1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
商法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)
商法中改正法律施行法案(政府提出、貴族院送付)
有限會社法案(政府提出、貴族院送付)
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會議
昭和十三年三月十六日(水曜日)午前十時二十五分開議
出席委員左の如し
委員長 野村嘉六君
理事 西田郁平君 理事 仲井間宗一君
理事 宮崎一君 理事 紅露昭君
理事 石坂繁君
一松定吉君 池田清秋君
田村秀吉君 原玉重君
山本粂吉君 川副隆君
江原三郎君 金澤正雄君
松木弘君 森榮藏君
中野治介君 佐竹晴記君
菊地養之輔君
出席政府委員左の如し
司法省民事局長 大森洪太君
本日の會議に上りたる議案左の如し
商法中改正法律施行法案(政府提出、貴族院送付)
有限會社法案(政府提出、貴族院送付)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=0
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001・野村嘉六
○野村委員長 ソレデハ開會致シマス、今
日ハ有限會社法案、是カラ審議ヲ進メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=1
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002・大森洪太
○大森政府委員 有限會社法案ニ付テ申述
ベタイト存ズルノデアリマス、大體ノ要點
ニ付キマシテハ先囘包括的說明デ申述ベタ
通リデアリマス、有限會社ハ御承知ノ通リ
ニ社員ガ總テ有限責任デアリマシテ、此點
ニ於テハ全ク株式會社ト同樣デアリマスケ
レドモ、社員ノ數ヲ少ク致シマシテ、又社
員ノ地位ガ濫ニ變ハルト云フコトヲ極メテ
警戒致シマシテ、卽チオ互ニ信賴ノ厚イ少
數者デ以テ、組織ヲスルト云フコトニ其特
徵ヲ持ツノデアリマス、デアリマスルカラ
此點ニ於テハ、合名會社的色彩ヲ帶ブルト
申シテ宜シイノデアリマセウ、御承知ノ通
リニ株式會社ガ有限責任ナルノ故ヲ以テ、
企業組織トシテ大イニ歡迎ヲセラレルノデ
アリマスルガ、何分ニモ株主ノ數ガ多イノ
デアリマシテ、而モ株式ノ讓渡ガ白由ニナツ
テ居リマスカラ、常ニ株主ニ異動ヲ生ズル
譯デアリマス、ソレデアリマスルカラ株主
相互ノ間ノ横ノ連絡ト云フモノハ殆ドナイ
ノデアリマシテ、言ハヾ其點ニ於テハ大變
水臭イ仕組ニナッテ居ルノデアリマス、左樣
ナ缺陷ヲ補ヒマスルガ爲ニ出來マシタ所ノ
モノガ有限會社デアリマス、御承知ノ通リ
ニ有限會社ハ先ヅ英國ノ實際ニ於テ發達ヲ
致シマシテ「プライヴェート·カンパニー」
ト云フ名前デ段々ト進步シテ參リマシタ、
「プライヴェート」ト申シマスノハ內輪トカ、
或ハ小規模ト云フヤウナ意味合デアリマセ
ウ、此有限會社ノ資本ノ總額ハ、必シモ少
クハナイノデアリマスケレドモ、只今モ申
シマシタヤウニ其組織ナリ、管理方法ナリ
ガ簡易デアリ、單純デアリマスルカラ、斯
樣ナ名前ガ出テ來タノデアラウト思フノデ
アリマス、ソレガ大變ニ英國ニ於テ實績ヲ
擧ゲタモノデアリマスルカラ、判例之ヲ是
認シ、後ニ法律ガ之ヲ明確ニシタ次第デア
リマス、ソレガ獨逸、墺地利、瑞西、佛蘭
西等ニ移リマシテ、是等ノ國々モ既ニ有限
會社ヲ認メテ、相當ノ實績ヲ擧ゲテ居リマ
ス、ソレカラ是等以外ノ國ニ於キマシテモ、
殆ド總テノ國ガ其法案ニ於テ有限會社ヲ認
メヨウトシツヽアル情勢デアリマス、我國
ニ於キマシテモ御承知ノ明治初年ノ御雇〓
師ノ獨逸人「レースラー」、此人ガ有限會社
ヲ我國ニモ認メヨウト努力ヲシタ形迹ガア
ルサウデアリマス、ケレドモ其當時ニハ
マダ我國ニ於テ、是ガ是認セラレナカッタノ
デアリマス、斯樣ナ組織デアリマスルカラ、
成程企業組織トシテ洵ニ便宜デアリ、手頃
デアリマスル關係上、當業者カラハ大分以
前カラ、既ニ强キ要望ガアッタノデアリマス
ルケレドモ、昨日マデ御審議ヲ願ッテ居リマ
シタ商法中改正法律案、卽チ會社編ノ根本
的改正ト云フコトヲ眼ノ前ニ控エテ居ッタ
モノデアリマスカラ、ソレニ先立ッテ有限會
社ヲ拵ヘルノモ如何カト存ゼラレマシテ、
ツイ延ビ〓〓ニナッテ今日ニ及ンダ次第デ
アリマス、寧ロ遷延ノ責ハ吾々ニ於テ負ハ
ナケレバナラナイト存ジテ居ル次第デアリ
マス
以下逐條ニ付テ申述ベテ參リタイト存ズ
ルノデアリマス、第一條ハ有限會社ノ意義
ヲ定メタモノデアリマス、有限會社モ實質
ニ於テハ會社ト何等擇ブ所ガナイノデアリ
やっ、御承知ノヤウニ英國デハ株式會社ノ
一種トナッテ居リマス、所ガ外ノ國デハ株式
會社以外ノ別種ノ會社トナッテ居リマス、是
ハドチラニ致シマシテモ、實質上ハ少シモ
變リハナイノデアリマス、唯此法案ニ於キ
マシテハ、商法カラ離レタル別個ノ法案ト
致シマシタ、ソレハ商法中ニ此會社ヲ加ヘ
マシテ、卽チ第五種ノ會社ト致シマシテ、
商法ニ五種類ノ會社ガアルコトニシテ規定
ヲ致シマスト、商法自身ガ錯雜ニ流レル虞
ガアルノデアリマス、デアリマスカラ別個
ノ法案ト致シマシタ方ガ、之ヲ〓究シマス
ルノニモ、運用シマスルノニモ都合ガ好イ、
詰リ便宜ノ上カラ斯樣ニ致シタノデアリマ
ス、加之有限會社ハ全ク新シイ試ミデアリ
マスカラ、合名會社、合資會社、株式會社、
株式合資會社ナド、在來既ニ經驗シ來リマ
シタモノトハ違ッテ、今後此運用ノ實績ニ依
リマシテ、相當改正ヲシナケレバナラヌ場
合モ起ッテ來ルダラウト思フノデアリマス、
今日豫測シ得ベカラザル改正問題ト云フコ
トガ、將來ニ於テ恐ラクハ起ルダラウト思
ハレルノデアリマス、左樣ナ場合ニ此法案
ダケヲ改正スルト云ッタ方ガ、改正ニ都合ガ
好イノデアリマスカラ、左樣ナ點モ見越シ
マシテ別法案ニ致シマシタ、デアリマスカ
ラ所謂商法上ノ會社ト云フモノニハ觀念上
ナッテ居リマセヌ、觀念上ハ商法上ノ會社デ
ハナイケレドモ、實質上是ト同ジデアルト
云フコトヲ明ニスル趣旨デ第一條ヲ設ケマ
シタ、第二條モ同樣デアリマシテ、所謂民
事會社ト云フモノニ付テモ有限會社ガ成立
シ得ルト云フコトヲ前提ニ致シタ次第デア
リマス、第三條ハ商號ニ付テノ制限デアリ
マシテ、有限會社ト云フ文字ヲ用ヒナケレ
バナラナイト云フコト、ソレカラ有限會社
デナイモノハ、商號中ニ有限會社タルコト
ヲ示スベキ文字ヲ用ヒテハイケナイト云フ
コト、是等ハ會社ニ付テ商法案ニアリマス
ル規定ト全ク同趣旨デアリマス、第四條ニ
ハ準用條文ヲ置イテ居リマスガ、此準用條
文ハ御承知ノ通リ商法案ノ規定デアリマシ
テ、會社ノ住所ガ其本店ノ所在地ニアルト
云フコト、會社ハ他ノ會社ノ無限責任社員
ニナルコトガ出來ナイト云フコト、會社ハ
本店ノ所在地ニ於ケル設立登記ニ依ッテ成
立スルト云フコト、ソレカラ商法案會社編
ノ第一章總則ニアリマス裁判所ノ解散命令
ニ關スル諸般ノ規定、ソレカラ官廳ノ許可
ヲ要スル事項ノ登記ニ付テノ其起算點、斯
ウ云ッタヤウナ規定ヲ玆ニ準用シタノデア
リマス、卽チ商法上ノ會社ト全ク其取扱ヲ
同一ニスル積リデアリマス、次ニ第二章ハ
設立デアリマスガ、第五條ニ參リマシテ、
有限會社ヲ設立シマスルニ付テモ、勿論定
款ヲ作ラナケレバナラナイノデアリマス、
有限會社ノ設立手續ノ第一ノ段階ハ、定款
ノ作成デアリマス、第二項ハ商法案ノ規定
ヲ準用シマシタガ、是ハ御承知ノ、定款ハ
公證人ノ認證ヲ得ナケレバ其效力ヲ生ジナ
イト云フ規定デアリマス、此點ニ付テモ矢
張株式會社ト同樣ニ取扱ヒタイト存ジタ
爲メデアリマス、第六條ハ定款ノ絕對的記
載事項デアリマシテ、御覽ノ通リニ玆ニ列
擧ニナッテ居リマスル事項ハ、略〓株式會社ノ
定款ノ絕對的必要事項ト同樣デアリマスケ
レドモ、御注意ヲ御願致シタイノハ第五號
デアリマス、卽チ社員ノ氏名及ビ住所ヲ玆
ニ揭ゲルコトニナッテ居リマス、株式會社ニ
於キマシテハ、發起人ノ氏名住所コソ必要
事項デアリマスケレドモ、株主ノ氏名住所
ヲ定款ニ書クコトニハ致シテ居ナイノデア
リマス、又株式會社ニ於テ之ヲ書カシムル
コトハ不可能ヲ强ヒルモノデアリマス、併
シ有限會社ニ於キマシテハ、社員ハ比較的
少數デアリマシテ、而モ其社員ノ地位ト云フモ
ノガ、有限會社ニ於テハ重要ナル意義ヲ持
ツ譯デアリマス、卽チ此點ニ於キマシテ合
名會社的色彩ヲ帶ビルノデアリマスカラ、
其特徴ノ一端ガ此處ニモ現ハレテ居ル次第
デアリマス、次ニ第七條ハ定款ノ相對的必
要事項デアリマス、是モ株式會社ト大體ニ
於テ同樣デアリマシテ、現物出資ニ關スル
事項、ソレカラ財產引受ニ關スル事項、此
第一號第二號デアリマス、是ガヤハリ相對
的必要事項ニナッテ居リマス、ト申シマスノ
ハ後ニ申シマス通リニ、有限會社ハ其組織
ガ單純デアリマスカラ、其設立モ株式會社
ニ較ベマスト、甚シク容易デアリマス、サ
ウシテ法律ガ之ニ干渉スル部分モ極メテ少
イノデアリマス、卽チ其設立ハ容易デアリ
マスケレドモ、斯ク一面ニ於テ其設立ノ容
易ニ致シマスト共ニ、他面ニ於テ十分ニ其基
礎ヲ鞏固ニセシムル必要カラ、出資ハ現物
タルト金錢タルトヲ問ハズ、成立迄ニ全部
提供ヲスルト云フコトニ致シマシタ、卽チ
一部ノ拂込ヲ許サナイノデアリマス、ソレ
カラ又此拂込ノ漏レタルモノガアリマスレ
バ、ソレ等ノ塡補責任ニ付テ極メテ重大ナ
ル規定ヲ設ケマシタ、又現物出資ノ評價不
當ノ場合ニ付テモ、同樣ノ規定ヲ設ケマシ
タ、ソレ等ニ對應スル關係モアリマシテ、
玆ニソレヲ明ニシタ次第デアリマス、次ニ
第八條デアリマスガ、是ハ社員ノ數ノ制限
デアリマス、御覽ノ通リニ五十人ヲ以テ原
則ト致シマシタ、是ハ第一項本文ニ明カデ
アリマスガ、其但書ニ於テ特別ノ事情ガア
レバ、裁判所ノ認可ヲ受ケテ之ヲ殖ヤスコ
トノ有リ得ル場合ヲ豫想シマシタ、ト申シ
マスノハ、例ヘバ或ル町內デ同業組合式ノ
モノガ有限會社ニナラウト云ッタヤウナ場
合ニ、同ジ商賣ノ者ガ七十人アル、八十人
アル、斯ウ云ッタ場合、ソレダケデ別ニ有限
會社ヲ拵ヘルト云フコトハ、都合ガ惡イト云ッ
タヤウナ必要已ムヲ得ザルヤウナ場合ガア
リマスナラバ、裁判所ノ認可ヲ得テ、大體
五十人以上デモ組織スルコトガ出來ルト云
フ餘裕ヲ、玆ニ持タシメタノデアリマス、
第二項ハ御承知ノ通リ遺產相續ナリ遺贈ナ
リアリマスナラバ、丁度五十人滿員デアッ
ク、所ガ遺產相續ノ結果一人ガ三人ニナッ
テ五十二人ニナッタト云フコトガ有リ得マ
セウ、左樣ナ場合ニヤハリ餘裕ヲ持タシメ
ナケレバナリマセヌカラ、斯ル規定ヲ置イ
タノデアリマス、尙ホ此五十人ノ限度デア
リマスガ、三十人ガ宜イカ、五十人ガ宜イ
カ、百人ガ宜イカ、是ハ程度ノ問題デアリ
マシテ、私共モ此標準ヲ決メマスニ付キマ
シテ、相當苦勞ヲ致シタノデアリマス、他
國ノ立法例ト云フモノハ必シモ直チニ我國
ノ參考ニハナリマセヌケレドモ、一端ヲ申
述ベテ見マスト、五十人ヲ最高限度ト致シ
テ居リマスモノハ英國、智利、土耳其、ソ
レカラ是ハ法案デアリマスガ、西班牙デア
リマス、三十人ヲ最高限度ニ致シマシタノ
ガ「リヒテンシュタイン」、二十五人ヲ最高
限度ニ致シタモノハ伊太利、是ハマダ法案
デアリマス、ソレカラ他ニ二十人ヲ最高限
度ニ致シタ法案モアリマスガ、是ハ法案自
身ガ未熟ノヤウデアリマス、尙ホ制限ノナ
イモノモアリマス、例ヘバ獨逸法ダトカ墺
地利法デアルトカ、佛蘭西法、瑞西法ト云
フヤウナモノデアリマス、併シ是等ノ中ニ
ハ資本ノ最高限度ヲ決メタモノモアリマス
カラ、其兼合ヒデ自ラノ制限ハ矢張アルヤ
ウデアリマス、左樣ナ關係モアリマスルシ、
殊ニ我國ニ於テハ最初ノ制度デアリマスル
カラ、先ヅ五十人ト云フ所ガ宜クハナイカ
ト、斯樣ニ考ヘタ次第デアリマス、第九條ハ
資本ノ最少限度ヲ決メタノデアリマス、有限
會社ノ資本ノ最高限度ハ決メテナイノデア
リマシテ、幾ラデモ宜イノデアリマス、多々
益々辯ズルト申シテ差支ガナイデアリマセ
ウ、併ナガラ有限會社ハ只今申シマシタヤ
ウニ組織ガ簡單デ、設立ガ容易デアリマス
ルカラ、得テシテ一個人ガ有限會社ノ名
ヲ假裝シテ、個人營業デアルニ拘ラズ有限
會社ナルガ如キ形ヲ見セルト云フヤウナ弊
害ガ、伴ヒ易イヤウデアリマス、是ハ一ツ
ハ取引界ヲ紊亂サセ、又有限會社ニ取リマ
シテハ迷惑ナ話デ、自己ノ信用ヲ傷付ケル
モノデアリマス、デアリマスルカラ先ヅ
万圓限度ト云フ最少限度ヲ定メテ置キマシ
テ、左樣ナ弊害ヲ幾分防止シタイト存ジタ
次第デアリマス、第十條ハ出資一口ノ金額
ヲ均一ト致シマシテ、之ヲ最少限度百圓ト
致シマシタ、丁度株式會社ニ於ケル株式ト
同ジコトデアリマス、唯株式ハ御承知ノ通
リニ五十圓デアリマスルガ、有限會社ニ付
テハ先ヅ其二倍ノ百圓ヲ標準ニシタラ宜カ
ラウト、斯樣ニ考ヘタ次第デアリマス、第
十一條ハ取締役ノ問題デアリマスルガ、通
例ハ定款デ取締役ヲ決メテ居ルノデアリマ
セウガ、若シ定款デ取締役ヲ決メマセヌ場
合ニハ、會社成立前ニ之ヲ決メテシマハナ
ケレバナリマセヌ、其決メル方法ヲ社員總
會ノ選任ニ致シマシタ、會社成立後ニ於テ
ハ、勿論社員總會ニ於テ選任スルノデアリ
マスケレドモ、是ハ會社成立前デアリマス
ルカラ、會社成立前ニ於ケル社員總會ト云
フ特殊ノ總會ヲ認メテ、其處デ之ヲ選任ス
ルト云フコトニ致シマシタ、此場合ノ總會
ハ、各社員ガ招集出來ルト云フコトニ致シ
タノデアリマス、第十二條ハ設立手續ニ於
テ社員ガ出資金額ノ拂込、及ビ現物出資ノ
目的タル財產全部ノ給付ヲシナケレバナラ
ナイコトヲ、明ニシタノデアリマシテ、卽
チ有限會社ノ設立ト云フコトハ、定款ノ作
成及ビ出資金額ノ提供、ソレカラ設立ノ登
記斯樣ニ相成ル次第デアリマス、第二項
ニ準用シテアリマスル商法ノ條文ハ、御承
知ノ通リ登記登錄ヲ要スルモノニ付テハ、
會社成立後之ヲ致シテモ差支ガナイト云フ
便法デアリマス、第十三條ハ設立登記ニ關
スル規定デアリマシテ、是等ノ登記事項ハ
株式會社ニ於ケルノト、大同小異デアリマ
ス、末項ニ商法案ノ條文ヲ大分準用シテ居
ルノデアリマスガ、是ハ商法案第一編ノ總
則ノ中ノ第三章商業登記ニ關スル規定、ソ
レカラ支店所在地ニ於テ爲スベキ設立ノ登
記更ニ支店新設ノ登記、本店又ハ支店ノ
移轉ノ登記、登記事項變更ノ登記、是等ノ
規定ヲ此處ヘ持ッテ來タノデアリマシテ、ヤ
ハリ商法上ノ會社ト其取扱ヲ同樣ニスル積
リデアリマス、次ニ第十四條デアリマスガ、
是ハ有限會社ノ基礎ヲ鞏固ニ致シマスル爲
ノ有力ナル規定デアリマス、此處ニ引用シ
テ居リマスル第七條ノ第二號、第三號ト云
フノハ、先程アリマシタ現物出資ト財產引
受トデアリマス、此現物出資ナリ財產引受
ナリニ付キマシテ、評價ガ著シク實價ヲ超
エテ居ル、詰リ此條文デ申シマスレバ、實
價ガ定款所定ノ價格ニ著シク足リナイ、斯
ウ云フ場合ニハ會社成立當時ノ社員、足八
全部ノ社員デアリマス、是ガ會社ニ對シテ
連帶シテ其不足額ヲ支拂フ義務ヲ負擔スル
コトヲ明ニ致シマシタ、詰リ甚ダ重大ナル
塡補責任ヲ課シタ次第デアリマス、第十五
條モ第十四條ト其趣旨ヲ全ク同ジクスルモ
ノデアリマシテ、拂込ナリ現物出資ノ給付
ニ、若シ未濟ナモノガアリマスルナラバ、
會社成立當時ノ取締役、監査役及ビ全社員、
是等ガ連帶シテ拂込ヲシタリ、又現物出資
ノ給付ノ足リナイ財產ノ價格ヲ支拂ハナケ
レバナラナイト云フコトヲ明ニ致シマシタ、
卽チ矢張重要ナル塡補責任ヲ規定シタノデ
アリマス、第十六條ハ右申シマシタ二ツノ
塡補責任ニ付キマシテ、會社成立ノ日カラ
五年ヲ經過シタ後デナケレバ、免除ガ出
來ナイト云フコトヲ明ニ致シマシタ、折
角重大ナル塡補責任ヲ決メマシテモ、之ヲ
會社ガ容易ニ免除シ得ルト云フノデハ、其
意味ヲ沒却致シマスルカラ、五年內ハ免除
ガ出來ナイト云フコトニ致シマシタ、尙ホ
此點ニ付キマシテ、是ハ五年ヲ過ギタナラ
バ、免除ガ出來ルト云フコトニナルノデア
リマスガ、免除ガ絕對ニ出來ナイヤウニシ
タ方ガ、宜クハナイカト云フ意見モ或方面
ニアッタサウデアリマス、是ニハ私共ハ贊成
シ兼ネルノデアリマス、成程株式會社ニ於
テ引受ナキ株式ノ引受、ソレカラ拂込未濟
ノモノノ拂込ニ關スル發起人ノ責任ハ、消
滅期間ヲ決メテ居リマセヌ、ソレトコレト
ハ大分趣ヲ異ニスルノデアリマス、卽チ株
式會社ニ於テハ發起人ノミノ責任デアリマ
スガ、是ハ全社員ノ責任デアリマス、サウ
シテ株式會社ニ於キマシテハ、御承知ノ通
リニ大抵分割拂込、隨テ多クハ四分ノ一ダ
ケノ拂込ニ付テノ問題デアリマス、然ルニ
コレハ全部ニ付テヾアリマス、詰リ分割拂
込ヲ許サナイカラデアリマス、仍テ彼ト此
レトハ大分越ヲ異ニシテ居ルノデアリマシ
テ、此規定ハ蓋シ必要デハナイカト思フノ
デアリマス、次ニ第三章ハ、社員ノ權利義務
ヲ規定シタモノデアリマスガ、其第十七條
ハ有限責任ト云フコトヲ明ニ致シマシタ「本
法ニ別段ノ規定アル場合」ト申シマスルト、
先程申シマシタヤウナ塡補責任、尙ホ此塡
補責任ハ資本增加ノ場合ニモアリマス、ソ
レ等ガ此例外ニナル譯デアリマス、第十八
條ハ各社員ガ出資ノ口數ニ應ジテ持分ヲ持
ツト云フコトヲ、明ニ致シマシタ、合名會
社ニアリマスル持分ト云フ文字ヲ使ヒマシ
タガ、實質ニ於テハ株式會社ノ株式ト少シ
モ變ラナイノデアリマス、唯同樣ノ性質ヲ
持ッテ居リマスル株式ト混同スルト云フ虞
ヲ考ヘマシテ、寧ロ持分ト云フ文字ヲ用ヒ
タ方ガ宜クハナイカト存ジタ次第デアリマ
ス、第十九條ハ、持分ノ讓渡ニ付テノ制限
デアリマス、持分ヲ讓渡致シマスレバ、同
時ニ社員ノ地位ニ異動ヲ來シマスカラ、是ハ
有限會社ニ於テハ極度ニ警戒ヲシナケレバ
ナラナイノデアリマス、デアリマスカラ第
四十八條ニ定ムル社員總會ト申シマスルノ
ハ、特別決議デアリマス、特別ナ條件ノ決
議デアリマス、ソレガナケレバ持分ノ讓渡
ガ出來ナイト云フコトヲ明ニ致シマシテ、
而モ但書ニ於テ定款デ以テ此制限ヲ更ニ加
重スルコトハ結構デアルト云フコトニ致シ
マシタ、詰リ此特別決議ヲ要スルト云フコ
トハ、法律ノ必要トスル最小限度デアリマ
シテ、定款デ特別決議デナイ、サウ云フモ
ノハ全員ノ一致デナケレバイケナイトスル
モ可ナリ、又讓渡ヲ全然禁止スルモ亦可ナ
リト云フ趣旨デアリマス、ソレカラ第二項
デアリマスルガ、讓渡ノ結果、社員ノ數ガ
先程申シマシタ五十人以上ニナルト云フコ
トガアリ得ルノデアリマスルガ、左樣ナ場
合ニハ遺贈ノ場合ヲ除イテ、其讓渡ガ全ク
無效デアルト云フコトニ致シマシタ、卽チ
社員ノ數ガ少數デアルト云フ有限會社ノ特
徵ガ、此讓渡行爲ニ依ッテ紊サレルコトヲ防
イダ積リデアリマス、尙ホ右申シマシタ持
分ノ讓渡ハ、何ガ故ニ之ヲ制限スルカト申シ
マスルト、社員ノ地位ノ異動ヲ來スカラデ
アリマス、デアリマスルカラ、社員間ノ持
分ノ讓渡ナラバ、社員ノ地位ノ異動ヲ來シ
マセヌカラ、是ハ左程嚴重ニスル必要ガナ
イノデアリマス、末項デ之ニ對スル緩和規
定ヲ設ケタノデアリマス、第二十條ハ持分
ノ移轉ニ付テノ對抗要件デアリマシテ、是
ハ商法ノ他ノ會社ニ於ケルト、其趣旨ヲ同
樣ニスルノデアリマス、第二十一條ハ持分
ニ付テ指圖式又ハ無記名式ノ證劵ヲ發行ス
ルコトヲ許サズト云フ趣旨ヲ明ニ致シマシ
タ、是ハ有限會社ノ持分ハ、廣ク世間ニ賣
リニ出スト云ッタヤウナ性質ノモノデハナイ
ノデアリマスカラ、卽チ此點ニ付テ株式ト
大イニ異ナルノデアリマスルカラ、其特徵
カラ來ル當然ノ規定デアリマス、第二十二
條ハ持分ガ數人ノ共有ニ屬スルコトヲ規定
シタノデアリマシテ、株式ノ共有ニ關スル
商法ノ規定ヲ、玆ニ準用シタノデアリマス、
第二十三條ハ持分ノ質入ニ付テノ規定デア
リマス、持分ノ質入ハ之ヲ是認スルノデア
リマスケレドモ、ヤハリ之ニ制限ヲ附シタ
ノデアリマシテ、卽チ持分讓渡ト同樣ノ制
限ヲ附シマシタ、尙ホ持分ノ質入ノ場合
ノ對抗要件モ、讓渡ノ場合ノ對抗要件ト同
ジク致シマシタ、是ガ第二項ノ規定デアリ
そく、第二十四條ニハ、商法案ノ規定ガ大
分準用サレテ居リマスルガ、是ハ株式ニ
關スル規定ヲ此處ヘ持ッテ來タノデアリマ
シテ、質權ノ物上代位、登錄質、自己株式
ヲ取得ヲ制限スル規定、又自己取得ノ株式
アル場合ニ、ソレヲ適當ニ處分ヲシナケレ
バナラヌト云フ規定、又株式ノ消却ニ關ス
ル規定、ソレカラ株式會社ノ株主ニ對スル
通知催告ノ便法、是等ノ規定ヲ有限會社ニ
持ッテ參ッタノデアリマス、第四章ハ會社ノ
管理ニ關スル規定デアリマスルガ、第二十
五條ハ有限會社ニ取締役ヲ置クコトヲ明ニ
致シマシタ、而モ其取締役ハ、株式會社ノ
如ク三人以上ト云フ必要ガナイノデアリマ
シテ、一人デモ結構デアリマス、其趣旨ヲ
明ニ致シマシタ、尙ホ此取締役ニ付キマシ
テハ、後ニ第三十二條デ商法案ノ第二百五
十四條ガ準用ニナッテ居リマス、其結果ト致
シマシテ、ヤハリ社員デナクテモ宜シイコ
トニ相成ルノデアリマス、此點ニ付テハ株
式會社ニ於キマシテ、商法案ハ取締役ハ株
主タルコトヲ要シナイモノト致シマシタ、
其時ニ詳細ニ申述ベタノデアリマスルガ、
有限會社ニ付テモ、ソレト同樣デアリマス
ルノミナラズ、有限會社ニ於キマシテハ、
更ニ斯ル途ヲ拓ク必要ヲ痛感スル次第デア
リマス、ト申シマスルノハ、有限會社ハ社
員ノ數ガ少イノデアリマスカラ、ドウシテ
モ社員外カラ適任者ヲ求メルト云フコトガ
多イノデアリマス、今日御承知ノ同族會社
ガ、株式會社ニナッテ居リマスルケレドモ、
有限會社ノ規定ガ設ケラレマスルナラバ、
同族會社ノ如キハ多クハ有限會社トシテ設
立セラレタモノデアリマセウ、同族會社ニ
於テ、社員以外ノ者カラ取締役ヲ持ッテ來ル
必要及ビ實益ノ多イコトハ、申ス迄モナ
イノデアリマス、又一面ニ於テ、斯樣ナ社
員以外カラ取締役ヲ持ッテ來ル必要ガ多イ
ノミナラズ、若シ之ヲ假裝的ニ社員ニ致シ
マスルト、詰リ假裝社員ヲ元ニ戾ス方法、
是ガ大變ウルサイノデアリマス、株式ナラ
バ株劵ヲ預ッテ置クト云フヤウナ方法モ講
ゼラレマセウケレドモ、、是ハ其途ガナイ
ノデアリマスカラ、其點ノ紛爭ハ株式會社
以上ニナリマセウ、デアリマスルカラ、株
式會社ニ於テ其必要ガアレバ、有限會社ニ
於テモ、更ニ其必要ガ多イ、斯ウ云フヤウ
ニ御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス、第二十
六條ハ取締役ガ數人アル場合ノ關係ニ付テ、
規定ヲシタノデアリマス、是モ株式會社ニ
於ケルト同樣ノ趣旨デアリマス、第二十七
條ハ取締役ノ會社代表權ヲ、玆ニ明ニシタ
ノデアリマス、其代表ノ形ニ付キマシテハ、
後ニ第三十二條デ商法ノ株式會社ノ規定ヲ
此處ヘ準用致シマシタ、卽チ株式會社ト同
樣デアリマシテ、各自代表ガ原則デアリマ
スガ、共同代表ヲモ認メマスルシ、又特定
代表ヲモ認メマス、第二十八條ハ總會ノ議
事錄ノ規定、又社員名簿ノ規定、又末項ニ
於キマシテ社員及ビ會社債權者ノ、是等ノ
書類ニ付テノ閱覽請求權ヲ規定シタノデ
アリマス、第二十九條ハ取締役ガ自己又ハ
第三者ノ爲ニ、會社ノ營業ノ部類ニ屬スル
取引ヲ爲ス等ノ關係ニ付テノ制限規定デア
リマス、卽チ競爭業禁止ノ規定デアリマシ
テ、是ハ株式會社ニ於ケルト、ヤハリ同樣
ノ趣旨ノモノデアリマス、第三十條モ取締
役ガ自己又ハ第三者ノ爲ニ會社ト取引ヲ爲
ス場合ノ制限規定デアリマシテ、是亦株式
會社ニ於ケルト同樣ノ規定デアリマス、第
三十一條ハ社員總會デ取締役ニ對シテ訴ヲ
提起スルコトヲ否決シマシタ場合ニ、少數
社員權ノ行使トシテ、訴ノ提起ヲ請求スル
ト云フ規定デアリマス、御承知ノ通リ同
趣旨ノ規定ガ、旣ニ株式會社ニアリマシテ、
ソレヲヤハリ此處ニ持ッテ參ッタノデアリマ
ス、此有限會社ニ於キマシテモ、少數社員
權ト云フモノヲ認メル必要ガアラウト存ズ
ルノデアリマス、但シ株式會社ノヤウニ、
左樣ニ强キ意味ニ於テ少數社員權ヲ認メル
程ノ必要モナイノデアラウト思フノデアリ
マス、何シロオ互ニ信賴スル少數ノ社員カ
ラ成立スル會社デアリマスカラ、ソコデ必
然的ニ少數社員權ヲ認メナケレバナラナイ
ト云フノハ、餘リニ水臭イカト存ズルノデ
アリマス、デアリマスカラ、有限會社ニ於
キマシテハ、此點ニ餘裕ヲ設ケマシテ、第
三十一條ノ第二項ニ於テ、定款ヲ以テ別段
ノ定ヲ爲スコトヲ妨ゲズト云フコトニ致シ
マシタ、デアリマスカラ、或ル會社ニ於テ
定款ヲ以テ、此件ニ關スル少數社員權ヲ認
メナイト云フコトニ致シマシテモ宜シイノ
デアリマス、次ニ第三十二條ハ商法ノ條文
ヲ多ク準用シテ居ルノデアリマスガ、是ハ
御承知ノ通リ取締役選任ノ方法、取締役ト
會社トノ關係、取締役ノ解任、取締役ノ職
務代行者ノ選任、取締役ノ會社代表ノ權限、
會社代表權限ヲ有スル者ト認ムベキ名稱ヲ
付ケタ取締役ノ爲シタ行爲ニ付テノ會社ノ
責任、取締役ノ會社及ビ第三者ニ對スル賠
償責任、取締役ニ對スル會社ノ訴提起ニ關
スル事項、取締役ノ受クベキ報酬、取締役
ノ選任權ノ無效又ハ取消ノ訴ニ伴フ假處分
式ノ事項、ソレカラ取締役ノ解任ヲ目的ト
スル株主總會前ニ於ケルヤハリ假處分式ノ
事項、是等ノ規定ヲ玆ヘ持ッテ參ッタノデア
リマス、次ニ第三十三條ハ監査役ニ關スル
規定デアリマス、此監査役ニ付キマシテハ、有限
會社ハ必要機關ト致シテ居ナイノデアリマス、
監査役ヲ置イテモ宜イシ、置カナクテモ宜
イト云フコトニ致シタノデアリマス、何故斯樣
ニ監査役ヲ必要機關トシナカッタカト申シマス
ルト、先程申シマシタ矢張リ特徵カラ來ル
ノデアリマシテ、オ互ニ信賴スル社員同志デ
アリマスルカラ、社員同志デ事ヲ處理スレ
バ宜イ、社員同志デオ互ニ監査ヲスレバ、ソ
レデ宜クハナイカ、斯ウ云フ點ニ思ヲ致シ
タ次第デアリマス、丁度合名會社、合資會社ニ
特段ノ監査役ガナイノト同ジコトデアリマ
ス、デアリマスルカラ定款デ血査役ヲ置カウ
ト思ヘバ置イテモ宜イノデアリマスガ、サ
モナイ限リハ置カナクテモ宜イト云フコト
ニ致シタノデアリマス、次ニ第三十四條デ
アリマスルガ、茲ニモ亦商法案ノ條文ガ澤
山準用ニナッテ居リマス、是ハ監査役ニ關ス
ル問題デアリマシテ、商法案ニハ御承知ノ
通リニ取締役ニ關スル規定ヲ大分準用シテ
居リマス、ソレト同ジ趣旨デアリマシテ、
結局監査役ヲ置クナラバ、之ニ對シテ商法
案ノ監査役ニ關スル規定ト同樣ナル規定ヲ
以テ、之ニ臨ミタイト云フ趣旨デアリマス、
第三十五條以下ハ社員總會ノ規定デアリマ
ス、先ヅ第三十五條ハ社員總會ノ招集者ニ
付テ規定シテ居ルノデアリマスルガ、原則
ハ取締役デアリマス、併シ此原則以外ニ少
數社員權ノ行使トシテ、少數社員ガ之ヲ招
集スル場合ガアリマス、ソレハ第三十七條
ニ明デアリマス、次ハ第三十六條デアリマ
スガ、此總會招集ノ手續ハ、株主總會ニ較
ベマシテ餘程餘裕ガアルノデアリマス、株
式會社ノ如ク多數ノ株主ヲ包容シテ居ルト
云フモノデアリマセヌカラ、二週間前ニ
定ノ書類ヲ以テ通知ヲシナケレバナラナイ
ト云フ窮屈ナ方法ヲ、墨守スル必要ハナイ
ノデアリマス、ソレデ第三十六條ニ於キマ
シテハ、會日ヨリ一週間前デ宜シイト云フ
コトニ致シマシタ、ノミナラズ但書ヲ以チ
マシテ、定款デ此期間ヲ短縮シテモ宜シイ
ト云フコトニ致シマシタ、デアリマスルカ
ラ此社員ノ數次第ニ依リマシテハ、電話デ
呼ンデ集メタトコロデ、些トモ差支ナイノ
デアリマス、デアリマスカラ定款ノ規定
ニ、餘程裕リヲ認メテ居ル譯デアリマス、
尙ホ此外ニ此總會ニ付キマシテハ、第三十
八條デ申上ゲマスルヤウナ便法モアリマス、
又此第四十二條デ申上ゲマスルヤウナ書面
表決ノ方法モ、是認セラレテ居リマス、何
レモ此會社ノ特色カラ出テ來ル規定デアリ
やく、第三十七條ハ、ヤハリ少數社員權ノ
行使トシテノ招集デアリマスルガ、此第二
項ニモ第三十一條第二項ノ準用ノアルコト
ヲ、御注意願ヒタイノデアリマス、卽チ定
款ヲ以テ別段ノ規定ヲスルコトヲ妨ゲナイ
ト云フコトデアリマス、ソレカラ商法ノ規
定ヲ玆ニ準用シテ居リマスルガ、是ハ費用
ノ負擔ナリ、取下和解等ニ付テノ規定デア
リマス、次ニ第三十八條デアリマスルガ、
是ハ先程申シマシタ總會招集ノ便法デアリ
マシテ、總社員ノ同意ガアリマスルナラ
バ、招集ノ手續ヲ必要トシナイト云フコト
ヲ明ニ致シマシタ、例へバ社員ガ新年宴會
ナドデ集ッタ序デニ、其席上デ總會ヲヤラウ
ヂヤナイカト云フヤウナコトハ、株式會社
デハ想像モ出來マセヌシ、又許サレテ居リ
マセヌガ、有限會社デハ結構ナ話デアリマ
ス、デアリマスルカラ其コトヲ第三十八條
ニ明ニ致シマシタ、第三十九條ハ議決權ノ
コトデアリマスルガ、出資一口ニ付テ議決
權一個、斯樣ニ致シマシタ、其趣旨ハ株式
ニ於ケルト同樣デアリマス、而モ但書ハ株
式會社ニ於ケルヨリモ、餘程廣クナッテ居ル
ノデアリマス、「議決權ノ數ニ付別段ノ定ヲ
爲スコトヲ妨ゲズ」ト云フコトニナッテ居リ
マス、唯解釋問題トシテ、議決權ヲ全ク與
ヘナイト云フコトハ、固ヨリ無效デアラウ
ト存ジマス、併シ議決權ヲ少クトモ與ヘマ
スルナラバ、其比例等ハ全ク定款ノ自由ニ
委ネタ譯デアリマス、第四十條ハ有限會社
ガ或ル種類ノ重要行爲ヲ爲シマスルニ、特
別決議ヲ必ズ必要トスルコトヲ明ニシタノ
デアリマシテ、御承知ノ商法案ノ第二百四
十五條ト全ク同趣旨デアリマス、尙ホ此第
三項ハ御承知ノ事後設立ノ制限デアリマシ
テ、商法案ノ第二百四十六條ト同樣デアリ
マス、次ニ第四十一條ハ株主總會ノ規定ヲ
茲ニ準用シテ居ルノデアリマシテ、此有限
會社ノ社員總會ニ付キマシテモ、招集ノ時
期ナリ、招集ヲ決スル方法ナリ、總會ニ於
ケル檢査役ノ選任ナリ、總會ノ決議方法ナ
リ、又議決權ノ數ノ算定ナリ、或ハ又總會
ノ延期、續行、議事錄ノ作成、總會ノ決議
ノ取消、變更又ハ決議ノ無效確認ノ訴、是等
ハ總テ商法案ニ於ケル株主總會ト同樣ノ規
定ヲ以テ、之ニ臨ム積リデアリマス、次ニ
第四十二條デアリマスルガ、是ハ先程申シ
タ書面表決ノ便法ヲ、玆ニ明ニシタノデアリ
マス、第一項ニ於テ總會ノ同意ガアリマス
ナラバ、書面ニ依ル決議ヲシテ宜シイト云
フコトヲ明ニ致シマシタ、第二項ハ決議ノ
目的タル事項ニ付テ、總社員ガ書面ヲ以テ
同意ヲ表シマシタナラバ、ソレデ書面ニ依
ル決議ガアッタモノト看做サレルト云フコ
トヲ明ニシマシタ、書面デノ同意ガ固ヨリ各
社員カラバラ〓〓ニ參リマセウ、其最後ノ
書面ガ到達致シタ時ニ、書面ニ依ル決議ガ
アッタモノト看做サレル譯デアリマス、譬ヘ
テ申シマスルト、取締役ノ方カラ往復葉書ヲ
出シマシテ、斯々ノ事項ニ付テ意見ヲ求メ
タイ、ソレニ對シテ各社員カラ同意ダト云
フコトヲ皆言ッテ參リマスレバ、ソレデ以テ
書面ニ依ル決議ガアッタモノト看做サレル
譯デアリマス、蓋シ有限會社ノ實質ニ鑑ミ
マシテ、斯ル便法ヲ必要トスルモノト存ジ
タ次第デアリマス、第三項ハ書面ニ依ル決
議ハ總會ノ決議ト同一ノ效力ヲ有ッテ居ル
ト云フコト、ソレカラ第四項ハ總會ニ關スル
規定ハ書面ニ依ル決議ヲ準用スルト云フコ
ト、隨テ譬ヘテ申シマスルナラバ、書面表
決ニ於キマシテモ、取消ノ事由ガアリマス
ルナラバ、ヤハリ決議取消ノ訴ヲ起シ得ル
ト云フコトニ相成ルノデアリマス、第四十
三條以下ハ會社ノ經理計算ニ付テノ問題デ
アリマシテ、第四十三條ニ於キマシテ斯樣ナ計
算書類ノ作成ニ付テノ規定ヲ設ケマシタ、是
ハ全ク株式會社ニ於ケルト同樣デアリマス、第
四十四條ハ利益配當ニ付テノ規定デアリマシ
テ、其割合ハ出資口數ニ應ジテ爲スト云フコ
トヲ、原則トシテ居ルノデアリマス、第四
十五條デアリマスルガ、是ハ少數社員權ノ
行使トシテ、裁判所ニ檢査役ノ選任ヲ請求
シ得ルト云フコトヲ規定致シタノデアリマ
ス、是ハヤハリ御承知ノ商法案ニ於ケル株
式會社ノ少數株主權ノ行使ト、全ク同樣デ
アリマス、此點ニ於テ御注意ヲ御願致シマ
スノハ、先程モ申述ベマシタ少數社員權ニ
關スル規定ニ、此案ノ第三十一條ノ第一一項
ト云フモノガアリマシテ、卽チ定款ヲ以テ
別段ノ定ヲ爲スコトヲ許シテ居リマス、併
シ此第四十五條ノ少數社員權ノ行使ニ付テ
ハ、定款ヲ以テ別段ノ定ヲスルコトヲ許サ
ナイノデアリマス、蓋シ此問題タルヤ、會
社ノ業務ノ執行ニ關シテ不正ノ行爲、又ハ
法令若クハ定款ニ違反スル重大ナル事實ア
ルコトヲ疑フベキ場合デアリマスルカラ、
左樣ナ場合ニ對シテモ定款デ別段ノ定ヲ爲
シ得ルト云フコトニスルノハ、甚ダ當ヲ得
ナイモノト考ヘタカラデアリマス、第四十
六條ニ付キマシテハ、矢張商法案ノ條文ガ多
數準用サレテ居ルノデアリマスルガ、是ハ
計算書類ヲ示スコト、定時總會ニ於ケル計
算書類ノ提出ノ義務、計算書類ノ承認ト責
任解除ノ關係、財產目錄ノ記載方法ノ制限
又所謂創業費ノ償却、準備金ノ積立、準備
金使用ノ制限、ソレカラ會社ノ使用人ノ會
社ニ對スル債權ノ優先權、是等御承知ノ商
法案ニ於キマシテ、會社ノ計算ニ付テ規定
ヲ致シテ居リマシタモノヲ、ヤハリ此處ニ
準用致シマシテ、ソレ等ノ關係ニ付テ株式
會社ト同樣ニスル積リデアリマス、第五章
ハ定款ノ變更デアリマスルガ、先ヅ第四十
七條ニ於キマシテ、定款ノ變更ニハ社員總
會ノ決議アルコトヲ必要トスルコトヲ明ニ
致シマシタ、是ハ株式會社ニ於ケルト全ク
同樣デアリマス、次ニ第四十八條ハ定款變
更ニ要スル決議ノ決議要件ヲ規定致シマシ
ク、卽チ是ガ特別決議ニナルノデアリマス、
此處デ御注意ヲ御願致シマスルノハ、第四
十八條ノ第一項デアリマスルガ、總社員ノ
半數以上デアリマシテ、且ツ總社員ノ議決
權ノ四分ノ三以上ヲ有スル者ノ同意ヲ必要
トスルコトニナッテ居ルノデアリマス、詰リ
株主總會ノ特別決議ヨリハ、其要件ガ稍〓嚴嚴
重ニナッテ居リマス、是ハ社員間ニ重要ナル
連鎖關係ノアリマスル有限會社ニ於テ、蓋
シ其特質上當然ノコトト存ズルノデアリマ
ス、次ニ第四十九條デアリマシテ、資本增
加ノ場合ニ於キマシテハ、現物出資ナリ其
他玆ニ揭ゲテアリマスル事項ガ、假ニ定款ニ
定ガナイ場合デモ、增資ノ決議ト同樣ニ爲
スコトガ出來ルト云フコトヲ、明ニシタノ
デアリマシテ、御承知ノ商法案ノ第三百四
十八條ト、同趣旨ノ規定デアリマス、第五
十條ハ資本增加ノ場合ニ於テ、特定ノ者ニ
出資ノ引受權ヲ認メル場合ノ規定デアリマ
シテ、是亦商法案第三百四十九條ト同趣旨
デアリマス、次ニ第五十一條デアリマスル
ガ、資本增加ノ場合ニハ、社員ガ其持分ニ
應ジテ出資ノ引受ヲ爲スコトヲ得ルコトヲ
明ニ致シマシタ、此點ニ付テ申述ベタイノ
デアリマスルガ、外國ノ法制ニ依リマスル
ト、比較的少數デハアリマスルガ、追加出
資ノ義務ト云フノヲ、最初カラ認メテ居ル
モノガアルノデアリマス、譬ヘテ申シマス
ルト、此有限會社ハ設立當時ニ於テハ資本
金ガ百万圓デアルガ十年後ニハ之ヲ百五十
万圓ニスルト云フコトヲ、旣ニ設立當初カ
ラ明ニシテ居リマシテ、卽チ設立當時ノ社
員ガ十年間ニ五十万圓ノ追加出資ヲシナケ
レバナラナイト云フ義務ヲ、當初カラ負擔シ
テ居ルト云フヤウナコトヲ許ス法制モアリ
マスケレドモ、此有限會社法ニ於テハ、左
樣ナ追加出資義務ニ付テノ規定ハ設ケマセ
ヌデシタケレドモ、增資ハ出來ルノデアリ
マシテ、增資ヲ致シマシタ場合ニハ、各社
員ハ引受ノ權利ガアル、義務ハナイト云フ
工合ニ致シタ次第デアリマス、第五十二條
ハ資本增加ノ場合ニ於ケル出資引受ノ手續
デアリマス、但シ此第二項ヲ御留意願ヒタ
イノデアリマスガ、有限會社ハ廣〓其他ノ
方法ニ依リマシテ、引受人ヲ公募スルコトハ
出來ナイノデアリマス、是ハ內輪ナ小規模
ノ組織デアリマスカラ、廣ク社員ヲ募集ス
ルト云フコトヲ、極度ニ避ケナケレバナラ
ナイト存ズルノデアリマス、ソレデアリマ
スカラ社員ガ此新シキ出資ノ引受ヲ致シマ
スルカ、サモナイ限リハ知合カラ社員ヲ歡
迎スルト云フ方法ヲ、採ルベキモノデアリ
マシテ、廣ク公ニ之ヲ募ッテ、他人ヲ入レ
ルト云フコトヲ避ケタ次第デアリマス、第五
十三條ハ增資ノ登記ノ規定デアリマシテ、
是亦株式會社ニ於ケルト略〓同樣デアリマス、
第五十四條ハ設立ニ際シテ第十四條デ申述
ベマシタト同樣ノ塡補責任ヲ、增資ノ場合
ニモ認メタノデアリマス、第五十五條ハ設
立ノ場合ニ於ケル第十五條ト同趣旨ノ規定
デアリマシテ、增資ノ場合ニ於テ、ヤハリ
是ト同趣旨ノ塡補責任ヲ課スルコトヲ定メ
タモノデアリマス、第五十六條ハ設立ノ場
合ノ第十六條ト同樣デアリマシテ、是等ノ
塡補責任ハ五年經タナケレバ、免除ガ出來
ナイト云フコトヲ明ニ致シマシタ、詰リ第
十四條ト第十五條及第五十四條ト第五十五
條トガ、有限責任ノ限度ニ付テノ例外ヲ爲
スモノデアリマス、次ニ第五十七條ハ、增
資ニ付キマシテ本案ノ設立ニ關スル規定、
及ビ商法案ノ增資ニ關スル規定ヲ準用シタ
ノデアリマスガ、ソレハ卽チ設立ノ場合ニ
於ケル出資ノ拂込及ビ事後設立ノ制限、ソ
レカラ引受人カラスル相殺ノ禁止、利益配
當ニ付テノ引受人ノ權利、增資ノ效力發生
時期、增資ノ無效ノ訴ニ關スル事項、是等
ノ規定デアリマス、第五十八條ハ資本減少ニ
付テ、ヤハリ商法案ト同樣ニ之ヲ取扱ハウ
トシタモノデアリマシテ、商法案ノ資本減
少ノ方法ノ決定、財產目錄、貸借對照表ノ
作成、債權者ノ權益擁護ノ手續、併合ニ適
セザル株式ノ處置、及ビ資本減少ノ無效ノ
訴ニ關スル事項、是等ヲ總テ此處へ持ッテ
參ッタノデアリマシテ、詰リ商法案ノ株式會
社ト同樣ニシヨウト存ジタノデアリマス
次ニ第六章デアリマスガ、合併ト組織變
更ニ付テノ規定ヲ、玆ニ網羅シテ居リマス、
先ヅ合併カラ申述ベマスガ、有限會社ハ他
ノ有限會社ト合併ガ出來ルコトニ致シマシ
ク、有限會社同志ノ合併デアリマス、斯ク
シテ出來マスルモノハ有限會社デアリマス、
吸收合併デモ新設合併デモ、有限同志ノ合併
ナラバ有限會社デアリマス、是ガ一ツト、
其外ニ有限會社ト株式會社ノ合併ヲ認メマ
シタ、有限會社ト株式會社トノ合併ガ出來
マシテ、其結果吸收合併トシテ殘リマスモ
ノ、又新設合併トシテ出來マスルモノ、是ハ
有限會社デモ亦株式會社デモ宜イノデアリ
マス、是ダケノ合併ノ體樣ヲ認メタノデア
リマシテ、其以外ノ合併ハ玆ニ取入レマセ
ヌデシタ、卽チ有限會社ト合名會社ト合併
スルガ如キコト、又ハ有限會社同志ノ合併
デモ、其結果出來ルモノガ合名會社デアル
ト云フガ如キコト、是等ハ此案デハ採用シ
ナカッタノデアリマス、蓋シ左樣ナコトハ實
際上殆ド想像出來ナイノデアリマシテ、其
實益モ亦大イニ疑フベキモノデアリマス、
或ハ此運用ノ實際ニ徵シマシテ、段々トサ
ウ云フコトヲ必要トスルヤウニナッテ來ル
カモ知レマセヌ、然ラバ其時ニ殖ヤセバ宜
イノデアリマス、今日ノ程度ニ於テ左樣ナ
無用ナ規定ヲ作リマシテ、徒ラニ煩瑣ニ流
レルト云フコトハ、避ケタ方ガ宜イト思ッタ
次第デアリマス、第五十九條ハ有限會社同
志ノ合併ガ出來ル、サウシテ殘リマスモノ、
出來マスルモノハ、有限會社ニ限ルト云フ
コトヲ明ニシタノデアリマス、合併ニ付キ
マシテハ、固ヨリ特別決議ヲ必要トスルノ
デアリマシテ、ソレ等ノ手續ニ付キマシテ、
株式會社ト同樣ノ規定ヲ、茲ニ持ッテ參ッタ
ノデアリマス、次ハ第六十條デアリマシテ、
有限會社ガ株式會社ト合併ガ出來ルト云フ
コトヲ、玆ニ明ニ致シマスルト共ニ、斯ク
シテ殘リマスル會社、出來マスル會社ハ、
株式會社デモ宜シ、又有限會社デモ宜イト
云フコトヲ、明ニシタノデアリマス、ソコ
デ斯樣ナ場合ニ合併ノ當事者ノ一方ガ株式
會社デアリマスルナラバ、其合併手續ハ御
承知ノ通リニ昨日マデ御審議ヲ願ヒマシタ
商法案ニ於テ、周到綿密ナ規定ガ出來タノ
デアリマスルカラ、株式會社ニ付テハ、ソ
レニ依ル次第デアリマス、尙ホ此點ニ付テ
御注意ヲ御願シタイノデアリマスルガ、株
式會社ノ方ガ有限會社ニ比シマシテ、其設
立手續ハ複雜デアリマシテ、之ニ對スル法
律ノ規定ガ詳細デアリマス、而モ其結果法
律ガ干涉スル點ガ甚ダ多イノデアリマス、
ケレドモ有限會社ハ是ト正反對ニ、極メテ
樂デアリマスカラ、此株式會社ノ設立ノ煩
瑣ナ規定ノ適用ヲ免レル爲ニ、脫法的ニ先
ヅ有限會社ヲ作ッテ置イテ、サウシテ然ル後
ニ合併ヲシテ、株式會社ニナラウ、斯ウ云
フヤウナ不心得ノモノガ出テ來ルカモ知レ
ナイノデアリマス、デアリマスルカラ、此
案ニ於キマシテハ合併ノ結果、株式會社ニ
ナルト云フヤウナ場合ニハ、其合併ハ裁判
所ノ認許ヲ必要トスル、裁判所ノ見張ノ下
デナケレバイケナイト云フコトヲ明ニ致シ
マシタ、卽チ只今申シマス通リニ、有限
會社ノ設立ガ樂デアリマスルガ爲ニ、脫
法的ニ有限會社ノ形ヲ借リテ、合併ノ形デ
以テ實ハ株式會社ヲ拵ヘルト云フ弊害ヲ豫
防スル趣旨デアリマス、是ハ本條ノ第二項
ニ明ニナッテ居リマス、尙ホ有限會社ニ付キ
マシテハ、社債ヲ認メナイノデアリマス、社
債ト言ッタヤウナ廣ク多數ノ人ヲ相手方ト
スル事項ハ、玆ニ認メナカッタ次第デアリ
マス、デアリマスルカラ、有限會社ト株式
會社ト合併致シマスル場合ニハ、其當事者
ノ一方デアリマスル株式會社ガ未ダ社債ノ
償還ヲ完了シナイト云フヤウナ場合ニハ、
合併後出來ルモノハ、有限會社デハイケナ
イト云フコトニ致シマシタ、卽チ社債ヲ背
負込ンデ居ル有限會社ト云フモノヲ、此案
デハ認メナイト云フコトニシタ譯デアリマス、
ソレカラ第六十一條デアリマスルガ、是ハ
株式會社ト有限會社ト合併ヲ致シマシテ、其
合併後ニ殘リ、又ハ合併ニ依ッテ出來マスル會
社ガ、有限會社デアリマシタ場合ニ、從前ノ
株式會社ノ株式ニ付テ質權ガ設定シテアリ
マスルナラバ、合併後ノ有限會社ノ持分ニ、
ソレガ乘移ラナケレバナリマセヌ、ソレ等
ノ關係ニ付テ規定ヲ致シタノデアリマス、
第六十二條ハ合併ニ付テノ登記ニ關スル規
定デアリマス、玆ニ引用ニナッテ居リマスル
商法案ノ第四百十二條ハ、吸收合併ノ報〓
總會デアリマス、又第四百十三條ハ、設立
合併ノ創立總會ノ日デアリマス、是等ノ總
會ノ終結ノ日ヲ基準ト致シマシテ、ツ
ゾレ登記期間ヲ定メタノデアリマス、第六
十三條ハ商法案ノ規定ヲ玆ニ準用シテ居ル
ノデアリマスルガ、是ハ解散後ノ會社ノ合
併ノ制限、債權者擁護ニ關スル規定、合併
ノ效力、合併無效ノ訴、端株ノ處置、合併
契約書、吸收合併ノ報告總會、新設合併
ノ創立總會、是等ニ關スル規定ヲ、ヤハリ商
法通リニシヨウトシタ次第デアリマス、第
六十四條以下ハ、株式會社ガ組織變更ヲシ
マシテ、有限會社ニナリ、又有限會社ガ組
織變更ヲ致シマシテ株式會社ニナルト云
フコトニ關スル規定デアリマス、先ヅ第六
十四條ハ株式會社ガ組織ヲ變更シテ有限會
社ニナリ得ルト云フコトヲ、明ニシタ規定
デアリマス、此場合ニ株式會社ニ於テハ總
株主ノ一致ヲ必要トスルト云フコト、尙ホ
社債償還ヲ完了シテカラデナケレバ、有限
會社ニハナレナイト云フコト、之ヲ第一項
ニ明ニ致シマシタ、斯ク制限ヲ致シマシタ
ノハ、有限會社デハ社債ヲ認メナイコトハ、
先程申シタ通リデアリマスルカラ、社債ヲ
負擔シテ居ル有限會社ト云フモノハ、アリ
得ナイノデアリマス、第二項ハ組織變更ノ
結果ノ基礎確實ヲ期シタモノデアリマス、
會社ニ現存スル純財產額ヨリ多イ金額ヲ以
テ、資本ノ額トスルコトハ出來ナイ、蓋シ
是亦當然ノコトダト存ズルノデアリマス、
御承知ノ通リニ、今日現行規定ニ於テハ有
限會社ガ認メラレテ居リマセヌカラ、若シ
有限會社法ガ實施サレテ居リマスルナラバ
當然有限會社ニナッタデアラウト思ハレル
會社、例ヘバ多クノ同族會社ノ如キハ、ソ
レデアリマシテ、已ムヲ得ズ株式會社ノ形
デ今日設立サレテ居ルト云フコトハ、申ス
迄モナイヤウニ思フノデアリマス、ソレ等
ノ會社ハ今後此規定ヲ利用シマシテ、有限
會社ニ乘移ルト云フコトガ出來ル譯デアリ
マス、次ニ第六十五條デアリマスルガ、此
組織變更ノ場合ニ於キマシテ、第六十四條
ノ第二項ニ付テ申シマシタ純財產額ガ、資
本ノ總額ニ不足シマスル場合ニハ、決議當
時ノ取締役、監査役及ビ株主、是等ノ全部
ガ會社ニ對シテ、連帶シテ其不足額ヲ支拂
フ義務ヲ負フコトヲ明ニシマシタ、蓋シ基
礎ノ鞏固ノ確實ヲ、更ニ確保スル趣旨デア
リマス、第六十六條ハ組織變更ノ場合ノ登
記ノ規定デアリマス、第六十七條ハ有限會
社ガ組織ヲ變更シテ、株式會社ニナリ得ル
ト云フ規定デアリマス、是ハ有限會社ガ有
限會社トシテ仕事ヲヤッテ行キマシタ其實
際ノ成績ニ鑑ミマシテ、是ハ寧ロ株式會社
トシテ手廣クヤッタ方ガ宜イ、斯ウ思ヒマシ
タナラバ、株式會社ニ變形ガ出來ルト云フ
途ヲ拓クコト、是亦當然デアラウト思フノ
デアリマス、併ナガラ之ニ付キマシテモ此
基礎ノ鞏固ヲ期スル爲ニ、先程第六十四條
ノ第二項デ申シマシタト同趣旨ノ規定ガ、
此法文ノ第二項ニモアルノデアリマス、尙
ホヤハリ御留意ヲ御願致シマスルノハ、有
限會社ガ容易ニ組織變更ヲ致シテ株式會社
ニナレルモノト致シマスナラバ、先程申シマ
シタ通リニ有限會社ノ設立ハ樂デアッテ、株
式會社ノ設立ハウルサイノデアリマスルカ
ラ、其ウルサイ規定ノ適用ヲ免レル目的デ、
先ヅ有限會社ヲ作シテ置イテ、然ル後ニ株式
會社ニ組織變更ヲシテ、形ヲ改メルト云フ
ガ如キ脫法的ノ手段ガ行ハレマセウカラ、
ソレヲ豫防シマスル爲ニ第三項ニ於テ、裁
判所ノ認可ヲ受ケナケレバ其效力ヲ生ジナ
イト云フコトヲ明ニ致シタノデアリマス、
丁度此案ノ第六十條第二項、合併ニ付テ申
述ベタト同樣デアリマス、第六十八條ハ、
ヤハリ商法ノ規定ヲ準用シテ居リマスルガ、
是ハ合名會社ノ合併ノ場合ニ於ケル債權者
ノ權益擁護ニ關スル規定デアリマス、ソレ
ヲヤハリ此組織變更ニモ持ッテ來ヨウト云
フノデアリマス、是亦當然ノコトデハナイ
カト存ズルノデアリマス
次ニ第七章ハ解散ノ事由デアリマス、解
散ノ事由ニ付キマシテモ株式會社ト大同小
異デアリマシテ、略〓、似テ居ルト申上ゲテ宜
カラウト存ズルノデアリマス、第七十條ハ
會社繼續ニ關スル規定デアリマシテ、株式
會社及ビ合名會社ニ類似シテ居ルノデアリ
マス、詰リ合名會社ニ類似シテ居リマスル
點ハ、第六十九條ノ第一項第五號、社員ガ
一人トナリマシタ場合ニハ有限會社デハ之
ヲ解散事由ニ致シマシタ、併シ新ニ社員ヲ
加入セシメテ會社ノ繼續ガ出來ルト云フコ
トニ付テ、合名會社ト此點ヲ全ク同ジクシ
タノデアリマス、是ハ本條ノ第二項ニ明カ
デアリマス、第七十一條ハ、ヤハリ是亦商
法案ノ會社ニ於ケルト同樣デアリマシテ、
解散登記ノ後デモ、會社ノ繼續ガ出來ルト
云フコトヲ明ニ致シマシタ、然ラバ何時マ
デ出來ルカト云フコトハ解釋問題デアリマ
スガ、商法案ニ付テ申述ベマシタト同樣ニ、
〓算結了マデハ出來ルモノト存ズルノデア
リマス、次ニ第七十二條デアリマスガ、〓
算人ノ選任ニ關スル規定デアリマシテ、是
亦商法案ト同趣旨デアリマス、第七十三條
ハ殘餘財產ノ分配及ビ其率ニ關スル規定デ
アリマス、利益配當ニ付キマシテハ、此案
ノ第四十四條デ申述ベマシタ趣旨ハヤハリ
商法案ト同樣デアリマス、第七十四條ハ〓
算人ノ解任ノ規定デアリマス、此點ニ付テ
御留意ヲ願ヒタイノハ第二項デアリマス、
重要ナ事由ガアリマスルナラバ、裁判所ハ
監査役又ハ社員ノ請求ニ依リマシテ、〓算
人ヲ解任スルコトガ出來ルトナッテ居リマ
ス、卽チ此解任請求權ニ付テ社員ガ顏ヲ出
シテ居ルノデアリマス、御承知ノ株式會社
ニ於キマシテハ、株主總會ノ決議デ解任ガ
出來ル譯デアリマス、各株主カラ解任請求
ヲ爲シ得ルト云フコトハ、認メテナイノデア
リマス、斯樣ニ社員ニ相當重キ權利ヲ有限
會社デ認メマシタ所以ハ、社員ガ有限會
社ニ於テ重要ナル地位ヲ占メテ居ルカラデ
アリマス、第七十五條ハ商法案ノ規定ヲ多
ク準用シテ居ルノデアリマスガ、是ハ解散
ノ登記ニ付テノ規定デアルトカ、〓算ノ目
的ノ範圍內ニ於テハ解散後ト雖モ會社ガ存
續スルト云フ點デアルトカ、其他解散、〓
算ニ付キマシテ、商法案ノ必要ナル規定ヲ
玆ニ準用シタ次第デアリマス、唯此點ニ付
キマシテ御留意ヲ御願致シマスノハ、株式
會社ノ整理、特別〓算ノ規定、是ハ有限
會社ニハ準用ハナイノデアリマス、
詰リ整理、特別〓算ハ商法案ニ於キマシテ
モ、此案ニ於キマシテモ、株式會社ニ限ル
趣旨デアリマス、是ハ申上ゲル迄モナク、
此有限會社ハ廣ク大仕掛ニ多數ノ人ヲ相手
ニスルト云フヤウナコトハナイノデアリマ
ス、社債ノ募集ナドト云フコトモ、固ヨリ
ナイノデアリマスカラ、隨テ此點ニ付テハ
寧ロ株式會社竝ミノ取扱ヲシナイ方ガ、至
當デアルト考ヘタ結果デアリマス、次ニ外
國會社デアリマスガ、是ハ唯第七十六條ダ
ケデアリマス、卽チ此外國會社ニ付キマシ
テモ、商法案ノ外國會社ト同樣デアリマス
ルガ、唯商法案ノ外國會社ノ中カラ、商法
案ノ第四百八十三條ト云フモノヲ除キマシ
ク、是ハ御承知ノ通リニ日本ニ於テ外國會
社ガ株劵、債劵ヲ發行スル場合ノ規定デア
リマス、所ガ有限會社ハ株劵モ發行シナケ
レバ、債劵モ發行シナイノデアリマスルカ
ラ、其規定ヲ除イタ外ハ、總テ商法案ト同
樣デアリマス
第九章ハ罰則デアリマスルガ、是ハ株式
會社ニ於ケルモノト大同小異デアリマシテ、
先ヅ大體ニ於テ同樣デアリマスルカラ、玆
ニハ之ヲ省略致シタイト思フノデアリマス、
罪ノ內容ニ付キマシテハ商法案ト同樣デア
リマスルガ、株式會社ニ較ベマシテ此有限
會社ノ特質ニ鑑ミマシテ、刑罰ノ最高限度
ヲ少シヅヽ下ゲマシタ、譬ヘテ申シマスル
ト第七十七條デアリマスルガ、其第一項ノ
罪ヲ五年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金
ト致シマシタ、商法案ニ於キマシテハ是ハ
七年以下ノ懲役又ハ一万圓以下ノ罰金トナッ
テ居リマシタ、ソレヲ有限會社ニ於キマシ
テハ五年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金
ト致シマシタ、大體斯樣ナ標準デ一樣ニ稍〓、
輕クナッテ居ルノデアリマス
次ニ第十章ノ雜則デアリマスルガ、是ハ別
ニ系統ノナイ規定デ、必要ナルモノヲ玆ニ
集メタダケデアリマス、第八十七條ハ署名
ノ代リニ記名捺印ヲ爲シ得ルト云フ規定デ
アリマス、是ハ商法外ノモノデアリマスル
カラ、此點ヲ茲ニ明ニスル必要ガアルノデ
アリマス、又第八十八條デアリマスルガ、
此案ノ中ニ債權者ノ權益擁護ノ爲ニ、例ヘ
バ合併、資本ノ減少、組織變更ノ場合ニ債
權者ニ公〓ヲスルト云フ途ヲ拓イテアルノ
デアリマス、ソレ等ノ公〓方法ニ付テ茲ニ
規定ヲ致シマシタ、第八十九條ハ他ノ法規
トノ關係ヲ茲ニ明ニシタノデアリマシテ、
此有限會社ハ商法上ノ會社デハアリマセヌ
ケレドモ、實質ハ會社ニ違ヒハナイノデア
リマス、併シ商法上ノ會社トハ觀念上ナッテ
居リマセヌカラ、他ノ法律デ以テ會社ト云
フモノヲ引用致シマシタ場合ニ、直グ其儘
有限會社ハ其會社ニハ該當シナイト云フコ
トニナリマスカラ、玆ニソレヲ明ニ致シマ
シテ、他ノ法律デ會社ト言ッテ居ルモノニ
此有限限會社モ該當スルノデアルト云フコ
トヲ明ニ致シマシタ
ソレカラ附則ハ施行ノ期日デアリマスガ、
是ハ今日私共ノ考ト致シマシテハ、御審議
ヲ願ッテ居リマシタ商法中改正法律案ト同
時ニ施行ヲシタイト、斯樣ニ考ヘテ居リマ
ス、デアリマスカラ公布後先ヅ一年後ニ實
施ヲスルコトニ相成ルト、斯樣ニ御諒承ヲ
願ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=2
-
003・野村嘉六
○野村委員長 サウシマスレバ有限會社法
案ノ大體ノ御說明ヲ願ヒマシタガ、次ニ商
法中改正法律施行法案ニ付テ御說明ヲ願ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=3
-
004・大森洪太
○大森政府委員 御許シヲ得マシテ此際商
法中改正法律施行法案ニ付テ申上ゲタイト
存ズルノデアリマス、是ハ過渡的關係ヲ調
整スルコトガ主タル目的デアリマシテ、ソ
レニ關聯シテ施行上必要ナル二三ノ事項ヲ、
附加ヘタモノニ過ギナイノデアリマス、過
渡的關係ニ付キマシテハ、此第二條ガ主タ
ル規定デアリマシテ「新法ハ別段ノ規定ア
ル場合ヲ除クノ外新法施行前ニ生ジタル事
項ニモ亦之ヲ適用ス、但シ舊法ニ依リテ生ジ
タル效力ヲ妨ゲズ」是ガ原則ニナッテ居ルノ
デアリマス、一種ノ妙ナ書方ノ法文デアリ
マスルガ、是ハ明治四十四年ノ商法一部改
正ノ時以來、民事法規ノ過渡的調整規定ノ
書方ニナッテ居ルノデアリマス、ヤハリ之ヲ
踏襲シタノデアリマス、サウシテ此中ニ過
渡的規定ガ澤山アリマスルガ、要スルニ第
二條ノ原則ノ適用ヲ明ニシタニ過ギナイノ
デアリマス、多クノ重要ナ場合ヲ例ニ取リ
マシテ、斯樣ナ場合ハ新法ヲ適用スルノデ
アル、斯樣ナ場合ハ舊法ニ依ルノデアルト
云フコトヲ明ニ致シマシタ、卽チ第二條ノ
基準ニ依リマシテ、念ノ爲ニソレヲ明ニ致
シタノデアリマス、是ハ法文ハ親切ニシタ
方ガ宜イト考ヘタ結果デアリマス、ソレ等
ノコトニ付テハ、單ニ此施行ノ經過ニ關ス
ル問題デアリマスルカラ、玆ニ包括的ニ申
述ベルコトヲ差控ヘタイト存ズルノデアリ
さつ、ソレカラ經過規定デナイ條文ガ數箇
アリマスルガ、先ヅ第三條デアリマス、旣
ニ中述ベマシタ小商人ノ意義範圍ヲ玆ニ揭
ゲマシタ、是ハ昨年當委員會ニ於ケル多數
ノ御意向ニ基キマシテ、仰セノ通リニ玆ニ
揭ゲタ次第デアリマス、第五條ハ是ハ市制
又ハ町村制ヲ布カナイ地方ニ付テノ規定デ
アリマス、其第二項ハ是マデ東京市、京都市、
大阪市デアリマシタノヲ、橫濱市、神戶市、
名古屋市ヲ加ヘマシタ、次ニ第七條デアリ
マスルガ、是ハ北海道、樺太ガ府縣ト同一ニ
取扱ハレルト云フ規定デアリマス、次ニ第十
七條デアリマスルガ、是ハ公〓ノ方法ニ付テ
ノ規定デアリマス、ソレカラ第四十九條デア
リマス、是ハ會社ノ計算書類ノ記載方法ノ
樣式ヲ命令デ定メタイト思ッテ居リマス、此
命令ニ付テハ只今篤ト調査中デアリマシテ、
實施準備ノ期間中ニ之ヲ公ニシタイト存ジ
テ居リマス、ソレカラ第五十六條デアリ
マスルガ、是ハ銀行、信託會社デナケレバ
受託會社ニナレナイ、又受託會社ノ事務承
繼者ニモナレナイト云フコトヲ明ニ致シマ
シタ、今日ノ實際ニ於テハ銀行、信託會社以
外デ受託會社ニナルモノモナイデアリマセ
ウガ、若シ將來ソレ以外ノモノガナリマシ
タ場合ニハ、或ハ基礎ノ鞏固デナイモノ、
又業務執行ノ甚ダ確實デナイモノガ入ッテ
居ル虞ガアリマスカラ、銀行、信託會社ニ
限定シタ次第デアリマス、ソレカラ第六十
條デアリマス、是ハ社債權者集會ノ場合ノ
供託ノ問題デアリマスガ、其供託ハ供託局
ニスルノガ原則デアルケレドモ、併シ供託
局ガ無イ地方モアリマス、又供託局ダケデ
ナク別ニ信託會社、銀行ニヤッタ方ガ便利ダ
ト思ハレル場合モアリマス、デアリマスル
カラ、サウ云フ供託ヲ銀行ナリ信託會社ニ
爲シ得ル途ヲ開イタノデアリマシテ、而モ
是ハドノ銀行、ドノ信託會社デモ宜イト云
フ趣旨デハナイノデ、司法大臣ノ指定シタ
モノニ依ルト云フコトニ致シマシタ、今日
金錢以外ノ財產ノ供託ハ、司法大臣指定ノ
倉庫營業者ニ對シテ爲スト云フコトニナツ
テ居リマス、先ヅソレニ似タル趣旨デアリ
やっ、第六十一條ハ社債權者集會等ニ付テ
ノ公〓ノ方法デアリマス
是等ノ規定ガ經過規定デナイ施行ニ必要
ナル特殊ノ規定トシテ、設ケタモノデアリ
マシテ、其以外ハ總テ經過的規定デ、之ヲ
要スルニ第二條ノ適用ヲ、ソレ〓〓重要事
項ニ付テ明ニシタモノニ過ギナイノデアリ
マス、甚ダ蕪雜ナ御說明デアリマシテ恐縮
デアリマスケレドモ、一應是デ終リマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=4
-
005・野村嘉六
○野村委員長 サウシマスレバ是カラ質疑
ニ入リタイト思ヒマスガ、先ヅ有限會社法
案ヲ一括シマシテ、御質疑ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=5
-
006・仲井間宗一
○仲井間委員 第十九條ノ第二項デアリマ
ス、是ハ有限會社ノ性質上五十人以上ノ社
員ヲ超エナイト云フコトニナッテ居リマス、
ソレヲ超エルヤウナ讓渡ハ禁止スル、所ガ
例外トシテ遺贈ノ場合ハ其制限ヲ超ユルヤ
ウナ意味ノ規定デアリマスガ、成程相續ノ
場合ハ一人デ數口ヲ持ッテ居ル、一人ノ持分
ガ遺產相續ニ因ッテ數人ノ遺產相續ヲ開始
スル場合ガアリマス、其他ノ場合ハ殆ド讓
渡ト同ジヤウナコトニナルノデハナイカト
思フノデアリマスガ、普通ノ讓渡ト相續ヲ
省イテ遺贈ト別ニ變ッタ取扱ヲシテ居ル理
由、ソレヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=6
-
007・大森洪太
○大森政府委員 洵ニ御尤ノ御尋ト存ズル
ノデアリマス、遺贈ダケ玆ニ特殊ノ扱ヒヲ
致シマシタノハ、要スルニ死者ノ意思ヲ重
ンズルト云フ趣旨デアリマシテ、生前贈與
デアリマスナラバ、是ガ無效ニナリマスル
ト、ヤリ變ヘル途モアリマセウケレドモ、
遺贈者ハ死ンデ居ルノデアリマスカラ、ヤ
リ變ヘガキカナイ、斯樣ナコトモアリマス、
遺贈ノ場合ダケハ裕リヲ示シテヤル方ガ宜
カラウ、斯樣ニ考ヘタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=7
-
008・仲井間宗一
○仲井間委員 同樣ナ趣旨デ、斯ウ云フ場
合ガ起キテ來ヤセヌカ思フノデアリマス、
一人ノ社員ニ對シテ債權者ガ持分ノ差押ヲ
致シマス、其持分ノ差押ヲシタ場合ニハ、
合名會社或ハ合資會社ト同ジヤウナ取扱ニ
ナルノデアリマスカ、其規定ガアリマセヌ
ノデ、先ヅ其點カラ御伺シテ次ノ御尋ヲ致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=8
-
009・大森洪太
○大森政府委員 御指摘ノヤウナ合名會社
ニ關スル規定ハ、此處ニ準用サレテ居ナイ
ノデアリマス、デアリマスルカラ差押ノ結
果讓渡ニナリマスルナラバ、ヤハリ其讓渡
ハ第十九條ノ制限ヲ受ケル積リデ居リマス、
差押カラ來ル社員權ノ移轉ニ付キマシテモ、
ヤハリ第十九條ノ制限ニ服スルモノトシテ
立案ヲ致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=9
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010・仲井間宗一
○仲井間委員 サウ致シマスト一人デ十口
ノ持分ヲ持ッテ居ッタトシテ、ソレヲ何カノ
關係デ-想像デアリマスガ、十五人ノ債
權者デ共同シテ十口ノ持分ヲ供託シタ、サ
ウスルト十口ノ持分デ十五人ノ供託ニ依リ
マシテ、其十口ヲ共有スルコトニナル、サ
ウ云フ場合デアリマスルガ、株式會社デハ
共有ガ一株ノ共有ダト私ハ考ヘテ居ルノデ
アリマスガ、所ガ實際ニ於テハ一株ノ共有
デハナクシテ、十株ヲバ十五人デ共有シ得
ル場合モ豫想シ得ルノデアリマスガ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=10
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011・大森洪太
○大森政府委員 只今ノ御設例デアリマス
ガ、其契約ハヤハリ讓渡ノ結果ヲ來タスノ
デアリマシテ、第十九條ノ制限ヲ無視シテ
ハ、契約ガ出來ナイモノト存ジテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=11
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012・仲井間宗一
○仲井間委員 サウ致シマスト、其無效ニ
ナッタ場合ニハ、ドウナルノデアリマセウ、
是ハマア一般ノ法規ニ依ッテ取扱ヲシナケ
レバナラヌコトニナル譯デスガ、何カ弊害
ガ起リハセヌデセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=12
-
013・大森洪太
○大森政府委員 讓渡ガ無效ニナリマシタ
結果、不當利得ノ問題ハ當然ニ起リマセウ、
或ハ損害賠償ノ問題ガ伴フ時モアリ得ルト
思フノデアリマス、ソレデ讓渡當事者間ニ
ハ、無效ニナリマスト迷惑千萬デアリマセ
ウケレドモ、ソレヲ犧牲ニシテデモ有限會
社ノ特色ハ、ヤハリ保存ヲシナケレバナラ
ナイ、斯樣ニ考ヘタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=13
-
014・仲井間宗一
○仲井間委員 第三十一條ノ少數株主權ノ
訴提起ノ件デアリマスガ、是ハ株式會社ノ
場合デモ出マシタガ、聽洩ラシタノデアリ
マスガ、簡單デアリマスカラ御聽カセヲ願
ヒタイ、若シ會社ニ訴ヲ提起スルコトヲ要
求シタ際ニ、提起ヲ爲サヾリシ場合ノ救濟
方法デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=14
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015・大森洪太
○大森政府委員 商法案ノ第二百七十七條
第二項ニ於キマシテ、少數株主權ノ行使ト
シテ其規定ガアルノデアリマシテ、趣旨ニ
於テ少數株主カラ訴ノ提起ガ出來ルト云フ
ヤウナ段階ニナル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=15
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016・仲井間宗一
○仲井間委員 若シ提起シ得ザル場合ニ、
少數株主ガ自ラ原告トナッテ提起ヲシナケ
レバ、徹底シナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=16
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017・大森洪太
○大森政府委員 商法案デハ第二百六十八
條デアリマシテ會社ガ請求ノ日カラ一箇月
內ニ之ヲ提起シナケレバナラナイコトニナッ
テ居リマス、デアリマスルカラ會社ガ提起
シナイト云フコトハ、會社トシテ此規定ニ
違反スル結果ニナル譯デアリマス、一寸御
許ヲ得マシテ、先刻ノ私ノ申シ足リナイト
コロガアッタヤウニ思ヒマスガ、仲井間サン
ノ御質問ニ對スル最初カラノ御答トシテ、
第三十一條ノ少數社員權ノ行使トシテノ訴
ノ提起ノ請求ハ、會社ニ對シテ之ヲ爲シ得
ルノデアリマスルケレドモ、會社ガ之ヲ爲
シマセヌ場合ニ、第二百七十七條第二項ノ
豫想スル以外ニハ、少數社員ガ自ラ訴ヲ提
起スルト云フコトハ、認メラレテ居リマセ
ヌ、併ナガラ會社ハ此規定ニ違反シタルモ
ノトシテ、義務違反ノ問題ハ固ヨリ當然ニ
起ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=17
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018・仲井間宗一
○仲井間委員 サウ致シマスルト、是ハ唯
義務違反ト云フノミノ制裁ヲ科セラレルダ
ケデ、少數株主權ノ擁護ト云フ點ニ付キマ
シテハ、餘リ徹底シテ居ラナイヤウデアリ
マス、商法ハ少數株主權ヲ擁護スル趣旨ニ
於テ、ソレガ規定ガアルニ拘ラズ、唯義務
違反ダト云フノミヲ制裁シテ、少數株主權
ヲ行使シ得ル機會ヲ與ヘルト云フコトガ、
最モ必要ダト思フノデアリマスルガ、何カ
ノ解釋ニ依ッテ若シ會社ガ行使シナイ場合
ニハ、少數株主ガ會社ニ代ッテ提起ヲシ得ル
ト云フ解釋ハ出來得ル問題デセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=18
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019・大森洪太
○大森政府委員 只今ノ申述ベマシタ所
ハ、商法案ニ付テモ同樣デアリマシテ、此
點ニ付キマシテハ商法案ト有限會社法案ト
ノ間ニ、異ル所ハナイノデアリマス、尙ホ
商法案ノ第二百七十七條ニ依リマスルト、
「會社ガ取締役ニ對シ又ハ取締役ガ會社ニ
對シ訴ヲ提起スル場合ニ於テハ其ノ訴ニ付
テハ監査役會社ヲ代表ス」トアリマシテ、
其次ニ「株主總會ハ他人ヲシテ之ヲ代表セ
シムルコトヲ得」ソレカラ第二項ニヤハリ
「株主ガ取締役ニ對シテ訴ヲ提起スルコト
ヲ請求シタルトキハ特ニ代表者ヲ指定スル
コトヲ得」此規定ヲ運用致シマシテ、特定
ノ代表者ヲシテ提起セシムル途モ拓カレマ
ス、尤モ是ハ一ツノ場合タルニ止マリマシ
テ、御尋ノ總テノ場合ニ當ラナイコトハ固
ヨリデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=19
-
020・仲井間宗一
○仲井間委員 ソレハ其程度デ宜シウゴザ
イマス、今ノ二百七十七條ノ商法ノ規定ニ
依ッテ、ソレニ當嵌ル場合ニハ、ソレニ依ッ
テ救濟ガ出來マスルケレドモ、全部ト云フ
譯デハアリマセヌ、此三十一條ノ後段ニ依
リマスルト「請求ノ日ヨリ一月內ニ之ヲ提
起スルコトヲ要ス」若シ起サナイ場合ニ、ソ
コデ救濟ノ途ヲ講ジタラト思フノデアリマ
ス、若シ講ズル方法ガナケレバ、少數株主
權ヲ認メテ置イテ、ソレヲ抛棄シタト同ジ
ヤウナ結果ニナルノデゴザイマスカラ、ソ
コヲ一ツ救濟ノ方法ハナイノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=20
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021・大森洪太
○大森政府委員 此商法案ニ於キマシテ、
少數株主權ノ行使トシテ總會ヲ招集スルト
云フ場合、此請求ニ付キマシテハ、此請求
ガ容レラレマセヌ場合ニハ、少數株主ガ裁判
所ノ許可ヲ得テ自ラ招集スルト云フ途ガ拓
カレテ居リマス、所ガ商法案ニ於キマシテ
モ、此訴提起ノ場合ニ付テハ「要ス」トアリマ
スルガ、會社ガ此「要」スト云フ規定ヲ守リ
マセヌ場合ニ、少數株主ガ自ラ訴ノ提起者ニ
ナルト云フ途ハ拓カレテ居ナイノデアリマ
ス、現行法モ同樣デアリマスルシ、此商法
案モ、ヤハリ左樣ニナッテ居ルノデアリマス、
成程總會招集ノ點ニ關スル少數株主權ノ行
使ノ規定ト對應シマスレバ、此點ハ足リナ
イトモ言ヘマセウガ、少數株主權ノ行使ヲ
何處マデ擴張スルカ、何處マデ徹底セシム
ルカト云フ問題デアリマシテ、程度ノ問題
デハアリマスルケレドモ、此訴ニ付テハ先
ヅ本案ノ程度、卽チ現行法ノ程度デ滿足シ
テ宜クハナイカト考ヘタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=21
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022・仲井間宗一
○仲井間委員 然ラバ少數株主權ノ中デ、
訴提起ニ關スル限リニ於テハ、訴提起ヲ會
社ニ請求シ得ルノダト云フ範圍ノミデ、其
程度デ少數株主ヲ擁護シヨウト云フ立前
デ、制定サレタノデアリマスカ、ソレデ代ッ
テ少數株主ガ誰カ代表者ヲ決メテ、訴ヲ提
起スル迄ニ進ム方法ハ今日認メテ居ル、今
日ノ程度トシテハ會社ニ請求ヲスレバ、ソ
レデ宜イト云フ程度ノ保護ヲ與ヘヨウト云
フ立前カラ、此規定ガ出來タノデアリマス
力発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=22
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023・大森洪太
○大森政府委員 但シ先程申述ベマシタ通
リ、第二百七十七條ノ第二項ガ働キ得ル限
リニ於キマシテハ、此案デモ御說ト大シテ
開キノナイ程度ニナルダラウト思フノデア
リマス、卽チ第二百七十七條ノ第二項ニ依
リマシテ、少數株主權行使ニ關スル規定ニ
依リマシテ「株主ガ取締役ニ對シテ訴ヲ提
起スルコトヲ請求シタルトキハ特ニ代表者
ヲ指定スルコトヲ得」此代表者カラ訴ノ提
起ガ出來ル譯デアリマス、併シ此指定代表
者カラ訴ヲ提起シナイトスルナラバ、是 八
マア途ハナイノデアリマス、要スルニ今御
指摘ニナリマシタ足リナイヂヤナイカト言
ハレマスル部分ノ、全部ヲ掩フカ否カ分リ
マセヌガ、第二百七十七條ノ第二項ヲ適用
スルダケノ途ハ、明ケテアルノデアリマス、
是レ以外ニ强クスルコトハ如何デアラウカ
ト考ヘタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=23
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024・仲井間宗一
○仲井間委員 然ラバ此點ハ此程度デ御伺
スルコトヲ止メマシテ、外ノ點ヲ御伺シマ
スガ、持分ノ差押ニ付テ、合名會社ノ規定
ガ準用ニハナッテ居リマセヌケレドモ、利益
配當デアルトカ、或ハ持分配當デアルトカ
云フヤウナモノニ、效力ガ及ブト云フヤウ
ナコトハ、規定ガナイカラ、ソレニハ及バ
ナイト云フ解釋デアリマスカ、ソレヲ御伺
致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=24
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025・大森洪太
○大森政府委員 御說ノ利益配當、殘餘財
產ノ分配、之ニ及ブカ否カハ解釋上確ニ疑問
ノ餘地ガアルダラウト思フノデアリマス、
私共ハ寧ロ積極的ニ解シタイト思ッテ居リ
マスケレドモ、是ハ私個人ノ解釋デアリマ
スカラ、此場デ御聽流シヲ願ヒタイト思ヒ
マスガ、左樣ナ解釋ガ行ハレテ居リマスコト
ハ事實デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=25
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026・仲井間宗一
○仲井間委員 有限責任會社ト云フモノ
ハ、合名會社ト株式會社トノ中間ト言フ
カ、合ノ子見タイナモノデアッテ、ドッチ
カト云フト、個人的ナ、社員的ナ人的方
面ニ於ケル所ノ密接ナル關係ハ、今ノ法
案ヨリモ合名會社ノ方ガ却テ濃厚ダト思
ヒマス、合名會社ニシテモ財產上ノ債權
者ノ差押ノ效力ガ、利益配當、殘餘財產ノ
分配ニ迄及ブノデアリマスカラ、是ヨリモ
尙ホ社員會ニ於ケル所ノ人的關係ガ薄イ本
案ニアリマシテハ、尙ホ非常ニ殘餘財產ノ
分配トカ、利益配當ニモ及ブモノデアルト
云フコトガ、强ク解釋シ得ラレルト私ハ思
フノデアリマス、左樣ニ解釋致シマスルガ、
ソレニ對スル御意見ヲ簡單ニ御伺シタイト
思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=26
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027・大森洪太
○大森政府委員 成程御說ノ通リニ人的要
素ノ强イコトハ、有限會社ヨリ合名會社ノ
方ガ大ニ强イノデアリマス、唯私共此案ニ
付テ考ヘマシタノハ、折角新シク出來マシ
タ此有限會社ガ、其方面カラ突崩サレテ來
マスルト、旨ク育タナイノヂヤナイカ、斯
ウ云フヤウナ考ヲ持チマシテ、有限會社ノ
存立ヲ確保スルト云フヤウナ趣旨カラ、成
ベク社員切崩シニ掛ルヤウナモノハ差控ヘ
タ方ガ宜クハナイカト考慮ヲシタ次第デア
リマス、併ナガラ是ハ劈頭ニ申述ベタ點ニ
モ關係ヲ致シマスルガ、新シイ制度デアリ
マスルカラ、其實際ノ運用ヲ能ク見マシテ、
サウシテ其實際ノ運用上左樣ナ懸念ガナイ
ト云フ確信ガ付キマスルナラバ、債權者保
護ノ見地ニモ十分考慮ヲ拂ヒマシテ、御說
ノヤウニスルコトモ是ハ確ニ一策デアラウ
ト思フノデアリマス、是ハ暫ク相當期間運
用ノ實績ヲ見ルコトニシテ戴キタイノデア
リマシテ、詰リ斯ル規定ヲ設ケナカッタ所
以ノモノハ、有限會社ノ存立ヲ今暫ク愛護
シテ行カウ-言葉ガ甚ダ變デアリマス
ガ、左樣ナ感ジカラ出テ來タ次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=27
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028・仲井間宗一
○仲井間委員 此點ハ御伺申上ゲナイ積リ
デ居ッタノデアリマスガ、只今御答辯ニ依リ
マシテ、一言ダケ、私希望ト言ヒマセウカ、
申述ベテ見タイト思フノデアリマス、私ハ
此商法カラ有限會社法案ニ至ル迄ノ全體ノ
空氣ト致シマシテ、商法ノ詰リ指導精神ト
申シマセウカ、其點カラ見マシテ、會社ガ
公共性ヲ帶ビルト云フコトガ、段々ニ濃厚
ニナッテ參ッタノデアリマス、其點カラ會社
自身ヲ擁護スルト云フヨリモ、第三者社會
ヲ擁護スルト云フコトニ進ンデ行カナケレ
バナラヌ時勢ニ、ナッタノデハナカラウカト
思フノデアリマス、以前ハ日本ハ資本主義
ヲ進步セシメテ、色々商事方面デモ發展ヲ
計畫シナケレバナラヌ時代デアッタノデス
ケレドモ、今日ハ旣ニ資本主義ノ是正ヲシ
ナケレバナラヌ時代ニ到達シタノデアリマ
スカラ、色々ナ方面カラ第三者ヲ保護シナ
ケレバナラヌ所ノ立前ヲ以テ、臨マナケレ
バナラヌ時代ニ於テ、會社自身ヲ愛護スル
ト云フヨリハ-勿論此會社ヲ育ンデ行ク
爲ニハ、愛護シナケレバナラヌデアリマセ
ウシ、新シイ試ミデアリマスカラ、ソレヲ
十分育テテ行カナケレバナラヌト云フコト
ハ、殊ニ大森サンニ於カレマシテハ、生ミ
ノ親デアリマスカラ、此邊ノコトヲ是非ト
モ成功サシテ行カナケレバナラナイト云フ
御考ハ、無理デモアリマセヌケレドモ、私
達ハ大局ニ立ッテ會社ヲ愛スルヤ社會ヲ愛
スルヤト云フ立場ニ立ッテ參リマス際ニハ、
會社自身ノ發展モ望マナケレバナラヌノデ
アリマスルガ、會社ニ對スル信用主義ト云
フコトヲ第一主眼ニ置キマシテ、其信用主
義ガ軈テハ第三者ヲ保護スルト云フコトニ、
終局ハナッテ來ルノデアリマスカラ、ドウシ
テモ第三者保護ヲ第一義ト見テ行カナケレ
バナラヌノデハナイカ、此點カラ見マシテ、
ドウシテモ合名會社ニ對スル第三者ノ地
位、此有限會社對第三者ノ地位ト云フコトニ付
テモ、ドウシテモ債權者保護ニ對シテ完璧
ヲ期スル上ニ、其解釋ヲ致シタイト私共ハ
考ヘテ居ル次第デアリマス、サウ云フ意見
デアリマスカラ、ドウゾ今後ノ裁判取扱ニ
付キマシテモ、左樣ニ再檢討ヲ爲シテ戴ク
ヤウニ御願スル次第デアリマス、私ノ質問
ハ大體是デ打切リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=28
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029・大森洪太
○大森政府委員 只今ノ御注意ハ洵ニ感謝
スル次第デアリマス、此新法案ガ法律ニナ
リマシタ場合ニ、其運用ニ付キマシテハ私
共非常ニ深キ關心ヲ持ツノデアリマシテ、
御注意ニナリマシタ御趣旨ニ、十分副フヤ
ウニ努力ヲ致シタイト存ズル次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=29
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030・中野治介
○中野委員 有限會社法ノ二條デアリマス
ガ、此說明ヲ見マスト、趣旨ハ大體分ルヤ
ウデアリマスガ、成文上一寸分リマセヌ所
ハ、一條ヲ見マスト有限會社トハ商行爲其
他ノ營利行爲ヲ業ト爲スヲ目的トシテ居ル
ノガ此會社デアリマスガ、其目的以外ニハ
有限會社ハナイ筈ノヤウニナッテ居ルノガ、
第二條ニ「有限會社ハ商行爲ヲ爲スヲ業トセ
ザルモ之ヲ商人ト看做ス」斯ウナッテ居リマ
スルガ、此邊ハドウデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=30
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031・大森洪太
○大森政府委員 御尤ノ御質問デアリマス、
第一條ハ有限會社ノ目的ヲ規定シタモノデ
アリマス、此目的ノ中ニ商行爲ト商行爲以
外ノ營利行爲トガアリ得ル譯デアリマス、
御承知ノ通リニ商行爲ヲ業トシマスレバ、
當然ニ商人デアリマスルケレドモ、併シ商
行爲以外ノ營利行爲ヲ致シマシタ場合、譬
ヘテ申シマスルト、牧畜業デアルトカ、養
蠶業デアルトカ、鑛山業デアルトカ、斯ウ
云フノハ營利行爲デアリマスルケレドモ、
商行爲デハアリマセヌ、左樣ナコトヲ目的
トシタ有限會社ガ有限會社デアルコトハ、
疑ガアリマセヌケレドモ、商人デアルカド
ウカト云フコトニ疑ガ起ルノデアリマス、
ケレドモ、ソレハ商人ト看做スノダト云フ
コトデ、第二條ニソレヲ明ニシタ次第デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=31
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032・中野治介
○中野委員 サウ致シマスト、第一條ニ商行
爲ト、ソレカラ商行爲デナイ其他ノ營利行
爲ト二ツアル、サウスルト其後段ノ分ガ第
二條ノ中デ目當テニシテ居ルノダ、斯ウ心
得テ宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=32
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033・大森洪太
○大森政府委員 御說ノ通リデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=33
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034・中野治介
○中野委員 ソレカラモウ一ツハ、前ニ御
尋ニナリマシタ第十九條ニ付テノ疑デアリ
マスガ、家督相續ト遺產相續ハ、唯被相續
人ガ戶主デアルト、家族デアルト云フコト
ニ於テ差異ガアルダケデゴザイマシテ、親
ノ權利義務ヲ繼承スルト云フ立前カラ考ヘ
マシテモ、ソレカラ又親ノ子ニ對スル愛情
其他一般ノ觀念ハ、少シモ變ッテ居ナイノデ
アリマスガ、唯法律ノ結果ト致シマシテ、
家督相續ノ場合ニハ相續人ガ一人シカナイ、
ソレカラ遺產相續ノ場合ニハ一人以上モア
ルコトヲ想像ガ出來ルト云フダケデゴザ
イマシテ、是ハ唯其子供ガ多イ少イノト、
ソレカラ家督ト遺產、卽チ被相續人ガ戶主
デアルト家族デアルトノ差異カラ生ズル差
別ガアルダケデゴザイマシテ、實質上何等
差異ガナイノデアリマス、所ガ只今ノ御說
明ニ依リマスルト、遺產相續ノ場合ニハ遺
贈ト取扱ヲ別ニセラレマシテ、一般ノ讓渡
ト同ジヤウナ取扱ヲ受クル、サウナリマス
ト、家督相續ノ場合ト遺產相續ノ場合トガ、
非常ニ結果ガ違ッテ參ルト云フコトニナル
ノデアリマスルガ、其點ハドウ云フ御考デ
家督相續ト遺產相續ノ場合ハ、サウナッチモ
致シ方ガナイト云フ風ニセラレタノデゴザ
イマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=34
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035・大森洪太
○大森政府委員 第十九條ノ第二項ニ、遺
產相續ト云フコトヲ明ニ致シマセヌデシタ、
其理由ハ、是ハ讓渡ノ場合デアリマシテ、
御承知ノ通リ相續ハ讓渡デハアリマセヌカ
ラ、相續ノ場合ハ第十九條第二項ニハ入ラ
ナイノデアリマス、今家督相續ト遺產相續
ノ區別カラ生ズル問題ニ付テ、御質問ニナ
リマシタガ、ソレハ思フニ第八條ニ付テノ
御疑問デハナイカト存ズルノデアリマス、
詰リ第八條ノ第二項ニ、遺產相續ヲ規定シ
テ、ナゼ家督相續ヲ規定シナカッタノカ、斯
ウ云フ御質問デアリマスルナラバ、只今御
質問中ニ既ニ御述ニナリマシタ通リニ、家
督相續ハ一人カラ一人ヘノ問題デアリマス、
所ガ遺產相續ナラバ事ニ依ルト一人カラ數
人ヘト云フ問題ヲ生ズルノデアリマスカラ、
隨テ五十人ガ五十二人ニナリ五十三人ニナ
ルト云フ虞ガ生ジマス、ソレデ特ニ遺產相
續ノ場合ヲ、第八條ノ第二項ニ現ハシタ次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=35
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036・中野治介
○中野委員 能ク分リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=36
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037・江原三郎
○江原委員 第九條ノ資本ノ總額ノコトニ
付テ御伺致シタイト思ヒマス、第九條ニ依
リマスト「資本ノ總額ハ一万圓ヲ下ルコト
ヲ得ズ」ト云フ規定ガアリマスノデ、有限會
社ニ限ッテ一万圓以下デハ許サレヌ、斯ウ云
フ風ニナルノデスガ、合資會社、株式會社
ト云フヤウナ工合ニ、他ノ會社ニ於キマシ
テハ、資本金ニ付キマシテハ、其資本金ヲ
何程ニスルカト云フコトヲ、大體定款ニ委
カシテアリマスガ、獨リ此有限會社法ニダ
ケ、資本金ヲ定款ニ委セズ、最低限度ヲ
万圓ニ決メタト云フコトハ、是ハ何カ特ニ
有限會社ノ特質トシテ、一万圓ニ決メルト
云フ必要ガアッテ決メタト云フコトニナル
ノデアリマスカ、譬ヘテ見レバ、他ノ會社
ハ資本金ノ少イ會社モアル、併シ有限會社
ニ限ッテハ一万圓以下ノ資本金ハナイノデ
アルカラ、ソレダケヲ規定シテ、他ノ會社
ヨリモ一應信用ガアルト云フコトヲ一般ニ
知ラシメルト云フヤウナ趣旨デ、有限會社
ノ特質ニスルト云フヤウナ趣旨カラ、万
圓ト云フコトヲ規定シタノデアリマスカ、
ソレヲ御伺シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=37
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038・大森洪太
○大森政府委員 只今御指摘ニナリマシタ
中デ、合名會社、合資會社ハ人的責任、無
限責任デアリ若クハ無限責任ヲ含ムモノデ
アリマスカラ、是ハ暫ク問題外ト致シマシ
テ、先ヅ比較スルト株式會社ト有限會社ト
デアリマスガ、御示ノ通リニ株式會社ニハ
資本ノ最少限度ト云フモノヲ、法律ハ定メ
テ居リマセヌ、然ルニ有限會社ニ之ヲ定メ
マシタ所以ノモノハ、有限會社ノ設立ハ極
メテ樂デアリマスカラ、若シ何等ノ制限ヲ
置キマセヌ場合ニハ、自然人ガ有限會社ノ
恰好ヲ假裝致シマシテ、實質上ニ於テ決シテ
有限會社デナイニ拘ラズ、有限會社ダト云
フ顏ヲシテ取引界ニ出ル、斯ウ云フコトガ
生ジ易イヤウデアリマス、サウ致シマスル
ト、會社デナイモノガ會社ノヤウナ顏ヲシ
テ出ルコトハ、頗ル法律生活ノ安固ヲ破ル
譯デアリマスルシ、有限會社ソレ自身トシテ
モ迷惑ナ話デアリマス、僞物ガ本物ノヤウナ
顏ヲシテ出ルノデアリマスカラ、卽チ左樣
ナコトヲ許シマスルコトハ、決シテ有限會
社ナルモノノ信用ヲ世間ニ繫グ所以ニハ相
成ルマイト思フノデアリマス、左樣ナ意味合
ニ依リマシテ、大抵ノ國ハ此最少限度ヲ決
メテ居ルヤウデアリマス、實例ヲ申シマス
ルト、獨逸法デハ二万馬克ニナッテ居リマ
ス、墺地利法デハ二万志、佛蘭西法デハ二
万五千法、波蘭法モ同樣デアリマス、瑞西法
ガ二万法、伊太利ノ法案ハ五万「リラ」、白耳
義ノ法案ハ五万法、斯ウナッテ居リマス、デ
アリマスカラ、此限度ヲ何レニスレバ五イ
カト云フコトハ、大イニ問題デアリマセウ
ガ、有限會社ノ資本ノ最少限度ヲ決メルト
云フコトハ、只今申シマシタヤウナ實際上
ノ見地カラ、必要ナコトト存ジタ次第デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=38
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039・江原三郎
○江原委員 只今ノ御說明デ諒解ガ出來マ
シタ、更ニ一點御伺シタイト思ヒマス、ソ
レハ此有限會社法ガ施行セラレルト云フコ
トニナリマスルト、此法律ニ非常ニ期待ヲ
シテ、此法律ヲ適用シテ、一ツ有限會社デ
仕事ヲシヨウト云フ空氣ガ、相當ニアルヤ
ウニ聞イテ居ルノデアリマス、殊ニ現在合
資會社ノ組織デ仕事ヲシテ居ル人達ガ、此
有限會社ノ組織ニ變リタイト云フ空氣ガ、
相當ニアルヤウニ聞イテ居ルノデアリマス
ルガ、其場合ニ現在ノ合資會社ガ官廳關係
カ何カデ、特ニ權利ヲ持ッテ居ルト云フヤウ
ナ場合デアリマスルト、直ニ合資會社ヲ止
メテ新シク有限會社ヲ作ルト云フコトガ、
甚ダ不便デアルト云フノデ、何トカ合資會
社カラ有限會社ニ組織替ガ出來ル工夫ガナ
イカ、或ハ合併ガ許サレル工夫ガナイカト
云フヤウナコトニ付テ、相當要望スル空氣
ガアルヤウデアリマスルガ、是等ノ點ニ付
テ何カ本法案ニ付テ、便法ヲ設ケルト云フ
ヤウナ御考カ、或ハ將來ニ付テ相當用意サ
レル考ガアルデアリマセウカ、ドウカ、此
點ヲ一ツ伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=39
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040・大森洪太
○大森政府委員 御尤ニ存ズルノデアリマ
ス、將來合名會社、合資會社ト有限會社ト
ノ合併、ソレカラ各相互ノ組織變更ニ付テ
ハ、固ヨリ大イニ〓究ヲシ、考慮ヲスル積
リデアリマス、唯先程モ申述ベマシタ通リ、
有限會社ト云フ新シイ會社ヲ始メテ拵ヘマ
スル場合ニ、有限會社相互ノ合併、及ビ有
限會社ト株式會社トノ合併、及ビ其相互ノ
組織變更ノ外ニ、合併組織變更ヲ擴張致シ
マスルコトハ、今日餘程手控ヘテ考ヘタ方
ガ堅實デハナイカ、斯樣ニ存ジタ次第デア
リマシテ、將來此運用ノ實績ニ徵シマシテ、
擴張スルコトヲ要スルモノガアルナラバ擴
張シテ行キタイト存ズル次第デアリマス、
詰リ漸進的ニ玆ニ臨ミタイ、斯樣ニ思ッテ居
ル次第デアリマス、左樣御諒承ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=40
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041・一松定吉
○一松委員 大森政府委員ノ御說明デ私共
ハ餘程議事ノ進行ヲ促進シ得マシテ喜ンデ
居リマスガ、一應全部ノ御說明ヲ終ッタノデ
アリマスルカラ、本日ハ此程度ニ止メマシ
テ、更ニ商法ノ會社編竝ニ有限會社及施行
令ニ付テ、全體ニ涉ッテノ質問ヲ明日行ヒ、
サウシテ明後日頃討論ト云フヤウナ順序ニ
運ベバ、大變結構ト存ジテ居リマスガ、兎
ニ角質問ハ更ニ私共調査シテ、明日改メテ
全體ニ涉ッテ質問シタイト思ヒマスガ、諸君
ノ御贊成ヲ得マスナラバ左樣ニ願ヒタイト
思ヒマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=41
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042・山本粂吉
○山本委員 私ハマダ質問ガ全體的ニハ多
少アルノデハナイカト思ハレルノデ-今
日午後ハ此部屋ハ駄目デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=42
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043・野村嘉六
○野村委員長 一寸速記ヲ止メテ··
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=43
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044・野村嘉六
○野村委員長 本日ハ是ニテ散會致スコト
ニ致シマス、明日ハ午前十時カラ引續イテ
開會致シマス
午後零時二十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01119380316&spkNum=44
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