1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
青年學校教育費國庫補助法案
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委員氏名
委員長 侯爵 徳川義親君
副委員長 子爵 清岡長言君
男爵 紀俊秀君
下村宏君
男爵 大森佳一君
田所美治君
小坂順造君
細田安兵衞君
岩崎清行君
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昭和十四年三月十一日（土曜日）午前十時二十一分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=0
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001・徳川義親
○委員長(侯爵德川義親君) ソレデハ是カ
ラ開會致シマス、先ヅ文部大臣ノ御說明ヲ
願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=1
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002・荒木貞夫
○國務大臣(男爵荒木貞夫君) 只今議題ト
ナリマシタ靑年學校〓育費國庫補助法案ニ
付キマシテ御說明申上ゲマス、政府ガ曩ニ
我國勤勞靑年ニ對スル〓育ヲ振興スル爲ニ、
實業補習學校ト靑年訓練所トヲ綜合致シマ
シテ、靑年學校制度ヲ創設致シタノデアリ
マスルガ、更ニ我國內外ノ情勢ニ鑑ミマシ
テ、昭和十四年度ヨリ取敢ズ男子靑年ニ對
シ、之ヲ義務〓育ト爲サムト致シテ居ルノ
デアリマス、仍テ政府ト致シマシテハ此ノ
機會ニ於キマシテ、靑年學校〓育ノ發達ヲ
助成スルト共ニ、一面地方財政ノ負擔ヲ過
重ナラザラシメムガ爲ニ、玆ニ法律ヲ以テ國
庫ヨリ市町村ニ對シ、靑年學校〓員給ノ補助
ヲ爲スノ方途ヲ確立セムトスルモノデアリマ
ス、尙此ノ法律ノ制定セラレマシタ場合ニ
於テハ、實業〓育費國庫補助法中寳業補習
學校ニ關係スル部分ハ不必要ト相成リマス
ノデ、之ヲ削除スル必要ガアリマス、仍テ
本法案ノ附則ニ於キマシテ、是ガ改正ヲ施
サムトスルモノデアリマス、何卒宜シク御
審議アラムコトヲ切望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=2
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003・田所美治
○田所美治君 本案ハ國庫補助法デ、實、
此ノ法律案ソレ自身ハ誠ニ簡單ナモノデア
リマスシ、又此ノ豫算ハ實ハ此ノ間モウ四
百何萬圓カ可決ニナッテ居ルヤウナ譯デア
リマスカラ、此ノ法案ノ直接ノ審議ハ誠ニ
簡單明瞭デアラウト思ヒマスケレドモ、此
ノ法案ガ出來テ來マシタ源、卽チ靑年學校
ノ〓育ヲ國家ノ義務トスル、斯ウ云フコト
ニ付キマシテハ、大キナ劃期的ナ問題デ恐
ラクハ五年間、滿十九迄國民〓育ヲ終ッタ
後ニヤルト云フコトハ世界ニマダ類ノナイ
初メテノ試ミデアルト思フノデアリマス、
「ドイツ」邊リハ十八迄ハヤッテ居リマスガ、
是モマグ全國ニ普及致シテ居リマスマイ、其
ノ位ノモノデアリマスガ、各國共ニ補習〓
育ヲ義務トシテ居ル所ハ續々アルノデアリ
マシテ、是コソ實ハ此ノ實效ヲ擧ゲルノニ
ハ非常ナ政府ノ努力ガ要ル事柄デアラウト
思ヒマス、旣ニ〓育審議會デモ此ノ國策ヲ
答申シマシテ、ソレニ基イテ國庫補助法ガ茲
ニ出タ、卽チ政府ハ其ノ實行ニ著手シタ、
斯ウ云フ譯デアルノデアリマスガ、私ノ如
キ者ハ〓育審議會ノ末席ニ連ッテ居リマシ
タカラ、其ノ制度ヲ樹テルニ付キマシテノ
〓要ハ承知致シテ居リマスガ、此處デ一同
デ本案ヲ審査スルニ付キマシテハ、今度ノ
此ノ制度ノ本質ト、ソレカラ只今申上ゲタ
ヤウナ實行上非常ナ奮發努力ガ要ル譯ナン
デアリマスカラ、其ノ效果ヲ擧ゲルニ付テ
ドウ云フ計畫デ進メラレルカ、單ニ此ノ補
助法ダケデ、是ハ到底行ケルモノデハナイ
ノデアリマス、機關ノ整備モ要リマスシ、
又俸給手當ダケニ補助シテソレデヨイモノ
デアルカ、是モ決シテ十分ナ譯デハナイダ
ラウト思フノデアリマス、又一面デハ義務
〓育ノ延長、六年ノ國民〓育ヲ八年ニスル
コト、寧ロソレガ世界ノ大勢カラ言フト先
ニ來ナケレバナラヌ、斯ウ云フモノガ遲レ
テ居リマシテ、此ノ方ガ先ニナツテ居ル、
サウシテ世界ニ類ノナイ、一步進ンダ制度
ヲヤルコトニナツタ、一面デハ義務年限ノ
延長モ決議ニナッテ居リマスシ、政府モ實行
ヲ期シテ居ル、今年ト云フ譯ニハ行カナイ
ガ、出來レバ來年ニヤルト云フコトモ文部
大臣ハ言明セラレテ居ルヤウデアリマス、
私共ノ考デハ今カラデモ御著手ニナラナケ
レバナラヌト存ジテ居リマシタケレドモ、ソ
レガ來年度トナッテ居リマス、其ノ方トモ是
ハ關係ノアルモノデアリマス、卽チ直接ニ申上
ゲマスレバ、靑年學校ノ普通科ト云フモノモ
義務ニナッテ行ク譯デアリマス、本年ハ此ノ補
助法ノ補助ノ目的物ハ必ズヤ普通科ノ〓員ノ
俸給手當ト云フ譯デアラウト思ラノデアリ
マスガ、ソレハ普通科ノ一年ダケカ、或ハ
一年、二年ヲ通ジテデアリマスカ、其處等
モ伺ッテ見レバ明瞭ニナルダラウト思ヒマス
ガ、ソレハ一面デ來年カラ義務〓育ノ延長ヲ
實施サレルト云フコトニナルト、ソレトモ
直グニ重ナリ合ッテ來ル譯ニナルノデアリ
マスガ、其處ガドウ云フヤウナ轉換ヲオ執
リニナルカ、或ハ當分ノ中兩方併行シテオ
ヤリニナルカ、數ノ上カラ申シマスレバソ
レモ出來マセウカト思ヒマスガ、審議會ノ
決議ハ、義務〓育ノ年限延長ノ曉ニハ又普
通科ノ方ト重複スル譯デアルカラソレハ止
メルト云フ······又普通科ノ義務制、本科ノ
五年ノ義務制、是トテ大變ナ譯ナノデアリ
マスガ、通ジテハ七年ヤル、サウ云フコト
モ答申ニナッテ居ルヤウデアリマスガ、其處
ラノコトニ付キマシテ一應本案ノ本質ヲ明
ニ致シマシテ、サウシテ適正ナル審議ヲ致
シタイ、コンナニ考ヘルノデアリマスカラ、
大臣ガ御說明下サレバ此ノ上モゴザイマセ
ヌガ、政府委員カラデ宜シウゴザイマスカ
ラ、我々ノ參考ニナリマスダケノ事柄ヲ出
來ルダケ詳細今日承ッテ置キマスト、明日、
明後日カラ審議ヲ致シマスニ便宜ダト考ヘ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=3
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004・荒木貞夫
○國務大臣(男爵荒木貞夫君) 梗〓ダケヲ
私カラ申上ゲマシテ、尙詳細ナ點ハ政府委
員カラ御說明申上ゲルコトニ致シマス、國
民學校ノ義務制ハ私モ出來ルダケ早クヤリ
タイ、斯ウ云フ考カラ今ノ處急ガセテ居ル
ノデアリマスガ、財政ノ方ノ都合モ果シテ
一氣ニ八年ガ出來ルカ、或ハ七年、八年ト
斯ウ云フ順序ニナリマスカ、又〓員ノ養成、
之ニ對スル內容··國民學校ハ御承知
ノ如ク〓科內容ヲ變へテ居リマス、課程ヲ
變ヘテ居リマスカラ、是等ニ對スル準備、
〓科書、法令モ之ニ伴ッテ隨分澤山改正シ
ナケレバナラヌト云フコトデ、是等ヲ出來
ルナラバ十五年カラ著手シタイ、斯ウ云フ
コトデ今急ガセテ居ルノデアリマス、何分
トモ是等ノ見當モ付キマセヌノデ、心構ヘ
トシテハ萬難ヲ廢シテ十五年ニ始メルヤウ
ニ急ガシテ居ルノデアリマス、從ッテ之ガ
決リマシテ、ハッキリ致シマスルト、茲ニ兩
者ノ關係ヲ其ノ事情ニ應ジテ、例ヘバ普通
科ヲ直グニ廢シテ行クカ、或ハ今ノ普通科
ノ一年ハ來年二年ニナリマスカラ、二五、
入ルモノヲ廢メテ、ソレヲ國民學校ノ方ヘ、
卽チ高等國民學校ノ方へ移シテシマフ、或
ハ來年全部ガ始ラナイノデ、假リニ一年デ
モ延ビルト云フコトニナリマスレバ、普通
科ガ丁度卒業スルコトニナリマスノデ、先
キノ連繫モ極メテ簡單ニ行クト云フヤウナ
コトモ考ヘテ居ルノデアリマス、何レニ致
シマシテモ、之ガ出來マスル時ニ於テハ、
兩方ノ併立ハ考ヘタクナイト思ッテ居リマ
ス、一ツニシテヤッテ行ク必要ガアル、結局
今ノ靑年學校ハ本科ダケニシテ、今ノ普通
科ト云フモノハ高等國民學校ノ〓育ヲ受ケ
ル、斯ウ云フコトニナル、又サウセナケレ
バナラヌト思ッテ居リマス、實ハ此ノ〓育ノ
內容ニ付キマシテ高等國民學校ハ御承知ノ
ヤウニ、一方ニ於テ實業〓育又實務〓育ト
云フヤウナモノニ重キヲ置イテ、玆ニ校外
ノ鍛鍊ニ重キヲ置カレマスノデ、存外普通
科ノモノガサウ云フヤウナ豫備ノ點ヲモヤッ
テ、其ノ儘一緒ニナッテモ差支ナイコトニ
ナリ得ルヤウニ靑年學校ノ方モ一ツ考テ
ヘ行カナケレバナラナイ、大體斯ウ云フヤ
ウナ考デ今試ミヲ持ッテ居リマスガ、何分今
直チニ始メルト云フコトガ確定致サヌノデ、
少クトモ今年ノ前半期ニ國民學校ノ方ノ見
當ヲ付ケサセタイト今急イデ居ルヤウナ譯
デアリマス尙細カイ點ハ政府委員カラ御說
明致サセマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=4
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005・田中重之
○政府委員(田中重之君) 只今靑年學校ト
國民學校トノ關係ニ付キマシテ大臣ヨリ御
答ガゴザイマシタノデ、其ノ他ノ部分ニ付
キマシテ私カラ······今囘男子ニ對シテ義務
〓育トナサムト致シテ居リマスル靑年學校
ノ制度ノ內容ヲ申上ゲタイト存ズルノデア
リマス、靑年學校ノ制度ハ昭和十年ニ創設
致サレタノデアリマシテ、今日迄凡ソ四年
程ニ相成ッテ居リマス、併シナガラ靑年學
校ハ前身ト致シマシテ實業補習學校竝ニ靑
年訓練所ヲ統合致シタモノデアリマス、實業
補習學校ハ旣ニ明治二十年代ニ創設致サレ
タノデアリマス、又靑年訓練所ハ大正十五
年ニ設立致サレタモノデアリマシテ、是等
ヲ合セマスレバ、既ニ四十年以上ノ歲月ヲ
經過致シテ居ルノデアリマス、此ノ靑年訓
練所ト實業補習學校ヲ統合致シマシテ、只
今申上ゲマシタヤウニ、昭和十年ニ現在ノ
靑年學校ノ制度ヲ創立致シタノデアリマス
ガ、此ノ靑年學校ハ大體ニ於キマシテ、小
學校ヲ出シマシタ後ニ於キマシテ他ノ上級
學校等ニ進ムコトナク、直チニ社會ノ實務
ニ從事致シテ居リマスル所ノ所謂實務靑年
男子女子ヲ對象ト致シテ居リマス〓育デア
リマス、從ヒマシテ其ノ〓育ヲ受クベキ者
ハ大體男女合セマシテ五百萬人位ト推定致
サレルノデアリマシテ、我ガ國ノ靑年層ノ
約八割ガ此ノ〓育ノ對象ト相成ルモノデア
リマス、從ヒマシテ國家ノ前途ヲ負擔致シ
マスル所ノ是等ノ大衆靑年ニ對シマシテ國
家ガ〓育ヲ施シマシテ、必身共ニ健全ナル
立派ナ日本帝國ノ國民ヲ作リ上ゲマスル上
ニ於キマシテ、靑年學校ノ〓育ハ極メテ重
大ナル責任ヲ負擔シテ居ルモノト考ヘルノ
デアリマス、曩ニ申上ゲマシタヤウニ此ノ
靑年學校ハ其ノ前身ト致シマシテ、實業補
習學校ト云フモノヲ持ッテ居ルノデアリマ
スカ、旣ニ大正七年、當時ノ臨時〓育會議
ニ於キマシテ、此ノ實業補習〓育ハ速ニ義
務制ト致サレダイト云フ答申ガ政府ニ提出
サレテ居リマス、尙又昭和十年ニ於キマシ
テ靑年學校ノ制度ヲ創設致シマスル際ニ、
當時ノ文政審議會ニ之ヲ諮詢致シマシタル
處當時文政審議會ニ於キマシテモ速カニ
靑年學校〓育ヲ義務制ト致サレタイト云フ
附帶ノ答申ヲ致サレテ居リマス、是等ノ答
申モゴザイマスルノデ、政府ニ於キマシテ
ハ靑年〓育ヲ速カニ義務制ト致シマスル爲
二、種々〓究調査ヲ續ケテ居ッタノデアリ
マスルガ、今囘事變ガ勃發致シマシテ、我
ガ國ハ未曾有ノ重大ナル時局ニ當面致シ、
帝國ノ東亞竝ニ世界ニ於キマスル使命ハ飛
躍的ニ重大性ヲ加ヘテ參ッタノデアリマス、
一方又今囘ノ事變ニ於キマシテ、戰線ニ於
キマシテモ亦銃後ニ於キマシテモ、靑年學
校ノ〓育ヲ受ケマシタ者ノ效果ガ極メテ十
分ニ發揮致サレマシタコトハ各方面ノ觀察
ノ一致致シテ居ル處デアリマス、斯ノ如キ
狀況デアリマスルノデ、政府ハ今後ノ重大
ナル時局ニ處シマシテ我ガ國ノ靑年ニ對シ
マシテ立派ナ國民的ノ訓練ヲ徹底的ニ、又
普遍的ニ加ヘマスルコトノ必要ヲ痛感致シ
マシテ、爰ニ昨年一月十一日ノ閣議ニ依リ
マシテ、取敢ズ男子靑年ニ對シマシテ靑年
學校〓育ヲ義務ト致シ、此ノ義務制度ヲ昭
和十四年度ヨリ實施スルノ方針ヲ定メタノ
デアリマス、之ニ基キマシテ文部省ニ於キ
マシテ義務制ノ實施ノ具體的ノ計畫ヲ樹テ
マスル爲メ爾來銳意調査〓究ヲ續ケタノデ
アリマスルガ、其ノ大體ノ成案ガ整ヒマシ
タノデ、之ヲ〓育審議會ニ提出致シマシテ
御審議ヲ乞フタノデアリマス、爾來〓育審
議會ニ於キマシテハ極メテ愼重ニ、極メテ
熱心ニ御審議ヲ賜リマシテ、昨年ノ七月ニ
文部省ノ原案ヲ可トスルノ御答申ヲ賜リマ
シタハ尙其ノ際ニ〓育審議會トシテ男子靑
年ニ對シマシテ、靑年學校〓育ヲ義務ト致
スニ付キマシテ政府ニ要望スル數點ノ事項
ヲ提示致サレマシテ、此ニ於キマシテ文部
省ニ於キマシテハ此ノ〓育審議會ノ御答申
ヲ基礎ト致シ、更ニ關係各方面ト折衝ヲ續
ケマシテ、其ノ計畫ヲ定メマシテ、之ニ關
係致シマスル豫算ヲ昭和十四年度ノ豫算ニ
計上致シ、先頃帝國議會ノ御協贊ヲ經タヤ
ウナ次第デアリマス、尙又關係方面ノ法令
ノ整備ヲ急イデ居ルノデアリマシテ、今囘
此ノ義務制實施ニ伴ヒマシテ、必要ト致シ
マスル處ノ三箇ノ法律案ヲ帝國議會ニ提
出致シマシタ次第デアリマス、其ノ一ツ
ハ只今御審議ヲ煩シテ居リマスル所ノ靑
年學校〓育國庫補助法案デアリマス、今
一ツハ地方學事通則中改正法律案デアリ
マイ、今一ツハ靑年學校ノ生徒ハ〓ネ勤
勞致シテ居リマシテ、雇傭セラレテ居リ
マスル者ガ多イモノデアリマスルカラ此
ノ靑年學校ニ就學致シマスル此ノ勤勞時
間トノ調節ヲ圖ル必要ガゴザイマス、ソ
コデ此ノ靑年學校ニ就學セシメラルベキ
者ノ勞働時間ニ關シマスル法律案ヲ必要ト
致シマシテ、是モ議會ノ御審議ヲ煩スコト
ニ相成ッテ居リマス、此ノ後ニ申上ゲマシタ地
方學事通則中改正法律案竝ニ靑年學校ニ就
學セシメラルベキ者ノ勞働時間ニ關スル法
律案ハ共ニ目下衆議院ニ於キマシテ御審議
ヲ煩シ、不日貴族院ニ於キマシテ更ニ御審
議ヲ煩ス段取リニ運ンデ居ルヤウナ次第デ
ゴザイマス、サウ云フ前提ノ下ニ今囘政府
ガ男子靑年ニ對シマシテ行ハムト致シテ
居リマス所ノ義務〓育ノ大體ノ御說明ヲ申
上ゲテ見タイト思フノデアリマス、御手許
ニ差上ゲテゴザイマス所ノ「男子靑年ニ對
スル靑年學校〓育義務制實施要綱」ト云フ
資料ガゴザイマスガ、之ニ付キマシテ大體
ノ御說明ヲシテ見タイト思フノデアリマス、
「男子靑年ニ對スル靑年學校〓育義務制實
施要綱」、大體靑年學校ハ先程申上ゲマシタ
ヤウニ小學校ヲ卒業致シマシタ後ニ於キマ
シテ、他ノ上級學校ニ入學致シマセヌデ、
大體ニ於テ社會ノ實務ニ從事シテ居リマス
者ニ、其ノ實務生活ト關聯シテ〓育ヲスル
コトヲ本旨トシテ居ルノデアリマス、而シ
テ靑年學校ノ制度ハサウ云フ意味ニ於キマ
シテ普通科及本科ト云フモノヲ中心トシテ
居リマス、普通科ト申シマスノハ、尋常小
學校ヲ卒業致シマシテ他ノ學校、從ヒマシ
テ高等小學校或ハ中等學校等ニ進マザル者
ヲ入學セシムル學校デアリマス、所謂高等
小學校ニ該當シマス所ノ普通科ハ二年デア
リマス、此ノ普通科二年ヲ出デマシタ者竝
ニ高等小學校ヲ終リマシタ者ヲ收容致シマ
スモノガ、本科デアリマス、此ノ本科ハ先
程田所委員カラ御話ガアリマシタヤウニ五
年ヲ本則トシテ居リマス、併シナガラ土地
ノ狀況ニ依リマシテハ之ヲ四年ト致スコト
ガ出來ルト云フヤウニ致シテ居リマス、大
體ヲ申上ゲマスト、今日ノ實情ニ於キマシ
テハ農村方面ニ於キマシテハ、〓ネ五年ノ
制度ヲ採ッテ居ルノガ常デアリマス、都市方
面ニ於キマシテハ、勞働時間等ノ關係ヲ加
味シテ四年ヲ採ッテ居ルノガ本體デアリマ
ス、サウ云フ趣旨ニ於キマシテ今囘ノ義務
制ヲ實施致シマス場合ニ於テモ從前ノ制
度ヲ其ノ儘踏襲致シマシテ、普通科〓授訓
練期間ハ二年、本科ノ〓授訓練期間ハ五年、
但シ土地ノ狀況ニ依ッテ之ヲ四年トナスコト
ガ出來ルト斯樣ニ致シタイト考ヘテ居リマ
ス、是ガ要綱ノ第一、第二ニ書イテアルモ
ノデゴザイマス、第三ハ先程申上ゲマシタ
ヤウニ入學資格デアリマス、次ニ靑年學校
ニ於キマス所ノ〓授及訓練ノ時間デゴザイ
マスガ、是モ大體從前ノ制度ヲ踏襲シテ居
リマス、卽チ男子ニ付テ申シマスト、普通
科ノ二年竝ニ本科ノ一年、二年ハ一年ガ二
百十時間以上ト致シテ居リマス、而シテ本
科ノ三年以上ハ一年百八十時以上トシテ居
リマス、此ノ最低限ヲ二百十時、百八十時
ト定メマシテ、土地ノ狀況ニ依リマシテ彈
力性ヲ持タセマシテ、適宜ノ時間數ヲ決メ
得ルコトト致シテ居リマス、唯併シナガラ
義務制ヲ實行致ス場合ニ、義務トシテ强制
致シマス場合ニ於キマシテ、之ヲ限定スル
コトヲ適當ト致シマスノデ、義務トシテ課
スベキ時間ハ之ヲ今ノ最低時數、卽チ二百
十時又ハ百八十時ト大體限定致シタイト考
ヘテ居ルノデアリマス、而シテ此ノ靑年學
校ニ於テ課スル所ノ科目ハドウ云フモノデ
アルカト申シマスト、靑年學校ニ於キマシ
テハ、努メテ此ノ學科目ハ之ヲ綜合的ニ行
ヒマシテ、科目ヲ極メテ簡素ニ致シテ居リ
マス、而シテ此ノ相互ノ間ニ於ケル所ノ聯
繫ヲ十分ニ致シ、且又其ノ學校ニ於ケル所
ノ〓育ト學校外ニ於ケル所ノ實際生活ト職
業生活トノ連鎖ト云フコトニ付キマシテ重
點ヲ置キマシテ、最モ實際的ナ、而シテ偏
智的ニナリマスコトヲ避ケマシテ、努メテ
實踐的ナ〓育ヲ施スコトヲ本旨ト致シテ居
ルノデアリマス、其ノ〓授訓練科目ハ男子
ニ付キマシテハ、其ノ要綱ノ第五ニ記載シ
テゴザイマスガ、修身及公民科、普通學科、
職業科竝ニ體操科、體操科ハ普通科ハ體操
科ト申シマシテ、本科ニ於キマシテハ之ヲ
〓練科ト申シテ居ルノデアリマス、斯ウ云
フヤウナ科目ニ分ッテ居ル、卽チ四科目ニ分ツ
テ居ルノデアリマス、此ノ四科目ノ大キク分
チマシタ所ノ科目、之ヲ又相互ニ連絡輔抜セ
シメ、〓育ハ先程申上ゲマシタヤウニ實際生
活トノ連絡輔抜ヲ致サセマシテ、此ノ男女靑
年ニ對シマシテ心身ヲ陶冶シ、又實際生活
ニ必要ナル知識技能ヲ授ケマシテ、以テ立派
ナル帝國ノ靑年ヲ作リ上ゲルト云フコトヲ
此ノ學校ニ於テハ目的ト致シテ居ルヤウナ
次第デアリマス、今囘義務制ニ致シマシタ
場合ニ於キマシテ、其ノ〓授及訓練課目ハ
大體從前ノ制度ヲ其ノ儘蹈襲致スコトニナツ
テ居リマス、次ニ要綱ノ第六ニゴザイマス
〓科書ノコトデゴザイマスガ、靑年學校ニ
於キマシテハ、學校ノ性質上必ズシモ〓科
書ヲ用ヒルコトヲ必須トハ致サナイノデア
リマスガ、今日〓科書ヲ用ヒテ居ル場合ガ
多イノデアリマス、就キマシテハ、之ヲ義
務制トスル場合ニ於テハ〓科書ノ內容ヲ適
正ナラシムルコトガ必要ト思ヒマスノデ、檢
定制度ヲ大體布キタイ、修身及公民科竝ニ
普通學科ニ付キマシテ檢定制度ヲ實施シタ
イト考ヘテ居リマス、此ノコトハ今年度、
昭和十三年度ニ於キマシテ、其ノ豫算ヲ計
上致シマシテ、旣ニ今日實施致シテ居ルノ
デアリマス、尙〓育審議會ノ御答申ガアリ
マシテ、修身及公民科ニ付キマシテハ、國
定〓科書ノ編纂ヲ適當トスルト云フ御答申
ガゴザイマシタノデ、此ノ御答申ニ基キマ
シテ修身及公民科ニ付キマシテハ、國定〓
科書ヲ編纂スルコトニ致シマシテ、昭和十
四年度ノ豫算ニ之ニ關係致シマス費用ヲ計
上致シテ居ルヤウナ次第デゴザイマス、大
體靑年學校ノ制度ハ、以上ノ如キモノデア
リマスガ、此ノ靑年學校ニ對シマシテ男子
靑年ハ就學スルコトヲ義務ト致スト云フコ
トガ今囘ノ義務制度ノ根幹デゴザイマス、
其ノ義務制度ノ中心ハ此ノ要綱ノ第七ニ書
イテゴザイマス、是ハ先程田所委員カラ御
話ガゴザイマシタ通リニ、年齡滿十二歲、
十二歲ト申シマスノハ卽チ尋常小學校ヲ卒
業致シマシタ時デゴザイマス、滿十二歲カ
ラ滿十九歲ニ至リマス間ニ於キマシテ、
靑年學校ノ普通科竝ニ本科ノ課程ヲ習得セ
シメル、斯ウ云フコトヲ本體ト致シテ居ル、
ノデアリマス、先程田所委員カラ御話ガゴ
ザイマシタ通リニ、滿十九歲迄靑年期ニ於
キマシテ義務〓育ヲ施シマスコトハ、世界
ニ例ガナイコトデアリマシテ、外國ニ於キ
マシテ實業補習〓育ヲ施シテ居ル所ニ於
キマシテモ、大體十八歲ト云フモノヲ限度
トシテ居ルノデアリマス、之ヲ十九歲ト致
シマシタノハ十九歲迄、靑年ヲ靑年學校デ
〓育ヲ施シマスト是ガ直グ徵兵ノ適齡期ニ
達スルノデアリマス、卽チ兵役ノ義務ニ直
チニ接續スルノデアリマシテ、小學校ヲ出
デマシタ後適齢ニ至リマス迄ノ全靑年期ヲ
通シマシテ〓育ニ間〓ナカラシムルト云フ
コトガ、此ノ義務〓育ノ本旨ト致スヤウニ
ナッテ居リマス、大變餘談デアリマスガ、此ノ
滿十二歲乃至十九歲迄引續キ義務〓育ヲ致
スノデアリマシテ、是ハ先程申上ゲマシタ
ヤウニ修身及公民科、普通學科、職業科、
〓練科ト云フヤウナ心身ノ鍛鍊ニ向ヒマシ
テ綜合的ナ見地ニ立チマシタ〓育ヲ施スノ
デアリマス、外國ニ於キマシテ實業補習〓
育ヲ義務ト致シテ居リマスル國ハ多イノデ
アリマスケレドモ、此ノヤウナ廣汎ナル精
神的ナ······又精神的ニ於キマシテモ、實業
的ノ觀念ニ於キマシテモ、物心一ツニ致シ
マシタ見地ニ立チマシテ、立派ナ一個ノ日
本帝國ノ靑年ヲ造上ゲヨウト云フ、斯ウ云
フ兩面的ノ見地ニ立チマシタ所ノ靑年〓育
機關、之ヲ義務制ト致シマスコトハ、惟フ
ニ我ガ國ニ於キマシテ初メテ行ハレル所デ
アリマシテ、此ノ靑年學校ノ義務制ガ立派
ニ遂行セラレマスレバ、誠ニ世界ニ誇ルニ
足ルコトガ出來ルノデアリマシテ、當局者
ト致シマシテハ、此ノ義務制ヲ立派ニ、如
何ニシテ成就スルカニ付キマシテ、非常ナ
責任ヲ感ジ、各方面ノ御協力ニ依リマツテ、
立派ナ成績ヲ擧ゲタイト念願致シテ居ルヤ
ウナ次第デアリマス、只今申上ゲマシタヤ
ウニ、滿十二歲カラ滿十九歲ニ至リマス者
ヲ靑年學校ニ收容致スノデアリマスガ、靑
年學校ノ〓育ハ小學校ト違ヒマシテ、是仁、
基礎〓育デハナイノデアリマスカラ、全國
ノ年齡該當者ニ劃一的ニ靑年學校ノ〓育
ヲ施スト云フコトヲ趣旨トスルノデナイノ
デアリマシテ、從ヒマシテ國家ガ認メマ
シテ、他ノ學校ニ於キマシテ、相當ノ〓育
ヲ受ケ居リマスル者ニ對シテハ、靑年學校
ノ〓育ヲ强制スル必要ハナイノデアリマ
ス、從ヒマシテ此ノ要綱ノ第七ニ揭ゲテゴ
ザイマスルヤウニ、靑年學校ニ參リマスル
者ハ小學校或ハ中等學校等ニ就學シテ居ラ
ナイ他ノ者ヲ目標ト致スノデアリマス、卽チ
ソコデ先程申上ゲマシタヤウニ大體ノ對象
ガ小學校ヲ卒業致シマシタ後ニ旣ニ他ノ學
校ニ通ハズニ實際ノ職業生活ヲ營ンデ居ル、
斯ウ云フ者ヲ對象トスルト云フ事實上ノ結
果ト相成ルノデアリマス、斯ウ云フ者ヲ對
象ト致シマシテ之ヲ靑年學校ニ就學致サセ
シメルノデアリマスガ、此ノ者ヲ就學セシ
ムル義務ハ、是ハ是等ノ靑年ノ保護者ガ負
フモノ、之ヲ斯樣ニ致シテ居リマスルノハ
小學校ノ場合ト同ジデアリマス、此ノヤウ
ニ就學義務者ヲ定メルノデアリマスガ、瘋
癲白痴又ハ不具癈疾其ノ他已ムヲ得ナイ
事由ガアリマス場合ニハ其ノ就學ノ義務ヲ
免除シ、又ハ猶豫スルコトニ相成ッテ居ルノ
デアリマス、是ガ要綱ノ第八ニ記シテアル
ノデアリマス、次ニ靑年學校ハ今日旣ニ社
會ニ於キマシテ種々實務ニ從事致シテ居リ
マスル者ガ、其ノ實務ト關聯致シマシテ〓
育ヲスルノデアリマシテ、其ノ〓育ノ本旨
カラ申シマシテ最モ實際的ニ、殊ニ其ノ地
方ノ實情ニ卽シマシテ彈力性ヲ持タシメマ
シテ行フコトヲ本旨トスルノデアリマシテ、
劃一ヲ避ケマスルコトガ此ノ〓育ノ運用ニ
於キマスル所ノ一ツノ重大ナル要點デアル
ト考ヘルノデアリマス、サウ云フヤウナ見
地ヲ加味致シマシテ靑年學校ノ義務〓育ヲ
實施致シマスル場合ニ於キマシテモ、靑年
學校以外ノ施設ニ於キマシテ靑年學校ト同
等ト認ムルヤウナ課程ヲ修メテ居リマス者
ニ付キマシテハ、之ヲ靑年學校ニ入學シタ
者ト同視致シマシテ、此ノ者ニ對シマシテ
ハ就學ノ義務ヲ免除スルト云フ場合モ作リ
タイト斯樣ニ考ヘテ居ル次第デアリマス、
斯ウ云フコトニ依リマシテ靑年學校ノ就學
義務ガ社會ノ事情ニ合フヤウニ工夫モ凝シ
タイト考ヘテ居ル次第デアリマス、是ハ要
綱ノ第九ニ記載サレテアリマス、次ニ要綱
ノ第十ニ記載シテアリマスコトハ、靑年學
校ニ就學致シマスル者ガ其ノ就學義務ヲ果
スニ付キマシテ、之ヲ使用シテ居ル者ガ使
用ニ依ッテ之ヲ妨ゲルコトガ出來ナイト云フ
規定ヲ置イテ居ルノデアリマス、尙此ノ點
ニ於キマシテハ現實ノ問題ト致シマシテハ、
勞働時間トノ關係ニ於キマシテ具體的ノ問
題ガ發生致シマスルノデ、今日法律ニ於キ
マシテ勞働時間ノ定メアリマスルモノニ付
キマシテハ、此ノ義務トシテ靑年學校ニ就
學スル時間ハ是ハ勞働時間ト看做スト云フ
規定ヲ認メマシテ、是ハ先程申上ゲマシタ
ヤウニ別ニ法律案ヲ作リマシテ只今帝國議會
ノ御審議ヲ仰イデ居ルヤウテ次第デアリマ
ス、以上ノ如クニ致シマシテ靑年學校ノ義務
ヲ課スルノデアリマスルガ、是等ノ靑年ヲ
收容致シマス所ノ靑年學校ヲ設置スル義務
ハ之ヲ市町村ニ負ハシメル、是ハ恰モ今日
小學校ノ義務〓育ヲ履行セシムルニ必要ナ
ル所ノ、小學校ヲ設置セシムル義務ヲ市町
村ニ負ハシメテ居ルノト同樣デアリマス、
斯ウ云フヤウニ致シマシテ市町村ニ於キマ
シテハ靑年學校ヲ設置スル義務ガアルノデ
アリマスルガ、特別ノ事情ガアル所ノ市町
村ニ於キマシテハ、自己ノ管內ニ獨立ノ靑
年學校ヲ持ツコトガ困難ノ場合モアリマス、
其ノ場合ニハ他ノ市町村ニ自分ノ市町村ノ
靑年學校ノ設置ノ義務ヲ他ノ町村ニ委託出
來ルト云フ途ヲ開クコトガ必要デアリマスノデ、
其ノ委託スル途ヲ開キマス爲ニハ現在ノ地方學
事通則ト云フモノニ多少ハ改正ヲ加ヘル必要
ガアリマスノデ、是亦先程申シマシタヤウニ別
ニ法律案トシテ帝國議會ニ提出致シマシテ、
只今衆議院ニ於テ御審議ヲ願ッテ居ル次第デ
アリマス、是ガ要綱ノ第十一、第十二ニ記
載シテアル事項デアリマス、次ニ要綱ノ第
十三ハ授業料ノ關係デアリマシテ、靑年學
校ガ義務〓育トナリマスル關係ニ於テ、是
ハ授業料ハ徵收出來ナイト云フコトニ致シ
テ居リマス、但シ特別ノ事情ガアリマス場
合ニハ監督官廳ノ認可ヲ受ケマシテ徵收ス
ルコトガ出來ルノデアリマスガ、特別ノ事
情ト申シマスルノハ、靑年學校ニ於キマシ
テ非常ニ長時間ノ〓授及ビ訓練ヲ施シマシ
テ、設備等ニモ相當ノ經費ヲ支出シテ居ル
ト云フヤウナサウ云フ所ヲ意味シテ居ルノ
デアリマシテ、義務トシテ課スルヤウナ比
較的少イ時間ヲ課シテ居リマス靑年學校ニ
對シマシテハ、授業料ヲ徵收セシメザル方
針デアリマスコトハ申ス迄モナイ次第デゴ
ザイマス、第十四ハ市町村ニ於キマシテ靑
年學校ニ關シマスル〓育事務ノ爲ニ學務委
員ヲ置クコトヲ義務付ケタイト考ヘテ居ル
ノデアリマス、靑年學校ハ先程申上ゲマシ
タヤウニ社會ノ實務ニ從事致シテ居リマス
ル所ノ靑年ヲ就學致サシメマスルコトヲ本
旨ト致シマスルモノデゴザイマスルカラシ
テ、此ノ就學ヲ圓滿ナラシメマスル爲ニハ
社會ノ各方面ノ協力ヲ必要ト致スノデアリ
マス、斯ウ云フ見地ヨリ致シマシテ、制度
ト致シマシテ學務委員ヲ置キマシテ就學ノ
奬勵其ノ他ノコトニ當ラシメルノデアリマ
スガ、尙文部當局ト致シマシテハ就學ノ奬
勵施設ヲ講ジマスルコトガ非常ニ必要デア
ルト考ヘマシテ、先程御協賛ヲ仰ギマシタ
所ノ昭和十四年度ノ豫算ニハ取敢ズ十萬圓
ノ就學奬勵費ヲ計上致シテ居リマス、是八
其ノ次ノ事項ト關聯致スノデアリマスガ、
男子靑年ニ對スル所ノ靑年學校ノ〓育ハ之
ヲ義務ト致シマシタ場合ニ於キマシテハ、
之ヲ一擧ニ十二歲乃至十九歲ノモノニ對シ
テ一擧ニ義務付ケルト云フコトモ一ツノ方
法デアリマスルシ、今日ノ時局ニ於キマシ
テサウ云フコトヲスル必要ガアルデハナイ
カト云フ議論モ十分ニ立チ得ルノデアリマ
ス、併シナガラ之ヲ一擧ニ行ヒマスルコト
ハ各般ノ點ニ於テ相當ノ無理ヲ伴フノデア
リマス、〓育的見地カラ申シマスルナラバ、
義務〓育ト致シマシタ以上ハ、其ノ〓育內
容ヲ充實スルコトガ必要デゴザイマスルケ
レドモ、一擧ニ之ヲ一切ノ靑年ノ義務ト致
シマシタ場合ニ於キマシテハ、必要ナ〓員
ヲ充足スルコトガ出來ナイノデアリマス、
サウ云フ〓員養成ト云フ見地カラ申シマシ
テモ、一擧ニ義務付ケルコトガ困難デアリ
マン、又靑年學校ノ生徒ハ〓ネ實務ニ從事
シテ居ル者デアリマスカラ、今日俄カニ
切ノ靑年ヲ靑年學校ニ收容致シマシタ場合
ニ於キマシテハ、是ガ產業界ニ及ボシマス
ル所ノ急激ナル影響ト云フモノヲ考慮致サ
ナケレバナラヌノデアリマス、一面ニ於キ
マシテ、一擧ニ義務〓育ヲ行ヒマスルコト
ガ國家財政竝ニ地方財政ニ及ボシマスル影
響モ考ヘナケレバナラヌノデアリマス、是
等ヲ彼此綜合致シマシテ、此ノ靑年學校ノ
〓育義務制ト學年進行ノ原則ニ從ヒマシテ
逐次行ッテ參ルト云フコトニ致シタノデアリ
マス、併シナガラ是ハ制度デアリマシテ實
際ニ於キマシテハ政府ト致シマシテハ能フ
限リ就學ヲ奬勵致シマシテ、法制上義務ト相
成ッテ居ラナイモノニ於キマシテモ、此ノ機
會ニ於キマシテ此ノ靑年學校ノ就學ヲ奬勵
シ、就學率ヲ高メル爲ニ努力致シタイト考
ヘテ居リマス、此ノコトハ昭和十三年度以
降ニ於キマシテ地方當局ニ於キマシテモ種
種努力ヲ致シテ居リマシテ、今日相當ノ成
績ヲ擧ゲツヽアルノデアリマスガ、昭和十
四年度以降ニ於キマシテハ、地方ニ於キマ
シテハ一層此ノ方面ニ努力ヲ傾注致スヤウ
ナ傾向ガ見エテ居ルノデアリマス、文部當
局ト致シマシテモ此ノ傾向ヲ助成スル爲ニ
種々努力致シタイト考へテ居ルヤウナ次第
デアリマス、サウ云フコトデアリマシテ制
度ノ上ニ於キマシテハ、昭和十四年度ニ於キ
マシテハ普通科第一年ニ向ッテ義務制ヲ法
制的ニ强制シタイト斯ウ考ヘテ居リマス、
卽チ本年ノ三月ニ尋常小學校ヲ終リマスル
者デ高等小學校、中等學校等ニ入學シナイ
所ノ男子靑年ヲ、此ノ際義務的ニ靑年學校
普通科第一學年ニ入學セシムルト云フコト
ヲ附記シテ居ルノデアリマス、其ノ生徒數
ガドノ位デアルカト申シマスレバ、當局ノ
推定致シマスル所ニ依ルト約十萬六千人ト
推定致サレテ居ルノデアリマス、卽チ義務
制ヲ實施サレナカッタ場合ニ於キマシテハ
恐ラク靑年學校ニ就學ハシナイデアラウ、
義務制ヲ實施シタ結果就學スルニ至ルモノ
ト推定致サレマスル所ノ其ノ增加見込ハ十
萬六千ト推定致サレテ居リマス、而シテ是
ガ完成ヲ致シマスルノハ昭和二十年度デア
リマスルガ、昭和二十年度ニ於キマシテハ
約百九十萬ノ生徒ガ增加スルモノト推定致
シテ居ルヤウナ次第デアリマス、デ此ノ十
萬人ガ今度新ニ義務トシテ就學ヲ强制セラ
レルノデアリマスガ、是等ニ對シマシテハ、
是等ノモノノ大部分ガ貧困ノ爲ニ從來靑年
學校ニ就學スルコトガ出來ナカッタノデア
ルト云フコトデハ必ズシモナイノデアリマ
シテ、種々ナル事情ニ依リマシテ從來靑年
學校ニ就學シナカッタモノト考ヘラレルノ
デアリマスルガ、尙併シナガラ經濟的ノ事
由ニ依リマシテ就學シ得ナカッタ者モ相當
アルモノト考ヘルノデアリマス、政府ニ於
キマシテハ、取敢ズ昭和十四年度ニ於キマ
シテハ十萬圓ノ就學獎勵費ヲ計上致シマシ
テ、是等ノ從來就學出來ナカッタ者ノ就學
ヲ奬勵致シタイト考ヘテ居ルノデアリマ
ス、此ノ就學奬勵費ハ今後義務制ガ進捗ス
ルニ伴ヒマシテ更ニ增大致サレテ來マスル
コトハ固ヨリデアリマシテ、此ノ就學奬勵
費、竝ニ其ノ市町村ニ於キマスル所ノ〓黨
ヲ擧ゲテ、其ノ〓里ノ靑年ヲ守リ立テヽ靑
年學校ニ入レテ、其ノ〓育ヲ全カラシメル、
サウ云フ風ナ空氣ノ下ニ靑年學校ノ就學ヲ
立派ニ致サセタイト、斯樣ニ考ヘテ居ルヤ
ウナ次第デゴザイマス、要綱ニ記載シテア
リマスルコトハ大體斯ウ云フ事デアリマス
ルガ、尙靑年學校ノ〓育ノ義務制ノ實施ニ
關シマシテハ、先程申上ゲマシタヤウニ、
之ヲ〓育審議會ニ諮問致シマシタ節ニ、〓
育審議會カラ種々ナル御希望ガ提示致サレ
タノデアリマス、例へバ〓員養成ニ付テ
層ノ努力ヲ致スヤウニ、斯樣ナ御答申ニ相
成ッテ居リマス、靑年學校ニ於キマシテハ固
ヨリ〓員ニ其ノ人ヲ得マスルコトガ最モ肝
要ナノデアリマシテ、〓員養成ノ施設ニ對
シマシテハ、十分努力ヲ傾注致サネバナラ
ヌノデアリマス、斯ウ云フ見地ニ於キマシ
テ、政府ニ於キマシテハ、昭和十四年度ニ
於キマシテ約三十萬圓ノ經費ヲ道府縣ニ交
付致シマシテ、現行ノ靑年學校〓員養成施設
ノ整備擴充ニ當ラシムルコトト相成ッテ居リ
さい、尙〓員審議會ノ御答申ニハ、商工業
竝ニ水產業ノ靑年學校〓員ノ養成ノ爲ニ
ハ、國家ニ於テ特別ノ施設ヲ講ズルヲ適當
トスルト云フ御答申ガアッタノデアリマスガ、
之ニ對シマシテハ、當局ト致シマシテモ種
種計畫ヲ致シタノデアリマスルガ、現下ノ
國家ノ財政其ノ他ノ狀況ニ於キマシテ、
今日直チニ之ヲ事施スルコトガ出來ナカッタ
コトハ甚ダ遺憾デゴザイマスルガ、幸ニ致
シマシテ、東京府、大阪府等ニ於キマシテ、
相當ノ規模ヲ持チマシタ所ノ商工業ノ〓員
養成機關ヲ昭和十四年度カラ設置ヲ致スコ
トト相成ッテ居リマス、從ヒマシテ政府ト致
シマシテハ之ニ助成ヲ致シマシテ、他ノ府
縣ノ〓員ノ養成モ委託セシムル途モ開キタ
イト考ヘテ居リマス、水產ノ方面ニ付キマ
シテモ、同樣ノ計畫ヲ爲シテ居リマスル所
ノ府縣ガ數府縣ゴザイマスノデ、矢張リ是
等ニ特別ナ助成ヲ致シマシテ、他ノ府縣ノ
水產科ノ〓員ノ養成ヲモ委託セシメタイ
ト、斯樣ニ考ヘテ居ル次第デアリマス、尙
〓育審議會ニ於キマシテハ、靑年學校ノ〓
育ヲ全ウスル爲ニ、一面ニ於テ指導機關ノ
充實ヲ圖ルコトヲ必要トスルト云フ御答申
ガゴザイマシタ、就キマシテ、政府ニ於キマ
シテハ此ノ趣旨ニ依リマシテ、指導機關ヲ
充實致シマスル爲ニ、各道府縣ニ高等官ヲ
一名配置致シマシテ、現在ノ視學官ニ該當
スルヤウナ高等官ヲ一名配置致シマシテ、
靑年學校ノ〓育ノ指導ニ當ラシムルコトニ
シテ居リマス、尙又府縣ニ大體四名ノ社會
〓育主事補ヲ增員スル見込ヲ以チマシテ、
其ノ半額ヲ國庫カラ負擔スルコトニ致シマ
シテ、其ノ經費ヲ補助致シテ居リマス、是
等ニ依リマシテ取敢ズ、靑年學校〓育ノ指
導ガ從來必ズシモ其ノ機關ガ充實シテ居ラ
ズ、必ズシモ十分ニ行ッテ居リマセヌデシ
タ其ノ缺陷ヲ補ヒタイト考ヘテ居ルヤウナ
次第デゴザイマス、最後ニ國庫補助ノ問題
デゴザイマスガ、靑年學校ノ〓育ガ義務〓
育ト相成リマシタ場合ニ於キマシテ、建前
ハ靑年學校ノ〓育費ハ市町村ガ負擔致シマ
スノデアリマスルガ、國庫ガ應分ノ負擔ヲ
致シマスルコトガ適當デアルノデアリマス、
今日御承知ノ如ク、小學校ノ義務〓育ニ關
シマシテハ大體〓員俸給ノ半額ヲ國庫ガ負
擔致シテ居リマスル現狀デアリマス、靑年
學校ニ於キマシテハ、取敢ズ昭和十四年度
ヨリ義務〓育ヲ實施致シマシテ、昭和二十
年度ニ之ヲ完成致スノデアリマスガ、此ノ
義務〓育ノ實施ノ進捗ニ依リマシテハ逐次
國庫補助金ヲ增額致シテ參ル計畫ヲ立ッテ
居リマス、而シテ大體ニ於キマスル所ノ國
庫支出額ノ見透シガ付キマシタ所デ之ヲ國
庫負擔法ニ變ヘタイト云フコトヲ文部當局
トシテハ考ヘテ居ルノデアリマシテ、取敢
ズ國庫補助法ヲ制定致シマシテ、此ノ〓育
ノ運行ヲ助ケタイト、斯樣ナ趣旨ニ依リマ
シテ、只今御審議ヲ煩シテ居リマスル所ノ
法案ヲ提出致シマシタヤウナ次第デゴザイ
マス、昭和十四年度ニ於キマスル所ノ其ノ
國庫補助額ハ四百三十萬圓程ニ相成ッテ居
リマス、是ハ先程田所委員カラ御話モゴザ
イマシタヤウニ、〓員ノ俸給手當ニ對シマ
スル補助デゴザイマス、大體現在ノ程度ニ
於キマシテハ、〓員俸給ノ約三割程度ニ當
ルコトト考ヘルノデアリマス、此ノ補助率
モ今後逐次增大致サレテ行クト同時ニ、其
ノ補助額モ逐次上ゲラレテ行クコトト考ヘ
ルノデアリマス、尙靑年學校ノ〓育ヲ全ウ
致シマスル爲ニハ、獨リ〓員俸給ノミナラ
ズ、其ノ他ノ方面ニ於テモ助成ノ方法ヲ講
ズルノガ適當デハナイカト云フ、先程田所
委員ノ御話モゴザイマシタ、サウ云フコト
モ勿論考ヘラレルコトデゴザイマス、併シ
ナガラ此ノ點ニ於キマシテハ、今日ノ小學
校ノ義務〓育ノ例ニ於キマシテモ、未ダ〓
員俸給以外ニ國庫ノ負擔乃至ハ補助ガ大體
ニ於テ及ンデ居ラナイ狀態デアリマスルシ、
靑年學校ニ於キマシテモ、今日、其ノ他ノ
方面ニ於キマスル所ノ國庫補助ノ方法ヲ講
ジマスルコトハ、差當リ困難ナル事情ニ在
ルノデアリマス、唯併シナガラ今日ノ狀況
ニ於キマシテ、放任シテ置キマスルコトハ
誠ニ忍ビナイ點ガゴザイマスルノデ、些少
デハゴザイマスルケレドモ、昭和十四年度
ニ於キマシテ、設備ノ改善費ト致シマシ
テ、三十萬圓ノ設備改善ノ補助費ヲ計上致
シテ居ル次第デゴザイマス、尙申遲レマシ
タガ、靑年學校ノ〓育ヲ、都市殊ニ勤勞靑
年ニ對シマシテ行ッテ參リマスル上ニ於キ
マシテハ、多數ノ靑年ヲ抱ヘテ居リマスル
所ノ會社、工場、或ハ官廳等ニ於キマシテ
私立ノ靑年學校ヲ作リマスコトハ、極メテ望
マシイコトト考ヘルノデアリマス、私立ノ
靑年學校モ固ヨリ靑年學校令ニ基キマシテ、
國家ノ〓育機關トシテ、國家ノ認可ヲ受ケ、
國家ノ監督ノ下ニ行ハレルモノデゴザイマ
スルガ、斯ウ云フ私立靑年學校ノ設立ヲ助
成致シマスルコトガ、靑年學校ノ〓育ノ義
務制ヲ實施スル上ニ於キマシテ、殊ニ其ノ
最モ困難ト致サレマスル所ノ都市方面ニ於
ケル所ノ義務制ノ寶施ヲ容易ナラシムルモ
ノデアリマスルカラ、當局ト致シマシテハ
十分ナル監督ヲ加ヘツヽ、此ノ設置ニ付キ
マシテハ奬勵致シタイト考ヘテ居リマス、
斯ウ云フ見地ニ於キマシテ、少額デハゴザ
イマスルガ、昭和十四年度ノ豫算ニ於キマ
シテハ、私立靑年學校ノ設置ヲ助成致シマス
ル爲ニ、取敢ズ五萬圓ノ補助費ヲ計上致シタ
ヤウナ次第デゴザイマス、大變整ハナイヤ
ウデゴザイマスガ、大體靑年學校〓育ノ實
施ニ關シマスル大要ヲ御說明致シタヤウナ
次第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=5
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006・田所美治
○田所美治君 序ニ關聯シテ一二伺ッテ置
キマスガ、此ノ國庫補助法ト題シテ御出シ
ニナ、リマシタカラ、必要ナ目的ニ對シテハ
俸給手當ニ限ラズ、御規定ニナルコトガ出
來ル譯デアリマスガ、文部當局モ御承知通
リ、義務制ヲ今日實施シマスニ付テハ
番困難ナノハ、市町村ノ財政ハ無論ノコト
デアリマスガ、是ハ一面ニハ父兄ノ貧乏ナ
者ノ就學奬勵トナル譯デアリマスルガ、ソ
レガ餘程困難ダラウト思ヒマス、義務〓育
ノ延長ヲヤリマスニ付テモ、幸ニモウ十二
分ニ機ガ熟シテ來テ居リマスカラ、ソレデ
モ今日二十萬バカリ尋常小學ヲ終リマシテ
何處ニモ行カナイ者ガアル、タッタ二十萬
ダカラナンデモナイト思ヒマス、斯ウ一面
デハ言フノデアリマス、其ノ二十萬ナル者
ハマア家貧ニシテ、或ハ其ノ他ノ事情ニ依
リマシテ、多クハ經濟上ノ事情デアリマセ
ウ、年々百五十萬位出ル者ガ、百三十萬位
ハ皆職業ヲ得テ居ル、殘ル二十萬位ガ尋常
小學デ已ムヲ得ズ丁稚小儈ニナッテ居ルト
云フヤウナ譯デアリマス、仍テ今義務〓育
ノ延長ヲシマスニ付テモソレガ問題ニナッ
テ居リマス、又今度靑年〓育ノ普通科ヲ義
務ニサレルト云フ場合ニ於キマシテモ、ソ
レハモウノッピキナラヌコトデアリマス、ド
ウシテモ其ノ靑年學校ニモ入レヌト云フ者
ガ今ノ御計算デハ十萬六千アルト云フコト
ヲ伺ヒマシタガ、男女ヲ通ジテ二十萬位ト
私ハ承知ヲ致シテ居リマス、高等小學校ニ
モ行カレズ、靑年學校ニモ行カレズ、サウ
シテ丁稚小僧トカ、下女ニ出ル、斯ウ云フ
コトヲ言ッテ居ルノデアリマスガ、マア其ノ
中工場ニ入ッテ居ル者モアリマセウ、是ガマ
ア今日時局ガ濟ミマスレバ、其ノ工場ニナ
ンデモカンデモ子供ヲ入レルト云フ譯ニモ
行キマスマイカラ、親父ノ助ケヲヤル、屋
根屋ハ屋根ノ助ケヲスル、大工ハ大工ノ助
ケヲスル、ソレヲ皆靑年學校ニ入學サセル
ト云フコトハナカ〓〓困難デ、五年モ七年
モ續クノデアリマスカラ、是ハ餘程經濟上
ノ補助ト云フモノヲ潤澤ニシテヤラヌト强
制ハ出來ナイノデハナイカ、斯ウ心配サル
ル譯デアリマスガ、然ルニ僅カニ十萬圓ダ
ケ其ノ就學奬勵ニ出スト云フコトデ豫算ニ
御取リニナルト云フコトデアリマスガ、十
萬ト云フト、十萬六千人ノ人ガ總テ貧乏デ
ハアリマスマイガ、今ノ御說明ニモアッタヤ
ウニ十萬六千人ガ總テ貧乏ダト考ヘマスレ
バ、就學奬勵金ガ一人ニ付テ一圓シカ當ラ
ヌノデアリマス、セメテ百萬圓トカ、二百
萬圓トカノ金デアリマスレバナンデアリマ
スガ、ソコノ所ヲ十萬圓位ノ金デハ甚ダ僅
少デハナイカト考へマス、ソレカラ來年、
再來年ニナリマシテ、是ハ本科五年ヲ通ジ
マシテ義務ヲ强制スルトシテモ、今日ノ義
務〓育ノ如ク百ノ中九十幾ツ迄ソレヲ實施
スルト云フコトハ大分先ノコトデアリマセ
ウガ、ソレヲ實現スルヤウ、ニシナケレバナ
ラヌ、斯ウ云フ義務〓育デアリマスカラ就
學奬勵ニ關スル此ノ經濟上ノ補助支給ト云
フモノニ非常ニ力ヲ入レナケレバナラヌ問
題デナイカト思フノデアリマズ、今ハ軍需工業
ガ盛ンデ、先程御說明ニモアッタ通リニ、勞働
時間ヲ一定時數ニシテヤッテ居リマスカラ勉
强ノ爲ニ行ッテモ給料ハ減ラヌノデアリマス、
若クハ平時ノ場合ニ於キマシテモ就學奬勵
費ト云フモノハ一面容易ニナリハシナイ、
コンナ風ニ考ヘテ居リマスガ、サウスルト
何故補助ノ中ノ一番重要ナ項目ト考ヘ、就
學奬勵ノ爲ノ費用ヲ相當豫算ヲ以テ御定メ
ニナリ、支出スルト云フヤウナコト迄御考
ヘ爲サラナカッタモノデアリマセウカ、或
ハ將來實施上ノ狀況ヲ見テ此ノ法律ノ改正
ヲ御考ニナルノデアリマセウカ、ソンナ風
ニチヨット考ヘマスルト、ナンダカ御說明デ
能ク分リマシタガ、能ク分リマシタガ、就
學奬勵ニ對シテノ補助ト云フモノガ餘リ貧
弱デアッテ、ソレデモ出來ルノデアリマセウ
カト、私ハ斯ウ云フ風ニ思フノデアリマス、
十萬六千人ノ中今日ハ一一萬人來テ、アトノ
七、八萬人ハ來ナクテ宜イト云フヤウナ
コトハマサカ御考デアリマスマイガ、今殘ッ
テ居リマス此ノ十萬六千人ト云フ者ヲ考ヘ
ヤウニ依リマシテハ、是ハドウシテモ貧困
ナ家庭ノ者デアリマス、コンナ風ニ思フノ
デアリマス、私ハ此ノ國庫補助法案ヲ拜見
スル迄ハ、或ハ補助手當ノ外ニ、必要ナ補
助ト云フモノノ一項ガアラウト思ヒマシタ
ノデスガ、ソレヲ一應伺ッテ置キタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=6
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007・田中重之
○政府委員(田中重之君) 只今就學奬勵ノ
コトニ付キマシテ御質問又御意見ガゴザイ
マシタガ、全ク其ノ通リデアリマシテ、靑
年學校ノ就學ヲ全ウ致シマスル爲ニ、就學
奬勵施設ト云フモノガ極メテ重大ナ要素ト
相成ルノデアリマス、今囘計上致シマシタ
ノハ先程申上ゲマシタヤウニ普通科一年ニ
强制致サルベキモノガ約十萬人ト推定致シ
マシテ、其ノ中ノ若干ノ者ガ貧困ノ爲ニ就
學困難ト見マシテ、之ニ對スル補助費トシ
テ計上致シタ次第デゴザイマス、ソレデ靑
年學校ハ大體業務ノ餘暇ニ就學致シマスル
ノデ、玆ニ計上致シマシタモノハ雜費ト致
シマシテ學用品ト云フモノヲ中心ト致シマ
シテ、此ノ就學奬勵費ヲ計上致シタノデゴ
ザイマス、其ノ他ノ見地カラ之ヲ就學奬勵
費ヲ計上スル必要ガアルノヂヤナイカ、斯
ウ云フ御意見ガ隨分アラウカト存ズルノデ
アリマス、當局ト致シマシテハ只今計上致
シマシタノハ大體其ノ餘暇ニ於キマシテ約
十萬人ノ〓育ヲ受ケマスノデ、直接就學ニ
伴ヒマシテ學用品ノ購入、〓科書ノ購入其
ノ他ニ要シマス所ノ直接費用ヲ計上シタ次
第デアリマス、斯樣ナ見地カラ政府ハソレ
ヲ十萬圓ト計上シ、能フベクンバ更ニ地方
團體ヨリ相當ノ支出ヲ致シマシテ、是等ノ
十萬ノ中其ノ相當ノ部分ヲ援助致シタイ、
斯樣ニ考ヘテ十萬圓ト云フ費用ヲ計上致シ
タ次第デゴザイマス、此ノ就學奬勵ノコト
ガ極メテ大切デアリ、些少ナガラモ國庫補助
費ガ出テ居リ、サウシテ將來モ義務制ノ進
捗ニ伴ヒマシテ此ノ就學奬勵費ト云フモノ
モ增額セラルベキモノデアリマス、之ヲ此
ノ補助法ノ中ニ何故入レナイカッタカト云
フ御質問デアリマシテ、此ノ點ハ當局ト致
シマシテハ之ヲ入レテハ如何カト思ヒマシ
テ實ハ色々〓究致シタノデアリマス、併シ
ナガラ此ノ補助法ト云フモノハ將來之ヲ負
擔法ニ變ヘタイ、斯ウ云フ前提ノ下ニ此ノ
補助法ヲ立案致シタノデアリマス、而シテ
此ノ負擔法ト致シマス場合ニ於キマシテハ、
〓員俸給ノ部分ヲ大體國庫ガ負擔スル、斯
ウ云フ見地ニ於キマシテ之ヲ負擔法ト變へ
マシタ場合ニ於キマシテハ、矢張リ大體ニ
於テ〓員俸給ト云フコトガ中心トナルベキ
モノデ、其ノ前提トシテ補助法ヲ擧ゲマシ
タノデ、此ノ〓員俸給ニ關スル部分ノミヲ
此ノ案ノ中ニ盛ッタヤウナ次第デアリマス
ガ、就學奬勵費ヲ豫算ニ計上シナガラ法案
ノ中ニ其ノコトヲ明示致シマセヌデシタ當
局ノ考ハサウ云フコトノ事情ニアッタト云
フコトヲ御答申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=7
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008・田所美治
○田所美治君 一應分リマシタ、今度ノ此
ノ補助法ハ義務〓育ニナッタガ爲ニ斯ウ云フ
增額ヲナサッタ、斯ウ云フ譯デアリマセウ
ガ、是ハデスナ四百三十萬圓豫算ニ御取リ
ニナリマシタノハ、全體ノ義務ニマダナラ
ナイ、七年間ノ······マア今七年ハゴザイマ
スマイガ、六年デゴザイマスカ、其ノ全體
ノ俸給ノ三割位ニ當ルト云フモノノ增額ニ
支出シタ、斯ウ云フコトデアルノデアリマ
セウネ、ソレガ今段々小學校、今ノ小學校
ヲ基準ニスレバ半額ニナッテ參リマセウネ、
五、六百萬圓······次ハ負擔法ニナレバ又
ソレヨリモ殖エテ、全額負擔ニナレバ一千
何百萬圓ニモナラウト斯ウ云フ風ニ考ヘテ
宜イデアリマセウネ、卽チ此ノ法律ハ、義
務制ヲ布イタガ爲ニ、其ノ義務ニナル部分
ニ對シテノ俸給ヲ目當テニシタノデハナク、
現在ノ全體ニ對シテ將來七年後ニ初メテ義
務ニナル、六年後デアリマスカ、一年ヅツ
ヤッテ行ケバ六年後デアリマセウカ、昭和ノ
二十何年頃ニナッテヤッテ行ク、其ノ全額ノ
今ヤッテル費用ニ對シテ四百三十萬圓、是ハ
國庫ノ部合デ是ダケノ金額ニ制限ヲ御受ケ
ニナツタモノデアリマセウカ、サウ考ヘテ
宜イノデアリマスルカ、ソシテ又序ニ御計
畫ガアリマスナラバ、來年ハドウナルカ、
或ハ再來年ハドウナルカ、遂ニ完成ノ時期
ニハ文部省ノ御理想ノヤウニ行ハレマスマ
イト思ヒマス、全額負擔ト云フコトヲ期シマ
シテモ、財政ノ都合ガ是ハ大キナ金デアリ
マスカラ、ナカ〓〓參リマスマイガ、大凡
文部省ノ當局デ御考ヘニナッテ居ル、將來ニ
對スル補助ノ御計畫ガアリマスルナラバ、
是ハ何時デモ宜シウゴザイマスカラ、參考
ニ伺ッテ置キタウゴザイマス、モウ一ツハ、
今度義務ニナリマス爲ニ、何レ靑年學校令
ヲ御出シニナリマセウト思ヒマス、今ノ省
令若クハ勅令モアリマセウガ、ソンナモノ
ハスッカリ御整理ニナッテ完全ナモノニナサ
レマセウガ、ソレハ小學校令ニモ類スベキ
義務〓育ノ大キナ法制デアリマスルカラ、
必ズ目下御審議中ト存ジマスケレドモ、其
ノ御腹案ガアリマスナラバ、項目デ宜シウ
ゴザイマスカラ頂戴ガ出來レバ仕合ダト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=8
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009・田中重之
○政府委員(田中重之君) 補助ノ關係デゴ
ザイマスルガ、今囘計上シテデゴザイマス
ル所ノ四百三十萬圓ト申シマスルモノハ、
先程田所委員カヲ御話ノゴザイマシタ通リ
ニ、義務制實施以前ノ〓員俸給ヲ籠メマシ
テ一體ト致シタモノデゴザイマス、ソレデ
大體文部省デ考ヘテ居リマスルコトハ、大
體從來義務制實施以前ニ於キマスル所ノ國
庫補助額ト云フモノハ之ヲ其ノ儘ニ致シテ
置キマシテ義務制實施以後ニ於キマスル所
ノ增加〓員給ト云フモノヲ目當テニ致シマ
シテ補助計晝ヲ立テヽ居ルノデゴザイマス、
昭和十四年度ニ於キマシテ計上致シマシタ
方法ハ、大體ニ於キマシテ、義務制實施ノ
結果增加スベキ生徒數ヲ基準ト致シマシテ、
增加スベキ學級數ヲ大體推定シ、此ノ學級
アタリノ〓員費ノ半額ヲ國庫ガ大體持ツ、
斯樣ナ計畫ヲ以テ昭和十四年度ノ經費ハ計
上致シタノデアリマス、將來ノ見透シニ付
キマシテハ、義務制實施ニ依リマシテ生徒
ガドノ程度迄殖エテ行フカ、文部省ト致シ
マシテハ、就學率ガ百「パーセント」ニ達シ
マシタ場合ニ於テハ、斯ウ云フ生徒數ニナ
ルト云フ大體ノ推定數字ヲ有ッテ居ルノデ
アリマシテ、其ノ數字ハ御手許ニ差上ゲテ
アリマスル資料ニ詳細ニ記シテゴサイマス、
是ハ財政當局ノ見地ヨリ致シマスルナラ
バ、將來ニ於キマシテドノ程度ニ義務制ノ
結果生徒ガ增シテ行クカ、從ッテ〓員ハドノ
位要ルカ、從ッテ又市町村負擔モドノ位ニナ
ルカト云フコトニ付テハ今暫ク經過ヲ見タ
イト云フ財政當局ノ方面ニハサウ云フ考ガ
アルノデアリマス、從ヒマシテ、之一面ニ
於キマシテハ近ク地方財政、地方稅制ノ
改革ト云フヤウナモノモ行ハレマスル氣運
モゴサイマスルノデ、地方財政ノ負擔力ト
云フヤウナモノニ對シマシテモ今日更ニ見
直サナケレバナラヌト云フ點モゴザイマス
ルノデ、旁〓致シマシテ、將來ニ至リマシタ
明確ナル所ノ財政計畫ト云フモノヲ政府全
體トシテ見マスルコトハ今日尙困難ナ狀況
ニアルノデアリマス、唯只今申上ゲマシタ
ヤウニ、昭和十四年度ニ於キマシテハ大體
先程申上ゲマシタヤウナ方法ニ依リマシテ、
補助費ヲ大體計上致シタノデアリマス、假
ニ斯ウ云フヤウナ方法ニ依リマシテ進ンデ
參リマスルモノト致シマスルナラバ、昭和
二十年度頃ニ於キマシテハ文部省ノ計算ト
致シマスレバ是ガ千數百萬圓程度ノ大體
補助費ニ相成ルモノト考ヘテ居ルノデアリ
そく、ソレカラ義務〓育ノ實施ニ伴ヒマシ
テ靑年學校令ヲ改正致スノデアリマスガ、
其ノ改正案ト云フモノハ八月下當局ニ於キ
マシテ銳意準備ヲ整ヘテ居ルノデアリマス
ガ、極ク大略ノ要綱ハ御手許ニ先程差上ゲ
マシテ私ノ御說明申上ゲマシタモノニ其ノ
極ク〓略ガ申添ヘテアルノデアリマスガ、
尙是等ノ案ガ整ヒマシタ曉ニ於キマシテ、
更ニ精細ナル要項ヲ定メタイト存ズル次第
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=9
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010・下村宏
○下村宏君 今ノコトニチヨット關聯シ
テ······今ノ御話ノ四百三十萬圓ハ在來ノ義
務制實施前ノ分ノ費額ノ三十「パーセント」、
ソレカラ今度增加スル見込ノ〓員ノ今度ハ
五十「パーセント」ト云フヤウニ今私ガ聽イ
タノデスガ、サウデスカ、確メテ置キタイ、
ソレカラ今度ノ增加人員ニ對スル學級割カ
ラ〓員ヲ割出シテ假ニ其ノ半額トスルノデ
スカ、其ノ〓員ノ俸給デスガ、在來ハ御承
知ノ非常ニ兼職ガ校長ヲ初メ多イヤウニ私
ハ記憶シテ居ルノデアリマスガ、此ノ十四
年度以後ノモサウ云フ費用ナンカヲ算出ス
ル時ニ、矢張リ在來ト此ノ兼職ノ步合ト言
ヒマスカ、ソレモ前ト同ジヤウニ見テ居リ
マスカ、今度ハ專任ヲ增スト云フヤウナコ
トデ算出シテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=10
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011・田中重之
○政府委員(田中重之君) 最初ノ私ノ御說
明ガ不明瞭デアッタト考ヘルノデアリマス
ガ、在來ノ補助金ヲ据置キマシテ、其ノ上
ニ今度新タニ增加スル生徒數ヲ基準ト致シ
マシタ所ノ〓員給ノ約半額ト云フモノヲ見
込マシテ、合計致シマシテ四百三十萬圓ヲ
計上シタノデゴザイマス、ソレガ在來ノモ
ノト合セマシテ、〓員給ノ全體カラ申シマ
シテ、取敢ヘズ昭和十四年度ニ於キマシテ
ハ三割程度ニ達スル、斯ウ云フコトヲ申上
ゲタノデアリマス、ト申シマスノハ昭和十
四年度ニ於キマシテハ先程申上ゲマシタヤ
ウニ增加スベキ生徒數ハ十萬人程度デアリ
マス、義務制實施ノ曉ニ於キマシテ約百九
十萬人程度ノ生徒ガ增加スルト推定致サレ
テ居リマス中ニ、昭和十四年度ニ於テ增加
スル生徒數ハ約十萬人ニ過ギナイノデゴザ
イマス、假ニ十萬ニ對シテ五割〓員給ヲ負
擔致シマシテモ其ノ在來ノモノニ較ベマス
ルト實ハ未ダ甚ダ少ナイノデアリマシテ、
全體トシテノ補助率ニ影響スル點ガ少ナイ
ノデゴザイマス、政府ノ大體ノ考ト致シマ
シテハ昭和十四年度ニ於キマシテハ十萬程
度ノモノガ增加致シマス、昭和十五年度ニ
於キマシテモ矢張リ普通科第二年迄强制ス
ルノデゴザイマスカラ、生徒數ノ增加ハ總
體デ二十萬程度ニ過ギナイノデゴザイマス、
昭和十六年度ニ於キマシテ義務制ガ本科ニ
相成リマシタ時ニ於キマシテハ急激ニ增加
スルノデアリマスガ、此ノ頃カラ致シマシ
テ新規補助額ト云フモノノ數ガ著增シテ參
リマシテ、其ノ補助率ノ上ニ相當影響ガ現
ハレテ來ルノデハナイカト斯樣ニ考ヘテ居
ル次第デアリマス、次ニ專任〓員ト兼任〓
員トノ關係デゴザイマスガ、御承知ノ如ク
今日靑年學校ニ於キマシテハ專任〓員ノ數
ニ較ベマシテ、兼任〓員ノ數ガ非常ニ多イ
ノデアリマス、義務制ガ段々進捗シテ參リ
マシタ場合ニ於キマシテ、此ノ義務實施ニ
於ケル最モ重大ナ要點ノ一ツハ專任〓員ノ
充實ト云フコトニアルノデアリマシテ、當
局ト致シマシテハ此ノ義務制實施ノ結果、
一萬數千名程度ノ專任〓員ノ增員ヲ大體見
越シテ居ル、從ッテ專任〓員ノ擔任ノ部面
ガ多クナッテ參リマスルカラ、專任〓員ト
兼任〓員トノ比較ニ於テハ、兼任〓員ノ比
率ハ義務制ガ進捗スルニ連レマシテ逐次
低下シテ行クモノト考ヘマス、併シナガラ
靑年學校ハ其ノ性質カラ申シマシテ、各方
面ノ知識ヲ之ニ集メマシテ〓育ヲ施シテ行
クコトガ適當ナノデアリマス、從ヒマシテ、
單リ專任〓員ノミナラズ、他ノ方面カラモ
適當ナ者ヲ〓員トシテ此ノ靑年學校ニ入レ
マシテ、其ノ〓黨ノ靑年ノ訓練ニ當ッテ行ク
コトガ極メテ望マシイノデアリマシテ、從
ヒマシテ義務制ガ進捗致シマシタ後ニ於キ
マシテモ、小學校〓員ガ或程度迄普通學科ヲ
擔任スルト云フヤウナ事情ガ起リマスノハ
勿論ト致シマシテ、單リ小學校〓員ノミナ
ラズ、又〓黨ノ相當ノ人ナンカモ、相成ル
ベクハ〓員トシテ〓育ニ加ハルヤウナ途モ
開イテ置キタイ、從ヒマシテ義務制實施ガ
完成致シマシタ場合ニ於キマシテモ、其ノ
最後ノ段階ニ於キマシテモ、專任〓員ノミ
デ此ノ〓育ガ行ハレテ行クモノトハ實ハ考
ヘテ居ラナイノデアリマス、矢張リ相當數
ノ兼任〓員ガ殘ルト考へテ居リマス、先程
申上ゲマシタヤウニ〓育改善ノ目標ト致シ
マシテハ、專任〓員ヲ更ニ充實スルト云フ
點ガ其ノ重大ナル眼目デアルコトハ申ス迄
モナイノデアリマス、從ヒマシテ今日ノ如
クニ兼任〓員ガ非常ニ多イト云フヤウナ現
象ト云フモノハ、次第ニ矯正サレテ行クモ
ノト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=11
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012・大森佳一
○男爵大森佳一君 靑年ノ保護者ノ就學義
務ヲ根據付ケマス法規ガドウ云フ風ニナッテ
居リマスカ、又國民ノ義務付ケラレル靑年
學校ノ規定ハ、單ニ勅令デ規定セラレルノ
デアリマスカ、若シクハ法律ヲ以テセラレ
ルノデアリマスカ、此ノ二點ニ付テ伺ヒタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=12
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013・田中重之
○政府委員(田中重之君) 御答へ申上ゲマ
ス、靑年學校義務制ヲ實施致シマスル場合
ニ於キマシテ、其ノ學校制度ニ關シマスル
部面ハ、我ガ國ノ從來ノ沿革ニ則リマシテ
勅令ヲ以テ規定ヲ致シテ參リタイ積リデゴ
ザイマス、卽チ現ニアリマスル所ノ靑年學
校令ニ對シマシテ全面的ノ、全部ノ改正ヲ施
シマシテ、改正靑年學校令ヲ制定致シタイ、
斯樣ニ考ヘテ居ル次第デゴザイマス、而シ
テ此ノ義務〓育ノ側ニ於キマスル所ノ義務
ヲ規定致シマスルモノヲ、法律ヲ以テスル
カ勅令ヲ以テスルカト云フ御尋デゴザイマ
スガ、此ノ點ニ關シマシテハ此ノ保護者ニ
義務ヲ課スルノヲ、只今申上ゲマシタ改正
靑年學校令ヲ以テ規定スル考デゴザイマス、
此ノコトハ旣ニ御承知ノ如クニ我ガ國ニ於
キマシテハ、學校制度ハ之ヲ勅令ヲ以テス
ルト云フ沿革ニ相成ッテ居ルノデゴザイマ
シテ、小學校ニ於キマシテモ其ノ小學校ノ
制度ハ勿論、小學校ノ義務〓育トセル經過
モ小學校令ニ規定致サレテ居ルノデアリマ
シテ、靑年學校ノ義務〓育ヲ行ヒマス場合
ニ於キマシテモ、此ノ沿革ニ從ハウト考へ
テ居ル次第デアリマス、唯併シナガラ靑年
學校ノ制度ヲ運用シテ行ク上ニ於キマシテ、
旣存ノ法律ト關涉致シマスル場合ガアルノ
デゴザイマス、サウ云フヤウナ當然法律ヲ
要スベキ部面ニ付キマシテハ、法律ヲ以テ
制定スルノガ當然デゴザイマシテ、先程申
上ゲタヤウニ地方制度ト關聯致シマスル部
面ニ於キマシテハ地方學事通則ニ改正ヲ加
くつ、又工場法其ノ他ノ勞働法規ト關聯致
シマス部面ニ於キマシテハ、新タニ法律ヲ
制定致シタイト考ヘルノデアリマス、更に
又只今御審議ヲ煩ハシテ居リマス經費ノ補
助ニ關シマス部面ニ關シマシテハ、是ハ補
助法案ヲ御審議煩ハシタイ、斯樣ニ考ヘテ
居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=13
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014・大森佳一
○男爵大森佳一君 私能クマダ調ベテハ居
リマセヌノデアリマスケレドモ、勿論御如
才ハナイダラウト思ヒマスケレドモ、沿革
カラ申シテ果シテ宜イカドウカ、此ノ問題
デアリマスルガ、沿革ニ從フトシマシテモ、
先刻大臣ノ御話ノ如ク是ハ靑年〓育、日本
ノ靑年〓育ト致シマシテ劃期的ノ〓育
ノ刷新デアリマスルシ、其ノ使命ニ付キマ
シテモ國民ニ重大ナ關係ガアリマス、法律
ノ根據ト云フ關係ヲ離レマシテモ、法律ヲ
以テスルコトガ至當デハナイカトモ考ヘマ
スルガ、ソレハ兎モ角ト致シマシテモ、
國民ノ義務トシテ就學義務ト云フ一種ノ責
務ヲ國民ニ負擔セシメ、而モ經濟上ノ負擔
モ、就學奬勵費迄出シマシテ之ヲ厲行シナ
ケレバナラヌト云フ所ガ、初メテノ施設ニ
試ミラレルル關係カラ察シマシテ、經濟上
ノ負擔モ苦シイモノデアラウト思ヒマス、
ソコ迄忍ンデ義務付ケヨウトスル性質カラ
申シマシテモ、之ヲ法律ノ制度ヲ以テヤル
ト云フコトハ、彼此ヲ考ヘマシテ相當ノコ
トデハナイカ、法律上ソレヲサウシナケレ
バナラナイト云フコトヨリモ、サウシタ方
ガ好イ結果ニナル、私ハサウナリハセヌカ
ト愚考致シマスケレドモ、單ニ沿革ガサウ
デアルカラト云ウテ、サウシタ方ガ宜イト
考ヘルナラバ、サウシタ方ガ宜イノデアル
ケレドモ、サウシタ方ガ宜イト云フコトヲ
シナイデ、沿革デ勅令ニ止メテ之ヲ決メテ
シマフト云フコトハ、何ダカ受取レヌヤウ
ナ考ヘモ致シマス、又市町村ニ對シテ此ノ
制度ヲ設置セシムル義務ヲ負ハスル、此ノ
點ニ至ッテハ法律ヲ以テセザルヲ得ナイ、法
律關係デアラウト思ヒマス、ソレコレモウ
少シ詳シク申上ゲレバ宜イノデスケレドモ、
是ハ申サナクテモ私ノ質問スル趣旨ハ御分
リト思ヒマスカラ省キマスガ、モウ少シ私
モ調ベテ見タイト思ッテ居リマスガ、其ノ邊
ノ私ノ心持カラ御尋ヲシテ、單ニ沿革ダケ
デ宜シイデアルデアラウカ、法律ヲ以テ立
派ニ制定サレタ方ガ宜イノデハナイカ、殊
ニ國民ノ義務ニ大ナル、サウシテ將來日本
人ヲ造ルト云フ所カラ云ウテ、所謂精神的
ニモ非常ニ劃期的ノ意味ノアルコトヲスル
ト云フ場合ニハ、勅令ト云フヨリモ法律ヲ
以テシタ方ガ宜イノヂヤナイカトモ私ハ思
ヒマス、又市町村ニ對シテ義務付ケルト云
フ法律關係カラ云ヒマシテモ、之ヲ法律ヲ
以テスル、是ハ或ハ法律ヲ以テセラレルカ
知レマセヌガ、兎ニ角ソレコレヲ考へマシ
テ、モウ一度私ノ當初ノ質問ニ對シマシテ
御說明ヲ願ヘマスレバ、仕合セデアルト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=14
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015・田中重之
○政府委員(田中重之君) 靑年學校ノ制度
ヲ義務付ケルニ付キマシテハ、國民ニ相當
ノ義務トナルノデアルカラシテ、之ヲ法律
ヲ以テ規定スルノガ至當デハナイカ、沿革
ハ色々アルデアラウガ、ソレ自身トシテ考
くっ、法律トシテ規定スルノガ至當デハナ
イカ、斯ウ云フ御意見ノヤウニ拜承致シタ
ノデアリマスルガ、サウ云フ御意見モ十分ア
リ得ルコトト存ズルノデアリマス、唯併シ
ナガラ學校ノ制度ノコト、〓育制度ノ根幹
ニ關シマスルコトヲ勅令ヲ以テ規定スルト
云フコトハ、明治初年以來既ニ定ッテ居リマ
スル所ノ長年ノ沿革デゴザイマシテ、是ガ
斯ウ云フ沿革ガ定リマシタニ付キマシテハ、
十分深イ考慮ノ上ニ出タコトト私共モ推察
致スノデゴザイマシテ、此ノ沿革ヲ今日變
ヘマスルコトハ輕々ニ致スベキコトデハナ
イ、斯樣ニ考ヘルノデアリマス、從ヒマシ
テ〓育制度コトハ、今日ニ於テハ大體ニ
於テ勅令ヲ以テ規定致シマスノヲ至當ト考
ヘルノデアリマシテ、ソレデ之ヲ靑年學校
ニ付キマシテモ、此ノ沿革ニ從ッテ勅令ラ
以テ規定スル、樞密顧問ノ御諮詢ヲ經マシ
テ、勅令トシテ之ヲ規定致シタイト斯樣ニ
考ヘル次第ナノデアリマス、尙地方制度ニ
關聯スル部分デゴザイマス、是ハ法律ノ解
釋論ミタイニナリマシテ大變恐縮ナノデゴ
ザイマスガ、現在小學校ニ於キマシテモ市
町村ノ義務ヲ小學校令ニ規定シテゴザイマ
スノデ、靑年學校令ニ於キマシテモ市町村
ノ義務ヲ靑年學校令ニ於テ大體規定致シタ
イト考ヘテ居ルノデゴザイマス、是ハ御承
知ノ如クニ、市制、町村制ニ於キマシテ、市
町村ノ費用負擔ノ義務ト云フモノハ法律、
勅令ヲ以テ定メル、斯樣ナ制度ニ相成ッテ居
ルノデアリマス、此ノ市制、町村制ノ現行
ノ規定ガ果シテ適當ナモノデアルカドウカ
ト云フコトニ關シマシテハ、是ハ各方面ニ
於キマシテソレ〓〓御意見モアルコトト考
ヘルノデアリマス、唯併シナガラ現行ノ制
度ニ於キマシテハ、市町村ニ對シマシテ國
家ガ費用負擔ノ義務ヲ課シマス場合ニ於キ
マシテハ、法律、勅令ヲ以テナシ得ル、此ノ改
正前ニ於キマシテハ、勅令以外ノ命令ヲ以テ
シテモナシ得ルト云フコトゴザイマシタノ
ヲ後ニ改正致シマシテ、法律、勅令ヲ以テナシ
得ル、斯樣ナコトニ相成ッテ居ルデゴザイ
マシテ、是ハ市制、町村制ノ解釋論デ大變
恐縮デゴザイマスケレドモ、サウ云フ現行
ノ制度ニ相成ッテ居リマスノデ、是亦小學校
令ニ做ヒマシテ、市町村ニ關シマス義務モ、
靑年學校令ト申シマス勅令ヲ以テ大體規定
シテ參リタイ、斯樣ニ考ヘテ居ルヤウナ次
第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=15
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016・大森佳一
○男爵大森佳一君 御說明ハ有難ウゴザイ
マスガ、私マダ十分腑ニ落チマセヌカラ、
尙考ヘマシテ御尋ヲ後日ニ致シタイト思ツ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=16
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017・紀俊秀
○男爵紀俊秀君 只今大森男爵カラ御話ガ
アリ、又改メテ他日御話ガ出ルダラウト思
ヒマスケレドモ、私モソレニ關聯シテ御伺
ヒシタイツデスガ、曾テ小學校ノ義務〓育
ノ延長說ヲ時ノ文相ノ平生サンガ、之ヲド
ウシテモ法律デヤラナケレバナラナイ、文
〓ノ尊サ、或ハ總テノ關係カラ今迄ハ勅令
ニナッテ居ッタケレドモ、今度ハ改メテ之ヲ
法律トシテ提出シタイト云フ意思ヲ持ッテ
確カ樞密院ノ議ニモ掛ッタト存ジマス、旣ニ
平生サンガ文部大臣ノ時ニモ義務〓育ノ延
長ハ是非之ヲ法律ニシタイト云フ考ヲ持タ
レテ、何處迄モソレデヤリ通シタイ、斯ウ
云フ考デアッタト云フコトヲ承リマシテ、私
實ニ其ノ勇斷ニ感服シテ居ルノデアリマス、
斯ウ云フ時世デモアリマスシ、又折角靑年
學校ヲ義務制ニシヨウト云フコトヲ御考ニ
ナッタタナラバ、今大森男爵ノ御話ノヤウニ、
沿革ガドウデアルトカ斯ウデアルトカト云
フ問題デナク、沿革ハサウデアルケレドモ、
此ノ際ニ社會〓育トシテ最モ大事ナコトデ
アルカラ、是非之ヲ法律ニシナケレバナラ
ヌト云フ大臣ノ御考ガ其處ニ何故御出ニナ
ラナカッタカト云フコトヲ私非常ニ遺憾ト思
フノデアリマス、併シ將來勞働法トノ關係
ノ法律ダトカ、或ハ國庫負擔法トカ、色々
關係ノ法律ガ出マスノデ、ソレヲ俟チマシ
テ、總テヲ纒メテ、サウシテ一ツ法律デ出
スト云フヤウナ御意思デモ持ッテイラッシヤ
ルノデ、先ヅ一時勅令トシテ置カウト云フ
ヤウナ御考デアルカ、或ハ又矢張リ從前通
リニ續ケテ行カウト云フ單ニソレダケノ御
考デアルカ、ソレヲチヨット此ノ際ニ大臣カ
ラ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=17
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018・荒木貞夫
○國務大臣(男爵荒木貞夫君) 之モ能クア
ル議論デアリマシテ、國民ノ義務ニ關スル
法デアルカラ、法律ヲ以テ之ヲ規定スルガ
宜シイト云フコトモ一應理由ニハナルノデ
スケレドモ、只今申上ゲマシタヤウニ、
過去ニ於テ〓育ニ關スル總テノサウ云フヤ
ウナコトハ皆勅令ヲ以テシ、樞密院ノ御諮
詢ヲ經、又ソレニ至ル迄ニハ單獨ニ文部省
デ決定スルニアラズシテ、ソレ〓〓審議會
其ノ他ノ方面デ愼重ニヤッテ居リマスノデ、
只今ノ處、ソレニ依ッテヤツテ支障ノナイモ
ノデアル、斯ウ云フ風ニ認メラレテ居リマ
ス時ニ唯一ツノ義務デアルカラシテ、直チ
ニ法律ヲ以テスルト云フコトヲ輕々シク私
共ガ其ノ儘デヤルト云フコトハ、總テノモ
ノニ大キナ影響ラ及スノデハナイカ、斯ウ
云フヤウナ考ヲ以チマシテ、慣行ニ從ッテ差
支ナイモノ、只今斯樣ニ考ヘテ居ルノデア
リマシテ、後日ノ問題トシテ、ソガレ色々
ノコトニ對シテ、時代ガ變ッテ參ルト云フ
ヤウナコトニナッテ行キマス場合ニ於テハ、
又考へ直スコトモアラウカト存ジマスガ、
只今ノ所デハサウ云フコトヲマダ確實ニ考
ヘテ居ルヤウナ所ニハ到達シテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007402003X00119390311&spkNum=18
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019・紀俊秀
○男爵紀俊秀君 此ノ問題ハ御話ノ通リ衆
議院デモ相當論議セラレ、遂ニ總理大臣カ
ラモ御答辯ニナッタ問題ノヤウニモ承リマ
スシ、又後日改メテ大森男爵カラモ色々御
質問モアラウト存ジマスノデ、此ノ問題ハ
一時私保留致シテ置キマス、丁度御許ヲ得
マシタカラ、此ノ際ニ附加ヘテ書類ノ御作
成ヲ御願ヒ致シタイト思ヒマス、實ハ私前
ノ議會ニモ、此ノ議會ニモ、靑年學校ノ問
題ニ付キマシテ相當本會議デ論議致シマシ
タ積リデスガ、當局ノ御考ト私ノ考ガ、甚
ダ遺憾ナガラ多少ノ相違ヲ見テ居ルノデア
リマス、併シ旣ニ靑年學校ヲ御實施ニナル
ト云フコトガ決リマシタ以上ハ、假令其ノ
前ニ異論ガアリマシテモ、之ヲ繰返ス必要
ハナク、益〓、年年學校ノ健全ナル發達ヲ心カ
ラ願ッテ居ルノデアリマス、併シ實ハ私多少
ノ書類ノ御作成ヲ當局ニ御願ヒシタイト、
會ノ始リマス迄考ヘテ居ッタ、處ガ開會ニナ
リマスト、嘗テ本會議デ申シマシタ私ノ說
ガ不幸ニシテ當ッタト云フコトヲ考ヘマシタ
ノデ、御迷惑カモ知レマセヌガ、少シ澤山
ナ書類ヲ御要求申シタイ、ソレハ何故サウ
云フコトヲ申上ゲルカト言フト、私ハ豫テ
國民學校、卽チ小學校ノ義務制延長ニ關シ
テハ、是程懸案ニナッテ居ルノニ何故政府
ガ速カニ之ヲ斷行シナイノカ、ソレニ反シ
テ靑年學校ハ、成ル程〓育審議會ニハ御諮
問ニナッテ居ルガ、極メテ倉率ノ間ニ輕率ニ
之ヲ論議サセテ、サウシテ其ノ答申ヲ得テ、
之ヲ直グニ寳施スル、小學校ノ方ハ久シキ
懸案デアルノニ之ヲ御解決ニナラズニ、靑
年學校ノ方ハ慌テテ之ヲ審議會デ論議サセ
テ決メタ、是ハ甚ダ遺憾ダト私ハ申シマシ
ク、處ガ先刻來色々此ノ委員會ノ狀況ヲ拜
見シテ居リマスト、田所サンガ色々大層詳
シイ御質問ヲナサッテ居ル、サウシテ此處ニ
頂戴シテ居ル書類ノ中ニモ、〓育審議會デ
靑年學校ヲ義務制トスベシト云フコトニ付
テ田所委員長カラノ御答申モアリマスノデ、
〓育審議會ノ特別委員長デイラッシヤル田
所サンハ、定メテ〓育審議會デ十分サウ云
フヤウナコトヲ御討議ニナッテ、サウシテ御得
心ノ上デ愈〓、靑年學校ノ義務制ガ實施ニナル
コトニナッタト思ッテ居ッタノデアリマス、ソ
レニ對シテ田所サンハ無論異議ハ持ッテイ
ラッシヤラナイケレドモ、大分マダ疑問ヲ持ッ
テイラッシヤルト云フノヲ、私ハ此處ニ出
マシテ不審ニ思ッタ、サウシテ見ルト、成ル
程私ガ輕率ニ、〓育審議會デ論議サレタト
言ッタコトガ間違ッタコトデナク、實際其ノ
通リデアル、アノ位ニ御質問ガアッテ、アノ
位御意見ガアルヂヤナイカト云フヤウナ點
カラ私ハ、今提出セラレマシタル此ノ補助法
案ヲ餘程我々ガ勉强シテ、綿密ニ是ハ〓究
シナケレバナラヌト存ジマシタノデ、サウ
云フヤウナ意味カラ或ハ澤山ノ材料ノ要求
ヲスルカモ知レマセヌ、又段々御話ノ中ニ
思付イテ參ル點モアラウト思ヒマスガ、取
敢ズ是ダケ一ツ御要求ヲ致シマス、少シ或
ハ御無理ナ御要求カモ知レマセヌノデ、詳
シイ事ハ要リマセヌ、成ルベク詳シイ事ヲ
望ミマスケレドモ、御忙シイ際デアリマス
カラ〓略デ宜シウゴザイマスガ、成ルベク
詳シク說明シテ戴ケレバ尙結構デアリマス、
或ハ先刻頂戴致シマシタ此ノ書類ノ中ニア
ルコトト重複スルカモ知レマセヌガ、マダ
拜見シテ居リマセヌカラ、サウ云フコトハ
此ノ書類ノ中ニアレバ結構デアリマス、現
在ノ靑年學校ノ就學率ハドウ云フ就學率ニ
ナッテ居ルカ、生徒數、ソレカラ出席率、之
ノ比率ヲ見タイノデアリマス、是ハ都會ト
ソレカラ農村ナドノ地方トノ區別ヲシテ戴
キマシテ、都會ノ中デモ大中小ノ區別ヲ致
シマシテ、大都會デハ斯ウ云フ出席率ニナッ
テ居ル、中都會デハ斯ウナッテ居ル、農村、漁
村デハ斯ウナッテ居ル、斯ウ云フコトヲ一ツ拜
見シタイノデアリマス、ソレカラ靑年學校ト
高等小學校トノ授業日數及學科目、是ハ先
刻モ靑年學校ノ方ハ拜見致シマシタ、高等
小學校ノ方モ私ハ大體存ジテ居リマスケレ
ドモ、尙一ツ當局カラ其ノ授業日數ト學科
目、之ヲ一ツ御示ヲ願ヒタイト思ヒマス、
ソレカラ先刻下村サンカラ御話ガアリマシ
タガ、專任ニ靑年學校ノ〓員ヲシテ居ル者
ガドレダケノ數デアルカ、兼務ハドレダケ
アルカ、ソレカラ兼務ヲシテ居ル人デ、承ル所
ニ依ルト、中ニハ神職ノ人ガアリ、儈侶ノ
人ガアリ、或ハ辯護士モアリ、醫者モアルト
云フヤウナ話モ聞イテ居リマスガ、ソレハ
ドチラガ本職ニナルカ知リマセヌガ、兎ニ角
靑年學校ノ〓員ヲシテ居ル中デ外ニ仕事ヲ
シテ居ル、其ノ仕事ノ種類、ソレカラ專任
ノ〓員ノ初任給ハドレ位デ、サウシテ現在
取ッテ居リマスル給料ノ一番高イ額ハドノ
位ニナッテ居リマスカ、ソレカラ兼務ニ付テ
モ伺ヒタイト思ヒマス、ソレカラ全國靑年
學校ノ數ハ、此ノ戴キマシタ書類デ拜見致
シマスレバソレデ宜シウゴザイマスガ、現
在靑年學校ト稱スベキ數ガドレ位アルカ、
ソレカラ靑年學校ニ準ズベキモノヲ現在置
イテ居リマス會社及商店數ガドノ位アルカ、
サウシテ其ノ生徒數ガドレ位デ、其ノ〓員
ガ何人デ、一體ドノ商店ニハドノ位、ドノ
會社ニハドノ位、是ハ詳シイ事ハ要リマセ
ヌガ、唯〓員ノ專任ト兼任、兼任ト申シマ
スノハ、其ノ會社ノ、何カ工場ノ取締ガ先
生ヲシテ居ルトカ、監督ガ先生ヲシテ居ル
トカ、或ハ外ノ小學校ノ先生ニ傍ラゆうき
貰ッテ居ルトカ、兼任者ト專任者トノ區別、
ソレカラ獨立ニ靑年學校ト云フモノヲ建テ
テ居リマス所ト、小學校或ハ女學校、中學
校、其ノ他ニ靑年學校ヲ竝立シテ居リマス
所ガドノ位アリマスカ、殊ニ此ノ小學校ト
靑年學校トヲ竝立シテ居ル所ガ相當多イト
思ヒマスガ、其ノ數モ御示シ願ヘレバ有難
イト思ッテ居リマス、ソレカラ靑年學校ノ晝
夜別、晝間授業ヲシテ居リマス所ト、又夜
間ニシテ居リマス所ト、ソレカラ一週間ノ
中デ二日トカ三日トカ云フヤウナ日ヲ之ニ
充テヽ居リマス所ト、一年ニ二度トカ、三度
トカ、一箇月ナリ半箇月宛ヤリマシテ、ソ
レニ充テヽ居ルト云フヤウナコトヲヤッテ
居ル所モアラウト思ヒマスガ、ソレニ付テ
ノ表ヲ御示シ願ヒタイト思ヒマス、ソレカ
ラ女子ノ方ニ付キマシテ、家政女學校ト云
フヤウナモノ、既ニ實科女學校ニナリマス
ルト、モウ一ツノ、何ト云ヒマスカ、學校
ノ延長トシテ本當ノ學校生活ヲシテ居リマ
スガ、家政女學校、例ヘバモウ旣ニ妻ニナツ
テ居ルトカ、家庭ヲ持ッテ居ルトカ、或ハ又
女中デアルトカ云フヤウナ人ヲ、夜トカ晝
間ノ幾許カノ時間ヲ割イテ〓ヘテ居ルト云
フヤウナ、公立或ハ私立ノ家政女學校、ソ
レカラ女中學校ト云ヒマスカ、或ハ花嫁學
校ト云ヒマスカ、サウ云フヤウナ數モオ分
リニナリマスレバ御示ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス、ソレカラ是ハオ分リニナレバ一ツ承リ
タイノデアリマスガ、高等小學ヲ卒業シマ
シテ、サウシテ色々業ニ就キマスガ、ドウ
云フ業ニ就イテ行キマスカ、高等小學校ノ
卒業生ガ就職致シマシタラ、ドウ云フ方面
ニドレダケノ割合デ出テ行クカト云フヤウ
ナ卒業生ノ就職ノ模樣ヲ一ツ承リタイト思
ヒマス、只今御要求スル所ハ先ヅソレダケ
デアリマス、併シソレガ御手間ガ取レマシ
テ、ソレガ爲ニ審議ガ遲レテ行クト云フコ
トモ如何カト思ヒマスカラ、ドウシテモ御
調ノ困難ナモノハ、又後日ニ御讓リ戴イテ
モ宜シウゴザイマス、出來ルダケ一ツ願ッテ
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020・徳川義親
○委員長(侯爵德川義親君) ソレデハ本日
ハ是デ散會致シマス、此ノ次ハ月曜日ノ午
前カラト思ッタノデアリマスガ、速記ノ都合
ガ惡イサウデアリマスカラ、午後一時半カ
ラ開會致シタイト思ヒマス、本日ハ是ニテ
散會致シマス
午後零時散會
出席者左ノ如シ
委員長侯爵德川義親君
副委員長子爵〓岡長言君
委員
男爵紀俊秀君
下村宏君
男爵大森佳一君
田所美治君
細田安兵衞君
岩崎〓行君
國務大臣
文部大臣男爵荒木貞夫君
政府委員
文部政務次官小柳牧衞君
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