1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十三年二月十八日(金曜日)午前十時十六分開議
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議事日程 第十四號
昭和十三年二月十八日
午前十時開議
第一 昭和十三年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 昭和七年法律第一號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 造幣局東京出張所廳舍其の他の新營費に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 對支文化事業特別會計法の特例に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 支那事變に關する臨時軍事費の財源に充つる爲特別會計より爲す繰入金に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 軍の需要充足の爲の會計法の特例に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第八 裁判所の設立に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第九 大正二年法律第九號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十 國民健康保險法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十一 昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=0
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報告ヲ致サセマ
ス
〔石橋書記官朗讀〕
昨十七日內閣總理大臣ヨリ左ノ通第七十三
囘帝國議會政府委員仰付ケラレタル旨ノ通
牒ヲ受領セリ
厚生省所管事務政府委員
厚生書記官灘尾弘吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 一昨十六日、河
野秀男君貴族院令第一條第四號ニ依リ貴族
院議員ニ任命サレマシタ、仍テ其ノ部屬ヲ
第八部ニ定メマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=2
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003・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、日程第一、昭和十三年度一
般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債發行ニ關
スル法律案、日程第二、昭和七年法律第一
號中改正法律案、日程第三、造幣局東京出
張所廳舍其ノ他ノ新營費ニ關スル法律案、
日程第四、對支文化事業特別會計法ノ特例
ニ關スル法律案、日程第五、支那事變ニ關
スル臨時軍事費ノ財源ニ充ツル爲特別會計
ヨリ爲ス繰入金ニ關スル法律案、日程第六、
朝鮮事業公債法中改正法律案、日程第七、
軍ノ需要充足ノ爲ノ會計法ノ特例ニ關スル
法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、
是等ノ七案ヲ一括シテ議題ト爲スコトニ御
異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=3
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004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、賀屋大藏大臣
〔左ノ送付文及法律案ハ朗讀ヲ經サ
ルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之
ニ倣フ〕
昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院
法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年二月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
第一條政府ハ昭和十三年度一般會計歲
出ノ財源ニ充ツル爲他ノ法律ニ依リ起
債シ得ル金額ノ外五億五千七百八十萬
圓ヲ限リ公債ヲ發行シ又ハ借入金ヲ爲
スコトヲ得
第二條政府ハ昭和十三年度一般會計歲
出豫算翌年度繰越額ノ財源ニ充ツル爲
他ノ法律ニ依リ起債シ得ル金額ノ外昭
和十四年度ニ於テ公債ヲ發行シ又ハ借
入金ヲ爲スコトヲ得但シ前條ノ規定ニ
依ル公債又ハ借入金ト通ジテ前條ノ制
限額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三條前二條ノ規定ニ依ル公債ノ發行
價格差減額ヲ補塡スル爲必要アル場合
ニ於テハ前二條ノ制限以外ニ公債ヲ發
行シ又ハ借入金ヲ爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和七年法律第一號中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年二月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和七年法律第一號中改正法律案
昭和七年法律第一號中左ノ通改正ス
「十二億六千四十萬圓」ヲ「十三億八千五
百萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
造幣局東京出張所廳舍其ノ他ノ新營費
ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年二月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
造幣局東京出張所廳舍其ノ他ノ新營費
ニ關スル法律案
昭和十三年度ニ於テ造幣局東京出張所廳
舍其ノ他ノ新營ニ要スル經費ニ充用スル
爲造幣局資金ノ內三十五萬圓ヲ限リ一般
會計ニ繰入ルルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ繰入ルベキ金額ノ歲出
豫算ニ於ケル支出殘額ハノヲヲ年
越シ使用スルコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
對支文化事業特別會計法ノ特例ニ關ス
ル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年二月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
對支文化事業特別會計法ノ特例ニ關ス
ル法律案
對支文化事業特別會計ノ歲出額ハ昭和十
三年度以降當分ノ內對支文化事業特別會
計法附則第四項ノ規定ニ依ルモノト合シ
三百萬圓ヲ限リ同法第七條ノ制限額ヲ超
過スルコトヲ得
前項ニ規定スル年度ニ於テ所屬證劵ノ償
還元利金ノ收入不足ニ因リ同特別會計ノ
決算上不足ヲ生ジタルトキハ積立金ヨリ
之ヲ補足スベシ
附則
本法ハ昭和十三年度ヨリ之ヲ施行ス
支那事變ニ關スル臨時軍事費ノ財源ニ
充ツル爲特別會計ヨリ爲ス繰入金ニ關
スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年二月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
支那事變ニ關スル臨時軍事費ノ財源ニ
充ツル爲特別會計ヨリ爲ス繰入金ニ關
スル法律案
政府ハ支那事變ニ關スル臨時軍事費ノ財
源ニ充ツル爲每年度豫算ノ定ムル所ニ依
リ通信事業、帝國鐵道、關東局、朝鮮總
督府、臺灣總督府及樺太廳ノ各特別會計
ヨリ臨時軍事費特別會計ニ繰入金ヲ爲ス
コトヲ得
前項ノ規定ニ依ル繰入金ニ付テハ後日一
般會計ヨリ之ニ相當スル金額ヲ右繰入ヲ
爲シタル各特別會計ニ繰入ルベシ
第一項ノ規定ニ依ル通信事業及帝國鐵道
ノ各特別會計ノ繰入金ハ當該特別會計ノ
資本勘定ノ歲出トス
附則
本法ハ昭和十三年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
朝鮮事業公債法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年二月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮事業公債法中改正法律案
朝鮮事業公債法中左ノ通改正ス
第一條中「八億四千百五十萬圓」ヲ「八億
九千三百五十萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
軍ノ需要充足ノ爲ノ會計法ノ特例ニ關
スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年二月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
軍ノ需要充足ノ爲ノ會計法ノ特例ニ關
スル法律案
軍ノ需要充足ノ爲必要アル場合ニ限リ國
務大臣ハ會計法第二十一條但書ノ規定ニ
拘ラズ當分ノ內勅令ノ定ムル所ニ依リ前
金拂又ハ〓算拂ヲ爲スコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣賀屋興宣君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=4
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005・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今議題ト相成
リマシタ昭和十三年度一般會計歲出ノ財源
ニ充ツル爲公債發行ニ關スル法律案外六件
ノ法律案ニ付キマシテ、其ノ提案ノ理由ヲ
說明致シマス、先ヅ第一ニ昭和十三年度一
般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲ノ公債發行ニ
關スル法律案ハ、歲入補塡公債ニ關スルモ
ノデアリマシテ、昭和十三年度一般會計歲
出ノ財源ト致シマシテハ、現行ノ震災善後
公債法及道路公債法ニ依ル公債、竝ニ次ニ
說明致シマスル滿洲事件ニ關スル經費支辨
ノ爲ノ公債法中改正法律案ニ依ル公債ヲ發
行致シマスル外、歲入ノ不足ヲ補塡スル爲
五億五千七百八十萬圓ノ公債ノ發行ヲ必要
トスルノデアリマスルガ、之ガ爲別ニ起債
ノ權能ヲ得ルコトガ必要デアリマス、尙昭
和十三年度豫算中若干ノ金額ハ、例年ノ
如ク、翌年度ニ繰越サルヽ結果ニナルデア
ラウト存ゼラレマスル處、其ノ繰越額ノ財
源タル公債ハ、必ズシモ之ヲ昭和十三年度
內ニ於テ發行スルノ必要ハアリマセヌ、仍ッ
テ之ヲ翌年度ニ於テ發行シ得ルコトト致シ
マスルノヲ適當ト認メマシタ次第デアリマ
ス、次ニ昭和七年法律第一號中改正法律案
ハ、滿洲事件公債ニ關スルモノデアリマシ
テ、滿洲事件ニ關スル經費ニ關シマシテハ、
現行ノ昭和七年法律第一號ニ依リ、昭和十
二年度迄ノ經費ハ之ヲ支辨シ得ルコトト相
成ッテ居リマスル處、昭和十三年度ニ於テ必要
ナル經費一億四千四百十餘萬圓ノ內、滿洲
國國防費分擔金受入等ニ相當スル金額ヲ差
引キマシタル一億二千四百六十餘萬圓ハ、
今日ノ財政情況竝ニ本經費ノ性質ニ顧ミマ
シテ、從來ノ如ク之ヲ公債財源ニ依ルコト
トスル爲、現行法ニ依ル公債ノ發行限度
ヲ增額スル必要ガアルデアリマス、第三ノ
造幣局東京出張所廳舍其ノ他ノ新營費ニ關
スル法律案ハ、造幣局資金ノ一般會計繰入
ニ關スルモノデアリマス、造幣局東京出張
所ノ廳舍ハ腐朽破損甚ダシク、且狭隘ノ爲、
改築ノ必要ニ迫ラレテ居リマスルノミナラ
ズ、今囘產金法ノ實施ニ伴ヒマシテ、同所
ニ於テモ、金銀地金ノ精製及品位ノ證明ヲ
致スコトニ相成リマシタノデ、之ガ諸設備
ノ新設等ニ要スル經費ニ充用スル爲、造幣
局資金ノ中三十五萬圓ヲ拂出シ、一般會
計ニ繰入ルヽ等ノ必要ヲ生ジタ次第デアリ
マス、第四ニ對支文化事業特別會計法ノ特
例ニ關スル法律案ニ付キマシテ說明中上ゲ
マス、對支文化事業特別會計ノ歲出額ハ、
同特別會計法ノ現行規定ニ於キマシテハ、
寄附金ニ依リマスルモノヲ除クノ外、每年度
四百萬圓ヲ超過シ得ナイコトニ相成ッテ居ル
ノデアリマスルガ、支那事變發生後ニ於ケル
諸般ノ情勢ニ顧ミマスルニ、補助費及助成費
ヲ增加スル等ノ必要ガアリマスルノデ、昭
和十三年度以降當分ノ內、右ノ制限額ヲ六
百萬圓迄增額致シマスルト共ニ、其ノ間本
會計ニ於キマシテ、萬一所屬證劵ノ償還元
利金ノ收入不足ニ因リ、決算上不足ヲ生ジ
マシタ時ハ、積立金ヨリ之ヲ補足シ得ルノ
途ヲ開イテ置クノヲ適當ト認メタ次第デア
リマス、第五ニ支那事變ニ關スル臨時軍事
費ノ財源ニ充ツル爲ノ特別會計ヨリ爲ス繰
入金ニ關スル法律案ニ付キマシテ說明申上
ゲマス、支那事變ニ關スル臨時軍事費ノ財
源ニ充ツル爲、每年度豫算ノ定ムル所ニ依
リ、特別會計ヨリ臨時軍事費特別會計ニ繰
入金ヲ爲スノ必要ヲ認メマシテ、昭和十三
年度ニ於テハ、通信事業特別會計ヨリ千六
百萬圓、帝國鐵道特別會計ヨリ四千萬圓、
關東局特別會計ヨリ三百五十萬圓、朝鮮總
督府特別會計ヨリ千七百五十萬圓、臺灣總
督府特別會計ヨリ千百萬圓及樺太廳特別會
計ヨリ二百三十萬圓ヲ、ソレ〓〓臨時軍事
費特別會計ニ繰入ルヽコトト致シタノデア
リマスルガ、右繰入ニ關シマシテハ法律ノ
制定ヲ必要トスル次第デアリマス、第六ノ
朝鮮事業公債法中改正法律案ハ、朝鮮事業
公債發行限度增額ニ關スルモノデアリマス、
朝鮮總督府特別會計ニ於テ、昭和十三年度
以降ノ繼續費ト致シマシテ計上スル鐵道建
設及改良費ノ追加額ハ四千餘萬圓デアリマ
ス、其ノ外金增產計畫ニ伴フ送電施設費三
千六百萬圓デアルノデアリマスルガ、是等
ノ經費ハ其ノ性質及同特別會計歲計ノ現情
ニ顧ミマシテ、之ガ財源ヲ公債ニ依ルコト
ト致シマシタル等ニ依リ、現行朝鮮事業公
債法ノ公債發行限度ヲ增加スルノ必要ガア
ルノデアリマス、最後ニ軍ノ需要充足ノ爲
ノ會計法ノ特例ニ關スル法律案ニ付テ說明
申上ゲマス、現下ノ時局ニ伴ヒ、軍ノ需要
物資ノ數量ハ著シク增嵩ヲ來シテ居リマス
ル處、之ガ調達ノ圓滿ヲ圖リ、軍ノ行動ニ
支障ノナキヲ期シマスルコトハ喫緊ノ要務
デアルノデアリマスルガ、其ノ爲此ノ際、
會計上ノ臨時應急的ノ措置トシテ、現行會
計法ノ特例タルベキ法律ヲ制定致シ、當分
ノ內前金拂、又ハ〓算拂ノ範圍ヲ擴張スル
ヲ適當ト認メタノデアリマス、以上申述べ
マシタ理由ニ依リマシテ、是等ノ法律案ヲ
提案ヲ致シタ次第デアリマス、何卒御審議ノ
上速カニ御協賛アラムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=5
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006・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債發行ニ關スル法律案外六件ハ、重要
ナル法案デアリマスルガ故ニ、其ノ特別委
員ノ數ヲ十八名トシ、其ノ指名ヲ議長ニ一
任スルコトノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=6
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007・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=7
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008・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=8
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009・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔丸龜書記官朗讀〕
昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案外六件特別
委員
公爵山縣有道君侯爵淺野長之君
伯爵後藤一藏君子爵大河內輝耕君
子爵高橋是賢君子爵綾小路護君
柴田善三郞君男爵今園國貞君
男爵松尾義夫君男爵長基連君
遠藤柳作君土方久徴君
内藤久寛君江口定條君
名取忠愛君三橋彌君
山田仙之助君水野甚次郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=9
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010・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第八、裁判
所ノ設立ニ關スル法律案、日程第九、大正
二年法律第九號中改正法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會、是等ノ二案ヲ一括
シテ議題トスルコトニ御異議ゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=10
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011・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、鹽野司法大臣
裁判所ノ設立ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年二月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
裁判所ノ設立ニ關スル法律案
樺太元泊郡知取町ニ區裁判所ヲ置キ之ヲ
樺太ノ內
豐原豐原市豐原郡
長濱郡富內郡
樺太ノ內
知取
元泊郡敷香郡
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前豐原區裁判所ニ於テ受理シタ
ル事件ハ其ノ裁判所ニ於テ之ヲ完結ス
參照
大正二年法律第九號ハ裁判所管轄區域
ニ關スル法律ナリ
〔國務大臣鹽野季彥君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=11
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012・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 只今議題トナリ
マシタ二ツノ法律案ニ付テ御說明ヲ申上ゲ
やく、先ヅ裁判所ノ設立ニ關スル法律案デ
アリマスルガ、是ハ樺太豐原區裁判所ノ管
轄ニ屬シマスル地域ノ一部分、卽チ樺太元
知取區裁判所ト稱ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
大正二年法律第九號中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年二月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
大正二年法律第九號中改正法律案
大正二年法律第九號中左ノ通改正ス
別表裁判所管轄區域表中豐原區裁判所ノ
項ヲ左ノ如ク改ム
榮濱郡大泊郡
留多加郡
散江郡
泊郡、敷香郡、散江郡ノ三郡ヲ管轄區域ト
スル知取區裁判所ヲ元泊郡知取町ニ新設セ
ムトスルモノデアリマス、現在ノ管轄廳タ
ル豐原區裁判所ハ樺太豐原市ニアリマスガ、
樺太全體ノ地形カラ見マスルト、其ノ位置
ガ甚ダシク南ニ偏シテ居リマシテ、右ニ述
ベマシタ地方カラ管轄裁判所ニ參リマスル
ニ、少カラヌ時間ト費用トヲ要シマスル
ノデ、樺太東海岸ノ中央ニアリマス知取町
ニ新タニ區裁判所ヲ設ケマシテ、同地方ノ
發展ニ伴ヒタイト存ジマシテ、本案ヲ提出
致シマシタ次第デアリマス、次ニ大正二年
法律第九號中改正法律案デアリマスルガ、
是ハ裁判所ノ管轄區域ヲ定ムル法律ノ改正
案デアリマシテ、只今申上ゲマシタ裁判所
設立ニ關スル法律案ト牽連致スモノデアリ
やっ、卽チ新タニ建テマスル知取區裁判所
ノ管轄區域ヲ定メル爲ニ提出致シタモノデ
アリマス、何卒御協贊ヲ與ヘラレムコトヲ
希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=12
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013・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ兩案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセ
マス
〔丸龜書記官朗讀〕
裁判所ノ設立ニ關スル法律案外一件特別
委員
侯爵佐竹義春君子爵保科正昭君
白根竹介君男爵周布兼道君
男爵奧田剛郞君岡田文次君
松本眞平君林平四郞君
磯貝浩君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=13
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014・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十、國民
健康保險法案、政府提出、衆議院送付、第
讀會、木戶厚生大臣
國民健康保險法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年二月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
國民健康保險法案
國民健康保險法
第一章總則
第一條國民健康保險ハ相扶共濟ノ精神
ニ則リ疾病、負傷、分娩又ハ死亡ニ關
シ保險給付ヲ爲スヲ目的トスルモノト
ス
第二條國民健康保險ハ國民健康保險組
合(以下組合ト稱ス)之ヲ行フ
第三條保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル
徵收金ヲ徵收シ又ハ其ノ還付ヲ受クル
權利及保險給付ヲ受クル權利ハ一年ヲ
經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
前項ノ時效ノ中斷、停止其ノ他ノ事項
ニ關シテハ民法ノ時效ニ關スル規定ヲ
準用ス
組合ガ規約ノ定ムル所ニ依リテ爲ス保
險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴收金ノ
徵收ノ〓知ハ民法第百五十三條ノ規定
ニ拘ラズ時效中斷ノ效力ヲ有ス
第四條國民健康保險ニ關スル書類ニハ
印紙稅ヲ課セズ
第五條保險給付トシテ支給ヲ受ケタル
金品ヲ標準トシテ租稅其ノ他ノ公課ヲ
課セズ
第六條保險給付ヲ受クル權利ハ之ヲ讓
渡シ又ハ差押フルコトヲ得ズ
第七條組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人
又ハ保險給付ヲ受クベキ者ハ被保險者
又ハ被保險者タリシ者ノ戶籍ニ關シ戶
籍事務ヲ管掌スル者又ハ其ノ代理者ニ
對シ無償ニテ證明ヲ求ムルコトヲ得
第八條保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル
徵收金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ組
合ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村稅
ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ
ハ組合ハ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村
ニ交付スベシ
市町村ガ前項ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ
三十日以內ニ其ノ處分ニ着手セズ又ハ
九十日以內ニ之ヲ結了セザルトキハ組
合ハ地方長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ處分ス
ルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村制第
百十一條第一項及第四項ノ規定ヲ準用
ス
第一項ニ規定スル徵收金ノ先取特權ノ
順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノ
ノ徴收金ニ次ギ他ノ公課ニ先ツモノトス
第二章國民健康保險組合
第一節總則
第九條組合ハ左ノ二種トス
普通國民健康保險組合
二特別國民健康保險組合
組合ハ法人トス
第十條普通國民健康保險組合ハ其ノ地
區內ノ世帶主ヲ組合員トシ、特別國民
健康保險組合ハ同一ノ事業又ハ同種ノ
業務ニ從事スル者ヲ組△員トシ之ヲ組
織ス
第十四條第一項但書ノ規定ニ依リ被保
險者タル資格ナキ者ハ組合員タルコト
ヲ得ズ但シ其ノ世帶ニ被保險者タル資
格アル者アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
普通國民健康保險組合ノ地區ハ市町村
ノ區域ニ依ル但シ特別ノ事由アルトキ
ハ此ノ區域ニ依ラザルコトヲ得
第十一條組合ヲ設立セントスルトキハ
發起人ハ規約ヲ作リ組合員タラントス
ル者ノ同意ヲ得テ地方長官ノ認可ヲ受
カメン
組合ハ設立ノ認可ヲ受ケタル時ニ成立ス
第十二條組合ノ規約ニハ左ノ事項ヲ記
載スベシ
一組合ノ名稱
二事務所ノ所在地
三組合ノ地區(特別國民健康保險組
合ニ在リテハ組合員ノ範圍)
四組合員ノ加入及脫退ニ關スル事項
五被保險者ノ資格ノ得喪ニ關スル事
項
六其ノ他重要ナル事項
第十三條普通國民健康保險組合ニ付其
ノ組合員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ
二以上組合員タル場合ニ於テ地方長官
必要アリト認メ其ノ組合ヲ指定シタル
トキハ組合員タル資格ヲ有スル者(特別
ノ事由アル者ニシテ命令ヲ以テ定ムル
モノヲ除ク)ハ總テ組合員ト爲ルモノ
トス
第十四條組合ハ組合員及組合員ノ世帶
ニ屬スル者ヲ以テ其ノ被保險者トス但
シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限
ニ在ラズ
-健康保險ノ被保險者
二他ノ組合又ハ組合ノ事業ヲ行フ法
人ノ被保險者
三特別ノ事由アル者ニシテ規約ヲ以
テ定ムルモノ
前項ノ規定ニ拘ラズ組合ハ規約ノ定ム
ル所ニ依リ組合員ノ世帶ニ屬スル者ヲ
包括シテ被保險者ト爲サザルコトヲ得
第十五條組合ハ規約ノ定ムル所ニ依リ
規約違反者ヨリ過怠金ヲ徵收スルコト
ヲ得
第十六條組合ハ事業ニ支障ナキ場合ニ
限リ被保險者ニ非ザル者ヲシテ組合ノ
施設ヲ利用セシムルコトヲ得
組合ハ前項ノ規定ニ依リ組合ノ施設ヲ
利用スル者ニ對シ規約ノ定ムル所ニ依
リ利用料ヲ請求スルコトヲ得
第十七條本法ニ規定スルモノノ外組合
ノ管理、財產ノ保管及利用方法其ノ他
組合ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第二節事業
第十八條組合ハ被保險者ノ疾病又ハ負
傷ニ關シテハ療養ノ給付、分娩ニ關シ
テハ助產ノ給付、死亡ニ關シテハ葬祭ノ
給付ヲ爲ス但シ特別ノ事由アル組合ハ
助產ノ給付又ハ葬祭ノ給付ヲ爲サザル
コトヲ得
組合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ給
付ニ併セテ其ノ他ノ保險給付ヲ爲スコ
トヲ得
特別ノ事由アル組合ハ規約ノ定ムル所
ニ依リ第一項ノ給付ニ代ヘテ療養費、
助產費又ハ葬祭費ヲ支給スルコトト爲
スコトヲ得
第十九條療養ノ給付、助產ノ給付又ハ
葬祭ノ給付ヲ爲ス組合其ノ給付ヲ爲ス
コト困難ナル場合其ノ他必要アル場合
ニ於テハ其ノ都度之ニ代ヘテ療養費、
助產費又ハ葬祭費ヲ支給スルコトヲ得
第二十條組合ハ療養ノ給付ニ要スル費
用ノ一部ヲ其ノ給付ヲ受クル者(給付ヲ
受クル者組合員ニ非ザル場合ニ於テ
ハ其ノ屬スル世帶ノ組合員)ヨリ徵收
スルコトヲ得
第二十一條組合ハ被保險者ノ健康ヲ保
持增進スル爲左ノ施設ヲ爲スコトヲ
得
一疾病又ハ負傷ノ豫防ニ關スル施設
二健康診斷ニ關スル施設
三保養ニ關スル施設
四其ノ他健康ノ保持增進ニ關スル施
設
第二十二條組合ハ其ノ事業ニ要スル費
用ニ充ツル爲組合員ヨリ保險料ヲ徵收
ス
組合ハ特別ノ事由アル者ニ對シ保險料
ヲ減免シ又ハ其ノ徵收ヲ猶豫スルコト
ヲ得
第二十三條組合ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ一定期間保險給付ヲ受クル者ナカリ
シ世帶ノ組合員(組合員ノミヲ被保險
者トスル組合ニ在リテハ保險給付ヲ受
ケザリシ組合員)ニ對シ其ノ期間ノ保
險料ノ一部ヲ拂戾スコトヲ得
第二十四條保險給付ノ種類範圍支給期
間及支給額、保險料ノ額徵收方法及減
免其ノ他保險給付及保險料ニ關シ必要
ナル事項ハ規約ヲ以テ之ヲ定ムベシ
第三節管理
第二十五條組合ニ組合會ヲ置ク
組合會ハ組合會議長及組合會議員ヲ以
テ之ヲ組織ス
組合會議長ハ理事長ヲ以テ之ニ充ツ理
事長故障アルトキハ其ノ代理者議長ノ
職務ヲ行フ
組合會議員ハ組合員ニ於テ之ヲ互選ス
第二十六條組合會ノ議決スベキ事項左
ノ利
-收入支出ノ豫算
二事業報告及決算
三收入支出ノ豫算ヲ以テ定ムルモノ
ノ外新ナル義務ノ負擔又ハ權利ノ抛棄
四準備金其ノ他重要ナル財產ノ處分
五組合債
六規約ノ變更
七其ノ他重要ナル事項
前項第一號及第四號乃至第六號ニ揭グ
ル事項ノ決議ハ地方長官ノ認可ヲ受ク
ルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十七條組合會ハ組合ノ事務ニ關ス
ル書類ヲ檢閱シ、理事ノ報〓ヲ請求シ
又ハ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ
檢査スルコトヲ得
組合會ハ議員中ヨリ委員ヲ選擧シ前項
ノ組合會ノ權限ニ屬スル事項ヲ行ハシ
ムルコトヲ得
第二十八條組合ニ理事數人ヲ置ク
理事ハ組合會ニ於テ組合員中ヨリ之ヲ
選任ス但シ特別ノ事由アルトキハ組合
員ニ非ザル者ノ中ヨリ之ヲ選任スルコ
トヲ妨ゲズ此ノ場合ニ於テハ其ノ選任
ニ付地方長官ノ認可ヲ受クベシ
普通國民健康保險組合ニ在リテハ特別
ノ事由ナキ限リ前項ノ規定ニ拘ラズ理
事中ニ關係市町村長又ハ其ノ委任ヲ受
ケタル吏員ヲ加フルモノトス
第二十九條理事ノ中一人ヲ理事長トス
理事長ハ理事ニ於テ之ヲ互選ス但シ前
條第三項ノ規定ニ依ル理事アルトキハ
特別ノ事由ナキ限リ之ニ付選任ス
理事長ハ組合ヲ代表ス
理事長故障アルトキハ規約ノ定ムル所
ニ依リ他ノ理事其ノ職務ヲ代理ス
第三十條組合會成立セズ又ハ其ノ議決
スベキ事項ヲ議決セザルトキハ理事ハ
地方長官ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スベキ
事項ヲ處置スルコトヲ得
第三十一條組合會ニ於テ議決スベキ事
項ニ關シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ
組合會成立セザルトキ又ハ之ヲ招集ス
ルノ暇ナキトキハ理事之ヲ專決スルコ
トヲ得
第三十二條前二條ノ規定ニ依リ處置ヲ
爲シタルトキハ理事ハ次囘ノ會議ニ於
テ之ヲ組合會ニ報〓スベシ
第三十三條組合ハ規約ノ定ムル所ニ依
リ理事長及理事以外ノ役員ヲ置クコト
ヲ得
第四節分合及解散
第三十四條組合分割、合併又ハ解散ヲ
爲サントスルトキハ組合會ニ於テ之ヲ
議決シ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
第三十五條合併後存續スル組合又ハ合
併ニ因リテ成立シタル組合ハ合併ニ因
リテ消滅シタル組合ノ權利義務ヲ承繼
ス
分割ニ因リテ成立シタル組合ハ分割ニ
因リテ消滅シタル組合又ハ分割後存續
スル組合ノ權利義務ノ一部ヲ承繼ス
前項ノ規定ニ依リ承繼スル權利義務ノ
限度ハ分割ノ議決ト共ニ之ヲ議決シ地
方長官ノ認可ヲ受クベシ
第三十六條組合ハ解散ノ後ト雖モ〓算
ノ目的ノ範圍內ニ於テハ仍存續スルモ
ノト看做ス
第三十七條組合解散シタルトキハ理事
〓算人ト爲ル
前項ノ規定ニ依リテ〓算人タル者ナキ
トキハ地方長官〓算人ヲ選任ス〓算人
缺ケタルトキ亦同ジ
〓算人ハ組合ヲ代表シ〓算ヲ爲スニ必
要ナル一切ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
〓算方法及財產處分ニ付テハ地方長官
ノ認可ヲ受クベシ
地方長官必要アリト認ムルトキハ〓算
方法及財產處分ノ變更ヲ命ジ又ハ〓算
人ヲ解任スルコトヲ得
第三章國民健康保險組合聯合會
第三十八條組合及組合ノ事業ヲ行フ法
人ハ共同シテ其ノ目的ヲ達スル爲國民
健康保險組合聯合會(以下組合聯合會
ト稱ス)ヲ設立スルコトヲ得
組合聯合會ハ法人トス
第三十九條組合聯合會ヲ設立セントス
ルトキハ規約ヲ作リ地方長官ノ認可ヲ
受クベシ
組合聯合會ハ設立ノ認可ヲ受ケタル時
ニ成立ス
第四十條組合聯合會ノ規約ニハ左ノ事
項ヲ記載スベシ
-組合聯合會ノ目的及事業
二組合聯合會ノ名稱
三事務所ノ所在地
四加入及脫退ニ關スル事項
五經費ノ分賦ニ關スル事項
六其ノ他重要ナル事項
第四十一條組合聯合會ニ總會、理事長
及理事ヲ置ク
總會ノ組織竝ニ理事長及理事ノ選任ニ
關スル事項ハ規約ヲ以テ之ヲ定ムベシ
第四十二條第十五條乃至第十七條、第
二十六條、第二十七條、第二十九條第
三項第四項及第三十條乃至第三十七條
ノ規定ハ組合聯合會ニ之ヲ準用ス
第四章監督及補助
第四十三條主務大臣及地方長官ハ組合
若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合聯
合會ニ對シ其ノ事業及財產ニ關シ報〓
ヲ爲サシメ、其ノ狀況ヲ檢査シ、規約
ノ變更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命
令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第四十四條組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ
法人又ハ組合聯合會ノ役員ニ欠缺若ハ
故障アルトキ又ハ其ノ役員其ノ執行ス
ベキ職務ヲ執行セザルトキハ地方長官
ハ官吏又ハ其ノ他ノ者ヲ指定シテ其ノ
職務ヲ執行セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ其ノ職務ノ執行ニ要
スル費用ハ組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ
法人又ハ組合聯合會ノ負擔トス
第四十五條地方長官ハ組合若ハ組合ノ
事業ヲ行フ法人又ハ組合聯合會ノ決議
又ハ役員ノ行爲ガ法令、規約、主務大
臣若ハ地方長官ノ命令若ハ處分ニ違反
シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリ
ト認ムルトキ又ハ其ノ事業若ハ財產ノ
狀況ニ依リ事業ノ繼續ヲ困難ナリト認
ムルトキハ決議ヲ取消シ、役員ヲ解職
シ又ハ組合若ハ組合聯合會ノ解散ヲ命
ジ若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人ニ對シ第
五十四條ノ許可ヲ取消スコトヲ得
第四十六條組合又ハ組合ノ事業ヲ行フ
法人ノ被保險者ニ對シ診療又ハ藥劑ノ
支給ヲ爲ス醫師、齒科醫師又ハ藥劑師
ノ範圍ハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
第四十七條國庫ハ豫算ノ範圍內ニ於テ
組合及組合ノ事業ヲ行フ法人ニ對シ補
助金ヲ交付スルコトヲ得
道府縣及市町村ハ組合及組合ノ事業ヲ
行フ法人ニ對シ補助金ヲ交付スルコト
ヲ得
第五章國民健康保險委員會、訴
願及訴訟
第四十八條保險給付ニ關スル決定ニ不
服アル者ハ國民健康保險委員會ニ審査
ヲ請求シ其ノ決定ニ不服アルトキ民事
訴訟ヲ提起スルモノトス
前項ノ審査ノ請求ハ時效ノ中斷ニ關シ
テハ裁判上ノ請求ト看做ス
第四十九條第四十六條ノ規定ニ依ル認
可ノ申請アリタルトキハ地方長官ハ國
民健康保險委員會ノ意見ヲ徵シ之ガ處
分ヲ爲スベシ
第五十條組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法
人又ハ組合聯合會ト醫師、齒科醫師、
藥劑師其ノ他ノ者又ハ其ノ團體トノ間ニ
於ケル保險給付ニ關スル契約ニ關シ紛
爭ヲ生ジタルトキハ國民健康保險委員
會ハ當事者ノ請求ニ依リ其ノ解決ニ付
幹旋ヲ爲スコトヲ得
第五十一條本法ニ規定スルモノノ外國
民健康保險委員會ニ關シ必要ナル事項
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十二條組合ノ爲シタル保險料其ノ
他本法ノ規定ニ依ル徵收金ノ賦課若ハ
徵收ノ處分又ハ第八條ノ規定ニ依ル滯
納處分ニ不服アル者ハ地方長官ニ訴願
シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ主務大臣ニ
訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコト
ヲ得但シ二以上ノ道府縣ニ跨ル組合ニ
關スルモノニ在リテハ主務大臣ニ訴願
シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルモノトス
前項ノ規定ニ依ル訴願ニ關シテハ組合
ヲ訴願法ノ規定ニ依ル行政廳ト看做ス
第五十三條本章ニ規定スル審査ノ請求、
訴ノ提起又ハ訴願若ハ行政訴訟ノ提起
ハ處分又ハ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨ
リ三十日以內ニ之ヲ爲スベシ此ノ場合
ニ於テ審査ノ請求ニ付テハ訴願法第八
條第三項ノ規定ヲ、訴ノ提起ニ付テハ
民事訴訟法第百五十八條第二項及第百
五十九條ノ規定ヲ準用ス
第六章雜則
第五十四條營利ヲ目的トセザル社國法
人ニシテ其ノ社員ノ爲ニ醫療ニ關スル
施設ヲ爲スモノハ命令ノ定ムル所ニ依
リ地方長官ノ許可ヲ受ケ組合ノ事業ヲ
行フコトヲ得
第五十五條本法中地方長官トアルハ二
以上ノ道府縣ニ跨ル組合若ハ組合ノ事
業ヲ行フ法人又ハ組合聯合會ニ付テハ
之ヲ主務大臣トス
第五十六條本法中町村又ハ町村長トア
ルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ
之ニ準ズベキモノトス
第五十七條組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ
法人又ハ組合聯合會第三十七條第五項
又ハ第四十三條ノ規定ニ依ル命令ニ違
反シ又ハ處分ヲ拒ミ若ハ妨ゲタルトキ
ハ其ノ役員又ハ〓算人ヲ百圓以下ノ過
料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣侯爵木戶幸一君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=14
-
015・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 玆ニ國民健
康保險法案ヲ提出スルニ當リマシテ、提案
ノ理由ヲ簡單ニ說明致シマス、御承知ノ如
ク政府ハ曩ニ本法案ヲ第七十囘帝國議會ニ
提案致シマシタ、而シテ衆議院ニ於キマシ
テハ一部修正ノ上可決サレ、貴族院ニ於キ
マシテモ委員會ニ於キマシテ衆議院ノ修正
通リ可決サレタノデアリマスガ、衆議院解
散ノ爲貴族院ハ停會トナリ、本法案ハ不成
立ニ終ッタノデアリマス、然ルニ本法案ハ現
下ノ情勢ニ鑑ミ、殊ニ銃後ノ社會的諸施設
ノ整備充實ニ資スル上カラ申シマシテ、
日モ速カニ之ヲ成立セシムルノ必要アリト
認メマスルノデ、之ヲ本議會ニ提案致シタ次
第デアリマス、凡ソ國民ノ健康ガ國力進展
ノ原動力デアルコトハ申ス迄モナイコトデ
アリマシテ、其ノ保持增進ヲ圖ルコトハ極
メテ必要デアルト考ヘマス、而シテ之ガ爲
ニハ幾多ノ方法ガアリマセウガ、傷病ニ際
シ必要ナル醫療ヲ受ケシメ、速カニ健康ノ
恢復ヲ圖ルコトハ最モ肝要ナ事デアリマス、
然ルニ醫療ヲ受ケルコトニ關シ、第一ニ問
題トナルノハ醫療費ノ負擔デアリマシテ、
殊ニ最近ニ於ケル農山漁村居住民、都市中
小商工業者等ノ疲弊ハ深刻ナルモノガアリ、
斯カル人々ニ取ッテ醫療費ハ相當經濟的重
壓トナッテ居ルノデアリマス、此ノ醫療費問
題ヲ根本的ニ解決スルニハ、共同ノ力ト平
素ノ用意トニ依ル保險組織ヲ以テ最良ノ策
タルコトヲ認メ、本法案ヲ作成シタ次第デ
アリマス、本法案ノ骨子ト致シマス所ハ、
相扶共濟ノ精神ニ則リ、國民健康保險組合
ヲ設置セシメ、此ノ組合ヲシテ健康保險事
業ヲ爲サシメムトスルノデアリマス、本組
合ハ原則トシテ從來〓土的團結ヲ有スル市
町村ノ區域ニ依ルコトトシ、補充的ニ職業
的組合ヲ組織スル途ヲモ開イテ居ルノデア
リマス、斯クノ如ク本事業ハ國民健康保險組
合ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ建前ト致シ
テ居リマスルガ、農山漁村ニ於キマシテハ、
營利ヲ目的トセザル社團法人ニシテ、其ノ
社員ノ爲ニ醫療ニ關スル施設ヲ行ヒ、之二
關シ相當ノ經驗ヲ有シ訓練ヲ經テ居リ、本
事業ヲ完全ニ遂行シ得ル能力ヲ有スル者ガ
アル場合ニ於キマシテハ、別ニ國民健康保
險組合ヲ設立セズトモ、一定條件ノ下ニ其
ノ法人ヲシテ國民健康保險組合ノ事業ヲ行
ハシムルコトヲ得ルノ途ヲ開キマシテ、地
方ノ實情ニ適合セムコトヲ期シタノデアリ
やく、本組合ノ事業トシテハ療養ノ給付ヲ
中心ト致シマスガ、組合ノ事業及經營方法ハ、
各組合ノ實情ニ應ズルコトガ、肝要デアリマス
ノデ、事業ノ內容ハ〓ネ組合ヲシテ自治的
ニ決定セシムルコトトシテ居リマス、尙本制
度ハ右ノ如キ趣旨ニ依リ醫療費問題ヲ解決
シ、以テ國民ノ健康ヲ保持增進セムトスル
ノデアリマスガ、醫療機關トノ關係ハ最モ重
要デアリマスノデ、本法案ニ於キマシテハ
組合ノ醫療組織ニ對スル監督規定ヲ新タニ
設ケ、可及的ニ從來ノ醫療制度ニ影響ヲ與
フルコトナキヤウ特ニ留意致シタノデアリ
やく、本制度ノ案ノ骨子ニ付キマシテハ、
旣ニ一昨々年社會保險調査會ニ諮問致シ、
滿場一致ヲ以テ可決セラレタモノデアリマ
ス更ニ第六十九議會ニ於キマシテ、國民
健康保險法制定ニ關スル建議ガアリ、又一
昨年六月社會事業調査會ニ於テモ本制度ノ
速カナル施行ヲ要望セラレタノデアリマ
ス、本法案ハ是等ノ建議及答申ニ基キ銳意
〓究ノ結果、玆ニ立案作成サレタ次第デア
リマス、先ニ申上ゲマシタヤウニ、本法案
ニ關シマシテハ第七十囘議會ニ於テ、衆議院
ノ御修正ガアッタノデアリマス、修正ノ要點
ハ、原案第九條ノ營利ヲ目的トセザル社團
法人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ國民健康保險
組合ノ事業ヲ行フコトヲ得ル旨ノ、所謂代
行ニ關スル規定ヲ、昭和十二年三月十一日
ニ於テ現ニ醫療事業ヲ行フ醫療利用組合ニ
限定シ、其ノ旨ヲ附則ニ規定スル點ニアッタ
ノデアリマス、修正ノ御趣旨ハ代行ヲ例外
的ノモノトシテ、制限セムトスルニアッタモ
ノト存ズルノデアリマス、代行ノ制限方法
ニ付キマシテハ、第七十囘議會ノ修正案ノ
如ク、一定期日迄ニ成立セル組合ニ限ルト
云フ方法モアリマスケレドモ、其ノ後種々
ノ論議ニ鑑ミ、當局ニ於キマシテモ更ニ檢
討ヲ重ネ、旁〓社會保險調査會ニモ特ニ代
行ノ問題ニ關シ審議ヲ願ヒマシタ結果、寧
ロ質的ニ內容的ニ論ジテ限定致スコトガ適
當デアルトノ結論ヲ得タノデアリマス、而
シテ代行許可ニ當リマシテハ、嚴格ナル標
準ニ依リ嚴選致ス方針ニ致シテ居リマシ
テ、院議ノ御趣旨ハ十分尊重致シマシテ、
玆ニ本法案ヲ作成シタ次第デアリマス、何
卒愼重御審議ノ上御協賛アラムコトヲ切ニ
望ム次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=15
-
016・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程セラレマシタ
國民健康保險法案ハ、是亦重要ナル法案デ
アリマスルガ故ニ、此ノ特別委員ノ數ヲ十
五名トシ、其ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動
議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=16
-
017・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=17
-
018・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=18
-
019・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔丸龜書記官朗讀〕
國民健康保險法案特別委員
侯爵細川護立君侯爵井上三郞君
伯爵川村鐵太郞君子爵野村益三君
子爵伊東二郞丸君佐藤三吉君
字佐美勝夫君下村宏君
男爵高木喜寛君男爵大森佳一君
男爵關義壽君宮田光雄君
金杉英五郞君濱口儀兵衞君
金岡又左衞門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=19
-
020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十一、昭
和十二年法律第九十二號中改正法律案、政
府提出、第一讀會ノ續、委員長報〓、委員
長樺山伯爵
〔左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參
照ノタメ玆ニ載錄ス〕
昭和十二年法律第九十二號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十三年二月十五日
委員長伯爵樺山愛輔
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵樺山愛輔君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=20
-
021・樺山愛輔
○伯爵樺山愛輔君 御報告ヲ申上ゲマス、
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案ニ
付キマシテ、特別委員會ノ御報告ヲ申上ゲ
ママ、本法案ハ重要法案デアリマスノデ、
特別委員會ハ五囘ニ亙ッテ開キマシテ、愼重
審議致シマシタノデゴザイマスガ、此ノ法
律ハ前議會ニ於テ協贊ヲ得マシタ所謂輸出
入品等ニ關スル臨時措置ニ關スル法律デア
リマシテ、施行ノ期間ハ未ダ短期間デアリ
マスガ、今次ノ事變ニ關聯シ、輸入制限、
輸出禁止等ノ措置ヲ爲スベキ物資モ多數ニ
上ボリマシテ、相當ノ實績ヲ收メツヽアル
ノデアリマス、今囘ノ改正ノ要點ヲ簡單ニ
申上ゲマスト、今次事變ニ關聯致シマシテ
需給ノ關係ヲ調整スル必要ノアル物資モ漸
次增加致シ、且又其ノ調整方法モ複雜多岐
ニ亙リマスノデ、其ノ調整ノ方法ヲ立テマ
スニ付、政府自カラ決定シテ行キマスコト
モ一ツノ方法デアリマスガ、物資ニ依ッテハ
其ノ物資ニ關係ヲ有スル產業團體、卽チ輸
出入、生產、配給、使用等ノ各部門ニ組織
セラレテ居ル各種ノ產業團體ヲ打ッテ一丸
トシタ需給調整協議會ト云フ〓體ヲ組織セ
シメ、此ノ團體ヲシテ政府ノ監督ノ下ニ自
治的ニ需給調整ノ方策ヲ決定セシムルコト
ガ必要ナコトデアリ、又效果ヲ收メル上カ
ラ見テモ適切デアルト云フ意味ニ於キマシ
テ、現行法ノ第二條ノ次ニ三箇條ヲ追加ス
ルト云フノガ改正ノ要點デアリマス、尙政
府ガ必要アリト認メマス場合ハ、關係產
業團體ニ對シ需給調整協議會ノ組織ヲ命
ジ、又協議會ニ對シテ需給調整ニ關シ必要
ナル決定ヲ爲サシメ、或ハ又協議會ノ會員
ニ對シ、協議會ノ決定ニ從フベキコトヲ命
ジ得ルコトニナッテ居ルノデアリマス、本法
ハ今次事變ニ處シテ、國防經濟確立ノ爲ニ、
從來ノ產業經濟ノ實體ニ相當變化ヲ與ヘル
モノデアリマスノデ、改正案ニ付テノミナ
ラズ、本法全般ニ亙リ其ノ施行ノ情況、政
府ノ方針等ニ付熱心ニ質問應答ガアリマシ
テ、今其ノ主ナル論點ニ付簡單ニ御說明申
上ゲマス、第一、今次事變ニ關聯シテ軍需
資材ノ輸入モ相當增加シ、從ッテ輸入ノ制限
ヲ受クル物資ハ多數ニ上ボリ、殊ニ原料ヲ
輸入ニ仰イデ居ル產業ニアッテハ相當打擊
ヲ受ケルノデアルガ、輸入制限ニ付テ大體
ノ見透シト云フモノガ立テラレナケレバナ
ラヌ、民間ニ於テハ混亂ヲ惹起スル虞ガア
ルト思ハレルガ如何、之ニ對ツマシテ商工
大臣ハ、輸入制限ニ伴フ物資ノ輸入ノ見透
シニ付テハ、昨年ハ草創ノ際デモアリ、各
般ノ調査等モ十分整ッテ居ラナカッタ爲、見
透シヲ付ケルト云フ點ニ付テモ遺憾ノ點ガ
アッタヤウニ思フガ、今年ハ在庫量ノ調査等
モ完備シ、其ノ他ノ準備〓究モ稍、ミ出來上ッ
タノデ、大體ノ見透シヲ付ケテ、一定ノ計畫
ヲ樹立シ、輸入量ノ決定ヲ爲シ得ルト思フ、
第二ノ質問ハ、我ガ國ノ輸出產業ハ多ク原
料ヲ輸入ニ仰イデ居ル關係上、原料ニ對シ
テ輸入制限ヲ行フコトハ、輸出不振ヲ來ス
結果ト思ハレルガ、如何ニシテ輸出ノ維持
增進ヲ圖ル考デアルカ、之ニ對シマシテ輸
出ニ向ケラレル商品ノ原料ハ制限ヲ致サナ
イ考デアッテ、且又一方ニ民間需要ノ輸入ガ
制限セラレテモ、他方ニ軍需資材ノ輸入
ガ增加スルガ故ニ、貿易モ國ト國トノ關係
ニ於テハ相當輸出入額ヲ基準トシテ、政治
的外交的ニ對手國トノ話合ヲ付ケルコト
モ可能デアルノデ、輸出增進ニ付テハ此ノ方
針ニ依ッテ努力スル考デアル、質問第三、輸
入ノ制限ト云フコトハ此ノ際已ムヲ得ナイ
ト考ヘルガ、日本ニ於ケル產業技術ガ未ダ
十分發達セザル物資ニアッテハ、海外ヨリ優
秀ナル技術ヲ採リ入レル意味ニ於テ、多少
ノ輸入ヲ許可シ、絕エズ我ガ技術ノ改善進
步ヲ圖ルコトガ必要デアラウト思ハレルガ
如何、之ニ對シマシテ、我ガ國ノ產業技術
ノ進步發達ノ爲ニハ、或程度迄ハ輸入ノ制
限ヲ緩和スル必要ガアラウト思ハレルノ
デ、其ノ點ニ付テモ折角考慮中デアル、第
四ノ質問ハ、物資カラ見タ國トシテノ輸入
計畫ト、金カラ見タ爲替許可ノ實際トガ一
致セザル場合ガアッテ、業者ガ困惑シテ居ル
ト云フコトデアルガ、其ノ點ハ如何、之ニ對
シマシテ、物資ノ輸入計畫ト爲替許可トノ關
係ニ付テハ、從來遺憾ノ點モアッタヤウニ思
ハレルガ、此ノ二ツハ一ツノ所デ定メラレルコト
ガ最モ宜イト思フ、政府トシテハ其ノ目的ニ
同じ、折角案ヲ〓究中デアルノデ、遠カラ
ズ不便ガ無クナルヤウニナラウト思ハレル、
第五、本法ニ依ル需給調整ノ中ニハ、價格調
整ニ關スルコトガ含マレルヤ否ヤ、今次ノ
事變ニ關聯シテ、物資ニ付テハ相當價格ガ
暴騰スルモノモアラウガ、其ノ點ニ付テハ
如何、之ニ對シ、本法ニ依ル需給調整中ニ
ハ價格調整ハ勿論含マレルノデアッテ、現ニ
數種ノ物資ニ付テハ最高價格ヲ定メテ統制
シ、業界ニ組織セラレル組合等ノ關係ニ依
リ、自治的ニ價格ノ調整ヲ行ハシメテ居ル
ノデアル、第六、今囘ノ改正法律案ニアル
需給調整協議會ニ於テ調整方法ヲ決定スル
際其ノ表決ノ方法如何ニ依ッテハ、大會社
ニ特ニ有利ナ結果トナリ、又之ニ反シ、小
會社ガ多數ヲ以テ不當ナ決定ヲ爲スト云フ
ヤウナコトモ起リ得ルノデアルガ、此ノ點
ニ關シテハ如何、之ニ付テ、需給調整協議
會ニハ評議員會ト云フヤウナ機關ヲ設ケル
豫定デアッテ、評議員ノ員數、選出方法、又
評議員會ノ決定ノ方法、表決權ノ定メ方等
ハ、協議會ノ規約ニ定メシメテ之ヲ政府ガ
認可スル際、大小業者何レニモ不公平ナラ
ザルヤウ指導シテ行ク考デアル、質問第七、
本改正法案ハ外地ニモ施行スル必要ガアラ
ウト思ハレルガ、其ノ點ハ如何、此ノ問題
ニ付テハ、本法ハ旣ニ其ノ儘外地ヘモ施行
セラレテ居ル關係上、改正法律案モ當然外
地へ施行セラレ、內外地一體ヲ成シテ、需
給調整ヲ爲シ得ルコトトナッテ居ル、第八、
此ノ方法ニ依ル、需給調整ハ自治的調整ヲ本
旨トスルト云フコトデアルガ、種々强制ノ
手段モ考ヘラレテ居ルガ、實際ノ運用ニ當ッ
テハ寧ロ其ノ趣旨ニ反スル結果トナルノデ
ハナイカ、此ノ點ニ關シマシテ、我ガ國ノ
經濟ガ本來自由ノ經濟ヲ基調トシテ發展ス
ベキモノデアルコトハ我々ノ信ズル所デア
ルガ、物ガ不足スル場合ニハ、之ニ或程度
ノ統制ヲ加ヘルコトハ已ムヲ得ナイコトデ
アッテ、唯此ノ場合ニ所謂官僚統制ノ弊ヲ避
クル必要アルコトハ勿論デアル、是ニハ豫
テヨリ特ニ我々ノ意ヲ用ヒテ居ル所デアル、
現ニ其ノ爲ニハ專門委員其ノ他ノ制度ヲ實
施シ、〓究シテ居ルノデアル、右ハ質問應
答ノ大體デアリマス、其ノ他速記ヲ中止シ
テ、大藏商工兩大臣ヨリ誠意ヲ盡シテ、種々
懇切ナル說明ガアッタノデアリマス、質問
ヲ終了シ、討論ニ入リマシタ際、一員ヨリ、
本改正案ニ贊成スル者デアルガ、本法ハ輸
出入品等ノ臨時措置ニ關スル重要ナル法律
デアルカラト云フノデ、其ノ運用ニ關聯シ
テ二三ノ希望ガ述べラレマシタ、卽チ本法
ハ今次ノ支那事變ニ關聯シテ、國民經濟ノ
運用ヲ確保スル爲ニ最モ必要ナル法律デア
ルガ、今次ノ事變ガ長期ニ互ル覺悟ヲ必要
トスルト云フヤウナ情勢ニナッテ居ル次第デ
アルカラ、本法ノ運用ニ當リ右ノ狀態ヲ篤
ト國民ニ了解セシムルト共ニ、政府ハ決シ
テ官僚獨善ノ氣持ヲ以テ本法ヲ運用セムト
スルモノデハナイト云フ方針ヲ徹底セラレ
タキコト、次ハ物資ノ輸入許可ト爲替ノ許
可ノ取扱ニ付、事務ノ圓滑ヲ圖ル爲、統
シタル適當ナル機構ヲ設クル等ノ方法ニ付、
十分考慮セラレタキコト、終リニ國際貸借
ノ改善ヲ圖ルコトガ今日特ニ必要ト認メラ
レルカラ、輸出貿易ノ振興ニ付特ニ力ヲ注
ギ、有ラユル手段ヲ盡シテ努力セラレタイ
ト云フ趣旨ノ希望ガ述ベラレタノデアリマ
ス、次イデ採決ノ結果、全會一致ヲ以テ本
案ガ可決セラレタノデアリマス、右御報〓
申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=21
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022・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=22
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023・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=23
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024・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=24
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025・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=25
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026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=26
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027・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=27
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028・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報告通リ
デ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=28
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029・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=29
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030・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=30
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031・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=31
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032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=32
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033・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=33
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034・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、二讀會ノ決議通リ
デ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=34
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035・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=35
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036・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程ハ全部終了
致シマシタ、次會ノ議事日程ハ決定次第彙
報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ
散會致シマス
午前十一時一分散會
貴族院議事速記錄第十一號正誤
頁段行誤正
一三九四二六テ前三テハ前三
一四〇三四十七號ノ二十七條ノ二
一四、四二三-二四第四十四條、第四十四條
第二項第二項
一四六四一二居リマスノデ居ラヌノデ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X01419380218&spkNum=36
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