1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十三年三月十一日(金曜日)午前十時二十分開議
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議事日程 第二十二號
昭和十三年三月十一日
午前十時開議
第一 恩給金庫法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 恩給法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 庶民金庫法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 無盡業法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 樺太地方鐵道補助法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 石油資源開發法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 社會事業法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第八 商店法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第九 簡易生命保險法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十 昭和十二年法律第八十四號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十一 關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺太廳の各特別會計に於ける租税收入の一部に相當する金額等を臨時軍事費特別會計に繰入るることに關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十二 昭和十三年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債追加發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十三 昭和十三年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 昭和七年法律第一號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十五 造幣局東京出張所廳舍其の他の新營費に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 對支文化事業特別會計法の特例に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 支那事變に關する臨時軍事費の財源に充つる爲特別會計より爲す繰入金に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十八 朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十九 軍の需要充足の爲の會計法の特例に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十 擔保附社債信託法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=0
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔石橋書記官朗讀〕
一昨九日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提
出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
市街地建築物法中改正法律案
同日本院ニ於テ修正議決シタル左ノ政府提
出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
有價證劵業取締法案
昨十日委員會ニ於テ當選シタル正副委員長
ノ氏名左ノ如シ
農地調整法案特別委員會
委員長伯爵黑木三次君
副委員長男爵稻田昌植君
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
擔保附社債信託法中改正法律案可決報〓
書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
恩給金庫法案
恩給法中改正法律案
庶民金庫法案
無盡業法中改正法律案
樺太地方鐵道補助法中改正法律案
石油資源開發法案
社會事業法案
商店法案
簡易生命保險法中改正法律案
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案
關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺太
廳ノ各特別會計ニ於ケル租稅收入ノ一部
ニ相當スル金額等ヲ臨時軍事費特別會計
ニ繰入ルルコトニ關スル法律案
昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債追加發行ニ關スル法律案
同日內閣總理大臣ヨリ左ノ通第七十三回帝
國議會政府委員仰付ケラレタル旨ノ通牒ヲ
受領セリ
大藏省所管事務政府委員
大藏書記官尾關將玄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、日程第一、恩給金庫法案、
日程第二、恩給法中改正法律案、日程第三、
庶民金庫法案、日程第四、無盡業法中改正
法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、
是等ノ四案ヲ一括シテ議題トスルコトニ御
異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=2
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003・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、船田法制局長官
〔左ノ送付文及法案ハ朗讀ヲ經サ
ルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス以下之
ニ傚フ〕
恩給金庫法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因
テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
(小字及-ハ衆議院ノ修正ナリ)
恩給金庫法案
恩給金庫法
第一章總則
第一條恩給金庫ハ法人トス
第一級恩給金庫ハ主タル事務所ヲ東京
市ニ置ク
恩給金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要
シ又ハ官廳
ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコトヲ
其ノ他ノ機關ニ其ノ業務ノ執行ニ關スル事
1得
務ノ一部ノ取扱ヲ委託スルコトヲ得
第三條恩給金庫ノ資本金ハ三千萬圓ト
シ之ヲ三十萬口ニ分チ一口ノ金額ヲ百
圓トス但シ資本金ハ主務大臣ノ認可ヲ
受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
政府ハ五百萬圓ヲ限リ恩給金庫ニ出資
スパン
第四條恩給金庫ハ出資ニ對シ勅令ノ定
ムル所ニ依リ出資證劵ヲ發行ス
第五條恩給金庫ノ出資者ノ責任ハ其ノ
出資額ヲ限度トス
出資者ハ恩給金庫ニ拂込ムベキ出資額
ニ付相殺ヲ以テ之ニ對抗スルコトヲ得
ズ
第六條出資者ハ恩給金庫ノ承認ヲ經テ
其ノ持分ヲ讓渡スルコトヲ得
第七條拂込ヲ怠リタル出資者ニ對シ恩
給金庫ガ一月以上ノ相當ノ期間ヲ定メ
拂込ノ請求ヲ爲シタルニ拘ラズ出資者ガ
拂込ヲ爲サザル場合ニ於テ持分ノ讓渡
ヲ恩給金庫ノ原簿ニ登錄シタル後二年
ヲ超エザル讓渡人アルトキハ恩給金庫
ハ之ニ對シ期限ヲ定メ拂込ヲ請求スル
コトヲ得此ノ場合ニ於テ最モ先ニ滯納
金額ノ拂込ヲ爲シタル讓渡人ハ其ノ持
分ヲ取得ス
前項ノ規定ニ依ル出資者及讓渡人ノ拂
込ナキトキハ恩給金庫ハ主務大臣ノ認
可ヲ受ケ該持分ヲ賣却スルコトヲ得賣
却ニ依リテ得タル金額ガ滯納金額ニ滿
タザルトキハ從前ノ出資者ヲシテ其ノ
不足額ヲ辨濟セシムルコトヲ得其ノ者
ガ二週間內ニ之ヲ辨濟セザルトキハ前
項ノ讓渡人ニ對シテモ其ノ辨濟ヲ請求
スルコトヲ得
前二項ノ規定ハ恩給金庫ガ損害賠償及
定款ヲ以テ定ムル違約金ノ請求ヲ爲ス
コトヲ妨ゲズ
第八條恩給金庫ハ定款ヲ以テ左ノ事項
ヲ規定スベシ
一目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四資本金額及資產ニ關スル事項
五役員及會議ニ關スル事項
業務及其ノ執行ニ關スル事項
七六
恩給債劵ノ發行ニ關スル事項
八會計ニ關スル事項
九公〓ノ方法
定款ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更
スルコトヲ得
第九條恩給金庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第十條恩給金庫ニハ所得稅及營業收益
稅ヲ課セズ
北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズ
ベキモノハ恩給金庫ノ事業ニ對シテハ
地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ
事情ニ基キ內務大臣及大藏大臣ノ認可
ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
朝鮮、臺灣、關東州、樺太及南洋群島
ニ於ケル課稅ニ關シテハ勅令ヲ以テ之
フルト
第十一條恩給金庫ニ付解散ヲ必要トス
ル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置
ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條恩給金庫ニ非ザル者ハ恩給金
庫又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フルコト
乙四、
第二章役員
第十三條恩給金庫ニ理事長一人、理事
三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第十四條理事長ハ恩給金庫ヲ代表シ其
ノ業務ヲ總理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ恩給金庫
ヲ代表シ、理事長ヲ輔佐シテ恩給金庫
ノ業務ヲ掌理シ、理事長事故アルトキ
ハ其ノ職務ヲ代理シ、理事長缺員ノト
キハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ恩給金庫ノ業務ヲ監査ス
第十五條理事長、理事及監事ハ主務大
臣之ヲ命ズ
恩給金庫ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者ハ
其ノ職ヲ退キタル後五年間恩給金庫ノ理
事長、理事及監事ト爲ルコトヲ得ズ但シ主
務大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキ
ハ此ノ限ニ在ラズ
三
理事長及理事ノ任期ハ五年、監事ノ任
二
期ハ三年トス
第十六條理事長及理事ハ他ノ職業ニ從
事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可
ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十七條恩給金庫ニ評議員二十人以內
ヲ置キ主務大臣之ヲ命ズ
評議員ハ業務經營ニ關スル重要事項ニ
付理事長ノ諮問ニ應ジ必要アルトキハ
之ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
評議員ハ名譽職トシ其ノ任期ハ三年ト
ス
第三章業務
第十八條恩給金庫ハ左ノ業務ヲ行フ
一恩給法ニ依ル恩給ヲ擔保トスル貸
付
二勳章年金(以下單ニ年金ト稱ス)ヲ
擔保トスル貸付
三恩給法以外ノ法令(地方公共團體
ノ條例ヲ含ム)ニ依ル恩給ヲ擔保ト
スル貸付
四恩給及年金ノ代理受領竝ニ受領シ
タル金錢ノ寄託ノ引受
五前各號ノ業務ニ附帶スル事業
第十九條恩給ハ其ノ裁定前ト雖モ給與
ヲ受クベキコトノ確實ナルモノニ付テ
ハ之ヲ擔保トシテ貸付ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リテ爲ス貸付ノ金額ハ
裁定後ニ爲ス貸付ノ標準金額ノ半額ヲ
超ユルコトヲ得ズ
第二十條恩給金庫ハ先ヅ恩給又ハ年金
ノ支給金ヲ以テ貸付金ノ元利ニ充當ス
ベシ
前項ノ規定ニ依リ充當ヲ爲シタル殘餘
ノ貸付金ニ付テハ恩給金庫ハ主務大臣
ノ認可ヲ受ケ其ノ債權ヲ抛棄スルコト
ヲ得
第二十一條恩給金庫ハ其ノ債權ヲ確保
スル目的ヲ以テ命令ノ定ムル所ニ依リ
債務者ニ代リテ恩給及年金ニ關スル請
求其ノ他ノ行爲ヲ爲スコトヲ得
第二十二條恩給金庫ハ左ノ方法ニ依ル
ノ外業務上ノ餘裕金ヲ運用スルコトヲ
得ズ
一國債、地方債又ハ主務大臣ノ認可
ヲ受ケタル有價證劵ノ取得ヲ爲スコ
二大藏省預金部若ハ銀行ヘノ預金又
ハ郵便貯金ト爲スコト
第二十三條恩給金庫ハ資本金ノ十分ノ
一以上ノ拂込アリタルトキハ其ノ業務
ヲ開始スルコトヲ得
第四章擔保ノ效力
第二十四條擔保ニ供セラレタル恩給又
ハ年金ハ恩給金庫ノミ其ノ支拂ヲ求ム
ルコトヲ得
第二十五條公務員(之ニ準ズル者ヲ含
ム)ガ其ノ受クル恩給又ハ年金ヲ擔保
ニ供シタルトキハ其ノ效力ハ其ノ遺族
ノ受クベキ恩給又ハ年金ノ上ニ及ブコ
トナシ但シ特約ヲ以テ承諾ヲ爲シタル
遺族ノ受クベキ恩給又ハ年金ニ付テハ
此ノ限ニ在ラズ
遺族ガ其ノ受クル恩給又ハ年金ヲ擔保
ニ供シタルトキハ其ノ效力ハ擔保ニ供
シタル者ノ後順位者ノ受クベキ恩給又
ハ年金ノ上ニ及ブコトナシ但シ特約ヲ
以テ承諾ヲ爲シタル後順位者ノ受クベ
キ恩給又ハ年金ニ付テハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第二十六條恩給ヲ擔保ニ供シ恩給金庫
ヨリ貸付ヲ受ケタル者ハ其ノ債務ノ完
濟ニ至ル迄ハ其ノ恩給ヲ受クルノ權利
ヲ抛棄スルコトヲ得ズ
第二十七條再就職其ノ他ノ事由ニ因リ
恩給ガ改定若ハ更正セラレ又ハ年金ガ
進級增額若ハ更正セラルル場合ニ於テ
恩給金庫ガ改定、進級增額又ハ更正前
ノ恩給又ハ年金ニ付擔保權ヲ有スルト
キハ恩給金庫ハ當然新恩給又ハ新年金
ノ上ニ擔保權ヲ有ス
第二十八條恩給ヲ擔保ニ供シタル者再
ビ就職シ恩給ヲ停止セラルル場合ニ於
テハ恩給金庫ハ恩給ノ支給金ヲ以テ辨
濟ヲ受クベキ金額ノ範圍內ニ於テ其ノ
者ノ受クベキ俸給中ヨリ貸付金額ノ辨
濟ヲ受クルコトヲ得
第二十九條恩給又ハ年金ヲ擔保トスル
ニハ其ノ證書ヲ恩給金庫ニ交付スベシ
但シ恩給ノ裁定前豫メ之ヲ擔保トスル
場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第三十條恩給ノ裁定前豫メ之ヲ擔保ト
シテ貸付ヲ爲シタルトキハ恩給金庫ハ
遲滯ナク裁定廳ニ其ノ要旨ヲ申〓シ置
クコトヲ要ス
第三十一條前條ノ規定ニ依ル申〓ヲ受
ケタル件ニ付恩給給與ノ裁定ヲ爲シタ
ルトキハ裁定廳ハ恩給證書ヲ恩給金庫
ニ交付スベシ
第三十二條裁定ヲ經タル恩給又ハ年金
ヲ擔保トシテ貸付ヲ爲シタルトキハ恩
給金庫ハ遲滯ナク恩給ノ裁定廳又ハ賞
動局及支給廳ニ其ノ旨ヲ申告スベシ擔
保權ノ消滅シタルトキ亦同ジ
第三十三條恩給金庫ニ擔保ニ供セラレ
タル恩給又ハ年金ニ付證書ノ再發行ヲ
爲ス場合ニ於テハ新證書ハ之ヲ恩給金
庫ニ交付スベシ擔保ニ供セラレタル恩
給又ハ年金ヲ改定、進級增額又ハ更正
スルニ當リ新ニ證書ヲ發行スル場合亦
同ジ
第三十四條本章ニ規定スルモノノ外恩
給又ハ年金ノ擔保ノ實行ニ關シ必要ナ
ル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五章恩給債劵
第三十五條恩給金庫ハ拂込資本金額ノ
十五倍ヲ限リ恩給債劵ヲ發行スルコト
ヲ得但シ其ノ貸付金及所有ニ係ル有價
證劵ノ現在高ヲ超過スルコトヲ得ズ
第三十六條恩給債劵ハ額面金額五十圓
以上トシ無記名利札附トス但シ應募者
又ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト爲スコ
トヲ得
恩給債劵ハ割引ノ方法ヲ以テ之ヲ發行
スルコトヲ得
第三十七條恩給金庫ハ恩給債劵借換ノ
爲一時第三十五條ノ制限ニ依ラズ恩給
債劵ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ恩給債劵ヲ發行シタ
ルトキハ發行後一月內ニ其ノ發行額面
金額ニ相當スル舊恩給債劵ヲ償還スベ
シ
第三十八條恩給債劵ハ賣出ノ方法ヲ以
テ之ヲ發行スルコトヲ得
第三十九條恩給金庫ニ於テ恩給債劵ヲ
發行セントスルトキハ主務大臣ノ認可
ヲ受クベシ
第四十條恩給債劵ノ消滅時效ハ元金ニ
在リテハ十五年、利子ニ在リテハ五年
ヲ以テ完成ス
第四十一條所得稅法、資本利子稅法及
有價證劵移轉稅法中國債以外ノ公債ニ
關スル規定ハ恩給債劵ニ之ヲ準用ス
第四十二條本章ニ規定スルモノノ外恩
給債劵ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第六章會計
第四十三條恩給金庫ノ事業年度ハ一月
ヨリ六月迄及七月ヨリ十二月迄トス
第四十四條恩給金庫ハ每事業年度ニ於
テ準備金トシテ剩餘金ノ十分ノ一以上
ヲ積立ツベシ
第四十五條恩給金庫ハ成立後二十事業
年度ノ間ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ政府
ノ出資ニ對スル剩餘金ノ配當ヲ減額シ
又ハ之ヲ爲サザルコトヲ得
第四十六條恩給金庫ハ設立ノ時及每事
業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借對照
表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共ニ之
ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
出資者及債權者ハ業務時間內何時ニテ
モ前項ニ揭グル書類ノ閲覽ヲ求ムルコ
トヲ得
第七章監督
第四十七條恩給金庫ハ內閣總理大臣及
大藏大臣之ヲ監督ス
第四十八條恩給金庫ハ主務大臣ノ認可
ヲ受クルニ非ザレバ剩餘金ノ處分ヲ爲
スコトヲ得ズ
第四十九條恩給金庫ハ每事業年度ノ初
ニ於テ貸付利率ノ最高限度其ノ他貸付
ニ關スル條件ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ
受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同
第五十條主務大臣ハ恩給金庫ニ對シ業
務及財產ノ狀況ニ關シ報告ヲ爲サシメ、
檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル命令
ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第五十一條主務大臣ハ特ニ恩給金庫監
理官ヲ置キ恩給金庫ノ業務ヲ監視セシ
ム
第五十二條恩給金庫監理官ハ何時ニテ
モ恩給金庫ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査
スルコトヲ得
恩給金庫監理官ハ必要アリト認ムルト
キハ何時ニテモ恩給金庫ニ命ジテ業務及
財產ノ狀況ヲ報告セシムルコトヲ得
恩給金庫監理官ハ恩給金庫ノ諸般ノ會
議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第五十三條役員ガ法令、定款若ハ主務
大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル
行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ
解任スルコトヲ得
第八章罰則
第五十四條左ノ場合ニ於テハ恩給金庫
ノ理事長、理事又ハ監事ヲ百圓以上千
圓以下ノ過料ニ處ス
本法ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ク
ベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザル
トキ
二本法ニ規定セザル業務ヲ營ミタル
トキ
三第二十二條ノ規定ニ違反シ業務上
ノ餘裕金ヲ運用シタルトキ
四第三十五條又ハ第三十七條第二項
ノ規定ニ違反シ恩給債劵ノ發行ヲ爲
シ又ハ償還ヲ爲サザルトキ
五主務大臣ノ監督上ノ命令又ハ處分
ニ違反シタルトキ
六第五十二條ノ規定ニ依ル恩給金庫
監理官ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避
シ又ハ其ノ命ズル報告ヲ爲サザルト
キ
第五十五條左ノ場合ニ於テハ恩給金庫
ノ理事長、理事又ハ監事ヲ十圓以上五
百圓以下ノ過料ニ處ス
-本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ
登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登
記ヲ爲シタルトキ
二第四十六條ノ規定ニ違反シ書類ヲ
備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載ス
ベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載
ヲ爲シタルトキ又ハ正當ノ事由ナク
シテ其ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
第五十六條第十二條ノ規定ニ違反シ恩
給金庫又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用ヒタ
ル者ハ十圓以上五百圓以下ノ過料ニ處
ス
第五十七條非訟事件手續法第二百六條
乃至第二百八條ノ規定ハ前三條ノ過料
ニ之ヲ準用ス
附則
第五十八條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第五十九條主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ
恩給金庫ノ設立ニ關スル一切ノ事務ヲ
處理セシム
第六十條設立委員ハ定款ヲ作成シ主務
大臣ノ認可ヲ受ケタル後出資者ヲ募集
スベシ
第六十一條設立委員ハ出資者ノ募集終
リタルトキハ出資申込書ヲ主務大臣ニ
提出シ設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ認可ヲ受ケタルトキハ設立委員
ハ遲滯ナク出資第一囘ノ拂込ヲ爲サシ
ムルコトヲ要ス
第六十二條出資第一囘ノ拂込完了シタ
ルトキハ出資者ノ總會ヲ招集スベシ
前項ノ總會終結シタルトキハ恩給金庫
ハ之ニ因リテ成立ス此ノ場合ニ於テハ
設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務ヲ恩給金
庫理事長ニ引繼グベシ
第六十三條本法ニ規定スルモノノ外恩
給金庫設立ニ關シ必要ナル事項ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第六十四條登錄稅法中第六條ノ二ヲ第
六條ノ三トシ第六條ノ次ニ左ノ一條ヲ
加フ
第六條ノ二恩給金庫カ恩給債券ニ付
登記ヲ受クルトキハ左ノ區別ニ從ヒ
登錄稅ヲ納ムヘシ
-恩給債劵又ハ其ノ第二囘以後ノ拂
込每囘拂込金額千分ノ二
二登記事項ノ變更、消滅又ハ廢止
每一件金十圓
從タル事務所ノ所在地ニ於テ前項各號
ノ登記ヲ受クルトキハ每一件金二圓ノ
登錄稅ヲ納ムヘシ
第六十五條登錄稅法第十九條第七號中
「產業組合」ノ上ニ「恩給金庫、」ヲ、「產
業組合法」ノ上ニ「恩給金庫法、」ヲ加フ
第六十六條印紙稅法第五條中第五號ノ
次ニ左ノ一號ヲ加フ
五ノ二恩給金庫ノ發スル出資證劵又
ハ貸付業務ニ關スル證書帳簿
恩給法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因
テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
恩給法中改正法律案
恩給法中左ノ通改正ス
第十一條第一項ヲ左ノ如ク改ム
恩給ヲ受クルノ權利ハ之ヲ讓渡シ又ハ
擔保ニ供スルコトヲ得ス但シ特別法ノ
定ムル所ニ依リ恩給金庫ニ擔保ニ供ス
ルハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ違反シタルトキハ裁定官
廳ハ支給廳ニ通知シ恩給ノ支給ヲ差止
ムヘシ
第十六條第三號中「實業補習學校」ヲ靑
年學校」ニカハイ
第二十四條第二號中「感化院職員」ヲ「少
年〓護院職員」三六人
同條ニ左ノ一號ヲ加フ
五在滿學校組合待遇職員令ニ依リ判
任官以上ノ待遇ヲ受クル者
第四十六條ノ二第一項中「退職後一年內」
ヲ「退職後三年內」ニ改ム
第五十九條第三項中「實業補習學校」ヲ
「靑年學校」ニ改ム
第五十九條ノ二第一項第一號中「計算ス」
ノ下ニ左ノ如ク加フ
退職又ハ死亡前一年內ニ昇給アリテ退
職又ハ死亡ノ際昇給ナカリシトキ亦同
同條第四項ヲ左ノ如ク改ム
實在職期間一年未滿ナルトキハ俸給ノ
關係ニ於テハ就職前モ就職當時ノ俸給
ヲ以テ在職シタルモノト看做シ計算ス
第六十二條第三項中「小學校、」ノ下ニ「靑
年學校、」ヲ加フ
第六十五條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル時
ヨリ五年內ニ退職セサリシ場合ニ於テ
ハ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル時ヨ
リ五年ヲ經過シタル日ニ於ケル階等ヲ
以テ退職當時ノ階等ト看做ス
第六十五條ノ二第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ普通恩給ヲ併給セラルル場合ニ於
テハ別表第三號表ノ金額ノ十分ノ七·
五ニ相當スル金額ヲ以テ傷病年金ノ年
額トス
第六十六條第一項中「一年」ヲ「三年」ニ
改ム
第六十六條ノ二下士官以下ノ軍人前條
ノ規定ニ依リ傷病賜金ヲ受ケタル後四
年內ニ第四十六條第二項又ハ第四十六
條ノ二第二項ノ規定ニ依リ增加恩給又
ハ傷病年金ヲ受クルニ至リタルトキハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ傷病賜金ノ一部
ヲ返還セシム
第七十五條扶助料ノ年額ハ左ノ各號ニ
依ル
第二號乃至第四號ニ特ニ規定スル
場合ノ外ハ公務員又ハ之ニ準スヘキ
者ニ給セラルル普通恩給年額ノ十分
ノ五ニ相當スル金額
二公務員又ハ之ニ準スヘキ者戰鬪又
ハ戰鬪ニ準スヘキ公務ニ因ル傷痍疾
病ノ爲死亡シタルトキハ前號ノ規定
ニ依ル金額ニ退職當時ノ階等ニ依リ
定メタル別表第五號表ノ率ヲ乘シタ
ル金額
三公務員又ハ之ニ準スヘキ者普通公
務ニ因ル傷痍疾病ノ爲死亡シタルト
キハ第一號ノ規定ニ依ル金額ニ退職
當時ノ階等ニ依リ定メタル別表第六
號表ノ率ヲ乘シタル金額
四增加恩給ヲ併給セラルル者公務ニ
起因スル傷痍疾病ニ因ラスシテ死亡
シタルトキハ第一號ノ規定ニ依ル金
額ニ退職當時ノ階等ニ依リ定メタル
別表第七號表ノ率ヲ乘シタル金額
前項第二號乃至第四號ニ規定スル場合
ニ於テ扶助料ヲ受クル者ノ同一戶籍內
ニ扶助料ヲ受クヘキ要件ヲ具フル遺族
カ扶助料ヲ受クル者ヲ合シ三人以上ア
ルトキハ其ノ扶助料年額ニ遺族ノ人員
ニ依リ定メタル別表第八號表ノ率ヲ乘
シタル金額ヲ加給ス但シ同一戶籍內ニ
扶助料ヲ受クル者二人以上アル場合及
二以上ノ扶助料ヲ併セ受クル者アル場
合ニ於ケル加給ニ付テハ勅令ノ定ムル
所ニ依ル
第九十一條第一項中「(關東廳及其ノ所屬
官署職員ニ付テハ南滿洲鐵道附屬地ヲ
フ
傷
甲
號
乙
號
含ム)」ヲ削リ同項ノ次ニ左ノ一項ヲ加
關東局職員ニシテ滿洲國新京特別市ニ
別表第二號表ヲ左ノ如ク改ム
第二號表
階
等
病原症狀等差
因
特別項
第一項
第二項
戰鬪又ハ
戰鬪ニ準第三項
スヘキ公第四項
務
第五項
第六項
第七項
特別項
第一項
第二項
第三項
普通公務
第四項
第五項
第六項
第七項
別表第三號表ヲ左ノ如ク改ム
在勤スルモノハ前項ノ規定ノ適用ニ付
テハ關東州ニ在勤スルモノト看做ス
同條第二項中「前項」ヲ「第一項」ニ改ム
任奏任判任
勅親任三等乃六等乃一等等等四等
至五等至九等三
勅任待遇奏任待遇判任待遇
將官佐官尉官准士官下士官兵
圓圓圓圓圓圖
二、四〇〇一、九八〇一、五六〇一、四〇四一、二八七一、一七〇
二、〇〇〇一、五七五一、二五四一、一二八一、〇三四丸い〇
一、六〇〇一、二六〇一、〇〇三九〇三八六八七五二
一、二八〇込んで七九九七六九〇六三三三五五
一、〇〇〇七五〇五八七五三八四人街四五〇
A00800四人〇四一四三八〇三四五
五三四四〇〇三〇七二七六二三五二三〇
圓圓國圓圓圖
一、九二〇一、五八四一、二四八一、一二四一、〇三〇九三六
一、六〇〇一、二六〇一、〇〇四カルエ八 八七七三
一、二八〇一、〇〇八A62tall大八三六〇二
一、〇二四七九八六一四五百六五〇七西方 八〇
000300四·七〇四川三三八九三三五三
大口〇四八〇三八八三三二2014二七六
四二八:010二四六二二一二〇三一八百
特別項ハ各號第一項ノ金額ニ其ノ十分ノ五以內ノ金額ヲ加ヘタルモノトス
第三號表
階判任
一等等四等
傷等三等
病
原症狀等差判任待遇
因准士官下士官兵
圓圓圓
甲第一款三四八三一九二九〇
戰鬪又ハ第二款二六四二四二二二〇
戰鬪ニ準
スヘキ公第三款二一六一九八一八〇
務
號第四款一八〇一六五in C
圓圓圓
乙第一款二七九二五六二三一一
第二款二一二一九四一七六
普通公務
第三款一七三一五九一四四
號第四款一四四一三二一二〇
高等官及同待遇者ニ給スヘキ金額ハ判任一等ノ者ニ給スヘキ金額ニ其ノ十分ノ一ニ相
當スル金額ヲ加ヘタルモノトス
別表第四號表ヲ左ノ如ク改ム
第四號表
傷病原因症狀等差下士官兵傷病原因症狀等差下士官兵
第5目圓圓第一目圓
六六〇六〇〇五二八四八〇
甲乙
戰鬪又ハ第二目四九五四五〇第二目三九六三六〇
戰鬪ニ準普通公務
スヘキ公第三目三三〇三〇〇二六四
務第三目二四〇
號號
第四目一六五一五〇第四目一三二一二〇
別表ニ左ノ四表ヲ加フ
第五號表
特官佐官尉官准士目下士官
階奏任判任
親任三等乃六等乃二等海軍陸軍上等兵陸軍一等兵陸軍二等兵
勅任至五等至九等一等三等四等
等一等兵海軍二等兵海軍三等兵海軍四等兵
刺仟待遇奏任待遇判任待遇
割割割割割割割割割割
率一四二六二八元,三〇三三四三六三六三六
第六號表
將官佐官尉官准土官下士
階奏任判
親任三等乃一六等乃二等
勅任至五等至九等-等三等
等
刺任待遇奏任待遇判任待
割割割割割
率一九·二二·八二二·四二二·四cm20
第七號表
將官佐官尉官准士官下士
階奏任判
親任三等乃六等乃等
勅任至五等至九等一等等
等判待
勅任待遇奏任待遇任
割割割割割
率一四、中一五·六三·八三六·10·0
第八號表
階親任奏
等勅任三等乃至五等
遺骸ノ任
勅任待遇奏
數將官佐官
割
三人〇·五· 〇
割割
四人一〇〇一一五
割割
五人以上一五二·五
附則
第一條本法施行ノ期日ハ各條ニ付勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條第二項ノ規定ハ恩給金庫設立後三
年間之ヲ適用セズ
第二條本法施行ノ際現ニ從前ノ規定ニ
依リ增加恩給又ハ扶助料ヲ受ケ又ハ受
クベキ者ニシテ本法所定ノ增加恩給又
ハ扶助料ノ金額ヲ受ケザルモノニハ當
該金額ニ其ノ金額ト本法所定ノ各相當
增加恩給又ハ扶助料ノ金額トノ差額ヲ
勅令ノ定ムル所ニ依リ昭和十三年四月
官
任
海
四等
遇
割
三四八二七·二
官
任
海
四等
遇
割
二·八二〇·
任
六等乃至九等
待遇
尉
二一〇
三·〇
四·〇
第三條
兵
軍陸軍上等兵陸軍一等兵陸軍二等兵
一等兵|海軍二等兵/海軍三等兵海軍四等兵
割割割割
三六·三八·三八
軍陸軍上等兵陸軍一等兵陸軍二等兵
一等兵(海軍二等兵海軍三等兵海軍四等兵
割割割割
四二·六二一·六三·六
判任
一等二等等四等
三
判任待遇
官准士官下士官兵
割割割割
二 一〇二·五二·五
割割割
E·O三·五三·五
割割割割
RTO四·五四·五
一日ヨリ增給ス
本法施行ノ際現ニ從前ノ規定ニ
依リ傷病年金ヲ受ケ又ハ受クベキ者ニ
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ昭和十三年四
月一日ヨリ左記下欄相當ノ增加恩給又
ハ傷病年金ヲ給ス
現症狀等差改正症狀等差
傷病年金第一款增加恩給第七項
傷病年金第二款傷病年金第一款
傷病年金第三款傷病年金第二款
傷病年金第四款傷病年金第三款
第四條本法施行ノ際恩給法第七十五條
第二項ノ規定ニ依リ加給ヲ受ケ又ハ受
クベキ者ニ付テハ其ノ扶助料年額ガ改
正後ノ同條第一項第二號乃至第四號及
同條第二項ノ規定ニ依リ受クベキ扶助
料年額ヨリ多キトキハ其ノ加給期間ヲ
經過スル迄改正規定ニ拘ラズ仍從前ノ
規定ニ依ル
第五條本法施行前賑恤金(之ニ準ズル
モノヲ含ム)又ハ傷病賜金ヲ受クベキ
事由ヲ生ジタル者ト雖モ其ノ症狀傷病
年金ヲ給スベキ症狀ニ該當スルトキハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ傷病ノ程度ヲ査
定シ將來ニ向ツテ之ヲ給ス
第六條恩給法施行前ニ戰鬪又ハ戰鬪ニ
準ズベキ公務ノ爲傷痍ヲ受ケ若ハ疾病
ニ罹リ之ガ爲死亡シ又ハ此ノ種ノ公務
ニ因リ增加恩給(之ニ準ズルモノヲ含
ム)ヲ受ケタル軍人ノ寡婦、父母又ハ祖
父母ニシテ軍人死亡ノ當時軍人ト同一
戶籍內ニ在リタルモ軍人現役中陸海軍
兵籍簿ニ登記セラレザリシ等ノ特別事
由ニ因リ扶助料ヲ受クルノ資格ナカリ
シ者ニハ昭和十三年四月一日ヨリ之ニ
扶助料ヲ給ス但シ其ノ軍人ノ遺族ニシ
テ同日ニ於テ現ニ扶助料ヲ受クル者ア
ルトキハ當該扶助料權者失權シタル後
恩給法ニ規定スル順位ニ依リ之ヲ給
ス
前項ニ規定スル者ト雖モ軍人死亡ノ當
時ニ於テ前項ノ事由以外ノ事由ニ因リ
扶助料ヲ受クルノ資格ナカリシ者又ハ
其ノ後ニ失權事由アリタル者ニハ扶助
料ヲ給セズ
第一項ノ扶助料ニ付テハ昭和八年九月
三十日以前ノ軍人ノ遺族ノ扶助料ニ關
スル規定ニ依リ其ノ年額ヲ定ムルノ外
恩給法ニ依リ之ヲ給ス
第一項ノ扶助料ニ付テハ恩給法第五條
ニ規定スル請求期間ハ昭和十三年四月
一日ヨリ之ヲ起算ス
第七條北海道廳森林監守ヨリ引續キ同
廳森林主事ト爲リ恩給法施行後退職シ
タル者ニハ其ノ在職年ニ森林監守ノ勤
續年月數ヲ通算シ昭和十三年四月一日
ヨリ其ノ者ノ受クル年金タル恩給ヲ改
定シ又ハ新ニ之ニ普通恩給ヲ給ス
前項ノ規定ハ前項ニ規定スル者ノ遺族
ノ年金タル扶助料ニ付之ヲ準用ス
前二項ノ場合ニ於テハ恩給法第五條ニ
規定スル請求期間ハ昭和十三年四月一
日ヨリ之ヲ起算ス
庶民金庫法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因
テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
(小字ハ衆議院ノ修正ナリ)
庶民金庫法案
庶民金庫法
第一章總則
第一條庶民金庫ハ庶民金融ノ圓滑ヲ圖
ルコトヲ目的トス
庶民金庫ハ法人トス
第二條庶民金庫ハ主タル事務所ヲ東京
市ニ置ク
庶民金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要
ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコトヲ
得
第三條庶民金庫ハ銀行、無盡會社及產
業組合法第一條第四項ノ規定ニ依リ手
形ノ割引又ハ貯金ノ取扱ヲ爲ス信用組
合(以下金融機關ト總稱ス)ヲシテ業務
ノ一部ヲ代理セシムルコトヲ得
庶民金庫ハ金融機關ヲシテ業務ノ一部
ヲ代理セシメントスルトキハ主務大臣
ノ認可ヲ受クベシ
金融機關ハ庶民金庫ノ貸付ヲ代理シタ
ル場合ニ於テハ庶民金庫ニ對シ債務者
ノ爲ニ命令ノ定ムル所ニ依リ債務ノ保
證ヲ爲スコトヲ得
第四條庶民金庫ノ資本金ハ千萬圓トス
但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加ス
ルコトヲ得
第五條政府ハ千萬圓ヲ庶民金庫ニ出資
スベシ
前項ノ出資ハ國債證劵ヲ交付シテ之ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證劵ノ
交付價格ハ大藏大臣之ヲ定ム
第六條庶民金庫ハ定款ヲ以テ左ノ事項
ヲ規定スベシ
一目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四資本金額及資產ニ關スル事項
五役員及會議ニ關スル事項
業務及其ノ執行ニ關スル事項
七六
庶民債劵ノ發行ニ關スル事項
八會計ニ關スル事項
九公〓ノ方法
定款ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更
スルコトヲ得
第七條庶民金庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第八條庶民金庫ニハ所得稅及營業收益
稅ヲ課セズ
北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズ
ベキモノハ庶民金庫ノ事業ニ對シテハ
地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ
事情ニ基キ內務大臣及大藏大臣ノ認可
ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第九條庶民金庫ニ付解散ヲ必要トスル
事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置ニ
關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第十條庶民金庫ニ非ザル者ハ庶民金庫
又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フルコトヲ
得ズ
第二章役員
第十一條庶民金庫ニ理事長一人、理事
三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第十二條理事長ハ庶民金庫ヲ代表シ其
ノ業務ヲ總理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ庶民金庫
ヲ代表シ、理事長ヲ輔佐シテ庶民金庫
ノ業務ヲ掌理シ、理事長事故アルトキ
ハ其ノ職務ヲ代理シ、理事長缺員ノト
キハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ庶民金庫ノ業務ヲ監査ス
第十三條理事長、理事及監事ハ主務大
臣之ヲ命ズ
庶民金庫ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者ハ
其ノ職ヲ退キタル後五年間庶民金庫ノ理事
長、理事及監事ト爲ルコトヲ得ズ但シ主務
大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ
此ノ限ニ在ラズ
理事長及理事ノ任期ハ三年、監事ノ任
期ハ二年トス
第十四條理事長及理事ハ定款ノ定ムル
所ニ依リ從タル事務所ノ業務ニ關シ一
切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權
限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十五條理事長及理事ハ他ノ職業ニ從
事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可
ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十六條庶民金庫ニ評議員若干人ヲ置
キ主務大臣之ヲ命ズ
評議員ハ業務經營ニ關スル重要ナル事
項ニ付理事長ノ諮問ニ應ジ必要アルト
キハ之ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
評議員ハ名譽職トシ其ノ任期ハ二年ト
ス
第三章業務
第十七條庶民金庫ハ左ノ業務ヲ行フ
ー割賦償還又ハ定期償還ノ方法ニ依
ル小口貸付
二金融機關ニ對スル小口貸付資金ノ
融通
三金融機關ノ爲ニスル小口貸付ノ損
失補償
四庶民金庫ト前各號ノ取引ヲ爲ス者
ノ預金ノ受入
五前各號ノ業務ニ附帶スル事業
第十八條庶民金庫ハ左ノ方法ニ依ルノ
外業務上ノ餘裕金ヲ運用スルコトヲ得
ズ
一國債、地方債又ハ主務大臣ノ認可
ヲ受ケタル有價證劵ノ取得ヲ爲スコ
ト
二大藏省預金部若ハ銀行ヘノ預金又
ハ郵便貯金ト爲スコト
第四章庶民債劵
第十九條庶民金庫ハ拂込資本金額ノ十
倍ヲ限リ庶民債劵ヲ發行スルコトヲ得
但シ其ノ貸付金及所有ニ係ル有價證劵
ノ現在高ヲ超過スルコトヲ得ズ
第二十條庶民債劵ハ額面金額五十圓以
上トシ無記名利札附トス但シ應募者又
ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト爲スコト
ヲ得
庶民債劵ハ割引ノ方法ヲ以テ之ヲ發行
スルコトヲ得
第二十一條庶民金庫ハ庶民債劵借換ノ
爲一時第十九條ノ制限ニ依ラズ庶民債
劵ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ庶民債劵ヲ發行シタ
ルトキハ發行後一月內ニ其ノ發行額面
金額ニ相當スル舊庶民債劵ヲ償還スベ
シ
第二十二條政府ハ庶民債劵ニ付額面金
額現在高最高一億圓ヲ限リ其ノ元本ノ
償還及利息ノ支拂ヲ保證スルコトヲ得
政府ガ元本ノ償還及利息ノ支拂ヲ保證
シタル庶民債劵ノ借換ノ爲前條ノ規定
ニ依リ庶民債劵ヲ發行スル場合ニ在リ
テハ其ノ庶民債劵分ニ付テハ前項ノ制
限ヲ超ユルコトヲ得
第二十三條庶民債劵ハ賣出ノ方法ヲ以
テ之ヲ發行スルコトヲ得
第二十四條庶民金庫ニ於テ庶民債劵ヲ
發行セントスルトキハ主務大臣ノ認可
ヲ受クベシ
第二十五條庶民債劵ノ消滅時效ハ元金
ニ在リテハ十五年、利子ニ在リテハ五
年ヲ以テ完成ス
第二十六條所得稅法、資本利子稅法及
有價證劵移轉稅法中國債以外ノ公債ニ
關スル規定ハ庶民債劵ニ之ヲ準用ス
第二十七條本章ニ規定スルモノヲ除ク
ノ外庶民債劵ニ關シ必要ナル事項ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第五章會計
第二十八條庶民金庫ノ事業年度ハ一月
ヨリ六月迄及七月ヨリ十二月迄トス
第二十九條庶民金庫ノ剩餘金ハ之ヲ配
當セズ
第三十條庶民金庫ハ設立ノ時及每事業
年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借對照表
及損益計算書ヲ作成シ定款ト共ニ之ヲ
各事務所ニ備置クコトヲ要ス
債權者ハ業務時間內何時ニテモ前項ニ
揭グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第六章監督
第三十一條庶民金庫ハ大藏大臣之ヲ監
督ス
第三十二條庶民金庫ハ主務大臣ノ認可
ヲ受クルニ非ザレバ剩餘金ノ處分ヲ爲
スコトヲ得ズ
第三十三條庶民金庫ハ每事業年度ノ初
ニ於テ貸付利率、融通利率及補償料ノ
最高限度其ノ他貸付、融通及補償ニ關
スル條件ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受ク
ベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第三十四條主務大臣ハ庶民金庫ニ對シ
業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ爲サシ
メ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル
命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第三十五條主務大臣ハ特ニ庶民金庫監
理官ヲ置キ庶民金庫ノ業務ヲ監視セシ
ム
第三十六條庶民金庫監理官ハ何時ニテ
モ庶民金庫ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査
スルコトヲ得
庶民金庫監理官ハ必要アリト認ムルト
キハ何時ニテモ庶民金庫ニ命ジテ業務
及財產ノ狀況ヲ報告セシムルコトヲ得
庶民金庫監理官ハ庶民金庫ノ諸般ノ會
議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十七條役員ガ法令、定款若ハ主務
大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル
行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ
解任スルコトヲ得
第七章罰則
第三十八條左ノ場合ニ於テハ庶民金庫
ノ理事長、理事又ハ監事ヲ百圓以上千
圓以下ノ過料ニ處ス
本法ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ク
ベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザル
トキ
二本法ニ規定セザル業務ヲ營ミタル
トキ
三第十八條ノ規定ニ違反シ業務上ノ
餘裕金ヲ運用シタルトキ
四第十九條又ハ第二十一條第二項ノ
規定ニ違反シ庶民債劵ノ發行ヲ爲シ
又ハ償還ヲ爲サザルトキ
互主務大臣ノ監督上ノ命令又ハ處分
ニ違反シタルトキ
六第三十六條ノ規定ニ依ル庶民金庫
監理官ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避
シ又ハ其ノ命ズル報告ヲ爲サザルト
キ
第三十九條左ノ場合ニ於テハ庶民金庫
ノ理事長、理事又ハ監事ヲ十圓以上五
百圓以下ノ過料ニ處ス
-本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ
登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登
記ヲ爲シタルトキ
二第三十條ノ規定ニ違反シ書類ヲ備
置カザルトキ、其ノ書類ニ記載スベ
キ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ
爲シタルトキ又ハ正當ノ事由ナクシ
テ其ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
第四十條第十條ノ規定ニ違反シ庶民金
庫又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用ヒタル者
ハ十圓以上五百圓以下ノ過料ニ處ス
第四十一條非訟事件手續法第二百六條
乃至第二百八條ノ規定ハ前三條ノ過料
ニ之ヲ準用ス
附則
第四十二條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第四十三條主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ
庶民金庫ノ設立ニ關スル一切ノ事務ヲ
處理セシム
第四十四條設立委員ハ定款ヲ作成シ主
務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第四十五條定款ニ付主務大臣ノ認可ア
リタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク出資
ノ拂込ヲ禀請スベシ
第四十六條政府ノ出資ノ拂込アリタルト
キハ庶民金庫ハ之ニ因リテ成立ス此ノ
場合ニ於テハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事
務ヲ庶民金庫理事長ニ引繼グベシ
第四十七條政府ハ第五條ノ規定ニ依リ
交付スル爲昭和十三年度ニ於テ額面千
萬圓ヲ限リ三分半利附公債ヲ發行スル
コトヲ得
第四十八條第十條ノ規定ハ本法施行前
ヨリ行政官廳ノ許可又ハ認可ヲ受ケ使
用スル名稱ニハ之ヲ適用セズ
第四十九條登錄稅法第十九條第七號中
「產業組合中央會」ノ下ニ「、庶民金庫」
ヲ、「產業組合法」ノ下ニ「、庶民金庫法」
ヲ加ヘ同條ニ左ノ一號ヲ加フ
十八庶民金庫ノ業務ノ用ニ供スル不
動產ニ關スル登記
第五十條印紙稅法第五條中第六號ノ次
ニ左ノ一號ヲ加フ
六ノ二庶民金庫ノ業務ニ關スル證書
帳簿及庶民債劵
無盡業法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
無盡業法中改正法律案
無盡業法中左ノ通改正ス
第四條中「三萬圓」ヲ「十萬圓」ニ、「一萬五
千圓」ヲ「五萬圓」ニ改ム
第十條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項第四號ノ規定ニ依ル貸付金額中旣
ニ拂込ミタル金額ヲ超過スル額ニ付テ
ハ確實ナル擔保又ハ保證アルコトヲ要
ス
第二十一條ノ二無盡會社ガ合併ノ決議
ヲ爲シタル場合ニ於テ商法第七十八條
第二項ノ規定ニ依リテ爲スベキ催告ハ掛
金者ニ對シテハ之ヲ爲スコトヲ要セズ
第二十一條ノ三無盡會社ガ合併ノ決議
ヲ爲シタル場合ニ於テ商法第七十八條
第二項但書ノ期間ハ一月迄之ヲ下スコ
トヲ得合併ニ因ル株式併合ノ場合ニ於
テ商法第二百二十條ノ二但書ノ期間ニ
付亦同ジ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前免許ヲ受ケタル無盡會社ニシ
テ本法施行ノ際現ニ存スルモノニ付テハ
第四條ノ改正規定ニ拘ラズ本法施行後五
年ヲ限リ仍從前ノ規定ニ依ル
本法施行前免許ヲ受ケタル無盡會社ニシ
テ前項ノ期限迄ニ第四條ノ改正規定ノ要
件ヲ具備セザルモノガ其ノ期限迄ニ爲シ
タル無盡契約ニ付テハ之ガ完了ニ至ル迄其
ノ契約ニ關スル業務ニ限リ之ヲ繼續スル
コトヲ得
前項ノ場合ニ於テ無盡會社ガ前項ノ業務
以外ニ無盡業ヲ營ミタルトキハ三千圓以
下ノ罰金ニ處ス
〔政府委員船田中君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=3
-
004・船田中
○政府委員(船田中君) 恩給金庫法案ニ付
提案理由ヲ申上ゲマス、恩給ハ元來一身ニ
專屬スベキモノデアリマシテ、之ニ依ッテ受
給者及ビ其ノ家族ガ生活ノ資ニ供スベキ性
質ノモノデアリマス、故ニ之ヲ他人ニ讓渡
シ、又ハ擔保ニ供スルコトヲ法律ヲ以テ禁
止シテ居ルノデアリマスガ、受給者ハ現在
ノ給與ニ依ッテハ、生活ノ餘裕ト云フヤウナ
モノヲ持ツ程度ニ至ッテ居リマセヌノデ、
朝不慮ノ災厄ニ遭遇シ、又疾病ニ罹ルト云
フヤウナ不時ノ失費ヲ必要トスル場合ニ於
キマシテハ、已ムヲ得ズ之ヲ擔保ニ供シテ
金融ヲ受ケルト云フ者モ少カラザル實情デ
アルノデアリマス、而シテ從來一般金融業
者ノ行ヒツヽアル金融ノ方法ハ、金利ガ非
常ニ高イノミナラズ、時ニハ恩給證書ハ金
融業者間ヲ轉々シテ負債完了後ニ於テモ遂
ニ其ノ所在スラ知ルコトガ出來ナイヤウナ
場合モアリマシテ、其ノ弊害甚ダシク、何
トカ恩給受給者ノ生活安定上、適當ナル方
策ヲ講ゼラレタシトノ要望ガ少クナイノデ
アリマス、加之老幼者及癈疾者等、最モ其
ノ救濟ヲ必要トスル者ハ金融ノ途ヲ杜絕サ
レテ居ル實情デアリマス、以上恩給金融ニ
付申述ベマシタコトハ、多少ノ事情ヲ異ニ
致シマスガ、勳章年金ニ付テモ同樣デアリ
マシテ、折角殊動者優遇ノ爲與ヘラレタル
年金ガ、徒ニ金融業者ヲ利スルト云フ實例
ハ非常ニ多イノデアリマス、政府ハ之ニ對
シ種々適當ナル方策ヲ考究致シマシタ處、
政府自身積極的ニ金融機關ノ設立ヲ企圖シ
從來ノ弊害ヲ除去スルヲ以テ最善ノ方策ト
認メタノデアリマスガ、政府自ラ全部ノ資
金ヲ支出シ融通ヲ行ヒマスコトハ、今日ノ
財政狀態其ノ他ヨリ見テ困難ナル事情モア
リマスノデ、資金ノ一部ヲ政府負擔トシ、
更ニ民間ノ資力ヲモ取入レ、政府ハ之ニ十
分ナル保護監督ヲ加ヘテ、政府自ラスルト
略〓同樣ノ效果ヲ收ムルコトヲ目標トシ、
玆ニ恩給金庫ナル一金融機關ヲ法律ヲ以テ
特置シ、之ヲシテ公正妥當ナル條件ノ下
ニ、恩給年金受給者ノ爲ニ金融ヲ行ハシメ
ムトスルニ至ッタノデアリマス、恩給金庫ハ
以上ノ目的ノ外、附帶業務トシテ受給者ノ
福社增進ニ貢獻スベキ事業ヲモ營ム豫定デ
アリマシテ、其ノ性質ハ公益的ノモノデゴ
ザイマス、次ニ恩給法中改正法律案ニ付テ
提案ノ理由ヲ申上ゲマス、先ヅ第一ハ只今
申上ゲマシタ所ノ恩給金庫法案ニ關聯致シ
マシテ、恩給擔保禁止ノ原則ニ對シ、恩給
金庫ノ爲例外ヲ認メムトスルノデアリマス、
次ニ時局ニ鑑ミ傷痍軍人竝ニ戰死者、公務
死者、增加恩給受給者等ノ遺族優遇ノ爲、
增加恩給、傷病年金及遺族扶助料ヲ增額ス
ルノ必要ヲ認メ、之ニ關スル規定ヲ改メム
トスルノデアリマス、卽チ增加恩給ニ付キ
マシテハ、大正十三年恩給法制定以來改正
ヲ行ッテ居ラナイノデアリマスガ、戰傷病者
ノ實情ニ照シマスルト、尙幾分ノ增額ヲ必
要トスルノデアリマス、特ニ症項高キ者ニ
付テハ、醫療介護等ニ相當ノ費用ヲ要シマ
スノデ、特ニ高症者ニ重ク優遇ノ實ヲ擧ゲ
ムトスルモノデアリマス、而シテ增加恩給
程度ニ達セザルモノニ給スル傷病年金等ニ
付キマシテモ、出來得ル限リ待遇上ノ均衡
ヲ得ル如ク改正致シマシテ、戰死者、公務
死者遺族ニ付キマシテハ、最モ同情ニ値ス
ルモノデアリマシテ、國家トシテ出來得ル
限リ優遇ノ實ヲ擧ゲルガ爲、從來ニ比シ大
幅ノ扶助料額增加ヲ致ス積リデアリマス、
卽チ下ニ厚クスルノ主義ヲ以テ、現行ノ扶
助料額ニ對シ、戰死者ニ付テハ八割乃至二
割ノ增額ヲ行ヒ、更ニ實際ノ生活ニ卽セシ
ムル爲、遺族ノ員數ニ應ズル加給制度ヲ創
設シ、更ニ又下ニ厚クスルノ趣旨ヲ以テ、
改正扶助料額ノ四割五分以內ノ增給ヲ致ス
コトニナッテ居リマス、又大正十二年ノ恩
法施行前ニ、戰鬪又ハ之ニ準ズベキ公務ノ
爲ニ傷痍ヲ受ケ、又ハ疾病ニ罹リ、之ガ爲
ニ或ハ增加恩給ヲ受ケ、或ハ之ヲ受ケズシ
テ死亡シタル軍人ハ相當數多イノデアリマ
スガ、其ノ中或者ノ遺族ハ軍人死亡當時同
一戶籍內ニアリナガラ、兵籍簿ニ載ッテ居ラ
ナカッタト云フヤウナ特殊ノ事由ヲ以テ、其
ノ當時ノ法律ニ依ッテハ扶助料ヲ受ケ得ラ
レナカッタノデアリマス、是等ノ者ハ國家ノ
爲ニ身ヲ犧牲ニシタモノノ遺族デアリマシ
テ、誠ニ同情ニ値スルモノデアリマスカラ、
之ヲ現行恩給法ニ於ケルト同樣ニ待遇シ、
之ニ扶助料ヲ給スルノ途ヲ開キタイト存ズ
ルノデアリマス、尙大正七年以前ノ北海道
ノ森林監守ハ現今恩給法ノ制定當時在職シ
テ居ッタナラバ、恩給法上ノ待遇職員トシテ
指定セラレ、恩給ノ特典ヲ受ケタデアリマ
セウガ、形式上ノ理由ヨリ、當時之ニ恩給
ヲ給スルノ資格ヲ認メナカッタノデアリマ
ス、故ニ今囘是等ノ者ニモ一定ノ條件ノ下
ニ、待遇職員同樣ノ待遇ヲ與ヘヨウト致ス
ノデアリマス、以上ノ外滿洲國治外法權ノ
撤廢其ノ他ノ事由ニ依リ、恩給法ノ規定整
理等ノ爲、數項ニ亙リ恩給法中改正ヲ行ハ
ムトスルノデゴザイマス、右兩案トモ衆議
院ニ於テハ二三修正ヲ加ヘ議決セラレタノ
デアリマスルガ、政府ハ右修正ニ對シ必ズ
シモ全部同意致スモノデハアリマセヌ、詳
細ハ委員會等ニ於テ御說明申上ゲルコトト
致シマスガ、何卒御審議ノ上速カニ御協贊
アラムコトヲ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=4
-
005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 太田大藏省政務
次官
〔政府委員太田正孝君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=5
-
006・太田正孝
○政府委員(太田正孝君) 只今議題トナリ
マシタ庶民金庫法案及無盡業法中改正法律
案、提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、先ヅ
庶民金庫法案ニ付テ說明致シマス、我ガ國
ノ庶民金融ノ現狀ヲ見マスルノニ、信用組
合無盡會社、質屋ナドノ所謂庶民金融機
關ガゴザイマシテ、ソレ〓〓獨自ノ活動ヲ
致シテ居リマスルガ、普通銀行、貯蓄銀行
及特別銀行ナドニ於キマシテモ、相當此ノ
方面ニ貢獻ヲ致シテ參ッテ居ルノデゴザイ
マス、殊ニ政府ト致シマシテハ、過般損失
補償制度ノ擴張ヲ行ヒマシテ、是等旣設金
融機關ノ活動ニ積極性ヲ與ヘムコトヲ期待
シテ居ルノデゴザイマス、ケレドモ是ダケ
ヲ以テ致シマシテハ、庶民階級ニ對スル金
融殊ニ小口無擔保金融ノ疏通ニ付キマシ
テ、尙不十分デアルト思ハレルノデゴザイ
マン、申ス迄モナク所謂庶民階級ト申シマ
ス者ハ、我ガ國民中ノ大部分ヲ古メテ居ル
ノデゴザイマシテ、此ノ階級ニ對スル金融
ノ圓滑ヲ圖リ、其ノ生活ノ安定ニ資シマス
コトハ、最モ肝要ノコトデアルト信ズルノ
デゴザイマス、玆ニ於キマシテ今囘政府ハ
本法案ニ依ッテ一千萬圓ノ政府出資ヲ致
シ、純非營利ノ庶民金庫ヲ創設致シマシ
テ、是迄アル機關ヲ以テシテハ十分ナル融
資ニ惠マレナカッタ中小產業者及勤勞所得
者ナドニ對シマシテ、小口信用貸付ノ疏通
ノ圓滑ヲ圖リ、以テ國民生活ノ安定ニ資セ
ムトスル次第デゴザイマス、以上ハ政府カ
ラ提出致シマシタ原案ノ〓略デゴザイマ
ス、此ノ原案ニ於キマシテハ庶民金庫ノ役
員ノ選任範圍ニ付テ、別ニ決定シテ居ラナ
カッタノデゴザイマスガ、衆議院ニ於キマ
シテハ之ニ對シ修正ヲ加ヘマシテ、原則ト
シテ當該監督官廳ノ官吏デアッタ者ハ、退職
後五年間庶民金庫ノ理事長トカ、理事トカ
監事タルコトヲ得ザル旨ノ規定ヲ設ケラレ
タノデゴザイマス、此ノ政府原案ニ對スル衆
議院ノ修正ニ付キマシテハ、政府トシテハ
同意致シテ居ラナイノデゴザイマス、大一
無盡業法中改正法律案ニ付テ御說明申上ゲ
マス、無盡業法ハ御承知ノ通リ昭和六年ニ
全面的改正ヲ行ッタノデゴザイマス、ケレド
モ其ノ後無盡業ハ段々發展致シマシテ、現在
無盡會社ノ數ハ二百四十七、其ノ給付契約
高ハ十六億圓ヲ超ユルノ情況トナッタノデ
ゴザイマス、ケレドモ斯樣ナ發展ニ伴ヒマ
シテ、一層其ノ信用ノ向上ヲ圖リ、且益〓其
ノ機能ヲ發揮セシメマス爲ニ、無盡會社ノ
最低資本金、給付金限度、貸付ノ制限規定
ナドニ改正ヲ加ヘルコトヲ適當ト認メマシ
タノデ、玆ニ無盡業法中改正法律案ヲ提出
シタ次第デゴザイマス、何卒御審議ノ上、
政府原案ノ通リ協贊ヲ與ヘラレムコトヲ御
願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=6
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007・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程ニ相成リマシ
タ恩給金庫法案外三案ハ、重要ナ法案デア
リマスルガ故ニ、此ノ特別委員ノ數ヲ十八
名トシ、議長ニ於テ指名アラムコトノ動議
ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=7
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008・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=8
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009・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=9
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010・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致セマス
〔丸龜書記官朗讀〕
恩給金庫法案外三件特別委員
侯爵大隈信常君侯爵井上三郞君
伯爵山田英夫君子爵大河內輝耕君
子爵裏松友光君子爵大岡忠綱君
宇佐美勝夫君三井〓一郞君
內田重成君男爵前田勇君
男爵柴山昌生君男爵渡邊修二君
丸山鶴吉君深井英五君
濱口儀兵衞君野村德七君
米原章三君岩崎〓行君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=10
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011・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第五、樺太
地方鐵道補助法中改正法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會、大谷拓務大臣
樺太地方鐵道補助法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
樺太地方鐵道補助法中改正法律案
樺太地方鐵道補助法中左ノ通改正ス
第一條政府ハ樺太ニ於テ公衆ノ用ニ供
スル爲經營スル地方鐵道ニ對シ該鐵道
營業開始ノ日ヨリ十五年ヲ限リ補助金
ヲ交付スルコトヲ得
政府ハ必要アリト認ムルトキハ更ニ五
年ヲ限リ前項ノ期間ヲ伸長スルコトヲ
得
第二條前條ノ補助金ハ左ノ各號ニ依ル
金額ヲ限度トス
一前條第一項ノ期間中ハ每營業年度
ニ於ケル建設費ニ對シ年六分ノ割合
ニ相當スル金額但シ每營業年度ニ於
ケル益金カ建設費ニ對シ年一分ノ割
合ニ相當スル金額ヲ超ユルトキハ其
ノ超過額ハ之ヲ補助金額ヨリ控除ス
二前條第二項ノ期間中ハ每營業年度
ニ於ケル建設費ニ對シ年五分ノ割合
ニ相當スル金額但シ每營業年度ニ於
ケル益金カ建設費ニ對シ年一分五厘
ノ割合ニ相當スル金額ヲ超ユルトキ
ハ其ノ超過額ハ之ヲ補助金額ヨリ控
除ス
第三條政府ハ必要アリト認ムルトキハ
一經營者ノ經營スル鐵道ヲ數區ニ分チ
各區ニ付前二條ノ規定ニ準シ補助ヲ爲
スコトヲ得
第四條前二條ノ規定ニ依ル建設費及益
金ハ政府ノ定ムル所ニ依リ算出シタル
金額ニ依ル
第七條中「補助ヲ受クル會社」ヲ「補助ヲ
受クル鐵道ノ管理者」三郎人
第八條ヲ削リ第九條ヲ第八條トス
第十條中「前二條」ヲ「前條」ニ改メ同條ヲ
第九條トス
附則
本法ハ昭和十三年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス但シ本法施行ノ際現ニ補助ヲ受クル鐵
道ニ對スル補助ニ付テハ會社設立又ハ資
本增加ノ登記ノ日ヨリ十五年ノ期間滿了
ノ日ヲ含ム營業年度ノ末日迄ハ改正規定
ニ拘ラズ仍從前ノ例ニ依ル
本法施行ノ際現ニ補助ヲ受クル鐵道ニ對
スル補助ノ期間ニ付テハ該鐵道ノ建設費
ニ充テタル資金ニ對シ初メテ補助ヲ爲シ
タル日ヲ以テ第一條第一項ノ營業開始ノ
日ト看做ス
〔國務大臣大谷尊由君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=11
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012・大谷尊由
○國務大臣(大谷尊由君) 只今議題トナリ
マシク樺太地方鐵道補助法中改正法律案提
出ノ理由ヲ簡單ニ御說明ヲ申上ゲマス、樺
太ニ於ケル補助地方鐵道中、近ク補助期間
ノ滿了スルモノガアルノデアリマスガ、其
ノ業績豫期ノ如ク擧ラズ、仍テ當分政府ヨ
リ相當ノ補助ヲシナケレバ經營困難ノ狀態
デアリマス、而シテ是等ノ鐵道ハ、樺太開
發上重要ナ使命ヲ有シ、殊ニ樺太鐵道ノ如
キハ國有鐵道ノ代線タル意義ヲ持ツ重要幹
線デアリマスノデ、朝鮮及臺灣ノ例ニ倣ヒ
マシテ、現在ノ補助期間十五年ヲ必要ニ應
ジ、更ニ五年ヲ限リ仲長シ得ルコトト致シ
タノデアリマス、尙補助方法ニ付キマシテ
モ、現下經濟界ノ趨勢ニ鑑ミマシテ、此ノ
際朝鮮及臺灣ニ於ケル私設鐵道補助法等ノ
例ニ倣ヒ、之ヲ改正スルコトト致シマシタ
ノデアリマス、何卒御審議ノ上御協贊アラ
ムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=12
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013・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御質疑ガナケレ
バ本案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔丸龜書記官朗讀〕
樺太地方鐵道補助法中改正法律案特別委
員
侯爵小村捷治君子爵高倉篤麿君
子爵戶田忠庸君佐藤三吉君
坂西利八郞君永田秀次郞君
男爵橋元正輝君磯貝浩君
山隈康君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=13
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014・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第六、石油
資源開發法案、政府提出、衆議院送付、第
一讀會、吉野商工大臣
石油資源開發法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
石油資源開發法案
石油資源開發法
第一條石油ヲ目的トスル鑛業權者(以
下石油鑛業者ト稱ス)ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ事業計畫ヲ定メ之ヲ政府ニ屆出
ヅベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
政府鑛利保護上必要アリト認ムルトキ
ハ事業計畫ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第二條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ豫
算ノ範圍內ニ於テ石油鑛業者ニ對シ試
掘助成金ヲ交付スルコトヲ得
第三條政府ハ前條ノ試掘助成金ニ依ル
試掘ノ結果開發セラレタル油田ヨリ採
油ヲ爲ス者ヲシテ命令ノ定ムル所ニ依
リ採油開始後五年間每年採油價額ノ百
分ノ二以内ニ相當スル金額ヲ納付セシ
ムルコトヲ得
前項ノ油田ノ地域及深度ハ政府之ヲ指
定ス
第四條前條第二項ノ指定ニ不服アル者
ハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第五條詐欺ノ行爲ヲ以テ第二條ノ試掘
助成金ノ交付ヲ受ケタル者ニ對シテハ
其ノ金額ヲ返還セシム
第六條第三條ノ規定ニ依ル納付金及前
條ノ規定ニ依ル返還金ハ國稅滯納處分
ノ例ニ依リ之ヲ徴收スルコトヲ得但シ
先取特權ノ順位ハ國稅ニ次グモノトス
第七條政府石油資源ノ開發促進上必要
アリト認ムルトキハ石油鑛業者ニ對シ
其ノ鑛區ノ開發方法其ノ他必要ナル事
項ニ付他ノ石油鑛業者ト協議ヲ爲スベ
キコトヲ命ズルコトヲ得
石油鑛業者他ノ石油鑛業者ノ鑛區ト隣
接スル自己ノ鑛區ノ境界線ヨリ五十メ
ートル以内ノ地域ニ於テ採掘ヲ爲サン
トスルトキハ鑛利保護上必要ナル事項
ニ付豫メ隣接鑛區ノ石油鑛業者ト協議
ヲ爲スベシ
政府石油資源ノ開發促進上又ハ鑛利保
護上必要アリト認ムルトキハ前二項ノ
協議ニ依ル決定ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第一項又ハ第二項ノ協議ヲ爲サズ若ハ
爲スコト能ハズ又ハ協議調ハザルトキ
ハ政府ハ當該事項ニ付必要ナル決定ヲ
爲スコトヲ得
第八條政府石油資源ノ開發促進上必要
アリト認ムルトキハ石油鑛業者ニ對シ
試掘又ハ之ニ關シ必要ナル事項ヲ命ズ
ルコトヲ得
政府前項ノ規定ニ依リ試掘ヲ命ジタル
トキハ第二條ノ試掘助成金ヲ交付ス
第九條政府軍事上必要アリト認ムルト
キハ勅令ノ定ムル所ニ依リ石油鑛業者
ニ對シ採油ノ制限又ハ增加ニ關シ必要
ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ規
定ニ依ル命令ニ因リ生ジタル損失ヲ補
償ス
第十條政府ハ石油鑛業者ニ對シ其ノ業
務及財產ノ狀況ニ關シ報告ヲ爲サシメ
又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ爲
スコトヲ得
政府ハ石油鑛業者ニ對シ其ノ業務及會
計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又
ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五千圓以下ノ罰金ニ處ス
-第七條第二項ノ規定ニ依ル協議ヲ
爲サズ又ハ協議調ハザル以前ニ採掘
ヲ爲シタル者
二第七條ノ決定ニ基カズ又ハ同條第
三項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ決定
ヲ變更セズシテ試掘又ハ採掘ヲ爲シ
タル者
三第八條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ
違反シタル者
四第九條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ
違反シタル者
第十二條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
二千圓以下ノ罰金ニ處ス
一第一條第一項ノ規定ニ違反シ事業
計畫ノ屆出ヲ怠リ又ハ屆出デタル事
業計畫ヲ實施セザル者
二第一條第二項ノ規定ニ依ル命令ニ
違反シ事業計畫ヲ變更セズシテ之ヲ
實施シタル者
第十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一第十條第一項ノ規定ニ依ル報〓ヲ
怠リ又ハ虛僞ノ報〓ヲ爲シタル者
二第十條第一項ノ規定ニ依ル檢査ヲ
拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
三第十條第二項ノ規定ニ依ル命令又
ハ處分ニ違反シタル者
第十四條法人ノ代表者又ハ法人若ハ人
ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者ガ其
ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第十一條、
第十二條又ハ前條第一號若ハ第三號ノ
違反行爲ヲ爲シタルトキハ行爲者ヲ罰
スルノ外其ノ法人又ハ人ニ對シ亦前三
條ノ刑ヲ科ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣吉野信次君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=14
-
015・吉野信次
○國務大臣(吉野信次君) 只今議題トナッ
テ居リマスル石油資源開發法案ニ付キマシ
テ、其ノ提案ノ理由ヲ御說明申上ゲタイト
存ジマス、改メテ申上グル迄モナク石油ハ
產業上、國防上極メテ重要ナル資源デゴザ
イマスノデ、之ガ自給ノ確保ヲ圖リ、確乎
タル石油國策ヲ樹立致シマスコトハ、現下
ノ情勢ニ鑑ミマシテ最モ緊要ナル要務デア
ルト信ズルノデアリマス、御承知ノ通リ曩
ニ議會ノ御協贊ヲ得マシテ、帝國燃料興業
株式會社法及人造石油製造事業法、此ノ二
ツノ法律ガ制定致サレマシテ、人造石油事
業ノ確立ニ依リマシテ、石油自給ノ增加ヲ
圖ルコトトナッタノデアリマスガ、尙前議會
ニ於ケル貴衆兩院ノ御要望ニモ鑑ミマシテ、
此ノ際更ニ國內ノ天然石油資源ノ開發ニ付
キマシテモ一層ノ力ヲ致シ、兩々相俟ッテ石
油供給ノ確保ヲ圖リタイト存ズルノデアリ
Vく、今日迄ノ地質調査ノ結果カラ見マシ
テモ、試掘ヲ要スト認メラレマスル地域
ハ相當多イノデアリマスルガ、今後更ニ.地
質ノ精査ヲ加ヘマシタナラバ、是等ノ地域
ニ於ケル地質ノ價値ハ一層判然スルモノト
考ヘラレルノデアリマス、從ッテ斯カル地域
ニ於キマシテハ、取急ギ試掘ヲ遂行セシメ
マスコトガ、天然石油資源ノ開發上最モ肝
要ノコトト存ズルノデアリマス、石油資源
ノ開發ニ付キマシテハ、政府ニ於キマシテ
モ昭和二年以來奬勵金ノ交付ニ依リマシテ、
其ノ促進ヲ段々圖ッテ參ッタノデアリマスル
ガ、右ノ趣旨ヲ達成致シマスルガ爲ニハ、
奬勵金ノ增額ヲ致シマスルト共ニ、更ニ合
理的ニ、經濟的ニ開發ヲ圖ルコトノ方法ヲ
講ズル必要ガアルノデアリマス、以上ガ今
囘石油資源開發法案ヲ提出致シマシタ理由
ノ大要デゴザイマス、何卒十分御審議ノ上
御協贊ヲ與ヘラレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=15
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016・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
ル石油資源開發法案ハ、重要鑛物增產法案
外一件ト關聯スル法案デアリマスルガ故ニ、
同委員ニ併託セラレムコトノ動議ヲ提出致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=16
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017・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=17
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018・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=18
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019・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=19
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020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第七、社會
事業法案、日程第八、商店法案、日程第九、
簡易生命保險法中改正法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會、是等ノ三案ヲ一括
シテ議題ト爲スコトニ御異議ハゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=20
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021・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、木戶厚生大臣
社會事業法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
社會事業法案
社會事業法
第一條本法ハ左ニ揭グル社會事業ニ之
ヲ適用ス但シ勅令ヲ以テ指定スルモノ
ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
-養老院、救護所其ノ他生活扶助ヲ
爲ス事業
二育兒院、託兒所其ノ他兒童保護ヲ
爲ス事業
三施療所、產院其ノ他施藥、救療又
ハ助產保護ヲ爲ス事業
四授產場、宿泊所其ノ他經濟保護ヲ
爲ス事業
五其ノ他勅令ヲ以テ指定スル事業
六前各號ニ揭グル事業ニ關スル指導、
聯絡又ハ助成ヲ爲ス事業
第二條社會事業ヲ經營スル者其ノ事業
ヲ開始シタルトキ又ハ之ヲ廢止セント
スルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨
事業經營地ノ地方長官ニ屆出ヅベシ
第三條地方長官ハ社會事業ヲ經營スル
者ニ對シ保護ヲ要スル者ノ收容ヲ委託
スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル委託アリタル場合ニ
於テ社會事業ヲ經營スル者ハ正當ノ事
由アルニ非ザレバ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
第四條地方長官ハ社會事業ノ施設ニ收
容セラレタル者ノ處遇上必要アリト認
ムルトキハ社會事業ヲ經營スル者ニ對
シ其ノ施設ニ屬スル建物又ハ設備ノ改
良ヲ命ズルコトヲ得
社會事業ヲ經營スル者前項ノ規定ニ依
ル處分ニ從ハザルトキハ地方長官ハ當
該建物又ハ設備ノ使用ヲ禁止シ又ハ制
限スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル處分ハ豫メ戒〓スル
ニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ但シ急
迫ノ事情アル場合ニ於テハ此ノ限ニ在
ラズ
第五條社會事業ヲ經營シ又ハ經營セン
トスル者其ノ事業ノ經營ニ必要ナル資
金ヲ得ル爲寄附金ヲ募集セントスルト
キハ事業經營地ノ地方長官ノ許可ヲ受
クベシ
前項ノ場合ニ於テ事業經營地ガ二以上
ノ道府縣ノ區域ニ涉ルトキハ主務大臣
ノ許可ヲ受クベシ
前二項ノ規定ニ依ル許可ニハ條件ヲ附
スルコトヲ得
第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ寄附金
ヲ募集シタル者(當該事業ノ承繼者ヲ
含ム)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ收
支ヲ寄附金募集ノ許可ヲ受ケタル官廳
ニ報告スベシ
第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ寄附金
ヲ募集シタル者(當該事業ノ承繼者ヲ
含ム)ハ其ノ寄附金又ハ之ニ依リ得タ
ル財產ノ處分ニ付寄附金募集ノ許可ヲ
受ケタル官廳ノ許可ヲ受クベシ
第六條地方長官ハ監督上必要アリト認
ムルトキハ社會事業ヲ經營スル者ニ對
シ其ノ事業ニ關スル報告ヲ爲サシメ、
書類帳簿ノ提出ヲ命ジ、實地ニ就キ業
務若ハ會計ノ狀況ヲ調査シ又ハ事業ノ
經營ニ關シ指示ヲ爲スコトヲ得
第七條社會事業ヲ經營スル者本法若ハ
本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キ
テ爲ス處分ニ違反シタルトキ又ハ其ノ
事業ノ經營ニ關シ著シク不當ノ行爲ア
リタルトキハ主務大臣ハ中央社會事業
委員會ノ意見ヲ聞キ其ノ者ニ對シ本法
ノ適用ヲ受クル社會事業ヲ經營スルコ
トヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得
第八條中央社會事業委員會ニ關スル規
程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條道府縣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
地方社會事業ニ關スル重要事項ヲ調査
審議セシムル爲地方社會事業委員會ヲ
設置スルコトヲ得
第十條社會事業ヲ經營スル者第二條ノ
規定ニ依ル事業開始ノ屆出ヲ爲シタル
トキハ道府縣、市町村其ノ他ノ公共團
體ハ其ノ社會事業ノ用ニ供スル土地又
ハ建物ニ對シテ租稅其ノ他ノ公課ヲ課
スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用
セシムル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十一條政府ハ社會事業ヲ經營スル者
ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於テ補助スルコ
トヲ得
第十二條社會事業ヲ經營スル者左ノ各
號ノ一ニ該當スルトキハ前條ノ規定ニ
依ル補助ヲ取消シ又ハ旣ニ交付シタル
補助金ノ全部若ハ一部ノ返還ヲ命ズル
コトヲ得
一事業ノ全部又ハ一部ヲ廢止シタル
トキ
二補助ノ條件ニ違反シタルトキ
三本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令
又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタ
ルトキ
第十三條主務大臣地方ノ情況ニ依リ特
別ノ必要アリト認ムルトキハ中央社會
事業委員會ノ意見ヲ聞キ道府縣又ハ勅
令ヲ以テ指定スル市ニ對シ社會事業ノ
經營ヲ命ズルコトヲ得
第十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五百圓以下ノ罰金ニ處ス
-第五條第一項又ハ第二項ノ規定ニ
依ル許可ヲ受ケズシテ寄附金ヲ募集
シタル者
二第五條第三項ノ規定ニ依ル許可ノ
條件ニ違反シテ寄附金ヲ募集シタル
者
三第五條第五項ノ規定ニ依ル許可ヲ
受ケズシテ寄附金又ハ之ニ依リ得タ
ル財產ヲ處分シタル者
四第七條ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限
ニ違反シテ社會事業ヲ經營シタル者
第十五條第五條第四項ノ規定ニ依ル報
告ヲ爲サズ又ハ虚僞ノ報告ヲ爲シタル
者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十六條社會事業ヲ經營シ又ハ經營セ
ントスル者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同
居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業
務ニ關シ本法ニ違反シタルトキハ自己
ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰
ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十七條本法ノ罰則ハ社會事業ヲ經營
シ又ハ經營セントスル者ガ法人ナルト
キハ理事其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行ス
ル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナル
トキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ社會事業ヲ經營スル者
ハ本法施行ノ日ヨリ三月以內ニ第二條ノ
規定ニ依ル屆出ヲ爲スベシ
第五條ノ規定ハ社會事業ヲ經營シ又ハ經
營セントスル者ニシテ本法施行ノ際現ニ
寄附金募集ニ付行政官廳ノ許可ヲ受ケ募
集中ノモノニ對シテハ之ヲ適用セズ
商店法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
商店法案
商店法
第一條本法ハ市及主務大臣ノ指定スル
町村(町村ニ準ズベキモノヲ含ム)ニ於
テ物品販賣業又ハ理容業ヲ營ム店舗ニ
之ヲ適用ス
前項ノ物品販賣業及理容業ノ範圍ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條店主ハ本法ニ定ムル閉店時刻以
後顧客ニ對シ前條ノ營業ヲ爲スコトヲ
得ズ但シ閉店時刻前ヨリ引續キ店舗ニ
在ル顧客ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
店主ハ閉店時刻以後ト雖モ負傷、疾病、
災害其ノ他緊急ノ事由ヲ提示セル顧客
ニ對シ其ノ必要ニ應ズル物品ヲ販賣ス
ルコトヲ得
第三條閉店時刻ハ午後十時トス
行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ地域
ヲ限リ前項ノ時刻ヲ午後十一時迄繰延
ブルコトヲ得
第四條業務ノ繁忙ナル時期ニ付行政官
廳必要アリト認ムルトキハ期間又ハ地
域ヲ限リ一年ヲ通ジ六十日以内前二條
ノ規定ヲ適用セズ又ハ前條ノ時刻ヲ繰
延ブルコトヲ得
前項ノ外行政官廳臨時必要アリト認ム
ルトキハ期間又ハ地域ヲ限リ前二條ノ
規定ヲ適用セズ又ハ前條ノ時刻ヲ繰延
ブルコトヲ得
第五條店主ハ使用人ニ每月少クトモ一
囘ノ休日ヲ與フベシ
第六條左ニ揭グル店舗ニシテ行政官廳
ノ許可ヲ受ケタルモノニ付テハ第二條
及第三條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
-興行場、觀覽場、遊技場其ノ他之
ニ類スル場所ニ於ケル店舗
二展覽會場、共進會場、博覽會場其
ノ他之ニ類スル場所ニ於ケル店舗
三停車場又ハ船舶發着所ニ於ケル店
舖
四其ノ他主務大臣ノ指定スル場所ニ
於ケル店舗
前項第二號ノ店舗ニシテ行政官廳ノ許
可ヲ受ケタルモノニ付テハ前條ノ規定
ハ之ヲ適用セズ
第七條常時五十人以上ノ使用人ヲ使用
スル店舗ニ在リテハ店主ハ十六歲未滿
ノ者及女子ヲシテ一日ニ付十一時間ヲ
超エテ就業セシムルコトヲ得ズ
前項ノ店舗ニ在リテハ店主ハ十六歲未
滿ノ者又ハ女子ノ就業時間ガ六時間ヲ
超ユルトキハ少クトモ三十分、十時間ヲ
超ユルトキハ少クトモ一時間ノ休憩時
間ヲ就業時間中ニ於テ之ニ與フベシ
業務ノ繁忙ナル時期ニ於テハ店主ハ行
政官廳ノ許可ヲ受ケ一年ヲ通ジ六十日
以內第一項ノ就業時間ヲ延長スルコト
ヲ得
前項ノ外臨時必要アル場合ニ於テハ店
主ハ行政官廳ノ許可ヲ受ケ第一項ノ就
業時間ヲ延長スルコトヲ得
第八條前條第一項ノ店舗ニ在リテハ店
主ハ十六歲未滿ノ者及女子ニ每月少ク
トモ二囘ノ休日ヲ與フベシ
業務ノ繁忙ナル時期其ノ他臨時必要ア
ル場合ニ於テ店主行政官廳ノ許可ヲ受
ケタルトキハ前項ノ休日ヲ一囘ト爲ス
コトヲ得
第九條行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ店舗又ハ其ノ附屬建設物ニ於ケル使
用人ノ危害ノ防止又ハ衞生ニ關シ必要
ナル事項ヲ店主ニ命ズルコトヲ得
第十條天災事變ノ爲又ハ事變ノ虞アル
爲必要アル場合ニ於テハ主務大臣ハ期
間又ハ地域ヲ限リ本法ノ全部又ハ一部
ヲ適用セザルコトヲ得
第十一條行政官廳監督上必要アリト認
ムルトキハ當該官吏ヲシテ店舗又ハ其
ノ附屬建設物ニ臨檢セシムルコトヲ得
但シ使用人以外ノ者ノ居室ハ此ノ限ニ
在ラズ
當該官吏前項ノ規定ニ依リ臨檢スル場
合ハ其ノ證票ヲ携帶スベシ
第十二條店主ハ店舗ノ管理ニ付一切ノ
權限ヲ有スル店舗管理人ヲ選任スルコ
トヲ得
店主本法施行地內ニ居住セザルトキハ
店舗管理人ヲ選任スルコトヲ要ス
店舗管理人ノ選任ハ行政官廳ノ認可ヲ
受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ但
シ法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者
及支配人ノ中ヨリ選任スル場合ハ此ノ
限ニ在ラズ
第十三條前條ノ店舗管理人ハ本法及本
法ニ基キテ發スル命令ノ適用ニ付テハ
店主ニ代ルモノトス
店主營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ
有セザル未成年者若ハ禁治產者ナル場
合又ハ法人ナル場合ニ於テ店舗管理人
ナキトキハ其ノ法定代理人又ハ法令ノ
規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ付亦前
項ニ同ジ
第十四條店主又ハ前條ノ規定ニ依リ店
主ニ代ル者第二條第一項、第五條、第
七條第一項第二項又ハ第八條第一項ノ
規定ニ違反シタルトキハ五百圓以下ノ
罰金又ハ科料ニ處ス
第十五條正當ノ理由ナクシテ當該官吏
ノ臨檢ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其
ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ
陳述ヲ爲シタル者ハ三百圓以下ノ罰金
又ハ科料ニ處ス
第十六條店主又ハ第十三條ノ規定ニ依
リ店主ニ代ル者ハ其ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ業務ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ
發スル命令ニ違反シタルトキハ自己ノ
指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ
免ルルコトヲ得ズ
第十七條本法及本法ニ基キテ發スル命
令ハ營利ヲ目的トセザル物品販賣又ハ
理容ノ事業ヲ爲ス店舗ニ之ヲ準用ス但
シ國、道府縣、市町村其ノ他之ニ準ズ
ベキモノニ付テハ店舗管理人ニ關スル
規定及罰則ハ此ノ限ニ在ラズ
第十八條本法ハ汽車、汽船其ノ他ノ交
通機關內ニ於ケル店舗及露店ニ之ヲ適
用セズ
行政官廳ハ物品販賣業ヲ營ム露店ニ付
終業スベキ時刻ヲ定ムルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
簡易生命保險法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
簡易生命保險法中改正法律案
簡易生命保險法中左ノ通改正ス
第四條中「四百五十圓」ヲ「七百圓」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣侯爵木戶幸一君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=21
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022・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 只今議題ト
ナリマシタ三法案中ノ先ヅ社會事業法案ニ
付テ提案ノ理由ヲ御說明致シマス、現下時
局ノ推移ニ伴ッテ生ズルコトノアルベキ各
種ノ社會問題ニ對シテ、之ガ對策ノ必要ナ
ルハ想像スルニ難カラヌノデアリマス、仍テ
政府ニ於テハ戰時戰後ニ於ケル社會施設ヲ
整備スルノ特ニ緊要ナルヲ思ヒマシテ、之
ガ爲一面社會政策ノ擴充ニ努ムルト共ニ、
他面公私社會事業ノ發展ヲ圖ルコトヲ期シ
テ居ルノデアリマス、御承知ノ如ク社會事
業ノ施設ハ、近時漸ク增加發達ノ趨勢ニア
リマシテ、其ノ成績モ亦比年向上ノ跡ヲ示
シ、其ノ國民生活ニ及ス效果モ極メテ重視
スベキモノガアリマス、而シテ從來本事業
ニ對シマシテハ、皇室ノ御思召ニ基ク御仁
慈ハ申スモ畏キ極ミデアリマスガ、國ニ於
テモ、地方團體ニ於テモ、年々相當ノ奬勵
金ヲ交付シテ、其ノ發達ヲ圖リ來ッタノデア
リマス、併シナガラ其ノ助成監督ノ方法ハ、
救護施設、少年〓護院、職業紹介所、公益
質屋等、特別ニ法律ノ定メアルモノヲ除ク
ノ外、未ダ制度トシテ確立セラルヽニ至ラ
ナカッタノデアリマス、從ッテ一般ノ社會事
業ニ付テモ、一層積極的ニ其ノ振興發達ヲ
期スル爲ニ、之ガ助成及監督ノ方法ヲ制度
化スルコトノ必要ナルコトハ、政府ノ夙ニ
痛感シタル所ナルノミナラズ、關係方面カ
ラモ屢〓其ノ要望ガアッタノデアリマス、卽チ
政府ニ於テハ是等ノ事情ニ鑑ミ、又前段申
上ゲマシタ如キ時勢ノ要求ニ察シマシテ、
今囘本法案ヲ提出スルニ至リマシタ次第デ
アリマス、而シテ本法案ニ於テハ事業助成
ノ方策トシテ、國庫補助及租稅免除ニ關シ
規定シ、又指導監督ノ方法トシテ必要ナル
諸規定ヲ設ケマシタ外、社會事業ノ堅實適
正ナル發達ニ資スル爲、社會事業委員會設
置ニ關スル規定ヲ設ケタノデアリマス、尙
本法案施行ニ要スル經費ニ關シテハ、來年
度豫算案ニ計上セラレテアリマス、何卒御
審議ノ上速カニ協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希
望致シマス、次ニ商店法案ニ關シマシテ御
說明ヲ申上ゲマス、現在我ガ國ニ於ケル商
店ノ營業時間ハ〓シテ冗長、不規律デアリ
マスノミナラズ、休日制ノ如キモ未ダ一般
ニハ普及シテ居ナイ狀態デアリマス、斯カ
ル實情ニアリマスコトハ、商店ニ働イテ居
ル者ノ保健衞生上甚ダ遺憾トスル所デアリ
マス、然ルニ從來我ガ國ニ於ケル勞働者ノ
保護ニ關スル法律ト致シマシテハ、工場
法トカ、鑛業法トカ、主トシテ工場、鑛
山等ニ働イテ居ル者ニ限ラレテ居リマシ
テ、商店ニ働イテ居ル者ニ對シテハ未ダ何
等ノ保護法規ガ及ンデ居ナイノデアリマ
ス、當局ハ夙ニ此ノ點ニ鑑ミマシテ、
是等商店ニ働イテ居ル者ノ保護ヲ圖リ
タイト考ヘマシテ、調査〓究ヲ續ケテ居ッ
タノデアリマスルガ、此ノ程成案ヲ得マシ
タノデ、玆ニ提案致シマシタ次第デアリマ
ス、本法案ハ市及主務大臣ノ指定スル町村
ニ於テ、物品販賣業又ハ理容業ヲ營ム店舗
ニ適用スルモノデゴザイマス、而シテ一般
ノ商店ニ對シテハ閉店時刻ヲ原則トシテ午
後十時トシ、且ツ使用人ニ對シテハ每月少
クトモ一囘ノ休日ヲ與フルコトト致シテ居
リマス、尙常時五十人以上ノ使用人ヲ使用
スル大商店ニ對シテハ、女子及年少者ノ就
業時間ヲ一日十一時間以內トシ、且每月少
クトモ二回ノ休日ヲ與フベキコトヲ規定シ
テ居リマス、以上ハ本法案ノ〓要デアリマ
ス、何卒御審議ノ上御協贊アラムコトヲ望
ミマス、次ニ簡易生命保險法中改正法律案
提出ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、本案ハ簡
易生命保險法第四條ノ保險金最高制限額ヲ
現在ノ四百五十圓ヨリ七百圓ニ引上グル爲、
簡易生命保險法ヲ改正セムトスルモノデア
リマス、現在ノ保險金最高制限額デアリマ
スル四百五十圓ハ大正十五年ニ改正增額セ
ラレマシタ次第デアリマスルガ、其ノ後十
數年間ハ一囘ノ改正モ行ハレテ居ナイノデ
アリマシテ、從ッテ其ノ後ニ於ケル社會經濟
事情ノ變遷ニ鑑ミマスル時ハ、本制度ハ一
般庶民ノ死後又ハ老後ノ保障トシテ、十分
ノ效果ヲ期待シ難イ情勢ト相成ッテ參ッタノ
デアリマス、又一面民營死亡保險ノ契約情
況ヲ見マスルニ、大部分ハ一千圓以上ノ契約
デアリマシテ、千圓未滿ノ新契約ハ之ヲ總
體ニ對比致シマスル時ハ、誠ニ微々タル有
樣デアリマス、從ッテ兩保險ノ中間ニハ極
メテ大幅ノ間隙ガ存スルノデアリマシテ、
是ハ國民ニ對スル保險需要ノ充足上甚ダ遺
憾ニ堪ヘナイ次第デゴザイマス、以上申述
ベマシタ如ク庶民生活ノ安定上保險制度ノ
缺陷ノ補整ハ、極メテ緊要ト相成ッテ居リマ
スルガ、其ノ方法トシテハ保險料ノ月掛、
集金其ノ他手續ノ簡便ナ簡易生命保險制度
ノ擴充ニ依ルノヲ最モ適當ナ方法ト確信致
スノデアリマス、併シナガラ一面民營死亡
保險ニ對スル影響ト云フ見地ヨリ致シマス
ル時ハ、其ノ引上限度ハ七百圓ノ程度ヲ相
當ト考ヘラレマスノデ、今囘改正セムトス
ル簡易生命保險ノ保險金最高制限額ハ、之ヲ
七百圓ト決定シタ次第デアリマス、而シテ
此ノ程度ノ保險金引上デアレバ、民營生命
保險事業ニハサシタル影響ハナイモノト確
信致シテ居リマス、簡易生命保險事業ハ創
始以來驚異的ナ發展ヲ遂ゲ、現在總契約件
數ハ二千八百萬件ヲ算シ、保險金總額ハ四
十一億圓ヲ超エ、又其ノ積立金ハ十三億圓
ニ達スル盛況デアリマシテ、之ニ依ッテ直接
間接ニ國民生活上及ビ國家財政上ニ多大ノ
貢獻ヲ致シツヽアルコトハ顯著ナ事實デゴ
ザイマス、幸ヒ今囘ノ改正ガ實現致シマズ
レバ、是等ノ諸點ニ於キマシテ更ニ其ノ效
果ヲ發揮スルコトトナルノデアリマシテ、
現下ノ時局ニ鑑ミマシテモ、其ノ意義ハ極
メテ深イモノガアルト存ズルノデアリマス、
以上ノ趣旨ニ依リ簡易生命保險法中改正法
律案ヲ提出致シマシタノデアリマスカラ、
何卒十分御審議ノ上速カニ御協賛アラムコ
トヲ切望スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=22
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023・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 質疑ノ通〓ガゴ
ザイマス、丸山鶴吉君
〔丸山鶴吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=23
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024・丸山鶴吉
○丸山鶴吉君 只今上程ニナリマシタ社會
事業法案ハ全國ノ社會事業家ニ取リマシテ
ハ誠ニ重大ナル關係ノアル法案デアリマス、
只今厚生大臣ノ提案理由ノ御說明ニ依リマ
シテ、大體ノ趣旨ハ了承ヲ致シタノデアリマス
ケレドモ、關係スル所頗ル重大デアリマスカ
ラ、最モ重要ダト信ジマス數點ニ付キマシテ
大臣ノ御高見ヲ承リタイト思フノデアリマス、社
會事業助成法ヲ制定シテ貰ヒタイト云フ希望
ハ社會事業家ノ多年ノ要望デアリマシテ、
苟モ社會事業家ノ大會ガ催サレマスト、其
ノ度每ニ全會一致ヲ以テ決義ヲ政シマシテ、
其ノ都度其ノ筋ニ建議又ハ請願ヲ致シテ居
ルノデアリマス、現內閣ガ厚生省ノ誕生ト
共ニ、此ノ社會事業法案ヲ御提出下サイマ
シタコトニ付キマシテハ、全國ノ社會事業
家ハ齊シク感謝ヲ致シテ居ルノデアリマス、
併シナガラ此ノ社會事業法案ガ一度發表ヲ
サレマスト、其ノ瞬間カラ全國ノ社會事業
家ノ中ニハ一種ノ失望ニ陷リ、又不平不滿
ヲ懷ク者ガ少クナイノデアリマス、ソレハ
社會事業家ガ多年要望致シマシタモノハ、
社會事業ヲドウカシテ助成發達スルヤウニ
資スル法案ヲ要望ヲ致シテ居ッタノデアリ
マスガ、其ノ要望ニ應ヘテ今囘御提案ニナ
リマシタ此ノ社會事業法案ヲ檢討ヲ致シテ
見マスルト、實ハ殆ド内容ハ社會事業ノ取
締法案デアリマシテ、極メテ助成ノ點ニ於
テハ菲薄ナモノガアルノデアリマス、ソレ
デアリマスカラ事業家カラ申シマスルト、
「パン」ヲ與ヘヨト叫ンデ、實ハ石ヲ與ヘラレ
タヤウナ感想ヲ懷イ居ル者ノ少クナイノモ
無理モナイコトデアリマス、本法案ハ十七
箇條カラ成ッテ居ルノデアリマスケレドモ、
社會事業ノ助成ト云フ問題ニ關シマシテハ、
只今御說明ニモアリマシタ如ク、第十一條
ニ補助ノ規定ガアリ、又第十條ニ免稅ノ規
定ガアリマス、其ノ二箇條ヲ除イタ外ハ、
大部分社會事業ヲ各方面カラ取締ヲスルト
云フ規定ニナッテ居ルノデアリマス、勿論不
正不當ナル社會事業ヲ十分ニ取締リ監督ヲ
致シマスコトノ必要デアルコトハ勿論デア
リマスガ、今日ニ於キマシテハ實際問題ト
致シマシテ、昔ノヤウニソンナ不正不當ナ
ル社會事業ハ存在ガ許サレマセヌノデアリ
マス、ソレデアリマスカラ今日ニ於キマシ
テ存在ヲ致シテ居リマス社會事業ト云フモ
ノハ、殆ド全部其ノ經營者ガ已ムニ已マレ
ヌ尊イ犠牲的精神カラ、本當ニ緣ノ下ノ力
持ノ氣持デ、父祖傳來其ノ事業ノ爲ニ誠心誠
意ヲ捧ゲテ居ル者ガ多イノデアリマス、彼等
ハ決シテ身分ノ榮達ヲ求メル譯デハアリマ
セヌ、ソレヲ度外視シテ、社會ノ弱者ノ爲ニ
本當ニ犠牲的ニ働イテ吳レテ居ラレルノデ
アリマス、ソレデアリマスカラ社會事業ニ
從事シテオイデニナル人達ハ、其ノ自尊心
ト其ノ自負心ニ依ッテ僅カニ自己ノ滿足ヲ
得テ居ラレルノデアリマス、サウ云フ立場
ニアル社會事業家カラ申シマスレバ、全身
ヲ以テ善事ヲ爲シテ居ルノデアリマス、然
ルニ法律ヲ出シテ、權力ヲ以テ是等ヲ取締
ルト云フ態度ニ出ラレルモノダト斯ウ云フ
考ヘマスカラ、此ノ法案ニ對シマシテ不平
不滿ヲ持タレルコトニ對シマシテハ、誠
同情ニ堪ヘヌト私共ハ思フノデアリマス、
此ノ事ハ單リ社會事業家ガサウ感ゼラレテ
居ルバカリデアリマセヌデ、一度此ノ社會
事業法案ノ原案ガ社會ニ發表サレマスト、有
力ナル新聞ノ中デモ、今度ハ愈〓「インチキ」
社會事業ヲ取締法案ガ議會ニ提出セラレル
ノデアル、斯ウ論ジマシタ新聞紙モ少クナ
イノデアル、ソレバカリデハアリマセヌ、
社會ノ輿論ヲ代表シテ居リマスル大新聞ノ
論說等ヲ見マシテモ、此ノ法案ヲ檢討致シ
マシテ、如何ニモ取締ニ酷デアッテ助成ニ薄
イ法案デアル、モウ少シ此ノ社會事業ノ助
成、發達スル方面ニ力ヲ入レナケレバナラ
ヌト云フ論說ヲ揭ゲラレタルモノハ、東西少
クナクアルノデアリマス、ソコデ私ハ旣ニ大
臣ノ提案理由ノ說明デ稍〓明瞭デハアリマシ
タケレドモ、誠ニ孜々營々トシテ社會事業
ノ爲ニ渾身ノ努力ヲ捧ゲテ居ル全國社會事
業家ノ名譽ノ爲ニ、今一應私ハ伺ッテ置キタ
イノハ、本法案ヲ提出サレマシタ主眼、眼目
ハ社會事業ノ取締ト云フ爲ノ法案デアルノ
デアリマスカ、或ハ又社會事業ヲ此ノ上トモ
助成發展サスト云フコトヲ主眼トシテ提出
セラレタノデアリマスカ、此ノ點ニ付テ明瞭
ニ大臣カラノ御答ヲ戴キタイト思フノデア
リマス、是ガ私ノ質問ヲ申上ゲマス第一點
デアリマス、第二ノ點ハ此ノ事ニ關聯ヲ致ス
ノデアリマスガ、一體社會事業家ハ弱イ立
場ニアリマシテ、大方、篤志家ノ寄附援助等
ニ依リマシテ、懸命ニ其ノ使命ノ爲ニ奮鬪致
シテ居ルノデアリマスガ、極メテ地味デアリ
マス、決シテ大聲疾呼ヲ致シテ天下ニ愬フ
ルト云フヤウナコトノ風ハアリマセヌノ
デ、孜々營々トシテ努力ヲ致シテ居ルノデ
アリマスガ、サウ云フ此ノ社會事業ノ弱味
ニ乘ジマシテ、サウ澤山トハ申シマセヌケ
レドモ、之ヲ監督致シマス地方廳アタリニ
於キマシテ、而モ長官ヤ部長等ノ所ニ於キ
マシテハ、理解ガアリマシテモ極メテ下ノ
屬僚、下僚ニ於キマシテ動モスルト少シバ
カリノ感情ノ行違ヒカラ、不當ノ干涉壓迫
ヲ加ヘテ居リマスヤウナ實例ハ乏シクナイ
ノデアリマス、併シナガラ全ク地味ナ弱イ
立場ニ居リマスノデ、大抵泣寢入ニナッテ居
ルノデアリマス、今迄モサウ云フ事例ガ私
共少クナク存ジテ居リマスノデアリマス
ガ、此ノ法案ガ出ルコトニナリマスト、法
案ノ各條ヲ一々細カニハ申シマセヌケレド
モ、到ル所デ或ハ事業ノ設備ノ點ニ付テ、
或ハ經營ノ方法ニ付テ、或ハ調査ヲ爲シ、
帳簿ヲ檢査シ、必要ナル指示ヲ爲ス等色々
法律的ノ根據ガ與ヘラレルコトニナリマス
ノデアリマス、今迄ノ法律ノ根據ガナクテ
干、監督權ノ發動デ、く稍〓斯クノ如キ弊害
ガ地方ニ於キマシテ屢〓私共實見ヲ致シテ
居ルノニ、此ノ法律ガ出マシテ法ノ根據ヲ
以テ色々ノ干涉ヲ致スコトガ出來ルヤウニ
ナリマスコトニ、私共ハ非常ナ危險ヲ感ジ
テ居ルノデアリマス、是ハソンナモノガ澤
山アルトハ申シマセヌケレドモ、一ツ此ノ
法律ガ出タラバ今度ハヤッテヤルゾト云ッタ
ヤウナコトヲ公言ヲシテ居ル屬僚ガアルコ
トモ耳ニ致シマシタノデアリマス、ソレデ
アリマスカラ此ノ法案ガ出マシタ後ニ、實
ニ孜々營々トシテ努力シテ居ル社會事業家
ニ、法規ヲ根據ニシテ無用或ハ不當ノ干涉
壓迫ヲ加ヘル數ガ、段々ニ殖エテ來ルノデ
ハナカラウカト云フコトガ非常ナ心配ニナ
ルノデアリマス、斯ウ云フ點ニ付キマシテハ
大臣ニ於カセラレテハ、此ノ法案實施ノ曉
ハ、今迄ヨリモ更ニ無用ノ干涉壓迫等ガ增
加スルコトヲ防止スル爲ニ、何カ御考案ニ
ナッテ居リマスカト云フ、此ノ點ヲ承リタイ
ト思フノデアリマス、第三ノ點ハ補助ノコ
トデアリマス、此ノ法案ノ中ニ於キマシテ、
全國ノ社會事業家ガ歡迎シ喜ンデ居リマス
コトハ、補助ヲ戴クコトニ法律ノ根據ガ出
來マシタコトデアリマス、併シナガラ此ノ
法案ノ取締規定ガ非常ニ嚴重デアリマスニ
拘ラズ、此ノ補助ノ規定ニ至リマシテハ、
第十一條ニ「政府ハ社會事業ヲ經營スル者
ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於テ補助スルコトヲ
得」ト此ノ一箇條ノ規定デアリマス、如何
ニモ此ノ補助ノ規定ハ生溫イ規定デアリマ
シテ、是ナラバ補助スルコトモ出來ル、補
助シナイコトモ出來ルト云フノデアリマシ
テ、有ッテモ無クテモ宜イヤウナ規定デアリ
マス、此ノ規定ガ斯ウナリマスニ付キマシ
テハ、諸般ノ御事情ノアリマスコトハ私推
察ヲ致スノデアリマスガ、只今御擧ゲニナ
リマシタ、或ハ少年〓護法デアルトカ、或
ハ其ノ他ノ公益事業デアル水道トカ、下水
トカ、道路トカ、港灣トカ、皆國家ガ補助
致シマスモノニ付キマシテハ、明確ニ步
合迄定メテ此ノ補助率ガ定ッテ居ルコトカ
ラ見マシテモ、如何ニモ此ノ補助ノ規定ハ
生溫イ規定デアルノデアリマス、是ハ遺憾
千萬ナコトデアリマスケレドモ、事情ヲ諒
察致シテ居ルノデアリマス、一方先程大臣
ノ御說明ニモアリマシタケレドモ、社會事
情ノ變遷ニ連レマシテ、社會政策的ノ施設
ヲ要スルコトハ愈〓急デアリマス、ソレデア
リマスカラ官公設ノ社會事業施設ガ非常ナ
勢デ增加ヲ致シテ居ルノデアリマスガ、ソ
レデモ日本ノ社會事業ノ發達ハ、全ク私設
社會事業カラ出發致シタモノデアリマシテ、
現在我ガ國ノ社會事業施設ハ六千十二ノ施
設ガアリマスガ、其ノ中モウ全ク民間私設
ノ團體ニ於テ經營サレテ居ルモノガ三千四
百八施設アルノデアリマス、大方三分ノ二
ハ民間ノ私設ノ團體デアルノデアリマス、
若シ是等ノ三千四百ノ民間私設團體ガナイ
ト云フコトニナリマスレバ、總テ是ハ官公立
デソレ〓〓ノ施設ヲ致シマセネバ、今日程
ノ救濟モ手ガ屆カナイト云フコトニナルノデ
アリマス、サウ云フ建前カラ考ヘマスレバ、私
設ノ社會事業團體ハ國家又ハ公共團體ニ代ッ
テ、此ノ社會施設ヲ經營シテ居ルノダト申
上ゲテモ過言デハナイノデアリマス、サウシ
テ社會事業經營者ハ誠ニ愛ト淚トヲ以テ、
全身全魂ヲ打込ンデ、自分ノ生命トシテ其
ノ仕事ニ當ッテ居ルノデアリマス、到底官公設
ノ施設デハ及ビマセヌ、實ニ麗ハシイ所ガ
アルノデアリマシテ、誠ニ尊イ魂ノ糧迄此
ノ私設ノ事業ニ依ッテ與ヘルコトガ出來ル
ノデアリマス、斯ウ考ヘマスレバ此ノ私設
ノ社會事業ニ對シテハ、政府ハ相當ノ補助
ヲナサラナケレバナラナイコトハ申ス迄モ
アリマセヌ、先程大臣ノ御說明ニモアリマ
シタヤウニ、畏クモ皇室ニ於カセラレマシ
テモ、特ニ此ノ點ニハ御軫念遊バサレマシ
テ、誠ニ我ガ國ノ社會事業發達ノ爲ニ、多
大ノ御下賜、御補助ヲ戴イテ居ルコトニ付
キマシテハ、感激ヲ致シテ居ルノデアリマ
ス、然ルニ此ノ法案ノ提出ニ伴ヒマシテ豫
算ヲ拜見致シマスルト、其ノ補助額ト云フ
ノハ僅カニ五十萬圓デアリマス、此ノ規定
ニ依リマスト、全部ノ社會事業ヲ補助セラ
レル譯デモアリマセヌ、又私設ダケヲ補助
スルト云フ規定デモアリマセヌガ、若シ縱
ンバ此ノ五十萬圓ヲ、是等私設ノ三千四百
幾團體ニ補助ヲシテ戴クト云フコトニナリ
マスレバ、平均シテ見マスト百五十圓ニモ
足リナイ數字デアル、厚生大臣ハ果シテ此
ノ補助額デ社會事業助成ノ完全ヲ期シ得ル
ト御考ニナッテ居リマセウカ、此ノ點ヲ承リ
タイト思フノデアリマス、社會事業法カラ
ハ除外サレテ居ルノデアリマスルケレド
モ、司法省ノ所管ニナッテ居リマス司法保
護事業ト云フノガアリマス、釋放者ノ保護
事業デアリマスガ、是ハ司法省ノ豫算ヲ見
マスト、此ノ補助費ガ十八萬三千五百七十
五圓計上シテアリマス、又社會事業デハア
リマセヌケレドモ、一種ノ公ノ施設デハア
リマスガ、陸軍省豫算ヲ見マスト、帝國在
〓軍人會ノ補助費ガ六十萬圓計上サレテ居
リマス、決シテ是等ノ司法保護事業ノ補助
ヤ、帝國在〓軍人會ノ補助ノ額ガ多過ギル
トハ申シマセヌ、必要ナル公益的施設デア
リマスカラ、益〓補助ガ殖エテ來ルコトヲ私
共希望致スノデアリマスガ、斯ウ云フモノ
ニ比ベテ見マシテモ、六千餘ノ社會事業施
設ニ對シテ僅々五十萬圓ノ補助額ヲ計上シ
タノデハ、是ハ誠ニ權衡ノ取レナイコト餘リ
ニ稀薄デアッテ、是デ社會事業ノ助成ヲスル
ノデアルト、或ハ發達ヲ期スルノデアルト
申サレタノデハ、如何ニモ羊頭ヲ懸ゲテ狗
肉ヲ賣ルト評セラレテモ仕方ガナイト思フ
ノデアリマス、本年ハ已ムヲ得ナイコトデ
アリマスケレドモ、厚生大臣ハ來年度ニ於
キマシテハ此ノ助成ヲ、此ノ法案ノ實質內
容ニ適合スルヤウニ、增額ヲセラレル御意思
ガアルカナイカ、此ノ點モ併セテ承リタイ
ト思フノデアリマス、大藏省ノ政府委員モ
御列席デアリマスカラ、屹度內務省ハコン
ナコトデ御滿足ニナッテ居ルト思ハヌノデ
アリマスカラ、來年度カラ更ニ一段ト增額
ノ計上ヲサレルト思ヒマスガ、大藏當局ニ
於カセラレマシテモ此ノ事情ヲ御聽キ下サ
ルナラバ、必ズ是デハ餘リ輕少ニ過ギルコト
ヲ自覺下サルト思フノデアリマス、此ノ點ニ
關シマシテ大藏當局ノ御意見ヲ併セテ承ル
コトガ出來レバ仕合セト思フノデアリマス、
第四ハ補助ノコトハサウデアリマスガ、モ
ウ少シ一步ヲ進メテ社會事業進展ノ爲ニ御
考ヲ願ハナケレバナラヌ、ソレニハ社會事
業資金法ノヤウナモノヲ制定シテ貰ヒタイ
ト云フ問題デアリマス、官公設ノ社會施設
ノ外ニ、先程モ申上ゲマシタヤウナ特別ノ
存在ノ意義ヲ持ッテ居ル私設社會事業ガ益〓
其ノ機能ヲ發揮スル爲ニ、相當ノ資金ヲ要
スルノデアリマスカラ、是等ノ資金ヲ豐富
ニスル爲ニ特ニ社會事業資金法ヲ制定シテ、
平素カラ社會事業ノ資金ノ調整ニ努メルト
云フ風ノコトガ、誠ニ必要ナルコトト思フ
ノデアリマスガ、政府ハ果シテ其ノ御意向
ガアルカドウカ、外國ニ於キマシテハ競馬
法ノ益金ヲ社會事業ノ資金ニスルトカ、色
色ノ制度ヲ立テテ居ル國モ澤山アリマス、
我ガ國デ私共ハ色々〓究致シマシタコトニ
依リマシテモ、主トシテ庶民階級ガ掛ケル
簡易保險ガ到頭流レテシマッテ、受取人ノナ
イト云フヤウナコトノ爲ニ、或ハ郵便貯金ガ
結局受取人ガ不明ニナッタ爲ニ、國庫ノ收入
ニ期シテ居ルト云フノガ年々歲々相當ノ
額ガアルノデアリマス、斯ウ云フ金額ハ多
クハ庶民階級ガ營々働イタ結果、或ハ簡
易保險ニ掛ケ、郵便貯金ニシタモノガ、其
ノ後ノ事故デ受取人ガ不明ニナリ、一セント
年限ヲ經テ國庫ノ收入ニナッテ居ルノデ、
庶民階級カラ出タノデアルカラ、再ビ之ヲ
憐レナ庶民階級ニ費スト云フコトノ爲ニ、
サウ云フヤウナモノヲ特ニ社會事業資金ニ
組入レルト云フコトモ考ヘラレルノデア
リマス、其ノ他考ヘテ見マスレバ種々ナル
財源ガソコニ橫タハッテ居ルヤウニ考ヘル
ノデアリマスカラ、政府ニ於キマシテハ速カ
ニ是等ノ點ヲ御〓究ヲナサレマシテ、而シ
テ社會事業資金法ヲ制定シ、社會事業ガ眞
ニ豐富ナル財源ノ下ニ悠々トシテ行ハレル
ヤウニサレル、斯ウ云フ御意嚮ガアルカナ
イカ、此ノ點ヲ承リタイノデアリマス、最
後ニ第五デアリマスガ、先程大臣モ御述ニ
ナリマシタ此ノ法文ノ中ニ、社會事業委員
會ヲ制定ノコトガゴザイマシテ、政府ハ社
會事業ヲ調査シ審議スル爲ニ、中央ニ中央
社會事業委員會ヲ置ク、斯ウ云フ規定ガア
ルノデアリマス、又道府縣ノ地方廳ニハ、
地方社會事業委員會ヲ設置スルコトヲ得ト
云フ規定ガアリマシテ、此ノ規定ニ基キマ
シテ、追々社會事業委員會ト云フモノガ出
來ルト思フノデアリマス、是ハ誠ニ結構ナコ
トデアリマシテ、此ノ委員會ノ運用ガ宜シキ
ヲ得マスナラバ、屹度我ガ國社會事業ノ進
展ノ爲ニ非常ナ仕合セヲ致スコトト考ヘテ
居ルノデアリマス、併シナガラ此ノ委員會
ノ組織運用等ニ付キマシテハ、勅令ノ規定
ニ讓ッテアルノデアリマシテ、如何ナル內
容デ如何ナル運用ヲ致スカト云フコトハマ
ダ承ルコトガ出來ナイノデアリマスガ、此
ノ點ニ付キマシテ、私考ヘマスノニハ、若
シ此ノ委員會ガ在來能クアリマスヤウニ、
役員トカ、公務員トカ、名譽職トカ云フヤ
ウナモノニ依ッテ、大部分ヲ占メラレテ委員
會ガ出來ルト云フコトデアリマスナラバ、
折角出來マシタ委員會モ机上ノ空論ニ終リ
マシテ、實際社會事業ノ進展ニ資スルコト
ハ困難ダト思フノデアリマス、ソレデアリ
マスカラ、此ノ中央モ地方モ社會事業委員會
ガ出來マスレバ、實際社會事業ニ從事シテ
居ル權威者ヲ少クトモ其ノ委員ノ數ノ半
數以上置イテ、親シク是等ノ意見ヲ徵シテ、
中央及地方トモ社會事業ノ指導ニ當ルト云
フコトニナリマスト、最モ適切ナル働キヲ
致スコトト信ズルノデアリマス、是ハ勅令
ノ規定ニ委任ヲシテアルコトデアリマスカ
ラ、大臣ニ於カセラレマシテモ色々御考究
ノコトト思ヒマスガ、私ノ信ジマスヤウニ、
此ノ委員會ノ構成ハ今申シマスヤウナ實際
ノ、實際家ヲ成ルベク多數網羅シテ、此ノ事
實ニ適合スルヤウニ御組織ニナル御意〓デ
アルカドウカ、此ノ點ヲ承リタイト思フノ
デアリマス
〔國務大臣侯爵木戶幸一君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=24
-
025・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 丸山サンニ
御答ヲ致シマス、第一ノ御專ハ今囘社會事
業法ヲ提案致シマシタ趣旨ハ、社會事業ノ
取締ヲ主眼トシテ居ルノデアルカ、或ハ社
會事業ノ助成發展ヲ期スルノガ目的デアル
カト云フ御尋デアッタト存ジマス、我ガ國ノ
社會事業ノ發達ノ歷史カラ鑑ミマシテモ、
勿論、所謂法ヲ以テ之ニ臨ムト云フノガ本旨
デナイノハ當然デアリマシテ、政府ガ此ノ
法案ヲ〓究致シマシテ、今囘提案致シマシ
タノニ付キマシテモ、勿論助長誘導シテ健
全ナル發達ヲ圖ルト云フコトガ其ノ主眼デア
ルノデアリマス、社會事業ノ現狀ニ鑑ミマ
スルト、時ニ不正ナモノモアルノデアリマ
シテ、是等ハ寧ロ適當ナル指導監督ヲシテ、
而シテ健全デアッテ優良ナルモノハ益〓發達
シテ行クト云フノガ本旨デアリマス、卽チ
監督ガ主眼デハナイノデアリマシテ、助長
誘導ヲ致シマスコトガ主眼デアルノデアリ
マス、ソレカラ第二ノ御尋ハ、斯クノ如キ
基礎ニナル法案ガ出來マスレバ、地方ノ所
謂主任ニナッテ居リマス官吏アタリガ、此
ノ法案ヲ振リ翳シテ無用ナル干涉ヲスル虞
ハナイカト云フ御尋デアリマス、此ノ點
ハ若シ萬一サウ云フコトガアリマシテハ、
是ハ法律制定ノ趣旨ニ全ク合致シナイ
ノデアリマス、今後益〓關係官吏ノ〓養
訓練等ニモ努メマシテ、本法制定ノ趣
旨徹底遺憾ナキヲ期シタイト思ヒマス、尙
後デ御尋デアリマシタ社會事業委員會ト云
フヤウナモノニ付キマシテモ、其ノ構成ニ
付テハ十分考ヘマシテ、兩々相俟チマシテ、
斯クノ如キ弊害ハ出來ルダケ除去シテ、本
法ノ制定ノ趣旨ヲ徹底サセタイト考ヘテ居
リマス、第三ニ豫算ノ助成費ガ非常ニ少額
デハナイカト云フ御尋デアリマス、是ハ當
局ニ於キマシテモ、十三年度ニ於テハ補助
額ヲ五十萬圓計上致シテ居リマスガ、御話
ノ通リ必ズシモ十分デアルトハ言ヒ難イノ
デアリマシテ、財政其ノ他ノ關係カラ致シ
マシテ、本年ハ此ノ程度ニ決定セラレタノ
デアリマスルガ、勿論來年度以降ニ於キマ
シテハ、只今御話ノ御趣旨モアリマスルカ
ラ、財政上ノ都合モゴザイマセウガ、當局
ト致シマシテハ、十分之ガ增額ニ付テ努力
致シタイト存ジテ居リマス、ソレカラ第四ノ
御尋ハ、社會事業ノ發逹ヲ期スル爲ニ、社
會事業資金法ト申スヤウナモノヲ制定ノ意
思ガアルカドウカト云フ御尋デアリマシタ、
御趣旨ハ十分了承致シマシタ、今後ノ社會
事業ノ助成發達ニ付キマシテハ、單ニ國庫
ノ補助ヲ以テシテハイカヌノデアリマシテ、
出來ルダケ斯クノ如キ機關ヲ作リマシテ、
ソレニ依リマシテ、助成ナリ其ノ資金ヲ得
テ行クト云フコトハ非常ニ望マシイコトデ
アリマス、併シナガラ此ノ關係ハ更ニ能ク
利害損失等モ考ヘナケレバナリマセヌシ、又
關係スル所モ少カラナイノデアリマスルカ
ラ、今後十分愼重ニ〓究致シタイト存ジマ
ス、最後ノ御尋ハ、社會事業委員會ノ構成
ニ付キマシテ、實際ノ社會事業家ヲ多數加
ヘル意思ハナイカドウカト云フ御尋デアリ
マシタガ、此ノ點ニ付キマシテハ、本法ノ
運用ノ上カラ見マシテ、社會事業委員會ハ
重要ナ機關デアリマスルノデ、御話ノ御趣
旨ノ通リ、出來ルダケ民間ノ社會事業家モ
之ニ加ヘテ行キタイト考ヘテ居リマス
〔政府委員太田正孝君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=25
-
026・太田正孝
○政府委員(太田正孝君) 丸山サンカラ社
會事業ニ對スル補助費ノ少イコト、竝ニ今
後ドウ考ヘルカト云フ御質問デゴザイマシ
ク、事改メテ申上ゲル迄モナク、旣ニ御協
贊ヲ得マシタ昭和十三年度豫算ノ編成方針
ハ、事變ヲ中心トシテ其ノ經費ヲ色々見積ッ
テ行ッタノデゴザイマス、從ッテ各省ノ經費ニ
付キマシテモ隨分御無理ト申シマスカ、强
イ査定モ致シタ譯デゴザイマス、併シナガ
ラ現下ノ情勢ニ於キマシテ、社會事業ノ大
切デアルト云フコトハ申上ゲル迄モナク、
又御言葉通リト存ジマス、此ノ意味ニ於キ
マシテ、色々ナ經費ハ削リマシタ中ニ於テ、
少額デハゴザイマスガ初メテ此ノ五十萬圓
ノ補助費ヲ認メタ次第デゴザイマス、勿論
將來ニ付キマシテモ此ノ事業ノ大切ニ鑑ミ
マシテ、主務當局タル厚生省ノ御意見ヲモ
徵シ、篤ト考ヘタイト思フノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=26
-
027・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
社會事業法案外二伴ハ、重要ナル法案デア
リマスルガ故ニ、其ノ特別委員ノ數ヲ十八
名トシ、其ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動議
ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=27
-
028・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=28
-
029・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセスカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=29
-
030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔丸龜書記官朗讀〕
社會事業法案外二件特別委員
公爵岩倉具榮君侯爵德川義親君
伯爵柳原義光君關屋貞三郞君
子爵米田國臣君子爵富小路隆直君
子爵實吉純郞君松井茂君
男爵千田嘉平君中川健藏君
下村宏君男爵加藤成之君
男爵山根健男君田所美治君
若尾璋八君瀧川儀作君
細田安兵衞君出光佐三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=30
-
031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十、昭和
十二年法律第八十四號中改正法律案、日程
第十一、關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府
及樺太廳ノ各特別會計ニ於ケル租稅收入ノ
一部ニ相當スル金額等ヲ臨時軍事費特別會
計ニ繰入ルルコトニ關スル法律案、日程第
十二、昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案、政
府提出、衆議院送付、第一讀會、是等ノ三
案ヲ一括シテ議題トスルコトニ御異議ゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=31
-
032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、太田政務次官
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案
昭和十二年法律第八十四號中左ノ通改正
ス
「二十億二千二百七十萬圓」ヲ「六十四億
七千六百二十萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十二年法律第八十五號臨時軍事費特
別會計法ニ左ノ一條ヲ加フ
第三條政府ハ臨時軍事費出納上必要
アル場合ニ於テハ一時借入金ヲ爲シ
又ハ融通證劵ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル一時借入金及融通
證劵ハ臨時軍事費特別會計ノ歲入ヲ
以テ之ヲ償還スベシ
第一項ノ規定ニ依ル融通證劵ハ國債
整理基金特別會計法第二條第二項ノ
規定ノ適用ニ付テハ之ヲ國債ト看做
サズ
參照
昭和十二年法律第八十四號ハ支那事變
ニ關スル臨時軍事費支辨ノ爲公債發行
ニ關スル法律ナリ
關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺
太廳ノ各特別會計ニ於ケル租稅收入ノ
一部ニ相當スル金額等ヲ臨時軍事費特
別會計ニ繰入ルルコトニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺
太廳ノ各特別會計ニ於ケル租稅收入ノ
一部ニ相當スル金額等ヲ臨時軍事費特
別會計ニ繰入ルルコトニ關スル法律案
第一條關東局、朝鮮總督府、臺灣總督
府及樺太廳ノ各特別會計ニ於ケル所得
稅法人資本稅、砂糖消費稅、取引所
稅出港稅又ハ臨時利得稅ノ今囘ノ增
徵ニ因ル昭和十三年度以降ノ增收額ト
利益配當稅、公債及社債利子稅、通行
稅入場稅、特別入場稅及物品稅ノ創
設ニ因ル昭和十三年度以降ノ收入額ト
ノ合計額ヨリ徵稅費ヲ控除シタル殘額
ニ相當スル金額ハ其ノ八割ヲ限リ每年
度豫算ノ定ムル所ニ依リ之ヲ當該特別會
計ヨリ臨時軍事費特別會計ニ繰入ルベシ
第二條朝鮮總督府及臺灣總督府ノ各特
別會計ニ於ケル今囘ノ煙草定價改正ニ
因ル昭和十三年度以降ノ專賣收入增加
額ニ相當スル金額ハ其ノ八割ヲ限リ每
年度豫算ノ定ムル所ニ依リ之ヲ當該特
別會計ヨリ臨時軍事費特別會計ニ繰入
ルベン
第三條關東局、朝鮮總督府、臺灣總督
府及樺太廳ノ各特別會計ニ於ケル北支
事件特別稅收入額ヨリ徵稅費ヲ控除シ
タル殘額ニ相當スル金額ハ豫算ノ定ム
ル所ニ依リ之ヲ當該特別會計ヨリ臨時
軍事費特別會計ニ繰入ルベシ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
昭和十二年法律第五十一號ハ之ヲ廢止ス
昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴毒殿
昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案
政府ハ昭和十三年度一般會計歲出ノ財源
ニ充ツル爲他ノ法律ニ依リ起債シ得ル金
額ノ外七千三百十萬圓ヲ限リ公債ヲ發行
シ又ハ借入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル公債ノ發行價格差減額
ヲ補塡スル爲必要アル場合ニ於テハ前項
ノ制限以外ニ公債ヲ發行シ又ハ借入金ヲ
爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員太田正孝君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=32
-
033・太田正孝
○政府委員(太田正孝君) 只今議題トナリ
マシタ昭和十二年法律第八十四號中改正法
律案外二件ノ法律案ニ付キマシテ、提出ノ
理由ヲ御說明申上ゲマス、先ヅ昭和十二年
法律第八十四號中改正法律案ニ付申上ゲマ
ス、支那事變ニ關スル經費ニ付キマシテハ、
第七十一囘及第七十二囘ノ各帝國議會ノ協
贊ヲ經マシテ、其ノ財源ニ充ツル爲ノ公債
發行ヲ爲シ得ル法律ノ制定ヲ見タノデゴザ
イマス、然ルニ事態ノ推移ニ伴ヒマシテ、
更ニ臨時軍事費ヲ追加スルヲ必要トスルニ
至ッタノデゴザイマス
(副議長侯爵佐佐木行忠君議長席ニ著
ク〕
然ルニ其ノ所要財源ノ中デ四億三千三百十
餘萬圓ニ付キマシテハ一般會計及特別會
計ヨリノ繰入金、北支事件特別稅收入等ヲ
以テ充テマシテ、殘ル大部分ニ當リマスル
四十四億五千三百四十餘萬圓ニ付キマシテ
ハ、今日ノ場合之ヲ公債財源ニ依ルコトト
致シマスル爲、昭和十二年法律第八十四號
中ノ公債發行限度ヲ增額スル必要ガアルノ
デゴザイマス、尙本法律案ノ附則ニ於キマ
シテ、支那事變ニ關スル臨時軍事費特別會
計法ニ一箇條ヲ加ヘルコトト致シマシタノハ、
臨時軍事費出納上ノ必要ニ應ジマシテ、機
宜ノ措置ヲ講ジ得ル途ヲ開キ置クヲ適當ト
認メタノニ依ルノデゴザイマス、次ニ關東
局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺太廳ノ各
特別會計ニ於ケル租稅收入ノ一部ニ相當ス
ル金額等ヲ臨時軍事費特別會計ニ繰入ルル
コトニ關スル法律案ニ付テ御說明申シマス、
今囘一般會計ニ於キマシテ支那事變費ノ一
部ニ充テマスル爲所得稅、法人資本稅、砂糖
消費稅、取引所稅及臨時利得稅ヲ增徵致シ
マシテ、尙利益配當稅、公債及社債利子稅、
通行稅、入場稅、特別入場稅及物品稅ヲ新
タニ設ケルコトト致シマスルト共ニ、煙草
ノ値上ヲ致シマシタノデゴザイマス、之二
付キマシテ關東局、朝鮮總督府、臺灣總督
府及樺太廳ノ各特別會計ニ於キマシテモ、
一般會計ニ於ケルト同趣旨ノ下ニ、〓ネ右
ニ準ジマシテ、同種ノ租稅ヲ增徵シ、且新
稅ヲ設クルト共ニ煙草ノ値上ヲ致シマシテ、
其ノ收入額ノ一部ニ相當スル金額等ヲ、每
年度豫算ノ定ムル所ニ依ッテ、臨時軍事費特
別會計ニ繰入ルルコトト致シマシタ處、之
ガ會計上ノ處理ニ關シマシテハ、法律ノ制
定ヲ必要ト致スノデゴザイマス、最後ニ昭
和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充テマス
ル爲、公債追加發行ニ關スル法律案ニ付テ
御說明申上ゲマス、昭和十三年度歲入歲出
總豫算ニ伴フ一般會計歲入不足ノ補塡ニ付
キマシテハ、之ニ關スル法律案ヲ今期議會ニ
提出シテ居ルノデゴザイマスガ、今囘別途
提出致シマシタ同年度ノ歲入歲出總豫算追
加第一號ニ揭ゲテ居リマスル經費ノ所要財
源總額三億八千六百四十餘萬圓ノ中カラ、
增稅其ノ他ノ普通歲入ヲ以テ充テマスベキ
分三億一千三百四十餘萬圓ヲ差引キマシタ
殘リノ七千三百餘萬圓ニ付キマシテハ、今
日ノ場合之ヲ公債ニ依ルノ外アリマセヌノ
デ、本法律案ヲ提出致シタ次第デゴザイマ
ス、尙本法律案ハ前ニ述べマシタ如ク、總
豫算ニ伴フ歲入補塡公債法案ガ目下御審議
中ナルニ顧ミマシテ、別ノ法律案ト致シタ
次第デゴザイマス、以上三件ノ法律案ニ付
キマシテ何卒御審議ノ上速カニ協贊ヲ與ヘ
ラレムコトヲ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=33
-
034・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
昭和十二年度法律第八十四號中改正法律案
外二件ハ、昭和十三年度一般會計歲出ノ財
源ニ充ツル爲公債發行ニ關スル法律案外六
件ニ關聯致シマスガ故ニ、同一委員ニ併託
セラレムコトノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=34
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035・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=35
-
036・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 戶澤子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=36
-
037・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=37
-
038・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程第十
三、昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案、日程第十
四、昭和七年法律第一號中改正法律案、日程
第十五、造幣局東京出張所廳舍其ノ他ノ新
營費ニ關スル法律案、日程第十六、對支文
化事業特別會計法ノ特例ニ關スル法律案、
日程第十七、支那事變ニ關スル臨時軍事費
ノ財源ニ充ツル爲特別會計ヨリ爲ス繰入金
ニ關スル法律案、日程第十八、朝鮮事業公
債法中改正法律案、日程第十九、軍ノ需要
充足ノ爲ノ會計法ノ特例ニ關スル法律案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委
員長報告、是等ノ七案ヲ一括シテ議題ト爲
スコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=38
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039・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、委員長山縣公爵
〔左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參
照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ倣
フ〕
昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十三年三月九日
委員長公爵山縣有道
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和七年法律第一號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十三年三月九日
委員長公爵山縣有道
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
造幣局東京出張所廳舍其ノ他ノ新營費
ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十三年三月九日
委員長公爵山縣有道
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
對支文化事業特別會計法ノ特例ニ關ス
ル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十三年三月九日
委員長公爵山縣有道
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
支那事變ニ關スル臨時軍事費ノ財源ニ
充ツル爲特別會計ヨリ爲ス繰入金ニ關
スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十三年三月九日
委員長公爵山縣有道
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮事業公債法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十三年三月九日
委員長公爵山縣有道
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
軍ノ需要充足ノ爲ノ會計法ノ特例ニ關
スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十三年三月九日
委員長公爵山縣有道
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔公爵山縣有道君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=39
-
040・山縣有道
○公爵山縣有道君 只今議題トナリマシタ
昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債發行ニ關スル法律案外六法律案ノ特
別委員會ニ於ケル審議ノ經過竝ニ結果ヲ御
報〓申上ゲマス、是等法律案ノ內容ニ付キ
マシテハ、旣ニ本議場ニ於テ政府ヨリ說明
ガゴザイマシタカラ、此處デハ極メテ大體
ノコトヲ申上ゲマス、第一ノ歲入補塡公債
ノ發行ニ關スル法律案ハ、所謂赤字公債ヲ
昭和十三年度ニ於テ五億五千七百餘萬圓發
行スルコトニ關スル法律案デゴザイマス、
第二ノ昭和七年法律第一號中改正法律案
ハ、滿洲事件費ノ財源ニ充當スル爲ノ公債
發行限度ヲ一億二千四百餘萬圓增加スル爲
ノ法律案デゴザイマス、第三ノ造幣局東京
出張所廳舍其ノ他ノ新營費ニ關スル法律案
ハ、此ノ新營費ニ充當スル爲、造幣局資金
ノ中ヨリ三十五萬圓ヲ拂出シマシテ、般
會計ニ繰入レヨウト云フ法律案デゴザイマ
ス、第四ノ對支文化事業特別會計法ノ特例
ニ關スル法律案ハ、本會計ノ歲出額ノ最高
限度ヲ當分ノ中二百萬圓增加スルト共ニ、
收入不足ニ依リ決算上不足ヲ生ジマシタ時
ハ、積立金ヨリ之ヲ補足シ得ルノ途ヲ開カ
ウトスルモノデゴザイマス、第五ノ支那事
變ニ關スル臨時軍事費ノ財源ニ充ツル爲特
別會計ヨリ爲ス繰入金ニ關スル法律案ハ、
通信、鐵道、朝鮮、臺灣、樺太、關東ノ各
特別會計カラ、臨時軍事費ノ財源ニ充ツル
爲臨時軍事費特別會計ニ繰入金ヲ爲シ得
ルヤウニシヨウトスル法律案デゴザイマス、
第六ノ朝鮮事業公債法中改正法律案ハ、昭
和十三年度以降ノ繼續費トシテ計上致シマ
シタ鐵道建設費、改良費及送電施設費ノ財
源ニ充ツル爲、本法ニ依リ公債ノ發行限度
ヲ五千二百萬圓ダケ增加シヨウト云フ法律
案デゴザイマス、第七ノ軍ノ需要充足ノ爲
ノ會計法ノ特例ニ關スル法律案ハ、支那事
變勃發以來、軍ノ物資需要ガ極メテ增加致
シマシタノデ、其ノ調達ノ圓滑ヲ圖リマシ
テ、軍事行動ニ支障ナカラシメルヤウニ致
シマスル爲、現會計法ノ特例ヲ設ケマシテ、
當分ノ中前金拂、又ハ〓算拂ヲ爲シ得ル範
圍ヲ擴張シヨウトスル臨時應急的ノ法律案
デゴザイマス、以上述ベマシタ七ツノ法律
案ニ關シマシテ、七囘ニ亙リ特別委員會ヲ開
キマシタ、委員ノ方々ノ御精勵ニ依リ微細
ノ點迄種々ノ質問應答ヲ重ネ、愼重審議ヲ
致シマシタ、其ノ詳細ニ付キマシテハ速記
錄ニ依リ御覽ヲ願ヒタイト存ジマス、唯茲
ニ委員會ニ於ケル質問應答中デ、特ニ重要
ナルモノ二三ヲ申上ゲタイト存ジマス、赤字
公債ノ發行ハ、最近ノ增稅ナドニ依リマシ
テ、近キ將來ニ無クナルモノト了承シテ宜
イカ、又赤字公債ハ一刻モ早ク無クナスベキ
モノデアルガ、之ニ對スル政府ノ所見如何
ト云フ質問ガアリマシタ、之ニ對シマシテ
政府ハ、赤字公債ハ出來得ル限リ之ヲ發行
シナイデヤッテ行キタイガ、現下ノ情勢デハ
尙當分ノ間或程度ノ赤字公債ヲ出サザルヲ
得ナイ見込デアル、事變後ニ於キマシテモ
直チニ赤字公債ヲ無クナスト云フコトハナ
カナカ困難デアル、申ス迄モナク財政ヲ運
用スル者ノ心掛トシテハ、成ルベク赤字公
債ヲ無クシタイノデアルケレドモ、ココ當
分ノ間ハドウシテモ已ムヲ得ナイモノデア
ルト思ハレルト云フ趣意ノ答辯デゴザイマ
シタ、又赤字公債ハ平時ニ於ケル財政ノ遺
リ繰リノ道具ニアラズト云フ、根本方針ヲ
確立スルノ要アリヤト考ヘルガ、之ニ對ス
ル政府ノ所信如何ト云フ意味ノ質問ガアリ
マシタ、之ニ對シマシテ政府ハ、年々赤字
公債ガ出テ居ルノハ、國家ノ財政ト致シマ
シテハ誠ニ殘念ナコトデ、赤字公債ノ無ク
ナリマスルコトハ、財政上實ハ望マシイコ
トデアリマシテ、之ニ付テハ歲出方面ニ於
ケル經費ノ節約、歲入方面ニ於ケル增稅ガ
大キナ問題トナリマス、經費ノ問題ニ付キ
マシテハ財政當局トシテ出來得ル限リノ節
減ヲ各省ニ要求シテ居リマスルシ、增稅ノ
問題ニ付キマシテモ、出來得ルダケ善處シ
テ居ル次第デアリマシテ、今日ノ情勢デハ
先ヅ此ノ程度ヲ以テ已ムヲ得ナイト考ヘル、
將來ノコトニ關シテハ時機ノ到來ヲ待ッテ、
徹底的ニ財政行政ノ整理ヲ行ヒ、此ノ難問
題解決ノ爲ニ努力スベキ考デアルノデアル
ト云フ趣旨ノ答辯デゴザイマシタ、次ニ滿
洲事件費ハ將來減少スル見込アリヤ、モット
經費ノ掛ラヌヤウニ出來ナイモノカ、一步
ヲ進メテ自給自足ハ出來ナイモノカト云フ
意味ノ質問ガアリマシタ、之ニ對シテハ政
府ハ、本年度ノ滿洲事件費ニ於テハ、滿洲
ニ駐屯シテ居ル軍隊ガ、中支、北滿方面ニ
交替シテ出動スルコトガ多ク、斯カル經費
ニ付キマシテハ之ヲ臨時軍事費ニ計上シテ
アリマスノデ、假ニ本年度ニ於テ支那事變
ガナカッタモノトスレバ、滿洲事件費ハ更ニ
多額トナルベキ情況ガアッタ點カラ考ヘマシ
テモ、將來滿洲事件費ガ直チニ減少スルト
云フヤウナコトハ期待シ難イト云フ答辯デ
ゴザイマシタ、而シテ滿洲國自體デ財政ヲ
賄フコトニ付キマシテハ、政府ハ是ハ誠ニ
尤モナコトデアルガ、只今ノ所デハ持込ガ
非常ニ多クナッテ居リマスケレドモ、今日ノ
場合或ハ我ガ方トシテハ、萬事ガ滿洲國ヘ
ノ資本ヲ注ギ込ム時代デアッテ、又一方國防
上ヨリ見マシテモ已ムヲ得ナイ次第デアリ
マス、理想トシテハ結局共存共榮ノ期ニ達
スル爲ノ、總テノ計畫ヲ現實ニ樹立シ、進
メテ行キタイト云フ趣旨ノ答辯デゴザイマ
シタ、尙以上ノ外、公債發行ノ方法ヤ、公
債ノ利率ヤ、公債ノ市價ヲドノ程度ニ維持
スルヲ要スルヤ、日本銀行ノ手持公債可能
ノ限度ヤ、特別會計ヨリノ繰入ヤ、會計法
ノ特例ニ關スル前金拂トカ、〓算拂トカニ
依ル損害ナドノ問題ニ付キマシテモ、重要
ナル質問ヲ重ネラレマシタ、其ノ他北支問
題外債問題、物價問題、爲替問題等ニ關
シマシテモ、種々重要ノ點ニ付キ質疑ガ重
ネラレマシタガ、機徵ニ屬シ速記ヲ止メタ
リ、祕密會ヲ開カネバナラヌ事情ガゴザイ
マシタコトヲ玆ニ申添へテ置キマス、斯ク
シテ質疑ヲ終リ討論ニ入リ、委員會ハ是等
ノ法案全部ヲ、何レモ適當ナルモノト認メ
マシテ、全會一致ヲ以テ可決致シマシタ次
第デゴザイマス、以上御報告ヲ申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=40
-
041・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 別ニ御發言
モナケレバ七案ノ採決ヲ致シマス、七案ノ
第二讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌ
カ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=41
-
042・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=42
-
043・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=43
-
044・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=44
-
045・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=45
-
046・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=46
-
047・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 七案ノ第二
讀會ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ
問題ニ供シマス、七案全部、委員長ノ報告
通リデ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=47
-
048・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=48
-
049・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=49
-
050・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=50
-
051・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=51
-
052・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=52
-
053・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 七案ノ第三
讀會ヲ開キマス、七案全部、第二讀會ノ決
議通リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=53
-
054・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=54
-
055・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程第二
+、擔保附社債信託法中改正法律案、政府
提出、第一讀會ノ續、委員長報告、公爵島
津忠承君
擔保附社債信託法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十三年三月十日
委員長公爵島津忠承
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔公爵島津忠承君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=55
-
056・島津忠承
○公爵島津忠承君 只今議題ト相成リマシ
タ擔保附社債信託法中改正法律案ノ特別委
員會ニ於ケル經過竝ニ其ノ結果ヲ御報告申
上ゲマス、委員會ハ前後二囘ニ亙リマシテ
之ヲ開キ、最初ニ政府當局ノ說明ヲ聽キマ
シテ質問ニ移リマシタ、本改正案ハ擔保附
社債信託法第四條第二號ノ次ニ、株式質ノ
一號ヲ加へ更ニ同條ニ「株式ヲ物上擔保ノ
目的ト爲サムトスルトキハ命令ノ定ムル所ニ
依リ主務官廳ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス」ト云
フ一項ヲ加ヘルモノデアリマス、提案ノ理由
ハ先ニ本議場ニ於テ政府當局ヨリ說明ガゴザ
イマシタノデ玆ニ略シマシテ、委員會ニ於ケ
ル質疑ノ二三ヲ申述ベタイト存ジマス、第
ハ本改正案ニ「命令ノ定ムル所ニ依リ」トアル
ガ、ソレハ勅令デアルカ、省令デアルカト云
フ質問デアリマス、之ニ對シ政府ハ大藏省令
ヲ以テ規定シタイト考ヘテ居リ、尙此ノ命
令ニ於キマシテハ、株式ノ種類トカ、擔保
價格ナドハ規定致サナイデ、唯其ノ手續ヲ
定メタイト考ヘテ居ルトノ答辯デゴザイマ
シタ、第二ニハ本法ハ明治三十八年ニ制定
セラレマシタモノデ、大變古イ法律デア
ル、其ノ後數囘ニ亙ッテ改正ヲ加ヘラレタ
ノデアリマスガ、此ノ株式質ヲ物上擔保ニ加
ヘルト云フコトハ至極尤モナコトデアルノ
ニ、是迄ノ改正ノ時ニ現レズシテ、今日迄
延ビテ居ルノハ何カ理由ガアルカト云フ質
問デアリマス、之ニ對シマシテ今日迄是ガ
實現ヲ見ナカッタノハ、株式ノ價格ガ比較的
變動ガ多イ爲ニ、長期ノ金融ノ擔保トシテ
ハ、或ハ適當デハナイノデハナイカト云フ
意見モアッタモノニ依ルノデアリマスガ、近
來企業ノ增加トカ、株式會社ガ非常ニ發達
シ、株式モ漸次民衆ニモ普及スルヤウニナ
リ、又近時經濟組織トシテ、所謂持株會社
等モ出來マシタノデ、玆ニ株式質ト云フモ
ノヲ加ヘルコトニナッタノデアリマス、更ニ
近時生產力擴充ノ必要ガアリ、之ガ爲ニ事
業ヲ起スコトニ當リ、ドウシテモ長期資金
ガ必要トナルノデアリマシテ、長期資金ノ
爲ニハ社債ノ發行ガ今迄行ハレテ來テ居ル
常道デアリマス、而シテ社債ノ現狀ヲ見マ
スルト、無擔保社債ガ相當多イ實情デアリ
マスガ、同ジ會社ガ社債ヲ出シマスナラ
バ、無擔保ヨリモ擔保附ノ方ガヨリ良ク且
ヨリ容易ニ出シ得ルモノト考ヘマシテ、玆
ニ株式質ヲ加ヘ、社債金融ノ圓滑ヲ圖リタ
イト云フ趣旨デアルトノ答辯デゴザイマシ
タ、第三ハ、此ノ改正案ニ付テ一部ノ人ガ
疑惑ヲ持ッテ居ル、ソレハ滿洲重工業會社ガ
株式ヲ擔保トスル社債ヲ募集スルニハ最モ
適當ナル素質ヲ持ッテ居ル會社デアルガ故
ニ、本改正案ハ滿洲重工業會社ノ便宜ノ爲
ニ設ケタモノデハナカラウカト云フヤウナ疑
ヲ懷ク人ガアルガ、此ノ點ハドウデアルカ
ト云フ質問デアリマス、之ニ對シ政府ハ單
ニ一會社ノ利益ヲ考ヘテ法律ノ改正ヲナス
コトハナイノデアリマシテ、且滿洲重工業
會社ハ滿洲ノ法人デアリ、我ガ內地ニ於テ
ハ何等店鋪ヲ有シテ居リマセヌ故ニ、此ノ
會社ガ我ガ國ニ於テ擔保附社債ヲ發行スル
ト云フコトハ、登記其ノ他ノ關係カラ只今
ノ所ナシ得ナイ情勢ニアリマス、今若シ世
間ニ滿洲重工業會社ト株式質設定ニ關ス
ル法律案ト何等カ關聯アルガ如キコトガ取
沙汰サレテ居リマスルナラバ、ソレハ全ク誤
解ニ基クコトデアリマシテ、此ノ點ハ明カ
ニ御了承ヲ願ヒタイト云フ答辯デアリマシ
タ、次ニ第四ニ、例ヘバ玆ニ內容不良ノ大
會社ガアリマシテ、此ノ會社ハ少カラザル
借入金又ハ社債ヲ發行シテ居リ、又此ノ會
社ハ澤山ノ子會社ヲ持ッテ居ルトシマシタ
時ニ、親會社自身若シクハ子會社ニ資金ノ
必要ヲ感ジマシテ、增資ヲ計畫致シマシタ
トシマスルノニ、其ノ場合、此ノ會社ノ信
用又ハ經營ノ如何ニ依リマシテ、株主スラ
モ新株ノ割當ニ應ゼヌ場合、增資ヲ決定シ
タ重役ガ相互ノ責任ヲ避ケル爲ニ、此ノ新
株ヲ子會社ニ押シ付ケルト云フコトガ想像
セラレル、斯カル場合ニ於キマシテ、親會
社ガ此ノ子會社ノ所有シテ居ル自分ノ株式
ヲ借入レマシテ、ソレニ質權ヲ設定シテ、
此ノ法律ノ擔保ニ供スルコトガ出來得ルデ
アラウカト云フ質問デアリマス、之ニ對シ
政府當局ハ、法律ノ正面ヨリ見マスルナラ
バ、株式ヲ擔保トシテ社債ヲ發行シ得ルコト
ニハナッテ居リマスガ、斯カル場合ヲ考慮シ
テ第二項ニ、株式質ノ設定ニ付テハ主務官
廳ノ許可ヲ受ケルコトヲ必要ト致シタノデ
アリマス、具體的ノ場合ニ當リマシテハ、
十分ニ檢討シテ内容ノ惡イ株式會社ノ株式
迄モ主務官廳ハ之ヲ認メテ株式質ノ設定ヲ
ナサシメルコトハ避ケタイト考ヘテ居ルノ
デアリマシテ、株式質ノ設定ニ付テハ主務
官廳ハ愼重ナル態度ヲ以テ之ヲ決定シタイ
ト考ヘテ居ルトノ答辯デアリマシタ、第五
ハ、株式ヲ擔保トシテ社債ヲ發行出來ルコ
トトナルガ爲ニ、公債消化ノ資金ガ或方面
ニ流レテ、公債消化ニ惡イ影響ヲ及スコト
ハナイダラウカトノ質問ニ對シマシテ、公
債消化ニ迄ハ影響ヲ及スマイト考ヘルトノ
答辯デアリマシタ、斯クテ討論ニ入リマシ
テ、一委員ヨリ今日ハ長期資金調達ノ最モ
必要トスル時期デアリ斯カル點カラ見ル
ト本案ハ最モ妥當ナモノデ、今日ノ時宜ニ
適シタル改正デアル、故ニ贊成ヲ表スル旨
ヲ述ベラレ、更ニ一委員ヨリ本案ノ實施ヲ
誤ル時ハ資金ノ二重融通ガ出來ル爲、經濟
界ノ變動ノ時ニ際シテ甚ダシク惡影響ヲ生
ズル場合ガ考ヘラレルガ故ニ、本案ノ運用
ニ當リ十分ノ注意ヲ望ンデ、本改正案ニ贊
成スル旨ヲ述べラレマシタ、次イデ採決ニ
入リ、全會一致、原案ノ通リ可決ニ相成リ
マシタ次第デアリマス、右御報〓ヲ終リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=56
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057・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 質疑ノ通〓
ガゴザイマス、子爵大河內輝耕君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=57
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058・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 簡單デゴザイマスカ
ラ此處デ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=58
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059・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 宜シウゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=59
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060・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 此ノ案ハ金融上ニ於
キマシテ劃期的ナ改正デゴザイマシテ、詳
シイコトハ申シマセヌガ、唯政府ニ望ム所
ハ、之ニ付キマシテハ運用ヲ愼ンデ戴キタ
イ、ソレハドノ法ニ付テモサウデゴザイマ
セウ、併シ斯ウ云フヤウナ財界ニデス、動
モスレバ危險ヲ及サムトスルヤウナ法ニ付
キマシテハ、最モ之ガ運用ハ愼マナケレバ
トンデモナイ弊害ヲ起シテ來ヨウト思ヒマ
ス、此ノ點ニ付キマシテ大藏當局ノ御意見
ヲ何ヒタイト存ジマス
〔政府委員太田正孝君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=60
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061・太田正孝
○政府委員(太田正孝君) 大河內子爵ニ御
答へ申上ゲマス、御言葉ノヤウニ此ノ法律
案ハ經濟上重要ナル意味ヲ持ッテ居ル法律案
デゴザイマス、而モ之ガ運用ヲ誤リマス時ニ
於テハ、重大ナ結果ヲ來スノデゴザイマスニ
依ッテ、ソレニ付キマシテハ十分ノ注意ヲ致
サナケレバナラヌコトハ申上ゲル迄モアリ
マセヌ、株式ヲ物上擔保ノ目的ト致シマス
場合ニハ認可ヲ要スルコトニナッテ居リマ
スガ、其ノ認可ニ付キマシテモ會社ノ資本
金ガドウナッテ居ルカ、或ハ會社ノ業績ガド
ウナッテ居ルカ、株ノ値段ノ動キガ甚ダシク
ナイカ、擔保價格ノ關係ナドヲ考ヘマシテ、
十分間違ヒナイヤウニ致シタイト思ヒマス、
更ニ此ノ認可ヲ認メルカドウカト云フコト
ニ付キマシテハ、諮問委員會ニデモ諮リマ
シテ、事ノ愼重ヲ期シタイト思ッテ居ル次
第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=61
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062・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 討論ノ通〓
ガゴザイマス、子爵大河內輝耕君
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=62
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063・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 時間ヲ急ギマシタノ
デ甚ダ簡單ナ質問ヲ致シマシテ、或ハ御了
解ガ如何カト存ジマス、マア併シナガラ多數
ノ方ハ御了解ト存ジマスガ、速記錄ノ關係
モゴザイマスカラ一應申上ゲテ置キタイ、
此ノ案ハ株式ヲ擔保ニシテ社債ヲ出ス、卽
チ財產ハ財團トシテ出サレテ居ルニモ拘ラ
ズ、尙株式ヲ以テ社債ヲ擔保トシテ社債ヲ
出ス、言葉ヲ換ヘテ言ヘバ是ハ二重擔保ニ
ナリマス、ソレデ其ノ點カラ行キマシテデ
ス、今迄是ガ施行サレズニアッタト云フコト
ハ當然ノコトト私ハ存ズル、然ル處今度或
必要ガアッテ巳ムヲ得ズ之ヲ出サレタ、其ノ
良シ惡シヲ此處デハ論ジマセヌガ、其ノ
ヤリ方ニ付キマシテハ、只今御話ノ通リニ
當局デモ十分愼重ナ態度デヤラレルト云フ
コトハ誠ニ喜バシイコトト存ジマス、此ノ
點ヲ能ク御考へ下サイマシテ、委員會ノ組
織其ノ他ニ付キマシテモ愼重ナル考慮ヲ
拂ハレ、尙大藏當局デモ十分御〓究ニ相成
ルコトデハアリマセウガ、尙參與其ノ他ノ
權威者モ居ラレルコトデ、能ク斯ウ云フ方々
ト御相談ニナッテ、認可ヲ行ハレル際ニハ
愼重ニ御扱ニナッテ戴キタイト存ジマス、尙
今一點ハ只今委員長ヨリ御報告ノゴザイマ
シク通リニ、是ハ滿洲ト關係ノアル法律案
ダト云フコトハ、モウ公知ノ事實デゴザイ
やく、何カ委員長ノ御報告ダト云フト、ソ
レヲ否定シテ居ラレルヤウニ思ヒマスガ、
私外ノ御方カラ伺ッタ所ニ依リマスト、必ズ
シモサウデハナイヤウニ思ヒマス、御承知
ノ通リ此ノ案ハ世間ニ於キマシテハ滿洲ニ
於ケル某事業家ノ名前ヲ冠シテ何何案トカ
稱ヘテ、或ハ又滿洲ニ近頃進出シテ來タ
所ノ或大會社ノ便宜ノ爲ニヤルト云フコト
二、先ヅ何人モ了解ヲサレテ居ル、サウシ
テ委員ノ······私伺ヒ違ヒカ存ジマセヌガ、
委員會ノ模樣ヲ伺ッテ見マスルト云フト、其
ノ會社ガ、成程今ハ滿洲ノ法人デゴザイマ
スカラ、仕方モゴザイマセヌケレドモ、此
ノ滿洲ノ或會社ガ內地ニ支店デモ置クヤウ
ナ場合ニハ、今ハ無イカラ問題ニハナラヌ
ト仰シヤルケレドモ、置キサヘスレバ宜イ、
置キサヘスレバ容易ニ內地デ株式ヲ擔保ト
シテ社債ヲ發行スルコトガ出來ル、又サウ
致シマセヌデモ、其ノ大會社ノ子會社ハ澤
山内地ノ法人デゴザイマスカラ、是ハ何時
デモヤルコトガ出來マス、言葉ヲ換ヘテ申
シマスレバ、ソレ等ノ方法ニ依リマシテ滿
洲ニ內地ノ資金ヲ供給シテ、サウシテ滿洲
ニ仕事ヲショウ、斯ウ云フコトデアルト云
フコトハ、私ハ委員會ノ問答ニ依リマシテ
能ク了解ガ出來タノデアリマス、ソレデ之
ニ付テ私何ノ批評モ試ミヨウトハ存ジマセ
又、サウ云フモノデアルト云フコトハ玆ニ
明カニシテ置キタイト思フノデス、ソレデ
是ハ內債ノ問題デアリマスガ、扨テ外債ニ付
キマシテハ、成程此ノ問題ダケデハ或ハム
ヅカシイカモ知レヌ、今日株式ヲ擔保トシ
テ「アメリカ」カラ金ヲ借リ出スト云フヤウ
ナコトハ少シ無理ダラウトハ存ジマスルガ、
併シ法律ノ建前トシテ必ズシモ不可能デハ
ナイ、或ハ將來ヤレルヤウナ、法律ノ建前
トシテヤリ得ルノデアリマス、今デモヤリ
得ルノデアリマス、ソレデ世間ニ於テハ之
ニ付テハ色々ナ異論ガアル、滿洲ニ外國人
ノ喙ヲ容レサセルト云フコトハ宜クナイト
云フヤウナ議論モアルヤウニ聞イテ居リマ
ス、之ニ付キマシテハ私モ何モ此處デハ批
評ハ避ケマス、併シ唯一ツ申上ゲタイコト
ハ是ナンデス、是ハ其ノ會社ガ良イトカ惡
イト云フコトハ私申スノデハナイ、併シ此
案ハ滿洲經營ニ重大ナ影響ガアルモノデア
ル、此ノ案ニ依ッテ初メテ滿洲ニ資金ヲ得ラ
レルモノデアル、政府ハ斯ウ認メラレタ、
滿洲經營上重大ナ案デアルト云フコトハ、
是ハ我々認メナケレバナラナイ、ソレニ付
キマシテ從來ノ滿洲ノ經營ハドウデアル
カ、決シテ良イトカ惡イトカハ申シマセヌ
ガ、是ガ決シテ經濟的ニ經營サレテ居ル
ト云フコトハ、如何ニ考ヘテモ考ヘルコトハ
出來ナイ、デ只今又赤字公債ノ場合ニ御
說明ガアリマシタ通リ、滿洲ニ對シテハ大
分金ガ要ル、又ソレニ對シテ滿洲ノ金ヲ誅
求スルト云フヤウナコトハ嚴ニ避ケナケレ
バナラヌ、斯ウ云フ御說明サヘ、サウ云
フ希望サヘ委員ノ一人カラ述ベラレテ居
ル、勿論サウデゴザイマセウ、ソレニ付テ
ソレデハ、日本ガ滿洲ヲ背負ッテ行クニ付テ
何ガ必要カト云フト、彼處ニ經濟的ノ事業
ヲ起シテ、サウシテ經濟的ノ發展ヲサセル
ト云フコトガ必要ナンデ、ソレニ付キマシ
テ此ノ案ノ如キハ從來ノ方針ヲ改メラレテ、
玆ニ滿洲ヲ經濟的ニ經營ヲシテ行カウト云
フ一ツノ現レデアル、ソレニ對スル重要ナ
一ノ「ステップ」ヲ踏出サレタモノトシテ、私ハ
寧ロ其ノ意味ニ於テハ之ヲ歡迎致シタイ、
運用ニ付キマシテハ色々ナムヅカシイコトモ
ゴザイマスカラ、其ノ點ニ付キマシテハ十
分御注意ヲ願ヒタイ、或ハ內債ニ依リ、或
ハ外債ニ依リ、次第ニ依ッテハ或程度迄ハ外
國人ノ參與迄モ之ニ認メテ、サウシテ滿洲
ガ經濟的ニ發展スルコトガ出來マスルヤウ
ニ、我々ノ此ノ案ヲ協贊致シマス趣旨ヲ能
ク顧ミラレマシテ、ドウカ健全ナ發達、健
全ナル經濟的ノ發達ヲ爲シ得マスルヤウニ、
私ハ玆ニ希望ヲ申シタイ、此ノ希望ヲ以チ
マシテ本案ニ贊成ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=63
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064・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 他ニ御發言
モナケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ
第二讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=64
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065・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐住木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=65
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066・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=66
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067・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=67
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068・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=68
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069・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=69
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070・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 本案ノ第二
讀會ヲ開キマス、御異議ナケレバ全部ヲ問
題ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報〓通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=70
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071・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=71
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072・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本法ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=72
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073・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=73
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074・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=74
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075・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=75
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076・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 本案ノ第三
讀會ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決
議通リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=76
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077・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=77
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078・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程全部終
了致シマシタ、次會ノ議事日程ハ決定次第
彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニ
テ散會致シマス
午後零時七分散會
貴族院議事速記錄第二十一號
正誤
頁段行誤正
二六一三一九君ニテ是ニテ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02219380311&spkNum=78
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