第73回帝国議会　衆議院　臨時租税増徴法中改正法律案外七件委員会　第6号　昭和13年2月23日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　付託議案
  　　臨時租税増徴法中改正法律案（政府提出）
  　　所得税法中改正法律案（政府提出）
  　　相續税法中改正法律案（政府提出）
  　　登録税法中改正法律案（政府提出）
  　　酒造税法中改正法律案（政府提出）
  　　酒精及酒精含有飮料税法中改正法律案（政府提出）
  　　麥酒税法中改正法律案（政府提出）
  　　大正九年法律第十二號中改正法律案（所得税法の施行に關する件）（政府提出）
  　　支那事變特別税法案（政府提出）
  　　臨時利得税法中改正法律案（政府提出）
  　　臨時租税措置法案（政府提出）
  　　日滿國税徴收事務共助法案（政府提出）
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  　　　　會議
  昭和十三年二月二十三日（水曜日）午前十時四十分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　高橋熊次郎君
  　　　理事　岡本實太郎君　理事　岩瀬亮君
  　　　理事　西村金三郎君　理事　野中徹也君
  　　　理事　東條貞君　理事　片山哲君
  　　　　　　川崎克君　前田房之助君
  　　　　　　勝正憲君　矢野庄太郎君
  　　　　　　川崎末五郎君　宇賀四郎君
  　　　　　　川副隆君　渡邊玉三郎君
  　　　　　　青山憲三君　宮本雄一郎君
  　　　　　　服部岩吉君　木本主一郎君
  　　　　　　岡田忠彦君　山川頼三郎君
  　　　　　　森田福市君　鶴惣市君
  　　　　　　豐田收君　曾木重貴君
  　　　　　　水谷長三郎君　三木武夫君
  　　　　　　馬場元治君
  二月二十二日支那事變特別税法案（政府提出）、臨時利得税法中改正法律案（政府提出）、臨時租税措置法案（政府提出）及日滿國税徴收事務共助法案（政府提出）の審査を本委員に付託せられたり
  　出席國務大臣左の如し
  　　　　　　　　大藏大臣　賀屋興宣君
  　　　　　　　　商工大臣　吉野信次君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　　大藏政務次官　太田正孝君
  　　　　　　　大藏參與官　中村三之丞君
  　　　　　大藏省主税局長　大矢半次郎君
  　　　　　　　大藏書記官　松隈秀雄君
  　　　　　　　大藏書記官　田中豐君
  　　　　　商工省商務局長　新倉利廣君
  　　　　　拓務省殖産局長　植場鐵三君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　臨時租税増徴法中改正法律案（政府提出）
  　所得税法中改正法律案（政府提出）
  　相續税法中改正法律案（政府提出）
  　登録税法中改正法律案（政府提出）
  　酒造税法中改正法律案（政府提出）
  　酒精及酒精含有飮料税法中改正法律案（政府提出）
  　麥酒税法中改正法律案（政府提出）
  　大正九年法律第十二號中改正法律案（所得税法の施行に關する件）（政府提出）
  　支那事變特別税法案（政府提出）
  　臨時利得税法中改正法律案（政府提出）
  　臨時租税措置法案（政府提出）
  　日滿國税徴收事務共助法案（政府提出）

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=0

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• 001・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　是ヨリ會議ヲ開キマス、大
  藏大臣ハ只今貴族院ニ出席サレテ居リマス
  ルカラ、追テコチラニ見エル筈ニナッテ居リ
  マス、此場合新シク付議セラレマシタ諸案
  ニ付テ、太田政務次官ヨリ說明ガアリマス、
  ソレヨリ引續キ材料ノ請求、ソレカラ大藏
  大臣ガ御見エニナリマシタラ、質疑ヲ致サ
  レンコトヲ望ミマス

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• 002・太田正孝

  ○太田政府委員　當委員會ニ御審議ヲ御願
  申シマスル法律案ハ、支那事變特別稅法案
  ト臨時利得稅法中改正法律案ト、臨時租
  稅措置法案ト、日滿國稅徵收事務共助法案
  ノ四ツデゴザイマス、其大體ニ付キマシテ
  ハ、過日本會議ニ於キマシテ、大藏大臣カ
  ラ御說明申上ゲタノデゴザイマスガ、尙ホ
  少シク詳細ニ附加ヘテ、御說明申上ゲタイ
  ト存ジマス、先ヅ支那事變特別稅法案竝ニ
  臨時利得稅法中改正法律案ニ付テ申上ゲマ
  ス、支那事變ニ關スル臨時軍事費ニ付キマ
  シテハ、第七十一議會及ビ第七十二議會ノ
  御協贊ヲ得マシテ、是ガ經費ヲ支辨シ來テ
  居ルノデアリマス、併シ今囘更ニ之ヲ增額
  スルノ必要ヲ生ジマシタノデ、不日臨時軍
  事費追加豫算案ヲ本議會ニ提出致ス積リデ
  アリマス、此臨時軍事費ニ要スル財源ハ、
  其大部分ヲ公債ニ俟ツコトニ致シタイト存
  ジマス、ケレドモ其一部ハ銃後ノ國民ガ、其
  分ニ應ジ租稅ヲ以テ負擔スルノヲ適當ト認
  メマシテ、玆ニ增稅案ヲ作成スルコトト致
  シタ次第デアリマス、租稅ノ增徵ニ當リマ
  シテハ、國民ノ負擔力ニ能ク意ヲ注イデ、
  所得稅ヲ中心トシテ增收ヲ圖ルコトト致シ
  又事變ノ影響等ニ因ッテ利益ノ著シク增加
  致シタ者ニ對シマシテハ、新ニ標準ヲ設ケ
  テ、其增加利益ニ課稅致シマスルト共ニ、
  比較的擔稅力アル方面ノ消費スル物品又
  ハ行爲ニ課稅スル爲ニ、物品特別稅ノ範圍
  ヲ擴張致シマシテ、更ニ通行稅、入場稅ヲ
  設クルコトニ致シタノデアリマス、尙ホ昨
  年御協贊ヲ得マシテ、目下施行サレテ居リ
  マスル北支事件特別稅ハ、今囘ノ增稅案ノ
  施行ト共ニ、廢止セラルヽ豫定デアリマス
  是ヨリ法案ノ內容ニ付テ、順次御說明申
  上ゲマス、先ヅ所得稅デアリマスルガ、所
  得稅ノ中第一種所得、卽チ法人ノ所得ニ對
  シマシテハ、普通所得稅、〓算所得稅及ビ
  同族會社ノ加算稅ヲ、ソレ〓〓二割五分程
  度增スコトニ致シマシタガ、北支事件特別
  稅ニ於テ、第一種所得稅ニ付テハ、稅額ノ
  一割程度ノ增徵ヲ行ッテ居リマスルカラ、今
  囘二割五分上ゲタト申シマシテモ、其一割
  ノ關係ヲ考ヘテ見マスルト、今囘ノ增徵ニ
  依ル負擔增加ハ一割五分ニナルノデアリマ
  ス、北支事件關係ノ一割ト、今度ノ一割五
  分ヲ合セテ二割五分トナルト云フ意味デゴ
  ザイマス、尙ホ法人ノ超過所得ニ對スル增
  徵額ハ、北支事件特別稅ト全ク同樣ニ、之
  ヲ一割ノ程度ニ止ムルコトト致シマシタ、
  第二種ノ所得稅ニ付キマシテモ、原則トシ
  テ其稅率ヲ二割五分程度引上ゲルコトニ致
  シマシタ、ケレドモ北支事件特別稅ニ依ル
  增徵五分ヲ引キマスト、二割ノ增徵トナ
  ル譯デアリマス、併シ國債ノ消化スルコ
  ト、竝ニ產業資金ノ疏通ト云フ點ナドヲ
  考ヘマシテ、國債ノ利子ニ付キマシテハ、
  利率年四分以下ノモノニ對シテハ增徵ヲ
  見合セマス、又地方債竝ニ社債ノ利子ニ
  付キマシテハ、利率年四分五厘以下ノモ
  ノ、銀行預金ノ利子、貸付信託ノ利益ニ
  付キマシテハ、其增徵率ヲ少ク致シタ次第
  デアリマス、第三種卽チ個人ノ所得稅ニ付
  キマシテモ、其稅額ノ二割五分ヲ增徵ス
  ルコトト致シマシタガ、北支事件特別稅
  ニ於キマシテハ、第三種所得稅ニ付テ、四
  期ノ納期ノ中三期分ニ付テ一割ノ增徵ヲ行ッ
  タノデアリマスルカラ、今囘ノ增徵ニ依ル
  負擔ノ實際ノ增加ハ、一割五分程度トナル
  次第デアリマス、又課稅ノ最低限千二百圓
  ヲ千圓ニ引下ゲマシテ、國民ノ所得稅ヲ負
  擔スル範圍ヲ廣ク致シタノデアリマス、尙
  ホ各種ノ租稅ノ增徵ノ結果、其負擔ガ著シ
  ク過重トナル場合ガアリマスルノデ、法人ニ
  付キマシテハ、前ニ申述べマシタ普通所得
  及ビ超過所得ニ對シテ增シマスル高ハ、普
  通所得ノ百分ノ五十ニ相當スル金額カラ、
  普通所得及ビ超過所得ニ對スル所得稅額ト
  臨時利得稅額トノ合計金額ヲ引キマシタ殘
  リヲ超ユルコトヲ得ナイコトト致シマシタ、
  同族會社ノ普通所得ニ對スル所得稅ニ加算
  スル稅額ニ付キマシテモ、是ト同趣旨ノ負
  擔ノ緩和ヲ爲スコトト致シマシタ、個人ニ
  付キマシテモ、第三種所得稅ノ增徵額ハ、第
  三種所得ノ百分ノ五十五ニ相當スル金額カラ
  第三種ノ所得ニ對スル所得稅額ヲ引キマシ
  タ殘リヲ超ユルコトガ出來ナイコトニ致シタ
  ノデアリマス、ソレ〓〓斯樣ニシテ其負擔ノ
  緩和ヲ爲スノ規定ヲ設ケタノデアリマス
  臨時利得稅ニ付キマシテハ、北支事件
  特別稅ニ於ケルト同樣ニ、其稅額ノ一割
  五分ヲ增スコトト致シマシテ、之ヲ甲種利
  得ノ課稅トシテ引續イテ課スルコトニ致シ
  マシタ、更ニ北支事變ノ影響ナドニ因リマ
  シテ、利益ノ增大致シテ居ル者ニ對シマシ
  テハ、此際臨時利得稅ヲ增徵スルノヲ適當
  ト認メマシテ、昭和九年、十年、十一年ノ
  三箇年ノ平均利益ヲ超過スル利得ヲ乙種利
  得トシテ、之ニ對シ法人ニ付キマシテハ百
  分ノ三十、個人ニ付キマシテハ百分ノ二十ノ
  稅率ニ依ッテ、新ニ課稅スルコトニ致シタノ
  デアリマス、尤モ平均利益ガ少イ者ニ付キ
  マシテハ、法人ニアリマシテハ資本ノ一割、
  個人ニアリマシテハ五千圓ヲ以テ平均利益
  トシ、其負擔ヲ緩和スルコトトシ、新規開
  業ノ者ニ付キマシテモ、右ト同樣ノ取扱ヲ
  爲スコトニ致シマシタ、又資本金十万圓以
  下ノ法人ニ付キマシテハ、其稅率ヲ百分ノ
  二十五ト致シマシテ、小資本ノ法人ニ對シ
  テハ增徵ニ依ル負擔ノ增加ヲ緩和スルコト
  ニ致シタノデアリマス、尙ホ法人、個人ト
  モ、甲種利得ニシテ臨時利得稅ヲ課セラルヽ
  乙種利得ニ屬スルモノガアリマス場合ニ
  ハ、其部分ダケハ之ヲ甲種ノ利得カラ控除
  スルコトニ致シマシタ、其他個人利益ガ一
  万圓未滿ノ者ニハ、乙種利得ニ對スル利得
  稅ヲ課セザルコトト致シタノデアリマス、
  利益配當稅、及ビ公債及ビ社債利子稅ハ、
  配當ニ付キマシテハ配當率ノ七分ヲ超ユル
  金額、國債ニ付キマシテハ利率年四分、
  其他ノ公債及ビ社債ニ付キマシテハ利率年
  四分五厘ヲ超ユル金額ニ對シ、百分ノ十ノ
  稅率ヲ以テ課稅スルコトニ致シテ居リマス
  ガ、是ハ北支事件特別稅ノ內ノ利益配當特
  別稅及ビ公債及ビ社債利子特別稅ト全ク同
  樣デアリマス、法人資本稅ニ付キマシテハ、
  新ニ二割ヲ增徵スルコトニ致シマシテ、其
  稅率ハ千分ノ一デアリマスルノヲ、千分ノ
  一·二ニ引上ゲタノデアリマス
  次ニ砂糖消費稅ニ付キマシテハ、各種ノ砂
  糖ノ生產消費ノ實情ヲ考ヘマシテ、其稅額
  ニ付テ約一割ノ增徵ヲスルコトト致シマシ
  タ、其稅率ヲ百斤ニ付七十錢程度引上ゲルコ
  トト致シマシタガ、第一種ノ甲ニ付キマシ
  テハ、百斤ニ付三十錢ニ止メ、第四種ニ付キ
  マシテハ、百斤ニ付一圓ヲ引上ゲルコトト致
  シマシタ外、糖蜜ニ付キマシテモ、砂糖トノ
  負擔ノ振合ヒヲ考ヘマシテ、其稅率ヲソレ
  ゾレ改正致サウトスルノデアリマス、又政
  府ニ於テ相當ト認メル擔保ヲ出シマシタト
  キハ、六箇月以內消費稅ノ徵收ヲ猶豫スル
  コトニナッテ居リマスルノヲ、此際三箇月ニ
  縮メルコトト致シタノデアリマス、取引所
  稅ニ付キマシテハ、株式ノ賣買取引ニ對ス
  ル取引稅ノ稅率ヲ、相當引上ゲル餘地ガア
  ルモノト認メマシテ、長期ノモノニ付テハ
  約三割三分ヲ引上ゲテ、万分ノ六ニ致シ、
  短期ノモノニ付キマシテハ約四割八分ヲ引
  上ゲマシテ、万分ノ四ニ致シタノデアリマ
  ス、通行稅ニ付キマシテハ、汽車、汽船ナ
  ドノ乘客ニ對シ、課稅スルコトニ致シタノ
  デアリマスケレド、五十粁未滿ノ三等乘客
  ニ對シテハ、其負擔力ノ點ヲ考ヘマシテ、
  課稅シナイコトニ致シタノデアリマス、其
  稅率ハ三等乘客ニ付テハ五十粁以上ノモノ
  二錢カラ八百粁以上四十錢マデト致シ、二
  等乘客ニ付テハ、五十粁未滿三錢カラ八百
  粁以上一圓二十錢マデトシ、一等乘客ニ付
  テハ五十粁未滿六錢カラ八百粁以上二圓四
  十錢マデト致シマシテ、ソレ〓〓距離ト等
  級ニ應ジマシタ階級定額稅率ヲ設ケルコト
  ト致シタノデアリマス、次ニ入場稅ニ付キ
  マシテハ、劇場、活動寫眞館、演藝場、舞
  踏場、「ゴルフ」場、野球場、競馬場ナドノ
  入場者ニ對シ、大體其入場料金ノ百分ノ十
  ノ稅率ヲ以テ、課稅ズルコトニ致シマシ
  ク、但シ劇場、活動寫眞館、演藝場等ニ付
  キマシテハ、其入場料ガ一人一囘ニ付キマ
  シテ十九錢ニ滿タナイ場合ニハ、入場稅ヲ
  課サナイコトニ致シタノデアリマス、又學
  生生徒或ハ競技ヲ爲スヲ業トセザル者ノ行
  フ運動競技ヲ觀覧致シマスル爲メ、競技場
  ニ入ル者ニ對シマシテハ、其運動競技ノ性
  質上、之ヲ入場稅ノ規定ト別個ニ定メマシ
  テ、特別入場稅ヲ課スルコトニ致シタノデ
  アリマス
  物品稅ニ付キマシテハ、北支事件特別稅
  法ニ依ッテ、物品特別稅ヲ設ケタノデゴザイ
  マスガ、今囘之ヲ物品稅ト改メマシテ、其
  課稅品目ノ範圍ヲ是マデノ物品特別稅ト比
  ベテ、更ニ擴張致シマシテ、比較的擔稅力
  アル方面ノ消費スル所ノ物品ニ、課稅スル
  コトニ致シタノデアリマス、其稅率ハ北支
  事件特別稅法ニ於キマシテハ、百分ノ二十
  ト云フ一本デアリマシタガ、今囘ハ物品ノ
  種類ニ從ヒマシテ、其稅率ヲ百分ノ十五又
  ハ百分ノ十ト致シタノデアリマス、其外酒
  類及ビ燐寸ニ對シマシテモ、製造場カラ移
  出シマスルトキ、又ハ保稅區域カラ引取リ
  マスルトキニ、物品稅ヲ課スルコトト致シ
  マシタ、其稅率ハ〓酒、白酒、味淋、燒酎、
  麥酒ニ付キマシテハ、一石ニ付五圓、酒精
  及ビ酒精含有飮料ニ付キマシテハ一石ニ付
  七圓、葡萄酒ニ付キマシテハ一石ニ付十五
  圓燐寸ニ付テハ千本ニ付五錢ノ割合ト致
  シマシタ
  以上申述べマシタ增稅計畫ニ依リマ
  シテ、平年度ノ收入ハドウナルカト申シ
  マスト、所得稅ニ於テ一億二千六百餘万
  圓、臨時利得稅ニ於テ三千九百餘万圓、利
  益配當稅ニ於テ三千九百餘万圓、公債及ビ
  社債利子稅ニ於テ二百餘万圓、法人資本稅
  ニ於テ三百餘万圓、砂糖消費稅ニ於テ千餘
  万圓、取引所稅ニ於テ九百餘万圓、通行稅
  ニ於テ八百餘万圓、入場稅及ビ特別入場稅
  ニ於テ千百餘万圓、物品稅ニ於テ六千四百
  餘万圓、合計ニ於テ約三億千八百万圓ノ增
  收トナル見込デアリマスガ、初年度タル昭
  和十三年度ニ於キマシテハ、ザット三億六百
  万圓ノ增收トナル見込デアリマス、尙ホ右
  申述ベマシタ收入ノ外ニ、煙草ノ一部値上
  ニ依リマシテ、昭和十三年度ニ於テ約千万
  圓ノ增收ガアル見込デアリマス
  次ニ臨時租稅措置法案ニ付テ御說明申上
  ゲマス、自作農者又ハ中小商工業者ノ中ニ
  ハ、今囘ノ支那事變ノ影響ナドニ依リマシ
  テ、其收益ノ相當減少シテ居ル者モアルト認
  メラレマス、ソコデ是等ノ人々ノ負擔スル
  地租又ハ營業收益稅ヲ、現行法ノ儘課稅ス
  ルコトハ適當デナイト存ジマシテ、玆ニ臨
  時的措置ト致シ、田畑又ハ營業ノ收益ガ昭
  和九年、十年、十一年ノ三箇年間ノ平均額
  ニ比ベマシテ、二割五分以上減少致シマシ
  タトキハ、其減少ノ程度ニ從ヒマシテ、特
  ニ地租及ビ營業收益稅ノ稅額ヲ、二割乃至
  五割程度輕減スルコトトシ、收益ノ減少致
  シマシタ是等ノ人達ニ對シテ、其負擔ヲ輕
  減致シタイト存ジテ居ル次第デアリマス、
  尙ホ本法案ノ實施ニ伴ヒマシテ、地租附加
  稅營業收益稅附加稅及ビ地方稅ニ付テ
  モ、相當輕減セラルヽコトトナルノデアリ
  マス、又我國ニ於キマシテ此際必要トスル
  鑛物ノ產出ノ助長ヲ圖ル考ヲ以チマシテ、
  金鑛、銅鑛、亞鉛鑛、錫鑛ナドノ鑛物ニ付キ、
  新ニ採掘權ヲ設定致シマシタ場合ニハ鑛產
  稅又ハ特別鑛產稅ヲ課サナイコトト致シ、
  又是等ノ鑛物ノ產出數量ガ昭和十二年中
  ノ產出數量ヲ超過致シタ場合ニ於キマシテ
  ハ、其超過部分ニ付キマシテ鑛產稅又ハ特
  別鑛產稅ヲ、免除スルコトト致シタノデア
  リマス、又砂金以外ノ砂鑛ニ付キマシテ、
  砂鑛區域千坪每ニ三十錢程度ノ特別砂鑛區
  稅ヲ課スルコトト致シマシタガ、是ハ是等
  ノ砂鑛區ニ付、其ノ採掘量ヲ增加セシメン
  トスル趣旨デアリマス、其他棉花ノ節約ニ
  資スル爲「ステープル·ファイバー」麻等ヲ
  混紡致シマシタ綿絲ニ依ル織物ノ一部ガ、
  現在課稅セラレテ居リマスノヲ課稅外ニ置
  クト共ニ、綿絲又ハ「ステープル·ファイ
  バー」麻等ヲ混紡シタル綿絲ト、人造絹絲ト
  ヲ以テ組成シタル織物ノ一部ニ對シ、織物
  消費稅ヲ免除シ得ルノ途ヲ拓クコトト致シ
  タノデアリマス、以上ニ申述ベマシタ臨時
  的措置ニ依リマシテ、平年度ニ於キマシテ
  ハ、地租、營業收益稅、鑛產稅、織物消費
  稅等ノ減收額ハ合計四百万圓、地方稅ニ於
  キマシテハ地租附加稅、營業收益稅附加稅
  等ノ減收額ガ、合計六百餘万圓アリマスノ
  デ、國及ビ地方ヲ通ジマスレバ、約千万圓
  ノ減收トナル見込デアリマス
  終リニ日滿國稅徵收事務共助法案ニ付
  テ、御說明ヲ致シマス、近時滿洲國ノ發展
  ニ伴ヒマシテ、日滿兩國間ノ交通ガ頻繁ニ
  ナリツヽアリマスノニ鑑ミマシテ、兩國相
  互間ニ國稅徵收事務ノ共助ヲ爲シ得ルノ途
  ヲ拓クコトト致シマシテ、玆ニ其法案ヲ提
  出致シマシタ次第デアリマス
  以上ハ支那事變特別稅法案外三件ノ〓要
  ノ說明デアリマス、何卒御審議ノ上、連
  御贊成アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=2

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• 003・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　本委員會ニ付託ニナッテ居
  リマスル臨時租稅增徵法中改正法律案、所
  得稅法中改正法律案、相續稅法中改正法律
  案、登錄稅法中改正法律案、酒造稅法中改
  正法律案、酒精及酒精含有飮料稅法中改正
  法律案、麥酒稅法中改正法律案、大正九年
  法律第十二號中改正法律案、卽チ所得稅法
  ノ施行ニ關スル件、新ニ追加サレマシタ支
  那事變特別稅法案、臨時利得稅法中改正法
  律案、臨時租稅措置法案、日滿國稅徵收事
  務共助法案、右ヲ一括シテ議題ニ供シテ質
  疑ヲ重ネタイト思ヒマス、質疑ノ順序ハ大
  要ニ付テ先ヅ質疑ヲ試ミ、漸次各條ニ亙ッテ
  詳細ナル質問ヲ願ヒタイ、斯ウ云フ大體ノ
  方針デアリマス、ドウカ諸君ニ於カレマシ
  テモ其方針ヲ體セラレテ、御質疑ヲ進メラ
  レンコトヲ望ミマス、但シ委員會ノコトデ
  アリマスカラ、臨時必要ニ應ジテ其順序ヲ
  變更スルコトハ、何等差支ナイト思ヒマス、
  大體其御含ミデ御質疑ヲ續ケラレルヤウニ
  御願致シマス、此場合ニ明日カラノ日程ヲ
  申上ゲマス、明日ハ午前十時ヨリ始メテ、
  午後ハ重要ナル案件ガ本會議ニ上程サレマ
  スルカラ、午後ハ休ミタイト思ヒマス、明
  後日モ左樣ニ大體御含置キヲ願ヒタイト思
  ヒマス、其以後ハ成ベク議會ノ事情ガ許ス
  限リ、午前午後ニ亙ッテ審議ヲ進メタイト思
  ヒマス、本日ハ午前中ハ大藏大臣ハ此席ヲ
  保ッテ戴ケマスガ、午後ニ參議ノ會議ガアル
  サウデアリマスルカラ、三時頃マデ御差支
  アルカノ如ク承ッテ居リマス、追テ午前中
  ノ審議ヲ終リマス頃ニ、諸君ニ御諮リヲ致
  シテ、午後ノ日程ハ決メマス、資料ノ要求
  ハ大藏大臣ノ左樣ノ都合モアリマスカラ、
  午後カ或ハ午前ノ休憩前ニ御申述ヲ願ヒタ
  イト考ヘマス、尙ホ豫メ書面デ委員長ノ手
  許マデ御提出ヲ御願シテモ宜カラウト思ッ
  テ居リマス-是ヨリ質疑ヲ通〓ノ順序デ
  御願致シマス-前田房之助君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=3

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• 004・前田房之助

  ○前田委員　本囘ノ增稅ハ申ス迄モナク、
  臨時軍事費ノ財源ノ一部ニ充當サレルノデ
  アリマスカラ、私ハ審議ヲ進メマスル必要
  上、先ヅ將ニ追加提出サレマスル臨時軍事
  費ノ內容ニ付テ、此際御說明ヲ願ヒタイト
  思フノデアリマス、先般本會議ニ於テ總額
  ハ四十八億五千万圓ト云フコトヲ承ッタノ
  デアリマスルガ、其內容ヲ陸軍省幾ラ、海
  軍省幾ラ、大藏省所管幾ラト云フ風ニ、內
  容ノ御說明ヲ願ヒタイト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=4

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• 005・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　今書類ヲ直グ取寄セマシ
  テ申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=5

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• 006・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　前田君ニ御諮リ致シマス、
  今大藏大臣ハ說明ノ資料ヲ取寄セテ居ルサ
  ウデアリマスカラ、何カ其以外ニ御質問ガ
  アレバ、ソレヲ御續ケニナッテハドウデス
  カ、御待チニナリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=6

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• 007・前田房之助

  ○前田委員　ソレカラ聞キマセヌト、一寸
  議論ヲ進メニクイデスカラ·····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=7

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• 008・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　ソレデハ此場合ニ資料ノ御
  要求ヲ承リマセウ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=8

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• 009・東條貞

  ○東條委員　資料ノ要求ヲ致シマスガ、臨
  時措置法ニ依リマスル減收ノ見込ヲ承リタ
  イ、ソレカラ本稅ノ增減ニ依リマスル附加
  稅ノ增減ガ、ドウ云フ風ニナリマスカ、地
  方ノ自治體ノ附加稅ノ見込ヲ承リタイ、ソ
  レカラ物品特別稅ノ收入ノ見込デアリマス、
  是ハ各品種別ニ詳細ナモノヲ頂戴致シタイ

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• 010・岡本實太郎

  ○岡本委員　資料ヲ要求致シマスガ、法律
  案ニ依ッテ命令ニ委任シテアル各事項ノ內
  容ヲ、成ベク早ク御提出願ヒタイ、尤モ極
  ク詳細ナコトハ宜シウゴザイマスカラ、大
  體ノ數字ダケヲ早ク知リタイト思ヒマス、
  尙ホ序ニ、朝鮮、臺灣、樺太ニ於ケル國稅
  額地方稅額、其合計額、竝ニ各人口千人
  當リ一覽表、及ビ滿洲國ニ付テモ同樣ナル
  モノヲ御提出願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=10

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• 011・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　今ノ前田委員ノ御尋ニ對
  シマシテ、遲クナリマシテ甚ダ申譯アリマ
  セヌデシタ、大體申上ゲマス、陸軍ノ分ガ
  三十二億五千万圓、海軍ガ十億五千万圓、
  豫備費ガ五億五千万圓、合計四十八億五千
  万圓デアリマス、併シ今尙ホ其細部ニ付キ
  マシテ詮議中デアリマスノデ、合計ニ於テ
  或ハ數百万圓、多クナレバ一千万圓、又陸
  軍、海軍ニ於キマシテモ、今申上ゲマシタ
  金額ヨリ數百万圓程度ノ動キハアルカモ知
  レマセヌ、大體ノ見當ヲ申上ゲレバ、右申
  上ゲマシタヤウナ通リデアリマス

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• 012・前田房之助

  ○前田委員　此軍事費ハ昨日ノ本會議ニ於
  キマシテハ、大體次ノ通常議會マデハ是デ
  十分デアル、斯ウ云フ意味ノ答辯ガアッタノ
  デアリマスガ、其意味ハ本年ノ四月一日カ
  ラ來年ノ三月三十一日マデ、卽チ十三年度
  中ハ是デ十分ダト云フ意味デアルノデアリ
  マスカ、或ハ通常議會ノ開會マデ、是デ十
  分デアルト云フ意味デアリマスカ、取リ方
  ニ依ッテハ大分期間ガ違ッテ來ルノデアリマ
  ス、大體ドウ考ヘテ宜イノデアリマスカ

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• 013・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　今ノ御尋ノ點デアリマス
  ガ、昨年ノ臨時議會デ二十億ノ御協贊ヲ經
  マシタ際ニモ、ソレガ本年ノ何月マデデア
  ルカト云フコトハ、實ハハッキリ御答申上ゲ
  ルコトハ、軍部當局ノ方デ致シ兼ネク譯デア
  リマス、ソレデアリマスカラ今囘提出ノモ
  ノノ初マリガ、十三年ノ四月一日カラデア
  ルカト云フ御尋ニ對シマシテハ、明瞭ニ左
  樣デアルトハ御答申上ゲ兼ネマス、ソレ以
  前ニ要スル經費モアルカモ知ラヌト云フコ
  トヲ御含ミヲ願ヒマス、又終期ニ付キマシ
  テモ、此前ノ軍事費ノ終期ニ付キマシテ、
  ハッキリ御答申上ゲ兼ネタノデアリマスル
  ガ、來年ノ三月三十一日マデトハ、明瞭ニ
  ハ御答申上ゲ兼ネルノデアリマス、大體ニ
  於テ只今ノ豫測シテ居リマスル事情ニ大ナ
  ル變化ガ無イ限リハ、次ノ通常議會マデ特
  ニ御協贊ヲ願フコトガナクテモ、是ガ濟ム
  デアラウ、又モウ一步申上ゲマスレバ、其
  通常議會ニ當リマシテモ、非常ニ取急イデ
  通常議會開會〓々直チニ御協贊ヲ終ルト云
  フコトハナイカト思ヒマス、併ナガラ是ハ
  事變ノ變化如何ニ係リマス、ハッキリトハ申
  上ゲ兼ネル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=13

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• 014・前田房之助

  ○前田委員　無論軍事費ノコトデアリマス
  カラ、事變ノ進展如何ニ依ッテ相當ノ變化ガ
  アラウト存ジマス、私ハ大體ノコトヲ承リ
  タイト思ッテ質問致シタノデアリマスガ、ソ
  レハソレ以上追究スルコトハ見合セテ置キ
  マス、ソレデ大體軍事費ノ額ハ分ッタノデア
  リマスガ、然ラバ其財源ハドウ云フ風ニナッ
  テ居リマスカ、公債ハ幾ラ、大體此程度モ
  分ッテ居リマスガ、其外特別會計カラノ繰入
  金或ハ外地ノ增徵額、斯ウ云フヤウナモ
  ノモ多分財源ニ充當サレルノデアラウト思
  ヒマスガ、其大體ヲ承ルコトガ出來レバ結
  構ダト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=14

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• 015・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　是モ甚ダ大體デ恐入リマ
  スガ、此增稅ニ依リマスルモノノ、大體昭
  和十三年度中ニ入ッテ參リマスモノハ、其財
  源ニ充テル積リデアリマス、尙ホ細カク申
  上ゲマスレバ、煙草ノ値上ニ付キマシテハ、
  昭和十二年度中ノモノモ若干益金ノ增加ガ
  アル譯デアリマス、少額デアリマスガ是モ
  入レル積リデアリマス、大體ソレデ三億圓
  前後ノモノニ相成リマス、又只今御話ノ如
  〃、外地特別會計ヨリ九千万圓餘ノモノヲ
  之ニ入レマスコトハ、其外地特別會計ヨリ
  ノ歲出案ハ、旣ニ御審議ヲ經マシタ次第デ、
  其外內地ニ於テ今囘致ス增稅ニ伴ヒマシテ、
  外地ニ於テモ增稅ノ計畫ガアリマス、其收
  益ヲ全部繰入レル譯ニハ外地ノ方ハ參リマ
  セヌ、若干徵稅費其他時局ニ關係ヲ致シマ
  ス施設ニ要スル經費モアリマスノデ、其大
  部分ヲ入レルコトニナリマヌ、ソレガ一千
  万圓ヲ越スト思ヒマス、マダ詳細ナ數字ヲ
  申上ゲル程度ニ參リマセヌガ、モウ少シ確
  定致シマシタラ、尙ホ詳細申上ゲマス、外
  地ヨリノ繰入ガ合計一億圓强、內地ノ增徵
  ガ三億圓餘、合計普通財源四億圓餘デアリ
  マス、尙ホ細カク申上ゲマスレバ、軍事費
  獻納金等モ百方圓位ハアリマス、是ハ大局
  論カラスレバ少イト思ヒマスガ、先ヅ此增
  稅ニ依ル三億圓、外地ヨリノ約一億圓ト云
  フモノガ普通財源ニ大體ナル、殘リノ四十
  四億ハ公債ニナル、大體ノ見當ハ斯樣デアリ
  マス

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• 016・前田房之助

  ○前田委員　ソコデ先ヅ外地ノ租稅ノ增徵
  額ガ、大體一千万圓以上ト云フ御話ガアッタ
  ノデアリマスルガ、私ハ內地ノ增稅額ト比
  較ヲシテ見テ、餘リニ過少デハナイカト云
  フ感ジガ致スノデアリマス、無論外地ハ平
  素デアリマスルナラバ、植民政策ノ意味合
  カラ、又經濟事情カラ致シマシテ、內地ヨ
  リモ相當課税率ノ低イト云ヲコトハ、是ハ
  當然ダト思ヒマス、併ナガラ愈〓純戰時體制
  下ニ入リマシテ、內地ノ資金ヲ十分調整シ
  ナケレバナラヌ、斯ウ云フ必要ノアル際ニ
  於キマシテ、其内地、外地ノ課稅率ニ非常
  ナ相違ガアルト云フコトニナリマスルト、
  可ナリ資金ガ外地ニ流レルノデハナイカ、
  私詳細ナ數字ハ承知シナイノデアリマスル
  ガ、現ニ臺灣銀行ノ如キハ相當預金ガ增加
  ヲシテ居ル、內地資金ガ臺灣ニ流出シタ、
  斯ウ云フヤウナ噂モ承知ヲ致シテ居リマス、
  無論臺灣ハ昨年マヂハ資本利子稅ガナカッ
  タノデアルガ、昨年新設サレタ、斯ウ云フ
  關係モアリマセウケレドモ、大體論トシテ、
  內地ノ三億圓以上ノ增徵額ニ比較ヲ致シ
  マシテ、外地ノ一千万圓程度ノ增徵ハ少シ
  輕過ギハシナイカ、ソレガ爲ニ相當內地ノ
  資金ナリ或ハ事業ガ外地ニ出ルノデハナイ
  カ、斯ウ云フ懸念ガアリマスルガ、此邊ノ
  事情ニ付テ御說明ヲ願ヒタイト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=16

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• 017・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　御尤ナ御質問デアリマス
  ルガ、是ハ一應外地ノ稅額等ノ腹案ヲ確定
  致シマシテ、モウ少シ詳細ニ其邊ノコトヲ
  揃ヘマシテ、別ノ機會ニ御答辯申上ゲルコ
  トニ致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=17

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• 018・前田房之助

  ○前田委員　序ニ御尋致シマスガ、臨時資
  金調整法ハ、マダ外地ニハ施行サレテ居ナイ
  ト思ヒマス、是ハ近ク實施サレルヤウナ御
  考ガアリマセウカ

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• 019・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　是ハ昨年ヨリ外地ニ施行
  ヲ致シテ居ルノデアリマス、御趣旨ノ如ク
  兩方一貫ヲ致シマセヌト都合ガ惡イノデア
  リマス、實行致シテ居リマス

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• 020・前田房之助

  ○前田委員　ソコデ私先ヅ御尋ヲ致スコト
  ハ、公債政策ニ付テデアリマス、申ス迄モ
  ナク事變以來公債ガ激增致シマツテ、現ニ
  一月末ニ於キマシテ、公債ノ總額ガ百二十
  一億八千九百餘万圓ニナッテ居ル、其上ニ
  米穀證劵ガ四億二千五百万圓アル、更ニ今
  囘ノ軍事費ノ追加々依リマシテ、四十數億
  圓ノ公債ガ殖エル、今日マデデモソレガ爲
  ニ既ニ日本銀行ノ手持公債ガ、非常ニ激增
  致シテ居ル、最近ノ發表ニ依リマスルト、十
  三億八千七百餘万圓ノ巨額ニ達シテ居ル、
  昨年ノ同期ニ比較シマスト云フト、八億圓
  以上モ手持公債ガ殖エテ居ル、恐ラクハ日
  本銀行ノ公債ノ手持ハ、稍〓飽和點ニ近付イ
  テ居ルノデハナイカ、斯フ云フヤウナ考ヲ
  持ッテ居ルノデアリマスガ、此巨額ナル公債
  ヲ惡性「インフレーション」ヲ起スコトナク
  シテ、如何ニシテ消化シ得ルカ、大藏大臣
  ガ屢〓言明サレテ居ル如ク、我國ノ國民經濟
  力ハ、今後百億、百五十億ノ公債ハ消化シ得
  ルデアリマセウ、併シソレハ政府ノ財政經
  濟政策ガ宜シキヲ得テ、國民ガ之ニ一致協
  力シテ、初メテ其能力ヲ發揮シ得ルコトハ
  勿論デアラウト思ヒマスガ、私ハ本議會ヲ
  通ジテ此公債政策ニ對シマシテ、確乎タル
  所ノ御方針ヲ承ルコトガ出來ナカッタコト
  ヲ、遺憾ニ考ヘテ居ルノデアリマス、無論
  政府ハ公債消化ニ付テハ、色々御苦心ノ跡ハ
  認メマス、或ハ合理的ニ消費ノ節約ヲ奬勵
  シ或バ勤儉力行ヲ奬勵スルコトニ依ッテ貯
  金ノ增加ヲ圖ル、サウシテ愛國心ニ愬ヘテ
  公債ヲ出來得ル限リ民衆ニ買ハス、斯ウ
  云ッタ精神上ノ御話モ種々承ッテ、吾々モ御尤
  ノ次第デアルト考ヘテ居ルノデアリマスル
  ガ、併ナガラ此精神上ノ問題外ニ、積極的
  ニ私ハ公債政策ヲ確立スル必要ガアルノデ
  ハナイカト思フノデアリマスルガ、之ニ付
  キマシテ先ヅ私カラ、項ヲ設ケテ御尋ヲ申
  上ゲタイト思ヒマス、無論此純戰時體制下
  ノ今日ニ於キマシテハ、輸入ヲ出來得ル限
  リ制限ヲ致シテ、國際收支ノ適合ヲ圖ル、
  爲替ノ水準ヲ堅持スル、斯ウ云フ御方針ニ
  ハ私共ハ至極同感デアリマス、是ハ出來得
  ル限リ其方針ヲ採ラナケレバナラヌト信ジ
  マスルガ、是ト同時ニ國力ヲ充實致シテ、
  サウシテ積極的ニ輸出ヲ振興スルコトニ依ツ
  テ、私ハ國際收支ノ適合ヲ圖ルト云フコト
  ガ、極メテ必要デアルト考へテ居ルニ拘リ
  マセズ、此議會ヲ通ジテ私ハ輸出振興ニ關
  シテ、政府ノ積極的方途ヲ聽クコトガ出來
  ナカッタコトヲ、甚ダ遺憾ニ考ヘテ居ルノデ
  アリマス、先ヅ私ハ此輸出振興ニ關シマス
  ル積極的ノ政府ノ御方針ヲ、承ッテ見タイト
  思ヒマス

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• 021・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　輸出ノ增進ニ關シマシテ
  ハ、政府ハ力ヲ盡シテ之ヲ奬勵スル意味ニ
  於キマシテ、從來ヨリ御承知ノ如キ方法ヲ
  引續キ採リマスル外、若干ノ經費モ今年ノ
  商工省豫算等ニハ計上致シテアリマス、尙
  又此追加豫算ヲ以チマシテ、之ニ關スル經
  費ヲ各省トモ要求スベク、只今折角計畫ヲ
  致シテ居ルノデアリマス、併ナガラ大體ニ
  於テ相手ノアリマスルコトデ、サウシテ國
  際情勢ハ日本ニ取リマシテ餘リ有利デアリ
  マセヌ、各外地等ニ於テ、色々日本品ノボ
  イコット」ナドモ行ハレテ居リマス、又明ニ
  此輸出品ニ對スル補償ノ如キモノモ、却テ
  日本ノ輸出ヲ增加スル所以デモアリマセ
  又、結局ハ何ト申シマスルカ、各種ノ從來
  採ッテ居リマス方策其他ノコトヲ、氣長ク根
  ヨク詰メテヤル外ニアリマセヌノデ、一擧
  ニシテ何億ノ輸出ヲ增加スルト云フヤウナ
  計畫ハ、ドウモ商工當局其他ニ於テモ立チ
  惡イノデアリマス、併シ輸出ノ奬勵ト云フコト
  ニ付キマシテハ、是ハ第一ニ考フベキコト
  デアリマスノデ、其點ニ於テハ各國トノ通商
  ニ關シマスル協定、又今申上ゲマシタヤ
  ウナ豫算上ノ施設、商工當局ノ施設ニ付キ
  マシテハ、出來ルダケノコトハヤッテ居リマ
  ス積リデアリマス、又財政當局ト致シマシ
  テモ、其方途ニシテ有效ナルモノガ立チマ
  スナラバ、之ガ經費ノ增加ハ決シテ惜マナ
  イ方針デアルノデアリマス、又只今ノ此輸
  出ノ狀況ト云フモノハ、外國ノ日本品ニ對
  スル「ボイコット」デアリマスルトカ、或
  昨年稍〓外國ニ於テモ日本品ノ購入ニ見越シ
  ガアリマシタ點デアリマスルトカ、外國ノ、
  一般ニ亞米利加等ノ不況デアリマストカ、
  色々ナ原因モアリマスガ、尙ホ政府ト致シ
  マシテモ、爲替管理ト申シマスルカ、輸入
  品ノ許可ノ措置ニ付キマシテ、十分ニ之ヲ
  輸出當業者ノ不便ニナラナイヤウニ、其許
  可方針ノ改善ト云フコトニ十分主力ヲ注ギ
  タイ、旣ニ今年ニ於キマシテモ、其方針デ
  進ンデ居リマス譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=21

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• 022・前田房之助

  ○前田委員　無論輸出ハ相手國ノアルコト
  デアリマスカラ、意ノ儘ニナラヌト云フコ
  トハ申ス迄モナイノデアリマス、又政府ノ
  御苦心ナドモ、吾々ハ認メルノデアリマス
  ケレドモ、何トナク其間ニ熱意ガ足リナイ、
  迫力ガナイ、斯ウ云フ感ジガ私ハ致スノデ
  アリマス、ソコデ先ヅ御尋ヲ致シマスルガ、
  私ハ輸出ノ振興ニハ、新航路ノ開拓ガ先ヅ
  必要デアルト思フ、現ニ日本ハ支那大陸ノ
  安定勢力ダト稱シテ居ル、然ルニ隣邦支那
  ニ於キマスル貨物ノ運搬狀況ヲ見マスルト
  最近一箇年間ニ於テ支那ノ貨物ハ、英吉利
  船ニ依ッテ運搬サレテ居ルモノガ六千万噸、
  支那船ニ依ルモノガ四千万噸、日本船ニ依
  リマスモノガ二千二百万噸、大體斯ウ云フ
  數字ガ出テ居ルノデ、英吉利ノ三分ノ一ニ
  達シナイノデアリマス、隣邦支那ノ貨物ス
  ラ、大部分ハ英吉利ノ船舶ニ依ッテ運搬サレ
  テ居ル、斯ウ云フ實情ニナッテ居リマスノミ
  ナラズ、新航路ヲ開拓セント致シマスナラ
  バ、私ハ中央亞細亞トカ、或ハ阿弗利加ノ
  東海岸、或ハ中央亞米利加、斯ウ云ッタ方面
  ニハ相當新航路ヲ開拓シ得ル餘地ガアル
  ト思フ、新航路ヲ開拓致シマスルナラバ、
  ソコニ官民協力シテ、ヤハリ新市場モ相當
  開拓シ得ルノデハナイカ、斯ウ云フ考ヲ持ッ
  テ居ルノデアリマス、然ルニ政府ノ御方針
  ヲ承ッテ見マスト、輸入制限ト云フコトニ無
  論是ハ重點ヲ置カレテ居ル關係デゴザイマ
  セウケレドモ、現ニ造船所ニハ船臺ガ遊ン
  デ居ル、幾多ノ註文ガアルノニ、熟練職工
  ハソレ〓〓遊ンデ居ル、然ルニ肝腎ナ船材
  ヲ供給シナイガ爲ニ、優秀船舶ハ製造シ得
  ナイ、斯ウ云フコトニ相成ッテ居ルノデアリ
  マスガ、私ハ目先船材ノ供給ニ依ッテ、相當
  ノ輸入ト云フモノモ增スカモ知レマセヌケレ
  ドモ、併シ優秀船舶ヲ建造スルコトニ依ツ
  テ、一年二年ノ後ニハ必ズ國際收支ノ關係
  ニ於テ、相當ノ效果ガアルト云フコトハ、
  明ナコトデアラウト思フノデアリマスガ、
  斯ウ云フ點ニ付テモ、一向積極的ノ方針ガ
  ナイ、唯事務當局ガ目先ノコトヲ考ヘテ、
  日本ノ海運ガ將來ドウナッテ行クカ、ドウ云
  フ風ニ助長スレバ日本ノ海運ガドウナッテ
  行ククカ、サウ云フコトヲ考ヘズシテ、目
  先ノコトバカリ考ヘテ出シテ居ル、斯ウ云
  フ傾向ガアルト云フコトヲ私ハ甚ダ遺憾ニ
  存ジマス、更ニ新航路ヲ開拓セントスレバ、
  尙ホ相當ノ餘地ガアルノダト私ハ思フ、唯
  其處ニ居ル商務官、斯ウ云フ人達ガ-民
  間ヲ指導スベキ立場ニアル人ガ、寧ロ民間
  ニ追隨ヲシテ居ル、斯ウ云フヤウナヤリ方
  デ、積極的ナ新市場ノ開拓ト云フモノガ
  出來ナイ、斯ウ云フ實情ニアルノデハナイ
  カト思ヒマス、是ハ餘程難カシイ問題デハ
  アルガ、積極的ニ進ミマスナラバ、新市場
  ノ開拓ハ敢テ難カシクナイ、或ル程度マデ
  ハ必ズ爲シ得ルノデアル、更ニ序デデアルカ
  ラ申上ゲマスガ、此輸出補償制度ニ致シマシテ
  モ、更ニ之ヲ擴充致シマシテ、其地域モ增
  シマスナラバ、ヤハリ相當ノ效果ガアルノ
  デハナイカ、是ハ相當ナ額ハ出シテ居ラレ
  ルノデアリマスガ、ドウモヤハリ額ガ少イ、
  英吉利其他歐米列强ニ比較致シマシテ、餘
  程日本ノハ額モ小サケレバ地域モ狭イ、ソ
  レヲ擴充强化シテ、サウシテ官民協力シテ
  新市場ノ開拓ニ當ル、是ダケノ政府ノ御決
  心ガアリ、政府ノ指導精神ヲ示サレルト云
  フコトガ、必要デアラウト思ヒマスガ、之
  ニ付キマシテノ大藏大臣ノ御所見ヲ伺ッテ
  見タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=22

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• 023・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　只今ノ航路補助等ノ如キ
  御話ハ、洵ニ御尤デアリマス、私共モ同樣
  ニ考ヘマシテ、近年新シイ航路ノ開拓モ隨
  分出來タ譯デアリマス、又獨リ定期航路ノ
  ミナラズ、不定期ニ海外デ以テ海外諸國ノ
  間ヲ航海致シマスルモノニ付キマシテノ補
  助金ノ如キモノモ、是ハ最近ニ於キマシテ
  初メテ試ミタ例デアリマス、其爲ニ海運收
  支ノ增加ト云フモノハ相當多イノデアリマ
  ス、又是ガ貿易ニモ貢獻ヲ致シテ居ルト思
  フノデアリマス、併シ何分昨年ハ、折角サ
  ウ云フ風ニ出マシタモノガ、軍事上ノ必要ノ
  爲ニ多數ノ船舶ガ徵用サレルト云フヤウナ
  コトデ、計畫ヲ致シタモノダケデモ全部其
  通リニ働クコトガ出來ナカッタト云フ事情
  モ、御察シノ通リデアリマス、御趣旨ハ全
  ク御同感デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=23

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• 024・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　速記ヲ止メテ······
  〔速記中止〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=24

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• 025・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　ソレデハ速記ヲ始メテ·

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=25

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• 026・前田房之助

  ○前田委員　政府ノ意ノアル所ハ能ク諒承
  致シテ居ルノデアリマスケレドモ、具體案
  ヲ立テテ、サウシテ積極的ニソレヲ實行シ
  テ行ク、斯ウ云フコトニ私ハ遺憾ノ點ガア
  ルノデハナイカト思フノデアリマス、例
  バ輸出組合、工業組合ニ關シマシテモ、モ
  ウ少シ熱心ニ普及擴充ヲ圖ッテ貰ヒタイ、又
  出來ルダケ助成金ヲ增シテ貰ヒタイト考ヘ
  テ居リマスガ、ソレモ一向思フ通リニ運ン
  デ居リマセヌ、又輸出損失補償ノ問題ノ如
  キモ、モウ少シ金額ヲ殖ヤシテ、サウシテ
  イマ少シ其内容ヲ擴充スル、サウシテ又外
  國ニ居リマスル所ノ貿易ニ關スル商務官ニ
  付キマシテモ、モット適材ナル指導員ヲ派シ
  テ、サウシテ眞ニ官民協力シテ、新市場ノ
  開拓ニ當ル、斯ウ云フ風ニ一ツ萬全ノ策ヲ
  立テテ貰ヒタイト思フノデアリマスガ、是
  レ以上ハ希望ニナリマスカラ申上ゲマセヌ
  ガ、ドウゾ一ツ國債消化ノ問題ニ付キマシ
  テモ、此際徹底的ニ輸出貿易ノ振興ヲ圖ッ
  テ、サウシテ內國力ノ充實ヲ圖ルト云フコ
  トガ、先ヅ今日ノ場合ニ於テハ最モ必要デ
  アラウト考ヘテ居リマスカラ、ドウゾ一ツ
  此點ニ付キマシテハ、十分今後御努力ヲ
  願ヒタイト存ジマス、ソレデ更ニ國債消化
  ニ關聯ヲ致シマシテ、資金ノ問題デアリマ
  スガ、事變以來資金ガ中々要ル、ソレデ資
  金調整法ト云フモノヲ拵ヘタノデアリマス
  ガ、法令實施以來既ニ十三億圓ノ放資ガ認
  メラレテ居ル、斯ノ如ク私共ハ今後益〓、資金
  ノ必要ガアルノデアリマスルガ、此內地ノ
  資金關係ト、北支ノ投資ノ關係トガ、極メ
  テ密接ナ「デリケート」ナ關係ヲ持ツノデハ
  ナイカト思ヒマスガ、ソコデ先ヅ私ハ北支
  ノ經濟工作ニ付テ、御伺ヲ致シタイト思ヒ
  マス、昨日デアリマシタカ、本會議デ話ガ
  アッタヤウデアリマスルガ、此日本ノ經濟
  政策ハ、申ス迄モナク日滿支三國ノ經濟
  「ブロック」ノ基礎ノ上ニ立ッテ、サウシテ經
  濟政策ヲ確立シナケレバナラヌノデアリマ
  スガ、大體北支ノ經濟工作ニ付テ、或ル程度
  ノ計畫ガ出來テ居ルノデアリマスカ、少ク
  トモ今後一箇年間ニ、日本カラ幾ラ程ノ資
  金ヲ投ズレバ宜イノデアルカ、サウ云フコ
  トニ付キマシテ、大體ノ案ガ出來テ居リマ
  スレバ、此際御示ヲ願ヒタイト思フノデア
  リマス

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• 027・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　マダ政府ト致シマシテ、
  ドノ位ノ資金ヲ投ズルカト云フ計畫ガ樹ッ
  テ居リマセヌ、此計畫ハ非常ニ困難ナノデ
  アリマス、國內金融ト國際金融トノ兩方カ
  ラ考ヘナケレバナラヌ立場ニアリマス、滿
  洲ハ旣ニ爲替管理ヲ實行ヲ致シテ居リマス、
  資金調整モ實行致シテ居リマシテ、全ク經
  濟關係ニ於テ不可分關係ニ立ッテ居リマスル
  ノデ、滿洲ト日本トノ間ノ金融ハ、其關係
  ニ於テハ殆ド對外金融トシテ、特別ノ考慮
  ヲ拂フ必要ガ少クナッテ居リマスルガ、北支
  ハ未ダ其域ニ參ッテ居リマセヌ、隨ヒマシテ
  北支ニ對シマスル投資ハ、北支カラ日本ニ
  輸入致シマスル物、特別ノ投資ヲ考ヘマセ
  ヌデ日本カラ輸出サレマスル物、此日本ト
  北支ノ間ノ輸出入狀況ト、北支ト第三國ト
  ノ間ノ輸出入ノ狀況、其兩方ヲ加減ヲ致シ
  マセヌト云フト、日本カラノ投資······尤モ
  投資ニ依リマシテモ、投資其モノノ性質ニ
  依ッテ、殊ニ日本カラノ投資ガ、ソレヲ資源
  トシテ北支ガ對外拂ヲ爲シマスト云フ風ナ
  投資ハ、餘程ソレハ氣ヲ付ケナケレバナラ
  ヌノデアリマス、サウデアリマセヌ投資ニ
  付キマシテハ、鐵道其他ノモノハ、本年ト
  致シマシテハ寧ロ軍事的計畫ノ中ニ、相當
  進ンデ居リマス、ソレ以外ノモノニ付キマ
  シテハ、今申上ゲマシタ如クサウ云フ點ヲ
  考ヘマセヌト、俄ニ之ヲ金額ニ於テ決定ス
  ルト云フ事情ニアリマセヌ、目下折角考究
  中デアリマス

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• 028・前田房之助

  ○前田委員　無論北支ノ經濟工作ヲ進メテ
  參リマスニハ、種々ナル事情ヲ綜合考察ス
  ル必要ノアルコトハ、申スマデモナイノデ
  アリマスルガ、私昨年末北支地方ノ經濟狀
  態ヲ視察ヲ致シマシテ先ヅ感ジタノハ、北
  支ノ資源ヲ開發シテ、而モ我ガ日本ノ國ニ
  價値的ニ、效果的ニ之ヲ利用スルノニハ、
  相當ノ時日ト相當巨額ノ資金ヲ投ズル必要
  ガアラウト思フ、隨テ當分ハ日本ハ相當ノ
  金ヲ出シテ、サウシテ二年三年五年ノ後ニ、
  期待ヲ懸ケナケレバナラヌ、其間ニ非常ニ
  日本ハ資金ノ關係ニ於テ、苦マナケレバナ
  ラヌノデハナイカト、斯ウ云フ考ヲ實ハ懷
  キツヽ歸ッタノデアリマス、恐クハ此事柄ハ、
  政府ニ於テモ能ク事情ハ御精通ニナッテ居
  ルノデアリマスカラ、私ト同ジヤウナ考ヲ
  懷イテ居ラレルト思ヒマスガ、兎ニ角當分
  ハ相當金ヲ出サナケレバナラヌ、サウデナ
  イト、私ハ有效的ニ資源ヲ我國ニ利用スル
  コトハ出來ナイ、隨テ先ヅ當分ハ、日本ノ
  資金ヲ相當北支方面ニ投ズル必要ガアルト
  云フコトニナルト云フト、益〓私ハ北支經濟
  工作ヲ進メナケレバナラズ、ソレガ爲ニハ
  公債ノ消化ニモ相當大ナル影響ガアルノデ
  ハナイカ、斯ウ云フ考ヲ致シテ居ルノデア
  リマス、併シ是ハ私ノ考デアリマスカラ、
  別段此場合御答ヲ願フベキ必要ハナイト思
  ヒマスルケレドモ、兎ニ角モ內地ハ軍需工
  業ガ段々發展ヲシナケレバナラズ、其爲ニ
  ハ資金ガ要ル、又北支ノ經濟工作ニ付テモ
  相當ナ資金ガ要ル、斯ウ云フコトニナッテ居
  リマスルカラ、私ハ今日マデ相當巨額ノ公
  債ガ、惡性「インフレーション」ヲ先ヅ大體
  ニ於テ生ムコトナクシテ、消化ガ出來タカ
  ラ、今後モヤハリ此儘デ進ンデ行ッテ、惡性
  「インフレーション」ヲ起スコトナクシテ消
  化シ得ルト政府ガ御考ニナッテ居ルト、非常
  ニ私ハ期待ニ反スルヤウナコトガ出來ルノ
  デハナイカト云フコトヲ、實ハ心配ヲ致シテ
  居ルノデアリマス、殊ニ又本年度內ニ於キ
  マシテモ、相當巨額ノ公債ハ發行シナケレ
  バナリマセズ、又軍事費ガ通過致シマスル
  ナラバ、益〓公債ガ殖エテ來ル、之ニ付キマ
  シテ私ハ無論政府デモ御自信ガアルノデア
  リマセウガ、現在ノ此儘デ行ッテ惡性, 3)
  フレーション」ヲ起スコトナクシテ、消化シ
  得ルダケノ十分ノ御決心ガアルカ、或ハ相
  當總テノ方面ニ向ッテ積極的ニ、其方針ヲ變
  ヘテ行ク必要ガアルト考ヘテ居ラレマスカ、
  大體ノ御方針デ宜イノデアリマスガ、御信
  念ヲ一ツ伺ッテ置キタイト思ヒマス

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• 029・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　先程御話モアリマシタヤ
  ウニ、我國ニ二百億ノ戰費ヲ出シマシテモ、
  三百億ノ戰費ヲ出シマシテモ、ヤッテ行ケル
  ト云フコトハ、何モ國民、政府ガ努力シナ
  クテモヤッテ行ケルト云フノデナクシテ、十
  分努力ヲ致シ、十分ナ計畫ヲ以テ、ソレヲ
  實現致シテ參リマスナラバ、出來ルト云フ
  意味ハ今御話ノ通リデアリマス、是ハ樂々
  ト安々ト出來ル性質ノモノデハナイト思ヒ
  マス、大體私ハ今ノ豫算ハ實行上ハ多少ノ
  繰越等ガアリマスカラ、來年度ノ現實ノ募
  債額ハ約五十億ト見テ居リマス、是ハ行ケ
  ルト思ヒマス、行ケルト思ヒマスケレドモ、
  他ノ機會ニモ申上ゲマシタガ、單純ニハ行
  キマセヌ、五十億ト云フ大キナモノガ出マ
  ス際ニ、銀行カラ幾ラ取ルカ、保險會社カ
  ラ幾ラ取ルカト云フヤウナ、ソンナ考デハ
  到底行カナイ、銀行ヤ保險會社ヤ直接國民
  ガソレニ應募スルダケノ、又日本銀行ガ引
  受ケマシタモノヲ振出シタ際ニ、買ヒ得ル
  ダケノ氣持ニナルヤウナ、經濟環境ニ置カ
  ナケレバナラヌト云フコトデアラウト思ヒ
  マス、唯徒ニ保險會社ニドレダケ持タス、
  銀行ニドレダケ持タス、郵便局デドレダケ
  賣出ス、サウ云フ計畫ヲ致シマシテモ、
  ソレガサウナルヤウニ致サナケレバ、到底
  行ケナイノデアリマス、サウスルトソレ
  ニハドウ致シマスカト申シマスト、ドウ
  シテモソレダケノ金ト云フモノハ政府カラ
  出ル譯デアリマス、一方ニハソレダケノ
  支拂ガアル譯デアリマス、ソレガソコヘ
  還ッテ來ルト云フ風ナ方策ニシナケレバナ
  リマセヌ、ソレハ前々カラ申上ゲマシタヤ
  ウニ、ドウシテモ爲替相場ヲ維持シテ、國
  內ノ物價ノ非常ナ急激ナ變動、世界戰爭中
  或ハ後ニ見ルガ如キ現象ヲ起シタノデハ、
  ドウシテモ是ハ安ンジテ有價證劵ヲ買フヤ
  ウニハナリマセヌ、必ズ爲替相場ヲ維持ス
  ルト云フコトモ絕對條件デアリマス、ソレ
  カラモウ一ツハ、前カラ申上ゲマスルヤウ
  ニ、物資ノ需給ガ調整サレテ、是モ樂ニ要
  ルダケノモノガ出來テ來ルト云フ譯デナク、
  斯ウ云フ際デスカラ、或ル種類ノモノハ缺
  乏ヲ起ス、ソレヲ極力節約シテ我慢スルト
  カ何トカ致シマシテ、結局結果ニ於テハ、
  ソレデ出合ッタンダト云フ狀況ヲ持ッテ來マ
  セヌト、ドウシテモ行ケナイト思ヒマス、
  是ハヤハリ斯ウ云フコトガ各方面ニ起リマ
  スレバ、非常ナ物價騰貴ガ起ル、戰費ヲ計
  上致シマシテモ、ソレデ買フ品物ガナイト
  云フヤウナコトカラ、非常ナ物價騰貴ヲ起
  シマス、ドウシテモ極力ソコヘ行カナケレ
  バナラヌ、其二ツノコトハ根本要件デアリ
  Rいヽ、サウ致シマシタ場合ニ、サウ致シマ
  ス爲ニモ、前々カラ私共ガ申シテ居リマス
  ヤウニ、此際不足ヲ生ズル豫想ノアル物
  資ニ對スルモノヲ目的トシタ消費節約ノ徹
  底ヲ、ドウシテモ圖ラナケレバナラス、軍
  需品デアルトカ、輸入品ニ關係アリマスル
  物、又旺盛ナル輸出ガ始マリマスレバ、其
  輸出ノ原料品ノ如キ物、其物ヲ對象ト致シ
  マシテ、徹底的ニ消費ノ節約ヲ致サナケレ
  バナラヌ、ソレガ基礎ニナリマシテ、一方
  デソレダケノ代用品デアルトカ、或ハ國內
  ノ資源開發ニ依リ增產ヲ致シマシテ、サウ
  云フモノヲ間ニ合セルコト、其物資ノ計畫
  ヲ立テマシタコトハ、豫算委員會デモ申シ
  マシタ通リデアリマス、是ノ實行ニドウシ
  テモ邁進シナケレバナラヌ、サウシテ行キ
  マシタ際ニ、金錢的ニ申上ゲレバ、ソレデ
  相當ノ節約ガ出來、貯蓄ガ出來ル譯デアリ
  マスガ、其間ニドウシテモ此四十億ナラ四
  十億ノ戰費ガ出マスレバ、其中デ結局對外
  拂ノ決濟デ、輸入超過ヲ決濟サレル金以外
  ハ、國民ノ所得ニ廻リ〓ッテナル譯デアリ
  やく、是ガ直グ日用品ノ購入等ノ普通ノ生
  活ニ使ハレマシタナラバ、サウ云フ品物ト、
  日本トシテ普通ノ食料品等ハ相當ノ供給ガ
  アリマスケレドモ、ソレモ缺乏スルヤウニ
  ナリマス、資金ハ貯蓄機關ニ還流スルト云
  フコトニナリマスカラ、ドウシテモソコニ
  金ヲ對象トシタ消費ノ節約、ソレハ反面ニ
  貯蓄ノ奬勵デアリマス、是ガドウシテモ徹
  底シテ參リマセヌケレバ、旨ク行カナイノ
  デアリマス、ソレデ今物資ノ需給ノ調整ニ
  爲替相場ノ維持モアリマシテ、今申上ゲマ
  シタ目標ノ消費節約ヲヤリ、ソレデ貯蓄ノ
  奬勵ヲ徹底的ニヤリマスニハ、ドウシテモ
  是ハ國民ノ自覺ニ俟ツ外アリマセヌ、幾ラ
  法規デ强制シテモ、是ハ法規ノ强制デハ
  ドウシテモ漏レルコトガ出來マシテ、却テ
  逆ニ反撥スルコトニナリマスカラ、ドウシ
  テモ國民ノ自覺ニ俟ツヨリ外ナイ、自覺ヲ
  俟ツ爲ニハ政府モ、國民ノ有識者モ徹底的ニ
  努力ヲシ、又シテ戴ク必要ガアルト思ヒマ
  ス、サウシテ參リマスレバ、貯蓄機關ニド
  ウシテモソレガ還流ヲ致スコトニナル譯デ
  アリマス、玆ニ之ヲ强制的ナドデヤリマス
  ト、却テ嫌氣ガ差シマス、懲リルコトニナ
  リマス、私ハドウシテモ此程度ニ於テハ强
  制ヲ用ヒタクナイ、强制ヲシナケレバナラ
  ヌト云フコトハ、或ル意味デ場合ニ依ッテ
  ハ是ハ破綻ノ一步前カモ知レマセヌ、
  强制ナク、ソレヲ徹底的ニヤル外方法ハナイ
  ノデアリマス、又現狀マデハ、實際ソレガ結果
  ニ於テハ出來テ居ルヤウデアリマス、御話ノ如
  ク十二年度ニ於テハ公債ノ手持ガ殖エテ、
  資金ガ增加致シマス、是ハ增加ヲセザルヲ得
  ナイ實情ニアリマスノデ、若シ是ガ賣レマシ
  タ場合ニハ、非常ニ金融ノ收縮ヲ起シマスノ
  ハ、輸入超過ガ御承知ノ如ク六億三千万圓
  モアリマス、ソレカラ又日滿共同ノ輸入超過ハ、
  モット多イ數字ニナルノデアリマス、通貨ハ
  段々ニ經濟活動ガ旺盛ニナリマシテ、餘計
  要ルヤウニナリマスシ、一方輸入超過ノ決
  濟デ、兌換劵ハ爲替銀行ヲ通ジテ日本銀行
  ヘ還リマスノデ、今ノ現狀ハ極メテ自然ナ
  ノデアリマス、來年ハソレ程ノ消化ヲ起シ
  テモ、日銀ノ手持公債ハ其輸入超過ノ大體
  限度、加フルニ、經濟活動モ加ハリ、四十
  億ノ經濟活動ヲ致ス譯デアリマスカラ、兌
  換劵ハ相當程度、數億ノ膨脹ハ致シテ來
  ル、其程度ノモノハ消化シナイデモ宜シウ
  ゴザイマスケレドモ、四十億ナラ四十億ノ
  中、大體三十億以上ノモノハ、ドウシテモ
  消化シナケレバナラヌ、ソレニハ今ノ方法
  ヨリ外ハナイ、其方法ヲ熱心ニヤリマス、
  私共ハ政策ハ今マデ執ッテ來タ通リ、チノン
  モ變ル必要ハナイト思フ、唯其政策ノ實行
  ヲ、徹度的ニ非常ナ熱意ヲ以テヤラナケレ
  ベナラヌ、國民ニ能ク自覺ヲシテ貰ヒマシ
  テ、政府モソレデヤラナケレバナラヌ、ソ
  レデ公債ノ保有ヲ强制スルトカ、貯金ヲ法
  的ニ强制スルト云フコトヲヤラズシテ、國
  民ノ自覺ヲ俟ッテソレデヤル、結局背景ト致
  シマシテハ、申上ゲマスレバ、爲替相場ノ維
  持、物資ノ需給調整問題、是ニハソレニ關
  聯シテ色々ナ問題ガ起リマス、同時ニ消費
  節約、貯蓄ノ奬勵、基本的ニサウシテ參リ
  マシテ、下地ガ出來マシタ上ニ、公債ノ募
  集ニ付キマシテハ、之ヲ唯金融機關ノ應募
  買入バカリデハ參リマセヌカラ、郵便局ノ
  賣出モヤリマス、場合ニ依レバ貯蓄債劵ノ
  發行モ致シ、ソレカラ市場ニ金ガダブツイ
  テ居ルヤウニナリマシタナラバ日銀デ出
  スヨリモ吸上ゲルト云フ方策ヲ取ラナケレ
  バナラナイ、各種ノ方策ヲ併用シテ行カナ
  ケレバナラヌ、大體サウ云フ考ノ下ニヤル
  積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=29

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• 030・前田房之助

  ○前川委員　勿論公債ノ消化ニハ國民ノ自
  覺ヲ必要トスルト云フコトハ、是ハ申スマ
  デモナイコトデアリマス、國民モ相當時局
  ヲ認識致シテ居ルノデアリマスカラ、政
  府ノ財政經濟政策ニ協力スル積リデアリマ
  スガ、併ナガラ國民ガ進ンデ政府ノ此政策
  ニ協力致シマスルノニハ、ヤハリ政府ハ公
  債政策ニ關シテモ一定ノ指導精神、指導方
  針ノ確立ガ必要デナイカト思フ、私ハドナ
  タカ仰シヤッタ如ク、金融ノ統制マデヤルト
  云フコトハ、マグ時機ガ尙早ダト思ヒマス
  ガ、少クトモ此際政府ハ、極力經濟力ノ充
  實ト云フコトニ積極的ニ努力ヲスル、更に
  公債ノ信用ヲ維持スル、斯ウ云フコトニ萬
  全ヲ期シテ貰ハナケレバナラヌト思ヒマ
  ス、若シ政府ノ公債ニ對シテ、國民ガ多少
  デモ不安ノ念ヲ懷クト云フヤウナコトガア
  リマスレバ、如何ニ國民ガ自覺ヲシテ政府
  ノ政策ニ協力セントシテモ、事實ハ出來ナ
  イ、ソコデドウシテモ私ハ此公債ノ信用ヲ
  維持スルト云フコトニ向ッテ、政府ノ御努力
  ヲ願ハナケレバナラヌト思ヒマスガ、是ハ
  アトデモウ少シ御尋スルコトト致シマシ
  テ、公債ニ關聯シテ資金ノ問題デアリマス
  ルガ、御承知ノ如ク、資金ガ今後段々要ッテ
  來ルト云フコトニナリマスルガ、一方ニ於
  キマシテハ輸入ガ極度ニ制限ヲサレ、ソレ
  ガ爲ニ平和產業ト云フモノハ殆ドヤッテ行
  ケナイ、斯ウ云フモノガ隨分アルノデアリ
  マく、ソコデ恐ラク全國デ輸入制限ノ結
  果休業狀態ニ陷ッテ居ル工場ガ相當アル
  ト思ヒマス、ソレデ此休業シテ居リマスル
  工場ヲ利用スル、廢物利用デアリマス、之
  ヲ軍需工業ノ方ニ轉換サセルト云フコト
  ガ、此際必要ダト思ヒマスルガ、政府ハ此
  點ニ付テ御調査デモセラレタコトガアルノ
  デアリマスルカ、私ハ是ハ今後非常ニ必要
  ダト思フ、所謂廢物利用デ、之ヲ軍需工業
  ノ方ニ向ケル、一方資金モ非常ニ助カル
  シ、休業狀態ニ陷ツタ平和產業ニ關係ノア
  ル人モ助カルノデアリマスガ、是ハ是非ト
  モ全國的ニ調査シテ、サウシテ軍需工業ノ
  方ニ轉換移行シ得ル工場ハ、ドシ〓〓其方面
  ニ利用スルト云フ方針ヲ進メテ貰ヒタイト
  思ヒマスルガ、之ニ付テ調査ヲ爲サッタコト
  ガアリマスルカ、或ハ將來ドウ云フ方針ヲ
  取ラレマスルカ、御所見ヲ伺ッテ置キタイ
  ト思ヒマス

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• 031・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　戰時ノ工場ノ利用計畫ニ
  付キマシテハ、豫テ資源局等モ總動員ノ立
  場カラ考ヘテ居リマス、又軍需關係ノ工場
  ハ非常ニ多忙ヲ極メテ、普通ノ能力以上ノ
  能力ヲ發揮シテ居ル狀況デアリマスルカ
  ラ、只今御話ノ如ク、他ノ工場ニシテ比較
  的暇ノアリマスルモノヲ、出來ルダケ轉化
  スルト云フコトハ行ハレテ居ルト思ヒマス、
  私ノ所管外ノコトデアリマスルカラ、陸海
  軍、或ハ商工當局ニ傳ヘマシテ、御答辯ヲ
  申上ゲルヤウニ致シタイト思ヒマス

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• 032・前田房之助

  ○前田委員　ソコデ御尋申上ゲタイノハ、
  今囘ノ增稅ノ目標ニ付テデアリマス、是ハ
  屢〓本會議ニ於テ議論ヲサレタノデアリマス
  ガ、私ハ政府ノ御答辯ガ尙ホ頭ニピント來
  ナイ、一體目標ハ何處ニアルノカ、ハッキリ
  マダ私ハ認識スルコトガ出來ナイコトヲ、
  甚ダ遺憾ニ考ヘテ居リマス、政府ノ御話デ
  ハ、國民全體ニ能ク時局ヲ認識サシテ、サ
  ウツテ報公ノ誠ヲ效スニ付テハ、國民ガ其
  分ニ應ジテ、金錢ニ依ッテ軍事費ノ一部ニ貢
  獻スルト云フコトガ一番大事ダ、斯ウ云フ
  コトヲ第一ニ說明サレテ居ルノデアリマス、
  私ハ國民全體ガ能ク時局ヲ認識致シテ、分
  ニ應ジテ金錢ニ依ッテ軍事費ノ一部ヲ負擔
  スルト云フコトノ必要デアルト云フコトハ、
  是ハ政府ト同ジ考ヲ持ッテ居リマス、併ナガ
  ラ是ガ私ハ增稅ノ目標ノ重點ニナッテハナ
  ラヌト思ヒマス、私ハ國民ガ時局ヲ認識ス
  ルト云フコトハ、卽チ金錢上ノ問題ヨリモ、
  寧ロ精神上ノ發動ニ依ッテ時局ヲ認識サス
  ト云フコトガ、眞ノ政府ノ指導方針デナケ
  レバナラヌト考ヘテ居ルノデアリマス、ソ
  レハ程度ノ差デアリマセウケレドモ、私
  是ハ目標ノ重點デハナイ、斯ウ考ヘテ居リ
  マスガ、若シソレガ目標ノ重點デアルナラ
  バ、私ハ今囘ノヤウテ增徵ノ方針ハ誤ッテ居
  ルト思フ、眞ニ國民ガ分ニ應ジテ少シヅヽ
  デモ金錢上ノ負擔ヲスルト云フコトガ、最
  モ增稅ノ眼目ナリトスルナラバ、寧ロ一步
  ヲ進メマシテ、苟モ國民ノ所得ノアル者ハ、
  假令十錢デモ二十錢デモ所得稅ヲ負擔シテ
  行ク、斯ウ云フ方ガ私ハ本當ニ國民ノ意識
  ヲ明瞭ニ現ハスコトガ出來テ、而モ餘リ副
  作用ガナイノデハナイカ、現在ノ此增徵案
  ノ內容ヲ見マスト云フト、無論消費稅モ相
  當增加サレ、物品稅モ課セラレルノデアリ
  マスカラ、大體國民全體ハ少シヅヽノ負擔
  ハシナケレバナラヌコトニナルノデアリマ
  スケレドモ、併ナガラ一方相當ノ弊害モ起
  ル心配ガアルノデアリマス、而モ又物品稅
  ノ如キハ、相當國民自體ノ懷ロハ、ソレガ
  爲ニ負擔ガ增スノデアリマスケレドモ、直
  接ニ稅金ヲ納メテ居ラヌノダカラ、眞ニ軍
  事費ノ一部ヲ自分ガ負擔シタモノデアルト
  云フ考ガ、國民ニピント來ナイ、隨テ若シ
  本當ニ金錢ニ依ッテ軍事費ノ一部ヲ負擔サ
  スト云フコトガ、增稅自體ノ目標デアルト
  スルナラバ、私ハ行キ方ガ少シ變ッテ來ナケ
  レバナラヌト思フ、今申上ゲタ如ク、苟モ
  多少ノ所得ノアル者ハ、假令一錢デモ五錢
  デモ所得稅ヲ納メルノダ、斯ウ云フ風ニ持ツ
  テ行カレルコトガ必要デハナイカト思ヒマ
  ス、若シ政府ノ仰シヤル如ク、是ガ目標ノ
  眼目デアルトスルナラバ、國民ノ中ニハ納
  稅ノ資格ノナイ者モ居ル、又酒ヤ煙草ヲ喫
  ハヌ者モ居ル、サウ云フ者ハ私ハ非常ニ異
  樣ナ感ジヲ致スノヂヤナイカト思フ、ソコ
  デ私ハドウシテモ此增稅ノ目標ノ重點ハ、
  サウ云フ精神的ノ方面ニ置カズシテ、ヤハ
  リ之ニ依ッテ財政經濟ノ上ニ相當ノ貢獻ヲ
  スルノダ、斯ウ云フ意味ニ一ツ持ッテ行ッテ
  貰ヒタイト思フノデアリマスガ、此處デ私
  ハ大藏大臣ニ此點ニ關スル率直ナ御所見ヲ
  承ッテ置キタイト思ヒマス

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• 033・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　此增稅ニ依ッテ國民ノ時
  局認識ヲ高メルト云フコトハ、御話ノ如ク
  全ク增稅正面ノ目的デハナイノデアリマス、
  其效果ハ無論アリマセウ、併ナガラ是ガナ
  クテモ國民ハ時局認識ガアリ、之ニ依ッテ
  時局認識ハ增シマセウガ、無論增稅ノ正面
  ノ目的デハアリマセヌ、私共ノ考ヘテ居リ
  マスノハ、此事變ト云フモノニ國民ハ色々
  ノ意味デ貢獻ヲシナケレバナラヌ、此事變
  ガ起ッテ支那ト戰鬪行爲ヲ致シ、之ニ依ッテ
  東洋平和ノ基礎ヲ確立セントスルノハ、是
  ハ全國民ノ義務デアリマス、出征シテ居ル
  兵士ハ生命ヲ懸ケテ此事ニ從ッテ居ル、其戰
  鬭行爲、事變ニハ戰費ガ要ルノデアリマス、
  銃後ニ居ル國民ハ其戰費ニ貢獻ヲスル、共
  ニ精神的デハアリマスガ、其分ニ應ジテ貢
  獻ヲスルコトガ必要デアル、此意味デ銃後
  ノ貢獻ト云フコトヲ申シタ譯デアリマス、
  ソレハ無論金錢ノ貢獻デアリマスカラ、是
  ガ財政上ニ貢獻ヲ致シテ、是ノ一助ニスル
  ト云フコトハ無論デアリマス、元來此經濟
  上ノ惡作用ト云フコトヲ考ヘマセヌナラバ、
  私ハ戰費ハ全部其時ノ國民ガ、租稅デ支辨
  スベキモノデアルト思フ、併ナガラ一時ニ
  非常ニ巨額ナ戰費ガ要ルノデアリマスカラ、
  之ヲ增稅ニ依ッテ全部支辨スルト云フコト
  ハ、到底困難デアリ、假ニサウ云フ暴擧ヲ
  致セバ、非常ニ經濟上ニ害惡ガアルト云フ
  コトハ、是ハモウ議論ヲ要サス所デアルト
  思ヒマス、出來ルダケ租稅デ之ヲ支辨スル、
  併シ經濟上ノ發達ヲ害シタリ、國民ノ生活
  ヲ忍ブベカラザル程度ニ壓迫スルト云フコ
  トハ、是ハ避ケネバナラヌ、此二ツノコト
  ヲ避ケ得レバ、出來得ル限リ此事變ノ經費
  ヲ片付ケテ、後代ニ公債ト云フ負擔ヲ貽シ
  マシテ、後代ノ國民ニ租稅デ此元利ヲ拂ハ
  スト云フコトヲ避ケルコトハ、當リ前ダト
  思ヒマス、其意味ニ於キマシテ、精神的ナ
  方面ハ無論デアリマスガ、其實現ノ方面デ
  モ御話ノ如ク、漸次財政ニ貢獻ヲスル、斯
  ウ云フ點ニアルト思ヒマス

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• 034・前田房之助

  ○前田委員　無論私共モ此巨額ナ軍事費
  ヲ、全部公債ニスルト云フコトノ妥當デナ
  イト云フコトモ、考ヘテ居リマス、隨テ出
  來得ル範圍ニ於テ增稅ヲ以テ其財源ニ充當サ
  スト云フ政府ノ御方針モ、吾々ハ同感デアル
  ノデアリマス、又戰時ニ第一線ニ立ッテ居リマス
  ル將兵ガ、尊キ血稅ヲ拂ッテ居リマスル以上
  ハ、吾々國民ガ分ニ應ジテ負擔ヲシテ行ク
  ト云フ政府ノ意モ、吾々ハ諒トシテ居ルノ
  デアリマス、併ナガラ重ネテ申シマスガ、
  私ハ增稅ノ是ガ本當ノ重點デナクテハナラ
  又、寧ロ私ハ重點トスル所ハ、增稅ニ依ッテ
  財政ノ基礎ヲ出來得ル限リ確立ヲシテ、サ
  ウシテ公債ノ信用ヲ高メテ、公債ノ消化力
  ヲ强化スルト云フコトニアルノデハナイカ
  ト思フノデアリマス、ソコデ吾々民政黨ニ
  於キマシテハ、ドウシテモ少クトモ軍事費
  ニ要シマスル公債ノ利子ダケハ、將來增稅
  ヲ以テ支辨スルコトガ正シイノデアルカラ、
  之ヲ明ニ國民ニ示スコトニ依ッテ、國民ハ巨
  額ナル公債ニ對シテ信用スル、サウシテ公
  債ノ市價モ維持ガ出來テ、公債ノ消化力モ
  圓滑ヲ期シ得ルノデアルト、斯樣ニ考ヘテ
  居ルノデアリマスルガ、之ニ對シテ大藏大
  臣ハ、經常支出ニ對シテハ、經常收入ヲ以
  テヤル、其大體ノ御方針ニハ吾々ハ同感デ
  アル、斯ウ云フ程度ノ御言明ハアリマスル
  ガ、モウ一步進ンデ、公債ノ利子ダケハド
  ウシテモ將來增稅デヤルノダ、サウシテ公
  債ノ信用ヲ高メルコトニ依ッテ、公債ノ消
  化力ヲ增スノダト云フ所マデ、實ハ御言明
  ノナイコトヲ甚ダ遺憾ニ考ヘテ居ルノデア
  リマスルガ、或ハ大藏當局ノ責任上、肚ハ
  其處ニアッテモ表面ニサウ云フ言葉ガ出セ
  ナイノデハナイカト云フコトモ、實ハ考へ
  テ居ルノデアリマスルケレドモ、私ハヤハ
  リ、ハッキリ此公債政策、財政政策ノ指導方
  針ヲ、國民ニ示シテ貰フト云フコトガ、此
  場合最モ必要デハナイカ、斯樣ニ考ヘテ居
  ルノデアリマスガ、重ネテ此點ニ付テ大藏
  大臣ノ御所見ヲ伺ヒマス

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• 035・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　只今ノ公債ノ利子ノ事變
  ニ因ッテ增加スル額ハ、增稅ニ依ッテ支辨セ
  ヨト云フ其御說ノ御心持ニハ、御同感ヲ致
  ス所ハ多分ニアルノデアリマス、唯サウ云
  フ言葉ヲ私ガ申シマセヌデシタノハ、色々
  ノ譯ガアルノデアリマス、ソレハ單リ公債
  ノ利子ノミナラズ、此經常歲出ノ增加ハ、
  恩給等ニ於キマシテモ相當增加致スモノガ
  アラウト思ヒマス、其外色々アルト思ヒマ
  スカラ、之ヲ全部ソレダケノ經常的支出ノ
  增加ヲ、經常的收入ノ增加ニ依ッテ賄フコ
  トガ、現在ヨリモ財政ノ基礎ヲ惡化シナイ
  ト云フコトニナルノデアリマスカラ、其意
  味デ之ヲ努メルト云フコトヲ、昨日モ申上
  ゲマシタ譯デアリマス、其大體ノ方針ニハ
  變リハアリマセヌ、唯是ガ細カクナリマシ
  テ、ドノ位事變公債ガ出ルカ分ラナイ、又
  其外恩給ヤ其他ノ經常歲出ガ殖エル、隨テ
  ソレニ該當スル利子ハ、ソレダケ直グ增稅
  スルト云フヤウニモ、實際吾々ハ參ラヌト
  思ヒマス、增稅ノ關係ハ一面ニ國民ニモ相
  當ノ犠牲ヲ忍ンデ貰ハナケレバナリマセヌ
  ガ、非常ニ不當ニ急激ニ國民生活ヲ壓迫シ、
  又經濟力ノ發展ヲ阻害スルト云フコトハ、
  是ハ角ヲ矯メテ牛ヲ殺スヤウニナリマスカ
  ラ、其增稅ヲ致シマスル時期、程度等ハ、
  又別ノ考カラモ出發ヲ致サナケレバナリマ
  セヌ、經濟上ノ事情其他ニ依ッテ、場合ニ依ッ
  テハ相當增稅ヲ見合シテ、公債ニ依ッテ財
  政ヲ支辨シテ行ク方ガ、經濟上宜イ場合
  モ起リ得ルト思ヒマス、故ニ大體ハモウ御
  趣旨ノ通リデアリマスガ、今後數年間ヲ其
  御言葉ノ通リニ、几帳面ニ實行スルト云フ
  コトハ、此變化ノ多イ現狀デアリマスカラ、
  私ハ困難デアルト思ヒマス、故ニ大體ノ趣
  旨ハ御同感デアル、サウ云フ方針ニ努メル
  ト、斯樣ニ申上ゲタ次第デアリマス

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• 036・前田房之助

  ○前田委員　大體ニ於テ吾々ノ趣旨ヲ認メ
  テ戴キタイノデアリマスカラ、私ハ此問題
  ハ是以上ハ御尋致シマセヌガ、無論經濟狀
  態ハ年ニ變ルノデアリマスカラ、今日公債
  ノ利子ハ是非增稅デヤレ、斯ウ云フ考ヲ持ッ
  テ居リマシテモ、將來永久ニ此方針デ飽迄
  モ押通セト云フ考ヘデハナイノデアリマス、
  ヤハリ經濟上ノ變化ニ應ジテ、適當ナル方針
  ヲ採ラネバナラヌコトハ勿論デアルト云フ
  コトヲ、此際申上ゲテ置クノデアリマス

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• 037・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　前田君ニ一寸御諮リ致シマ
  スガ、午後三時カラ本委員會ヲ繼續シタイ
  ト思ヒマスカラ、此程度デ此場合切ッテ、午
  後ニ御續ケニナッテハ如何デスカ

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• 038・前田房之助

  ○前田委員　宜シウゴザイマス

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• 039・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　ソレデハ休憩ニ入ルニ先立
  チマシテ、御含ミ迄ニ申上ゲテ置キタイノ
  デスガ、水谷君ヨリ輸出振興策ニ關シテ、
  關聯質問ヲ求メラレテ居リマスガ、マダ追ッ
  テ大藏大臣ハ時々此委員會ニ御出席ヲ願フ
  積リデアリマスシ、是ハ相當大キナ問題デ
  アリマスカラ、別ノ機會ニ···

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• 040・水谷長三郎

  ○水谷委員　一點ダケ二三分伺ヒタイノデ
  スガ

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• 041・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　ソレデハ此場合關聯質問ヲ
  許可致シマス-水谷君

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• 042・水谷長三郎

  ○水谷委員　輸出振興ニ關スル前田サンノ
  質問ニ關聯シテ伺ヒタイト思ヒマス、前ニ
  前田サンノ言ハレタヤウニ、公債政策ノ第
  一ノ積極的輸出振興ニ關スル政府ノ方針ガ、
  ハッキリ是マデ聞カレテ居ラナイ、ソレデ之
  ニ對スル大藏大臣ノ御答辯ヲ求メマシテ、
  大藏大臣ハ態〓速記マデ御止メニナッテ答
  ヘラレタノデアリマスガ、ヤハリハッキリシ
  タ方針ヲ、吾々ハ聞クコトガ出來ナカッタ、
  此問題ニ關シテ是マデ本會議竝豫算總會ニ
  於キマシテ、稍〓具體的ニハッキリ吾々ノ前
  ニ示サレタノハ、吉野商工大臣ガ申サレマ
  シタ爲替〓算協定ガ、唯一ツダト思フノデ
  アリマス、勿論此爲替〓算協定ト云フモノハ、
  利害相半バスルモノデアル、單ニ輸出ノ振
  興ダケデアリマセヌ、爲替問題ニモ關聯ス
  ル問題デアリマスガ、外國電報ヲ見レバ、英
  吉利ト伊太利トノ交渉開始ノ第一番ト致シ
  マシテ、爲替〓算協定ノ問題ガ絡ンデ居ル、
  當時商工大臣ガ言明サレマシタトキニ、爲
  替〓算協定ノ目標トシテ、亞米利加、獨逸
  ガ上ッテ居リマシタガ、此獨逸ノ問題モ今度
  「ヒットラー」ガ世界ニ宣明致シマシタ滿洲國
  ノ承認ヲ含ンダ政治方針其他ノ宣明カラ、
  申シマシテモ、稍〓可能的ニナッタヤウナ傾
  向ニアル、或ハ英吉利ノ外交方針ノ變更ニ
  依リマシテモ、日本ト亞米利加トノ間ニ對
  シテモ、此問題ハ前ヨリハ可能性ガ近ヅイ
  タト思ヒマスガ、此點ニ關シマシテ、大藏
  大臣ハ爲替〓算協定ニ對シテ、輸出振興ノ
  一ツトシテ、ドウ云フ御考ヲ持ッテ居ルカ、
  或ハ吉野サント同ジヤウナ考ヲ持ッテ居ラ
  レルカ、持ッテ居ラレルトスレバ、既ニ商工
  大臣ガ言明サレテ居ルノデアリマスカラ、
  サウシテ相當ノ日數ガ經ッテ居リマスガ、其
  間商工當局ト大藏當局トハ、何カ御相談サ
  レタカドウカト云フヤウナ點ニ關シマシテ、
  一ツ明確ナル御答辯ヲ願ヒタイ

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• 043・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　爲替〓算協定ニ付キマシ
  テハ、御話ノ如ク是ハ單ニ輸出振興ト云フ
  見地バカリデナク、爲替ノ決濟關係、國際
  金融關係ヲ亂サヌヤウニシテ行ケルト云フ
  點モ、主眼ニナッテ居リマス、〓算協定ノ內
  容如何ニ依リマシテハ、輸出ノ振興ニモ相
  當貢獻ヲ致ス、是ハ商工大臣ガ何時ゾヤ豫
  算總會デ申シマシタ以前カラ、始終サウ云
  フ問題ガ起レバ具體的ノ問題ニナリマスカ
  ラ、條件其他ノ問題ニナリマスカラ、之ヲ
  或ル程度ニ協議シ、又條件其他ノコトヲ見
  マシテ、サウシテ又一應協定ヲ結バズシテ
  延バシタ方ガ宜イト云フヤウナコトハ、時々
  起ッテ居リマス、無論獨逸等ニ於キマシテ
  ハ、現ニ日本ノ、何ト申シマスカ、或ル經
  濟上ノ協定ヲ言ッテ居ル人モアリマス、併シ
  只今ノ所ノ獨逸、伊太利ト〓算協定ガ直グ
  出來ルト云フ事情ニハアリマセヌ

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• 044・水谷長三郎

  ○水谷委員　唯一點此際明確ニシテ置キタ
  イコトハ、大藏當局ガ輸出振興ノ具體的方
  法トシテ、將來モ之ヲ考ヘテ居ルカドウカ
  ト云フ點グケデアリマス

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• 045・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　其點モ無論考ヘテ居リマ
  シテ、有ユルモノヲ驅ッテ居リマスルノハ、
  何ト申シマスカ、少シデモ良イ材料ハ皆ヤ
  ラウト思ッテ居リマス、其範圍トシテ、無論
  サウ云フヤウナコトヲ、コチラカラ申込ム
  方ガ都合ガ好ケレバ申込マウト考ヘテ居リ
  やく、〓究ハシテ居リマス

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• 046・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　ソレデハ午前中ハ此程度ニ
  於テ休憩致シタイト思ヒマス、午後ハ大藏
  大臣ノ御出席ノ都合ニ依リマシテ三時ヨリ
  開會致シマス、是デ休憩致シマス
  午後零時十三分体憩
  午後三時十分開議

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• 047・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　開會致シマス、午前ニ引續
  キ質疑ヲ繼續致シマス、議事進行ニ付テ森
  田君ヨリ發言ヲ求メテ居ラレマス、御許致
  シマス

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• 048・森田福市

  ○森田委員　一寸政府委員ノ方デ宜イノデ
  スガ、支那事變ノ特別稅ノ勅令條項ト命令
  要項ハ、何時頃出ルノデセウカ、アレヲ一
  番早ク見セテ貰ヒタイト思フノデスガ

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• 049・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　一兩日中ニ提出致シタイ
  ト思ヒマス

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• 050・前田房之助

  ○前田委員　午前ノ質問ニ關聯致シマシテ、
  一項ダケ御尋ヲ致シテ置キタイト思ヒマス、
  今囘第三種所得稅ノ免稅點ヲ、千圓ニ引下
  グルコトニ依リマシテ、納稅者ガ四十万二
  千人、稅額四百六万九千圓增收サレルト云
  フコトニナッテ居ルノデアリマスガ、此四十
  万二千人ト云フノハ、擔稅能力ガ十分アリ
  トシテ課セラレルコトニナッテ居ルノデア
  リマスカ、或ハ國民全體ヲシテ、金錢ニ依ツ
  テ軍事費ノ一部ヲ負擔サスト云フコトニ重
  キヲ置イテ、引下ゲラレタノデアリマスカ
  此點ヲ御伺致シマス

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• 051・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　免稅點ヲ千圓ニ引下ゲマ
  シタコトニ付キマシテハ千二百圓ト千圓ト
  ノ間ノ階級ガ、擔稅力十分ニアリト云フコ
  トハ、平素ノ考カラ申セバ、サウ云フコトハ
  困難デアルト思ヒマス、十分デハアリマセ
  ヌガ、只今免稅サレテ居リマス中デハ、比
  較的擔稅力アル者ニ近イ方ノ階級デアリマ
  スノト、今御話ノヤウニ成ベク多數ノ國民
  ガ、直接ニ此戰費ヲ負擔スルノガ適當ト認
  メマシテ、引下ゲマシタノヂアリマス、引
  下ゲマシタ程度ハ、或ハ人々ノ考ニ依リマ
  シテハ、輕微ノ稅率ナラバ、モウ少シ下マ
  デモト云フコトモアルト思ヒマスケレドモ、
  併シ何レ斯ウ云フコトニナリマスレバ、物
  價モ騰貴致スモノモアルノデアリマスカラ
  擴ゲル趣旨カラ申セバ甚ダ行キ足リナイト
  モ思ヒマスケレドモ、兩方ノ點ヲ考ヘマシ
  テ、アノ程度ニ止メルコトヲ適當ナリト考
  ヘタ次第デアリマス

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• 052・前田房之助

  ○前田委員　モウ少シ後デ宜シイノデスガ、
  商工大臣ノ御出席ヲ希望致シマス

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• 053・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　出席ヲ求メテ居リマス、間
  モナク御出席ニナルデセウ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=53

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• 054・前田房之助

  ○前田委員　是ヨリ支那事變特別稅法ノ施
  行期間ニ付テ、御尋致シタイ、同法第七十
  六條ニ依リマスト「本法ハ支那事變終了後其
  ノ翌年十二月三十一日迄ニ之ヲ廢止スルモ
  ノトス」斯樣ニ規定サレテ居ルノデアリマ
  ス、無論第一條ニハ「當分ノ內」ト云フ文字
  モアリ、又本會議ニ於ケル政府ノ御答辯ニ
  依リマスト、出來得ル限リ早ク、廢止ヲシ
  テ、一般ノ改正ヲシタイ、斯樣ナ御答モアッ
  タノデアリマス、申ス迄モナク政府ハ曩ニ
  中央地方ヲ通ジテ、稅制ノ根本改革ヲ斷行
  シテ國民ノ負擔ノ均衡ヲ期ス、斯ウ云フコ
  トヲ公約ヲサレタノデアリマスガ、其後支
  那事變ガ勃發ヲシテ、經濟事情モ變化ヲ致
  シ、又國民ノ所得モ不安定ニナッタ、斯樣ナ
  理由ノ爲ニ中央地方ヲ通ズル一般改正ヲ行
  フコトナクシテ、今回增稅案ヲ提出サレタ
  ノデアリマス、一應支那事變ノ爲ニ經濟事
  情ガ變化ヲ致シタ、國民ノ所得ガ不安定ニ
  ナッタ、此事實ハ私モ認メ得ルノデアリマ
  ス、認メハ致シマスガ、併ナガラ是ガ爲ニ
  中央地方ヲ通ズル一般ノ稅制ノ根本改革ヲ
  延バサレタト云フ其理由ニ付テハ、ドウモ
  承服シ兼ネル點ガアルノデアリマス、申ス
  迄モナク支那事變ノ前途ハ、尙ホ極メテ遼
  遠デアラウト思ハレマス、是ハ私ガ繰返シ
  申ス迄モナク、政府ニ於テモ能ク御諒承ノ
  コトト存ズルノデアリマスガ、假令此支那
  事變ガ終局ノ目的ヲ達スルト致シマシテ
  モ、恐ラク今後支那ニ於テハ、相當大軍ヲ
  駐屯サセル必要ガアルト思ヒマス、恐ラク
  支那ノ新政府ニ關スル限リ、國防竝ニ治安
  ノ維持ハ、當分日本ガヤラナケレバナラ
  ヌ、斯ウ云フ實情ニ置カレテ居ルト思ヒマ
  ス、之ニモ相當ノ金ガ要ル、ノミナラズ、
  今日ノ國際上ノ客觀的情勢カラ見マスル
  ト、軍備ノ競爭ハ必至デアル、今後軍備ハ
  益〓、擴大セラレナケレバナラナイ傾向ヲ迪ッ
  テ居ル、斯樣ナコトヲ考ヘマスト、假令支
  那事變ガ終局ノ目的ヲ達シ得ルト致シマシ
  テモ、今後私ハ非常時局ト云フモノハ、相
  當長ク續ク、隨テ現在ノ此經濟情勢ト云フ
  モノハ、半恆久化スルト認メテ差支ガナイ
  ノデハナイカト思ヒマス、隨テ私ハ現在ノ
  經濟事情ヲ基礎トサレマシテモ、一般ノ中
  央地方ヲ通ズル稅制改革敢テ不可能デナ
  イ、斯樣ナ見解ヲ持シテ居ルノデアリマシ
  テ、ドウモ其點ニ付テ政府ガ公約ヲ無視シ
  テ、一般ノ稅制改革ヲ斷行サレナカック理由
  ガ、本當ニ那邊ニ在ルノデアルカト云フコ
  トノ了解ニ苦シムノデアリマス、先ヅ此點
  ニ付テ政府ノ御所見ヲ伺ヒタイト存ジマス

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• 055・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　事變ニ因リマシテ、經濟
  上ノ色々ナ變動ガアリマス、其爲ニ國民所
  得ニ付キマシテモ、色々變動ヲ生ジマシ
  テ、其變動ガ相當安定スル-落付ク時ヲ
  待ツベキモノデアラウト考ヘルノデアリマ
  ス、例ヘバ或ル事業ハ非常ニ利益ガアリ、
  或ル事業ハ事變ニ關シマシテ、或ハ政府ノ
  政策ト言ヒマスカ、爲替管理等ノ爲ニ利益
  ガ從前程ハナイト云フ風ニ、事變デ擔稅力
  ハ變化ヲ致シマス、其際ニ恆久的ノ稅制ヲ
  立テルト致シマシテモ、擔稅力ノ見透シハ
  十分ニ付カナイ譯デアリマス、隨テ此事變
  中ハ、普通ナラバソレガ落著カナイ時デア
  ラウト思ヒマスガ、併シ今前田委員ノ御觀
  測ニナリマスヤウニ、事變ト云フ名ノ下ニ
  於テモ半永久的ニ假ニ事態ガナルト致セ
  バソコニ相應ノ經濟事情、擔稅力ノ落著
  キト云フモノガ出來テ參リマスレバ、ソコ
  デ基本的ノ改正ハ出來ルト思ヒマス、要ス
  ルニ事變ニ依ッテ急ニ變化ヲ致シマシテ、或
  ル事業ハ非常ニ利益ガアリ、或方ハ餘リナ
  ク、例ヘバ金融ニ致シマシテモ、昨年ノ如
  キハ株ノ拂込ハ著々行ハレルケレドモ、社債
  ノ發行ハ行ハレナイトカ、色々變質狀態ヲ呈
  シマスノデ、是ガ或ル安定點ニ參リマシタ
  ナラバ、理論的ニ申セバ、ソレガ縱令事變
  中ト雖モ、稅制整理ハ可能ダト私ハ思フノ
  デアリマス、延バシマシタ理由ハソコニア
  ルノデアリマス、本法ヲ事變終了後其翌年
  十二月三十一日ト致シマシタノハ、サウ云フ
  事態ガ事變中ニ來ルト云フコトヲ、必シモ斷
  定スル譯ニ參リマセヌノト、此法律ニ依ッテ
  稅收入ハ軍事費ノ財源ニナッテ居リマス爲
  ニ、一應斯ク事變ノ終了ト云フコトト關聯
  ヲ持タセマシテ、終期ヲ定メマシタノデア
  リマス、ソレモ事變後ニ於テモ、只今前田
  委員ノ御觀測ニナリマスヤウニ、此增稅ヲ
  止メマシテ、ソレキリデ增稅ガナクテハ濟
  マヌ時代デアラウト今デハ想像サレマス、
  サウ云フ際ニ基本的ノ改正ヲ致シ、斯ウ云
  フ臨時稅デナク、別ノ增稅案モ其基本的ノ
  整理ト共ニ出サナケレバナラヌデアラウト
  云フコトモ豫測致ツマシテ、此臨時稅法ニ
  期限ヲ附シタヤウナ次第デアリマス

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• 056・前田房之助

  ○前田委員　一應大藏大臣ノ御說明ハ私共
  諒トスルノデアリマスケレドモ、實際問題
  トシテ、現在ノ經濟事情ノ下ニ、中央、地
  方ヲ通ジテ根本的改革ヲヤウラト云フ決意
  ガアレバ、强チソレハ不可能デナイヤウナ考
  へ方ヲ私ハ持ッテ居ルノデアリマス、甚ダ
  穿ッタコトヲ申シテ失禮ニ當ルカモ知レマ
  セヌガ、私ハ之ヲ延期サレタニ付テハ、寧
  ロ他ノ理由ガアルノデハナイカ、一ツハ事
  務的關係デ非常ニ御多忙デアル、支那事變
  ガ勃發シテ事務當局ハ非常ニ御多忙デアツ
  テ、非常ニ手數ノ掛ル根本的改革ヲヤル時
  間ガナカッタ、斯ウ云フコトモ一ツノ原因デ
  ナイカト思ヒマス、更ニ私ハ寧ロ延期サレ
  タ本當ノ理由ハ、中央、地方ヲ通ジテ稅制
  ノ根本改革ヲ斷行致シマスノニハ、何ヲ差
  措イテモ地方稅ノ惡稅ノ改廢シヲナケレバ
  ナラヌ、例ヘバ戶數割ノ如キハ、是ハ地方財
  政補給金デ約半額ハ減ッタノデアリマスケレ
  ドモ、是ハ何トシテモ廢止ヲシナケレバナ
  ラヌ、其他地方ニハ自轉車稅トカ、荷車稅
  トカ、色々ノ惡稅ガアリマスガ、ソレヲ廢
  止致シテ、中央カラ其廢止シタダケノ額ヲ
  交付致シマスノニハ、中央國稅ニ於テ相當
  ノ財源ヲ見出サナケレバナリマセヌ、私ハ
  延期サレタノハ、寧ロ其國稅ノ財源ヲ見出
  スコトニ非常ニ苦心ヲサレテ、結局延期サ
  レテ居ルノデハナイカ、是ハ或ハ臆測ニナ
  ルカモ知レマセヌガ、實ハ左樣ニ考ヘテ居
  ルノデアリマス、寧ロ國稅ノ適當ナル財源
  サヘ發見サレヽバ、進ンデ地方稅、中央國
  稅ノ根本的改革ヲ斷行サレルノデハナイ
  カ、私ノ臆測ガ若シ間違ッテ居タラ、甚ダ相
  濟マヌト思ヒマスガ、ドウモサウ云フ風ニ
  シカ解スル外途ガナイノデアリマス、ソコ
  デ私ハ是以上ハ水掛論ニ涉ルノデアリマス
  ガ、一應御尋申上ゲタイノハ、地方稅ノ惡
  稅ハドウシテモ速ニ廢止シナケレバナラヌ
  ト思フ、ソレニハ恐ラク一億圓以上ノ財源
  ヲ要スルノデハナイカト思ヒマスガ、然ラ
  バ現在ノ國稅デドノ方面カラソレヲ漁ルカ、
  ドウ云フ新稅ヲ設ケテソレヲ補塡スベキカ、
  此點ガ私ハ重大問題デナイカト思フノデア
  リマス、ソコデ問題ハ新シイ所ノ稅源ヲ發
  見スルニハ、ドウ云フ稅ヲ取ッテ來ルガ此
  場合宜イノデアルカ、斯ウ云フコトモ考へ
  ナケレバナラヌノデアリマスガ、私ハドウ
  シテモヤハリ財產稅ヲ新設スルト云フコト
  ガ最モ妥當デハナイカ、是ハ私一個ノ考デ
  ハアリマスガ、常ニ考ヘテ居ルノデアリマ
  ス、卽チ財產稅ヲ新設スル外ニ、物品ノ賣
  上稅ト云フモノモ新設スル必要ガアルノデ
  ハナイカ、此財產稅ナリ賣上稅ヲ新設シナ
  ケレバ、私ハ一億圓以上ノ地方ノ交付金ヲ、
  恒久的ノ財源ニ依ッテ補塡スルト云フコト
  ハ、ムヅカシイノデハナカラウカト思フ、
  現在ノ稅ヲ其儘デ、唯其率ヲ殖ヤシテ行ク
  ト云フコトデハ、非常ニ產業ヲ壓迫シテ、
  惡イ所ノ作用ガ起リハセヌカト思フ、寧ロ
  此際ハ斯ウ云フ新稅ヲ起シテ、サウシテソ
  レヲ財源トスルコトニ依ッテ地方ノ惡稅ヲ
  廢止スル、サウ云フコトニシナケレバ、本
  當ノ稅制ノ改革ハ斷行シ得ナイノデハナイ
  カト云フ考ヘ方ヲ持ッテ居ルノデアリマス
  ガ、サウ云フ點ニ付テ大藏當局トシテ御〓
  究ニナッタコトガアルノデアリマセウカ、
  應所見ヲ伺ッテ見タイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=56

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• 057・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　稅制整理ヲ延期致シマシ
  タ理由ハ、前ニ申述ベタ通リデアリマス、
  財產稅ノ御尋デアリマスガ、此稅ハ理窟カ
  ラ申セバ、相當道理ノアル點モアルト思フ
  ノデアリマス、併シ實際ノ事情ハ、是ガ所
  得其モノニ賦課スルモノデアリマセヌ爲ニ、
  之ニ相當高率ノ稅ヲ課シマスコトハ、困難
  デアルト思フノデアリマス、隨テ又之ニ多
  額ノ擔稅力アリト認メル譯ニハ、中々參リ
  マセヌト思フノデアリマス、其上ニ徵稅技
  術上非常ナル困難ガアリマシテ、動モスレ
  バ是ハ不動產ニ重課スル、有價證劵、不動
  產ニ限ルヤウナ狀況ニモナルト思フノデア
  リマス、サウ致シマスト、他ノ稅法ニ付テ
  モ、サウ云フモノナラバ、幾ラモ是ハ課稅
  ヲ捉へ得ル點モアルト思フノデアリマス、
  隨ヒマシテ此財產稅ヲ起スト云フコトハ、
  尙ホ餘程〓究ノ餘地ガアルト考ヘルノデア
  リマス、又賣上稅ハ財產稅以上ニ〓究ノ餘
  地ガアルト思フノデアリマス、所謂賣上稅
  ハ賣買ノ度每ニ課スルノデアリマスノデ、
  生產或ハ販賣ノ經濟上ノ過程ガ、偶然ニ其
  囘數ガ少イモノト、多キモノトノ間ニハ、
  非常ナル不公平ヲ生ズルノデアリマス、是
  ハ稅ノ理論カラ申シマシテモ、根本的ノ缺
  陷ヲ藏シテ居ル問題デアリマス、之ヲ恒久
  的稅制トシテ考ヘマスコトハ、是ハ餘程困
  難デハナイカ、多分ニ〓究ノ餘地ガ殘ッテ居
  ルモノデアリマス、俄ニ是ハ實行出來ナイ
  モノデアルト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=57

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• 058・前田房之助

  ○前田委員　無論私モ、强チ財產稅、賣上
  稅其モノヲ絕對ニ必要デアリ、可能デアル
  トハ考ヘテ居ラヌノデアリマス、十分〓究
  ノ餘地ガアルト考ヘテ居リマスガ、併ナガ
  ラ地方ノ惡稅ヲ廢止スルニハ、ドウシテモ
  一億圓以上ノ新シイ財源ヲ見出サナケレバ
  ナラヌ、隨テ斯ウ云フモノニ付テモ相當御
  〓究ノ必要ガアルノデハナイカ、無論財產
  稅或ハ賣上稅ニ限ッタコトデハアリマセヌ、
  其他ノ新稅ニ付テモ、今カラ十分ノ御〓究
  ヲ願フ必要ガアル、斯樣ニ考ヘテ一應御尋
  ヲ申上ゲタノデアリマス、更ニ此事變ノ關
  係デアリマスガ、成程昭和十二年ハ、事變
  ガ勃發ヲ致シテ、サウシテ經濟事情其他ニ非
  常ナ變動ガ起ッタ、隨テ一應之ヲ延期サレル
  ト云フ理由ハ、吾々モ諒ト致シテ居ルノデ
  アリマスケレドモ、併ナガラ私ヲシテ言ハ
  シムレバ、ヤラウトスレバヤレナイコトハ
  ナカッタ、他ノ理由ガアッタカラ延期サレタ
  ノヂヤナイカ、斯樣ナ實ハ推察ヲ致シテ御
  尋申上ゲタノデアリマスガ、併シモウ十三
  年ハ十二年ト餘程事情ガ異ッテ來ルノヂヤ
  ナイカ、大體ニ於テ戰時體制下ノ此經濟狀
  態ト云フモノガ、稍〓平衡ニナッテ來ル、安定
  シテ來ル、斯ウ云フコトデ、前途ノ見透シ
  モ大體ニ於テ付クノデアリマスルカラ、私
  ハ此十三年中ニ中央、地方ノ稅制ノ改革ノ準
  備ヲ十分サレテ、サウシテ次ノ普通ノ議會
  ニハ、一ツ地方、中央ヲ通ズル根本的ノ稅
  制改革案ヲ提出サレテハドウカ、左樣ナコ
  トヲ實ハ熱望致シテ居ルノデアリマス、隨
  テ此七十六條ニハ「支那事變終了後其翌年
  十二月三十一日迄ニ之ヲ廢止スルモノトス」
  トアリマスルガ、寧ロ私ハ左樣ナ時局ノ前
  途ト云フモノハ、殆ドマダ見透シガ付カナ
  イ、隨テ左樣ナ悠長ナルコトヲ玆ニ規定ス
  ルヨリモ、本當ニ政府ハ此際速ニ一般ノ稅制
  改革ガ必要ダ、サウシテ稅制改革ヲヤッテ、
  國民ノ負擔ヲ均衡サセテ、其上ニ立ッテ必要
  ナモノハドシ〓〓增稅ヲシテ行ク、斯ウ云
  フ立方ガ戰時經濟ヲ處理シテ行ク上ニ於テ
  必要ダト云フコトデアルナラバ、私ハ此十
  三年度ハ、大體ニ於テ經濟界ト云フモノハ
  見透シガ付イテ來ルノデハナイカト思ヒマ
  スルカラ、一ツ此來ルベキ普通議會ニハ根
  本的ノ稅制改革案ヲ出ス、斯ウ云フ御考ノ
  下ニ、斯ウ云フ長イ前途ノ見透シガ付カヌ
  ヤウナ廢止期間ヲ設ケルコトハ止メラレマ
  シテ、寧ロ率直ニ之ヲ一年位デ止メル、斯
  ウ云フ風ニ御規定ニナルト云フ方ガ、國民
  ガ安心スルノデハナイカ、又ソレガ本筋デ
  ハナイカ、速ニ國民ノ負擔ノ均衡ヲ圖ッテ、
  サウシテ今後事變ノ進展ニ伴ウテ、本當ニ
  軍費ガドン〓〓要ッテ來ル公債バカシデヤッ
  テハイケナイノダ、ドウシテモ一部ハ增稅
  ニ俟ツノダト云フナラバ、其負擔ノ均衡ヲ
  圖ッタ基礎ノ上ニ立ッテ增稅ヲヤッテ、サウ
  シテ而モ其增稅案ト云フモノハ、現在アル
  ガヤウニ、幾度モ增稅案ヲ出シテ居ラレル
  ガ、サウ云フ複雜ナル增稅案ヲ止メラレテ、
  本當ノ負擔ノ均衡ノ基礎ノ上ニ立ッテ、單一
  化シタ增稅案ヲ拵ヘルト云フコトガ、國民
  ヲシテ其嚮フ所ヲ知ラシムルト云フコトニ
  相成ルノデハナカラウカト思フノデアリマ
  スガ、之ニ付キマシテ大藏大臣ノ御所見ヲ
  伺ッテ見タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=58

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• 059・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　支那事件ノ前途ニ關シマ
  シテ、只今ノ御說ノヤウナ觀察モ私ハ出來
  ルト思ヒマス、併ナガラ此變化ノ多イ今ノ
  世界ノ情勢ニ於キマシテ、サウ云フ風ニ果
  シテ此十三年ガ參リマスカドウカ、是ハド
  ウモ私ハ豫斷ガ出來ナイト思ヒマス、出來
  ルダケ早ク安定ノ狀態ヲ見出シマシテ、ソ
  レガ當分續クト見マシタナラバ、稅制ノ整
  理改革ヲ致スベキモノダト云フコトハ、全
  ク御同感デアリマスルガ、十三年度ガサウ
  云フ時機ニナルト云フコトヲ今見定メマシ
  テ、必ズサウ云フ風ニ致スト云フコトハ、
  只今ノ所未ダ考慮ノ餘地ガアルノヂヤナイ
  カト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=59

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• 060・前田房之助

  ○前田委員　無論國內ノ情勢ハ國際ノ事情
  ニ依ッテ變化スルノデアリマシテ、恐ラクハ
  今日ノ國際的客觀情勢カラ見マスト、何人
  ト雖モ私ハ一年、二年先ノ事ヲ豫斷スルコ
  トハ出來ナイト思ヒマス、是ハ來年ニナッテ
  モ、再來年ニナッテモ、何時ドウ云フ變化ガ
  起ルカ分ラナイノデアリマスカラ、若シソ
  レヲ心配シテ稅制ノ根本改革ヲ延期スルノ
  ダト云フコトニナレバ、恐ラク私ハコヽ五
  年經ッテモ、六年經ッテモ、一般ノ稅制改革
  ト云フコトハ不可能ニナルノヂヤナイカト
  思ヒマス、大體ノ國際ノ情勢ト國內ノ事情
  ヲ考慮シテ、サウシテ兎モ角モ速ニ國民ノ
  負擔ノ均衡ヲ圖ル、ソレガ政府ノ責任ダ、
  斯ウ云フ御考ノ下ニ、若シ事情ガ變ッテ來
  テ、非常ニ經濟事情ニ變化ガ起レバ、其時
  ニハ又考慮サレタラ宜イノデアッテ、將
  來變化ガ起ルカ起ラヌカ分ラヌ、サウ云フ
  時ニ、或ハ變化ガ起ルデアラウト云フヤウ
  ナ豫想ノ下ニ、稅制ノ一般改革ヲ延期サレ
  ルト云フコトハ、決シテ國民ニ對スル
  私ハ親切ヂヤナイト思ヒマス、併ナガ
  ラ此問題ハ是以上ハ討論ニ涉リマスカラ、
  是ハ政府ノ善處ヲ熱望致シマシテ、此問題·
  ハ此程度デ打切リタイト思ヒマス、次ニ御
  尋ヲ申上ゲタイノハ、只今大藏大臣ガ御述
  ノ通リ、支那事變ノ爲ニ經濟事情ガ非常ニ
  變ッタ、國民ノ所得モ不安定ダ、是ハ何人モ
  認メザルヲ得ナイノデアリマスガ、先ヅ御
  尋ヲ申上ゲタイノハ、此支那事變ノ爲ニ都
  市ハ相當好影響ヲ及ボシテ居ル、農村ハ反
  對ニ惡イ影響ヲ及シテ居ルコトハ、常識上
  何人モ考へ得ル事實デアリマスガ、大體都
  市ニ於ケル國民ノ擔稅力ト、農村ニ於ケル
  國民ノ擔稅力ガ、ドウ云フ風ニ變化ヲ致シ
  テ居リマスルカ、之ヲ支那事變前ノ狀態ト
  比較ヲ致シテ、若シ數字上御說明ヲ願フコ
  トガ出來マスレバ、一ツ御示ヲ願ヒタイト
  思ヒマス、是ハ他ノ政府委員ノ方デ結構デ
  アリマス、ドウ云フヤウニ變ッテ居リマス
  カ、國民ノ所得、擔稅力ヲ市ト町村ト分ケ
  テ、事變前ヲ百ト致シマシテ、現在ドウナッ
  テ居ルカ、單ニ指數ダケデ結構デアリマス、
  是ハ特別稅法ヲ出ス場合ニ、課稅ノ標準ト
  ナッテ居ルト思ヒマスカラ、承ッテ置キタイ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=60

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• 061・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　大體ニ於キマシテ都市ガ
  非常ニ宜シイト云フコトハ考ヘラレマスル
  ガ、都市ノ中デモ軍需工業ニ關係ヲ致シマ
  シタ方面以外ニ、輸出工業或ハ輸出業ノ
  部ニハ、却テ普通ノ場合ヨリハ惡イモノガ
  アルヤウデモデアリマス、都市ニ於テハ良
  イモノト惡イモノガアルト思ヒマス、農村
  ノ方面ハ、是ハ觀察ノ仕樣デアリマスガ、
  例ヘバ昨年ノ如キ米作ノ收量ガ相當宜シイ
  場合ニ於キマシテ、米價ヲアノ程度ニ維持
  スルコトガ出來マシタノモ、事變ノ影響カ
  ト思ヒマス、サウ致シマスレバ、農村ノ方
  面ニ於キマシテモ、只今ノ所事變デ非常ニ
  好影響ト云フ程度デハアリマセヌガ、一ト
  頃ノ不況ノ場合ヨリハ、收入ガ大分改善致
  シテ居ルヤウニ考ヘマス、大體サウ云フ風
  ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=61

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• 062・前田房之助

  ○前田委員　只今ノ大藏大臣ノ御答ハ、私
  モ其通リデアルト考ヘテ居ルノデアリマシ
  テ、寧ロ私ガ承リタイノハ、支那事變特別
  稅ヲ拵ヘマシタニ付テ、課稅ノ標準ガアッタ
  ト思フノデアリマス、大體支那事變前ヲ比
  較スレバ、市デ何ボニ殖エテ居ルカ、町村
  デ擔稅力ガドウナッテ居ルカト云フ標準ガ
  ナケレバ、此特別稅ト云フモノハ出テ來
  ヌト思フノデス、ソレヲ承リタイト思ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=62

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• 063・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　稅法ヲ盛リマス場合ニハ、
  町村ニ幾ラ掛リ、市ニ幾ラ掛ルト云フヤウ
  ナ見當デ、先ヅ稅額ヲ決メマシテ稅法ニ盛
  ルト云フ譯ニハ參リマセヌノデ、此稅ヲ此位
  ノ增加ニスルコトハ、產業上ノ害トシテモ
  非常ニ大キナモノハナカラウ、生活ノ壓迫
  モソレ程重大デハナカラウ、斯ウ云フ見地カ
  ラ致シマスノデ、豫メ農村ニ此稅ガ幾ラ掛
  リ、市ニ幾ラ掛ルト云フコトヲ豫定シマシ
  テ、決定ヲ致シタ譯デハ無論アリマセヌ、
  尙ホ今ノ御質問ノ御參考ニナリマスヤウナ
  數字ヲ、追テ申上ゲルコトニ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=63

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• 064・前田房之助

  ○前田委員　無論私モ稅率ヲ決メラレル場
  合ニハ全體ノモノヲ見ルヨリモ個々ノモ
  ノヲ見テ、稅率ヲ決メラレル、サウ云フコ
  トハ承知ヲ致シテ居リマスケレドモ、併シ
  ソレヲ綜合シテ見ラレルト、大體都市ガ幾
  ラ、農村ガ幾ラト云フコトハ、自然出テ來
  ルノデハナイカト思ヒマス、ソレカラ支那
  事變ノ爲ニ地方團體ノ財政上ニ、相當ノ影
  響ヲ及ボシテ居ルコトハ事實ダト思ヒマス、
  ソコデ個別的ニ御伺致シマスガ、支那事變
  ニ從軍シタル軍人軍屬ニ對シ、第三種所得
  稅營業收益稅及ビ地租ニ付テ租稅ノ輕減
  免除ヲ爲シ、又ハ其徵收ノ猶豫ヲ爲スコト
  ヲ得、斯ウ云フコトニナッテ居リマスガ、是
  ハ地方ダケデ結構デアリマスカラ、是ガ爲
  メ幾ラ程輕減サレテ居リマスカ、先ヅソレ
  ヲ御伺致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=64

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• 065・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　地方ノ稅ニ付キマシテハ、
  內務省ノ方カラ御答願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=65

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• 066・前田房之助

  ○前田委員　ソレデハアトデ內務省ノ政府
  委員ニ出席ヲ願ヒタイト思ヒマス、內務省
  關係ノコトハアトデ御伺致スコトト致シマ
  シテ、私ガ大藏省關係デ御尋スルノハ、支
  那事變特別稅ノ實施、其他稅法ノ改正ノ結
  果地方稅ガ相當減ルト思ヒマス、是ハ先
  程大臣ガ一寸仰シヤッタト思ヒマスガ、ソレ
  ヲ明確ニ伺ヒタイト思ヒマス、稅法ノ改正
  ノ結果、地方稅ガ大分輕減サレルト思ヒマ
  スガ、幾ラ程減リマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=66

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• 067・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　是ハ提案ノ理由ノ說明ノ
  際ニモ申上ゲタト思ヒマスガ、所得稅ノ免
  稅點ヲ引下ゲマシタ場合、從來ノ如ク特別
  所得稅ヲ課シテ居リマシタ地方團體ニ、其
  儘ノ特別所得稅ヲ賦課セシムルコトハ、過
  重ニナル場合モアリマスカラ、相當減額ヲ
  致ス必要モアリマス、其爲ニ地方ノ收入ハ
  減ズルモノデアリマス、又今囘營業收益稅、
  地租ノ輕減ヲ致シマス減稅ノ場合ガアリマ
  スガ、左樣ナ場合ニ於キマシテハ、其附加
  稅ノ收入ヲ地方團體ハ失フコトニナリマス、
  又營業收益稅ニ關聯シマシテ、地方營業稅
  ノ減免、減稅ノ必要ガアルカトモ思ヒマス、
  其場合ニ於キマシテモ、地方ニ於テ稅收入
  ノ缺陷ヲ生ズル譯デアリマス、ソレカラ尙
  ホ觀覽稅等ノ場合ニ於キマシテモ、地方ニ
  於キマシテ現在ノ如ク賦課致シマスコトハ、
  過重ニナリマス場合ガアリマスカラ、其
  部ヲ輕減セシムル必要ガアルト思ヒマス、
  斯樣ナ理由デ以テ、地方稅ノ減收ガアリマ
  ス、其合計ハ約一千万圓デアリマス、其地
  方ノ收入ニ對シマシテハ適宜補塡ノ方法ヲ
  國庫ヨリ講ズル、斯ウ云フ考デ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=67

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• 068・前田房之助

  ○前田委員　ソレカラ其外ニ本年ノ一月一
  日ヨリ土地賃貸價格ノ改訂ニ依リマシテ、
  相當地方稅ガ減ルト思ヒマスガ、ソレヲ道
  府縣市町村別ニ一ツ御知ラセ願ヒタイト思
  ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=68

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• 069・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　賃貸價格改訂ニ伴ヒマシ
  テ府縣ノ附加稅ハ約千三百万圓ノ減ニナリ
  マス、市町村ニ於キマシテハ約七百万圓バ
  カリノ減ニナリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=69

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• 070・前田房之助

  ○前田委員　ソレデハ後デ宜イノデアリマ
  スカラ、之ヲ一ツ道府縣別ニシテ、御示ヲ
  願ヒタイノデアリマス、サウ致シマスト事
  變ノ關係ノ爲ニ、町村ノ財政ガ大體今御說
  明ニナッタダケデモ、約三千万圓程減ッテ居
  ル、斯フ云フコトニナルノデアリマス、其
  他內務省關係ノ分ヲ合セマスト、相當地方
  財政ト云フモノハ苦シクナッテ居ルコトハ、
  事實デアラウト存ジマス、ソコデ此地方財
  政ノ收入減ノ補塡ノ爲ニ、地方長官ニ對シ
  テ其缺陷シタ分ニ對シテ、增稅又ハ地租附
  加稅ヲ引上ゲテ、補塡セヨト云フヤウナ內
  訓ヲ出サレタヤウナコトガアルノデアリマ
  スカ、ソレヲ一應伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=70

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• 071・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　地方局長、主稅局長ノ通
  牒ヲ以チマシテ、營業收益稅ノ附加稅ト均
  衡ヲ得ルヤウニシテ、十三年度ノ豫算ヲ編
  成スルヤウニ致シテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=71

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• 072・前田房之助

  ○前田委員　サウ致シマスト營業收益稅ノ
  附加稅ト均衡ヲ取ルヤウニ、地租附加稅ヲ
  取計ヘト云フコトニナリマスト、結局地租
  附加稅ヲ引上ゲルコトニシテ補塡セヨ、斯
  ウ解釋シテ宜イノデアリマスカ、之ヲ伺ッテ
  置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=72

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• 073・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　此度ノ賃貸價格ノ改訂ニ
  依リマシテ、地方ニ依リマシテハ地租ノ本
  稅ガ殖エル所モアリマス、又減ズル所モア
  ルノデアリマス、ソレ等總テヲ通ジマシテ、
  營業收益稅ノ附加稅ト均衡ヲ得ルヤウニト
  云フ趣旨ノ通牒ヲ出シテ居ルノデアリマス、
  是ハ從來モ其方針デヤッテ來テ居ルノデア
  リマス、必シモ引上ゲナケレバナラヌトカ、
  或ハ引下ゲナケレバナラヌト云フ譯デハア
  リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=73

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• 074・前田房之助

  ○前田委員　私ノ申上ゲタノハ營業收益稅
  ハ相當殖エル見込ガアルカラ、ソレト均
  衡ヲ保ツト云フコトニナルト、地租附加稅
  ヲ引上ゲル必要ガアルノデハナイカト云フ
  コトヲ、御尋申上ゲタノデアリマスガ、元
  來營業收益稅ト地租ト同ジヤウナ取扱ヲサ
  レルト云フコトハ、ドウモ根本觀念ガ間違ッ
  テ居ルノデハナイカト思ヒマス、御承知ノ
  通リ營業收益稅ハ年々ノ實績ニ依ッテヤッテ
  居ル、地租ト云フモノハ十年間ニ一囘賃貸
  價格ノ改訂ヲヤル、サウ致シマスト地租ト
  云フモノハ、都會ハ別ト致シマシテ、農村
  方面ノ地價ト云フモノハ年々下ッテ行ク、年
  年下ッテ行クニ拘ラズ、十年ニ一囘シカ改訂
  ヲナサラヌト云フコトニナリマスト、大體
  ニ於テ後ノ五年間ト云フモノハ、非常ニ不
  當ナル地租ヲ農村ハ拂ッテ居ル、斯ウ云フ結
  論ニナルノデアリマス、隨テ年々ノ實績ニ
  依ッテヤッテ居ル營業收益稅ト、十年間ハ下ッ
  テモ改訂ハヤラナイト云フ地租ト、同ジヤ
  ウニ取扱フト云フコトハ、稅ノ根本觀念カ
  ラ間違ッテ居ルノヂヤナイカト思ヒマスガ、
  其邊ヲモウ一遍伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=74

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• 075・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　其點ハ地租ノ課稅率ト、
  營業收益稅ノ課稅標準ヲ如何ニスルカト云
  フ本質ノ問題デアルト思ヒマスガ、是ハ獨
  リ地方附加稅バカリデハナク、國稅ニ付テ
  モ亦言ヘルベキモノデアリマス、理想ト致
  シマシテハ地租ニ付キマシテモ、每年ノ收
  益ヲ調査致シマシテ賦課スルノガ本當デア
  リマスルガ、併シ是ハ全國ノ多數ニ亙ルモ
  ノヲ、每年々々調査ヲ繰返スト云フコトハ
  至難ノコトデアリマス、是ハ獨リ我國バカ
  リデナク、世界各國ノ狀況ヲ見マシテモ、
  或ル基準年ヲ置キマシテ其際ニ調査シ、其
  後或ルモノハ五年トカ十年トカ据置クト云
  フコトニナッテ居リマシテ、是ハ不動產課
  稅トシテハ已ムヲ得ナイ次第カト存ジマス、
  今御話ノ地租ノ課稅標準ヲ、其儘据置クガ
  爲ニ、農產物ノ價格ガ非常ニ下落シタ場合
  ニハ、地租ノ納稅者ハ非常ニ困ルデヤナイ
  カト云フノハ、全ク御說ノ通リヂアリマシ
  テ、昭和六年地租法ガ實施ノ場合ニ基準ニ
  取リマシタ賃貸價格ノ調査ハ、大正十四年
  前五箇年ノ實績ニ依ッテ、調査決定致シタ
  ノデゴザイマス、隨テ昭和六年七年ノ頃ハ、
  農產物價ノ下落ニ依リマシテ、實情ニ副
  ハナイ課稅ガ行ハレテ來タノデアリマス、
  此度ノ賃貸價格ノ改訂ハ、昭和十年前五箇
  年ノ實績ニ依ッテ計算シテ決定致シタノデ
  アリマス、丁度其前ニ行ハレタ調査ト逆ノ
  結果ヲ來シマシテ、現在ハ米價ガ三十圓以
  上モシテ居ルノニ、其賃貸價格ノ改訂ニ用
  ヒマシタ米價ノ全國平均ハ、二十圓四十錢
  程度デアリマシテ、相當ノ開キガアリマス、
  若シモ今後米價ガ此狀態ヲ持續シテ行キマ
  スレバ、地方ノ土地所有者ニ取リマシテハ、
  昭和六年七年ノ頃トハ反對ノ現象デ、負擔
  ノ緩和ニモナルコトト存シテ居リマス

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• 076・前田房之助

  ○前田委員　其邊ハ私共ト少シ見込ガ違フ
  ノデアリマスガ、何時カ大藏大臣ハ土地賃
  貸價格ノ改訂ニ依ッテ、農村方面ノ地租ハ相
  當減ルノデアルカラ、大體ソレデ我慢シタ
  ラドウカト云フ意味ノ御話ガアッタノデア
  リマスガ、現在ハ減ッテ居リマスケレドモ、
  併シ過去五年ナラ五年ト云フモノハ、非常
  ニ重壓ヲ加ヘラレテ居ル、減ルベキモノガ
  減ッテ居ナイ、ソレヲ以テ賃貸價格ノ改訂ニ
  依ッテ、農村ノ方ハ地租ガ下ルノダカラ宜イ
  ヂヤナイカト云フヤウナ御議論ハ、過去ノ
  五年間如何ニ農村方面ガ不公平ナル賃貸價
  格ノ爲ニ、重壓ニ苦シンダカト云フコトヲ
  御忘レニナッテ居ル議論ヂヤナイカ』ト思フ
  ノデス、其點ヲ一ツ能ク御考慮ヲ願ッテ、此
  事變ニ依ッテ地方財政ガ相當缺陷ガ生ジテ
  居リマス以上、此際增稅トカ、或ハ地租ノ
  附加稅ト云フモノヲ引上ゲルコトナシニ、
  ドウシテモ交付金ヲ出シテ、之ヲ補給スベ
  キ性質ノモノデアラウト思フノデアリマス、
  其邊ノ御所見ヲ伺ッテ置キタイト思ヒマス

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• 077・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　只今ノ御說モ相當御尤ノ
  所モアルト思ヒマス、併ナガラ前ニ申上ゲ
  マシタヤウニ、現在ノ米價其他カラ申シマ
  スレバ、非常ニ格安ノ標準ニナッテ居ルノ
  デアリマス、併シ前ノ御話ノヤウニ、下ル
  ベキ所ガ下ラヌヤウナ事情モアリマスノデ、
  其邊ノ事情モ決メナケレバナラヌト思ヒ
  さく、サウ云フ事情モアリマスノデ、本稅
  ヲ減スコトガ只今ノ場合トシテハ、減サナ
  クテモ宜イ場合ニ減シタト云フ實情モアリ
  マスノデ、彼此レ考ヘマシテ、多少賦課率
  ノ增加ガアリマシテモ、實際ノ附加稅ハ增
  徵ニナラナイ場合ニ於テモ相當ノ御辛抱ヲ、
  此際デアリマスカラ御願致シタイ、斯ウ思ッ
  テ居ルノデアリマス、併シ各方面ノ御要望
  モアリマスノデ、折角其事ニ付キマシテハ
  只今〓究中デアリマス、何レ腹案ガ纏リマ
  シタナラバ、申上ゲタイト思ッテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=77

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• 078・前田房之助

  ○前田委員　此地方財政收入減ノ補塡ノ問
  題延イテ地方財政補給金增加ノ問題ハ、
  旣ニ吾々ノ方カラ內交涉ヲ致シテ居ルノデ
  アリマシテ、大體今マデ大藏大臣ノ述ベラ
  レタル如ク、其趣旨ハ是認セラレテ居ルト
  思ヒマスガ、問題ハ寧ロ其金額デアラウト
  思ヒマス、私共今申上ゲタ如ク、大藏省ノ
  關係ダケデモ三千万圓大體減ッテ居ル、其上
  ニ內務省關係ニ於テ若干減ッテ來ル、殊ニ
  戶數割ノ如キハ、一日モ早ク此稅ヲ廢止シ
  ナケレバナラヌ、然ルニ地方財政補給金ガ
  一億圓デアルガ爲ニ、今マダ半分モ減ッテ
  居ラナイ、相當マダ減スノニハ金ガ要ルヤウ
  デアリマスルガ、彼此レ斯ウ云フコトヲ綜
  合觀察致シマスルト、吾々ガ非公式ニ御交
  渉申上ゲテ居リマスル五千万圓ト云フモノ
  ハ、是ハ最小ノ限度デアルト思フ、有體ニ
  言ヘバ、吾々ハヤハリ一億圓位ハ增加シテ
  貰ハナケレバ、地方ノ財政ハ助カラヌノヂ
  ヤナイカ、斯ウ云フ考ヲ持ッテ居ルノデア
  リマスケレドモ、ヤハリ財政ノ事情ヲ能ク
  考慮シナケレバナラヌ、斯ウ云フコトカ
  ラ、私共ノ方ニ於テモ種々ナル事情ヲ綜合
  考察ヲ致シテ、最小限度五千萬圓ヲ要求致
  シテ居ルノデアリマス、此點ハ今私ハ御答
  辯ヲ願ハウトハ思ヒマセヌガ、ドウカ大乘
  的ノ見地ニ立ッテ、サウシテ總テノ事柄ヲ綜
  合セラレテ、地方財政ヲ緩知スルガ爲ニ、
  是非最小限度五千萬圓ノ補給金ヲ增加シテ
  戴キタイト云フコトヲ、玆ニ要望致シテ置
  キマス、併シ私ハ是レ以上御答辯ヲ願ハウ
  トハ考ヘマセヌガ、是非一ツ御考慮ヲ願ヒ
  タイト思ヒマス
  次ニ商工大臣モ見エクヤウデアリマスカ
  ラ、少シ質問ガ飛ブヤウデアリマスガ、物品
  稅ト物價問題ニ付テ、御尋ヲ申上ゲタイト
  思ヒマス、先ヅ今囘物品稅ト云フモノガ出
  來タノデアリマスガ、物品稅ト云フモノハ、
  一體稅ノ上デドウ云フ性質ヲ持ッテ居ルモ
  ノデアリマスルカ、大體ニ於テ消費稅ノヤ
  ウニモ見エルガ、又サウ見エナイ所モアル、
  一體ドウ云フ性質ノモノデアリマスカ、ソ
  レヲ御說明願ヒタイト思ヒマス

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• 079・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　物品稅ハ消費稅デモアリ
  マスシ、徵收ノ方法カラ言ヘバ御話ノ如ク
  間接稅デアリマス、奢侈稅的ノ性質ヲ持ッテ居
  ル、ツマリ普通ノ消費稅デアリマスト、ソ
  レハ奢侈稅的ノ性質ヲ持タナイノガ酒デアリ
  マストカ、煙草デアリマストカ、或ハ砂糖
  デアリマストカデ、奢侈稅的ノ性質ヲ必シ
  モ持チ得ナイ兩道ニ掛ル譯デアリマス、今
  囘ノ物品稅ニ於キマシテハ、庶民階級ガ單
  ニ實用ヲ考ヘマス場合ニ於テハ、忍ビ得ル
  程度ノモノニハ掛ケマセヌデ、ソレ以上ノ
  モノニ掛ケルト云フ趣旨デアリマス、先ヅ
  併シ今囘ノ事變デアリマスルカラ、普通ノ
  立場ナラバ奢侈ト云フコトハ言ヘナイ程度
  ノモノニモ、掛ッテ居ルカモ知レマセヌガ
  之ヲ性質カラ言ヘバ、サウ云フ奢侈稅的ノ
  性質ガアルト、斯ウ申シテ宜カラウト思ピ
  マス

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• 080・前田房之助

  ○前田委員　無論奢侈稅的ノ性質デアルト
  思ヒマスケレドモ、其物品稅ノ内容ヲ見テ見
  マスト、强チサウバカリモ行カナイヤウナ物
  モアル、ドウモハッキリドンナ稅ニナルノ
  カ、ピント私共捕捉シ兼ネルコトモアルノ
  デアリマスケレドモ、併シ稅ノ性質ヲ今玆
  デ彼此レ討議シテ見テモ、仕方ガナイノデ
  アリマスガ、要スルニ稅ノ性質ガハッキリシナ
  イガ爲ニ、此稅ニハ相當惡作用モ伴ウテ來ル
  ノデハナイカ、斯ウ云フコトモ實ハ心配サ
  レルノデアリマス、隨テ此物品稅ニ付キマ
  シテハ、何レ又他ノ同志ノ諸君カラ、內容ニ
  付テ一々質問ガアラウト思ヒマスカラ、私
  ハ一々ノ内容ニ付テノ質問ハ此際致シマセ
  ヌガ、併シ此物品稅ノ審議ヲ致シマスノニ
  ハ、ヤハリ此内容ヲ勅令デ決メラレテ居ル
  ヤウデアリマスガ、先刻モドナタカラカ御
  請求ガアッタヤウデアリマスガ、是ハ一ツ速
  ニ御出シヲ願ヒタイト思ヒマス、是ガナイ
  ト物品稅ノ內容ノ審議ガ出來ナイト思ヒ
  マス、ソコデ問題ハ、此物品稅ト物價ノ問
  題ニ相成ルノデアリマスルガ、物價ハ御承
  知ノ如ク漸騰ノ傾向ヲ辿ッテ居ル、昨年ノ
  四、五月頃ト思ヒマスガ、歐米諸國ハ其頃
  カラ、段々物價ガ低落ノ步調ヲ迪ッテ居ルニ
  拘ラズ、日本ノ物價ハ逆ニ、段々漸騰ノ步
  調ヲ辿ッテ居ル、而モ昨年ノ十一月カラハ卸
  賣小賣共ニ物價ガ激騰ノ傾向ヲ示シテ來
  タ、斯樣ニ物價ガ上リマスルコトハ申ス迄
  モナク國民生活ヲ脅威致スノミナラズ、原
  料品、製產品ノ値モ上リマシテ、輸出貿易
  ノ上ニ多大ノ支障ヲ來シ、國際收支ノ適合ニ
  於テモ非常ニ惡イ影響ヲ及ボスノデアリマ
  スカラ、此際ハドウシテモ官民協力シテ、
  物價對策ヲ立テナケレバナラヌト思ヒマ
  ス、斯樣ナ際ニ物品稅ト云フモノガ今囘課
  セラレルコトニナッタ、此物品稅ノ性質カラ
  申シマシテ、一割乃至一割五分課セラレル
  ノデアリマスケレドモ、併ナガラ恐ラク私
  ハ此課セラレタ物品ハ、一割トカ一割五分
  ノ騰貴デ止マラヌト思ヒマス、色々ノ作用
  ヲ起シテソレ以上ニ騰ル、此四十七種ノ種
  目ヲ更ニ細別スレバ、三百以上ニモ達スル
  ノデアラウト思ヒマスガ、是等ノ物ガ相當
  上ルト云フコトニナリマスト、單ニ此商品
  ダケノ騰貴ニ止ラズシテ、物價ハ御承知ノ
  如ク關聯ガアルノデアリマスカラ、恐クハ
  一般物價ニモ相當ナ影響ガアルノデハナイ
  カト私ハ思ヒマス、大藏大臣ハ物品稅ハ是
  ダケニ課ケテ、外ニハ課ケヌノダカラ、外
  ニハ大シタ影響ハアルマイ、豫算關係ニモ
  大シテ影響ハアルマイト、斯ウ云フヤウナ意
  味ノ御話ガアッタヤウニ思ヒマスケレドモ、
  ソレハ餘程私ハ御考ヲ願ハナケレバナラヌ
  問題デハナイカト思ヒマス、物價ト云フモノ
  ハ說明スル迄モナク、關聯性ガアル、或ル
  一方面ノ物價ガ上リマスト、他ノ物價マデ
  ガ一波萬波ヲ生ズト言ヒマスカ、段々ト關
  聯性ノ爲ニ上ッテ來ル、是ガ私ハ物價ノ作用
  デアラウト思ヒマスカラ、相當私ハ此物品
  稅ニ刺戟サレテ、一般物價モ騰貴スルモノ
  デアル、斯樣ナ見解ヲ持シテ對策ヲ講ゼラ
  レルト云フコトガ、必要デハナイカト思ヒ
  マス、先ヅ其點ニ付テ御所見ヲ伺ッテ置キマ
  ス

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• 081・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　今囘ノ物品稅ハ、酒等ハ
  別デアリマスルガ、多クハ製品ニ課シマス
  ルモノデアリマス、原料的ノモノデハナイ
  ノデアリマス、合理的ニ申セバ、其課ケマ
  シタ製品ガ稅額ダケ騰貴致スト云フコトハ、
  他ノ理由ガナケレバ是ハ正當デアラウト思
  ヒマス、併ナガラ從來斯ル場合ニ、率直ニ
  申セバ、稅ガ或ル物ニ課ッタト云フ場合ニ、
  稅ノ課リマセヌ他ノ物ノ物價ヲ引上ゲル、
  或ハ稅ガ課リマシタ割合以上ニ、之ヲ引上
  ゲルト云フ弊害ガ必シモナカッタトハ言ヘ
  ナイデアラウト存ジマス、今囘ハ此點ニ付キ
  マシテ餘程注意ヲ致シマシテ、幸ニシテ御
  協贊ヲ得マシタナラバ、此課稅ノ實體ヲ明
  三い、消費者ニモ販賣者ニモ之ヲ明ニ致シ
  マシテ、此際ニ國民ガ銃後ノ御奉公トシ
  テ、增稅ニ應ジマスルニ附ケ込ンデ、ソレ
  以上ノ利得ヲ貪ラントスルガ如キコトノナ
  イヤウニ、課稅ノ實體ヲ廣ク民衆ノ間ニ徹
  底セシメマシテ、販賣業者ニモ購買スル者
  ル·H、共ニ明ニスルヤウニ致シマシテ、其
  弊害ヲ出來ルダケ防ギタイ、之ニ特ニ努メ
  タイト思ッテ居リマス、尙ホ併シナガラ總テ
  斯ウ云フモノニハ關聯性ガアリマスノデ、
  今申上ゲマスルヤウニ、比較的ソレノ少イ
  方面ヲ選ンダノデアリマスガ、尙ホ此コト
  ヲ別ト致シマシテモ、只今ノ貿易ノ統制ノ
  結果、不足ヲ生ジ易イ物資ガ多々出來ルノ
  デアリマス、此物價對策ハ極メテ重要デア
  リ、今後ノ經濟對策ノ中ノ、最モ重要ナル
  モノノ一ツデアルト考ヘマス、主管省タル
  商工省ニモ十分私共モ協力致シマシテ、殊
  ニ合理的ナ消費ノ節約、貯蓄ノ奬勵等ニ
  ハ、萬全ヲ期シタイト考ヘテ居ル次第デア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=81

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• 082・前田房之助

  ○前田委員　政府ノ御方針ハ諒ト致シマス
  ガ、マダ內容ヲ承ラヌノデアリマスカラ、
  ドウ云フ風ニ他ノ物價ニ影響スルカト云フ
  コトハ斷定出來マセヌガ、新聞デ承知致シ
  マスト、物品稅ノ免稅點ガ、ドウモ餘リ低
  過ギルノヂヤナイカト思ヒマス、是ハマダ
  御提示ニ相成ラヌ先デアリマスカラ、若シ
  再考慮ノ餘地ガアルナラバ、一ツ御考慮ヲ
  願ヒタイト思ヒマス、アノ程度ノ免稅點デ
  ハ、私ハ中層階級ニハ、何等利益ガナイト
  思フ、折角免稅點ヲ付スルト云フコトデア
  リマスナラバ、相當大衆無產層ニモ惡イ影
  響ガナイ、影響ガ及バヌノダト、斯ウ云フ風
  ニ一ツ免稅點ノ取決メヲ願ヒタイト思ヒマ
  ス、若シサウ云フコトニスルノダト云フコ
  トデアルナラバ、御提示ガ一日ヤ二日延ビ
  テモ宜イト思ヒマス、辛抱シマスカラ是ハ
  モウ一ツ眞劔ニ、御考慮願ヒタイト思ヒマ
  ス、ソレカラ物價ノ對策ニ付テ御尋申上ゲ
  タイト思ヒマスガ、今申上ゲタ如ク、物價
  ノ騰貴ト云フモノハ、國民生活ノ上ニ於テ
  モ、又國際收支ノ適合ノ上ニ於テモ、非常
  ニ憂フベキ現象ヲ起スノデアルカラ、官民
  協力一致致シマシテ、物價對策ヲ樹テルノ
  必要アルコトハ、申ス迄モナイノデアリマス、
  幸ニシテ今日マデハ、政府ノ御方針モ宜カッ
  タノデアラウト思ヒマス、否私ハ政府ノ御方
  針ヨリモ、國民ガ眞ニ時局ヲ認識シテ、政
  府ノ方針ニ協力シタト、斯ウ云フ結果ガ物
  價ノ上ニ現レテ、大ナル惡性「インフレーショ
  ン」ガ起ラズニ濟ンデ居ルノデハナイカ
  ト思ヒマス、先般大藏大臣ハ議會ニ於キマ
  シテ、物價ト云フモノハ物ト金トノ調節ガ
  適當ニ行ハレテ、爲替相場ノ安定ニ依ッテ、
  通貨ノ信用ガ維持サレル限リ懸念ガナイ、
  斯樣ニ仰セラレテ居ッタノデアリマス、私ハ
  理論ノ上カラ申セバ、其通リデアラウト思
  ヒマス、併ナガラ今日本ノ物價騰貴ノ趨勢
  ヲ見マスト、兌換劵ノ發行ガ增加致シタ率
  ヨリモ、生產力ノ增シタ率ノ方ガ急騰致シ
  テ居ル、更ニ生產力ノ增加ノ率ヨリモ、物
  價騰貴ノ方ガ、モウ一ツ急ニ騰ッテ居ルノデ
  アリマス、斯樣ナ今日マデノ傾向カラ考ヘ
  マスト、今日ノ物價騰貴ト云フモノハ、通
  貨ノ數量ガ殖エタト云フコト自體ヨリモ、
  寧ロ生產力ガ不足デアッテ、物資ノ需給ガ
  旨ク行ッテ居ラヌ、所謂輸入ノ制限ヲ强化
  サレ、軍需資材ノミニ集中サレタ、斯ウ云
  フ理由カラ物資ノ需給ガ調節ヲ得テ居ナイ
  コトガ、物價騰貴ノ最大原因ヲ成シテ居ル
  モノト思ヒマス、隨テ今後公債ガ段々增發
  ヲサレテ、物ガ段々出來ルノデアリマセウ
  ガ、今日ノ生產設備、其他資金ノ關係等カ
  ラ考ヘマスト、今後ハ物ト金トノ調節ガ適
  當ニ行ヘルト云フコトハ、實際問題トシテ
  ハ非常ニ難シイ場面ニ到達スルノデハナイカ
  言換ヘマスナラバ、通貨ノ數量ニ比シテ物
  資ガ足ラナクナッテ來ル、隨テ此儘デ行キマ
  スナラバ、相當惡性ノ「インフレーション」
  ガ起ル懸念モ私ハセザルヲ得ナイト思ヒマ
  ス、隨テ今後ノ物價對策ニ付キマシテハ、
  積極的ニ而モ具體的ニ政府ガ方針ヲ樹テナ
  ケレバナラヌ、無論今日マデ非常ニ苦心ヲ
  サレテ居ル、殊ニ商工大臣ノ如キハ、餘程
  其方面ニ付テ精通ナサッテ居ルノデアリマ
  シテ、有ユル手段、有ユル機關ヲ通ジテ物
  價ノ抑制ニ努力サレテ居ル、其御苦心ハ諒
  ト致シマスケレドモ、今後ハ今日マデノヤ
  ウナヤリ方デハ、物價ノ騰貴ヲ阻止スルコ
  トガ出來ナイト思フ、例ヘバ暴利取締令ニ
  致シテモ、昨日ドナタカ仰シヤッタヤウダ
  ガ、單ニ傳家ノ寶刀トシテ是ハ拔カナイト
  云フコトデハイケナイ、寧ロ今後ハ此暴利
  取締令ノ內容ヲモット擴充致シテ、ソレヲ
  實際ニ速ニ活用スル必要ガアルノデハナイ
  カ、斯ウ云フコトモ考ヘラレルノデアリマ
  ス、私モ實ハ相當ノ考へ方ヲ持ッテ居リマ
  スガ、此際ハ寧ロ商工大臣カラ、進ンデ今
  後ノ物價對策ニ對シマスル、具體的ナ方針
  ヲ承ルコトガ出來レバ仕合セダト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=82

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• 083・吉野信次

  ○吉野國務大臣　洵ニ御尤ナ御尋デゴザイ
  やく、私モ此物價ノ問題ハ、中々容易デナ
  イ問題ダト思ヒマシテ、日夜此問題ニ對シ
  テ注意ヲ拂ッテ居ル譯デアリマス、申ス迄
  モナク、大體相當ノ戰費ト云フモノヲ撒布
  スル譯デアリマスカラ、色々ナ問題ハ別ト
  致シマシテモ、唯ソレダケデモ國內ニハ相
  當ニ購買力ガ高マル譯デアリマシテ、其方
  ノ關係カラ自然物ガ上ル勢ニアル、此方面
  ノコトハ財政當局ニ於キマシテモ、或ハ貯
  蓄ヲ奬勵致シマスルナリ、或ハ小額ノ公債
  ヲ募集致シマスルナリ、色々其方面デ
  所謂惡性「インフレ」ヲ出來ルダケ防グ方針
  ヲ執ッテ戴ク、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リマス、
  而シテ私ノ方ノ關係ノ問題ニナリマスト、
  サウ云フ全般的ノ問題以外ニ、御承知ノ通
  リニ必要ナル物ノ輸入ヲ止メテ居ル譯デア
  リマス、實ハ吾々モ不要、不急品ノ輸入制
  限禁止ト云フコトヲ言ウテ居リマスケレ
  ドモ、商工省ノ行政カラ言ヘバ、實ハ不要、
  不急品ト云フモノハナイ筈デアリマス、皆
  必要ガアッテ是ハ入レテ居ッタ譯デアリマス、
  唯其場合ニ國防、軍事ト云フモノノ角度カ
  ラ見マシテ緣遠イ物ヲ、假ニ不要、不急品
  ト云フヤウナコトデ分類致シテ居ル譯デア
  リマス、ソレデアリマスカラ、實際ハ國民
  經濟カラ言ヘバ必要デナイ物ハ一ツモナイ
  ノデス、ソレヲ必要ナ物ノ輸入ヲ制限スル
  ト云フコトデゴザイマスカラ、ドウシテモ
  ソコニ需要供給ガ合ハズニ、其物ガ高クナ
  ルト云フ關係ニナルコトハ已ムヲ得ナイ、
  ソコヘ持ッテ來テ、又サウ云フ外國カラノ輸
  入品デナイ物デアリマシテモ、從來ト違ヒ
  マシテ、斯ウ云フヤウナ事變ノ關係カラ致
  シマシテ、戰時經濟ニ入リマシテカラ、民
  事ニ比較致シマシテ軍事ノ方ノ需要ガ非常
  ニ多イ、サウ云フ關係カラ需給ノ「バランス」
  ガ破レルト云フ物モゴザイマス、ソレデゴ
  ザイマスカラ、先ヅ其物價ノ問題ヲ扱ヒマ
  スル時ニハ、ドウシテモ吾々ガ今輸入ヲ抑
  制シタリ、或ハ禁止シタリ、或ハ軍事ノ需
  要ノ爲ニ、民事ノ方へ廻ラナイト云フヤウ
  ナ物ガ目立ッテ暴騰シテ居リマス、サウ云フ
  物ガ又不幸ナコトニハ、國民ノ生活ト非常
  ニ緣ノ深イ物ガ多々アルノデゴザイマスカ
  ラ、ソレガ詰リ物價全般ノ水準ヲ高メル作
  用ヲシテ居ルコトハ、御承知ノ通リデアリ
  マツ、サウ云フ場合ニ暴利取締ノ點モ實ハ
  考ヘテ居ルノデアリマスガ、兎モ角暴利ノ
  取締ノコトモ、今日マデヤッテ居リマスコト
  ハ、決シテ徹底シタヤリ方トハ考ヘテ居リ
  マセヌ、モウ少シ徹底シテヤリタイト思ッテ
  居リマス、而モ大正年代ノアノ暴利取締ノ
  省令ヲ昨年改正スルニ當リマシテハ、其當
  時ノ實驗ニ鑑ミマシテ、屆出ノ條項ヲ加ヘ
  タノデアリマス、詰リ今マデハ高ク賣ッタ場
  合ニ罰スルダケデアッタノデアリマス、其當
  時ノ私ハ農商務省ノ屬僚デ居リマシタカラ、
  多少其當時ノコトモ知ッテ居リマスケレド
  モ、何セ罰金デアリマスカラ、商人ノ間ニ
  ハ罰金ヲ出シテモ宜シイト云フ人ガ中々アッ
  タノデアリマス、ソレデアノ暴利取締合ヲ
  振〓セバ振〓ス程、却テ逆ニ物ガ上ッタト云
  フヤウナ珍現象ヲ來シタコトハ、是モ御承
  知ノコトト思ヒマス、ソレデアリマスカラ、
  ドウシテモアヽ云フ罰則ノ法規ダケヲ以テ
  經濟ノコトニ臨ムト云フコトニハ、自ラ限
  度ガゴザイマシテ、中々十分デナイト考ヘ
  タモノデアリマスカラ、今度ハ其外ニ屆出
  ノ條項ヲ加ヘマシテ、或ル品目ヲ列擧シテ、
  其品物ヲ販賣スル者ガ、販賣シタ場合ノ數
  量ト値段ヲ、一々官廳ノ方ニ屆出デシムル
  ノデアリマス、隨テ是ガ吾々ノ方カラ申シ
  マスト、幾ラノ値段デ幾ラ賣ッタト云フコト
  ガ分リマスカラ、其値段ガ非常ニ法外ニ高
  イ場合ニハ、暴利トシテ臨ムコトモ出來マ
  ス、又アノ暴利取締令ハ省令デゴザイマシ
  テ、罰則ガ非常ニ低イノデアリマシテ、罰
  金ト自分ノ損得ヲ算盤ニ掛ケテ、此程度ナ
  ラバ罰金ヲ出シタ方ガ得ダト云フヤウナ考
  ノ人ニ對シテハ、アノ省令ハ或ル意味カラ
  言ヘバ無力デアリマス、併シ立法者ノ頭ト
  シテハ、サウ云フコトヲ豫想シテ居リマセ
  ヌノデ、兎ニ角經濟人ハ法規ヲ皆遵守スル
  ダラウト云フ考デヤッテ居リマスケレドモ、
  若シサウ云フヤウニ行キマセヌ場合ニハ、臨
  時措置法ノ規定ニ依ッテ處分ヲ致ス積リデ
  アリマス、サウ致シマスト、今度ハ罰則ノ
  點ニ於テ、御承知ノ通リ體刑ヲ課シ得ルコ
  トニナリマスカラ、サウ云フヤウニ今後ノ
  事態ノ推移ニ依ッテ、暴利取締ノ方モ强化シ
  ナケレバナラヌ、丁度御說ノ通リノ考ヲ持ッ
  テ居ルノデアリマスケレドモ、唯今日マデ
  發動ヲシナイデ、ヂット見テ居リマスル所
  以ノモノハ、先程申シマシタ通リニ、生ジッカ
  之ニ手ヲ出シマスト、是ハ甚ダ言葉ガ惡イ
  カモ存ジマセヌケレドモ、其裏其裏ト商賣
  人ノ方ニ先ヲ越サレマシテ、徒ニ物ノ値段
  ヲ上ゲルト云フヤウナ、過去ニ於テ-大
  正年間ノアノ歐羅巴戰爭中ニ於ケル、苦イ
  經驗ヲ持ッテ居ルモノデゴザイマスカラ、是
  ハヤラヌノデハゴザイマセヌ、ドウシテモ
  サウ云フ風ニヤラナケレバナラヌモノダト
  ハ思ッテ居リマスケレドモ、ヂットシテ見テ
  居ルノデアリマスガ、サウ云フ點ニ付キマ
  シテハ、御話ノ通リ今後一層注意ヲシテ、
  サウ云フコトヲヤラナケレバナラヌカト存
  ジテ居ルノデゴザイマス、併シ何分ニモ特
  殊ノ物デ、需要供給ガ合ハナイ物ニ付キマ
  シテハ、ドウシテモ供給ト需要ヲ合セルノ
  ガ一番肝腎デゴザイマスカラ、ソコデ消費
  ノ規正ト云フコトヲ考ヘテ、需要ト供給ヲ
  成ベク合セヨウ、重要ナ原料品等ニ付テハ、
  今マデ通リフンダンニハ使ヘナイカモ知ラ
  ヌケレドモ、ヤハリ國策ノ見地カラ全體ノ
  數量ヲ制限シタナラバ、其制限シタ物デ原
  料ヲ配給スルト云フ統制ヲ、御承知ノ通リ
  ヤッテ居ル譯デアリマス、此觀念ハ詰リ必要
  ナ方面ニ必要ナ物ヲ配給スルノデアリマシ
  テ、言葉ヲ換ヘテ申シマスト、自由市場ニ
  於キマシテハ、ドンナニ金ヲ積ンデモ其物
  ガ手ニ入ラナイノデアル、例ヘバ原料ノ護
  謨ナラ護謨、護謨ヲ使フ者ト申セバ、「タイ
  ヤ」ヲ作ル者トカ、電線業者トカ、サウ云フ
  大キイ業者カラ、玩具ヲ作ルヤウナ業者マ
  デアルノデアリマス、ソレ等ノ凡百ノ護謨ノ
  消費者ニ對シテ、「タイヤ」トカ、或ハ電線ト
  カ云フヤウナモノニハ、輸入シタ所ノ生護謨
  ノ方ヲ使ハセル、玩具ノ方ハ再生ノ護謨デ
  宜シイト云フヤウニ、大體ノ區別ヲ付ケマ
  シテ、原料デ割當テルノデアリマス、サウ
  シマスト、最早大體ニ於キマシテ自由ナ市
  場ニハ金ヲ出シテモ護謨ガ買ヘナイ、サウ
  ナルコトガ護謨ノ値段ノ騰貴ヲ防グ方法ナ
  ノデアリマス、ソレデ棉花或ハ綿絲、綿布
  ト云フヤウナ重要ナ物、殊ニ國民ノ日常生
  活ニ取ッテ非常ニ關係ノアル物ニ付キマシ
  テモ、サウ云フ觀念ヲ一部分採用シテ居ル
  ノデアリマス、併シ是ハ御承知ノ通リ、護
  謨ノヤウナ物デゴザイマスト簡單デアリマ
  スケレドモ、綿絲、綿布ノ如キ物、殊ニ綿
  布ノ如キ物ハ、何百何千ト云フ種類ガアル
  ノデアリマスカラ、サウ云フ物ニ當ッテ、
  今サウ云フ面倒ナ仕事ヲヤルト云フコト
  ハ、是ハ中々容易デハアリマセヌ、是ハ到
  底役所デ以テ、所謂机上ノ論デヤルト云フ
  コトハ、却テ實際ニ適シテ居リマセヌノデ
  アリマス、ソコデ實際問題ト致シマシテ
  ハ、商工省ニ於キマシテ、サウ云フ關係方
  面ノ人ノ團體ノ集リヲ願ヒマシテ、其團體
  デ兎ニ角自治的ニヤラシテ見ヤウ、斯ウ云
  フコトヲ今ヤッテ居ル譯デアリマス、其場
  合ニハ合セテ値段ノ公定ノ問題ヲモ考ヘラ
  レル譯デアリマス、此値段ノ公定ニ付キマ
  シテ、或ハ色々ナ重要ナ物ニ付キマシテ
  ハ、價格ト云フモノヲ公定シタラ宜クハナ
  イカト云フヤウナコトモ、實ハ吾々モ
  考ヘテ居ルノデアリマス、唯此價格ノ
  公定ト云フモノヲ、先ヅ公定スル方法
  ニ付テ色々問題ガ起リマス、是ガ一々
  役人ガ机上デ決メルト云フヤウナモノ
  デハ無論ナイノデアリマス、併シ假ニ
  之ヲ公定スル方法ニ付テ議論ガアリ、
  又公定致シマシタ場合デモ、是モ歐羅巴戰爭
  中ナドニ於キマシテ、獨逸其他ノ國ニ於テ
  モ實驗致シマシタ如クニ、動モスレバ公定
  ノ裏ヲ潜ル所ノ値段ガ生ジ易イ、御承知ノ
  通リ是ハ罰則ヲ以テ臨ムコトハ臨ミマスケ
  レドモ、ヤハリ中々眼ガ屆カナイ、隨テ若
  シ色々ナ物ニ付テ價格公定ノ行政ヲヤルノ
  デアリマスナラバ、丁度獨逸デ最近ヤリマ
  シタ如ク、例ヘバ商品監視所ト云フヤウナ
  風ニ、其値段ト云フモノニ付テ監視ヲスル、
  非常ニ煩雜ナ行政ヲ執ラナケレバナリマセ
  ヌ、警察的ニ一々見ナケレバナラナイ、是
  モ中々日本ノ國情竝ニ國民性カラ見テ、良
  イカ惡イカト云フコトハ是ハ餘程考ヘナケ
  レバナラヌト思ヒマス、ソコデ是モ不徹底
  デハゴザイマスケレドモ、今ヤッテ居リマ
  スノハ、主ナル綿布或ハ綿絲ニ付キマシテ、
  或ハ人造纖維ヲ混ヘマシタ混用綿絲ト云フ
  ヤウナ物ニ付キマシテ、同業者ノ間デ一々
  ノ最高價格ト云フモノヲ決メサシテ居ル譯
  デアリマス、是ハ無論商工省ガソレニ對シ
  テ監督ヲ致シテ居リマス、デアリマスカラ
  是モ潔癖ナ議論ヲ致シマスト、本當ノ意味
  ノ公定デハナイカモ存ジマセヌ、之ニ違反
  シタラドウ云フ制裁ガアルカト云フ問題ニ
  ナレバ、要スルニ當業者ノ間ノ申合セデア
  リマスカヲ、當業者ノ間ノ申合セヲ破ッタト
  云フ以外ニ、今日マデノ所制裁ハナイノデ
  アリマス、之ニ對シテ若シ體刑其他ノ罰則
  ヲ適用セントスルナラバ、アノ臨時措置法ニ
  依ッテ處分ヲシテ、其公定シマシタ物價ヲ、其
  物ノ公定價格トスルト云フ手續ヲ取ラナケ
  レバナラヌ譯デアリマス、サウ云フコトモ
  或ハ私ハ物ニ依ッテハ必要デハナイカト云
  フ風ニ考ヘテ居リマス、考ヘテ居リマスガ、
  今申シマシタ通リニ、物價ノ公定ト云フコ
  トニ付キマシテモ色々其方法ナリ、或ハ假
  ニ決メマシタ時ニ、ドウ云フ風ニシテ監視ヲ
  スルカト云フヤウナ問題ナドモゴザイマス
  ノデ、實ハマダ踏切ラヌデ居ル譯デゴザイ
  マス、ソコデ今日ハ兎モ角不足ナル原料輸
  入ヲ抑壓スル、或ハ非常ニ軍事ノ需要ガ多
  イ爲ニ不足シテ居ルト云フヤウナ、原料其
  他ノ物ニ付キマシテハ、出來ルダケ代用品
  ノ使用ヲ奬勵スルトカ、或ハ消費ヲ抑制ス
  ルナリシテ、サウシテ需要ト供給ト合セテ
  成ベク物ガ騰ラナイヤウニスル、物ニ依ル
  ト、自由市場ニ於テハ金ヲ出シテモ物ガ買
  ヘナイノダト云フヤウナ、强力ナ配給ノ統
  制マデ行キタイ、サウシテ一方暴利取締令
  ト云フモノヲ、先程申シマシタ通リ、必要
  ガアレバモウ少シ之ヲ强化スル、斯ウ云フ
  ヤウナコトヲ考ヘテ居リマスガ、ソレ以上
  ニ丁度前田サンガ今御話ニナリマシタ通リ、
  唯ソレダケデハ中々是ハ容易デナイト思ヒ
  マスノデ、ソコデドウシテモ官民ガ一致シ
  テ、物價問題ニ關心シテ、何ト申シマス
  カ-輿論ト申シマスカ、國民全體ガ之ニ
  非常ナ關心ヲ持ッテ看守ルト云フヤウナ制
  度ヲ、更ニ附加ヘル必要ガアリハシナイ
  カ、是ハドウ云フ風ニ致シマスカ、マダ具
  體的ノ腹案モ出來テ居リマセヌケレドモ、
  官民一致シタル物價ノ看守ニ付テノ委員會
  組織ノヤウナモノヲ、名前ハ何ト云フ名前
  ヲ付ケルカ分リマセヌガ、中央或ハ各地方々々
  ニ置クノデアリマス、サウシテソコニ
  ハ消費者ノ人達モ十分入ルノデアリマス、
  ソレハ物價ナラ物價問題デ、色々地方ニハ
  地方ノ問題ガゴザイマスシ、又中央ナラ中
  央ノ問題ガゴザイマスカラ、サウ云フ風ニ
  シテ國民全體ガ之ヲ看守シテ行ク、ソレデ
  國ノ政策ニ背ク者ハ、暴利取締令ノ省令ニ
  依ル何十圓、何百圓ノ罰金ト云フモノハ、
  其末ノ場合デアッテ、輿論カラ手嚴シイ制
  裁ヲ受ケルノダト云フ仕組ヲスルコトガ、
  或ハ適切デハナイカト云フヤウナコトヲ、
  實ハ唯腹案トシテ考ヘテ居ルノデゴザイマ
  ス、繰返シテ申上ゲマスルガ、中々御話ノ
  通リ非常ニ難シイ問題デ、容易デナイト云
  フコトハ御說ノ通リデアリマス、又現在
  吾々ガヤッテ居リマスコトハ、只今申上ゲ
  マシタ通リデアリマスガ、之ヲ以テ十分ダ
  トハ決シテ考ヘテ居リマセヌ、將來トモサ
  ウ云フ心持デ、モウ少シ此問題ニ對シテ出
  來ルダケノコトヲ致シタイト、斯樣ニ考ヘ
  居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=83

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• 084・前田房之助

  ○前田委員　大體ニ於テハ私共考ヘテ居ル
  コトト同樣デアルヤウデアリマス、私共暴
  利取締令ヲ强化スルト云フコトモ必要ダ、
  又第二條ノ屆出主義ヲ活用スルト云フコト
  モ必要ダト思ヒマスルガ、是ハマア最後ノ
  コトデアル、ヤハリ物價對策ハ國民ガ自覺
  ヲスルコトト、業者ガソレ〓〓自治的ニ配
  給ノ統制其他ヲヤッテ行ク、サウシテソレガ
  十分行ハレナイ場合ニ限ッテ暴利取締令ヲ
  活用スル、斯ウ云フ立前デ居ルコトガ妥當
  ダト考ヘテ居リマスガ、併シ何分豫算ハ非
  常ニ膨脹スル、公債ハ增發スル、通貨ハ殖
  エル、而モソレニ伴ッテ物資ガ十分デナイ、
  斯ウ云フコトニ私ハ物價騰貴ノ根本原因ガ
  アルト思フノデアリマスカラシテ、ドウシ
  テモ根本問題トシテハ、物資ヲ出來得ル限
  リ、財政ノ許ス限リ豐富ニ拵ヘル、斯ウ云
  フコトガ根本トシテ最モ必要デハナイカト
  思フノデス、此點ニ付テ十分更ニ御考慮ヲ
  願ッテ置キタイト思フノデアリマス、私ハ色々
  ノ手段モ必要ダガ、此儘デ行クト物ガ足
  リナイ、ソレデ物價ガ上ッテ來ルト、國民全
  體ガ金カラ物ニ移ル、ドン〓〓物ガ上ルデ
  アラウト云フコトデ、不必要ナ物マデモ買
  ヒニ行ク、國民ガ金カラ物ニ換へルト云フ
  此觀念ガ、最モ恐シイノダト思ヒマス、デ
  アルカラ國民ノ自制ヲ促スト云フコトモ
  必要デアルガ、ヤハリ政府モ生產力ノ擴充
  ト云フコトニ付テ、モウ一度私ハ再檢討ヲ
  願ハナケレバナラヌ點ガアルノデハナイカ
  ト思フ、國際收支ノ傾向カラ見テ、輸入ノ
  制限强化ト云フコトハ必要ダト思ヒマスケ
  レドモ、併シソレニハ輸入ヲ制限强化スル
  ヨリ以上ニ他ニ惡イ副作用ナリ、弊害ナリ
  ガ伴フナラバ、時ト場合ニ依ッテハ、多少輸
  入ノ制限モ緩和シナケレバナラヌ、斯ウ云
  フ事態モ起ルノデハナイカト思ヒマスカ
  ラ、ソレハ國家的ニ考ヘラレテ-是ハ大
  藏當局ニ御願スルガ、單ニ事務官ノヤラレ
  テ居ル目先々々ノ事務的ノコトニバカリ沒
  頭セズシテ、國家ノ大局カラ見テ輸入ノ制
  限ヲ緩和スルコトガ必要デアルト考ヘレ
  バ、其年ハソレニ依ッテ國際收支ガ多少惡ク
  ナッテモ、來年、再來年ハ非常ニ好イ結果ガ
  來ルノダト云フ見透シガ付クナラバ、ソコ
  デ相當緩メル、斯ウ云フ風ニ輸入ノ制限
  ハ、計畫性ヲ更ニ强化サレルト同時ニ、其
  計畫性ニ伴ウテ二年三年ノ將來モ眺メテ、
  ヤッテ貰ヒタイ、今日マデノヤリ方ヲ見ル
  ト、ドウモ目先々々ノコトバカリデヤッテ居
  ラレルノデハナイカ、實際ハサウデハアリ
  マスマイガ、私共ハサウ云フヤウナ感ジモ
  致スノデアリマス、輸入ノ制限モ無論結構
  ダガ、之ヲ更ニ計畫性ヲ强化シテ、サウシ
  テ二年三年後ニ國際收支ガ、ソレニ依ッテ改
  善サレルト云フコトデアルナラバ、多少ノ
  手加減ヲスル、斯ウ云フ風ニシテ生產力ノ
  擴充ト云フ問題ニ付テモ、多少考ヘ直シヲ
  シテ貰ハナケレバナラヌ點ガアルノデハナ
  イカ、私ハ斯ウ考ヘマスカラ、其點一ツ御
  考慮ヲ願ッテ置キマス、ソレカラ是ハ御承知
  ノ如ク、買占トカ賣惜ノ爲ニ、相當在庫品ガ
  增加シタ場合モアルト思ヒマス、現在ハ在
  庫品ハ多少減ッテ居ルヤウデアリマスケレ
  ドモ、尙ホ相當買占或ハ賣惜ノ爲ニ、在庫
  品ガ溜ッテ居ルノデハナイカト思ヒマス、是
  ハ何デモ商工省ハ、昨年ノ暮カラ重要商品
  ニ對スル在貨調ヲヤッテ居ルヤウデアリマ
  スガ、若シ其結果ガ旣ニ御分リデアルヤウ
  ナラバ、此場合、買占、賣惜ノ爲ニドウ云
  フ風ニナッテ居ルカヲ伺フコトガ出來レバ、
  結構ダト思ヒマス、併シ是ハ軍需資材ナド
  ニ關係シテ居ル商品モアッテ、或ハ秘密ヲ要ス
  ルノデハナイカト思ヒマスガ、場合ニ依ッテ
  ハ速記ヲ御止メニナリ、或ハ秘密會議デモ
  開イテ戴イテ、現在在庫品ガドウ云フ狀態
  ニ置カレテ居ルカヲ、御說明願フコトガ出
  來レバ結構ダト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=84

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• 085・吉野信次

  ○吉野國務大臣　御話ノ通リ「ストック」ノ
  調査ト云フモノヲ、幾ツカノ物ニ就テ行ッテ
  居ル譯デアリマスガ、大體其物ノ中ニハ、
  軍機保護法ニ依ル關係ノ物ナドモアリマ
  ス、ソレカラ大體ドウ云フ物ガドレダケア
  ルカト云フヤウナコトハ、具體的ノ數字ハ
  公ニ致サナイト云フ立前デ、今日マデ居ル
  譯デアリマス、併シ大體ノ總體ノ關係カラ
  申シマスト、大分去年ノ下半期ニ付キマシ
  テ、輸入ノ方ヲ抑ヘタモノデゴザイマスカラ、
  ソレデ全體的ノ結論トシテ、サウフンダン
  ニ物ヲ或ル所デ持ッテ居ルト云フ事實ハナ
  イヤウデアリマス、又サウ云フ事實ガアル
  モノニ付キマシテハ臨時措置法ノ第二條ヲ
  正式ニハ適用致シマセヌケレドモ、言フコ
  トヲ聽カナケレバ、之ニ依ッテヤルゾト云フ
  氣勢ヲ示シマシテ、ソレヲ何ト申シマスカ
  出サセマシテ、不足ナ部分ノ方ニ平均シテ
  ヤルト云フヤウナ行政ヲ、二三ノ物ニ付テ
  モ今日旣ニヤッテ居ル譯デアリマス、唯細カ
  イ問題ニナリマスト、或物ニ付キマシテハ、
  サウ云フヤウナコトガ出來ナイヤウナ物ガ、
  値段ノ點デ多少アリマス、詰リ當時買ッタ時
  ハ非常ニ高カッタガ、今ハ下ッテ居ル、併シ
  買フ方ハ物ヲ分ケテモ宜イト言フガ、値段
  ノ點ニナリマシテ、今ノ値段デ欲シイ、所
  ガ買ッタ方ハ前ノ値段ト云フヤウニ、價格ノ
  點ニ付テ折合ガ付カヌト云フヤウナモノモ、
  一二アルヤウデアリマス、併シサウ云フ問
  題ハ、兎ニ角今ハ物ガ大事デアッテ、値段ノ
  高イ低イト云フヤウナコトハ、或ル意味カ
  ラ申シマスレバ、第二次的ノ問題デゴザイマ
  スカラ、サウ云フ物ハ又全體トシテ、適當
  ニ調節シテ行ク方策ガ付クダラウ、斯ウ考
  ヘマシテ、サウ云フ方面ニ付キマシテモ、
  餘リニ凸凹ガナイヤウナ風ニ、物ノ配給ヲ
  致シタイト云フコトニ致シテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=85

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• 086・前田房之助

  ○前田委員　大體諒解致シタノデアリマス
  ガ、過日經濟團體聯盟デアリマスカ、何カ
  物價對策委員會ヲ設ケテ、物價ノ綜合的統
  制ヲ行フ爲ニ諮問機關ヲ拵ヘル、斯ウ云ッタ
  ヤウナコトヲ政府ニ進言致シタヤウナ新聞
  記事ヲ、拜見致シタノデアリマス、是ハマ
  ア商業經濟團體ノ意見トシテ、相當吾々ハ〓
  究ヲシナケレバナラヌ問題ダト思ヒマスガ、
  只今商工大臣ノ御說明ニ依ルト、此方針ヲ
  採ラズシテ、寧ロ自治的ニ配給ノ統制ヲヤ
  ラス、價格ノ設定ヲヤル、ソレデ實現ガ出
  來ナケレバ更ニ暴利取締令其他ヲ運用ス
  ル、斯ウ云フ風ニ拜承致シタノデアリマス
  ガ、其經濟團體聯盟ノ進言ニ對シマシテ、
  ドウ云フ御觀察ヲ持ッテ居ラレマスカ、ヤハ
  リ場合ニ依レバ是モ實行シテ宜イノダ、斯
  ウ云フヤウナ御考デアリマスカ、拜承致シ
  テ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=86

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• 087・吉野信次

  ○吉野國務大臣　私モマダ正式ニハ經濟團
  體聯盟ノ意見ト云フモノヲ、聞イテ居リマ
  セヌ、ヤハリ新聞デ拜見シテ居ル程度デゴ
  ザイマスガ、一ツノ考へ方ダト思ッテ居リマ
  ス、唯只今マデノ所物價高-物價高ト申
  シマシテモ特別ニ輸入ヲ抑制シタ物デアル
  トカ、或ハ軍需ノ資材トカ云フヤウナ、非
  常ニ暴騰シタ物々ガ幾ツカノモノニ限ラレ
  テ居ルノデアリマスカラ、サウ云フ方面ニ
  先ヅ私ハ只今申上ゲマシタヤウナ、局所的
  ノ配給ノ問題ニ力ヲ入レタイト考ヘテ居リ
  マス、ソレト併セテ物ノ値段ト云フモノヲ、
  監視ト言フト言葉ガ惡イカモ知レマセヌガ、
  之ヲ見守ル所ノ委員會ミタヤウナモノハ、
  必要デハナイカト云フ風ニ考ヘテ居リマス、
  併シ更ニ進ミマシテ、物價問題ト云フモノ
  ガ非常ニ深刻ニナリマシテ、殊ニ米始メ生
  活必需品ト云フモノガ、丁度往年ノ歐羅巴
  戰爭ノ當時ノヤウニ、暴騰スルト云フコト
  ニナリマスナラバ、此經濟團體聯盟ノ考ヘ
  マスヤウナ意味ノ仕組モ、私ハ確ニ一ツノ
  方法デハナイカト云フ風ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=87

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• 088・前田房之助

  ○前田委員　色々物價ノ對策ニ付キマシテ
  モ、尙ホ伺ヒタイコトガアリマスルガ、時
  間モ刻々進ンデ居リマスノデ、幸ヒ只今大
  藏大臣ガ見エテ居リマスカラ、大藏大臣ニ
  關スルコトヲ、モウ少シ御尋申上ゲタイト
  思ヒマス、今日ハ私トシテハ商工大臣ハソ
  レデ結構デアリマス、本議會デ度々論議サ
  レタコトデアリマスガ、產業資本ニ對スル
  課稅ト、金融資本ニ對スル課稅トガ均衡ヲ
  失シテ居ル、產業資本ニ對シテドウモ餘リ
  ニ重イ、金融資本ニ對シテ輕イ、斯ウ云フ
  御議論ガアッタノデアリマスガ、ソレニ對シ
  テ私ハ全然同感デアルトハ、今日申上ゲルコ
  トヲ差控ヘタイト思ヒマス、產業資本ト金融
  資本ハ、利潤モ違ヘバ、又危險率モ違ッテ來
  ルノデアリマスカラ、强チ此御議論ヲ全部
  吾々ハ同感デアルト申スコトハ、相當考慮シ
  ナケレバナラヌト考ヘマス、併ナガラ斯ウ云ッ
  タ議論、批判ヲ是正致シマスルノニハ、先ヅ
  此第二種所得稅ト第三種所得稅ノ綜合課稅
  ガ行ヒ得ルナラバ、今言ッタヤウナ批判ヲ緩
  和スルコトガ出來ルノデハナイカト、又
  稅ノ立前カラ考ヘマシテモ、此第二種所得
  ト第三種所得稅ハ、綜合課稅デアルコトガ妥
  當デアリ、合理的デアル、斯樣ナ考ヘ方ヲ
  致シテ居リマシタノデ、私ハ今囘ノ一部稅
  法ノ改正ニ際シマシテモ、多分斯ウ云フ點
  マデ改正サレルノデハナイカ、斯樣ニ期待
  ヲ致シテ居ッタノデアリマスルガ、ソコ迄
  至ッテ居ラナカッタノヲ甚ダ遺憾ニ考ヘテ居
  リマス、此綜合課稅ニ關シマスル大藏大臣
  ノ所見、竝ニ今ハヤラヌガ將來ヤッテモ宜イ
  ト云フ御考ヲ持ッテ居ラレマスルカ、其御所
  信ヲ伺ッテ見タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=88

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• 089・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　今第二種ト申シテ居リマ
  スル個人ノ所得ヲ、所謂第三種ト綜合シテ
  課稅シマスルコトハ、理論トシテハ正シク
  其通リデアルト思ヒマス、併ナガラ是ハ現
  在トシテハ、到底行ヒ難イノデアリマシテ、
  第二種ト云フモノハ、三種ニ綜合サレズニ
  アルト云フ事實ヲ實際ノ前提トシテ、現在
  ノ各種ノ證劵其他ノモノハ、相當ニ是ガ賣
  k、持タレテ居ル狀況デアルノデアリマス、
  之ヲ一擧ニシテ綜合致シマスルト、ソコニ
  非常ノ變動ヲ起シマシテ、理窟デハ宜イノ
  デアリマスルガ、是ハ少シ言葉ハ惡イノデ
  アリマスガ、所謂譬ニハ舊稅ナレバ良稅デ
  アルト云フ風ニ、其事實ヲ前提トシテ今物
  ガ出來テ居ルト云フノデ、是ハドウモ近イ
  將來ニ綜合スルト云フコトハ不可能デア
  ル、殊ニ非常ニ巨額ノ公債ヲ賣出シ、又大
  イニ產業ノ擴充ヲヤル爲ニ、社債ヲ產業資
  本トシテ要ルト云フヤウナ場合ニ於キマシ
  テハ、到底困難デアリマス、寧ロ是ハ經濟
  事情ノ落付キマスノガ國際事情、外交事情
  ノ落付キマシテカラデ、其上デ行ハレルベ
  キモノデアッテ、コヽ數年ドウシテモ困難
  デアリマス、斯樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=89

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• 090・前田房之助

  ○前田委員　私ハ不幸ニシテ其點ニ付テ
  ハ、大藏大臣ト多少ノ所見ヲ異ニシテ居ル
  ノデアリマス、之ヲ綜合課稅ト致シマシテ
  モ、國債ノ消化トカ或ハ社債ノ募集、サウ
  云ッタ方面ニハ大シタ影響ハナイト私ハ思
  フ、寧ロソレニ影響スルヨリモ、理論的ニ
  稅制ヲ變ヘルノデアリマスカラ、得スル方
  ガ多イノデハナイカ、斯樣ナ考ヘ方ヲ致シ
  テ居ルノデアリマス、併シソレハ意見ノ相
  違デアリマスカラ、是以上御尋スルコトヲ
  見合セマス、次ニ大藏大臣出席中デアリマ
  スカラ、質問ハ飛ブノデアリマスガ、大藏
  大臣ニ伺ッテ續キタイト思ヒマス、申ス迄モ
  ナク財政ガ許ス限度ニ於テ增稅ヲヤルト云
  フコトガ、此場合必要デアルト私ハ思フ、
  競馬ノ納付金ニ付テデアリマスガ、是ハ農
  林省ニモ關係ガアルノデアリマスノデ、競馬
  法ノ第八條ニ依リマスト、勝馬投票劵ヲ發
  賣シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
  賣得金ノ額ノ百分ノ八以內ニ相當スル金額
  ヲ政府ニ納付スル、賣得金ノ百分ノ八以內
  ト云フコトニ、納付金ハ定メラレテ居ルノ
  デアリマス、然ルニ競馬ノ實情ハ、是ハ能
  ク大臣御承知ノ通リ、競馬其モノガ馬事ノ
  普及改良、サウ云ッタ方面ニ必要デアルト云
  フコトハ勿論デアリマスケレドモ、併ナガ
  ラ此競馬ノ投票劵ヲ發賣スルガ爲ニ、地方
  ニ於キマシテハ非常ニ射倖心ヲ刺戟サレ
  テ、ソレガ爲ニ產ヲ失フ者ガ頻々トシテ起ッ
  テ居ル、地方ノ堅實ナル所ノ思想モ、ソレ
  ガ爲ニ破壞サレル虞ガアルノデアリマス、
  而モソレガ爲ニ此競馬ト云フモノハ莫大ナ
  ル利益ヲ擧ゲテ居ル、私ハ農林大臣ノ御出
  席ヲ實ハ要求シタイト思ッタノデアリマ
  スガ、ソレガ爲ニ競馬其モノハ非常ニ莫
  大ナル賣得金ト言ヒマスカ、利益ヲ擧ゲ
  テ居ル、而モ其爲ニ地方ノ資產家ガ思惑ヲ
  シテドン〓〓倒レル、健全ナル所ノ農村ノ
  氣風ト云フモノガ破壞サレルト云フ、洵
  憂フベキ現象ヲ呈シテ居ル、而モ賣得金ニ
  對シテ僅ニ百分ノ八以內シカ、納付金ヲ出
  シテ居ラナイ、是ハ何ト致シテモ私ハ此納
  付金ノ額ヲモット增加ヲ致シテ、サウシテモ
  ウ少シ增稅額ヲ殖シテ、之ヲ地方一般ニ交
  付スルナリ、或ハ大衆ノ課稅ヲ輕クスルナ
  リ、モウ少シ有效適切ニ活用シテ見タイ、
  斯樣ニ考ヘテ今囘ノ增徵案ニ付キマシテモ、
  無論是ハ手ヲ著ケラレルコトダ、斯樣ニ考
  ヘテ居ッタノデアリマスガ、蓋ヲ開ケテ見マ
  スト、手ヲ著ケテ居ラナイ、甚ダ遺憾ニ考
  ヘテ居ルノデアリマスガ、是ハ農林省ノ御
  考モアルデアリマセウ、アルデハアリマセ
  ウガ、私共ハ競馬ノ實際カラ見マスト、モ
  ウ少シ之ヲ殖シテ或ハ馬車ノ改良ニ資セラ
  レルト云フコトモ結構デアリマスガ、更に
  進ンデ、社會政策ノ費用ニ之ヲ投ズル、國
  家有用ノ費用ニ之ヲ使フト云フコトガ、私
  ハ戰時體制下ノ現在ノ非常時ニ於テハ、最
  モ緊要ナルモノノ一ツデハナイカ、斯樣ニ
  考ヘテ居ルノデアリマスガ、此點ニ關シマ
  シテ、所見ヲ伺ヒタイト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=90

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• 091・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　競馬會ノ納付金ニ付キマ
  シテノ御意見ニ對シマシテハ、御同感ノ點
  モアルノデアリマスガ、是ハ御承知ノ通リ
  當初百分ノ一ト云フモノヲ、只今ハ最高百
  分ノ八以內ト數次ノ引上ヲ致シテ居ルノデ
  アリマス、且ツ現在ニ於キマシテハ其使用
  ノ目的モ定ッテ居リマス、併ナガラ是ハ非
  常ノ際デアリマス、又其使用ノ目的ヲ別ニ
  考ヘルコトモ、是モ出來ル譯デハアリマス
  ガ、只今ノ競馬會ノ數次ノ引上ヲ致シマシ
  タ實情トシテ、今囘ノ所ハ、是ハ困難ナ事
  情ニアルノデアリマス、其邊具體的ノコト
  ニ付キマシテ、必要ナラバ是ハ主管省ノ方
  カラ御答申上ゲルコトニ致シタイト思ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=91

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• 092・前田房之助

  ○前田委員　只今大藏大臣カラ具體的ノ事
  柄ハ、主管大臣カラ聽イテ貰ヒタイト云フ
  コトデアリマスカラ、此點ニ關シマシテ、
  次ノ委員會ニ於テ農林大臣カラ御答ヲ願ヒ
  タイト思ヒマス、ソレカラ固定資產ノ銷却
  率ノ問題デアリマスガ、申ス迄モナク今戰
  時體制下デアリマスカラ、ドシ〓〓事業ノ
  擴張ハドウシテモヤラナケレバナラヌ、併
  ナガラ是ハ遠キ將來カモ知レマセヌガ、何
  時カハ此產業ト云フモノハ、平和ニ囘復シ
  ナケレバナラヌ、組直シヲシナケレバナラ
  又、サウ云フ關係ニ、軍需ニ關係シテ居ル
  工業ハ置カレテ居ルノデハナイカト思ヒマ
  ス、隨テ此場合ニハ出來ル限リ固定資產ノ
  銷却率ヲ殖シテ、內容ノ健全ヲ期シテ置クト
  云フコトガ、戰後ノ反動下ニ處スル上ニ於
  テ最モ必要デハナイカ、斯樣ニ考ヘテ居リ
  マス、此見地ニ立チマシテ、法人ノ積立
  金社內保留金等ヲ、モット寛大ニ認メラレ
  テ、固定資產ノ銷却率ヲ引上ゲルヤウナ御
  考ガアルカナイカ、之ヲ伺ッテ見タイト思ヒ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=92

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• 093・賀屋興宣

  ○賀屋國務大臣　只今ノ軍需工業ニ對シマ
  ス社內留保其他ニ付キマシテハ、相當御同
  感ノ點ガアルノデアリマス、利益ニ認メマ
  セヌ損失ノ立チマス、銷却率ニ付キマシテ
  ハ、平時ト異リマシテ相當ノ考ヲ致シタイ
  ト思フノデアリマス、併ナガラ此事變ノ繼
  續又繼續後ニ於ケル軍備ノ狀況等モ明白
  ニハ分リマセヌノデアリマス、モノニ依リ
  マシタナラバ事變後ニ於テ多額ノ銷却ヲ認
  メルト云フヤウナコトモ起リマシテ、必シ
  モ事前ニ之ヲ平均シテ銷却ヲ認メルト云フ
  ヤウナコトハ、非常ニ困難デアリマス、併
  ナガラ平時ノ銷却率其儘ヲ何レノ場合ニモ
  適用スルト云フ考ハ持チマセヌ、實行ニ當ッ
  テ尙ホ〓究ヲシタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=93

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• 094・前田房之助

  ○前田委員　此點ハ戰後ノ反動期ニ處スル
  上ニ於テ最モ必要ダト思ヒマスカラ、十分
  一ツ御考慮ヲ願ヒタイ次第デアリマス、ソ
  レカラ事業會社ト同族保全會社ヲ區別ヲシ
  テ、事業會社ノ方ニハ加算稅ヲ課セナイト
  云フコトガ、寧ロ私ハ妥當デハナイカト考
  ヘテ居ルノデアリマスガ、其點ノ御所見ハ
  如何デアリマスカ

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• 095・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　同族會社ニ對スル加算稅
  ニ付キマシテハ、保全會社ニ關シテハ、原
  則トシテ之ヲ適用シテ居リマス、事業會社
  ニ對シマシテハ、其事業ノ性質、收益ノ狀
  況株主ノ數、或ハ其株式ガ法定相場ガア
  ルカドウカ、各種ノ事情ヲ綜合勘按致シマ
  シテ、保全會社トハ別個ノ取扱ノ下ニ全國
  ヲ統一致シマシテ、不權衡ノナイヤウニヤツ
  テ居リマス、實際適用ノ數カラ致シマシテ
  モ、保全會社ニ對スル分ト比ベマシテ、遙
  ニ其數ガ少クナッテ居ルノデアリマス

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• 096・前田房之助

  ○前田委員　更ニ御尋申上ゲマスガ、相續
  稅デアリマスルガ、是ハ人ニモ依ルデアリ
  マセウガ、不動產ヲ主ナル財產ト致シテ居
  リマスル者ハ、金錢ニ依ッテ納付スルコトガ困
  難ナル場合ガアル、ソレガ爲ニ二束三文ニ
  不動產ヲ賣却シテ稅金ヲ納メル、斯ウ云ッタ
  例モ澤山アルノデアリマスカラ、事情如何
  ニ依ッテハ物納ヲ許可スル、斯ウ云フ方針ヲ
  採ラレルト云フコトガ、妥當デハナイカト
  考ヘテ居リマスルガ、之ニ付テノ所見ヲ伺ッ
  テ見タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=96

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• 097・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　相續稅ニ於キマシテ、多
  額ノ不動產ガ相續財產ノ中ニ包含セラレテ
  居ルモノニ付テハ、物納制度ヲ併用シタラド
  ウカト云フコトハ、屢〓問題ニナッタコトデ
  アリマシテ、私共十分調査考究ヲ遂ゲタノ
  デアリマスガ、ドウモ國庫ノ收入トシテ徴
  收スル場合ニ、不動產ヲ取ッテ、ソレヲ換價
  處分シテ歲入ニ入レルト云フコトニ付キマ
  シテモ、實行上色々考慮シナケレバナラヌ
  點ガ多々アルノデアリマシテ、各國ノ例ヲ
  見マシテモ、英國ニ於キマシテ僅ニ法令ノ
  上ニ於キマシテ其規定ガアリマスルケレド
  干、是モ實際ハ到底施行セラレナイ、殆ド
  十數年來其施行ノ實例ヲ見.ナイト云フヤウ
  ナ狀況デアリマシテ、唯昨年ノ臨時租稅增
  徵法ニ於テ、相當相續稅ノ稅率ガ引上ゲラ
  レマシタノデ、此際ニ於キマシテ從來相續
  稅ノ年賦延納ハ、最長七箇年ニナッテ居リマ
  シタノヲ、特ニ不動產ガ多額ノモノニ付キ
  マシテハ、十箇年マデ猶豫ヲ認メルコトニ
  致シマシテ、多少其間ノ緩和ハ圖ッタノデ
  アリマスガ、尙ホ將來十分考究シテ見タイ
  ト存ジテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=97

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• 098・前田房之助

  ○前田委員　取引所ニ關聯シテ少シク御尋
  致シテ置キタイト思ヒマス、御承知ノ如ク
  「ラヂオ」ガ非常ニ發達致シマシテカラ以來
  ト云フモノハ-ソレヨリ前ニモアッタノ
  デアリマスルガ、近來特ニ市場外ニ取引類
  似ノ行爲ガ盛ニ行ハレテ居ルト思ヒマス、
  而モ之ヲ監督スル者ハ警察官吏デアル、警
  察官吏ト云フモノハ御承知ノ如ク帳面ヲ檢
  査シテモ一向分ラナイ、二重帳面ヲ附ケテ
  胡麻化シテ居ッテモ分ラナイ、斯ウ云フ風ニ
  監督權ガ稅務官吏ニナイガ爲ニ、十分ナル
  取締ガ出來ナイ、ソレガ爲ニ事實上ノ脫稅
  ヲ致シテ居ル額モ、私ハ可ナリ多イノヂヤ
  ナイカト思フ、隨テ此類似行爲ヲ十分ニ取
  締ヲ致シマスルニ付テハ、稅務官吏ニ特權
  ヲ與ヘテ、稅務官吏ガ何時デモ斯ウ云ッタ
  方面ニ取締ヲ爲シ得ル、斯ウ云フ風ニ改正
  サルヽ必要ガアルノヂヤナイカト思フ、是
  ハ豫テカラノ私ノ持論デアリマスガ、之ヲ
  嚴重ニ取締ル場合ニ於テハ相當取引所稅ト
  云フモノガ取レルノヂヤナイカ、隨分事實
  上ノ脫稅モ行ハレテ居ルノヂヤナイカ、今
  後若シ利益ガ非常ニ多クナッテ株式取引ガ
  益〓繁盛ヲ加ヘマス場合ニ於テハ、サウ云フ
  類似行爲ガ增加スルノヂヤナイカ、斯樣ニ
  考ヘテ居リマスルガ、之ニ付キマシテ新ニ
  取締ヲスルト云フヤウナ御方針ガアリマス
  ルカドウカ、御伺致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=98

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• 099・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　今ノ御話ニ付キマシテハ
  同感ノ點ガ多々アルノデゴザイマスルガ、
  唯之ヲ獨リ稅務ノ見地ノミニ立ッテ取締ッテ
  行クノガ、果シテ適當デアルカドウカト云
  フコトニ付キマシテハ、尙ホ十分考究シテ
  見タイト存ジテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=99

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• 100・前田房之助

  ○前田委員　更ニ取締ノコトデアリマスル
  ガ、酒デアリマス、市場ニ於テ「アルコール」
  トカ燒酎ヲ酒ニ混入スルコトヲ禁止シテ居
  ル、然ルニ實際ヲ見マスト、其取締ガ十分
  厲行サレテ居ラヌ、相當之ヲ混入シテ販賣
  ヲ致シテ居ル、大藏當局モ十分ソレヲ取締
  リ得ナイ、斯ウ云フ實情ニ置カレテ居ルト
  思ヒマスルガ、今後之ヲ十分ニ一ツ取締ッテ
  貰フ必要ガアルト思ヒマスガ、之ニ對スル
  御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=100

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• 101・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　今ノ點ニ付キマシテハ、
  從來トモ稅務當局ニ於テ隨分骨ヲ折ッテ、是
  ガ取締ニ當ッテ居ルノデゴザイマス、尙ホ近
  時今ノ御話ノ燒酎ヲ他ノ物ニ混和シテ、販
  賣シテ居ル者モ相當アルノデ、ソレヲ防止
  スル爲ニ無臭燒酎ニ對シテハ、或ル程度マ
  デ粕取リ燒酎ヲ混和シテ、隨テソレニ臭ヒ
  ヲ附ケサシテ、他ノ物トノ混和ヲ防グト云
  フコトモヤッテ居ルノデアリマス、尙ホ此度
  酒類販賣業ヲ免許制度ニスルト云フ法律案
  ヲ出シテ、此取締ヲ更ニ一段ト强化シタイ
  ト云フ意思モ亦、此中ニ含マレテ居ルノデ
  ゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=101

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• 102・前田房之助

  ○前田委員　序ニ酒ノコトヲ御尋致シマス
  ガ、今囘ノ增徵案ニハ、酒ニ對シテハ庫出
  稅ヲ採用サレテ居ルノデアリマス、其酒造
  稅ヲ庫出稅ニ變更スルト云フコトハ、業者
  多年ノ熱望デアリ、私ハ無論性質カラ考ヘ
  テ、是ガ妥當ナリト考ヘテ居ルノデアリマ
  スガ、唯問題ハ之ヲ庫出稅ニ變更スル場合
  ニ、一時相當財政上ノソコニ收入ノ缺陷
  ガ生ズル、サウ云フ一時的ノ財政土ノ必要
  カラシテ、今日マデ延ビ〓〓ニナッテ居ルノ
  デハナイカト思ヒマスルガ、此增徵案デ既
  ニ一部庫出稅ヲ採用サレマシタ以上ハ、本
  稅ニ對シテモ出來得ル限リ、ヤハリ庫出稅
  ヲ採用シテ戴クト云フコトガ必要デナイカ
  ト思ヒマスカラ、之ニ付テ御所見ヲ伺ッテ見
  タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=102

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• 103・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　此酒造稅ニ付キマシテハ、
  消費稅ノ本質ト致シマシテ、成ベク消費ニ
  接近シテ課稅スルト云フノガ理想ナノデゴ
  ザイマシテ、隨テ酒造稅ニ付キマシテ、庫
  出課稅ヲヤルト云フコトハ、理想トシテハ
  議論ノナイ所デゴザイマス、唯之ヲ實行ス
  ルニ當リマシテハ、各種考慮ヲ要スル點ガ
  アリマシテ、又業者ノ方面ニ於テモ色々利
  害ガ錯綜シテ居ル點ガゴザイマスカラ、是
  モ相當調節ヲシタ上ニヤッタナラバ、此間ガ
  圓滑ニ行カレルノデハナイカト存ジテ居ル
  次第デアリマス、今之ヲ直チニ全部庫出稅
  ニスルト云フコトハ、御話ノ通リ、過渡期
  ニ於テ國庫收入ニ減ガアルト云フノモ一點
  デアリマスガ、尙ホ其他ノ點モ併セテ考へ
  テ見ナケレバナリマセヌ、直グニ全部ニ付
  テ庫出課稅ヲスルト云フ迄ノ、決心ガ付キ
  兼ネテ居ルノデアリマス、唯此度ノ此事變
  稅ノ一ツトシテ、物品稅ノ形ヲ執ッテ、此庫
  出課稅ノ一端ヲ實行スルノデゴザイマシテ、
  是モ將來庫出課稅ニ進ミタイト考ヘテ居リ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=103

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• 104・前田房之助

  ○前田委員　私ハ大體ノ質問ヲ終ッタノデ
  アリマスガ、法律案自體ノ內容ニ對シマス
  ル質問ハ、施行勅令ノ內容ヲ拜見致シマシ
  タ上デ、後日又十分御質疑ヲ申上ゲタイト
  思ヒマス、本日ノ私ノ質問ハ終リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=104

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• 105・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　本日ハ此程度デ終了シタイ
  ト思ヒマスガ、明日ハ岡田君ヨリ御質疑ヲ
  始メラレンコトヲ願ヒマス、而シテ前田君
  ヨリ御要求ノ所管大臣ノ御出席ノ場合ハ、
  時宜ニ依ッテ前田君ノ發言ヲ求メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=105

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• 106・東條貞

  ○東條委員　服部君ノ要求ガアリマスカラ、
  資料ヲ一ツ御要求致シマス、地方競馬ノ入
  場劵ノ賣上高、之ヲ十年、十一年、十二年
  ノ三箇年、各競馬場別ニ御提出ヲ願ヒタイ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=106

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• 107・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　ソレカラ各位カヲ書面ヲ以
  テ委員長ノ手許マデ御請求ニナッタ資料ノ
  請求ハ、便宜速記錄ニ揭載シテアリマスカ
  ラ、御承知置キヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=107

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• 108・東條貞

  ○東條委員　ソレカラ前ニ請求致シマシタ
  資料デ出ナイモノガアリマスカラ、成ベク
  早ク頂戴致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=108

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• 109・高橋熊次郎

  ○高橋委員長　ソレデハ明日ハ午前十時カ
  ラ開會スルコトニ致シマシテ、本日ハ此程
  度デ散會致シマス
  午後五時四分散會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313735X00619380223&spkNum=109

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