1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和十三年三月十五日(火曜日)
午後一時二十三分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程第二十七號
昭和十三年三月十五日
午後一時開議
質問
一 工場其の他職場に於ける入浴設備法規制定に關する質問(小池四郎君提出)
二 東京市小河内貯水池築設に關する質問(中村高一君提出)
三 賣藥制度に關する再質問(清水留三郎君提出)
━━━━━━━━━━━━━
第一 有價證券引受業法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第二 臨時農村負債處理法案(政府提出) 第一讀會
第三 日滿司法事務共助法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 民法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 民事訴訟法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第六 外國裁判所の囑託に因る共助法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 陸上交通事業調整法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 青年禁酒法案(坂東幸太郎君外十八名提出) 第一讀會
第九 護國共同組合法案(池田秀雄君外一名提出) 第一讀會
第十 護國共同組合法案(篠原義政君外四名提出) 第一讀會
第十一 酒造税法中改正法律案(古島義英君提出) 第一讀會
第十二 入營者職業保障法中改正法律案(淺沼稻次郎君外四名提出) 第一讀會
第十三 船員保險法案(米窪滿亮君外一名提出) 第一讀會
第十四 裁判所構成法改正法律案(野田文一郎君外二十六名提出) 第一讀會
第十五 檢察廳法案(野田文一郎君外二十六名提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=0
-
001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 諸般ノ報〓ヲ致サセ
マス
〔書記官朗讀〕
一政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
小池四郞君提出工場其ノ他職場ニ於ケル
入浴設備法規制定ニ關スル質問ニ對スル
答辯書
中村高一君提出東京市小河內貯水池築設
ニ關スル質問ニ對スル答辯書
〓水留三郞君提出賣藥制度ニ關スル再質
問ニ對スル答辯書
(以上三月十五日受領)
工場其ノ他職場ニ於ケル入浴設備法規
制定ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和十三年二月十五日
提出者小池四郞
工場其ノ他職場ニ於ケル入浴設備法
規制定ニ關スル質問主意書
一支那事變勃發以來各工場、鑛山及運
輸交通業等ニ從事スル勞務者ハ夜業又
ハ殘業ノ爲歸宅後入浴ノ機ヲ逸スルノ
現狀ナルヲ以テ此ノ種ノ勞務者ノ疲勞
ヲ囘復シ體力ヲ維持スル爲是等工場其
ノ他ノ職場ニ入浴設備ヲ爲スノ必要ア
リト信ス然ルニ現在入浴設備ハ遞信、
鐵道及海軍各省關係ノ工場其ノ他ノ職
場竝一般鑛山ニ之ヲ見ルニ止マリ一般
工場ニハ殆ト入浴設備ナシ仍テ政府ハ
相當規模ヲ有スル工場其ノ他ノ職場ニ
適當ナル入浴設備ヲ爲サシムヘキ法規
ヲ制定スル考ナキヤ厚生省當局ノ答辯
ヲ求ム
二前揭既設ノ入浴設備ト雖モ其ノ多ク
ハ入浴者ノ員數ニ對比シテ施設不十分
ナルモノ多ク遲レテ入浴スル者ハ泥水
ノ如キ湯槽ニ沐浴セシメラレツツアリ
結核、丹毒、皮膚病、「トラホーム」、
破傷風及淋菌等病菌感染ノ危險ヲ思ヘ
ハ洵ニ慄然タルモノアリ政府ハ宜シク
此ノ點ニ留意シ十分ナル監督ト進歩的
ナル指針トヲ與フヘキモノト信ス仍テ
政府ハ入浴設備ノ容量、浴場ノ〓淨度
等ニ付正確ナル基準ヲ法規ニ依リ規定
スル考ナキヤ厚生省當局ノ答辯ヲ求ム
三仄聞スルニ遞信、鐵道兩省關係ノ職
場ニ於テハ旣ニ其ノ點ニ留意シ浴槽ニ
濾過裝置ヲ施シタル處アリト謂フ其ノ
實績如何又陸軍兵營ニモ以上ノ濾過設
備ヲ爲セリト聞クカ其ノ實績ニ付遞信、
鐵道及陸軍各當局ノ答辯ヲ求ム
右及質問候也
昭和十三年三月十五日
內閣總理大臣公爵近衞文麿
衆議院議長小山松壽殿
衆議院議員小池四郞君提出工場其ノ他職
場ニ於ケル入浴設備法規制定ニ關スル質
問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員小池四郞君提出工場其ノ他
職場ニ於ケル入浴設備法規制定ニ關ス
ル質問ニ對スル答辯書
-工場、鑛山及運輸交通業等ニ從事ス
ル勞務者ノ疲勞囘復、體力維持ノ爲ノ
入浴設備ニ就テハ鑛山及比較的大規模
ノ工場或ハ寄宿舍ヲ有スル工場ニ於テ
旣ニ其ノ實例尠カラズ右ハ勞務者ノ福
利施設トシテ其ノ設置ヲ勸奬スルコト
ハ必要ナルモ今直ニ法規ヲ以テ之ヲ强
制スルコトニ就テハ相當考究ヲ要スル
モノト認メラル
二病菌感染ノ危險ヲ防止スル爲入浴設
備ノ容量、浴場ノ〓淨度等ノ基準ヲ法
規ニ依リ規定スルコトニ就テハ相當考
究ヲ要スルモ右ハ入浴設備ヲ勸奬スル
ニ當リ充分留意スル方針ナリ
三イ陸軍ニ於テハ部隊ノ一部ニ市井販
賣ニ係ル浴水濾過機ヲ使用シアルモ使
用部隊數少ナキト之ガ使用ノ日時短カ
キトニ依リ適確ナル實績ヲ得ルニ至ラ
ザルモ肉眼的ニ汚濁浴水ヲ〓澄化スル
ハ相當効果アルモノノ如シ然ルニ色調、
臭氣及化學的溶質ハ殆ンド除去セラレ
ザルノミナラズ細菌學的ニモ其効果大
ナラズ依ッテ當局ニ於テモ浴水〓淨化
ニツキ一層有効ナル裝置ヲ〓究中ナリ
ロ遞信省ニ於テハ昭和十年度ニ於テ
一日五十一人以上入浴スル現業局百二
十二局ニ對シ大門式濾過機ヲ設備セリ
本機運轉ノ結果ハ浴水ハ外觀上常ニ〓
淨ヲ保持シ其ノ成績良好ナリ
ハ鐵道省ニ於テハ昭和十二年度ニ於
テ現業從事員用浴場設置數三千三百七
十一箇所ナリ浴水ノ濾過裝置ハ未ダ設
備スルニ至ラザルモ浴水ノ補給ヲ潤澤
三ハ、シヤワーニ依ル〓洗、傳染性疾
患者ノ入浴禁止等ヲ爲シ常ニ〓淨保持
ニ留意中ナリ
右及答辯候也
昭和十三年三月十五日
陸軍大臣杉山元
遞信大臣永井柳太郞
鐵道大臣中島知久平
厚生大臣侯爵木戶幸
東京市小河內貯水池築設ニ關スル質問
主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和十三年二月十九日
提出者中村高一
東京市小河內貯水池築設ニ關スル質
問主意書
東京市第二水道擴張事業トシテ東京府西
多摩郡小河內村及山梨縣北都留郡丹波山
村同小菅村ニ建設セラルル貯水池ノ工事
ニ付テハ昭和十一年七月二十二日內務大
臣ヨリ認可セラレタル所ナルカ認可書ニ
依レハ左ノ如キ附帶條項アリ卽チ
-更メテ全部ニ亙リ實施設計ヲ樹テ認
可ヲ受クルコト
一實施設計竝工事施行ニ付テハ必要ナ
ル組織及機關ヲ完備シ愼重ナル調査
攻究ヲ遂クルコト
-許可ノ日ヨリ六箇月以內ニ昭和十年
內務省令第三十六號河川堰堤規則第
四條ニ依リ工事施行ノ認可ヲ申請ス
ルコト
一工事施行ノ認可ノ日ヨリ起算シ六箇
月以内ニ堰堤ニ關スル工事ニ著手シ著
手ノ日ヨリ十年以內ニ竣工スルコト
仍テ左ノ事項ニ對シ政府ノ明確ナル答辯
フルハ
一東京市ハ事業許可指令ノ後六箇月以
內ニ實施設計竝工事施行ノ認可ノ申
請ヲ爲シタリヤ
二工事施行許可指令前ニ工事ニ著手ス
ルコトハ差支ナキヤ
三東京市ハ右ノ實施設計竝工事施行ニ
付如何ナル組織ト機關トニ依リ調査
攻究ヲ遂ケタリヤ
四東京市ノ小河内貯水池技術委員會ハ
工事施行ニ付如何ナル答申ヲ爲シタ
リヤ
五本事業ノ起債ハ今日ノ時局ニ於テモ
認可スル方針ナリヤ
六東京市カ決定シタル村民ニ交付セラ
ルヘキ用地買收費竝地上物件移轉補
償金ハ相當ナリト思料セラルルヤ
七村民ノ移住地ニ付如何ナル處置監督
ヲ爲スヤ
東京市カ計畫セル小河內貯水池ハ工事費
總額四千八百七十萬圓ノ大事業ニシテ堰
堤ノ池底ヨリノ高サ百四十六米ナリ斯ノ
如キ大貯水池ハ日本ニ於テ始メテノモノ
ニシテ若シ事業設計等ニ於テ粗漏アラム
カ日本ノ如キ地震國ニ於テハ歐米ノ此ノ
種事業ト同一ニ論スルコト能ハス下流ニ
ハ大東京市其ノ他多數ノ町村アリ萬一ノ
コトアラハ其ノ被害計リ知ルヘカラス又
本事業ニ因リ移轉ヲ强行セラルヘキ五百
戶三千人ノ居住民ハ數百年來ノ墳墓ノ地
ヲ離去スルニ當リ其ノ情ニ於テ忍ヒサル
モノアリト謂フヘシ玆ニ於テ政府ハ其ノ
物質的損害及精神的打擊ニ對シ十分ナル
補償ヲ與ヘ移住地ノ選定斡旋等ニ付テモ
之カ監督ヲ爲スヘキモノナリト思料ス
右及質問候也
昭和十三年三月十五日
內閣總理大臣公爵近衞文麿
衆議院議長小山松壽殿
衆議院議員中村高一君提出東京市小河內
貯水池築設ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯
書差進候
〔別紙〕
衆議院議員中村高一君提出東京市小河
內貯水池築設ニ關スル質問ニ對スル答
辯書
第一ニ關シテ
東京市ハ實施設計竝工事施行ノ認可ヲ
何レモ申請濟ナリ
第二ニ關シテ
工事施行ノ認可指令前ニ工事ニ著手ス
ルコトハ失當ナリ
現ニ東京市ニ於テ施行シツツアルハ材
料運搬道路ニ關スル工事及堰堤位置ニ
於ケル地質ノ調査ナリ道路工事ハ現ニ
其ノ大半ヲ竣功シ地質調査ハ表土ノ取
除キ及試錐中ナリ是レ等ノ準備工事又
ハ調査ハ何レモ小河內貯水池建設ノ本
工事ニ非ラス
第三ニ關シテ
東京市ハ實施設計竝工事施行ニ付小河
內貯水池建設事務所竝技術委員會ヲ設
ケタリ小河內貯水池建設事務所ニ付テ
ハ旣ニ所長以下職員ノ任命ヲ了シ事務
ヲ處理セシメツツアリ技術委員會ハ小
河內貯水池築造ニ關スル技術上ノ重要
事項ヲ調査審議スルヲ目的トスルモノ
ニシテ委員長及委員若干名ヲ以テ組織
ス委員ハ水道局主管助役水道局長小河
內貯水池建設事務所長及學識經驗アル
者ヨリ任命又ハ囑託スルモノニシテ委
員ノ現員ハ八名ナリ
第四ニ關シテ
技術委員會ハ小河內貯水池堰堤設計ノ
基礎ヲ爲ス左記事項ニ付審議ヲ行ヒ其
ノ內第一項乃至第五項ニ對シテハ既ニ
審議ノ結果ヲ答申シ第六項及第七項ニ
對シテハ目下審議中ニ屬ス
一堤體ノ比重
二堆砂深
三揚壓力係數
四震度
五地震ニ因ル動水壓
六「コンクリート」ノ許容壓應力
七「セメント」
第五ニ關シテ
第二水道擴張計畫ニ依ル第一期事業ハ
總工費三九、五〇〇、〇〇〇圓ノ內三
九、二三七、〇〇〇圓ヲ起債ニ求メ
昭和十一年度以降七ケ年度間ニ借入セ
ントスルモノニシテ昭和十一年度分ハ
五、七三七、〇〇〇圓ヲ許可指令シ昭
和十二年度分ハ禀請額六、〇〇〇○
〇〇圓ニ對シ起債抑制方針ニ依リ事業
ノ緊急性ヲ檢討シ工事實施上眞ニ必要
ナル限度ニ減額許可ノ見込ナリ
第六ニ關シテ
用地買收及地上物件移轉補償ハ東京市
ト關係者トニ於テ協議ノ上決定スル所
ナルヲ以テ用地買收費及地上物件移轉
補償金ハ相當額ニ決定セラルルモノト
思料ス
第七ニ關シテ
村民ノ移住地問題ニ付テハ東京府知事
ニ於テ考慮ヲナシツヽアルモ尙一段ト
督勵ヲ加へ遺憾ナキヲ期セントス
右及答辯候也
昭和十三年三月十五日
厚生大臣侯爵木戶幸一
內務大臣末次信正
賣藥制度ニ關スル再質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和十三年二月二十八日
提出者〓水留三郞
賣藥制度ニ關スル再質問主意書
昭和十三年一月二十五日本員提出「賣藥
制度ニ關スル質問主意書」ニ對シ同年二月
十五日政府ヨリ答辯書ヲ受領シタルカ該
答辯書中「全購聯ノ賣藥製造ニ關スル件」
ニ付再質問ヲ爲スノ要アリト認メ左記各
項目ニ付テ更ニ政府ノ答辯ヲ要求ス
一「全國購買組合聯合會ハ······自ラ工
場ヲ所有セザル關係上他ノ製造工場ヲ
使用シ同聯合會所屬ノ藥劑師ノ指揮監
督ノモトニ同工場ニ於テ賣藥ヲ調製ス
ルモノニシテ云々」ハ本員ノ質問ニ對
スル政府ノ答辯ナルカ全國購買組合聯
合會ノ該工場ニ於ケル賣藥ノ調製ハ全
購聯自己ノ計算ニ於テ之ヲ爲シツツア
リヤ又ハ如何ナル形式ヲ採リツツアリ
ヤ
二政府ノ答辯書ニアル使用シツツアル
他ノ製造工場ノ位置、賃借條件及該製
造工場ヲ使用シ始メタル最初ノ年月日
竝賣藥製造ヲ該製造工場ニ於テ爲スニ
當リ賣藥法ニ依ル手續ヲ爲シタル行政
官廳、行政官廳ノ責任者氏名及免許ヲ
受ケタル年月日
三全購聯カ現ニ發賣シツツアル賣藥ノ
種類及名稱竝最近一箇年間ニ於ケル各
種目ノ數量及其ノ金額
四全購聯カ現ニ發賣シツツアル賣藥ノ
發賣免許ヲ受ケタル行政官廳及免許ヲ
受ケタル各種目別年月日
五「尙產業組合トノ關係ニ就テ八五三
其ノ相剋ヲ避ケ其ノ間ニ協調方針ヲ採
ルベキコトニ決シ地方長官ニモ此ノ方
針ヲ通達シテ之ガ遂行ニ萬遺憾ナキヲ
期シツツアリ」トハ本員ノ質問ニ對ス
ル政府ノ答辯ナルカ政府カ地方長官ニ
通達シタル年月日及通牒文ノ內容
右及質問候也
昭和十三年三月十五日
內閣總理大臣公爵近衞文麿
衆議院議長小山松壽殿
衆議院議員〓水留三郞君提出賣藥制度ニ
關スル再質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員〓水留三郞君提出賣藥制度
ニ關スル再質問ニ對スル答辯書
一全購聯ガ他ノ製造工場ヲ使用シテ爲
ス賣藥調製ハ同聯合會所屬ノ藥劑師ノ
指揮監督ノ下ニ之ヲ行ヒ購入シタル材
料費及調製ニ要スル工場諸費用等ヲ合
算シテ工場主ニ支拂フモノニシテ其ノ
計算ハ同聯合會自ラ之ヲ爲スモノト認
ム
二(イ製造工場ノ位置
大阪市東淀川區下新庄町六八五ノ七
參天堂株式會社方
(ロ)賃借條件
使用工場ノ修繕費、消耗費及水道料、
電燈料、瓦斯料其ノ他ノ損料ヲ全購
聯ヨリ參天堂株式會社ニ對シ支拂ヒ
居ル趣ニシテ昭和十二年中ニ於テ合
計一万四百九十二圓餘ヲ支拂ヒ居レ
リ
(ハ使用開始年月日
昭和九年十一月二十日
(ニ)手續官廳
大阪府知事
(ホ)免許年月日
賣藥法第三條ノ規定ニ依リ昭和九年
十一月二十日屆出アリ
三全購聯ガ現ニ發賣シツツアル賣藥ノ
種類及名稱竝ニ最近ニ於ケル金額ハ大
體次ノ如シ
(イ)組合目藥、組合ふり出し藥、組合
胃腸藥、組合吸出し膏、組合皮膚藥、
組合メンソールクリーム、組合小兒
せき藥、組合あかぎれ膏、組合解熱
錠組合せき藥、組合下劑、組合頭
痛錠、組合下痢止、組合胃散、組合
外傷藥、組合驅蟲錠、組合腹痛錠、
組合小兒救命丸、組合痔疾軟膏、組
合痔疾座藥、組合赤煉藥、組合共榮
丸、組合あんま膏、組合コーボン錠、
組合赤チンキノ二十五種類
ロ)昭和十二年中全購聯ヨリ縣聯へ卸
(
種目(方名)別免許年月日
組合目藥昭和九年十月三日
組合ふり出し藥昭和九年十一月十六日
組合胃腸錠同
組合吸出し膏同同
組合皮膚藥
組合メンソール
クリーム
組合小兒せき藥
組合あかぎれ膏
組合解熱錠
組合せき藥
組合下劑
組合頭痛錠同同同同同同同同同同同同 同
組合下痢止
組合胃散
組合外傷藥
組合驅蟲錠
組合腹痛錠
組合小兒救命丸
組合痔疾軟膏昭和十年八月十二日
組合痔疾座藥同
組合赤煉藥同
(きつけぐすり)
組合共榮丸同同
組合あんま膏
組合コーボン錠昭和十二年一月三十日
組合赤チンキ昭和十二年五月三日
五地方長官宛通牒ノ內容ハ別紙寫ノ通
右及答辯候也
昭和十三年三月十五日
シタル大體ノ總額ハ百万圓程度ト認
ムルモ其ノ金額竝ニ數量ニ付テハ詳
細調査中
四全購聯ガ現ニ發賣シツツアル賣藥ノ
各種目(方名)別及其ノ免許年月日ハ次
ノ和タ
備考
昭和九年五月二十四日大阪府ニ於テ參天
堂株式會社ニ免許ノ處今般讓受免許
昭和九年十月二日大阪府ニ於テ參天堂株
式會社ニ免許ノ處今般讓受免許
同同同
同
同同同同同同同同同同同同
警視廳ニ於テ發賣免許
同
同
同同同同
農林大臣伯爵有馬賴寧
商工大臣吉野信次
厚生大臣侯爵木戶幸
〔別紙〕
一二商第一八〇三三號
昭和十二年十一月二十六日
商工次官名
農林次官名
各地方長官宛
產業組合及中小商工業者等ノ協調方針
ニ關スル件
現下ノ時勢ニ鑑ミ產業組合及中小商工業
者ハ互ニ相剋ヲ避ケ相寄リ相扶ケテ以テ
銃後ノ護ヲ完備スルノ要切ナルモノアリ
ト思料セラレ候ニ付テハ先般農林大臣官
邸ニ於テ開催セラレタル兩者代表者ノ懇
談會ニ於テ兩者間ニ協調方針ヲ採ルベキ
コトニ付意見ノ一致ヲ見タル次第モ有之
貴官ニ於テモ此ノ方針ノ遂行ニ萬遺憾ナ
キヲ期セラレ度此段及通牒候也
尙貴管下商工會議所、商業組合、工業組
合、同業組合、農會、產業組合ニ對シテ
モ此旨御示達相成度申添候
〔左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
流酸アンモニア增產及配給統制法案(以
上三月十二日提出)
臨時農村負債整理法案
(以上三月十四日提出)
一去十二日貴族院ヨリ受領シタル政府提出
案左ノ如シ
有價證劵引受業法案
一去十二日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル
左ノ政府提出案ヲ可決シタル旨同院ヨリ
通牒ヲ受領セリ
(第二號)昭和十二年度歲入歲出總豫算追
加案
(特第一號)昭和十二年度各特別會計歲入
歲出豫算追加案
(追第一號)豫算外國庫ノ負擔トナルベキ
契約ヲ爲スヲ要スル件
(臨第一號)臨時軍事費豫算追加案
(第一號)昭和十三年度歲入歲出總豫算追
加案
(特第一號)昭和十三年度各特別會計歲入
歲出豫算追加案
不動產融資及損失補償法中改正法律案
產業組合中央金庫法中改正法律案
漁業組合法中改正法律案
產業組合中央金庫特別融通及損失補償法
中改正法律案
產業組合自治監査法案
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
產師法案
提出者
野方次郞君盛島明長君
決議案(石油資源開發ニ關スル件)
提出者
菊池良一君武知勇記君
多田滿長君松田竹千代君
眞鍋儀十君手代木隆吉君
末松偕一郞君平野光雄君
松尾四郞君東武君
福井甚三君今井健彥君
志賀和多利君土倉宗明君
中井一夫君靑山憲三君
吉植庄亮君小高長三郞君
服部岩吉君窪井義道君
野中徹也君杉山元治郞君
川俣〓音君
(以上三月十二日提出)
一去十二日議長ニ於テ撤囘ヲ許可シタル議
案左ノ如シ
交通機關調整法案
提出者
田中好君綾部健太郞君
相模川堰堤築設反對ニ關スル建議案
提出者中村高一君
一昨十四日議長ニ於テ撤囘ヲ許可シタル質
問主意書左ノ如シ
宮崎縣外ノ浦港修築ニ關スル質問主意書
提出者津崎尙武君
一去十二日政府ヨリ昭和十二年三月三十一
日現在國有財產現在額總計算書及之ニ添
附スヘキ各省ノ同現在額報〓書竝會計檢
査院ノ檢査報告ヲ受領セリ
一去十二日近衞內閣總理大臣ヨリ左ノ通發
令アリタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
農林書記官石井英之助
第七十三囘帝國議會農林省所管事務政府
委員被仰付
一去十二日議長ニ於テ辭任ヲ許可シタル常
任委員左ノ如シ
第七部選出豫算委員崎山嗣朝君
一去十二日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ
如シ
兵役ノ義務ナカリシ者等ニシテ支那事變
ニ於テ陸軍部隊ニ編入セラレタルモノノ
身分取扱ニ關スル法律案(政府提出)委員
百瀨渡君大島寅吉君
伊藤東一郞君土屋〓三郞君
漢那憲和君鈴木憲太郞君
內藤守正君野方次郞君
森榮藏君田代正治君
工藤十三雄君靑山憲三君
庄晋太郞君崎山嗣朝君
永山忠則君江藤源九郞君
前川正一君今井新造君
民族優生保護法案(八木逸郞君提出)委員
靑木亮貫君北原阿智之助君
南雲正朔君八木逸郞君
土屋〓三郞君〓水留三郞君
北昤吉君川崎巳之太郞君
金澤正雄君藤井浩然君
服部岩吉君山川賴三郞君
高畠龜太郞君石井德久次君
高岡大輔君曾木重貴君
杉山元治郞君小山亮君
計理士法中改正法律案(中野治介君外一
名提出)委員
內藤正剛君池田〓秋君
平川松太郞君中山福藏君
南雲正朔君森田重次郞君
今成留之助君松木弘君
中野治介君一ノ瀨俊民君
江原三郞君小高長三郞君
松川昌藏君世耕弘一君
石坂繁君長谷長次君
中村高一君三木武夫君
一去十二日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如
シ
臨時通貨法案(政府提出)外一件委員
辭任田万〓臣君補闕加藤鐐造君
臨時租稅增徵法中改正法律案(政府提出)
外七件委員
辭任鶴惣市君補闘松村光三君
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案
(輸出入品等ニ關スル臨時措置ニ關スル
件)(政府提出、貴族院送付)委員
辭任山口忠五郞君補闕宮本雄一郞君
辭任津倉亀作君補關小林房之助君
辭任手代木隆吉君補關松田正一君
市街地建築物法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)委員
辭任佐藤啓君補闕山崎常吉君
辭任葉梨新五郞君補闕田中好君
飼料配給統制法案(政府提出)委員
辭任武田德三郞君補闕小平重吉君
農業保險法案(政府提出)委員
辭任成島勇君補關山田六郞君
辭任野溝勝君補關菊地養之輔君
國家總動員法案(政府提出)委員
辭任木下成太郞君補關坂田道男君
一昨十四日常任委員補關選擧ノ結果左ノ如
シ
第七部選出
豫算委員佐保畢雄君(崎山嗣朝君
補關)
一昨十四日常任委員理事補闕選擧ノ結果左
ノ如シ
決算委員
理事倉成庄八郞君(委員吉植庄亮君昨
十四日理事辭任ニ付其ノ補闕)
一昨十四日議長ニ於テ辭任ヲ許可シタル常
任委員左ノ如シ
第一部選出豫算委員原惣兵衞君
第一部選出決算委員國光五郞君
第四部選出決算委員松木弘君
第五部選出決算委員山口忠五郞君
第八部選出決算委員生田和平君
一昨十四日委員長及理事互選ノ結果左ノ如
シ
兵役ノ義務ナカリシ者等ニシテ支那事變
ニ於テ陸軍部隊ニ編入セラレタルモノノ
身分取扱ニ關スル法律案(政府提出)委員
委員長百瀨渡君
理事
大島寅吉君伊藤東一郞君
野方次郞君森榮藏君
民族優生保護法案(八木逸郞君提出)委員
委員長靑木亮貫君
理事
北原阿智之助君南雲正朔君
川崎巳之太郞君金澤正雄君
計理士法中改正法律案(中野治介君外一
名提出)委員
委員長松木弘君
理事
內藤正剛君池田〓秋君
中野治介君一ノ瀨俊民君
一昨十四日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如
シ
飼料配給統制法案(政府提出)委員
辭任川合直次君補關成島勇君
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案
(輸出入品等ニ關スル臨時措置ニ關スル
件)(政府提出、貴族院送付)委員
辭任松田正一君補闕手代木隆吉君
辭任池田七郞兵衞君補闕星島二郞君
重要鑛物增產法案(政府提出)外一件委員
辭任小山谷藏君補闕岡崎久次郞君
社會事業法案(政府提出)外二件委員
辭任星島二郞君補闕世耕弘一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=1
-
002・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、本日ノ日程ニ揭ゲマシタ質問一乃至三
ハ、何レモ政府ヨリ答辯書ヲ受領致シマシ
ク、仍テ日程ヨリ之ヲ省キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=2
-
003・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第七ヲ繰上ゲ上
程シ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=3
-
004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=4
-
005・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシ
ク-日程第七、陸上交通事業調整法案、
第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ
求メマス-委員長星島二郞君
第七陸上交通事業調整法案(政府提
四第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一陸上交通事業調整法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報告候也
昭和十三年三月十二日
委員長星島二郞
衆議院議長小山松壽殿
〔別紙〕
(小字ハ委員會修正)
陸上交通事業調整法案中左ノ通修正ス
第二條主務大臣公益ノ增進ヲ圖リ陸上
交通事業ノ健全ナル發達ニ資スル爲陸
上交通事業ノ調整ヲ爲サントスルトキ
ハ交通事業調整委員會ノ意見ヲ徵シ調
整ノ區域、調整スベキ事業ノ種類及範
〓之ト密接ナル關係ヲ有スル兼業ノ處置
圍〓竝ニ左ノ各號ニ依ル調整ノ方注ヲ
決定スベシ
一會社ノ合併又ハ設立
二事業ノ讓受又ハ讓渡
三事業ノ共同經營
四事業ノ管理ノ委託又ハ受託
五連絡上必要ナル線路其ノ他ノ設備
ノ新設、變更又ハ共用
六運賃又ハ料金ノ制定、變更又ハ協定
七連絡運輸、直通運輸其ノ他運輸上
ノ協定
八用品其ノ他ノ共同購入、共同修繕其
ノ他調整上必要ト認ムル方法
主務大臣ハ前項ノ決定ニ依リ陸上交通
事業經營者ニ對シ前項第一號ノ事項ノ
實施ヲ勸〓シ又ハ同項第二號乃至第八
號ノ事項ノ實施ヲ命ズベシ
第十二條陸上交通事業經營者本法若ハ
本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キ
テ爲ス處分ニ違反シタルトキハ主務大
交通事業調整委員會ノ意見ヲ徵シ
臣ハ〓左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一取締役其ノ他ノ役員ヲ解任スルコ
ト
二他人ヲシテ事業經營者ノ計算ニ於
テ事業ノ管理ヲ爲サシムルコト
三事業ノ全部又ハ一部ノ停止ヲ爲サ
シムルコト
四免許又ハ特許ノ全部又ハ一部ヲ取
消スコト
〔星島二郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=5
-
006・星島二郎
○星島二郞君 只今上程サレマシタ陸上交
通事業調整法案ニ於ケル委員會ノ經過ト結
果ヲ御報告申上ゲマス、本案ハ我國ノ交通
行政ト致シマシテハ、可ナリ劃期的ナル大
法案デアリマシタノデ、委員會ハ過グル五
日ヨリ十二日マデ、連日ニ亙リ、委員諸君
ノ實ニ熱心ナル愼重審議ガ行ハレマシタ、
本法ノ目的トスル所ハ、現在大都市其他特
殊地域ニ於キマシテ、陸上交通事業ガ併立
競爭ノ弊ニ陷ッテ居ルノヲ調整シ、サウシテ
國家的ノ不經濟ヲ除去シ、一般ノ利用大衆
ノ便益ヲ增進スルト共ニ、事業ノ健全ナル
發達ニ資スルコトヲ目的トスルノデアリマ
ス、サウシテ此事ハ一般社會ハ固ヨリ、事
業經營者側ニ於キマシテモ多年要望シテ居
リマシタコトデ、又本院ニ於キマシテモ度
度議員提出案ト致シマシテ、既ニ通過シタ
コトモアル案デアリマスノデ、本法制定ノ
趣旨ニ付キマシテハ、何レモ贊意ヲ表セラレ
タノデアリマスガ、次ノ諸點ニ付キマシテ
論議ガアリマシタ
先ヅ本法ハ地方鐵道、軌道事業、自動車
運輸事業、其他勅令ヲ以テ指定スル事業ニ
適用サレルノデアリマスガ、國有鐵道、省
營「バス」ニ適用アリヤ否ヤ、「タクシー」ハ
如何ニスルカトノ論議ガアリマシタ、之
對シテ政府カラハ、國有鐵道及ビ省營「バスL
ハ、調整上必要アル場合ハ進ンデ之ニ參加
スル決意ヲ有スルガ、國ノ事業デアルカラ、
法制ノ立前ニ於テ、直接本法ノ適用ハ受ケ
ナイ、又「タクシー」ハ多數ノ業者ニ分レテ居
ル場合ガ多ク、今直チニ之ニ適用スルコト
ハドウカト思ハレルノデ、將來必要ニ應ジ
勅令ニ依ッテ指定スル積リデアルトノ答辯
ガアリマシタ、本法ハ調査ニ關シ會社ノ合
併又ハ設立ニ付テハ勸〓ヲ爲スニ止ッテ居
ルノデアルガ、何故之ヲ勸〓ニ止メタカノ
論議ガアリ、之ニ對シテ政府カラハ、現行法
制ノ立前カラ見テ、會社ノ合併又ハ設立ニ
付テハ、勸告ニ止ムルノヲ適當ト認メル、
又ソレデ大體目的ヲ達シ得ルモノト考ヘル
旨ノ答辯ガアリマシタ、又本法デハ讓受ノ
價格ニ關シ、協議ガ調ハザルトキハ主務大
臣ガ裁定スルコトニナッテ居ルノデアルガ、
此場合如何ナル標準ヲ以テ裁定スルカトノ
質問ガアリマシタ、之ニ對シ政府ハ讓受價
格ニ付テハ事ロ一定ノ標準ヲ設ケナイコト
ガ實情ニ適スルモノトノ答ガアリマシタ、
本法デハ調整ニ關スル計畫ノ決定、協議ガ
調ハザル場合ノ裁定、其他本法ノ實際ノ運
用上、交通事業調整委員會ガ重要ナル使命
ヲ有スルモノデアリマスルガ、其組織構成
ハドウスル考デアルカトノ論議ガアリマシ
ク、之ニ對シ政府ハ、貴衆兩院議員、學識
經驗者、關係各廳高等官、地方ノ事情ニ通
曉セル者等ヲ委員トシテ、權威アル意見ヲ徵
シ、遺憾ナキヲ期スル積リデアルトノ答辯ガ
アリマシタ、又本法ハ事業ノ經營主體ニ付テ
明示シテ居ナイガ、如何ナル形態ヲ以テ最善
ナリト信ズルヤトノ論議ガアリ、之ニ對シテ
政府ハ、各地域ニ於ケル實情ニ卽シテ、最モ適
當ナル形態ニ依ル調整ヲ爲ス考デアルト答
ヘラレマシタ、更ニ制裁ハ少シク强過ギル
ノデハナイカトノ質問ニ對シマシテ、本法
ノ制裁ハ大體地方鐵道法、軌道法等ノ例ニ
倣ッタモノデアッテ、妥當ノモノト考ヘル旨
ノ答辯ガアリマシタ、本法ノ運用上ハ固ヨ
リ、將來ノ交通事業調整ノ爲ニハ、交通省
ノ如キモノヲ設置シテハ如何トノ論議ニ對
シ、行政機構ノ改革ハ行政ノ運用ヲ綜合的
ニ觀察シ、又各種行政機關ノ今日迄ノ沿革
等ヲ考慮シテ、愼重ニ決スベキ問題デアル
トノ答ガアリマシタ、其他交通事業ト密
接ナル關係ヲ有スル兼業ヲ如何ニ處置スル
カ、合併等ノ場合ニ從業員ノ待遇低下ヤ、
或ハ失業者ヲ出スヤウナコトナキヤノ質問
ニ對シマシテ、委員各位ト鐵道、內務兩當
局トノ間ニ、熱心ナル質問應答ノ交換ガ
アッタノデアリマス
ソコデ討論ニ入リマシテ、次ノヤウナ修
正案ガ出マシタ、第二條第一項中「事業ノ
種類及範圍」ノ次ニ「之ト密接ナル關係ヲ有
スル兼業ノ處置」ヲ加フ、第十二條ノ卽チ
處罰規定デスガ「主務大臣ハ」ノ次ニ「交通
事業調整委員會ノ意見ヲ徵シ」ヲ加フ、是
ガ修正デアリマス、此修正ハ民政黨ヲ代表
シテ〓水德太郞君ヨリ動議ガ提出セラレ、
之ニ對シテ政友會ヲ代表シマシテ佐藤洋之
助君ガ贊成ノ意ヲ表セラレ、社會大衆黨ヲ
代表シテ永江一夫君、第二控室ヲ代表シテ
道家齊一郞君ガ贊意ヲ表サレマシタ、而シ
テ修正ヲ含メテ本法案ヲ全員一致議決致シ
タノデアリマス、修正ニ對シマシテ、中島
鐵道大臣ヨリ十分考慮スルトノ御答辯ガア
リマシタ
尙ホ民政黨、政友會、社會大衆黨、第二
控室ノ各派カラ種々ノ希望條項ガ出マシタ
ガ、中ニハ重複シテ居リマス點モアリマス
ノデ、私ハ之ヲ整理シマシテ、其要綱ヲ申
シマスルト
一、幹線ナラザル國有鐵道、省營「バスㄴ
ヲ積極的ニ調整ニ參加セシムベシ
ニ、主務大臣ガ裁定ヲ爲ス場合ニ於テハ
裁定金額ノ算出ニ付命令其ノ他ノ方法
ニ依リ一定ノ標準ヲ定ムベシ
三、市內ニ於ケル水路交通事業ヲモ陸上
交通事業ト併セ調整スベシ
四、調整ニ當リテハ
(イ)公營ノ方針ヲ貫キ地方自治體ヲ經
營ノ主體トスルコト
(ロ)運賃ノ引上ゲヲ來サザルヤウ嚴重
ニ監督スルコト
(ハ)從業員ノ待遇ヲ低下セシメザルハ
勿論絕對ニ失業者ヲ出サザルコト
(ニ)交通事業調整委員會ノ構成ハ公平
ヲ期スルコト
等デアリマシタ、委員會ハ是等希望條項ヲ
何レモ理由アルモノトシテ可決シマシタ、
詳細ニ亙ックコトハ速記錄ニ依ッテ御承知ヲ
願フコトニ致シマシテ、委員長ハ是ダケヲ
御報告致シマス、何卒御贊同ヲ賜ランコト
ヲ御願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=6
-
007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=7
-
008・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=8
-
009・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長ノ報〓通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=9
-
010・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=10
-
011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
陸上交通事業調整法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=11
-
012・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=12
-
013・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第三乃至第六
ノ四案ヲ繰上ゲ一括上程シ、其審議ヲ進メ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=13
-
014・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=14
-
015・小山松壽
○議長(小山松毒君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、日程第
三、日滿司法事務共助法案、第四、民法中
改正法律案、第五、民事訴訟法中改正法律
案第六、外國裁判所ノ囑託ニ因ル共助法
中改正法律案、右四案ヲ一括シテ第一讀會
ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマ
ス-委員長松永東君
第三日滿司法事務共助法案(政府提
出貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第四民法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第五民事訴訟法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第六外國裁判所ノ囑託ニ因ル共助法
中改正法律案(政府提出、貴族院送
付第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一日滿司法事務共助法案(政府提出、貴
族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十二日
委員長松永東
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一勾引狀執行ノ共助ヲ受ケタルトキハ
刑事訴訟法人權尊重ノ精神ニ則リ本法
第三條ヲ活用シ其ノ實ヲ擧クヘシ
二前項ノ趣旨ヲ體シ速ニ明治四十四年
法律第五十二號司法事務共助法竝ニ本
法ノ改正ヲ爲スヘシ
報告書
一民法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十二日
委員長松永東
衆議院議長小山松壽殿
希望條項
將來根本的ニ民法改正ノ際ハ短期時
效制定ノ趣旨ニ鑑ミ第百七十四條ノ二
ニ規定セル確定權利ノ時效期間ニ關シ
相當考慮スヘシ
報〓書
一民事訴訟法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スベキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十二日
委員長松永東
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一外國裁判所ノ囑託ニ因ル共助法中改正
法律案(政府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スベキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十二日
委員長松永東
衆議院議長小山松壽殿
〔松永東君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=15
-
016・松永東
○松永東君 只今上程セラレマシタル日滿
司法事務共助法案、民法中改正法律案、民
事訴訟法中改正法律案及ビ外國裁判所ノ囑
託ニ因ル共助法中改正法律案、此委員會審
議ノ經過竝ニ其ノ結果ヲ極メテ簡單ニ御報
告申上ゲマス
右法案ハ何レモ貴族院ヲ通過シ、本院ニ
送付セラレマシテ、去ル本月三日當院本會
議ニ於テ委員ニ付託セラレタル法案デアリ
マイ、各委員ニ於カレマシテハ、私ヲ除ク
外ノ方々ハ、何レモ各派中ノ在野法曹ノ權
威者デアリマシテ、而モ其法案ノ涉外關係
事項、又ハ國民ノ權義ニ甚大ナル影響ヲ與
ヘル問題デアリマス爲メ、熱心ニ愼重ニ審
議セラレタノデアリマス、サウシテ又各〓其
抱懷スル所ヲ述ベテ、質疑セラレタノデア
リマシテ、政府亦詳細懇切ナル應答ガアッタ
ノデアリマス
先ヅ審議ノ順序ニ從ヒマシテ、日滿司法
事務共助法案カラ御報告申上ゲマス、本案
ノ要旨ハ滿洲國ニ於ケル我國ノ領事裁判
權ハ、昨年十二月一日ヨリ撤廢セラルヽコ
トトナリマシタ爲メ、兩國間ノ司法事務共
助ハ、明治三十八年法律第六十三號、外國
裁判所ノ囑託ニ因ル共助法ノ規定ニ依ルノ
外ナイノデアリマスガ、斯クテハ我國ト極
メテ密接特殊關係ニアリマスル滿洲國トノ
司法事務共助ハ、到底不十分タルコトヲ免
レナイ爲メ、本法ヲ制定シテ此缺陷ヲ補正
セントスル法案デアリマシテ、貴族院ニ於
キマシテハ本案第六條ヲ修正シタノデアリ
マスガ、政府ハ此修正ハ其趣旨原案ト同一
デアルト云フ理由デ、此修正ニ同意セラレ
タノデアリマス、委員會ニ於キマシテノ質
問ハ、先ヅ全般的ニ滿洲國司法制度竝ニ裁
判制度ノ現狀、及ビ我國在野法曹ヨリ滿洲
國司法官ヲ採用スルノ可能性如何、卽チ近
來我國ニ於ケル少壯有爲ノ在野法曹ハ、旣
ニ飽和狀態ニアリマスルカラシテ、單ニ在
朝法曹中ヨリ採用スルノミニ止メズ、滿洲
國ヲシテ等シク在野法曹ヨリ採用スルノ途
ヲ打開シ得ルヤ等ノ質問ニ對シマシテ、政
府ヨリ同國ノ司法制度竝ニ裁判制度ハ、事
實上日本ニ於ケルト同樣ノ發達過程ニアッ
テ、在滿我ガ國民ノ權義ニ關シマシテハ、
毫モ憂慮スベキ事實ナキコト、更ニ在野法
曹採用ノ點ニ付キマシテモ、滿洲國ノ制度
整備ニ伴ヒ、實現ノ意圖アルコトヲ仄聞シ
テ居ルト云フ旨ノ御答辯ガアリマシテ、逐
條審議ニ入ッタノデアリマス、法文ノ解釋及
ビ其執行ニ付テモ、色々ノ質疑應答ガ重ネ
ラレタノデアリマスガ、其主ナルモノハ本
案第六條ニ關スル事項デアリマス、卽チ滿
洲國ニハ豫審制度ガアリマセヌ、隨テ檢事
ハ廣汎ナル權限ヲ與ヘラレテ居ルノデアリ
マス、此廣汎ナル權限ヲ持ッテ居ル滿洲國檢
事カラ、直チニ共助ヲ求メラレタ場合、日
本國ガ之ニ應ズルトスルナラバ、豫審ニ依
ラズシテ强制處分ヲ受ケルコトトナリマシ
テ、著シク人權ヲ蹂躪セラルヽ虞ハナイカ
ト云フ點ノ質問ガアリマシタ、之ニ對シテ
政府ハ、右法案第二條、第三條等ノ規定ニ
依ッテ、人權尊重ノ實ヲ擧ゲ得ル旨ノ答辯ヲ
セラレタノデアリマス、其他種々ノ質疑應
答ガ重ネラレタノデアリマスガ、詳細ハ速
記錄ニ就テ御一覽ヲ願ヒタイノデアリマス
次ニ民法中改正法律案ニ付テ御報告申上
ゲマス、此法律案ノ要旨ハ、民法中三箇所
ヲ改正セントスルモノデアリマス、卽チ其
一ハ、民法法人ニ關スル登記期間ノ改正、其
二ハ、相手方ノ不明ナル場合、又ハ其所在不
明ナル場合ニ付テ意思表示ノ方法ヲ設クル
コト、其三ハ、所謂短期時效ノ定アル權利モ、
判決、裁判上ノ和解、其他是ト同樣ノ效力
ヲ有スルモノニ依ッテ確定致シマシタ場合
ハ、爾後通常ノ債權ト同樣ニ、消滅時效期
間ヲ十年ニスル改正案デアリマス、質疑應
答ノ重ネラレマシタノハ、右ノ第三ノ時效
ノ問題デアリマス、卽チ質問ノ要點ハ、第
一ニ民法第百七十四條其他ニ於テ短期時效
ヲ定メマシタノハ、各其債權ノ性質ヨリ出デ
テ居ルノデアル、然ルニ確定判決又ハ是ト
同樣ナル確定ノ方法ヲ採ッタト致シマシテ
千、其本質ヲ變更スベキ謂レガナイ、例へ
バ月給又ハ日傭人ノ給料、旅店、料理屋等
ノ債權ガ判決確定致シタガ故ニ、其本質ヲ
變更シテ、一般債權ト同一視スルト云フノ
ハ、不合理デハナイカト云フ點デアリマス、
第二ニ、改正法案ハ債權者擁護ニ偏重スル
ノ嫌ナキヤ、卽チ前陳ノ如キ債權本來ノ性
質ヨリシテ、短期時效ノ制度ガ設ケラレテ
居ルノデアッテ、例ヘバ債權者ハ旅店、料理
屋、待合等ノ仕拂ハ、僅々一年ノ時效デ債
務ヲ免ルヽニ拘ラズ、判決ガ確定致シマシ
タガ故ニ、十年間是ガ辨濟ニ苦シマナケレバ
ナラヌノハ、餘リニ債務者ニ對シテ苛酷デハ
ナイカト云フ點、第三ニハ、更ニ改正案ハ
資本階級保護ニ厚キ嫌ガナイカ、斯ウ云フ風
ナ質問ガアッタノデアリマス、之ニ對シマシ
テ政府答辯ノ要旨ハ、元來苟モ債務ノ存ス
ルコトガ明確ナル場合ニハ、時效ニ依ッテ之
ヲ免ルヽコトハ褒ムベキコトデハナイ、併
シ時ノ經過ニ伴ッテ證明ノ材料ガ散逸シ、債
權ノ存在ガ不分明ニナリ易イ等ノ理由カラ、
民法短期時效ノ規定ガ設ケラレタノデアル
カラ、旣ニ確定判決ヲ得タル以上ハ、證據
ガ無クナルヤウナコトハナカラウカラ、色々
ノ點ヲ考慮シテ改正法案ヲ出シタノデア
ルト云フヤウナ答辯ガアッタノデアリマス
次ニ民事訴訟法中改正法律案ニ付テ申上
ゲマス、此改正法案ハ現行民事訴訟法中五
箇所ヲ改正セントスルモノデアリマスガ、
質問ノアリマシタ主ナル點ハ、第二百三十
六條中新設セラレタル第六項ノ「訴ノ取下ノ
書面ノ送達アリタル日ヨリ三月內ニ相手方
カ異議ヲ述ヘサルトキハ訴ノ取下ニ同意シ
タルモノト看做ス」云々ノ、三箇月ノ期間ハ
長過ギハシナイカト云フ質問ガアリマシタ、
之ニ對シテ政府ヨリ、遠隔ノ地ニ居ル當事
者ノ事モ考慮シタルノミナラズ、其期間中
ト雖モ訴訟ハ進行スルノデアルカラ、訴訟
ノ遲延ヲ來ス虞モナイト云フ答辯ガアッタ
ノデアリマス
次ニ外國裁判所ノ囑託ニ因ル共助法中改
正法律案ニ付テ御報告申上ゲマス、此改正
法案ハ我國ト外國トノ條約ノ結果改正セラ
ルヽ法案デアリマス、隨テ本案ニ對シテハ
何等ノ質疑ヘナカッタノデアリマス
以上ハ四案ニ對スル委員會ノ質疑應答ノ
大要デアリマスガ、討論ニ入リマシテ、右
四案ヲ一括シテ討論スルコトニ致シマシタ、
先ヅ民政黨ヲ代表シテ內藤正剛君ヨリ、日
滿司法事務共助法案ニ對シテ、左ノ附帶決
議ヲ附セラレマシタノデアリマス、今之ヲ
朗讀致シマス
-勾引狀執行ノ共助ヲ受ケタルトキハ
刑事訴訟法人權尊重ノ精神ニ則リ本法
第三條ヲ活用シ其ノ實ヲ擧クヘシ
二前項ノ趣旨ヲ體シ速ニ明治四十四年
法律第五十二號司法事務共助法竝ニ本
法ノ改正ヲ爲スヘシ
以上ノ附帶決議ヲ附シテ本案貴族院修正案
ニ贊成ノ意見ヲ表シ、更ニ民法中改正法律
案ニ對シテハ、本法改正アルモ決シテ資本
家擁護ノ立場ニアラザルコトハ今迄裁判
ニ現レタル統計ニ依ルモ、彼此レ對照セバ、
中小商工業者ニ支障ヲ現ハシテ居ルコトガ
明デアリマシテ、現ニ金錢債務臨時調停法
其他商事調停法等、種々緩和スル規定モア
ル今日、旣ニ確定判決迄アル場合、從來權
利主張ノ觀念ノミ强ク、動モスレバ義務履
行ノ觀念ガ劣ル傾キアル時弊ニ鑑ミ、義務
履行ヲ强メル趣旨ヨリ、多少長キヤウノ感
アルモ、將來ハ考慮スルコトトシ、左ノ希
望條項ヲ附セラレタノデアリマス、今之ヲ
朗讀致シマス
將來根本的ニ民法改正ノ際ハ短期時效
制定ノ趣旨ニ鑑ミ第百七十四條ノ二ニ
規定セル確定權利ノ時效期間ニ關シ相
當考慮スヘシ
ト云フ希望條項ヲ附シテ、民事訴訟法中改
正法律案及ビ外國裁判所ノ囑託ニ因ル共助
法中改正法律案ト共ニ、原案ニ贊成ノ意思
ヲ表明セラレタノデアリマス、次ニ政友會
ヲ代表シテ中野治介君、第一議員倶樂部ヲ
代表シテ長谷長次君ヨリ、各自右內藤君ノ
提案セラレマシタ日滿司法事務共助法案ニ
對スル附帶決議及ビ民法中改正法律案ニ對
スル希望條項ト共ニ、內藤君ト同樣ノ贊成
ヲ表明セラレマシタ、次ニ社會大衆黨ヲ代
表シテ中村高一君ヨリ、民法中改正法律案
中第百七十四條ノ二ニ對シテハ反對デア
ル、其理由ハ一、此改正ハ時勢ニ逆行スル改
正デアル、現ニ農地法ヲ制定シ小作人階級
ノ保護ヲ全カラシメントシ、更ニ借地借家
法ヲ全國ニ施行シ、以テ借地借家人階級ヲ
擁護セヨトノ輿論盛ナル今日、此改正ハ資
本家擁護ニ墮スル虞ガアル、二、提出ノ方
法ニ無理ガアル、卽チ時效制度ノ如キ權利
ノ本質ニ關スル法律ハ、民法ノ根本的改正
ノ際之ヲ爲スベキデアル、政府ハ現ニ民法
ノ時代ニ順應セザル點アルヲ認メ、根本的
改正案ノ草案中トノコトデアルカラ、若シ
改正ノ必要アリトスルナラバ、其際ニ爲ス
ベキデアルト云フ理由ヲ以テ反對ノ意見ヲ
表明スル、本法案中ノ他ノ改正案及ビ外三
案ニ對シテハ、內藤委員ノ提案ニ贊意ヲ表
シ、內藤委員ト同樣貴族院ノ修正案及ビ原
案ニ贊成セラレマシタ
仍テ只今申上ゲマシタ審議情勢ノ下ニ各
案ノ採決ニ入リマシタ、卽チ其結果ハ、先
ヅ一、日滿司法事務共助法案ニ對シテハ
貴族院修正通リ全會一致可決、二、民法申改
正法律案ニ對シテハ、中村高一君ヲ除ク外
ハ全部原案ニ贊成セラレマシテ多數可決、
三、民事訴訟法中改正法律案及ビ外國裁判
所ノ囑託ニ因ル共助法中改正法律案ヲ一括
シテ採決致シマシテ、兩案共全會一致原案
ヲ可決致シタノデアリマス、以上ノ通リ決
定シタノデアリマス、詳細ハ速記錄ニ就テ
御一覧ヲ御願致シマス、何卒委員會ノ熱心
ナル審議ノ結果ヲ尊重セラレマシテ、委員
長ノ報告通リ決定セラレンコトヲ切望スル
次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=16
-
017・小山松壽
○議長(小山松壽君) 四案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=17
-
018・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ四案ノ第二讀會ヲ開クコトニ決シ
マシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=18
-
019・服部崎市
○服部崎市君 直チニ四案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=19
-
020・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=20
-
021・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ四案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
日滿司法事務共助法案
第二讀會(確定議)
民法中改正法律案第二讀會(確定議)
民事訴訟法中改正法律案
第二讀會(確定議)
外國裁判所ノ囑託ニ因ル共助法中改正
法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=21
-
022・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、四案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程
第一、有價證劵引受業法案ノ第一讀會ヲ開
キマス-太田大藏政務次官
第有價證劵引受業法案(政府提出、
貴族院送付)第一讀會
有價證劵引受業法案
有價證劵引受業法
第一條本法ニ於テ有價證劵引受業トハ
有價證劵ノ引受又ハ募集ノ取扱ヲ爲ス
營業ヲ謂フ前項ノ有價證劵ノ種類ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條有價證劵引受業ハ主務大臣ノ免
許ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ營ムコトヲ
得ズ
第三條有價證劵引受業ハ資本金二百萬
圓以上ノ株式會社ニ非ザレバ之ヲ營ム
コトヲ得ズ
第四條第二條ノ免許ヲ受ケタル者(以
下證劵引受會社ト稱ス)ハ有價證劵引
受業ニ附隨スル業務又ハ有價證劵ノ賣
買若ハ其ノ媒介ノ外他ノ業務ヲ營ムコ
トヲ得ズ但シ主務大臣ノ許可ヲ受クル
トキハ此ノ限ニ在ラズ
第五條證劵引受會社ハ他ノ法律ノ制限
ニ拘ラズ社債募集ノ委託ヲ受ケ又ハ社
〓募集ノ委託ヲ受ケタル會社ナキニ至
リタル場合ノ事務承繼者ト爲ルコトヲ
得
第六條證劵引受會社ハ左ノ場合ニ於テ
ハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
-商號ヲ變更セントスルトキ
二資本金ヲ變更セントスルトキ
三支店其ノ他ノ營業所又ハ代理店ヲ
設置セントスルトキ
四本店其ノ他ノ營業所ノ位置ヲ變更
セントスルトキ
第七條證劵引受會社ノ合併ハ主務大臣
ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ
生ゼズ
第八條證劵引受會社ハ資本ノ總額ニ達
スル迄ハ利益ヲ配當スル每ニ準備金ト
シテ其ノ利益ノ十分ノ一以上ヲ積立ツ
ベシ
第九條證劵引受會社ノ營業年度ハ六月
ヨリ十一月迄及十二月ヨリ五月迄トス
第十條證劵引受會社ハ營業年度每ニ業
務報告書ヲ作成シテ之ヲ主務大臣ニ提
出スベシ
第十一條證劵引受會社ハ營業年度每ニ
主務大臣ノ定ムル樣式ニ依リ貸借對照
表ヲ作成シ新聞紙ニ依リ之ヲ公〓スベ
シ
第十二條主務大臣ハ何時ニテモ證劵引
受會社ヲシテ其ノ業務ニ關スル報〓ヲ
爲サシメ又ハ其ノ帳簿書類ヲ提出セシ
ムルコトヲ得
第十三條主務大臣ハ何時ニテモ部下ノ
官吏ニ命ジテ證劵引受會社ノ業務及財
產ノ狀況ヲ檢査セシムルコトヲ得
第十四條主務大臣ハ證劵引受會社ノ業
務又ハ財產ノ狀況ニ依リ必要ト認ムル
トキハ業務ノ停止ヲ命ジ其ノ他必要ナ
ル命令ヲ爲スコトヲ得
第十五條證劵引受會社ガ法令、定款若
ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ
害スベキ行爲ヲ爲シタルトキハ主務大
臣ハ業務ノ停止若ハ取締役、監査役ノ
改任ヲ命ジ又ハ營業ノ免許ヲ取消スコ
トヲ得
第十六條主務大臣ハ業務ノ停止ヲ命ゼ
ラレタル證劵引受會社ニ對シ其ノ整理
ノ狀況ニ依リ必要ト認ムルトキハ營業
ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第十七條主務大臣ノ免許ヲ受ケズシテ
有價證劵引受業ヲ營ミタル者ハ五千圓
以下ノ罰金ニ處ス
第十八條左ノ場合ニ於テハ取締役、監
査役又ハ支配人ヲ千圓以下ノ罰金ニ處
ス
一第十條ノ規定ニ違反シ業務報告書
ヲ提出セズ又ハ虚僞ノ業務報告書ヲ
提出シタルトキ
二第十一條ノ規定ニ違反シ公〓ヲ爲
サズ又ハ虛僞ノ公〓ヲ爲シタルトキ
三第十二條ノ規定ニ依ル命令ニ違反
シ報〓ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報告ヲ爲
シ又ハ帳簿書類ヲ提出セザルトキ
四第十三條ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒
ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルトキ
第十九條左ノ場合ニ於テハ取締役、監
査役又ハ支配人ヲ十圓以上千圓以下ノ
過料ニ處ス但シ其ノ行爲ニ付刑ヲ科ス
ベキトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四條、第六條又ハ第八條ノ規定
ニ違反シタルトキ
二第十條ノ規定ニ依ル業務報告書ノ
提出又ハ第十一條ノ規定ニ依ル公〓
ヲ怠リタルトキ
三本法ニ基キテ爲ス命令ニ違反シタ
ルトキ
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ニ定ムル過料ニ之ヲ
準用ス
第二十條銀行、信託會社又ハ特別ノ法
律ニ依リ設立セラレタル法人ニシテ有
價證劵引受業ヲ營ム者ニハ本法ヲ適用
セズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ有價證劵引受業ヲ營ム
者又ハ其ノ營業ヲ承繼シタル者ハ本法施
行ノ日ヨリ三月ヲ限リ第二條ノ規定ニ拘
ラズ其ノ營業ヲ爲スコトヲ得
前項ニ揭グル者前項ノ期間內ニ第二條ノ
免許ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ
對スル免許又ハ不免許ノ處分ノ日迄亦前
項ニ同ジ
本法施行ノ際迄一年以上引續キ有價證劵
引受業ヲ營ム者第二項ノ期間內ニ免許ヲ
申請スルトキハ本法施行後二年ヲ限リ第
三條及第四條ノ規定ヲ適用セズ
〔政府委員太田正孝君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=22
-
023・太田正孝
○政府委員(太田正孝君) 只今議題トナリ
マシタ有價證劵引受業法案ニ付テ御說明致
シマス、御承知ノ如ク今日公社債ノ發行ハ、
銀行債等一部特殊ノモノヲ除キ、其大部分
ガ銀行、信託會社、又ハ證劵引受業者ノ手
ヲ經テ行ハレテ居ルノデアリマス、隨テ一
般金融政策ノ上カラ見マシテモ、亦生產力
擴充ニ要スル資金調達ノ點カラ考ヘマシテ
モ、證劵引受業者ノ地位ハ重要ナルモノガ
アルノデアリマス、ソレニモ拘ラズ今日マ
デ之ニ對シ政府ニ於テ監督ヲ爲シ得ル途ガ
ナカッタ爲ニ、尠カラズ不便ノ點ガアリマシ
タノデ、今囘是等業者ノ業務ニ付キ監督ヲ
加フルト共ニ、一面其業務ノ堅實ナル發展
ヲ期スル爲メ、玆ニ本法律案ヲ提出致シタ
次第デアリマス、何卒御審議ノ上御協賛ア
ランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=23
-
024・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=24
-
025・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、昭和十二
年法律第九十二號中改正法律案委員ニ併セ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=25
-
026・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=26
-
027・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第二、
臨時農村負債處理法案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-助川農林參與官
第二臨時農村負債處理法案(政府提
出)第一讀會
臨時農村負債處理法案
臨時農村負債處理法
第一條本法ハ支那事變又ハ支那事變ニ
際シテノ滿洲ニ於ケル軍事行動ニ關シ
戰鬪其ノ他ノ公務ニ從事シ爲ニ死歿シ
タル者ノ遺族又ハ之ガ爲傷痍ヲ受ケ若ハ
疾病ニ罹リタル者若ハ其ノ家族ニシテ
農山漁村ニ居住スルモノ(以下戰死傷
者遺家族ト稱ス)ノ經濟更生ヲ圖ル爲其
ノ負債ヲ處理スルコトヲ目的トス
戰死傷者遺家族ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之
マルナ人
第二條本法ニ於テ負債トハ戰死傷者遺
家族ノ負擔スル私法上ノ金錢債務ヲ謂
フ
前項ノ債務ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
第三條戰死傷者遺家族本法ニ依リ負債
ヲ處理セントスルトキハ本人又ハ市町
村長其ノ他命令ヲ以テ定ムル者ハ道府
縣臨時負債處理委員會(以下委員會
ト稱ス)ニ對シ命令ノ定·ル所ニ依リ
其ノ旨ヲ申出ヅルコトヲ得
委員會前項ノ申出ヲ受理シタルトキハ
命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ戰死傷者遺
家族及債權者間ニ於ケル負債ノ金額、
利率、償還期限、償還方法其ノ他ノ條
件ノ緩和ニ關スル協定ニ付斡旋ヲ爲シ
其ノ者ノ負債處理計畫ヲ樹立スベシ
委員會ノ組織、權限其ノ他必要ナル事
項ハ本法ニ定ムルモノヲ除クノ外勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第四條戰死傷者遺家族前條第二項ノ規
定ニ依ル斡旋ノ終了前同條第一項ノ申
出ノ受理アリタル負債ノ全部又ハ一部
ニ付辨濟、相殺又ハ更改ヲ爲サントス
ルトキハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除ク
ノ外命令ノ定ムル所ニ依リ委員會ノ承
認ヲ受クベシ但シ債務者ハ之ガ爲ニ遲
延ニ因ル損害賠償ノ責任ヲ免ルルコト
ヲ得ズ
戰死傷者遺家族前項ノ承認ヲ受ケズシ
テ其ノ負債ノ全部又ハ一部ニ付辨濟、
相殺又ハ更改ヲ爲シタルトキハ委員會
ハ其ノ者ノ負債處理ノ申出ニ付取消ア
リタルモノト看做スコトヲ得
第五條委員會必要アリト認ムルトキハ
第三條第一項ノ申出ヲ受理シタル負債
ニ付金錢債務臨時調停法ニ依ル調停ノ
開始ヲ求ムルコトヲ得
第六條第三條第一項ノ申出ノ受理アリ
タル負債ニ付金錢債務臨時調停法ニ依
ル調停事件繋屬スルトキハ裁判所又ハ
調停委員會ハ同條第二項ノ規定ニ依ル
斡旋ノ終了ニ至ル迄其ノ調停手續ヲ中
止スルコトヲ得
第七條負債整理組合又ハ市町村負債整
理委員會ハ第三條第一項ノ申出ノ受理
アリタル負債ニ付テハ命令ノ定ムル所
ニ依リ同條第二項ノ規定ニ依ル斡旋ノ
終了ニ至ル迄負債ノ條件ノ緩和ニ關ス
ル協定ノ斡旋ヲ休止スベシ
第八條委員會必要アリト認ムルトキハ
期日及場所ヲ定メ當事者ヲ呼出スコト
ヲ得
委員會ハ斡旋ノ結果ニ付利害關係ヲ有
スル者ノ參加ヲ求ムルコトヲ得
第九條當事者及利害關係人ハ自身出頭
スルコトヲ要ス但シ已ムコトヲ得ザル
事由アルトキハ委員會ノ許可ヲ受ケ代
理人ヲシテ出頭セシメ又ハ輔佐人ヲ同
伴スルコトヲ得
委員會ハ何時ニテモ前項ノ許可ヲ取消
スコトヲ得
第十條市町付負債整理委員會其ノ他命
令ヲ以テ定ムルモノハ委員會ノ請求ア
リタルトキハ本法ニ依ル負債ノ處理ニ
關シ意見ヲ具申シ又ハ調査ヲ爲スベシ
第十一條市町村又ハ產業組合中央金庫
ハ本法ニ依ル負債處理ヲ助成スル爲必
要アリト認ムルトキハ戰死傷者遺家族
又ハ負債整理組合ニ對シ主務大臣ノ定
ムル所ニ依リ特別融通ヲ爲スコトヲ得
產業組合中央金庫ノ爲ス前項ノ特別融
通ハ所屬信用組合ガ農村負債整理組合
法第八條ノ規定ニ依リ負債整理事業ヲ
行フ場合又ハ所屬信用組合ガ其ノ組合
員タル戰死傷者遺家族又ハ負債整理組
合ニ對シ負債處理資金ヲ融通スル場合
ニ於テ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ信用
組合ニ對シ之ヲ爲スモノトス
日本勸業銀行、農工銀行又ハ北海道拓
殖銀行(以下融資銀行ト稱ス)ハ戰死傷
者遺家族ニ對シ主務大臣ノ定ムル所ニ
依リ特別融通ヲ爲スコトヲ得
第十二條市町村、產業組合中央金庫又
ハ融資銀行ガ前條ノ規定ニ依リ特別融
通ヲ爲スコトヲ得ル期間ハ本法施行ノ
日ヨリ勅令ヲ以テ定ムル日迄トシ其ノ
融通ノ期限ハ本法施行ノ日ヨリ二十五
年ヲ超ユルコトヲ得ズ
第十三條產業組合中央金庫特別融通及
損失補償法第三條及第四條ノ規定ハ產
業組合中央金庫ガ第十一條ノ規定ニ依
ル特別融通ヲ爲ス場合ニ、農村負債整
理資金特別融通及損失補償法第三條竝
ニ不動產融資及損失補償法第四條及第
五條ノ規定ハ融資銀行ガ第十一條ノ規
定ニ依ル特別融通ヲ爲ス場合ニ之ヲ準
用ス
第十四條北海道府縣ハ第十一條ノ規定
ニ依ル特別融通ヲ爲スニ因リ市町村ガ
損失ヲ受ケタルトキ之ニ對シ其ノ特別
融通總額ノ十分ノ六以內ノ金額(市町
村ニ對スル損失補償金)ヲ補償スルノ
契約ヲ爲スコトヲ得
政府ハ前項ノ損失補償ノ契約ニ基キ北
海道府縣ガ損失補償ヲ爲シタルトキ之
ニ對シ其ノ市町村ニ對スル損失補償金
ノ三分ノ二ニ相當スル金額ヲ補給スル
ノ契約ヲ爲スコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ北海道府縣ガ市町
村ニ對シテ爲ス損失補償ノ契約ニ於テ
ハ北海道府縣ノ市町村ニ對スル損失補
償金中其ノ六分ノ一ニ相當スル金額ヲ
當該市町村ニ於テハ負擔スベキ旨ヲ定
ムベシ但シ特別ノ事由アルトキハ命令
ノ定ムル所ニ依リ市町村ノ負擔スベキ
金額ノ割合ニ付別段ノ定ヲ爲シ又ハ市
町村ヲシテ負擔ヲ爲サシメザルコトヲ
得
第十五條政府ハ第十一條ノ規定ニ依ル
特別融通ヲ爲スニ因リ產業組合中央金
庫又ハ融資銀行ガ損失ヲ受ケタルトキ
ハ產業組合中央金庫ニ對シテハ其ノ特
別融通總額ノ十分ノ六以內、融資銀行
ニ對シテハ其ノ特別融通總額ノ十分ノ
四以內ノ金額ヲ補償スルノ契約ヲ爲ス
コトヲ得
第十六條第十四條第一項及前條ノ損失
ヲ決定スル基準ハ主務大臣大藏大臣ニ
協議シテ之ヲ定ム
第十七條第十四條第二項及第十五條ノ
規定ニ依ル政府ノ補給金及補償金ト農
村負債整理資金特別融通及損失補償法
第五條第二項及第六條ノ規定ニ依ル政
府ノ補給金及補償金トノ合計額ハ同法
第八條ノ規定ニ依ル補給金及補償金ノ
總額ノ限度ヲ超エザルモノトス
第十八條第十一條ノ規定ニ依ル特別融
通ヲ爲シタルニ因リ市町村、產業組合
中央金庫又ハ融資銀行ノ受ケタル損失
及其ノ額ハ農村負債整理資金特別融通
及損失補償法第九條ノ負債整理資金特
別融通損失審査會之ヲ決定ス
第十九條第十四條第二項及第十五條ノ
契約ニ基キ政府ガ北海道府縣、產業組
合中央金庫及融資銀行ニ對シ支拂フベ
キ補給金又ハ補償金ハ國債證劵ヲ以テ
之ヲ交付スルコトヲ得
第二十條政府ハ前條ノ規定ニ依リ交付
スル爲必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ發
行スルコトヲ得
第二十一條本法ニ依リ交付スル國債證
劵ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大
臣之ヲ定ム
第二十二條農村負債整理組合法第八條
ノ規定ニ依リ負債整理事業ヲ行フ法人
ハ本法ノ適用ニ關シテハ之ヲ負債整理
組合ト看做ス
第二十三條本法中町村トアルハ町村制
ヲ施行セザル地ニ於テハ之ニ準ズベキ
モノトス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員助川啓四郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=27
-
028・助川啓四郎
○政府委員(助川啓四郞君) 只今議題トナ
リマシタ臨時農村負債處理法案ニ付テ、其
提案理由ヲ御說明申上ゲタイト存ジマス、
昭和八年農村負債整理組合法ノ成立ヲ見マ
シテ、農山漁村ニ居住スル者ノ經濟更生ヲ
圖ル爲ニ、負債ノ整理ヲ爲サシムルコトヲ
目的トスル農村負債整理制度ガ確立セラレ
タノデアリマスガ、更ニ昨年法律ノ一部改
正、及ビ農村負債整理資金特別融通、及ビ
損失補償法ノ成立ニ依リ、一層制度ノ擴充
ヲ見ルニ至リマシタコトハ、御承知ノ通リ
デアリマス、然ルニ今次支那事變ノ勃發致
シマスルヤ、農山漁村ヨリ多數ノ應召者ヲ
出シタノデアリマスガ、其中ニハ名譽ノ戰
死ヲ遂ゲ、或ハ傷痍ヲ蒙リ、又ハ不幸疾病
ニ罹ルニ至ッタ者モ尠クナイノデアリマシ
テ是等戰死傷者遺家族ニ付テ、其經濟更
生ヲ圖ル爲ニ、負債整理ニ關シ此際特別ノ
制度ヲ設ケマスコトハ、銃後施設ノ一端ト
致シマシテモ、亦極メテ緊要ノコトト存ズ
ルノデアリマス、仍テ茲ニ臨時農村負債處
理制度ヲ樹ツルコトト致シタノデアリマス
次ニ本制度ニ於キマシテ、從來ノ制度ヲ
擴充致シマシタ主ナル點ヲ申上ゲマスト、
第一ハ、戰死傷者遺家族ノ負債處理ニ付キ
マシテ、其處理ノ簡易化ヲ圖ックコトデアリ
やく、第二ハ、道府縣ニ臨時負債處理委員
會ヲ設置シ、從來ノ制度ニ依ル市町村負債
整理委員會ニ代ッテ、債務ノ條件緩和ノ斡旋
等ヲ爲サシムルコトトシ、更ニ此道府縣臨
時負債處理委員會ニ、若干ノ新シイ權能ヲ
認ムルコトト致シマシタコトデアリマス、
第三ハ、負債處理資金ノ特別融通ニ對スル
損失補償ノ割合ヲ、從來ノ制度ニ比シ相當
引上グルコトト致シマシタコトデアリマス、
以上ハ本案提出理由ノ〓要デアリマスガ、
何卒御審議ノ上速ニ御協贊アランコトヲ希
望致ス次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=28
-
029・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-最上政三君
〔最上政三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=29
-
030・最上政三
○最上政三君 今囘政府カラ支那事變ニ於
ケル戰死傷者ノ遺家族ニ對シ、負債整理ヲ
目標トシテ茲ニ臨時農村負債處理法案ガ提
案サレタノデアリマスガ、現下ノ時局柄最
モ機宜ヲ得タ法案ナリト信ズル者デアリマ
ス、從來戰死傷者ノ待遇ハ、現行法ニ於テ
ハ甚ダ薄カッタノデアリマス、然ルニ今囘
政府ニ於テハ是ガ優遇ヲ爲スベク、先頃恩
給法中改正法律案ヲ提案致シマシタ、幸ヒ
衆議院ハ全會一致通過ヲシタノデアリマス
カラ、軈テ貴族院ニ於テモ其通過ハ當然デ
アルト思フノデアリマス、此結果從來ニ比
シ稍〓其待遇ガ改善サレタモノト思フノデア
リマスガ、尙ホ戰死者ノ遺家族ニ對スル扶助
料ガ、兵ニ於テ月額僅ニ二十數圓デアリマス、
又戰傷者ノ年金ニ付テ見マスルト、最モ多キ
所ノ五項、六項ト云フ年金受給者ノ月額ハ、
是亦兵ニ於テ二三十圓ニシカナラナイノデ
アリマス、斯ル情勢デアリマスカラ、若シモ出征セ
ル其家長ガ名譽ノ戰死ヲシ、或ハ負傷シタ場
合ニ於テハ、其一家ノ生計ハ今後ドウナッテ
行クカ、若シモ其家ニ負債等ガアル場合ハ、
是等ノ一家ハ將來其生計ノ困難ナルハ、此
處デ喋々スル迄モナイコトデアリマス、此
時ニ本法案ヲ提案サレタノデアリマスカラ、
是等遺家族ニ對シテハ、非常ナル福音ト申
シテモ差支ナイノデアリマス、以上ノ見地
カラ見マシテ私ハ時間ノ關係モアリマスカ
ラ、其要點ダケヲ二三政府ニ質シテ見タイ
ト思フノデアリマス
第一トシテ本案第一條ノ戰死傷者ニ對ス
ル傷ノ程度デアリマス、現在ノ恩給法ノ別
表二號乃至四號ノ全部ニ之ヲ適用スルノデ
アルカドウカ、第二號ハ項症デアリ、第三
號ハ款症デアリ、第四號ハ目症デアリマス
ガ、是等全部ニ此法案ガ適用サレルノデア
ルカドウカ、此點ニ付テ御答ヲ願ヒタイト
思フノデアリマス
第二トシテハ、本案實施ニ依ッテ是等戰死
傷者ノ遺家族ガ、單獨デ市町村ナリ、或ハ
信用組合ナリ、又ハ融資銀行カラ借リルコ
トガ出來ルノデアルカ、或ハ旣設ノ負債整
理組合ニ加入スルノデアルカ、又ハ其町村
ニ於ケル他ノ遺家族等ト新ニ組合ヲ作ッテ
借リルノデアルカドウカ、本案ハ今朝受取ッ
タノデ、其內容ニ付テ詳シク檢討スルコト
ハ出來マセヌガ、ドウモ此點ニ於テ不明ノ
點ガアリマスカラ、第二點トシテ之ニ對シ
テ明ナル御答辯ヲ願ヒタイノデアリマス
第三トシテハ、現在金融業者、特ニ高利
貸ノ如キ人々ガ、若モ本人ニ多少金ガ出來
テ、條件緩和ノ相談ヲ持出シタトシタ場合
ニ於テハ、到底應ズルモノデハアリマセヌ、
是ハ高利貸ノミナラズ、一般吾々日常ノ支
拂ニ付テモ、斯ウ云フ實例ガアル、金ガア
レバ其人ハ何時カハ借金ヲ返シテ吳レルト
云フ考ガアルカラ、高利貸デアルトカ金融
業者ハ、中々條件緩和ナドヲスルモノデハ
ナイノデアリマス、然ルニ本案ニ依レバ
玆ニ道府縣ニ臨時負債整理委員會ト云フモ
ノガ出來テ、遺家族ノ要求ニ依ッテ、是等委
員會ガ金貸業者ニ向ッテ條件緩和ニ付テ交
渉スルモノト考ヘラレマス、勿論遺家族ニ
ハ一時賜金モアリ、又ハ扶助料、年金等モ
アルカラ、金貸ハ多少ノ割引ハスルデアリ
マセウガ、吾々ガ從來ノ負債整理ニ考ヘル
ガ如キ條件緩和デハ、彼等ハ到底應ジナカ
ラウト思フノデアリマス、元來金ヲ借リタ
コトノナイ所ノ官吏諸公ガ作ッタノデアルカ
ラ、サウ云フ點マデハ御考ナサラナイカモ
知レマセヌ、是ガ從來ノ負債整理組合ノ失
敗ノ原因デアルノデアリマス、故ニ私ハ若
シモ本案ヲ實施スル場合ニ於テハ、第五條
ノ金錢債務臨時調停法ニ依ル調停委員會ニ
掛ケラレル件數ガ、多クナルデアラウト想
像サレルノデアリマス、委員會ニ於テ條件
緩和ノ問題ニ付テ色々折衝シテモ中々應ジ
ナイ、サウ云フ場合ニハ、此調停委員會ニ
掛ケルコトトナルノデス、戰死傷者ノ遺家族
中ニハ體面ヲ保ッテ居ル人々モ多イノデアリ
マく、然ルニ本案實施ニ依ッテ、委員會ガ此
條件緩和ノ爲ニ調停委員會ナドニ持出ス
ト云フコトニナレバ、眞ニ戰死傷者ノ遺家
族ニ對シ親切デアラウカドウカ、私ハ疑
ハザルヲ得ナイノデアリマス、是等ノ點ニ
付テ政府ノ御答辯ヲ願ヒタイノデアリマス
第四トシテハ、本法第十四條、第十五條
ニ依ッテ、今囘ノ此案ハ從來ノ負債整理トハ
異リ、市町村ガ是等ノ遺家族ニ對シテ債務
ノ融通ヲ爲シ、其結果損失ヲ生ジタ場合ニ
於テハ、融通金額ノ十分ノ六以內ヲ府縣ガ補
償スルコトニナッテ居ル、又府縣ニ對シテモ、
政府ガ其損失ノ三分ノ二ヲ補給スルト云フ
規定ガアルノデアリマス、更ニ產業組合中央
金庫ニハ融通總額ノ十分ノ六以內ヲ補償シ、
又融資ノ特殊銀行等ニ對シテハ十分ノ四
ノ補償ヲスルト云フ規定ガアルノデアリマ
ス、是等ニ對シテ政府ハ此補償ヲ從來ニ比
シテ非常ニ多額ニシタカラ、今度ノ負債整
理ハ順調ニ行クモノナリト云フ御考デアリ
マセウガ、私カラ考ヘルト、此位ノ補償デ
ハ決シテ地方ニ於ケル信用組合又ハ特殊銀
行デハ、金ヲ貸シテ呉レナイト思ハレマ
スガ、政府ハ如何ナル考デアリマセウカ、
現ニ現在農村負債整理組合ノ成績ハドウデ
アルカト云フニ、昭和八年八月ニ實施以來、
今日ニ至ルマデ數度改正サレマシタ、初メ
ニハ其融資金額ノ如キハ二億圓デアッタノ
ヲ、昨年改メテ之ヲ五億圓トシタノデアリ
マス、又從來ハ市町村限リ融通セシメテ居ッ
タノヲ、之ヲ改正シテ產業組合デアルトカ、
特殊銀行マデガ之ヲ融通スルコトニ改正ヲ
シタノデアリマス、又昨年ノ規則ノ改正ハ、
政府ノ補償額ノ如キモ、從來ハ市町村ニ對
シテハ一割五分デアッタノヲ二割ト改メ、又
特殊銀行ニ對シテハ二割、信用組合ニハ三
割ト云フ、新ニ補償額ヲ定メタノデス、斯
クテ昨年末カラ實施シテ居ルガ、其結果ハ
ドウデアリマスカ、今其成績ヲ見ルト、昨
年末ノ統計デアリマスガ、組合數僅ニ六千
二百七十九デ、融資金額ノ如キモ二千九百
五十六万七千圓ト云フ少額デアルノデアリ
やく、我國農村負債ハ約五十億ト言ハレテ
居ルノデアッテ、先頃改正サレタ融資金額ニ
於テモ五億圓ノ融資ガ出來ルノデアリマス、
然ルニ五億圓ノ融資ガ出來ルニモ拘ラズ、
僅カ三千万圓程度ノ融資ヲシテ、政府ハ恬ト
シテ顧ミラレナイト云フコトハ、甚ダ遺憾
千萬ト思フノデアリマス、ドウシテ斯樣ニ
成績ガ不良デアルカト云フニ、手續ガムヅ
カシイカラデアリマス、今日私ハ此問題ニ
付テ色々論ジタイノデアリマスガ、時間ノ
制限モアリマスカラ、是レ以上申上ゲマセ
又、若シモ左樣ナ御考ヲ以テ此戰死傷者ノ
遺家族ニ對スル負債整理ヲ行ハントシタ場
合ニ於テハ、前囘ノ失敗ノ轍ヲ踏ムコトト
思フノデアリマス、之ニ付テ政府ハ如何ナ
ル考ヲ持ッテ居ルカ、現在ノ負債整理組合ノ
貸付方針ト此處理方針トハ、ドウ違ッテ居ル
ノデアルカ、其點ニ付テ政府ノ明答ヲ伺ヒ
タイノデアリマス
第五トシテハ、以上ノヤウナ理由ヲ以テ
見テ、私ハ玆ニ二三ノ疑問ヲ抱クノデアリ
マく、前ニ申ス如ク、負債整理組合ガ成立
シテ金ヲ借リル迄ニハ、相當日月ヲ要スル
ノデアリマス、早クテ半年、長イノハ一年、
二年經ッテモ金ガ借リラレナイト云フノガ、
今日ノ負債整理組合ノ現狀デアリマス、若
シモサウ云フコトガ玆ニ繰返サレタ場合ニ
於テハ、遺家族ガ初メテ此整理委員會ニ於
テ整理ヲシテ貰ハウト考ヘテ手續ヲシタ
ガ、中々整理ガ出來ナイ、サウ云フ場合ニ
於テ或ハ恐ル、自己ノ所有シテ居ル一時賜
金デアルトカ、又恩給、年金等モ、今囘ノ
恩給金庫法ニ依ッテ金ヲ借リラレルノデア
リマスカラ、借リテマデモ此負債ヲ整理シ
ヨウト云フ考ヲ起ス懸念ガアルト思ハレル
ガ如何、又第二トシテ本案ニ於テハ金ガ
借リラレルノデアルカラ、現ニ自分ノ持ツテ
居ル一時賜金トカ恩給トカハ其儘ニシテ置
イテ、信用組合等カラ借リル場合ニ於テハ、
高クハアリマセヌガ利子ガ掛ルノデアリマ
ス、一方其一時賜金トカ恩給ノ金ヲ、アベ
コベニ信用組合等ニ安イ利子デ預ケテ置イ
テ、負債ハ此法案ニ依ッテ整理ヲシヨウト云
フ考ヲ抱ク者モアルコトヲ虞ルヽノデアリ
Vく、私ハマダ色々御伺シタイノデアリマ
スガ、以上ノ五點ニ對シテ政府當局ノ御明
答ヲ煩ハシタイト思フノデアリマス(拍手)
〔政府委員助川啓四郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=30
-
031・助川啓四郎
○政府委員(助川啓四郞君) 最上君ノ御質
問ニ對シテ御答致シマス
第一ノ御質問ハ、第一條ノ勅令ニ依ル範
圍ハドウナルノカト云フコトデアルト思フ
ノデアリマスガ、第一條ノ勅令ニ依ル範圍
ハ、大體增加恩給ヲ受クル戰死傷者トスル
考デアリマス
第二ノ御質問ハ、遺家族ハ單獨ニテ借入
レルコトガ出來ルノカ、旣設組合ニ加入シ
ナケレバナラナイノカ、或ハ又組合ヲ新ニ
組織シナケレバナラナイノカ、斯樣ナ御質
問デアッタト思フノデアリマスガ、遺家族ハ
旣設ノ負債整理組合ニ加入ヲシテ居リマス
場合ニハ、其組合ヲ經由シテ資金ノ借受ヲ
スルノヲ原則ト考ヘルノデアリマス、併シ
若シモ組合ニ加入シテ居リマセヌ場合ニハ、
又其町村或ハ部落ニ組合ガアリマセヌヤウ
ナ場合ニハ、直接單獨ニテ資金ノ融通ヲ受
クルコトガ出來ルノデアリマス、不動產擔
保負債ヲ整理シヨウトスル場合ニ於キマシ
テハ現行法ニ於ケルト同樣ニ、融資銀行
ヨリ直接借入ヲスルコトガ出來ルノデアリ
マス
第三ノ點ハ、高利貸等カラ借金ヲシテ居ル
者ハ、條件緩和等ガ非常ニ困難デハナイカ、
其御懸念ハ御尤デアリマスガ、出來ルダケ
委員會ニ於テ幹旋ヲ致シテ解決ヲサセルヤ
ウニ致シタイト思フノデアリマス、已ムヲ
得ザル場合ニ於テ、初メテ調停ニ移スコト
トナルノデアリマシテ、出來ルダケ委員會
ノ斡旋ニ依ッテ解決スルヤウニ致シタイ、斯
樣ニ考ヘルノデアリマス
第四ハ、補償額ヲ增加シタダケデハ、十分
ナル效果ヲ擧ゲルコトガ出來ナイノデハナ
イカト云フコトデアッタノデアリマスガ、最
上君モ御述ニナラレマシタヤウニ、今囘ノ
制度ハ從來ノ制度ニ比ベマシテ、補償ノ程
度ヲ二倍ニ致シタノデアリマスカラ、融資
機關ハ安心ヲシテ融資ヲスルコトガ出來ル
ノデアリマシテ、隨テ從來ニ於ケル融資ヨ
リハ、更ニ圓滑ニ融通ガ爲サレルモノト考
ヘルノデアリマス、昨年負債整理組合法ヲ
改正シ、負債整理資金特別融通及損失補償
法ガ制定サレタノデアルガ、其成績見ルベ
キモノガナイト云フ御言葉デアッタノデア
リマスガ、ソレ等ハ昨年ノ十二月一日ニ實
施ニナッタノデアリマシテ、未ダ其效果ガ明
デハナイノデアリマス、私共ハ相當將來成
績ヲ擧ゲ得ルモノト考へテ居ルノデアリマ
ス、借入手續ガ複雜デアル爲ニ、恩給ヤ扶
助料ガ其低利ナ方面ニ却テ預入ヲサレ、サ
ウシテ又此負債整理ガ十分ニ行ハレナイヤ
ウナコトニナルノデハナイカト云フ、御質
問デアッタノデアリマスガ、今囘ノ制度ニ於
キマシテハ、借入手續ヲ非常ニ簡易ニ致シ
タノデアリマシテ、其御懸念ハナイコトト
思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=31
-
032・小山松壽
○議長(小山松壽君) 最上君、宜シウゴザ
イマスカ-宮本雄一郞君
〔宮本雄一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=32
-
033・宮本雄一郎
○宮本雄一郞君 上程ニ係ル臨時農村負債
處理法案ニ關シマシテ、極メテ簡單ニ質問
ヲ申上ゲマス、私ノ質問ノ事項ハ大體四點
デアリマシテ、第一ハ、農村負債ノ增加ノ
原因、其整理遂行ト農產物ノ價格トノ關係
デアリマス、第二ハ、負債整理方策ト自治體
トノ關係デアリマス、第三ハ、整理資金貸
付ニ關スル利率ノ關係、第四ハ、負債整理
方策ト自治體ノ各種助成機關ノ事務統制ニ
關スル問題デアリマス、本案ハ支那事變ニ
關シマシテ、戰死傷者遺家族ニ關スル臨時
立法デアリマスガ、其提案ノ理由ニ依リマ
スレバ、從來ノ負債整理制度ノ其根本ノ趣
旨ヲ擴充スルニアルト云フ提案ノ理由モア
ルノデアリマス、以上ノ四點ニ關シマシテ、
其意味ニ於キマシテ、極メテ簡單ニ質問ノ
要旨ヲ申述ベルノデアリマス
從來農村ニ於キマシテ負債ノ增加致シマ
シタ原因ハ、長イ間租稅負擔ノ極メテ不均
衡ナルニ原因スルノト、又農村ニ於ケル金
融ニ對スル金利ノ極メテ高カリシニ原因ス
ルノデアリマス、尙ホ農產物ノ價格ガ時ニ
著シク變動ガアリマシテ、農家經濟ニ大ナ
ル影響ヲ來シタト云フ點モ、亦負債增加ノ
原因デアリマス、社會情勢ハ非常ニ進步發
達致スノデアリマスガ、農村ニ生活ヲ爲ス
所謂農民ガ、經濟意識ガ社會ノ發達ニ伴ハ
ナカッタト云フ原因モアルカモ知レマセヌ
ガ、第一ニ負債增加ノ原因ハ、主トシテ以
上ノ三點ニアルト信ズル者デアリマス、殊
ニ昭和五年、六年頃ノ著シキ農產物ノ價格
ノ下落ハ、益〓農村負債ヲ增加セシメタ原因
デアリマス、從來ノ負債ニ對シマシテ、農
村經濟ニ困憊ノ狀態ヲ來シタト云フコトニ
對シテ、昭和五年、六年ノ農產物ノ價格ノ
下落ハ、之ニ拍車ヲ掛クルニ至ッタノデアリ
やく、兩三年來米價ノ向上ニ伴ヒマシテ、
他ノ農產物モ幾分價格ノ向上ノ情勢ヲ見ル
ニ至リマシタ、又低金利政策ハ幾分農村經
濟ニ良好ナル情勢ヲ見ルニ至ッタノデアリ
やっ、然ルニ現在ノ農村情勢ニ於キマシテ
ハ、種々ナル關係ニ於キマシテ、目下ノ國
家ノ經濟實情ハ生產ノ擴充ヲ圖リ、海外輸
出ノ振興ヲ爲スニアルト云フコトハ、何人
モ唱フル問題デアリマス、然ルニ現在ノ經
濟實情、尙ホ今後ニ來ラントスル工業製品
ノ物價ノ向上ハ、輸出ノ原料タルベキ農產
品ニ對シマシテ、需要地ニ於ケル價格ノ向
上セザル限リ、農產物ノ下落ヲ來サントス
ル虞ガアルコトヲ憂フル者デアリマス、若
シ夫レ現在ノ經濟情勢ニ於キマシテ、農漁
山村ノ生產物ノ價格ガ下落ヲ來スト云フヤ
ウナコトガアリマスレバ、農村經濟ハ再ビ
昭和五年、六年頃ノ悲慘ナ狀態ヲ呈スルト
思フノデアリマス、一層農村負債ノ增加ニ
至ルヤヲ憂フル者デアリマス、之ニ付キマ
シテ農林當局ハ、何等カノ御對策ヲ持ッテ居
ルカ否ヤニ付キマシテ、御所見ヲ御伺致シ
タイト存ジマス
尙ホ負債整理ノ問題ハ、自治體ノ振興ニ
關スル根本政策デアリマス、我國ニ自治制
ガ發布セラレマシテ、本年ガ恰モ五十周年
ニ當ルノデアリマス、此間內務省ノ自治體
ニ對スル指導監督ノ方針ハ、一貫シテ行ハ
レテ參ッタノデアリマスガ、未ダ十分ノ發展
ヲ見ルコトニハ至ラナイノデアリマスガ、
自治體ノ根本目的タル我國各種制度ノ訓練
ヲ行フニ付キマシテ、自治精神ノ涵養モ圖
リ、五十年間ニ於キマシテノ其成績ハ、相
當見ルベキモノガアルノデアリマス、然ル
ニ內務省ノ自治體ニ對スル指導監督ノ方針
ト、從來農林省ガ施設致シマシタ種々ナル
方針ト、其根本ニ於キマシテ矛盾ヲ來スヤ
ウナコトガ間々出來マシテ、ソレガ爲ニ町
村當局者ト致シマシテハ、非常ナル困難ヲ
來シタ事例モ少クナイノデアリマス、此負
債整理ヲ遂行スルニ付キマシテノ方針ガ、
自治體ノ發展振興ノ根本問題ト致シマシテ、
農林省ハ內務省ノ自治體ニ對スル指導監督
ノ方針ト、協力スルノ必要ガアルコトヲ認
ムル者デアリマス、之ニ關シマシテ農林當
局ノ御所見ヲ御伺致シタイト存ジマス
其次ニ負債整理ノ遂行ニ付キマシテ、貸
付資金ノ利率ノ問題デアリマス、負債整理ノ
目的ヲ達成スルニ付キマシテハ、先ヅ第一ニ
出來ルダケ金利ノ低率ナルコトヲ、唯一ノ條
件トスルノデアリマス、現在ノ金利ニ於キ
マシテ、農村ノ經濟狀態ヨリ致シマスレバ、
果シテ能ク此負債整理ノ目的ヲ遂行スルヤ否
ヤト云フコトニ付キマシテハ、此金利ノ程度ニ
於キマシテハ頗ル疑問ヲ懷ク者デアリマ
ス、又政府ノ低利資金ハ、或ル機關ヲ經由
スルニ付キマシテ、所謂利鞘ヲ取ラレテ居
ルノデアリマシテ、其低利資金ノ目的タル
其利率ニ於キマシテ、直接之ヲ借用スル者
ガ、政府ノ貸出ヨリモ高イ利子ヲ拂ハナケ
レバナラナイト云フコトハ、獨リ負債整理
資金ノ關係ノミナラズ、農村ニ關スル各種
ノ低利資金ニ於キマシテ、其實例ノアルコ
トハ御承知ノ通リデアリマス、先ヅ負債整
理ニ付キマシテハ、此利鞘ヲ無クスルト云
フコトノ方針ヲ、何トカ執ラナケレバナラ
ヌト考ヘル者デアリマス、今囘ノ臨時立法
ニ付キマシテノ趣旨ハ、重ネテ茲ニ申上ゲ
マセヌガ、此臨時立法ヲ實施致シマシテ、
其目的ヲ遂行スルニ付キマシテハ、私ハ寧
ロ進ンデ利子ハ何等カノ方法ニ依リマシテ
之ヲ補給致シマシテ、無利子ト致シテ、此
法律ノ目的ヲ達成スルノ必要ガアリハシナ
イカ、是ニ於キマシテ二宮尊德ノ遺サレタ
ル所謂報德ノ仕法ハ、負債整理ハ全然無利
息ノ方針ヲ採ッタノデアリマス、五箇年間ノ
年賦償還ニ於キマシテ、負債整理ヲ遂ゲタ
場合ニハ六箇年目ニ其一箇年分ヲ御禮金
トシテ支出セシムルト云フコトガ、二宮尊
德翁ノ遺サレタル報德仕法ニ據ル所ノ方針
デアリマス、又十箇年賦ニ償還ヲ求メルニ
於キマシテハ、十一箇年目ニ十箇年ノ一箇
年分ヲ御禮トシテ納メルト云フコトガ方針
ニナッテ居ルノデアリマス、此法律實施ニ付
キマシテハ、此尊德翁ノ遺サレタ報德ノ仕
法ニ學ブベキ點ガ大イニアルト考ヘルノデ
アリマス、是等ノ點ニ付キマシテ政府ノ御
所見ヲ御伺致シタイト存ジマス
尙ホ自治體ニ關シマシテ、負債整理方策
ノ實施ト自治體振興トノ關係ヨリ致シマシ
テ、現在自治體ニ關スル各種ノ助成金ノ事
務ヲ統制致シマシテ、經費ノ節減ヲ圖ルト
云フコトヲ考慮セナケレバナラヌト考ヘマ
ス、折角農村負債整理ノ方針ヲ樹テマシテ
千、是等ノ點ニ著眼セザルニ於キマシテハ、
完全ナル此整理ノ目的ヲ達成スルコトハ、
甚ダ難カシイ問題デアルト考ヘマス、農會
ニ致シマシテモ、產業組合ニ致シマシテモ、
亦此負債整理組合ニ致シマシテモ、其悉ク
ガ農村ノ發達振興ニ其趣旨ガ在ルト云フ意
味ニ於キマシテ、寧ロ將來此事務ヲ統制致
シマシテ、其事務處理ノ經費ニ付キマシテ
ハ、自治體自體ガ之ヲ負フベキデハナイカ
ト云フコトヲ考ヘル者デアリマス、斯ノ如
ク農村ニ於キマシテノ各種ノ事務ヲ統制致
シマシテ、經費ノ節減ヲ圖ルコトニ於キマ
シテ、又政府ノ低利資金等ニ對シマシテ、
利鞘ヲ無クスルト云フ一ツノ手段デモアル
ト考ヘルノデアリマス、農村ノ總テノ經濟
組織ヲ統制シ、進ンデ事務ノ統一ヲ圖リマ
シテ、而シテ農林省ノ各種ノ施設ガ內務省
ト協力ヲ致シマシテ、內務省ノ指導監督方
針ニ一致イタスコトニ其內容ヲ改メマシテ、
而シテ是等ノ自治體ノ根本方針タル負債整
理ノ問題等ノ其目的ヲ遂行スルニ付キマシ
テハ、斯ノ如キ方針ヲ執ルコトガ、所謂時
代ニ副フ所ノ革新政策デアルトモ考ヘルノ
デアリマス、又將來自治制度ノ改革、地方
稅制等ノ改正ヲスルコトニ付キマシテモ、
是等ノコトヲ大イニ考慮ノ中ニ置カナケレ
バナラナイ問題デアルト考ヘマス、以上ガ
大體私ノ質問ノ要旨デアリマス、時間モ切
迫致シタノデアリマスカラ、之ニ對シマシ
テ簡單ニ農林當局ノ御答辯ヲ煩ハシタイト
存ジマス(拍手)
〔政府委員助川啓四郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=33
-
034・助川啓四郎
○政府委員(助川啓四郞君) 宮本君ニ御答
致シマス、第一ノ御質問ハ、負債增加ノ原
因ハ、農產物價ノ下落、負擔ノ過重、金利ノ
高イト云フヤウナコトガ、負債增加ノ重要
原因ヲ成シテ居リマスコトハ、吾々モ左樣
ニ考ヘテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ負
債整理ノ計畫ヲ立テマス場合ニハソレ等
ノ點ニ關シテ深ク關心ヲ持タナケレバナラ
ナイノハ、申ス迄モナイノデアリマス、隨
ヒマシテ今後農產物ノ價格政策ニ付キマシ
テハ、十分力ヲ用ヒテ參リタイト考ヘマス
シ、御指摘ニナリマシタ輸出關係ノ農產物
ノ價格ノ値下リ等ニ付キマシテハ、農產關
係品ノ輸出增進ニ力ヲ用ヒテ參リタイト考
ヘルノデアリマス、負債整理ノコトニ付テ、
内務省トノ指導方針ニ齟齬或ハ矛盾ガナイ
カト云フ御質問デアッタノデアリマスガ、此
負債整理ノコトニ付キマシテハ、常ニ內務
省ト十分ナル協調連絡ヲ取ッテ居ルノデア
リマシテ、議題ニナッテ居リマス法案ノ提案
ニ付キマシテモ、內務省トシテ十分ナル打
合セ、協議ヲ遂ゲテ提案シタヤウナ次第デ
アリマス、今後一層緊密ナル連絡ヲ保ッテ
參ルヤウニ致シタイト考ヘルノデアリマス、
負債整理資金ノ利率ハ無利子ニシテハドウ
カト云フヤウナ御質問デアッタノデアリマ
スガ、利子ハ低率デアルコトハ望マシイノ
デアリマスガ、今日ノ狀況ニ於キマシテハ、
此程度ガ已ムヲ得ナイコトデアルト思フノ
デアリマス、第四ニ團體ノ整理統制ニ付テ
ノ御意見ガアリマシタガ、十分調査〓究ヲ
遂ゲマシテ、速ニ成案ヲ得テ實現ヲ期シタ
イト考ヘテ居ル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=34
-
035・小山松壽
○議長(小山松壽君) 宮本君、宜シウゴザ
イマスカ-河合義一君
〔河合義一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=35
-
036・河合義一
○河合義一君 只今上程サレマシタ法案ニ
對シ、私ハ同僚議員ノ質疑ト重複ノ點ハ避
ケマシテ、二三ノ點ニ付テ質問ヲ致シタイ
ト思フノデアリマス
其第一點ハ、此特別融資ニ依リマシテ生
ズル損失金額ヲ、國庫ニ於テ全額補償スル
ノ意思アリヤ否ヤノ點デアリマス、現行ノ
負債整理組合法ガ、其創設者ノ善意ニモ拘
リマセズ、效果ノ擧ラナイト云フ主ナル理
由ハ、其損失ヲ市町村ノ負擔ニ歸シテアル
點デアルノデアリマス、モウ旣ニ我國ノ地
方自治體ノ財政ガ漸次窮乏ニ陷ッテ居ルコ
トハ多言ヲ要シナイ所デアリマシテ、其窮
乏程度ハ、農漁山村ニ於テ特ニ顯著ナルモ
ノガアルノデアリマス、昨年末其爲ニ一億
圓ノ臨時財政補給金ヲ支給スル狀態ニ、ナッ
テ居ルノデアリマスガ、此窮乏セル農漁山
村ニ實際ニ居住シテ居リマス戰死傷病者ノ
負債整理ニ特別融通ヲ爲シ、其損失ヲ農漁
山村ニ負擔セシメ、果シテ本法ノ所期ノ效
果ヲ擧ゲ得ルヤ否ヤ、多大ノ疑問アリト言
ハザルヲ得ナイノデアリマス、國家ヲ護リ
マシテ、名譽アル犧牲トナッタ者ニ、國家ガ
報ユルノハ當然ノコトデアリマシテ、宜シ
ク損失全額國庫負擔ノ特別融通ヲ爲スベキ
デアルト思惟スルノデアリマスガ、政府ノ
御所見ヲ伺ヒタイノデアリマス
次ニ第二點ト致シマシテ、何故本法適用
ノ範圍ヲ、農漁山村居住者ノミニ限ッタカト
云フコトデアリマス、生活ノ爲ニ已ムヲ得
ズ債務ヲ負ヒ、元利償還ニ喘イデ居ル大衆
ハ、唯單ニ農漁山村ニ限ッテ居ルノミデハナ
イノデアリマス、都會地ニモ多數ノ債務者
ガアルノデアリマスガ、其者ガ出征ヲ致シ
マシテ、戰沒シ、或ハ疾病ニ罹ッテ居ル者ガ
少クナイノデアリマスガ、此點ヲ見マスル
ナラバ、宜シク本法ハ農漁山村ノミニ限定
スベキデハナイト思フノデアリマスガ、政
府ノ所見ヲ明ニサレタイノデアリマス
最後ニ御伺致シタイノハ次ノ點デアリマ
スガ、政府ガ本法ヲ立案サレタ趣意ハ、善
意ニ解釋致シマスナレバ、犧牲者ノ家族
ヲ惡竦ナル高利貸カラ保護シ、軈テハ下賜
サレルト云フ其賜金、或ハ扶助料金ヲ、惡
竦ナ金利業者ノ掠奪トモ稱シタイ取立カラ
防ガウト云フノデアルト、私ハ推察スルノ
デアリマスガ、若シサウ云フコトデアルナ
ラバ、其爲ニ萬全ノ處置ヲ施行細則上ニ規
定サレルデアラウト思ヒマスガ、併シ國家
ノ犠牲トナッテ居ル者ハ、戰死者、傷病死者
家族ノミデハナイノデアリマス、現ニ戰場
ニ在ル所ノ軍人ノ家族モ、亦多數ノ犠牲ヲ
拂ッテ居ルノデアリマシテ、此出征者ノ家族
ニ後顧ノ憂ナク、且ツ生活ヲ擁護スル爲ニ
ハ本法ノ目的トスル負擔整理ノ如キ姑息
ナル手段-勿論是ハ適用宜シキヲ得マシ
クナラバ無キニ勝ルモノデアリマスガコ
ンナ姑息ナル手段ヨリモ、更ニ百尺竿頭一
步ヲ進メマシテ、出征者全體ニ對スル債務
ノ「モラトリアム」ヲ斷行スベキデアルト思
フノデアリマス(拍手)私ハ此點ニ對シテ政
府ノ御所見ヲ伺ヒタイト思フノデアリマス、
戰線ニ居リマシテ、如何ニ勇敢ニ戰鬪スル
所ノ勇士ト雖モ、暮夜密ニ思ヲ家〓ニ馳セ
ルトキニハ、色々ナ苦惱ガアルノデアリマ
スカラ、吾々國民ト致シマシテハ、セメテ
出征中ダケデモ借金ノ苦ヲ遁レシメルト云
フコトハ吾々國民ニ課セラレタ所ノ當然
ノ義務ト私ハ思フノデアリマス(拍手)私ハ
以上各項ニ付キマシテ、政府ノ所見ヲ披瀝
サレンコトヲ重ネテ希望スル者デアリマス
(拍手)
〔政府委員助川啓四郞君登壇)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=36
-
037・助川啓四郎
○政府委員(助川啓四郞君) 河合君ノ御質
問ニ對シテ御答致シス、國庫カラ全額ヲ補
給スルコトニシタラドウカト云フ御質問
ガアッタノデアリマス、現行法ニ於キマシテ
ハ、ヤハリ町村ノ損失負擔ヲ考ヘテ居ルノ
デアリマスガ、本案ニ於キマシテハ、政府
ノ補給竝ニ補償ノ割合ガ、現行法ノ二倍ニ
引上ゲラレテ居ルノデアリマシテ、ソレダ
ケ町村ノ負擔ハ輕減サレタト言ヒ得ルト思
フノデアリマス、河合君ノ御意見ニ相當近
イモノニナッテ居ル、斯樣ニ申上ゲテ宜シイ
ト思フノデアリマス、本法ノ適用ヲ都市マ
デ擴張シテハドウカト云フ御質問デアッタ
ノデアリマスガ、都市ニハ御承知ノ通リニ
中小商工業者金融ニ對スル損失補償ノ制度
ガアルノデアリマシテ、都市ニ對シマシテ
ハ、此制度ノ運用ニ依ッテ、其目的ヲ達成ス
ルコトガ出來ルモノト考ヘルノデアリマス、
出征兵ノ全部ニ對シテ、本法ノ適用ヲスル
ヤウニシテハドウカト云フ御質問デアッタノ
デアリマスガ、御尋ノ出征兵ニ付キマシテ
ハ現行法ノ運用ノ上ニ相當考ヘテ行キタ
イト思フノデアリマス、殊ニ負債整理組合
ノ普及等ニ關スル豫算ノ增額ヲ要求シテア
ルノデアリマシテ、其豫算ノ成立ガ出來マ
スルナラバ、一般出征兵ノ負債整理ノ上ニ、
相當ニ貢獻スルコトガ出來ルト思フノデア
リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=37
-
038・小山松壽
○議長(小山松壽君) 河合君、宜シウゴザ
イマスカ-是ニテ質疑ハ終了致シマシタ、
本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ニ付テ
御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=38
-
039・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、農業保險
法案委員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=39
-
040・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=40
-
041・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=41
-
042・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加變更ノ緊急動
議ヲ提出致シマス、卽チ此際櫻內幸雄君外
二十一名提出、支那事變ニ際シ召集中ノ者
ノ選擧權及被選擧權等ニ關スル法律案、
〓瀨一郞君外一名提出、支那事變ノ爲召集
セラレタル地方議會ノ議員又ハ其選擧ノ
當選者ノ資格ニ關スル法律案、及ビ中村高
一君外二名提出、支那事變ノ爲召集セラレ
タル者ノ選擧權竝議員ノ資格ニ關スル法律
案ノ三案ヲ一括議題ト爲シ、委員長ノ報告
ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=42
-
043・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=43
-
044・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、櫻內幸
雄君外二十一名提出、支那事變ニ際シ召集
中ノ者ノ選擧權及被選擧權等ニ關スル法律
案、〓瀨一郞君外一名提出、支那事變ノ爲
召集セラレタル地方議會ノ議員又ハ其選
擧ノ當選者ノ資格ニ關スル法律案、中村高
一君外三名提出、支那事變ノ爲召集セラレ
タル者ノ選擧權竝議員ノ資格ニ關スル法律
業、右三案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キ
やく、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長
立川平君
支那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及
被選擧權等ニ關スル法律案(櫻內幸雄
君外二十一名提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
支那事變ノ爲召集セラレタル地方議會
ノ議員又ハ其選擧ノ當選者ノ資格ニ
關スル法律案(〓瀨一郞君外一名提出)
第一讀會ノ續(委員長報生口)
支那事變ノ爲召集セラレタル者ノ選擧
權竝議員ノ資格ニ關スル法律案(中村
高一君外三名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一支那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及
被選擧權等ニ關スル法律案(櫻內幸雄
君外二十一名提出)
一支那事變ノ爲召集セラレタル地方議會
ノ議員又ハ其ノ選擧ノ當選者ノ資格ニ
關スル法律案(〓瀨一郞君外一名提出)
一支那事變ノ爲召集セラレタル者ノ選擧
權竝議員ノ資格ニ關スル法律案(中村
高一君外三名提出)
右ハ本院ニ於テ三案ヲ併合シテ一案トシ
表題ヲ「支那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選
擧權及被選擧權等ニ關スル法律案」ト爲
シ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此
段及報告候也
昭和十三年三月十五日
委員長立川平
衆議院議長小山松壽殿
〔別紙〕
第一條衆議院議員又ハ北海道會法、府
縣制、市制、町村制若ハ此等ニ基キテ
發スル勅令ニ依リ設置スル議會ノ議員
ノ選擧ヲ行フ場合ニ於テ支那事變ニ際
シ召集中ナルニ因リ選擧人名簿ニ登錄
セラレザリシ者ニシテ召集ヲ解除セラ
レタルモノアルトキハ市町村長其ノ他
名簿調製義務者ハ臨時ニ其ノ者ノ選擧
人名簿ヲ調製スベシ
前項ノ選擧人名簿ニ關シ必要ナル規定
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條北海道會法、府縣制、市制、町
村制又ハ此等ニ基キテ發スル勅令ニ依
リ設置スル議會ノ議員ニシテ支那事變
ニ際シ召集中ナルニ因リ其ノ職ヲ失ヒ
クル者召集ヲ解除セラレタルトキハ其
ノ職ニ復ス
前項ノ場合ニ於テ議員ノ數其ノ定數ヲ
超ユルトキハ議員ノ任期間其ノ議員ノ
數ヲ以テ議員ノ定數トス但シ議員中關
員ヲ生ジタルトキハ之ニ應ジ其ノ議員
ノ定數ハ本來ノ議員ノ定數ニ至ル迄減
少スルモノトス
前項ノ規定ハ選擧區アル場合ニ於テハ各
選擧區ノ配當議員數ニ付之ヲ適用ス
前三項ノ場合ニ於テ必要ナル規定ハ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法ハ本法施行前召集ヲ解除セラレタル
者ニ付テモ亦之ヲ適用ス
〔立川平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=44
-
045・立川平
○立川平君 只今上程致サレマシタ支那事
變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及被選擧權等
ニ關スル法律案外二件ニ付キマシテ、委員
會ノ經過竝ニ結果ヲ簡單ニ御報告申上ゲマ
ス
此三案ハ內容全ク同一デアリマスルノ
デ、三案ヲ一括シテ審議致シタノデアリマ
ス、簡單ニ其內容ヲ御紹介申上ゲマスト、
衆議院議員又ハ府縣制、町村制等ニ依リマ
シテ設置セラレマシタ議會ノ議員ノ選擧ニ
於キマシテ、現行法ニ依リマスト、有權者
デアリナガラ召集ヲ受ケマシタガ爲ニ、選
擧人名簿ニ登錄セラレナカッタ者ハ、召集ヲ
解除セラレマシテモ、投票ヲ行フコトガ出
來ナイノデアリマス、是ハ洵ニ不合理且ツ
不親切ナ立法デアリマシテ、國難ニ赴イタ
勇士ヲ遇スルノ途デハナイノデアリマス、法
案第一條ハ此不合理ヲ救濟セントシタモノ
デアリマス、又現行法デハ是等ノ法令ニ依リ
設置スル議會ノ議員ハ、召集ヲ受ケマスト
直チニ失格ヲ致シマシテ、任期中ニ召集ノ
解除ヲ受ケマシテモ、議員ニ復職ヲスルコ
トガ出來ナイノデアリマス、是モ洵ニ不合
理ナコトデアリマシテ、法ノ不備不完デア
リマス、法案第二條ハ此缺陷ヲ是正セント
シタノデアリマス
委員會ハ去ル十一日開會シ、委員長、理
事ノ選擧ヲ行ヒ、昨十四日提案者ヲ代表シ
テ手代木隆吉君ヨリ提案ノ趣旨ノ說明ガア
リマシテ、中村高一君カラ其補足ノ說明ガ
アリマシタ、質疑ニ入リマシテ、委員ト提
案者トノ間ニ一三字句ニ付テ質疑應答ガアッ
タノデアリマスルガ、是ハ速記錄ニ讓リマ
シテ省略ヲ御許ヲ願ヒタイト思ヒマス、其
際委員長ヨリ政府ノ所見ヲ質シマシタ所、
政府ハ本法ノ趣旨ニ贊成デアッテ、本案ガ兩
院ヲ通過致シマシタ時ニ、政府ハ院議ヲ尊
重シテ善處スル旨ノ言明ガアッタノデアリ
マス(拍手)昨日質疑ヲ終了致シマシテ、本
日三案ヲ一括シテ討論ニ入リマシタ所、委
員太田理一君ヨリ修正ノ動議ガ提出サレタ
ノデアリマス、是ハ只今御手許ニ配付サレ
タ印刷物ニ依ッテ御覽ヲ願ヒタイノデアリ
マスルガ、要スルニ櫻內幸雄君外一一十一名
御提出ノ原案ト大體同樣デアリマシテ、唯
第二條第二項但書ニ「議員中關員ヲ生ジタ
ルトキハ之ニ應ジ其ノ議員ノ定數ハ本法施
行前ノ議員ノ定數ニ至ル迄減少スルモノト
ス」トアリマシクノヲ「本來ノ議員ノ定數ニ
至ル迄減少スルモノトス」ト訂正シタノデ
アリマス、是ハ本法施行後ニ於テ本法以外
ノ原因、例ヘバ人口ノ增加トカ、町村ノ併
合トカ云フコトニ依ッテ、議員定數ノ增加ス
ル場合ヲ豫想シテ、ソレニ對應スル爲ニ加
ヘタ修正デアリマス、尙ホ附則ニ更ニ一項
ヲ加ヘマシテ、本法施行前旣ニ召集ノ解除
ヲ受ケマシタ者ニ對シマシテモ、亦本法ノ
適用アルコトヲ明瞭ニ致シタ次第デアリマ
ス、斯クノ如クシテ此修正案ニ對シテ、民
政黨ヲ代表シテ手代木隆吉君ヨリ、政友會
ヲ代表シテ松川昌藏君ヨリ、第一議員倶樂
部ヲ代表シテ伊豆富人君ヨリ、社會大衆黨
ヲ代表シテ中村高一君ヨリ、ソレ〓〓熱心
ナル贊成ノ意見ヲ述べラレ、討論ヲ終結シ
テ採決ニ入リマシタ所、全會一致本修正案
ヲ可決致シタノデアリマス、以上委員會ノ
經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=45
-
046・小山松壽
○議長(小山松壽君) 委員長ノ報〓ハ三案
ヲ併合シテ一案ト爲シ、修正議決シタルモ
ノデアリマス、三案ノ第二讀會ヲ開クニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=46
-
047・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ三案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=47
-
048・服部崎市
○服部崎市君 直チニ三案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=48
-
049・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=49
-
050・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
支那事變ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及
被選擧權等ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)
支那事變ノ爲召集セラレタル地方議會
ノ議員又ハ其ノ選擧ノ當選者ノ資格ニ
關スル法律案第二讀會(確定議)
支那事變ノ爲召集セラレタル者ノ選擧
權竝議員ノ資格ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=50
-
051・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=51
-
052・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出、臨時通
貨法案、及ビ關稅定率法中改正法律案ノ兩
案ヲ一括議題ト爲シ、委員長ノ報告ヲ求メ、
其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=52
-
053・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=53
-
054・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、臨時通
貨法案、關稅定率法中改正法律案、右兩案
ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員
長ノ報告ヲ求メマス-委員長駒井重次君
臨時通貨法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
關稅定率法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一臨時通貨法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十五日
委員長駒井重次
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一關稅定率法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十五日
委員長駒井重次
衆議院議長小山松壽殿
〔駒井重次君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=54
-
055・駒井重次
○駒井重次君 臨時通貨法案竝ニ關稅定率
法中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ノ
大要ヲ御報告申上ゲマス
〔「大藏省ノ誰カ來ルマデ待ッテ居ロ」其
他發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=55
-
056・小山松壽
○議長(小山松壽君) 出席ヲ要求シテ居リ
マス-政府委員ガ出席致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=56
-
057・駒井重次
○駒井重次君(續) 先ヅ臨時通貨法案ニ付
テ申上ゲマス、本法案ハ現下ノ時局ニ鑑ミ
マシテ、輸入品タル「ニッケル」、錫或ハ
銀ノ節約ヲ致スト共ニ、一方ニ於キマシテ
ハ小額補助貨弊ノ需要增加ニ對應致シマス
ガ爲ニ、國內ニ相當多額ニ產出セラルヽ所
ノ素材ヲ以テ、十錢、五錢及ビ一錢ノ補助
貨弊ヲ製造發行セントスルモノデアリマス、
又五十錢ノ小額紙弊ヲ發行致サントスル趣
旨デアルノデアリマス、委員會ニ於キマシ
テハ、三月十一日及ビ十二日ノ兩日ニ亙リ
マシテ、各委員ヨリ熱心ナル質疑ガアリ、
政府モ亦詳細ナル答辯ガゴザイマシタ、其
主ナルモノニ付テ御報告ヲ申上ゲマスレ
バ、其一ツハ、政府ハ如何ナル素材ヲ以テ、
又如何ナル量目、形式ヲ以テ、臨時補助貨
幣ヲ製造發行スル方針デアルカト云フ質問
デアリマス、之ニ對シマシテ政府當局ハ
素材ニ付テハ時局ノ推移ニ應ジ、物資ノ需
給ノ狀況ヲ究メ、最モ適當トスルモノヲ採
用スル方針デアルケレドモ、差當リ十錢及
ビ五錢ノ臨時補助貨幣ニ付キマシテハ、「ア
ルミニュームㄴト銅トノ合金ヲ以テ、一錢
ノ臨時補助貨幣ニ付テハ、銅ト亞鉛トノ合
金ヲ以テ之ニ充テルモノダト云フ答辯デア
リマシタ、又其量目及ビ形式ニ付キマシテ
ハ、流用上ノ便宜上、從來現行ノモノト餘
リ變リノナイ量目、形式ノモノヲ製造スル
方針デアルト云フ答辯デアリマシタ、其質
問ノ二ハ、大正六年カラ大正十二年ニ亙ッテ
發行セラレマシタ所ノ五十錢、二十錢、十
錢ノ小額紙幣ト云フモノハ、非常ニ紙質ガ
惡カッタ、其爲ニ流通中ニ汚損シ、或ハ衞生
上甚ダ芳バシクナイヤウナ狀態デアッタノ
デアルガ、今囘發行シヨウトスル五十錢紙
幣ハ、此點ニ鑑ミテ出來ル限リ良質ノモノ
トシテ欲シイノデアルケレドモ、政府ノ方
針ハドウデアラウカト云フ質問ガアリマシ
タ、之ニ對シマシテ政府當局ハ、今囘發行ス
ル五十錢紙幣ハ、從來ノ如ク十錢、二十錢ノ
モノヲ止メマシテ、五十錢一種トシタト云
フコトハ、此流通上ノ點ヲ考慮シタノデアッ
テ、又五十錢ノ小額紙幣ニ使フ所ノ紙質ト
云フモノハ、從來ノモノヨリモ良質ノモノヲ
用ヒル積リデアルト云フ答辯デアリマシタ、
其三ハ、今囘發行セラレマスル所ノ補助貨
幣及ビ小額紙幣ノ模樣圖案ニ付テハ、現下
ノ狀態ニ鑑ミテ、國體ノ精華ヲ發揚スルヤ
ウナ圖案ヲ採用シテ欲シイト思フケレド
モ、此點ニ關スル政府ノ所見ハドウダト云
フ御尋デアッタノデアリマス、之ニ對シマシ
テモ政府當局ハ、臨時補助貨幣ニ付テハ、旣
ニ三月八日ノ官報デ圖案ノ募集ヲシテ居
ル、其圖案ノ募集ノ條件ノ中ニ、日本精神ヲ
宣揚スルモノタルベキコトト云フ條件ヲ入
レテ居ル位デアルノダ、御趣旨ニ副フヤウ
ナ方針デアル旨ヲ答辯セラレタノデアリマ
ス、尙ホ此外ニ臨時通貨ノ發行見込高、發
行ノ期限、現行補助貨幣ノ引上ゲ見込等ニ
付キマシテモ、熱心ナル質疑ガゴザイマシ
タ、之ニ對シテ政府當局ヨリソレ〓〓答辯
ガアッタノデアリマス、其詳細ハ速記錄ニ
依ッテ御諒承ヲ願ヒタイト存ジマス
次ニ關稅定率法中改正法律案ニ付キマシ
テハ、政府ヨリ提案ノ理由ニ關シ說明ガア
リマシタ後ニ、三月十四日及ビ本日ノ兩日
ニ亙リマシテ、政府委員ト委員諸君トノ間
ニ、熱心ナル質疑應答ガ續ケラレタノデア
リマス、其詳細ハ速記錄ニ依ッテ御覽ヲ願ヒ
タイト存ジマスルガ、此改正案ハ主トシテ
滿洲國ニ產スル所ノ紅松等ノ輸入稅ヲ免除
シヨウト云フ趣旨デアリマス、此點ハ第七
十一議會ニ於テ、本院ノ希望決議トシテ提
案セラレタモノデアリ、其希望決議ノ趣旨
ニ副ッテ此提案トナック次第デアルノデアリ
やく、其他ノ改正ノ點モ大體極メテ簡單ナ
ルモノデアッタト存ジマス
大體質疑ノ狀況ハ只今御報告申上ゲタ通
リデアリマシテ、本日此兩案ニ付キ討論ニ
入リマシタ、民政黨ヨリハ福田關次郞君、
政友會ヨリハ大本貞太郞君、第一議員倶樂
部ヨリハ高岡大輔君ガ意見ヲ開陳セラレマ
シテ、何レモ原案ニ付テ贊成ノ旨ヲ述べラ
レタノデアリマス、其後直チニ採決ニ入リ
マシテ、滿場一致此兩案ハ可決致サレマシ
タ、此段御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=57
-
058・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=58
-
059・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=59
-
060・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=60
-
061・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=61
-
062・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
臨時通貨法案第二讀會(確定議)
關稅定率法中改正法律案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=62
-
063・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案共委員長
報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=63
-
064・服部崎市
○服部崎市君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=64
-
065・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=65
-
066・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、明十六日
ハ定刻ヨリ本會議ヲ開キマス、次會ノ議事
日程ハ公報ヲ以テ通知致シマス、本日ハ是
ニテ散會致シマス
午後三時五分散會
衆議院議事速記錄第二十七號中
正誤
頁段行誤正
六四一四二五我國消費額我國肥料消費額
六四六四一七動議動議ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02819380315&spkNum=66
-
本文はPDFでご覧ください。
3. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。