1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和十三年三月十六日(水曜日)午前十時十五分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第二十四號
昭和十三年三月十六日
午前十時開議
第一 陸上交通事業調整法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 臨時通貨法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 關税定率法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 重要鑛物増産法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 日本産金振興株式會社法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第六 樺太地方鐵道補助法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 支那事變に際し召集中の者の選擧權及被選擧權等に關する法律案(衆議院提出) 第一讀會
第八 國定教科書中に酒害豫防に關する教材插入の請願 會議
第九 鳥取縣千代川改修區域擴張の請願 會議
第十 造林國策樹立實施に關する請願 會議
第十一 災害防止林業施設計畫樹立に關する請願 會議
第十二 町村特別税段別割に關する法律改正の請願 會議
第十三 林道網計畫樹立實施に關する請願 會議
第十四 澱粉の輸出促進に關する請願 會議
第十五 大和川改修區域擴張の請願 會議
第十六 北海道幌泉漁港修築の請願 會議
第十七 北海道太櫓郡太櫓村に船入澗築設の請願 會議
第十八 千葉縣繭特約取引の認可方針改訂に關する請願 會議
第十九 神武天皇御聖蹟顯彰に關する請願 會議
第二十 國道四號線改修に關する請願 會議
第二十一 地方食品卸賣市場法制定の請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=0
-
001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔石橋書記官朗讀〕
去ル十二日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府
提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆
議院ニ通知セリ
昭和十二年度歲入歳出總豫算追加案第
二號)
昭和十二年度各特別會計歲入歲出豫算追
加案(特第一號)
豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲ス
ヲ要スル件(追第一號)
臨時軍事費豫算追加案(臨第一號)
昭和十三年度歲入歲出總豫算追加案第
號
昭和十三年度各特別會計歲入歲出豫算追
加案(特第一號)
不動產融資及損失補償法中改正法律案
產業組合中央金庫法中改正法律案
漁業法中改正法律案
產業組合中央金庫特別融通及損失補償法
中改正法律案
產業組合自治監査法案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案
ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
有價證劵引受業法案
同日委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ
氏名左ノ如シ
恩給金庫法案特別委員會
委員長三井〓一郞君
副委員長男爵渡邊修二君
社會事業法案特別委員會
委員長公爵岩倉具榮君
副委員長子爵實吉純郞君
樺太地方鐵道補助法中改正法律案特別委
員會
委員長子爵高倉篤麿君
副委員長男爵橋元正輝君
同日內閣總理大臣ヨリ左ノ通第七十三囘帝
國議會政府委員仰付ケラレタル旨ノ通牒ヲ
受領セリ
農林省所管事務政府委員
農林書記官石井英之助君
同日政府ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
昭和十二年三月三十一日現在國有財產現
在額總計算書及之ニ添附スヘキ各省ノ同現
在額報告書竝會計檢査院ノ檢査報〓
從二位勳一等河野秀男君
去ル十二日薨去セラル依テ一昨十四日弔辭
ヲ贈レリ
一昨十四日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セ
リ
重要鑛物增產法案可決報告書
日本產金振興株式會社法案可決報〓書
樺太地方鐵道補助法中改正法律案可決報
〓書
昨十五日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領
セリ
陸上交通事業調整法案
臨時通貨法案
關稅定率法中改正法律案
同日衆議院ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
支那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及被
選擧權等ニ關スル法律案
同日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府
提出案ハ同院ニ於テ之ヲ可決シ奏上セル旨
ノ通牒ヲ受領セリ
日滿司法事務共助法案
民法中改正法律案
民事訴訟法中改正法律案
外國裁判所ノ囑託ニ因ル共助法中改正法
律案
同日內閣總理大臣ヨリ左ノ通第七十三囘帝
國議會政府委員仰付ケラレタル旨ノ通牒ヲ
受領セリ
農林省所管事務政府委員
農林書記官寺田省一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=1
-
002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、日程第一、陸上交通事業調
整法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、
中島鐵道大臣
〔副議長候爵佐佐木行忠君議長席ニ著
乞
〔左ノ送付文及法案ハ朗讀ヲ經サ
ルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之
ニ傚フ〕
陸上交通事業調整法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因
テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
(小字ハ衆議院ノ修正ナリ)
陸上交通事業調整法案
陸上交通事業調整法
第一條本法ニ於テ陸上交通事業トハ地
方鐵道事業、軌道事業、自動車運輸事
業其ノ他勅令ヲ以テ指定スル事業ヲ謂
フ
第二條主務大臣公益ノ增進ヲ圖リ陸上
交通事業ノ健全ナル發達ニ資スル爲陸
上交通事業ノ調整ヲ爲サントスルトキ
ハ交通事業調整委員會ノ意見ヲ徴シ調
整ノ區域、調整スベキ事業ノ種類及範
〓之ト密接ナル關係ヲ有スル兼業ノ處置
圍〓竝ニ左ノ各號ニ依ル調整ノ方法ヲ
決定スベシ
-會社ノ合併又ハ設立
二事業ノ讓受又ハ讓渡
三事業ノ共同經營
四事業ノ管理ノ委託又ハ受託
五連絡上必要ナル線路其ノ他ノ設備
ノ新設、變更又ハ共用
六運賃又ハ料金ノ制定、變更又ハ協
定
七連絡運輸、直通運輸其ノ他運輸上
ノ協定
八用品其ノ他ノ共同購入、共同修繕
其ノ他調整上必要ト認ムル方法
主務大臣ハ前項ノ決定ニ依リ陸上交通
事業經營者ニ對シ前項第一號ノ事項ノ
實施ヲ勸告シ又ハ同項第一一號乃至第八
號ノ事項ノ實施ヲ命ズベシ
第三條陸上交通事業經營者前條第二項
ノ勸〓ニ依リ主務大臣ノ指定スル期間
內ニ協定ヲ爲シタルトキハ之ガ認可ヲ
申請スベシ
陸上交通事業經營者前條第二項ノ命令
ヲ受ケタルトキハ主務大臣ノ指定スル
期間内ニ協定ヲ爲シ之カ認可ヲ申請ス
ベシ協定成立セザルトキハ主務大臣ハ
命令ノ定ムル所ニ依リ協議調ハザル事
項ヲ裁定ス
主務大臣前項ノ裁定ヲ爲サントスルト
キハ交通事業調整委員會ノ意見ヲ徴ス
ベシ但シ重要ナラザルモノニ付テハ此
ノ限ニ在ラズ
主務大臣第二項ノ裁定ヲ爲シタルトキ
ハ關係陸上交通事業經營者ニ之ヲ通知
スベシ
第四條交通事業調整委員會ニ關スル規
程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條第二條第一項ノ規定ニ依リ決定
シタル調整ノ區域內ニ於ケル陸上交通
事業經營ノ免許又ハ特許ニシテ重要ナ
ルモノハ主務大臣交通事業調整委員會
ノ意見ヲ徴シ之ヲ爲スベシ
第六條第二條ノ規定ニ依ル調整ノ實施
ニ因リ調整ノ區域內ニ於ケル主要ナル
陸上交通事業ヲ包括シ經營スルニ至リ
タル會社ニシテ勅令ニ依リ指定スルモ
ノノ定款ノ變更、社債ノ募集、合併及解
散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ
非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第七條北海道、府縣及市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノ第二條ノ規定ニ依ル調
整ノ實施ニ因リ陸上交通事業ヲ經營ス
ル會社ノ株主若ハ債權者ト爲リ又ハ其
ノ會社ニ事業ノ管理ヲ委託シタル場合
ニ於テハ北海道廳長官、府縣知事又ハ
市町村長其ノ他之ニ準ズベキ者ハ其ノ
指名スル吏員ヲシテ商法ノ定ムル選任
方法ニ依リ其ノ會社ノ取締役又ハ監査
役タラシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ
ハ市制第七十七條及第七十八條又ハ町
村制第六十五條及第六十六條若ハ之ヲ
準用スル北海道一級町村制第一條ノ規
定ヲ適用セズ
前項ノ規定ニ依リ會社ノ取締役又ハ監
査役ト爲リタル者吏員タル身分ヲ失ヒ
タルトキハ取締役又ハ監査役ノ職ヲ失
フ
第八條第二條ノ規定ニ依ル調整ノ實施
ニ因リ左ノ事項ニ付登記ヲ受クル場合
ニ於テハ其ノ登錄稅ノ額ハ左ノ額トス
但シ登錄稅法ニ依リ算出シタル登錄稅
ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
-會社ノ設立又ハ資本增加
金錢出資ニ依ル拂込株金額又ハ
增資拂込株金額ノ千分ノ五ト金
錢以外ノ財產ノ出資ニ依ル拂込
株金額又ハ增資拂込株金額ノ千
分ノ一トノ合計額
二會社ノ設立若ハ資本增加又ハ陸上
交通事業ノ讓受ノ場合ニ於ケル不動
產ニ關スル權利ノ取得
不動產ノ價格ノ千分ノ三
北海道、府縣及市町村其ノ他之ニ準ズ
ベキモノハ前項ニ規定スル不動產ニ關
スル權利ノ取得ニ關シ地方稅ヲ課スル
コトヲ得ズ
第九條地方鐵道法、軌道法、自動車交
通事業法又ハ之ニ基キテ發スル命令ニ
依リ免許、特許、許可又ハ認可ヲ受ク
ルコトヲ要スルモノニ付テハ第三條又
ハ第六條ノ規定ニ依リ認可ヲ受ケタル
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該法令
ノ規定ニ依ル免許、特許、許可又ハ認
可ヲ受ケタルモノト看做ス
第十條第三條第二項ノ裁定アリタル場
合ニ於テ第二條第一項第二號ノ讓受ノ
價額、同項第三號ノ共同經營ニ於ケル
收得若ハ負擔ノ金額ノ割合又ハ同項第
四號ノ管理ノ報酬金額ニ付不服アル者
ハ協定ノ相手方ヲ被告トシ裁定ノ通知
ヲ受ケタル日ヨリ三月內ニ通常裁判所
ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ訴訟ハ第二條第二項ノ命令及第
三條第二項ノ裁定ノ效力ヲ停止セズ
第十一條第二條第二項ノ規定ニ依リ事
業ヲ讓受ケタル者前條ノ規定ニ依リ出
訴シタル場合ニ於テハ裁定ニ基ク讓受
價額ト自己ノ見積價額トノ差額ニ相當
スル金錢ヲ供託スルコトヲ得
第十二條陸上交通事業經營者本法若ハ
本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キ
テ爲ス處分ニ違反シタルトキハ主務大
交通事業調整委員會ノ意見ヲ徵シ
臣ハ〓左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一取締役其ノ他ノ役員ヲ解任スルコ
ト
二他人ヲシテ事業經營者ノ計算ニ於
テ事業ノ管理ヲ爲サシムルコト
三事業ノ全部又ハ一部ノ停止ヲ爲サ
シムルコト
四免許又ハ特許ノ全部又ハ一部ヲ取
消スコト
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣中島知久平君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=2
-
003・中島知久平
○國務大臣(中島知久平君) 只今上程サレ
マシタ陸上交通事業調整法案ノ提案理由ヲ
御說明申上ゲマス、陸上交通事業ハ我ガ國
ノ發展ニ伴ヒマシテ、近年著シク發達シテ
參ッタノデアリマスガ、其ノ半面ニ於キマシ
テハ、動モスレバ事業相互間ノ連絡統一ヲ
缺キ、竝立競爭ノ弊ヲ生ズルニ至ッタノデア
リマス、其ノ結果ハ國家的ニ見マシテ誠ニ
不經濟、不合理ト申スベキデアリマシテ、
啻ニ事業者ニ取リ資本ノ浪費トナリ、延イ
テハ經營ヲ困難ナラシメルバカリデナク、
一般公衆ニ對シマシテモ、交通機關ノ利用
上、遺憾トスル點ガ少クナイト云フ狀態ニ
立至ッタノデアリマス、從ッテ是等交通事業
ヲ調整シテ國家的ノ不經濟ヲ除キ、公衆ノ
便益ヲ增進スルト共ニ、事業ノ健全ナル發
達ニ資スルノ要極メテ緊切ナルヲ認メマシ
テ、玆ニ本法案ヲ提出致シタ次第デアリマ
ス、今其ノ內容ノ主ナルモノヲ申上ゲマス
レバ、主務大臣ガ公益ノ增進ヲ圖リ、事業
ノ健全ナル發達ニ資スル爲、陸上交通事業
ノ調整ヲ爲サムトスル場合ニハ、之ヲ交通
事業調整委員會ニ諮リ、其ノ意見ヲ徴シマ
シテ、調整ノ區域、調整スベキ事業ノ種類
及範圍、竝ニ調整ノ方法ヲ決定致スノデア
リマス、此ノ決定ニ依リ主務大臣ハ陸上交
通事業經營者ニ對シ、一定ノ事項ヲ勸〓又
ハ命令シ、其ノ勸〓又ハ命令ニ基キ、事業
者ガ協定ヲシテ調整ガ行ハレルノデアリマ
ス、若シ命令ヲ受ケタ事業者間ニ協議ノ纏
ラナイ場合ニハ、主務大臣ガ裁定スルコト
ニ相成ッテ居リマス、此ノ裁定ニ關シマシテ
干、交通事業調整委員會ノ意見ヲ徵シテ爲
スノミナラズ、裁定ノ價格ニ不服ナル者ニ
ハ、通常裁判所ニ出訴スル途モ開カレテ居
ル次第デアリマス、何卒御審議ノ上、御協
贊アラムコトヲ切望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=3
-
004・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 質疑ノ通〓
ガゴザイマス、松本勝太郞君
〔松本勝太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=4
-
005・松本勝太郎
○松本勝太郞君 只今上程致サレマシタ陸
上交通事業調整法案ニ付キマシテ、簡單ニ
鐵道大臣ニ御伺ヒ致シタイト存ジマス、本
案ニ付テハ先程大臣ノ御說明ノ中ニモアリ
マシタ如ク、現今ノ狀態カラ見マシテ之ヲ
調整スルノ必要デアルコトハ、一般ノ希望
シテ居ル所デアリマシテ、其ノ上程ヲ見ル
ニ至リマシタコトハ誠ニ喜バシイ次第デア
リマス、併シ茲ニ本案ヲ審議スル上ニ於キ
マシテ、二三確メテ置キタイト思フ點ガアル
ノデアリマス、先ヅ第一ニ御伺ヒ申シタイ
ノハ、今日何ガ故ニ此ノ法案ヲ必要ト認メ
ナクテハナラナイノカ、私ハ此ノ最モ大ナ
ル原因ハ、從來無暗ニ自動車營業ヲ許可シ
タガ爲ニ、遂ニ競爭ノ誘發トナリ、今日ノ結
果ヲ招來スルニ至ッタノデハナイカト思フ
ノデアリマス、果シテ然ラバ先ヅ本案ヲ決
定スルト同時ニ、認可ノ根本方針ヲ樹立セ
シメ置クコトガ先決問題デハナイカト思フ
ノデアリマス、ソレニハドウ致シマシテモ、
此ノ際一路線一營業主義ヲ、法文化セシメ
置クコトガ必要デハナイカト痛感スルノデ
アリマス、勿論此ノ法案ニ依ル區域內ト、
又施行サレナイ區域外トヲ問ハズ、此ノ認
可ノ根本方針ダケハ是非確立セシメテ置カ
ザレバ、過誤ヲ繰返ス虞ガアルコトヲ憂ヘ
ルノデアリマス、果シテ政府ハ此ノ點ニ對
シテ如何ナル御所見ヲ御持チデアリマスル
カ、先ヅ此ノ點ヲ確メテ置キタイノデアリ
マス、次ニ御尋ネ申シタイノハ、本案第二
條ニアリマス調整ノ區域ト云フコトニ關シテ
デアリマス、過日衆議院ニ於ケル質問ニ際シ、
田尻次官ヨリ大體當局ノ方針トシテ、先ヅ東
京、大阪ヲ初メ六大都市ニ及サレルガ如ク答
辯デアックヤウデアリマス、交通事業、殊
「バス」營業ガ亂脈ニ陷ッテ居ル點デハ、地方ノ
中小都市ト雖モ決シテ六大都市ニ劣ッテ居ナ
イノデアリマス、特ニ本案ノ目的ノ一ツト
考ヘマスルガ、「ガソリン」節約ト云フ建前
カラ見マシテ、空車同樣ノ、バス」ノ運行ノ如
キハ、大都市ヨリモ寧ロ地方都市ニ多數見
受ケルノデアリマス、是等ハ最モ戒心スベ
キコトト考ヘルノデアリマス、斯カル狀態
ハ交通ノ亂脈ニ因ッテ招來セラレルモノデ
アリマシテ、或都市ノ如キハ一線路ニ十線
以上ノ營業ガ爲サレテ居ル例モアルノデア
リマス、故ニ斯カル見地ヨリスルナラバ、
地方ノ中小都會コソ六大都市以上ニ本法ノ
適用ガ急務デナイカト考ヘラレルノデアリ
マス、當局ニ於カレマシテモ以上ノ諸點ヲ
御考慮ニナリマシテ、施行區域ヲ相當擴大
セラレル必要ガアルノデハナイカト存ズル
ノデアリマス、果シテ國務大臣ノ御所見ハ
如何デアリマスカ御伺ヒ申シタイノデアリ
マー、次ニ御伺ヒ申シタイノハ、本法案中
ニ省營鐵道、省營「バス」等ガ何等觸レテ居
ナイヤウデアリマス、眞ノ調整ヲ圖ラムト
スルニハ、是非關聯ノ必要ガアルト思フノ
デアリマスガ、此ノ點ハ如何ナモノデアリ
マスルカ、御尋ネ申シテ置キタイト思ヒマス、
又省營「バス」ノ今後ノ經營方針デアリマス
ガ、本案ガ決定サレルナラバ、必然其ノ方
針モ變更サレルモノデハナイカト思フノデ
アリマスガ、從來ノ方針ヲ我々ガ見マスル
ニ、元來ノ方針ト近來ノ方針トガ格段ノ差
ガ生ジテ居ルヤウニ見受ケラレルノデアリ
そく、元々省營「バス」ノ經營ハ民間ノ及バ
ナイ方面、卽チ鐵道ニ代ル専用道路ヲ敷設
シテ運行サレルノガ本來ノ方針デハナカッタ
ノデハナイカト思フノデアリマス、然ルニ
現在ノ狀態ヲ見マスレバ、旣設ノ道路ヲ使
用セラレ、而モ民間ト競爭的ニ運行サレテ
居ル狀態デアリマスガ、此ノ御方針ハ甚ダ
面白クナイト思フノデアリマス、帝國鐵道
ノ使命ノ上カラ言ッテモ、又本法案ノ精神カ
ラ考ヘマシテモ、將來ハ民間業者ノ及バナ
イヤウナ場所ニ限ッテ專用道路ヲ敷設セラ
レ、自動車ヲ運行サスト云フコトガ、地方
開發ニ資スル所以デナイカト思フノデアリ
マス、政府ハ此ノ點ニ關シ如何ナル御方針、
御意見ヲ御持チニナッテ居リマスルカ、具
體的ニ御說明願ヒタイノデアリマス
〔國務大臣中島知久平君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=5
-
006・中島知久平
○國務大臣(中島知久平君) 御答ヘ致シマ
ス、御質問ノ第一點ハ、將來「バス」等ノ免
許方針ヲ如何ニスルカト云フ點ニアリマシ
タガ、此ノ調整法ノ精神ニ則リマシテ、今
後ハ成ルベク一路線一營業主義ト云フヤウ
ナコトヲ原則ト致シテ、十分注意シテ免許シ
テ行キタイト考ヘテ居リマス、第二點ハ本
調整法ノ適用ノ範圍ヲ六大都市以外ニモ擴
大シテハドウカト云フ御問デアリマシタガ、
本調整法ハ、決シテ六大都市ニ限ル譯デハ
アリマセヌノデ、何レノ地方ニ於テモ其ノ
必要ノアル所ハ調整委員會ノ意見ヲ徵シマ
シテ、本調整法ヲ適用スルコトエナッテ居ル
ノデアリマス、第三點ハ、省營「バス」ガ本
調整法ニ入ッテ居ルカト云フ御問デアリマ
シタガ、勿論省營「バス」モ調整ニ參加スル
ノデアリマシテ、鐵道省ト致シマシテ、進
ンデ國有鐵道ニ關スルモノモ幹線又ハ軍事
上調整ニ參加シ得ナイモノヲ除クノ外ハ、
省營「バス」ニ限ラズ進ンデ調整ニ參加スル
考ヲ持ッテ居ルノデアリマス、第四點ハ、省
營「バス」ト民間「バス」トノ競爭ニ對シテ如
何ナル方針ヲ採ルカト云フ御問デアリマシ
タガ、只今申上ゲマシタ通リ、省營「バス」
モ進ンデ本調整ニ參加スル考デアリマスカ
ラ、現在競爭シテ居ルヤウナ所ガアリマス
ナラバ、勿論本調整法ノ精神ニ則ッテ善處ス
ル考デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=6
-
007・松本勝太郎
○松本勝太郞君 簡單デアリマスカラ、此
ノ席デ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=7
-
008・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 宜シウゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=8
-
009・松本勝太郎
○松本勝太郞君 只今私ノ質問ニ對シマシ
テ御答辯ヲ得マシテ感謝致シマス、私ハ進ン
デ少シ御尋ネ申シタイト思フノデアリマス
ガ、何レ次ノ機會ヲ得マシテ御尋スルト致
シマシテ、是デ私ノ質問ハ終リト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=9
-
010・立花種忠
○子爵立花種忠君 只今ノ大臣ノ御答辯ニ
對シテチヨット簡單ニ伺ヒタイト思ヒマス
ガ、宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=10
-
011・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 宜シウゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=11
-
012・立花種忠
○子爵立花種忠君 唯今鐵道大臣カラ第四
點トシテ御答ニナリマシタガ、善處スルト
云フコトデアリマシタガ、私ニハ分リマセ
ヌガ、善處スルト云フノハ、ドウ云フコトデ
アリマスカ、モウ少シ分ルヤウニ御說明ヲ
願ヒタイ
(國務大臣中島知久平君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=12
-
013・中島知久平
○國務大臣(中島知久平君) 善處スルト申
シマシタノハ、本調整法ノ趣旨ハ、無益ナ
ル競爭ヲ除クコトニアルノデアリマスカラ、
競爭地點ニ對シテ必要アラバ、本法ガ適用
セラレルコトニナリマスカラ、省營「バス」
ヲ民間「バス」ニ併合スルヤウナコトモ或ハ
考ヘラレマセウシ、或ハ又別ナ會社ガ出來
マシテ、省營「バス」ト民間「バス」トガソレ
ニ入ッテ行ク場合モアリマセウシ、或ハ省營
「バス」ノ方ニ民間ノ方ガ入ッテ行ク場合モ
アリマセウガ、サウ云フヤウナコトニ依リ
マシテ、其ノ競爭ヲ除キタイト云フ考ヲ申
上ゲタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=13
-
014・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
陸上交通事業調整法案ハ重要ナル法案デア
リマスガ故ニ、此ノ特別委員ノ數ヲ十八名
トシ、其ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ
提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=14
-
015・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=15
-
016・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 戶澤子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=16
-
017・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセ
マス
〔丸龜書記官朗讀〕
陸上交通事業調整法案特別委員
侯爵西〓從德君侯爵中山輔親君
伯爵橋本實斐君子爵曾我祐邦君
子爵秋元春朝君子爵秋田重季君
永田秀次郞君男爵福原俊丸君
男爵大藏公望君男爵近藤滋彌君
八田嘉明君藤沼庄平君
丸山鶴吉君吉田羊治郞君
鈴木幸作君松本勝太郞君
風間八左衞門君大西虎之介君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=17
-
018・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程第二、
臨時通貨法案、日程第三、關稅定率法中改正
法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、
是等ノ兩案ヲ一括シテ議題ト爲スコトニ御
異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=18
-
019・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、賀屋大藏大臣
臨時通貨法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臨時通貨法案
臨時通貨法
第一條政府ハ必要アルトキハ貨幣法第
三條ニ規定スルモノノ外臨時補助貨幣
ヲ發行スルコトヲ得
第二條臨時補助貨幣ノ種類ハ十錢、五
錢及一錢ノ三種トス
第三條十錢及五錢ノ臨時補助貨幣ハ五
圓迄、一錢ノ臨時補助貨幣ハ一圓迄ヲ
限リ法貨トシテ通用ス
第四條臨時補助貨幣ノ素材、品位、量
目及形式ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條政府ハ必要アルトキハ臨時補助
貨幣ノ外五十錢ノ小額紙幣ヲ發行スル
コトヲ得
小額紙幣ハ十圓迄ヲ限リ法貨トシテ通
用ス
小額紙幣ノ形式ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條政府ハ小額紙幣發行高ニ對シ命
令ノ定ムル所ニ依リ日本銀行ヲシテ政
府預金ノ內之ト同額ヲ區分整理セシス
其ノ引換準備ニ充ツベシ
小額紙幣ハ他ノ通貨ヲ以テ之ヲ引換フ
第七條小額紙幣ノ發行、銷却及引換ニ
關シテハ大藏大臣ノ定ムル所ニ依リ日
本銀行ヲシテ其ノ事務ヲ取扱ハシム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
臨時補助貨幣及小額紙幣ハ支那事變終了
ノ日ヨリ一年ヲ經過シタル後ハ之ヲ發行
セズ
關稅定率法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十三年三月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
關稅定率法中改正法律案
關稅定率法中左ノ通改正ス
第九條第二項中「輸入原料品ニシテ」ノ下
五五〇ノ二金錢登錄機、
品
第六百十二號第一項己ノ四ヲ左ノ如ク改ム
己ノ四モミ屬(トドマツ等)、
(エゾマツ、
葉松等)
イマツ屬(紅松等)
比化
ロ·
サルモノ
ロノ二
第六百二十號中「ヴァナヂウム」ヲ「ワナ
ヂウム、鐵」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣賀屋興宣君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=19
-
020・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今議題トナリ
マシタ臨時通貨法案竝ニ關稅定率法中改正
法律案、提案ノ理由ヲ說明申上ゲマス、先
ヅ臨時通貨法案ニ付キマシテ說明致シマス、
現在十錢及五錢ノ補助貨幣ハ「ニッケル」ヲ
以テ、又一錢ノ補助貨幣ハ銅、錫及亞鉛ノ合
金デアル靑銅ヲ以テ製造、發行致シテ居ル
ノデアリマスルガ、是等ノ金屬資材ノ中ニ
ハ現下內外ノ情勢ニ顧ミマシテ、之ガ使用
ヲ節約スルコトヲ要スルモノガアルト認メ
ニ「製帽用兎毛、」ヲ加フ
別表輸入稅表中左ノ如ク改ム
第五百五十號ノ二ヲ左ノ如ク改ム
計算機其ノ他類似ノモノ及同部分
從價五割
タウヒ屬
スプルース等)、マ
ツ屬(紅松等)及カラマツ屬(落
無稅
厚二百ミリメートルヲ超エ
每立方メー四·四五
トル
其ノ他(丸太及割材ヲ含ム)每立方メー二·七〇
トル
ラレマスノデ、當分ノ中其ノ製造、發行ヲ
差控へ、我ガ國ニ於テ相當多量ニ生產セラ
V、且貨幣材料トシテ適當ナル金屬ヲ以テ
是等ノ臨時補助貨幣ヲ製造、發行スルコト
ト致シタイト考ヘルノデアリマス、次ニ五
十錢ノ補助貨幣ハ最近相當著シク需要增加
ノ傾向ヲ示シテ居ルノデアリマスルガ、今
後ノ趨勢如何ニ依リマシテハ之ガ代用トシ
テ五十錢ノ小額紙幣ヲモ發行シ得ルノ途ヲ
開キ置クノ必要ガアルモノト認メラレルノ
デアリマス、次ニ關稅定率法中改正法律案
ニ付キマシテ御說明申上ゲマス、本案ハ稅
率ノ改正ト致シマシテハ、木材等三品目ニ
關スルモノデアリマスガ、是等ノ物品ニ付
キマシテハ、其ノ生產、輸入及需給等ノ情
況等ニ顧ミマシテ、木材ノ中「マツ」属及鐵ヲ
含有スル觸媒ハ之ヲ無稅ト致シ、金錢登錄
機等ニ付キマシテハ、其ノ關稅率ヲ引上ゲ
ムトスルモノデアリマス、右ノ稅率改正ノ
外、本案ニ於キマシテハ制帽用兎毛ノ製造ニ
供スル兎毛皮ノ關稅ヲ免除スル爲、第九條
ニ改正ヲ加ヘムトスルモノデゴザイマス、
尙詳細ノコトニ付キマシテハ委員會ニ於テ
御說明ヲ致シタイト存ジマス、何卒御審議
ノ上速カニ御協贊ヲ與ヘラレムコトニ希望
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=20
-
021・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御質疑ガナ
ケレバ本案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセ
マス
〔丸龜書記官朗讀〕
臨時通貨法案外一件特別委員
侯爵佐竹義春君子爵綾小路護君
男爵高崎弓彥君男爵佐藤達次郞君
稻畑勝太郞君武井覺太郞君
長野忠次君田中德兵衞君
加藤敬三郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=21
-
022・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程第四、
重要鑛物增產法案、日程第五、日本產金振
興株式會社法案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會ノ續、委員長報告、是等ノ兩案ヲ
一括シテ議題ト爲スコトニ御異議ゴザイマ
セヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=22
-
023・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、委員長副島伯爵
重要鑛物增產法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十三年三月十四日
委員長伯爵副島道正
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
日本產金振興株式會社法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十三年三月十四日
委員長伯爵副島道正
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵副島道正君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=23
-
024・副島道正
○伯爵副島道正君 重要鑛物增產法案及日
本產金振興株式會社法案、此ノ兩法案ニ付
キマシテ、委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報〓
申上ゲマス、委員會ハ五日ニ亙ッテ委員會
ヲ開キマシタガ、連日非常ナル熱誠ヲ以テ
愼重審議ヲ致シタノデアリマス、先ヅ第一
ニ商工大臣ヨリ本案提出ノ說明ガゴザイマ
シテ、大臣ノ說明ニ曰ク、本案ハ重要鑛物
ノ增產ヲ目的トスルノデアルガ、鑛業權ト
云フモノハ無數ニ設定サレテ居ルケレドモ、
如何セン未ダ開發サレヌモノガアルノデ
アッテ、其ノ開發サレヌモノヲ名ツケテ睡眠
鑛區ト謂フノデアル、今日迄取消條項ト云
フモノハアッタケレドモ、不幸ニシテ明治
年代以來今日迄、取消サレタノハ僅カ一二
ニ過ギナイノデアリマシテ、從ッテ是等ノ
睡眠鑛區ノ數ハマダ非常ニアルノデアッテ、
是等ガ眞面目ナ鑛業ノ妨ゲニナッテ居ルノ
デアル、將來ニ於テハ是等ヲ誘發シテ事業
ニ著手セシムルト云フノガ本案ノ一ツノ目
的デアルノデアル、又事業ヲ中止シテ居ル
モノ、或ハ是等睡眠鑛區ニ對シテハ事業ヲ
繼續サセ、或ハ之ニ著手サセルト云フノガ、
卽チ目的デアルガ、同時ニ又色々隣接鑛區ニ
付テモ悶著等モアルノデアルカラ、是等ヲ能
ク誘導シテ、サウシテ或ハ裁定又ハ決議、
決定等ニ依ッテ纏メテ行キタイト云フ考ヲ
政府ハ持ッテ居ルノデアル、併シ政府ハ此ノ
裁定ヲ爲スニ當ッテモ相成ルベク、當業者ノ
任意ニ委セルコトニシテ居ルノデアル、强
ヒテ壓迫ヲ加ヘタリ、或ハ損失ヲ被ラセル
ヤウナコトハ何處迄モ避ケル積リデアルノ
デアル、又鑛業權ヲ持ッテ居ル者ガ或ハ之ヲ
讓渡スルニ當ッテ、抵當權者等ニ不測ノ損害
ヲ與ヘルヤウナコトガナイトモ限ラヌカラ
シテ、是等ニ付テモ損害ヲ與ヘナイヤウニ
政府ハ保障スル積リデアル、斯クノ如クニ
深切ヲ盡シテ初メテ非常ナル決心ヲ以テ、
高飛車的ニ裁定ヲスルコトガ出來ルノデア
ル、又鑛業者ノ作業用品ト云フモノガ、今
日迄全國一定シテ居ラヌ、區々デアルノデ
アル、是等ハ合併等ノ後ニ甚ダ不便デアル
ノデアルカラ、今後ハ全國ヲ通ジテ作業用
品ノ規格ヲ定メタイト思ッテ居ルト、是ガ鑛
物增產法ニ關スル政府ノ大體ノ說明デゴザ
リマシタ、其ノ次ハ產金株式會社法案ニ關
スル說明デゴザリマスガ、商工大臣ノ言ハ
レルノニハ、第七十一議會ニ於テ產金法ヲ
制定シテ、大イニ產金ノ奬勵ヲ今日迄シテ
來タノデアル、併シ今日ノ非常時ニ於テハ、
ソレダケデハ十分デナイノデアルカラ、更
ニ進ンデ大イニ產金ノ奬勵ヲシナクチヤナ
ラヌ、デ本案ヲ提出スル前ニ、主ナル產金
業者トモ打合ヲシテ、彼等ノ內諸モ得テ居
ルヤウナ風ナ譯デアル、從來ニ於テモ彼等
ハ色々ナ金融機關ヲ經テ融通ヲ得テ居ッタ
ノデアリマスルケレドモ、兎角斯ウ云フ事業
ニ付テハ金融業者モ不安ヲ懷クノデアリマ
スルガ、此ノ度產金會社ガ出來マスレバ、
ソレガ卽チ或ハ金ノ融通ヲ圖ッテヤリ、或ハ
自ラ進ンデ金鑛業ヲ起ス、或ハ製鍊業等ヲ
營ム、同時ニ又他ノ會社ニ對シテ金融ノ途
ヲ開キ、又之ニ投資ヲシテ、サウシテ大イ
ニ發展ヲ圖ルノデアルガ、之ガ爲ニハ大イ
ナル金ヲ要スルノデアル、卽チ茲ニ債劵ヲ
發行シテ、五倍ノ債劵額ヲ許スコトニナッテ
居ルノデアリマスルカラシテ、五千萬圓ノ資
本ニ對シテ二億五千萬圓、拂込資本ノ五倍
ヲ許スコトニナッテ居リマスルカラ、卽チ此
ノ金ヲ擁シテ將來大イニ產金ノ目的、產金
增加ノ目的ヲ達スル次第デアル、又我ガ國
ニ殘存スル所ノ鑛區ト云フモノハ、兎角低
品位ノモノガ多イノデアリマス、此ノ低品
位ノ鑛區ヲ開發スルニ當ッテハ、若シモ製鍊
所ガ非常ニ離レタ所ニ在レバ、運搬倒レニ
ナルノデアルカラ、將來ニ於テハ產金會社
ハ相成ルベク鑛區ニ近イ所ニ製鍊所ヲ置ク
ト云フコトニナルデアラウ、デ產金ノ尤モ
今日重要ナル所ハ、外地デハ朝鮮デアルノ
デアル、不幸ニシテ朝鮮ニ於テハ金山ハ澤
山アッテモ、機械、器具材料等ノ供給ガ甚ダ
不完全デアルノデ、又不統一デアルカラシテ、
將來ニ於テハ是等ヲ統一スル、或ハ機械工
場等モ起スヤウニナルダラウ、產金會社ハ
朝鮮ニ於テモ投資資金等ノ爲ニ、十分ノ便
宜ヲ圖ル積リデアルト云フ、以上ガ大體政
府ノ說明デアルト記憶致シテ居リマス
〔議長伯爵松平賴壽君議長席ニ著ク〕
質問ニ入リマスニ當ッテ、一委員ヨリ希望ガ
出マシタノデアリマス、ソレハ斯ウ云フ重
要ナル法案ヲ審議スルニ當ッテハ、有ラユル
材料ガ必要デアル、不幸ニシテ甚ダ材料ニ
缺ケタルモノガアル、例ヘテ見レバ重要鑛
物ノ產額ヲ昭和十年、十一年、十二年ニ亙ッ
テ示シテ貰ヒタイノデアルガ、是等ノ材料
ガナイカラ、是非提出シテ貰ヒタイト云フ
希望デアッタノデアリマス、政府委員ハ大臣
トモ相談ノ上、之ニ應ズルヤウニ出來レバ
致サウト云フ考デ居ラレマシタガ、翌日大
臣親シク委員會ニ臨ンデ、是ハ軍事上ノ祕
密デアルカラ、昭和十年十一年迄ハ發表ガ
出來テモ、十二年以降ハドウシテモ出來ヌノ
デアル、此ノ點ハ惡カラズ思ッテ貰ヒタイト云
フコトデ、質問者モ委員會モ之ヲ諒トシタヤ
ウナ風ナ譯デゴザリマス、デ質問ノ第一ハ、現
行鑛業法第四十條ノ規定ニ依レバ、鑛業權
ハ取消スコトガ出來ルト云フコトニナッテ居
ルガ、是ダケデ以テ增產ノ目的ヲ達スルコト
ガ出來ルカト云フ御質問デゴザリマシタガ、
之ニ對シテ政府委員ハ、大ニ事業ノ奬勵ヲ
圖ッテ、睡眠鑛區ナドヲ誘導シテ、サウシテ
增產ノ目的ヲ達スル積リデアルト云フコト
ヲ答ヘラレマシタ、其ノ次ノ質問ハ、朝鮮
ノ如キ外地ニ於テモ、此ノ法ヲ施行スル積
リデアルカト云フ質問デゴザリマシタガ、
之ニ對シテ政府委員ハ、軈テハサウスルコ
トニナルト思フト云フ答デアリマシタ、其
ノ次ハ鑛業權者ガ其ノ鑛區ノ採掘ヲ完成シ
タル後ニ、隣鑛區ノ讓渡ヲ迫ッタ場合デア
ル、此ノ隣鑛區ヲ持ッテ居ル正當ナル權利ヲ
擁護スルニハドウスルカト云フ質問デゴザ
リマシタガ、之ニ對シテ政府委員ハ、飽ク
迄モ公正ヲ主トシテ兩方ノ事項ヲ能ク取調
ベテ、然ル後ニ裁定ヲスルノデアルト云フ
答デアリマシタ、其ノ次ノ質問ハ、本法ハ
現在ノ鑛業權者ヲシテ增產ノ途ヲ圖ラセル
モノデアルガ、尙更ニ進ンデ增產ヲ奬勵助
長スルノ考ガ何處ニアルカト云フ質問デゴ
ザリマシタガ、政府ハ之ニ對シテ、金以外
ノ重要鑛物、例ヘバ銅デアルトカ、鉛デア
ルトカ、亞鉛デアルトカ、斯ウ云フ物ノ增
產奬勵ノ爲ニハ、旣ニ探鑛奬勵金ト云フモ
ノガアルガ、將來之ヲ增加シテ益〓發展ヲ圖
ラウト思フト云フ答デアリマシタ、其ノ次
ハ砂鑛ノ開發ニ付テデゴザリマシタガ、政
府ハ之ニ答ヘテ、砂鑛ハ、非常ニ澤山日本
ニ砂鐵ハアルノデアルカ、此ノ開發ニ付テ
ハ從來色々技術上ノ支障モアッタノデアル、
大ニ〓究サレテ居ルノデアルガ、日本製
鐵株式會社法及製鐵事業法ノ運用ニ依ッテ、
砂鐵鑛業ノ開發ハ、十分ニ今日迄努メテ居
ルト云フ御答デアリマシタ、其ノ次ハ探鑛
奬勵金ヲ得ルモノ以外ノ企業資金ハ、ドウ
ナッテ居ルカト云フ御質問デゴザリマシタ
ガ、之ニ對シテ政府ハ鑛石ノ分析、或ハ鑛
床ノ完全ナル調査等ヲシテ、サウシテ其ノ
眞價ヲ能ク調査シテ明カニシテ、特殊銀行
ナドト連絡ヲ取ッテ、資金ノ便ヲ圖ルコトニ
ナッテ居ルト云フ御答デアリマシタ、其ノ次
ハ普通銀行ガ便宜ヲ與ヘルヤウナ風ニシテ
ハドウカト云フ質問デゴザイマシタガ、銀
行ト云フモノハ保守的ナモノデアッテ、預金
者ノ大切ナ預金ヲ預ッテ居ルノデアルカラ
シテ、濫リニ斯クノ如キ事業ニ投資ハ出來
ナイダラウガ、併シ政府トシテハ各鑛業者
ノ狀態ヲ能ク調ベテ置イテ、サウシテ金融
ノ途ヲ圖ラウト云フ者ガアレバ、ソレ等ノ
事情ヲ能ク知ラセテヤルト云フ風ナ意味ノ
御答デアッタト記憶致シテ居リマス、尙銅ニ
付テノ質問ガゴザイマシク、銅ノ增產ハ非
常ニ必要デアルカラシテ、今日迄モ十分ニ
力ヲ盡シテ來タガ、將來ハ銅ノ增產竝ニ配
給統制等ニ付テ、十分圓滑ナル途ヲ付ケタ
イト考ヘテ居ルト云フ答辯デアリマシタ、
其ノ次ハ石炭ニ付テデゴザイマスガ、今日
石炭ノ饑饉デアル、之ニ對シテ政府ハドウ
考ヘルカト云フ質問デアリマシタガ、成ル
程今日石炭ハ非常ニ騰貴ヲシタガ、此ノ騰
貴ヲシタノハ一ツハ需要ガ非常ニ殖エタノ
ダ、一ツハ全國ヲ通ジテ諸物價ガ非常ニ暴
騰ヲシタシ、又勞働賃銀ノ如キモ非常ニ騰ツ
クシ、又運輸ノ便モ非常時ノ爲ニ輻湊シテ
惡クナッテ居ルノデアル、從ッテ所謂石炭ノ
饑饉ト云フヤウナモノガ生ジテ居ルケレド
干、將來出來得ル限リ運搬ノ便モ協議ノ後
ニ、サウシテ石炭需給ノ途ヲ圓滑ニシタイ
ト斯ウ云フ風ナ答デアリマシタ、ソレデモウ
一ツハ非常ニ大事ナ質問デアッタト思ヒマス
ガ、今日內地ノ鑛物ヲ開發シテシマッテハ、
非常ナル有事ニハドウスルカ、寧ロ外地ニ
力ヲ置イテハドウデアルカト云フ質問デア
リマシタガ、之ニ對シテ政府ハ、固ヨリ內地
ノ開發若シ之ヲスルコトガ出來レバ結構デア
ルガ、今日ハ寧ロ非常時中ノ非常時デアルノ
デ、內地外地共ニ非常ニ開發ノ途ヲ圖ラナケ
レバナラヌト云フ答デアル、其ノ次ニハ、國立
公園地帶ニ包含スル鑛業權ノ出願ヲスル者
ガアッタ場合ニハドウスルカト云フ質問デ
アリマシタガ、旣往ニ於テハ或ハ風致ヲ害
スル、或ハ公益ヲ害スルト云フ口實ノ下ニ、
成ルダケ許サヌコトニシテ居ッタケレドモ、
今日ノ非常時ニ於テハ許スベキモノハ許サ
ザルヲ得ヌノデアル、故ニ甚ダシク公益ヲ
害シ、甚ダシク風致ヲ害スルモノ以外ニハ
許可スルコトニナルダラウ、又水力電氣ヲ
起スモノノ爲ニ邪魔ニナル所ノ睡眠鑛區等
ガアレバ、是ハ或ハ取消サナクチヤナラヌ
ヤウニナルカモ知レヌト云フ、ソレ等ガ鑛
物增產法ニ對スル質問應答ノ主ナルモノデ
ゴザイマシタ、其ノ次ハ產金法ニ付テノ質
問デゴザイマシタガ、國際決濟ノ爲ニ金ト
云フモノガ非常ニ必要デアルガ、今日此ノ
法案ヲ提出サレタト云フコトハ、寧ロ遲キ
ニ失シハシナイカト云フ質問デアリマシタ
ガ、之ニ對シテ政府委員ハ固ヨリ金ノ必要
ハ早クカラ認メテ居ルノデアル、故ニ從來
ニ於テモ大イニ產金ノ奬勵ハシテ來タノデ
アル、將來ニ於テハ此ノ產金會社ヲシテ益〓
產金奬勵ノ途ヲ圖ラセル積リデアルト云
フ答デアリマシタ、ソレカラ本會社ノ事業
ニ付テノ質問ガアリマシタ、本會社ハ製鍊
所ノ設備竝ニ內地外地ニ於テ十箇所ニ亙ル
所ノ製鍊所ヲ置イテ、サウシテ出資金ニ依ッ
テ十分ニヤル積リデアル、其ノ處理鑛區ハ
甚ダ貧弱ナモノデアル、僅カ百萬分ノ四カ
或ハソレ以下ノモノモアルト云フ御答デア
リマシタ、朝鮮ニ付テノ質問ガアリマシタ
ガ、朝鮮ニ於ケル所ノ產金總額ハ幾ラデア
ルカト云フト、今日デハ四十萬「キロトンㄴ
位デアルガ、產金會社ヲシテ、其ノ外ノ發
展ニ依ッテ七十萬「キロトン」位ニ達スル積
リデアルト云フ答デアリマシタ、最後ニ兎
角半官半民ノ事業ト云フモノハ弊害ガ多イ
ノデアルガ、之ニ對シテ政府ハドウ思フカ
ト云フ質問デアリマシタ、政府ハ飽ク迄モ
公正ヲ主トスル、サウシテ民間ト協力シテ
ヤル積リデアルノデ、決シテ其ノ點ニ於テ
ハ心配ハナカラウト思フ、尙大事ナ質問ガ
一ツゴザイマシタ、金鑛ノ取引ト云フモノ
ハ、兎角從來ニ於テモ不公正ナコトガ多イ
ノデアル、之ニ對シテ政府ハドウスル積リ
デアルカト云フ質問デアリマシタ、政府
ハ之ニ答ヘテ申シマスルノニ、是ハ大ナル
問題デアル、本會社ハ鑛石ノ買入レ方針ニ
付テハ最モ公正ヲ主トスル決心デアル、又
產金法ノ規定ヲ十分ニ善用シテ、萬遺憾ナ
キヲ期シ、公正以テ事ニ當リ、官民協力一
致シテ事業ノ範ヲ示ス積リデアルト云フ御
答デアリマシタ、質問ガ濟ミマシテカラ討
論ニ移リマシテ、二三ノ委員ガ簡單ナ演說
ヲサレマシタ、其ノ意味ハ大體同ジヤウデ
アリマス、卽チ兩案ノ重要ナルコトハ贅言
ヲ要シナイ、寧ロ其ノ提出ノ遲キニ失スル
ノ憾ガアッタヤウナ譯デアル、今日ハ非常時
デアルノデアル、此ノ產金初メ各種ノ鑛物
ノ必要ナルコトハ言ヲ俟タナイ、日本ハ不
幸ニシテ面積ハ狹イケレドモ、又幸ニシテ
相當鑛物ハアルノデアル、朝鮮又然リデア
ル、希クハ本法案通過ノ曉ニハ其ノ實施ニ
臨ンデ政府ハ飽ク迄モ其ノ運用ニ注意ヲシ
テ、サウシテ本法案ノ目的ヲ達シ、國力增
進ニ盡サレムコトヲ望ム、斯ウ云フ風ナ演
說デアリマシタ、採決ニ至リマシテ滿場全
會一致デ通過致シタ次第デゴザイマス、是
デ御報告ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=24
-
025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ兩案ノ採決ヲ致シマス、兩案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=25
-
026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=26
-
027・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=27
-
028・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=28
-
029・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=29
-
030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=30
-
031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 兩案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部問題ニ
供シマス、兩案全部、委員長ノ報告通リデ
御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=31
-
032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=32
-
033・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=33
-
034・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=34
-
035・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=35
-
036・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=36
-
037・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 兩案ノ第三讀會
ヲ開キマス、兩案全部第二讀會ノ決議通リ
御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=37
-
038・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=38
-
039・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第六、樺太
地方鐵道補助法中改正法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、
高倉子爵
樺太地方鐵道補助法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十三年三月十四日
委員長子爵高倉篤麿
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔子爵高倉篤麿君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=39
-
040・高倉篤麿
○子爵高倉篤麿君 只今上程ニ相成リマシ
タ樺太地方鐵道補助法中改正法律案特別委
員會ノ經過竝ニ結果ニ付テ御報告ヲ申上ゲ
マス、本委員會ハ二囘開キマシタ、最初ニ
拓務大臣ノ御說明ガゴザイマシタガ、日火、
過日本議場ニ於キマシテ大臣ノ御說明ガゴ
ザイマシクノデ、重ネテ玆ニ申上ゲルコト
ヲ省略致シタイト存ジマス、今其ノ質問ノ
點二三ニ付キマシテ〓要ヲ申上ゲマスルト、
第一ニハ現ニ補助ヲ受ケテ居リマスル樺太
鐵道株式會社竝ニ南樺鐵道株式會社ノ此
ノ二ツノ鐵道ノ輸送ヲ致シマスル貨物ノ種
類竝ニ其ノ增加率、ソレト此ノ沿線ニ住ヒ
マス住民ノ人口數、此ノ乘客人員ノ遞增數
如何ト云フ御質問ニ對シマシテ、政府ハ此
ノ樺太鐵道ノ輸送ニ係ル第一ノモノハ材木
デアリマシテ、次ハ「パルプ」製造工場ノ製
品デゴザイマス、殊ニ敷香ニ此ノ鐵道ガ延
長致シマシタ關係上、同地ノ人絹工場ノ製
品ガ昨今又增加ヲ致シマシタ關係上、材木
竝ニ工場ノ製品ガ多少增加ヲ致シマシタケ
レドモ、大體ニ於キマシテサウ異動ハナイ
ト云フコトデゴザイマシタ、ソレカラ沿線
ニ居リマスル人口ノ數ハ昭和五年ノ末ニ於
キマシテハ七萬五千四百程デゴザイマシタ
ガ、五年後ノ昭和十一年末ニ於キマシテハ
八萬七千七百增加ヲ致シテ居リマス、併シ
ナガラ樺太ノ部落ニ於キマシテハ盛衰ガ甚
ダシイノデゴザイマスノデ、必ズシモ殖エ
テ居リマシタリ、又減少ヲ致シマスルコト
モアルト云フコトデゴザイマス、從ッテ此ノ
部落ノ住民ガ鐵道ヲ利用致シマスルコトハ
割合ニ少クゴサイマシテ、其ノ季節々々ノ
事業ニ依リマシテ、寧ロ內地又ハ其ノ他ノ
地方カラ參リマスル者ノ方ガ多イノデゴザ
イマス、殊ニ其ノ例ヲ申シマスレバ、敷香
地方ガ鮭、鱒ノ非常ナル漁場デゴザイマス
ルガ、其ノ季節ニハ旅客モ多ウゴザイマス
ケレドモ、其ノ以外ニハ少イト云フコトデ
ゴザイマス、又森林ノ伐材モ此ノ數年間新
タナル契約ヲ致シマセヌ故ニ、是亦其ノ業
務ヲ減ジ、從ッテ旅行者モ少イト云フコトデ
ゴザイマス、次ニ大體現在ノ程度デ進メ
バ、或年限デ補助ヲ要シナイ時代ガ來ル見
込ガアリヤ否ヤ、將來又此ノ鐵道ヲ國有ニ
スル考ガアルカドウカ、又此ノ鐵道ノ收益
ヲ增加致シマスルガ爲ニ、產業ノ發達助成等
ヲスル爲ニ、何等カ計畫ヲスルカドウカト
云フ質問ニ對シマシテ、政府ハ五年後ニ果
シテ此ノ鐵道ガ獨立ヲ致シマスルカドウ
カ、其ノ邊ニ付キマシテハ確實ニ御答辯ハ
申上兼ネル、又此ノ鐵道ハ樺太ノ幹線デゴ
ザイマシテ、實ハ樺太廳ノ手ヲ以テ敷設ス
ル筈デアリマスルガ、其ノ事業ハ容易デゴ
ザイマセヌ爲ニ、其ノ地方ニ相當ノ任務ヲ
持ッテ居リマス者ガ糾合シテ其ノ建設ニ當
リマシタ實情デアリマスル關係上、謂ハバ國
有線ノ代行ト申スベキ意味デ建設致シマシ
タノデ、運輸系統ノ統一上又ハ改良ト云フ點
カラ考ヘマシテ、將來之ヲ國有ニ致ス考ハゴ
ザイマスガ、何分ニモ財政上ノ都合ニ依リマ
シテ、今日迄其ノ實現ヲ見マセヌコトハ甚ダ
遺憾デアル、斯ウ云フ御答辯デゴザイマシタ、
鐵道ト產業トノ關係ハ兩々相俟ッテ開發ヲ致
シ居リマスルガ、惠須取ヲ中心ニ致シマシテ
將來五百萬「トン」ノ石炭ヲ搬出スル爲ニ
ハ相當大規模ナル計畫ノ實行ヲ必要ト致
シマスルノデ、是ハ目下政府ニ於テ取調中
デ、二三年後ニハ其ノ著手ヲ致ス考デアル、
又氣屯ヲ中心ニ致シマシテ植民地ヲ致ス考
デ居リマスガ、是モ其ノ中ニ著手ヲスルト
云フコトデゴザイマス、又一委員カラハ現
行法ニ於キマシテハ年八分ノ割合ヲ以テ補
助ヲ致シテ居ルガ、今囘改正ニ當リマシテ
六分ト云フコトニ下ゲタノハ如何ナル理由
ニ依ルカト云フ御質問ニ對シマシテハ、政
府ハ一般財界ニ於ケル金利、企業利潤等ニ
順應スベキモノデアルト思フ、又現下ノ低
金利ノ趨勢ニ鑑ミマシテ、臺灣、朝鮮ノ補
助率トノ振合上、適當ニ之ヲ引下ゲタノデ
アルト云フ御答辯デゴザイマシタ、又一委
員ヨリ東西兩海岸ノ鐵道ヲ連絡スルコトハ
國防上非常ニ大事ナコトト思フガ、殊ニ眞
縫久春內間ノ鐵道ハ、其ノ距離僅カニ七
里餘デアルノデ、ソレヲ工事ヲスルコトニ
於テハ大體困難ハナイト思フガ如何ト云フ
御質問デゴザイマシタ、勿論東西ノ線ヲ繋
グコトハ結構デゴザイマスガ、寧ロ軍トシ
テハ南北······更ニ北ニ延長致スコトガ必要
デアルト考ヘル、併シナガラ現在道路ノ設
備自動車ノ發達ニ依リマシテ、東西兩海
岸ヲ交通致スコトハ非常ニ開ケテ居リマス
ノデ、必要ノ際ハ、貨物竝ニ人員ヲ輸送致
スコトハ比較的容易ト思フ、必ズシモ國防
上東西連結ヲ此ノ際致ス希望ハ持ッテ居ラ
ヌト云フ御答辯デゴザイマシタ、其ノ他國
防上二三ノ御質問ガゴザイマシタガ、是八
速記ヲ中止致シマシテ、軍務局長ヨリ詳細
御說明ガゴザイマシタ、其ノ他種々御質問
等ハゴザイマシタガ、是ハ旣ニ速記錄ガ出
テ居リマスノデ、其ノ方ニ讓リマシテ省
略ヲ致シタイト存ジマス、質問ガ終リマシ
テ討論ニ入リマシタガ、何等御意見ノ陳述
モナク、採決ノ結果本案ハ全會一致ヲ以チ
マシテ可決致シマシタ次第デゴザイマス、
以上ヲ以テ私ノ御報〓ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=40
-
041・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=41
-
042・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=42
-
043・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=43
-
044・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=44
-
045・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=45
-
046・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=46
-
047・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部問題ニ
供シマス、本案全部、委員長ノ報告通リデ
御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=47
-
048・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=48
-
049・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=49
-
050・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=50
-
051・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=51
-
052・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=52
-
053・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=53
-
054・松平頼壽
○議長(伯爵松平頼壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=54
-
055・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第七、支那
事變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及被選擧權
等ニ關スル法律案、衆議院提出、第一讀會
支那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及
被選擧權等ニ關スル法律案
右本院提出案及送付候也
昭和十三年三月十五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
第一條衆議院議員又ハ北海道會法、府
縣制、市制、町村制若ハ此等ニ基キテ
發スル勅令ニ依リ設置スル議會ノ議員
ノ選擧ヲ行フ場合ニ於テ支那事變ニ際
シ召集中ナルニ因リ選擧人名簿ニ登錄
セラレザリシ者ニシテ召集ヲ解除セラ
レタルモノアルトキハ市町村長其ノ他
名簿調製義務者ハ臨時ニ其ノ者ノ選擧
人名簿ヲ調製スベシ
前項ノ選擧人名簿ニ關シ必要ナル規定
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條北海道會法、府縣制、市制、町
村制又ハ此等ニ基キテ發スル勅令ニ依
リ設置スル議會ノ議員ニシテ支那事變
ニ際シ召集中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒ
タル者召集ヲ解除セラレタルトキハ其
ノ職ニ復ス
前項ノ場合ニ於テ議員ノ數其ノ定數ヲ
超ユルトキハ議員ノ任期間其ノ議員ノ
數ヲ以テ議員ノ定數トス但シ議員中闕
員ヲ生ジタルトキハ之ニ應ジ其ノ議員
ノ定數ハ本來ノ議員ノ定數ニ至ル迄減
少スルモノトス
前項ノ規定ハ選擧區アル場合ニ於テハ
各選擧區ノ配當議員數ニ付之ヲ適用ス
前三項ノ場合ニ於テ必要ナル規定ハ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法ハ本法施行前召集ヲ解除セラレタル
者ニ付テモ亦之ヲ適用ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=55
-
056・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御質疑ガナケレ
バ本案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔丸龜書記官朗讀〕
支那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及被
選擧權等ニ關スル法律案特別委員
侯爵久我通顯君子爵豐岡圭資君
潮惠之輔君男爵大森佳一君
男爵沖貞男君岡田文次君
油井德藏君宇野勇作君
辻兵吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=56
-
057・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第八ヨリ日
程第二十一迄ノ請願、會議
〔左ノ意見書案ハ朗讀ヲ經サルモ
參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚
フ〕
意見書案
國定〓科書中ニ酒害豫防ニ關スル〓材
插入ノ件
東京市澁谷區上智町二番地士族〓員
生江孝之外十八名呈出
右ノ請願ハ酒害豫防ヲ十分ナラシムルハ
獨リ法規ノミナラス周到ナル〓育ノ力ニ
俟ツヘキモノナルニ拘ラス現行國定〓科
書中酒害豫防ニ關スル〓材極メテ乏シキ
ハ甚遺憾ナルニ依リ速ニ國定〓科書ヲ改
正シ之ニ關スル〓材ヲ十分插入シ以テ未
飮酒ノ習慣ナキ靑少年ヲ酒害ヨリ未然ニ
防止シ其ノ體力ノ向上ト精神ノ剛健トヲ
圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意
ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ
議院法第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
鳥取縣千代川改修區域擴張ノ件
鳥取縣八頭郡河原町長谷口好藏外七
名呈出
右ノ請願ハ鳥取縣千代川ノ改修ハ右岸ニ
於テハ數年前ヨリ岩美郡倉田村大字圓通
寺ヲ起點トシテ下流ノ工事ニ著手セラレ
タルモ同村ニ隣接セル上流沿岸ノ河原町
大字稻常及國英村大字片山ノ二部落ハ洪
水每ニ著シキ被害アルノミナラス之カ改
修ニ伴ヒ却テ水流ノ緩漫、砂土ノ堆積等
ヲ生シ危險更ニ增大シ住民ノ不安甚シキ
ニ依リ速ニ兩部落ヲ改修區域ニ編入セラ
レタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大
體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
造林國策樹立實施ニ關スル件
東京市赤坂區溜池町一番地全國山林
會聯合會會頭男爵小畑大太郞呈出
右ノ請願ハ我國ニ於ケル木材ハ近年產業
ノ振興特ニ纖維工業ノ發展ニ伴ヒ其ノ需
要年歲著シク增加セルニ拘ラス山村ノ多
年ニ亙ル窮乏困憊ノ爲早伐、過伐ノ弊ニ
陷リ甚シク植伐ノ均衡ヲ失シツツアルハ
木材需給調節上ノミナラス國土保安上甚遺
憾ナルニ依リ速ニ內外地及滿洲國ヲ通シ
綜合一貫セル造林國策ヲ樹立實施シ以テ
資源ノ培養充實ヲ期シ產業ノ進展、國民
生活ノ安定、福社ノ增進ニ資セラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採
擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
災害防止林業施設計畫樹立ニ關スル件
東京市赤坂區溜池町一番地全國山林
會聯合會會頭男爵小畑大太郞外一名
呈出
右ノ請願ハ本邦特異ノ暴風、冷風、頽雪、
津波、地辷等ニ因ル慘害ハ年歲多大ニシ
テ國民生活ノ基礎ヲ脅威シ產業ノ發達ヲ
阻害スルコト著シキ爲之カ適切ナル防止
施設ヲ講スルハ目下ノ急務ナルニ拘ラス
未其ノ完備セル計畫ノ實現ヲ見サルハ甚
遺憾ナルニ依リ速ニ全國的ニ之等災害ヲ
防止スルニ十分ナル林業施設計畫ヲ樹立
實施セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ
願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候
因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付
候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
町村特別稅段別割ニ關スル法律改正ノ
件
東京市赤坂區溜池町一番地全國山林
會聯合會會頭男爵小畑大太郞呈出
右ノ請願ハ山林ニ對スル特別稅段別割ハ
賃貸價格及收益ニ於テ格別ノ等差アル宅
地、田畑ト區別セスシテ課稅セラルル爲
其ノ負擔苛重ニシテ山林所有者ノ被ル打
擊甚大ナルモノアリ仍テ明治四十一年法
律第三十七號地方稅制限ニ關スル法律ハ
之ヲ廢止スルカ若ハ各種地目ヲ區分シ其
ノ地租附加稅ニ準據セル賦課額ヲ規定制
限スルヤウ改正セラレタシトノ旨趣ニシ
テ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノ
ト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ
別册及送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
林道網計畫樹立實施ニ關スル件
東京市赤坂區溜池町一番地全國山林
會聯合會會頭男爵小畑大太郞呈出
右ノ請願ハ林道ノ開設普及ハ林業振興上
最緊要事ナルニ拘ラス未之ニ關スル施設十
分ナラサルハ寔ニ遺憾ナルニ依リ速ニ全國
ニ亙ル綜合的林道網計畫ヲ樹立實施シ以
テ森林資源ノ利用厚生ヲ圖ルト共ニ農山
村經濟ノ更生ニ資セラレタシトノ旨趣ニ
シテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモ
ノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依
リ別册及送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
澱粉ノ輸出促進ニ關スル件
北海道札幌市北四條西七丁目北海道
農會長男爵佐藤昌介呈出
右ノ請願ハ澱粉ノ海外販路ノ開拓ハ國際
貸借ノ改善ニ寄與スル所尠カラス之カ原
料品タル馬鈴薯及甘諸ノ增產亦容易ナル
ニ依リ速ニ請願人所案ノ如キ政策ヲ樹立
實施シ以テ農村ノ振興ニ資セラレタシト
ノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇
スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十
五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
大和川改修區域擴張ノ件
大阪府南河內郡國分村長小松一之輔
外十名呈出
右ノ請願ハ大阪府南河内郡國分村ハ大和
川、石川、原川諸川ノ合流地點ニ位シ而
モ大和川堤防ハ同川中最脆弱ナル爲屢洪
水ノ慘禍ヲ被リ住民ノ困窮多大ナルニ拘
ラズ過般當局ニ於テ決定セラレタル大和
川改修計畫區域ヨリ除外サレ居ルハ甚遺
憾ナルニ依リ速ニ同村ヲ改修區域ニ編入
スルヤウ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族
院ハ願意ノ大體ハ採擇スベキモノト議決
致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及
送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
北海道幌泉漁港修築ノ件
北海道幌泉郡幌泉村長山村鑛藏呈出
右ノ請願ハ北海道幌泉郡幌泉村ハ太平洋
岸襟裳岬ニ位シ沿岸及沖合ニハ同道屈指
ノ漁場ヲ控ヘ其ノ根據地トシテ好適ノ地
ナルニ拘ラス既設ノ船入潤ハ規模狹小ニ
シテ未漁船ノ收容避難ニ便ナラサル爲人
命財產ノ損傷年歲尠カラス加之同村今日
ノ財政ニテハ到底之カ修築ノ負擔ニ堪エ
サルニ依リ速ニ國費ヲ以テ同村大字蜈泉
村ニ漁港ヲ修築セラレタシトノ旨趣ニシ
テ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノ
ト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ
別册及送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
北海道太櫓郡太櫓村ニ船入澗築設ノ件
北海道大櫓郡太櫓村大字太櫓村十九
番地平民熊谷勝造外二百二名呈出
右ノ請願ハ北海道太櫓郡太櫓村沿岸ハ遠
淺ナル砂地或ハ岸礁地帶ニシテ地勢上機
械船ヲ碇繫スルコト能ハス爲ニ沖合一帶
豐富ナル海田ヲ控フルニモ拘ラス之カ漁
業ニ著手シ得サルノ狀態ニ在ルハ甚遺憾
ナルニ依リ速ニ同村ニ船入潤ヲ築設セラ
レタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大
體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
千葉縣繭特約取引ノ認可方針改訂ニ關
スル件
千葉縣香取郡香取町多田千九百五十
八番地平民篠塚戶三郞外八名呈出
右ノ請願ハ千葉縣當局ハ縣下主要產繭各
郡ニ亙リ乾繭組合ノ設立ヲ勸奬スルト共
ニ繭特約取引ノ認可ニ當リテハ該組合地
域內ニ於テ從來特約取引ヲ行ヒシ養蠶實
行組合以外ノ特約取引ヲ認メサルノミナ
ラス養蠶實行組合ト雖改組若ハ特約相手
方製絲業者ノ變更ヲ爲シタル場合又ハ組
合員中特約取引ニ付不贊成者若ハ乾繭組
合員アルトキハ之カ認可ヲ爲ササルノ方
針ナリ斯クテハ同縣養蠶實行組合ノ要望
ニ副ハサルモノアルニ依リ請願人等所案
ノ如ク其ノ認可方針ヲ改ムルヤウ企圖セ
ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ
大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
神武天皇御聖蹟顯彰ニ關スル件
奈良縣字陀郡內牧村長福田善三外五
百七十九名呈出
右ノ請願ハ神武天皇御駐蹕地タル奈良縣
宇陀郡內牧村ハ大倭御經營ノ策源地タラ
シメ給ヒシ聖地ニシテ傳稱地遺蹟遺構遺物
ノ存在尠カラス近ク紀元二千六百年祝典
ノ行ハレムトスルニ當リ之カ聖蹟ヲ顯彰
シ巡拜施設ヲ講スルハ國體ヲ明徴ニシ國
本ヲ不拔ニ培フ所以ナルヲ以テ之カ實現
ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇ヘキモノト議決致候因テ
議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
國道四號線改修ニ關スル件
栃木縣河內郡羽黑村大字金田三十五
番地平民大岡恒次郞外二十七名呈出
右ノ請願ハ國道四號線ハ我國東北部ニ於
ケル重要幹線ニシテ日光、那須、鹽原
ノ景勝地ヲ控ヘ且沿線地方ノ著シキ發達
ニ伴ヒ產業、交通竝軍事上之カ改修ノ急
務ナルニ鑑ミ政府ハ昭和十二年度ニ於テ
一部改良工事ニ著手シタリト雖殘存事業
尙多大ナルニ依リ昭和十三年度以降ニ於
テモ之ヲ繼續實施シ又目下縣營ニテ改修
中ナル日光國立公園關係ノ道路ハ財政上
其ノ完成期シ難キニ依リ今後尙國庫補助
ヲ繼續セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致
候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
地方〓品卸賣市場法制定ノ件
北海道札幌市大通東一丁目全國食品
卸賣市場聯合會會長深見松太郞呈出
右ノ請願ハ食品卸賣市場ハ日常生鮮〓料
品ノ合理的配給機關トシテ需給ノ圓滑、
價格ノ公正ヲ圖ル等國民生活上重要使命
ヲ有スルニ拘ラス今尙地方市場ニ關シテ
ハ統一的法規ナク爲ニ其ノ堅實ナル發達
ヲ阻害シ生產上竝消費上不利不便尠カラ
サルニ依リ速ニ地方食品卸賣市場法ヲ制
定シ之カ整備改善ヲ圖ラレタシトノ旨趣
ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキ
モノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ
依リ別册及送付候也
昭和十三年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=57
-
058・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是等ノ請願ハ何
レモ請願委員長ノ報告通リ、採擇スルコト
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=58
-
059・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=59
-
060・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 次會ノ議事日程
ハ決定次第彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、
本日ハ是ニテ散會致シマス
午前十一時二十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303242X02419380316&spkNum=60
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。