1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十四年三月十八日（土曜日）午前十時九分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/0
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001・大隈信常
○委員長(侯爵大隈信常君) 是ヨリ開會致
シマス、午前ハ農林大臣ガ御イデニナッテ
居リマスカラ、長ク御イデヲ願フ積リデ居
リマシタガ、衆議院ノ方モ矢張リ委員會デ
今日ハ決マルコトニナッテ居リ、午後ハ本會
ニ緊急上程ト云フコトガアリマシテ、長ク
御イデガ出來ナイコトハ甚ダ遺憾ニ思ッテ
居ルノデアリマス、已ムヲ得ヌコトデアリ
マス、此ノ場合大臣ニ御質問ノ御方ハ早ク
御願ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/1
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002・丸山鶴吉
○丸山鶴吉君 農林大臣ノ御出席ヲ願ッタ
ノハ私ガ一番初メト思ヒマス、私ハ頗ル簡
單デゴザイマスカラ御許シヲ願ヒマス、農
林大臣ガ〓糧政策ノ爲ニ非常ニ御苦心ヲ爲
サッテ居リマスコトモ能ク存ジテ居リマス、
殊ニ戰時ニ於ケル食糧政策ノ非常ニ大切デ
アルコトハ申ス迄モナイコトデアリマス、
又私共素人デ能ク分リマセヌケレドモ、米
ノ問題ハ甚ダ微妙ナルモノガアリマシテ、
素人デ卽斷スルコトガ出來ナイノデアリマ
スガ、先日臺灣總督府ノ御當局ニ色々御質
問申上ゲマシタコトノ關聯デアリマスガ、
丁度非常事變ニ際シマシテ米ノ增產ヲ要ス
ルコトハ、此ノ前農林大臣ノ御言明ニナツ
タ通リデアリマス、內地デ增產ヲ御圖リニ
ナルコトハ御承知ノヤウニ、內地ノ農法ハ
餘程集約農法ニナッテ居ルノデアリマシテ、
俄カニ開墾ヲ致スト云フ譯ニモ參ラヌコト
デアリマセウカラ、ドウセ段當リ收穫ヲ殖
スコトニ色々御苦心ヲナサッタト思ヒマス、
可ナリ內地デ增產ヲ御圖リニナルト云フコ
トハ困難ナ仕事デアリマス、サウ容易ナ仕
事デハナイト思ハレルノデアリマス、併シ
ナガラ銳意其ノ方面ニ對シテモ非常ナ計畫
ヲ以テ御進ミニナッテ居ルコトモ薄々承知
ヲ致シテ居ルノデアリマス、是ニハ相當ノ
經費モ要スルコトデアリマシテ、經費モ御
要求ニナッテ居ルノデアリマス、一方臺灣ノ
方ヲ考ヘテ見マスト、臺灣總督府ノ御言明
ニ依リマシテモ、比較的增產ヲ致スコトハ
容易デアル、殊ニ熱ト光ニ惠マレテ居ル、
米ニ對シテハ適地デアル、斯ウ云フ次第
デアリマスカラ、此ノ非常事變ノ〓糧對策
トシテ、非常ニ增產ヲ要シマス時ニ、非常
ニ容易ニ增產ノ出來マス臺灣ノ方デヨリ多
クノ部分ヲ分擔サセテ、サウシテ困難デア
ル內地ノ方ハ其ノ他ノ適スル物モ澤山アル
ノデアリマスカラ、御奬勵ニナッテ、サウシ
テ此ノ計畫的ノ食糧政策ヲ御進メニナルコ
トニ致サレタラ、私共素人ノ考デアリマス
ケレドモ、非常ニ費用ガ掛ラナイデ、比較
的容易ニ〓糧ヲ確保スル目的ヲ御逹シニナ
ルコトガ出來ルノデハナカラウカ、サウ云
フ點ニ付テ農林大臣ハドウ云フ御考ヲ持ツ
テ御イデニナルカ、若シサウ云フコトガ是
認サレルト致シマシタナラバ、臺灣モ朝鮮
モ外地デハアリマスルケレドモ、同ジク帝
國統治ノ下ニアル、全國的ニ見テ計畫性
ヲ與ヘルト云フコトニナリマスレバ、比較
的容易ニ增產シ得ル臺灣ノ方ニ多クノ部分
ヲ持タセテ、サウシテ〓糧確保ノ方面ニ進
ムコトガ非常ナル賢明ナ策デアルヤウニ思
ハレルノデアリマス、若シサウ云フコトガ
是認サレルコトガ出來ルト致シマスナラ
バ、此ノ臺灣ノ移出米管理法案ト云フモノ
ハ米ニ進ンデ行クコトヲ押ヘテ行カウ、斯
ウ云フコトヲ主眼トシテ作ラレタ案デアリ
マスカラ、若シサウ云フコトヲ是認サレル
コトニナレバ、此ノ案ハ少クトモ今ノ時期
ニハ不適當ナ案デアリ、寧ロ臺灣ノ方ニ多
ク負擔サセタガ宜イノヂヤナイカト斯ウ考
ヘルノデアリマスガ、其ノ點ニ付テ農林大
臣ノ御意見ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/2
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003・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 丸山サンノ御意
見ハ一應御尤ニ拜聽ヲ致スノデアリマス、
御承知ノ通リ數年以前ニハ、昭和九年ニハ
內地デスラ減產ヲ唱ヘラレタ時代ガアルノ
デアリマシテ、臺灣ニ向ッテモ水利改良事業
ヲ中止致シテ、サウシテ米ノ增收ヲ止メ、
朝鮮ニ向ッテモ產米增殖計畫ヲ中止シテ貰ッ
テ居ルヤウナコトモアルノデアリマス、何
故其ノ當時ニ於テモ內地ヨリモ朝鮮ノ方ナ
リ臺灣ノ方ガ安ク出來ルニ拘ラズ、之ヲ押
ヘタカト申シマスルト、要スルニ日本內地
ノ農民ガ非常ニ生活苦ニ追ハレル、卽チ米
價ノ暴落ニ依リマシテ生活上非常ニ困難ヲ
來ス、斯ウ云フ見地カラ、僅カニ數年以前
ニサウ云フ計畫ヲ立テタコトガアルノデア
リマス、今日ハ成ル程內地ニ於キマシテ勞
力ガ大變足リナイ、又肥料等ノ關係モアリ
マスノデ、以前カラ計畫セラレタ增產ヲ豫
定通リニ進行シテ行キマスノニハ相當骨ガ
折レマスノデ、御話ノ通リモウ何モ總テ考
ヘズニヤリマシタナラバ、出來ルダケ朝鮮
臺灣ニ多ク作ッテ貰ッテ、此ノ際ハ供給シテ
貰フコトガ最モ良イ方法ト思フノデアリマ
スケレドモ、將來ノ事ヲ考ヘマシテ、若シ
モ出征シタル將士ガ、日本內地ニ歸ッテ來タ
時ニ農村ガ非常ニ困ル、卽チ其ノ時ニハ勞
力モ補充セラレマスシ、旁〓農產物ガ更ニ
層增加スルト云フヤウナコトニナリマスト
云フト、非常ニ因ッタ事態ガ起リハシナイカ
ト云フコトモ一ツノ考ノ中ニ入レテ置キマ
セヌケレバ相成リマセヌノデ、滿洲ノ如キ
モ米作ハ許可制度ニ致シマシテ、今日押ヘ
テ貰ッテ居ルト云フ風ナ譯デアリマス、ソレ
ヲ解放シテ致シマスルコトハ、現在ノ時期
ニ於テハ必要デアリマス、ケレドモ滿洲ニ
於テハ直グニハ間ニ合ヒマセヌシ、シマス
カラ滿洲ハ別問題デアリマスガ、朝鮮ハ本
年ニモ或程度ノ增產ハ出來ルト思ヒマス、
從ッテ先ヅ適當ナル所ニ於テ其ノ增產計畫
ヲ遂行シテ貰フ、斯ウ云フ見地カラ臺灣ノ
計畫トシテハ從來ノ例ニ依リマシテ、コヽ
十ヶ年間ニ二百數十萬石ノ生產ヲ增加シテ
貰ヒタイ、斯ウ云フ風ナ建前ヲ採ル、朝鮮
ノ方ニ致シマシテモ適宜ナ增產計畫ガアル
ノデアリマシテ、其ノ豫定ニ依ッテ增產ヲシ
テ戴ク、內地モ亦之ニ應ジテ生產ヲスル、斯ウ
三者見合セマシテ計畫ヲ立テタヤウナコトデ
アリマシテ、成ル程內地ト致シマシテハ豫定
ノ數量ヲ穫ルコトハ相當努力致サナケレバ相
成リマセヌ、相成リマセヌガ、然ラバ內地ノ
方ハ放任シテ置イテ宜イカト申シマスト、サ
ウハ參リマセヌノデ、ドウカシテ內地モ大體
ニ於テ豫定ノ數量ダケハ生產シタイ、斯ウ
考ヘマシテ其ノ計畫ヲ立テテ居ル譯デアリ
マシテ、チヨット御覽ニナリマスレバ、臺灣
ノ方ニ極力ヤッタラバ百五十萬石モ出來ル
ヂヤナイカ、ソレヲ臺灣ノ方ノ增產計畫ハ
少イ、斯ウ云フ風ナ御考モアルカト思ヒマ
スケレドモ、今申シマスヤウナコトヲ見合
ヒマシテ計畫ヲ立テタノデアリマス、私ガ
就任シマシテ此ノ方、尙一層斯ウ云フ時局
デアリマスカラ、剩餘米ヲ多クスル必要ヲ
認メマシテ又內地ハ勞力ガ足ラヌノデアリ
マスカラ、豫定通リ行カヌト困リマスノ
デ、非常ナ安全ヲ保持スル爲ニ、臺灣ニ向ツ
テモ更ニ五十萬石ヲ增產シテ戴キタイト云
フコト申込ンデ、交涉シテ其ノ準備ヲ願ツ
テ居ル譯デアリマス、朝鮮地方ニ向ッテモ
更ニ五十萬石ノ增產ヲ願ッテ、ソレデ內地ノ
計畫ヲキチント立テテ、此ノ方法デ行ケバ
大體ニ於テ間違ヒハナイダラウ、斯ウ思ツ
テ居ルヤウナ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/3
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004・丸山鶴吉
○丸山鶴吉君 今ノ色々御考慮ニナリマシ
タ結果トシテ、本年度內外ヲ通ジテ五百七
十萬石バカリノ增產ニナルノデアリマスガ、
ソレデ食糧政策上御心配ナイト仰セラルヽ
コトハ諒承致スノデアリマスガ、唯農林大
臣ノ御述ニナリマシタコトハ平時ノ際ノコ
トデアリマシテ、恐ラク此ノ五百七十萬石
ノ增產ト云フコトモ本年限リヂヤナシニ、
來年モ、或ハ再來年モ、此ノ時局ノ
續キマスノニ連レテ同ジヤウナ必要ニ
迫ラレルコトデハナカラウカト思フノ
デアリマス、平時ニ於テ臺灣デ非常ニ
作ッテ内地ノ作ル量ガ減リマスト、ソレハ日
本ノ農民ガ困ルト云フヤウナコトモアリマ
セウト思ヒマスケレドモ、少クトモ此ノ非
常時局ダケハ臺灣デ出來ルダケノコトヲ一
ツ分擔ヲサスト云フコトガ、日本全體ヲ計
畫的ニ見タ上デ私ハ宜イノデハナカラウカ、
少クトモ將來斯ウ云フ風ナ管理案ト云フモ
ノガ必要アリト致シマシテモ、非常時局ノ
際ダケハ特別ニ御考ニナッテ宜イノヂヤナ
カラウカ、斯ウ云フコトガ私ノ疑問ノ要點
デアリマス、其ノ點ニ付キマシテ農林大臣
ノ御考ハ如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/4
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005・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 丸山サンノ御考
ハ御尤ト思ヒマスケレドモ、個々ノ水利事
業ハ止メテ貰ッテ居ルノヲ、今囘止メルノヲ
止メテ水利事業ヲ始メマシテ、臺灣ニ於テ
水田ガ非常ニ殖エテ、ソレデ今米ノ增產ヲ
此處デ百五十萬石、二百萬石ノ極度迄ヤッテ
戴クト云フコトニナリマスルト、ソレハ矢
張リ永續性ガ私ハアルト思フノデアリマス、
卽チ永遠ニ臺灣ノ米ガ非常ニ殖エル、斯ウ
云フコトニナルノデアリマシテ、其ノ結果
ハ今ノ出征將士ガ歸ッテ來テ日本デ大イニ
働クト云フ場合ニナリマスルト、日本ノ內
地モ增產ヲスル、斯ウ云フコトニナルノデ
アリマシテ、內地ニ於キマシテモ今日ハ段
當リノ收穫ノ增加ト云フコトガ非常ニ〓究
サレマシテ、相當ナ效果ヲ擧ゲテ居リマス、
殊ニ戰爭ガ濟ミマスト、斯ウ云フコトハ何
デアリマスケレドモ、戰爭ノ結果トシテ或
大キナ數量ガ消費サレテ居ルノデアリマス、
ソレモ又消費ガ減リマスルシ致シマシテ、
其ノ米價ノ上ニ於テ、農村ノ收入ヲ保持ス
ル上ニ於テ、餘程其處ニ困ルコトガ起リハ
シナイカ、斯ウ思フノデゴザイマシテ、先
ヅ現在ノ程度ニ於テ新タニ五十萬石、合計
七十萬石程ノ增產ヲシテ戴ケバ、先ヅ大體
ニ於テ內地ノ計畫トシテハ間ニ合フト、斯
樣ニ信ジテ居ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/5
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006・丸山鶴吉
○九山鶴吉君 一應諒承ヲ致シマシタ、此
ノ點ニ付テハ是以上御質問申上ゲルコトヲ
止メマシテ、衆議院ノ御討議ノ際ニ質問ニ
御答ニナリマシテ、將來米ノ專賣法ヲモ考
慮スルト云ッタヤウナ意味ノ御答辯モアッタ
ヤウデアリマスガ、米專賣ノ具體案ガマダ
御出來ニナッテ居ル譯デモナイダラウト思
ヒマスケレドモ、若シサウ云フ時期ニ達シ
テ參リマスト、內外地ヲ通ジテノ專賣制度
ト云フモノガ計畫的ニ立テラレルコトダト
思フノデアリマスガ、此ノ專賣法實施ト云
フヤウナコトニ付キマシテ農林大臣ハドウ
云フ御考ヲ御持チニナッテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/6
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007・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 衆議院デモ只今
丸山サンノ御話ノヤウナ質疑ガアリマシタ、
私ハ專賣法若シクハ國家管理、斯ウ云フ事
柄ハ此ノ米穀問題ヲ解決スル上ニ於テ考究
セラルベキ所ノ最モ重要ナ問題デアッテ、自
分モ相當關心ヲ持ッテ調査ヲ致シテ居リマス、
併シナガラ今囘提案シタ米穀配給統制法ト
云フモノハ、ソレトハ別個ノモノデアリマシ
テ、自ラソレハ意味ガ違フノデアリマス、デ專
賣法竝ニ國家管理ト云フコトニ付キマシテ
ハ十分調査ヲ致シマシテ、自分ニ斷案ヲ下ス
ベキ案ガ出來マシタラバ、之ニ依ッテ案ヲ提
示シテ御審議ヲ願ヒタイト思ヒマスト、斯ウ
云フ風ニ私答辯ヲ申シテ居ルノデアリマス、
新聞ニ依ッテハ、私ガ專賣法ヲ考ヘテ居ッテ
急ニヤルヤウナ風ニ書カレテ居ル新聞モア
リマスケレドモ、事實ハ其ノ通リデアリマ
ス、ソレデ今御話ノ他日專賣法ヲ行フ場合
ニ於テハ、內外地一貫シテ考ヘルト云フコ
トニ付キマシテハ、マダ私調査モ致シテ居
リマセヌシ、ドウセ今御話ノ如ク、先ヅ米
ノ專賣或ハ國營ヲ致シマス場合ニハ、日滿
支ノ關係モ考ヘナケレバナリマセヌシ、內
地外地ノ關係モ考ヘナケレバナリマセヌシ、
又幾多ノ〓究ヲシナケレバナラヌ問題ガ殘
サレテ居ルト思ヒマス、此ノ問題ハ可ナリ
古イ問題デアリマシテ、有ラユル權威者ガ
ソレヲ考究サレテ居ルノデアリマシテ、マ
ダ今日直チニ專賣ヲ行フベシト云フ議論ガ
輿論トナッテ居リマセヌノハ、餘程〓究スベ
キ點ガ殘サレテ居ルコトト考ヘルノデアリ
マス、併シ斯ウ云フ事態ニナリマシテ、總
テノ方面ガ統制ト云フコトニ對シテ、非常
ナ働ヲ致シテ居ルノデアリマスカラ、或八
其ノ結果ト致シマシテ、御話ノ如ク專賣法
ノ如キガ急途ニ問題トナルカトモ思ヒマス
ケレドモ、私ト致シマシテハ尙十分〓究シ
タ上デナケレバ、之ニ對スル所ノ可否ニ付
テ申上ゲルト云フ風ナ順序ニナッテ居リマ
セヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/7
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008・丸山鶴吉
○丸山鶴吉君 私ノ質問ハ是デ宜シウゴザ
イマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/8
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009・松村眞一郎
○松村眞一郞君 私ハ時間ガ迫ッテ居ルノ
デ、外ノ御質問ノ方ニ御遠慮ヲシナケレバ
ナリマセヌカラ、簡單ニ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/9
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010・大隈信常
○委員長(侯爵大隈信常君) ドウゾ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/10
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011・松村眞一郎
○松村眞一郞君 「日本學術振興會學術部
第六小委員會報告第十册昭和十一年十一月
米穀專賣制ノ〓究」斯ウ云フ印刷物ガ出テ
居リマス、之ノ第七頁「生活ノ必需品ナル
ガ故ニ、僅カニ不足シテモ限界效用ニ依ッテ
著シク價格ガ騰貴シ、又其ノ用途ガ食糧品
ニ限ラレテ居ルガ故ニ、少々ノ過剩デモ直
チニ價格ノ低落ヲ導クト云フ譯デ、其ノ動
搖ハ覿面ニ經濟上、社會上ニ大キナ反響ヲ
叫バザルヲ得ナイノデアル」、是ハ米ノ經濟
的ノ性質ガ斯クノ如キ數量ニ對シテ「デリ
ケート」ナ關係ヲ持ッテ居ルト云フコトヲ說
明シテ居ル、ソレカラ此ノ表題ハ專賣制ト
アリマスガ、中ニ書イテアルコトハ臺灣デ
今玆ニ行ハレムトセラレテ居ル米穀移出管
理ト云フコトモ皆入ッテ居ル、廣イ意味ノ
專賣デアリマスガ、皆入ッテ居リマス、ソコ
デ臺灣ノ爲サムトスル專賣ニ對シテ適切ナ
言葉ヲ此處ニ申シマス、第二十頁「生產者ノ
利益ハ生產費ヲ償フ買上價格ニ依ッテ其ノ
最少限度ガ保證サレテ居ルケレドモ、消費
者ノ利益ヲ顧慮セル價格標準ハ何等定メラ
レテ居ナイ、唯生產者サヘ立行ク程度ノ價
格ナラバ、消費者ハ文句ナシニ之ニ從フベ
シトスルカノヤウニモ思ハレル」、是ガ全ク
適切ナノデス、ソコデ之ヲ本案ニ適用シテ
申シマスト、臺灣ニ於ケル生產者ノ利益ト
云フモノハ保證サレテ居ルケレドモ、消費
者タル內地ノ利益ヲ考慮セザル價格決定ダ
ト、斯ウ云フコトニナル譯デアリマス、消
費者ハ文句ナシニ之ニ從フベシトスルカノ
ヤウニ思ハレル、スルカノヤウヂヤナイ、
其ノ通リナンデス、ソコデ內地ノ銃後ノ國
民ハ今日迄負擔シテ來テ居リマス所ノ臺灣
ノ農業者ノ得テ居ル所ノ利益、ソレヲ考ヘテ
戴キタイ、詰リ臺灣ノ精神者ガ利益ヲ得テ居
ルノハ、內地ノ消費者ガ高イ米價ニ甘ンジテ
居ルカラデアリマス、卽チ內地ノ消費者ノ犧
牲ニ依ッテ臺灣ノ生產者ガ利益ヲ得テ居ル
ト云フノデアリマス、ソコデ今度ハ其ノ內
地ノ生產者ノ犠牲ニ依ッテ、負擔ニ依ッテ臺
灣ノ農業者ガ儲ケテ居ッタ利益ノ中二圓ヲ
臺灣總督府ニ納メサセヨウト云フノガ此ノ
案デアリマス、利益ノ二圓ヲ臺灣ニ納メサ
セルノデアリマス、ソコデ內地ノ銃後ノ國
民ハ默々トシテ忍從シテ居ルノデス、默々
トシテ犧牲ヲ甘ンジテ居ルノデアリマス、
私ハ此ノ案ヲ見マシテ遠キ彼方ノ臺灣ヲ眺
メ深ク私ハ考ヘマシタ、サウシテ近ク自分
ノ足許ヲ見詰メテ居ルノデス、ソレダケ申
上ゲテ置キマス、問題ハ臺灣ノ生產者ダケ
ノ問題デハアリマセヌ、臺灣內地ヲ通ジテ
ノ日本ノ統治ノ問題デアリマス、次ニ貴族
院ノ本會議ノ速記錄第二百六十九頁丸山君
ノ御言葉デス「戰時事變ノ際ニ米ノ消費ガ著
シク增加致シマスコトハ、日〓戰爭ノ當時
ニ於テモ、日露戰爭ノ當時ニ於テモ、「ヨー
ロッパ」大戰ノ當時ニ於キマシテモ、計數ノ
示シテ居ル所デアリマシテ、著シキ增加ヲ
致スコトデアリマス」次ニ前囘農林大臣ガ此
處ニ御出席ニナリマシタカラ、私ハ質問ヲ
致サウト思ヒマシタラ、大臣ハ御退席ニナ
リマシタ、ソコデ私ハ到頭質問ガ出來ナカッ
タノデアリマスガ、其ノ朝ノ新聞デス、是
ハ全國ノ新聞ニ皆揭載シテ居ルデセウ、私
ハ東京朝日新聞ノ記事ヲ便宜上此處ニ出シ
やっ、標題「三月ノ全國在米高、前年比二
厘增、持越豫想八百五十五萬石」次ノ標題
「米消費減ズ」モウ一度大キイ聲デ申シマス、
「米消費減ズ」讀ミマス、「十三年十一月一日
乃至十四年二月末日迄四箇月間ノ米穀需給
實績ハ左ノ如ク農林當局ヨリ發表サレタ
ガ、右ニ依レバ本年度ノ消費高ハ前年同期
ニ比シテ百三十萬二千石ノ減退ヲ示シテ居
ル」、丸山君ノ議論ト全然反對デス、丸山君
ハ何等數字ヲ示シテナイノデス、消費高減
少ノ原因トシテ調ベラルヽハ早場地方ノ出
廻リガ一月乃至一月半遲レタ爲メ新米ノ食
ヒ込ミガ少ナカッタコト、其ノ次ニ非常ニ重
要ナコトガアル、酒米トシテノ消費ガ業者
ノ自發的制限ニ依リ五分方減ッタコト、一般
消費者ノ米價高ニ對應シテノ消費減等ノ諸
原因ガ擧ゲラレテ居ル、豫算委員會議事速
記錄第九號三頁、次田大三郞君「第一ハ政
府ハ何故ニ臺灣米ノ增產ニ力ヲ致サナイノ
デアルカト云フコトデアリマス」是ガ質問
ノ第一デス、第四頁「代作物ノ栽培奬勵ヲ
行ッテ、臺灣內ノ米ノ產額ヲ一年九百五十萬
石程度ニ抑ヘテ來タノデアリマス、恰モ滔々
トシテ來タル所ノ洪水ヲ堤防ヲ以テ防ギ
止メタルガ如クニ、洛々トシテ米ヲ作ラウ、
米ガ非常ニ澤山出來テ來ルト云フノヲ此ノ
政策デ以テ止メテ來タノデアリマス、デア
リマスカラ若シ此ノ人爲ノ政策ヲ除イテシ
マイマスレバ、米ノ增產ハ自然ノ大勢トシ
テ容易ニ實現ヲ期スルコトガ出來ルノデア
リマス」第五頁「私共ノ要望シテ居ルノハ、
十年後ニヤット二百萬石ノ增產ニナルト云
フ、サウ云フ生溫イ增產計畫ハナイノデア
リマス」、然ラバ幾ラ迄增產シタラ宜イカト
云フコトハチットモ言ハナイ、米穀政策ニ對
スル定見ナシ·······ナシト思ヒマスト言ヒマ
ス、ナシト私ハ思ヒマス、貴族院速記錄二百
七十頁丸山君ノ言葉デス、「熱ト光ニ惠マレ
テ居ル臺灣デアルカラ、作レバウント出來
ルノデアリマスカラ、此ノ際ウント作ッテ、
サウシテ之ヲ貯藏シテ行クト云フ覺悟ガア
ルベキコトガ、戰時食糧政策ノ手段デアル
ト私ハ思フ」、幾ラ作レバウント作ルノデア
ルカ、數量ヲ仰シヤイマセヌ、昨日ノ委員
會デ私ガ申上ゲマシタケレドモ······、今日
モ仰シヤイマセヌ、定見ナシト私ハ思ヒマ
ス、貯藏シテ行クト言ハレマスガ、何石貯
藏スル考デアリマスカ、ソレヲ何トモ仰シ
ヤイマセヌ、米ニ對シテ御深切ニ御〓究ニ
ナッタモノト私トシテハ考ヘラレマセヌ、ソ
レカラ次ニ私ガ體驗シマシタ事實及ビ事實
ノ想像ヲ申シマス、昭和二年十月十五日、
私ハ此ノ頃農務局長トシテ御職ヲ御預リ致
シテ居リマシタ、昭和二年十月十五日開催
シタル第十六囘米穀委員會ノ決議ニ依リ當
時ニ於ケル政府ノ全所有外米七十一萬石ヲ
賣却スルコトニ決定シタルヲ以テ、外國
市場ニ於テ賣却スベキ外米ニ付テハ各輸
出方面ニ於ケル事情ニ最モ精通シ、且資
力信用十分ナリト認ムル外米商七名ヲ同
月十五日選定ノ上契約ヲ締結シ、現品ノ
委託ハ昭和十二年十一月二十二日ヨリ
之ヲ開始、引續イテ昭和三年一月一一十一日
迄ニ約五十萬石ノ委託ヲナシ、其ノ賣却先
ハ英領印度、天津、志歐洲、南洋方面、
託
是ダケデス、ソレデ委員賣却契約ヲ締結シ
タ譯デアリマスガ、ソレハ政府ヲ代表スル
官吏トシテ農務局長ノ私ガ契約ノ當事者ノ
一方デアリマス、委託者ハ御參考ノ爲ニ申
上ゲマス、日本棉花會社山田商店、木村商
店、加藤商店、此ノ加藤商店ト云フノハ、
今臺灣ニモ店ヲ出シテ居ル委託商店ノ大キ
ナモノデアル、三菱商店、日本砂糖、三井
物產、是ダケデス、三井物產ノ當時ノ取締
役ハ安川雄之助君、是ハ今現ニ東拓ノ總裁
デス、安川君ハ農務局長ノ私ノ部屋ニ來ラ
レテ、此ノ問題ニ付テ意見ヲ鬪ハセマシタ
生キタ證據人デアリマスカラ、安川君ニモ
御聽キ下サイ、此ノ米ハドウ云フ譯デ賣ッタ
カト云フコトヲ申上ゲマス、元來米ハ米穀
政策上ノ見地カラ私ハ分類シテ考ヘマシテ、
私ハ職務ヲ御預リ致シテ居リマシタ農務局
長ノ場合デモ、農林次官ニナリマシテカラ
デモ、此ノ賣買致シマシタ當時ハ私ハ農務
局長デアリマシタガ、其ノ當時ハ米穀局ト
云フモノハナカッタ、農務局長自身ガ米ノ賣
買ヲヤッタノデアリマス、其處ニ米穀課ト云
フモノハアリマシタ、ソレカラ農政課長ト
云フモノモ皆居リマス、米穀課長ハ今現ニ
農林次官ヲシテ居ラレル小平權一君、ソレ
カラ農政課長ハ此ノ間迄隨分長イ間米穀局
長ヲシテ居ッタ荷見安君、今馬政局ノ長官デ
ス、ソレカラ色々澤山アリマス、肥料ノ問題、
馬ノ問題、大臣ハ色々仰シヤイマシタ、皆
私ガ局長トシテ責任ヲ持ツテ擔任シタノデ
アリマス、皆關係ガアリマス、產業組合モ、
農業倉庫モ、私ノ居リマス當時ハ農務局ニ
アッタ、米ニ皆關係ガアル、產業組合モ何モ
カモ、ソレカラ商業ノ方面ノ商米市場、取
引所ト云フヤウナ問題、ソレカラヤカマシ
ク言ヒマスル米ノ商人ト云フヤウナ問題、
是ハ私ハ商務局長トシテ農商務省ノ時代ニ
於テ擔任致シテ居リマシタ、私ノ此ノ市場
ニ對スルヤリ方ガ上局ノ忌諱ニ觸レタ爲ニ
私ハ農林方面ニ、左遷ト私ハ思ッテ居リマ
ス、左遷サレテ、私ハ農務局長デ色々御世
話ヲ蒙ッタ譯デアリマス、サウ云フ譯デアリ
マスカラ、甚ダ口幅ッタイコトヲ申シマスケ
レドモ、米ニ關シマスコトノ大體ノコトハ
私ハ責任ヲ持ッテ朝モ晩モ心配ヲシタ、ソレ
カラ例ヘバ米ノ品種ノ改良、是ハ農產課デ
ヤッテ居ル、害蟲驅除、是モ農產課デヤッテ
居ル、米ノ檢査、是モ農產課デヤッテ居ル、
ソレカラ水利土木、農業土木、是ハ耕地課
ト云フモノガ農務局ニアリマス、凡ソ米ニ
關シテ此所デ問題ノ起ッタコトハ總テ私ノ
體驗ガアリマス、自分ノ體驗カラ申スノデ
ス、ソコデ先程申上ゲタ所ニ移リマスガ、
米穀政策ヲ御預リヲ致シテ居リマス際ニハ、
實際朝カラ晩迄心配バカリシテ居リマス、
私ハ大臣モモウ其ノ通リダト思ヒマス、雨
ガ降ルト云フト心配シテ居ル、又天氣ニナ
ルト心配スル、是ハ旱魃ガ起リハシナイカ
ト思ッテ、朝モ晩モ心配シテ居ル、ソレカラ
新聞記事ヲ見テモ米ガ騰ガッタト言ッテハ心
配シ、米ガ下ッタト言ッテハ心配シマス、
非常ニ心配デスカラ、大臣ハ隨分御苦シミ
ダラウト云フコトハ、本當ニ心カラ御同情
シテ居リマス、サウ云フ譯デアリマスガ、
米穀政策ヲ御預リシテ居ル時ニ、米ノ政策
上······御預リシテ居リマス時ニ米ヲ分類シ
テ、コンナヤウナ工合ニ考ヘテ居ルノデス、
是ハ其ノ當時カラ考ヘテ居ルノデス、米ト
云フモノヲ米穀政策上カラ區別シテ見マス
ト、第一、必要米デス、第二、持越米、此
ノ必要米ト持越米トヲ目標ニシテ居ルノガ
今日ノ米穀統制法デス、其ノ次ニ第三、豫
備米、第四、不必要米、斯ウ云フ四階段ニ
ナル、處デ私ノ御預リシテ居リマス當時ノ
米穀法ト言ヒマスモノハ、是ハ米穀統制法
ノ前ノ米穀法デスガ、米穀法ト申シマスノ
ハ、其ノ四ツノ種類ヲ總テ取扱フコトノ出
來タ法律デアリマス、ソレデ此ノ賣リマシ
タ七十萬石ノ外米ト云フモノハ、第二ノ種
類ノ持越米トシテ政府ノ買ッタ米デス、ソレ
ガ米穀事情ニ依ッテ其ノ次ノ第三階級ノ豫備
米ノ性質ニ移ッタ、更ニ不必要米ト云フ第四
階級ニ移ッタ、ソレデ不必要米ナルガ故ニ
之ヲ海外ニ賣ッタ、ソレデ何故海外ニ賣ルカ
ト云フコトハ、是ハ大臣モ昨日デシタカ、
前カラノ說明デモ、大臣ハ其ノ所ニ御著眼
ニナッテ御覽ニナッテ居ルト思ヒマスガ、不
必要米ニナリマスト云フト、ソレガ國ノ中
ニ在ルコトガ害ヲ爲ス、有害デアル、アリ
マスト云フト、何處ニアッテモ米價ヲ下ゲ
〓、ソレカラ國內カラ追出シテシマハナケ
レバナラヌ、ソコデ昔幕府ガ鎖國時代ニ
ハ、其ノ時ハ仕方ガナイカラ其ノ米ハ天保
山ノ沖ニ棄テタ、是ハ不必要米デスカラ差
支ナイ、ドウ云フコトニナルカト云フト、結
局魚腹ヲ肥ヤシタ譯デス、此ノ魚ヲ獲ッテ
食ッタナラバ、是ハ非常ニ有益デス、サウ云
フコトニナル、ソレト同ジコトハチヤント
「アメリカ」デヤッテ居ル、「アメリカ」ノ農
業地帶ト云フノハ「コーンベルト」ト言ヒ、
棉ノ「ベルト」ト言ヒ、「コーン」ガ出來、棉
ガ出來ルト、ソレヲ今度ハ人間ハ食ベナイ
デ豚ニ食ハセル、サウシテ其ノ豚ヲ人間ガ
食ベル、ソレヲ幕府ノ人ハヤッテ居ッタ、私
ハ其ノ時ニモウ心配シテ居リマスカラ、之
ヲ見テハハア魚腹ヲ肥ヤスノカト、僕ハ其
ノ前ニ水產局長ヲシテ居ッタデハナイカト
云フコトヲ考ヘタ、其ノ水產局長ノ時ニ濱
名湖ニ行ッタ處ガ鰻ノ養殖ヲシテ居ル、ソレ
ハ鰯デ鰻ヲ養殖シテ居ル、サウスルト矢張
リ同ジ譯ダナト思ッタノデス、僕ハドウモ仕
事ヲ御預リシテ居ルト云フト、過去ノコト
ヲスッカリ忘レテシマッテ、將來ノコトモスッカ
リ忘レテシマッテ、現在ノコトバカリ考ヘテ
居ルカラ、斯ウ云フ愚カナノカト思ッタノデ
スガ、併シ其ノ外米ノ賣買ノ方法ハ海ニ棄
テル譯ニ行キマセヌ、是ハサウ云フ譯ニ行
カヌ、會計法ニソレハ違反シマス、ソコデ
海外ニ賣ッタ譯デス、苦心慘澹ヲシテ、日本
カラ姿ヲ隱シタト云フノハ、不必要米處分
ノヤリ方デス、ソコデ米穀統制法ガ出來マ
シテ、米穀統制法ハ米ノ方カラ申シマスト
云フト、平常時ノ立法デス、平常時トカ、
非常時トカ云フコトハ米ノ方カラ見テデ
ス、天下ノ非常時ト云フト、「ワシントンㄴ
會議ノ比率ノ決マル時ヲ非常時ト言ッテ居
リマシタ、近頃ノ非常時ハ又違フ意味デア
ルガ、米穀法ノ方カラ、米穀ノ生產ノ方カ
ラ言ッタ所ノ非常時ト云フモノガアリ、消費
ノ側カラ見タ非常時ト云フモノガアル、今
ノハ生產ノ場合ノ非常時デアル、此ノ米穀
統制法ト云フノハ、平常時ノ米ノ爲ノ法律
ナノデス、ソレデアリマスカラ、米ノ種類
カラ申シマスト云フト、必要米ト持越米、
其ノ二ツダケシカ取扱ハナイ、米ノ種類ガ
四ツアルノダケレドモ、二ツダケシカ取扱
ハナイ法律ダ、ソコデ外地米ガ非常ニ出來
テ內地ニ殺到シテ來タ時ニ、非常ニ問題ヲ
起シタコトハ皆樣記憶ニアルト思ヒマス、
其ノ米ガ何カト云フト、第三ノ豫備米、ソ
レハ農林省ノ持越米ヂヤナイ、ソレデ豫備
米デアルガ故ニ、內地ニ於テモ臺灣ニ於テ
モ、朝鮮ニ於テモ藏ヲ造ッテ藏ニ收メテ置カ
ナケレバイカヌ、斯ウ云フ譯デアリマス、
ソレヲ過剩米ト稱シテ居ル、實ハ過剩米ト
云フコトハナイノダガ、法律ノ名前ガ間違ッ
テ居ル、其ノコトハ此處ニ永田サンガ御イ
デニナリマスガ、拓務大臣ニ質問シタ、拓
務大臣ハ米ノ御專門家デアリマセヌカラ、
サウ云フコトハ議論シテモシヨガナイ、内
地デハ過剩ト云フコトハ一ツモアリマセヌ
ヨト言ッタ、過剩米ト云フ文字ガ間違ッテ居
ル、私ガ農林省ノ役人デアッタナラバソンナ
名前ハ附ケマセヌ、併シソンナコトハ言ッテ
モシヨウガナイ、名ハ過剩米デアリマスガ、
ソレハ剩餘米デス、詰リ剩餘米デスカラ、
金デ言ヘバ剩餘金デスネ、俸給ノ剩餘金ノ
ヤウナモノデス、又橫ヘ議論ガ行キマスカ
ラ止シマス、ソコデ米穀統制法ニ依ッテハ不
十分デアルカラ、第三種ノ豫備米ノ爲ニ米
穀自治管理法ト云フモノヲ拵ヘタ、米穀自
治管理法ト云フモノヲ拵ヘマシテ、ソレハ
朝鮮ニモ臺灣ニモ施行シテアル、サウシテ
ソレニ依ッテ內地ニモ朝鮮ニモ、臺灣ニモ
米管ノ倉庫ヲ拵ヘタ、ダガ法律ハ施行サ
レテ居リマスケレドモ、事實ナイ、適
用シナイガ故ニ、法律ハ施行サレテ居ル
ケレドモ適用シテ居ナイ、ダカラ臺灣ニ先
達テ行ッタ時ニ見タラ、倉庫ハアッテ中ハ空デ
ス、サウ云フモノガ內地ニモ朝鮮ニモ臺灣
ニモアル、米穀自治管理法ト云フ法律ハ施
行サレ、適用シタルコトナシ、今日マダ過
剩米ハ一ツモ出テ居リマセヌ、況ヤ不必要
米ハ······過剩米ト言ッチヤヲカシイ、過剩米
卽チ剩餘米、剩餘米ハ一ツモ出テ居ナイ、
農林大臣ガ御經驗ニナッテ居ナイ、日本ニ又
豫備米ガナイ、豫備米ハ要ラナイ、持越米
豫備
ト云フモノガアリマス、其書米モ日本ハ要
ラナイ、マダ法律ヲ適用シナイ、ソコデ第
三ノ、況ヤ第四ノ不必要米ト云フモノハ
マダナイ、ソコデデス、農林大臣ガ今丸山
君トノ色々御話ニナッテ居ル間ノ米ヲ是カラ
作ラウト云フノハ、其ノドレヲ一體作ラウ
ト云フ考デアルカ、不必要米迄作ル必要ハ
ナイデセウト云フコトヲ先ヅ私ハ反問ス
ル、處ガ不必要米ガ出來タ時ニドウナルカ
統制
ト云フト、現行ノ米穀法ハ先程申シマシタ
ヤウニ、是ハ平時法デス、ソレカラ米穀管
理法ハ異常時法デス、片一方ハ平時法デ片
一方ハ異常時法、ソレカラ不必要米ハ非常
時法、米ノ所謂非常時法、非常時法ハ日本
ニハ現在無シ、ソコデ不必要米ヲ作リマス
ト云フト、法律ガナイ、ソコデ今コヽノ過
剩米ダケノ所デ申シマス、豫備米······第三
段ヲ申上ゲマス、第三段ヲ作ッテ玆ニ發動シ
タ時ニドウナルカ、ソレハ現在ノ米穀管理
法ノ本體ガ適用ヲマダサレナイ、附則ガ適
用サレテ、附則ニ何ト書イテアリマスカ、
「第四十一條第一項ニ規定スル一定數量ノ内
地朝鮮及臺灣ニ對スル割當ノ割合ハ當分
ノ内同條第三項ノ規定ニ拘ラズ內地百分ノ
三十五、朝鮮百分ノ四十三、臺灣百分ノ二
十二トス」、斯ウ云フノデス、是ハ附則デス
ヨ、當分ノ內デスヨ、此ノ比率ニアル程度
デ御ヤリニナルノデスカ、ドウテスカ、又反
問セザルヲ得ナイ、比率ヲ改メルナラ法律ヲ
改正テサラナケレバイケマセンヨ、少シデモ
改メルナラ、況ヤ此ノ附則ヲ廢シテ、米穀管
理法ノ本法ヲ適用スルト云フコトニナルト、
當然法律ヲ改正シナケレバナラヌ、會期ハ
餘ス所何日アリマスカ、僅ニ七日シカアリ
マセヌ、ソコデ大體ノ問題ニマダ議論
ガ······モウ少シ行キマセウ、ソコデ今申シマ
シタ如ク第三段ノ豫備米ノ場合ト雖モ米穀
管理法ノ附則ニ付テ問題ガ玆ニマダアル、
米穀自治管理法デスヨ、サウスルト云フト、
豫備米ノ場合ニハ米穀統制法ト云フモノハ
モウ働キヲ爲サナイ、處ガ米穀統制法ノ第
四條ノ二ニ斯ウ云フコトガアル、是ハチヨツ
ト見ルト云フト、私ノ言ッテ居ル不必要米ニ
當ルヤウナコトニナリマスカラ、申スト誤
解ガ起ルカモ知レマセヌケレドモ、言ハナ
イ方ガ宜イカ知レマセヌガ、マア申上ゲテ
見マセウ、能ク御玩味願ヘバ分ルデセウカ
ラ·····斯ウ云フコトガ書イテアル、「政府ハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ災害、事變其ノ他避
クベカラサル事由アル場合ニ於テ」是ハ戰
爭トカ、震災トカノ非常時ヲ言ッテ居ル、ダ
カラサウ云フ誤解ガ起ルカモ知レママセヌ
ガ、說明スレバ分リマセウ、「事由アル場合
ニ於テ米穀ノ配給上特ニ必要アリト認ムル
トキハ米穀ノ市價ニ惡影響ヲ及ボサザル場
合ニ限リ所有米穀ノ總數量ヨリ最高價格ヲ
維持スル爲必要ナル數量」斯ウ云フ條件ガ
附イテ居ル、「必要ナル數量ヲ控除シタル數
量ノ範圍內ニ於テ道府縣ニ對シ米穀ノ賣渡
ヲ爲スコトヲ得」斯ウ云フノデス、是ハ持
越米ノ範圍內ノ問題デス、米ノ種類カラ申
シマスト云フト、持越米ノ問題、サウ云フ譯デ
アリマスカラ、是ハ持越米ハ第二位ノ米シカ
使ヘナイノデスカラ、是ハ適用アリマセヌカ
ラ大臣能ク御承知デセウ、ソコデ第三種類、
第四種類ノ米ニナリマスト云フト法律ガ要リ
マス、ソレカラ私ハ斯ウ云フコトヲ申スノデ
ス、大臣ガ今考ヘテ居ラレルコトハ何ヲ考ヘ
テ居ラレルカ知リマセヌガ、其ノ豫算ヲ衆
議院ニ御出シニナッタ場合ニ、米穀ノ管理法
ガマダ適用ノナイ今日······管理法ノ適用ノ
アル時ニハ內地ノ農村ハ騒グ時デスヨ、附
則ノ適用ガアル時デスヨ、內地ノ農村ニ非常
ナ問題ヲ起ス所ノ米穀自治管理法ノ附則ノ
問題ニ觸レテ來ル場合ト雖モ、容易ニ衆議
院ハソンナコトヲ贊成スルモノデアリマセ
又、豫算ヲ出シテ御覽ナサイ、私ハ明言シ
テ置キマス、必ズ通リマセヌ、法律ノ準備
モ出來テ居ナイ會期餘ス所七日ノ間ニ法案
ヲ御出シナサイ、丸山君ガ米ノ問題ニ付テ
砂糖ノコト迄問題ヲ引キ付ケテ統制法ノ砂
独ノ盛令ノ内容ヲ示セト迄要求シテ居ル、
私ハ當然法律ノ內容ヲ御示シナサイト云フ
コトヲ要求シテ置ク、丸山君ガ重要ナル問
題ト考ヘテ繰返シ繰返シ質問スルノモソコ
デス、御示シニナル必要ガアリマス、此ノ
七日間ニ出來マスカ、豫算ヲ衆議院ガ贊成
シマスカ、法律ハ誰ガ贊成シマスカ、七日
ノ間ニ衆議院ガ之ヲ協シ貴族院ハ玆ニ
斯ウ云フ案ヲ持ッテ居ル、其ノ上ニアナタガ
是カラ呼ビニ來タト云フ處ヘ出掛ケテ行
ク、マダ此ノ外配給法ヲヤルノデスヨ、サ
ウ云フ餘地ガアリマスカ、私ハマダ言ヒタ
イコトガアリマスケレドモ、十一時ニナル
カラ私ハ止メマス、大臣答辯ナサイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/11
-
012・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 只今多年此ノ米
穀問題ヲ實際御取扱ニナッテ居リマス、松村
委員カラ詳細ナル御高說ヲ拜聽致シタノデ
アリマス、事實御說ノ通リデアリマシテ、
私ハマダ此ノ各法案ノ從來ノ經緯其ノ他ニ
付キマシテハ、甚ダ何デアリマスケレドモ、
能ク存ジテ居リマセヌ次第デアリマス、併
シナガラ先日モ申シマス通リ、本日モ申上
ゲマシタ通リ、米ノ政策ヲ立テマス場合ニ
於テハ、日本內地ノ農民ノ立場モ能ク考ヘ
ナケレバナリマセヌ、又日本全國ノ需給關
係モ能ク考ヘナケレバナリマセヌ、故ニ度
度申上ゲマス通リ、内地、外地ヲ通ジテ、而
シテ一定ノ數量ヲ持越シ、又ソレニ多少ノ
豫備ヲ、斯ウ云フ時期デアリマスカラ豫備
ヲ見テ置キタイ、斯ウ云フ風ニ考ヘマシテ、
斯ウ云フコトヲ申上ゲテハ何デアリマスケ
レドモ、私ガ任官ヲ致シマシタ時ニハ、此
ノ需給關係ハ、本年度ノ末ニ於テハ八百八
萬石ト云フ持越ノ豫想デアッタノデアリマ
ス、併シナガラ斯ウ云フ際デアリマスカラ、
サウ云フ場合ニハ、ドウシテモ千萬石内外
ハナクテハナラヌ斯ウ云フ風ニ考ヘマシテ
計畫ヲ立テテ來タノデアリマス、是ガ若シ
千五百萬石トカ二千萬石トカ云フヤウナ剩
餘ガ殘リマスト云フト、嘗ッテノ昭和八九年
ノ如キ實情ヲ起シマシテ、是ハ餘程注意シ
ナケレバナラヌコトデアリマス、今日ハ申
ス迄モナク農村ノ大部分ノ人ガ重工業ニ從
事シ、或ハ出征兵士トシテ出テ居リマスガ、
是ハ次第ニ私ハ或時期ニハ歸農サレルモノ
ト思ヒマスガ、其ノ時ノコトモ考ヘテ、サ
ウシテ色々ナ方面ヲ考ヘ合ハセマシタ結
果、大體今日ノ計畫デ宜イト考ヘテ斯樣ニ
立案致シタ次第デアリマス、丁度此ノ立案ヲ
私ガ計畫致シマシテ、經濟部長會議ヲ開キ、
或ハ當事者ヲ呼ビ、色々ナコトラ致シテ居
リマス際ニ、只今御讀上ゲニナラレマシタ
百三十萬石ト云フ消費減ガ出マシタ、此ノ
消費減ノコトニ付キマシテモ、其ノ實績ノ
現レナイ前カラ、此ノ問題ニ付キマシテハ
左樣ナル事實ガ現レテ來ルデハナイカト思
フ多少ノ原因ガアッタノデアリマス、今新聞
ヲ御讀上ゲニナリマシタ以外ニ、或種ノ原
因モ含ンデ居ルノデアリマス、ソレハ只今
申上ゲルコトヲ差控へタイト思ヒマス、從
ヒマシテ本年ノ繰越米ハ恐ラク相當ノ數ニ
上ツテ來ルデハナカラウカ、又左樣ナ消費
減ノナイ時ニ組ミマシタ豫定ガ九百二十二
萬石ノ持越シデアリマスカラ、若シ今ノヤ
ウナ事柄ガアリマスレバ、更ニ增加ヲ致ス
カト思ヒマスガ、併シ斯ウ云フ場合ニ於テ、
萬ガ一ニモ不足シテハ相成ラヌノデアリマ
シテ、萬違算ナキヲ期スル爲ニ增產計畫ノ
方ニ付キマシテハ、案ヲ具シテ御審議ヲ煩
ハスコトニ致シマシテ、モウ既ニ衆議院ニ
提案ヲ致シテ居ルヤウナ次第デアリマス、
此ノ法案ニ付キマシテハ、前ニドウ云フ御
要求ガアリマシタカハ存ジマセヌガ、農林
省ニ關スル限リ、非常ナ苦心ヲ經タ問題デ
アリマシテ、今御話ノ通リナ成行キニナツ
テ居リマスルノデ、此ノ從來ノ法案ト云フ
モノハ十分活用致シタイト思ヒマスルト同
時ニ、前ニ決定サレタ此ノ法文ノ趣旨ニ付
キマシテハ十分尊重シテ行キタイト斯樣ニ
思ッテ居ルヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/12
-
013・松村義一
○松村義一君 私モ先達テ農林大臣、拓務
大臣御一緒ニ御出席ニナッタ場合ニ、御二方
ニ一ツ御尋ヲ申シタイト考ヘテ居リマシタ
ガ、其ノ際直グ農林大臣ハ御退席ニナッタ
ノデアリマシテ、唯拓務大臣ダケニ就テ自
分ノ質問ヲ續ケタノデアリマス、拓務大臣
ニ對スル質問ハソレデ宜イノデアリマスガ、
農林大臣ニハ未ダ續ケテ幾ラカ御尋ネ申上
ゲタイト思ッタノデアリマスガ、併シ其ノ時
御退席ニナッタカラ出來ナカッタノデアリマ
ス、其ノコトハ委員長御承知ノ通リデアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/13
-
014・大隈信常
○委員長(侯爵大隈信常君) 次ノ場合ニ
ツ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/14
-
015・松村義一
○松村義一君 ソレデゴザイマスカラ私若
シ大臣ガ非常ニ御忙シケレバ、御忙シケレバ
大臣デナクトモ宜シイノデゴザイマスガ、
農林省ノ政府委員ノ御方デモ宜シイノデゴ
ザイマスガ、何時デモ······私ハ大シテ時間
ハ取ラナイ、極ク僅カナ時間デ宜シイ、ソ
レデチヨット御尋ネ申上ゲテ見タイト斯ウ
思フノデスガ、今日デナクトモ宜シウゴザ
イマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/15
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016・大隈信常
○委員長(侯爵大隈信常君) サウデスカ、
如何デセウカ、大分委員會モ長ク續キマシ
テ、最早今日デ七囘ニ達シテ居リマスルシ、
無論未ダ御質問モアリマセウ、唯大體ノ御
質問ハ終ッタヤウニ考ヘマスノデ、此ノ場
合一時當局ノ御退場ヲ願ッテ、御懇談的ニ議
事ヲ進行シテ戴クヤウナコトニシテハ如何カ
ト斯ウ思ヒマスガ、御異議ゴザイマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/16
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017・綾小路護
○子爵綾小路護君 私ハ臺灣ノ御當局ニ細
カイコトデスガ、伺ッテ見タイト思フノデ
スガ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/17
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018・大隈信常
○委員長(侯爵大隈信常君) ソレハ後ノ機
會ニ御質問ヲ願ッテ差支ナイノデスガ、一應
御懇談ヲ願ッテ、議事ヲ進メテ見タイ、斯ウ
思ヒマスガ、如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/18
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019・松村義一
○松村義一君 私モ今ノ委員長ノ御配意ニ
對シテ反對ヲ申上ゲル譯デハゴザイマセヌ
ガ、今申上ゲタヤウニ農林省ニ付テモ僅カ
ナ質問ガ殘ッテ居ル、ソレカラ又拓務省關
係若シクハ臺灣總督府當局ノ方々ニ對シ
テモ質問ハ幾分カ私モ持ッテ居ル、他ノ諸君
ニハドウデアルカ存ジマセヌガ、私ハ少ク
トモ其ノ上ニ······先達テモ非公式ニ申上ゲ
タノデゴザイマスガ、總理大臣ニ御尋ヲ申
上ゲタイコトガアルノデ、御出席ヲ願ッテ
質問ヲシヨウト思ッテ居リマス、併シ私ノハ
何レモサウ長イ時間ハ取ラヌト思ヒマス、
併シナガラサウ云フ質問ガアルノデゴザイ
マスカラ、從ッテ其ノ質問ヲ全部終ルニ非
ズンバ、此ノ案ガ贊成スベキデアルカ、或
ハ反對スベキデアルカト云フコトハ決メラ
レナイコトデアル、ソレダケノ御含ミヲ願ッ
テ置キタイ、併シナガラ兎ニ角議事ノ進行
ニ付テ懇談ヲ爲サルト云フ御趣旨ニハ決シ
テ反對デハゴザイマセヌガ、今ノ申上ゲタ
コトヲ能ク御含ミ置キヲ願ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/19
-
020・風間八左衞門
○風間八左衞門君 只今委員長ノ御話ニナ
リマシタノハ、別ニ質問ノ御アリニナル方
ヲ今ドウト云フヤウナ御意思デナイト私ハ
思ヒマス、無論質問ノアル方ガ是カラドノ
位アルカ、ソレニ依ッテ午前、午後或ハ夜ニ
ナッテモ委員會ヲ御繼續サレルカ、サウ云
フ風ナ御考ノ爲ニ一應何ト申シマスカ、懇
談ヲナサル、斯ウ云フ御意思ニ承知シテ居
ルノデ、委員長ノ御意思ニ依ッテ御懇談ヲ
爲サルコトニ贊成ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/20
-
021・大隈信常
○委員長(侯爵大隈信常君) 風間君ノ御話
ノ通リノ意思デゴザイマス、大分時期モ切
迫シテ居リマスルシ、明日ハ澤山法案モ衆
議院ノ方カラ來ルト云フ話デアリマスカ
ラ、一應整理ヲシテ置キタイト云フヤウニ
考ヘルノデアリマス、ソレデ御願シタ譯デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/21
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022・稻田昌植
○男爵稻田昌植君 御趣旨ハ能ク分リマシ
タノデアリマスガ、綾小路子爵及ビ松村君
カラ御申出ガアッタヤウニ思ヒマス、松村委
員ノハ總理大臣ノ御要求ガアルヤウデアリ
マス、松村委員ノ御質問ノ殘リノ部分及ビ
綾小路子爵ノ御質問ノ分ハ出來ルダケノ工
夫ヲ講ジテ下サイマシテ、農林省或ハ拓務
省ノ政府委員、總督府ノ政府委員ガ見エテ
居リマス、出來ルダケ早ク其ノ分ダケ取敢
ズ御片付ケニナリマシテ、或ハ今日デモ、
明日一杯デモ私ハ宜カラウト思ヒマス、ソ
ンナ風ニ御進行ニ相成リマシテハ如何カト
存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/22
-
023・綾小路護
○子爵綾小路護君 只今私ノ發言ニ對シテ
稻田男爵カラ御話ガゴザイマシタガ、私ノ
質問ハ極ク簡單デゴザイマス、五分カ十分
デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/23
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024・大隈信常
○委員長(侯爵大隈信常君) ソレデハ綾小
路サンノ御質問ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/24
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025・綾小路護
○子爵綾小路護君 私ハ斯ウ云フコトヲ伺ッ
テ見タイノデス、移出米ガ管理サレルコト
ニナリマスルト米價ハ下ル、從ッテ小作料モ
下ッテ來ルコトハ當然ダト考ヘマス、ソコデ
其ノ下ッタ分ダケノ利益ハ他ノ方面ニ向ケ
ラレルト云フ非難ガアルノデアリマスルガ
政府ハ之ニ對シマシテ、其ノ利益ハ農家ニ
還元スルノデアル、卽チ農業上ノ〓究機關、
若シクハ其ノ助成機關等ニ充當スルノデア
ル、斯ウ申サレテ居ルノデアリマスルガ、
サウ云フ間接ノモノデナクシテ、直接農民
ニ現實ニ均霑サスト云フ方法ハナイモノデ
アリマセウカ、若シソレガアリトシタナラ
バソレヲ御示シニナレバ農民ノ感情上、又
統治ノ上カラ云ッテモ宜イコトデハナイカ
ト思ヒマス、御意見ハ如何デゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/25
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026・田端幸三郎
○政府委員(田端幸三郞君) 米穀移出管理
ニ依リマシテ得タ利益ヲ農村ニ還元スルニ
付テ、最モ農民ノ直接ニ利益ニナルヤウナ
施設ニ向ケルト云フコトハドウカト云フ御質
問ノヤウニ伺ッタノデアリマス、大體私共豫定
シテ居リマスル事業ハ、土地ノ改良、或ハ干
拓事業、或ハ灌漑排水ヲ良クスル、又土地其
ノモノヲ助成スルト云フヤウナ爲ニ約五千
萬圓程度、耕地、防風林ノ造成、是ハ度々
申上ゲマシタヤウニ臺灣ニハ非常ニ季節風
ガ襲フノデアリマス、之ガ爲ニ米及ビ他ノ
一般農作物ガ被害ヲ蒙ッテ居ルノデアリマ
ス、之ヲ今後助成致シマシテ徹底的ニ普及セ
シメタイト思ッテ居ルノデアリマス、ソレニ
ハ約四百萬圓程度、ソレカラ臺灣ノ肥料ガ、
農民ノ施肥ノ知識ガマダ幼稚ナノデアリマス、
相當金肥モ使ッテ居リマスガ硫安ガ宜ケレ
バ硫安ト云ッタヤウニ土壤ノ關係其ノ他ヲ
餘リ〓究シナイデヤッテ居ルノデアリマス、
ソレ等ノ土壤ノ調査、從ッテ各地ニ亙リマ
シテ適地適作、適作適肥ト云ッタヤウニ最
モ合理的ノ施肥ヲヤリタイ、ソレニ對シマ
シテ約三百萬圓程度、其ノ他有用作物奬勵、
棉トカ、黃麻、苧麻、蓖麻、諸ト云フヤウ
ナ物ニ對スル作物ツ試驗費デアルトカ、或
ハ奬勵費デアルトカ云フモノニ千二三百萬
圓ヲ充當致シタイト思ッテ居リマス、サウ云
フヤウニ主トシテ此ノ直接ニ農民ニ影響ヲ
與ヘマスル農村ガ直接ニ段當リノ收量ヲ上
ゲルナリ、或ハソレガ爲ニ耕地面積ガ益〓改
良セラレマシテ行クト云フヤウナ施設ニ、
主トシ充當致シタイト考ヘルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/26
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027・綾小路護
○子爵綾小路護君 モウ一ツ伺ツテ見タイ
ノデアリマスガ、先達テ來ノ質問應答ニ依
リマシテ、所謂中間搾取ノ土壟間ト申シマ
スカ、籾摺業者ガ其ノ橫暴ガヒドイ、殊ニ
目ニ餘ルヤウナコトヲ致シテ居ル、斯ウ云
フコトヲ伺ッタノデアリマスガ、殊ニ彼等ガ
金融ニ迄モ喰入ッテ、サウシテ農民ヲ搾取ス
ル、斯ウ云フコトハ他ノ植民地ノ方面ニモ
私ハアルト思ヒマスガ、其ノ金融方面ニ喰
入ルト云フニハ、ソコニ何カ金融上ノ缺陷
ガアルノヂヤナイカ、斯ウ考ヘルノデアリ
マス、ソコデ總督府ト致サレマシテハ、何
等カソコニ特別ノ金融、斯ウ云フ方面ノ金
融ハ内地ニ於テムヅカシイノデアリマスガ、
殊ニ植民地邊デハ非常ニ困難デハアリマス
ルガ、特殊ノ何カ金融ノ途ヲ開カレルヤウ
ナコトガ出來ナイモノデアリマセウカ、全
ク拱手傍觀シテ居ルト云フコトモ出來ナイ
デアラウト思ヒマスガ、此ノ點ニ付テノ農
村ノ實情ト對策ヲ承リタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/27
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028・田端幸三郎
○政府委員(田端幸三郞君) 御尤ノ御質問
デアリマシテ、臺灣ノヤウナ民度ノ低イ所
デハ、今申シマシタヤウニ金融業者ガ非常
ニ高率ノ金利ヲ取ッテ居ルト云フヤウナコ
トデ、是ハ內地デモ間々サウ云フコトヲ聞
キマスノデ、臺灣デモ農村ニ限リマセヌ、
漁村デモ非常ニヒドイヤウデアリマス、之
ニ付キマシテハ、銀行業モ相當普及ハシテ
居リマスルガ、是ハ何ヲ申スノニモ貸付其
ノ他ガ餘程信用ナリ、或ハ擔保ト云フコト
ニ重キヲ置イテヤッテ居リマスカラ、今申上
ゲマスヤウナ農民、小百姓ニハ一向關係ハ
ナイノデアリマス、是等ハドウシテモ農民
ヲ構成分子トシテ作ル信用組合、最近ハ各
種ノ仕事モ兼營シテ居リマスルガ、是等ノ
產業組合ノ普及ト云フコトガ非常ニ必要デ
アリマス、大體臺灣ニ於キマシテハ、金融
ト云フ頭ガ非常ニ發達シテ居リマスカラ、
經濟觀念ガ發達シテ居リマスノデ、存外產
業組合ノ如キハ普及シテ居リマスガ、併シ
一面非常ニ個人主義デアルトカ、或ハ自分
ガ宜ケレバ宜イト云ッタヤウナ我利々々、我
利的ナ考ガ多イ、或ハ自分ノ一族ノ者、サ
ウ云フ者ニ對シテ偏頗ナ處置ヲスルト云フ
ヤウナ狀態デアリマシテ、產業組合ノ運用
上、所謂精神的ノ團體デアル、精神的ノ結
合デアルト云フヤウナ本當ノ意味ガ十分發
揮サレテ居リマセヌノデ、是等ニ付キマシ
テハ、今後朝鮮ノ金融組合等ノ實績等モ大
イニ考慮致シマシテ、臺灣ノ實情ニ適シタ
ヤウナ組合ヲ造リ上ゲタイ、ソレデ產業組
合ノ普及ニウント力ヲ入レテ、ソレニ依リ
マシテ今申上ゲタヤウナ農村ノ金融ニモ十
分貢獻セシメヨウト云フコトデ、ソレト相
俟ッテ臺灣ニハマダ產業組合ノ聯合會ガ出
來テ居ラヌノデ、ソレ等モ造リマシテ、全
島ガ有機的ニ農村金融ニ資スルヤウニ指導
シタイト考ヘテ居ル次第デアリマス、又
面臺灣デモ最近農業倉庫、或ハ產業組合ノ
經營ノ倉庫等ガ漸次普及シテ參ッテ居ルノ
デアリマシテ、恐ラク米穀管理ノ實施ニ伴
ヒマシテ、是等ノ施設ガ一段ト進展スルダ
ラウト思ッテ居ルノデアリマス、サウ致シマ
スレバ農村ノ金融ガ漸次圓滿ニナリ、又農
村、農民ノ爲ニ最モ圖ッテ居ル又圖ルベキ比
較的公平ニ運用ノ出來ル產業組合ノ倉庫、
農業倉庫ト云フヤウナモノノ普及ニ連レマ
シテ、漸次是等ノ金融モ常道化シヤシナイ
カ、又其ノ方ニ極力努力致シタイト考ヘテ
居ルヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/28
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029・小林嘉平治
○小林嘉平治君 只今ノ質問ニ關聯シマシ
テ、私根本的ニ臺灣當局ニ伺ッテ見タイ、此
ノ法案ハ私共ノ見ル所ニ依リマスト、內地
ノ米穀政策ニ對應シテ出來マシタ、又具體
的ニ言ヒマスト、衆議院ニ於キマシテモ、
此ノ內地ノ米穀政策ヲ立テル上ニ於テハ、外
地米ニ付テ考慮ヲセニヤナラヌト云フコト
ハ希望決議等モ屢〓付ケテ此ノ議案ガ通ツ
テ居ッタノデアリマス、サウ云フコトニモ考
慮セラレマシテ、今日是ガ出來上ッテ來タ、
而モ其ノ道ニ練達ナ經驗ノアル御方々ノ調
査會ノ議ヲ經テ出來上ッテ居ルノデアリ、非
常ニ結構ナ案デアルト思ッテ居ル、而モ世ノ
中ニハ非常ニ誤リ傳へラレテ、一ツニハ此
ノ二圓ノ鞘ヲ取ルト云フコトガ、所謂外地
ノ國民ヲ差別待遇スルノデアル、從ッテ統治
上ニ大イナル惡影響ガアルト云フコトガ一
ツト、ソレカラ第二ニハ此ノ米ノ增產ヲ奬
勵シテ居ル時ニ、米ノ値段ヲ抑ヘルト云フ
ヤウナコトハ採ルベキ途デナイ、此ノ二ツ
デアル、而モ此ノ誤解ハ相當知識階級ノ人
ニモ及ンデ居ルノデ、又一應尤モニハ聞エ
ルノデアリマス、ソコデ第二ノ米ノ增產ヲ
抑ヘルト云フ點ニ付テハ、當局ノ詳シイ說
明ニ依リマシテ、······私共トシテハ其ノ點
ニ疑念ヲ持ッタノデアリマスガ、ハッキリト、
サウ云フコトハ決シテナイト云フコトガハッ
キリセラレタ譯デ、殊ニ臺灣ノ本島民ノ、モ
ウ現實其處ニ於テ仕事ニ從事シテ居ルノデア
ルカラ、斯ウ云フ點ニハ臺灣當局ノ仰セラレ
ル通リ、疑問ノアル道理ハナカラウト私ハ
信ジテ居ル、殘ル問題ハ第一ノ差別待遇ノ
問題、二圓ノ鞘ヲ取ルト云フコトガ誤解シ
テ傳ヘラレルノデアリマス、モウ少シ根本
的ニ考ヘラレマシテ、今日ノ臺灣トシテハ
一ツ日本ノ此ノ米穀統制法ニ準ジテ、臺灣
獨自ノ立場カラ米ノ最高最低値段ト云フモ
ノヲ御決メニナル、適正ナル價格ト云フモ
ノヲ見出サレテ、サウシテ買上ゲル、斯ウ
云フ方法ヲ御採リニナッタナラバ、私サウ云
フ誤解ハ免レテ宜カラウト思ヒマス、サウ
云フコトニ付テ當局ハ考慮サレタコトガア
ルカ、斯ウ云フコトヲ第一ニ御尋ネシタイ
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/29
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030・田端幸三郎
○政府委員(田端幸三郞君) 二圓ノ利鞘ト
云フコトヲ申上ゲマシタ爲ニ、其ノ數ガ常
ニ中心ニナルコトデアリマスガ、私共此ノ
買上價格ヲ決定スルニ付キマシテハ、勿論
權威ノ有ル委員會等ヲ常設致シマシテ、其
ノ議ヲ經テ愼重ニ決メタイト思フノデアリ
そう、ソレニハ臺灣ノ此ノ米ヲ初メ、他ノ
一般產業ガ最モ調整ノアル發展ヲシテ、他
ノ產業モ伸ビ易イヤウニ、サウスルコトニ
依ッテ臺灣ノ農村ノ繁榮ヲ來ス、而モ內地ノ
米ノ政策ニモ出來得ル限リ適應シ對應シ、
又今日ノ時局柄各種ノ有用作物モ奬勵シタ
イ、斯ウ云フヤウナ立場カラ、如何ニ買上
ゲルカト云フコトヲ決メルノデアリマシテ、
ソレ等ノ色々ナ農民ノ今ノ收入ノ狀態、又
米一石當リノ生產費、內地ニ於ケル市價ト
カ、或ハ既往ノ米價ノ動キ、又他ノ作物ニ
轉換スルニ成ルベク都合ノ好イヤウニ、而
モ一面ニ於テ農家ノ收入ニ急激ナ變化ヲ與
ヘナイヤウニ、漸進的ニ行クト云フヤウナ、
色々ナ方面カラ考慮致シマシテ、マア大體
二圓ノ見當ト云フコトハ、是等ノ各方面カ
ラ眺メテ最モ妥當デハナカラウカ、而モソ
レガ臺灣ノ經濟的ノ現情トシテハ適正ナル
米價デハナカラウカ、斯ウ云フヤウニ考ヘ
テ居ルノデアリマス、大體臺灣ノ米價ハ矢
張リ蓬萊米ガ中心デアリマシテ、蓬萊米ガ
矢張リ內地ノ市價ニ依ッテ動ク、臺灣獨自ノ
米價ヂヤナシニ動イテ居ルヤウナ次第デア
リマス、ソレヲ最高最低ヲ作ッタラドウカト
云フ御示シデアリマスガ、大體二圓ヲ引下
ゲルト云フコトハ、先刻來申上ゲマシタヤ
ウナ所カラ、サウスルコトガ此ノ米穀管理
ノ各種ノ目的ヲ達成スルノニ最モ妥當デハ
ナイカ、適切デハナイカト云フノデヤッテ居
ルノデアリマス、臺灣デ最高最低ヲ決メル
ト云フコトハ、勿論此ノ買上價格ト相關聯
シテ考ヘナケレバナラヌコトデアルカモ知
レマセヌガ、マダソコ迄ハ實ハ考ヘテ居ナ
イノデアリマシテ、ソレハ多ク內地ニ依ッテ
動イテ居ルヤウナ事情デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/30
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031・小林嘉平治
○小林嘉平治君 私ノ見ル所ニ依リマスト、
此ノ御調べ下スッタ今ノ生產費ノ調査ニ依
リマシテモ、臺灣ト內地トハ一石ニ付キマ
シテ七、八圓ノ差ガ生產費ニ於テアルノデ
アリマス、ソレカラ又內地ト臺灣ト、-體
國費ノ負擔關係ニ於テ、ドウ云フ差ガアル
カト云フコトヲ御調ベ願ヒマシタ、此ノ表
ニ依リマスト、國稅ニ於キマシテ、又地方
稅ニ於キマシテ、內地民ヨリハ島民ノ方ガ
半分若シクハ其ノ以下ノ負擔デアル、斯ウ
云フヤウナコトヲ色々併セ考ヘマスト、恐
ラク臺灣獨自ノ立場ニ立ッテ、適正ナ價格ヲ
見出サレルト云フコトニナッタナラバ、其ノ
差ハ私ハ二圓ヤ三圓ノ差デハナカラウト思
ヒマス、ガ併シ先刻ノ御答辯ニ依リマスト、
臺灣獨自ノ立場ニ立ッテ、此ノ適正ナル價格
ヲ見出スコトハ困難デアル、結局內地ノ相
場ニ依存スルノデアル、斯ウ云フ最後ノ結
論デアリマス、ソコデ私思ヒマスコトニハ、
內地ノ米穀政策ノ結果ガ、臺灣ノ米穀ニ大
イナル影響ヲ與ヘテ居ル、言ヒ換レバ島民
ニ······臺灣ノ農民ニ非常ナ恩惠ヲ與ヘテ居
ル、斯ウ云フコトヲ言ヒ得ルノデアリマス、
ソコデサウ云フ意味カラ考ヘマスト、今ノ
二圓ノオ金ハ內地ノ米穀政策ニ對スル恩惠
ニ報ユル所以デアルト云フコトニモ解釋ガ
出來ルノデアリマシテ、サウシマシタナラ
バ、純理論カラ言ヒマスト、私ハ其ノ得ラ
レタ差額ノオ金ト云フモノハ、現ニ此ノ米
穀法ニ依ッテ特別會計ヲ立テテ、損失ヲ澤山
持ッテ居ルノデアリマスカラ、ソコヘ御返シ
ニナルト云フコトガ純理論トシテハ、本當
デハナカラウカ、斯ウ私思ッテ居ルノデア
リマス、確カニ斯ウ云フ理窟ハ成リ立ツ、
而モ臺灣當局ハ臺灣統治ノコトナゾ色々
御考ニナッテ、理論ハサウデアルケレドモ、
矢張リ統治上ノ關係カラ、ソコニ得タオ金
ハ直接、間接ニ農民ノ利益ニナル施設ヲシ
タラ宜カラウト云フ親心カラ是ハ出テ居ル
ノデアル、而モ其ノ二圓ヲ取ルト云フコト
ニ依ッテ、非難ガアルト云フコトハ所謂過ギ
タルハ及バザルガ如シト言ヒマスカラ、餘
リ親心ガ過ギテ、恩ニ狃レル結果ガ、是八
極ク平タイ言葉デ申上ゲルノデアリマスガ、
ソンナ色々ナ誤解ナリ議論ガ臺灣島民ノ間
ニ現レテ來ルト私ハ思フノデス、ソコノ處
ハ臺灣當局ニ於テハ如何ニ御考ニナリマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/31
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032・森岡二朗
○政府委員(森岡二朗君) 本案ニ依リマシ
テ、石二圓ノ價格ヲ減ゼシメ、ソレヲ總督
府ノ方ガ利鞘トシテ取得スルト斯ウ云フコ
トダケヲ申シマスレバ、如何ニモ本島人ニ
對シテ非常ニヤリ方ガ慘イト云フ風ニ見ラ
レル譯デアリマスガ、併シ其ノ收益ヲ以
テ、農村ニ還元スル、島民ノ永遠ノ福利ヲ
增進スルト云フコトデアリマスノデ、從ッテ
先刻申上ゲマシタコトト存ジマスガ、本案
ハ私共單ニ經濟問題或ハ產業問題、斯ウ云
フ風ナコトタケデハナクシテ、道義的觀念、
道德的見方カラモ、是ハ十分ニ御考慮ヲ願
ヒ得ルコトト思フ、私共島民ノ眞ノ福利增
進ト云フ正シイ考ヘ方カラ致シテ居ルノデ
アリマシテ、從ッテ本島民ガ此ノ眞意ヲ知ル
ナラバ、決シテ不安ハ來タサナイ、寧ロ喜
ンデ臺灣統治ニ悅服シマシテ、而シテ能ク
唱ヘラレマスル東亞新建設ニ對シマシテ、
十分ニ寄與シ得ルカト存ズルノデアリマシ
テ、卽チ我ガ國ノ植民地政策ハ新附ノ民ニ
對シテ是ダケノ非常ナ恩惠ヲ與ヘテ居ルト
云フコトガ本島人ニ分リ、而シテ本島人ヲ
通ジテ大陸方面ニ分レバ、我ガ國ノ本當ノ
精神ガ明カニナッテ來ルト斯ウ考ヘテ居ル
次第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/32
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033・小林嘉平治
○小林嘉平治君 大體ニ於テ私共ノ氣持ト
臺灣當局ノ氣持ハ一致シテ居ルト諒承致シ
やく、元來今ノ差別待遇ヲスルトカ云フヤ
ウナ問題ノ起キマシタコトハ、此ノ一視同
仁ト云フ意味ニ非常ニ誤解ガアル、今ノ如
何ニモ一視同仁デナケレバナラヌノデアリ
マス、アリマスルガ、詰リ平等ト云フコト
ニハ差別ヲ離レタ平等ハナイノデアリマス、
所謂差別ヲ離レタル平等ハ惡平等デアリマ
え、ソンナ意味カラ我々ハ嘗テ此ノ問題ニ
觸レテ論議ガ屢〓繰返サレタノデアリマス
ルガ、我々內地ノ農民ノ立場カラ云フト、我
我ガ差別ヲ受ケテ居ルノデアリマス、生產
費ハ先刻申上ゲタヤウニ違フ、米ニ對シテ、
サウシテ而モ米質ノ違ヒニ依リマシテ多少
値段ハ違ヒマスガ、兎ニ角同ジ値段デソレ
ガ賣レ行クヤウナ政策ヲ何故採ラニヤナラ
ヌカ、ソコニハッキリシタ區別ガアルノハ當
リ前ノ話、ソレデ差別待遇ヲ叫バンナラヌ
ノハ寧ロ我々內地農民デアルト云フコト
ヲ、其ノ時ニ私共ハ强調シテ置イタノデア
リマス、今漸クサウ云フ點ニ目覺メラレ
テ、臺灣當局ガ進ンデ斯ウ云フ案ヲ御出シ
ニナルコトニ相成ッタト云フコトハ誠ニ私
共ハ慶バシイコトデアリマス、一ツドウカ
此ノ一視同仁ト云フ意味ノ取違ヒノナイヤ
ウニ、差別ヲ離レタル平等ト云フモノハナ
イ、所謂差別ヲ離レタル平等ハ惡平等デア
ルト云フ頭ヲ一ツ根本的ニ臺灣ノ島民ニ植
付ケテ戴クコトガ、是ガ極必要デアルト思
ヒマス、是デ以テ私ノ質問ハ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/33
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034・稻田昌植
○男爵稻田昌植君 議事進行デ委員長ニチ
ヨット御伺ヲ致シタイノデスガ、先程風間委
員カラ言ハレタヤウナ意味デ委員長ガ議事ノ
整理ヲ爲サイマシテ、其ノ結果綾小路子爵ト
松村君ノ御申出ガアリマシタ、綾小路子爵
ノハ終了ニナリマシタガ、ソレニ關聯シテ今
小林委員カラ御發議ガアッテ是モ終了致シマ
シタ、サウスルト差當ッテ殘ッテ居ラルノハ松
村委員ダケノ積リノヤウニ思ハレマスガ、
總理大臣及農林、拓務兩省ノ政府委員ニ御質
問ガアルヤウデアリマスルガ、ソレニ依ッテ
政府委員ノ都合及總理大臣ノ都合デ、午後、
或ハ明日御開キニナル豫定デアリマスカ、
其ノ御返事ヲ伺ヒマシテ、又チヨット私一言
申上ゲタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/34
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035・大隈信常
○委員長(侯爵大隈信常君) 今日ハ御約束
シタ通リ是デ散會スル積リデアリマス、明
日ハ御都合デ皆樣御相談ノ上デ開キタイト
思ヒマスガ、松村君ハ御用ガアッテ明日ハ御
出掛ケガナラヌヤウデスカラ、明後日總理、
政府委員ガ御出席ニナルト云フコトニナッテ
居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/35
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036・稻田昌植
○男爵稻田昌植君 御趣旨諒承致シマシタ
ガ、サウシマスト明日松村委員ノ御都合デ
御開キニナラヌト云フコトデアレバ、ソレ
モ宜シカラウト思ヒマスガ、外ニ若シモ質
問ノ方ガ御アリデアリマスナラバ、矢張リ
議事ヲ愼重ニ進行サセル意味デ、明日御開
キニナッテ宜シカラウト思フノデアリマス
ガ、松村委員以外ニ御質問者ガ差當ッテ無イ
ト云フノデアルナラバ、明日本會議ガアリ
マスケレドモ、御休ミニナッテ宜シカラウト
思フノデアリマス、ソレヲ御諮リニナリ
マシテハ如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/36
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037・丸山鶴吉
○九山鶴吉君 モウ私ハ質問ガナイト云フ
風ニ御考ヲ願ハレマシテハ困ルノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/37
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038・大隈信常
○委員長(侯爵大隈信常君) 無論··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/38
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039・丸山鶴吉
○九山鶴吉君 ソレデ矢張リ明日御開キ下
サイマシタナラバ、ドウカト思フノデスガ、
私ハモウ一ツハ本會議デモチヨット述べマ
シタガ、會計法ノ問題デ大藏省ノ政府委員
ニ對シテモ簡單ナ質問デゴザイマスケレド
モ、確メテ置キタイ、又總督府ニモ一二質
問申上ゲタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/39
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040・大隈信常
○委員長(侯爵大隈信常君) ソレデハ今日
ハ此ノ程度デ散會シテ明日ハ十時カラ開會
致シマス
午前十一時四十一分散會
出席者左ノ如シ
委員長侯爵大隈信常君
副委員長伯爵黑木三次君
委員
侯爵細川護立君
子爵八條隆正君
子爵松平康春君
子爵綾小路護君
松村眞一郞君
永田秀次郞君
男爵稻田昌植君
男爵松田正之君
松村義一君
丸山鶴吉君
長岡隆一郞君
松本眞平君
林平四郞君
小林嘉平治君
風間八左衞門君
國務大臣
農林大臣櫻內幸雄君
政府委員
拓務參與官江藤源九郞君
拓務省管理局長副島勝君
拓務省殖產局長植場鐵三君
臺灣總督府總務長官森岡二朗君
臺灣總督府財務局長嶺田丘造君
臺灣總督府殖產局長田端幸三郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007402177X00719390318/40
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