1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
商法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)
商法中改正法律施行法案(政府提出、貴族院送付)
有限會社法案(政府提出、貴族院送付)
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會議
昭和十三年三月十七日(木曜日)午前十時二十五分開議
出席委員左の如し
委員長 野村嘉六君
理事 西田郁平君 理事 仲井間宗一君
理事 宮崎一君 理事 紅露昭君
理事 石坂繁君
一松定吉君 内藤正剛君
池田清秋君 田村秀吉君
原玉重君 山本粂吉君
川副隆君 江原三郎君
松木弘君 森榮藏君
中野治介君 佐竹晴記君
菊地養之輔君 田川大吉郎君
出席國務大臣左の如し
司法大臣 塩野季彦君
出席政府委員左の如し
司法省民事局長 大森洪太君
司法省刑事局長 松阪廣政君
本日の會議に上りたる議案左の如し
商法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)
商法中改正法律施行法案(政府提出、貴族院送付)
有限會社法案(政府提出、貴族院送付)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=0
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001・野村嘉六
○野村委員長 是カラ開會致シマス-西
田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=1
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002・西田郁平
○西田委員 昨日同僚間ニ於テ相談シテ見
タノデアリマスガ、一寸此點ヲ一ツ明ニシ
テ戴キタイト思ヒマス、株主ニアラザル者
ガ取締役ニナルコトガ出來ル、斯ウ云フコ
トニナッテ居リマス、株主總會トノ關係ニ於
キマシテ、株ヲ持タナイ取締役ガ、株主總
會ニ出タ場合ニ於ケル態度ト言ヒマスカ、全
然表決權ガナイト致シマスレバ、取締役ト
云フモノハ唯支配人ノ少シ上等ナモノト云
フ位ナモノニナルノデナカラウカ、サウス
レバ特ニ株主ニアラザルモノトシテ置カナ
クテモ、支配人ダケデ間ニ合フノデハナイ
カト云フ考ヘ方ガアルノデハナイカト思ヒ
マス、ソコデ株主總會ト云フモノニ出席シ
テ、實際モウ少シ何カ株主ニアラザル取締
役ニモ表決權ヲ與ヘルヤウナ制度ヲ作ッタ
方ガ宜イヂヤナイカ、斯ウ云フ議論ガアル
ノデアリマスガ、其點ニ付テ司法省ノ御考
ヲ一ツ御伺致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=2
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003・大森洪太
○大森政府委員 御尤ノ御質問デアリマス、
先ヅ第一點ノ取締役ト支配人トノ異同デア
リマス、御承知ノ通リニ會社ノ雇人デアル
ト云フ點カラ申シマスナラバ、此雇人ト云
フコトヲ極メテ廣義ニ解シマスルナラバ、
取締役モ支配人モ共ニ雇人ト云フコトハ言
ヘルダラウト思ヒマス、是ハ取締役ガ株主
デアリマシテモヤハリ左樣ニ言ヘルダラウ
ト思ヒマス、然ラバ株主デナイ取締役ヲ認メ
マシタ場合ニ、取締役ト支配人トノ區別ガ大
變接近シハシナイカト云フ御質問デアリマ
シタガ、御承知ノ通リニ支配人ト取締役トノ
權限ハ法律ニ明ニナッテ居ルノデアリマシ
テ、取締役ハ法律ニ定メタダケノ權限ハ、
依然トシテ持ッテ居ルノデアリマスカラ、其
點ハ左程懸念ガナイモノト存ズルノデアリ
マス、第二點デアリマスガ、株主デナイ取締
役ニ議決權ヲ與ヘタラドウデアラウカト云
フ御意見デアリマシタガ、私ノ方カラ意見
ニ亙ルヤウデ甚ダ恐縮デアリマスガ、株主以
外ノ者ニ議決權ヲ與ヘルト云フ一ツノ變例
ヲ認メルコトハ、如何ノモノデアラウカト存
ズルノデアリマス、先程申述ベマシタ通リ
ニ取締役ハ法律上ノ權限ヲ持ッテ居ルノデ
アリマシテ、此權限ヲ以テ、例ヘバ株主總
會ニモ臨ムノデアリマスカラ、假令議決權
ガアリマセヌデモ、ソレ等取締役トシテノ
權限ノ行使ニ缺クル所ハナイカノヤウニ存
ズルノデアリマス、右ヲ以テ御諒承ヲ願ヒ
タイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=3
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004・石坂繁
○石坂委員 全體ニ付テ質疑ガ出來マスナ
ラバ一言御伺致シタイト思ヒマス、是ハモ
ウドナタカラカ既ニ御質疑ガアッタカモ知
レマセヌガ、株式會社ノ資本金額ノ最低限
度デアリマス、株式會社ト云フノハ勿論商
行爲ヲ爲スモノデアリマスガ、今日ノ情勢
カラ見マシテ、段々公ケノ性質ヲ持ッテ參ッ
テ來テ居ルノデアリマス、殊ニ最近統制會
社ト云フヤウナモノガ段々出來マスルト云
フト、一層其感ヲ深ウ致スノデゴザイマス、
隨ヒマシテ之ニ對シマシテ國家ガ種々干渉
シテ其運用ヲ誤ラナイヤウニスルト云フコ
トニ付テノ御意見ハ種々アリマシテ、昨年
當リ此點ニ付キマシテモ、局長ノ御意見ヲ
伺ッタコトヲ記憶致シテ居リマスガ、今般
新ニ有限會社法ト云フモノガ出來テ參リマ
スト、此株式會社ノ公ノ性質ニ鑑ミテ、商
法第百六十六條ノ資本ノ總額ト云フモノノ
最低限度ヲ決メル必要ガアルノデハナイカ
ト思フノデアリマス、有限會社法第九條ニ
ハ「資本ノ總額ハ一万圓ヲ下ルコトヲ得ズ」
ト云フコトニナッテ居リマス、ソコデ株式會
社ニモ或ル限度ノ資本ノ最低限度ノ規定ヲ
設ケルト云フコトガ、會社ノ信用上、尙ホ
公共ノ取引ノ上カラ適當デハナイカト思フ
ノデアリマスガ、ソレニ對シテ當局ノ御意
見ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=4
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005・大森洪太
○大森政府委員 御指摘ニ相成リマシタヤ
ウニ、有限會社ニ於キマシテハ法案ノ第九
條ニ依リマシテ、資本ノ最少限度ヲ決メテ
居ルノデアリマス、之ニ反シテ株式會社ニハ
直接資本ノ最少限度ヲ決メタ規定ハナイノ
デアリマス、此點ニ付テ何ダカ本末〓倒ノ憾
ミガアルデハナイカト云フヤウナ非難モ、屢〓、
承ッタノデアリマス、御承知ノ通リニ有限會社
ニ最少限度ヲ決メマシタ所以ノモノハ、有限
會社ハ其組織ナリ管理方法ナリガ、極メテ
簡易デアリ單純デアリマスルカラ、其設立モ
容易ニナッテ居ルノデアリマス、卽チ其設立
ニ付テ法律ガ干涉スル部分ガ、極メテ少イ
ノデアリマス、デアリマスルカラ一個人ガ有
限會社デナイニ拘ラズ、有限會社ヲ假裝シテ
取引界ニノサバリ出ルト云フ危險ガ、想像
シ得ラレルノデアリマス、若シ左樣ナコト
ガアリマスルナラバ、會社デナイモノガ會
社ノヤウナ顏ヲシテ取引ヲスル、是ハ取引
ノ安固ヲ害スル所以デアリマス、又一般ニ
有限會社其モノカラ見マスルト、有限會社
デナイモノガ有限會社ノヤウナ顏ヲスルノ
デアリマスルカラ、自己ノ信用ヲ傷ツクル
譯デ、有限會社トシテハ迷惑ナ譯デアリマ
ス、左樣ナ關係カラ致シマシテ、外國ノ法
制ニモ〓ネ有限會社ニハ最少限度ヲ決メテ
居ルヤウデアリマス、右弊害ノ豫防ノ爲ニ
此案ノ第九條ヲ設ケタ次第デアリマス、而
シテ株式會社ノ方ニ付キマシテハ、御承知
ノ通リニ公的性質モ固ヨリ考ヘナケレバナ
リマセヌカラ、是ニ最少限度ヲ決メルト云
フコトモ、確ニ一ツノ方法デアリマスケレ
ドモ、商法ハ一般ノ基準法デアリマシテ、
其點ニ迄法律ガ干涉スルコトハ如何デアラ
ウカト思ヒマシテ、是ハ差控ヘタ次第デア
リマス、勿論御承知ノ通リニ特殊會社ニ付
キマシテハ、特殊ノ事情カラ種々資本ノ最
少限度ヲ決メル必要ハアラウト思フノデア
リマス、唯一般法トシテ株式會社ニ法律ガ
左程ノ干涉ヲ加ヘル必要ガナカラウ、斯樣
ニ考ヘタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=5
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006・内藤正剛
○内藤委員 先程西田君カラ御質問ニナリ
マシタ總會ノ事柄ニ付テ、御尋ヲ致シタイ
ト思ヒマス、卽チ西田君ノ御質問ノ趣旨
ハ、株主タラズシテ取締役タルコトガ出來
ルト云フ新設ノ規定ニ對スル御質問デアル
ノデアリマス、私ハヤハリソレニ關係致シ
マシテ、株主總會ノ招集ノコトデ御尋致シ
マス譯デアリマス、改正案ノ二百三十一條
以下デアリマスガ、二百三十一條ニハ「總
會ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外取
締役之ヲ招集ス」ト書イテアル、二百三十
二條ニ其手續ニ關スル規定ガアリマシテ、
是ハ舊法ト大シテ變リハアリマセヌ、多少
日ニチノ點ニ於テ違フ點ガアリマスガ、此
招集ニ關スル通知ハ議決權ノ行使ニ重キヲ
置イタ意味カラ「議決權ナキ株主ニ付テハ之
ヲ適用セズ」ト書イテアルノデアリマス、
ソコデ恐ラク此法カラ行クナラバ、取締役
中、二百三十六條ニ依レバ、取締役又ハ監
査役ガ總會ヲ招集スルノニハ、過半數ノ決
議ガアレバ宜イ、全員ノ居リマス場合ハ兎
モ角ト致シマシテ、過半數デ宜イト云フコ
トニナリマスト、而モ取締役會等デ隨分揉
メルコトモアルノデアリマス、其時ニ取締
役ハ招集權ヲ有ッテ居ル、招集決議ハ過半數
デ宜イ、過半數ニ滿タザル者ハ「オミット」サ
レル譯ダト思ヒマス、ソコデ總會ノ招集ニ對
シテ今申上ゲタヤウニ、取締役中株式ヲ有
タザル者ハ議決權ノ行使ガ出來ナイト云フ
先程ノ御說明モアリマシタカラ、議決權ナ
キ株主タラザル取締役ニ對シテハ、總會ノ
招集ノ通知ガ故ラニ落シ得ルヤウニ見エル
ノデアリマス、此點ノ說明ハドウ云フヤウ
ニ當局トシテ御考ニナッテ居リマセウカ、是
ハ例ヘバ六名迄ハ決議ニ携ッタ、四名ガ携ツ
テ居ナイ、此四名ト云フモノハ議決權ノナ
イ株主デアル、此取締役ニハ總會ノ招集ヲ
通知シナクテモ宜イデハナイカ、斯ウ云フ
妙ナ現象ガ先程ノ御說明又法ノ體裁カラス
レバ、アリ得ルノデアリマス、絕對ニナイ
トハ言ヘナイ、サウ云フコトハ差支ナイト
云フ御意見ノ下ニ法ガ出來テ居リマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=6
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007・大森洪太
○大森政府委員 只今ノ御指摘ニナリマシ
タ第二百三十二條末項ノ規定ハ、御述べニ
ナリマシタ通リニ、株主デアッテ議決權ノナ
イ者、卽チ議決權ナキ種類ノ株式ヲ持ッテ居
リマス株主ニ付テノ問題デアリマス、デア
リマスルカラ株主ニアラザル取締役ニハ、
直接關係ノナイ規定デアリマス、而シテ又
御指摘ニナリマシタ第二百三十六條ニハ、
例ヘバ取締役ガ總會ヲ招集シマスニハ、過
半數ノ決議デ宜イノデアリマスルカラ、此
招集ノコトニ付テ贊成ヲシナカッタ取締役、
而モソレガ株主デナカッタ場合ハ、之ニ對シ
テ招集ノ通知ヲ爲スベキモノデアルカ、爲
サナクテモ宜イモノデアルカト云フコトニ
付テ、此法案ハ總テ之ヲ事實ニ任セテ居ル
ノデアリマス、卽チ其處マデ法律ガ干涉ス
ルノ必要ガナイ、斯樣ニ考ヘタ次第デアリ
マス、併シ實際ニ於キマシテハ、無論取締
役デアリマスカラ、是ガ株主デナクトモ通
知ヲスルダラウト思フノデアリマス、ソレ
ダケノ事實ニ任セテ置キマシテ、一向運用
上ハ差支ナイモノト考へタ次第デアリマス、
左樣御諒承ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=7
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008・内藤正剛
○内藤委員 只今ノ政府ノ御說明カラ見レ
バ、今申シテ居ッタヤウナ妙ナ現象ガ起ッテ
モ、是ハ事實ニ任スト云フコトノ結論ニナ
ルノデアッテ、取締役中總會ヲ知ラザル者ガ
出來ルト云フ事柄ハ、政府トシテモ御承認
ニナッタモノトシテ伺ッテモ宜シウゴザイマ
セウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=8
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009・大森洪太
○大森政府委員 左樣ナ弊害ハ現行法ノ下
ニモ起ルノデアリマス、又現ニ起ッタコトモ
アルヤウデアリマス、御承知ノ通リニ此第
二百三十六條ヲ新設致シマシタ所以ハ、左
樣ナ弊害ノ一端ヲ是デ防ガウト云フ積リデ
アリマス、御承知デモアリマセウガ、甲取締
役ガ株主總會ヲ、例ヘバ三月一日ニ「エー」
ノ土地デ開クト云フ通知ヲ出シ、乙ノ取締
役ガ同ジ三月一日ニ「ビー」ノ土地デ總會ヲ
開クト云フ通知ヲ出シタト云フヤウナ事例
ガアッタノデアリマス、左樣ナ場合ニ「エー」
地ニ於ケル總會ガ有效デアルカ、「ビー」地
ニ於ケル總會ガ有效デアルカ、「エー」ㄱビー」
雙方ニ於ケル總會ガ有效デアルカト云フ
問題モ生ジマシテ、而モ「エー」「ビー」雙
方ニ於ケル總會ノ決議ガ相反シク場合ニ、
ドウナルカト云フ問題ガ生ジマシテ、ソレ
ガ爲ニ此第二百三十六條ヲ設ケタノデアリ
マシテ、第二百三十六條新設ノ趣旨ハ、左
樣ニ御諒承願ヒタイノデアリマス、而シテ
取締役ニ通知ヲ發シマセヌ場合ニ於テ、其發
シナイコトガ「著シク不公正」デアリマスル
ナラバ、第二百四十七條ノ取消問題ニナル
ノデアリマス、而シテ其取消ノ事由ニ付テ
「著シク不公正」デアルト云フコトヲ新ニ加ヘ
タノデアリマス、其具體的ノ場合ニ於テハ、
如何ナルモノガ竝ニ所謂「著シク不公正」ニ
當ルカ否ヤト云フコトハ、實際ニ卽シテ適
正ナル運用ヲ俟ッテ初メテ分ルコトト存ズル
ノデアリマス
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=9
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010・仲井間宗一
○仲井間委員 債權者集會ニ關スル規定ハ
會社ノ整理ニ關スル規定ノ發動ノ關係デゴ
ザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=10
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011・大森洪太
○大森政府委員 御指摘ノ債權者集會ハ、
特別〓算ニ於ケル一ツノ手續デアリマス、
卽チ特別〓算ノ手續ノ中デ、特別〓算行爲
ヲ遂行致シマスル一ツノ補助的手續デアル
ノデアリマス、所ガ整理ハ御承知ノ通リニ
解散前ノ問題デアリマス、隨テ會社ノ整理
手續ニハ債權者集會ト云フモノハナイノデ
アリマス、左樣ニ御諒承ヲ願ヒタイノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=11
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012・仲井間宗一
○中井間委員 債務超過ノ惧レガアル、或
ハ疑ヒガアル場合ニ、會社ノ整理ノ開始ガ
行ハレルコトニナル譯デアリマスカ、サウ
致シマスルト、一方ニ於テ此社債權者ノ救
濟ヲ得ル其集會ハ、別ニ又出來テ居ルノデ
アリマスカ、其集會ト整理トノ關係デゴザ
イマスカ、其前ニ一言御伺ヒ申上ゲタイト
思ヒマスノハ、債權者集會ト云フモノハ、
會社ノ整理デアリマスト直グ出來ルモノデ
スガ、其債權者集會ト云フモノハ任意ニ出
來ルモノデスカ、又直グ出來ナケレバナラ
ヌモノデアルガ、其集會ノ設立ノ手續ヲ聞
イテ置キタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=12
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013・大森洪太
○大森政府委員 先程ノ御尋ヲ、私ハ債權
者集會ト承ッタモノデアリマスルカラ、左樣
ナ御答ヲシタノデアリマス、債權者集會ノ
方ハ特別〓算ダケデアリマシテ、整理ニハナ
イノデアリマス、併シ只今御示シノ社債權
者集會ハ、會社ノ整理ノ場合モアリ得ル譯デ
アリマス、是ハ御承知ノ通リニ併立シテ、
互ニ調整ヲ圖リツヽ進ミ得ル譯デアリマス、
左樣ニ御諒承ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=13
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014・仲井間宗一
○仲井間委員 サウ致シマスルト、ヤハリ
會社ニ對スル債權者モ亦社債權者集會モ、
皆同ジヤウニ取扱ハレテ行クノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=14
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015・大森洪太
○大森政府委員 會社ニ對スル關係ニ於キ
マシテハ、社債權者モ他ノ債權者モ、同樣
デアルベキデアリマスルケレドモ、御承知
ノ通リニ社債權者ハ同種類ノ債權者ガ一團
トナッテ多數居ルノデアリマス、而モ之ヲ
團的ニ考ヘマスルト、極メテ重要ナ地位デ
アリマスルカラ、是等ノ權利行使ニ付テ特
ニ社債權者集會ト云フモノヲ設ケタ次第デ
アリマス、デアリマスルカラ、是等ハ社債
權者集會ノ決議ニ則リマシテ權利ノ行使ヲ
スル、斯樣ナ關係ニ相成ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=15
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016・内藤正剛
○內藤委員 私ハ只今政府委員ノ松阪サン
ガ御出席ニナッタカラ、此機會ニ主トシテ罰
則ノ點ニ付テ御伺ヲ致シタイト思ヒマス、
併ナガラ其前提トシテ一言言葉ヲ費シテ置
キタイト存ズル次第デアリマス、過日本會
議竝ニ此委員會ニ於テ、或ハ大臣ヨリ、或
ハ政府委員ヨリ本改正案ノ必要ナルコト、
又時代ノ趨勢ニ鑑ミテ、現行法ハ餘程古キ
モノデアル、唯解釋判例等ニ依ッテ相當弊害
ヲ除去スルヤウニ努メテハアルケレドモ、
之ヲ以テシテハ滿足スルコトハ出來ナイカ
ラ、時代ノ趨勢ニ從ッテ此改正案ガ出來タト
云フ說明デアリマス、ソレガ爲ニ從來ノ規
定ノ補充若クハ新設、或ハ判例デ決ッタ點ヲ
改正致サレマシタ其勞ニ對シマシテハ、多
トスルノデアリマスガ、併ナガラ此法案ノ
出來タ過日來ノ御話ノ組立ヲ見マシテモ、
昨今是ガ考ヘラレタ問題デハアリマセヌノ
デ、ソレ〓〓ノ委員會ノ手ヲ經タ意見ヲ參考
ニシテ、出來テ居ルヤウデアリマス、併ナガ
ラ何レモ二三年前ノ答申ニ係ルモノガ基準
ニナッテ居リマスノデ、二三年此方ニ於ケル
社會ノ變遷ト云フモノハ、此法案ノ上ニ於テ
新シク考ヘラレテ居ルヤウニモ私共受取レ
マセヌ、ソコデ先ヅ是ハ政府委員ノドチラデ
モ宜シウゴザイマスガ、御答辯ニ與カリタ
イト思ヒマスノハ、今マデノ御說明ハ總テ
商工會議所ノ理事ニ聞イタトカ、或ハ委員
會ノ方ニ諮ッタトカ、或ハ朝野ノ方ノ意見ヲ
聞イタトカ、ソレ〓〓照會狀ヲ出シテ各方
面ノ意見ヲ徴シタト云フ說明ガアリマシタ
ガ、罰則ニ付テハ各方面ニ意見ヲ徵セラレ
タト云フ御言葉ハ、一ツモナイノデアリマ
ス、是ハ罰則以外ノモノダケニ付テ意見ヲ
徵セラレタト承ッテ宜シイデセウカ、之ヲ一
ツ御伺シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=16
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017・松阪廣政
○松阪政府委員 商法ノ罰則ニ付キマシテ
モ、調査會ノ要綱ガ定メラレテ、ソレニ基
イテ作ッタ次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=17
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018・内藤正剛
○内藤委員 調査會ノ要綱ニ基イテ意見ヲ
徴シタイト云フ御話デアリマスガ、サウ致
シマスト廣ク意見ヲ徴シタノデハナクテ、
調査會ダケノ意見ヲ徴セラレテ、其答申
ニ基イテ之ヲ是ナリトシテヤラレタト云フ
コトニナリマスト、意見ヲ徴セラレタ範圍
ガ狹イノデハナイカト思フノデアリマス、固
ヨリ政府ノ見ル所ニ依ッテ、時代ニ鑑ミテソ
レゾレノ罰則ハ御決メニナッタデアラウトハ
存ジマスケレドモ、動モスレバ近時裁判ノ趨
勢ハ感情ニ制セラレテ、此間モ此委員會デ議
論ガアッタト思ヒマスガ、甲ト乙トノ土地ニ
依ッテ違フトカ、甲ト乙トノ官廳ニ依ッテ取扱
ガ違フノデアリマシテ、甚ダ遺憾ナ點ガアルト云
フコトヲ、屢〓議論サレタコトハ御承知ノ通リ
デアリマス、一例ヲ以テ見ルナラバ、憲法
ニハ司法權ハ天皇ノ名ヲ以テ裁判所ガ之ヲ
行フトアリマシテモ、軍人軍屬ノヤウナ方
ニ付テハ、ソレ〓〓陸海軍ノ特別ノ刑法ガ
アル、同一事案デアッテ、事軍機ニ關セナイ
モノデモ、普通裁判所デ行フノト特別裁判
所デ行フノト、刑ノ量定ガ非常ニ遠ッテ來
ルト云フコトハ、御承知ノ通リデアリマス、
ソコデサウ云フヤウナ事柄デ、罰則ニ付テ
ハ餘程御注意ヲシテ戴カヌト、思ハザル結
果ヲ招クノデハナイカト思フノデアリマス、
ソレヲ前提ニシテ私ハ御尋ヲスル譯デアリ
マシ、例ヘバ此改正案ノ中ニ、所謂現行刑
法ノ瀆職罪ニ匹敵スルヤウナ條項、ソレト
似タヤウナ條項ガアリマシテ、罰スルト云
フ御說明ヲ此間承ッタノデアリマス、現ニ
ツノ例ヲ以テシマスレバ、此法案ハ株式合
資會社ト云フモノニアッテハ、其無限責任社
員株式會社ニアッテハ取締役、監査役、又
支配人或ハ職務代行者ト云フヤウナ資格ガ
限定シテアリマシテ、其罰則ハ合名會社ト
云フモノハ拔ケテ居ルノデアリマス、固ヨ
リ狙ヒ所ハ、株式會社ニ付テ從來起ッタ例カ
ラ鑑ミラレマシテ、特ニ重ク色々ノ條項ヲ
御決メニナッタモノデアラウト思ヒマスガ、
等シキ法人ノ事業者デアリマスカラ、罰ス
ベキ場合ガアリト致シマスナラバ、彼此甲
乙ガナイヂヤナイカ、唯商法ノ株式會社ト
云フモノハ、特殊ノモノデアリマスカラト
云フコトデハ、理窟ニハナラヌト思フノデ
アリマスガ、何故ニ此罰則ヨリ他ノ會社ヲ
御拔キニナリマシタカ、合名會社及ビ合資
會社ト云フモノニ對スル關係ハ拔イテ居ル
ノデアリマス、是ガ甚ダ遺憾ダト思フノデ
スガ、特ニ拔カレタト云フ意味ヲ、株式會
社ノ實質ニ鑑ミテ、是ハ取締ルベキデアル
ト云フダケノ御說明デハ慊ラヌノデアリマ
シテ、モットドウシテ、ソレダケノ責任ヲ帶ビ
ナケレバナラヌカト云フ理由ヲ、特別ニ御
說明ニ與リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=18
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019・松阪廣政
○松阪政府委員 第一ノ御尋ハ、罰則ノ適
用ニ付テ廣ク各方面ノ意見ヲ徴シタリヤ否
ヤノ御尋デアリマスガ、其點ニ付テハ裁判
所檢事局等ノ實際家方面ノミナラズ、在野
方面ニ對シマシテモ、廣ク各地ノ商工會議
所或ハ信託協會、帝國大學等、或ハ又各地
ノ辯護土會ニモ、ソレ〓〓意見ヲ徵シマシ
テ、ソレ等カラ各種ノ色々ノ意見ノ申入ガ
アリマシタノデ、ソレ等ヲ參酌致シマシテ、
最モ妥當ナリト信ズル所ヲ取リマシテ、本
罰則ヲ規定シタ次第デアリマス、第二ノ御
尋ノ第七章ノ罰則ハ、主トシテ株式會社若
クハ株式合資會社ノ役員等ニ付テ定メラレ
テ居リマス、合各會社合資會社ノ役員ニ付
テハ、罰則ヲ設ケナカッタノハ、何故カト云
フ御尋デアリマスガ、ソレニ付キマシテハ
前囘ニモ申上ゲマシタ通リ、株式會社ノ本
質其企業形態ガ今日デハ多數ノ株主ヲ擁
シ、又社債權者モ多數ニ及ビ、一般社會公
衆トノ關係ヲ持ツコトガ、非常ニ多イト云
フ此社會性、企業ノ實質ニ鑑ミマシテ、之
ヲ相當酷シク取締ル必要ガアル、是ハ社會
公共ノ秩序取締ノ上カラ、必要ガアルカラ
ト云フ立場カラ、斯樣ナ規定ヲ設ケマシタ
次第デ、合名會社ノ役員ニ至リマスト、是
ハ餘程株式會社ト本質ニ違フ所ガアリマシ
テ、大分個人企業ニ似テ參ル所ガアルノデ
アリマス、社會公共ニ及ボス影響ガ、甚シ
クトハ申セナイカモ知レマセヌガ、相當ニ
株式會社トハ異ッテ居ルノデアリマス、隨テ
現行商法ニ於キマシテモ、合名會社、合資
會社ニハ左樣ナ罰則ハ設ケナカッタノデア
リマス、今日直チニ合名會社ノ役員ニ本法
案ト同樣ナ罰則ヲ設ケルト云フコトハ、餘
リニ行過ギルコトデアルト考ヘマシテ、合
名會社、合資會社ニ付キマシテモ刑罰ヲ設
ケナカッタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=19
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020・内藤正剛
○内藤委員 ソコハ私共ト政府當局トノ認
識不足ダト云フ言葉デ爭ガ起ルノダラウト
思ヒマス、政府當局ノ御說明ハ、今日アリマ
スル大事業會社ダケヲ目標トシテ、株式會
社ダト云フヤウナ御心持デアリマス、併ナ
ガラ世ノ中ノ實情ヲ見マスルト、個人所得
ニ於テハ稅法ノ關係ニ於テ、動モスレバ査
定額多キニ失シ、若クハ累進課稅ノ點カラ
鑑ミテ、最近ニ於テハ小サナ所デモ株式會
社若クハ合名會社等ニ變更スルノデアリマ
ス、殊ニ私共ノ見テ居リマス大阪方面ニ於
テハ、相當ナ資產家ニシテ政府ノ豫期セザ
ル同族會社デアルニ拘ラズ、之ヲ株式會社
トシテ累進課稅ヲ避ケルヤウナ傾向ニアル
ノデ[アリマス、面白クナイ現象カモ存ジ
マセヌケレドモ、人ト致シマシテハ、不都
合ナ話デアリマスケレドモ、成ベク稅額ヲ
少ク納メタイト云フコトカラノコトトモ想
像セラレルノデアリマス、故ニ今政府當局
ノ御答辯ノ如ク株式會社ノ本質ニ鑑ミト云
フヤウナ、アノ大會社ダケヲ頭ニ置カレマ
スト、說明ハ當リマスガ、實際世ノ中ノ大
半以上-今私ガ申上ゲマシタヤウナ實情
カラ見マスト、實際ニソグハヌ傾ガアルノ
デアリマス、是ハ特ニ政府トシテ御考慮ヲ
賜ラナケレバナラヌト思フノデアリマス、
モウ一ツハ、此法令ノ中ニハ、此間カラノ
說明デ行クト、會社ノ役員ガ儀禮的ニ金錢
ノ授受、物品ノ授受ヲスルコトハ差支ナイ
ガ、ソレ以外ノモノハ此法條ニ依レバ重ク
罰セラレルコトニナッテ居ルト思ヒマス、ソ
コデ昨年ノ七十議會ニ現レタル速記錄カラ
見マシテモ、儀禮的ハ咎メヌト云フコトニ
ナッテ居リマスガ、此儀禮的ト云フ、文字ダ
ケデハ、其說明ダケデハ、私ハ非常ニ賴リ
ナイト思フノデアリマス、此點ヲドウシテ
モ速記ニ取ッテ明確ニシテ置カナケレバナ
ラヌ、尙ホ最終ニ當ッテハ大臣ヨリ、特
此ノ點ノ明言ヲシテ戴カナケレバナラヌト
思フノデアリマス、一ツノ例ヲ申上ゲマス
ト、例ヘバ辯護士法改正ノ際ニ當ッテ、禁
錮以上ノ刑ニ處セラレタ者ハ辯護士ノ資格
ガ取ラレルト云フコトガ、新辯護士法ニ
入ッタノデアリマシテ、其時ニ辯護士ハ法
律家デ何カト選擧ノ事務ニ付テ相談ヲ受ケ
くル、ソレガ偶〓選擧法違反ニデモ引ツ掛ルト
大變困ルカラ、懲役若クハ禁錮一年以上ノ
刑ニシタイ、懲役ハ破廉恥罪ダカラ仕方ガ
ナイト致シマシテモ、禁錮刑ノモノニ付テ
ハ一年以下ハ資格ヲ喪失シナイヤウニシタ
ラドウカト云フコトヲ申シテ、或ハ通過ノ
困難ト思ハレタカ、司法政務次官八並氏竝
ニ小山司法大臣モ、サウ云フ事ハ裁判所モ
考ヘテ居リマスカラ、ヨク〓〓ノ場合デナ
ケレバ體刑ヲ科スルコトハアリマセヌ、ソ
レハ罰金ヲ科スル積リデアリマス、斯ウ云
フヤウナ御說明デ、オ互ヒ將來間違ガアッテ
ハイカヌト云フノデ、大臣ハ卷紙ニ書イタ
モノヲ御讀ミニナッテ速記ニ御殘シニナッタ、
然ルニ率サ事件ガ起リ、公判ガ執行セラレ
ルニ當ッテ、日本全國ノ中ニハ、辯護士ノ中
デ惡質ノ犯罪ナラズシテ禁錮以上ニ處セラ
レタ失格者ガ可ナリ出タト云フコトガ、實
狀デアリマス、政府ノ議場ニ於テノ明言ハ、
洵ニ宜イヤウデアリマスケレドモ、實際ノ
取扱ニ付テハ司法權ハ上官ト雖モ干涉スル
コトハ出來マセヌカラ、自由ナ立場ニ於テ
裁判ノ執行ニ當ラレルト云フコトニナリマ
スト、上司ノ思フ處ト正反對ノ現象ヲ生ジ
テ、私共面喰ッタコトガアルノデアリマス、
故ニ國務大臣ノ明言ガ議場ニアッテモ、運用ニ
當ッテハ何レモ背馳シタ現象ヲ呈スルト
云フコトデ、私共信用ガ置ケナクナル、政
府委員ガ玆ニ如何ニ聲ヲ御嗄シニナッテ弊
害ヲ除去スルト仰シヤッテモ、運用ニ當ッテ
ハ人ニ依ッテ違フコトガアリマスノデ、殊ニ
一ツノ場合ヲ申上ゲマスナラバ、選擧ニ付
テハ從來ノ弊ヲ去ル爲ニ嚴重ニ取締レ、斯
ウ御命令ニナッタ、洵ニ結構ダト思フ、所ガ
嚴重ニ取締ルト云フコトヲ、ドウ云フ調子
カ司法官會同デ御話ニナッタノガ變ッテ來
テ、各控訴院管內ニ於テハ、控訴院長ハ刑事
部長ヲ集メテ嚴重々々ヲ喧シク言ハレテ、
嚴重ニ取締ルガ嚴罰ニ變ッテ來タ、一時稀ニ
見ル苛酷ナ刑ヲ以テヤラレテ、色々是ガ問
題ニナッテ來マシテ、近來ニ於テハ緩和サレ
タト云フヤウナ實狀デアル、故ニ此商法ノ
規定デモ、特別ナ明言ヲ何カノ上ニ現ハシ
テ戴キマセヌト、運用ニ當四ッテハ大變ナ問題
ガ起ルノデハナカラウカト思ヒマス、例
バ或ル事柄ヲ滑カニ致シマス爲ニ、ー )
宴會ヲ催ス、飯ヲ食フ位ハ儀禮的ダカラト
云フノデ、其方ハ濟ムカモ知レマセヌケレ
ドモ、今日ハソンナ非常識デハアリマスマ
イガ、名前ハ差控ヘマスガ、或人ガ檢事時
代ニハ、マムシ一杯僅カ十五錢カ三十錢デ、
是ハ將來ノ便宜ヲ得ル爲メダト云フノデ瀆
職デヤラレタ人ガアル、是ハ私ノ知ッテ居ル
又アナタ方モ知ッテ居ル人デスガ、サウ云フ
事例モアル、一夕立派ナ宴會ヲ催セバ、數
百圓ノ金ガ要ル、所ガ商品劵ノ二十圓カ三
十圓贈ッテ置ケバ、ソレヨリ安上リダト云ッ
テ贈ッテモ、是ハヤハリ請託關係ダト云フノ
デ瀆職ニ處セラレタ實例モ私ハ持ッテ居ル、
飯ヲ食フノハ差支ナイガ、ソレヨリ儉約ス
ルコトガ會社ノ爲ニ利益ダト云ッテヤッタコ
トガ、商品劵ヲ取ッタラ何カノ便宜ヲ得ラレ
ルト云フノデ瀆職事件ニナッタ例カラ言ヒ
マスト、改正商法ノ中ニハ、一々法文ハ面
倒ダカラ讀ミマセヌガ、此間カラノ說明デ、
アナタノ方ハ能ク分ッテ居ラレルノデスガ、
可ナリ重イ刑ヲ科セラルトモ言ヘルノデア
リマス、ソレハドウ云レ風ニシテ運用ナサ
ルノデアリマセウカ、之ヲ私ハ伺ヒタイ、
政府ハ大變御都合ノ好イコトヲ考ヘル、例
ヘバ選擧法ノ中デモ、別表ノ改正ハ十年每
ニヤルト言フ、所ガ十年ガ來テモ未ダニ改
正シナイ、サウシテソレハ頰被リダ、人ヲ
罰スルニ向フニハ非常ニ嚴デアッテ、御都合
ノ好イ時ニハ頰被リシテ行クト云フヤウナ
近來傾向ガアルコトヲ私ハ悲シミマス、唯
無條件ニ商法ノ罰則ヲ鵜呑ミニスルコトハ
困リマス、洵ニ今度ノ商法ハ、吾々專門家
ヲシテ、ドウモ餘リ罰則以外ノ所デハ非難
ヲ受ケル機會ヲ少クサレタイト云フコトニ
付テ、丁度篏口令ヲ布カレタヤウデアリマ
ス、洵ニ反對センガ爲ニ反對スルト云フ、コ
トナラバ兎モ角モ、然ラザル限リ中々缺點
ヲ見出スノニ困難ニナッテ居リマスガ、罰則
ノ點ニ於テハ著シク不合理ノ所ガアルヤウ
ニ思フ、重イノモ結構デス、罰金ニ付テハ
額ヲ殖シ、體刑ニ付テハ長期ニ定メラレタ
ト云フ點モ結構デスガ、運用ニ當ッテハ大變
ナ問題ガ起ルノデハナイカト私ハ思フノデ
アリマス、固ヨリ不實記載トカ何カト云フ
コトハ別デス、其以外ノ法文ノ點デ私ハ申
上ゲルノデアリマス、其點ヲ特ニ後デ併セ
テ御答辯ヲ願ッテ置キマス、ソコデ本論ニ
ツ入ッテ參リマス、此間御說明ガアッタトカ
云フ話デスガ、私居リマセヌデ、若シ話ガ
アッテ重複致シテ居レバ簡單ニ私ノ得心ノ
行クヤウニ御答辯ヲ願ヒマス、商法ノ第四
百八十六條ノ罰則規定デアリマス、所ガ此
規定ト對照サルベキ規定ハ、有限責任會社
法案ノ七十七條ニナッテ居ルト思ノデアリマ
ス、兩者ヲ對照致シマスルノニ、一ハ七年以
下ノ懲役又ハ一万圓以下ノ罰金刑トナリ、
一ハ五年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金
刑ニナッテ居ルノデアリマス、株式會社ハ
資本ガ大キノガ原則デアリマス、大體ニ於テ
サウ云フ傾向デアル、有限責任會社ハソレ
トハ違ッテ居ル、ダラカラ低クシタノダト云フ
ダケデハ納得ガ出來ナイ、私ハ此間申上ゲタ
通リ有限責任會社ノ方ハ、成程一應ハ說明ガ
付キマスケレドモ、普通會社法ニ於テモ株
金ノ限度ガ決マリ、七人ノ重役ガアッタラ
宜イト云フコトデアレバ、有限會社ヨリ、
モット低イ金額ノ會社ガアルコトモ想像セ
ラレルノデアリマスカラ、之ニ對シ分リ宜
イ、國民ガ得心ノ行クヤウナ御說明ヲ、特
ニ此機會ニ御願シテ置キタイト思ヒマス、
ソレカラ商法ノ四百八十九條デアリマス、
是ハ有限會社法案ノ七十八條ニ稍〓該當スル
ト思フノデアリマス、而シテ商法ノ方ニ於
テハ五年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金
トナリ、一ハ三年以下ノ懲役又ハ三千圓以
下ノ罰金トナッテ居ルノデアリマス、而モ法
條ノ體裁ハ大體ニ於テ兩者同一デアリマス、
商法第四百九十條ニ依レバ、五年以下ノ懲
役又ハ五千圓以下ノ罰金トナッテ居リ、而
シテ日本產金振興株式會社法案ニ依レバ、
百圓以上二千圓以下ノ過料ニ處ストナッテ
居リマシテ、コチラハ過チ料ニナッテ居リ
マス、餘リ澤山擧ゲルトヤヽコシケレバ、
此位デ止メテ置キマス、後デ順次申上ゲマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=20
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021・松阪廣政
○松阪政府委員 先ヅ最初ニ御述ベニナリ
マシタ儀禮的ノ饗應ノ場合、本法ノ四百九
十三條及ビ四百九十四條ニハ、職務ニ關シ
不正ノ請託ヲ受ケ財產上ノ利益ヲ收受シ要
求シ、又ハ約束シタル時ハ之ヲ犯罪ト見テ
居リマスガ、固ヨリ只今御述ベニナリマシ
タ通リ、儀禮的ノ利益ノ供與ハ之ハ犯罪ト
ハ見ナイコトハ、刑法ノ賄賂罪ニ於ケル判
例等ニ於テモ屢〓明示シテ居リマスシ、刑法
總則ノ如キ法ガアリマス關係上、禮儀的ノ
饗應等ガ本條ノ謂フ罪ニナラヌコトハ、議
論ガナイト思ヒマス、唯ドノ程度ヲ以テ儀
禮的ト見ルカハ、是ハ相當難カシイ場合モ
アリマスガ、是ハ社會常識、社會通念ニ依
リマシテ、各場合ヲ判斷スル外ハナイノデ
アリマス、同ジク利益ヲ受ケ、饗應ヲ受ケ
マスニシマシテモ、會社ノ重役タル人ノ
個人的、社會的地位、社會的境遇其他カラ、
相當程度ノ高イ御馳走デモ、ソレヲ以テ
向儀禮的ト見テ差支ナイ場合モアルノデア
リマス、隨テ實際問題トシテハ、是ハ最後
ハ裁判所ノ認定ニ俟ツ外ハナイノデアリマ
スガ、普通饗應等ナラバ是ハ大抵儀禮的ト
見ルノガ普通ノ見方デアリマスルシ、其點
ニ付テハ御心配ハナカラウカト考ヘマス、
唯御述ニナリマシタ通リニ、現行法カラ見
ルト本法案ハ刑罰ガ非常ニ過重デアリマス、
又新規ノ規定モゴザイマスノデ、ソレノ運
用ニ付テハ餘程注意シナケレバナラヌト云
フ御注意ハ、洵ニ是ハ御尤ト存ズルノデア
リマス、私共モ此法ノ運用ニ當リマシテハ
餘程注意ヲシナケレバナラヌ、最モ妥當ナ
ル取扱ナリ、又妥當ナル解釋ヲ致シ、非難
ヲ受ケナイヤウニシナケレバナラヌト云フ
コトハ、痛感シテ居ルノデアリマス、實施
スルニ當リマシテハ、何レ全國ノ檢事局ノ
實務家ノ會合等ヲ催シマシテ、ソレ等ニ付
テノ適切ナル指示ヲ與ヘ、協議ヲ致シテ、
只今御述ニナリマシタヤウニ、其運用ニ付
テハ十分ニ注意致シマシテ、御趣旨ノアル
所モ尊重致シ、萬全ヲ期シタイト思フノデ
アリマス、其次ニハ各箇條ニ付キマシテ、
本法案ト有限會社法案トノ罰則ノ比較ニ付
テ御意見ヲ承リマシタガ、第一ニ御述ニナ
リマシタ本法案ノ四百八十六條ノ特別背任
罪ト、有限會社法ニアリマスル、七十七條
ノ特別背任罪トノ間ニ、刑ガ若干相違ガア
ル、有限會社ノ方ガ刑期ガ少シ輕クナッテ居
ル、此理由ハドウダト云フ御尋デアリマシ
タガ、先刻モ申シマス通リ、株式會社ハ其
會社ノ組織、機構ニ於キマシテ、今日デハ
大企業組織ニナリマシテ、多數ノ株主、多
數ノ社債權者等モアル場合ガ多々アリマス
ルシ、一般公衆ニ及ボス影響モ非常ニ大キ
イノデアリマス、有限會社ニ付テ言ヒマス
ト、其有限會社ノ性質カラ申シマシテモ、有限
デアル點ハ株式會社ニハ非常ニ似テ居リマス
ガ、株式會社ト合名會社トノ中間ニアル會社
デアリマス、株式會社ノ如ク株主ノ範圍ハ廣
クハナイ、社員ノ範圍モ廣クナイノデアリマス、
又社債ノ發行ト云フコトモ認メテ居リマセ
又、一般公衆ニ對スル關係ガ餘程株式會社
ヨリハ程度ガ低クナッテ居リマス、隨テ之ヲ
株式會社ノ重役ト同一ノ程度ノ刑罰ヲ以テ
臨ムト云フコトハ、是ハ甚ダ酷ニ失シハセヌ
カト云フ所カラ、有限會社ノ方ハ幾分刑罰
ガ輕クナリ、又合名會社ニ付テハ先程モ申
上ゲマシタ如ク、重役ニ付テハ刑罰ハ設ケテ
居ラヌノデアリマスガ、其合名會社ト株式
會社トノ中間ヲ狙ヒマシテ、幾分刑ヲ輕ク
シテ、七十七條等ノ規定ヲ設ケタ次第デゴ
ザイマス、又本法案ノ四百八十九條ノ規定、
ソレカラ有限會社法案ノ七十八條トノ刑罰
ノ比較ニ付テモ、御質問ヲ受ケマシタガ、
是亦規定ノ實質ハ同ジデアリマスルガ、刑
罰ハ有限會社法案ノ七十八條ノ方ガ幾分輕
クナッテ居リマス、其輕クナッタ趣旨モ、是
亦只今述ベマシタ如ク、株式會社ト有限會
社トノ會社ノ性質ノ相違カラ、左樣ニ致シ
タ譯デゴザイマス、第三ニ御尋ニナリマシ
タ本法案ノ四百九十條、株式ノ募集、或
ハ社債ノ募集ニ當ッテ不實ノ記載アル文書
ヲ行使シタ場合ノ罰則、是ト日本產金法
ノ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=21
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022・内藤正剛
○内藤委員 其點ハ宜シウゴザイマス、次
ニ商法ノ四百九十一條ノ預合ノ規定デアリ
やく、本法案ニ依レバ五年以下ノ懲役又ハ
五千圓以下ノ罰金トナッテ居リマス、サウシ
テ有限會社法案デハ預合ノ場合ニハ三年以
下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金トナッテ居
リマス、是ハ金額ガ違ッテ居リマスガ此點ハ
先程ノ御說明カラ行クト、兩者ノ間ニ區別
ヲ設ケタト云フコトデ逃ゲラレルダラウト
思ヒマスガ、此點ヲ御說明願フト共ニ、若
シサウ云フ說明ガ許サレルト致シマスナラ
バ、商法ノ四百九十三條ノ規定、及ビ有限
會社法案ノ八十一條ノ規定、何レモ三年以
下ノ懲役、又ハ三千圓以下ノ罰金トナッテ
居ッテ、兩方ノ間ニ區別ハ設ケテアリマセ
ヌ、ソレカラ商法ノ四百九十四條ニ關スル
規定ト、有限會社法案ノ八十二條ニ關スル
規定モ、共ニ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下
ノ罰金ニ處ストアリマシテ、兩者ノ間ニ區
別ヲ認メテ居リマセヌ、故ニ政府ノ言ハレ
ル所ノ答辯ハ、二者ノ間ニ區別ヲ設ケザル
法規アリ、又二者ノ間ニ區別ヲ設ケタル法
規アリ、而モ其說明ノ上ニ於テ、株式會社
ニ付テハ先程御述ニナッタ趣旨ヨリシテ重
アヤッテ、有限會社ニ付テハ少クスルノデア
ルト言ヒナガラ、一方ニ於テハ同ジヤウニ
シテ臨ンデ居ラレルト云フコトハ、說明ガ
喰違ッテ來ルノデハナイカ、モット外ニ說明
ノ仕方ガアレバ承リタイト思ヒマス、唯今
ノハ一例ヲ示シタノデアリマス、ソレカラ
先程政府委員ノ御答辯ニ、社會的儀禮ト云
フコトガアリマシタガ、アナタ方ノ社會的
儀禮ト云フノハ、ドウ云フ意味デアリマス
カ、現今ノ裁判官ノ頭ハ餘程違ッテ居ルト
思フ、私ハ貧乏ハシテ居ルケレドモ、千圓、
二千圓ノ金ハ眼中ニ置イテナイ、所ガ私共
證人ニ出テ行ッテ、三千圓ト言フト、眼ノ球ガ
飛ビ出ル程ビックリナサル、私ハ三千圓位ノ
金ガ何デスカト言ッテ笑ッタノデスガ、ソレ
ダケ頭ガ違ッテ居ル、モノニ依レバ非常ニ頭
ガ違ッテ居ル、此頃會社ノ顧問ヲシテ居ル
偉イ方ハ、晝飯ヲ食フノニ困ル、一體五十
錢ガ儀禮カ、三十五錢ガ儀禮カ、或ハ一圓
ノ辨當デモ差支ナイノカ、ダカラ是ハ官等、
身分ニ依ッテ違フノデス、中ニハ御出張ニ
ナッタ時ニ、宿賃ヲコチラノ方デ、大シタコ
トデハナイカラト言ッテ拂テ置クト、瀆職デ
ヤラレル、統計ヲ取ッテ御覽ナサイ、隨分ヒ
ドイノガアル、是等ノ方ハ御馳走ヲスル積
リデハナイガ、マア〓〓コチラデ拂ッテ置キ
マストヤルト、怪シカラヌト云フコトニナ
ル、一體儀禮ト云フノハ、檢事ノ頭次第ニ
依ッテハ、大變ナ問題ニナル、是ハ儀禮デナ
イ、コチラハ儀禮ダト云フコトデ、最近世
間ニハ不正ノ請託ナクシテ罪ニ行ク者ハ澤
山アリマス、私共ハ此點ヲ非常ニ憂慮致シ
マス、此法案ヲ通サウトスルナラバ、私共
ハ此儀禮ト云フ意味ヲ、ハッキリシテ戴キ
タイト思フ、サウシテ之ヲ本會議ノ速記錄
ニ載セテ置カナケレバナラヌ、委員會ノ速
記錄ヲ見ル人ハ少イノデス、本會議ノ速記
錄ハ日本全國ノ人ガ皆見マスカラ、大臣ヲ
シテ明言サセテ置カナケレバナラヌ、幸ヒ
一松サンモ居ラレルカラ、一松サンカラモ
御質問ガアルト思ヒマスガ、時ニ依レバ三
十錢ノ辨當デモ漬職ニナルコトガ昔ハアッ
タ、今日三十錢位ト松阪サンハ仰シヤルケ
レドモ、時代ニ依ッテ違フノデス、時代ニ依ッ
テ罪ニナッタリ、罪ニナラナイト云フコトデ
ハ國民ハ困リマス、法律ガ始終變ルナラ兎
モ角、法律ハ一旦出來タラ變ラナイノデ
スカラ、其點ヲ此際政府委員カラシッカリ
言明シテ戴クト共ニ、委員長ニモヨク聽イ
テ置イテ戴イテ、最後ニ大臣ヲシテ明言ヲ
サセナケレバ、私ハ承知出來マセヌ、請託
ト云フコトハ分ッテ居リマスガ、一體ドノ程
度マデヲ請託ト認メルカ、ドノ程度マデヲ
儀禮ト認メルカ、饂飩一杯ナラ宜イダラウ、
五十錢ノ辨當デハモウイカヌ、是ガ人ニ依ッ
テ違フ、ソンナコトデハ危ナクテ日本全國
ノ商業家ガ困ル、アナタ方ハ會社ゴロヲ退治
スル爲ニ汲々トシテ、新シイ法律ヲ拵ヘラレ
ル、是ハ私ハ洵ニ結構ダト思フ、所ガ會社
ゴロト云フノハ、ドウモ定義ガハッキリシ
ナイ、株主ヲシテ株主權ヲ行使セシメ、
議事ノ進行ヲ圖リ-サウシテ昔ノ會社
ゴロハ嚇シテ金ヲ取ッタ、今日ノ會社ゴロ
ハ褒メテ金ヲ取ル、是ハ洵ニ結構ナ案ダト
カ、ドウゾ各位ノ御贊成アランコトヲ望ム、
褒メテ金ヲ取ル、昔ハ嚇シテ金ヲ取ル、嚇
スノハ脅迫ダカラ勿論取締ル、人ヲ褒メテ
金ヲ貰ッテモ罪ニナル、今日ノ御取締ノ方針
ハサウナッテ居リマス、人ヲ褒メテモ、ソレ
ニ依ッテ金ヲ取ッテハイケナイ、人ヲ褒メテ
金ヲ貰ッテ宜イノハ、或ル接客業者ダケデス
ヨ、サウ云フ譯デアリマスカラ、會社ゴロ
ノ定義ヲ私ハ聞イテ置キタイ、マア私ハヤ
リマセヌガ、私共株ヲ持ツコトモアリマセ
ヌ、若シ株ヲ持ッテ居ッテ、顧問カ何カデサ
ウ云フコトヲヤレバ、私ハフン縛ラレテシ
マフ、怖クテ仕方ガナイ、デスカラ此法規ノ
狙ヒ所、ドノ程度ヲ會社ゴロト見テ居ル
カ、或ハ先程申上ゲタ請託ト云フノハ、ド
ノ程度マデヲ請託ト見テ、ドノ程度マデヲ
儀禮ト認メルカ、其範圍ヲ大體ニ於テ示シ
テ戴キタイ、一圓ノ辨當ハ宜シイガ、三圓
ノ辨當ヂヤイケナイ、三圓迄ハ宜イケレド
モ、五圓デハイケナイ、恐ラクアナタ方ハ
金デ來ルダラウト思ヒマスカラ、アナタ方
ノ狙ヒ處、標準ヲ政府委員トシテ御示シヲ
願ヒタイ、是ハ日本全國ニ知ラシメル必要
ガアリマス、アナタノ方デ宣傳サレルト言
ヒマスケレドモ、宣傳ガ利カナイ時ハドウ
ナル、大變ナ問題ガ起リマスカラ、此處デ
標準ヲハッキリシテ戴キタイ、ムヅカシカッ
タラ原稿ヲ拵ヘテ戴イテ、朗讀デモ結構デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=22
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023・松阪廣政
○松阪政府委員 先ヅ第一ニ御尋ニナリマ
シク本法案ノ四百九十一條ノ預合行爲ノ處
罰ノ罰則ト、有限會社ノ七十九條ノ預合ノ
行爲ノ處罰ノ罰則トニ重イ輕イガアル、其
區別ノ理由ハドウカト云フ御尋デアリマシ
タガ、如何ニモ左樣ナ區別ガアリマスルガ、
ソレハ先程申シマシタ通リ、株式會社、株
式合資會社ト有限會社トノ性質上ノ差異カ
ラ左樣ナ區別ヲ設ケタノデアリマス、其次
ニ然ラバ本法案ノ四百九十三條ノ財產上ノ
不正利得罪ト有限會社ノ八十一條トハ、是
ハ罰ニ變リハナイヂヤナイカ、又本法案ノ
四百九十四條ト有限會社ノ八十二條、權利
行使ニ關スル財產上ノ不正ノ利益ノ取得、
是亦刑罰ニ變リハナイヂヤナイカト云フ御
尋デアリマシタ、如何ニモ是ハ其通リデア
リマス、極メテ嚴密ニ申シマスルト、會社
ノ性質カラ、先般來申述ベマシタ通リノ理
論カヲ致シマスルナラバ、是亦若干刑期或
ハ金額ヲ引下ゲルノガ至當デアルト云フ意
見モナイデハナイノデアリマスルガ、只今
マデ述ベマシタ有限會社ノ方ヲ輕ク致シマ
シタ、罪ハ何レモ大體會社法案ニ於キマシ
テハ五年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金
ト云フ此較的重イ罪ニナッテ居リマスノデ、
如何ニモ刑ガ重イノデアリマスルカラ、之
ヲ少シク下ゲル必要ガアル、然ルニ四百九
十三條、四百九十四條ニ至リマスト、前者
ハ三年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金、
後者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金
デアリマス、刑ガ稍〓輕クナッテ居ルノデアリ
マスカラ、之ヲ更ニ引下ゲルト云フノハ餘
リニ輕キニ過ギヤシナイカト云フノデ、商
法ノ罰則ト大體同額ニ致シタノデアリマス、
是ハ或ハソレデハ理論ガ貫カヌヂヤナイカ
トオ叱リヲ受ケルカモ知レマセヌガ、多少
理論ガ貫カヌ點ガアルカモ知レマセヌガ、
今申ス通リ、刑ガ是ダケ輕イノデアリマス
カラ、之ヲ更ニ輕クスルト云フノハ如何カ
ト思ヒマシテ、同法案ヲ同一ニ致シタ次第
デゴザイマス、ソレカラ第二ニ御尋ニナリ
マシタ財產上ノ利益ニハ、社會的儀禮タル
饗應ヲ含マレテハ困ルカラ、其標準ヲ示セ、
ソレヲ明ニシテ置カナケレバナラヌト云フ
御尋デアリマスルガ、政府ト致シマシテモ
標準ヲ明確ニ示セルナラバ示シタイノデア
リマスルガ、御承知ノ通リ社會的儀禮デア
リマスルカラドウシテモ其人個人々々ニ付
テノ社會的地位、境遇、財產、社會生活等
ヲ標準ニ致サナケレバナリマセヌノデ、十
圓迄ノ御馳走ハ社會的儀禮デ、ソレ以上超
シタナラバ賄賂ダト云フ風ニ金額ヲ以テ區
別スルト云フ譯ニハ參リマセヌ、ドウシテ
モ人ニ依ッテ違フノデアリマシテ、賄賂罪ニ
付テ申シマスナラバ、極メテ下級ノ官吏ガ
一晩數十圓ニ値スル、或ハ數百圓ニ値スルヤ
ウナ饗應ヲ受ケルナラバ、是ハ社會的儀禮
ト見得ナイノデアリマスルガ、比較的高位
高官ニ在ル官吏デアルトカ、或ハ會社デ申
シマスレバ、或ル大キナ會社ノ重役ナドガ
一晩數十金ヲ投ジテモ、ソンナコトハ少シ
モ問題ニナラヌノデアリマス、社會的儀禮
ト當然言ハナケレバナラヌノデアリマス、
之ヲ一定ノ標準ニ示スト云フコトハ殆ド不
可能デアリマシテ、是ハ社會常識ニ依ッテ自
ラ決マルコトト思ヒマス、併ナガラ各裁判
官ガ勝手ニ亂暴ナコトヲヤラレテハ困ル、
各檢事ガ自分ノ收入ニ比較シテ、勝手ニヤ
ラレテハ困ルト云フ御意見デアリマスル
ガ、其點ニ付キマシテハ、是ハ政府トシマシ
テモ十分ニ各法規ヲ適用シマスル者ニ對シ
テ、妥當ナル取扱ヲ致シマスヤウニ注意ヲ致ス
積リデアリマス、最後ニ會社ゴロノ定義ヲ
示セト云フ御話デアリマシダガ、本法四百
九十四條、有限會社法八十二條ハ只今御述
バニナリマシタ通リ、會社ゴロノ弊害ヲ除
去致シタイト云フ趣旨ハ、本法條ノ狙ッテ居
ル重要ナル點デアリマス、ドレガ會社ゴロ
カ之ヲ定義的ニ申スノハ甚ダ困難デアリマ
スルガ、是亦社會的ニハ比較的明瞭ナル場合
ガ多イノデアリマス、大抵ノ會社デハドレ
ガ會社ゴロカト云フコトハ、會社ノ重役ハ
能ク知ッテ居ラレルヤウデアリマス、或ハ檢
事局デハ能ク分ラヌカモ知レマセヌガ、會
社自身ノ方ハ最モ能ク知ッテ居ラレルヤウ
ニ吾々ハ思フノデアリマス、極ク少數ノ株
ヲ持チマシテ、實際ハ其株ニ依ル利益配當
ヲ得ルトカ、或ハ株ノ轉賣ニ依ッテ儲ケヨウ
トカ云フ意思ナク、其株ヲ持ッテ居ルコトニ
依ッテ甚ダ價格不當ナル金ヲ會社カラ得ヨ
ヨト云フ趣旨ノ下ニ、ソレニ依ッテ專ラ生活
シテ居ル人間ガ、通常會社ゴロト謂ハレルヤ
ウデアリマスガ、會社ゴロト言ハレル者ノ
本體ハ、本人ノ生活ナリ、環境ナリ、經歷
ナリ、活動ノ模樣ヲ調ベレバ、自ラ裁判所
モ檢事局ニモ明確ニナリ得ルト存ズルノデ
アリマス、彼等ハ要スルニ株主ト云フノハ
名バカリデ、權利ノ濫用ニ依ッテ不當ノ利益
ヲ得ルノガ、其本體デアラウト存ジテ居ルノ
デアリマス、又本法ハ左樣ナ者ヲ取締ラウ
ト云フ趣旨ニ依ッテ、立法シタ次第デゴザイ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=23
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024・内藤正剛
○内藤委員 私ノ質問ノ趣旨ノ半分ハ分ツ
居リマスガ、後ノ半分ガ政府委員ニハ御分
リニナラヌヤウデアリマス、先程政府委員
ノ御答辯ニ依リマスト、其人ノ身分ニ應ジ
テ社會的儀禮ト云フモノハ違ッテ來ル、斯ウ
云フ御話デアッタ、身分ノ低イ者ガ一晩ニ相
當ナ高イ饗應ヲ受ケルコトハ怪シカラヌト
言ハレル、ソコニ間違ガアル、中ニハ自己
ノ勢力ヲ示ス爲ニ、其機會ヲ利用シテ豪奢
ナ遊ビヲシテ、饗應ヲ受ケル者ニ自分ノ
力ヲ示ス爲ニ、可ナリノ饗應ト云フトオカ
シイガ、其「チヤンス」ヲ利用スル人ガア
ル、ソレガ問題ニナルト云フト頭割ニシテ
一人前何圓ト來ル、ソコニ間違ガ起ル、假
ニ私ガ偉イ者ト致シマスト、私ガ遊ビタ
イ、關係ノ女モ居ルカモ知レナイガ、人ガ
來タノヲ幸ニ遊ブ、片方ニ對シテハヒケラ
カシテ置ク、片方ハソレダカラ有難クナ
イ、問題ニナルト其金額ヲ、二人デスト二
一天作ノ五、三人ダト三進ノ一進デヤル、
ソレデハ社會的儀禮ニ反スル、ソコデ社會
的儀禮ノ饗應ト云フ事柄ハ何ヲ主觀的ニ見
ルカ、無論ソコニ婦人ヲ關係サセタリスル、
ソレハ面白クナイ、ソンナコトヲ尋ネルノ
デハナイ、私ノ言フノハ出シタ金デナク、
其機會ヲ利用シテヤル人ガ、日本全國ノ偉
イ方ニ澤山アル、相手方ハ迷惑スル、偶〓
行ッタ所ハ、サウ云フ積リデ行ッタノヂヤナ
イ、晩飯ヲ御馳走ニナル積リデ行ッタ所ガ、
其處ニハ美人ガ澤山來テ居ル、良イ加減ノ
高イ御馳走デアル、出ルニ出ラレズト云フ
ヤウナコトデ、思ハズ是ガ罪ニナルト云フ
場合ハ、氣ノ毒ヂヤアリマセヌカ、其立場カ
ラ、私ノ言フノハ會社ノ立場ヂヤナクシテ
其人ノ立場カラ、卽チ收賄者側ノ立場カラ
見テ、氣ノ毒ナ場合ガアリ得ルト思ヒマス
ノデ、アナタニ特ニ定義ヲ煩シタイ、斯ウ
云フコトヲ申上ゲタ、ダカラアナタノ方ノ
御答辯トシテハ、ソレハ何ノ主觀ニ依ッテ御
決メニナルカト云フアナタ方ノ御方針ヲ承
リタイ、是ガ私ノ狙ヒ所デアリマス、ソレ
カラ第二ニ御答辯ニナリマシタ會社ゴロノ
定義デスガ、是ハ私共ノ頭腦ニハピント來
テ居リマス、檢事局デハ御分リニナラヌカ
モ知レマセヌガ、併ナガラ此問題ハ、各地
方トモ警察部ガ能ク知ッテ居ルノデス、ソコ
デ時々周期的ニ總會ノアル前後ニ網ヲ張ッ
テ、會社ノ門前ヘ行ッテ刑事ガ捉ヘテ檢事局
ヘ報告スル、是ガアナタモ御承知ノ通リデ
セウガ實情デス、是ハ御互ニ頭腦デ判斷ガ
出來マスケレドモ、此法案カラ見マスト、
此金ヲ出スト云フコトハ、要求ヲ爲シ云々
ト云フコトガアルノデスガ、是ハ會社ノ金
ヲ使フ場合ニ罰セラレルノカ、將又重役ガ
自分ノ小遣ヲ出シテ、會社ニハ何モ迷惑ヲ
掛ケテ居ラヌ、斯ウ云フ場合ニデモ之ヲ罰
スルト云フ意味デアリマスカ、其點ヲモウ
一遍伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=24
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025・松阪廣政
○松阪政府委員 「不正ノ請託ヲ受ケ財產上
ノ利益」ト云フ點ニ付キマシテ、重ネテ御尋
ニ相成ッタノデアリマスルガ、實業界ノ實情
ニ付キマシテ、極メテ穿ッタル適切ナル御
話ヲ承ッタノデアリマス、饗應ヲ受ケタル場
合ノ責任ハ、人數ニ於テ平分シテ、此モノ
ガ饗應ヲ受ケタ額デアルト云フ機械的ノヤ
リ方ニハ、私モ贊成シテ居ナイノデアリマ
ス、只今御述べニナリマシタヤウニ、其機
會ヲ利用シテ、自分カラ遊興シテ居ル場合、
是ハ社會通念カラ申シマシテモ、ソレヲ饗
應ト云フノハ私ハ酷デアラウト思フ、寧口
饗應ニ名ヲ藉リタ自己ノ遊興ト見ルノデア
リマス、是ハ社會的儀禮ニサヘ至ルカ至ラ
ヌカヲ疑フノデアリマス、寧ロソレハ重役
自身ガ交際ニ名ヲ藉リテ、自ラ遊興シテ居
ルノデアッテ、決シテ饗應シタトハ言ヘナイ
ノデアリマス、又サウ云フ場合ニ饗應ニ與
ル人間モ、憤慨コソスレ餘リ好イ氣持ハシ
ナイノデアリマス、實情ニ於テ左樣デアリ
マスカラ、左樣ナ場合ニハ固ヨリソレヲ寧
ロ饗應ト見ルノガ妥當ヲ缺イテ居リハシナ
イカト思フ、假ニ饗應ト見ルトシテモ、極
メテ輕微ナルモノデアリマシテ、其金額ヲ
平分シテ、本人ガ饗應ヲ受ケタ額ダト云フ
ノハ、是ハ當ラヌト思ヒマス、固ヨリ是ハ
判事ノ主觀ニ依ッテ決メルノデナクシテ、社
會的儀禮ナリヤ否ヤト云フコトハ、其當時
ノ社會的ノ其人ノ地位、境遇、身分、財產
其場合ノ饗應ノ性質、內容等ヲ審査致シマ
シテ、客觀的ニ決メルベキモノダト私ハ考
ヘマス、ソレカラ會社ゴロニ對スル利益
ノ供與デアリマスガ、重役個人ガ自分ノボ
ケットマネー」ヲ出シテ相手ニ供與シタ場合
ト、會社ノ金デヤッタ場合ト、相違ガアルカ
否カト云フコトデアリマスガ、四百九十四
條ニ依リマスレバ、固ヨリ會社デ金ヲヤッタ
場合ニ限ラナイノデアリマスルカラ、重役
個人ガ左樣ナコトヲ自分ノ金デヤリマシテ
干、ヤハリ四百九十四條ノ犯罪ハ成立スル
モノト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=25
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026・内藤正剛
○内藤委員 他ノ問題ニ移リマスガ、只今
政府委員ノ御說明デ、私共洵ニ結構ダト思
ヒマスガ、ドウゾアナタノヤウナ心持ヲ、
日本全國ノ檢事ニ仰シヤッテ戴カヌト云フ
ト、ハッキリ申上ゲテ置クガ檢事ハ實際ハサ
ウハヤッテ居リマセヌ、兎ニ角頭割何ボデハ
ナイカト云フコトデ、可ナリ檢擧サレテ迷惑
シテ居ルコトヲ私知ッテ居リマス、此處デ事
件ハ申シマセヌ、デスカラアナタガ仰シヤ
ルヤウナ心持ノ檢事バカリ居レバ仕合セデ
アリマスガ、其通リヤッテ居ナイト云フコト
ヲ、此際ニドウゾ特ニ御記憶ヲ願ヒマス、
ソレカラ不實報〓ノ四百九十條ノ終ヒニ稍〓
似タモノニ該當スルノデスガ、之ニ限リマ
セヌガ、特別法ニハ一松サンガ此間質問サ
レテ居ッタノデスガ、例ヘバ航空機製造事業
法案ノ二十三條ニ該當スルモノ、或ハ有限
會社法案ノ第八十五條ニ該當スルモノ、ソ
レカラ有價證劵引受業法案第十八條ノ四號
卽チ同法ノ十三條ノ規定ニ依ル命令ニ違反
シ云々ト云フ規定デス、サウ云フヤウナ場
合ハ千圓以下ノ罰金デアリマス、一々申上
ゲルト數限リモアリマセヌガ、要スルニ或
ル場所ニ於テハ過料ヲ徵收シタリ、或ル場
所ニ於テハ罰金刑ヲ徵收シタリシテ居ルノ
デアリマシテ、商法法規ハ馬鹿ニ重クナッテ
居ルノデアリマスガ、是ハ御話ニ依ルト一々
御相談ヲ受ケラレタト云フコトデアリマ
スガ、特殊會社デアレバ罰則ニ付テモ特別
ノ御庇護ヲ受ケル、特殊會社デナケレバ重
クヤラレルト云フ事柄ハ、私如何ガナモノ
デアラウカト思ヒマス、特殊會社コソ重ク
罰シ、民間普通ニ行ハレマスル從來ノ文書
ニ不實ヲ記スルトカ何トカ云フコトデ、正
確ヲ期スル場合ハ重ク罰シ、然ラザル場合
ハモウ少シ何トカ考ヘテヤッタ方ガ、今日生
產擴充ダトカ、流行言葉デ色々政府モ產業
ノ奬勵ヲサレテ居ルノデスガ、餘リ罰則バ
カリヲ重クシテ臨ムト云フ事柄ハ、却テ產
業ハ萎靡スルト云フ結果ヲ來タスノデハナ
カラウカト思ヒマスノデ、此點ヲ一ツ伺フ
ノデアリマス、當時相談ヲ受ケタト仰シヤ
ルノデスカラ、他ノ特殊會社ノ法規ハ皆御
存ジト思ヒマスノデ、持ッテ居リマスケレド
モ一々申シマセヌガ、アナタノ方デ其點ニ
對スル御答辯ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=26
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027・松阪廣政
○松阪政府委員 第四百九十條ハ五年以下
ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ト云フコトニ
ナッテ居リマス、其犯罪ノ性質カラ申シマス
ルト、株式又ハ社債ノ募集ニ當リ虚僞ノ文
書ヲ行使シ或ハ株式社債ノ賣出ヲ爲ス際ニ
虚僞ノ文書ヲ行使スルト云フ罪デアリマシ
テ、其本質ガ比較的重大ニシテ重イノデア
リマス、航空機製造事業法ノ二十三條ニ依
リマスルト、是ハ五百圓以下ノ罰金ニナッテ
居リマスガ、其內容カラ申シマスルト商法
ノ場合ヨリモ餘程犯狀ガ輕イノデアリマス、
例ヲ第一號ニ取リマシテ申シマスルガ、第
一號ハ同法第十五條ニ違反スル場合デアリ
マス、第十五條ニ於キマシテハ政府ハ航空
機製造會社ニ對シテ業務ト財產ノ狀況ニ關
シテ報〓ヲ爲サシムルコトガ出來ルコトニ
ナッテ居ル、此命令ヲ致シマシタル場合ニ、
命令ヲ受ケタ者ガ報告ヲ爲サズ、或ハ虚僞
ノ報告ヲシタト云フ場合ニハ、其違反行爲
ニ對シテ罰則ヲ科スルノデアリマスルガ、
是ハ只今述べマシタ本法案ノ四百九十條ノ
虚僞ノ文書ヲ一般公衆ニバラ撒イテ、株式
ノ引受或ハ社債ノ募集ヲスルト云フヨリハ、
犯狀ニ於テハ甚シク相違ヲ致シテ居ルノデ
アリマス、隨テ此方ハ輕イ罰金ト云フ見解
デアリマス、其他二號三號何レモ本法ノ四
百九十條ニ比シマシテハ極メテ輕イノデア
リマス、次ニハ有價證劵引受業ノ十八條ノ
第四號、是モ場合ガ異ナリマシテ、有價證劵
引受業法ノ第十三條ニ依リマスルト、主務
大臣ハ何時ニテモ部下ノ官吏ニ命ジテ、證
劵引受會社ノ業務ヤ財產ノ狀況ヲ檢査サセ
ルコトガ出來ルノデアリマス、然ルニ其場
合ニ命令ヲ受ケタ官吏ガ會社ヘ參リマシ
テ、業務ヤ財產ノ狀況ヲ檢査スル際ニ、其
檢査ヲ拒ミ、妨ゲ、忌避シタト云フ場合ニ
ハ、是ハ千圓以下ノ罰金ニ處スト云フコト
ニナッテ居リマシテ、是亦事案ノ性質カラ申
シマスレバ、場合ガ違ヒマスノデ、刑モ亦
自ラ異ル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=27
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028・仲井間宗一
○仲井間委員 關聯シテ御伺致シマス、四
百八十八條ト會社ゴロトノ關係デアリマス
ガ、或ル電氣會社ノ料金ガ高イト云フノデ、
所謂會社ゴロガ、此電氣會社ハ隨分儲カッテ
電氣料ガ高イ、此電氣會社ヲ潰スニハ電氣ノ
點燈者ヲ少クシナケレバナラヌ、是ガ潰レ
バ、或ハ市營トカ公共團體ノ設備ノ電氣
經營ガ、實現出來ルト云フコトヲ言ヒ觸ラ
シテ、サウシテ之ヲ倒ス爲ニハ點燈者ノ契
約ヲ解除シナケレバナラヌト云フノデ、「ラ
ンプ」ヲ點ケサシテ運動シタノガアッタノデ
アリマス、ソレガ爲ニ非常ニ電氣會社ハ困
リマシテ、或ハ此電氣會社ハモウ潰レルカ
モ知レナイト云フノデ、其株劵ガ非常ニ下ッ
タノデアリマス、其株劵ノ下ッタノヲ機會
ニ、或ル大株主ガ之ヲ買占メテ、サウシテ
會社乘取ニ掛ッタ、所ガ後デハ其運動ガナク
ナッテシマッテ、潰レルドコロデハナイ、非
常ニ盛ニナリマシタ、會社ガ潰レルダラウ
ト云フノデ株ハ非常ニ暴落シタ、其暴落シ
タ時ニウント買占メテ、今日デハ暴落モシ
ナケレバ、會社ハ隆々トシテ經營シテ居ル、
會社ニハ何等ノ損害ヲ與ヘテ居ラナイ、株
式ハ一時ハ下ッタケレドモ、今ハ騰ッテ居ル、
サウ云フコトヲ言ヒ觸ラシタリ、演說ヲシ
タリ、記事ヲ書イタリシテ居ル所謂ゴロト
申シマスカ、其裏ニハヤハリ重役カ何カ潛
伏シテ居ッタト云フ噂デアリマスガ、サウ云
フ場合ニ、其傀儡トナッテ色々策動シテ居ル
會社ゴロ、又ソレト關聯シテ居ッタ重役ニ
ナッテ居ル人ハ、所謂四百八十六條ノ、刑法
ノ背任罪ミタヤウナモノデアリマスガ、
時ハ株ハ暴落シタケレドモ、後デハ却テ其
株ガ騰ッタト云フ結果ニナッテ居ッテ、事實ニ
於テハ會社ニ損害ヲ與へテ居ラナイ、所ガ考
ヘテ見ルトドウモサウ云フコトハ許シ得ナ
イ行爲デアル、ソレヲドウ云フ風ニ取扱フ
ベキデアラウカト云フ點ヲ伺ヒタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=28
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029・松阪廣政
○松阪政府委員 只今會社ゴロニ付テノ御
尋デアリマシタガ、左樣ナ場合ニハ固ヨリ
四百八十六條ニハ當リマセヌノデ、四百八
十六條ノ法文ニ示シマス如ク、其電燈會社
ナラ電燈會社ノ取締役自身ガ自分ノ利益ヲ
圖リ、或ハ會社ヲ害スル目的デ會社財產ニ
損害ヲ加ヘタ背任行爲ヲ處罰スルノデアリ
マスカラ、其會社以外ノ人ガ左樣ナ策動ヲ
致シタト致シマシテモ、四百八十六條デ取
締ル譯ニハ參ラヌノデアリマス、又一般會
社ゴロヲ取締ラウト云フコトヲ狙ッテ居ル
四百九十四條ニモ當ラナイノデアリマス、
四百九十四條ハ三ツノ場合ヲ揭ゲテ居リマ
シテ、創立總會、株主總會、社債權者集會
又ハ債權者集會ニ於ケル發言、又ハ議決權
ノ行使ニ關シマシテ不正ノ請託ヲ受ケテ、
財產上ノ利益ヲ得タ場合デナケレバ、罰シ
ナイノデアリマスカラ、今ノ場合ハサウ云
フ場合デモナケレバ、又四百九十四條ノ第
二號第三號ニ當ル場合デモナイヤウニ存ズ
ルノデアリマス、隨テ或ル第三者ガ電氣會社
ヲ乘取ルト云フ考ノ下ニ左樣ナコトヲ致シ
マスレバ、若シ其ヤッタ行爲ガ僞計ヲ用ヒ
ルトカ、或ハ虛僞ノ風說ヲ流布スルトカ、
僞計ノ手段ヲ用ヒテヤリマシタ場合ニハ、
刑法ノ業務妨害トナリ、或ハ信用ノ毀損ト
ナリ、左樣ナ犯罪ヲ構成スル場合モアラウ
ト思ヒマスガ、何等サウ云フ僞計ナリ何ナ
リヲ致サナイトスレバ、是ハドウモ取締ル
方法ガナイト云フコトニナルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=29
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030・仲井間宗一
○仲井間委員 私ガ今御聽キシマシタ假想
的例デアリマスガ、ソレハ取締役ト第三者
ガ通ジマシテ、或ル取締役ガ株劵ヲ買占メ
ヨウト云フ計畫カラ出タモノデアリマシテ、
第三者ガ新聞記事ヲ書イタリ色々ナコトヲ
シテ、ソレガ爲ニ株ガ暴落シタ、其暴落ニ
乘ジテ買占メテ社長ニナル、所ガ株ハ一時
ハ暴落シタケレドモ、又囘復シタ、成程會
社ニ損害ヲ加ヘタ場合ニハ背任ニナルガ、
一時株主ハ損害ヲシテモ、實際ハ損害ガナ
イ、サウ云フヤウナ場合ニ株式ヲ保護スル
ト云フコトト、會社ヲ保護スルト云フコト
トハ、觀念ハ別デアリマシテモ、實際ニ於
テハ同一デアリマス、之ヲ何トカサウ云フ
場合ニ救濟スル途ヲ置カナカッタト云フコ
トガ、外ノ方面ヲ保護スルト云フ均衡上、
少シ手落デハナカッタカト云フヤウナ感ジ
ガアリマス、斯ウ云フヤウナ會社其他ヲ保
護スル規定ヲ置イタ均衡上、サウ云フヤウ
ナ種類ノ場合モ、相當ニ取締ルベキ制度
ガ欲シカッタノデアリマス、若シナケレバ仕
方ガアリマセヌガ、何トカサウ云フ方面ヲ
御考ニナラナカッタノデアルカ、御氣付ニ
ナラナカッタノデアルカ、サウ云フコトハ實
際ニ於テ起リ得ルコトト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=30
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031・松阪廣政
○松阪政府委員 只今ノ御話ニ依リマスト、
取締役ガ第三者ト通謀シテ、會社ノ株式ノ
暴落ヲ謀ッテ會社ノ乘取策ヲ廻ラシテ、自分
等ノ利益ヲ圖ッタト云フノデアリマスガ、
取締役ガ第三者ト通謀致シマシテ、自分ノ
會社ヲ害シヨウ、自分ガ不當ノ利益ヲ得ヨ
ウト云フ考ノ下ニ、何等カ策動ヲ致シマシ
テ、其結果會社ニ損害ヲ與ヘル行爲ガアレ
バ、固ヨリ取締役ハ背任罪ノ處分ヲ受ケナ
ケレバナラヌコトハ當然デアリマス、唯株
式ガ下ッタカラ、直チニ會社ニ損害ヲ與ヘタ
ト云フ譯ニハ行キマセヌ、下ッタ場合ニ會社
ガ損害ヲ受ケル場合モアリマスガ、又會社
ニ損害ノナイ場合モ稀ニハアルノデアリマ
ス、一〓ニ論ゼラレマセヌガ、現實ニ多ク
ノ場合ニ於キマシテハ、株式ノ暴落スルト
云フコトハ、會社ガ取引上非常ナ支障ヲ來
シ、損害ヲ受ケルト云フコトハ、通常言ヒ
得ルノデアリマスカラ、隨テ左樣ナ場合ニ
會社ノ取締役ガ自分ノ利益ヲ圖リ、或ハ第
三者ノ利益ヲ圖リ、或ハ會社ヲ害スルト云
フ意圖ノ下ニ、背任的ノ何等カノ行爲ヲシ
タナラバ、是ハ四百八十六條デ取締ルコト
ガ出來ルト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=31
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032・仲井間宗一
○仲井間委員 諄イヤウデアリマスルガ、
會社ニ實害ヲ生ゼシメズシテ、唯株式ノミ
ガ暴落シタ、今指摘シマシタル手段ニ依ッテ、
株式ノ暴落ヲ圖ッタト云フ其行爲ヲ、他ノ罰
則ニ規定シテアル所ノ行爲トノ均衡上、此
方面モ取締ル必要ガアルノデハナイカト云
フコトヲ、私ハ聽イテ居ル、苟モ會社ヲ保
護スルコトハ、株式ノ保護モ必要デアリマ
スガ、サウ云フ不當ニ株式ノ暴落ヲ圖ル手
段ヲ執ッテ居ル者ニ對スル取締ト云フモノ
ハ、一般法、他ノ刑法ノミデナクシテー
此法ノ罰則ハドッチカト云フト、一般法ヨリ
モ重イ結果ニナルノデハナイカト云フ風ニ
見ラレテ居ルノデアリマスガ、均衡上此罰
則ノ中ニ入レテ然ルベキモノデアルト思フ
ノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=32
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033・松阪廣政
○松阪政府委員 單ニ株式ノ暴落ヲ、何等
カノ不正手段デ圖ルト云フコトニナリマス
ルナラバ、是ハ商法上ノ罰則ニ加ヘルヨリ
モ刑法其他ノ別ノ法律ニ規定シタ方ガ、妥
當デナイカト考ヘルノデアリマス、商法ノ罰
則編ニ規定致シテアリマスルノハ、會社ノ
役員或ハ高級使用人、或ハ其會社ノ爲ニ權
利ヲ行使スル者、サウ云フ會社直接ノ關係
者ガ、犯罪行爲ヲヤッタ場合ヲ本法ニ於テ取
締ラントスルノデアリマス、其以外ハ刑法
其他ノ特別法等ニ讓ッタ方ガ、立法手段トシ
テ妥當デアルト考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=33
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034・仲井間宗一
○仲井間委員 私ガ申上ゲスルノハ、會社ノ
重役ガ自分ノ會社ノ株ヲ暴落セシムル手段
ヲ執ッタ場合デアリマス、會社ハ直接ノ損害
ハ受ケヌガ株ハ暴落シタ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=34
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035・松阪廣政
○松阪政府委員 會社ノ重役ガ自分ノ會社
ノ株ヲ暴落サシタト云フ場合ニハ、四百八
十六條ノ特別背任罪ニ山ル合合ガ、殆ド大
部分デアラウト思ヒマス、現實ニサウ云フ
會社ニ損害ヲ與ヘヨウト云フ意思ガアル、
或ハ自己若ク第三者ヲ利スル意圖ノ下ニ、
背任的ノ行爲ヲ致シマスルナラバ、四百八
十八條ニ依ッテ未遂罪ヲモ罰スルノデアリ
マスカラ、其行爲ガアレバ、現實ニ會社ハ
損害ヲ受ケナクテモ罰スルノデアリマスカ
ラ、會社ノ重役ニ對シテハ取締リ得ルト考
ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=35
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036・内藤正剛
○内藤委員 會社ノ重役ハ實情ヲ知ッテ居ツ
テ、此株ハ將來上ルト云フコトモ分ル、デア
リマスルカラ儲ケタ場合ハ是ハ實害ヲ與ヘ
テナイカラ、取締ル必要ハナイカ、此點ニ
付テ政府委員ノ御意見ヲ承リタイ、「使用人
自己若ハ第三者ヲ利シ又ハ會社ヲ害センコ
トヲ圖リテ共ノ任務ニ背キ會社ニ財產上ノ
損害ヲ加ヘタルトキ」是ハ「又ハ」ダカラ損害
ヲ加ヘタ場合モ、自己若ハ第三者ヲ利シ······
之ヲ說明ヲシテ戴キタイ、是ハ私ハッキリ申
上ゲテ置キマスガ、一例ヲ取ッテ言ヘバ、或
ル整理會社ガアル、此整理ガ出來レバ、此
株ノ五十圓ナラ五十圓ノモノハ將來百二十
圓ニナルダラウ、斯ウ云フコトハハッキリ
分ッテ居ル、斯ウ云フヤウナ時ニ儲ケニ掛ツ
タ場合ニ、之ヲ罰スルノガ四百八十六條ノ
規定デアリマスカ、斯ウボンヤリト伺ッテ置
キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=36
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037・松阪廣政
○松阪政府委員 四百八十六條ハ單ニ自分
ガ會社ヲ利用シテ儲ケタト云フダケデハ、
無論其爲ニ何等ノ制裁ハ受ケナイノデアリ
マシテ、自分ヲ利スル爲ニ任務ニ背イタ行
爲ガナケレバナラヌ、又ソレガ會社ノ財產
上ニ損害ヲ加ヘル行爲デナケレバナラヌノデ
アリマスカラ、單ニ儲ケタト云フダケデハ、
本條ニ該當シナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=37
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038・内藤正剛
○内藤委員 サウ仰シヤルダラウト思ッタ
ノデスガ、其任務ニ背クト云フノハ、ドウ
云フ譯デスカ、私ハ色々ノ會社ノ顧問ヲシ
テ居ルノデ能ク知ッテ居ルノデスガ、其任務
ニ背クト云フコトガ分ラヌ、例ヘバ五十圓
ノモノガ百圓ニナック場合ニ、賣買ヲシテモ
差支ナイノデハナイカト思フガ、近頃ハ檢
事サンガ偉クナッテ、モット儲カルベキモノ
ヲ儲ケナカッタト云フヤウナコトヲ言ッテ、
所謂消極的背任罪ガ認メラレル傾向ガアリ
マス、ソコデ私ハボンヤリ聞イテ見タノデ
ス、任務ニ背クト云フ意味ハ-「自己若ハ
第三者ヲ利シ」ト云フ文字ハ、任務ニ背クト
云フコトガ必要デアル、斯ウ云フ場合ニ任
務ニ背クト云フノハ、ドウ云フ意味デスカ、
將來會社ノ株ノ上ルコトヲ見込ンデ處分ス
ル、サウシテ其會社ガ良クナッテ會社ノ信
用ガ高マレバ益〓株主ハ利益スル、サウ云フ
場合デモ任務ニ背キト云フノニ引ッ掛ケヨ
ウトスレバ、引ッ掛ケテ縛ルコトガ出來ル、
ソレガ危イカラ私ハ質問ヲシテ居ルノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=38
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039・松阪廣政
○松阪政府委員 任務ニ背キト云フ言葉ニ
付テノ御尋デアリマスガ、任務ニ背クト云
フコトハ、取締役ナラ取締役ニ付テ、商法
上ニ於テ責任アル事柄ヲ揭ゲテアリマスシ、
業務執行其他ニ付テハ、定款ニ規定シテア
リマスカラ、其定款ヲ遵奉シテヤッテ行クベ
キデアリマスガ、其規定ニ背イテヤルコト
ガアリマス、又業務ノ執行ヲスル以上ハ、
善良ナル管理者ノ注意ヲ拂ハナケレバナラ
ヌ、其注意ヲ拂ハズシテ斯ウ云フコトヲヤッ
タ場合ニ、任務ニ背クコトニナルノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=39
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040・内藤正剛
○内藤委員 私ノ狙ヒ所ハ違ヒマス、苟モ
會社ノ重役ニナッタモノハ、自己ノ關係ス
ル會社ノ株式ヲ賣買ニ因ッテ取得スルコ
トガ出來ナイト云フ法條ヲ、設ケタラドウ
カト云フコトヲ言ヒタイノデスケレドモ、
ソレヲ先ニ言ッテハイカヌカラ、任務ニ背ク
ト云フコトヲ聞イタノデス、ソレデナケレ
バ今ノ大會社ノ重役ト云フモノガ、巨萬ノ
富ヲ積ムコトハ出來ナイ、彼等ハ皆ヤッテ居
ル、ソレデ任務ニ背キト云フコトハ、ドウ
云フコトカト聞イタノデス、配當ヤ賞與ダ
ケデ巨萬ノ富ヲ積ムコトハ出來ヤシナイ、
彼等ハ皆ヤッテ居ル、私ハ人ノ儲ケタコトヲ
嫉ムノデハナイ、仲井間君ハ損ヲシタトキノ
コトバカリ言フガ、私ノ言フノハ不勞所得
ヲ得テ居ル者ガ澤山アル、其事柄ガ軈テハ
思想問題ニ影響シテ、富ノ偏在ニ依ッテ色々
ノ社會主義者ガ現ハレテ來ルカラ、兎ニ角
會社ノ仕事ヲシテ居ル以上ハ、サウ其會社
ノ株ヲ賣ッタリ買ッタリ爲サラヌヤウニ、此
改正商法デ規定シタイ、ソレガ私ノ狙ヒ所
デアリマス、サウシテ眞ニ完璧ヲ期シタ商
法ニシタイト云フノガ眼目デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=40
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041・野村嘉六
○野村委員長 ソレデハ午前ハ是ニテ休憩
致シマス、午後ハ二時カラ開クコトニ致シ
マス
午後零時十一分休憩
午後二時十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=41
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042・野村嘉六
○野村委員長 午前ニ引續キ開會致シマ
ス-菊地君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=42
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043・菊地養之輔
○菊地委員 有限會社ノ全般的ナ質疑ノ時
ニ、私ハ出テ居リマセヌノデ分ラナカッタノ
デアリマスガ、此有限會社ト云フ名前ニ付
キマシテ、御伺シタイノデアリマス、玆
言フ有限ト云フノハ有限責任ト云フコトヲ
表示センガ爲ニ、有限會社ト云フ名前ヲ御
用ヒニナッタノデアリマセウカ、其點ヲ先ヅ
伺ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=43
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044・大森洪太
○大森政府委員 御說明ノ通リデアリマス、
此會社ハ從來學說上ナリ、又一般ニ有限責
任會社ト言ハレテ居ッタノデアリマス、詰リ
社員ガ總テ有限責任デアルト云フ趣旨カ
ラ、有限責任會社ト言ヒ傚ハシテ居ッタノ
デアリマス、偖テ法案ノ名前トシテ之ヲ考
ヘテ見マスルト、會社自身ガ何カ有限責任
ヲ持ツヤウニ見エマシテ、明確ヲ缺ク虞モ
アルノデアリマス、又有限責任會社ト云フ
長イ名前ニナリマスト、是カラソレヲ用ヒ
テ行キマスノニ不便ノ點ガナクハナイカト
存ジタ次第デアリマス、尤モ御承知ノ通リ
ニ、株式合資會社ト云フ長イ名前ノ會社モ
アリマスケレドモ、是ハ其數ガ少イノデア
リマス、此有限會社ハ將來殖エテ參リマセ
ウカラ、何レニ致シマシテモ便宜ノ方ガ宜
イト考ヘマシテ、旁〓左樣ナ關係カラ有限會
社ト云フ名前ニ定メタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=44
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045・菊地養之輔
○菊地委員 名前ハドウデモ宜イト云フヤ
ウナコトニ結局ナリマセウケレドモ、併ナ
ガラ有限責任ノ意味ヲ含メテ、ソレヲ短ク
スル爲ニ、有限會社ト云フ名前ヲ付ケタト
スルナラバ、是ハモット御考ヘ願ッタナラバド
ウカ、有限責任ト云ノ言葉ハ一定ノ法律上ノ
熟語トシテ一般ノ人ガ之ヲ認識シ、之ヲ諒
解シテ居ルノデアリマシテ、有限ト云フ言
葉ハ其有限責任ト云フ言葉ヲ短クシタノダ
ト云フ風ニハ、解サレナイト思フノデア
リマス、有限ハ所謂無限ニ對スル言葉デアッ
テ、會社ノ內容ニ對シマシテモ、一體何ガ
有限デアルカ、責任ガ有限デアルトフコト
カ、是ダケデハ分ラナイ、例ヘバ成立時期
ガ有限デアルトカ、或ハ社員ノ人數ガ有限
デアルトカ、資本ノ金額ガ有限デアルトカ、
何ガ一體有限デアルカト云フコトハ、是ダ
ケデハ分ラナイ、而モ一般ニ法律的ニハ有
限責任ト云フ言葉ヲ、各種ノ法典ノ上ニ現
シテ居ルノデアリマシテ、特ニ有限ト云フ
言葉ガ有限會社ノ場合ニダケ、是ハ有限責
任ノ意味ダト云フコトニナリマスト、法律
ノ統一ノ上カラ、體裁ノ上カライケナイノ
デハナイカ、玆デ一ツ寧ロ有限責任會社ト
云フコトヲ、ハッキリ銘ヲ打ッタ方ガ、此會
社ノ發達ノ爲ニモ宜クハナイカト思フノデ
アリマスガ、政府ノ御意見ハ如何デアリマ
セウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=45
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046・大森洪太
○大森政府委員 御尤ノ御意見ト存ズルノ
デアリマス、先程申シマシタ通リニ有限責
任會社ト云フ文字白身ガ、必シモ正確デナ
イノデアリマシテ、他ニ然ルベキ名前ガナ
イカト、隨分吾々ト致シマシテハ考ヘタノ
デアリマス、其考慮ノ末ニ有限會社ト云フ
名前ニ落付イタノデアリマスルガ、新シイ
名前デアリマスカラ、將來用ヒ方ニ依ッテ
ハ、ドウ云フ工合ニ響クカ、其點ニ大變心
配ヲ致シマシテ、實ハ立案中ニ當業者ニ此
事ヲ聽イテ見タノデアリマス、當業者モ有
限會社ト云フ名前ハ、初メ聞キマシタ時ニ
ハ、怪訝ナ顏ヲシテ居リマシタガ、其後色々
考ヘテ見マシテ、有限會社ト云フ名前ハ
最初ノ響キハ如何カト思ハレルケレドモ、
長ク用ヒテ居レバ成程此方ガ結構デアルカ
モ知レナイ、斯ウ云フコトデ寧ロ當業者ノ
方カラ、贊成ガアッタヤウナ次第デアリマ
ス、名前自身カラ申シマスルト、必シモ適
當ナル名前ダトハ思ヒマセヌケレドモ、他
ニ名案ガナイノデアリマシテ、又只今モ申
述ベマスル通リニ、慣レテシマヘバ左樣ニ
不思議ニモ耳ニ響カナイカト存ズルヤウナ
次第デアリマス、右御諒承ヲ願フ次第デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=46
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047・菊地養之輔
○菊地委員 其點ハ其程度ニ止メマシテ、
次ニ有限會社法案ニ依リマスト、監査役ハ
置イテモ置カナクテモ宜イ、是ハ會社ノ任
意ニナッテ居ルノデアリマスルガ、色々ノ點
デ此監査役ヲ會社ノ任意ニスルト云フコト
デハ、不都合ヲ來スノデハナイカ、斯ウ云
フ考ヲ持ッテ居ルノデアリマスガ、此點ハ如
何デゴザイマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=47
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048・大森洪太
○大森政府委員 御尤モデハゴザイマスガ、
有限會社ハ其特色ト致シマシテ、互ニ相信
賴スル少數者ノミヲ以テ組織セラレルモノ
デアリマスカラ、若シ此少數者同志ノ間デ
話ガ付キマスナラバ、別ニ特ニ監査役ト云
フ喧マシイ機關ヲ設ケル必要ガナイカト存
ジタ次第デアリマス、ソレデアリマスカラ
有限會社ニ於キマシテ、若シ之ヲ必要トス
ルナラバ置イテモ宜イ、又置カナクテモ宜
イ、其自由ニ委シタ方ガ宜クハナイカト存
ジタ次第デアリマス、御承知ノ通リニ合名
會社、合資會社ニ付キマシテハ、特殊ノ監
査機關ト云フモノヲ設ケテ居ナイノデアリ
やっ、是等ノ人的會社ト、有限會社ハ固ヨ
リ其選ヲ異ニ致シマスルガ、ヤハリ特殊ノ
監査機關ヲ要シナイト云フ點ニ付テハ、同
等ニ見テ宜クハナイカ、斯樣ニ存ジタ次第
デアリマス、是モ諸外國ノ例ヲ聞イテ見マ
シテモ、其實際上ノ運用等ヲ承ッテ見マシ
テモ、必ズシモ必要機關ニスルコトハ問題
デナイ、斯ウ云フコトニ吾々承知ヲシタモ
ノデアリマスカラ、ソレニ倣ッタヤウナ次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=48
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049・菊地養之輔
○菊地委員 二十九條ノ場合ニ、取締役ガ
自己ノ爲ニ取引ヲ爲ス場合ニハ、所謂監査
役ノ承認ヲ要スルト云フコトニナッテ居リマ
スガ、若シ監査役ガナケレバ社員總會ヲ開
カナケレバナラヌ、斯ウ云フコトニナッテ居ル
ノデアリマシテ、實際上此第二十九條活用ノ
場合ニ、一々取締役ガ會社ト取引ヲスル場
合ニハ、社員總會ト云フ面倒ナ手續ヲ經ナケ
レバナラヌト云フコトニナリマスト、所謂監
査役ヲ必要トスル規定ガナイ結果ニナルト
思フノデアリマスルガ、若シ是ガ監査役ガア
リマスルナラバ、簡單ニ濟ムト云フコトニ
ナルノヂヤナイデセウカ、ソレカラ第三十
條デアリマスガ、之ヲ見マスト監査役アル場
合ニハ其監査役ノ承認ヲ得テ、直チニ自己
又ハ第三者ノ爲ニ會社ハ取引ヲ爲スコトガ
出來ル、斯ウ云フコトニナッテ居ルノデアリ
マスガ、監査役ガナイ場合ニハ、一體社員
總會ヲ開イテサウ云フコトヲ決定スルコト
ニナルノデアルガ、斯ウ云フ點モ面倒ニナ
ルト思フノデアリマス、殊ニ不都合ナノハ
四十五條デアリマスガ、四十五條ニナリマス
ト、此法案デハ相當重要ナル規定ト思ヒマ
スガ「有限會社ノ業務ノ執行ニ關シ不正ノ行
爲又ハ法令若ハ定款ニ違反スル重大ナル事
實アルコトヲ疑フベキ事由アルトキ」デアリ
マスガ、此場合ニ資本ノ十分ノ一以上ニ當
ル社員ガ檢査役ノ選任裁判所ニ請求スル、
裁判所ガ必要アル場合ハ〓血査役ニ社員總會
ヲ開クコトヲ命ズルコトガ出來ル、出來ナ
カッタ場合ニハ取締役ニサセルト云フ規定
デゴザイマス、若シ監査役ガナイ場合ニ取
締役ニサセルト云フコトニナリマスト、是
ハ澤山ノ取締役ガアッタ場合ニハ差支アリ
マセヌケレドモ、一人ノ取締役シカナカッタ
場合ニハ、自分ノ業務執行ニ關スル不正ノ
行爲、又ハ法令若クハ定款ニ反スル行爲ヲ
糺彈スル爲ニ、社員總會ヲ開カネバナラヌ
ト云フコトニナルノデハナイカ、斯ウ云フ
コトニナリマスト極メテ不都合ナ結果ヲ招
來スルノデハナイカ、是ハ所謂監査役ヲ任
意ニ會社ニ任シテ居ルト云フ所カラ來ル缺
陷デハナイカト思フノデアリマスルガ、此
點ニ關シテハ如何御考デアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=49
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050・大森洪太
○大森政府委員 先ヅ第二十九條ノ關係デ
アリマスルガ、御指摘ノ通リニ、此場合ニ
ハ社員總會ノ認許ヲ必要トスルコトニナッテ
居リマス、御承知ノ通リニ株式會社ニ付キ
マシテハ、商法案ニ於キマシテ卽チ第二百
六十四條ニ於テ、株主總會ノ認許ヲ必要ト
シテ居ルノデアリマス、是ハ現行規定モヤ
ハリ同ジコトニナッテ居リマス、デアリマス
ルカラ株式會社ニ於テハ株主總會、有限會
社ニ於テハ社員總會、是ガ認許ヲ爲スト云
フコトハ蓋シ至當デハナイカト存ズルノデ
アリマス、次ニ第三十條ノ點デアリマスル
ガ、成程御示シノ通リニ監査役ガナケレバ
社員總會ノ認許ヲ經ナケレバナラナイノデ
アリマシテ、此場合ニ於テ社員總會ヲ開ク
ト云フコトガ、ウルサクハナイカト云フ
御趣旨ノヤウニ拜聽ヲシタノデアリマスル
ガ、有限會社ニ於キマシテハ其特質ニ鑑ミ
マシテ、社員總會ヲ開キマスルコトハ決シ
テウルサクハナイノデアリマス、卽チ社員
總會ヲ開キマスル其招集ノ手續ニハ、餘程
裕リヲ認メテ居ルノデアリマシテ、株式會
社ノヤウニ煩雜ナル手續ヲ必要トシナイノ
デアリマス、ソレハ此案ノ第三十八條デア
リマス、卽チ總社員ノ同意ガアレバ招集手
續ヲ經ナイデモ、總會ヲ開クコトガ出來ル
コトニナッテ居リマス、ソレカラ第四十二條
デアリマス、書面表決ト云フ便法モ認メラ
レテ居ルノデアリマス、ソレカラ又第三十
六條ニ於キマシテ、總會ヲ招集致シマスル
ニ致シマシテモ、定款デ以テ此招集通知ノ
期間ヲ、短縮スルコトガ出來ルヤウニナッテ
居ルノデアリマス、デアリマスルカラ、監
査役ガナイガ爲ニ特ニ此煩瑣ノ手續ヲ必要
トスルノデハナイカト云フ點ニ付テハ、左
程御懸念ガナクテ濟ムノデハナイカト思フ
ノデアリマス、ソレカラ更ニ第四十五條ノ
問題デアリマスルガ、監査役ガナイ場合ニ
ハ、取締役ガ社員總會ヲ招集シナケレバナ
ラヌコトニナッテ居ルガ、其取締役ガ一人デ
アッタト云フヤウナ場合ニ、不都合ヲ生ジヤ
シナイカ、斯ウ云フ御質問ノヤウニ拜聽シ
タノデアリマス、洵ニ御尤モニ存ジマスル
ガ、之ニ付キマシテハ此案ノ第八十五條ノ
十二ニ依リマシテ、制裁ヲ科シテ居ルノデ
アリマス、有限會社ノヤウナ簡單ナ小規模
ノ組織デアリマスルナラバ、此程度ノ制裁
デ以テ其點ハ運用上決シテ間違ハナイモノ
ニナリハシナイカト、斯樣ニ考ヘタ次第デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=50
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051・菊地養之輔
○菊地委員 此法案ノ全體ヲ通ジテ此會社
ノ代表、或ハ業務ノ執行者ニ少シ甘過ギヤ
シナイカト云フ感ジヲ持ツノデアリマス、
例ヘバ後デ御質問申上ゲタイト思ヒマス
ガ、書面ニ依ッテ社員總會ト同ジヤウナ結果
ヲ來タスヤウナコトヲ設ケタリ、或ハ監査
役ヲ設ケナイデ業務ノ執行ナリ會社代表ナ
リノ取締ノ行爲ヲ監督スル機關ヲ全然缺イ
タリ、ドウモ會社ノ執行振ニ對スル監督ガ
廿過ギルヤウニ出來テ居ルト思フノデアリ
マスガ、其爲ニモ、ドウシテモ此監査役ヲ
置イテ嚴重ニヤラヌト云フトイカヌ、法案
ノ本旨ハ相互認識ト云フコトヲ非常ニ重ク
置イテ居ルヤウデアリマスケレドモ、五十
人近クノ人ニナリマスト、一家一族ノヤッテ
居ル同族會社ト違ヒマシテ、色々ナ問題ガ
惹起スルト思ヒマスノデ、ソレニハ監査役
ト云フヤウナモノヲ置イテ、取締役ハ自分
ノ行爲ニ對シデ監視スル者ガアルノダト云
フ觀念ガナイト云フト、色々ナ間違ヲ起ス
ノデハナイカト斯ウ思フノデアリマスガ、
監査役ト云フモノヲ任意規定シテ置カナ
イ、之ヲ株式會社ノヤウニ設ケルコトハ、
何カ不都合ナコトガ起ルノデアリマセウ
カ、其點ヲ御伺致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=51
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052・大森洪太
○大森政府委員 特ニ不都合ト云フ程ノコ
トモナカラウカト思ヒマスルケレドモ、右申
シマシタヤウナ小規模ノ會社デアリマスル
カラ、監査役ト云フ特殊ノ機關ヲ必ズ設ケ
ルト云フコトハ、煩瑣ニ過ギハシナイカ、
此點ヲ憂ヘタノデアリマス、併シ先程モ申
シマシク通リニ有限會社ノ特質カラ、私共
ハ監査役ヲ必要機關ニシナイデ宜シイト思ッ
タノデアリマス、何シロ新シキ制度デアリ
マスルカラ其運用ノ如何ニ依リマシテ、他
日必要ニ應ジテ之ヲ改正シナケレバナラナ
イコトハ、アラウト存ズルノデアリマス、
是ガ卽チ有限會社法案ト云フモノヲ別箇ノ
法案ニ致シマシタ理由ノ一ツデモアリマス、
暫ク其實績ヲ見マシテ、果シテ任意機關デ
宜シイカ否ヤヲ見究メマシテ、サウシテ是
ハ任意機關デハイケナイト云フコトガ分リ
マシタナラバ、其曉ニ於テ改正スルコトヲ
決シテ吾々ハ避ケルノデハナイノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=52
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053・菊地養之輔
○菊地委員 其點ハ能ク分リマシタ、其次
ニ社員總會ヲ書面ヲ以テヤル、何ト申シマ
セウカ社員ヲ訪問シテ書面ニ署名捺印サセ
テ、社員總會ニ代ルモノノヤウナ規定ガア
ルヤウデアリマスガ、斯ウ云フモノハ弊害ヲ
生ズル虞ガ十分アルト思フノデアリマス、
日本ノ民法ナリ商法ナリヲ見マスルニ、組
合デアリマシテモ或ハ各種ノ會社ノ社員總
會株主總會ニ於キマシテモ、少トモ總會
ハ社員株主ガ集マリマシテ意見ノ交換ヲス
ル、意見ヲ上下シテ、サウシテ正シイ方ニ
贊成ヲスル、サウシテ決議ヲヤッテ行クト云
フコトニナッテ來テ居ルノガ、我國ノ組合
ナリ會社ナリノ會合ノ趣旨ダト思フノデア
リマスガ、特ニ有限會社ダケハ書面ニ依レ
ルト、斯ウナリマスト、色々ナ弊害ガ起ッテ
來ルト思ヒマスガ、其點ニ付テ政府ハドン
ナ考ヲ持ッテ居ラレルデアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=53
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054・大森洪太
○大森政府委員 成程御示シノ通リニ第四
十二條ノ書面表決ナリ、又ハ書面ヲ以テ同
意ヲシタ場合ニ、書面表決ト同樣ニ取扱フ
ト云フ規定ノ如キハ、便宜ニ著眼ヲシタモ
ノデアリマスガ、便宜デアリマスルガ爲ニ
弊害ヲ伴フト云フコトモ、確ニ考慮ニ値ス
ルモノト思フノデアリマス、併ナガラ有限
會社ニ於キマシテハ、屢〓申述ベマシタ通
リ相信賴スル少數者ヲ以テ組織スルノデア
リマスルカラ、場合ニ依リマシテハ又其事
柄ニ依リマシテハ、別ニ鹿爪ラシク總會ヲ
招集シ、ソコデ議論ヲ上下スルト云フ必要
ノナイコトモ、多イダラウト思フノデアリ
マス、而モ是等ノ書面表決ノ便法ハ、總社
員ノ同意ヲ必要トスルノデアリマスカラ、
一人デモ反對ガアレバ是ハ出來ナイノデア
リマスルカラ、其點ノ弊害ハ先ヅ考へラレ
ナイノデハナイカト思フノデアリマス、御
承知ノ通リニ株式會社ト有限會社トノ最モ
相違シマスル點ハ、是ハ程度ノ問題デアリ
マスルケレドモ、一ハ社員ガ多數デアリ、
一ハ社員ガ少數デアルト云フ點デアリマス、
此程度ノ差ガ自ラ本質上ノ差トナルノデア
リマシテ、玆ニ有限會社ト云フ別種ノモノ
ガ、株式會社カラ派生シテ來タ次第デアリ
さく、デアリマスルカラ、是等ノ特色ヲ發
揮シマスルガ爲ニ、第四十二條ノ如キ規定
ヲ設ケマスルコトハ、蓋シ當然ノコトデハ
ナイカト存ジタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=54
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055・菊地養之輔
○菊地委員 先程モ申上ゲマシタガ、此會
社ガ相互信賴ト云フコトニ重キヲ置イタト
云フコトハ、考慮サレルノデアリマスガ、
其點モ吾々ハ法案全體カラ看取スルコトガ
出來ルノデアリマス、併シ五六人ヤ七八人
ノ人デナクシテ、五十人ヲ限度トスルノデ
アルカラシテ、此間ニ相互信賴ダケデヤッテ
行ケルモノデハナイ、其間ニ利害ノ衝突ガ
發生スルコトハ、是ハ必然デアリマシテ、
ソレヲ考慮ニ入レナイデ、抽象的ナ相互信
賴ト云フ法案ノ趣旨ダケヲ御覽ニナルト云
フト、間違ヒノ本ニナルノデハナイカ、少
クトモ取締役ガ各社員ヲ訪問シテ判ヲ捺シ
テ呉レト言ッテ步イタナラバ、是ハ一人トシ
テ異議ヲ申立テルコトハ出來ナイノデアリ
マス、ソレハ取締役ニナル人ハ相當ノ地位
ノ人デ、腕モアリ、知識モアル人デアリマ
スカラ、結局社員ハイヤ〓〓ナガラモ判ヲ
捺スヤウニナル、ソレガ所謂總會デ各社員
ガ集合シタ所デ意見ノ上下ガアッテ、初メテ
ドノ案ガ正シイカト云フコトガ分ッテ來ル
ト思ヒマス、相互信賴ト云フコトヲ高調ナ
サレマスケレドモ、例ヘバ我ガ民法ノ親族
篇ヲ見マスルト、親族會議ニ於テスラ、持
廻リ親族會議ト云フモノハ、判例ニ依リマ
スト無效ニナッテ居ルノデアリマス、四五人
ノ者ノ親族會議、而モ相互信賴ノ上デハ、
是以上强イ關係ガナイ親族會議デサヘモ、
持廻リハイカヌト云フコトニナッテ居ル、隨
テ私ハ相互信賴ノ間柄ト云フ理由デ、書面
デ審理スルト云フコトハ、極メテ重大ナ將
來ニ惡影響ヲ及ボスモノデハナイカ、此事
ニ依ッテ此會社ガ內部ニ紛亂ヲ起ス原因ニ
ナルノデハナイカ、斯ウ云フヤウナ考方デ、
私共ハ此書面審理ニ慊焉タラザルモノガア
ルノデアリマス、民法ノ組合ノ規定カラ見
マシテモ、或ハ其他ノ商法ノ規定ヲ見マシ
テモ、總會ト云フモノハ必ズ集ッテ意見ノ上
下ヲスル、ソコデ初メテ正シイ決議ガ爲サ
レルト云フ根本的ナ考カラ出發シテ、私ハ
ドウシテモ書面審理ハイケナイト思フノデ
アリマス、此點ハ如何デアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=55
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056・大森洪太
○大森政府委員 御尤ニモ存ジマスルガ、
先程モ申上ゲマシタ通リニ、書面表決ノ方
法ハ總社員ノ同意ヲ必要トスルノデアリマ
ス、デアリマスルカラ、濫ニ此便法ヲ利用
スルコトハ出來ナイノデアリマス、尤モ之
ニ對シマシテ、只今御述べニナリマシタヤ
ウニ、取締役ガ口說イテ廻ルナラバ、何人
モイヤ〓〓ナガラ反對ヲスルコトハ出來ナ
イダラウト云フ仰セデアリマシタ、左樣ナ
不公正ノ手續ニ依リマシテ此決議ガ爲サレ
マシタナラバ、御承知ノ商法案ニ於キマス
ル決議取消ノ訴ガ、總テ此法文ニモ準用サ
レテ居ルノデアリマス、卽チ第四十一條ニ
依リマシテ、商法案ノ策二百四十七條以下
ノ規定ガ準用サレテ居ルノデアリマス、デ
アリマスカラ左樣ナ不正ナル手續ニ依リマ
シテ、此手續ガ行ハレマシタナラバ、之ヲ
是正スル方法ニ付テ、此案ハ決シテ缺クル
所ハナイノデアリマス、尙ホ序デデアリマ
スカラ申述ベマスガ、是亦御非難ノ點ニ相
成ルカハ存ジマセヌケレドモ、今日ノ民法
デナク、民法改正ノ問題デアリマスガ、民
法中親族篇、相續篇ニ付キマシテ、根本的
ノ改正ヲ試ミヨウト思ヒマシテ、今司法省
內ノ委員會デ調査立案ヲ致シテ居ルノデア
リマス、其際ニ親族會ノ決議ニ付キマシテ
ハ、ヤハリ全員ノ一致ガアリマシタ場合ニ、
書面表決ニ依ル途ヲ拓イタ方ガ、便利デハ
ナイカト云フヤウナ議モ起ッテ居リマス、マ
ダ確定ヲ致シマセヌカラ、玆ニ之ヲ公表ス
ル機會ニハ立到ッテ居リマセヌケレドモ、思
フニ左樣ニ相成リハシナイカト存ジテ居
ル次第デアリマス、右序デナガラ申述ベテ
置ク次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=56
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057・菊地養之輔
○菊地委員 第八條ニ付テ御伺シタイノデ
アリマスガ、玆ニ「社員ノ總數ハ五十人ヲ超
ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情アル場合ニ於
テ裁判所ノ認可ヲ得タルトキハ此ノ限リニ
在ラズ」此「特別ナル事情ト」云フノハ如何
ナル場合ヲ指スノデアリマスカ、出來マス
ナラバ、具體的ナ場合ヲ、二三擧ゲテ御說
明ヲ願ヒタイト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=57
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058・大森洪太
○大森政府委員 御指摘ノ第八條第一項但
書ノ場合デアリマスガ、例ヘバ或ル町ニ若
クハ或ル區ニ同業組合式ノ有限會社ヲ拵ヘ
ヨウト思ヒマスル者ガ集リマシタ場合ニ、
同業組合其モノデハアリマセヌケレドモ、
同ジ商賣ノ者同志デ有限會社ヲ拵ヘヨウト
思ヒマシタ場合ニ、例ヘバ丁度ソレガ六十
人アッタ、斯ウ場合ニ五十人ノ制限ヲ超エマ
スカラ、有限會社ヲ二ツニシナケレバナリ
マセヌケレドモ、之ヲ二ツニスルト云フコ
トハ、其目的カラ申シマスレバ無意義デア
リマス、然ラバ其十人ダケ除外シマスレバ、
是モ可哀相デアリマシテ、左樣ナ場合ニ之
ヲ許スベキ特殊ノ事情ガアルナラバ、裁判
所ノ判斷ニ依リマシテ、裁判所ニシテソレ
ガ差支ガナイト云フナラバ、六十人デ以テ
一ツノ有限會社ヲ拵ヘルコトノ出來ル途ヲ
拓カウ、斯ウ云フ點ヲ考ヘタノデアリマシ
テ、只今申述ベタモノノ如キハ、其適例デ
ハナイカト存ズルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=58
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059・菊地養之輔
○菊地委員 斯ウ云フ場合ハドウデゴザイ
マセウカ、多年ニ亙リテ使用シテ來タ所ノ
者ガ、社員トシテ非常ニ適任ダト云フ場合
ニ、社員トスルト云フヤウナ場合モ、特別
ノ事情ニ該當シナイデセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=59
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060・大森洪太
○大森政府委員 具體的ノ事案ニ付キマシ
テハ、裁判所ガ判斷ヲ下ス譯デアリマスカ
ラ、ソレニ先ダチマシテ私共ガソレガ適當
デアル、若クハ適當デナイト云フコトヲ申
述ベマスコトハ、差控ヘタイト存ジマスガ、
假ニ抽象的ノ議論トシテ申シマスルナラバ、
只今ノ御設例ノ如キハ、ヤハリ此但書ニ該
當シ得ル場合ガアルダラウト思フノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=60
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061・菊地養之輔
○菊地委員 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=61
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062・野村嘉六
○野村委員長 內藤君、大臣ガ見エマシタ
カラ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=62
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063・内藤正剛
○内藤委員 先程私カラ御願シテ居ッタコ
トヲ、此際大臣ニ御言明ヲ願ヒタイト思ヒ
マス、繰返シテ申シマスガ、此改正案ガ本
院ヲ通過致シマスルナラバ、將來ノ適用ニ
付テ二三申上ゲテ見タイ、其一ツハ過日政
府委員ガ答辯サレマシタケレドモ、大臣ト
シテハ、ドウ云フ方法ヲ以テ此商法ノ改正
ヲ國民ニ周知セシメラレルノデセウカ、固
ヨリ官報等ニ出ルノデアリマスガ、然ラバ
當然國民ハ知ル譯ダト云フコトニナリマス
ガ、ソレダケデナク-過日ノ御言明ニ依
レバ、來年ノ四月一日ヨリ施行スルト云フ
コトデアル、昨年ノ議會ニ於テハ、二箇年
ノ猶豫期間ヲ置キタイト云フ御意見デアッ
タノヲ、本年ハ一年ニ縮メラレマシタカラ、
一年間ニ全部分ルヤウニスルニ付テハ、餘
程努力シナケレバナラヌト思ヒマスガ、其
方法ヲ承リタイ、ソレカラ第二ニハ、此罰
則ノ中デ色々新設サレタモノモアリマス、
又從來ヨリ重クサレタモノモアリマスガ、
殊ニ四百九十四條ノ請託、ソレカラ四百九
十三條ニモ請託ト云フコトガアリマス、ソ
コデ昨年ノ議會デモ問題ニナッタノデアリ
マスガ、「不正」ト云フ文字ガアルカラ宜イヤ
ウナモノデアリマスケレドモ、儀禮的ナ交
際デモ、或ハ見ル人ニ依ッテハ、之ヲ儀禮ト
見ナイ場合モアリマセウシ、シマスカラ、普
通ノ〓念ニ於ケル儀禮ト云フ事柄ヲ、ドノ
範圍マデ當局トシテハ御考ニナッテ居ルカ、
斯ウ云フコトニ付テ伺ヒタイノデアリマス、
ソレカラモウ一ツハ、過日本會議ニ於テ、
司法大臣ニ商法ノ改正ニ付テ、取締役ハ株
主デナクテモ出來ルト云フ規定ヲ置イタガ
爲ニ、動モスレバ官僚獨善ノ傾キカラ、
色々ナ問題ノ爲ニ弊ノ起ルコトハナイデハ
ナイカト云フコトヲ、私ガ申上ゲタノデア
ルガ、此商法ノ中デ無論取締役ガ株主ニア
ラズシテ取締役ニナル、斯ウ云フコトハ
有能ノ士ヲ迎ヘルト云フ精神デアル、サウ
シテ將來監督者デアッタ高級ノ官吏ガ、商事
會社へ入ルト云フコトニ付テ、之ヲ是正ス
ルニハ適當ノ機會ガアル、此商法ノ中ニ設
ケルノハ如何カト思フト云フ御話ガアッタ
ノデアリマスガ、司法大臣ト致シマシテハ、
是ハ如何ナル機會ニ、サウ云フコトニ付テ
制限的ノ規定ヲ御設ケニナルノデアルカ、
此際ニ之ヲハッキリト言明シテ戴キタイト
思フノデアリマス、ソレハ唯委員會ニ於ケ
ル質疑應答ダケデハ、國民全體ガ之ヲ知ル機
會モ少ウゴザイマスノデ、此處デ特ニ御言
明ヲ願ッテ、サウシテ委員長カラ、斯ウ云フ
言明ガアッタト云フコトヲ、本會議デ御報〓
ヲ願フナラバ、官報號外ヲ以テ、全國ニ之
ヲ周知セシムル方法モアルト思フノデアリ
マス、ソレヲ特ニ御願ヲスル次第デアリマス、
慥カ私ノ大臣出席ヲ要求シタ點ハ、此三點デ
アッタト思フノデアリマス、ソコデ其理由ヲ
申上ゲルノデアリマスガ、從來國務大臣ガ
委員會ニ於テ御言明ニナッタ事柄デモ、局ニ
當ル人ノ如何ニ依リマシテハ、殊ニ大臣ガ
何時マデモ其職ニ居ラレルナラバ宜シウゴ
ザイマスガ、近來ノヤウニ二三年、短イノ
ハ、モット短クデアリマスガ、御迭リニナリ、
偶〓一ノ大臣ガ御言明ニナリマシタ事柄ガ、
ソレガ何時マデモ變ラズニ其通リニ施行出
來レバ結構デスケレドモ、御變リニナッタノ
デハ、ドウモ困ルノデアリマス、ソレハ小
山司法大臣ノ時ニ、アレダケ司法大臣ガ辯
護士法改正ニ當ッテ、選擧法ノアノ罰則ノ適
用ニ付テモ、餘程留意スル、全司法官ニ其事
ヲ言フト仰セニナッタ言葉デスラモ、モウ一
寸ノ間ニ御迭リニナルト少シモ、徹底シテ居
リマセヌ、洵ニ遺憾デアリマス、而モソレ
ハ委員會ノ速記錄ニ載セマシタ爲ニ、全國
ノ方モ知ラナカッタ、裁判所ノ方モ知ラナ
カッタト云フコトヲ後ニ發見致シマシテ、殊
ニ私委員會ノ速記錄等ヲ裁判所ニ持ッテ參
リマシテ、アヽ斯ウ云フコトガアッタカト
言ッテ、大阪ノ地方裁判所長、檢事正モ驚イ
テ居タノデアリマス、此際特ニ大臣ノ御言
明ヲ願ッテ、ソレヲ委員長カラ本會議ニ於テ
議場ニ御報〓ノ時ニ、申述ベテ戴キタイト
思ッテ、玆ニ大臣ノ御出席ヲ求メタ次第デア
リマス、惡シカラズ御諒承ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=63
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064・塩野季彦
○鹽野國務大臣 御質問ノ第一點ハ、本法
ガ實施サレル迄ニ、ドウシテ國民全般ニ對
シテ之ヲ周知セシメルヤ、其點ニ付テノ用
意ハドウデアルカト云フ御尋デアリマシタ
ガ、本法ハ一年間ノ猶豫ヲ置イテ、之ヲ實施
致シタイト考ヘテ居リマス、固ヨリ大部ノ
條文デアリマスシ、又其內容ハ會社ノ規則
ト致シマシテ、十分ニ國民ニ知ッテ貰ハネ
バナラヌノデアリマス、之ニ對シマシテハ
來年度ノ豫算ノ上ニ多少ノ費用ヲ計上シテ
置キマシタガ、此費用ヲ以チマシテ、講演
會トカ或ハ「パンフレット」等、適當ノ方法ヲ
以テ周知サセタイト思ヒマス、固ヨリ單ニ
ソレバカリデモ、費用ハ直キニ盡キテシマ
ヒマスルカラ、其他司法部關係ノ催シマス
會合、若クハ他ノ催シニ依ル會合ニ於テ、
司法官ガ出席致シマシテ、此新シキ會社ニ
關スル立法ノ精神ヲ說キ、サウシテ國民ガ
此法典ヲ手ニ取ッテ見ルト云フヤウニ指導
シ、仕向ケテ行キタイト考へテ居リマス、
出來ルダケ徹底スルヤウニ致シタイト考ヘ
テ居ル次第デアリマス
第二點ハ、商法罰則ノ箇條ニ付キマシテ、
第四百九十三條及四百九十四條ニアリマス
ル「不正ノ請託ヲ受ケ財產上ノ利益ヲ收受
シ、要求シ又ハ約束シ」等ノ犯罪ニ付テノ
御尋デアリマス、不正ノ請託ニ付テハ既ニ
判例モ澤山アルコトデアリマスルシ、先ヅ
極ク通俗ニ申シテ賴ミ込ム、而モソレハ或
ル不都合ナ目的ヲ以テ賴ミ込ムト云フコト
デ宜シイノデアリマスガ「財產上ノ利益ヲ收
受シ」ノ點ガ、大變ニ問題ニナルノデアリマス、
併ナガラ此點ハ從來儀禮的ノ程度デアルナ
ラバ、是ハ本文ニ觸レルモノデハナイト解
釋致シテ居ルノデアリマス、同樣ノ規定ハ
刑法ニモゴザイマス、從來ノ判例竝ニ解釋
ノ上ニ於キマシテ、是ガ社交的儀禮ノ程度
デアルモノナラバ、財產上利益ノ收受ト云
フコトニハ、是ハ無論問フベキモノデハナ
イト云フコトニ確定致シテ居リマス、併ナガ
ラ其儀禮的ナリヤ否ヤト云フ點ニ付テ、又頗
ル疑問ガ殘ルノデアリマス、此點ニ付キマ
シテハ、金品ノ收受ハ或ハ饗應等ガ果シテ
儀禮的ノ範圍ニ屬スルヤ否ヤト云フコトニ
歸スルノデアリマシテ、之ヲ別ツ標準ハ、
抽象的ニ定メルコトハ困難デアリマス、併
シ利益ヲ收受致シマスル者ノ社會的ノ地位、
資產、境遇、饗應ノ性質、程度、其他諸般
ノ事情ニ依リマシテ、客觀的ニ決セラルベ
キモノデアリマシテ、所謂社會的ノ通念ニ
從ッテ、自ラ其區別ヲ爲シ得ルモノト考ヘテ
居リマス、此規定ノ運用ニ當リマシテハ、
當局ニ於キマシテモ苛酷ニ涉ラザル樣、十
分ナル注意ヲ加ヘル心算デ居リマス、旣
刑法賄賂罪ノ規定ノ適用ハ、長年ノ間ニ涉ク
テ矢張同ジ趣意ノ下ニ解釋モシ、又判例ト
ナッテ現レテ居リマスカラ、此新シイ商法ノ
罰則ニ付キマシテモ、同趣旨デアルコトヲ
部內一般ニ對シテ、十分ニ注意ヲ加ヘマス
ルナラバ、其結果ハ決シテ御心配ノヤウナ
コトハナイト考ヘテ居ル次第デアリマス
第三點ノ退職官吏ヲ會社ノ重役ニスルコ
トノ可否デアリマスルガ、或ル事業ノ監督
ヲ爲ス官廳ノ官吏ガ、其退職ノ後ニ濫ニ其
事業ヲ經營スル會社ノ役員トナルコトノ、
甚ダ望マシクナイコトハ勿論デアリマス、
併ナガラ之ヲ防止スルコトハ、特殊ノ方法
デ適當ナ處置ヲ講ズベキモノト考ヘテ居リ
マシテ、一般ノ基準法デアル本法ノ中ニ、
左樣ナ規定ヲ設ケマスルコトハ、法規ノ本質
カラ申シマシテモ、又體裁ノ上カラ申シマ
シテモ、適當デナイト考ヘテ居リマス、併
シ御趣旨ノ點ニ付キマシテハ、十分〓究ヲ
スル必要ガアルト考ヘテ居リマス、是ハ申
サバ會社ノ營業ニハ官廳ニ關係ノアルモノ
モアリ、ナイモノモアル、又關係アル營業
ト致シマシテモ、其會社其モノガ直接官廳
ニ關係ヲ持ッテ居ナイト云フヤウナ場合モ
アリ、又退職ノ官吏ハ個人營業ト致シマシ
テ、官廳ト直接ノ取引ヲスルヤウナ者モア
リマセウ、會社ノ致シマシテ一般的ニ特ニ
退職官吏ニ付テノ規定ヲ設クルト云フノ
ハ、非常ニ木ニ竹ヲ接イダヤウナ感ガアル
ノデハナイカ、寧ロ退職官吏ト云フモノガ、
退職後其官廳ト直接關係ノアル營業ニ從事
スルコトガ、好マシカラザルコトデハナイ
カト云フ點ニ重點ヲ置マキスト、ソレガ會
社ノ營業デアラウガ、個人營業デアラウガ、
サウ云フ方面カラ一般的ニ何カノ制限ヲ設
ケルト云フコトハ、考ヘラレルコトト思フ
ノデアリマス、併ナガラ其事業其モノガ順
調ニ發展經營サレルコトハ、其經營ノ衝ニ
當ル人ノ人材力量ニ俟ツモノデアリマスカ
ラ、ソコニ官廳ニ在職シタ當時ニ於ケル豐
富ナル經驗ニ依ッテ、新規ノ會社ナリ或ハ個
人ノ事業ト云フモノヲ遂行シテ行ク上ニ於
テハ、極メテ適當ナ人物デアル、又ソレニ
由ッテ多數ノ株主ニ利益ヲ與ヘルトカ、或ハ
又營業其モノノ發展ニ依ッテ、國家社會ニ利
スルコトガ多イト云フコトモ考ヘラレルノ
デアリマスルカラ、一〓ニ退職官吏ハ官廳
ニ關係スル業務ニ從事シテハ相成ラヌト決
メルコトモ、如何カト考ヘラレルノデアリ
さつ、併ナガラ又反面ニ於テハ、ソレニ伴
フ弊害ヲ生ズル虞ナキニシモアラズデアリ
マシーソコデ十分ニ考究ヲシテ見マセヌケ
レバ、唯一二ノ例ヲ以テ全般ヲ律スルト云
フヤウナコトハ、早計デハナイカト考ヘマ
スルカラ、玆ニ確タル御答ヲ申上ゲルコト
ハ困難デアリマス、此點ニ付キマシテハ十
分〓究致シマシタル上ニ於テ、然ルベク處
置ヲ致シタイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=64
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065・内藤正剛
○内藤委員 私ノ質問申上ゲタ點デ、言葉
ガ足ラナカッタノデ、大臣カラ今ノヤウナ御
答ヲ聽イタノカモ知レマセヌ、私ノ申上ゲ
タ趣旨ハ、監督者デアリシ官吏ガ、被監督
者デアル所ノ會社ニ、退職後間モナク職ヲ
轉ジテ行クト云フ事柄ハ、面白クナイ現象
デアルト云フコトヲ申上ゲタノデアリマス、
ソコデ大臣ノ答辯モアリマシタガ、技術者
ナラバ大臣ノ御答ハ洵ニ御尤ナ話デ、立派
ナ技術ヲ御持チニナッタ方ガ法規ノ關係上、
或ハ停年退職モアリマセウカラ、斯ウ云フ
方ハ國寶トシテ御迎ヘスルト云フコトハ弊
害ハ少イノデス、然ルニ何等ノ技術ノナイ、
本當ニ事務家デアリシ人、會社デ間ニ合ハ
ナイヤウナ人デモ之ヲ迎ヘルニ非ズンバ、
幾多ノ註文モ貰ヘナイト云フ現象ノ今日各
所ニ起ル此弊ヲ、如何ニシテ除クカト云フ
コトガ私共ノ狙ヒ所デアル、其意味ニ於テ
大臣ニ質問シタト云フコトヲ、大臣ニ特ニ
御記憶ヲ願ッテ置キタイ、恐ラク司法官ニハ
アリマセヌ、潰シガ利キマセヌカラアリマ
セヌケレドモ、外ニハ隨分アル、ソコデ私
共ハ他ニモ此弊ニ惱ンデ居ル者ガ澤山アル
ト云フコトヲ申上ゲタノデアリマス、是一
特ニ御考慮ヲ願ヒタイ、ソレハ具體的ニハ
申上ゲマセス、ソレカラ先程ノ問題デアリ
マス、一番初メノ問題デアリマス、社會通
念ト云フコトデアリマスガ、此通念ハ人々
ニ依ッテ違フ、又法ヲ司ル人ノ生涯、生ヒ立
チニ依ッテ色々違フノデアリマシテ、之ニハ
司法省トシテ、シッカリトシタ基準ヲ御示シ
ニナラナケレバ、將來帝人事件ドコロノ騷
ギデハナイ人權蹂躙事件ガ起ラヌトモ限ラ
ヌト私ハ思フノデアリマス、ソコデ先程仰
セニナリマシタガ、是ハ餘程大臣トシテハ
頭ノ違ッタコトヲ仰シヤッタ、從來贈收賄ナ
ドヲ起スノハ、昔ハ官吏デアッタ、後ニハ是
ガ公務員ニナッタ、日本ノ刑法發達ノ歷史ヲ
見マシテモ、官廳關係ノミニ限ッタノデアリ
マス、然ルニ此度民間ニ捨テ置イテ顧ミナ
カッタ商法法規ニ、官公吏ト同ジヤウナ規定
ヲ以テ、此實業界ニ御臨ミニナッタ、ソレダ
カラ今アナタノ仰シヤッタヤウニ刑法法規
ノ贈收賄ノ觀念ヲ以テ、此事業會社ニ臨ム
ト云フコトガアルト、不實ノ記載ヲスルト
カ云フコトニ付テハ宜シウゴザイマスガ、
其以外ノ事柄ニ付テハ、餘程運用ヲ誤ラヌ
ヤウニ考ヘナケレバ、產業上ニ及ボス影響
モ少クナイト思フノデアリマス、强チアナ
タノ御設ケニナリマシタ此規定ガ「不正ノ
請託ヲ受ケ財產上ノ利益ヲ改受シ、要求シ
又ハ約束シタルトキ」ト書イテアリマスガ、
此事柄自體ハ、會社ノ利益ニナル場合モナ
イトモ限リマセヌ、必ズアナタノ仰セニナ
ルヤウニ、會社ノ不利益ヲ常ニ來タスカラ、
是ハ斯ウ云フ規定ヲ設ケルト云フコトニナ
ラヌ場合モアル、例ヘバ重役ガ多クノ報
酬-ト云フト言葉ガ惡イデセウガ、俸給以
外ノ賞與ヲ貰ッテ、其賞與ノ中ヲ割イテ、色々
ナ方面ニ撒カヌトモ限リマセヌ、社交モセヌ
トハ限リマセヌ、而モソレハ會社ニ何等ノ損
害ヲ與ヘナイコトガアルノデアリマス、會社ノ
利益ニコソナレ、不利益ニナラヌコトガアル
ノデアリマス、此使ヒ方如何ニ依リマシテハ、
ソレハ一ツノ血刀ニナッテ此法規ニ觸レヌ
トモ限リマセヌ、其運用ニ付テハ初メテノ
法規デモアリマスルシ、各方面ノ人モ可ナ
リ戰慄ヲ覺エテ居ルヤウデハアリマスルカラ、
此運用ニハ、ドウカ檢事ノ方ニハ特別ニ檢
擧ニ付テハ御留意ヲ賜ル樣、方法ヲ御講ジ
ヲ願ッテ置キタイ、先カラ儀禮々々ト云フコ
トヲ申シテ居ラレマスケレドモ、儀禮ハ非
常ニムヅカシイノデス、主觀的ニ見ルカ、
客觀的ニ見ルカ、或ル政府委員ノ仰セニ依
レバ、客觀的ニ見ルノダト言ハレルガ、是
ハ主觀的ノ場合モ考ヘナケレバナラヌノデ
アリマス、中ニハヒドイ人ガアッテ、自ラガ
樂ム爲ニ非常ニ饗應ヲシテ置キナガラ、片
一方ハ迷惑ヲ受ケテモ、席ニ臨ンダカラ饗
應ヲ受ケタカノ如キ罰則ヲ受ケマシタ氣ノ
毒ナ人ヲ、私共鐵道疑獄ニ於テ見テ居リマ
ス、サウ云フヤウナコトガアリマシタノ
デ、ソレヲ申シテ置キマス、モウ一點序デ
ニ御尋シマスガ、此條文ハ總テ働キ掛ケニ
ナッテ居リマス、デアリマスカラ、請託ヲシ
タカ、或ハ要求シ、約束シタカト云フダケ
デアッテ、事柄ノ濟ンダ後ニ勝手ニ贈ッタノ
ハ、罪トシナイト心得テ宜シイデセウネ、
必ズ初メニ請託ガアッテ、ソシテ財產上ノ利
益ヲ受ケテハイケナイ、請託ガ必ズ初メニ
伴フ、要求シタ、約束シタ、要求モシナケ
レバ約束モシナイ、事柄ガ濟ンデ半年、一年
先キニナッテ贈ッタモノハドウナルノカ、今
マデノ事例ヲ見ルト、斯ウ云フコトニナッテ
居ル、檢事ノ起訴決定書ニ依リマスト、何々
ノ仕事ノ便利ヲ受ケタル謝禮トシテト云
フ抽象的ナ文字ガ記入サレテ居マス、デス
カラ事柄ノ時ニ直接ニヤッタノデハ問題ガ
起リマスガ、半年、一年先キニヤル、アナ
タノ仰シヤッタノトハ大分違フ、是モ從來ト
同ジヤウニ、ヤハリ將來之ヲ取締ルノカ、
大臣カラ言明ヲ伺ッテ置キタイ、今マデハサ
ウナノダカラ危クテ仕樣ガナイノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=65
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066・塩野季彦
○鹽野國務大臣 罰則ノ點ニ付キマシテ
ハ、勿論新シイ、法律ガ出來マシタ場合ニ
ハ、特ニ部內ニ對シマシテ十分ナル注意ヲ
加ヘルノデアリマス、殊ニ又此罰則ノ適用
ニ付テハ、十分ニ注意ヲ致スコトニナルノ
デアリマス、御尋ノ、唯後ニナッテ金品ノ授
受ガアッタト云フダケデハ、犯罪トハナラ
ヌト考ヘテ居リマス、ソレニ付テ不正ノ請
託ガアッタト云フヤウナコトニナリマスト、
是ハ又別デアリマスガ、御尋ノヤウナ場合
ハ犯罪ニナラナイト考ヘマス、約束ガアッテ
ハイケマセヌガ、約束モナク、要求モナイ、
サウシテ後デ、サウ云フ金品ノ授受ガアッタ
ト云フ場合ハ犯罪ニナラナイ斯ウ解釋シテ
居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=66
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067・内藤正剛
○内藤委員 無聲有言、聲ナクシテ言葉ヲ
發スルト云フコトガ、今マデ世ノ中ニアッタ
ノデスカラ、今後檢擧シナイト云フコトハ
委員長モ能ク覺エテ置イテ下サイ、是ハ將
來問題ニナルト困ルカラ·······検事ハアナタ
ノ仰シヤルヤウニハ行カヌノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=67
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068・塩野季彦
○鹽野國務大臣 其場合、不正ノ請託ガア
レバイカヌノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=68
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069・内藤正剛
○內藤委員 サウ云フコトハナイ場合デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=69
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070・塩野季彦
○鹽野國務大臣 ソレデハ罪ニナリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=70
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071・内藤正剛
○内藤委員 此際大臣ニ一言申上ゲテ置キ
マスガ、必ズサウ云フコトガアッタ場合ニ
ハ不正ノ請託ト看做スト云フヤウナコト
ハ言ハセマセヌゾ、不正ト云フコトガ問題
トナリマスガ、不正ト云フコトハ正シクナ
イ、正シクナイト云フコトハ社會通念上ド
ウ云フコトカ、詰リ爲スベカラザルコトヲ
爲サシメタト云フコトガ不正ダ、斯ウ私ハ
思フ、サウ云フコトナシデ商賣人ガ勉强致
シマス爲ニ、「サービス」トシテ、色々御世
話ニナッタノダカラト云フノデ、一圓デモ儲
ケサシテ戴キタイト云フノデ、之ヲ配ルト
云フコトハ、是ハ世間ニ能クアル、サウ云フ
時ニハ不正ノ請託ハナイ、片方ニハ授受ガ
伴ッテ居ル、サウ云フ場合、從來ノヤリ方ニ
依ルト、實費竝ニ報酬ノ爲ト云フヤウナ勝
手ナ名目ヲ付ケテ檢擧サレテ居ル、アノ式
デヤラレタラ皆檢擧サレテシマフ、ダカラ
特ニ大臣ニ確メテ置イテ、何モ言ハナイ時
ニハ罪ニナラヌ、詰リ無聲有言ト云フコト
ハ絕對ニ將來罪ニシナイト云フコトヲ、ド
ウカ委員長モ是ハ能ク記憶シテ置イテ戴イ
テ、本會ニ必ズ御報告ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=71
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072・塩野季彦
○鹽野國務大臣 御尋ノヤウナ場合ハ罪ト
ナラナイノデアリマス、無聲トカナントカ
仰シヤイマシタガ、眼ハ口程ニ物ヲ言フナ
ドト云フコトモアリマスカラ、ソレハ有聲
デスナ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=72
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073・内藤正剛
○内藤委員 ダカラ私ハ先ッキカラ言ウテ
居ル、眼ハ口程ニ物ヲ言フ、サウ云フコト
デヤラレルト、ナンデモ引ッ掛ルカラ、ソレ
デハ大變ダカラト云フノデ、特ニ大臣ニ御
出席ヲ願ッテ、御言明ヲ得テ置キタイノデア
リマス、眼ハ口程ニ物ヲ言ヒト云フヤウナ
胡麻化シハ、最近ハ問題ニナラナイデスヨ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=73
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074・塩野季彦
○鹽野國務大臣 事實ト看做スト云フコト
ハナイノデアリマス、事實ノ有無ハ認定ハ
致シマスケレドモ、看做シテ、アッタト同樣
ニ考ヘルト云フコトハ致シマセヌ、ソレカ
ラ先刻御話ニナリマシタ他ノ點ニ付キマシ
テハ、御趣意ノ點ハ能ク諒承致シマシタ、
適當ニ善處致シタイト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=74
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075・内藤正剛
○內藤委員 此際大臣カラ、モウ一ツ言明
ヲ願ヒタイ、政府委員ノ方ハ既ニ言明サレ
タノデスガ、此法案ノ施行ニ際シテハ十二
分ニ遺憾ナキヲ期スルト云フ大臣ノ御言葉
ヲ聽イテ、洵ニ結構ダト思ヒマス、併シ唯
ソレダケデハ有難イヤウニ思ハヌノデス、
モット突進ンデ、此法案ハ二年間掛ッテ一般
ニ周知セシメタイト云フノヲ、一年ニサレ
タノデスカラ、司法大臣トシテハ司法官全
部ノ大異動ヲ行ッテ、サウシテ或ハ司法官合
同モアリマセウガ、田舍ニ行ケバ檢事正デ
モ訟廷ニ出ルコトガアリマスガ、大體ニ於
テ訟廷ニ出ナイ人ガ多イノデス、ソレデ部
長級ガ出ルノダト思ヒマスガ、都會地ノ人ハ
刺戟ガ多イガ、都會地以外ハ刺戟ガ少イ、
其刺戟ノ多イ所ノ人ハ〓究ガ早カラウト思
フ、見ルコトガ多イト思フ、刺戟ノ少イ人
ハ見ルコトガ少カラウト思フ、ソレヲ如何
ニ旨ク搗キマゼテ進ムノデアリマセウカ、
其具體的方針ヲ此際承リタイ、例ヘバ司法
省ハ書記官デ隨分練達ナ人ガ居ラレル、サ
ウ云フ人ヲ各地方ニ出シテヤッテ、宣傳機關
ニスル、サウシテ仕上ゲテ、又田舍ノ人デ
仕上ッタ人ヲ他ノ地方ニ廻ハス、斯ウ云フヤ
ウナコトヲ何カ考ヘナケレバイカヌト思フ、
是ハ一年間デスカラ隨分危ナイモノダラウ
ト思フ、ソレヲ此間政府委員カラ述ベラレ
タノデスガ、政府委員ハ唯事務的ナ御話、
大臣ハ大所高所カラ大乘的ニ爲サルノダカ
ラ、一ツ此際御言明ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=75
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076・塩野季彦
○鹽野國務大臣 此法案ハ昨年カラ實施ノ
準備ヲヤッテ居リマスルガ、愈〓本案ガ成立ス
ルコトニナリマスレバ、尙ホ一層之ヲ周知
スルコトニ努メナケレバナリマセヌ、ノミ
ナラズ御說ノヤウニ先ヅ裁判所職員ガ能ク
之ヲ知ッテ、運用ヲ誤ラナイヤウニシナケレ
バナラナイノデアリマス、隨テ此點ニ付テ
ハ申ス迄モナク十分ニ注意ヲ致シマスルガ、
具體的ニ申シマスルト、必要ニ應ジテ人員
ノ充實ヲ行ヒマシテ、之ニ伴ッテ相當廣イ範
圍ノ異動ヲモ實行致シマシテ、都會ノ人ト
地方ノ者トノ入レ替ヲ行ヒ、隨テ新知識ト
申シマスルカ、ソレヲ有スル者ガ參ッテ同僚
ニ對シテ刺戟ヲ與ヘル方法モ講ジマスルガ、
尙又實務家ノ會同ヲ致シマシテ、全國ノ判
事ノ中デ、永年東京へ參ッタコトノナイヤ
ウナ判事ヲ集メマシテ、ソレニ對シテ十分
新法ノ解釋竝ニ運用ニ付テノ考究ヲモ、致
サセ得ルノデアリマス、デ尙ホ早速監督官
ヲ集メマシテ、新法ノ解釋竝ニ運用ニ付テ
ノ注意ヲ致シマスコトハ、是ハ勿論ノ話デ
アリマスルガ、ソレ以外ニ於キマシテモ直
接第一線ニ立ッテ居ル判事ヲ招集シテ、講習
的ノコトヲ行フ、斯ウ云フ考デ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=76
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077・西田郁平
○西田委員 私一寸一點ダケ伺ヒマスガ、
近頃ノ會社ノ經營ノ傾向ヲ見マスルト、寧
ロ增資ヨリモ社債ニ依ルコトノ方ガ多クナッ
テ居ルヤウデアリマス、殊ニ特殊會社ニ於
テハ拂込金額ノ五倍モ六倍モ社債ヲ發行ス
ルト云フヤウナ傾向ニナッテ參リマシタ、此
商法ノ改正ニ當リマシテ、ヤハリ社債ハ拂
込總額ヲ超ユルコトヲ得ナイト云フコトハ、
今迄通リニ決メラレテ居ルノデアリマス、
之ヲ拂込額以上ノ相當額マデ社債ヲ發行ス
ルコトヲ許シ、ソレヲ或ル制限ノ下ニ裁判
所デ認可ヲヤッテ行クト云フコトハドウカ
ト云フコトヲ、私考ヘテ居リマシタ、今直
チニサウシヨウト云フノデハアリマセヌ、
此御尋ヲスル以上ハ、サウ云フ考ヘ方ヲ將
來ニ對シテ御持チニナッテ居ルカト云フコ
トヲ、御尋シテ居ルノデアリマス、一體今
度ノ商法デハ、隨分刑罰ノ方ダケハ劃期的
ニ變更シテ居リマスルケレドモ、斯ウ云フ
點ニ對シテハ、裁判所ノ方ガ事業白體ニ干與
シテ行クト云フ點ニ付テハ、非常ニ遲レテ
居ルノデハナイカト云フ風ニ考ヘマス、吾
吾ガ普段實際ニ當ッテ見マシテ、率直ニ申シ
マスト檢事局ノ方ガ勢ガ强クテ裁判所ノ方
ノ勢ガ弱イ、ソレハ裁判所ハ何ト言ヒマス
カ殿堂ノ中ニ入ッテ居ッテ、外ニ出テ行カナ
イノデハナイカ、斯ウ思フノデアリマス、
殊ニ諸官省ノ中デモ司法省ハ、現在非常ニ
消極的デナイカト云フコトヲ始終思ッテ居
リマス、デアリマスカラ、モウ既ニ各種ノ
調停法ニ於テ裁判所ハ街頭ニ出テ居ルノデ
アリマスカラ、將來會社ノ經營ノ內容ニマ
デモ入ッテ、少シ助長スルト云フ御考ヲ、立
法ノ上ニ現ス御意思ガナイカ、ソレガ却テ
司法省ヲ强クスル所以ニナリマス、又裁判
所ガ本當ニ街頭ニ出ルト云フコトニモナル
ノデアリマス、司法省ト致シマシテハ、サ
ウ云フ御心構ヘヲ御持チニナッテ居ルカド
ウカト云フコトヲ一ツ伺ッテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=77
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078・大森洪太
○大森政府委員 御尤ノ御注意デアリマシ
テ、私共トシテ洵ニ感謝致ス次第デアリマ
ス、社債ニ付キマシテハ御承知ノ通リ特別
法デ、或ハ拂込株金ノ五倍デアルトカ十倍
デアルトカ、更ニソレ以上ノ例外ヲ認メテ
居ルモノガ、大分殖エテ參ッタノデアリマ
ス、唯私共ト致シマシテハ一般基準的ノ問
題ト致シマシテ、ヤハリ社債ノ堅實ヲ圖リ
マスル爲ニ、此案ニ示シマスヤウナ標準ヲ
以テ、基本的原則トシテ參リタイト存ズル
ノデアリマス、ソレデ特殊ノ場合ニ特別法
ニ於テ此制限ヲ超シマスル場合、或ハソレ
ヲ擔保付社債ニ限リマストカ、或ハ政府ガ
保證ヲスルトカ何等カノ方法ニ依リマシテ、
社債ノ堅實化ヲ圖ル必要ガアラウト思フノ
デアリマス、御承知ノ商法ノ無擔保社債ニ
付キマシテハ、今尙ホ此一般的原則ヲ超エ
タクナイト存ジテ居ル次第デアリマス、尙
ホ裁判所ガ會社ノ事業經營ニモ進ンデ干與
スルヤウニト云フ御懇切ナル御注意ガアリ
マシタ、是ハ私ヨリ御答スルノハ如何カト
存ズルノデアリマスガ、此案ニ付キマシテ
モ御承知ノ通リ、會社ノ整理ソレカラ特別
〓算ト云ッタヤウナ、相當重要ナル問題ニ裁
判所ガ干與スルコトニ致シマシテ、此運用
ニ付テハ固ヨリ十分ニ努力ヲシナケレバナ
リマセヌガ、其運用正シキヲ得マスルナラ
バ洵ニ立派ナル效果ヲ擧ゲルモノト信ジテ
居ル次第デアリマス、固ヨリ是バ整理ナリ
〓算ノ問題デアリマスガ、更ニ進ンデ整理
前ノ會社經營ニモ乘出シテハドウカト云フ
御趣旨デアリマシテ、是等ハ漸ヲ逐ウテ進
ンデ行クベキデハナイカト思フノデアリマ
ス、デアリマスカラ此案ニ付キマシテ、裁
判所ノ干與ノ程度ガマダ少イヂヤナイカト
云フ御注意ハ御尤デアリマスケレドモ、私
共ト致シマシテハ此整理ナリ特別〓算ニ對
スル裁判所ノ干與ノ實績ヲ見マシテ、更二
大イニ圖ル所ガアラウト思ッテ居リマス、暫
クソレヲ御待チヲ願ヒタイト云フコトデ、
御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=78
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079・山本粂吉
○山本委員 大臣御臨席デアリマスカラ、
一言御尋シテ置キタイノデアリマス、內藤
委員ヨリノ御質問ニ依リマシテ、本法施行
ニ際シ先ヅ司法省部內ニ之ヲ知悉セシメ、
更ニ一般大衆ニモ知ラシメルコトノ御對策
ニ付テハ、窺ヒ知ルコトガ出來タノデアリ
マスガ、私ハソレダケデハ滿足ガ出來ヌノ
デアリマス、御承知ノ如ク近代ノ政治ト經
濟ノ關係ハ、從來ト其趣ガ〓倒シテ居ル、
自然ガ經濟ヲ支配シテ居ッタ時代ハ、政治
ガ經濟ヲ支配スルコトガナカッタ、寧ロ經濟
アッテ政治ガアッタノデアリマスガ、サウ云
フ時代ハ旣ニ過去ノモノニナッテシマッタ現
在ニ於テハ、意思經濟デアル、權力經濟デ
アル、ヤカマシイ言葉デ頻ニ統制經濟機構
デアルト云フコトヲ言ハレテ居リマスルヤ
ウニ、寧ロ經濟ヲ政治ガ支配スルト云フ狀
態ニナッテ來テ居ル、政治ガ經濟ヲ支配スル
コトニナッテ、統制々々ト云フコトニナッテ
來ルト、ドウシテモ勢ヒ其處ニ支配スル政
治ト支配セラルヽ經濟トノ間ニ相剋ガ起リ
易イ、然ラバ其相剋ヲドウシタラ除去スル
コトガ出來、絕無ナラシムルコトガ出來ル
カト云フコトヲ考ヘテ見マスレバ、是ハ政
治ト經濟トヲ渾然ト一丸ニシナケレバナラ
ナイ、卽チ全體的ノ機構ニシナケレバナラ
ヌト云フコトハ、近代叫バレテ居ル通リナ
ノデアリマス、本案ニ付テモサウ云フコト
ガ一々肯カレル、商法ハ御承知ノ如ク是ハ
經濟上ノ原則規定デアッテ、隨テ此法ガ施行
セラレタ曉ニ於テ、日本ノ經濟上之ニ及ボ
ス影響ト云フモノハ甚大デアリマス、何ト
ナレバ本法案ハ先程申上ゲタヤウニ政治
ガ經濟ヲ支配スルト云フ此社會ノ流レニ乘
リマシテ、甚シク行過ギテ居ルノデハナカ
ラウカト思ハレル程、國家ノ權力ガ此規定
ノ中ニ餘計加ハッテ居ル、其爲ニ裁判所ノ關
與スル部面ガ非常ニ多イ、之ヲ大別スルト
第一ガ監督取締、第二ガ手續上ノ問題、此
監督取締ノ規定ガ非常ニ殖エテ、手續上ノ
規定、卽チ非訟事件ニ屬スベキ事件ガ非
常ニ多イ、ソコデ監督指導ト云フ立場カラ
言ヘバ、御承知ノ如ク商事經濟ハ敏速ヲ非
常ニ尊ブノデアリマスルカラ、此監督指導
ノ規定ノ運用ハ、敏速デアルト同時ニ、極
メテ有能練達ノ士ニ當ッテ貰ハケナレバナ
ラヌコトハ論ヲ俟タヌ、手續上ノ問題ハ極
メテ敏速ニ正確ニ、公平ニヤッテ行カナケレ
バ、實際商取引ニ合ッテ來ナイ、合ッテ來ナ
ケレバソコニ相剋ガ起ル、斯ウ云フコトガ
窺ヒ得ラレルノデアリマス、ソコデ斯ウ云
フ風ニ本法施行ノ曉ニ於キマシテ、裁判所
ノ關與スル部分ガ增大シテ來ルノデアリマ
スカラ、之ヲ圓滑ニ運用スルノニハ、ドウ
シテモ經濟ノ實際ニ通曉シタ司法官ヲ採用
スルト云フコトガ、必然的ニ起ッテ來ルト思
ハレルノデアリマス、此點ニ付テ司法大臣
ノ御所見ガ伺ヒタイ、卽チ從來叫バレテ居
ルヤウニ司法官ノ一元化ヲ圖リマシテ、實
際社會ニ活動セラレテ、經濟ノ實際ニ少ク
トモ餘計「タッチ」シテ居ル在野法曹ノ中ノ優
秀ナル者ヲ裁判官ニ採用シテ、サウシテ斯
ウ云フ增大セラレタ權力ニ依ル經濟ノ統制
ヲ圓滑ナラシメルト云フコトガ、必要ダト
思フノデアリマス、司法官ノ一元化ハ直チ
ニ實施出來ナイトシテモ、其漸進的意味カ
ラシマシテモ、廣ク在野ヨリ人材ヲ集メテ、
サウシテ此監督、指導、手續ノ敏速、正確、
公平ヲ期スルト云フコトガ、本法施行ノ上
ニ於テ其實績ヲ擧ゲル所以ダト思ハレル、
此點ニ對スル司法大臣ノ御所見ヲ伺ッテ置
キタイノデアリマス
第二點ハ、結局左樣ニ致シマスルノニハ、
勢ヒ豫算ガ擴大セラレナケレバナラナイコ
トハ、論ヲ俟タナイノデアリマス、然ルニ
從來司法省ノ豫算ト云フモノハ、ドウ云フ
關係デアルカ、私共ニハ能ク分リマセヌケレ
ドモ、極メテ貧弱デアル、色々司法大臣ニ於
テ政府當局ト御折衝ニナリ、大藏省ト御折衝
ニナッテ御努力ニナッテ居ルコトハ、私モ能ク
承知シテ居リマスケレドモ、如何セン貧弱
デアル、軍部ノ豫算ナドニ比較スルト九牛ノ
一毛ニ過ギナイ、然ルニ今囘玆ニ提案サレ
タ本法案ヲ實施スルニ営田リマシテハ、先程
申上ゲマシタヤウニ非常ニ手續ガ煩瑣ニナ
リ、裁判所ノ關與スル部分ガ增大サレルノデ
アルカラ、從來ノ如キ裁判所ノ當局ダケデ
ハ、ソレコソ經濟上ニ非常ナ相剋ヲ來スコ
トハ火ヲ覩ルヨリモ明ダト思ハレル、何ト
ナラバ非常ニ手續ガ多クナリ、監督取締ガ
非常ニ多イノデアリマス、ソコデ司法省ノ
豫算ヲ增大シテ、先程申上ゲタヤウニ定員
ノ增加ヲ圖リ、優秀ナル司法官ヲ採用スル
ト云フコトガ、必然的ニ必要ニナッテ來ルノ
デアリマスガ、先程申上ゲタヤウニ甚ダ司
法省ノ豫算ガ從來貧弱デアル、其貧弱ナル
原因ヲ探究シマスレバ、色々ノ原因モアリ
マセウケレドモ、私ハ之ヲ更ニ增大セシム
ル一ツノ方法トシテ、一體從來ノ司法當局
ハ在野法曹、其中デモ殊ニ議席ヲ有スル在野
法曹等ニ對スル緊密ナル連絡ガ〓ケテ居ル
ノデハナカラウカ、少クトモ司法當局ニ對
スル在野法曹ノ認識ハ、他ノ一般人ヨリモ
少クトモ同情アリ、又深イ認識ヲ持ッテ居ルト
確信スルノデアル、故ニサウ云フ議席ヲ有
スル者ト、尙更ニ一層ノ緊密ナル連絡ヲ
圖ッテ、意思ノ疏通ヲ促シマシテ、サウシテ
政府當局ニ當ッテ、政府當局ヨリ必要ナル豫
算ヲ獲得セラレテ、本法實施ノ效果ヲ擧ゲ
ラレルコトガ、特ニ必要ダト思フノデアリ
マスガ、此點ニ對スル司法大臣ノ御所見ヲ
伺ッテ置キタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=79
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080・塩野季彦
○鹽野國務大臣 御示シノ監督竝ニ手續ノ
規定ノ適用ニ付キマシテハ、最善ノ努力ヲ
以テ敏速、的確ニ爲スヤウ、十分ニ部下ヲ
督勳致ス考デアリマス、之ニ依リマシテ寧
ロ裁判所ノ信賴ヲ增ス如キ機會ナリト考ヘ
マシテ、部下一同ヲ督勵致シタイト考ヘテ
居リマス、又辯護士カラ判事ニ採用スルコ
トモ、努メテ御趣旨ニ副ヒタイト考ヘテ居
リマス、司法一元化ノ理想ニ付キマシテ
ハ固ヨリ御同意デアリマスルガ、漸ニ漸
ヲ追ウテ進ムベキモノト考ヘテ居リマス、
本法ノ實施ニ付キマシテハ、監督竝ニ手續
ノ上ニ於キマシテモ、非常ニ人員ノ不足ヲ
感ズル次第デモアリマスルカラ、豫算ニ付
テハ十分ニ努力スル考デ居リマス、何卒外
部ノ各位ニ於カレマシテモ直接、間接御援
助アランコトヲ切望スル次第デアリマス、殊
ニ法曹代議士諸君ノ御援助ヲ、尙更切望ス
ル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=80
-
081・仲井間宗一
○仲井間委員 簡單デゴザイマスガ、折角
御見エニナッテ居リマスノデ、大臣ノ御意見
ヲ承リタイト思フノデアリマス、會社ガ時
勢ノ趨勢ニ鑑ミマシテ、漸次公共的性質ヲ
帶ビテ來ルト云フコトハ、今更申上ゲル迄
モアリマセヌ、其爲ニ會社ニ對スル相當ナ
手心ヲ加ヘナケレバナラヌト云フコトモ、
隨テ此法案ニ見エル通リデアリマス、從來
會社ノ三十年前ノ設立営時ハ、日本ノ事情
ト致シマシテハ、會社ヲ保護シテ行ク傾向
ニアッタノデアリマス、卽チ資本ヲ大イニ運
用セシメテ、色々ノ事業ヲ勃興セシメヨウ
ト云フ時代デアリマスガ爲ニ、稅金等ノ色々
ノ方面カラ見マシテモ、會社ヲ保護シテ
居ッタノデアリマス、其立前カラ動トモスル
ト、會社ノ保護ニ偏シ過ギテ、債權者其他
第三者ニ對スル保護ガ、幾ラカ缺ケテ居ル
ノデハナイカト云フヤウナ感ジガ、致シタ
ノデアリマス、併ナガラ今ヤ會社自體ノ堅
實ヲ期スルト云フコト其モノモ、第三者ニ
對スル利益ノ擁護ニナルト云フコトガ言ヘ
ルカモ知レマセヌケレドモ、會社ト第三者、
又債權者トノ立場ニ於テ考ヘルト、今後ノ
時勢ハ會社其モノヨリモ、第三者、債權者
ヲ保護スルヤウナ制度ニナッテ行クベキモ
ノデハナイカト思フノデアリマス、會社自
身ハ自分デ經營ヲ善處スル力ヲ持ッテ居ル、
債權者其他ノ第三者ハ、色々ノ方面ニ於テ不
測ノ損害ヲ受ケル、是ハ法ノ運用ニ依リ、
ソコニサウ云フ相違ガ出來ル、會社ハ自衞
上自ラ自分ノ存立ノ出來ルヤウナ方法ヲ講
ジテ行キマスガ、債權者、第三者ハ動モス
ルト其保護ガ遲レ勝チニナリマス、所ガ今
度此法ニ依リマシテ、相當第三者ヲ保護ス
ルヤウニ進メマシタコトハ、私共極メテ感
謝ニ堪ヘマセヌガ、尙ホマダ時勢其モノノ
性質カラ見マシテモ、法律ノ解釋ハ、成ベ
ク第三者保護ニナルヤウナ傾向ニ御解釋ヲ
仕向ケテ行ク、是ハ債務調停デアリマシテ
モ、小作調停デアリマシテモ、商事調停デ
アリマシテモ、此調停ハヤハリ法ノ運用デ
アリマスルカラ、之ヲ運用スル判事ノ氣持
モ時勢ノ波ニ乘ッテ、今ノ場合第三者ヲ保護
スルト云フ傾向ニナッテ居ルノダト云フ頭
ガ必要デハナイカ、從來ノ資本主義ハ會社
ヲ餘リ保護スル、今度ハ債權者ト第三者ヲ
保護スルト云フヤウナ、社會的ノ恰好デア
ルト云フヤウナコトガ、社會ト適合スルノ
デハアルマイカト思フノデアリマスガ、司
法大臣ノ御所見ハ如何デアリマスカ、モウ
一ツハ商法ノ中ニ商業帳簿ノ規定ガアリマ
ス、是ハ何等制裁規定モアリマセヌシ、作ッ
テモ作ラナクテモ、チットモ變ラナイ、會社
以外ノ商業帳簿ト云フモノハ、裁判所ニ提
出ノ義務ハアルノデアリマスルケレドモ、
自分ノ不利益ノ場合ニハ、作ッテ居リマセヌ
ト言ヘバ、其場合裁判所ハソレニ對シテ、
不利益ナル所ノ地位ニチットモ置クコトノ
出來ナイ事情ニナッテ居リマスノデ、規
定ハシテ居リマスルケレドモ、是ハ死ンダ
規定デアルノデハナイカ、商人自身ノ利益
ノ場合ニハ提供スルガ、不利益ノ場合ニ
ハ提供シナイ、商業帳簿ハ債權者其他一
般ノ人ノ爲ニ作成サルベキモノダト私ハ
思ッテ居ル故ニ、ドウシテモ之ヲ作成スベキ
義務ヲ、モウ少シク徹底セシムルヤウナ、
制度ヲ、何カノ方法ニ於テ實現セラレル御
考ハアリマセヌカドウカ
ソレカラ最後ニ罰則ノ關係デアリマスル
ガ、人間ノ感情ト云フモノハ、新シイ著物
ガ出來ルト直グ之ヲ著タイヤウナ氣持ガス
ル、餘リ上等ナモノデモ、古イモノハ著タ
クナイ、今日三越カラ新シイ著物ヲ買ッテ
來ルト直グ著タクナル、新シイ法律ガ出來
ルト、ドウシテモソレヲ運用シタクナル、
檢事モ新シイ法律ガ出來マスト、新シイモ
ノダカラ直グ、イヤ良イモノガ出來タト云
フノデ、物好キニデモヤリタガル、是ハ感
情デアリマス、所ガ片方ハ新シイ法律ガ出
來テモ、社會ニハ惰性ト云フモノガアル、慣
習ト云フモノハ中々拔ケナイ、從來ハ此法
ニ觸レルヤウナ行爲ガアッテモ、罰ニハナラ
ナカッタノデアリマス、サウ云フ習慣ガアル
カラ平氣デ、或ハ法ガ出來マシテモ、ヤリ
通シテ行クト云フヤウナ傾向ニナル、徐々
ニソレガ直ッテ行ク-選擧法ト同ジヤウ
デアリマス、徐々ニ是ハ自覺ハシマスルケ
レドモ、惰性ト云フモノハ直グニハ直ラナ
イ、片方ハ新シイ著物ガ著タイ、片方ハ惰
性ガアル、反對ノ逆比例ニ依ッテ動ク傾向ガ
アルノデハナイカト思ヒマス、是ガ出來マ
シテモ普追ノ刑法ノ罰則ト同ジデアル、新
シイコトニナラナイデ、普通ノ刑罰法規ト
變ラナイデ行クヤウナ氣持ヲ、何トカシテ
與ヘテ下サルヤウニ願ヒタイ、是ハ吾々ノ
經驗ニ依ッテモ、サウ云フ氣持ガスルノデア
リマス、新シイ法律ハ直グ運用シタイ、ド
ウモ社會的ナ力-サウ云フ惰性ト、今ノ
新シイ法律ノ實現スルヤウニ試ミテ見タイ
ト云フ氣持ガ、ドウシテモ起ルノデアリマ
ス、其邊ノ調和ヲ一ツ-老婆心デハアリ
マスルケレドモ御願シテ、大臣ノ御所見ヲ
伺ヒタイト思フ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=81
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082・塩野季彦
○鹽野國務大臣 第一點ニ付キマシテハ、
本案ニ於キマシテモ重役、發起人ノ責任ヲ
强調致シテ居リマスシ、且又債權者ノ權益
擁護ニ十分ノ力ヲ傾注致シテ居リマスル次
第デ、御說ト全ク同感デ、其樣ニ立案致シ
テアルノデアリマス、尙ホ本法ノ解釋竝ニ
運用ニ付テノ御注意ハ有難ク感謝致シマス、
此點ニ付テハ十分ニ注意ヲ致シマス、第二
ニ商業帳簿ニ關スル制裁ノ件デゴザリマス
ルガ、是ハ今後ノ運用ノ實績ヲ見マシテ、
若シモ必要ヲ感ジマスル場合ニ於キマシテ
ハ、適當ナル立案ヲ爲ス考デ居ルノデアリ
マス、暫ク其實際ヲ見テカラノコトニ致シ
タイト考ヘマス、第三ノ刑罰規定ノ運用ニ
付テノ御注意ハ、洵ニ御尤デアリマシテ、
殊ニ若キ檢事達ニ對シテハ、特ニ十分ナル
警告ヲ與ヘル必要ノアルコトハ同感デアリ
やっ、此點ニ付キマシテモ十分ニ注意ヲ致
ス積リデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=82
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083・仲井間宗一
○仲井間委員 私共ノ經驗ニ依リマシテモ、
又今迄ノ質問應答ニ依リマシテモ明カデゴ
ザイマスル通リニ、法ノ效果ヲ擧ゲルト云
フコトハ、法其モノヲ完全ニシテ行カナケ
レバナラヌ、ソレハ申スマデモナイ次第デ
アリマス、其法ヲ運用スル人其宜シキヲ得
ナケレバナラヌ、斯ウ云フ點デアリマスル
ガ、左スレバドウシタナラバ其宜シキ人ヲ
得ルカ、是ハ實際問題ニナリマスト、困難
デアラウト思フノデアリマス、良イ人ヲ求
メルト云フコトニ付キマシテハ、只今マデ
ノ應答ニ依ッテ窺ハレマスル練習、講習、警
〓是等モ一方法デアリマスルガ、人本來
ノ宜シキヲ得ルト云フコトガ理想デナケラネ
バナラヌ、斯ウ考ヘルノデアリマスル、之
ニモ色々方法ガアリマセウガ、私ハ力ヲ入
ラレテ居ルノガ常ニ判檢事ニ限ラレテ居ル
ヤノ感ガアルト思フノデアリマス、申スマ
デモナク裁判所ノ構成ハ、判檢事以外ニ書
記ト云フ者ガ居ルノデゴザイマシテ、書記
ノ向上發達ヲ圖ッテヤラナケレバナラヌ、斯
ウ云フ風ニ私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、
ソレデ法ノ立前カラ申シマスルナラバ、裁
判及ビ裁判ノ基礎トナリマスルコトハ、總
テ判檢事ガ直接ニ取扱ッテ居ル、又取扱ハナ
ケレバナラヌノデアリマスルガ、實際問題
ト致シマスルナラバ、ヤハリ構成ニ連ッテ居
リマスル所ノ書記ノ力ヲ藉ルコトガ多イダ
ラウト思フノデアリマス、理論ノ上カラ申
シマスルナラバ、督促手續ナリ、執行手
續ナリ、非訟事件、戶籍事務ノ如キハ實際
ノ姿ヲ申シマスナラバ、多クハ書記ガヤッテ
居ルノデアリマス、又經濟ナリ今日ノ組織
カラ申シマスレバ、サウシタ人ノ力ヲ借ラ
ンケレバナラヌノデアリマスカラ、之ヲ强
ヒテ咎メル譯デハアリマセヌガ、斯樣ナ時
代ニナッテ居マシテ、司法事務ノ全體カラ考
ヘマシタ時ニハ、其事務ノ大キナ量ハ書記
ガ扱ッテ居ルノデアリマス、其書記ガ扱ッテ
居ル所ノ事務ト云フノハ地方ノ民衆ニ直接ニ
關係ノアルコトデアリマシテ、寧ロ此地方
ノ風俗慣行等ニ付キマシテハ、判事ヨリ良
キ知識ヲ有ッテ居ルダラウト思フノデアリ
やく、殊ニ判檢事諸公ハ大學ヲ出マシテ、
直グ月給取リニナラレルト云フヤウナ次第
デゴザイマシテ、サウシテアチラコチラト
短キ期間ニ轉勤セラレルト云フノデアリマ
スカラ、地方ノ事務ニ通曉セラレルコトガ
洵ニ薄イノデアリマス、斯樣ナ次第デアリマ
スルカラ、特定ノ書記ニ進路ヲ與ヘマシテ、
特別ナ任用ニ依リマシテ、サウシテ判檢事
ニ之ヲ採用スル途ヲ開クト云フコトハ、ド
ウデアラウカ、是ハ多年法曹界ノ問題トナッ
テ居リマシテ異論ノアルコトトモ考ヘマス
ルガ、之ヲ加味スルト云フコトハ大キイ廣
イ範圍ニ於テ司法部ヲ向上セシメル所以デ
ハナイカ、斯ウ考ヘテ居ルノデアリマス、ソ
レカラ今一ツハ資格ヲ判檢事ニ上ゲルト云
フ以外ニ書記ノ待遇ヲ今少シ向上サセタイ、
是ニモ二通リノ方法ガアリマシテ、一ツノ方
法ハ月給ヲ上ゲルト云フコト、今一ツハ書記ヲ
少クトモ一地方裁判所ノ管內ニ於キマシテハ、
本廳及ビ支部ノ裁判所及ビ檢事局ノ監督書
記ハ高等官ニスルト云フコト、是ハ我國從
來ノ情勢カラ考ヘマシテモ、玆數年前迄ハ
監督書記ノ居リマス地方ノ警察署長ハ、總
テ判任官デアル所ノ警部デアリマシタガ、
今日ハ殆ド警視ニナッテ居リマシテ、洵ニ權
衡ヲ得テ居ナイノミナラズ、苟モ地方ノ判
檢事諸公ノ爲ス以外ノ仕事ヲ全部司ッテ居
リマス所ノ書記ノ待遇ガ、一判任官デアリ
マスルト云フコトハ、他ノ行政官吏ニ比シ
テ洵ニ遜色ガアル、更ニ是ハ形式ノミデナ
クシテ、判檢事ニ對スル一ツノ書記ノ威力
ト云ウテモ宜イデゴザイマセウカ、ーン)
權威ニ於テ非常ニ缺クル所ガアリハシナイ
カ、判檢事ハ只今申シマスヤウニ、其地方
ニ行キマスレバ〓ニ入ッテハ〓ニ從ヘデ、其
地方ノ慣習ニ親マナケレバナラヌ、其指導
者ハ寧ロ書記ニアルノデアリマスカラ、是
ハ一ツノ資格ヲ與ヘマシテ、少クトモ一地
方裁判所管內デハ裁判所及ビ檢事局ノ監督
書記ダケハ、高等官ニシテヤルト云フ進路
ト、モウ一ツハ序デニ此機會ニ於テ私ハ之
ヲ公證人ニ使フト云フ制度ヲ與ヘテヤラナ
ケレバナラナイト思フ、申スマデモナク只
今ノ制度ニ於キマシテモ、公證人ノ居ラナ
イ所デハ書記ガ公證人ノ事務ヲ執ッテヤッテ
居リマスガ、今日マデノ經驗ニ依リマシテ
ハ、一ツノ弊害モナイノデアル、又其職務
ヲ有ッテ居ルノデアリマスカラ、只今マデノ
ヤウニ高イ俸給ヲ以テ、サウシテ高位高官
トナッテ退職致シタ判檢事ニ、更ニ職ヲ與ヘ
ルト云フコトヨリハ、此書記ニ此進路ヲ與
ヘマスナラバ、書記全體ノ士氣ニモ關係致
シマスシ、隨テ又書記以下ノ雇ノ氣分ノ上
ニモ非常ニ影響ヲ及ボスコトデアラウト思
フノデアリマス、要スルニ斯ノ如ク致シマ
スルナラバ、司法部全體ノ空氣ヲ一新致シ
マシテ、朗カナ司法界ニ導クコトガ出來ヤ
ウ、斯樣ニ考ヘマシテ、要スルニ法ノ完璧
ヲ期スルコトハ困難デアリマスルガ、完全
ナル法ノ運用ハ要スルニ人ニアリ、人ヲ求
メルニハ如何ナル方法ヲ以テスルカト云フ
コトニ付テノ一方法トシマシテハ、斯樣ニ
考ヘテ居ルノデゴザイマスルガ、此機會ニ
幸ヒ司法大臣ガヰラッシヤルノデアリマス
カラ、ハッキリシタ御意見ヲ伺ヒタイノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=83
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084・塩野季彦
○鹽野國務大臣 全ク御說ノ通リニ、法ノ
運用ニ付キマシテハ、人ヲ得ルコトガ第一義
デゴザイマス、此點ニ付キマシテハ、十分
ニ御趣旨ニ副フヤウニ致シタイト考ヘルノ
デアリマス、判任官タル書記ノ待遇向上ニ
付テノ御說ハ、洵ニ傾聽スベキモノガアル
ト考ヘマス、御說ノヤウニ從來裁判、檢察
事務ノ改善ト云フコトニ付キマシテハ、主
ニ判檢事ノ待遇改善ト云フ方面ガ論ゼラレ
テ居リマシタ、併ナガラ裁判、檢察事務ノ
運用ノ實際ハ、其判事、檢事ノ手足デアリ
マスルト申シマスカ、書記トシテ獨立ノ職
務ヲ有ッテ居リマスル、ソレ等ノ人々ガ有能
デアリ、而シテ事務ノ進捗ノ上ニ、實際上
大ナル關係ヲ有ッテ居ルコトハ爭ハレナイ
コトデアリマス、是等ノ人々ガ將來ノ進路
ニ付テ光明ヲ認メルカ否ヤト云フ點ガ、現在
ノ能力ヲ發揮スル上ニ於キマシテモ、非常
ニ關係ノアルコトデアリマス、御說ノ如ク
其進路ニ付キマシテハ、考フベキコトデア
リマシテ、當局ト致シマシテモ、之ニ付テ
考究ハ致シテ居ルノデアル、高等官ニ致シ
マスルコトモ洵ニ結構ナコトデアリマスル
ガ、只今ノ所僅ニ控訴院ノ監督書記ヲ書記
長ニ直シ得タト云フヤウナ程度デアリマス、
漸次司法裁判所ノ書記、檢事局ノ監督書記
ト云フモノモ高等官ニ直スヤウニ努力スル
積リデ居リマス、尙ホ書記ノ俸給ニ付キマ
シテハ、是ハ洵ニ少イノデアリマシテ、他
ノ官廳ノ判任官ニ比ベマスルト餘程劣ッテ
居リマス、是ハ司法部ノ高等官モ亦他ノ官
廳ノ高等官ヨリ劣ッテ居リマス、高等官竝ニ
判任官ノ俸給ヲ上ゲルト云フコトニ多年努
力ヲ致シテ居リマシテ、僅ニ昨年ニ於キマ
シテ高等官ノ方ハ略〓平均ニ近クナッテ參リ
マシタガ、尙ホ判任官ニ付テハソレ程ニ參ッ
テ居リマセヌ、ソレハ早速來年度ニ於テモ
努力シタイト考ヘテ居ル所デアリマス、又
退職後ニ於ケル相當就職ノ途ヲ開クト云フ
コトモ、洵ニ結構ナ御說デアリマス、斯樣
ナ點ニ付キマシテハ、成ベク早ク之ヲ實現
ヲ期スルヤウニ調査〓究ヲ致シマジテ、出
來ルモノカラ實現ヲ致シタイト考ヘテ居ル
次第デゴザイマスガ、此點ニ付キマシテハ
豫算ニ關係スルコトガ多イト考ヘマスノデ、
是ハ又各位ノ外部カラノ御援助ヲモ大イニ
期待スル次第デアリマス、然ルベク願ヒタ
イモノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=84
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085・内藤正剛
○内藤委員 二點ダケ御伺致シマス、一ツ
ハ司法制度改善調査會ト云フモノガ、何レ
出來ルデアラウト思ヒマスガ、此委員ニ付
テハ從來ノ如キ官吏ヲ多クセズシテ、民間
側カラ少クトモ過半數以上各方面カラ御採
リニナルコトノ考ガアリマスカドウカト云
フコトヲ、此際御言明ヲ願ッテ置キタイト思
ヒマス、尙ホ申上ゲテ置キマスノハ、辯護
士會長ハ必ズシモ偉イ者デモアリマセヌ、
アヽ云フモノハ世間デ謂フ坊主〓リ見タヤ
ウナモノデ一年位デ交替スル(笑聲)アヽ云フ
今日ノヤウナヤリ方デハ駄目デス、デアリ
マスカラ會長標準ト云フコトハ御止メニナッ
テ、兎ニ角民間側ニ相當知識經驗ニ富ンダ
方ガアリマスカラ、會長ノミニ限ッテト云フ
コトハ爲サラナイデ、各方面ノ辯護士ト云
ハズ、其他ノ方ト云ハズ、練達堪能ノ士ヲ
少クトモ過半數以上御求メニナッテ、御ヤリ
ニナル御考ガアルカドウカト云フコトヲ、
一ツ伺ッテ置キマス、ソレトモウ一ツハ又シ
テモ豫算ノコトデアリマスガ、是ハ事務官ニ對
スル質問デハアリマセヌ、大臣トシテ大乘的
ニ一ツ考ヘテ戴キタイ、司法省ノ總テノ豫算
ヲ特別會計ニシタラドウデス、サウシテ罰金
若クハ收入デ取ッタ金ヲ司法省ノ豫算ニ取ツ
テ、殘ッタモノハ大藏省ニ納付ヲスル、少ク
トモ是デ宜イト思フ、サウスルト無理ニ體
刑ヲシナクトモ罰金デ濟マシ得ルモノガ澤
山アッテ、私ハ可ナリ收入ガアルト思フ(笑
聲)ソレカラ登記所デ使フ金モ大キナモノ
デス、尙ホ大臣御氣付キナイナラバ事務的
ノコトデ捨テ難イモノヲ申上ゲマスガ、遞
信省ガヤッテ居リマス印紙デス、是ハ規則ニ
依ルト口錢ガ二分ト云フコトデス、假ニ裁
判所ノ登記所デ三百万圓ノ印紙ヲポン〓〓
ト貼ルト、二三ガ六万圓利益ガアル、大變
ナ話デス、アナタ方ガ今六万圓ノ金ヲ大藏
省ニ貰ハウトシタラ、大臣ガ閣議デ政治的
折衝ヲシナケレバナラヌ、サウ云フコトヲ
セズデ取レル方法ヲ私ガ〓ヘルノデスガ、
ドウデス、大臣ハサウ云フコトヲ大乘的ニ
考ヘテ、將來司法省內デ使フ收入印紙若ク
ハ郵便切手、之ヲ控訴院管內ト云フト語弊
ガアリマスガ、控訴院所在地ダケデナンチ
モ何百万圓ト云フ金ガ年ニ取レル、大藏省
ニ頭ヲ下ゲナクトモ宜イ、サウ云フ良イ方
法ガアルノデスガ、大臣トシテ大乘的ニ考
ヘテ御ヤリニナル御考ガアルカドウカ、此
際承ッテ置キタイ、ドウデス、御ヤリニナッテ
ハ如何デス、是ハ大臣トシテ答辯スベキ絕
好ノ問題ダト思ヒマス(笑聲)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=85
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086・塩野季彦
○鹽野國務大臣 明年度ニ於キマシテ早速
司法制度ノ改革ニ付テ、調査會ヲ設ケマス
ルガ、其委員ノ人選ニ付キマシテハ、マダ
能ク考ヘテ居リマセヌ、併ナガラ割合ヲ官
吏ヲ多クスルカ民間ヲ多クスルカト云フコ
トニ付キマシテハ、御趣旨ニ副フヤウニ考
慮致シタイト考ヘテ居リマス、尙ホ第二ノ
特別會計ニシテハドウカト云フ御勸デアリ
マシテ、洵ニ結構ナコトデ、司法省ノ豫算
ノ收入支出ヲ見マスト、三千万圓バカリ政
府ヘ納メテ居ルヤウナ譯デアリマス、獨立
會計ニナリマスト、ソレダケ餘裕ガ出來ル
ヤウナ譯デ、洵ニ結構デアリマス、ガ併ナ
ガラ是ハドウモ私ガ大乘的ニ一ツヤッテ見
テモ、實現ハ頗ル困難ト考ヘマス、併シ宜
イコトヲ〓ヘテ戴キマシタカラ、大イニ奮
發シテ見タイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=86
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087・中野治介
○中野委員 前ノ御尋ニ繼續シタ事柄デア
リマスガ、今日マデノ制度ニ依リマスレバ、
判檢事ハ學問試驗ニ依ッテノミ採ルト云フ
コトニナッテ居リマシテ、體格ト云フコト
ニ付テハ呼吸器病ダケハ考慮ニ入レテ居ラ
レルト云フコトデアリマスガ、併ナガラ資
格其モノハ學問ト云フコトヲ標準トシテ採
ラレテ居ルノデアリマスカラ、實際問題ト
シマシテハ其試驗當時ニハ學問ガ能ク出來
テ居リマシテモ、造物主ノ公平ナル、運動
ヲ顧ミナイデ學問ヲスレバ、學問ノ方ハ出
來テ參リマシテモ、體格ハ宜シクナイ、體
格ニ專念スレバ學問ガ劣ルト云ッタヤウナ
調子デコザイマシテ、兩方良イ人ヲ得ルト
云フコトハ中々困難デアリマス、併ナガラ
學問バカリヲ基本トシテヤッテ居リマス現
行ノ狀態デハ、試驗當時ニハ能ク法律ヲ解
釋スル力ガアリマスケレドモ、ヤハリ健全ナ
ル身體デナケレバ頭腦モ良クナイノデアリ
マス、追々ニサウ云フ人ハ身體ガ惡クナリマ
シテ、サウシテ難解デアリマス所ノ法律ノ
咀嚼力ト云フコトニ缺クルニ至ル感ガゴザ
イマスカラ、初メニ田舍馬見タイニ良ク走ッ
テモ、後ニ力ガナクナルト云フ弊害ニ陷ルノ
デアリマス、其點ヲ何トカ良クシナケレバ、
徒ニ駑馬ニ鞭打ツヤウニ訓令講習ト云フコ
トヲヤリマシテモ、人其者ガ良クナクテハ
訓令モ講習モ役立ヌト考ヘル次第デアリマ
ス、是等ニ付テ何トカ御考慮ヲ拂ッテ戴キ
タイト思ヒマスガ、御所見如何、今一ツハ
實際問題ニナルノデアリマスガ、從來ノ取
扱振ニ依リマスト、都會ノ裁判所其モノハ
氣ヲ付ケテ居ラレマスガ、地方ノ裁判所ニ
付キマシテハ、閑却セラレテ居ル憾ミガゴ
ザイマス、是ハ大臣ノ御考デハヤハリ豫算
ト云フ一事ヲ以テ御逃レニナルカモ知レマ
セヌガ、ヤハリ調ベル場所モ、ソレ相應ナ
自覺ヲ以テ臨マナケレバナラヌ、神聖ナ訟
廷ガ、田舍ノ裁判所ノ如キ土足デ上ラナケ
レバナラヌ、謹嚴ナル態度デハ迚モ出入リ
ノ出來ヌヤウナ體裁ニナッテ居ル現狀デア
リマシテ、是ハ司法部ニ關係ヲシテ居リマ
ス私共、常ニ非常ニ遺憾ニ存ジテ居ル次第
デアリマス、證人ニ對シマシテハ最モ峻
嚴ナ方式ヲ以テ宣誓ヲ命ズルノデアリマ
スガ、其場所ハ如何ニモ自然ニ宣誓ノ氣
分ト云フモノガ湧イテ來ニクイト云フ憾
ミガアルノデアリマシテ、是等ニ付テ考慮
ヲ拂ハレテ居リマスカ、ドウカ、今一ツハ
裁判官ハ唯法廷ニ於テ法ヲ操リサヘスレバ
宜シイト云フ感ジデゴザイマシテ、其法ヲ操
ル所ノ場所ヲ愛スルト云フ心ガ、裁判官諸
公ニナイト思フノデアリマス、例ヘバ庭園
デゴザイマストカ、此裁判所ノ中ノ總テノ
構造、組織等ニ付キマシテ、何等ノ關心ガ
ナイト思フノデアリマスガ、サウ云フコト
ニ付キマシテ、ヤハリ其局ニ當ル所ノ、例
ヘバ所長、會計課長ト云フヤウナ人達ハ、
サウ云フコトニ向ッテモ、意ヲ御用ヒ下サイ
マシテ、サウシテ裁判所ノ體裁其他ニ於キ
マシテ進步致シマスレバ、ヤハリソレガ直接
間接事務ノ向上發展ニ資スル所ガ少カラヌ
コトト考ヘル次第デアリマスルガ、サウ云
フ點ニ付テノ御所見ハドウ云フ風デアルカ
伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=87
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088・塩野季彦
○鹽野國務大臣 司法官試補ノ採用ニ付キ
マシテハ、相當嚴重ナ體格檢査ヲ致シテ居
リマシテ、結核バカリデナク、他ノ腎臟其
他臟器ノ病ニ付キマシテ、檢査ヲ致シテ居
リマス、弱イ者ハ採用ヲ致サナイノデアリ
マス、偖テ强イ者ト申シマシテモ、其人物
ノ優良ナ者デナケレバ相成ラヌノデアリマ
シテ、此點ニ付テハ從來學課試驗ニ重キヲ
置イテ居ッタノデアリマスガ、近年ハソレデ
ハマダ足リナイト云フノデ能ク性行ヲ調ベ
マシタリ、又試驗委員數名ガ直接本人ニ會
ヒマシテ、口頭ノ試問ヲ致シマシテ人物ノ
考査ヲ致シマスヤウナコトヲ致シテ、五十五
學識試驗ノ成績ノミニ重キヲ置カヌヤウニ
努メテ居ル次第デアリマスガ、併シドウモ
短時間ノ間ニ人物ヲ見ルト云フコトモ困難
デアリマスカラ、先ヅ第一ハヤハリ學課ノ
試驗、サウシテソレ以外ノ經歴、家庭其他
ノ調査ヲ書類ニ依リマシテ、採ルヤウニ致
シテ居リマスガ、方針ト致シマシテハ、學
課第一主義ト云フノハ、旣ニ抛棄致シテ居
ルヤウナ次第デアリマス、尙ホ此點ニ付テ
ハ十分ニ注意ヲ致シマス、第二ニ法廷ノ設
備ニ缺クルモノアルコトハ洵ニ申譯ナイ次
第デアリマス、明治二十年來ノ建築物ガ隨
分殘ッテ居リマス、朽廢致シマシテ、法廷ノ
威嚴等ヲ損ジテ居ルコトハ大デアリマス、
漸次此改築ニ心配ヲ致シテ居リマス、豫算
ノ問題ガアリマスルカラ、思フヤウニハ參
リマセヌガ、御注意ノ點ハ十分ニ改善スベ
ク努力致スヤウニ致シマス、第三ニハ職員
ガ場所ヲ愛スルコト、是ハ成程精神上良好
ナ影響ヲ與フルコトデアリマシテ、是ハ全
國職員ニ對シテ御趣意ノヤウナ注意ヲ與ヘ
タイト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=88
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089・山本粂吉
○山本委員 大分質問ヲ連日ニ亙ッテヤッテ
居リマスルカラ、商法中改正法律案外二件
ノ質問ハ一應之ヲ以テ打切リマシテ、明日
ノ午後アタリカラ討論採決ヲシ、明後目ノ
本會議ニ上程スルト云フヤウナ意味デ、質
問打切ノ動議ヲ提出致シマス
〔「贊成」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=89
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090・野村嘉六
○野村委員長 山本君ノ動議ニ御異議アリ
マセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=90
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091・野村嘉六
○野村委員長 ソレデハ全會一致質問打切
ノ動議ハ成立致シマシタ
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=91
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092・野村嘉六
○野村委員長 ソレデハ次會ハ十九日午後
一時ヨリ開クコトニ致シマス、本日ハ是ニ
テ散會致シマス
午後四時十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007311639X01219380317&spkNum=92
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