1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十三年三月十日(木曜日)
午後一時三十三分開議
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議事日程 第二十五號
昭和十三年三月十日
午後一時開議
第一 飼料配給統制法案(政府提出) 第一讀會
第二 工作機械製造事業法案(政府提出) 第一讀會
第三 航空機製造事業法案(政府提出) 第一讀會
第四 市街地建築物法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第五 有價證券業取締法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第六 恩給金庫法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 恩給法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 庶民金庫法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 無盡業法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 昭和十一年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第十 昭和十一年度特別會計第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第十 昭和十一年度特別會計豫備費支出の件(承諾を求むる件)
第十 昭和十一年度滿洲事件第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第十 昭和十二年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第十 昭和十二年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第十 昭和十二年度特別會計豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件(承諾を求むる件)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
工作機械製造事業法案
航空機製造事業法案
(以上三月九日提出)
一昨日貴族院より受領したる政府提出案左の如し
市街地建築物法中改正法律案
有價證券業取締法案
一議員より提出せられたる議案左の如し
昭和八年法律第五十三號中改正法律案
提出者
清瀬一郎君 手代木隆吉君
宮澤清作君 紅露昭君
昭和八年法律第五十四號中改正法律案
提出者
清瀬一郎君 手代木隆吉君
宮澤清作君 紅露昭君
倉元要一君 西村茂生君
軍用候補馬鍛錬法案
提出者
土田莊助君 森田重次郎君
今成留之助君 伊藤五郎君
軍用候補馬鍛錬法案
提出者
大石倫治君 三善信房君
小串清一君 服部岩吉君
重要物産同業組合法中改正法律案
提出者
原玉重君 一松定吉君
小林房之助君 紫安新九郎君
松田竹千代君 内藤正剛君
服部崎市君 岩瀬亮君
江原三郎君 佐藤洋之助君
小高長三郎君 世耕弘一君
瀧澤七郎君 野口喜一君
國立大陽觀測所設置に關する建議案
提出者 森田福市君
市町村義務教育費國庫負擔法改正に關する建議案
提出者
宮本雄一郎君 松尾孝之君
松川昌藏君 山口忠五郎君
土倉宗明君 庄司一郎君
服部岩吉君
岡崎多治見間鐵道敷設に關する建議案
提出者
服部英明君 岡本實太郎君
古屋慶隆君 塚本三君
大野一造君
薪炭瓦斯發生機使用促進に關する建議案
提出者 山田清君
國産自動車課税廢止に關する建議案
提出者 山田清君
肥料製造販賣國營に關する建議案
提出者
遠山房吉君 一柳仲次郎君
澤田利吉君
國道十二號線福井敦賀間改修に關する建議案
提出者
齋藤直橘君 猪野毛利榮君
池田七郎兵衞君 添田敬一郎君
熊谷五右衞門君
宇野山守間省營バス運轉に關する建議案
提出者 稻田直道君
鳥取港修築に關する建議案
提出者 稻田直道君
戰傷死者遺族優遇に關する建議案
提出者 高岡大輔君
(以上三月八日提出)
産師法案
提出者
田中養達君 三宅正一君
靖國神社境内大村益次郎銅像移轉に關する建議案
提出者
三浦虎雄君 今井新造君
江藤源九郎君
中小商工業者振興に關する建議案
提出者
稻田直道君 瀧澤七郎君
野口喜一君 田中源三郎君
養老年金法制定の準備促進に關する建議案
提出者
稻田直道君 馬岡次郎君
山川頼三郎君
信樂加茂間省營自動車運轉開始促進に關する建議案
提出者
田中好君 服部岩吉君
富島用水改良事業速成に關する建議案
提出者
伊東岩男君 東郷實君
宮崎縣内に於ける鐵道敷設及省營バス運行に關する建議案
提出者
伊東岩男君 東郷實君
川南原國營開墾に關する建議案
提出者
伊東岩男君 東郷實君
國立黄道光觀測所設置に關する建議案
提出者
服部岩吉君 作田高太郎君
小丸川改修速成に關する建議案
提出者
伊東岩男君 東郷實君
五新線速成に關する建議案
提出者
福井甚三君 世耕弘一君
東京市より津市を經て和歌山市に至る路線を國道に編入に關する建議案
提出者
濱田國松君 世耕弘一君
澱川低水工事繼續事業に關する建議案
提出者
上田孝吉君 江羅直三郎君
伊豆沼國營開墾に關する建議案
提出者 大石倫治君
雪害救濟に關する建議案
提出者
川俣清音君 三宅正一君
菊地養之輔君
軍事扶助徹底に關する建議案
提出者
松本治一郎君 三輪壽壯君
自家用濁酒釀造に關する建議案
提出者
川俣清音君 菊地養之輔君
産米斤量取引實施に關する建議案
提出者
前川正一君 川俣清音君
宇野岡山驛間無停車列車運轉竝宇野高松間連絡船増航に關する建議案
提出者
前川正一君 佐竹晴記君
(以上三月九日提出)
一議員より提出せられたる質問主意書左の如し
東北振興に關する質問主意書
提出者 田子一民君
(以上三月九日提出)
一去八日近衞内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
遞信書記官 大野勝三
第七十三囘帝國議會遞信省所管事務政府委員被仰付
一去八日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第四部選出
建議委員 中田儀直君(菅野善右衞門君補闕)
一去八日常任委員長補闕選擧の結果左の如し
決算委員
委員長 小林絹治君(委員長西方利馬君三月三日委員辭任に付其の補闕)
一去八日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第五部選出豫算委員 板野友造君
一去八日議長に於て選定したる委員左の如し
臨時通貨法案(政府提出)外一件委員
駒井重次君 福田關次郎君
池本甚四郎君 渡邊玉三郎君
津倉亀作君 松浦周太郎君
手代木隆吉君 東條貞君
大本貞太郎君 小串清一君
藤井浩然君 塩川正藏君
曾和義弌君 井上知治君
中野寅吉君 高岡大輔君
田万清臣君 三木武夫君
一去八日に於ける特別委員の異動左の如し
恩給金庫法案(政府提出)外一件委員
辭任 田中源君 補闕 田中源三郎君
辭任 今井新造君 補闕 田川大吉郎君
社會事業法案(政府提出)外二件委員
辭任 土屋清三郎君 補闕 濱野徹太郎君
國家總動員法案(政府提出)委員
辭任 坂田道男君 補闕 木下成太郎君
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(輸出入品等に關する臨時措置に關する件)(政府提出、貴族院送付)委員
辭任 行吉角治君 補闕 小野廉君
臨時租税増徴法中改正法律案(政府提出)外七件委員
辭任 飯村五郎君 補闕 平野力三君
陸上交通事業調整法案(政府提出)委員
辭任 安倍寛君 補闕 笠井重治君
一去七日昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(輸出入品等に關する臨時措置に關する件)(政府提出、貴族院送付)委員菅野善右衞門君は退職者となりたるに付其の補闕として川崎巳之太郎君を去八日議長に於て選定せり
一昨九日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第五部選出
豫算委員 世耕弘一君(板野友造君補闕)
一昨九日委員長及理事互選の結果左の如し
臨時通貨法案(政府提出)外一件委員
委員長 駒井重次君
理事
福田關次郎君 池本甚四郎君
東條貞君 大本貞太郎君
一昨九日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
商法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)外二件委員
理事 紅露昭君(理事木村作次郎君去七日委員辭任に付其の補闕)
陸上交通事業調整法案(政府提出)委員
理事 笠井重治君(理事安倍寛君去八日委員辭任に付其の補闕)
一昨九日に於ける特別委員は異動左の如し
樺太地方鐵道補助法中改正法律案(政府提出)外一件委員
辭任 仲西三良君 補闕 手代木隆吉君
辭任 手代木隆吉君 補闕 仲西三良君
臨時租税増徴法中改正法律案(政府提出)外七件委員
辭任 堀内良平君 補闕 田村秀吉君
辭任 豐田收君 補闕 野中徹也君
社會事業法案(政府提出)外二件委員
辭任 鈴木文治君 補闕 米窪滿亮君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、此際新ニ議席ニ著カレマシタ議員ヲ御
紹介致シマス-第二百七番北海道第四區
選出議員深澤吉平君
〔深澤吉平君起立〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=1
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002・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第六乃至第九
ノ四案ヲ繰上ゲ一括上程シ、其審議ヲ進メ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=2
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003・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=3
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004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、日程第
六、恩給金庫法案、日程第七、恩給法中改
正法律案、日程第八、庶民金庫法案、日
程第九、無盡業法中改正法律案、右四件ヲ
一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長
ノ報〓ヲ求メマヌ-委員長前田房之助君
第六恩給金庫法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第七恩給法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第八庶民金庫法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第九無盡業法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一恩給金庫法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報〓候也
昭和十三年三月八日
委員長前田房之助
衆議院議長小山松壽殿
〔別紙〕
(小字及-ハ委員會修正)
恩給金庫法案中左ノ通修正ス
第二條恩給金庫ハ主タル事務所ヲ東京
市ニ置ク
恩給金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要
シ又ハ官廳
ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコトヲ
其ノ他ノ機關ニ其ノ業務ノ執行ニ關スル事
|得
務ノ一部ノ取扱ヲ委託スルコトヲ得
第十五條理事長、理事及監事ハ主務大
臣之ヲ命ズ
恩給金庫ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者ハ
其ノ職ヲ退キタル後五年間恩給金庫ノ理事
長、理事及監事ト爲ルコトヲ得ズ但シ主務
大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ
此ノ限ニ在ラズ
三
理事長及理事ノ任期ハ五年、監事ノ任
二
期ハ三年トス
第二十五條公務員(之ニ準ズル者ヲ含
ム)ガ其ノ受クル恩給又ハ年金ヲ擔保
ニ供シタルトキハ其ノ效力ハ其ノ遺族
ノ受クベキ恩給又ハ年金ノ上ニ及ブコ
トナシ但シ時約ヲ以テ承諾ヲ爲シタル
遺族ノ受クベキ恩給又ハ年金ニ付テハ
此ノ限ニ在ラズ
遺族ガ其ノ受クル恩給又ハ年金ヲ擔保
ニ供シタルトキハ其ノ效力ハ擔保ニ供
シタル者ノ後順位者ノ受クベキ恩給又
ハ年金ノ上ニ及ブコトナシ但シ特約ヲ
以テ承諾ヲ爲シタル後順位者ノ受クベ
キ恩給又ハ年金ニ付テハ此ノ限ニ在ラ
|ズ
附帶決議
一恩給ノ本質ニ鑑ミ恩給金庫ノ經營費
ハ最少限度ヲ以テスヘシ
報告書
一恩給法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
昭和十三年三月八日
委員長前田房之助
衆議院議長小山松壽殿
〔別紙〕
(小字ハ委員會修正)
恩給法中改正法律案中左ノ通修正ス
附則
第一條本法施行ノ期日ハ各條ニ付勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條第二項ノ規定ハ恩給金庫設立後三
年間之ヲ適用セズ
附帶決議
一昭和十二年七月二十一日勅令第三百
六十號ニ依リ恩給證書ノ再交付ヲ爲サ
ムトスル場合ハ再交付申請人ノミナラ
ス其ノ關係人ニ付具ニ之カ實情ヲ調査
シ萬已ムヲ得サル者ニ限リ之ヲ爲スヘ
シ
報告書
一庶民金庫法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
昭和十三年三月八日
委員長前田房之助
衆議院議長小山松壽殿
〔別紙〕
(小字ハ委員會修正)
庶民金庫法案中左ノ通修正ス
第十三條理事長、理事及監事ハ主務大
臣之ヲ命ズ
庶民金庫ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者ハ
其ノ職ヲ退キタル後五年間庶民金庫ノ理事
長、理事及監事ト爲ルコトヲ得ズ但シ主務
大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ
此ノ限ニ在ラズ
理事長及理事ノ任期ハ三年、監事ノ任
期ハ二年トス
附帶決議
ー庶民金庫ノ貸付期限ハ三年以內ニ限
定セス特別ノ事情アル場合ハ之ヲ延長
シ得ルコトト爲スヘシ
報〓書
一無盡業法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十三年三月八日
委員長前田房之助
衆議院議長小山松壽殿
〔前田房之助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=4
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005・前田房之助
○前田房之助君 恩給金庫法案、恩給法中
改正法律案、庶民金庫法案竝ニ無盡業法中
改正法律案ニ付、委員會ノ經過竝ニ結果ノ
大要ヲ御報告申上ゲマス、其詳細ハ速記錄
ニ依リ御覽願ヒタイト存ジマス、四案中恩
給法中改正法律案、恩給金庫法案ハ、我ガ
忠勇ナル出征將兵、殊ニ傷痍軍人竝ニ名譽
アル戰死者遺族ノ生活ニ、至大ノ關係アル
案件デアリマスルガ故ニ、委員會ヲ開會ス
ルコト十三囘、愼重審議ヲ盡シタノデアリ
マス
先ヅ恩給金庫法案ニ付申上ゲマス、恩給
金庫法案ノ趣旨ハ、恩給及ビ勳章年金ハ、
其性質及ビ現行法規ニ顧ミ、之ヲ擔保ニ供
スベカラザルコトハ明カデアリマスガ、生
活上ノ急ニ迫ラレ、誤ッテ之ヲ金融ノ資ニ
供スル者ガ少クナイノデアリマス、而モ金
融業者及ビ受給者ノ間ニ種々ノ弊害ヲ釀シ、
之ヲ放置シ得ザル狀態ニアリマスノデ、政
府ノ特別監督ニ服スル法人恩給金庫ヲ設立
シ、公正妥當ナル條件ノ下ニ、之ニ金融ノ
途ヲ講ゼシメントスルノデアリマス、委員
會ニ於テハ曾和、松田、馬岡、坂東、森
高橋、塚本、小高、小笠原ノ各委員諸君ヨ
リ、熱誠且ツ適切ナル質疑ヲ致サレマシタ、
之ニ對シマシテ政府當局ヨリ詳細且ツ懇切
ナル答辯ガアックノデアリマス、今其主ナル
モノニ付テ二三御報告申上ゲマス、其一ハ、
恩給證書再交付ニ關スル問題デアリマシテ、
卽チ昭和十二年勅令第二一百六十號及ビ同年
閣令第四號ニ依リ、恩給證書ガ呈示困難ナ
ル狀況ニアル場合ニ於テ、裁定官廳ハ受給
者本人ノ申請ニ依リ、證書ノ再交付ヲ爲ス
コトヲ得ル規定デアリマスガ、此再交付ノ
結果金融業者ガ多大ノ損害ヲ蒙リ、受給者
側ノ債務辨濟囘避ヲ助長スル弊アリトノ質
疑デアリマス、之ニ對シ政府當局ハ、證書
ノ再交付ハ從來亡失毀損ノ場合ニ限リ行ハ
レテ居リマシタノヲ、亡失ノ意義ヲ擴張シ、
呈示困難ナル場合ニモ、一定ノ條件ノ下ニ
再交付ヲ認メタル次第デアリマシテ、元來
恩給擔保ノ金融ハ違法デアルノデ、民事手
續ニ依ッテ證書ノ返還ヲ求メラレタル場合
二、之ヲ返還スベシト云フ判例ハ、從來
大審院ノ不變ノ原則デアリマス、併ナガラ
證書ヲ擔保トスル特約ハ無效デアリマシテ
モ、基本ノ債權債務ノ關係ハ有效ニ成立ス
ルモノデアリマスカラ、證書ノ再交付ニ依ッ
テ直チニ基本ノ債權關係ヲ害スルモノトハ
認メナイノデアリマス、尤モ當局ハ借倒シ
ヲ奬勵スル意思ハ毛頭ナク、十分調査ノ上
必要已ムヲ得ザル場合之ヲ交付スルノデア
リマスカラ、實際ノ取扱ニ付テハ不都合ナ
キヤウ行政上相當手心ヲ加フルト云フ答辯
デアリマシタ、其二ハ、只今申上ゲマシタ問題ニ
關聯シテ、現ニ金融ヲ受ケテ居ル受給者ノ恩
給年金ヲ恩給金庫ニ移行セシムルニ付、是
ガ債權者ノ債權ヲ如何ニ處理スルカノ問題
デアリマス、之ニ對シ政府當局ハ、出來得
ル限リ舊債ノ肩替斡旋ノ勞ヲ執ル積リデア
ルガ、元來ガ違法ノ契約ヲ前提トスルモノ
デアリ、公ノ問題トシテ之ヲ取扱フコトガ
出來ナイノミナラズ、軍人後援會、產業組
合等纏リタルモノハ、比較的容易ニ債權ヲ
移行セシムルコトガ出來ルガ、個々ノ金融ニ
付テハ、利率其他ノ條件ガ異ッテ居ル爲メ、
包括的ニ移行セシムルコトハ困難デアッテ、
ヤハリ個々ノ問題トシテ、協定付キタルモ
ノハ、之ヲ金庫ニ收容セシムルコトヲ、幹
旋スルコトニ致シタシトノ答辯デアッタノ
デアリマス、其三ハ、金庫ノ業務機關ヲ成
ルベク全國ノ都市農山村マデ及ボスコトハ
必要デアルト思フカラ、產業組合、郵便局
等、旣設ノ機關ヲ利用スルコトガ、經費節
約ノ點カラモ考慮スベキデアルト思フガ、
之ニ對スル所見如何トノ質疑デアリマシタ、
之ニ對シ政府當局ハ、成ベク旣設ノ機關ヲ
利用スルコトハ心掛ケルガ、包括的ニ業務
ヲ代行セシムルコトハ、業務ノ性質上認メ
難ク、又既設機關中ノ如何ナル機關ヲ利用
スルヤハ、土地ノ狀況其他ノ點ヲ參酌スベ
キデアッテ、畫一的ニ何レノ機關ニ取扱ハシ
ムルカヲ、今直チニ確定シ難イトノ答辯デ
アリマシタ、其他貸付利率、出資金、剩餘
金配當、人件費、竝ニ理事長、理事ノ選
定等ニ付、政府ニ要望スル所ガアリマシタ
ガ、政府ハ是等ニ對シ實行上善處スルトノ
答辯デアリマシタ
次ニ恩給法中改正法律案ノ要旨ハ、恩給
受給者ニ新ニ設置セラレントスル恩給金庫
ヨリ金融ノ途ヲ拓キ、以テ受給者ノ生活安
定ヲ圖リ、又增加恩給、傷病年金及ビ公務
ニ因ル傷痍疾病ノ爲メ死亡シ、又ハ增加恩
給ヲ併給セラルル者死亡シタル場合ノ遺族
扶助料ヲ增額シテ、出征軍人及ビ遺族ノ救
濟ニ資セントスル等ノ改正デアリマス、之
ニ對シ最上、曾和、馬岡、江藤、森高橋
小高、塚本ノ各委員諸君ヨリ、極メテ熱心
ニ且ツ適切ナル質疑ガアリマシタ、其主ナ
ルモノハ、一、增加恩給受給者ニ比シテ遺
族扶助料ノ增額過少ニ失セザルヤ、二、現
行法ノ傷病賜金第三目以下ハ、今囘ノ改正
ニ當リ何等增額ノ恩典ニ浴セザルハ如何ナ
ル理由ニ依ルカ、三、增加恩給受給者中高
症者ノ遺族ノ扶助料ヲ、輕症者ノ遺族ノ扶
助料ヨリモ多額トセザルハ如何ナル理由ニ
依ルカ、四、傷病軍人及ビ遺家族ニ對スル
對策ガ十分ナラズト考ヘラルヽガ、之ニ對
スル所見如何等デアリマシタ、之ニ對シ政
府ハ、一、今囘ノ遺族扶助料ノ增額率ハ、
從來ノ給與額ニ比シ、下ニ厚クスルノ主義
ニ於テ、相當大幅ノ引上ヲ爲シタモノデア
リ、加之遺族ノ員數ニ應ジ加給スル新制度
ヲ設ケ、實際ノ生活ニ卽セシムルコトニシ
タノデアッテ、此際ハ此程度ノ增額ヲ以テ相
當ナリト考ヘルノデアル、二、今囘ノ增加
恩給傷病年金ノ改正ハ、下ニ厚ク且ツ高症
者ニ重クスルノ主義デアッテ、併セテ從來增
加恩給ト傷病年金、傷病年金ト傷病賜金ト
ノ間ノ給與ノ不均衡ヲ、ナダラカニスル目
的デアルノデ、其結果ハ重症者ニハ比較的
高率トナリ、輕症者ニハ增加率ガ遞減スルノ
デ、傷病賜金程度ノ者ハ現在額ニ止メルコト
ハ已ムヲ得ヌ所デアル、第三ニ對シテハ、感ジ
ノ問題トシテハ一應考慮セラルヽ點デアル
ガ、扶助料ハ一般ニ普通恩給ノミヲ基準トス
ル現行法ノ立前ノ上カラシテ、同意シ難イト
ノコトデアリマシタ、四ニ對シテ、恩給ノ改
正ニ依ルモ及バザル點ハ、厚生省ニ於ケル
傷痍軍人竝ニ遺家族保護對策トシテ、適當
ニ所管省ニ於テ善處スルトノコトデアリマ
シタ、尙ホ軍部大臣ニ對シ質疑ノ要望ガア
リマシタガ、之ニ對シテハ陸海軍政務官ヨ
リ綜合的意見トシテ、恩給法中改正案ニ付
テハ、各般ノ情勢上全般ヲ通ジ滿足ノ意ヲ
表スル、又恩給金庫法案ニ對シテハ、遺族
傷痍軍人等ノ扶助施設强化ノ爲メ、是ガ成
立ヲ要望スル旨意見ヲ開陳セラレマシタ
此場合特ニ御報告申上ゲタキコトハ、財
政ノ事情ニシテ許スナラバ、高症者遺族扶
助料ヲ相當程度增額スルコトハ、傷痍軍人
竝ニ遺族保護對策ニ萬全ヲ期スルコトハ、
委員會ヲ通ジテ强調サレタル所デアリマス、
是レ忠勇無比ナル出征將兵ノ名譽アル戰傷
ニ對シ、將亦一死報國以テ護國ノ柱トナリ
タル尊キ英靈ヲ安ンズル爲メ、全國民ノ齊
シク熱望スル所ナルヲ信ジテ疑ヒマセヌ、
殊ニ本日ノ陸軍記念日ニ於テ之ヲ高調シ得
ルハ、誠ニ意義深キ次第デアリマス、此際
政府當局ノ善處ヲ切望致シテ置キマス
次ニ庶民金庫法案ニ付御報〓致シマス、
庶民金庫法案ノ趣旨ヲ簡單ニ申上ゲマス、
國民ノ大部分ヲ占ムル庶民階級ノ金融ノ圓
滑ヲ圖リ、生活ノ安定ニ資スルコトノ肝要
ナルハ、論ヲ俟タザル所デアリマス、然ル
ニ既設機關ノ施設ノミヲ以テシテハ、未ダ
庶民階級ノ要望ヲ滿シ得ザルノ憾ミガアリ
マス、仍テ今囘新タニ非營利組織ノ庶民金
庫ヲ創設シ、旣設金融機關ニ依リテハ十分
ナル金融ニ惠マレ得ザリシ庶民階級ニ對
シ、小口信用貸付ノ圓滑ヲ圖リ、以テ國民
生活ノ安定ニ資セントスルノ趣旨デアリマ
ス、之ニ對シ松田君、馬岡君、塚本君、小
笠原君、高橋君、曾和君、最上君等ノ各委
員ヨリ適切ナル質疑ガアリマシタ、其主ナ
ルモノ二三ヲ申上ゲマス、其一、庶民金庫
ハ既設金融機關ト摩擦ヲ起スコトナキヤト
ノ質疑ニ對シ、政府當局ノ答辯ハ、庶民金
庫ハ旣設金融機關ニ依リテハ十分ナル金融
ニ惠マレ得ザリシ庶民階級ニ對シ、殊ニ返
還ノ熱意ニ燃ユル者ニ對シテハ、稍〓大膽ニ
小口信用貸付ヲ爲スノ方針デアルカラ、既設
金融機關トハ摩擦ノ生ズル虞ハナイト思フ
トノコトデアリマシタ、其二、庶民金融機
關ヲ統一スルノ意圖ナキヤトノ質疑ニ對
シ、政府ハ統制ハ望ム所ナレドモ、庶民階
級ハ各種ノ業態、生計狀態等ヲ異ニスルヲ
以テ、之ニ對處シ、其實情ニ應ジテソレノ
機關ヲ作ル必要アリト思フトノ答辯デアリ
マシタ、其三、貸付方針、貸付條件、貸付
利子八分ノ根據如何トノ質疑ニ對シ、政府
當局ノ答辯ハ、貸付方針ハ資產少ナク收入
乏シキモ、借金返濟ノ熱意ニ燃ユル人ヲ對
象トシテ、稍〓大膽ニ而モ救濟ニ涉ラズ、貸
付期間ハ大體ニ於テ三箇年以內トシ、一口
千圓以內無擔保信用貸付デアル、貸付利率
ヲ年八分トシタルハ、庶民債券ハ成ベク預
金部ニ於テ引受ケセシムベキ方針デアル
ガ、金融事情ニ依ッテ一般ヨリ公募スルコト
モアリ、利率ハ其時ノ事情ニ依ッテ多少異ル
ベキモ、大體年四分見當トシ、之ヲ年四分
二三厘ニテ小口信用貸付資金トシテ金融機
關ニ融通シ、金融機關ハ其差額ヲ利鞘
トシテ、年八分ニ貸付クル方針デアルトノ
コトデアリマシタ、其四、保證人ノ資格如
何ト云フ質疑ニ對シ、政府當局ノ答辯ハ、
保證人ハ二人トシ、債務者ト同樣ノ資格
ニテ宜シキモ、借金ヲ返濟スル理念ノ强キ
人ヲ必要トスルト云フ答辯デアッタノデア
リマス、其他代行機關、貸付手續、公益質
屋等ニ付キ、各委員諸君ヨリ政府ニ要望ス
ル所ガアリ、是等ニ對シ政府ハ善處スルト
ノ答辯デアリマシク
最後ニ無盡業法中改正法律案ニ付テ簡單
ニ御報告申上ゲマス、今囘ノ改正案ハ、庶
民金融機關トシテノ機能ヲ一層發揮セシム
ルト共ニ、其信用ノ向上ヲ圖ルノ趣旨ヨリ
出デタルモノデアリマス、之ニ對シ松田委
員ヨリ無盡業本來ノ使命、入札手取金、會
社ノ檢査、従業員ノ取締、合併、特ニ新設
ニ付テハ愼重ナル態度ヲ執ルベキ等ニ付キ
適切ナル質疑ガアリ、之ニ對シ政府ヨリ十
分考慮且ツ善處スル旨答辯ガアリマシタ
質疑ヲ終リ四案ヲ一括シテ討論ニ入リ、
坂東幸太郞君ヨリ各派ヲ代表シテ、恩給金
庫法案、恩給法中改正法律案、庶民金庫法
案ニ付キ、ソレ〓〓修正案竝ニ附帶決議ガ
提出サレタノデアリマス、先ヅ修正案ヲ朗
讀致シマス
恩給金庫法案ニ對スル修正
恩給金庫法第二條第二項恩給金庫ハ主
務大臣ノ認可ヲ受ケ必要ノ地ニ從タル
事務所ヲ設置シ又ハ官廳其ノ他ノ機關
ニ其ノ業務ノ執行ニ關スル事務ノ一部
ノ取扱ヲ委託スルコトヲ得
第十五條第二項ヲ第三項トシ同項中
「五年」ヲ「三年」ニ「三年」ヲ「二年」ニ改
ム
第十五條第二項ハ左ノ通リトス
恩給金庫ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ
者ハ其ノ職ヲ退キタル後五年間恩給金
庫ノ理事長、理事及監事ト爲ルコトヲ
得ズ但シ主務大臣ニ於テ特ニ必要アリ
ト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十五條第一項及第二項中但書ヲ削
ル
恩給金庫法中改正法律案ニ對スル修正
附則第一條第二項
第十一條第二項ノ規定ハ恩給金庫設立
後三年間之ヲ適用セズ
庶民金庫法案ニ對スル修正
第十三條第二項ヲ第三項トシ左ノ通リト
ス
庶民金庫ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ
者ハ其ノ職ヲ退キタル後五年間庶民金
庫ノ理事長、理事及監事ト爲ルコトヲ
得ズ但シ主務大臣ニ於テ特ニ必要アリ
ト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
次ニ附帶決議ニ付キ申上ゲマス
恩給金庫法案附帶決議
-恩給ノ本質ニ鑑ミ恩給金庫ノ經營費
ハ最少限度ヲ以テスヘシ
恩給法中改正法律案附帶決議
-昭和十二年七月二十一日勅令第三百
六十號ニ依リ恩給證書ノ再交付ヲ爲サ
ムトスル場合ハ再交付申請人ノミナラ
ス其ノ關係人ニ付具ニ之カ實情ヲ調査
シ萬已ムヲ得サル者ニ限リ之ヲ爲スヘ
庶民金庫法案附帶決議
庶民金庫ノ貸付期限ハ三年以內ニ限定
セス特別ノ事情アル場合ハ之ヲ延長シ
得ルコトト爲スヘシ
之ニ對シ政友會森幸太郞君、民政黨松田正
一一、第一議員倶樂部江藤源九郞君、社會
大衆黨塚本重藏君ヨリ各、希望意見ヲ附シ、
三案ニ對スル修正竝ニ附帶決議、及ビ無盡
業法中改正法律案ノ原案ニ付キ贊成ノ旨意
見ノ陳述ガアッタノデアリマス、次イデ採決
ニ入リ、先ヅ恩給金庫法案、恩給法中改正
法律案、庶民金庫法案ノ三案ヲ一括シテ採
決シ、三案ニ對スル修正、修正ヲ除キタル
原案ノ其他ノ部分、及ビ附帶決議ヲ全會一
致異議ナク可決致シマシタ、次イデ無盡業
法中改正法律案ヲ採決シ、原案ヲ是亦全會
一致可決致シマシタ、此段御報告申上ゲマ
ス、何卒委員會ノ決定通り御贊成アランコ
トヲ御願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=5
-
006・小山松壽
○議長(小山松壽君) 四案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=6
-
007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ四案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=7
-
008・服部崎市
○服部崎市君 直チニ四案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長ノ報告通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=8
-
009・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=9
-
010・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直ニ四案ノ第二讀會ヲ開キ、議案
全部ヲ議題ト致シマス
恩給金庫法案第二讀會(確定議)
恩給法中改正法律案
第二讀會(確定議)
庶民金庫法案
第二讀會(確定議)
無盡業法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=10
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011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、四案トモ委員
長報告通リ確定致シマシタ(拍手)日程第
飼料配給統制法案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-農林政務次官高橋守平君
第飼料配給統制法案(政府提出)
第一讀會
飼料配給統制法案
飼料配給統制法
第一條政府ハ飼料ノ需給ノ圓滑及價格
ノ公正ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムル
トキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ適
當ト認ムル者ニ對シ飼料ノ配給統制上
必要ナル事業ヲ行フベキコトヲ命ズル
コトヲ得
前項ノ事業ヲ行フ者ノ監督其ノ他ニ關
シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條政府ハ飼料ノ需給ノ圓滑及價格
ノ公正ヲ圖ル爲前條第一項ノ規定ニ依
ル配給統制ニ關シ特ニ必要アリト認ム
ルトキハ同條ニ定ムルモノノ外飼料若
ハ命令ヲ以テ定ムル飼料ニ用ヒ得ル物
ノ輸出又ハ飼料ノ販賣若ハ使用ニ關シ
必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第三條政府必要アリト認ムルトキハ飼
料又ハ命令ヲ以テ定ムル飼料ニ用ヒ得
ル物ノ製造、取引、保管又ハ運送ヲ業
トスル者ニ對シ前二條ノ命令ニ關係ア
ル事項ニ付報告ヲ徵シ又ハ帳簿其ノ他
ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
第四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五
千圓以下ノ罰金ニ處ス
-第一條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ
違反シタル者
二第二條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ
タル者
第五條第三條ノ規定ニ違反シ報〓ヲ爲
サズ、虛僞ノ報告ヲ爲シ又ハ檢査ヲ拒
ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ五百圓以
下ノ罰金ニ處ス
第六條飼料又ハ飼料ニ用ヒ得ル物ニ關
スル業ヲ爲ス者ハ其ノ代理人、戶主、
家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務
ニ關シ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命
令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタ
ルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ
以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第七條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命
令ニ依リ適用スベキ罰則ハ其ノ者ガ法
人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法
人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者
又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理
人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者
ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テ
ハ此ノ限ニ在ラズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ施行後五年間ヲ限リ其ノ效力ヲ有
ス
前項ノ期間內ニ爲サレタル本法又ハ本法
ニ基キテ爲ス處分ニ違反スル行爲ニ付テ
ハ本法ノ罰則ハ前項ノ期間經過後ト雖モ
仍之ヲ適用ス
〔政府委員高橋守平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=11
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012・高橋守平
○政府委員(高橋守平君) 只今議題トナッテ
居リマス飼料配給統制法案ニ付テ御說明申
上ゲタイト存ジマス、我國ノ畜產ハ近年顯
著ナ發達ヲ遂ゲマシテ、畜產物ノ國內需要ハ
急激ニ增加シテ居ルノデアリマスガ、畜產ノ基
礎タル飼料ノ供給ニ付テハ、藁稈類其他ノ粗
飼料ハ、其資源ハ比較的豐富デアリマシテ、
大體國內自給ガ出來ルノデアリマスガ、玉蜀
黍、高粱等ノ濃厚飼料ニ付キマシテハ、國內デ
自給ガ出來ズ、年々多額ノ輸入ヲ致シテ居ル
實情デアリマシテ、尙ホ逐年增加ノ傾向ヲ
示シテ居ルノデアリマス、卽チ從來ハ主ト
シテ蘭領印度、南米、支那、滿洲國等ヨリ
輸入致シテ居タノデアリマスガ、輸入飼料
ノ供給確保ニ付テ、此際適切ナル對策ヲ樹
テマスコトハ、是非トモ必要デアルノデア
リマシテ、此事ハ我國畜產ノ基礎ヲ確保
シ、農村經濟ノ定安ヲ圖ル爲ニモ、亦飼料
業ノ健實ナ發展ヲ期シマスル上ニモ、最モ
緊要ナコトト考フルノデアリマス、隨テ政
府ハ現下ノ飼料事情ニ鑑ミ、差當リ飼料中
最モ重要デアル玉蜀黍、高梁、及ビ是等ヲ
原料トスル配合飼料等ニ付キマシテ、必要
ナ數量ヲ確保スル爲メ、日滿經濟一體ノ方
針ニ則リ、其資源ヲ日滿兩國內ニ於テ自給
スル方策ヲ樹テ、之ヲ目標トシテ滿洲國ノ
產業開發計畫ニ對應シツヽ內地ノ需給統制
ヲ行ヒ、以テ飼料ノ需給ノ圓滑ト價格ノ公
正トヲ圖ルコトトシ、其方法トシテ民間ノ
適當ナ機關ヲ指定シテ、之ニ配給統制ニ關
スル施設ヲ行ハシメ、政府ハ此機關ヲ適當
ニ監督シテ行クコトト致シタノデアリマス、
右ノ外本法案ニ於キマシテハ、飼料ノ配給
統制ノ完璧ヲ期スル爲メ、飼料ニ關スル事
情ノ變化ニ對應シテ、必要ニ應ジ政府ニ於
テ適宜ノ措置ヲ講ジ得ルヤウ必要ナル條項
ヲ置キマシテ、飼料政策上遺憾ノナイヤウニ
致シテ居ル次第デアリマス、尙ホ本法ノ運
用ニ當リマシテハ、飼料業ノ實情ヲ十分考
慮シ、民間當業者ノ協力ニ依リマシテ、所
期ノ目的ヲ達成スルヤウニ致シタイト考ヘ
テ居ルノデアリマス、以上ハ本法案提出理
由ノ〓要デアリマス、何卒御審議ノ上御協
贊アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=12
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013・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-野溝勝君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=13
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014・野溝勝
○野溝勝君 簡單デアリマスカラ自席デ·····
〔「登壇々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=14
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015・小山松壽
○議長(小山松壽君) 宜シウゴザイマ
ス-自席デ宜シウゴザイマス
〔「登壇々々」ト呼フ者アリ〕
〔野溝勝君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=15
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016・野溝勝
○野澤勝君 馬、鶏豚羊ニ關係シタヤ
ウナ法案デアリマスカラ、自席デヤリタイ
ト思ヒマシタケレドモ、一應登壇シテ質問
シテ見タイト思ヒマス、先ヅ最初ニ御伺シ
テ置キタイコトハ、日滿支ヲ中心ト致シマ
シテ、蘭領或ハ其他ノ國々トノ關係ニ於ケ
ル飼料配給ノ統制ヲスル法案デアリマス、
ソレ程ノ重要法案デアルモノガ、法七條ニ
依ッテ解決サレヨウトスルコトハ、如何ニ言ッ
テモ杜撰ノヤウナ嫌ヒガアリハシナイカト
思ヒマス、特ニ法七條ノ中、法三條ガ主文
デアリマシテ、アトノ法四條ハ皆罰則ニナッ
テ居ルノデアリマス、斯ル法案ハ立憲治下
ニ於ケル法案ト致シマシテハ、實ニ「フアッ
シヨ」的ナモノデアリマシテ、餘リ褒メタコ
トデナイト云フコトニ、吾々ハ感ジテ居ル
ノデアリマス、當局ハ此法案ヲ輕ク視テ出
シタノカ、或ハ重要法案トシ、時局下ニ於
ケル最モ非常立法ノ必要ヲ感ジテ出シタノ
カ、先ヅ最初ニソレヲ御伺シタイノデアリ
マス
續イテ今囘提案サレマシタ此飼料配給統
制法案デアリマスガ、事變下ノ農村對策及
ビ國民體位ノ向上ヲ保持スル目的ヲ以チマ
シテ、立案サレタノデアリマセウケレドモ、
現下ノ我國ノ農村ノ革新政策ト致シマスル
ナラバ、寧ロ是ヨリ先ニヤラナケレバナラ
ヌ數多ノ農村對策、或ハ立法ノ確立ノ必
要ナモノガアルノデアリマス、例ヘバ有
畜農業デアルトカ-或ハ有畜農業トノ
關係ニ於ケル國民體位ノ向上ニ關係ヲ持
ツ法案デアルトカ、サウ云フヤウナ點ニ
對シテ、卽刻必要ナ立案ガマダ幾多殘サレ
テ居ルト思フノデアリマス、特ニ政府ニ於
キマシテハ、有畜農業政策ト致シマシテ、
馬產ノ奬勵デアルトカ、或ハ緬羊ノ增產計
畫デアルトカト云フヤウナ點ニ於キマシテ
ハ、相當努力モサレテ居ルヤウニ見受ケ
ルノデアリマスケレドモ、ソレガ成文化
シテ居ラズ、爲ニ未熟ナ、未完成ナモノデ
アルト私ハ思フノデアリマス、農業生產力
ノ維持增進ヲ圖ラントスルナラバ、ドウシ
テモ有畜農業ノ計畫化ト、ソレガ促進ニア
ルコトハ論ヲ俟タナイト思ヒマス、特ニ我
國ニ於ケル所ノ農家總戶數五百五十九万七
千戶、其中家畜ヲ飼養シテ居ル所ノ戶數ハ、
牛ニ於キマシテハ百三十七万八千戶、馬
於キマシテハ百七万四千戶、豚ニ於キマシ
テハ六十万戶、緬羊ニ於キマシテハ二万一
千戶、山羊ニ於キマシテハ十四万八千戶、
此計ガ三百二十二万二千戶トナッテ居ル譯
デアリマス、總戶數五百五十九万戶トノ關
係ニ於キマシテ見ル時ニハ、マダ家畜ノ戶
數ガ五割七分シカナイノデアリマス、之ヲ
更ニ牛馬飼養ノ戶數カラ見ルナラバ、二百
四十五万二千戶デアリマシテ、總農家ノ戶
數ノ約四割シカニ當ラナイノデアリマス、
玆ニ我國耕種農業ノ缺陷ガアルト思ヒマス、
然ルニ事變發生以來、馬匹ノ徵發ニ依リ畜
力ノ不足ヲ感ジマシテ、化學肥料ハ御存ジ
ノ通リ今日ノ資本主義機構ノ下ニ於キマシ
テハ、一切ノ生產機構ト云フモノハ、零碎
農民トノ間ニ非常ナ矛盾ヲ來シテ居ルノデ
アリマス、サウ云フ點デ此化學肥料ノ軍需
生產へノ轉化ガ、勢ヒ金肥ノ昂騰ヲ來シテ
居ル次第デアリマス、是ガ對策ト致シマシ
テ畜力ノ增大ト、ソレニ伴フ所ノ自給經濟
ノ增殖ヲ私ハ絕對ニ必要ト信ズルノデアリ
マス、ソレニハ有畜農業ノ積極的計畫ヲ必
要トスルノミナラズ、國民體位ノ低下ニ備
フル爲ニ、國民ニ畜產原料ノ榮養食ヲ廉價供
給シ、或ハ畜產ヲ原料トスル所ノ衣服材料
ヲ、豐富低廉價ニ供給スルコトガ、今日ノ
場合必要デアルト感ズル次第デアリマス、
御承知ノ通リ我國一町內外ノ農家ノ平均收
入ヲ見マスト、九百五十四圓トナッテ居リマ
ス、其中約五割ハ殆ド食費ニ充テラレテ居
ル譯デアリマス、此點カラ見マシテモ、現
下百姓ニハ此榮養食ノ補給ト云フコトガ、
最モ事變下ニ於ケル考ヘナケレバナラヌ重
大問題デアルト心得テ居ル次第デアリマス、
長期戰下ノ國策上、此點絕對ニ私ハ必要ヲ
痛感スルモノデアリマス、斯ル點ヲ解決ス
ルニハ、ドウシテモ立地農業計畫ノ線ニ沿
フ計畫ヲ立テルコトガ必要デアルト思フノ
デアリマス、例ヘバ獨逸邊リニ於キマシテ
ハ養豚村、或ハ墺地利邊リニ於キマシテハ緬
羊組合村、或ハ丁抹等ニ於キマシテハ養鷄
村等ノ、所謂立地農業ノ計畫線ガ計畫サレ
テ居ルノデアリマス、以上ノ觀點ヨリ致シ
マシテ、事變下ニ於ケル飼料對策ト致シマ
シテハ、立地農業ニ依ル所ノ計畫ヲ立テル
以外ニハ、此飼料計畫ト云フモノハ、ドウ
モ完全性ヲ帶ビナイヤウニ思ヒマスケレド
モ、政府ノ所見ハ如何デアリマスカ
第二點ハ本法案ヲ檢討スル時ニ、此當面
ノ目的ガ肥料ノ需要供給ノ圓滑、且ツ公正
ヲ圖ル點ニ置カレテ居ルト云フコトヲ政府
ハ言ハレテ居リマス、併シ政府ハ如何ナル
機關ヲ以テ右ノ目的ヲ逹セントスルモノデ
アルカ、聞ク所ニ依リマスルト云フト、此
目的ヲ達センガ爲ニ特殊會社ヲ設ケラレマ
シテ、其特殊會社ニ依ッテ配給統制、或ハ之
ニ對スル所ノ一切ノ支配權ヲ與ヘルト云フ
コトヲ聞イテ居ルノデアリマス、特殊會社
ニ支配權ヲ與ヘル、斯ウ云フ點ハ過去ニモ、
肥料價格ノ統制法案ガ出タ時ニモ、吾々ハ
此法案ニ依リマシテ、肥料ノ廉價配給ガ行
ハレルデハナイカト云フ風ニ感ジテ居ッタ
時代モアリマシタ、然ルニ其法案ガ實施以
來ト云フモノハ、却テ硫安ヲ初トシ過燐酸
石灰等々ノ肥料ノ値上リヲ來シタノデアリ
マス、此點カラ見マシテモ、今囘ノ飼料配
給統制法案ガ、特殊會社ニ依ッテ其支配權ヲ
壟斷サレル以上、前轍ノ肥料統制法案ノ結
果ヲ又踏ミハシナイカト云フコトヲ案ズル
者デアリマス、政府ハ一體如何ナル點ニ價
格ノ公正ノ基準ヲ置イテ居ルカ、其點ヲ御
說明願ヒタイト思ヒマス
最後ニ御聽シタイコトガアリマス、法案
其モノノ持ツ重大性ノ意義ト云フモノハ、
能ク吾々ニ分ルノデアリマス、併シ此
重大性ヲ持ツ法案ガ、法七條ニ依ッテ之ヲ
解決サレントスル御考、竝ニ此法案ノ年限
ヲ僅カ五箇年ニ仕切ッタト云フ點ガ、吾々ニハ
了解ニ苦シムノデアリマス、政府ノ話ニ依
リマスト、滿洲國產業五箇年計畫トノ關係
ニ於テ立案サレタト云フコトヲ言ハレテ居
リマスケレドモ、ソレナラバ日滿ダケノ飼
料配給統制法案デ宜イト思ヒマス、「アルゼ
ンチン」蘭領等ヲ入レタ各國トノ關係ニ於
ケル本法案ガ、飼料配給統制法案デアルト
スルナラバ、五箇年間ノ期限ヲ畫シタト云
フ所ノ意圖ハ、最モ矛盾シテ居ルト思フ
ガ、此點ニ對スル政府ノ所見如何、以上
御伺致シマシテ、私ノ質問ヲ終リマス(拍
乎
〔政府委員高橋守平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=16
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017・高橋守平
○政府委員(高橋守平君) 野溝君ノ御質問
ニ簡單ニ御答申上ゲマス、本法案ハ大綱ノ
ミ定メテ居ルガ、不都合デハナイカト云フ
御質問ガ第一點デアリマス、御承知ノ通リ
此法案ハ統制ヲ目的トシタモノデアリマシ
テ、要ハ此法ノ運用ニ依リマシテ、敏速ニ
處置致シマシテ、農家ニ對シマシテ需給ノ
圓滑ヲ圖リ、公正ナル價格ヲ以テ供給サセ
ルト云フノデアリマスカラ、大綱ノミヲ定
メマシテ、其敏速ヲ圖ッタ譯デアリマス、勿
論此法ヲ運用スルニ當リマシテハ、關係各
省トノ連絡ヲ密ニシ、併セテ民間ノ業者等
ノ意見ヲ相當尊重シテ運行スル考デアリマ
ス、尙ホ餘リニ簡單デアルカラ、此法案ヲ
重要視シナイノデハナイカト云フ御說デア
リマスガ、此第一條、第二條ニアリマスヤ
ウニ、此飼料ノ解決ハ現下ノ農家ニ取リマ
シテハ、重大ナル對策デアリマスガ故ニ、
最モ重要ナル立法ト考へテ居ル次第デアリ
マス、ソレカラ又有畜農業ガ現下ノ我國ノ
農村ノ實情ニ照シテ、最モ必要ナコトデハ
ナイカト云フノハ、御說ノ通リデゴザイマ
ス、有畜農業ガ農業經營ノ基礎デアリ、現
下ノ農村ノ實情カラ見マシテ、自給肥料ノ
供給策竝ニ農民榮養ノ點カラ見マシテ、必
要ナコトハ御說ノ通リデアリマス、是等ノ
諸點ヲ綜合致シマシテ、有畜農業ト云フモ
ノヲ普及發達サセマスル爲ニハ、十分ナル
指導奬勵ヲ行ヒマシテ、十分ナル目的ヲ達
スルヤウニ致シタイト思ッテ居ル次第デア
リマス、其次ニ價格ノ點ニ於テ、統制會社
ヲ作ッテ、却テ價格ヲ高カラシメハシナイダ
ラウカト云フ御說デアリマスガ、飼料ノ需
給關係ヲ圓滑ナラシメテ、十分ニ豐富ナル
飼料ヲ供給スルト云フコトニナリマスレバ、
ソレニ依ッテ自然ニ價格ハ公正ニナルノダ
ト思フノデアリマス、卽チ飼料ガ不足ヲ〓
ゲマスレバ、ソコニ思惑等ガ出テ參リマシ
テ、相當ニ不當ナ價格ニ吊上ゲラレルト云
フ虞ガアルノデアリマスガ、供給ガ潤澤ニ
ナリマスレバ、自然ニ價格ハ公正ニナルモ
ノト信ジテ居ルノデアリマス、尙ホ最後ニ、
五箇年ト此法案ヲ限ッタノハ、ドウ云フ譯カ
ト云フ御尋デアリマスルガ、御說ノ中ニア
リマシタヤウニ、滿洲ニ於キマシテノ產業
五箇年計畫ニ順應致シマシテ、飼料ノ大部
分ヲ滿洲カラ供給ヲ受ケヨウト云フノガ、
大體此法案ノ骨子デアリマスガ、勿論滿洲
ヨリ供給シ得ラレナイモノハ、第三國カラ
モ輸入スルノデアリマシテ、決シテ滿洲ノ
ミニ限ッテ、此統制ヲ行ハウトスルモノデハ
ナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=17
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018・小山松壽
○議長(小山松壽君) 野溝君、宜シウゴザ
イマスカ-是ニテ質疑ハ終了致シマシ
ク、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ニ
付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=18
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019・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名二十七名ノ
委員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=19
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020・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=20
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021・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
二、工作機械製造事業法案、第一讀會ヲ開
キマス-商工政務次官木暮武太夫君
第二工作機械製造事業法案(政府提
〓第一讀會
工作機械製造事業法案
工作機械製造事業法
第一條本法ハ國防ノ整備及產業ノ發達
ヲ期スル爲本邦ニ於ケル工作機械製造
事業ノ確立ヲ圖ルコトヲ目的トス
第二條本法ニ於テ工作機械製造事業ト
稱スルハ命令ヲ以テ定ムル工作機械ノ
製造ヲ爲ス事業ヲ謂フ
第三條工作機械製造事業ヲ營マントス
ル者ハ政府ノ許可ヲ受クベシ但シ其ノ
設備ガ命令ノ定ムル規模ニ達セザルモ
ノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
本法ニ定ムルモノノ外前項ノ許可ニ關
シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條前條ノ許可ヲ受クルコトヲ得ベ
キ者ハ帝國法令ニ依リ設立シタル株式
會社ニシテ其ノ株主ノ半數以上、取締
役ノ半數以上、資本ノ半額以上及議決
權ノ過半數ガ帝國臣民又ハ帝國法令ニ
依リ設立シタル法人ニ屬スルモノニ限
ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務
ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ
半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人
又ハ外國法人ニ屬セザルモノナルコト
フルガツ
前條ノ許可ヲ受ケタル者前二項ノ規定
ニ該當セザルニ至リタルトキハ許可ハ
其ノ效力ヲ失フ
第五條第三條ノ許可ヲ受ケタル會社
(工作機械製造會社)ハ政府ノ指定スル
期間內ニ其ノ事業ヲ開始スベシ
政府ハ正當ノ事由アリト認ムル場合ニ
限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコト
ヲ得
工作機械製造會社前二項ノ期間內ニ其
ノ事業ヲ開始セザルトキハ第三條ノ許
可ハ其ノ效力ヲ失フ
第六條工作機械製造會社其ノ設備ヲ增
設シ又ハ變更セントスルトキハ命令ノ
定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
第七條工作機械製造會社政府ノ認可ヲ
受ケ本法施行後五年以內ニ於テ政府ノ
指定スル期間內ニ命令ノ定ムル規模以
上ノ設備ヲ新設シ又ハ增設シタルトキ
ハ設備完成ノ年及其ノ翌年ヨリ五年間
其ノ新設シ又ハ增設シタル設備ヲ以テ
營ム工作機械製造事業ニ付所得稅及營
業收益稅ヲ免除ス
前項ノ工作機械製造會社其ノ設備完成
前其ノ一部ヲ以テ工作機械製造事業ヲ
營ム場合ニ於テモ其ノ事業ニ付所得稅
及營業收益稅ヲ免除ス但シ前項ノ規定
ニ依ル期間內ニ設備ヲ完成セザルトキ
ハ此ノ限ニ在ラズ
第八條北海道、府縣及市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノハ前條ノ規定ニ依リ所
得稅及營業收益稅ヲ免除セラレタル工
作機械製造會社ニハ其ノ免除セラレタ
ル事業ニ對シ課稅スルコトヲ得ズ但シ
特別ノ事情ニ基キ政府ノ認可ヲ受ケタ
ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第九條第七條ノ規定ニ依リ所得稅及營
業收益稅ノ免除ヲ受クベキ事業ヲ繼續
スル者又ハ其ノ事業ヲ繼續スルモノト
認ムベキ事實アル者ハ前事業者ガ第七
條ノ規定ニ依ル所得稅及營業收益稅免
除期間內ニ在ルトキハ其ノ期間ヲ承繼
ス
第十條工作機械製造會社政府ノ認可ヲ
受ケ本法施行後五年以內ニ於テ政府ノ
指定スル期間內ニ命令ノ定ムル規模以
上ノ設備ヲ新設シ又ハ增設シ其ノ設備
ニ付勅令ノ定ムル所ニ依リ償却ヲ爲シ
タル場合ニ於テ其ノ償却濟額ガ其ノ設
備完成ノ日ノ屬スル營業年度ノ翌營業
年度ヨリ起算シ一年ヲ營業年度トスル
モノニ在リテハ第五營業年度末、六月
ヲ營業年度トスルモノニ在リテハ第十
營業年度末ニ於テ當該設備ノ價額ノ六
割ニ達セザルトキハ政府ハ之ニ達セシ
ムベキ金額ヲ補給スベシ
前項ニ規定スル最終營業年度ノ翌營業
年度以降每營業年度ニ於テ當該設備ヲ
以テ營ム工作機械製造事業ヨリ生ズル
利益金額ガ勅令ヲ以テ定ムル金額ヲ超
過スルトキハ其ノ超過額ハ先ヅ之ヲ前
項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベ
シ
第十一條詐欺ノ行爲ヲ以テ前條ノ規定
ニ依ル補給金ノ交付ヲ受ケタル者ニ對
シテハ其ノ金額ヲ返還セシム
前項ノ規定ニ依ル返還金ハ國稅滯納處
分ノ例ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得但
シ先取特權ノ順位ハ國稅ニ次グモノト
ス
第十二條工作機械製造會社其ノ事業ノ
爲必要ナル器具、機械又ハ材料ヲ政府
ノ認可ヲ受ケ輸入スルトキハ本法施行
ノ日ヨリ五年間命令ノ定ムル所ニ依リ
輸入稅ヲ免除ス
第十三條工作機械製造會社ハ事業擴張
ノ場合ニ於テ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事
業ニ屬スル設備ノ費用ニ充ツル爲株金
全額拂込前ト雖モ其ノ資本ヲ增加スル
コトヲ得
第十四條工作機械製造會社ハ政府ノ認
可ヲ受ケ其ノ事業ニ屬スル設備ノ費用
ニ充ツル爲商法ニ規定スル制限ヲ超エ
テ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ
總額ハ拂込ミタル株金額ノ二倍ヲ超ユ
ルコトヲ得ズ
最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存ス
ル財產ガ拂込ミタル株金額ニ滿タザル
トキハ前項ノ規定ヲ適用セズ
第一項ノ規定ニ依リ募集スル社債ニ付
テハ工場抵當法ニ依リ會社ノ事業ニ屬
スルモノヲ抵當ト爲スコトヲ要ス但シ
特別ノ事情アル場合ニ於テ政府其ノ必
要ナシト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第十五條工作機械製造會社其ノ事業ノ
全部又ハ一部ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休
止セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ
依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
工作機械製造會社ノ合併又ハ解散ノ決
議ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可
ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十六條第十條第一項ノ規定ニ依リ政
府ノ認可ヲ受ケタル工作機械製造會社
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ事業計畫ヲ定
メ政府ニ之ヲ屆出ヅベシ之ヲ變更セン
トスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ事業計畫
ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第十七條第十條第一項ノ規定ニ依リ政
府ノ認可ヲ受ケタル工作機械製造會社
ハ同項ニ規定スル最終營業年度迄每營
業年度ニ於ケル利益金ノ處分ニ付政府
ノ認可ヲ受クベシ
第十條第一項ノ規定ニ依リ補給金ノ交
付ヲ受ケタル工作機械製造會社ハ同條
第二項ノ規定ニ依リ補給金ノ償還ヲ終
了スル營業年度迄每營業年度ニ於ケル
利益金ノ處分ニ付亦前項ニ同ジ
第十八條政府ハ工作機械製造會社ニ對
シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ爲サ
シムルコトヲ得
政府ハ工作機械製造會社ニ對シ業務及
會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ
又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ當
該官吏ヲシテ工作機械製造會社ノ事務
所營業所、工場、倉庫其ノ他ノ場所
ニ臨檢シ業務若ハ財產ノ狀況又ハ帳簿
書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコト
ヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス
證票ヲ携帶セシムベシ
第十九條政府公益上必要アリト認ムル
トキハ工作機械製造會社ニ對シ工作機
械ノ販賣價格若ハ販賣條件ノ變更ヲ命
ジ又ヘ工作機械ノ需要供給ヲ調節スル
爲必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
政府公益上必要アリト認ムルトキハ工
作機械製造會社ニ對シ其ノ設備ノ擴張
又ハ改良ヲ命ズルコトヲ得
第二十條政府軍事上必要アリト認ムル
トキハ工作機械製造會社ニ對シ特殊工
作機械ノ製造、工作機械ニ關スル特殊
事項ノ〓究又ハ特殊設備ノ施設其ノ他
軍事上必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第二十一條第十九條第二項又ハ前條ノ
規定ニ依リ爲シタル命令ニ因リ生ジタ
ル損失ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府之
ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ
要スベキ補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協
贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍内ニ於
テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十二條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ政府ノ指定スル工作機械ノ試作ヲ爲
ス者ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於テ奬勵金
ヲ交付スルコトヲ得
第二十三條工作機械ノ輸入ガ工作機械
製造事業ノ確立ヲ妨グルノ虞アルトキ
ハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ期間ヲ
定メ工作機械ノ輸入ヲ制限スルコトヲ
得
第二十四條工作機械ノ輸入ニ因リ其ノ
市價ノ低落ヲ來シ工作機械製造事業ノ
確立ヲ妨ゲルノ虞アルトキハ政府ハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ關稅調査委員會ノ
議ヲ經テ期間ヲ定メ工作機械ニ對シ關
稅定率法別表輸入稅表ニ定ムル輸入稅
ノ外其ノ物品ノ價格ノ五割ニ相當スル
金額以下ノ輸入稅ヲ課スルコトヲ得
第二十五條政府ハ工作機械製造會社ヲ
除クノ外工作機械又ハ工作機械部分品
ノ製造ヲ爲ス者ニ對シ命令ノ定ムル所
ニ依リ業務又ハ設備ノ狀況ニ關シ必要
ナル事項ヲ屆出デシムルコトヲ得
第二十六條政府第三條ノ許可、第六條
ノ許可(命令ノ定ムル規模以上ノ設備
ニ關スルモノニ限ル)、第十九條ノ命令、
第二十一條ノ補償金額ノ決定又ハ第二
十三條ノ制限ヲ爲サントスルトキハ工
作機械製造事業委員會ノ議ヲ經ベシ
工作機械製造事業委員會ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七條工作機械製造會社本法若ハ
本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キ
テ爲ス處分ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル
行爲ヲ爲シタルトキハ政府ハ其ノ業務
ヲ停止シ若ハ制限シ、第三條ノ許可ヲ取
消シ、取締役若ハ其ノ職務ヲ行フ監査
役ノ解任ヲ爲シ又ハ之ニ對シ第十條ノ規
定ニ依ル補給金ノ全部若ハ一部ヲ交付
セズ若ハ交付シタル補給金ノ全部若ハ
一部ヲ返還セシムルコトヲ得
第二十八條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
ー第三條ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケ
ズシテ工作機械製造事業ヲ營ミタル
者
二第二十三條ノ規定ニ依ル制限ニ違
反シテ工作機械ノ輸入ヲ爲シタル者
第二十九條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
-第六條ノ規定ニ違反シテ設備ヲ增
設シ又ハ變更シタル者
二第十五條第一項ノ規定ニ違反シテ
事業ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止シタ
ル者
三第十六條第一項ノ規定ニ違反シテ
事業計畫ノ屆出ヲ爲サズ又ハ屆出デ
タル事業計畫ヲ實施セザル者
四第十六條第二項ノ規定ニ依ル變更
命令ニ違反シテ事業計畫ヲ實施シタ
ル者
五第十七條ノ規定ニ違反シ認可ヲ受
ケズシテ利益金ノ處分ヲ爲シタル者
六第十九條ノ規定ニ依ル命令ニ違反
シタル者
七第二十條ノ規定ニ依ル命令ニ違反
シタル者
第三十條第十八條第二項ノ命令又ハ處
分ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ
處ス
第三十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一第十八條第一項ノ規定ニ依ル報告
ヲ爲サズ又ハ虚僞ノ報告ヲ爲シタル者
二第十八條第三項ノ規定ニ依ル當該
官吏ノ臨檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌
避シ又ハ其ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サ
ズ若ハ虚僞ノ陳述ヲ爲シタル者
第三十二條營業者ハ其ノ代理人、戶主、
家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務
ニ關シ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命
令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタ
ルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ
以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第三十三條本法又ハ本法ニ基キテ發ス
ル命令ニ依リ適用スベキ罰則ハ其ノ者
ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他
ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成
年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定
代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成
年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ
付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三十四條第二十五條ノ規定ニ依ル屆
出ヲ怠リ又ハ不正ノ屆出ヲ爲シタル者
ハ百圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ第三條ノ規定ニ依リ許
可ヲ受クベキ工作機械製造事業ヲ營ム者
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨ
リ之ヲ同條ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
前項ノ者ニシテ本法施行ノ際現ニ第六條
ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ設備ノ增設
又ハ變更ノ工事中ニ在ルモノハ命令ノ定
ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ之ヲ同條
ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
第三條ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ工作
機械製造事業ヲ營ム爲本法施行ノ際現ニ
其ノ設備ノ建設工事中ニ在ル者ハ命令ノ
定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ之ヲ同
條ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
前二項ノ規定ニ該當スル者ノ當該設備ニ
關シテハ第七條、第八條及第十條ノ規定
ハ之ヲ適用セズ
〔政府委員木暮武太夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=21
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022・木暮武太夫
○政府委員(木暮武太夫君) 只今議題ト相
成リマシタ工作機械製造事業法案ニ付テ提
出ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、申ス迄モナ
ク工作機械製造事業ハ、國防上緊要缺クベ
カラザル事業デアリマスト共ニ、一般機械
工業ノ基礎タル工業トシテ、產業上極メテ
重要ナル地位ヲ占メ、是ガ發達ノ如何ハ、
我國國防上竝ニ產業上重大ナル意義ヲ有ス
ル次第デアリマス、本邦ニ於ケル工作機械
製造事業ハ、近時漸ク發展過程ニ入ッタヤ
ウナ實情ニアルノデアリマシテ、其製造能
力ニ於テ、將又其製造技術ニ於テ、遺憾ト
認メラルヽ點ガ尠クナイノデアリマス、卽
チ未ダ國內ニ於テ製造困難ナル工作機械ガ
相當アリマスノミナラズ、一般ニ國產工作
機械ノ性能ハ、外國品ニ比シ可ナリノ遜色
ガアリマスコトハ、否定出來ナイ事實デア
リマシテ、我國ハ每年多額ノ工作機械ヲ海
外ヨリノ輸入ニ仰イデ居ルノデアリマス、
斯ルガ故ニ斯業振興ノ必要ハ從來ヨリ痛感
セラレテ居ッタノデアリマスガ、特ニ現下
ノ時局ニ際シマシテハ、斯業ノ確立ハ蓋シ
刻下最大ノ急務ト存ズル次第デアリマス、
而シテ工作機械製造事業確立ノ方策ト致シ
マシテハ、斯業ノ特質ニ卽應シテ適切ナル
各種ノ奬勵方策ヲ講ジ、以テ生產力ノ擴充
ヲ圖ルト共ニ、他面適當ナル指導監督ニ依
リ、斯業ノ經營ヲ合理的基礎ノ上ニ置キ、
其製造技術ノ向上ニ資スルコトガ、斯業ノ
堅實ナル發達ヲ期スル上ニ、最モ適當デア
ラウト考ヘル次第デアリマス、本法案提出
ノ理由ハ大體以上申述ベマシタ通リデゴザ
イマス、何卒十分御審議ノ上御協贊アラン
コトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=22
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023・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-塚本重藏君-質疑
通〓者塚本重藏君ハ議席ニ居ラレマセヌ、
是ハ先例ニ依ッテ發言ヲ抛棄シタルモノト
看做シマス-本案ノ審査ヲ付託スベキ委
員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=23
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024・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、重要鑛物
增產法案外一件委員ニ併セ付託セラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=24
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025・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=25
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026・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第三、
航空機製造事業法案、第一讀會ヲ開キマ
ス-遞信政務次官田島勝太郞君
第三航空機製造事業法案(政府提出)
第一讀會
航空機製造事業法案
航空機製造事業法
第一條本法ニ於テ航空機製造事業ト稱
スルハ命令ヲ以テ定ムル航空機又ハ其
ノ機體、發動機若ハプロペラノ製造ヲ
爲ス事業ヲ謂フ
前項ノ事業ヲ營ム者ノ爲ス航空機ノ部
分品若ハ附屬品ノ製造、其ノ事業者ノ
用フル航空機用材料ノ製造又ハ航空機
ノ修理ハ之ヲ當該事業ノ一部ト看做ス
第二條航空機製造事業ヲ營マントスル
者ハ政府ノ許可ヲ受クベシ
第三條前條ノ許可ヲ受クルコトヲ得ベ
キ者ハ帝國法令ニ依リ設立シタル株式
會社ニシテ其ノ株主ノ半數以上、取締
役ノ半數以上、資本ノ半額以上及議決權
ノ過半數ガ帝國臣民又ハ帝國法令ニ依
リ設立シタル法人ニ屬スルモノニ限ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務
ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ
半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人
又ハ外國法人ニ屬セザルモノナルコト
司法人
前條ノ許可ヲ受ケタル者前二項ノ規定
ニ該當セザルニ至リタルトキハ許可ハ
其ノ效力ヲ失フ
第四條第二條ノ許可ヲ受ケタル會社ハ
政府ノ指定スル期間內ニ其ノ事業ヲ開
始スベシ
政府ハ正當ノ事由アリト認ムル場合ニ
限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコト
ヲ得
第二條ノ許可ヲ受ケタル會社前二項ノ
期間內ニ其ノ事業ヲ開始セザルトキハ
第二條ノ許可ハ其ノ效力ヲ失フ
第五條航空機製造事業ヲ營ム會社(以
下航空機製造會社ト稱ス)ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ事業計畫ヲ定メ政府ニ之ヲ屆
出ヅベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同
政府必要アリト認ムルトキハ事業計畫
ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第六條政府ハ航空機技術委員會ノ議ヲ
經テ航空機ノ機體、發動機、プロペラ、
部分品、材料又ハ附屬品ニ付其ノ規格
ヲ定ムルコトヲ得
航空機製造會社ハ前項ノ規定ニ依リ規
格ヲ定メタルモノニ付テハ規格ニ適合
スルモノニ非ザレバ之ヲ製造又ハ使用
スルコトヲ得ズ但シ政府ノ許可ヲ受ケ
タルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
航空機技術委員會ニ關スル規定ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第七條航空機製造會社其ノ事業ノ全部
又ハ一部ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止セ
ントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ
政府ノ許可ヲ受クベシ
航空機製造會社ノ合併又ハ解散ノ決議
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ
受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第八條航空機製造事業ハ土地收用法第
二條ノ土地ヲ收用又ハ使用スルコトヲ
得ル事業トシ同法ヲ適用ス
第九條航空機製造會社ニハ勅令ノ定ム
ル所ニ依リ第二條ノ許可ヲ受ケタル年
及其ノ翌年ヨリ五年間其ノ事業ニ付所
得稅及營業收益稅ヲ免除ス
第十條北海道、府縣及市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノハ前條ノ規定ニ依リ所
得稅及營業收益稅ヲ免除セラレタル航
空機製造會社ニハ其ノ免除セラレタル
事業ニ對シ課稅スルコトヲ得ズ但シ特
別ノ事情ニ基キ政府ノ認可ヲ受ケタル
場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十一條航空機製造會社其ノ事業ノ爲
必要ナル器具、機械又ハ材料ヲ政府ノ
認可ヲ受ケ輸入スルトキハ本法施行ノ
日ヨリ五年間勅令ノ定ムル所ニ依リ輸
入稅ヲ免除ス
第十二條航空機製造會社本邦ニ於テ未
ダ製造セラレタルコトナキ航空機又ハ
其ノ機體、發動機若ハプロペラノ製造
ヲ爲ス場合ニ於テハ政府ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ豫算ノ範圍內ニ於テ之ニ奬
勵金ヲ交付スルコトヲ得航空機ノ部分
品、材料又ハ附屬品ニシテ本邦ニ於テ
未ダ製造セラレタルコトナキモノヲ製
造スル場合亦同ジ
第十三條航空機製造會社ハ事業擴張ノ
場合ニ於テ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事業
ニ屬スル設備ノ費用ニ充ツル爲株金全
額拂込前ト雖モ其ノ資本ヲ增加スルコ
トヲ得
第十四條航空機製造會社ハ政府ノ認可
ヲ受ケ其ノ事業ニ屬スル設備ノ費用ニ
充ツル爲商法ニ規定スル制限ヲ超エテ
社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ總
額ハ拂込ミタル株金額ノ二倍ヲ超ユル
コトヲ得ズ
最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存ス
ル財產ガ拂込ミタル株金額ニ滿タザル
トキハ前項ノ規定ヲ適用セズ
第一項ノ規定ニ依リ募集スル社債ニ付
テハ工場抵當法ニ依リ會社ノ事業ニ屬
スルモノヲ抵當ト爲スコトヲ要ス但シ
特別ノ事情アル場合ニ於テ政府其ノ必
要ナシト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第十五條政府ハ航空機製造會社ニ對シ
業務及財產ノ狀況ニ關シ報告ヲ爲サシ
ムルコトヲ得
政府ハ航空機製造會社ニ對シ業務及會
計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又
ハ處分ヲ爲スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ當
該官吏ヲシテ航空機製造會社ノ事務所、
營業所、工場、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨
檢シ業務若ハ財產ノ狀況又ハ帳簿書類
其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票
ヲ携帶セシムベシ
第十六條政府ハ公益上必要アリト認ム
ルトキハ航空機製造會社ニ對シ航空機
又ハ其ノ機體、發動機若ハプロペラノ
販賣價格若ハ販賣條件ノ變更ヲ命ジ又
ハ此等製品ノ供給ニ關シ必要ナル事項
ヲ命ズルコトヲ得
第十七條政府ハ軍事上必要アリト認ム
ルトキハ航空機製造會社ニ對シ左ノ各
號ニ揭グル事項ヲ命ズルコトヲ得政府
公益上必要アリト認ムルトキ第一號乃
至第五號ニ揭グル事項ニ付亦同ジ
-設備ノ擴張又ハ改良
二政府ノ指定スル航空機又ハ其ノ機
體發動機若ハプロペラノ製造
三航空機ニ關スル特殊事項ノ〓究又
ハ特殊設備ノ施設
四航空機又ハ其ノ機體、發動機若ハプ
ロペラノ製造技能者ノ養成
五航空機又ハ其ノ機體、發動機若ハ
プロペラノ製造ニ關シ設備ノ共用其
ノ他他ノ航空機製造會社ニ對スル協
力
六航空機用材料ノ保有
七從業者又ハ工場其ノ他ノ設備ノ政
府ニ對スル供用
八特殊ナル事業計畫ノ設定又ハ其ノ
計畫ニ付必要ナル演練
九工場ノ警備又ハ防諜上必要ナル施設
十航空機ニ關スル資料ノ提出
十一前各號ニ揭グルモノヲ除クノ外
特ニ必要ナル事項
前項第一號乃至第四號又ハ第六號乃至
第十一號ノ命令ニ因リ生ジタル損失ハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ
要スベキ補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協
贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於
テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第一項第五號ノ場合ニ於テ費用ノ負擔
ニ付當事者間ニ協議調ハザルトキハ政
府之ヲ裁定ス裁定ニ對シ不服アル者ハ
裁定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月內ニ
通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十八條政府第十六條若ハ前條第一項
第一號ノ命令又ハ前條第二項ノ補償金
額ノ決定ヲ爲サントスルトキハ勅令ニ
別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外航空機
製造事業委員會ノ議ヲ經ベシ
航空機製造事業委員會ニ關スル規程ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條航空機製造會社本法若ハ本法
ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲
ス處分ニ違反シタルトキハ政府ハ其ノ
業務ヲ停止シ若ハ制限シ、第二條ノ許
可ヲ取消シ又ハ取締役若ハ其ノ職務ヲ
行フ監査役ノ解任ヲ爲スコトヲ得
第二十條航空機ノ部分品、材料又ハ附
屬品ノ製造事業ニシテ第一條ノ航空機
製造事業ニ屬セザルモノニ關シテハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ本法ヲ準用ス
第二十一條第二條ノ規定ニ違反シ許可
ヲ受ケズシテ航空機製造事業ヲ營ミタ
ル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十二條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
一第五條第一項ノ規定ニ違反シテ事
業計畫ノ屆出ヲ爲サズ又ハ屆出デタ
ル事業計畫ヲ實施セザル者
二第五條第二項ノ規定ニ依ル變更命
令ニ違反シテ事業計畫ヲ實施シタル
者
三第七條第一項ノ規定ニ違反シテ事
業ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止シタル
者
四第十六條又ハ第十七條第一項ノ規
定ニ依ル命令ニ違反シタル者
第二十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
-第十五條第一項ノ規定ニ依ル報〓
ヲ爲サズ又ハ虚僞ノ報告ヲ爲シタル
者
二第十五條第二項ノ規定ニ依ル命令
又ハ處分ニ違反シタル者
三第十五條第三項ノ規定ニ依ル當該
官吏ノ臨檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌
避シ又ハ其ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サ
ズ若ハ虚僞ノ陳述ヲ爲シタル者
第二十四條航空機製造會社ハ其ノ代理
人雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ
關シ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令
又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタル
トキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以
テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第二十五條本法又ハ本法ニ基キテ發ス
ル命令ニ依リ適用スベキ罰則ハ其ノ者
ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他
ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成
年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定
代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成
年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ
付テハ此ノ限ニ在ラズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ航空機製造事業ヲ營ム
者又ハ其ノ事業ヲ承繼シタル者ハ本法施
行ノ日ヨリ一年ヲ限リ第二條ノ規定ニ拘
ラズ其ノ事業ヲ營ムコトヲ得
前項ニ揭グル者前項ノ期間內ニ第二條ノ
許可ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ
對シ許可又ハ不許可ノ處分ノ日迄亦前項
m2)
第九條ノ規定ハ第二項ニ揭グル者ガ第二
條ノ許可ヲ受ケタル場合ニ於テハ事業開
始ノ年ヲ以テ第二條ノ許可ヲ受ケタル年
ト看做シ許可ノ日以後ノ分ニ付テノミ之
ヲ適用ス
第十一條ノ規定ハ第二項ニ揭グル者ガ第
二條ノ許可ヲ受クル前ニ於テ爲ス輸入ニ
付テハ之ヲ適用セズ
〔政府委員田島勝太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=26
-
027・田島勝太郎
○政府委員(田島勝太郞君) 航空機製造事
業法案提案ノ理由ヲ御說明申上ゲタイト存
ジマス、我國航空機製造事業ハ、陸海軍ノ
積極的ナル指導培養等ニ依リ、最近著シキ
發達ヲ遂ゲテ居リマス、殊ニ軍用機ニ付キマ
シテハ、其性能ノ優秀ナル點ニ於テ、世界諸
列强ノソレニ比シテ、決シテ遜色ナキモノ
ヲ生ムニ至ッタノデアリマスガ、是ガ製造事
業ノ全般ニ付テ見マスレバ、作業ノ機械化
ガ遲レテ居リマシテ、隨テ製造能力ノ不十
分デアリ、且ツ彈力性ニ乏シキコト、其他航
空機ノ價格ノ不廉ナルコト等、種々ノ缺陷
アルヲ否定シ得ナイノデアリマシテ、此際航
空機ノ國防上竝ニ產業上ニ於ケル重要性ニ
鑑ミマシテ、速ニ本事業ノ確立振興ヲ圖リ、
優秀且ツ低廉ナル航空機ヲ豐富ニ供給スル
ノ途ヲ確保スルコトハ、洵ニ刻下ノ急務デ
アルト存ジマス、而シテ此點ニ付キマシテ
ハ、政府ニ於キマシテ優秀ナル航空機ノ出
現ヲ促進スル爲ニ、別ニ中央航空〓究機關
設立ノ計畫ヲ樹テヽ其準備費ヲ來年度豫
算ニ計上致シ、尙ホ他方ニ於テハ國際航空
ノ發展、海外市場ノ獲得、或ハ定期航空ノ
新線開拓、及ビ運航囘數ノ增加等ニ依ル、
航空機ノ需要增進策ヲ著々進メツヽアル次
第デアリマスガ、直接航空機製造事業ニ對
シマシテハ、一面適切ナル保護助長政策ヲ
採ルト共ニ、他面適當ナル監督統制ヲ加ヘ、
以テ本事業ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲メ、是
ガ準據法規トシテ本法案ヲ立案シタ次第デ
アリマス、何卒速ニ御審議ノ上御協贊ヲ賜
ランコトヲ切望スル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=27
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028・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-中村梅吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=28
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029・中村梅吉
○中村梅吉君 簡單デアリマスカラ、自席
カラ發言ノ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=29
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030・小山松壽
○議長(小山松壽君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=30
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031・中村梅吉
○中村梅吉君 國防上極メテ重要ナル關係
ヲ持ッテ居ル本案ノ審議ニ當リマシテ、陸海
軍當局ガ御見エニナッテ居リマセヌコトハ、
洵ニ遺憾ニ存ジマス、政務次官ノ加藤サン
ガオ居デヽアリマスカラ、政務次官ヨリ私ノ
質疑ニ對シテ御答辯ヲ願ヒタイト思ヒマス
只今本案ニ付キマシテ田島政府委員ヨリ
御說明ガゴザイマシタガ、我國ノ航空機ノ
製造能力ハ未ダ尙ホ不十分デアル、又航空
機ノ製造ハ國防產業ニ重要ナル關係ヲ持ッ
テ居ルト云フ御說明ガアリマシタ、固ヨリ
然ルベキコトト存ジマス、而シテ私ハ本案
ヲ見マシテ洵ニ不可解ニ堪ヘナイト思ヒマ
スルノハ、本法ノ第三條ニ規定スル所デア
リマスガ、之ニ依リマスト、此航空機製造
事業ニ當ルベキ株式會社ノ取締役竝ニ株主
ハ、過半數未滿マデハ我ガ帝國ニ國籍ヲ有セ
ザル者、卽チ外國人若クハ外國會社デアッテ
モ、差支ナイト云フコトニナッテ居リマスガ、
帝國議會ノ審議ニ當リマシテ、陸海軍大臣
ハ委員會等ニ於テ屢、航空機ノ製造能力、或
ハソレ等ノ實情ニ付テ說明ヲ求メラレマス
ト、恐ラク祕密會ニ於テスラ其實情ヲ發表
ニナラナイノデアリマス、斯ル重要ナル事
柄ニ携ハル製造會社ノ株主竝ニ重役ヲシテ、
半數ニ滿タザル範圍マデハ、海外ノ者デアッ
テモ宜シイト云フヤウナコトハ、此航空機
製造ト云フコトノ重要性ニ鑑ミテ私ハ不適
當デアル理想トシテハ假令ソレガ一人デ
アッテモ、斯樣ナ事業ニ携ハリ、或ハ參加ス
ルコトヲ好マシクナイト私共ハ思フノデア
リマス、或ハ見方ニ依リマシテハ、是等ノ
產業上ニ外資ヲ輸入スルコトガ必要デアル
ト云フコトモ考ヘラレマスガ、併ナガラ外
資ヲ產業上ニ輸入スル必要ガアルトスルナ
ラバ、斯ル國防上最モ重要ナル關係ヲ持ッテ
居リマスル事業會社ニ於テハ、之ヲ全ク避
ケテ、而シテ他ノ一般產業ニ於テ、ソレヲ
奬勵スベキモノデアルト私ハ思フノデアリ
マス、此點ハ私共ノ洵ニ不可解ニ堪ヘナイ
所デアリマシテ、當局ノ御所見ヲ承リタイ
ト思ヒマス
其次ニ私ノ伺ヒタイト思ヒマスルノハ、
近來政府ハ各種ノ方面ニ亙ッテ半官半民ノ
特殊會社ヲ設立スル、ソレ等ノ特殊會社設
立ニ關スル法案ノ理由ハ、國家的ニ重要ナ
ル使命ヲ持ッテ居ル、隨テ政府ノ監督指導ヲ
徹底セシムル必要上、左樣ナ組織ニスルト
云フコトニアルヤウデアリマスガ、ソレ等
ノ點カラ見マシタナラバ、本法ニ規定ヲ致
サレマシタ航空機製造事業ト云フガ如キモ
ノハ、先ヅ第一ニ其國家的重要性ニ鑑ミテ、
特殊會社ノ組織ニスベキモノデハナイカト
私ハ思フノデアリマス、現在ノヤウニ各航空機
製造會社ガ分立シテ居ル狀態デハ、到底航空
機製造ニ關スル國家的ノ必要ニ應ズルコトガ、
極メテ困難デハナイカト思ヒマス、現在我
國ノ自動車製造事業ノ實情ナドヲ見マシテ
モ、諸外國ノ自動車製造事業ノヤウニ成績
ガ擧ラナイ、是等ニ鑑ミマシテモ、航空機
製造ト云フヤウナコトハ努メテ統一ヲシテ、
サウシテ徹底シタ〓究ト共ニ、其製造ノ能
力ヲ發揮セシメナケレバナラナイト思フノ
デアリマス、殊ニ現在ノ實情ヲ見マスト、
航空機ノ〓究ニ付テハ、陸軍省或ハ海軍省、
或ハ帝國大學ノ工學部ト云フヤウナ各種ノ
機關ニ於テ思ヒ〓〓ノ〓究ヲ致シテ居リマ
ス、斯ウ云フヤウナ航空機製造ノ事業ニ携
ハルモノヲ、單一ノ特殊會社ノ制度ニ致シ
マスナラバ、其特殊會社ノ內部ニ、統一シ
タ航空機ニ關スル〓究機關ヲ設ケテ行クコ
トガ出來ルノデハナイカ、斯樣ニ考ヘマス、
何故ニ航空機製造事業ニ關スル事業會社ヲ、
特殊會社ノ制度ニ政府ハ持ッテ行カナカッタ
デアラウカ、此點私共ノ不可解ニ存ズル所
デアリマス、之ニ付テ當局ノ御所信ヲ承リ
タイト思ヒマス
次ニ私ノ伺ヒタイト思ヒマスノハ、本法
ニ牽聯シテ大都市、殊ニ帝都ノ防空ニ關ス
ル事柄デアリマス、帝都ノ防空ハ最モ重要
デアリマシテ、最近モ都市計畫東京地方委
員會ニ於テ防空ニ關スル施設-尤モ國民
保健ト云フコトニモ關聯ガアリマスガ、各
方面ニ數十箇所公園ノ施設ヲスルト云フノ
デ、數万圓ノ經費ヲ要スル事柄ヲ決定致サ
レマシタ、私ハ帝都ノ防空或ハ大都市ノ防
空ト云フコトヲ考ヘマス時ニ、國防思想ノ
普及ト云フコトハ最モ必要デアルト思ヒマ
ス、屢〓行ヒマス防空演習等ニ付テ、全國ノ
防護團ノ諸君ハ非常ニ熱心ニ活動セラレ
テ、感謝ヲスル所デアリマスガ、動モスレ
バ防空思想ガ備ハラズシテ、其仕事ニ携ッテ
居ルト云フヤウナ憾ミガアルヤウニ思フノ
デアリマス、ソコデ政府ハ此防空思想ノ普
及徹底ニ付テ然ルベキ方法ヲ講ズル必要ガ
アル、此點ニ鑑ミマシテ、私ハ全國ノ中等
學校ニ防空若クハ國防ニ關スル一ツノ科目
ヲ設ケテ、十分ニサウ云フヤウナ時代カラ、
徹底シタ國防竝ニ防空ニ關スル思想ヲ普及
スル必要ガアリハシナイカト思フノデアリ
マスガ、此點ニ付テ陸軍當局、竝ニ內務大
臣ガ御見エニナリマシタカラ、內務大臣カ
ラモ其事ニ付テ御意見ヲ承リタイト思ヒマ
ス、ソレカラモウ一ツ最後ニ伺ヒタイト思
ヒマスノハ、大都市ノ防空ト云フ點カラ鑑
ミマスト、最モ必要ナコトハ防空通信網ノ
完備デアリマス、諸外國ノ實情ト、我國ノ
現狀トヲ考ヘテ見マスト、我國ハ全ク防空
ニ關スル通信網ノ施設ガ不十分デアルト私
ハ思ヒマス、此通信網ノ完備ト云フコトニ
付テ、遞信當局ハドウ云フヤウニ御考ニナッ
テ居リマスカ、私共ハ之ニ十分力ヲ注イデ
貰ヒタイト思フノデアリマスガ、遺憾ナガ
ラ吾々ノ理想ノヤウニ達シテ居リマセヌ、
將來ノ考へ方ニ付テ御所見ヲ承リタイト思
ヒマス、此程度デ打切ッテ置キマス(拍手)
〔政府委員田島勝太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=31
-
032・田島勝太郎
○政府委員(田島勝太郞君) 中村君ノ質疑
ニ對シテ御答ヲ申上ゲマス、第一點ノ外國
人ノ株主タル關係、重役タル關係ニ付テノ
コトデゴザイマスガ、此點ニ付キマシテハ、
質問ノ中ニ仰セラレマシタ外國資本ノ利用
ト云フコトハ、出來得レバ之ヲ利用シタ方
ガ宜シイト考ヘルノデゴザイマスガ、本法
案ノ狙ヒ所ト致シテ居リマスル航空機製造
事業ハ、軍用機ダケヲ製造スルノデアリマ
セヌデ、所謂平和時ニ於ケル平和交通ノ目
的ニ使ヒマス所ノ飛行機製造ガ、大體其主
眼デアルノデアリマス、ソレデ本法ハ、其
性質上純然タル平時立法デアリマシテ、
平時ニ對スル用意ヲ致ス爲メノ法律デゴザ
イマスカラ、他ノ斯ウ云フ性質ノ關係ノ事
業ニ能ク現レテ居リマスヤウニ、外國資本
ガ支配權ヲ持タナケレバ、敢テ其弊害ヲ認
メナイト考ヘマシテ、御覽ノ通リノ立法ヲ
致シタ次第デアリマス、尙ホ其製造事業中
ノ軍事上ノ機密ニ屬スルモノハ、自ラ軍機
保護法其他ノ法律ニ依ッテ、適當ニ保護ヲ
致サレルト思フノデアリマスノデ、其點ニ
付テノ御心配ハナカラウト考ヘルノデアリ
マス
次ニ第二點ハ、罰則ノ程度ガ低クハナイ
カト云フ風ナ御意見ノヤウデゴザイマシタ
ガ、是ハ前申上ゲマシタ通リニ、純然タル
平時立法デアリマシテ、其性質カラ推シマ
シテ、他ノ同種ノ法律、例ヘテ申シマスレ
バ、自動車製造事業法、人造石油製造事業
法、サウ云フヤウナ法律ト權衡ヲ取ルベキ
性質ノモノデアリマスルノデ、斯ル種類ノ
法律ト同樣ノ程度ニ於キマシテ罰則ヲ置イ
タ次第デアリマス、最後ニ防空通信ノコト
ニ付キマシテノ御意見ガゴザイマシタガ、
洵ニ御尤ナコトデゴザイマシテ、本件ニ付
キマシテハ、遞信當局ト致シマシテハ、著々
其完備ニ向ッテ努力ヲ致シテ居ル次第デゴ
ザイマス
〔國務大臣末次信正君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=32
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033・末次信正
○國務大臣(末次信正君) 只今御尋ノ防空
思想ノ普及ハ、御意見ノ通リ是非大イニヤ
ラナケレバナラヌト思ヒマス、之ニ付キマシ
テハ、文部當局ト能ク協議ノ上善處致シマ
ス、内務省トシテハ十三年度ニ揭ゲテ居リ
マス防空關係ノ豫算ハ二百五十一万圓デア
リマシテ、是等ノ費用ヲ以テ監視、通信機
關ノ整備、消防ノ充實、防毒「マスク」ノ購入、
避難室ノ整備ト云フヤウナモノヲ、漸ヲ追
ウテ充實ヲ期シテ居リマス、都市ノ防空ニ
付キマシテハ、都市計畫法、市街地建築物
法ノ運用等ニ依リマシテ、防空施設ノ完備
ヲ漸次圖ッテ居ル現狀デアリマス
〔政府委員加藤久米四郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=33
-
034・加藤久米四郎
○政府委員(加藤久米四郞君) 御答致シマ
ス、半數以下ノ株式ヲ外國人ニ持タセルコ
トガ、軍ノ祕密上憂慮スベキ點ガナイカト
云フ御問デアッタト思ヒマス、遞信省ノ當局
者カラ御答致シマシタ通リ、現在ノ此程度
ニ於キマシテハ、軍機ノ祕密ヲ保護スルコ
トガ出來ルト信ジマシテ、軍ハソレニ安心
ヲシテ居ル次第デアリマス、其次ニ御問ニ
ナリマシタ、特殊會社ヲ作ッテ其中ニ於テ
航空機ノ製作統一〓究ヲシタラドウカト云
フ御問デアッタト存ジマス、成程特殊會社ヲ
作ッテ、サウシテ統制シマスルコトモ、ッ
ノ方法デアリマス、併ナガラ現ニ提案ニ相
成ッテ居リマスル航空機製造事業ノ此法案
ニ依リマシテ、適當ナル統制ハ出來ルト存
ジマス、ソレデアリマスカラ、御問ニナリ
マシタ趣旨ヲ實行スルコトガ、本法制定ノ
有力ナル理由デアルト存ジマス、斯樣ナ譯
デアリマスルカラ、本案ニ陸軍ト致シマシ
テハ贊成ヲ致シテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=34
-
035・小山松壽
○議長(小山松壽君) 中村君、宜シウゴザ
イマスカ-是ニテ質疑ハ終了致シマシ
ク、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ニ
付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=35
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036・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=36
-
037・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=37
-
038・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=38
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039・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出、樺太地
方鐵道補助法中改正法律案ヲ議題ト爲シ、
委員長ノ報〓ヲ求メ、其審議ヲ進メラレン
コトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=39
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040・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=40
-
041・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、樺太地
方鐵道補助法中改正法律案、第一讀會ノ續
ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-
委員長沖島鎌三君
樺太地方鐵道補助法中改正法律案政
府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一樺太地方鐵道補助法中改正法律案政
府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十日
委員長沖島鎌三
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
政府ハ樺太開發ノ必要ニ鑑ミ速ニ幹線ヲ
成ス樺太鐵道株式會社竝ニ南樺鐵道株
式會社所屬鐵道ノ國營化ヲ計ルヘシ
〔沖島鎌三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=41
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042・沖島鎌三
○沖島鎌三君 只今議題トナリマシタ樺太地
方鐵道補助法中改正法律案ニ付キマシテ、
委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シマス、委
員會ハ前後五囘開キマシタガ、各委員ヨリ
熱心ナル御質問ガアリ、之ニ對シテ政府ヨ
リ詳細懇切ナル御答ガアッタノデアリマス
本改正法律案ノ要旨ハ、樺太ニ於ケル地方
鐵道ハ未ダ獨立自營ノ域ニ達シテ居リマセ
ヌノデ、更ニ其補助期間ヲ伸長シ得ルノ途
ヲ拓クト共ニ、現下經濟界ノ趨勢ニ鑑ミマ
シテ、其補助方法ヲモ改メテ、朝鮮、臺灣
ノ例ニ倣ハントスルモノデアリマスガ、簡
單ニ之ニ關スル質疑ノ要點ヲ申上ゲタイト
存ジマス、先ヅ各鐵道ハ補助伸長期間內
ニ、果シテ獨立自營ノ域ニ達シ得ル見込ガ
アルカドウカ、若シ其見込ガナイ時ハ、政
府ハ如何ナル措置ヲ講ズル積リデアルカ、
又樺太鐵道ノ如キ國有鐵道ノ代行線タル意
義ヲ有スル重要幹線ニ付テハ、多額ノ補助
ヲ繼續スルヨリハ、寧ロ速ニ之ヲ買收シタ
方ガ得策デハナイカト云フヤウナ質問ガア
リマシタ、之ニ對シマシテ政府ハ、樺太鐵
道ノ如キハ、從來ト雖モ可及的速ニ之ヲ買
收スルヲ得策ト認メテ考慮シタノデアルガ、
他ニ緊急建設ヲ要スベキ線路モアリ、旁〓、財
政ノ都合上遺憾ナガラ未ダ實現スルコトガ
出來ナカッタガ、今後ニ於テモ情勢ノ推移ニ
應ジ、適當ニ善處シタイ意嚮デアルガ、併
シ一應今囘補助期間ノ伸長ニ付考慮シタモ
ノデアル、斯ウ云フ答辯ガアッタノデアリマ
ス、尙此點ニ付テハ王子製紙株式會社系統
ノ會社ノ經營ニ係ル樺太鐵道ニ對シマシテ
ハ、王子製紙會社ノ營業成績ニ鑑ミ、補助
ノ必要ナキモノト認メラレルガ、政府ハ此
際補助ヲ打切ル意思ハナイカト云フヤウナ
御質問モアックノデアリマスガ、之ニ對シマ
シテ政府ハ、王子製紙ト鐵道會社トハ偶〓資
本ノ系統ヲ同ジウスルガ、全然別個ノ會社
デアリ、鐵道ノ重要性竝ニ業績カラ見テ、
補助ヲスル必要ガアルト云フ御答ガアッタ
ノデアリマス、又樺太地方鐵道ノ發達ハ、樺
太ノ產業開發ニ伴フモノト認メラルヽケレ
ドモ、政府ハ何等カ新事業ノ振興ニ關シ、特
別ノ考慮ヲ拂ッテ居ルカトノ質問ガアリマシ
テ、政府ハ之ニ答ヘテ、敷香方面ノ開發ヲ企
圖シテ居ルカラ、是ガ進行シク場合ニハ、樺
太鐵道ノ業績モ漸次好轉スルモノデアルト
云フヤウナ答辯ガアッタノデアリマス、尙ホ
樺太地方鐵道ニ密接ナル關係ヲ有スル樺太
ノ林政、石炭ノ開發、築港計畫、國境警備等、
樺太行政ノ各般ニ亙ル政府ノ方針ニ付キマ
シテモ、熱心適切ナル質問ガアリ、是等ニ
對シマシテ政府ヨリソレ〓〓御答ガアッタ
ノデアリマスガ、詳細ハ速記錄ニ依ッテ御
了承ガ願ヒタイト存ジマス、サウシテ討論
採決ノ結果、今囘ノ改正ヲ適當ト認メマシ
タガ、現在補助ヲナシツヽアル樺太鐵道竝
ニ南樺鐵道ノ兩線ニ付キマシテハ、樺太開
發上ノ重要性ニ鑑ミマシテ、速ニ之ヲ國營
化スルヲ適當ト認メラレ、左ノ如キ附帶決
議ヲ附シ、本案ハ全會一致原案ヲ可決致シ
マシタ、其附帶決議ヲ朗讀致シマス
附帶決議
政府ハ樺太開發ノ必要ニ鑑ミ速ニ幹線
ヲ成ス樺太鐵道株式會社竝ニ南樺鐵道
株式會社所屬鐵道ノ國營化ヲ計ルヘシ
以上大略デアリマスガ御報告申上ゲマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=42
-
043・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=43
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044・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認マ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=44
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045・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=45
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046・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=46
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047・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
樺太地方鐵道補助法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=47
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048・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ
通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第四、
市街地建築物法中改正法律案、第一讀會ヲ
開キマス-末次內務大臣
第四市街地建築物法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
市街地建築物法中改正法律案
市街地建築物法中左ノ通改正ス
第二條ニ左ノ一項ヲ加フ
主務大臣必要ト認ムルトキハ住居地域
內ニ住居專用地區ヲ指定シ其ノ地區內
ニ於ケル住宅以外ノ建築物ノ建築ノ禁
止又ハ制限ニ關シ必要ナル規定ヲ設ク
ルコトヲ得
第四條ニ左ノ一項ヲ加フ
主務大臣必要ト認ムルトキハ工業地域
內ニ工業專用地區ヲ指定シ其ノ地區內
ニ於ケル工場、倉庫其ノ他之ニ準ズベ
キモノ以外ノ建築物ノ建築ノ禁止又ハ
制限ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコト
ヲ得
第五條中「前三條」ヲ「第二條第一項、第三
條及前條第一項」ニ改ム
第十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
主務大臣必要ト認ムルトキハ高度地區
ヲ指定シ其ノ地區內ニ於ケル建築物ニ
付高ノ最低限度若ハ最高限度ヲ定メ又
ハ空地地區ヲ指定シ其ノ地區內ニ於ケ
ル建築物ニ付床面積ノ敷地面積ニ對ス
ル割合及敷地ノ疆界線ヨリノ距離ノ限
度ヲ定ムルコトヲ得
第十二條中「衞生上又ハ保安上」ヲ「衞生
上保安上又ハ防空上」ニ改ム
第二十六條中「幅員九尺」ヲ「幅員四メー
トル」ニ改メ同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
幅員四メートル未滿二·七メートル以
上ノ道路及道路ノ新設又ハ變更ノ計畫
アル場合ニ於ケル其ノ計畫ノ道路ハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ道路ト看做ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前市街地建築物法施行令第十一
條ノ規定ニ依リ指定シタル區域及其ノ區域
內ニ於ケル建築物ニ付定メタル高ノ最低
限度ハ各之ヲ本法第十一條第二項ノ規定
ニ依リ指定シタル高度地區及其ノ地區內
ニ於ケル建築物ニ付定メタル高ノ最低限
度ト看做ス
〔國務大臣末次信正君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=48
-
049・末次信正
○國務大臣(末次信正君) 只今議題ト相成
リマシタ市街地建築物法中改正法律案ニ付
キマシテ、其提案理由ノ〓略ヲ說明致シマ
ス、市街地建築物法ハ施行以來相當實績ヲ
收メテ來タノデアリマスガ、時世ノ推移ニ
伴ヒ、現行法ニ於キマシテハ土地ノ利用ヲ
整正シ、建築物ノ用途ヲ統制スルニハ、尙
ホ不十分ナル嫌ガアリマスノミナラズ、防
空防火及ビ保健衞生ノ見地ヨリ致シマシ
テモ、改正ノ要アリト認メラレマスノデ、
玆ニ本案ヲ提出シタ次第デアリマス、改正
ノ主ナル點ヲ申上ゲマスレバ、現在ノ居住
地域及ビ工業地域內ニ、ソレ〓〓住居專用
地區及ビ工業專用地區ヲ設ケ得ルコトト
シ、以テ一層住居ノ安寧ノ保持及ビ產業能
率ノ增進ヲ圖ルコトト致シタノデアリマス、
又新ニ高度地區及ビ空地地區ノ制度ヲ設ケ
マシテ、土地ノ經濟的利用及ビ密住ノ禍害
防止等ニ努メントスルモノデアリマス、尙
ホ建築物ノ構造、設備又ハ敷地ニ關シマシ
テハ、現行法上ハ衞生上又ハ保安上必要ナ
ル措置ヲ命ジ得ルコトニナッテ居ルノデア
リマスガ、更ニ防空上モ之ヲ爲シ得ルコト
ニ改メ、又交通上、防空上、防火上竝ニ保
健衞生上ヨリ、市街地建築物法ノ道路ハ其
幅員ヲ擴張スル必要ガアリマスノデ、之ヲ
改正シ遺憾ナキヲ期スルコトト致シタ次第
デアリマス、何卒御審議ノ上御協贊アラン
コトヲ望ミマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=49
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050・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-深澤豐太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=50
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051・深澤豐太郎
○深澤豐太郞君 簡單デアリマスカラ、此
席カラ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=51
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052・小山松壽
○議長(小山松壽君) 長ケレバ登壇ヲ願ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=52
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053・深澤豐太郎
○深澤豐太郞君 極ク簡單デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=53
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054・小山松壽
○議長(小山松壽君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=54
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055・深澤豐太郎
○深澤豐太郞君 大正十二年關東震災ニ
因ッテ東京及ビ橫濱ノ甲種防火地區內ノ假
設建築物、卽チ木造建物ノ除却期限ハ數箇月
後、來ル八月末日ト規定セラレテ居リマス、
然ルニ時局ニ鑑ミマシテ、防火地區ノ完成ハ
益〓急務デハアリマスルガ、一面物資ノ關係
上、防火建築物ノ建築ハ不可能ノ實情ニア
リマス、仍テ政府ハ今後相當長期ニ亙ッテ、假
設建築物ノ除却期限ヲ延期スルノ巳ムナキ
ニ至ッテ居ルカト思フノデアリマス、政府ハ此
場合ニ於テ東京、横濱ニ於ケル防火地區內ノ
木造建物ノ除却期限延期ニ付テ、其方針ヲ
明示セラレンコトヲ希望致シマス(拍手)
〔國務大臣末次信正君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=55
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056・末次信正
○國務大臣(末次信正君) 深澤君ノ御質問
ノ要旨ハ、東京、橫濱兩市ニ於キマシテ、
大正十二年ノ震災ニ因ッテ火災ニ罹リマシ
タル地區ノ中、甲種防火地區內ノ假設建築
物ノ除却期限ハ、本年八月末日ト規定セラ
レテ居ルガ、尙ホ相當數ノ假設建築物ガ
殘存致シテ居ル實情ニモアルノデ、此除却
ノ期限ハ相當長イ間延期致スベキデアラ
ウ、之ニ付テノ御質問ダト承リマシタ、此
防火建築物ニ付キマシテハ、國庫カラ補助
スルコトトナッテ居リマスガ、此補助モ曩ニ
十三年度豫算案ト共ニ決議致サレマシタ通
リ、昭和二十二年度マデ延期セラルヽコト
トナッテ居リマスノデ、是ト同ジク昭和二十
二年度マデ延期セラレルコトト御承知ヲ願
ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=56
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057・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=57
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058・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=58
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059・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=59
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060・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第五、
有價證劵業取締法案ノ第一讀會ヲ開キマス
-木暮商工政務次官
第五有價證劵業取締法案(政府提出、
貴族院送付)第一讀會
有價證劵業取締法案
有價證劵業取締法
第一條本法ニ於テ有價證劵業トハ取引
所ニ依ラザル有價證劵ノ賣買又ハ其ノ
媒介ヲ爲ス營業ヲ謂フ但シ銀行、信託
會社及有價證劵割賦販賣業者ノ營ムモ
ノハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ有價證劵ノ種類ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ム
第二條有價證劵業ヲ營マントスル者ハ
命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ免許
ヲ受クベシ
第三條前條ノ免許ノ年限ハ五年トス
第四條第二條ノ免許ヲ受クル者ハ免許
料ヲ納ムベシ
前項ノ免許料ノ金額ハ勅令ヲ以テ之ヲ
定ム
第五條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ第
二條ノ免許ヲ受クルコトヲ得ズ
一破產者ニシテ復權ヲ得ザルモノ
二禁錮以上ノ刑ニ處セラレ其ノ執行
ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ
至リタル後三年ヲ經過スルニ至ル迄
ノ者
三取引所ノ會員又ハ取引員ニシテ除
名セラレ除名ノ日ヨリ三年ヲ經過セ
ザルモノ
四第六條第二項又ハ第十四條ノ規定
ニ依リ免許ヲ取消サレ取消ノ日ヨリ
三年ヲ經過セザル者
五營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ
有セザル未成年者又ハ禁治產者ニシ
テ其ノ法定代理人ガ前各號ノ一ニ該
當スルモノ
六法人ニシテ其ノ業務ヲ執行スル役
員中第一條乃至第四號ノ一ニ該當ス
ル者アルモノ
第六條第二條ノ免許ヲ受ケタル者(有
價證劵業者)前條第一號乃至第三號、
第五號又ハ第六號ニ該當スルニ至リタ
ルトキハ免許ハ其ノ效力ヲ失フ
主務大臣ハ不正ノ手段ニ依リ第二條ノ
免許ヲ受ケタル者アルコトヲ發見シタ
ルトキハ其ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第七條有價證劵業者ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ營業保證金ヲ供託スベシ
前項ノ營業保證金ハ主務大臣ノ認許シ
タル有價證劵ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
第八條有價證劵業者ト其ノ業務ニ關シ
取引ヲ爲シタル者ハ有價證劵業者ガ其
ノ取引ニ關スル契約ニ違反シタル場合
ニ於テ其ノ違約ニ因ル債權ニ關シ前條
ノ營業保證金ニ付他ノ債權者ニ先チ辨
濟ヲ受クルノ權利ヲ有ス
第九條有價證劵業者ハ左ノ場合ニ於テ
ハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
-商號ヲ變更セントスルトキ
二支店其ノ他ノ營業所又ハ代理店ヲ
設置セントスルトキ
三本店其ノ他ノ營業所ノ位置ヲ變更
セントスルトキ
第十條有價證劵業者ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ營業ニ關スル帳簿ヲ備へ必要ナ
ル事項ヲ之ニ記載スベシ
第十一條有價證劵業者ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ業務報告書ヲ作成シテ之ヲ主
務大臣ニ提出スベシ
第十二條行政官廳必要アリト認ムルト
キハ有價證劵業者ニ對シ其ノ業務若ハ
財產ニ關スル報〓ヲ命ジ又ハ當該官吏
ヲシテ有價證券業者ノ營業所其ソ他ノ
場所ニ臨檢シ業務若ハ財產ノ狀況若ハ
帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムル
コトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ
示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十三條行政官廳ハ有價證劵業者ノ業
務又ハ財產ノ狀況ニ依リ之ト取引ヲ爲
ス者ノ利益ヲ保護スル爲必要アリト認
ムルトキハ業務ヲ停止シ又ハ制限シ、
財產ノ供託ヲ命ジ其ノ他必要ナル命令
ヲ爲スコトヲ得
第十四條有價證劵業者左ノ各號ノ一ニ
該當スルトキハ主務大臣ハ第二條ノ免
許ヲ取消シ又ハ業務ヲ停止シ若ハ制限
スルコトヲ得
-業務ニ關シ詐僞ノ行爲ヲ以テ他人
ヨリ金錢若ハ有價證劵ノ交付ヲ受ケ
タルトキ又ハ業務ニ關シ他人ニ交付
スベキ金錢若ハ有價證劵ヲ不正ニ領
得シタルトキ
二業務ニ關シ差金ノ授受ヲ目的トス
ル行爲ヲ爲シタルトキ
三本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令
又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ又
ハ公益ヲ害スベキ行爲ヲ爲シタルトキ
第十五條第二條ノ規定ニ違反シ免許ヲ
受ケズシテ有價證劵業ヲ營ミタル者ハ
一年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金
二匹夫人
第十六條有價證劵業者左ノ各號ノ一ニ
該當スルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一第九條ノ規定ニ依リ認可ヲ受クベ
キ事項ヲ認可ヲ受ケズシテ爲シタル
トキ
二第十條ノ規定ニ依ル帳簿ヲ備ヘズ
又ハ之ニ虚僞ノ記載ヲ爲シタルトキ
三第十一條ノ規定ニ依ル業務報告書
ノ提出ヲ爲サズ又ハ之ニ虚僞ノ記載
ヲ爲シタルトキ
四第十二條ノ規定ニ依ル報〓ヲ爲サ
ズ若ハ虛僞ノ報〓ヲ爲シタルトキ又
ハ同條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ臨檢
檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其
ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞
ノ陳述ヲ爲シタルトキ
五第十三條又ハ第十四條ノ規定ニ依
ル命令又ハ處分ニ違反シタルトキ
第十七條法人又ハ人ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ本法若ハ
本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キ
テ爲ス處分ニ違反シタルトキハ其ノ法
人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故
ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十八條本法又ハ本法ニ基キテ發スル
命令ニ依リ適用スベキ罰則ハ其ノ者ガ
法人ナルトキハ取締役其ノ他法人ノ業
務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁
治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之
ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一
ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ
限ニ在ラズ
第十九條前二條ノ場合ニ於テハ懲役ノ
刑ニ處スルコトヲ得ズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ有價證劵業ヲ營ム者又
ハ其ノ營業ヲ相續ニ因リテ承繼シタル者
ハ本法施行ノ日ヨリ六月ヲ限リ第二條ノ
規定ニ拘ラズ其ノ事業ヲ營ムコトヲ得
前項ノ者前項ノ期間內ニ第二條ノ免許ヲ
申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ對スル
免許又ハ不免許ノ處分ノ日迄亦前項ニ同
有價證劵業取締法案
(小字及-ハ貴族院修正)
有價證劵業取締法案中貴族院修正ノ箇所
左ノ如シ
第八條有價證劵業者ト其ノ業務ニ關シ
取引ヲ爲シタル者ハ有價登劵業者ガ其
シ生ジタル
ノ取引ニ關スル契約ニ違反シタル場合
ニ於テ其ノ違約ニ因ル債權ニ關シ前條
ノ營業保證金ニ付他ノ債權者ニ先チ辨
濟ヲ受クルノ權利ヲ有ス
〔政府委員木暮武太夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=60
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061・木暮武太夫
○政府委員(木暮武太夫君) 只今議題ト相
成リマシタ有價證劵業取締法案ノ提案ノ理
由ヲ御說明申上ゲマス、我國產業ノ健全ナル
發達ニハ、有價證劵ノ流通ノ圓滑ト其取引
ノ安全トヲ圖ルコトガ、極メテ肝要ト認メ
ルノデアリマシテ、政府ハ從來取引所政策
ニ於キマシテ、常ニ意ヲ茲ニ用ヒテ參リマ
シタ次第デアリマス、然ルニ取引所外ニ於
ケル有價證劵ノ賣買等ニ付キマシテハ、何
人モ其營業ヲ自由ニ爲シ得ルコトトナッテ
居リマス爲メ、最近通信機關ノ發達等ニ伴
ヒマシテ、營業ヲ爲ス者ノ數ハ著シク增加
スルニ至ッタノデアリマスガ、是等ノ者ノ中
ニハ資力信用乏シクシテ、動モスレバ不正
行爲或ハ犯罪行爲ヲ爲ス者モ少カラザル狀
態トナッテ居ルノデアリマス、仍テ其弊害ヲ
除去シ、取引ノ安全ヲ確保スル爲メ、此際
有價證劵業ヲ免許制度ト致シマツテ、同時
ニ監督規定ヲ置イテ、斯業ノ改善刷新ヲ圖
リタイト存ジマス、右ノ理由ニ依リマシテ
有價證劵業取締法案ヲ提出致シマシタ次第
デアリマス、何卒十分御審議ノ上御協贊ア
ランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=61
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062・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=62
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063・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、昭和十二
年法律第九十二號中改正法律案委員ニ併セ
付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=63
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064・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=64
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065・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=65
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066・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際櫻內幸雄君外二十
一名提出、支那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選
擧權及被選擧權等ニ關スル法律案、〓瀨一
郞君外一名提出、支那事變ノ爲召集セラレ
タル地方議會ノ議員又ハ其ノ選擧ノ當選者
ノ資格ニ關スル法律案、及ビ中村高一君外
三名提出、支那事變ノ爲召集セラレタル者
ノ選擧權竝議員ノ資格ニ關スル法律案ノ三
案ヲ一括議題ト爲シ、其審議ヲ進メラレン
コトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=66
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067・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=67
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068・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス-政府ハ此議事日程變更ニ同意セラレ
マシタ、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、支
那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及被選擧
權等ニ關スル法律案、支那事變ノ爲召集セ
ラレタル地方議會ノ議員又ハ其ノ選擧ノ當
選者ノ資格ニ關スル法律案、支那事變ノ爲
召集セラレタル者ノ選擧權竝議員ノ資格ニ
關スル法律案、右三案ヲ一括シテ第一讀會
ヲ開キマス、順次提出者ノ趣旨辯明ヲ許シ
マス-提出者手代木隆吉君
支那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及
被選擧權等ニ關スル法律案(櫻内幸雄
君外二十一名提出)第一讀會
支那事變ノ爲召集セラレタル地方議會
ノ議員又ハ其ノ選擧ノ當選者ノ資格ニ
關スル法律案(〓瀨一郞君外一名提出)
第一讀會
支那事變ノ爲召集セラレタル者ノ選擧
權竝議員ノ資格ニ關スル法律案(中村
高一君外三名提出)第一讀會
支那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及
被選擧權等ニ關スル法律案
第一條衆議院議員又ハ北海道會法、府
縣制、市制、町村制若ハ此等ニ基キテ
發スル勅令ニ依リ設置スル議會ノ議員
ノ選擧ヲ行フ場合ニ於テ支那事變ニ際
シ召集中ナルニ因リ選擧人名簿ニ登錄
セラレザリシ者ニシテ召集ヲ解除セラ
レタルモノアルトキハ市町村長其ノ他
名簿調製義務者ハ臨時ニ其ノ者ノ選擧
人名簿ヲ調製スベシ
前項ノ選擧人名簿ニ關シ必要ナル規定
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條北海道會法、府縣制、市制、町
村制又ハ此等ニ基キテ發スル勅令ニ依
リ設置スル議會ノ議員ニシテ支那事變
ニ際シ召集中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒ
タル者召集ヲ解除セラレタルトキハ其
ノ職ニ復ス
前項ノ場合ニ於テ議員ノ數其ノ定數ヲ
超ユルトキハ議員ノ任期間其ノ議員ノ
數ヲ以テ議員ノ定數トス但シ議員中闕
員ヲ生ジタルトキハ之ニ應ジ其ノ議員
ノ定數ハ本法施行前ノ議員ノ定數ニ至
ル迄減少スルモノトス
前項ノ規定ハ選擧區アル場合ニ於テハ各
選擧區ノ配當議員數ニ付之ヲ適用ス
前三項ノ場合ニ於テ必要ナル規定ハ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
支那事變ノ爲召集セラレタル地方議會
ノ議員又ハ其ノ選擧ノ當選者ノ資格ニ
關スル法律案
第一條北海道會議員、府縣會議員若ハ
市町村會議員又ハ其ノ選擧ノ當選者ニ
シテ支那事變ノ爲召集セラレタルニ因
リ其ノ職又ハ當選ヲ失ヒタル者ハ召集
ヲ解除セラレタル日ヨリ其ノ職ヲ囘復
シ又ハ其ノ當選ヲ得
第二條北海道會議員、府縣會議員若ハ
市町村會議員又ハ其ノ選擧ノ當選者ニ
シテ前條ノ事由ニ因リ其ノ職又ハ當選
ヲ失ヒタル者アルカ爲補關選擧ノ結果
當選シタル者又ハ繰上當選ト爲リタル
者ハ前條ノ規定ノ適用ヲ生シタル場合
ト雖其ノ職ヲ失ハス此ノ場合ニ於テハ
當該北海道會、府縣會又ハ市町村會ノ
議員ノ定數ハ本條ノ議員ノ任期間當然
變更セラレタルモノト看做ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
支那事變ノ爲召集セラレタル者ノ選擧
權竝議員ノ資格ニ關スル法律案
第一條衆議院議員選擧法、北海道會法、
府縣制、市制、町村制又ハ市制若ハ町
村制ニ基キテ發スル勅令ニ依リ設置ス
ル議會ノ議員ノ選擧ニ要スル選擧人名
簿ニ支那事變ニ召集セラレタルニ因リ
登錄セラレサリシ者召集ヲ解除セラレ
タルトキハ直ニ之ヲ登錄スルコトヲ要
ス
第二條北海道會法、府縣制、市制、町
村制又ハ市制若ハ町村制ニ基キテ發ス
ル勅令ニ依リ設置スル議會ノ議員ニシ
テ支那事變ニ召集セラレタルニ因リ其
ノ職ヲ失ヒタル者任期中召集ヲ解除セ
ラレタルトキハ其ノ職ニ復ス
前項ノ場合ニ於テ議員ノ定數ハ當然變
更アリタルモノト看做ス但シ其ノ後ニ
至リ缺員ヲ生スルコトアルモ變更前ノ
定數ヲ缺カサル限リ之ヲ補充セス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=68
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069・手代木隆吉
○手代木隆吉君 此席カラ發言ノ御許ヲ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=69
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070・小山松壽
○議長(小山松壽君) 登壇ヲ願ヒマス
〔手代木隆吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=70
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071・手代木隆吉
○手代木隆吉君 只今上程ニナリマシタ支
那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及被選擧
權等ニ關スル法律案ノ提案ノ理由ヲ說明致
シマス、本案ハ支那事變ノ爲ニ召集セラレタ
ルニ依ッテ選擧權行使ノ機會ヲ失ヒ、又ハ議
員タル資格ヲ失ヒタル者ノ法律上ノ救濟ヲ
目的トスル臨時立法デアリマシテ、其骨子
トスル所ハ、第一、選擧權ノ行使ヲ遺漏ナ
カラシムルコト、第二、議員ノ資格ヲ復活
セシムルコトノ二點デアリマス、選擧權、
被選擧權行使ノ機會喪失ニ關シマシテハ、
衆議院議員選擧法第七條、北海道會法第四
條、府縣制第六條、市制第十一條、第十四
條、町村制第九條、第十二條ニ規定ガアリ
マス、尙ホ是等ノ法律ニ基イテ發スル勅令
ニ依リ設置スル議會ノ選擧、卽チ北海道ニ
於ケル一級町村及ビ二級町村、東京、大阪、
京都三市ノ區、及ビ島嶼町村ニモ、ソレ〓〓
選擧權ヲ失フ規定ガアリマス、是等ニ該當
スルモノ、卽チ今囘支那事變ニ際シ召集中
ナルニ依リ選擧人名簿ニ登錄セラレザル者
多數ニ上ルベク、今後モ之ニ該當スル者亦
多數生ゼンコトヲ思ハレルノデアリマス、
是等召集中ノ將兵ハ名譽アル帝國軍隊ノ一
員トシテ、最モ重要ナル國家ノ任務ニ就キ、
一身ヲ捧ゲテ日夜國家ノ爲ニ奮鬪セラレテ
居ルノデアリマス、而シテ軈テ赫々タル武
勳ヲ立テテ〓黨ニ迎ヘラルルノ秋、立憲國
民トシテ榮譽アル選擧權、被選擧權ヲ行使
シ能ハザルニ至リマスコトハ、誠ニ不合理
ノ次第ト存ズルノデアリマス、故ニ本法律
案ノ第一條ヲ設ケテ、其不合理ヲ除カント
スルモノデアリマス、卽チ支那事變ニ際シ
召集中ナルニ因リ選擧人名簿ニ登錄セラレ
ザリシ者ニシテ、召集ヲ解除セラレタル者
アルトキハ、市町村長其他名簿調製義務者
ハ、臨時ニ其者ノ選擧人名簿ヲ調製スルコ
トトシ、仍テ選擧權行使ヲ遺憾ナカラシメ
ントスルモノデアリマス
次ニ北海道會法、府縣制、市制、町村制、又
ハ之ニ基イテ發スル勅令ニ依ッテ設置スル
議會ノ議員ハ、召集ニ依リテ公務ニ參與ス
ルコトヲ得ザルニ至ルコトハ、府縣制第三
十七條、北海道會法第十四條、市制第十一
條、町村制第九條、北海道一級町村制第一
條北海道二級町村制第九條、島嶼町村制
第一條ニ規定スル所デアリマス、以上ノ法
律又ハ命令ニ依ッテ公務ニ參與スルコトヲ
得ザルニ至リ、議員ニ缺員ヲ生ジタルトキ
ハ、或ハ繰上又ハ補闕選擧ニ依リテ其闕員
ヲ補充スル規定デアリマスガ、前述スル如
ク召集セラレタルガ爲ニ議員ノ資格ヲ喪失
スルコトハ、應召シタル名譽アル議員ヲ遇
スル所以デアリマセヌ、此規定タルヤ本來
應召者ガ事實上公務ニ從事スルコトヲ得ザ
ル爲メ設ケラレタル缺格規定デアリマスカ
ラ、召集解除ノ場合ニハ、其當選又ハ其職
ヲ囘復スベキハ當然ナリト思フノデアリマ
ス、現行法律ニ其規定ヲ存セザルハ缺陷ナ
リト思ハレマス、仍テ本法律ノ第二條ニ其
規定ヲ設ケテ、其資格ヲ囘復セシメントス
ルモノデアリマス、而シテ應召者ノアリマ
シタ爲ニ、繰上又ハ補關選擧ニ依リ當選
シタル議員ニ對シテハ、是等ノ資格ヲ存續
セシムルコトガ、行政上却テ利益アリト思
ハレマス故、其議員ノ任期間增加シタル議
員ノ數ヲ以テ議員定數トセントスルモノデ
アリマス、但シ議員中缺員ヲ生ジタルトキ
ハ、之ニ應ジ其議員ノ定數ハ本來ノ議員ノ
定數ニ至ルマデ減少スルモノトスルノデア
リマス、而シテ此法律ノ運用上必要ナル事項
ハ勅令ヲ以テ定ムルコトト致シタク、本法
律ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行セントスルモノ
デアリマス、何卒此法案ノ趣旨ヲ御承認ノ
上ニ、速ニ本案ノ成立スルヤウ御贊成アラ
ンコトヲ望ミマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=71
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072・小山松壽
○議長(小山松壽君) 提出者立川平君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=72
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073・立川平
○立川平君 簡單デゴザイマスカラ議席ヨ
リ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=73
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074・小山松壽
○議長(小山松壽君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=74
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075・立川平
○立川平君 私ハ只今提出セラレマシタ櫻
內君外二十一名提出ノ支那事變ニ際シ召集
中ノ者ノ選擧權及被選擧權等ニ關スル法律
案ニ對シマシテ、政友會ヲ代表シテ簡單ニ提
案ノ趣旨ヲ申述ベタイト存ジマス、兵役ニ
服シ、國家事變ノ場合ニ召集ニ應ジテ戰線
ニ立ツコトハ、帝國臣民トシテ最モ光榮アル
義務デアリマス、又各種議員ノ選擧權ヲ行
ヒ、或ハ議員トナッテ其職務ヲ執行スルノ
ハ、立憲政治ノ下ニ於テ國民トシテ最モ重
大ナル義務デアリ、又權利デアルト思ヒマ
ス、固ヨリ此兩者ハ時ヲ同ジウシテ其任務
ヲ果スコトハ事實上出來マセヌガ、併ナガ
ラ一旦召集ニ應ジタルノ故ヲ以テ、選擧人
名簿ニ記載セラレズ、爲ニ召集解除ノ後モ
選擧權ヲ行フコトノ出來ナイノハ、不合理
且ツ不親切ナル立法ト思ヒマス、更ニ國民ノ
輿望ヲ擔ウテ議員トナリマシタ者ガ、一旦
召集ニ應ジタル故ヲ以テ直チニ失格シテ、
任期中召集ノ解除ヲ受ケマシテモ、議員ト
シテ其職ヲ行フコトガ出來マセヌノハ、更ニ
著シク不合理デアルト信ジマス、現事變下
ニ於キマシテ、此不合理ノ事故ガ各地ニ頻
發致シマシタノハ、全ク法ノ不備、不完ニ
因ルノデアリマス、而シテ此點ニ關シテ根
本的ニ法律ヲ改正致シマスルコトハ中々容
易デハアリマセヌ、故ニ今次事變ニ對應ス
ル爲ニ、便法トシテ此單行法ヲ提出シタノ
デアリマシテ、洵ニ已ムヲ得ザル必要ニ出
デタモノデアリマス、玆ニ提案ノ趣旨ヲ說
明致シマシテ、諸君ノ御贊成ヲ願フ次第デ
アリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=75
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076・小山松壽
○議長(小山松壽君) 提出者伊豆富人君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=76
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077・伊豆富人
○伊豆富人君 簡單デアリマスカラ議席カ
ラ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=77
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078・小山松壽
○議長(小山松壽君) 簡單ナラ宜シウゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=78
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079・伊豆富人
○伊豆富人君 私ハ只今上程セラレマシタ
〓瀨一郞君外一名提出ノ支那事變ノ爲召集
セラレタル地方議會ノ議員又ハ其ノ選擧ノ
當選者ノ資格ニ關スル法律案ノ提案理由ヲ
簡單ニ說明致シタイト思ヒマス、內容ハ前
提案者ノ說明サレタモノト、大體同樣デア
リマスカラ省略致シマス、唯本案ハ議員又
ハ當選者ノ資格ニ關スルモノニ限リ、選擧
權ニ及ンデ居ナイノデアリマス、此點ガ異
ル所デアリマス、一般的ニ戰時又ハ事變ニ
際シ召集セラレタル議員ノ職務竝ニ選擧權
ニ關シ、北海道會法、府縣制及ビ市町村制
ヲ改正スルコトノ必要ナルコトハ勿論デア
リマス、併ナガラ短時日ノ間ニ完璧ヲ期ス
ルコトハ困難デアリマスカラ、ソレハ他日ニ
讓リ、今囘ノ事變ニ限リ召集セラレタル者
ノ資格ニ關スル臨時法ヲ制定セントスルモ
ノデアリマス、是レ本案ヲ提出スル所以デ
アリマス、何卒御贊成ヲ願ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=79
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080・小山松壽
○議長(小山松壽君) 提出者中村高一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=80
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081・中村高一
○中村高一君 簡單デアリマスカラ議席カ
ラ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=81
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082・小山松壽
○議長(小山松壽君) 簡單ナラ宜シウゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=82
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083・中村高一
○中村高一君 支那事變ノ爲ニ召集セラレ
マシタ出征者ノ選擧權竝ニ議員ノ資格ニ關
シマスル法律ノ必要ヲ吾々ハ認メテ提案ヲ
致シタノデアリマス、理由ニ付キマシテハ、
他ノ諸君カラ說明ノアリマシタト殆ド同樣
デゴザイマシテ、從來選擧權ヲ失ヒ、或ハ
議員ノ資格ヲ奪ハレマスル者ハ、多クハ選
擧違反デアルトカ、或ハ犯罪ナドヲ犯シマ
シタ、懲罰ノ意味ヲ以テ行ハレルノガ本來
デアリマスルガ、日支事變ノ爲ニ出征ヲ致
シマシタ者ガ、此懲罰的ナ扱ヲ受ケル者ト
同樣ナ扱ヲ受ケテ居ルコトハ甚ダ出征軍
人ヲ遇スル上ニ於テ、大キナ缺點デアルト
私ハ信ズルノデアリマス(拍手)私達ハ出征
ヲ致シマシタ將士ヲシテ、歸ッテ參リマシタ
ナラバ、直チニ選擧權ヲ賦與シ、更ニ議員
ノ資格ヲ與ヘマシテ、戰地ニ於キマシテ得
マシタ所ノ幾多ノ經驗ヲシテ、此地方自治
體ノ上ニ活カシテ貰ヒマシテ、飽マデ國家
總動員ノ體制ノ上ニ邁進サセル機會ヲ與ヘ
ルコトガ當然ナリト思料致スノデアリマス
(拍手)此意味ニ於キマシテ本案ヲ提出致シ
マシタノデ、何卒御贊成ヲ得タイト思フノ
デゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=83
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084・服部崎市
○服部崎市君 三案ハ一括シテ議長指名十
八名ノ委員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=84
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085・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=85
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086・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=86
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087・服部崎市
○服部崎市君 委員會ニ於テ審査中ノ議案
ノ報告ヲ待ツ爲メ、此際暫時休憩セラレン
コトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=87
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088・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=88
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089・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ暫時休憩致シマス
午後三時十二分休憩
午後四時二分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=89
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090・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 休憩前ニ引續キ會
議ヲ開キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=90
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091・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出、石油資
源開發法案ヲ議題ト爲シ、委員長ノ報〓ヲ
求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=91
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092・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=92
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093・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、石油資
源開發法案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、
委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長森田福
市君
石油資源開發法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一石油資源開發法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十三年三月十日
委員長森田福市
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一政府ハ昭和十三年度分ヨリ助成金ヲ
多額ニ增加シ劃期的試掘ヲ行ハシムヘ
シ
一政府ハ本法第三條ノ施行ニ當リテハ
利益ナキ者ヨリハ之ヲ徵收セサルコト
尙納付金カ助成金ニ達シタル時ハ之カ
徵收ヲ打切ルヘシ
〔森田福市君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=93
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094・森田福市
○森田福市君 重要鑛物增產法案外一件ノ
委員會ニ併託サレマシタ石油資源開發法案
ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマ
ス
本案ハ我國ノ石油資源ヲ開發シヨウト云
フ案デアリマシテ、委員會ニ於キマシテハ、
委員諸君ヨリ燃料國策ニ付テ熱心ナル御質
疑ガアリ、政府當局ヨリ之ニ適切ナル御答
辯ガアッタノデアリマス、本法案ニ依ッテ果
シテ燃料國策ノ完全ヲ期シ得ラレルカト云
フコトニ付テハ、幾多ノ重要ナ質問ガアリ
マシタ、政府ハ之ニ對シテ向フ五箇年間ニ
石油ノ井戶二百四十本ヲ試掘スル豫定デアッ
テ、之ニ對シテハ一千三百万圓ノ助成金ヲ
出ス積リデアル、取敢ズ十三年度ニ於テハ
三十五本ノ試掘ヲ爲シ、而シテ從來二分ノ
一ノ助成金デアッタモノヲ三分ノ二、若クハ
場合ニ依ッテハ全額ノ補助ヲスル積リデアッ
テ、本年度ハ百七十万圓ノ助成金ヲ出ス豫
定ニナッテ居ルト云フ答辯ガアッタノデアリ
Wく、詳細ハ速記錄デ御承知願ヒタイト存
ジマスガ、質問ノ主ナル點ノ二三ダケヲ簡
單ニ御報告申上ゲテ置キタイト存ジマス
第一ハ法案ノ第三條ノ納付金ニ關シマシ
テ、本法ノ百分ノ二ノ納付ヲ、石油業者ノ負
擔輕減及ビ增量、增產ノ精神カラ見テ、百
分ノ一ニ改訂スルカドウカ、或ハ撤廢シテ
ハドウカト云フヤウナ意見ガアリ、又納付
金ノ助成金ハ助成金額ヲ超過シナイ方ガ宜
イヂヤナイカ、所謂助成金ノ金額ヲ以テ打
切ルベキガ至當デアルト云フ質問ニ對シテ
ハ政府ハ、百分ノ二ト云フ最高限度ヲ定メ
テ置イタノデアルカラ油田ノ狀況及ビ助成
金ノ金額ニ依ッテ、實情ニ合ウタヤウニ適用
シテ行ク方ガ宜イト考ヘテ居ル、而モ助成
金ヲ貰ッテ採掘シタ油田カラ石油ガ出ダシ
タ場合ニハ、隣礦區ノ助成金ヲ貰ハズニ、
而モ試掘ハ隣ノ礦區ノ爲ノ御蔭ニ依ッテ石
油ヲ採掘スルヤウナモノカラハ、助成金ヲ
與ヘヌデモ、是ガ納付金ヲ取ルト云フ意味
ニ於テ、此第三條ニ納付金制度ヲ設ケタノ
デアルト云フヤウナ答辯ガアッタノデアリ
マス
第二點ハ法案ノ第七條ニ關スル問題デア
リマシテ、委員會ニ於キマシテハ、此問題
ニ關シ最モ論議ガ集中セラレタノデアリマ
ス、增產及ビ日本ノ地理的狀況カラ見テ、
五十米ヲ三十米ニ境界線カラノ間隔ヲ縮小
スベキモノデアルトノ意見ガ多カッタノデ
アリマス、之ニ對シテ政府當局ハ、五十米
以內トナッテ居ルノデアルカラ、其實情ニ卽
シタヤウニ斟酌ヲ加ヘテ、委員諸君ノ意ノ
存スル所ヲ諒トシテ、適切ナル方法ヲ執ッテ
行クト云フ答辯ガアッタノデアリマス
第三點ハ石油ノ內外資源開發ニ關スル問
題デアリマシテ、現下ノ國際情勢ニ於キマ
シテ、燃料資源ヲ開發シ是ガ自給ヲ圖リマ
スコトハ、最モ緊急ノ要務デアリマスカラ、
外地資源ノ徹底的開發ヲ如何ニスルカトノ
意味ノ質問ガアックノニ對シマシテ、政府當
局ハ、資源ノ開發ニハ軍ト緊密ナル連絡ヲ
取ッテ努力スル旨ノ答辯ガアリマシタ
第四ハ「ガソリン」消費節約ト是ガ運輸業
者ニ與ヘル影響ノ問題デアリマス、此問題
ニ對シマシテ政府當局ハ、軍需ノ供給ヲ十
分ナラシメル爲ニ、將又國際收支ノ適合ヲ
全カラシメル爲ニ、消費ノ節約ヲ行フモノ
デアッテ、是ガ爲ニ業者ニ對スル影響ハ、出
來ルダケ緩和スルト云フヤウナ答辯ガアッタ
ノデアリマス
次ハ帝國燃料株式會社ノ問題デアリマス
ガ、此會社ハ昭和十二年度カラ七億五千万
圓ノ資金ト七箇年ノ計畫ヲ以テ人造石油事
業ヲ爲サントスルノデアリマスガ、此事業
ノ進行狀況如何ト云フ質問ニ對シマシテ、
政府當局ハ、內地、朝鮮、北海道、滿洲等
ニ於テ具體的ニ計畫ヲ進メテ居ルカラ、七
箇年後ニハ其計畫ノ全部ガ實現スルト云フ
答辯ガアッタノデアリマス、以上ハ本法案ニ
對スル大體ノ重要ナル質疑應答デアッタノ
デアリマス、其他ハ速記錄デ御諒承願ヒタ
イト存ジマス、質疑ヲ終リマシテ討論ニ入
リマシテ、民政黨カラ長野長廣君、政友會
カラ板谷順助君、社會大衆黨カラ川俣君、
東方會カラ小野君ガ各、〓原案ニ贊成ヲシ、各
派政友、民政ノ共同ノ提案ニ係ル附帶決議
ヲ附シテ贊成ノ意思ヲ表サレタノデアリマ
ス、但シ社會大衆黨ノ川俣君ハ、討論ノ際
ニ附帶決議ノ前者ニハ贊成スルガ、後者ノ
部ニハ贊成ハ出來ナイト云フコトデアッタノ
デアリマス、採決ノ結果ハ附帶決議ヲ附シ
テ原案ヲ可決致シタノデアリマス、附帶決
議ヲ朗讀致シマス、附帶決議ハ
ー政府ハ昭和十三年度分ヨリ助成金ヲ
多額ニ增加シ劃期的試掘ヲ行ハシムヘシ
-政府ハ本法第三條ノ施行ニ當リテハ
利益ナキ者ヨリハ之ヲ徴收セサルコト
尙納付金カ助成金ニ達シタル時ハ之カ
徵收ヲ打切ルヘシ
此附帶決議ヲ附シテ、曩ニ御報告申上ゲマ
シタ通リ原案ヲ可決シタ次第デアリマス、
此段御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=94
-
095・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 本案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=95
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096・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=96
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097・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=97
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098・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=98
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099・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
石油資源開發法案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=99
-
100・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告
通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=100
-
101・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出、社會事
業法案、商店法案及ビ簡易生命保險法中改
正法律案ノ三案ヲ一括議題ト爲シ、委員長
ノ報告ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=101
-
102・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=102
-
103・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、社會
事業法案、商店法案、簡易生命保險法中改
正法律案、右三案ヲ一括シテ第一讀會ノ續
ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマスー
委員長服部岩吉君
社會事業法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
商店法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
簡易生命保險法中改正法律案(政府提
問第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一社會事業法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十日
委員長服部岩吉
衆議院議長小山松壽殿
希望條項
一社會事業ニ對スル政府ノ助成金五十
万圓ハ小額ナリ將來之カ增額ヲ爲シ社
會事業ノ目的達成ニ努力スヘシ
地方社會事業委員會ハ原則トシテ之
ヲ各府縣ニ設置シ中央ノ委員會ト共ニ
成ル可ク多クノ地方實際家ヲ參加セシ
メテ本法ノ運用ニ資スヘシ
報〓書
一商店法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十日
委員長服部岩吉
衆議院議長小山松壽殿
希望條項
-本法實施ニ依テ使用人ニ與ヘラルル
餘暇ヲ精神修養ト體位ノ向上ニ善用ス
ヘキ適當ナル施設ヲ講スヘシ
-商店使用人ニ對シ現行健康保險法ノ
如キ社會保險法ヲ制定スヘシ
本法第三條第二項ノ特殊地域ハ極力
之ヲ制限セラルヘシ
一本法ノ施行ニ當リ警察官ハ原則トシ
テ之ニ當ラシムヘカラス
報〓書
一簡易生命保險法中改正法律案(政府提
巴
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十三年三月十日
委員長服部岩吉
衆議院議長小山松壽殿
希望條項
一簡易生命保險金額七百圓ニテハ現下
社會經濟狀勢ニ照シ小額ニ過ク政府ハ
之カ制限額ヲ將來增額セラルヘシ
-簡易生命保險事業積立金ハ社會事業
特ニ國民保健施設ニ運用セシメラレタ
シ
〔服部岩吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=103
-
104・服部岩吉
○服部岩吉君 只今上程セラレマシタ社會
事業法案、商店法案、簡易生命保險法中改
正法律案ノ各案ニ關スル委員會ノ審議ノ經
過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、申上ゲル
迄モナク各案ハ國民ノ保健竝ニ生活ノ安定
ニ關スル重要ナル法案ト致シマシテ、各委
員ニ於カセラレマシテハ、熱心ニ且ツ愼重
ニ審議セラレ、其抱懷スル諸般ノ意見ヲ
述ベテ、國務大臣竝ニ政府委員ニ對シマシ
テ質問セラレタノデアリマス
先ヅ審議ノ順序ニ從ヒマシテ、社會事業
法案カラ御報告ヲ申上ゲマス、本案ニ關シ
マシテハ、委員各位ヨリ全體的ニ又逐條的
ニ立法ノ趣旨、運用ノ方針等、仔細ニ亙リ
質疑應答ガ行ハレマシタ外、社會事業ノ現
況竝ニ將來ニ對スル政府ノ對策等ニ付キマ
シテ、熱心ナ意見ヤ質問ガ行ハレ、又本案
ニ關聯シテ國民保健ニ關シ、結核豫防其他
重要ナル問題ニ對スル意見ガ開陳サレタノ
デアリマス、詳細ノ點ハ速記錄デ御覽ヲ願
フコトニ致シマシテ、以下主ナル事項ニ付
キマシテ申上ゲマスレバ、先ヅ第一ニ、本法
ノ主眼トスル點ハ何レニアルカト云フ趣旨
ノ質問ガアッタノデアリマス、政府ハ之ニ對
シ、本法案ノ趣旨ト致ス所ハ、飽マデ社會事
業ノ健全ナル發達ヲ圖ルコトニアッテ、卽チ一
面斯業ノ助成ヲ行フト共ニ、是ガ指導監督
ノ途ヲ開キ、以テ社會事業ノ助長發展ヲ圖
ラントスルモノデアルト云フ答辯ガアッタ
ノデアリマス、第二ニハ、社會事業ニ對ス
ル政府ノ補給金ガ少額デハナイカ、之ヲ增
ス所ノ意思ハナイカト云フ趣旨ノ質問ガ相
當アッタノデアリマス、政府ハ現在ノ補助費
ハ必シモ十分デナイコトハ認メテ居ル、デ
アルカラ將來ハ財政ノ許ス限リ、之ヲ增額
シテ行クコトニ努力スル考デアルト云フコ
トノ答辯ガアッタノデアリマス、第三ニハ、
本法案ノ第八條竝ニ第九條ニ關聯致シテ、
中央及ビ地方社會事業委員會ノ委員中ニ社
會事業家ヲ參加セシメテ、法ノ適切ナル運
用ヲ助ケテ行クコトガ必要デハナイカ、又
地方社會事業委員會ヲ、原則トシテ各道府
縣ニ設置セシムル考ハナイカト云フ意味ノ
質問ガアッタノデアリマス、政府ハ之ニ對シ
テ、本法案運用ノ上カラ見テモ、社會事業
委員會ハ大切ナ機關デアルカラ、其委員中
ニハ民間ノ社會事業家中、適切ナ人物ガア
レバ之ヲ入レル考デアル、又地方ノ社會事
業委員會ハ、地方ノ實情ニ鑑ミマシテ、任
意設置ノ規定ニハナッテ居リマスルガ、出來
得ル限リ各地方ニ設置スルコトヲ勸奬スル
旨ノ答辯ガアッタノデアリマス、第四ニハ
本法案ノ制裁規定ガ、社會事業ノ性質ニ鑑
三、酷ニ失スルデハナイカト云フ意味ノ
質問ガ相當多カッタノデアリマス、政府ハ之
ニ對シテ、本法案ノ趣旨ト致ス所ハ、飽マ
デモ社會事業ノ健全ナル發達ヲ圖ルノデア
ル、優良ナルモノハ飽クマデモ是ガ助長ヲ
圖ラントスルノデアル、制裁規定ノ如キハ
眞ニ已ムヲ得ザル場合ニ限ルモノデアルト
云フ答辯ガアッタノデアリマス、以上ハ社會
事業法案ニ關スル質疑應答中ノ其重要ナル
モノデアリマス
次ニ商店法關係ニ付キマシテ、其大要ヲ
御報告申上ゲタイト存ジマス、先ヅ第一
ニ、本法ハ商店使用人ノ保護ヲ目的トセル
ニ拘ラズ、其內容ハ微溫的デアル、斯ル程
度ヲ以テ使用人ノ保護ヲ圖リ得ルヤトノ質
問ガアッタノデアリマス、政府ハ之ニ對シ、
本法ハ使用人ノ保護ヲ圖ラントスルモノデ
アルガ、是ト同時ニ一般國民ノ社會生活ニ
影響ヲ及ボスモノデアルカラ、我國ノ現狀
ニ於テハ、此程度ガ適當デアルト考ヘル、
併ナガラ將來ニ於テハ、此程度ヲ高ムル必
要ガアルヤモ知レヌトノ答辯ガアッタノデ
アリマス、第二ニハ、本案ノ實施ニ當ッテ
使用人ニ與ヘラレル所ノ餘暇ヲ、精神ノ修
養トカ、或ハ體位ノ向上等ニ善用シ得ル機
會ト施設ヲ考ヘネバナラヌト思フガ、之二
對シテ考ヲ持ッテ居ルカドウカト云フ質問
ガアッタノデアリマス、政府ハ之ニ對シマシ
テ、使用人ノ餘暇ヲ修養、體位ノ向上、訓
育等ノ方面ニ善用セシメルコトハ、極メテ
望マシイコトデアルカラ、地方廳ヲ督勵
シ、又關係團體等ヲ指導シテ、出來得ルダ
ケ此方面ニ力ヲ致シタイト思フトノ答辯ガ
アッタノデアリマス、第三ニハ、商店法第三
條第二項ノ特殊地域ノ例外規定ニ關シマシ
テ、所謂盛リ場ハ成ベク局限シテ、其制裁
ヲ嚴重ニシ、其地域ヲ少クスベキモノデアル
ト思フガ、此點ニ對スル所見ハドウデアルカト
云フ質問ガアッタノデアリマス、政府ハ之ニ對シ
マシテ、盛リ場ハ成ベク局限シテ、其例外ヲ餘
リ廣汎ニ使ハナイヤウ、其決定ニ當ッテハ十分
ニ留意スルトノ答辯ガアッタノデアリマス、第四
三、本法施行ニ當リ警察官ヲシテ之ニ當
ラシムルコトハ、種々ノ弊害ヲ生ズル場合
ガアルト思フノデ、之ニ對シテハ警察官ヲ
成ベク關與セシメナイ方ガ適當デハナイカ
トノ質問ガアッタノデアリマス、政府ハ之ニ
對シマシテ、本法ノ實施ニ當ッテハ成ベク關
係團體ヲ督勵シテ、自治的ニ法ノ属行ヲ期
セシムルヤウニ指導シテ行キタイ、斯樣ニ
考ヘテ居ル、併シ必要ニ依ッテハ警察官ヲ使
用スル場合モアルガ、其場合ニハ營業ニ支
障ヲ及ボサナイヤウニ、十二分ノ留意ヲシ
テ行キタイトノ答辯ガアッタノデアリマス、
以上ハ本法案ニ對スル質疑應答中ノ重要ナ
ルモノノ大要デアリマス
次ニ簡易生命保險法中改正法律案ノ委員
會ノ經過竝ニ其結果ヲ御報告申上ゲマス
本法案ハ、簡易生命保險ノ保險金制限額ガ
現在四百五十圓ニナッテ居リマスノヲ、更ニ
引上ゲマシテ七百圓ニ增額セントスル法律
案デアリマス、現行簡易生命保險ハ、民營
生命保險ノ補充保險トシテ、民營生命保險
ニ加入スルコトヲ困難トスルヤウナ一般庶
民ニ對シテ、生命保險制度利用ノ機會ヲ得
セシメ、其生活ノ安定ヲ保障スルコトヲ目
的トスル制度デアリマスルガ、其保險金最
高制限額トナッテ居リマス所ノ四百五十圓
ハ、十數年前ノ大正十五年ニ定メラレタル
モノデアリマシテ、社會經濟事情ノ著シク
變遷致シマシタル今日ニ於キマシテハ、此
程度ノ金額ヲ以テ致シマシテハ、本制度ノ
機能ヲ十二分ニ發揮スルコトガ困難トナッ
テ參リマシタノデ、時運ノ趨勢ニ順應シテ、
此制限額ヲ擴張シ、國民生活ノ安定上萬遺
憾ナキヲ期スルト云フノガ本案ノ骨子デア
リマス、各委員ニ於カセラレマシテハ、極
メテ熱心且ツ愼重ニ審議致サレマシテ、其
抱懷セラルヽ所ノ意見ヲ發表セラレテ、適
切ナル質問ヲセラレタノデアリマス、之二
對シ政府側ヨリハ、厚生大臣始メ厚生、商
エ、遞信各省ノ政府委員ヨリ、ソレ〓〓懇
切丁寧ナル御答辯ガアッタノデアリマスル
ガ、其詳細ハ之ヲ速記錄ニ依ッテ御覽ヲ願
フコトニ致シマシテ、其大體ニ付キマシテ
御報告ヲ申上ゲタイト思ヒマス
先ヅ第一ニ質問ヲ致サレマシタルモノハ、
國民生活安定ヲ目的トスル簡易生命保險ノ
金額制限ヲ七百圓ニ引上グル程度ニテハ、
制度ノ機能ヲ十二分ニ發揮セシムル所以デ
ナイ、何故ニ千圓マデ引上ヲ爲サナカッタノ
デアルカト云フ點デアリマシタ、之ニ對ス
ル政府ノ答辯ハ、現下ノ社會經濟狀態ニ照
シマシテ、國民生活ノ安定ヲ圖ル上ヨリ見
マスレバ、必シモ七百圓ヲバ十分トハ考ヘ
テ居ナイノデアリマスルガ、民營生命保險
ノ現狀ノ下ニ於キマシテ、今直チニ大幅ノ
引上ヲ爲スコトハ、民營保險事業ノミナラ
ズ、延イテハ經濟界竝ニ一般社會ニモ影響
ヲ及ボス懸念ガアリマスノデ、是等ノ諸點
ヲ十二分ニ考慮シテ七百圓ト決定シタト云
フ旨ノ答辯ガアッタノデアリマス、次ニ質問
セラレマシタノハ、近キ將來ニ更ニ金額制
限ノ引上ヲ爲スヤ否ヤト云フコトデアリマ
シタ、之ニ對シマシテ政府ハ、金額ノ引上
ガ民營保險事業ニ惡影響ヲ及ボス懸念ガナ
イ狀態ガ來タ曉ニ於テハ、成ベク速ニ是ガ
引上ヲ爲ス見込デアルト答辯セラレマシタ、
更ニ簡易生命保險ノ金額制限ハ、一千圓ニ
モ二千圓ニモ引上ゲル必要ガアル、換言ス
レバ、一般庶民ニ對スル生命保險ハ國營ト
爲スコトガ必要デアル、政府ハ保險國營ノ
意思ガナイカトノ質問ガアリマシタ、之ニ
對スル政府ノ答辯ハ、生命保險制度ノ本質
ニ鑑ミ、之ヲ國營ト爲スベシト論ズル人モ
アリマスルガ、現在我國ニ於テハ主トシテ
國家ノ特別ノ監督ノ下ニ、民營事業トシテ
經營サレテ居リマスノデ、其經營形態ニ急
激ナル變革ヲ加ヘルコトハ、社會各般ニ及
ボス重大ナル影響ガアリマスノデ、餘程愼
重ニ考慮スルノ必要ガアルト信ジテ居ル
トノ答辯ガアリマシタ、其外ニ簡易生命保
險事業ノ現狀ニ付テ、積立金ノ運用方針、
被保險者ノ福社施設、約款ノ內容、及
ビ民營生命保險ニ付テハ、其監督方針
等ニ付テ政府ノ現在執リツヽアル態度、
竝ニ將來ノ方針等ニ關スル質問應答ガ行ハ
レタノデアリマス、以上ガ本案ニ對スル所
ノ質疑應答中ノ主ナル大要デアリマス
討論ニ入リマシテ、此三案ヲ別々ニ討論
スルコトニ致シタノデアリマス、先ヅ第一
ニ社會事業法案ノ討論ニ入リマシタ、民政
黨ノ長野委員ヨリ
-社會事業ニ對スル政府ノ助成金五十
万圓ハ小額ナリ將來之カ增額ヲ爲シ社
會事業ノ目的達成ニ努力スヘシ
地方社會事業委員會ハ原則トシテ之
ヲ各府縣ニ設置シ中央ノ委員會ト共ニ
成ル可ク多クノ地方實際家ヲ參加セシ
メテ本法ノ運用ニ資スヘシ
此二ツノ希望ヲ附ケラレマシテ、本案ニ贊
成スルトノ意見ヲ發表サレマシタ、之ニ對
シマシテ政友會ノ野口委員、又鈴木委員、
小池委員、椎尾委員ヨリ······(「政友會ハ
人ダ、勝手ナコトヲ言フナ」ト呼ヒ其他發
言スル者アリ)言ハナクテモ分ッテ居リマ
ス-長野君ノ附ケラレタ希望條項ニ贊成シ
テ、原案ニ贊成スルトノ意見ノ開陳ガアリ
マシタ、採決ニ入リマシテ、滿場一致長野
君ノ提出サレマシタ所ノ、此希望條項ヲ附
ケマシテ原案ハ可決サレタノデアリマス
次ニ商店法デアリマス、商店法ニ付キマ
シテハ、是亦長野委員ヨリ
本法實施ニ依テ使用人ニ與ヘラルル
餘暇ヲ精神修養ト體位ノ向上ニ善用ス
ヘキ適當ナル施設ヲ講スヘキ適當ナル
施設ヲ請スヘシ
商店使用人ニ對シ現行健康保險法ノ
如キ社會保險法ヲ制定スヘシ
一、本法第三條第二項ノ特殊地域ハ極力
之ヲ制限セラルヘシ
本法ノ施行ニ當リ警察官ハ原則トシ
テ之ニ當ラシムヘカラス
斯ウ云フ希望條項ヲ附ケラレマシテ原案ニ
贊成ノ意ヲ表明サレマシタ、之ニ對シマシ
テ野口委員、鈴木委員、小池委員、椎尾委
員ヨリ、長野君カラ提案サレマシタ所ノ此
附帶希望條項ト共ニ、原案ニ贊成スルトノ
意ヲ表明サレマシテ、採決ニ入リマシテ、
滿場一致本案ハ原案通り可決サレタ譯デア
リマス
次ニ簡易生命保險ノ改正法律案デアリマ
スガ、之ニ對シマシテモ長野委員ヨリ
一、簡易生命保險金額七百圓ニテハ現下
社會經濟情勢ニ照シ、小額ニ過ク政府
ハ之カ制限額ヲ將來增額セラルヘシ
一、簡易生命保險事業積立金ハ社會事業
特ニ國民保健施設ニ運用セシメラレタシ
此希望條項ヲ附セラレマシテ、原案ニ贊成
スルトノ意思ヲ表明サレマシタ、之ニ對シ
マシテ前案同樣野口委員、鈴木委員、小池
委員、椎尾委員ヨリ、同君ノ附ケラレマシ
タ希望條項ト共ニ、本原案ニ對シテ贊成ノ
意ヲ表明サレタノデアリマス、採決ニ入リ
マシテ、此案ハ原案通り全會一致ヲ以テ可
決サレタノデアリマス
尙ホ此機會ニ鈴木委員ヨリ、特ニ本會議
ニ於テ、委員會ニ於テ希望シタ點ヲ發表シ
テ置イテ貰ヒタイト云フコトデアリマス、
社會事業法案ニ對スル希望條項デアリマス
社會事業法案ニ對スル希望條項
一、地方社會事業委員會ハ成ヘク各府縣
ニ漏レナク設置スヘシ
二、政府ハ將來社會事業助成金ヲ相當額
增加スヘシ
三、公私社會事業家八益〓斯業ノ發達助成
ノ必要アルヲ以テ本法施行ニ際シ政府
ハ此趣旨ヲ訓示シ罰則ノ規定ニ就テモ
過酷ニ失セサルヤウ善處スヘシ
四、我國社會事業ノ現狀ニ鑑ミ政府ハ速
ニ基本的社會立法ヲ整備スヘシ
商店法案ニ對スル希望條項
一、商店使用人ノ現狀ニ鑑ミ政府ハ速ニ
左ノ諸點ニ關スル保護立法ノ制定ニ努
力スヘシ
イ商店使用人ノ最低年齡ヲ制限スルコ
ト
)
ロ開店時刻ヲ規定シ使用人ノ就業時間
(
ヲ制限スルコト
乙烯的人民代
(税込)退職手當制度ヲ制定スルコト
衞生設備、特ニ療病機關ヲ整備スル
コト
ヘ理容業者ノ閉店時間ハ之ヲ午後九時
トスルコト
二、本法ノ運用ニ關シ政府ハ監督官制度
ヲ設クヘシ
簡易生命保險法改正案ニ對スル希
望條項
一、政府ハ速ニ生命保險ノ國營ヲ斷行ス
ルヤウ諸般ノ準備ヲ整フヘシ
二、政府ハ速ニ生命保險ニ對スル行政機
關ヲ統一スヘシ
三、政府ハ簡易生命保險ノ契約金額ノ最
高限ヲ千圓ニ引上クルヤウ考慮スヘシ
(拍手)
以上ヲ以テ委員會ノ經過竝ニ結果ノ報〓ト
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=104
-
105・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 三案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=105
-
106・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ三案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=106
-
107・服部崎市
○服部崎市君 直チニ三案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=107
-
108・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=108
-
109・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
社會事業法案第二讀會(確定議)
商店法案第二讀會(確定議)
簡易生命保險法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=109
-
110・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、三案共委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=110
-
111・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出、昭和十
二年法律第八十四號中改正法律案、關東局、
朝鮮總督府、臺灣總督府及樺太廳ノ各特別
會計ニ於ケル租稅收入ノ一部ニ相當スル金
額等ヲ臨時軍事費特別會計ニ繰入ルルコト
ニ關スル法律案、及ビ昭和十三年度一般會
計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債追加發行ニ關
スル法律案ノ三案ヲ一括議題ト爲シ、委員
長ノ報告ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=111
-
112・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=112
-
113・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、昭和
十二年法律第八十四號中改正法律案、關東
局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺太廳ノ各
特別會計ニ於ケル租稅收入ノ一部ニ相當ス
ル金額等ヲ臨時軍事費特別會計ニ繰入ルル
コトニ關スル法律案、昭和十三年度一般會
計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債追加發行ニ關
スル法律案、右三案ヲ一括シテ第一讀會
ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマ
ス-委員長高橋熊次郞君
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案(支那事變ニ關スル臨時軍事費支
辨ノ爲公債發行ニ關スル件)(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺
太廳ノ各特別會計ニ於ケル租稅收入ノ
一部ニ相當スル金額等ヲ臨時軍事費特
別會計ニ繰入ルルコトニ關スル法律案
(政府提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案
(政府提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案(支那事變ニ關スル臨時軍事費支辨ノ
爲公債發行ニ關スル件)(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十日
委員長高橋熊次郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺
太廳ノ各特別會計ニ於ケル租稅收入ノ
一部ニ相當スル金額等ヲ臨時軍事費特
別會計ニ繰入ルヽコトニ關スル法律案
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十日
委員長高橋熊次郞
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十日
委員長高橋熊次郞
衆議院議長小山松壽殿
〔高橋熊次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=113
-
114・高橋熊次郎
○高橋熊次郞君 臨時租稅增徵法中改正法
律案外七件ノ委員會ニ併セ付託セラレマシ
ク、只今議題トナッテ居リマスル三議案ノ
委員會ニ於ケル審査ノ經過竝ニ結果ニ付テ
御報告ヲ申上ゲマス
第一ニ支那事變ニ關スル軍事公債發行限
度ヲ增加シヨウト云フ法律案デアリマス、
支那事變ニ關スル經費ニ付キマシテハ、事
態ノ推移ニ伴ヒマシテ、更ニ四十八億五千
万圓ノ臨時軍事費ヲ增加スルコトニナッタ
ノデアリマス、而シテ其所要財源ノ中四億
三千三百十万餘圓、是ハ一般會計及ビ特別
會計ヨリノ繰入金ナドニ依リ、爾餘ノ四十
四億五千三百四十餘万圓ヲ公債財源ニ求ム
ル爲ニ、起債法律ノ發行限度法定額二十億
二千二百七十万圓ヲ、六十四億七千六百二
十万圓ニ改正シヨウト云フノデアリマス、尙
ホ本法律案ノ附則ニ於キマシテ、支那事變
ニ關スル臨時軍事費特別會計法ニ一箇條ヲ
加へ、經費出納上ノ必要ニ應ジマシテ、
時借入金ヲシタリ、又ハ融通證劵ヲ發行シ
タリ致シマシテ、機宜ノ措置ヲ講ジ得ルヤ
ウニシテ置カウト云フ改正ヲ含ンデ居ルノ
デアリマス、第二ノ法案ハ、外地ノ特別
會計ニ於ケル租稅收入ノ一部ニ相當スル金
額ヲ、臨時軍事費特別會計ニ繰入レヨウト
スル法律案デアリマス、是ハ一般會計ニ於
ケル增稅等ト略〓同趣旨ノ下ニ、關東局、朝
鮮總督府、臺灣總督府及ビ樺太廳ノ特別會
計ニ於キマシテモ、同種ノ租稅ヲ增徵致シ、
新稅ヲ創設スルト共ニ、煙草ノ値上ヲ致シ
マシテ、其收入額ノ約八割、卽チ千四百四
十餘万圓ヲ臨時軍事費特別會計ニ繰入レヨ
ウトスルノデアリマス、最後ニ赤字公債
ノ追加發行ニ關スル法律案ガアリマス、
是ハ先ノ一般會計ノ赤字公債ニ對シ、更
ニ先般本院ヲ通過致シマシタル十三年度
追加第一號豫算ニ計上サレマシタ經費ニ對
シ、其財源ノ一部ト致シテ七千三百十万圓
ヲ追加發行シヨウト云フノデアリマス
以上三ツノ法律案ニ關シマシテ、委員會
ニ於キマシテハ政府當局トノ間ニ種々質問
應答ヲ重ネマシテ、愼重審議ヲ致シマシタ、
特ニ融通證劵ノ發行方法ノコト、又證書ヲ
保管致シマシタリ、又利札ヲ預ッテ置キマ
シテ、餘リ慣レナイ地方民ノ利便ヲ圖ルト
云フコト、或ハ小額債劵ノ郵便局賣出等ニ
對シ、餘リ地方資金、詰リ軍需工業ナドニ
關係ノナイ地方ノ資金ヲ、過度ニ吸收ス
ルヤウナ方策ヲ避ケテ貰ヒタイ等ヲ含ミマ
スル、郵便局賣出ノ改善ノ方法ニ關スルコ
ト、又內地ト外地ノ稅法ニ依ル負擔ガ餘リ
ニ不權衡デアリ、懸離レテ不釣合ナル點ハ、
改ムベキコトデアルト云フヤウナ點ハ、最
モ注意ヲ要スベキ點デアリマシテ、詳細ノ
コトハ何卒速記錄ニ就テ十分御覽ヲ願ッテ
置キマス
討論ニ入リマシテ、民政黨ヲ代表シテ西村
金三郞君ヨリ、政友會ヲ代表致シマシテ東
條貞君ヨリ、社會大衆黨ヲ代表致シテ片山
哲君ヨリ、第一議員倶樂部ヲ代表シテ玉野
知義君ヨリ、第二控室ヲ代表シテ三木武夫
君ヨリ、東方會ヲ代表シテ馬場元治君ヨリ、
何レモ贊成ノ趣旨ヲ述ベラレ、特ニ政府ハ
本公債ノ發行ニ付キマシテハ十分注意ヲ拂ッ
テ、物價ノ騰貴ヲ招來セザルヤウ、萬全ノ
方策ヲ講ゼラレタキ旨ヲ强調サレタノデア
リマス、其他有益ナル希望等モ、政府ニ對
シテ熱心ニ述ベラレタノデアリマスルガ、
是等ノ諸點ハ諸君ノ御許ヲ得マシテ、全部
議事錄ニ讓ルコトト致シタイト思ヒマス、
採決ニ入リマシテ、全會一致ヲ以テ可決ニ
相成ッタ次第デアリマス、右御報〓ヲ申上ゲ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=114
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115・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 三案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=115
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116・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ三案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=116
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117・服部崎市
○服部崎市君 直チニ三案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=117
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118・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=118
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119・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案(支那事變ニ關スル臨時軍事費支辨
ノ爲公債發行ニ關スル件)
第二讀會(確定議)
關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺
太廳ノ各特別會計ニ於ケル租稅收入ノ
一部ニ相當スル金額等ヲ臨時軍事費特
別會計ニ繰入ルルコトニ關スル法律案
第二讀會(確定議)
昭和十三年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=119
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120・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、三案共委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=120
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121・服部崎市
○服部崎市君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=121
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122・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=122
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123・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會ノ
議事日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本
日ハ是ニテ散會致シマス
午後四時四十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02619380310&spkNum=123
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