織ガ大事業ヲスルト云フ
コトハ、之ニ携ル人々ノ個人々々ノ、自分
ノ利益ヲ得ル爲ノミデハナイ、是ハ國ノ富
ヲ增殖スル爲ニ必要ノ手段デアル、公益上
ノ理由デ漸ク認メラレタ特例······特殊ノモ
ノデアリマス、其ノ有限責任ト云フノハ本
來常識カラ考ヘテモ分ルノデアリマス、純
理カラ言ヘバ不都合ノモノデアリマス、公
益上ノ理由ト云フ一點カラシテ特別ニ認メ
ラレタ性質ノモノデアリマス、左樣デアル
カラ有限責任ノ會社ノ如キハ濫ニ擴張スベ
キモノデハナイ、本案ノ有限責任會社デア
リマスト云フト、社員ハ五十人以下、出資
ハ一萬圓以上、五十人以下トナッテ居リマ
スカラ、五十人カ、四十人カ、三十人カ知
レマセヌガ、多分五十人ヨリ少イカ、多ク
ハアルマイト思フ、ソレガマア百圓位宛出
ス、一萬圓、五萬圓、十萬圓、幾ラニナル
カ知リマセヌガ、一萬圓以上ノ資本、小規
模ノモノデアリマス、先刻委員長ノ御報〓
ノ中ニモ此ノ會社ノ特質ハ少數ノ人々ノ、
互ニ相知ッテ居ル人々ノ間ノコトデアルト
云フ御話モアリマシタガ、ソレハサウデア
リマセウガ、ソレハ合名會社ノ性質ヲ有ッテ
居ル、合名會社ハ無限責任社員ダケデ出來
テ居ル、ソレヲ今度ハ實質ハ殆ド合名會社
ト同樣ナモノヲ、自分達ノ都合ノ爲ニ皆有
限ニシテシマウ、我ガ儘極マル、無責任極マ
ル話デアルト私ハ思フ、ソレデ此ノ案ガ無
クテモ合名會社ノ組織ガアル、ソレデハ皆
無限責任ヲ負フノガイヤダト云フノナラ
バ、合資會社デモ宜シイ、合資會社ハ一人
カ幾人カ無限責任ノ責任者ガアリマス、其
ノ組織ニ依ラシメテモ宜イ譯デアル、ソレ
カラ又株式會社デアリマスト、多クノ株式
會社ハ株主ガ非常ニ大勢居ル、資本ノ額モ
隨分大キナモノニナッテ居ル、大事業ヲシ
テ居リマスガ、形式カラ言ヘバ、七人以上
デモ宜イ、僅カナ株主デモ出來ル、又實際
株式會社ノ組織ニナッテ居ッテ、其ノ資本ガ
誠ニ僅カナ何萬圓ト云フモノモアルノデア
リマス、併シ株式會社ノ組織ニナッテ居リ
マスカラ取締リガ一層嚴重ニナッテ居ル、斯
ウ云フヤウナモノガ現ニアルノデアリマス、
其ノ外又株式合資會社ト云フモノガアル、
是ハ無限社員ガ幾人カアッテ其ノ外ニ多數
ノ有限社員ガアルモノデアリマスカラ、此
ノ場合合資會社ト違ッテ株ノ便宜ヲ圖ッテ居
ルト云フ違ヒデ、是モ反對カラ見レバ株式
合資會社ニ無限責任社員ヲ幾人カ置キ得ル
トシテモ同ジデアリマス、少クモ四ツノ旣
ニ色々ノ組織ガアッテ、ソレ〓〓便否ガア
リマスガ、其ノ外ニ斯ンナモノヲ拵ヘル必
要ハナイ、チットモナイト思フノデアリマ
ス、若シ斯ウ云フヤウニ有限責任ノ立法ト
云フモノヲ擴張シテ行クト云フト、非常ナ弊
害ヲ生ジテ來ルコトハ確實デアルト思ヒマ
ス、是ハ法律語デハ「ワン·マン·カンパニー」
一人會社ト云フノガアリマスガ、是ナドハ
一體不都合ナノデアリマス、公益上ノ理由
ニ依ッテ有限責任ト認メラレタ此ノ制度ヲ、
少數ノ個人ノ利益ノ爲ニ濫用シテ居ル一例
デアリマス、名義ダケハ多數ノ株ヲ拵ヘマ
シテモ、少數ノ富豪ガソレヲ皆持ッテ居ル、ソ
レダカラ會社ノ實ハナイ、日本ノ所謂同族
會社、或富豪ナドガ現行商法ノ實施後合名
組織ニ依ッテ行ヒ、或富豪ナドハ合資會社ノ
組織ニ依ッタモノモアル、何レモ私ハ誠ニ適
當デアッタト思フ、今ハ變ッテドウナッテ居ル
カ知リマセヌ、私ノ考デハドウモ有限責任
ノ趣意ト云フモノヲ不當ニ擴張シテ居ル、
若シ斯ウ云フヤウナ法律ガ出來マスト、比
較的少數ノ人ガ少數ノ金デ、僅カナ何萬
圓ト云フ金デ事業ヲ經營スル、今日ノ實際
カラ言ヒマスト、實業界ノコトハ能ク知リ
マセヌケレドモ、軍需工業ニ關係ノアルモ
ノハ繁昌シテ居リ、然ラザルモノハ衰微シ
テ居ル、是ハ變態デアリマスケレドモ、
斯ウ云フ事情ガ續ケバ已ムヲ得ナイガ
何レ常態ニ復ス、其ノ時ニハ反動ガ來マス、
其ノコトハ世界戰爭ノ時ニ非常ニ繁昌シテ、
戰爭後反動ガ來テナカノ〓後ノ始末ガ付カ
ズ、大正昭和、昭和二年ニナッテカラ銀行ノ
破綻迄行ック、ソンナ譯デ私ノ考デハ斯樣ナ
無責任ナ組織ニシテ、設立者モ冒險的計畫
ヲスル、無論會社モ亂雜ナ經營ヲスル、失
敗スレバ債權者ガ迷惑ヲスル、ソレハ出資
限リ、勝手ナ話デアリマス、斯樣ナモノハ
私ノ考デハ絕對ニ認ムベキモノデハナイト
思ヒマス、詳シイコトヲ話シテモ、旣ニ委
員會ヲ通過シテ居ルノデアリマスカラ、無
駄ニナルト思ヒマスカラ是ダケニシテ置キ
マスケレドモ、斯ウ云フモノハ有害無益、
有限責任ノ趣旨ト云フモノハ、大イナル理
由ガナケレバ個人ノ利益ノ爲ニ我ガ儘ヲ許
スベキモノデナイ、斯ウ云フ私ノ考デアリ
マス、詳シイコトハモウ申シマセヌガ、若
シ出來タナラバ實行後ノ結果ヲ御注目願ヒ
タイ、屹度是ハ有益ニ利用セラレズシテ害
ガ多イト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=35
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036・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 他ニ御發言モナ
ケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第二讀會
ヲ開クベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=36
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037・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=37
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038・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=38
-
039・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=39
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040・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=40
-
041・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=41
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042・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報告通リ
デ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=42
-
043・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=43
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044・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=44
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045・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=45
-
046・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=46
-
047・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=47
-
048・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、二讀會ノ決議通リ
デ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=48
-
049・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=49
-
050・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第四、日滿
司法事務共助法案、政府提出、第一讀會ノ
續委員長報告、委員長岩倉公爵
日滿司法事務共助法案
右別册ノ通修正議決セリ依テ及報告候也
昭和十三年二月十日
委員長公爵岩倉具榮
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
特別委員ノ修正ニ係ル部分
ノミヲ印刷シ其ノ他ハ之ヲ
略ス小字及-ハ修正ナリ
檢事犯罪ノ搜査ノ共助ヲ爲スニ付
第六條檢事共助ヲ爲スニ付必要アルト
强制ノ處分ヲ必要トスルトキハ押收、搜索、
キハ押收搜索、檢證、被疑者ニ對ス
檢證、
ル勾引狀ノ發付、被疑者若ハ證人ノ訊
問又ハ鑑定ノ處分ヲ其ノ所屬區裁判所
ノ判事ニ請求スルコトヲ得
檢事被疑者ニ對スル勾引狀ノ發付ノ共助ヲ
爲スニ付必要アルトキハ其ノ處分ヲ其ノ所
屬區裁判所ノ判事ニ請求スルコトヲ得
前。項ノ規定ニ依ル請求ヲ受ケタル判
事ハ其ノ處分ニ關シ豫審判事ト同一ノ
權ヲ有ス
本條
判事第一項ノ處分ヲ爲シタルトキハ速
ニ之ニ關スル書類及證據物ヲ檢事ニ送
付スベシ
〔公爵岩倉具榮君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=50
-
051・岩倉具榮
○公爵岩倉具榮君 只今議題トナリマシタ
日滿司法事務共助法案ノ委員會ニ於ケル審
議ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、本
委員會ハ去ル一月三十一日ヨリ三囘ニ亙リ開
會致シマシタ、滿洲國ト日本國トノ間ノ司
法事務ノ共助ハ、我ガ國ニ於キマシテハ、
明治三十八年法律第六十三號、外國裁判所
ノ囑託ニ因ル共助法ノ規定ニ依ルノ外ナイ
ノデアリマスガ、此ノ法律ニ依ル共助ノ範
圍ハ訴訟書類ノ送達ト證據調ニ限ラレテ居
リマシテ、日滿兩國ノ特殊ノ關係ヲ考ヘマ
スト、以上ノ外ニ犯罪ノ搜査、勾引狀及逮
捕狀ノ發付及執行、刑事判決ノ執行ニ付キ
マシテモ、互ニ共助ヲナシ合ハナケレバ實
際上ノ必要ニ應ズルコトガ出來マセヌ、サ
ウシテ此ノ必要ニ應ズル爲ニハ、日滿兩國
間ニ於キマシテハ、一般諸外國トノ間ニ於
ケルヨリモ、共助ノ範圍ヲ一層擴張スル必
要ガアリマスノデ、玆ニ本案ガ提出サレタ
ノデアリマス、以上ノ趣旨ニ付キマシテ
ハ、委員會ニ於キマシテモ大體適當デア
リ、又極メテ必要ナルコトト考ヘマシテ、
委員諸君ハ愼重ニ審議ヲ盡サレタノデアリ
マス、唯問題トナリマシタノハ、第六條デ
アリマシテ、政府當局ノ眞意ノ存スル所ガ
法文ニ十分現レテ居リマスノデアリマス、
此ノ法文ニ依ッテ解釋致シマスト、第六條ハ
檢事ガ一般ノ犯罪捜査ノ囑託ヲ受ケタル場
合ニ於テ、押收、搜索、檢證、被疑者ニ對
スル勾引狀ノ發付、被疑者若ハ證人ノ訊問
又ハ鑑定ノ處分ヲ判事ニ請求スルコトガ出
來ルヤウニ解釋セラレルノデアリマス、從ッ
テ政府ノ說明サレルヤウニ、勾引狀發付ニ
付テ特ニ囑託ガアッタ場合ノミニ、被疑者ニ
對スル勾引狀ノ發付ト云フモノガ適用サレ
ルト云フコトニハ、文意上解釋出來ナイノ
デアリマス、是ハ實質ニ於テモ不當デア
リ、又世人ヲシテ非常ナ不安ヲ感ゼシメマ
スノデ、政府原案ノ趣意ヲ明カニ致ス方ガ
立法トシテ適當デアルト考へ、次ノ如ク修
正致シマシタ、卽チ第一項ハ「檢事犯罪ノ
搜査ノ共助ヲ爲スニ付强制ノ處分ヲ必要ト
スルトキハ押收、搜査、檢證、被疑者若ハ
證人ノ訊問又ハ鑑定ノ處分ヲ其ノ所屬區裁
判所ノ判事ニ請求スルコトヲ得」ト改メ、
第二項ニ「檢事被疑者ニ對スル勾引狀ノ發
付ノ共助ヲ爲スニ付必要アルトキハ其ノ處
分ヲ其ノ所屬區裁判所ノ判事ニ請求スルコ
トヲ得」ト加ヘタノデアリマス、從ッテ第三
項及第四項ハ右修正ノ結果、次ノ如ク原案
ノ文字ヲ改メマシタ、卽チ第三項「前二項
ノ規定ニ依ル請求ヲ受ケタル判事ハ其ノ處
分ニ關シ豫審判事ト同一ノ權ヲ有ス」、第
四項「判事本條ノ處分ヲ爲シタルトキハ速
ニ之ニ關スル書類及證據物ヲ檢事ニ送付ス
ベシ」、尙法文ノ書キ方ニ付テハ、近頃ハ非
常ニ巧妙ニナッテ、却テ一般ノ人ニハ其ノ
意味ガ分ラナイコトモアルノデ、近頃ノヤ
ウニ種々ノ人權蹂躙ノ問題ガ起ッテ居ルコ
トデモアリマスカラ、法文ノ運用ニ付テハ、
大イニ注意ヲ要スルト云フ意見モゴザイマ
シタ、以上詳細ノコトハ速記錄ヲ御覽願ヒ
タイト思ヒマスガ、斯クシテ愼重審議ノ結
果、委員會ニ於キマシテハ全會一致、原案ヲ
修正可決致シマシタ、右御報告申上ゲマス
〔國務大臣鹽野季彥君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=51
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052・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 只今委員長カラ
御報告ニナリマシタヤウニ、委員會ニ於キ
マシテハ原案ノ第六條ニ付キマシテ修正ガ
アリマシタ、此ノ修正ノ趣旨ハ、原案ノ趣
旨ヲ一層能ク分リ易クシタモノデアリマシ
テ、政府ニ於キマシテハ固ヨリ贊成デゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=52
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053・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 質疑ノ通告ガゴ
ザイマシタカラ······富小路子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=53
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054・富小路隆直
○子爵富小路隆直君 簡單デゴザイマスカ
ラ、此ノ席ヨリノ發言ノ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=54
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055・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 宜シウゴザイマ
ス、成ルベク大キク願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=55
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056・富小路隆直
○子爵富小路隆直君 只今委員長ヨリ御報
告ニナリマシタ第六條ノ修正ニ關シテノ質
問デゴザイマス、其ノ質問ニ入リマス前
ニ、此ノ質問ヲ致シマスルニ至リマシタコ
トニ付テチヨット申上ゲマス、從來ノ慣例
ニ於キマシテハ、法律案等ニ委員會ニ於テ
修正ノアリマシタ場合ニハ、其ノ修正ニ對
スル政府ノ意見ヲ、卽チ同意スルヤ否ヤノ
意見ヲ聽クノガ慣例ニナッテ居ルヤウニ存
ジテ居リマス、然ルニ本委員會ニ於キマシ
テハ、當時司法大臣ニ於カレマシテ已ムヲ
得ザル御都合ノ結果御出席ガナカッタノデ、
其ノ當時致スコトガ出來マセヌデシタノ
デ、本日ニ實ハ讓ッタノデアリマス、デ其ノ
點ニ付キマシテ只今御質問ヲ致サウト思ッ
テ居ッタノデゴザイマスガ、司法大臣ヨリ只
今旣ニ御述ニナリマシタノデ、此ノ際質問
ハモウ致シマセヌ、唯斯ウ云フコトニナリ
マシタト云フコトニ付テ、皆樣ノ御了承ヲ
願ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=56
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057・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 他ニ御發言モナ
ケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=57
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058・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=58
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059・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=59
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060・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=60
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061・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=61
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062・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=62
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063・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報告通リ
デ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=63
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064・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=64
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065・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=65
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066・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=66
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067・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=67
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068・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=68
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069・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、二讀會ノ決議通リ
デ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=69
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070・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=70
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071・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ通〓順ニ
依リマシテ國務大臣ノ演說ニ對スル質疑ノ
發言ヲ御許シ致シマス、男爵阪谷芳郞君
〔男爵阪谷芳郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=71
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072・阪谷芳郎
○男爵阪谷芳郞君 本員ハ朝鮮半島ノ我ガ
同胞諸君ニ對シテ、敬意ト感謝ノ意ヲ表ス
ル爲ニ一言質問ヲ致ス者デゴザイマス、拓
務大臣ヨリ御答ヲ願ヒタイ、近年朝鮮ノ事
情ハ非常ニ進步ヲ示シマスヤウデゴザイマ
シテ、殊ニ製造工業、農商工其ノ他一般ニ
非常ナ進步ヲ示スニ至リマシタコトハ、御
同慶ノ至リニ存ジマスガ、是ハ日韓合邦ノ
結果、其ノ宜シキヲ得タコトノ一ニ歸スル
モノデアリマス、デ此ノ日韓合邦ト申スコ
トハ、內地ノ爲ニモ、朝鮮半島ノ爲ニモ非
常ニ幸福デアル、又東洋ノ平和、延イテハ
世界ノ平和ノ爲ニ非常ナ貢獻ヲシタモノト
認ムルノデアリマス、特ニ此ノ際御伺ヒ致
シタイノハ、日支事變以後朝鮮半島ノ我ガ
同胞諸君ガ擧國一致、愛國ノ熱誠ヲ示サレ
マシタコトト云フモノハ、全ク淚グマシイ
事情ガアッタト存ジマス、又近クハ志願兵ノ
制度ヲ實施セラレ之ニ對シテモ非常ナ熱心
ニ應募者ガアリ、又近クハ〓育ノ制度ヲ內
鮮ノ區別ヲ撤廢セラレタト云フコトデアリ
マス、是モ非常ニ結構ノコトト存ジマス、
是等ノコトハ內地、朝鮮ノ非常ニ接近致シ
マシタコトヲ示スモノデ、一應主務大臣ヨ
リ其ノ實情ノ最近ノ情況ヲ御答辯ヲ願ヒタ
イノデゴザイマス、其ノ御答辯ノアリマシ
タ後ニ尙一言致シタイト存ジマス
〔國務大臣大谷尊由君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=72
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073・大谷尊由
○國務大臣(大谷尊由君) 阪谷男爵ノ御質
問ニ御答ヲ致シマスデゴザイマスガ、朝鮮
ノ同胞ハ日韓合邦以來一視同仁ノ御精神ヲ
奉體致シマシテ、歷代總督其ノ治績ヲ擧ゲ
マシタノデ、各種ノ工業、商業、農業、總
テ非常ナ發達ヲ致シマシタガ、取分ケ朝鮮
人ノ、我々ハ日本人デアルト云フ所ノ自覺
ハ、益〓深マッテ參ッテ居ルノデアリマシテ、
滿洲事件ヲ契機ト致シマシテ、其ノ自覺ハ
進ンデ參ッタノデアリマスルガ、殊ニ今次ノ
事件ノ勃發ニ依リマシテ、益〓其ノ時局ノ認
識ヲ强ク致シテ參リマシテ、帝國臣民ト致
シマシテノ誇ト熱意トヲ懷クニ至ッテ參リ
マシタノデアリマスガ、之ヲ具體的ニ申シ
マスナレバ、國防獻金デアルトカ、或ハ軍
需品ノ調達、出征兵士ノ見送、又ハ其ノ家
族慰問等ヲ初メト致シマシテ、有ラユル銃
後ノ協力ヲ致シマシテ、擧國一致ノ精神ヲ
披瀝致シマシテ、內鮮融和ノ實ヲ遺憾ナク
發揮致シツヽアルノデアリマス、此ノ事柄
ハ只今仰セラレマシタ御說ノ如クデアリマ
シテ、是ガ帝國ノ爲メ、又東洋平和ノ爲ニ
誠ニ欣快トスル所デゴザイマス、其ノ赤誠
ニ對シマシテハ深ク〓〓之ヲ多トスベキモ
ノガアルト政府ニ於テモ考ヘテ居ル次第デ
ゴザイマス、又御尋ノ志願兵制度、此ノ朝
鮮ノ現狀ニ鑑ミマシテ、愈〓近ク實施ノ運
ビニナラウト致シテ居ルノデアリマスガ、
目下著々、其ノ準備ヲ進メツヽアルノデゴ
ザイマシテ、此ノ事柄ハ內鮮一體ノ最モ顯
著ナル具現デアリマシテ、衷心慶賀ニ堪ヘ
ナイ次第デゴザイマス、尙〓育制度ノ刷新
等ニ付キマシテハ、ソレ〓〓只今〓究準備
中デゴザイマシテ、時局ノ重大ナ折柄、朝
鮮同胞ガ忠良ナル皇國ノ臣民ト致シマシテ、
一致協力國運ノ隆盛ニ寄與スル所アラムコ
トヲ、切ニ私ハ期待シテ居ル次第デゴザイ
マス
〔男爵阪谷芳郎君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=73
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074・阪谷芳郎
○男爵阪谷芳郞君 本員ハ當局ノ大臣ヨリ
明確ナ御答辯ヲ得マシタコトヲ深ク感謝致
シマス、固ヨリ日本帝國ノ一部分タル朝鮮
半島ノコトデアリマスルカラ、當然ト申セ
バ當然ノコトデアリマス、併シナガラ合邦
以來マダ半世紀ヲ經ズ、非常ニ此ノ度ノ事
變ニ付テノ愛國的誠意〓、情ト云フモノハ、
二千六百年歷史ヲ同ジウスル內地人ノソレ
ニ比シテ、優ルトモ劣ラヌト云フコトニ至
リマシテハ、私ト致シマシテハ深ク深ク朝
鮮半島同胞諸君ニ對シテ、敬意ト感謝ノ念
ニ堪ヘマセヌ、此ノ觀念ハ滿場諸君モ必ズ
御同感デアリ、又全國民ニ於テモ同感デア
ラウト確信スル者デアリマス、尙今後朝鮮
半島ニ對スル所ノ施政ニ付テハ、當局大臣
ニ於テ十分進步改善ノ方針ヲ以テ力ヲ致サ
レムコトヲ、切ニ御願ヒ致ス次第デアリマ
ス、終リニ一言申上ゲタイノハ、朝鮮半島
ニ於ケル參政權ノ問題モ、當局ノ大臣ニ於
テ愼重ニ御考慮アラネバナラヌ時期ガモウ
遠クナイト思ハレルノデアリマス、特ニ御
留意ヲ願ッテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=74
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075・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本日ハ此ノ程度
ニ於キマシテ延會ヲ致シタイト存ジマス、
實ハ大臣方ガ御見エニナリマセヌカラ、此
ノ程度ニ於テ延會ヲ致シタイト存ジマスガ
御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=75
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076・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、次ニ御諮リヲ致シタイノデゴザイ
マスガ、本會議ノ開會中ニ委員會開會ノ要
求ガゴザイマシタナラバ、議事ニ差支ナイ
限リ、議長ニ於テ之ヲ許可スルコトニ御異
議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=76
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077・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、次會ハ明十五日午前十時ヨリ開會
致シマス、議事日程ハ決定次第彙報ヲ以テ
御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散會致シ
マス
午前十一時三十七分散會
貴族院議事速記錄第七號正誤
頁段行誤正
一〇五四二九四年三年
貴族院議事速記錄第十號正誤
頁段行誤正
一三一二二四文字、音節文字ハ音節
一IN三九ナイト」ナイ」ト発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01119380214&spkNum=77
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