1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十三年三月十六日(水曜日)
午後一時三十七分開議
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議事日程 第二十八號
昭和十三年三月十六日
午後一時開議
第一 入營者職業保障法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 東洋拓殖株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 青年禁酒法案(坂東幸太郎君外十八名提出) 第一讀會
第四 護國共同組合法案(池田秀雄君外一名提出) 第一讀會
第五 護國共同組合法案(篠原義政君外四名提出) 第一讀會
第六 酒造税法中改正法律案(古島義英君提出) 第一讀會
第七 入營者職業保障法中改正法律案(淺沼稻次郎君外四名提出) 第一讀會
第八 船員保險法案(米窪滿亮君外一名提出) 第一讀會
第九 裁判所構成法改正法律案(野田文一郎君外二十六名提出) 第一讀會
第十 檢察廳法案(野田文一郎君外二十六名提出) 第一讀會
第十一 傷痍軍人竝戰公傷病死者遺族等の鐵道船舶等乘車船優遇に關する法律案(江藤源九郎君提出) 第一讀會
第十二 刑法中改正法律案(一松定吉君外六名提出) 第一讀會
第十三 刑事判決宣告猶豫に關する法律案(一松定吉君外五名提出) 第一讀會
第十四 行政執行法中改正法律案(一松定吉君外七名提出) 第一讀會
第十五 刑事訴訟法中改正法律案(内藤正剛君外六名提出) 第一讀會
第十六 陪審法中改正法律案(内藤正剛君外六名提出) 第一讀會
第十七 司法書士法中改正法律案(中山福藏君外五名提出) 第一讀會
第十八 司法書士法中改正法律案(立川平君提出) 第一讀會
第十九 行政書士法案(中山福藏君外六名提出) 第一讀會
第二十 私生子の名稱に關する法律案(中山福藏君外五名提出) 第一讀會
第二十一 理容師法案(中山福藏君外八名提出) 第一讀會
第二十二 公證人法中改正法律案(野村嘉六君外十四名提出) 第一讀會
第二十三 建築士法案(野村嘉六君外八名提出) 第一讀會
第二十四 産師法案(土屋清三郎君外五名提出) 第一讀會
第二十五 産師法案(田中養達君外一名提出) 第一讀會
第二十六 産師法案(野方次郎君外一名提出) 第一讀會
第二十七 農家世襲財産法案(林平馬君外二名提出) 第一讀會
第二十八 檢査計理士法案(森田重次郎君外三名提出) 第一讀會
第二十九 裁判所構成法中改正法律案(高橋義次君外六名提出) 第一讀會
第三十 愛國航空奬券發行に關する法律案(安藤孝三君外一名提出) 第一讀會
第三十一 辯護士法中改正法律案(清瀬一郎君外三名提出) 第一讀會
第三十二 昭和八年法律第五十四號中改正法律案(清瀬一郎君外五名提出) 第一讀會
第三十三 軍用候補馬鍛錬法案(土田莊助君外三名提出) 第一讀會
第三十四 軍用候補馬鍛錬法案(大石倫治君外三名提出) 第一讀會
第三十五 重要物産同業組合法中改正法律案(原玉重君外十三名提出) 第一讀會
第三十六 狩獵法中改正法律案(鈴木正吾君提出) 第一讀會
第三十七 金錢債務臨時調停法廢止法律案(服部英明君外二名提出) 第一讀會
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
入營者職業保障法中改正法律案
(以上三月十五日提出)
一昨十五日近衞内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
農林書記官 寺田省一
第七十三囘帝國議會農林省所管事務政府委員被仰付
一昨十五日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第一部選出
豫算委員 稻田直道君(原惣兵衞君補闕)
第一部選出
決算委員 樋口善右衞門君(國光五郎君補闕)
第四部選出
決算委員 増永元也君(松木弘君補闕)
第五部選出
決算委員 大内竹之助君(山口忠五郎君補闕)
第八部選出
決算委員 世耕弘一君(生田和平君補闕)
一昨十五日常任委員理事補闕選擧の結果左の如し
決算委員
理事 増永元也君(理事松木弘君去十四日委員辭任に付其の補闕)
一昨十五日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第三部選出豫算委員 箸本太吉君
一昨十五日に於ける特別委員の異動左の如し
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(輸出入品等に關する臨時措置に關する件)(政府提出、貴族院送付)委員
辭任 西村金三郎君 補闕 小山倉之助君
辭任 木村淺七君 補闕 眞鍋儀十君
辭任 岡崎久次郎君 補闕 本田彌市郎君
民族優生保護法案(八木逸郎君提出)委員
辭任 八木逸郎君 補闕 村松久義君
臨時通貨法案(政府提出)外一件委員
辭任 津倉亀作君 補闕 小山倉之助君
飼料配給統制法案(政府提出)委員
辭任 小見山七十五郎君 補闕 伊東岩男君
辭任 湊季松君 補闕 愛野時一郎君
農業保險法案(政府提出)委員
辭任 福田悌夫君 補闕 長野長廣君
社會事業法案(政府提出)外二件委員
辭任 瀧澤七郎君 補闕 高畠亀太郎君
重要鑛物増産法案(政府提出)外一件委員
辭任 高畠亀太郎君 補闕 瀧澤七郎君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=1
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002・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第二ヲ繰上ゲ
上程シ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=2
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003・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=3
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004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第二、東洋拓殖株式會社法中改正法律
案、第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報
告ヲ求メマス-委員長沖島鎌三君
第二東洋拓殖株式會社法中改正法律
案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一東洋拓殖株式會社法中改正法律案(政
府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十五日
委員長沖島鎌三
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
東洋拓殖株式會社ノ總裁及副總裁ハ
監督官廳ノ官吏ヨリ任命スルコトヲ避
クヘシ
〔沖島鎌三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=4
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005・沖島鎌三
○沖島鎌三君 只今上程ニナリマシタル東
洋拓殖株式會社法中改正法律案ニ付キマシ
テ、委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シマ
ス、委員會ハ本案ニ關シ前後四囘開會致シ
マシタ、本法案ノ要旨ハ、東洋拓殖株式會
社ノ營業ノ進展ニ伴ヒマシテ、同社ノ副總
裁及ビ參與理事ノ制度ヲ設ケ、東洋拓殖債
劵ノ發行限度ヲ、現行法ノ拂込資本金ノ十
倍ヲ十五倍ニ擴張シマスルト共ニ、營業地
域ニ關スル規定其他若干ノ規定ニ付キ、修
正削除ヲ爲サントスルモノデアリマスガ、
簡單ニ右ニ關スル委員會ニ於ケル質疑應答
ノ要點ダケヲ御報告致シタイト思ヒマス
先ヅ副總裁設置ノ趣旨、副總裁銓衡ノ方
針等ニ付キ質問ガアリマシタガ、之ニ對シ
テ政府ヨリ副總裁設置ノ趣旨ハ、會社ノ營
業ノ進展複雜化ニ伴ヒ、總裁ヲ輔佐シテ社
務ノ統轄ニ當ラシメ、以テ會社ノ使命達成
上遺憾ナカラシメントスルニアリ、副總裁
ノ銓衡方針トシテハ、廣ク人材ヲ江湖ニ求
メ、適材適所ノ方針ヲ以テ善處スル旨答辯
ガアリマシタ
次ニ東洋拓殖債劵ノ發行限度ノ擴張ニ關
聯シマシテ、會社ハ將來如何ナル地域ニ向ッ
テ發展セントスルカ、是ガ爲メ必要ナル資
金ノ見込額如何等ノ質問ニ對シマシテハ
政府ヨリ會社ハ朝鮮、滿洲、北支等大陸方
面ニ發展セントスルモノデアリ、目下ノ資
金繰リ豫想ニ依レバ、會社ハ今後相當多額
ノ資金ヲ要スル旨ノ答辯ガアリマシタ、又
營業地域ニ關スル規定ノ改正ニ付キマシテ、
會社ヲシテ樺太ニ進出セシムル意思ナキ
ヤトノ質問ニ對シマシテハ、政府トシテモ
樺太ノ實情ニ鑑ミ、是ガ進出ニ付キ十分考
究シタキ旨ノ答辯ガアリマシタ、尙ホ本改
正案ニ關聯シマシテ、臺灣拓殖、南洋拓殖、
南洋興發等ノ諸會社ノ經營事業ニ付キマシ
テモ質疑ガ重ネラレマシタガ、詳細ハ速記
錄ニ依ッテ御承知ヲ願ヒタイト存ジマス
以上質疑ヲ終ヘ、討論ニ移リマシタル所、
立憲民政黨ヲ代表シ木原七郞君ヨリ、左ノ
附帶決議ヲ附シテ原案ニ贊成スル旨ノ御發
議ガアリマシタ、玆ニ其附帶決議ノ案文ヲ
朗讀致シマス
附帶決議
-東洋拓殖株式會社ノ總裁及副總裁ハ
監督官廳ノ官吏ヨリ任命スルコトヲ避
クヘシ
尙ホ木原君ハ此附帶決議ニ對シテ、政府
ハ成文化シタル法律同樣ニ尊重サレンコト
ヲ望ム旨希望ヲ述べラレマシタ、續イテ立
憲政友會ヲ代表シテ葉梨新五郞君ヨリ、木
原君御發議ノ附帶決議附ニテ原案ニ贊成ス
ル者デアルケレドモ、此際特ニ三ツノ事項
ニ關シ、拓務大臣ノ言明ヲ得テ置キタイト
云フコトデアリマシタ、卽チ其第一ハ右
ノ附帶決議ニ對シテ、當局ハ成文化シタル
法律同樣ニ之ヲ尊重スル覺悟アリヤ、其第
二ハ、東洋拓殖株式會社ハ其國策會社タル本
來ノ使命ニ鑑ミ、徒ニ營利本位ニ走ルコト
ナク、其投資會社ノ中旣ニ獨立自營ノ出來
ル優良會社ニ對シテハ、之ヲ民間ニ開放シ
テ、漸次其資金ヲ囘收シテ、更ニ新規ノ國策
的事業ニ投資セシムル必要ガアルト信ズ
ル、政府ノ所見如何、其第三ハ、東洋拓殖
株式會社ハ、北支開發會社、中支振興會社
等トノ業務ノ範圍ヲ協定シテ無用ノ競爭ヲ
避クルヤウニ、當局ノ嚴重ナル監督ヲ望ム、
政府ノ所見如何、之ニ對シテ大谷拓務大臣
ヨリ、第一ノ附帶決議ニ對シテハ其趣旨
ヲ十分ニ尊重スベキ旨御言明ガアリマシタ、
第二、第三ノ葉梨君ノ御意見ハ、自分モ全ク
同感デアルカラ、今後其方針デ東拓ヲ監督
スル覺悟デアルトノ御答辯ガアリマシタ、
次ニ第一議員倶樂部ノ代表トシテ林路一君、
社會大衆黨代表トシテ田原春次君ヨリ、何
レモ木原君ノ御發議ニ贊成ノ意思ヲ表明セ
ラレマシタ、採決ノ結果、本案ハ右附帶決
議ヲ附シ、原案ヲ承認スルコトニ滿場一致
可決サレマシタ、右御報〓致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=5
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006・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=6
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007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=7
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008・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=8
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009・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=9
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010・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
東洋拓殖株式會社法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=10
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011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第一、入營
者職業保障法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開
キマス-厚生大臣侯爵木戶幸一君
第入營孝職業保障法中改正法律
案(政府提出)第一讀會
入營者職業保障法中改正法律案
入營者職業保障法中左ノ通改正ス
第三條中「勞務及給與ハ」ノ下ニ「少クト
モ」ヲ加フ
第五條中「五十人」ヲ「三十人」ニ改ム
第五條ノ二職業紹介事業ヲ行フ行政廳
(船員職業紹介法第三條第二項ノ規定
ニ依リ船員職業紹介事業ヲ行フ者ヲ含
ム)ハ退營者ニシテ原職ナキモノ又ハ
原職ニ復歸スルコト困難ナリト認ムル
モノノ職業紹介ニ付テハ被傭者ヲ求メ
ントスル者ニ對シ其ノ被傭者タルニ適
スト認ムル退營者ヲ優先シテ雇傭スル
コトヲ慫慂スルコトヲ得
前項ノ規定ハ退營者ガ退營シタル日ヨリ
三月ヲ經過シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
第六條中「前四條」ヲ「第一一條乃至第五條」
三六人
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣侯爵木戶幸一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=11
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012・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 只今議題ト
ナリマシタ入營者職業保障法中改正法律案
ニ付キマシテ、提案ノ理由ヲ御說明申上ゲ
やっ、申ス迄モナク本法ハ、入營ヲ命ゼラ
レタル者、又ハ入營ヲ命ゼラルヽコトアル
ベキ者ニ對シ、其故ヲ以テ就職ニ付テ不利
益ナル取扱ヲ受ケシムルコトナク、且ツ退
營後ノ再雇傭ニ付キ後顧ノ憂ナカラシムル
爲メ、昭和六年四月一日公布セラレ、同年
十一月一日ヨリ施行セラレタノデアリマス、
爾來約七年ヲ經過シ、其間ニ於キマシテ本
法ノ趣旨ハ漸次普及セラレ、相當ノ效果ヲ
擧ゲテ參ッタノデアリマスルガ、現下ノ情勢
ニ鑑ミマスレバ、尙ホ不十分ナ點ガアリ、殊
ニ今次ノ支那事變ニ伴フ召集解除者ノ就
職近ク實施セラレマス在營年限延長等ニ
對處スルニハ、現行法ニ改正ヲ加フルノ必
要アリト認メラルヽノデアリマス、仍テ玆
ニ本改正法律案ヲ提出スルニ至ッタノデアリ
マス
本改正法律案ニ於キマシテハ、第一ニ、
再雇傭後ノ處遇ニ付テノ規定ノ趣旨ヲ明確
三日 五第二ニ、再雇傭ニ關スル規定ノ適用
範圍ヲ擴張致シマシテ、雇傭者ガ常時三十
人以上ノ被傭者ヲ使用スル場合ニ適用スル
コトニ改メ、第三ニ、再雇傭ニ關スル規定
ノ適用ヲ受ケザル退營者ノ就職保護ニ關ス
ル規定ヲ設ケマシテ、以テ退營者ノ職業保
護ニ遺憾ナキヲ期セントスルモノデアリマ
ス、何卒御審議ノ上速ニ御協贊アランコト
ヲ望ミマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=12
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013・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-淺沼稻次郞君
〔淺沼稻次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=13
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014・淺沼稻次郎
○淺沼稻次郞君 私ハ只今議題ニナッテ居
リマスル入營者職業保障法中改正法律案ニ
關シマシテ、大體三點ニ付テ御質問ヲ申上
ゲタイト思フノデアリマス、一旦緩急アレバ
義勇公ニ奉ジマスルコトハ、固ヨリ我國三千
年ノ傳統デアリマス、斯ルガ故ニ一度應召サ
レンカ、吾々ノ同僚ハ勇躍シテ戰地ニ參ルノ
デアリマス、而モ身ヲ以テ國家ノ目的遂行ノ
爲ニ戰フノデアリマス、私共ハ兵役ノ義務ガ
國民ノ國家ニ對スル最高ノ義務デアルト云
フコトヲ考ヘルト同時ニ、出征ヲ致シマシタ
出征軍人竝ニ遺家族ヲ心カラ犒ヒ、之ニ對
シテ出來ルダケノ援護ヲ與ヘルト云フコト
ハ、否、救援ヲスルト云フコトハ、國家及
ビ國民ノ出征軍人ニ對スル最大ナル責務デ
アルト思フノデアリマス(拍手)斯ル觀點ニ
立チマシテ、私共ハ政府ガ出征軍人ニ付テ、
ソレ〓〓〓援ノ方法ヲ講ゼラレ、銃後ノ立
法ヲサレルコトニ付キマシテハ、結構デア
ルト考ヘテ居ルノデアリマスガ、現ニ出征
ヲ致シマシテ名譽ノ戰傷ヲ受ケラレ、或
不幸病魔ニ冒サレマシテ、後送ノ已ムナキ
ニ至ッタ多クノ同僚モアラレルノデアリマ
ス、是等名譽ノ戰傷ヲ受ケラレ、或ハ不幸
病魔ニ冒サレマシテ、後送ノ已ムナキニ
至ッタ人達ニ對シマシテモ、心カラ之ヲ犒フ
コトヲヤラナケレバナラヌト思ヒマス、而
モ是等ノ人ガ除隊サレタ後ニ於テ、不具者
トシテ社會ニ立ッテ行ク場合ニ於キマシテ
ハ、是等ノ傷痍軍人ニ對シマシテハ心ヨ
リ出來ル限リノ施設ヲ國家ハシナケレバナ
ラヌト思フノデアリマス、然ルニ會期アト
九日程ニ迫ッテ居ルノデアリマスルガ、政
府ニ於キマシテハ傷兵保護院法案竝ニ傷
痍軍人保護法ヲ提出スルガ如ク言ハレテ
居ッタノデアリマスガ、未ダニ提案ガアリマ
セヌ、會期ハ旣ニアト九日ニ迫ッテ居ルノ
デアリマス、而モ傷兵保護院法案ハ傷痍軍
人ノ待遇ニ關シ、或ハ此再〓育問題ニ付
テ、重大ナル法案デアルト私共ハ考ヘテ居
ルノデアリマスルガ、如何樣ナ都合カマダ
提案ガナイノデアリマスカ、聞ク所ニ依リ
マスナラバ、厚生省ト大藏省トノ間ニ於テ、
財源問題ガ一致シナイト云フヤウナ話ヲ聞
クノデアリマスガ、斯ウ云ッタヤウナ問題ニ
ハ、大藏省ニ於キマシテモ思切ッテ金ヲ出ス
覺悟デ、傷兵保護院法案竝ニ傷痍軍人保護
法ノ如キハ提案サレテ然ルベキダト考ヘル
ノデアリマスガ、一體何時頃提案ニナルノ
カ、此點ヲ御聽シタイト思フノデアリマス
次ニ入營者職業保障法中改正法律案ニ於
テ、五十人ノ工場ヲ三十人ニ改メ、或ハ勞
務及ビ給與ノ規定ヲ、「少クトモ」ト云フ文
字ヲ入レマシテ、サウシテ出征前ニ取ッテ居
リマシタ給與ヲ下ラナイヤウニ致シマシタ
コトハ洵ニ結構デアルト私ハ思フノデア
リマスルガ、此法律ハ刑罰規定ヲ持タナイ
法律デアリマス、總テ資本家ノ道義心ニ愬
ヘテ本法ヲ運用スルト云フヤウニ出來上ッ
テ居ルノデアリマスルガ、果シテ刑罰ヲ持
タナイ法規ニ於テ、其運用ノ妙ヲ期スルカ
ドウカ、私ハ疑ハザルヲ得ナイノデアリマス、
此點ニ付テ政府當局ノ所見ヲ私ハ承リタイ
ト思ヒマス、國家ト民族ガ一大飛躍ヲ試ミ
ツヽアル時ニ、現在日本ノ國內ニ於キマシ
テモ、所有權ヲ楯ニシテ現狀維持的所論ヲ
私共ハ聽クノデアリマス、是ハ議會ノ內ニ
於テモ、議會ノ外ニ於テモ、或ハ電力法
案、或ハ總動員法案ノ審議中ニモ、斯ウ云ツ
タ所論ノ現レヲ私共ハ聽クノデアリマス、
少クトモ國家ト民族ガ一大飛躍ヲ試ミル時
ニ當ッテ、國民ト致シマシテハ、之ニ對シテ
後髪ヲ引クヤウナ行動、言論ガアッテハ、斷
ジテナラナイト私ハ考へルノデアリマス
ガ現ニ行ハレテ居リマスル所ノ議論ト云
フモノハ往々ニシテ資本家的根性ガ出テ
參リマシテ、國家ト民族ノ飛躍ニ對シテ、
後髪ヲ引クヤウナ傾向ガアルノデアリマス、
此點カラ考ヘテ見マシテモ、或ル程度ノ刑
罰法規ヲ持タナイ以上ニ於キマシテハ、本
法ノ運用ノ上ニ於テ完全ヲ期セラレナイト
思フノデアリマスガ、政府ハ如何ヤウニ御
考ニナッテ居ルカ伺ヒタイ、第三點ハ本法案
ハ原職ニ復歸スルト云フコトヲ原則トシテ
居リマセヌノデアリマス、原職ニ復歸出
來ナカッタ場合ニ於テハ、ソレ〓〓職業紹介
所ヲ經テ或ハ地方行政官廳ノ手ヲ經テト
云フヤウニ規定シテ居ルノデアリマスガ、
少クトモ本法ハ原職ニ復歸スルト云フコト
ヲ原則トシテ立法シテ然ルベキト、私共ハ
考ヘルノデアリマスガ、サウ云フ所ニ重點
ヲ置カナカッタ點ハ如何ヤウニ御考デアル
カ以上三點ニ付テ御伺ヲシタイト思フノ
デアリマス
最後ニ一點御伺シタイノハ、是ハ事務上
ノコトデアリマスガ、厚生省ハ現在内務省
ノ一部ト舊社會局跡ニ分離ヲサレテ居ルノ
デアリマス、厚生省ノ持ツ任務ト云フモノ
ハ、戰後社會政策上ニ於テ、重大ナル任務
ヲ私共ハ持ッテ居ルト思フノデアリマスガ、
一面ニ於テハ內務省ニ居候ヲシ、一面ニ於
テ社會局跡ニト云ッタヤウナコトデ、分離シ
テ居ルト云フコトハ、事務ノ統一連絡ノ上
ニ於テ、甚ダ支障ヲ來スデアラウト云フコ
トヲ考ヘルノデアリマスガ、事務統一ノコ
トニ付テ、ドウ云フヤウニ處置ヲ執ラレル
ノデアルカ、此點モ一點御聽シテ置キタイ
ト思フノデアリマス、以上四點ニ付テ御答
辯ヲ願ヒタイト思ヒマス
〔國務大臣侯爵木戶幸一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=14
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015・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 淺沼サンニ
御答致シマス、第一ノ御尋ハ、傷兵保護ニ
關シマスル點デアリマスガ、傷兵保護ハ現
下ノ時局ニ鑑ミマシテ、極メテ重要ナルコ
トハ申ス迄モナイノデアリマス、政府ニ於
キマシテハ、十三年度ノ追加豫算トシテ、
十分ナル施設ヲ爲スベク、目下各關係當局
ト協議致シテ居リマスノデ、最近ノ機會ニ
於テ提案シテ御協贊ヲ願フコトニナッテ居リ
やく、其對策ノ施行方法ト致シマシテ、法
律ニ依リマシテ法人ヲ設ケテ、一ツノ機關
ヲ作ルト云フコトニ付キマシテモ、十分〓
究致シマシタガ、此點ニ付キマシテハ、新
例デモアリマスシ、種々考究スベキ點ガア
ルノト、更ニ又傷兵ノ保護ハ、國家自ラガ
其任ニ當ルベキデアッテ、他ニ之ヲ委シテ
居ルト云フヤウナ印象ヲ與ヘマスルコトニ
付キマシテハ、篤ト考慮致シマシテ、只今
計畫致シテ居リマスノデ、厚生省ニ於キマ
シテ、一ツノ外局的ノ機關ヲ設ケマシテ、
ソコニ於テ運用スル考ヲ以テ折角折衝中デ
アリマス
ソレカラ第二ノ點ニ付キマシテハ、罰則
ヲナゼ設ケナカッタカト云フ御話デアリマ
スガ、本法ハ御承知ノ通リ所謂道德的ト申
シマスカ、〓育的ノ立法デアリマシテ、本法
ノ所謂兵役ト云フコトガ、國民ノ崇高ナル
義務ニ關スルモノデアリマスルカラ、此
法律ノ運用ニ當リマシテ、其完璧ヲ期シマ
スル爲ニモ、〓育的輿論ヲ喚起シ、此精神
ヲ十分理解サセマシテ、而シテ之ヲ徹底サ
シテ行クト云フコトガ必要ナノデアリマシ
テ、違反者ニ對シマシテ罰則ヲ以テ臨ミマ
スコトハ、或ハ時ニ兵役義務ノ囘避ト云フ
ヤウナ、逆效果ヲ生ムコトヲ恐レルノデア
リマシテ、其意味ニ於キマシテ、今囘ノ改
正ニ於キマシテモ罰則ヲ設ケナカッタ次第
デアリマス
ソレカラ第三ノ點ハ、原職ニ復歸ト云フ
コトヲ原則ニシナクテハイカヌデハナイカ
ト云フ御尋デアッタト存ジマスガ、大體本
法ニ於キマシテモ、原職ニ復歸スルト云フ
コトガ、主タル方針ニナッテ居ルノデアリ
マシテ、三十人以下ノ小サイ商工業者等ノ
雇傭者ニ付キマシテハ、或ハ之ヲ强制スル
コトガ無理ノ點モアリマスノデ、其點ニ於
キマシテハ、職業紹介所長ノ判斷ト運用ニ
委セマシテ、必シモ原職ト云ハズ、要スル
ニ一般ノ就職ヲ斡旋シ、優先シテ就職セシ
ムルト云フコトニ致シタノデアリマス
最後ニ御尋ノ厚生省ノ現在ノ事務ヲヤッ
テ居ルコトデアリマスガ、是ハ將來成ベク
一〓ニナルコトニナッテ居リマス、只今ハ可
ナリ不便デアリマスガ、併ナガラ今日サシ
タル支障モナク運用シテ居ル積リデ居リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=15
-
016・小山松壽
○議長(小山松壽君) 淺沼君、宜シウゴザ
イマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=16
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017・淺沼稻次郎
○淺沼稻次郞君 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=17
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018・小山松壽
○議長(小山松壽君) 三浦虎雄君
〔三浦虎雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=18
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019・三浦虎雄
○三浦虎雄君 私ハ入營者職業保障法中改
正法律案ヲ通シマシテ、現內閣ノ社會立法
ニ對スル熱意ト信念トヲ御尋シタイト思フ
ノデアリマス、今ヤ革新政策ノ斷行ハ常識
ト化シマシタ、併シ其革新政策ハ、一體物
ノ利害ヲ先ニスルノカ、或ハ人間ノ利害ヲ
先ニスルノカ、此點ニ對スル政府、或ハ議
會ヲ通シテノ言論ニハ聊カ疑義ヲ持ツ者
デアリマス、言フ迄モナク物ハ人間ガ造ッタ
ノデアリマスルカラ、人間ノ利害ガ物ノ利
害ニ先ダツ筈デアリマスルケレドモ、而シ
テ又現下ノ時局ニ於キマシテハ、持タザル
者ハ其最後ノ肉彈ヲ國家ニ捧ゲツヽアル此
時ニ於キマシテ、議會ニ於キマシテハ、所
有權ノ擁護ト云フコトガ熱心ニ論議セラレ
ツヽアルヤウナ狀態デアリマス、故ニ此機
會ニ於キマシテ、現內閣ハ果シテ社會立法
ヲ通シテ、國民大衆ニドレダケノ熱意ト關
心ヲ持ツカト云フコトヲ、此際御尋シタイ
ト思ヒマス
ソコデ過去ヲ問フノデハアリマセヌ、此
議會ニ現内閣ガ提案セラレマシタ社會立法
ヲ通シテ見マスルト、近衞內閣ハ一體國民
大衆ニ何ヲヤッテ吳レタカヲ吾々ハ疑フ者
デアリマス、何物モナイノデアリマス、卽
チ社會政策ヲ取扱フ所ノ獨立ノ厚生省ガ新
設サレテ、如何ニモ此內閣ハ民衆ノ利益擁
護ニ熱心デアルカニ見エタノデアリマスル
ケレドモ、今日マデ厚生省ノ大臣ハ依然ト
シテ兼任デアリマス、而シテ提案セラレタ
社會立法ハ、唯名前ダケデアッテ、其內容ト
云フモノハ、殆ド立法ノ精神ヲ失ッテ居リ
マス
〔議長退席、副議長著席〕
今一々之ヲ申上ゲマスルナラバ、曩ニ政府
ハ恩給金庫ヲ庶民金庫ト竝ベテ御出シニ
ナッタ、庶民金庫ハ寧ロ官吏ノ爲ノ恩給金庫
法ヲ通過セシメル爲ノ、囮デアッタカニ見
エルノデアリマス、其證據ニハ、恩給受領
者ノ中ノ恩給金庫ヲ必要トスル所ノ人ト云
フモノハ、國民ノ中ノ極メテ一部分デアル、
其一部分ノ人ニ對シテハ、恩給金庫ノ資金
トシテ三千万圓ガ計上セラレテ、恩給受領
者トハ數ニ於テ比較ニナラナイ一般民衆ノ
爲ノ庶民金庫ニ對シテハ、其三分ノ一ノ
僅ニ一千万圓ノ資金ガ計上サレテ居ルト云
フヤウナ狀態デアリマス、是ハ明ニ民衆ニ
對シテ現內閣ハ熱意ノ缺ケテ居ルト云フコ
トヲ想像シ得ルモノデアリマス、恩給ト申
セバ直チニ今日デハ軍人ヲ聯想致シマス、
併ナガラ此軍人ノミガ恩給受領者ノ全部デ
ハナイノデアリマス、實ニ受恩給者ノ半分
ハ官公吏デアリマス、半分ガ軍人デアリマ
ス、ダカラ斯ウシタ戰時ニ當ッテ、此受恩給
者ノ爲ニ恩給金庫法ヲ作ルト云フコトハ、
如何ニモ此際戰時ニ於ケル軍人ヘノ感謝ノ
熱意ノ現レデアルカニ國民ハ考ヘテ、サウ
シテ易々ト恩給金庫法ト云フモノヲ通過セ
シメタノデアリマスルガ、併ナガラ此受恩
給者ノ中ノ半分ノ軍人ハ、新ニ此法律ガ出
來タ後ニ恩給ヲ貰フ軍人諸君モ出タデアリ
マセウケレドモ、其以前ノ恩給ヲ貰ッテ、サ
ウシテ恩給金庫ヲ必要トスルヤウナ、サウ
シタ軍人ハ、或ハ召集セラレテ恩給ヲ受ケ
ル權利ヲ失ヒ、或ハ又戰死ヲシテ居ルノデ
アリマスカラ、實際ノ數ニ於テハ、此恩給
金庫法ガ出來ル前ヨリモ減ッテ居ル筈デア
リマス、サウシタ數ガ減ッテ居ル時代ニ於
テ、此際ヲ利用シテ、寧ロ一般官公吏ノ爲
ニモ恩典デアル所ノ此恩給金庫ヲ提案シ、
之ヲ庶民金庫ト竝ベテ通過セシメタト云フ
コトハ是ハヤハリ民衆ノ利害休戚ト云フ
モノニ對シテ、政府ガドレダケノ熱意ヲ持ツ
テ居ルカト云フコトヲ疑ハザルヲ得ナイノ
デアリマス、更ニ又最近社會事業法ガ本院
ヲ通過致シマシタガ、此社會事業法其モノ
ヲ國民ガ考ヘマスト、如何ニモ國民ノ利益
ノ爲ノ結構ナ法案ガ通過シタカニ考ヘラレ
マスケレドモ、其內容タルヤ、單ナル取締
法規デアリマシテ、私設社會事業ヲ取締ル
所ノ罰則規定ヲ書上ゲタモノデアリマシテ、
社會事業ヲ助長スルト云フコトハ、何處ニ
モナイノデアリマス、唯名前ダケガ立派ナ
ノデアリマス、次ニ提案セラレタ所ノ職業
紹介所法ト云フノガアリマスガ、此職業紹
介所法ノ中ニ於キマシテ、個人ノ口入業、
料金ヲ取ッテ職業ヲ周旋スル所ノ、其有料ノ
口入業者其モノニ對スル制限ヲシタノデア
リマス、之ヲ制限スルコトニ依ッテ、政府ハ如
何ニモ勞働者ヲ保護シタト云フヤウニ辯明
シテ居リマスケレドモ、實ハ勞働者ヲ搾取シ
テ居ル、サウシタ口入業者ハ時間的ニ見レ
バ極メテ一時的ニ之ヲ搾取シテ居ルノデア
リマス、寧ロ長時間ニ亙ッテ其勞働力ヲ搾取シ
テ居ルモノハ會社ナノデアリマス、ソコデ一
方ニ於テ個人ノ有料口入業者ト云フモノヲ
制限スルト同時ニ、此會社ガ工場ノ前ニ揭
ゲテ居ル所ノ職工募集ト云フ此手段ヲ封ジ
ナイ限リハ、是デハ片手落ニナルト云フコト
ヲ免レナイ、卽チ勞働者ガ困ッテ居ル所ノモノ
ハ、何時デモ勞働條件、或ハ勞働賃銀等ガ、
會社ノ一方的意思ニ依ッテ決定セラレルト
云フコトガ、勞働者ノ堪へ得ザル點デアリ
マス、故ニ斯ウシタ弊害ヲ除ク爲ニハ、此
職業紹介所法ノ中ニ於テモ、一面ニ於テハ個
人ノ有料口入業者ヲ制限スルト同時ニ、斯
ウシタ人ヲ派遣シ、或ハ會社ガ職工募集ノ
大キナ看板ヲ揭ゲル、サウシタ會社ノ直接
職工募集ヲ制限スルノデナケレバ、何處ニ
モ勞働者ノ利害ハ保護セラレナイノデアリ
マス(拍手)、斯ノ如ク此職業紹介所ノ法案ノ
中ニ於テモ、資本家ニハ非常ニ遠慮ヲ致シ
テ居リマスルガ、一般ノ勞働者ニ對シテハ、
何處ニモ積極的ナ保護ト云フモノガ見ラレ
ナイノデアリマス
更ニ今囘ノ入營者職業保障法デアリマス
ルガ、是ハ先程淺沼君カラ御質問モアリ、
當局ノ御答辯モアリマシタガ、一體法律ヲ
制定致シマシテ、サウシテ制裁ノ無イヤ
ウナ法律ト云フモノガドレダケアリマセウ
カ、此法律案ヲ拜見致シマスルト、「雇傭ス
ルコトヲ慫慂スルコトヲ得」、傭ヘト云フコト
ヲ會社ニ對シテ勸メルコトガ出來ルト云フ、
斯ウシタ生溫イ規定ナノデアリマス、積極
的ノ規定ガナイ限リハ、斷ックトテ刑罰ニハ
觸レナイ、要スルニ是ハ政府モ辯明セラレ
クヤウニ、只管資本家ノ傭主ノ良心ノ判斷
ニ俟ツ、斯ウ云フヤウナコトデアリマスル
ガ、又之ヲ强制規定ニスレバ、今ノ大臣ノ
御答辯デハ、或ハ兵役義務ヲ忌避スルヤウ
ナ逆效果ヲ生ズルカモ知レナイト云フヤウ
ナ御話デアル、兵役ノ義務ヲ忌避スルト云
フコトハ、兵役ニ服スル者ニ對スル十分ナ
ル保護ガアレバ、決シテ忌避ハ致サナイノ
デアル、十分ナル保護ト云ヘバ、丁度丁年
ニ達シマシテ、兵役年齡ニ達シマシテ、召
集セラレテ入營ヲスル、サウシテ滿期ニナッ
タ所ガ、元ノ職ニハ外ノ人ガ居ル、ソレヲ
法律ノ規定デ、元ノ地位ニ歸シテヤルト云
フコトガ、本當ニ兵役義務者ヲ保護スル所
以デアリマシテ、之ヲ只管傭主ノ良心ニ俟
ツト云フヤウナ事柄ハ、決シテ是ハ兵役義
務者ヲ保護スル所以デハナイ、寧ロ制裁規
定ヲ置カナイコトガ、兵役義務ヲ忌避スル
所以ニナルト思フノデアリマス(拍手)此職
業保障法ト云フモノハ、七年前ニ制定セラ
レタノデアリマス、而モ其當時ニ於テスラ、
是ハ制裁規定ガナイカラ何ニモナラヌ法律
デハナイカト云フコトガ、屢〓論議セラレタ
ノデアリマス、又各地ニ於テサウシタ效果
ノナイ爭ヲ屢〓見タノデアリマス、七年以前
ノ時代ト只今トデハ、言フ迄モナク內外ノ
情勢ハスッカリ變ッテ居リマス、而モ今ハ戰
時デアリマス、斯ウシタ非常ニ違ッタ時代
ニ於テモ、尙且ツ七年以前ト同ジヤウニ、雇
フコトヲ慫慂スルコトガ出來ルト云フヤウ
ナ、微弱ナル態度ニ何故政府ハ出ナケレバ
ナラナカッタノカ、卽チ是ハ勞働者階級ニハ
極メテ冷淡デアッテ、資本家ヲ只管恐レルヤ
ウナ氣持ガ、此處ニモ現レテ居ルノデアリ
マリ、斯ノ如ク致シマシテハ到底所謂革
新政策ノ斷行ト云フヤウナコトハ行ハレマ
セヌ、既ニ近衞首相自ラモ摩擦ヲ恐レズ、
革新政策ヲ斷行スルト仰セラレテ居ルノデ
アリマス、何ヲ恐レテ斯ノ如ク資本家ノ意
思ヲ憚リ、斯ノ如キ戰時ニアッテモ、尙且
ツ元ノ地位ニ復職サセルコトヲ拒ム者ヲ罰
スルト云フ、制裁ヲ規定シ得ナイヤウナ態
度ヲ御執リニナルノデアルカ、此處ニモ現
內閣ガ他ノ社會立法ト同樣ニ、如何ニ資本
家ヲ恐レテ民衆ニ對シテ冷淡デアルカト云
フ例證ガアルト私ハ思ヒマス、此點ニ於キ
マシテ、最モ社會立法ヲ必要トスル現在ニ
於キマシテ、政府ハ果シテドノ程度ノ熱意
ト信念トヲ社會立法ニ對シテ御持チニナル
カ、此點ヲ御伺シタイト存ジマス(拍手)
(國務大臣侯爵木戶幸一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=19
-
020・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 三浦サンニ
御答ヲ致シマス、三浦サンハ御演說ノ劈頭
ニ於テ、物ノ利害ヲ先ニスルカ、人ノ利害
ヲ先ニスルカト云フ御趣旨ニ於キマシテ御
尋デアリマシタガ、社會ハ人アッテノ物デア
ルト云フコトハ御話ノ通リデアリマス
厚生省ガ出來マシテ、今後社會政策、社會
立法ヲ斷行シテ參リマスニ付キマシテハ
國民生活ノ安定ト云フコトニ付キマシテ、
各般ノ社會立法、社會施設ヲ爲シテ行クコ
トハ勿論ノコトデアリマシテ、今後ハ此方
面ニ付テ十分努力スル考デ居ルノデアリマ
ス、只今提案ニナッテ居リマスル法律ニ付キ
マシテモ、何カ資本家ニ非常ニ遠慮致シマ
シテ、微溫的ナ法案ヲ提出シタカノ如ク御
話デアリマシタガ、左樣ナ趣旨デハナイノ
デアリマシテ、罰則ヲ設ケナカッタト云フコ
トニ付キマシテハ、先程モ淺沼サンニ御答
致シマシタ通リ、本法ノ立法ノ趣旨カラ致
シマシテ、圓滿ナル運用ヲ期スルガ爲ニモ、
亦本法ノ性質カラ考ヘマシテ、刑罰ヲ以テ
之ヲ强制致シマスノハ、却テ弊ヲ生ズル虞
ガアルノデアリマシテ、其意味ニ於キマシ
テ罰則ヲ附ケナカッタノデアリマス、而シテ
從來ノ例ニ依リマスト、現行法ニ於キマシ
テ保護ヲ受ケナイ者デ、尙且ツ再就職、再
雇傭セラレマシタ者ガ、二万五千人ノ中ニ
一万六千人モアルノデアリマシテ、大體ニ
於キマシテ本法ノ趣旨ハ、漸次雇傭者竝ニ
被傭者ノ間ニハ徹底シツヽアルト考ヘテ
居リマスノデ、今囘ノヤウニ致シマシテ、
更ニ職業紹介所長其他ガ是等就職ノ斡旋ヲ
致シマシテ、法規的ニ優先シテ就職スルヤ
ウニト云フコトヲ致シマスレバ、更ニ成績
ヲ擧ゲテ行クコトガ出來ルノデアリマシテ、
大體ニ於キマシテ兵役義務ニ服シマシタ結
果非常ナル不利益ヲ來スコトハナイト考
ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=20
-
021・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 是ニテ質疑ハ終了
致シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員
ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=21
-
022・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=22
-
023・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=23
-
024・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=24
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025・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出、工作機
械製造事業法案ヲ議題ト爲シ、委員長ノ報
告ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=25
-
026・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=26
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027・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、工作
機械製造事業法案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長森
田福市君
工作機械製造事業法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一工作機械製造事業法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十六日
委員長森田福市
衆議院議長小山松壽殿
〔森田福市君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=27
-
028・森田福市
○森田福市君 只今上程セラレマシタ工作
機械製造事業法案ノ委員會ノ經過竝ニ結果
ヲ簡單ニ御報告申上ゲマス、本案ハ現下ノ
時局ニ對應シ、且ツ將來ニ處スル目的ヲ以
テ、工作機械製造業ニ對シ保護助成及ビ指
導監督ヲ爲シテ、是ガ增產ヲ爲スト共ニ、
其質的改善ヲモ併セ圖ラントスルモノデア
リマス
以下質疑ノ內容ニ付キ主ナルモノヲ申上
ゲタイト思ヒマス、委員會ノ大體ノ意向ト
致シマシテ、本案ノ內容ハ極メテ不徹底ナ
ルニ依リ、更ニ一層ノ擴大充實ノ要ヲ當局
ニ求メタノデアリマスガ、先ヅ第一ニ中小
工作機械製造業者ニ對スル問題デアリマス、
此問題ニ關シマシテハ委員會ニ於キマシ
テモ、最モ論議ガ集中セラレマシテ、各委
員ヨリ中小工作機械製造業者ニ對シ本法中
除外規定ヲ設ケタ理由、殊ニ第三條、第七
條、第十條及ビ第十二條ノ特典事項ノ適用
ヲ、一部ノ大會社ノミニ限ッタ點ニ付キ、極
メテ重要ナル質問ヲ爲シ、更ニ當局ニ對シ、
前申述べマシタ點ノ中小製造者ヘノ適用ニ
付キ、熱心ニ質ス所ガアッタノデアリマス、
之ニ對シマシテ政府ハ、本法ノ第一ニ企圖
スル所ハ、生產能力ノ擴充ニアリ、先ヅ其
第一段階トシテ、大規模工場ニ助成ヲ爲シ
テ增產ヲ圖リ、中小業者ニ對シマシテハ大
企業者ヲ通ジ、或ハ間接的ニ、或ハ累次的
ニ效果ヲ及ボシタキ旨、又中小業者ニハ別
途ニ助成ノ用意アル旨ノ答辯ガアックノデ
アリマス、其第二ノ問題ハ、工作機械ノ規
格統一ニ關スルモノデアリマス、工作機械
ノ製造ニ當リ、部分品規格ノ不統一ハ非常
ナ支障トナリマスノデ、是ガ規格ノ統一ヲ
圖ルコトハ洵ニ重要ナル旨ノ質問ガアリ、
之ニ對シ政府當局ハ近々機械試驗所ヲ設
置シテ規格ノ統一ヲ圖ル旨ノ答辯ガアリマ
シタ、第三ハ工場勞働者及ビ熟練工ニ關ス
ル問題デアリマス、現在ノ工場ニ於テ勞働
者、殊ニ熟練エガ不足ヲ來シテ居ルコトハ、
是等ニ對スル保護政策ノ不備ニ基クモノデ
アル、仍テ政府ハ失業保險制度及ビ熟練工
登錄制度ヲ確立サレテハ如何ト云フ質問ニ
對シマシテ、政府當局ハ厚生省ト協議ノ上、
熟練工養成其他ニ付キ善處スル旨ノ答辯ガ
アリマシタ、第四ハ不況時ニ於ケル工作機
械製造問題デアリマス、不況時ニ於テ一番
影響ヲ蒙ル者ハ、工作機械製造業者デアル
カラ、是ガ對策如何ト云フ質問ニ對シマシ
テっ當局ハ不況時ニ於テモ或ル程度ノ生產
力ヲ維持サセル爲メ、適當ニ補助スル旨ノ
答辯ガアリマシタ、尙ホ詳細ハ速記錄ニ依ッ
テ御諒承ヲ願ヒタイト存ジマス
最後ニ委員長カラ政府當局ニ對シテ質問
ヲ致シマシタ、本法施行ニ際シテ政府ハ工
作機械製作ノ製造工場中二百臺ニ滿タザル
モノト雖モ、優良品ヲ製作ナシ得ル工場ニ
對シテハ本法ヲ適用ナスヤウ、命令制定
ノ際考慮スル考アリヤ否ヤ、政府ハ之ニ答
ヘテ十分考慮致シマストノ明答ガアッタノデ
アリマス、次ニ尙ホ中小工場ノ保護助成ニ
付キ政府ハ別途考慮ヲ爲ス意思アリヤ、之
ニ對シテモ政府ハ考慮スル旨ノ明答ガアッ
タノデアリマス、質問ガ終リマシテ直チニ
討論ニ入リマシテ、各派代表ヨリソレ〓
希望ヲ述ベラレテ、原案ニ贊成サレタノデ
アリマス、採決ノ結果ハ、滿場一致デ原案
ヲ可決ニ相成リマシタ、此段御報告申上ゲ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=28
-
029・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 本案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=29
-
030・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マく、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=30
-
031・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=31
-
032・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ワ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=32
-
033・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マく、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
工作機械製造事業法案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=33
-
034・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=34
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035・服部崎市
○服部崎市君 日程第三乃至第五ハ後廻シ
ニセラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=35
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036・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=36
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037・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ日程第三乃至第五ハ後〓シト致
シマス、日程第六、酒造稅法中改正法律案
ノ第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明
ヲ許シマス-提出者古島義英君
第六酒造稅法中改正法律案(古島義
英君提出)第一讀會
酒造稅法中改正法律案
酒造稅法中左ノ通改正ス
第五條ノ二政府ハ前條ノ規定ニ拘ラス
一酒造年度間一石以下ノ自家用濁酒ノ
製造ヲ免許スルコトヲ得
自家用濁酒ヲ製造スル者ニハ造石稅ヲ
課セス
附則
本法ハ昭和十三年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=37
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038・古島義英
○古島義英君 極ク簡單デアリマスカラ、
自席カラ發言スルコトヲ御許願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=38
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039・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=39
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040・古島義英
○古島義英君 只今上程サレマシタ酒造稅
法中改正法律案ノ提案ノ理由ヲ辯明申上ゲ
やく、本案ハ一言以テ之ヲ說明致シマスレ
バ窮乏ノ極ニ達シテ居ル農民ヲシテ、自
家用濁酒ヲ製造セシメ、之ヲ自由ニ飮マセ
タイト云フ案デアリマス、申ス迄モナク、
今日マデ歷代ノ政府ハ、農村救濟ト申セバ、
一般的農民ヲ指サズ、地主ヲ指シテ居ック傾
ガアリマシテ、例ヘバ地租條令ヲ廢止シテ
地租法ヲ設ケ、租稅負擔ノ均衡ヲ圖リマシ
タガ、其結果都會ノ地租ハ三倍四倍ニ暴騰
シ、耕作地ノ地租ハ四割若クハ五割ヲ減額
セラレタルニ拘ラズ、是ガ爲ニ一合ノ小作
料サヘ負ケテ貰ッタト云フ實例ハアリマセ
又、自作農維持創設資金ハ相當莫大ナル金
ヲ出シテ居ルノデアリマスガ、眞ニ自作農
ハ維持創設セラレズ、年々減少ノ一途ヲ辿ッ
テ居リマス、負債整理ノ資金モ隨分出テ居
リマスガ、實ハ金貸ノ資金ト化シテシマヒ
マシタ、ソレモ其筈デス、詰リ農工銀行ヤ勸
業銀行デ農村ノ負債ヲ調査シタノデスカラ、
地所ヲ擔保トシテ數千圓、數万圓ヲ借リル
ノニ、何等之ニ同情ヲ寄スル點モナケレバ、
又負債ヲ整理サセル其對象トナラヌ人達ナ
ノデアリマス、實際ヲ申セバ、五十カ七十
ノ小金ヲ借リテ困ッテ居ル人ヤ、小作料ヲ證
書ニ直シテ、ソレガ返セナイデ困ッテ居ル
者コソ、眞ニ救濟シテヤラネバナラヌ人達
デアリマス、借金ノ質ニ子供ヲ奉公ニ出シ、
或ハ藥代ヤ葬式ノ費用ノ爲ニ、娘ヲ賣ラネ
バナラヌト云フヤウナ農民コソ、眞ニ悲慘
ノ極デアリマシテ、之ヲ救濟セネバナラヌ
ノデアリマス、此悲慘ハ何ニ由ッテ來ルノデ
アルカト申セハ、申ス迄モナク、農村ノ收
入ハ一元的デアッテ、米ヲ賣ルトカ麥ヲ賣ル
トカ云フヨリ外ニハ全ク絕無ナノデアリ
さく、支出ハト申セバ、衣食住全部ハ悉ク
之ヲ金デ出スノデアリマスノデ、其支出ノ
點ハ洵ニ多元的デアルノデアリマス、收入
ガ一元的デアッテ支出ガ多元的デアリマス
ルカラ、困窮スルト云フコトハ理ノ當然デ
アリマス、眞ニ此窮狀ヲ打開シテ、之ヲ救
濟シテヤルト云フノデアルナラバ、其收入
ノ途ヲ多元的ニシテヤルト云フヨリ外途ハ
ナイノデアリマス、所ガ收入ハ殆ド多元ニ
スル途ガアリマセヌ、農民ノ有スル副業ト
云フモノハモウ農民ノ手ニハナイノデア
リマス、支出ハ益〓增加セラレル一方デアリ
やく、今囘ノ增稅ニ付キマシテモ燐
寸ノ末ニ至ル迄値上リニナルノデアリマ
スカラ、農民ノ窮狀ト云フモノハ想像
以上デアリマス、致方アリマセヌカラ、
此際支出ノ途ヲ閉ヂテヤルノ外ニ途、ハナ
イノデアリマスソレガ爲ニハ葉煙草
專賣法ヲ改正シテ自家用ノ煙草ヲ作ラセ
ル、或ハ自家用ノ濁酒デモ造ラセテ、何等
ノ樂ミノナイ農民ヲシテ、僅カバカリデモ
ソコニ樂ミヲ與ヘテヤルト云フヨリ外ニ途
ハナイノデアリマス(拍手)固ヨリ酒ノ如キ
モノハ、道樂ヤ贅澤デ飮ムノデハアリマセ
又、一杯ノ酒ト雖モ一日ノ勞苦ヲ慰シ、明
日ノ勞働力ヲ蓄積スル爲ニハ、全ク缺クベ
カラザルモノデアルノデアリマス(拍手)然
ルニ又々酒ノ稅金ハ上リマシテ、一石五十
圓ノ稅金ニモナルト云フコトデアリマスト、
飮ムニ飮ムコトガ出來マセヌカラ、遂ニ「メ
チール」ノ入ッタ酒ヲ飮ンデ、農民ガ身體ヲ
又一段ト惡クスルノ已ムナキニ至ルデアラ
ウト思フノデアリマス、若シサウデアルト
スルナラバ廣義國防上危殆ニ瀕スルモノ
デアルト論斷致スコトガ出來ルノデアリマ
ス、是等ノコトヲ考ヘマスト、農民ニ濁酒
ノ製造ヲ許シ、混ジリ氣ノナイ酒ヲ飮マシ
テ、益〓體力ヲ增進致シ、廣義國防ノ實ヲ擧
ゲシメテ、農民ヲシテ益〓政府ノ有難サヲ感
ゼシメ、一層報國盡忠ノ實ヲ擧ゲサセタイ
ト思フノデアリマス(拍手)是レ本案ヲ提出
スル理由デアリマス、農民ノ爲ニ一段ノ御
同情アル諸君ニ於カセラレテハ、御贊成ノ
上速ニ御協賛アランコトヲ切望致シマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=40
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041・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、臨時通貨
法案外一件委員ニ併セ付託セラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=41
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042・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=42
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043・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
七、入營者職業保障法中改正法律案ノ第一
讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シ
マス-贊成者川俣〓音君
第七入營者職業保障法中改正法律案
(淺沼稻次郞君外四名提出)第一讀會
入營者職業保障法中改正法律案
入營者職業保障法中左ノ通改正ス
第三條但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ被傭者ガ疾病又ハ傷痍ニ因リ入營
前ノ勞務ニ堪ヘザル場合ニ於テハ適當
ナル勞務ヲ與へ入營直前ト同等ノ給與
ヲ與フルコトヲ要ス
第五條中「五十人」ヲ「三十人」ニ改ム
第七條ヲ第八條トシ第六條ノ次ニ左ノ一
條ヲ加フ
第七條第一條乃至第三條ノ規定ニ違反
シタル者ハ一年以下ノ懲役若ハ禁錮又
ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス第四條ニ於
テ第二條及第三條ヲ準用スル場合亦同
ジ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=43
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044・川俣清音
○川俣〓音君 簡單デアリマスカラ自席カ
ラ發言ヲ御許願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=44
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045・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=45
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046・川俣清音
○川俣〓音君 只今上程致サレマシタ入營
者職業保障法中改正法律案ハ、曩ニ政府ヨ
リ提案サレ、委員會ニ付セラレテ居リマス
入營者職業保障法中改正法律案ト同一趣旨
デアリマスノデ、本案ヲ撤囘致シタイト思
ヒマス、政府提出ノ議案第五條ハ吾々ノ意
見ヲ容レテ、本法適用範圍ヲ三十人ニ擴大
致シテ居リマスノハ、吾々ノ諒トスル所デ
ゴザイマスガ、他ノ點ニ付テ更ニ擴大强化
ノ必要ヲ認メル點モゴザイマスガ、是ハ委
員會ニ於テ修正意見ヲ述べ、御協贊ヲ仰グ
コトニ致シマシテ、本案ヲ撤囘致シマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=46
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047・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ガアリマセ
ヌカラ、本案ハ撤囘ニ決シマシタ、日程第八、
船員保險法案ノ第一讀會ヲ開キマス、提出
者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者米窪滿
亮君
第八船員保險法案(米窪滿亮君外一
名提出)第一讀會
船員保險法案
船員保險法
第一章總則
第一條船員保險ニ於テハ保險者ガ被保
險者ノ疾病、負傷、癈疾、分娩、死亡
又ハ脫退及被保險者ニ依リテ生計ヲ維
持スル家族ノ疾病又ハ負傷ニ關シ療養
ノ給付又ハ傷病手當金、癈疾手當金、
分娩費、出產手當金、埋葬料、遺族手
當金若ハ脫退手當金ノ支給ヲ爲スモノ
トス
第二條本法ニ於テ報酬ト稱スルハ船員
ガ其ノ勞務ノ對價トシテ受クル賃金、
給料又ハ俸給及之ニ準ズベキモノヲ謂
フ
賃金、給料又ハ俸給ニ準ズベキモノノ
範圍及評價ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ
定ム
第三條報酬ノ額ニ基キ保險料又ハ保險
給付ノ額ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報
酬ニ依リ之ヲ算定ス
標準報酬ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之
ヲル人
第四條保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル
徵收金ヲ徵收シ又ハ其ノ還付ヲ受クル
權利及療養ノ給付、分娩費、出產手當
金又ハ埋葬料ノ保險給付ヲ受クル權利
ハ一年、其ノ他ノ保險給付ヲ受クル權
利ハ五年ヲ經過シタルトキハ時效ニ因
リテ消滅ス
前項ノ時效ノ中斷、停止其ノ他ノ事項
ニ關シテハ民法ノ時效ニ關スル規定ヲ
準用ス
船員保險審査會ニ對スル審査ノ請求ハ
時效ノ中斷ニ關シテハ之ヲ裁判上ノ請
求ト看做ス
第五條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命
令ニ規定スル期間ノ計算ニ付テハ民間
ノ期間ノ計算ニ關スル規定ヲ準用ス
第六條船員保險ニ關スル書類ニハ印紙
稅ヲ課セズ
第七條保險者又ハ保險給付ヲ受クベキ
者ハ被保險者、被保險者タリシ者其ノ
他本法ニ依リ保險給付ヲ受クル權利ヲ
有スル者ノ戶籍ニ關シ戶籍事務ヲ管掌
スル者又ハ其ノ代理者ニ對シ無償ニテ
證明ヲ求ムルコトヲ得
第八條保險給付ヲ受クル權利ハ之ヲ讓
渡シ又ハ差押フルコトヲ得ズ
第九條保險給付トシテ受クル金額ヲ標
準トシテ租稅其ノ他ノ公課ヲ課セズ
第十條船舶ガ沈沒シ又ハ行方不明ト爲
リタル際現ニ其ノ船舶ニ乘組ミタル被
保險者又ハ其ノ船舶ニ乘組中被保險者
ノ資格ヲ喪失シ引續キ乘船シタル者ニ
シテ沈沒ノ日又ハ最後ノ消息アリタル
日ヨリ三月間其ノ生死分明ナラザルト
キハ本法ノ適用ニ付テハ其ノ期間滿了
ノ日ニ死亡シタルモノト推定ス被保險
者又ハ船舶ニ乘込中被保險者ノ資格ヲ
喪失シ引續キ乘船シタル者ガ船舶航行
中行方不明ト爲リタル場合ニ於テ最後
ノ消息アリタル日ヨリ三箇月間生死分
明ナラザルトキ亦同ジ
第十一條保險料其ノ他本法ノ規定ニ依
ル徵收金ヲ滯納スル者アリタルトキハ
保險者ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベ
シ
前項ノ規定ニ依リ督促ヲ爲シタル場合
ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ督促手
數料及滯納金ヲ徵收ス但シ被保險者ヨ
リ徵收スルコトヲ得ズ
第十二條前條ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケ
タル者其ノ指定ノ期限迄ニ保險料其ノ
他本法ノ規定ニ依ル徵收金ヲ納付セザ
ルトキハ保險者ハ國稅滯納處分ノ例ニ
依リ之ヲ處分シ又ハ滯納者若ハ其ノ者
ノ財產ノ在ル市町村ニ對シ之ガ處分ヲ
請求スルコトヲ得
保險者ガ前項ノ規定ニ依リ市町村ニ對
シ處分ノ請求ヲ爲シタルトキハ市町村
ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ
場合ニ於テハ保險者ハ徵收金額ノ百分
ノ四ヲ當該市町村ニ交付スベシ
前二項ノ規定ニ於テ町村トアルハ町村
制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズ
ベキモノトス
第十三條保險料其ノ他本法ノ規定ニ依
ル徴收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其
ノ他之ニ準ズベキモノノ徴收金ニ次ギ
他ノ公課ニ先ツモノトス
第十四條國ノ雇傭スル船員ニ關シテハ
本法ノ適用ニ付勅令ヲ以テ別段ノ規定
ヲ爲スコトヲ得
第二章被保險者
第十五條日本ノ國籍ヲ有スル船舶ニ乘
組ム日本臣民タル船員及豫備又ハ待命
中ニシテ報酬ヲ受クル船員ハ總テ本法
ノ被保險者トス但シ船員法第一條第一
號乃至第三號ニ揭グル船舶ニ乘組ム船
員又ハ母船式漁業ニ從事スル母船ニ乘
組ム漁夫及雜夫ハ此ノ限ニ在ラズ
第十六條前條但書ノ船員又ハ漁夫及雜
夫ヨリ申請アリタルトキ主務大臣ハ之
ヲ包括シテ本法ノ被保險者ト爲スコト
ヲ得
前項ノ場合ニ於テハ被保險者ト爲ルベ
キ者ノ二分ノ一以上ノ同意ヲ得ルコト
ヲヨハ
第十七條第十五條ノ規定ニ依ル被保險
者ハ船員タル身分ヲ取得シタル日ヨリ、
前條ノ規定ニ依ル被保險者ハ本法ノ適
用ヲ受クルニ至リタル日ヨリ其ノ資格
ヲ取得ス
第十八條被保險者ハ死亡又ハ解雇セラ
レタル日ヨリ其ノ資格ヲ喪失ス但シ自
己ノ責ニ因ルニ非ズシテ解雇セラレタ
ル者ハ解雇ノ日ヨリ六月間第十五條ノ
規定ニ依ル被保險者タル資格ヲ保有ス
第十九條前條ノ規定ニ依リ被保險者ノ
資格ヲ喪失シクル者ニシテ資格喪失ノ
日ヨリ十日以內ニ申請ヲ爲ストキハ繼
續シテ被保險者ト爲ルコトヲ得
第三章保險者
第二十條船員保險ノ保險者ハ政府トス
第二十一條保險者ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ被保險者ノ健康ヲ維持スル爲必要
ナル施設ヲ爲スコトヲ得
第二十二條保險者ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ被保險者ヲ雇傭スル船舶所有者ヲ
シテ其ノ雇傭スル者ノ移動、報酬等ニ
關シ報〓ヲ爲サシメ又ハ文書ヲ提示セ
シムルコトヲ得
第二十三條保險者ハ必要アリト認ムル
トキハ命令ヲ以テ定ムル官吏ヲシテ保
險事故ノ生ジタル場所又ハ被保險者若
ハ被保險者タリシ者ノ療養ヲ爲ス場所
ニ臨檢セシムルコトヲ得
第二十四條保險者ハ保險給付ヲ受クル
者又ハ商法第五百七十八條第一項ノ規
定ニ依リ船舶所有者ノ負擔ニ於テ治療及
看護ヲ受クル者ノ診斷ヲ行フコトヲ得
第二十五條被保險者又ハ被保險者タリ
シ者疾病ニ罹リ、負傷シ又ハ分娩シタ
ル場合ニ於テ保險給付ヲ爲スコト困難
ナルトキハ保險者ハ船舶所有者ヲシテ
保險給付ヲ爲サシムルコトヲ得此ノ場
合ニ於テハ船舶所有者ハ保險者ニ對シ
保險給付ニ要シタル費用ノ償還ヲ請求
スルコトヲ得
第四章保險給付
第一節療養ノ給付及傷病手當
金
第二十六條被保險者及被保險者ニ依リ
テ生計ヲ維持スル家族ノ疾病又ハ負傷
ニ關シテハ療養ノ給付ヲ爲ス
前項ノ療養ノ給付ノ範圍ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第一項ノ場合ニ於テ療養上必要アリト
認ムルトキハ保險者ハ被保險者ヲ病院
ニ收容スルコトヲ得
第二十七條療養ノ給付ヲ爲スコト困難
ナル場合又ハ被保險者ノ申請アリタル
場合ニ於テハ保險者ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ療養ノ給付ニ代ヘテ療養費ヲ支
給スルコトヲ得
第二十八條療養ノ給付ハ同一ノ疾病又
ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ付其
ノ保險給付ヲ始メタル日ヨリ起算シ百
八十日ヲ經過シタルトキハ之ヲ爲サズ
但シ其ノ疾病肺結核ナルトキハ一年、
被保險者ノ業務上ノ事由ニ因ル疾病又
ハ負傷ナルトキハ其ノ治癒スルニ至ル
迄療養ノ給付ヲ爲スコトヲ要ス
第二十九條被保險者商法第五百七十八
條第一項ノ規定ニ依リ船舶所有者ノ負
擔ニ於テ治療及看護ヲ受クル場合ニ於
テハ其ノ期間ノ經過後本法ニ依ル療養
ノ給付ヲ受クルコトヲ得但シ其ノ經過
シタル期間ハ第二十八條ノ期間ノ計算
ニ算入セズ
第三十條被保險者ノ家族ニ對スル療養
ノ給付ハ被保險者ニ對スル給付ノ二分
ノ一ト爲スコトヲ得
第三十一條被保險者其ノ資格ヲ喪失シ
タル際療養ノ給付ヲ受ケ又ハ商法第五
百七十八條第一項ノ規定ニ依リ船舶所
有者ノ負擔ニ於テ治療及看護ヲ受クル
場合ニ於テハ治療ノ給付ヲ繼續スルコ
トヲ得
第三十二條被保險者療養ノ爲業務ニ服
スルコト能ハザルトキハ其ノ期間傷病
手當金トシテ一日ニ付報酬日額ノ百分
ノ六十ニ相當スル金額ヲ支給ス但シ業
務上ノ事由ニ因ラザル疾病又ハ負傷ノ
場合ニ於テハ勞務ニ服スルコト能ハザ
ルニ至リタル日ヨリ起算シ第四日ヨリ
之ヲ支給ス
第三十三條第二十八條ノ期間ハ傷病手
當金ノ支給ノ期間ニ付之ヲ準用ス
第二節癈疾手當金
第三十四條被保險者業務上ノ事由ニ因
リ疾病ニ罹リ又ハ負傷シタル場合ニ於
テ其ノ疾病又ハ負傷若ハ之ニ因リ發シ
タル疾病治癒シタルトキニ於テ癈疾ト
ナリタルトキハ癈疾手當金ヲ支給ス
第三十五條被保險者業務上ノ事由ニ因
リ疾病ニ罹リ又ハ負傷シタル場合ニ於
テ發病又ハ負傷ノ日ヨリ起算シ三年ヲ
經過スルモ疾病又ハ負傷若ハ之ニ因リ
テ發シタル疾病治癒セザルトキハ癈疾
手當金ヲ支給シテ療養ノ給付及傷病手
當金ノ支給ヲ停止スルコトヲ得
第三十六條被保險者業務上ノ事由ニ因
ラズシテ疾病ニ罹リ又ハ負傷シタル場
合ニ於テ第二十八條ニ規定スル期間內
ニ治癒シクルトキニ癈疾トナリタルト
キ又ハ其ノ期間經過後一年內ニ癈疾ト
ナリタルトキハ癈疾手當金ヲ支給ス
第三十七條癈疾手當金ノ額ハ左ノ範
圍內ニ於テ之ヲ定ム
-業務上ノ事由ニ因ル場合ニ於テハ
報酬日額九十日分以上八百五十日分
以下
二業務上ノ事由ニ因ラザル場合ニ於
テハ報酬日額六十日分以上六百日分
以下
前項ノ癈疾ノ程度及其ノ額ハ勅令ヲ
以テ定ム
第三節分娩費及出產手當金
第三十八條被保險者分娩シタルトキハ
分娩費トシテ金二十圓ヲ、出產手當金
トシテ分娩前二十八日分娩後四十二日
以內ニ於テ勞務ニ服セザリシ期間一日
ニ付報酬日額ノ百分ノ六十ニ相當スル
金額ヲ支給ス
第三十九條保險者ハ必要アリト認メタ
ルトキハ被保險者ヲ產院ニ收容シ又ハ
助產ノ手當ヲ爲スコトヲ得
第四十條被保險者其ノ資格ヲ喪失シタ
ル際現ニ分娩ニ關スル給付ヲ受ケ又ハ
被保險者タル資格ヲ喪失シタル後百八
十日以內ニ分娩シタルトキハ分娩ニ關
シ被保險者トシテ受クベカリシ保險給
付ヲ受クルコトヲ得
第四節埋葬料及遺族手當金
第四十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル場
合ニ於テハ其ノ埋葬ヲ行フ者ニ對シ埋
葬料トシテ死亡當時ノ報酬日額三十日分
ニ相當スル金額ヲ支給ス但シ其金額五十
圓ニ滿タザルトキハ之ヲ五十圓トス
一被保險者死亡シタルトキ
二被保險者タリシ者ニシテ療養ノ給
付、傷病手當金又ハ分娩ニ關スル保
險給付ヲ受クル者死亡シタルトキ
三商法第五百七十八條第一項ノ規定
ニ依リ船舶所有者ノ負擔ニ於テ治療
及看護ヲ受クル者死亡シタルトキ
四被保險者又ハ被保險者タリシ者ニ
シテ療養ノ給付、傷病手當金若ハ分娩
ニ關スル給付ヲ受ケタル者若ハ商法
第五百七十八條第一項ノ規定ニ依リ
船舶所有者ノ負擔ニ於テ治療及看護
ヲ受ケザルニ至リタル者其ノ最後ノ
給付又ハ治療若ハ看護ヲ受ケタル日
ヨリ九十日以內ニ死亡シタルトキ
第四十二條前條各號ノ一ニ該當スル場
合ニ於テハ被保險者又ハ被保險者タリ
シ者ニ依リ生計ヲ維持シタル者ニ對シ
左ノ如ク遺族手當金ヲ支給ス
一業務上ノ事由ニ因ルトキ報酬日
額六百日分
二業務上ノ事由ニ因ラザルトキ報
酬日額四百日分
第四十三條遺族手當金ノ支給ヲ受クベ
キ者ノ順位ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五節脫退手當金
第四十四條被保險者タル資格ヲ喪失シ
タル者其ノ資格喪失前三年以上被保險
者タリシトキハ左ノ如ク脫退手當金ヲ
支給ス
被保險者タルコト三年ナルトキ
報酬日額ノ四十五日分
二被保險者タルコト三年一日以上五
年未滿ナルトキ一年ヲ超ユル每ニ第
一號ノ額ニ報酬日額ノ十五日分ヲ加フ
三被保險者タルコト五年以上十年未
滿ナルトキ一年ヲ超ユル每ニ第一
號ノ額ニ報酬日額ノ二十日分ヲ加フ
四被保險者タルコト十年以上十五年
未滿ナルトキ一年ヲ超ユル每ニ第一
號ノ額ニ報酬日額ノ三十日分ヲ加フ
五被保險者タルコト十五年以上二十
年未滿ナルトキ一年ヲ超ユル每ニ
第一號ノ額ニ報酬日額ノ四十五日分
ヲ加フ
六被保險者タルコト二十年以上ノト
キ一年ヲ超ユル每ニ第一號ノ額ニ
報酬日額ノ六十五日分ヲ加フ
第四十五條被保險者ノ資格ヲ喪失シタ
ル者再ビ資格ヲ取得シタル場合ニ於テ
其ノ資格喪失ノ期間三年未滿ナルトキ
ハ前條ノ期間ノ計算ニ付テハ被保險者
タリシ期間ノ前後ヲ通算スルモノトス
徵集、召集其ノ他ノ方法ニ依リ陸海軍
ニ編入セラレタル者ノ在營期間ハ前項
ノ資格喪失期間ニ算入セズ
第四十六條脫退手當金ヲ受クル資格ア
ル被保險者ニシテ第四十四條ノ規定ニ
拘ラズ脫退手當金ノ支給ヲ受ケズシテ
前條ノ期間內ニ再ビ資格ヲ取得シタル
者ニ對スル脫退手當金ノ計算標準ハ再
ビ其ノ資格ヲ取得セルトキニ通算セル
期間ヲ基礎トスルモノトス
第六節保險給付ニ關スル制限
第四十七條被保險者又ハ被保險者タリ
シ者保險給付ヲ受クル目的ヲ以テ故意
ニ事故ヲ生ゼシメタルトキハ保險給付
ヲ爲サズ遺族手當金ノ支給ヲ受クベキ
者被保險者又ハ被保險者タリシ者ヲ故
意ニ死ニ致シタルトキ亦同ジ
第四十八條被保險者又ハ被保險者タリ
シ者鬪爭、泥醉者ハ著シキ不行跡ニ因
リ又ハ故意ニ危害豫防ニ關スル業務上
ノ監督者ノ指揮ニ從ハザルニ因リ事故
ヲ生ゼシメタルトキハ傷病手當金ノ全
部若ハ一部又ハ癈疾手當金ノ一部ヲ支
給セザルコトヲ得
第四十九條保險者ハ詐欺其ノ他不正行
爲ニ依リ保險給付ヲ受ケ又ハ受ケムト
シタル者ニ對シ保險給付ノ全部又ハ一
部ノ支給ヲ爲サザルコトヲ得
第五十條療養ノ給付、傷病手當金、分
娩費又ハ出產手當金ノ支給ヲ受クベキ
者左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テ
ハ其ノ期間中之ヲ支給セズ
一感化院其ノ他之ニ準ズベキモノニ
入院セシメラレタルトキ
二監獄、留置場又ハ勞役場ニ拘禁又
ハ留置セラレタルトキ
第五十一條他ノ法令ノ規定ニ依リ國又
ハ公共團體ノ負擔ニ於テ療養ヲ受クル
者ニ對シテハ重ネテ療養ノ給付ヲ爲サズ
第五章費用ノ負擔
第五十二條保險者ハ船員保險事業ニ充
ツル爲保險料ヲ徵收ス
保險料ノ算定ニ關スル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第五十三條保險料ハ被保險者及被保險
者ヲ雇傭スル船舶所有者各十分ノ四、
國庫十分ノ二ヲ負擔スルモノトス但シ
第十九條ノ場合ニ於テハ被保險者十分
ノ八、國庫十分ノ二ヲ負擔スルモノト
ス
第五十四條事故多キ船舶ニ乘込ム被保
險者又ハ少額ノ報酬ヲ受クル被保險者
ニ關スル保險料ニ付テハ勅令ヲ以テ船
舶所有者ノ負擔スベキ割合ヲ增加スル
コトヲ得
第五十五條船舶所有者ハ其ノ雇傭スル
被保險者ノ負擔スベキ保險料ヲ納付ス
ル義務ヲ負フ
第五十六條船舶所有者ハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ前條ノ規定ニ依リ納付スベキ
保險料ヲ被保險者ニ支拂フベキ報酬ヨ
リ控除スルコトヲ得
第五十七條本法ニ規定スルモノノ外保
險料ノ納付ニ關シ必要ナル事項ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第六章審査ノ請求、訴願及訴訟
第五十八條保險給付ニ關スル決定ニ對
シ不服アル者ハ船員保險審査會ニ審査
ヲ請求シ其ノ決定ニ不服アル者ハ通常
裁判所ニ訴ヲ提起スルコトヲ得
第五十九條保險料其ノ他本法ノ規定ニ
依ル徵收金ノ賦課又ハ徵收ノ處分ニ不
服アル者ハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政
裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第六十條前條ノ規定ニ依ル訴願ノ提起
アリタルトキハ主務大臣ハ船員保險審
査會ノ審査ヲ經テ裁決ヲ爲スベシ
第六十一條船員保險審査會ノ組織及審
査ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之
マルチム
第六十二條審査ノ請求、訴ノ提起又ハ
訴願若ハ行政訴訟ノ提起ハ處分ノ通知
又ハ決定書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ六
十日以內ニ之ヲ爲スベシ
第七章罰則
第六十三條正當ノ理由ナクシテ第二十
三條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ臨檢ヲ拒
ミ若ハ妨ゲ又ハ虛僞ノ答辯ヲ爲シタル
者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第六十四條第二十二條ノ規定ニ依ル保
險者ノ請求アリタル場合ニ於テ正當ノ
理由ナクシテ報告ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ
報〓ヲ爲シ又ハ文書ノ提示ヲ拒ミタル
者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第六十五條船舶所有者營業ニ關シ成年
者ト同一ノ能力ヲ有セザル未成年者若
ハ禁治產者ナル場合又ハ法人ナル場合
ニ於テハ本案又ハ本法ニ基キテ發スル
命令中船舶所有者ニ適用スベキ罰則ハ
法定代理人又ハ法令ノ規定ニ依リ法人
ヲ代表スル者ニ之ヲ適用ス
第六十六條船舶所有者ハ其ノ代理人、
戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業
者ニシテ本法若ハ本法ニ基キテ發スル
命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ
タルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故
ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=47
-
048・米窪滿亮
○米窪滿亮君 自席カラ提案趣旨ノ說明ヲ
御許願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=48
-
049・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=49
-
050・米窪滿亮
○米窪滿亮君 只今上程サレマシタ船員保
險法ニ付キマシテハ、其法案ノ必要ガアルコ
トガ、社會ノ關心事トナッタコトニ付テハ、
旣ニ遞信省ガ四十五議會ニ之ヲ提案セント
シテ立案ヲシタ、其長イ歷史ニ見マシテモ
明ナノデアリマス、其後此法案ニ關係ノア
ル所管ノ事務ガ內務省社會局ニ移サレマシ
テ、社會局ハ參與會議或ハ勞働保險調査會
等ノ議ヲ經マシテ、第五十九議會ニ提案サ
レタノデアリマスルガ、是ハ委員會ニ於テ
審議未了ニナッタノデアリマス、今日此事務
ガ厚生省ニ移サレマシテ、厚生省ハ昨年來
此法案ヲ議會ニ提出スベク、ソレ〓〓ノ機
關ニ掛ケテ審議中デアリマスルガ、豫算ガ
伴フ關係上、本議會ニ提案サレナイト云フ
コトハ三十万ノ海員ノ爲ニ極メテ遺憾ナ
コトデアリマス、船員ガ板子一枚下ハ地獄
デアルト云フ、最モ危險ナル作業ニ從事シ
テ居ルコトハ、私ガ申上グル迄モナイノデ
アリマス、而モ今日我ガ政府ノ國策デアル
所ノ海外收支ノ適合、輸出入ノ「バランスㄴ
ヲ取ル爲ニ貿易外ノ收入ヲ圖ルト云フ、其
重要ナル海運產業ノ原動力トナッテ働イテ
居ル者ハ船員デアル、而モ今次ノ事變ニ於
テ、船員ハ澤山ナ御用船ノ乘組員ニナッテ、
彈丸雨飛ノ間ニ其生命ノ危險ヲ曝シテ居
ル、斯ウ云フ極メテ重要ル產業ニ從事シテ
居ル勞働者ニ對シマシテ、未ダ我國政府ハ
此種ノ保護立法ヲ制定シテ居ラナイコトハ
洵ニ遺憾デアル(拍手)然ルニ一方陸上ノ勞働
者ニ對シマシテハ、或ハ工場法、或ハ鑛夫
勞役扶助規則、或ハ健康保險法乃至ハ本年
漸ク本議會ヲ通リマシタ國民健康保險法等
ノ有ユル法規ガアリマシテ、尙ホ是ハ勿論
最善デアルトハ言ヒマセヌガ、少クトモ船
員ニ比ベレバ相當ノ保護立法ガ行ハレテ居
ル、然ルニ先程申上ゲマシタヤウナ、重要
ナル產業ニ從事シテ居ル所ノ船員ニ對シテ
ハ此種ノ社會保險ハ勿論ノコト、其他ノ
社會保護立法ガナイノデアリマシテ、皆サ
ンノ絕大ナル御支持ニ依ッテ、第七十一議會
ノアノ臨時議會ニ、緊急上程サレマシタ船
員法ノ改正ハ、ドウ云フ譯デアルカ、遞信
省ノ方デ審議シテ居ルノカ、法制局ノ方ニ
マダ引掛ッテ居ルノカ、緊急事項トシテ臨時
議會ニ提出サレマシタ船員法ノ改正ガ、此
通常議會ノ開カレテ居ル今日ニ於テ、今尙
ホ制定實施サレナイト云フコトハ、政府當
局ガ如何ニ重要產業ニ從事シテ居ル勞働者
ニ對スル理解ガ足ラナイカト云フコトヲ物
語ルモノデアリマス、是ニ於テ私ハ此船員
保險法ト云フ、極メテ重要ナル社會保險ノ
法案ヲ提出シタ次第デアリマス
如何ニ船員ガ海上ニ於テ危險ナル業務ニ
從事シナガラ、而モソレヲ使ッテ居ル船主
或ハ監督スル政府ニ依ッテ酬ヒラレル所ガ
少イカト云フ、一ツノ例ヲ申上ゲタイト思
ヒマス、是ハ昨年ノ九月十二日ニ七尾ニ船
籍ノアル第一能州丸ト云フ船ガ、北海道ニ
於テ沈沒シタノデゴザイマス、サウシテ船
長、機關長、水夫長外四名ガ、是ガ爲ニ殉
職死亡ヲシタノデアリマス、之ニ對シテ船
主ハ船長、機關長ニ對シテ、死亡手當、葬
祭料、慰勞金、手當等、僅ニ一人三百圓ト
云フ所ノ淚金ヲ出シタ、サウシテ其他ノ者
ニ對シテハ、僅ニ一人當リ七十圓乃至百五十
圓ト云フ、零碎ナル手當ヲ出シタノデアリ
マシテ、此問題ニ付テ家族ト船主ノ間ニ爭
ガ起リマシテ、四箇月ト云フモノハ何等其
交涉ガ進捗セヌ、是ニ於テ高級船員ノ團體
デアル海員協會ニ持ッテ來マシテ、昨年ノ押
詰ッタ十二月ノ終リニ漸ク解決シタノデア
リマスガ、其解決ヲスルマデニ、船員ハ非
常時局デアルカラ、國內相剋摩擦ヲ防グト
云フコトデ、自重シテ居リマシタガ、船主
ガドウシテモ言フコトヲ聞カナイ、而モ船
員ヲ保護スル規定ガ今日ノ如ク不完全デア
ルカラ、遂ニ爭議ガ勃發シテ、此會社ノ他
ノ船ガ止ッタ、是ニ於テ初メテ內務省關係ノ
官憲ガ出テ調停ニ立入リマシテ、漸ク船長、
機關長ガ六百六十圓、ソレカラ火夫長ガ五
百圓ト云ッタ程度ニ、其淚金ガ增額サレテ解
決シタ譯デアリマス、若シ此船員保險法ガ
制定サレタナラバ、サウシタ不祥事件ハ起
ラズ、斯ウシタ所謂國內產業上ニ於ケル相
剋摩擦ガ起ラズ、圓滿ニ解決シタノデアリ
じく、此意味ニ於キマシテモ、此船員保險
法ガ必要デアルコトハ、私ガ多ク中上ゲル
必要ハナイノデアリマス
ソコデ玆ニ上程サレマシタ船員保險法ノ
詳細ニ付キマシテハ、私他ノ機會ニ其說明
ヲスルコトニ致シマシテ、其主ナル點ヲ申
上ゲマスルナラバ、保險者ハ國家デアリマ
ス、サウシテ被保險者ハ原則トシテ船員法
ノ第一條第一項ノ第一號、乃至第三號ニ該
當スル者ヲ除イタ他ノ船員及ビ其家族ハ
之ヲ全部强制被保險者ト致シマシテ、其他
ノ者ニ付テハ任意包括被保險者トスルノデ
アリマス、サウシテ此被保險者ノ受ケル療
養ノ範圍ハ、療養ノ給付又ハ傷病手當金、
癈疾手當金、分娩費、出產手當金、埋葬料、
遺族手當金若ハ脫退手當金ノ支給ヲスベ
シ、斯ウ云フコトデアリマス、六十六條ニ
亙ル長文ノ法案デアリマスルカラ、其要旨
ダケヲ簡單ニ申上ゲタ次第デアリマス、何
卒御審議ノ上速ニ御協贊セラレンコトヲ御
願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=50
-
051・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、入營者職
業保障法中改正法律案ノ委員ニ併セ付託セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=51
-
052・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=52
-
053・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=53
-
054・服部崎市
○服部崎市君 此際暫時休憩セラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=54
-
055・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=55
-
056・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、暫時休憩致シマス
午後二時三十八分休憩
午後四時四十七分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=56
-
057・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 休憩前ニ引續キ會
議ヲ開キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=57
-
058・服部崎市
○服部崎市君 日程第九及ビ第十ハ後廻シ
トセラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=58
-
059・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君提出ノ動議
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=59
-
060・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ日程第九及ビ第十ハ後〓シト致
シマス、日程第十一、傷痍軍人竝戰公傷病死
者遺族等ノ鐵道船舶等乘車船優遇ニ關スル
法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣
旨辯明ヲ許シマス-提出者江藤源九郞君
第十一傷痍軍人竝戰公傷病死者遺族
等ノ鐵道船舶等乘車船優遇ニ關スル
法律案(江藤源九郞君提出)第一讀會
傷痍軍人竝戰公傷病死者遺族等ノ鐵道
船舶等乘車船優遇ニ關スル法律案
第一條本法ニ於テ鐵道トハ國有鐵道(連
絡航路ヲ含ム)、一般交通ノ用ニ供ス
ル地方鐵道及軌道竝南滿洲鐵道株式會
社所屬ノ鐵道ヲ謂フ
第二條本法ニ於テ船舶トハ一般交通ノ
用ニ供スル爲航路ヲ定メ定期ニ航行シ
テ旅客ヲ運送スル船舶ニシテ命令ヲ以
テ指定スルモノヲ謂フ
第三條傷痍軍人及戰公傷病死者遺族ハ
命令ノ定ムル所ニ依リ鐵道ニ在リテハ
無賃、船舶ニ在リテハ旅客運賃ノ五割
引ニテ乘車船スルコトヲ得
第四條傷痍軍人ニシテ傷痍、疾病又ハ
老齡ノ爲附添ヲ要スル者ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ附添人一名ニ限リ本人相當
ノ等級ニ從ヒ無賃又ハ旅客運賃割引ニ
テ之ヲ同伴スルコトヲ得
第五條戰公傷病死者遺族ニシテ疾病又
ハ老幼齡ノ爲他人ノ附添ヲ要スル者ハ
命令ノ定ムル所ニ依リ附添人一名ニ限
リ本人相當ノ等級ニ從ヒ無賃又ハ旅客
運賃割引ニテ之ヲ同伴スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=60
-
061・江藤源九郎
○江藤源九郞君 自席ヨリ發言ヲ御許ヲ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=61
-
062・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=62
-
063・江藤源九郎
○江藤源九郞君 本案ハ傷痍軍人竝ニ戰公
傷病死者遺族ヲ優遇スル目的ヲ以テ、鐵道
及ビ船舶等ニ無賃又ハ割引運賃ヲ以テ乘車
船セシムルコトヲ、法律ヲ以テ規定セント
スルモノデアリマス、本案ヲ實行致シマス
ルコトニ依リマシテ、政府及ビ鐵道船舶營
業者ノ受クル負擔ハ、敢テ大ナラザルノミ
ナラズ、却テ實質的ニ於テハ寧ロ好影響ヲ
來スト思フノデアリマス、殊ニ本案ニ依ル
特典ハ、犠牲者ニ對スル有ユル待遇施設中
最モ普遍的デアリマシテ、且ツ傷痍軍人等
ヲシテ、國家社會ヨリ與ヘラルヽ優遇ヲ直
感セシメ、延イテ一般ノ國防思想上ニ資ス
ル所ガ大ナルモノガアルト思フノデアリマ
ス、且ツ本案ト其内容ニ於テ殆ド同一デア
リマス法律案ガ、旣ニ數囘本院ヲ通過致シテ
居ルノデアリマス、サウ云フ次第デアリマ
スカラ、何卒速ニ本案ノ通過致シマスルヤ
ウニ、御贊成アランコトヲ御願致シマス(拍
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=63
-
064・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、入營者職
業保障法中改正法律案委員ニ併セ付託セラ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=64
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065・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=65
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066・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
十二乃至十六ハ、便宜上一括議題ト爲スニ
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=66
-
067・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ日程第十二、刑法中改正法律案、
日程第十三、刑事判決宣告猶豫ニ關スル
法律案、日程第十四、行政執行法中改正法
律案、日程第十五、刑事訴訟法中改正法律
案、日程第十六、陪審法中改正法律案、右
五案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス、提出
者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者一松定
吉君
第十二刑法中改正法律案(一松定吉
君外六名提出)第一讀會
第十三刑事判決宣告猶豫ニ關スル法
律案(一松定吉君外五名提出)
第一讀會
第十四行政執行法中改正法律案〓
松定吉君外七名提出)第一讀會
第十五刑事訴訟法中改正法律案内
藤正剛君外六名提出)第一讀會
第十六陪審法中改正法律案(內藤正
剛君外六名提出)第一讀會
刑法中改正法律案
刑法中左ノ通改正ス
第二十五條中「二年以下」ヲ「三年以下」ニ
改ム
第二十五條ノ二左ニ記載シタル者罰金
ノ言渡ヲ受ケタルトキハ情狀ニ因リ裁
判確定ノ日ヨリ一年以上三年以下ノ期
間內其執行ヲ猶豫スルコトヲ得
一前ニ罰金以上ノ刑ニ處セラレタル
コトナキ者
二前ニ罰金以上ノ刑ニ處セラレタル
コトアルモ其執行ヲ終リ又ハ其執行
ノ免除ヲ得タル日ヨリ五年以內ニ罰
金以上ノ刑ニ處セラレタルコトナキ
者
第二十六條中「刑ノ執行猶豫」ヲ「懲役又
ハ禁錮ノ執行猶豫」ニ、「前條第二號」ヲ
「第二十五條第二號」ニ改ム
第二十六條ノ二左ニ記載シタル場合ニ
於テハ罰金ノ執行猶豫ノ言渡ヲ取消ス
可シ
-猶豫ノ期間內更ニ罪ヲ犯シ罰金以
上ノ刑ニ處セラレタルトキ
二猶豫ノ言渡前ニ犯シタル他ノ罪ニ
付キ罰金以上ノ刑ニ處セラレタルト
キ
三第二十五條ノ二第二號ニ記載シタ
ル者ヲ除ク外猶豫ノ言渡前他ノ罪ニ
付キ罰金以上ノ刑ニ處セラレタルコ
ト發覺シタルトキ
刑事判決宣告猶豫ニ關スル法律案
第一條裁判所ニ於テ審理ノ結果被〓人
ノ性格、年齡及境遇竝犯罪ノ情狀及犯
罪後ノ情況等ニ因リ判決ノ宣告ヲ爲サ
サルヲ相當ト認ムルトキハ決定ヲ以テ
一年以上五年以下ノ期間內其ノ宣〓ヲ
猶豫スル旨ノ言渡ヲ爲スコトヲ得
檢事及被〓人ハ前項ノ決定ニ對シ卽時
抗告ヲ爲スコトヲ得
第二條判決宣告猶豫ノ言渡アリタルト
キハ勾留セラレタル被〓人ニ對シテハ
放免ノ言渡アリタルモノトス
第三條左ノ場合ニ於テハ裁判所ハ檢事
ノ請求ニ因リ判決宣告猶豫ノ言渡ヲ取
消スコトヲ得
一被〓人カ宣〓猶豫ノ期間內ニ犯シ
タル罰金以上ノ刑ニ處セラルヘキ罪
ニ依リ公判ニ付セラレタルトキ
二其ノ他被〓人ニ著シク宣告猶豫ノ
決定ヲ爲シタル趣旨ニ反スル行狀ア
リタルトキ
第四條判決宣告猶豫ノ期間內ハ公訴ノ
時效ハ進行セス
第五條判決宣告猶豫ノ言渡取消アリタ
ルトキハ裁判所ハ更ニ刑事訴訟法ノ規
定ニ從ヒ判決ノ言渡ヲ爲スヘシ
第六條判決宣告猶豫ノ言渡ヲ取消サル
ルコトナクシテ猶豫ノ期間ヲ經過シタ
ルトキハ被〓人ニ對シ免訴ノ言渡アリ
タルモノト看做ス
第七條判決宣告猶豫ノ言渡アリタルト
キハ私訴ニ付テハ其ノ裁判所ノ民事部
ニ移ス言渡アリタルモノトス
第八條本法ニ依ル卽時抗〓ニ付テハ刑
事訴訟法ノ規定ヲ準用ス
行政執行法中改正法律案
行政執行法中左ノ通改正ス
第一條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ檢束ハ翌日ノ日沒迄トシ之ヲ繼
續スルコトヲ得ス但シ泥醉者、瘋癲者、
自殺ヲ企ツル者其ノ他救護ヲ要スル者
ニ對シテハ遲滯ナク之ヲ保護者又ハ引
取人ニ通知シ其ノ出頭スル迄檢束ヲ繼
續スルコトヲ得
第一項ノ假領置ハ三十日以內ニ於テ其
ノ期間ヲ定ムヘシ
刑事訴訟法中改正法律案
刑事訴訟法中左ノ通改正ス
第五十六條ノ二被〓人、被疑者、證人、
鑑定人、通事又ハ翻譯人ヲ訊問スル場
合ニ於テ是等關係者ノ請求アリタルト
キハ裁判所書記ノ作成スル調書ハ速記
ノ方法ニ依ルヘシ
前項ノ場合ニ於テハ裁判所書記ヲシテ
速記ヲ翻譯セシメタル後之ヲ供述者ニ
讀聞カサシメ又ハ供述者ヲシテ之ヲ閱
覽セシムヘシ
速記ノ爲ニ要スル費用ハ請求者ノ負擔
トシ其ノ金額ヲ豫納セシムヘシ
前項ノ費用ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第三百三條第三項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
豫審判事ハ豫審ノ進行ヲ妨ケサル限リ
前項ノ許可ヲ拒ムコトヲ得ス
陪審法中改正法律案
陪審法中左ノ通改正ス
第二條死刑又ハ無期若ハ長期三年ヲ超
ユル有期ノ懲役若ハ禁錮ニ該ル事件ニ
シテ地方裁判所ノ管轄ニ屬スルモノハ
之ヲ陪審ノ評議ニ付ス
第三條削除
第四條中「前二條」ヲ「第二條」ニ改ム
第五條削除
第六條中「辭シ又ハ請求ヲ取下クルコト
ヲ得」ヲ「辭スルコトヲ得」ニ改ム
第十條第一項中「辭シ又ハ請求ヲ取下ク
ルコトヲ得」ヲ「辭スルコトヲ得」ニ改
メ同條第二項中「又ハ請求ヲ取下ケ」及
同條第三項中「又ハ請求ヲ取下ケ」ヲ削
ル
第十一條削除
第三十九條削除
第九十五條削除
第九十六條第一項ヲ左ノ如ク改ム
陪審ノ答申アリタルトキハ檢事ハ適用
スヘキ法令及刑ニ付意見ヲ陳述スヘシ
第百一條被〓人ハ上訴ヲ爲スコトヲ得
上訴ヲ爲スコトヲ得ル者ニ付テハ刑事
訴訟法第三百七十八條、第三百七十九
條及第三百八十三條ノ規定ヲ準用ス
第百二條陪審ノ評議ノ結果ニ影響アル
控訴ノ申立アリタルトキハ前二節ノ規
定ニ從ヒ更ニ之ヲ審理スヘシ
陪審ノ評議ノ結果ニ影響ナキ控訴ノ申
立アリタルトキハ第一審ニ於ケル陪審
ノ答申ハ其ノ效力ヲ有ス
第百三條中「理由アル場合ニ於テ」ノ下ニ
「檢事又ハ被告人」ヲ加フ
第百七條削除発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=67
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068・一松定吉
○一松定吉君 少シ長イケレドモ、此席カ
ラ發言ヲ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=68
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069・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=69
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070・一松定吉
○一松定吉君 日程第十二、刑法中改正法
律案ハ執行猶豫ニ關スルコトデアリマス、
現行法ハ御承知ノ如ク二年以下ノ懲役若ク
ハ禁錮ニ限リマシテ、執行猶豫ノ裁判ガ出
來ルコトニ規定セラレテ居リマス、ソレデ
ハ犯罪事實ノ構成上、唯僅カノ情狀ノ相違
ニ依リマシテ、二年以上處刑セラレマスル
ヤウナ場合ニ於キマシテハ、執行猶豫ノ裁
判ガ與ヘラレナイノデアリマス、ソレト今
一ツハ、現行法ニ於キマシテハ、罰金ノ言
渡ヲ受ケマシタ時ニハ執行猶豫ノ恩典ニ
與ラナイノデアリマス、ソレガ爲ニ一方ニ
ハ二年以下ノ判決言渡ヲ受ケテ執行猶豫ニ
ナル者ガアルカト思へバ、罰金刑ノ言渡ヲ
受ケテ、其罰金ノ完納ノ出來ナカック時ニ、
換刑處分ニ依ッテ勾留セラルヽヤウナ矛盾ヲ
來スノガ現行法デアリマス、故ニ斯ノ如キ
弊害ヲ取除ク意味ニ於キマシテ、三年以下
ノ懲役若クハ禁錮ニ處セラレタ者ニ、執行
猶豫ノ裁判ヲ與ヘルト云フヤウニ刑法ヲ改
正シ、一面ニ罰金ノ言渡ヲ受ケタ者ニ對シ
テモ、情狀ニ因ッテ執行猶豫ノ言渡ヲ爲ス
コトノ出來ルト云フ改正ヲ致シマスルナ
ラバ、只今申上ゲマシタヤウナ弊害ヲ取除
クコトガ出來マスルカラ、此意味ニ於テ此
改正法律案ヲ提出致シタ次第ゴデザイマス
日程第十三ハ刑事判決宣告猶豫ノ法律案
デゴザイマス、御承知ノ如ク只今裁判ノ執
行猶豫ト云フ制度ガアリマスルガ、此裁判
ハ執行猶豫ノ期間ヲ經過スルマデハ、相變ラ
ズ前科者トシテ待遇セラレルノデアリマス、
期間經過後判決ナカリシト云フ法律上ノ結
果ヲ見マシテモ、依然トシテ世人ハ之ヲ白
眼視スルノデアリマス、折角斯ノ如キ恩惠
ニ浴セシメラレタ效果ガ薄弱デアリマスルカ
ラ、斯ノ如キ弊害ヲ取除キタイト云フノガ、
本案提出ノ理由デゴザイマシテ、此法案ハ
起訴セラレタ者ガ審理ヲ受ケマシテ、是力
ラ裁判ヲシヨウト云フトキニ、裁判長ハ其
被〓ニ對シテ、オ前ニ對シテハ二年間、三
年間裁判ノ言渡ヲ猶豫スルゾト、斯樣ナ宣
告ヲスルノデアリマス、其宣告ノ期間ガ無
事ニ終了致シマシタトキニハ、起訴ナカリ
シモノト同一ノ法律上ノ效果ヲ認メルト云
フノデアリマスカラ、全ク前科者ノ處分ヲ
受ケズ、眞ニ此人ハ眞人間トシテ世ノ中ニ
處スルコトガ出來ルノデアリマスカラ、斯
ノ如キ法規ハ是非必要デアルト考ヘテ、本
案ヲ提出致シク趣旨デゴザイマス
第十四ノ行政執行法中改正法律案ハ、御
承知ノ如ク行政執行法ノ第一條ハ税務
ヒ、白痴、瘋癲、自殺ヲ企ツル虞アル者、
サウ云フヤウナ者ヲ、警察官ガ保護檢束ノ
名ノ下ニ警察署ノ保護室ニ入レ、若クハ暴
行逃走其他公安ヲ害スル虞アル者ヲ豫防
室ニ入レマシテ、翌日ノ日沒前マデニ之ヲ
釋放シナケレバナラヌト云フ規定デアリマ
ス、全ク此行政執行法ハ、行政警察ノ目的
ヲ達成スル爲ニ規定セラレタ法律デアルニ
拘ラズ、近來司法警察官ガ司法警察ヲ行フ
上ニ於キマシテ、此行政執行法ヲ濫用シ
テ、自殺ノ虞アル者デモナケレバ、公安ヲ
害スル者デモナイ、行政執行法ニ於テ檢束
スベキモノデナイニ拘ラズ、刑事上ノ搜査
ノ目的ノ爲ニ之ヲ留置場ニ留置シテ、翌日
ノ日沒前ニ釋放スルドコロデハアリマセ
又、三日モ、一週間モ一箇月モ、甚シキ
ハ百日間モ留置場ニ留置シテ、サウシテ刑
事上ノ搜査ノ目的物ニ供スルバカリデハア
リマセヌ此者ハ自殺ノ虞アリトノ虛僞ノ
文書ヲ作成致シマシテ、勾留ヲ繼續シテ拷
責ヲ加ヘルト云フヤウナコトヲ致シテ
居リマスコトガ、今日全國ノ警察署ニ於テ
行ハレテ居ルノデアリマス、人權蹂〓ノ因ッ
テ起ル根源ハ色々アリマスケレドモ、本條
ヲ濫用スルコトガ其最モ甚シキモノデアル
(拍手)此法律ノ改正ニ對シマシテハ當院ニ
於キマシテハ、數囘滿場一致可決ノ上貴族
院ニ送付セラレマシタ、貴族院ニ於キマシ
テモ、之ヲ審議スベク用意シテ居リマシタ
時ニ、齋藤內閣ノ如キハ、政府ノ要望ニ依ッテ
祕密會トシテ、共產黨ヲ檢擧スルニハ此
法文ヲ活用シナケレバ出來ナイカラ、共產
黨取締法規ノ出來ルマデノ間、改正ヲ見合
セテ吳レタシト云フヤウナ懇請ヲ致シマシ
テ、其交換條件トシテ、全國ノ警察官ニ
向ッテ、共產黨檢擧以外ニハ、決シテ不都合
ニ之ヲ濫用スルコトハ出來ナイト云フ趣旨
ノ祕密訓令ヲ發シテ、此本院ヲ通過シタ行
政執行法ノ移送案ヲ否決致シタノデアリマ
ス、併ナガラ其後ニ於ケル人權蹂躪ハ、決
シテ絕滅致シテハ居リマセヌ、昨年ハ人權
蹂躪根絕ニ關スル決議案ガ、當院ヲ大多數
ヲ以テ通過シ、本會議ニ於キマシテモサ
ウ云フ趣旨ガ徹底致シテ居ルニ拘ラズ、相
變ラズ警察官ガ此法文ヲ濫用致シマシテ、
今現ニ每日是ガ行ハレテ居ルノハ、甚ダ以
テ遺憾千萬デゴザイマス(拍手)故ニ此改正
案ハ、翌日ノ日沒後マデ其檢束ヲ繼續スル
コトハ出來ナイ、必ズ釋放シナケレバナラ
ナイト云フノガ、改正ノ大眼目デアリマス、
但シ泥醉者、瘋癲者若クハ自殺ヲ企ツル虞
ノアル者デ、其儘釋放シテハ公安ヲ害スル
トカ或ハ保護ノ出來ナイト云フヤウナ場
合ニハ引取人ヲ喚出シテ、其引取人ニ渡ス
マデハ檢束ガ出來ル、斯ウ云フヤウニ改メ
マシテ、本當ニ本法ノ目的ヲ達シテ、人權
蹂躪ノ出來ナイヤウニシタイト云フノガ、
提案者一同ノ精神デアリマス
日程第十五ノ刑事訴訟法中改正法律案ハ、
ドウ云フコトデアルカト言ヒマスルト、今
日ノ刑事裁判ニ於テ常ニ問題トナリマスル
コトハ私ハ警察官ニ左樣ナコトハ言ハナ
カッタノデアリマス、豫審判事ガ私ノ言ウ
タコトヲ書イテ吳レナカッタ、噓ヲ書イタノ
デアリマスト云フヤウナコトガ、往々ニシ
テ法廷ニ於テ問題ニナルノデアリマス、帝
人事件然リ、横濱ノ縣市事件然リ、其他顯著
ナル事例ガ澤山アルノデアリマスルガ、斯
ノ如キコトハ所謂其取調ノ任ニ當リマス人
ガ、調ベル時ニ好イ加減ニ「ノート」ニ取ッテ
書記ニ口授シテ、其申立テタル人ノ意思ニ
反スルヤウナ記載ガ、調書ノ上ニ現レル結
果デアリマス、故ニ斯ノ如キ弊害ヲ除去ス
ル意味ニ於キマシテ、調ヲ受ケル人ガ、ド
ウカ速記ニ依ッテ下サイト云フ申立ヲシタ
時ニハ、調ヲ致シマスル人ハ、其申立ニ依ッ
テ直チニ速記ノ方法ニ依ッテ調書ヲ取ラナ
ケレバナラヌ、サウ致シマシテ、其速記ヲ
飜譯シタ後ニ於テ、調ベラレタ人ニ讀ミ聞
ケテ其通リ間違ヒガナイト云フコトヲ確
メタ後ニ、署名捺印ヲシテ、之ヲ調書ニ連
綴シテ裁判ノ資料ニ供スル、斯樣ニ致シマ
スレバ、其調書ノ神聖ニ對シテ疑ヲ容ルヽ
餘地ガナイノミナラズ、調ベタ人ニ對シテ
ノ囂々タル非難ヲ除去スルコトガ出來マス
ルカラ、是非斯樣ナ取扱ヲ致シタイト云フ
ノガ、本案提出ノ理由デアリマス
日程第十六ハ陪審法中改正法律案デ、御
承知ノ如ク國民ヲシテ裁判ニ關與セシメナ
ケレバナラヌト云フ輿論ハ、遂ニ陪審法ヲ
我國ニ實施セシムルニ至リマシタノデアリ
マス、其陪審法實施ノ當時ニ於キマシテハ、
隨分物珍シイト云フヤウナコトモアッタノ
デアリマセウカ、陪審裁判ガ各地方裁判所
ニ於テ往々ニシテ行ハレタノデアリマス
然ルニ年々歲々此陪審裁判ガ其數ヲ減ジマ
シテ、昨年若クハ一昨年ノ如キハ、僅ニ十
數件或ハ十件、モウ五年モ六年モ陪審裁判
ヲ開イタコトガナイト云フヤウナ裁判所
ガ、全國ニ非常ニ數多クナッタノデアリマ
ス、折角國民ニ裁判ニ關與スル有難キ權利
ヲ認メラレタニ拘ラズ、ソレガ實施セラ
レナイ、其理由ハ何デアルカト云フト、
所謂請求陪審ハ、請求スル者ガ費用ヲ負擔
シナケレバナラヌト云フヤウナコトガ一ツ
アルコトト、今一ツハ陪審ニ對シテハ所
謂控訴ヲ許サナイノデアル、其爲ニ此有難
キ陪審裁判ガ實際ノ上ニ行ハレナイノデア
リマス(拍手)故ニ斯ノ如キ弊害ヲ除去シタ
イト云フノガ、此改正案ノ趣旨デアリマス、
何卒滿場ノ諸君ニ於カセラレマシテハ、此
提案ノ理由ニ御贊成ノ上、速ニ可決確定ア
ランコトヲ御願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=70
-
071・服部崎市
○服部崎市君 日程第十二乃至第十六ノ五
案ハ、一括シテ議長指名十八名ノ委員ニ付
託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=71
-
072・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=72
-
073・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=73
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074・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出、職業紹
介法改正法律案ヲ議題ト爲シ、委員長ノ報
〓ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=74
-
075・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=75
-
076・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マく、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、職業
紹介法改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長服
部岩吉君
職業紹介法改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一職業紹介法改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十六日
委員長服部岩吉
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
-第二十一條ニ依ル有料又ハ營利ヲ目
的トスル職業紹介事業ヲ行フ業者ニ對
シテハ一般家庭竝ニ小商工業使用人及
之ニ類スル者ノ職業紹介ハ其ノ營業ヲ
壓迫セサル樣嚴正ナル處置ヲ執ルヘシ
〔服部岩吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=76
-
077・服部岩吉
○服部岩吉君 只今日程ニ上リマシタ所ノ
職業紹介法改正法律案ニ關スル審議ノ經過
竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、本案ニ關シ
マシテハ、委員各位ヨリ全體的ニ又逐條的
ニ、本法ノ目標、運用ノ組織竝ニ運用方針、
民間營利職業紹介業ニ對スル規制ノ方針等
ニ付キ、仔細ニ亙リ質疑應答ガ行ハレ、又
熱心ナ御意見ガ開陳サレタノデアリマス、
詳細ノ點ハ速記錄デ御覽願フコトト致シマ
シテ、以下主ナル事項ニ付テ申上ゲルコト
ト致シマス
第一ニ、本法ノ主眼トスル所何レニアル
カ、政府ハ本法ニ依リ勞務統制ヲ行フ肚ガ
アルノデハナイカト云フ點ニ付テ質問ガ
アッタノデアリマスガ、政府ハ之ニ對シテ職
業紹介ノ機能ハ、何處マデモ個人ノ自由意
思ノ上ニ立ッテ、之ヲ斡旋シ指導スルモノデ
アッテ、其機能ヲ通ジテ勞務ノ配置ガ適正ニ
ナルヤウニ、又勞務ノ需要ト供給トガ圓滑
ニ結合セラルヽヤウニ配慮スルモノデアル
カラ、勞務統制ヲ行フモノデナイト云フ答
辯ガアッタノデアリマス
第二ハ、勞務ノ適正ナル配置ヲ圖ラント
スルナラバ、勞働條件ヲ適當ナラシメ、雇
ハレタ者ガ安ンジテ勤續シ得ルヤウニセネ
バ不徹底デアル、職業紹介所ハ勞働條件ニ
干與スルカドウカト云フ質問ガアッタノ
デアリマスガ、政府ハ職業紹介所ハ國家
ノ行ハントスル諸政策ニ順應シツヽ
方ニ於テハ求職者ノ資質能力等ヲ考ヘ、
之ヲ成ベク適職ニ就カシメルト共ニ、之ヲ求
ムル側ニ對シテハヽ成ベク適材ヲ圓滑ニ
供給致シマシテ、勞務ノ配置ノ適正ヲ圖ル
ヤウニ運用スルノデアッテ、單ニ機械的ニ求
人ト求職トノ結合ヲ爲スノデハナク、求人、
求職雙方ニ對シテ、助言的注意ヲ與ヘルコ
トハヤルガ、ソレ以上ノ立入ッタ干渉ヲ爲ス
モノデナイト云フ答辯デアリマシタ
第三ハ、職業紹介所ヲ國營トシ、勞務ノ
需給ヲ調整シテモ、將來產業界ノ不況ニ因
リ、多數ノ失業者ヲ出スヤウナ場合ノ對策
トシテハ不十分デハナイカ、之ニ付テ失業
保險等ヲ準備スル考ハナイカト云フ質問ガ
アッタノデアリマス、之ニ對シテ政府ハ、將
來失業者ガ多數出ルヤウナ事態ガ生ジタ場
合ニハ、職業紹介事業ヲ運用スルダケデハ
對處シ得ナイコトハ言フ迄モナイガ、其場
合ニハ失業救濟ニ付テ善處スル、併ナガラ失
業保險ニ付テハ、其利害得失及ビ我國ノ國
情等ニ付テ、十分考慮ヲ要スルモノガアル
カラ、今直チニ之ヲ實施スル考ハナイト云
フ答辯デアッタノデアリマス
第四ニ、職業紹介所職員ニ付テ、特別ノ
養成施設ヲ設ケル必要ガアリハセヌカ、現
在ノ市町村紹介所職員ヲ如何ニ處理スルカ
ノ點ニ關スル質問ガアッタノデアリマスガ、
政府ハ職員養成施設ニ付テハ特ニ其必要ヲ
認メ、常設ノ養成施設ニ付テモ〓究スルト
云フ答辯ガアッタノデアリマス、現在ノ市町
村紹介所職員ニ付テハ、不利益ニナラヌ程
度ノ待遇ヲ以テ、原則トシテ全部國ノ職業
紹介所職員ニ採用スル方針デアルト云フ旨
ノ答辯ガアッタノデアリマス
第五ニ、職業紹介所ニ置ク聯絡委員ノ身
分及ビ資格ニ付テノ質問ガアッタノデアリ
マスガ、聯絡委員ハ名譽職デアリマスガ、
法律上認メラレタ機關デアリ、公務員タル
身分ヲ有スルトノ答辯ガアッタノデアリマ
ス、小學校長、靑年團長、在〓軍人會長、
方面委員等ノ適任者ヲ、地方長官ニ於テ任
命スルト云フ答辯ガアッタノデアリマス
第六ニ、藝妓酌婦其他之ニ類スルモノノ
職業紹介ヲ、本法カラ除外スルコトニ付テ、
國營紹介所ニ於テ取扱フコトガ都合ガ惡イ
トシテモ、之ヲ埒外ニ置クヤウナ態度ヲ執
ルコトハ遺憾デアル、是等ノモノニ對スル
保護ニ付テ、政府ハ如何ニ考慮スルカト云
フ質問ガアッタノデアリマスガ、之ニ對シテ
政府ハ、現在ノ人事周旋業取締規則ノ改正
等ニ依リ善處スル旨ノ答辯ガアッタノデア
リマス
第七ニ、營利職業紹介事業ニ付テハ、是
ガ新設ハ認メヌガ、既設ノ業者ノ存續ヲ認
メルト云フ原案ニ對シマシテ、政府ハ一體
營利業者ヲ保護セントスルノデアルカ、或
ハ自然消滅セシムル方針デアルカ、補償金
ヲ出シテ廢業セシムル考ハナイカ、船員職
業紹介法ノ如ク、年限ヲ限ッテ存續セシムベ
キデハナイカ、第十五條ニ依リ本法ノ適用
ヲ除外サレルモノノ中ニ、戶內使用人、徒
弟等ヲ含メテハドウカ、又事業ノ相續承繼
ヲ認メルナラバ營業讓渡ヲモ認メテ然ル
ベキデハナイカト云フヤウナ、種々ノ質問
ガアッタノデアリマスガ、之ニ對シテ政府カ
ラ、營利業者ニ對スル態度ハ從來通リデ、
特ニ保護ヲ加ヘルノデモナケレバ、又特ニ
壓迫ヲ加ヘル考モナイ、補償金ヲ與ヘテ
今直チニ廢業セシムルト云フ必要ヲ認
メナイ、船員紹介業者ノ場合ト異リ、民
闘營利業者ハ相當ノ活動ヲシテ、社會的ニ
モ役立ッテ居ルカラ、年限ヲ限ルコトハ考ヘ
テ居ナイ、戶內使用人等ハ現在モ市町村
紹介所デ取扱ッテ居ルカラ、之ヲ取扱範圍カ
ラ除外スルコトハ出來ナイ、又營業讓渡
ハ、新設ヲ認メヌ立前カラ、之ヲ認メルコ
トモ出來ナイシ、又左樣ナモノハ所調利權
ニナルヤウナ關係モアルカラシテ、サウ云
フモノハ出來ナイト云フ答辯ガアッタノデ
アリマス
討論ニ入リマシテ、民政黨ヲ代表致シマ
シテ、片岡委員ヨリ一ツノ附帶決議ヲ附ケ
マシテ、原案ニ贊成スルトノ意思表示ヲサ
レタノデアリマス、其附帶決議ヲ今朗讀致
シマス
附帶決議
第二十一條ニ依ル有料又ハ營利ヲ目的
トスル職業紹介事業ヲ行フ業者ニ對シ
テハ一般家庭竝ニ小商工業使用人及之
ニ類スル者ノ職業紹介ハ其ノ營業ヲ壓
迫セサル樣嚴正ナル處置ヲ執ルヘシ
政友會ヲ代表シテ野口君ヨリ原案ニ贊成シ、
併セテ民政黨ノ片岡君ヨリ提出サレマシタ
附帶決議ニモ贊成スルノ意思ヲ表示サレタ
ノデアリマス、又第一議員倶樂部ノ小池委
員ヨリモ原案ニ贊成シ、同時ニ片岡君ノ提
案サレマシタ附帶決議ニ贊成スル意思ヲ表
示サレマシタ、社大黨ノ米窪委員ハ原案ニ
ハ贊成スルガ、片岡君ノ提出サレタ附帶決
議ニハ遺憾ナガラ贊成ノ意ヲ表スルコトハ
出來ナイ、外ニ五點ノ希望條項ヲ附シテ原
案ニ贊成スル、第二控室ノ椎尾委員ハ原案
ニ贊成シ、且ツ片岡君ノ附帶決議ニモ贊成
スル、而シテ米窪君ノ希望條項ニモ同意ヲ
表スル、ソレカラ三浦委員ヨリモ、椎尾君
同樣ノ意見ノ發表ガアリマシテ、討論ハ終
了致シマシタ而シテ採決ニ入リマシタ結
果、原案ハ滿場一致ヲ以テ可決致シ、尙ホ
廾岡君提出ノ附帶決議ハ大多數ヲ以テ可
決サレタノデアリマス、尙ホ此機會ニ特ニ
社大黨ノ方ノ希望條項ヲ朗讀致シテ置キマ
ス
職業紹介法改正法律案ニ對スル
希望條項
一、政府ハ改正職業紹介法ヲ運用スルニ
當リ聯絡委員及職業紹介委員制度ヲ活
用シ雇傭條件ノ適正ヲ期スルト共ニ就
職後ノ勞務者ノ保護ニツキ萬全ヲ期ス
ベシ
二、臨時雇又ハ人夫名義ノ雇傭ニ付テハ
本法改正ノ趣旨ニ基キ速カニ常傭ニ變
更スルヤウ適當ナル處置ヲ執ルベシ
三、復員時ニ於ケル職業紹介事業ヲ圓滑
ナラシメルタメ政府ハ左ノ各點ニ關ス
初回)製造所(お)
一九七八入營者職業保障法ノ徹底
傷痍軍人ノ保護竝ニ再〓育ニ關ス
ル政策ノ確立
失業保險法ノ制定
四本法改正ノ趣旨ニ鑑ミ政府ハ營利竝
ニ有料職業紹介事業ニ對シ本法實施ノ
成績ニ基キ可及的速カニ之ヲ國營化ス
ベシ
五政府ハ現在事業會社自體ノ行ヒツツ
アル勞働者募集ノ弊害アルニ鑑ミ是ガ
監督ヲ嚴重ニスルト共ニ進ンデ團體協
約權ノ法認ニ邁進スベシ
以上ガ社大黨米窪君ノ希望條項デアリマ
ス、以上御報告中上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=77
-
078・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 本案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=78
-
079・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
そく、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=79
-
080・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ
開キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ
通リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=80
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081・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=81
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082・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
職業紹介法改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=82
-
083・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告
通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第十七
及ビ第十八ハ同種ノ議案デアリマスカラ、
一括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=83
-
084・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
さく、仍テ日程第十七、司法書士法中改正
法律案、日程第十八、司法書士法中改正法
律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマ
ス、順次提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-
提出者一松定吉君
第十七司法書士法中改正法律案(中
山福藏君外五名提出)第一讀會
第十八司法書士法中改正法律案金
川平君提出)第一讀會
司法書士法中改正法律案
司法書士法中左ノ通改正ス
第四條司法書士タルニハ檢定委員ノ考
試ヲ受ケ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受
クルコトヲ要ス
前項ノ考試ニ關スル事項ハ司法大臣之
ヲタル
第十條ノ二司法書士ハ其ノ事務取扱ノ
統一及改善ヲ圖ル爲其ノ所屬地方裁判
所每ニ司法書士會ヲ設ケ地方裁判所長
ノ認可ヲ受クヘシ
第十條ノ三司法書士ハ其ノ所屬地方裁
判所ノ司法書士會ニ加入シタル後ニ非
サレハ其ノ業務ヲ行フコトヲ得ス
第十一條中「品位ヲ失墜スヘキ行爲」ノ下
ニ「若ハ司法書士會ノ會則ニ違反シタル
行爲」ヲ加フ
第十二條司法書士ニ非スシテ司法書士
ノ業務ヲ行ヒタル者ハ五百圓以下ノ罰
金ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ司法書士タル者ハ本法
ニ依ル司法書士ト看做ス
各地方裁判所所屬司法書士ハ本法施行ノ
日ヨリ三月內ニ司法書士會設立ノ爲會則
ヲ定メ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受クヘ
シ
第十條ノ三ノ規定ハ本法施行ノ日ヨリ四
月間之ヲ適用セス
司法書士法中改正法律案
司法書士法中左ノ通改正ス
第四條司法書士タルニハ檢定委員ノ考
試ヲ受ケ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受
タルコトヲ要ス
前項ノ考試ニ關スル事項ハ司法大臣之
コルボ人
第十條ノ二司法書士ハ其ノ事務取扱ノ
統一及改善ヲ圖ル爲其ノ所屬地方裁判
所每ニ司法書士會ヲ設ケ地方裁判所長
ノ認可ヲ受クヘシ
第十條ノ三司法書士ハ其ノ所屬地方裁
判所ノ司法書士會ニ加入シタル後ニ非
サレハ其ノ業務ヲ行フコトヲ得ス
第十一條中「品位ヲ失墜スヘキ行爲」ノ下
ニ「若ハ司法書士會ノ會則ニ違反シタル
行爲」ヲ加フ
第十二條司法書士ニ非スシテ司法書士
ノ業務ヲ行ヒタル者ハ五百圓以下ノ罰
金ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ司法書士タル者ハ本法
ニ依ル司法書士ト看做ス
各地方裁判所所屬司法書士ハ本法施行ノ
日ヨリ三月內ニ司法書士會設立ノ爲會則
ヲ定メ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受クヘ
シ
第十條ノ三ノ規定ハ本法施行ノ日ヨリ四
月間之ヲ適用セス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=84
-
085・一松定吉
○一松定吉君 只今上程セラレマシタ日程
第十七、司法書士法中改正法律案ハ、御承
知ノ如ク司法代書人ト稱セラレテ居リマシ
タノヲ、前年當院ニ於キマシテ司法書士ト
名稱ヲ變ヘタノデアリマス、其司法書士ニ
關シマシテ、ソレ等ノ人々ノ地位ヲ向上シ、
其職務ノ執行ニ世人ノ信用ヲ高メシメルト
云フ意味ニ於キマシテ、此司法書士タル資
格ヲ獲得スルニハ檢定委員ヲ設ケテ試驗ヲ
スル、斯ウ云フコトヲ定メマシテ、一條、
ハ司法書士會ト云フ會ヲ拵ヘテ、地方裁判
所長ガ之ヲ監督ヲスル、サウシテオ互ニ切
磋琢磨シテ品位ヲ向上セシメ、一面ニハ司
法書士ニアラザル所ノ非司法書士ヲ取締ル、
斯ウ云フ意味ノ必要ヲ感ジマシテ、本案ヲ
提出シタ次第デアリマス、何卒御贊成ヲ御
願致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=85
-
086・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 提出者立川平
君-本案ノ趣旨辯明者ハ議席ニ居ラレマ
セヌ、仍テ趣旨辯明ヲ省略シタモノト認メ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=86
-
087・服部崎市
○服部崎市君 日程第十七及ビ第十八ノ兩
案ヲ一括シテ、一松定吉君外六名提出、刑
法中改正法律案外四件ノ委員ニ併セ付託セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=87
-
088・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=88
-
089・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
さく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
十九乃至第二十二ハ便宜上一括議題ト爲ス
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=89
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090・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ日程第十九、行政書士法案、日
程第二十、私生子ノ名稱ニ關スル法律案、
日程第二十一、理容師法案、日程第二十二、
公證人法中改正法律案、右四案ヲ一括シテ
第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ
許シマス-提出者一松定吉君
第十九行政書士法案(中山福藏君外
六名提出)第一讀會
第二十私生子ノ名稱ニ關スル法律案
(中山福藏君、外五名提出)第一讀會
第二十一理容師法案(中山福藏君外
八名提出)第一讀會
第二十二公證人法中改正法律案野
村嘉六君外十四名提出)第一讀會
行政書士法案
行政書士法
第一條本法ニ於テ行政書士ト稱スルハ
他ノ法令ニ依ラスシテ他人ノ囑託ヲ受
ケ官公署ニ提出スヘキ書類其ノ他權利
義務又ハ事實證明ニ關スル書類ノ作製
ヲ爲スヲ業トスル者ヲ謂フ
第二條行政書士ハ左ノ條件ヲ具フルコ
トヲ要ス
一帝國臣民ニシテ民法上ノ能力者タ
ルコト
二中等學校卒業以上ノ學力ヲ有スル
者ニシテ行政書士試驗ニ合格シタル
コト
行政書士試驗ニ關スル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ行
政書士タル資格ヲ有セス
一禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
二破產者ニシテ復權ヲ得サル者
三行政書士ノ業務禁止ノ處分ヲ受ケ
タル者
第四條行政書士ハ行政書士名簿ニ登錄
セラルルコトヲ要ス
第五條行政書士ハ地方長官ノ監督ヲ受
ク
第六條行政書士ハ地方長官ノ定ムル報
酬ヲ受ク
第七條行政書士ハ相當ノ事由アルニ非
サレハ囑託ヲ拒ムコトヲ得ス
第八條行政書士業務上ノ義務ニ違反シ
タルトキハ地方長官ハ內務大臣ノ認可
ヲ受ケ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一業務ノ停止
二業務ノ禁止
三百圓以下ノ過料
非訟事件手續法第二百八條ノ規定ハ前
項ノ過料ノ處分ニ付之ヲ準用ス
第九條行政書士ハ道府縣每ニ行政書士
會ヲ設立スヘシ
第十條行政書士會ニ關スル規定ハ內務
大臣之ヲ定ム
第十一條行政書士ハ行政書士會ニ加入
シタル後ニ非サレハ業務ヲ行フコトヲ
得ス
第十二條行政書士タル資格ヲ有セスシ
テ行政書士ノ業務ヲ行ヒタル者ハ六月
以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處
ス
第十三條行政書士タルノ資格ヲ有スル
モ其ノ登錄ヲ受ケスシテ行政書士ノ業
務ヲ行ヒタル者ハ二十圓以上二百圓以
下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
現在ノ代書人ハ本法施行ノ日ヨリ三月以
內ニ行政書士名簿ニ登錄ヲ出願シタルト
キハ試驗ヲ要セスシテ行政書士タルコト
ヲ得
大正九年十一月二十五日內務省令第四十
號代書人規則ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ廢
止ス
私生子ノ名稱ニ關スル法律案
私生子ハ之ヲ母生子ト改稱ス
母生子ノ戶籍ニ關スル屆出又ハ戶籍ノ記
載ヲ爲スニ當リ母ト母生子トノ續柄ヲ表
示スルニハ總テ母某長男若ハ母某二男
(二一-明散介)又ハ母某長女若ハ母某二女(如
以下之)ト記載スヘシ
(タン)
前項ノ規定ハ庶子ニ付テモ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
他ノ法令中私生子トアルハ之ヲ母生子ト
ス
母生子及庶子ノ戶籍ノ記載ニシテ私生子
男、私生子女、庶子男及庶子女トアルハ
本法第二項ノ記載例ニ依リ之ヲ訂正スヘ
シ但シ利害關係人ノ申請ニ因リ其ノ記載
ヲ訂正スルコトヲ妨ケス
前項ノ訂正ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ
以テ之ヲ定ム
理容師法案
理容師法
第一條理容師ハ頭髮、鬚髯ノ剪剃、結
髪、美毛術、美爪術又ハ美顏術ヲ爲ス
コトヲ業トスルモノトス
第二條理容師タラムトスル者ハ理容師
試驗ニ合格シ行政官廳ノ免許ヲ受クル
コトヲ要ス理容師試驗及免許ニ關スル
事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニハ理
容師ノ免許ヲ與ヘサルコトアルヘシ
-精神病者、癲癇病者又ハ結核、癩、
「トラホーム」其ノ他ノ傳染性疾患ア
ル者
二其ノ他不適當ト認メタル者
第四條理容師營業所ヲ開設セムトスル
トキハ行政官廳ノ許可ヲ受クヘシ
前項ニ規定スルモノノ外營業所ニ關ス
ル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條理容師ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
家族其ノ他ノ者ヲシテ業務ニ從事セシ
ムルコトヲ得
第六條精神病者、癲癇病者又ハ結核、
癩「トラホーム」其ノ他ノ傳染性疾患
アル者ハ作業ニ從事シ又ハ從事セシム
ルコトヲ得ス
第七條行政官廳ハ當該官吏ヲシテ隨時
營業所ヲ臨檢セシムルコトヲ得
理容師ハ前項ノ臨檢ヲ拒ムコトヲ得ス
第八條行政官廳必要アリト認ムルトキ
ハ理容師又ハ從業者ニ對シ醫師ノ診斷
書ノ提出ヲ命スルコトヲ得
第九條行政官廳ハ衞生上其ノ他必要ア
リト認ムルトキハ理容師ニ對シ命令ヲ
發スルコトヲ得
第十條行政官廳ハ左ノ各號ノ一ニ該當
スルトキハ營業ノ許可ヲ取消シ又ハ其
ノ停止ヲ命スルコトヲ得
他人ニ名義ヲ貸スノ事實アリト認
メタルトキ
二衞生、風俗其ノ他公安ヲ害シ又ハ
害スルノ虞アリト認メタルトキ
三本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令
ニ違反シタルトキ
第十一條理容師ハ理容術ノ改良發達ヲ
圖ル爲命令ノ定ムル所ニ依リ警察官署
ノ管轄區域每ニ理容師組合ヲ設立スヘ
シ但シ理容師組合ニ屬スル理容師ノ數
多キトキハ同一警察官署ノ管轄區域內
ニ二以上ノ理容師組合ヲ設立スルコト
ヲ得
第十二條理容師組合ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ道府縣理容師組合聯合會ヲ設立
スヘシ
道府縣理容師組合聯合會ハ日本理容聯
盟ヲ設クルコトヲ得
第十三條理容師組合、道府縣理容師組
合聯合會及日本理容聯盟ノ設立手續、
機關ノ組織及監督其ノ他必要ナル事項
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條第二條第一項、第四條第一項、
第六條及第七條第二項ノ規定ニ違反シ
又ハ第八條乃至第十條ノ規定ニ依ル命
令ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ罰金又
ハ科料ニ處ス
第十五條理容師ハ其ノ戶主、家族、同
居人、雇人其ノ他ノ從業者カ其ノ業務
ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命
令ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出
テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコ
トヲ得ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前從前ノ規定ニ依リ理容術營業
ノ許可ヲ受ケタル者ハ本法ニ依ル營業許
可ヲ受ケタル者ト看做ス
本法施行前從前ノ規定ニ依リ理容術試驗
ニ合格シタル者ハ本法ニ依ル理容師ノ免
許ヲ受ケタル者ト看做ス
公證人法中改正法律案
公證人法中左ノ通改正ス
「公證人法」ヲ「公證士法」ニ改ム
同法中「公證人」ヲ「公證士」ニ改ム
第二十八條第二項中「市區町村長」ノ下ニ
「若ハ登記官吏」ヲ加フ
第三十二條第二項中「市區町村長」ノ下
ニ「又ハ登記官吏」ヲ加フ
第三十六條第六號中「市區町村長」ノ下ニ
「若ハ登記官吏」ヲ加フ
第四十一條第一項中「市區町村長、」ノ下
ニ「登記官吏」ヲ加フ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=90
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091・一松定吉
○一松定吉君 日程第十九ハ行政書士法案
デアリマシテ、本案ハ只今申上ゲマシタ司
法代書人ヲ司法書士ト名前ヲ變ヘマシタ結
果行政代書人ヲモ、ソレト均衡ヲ保ツ意
味ニ於テ、行政書士ト云フ名前ニ變ヘルト
云フコトト、同ジク是等ノ人ノ品位ヲ向上
シテ、サウシテ依賴者ノ信用ヲ高メシメル
ト云フ意味ニ於テ、中等學校卒業以上ノ學
力ヲ有スル人ノ中カラ行政書士ノ試驗ヲシ
テ、ソレニ合格シタ者ヲ採用スルト云フコ
ト、及ビ行政書士會ヲ組織シテ、內務大臣
ガ之ヲ地方長官ニ命ジテ監督ヲセシムルト
云フコト等ヲ定メタノデアリマス
第二十、私生子ノ名稱ニ關スル法律案、
是ハ年々當院ニ提案ニナッテ、當院ヲ通過致
シテ居ル法案デアリマス、父ノ明カデナイ
所ノ子供ハ私生子ト云フ、此名前ガ甚ダ面
白クアリマセヌノデ、ソレガ爲ニ我國ニ於
ケル多數ノ私生子デアリマスル人々ガ、非
常ニ悲觀ヲシテ、自己ノ地位ヲ向上スルコ
トガ出來ナク、或ハ憂鬱ニ其日ヲ送ルト云
フ者ガ數知レズ多クアルノデアリマス、斯ウ
云フ人ヲシテ愉快ニ其日ヲ送ルコトガ出來、
同ジク陛下ノ赤子トシテ御奉公ノ出來ル
ヤウニサセタイト云フ意味ニ於キマシテ、
此私生子ト云フ名前ヲ變ヘテヤリタイ、ド
ウ云フ風ニ變ヘルカト云ヒマスト、母某ノ
長男某、母某ノ長女某ト云フヤウニ戶籍
ニ記載ヲシテ、ソレ等ノ人ヲシテ幾分ナリ
トモ名前ニ依ッテ憂鬱ヲ感ズルコトヲ除去
セシメタイト云フノガ、提案ノ趣旨デアリ
マス
第二十一ノ理容師法案、是ハ昨年本院ニ
提案ヲ致シタ法案デゴザイマシテ、卽チ通
俗ノ言葉デ言ヒマスルナラバ床屋サン、
髮結サン、美容師、斯ウ云フヤウナ業務ニ
從事シテ居リマスル人ガ、衞生思想ノ發達
ヲシテ居ル今日、之ヲ一ツノ團體的法規ノ
下ニ於テ活動出來ル組織體ト致シマシテ、
國民保健上重要ナ任務ヲ遂行セシムル必要
上組合制度ト云フモノヲ公認ヲシテヤリ
タイ、サウシテ相當ノ資格ヲ與ヘテ、ソレ
等ノ待遇ヲ良クシテヤリ、一面ニハ人格ノ
向上ニ資スルト云フ意味ヲ以テ、本案ヲ提
案致シタノデアリマス
日程第二十二ハ公證人法中改正法律案デ
アリマシテ、旣ニ辯護士、辨理士、計理士、
ト云フヤウニ、此「士」ト云フ文字ヲ使ヒ、
而モ代書人デサヘモ司法書士、行政書士ト
云フ名前ヲ使フト云フ狀況ニアリマスル今
日、社會上相當ナ地位ニアリマスル公證人
諸君ヲ、公證人ト云フ名前デハ、餘リニ輕
蔑ノ意味ヲ含ムノデハナカラウカト云フ虞
モアリマスルノデ、權衡上之ヲ公證士ト云
フ名前ニ改メルト云フノガ一ツ、今一ツハ
公正證書ヲ作成致シマストキニ、其囑託人
ノ氏名ヲ知ラズ、又面議ナイトキニハ人
違ヒデナイト云フコトヲ證明スル爲ニ、市
區町村長ノ印鑑證明書ヲ提出セシムル現行
法デハ、商業登記ヲ爲シタル法人ノ代表者
ニ交付スル所ノ登記官吏ノ印鑑證明書ヲ除
外シテ居リマスコトハ甚ダ權衡ヲ失シマ
スル嫌ガアリマスルカラ、登記官吏ノ印鑑
證明書ヲ市區町村長ノ印鑑證明書ト同一
ニ取扱フノガ便利デアルト考ヘマシテ、此
二ツノ改正ヲ主ト致シマシテ本案ヲ提出致
シタノデアリマス、何卒御協贊アランコト
ヲ御願致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=91
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092・服部崎市
○服部崎市君 日程第十九ハ、一松定吉君
外六名提出、刑法中改正法律案外四件委員
ニ、日程第二十及ビ第二十一ノ兩案ハ一括
シテ、八木逸郞君提出、民族優生保護法案
委員ニ、日程第二十二ハ、中野治介君外一
名提出、計理士法中改正法律案委員ニ併セ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=92
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093・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=93
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094・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
二十三、建築士法案ノ第一讀會ヲ開キマス、
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者手
代木隆吉君
第二十三建築士法案(野村嘉六君外
八名提出)第一讀會
建築士法案
建築士法
第一條建築士ハ建築士ノ稱號ヲ用ヒテ
當事者ノ委囑ニ因リ建築ニ關スル設
計、工事監督、調査又ハ鑑定ヲ業トス
ルモノトス
第二條左ノ條件ヲ具フル者ハ建築士タ
ル資格ヲ有ス
一帝國臣民又ハ主務大臣ノ定ムル所
ニ依リ外國ノ國籍ヲ有スル者ニシテ
私法上ノ能力者タルコト
二建築士試驗ニ合格シ一年六月以上
建築ノ設計監督ニ關スル實務修習ヲ
了ヘタルコト
前項第二號ノ建築士試驗及實務修習ニ
關スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ前
條第一項第二號ノ規定ニ拘ラス建築士
タル資格ヲ有ス
一建築學ヲ修メタル工學博士
二帝國大學、大學令ニ依ル大學、專
門學校令ニ依ル專門學校又ハ主務大
臣ニ於テ之ト同等以上ト認ムル學校
ニ於テ建築ニ關スル諸學科ヲ修メ定
規ノ課業ヲ卒ヘタル者ニシテ一年以
上建築ノ設計監督ニ關スル實務ニ從
事シタル者
第四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ建
築士タル資格ヲ有セス
-禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者但
シ二年未滿ノ懲役又ハ禁錮ニ處セラ
レタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ又ハ
其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタ
ル日ヨリ起算シ三年ヲ經過シタル者
ハ此ノ限ニ在ラス
二前號ニ該當スル者ヲ除クノ外第十
三條又ハ第十四條ノ罪ヲ犯シ刑ニ處
セラレタル者但シ刑ノ執行ヲ終リ又
ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リ
タル日ヨリ起算シ三年ヲ經過シタル
者ハ此ノ限ニ在ラス
三破產者ニシテ復權ヲ得サル者
四建築士ノ業務ノ停止ノ期間中其ノ
業務ヲ廢止シ未タ其ノ期間ノ經過セ
サル者、
五建築士ノ業務ノ禁止ノ處分ヲ受ケ
タル者但シ其ノ處分ヲ受ケタル日ヨ
リ起算シ三年ヲ經過シ主務大臣ニ於
テ改悛ノ情顯著ナリト認メタル者ハ
此ノ限ニ在ラス
第五條建築士タラムトスル者ハ建築士
登錄簿ニ登錄ヲ受クルコトヲ要ス
建築士ノ登錄ニ關スル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第六條建築士ノ登錄ヲ受ケムトスル者
ハ登錄料トシテ二十圓ヲ納付スヘシ
第七條建築士ハ誠實公正ニ其ノ業務ヲ
行フヘシ
第八條建築士ハ其ノ業務ニ關シ委囑者
以外ノ者ヨリ贈與其ノ他ノ利益ヲ受ク
ルコトヲ得ス
第九條建築士ハ自ラ左ノ營業ヲ爲シ又
ハ左ノ營業ヲ爲ス者ノ使用人タルコト
ヲ得ス
一建築土木ニ關スル請負業
二建築材料ニ關スル商工業
三土地家屋ニ關スル代理業
第十條建築士ハ主務大臣ノ監督ニ屬ス
第十一條建築士本法ノ規定ニ違反シタ
ルトキ又ハ品位ヲ失墜スヘキ行爲ヲ爲
シタルトキハ主務大臣ハ建築士懲戒委
員會ノ議決ニ依リ之ヲ懲戒スルコトヲ
得
建築士懲戒委員會ニ關スル事項ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條建築士ノ懲戒處分ハ左ノ四種
トス
一譴責
二千圓以下ノ過料
三一年以内建築士ノ業務ノ停止
四建築士ノ業務ノ禁止
前項第二號ノ過料ヲ完納セサルトキハ
主務大臣ノ命令ヲ以テ之ヲ執行ス
非訟事件手續法第二百八條ノ規定ハ前
項ノ規定ニ依ル執行ニ付之ヲ準用ス
第十三條建築士又ハ建築士タリシ者故
ナク其ノ業務上知得タル事項ニシテ委
囑者ニ必要ナル祕密ヲ漏泄シタルトキ
ハ六月以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金
三種交人
前項ノ罪ハ〓訴ヲ待テ之ヲ論ス
第十四條建築士タル資格ヲ有セスシテ
建築士ノ稱號ヲ用ヒ建築士ノ業務ヲ行
ヒタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第十五條建築士タル資格ヲ有スルモ其
ノ登錄ヲ受ケスシテ建築士ノ稱號ヲ用
ヒ建築士ノ業務ヲ行ヒタル者ハ十圓以
上二百圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六
號布告刑法ノ二年ノ禁錮以上ノ刑ニ處セ
ラレタル者ハ二年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ
刑ニ處セラレタル者ト看做ス
本法施行ノ際迄引續キ一年以上建築ニ關
スル設計監督ノ業務又ハ職務ニ從事シタ
ル者ハ本法施行ノ日ヨリ一年以內ニ出願
シタルトキニ限リ第二條第一項第二號ノ
規定ニ拘ラス建築士試驗委員ノ銓衡ヲ經
テ建築士タルコトヲ得
帝國大學、大學令ニ依ル大學、專門學校
令ニ依ル專門學校又ハ主務大臣ニ於テ之
ト同等以上ト認ムル學校ニ於テ土木ニ關
スル諸學科ヲ修メ定規ノ課業ヲ卒ヘタル
者ニシテ引續キ三年以上建築ノ設計監督
ニ關スル業務又ハ職務ニ從事シタル者ハ
本法施行ノ日ヨリ五年以內ニ出願シタル
トキニ限リ第二條第一項第二號ノ規定ニ
拘ラス建築士試驗委員ノ銓衡ヲ經テ建築
士タルコトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=94
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095・手代木隆吉
○手代木隆吉君 只今上程ニナリマシク建
築士法案提出ノ理由ヲ辯明致シマス、本法
案ハ本院ニ於テ前後二囘成立ヲ致シテ居ル
所ノ法案デアリマシテ、輓近世運ノ進展ニ
伴ヒマシテ、公私ノ建築事業ハ漸ク隆昌ヲ
見ルニ至リマシタ、其處理經營ニ際シマシ
テ、複雜ナル事情ト機微ナル事態ノ發生ス
ルコト、亦往年ノ比デハアリマセヌ、國民
日常ノ生活ト密接ナル關係ヲ有シ、且ツ其
財產ノ要素デアリマス所ノ建築ノ計畫及ビ
監督ハ、適當ノ〓養ト技能ト經驗トヲ要ス
ルコトハ勿論デアリマス、隨テ之ヲ業トス
ル者ノ職責ヲ明ニ致シ、以テ諸般ノ弊害ヲ
未然ニ防ギ、併セテ建築物ノ安固ト精華ト
ヲ期セナケレバナラヌト思フノデアリマス、
仍テ速ニ建築士法ヲ制定致シ、現行ノ建築
物取締ニ關スル法規ト相俟ッテ、國民ノ利益
ヲ保護シ、國家ノ福社ヲ增進セントスルモ
ノデアリマス、是レ本案ヲ提出スル理由デ
アリマス、何卒御贊成ノ上速ニ本案ノ成立
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=95
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096・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、市街地建
築物法中改正法律案委員ニ併セ付託サレン
コトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=96
-
097・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=97
-
098・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
二十四乃至二十六ハ同種議案デアリマスカ
ラ、一括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=98
-
099・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ日程第二十四、產師法案、日程
第二十五、產師法案、日程第二十六、產師
法案、右三案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマ
ス、順次提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-
提出者土屋〓三郞君
第二十四產師法案(土屋〓三郞君外
五名提出)第一讀會
第二十五產師法案(田中養達君外一
名提出)第一讀會
第二十六產師法案(野方次郞君外一
名提出)第一讀會
產師法案
產師法
第一條產師トハ助產ヲ業ト爲ス者ヲ謂フ
第二條產師タラムトスル者ハ年齡二十
年以上ノ女子ニシテ左ノ資格ヲ有シ內
務大臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
高等女學校卒業者又ハ之ト同等以
上ノ學力ヲ有スル者ニシテ內務大臣ノ
指定シタル產師學校ヲ卒業シタル者
二外國ノ產師學校ヲ卒業シ又ハ外國
ニ於テ產師免許ヲ受ケタル者ニシテ
命令ノ規定ニ該當スル者
三產師試驗ニ合格シタル者
產師試驗ハ內務大臣之ヲ行フ
產師試驗ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之
ヲルム
第三條聾者、啞者、盲者又ハ精神病者
ニ對シテハ產師ノ免許ヲ爲スコトヲ得
ス
墮胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ犯シ
刑ニ處セラレタル者又ハ禁錮以上ノ刑
ニ處セラレタル者ニ對シテハ產師ノ免
許ヲ爲ササルコトアルヘシ
第四條產師ハ姙婦、產婦、褥婦又ハ胎
兒生兒ニ異常アリト認ムルトキハ直
ニ醫師ノ診療ヲ請ハシムヘシ自ラ其ノ
處置ヲ爲スコトヲ得ス但シ臨時應急ノ
處置ハ此ノ限ニ在ラス
第五條產師ハ自ラ臨產又ハ檢案セスシ
テ死產證書又ハ死胎檢案書ヲ交付スル
コトヲ得ス
第六條產師ハ何等ノ方法ヲ以テスルヲ
問ハス業務上技能、經歷又ハ命令ノ定
ムル事項ノ廣〓ヲ爲スコトヲ得ス
第七條產師ハ產薄ヲ備へ十箇年間之ヲ
保存スヘシ
第八條產師ハ產師會ヲ設立スヘシ
產師會ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
第九條產師第三條第一項ニ該當スルト
キハ其ノ免許ヲ取消スヘシ
產師隨胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ
犯シ刑ニ處セラレタルトキ又ハ禁錮以
上ノ刑ニ處セラレタルトキハ其ノ免許
ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ業務ヲ停止
スルコトアルヘシ其ノ免許前ニ係ル場
合亦同シ
前二項ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖改
悛ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ爲スコ
トヲ得
前三項ノ處分ハ內務大臣之ヲ行フ但シ
第二項ノ處分及第三項ノ再免許ヲ爲ス
場合ハ中央衞生會ノ審議ヲ經ルコトヲ
要ス
第十條第二條ノ免許ヲ受ケスシテ助產
ノ業ヲ爲シタル者又ハ第四條乃至第七
條ノ規定ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ
罰金又ハ科料ニ處ス業務停止中ノ產師
ニシテ助產ノ業ヲ爲シタル者亦同シ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
產婆規則ハ之ヲ廢止ス
本法施行前產婆名簿ニ登錄セラレタル者
ハ本法ニ依リ產師ノ免許ヲ受ケタル者ト
看做ス
本法施行前地方長官ヨリ業務ノ地域及期
間ヲ定メテ假ニ產婆ノ業ヲ免許セラレタ
ル者ハ本法施行後ト雖尙其ノ效力ヲ有シ
且其ノ有效期限ハ申請ニ依リ之ヲ更新ス
ルコトヲ得
本法施行ノ際從前ノ規定ニ依リ產婆名簿
ニ登錄ヲ受クル資格ヲ有スル者及本法施
行後五箇年以內ニ從前ノ規定ニ依リ產婆
名簿ニ登錄ヲ受クル資格ヲ得タル者ハ第
二條ノ規定ニ拘ラス產師ノ免許ヲ受クル
コトヲ得
產師法案
產師法
第一條產師トハ助產ヲ業ト爲ス者ヲ謂
フ
第二條產師タラムトスル者ハ年齡二十
年以上ノ女子ニシテ左ノ資格ヲ有シ內
務大臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
一高等女學校卒業者又ハ之ト同等以
上ノ學力ヲ有スル者ニシテ內務大臣ノ
指定シタル產師學校ヲ卒業シタル者
二外國ノ產師學校ヲ卒業シ又ハ外國
ニ於テ產師免許ヲ受ケタル者ニシテ
命令ノ規定ニ該當スル者
三產師試驗ニ合格シタル者
產師試驗ハ內務大臣之ヲ行フ
產師試驗ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之
ヲ定ム
第三條聾者、啞者、盲者又ハ精神病者
ニ對シテハ產師ノ免許ヲ爲スコトヲ得
ス
堕胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ犯シ
刑ニ處セラレタル者又ハ禁錮以上ノ刑
ニ處セラレタル者ニ對シテハ產師ノ免
許ヲ爲ササルコトアルヘシ
第四條產師ハ姙婦、產婦、褥婦又ハ胎兒、
生兒ニ異常アリト認ムルトキハ直ニ醫
師ノ診療ヲ請ハシムヘシ自ラ其ノ處置
ヲ爲スコトヲ得ス但シ臨時應急ノ處置
ハ此ノ限ニ在ラス
第五條產師ハ自ラ臨產又ハ檢案セスシ
テ死產證書又ハ死胎檢案書ヲ交付スル
コトヲ得ス
第六條產師ハ何等ノ方法ヲ以テスルヲ
問ハス業務上技能、經歷又ハ命令ノ定
ムル事項ノ廣〓ヲ爲スコトヲ得ス
第七條產師ハ產簿ヲ備へ十箇年間之ヲ
保存スヘシ
第八條產師ハ產師會ヲ設立スヘシ
產師會ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
第九條產師第三條第一項ニ該當スルト
キハ其ノ免許ヲ取消スヘシ
產師墮胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ
犯シ刑ニ處セラレタルトキ又ハ禁錮以
上ノ刑ニ處セラレタルトキハ其ノ免許
ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ業務ヲ停止
スルコトアルヘシ其ノ免許前ニ係ル場
合亦同シ
前二項ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖改
悛ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ爲スコ
トヲ得
前三項ノ處分ハ內務大臣之ヲ行フ但シ
第二項ノ處分及第三項ノ再免許ヲ爲ス
場合ハ中央衞生會ノ審議ヲ經ルコトヲ
要ス
第十條第二條ノ免許ヲ受ケスシテ助產
ノ業ヲ爲シタル者又ハ第四條乃至第七
條ノ規定ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ
罰金又ハ科料ニ處ス業務停止中ノ產師
ニシテ助產ノ業ヲ爲シタル者亦同シ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
產婆規則ハ之ヲ廢止ス
本法施行前產婆名簿ニ登錄セラレタル者
ハ本法ニ依リ產師ノ免許ヲ受ケタル者ト
看做ス
本法施行前地方長官ヨリ業務ノ地域及期
限ヲ定メテ假ニ產婆ノ業ヲ免許セラレタ
ル者ハ本法施行後ト雖尙其ノ效力ヲ有シ
且其ノ有效期限ハ申請ニ依リ之ヲ更新ス
ルコトヲ得
本法施行ノ際從前ノ規定ニ依リ產婆名
簿ニ登錄ヲ受クル資格ヲ有スル者及本法
施行後五箇年以內ニ從前ノ規定ニ依リ產
婆名簿ニ登錄ヲ受クル資格ヲ得タル者ハ
第二條ノ規定ニ拘ラス產師ノ免許ヲ受ク
ルコトヲ得
產師法案
產師法
第一條產師トハ助產ヲ業ト爲ス者ヲ謂フ
第二條產師タラムトスル者ハ年齡二十
年以上ノ女子ニシテ左ノ資格ヲ有シ內
務大臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
高等女學校卒業者又ハ之ト同等以
上ノ學力ヲ有スル者ニシテ內務大臣
ノ指定シタル產師學校ヲ卒業シタル
者
二外國ノ產師學校ヲ卒業シ又ハ外國
ニ於テ產師免許ヲ受ケタル者ニシテ
命令ノ規定ニ該當スル者
三產師試驗ニ合格シタル者
產師試驗ハ內務大臣之ヲ行フ
產師試驗ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之
フルガ
第三條聾者、啞者、盲者又ハ精神病者
ニ對シテハ產師ノ免許ヲ爲スコトヲ得
ス
堕胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ犯シ
刑ニ處セラレタル者又ハ禁錮以上ノ刑
ニ處セラレタル者ニ對シテハ產師ノ免
許ヲ爲ササルコトアルヘシ
第四條產師ハ姙婦、產婦、褥婦又ハ胎
兒生兒ニ異常アリト認ムルトキハ直
ニ醫師ノ診療ヲ請ハシムヘシ自ラ其ノ
處置ヲ爲スコトヲ得ス但シ臨時應急ノ
處置ハ此ノ限ニ在ラス
第五條產師ハ自ラ臨產又ハ檢案セスシ
テ死產證書又ハ死胎檢案書ヲ交付スル
コトヲ得ス
第六條產師ハ何等ノ方法ヲ以テスルヲ
問ハス業務上技能、經歷又ハ命令ノ定
ムル事項ノ廣〓ヲ爲スコトヲ得ス
第七條產師ハ產簿ヲ備へ十箇年間之ヲ
保存スヘシ
第八條產師ハ產師會ヲ設立スヘシ
產師會ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條產師第三條第一項ニ該當スルト
キハ其ノ免許ヲ取消スヘシ
產師墮胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ犯
シ刑ニ處セラレタルトキ又ハ禁錮以上ノ
刑ニ處セラレタルトキハ其ノ免許ヲ取消
シ又ハ期間ヲ定メテ業務ヲ停止スルコト
アルヘシ其ノ免許前ニ係ル場合亦同シ
前二項ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖改
悛ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ爲スコ
トヲ得
前三項ノ處分ハ內務大臣之ヲ行フ但シ
第二項ノ處分及第三項ノ再免許ヲ爲ス
場合ハ中央衞生會ノ審議ヲ經ルコトヲ
要ス
第十條第二條ノ免許ヲ受ケスシテ助產
ノ業ヲ爲シタル者又ハ第四條乃至第七
條ノ規定ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ
罰金又ハ科料ニ處ス業務停止中ノ產師
ニシテ助產ノ業ヲ爲シタル者亦同シ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
產婆規則ハ之ヲ廢止ス
本法施行前產婆名簿ニ登錄セラレタル者ハ
本法ニ依リ產師ノ免許ヲ受ケタル者ト看
做ス
本法施行前地方長官ヨリ業務ノ地域及期
限ヲ定メテ假ニ產婆ノ業ヲ免許セラレタ
ル者ハ本法施行後ト雖尙其ノ效力ヲ有シ
且其ノ有效期限ハ申請ニ依リ之ヲ更新ス
ルコトヲ得
本法施行ノ際從前ノ規定ニ依リ產婆名簿
ニ登錄ヲ受クル資格ヲ有スル者及本法施
行後五箇年以內ニ從前ノ規定ニ依リ產婆
名簿ニ登錄ヲ受クル資格ヲ得タル者ハ第
二條ノ規定ニ拘ラス產師ノ免許ヲ受クル
コトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=99
-
100・土屋清三郎
○土屋清三郞君 簡單デアリマスカラ、本
席カラ發言ヲ御許願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=100
-
101・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=101
-
102・土屋清三郎
○土屋清三郞君 本案ハ產婆ニ關スル身分
法デアリマス、產婆ガ婦人ニ許サレタル唯
一ノ獨立職業デアッテ、而モ其職分ハ次代ノ
帝國ヲ雙肩ニ擔ッテ立ツ所ノ健全ナル國民
ヲヨリ多ク輕產セシムル所ノ職分デアリマ
ス、然ルニ產婆ニ關スル規定ハ只今ヨリ
三十年以前勅令ニ依リ規定サレタル所ノモ
ノデアリマシテ、時代ノ進運ニ副ハザルコ
ト甚ダ多イノデアリマス、隨ヒマシテ吾々
ハ旣ニ數囘本案ヲ議會ニ提出致シマシテ、
每度衆議院ヲ通過致シテ居ルノデアリマス、
其內容ハ御承知ノ通リ產婆ニ關スル〓育ノ
程度ヲ高メマシテ、其身分權限ヲ明ニ致シ
マシテ、其團體的活動ニ依ッテ國家ニ貢獻サ
セヨウト云フノガ本案ノ趣旨デゴザイマス、
旣ニ政府ハ時局ニ目覺メマシテ、厚生省ヲ
設ケマシテ、國民體位ノ向上ニ力ヲ注グヤ
ウニナリマシタ今日、產婆ノ身分法ノ制定
ハ、是ト相對シテ極メテ必要デアルト考ヘ
マスカラ、何卒御審議ノ上速ニ本案ノ成立
セラレンコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=102
-
103・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 提出者、田中養達
君本案ノ趣旨辯明者ハ議席ニ居ラレマ
セヌ、仍テ此趣旨辯明ヲ省略セラレタモノ
ト認メマス-提出者野方次郞君
(「議席ニ居リマセヌ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=103
-
104・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 本案ノ趣旨辯明者
モ、其趣旨辯明ヲ省略シタモノト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=104
-
105・服部崎市
○服部崎市君 日程第二十四乃至二十六ノ
三案ハ一括シテ八木逸郞君提出、民族優生保
護法案委員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=105
-
106・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=106
-
107・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
二十七、農家世襲財產法案ノ第一讀會ヲ開
キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-
提出者林平馬君
第二十七農家世襲財產法案(林平馬
君外二名提出)第一讀會
農家世襲財產法案
農家世襲財產法
第一條自作農業者ハ其ノ生活ヲ維持ス
ルニ必要ナル範圍內ニ於テ世襲財產ヲ
設定スルコトヲ得
世襲財產ノ設定ハ登記ヲ爲スニ依リテ
之ヲ爲ス
第二條本法ニ於テ世襲財產トハ前條ノ
規定ニ依リ登記ヲ爲シタル土地建物ヲ
謂フ
第三條自作農創設維持ニ付國庫ヨリ補
助ヲ受ケタル土地ハ第一條第二項ノ規
定ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第四條本法ノ登記ニハ登錄稅ヲ課セス
世襲財產ニ對シテハ租稅公課ヲ課セス
第五條世襲財產ノ目的物ハ之ヲ變更ス
ルコトヲ得ス但シ正當ノ事由アルトキ
ハ市町村長ノ許可ヲ得テ之ヲ爲スコト
ヲ得
第六條世襲財產ハ第一條第二項ノ登記
前ニ其ノ目的物ニ付生シタル債權ヲ除
キ其ノ他ノ債權ニ依リ之ヲ差押フルコ
トヲ得ス
第七條世襲財產ノ果實ハ收穫後十五日
以內ニ市町村長ニ屆出ツルコトヲ得
前項ノ屆出アリタル場合ハ屆出ノ範圍
內ニ於テ世襲財產設定者及其ノ家族ノ
次期收穫期マテ必要ナル食料ニ相當ス
ルモノハ之ヲ差押フルコトヲ得ス
第八條世襲財產ハ之ヲ讓渡若ハ賃貸ヲ
爲シ又ハ擔保ニ供スルコトヲ得ス但シ
正當ノ事由アルトキハ賃貸ニ限リ市町
村長ノ許可ヲ得テ之ヲ爲スコトヲ得
第九條世襲財產ハ之ヲ分割相續ヲ爲ス
コトヲ得ス
第十條世襲財產存置ノ必要ナキニ至リ
タルトキハ世襲財產設定者ハ地方長官
ノ許可ヲ得テ之ヲ廢止スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=107
-
108・林平馬
○林平馬君 此席ヨリ申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=108
-
109・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=109
-
110・林平馬
○林平馬君 只今上程サレマシタ農家世襲
財產法案ノ提案ノ理由ヲ簡單ニ申上ゲマス、
農村ニ對シテ質實剛健ナル國民精神ノ母體
タル役割ト、頑强健全ナル民族體位ノ維持
增進ノ役割トヲ期待スル爲ニハ、總テノ農
民ヲシテ自作農卽チ獨立農民タラシムルコ
トニアリト信ジマス、然ルニ農村ノ現狀ヲ
見ルニ、一度負債ヲ作レバ恰モ吸血鬼ニ取
付カレタ如ク、次第ニ其獨立性ヲ奪ハレ
年ト共ニ衰弱ト苦惱トヲ加ヘ、是ガ償還ハ
殆ド不可能トナリ、其悲慘ナル狀態ハ正ニ
言語ニ絕スルモノガアルノデアリマス、隨
テ農村ノ此二大任務モ到底期待シ得ザルニ
至ラントスルコトハ、國家ノ爲メ眞ニ憂慮
ニ堪ヘザル次第デアリマス、故ニ農村ノ負
債ヲ整理スルト共ニ、一面土地ト農民トノ
不可分性ヲ確保スルコトハ、蓋シ農村對策
ノ根本デアルト信ズル者デアリマス(拍手)
卽チ本法案ハ農家ニ最小限度ノ安全地帶ヲ
與ヘ以テ農村ノ安住ヲ確保セントスルモ
ノデアリマス、詳細ハ委員會ニ於テ御說明
申上ゲマスガ、何卒御審議ノ上速ニ御協贊
ヲ賜ハランコトヲ切望スル次第デゴザイマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=110
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111・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、農業保險
法案委員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=111
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112・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=112
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113・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
そく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
二十八、檢査計理士法案ノ第一讀會ヲ開キ
やく、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提
出者森田重次郞君
第二十八檢査計理士法案(森田重次
郞君外三名提出)第一讀會
檢査計理士法案
檢査計理士法
第一條檢査計理士ハ檢査計理士ノ稱號
ヲ用ヒテ會計ニ關スル檢査、鑑定又ハ
證明ヲ爲スコトヲ業トスルモノトス
第二條左ノ條件ヲ具フル者ハ檢査計理
士タル資格ヲ有ス
-帝國臣民又ハ主務大臣ノ定ムル所
ニ依リ外國ノ國籍ヲ有スル者ニシテ
私法上ノ能力者タルコト
二檢査計理士試補トシテ一一年以上ノ
實務修習ヲ爲シ且考試ヲ經タルコト
前項第二號ノ實務修習及考試ニ關スル
事項ハ主務大臣之ヲ定ム
第三條檢査計理士試補タルニハ成規ノ
試驗ニ合格スルコトヲ要ス
前項ノ試驗ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ檢
査計理士タル資格ヲ有セス
禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者但
シ二年未滿ノ懲役若ハ禁錮ニ處セラ
レタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ若ハ
其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタ
ル日ヨリ起算シ三年ヲ經過シタル者
又ハ陸軍刑法若ハ海軍刑法ニ依リ一
年未滿ノ禁錮ニ處セラレタル者ハ此
ノ限ニ在ラス
二前號ニ該當スル者ヲ除クノ外本法
辯護士法、辨理士法又ハ計理士法ニ
依リ刑ニ處セラレタル者但シ刑ノ執
行ヲ終リ又ハ其ノ執行ヲ受クルコト
ナキニ至リタル日ヨリ起算シ三年ヲ
經過シタル者ハ此ノ限ニ在ラス
三懲戒處分ニ依リ免官若ハ免職セラ
レタル者、辯護士法ニ依リ除名セラ
レタル者又ハ本法、辨理士法若ハ計
理士法ニ依リ業務ヲ禁止セラレタル
者但シ免官、免職、除名又ハ業務禁
止ノ處分ヲ受ケタル日ヨリ起算シ三
年ヲ經過シ主務大臣ニ於テ改悛ノ情
顯著ナリト認メタル者ハ此ノ限ニ在
ラス
四破產者ニシテ復權ヲ得サル者
第五條檢査計理士タラムトスル者ハ檢
査計理士登錄簿ニ登錄ヲ受クルコトヲ
要ス
檢査計理士ノ登錄ニ關スル事項ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第六條檢査計理士ノ登錄ヲ受ケムトス
ル者ハ登錄料トシテ二十圓ヲ納付スル
コトヲ要ス
第七條檢査計理士ハ報酬アル公務ヲ兼
ヌルコトヲ得ス但シ帝國議會若ハ地方
議會ノ議員ト爲リ又ハ公務所ヨリ特ニ
任命セラレ若ハ囑託セラレタル職務ヲ
執行スルハ此ノ限ニ在ラス
檢査計理士ハ商業其ノ他營利ヲ目的ト
スル業務ヲ營ミ若ハ之ヲ營ム者ノ使用
人ト爲リ又ハ營利ヲ目的トスル法人ノ
業務執行社員、取締役若ハ使用人ト爲
ルコトヲ得ス但シ主務大臣ノ認可ヲ得
タルトキハ此ノ限ニ在ラス
第八條前條ノ規定ハ實務修習中ノ檢査
計理士試補ニ之ヲ準用ス
第九條檢査計理士ハ左ニ揭クル事項ニ
付第三者ニ對シテ證明ト爲ルヘキ業務
ヲ行フコトヲ得ス
自己若ハ配偶者又ハ四親等內ノ血
族若ハ三親等內ノ姻族カ業務執行者
又ハ會計擔當者トシテ其ノ職務上關
與シタル會計事項但シ姻族ニ付テハ
婚姻ノ解消アリタルトキト雖モ亦同
シ
二前號ノ外著シキ利害關係ヲ有シ又
ハ其ノ業務ヲ公正ニ行フニ支障アリ
ト認メラルル會計事項
第十條檢査計理士又ハ檢査計理士タリ
シ者ハ其ノ業務上知得シタル祕密ヲ保
持スル權利ヲ有シ義務ヲ負フ但シ他ノ
法令ニ別段ノ規定アル場合ハ此ノ限ニ
在ラス
第十一條檢査計理士ハ主務大臣ノ監督
三四郎
第十二條檢査計理士本法ノ規定ニ違反
シタルトキ又ハ品位ヲ失墜スヘキ行爲
若ハ業務上不正ノ行爲ヲ爲シタルトキ
ハ主務大臣ハ檢査計理士懲戒委員會ノ
議決ニ依リ之ヲ懲戒スルコトヲ得
檢査計理士懲戒委員會ニ關スル事項ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十三條檢査計理士ノ懲戒處分ハ左ノ
四種トス
一譴責
二千圓以下ノ過料
三一年以內檢査計理士ノ業務ノ停止
四檢査計理士ノ業務ノ禁止
前項第二號ノ過料ヲ完納セサルトキハ
主務大臣ノ命令ヲ以テ之ヲ執行ス
非訟事件手續法第二百八條ノ規定ハ前
項ノ規定ニ依ル執行ニ付之ヲ準用ス
第十四條檢査計理士又ハ檢査計理士タ
リシ者故ナク其ノ業務上取扱ヒタル事
項ニ付知得シタル祕密ヲ漏泄シ又ハ竊
用シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千
圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
第十五條檢査計理士タル資格ヲ有セス
シテ檢査計理士ノ業務ヲ行ヒタル者ハ
六月以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ
處ス
第十六條檢査計理士タル資格ヲ有スル
モ其ノ登錄ヲ受ケスシテ檢査計理士ノ
業務ヲ行ヒタル者ハ十圓以上二百圓以
下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六
號布告刑法ノ二年ノ禁錮以上ノ刑ニ處セ
ラレタル者ハ二年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ
刑ニ處セラレタル者ト看做ス
五年以上引續キ計理士法ニ依リ會計ニ關
スル檢査、鑑定又ハ證明ノ業務ニ從事シ其
ノ業績ヲ證スルニ足ル書類ヲ添附シテ出願
シ檢査計理士試驗委員ノ銓衡ヲ經クル者
ハ當分ノ內第二條第一項第二號及第三條
ノ規定ニ拘ラス檢査計理士タルコトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=113
-
114・森田重次郎
○森田重次郞君 自席カラ申上ゲルコトヲ
御許可願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=114
-
115・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=115
-
116・森田重次郎
○森田重次郞君 只今上程致サレマシタ檢
査計理士法案提出ノ理由ヲ說明致シマス
昭和二年計理士法實施後、旣ニ十一年ノ星
霜ヲ閱シテ居ルノデアリマシテ、其間本法
ノ根本的缺陷カラ來リマスル計理士登錄數
ノ躍進的增加ヲ見マシテ、計理士總數八千
ニ垂ント致シテ居ルノデアリマス、此空前
ノ異數ノ激增ニ依リマシテ、計理士界ハ玉
石混淆ノ狀態ヲ呈シマシテ、其弊モ亦漸次
大ナラントスルニ至ッテ居ルノデアリマス、
斯ウ云フヤウナ傾向ニアリマシタノデ、計
理士法改正ノ聲ガ朝野ニ起リマシテ、第五
十六囘帝國議會以來、數次改正建議案又ハ
改正法律案ノ提案ガアッタノデアリマスル
ガ、第六十五囘帝國議會ニ於テ、檢査計理
士法制定建議ガ採擇ヲ見ルニ至ッタ次第デ
アリマス、而シテ本制度ノ改正ニハ、現行
法ニ依ル有資格者及ビ有資格學校、竝ニ現
在登錄致シテ居リマスル計理士整理其他ニ
關シマシテ、各方面ニ色々複雜ニシテ多岐
ニ互ル困難ナ事情ガ多々存在シテ居ルノデ
アリマス、サウ云フヤウナコトデアリマシ
テ、其施行後十一年ニ及ンダ今日、部分的
ナル改正ヲ致シテ居リマシテハ、到底此缺
陷ヲ救濟スルコトガ出來ナイノデアリマス、
ソコデドウ致シマシテモ、是ハ根本的ナル
改正ヲスルヨリ外ニ仕方ガナイノデ、今日
マダ此儘ニ致シテ居リマスルナラバ、徒之
他日ニ悔ヲ貽スヤウナコトニナルト思フノ
デアリマス、惟フニ產業日本ノ轉換期ニ伴
フ統制經濟ノ進展、竝ニ商法其他經濟法規
ノ根本的改正實施ニ關聯シ、本制度ノ改善
ニ俟ツベキモノ多々益〓アルト思フノデアリ
やく、仍テ吾々ハ會計ニ關スル檢査、鑑定
及ビ證明ノ如キ、社會性、公共性ノ顯著ニ
シテ、重要ナル職務デアルト云フ所ニ鑑ミ
マシテ、世界的ナル水準ニ達スル此新ナル
法ヲ制定致シマシテ、有能適格ナル計理士
ニ向上ノ進路ヲ開キ、計理士界ノ分化發展
ヲ促進シ、時勢ノ推移ニ順應セシメタイト
思フノデアリマス、是ガ本案ヲ提出致シマ
シタ理由デアリマス、何卒速ニ御協贊アラ
ンコトヲ御願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=116
-
117・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ中野治介君外一名提
出計理士法中改正法律案委員ニ併セ付託
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=117
-
118・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=118
-
119・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
ママ、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
二十九、裁判所構成法中改正法律案ノ第一
讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許
シマス-提出者高橋義次君
第二十九裁判所構成法中改正法律案
(高橋義次君外六名提出)第一讀會
裁判所構成法中改正法律案
裁判所構成法中左ノ通改正ス
第十八條第三項中「試補」ヲ「豫備檢事豫
備判事」ニ改ム
第三十二條中「且豫備判事ハ如何ナル事
情アルモ二人以上其ノ部ニ列席スルコト
ヲ得ス」ヲ削ル
第三十六條第二號但書ヲ削ル
第五十七條判事又ハ檢事ニ任セラルル
ニハ十年以上辯護士トシテ其ノ職務ニ
從事シタルコトヲ要ス
朝鮮辯護士、臺灣辯護士及關東州辯護
士ハ前項ノ適用ニ付テハ之ヲ辯護士ト
看做ス
判事又ハ檢事ニ任セラレタル者カ辯護
士ノ職務ニ從事シタル期間ハ他ノ法令
ノ適用ニ付テハ其ノ在官期間ニ通算ス
第五十八條削除
第六十條削除
第六十一條削除
第六十二條削除
第六十三條第一項ヲ削ル
第六十四條判事又ハ檢事差支アリテ職
務ニ從事スルコト能ハサルトキハ司法
大臣ハ之ニ豫備判事又ハ豫備檢事ヲ代
理セシムルコトヲ得
第六十五條削除
第六十六條辯護士タルコトヲ得サル者
ハ判事又ハ檢事タルコトヲ得ス
第六十九條削除
第七十條削除
第七十一條削除
第七十一條ノ二ヲ削ル
第九十二條削除
第百十二條第一項中「又ハ法律ニ從ヒ其
ノ職務ヲ行フ試補」ヲ削リ同條第三項中
「又ハ其ノ命ヲ受ケタル試補」ヲ削ル
第百二十一條第一項但書中「及試補」ヲ削
ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ司法官試補タル者ハ從
前ノ規定ニ依リ判事及檢事ニ任セラルル
コトヲ得
本法施行ノ際現ニ判事又ハ檢事タル者竝
前項ノ規定ニ依リ任セラレタル判事及檢
事ニハ仍從前ノ規定ヲ適用ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=119
-
120・高橋義次
○高橋義次君 自席ヨリ發言ノ御許ヲ願ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=120
-
121・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=121
-
122・高橋義次
○高橋義次君 司法部機構ニ對スル拔本的
ナ改革ノ要望ハ、今ヤ澎湃タル擧世一致ノ
大キナ叫デアルトモ申サナケレバナリマセ
又、國家ノ治亂興廢ハ、裁判ガ能ク國民ノ
信賴ヲ繫グカ否カニ懸ツテ存スルコトハ登
シ古クシテ而モ新ナル格言デアリマス、裁
判ガ常ニ複雜ナ事案ヲ糺シ、錯綜セル人
情ニ合シ、當事者ヲ信服セシメ、延イテハ
一世ヲ指導スル爲ニハ、一ニ裁判官ニ人其
當ヲ得ナケレバナリマセヌ、裁判官ハ單ニ
法律學ニ通曉セルノ一能ヲ以テノミデハ
未ダ其適材ヲ斷ズル譯ニハ行キマセヌ、活
社會ノ實情ニ精通シ、人情ノ機微ヲ知リ、所
謂世ノ表裏甘苦ノ實體ヲ辨ヘタル練達堪能
ノ圓熟セル人物タルベキコト、蓋シ絕對ノ
必要條件ナリト申サナケレバナリマセヌ、
近時神聖ナルベキ裁判ノ事、動モスレバ
往々ニシテ或ハ公正妥當ヲ缺如シ、或ハ敏速
運行ノ機宜ヲ失シ、且ツ到ル處ニ人權蹂躪
ノ聲アルヲ聞キ、果テハ司法部ニ對スル怨
嗟呪咀ノ聲サヘモ野ニ滿チツヽアルノ實情
ヲ目擊シ、邦家ノ爲メ眞ニ痛嘆ニ堪ヘザル
モノガアリマス、思フニ司法ハ護國ノ最後
ノ鍵デアラネバナリマセヌ、光榮アル我等
ノ帝國ニ百ノ戰捷、千ノ善政又玆ニアルモ、
吾等ノ同胞中無辜ノ寃罪ニ泣ク憐ムベキ唯
一人ノ存スルモノアラバ、爲ニ其榮光ハ擧
ゲテ失ハルベキデアリマス(拍手)其弊竄ハ
斷ジテ根絕セネバナリマセヌ、制度ノ罪固
ヨリ是レアリ、機構ノ不備亦然リ、然レド
モ其弊竄ノ中核トシテ指摘スベキモノ、實
ニ裁判官ニ其人ヲ得ルト否トノ一點ニ存ス
ト謂ハネバナリマセヌ、然ルニ現行司法制
度ニ依レバ、僅ニ三箇年ノ法律課程ヲ修了
シ、而モ其齢漸クニシテ二十有四、五歲、
次イデ司法官試補トシテ机上ノ實務修習ニ
アルコト一年有半ノミ、斯クシテ身ハ直チ
ニ司直ノ高官ニ任ゼラルヽノデアリマス、
社會人トシテノ〓養ノ餘地ハ一日モナイ、
世ノ經驗ハ寸毫モナイ、如何ニシテカ複雜
極マリナキ社會的經驗ノ豐カナ人達ノ間ニ
處シテ、能ク剴切妥當ナ審理ヤ裁判ガ期シ
テ行ハレ得ルデアリマセウカ、裁判ガ其具
體性ヲ離レテ、〓念的ナモノニナリ了ルコ
ト洵ニ故ナキニアラズト申サネバナリマセ
又、思フニ此制度ハ遠ク明治二十三年ノ創
始ニ係リ、爾來星霜茲ニ五十年、而モ世ハ
〓新ノ氣ニ漲リ、革新ノ叫ピ熾ンナルノ秋
ニ際シ、獨リ司法部ノミガ傳統ト舊套トニ
徒ラナル膠著ヲ爲スベキデハアリマセヌ、
他面辯護士ハ司法科試驗ニ合格シ、辯護士
試補トシテ一年半ノ實務修習ヲ了ヘ、一定
ノ考試ヲ經テ其資格ヲ得、活社會ニ處シテ
有ユル階級、種類ノ人物ニ接シ、其實情ヲ體
得シ、法廷ニ起ッテ裁判ニ關與スル者デ、眞
ニ裁判官トシテノ素質ヲ具備セルモノデア
リマス、玆ニ裁判官ハ、相當年限辯護士ノ
職務ニ在リシ優秀ナル者ノミヨリ採用スル
ノ制度ハ、司法官養成ノ制度トシテ眞ニ理
想的ナリト申サナケレバナリマセヌ、所謂
法曹一元制度ト稱シ、其實現ハ早クヨリ在
野法曹界ノ輿論トナリ、昭和十一年十一月
一日全國辯護士大會ニ於テハ、滿場一致ヲ
以テ是ガ決定ヲ見テ居ルノデアリマス、幸
ニ各位ノ御協賛ニ依リ速ニ本法案ノ實現ヲ
見ルニ至リマスルナラバ、法治立憲國ノ體
面ヲ確立シ、民權確保ノ實績ヲ全ウスルニ
至ルベキコト、蓋シ寸毫ノ疑ヲ容レザル所
デアリマス、偏ニ各位ノ御協賛ヲ仰グ次第
デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=122
-
123・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ一松定吉君外六名提
出、刑法中改正法律案外四件ノ委員ニ併セ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=123
-
124・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=124
-
125・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第三十、愛國航空奬劵發行ニ關スル法律案
ノ第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明
ヲ許シマス-提出者安藤孝三君
第三十愛國航空奬劵發行ニ關スル法
律案(安藤孝三君外一名提出)
第一讀會
愛國航空奬劵發行ニ關スル法律案
第一條航空事業ノ振興及航空思想ノ普
及ヲ圖ルコトヲ目的トスル法人ニシテ
主務大臣ノ認可ヲ受ケタル者ハ本法ニ
依ル愛國航空奬劵ヲ發行スルコトヲ得
前項法人ノ存立期間ハ成立ノ日ヨリ五
年トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ
延長スルコトヲ得
第二條愛國航空奬劵ハ富籤式ニ依リ劵
面金額三圓トシ每年四回劵面金額ヲ以
テ發行セラレルモノトス
第三條第一條ノ法人ハ前條ニ依リ發行
シタル愛國航空奬劵ノ全部ニ付抽籤ヲ
以テ當籖奬劵ヲ決定シ之ニ一等金五千
圓以下ノ奬勵金ヲ交付スルコトヲ得
第四條愛國航空奬劵ノ發行總數、發行
ノ時期及形式、抽籤ノ時期及方法、當
籤劵數、當籤金額及其ノ等級、發行費
用額ノ決定等ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條第一條ノ法人ハ當籤奬劵ト引換
ニ當籤金ヲ支拂フヘシ
第六條抽籤ノ日ヨリ二年ヲ經過スルト
キハ當籤奬劵ノ所有者ハ當籤金ノ支拂
ヲ請求スルコトヲ得ス
第七條愛國航空奬劵ヲ發行セムトスル
トキハ少クトモ發行日ノ一一週間前ニ發
行總數、發行ノ日時、抽籤ノ日時、當
籤劵數竝當籤金額及其ノ等級ヲ命令ノ
定ムル所ニ依リ公表スヘシ
抽籤終リタルトキハ命令ノ定ムル所ニ
依リ其ノ結果ヲ公表スヘシ
第八條第一條ノ法人ノ理事及監事ハ愛
國航空奬劵ヲ所有スルコトヲ得ス
第九條第一條ノ法人愛國航空奬劵ヲ發
行シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ收得金額ノ六十分ノ三十七以內ニ
相當スル金額ヲ政府又ハ政府ノ指定ス
ル者ニ納付スヘシ
前項ノ納付金ハ國稅滯納處分ノ例ニ依
リ之ヲ徵收スルコトヲ得但シ其ノ先取
特權ノ順位ハ國稅ニ次クモノトス
第十條第一條ノ法人ハ愛國航空獎劵ノ
發行ニ依ル收得金額中前條ノ納付金、
當籤金、奬劵發行費及事業經營上必要
ナル其ノ他ノ支出ニ充テタル殘額ヲ準
備資金トシテ管理スヘシ
前項ノ準備資金カ命令ノ定ムル所ニ依
リ其ノ最高額ヲ超過スルトキハ政府ハ
其ノ超過額ヲ政府又ハ政府ノ指定スル
者ニ納付セシムルコトヲ得
第十一條前二條ノ納付金ハ之ヲ航空事
業ノ振興ニ必要ナル經費ニ充ツルコトヽ
ヲルヘ
第十二條第一條ノ法人ハ豫算ヲ定メテ
主務大臣ノ認可ヲ受ケ且每事業年度終
了後三月內ニ主務大臣ニ決算報〓ヲ爲
スヘシ
第十三條第一條ノ法人ノ理事及血事ノ
就任ハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第十四條主務大臣ハ公益上必要アリト
認ムルトキハ第一條ノ法人ノ定款其ノ
他ノ規則ノ改正ヲ命シ又ハ其ノ決議ヲ
取消スコトヲ得
第十五條主務大臣ハ第一條ノ法人又ハ
其ノ役員ノ行爲カ法令若ハ之ニ基キテ爲
ス處分ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害
スト認ムルトキハ愛國航空奬劵發行ノ
停止若ハ制限又ハ役員ノ解任ヲ爲スコ
トヲ得
第十六條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
三年以下ノ懲役若ハ五千圓以下ノ罰金
ニ處シ又ハ其ノ刑ヲ併科ス
一第一條ノ法人ニ非スシテ類似ノ奬
劵ヲ發賣シタル者
二前條ノ停止又ハ制限ニ違反シテ奬
劵ヲ發行シタル者
第十七條第一條ノ法人ノ役員カ其ノ職
務ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ要求若
ハ約束シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ
處ス因リテ不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當
ノ行爲ヲ爲ササルトキハ五年以下ノ懲
役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之
ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收
スルコト能ハサルトキハ其ノ金額ヲ追
徵ス
第十八條第一條ノ法人ノ役員ニ對シ賄
賂ヲ交付、提供又ハ約束シタル者ハ二
年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處
ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減免スルコトヲ得
第十九條第八條ノ規定ニ違反シタル者
ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十條第一條ノ法人ノ役員カ抽籤ニ
關シ不正ノ行爲アリタルトキハ二年以
下ノ懲役ニ處ス因リテ財產上不法ノ利
益ヲ得又ハ他人ヲシテ之ヲ得シメタル
トキハ五年以下ノ懲役ニ處シ其ノ利益
ニ相當スル金額ヲ追徵ス
第二十一條第一條ノ法人ノ役員ニシテ
左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ千圓以下
ノ過料ニ處ス
ー本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令
ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クヘキ場
合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケサル者
二第七條及第十條第一項ノ規定ニ違
反シタル者
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=125
-
126・安藤孝三
○安藤孝三君 簡單デゴザイマスカラ、自
席カラ發言ヲ御許願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=126
-
127・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=127
-
128・安藤孝三
○安藤孝三君 本法案ハ、世界列强ニ落伍
セル我ガ民間航空事業ヲ、國防上速ニ振興
センガ爲ニ、目下我國ノ如キ財政困難ナル
事情ニアル場合ニハ、之ニ必要ナル資金全部
ヲ國庫ノ支出ニ仰グコトハ、不可能デゴザ
イマスニ依ッテ、玆ニ表題ノ如キ航空奬劵ヲ
發行致シマシテ、所要ノ資金ヲ捻出セント
スルモノデアリマス、詳シイコトハ委員會
ニ於テ御說明致シマスガ、競馬法ダケガ許
可ニナッテ居リマシテ、航空奬券法ガ許可ニ
ナラナイト云フノハ、洵ニ遺憾デアリマス、
日支事變ノ實情ニ鑑ミマシテモ、馬ハ泥濘
膝ヲ沒シテ、自動車ナドノ動ケナイヤウナ
所マデ行ッテ、大變活躍シテ居リマス、將又
飛行機モ支那ノ彼ノ地デ働イテ居リマスコ
トハ、私ガ申上ゲル迄モアリマセヌ、卽チ
是ハ車ノ兩輪ノヤウナモノデアルト私ハ思
ヒマスルカラ、競馬法同樣皆サンノ御協賛
ヲ經テ、速ニ御通過アランコトヲ御願スル
次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=128
-
129・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、航空機製
造事業法案委員ニ併セ付託セラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=129
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130・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=130
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131・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第三十一及ビ第三十二ハ便宜上、一括議題
ト爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=131
-
132・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、日程第三十一、辯護士法中改正法律
案〓、日程第三十二、昭和八年法律第五十四
號中改正法律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀
會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマ
ス-提出者〓瀨一郞君
第三十一辯護士法中改正法律案清
瀨一郞君外三名提出)第一讀會
第三十二昭和八年法律第五十四號中
改正法律案(〓瀨一郞君外五名提出)
第一讀會
辯護士法中改正法律案
辯護士法中左ノ通改正ス
第四條ニ左ノ一號ヲ加フ
四高等試驗ノ司法科筆記試驗必須科
目ノ範圍內ニ於テ法律學ヲ修メタル
法學博士ノ學位ヲ有スル者
第十八條辯護士ハ所屬辯護士會ノ地域
內ニ本事務所ヲ設クベシ
辯護士ハ如何ナル名義ヲ以テスルモ本
事務所以外二個以上ノ出張所ヲ設クル
コトヲ得ズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
昭和八年法律第五十四號中改正法律案
昭和八年法律第五十四號中左ノ通改正ス
第一條但書中「爲ス場合」ノ下ニ「又ハ辯
護士事務所ノ事務員ノ爲ス場合」ヲ加フ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=132
-
133・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 此席ヨリ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=133
-
134・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=134
-
135・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 只今御上程ニナリマシタ辯
護士法中改正法律案ハ、院內ノ政友、民政
及ビ私共ノ團體ノ法曹ノ有志カラ、提出サレ
タモノデアリマスガ、此趣旨ハ二ツゴザイ
マシテ第一ハ辯護士ニハ素質優良ナル者ヲ
取入レルト云フ意味ヲ以チマシテ、從來行
政裁判所ノ評定官又ハ陸海軍ノ法務官等
ヲ、無試驗デ採用致シテ居リマシタガ、司
法科試驗ノ科目ニ屬スル法律學ヲ修メタル
法學博士ヲ、辯護士ニ採用スルト云フコト
デアリマス、其二ハ、只今デハ辯護士ハ所
屬辯護士會ノ地域內ニハ一箇所ノ本事務
所以外ニハ如何ナル名義ヲ以テスルモ事
務所ヲ設置スルコトハ出來ヌヤウニナッテ
居リマスガ、ソレデハ餘リニモ窮屈デアリ
マスカラ、更ニ一箇所ノ出張所ヲ設ケ得ル
ヤウニスル必要ガアルト思フノデアリマス、
無論玆ニ私ガ申上ゲル出張所ナルモノハ
名ヲ出張所ニ藉リテ非辯護士ガ事務ヲ執ル
所デハナイノデアリマシテ、眞實ナル事務
所ノ意味デアリマス、是ハ二ツ設ケテモ宜
シイコトトスル案デアリマス、何卒御贊成
アランコトヲ切ニ御願致シマス
昭和八年法律第五十四號中改正法律案ノ
趣旨ヲ說明致シマス、昭和八年法律第五十
四號ト云フノハ、所謂三百取締法デアリマ
シテ、現行法ハ辯護士ニアラザレバ、訴訟
事務ニ關係スルコトガ出來ナイト云フコト
ニナッテ居リマスカラ、其精神ハ明カデアリ
マスケレドモ、辯護士事務員ハ訴訟ノ代理
ハ出來ナイ、辯護士ニ代ッテ裁判所、登記所ニ
出頭モ出來ナイト云フヤウニモ讀メルノデ
アリマスガ、辯護士會ガ規則ニ依ッテ認可
致シマシタ正シイ辯護士事務員ハ、ヤハリ
相當ノ範圍內ニ於テ、訴訟事務ニ關與シ得
ルヤウニスルコトガ至當デアルト思フノデ
アリマス、何卒御贊成ヲ願ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=135
-
136・服部崎市
○服部崎市君 日程第三十一及ビ第三十二
ノ兩案ハ一括シテ中野治介君外一名提
田計理士法中改正法律案ノ委員ニ併セ付
託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=136
-
137・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=137
-
138・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第三十三及ビ第三十四ハ同種ノ議案デアリ
マスカラ、一括議題ト爲スニ御異議アリマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=138
-
139・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
三十三、軍用候補馬鍛鍊法案、第三十四、
軍用候補馬鍛鍊法案、右兩案ヲ一括シテ第
一讀會ヲ開キマス、順次提出者ノ趣旨辯明
ヲ許シマス-提出者土田莊助君
第三十三軍用候補馬鍛鍊法案(土田
莊助君外三名提出)第一讀會
第三十四軍用候補馬鍛鍊法案(大石
倫治君外三名提出)第一讀會
軍用候補馬鍛鍊法案
軍用候補馬鍛鍊法
第一條本法ニ於テ軍用候補馬トハ馬ノ體
型能力カ軍用ニ適シ得ヘキ馬ヲ謂フ
前項軍用ニ適スル馬ノ資格標準ハ命令
ヲ以テ之ヲ定ム
國有ノ馬、競馬法ニ依ル競馬ニ出走ス
ル馬及種牡馬ニ付テハ本法ヲ適用セス
第二條主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ軍用候補馬ノ資格判定ヲ爲ス爲道府
縣每ニ馬ノ檢査ヲ行フモノトス但シ特
別ノ事情アル場合ニ於テハ地方長官ニ
委任シテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第三條前條ノ檢査ニ合格シタル馬ニハ
軀肢ノ一部ニ烙印シテ表示シ且命令ノ
定ムル所ニ依リ馬籍簿ニ記載スルモノ
トス
第四條地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ市町村ヲ區域トシ軍用候補馬ノ調〓
鍛鍊ヲ行フモノトス
第五條馬ヲ主トスル畜產組合聯合會又
ハ之ニ準スル畜產組合ハ調〓鍛鍊ヲ加
ヘタル軍用候補馬ノ能力ヲ檢定シ且馬
事思想ヲ普及スル爲主務大臣ノ許可ヲ得
テ其ノ府縣內一箇所ニ限リ優勝馬投票
劵ヲ發賣スル競馬ヲ開催スルコトヲ得
北海道ニ在リテハ命令ノ定ムル道内五
箇所ノ區ニ於テ各一箇所トス
第六條競馬ノ開催ハ競馬場每ニ年二囘
ヲ超ユルコトヲ得ス但シ命令ノ定ムル
場合ニ限リ主務大臣ノ許可ヲ得テ年三
囘開催スルコトヲ得
競馬開催ノ期間ハ每囘六日以內トス
第七條競馬ニ出場スル馬ハ其ノ府縣(北
海道ニ在リテハ各區)內ニ於テ三箇月
以上飼養シタル軍用候補馬タルコトヲ
要ス但シ出場馬ノ三分ノ一ハ此ノ限ニ
在ラス
競馬開催者ハ當該競馬ニ於テ每季其ノ
府縣(北海道ニ在リテハ區)內ニ飼養セ
ラルル新馬十五頭以上ノ出馬登錄ヲ爲
スコトヲ要ス
前項ノ新馬トハ競馬法又ハ本法ニ依ル
競馬ニ出走登錄シタルコトナキ馬ヲ謂
フ
第八條競馬開催者ハ入場者ニ對シ劵面
金額一圓以上五圓以下ノ優勝馬投票劵
ヲ劵面金額ヲ以テ發賣スルコトヲ得
優勝馬投票劵ノ發賣ニ付テハ競馬法第
四條第二項第三項及第五條ノ規定ヲ準
用ス
第九條投票的中者ニ對シテハ競馬法第
六條第一項及第三項ノ規定ヲ準用ス
第十條競馬開催者ハ優勝馬投票劵ノ賣
得金ノ額ニ對シ百分ノ二十ヲ超エサル
金額ヲ賣得步合金トシテ收得スルコト
ヲ得
優勝馬投票劵ヲ發賣シタルトキハ命令
ノ定ムル割合ヲ以テ賣得金ノ額ノ百分
ノ四以内ニ相當スル金額ヲ政府ニ納付
スヘシ
前項ノ納付金ニ相當スル金額ハ馬ノ改
良增殖、利用增進及馬事思想ノ普及ノ
爲必要ナル經費ニ充ツルコトヲ要ス
前二項ノ規定ノ適用及課稅ニ付テハ競
馬法第八條第三項第五項第六項及第十
六條第一項ノ規定ヲ準用ス
第十一條本法競馬ニ關スル開催執務委
員調〓師、騎手ノ養成、馬名登錄其
ノ他競馬ノ統制改善ニ必要ナル事項ハ
命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條主務大臣ハ公益上馬ノ改良增
殖及馬事思想普及上必要アリト認ムル
トキハ競馬開催者ニ對シ必要ナル施設、
競馬場ノ設備ノ變更、競馬施行ノ方法
其ノ他ニ付必要ナル命令ヲ發シ又ハ處
分ヲ爲スコトヲ得
第十三條主務大臣ハ競馬開催者又ハ其
ノ役員若ハ開催執務委員ノ行爲カ法令
若ハ法令ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ又
ハ公益ヲ害シ若ハ害スル虞アリト認ム
ルトキハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一第五條ノ許可ノ取消
二競馬ノ停止
三優勝馬投票劵發賣ノ停止又ハ制限
四開催執務委員ノ職務執行ノ停止
第十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
一年以下ノ懲役若ハ二千圓以下ノ罰金
ニ處シ又ハ其ノ刑ヲ併科ス
一第五條ノ許可ヲ受ケスシテ優勝馬
投票劵ヲ發賣スル競馬ヲ開催シタル
者
二第十三條ノ停止又ハ制限ニ違反シ
テ優勝馬投票劵ヲ發賣シタル者
三本法ニ依ル競馬ノ競爭ニ關シ業ト
シテ多數ノ者ニ對シ財物ヲ以テ睹事
ヲ爲シタル者
四開催執務委員ノ職務ヲ執行スルニ當
リ之ニ對シ暴行又ハ脅迫ヲ加ヘタル者
第十五條騎手ノ職務ヲ執行スルニ當リ
之ニ對シ暴行若ハ脅迫ヲ加へ又ハ不正
ナル競爭ノ施行ヲ强要シ若ハ其ノ誘惑
ヲ爲シタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ千
圓以下ノ罰金ニ處ス
第十六條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
-第八條ノ規定ニ違反シ優勝馬投票
劵ヲ發買シタル者又ハ購買シタル者
二優勝馬投票劵ヲ讓渡シ又ハ讓受ケ
タル者
三第九條ノ規定ニ依ル制限ニ違反シ
テ拂戾金ヲ交付シタル者又ハ之ヲ受
ケタル者
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
軍用候補馬鍛鍊法案
軍用候補馬鍛鍊法
第一條本法ニ於テ軍用候補馬トハ馬ノ
體型、能力カ軍用ニ適シ得ヘキ馬ヲ謂
フ
前項軍用ニ適スル馬ノ資格標準ハ命令
ヲ以テ之ヲ定ム
國有ノ馬、競馬法ニ依ル競馬ニ出走ス
ル馬及種牡馬ニ付テハ本法ヲ適用セス
第二條主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ軍用候補馬ノ資格判定ヲ爲ス爲道府
縣每ニ馬ノ檢査ヲ行フモノトス但シ特
別ノ事情アル場合ニ於テハ地方長官ニ
委任シテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第三條前條ノ檢査ニ合格シタル馬ニハ
軀肢ノ一部ニ烙印シテ表示シ且命令ノ
定ムル所ニ依リ馬籍簿ニ記載スルモノ
トス
第四條地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ市町村ヲ區域トシ軍用候補馬ノ調〓
鍛鍊ヲ行フモノトス
第五條馬ヲ主トスル畜產組合聯合會又
ハ之ニ準スル畜產組合ハ調〓鍛鍊ヲ加
ヘタル軍用候補馬ノ能力ヲ檢定シ且馬
事思想ヲ普及スル爲主務大臣ノ許可ヲ
得テ其ノ府縣內一箇所ニ限リ優勝馬投
票劵ヲ發賣スル競馬ヲ開催スルコトヲ得
北海道ニ在リテハ命令ノ定ムル道内五
箇所ノ區ニ於テ各一箇所トス
第六條競馬ノ開催ハ競馬場每ニ年二囘
ヲ超ユルコトヲ得ス但シ命令ノ定ムル
場合ニ限リ主務大臣ノ許可ヲ得テ年三
囘開催スルコトヲ得
競馬開催ノ期間ハ每囘六日以内トス
第七條競馬ニ出場スル馬ハ其ノ府縣(北
海道ニ在リテハ各區)內ニ於テ三箇月
以上飼養シタル軍用候補馬タルコトヲ
要ス但シ出場馬ノ三分ノ一ハ此ノ限ニ
在ラス
競馬開催者ハ當該競馬ニ於テ每季其ノ
府縣(北海道ニ在リテハ區)內ニ飼養セ
ラルル新馬十五頭以上ノ出馬登錄ヲ爲
スコトヲ要ス
前項ノ新馬トハ競馬法又ハ本法ニ依ル
競馬ニ出走登錄シタルコトナキ馬ヲ謂
フ
第八條競馬開催者ハ入場者ニ對シ劵面
金額一圓以上五圓以下ノ優勝馬投票劵
ヲ劵面金額ヲ以テ發賣スルコトヲ得
優勝馬投票劵ノ發賣ニ付テハ競馬法第
四條第二項第三項及第五條ノ規定ヲ準
用ス
第九條投票的中者ニ對シテハ競馬法第
六條第一項及第三項ノ規定ヲ準用ス
第十條競馬開催者ハ優勝馬投票劵ノ賣
得金ノ額ニ對シ百分ノ二十ヲ超エサル
金額ヲ賣得步合金トシテ收得スルコト
ヲ得
優勝馬投票劵ヲ發賣シタルトキハ命令
ノ定ムル割合ヲ以テ賣得金ノ額ノ百分
ノ四以內ニ相當スル金額ヲ政府ニ納付
スヘシ
前項ノ納付金ニ相當スル金額ハ馬ノ改
良增殖、利用增進及馬事思想ノ普及ノ
爲必要ナル經費ニ充ツルコトヲ要ス
前二項ノ規定ノ適用及課稅ニ付テハ競
馬法第八條第三項第五項第六項及第十
六條第一項ノ規定ヲ準用ス
第十一條本法競馬ニ關スル開催執務委
員、調〓師、騎手ノ養成、馬名登錄其
ノ他競馬ノ統制改善ニ必要ナル事項ハ
命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條主務大臣ハ公益上馬ノ改良增
殖及馬事思想普及上必要アリト認ムル
トキハ競馬開催者ニ對シ必要ナル施
設、競馬場ノ設備ノ變更、競馬施行ノ
方法其ノ他ニ付必要ナル命令ヲ發シ又
ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第十三條主務大臣ハ競馬開催者又ハ其
ノ役員若ハ開催執務委員ノ行爲カ法令
若ハ法令ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ又
ハ公益ヲ害シ若ハ害スル虞アリト認ム
ルトキハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一第五條ノ許可ノ取消
二競馬ノ停止
三優勝馬投票劵發賣ノ停止又ハ制限
四開催執務委員ノ職務執行ノ停止
第十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
一年以下ノ懲役若ハ二千圓以下ノ罰金
ニ處シ又ハ其ノ刑ヲ併科ス
一第五條ノ許可ヲ受ケスシテ優勝馬投
票劵ヲ發賣スル競馬ヲ開催シタル者
二第十三條ノ停止又ハ制限ニ違反シ
テ優勝馬投票劵ヲ發賣シタル者
三本法ニ依ル競馬ノ競走ニ關シ業ト
シテ多數ノ者ニ對シ財物ヲ以テ諸事
ヲ爲シタル者
四開催執務委員ノ職務ヲ執行スルニ
當リ之ニ對シ暴行又ハ脅迫ヲ加ヘタ
ル者
第十五條騎手ノ職務ヲ執行スルニ當リ
之ニ對シ暴行若ハ脅迫ヲ加ヘ又ハ不正
ナル競走ノ施行ヲ强要シ若ハ其ノ誘惑
ヲ爲シタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ千
圓以下ノ罰金ニ處ス
第十六條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一第八條ノ規定ニ違反シ優勝馬投票
劵ヲ發賣シタル者又ハ購買シタル者
二優勝馬投票劵ヲ讓渡シ又ハ讓受ケ
タル者
三第九條ノ規定ニ依ル制限ニ違反シ
テ拂戾金ヲ交付シタル者又ハ之ヲ受
ケタル者
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=139
-
140・土田莊助
○土田莊助君 自席ヨリ辯明ノ御許可ヲ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=140
-
141・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=141
-
142・土田莊助
○土田莊助君 現下ノ情勢ニ於キマシテ軍
用候補馬ノ鍛鍊ヲ致スト云フコトハドナ
タモ異存ノナイコトト拜察ヲ致ス次第デア
リマス、サウ云フ理由カラ致シマシテ、提
案ノ理由ヲ簡單ニ御說明致シタイト思ヒマ
ス、先般事變以來勇猛果敢ナル將兵ニ扈從
致シ南船北馬、戰果ノ獲得ニ對シマシテ默々
トシテ軍馬ハ大ナル貢獻ヲ致シタノデア
リマス、固ヨリ戰爭ニ際シマシテハ、昔ヨリ
兵馬ノ大權ト云フコトヲ申サレテ居ル次第
デアリマス、現時海ニ、陸ニ、空ニ幾多兵
器ノ機械化ガ充實サレテ居ルノデアリマス
ルガ、將兵ノ戰鬪力ノ擴大ニ伴ヒマシテ、
其戰鬪資材ノ供給上、馬ハ尙ホ一層戰鬭ニ
於テ、其重要性ヲ持ッテ來テ居ルノデアリ
マス、所謂戰爭ニ際シマシテハ、兵馬ノ大
權ノ確立ト云フコトガ、最モ重要ナ問題ト
相成ッテ居ルノデアリマス、サウ云フ理由カ
ラ致シマシテ、第七十三議會ニ於キマシテ
ハ、軍馬鍛鍊ニ對シマシテ政府ガ約二百万
圓ノ鍛鍊費用ニ付テ、提案ニナッテ居ルノ
デアリマス、併ナガラ此二百万圓ノ大金ヲ
以チマシテ鍛鍊致シマシテモ、我ガ皇軍ノ
要望スル六十万頭ノ馬匹ノ三分ノ一、二十
万頭ノ馬ノ訓練ヲ致スニ際シマシテモ僅
カ一月ニ八十何錢シカ其經費トシテ、馬ノ
飼育者ニ交付サレヌヤウナ狀態ニアルノデ
アリマス、二百万圓ノ金ガアリマシテ、約
三分ノ一、二十万頭ノ馬ノ訓練ニ對シマシ
テモ、一月ニ八十何錢ノ經費シカ交付サレ
ナイ次第デアリマス、是ハ勿論財政ノ上ニ
於テ餘儀ナキコトト考ヘルモノデアリマス、
仍テ私共ハ單ニ經濟的ニ馬ノ訓練ヲ致スト
云フコトヨリモ、寧ロ此非常時ニ際シマシ
テ、物心兩方面カラ致シマシテ、馬ノ鍛鍊
ニ精神的ニ競技スルノデアルガ、之ニ對シ
マシテモ國民ガ馬ノ鍛鍊ニ趣味ヲ持チ、
ツノ鍛鍊ニ對シマシテモ、競技ト云フ方法
ヲ執ラナケレバナラヌト思フノデアリマス、
此競技ハ恰モ小學校ノ運動會、或ハ聯合
運動會、或ハ小學校ノ全縣ノ運動會ガ開催
サレマシテ、日本ノ國民ノ體位ガ向上サレ
ルヤウニ、私共モ軍馬ノ鍛鍊ヲ一ツノ競技
ト致シテ、又其競技ニ對シマシテ一ツノ制
度ヲ、玆ニ確立致シタイト思フノデアリマ
ス、其制度ノ確立ニ伴ヒマシテ、其結果ト
致シマシテ地方競馬ガ相當整備ヲ致シ、明
朗デアリマスル競技ノ上ニ、軍馬資源ノ確
保ト、其性能ノ愈〓向上シ來ルト云フコトヲ、
私共ハ確信シテ居ルノデアリマス、斯ウ云
フ意味合カラ致シマシテ、御審議ノ上滿場
ノ御贊成アランコトヲ希望致ス次第デアリ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=142
-
143・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 提出者大石倫治君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=143
-
144・大石倫治
○大石倫治君 簡單デアリマスカラ、自席
カラ發言ヲ御許願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=144
-
145・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=145
-
146・大石倫治
○大石倫治君 只今議題ニナッテ居リマス
ル軍用候補馬鍛鍊法案ニ付キマシテ、只今
土田議員ヨリ御述ニナリマシタル理由ハ
其主ナルモノデアリマス、御承知ノ如ク、
今囘ノ事變ニ於キマシテ軍用ニ供セラレマ
シタル馬ノ鍛錬ガ全キヲ得マセヌ爲ニ、少
ナカラザル不利不便ヲ被ッタコトハ明瞭デ
アリマス、故ニ先ヅ一面ニ於キマシテハ
地方軍用候補馬鍛鍊ヲ常ニ致シマシテ、平
戰兩用ニ備ヘタイト云フ趣旨デアリマス、
又一面ニ於キマシテハ現行ノ地方競馬ノ弊
害ヲ除却シ、馬事思想ノ普及、馬ノ改良增
殖ニ資シタイト云フ趣旨ヲ以テ、提案致シ
タノデゴザイマスルカラ、何卒滿堂ノ諸君
ノ御贊成ヲ願ヒタイノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=146
-
147・服部崎市
○服部崎市君 日程第第三十三及ビ第三十
四ノ兩案ハ、一括シテ政府提出、兵役ノ義
務ナカリシ者等ニシテ支那事變ニ於テ陸軍
部隊ニ編入セラレタルモノノ身分取扱ニ關
スル法律案委員ニ、併セ付託セラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=147
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148・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=148
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149・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
三十五、重要物產同業組合法中改正法律案
ノ第一讀會ヲ開キマス提出者ノ趣旨辯明ヲ
許シマス-提出者世耕弘一君
第三十五重要物產同業組合法中改正
法律案(原玉重君外十三名提出)
第一讀會
重要物產同業組合法中改正法律案
重要物產同業組合法中左ノ通改正ス
第四條同業組合設置ノ地區內ニ於テ營
業所ヲ設ケ組合員ト同一ノ業ヲ營ム者
ハ組合ノ通知ニ依リ組合員トナルモノ
トス
組合員其ノ業ヲ營マサルトキハ組合員
タル資格ヲ失フ
同業組合設置ノ地區內ニ於テ組合員ト
同一ノ業ヲ營ム者ハ營業所ヲ設ケサル
者ト雖當該組合及組合聯合會ノ統制ニ
服スヘキモノトス
第十條ノ五行政官廳當該商工業ノ統制
ヲ圖リ國民經濟ノ健全ナル發達ヲ期ス
ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ同業
組合及同業組合聯合會ニ對シ組合員ノ
營業ノ統制ニ關シ必要ナル命令ヲ發ス
ルコトヲ得
第十條ノ六行政官廳當該商工業ノ統制
ヲ圖リ國民經濟ノ健全ナル發達ヲ期ス
ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ同業
組合及同業組合聯合會ニ諮リ其ノ組合
員ニ對シ組合ノ統制ニ從フヘキコトヲ
命スルコトヲ得
第十條ノ七行政官廳當該商工業ノ統制
ヲ圖リ國民經濟ノ健全ナル發達ヲ期ス
ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ命令
ノ定ムル所ニ依リ地區及組合員タル資
格ヲ定メ重要ナル統制事業ヲ行フ同業
組合ノ設立ヲ命スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命セラレタル
者行政官廳ノ指定スル期限迄ニ設立ノ
認可ヲ申請セサルトキハ行政官廳ハ定
款ノ作成其ノ他設立ニ關シ必要ナル處
分ヲ爲スコトヲ得
第十條ノ八第十條ノ五及第十條ノ七ノ
規定ニ依ル命令アリタル場合特ニ必要
アリト認ムルトキハ地區內ニ於テ當該
商工業ヲ營マムトスル者ヲシテ命令ノ
定ムル所ニ依リ行政官廳ノ許可ヲ受ケ
シムヘシ
第十一條ノ二同業組合及同業組合聯合
會ノ經費又ハ過怠金ヲ滯納スル者アル
トキハ同業組合組長又ハ同業組合聯合
會組長ノ請求ニ因リ市町村ハ市町村稅
ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ
同業組合又ハ同業組合聯合會ハ其ノ徵
收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スヘ
シ
市町村前項ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ三
十日以內ニ其ノ處分ニ著手セス又ハ九
十日以內ニ之ヲ結了セサルトキハ同業
組合組長又ハ同業組合聯合會組長ハ地
方長官ノ認可ヲ得テ之ヲ處分スルコト
ヲ得此ノ場合ニ於テハ町村制第百十一
條第一項及第四項ノ規定ヲ準用ス
前二項ニ規定スル徵收金ノ先取特權ノ
順位ハ市町村其ノ他之ニ準スヘキモノ
ノ徴收金ニ次キ其ノ時效ニ付テハ市町
村稅ノ例ニ依ル
經費ノ分賦又ハ過怠金ノ徵收ニ關シテ
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ異議ノ申立、
訴願及行政訴訟ヲ爲スコトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=149
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150・世耕弘一
○世耕弘一君 簡單デアリマスカラ、自席
カラ發言ヲ御許願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=150
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151・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=151
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152・世耕弘一
○世耕弘一君 提案ノ理由ヲ簡單ニ說明致
シマス、重要物產同業組合ハ公益團體ト致
シマシテ、古イ歷史ヲ有シ、我ガ產業界ニ
大ナル功績ヲ擧ゲテ來タノデアリマス、然
ルニ近時經濟界ノ發達ニ伴ヒ、該同業組合
モ亦一層强化發展ノ必要ニ迫ラレテ居ルノ
デアリマス、故ニ是ガ業者ノ製品ノ檢査及
ビ原料其他ノ配給竝ニ販賣ノ統合等ニ付キ、
特ニ時局ニ對應スベキ各種重要ナル組合ノ
事業ヲ强化經營、以テ國民經濟ノ健全ナル
發達ニ、更ニ寄與セントスルモノデアリマ
ス、又同組合ノ機能ヲ十分發揮シ、其使命
ヲ完カラシメンニハ、自ラ組合ノ財政ノ基
礎ヲ鞏固ナラシムルコトガ緊要デアリマス、
仍テ農會及ビ商工會議所ト同樣、同組合ニ
對シテモ經費ノ强制徵收權ヲ付與スルノ要
ガアルノデアリマス、卽チ以上ノ目的遂行
上、從來ノ組合法デハ不便ノ點ガ多イノデ
アリマス、以上簡單デアリマスガ、重要物
產同業組合法中改正法律案ノ趣旨辯明ニ充
テマス、詳細ハ委員會ニ於テ述ベルコトニ
致シマス、何卒速ニ御審議、御贊成アラン
コトヲ御願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=152
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153・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、昭和十二
年法律第九十二號中改正法律案委員ニ併セ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=153
-
154・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=154
-
155・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
Vく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
三十六、狩獵法中改正法律案ノ第一讀會ヲ
開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-
提出者鈴木正吾君
第三十六狩獵法中改正法律案(鈴木
正吾君提出)第一讀會
狩獵法中改正法律案
狩獵法中左ノ通改正ス
第二十一條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ農作物保護ノ爲其ノ他ノ必要ニ出
テタリト認ムヘキ場合ニ於テハ其ノ刑
ヲ免除スルコトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=155
-
156・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 本案ノ趣旨辯明者
ハ議席ニ居ラレマセヌ、仍テ趣旨辯明ヲ省
略シタモノト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=156
-
157・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、市街地建
築物法中改正法律案ノ委員ニ併セ付託セラ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=157
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158・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=158
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159・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
三十七、金錢債務臨時調停法廢止法律案ノ
第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ
許シマス-提出者服部英明君
第三十七金錢債務臨時調停法廢止法
律案(服部英明君外二名提出)
第一讀會
金錢債務臨時調停法廢止法律案
金錢債務臨時調停法ハ之ヲ廢止ス
附則
本法ハ昭和十三年九月三十日ヨリ之ヲ施
行ス
本法施行ノ際未タ終了セサル事件ニ付テ
ハ其ノ終了ニ至ル迄仍舊法ニ依ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=159
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160・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 本案ノ趣旨辯明者
ハ議席ニ居ラレマセヌ、仍テ趣旨辯明ハ省
略シタモノト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=160
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161・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ一松定吉君外六名提
西刑法中改正法律案外四件委員ニ、併セ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=161
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162・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=162
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163・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=163
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164・服部崎市
○服部崎市君 委員會ニ付託セル議案ノ報
告ヲ待ツ爲メ、此際暫時休憩セラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=164
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165・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=165
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166・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
そく、仍テ暫時休憩致シマス
午後六時十一分休憩
午後七時十五分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=166
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167・小山松壽
○議長(小山松壽君) 休憩前ニ引續キ會議
ヲ開キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=167
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168・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際政府提出、國家總
動員法案ヲ議題ト爲シ、委員長ノ報〓ヲ求
メ其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=168
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169・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=169
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170・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、國家總
動員法案、第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員
長ノ報告ヲ求メマス-委員長小川〓太郞
君
國家總動員法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一國家總動員法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月十六日
委員長小川〓太郞
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一本法ノ如キ廣汎ナル委任立法ハ全ク
異例ニ屬ス政府ハ將來努メテ其ノ立法
化ヲ圖ルト共ニ官吏制度ノ改革ヲ斷行
シ又之ガ運用ニ當リテハ憲法ノ精神ニ
悖ラザルベキハ勿論國民愛國心ノ自主
的發露ヲ基調トシ苟モ本法ヲ濫用シテ
人心ノ安定ヲ脅威シ產業ノ發達ヲ阻止
セザル樣嚴ニ戒心スベシ
二本法ノ制定ト共ニ政府ハ進ンデ世界
ノ平和ヲ實現シ文運ノ進步ニ貢獻スル
爲速ニ外交機能ヲ刷新シ新ニ對外國策
ヲ確立スベシ
〔小川〓太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=170
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171・小川郷太郎
○小川〓太郞君 委員會ニ於ケル經過、結
果ヲ御報告申上ゲマス、本案ハ憲法行ハレ
テ以來、稀ニ見ル劃期的ノ立法デアリマシ
テ、委員會ニ於キマシテモ、二月ノ二十六
日カラ今日ニ至リマシテ、十四囘ニ亙リ、
時ニハ深夜ニ入ルヲ辭シマセヌデ、熱心ニ
愼重ニ審議ヲシタノデアリマス、其質問應
答ハ非常ニ多岐ニ亙リマシタガ、私ハ玆ニ
其重要ナルモノニ付キマシテ、少シク御報
告ヲ申上ゲタイト思フノデアリマス
第一ハ憲法第三十一條ト本案トノ關係デ
アリマス、憲法三十一條ハ非常大權デアリ
マスガ、之ニ依ッテ戰時ノ規定ヲ十分ニ爲シ
得ラレルノニ、此法案ヲ提出セラレルト云
フコトハ憲法違反デハナイカ、斯ウ云フヤ
ウナ趣旨デ質問ガアリマシタ、尙ホ他ノ言
葉ヲ用ヒテ-他ノ方面カラ見マシテ憲
法三十一條ノ發動ヲ避ケル爲ニ立法セント
スルノデハナイカ、非常大權ノ行ハルヽコ
トヲ豫メ想定シテ、備へ置クト云フ趣旨デ
立法スルノデハナイカ、ソレハ憲法違反、
大權干犯ニナルノデハナイカ、斯ウ云フヤ
ウナ趣旨ガ繰返サレマシテ質問セラレタノ
デアリマス、之ニ對シマシテ政府ハ、戰時
ニ於キマシテハ非常大權ノミガ働クト前提
スルト云フコトハ正シクナイ、戰時モ平時
モ同ジク臣民ノ權利自由ヲ制限スルニハ法
律ニ依ルベキモノデアル、憲法三十一條ニ
ハ憲法第二章ニ揭ゲタル條規ハ戰時又ハ國
家事變ノ場合ニ於テ天皇大權ノ施行ヲ妨
グルコトナシト書イテアル其妨グルコト
ナイト云フコトハ、是デモ宜シイ、隨テ法
律ヲ以テ規律スルト云フコトハ決シテ惡ク
ナイノデアル、斯ウ云フ風ニ答ヘラレテ居
ルノデアリマス、デ憲法三十一條ハ旣存法
令ニ拘ラズ行ハレルノデアリマシテ、本法
ガ制定セラレテモ非常大權ノ發動ハ妨ゲラ
レナイノデアル、本法ヲ制定シテ、戰時總
動員ヲ行フニ際シ、如何ナル形ニ於テ國家
權力ガ發動スルカト云フ大綱ヲ國民ニ知ラ
シメテ、戰時ニ國民ガ迷フコトナク、同ジ
方向ニ働クト云フ覺悟ト準備ヲ致サシムル
ト云フコトガ、非常大權ニ依ルヨリモ寧ロ
立憲的デハナイカ、サウ云フ風ニ考ヘテ提
案シタモノデアルト說明セラレ、尙ホ先例
モ幾ツモアルト云フコトヲ辯明サレテ居ッ
タノデアリマス
第二ノ質問ハ、廣汎ナル委任立法ハ憲
法ニ違反シ、若クハ憲法ノ精神ニ違反スル
ト云フヤウナ質問デアリマシタ、是ハ此委
員會ヲ通ジマシテ幾囘トナク繰返サレタノ
デアリマス、法理論ト致シマシテ、委任立
法ハ憲法違反デハナイカト云フヤウナ質問
ニ對シマシテ、政府ハ委任命令ト云フモノ
ハ法律ノ內容ヲ成スモノデアル、隨テ是ハ
憲法違反デハナイ、斯ウ云フ說明ヲ貫カレ
テ居ラレタノデアリマス
更ニ憲法三十一條デ大權命令、卽チ形ハ
勅令デアリマスガ、勅令デ規定セラレルニ
拘ラズ、法律ニ依ッテ勅令ニ委任スルト云フ
コトハ憲法違反デアル、斯ウ云フヤウナ意
見ヲ以テノ質問ガアリマシタガ、政府ハ初
メト同ジヤウニ憲法三十一條ノ非常大權ヲ
發動スルモ一ツノ行キ方デアルガ、政府ハ
寧ロ普通ノ立法手段ニ依ッテ戰時ニ對處スル
コトガ憲法精神ニ合致スル、次ニ此法律ニ
ハ立法事項ニ付テ法律ト同樣ノ效力ヲ有ス
ル勅令ガ公布セラレナイト十分ニ働カヌ分
ガアル、其際憲法三十一條ノ發動ヲ仰グハ
適當デナイ、此法律自體ノ系統デ形ヲ整ヘ
委任勅令ニ依ルコトガ宜シイ、斯ウ云フヤ
ウナ御答デアッタヤウデアリマス
更ニ之ヲ政治論、憲法ノ運用ト云フ上カ
ラ見マシテ、廣汎ナル委任ト云フコトハ如
何ニモ當ヲ得ナイ、少クトモ憲法ノ精神ニ
副ハナイノデハナイカ、白紙委任狀ヲ出セ
ト云フコトト同ジヂヤナイカ、何ヲヤラレ
ルカ分ラナイ、ソコデ非常ナ不安ガ起ルノ
デアル、斯ウ云フ質問ガアリマシタガ、政
府ハ之ニ對シマシテ、此法案各條ニ依ッテ臣
民ニ義務ヲ負ハスノデアル、義務ノ本體ハ
本條ニ依ッテ定マルノデアル、義務ヲ負ハス
手段方法ヲ勅令ニ讓ッタノデアル、勅令ハ其
義務以上ニ出ナイノデアル寧ロ本條ノ義
務ヲ狹メルコトニナルノデ、決シテ此勅令
委任ト云フモノガ不安ヲ來スベキモノデハ
ナイ、而モ憲法第二章ノ立法事項ガ、殆ド
此法律ニ依ッテ皆含メラレテ居ルト云フヤ
ウナコトデアレバ、ソレハサウデナイノデ
アル、事項カラ言ヒマスト、勞務、物資、
情報ト云フヤウナモノニ限ラレテ居ル、臣
民ノ權利義務ニ關スル憲法第二章ト云フモ
ノノ中デモ、關係スル所ハ大體ニ憲法二十
七條所有權ノ條文デアル、ソレカラ言論ニ
關スル條文、卽チ二十九條等二三ノ條文ニ
觸レルガアトノ憲法第二章ノ條章ニハ殆
ド觸レテ居ナイノデアル而モ又是ハ戰時
ニ際シテ、國民總動員上必要ナル時ニ限ラ
レテ居ル、平時其他ノ場合ニハ適用サレル
モノデハナイノデアル、斯ウ云フヤウナ說
明デアリマス、而モ先例ガアル、先例ト言
フガ、コンナ廣汎ナ先例ガアルカト云フヤ
ウナ質問ニ對シマシテ、本案ニ規定シテ居
ルモノハ、現行法ノ色々ナモノヲ集メテ綜合
單一化シタノデアル、新シク加ハッタ規定ト
云フモノハ、五條、六條、七條、十四條、十
七條、十八條、二十條位ノモノデアル、サ
ウ俄ニ非常ナ廣汎ナル委任立法ヲ、此處ニ
持ッテ來タノデハナイト云フヤウナ趣旨ノ
辯明ガアリマシク
次ニ之ニ關聯シマシテ、ソレニシテモド
ウ云フコトヲ規定スルノカ、勅令ノ要綱ト
ナルヤウナモノヲ出スコトヲ要求シタガ
政府ノ方デハ其要綱ヲ示サレタノデアリマ
ス、其要綱ニ付テ其內容ヲ立法化スル、卽
チ此法律ノ中ヘ、サウ云フ要綱ニ書カレテ
居ルヤウナ條項ヲ入レテシマッタラ、ドウカ
ト云フヤウナ質問モアリマシタガ、政府ハ
其要綱ノ中ニハ種々雜多ナモノガアル法
規命令ニ關スルモノモアリ、執行命令ニ關
スルモノモアルノダト云フコトヲ答ヘタ、
何ニシテモ勅令ヲ法文化シテ行クト云フコ
トハ出來ナイ、ナゼ出來ナイカト云ヘバ
戰爭ハ千變萬化スルモノデ、之ニ卽應シテ
行カナケレバナラナイ、然ルニ今日ニ於キ
マシテ、其千變萬化ニ應ジテ立法スルコト
ガ中々容易デナイ、第一ニ戰ノ規模ニ依ッテ
違フノデアル、第二ニハ相手國ニ依ッテ違フ
ノデアルサウ云フモノニ對應シテ今日カ
ラ豫メ決メテ法文ノ中ヘ定メルト云フコト
ハ出來ナイ、又對外關係ノ上カラ申シマシ
テモ、法律ニ細カク規定シテ置クト云フコ
トハ、總動員計畫ヲ外國ニ窺ヒ知ラシムル
コトニナル、ソレハ避ケナケレバナラナイ、
斯ウ言ハレルノデアリマス、尙ホ此勅令ニ委
任シテ居ルト申シマシテモ、其勅令ガ一ツ
ノ箇條ニ於テ必ズ一本ト限ラナイ、今想定
シ得ラレルモノヲ一本出シ、ソレカラ又必
要ニ應ジテ、同ジ條文ニ基イタ第二ノ勅令
モ出テ來ルノデアルソレヲ今日カラ總テ
立法化シテ、此法文ノ中ニ勅令ノ內容ニナ
ルベキモノヲ皆現ハス譯ニハ行カヌ、斯ウ
云フヤウナ答辯デアリマシタ
斯ノ如ク法理論、憲法ノ運用論、憲法ノ
精神論デ、質問者ト政府ノ方トノ間ニ幾多
ノ議論ガ上下セラレマシタ、併シ尙其政府
ノ答辯ニ依ッテモ、委員ノ方デハ十分ニ氷解
出來マセヌデ、斯ウ云フヤウナ法律案ヲ提
出スルニハ何カ背後ニ一種ノ思想ガアル
ノデハナイカ、卽チ獨裁政治ノヤウナ考ガ
アルノデハナイカ、ソレカラ出發シテ斯ウ
云フ法律案ガ提出サレルコトニナッタノデ
ハナイカト云フヤウナ質問ガアッタノデア
リマス、「ナチス」ノ授權立法ト云フモノト
同巧異曲デハナイカ、殊ニ過去數年來ノ我
國ニ行ハレタ暗流ニ顧ミテ見マスト、試ニ
人心不安ノ環境デアル、ソコニ此法律案ガ
出タノデアル、何カソコニ關係ガアルノデ
ハナイカ、サウ云フヤウナ意味ノ質問ガア
リマシタ、尙ホ他方面カラ言フト、現內閣
ハ或ハ此法律ヲ運用スルニ於テ誤リナイカ
モ知ラヌガ、是カラ後ニ來ル內閣ト云フモ
ノハ、ドンナモノデアルカモ分ラヌ、最惡
ノ內閣ガ出來タナラバ、此法律ニ依ッテ立憲
政治ヲ破壞スルコトニナルノデハナイカ
斯ウ云フヤウナ議論ヲ以テ政府ニ迫ラレタ
ノデアリマス、政府ハ之ニ對シマシテ、立
憲政治ト云フコトニ關聯致シマシテ、近衞
首相モ、廣田外相モ、末次內相モ、皆口ヲ
揃ヘテ憲法ハ儼存シテ居ルノデアル、此憲
法ノ條章ヲ遵守シテ政治ヲ行ハウト思フ、
尙ホ是カラ後ニ惡イ內閣ガ出來テ、此法律
ニ依ッテ憲法政治ヲ破壞スルモノガアルカ
モ知レヌト云フ質問ニ對シテハ、近衞首相
ハ、我國ニハ憲法ガ儼トシテ、存在シテ居
ル、上ニハ聖天子ガ御在シマスノデアル、
ソレデアルカラ獨逸ヤ伊太利ノヤウニ、下
カラ力ニ依ッテ政權ヲ握ルト云フ如キ事態
ハ我國ニハ起ラナイ、憲法ノ條章ニ依ッテ
國政ノ運用ヲ爲スコトハ、如何ナル時代ニ
於テモ變ルベキモノデハナイ、斯ウ云フ風
ニ言明セラレタノデアリマス、尙ホ首相ハ
此法律ハ戰時ノミニ行ハウトスルノデアル
カラ、「ナチス」ノヤウナ平時ニ適用セラレ
ル所ノ法律ト云フモノトハ本質上ノ差ガア
ル、更ニ此法律ノ背後ニ恐ルベキ一種ノ思
想ガアルト言ハレルケレドモ、沿革カラ見
テモ此法律ト云フモノハ、決シテ獨裁政治
ノ「イデオロギー」カラ出タモノデハナイ、
既ニ十數年以來歷代ノ內閣ガ此總動員計畫
ト云フモノニ苦慮シテ、ソレガ今日殆ド出
來上ッテ、今ヤ之ニ法ノ根據ヲ與ヘントスル
ト云フノデ、此法案ガ提出セラレタノデア
ル沿革的ニ考ヘテ見テモ、玆ニ左樣ナ恐
ルベキ考ガ背後ニ潜ンデ居ルモノデハナ
イ、斯ウ云フ風ニ辯明ヲセラレタノデアリ
マス
次ニサウハ言フケレドモ、現在ノ官吏ト
現在ノ行政機構トヲ以テシテ、是ガ旨ク行
ハレルカ、ソコニ心配ガナイカ、斯ウ云フ
ヤウナ質問ニ移ッテ來マシテ、ソコデ行政機
構ノ改革ハドウスルカ、或ハ官吏制度ノ改
革ハドウスルカ、斯ウ云フ質問ガアリマシ
ク、政府ハ之ニ對シマシテ行政機構ノ改
革官吏制度ノ改正ト云フモノヲ今考ヘテ
居ル、殊ニ此法律ガ行ハレルト云フコトニ
ナッタナラバ、其必要ハ益、、痛感スルト云フ
コトヲ述ベラレタノデアリマス
更ニ此法律ヲ運用スルニ當ッテハ、今日マ
デノ行政機構デハイカヌ、ドウ云フ行政機
構デヤルカ、斯ウ云フ質問ニ對シマシテ、
政府ハ大體中央統轄機關トシテハ內閣ガ之
ニ當リ、總理大臣ハ總轄事項ニ付テ責任ニ
任ズルノデアル、中央執行機關トシテハ各
省ガ之ニ當ッテ、各省大臣ガ其責任ヲ持ツノ
デアル、戰時ノ特設機關トシマシテハ卽
チ戰爭ノ規模ニ應ジマシテ、ソレニ適スル
ヤウナ所要ノ機關ヲ新設シ擴充スル、斯ウ
云フヤウニ考ヘテ居ルト云フノデアリマス
ソレカラ次ニハ本法ノ行ハレル時期デア
リマス、之ニ付テ色々質問應答ガアリマシ
タガ、此本法ガ兩院ヲ通過スレバ直チニ公
布ノ手續ヲ執リ、勅令ニ依ッテ施行期日ガ
定マル、ソレデ其法律ガ全般的ニ施行セラ
レルコトニナルガ、併シ其中デ愈〓是ガ發
動スルト云フコトハ、事情ニ依ッテ決ルノ
デアル、施行ハセラレルガ、全部ガ皆發動
スルノデハナイ、斯ウ云フヤウナ御說明デ
アリマシタ、戰時ニ際シト云フ言葉ガアル
ガ、アレハ戰爭ノ始マリカラ戰爭ノ終リマ
デ是ハ戰時デアルガ、戰時ニ際シト云フコ
トハドウ云フ事デアルカト云ヘバ、其戰
時ノ前ト後ニ多少幅ガアル、ソレハ戰爭ノ
緊迫シク時ハ、ヤハリ戰時ト見ル、斯ウ云フ
ヤウナ解釋デ、戰爭ノ時ト云フモノハ宣戰布
〓ノ時、或ハ戰爭ニ準ズベキ事變ト云フモ
ノハ、御裁可ニ依ッテ決マルノデアル、其前
ニ此法律ノ發動ハ多少必要デアル、是ハ戰
時ニ際シテト云フコトノ說明デアリマシタ
ソレカラ國家總動員審議會ニ付キマシテ、
色々ナ質問應答ガアリマシタ、色々ノ質問
ノ中デ之ヲ分類シテ見マスト、第一ハ其權
限ニ付テノ質問デアリマス、其權限ニ付テ
ハ重要事項ヲ審議スルト書イテアリマスガ、
其重要事項トハ何デアルカ、ソレハ勅令案
デアルカ、此質問ニ對シマシテハ勅令案其
モノヂヤナイガ勅令ニ規定セラレルモノ
ハ大抵此重要事項ニナルノダト云フ答辯デ
アリマシタ、第二ニ其審議會ノ組織ハドウ
スルカ、之ニ付テ色々ノ角度カラ質問ガア
リマシタガ、或ハ勅令ノ內容ハ生產力ノ擴
充ト勞働動員トガ重要デアルニ鑑ミテ、勞
働者ノ代表ヲ入レル意思ハナイカト云フヤ
ウナ意味ノ質問ガアリマシタガ、政府ハ尤
デアル、考慮スルト答ヘラレマシタ、併シ
最モ多クノ質問ハ、廣汎ナル立法事項ヲ勅
令ニ委任スルニ依ッテ生ズル不安ヲ、緩メン
トスル趣旨カラ出タモノデアリマス、卽チ
貴族院、衆議院ノ議員ガ多數ニ此審議會ニ
參加スルコトニナリマスレバ、之ヲ通ジテ
間接的ニ、實質的ニ、立法ノ協賛權ヲ或ル
程度ニ行ヒ得ラレルトモ見ラレルノデアリ
マスカラ、其趣旨カラシテ主トシテ貴族院
議員、衆議院議員ヲ以テ組織スベキデハナ
イカ、サウ云フ意見ヲ附シテ政府ニ質問ヲ
シタノデアリマスガ、初メ政府ハ之ニ付テ
明確ナル答辯ヲ致シマセヌデシタ、今日ノ
委員會ニ於キマシテ總理大臣ガ此質問ニ答
ヘラレマシテ、第五十條ノ委員會、卽チ國
家總動員審議會、此審議會ノ構成ニ付テハ
委員ノ過半數ハ貴衆兩院議員ヲ以テ之ニ充
ツル考デ居リマス、之ニ依ッテ質問者ノ趣旨
ニ適フコトト思ヒマスト云フ風ニ、御言明
ニ相成ッタノデアリマス、尙ホ今日ノ委員會
ニ於キマシテ、第五十條ノ施行要綱ガ配ラ
レタノデアリマス、其中ニハ第四ニ「委員及
臨時委員ハ內閣總理大臣ノ奏請ニ依リ關係
各廳高等官、貴族院議員、衆議院議員及學
識經驗アル者ノ中ヨリ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
ルコト前項ノ貴族院議員及衆議院議員ハ
委員ノ過半數ヲ占ムルコト」斯ウ云フコトニ
相成ッテ居リマスガ、此要綱ニ書イタモノト
總理大臣ノ言明セラレタコトハ同ジコトデ
アルト云フコトヲ政府委員カラ附加ヘラレ
マシタ、尙ホ質問應答ノ重要ナルモノガア
リマスガ、是ハ此際速記錄ニ讓リマス
質疑ガ終了シマシテ討論ニ入リマシテ、民
政黨ヲ代表シテ豐田豐吉君、政友會ヲ代表シ
テ西岡竹次郞君、第一議員倶樂部ヲ代表シテ
井阪豐光君、社會大衆黨ヲ代表シテ淺沼稻
次郞君、第二控室ヲ代表シテ今井新造君、
東方會ヲ代表シテ三田村武夫君、是等ノ諸
君ガ皆本案ニ贊成スルノ意見ヲ述ベラレタ
ノデアリマス、採決ニ入リマシテ、全會一
致ヲ以テ本案ハ可決セラレマシタ
尙ホ西岡竹次郞君ヨリ、立憲民政黨竝ニ
立憲政友會ノ共同提案ニナル附帶決議ガ提
出サレマシタ、ソレハ次ノ如キモノデアリ
マス
附帶決議
一本法ノ如キ廣汎ナル委任立法ハ全ク
異例ニ屬ス政府ハ將來努メテ其ノ立法
化ヲ圖ルト共ニ官吏制度ノ改革ヲ斷行
シ又之ガ運用ニ當リテハ憲法ノ精神ニ
悖ラザルベキハ勿論國民愛國心ノ自主
的發露ヲ基調トシ苟モ本法ヲ濫用シテ
人心ノ安定ヲ脅威シ產業ノ發達ヲ阻止
セザル樣嚴ニ戒心スベシ
二本法ノ制定ト共ニ政府ハ進ンデ世界
ノ平和ヲ實現シ文運ノ進步ニ貢獻スル
爲速ニ外交機能ヲ刷新シ新ニ對外國策
ヲ確立スベシ
此附帶決議ニ付キマシテ採決ヲ致シマシタ
所是モ全會一致ヲ以テ可決致シマシク、
右大要ヲ御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=171
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172・小山松壽
○議長(小山松壽君) 討論ノ通告ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-山本厚三君
〔山本厚三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=172
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173・山本厚三
○山本厚三君 本案ニ付キマシテハ、只今
委員長ヨリ極メテ簡潔ニ要領ヲ得タル御報
〓ガアリマシタ、殊ニ本案ニ付キマシテハ、
委員會ニ於テ各派ノ一致ヲ見タノデアリマ
シテ、反對ノ討論ヲスル方ハナイヤウデア
リマス、故ニ只今ノ委員長ノ御報告ヲ以テ
殆ド盡シテ居ルカノ觀ガアリマスガ、唯委
員長ノ御報告ハ、質疑應答ノ內容ヲ批判ヲ
ナサラズニ御報告ニナッテ居リマスカ
ラ、此御報〓ノ中ニハ、相當ニ强イ反對
的ノ御質疑モアリマシタ、其結果ガ遂ニ
融合歸一シマシテ、今日ノ如ク全員一
致ノ形勢ニナッテ來タノガ其徑路デア
リマス、仍テ私ハ立憲民政黨ヲ代表致
シマシテ、本案贊成ノ趣旨ヲ簡明ニ申述べ
テ見タイト存ジマス(拍手)
本案ハ御承知ノ如クニ戰時又ハ戰爭ニ準
ズベキ事變ニ際シマシテ、國家ノ有ユル人
的及ビ物的資源ヲ統制運用致シマシテ、我
國ノ全能力ヲ最モ有效ニ發揮致シマシテ、
之ヲ以テ我ガ國防ノ目的ヲ達成セントス
ルノ趣旨ニ出デテ居ルコトハ御承知ノ通
リデアリマス、殊ニ我國現下內外ノ情勢ニ
照シマス時ニハ、重要緊切ナル法案デアル
ト云フコトニ付テハ、其精神ニ於テハ何人
モ御異論ノナイ所デアラウト存ジマス、然
ルニ本案ノ內容ガ一タビ世間ニ發表セラレ
マスト、世間ニ非常ナ物議ヲ生ジタノデア
リマス、ソレハ何故デアルカト言ヒマスト、
ソレガ單ニ直接國防ニ關係ヲ致シマスル事
項ノミデアリマセヌ、殆ド社會百般ノ事ニ
關係ヲ致シ、就中經濟界ニ大衝動ヲ與フル
ガ如キ事項モ相當ニ多イノデアリマス、又
國民生活ノ安定ニモ相當重大ナル關係ヲ有
スル規定ガ多イノデアリマスカラ、斯樣ナ
內容ニ付テ詳シク知ラナイ間ニ、世間ニ相
當ナ聲ガ起ッタノデアラウト存ジマス、併ナ
ガラ政府ハ早ク此國民ノ意向ヲ察知セラレ
マシテ、最モ反對ノ多イト思ハレル二ツノ
點卽チ國民ノ言論集會ニ對スル制限禁止
ト云フガ如キ、場合ニ依ルト云フト是ガ非
常ナ大キナ問題ニナルノデアリマスガ、此
重大ナル二點ハ之ヲ削除ヲナサレマシタ、
又只今御報〓ノ第五十條ヲ以テ審議會ヲ設
ケマシテ、所謂安全瓣ヲ設クル等、相當政
政モ之ニ御留意ニナッテ、餘程此輿論ニ聽從
ヲシテ緩和ニ努メタト云フ點ハ看取スルコ
トガ出來ルノデアリマス、所ガ一タビ是ガ
本院ニ提案ヲサレマシテ、本會議、委員會
ニ掛リマスト云フト、是ダケ政府ガ御讓歩
ニナッタケレドモ、反對ノ聲ハ非常ニ多カッ
タノデアリマス、其反對ノ點ハ只今ノ報〓
デ明デアリマスカラ、詳細ノ點ハ之ヲ避ケ
マスガ、主トシテ憲法違反及ビ議院ノ審議
權無視ト云フ點デアラウト存ジマス、所ガ
甚ダ遺憾ナコトニハ、政府ノ御答辯ガ極メ
テ不徵底デアリ、又一致ヲ缺イテ居ルガ爲
ニ、中々重要緊切ナル御質問ガ重ネラレタ
ニモ拘ラズ、容易ニ諒解セシメルコトガ出
來ナカッタノデアリマスガ、總理大臣ガ出席
セラレマシテ率直ナル御答辯ガアリマシタ
ノデ、稍〓此疑義ヲ緩和スルコトガ出來タ
カノ觀ガアリマシタ、然ルニ議員ノ多數ハ
左樣デアリマセウガ、私共モ今日ノ時局
是ハ其內容ヲ玆ニ申上ゲル必要ハアリマセ
又、吾々ガ承知致シテ居リマスル通リ、此
時局ニ鑑ミマスル時ニハドウシテモ此樣
ナ法律ヲ出サナケレバナラヌト云フコトハ、
前申ス通リニ異存ガナイ所デアリマス、而
シテ其質問應答ノ內容ヲ見マスト、歸著ス
ル所ハ白紙委任狀ガイケナイノデアル、委
任命令ガ餘リニ廣汎デアルト云フコトデア
リマシタ、之ニ對シテハ如何ニスルカト言
くく之ヲ法文化スル外ナイノデアリマス
(「討論ニナッテ居ラヌヂヤナイカ」ト呼フ者
アリ)所ガ其法文化スルコトガ、ドウシテ
モ出來ナイト云フノハ、第一ニ國際上ノ機
密ト、臨機迅速ナル處置ヲ要スルコトガ多
イト云フ點デアリマス、又日數ガ少クシテ、
十分此法文化ヲスルコトガ困難デアル、是
ハ吾々ガ諒トシナケレバナラヌ所デアリマ
シテ、此點ニ付テハ結局此非常ナ廣汎ナ委
任命令ヲ、法文化スルト云フコトハ出來ナ
イ、ソレデハドウスルカト云ヘバ、此五十
條ノ權限ヲ擴張ヲシテ貰ッテコヽデ吾々ノ
審議權ヲ延長スルガ如キ形ニ於テ納マリヲ
付ケヨウ、斯ウ云フ議論ガ段々ト多クナッテ
參ッタノデアリマス、殊ニ本日ノ委員會ニ於
キマシテ、最後ノ點ニ付テ、此長イ間ノ質
疑應答ノ結果、判明ヲ致サナカッタル所ノ重
要ナル諸點ニ對シテ、相當政府ノ突込ンダ
御說明ガアッタ爲ニ、諒解スルコトガ出來タ
點ガ相當ニアラウト存ジマス、其上ニ第五
十條ニ於キマシテ、貴衆兩院議員ノ過半數
ヲ認メルト云フコトヲ言明セラレマシタカ
ラ、此五十條ノ內容ノ改正ニ依リマシテ、
此點ニ付テ此白紙委任狀ノ問題ノ解決ヲ見
ントスルノ考ニナックノハ、多クノ諸君ノ御
考デアラウト存ジマス
(「政府ハ祕密會ノ內容ヲ明ニスベシ」
ト呼ヒ其他發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=173
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174・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=174
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175・山本厚三
○山本厚三君(續) 斯樣ナ次第デ以テ今日
ノ我國ノ時局ニ鑑ミマシテ、多少ノ不滿-
多少デハナイ、相當大キナ不滿ヲ持ッテ居ッ
タ方ガアラウト存ジマスガ(「勿論」ト呼フ
者アリ)此大キナ不滿ハ此時局ニ對スル國
民ノ非常ナ重責ニ鑑ミマシテ、忍ブベカラ
ザルヲ忍ンデ、此法案ニ贊成ヲシナケレバ
ナラヌノデアラウト私ハ存ズルノデアリマ
ス(拍手)只今委員長ノ報〓ニハ、斯ウ云フ
質問ヲシタガ、ソレハ斯ウ云フ答辯ガアッテ、
ドチラガドウデアルト云フ御批判ハ勿論
ナイノデアリマスガ、私ノ觀測スル所ニ依
リマスルト、議員ノ重大ナル質問ハ、今以
テ十二分ニ諒解ヲセラレ了ッタモノトハ申
上ゲル譯ニ行キマセヌ、是ハ如何ナル委員
會ニ於テモ、サウデアリマスガ、併ナガラ
多少ノ答辯ニ對スル不滿ガアリマシテモ
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=175
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176・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=176
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177・山本厚三
○山本厚三君(續) 不滿ヨリハ、今日ノ我
國ノ時局ノ重大性ニ對スル國民ノ責任ノ方
ガ、ヨリ以上重大デアリマスルカラ、此點
ニ於テ吾々ハ贊意ヲ表スルコトニ決シタ次
第デアリマス(拍手)併ナガラ玆ニ私ハ本法
案ニ無修正贊意ヲ表スルニ當リマシテ、
言政府ニ對シテ警告ヲ申上ゲテ置カナケレ
バナラヌト存ジマス(拍手)
本案ハ滿場一致ノ決議ヲ本議場ニ於テ見
ルコトト存ジマスルガ、併ナガラ此本會議
及ビ委員會ニ於テ問答セラレタル所ノ各種
ノ國民ノ疑點、議員ノ疑點、此點ニ付テハ
政府ハ十二分ニ諒解ヲセシメテ居ラナイト
云フコトハ御承知デアラウト存ジマス、
是等ノ諸點ニ付テハ本法ヲ御運用ニナル
上ニ於テ十分ニ御注意ヲ願ヒタイト存ジマ
ス、此法律ハ其權利ガ洵ニ廣大無邊ナモノ
デアリマスカラ、之ヲ善用スレバ國家ヲ護
ル所ノ寶刀トナルデアリマセウ、併ナガラ
若シ之ヲ惡用スルガ如キ者ガ將來出ヌト
モ限リマセヌガ、左樣ナ場合ニハ是ハ我ガ
國民ヲ苦シメ、國家ヲ蠧毒スル所ノ非常ナ
弊害トナルコトハ、今日ヨリ之ヲ豫期シナ
ケレバナラヌ(拍手)ドウゾ此點ニ付テハ政
府ハ此問答ニ現ハレタル實際ノ狀況ヲ能ク
御考へ下サッテ、左樣ナ弊害ノ起ラヌヤウニ
善處セラレンコトヲ切ニ希望致ス次第デア
リマス(拍手)
尙又斯樣ナ法律ヲ以テ國民ノ義務ヲ强要
スルト云フコトハ、諸外國ナラバ率ザ知ラ
ズ、日本ノ國家ニ於テハ全然必要ガナイト
云フ議論モ澤山アリマシテ、私モ至極同感
デアリマス(拍手)其趣旨ハ法律ニ依ラナ
イデ、此皇道精神、日本精神ヲ以テ十分ニ
間ニ合フノデアル、一朝有事ノ場合ニハ何
等辭スルモノデハナイト云フ意見モ澤山ア
リマシタ
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=177
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178・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=178
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179・山本厚三
○山本厚三君(續) 併ナガラ此政府ノ法規
ニ依ッテ之ヲ抑ヘルト云フコトモ、問者ノ言
フガ如クニ、法規ノミニ依ッテ强制ヲシヨウ
ト云フ御考デナイコトハ明カデアリマス、ド
ウカ將來ニ於キマシテハ、此殆ド無限ノ權
利トモ言フベキ本法ヲ極端ニ惡用ヲ致シマ
シテ、度々質問ニ現レタルガ如キ獨裁政治、
或ハ專制政治ニ陷ルヤウナコトハ、絕對ニ
是ハ御注意アランコトヲ希望スルノデアリ
マス(拍手)私ハ政府ガ度々本案ニ付テ重要
ナル御聲明ヲ爲サッテ、殊ニ總理大臣ヨリノ
御聲明ハ、委員諸君ガ非常ニ是ハ重ク取ッテ
居ルノデアリマスルカラ、ドウカ政府ニ於
カレテハ、此重大ナル御聲明ヲ御實行ニナッ
テ、吾々ガ心配シタコトハ將來ホンノ一片
ノ杞憂ニ過ギナカッタ、無駄ナ心配デアッタ
ト云フ位ニ、ドウカ之ヲ立派ニ御實行アラ
ンコトヲ希望致スノデアリマス(拍手)サウ
シテ國民ガ自發的ニ本法ヲ實行スル觀念ヲ
起シマシテ、本當ノ精神的ノ國家總動員法、
國民上下一致ノ本當ノ國家總動員法ト云フ
モノガ行ハレルヤウニ、政府ノ十分ナル御
盡力ヲ切望致ス次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=179
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180・小山松壽
○議長(小山松壽君) 大口喜六君
〔大口喜六君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=180
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181・大口喜六
○大口喜六君 私ハ本案ニ贊成スル者デア
リマス、先刻小川委員長ヨリ御報告ガアリ
マシタル如ク、本案ハ實ニ我國憲法發布以來
稀ニ見ル重要法案ダト申シテ宜カラウト存
ジマス、勿論現下內外ノ情勢ニ稽ヘマシテ國
家總動員法ノ必要デアルコトハ、旣ニ我ガ
國民ノ認識スル所デアルト考ヘマス(拍手)
而モ此立法ハ事苟モ國防上ニ關スルノミナ
ラズ、我ガ臣民ノ權利義務ハ勿論、有ユル
經濟界竝ニ國民ノ生活上ニモ關スル重要事
項デアリマスルガ故ニ、愼重ナル上ニモ愼
重ヲ期セネバナラヌコトハ當然デアリマス、
然ルニ本案ヲ見マスルト、實際上巳ムヲ得
ザルニ出デタルコトデハアリマスルガ、其
重要ナル事項ノ多クガ殆ド命令ニ委任セラ
レテ居リマス、恐ラクハ斯ノ如キ重大法案
ニシテ、斯ノ如キノ委任立法ハ、全ク我國
ニ於ケル異例デアルト思ヒマス(拍手)唯奈
何セン、事ハ多ク國防上ニ關スルノミナラ
ズ、時局ニ對シ又極メテ重要性ヲ有スルモ
ノデアリマス、隨テ私共ハ深ク思ヲ此ニ致
シマシテ、此場合特ニ政府ノ言明ヲ信ジ、
玆ニ本案ノ全部ヲ贊成スル次第デアリマス
(拍手)
申ス迄モナク本案ハ國防上必要ナルト同
時ニ、我國憲法ノ條章ニ依ッテ與ヘラレタル
臣民ノ權利義務ニ關スル重大ナル法律案デ
アリマス、隨テ萬々一ニモ其運用ニ於テ一
步ヲ誤ランカ、其國家ニ及ボスベキ影響ハ
實ニ測リ知ルベカラザルモノガアルト存ジ
マス(拍手)政府ハ宜シク深ク其責任ヲ顧ミ
ラレマシテ、重厚ニシテ愼重、苟モ譏ヲ後
世ニ貽スガ如キコトノナイヤウニ致サレタ
イト考ヘマス(拍手)
私ハ再ビ玆ニ繰返シマス、今ヤ時局ハ重
大デアリマス、我ガ國民ハ堅忍持久、益、忠ミ
誠ヲ以ヲ念トシ、擧國一致以テ此大業ヲ成
就致サネバナリマセヌ(拍手)然ルニ偶〓本法
案ガ本院ニ提出致サレマスルヤ、之ニ對ス
ル衝動ハ延イテ諸外國ニマデ及ンデ居リマ
ス、隨テ本案ニ對スル議事ノ進行如何ハ、
尠カラザル影響ヲ全世界ニ及ボスベキモノ
ナリト考ヘマス(拍手)吾々ガ此場合政府ノ
言明ニ信ヲ置キ、玆ニ本案全部ヲ贊成致シマ
スル所以モ、其一ハ是ニ在ルノデアリマス、
政府ハ宜シク篤ト吾々ノ精神ノ在ル所ヲ考
ヘラレマシテ、本案ノ將來ニ付キマシテハ、
其爲セル言明ヲ眞ニシ、萬々違算ナキヤウ、
深ク御戒心アランコトヲ望ム次第デアリマ
ス(拍手)
尙ホ只今委員長ヨリ報〓致サレマシタル
附帶決議ニ付キマシテハ、固ヨリ吾々ノ贊
成スル所デアリマス、政府ハ一日モ速ニ其
趣旨ヲ體セラレマシテ、是ガ實行ヲ期セラ
レンコトヲ望ンデ已マザル者デアリマス、
私ハ最早此上多クヲ申シマセヌ、之ヲ以テ
贊成ノ意ヲ表シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=181
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182・小山松壽
○議長(小山松壽君) 井阪豐光君
〔井阪豐光君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=182
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183・井阪豐光
○井阪豐光君 本法案ガ未ダ議會ニ提出サ
レマセヌ以前ニ於キマシテ、吾々ノ屬スル
團體ニ於キマシテ檢討ニ檢討ヲ重ネ、毫モ憲法
違反ニアラザルコトヲ確認致シマシタ、時局
ノ重大性ニ鑑ミ、本案ノ目的ハ皇國ノ安泰
ヲ圖ルニ在ル以上、枝葉末節ノ論議ヲ省略
シ、我ガ政務調査會ニ於キマシテハ、本法
案ガ議會ニ提出サレマスル前ノ草案ニ依リ
マスト、第一條ニ於テ
〔「簡單々々」「故事來歴ハ必要ヂヤナ
イ」ト呼ヒ其他發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=183
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184・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=184
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185・井阪豐光
○井阪豐光君(續) 「本法ニ於テ國家總動
員トハ戰時又ハ事變ニ際シ」トアッタノ
ヲ、意味ハ少シモ變リマセヌ(「分ッテ居ル」
「簡單々々」ト呼ヒ其他發言スル者多シ)意
味ハ少シモ變リマセヌガ、過チヲ防グ爲ニ
「戰爭ニ準ズベキ事變ノ場合」トスル此一點
ト、其次ニハ第二十條ニ新聞紙其他ノ出版
物ノ揭載ガ二囘以上停止サレマシタ時ニハ
發行停止ノ結果ヲ招來スルト云フ規定ガ
アッタノデアリマスガ、之ヲ除キタイト云フ
コトト、更ニ第三點ニ審議會ノ設置、卽チ
本法施行ニ關スル重要事項ニ付キマシテ、
是非審議會ヲ設ケテ戴キタイト云フ此三點
ヲ發表致シタノデアリマス、然ルニ期セズ
シテ當時ノ吾々ノ希望ニ合致シマシタ、ソ
レ故ニ吾々ハ其審議ノ速ナランコトヲ望ミ
マシテ、本會議ニ於テ此壇上ニ質疑者ヲ出
サナンダノデアリマス、玆ニ本會議ニ質疑
者ヲ出サナンダ所ノ理由ヲ此場合一言申上
ゲルノデアリマス、併シ本案ニシテ既ニ審
議ヲ盡サレ、本日ヲ以テ決定サレル所ノ形
勢ト相成ッタ以上ハ、吾々ハ之ヲ贊成スル所
以ト、本法施行ニ際シ更ニ留意サルベキ事
項ニ付テノ希望ヲ開陳致シマシテ、我ガ國
家ノ爲メ、其成立ヲ熱望スル所以ヲ明ニセ
ントスルノデアル、旣ニ委員會ニ於テ議論
サレタコトデアルガ··
(「簡單々々」ト呼ヒ其他發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=185
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186・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=186
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187・井阪豐光
○井阪豐光君(續) 或ル論者ハ本法ヲ以テ
憲法第三十一條ニ依ル大權ノ施行ヲ制限ス
ル虞ガアルト考ヘ、所謂大權干犯デナイカ
トノ議論ヲサレマシタガ、本法自體ハ憲法
ノ何處ニ根據ヲ持ツカト申シマスレバ、第
二章臣民ノ權利義務ノ保障ノ精神カラ來テ
居ルノデアリマス、憲法第三十一條ハ「本
章ニ揭ケタル條規ハ戰時又ハ國家事變ノ場
合ニ於テ天皇大權ノ施行ヲ妨クルコトナ
シ」トアリマス、卽チ本法自體ハ存在致シ
マシテモ、毫モ天皇大權ノ行使ヲ妨ゲナイ
ノデアリマス、本法ガ成立致シマシテモ、
天皇ノ大權ハイザ戰時、事變トナリマシタ
ナラバ、自由自在ニ發動セラレ得ルモノデ
アリマスカラ、大權干犯ト申スベキコトハ
全然アリ得ベキ筈ガナイノデアリマス(拍
手又委任命令ニ關シテ熱心ナル議論ヲ承
リ吾々モ之ヲ諒ト致シマス、併シ今日デ
ハ、委任命令ソレ自身ハ憲法違反デアルト
云フヤウナ論者ハ恐ラクアリマスマイ、唯
問題ハ委任ノ範圍ガ廣イカ狹イカト云フコ
トニ歸著致シマス、本法案ニ於キマシテハ、
到ル處ニ「勅令ノ定ムル所ニ依リ」ト云フ文
字ガゴザイマス、併シ詳ニ之ヲ檢討致シマ
スト、此「勅令ノ定ムル所ニ依リ」トアル總
テノ場合ハ、委任命令ニアラズシテ、其中
ニハ憲法第九條ノ前段「天皇ハ法律ヲ執
行スル爲ニ」ト云フ此執行命令ナルモノヲ
包含致シテ居リマス、例ヘバ本案第四條ニ
關シマシテ、臣民ノ徵用ノ場合ニ於キマシ
テ、被徴用者ノ順位ノ基準ヲ定メ、被徴用
者ニ對スル給與ヲ定メタルヤウナ規定デア
リマス、又第十五條ノ先買權ノ通知方法、
公〓ノ手續ヲ定メタル點、又第二十一條ノ
職業登錄ノ申〓方法、登錄手續ヲ定メタル
規定ノ如キハ、法律執行ノ爲ノ勅令ニ外ナ
ラヌノデアリマス、又本法ハ例ヘバ臣民ヲ
徴用スルニ付キマシテモ、何歲以上何歲
マデトノ機械的年齡制限ヲシテ居リマセ
ヌ
(「簡單々々」ト呼ヒ其他發言スル者ア
リ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=187
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188・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=188
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189・井阪豐光
○井阪豐光君(續) 總括的ニ總動員業務ヲ
列擧致シマシテ、總動員業務ニ適シナイ者
ハ之ヲ徴用サレナイノデアルト云フコトニ
ナリマス、玆ニ有機的ナ重大ナル制限ガア
ルノデアリマス、物資ノ收用ニ於キマシテ
モ、總動員物資ト云フモノガ列擧サレテア
リマスカラシテ、其範圍ハ極メテ限定的ニ
ナッテ居リマス、斯樣ナ限度ニ於ケル委任命
令ハ毫モ帝國憲法ニハ違反シテ居ラヌノデ
アリマス、以上ハ法律的ノ觀察デアリマス
ガ、政治的ニ見マシタナラバ、本案第五十
條ニ、國家總動員審議會ガ置カレ、其審議
會ニ於キマシテ、立法府カラ代表者ガ出席
シ、發言ノ機會ヲ得ルノデアリマスカラ、
憲法ノ本旨ニ反スルモノデナカラウト思フ
ノデアリマス
憲法ノ條規又ハ立憲ノ精神ニ反セザルコ
トハ以上ノ通リデアリマスガ、歐洲戰爭ノ
經驗ニ依リ、今後ノ戰爭ト云フモノハ如何
ナルモノデアルカガ明瞭トナッタノデアリ
マン、將來戰ハ最早戰鬪員ト戰鬪員トノ爭
デハナク、國力ト國力トノ爭ニナッテ來マ
シタ、如何ナル場合ヲ想像致シマシテモ、
將來ノ戰爭ニ於ケル我國ノ相手トナルベキ
國ハ、物資ニ於テモ、人口ニ於テモ、我國
ノ數倍乃至數十倍ノモノト見ナケレバナラ
ヌノデアリマス、斯ル相手ニ對シテ準備ス
ルノニハ、本案ノ如キモノヲ活用セナケレ
バナラナイノデアリマス、此事ハ各派ニ於
カレマシテモ同樣ニ御認メノコトト思ヒマ
スカラ、重ネテ論議ハ致シマセヌ、政府ハ
本法ニ於キマシテ與ヘラレタル權限ヲ十分
ニ活用セラレマシテ、我ガ國家ノ安泰ヲ期
セラレタイノデアリマス、ソレニ付キマシ
テ、吾々ハ本法施行上御留意ヲ請ヒタキ數
箇ノ點ヲ開陳致シマス
一ツハ、本法施行ト竝行致シマシテ、國
防思想ノ普及徹底ノ方策ヲ立テラレタキコ
トデアリマス··
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=189
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190・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=190
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191・井阪豐光
○井坂豐光君(續) 國家總動員ノ考ハ、實
ハ歐洲戰爭以來ノコトデゴザイマスガ、我
國ハ當時幸ニ戰爭ノ中心カラ隔ッテ居リマ
シタ爲ニ、國民ハ近代戰ノコトハ之ヲ耳ニ
シテ居リマスガ、直接ニ體驗ヲ經テ居リマ
セヌ、實際ニ於テ將來國家總動員ヲ行ヒマ
ス爲ニハ、英國ニ於ケル國防大學、亞米利
加ニ於ケル產業動員大學ノヤウナ、之ニ從
事スル幹部ヲ養成スルト同時ニ、一般國民
ニ對シマシテモ、國防思想及ビ外交事情ヲ
周知徹底セシムルヤウ、各種ノ方策ヲ立テ
ラレタイノデアリマス、例ヘテ申シマシタ
ナラバ、帝國大學ニ國防科ヲ附置スルコト
モ一ツノ方法デアリマス···
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=191
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192・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=192
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193・井阪豐光
○井阪豐光君(續) 中學、小學ノ〓科書ニ、
近代的意味ニ於キマス所ノ國防ニ關スル事
項ヲ編入シマスコトモ一ツノ方法デアリマ
ス、又戰爭理論ガ歐洲戰爭以前ト以後ト變
化シテ居リマスカラ、是等ノ點ニ關シマス
所ノ〓鑽ヲ盡サネバ相成リマセヌ、本法第
一條ノ規定ヲ讀ンデモ、學界ニ於キマシテ
謂フ所ノ全體戰ノ理論ヲ採用シテ居ルモノ
デアリマス、此點ニ關シ國民ノ徹底的理解
ヲ得マスコトガ、本法運用上重大ナルコト
ハ申ス迄モナイコトデアリマス··
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=193
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194・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=194
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195・井阪豐光
○井阪豐光君(續) 其二ハ我國ノ内閣制
度ヲ强化スベシト云フコトハ數年來ノ世論
ノ一ツデアリマシタ、平時一般ノ行政ニ付
キマシテモ、今日ノ制度デハ各省割據ノ弊
害ヲ藏スルコトハ何人モ認メル所デアリマ
ス、然ルニ此總動員法ハ、國政全般ニ亙リ
緊密ナル統制ガナケレバ決シテ完全ニ行ハ
レルモノデハナイノデアリマス、行政機關
ガ一丸トナリマシテ活動シ得ル所ノ體制ヲ
整ヘナケレバナラヌ筈ノモノデアリマス、
本法實施ヲ機會ニ、懸案デアリマシタ所ノ
內閣制度、其他中央地方ノ制度ガ斷然革新
サルベキモノデアリマス、稍〓枝葉デアリマ
スガ、軍部ニ關シマスル所ノ聯隊區ノ區域
ガ府縣ノ區域ト錯綜スルト云フガ如キハ、
總動員ノ實行ニ不便ヲ來スモノデアリマス
カラ、成ベク早ク改メラレタイノデアリマ
ス、獨リ制度ノコトノミナラズ、官吏ノ任
用分限、監督、處罰等ノコトニ關シマシ
テモ、一段ノ考察ヲ爲スベキモノデアリマ
ス
其次ハ〓學刷新ヲ期スルコトデアリマス、
國家總動員ノ目的ヲ達シマスルニハ、總動員
ニ關スル技術的ノ知識ダケデハ固ヨリ十分
デゴザイマセヌ、之ニ貫クニ愛國ノ精神ヲ
以テ一貫シナケレバナラヌト云フコトハ、
是ハ申マデモナイコトデアリマス、我國ノ
〓育制度、殊ニ小學校〓育、帝國大學ノ制
度モ、明治文化ニ於キマシテハ非常ニ貢獻
ヲ致シマシタ、日〓日露ノ戰爭ニモ、過去
ニ於ケル我ガ〓育ノ功績ハ之ヲ認メナケレ
バナラヌノデアリマス、然ルニ中途大正ノ
七八年頃ヨリ、社會主義的思想ガ我國ノ高
等〓育ヲ蝕ミマシテ今日ノ狀況ヲ呈スルニ
至リマシタ、先般帝國大學ノ〓授ノ收監サ
レシガ如キハ、洵ニ遺憾ニ堪ヘナイ次第デ
アリマス·
〔「簡單々々」ト呼ヒ其他發言スル者ア
リ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=195
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196・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=196
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197・井阪豐光
○井阪豐光君(續) 〓學ヲ刷新シナケレ
バ、總動員ノ目的ヲ達スルコトハ不可能デ
アリマス、前ニ國防思想ノ普及徹底、國際
情勢ノ國民的理解ト申上ゲタコトモ、此〓
學ノ興隆ト云フコトガ根柢ヲ成スモノデナ
ケレバ其效果ハ極メテ薄弱デアリマス、昨
年以來ノ國民精神總動員運動ナルモノハ
甚ダ遺憾デアリマスガ、何等ノ效果ヲ齎サ
ナカッタト申シテモ敢テ酷評デハナイノデ
アリマス、此事ハヤハリモウ一ツ深ク掘下
ゲテ事ニ當ルベキモノデハアルマイカト、
私ハ考ヘテ居ルヤウナ次第デアリマス、文
〓ノ任ニ當ルヤウナ方々ハ其責任特ニ重
大デアルト思ハレルノデアリマス、國家總
動員ノ仕事ハ陸海軍、大藏省、商工省、厚
生省ノ仕事ト考ヘラレズシテ、文部省ガ其
第一ノ責任ヲ負フベキモノデアルト覺悟シ
ナケレバナラヌノデアリマス(拍手)
最後ニ本法第五十條ノ點デアリマス、先
刻委員會ニ於テ、總理大臣ニ於カセラレマ
シテハ、本審議會ニハ貴衆兩院議員過半數ヲ
委員ニ選任スル、斯ウ仰セラレタノデアリ
やく、是ハ洵ニ結構デアリマス、而シテ之
ニ關シマシテ各省ニ又委員會ガ設ケラレル
コトト相成リマス、此各省ニ設ケラレル委
員會ニ於キマシテモ、ドウカ之ヲ參照シテ
戴キタイノデアリマス、又此委員ヲ選定致
スニ付キマシテハ、所謂國防ニ認識アル人
物ヲ簡拔シテ戴キタイノデアリマス、動モ
スレバ從來ノ委員ハ情實ニ流レルヤウナ嫌
ヒガアリマスカラ、斯樣ナコトハ斷ジテ排
セラレマシテ、十分ニ··
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=197
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198・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=198
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199・井阪豐光
○井阪豐光君(續) 所謂時局ニ認識アル所
ノ人物ヲ簡拔シテ戴キタイノデアリマス、
時間ヲ制限サレマシタ爲ニ極メテ早口ニ申
シタノデアリマスカラ、委細ハ速記錄ヲ御
覧願ヒタイト思ヒマス··
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=199
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200・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=200
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201・井阪豐光
○井阪豐光君(續) 以上申上ゲタ點ヲ箇條
書ニシテ申上ゲマス
第一項、政府ハ本法施行ト相俟ッテ國防
思想ノ普及及ビ徹底ノ方策ヲ樹ツルコト
第二項、內閣制度其他行政機構ノ改革竝
ニ官界ノ刷新肅正ヲ斷行サルベキコト
第三項、〓學ノ刷新興隆ヲ期スルコト
第四項、國家總動員ノ審議會ノミナラズ
本法施行ノ際設ケラルベキ各省委員會モ之
ガ設置ノ趣旨ニ鑑ミ貴衆兩院議員竝ニ民間
權威者ヲ主力トスルコト
此四項デアリマス、終ニ一言致シマス、
本法案ノ重大性ニ鑑ミラレテ、政民兩黨ヲ
擧ゲテ之ニ贊成サレマシタコトハ洵ニ感謝
ニ堪ヘヌ次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=201
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202・小山松壽
○議長(小山松壽君) 西尾末廣君
〔西尾末廣君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=202
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203・西尾末廣
○西尾末廣君 私ハ社會大衆黨ヲ代表シテ、
本法案ニ五箇條ノ希望條項ヲ附シテ、贊成
ノ意ヲ表シクイト思フノデアリマス、本案
ヲ審議スルニ當ッテハ、局部的、又狹隘ナル
觀點カラスルノデナクシテ、今後ノ世界ハ
如何ナル方向ニ向ッテ居ルカ、更ニ現實ノ國
際情勢ハドウナッテ居ルカ、我ガ日本ノ歷史
的使命ハ何デアルカ、斯ウ云フ點カラ考ヘ
マシテ、此判斷ヲシナケレバナラヌト思フ
ノデアリマス、今ヤ世界ハ資本主義的政治
經濟制度ノ弊害ノ爲ニ惱マサレテ居ルノデ
アリマス、此害惡ハ其國々ノ內政問題デア
ルト同時ニ、又國際問題トナッテ現レテ來テ
居ルノデアリマス、嘗テ近衞首相ハ、今日
ノ相剋摩擦ハ國內的ニモ國際的ニモ、持テ
ル者ト持タザル者トノ對立相剋ガ根本的原
因デアルト喝破セラレタコトハ、蓋シ洵ニ至
言デアルト吾々ハ信ズルノデアリマス、今
ヤ世界ハ個人主義ヨリ相互主義へ、自由主
義ヨリ統制主義ヘト進展シツヽアルノデア
リマスガ、各個人ノ自由ヲ或ル程度ニ制限
スルコトニ依ッテ、全體ノ發展ヲ圖リ、其部
分トシテノ個人的自由ヲ合理化シ、且ツ增
大セントスル方向ニ向ヒツヽアルコトハ、
吾々ノハッキリ認識スル所デアリマス
次ニ我ガ日本ハ德川三百年ノ長キニ互ル
鎖國主義ノ爲ニ、世界各國ノ發達ニ取殘サ
レテ居ッタノデアリマシタガ、數年前ヨリ我
國ニハ吾々ガ現實ニ見ルガ如キ、大多數ノ
有色人種ガ、白色人種ノ優越感ニ依ッテ支配
サレテ居ル現狀ニ顧ミマシテ、又東洋ノ平
和確立ノ爲ニ實力的ニ戰ヒ得ルノハ、我ガ日
本ノ國ヲ措イテ外ニハ無イト云フ信念ニ基
キマシテ、此日本ノ歷史的使命達成ノ爲ニ、
敢然立ッテ邁進スベシトノ意見ガ〓マリ來ッ
テ居ルノデアリマス、吾々ハ此歷史的使命
ヲハッキリト認識シナケレバナラヌ、以上ノ
認識ノ上ニ立ッテ今日ノ國際情勢ヲ見ル時
ニ、國家總動員法ハ絕對的ニ必要デアルト確
信スル者デアリマス(拍手)卽チ言フ迄モナ
ク我ガ日本ハ現實ニ支那國民政府ト戰ッテ
居ルノデアルサウシテ長期戰ニ入ッテ居
ルノデアル、相手弱シト見テ、此事變ヲ輕
視シテハナラヌノデアル、若シ長期戰中日
本ノ國防力ニ少シデモ間隙ヲ生ズルナラ
バ、何時第三國ノ干涉又ハ戰爭參加ガアル
カモ知レナイノデアリマス(拍手)新聞ノ報
ズル所ニ依リマスルナラバ、歐洲ノ天地ニハ、
獨墺合邦ヲ繞ッテ第二ノ歐洲戰爭ノ危機ガ、
眞ニ一觸卽發ノ狀態ニ迫ッテ居ルノデアリ
マス、又此新事實ハ東洋ニ重大ナル影響ヲ
齎スデアラウコトモ吾々ハ考ヘル、今ニシ
テ其對應策ニ萬遺憾ナキヲ期サナケレバナ
ラヌノデアリマス(拍手)又外電ノ報ズル所
ニ依リマスナラバ、常ニ平和ノ使徒ノ如ク
自ラ稱シテ來タ所ノ合衆國ニ於テサヘ、二
月二十五日ノ下院陸軍委員會ニ於テ、戰
時ニ於テハ大統領ハ產業人力ノ一般的徵
發ヲ命ジ得ルコト及ビ公正ナル利潤以
外ノ總テノ收益ヲ國家ニ收用スベキ稅制
確立等ヲ含ム所ノ、戰時產業動員法ヲ可決
シテ居ルノデアリマス、又是ト竝行シテ、
豫テ陸軍省ニ於テ立案中ノ一朝有事ノ時
ニハ四箇月以內ニ二百三十万人ノ軍隊ヲ戰
線ニ送ルト共ニ、是ガ銃後生產力ニ萬遺憾
ナキヲ期スル所ノ戰時總動員計畫ガ完成シ
タト報道サレテ居ルノデアリマス、斯ル國
際情勢ハ、曩ニ述ベタ我國ノ歷史的使命ヲ
果ス爲ニ今ヤ躍進ヲ遂ゲツヽアル日本ニ取
リマシテハ、國防力ノ充實ガ絕對的ニ必要
デアルコトハ多言ヲ要シナイノデアリマス
(拍手)而シテ近代戰爭ハ國力戰爭デアリ、
兵員ノ動員竝ニ軍需工業ノ動員ノミデハ極
メテ不十分デアッテ、國ノ人力、經濟力、精
神力ヲ總テ一ツノ中心ニ組織化シ、一元的
作戰計畫ノ下ニ一絲亂レズ、綜合的ニ活動
シ得ルヤウニシナケレバナラヌノデアル
(拍手)國家組織、經濟組織ガ極度ニ高度化
シテ居ル日本ニ於テハ一部局ノ破綻ガ、
直チニ以テ全局ノ破綻ヲ惹起スル虞ガアル
ノデアリマス、國力ノ周到ナル組織化、卽
チ國家總動員計畫ガ絕對的必要デアルト吾
吾ハ信ズルノデアリマス(拍手)本案審議中
ニ現レタ一ツノ反對意見、卽チ總動員計畫
ヲ立法化スルコト卽チ本案提出ハ國民ノ
忠誠心ヲ信賴セザルモノデアリ、且ツ却テ
之ヲ阻碍スルモノデアルトノ意見ガ出タノ
デアリマスケレドモ、斯ル意見ハ一切ノ勞
働立法ニ對シテ、是ハ我國獨特ノ家族主義、
主従ノ美風、溫情主義ノ醇風美俗ヲ破壞ス
ルモノナリトシテ反對シテ來タ態度ト全ク
同斷デアッテ、其非科學的、非論理的デアル
ト云フ點ニ於テハ、遺憾ナク其正體ヲ暴露
シテ居ルノデアリマス(拍手)サウシテ是ハ
單ナル感情論デアリマス、若シ夫レ斯ル美
シイ衣ノ下ニ、此觀念論ノ下ニ、公益ヨリ
モ私益ヲ先ニシ、國家ヨリモ個人ヲ重シト
スルガ如キ資本主義的「イデオロギー」ガ含
マレテ居ルトスルナラバ、此際斯ル思想ハ
斷乎トシテ排擊シナケレバナラヌノデアリ
マス
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=203
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204・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=204
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205・西尾末廣
○西尾末廣君(續) 勞働者ハ勞働ヲ以テ國
ニ報ジ、財力アル者ハ財力ヲ以テ國ニ報ズ
ルトノ愛國心ノ具體的表現ト、之ヲ組織化
シ、總動員法ニ依ラザレバ、今後ノ戰爭ニ
勝利ヲ博スルコトハ出來ナイノデアリマス、
單ナル抽象的ナル愛國心ノミニ依ッテハ、戰
捷ヲ確保スルコトガ出來ナイノデアリマス、
本案ハ又憲法第三十一條ニ規定セル非常大
權ヲ干犯セルモノナリトノ議論ガアッタ父
廣汎ナル委任勅令ハ憲法違反ナリトノ說ヲ
爲ス者ガアッタ、之ニ對スル政府ノ辯明ト對
比シテ、吾等ハ本案提出ノ最初ヨリ確信シ
テ居リマシタ所ノ、卽チ··
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=205
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206・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=206
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207・西尾末廣
○西尾末廣君(續) 大權干犯ニアラズ、憲
法違反ニアラズトノ確信ヲ、吾々ハ少シモ
動搖セシムルコトガナカッタノデアリマス
(拍手)併ナガラ斯ル廣汎ナル委任勅令ヲ伴
フ立法ハ、假令大權干犯ニアラズ、憲法違
反ニアラズト致シマシテモ、又將來ノ戰爭
ノ形態及ビ其規模等ヲ豫測シ難キガ故ニ、
已ムヲ得ザルニ出デタルニモセヨ、一步誤
レバ憲法ノ精神ニ悖リ、且ツ行政獨善ニ陷
リ、爲ニ國民ノ心カラナル積極的協力ヲ阻
碍スルコトトナリ、延イテハ本法ノ所期ス
ル目的ト遠ク相距ル結果トナルヲ保シ難キ
ヲ思ヒ、本法ノ實施運用ニ當ッテハ、政府ハ
極メテ謙虚ニシテ愼重ナル態度ヲ以テ臨ム
ベキデアリマシテ、苟モ權力ヲ弄ビ、且ツ
權力ニ驕ッテハナラナイト信ズルノデアリ
マス(拍手)ソレ故ニ吾々ハ玆ニ五ツノ警告
的希望條項ヲ附シマシテ、以テ躍進途上ニ
在ル日本ノ全責任ヲ背負ッテ立ツ所ノ政府
ヲシテ、誤リナカラシメントスル者デアリ
マス
卽チ吾々ノ希望條項ノ第一ハ、本法ハ最
モ廣汎ナル劃期的國家統制ノ規定ニシテ、
老朽固定セル現行行政機構ヲ以テシテハ所
期ノ目的ヲ達成シ難キニ鑑ミ、政府ハ內閣
制度、中央竝ニ地方行政機構、官吏制度等
全般ニ亙ル刷新改革ヲ斷行スベシ、斯樣ニ
言ッテ居ルノデアリマス、行政機構ノ革新及
ビ官吏制度ノ刷新改革ハ現下ノ國際關係
ニ鑑ミルナラバ、悠長ニ調査〓究中デアル
ト云フコトデハ濟マサレナイノデアリマス、
若シ調査〓究ニ藉口シテ、荏苒日ヲ過スヤ
ウナコトガアリマスナラバ、政府自ラ本法急施
ノ必要ヲ强調シクコトヲ裏切リ、議會ヲ、國
民ヲ欺キクリトノ非難ヲ甘受シナケレバナ
ラヌノデアリマス(拍手)又近衞首相ハ行政機
構ノ改革ト、官吏制度ノ改革ニ付テハ、現在
政治家中最モ熱心ナリト吾々ハ信ジテ居ルノ
デアリマスガ、更ニ又此二ツノ改革ハ、極メテ
至難ナコトニ屬スルガ故ニ、全國民ノ信賴
ヲ一身ニ集メテ居ル所ノ近衞首相コソ、此
難事ヲ爲シ得ルノデアリマシテ、若シ近衞首
相ニシテ之ヲスラ爲シ得ナイトスルナラ
バ、果シテ何人ガ爲シ得ルデアリマセウカ、
遂ニ行政機構ノ改革ト、官吏制度ノ改革ハ
爲シ得ザルモノトノ絕望感ヲ、國民ニ懷カシ
メルヤウナコトガアリマスナラバ、躍進途
上ニ在ル日本國家ノ爲ニ、實ニ由々シキ大
問題デアルト吾々ハ思フノデアリマス、吾々
ハ近衞內閣存續中ニ、是非共是ガ改革サレ
マスヤウニ、近衞總理ノ大英斷ヲ切望シテ
已マナイ者デアリマス
希望條項ノ第二ハ、本法ハ國民ノ擧國的
協力ヲ基礎トスルニアラザレバ所期ノ目的
ヲ達成シ難キニ鑑ミ、擧國的體制ヲ完成ス
ル爲メ常置委員會ノ設置、選擧制度ノ改正
ヲ含ム衆議院ノ改革竝ニ華族議員ノ減少、
職能代表ノ參加ヲ含ム貴族院ノ改革ヲ斷行
スベシ、斯ウ云フノデアリマス、第三ハ、
本法ノ運用ニ關シテハ政府獨善ニ陷ルコト
ヲ避ケ、國家總動員審議會ニ準ジテ本法ノ
統制條項別ニ委員會ヲ設置スベキハ勿論、
從來ノ各種委員會ニ見ルガ如ク、形式ニ堕
スルコトナク、國民各階層ノ創意ヲ積極的
ニ反映セシメルヤウ最善ノ努力ヲ拂フベ
シ、四ハ本法ノ運用ニ依ル直接ノ經濟的損
失ニ付テハ補償ノ規定アルモ、間接ノ損失
ニ付テハ何等ノ規定無キヲ以テ、政府ハ本
法ノ運用ニ付キ、國民生活ヲ阻碍セザルヤウ
ナ萬全ノ注意ヲ拂フト共ニ、戰時社會政策
ノ徹底ヲ期スベシ、五ハ本法中銃後生產力
ノ擴充ト勞働動員ニ關スル規定ノ重要性ニ
鑑ミ、政府ハ勞働者ノ積極的協力ヲ實現シ
得ルヤウ速ニ勞働國策ヲ確立スベシ(拍手)
是ガ吾々ノ政府ニ對スル希望條項デアリマ
ス、
終ニ臨ミマシテ、特ニ諸君ト共ニ此際
吾々ハ思ヲ新ニシナケレバナラヌ一事ガア
ルノデアリマス、ソレハ去ル三月十四日ハ
五箇條ノ御誓文ヲ御發布ナサレマシタ七十
年目ニ當ルノデアリマス、私ハ此機會ニ、
此御誓文及ビ其五箇條ノ御誓文ニ關スル勅
語ヲ拜讀致シマシテ、洵ニ思ヒ深イモノガ
アルノデアリマス
〔發言スル者多ク議場騷然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=207
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208・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=208
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209・西尾末廣
○西尾末廣君(續) 「我國未曾有ノ變革ヲ
爲ントシ」ト、五箇條ノ御誓文ノ勅語ノ冒頭
ニ仰セラレテ居ルノデアリマス、洵ニ然リ、
今日ニ於テモ我國ハ未曾有ノ變革ヲ爲サン
トシテ居ル時デアリマス、サウシテ御誓文
ノ中ニハ「舊來ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ
基クヘシ」斯ウ云フ御趣旨モ謳ハレテ居ルノ
デアリマシテ、此精神ヲ近衞首相ハシッカ
リト把握致サレマシテ、モット大膽率直ニ
日本ノ進ムベキ道ハ是デアルト
-大膽ニ日本ノ進ムベキ道ヲ進ムベキデ
アラウト思フノデアリマス(發言スル者多
ク議場騷然)卽チ今日ニ於キマシテハ(「何
ヲ言フカ」「取消セ」ト呼ヒ其他發言スル者
多ク議場騷然)今日我國ノ求メテ居ルモノ
ハ、確信ニ滿チタ政治ノ指導者デアリマス、
國民ノ信賴ヲ全身ニ集メテ居リマスル所ノ
近衞首相ニシテノミ、初メテ之ヲ斷行スル
コトガ出來ルノデアリマス、私ハ此點ヲ特
ニ總理大臣ニ申上ゲマシテ、本案ニ對スル
贊成ノ意ヲ表スル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=209
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210・小山松壽
○議長(小山松壽君) 今井新造君
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=210
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211・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス-
井上君ニ御注意致シマス、御著席ヲ願ヒマ
ス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=211
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212・小山松壽
○議長(小山松壽君) 重ネテ井上君ニ御注
意致シテ置キマス
〔今井新造君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=212
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213・今井新造
○今井新造君 私ハ第二控室ヲ代表致シマ
シテ、本案ニ對スル贊成ノ意見ヲ明ニシタ
イト存ジマス、本案ガ國防目的達成ノ爲メ
絕對的ニ必要ナル戰時立法ナルコトハ七月十
ノ夙ニ痛感致シマシタ所デアリマシテ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=213
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214・小山松壽
○議長(小山松壽君) 今井君チヨット
只今西尾君ノ御演說中云々ト云
フ御言葉ガアッタヤウニ思ヒマス、議場騒
然トシテ其趣旨ガ能ク分リマセヌ、能ク調
ベタ上ニ適當ナル處置ヲ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=214
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215・今井新造
○今井新造君(續) 吾々ハ本案成立ノ一日
モ速カナランコトヲ熱望致シタ次第デアリ
やく、本日各派代表ハ、ソレ〓〓大同小異
ノ意見ヲ附セラレテ原案ヲ御認ニナリマシ
タコトハ國家ノ爲ニ衷心ヨリ欣快ニ堪ヘ
マセヌ、各派代表ノ意見ヲ承リマスト、要
スルニ本案ハ運用ガ最モ大切デアル、是ガ
運用完キヲ期スルニハ直接是ガ衝ニ當ル
官吏ノ素質ヲ根本的ニ改善シナケレバナラ
ナイ、行政機構ノ改革ヲ斷行シ、官吏制度
ノ改革ヲ斷行シナケレバナラナイ、又官僚
獨善ノ弊風ニ至ッテハ、直チニ之ヲ打破一掃
シナケレバナラナイ、斯ウ云フコトニ付テ
ハ、殆ド衆口一致決定的デアリマス、之二
對シテ近衞總理大臣ガ極メテ率直ニ、官僚
獨善ノ弊風ヲ認メラレマシテ、是ガ刷新ニ
努力致スベシト言明セラレマシタコトハ、
吾々其誠意ニ對シテ敬意ヲ表スル者デアリ
そう、但シ此事タルヤ、如何ニ首相ニ誠意
ガアリ、國務大臣ニ誠意ガアリマシテモ、
單ニ誠意ノミデハ此事ハ實現サレナイ、一
片ノ訓示ヤ、一片ノ訓戒ヲ以テシテハ、到
底其目的ヲ達セラレマセヌ、故ニ此際政府
ハ最モ眞劍ニシテ熱心ナル態度ヲ以テ、有
ユル具體的方策ヲ徹底的ニ確立實行セラレ
マシテ、官吏ノ素質向上、獨善主義ノ打破
ヲ圖ラレタイト云フコトヲ吾々ハ熱望致ス
ト同時ニ、此際吾々ガ特ニ政府ニ希望致シ
マスノハ、國民精神ノ團結、就中國家總動
員ニ最モ必要デアル官民一致協力ノ精神ヲ
愈〓、涵養强化スル意味ヨリ致シマシテ、官吏
ガ國家ヨリ受クル所ノ特權ヲ十分御考究ノ
上、之ヲ斷乎改廢シテ戴キタイト云フ一事
デアリマス、申ス迄モナク戰ニ最モ缺クベ
カラザルハ、國民ノ旺盛ナル精神力デアリ
やく、今日ノ如ク國民一般ガ官吏ニ對シテ
尊敬モ信賴モ拂ハナイ、寧ロ官吏ガ國家ヨ
リ受クル特權ニ對シテ、反感スラ懷クヤウ
ナ有樣ヲ以テシテハ、如何ニ國民精神總動
員ヲ政府ガ力說致シマシテモ、官民一致ノ
結合ヲ圖ルコトハ難カシイノデアリマス、
今日國民ノ中ニハ終日終夜營々トシテ努
力致シマシテモ、尙且ツ衣〓ニ窮スル者ガ
アル、農村ニ又ハ都會ノ巷ニ於テ充滿シテ
居ル、而モ一面、官吏ノ退職者ガ五千圓
〓、一万圓モ別途收入ガアッテ、何等生活ニ
不安ヲ感ゼザルニモ拘ラズ、二千五百圓
モ、三千圓モノ恩給ヲ平然トシテ國家ヨリ
受ケテ居ルト云フコトハ、私ハ餘リニモ不
合理ナ事實デハナイカト思フ、所謂近衞首
相ノ社會正義ニ私ハ反スル事實デハナイカ
ト思フノデアリマス、是ハ勿論單ニ一例ニ
過ギマセヌガ、須ク國民精神ノ團結ヲ圖ラ
ントスルナラバ、斯ノ如キ不合理、斯ノ如
キ非正義ノ點ヲ改革サレテ、國家ノ爲ニ
ハ、官吏自ラ受クル所ヲ薄クシテ、己ヲ空
シウシテ、身ヲ以テ奉公ノ範ヲ垂ルベキデ
アルト私ハ信ジマス、願クハ此際官吏ノ受
クル不合理ナ特權ニ付テハ、切ニ首相ノ一
大英斷ヲ以テ改革サレンコトヲ私ハ切望致
シマス、是ガ希望ノ第一デアリマス
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=215
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216・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=216
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217・今井新造
○今井新造君(續) 希望ノ第二ハ、簡單ニ
申シマスト、自主的外交ヲ確立シテ、正義
日本ノ皇道精神ヲ全世界ニ徹底セシメ、戰
ハズシテ國防ノ目的ヲ達成セラレタイ、斯
ウ云フコトデアリマス(拍手)本案ハ戰ニ備
ヘル爲ノ法案デアル、之ヲ協贊スルニ際シ
テ、戰ハズシテ國防目的ヲ達成セシメルト
云フコトハ、如何ニモ矛盾極マル意見ノ如ク
御考ノコトト存ジマスガ、決シテ矛盾デモ
ナク、撞著デモナイ、凡ソ國防ヲ全カラシ
ムルニハ二ツノ途、二ツノ方法ガアリマ
ス、其一ツハ戰ッテ必勝ヲ期スルコト、他ノ
一ツハ戰ハズシテ敵ヲ服セシメルコトデア
リマス、本案ハ固ヨリ戰ニ必勝ヲ期シ、其
目的ヲ達成スル爲ニ、人的物的一切ノ國力
ヲ擧ゲテ總動員ヲ行フモノデアッテ、一度戰
フ以上ハ本法ノ完全ナル運用ニ依ッテ、吾々
ハ必勝ヲ期スベキデアルガ、抑〓戰ハ末デア
リマス、最後デアリマス、戰ハズシテ敵ヲ
服シ、一滴ノ血ヲ流サズシテ、堂々タル正
義日本ノ主張ヲ貫徹シ、國防ノ目的ヲ達成
セシムルコトガ最上ノ策デナケレバナラヌ
ト私ハ信ジマス、古人ハ百戰百勝ハ善ノ善
ナルモノニアラズト〓へ、又用兵ノ道ハ心
ヲ攻ムルヲ上トナシ、城ヲ攻ムルヲ下
トナス、心戰ヲ上トナシ、兵戰ヲ下トナ
スト〓ヘテ居リマスガ、正ニ然リデアリ
マイ、今囘ノ支那トノ戰ニ於テモ、過去ニ
於ケル外交ガ機宜ノ處置ヲ失シマシテ、旣
ニ戰フ以前ニ於テ、我國ハ心ノ戰ニ敗レ
タ結果ガ、支那ニ日本與シ易シトノ觀念
ヲ與ヘ、第三國亦日本ヲ輕視シタ結果ガ事
態ヲ斯ノ如キ戰ニ迄導イタコトハ事實デア
リマス(拍手)
併シ吾々ハ今日旣往ノコトハ一切咎メタ
クアリマセヌ、唯愼ムベキハ將來デアルト
思フ、今日以後ニ於テ假ニモ外國カラ侮ヲ
受ケル如キ軟弱ナル外交ヲ繰返シテハナラ
ナイ、堂々日本ノ主張ヲ全世界ニ宣明シテ、
戰ハズシテ正當ナル日本ノ要求ヲ世界ニ承
認セシムルコトニ飽マデ努力セナケレバナ
リマセヌ、斯ル見地ヨリシマシテ此總動員
法案ヲ見ル時ニ、吾々ハ直チニ國家トシテ
宣傳省ノ如キ機關ヲ新設シテ、各省ヲ初メ、
有ユル情報機關ヲ之ニ依ッテ綜合統一シ、國
ノ外ニ向ッテハ帝國ノ主義、帝國ノ方針、帝
國ノ主張、之ヲ宣明シテ能ク理解ヲ與ヘ、
內全國民ニ對シテハ、之ニ依ッテ普ク時局
ニ對スル認識ヲ與ヘテ、啓蒙ニ資スルト共
二、國家ガ必要トスル有ユル革新政策ノ如
キモノニ對スル深キ理解ヲ與フルコトノ最
モ必要ナルコトヲ私共ハ痛感致シマス、宜
シク政府ハ此點ニ付テ善處セラレンコトヲ
希望シマス
第三ノ希望ハ、本法第五十條ノ審議會ニ
關スルコトデアリマス、一言ニシテ吾々ノ
希望ヲ述ベレバ、此審議會ニ貴衆兩院ヲ尊
重スルコトハ勿論デアルガ、政府ハ議院ヲ
尊重スルト云フコトト、政黨ヲ尊重スルコ
トトヲ混同シテハナラナイ、審議會委員ニ
ハ、政黨ト云フモノニ囚ハレナイデ、議員
中ヨリ眞ニ具眼達識ノ士ヲ選ブベシト云フ
ノガ吾々ノ主張デアリ、希望デアリマス、國
家總動員ノ立前ヨリ致シマシテモ、選擧法ヲ
根本的ニ改正シテ、議會ヲ刷新向上セシム
ルコトノ必要ハ論ズル迄モアリマセヌガ、
議會ニ多數ヲ占ムル政黨ニ對シテモ、吾々
ハ國家總動員ノ立前ヨリ其刷新ノ急務ナル
コトヲ痛感致シマス、本案審議ノ跡ヲ顧ミ
マスルニ、初メ本案ニ對シテ委員中ニハ、
之ヲ大權ノ干犯ナリト斷ジ、不臣ノ法案ナ
リト斷ジ、更ニ或ル者ハ、吾々ノ先輩諸氏
ガ產ヲ傾ケ、身ヲ抛ッテ築キ上ゲタル今日ノ
憲法ノ殿堂ガ、此一片ノ法律ニ依ッテ滅ボサ
レルカト思ヒマスルナラバ、吾々ハ最モ愼
重ニ勇敢ニ非常ノ決意ヲ以テ審議スベキデ
アリ、此國家總動員法案ハ立法部ニ對スル
二·二六事件ガ起リツヽアルノデアルト斷
言シテ憚ラナイト言ハレタ方ガアル、政府
ハ速ニ此法案ヲ撤囘シロ、斯ル法律ニ對シ
テ帝國議會ハ斷ジテ協贊ヲ與ヘテハナラナ
イ、斯ウ云フ意見ヲ述ベラレタ方ガアル、
其後委員會ニ於キマシテモ、最後マデ反對
ノ意見ガ滿チテ居ッタコトハ政府モ能ク御
承知ノコトデアルト思フ、吾々ハ此狀態ヲ
見マシテ、本法案ハ斷ジテ議會ニ於テ協贊
ヲ得ルコトハ困難ナリト初メ觀察致シマシ
テ、國家ノ爲メ憂慮致シテ居ッタ次第デアリ
さく、然ルニ本日各派代表ノ諸君ガ····
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=217
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218・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=218
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219・今井新造
○今井新造君(續) 滿場一致本案ニ對シテ
之ニ贊成ヲ與ヘマシタトハ、洵ニ私ハ國家
トシテ欣快之ニ過グルモノハナイト思フト
同時ニ、一面政黨議員ノ言說ナルモノガ如、
何ニ無定見デアリ、無權威デアルカト云フ
コトヲ痛感セザルヲ得ナイ
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=219
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220・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=220
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221・今井新造
○今井新造君(續) 固ヨリ本案ニ諸君ガ贊
成セラレマス以上ハ、本案ヲ大權ノ干犯ナ
リ、不臣ノ法案ナリト斷定セル認識ガ、根
本ニ於テ誤リデアッタコトヲ自覺セラレタ
結果デアルト私ハ信ズル、斯ノ如キ不穩當
ノ言辭ヲ爲シタコトガ、國民ニ大ナル不安
ヲ與ヘタコトハ否ムコトガ出來ナイ、本法
審議ノ委員會ニ於テ、或ル議員ハ今ヤ議院
ノ尊嚴ハ冐瀆セラレ、政黨ノ威信ハ失墜セ
ラレテ來テ居ルト述ベラレマシタガ、苟モ
國民ヲ代表スル議員ノ一言一行ト云フモノ
ハ飽マデ良心的デアリ、信念的デナケレ
バナラヌト私ハ信ズル、言ヘバ必ズ行ヒ、
行ヘバ必ズ果スト云フ信念ニ立脚シナケレ
バナラヌト思フ、然ルニ議會ニ於ケル言說
ガ定見ナク、識見ナク、輕卒デアリ、不謹
愼デアルナラバ、國民ガ之ヲ蔑視シ、信賴
セザルニ至ルハ、私當然ノ事デアルト思フ、
政府ハ斯ル點ニモ能ク留意セラレマシテ、
所謂審議會ニ付テハ、政黨政派ニ囚ハレル
所ナク、眞ニ國家ノ爲メ、具眼達識ノ士ヲ
起用セラレンコトヲ熱望シテ已ミマセヌ、
私ノ贊成意見ハ之ヲ以テ終リト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=221
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222・小山松壽
○議長(小山松壽君) 三田村武夫君
〔三田村武夫君登壇〕
〔議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=222
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223・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス-
靜肅ニ-靜肅ニ願ヒマス
〔離席スル者アリ議場騷然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=223
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224・小山松壽
○議長(小山松壽君) 田中君ノ著席ヲ求メ
マス-田中君ノ著席ヲ求メマス
〔議場騷然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=224
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225・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス
〔離席者多ク議場騷然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=225
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226・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御著席ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=226
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227・三田村武夫
○三田村武夫君 私ハ東方會ヲ代表シマシ
テ、次ノ二點ニ付キ政府ノ決意ヲ促シテ本
案ニ贊成致シマス、第一點、政府自身ノ總
動員體制確立ヲ要請スル、日支事變勃發以
來、政府施政ノ跡ヲ振返ッテ見マスト、一貫
シタル不動ノ決意ト確信ガアリマセヌ、不
擴大、局地解決主義カラ、全面的擴大主義
トナリ··
〔議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=227
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228・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=228
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229・三田村武夫
○三田村武夫君(續) 政府ハ國民政府對手
ニセズトノ聲明ヲ發シ、蔣介石政權ノ徹底
的壞滅ヲ期スルト言ヒマシタガ、南京陷落
後、事態ハ膠著シテ殆ド進捗シテ居リマセ
ヌ、蔣介石ハ依然トシテ長期抗戰ヲ豪語シ、
松井司令官凱旋ノ後ヲ追フガ如ク、敵ノ飛
行機ハ我ガ臺灣ヲ空襲シテ居リマス、國民
ハソコニ大ナル不安ト不滿ヲ持ッテ居リマ
ス、固ヨリソコニハ日本內外ノ複雜微妙ナ
ル諸條件ガ作用シテ居ルコトハ、吾々ト雖
モ知ッテ居リマスガ、一面重大ナル理由ノ一
ハ、政府自身ノ戰時體制不確立ニアルコト
ヲ、深ク指摘セザルヲ得ナイノデアリマス
〔議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=229
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230・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=230
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231・三田村武夫
○三田村武夫君(續) 日支事變ヲ契機トシ、
更ニ之ヲ「スタート」トシテ、日本何ヲナス
ベキカハ旣ニ明白デアリマス、ソレハ歷史
ノ〓フル民族ノ飛躍デアリ、日本國ノ一大
躍進デアラネバナリマセヌ、百万ノ大軍ヲ
戰線ニ送リ、數万ノ同胞ヲ肉彈トシテ國家
ニ報ジタ國民大衆ハ、之ヲ確信シ、要請シ
テ已ミマセヌ、政府モ亦之ヲ確信シテ居ル
筈デアリマス、然ルニ政府ノ態度ハ極メテ
不徹底デアリマス、其外交工作ニ於テ、其
內政ノ政治運用ノ態度ニ於テ、又戰爭目的
ノ爲ノ經濟動員ニ於テ、不動ノ確信ト信念
ナク、政府ソレ自身總動員體制ガ確立シテ
居ナイノデアリマス、全閣僚ハ果シテ渾然
一體ノ實ヲ示シテ居リマスカ、戰線ノ將兵
ガ君國ノ爲ニ肉彈ヲ捧ゲル赤誠ト純情ヲ、
閣僚諸公モ亦自ラノ魂トシテ、不動ノ戰時
體制ヲ確立シテ戴キタイノデアリマス、今
囘ノ事變ヲ通ジテ街頭ノ全國民ガ捧ゲタ愛
國ノ情熱ヲ基礎トシテ、政府自ラ先ヅ總動
員體制ヲ確立シ、全國力ヲ提ゲテ有史以來
ノ國家的態度完成ニ邁進スベキコトヲ、此
肉彈ヲ捧ゲタ國民ノ名ニ於テ政府ニ要請致
シマス
第二點、經濟ノ戰時體制ヲ先ヅ確立シナ
ケレバナリマセヌ、近代戰ハ單ナル武力戰
デハアリマセヌ、國力戰デアルコトハ旣ニ
國民モ齊シク理解スル所デアリマス、就中
戰勝ノ爲ニ絕對必要不可缺條件ハ、經濟力
ノ一元的運營デアリマス、卽チ國家ノ全經
濟力ヲ戰爭目的ノ爲ニ動員シ、運營スルコ
トガ絕對ニ必要デアリマス、今事變ニ當ッテ
吾々國民大衆ハ旣ニ百万ノ大軍ヲ戰線ニ送
リ、數万ノ同胞ヲ肉彈トシテ君國ニ報ジテ居リ
マス、然ルニ國防力ノ中心タル產業經濟ガ、
果シテ戰爭目的ト同一ノ線ニ動員サレテ居
リマセウカ、賀屋大藏大臣ハ前囘ノ臨時議
會前々囘ノ特別議會、又今議會ノ本會議、
委員會ヲ通ジテ屢〓言明シテ居ラレマス、二
百億、三百億ノ戰費心配ナシト言明サレテ
居リマス、然ルニ僅カ二十五億ノ軍事公債
消化ノ爲ニ、國民ノ少額ナル貯金ヲ引出サ
シメテ愛國公債ヲ買ハシメ、イタイケナ子
供ノ小遣錢マデ取上ゲテ、愛國貯金ヲ爲サ
シメテ居ルデハアリマセヌカ、更ニ來ルベ
キヨリ大ナル戰局ニ備フル爲ノ、滿洲重工
業開發ニ要スル僅カ四億カ五億ノ資金ヲ、
國內ノ產業經濟界ニ求メ得ズシテ、危險ト
不安ノ伴フ外資輸入ニ俟タザルヲ得ナイ、
日本財界ノ醜態ハ何事デアリマスカ、國ノ
總豫算僅カ二億五千万圓、其時ニ日本ハ二
十五億ノ戰費ヲ支出シ、更ニ戰後經營ノ爲
ニ十數億ノ資金ヲ投ジテ滿洲開發ヲヤッテ
居リマス、其日露戰爭當時ヲ囘顧シテ、現
在ノ日本財界人ノ愛國的良心ヲ疑ハザルヲ
得ナイノデアリマス
〔議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=231
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232・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=232
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233・三田村武夫
○三田村武夫君(續) 國民ガ肉彈ヲ捧ゲテ
君國ニ報ジテ居ル時、財界上層部ノ人々ガ
私益追求ヲ第一トシテ、國家最高ノ目的ニ
協力セザル態度ハ、正ニ國民ノ名ニ於テ糾
彈シナケレバナリマセヌ、最近吾々ハ日本
財界ノ一角カラ屢〓不愉快ナル噂ヲ耳ニ致
シマス、ソレハ或ハ生產力不足ヲ理由トシ、
或ハ財界混亂ヲ名トシテ、戰爭打切論ヲ爲
ス者アリ、或ハ又蔣介石政權トノ和平解決
ヲ云々シツヽアル者ガアルノデアリマス、
斯ノ如ク產業經濟界ノ狀態ヲ放任シテ、何
處ニ國力ノ總動員ガアリマセウカ、本法ヲ
協贊シ、國民大衆ノ權利自由ヲ制限シ、束
縛シテ、其決意ヲ促シテモ全ク無意義デア
リマス、政府ハ速ニ國家卽經濟ノ原則ヲ確
立シ、本法發動ノ效果ヲ全カラシムベキ經
濟ノ戰時體制ヲ確立シナケレバナリマセヌ
第三點、私ハ最後ニ待望スル意味ニ於テ、
協賛スルノデハアリマセヌ、今囘ノ日支事
變ヲシテ亞細亞戰爭ノ最後タラシメ、國民
ニ戰爭ト國力ノ總動員ニ付テ一言致シマ
ス、吾々ハ此戰爭準備立法ヲ協贊致シマス
ガ、ソレハ來ルベキ大戰爭ヲシテ、再ビ戰
爭ノ慘禍ト忍苦ヲ味ハシメザル爲ニ、此
國防目的完成ノ爲ニスル國家總動員法ノ
成立ヲ期待スルノデアリマス、元來何レ
ノ國家ニ於テモ、其生命ノ育成ト獲得ノ爲
ニスル國家最高ノ目的ヲ持ッテ居リマス
ガ、日本ノ當面スル其國家最高ノ目的ハ、
民族ノ發展ト國家ノ躍進デアリマス、ソレ
ハ政治的、經濟的支配權ノ擴大デアリマス、
日本ヲ中心トシタル亞細亞民族國家ノ建設
デアリマス、而シテ此國家目的遂行ノ爲ニ
スル國家活動ノ常則ハ、政治ノ作用デアリ、
外交ノ活動デナケレバナリマセヌ、然ルニ
其政治外交ノ活動ガ萎縮シ、敗北スル所ニ
必ズ戰爭ガアリマス、卽チ戰爭ハ政治外交
ノ失敗ヲ補フ最後ノ手段デアッテ、政治外交
ノ失敗ヲ國民ノ肉彈ヲ以テ補ハザルヲ得ナ
イ事態ハ、國家ノ爲ニ最大ノ不幸デアリマ
ス、今囘ノ日支事變發生ノ原因ニ見テモ、
政治外交ノ力ニ依ッテ、國民政府ノ排日抗日
政策ヲ是正スルコトガ出來ズ、遂ニ肉彈ヲ
以テ之ヲ戰ヒ取リツヽアルノデアリマス、
吾々ハソコニ最モ嚴肅ナル國民的批判ヲ加
ヘネバナリマセヌ、此故ニ吾々ハ此國民ノ
肉彈ヲ基礎トシ、之ヲ國家躍進ノ礎トシテ、
此事變ノ戰果ヲ全カラシメナケレバナリマ
セヌ、其爲ノ國民的要求ハ南京陷落後ニ來
ルベキ廣東攻略デアリマス、廣東攻略ヲ爲
サヾル限リ蔣介石政權ノ命脈ハ、斷ジテ斷
チ得マセヌ、政府ハ一月十六日聲明ニ於テ
國民政府ヲ對手トセズト言ヒ、更ニ敷衍シ
テ蔣介石政權ノ徹底的壞滅ヲ期スルト言明
シナガラ、今日尙ホ蔣政權ハ依然トシテ存
續シテ居リマス、國策ノ推進力タル國防ハ、
軍部ノ單獨責任デハアリマセヌ、國家全體
ノ責任デアリ、國民全體ノ責任デアリマス、
今回ノ事變ニ當リ愛國ノ至誠ヲ傾ケ、肉彈
ノ犠牲ヲ捧ゲテ、國家目的ニ奉ジタ國民大
衆ハ、斷ジテ不徹底ナル解決ヲ許シマセヌ
(「簡單々々」「頑張レ」「シッカリヤレ」ト呼ヒ
其他發言スル者多シ)事今日ニ至ッテ政府ハ
何ガ故ニ廣東作戰ヲ躊躇スルノカ、獨墺合
併ニ依ル民族國家完成ノ躍進ノ偉業ヲ見タ
吾々日本人ノ血液ハ、躍動シテ居リマス
最早日本ハ何人ノ干渉モ、何國ノ容喙モ受
ケテハナリマセヌ、此國民ノ愛國的情熱ヲ
基礎トシテ、全國民ヲ總動員シテ、蹶然起ッテ
不動ノ決意ヲ宣言シナケレバナリマセヌ、
而シテ過去久シキニ亙リ東洋全民衆ヲ搾取
シ、壓迫シ來ック歐米諸列國、就中英吉利ノ
極東ニ於ケル勢力ヲ驅逐シ、更ニ「ソ」聯邦
ノ極東赤化政策ヲ擊滅シナケレバ、斷ジテ
吾々ハ退キ得ナイノデアリマス(拍手)ソレ
ノミガ肉彈ノ犠牲ヲ活カス唯一ノ途デアリ、
現日本ノ全國民ニ課セラレタル歷史的使命
デアリマス、國家總動員體制ノ確立ハ、此
歷史的大業完成ノ爲ニ、絕對不可缺ノ條件
デアルコトヲ結語トシテ、私ハ本案贊成ノ
意思表示ト致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=233
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234・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ討論ハ終局致
シマシタ、本案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤニ
付キ採決致シマス、本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=234
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235・小山松壽
○議長(小山松壽君) 起立總員
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=235
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236・小山松壽
○議長(小山松壽君) 全會一致ヲ以テ本案
ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=236
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237・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
カレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=237
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238・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=238
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239・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
國家總動員法案第二讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=239
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240・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌカラ、委員長ノ報〓通リ決シマシタ、
是ニテ本案ノ第二讀會ハ終リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=240
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241・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第三讀會ヲ開
カレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=241
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242・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=242
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243・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第三讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
國家總動員法案第三讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=243
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244・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌカラ、本案ハ第二讀會議決ノ通リ可決
確定致シマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=244
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245・小山松壽
○議長(小山松壽君) 西尾末廣君ヨリ議事
進行ニ關スル發言ヲ求メラレテ居リマス、
此際之ヲ許シマス-西尾末廣君
〔西尾末廣君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=245
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246・西尾末廣
○西尾末廣君 先程私ノ演說中
ト申シマシタコト
ハ此際取消シマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=246
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247・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス-
只今ノ西尾末廣君ノ演說中ノ言辭ニ付テ、
西尾君ヨリ取消ノ御申出ガアリマシタガ、
御演說ニ依ッテ議場ヲ騒然タラシメタルノ
ミナラズ、西尾君ノ議論ニハ相當重大ナル
點アリト議長ハ認メマスカラ、西尾末廣君
ヲ懲罰委員ニ付シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=247
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248・服部崎市
○服部崎市君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=248
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249・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=249
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250・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會ノ議
事日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日
ハ是ニテ散會致シマス
午後九時十九分散會
衆議院議事速記錄第二十三號中
正誤
頁段行誤正
五一九三二一伊勢ノ聖地伊勢聖地
衆議院議事速記錄第二十七號中
正誤
六二七頁四段三行「ニ關スル」ノ四字削除
衆議院議事速記錄第二十八號中
正誤
六五〇頁一段ノ二四行及二五行ハ削除発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X02919380316&spkNum=250
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