1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十三年三月十一日(金曜日)午前十時三十六分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=0
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001・三室戸敬光
○委員長(子爵三室戸敬光君) 是ヨリ前囘
ニ引續イテ開議致シマス、質問ハ前囘ニ於
テ大體終ッタノデアリマスガ、何カ尙御質問
ノコトガアリマシタラ、此際願ヒマス、如
何デアリマスカ、······別ニ御質問モナイヤ
ウデアリマスカラ、然ラバ討論ニ移リタイ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=1
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002・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 證劵業者、卽チ有價證
劵ノ引受又ハ募集ノ取扱ヲ業ト致ス者ノ起
債市場ニ於ケル其ノ地位ノ重要性ニ鑑ミマ
シテ、本法ニ依リ新タニ監督ノ制度ヲ設
ケ、以テ其ノ業務ノ公正ヲ圖リ、起債界ノ
健全ナル發達ニ資セムト致スモノデアリマ
スカラシテ、誠ニ時宜ニ適シタル立法デア
ルト存ジマス、仍テ私ハ本案ニ贊成ヲ致ス
者デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=2
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003・野村徳七
○野村徳七君 梅園子爵ノ御意見ニ贊成致
シンス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=3
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004・沖貞男
○男爵沖貞男君 私モ大體ニ於テ贊意ヲ表
スル者デゴザイマス、併シ二三希望ト申シ
マスカ、申述ベタイト思フコトガゴザイマ
ス、過日來ノ審議ノ經過カラ見マシテ、政
府ハ此ノ社債ト云フモノハ十一年度頃カラ
段々增大致シマシテ、十一年ガ二十二億七
千萬圓、今後モ尙此ノ景氣ガ段々發展シテ
參リマスト、社債界ト云フモノハ益〓、物興ノ
機運ニ在ル、サウ云フ際ニ斯ウ云フ法案ヲ
制定セラレマシタコトハ、誠ニ結構ナコト
ト思フノデゴザイマス、而シテ第一條ノ有
價證劵引受業者ト云フモノヲ見マシタ時
二、其ノ取扱フ所ノ種類ハ勅令ヲ以テ定メ
ル、斯ウ云フコトデゴザイマスガ、段々伺ッ
テ見マスト、唯金融證劵ノミヲ目的トスル
ト云フ風ニ伺ヒマシテ、是トテモ只今ゴザ
イマスル所謂取引所ノ現物業者、此ノ方ハ
混ッテ居ラヌト云フコトヲ以テ、私ハ大變安
心シテ居ルノデゴザイマスガ、第二條ニ於
キマシテ免許ト云フコトニナッテ居リマ
スモノデスカラ、其處ノ所デ、所謂今迄ゴ
ザイマスサウ云フ風ナ業者ニ對シテ、之ヲ
免許スルト云フコトニナリマスレバ、應
ソコニ所謂世間デヤカマシイ既得權侵害ト
云フヤウナモノモアルヂヤナイカ、ソレニ
付テ十分御考ヲ願ヒタイト云フ意見ヲ持ッ
テ居リマス、ソレカラ第三條ノ資本金二百
萬圓、二百萬圓ノ株式會社ト云フコトデゴ
ザイマスガ、是ハ政府ノ御方針ト致シマス
ル所ハ、或ハ此ノ起債會社ノ健全ナ發達ヲ
目的トシテ、之ガ逐行ノ爲ニ法ヲ御作リニ
ナルモノデゴザイマセウカ、一面ニ於テハ
現在アルサウ云フ不良ノモノハ消滅サスト
云フコトニ重點ヲ置イテ、御指導ニナルモ
ノヂヤナイカトモ思ハレマスガ、煎ジ詰メ
マスレバ、矢張リサウ云フ風ナ不良ノ業者
ヲ消滅サスト云フ風ナ工合ニ取扱フノデゴ
ザイマスガ、マアソレハ非常ナ結構ナコト
デアッテ、現在隨分不良ナモノモアルヤウ
ニ伺ッテ居ルノデアリマスガ、併シ此處デ·二
百萬圓ト申シマスト云フト、不良ト申シテ
ハ甚ダ何デゴザイマスガ、其ノ弱者ハ之ニ
參加スルコトハ出來ヌダラウト思ヒマシ
テ、心配スル譯デゴザイマス、ト同時ニ、
第二條ノ免許ト云フ字ト照シ合セマスト云
フト、サウ云フ是カラヤッテ行カウト云フモ
ノガ出來ヌト云フ風ナコトニナリマスト、
ナカ〓〓其處ニ誤解ト云フモノガ生ジマス
ルヤウニ思ヒマスノデ、是ハ十分當局ニ於
テモ誤解ノナイヤウニ御努メニナッテ戴キ
タイト思フノデゴザイマス、ト同時ニ、此
ノ間ノ御說明ヲ伺ヒマスレバ、二百萬圓以
上ノ株式會社ニスルニ付テモ、玆ニ十數軒
アルト云フコトデ、サウ云フ在來ノモノハ
皆二百萬圓位ノ身代ヲ持ッテ居ルト云フ風
ニ仰セラレテ居ルノデアリマスガ、ドウモ
サウ云フ風ナコトニナリマスレバ、大キナ
モノヲ益〓助ケルト云フコトニモナルシ、或
ハサウ云フ中デモ非常ニ能ク調ベテ見ナケ
レバ、ソレニ參加出來ヌト云フコトデ、或
ハ一軒トカ二軒ト云フ風ニ結局移ッテシマ
フノヂヤナイカ、サウシマスト、御趣意ニ
反スルヤウニモ考ヘマスガ、ソコ等ヲ十分
御注意願ヒタイト斯ウ思フノデアリマス、
ソレカラ第八條ノ此ノ資本金總額ニ達スル
迄ハ利益配當スル每ニ、準備金トシテ其ノ
利益ノ十分ノ一以上ヲ積立ツト云フコトヲ
謳ッテゴザイマスガ、是ハ果シテ斯ウ云フ
コトヲナスッテ、事實上此ノ引受會社ガ收支
償フモノデゴザイマスカドウカト云フコト
ヲ疑フモノデゴザイマス、併シ是トテモ今
度ノ新商法ト申シマスカ、ソレニ關聯シテ
御注意ヲ願ヘバ、或ハ行クノヂヤナイカト
思フ次第デゴザイマス、ソレカラ十二條、
十三條ノ、第十二條ニ於キマシテハ「業務ニ
關スル報告ヲ爲サシメ又ハ其ノ帳簿書類ヲ
提出セシムルコトヲ得」、「得」ト云フ字ガアリ
マスガ、是ハ寧ロ「得」ノ字ヲ取ッテ戴イテモ
宜クハナイカト私ハ思フノデアリマス、何
故ナラバ、斯ウ云フ會社ガ出來マシタ時ニ、
主務省ガ長イ年月ノ中ニハナカ〓〓監督ガ
十分ニ行カヌト云フコトガ今迄度々アルヤ
ウニ思ヒマス、殊ニ取引所關係ニ於キマシ
テナカ〓〓此ノ監督ガ十分ニ行屆カヌト云
フ風ニモ伺ッテ居ルノデゴザイマスガ、是モ
亦所謂新商法ノ規定ガ段々シッカリシテ參
リマスノデ、是モ一ツ十分御注意ヲ願ヒタ
イト、斯ウ思ッテ居ル次第デゴザイマス、ソ
レカラ十七條、十八條ノ一此ノ罰金制度デ
ゴザイマスガ、是ハ煎ジ詰メマスレバ、先
日モ話ガアリマシタ通リ、銀行法ニモ改正
ガアル位デゴザイマスカラ、此ノ際モウ少
シ千圓以下ヲ千圓以上ト云フ風ナコトニ値
上ト云フヤウナコトニ、ソレデモ宜クハナ
イカト、斯ウ思フノデゴザイマス、何故ナ
ラバ、免許ヲ受ケナイデヤル若シモ意思ガ
アルナラバ、五千圓位ノ罰金ハ呑込ンデヤ
ル手合モナイデハナイカト、斯ウ思フノデ
ゴザイマスガ、マア是トテモ相當御注意ヲ
願ヘバ行クノヂヤナイカト云フ風ナコトヲ、
希望ト申シマスカ、意見ヲ申上ゲテ、私ハ
本案ニ贊成スル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=4
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005・三室戸敬光
○委員長(子爵三室戸敬光君) 沖男爵ニ伺
ヒマスガ、只今ノハ單ニ御希望ト云フ程度
ニ承知シテ宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=5
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006・沖貞男
○男爵沖貞男君 ソレデ結構デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=6
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007・三室戸敬光
○委員長(子爵三室戸敬光君) 政府ニ於カ
レマシテモ何カ御發言ガゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=7
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008・中村三之丞
○政府委員(中村三之〓君) 只今ノ御希望
ニ對シテハ十分其ノ御趣旨ヲ體シマシテ、
遺憾ナキヲ期シタイノデゴザイマス、先般
來當局ヨリ申シマシタ如ク、此ノ法案ニ依ッ
テ所謂實體的監督ヲナシ、同時ニ只今委員
方ノ御所見ノ如ク起債市場ノ圓滑ナル發展
ヲ圖リタイ、斯ウ云フ趣旨デゴザイマスカ
ラ、御協賛ヲ願ヒマシテ、實施セラレマス
上ニ於キマシテハ、直接其ノ任ニ當リマス
ル銀行局ニ於キマシテハ萬違算ナキヲ期シ
タイト考ヘル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=8
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009・野村徳七
○野村德七君 私ハ此ノ際證劵引受業ニ付
テ實情ヲ能ク承知シテ居リマスル者ノ立場
カラ、少シ意見ヲ申上ゲタイ、何カ御參考
ニナルダラウト思ヒマス、前囘ノ委員會ニ
於キマシテモ此ノ法案ハ少數ノ者ニ獨占權
ヲ與ヘテ、益〓獨占的傾向ヲ助長スルヤウナ
モノデナイカト云フ御意見モアリマシタ、
チヨットサウ云フ御感ジノアルコトモ誠ニ
尤ト考ヘラレルノデアリマス、ソコデ少シ
此ノ引受界、起債界ト申シマスカ、起債界
ト云フ方ガ一番宜イト思ヒマスノデ、狀況
ヲ少シ申上ゲテ御參考ニ供シタイト思ヒマ
ス、有價證劵引受業ト云フノハ、現在ニ於
キマシテハ社債、公債ナドノ發行ニ際シマ
シテ、ソレヲ直接引受ケテ、サウシテ之ヲ
一般ニ廣ク分布致シマス斯ウ云フ仕事ト、
ソレカラ發行者カラ「シンジケート」若シク
ハ一二ノ銀行、信託會社ニ引受ケテ貰ヒマ
シタノヲ下受ケ致シマシテ、サウシテ之ヲ
配給機構ニ依ッテ廣ク證劵ヲ全國ニ消化ス
ルト云フ二ツノ仕事ヲヤッテ居ルノデゴザ
イマス、處ガ大體是ハドウ云フ形式ニ依ツ
テ日本デ出來テ來タカト申シマスト、今ヤッ
テ居リマス式ハ大抵「アメリカ」カラ採ッテ
參リマシタモノデ、所謂「アメリカ」ハ企業
ノ助長發達ト云フコトノ爲ニ、資金ノ需要
ヲ社債ニ依ル形式ガ段々發達シテ參リマシ
タ、併シナガラ共ノ社債ト云フモノハ引受
ケタ者ガヂット持ッテ居ッテハ、結局大キナ
資金ノ需要ニ應ズル譯ニ參リマセヌノデ、
引受ケマシタ銀行若シクハ信託會社ノ如キ
ハ之ヲ專ラ多數ニ分割シテ投資家ヲ呼ブ、
所謂證劵普及ト云フヤウナ機構ガ必要デア
ルト云フコトデ、初メテ玆ニ引受業ニ伴フ
下引受ト云フ機構ヲ備ヘマシタ配給會社ガ
起ッテ參ッタノデアリマス、ソレハ主トシテ
「セールス·マン」ノ活動ニ依リマシテ、全
國ニ配給機構ヲ持チマシテ、一般ニ此ノ證
劵知識ノ普及ト云フヤウナコトヲ行ヒマシ
テ、サウシテ證劵投資ノ有利ナコトヲ貯蓄
心ノ奬勵ト相伴ウテ、全國ニ對シテ證劵ヲ
配給シ普及スルト云フ仕事ヲ始メタノデア
リマス、ソレガ此ノ證劵引受業ノ端〓トデ
モ申スベキモノデアリマス、ソレヲ日本デ
移シテヤッタノガ現在ヤッテ居リマス證劵引
受業デアルト申上ゲテ宜イト存ジマス、處
ガ此ノ業者ガ初メテ日本デヤリマシタノハ
一軒デアリマシタガ、ソレガ二軒ニナリ、
三軒ニナルト云フ風ニナッテ參リマシテ、出
來テ參リマスト云フト、勢ヒ競爭ガ起リマ
シテ、引受ヲ致シマシテ、又ソレヲ更ニ配
給致シマシテ賣リマスト云フ場合ニ、手數
料ノ競爭ナドガ起リマス、又引受ケテ參リ
マス所ニモ勢ヒ競爭ガ起リマシテ、結局其
ノ競爭ト云フモノハ停止スル所ヲ知ラザル
コトニナルノハ、ドンナ仕事デモ同ジコト
デゴザイマス、起債界デドウ云フ惡イ影響
ヲ此ノ競爭ノ結果今日迄來シテ居ルカト云
フト、大體社債ト云フモノハ擔保ヲ附ケテ
引受ケル、擔保附ニスルト云フコトガ債權
者ヲ保護スル爲ニハ一番確實デアル、社債
劵ニ對シテハ擔保ヲ附ケルト云フコトガ第
一條件デナケレバナラヌ、斯ウ云フコトデ
アル、處ガ競爭ノ結果段々サウ云フ擔保附
ト云フコトハナカ〓〓手續ガ面倒デアル、
信託法ニ依ラナケレバナラヌ、二三其ノ他
ノ法律ノ制裁ナドモアリマスシ、ナカ〓〓
此ノ擔保附ト云フコトヲ嫌フノデアリマス
カラ、其ノ金額ト見合ヒマシテ、經營者ガ
確實デアリ、一流ノ人物デアリ、間違ナシ
ト認メマシタナラバ、サウ多額デナイ證劵
ナラバ、擔保ナシデ引受ケテヤルト云フ所
ニ競爭モ起リマスカラ、ソレハ必ズ賣レル
ニ決ッタ債劵デ、殘リガナイト云フコトデ
アレバ、ソコニ極端ナ手數料ノ競爭モ起リ
マスト云フヤウナコトガ、勢ヒ此ノ引受業
ガ段々發達シテ參リマスニ伴フ弊害デアリ
マシテ、ソレガ今日迄大藏省ナリ日本銀行
ノ眼ニモ能ク映ッテ來タコトト思フノデア
リマス、サウシテソレダケナラバ、マダ宜
イノデアリマスケレドモ、此ノ業者ガ盛ニ
競爭致シマス結果、大凡此ノ財界ニハ引受
ケル當時ノ「レート」ト云フモノガ、公債其ノ
他ノ關係カラ社債ト云フモノノ「レート」又
公債發行ノ上カラ社債ノ「レート」ト相關的
關係ヲ持ッテ居リマス重大ナ金融市場ヲ左
右スル公債ノ「レート」ト云フモノニ迄競爭
ガ及ビマシテ、證劵會社ガ無理ヲスル、結
局ソコニ又銀行モ無理ヲスルシ、又信託會
社ノ中ニハ時ニ引受業ニ競爭シテ來ル者モ
アリマシテ、無理ヲスルト云フ所ニ行過ギト
云フコトガアリマシテ、其ノ行過ギノ結果ガ
或時期ニハ公債消化ヲモ停頓セシムルト云フ
ヤウナコトモ起スト云フヤウナコトモアリマ
シテソレデハ財界ノ堅實ナル發達、財政ノ圓滑
ナル運用ト云フコトニモ支障ガ生ズルカラシ
テ、此ノ業者ヲ取締ルト云フ私ハ御精神ニ出
テ此ノ業法ガ生レタモノデアルト思フノデ
アリマス、此ノ業法ノ結果、今迄申シマシタ
ヤウナ弊害ガ漸次除去サレマシテ、今後ハ
相當監督權ガ此ノ業法ヲ通ジテ行ハレテ參
リマスレバ、今申シマシタヤウナ弊害ガ取
除カレテ來ルコトデアリマス、ソレカラ受
ケル一般財界經濟界ノ利益ハ相當ナモノデ
アラウト、斯ウ云フコトデアルノデアリマ
ス、又之ニ從事シテ居リマスル者モ不當ナ
競爭ガ防ガレ、サウ云フ行過ギモナクナリ
マシテ、又業者モ確實ナ者バカリデ、サウ
云フ無用ナ横槍ヲ入レテ無謀ナ競爭ヲスル
ト云フ者ガ漸次ナクナッテ參リマスレバ、今
日迄ノ經營法ノヤウニ極端ナ殆ド利益ガ無
イト云フ所迄競爭ヲシテ、澤山ナ人件費ヲ掛
ケ、全國ニ配給機構網ヲ張ッテ居リマス證劵
會社ハ可ナリ澤山支店、出張所ノ如キモノ
ヲ持ッテ居リマシテ、今日ハ「セールス·マン」
トシテハ大〓大學卒業程度ノ人ガ財界經濟
界ノ事情ニ最モ精通シタ新ラシイ知識ヲ始
終注入サレテ、ソレ等ノ人ガ全國ニ行渡ッテ
證劵知識ノ普及ト證劵投資ノ指導ト云フヤ
ウナコトニ實際當ッテ居ルノデアリマス、眞
面目ニ當ッテ居ルノデアリマス、恐ラク有價
證劵業全體何萬アリマセウガ、各〓其ノ投機
ヲ目的トスル者トカ、眞面目ナ投資ヲ誘導
シテ居ル者モアリマセウケレドモ、恐ラク
證劵殊ニ公社債ノ配給機關ト云フ仕事ヲヤッ
テ居ル者程眞面目ニ證劵普及ト云フ仕事ヲ
ヤッテ居ル者ハ無イノデゴザイマス、無イト
斷言シテ宜イト思フノデゴザイマス、サウ
云フヤウナ情勢ノ下ニ現在此ノ業者ガヤッ
テ居ルノデアリマスガ、偶、、此ノヤッテ居ル仕
事ヲ極ク皮相的ニ見テ、競爭的ニ會社ヲ起
シテ居ル人達ガヤッテ見ルト云フト、存外ム
ヅカシイ仕事デ、ナカ〓〓サウ引受ケタ證
劵ガ、矢張リ完全ナ配給機構ヲ持ッテ居ルモ
ノデナケレバ、ソレガ浸潤シナイ、大地ニ
水ヲアケタヤウニ浸潤シナイ、唯甲ノモノ
ヲ乙ニ動カスト云フヤウナ程度デ、到底此
ノ仕事ハ出來ルモノヂヤナイト云フコトモ
段々分ッテ參リマシテ、今日ハ容易ニ利益計
算ト、費用ト色々ナ關係ラ考慮シマスト、サ
ウ引受業ト云フモノハ實際起ッテ來ナイ情勢
ニアルノデアリマス、併シ昨今新聞デモ御覽
ニナリマシタヤウニ、只今資金調整法ノ運
用ハ大藏省ニ御持チニナッテ居ルノデアリ
マスケレドモ、多分事務上ノ御關係ト思ヒ
マスガ、是ハ其ノ運用ヲ日本銀行ニ御一任
ニナリマシテ、日本銀行カ資金統制法ニ付
テ統制ノ衝ニ當ッテ居ラレマスガ、是ハナカ
ナカ嚴格ナ方針ヲ御執リニナリマシテ、先
程申上ゲマシタヤウニ、サウ多額デナイ三
百萬圓カ五百萬圓程度ノ社債デモ、而モ此
ノ會社ハ第一流ノ會社デアッテ、重役經營者
ノ人格モ立派ナ人デアッテモ、ソレニハ擔保
ヲセネバナラヌト云フヤウナ風ニ、日本銀
行ノ方デハ資金統制ノ側カラモ亦社債ノ
ツノ指導的思想ヲ御持チニナッテ居ルト存
ジマスガ、サウ云フ方針カラモ嚴ニ取締ヲ
行ッテ居ラレルト云フ狀態デアリマシテ、チ
ヨット世間カラ御覽ニナリマシテ知レテ居
ラナイヤウノ事情ガ多々アルノデアリマシ
テ、私此ノ機會ニ聊カ其ノ實情ヲ申シマシ
テ、御參考ニ供シマス次第デアリマス
〔「本案贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=9
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010・三室戸敬光
○委員長(子爵三室戸敬光君) 別ニ御發議
モナケレバ、採決ヲ致シタイト思ヒマガ、
御異議アリマセヌデゴザイマセウカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=10
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011・三室戸敬光
○委員長(子爵三室戸敬光君) 本案全部ヲ
議題ニ供シマシテ、全會一致ト云フコトニ
御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=11
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012・三室戸敬光
○委員長(子爵三室戸敬光君) ソレデハ本
案ハ委員會ニ於キマシテハ可決ヲ致シマシ
ク、是デ散會ヲ致シマス
午前十一時二分散會
出席者左ノ如シ
委員長子爵三室戶敬光君
副委員長男爵高崎弓彥君
委員
侯爵淺野長之君
子爵梅園篤彥君
男爵沖貞男君
久保市三郞君
油井德藏君
宇野勇作君
野村德七君
政府委員
大藏參與官中村三之烝君
大藏省銀行局長入間野武雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007303508X00319380311&spkNum=12
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