1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十四年三月二十二日（水曜日）午前十時十四分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=0
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001・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 是ヨリ開會致
シマス、前會ニ引續キマシテ御質問ガアリ
マスレバ此ノ際御願ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=1
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002・内田重成
○內田重成君 本案ニ關聯致シマシテ米穀
ノ諸問題ニ付テ衆議院デハ非常ニ詳細ニ論
議サレテ居リ、只今迄既ニ受取リマタシ衆
議院議事錄第八囘迄ノ記錄ヲ大體通讀ヲ致
シタノデアリマスガ、成ルベク重複致スヤウ
ナ質問ハ避ケタイト考ヘマスルケレドモ、
或ハ重ナル點ガアルカモ知レマセヌガ、是
ハ已ムヲ得マセヌコトト御了承願ヒタイ、
本案ノ內デ最モ重要ナ事項ハ一昨日松村委
員ノ御指摘ニナリマシタ第七條ノ規定デア
リマスルヤウデゴザイマスガ、卽チ「米穀市
場ノ賣買取引ノ價格ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ米穀統制法第二條ノ最低價格及最高價格
ニ準據シテ定ムル價格ノ範圍ヲ越ユルコト
ヲ得ズ」ト云フ此ノ制限デゴザイマス、此ノ
規定ハ現行ノ米穀統制法ヲ强化セラレタモ
ノデ、此ノ法施行以後ハ米價ハ統制ノ最高
額以上ニ上騰スル希望ハ絕對ニ無クナルモ
ノト考ヘラレルノデアリマス、此ノ點ハ米
ノ生產者ニ取リマスレバ觀念的ニ非常ナ壓
迫デアリ、現行ノ統制ダケデ見マスルト、
假令統制法三條ノ規定ガアリマシテモ、尙
最高價格以上ニ米價ガ騰ルト云フ希望ガア
ルノデアリマス、本案實施ノ曉ニ於テハ左
樣ナ希望ハ之ヲ失フ譯ニナルノデアリマス、
元來ガ國民ノ主要ナル食糧デアル米ノ生產
奬勵ノ絕對的見地カラ考ヘマスルト、米ノ
價格ノ最高限ヲ制限スルト云フコトハ私ハ
不得策デアルト思フ、現行ノ米穀統制法第
二條ノ規定ハ先年勃發シマシタ米騒動等ノ
一時的ノ出來事ニ怯エテ公定價格ヲ定メタ
モノデアル、其ノ沿革カラ考ヘテサウデア
ルト思フ、私ノ考ヘル所デハ元來此ノ米ノ
制度ニ付テハ其ノ高度ハ需給關係上自ラ限
度ガアッテ、餘リ高クハ騰リ得ナイモノデ、
若シ萬一公安ヲ害スル程度ニ米價ガ暴騰ス
ルト云フヤウナ場合ニハ臨機ニ政治的ニ抑
壓スルコトモ難クナイ、米作者ノ勞苦及ビ
其ノ收益ノ實狀ト云フモノハ、之ハ到底商
工業其ノ他ノ職業ニ比較出來ナイ程ノ勞苦
デアリ、其ノ現實ヲ見マスルナラバ、多少
米價ガ高イコトガアリマシテモ、之ハ苦情
ハ言ハレナイモノデアルト思フノデアル、
現行ノ統制法ハ消費者側ノ利益ニ顧ミテ最
高ノ價格ヲ定メル規定ヲ設ケマシタケレド
モ、ソレデモ本案第七條ノヤウナ强行ノ程
度ニハ達シテ居ラヌ、其ノ間ニ多少ノ餘裕
ヲ存シテ經濟ノ情勢ニ依ッテ最高價格以上
ニ出ヅル所ノ餘地ヲ存シテ居ッタノデアリ
そう、然ルニ本法ニ於テハ更ニ統制法ノ第
二條ノ補强規定ノ如ク、本案第七條ニ依ッ
テ、米穀市場ノ賣買取引價格ハ米穀統制法
第二條ノ最低、最高價格ニ準據シテ定ムル
價格ノ範圍ヲ超ユルコトヲ得ナイト云フ强
イ制限ヲ附セラレタノスデアリマス、之ヲ
斯クノ如ク非常ニ强化サレタコトニ付キマ
シテハ、是ハ米穀統制法ノ規定ノ變更ニナ
ル譯デアルト思フノスデアリマス、斯クノ如
キ强化規定ヲ設ケラレルニ至リマシタ其ノ
御〓究ノ結果ヲ一ツ詳細ニ御話ヲ願ヒタイ
ト思フノデアリマス、是ガ私ノ質問ノ第一
點デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=2
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003・周東英雄
○政府委員(周東英雄君) 御答ヲ申上ゲマ
ス、御話ノヤウニ此ノ度ノ配給統制法ニ於
キマシテハ、市場ニ於テノ取引價格ハ法的
ニ統制法ニ定ムル最高價格及ビ最低價格ノ
範圍內ニ於テ定メラレル價格以上ノ取引ヲ
禁止セラレルコトニナッタノデアリマス、併
シナガラ此ノ點ハ、現在ニ於キマシテ
モ事實上ハ此ノ最〓高價格以上ノ取引ハ
ヤリ得ナイヤウナ恰好ニナッテ居ルノデア
リマシテ、御承知ノヤウニ最高價格以上
ニ米價ガ上廻ラムトスル虞ガアル場合ニ
於キマシテハ、政府ハ何時デモ要求ニ應
ジマシテ、最高價格デ賣出シテ居ルヤウナ
狀況デアリマスルノデ、其ノ實質的ノ力ニ
依リマシテ、實際ニハ最高價格以上ノ取引
ハ行ハレナイト見テ宜カラウト思フノデア
リマス、從ヒマシテ是等ノ狀況ヲ見、且國
民ノ生活必需品デアリマスル米ニ付キマシ
テハ、一般國民ノ生活狀況カラ見マシテ、
是等ヲ脅サナイ程度ニ價格ヲ指導シテ行ク
必要モゴザイマスルノデ、玆ニ米ノ取引價
格ニ付キマシテ米穀統制法ニ定ムル最高價
格最低價格ノ範圍內ニ於テ定メタル價格
以上ノ取引ヲ禁ズルヤウニ、法的ニ之ヲ決
メタニ過ギナイノデアリマス、唯此ノ場合
ニ於テ、然ラバ農村等ニ問題ニナリマスル
點ハ、最高價格ノ決メ方ニ在ルト存ズルノ
デアリマス、從ヒマシテ今後ニ於キマシテ
ハ、從來モ其ノ通リデアリマスルガ、層
此ノ統制法第二條デ定メマスル最高價格ノ
決メ方ニ付キマシテハ愼重ニ決メテ行キマ
シテ、苟クモ農村ニ對シマシテモ、一般消
費者ニ對シマシテモ不都合ノナイヤウナ、
適當ナ最高價格ヲ決メタイト存ズルノデア
リマス、斯ク致シマスレバ、假令法的ニ其
ノ定メマシタ價格ノ範圍ニ於テ定メラレタ
市場價格以上ノ取引ヲ禁ズルヤウナコトガ
アリマシテモ、左程農家ニモ消費者ニモ不
利益ニナルコトハナイノデハナイカ、斯樣
ニ考ヘテ居ル次第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=3
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004・内田重成
○內田重成君 其ノ御答辯ノ點ガ私ノ憂ヘ
ル所トハ大分違ヒガアルノデアリマス、詰
リ私ノ先程申シマシタヤウニ、實際上ノ問
題ト農民ノ本條ニ依ッテ受クル觀念上ノ虞、
此ノ點ニ相當距離ガアルノデアリマス、現
ニ政府ハ今年度ニ於キマシテ米ノ增產ヲ御
計畫ニ相成ッテ居ル、是ハ現在ノ情勢ニ於テ
減產ノ憂ガ甚ダ多大デアル、此ノ爲ニ政府
ガ大馬力ヲ掛ケテ、內地ニ於テ四百萬石、
朝鮮、臺灣ニ於テモ亦相當數量ノ增產計畫
ヲ樹立セラルヽト云フコトハ極メテ御尤ナ
計畫デアル、其ノ實行ガ果シテ可能ナリヤ
否ヤト云フコトハ頗ル疑アリ、危マレル所
デアリマスルガ、兎ニ角增產ニ馬力ヲ掛ケ
ルト云フコトハ是ハ上下ノ努力セザルベカ
ラザル點デアル、此ノ際ニ於テ先程申上ゲ
マシタ通リニ、農民ノ心理ニ大打撃ヲ與ヘ
ルヤウナ斯クノ如キ規定ヲ殊更ニ玆ニ揭ゲ
ルト云フコトハ毫モ法案全體ノ性質ニハ影
響ノナイモノデアルニ拘ラズ、斯樣ナ重大
ナ米穀統制法變更ノ趣旨ヲ正面ニ見ラレル
ヤウナ規定ヲ置クト云フコトハ、現代ニ於
テ殊ニ無益ニシテ且有害デアルト云フコト
迄私ハ强ク考ヘルノデアリマス、況ヤ此ノ
法ノ全體カラ見マスレバ、市場外ニ於ケル
米穀ノ取引ヲ絕對ニ禁止シテ居ラヌノデア
リマスルカラ、市場外取引ノ關係ニ於テハ
此ノ第七條ノ規定ハ完全ニ行ハレナイ、從ツ
テ折角政府ニ於テ米價ヲ統制シヨウト云フ
御考ガアッテモ、市場外取引ヲ禁ゼザル結果
是ハ完全ニハ行ハレナイ、卽チ統制ハ完全
デナイト云フ結論ニナルノヂヤナイカト思
フ、勿論市場員ガ取引スルノハ市場內ニ限
ルノデアルガ、市場員ニ非ザル者ガ市場外
ニ於テ賣買スルト云フコトハ一向差支ナイ
コトニナッテ居ル、サウシマスレバ、此ノ七
條ト云フモノハ畢竟市場內ニ於ケル取引ニ
限ッテ斯クノ如キ制限ヲ受ケルノデアル、サ
ウスレバ市場內ト市場外トニ依ッテ取引價
額ハ自ラ相違ガアッテ、玆ニ混亂ガ生ズル虞
ガアル、斯樣ナ不徹底ニシテ且農民心理ニ
大打撃ヲ與ヘルヤウナ規定ヲ置カナケレバ
ナラナカッタト云フコトガ私ニ了解ガ出來ナ
イノデアリマス、只今ノ御說明デ未ダ私ハ
十分ニ分リマセヌケレドモ、最後ニ申上ゲ
タ、市場ノ內外ニ依ッテ價格ニ差ガ生ズルノ
デハナイカト云フ私ノ御尋ネニ對シテ、
ツ今一度御答ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=4
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005・周東英雄
○政府委員(周東英雄君) 御答ヲ申上ゲマ
ス、此ノ點ハ大體普通ノ米穀ニ付キマシテ、
普通ノ需給ノ狀況ニアリマス場合ニ於キマ
シテハ、現在ノ制度ニ於キマシテ政府ニ於
キマシテ最高最低ノ價格ガ決メラレ、市場
ニ於キマシテ或ハ最高價格ヲ上廻ラムトス
ル場合ニ於キマシテハ、常ニ政府ハ申込ニ
依ッテ最高價格ニ依ッテ拂ヒ下ゲル、ソコニ
價格ノ上ニ平準作用ガ行ハレル譯デアリマ
ス、併シ御話ノヤウニ現在ニ於キマシテハ
實際ノ取引ニ於キマシテ、或ハ市場ガ假需
要假思惑ト云フヤウナ關係デ動キマスレ
バ、必ズシモ此ノ最高價格ト云フモノハ、
法的ニ最高價格以上ノ取引ヲ禁ジテ居リマ
セヌ爲ニ、サウ云フ方面ニ動キ易イト云フ
狀況ニ現在アル譯デアリマス、從ヒマシテ
今後ノ米穀ノ政策ニ對處致シマシテ、最モ
考ヘナケレバナラヌ點ガ此ノ米價ノ問題デ
アリマシテ、一面ニ於キマシテソレ等ニ對
シマシテ萬全ヲ期スル爲ニ、種々增產ノ計
畫ハ立テテ供給ノ數量ノ確保ニハ努メテ居
ル譯デアリマスルケレドモ、若シモソレ等ノ
點ニ付テ萬一ノ違算等ガアリマシタリ、或
ハ天候ノ關係ニ依リマシテ不都合ガ生ジマ
シタト云フヤウナ場合ニ於キマシテハ、可
ナリ此處ニ價格ニ付テノ變動ガ想像サレル
ノデアリマス、斯カル場合ニ於キマシテ、
寧ロ是ハ現在ノ事實ノ上ニ於テ最高價格ヲ
出ナイト云フヤウナ狀況ニアルノヲ、斯カ
ル場合ニ於キマシテハ法的ニソレ以上ノ取
引ヲ禁ズルヤウナ根據ヲ設ケマシテ、サウ
シテ今後ニ於ケル米穀市場ノ變化ニ備ヘテ
置クコトガ必要デアル、斯ウ云フ風ナ意味
合ヲ以チマシテ第七條ノ規定ガ置カレタ譯
デアリマシテ、何處迄モ現在ノ事實上最高
價格以上ノ取引ガナサレテ居ラナイト云フ
實情ヲ、法的ニ根據ヲ置イテ、最高價格以
上ノ取引ヲ禁ズルト云フ法的根據ヲ置キ、
今後ノ米穀事情ニ備ヘタ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=5
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006・内田重成
○內田重成君 只今御說明ノヤウナ御趣意
デアルナラバ、市場員ニアラザル者ガ市場
外ニ於テ取引スル場合ニモ、之ヲ一般的ニ
公定價格以外ニ於テノ取引ヲ禁ズルト云フ
迄ノ、規定ヲ爲ス勇氣ガ何故出ナカッタモ
ノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=6
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007・周東英雄
○政府委員(周東英雄君) 御答ヲ申シマス、
此ノ點ハ先日モ申上ゲタヤウニ、市場ヘノ
米ノ集中ト云フコトヲ先ヅ考ヘテ居リマス
ノデ、現在內地ノ各府縣ノ管外移出米ノ相
當數量、竝ニ朝鮮臺灣等ノ米ニ付キマシテ
ハ、其ノ大部分ヲ市場ニ依ル取引ニ致サセ
ルヤウナ仕組ニナッテ居リマスノデ、ソレ等
ノ米ヲ主モナル數量、相當數量ニ付キマシ
テ市場ニ依ル取引ヲ致サセルコトニ依リマ
シテ、ソレ等ノ價格ノ公正ト云フコトガ、
市場外ニ於ケル價格ヲ指導スルコトニナル
ト考ヘルノデアリマスガ、大體先ヅ第一番
ニ於キマシテハ市場ニ於ケル取引價格ト云
フモノニ付テノ制限ヲ致シ、ソレニ依ッテ場
外ヲ指導サセルト云フ建前ニ立テクノデア
リマス、併シナガラ場合ニ依リマシテ非常
ニ場外ノ取引ガ亂調子ニナリマシテ、折角
ノ第七條ヲ設ケマシタ趣旨ガ徹底セズ、又非
常ニ斯樣ナ場合ニ於キマシテハ、米穀市場
ノ變化ノアッタ場合ト想像致サレマスガ、左
樣ナ場合ニ於テノ價格ノ統制ト云フコトガ
徹底的ニ行ハレズ、弊害ガ非常ニ見ラレル
ト云フ場合ニ於キマシテハ、本法ノ第四條
等ニ依リマシテ、市場外ノ取引ニ付キマシ
テモ價格ヲ定メテ、ソレニ依ル取引ヲサセ
ルヤウナ第二段ノ手段ヲ考ヘテ行キタイト
斯樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=7
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008・内田重成
○內田重成君 其ノ問題ハソレデ措キマシ
テ、商工當局ガ若シ御出席デアリマスルナ
ラバ、ドウカ御聞キ置キヲ願ヒタイ、又是
カラ以後農林當局ニ御尋ネ致スコトハ、後
日商工大臣ニモ御尋ヲ致シタイト思フ、關
聯事項ガアリマス、一昨日米取引所廢止ニ
關シテ、損害補償ノ規定ナカリシコトニ付
キマシテ御尋ヲ致シテ、大臣ノ御答ヲ得タ
ノデアリマスルガ、私ノ御尋ネ致シタノハ
立憲政治ノ下ニ於テハ、假令法律ヲ以テス
ルモ正義公正ノ觀念ニ反シテ、不當ニ一部
ノ國民ノ既得ノ權益ヲ害スルコトヲ致サナ
イト云フコトハ、廣ク認メラレタ立法的原
則デアリマス、所謂公法上ノ損失補償ノ規
定デマシテ、產業法規其ノ他ニ多數ノ實例
ガアルノデアリマス、ソレヲ現代ノ一般經
濟統制ノ政治的結果ト混同ヲシテ、無補償
ノ主義ヲ採ッタノハ、從來ノ我ガ國ニ於ケル
立法的原則ヲ破壞シタ、重大事例ニ是ハナ
ルノデアリマス、斯クノ如キ建前ハ旣得ノ
權益ヲ尊重スルト云フ、我ガ立憲治下
ニ於テ、果シテ適當デアルカト云フ點
ニ付テ、御尋ヲ致シタノデアリマス、之一
對スル大臣ノ御答辯ハ私ハ未ダ理論トシテ
首肯ハ出來ナイノデアリマス、併シナ
ガラ色々御說明ヲ承リ又本法ヲ調ベテ
見マスレバ、又此ノ本法案ニ依ッテ生ズル勅
令ノ規定ノ御豫定ヲ見マスレバ、現取引所
廢止ニ依ル損害補償ニ付テ、其ノ救濟ニ於
テ、實質的ニハ相當ニ御考慮ニ相成ッテ居
ル點ガ認メラルヽノデアル、ソレデ全然是
迄ノ立法的原則ガ破壞サレテ、旣得ノ權益
ニ付テ何等ノ考慮ガ拂ハレナカッタモノデ
アルトハ言ハレナイ點ガアリマスルノデ、私
ハ此ノ公法上ノ損害補償ノ規定ヲ設クベシ
ト云フ純理論ハ此ノ際主張スルコトヲ見合
セマスルガ、併シナガラ之ニ代ルベキ方法
トシテ、又其ノ趣旨ニ於テ成ルベク現米穀
取引所及ビ使用人、取引員ノ犠牲ヲ緩和シ
テヤルト云フ筋合ノ下ニ於テ、將來勅令等
ガ規定サルベキモノデアルト云フコトニ了
解ヲ致シマシテ、是ヨリ以下ニ二三ノ點ヲ
御尋ネ致スノデアリマス、其ノ第一點ハ、
法案ノ第六條ニ依リマスルト、米穀市場ノ
賣買取引ハ差金ノ授受ニ依リ其ノ決濟ヲ爲
スコトヲ禁ズル、併シナガラ履行期ニ於ケ
ル決濟ニシテ勅令ヲ以テ定メルモノニ付テ
ハ此ノ限リニ在ラズト云フ第一項ノ規定ガ
アッテ、其ノ勅令事項ノ豫定ニ於テハ未著物
取引及ビ延取引ニ限ッテ之ヲ許スト云フ御
豫定ニ相成ッテ居ルノデアリマス、一昨日モ
瀧川、松村、中島各位カラ〓算取引ノ必ズ
シモ排斥スベキモノデナイト云フコトニ付
テノ御意見ノ開陳ガアッタ、私モ矢張リ同樣
ニ感ズル者ノ一人デアル、非常ニ此ノ〓算
取引ヲ弊害アリ、且惡質ノモノデアルヤウ
ニ考ヘルノハ間違ッテ居ルト思ッテ居ルノデ
アリマス、況ヤ此ノ延取引ノ如キモノハ、
是ハ取引上ノ圓滑ヲ期スル上カラ考ヘマシ
テモ、當然廣ク是ハ許サレテ宜シイモノト
考ヘル、然ルニ先般來衆議院ニ於テハ相當
此ノ點ニ付テ强硬ナル反對ノ意見ヲ述ベラ
レテ居ル方モアルヤウデアリマス、將來政
府ハ從來取引所ノアリマシタ所ニ設ケラル
ル各米穀市場ニハ此ノ延取引ハ御許ニ相成
ルモノデアルト云フコトニ私ハ了解シタイ
ノデアリマス、デ是ハ從來ノ取引所ヲ閉鎖サ
ルヽ爲ニ生ズル其ノ地方ノ及ビソレノ取引
員竝ニ其ノ從業員等ノ苦境犧牲ヲ緩和スル
一ツノ方法トモ相成ルノデアルカラ、是、
立法的ニ補償制度ヲ置カナイ代リニ犠牲緩
和ノ一ツノ手段トシテモ此ノ延取引ハ廣ク
從來ノ各取引所所在地ノ市場ニハ許サルヽ
ノガ相當デアルト云フコトニ考ヘマスガ、
政府ノ此ノ點ニ對スル御方針ヲ伺ッテ置キ
タイト思ヒマス、御差支ナキ限リ御話ヲ願
ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=8
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009・松村謙三
○政府委員(松村謙三君) 只今ノ延取引ノ
御話デゴザイマスガ、實ハ政府ト致シマシ
テハ、延取引ハ大キナ集散ノ市場ニ限ッテヤ
リタイト云フコトハ商工省モ農林省モ大體
其ノ方針デアッタノデゴザイマス、勿論其ノ
趣旨ニ依リマシテ幾ツニ限ルト云フ譯デハ
アリマセヌケレドモ、全部ノ市場ニ之ヲ附
ケルト云フ考ハ勿論ナカッタノデアリマス
ガ、衆議院ニ於テモ其ノ點ガ折角投機ヲ抑
制スルト云フコトデアレバ、延取引ノ數ハ
出來得ル限リ少クシタ方ガ宜シイト云フ意
見モアリマスルシ、隨テ此ノ點ノ質問ニ關
シマシテハ東京、大阪ヲ例示致シマシテ、
其ノ他ノ點ニ付キマシテハ、此ノ趣旨ニ依
リマシテ十分考慮ヲ致シタイト申述ベテ置
イタ譯デアリマス、是ガ只今政府ト致シマ
シテ考ヘテ居リマス所デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=9
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010・内田重成
○內田重成君 此ノ法案ノ五十六條ニ關シ
マスル勅令案ノ第一項ノ勅令事項トシテ「日
本米穀株式會社ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政
府ノ認可ヲ受ケ米穀ヲ賣買取引スル取引所
又ハ正米市場開設者ガ本法公布ノ際現ニ所
有スル土地建物其ノ他ノ設備ヲ其ノ申込ニ
應シ買取ルモノトス」ト云フ規定ノ、此ノ勅令
事項ノ內ニ「買取ノ價格ハ時價、建設價格及利
用價値ヲ參酌シテ之ヲ定ムルモノトスルコト」
ト云フコトガ規定シテアリマス、此ノ利用價
値ト云フ意味ハ考ヘヤウニ依リマシテ如
何ヤウニモ考ヘラルヽノデアリマス、非常
ニ廣ク解シマスレバ無形ナル價値モ利用價
値デアル、卽チ其ノ市場ノ所在地ノ關係等
モ利用價値デアルト云フ風ニモ考ヘラル
ノデアリマス、此ノ範圍ハ何レ米穀取引事
業審議委員會ノ議ヲ經ルト云フコトニナッテ
居ルノデアル、審議委員會デ決議サルヽコ
トデハアリマスルガ、其ノ範圍ノ定メ方ニ
依ッテ現在ノ取引所ノ利害ガ非常ニ違フノ
デアリマス、其ノ利用價値ト云フモノノ解
釋竝ニ程度ヲ一ツ御說明ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=10
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011・松村謙三
○政府委員(松村謙三君) 御話ノ通リ此ノ
土地、建物ヲ新會社デ利用スル物件ノ賣買
ノ標準ヲ建物ノ價格時價及ビ利用價値ヲ之
ヲ綜合致シマシテ、公正ニ買上ゲタイト存
ズルノデアリマスガ、其ノ利用價値ト申シ
マスコトハ、御話ノ其ノ權利等ヲ含ムヤウ
ナ廣範圍ノ意味ニハ考へテ居リマセヌノデ
ゴザイマシテ、大體新ラシイ會社ガ其ノ市
場建設物ヲ利用致シマシテ、ソレカラ來ル
價値ヲ考ヘルト云フヤウナ程度デアリマス
ガ、ソレハ察議會ニ於キマシテ其ノ間ニ時
價及ビ建設費ト睨ミ合セテ、其ノ間ニ適正
ナ價格ヲ決メテ戴ク、斯ウ云フヤウナ仕組
ニ致シテ居ル譯デゴザイマス、從ヒマシテ
利用價値ト申シマスト、ソレハ今申シタヤ
ウナ譯デ大體ハ新ラシイ會社ガソレヲ利用
スル時ノ價値ヲ目標ト致シテ考ヘマシタノ
デアリマスガ、其ノ斟酌ハ審議會ニ御委セ
ヲ致シタイト斯ウ云フ風ニ存ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=11
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012・内田重成
○內田重成君 只今ノ五十六條ノ勅令事項
ノ中ニ、米穀取引所ノ使用人及ビ取引員ノ
措置ニ關スルコトガアリマスルガ、取引員
ノ使用人ト云フモノハ何等之ニ考慮サレテ
居ラヌノデアリマス、何レ此ノ法施行ノ曉
ニ於テハ取引員ハ廢業ヲ餘儀ナクサルヽモ
ノモ生ジテ來ルデアラウ、場合ニ依ッテハ各
種ノ經濟上ノ破綻ヲ生ジ、破產ニ瀕スルヤ
ウナ者、餘儀ナク閉店ヲシナケレバナラヌ
ヤウナ者多數色々ナ者ガ生ジテ來ルト思ハ
ルヽ、從ッテ此ノ取引員ノ從業員ノ如キ者ガ
失業ヲスルト云フ場合ガ相當多數ニ生ズル
ト豫測サルヽノデアル、此ノ取引員ノ從業
員ニ對スル救濟ハ是ハ取引員ガ自分ノ使用
人デアルト云フ理由デ斯ウ云フ法律結果、
餘儀ナクサレタ失業ニ對シテ何等ノ救濟ヲ
受ケズニ悉ク其ノ取引員ガ負擔ヲシテ其ノ
措置ヲセナケレバナラヌト云フ破目ニ陷ル
譯デアリマス、是等ニ對シテ何等ノ考慮ヲ
拂ハナイト云フコトハ餘リ無蒸悲ヂヤナイ
カト思ハルヽ、サウ云フ點ニ付キマシテハ
是ハドウ云フ御詮議ノ下ニ斯樣ニ制限サレ
テ居ルカ、其ノ點ヲ一ツ伺ヒタイト思フノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=12
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013・松村謙三
○政府委員(松村謙三君) 御尤ノコトデゴ
ザイマシテ、出來得ルナラバソレ等ノ方面
迄モ此ノ法ニ依ッテ救フコトガ出來マスナ
ラバト存ジマスガ、併シナガラ今日ノ他ノ
犧牲產業ニ於ケル從業員ナドノ釣合カラ考
ヘマシテ、取引員迄ハ是ハ取引所ノ關係モ
直接デアリマスノデ、低利資金其ノ他ニ依ッ
テ出來得ル限リノ心配ヲ致シマスガ、其ノ
從業員迄ガ政府ノ手デ救濟ヲスルト云フコ
トハ非常ニ今日ノ場合ニ於テハ困難ナコト
デゴザイマシテ、從ヒマシテ出來得ル限リ
現在ノ〓算取引員ヲ正米市場ノ取引員ニ低
利資金其ノ他ノ方法ヲ以テ吸收シマシテ、
ソシテ取引員ガ使ッテ居リマス從業員モソ
レヘ使ヒ得ルト云フコトニ致シテ行キ、又
指導シテ行キタイト、斯ウ云フ風ニ考ヘテ
居リマス、其ノ上尙且失業者ガ出來マスト、
ソレハ一般ノ他ノ失業者ト共ニ厚生省ノ失
業對策ノ手ニ依ッテ色々心配ヲ願フト云フ
コトヨリドウモ致シ方ガアリマセヌノデ、
斯ウ云フコトニ致シタ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=13
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014・内田重成
○內田重成君 只今ノ五十六條ノ二項ノ勅
令事項中、第三トシテ「日本米穀株式會社ハ
本條第二項ニ揭グル取引員ニシテ正米ノ賣
買ヲ業ト爲サザリシモノニ對シ開業又ハ轉
業ニ要スル資金ノ融通ヲ爲スコトヲ得ルモ
ノトスルコト」斯ウ云フ規定ガアリマス、之
ニ依ッテ正米ノ賣買ヲ業ト爲サザリシモノ
ガ新タニ業ヲ開クトカ又ハ迚モ慣レヌ仕事
デアルルカラト云フノデ他ノ業ニ轉ズルト
云フ場合ニ資金ヲ融通サレル、誠ニ是ハ結
構ナコトデアリマスルガ、其ノ融通ノ限度
ヤ及ビ條件等ガ若シ餘リニ低カッタリ又ハ
苛酷デアッタナラバ、爲サザルニ等シキモノ
デアルノデアリマス、是ハドウ云フ程度デ
ドウ云フ條件デ此ノ融資ガ出來ルモノデア
リマスカ、御見込ガ旣ニ御アリデアルト考
ヘルノデアリマス、一ツ其ノ點ヲ御說明ヲ
願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=14
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015・松村謙三
○政府委員(松村謙三君) 其ノ點ハ我々ノ
考ヘテ居リマスノハ、勿論其ノ低利資金ハ
國カラ〓スノデゴザイマセヌデ、會社カラ
各地方ノ市場員ノ方へ廻ス譯デゴザイマス、
從ヒマシテソレモ委員會ヲ設ケマシテ、其
ノ委員會ニ於テ、例ヘバ東京ノ取引員ノ數
ハ是ダケダカラ是ダケ、大阪ハ幾ラ、岡山
ハ幾ラト、斯ウ云フ風ニ割當テマス、割當
テマスト、ソレヲ其ノ市場ノ市場員ガ一ツ
ノ組合ヲ拵ヘマシテ、其處ニ於テ自治的ニ
適當ニ額ヲ決メテ分配ヲシテ、共同ノ責任
ニ於テソレヲオ互ヒニ分ケ、又囘收ヲ圖ル、
ソレ等ノモノガ自治的ニ決シナイ場合ニ於
テハ、會社モ世話ヲシテソレ等ヲ指導シテ、
遺憾ナキヲ期スル、斯ウ云フヤウナ方法ニ
致サウト考ヘテ居ルノデゴザイマス、但シ
ソレニ付キマシテモ、出來得ル限リ低利デ、
出來得ル限リ長イ期間ヲ必要ト致シマスカ
ラ、左樣ニ致シタイト存ジテ居ル譯デゴザ
イマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=15
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016・内田重成
○內田重成君 只今ノ御話ニ依リマスル
下、此ノ項目ハ甚ダ不安ナ項目ノ如ク感ゼ
ラルヽノデアリマス、米穀株式會社ノ仕事
トシテヤルト云フコトデアリマスルナラバ、
是ハ米穀株式會社ガ自分ノ經濟的ニ出來ル
仕事ノ範圍ニ於テシカヤレナイコトニナリ
やっく、多數ノ轉業者若シクハ廢業者ガアリ
マシタ場合ニハ、其ノ要望スル融通ハ出來
ナイモノヂヤナイカト思ハルヽ、殊ニ此ノ
米穀株式會社事業目論見書ノ中ニハ、サウ
云フ金額ハ見積ッテ居ナイ、是ハドウ云フ所
カラ米穀株式會社ガ融資スルコトニナリマ
スカ、或ハ政府ノ金デモ米穀株式會社ガ
借リ受ケテ、ソレヲ融資スルト云フコトニ
デモナリマスノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=16
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017・松村謙三
○政府委員(松村謙三君) ソレハ第一次的
ニハ會社ノ資金ヲ以テ之ニ當テタイト思ヒ
ママ、卽チ此ノ豫算ノ中デ準備金及ビ運轉
資金ト書イテゴザイマスガ、サウ云フヤウ
ナ方カラ捻出致シタイト思ヒマス、但シ其
ノ會社ノ自己資金デ足リマセヌ分ガアリマ
スナラバ、ソレハ大藏省ノ低利資金ヲ融通
シテ戴キマスヤウニ、大藏省トノ了解ガ既
ニ出來テ居ルノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=17
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018・内田重成
○內田重成君 サウシマスルト、大藏省ノ
低利資金ノ利率及ビ條件ノ範圍ニ止ルモノ
デ、ソレ以上ノ特別ノ是ハ恩惠ハナイモノ
ノヤウニ考ヘマスガ、矢張リサウ考ヘテ宜
シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=18
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019・松村謙三
○政府委員(松村謙三君) 大藏省ノ方デモ
出來得ル限リ低利ニハ御願ヒ致シマスケレ
ドモ、其ノ點ハ只今ノ御話ノ通リデアリマ
ス、併シナガラ會社ノ自己資金モソレニ加
リマスコトデアリマスカラ、ソレヲ併セテ
考ヘマシテ、出來得ル限リノ低利ニ致シタ
イト斯樣ニ存ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=19
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020・内田重成
○內田重成君 私ガ是迄項目ヲ擧ゲテ御尋
ネ致シマシタコトハ、最初申上ゲタ立法上
ノ原則、卽チ既得ノ權益ヲ法律ヲ以テ侵害
スル場合、公法上ノ補償ヲ爲スト云フ從來
ノ法令ヲ破壞セヌヤウ、此ノ立法ノ實質上
ノ緩和方法トシテ出來ル限リノ救濟ヲ爲ス
ベシト云フ見地カラ、只今迄御伺ヒシタ譯
デアリマス、デ政府ハ、法案ノ中竝ニ勅令ヲ
以テ、取引所竝ニ取引員ノ窮境ヲ救濟シテヤ
ルト云フ御考ノ下ニ、出來ル限リノ救濟ヲ御
與ヘナサルト云フコトハ、將來斯クノ如キ立
法ヲ斯樣ニ公法上ノ故障ナシニシタト云フコ
トノ言譯ニモナルモノデアルト考ヘルノデア
リマスガ、其ノ爲ニ私ハ細カイ點迄御尋ネ致シ
タ譯デアリマス、何卒其ノ點ニ付テノ御考慮ヲ
御願ヲ致シマシテ、一應農林當局ニ對スル
御尋ヲ止メテ置キマス、又後日商工大臣ニ
付キマシテ、元來此ノ取引所ハ商工省ノ管
轄デアル、ソレガ本法ニ依ッテ農林省ニ移ル
譯デス、只今迄私ノ御尋ネ致シタ點ハ、是
迄長イ間自分ノ管轄ノ下ニ置カレタ商工省
トシテハ當然今度ノ取引所ノ廢止ニ依ッテ、
取引所關係者ガ被ル打擊ニ付テハ十二分ノ
御考ガアッタコトデアル、旣ニ新聞等ニモ御盡
力ニ相成ッテ居ルコトガ出テ居リマスノデ、
能ク了知ヲシテ居リマスルガ、ソレニ關聯シ
テ尙御尋ネ致シタイコトガアリマスノデ、
後日大臣御出席ノ際ニ御尋ネスルコトニ致
シマシテ、本日ハ之ニ止メテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=20
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021・山上岩二
○山上岩二君 一昨日〓算取引ノコトニ付
キマシテ御尋ヲ致シ、又農林大臣ノ御話モ
承リマシテ、能ク了解致シマシタ、延取引
ガ價格ヲ整調スルモノデアルト仰シヤッタ、
正ニサウデアラウト考ヘマス、鐘淵紡績ノ
新株式ヲ五十株賣ラウト致シマシタラ、安
イ、ドウ云フモノカト思ッタラ、君ガ賣ラウ
ト言フカラ安イノダ、ソレガ嫌テラ短期〓
算取引ニ賣ッテ吳レト斯ウ申シマス、ソレニ
賣リマスト、適當ニ賣レマス、矢張リ轉賣買
戾ヲ同一ノ市場ニ於テ許ス所ノ延市場ガナ
ケレバ、適正ナル價格ハ出來ナイモノト考ヘ
きぐ、又賣買ノ主流ガ其ノ市場ニ在ルノダ
ト斯ウ云フヤウニ御說明ニナッタ、其ノ市場
ニ賣買ノ主流ヲ包容セシメ、其ノ市場ヲシ
テ權威アルモノトスルニハ、矢張リ本案ノ
延取引ガチケレバナラヌノデハナイカト考
ヘマス、市場ハ權威アルト云フコトハ又賣
買ノ主流ガ其ノ市場ニアル、市場內外ノ賣
買ノ關係、其ノ他本法案ノ運用セラルヽ眼
目デアラウト考ヘマス、米ノ相場ガ一本ニ
決メラレルノナラ兎モ角モ、相當ノ値幅ガ
アル以上、必ズ投機取引ハ行ハレマス、又
相當行ハナケレバナラヌモノト考ヘマス、
從來ハ主トシテ相場ノ高値ガ商品ヲ呼ンデ
居リマス安イ所カラ高イ所ニ移動スルニモ
拘ラズ、產地高消費地安ト云フヤウナコト
モ出テ來ル、甚ダ不自然ナコトデゴザイマ
ス、ソレ等ヲ極端ニ走ラセナイノハ從來ノ
〓算取引ノ働キデアッタト考ヘマス、ト云フ
風ナ事柄モ延取引ハ、生產取引ハ······本案
ノ延取引ハ一種ノ〓算取引ト考ヘマスガ、
圓滑ナル配給ニ餘程役立ッテ居ルノデアリ
マス、デアリマスカラ、此ノ法案ノ目的ト
サルヽ所ノ米穀ノ圓滑ナル配給、適正ナル
價格ノ構成ト云フコトハ一ニ懸ッテ市場ガ
働キアル市場デアルカ否ヤデアルト思ヒマ
ス、働キアル市場ト云フノハ、延取引ヲ許
ス市場デナケレバナラヌト思ヒマス、各地
ニ市場ガ設ケラレルノデアリマスカ各地各〓
同樣ノ事情ニアルト考ヘマス、其ノ地方ノ
或一定ノ區域ノ米ヲ主眼ニシテ居ル特別ノ
事情ヲ以テ存在シテ居ル市場デアリマス、
曩ニ內田委員カラ取引所取引員ノ賠償問題
ニ絡ンデ延取引ヲ各市場ニ許シタラドウカ
ト云フ御話ガアリマシタガ、私ハ各市場ヲ
權威アルモノ、働キアル市場タラシムルガ
爲ニハ、各〓市場ニ延取引ヲ許サルベキモノ
ダト考ヘルノデアリマス、大臣ハドウ云フ
御見込デゴザイマセウカ御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=21
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022・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 從來ノ〓算取引
ガ米ノ調整ニ對シテ相當ナ働キヲ致シテ
居ッタト云フコトニ付キマシテハ、先程申上
ゲマシタ通リデアリマス、此ノ度〓算取引
ヲ廢止致シマシタノハ、實際ノ實績、其ノ
他ニ徵シマシテ、投機取引ガ主トナッテ居ル
ト云フ風ナ感ジガ致シマスノデ之ヲ廢スル
コトガ實米ヲ主トシテ取引スル上ニ於テ適
當デアル、斯樣ニ考ヘタ譯デアリマス、延
取引ハ少シク性質ガ變ッテ居ルノデアリマシ
テ、普通ノ〓算取引ノ如ク格附デ一本ノ値
段ヲ基礎トシテ取引ヲ致サズシテ、卽チ銘柄
別若シクハ組ミ合セ銘柄別デ取引ヲ致スコ
トニナルノデアリマシテ、實際ノ實米ヲ主
トシテ取引ヲ致スコトニナッテ居ルノデア
リマシテ、所謂投機的意味ガナクナッテ而
シテ實際ノ米ノ正確ナル價格ノ調整ヲ致ス
働キヲナスモノト、斯樣ニ考ヘテ居リマス、
唯延取引ヲ全面的ニ之ヲ致サセルヨリカ、
或ハ非常ナル米ノ集散地ニ於テ致サセルガ
宜イカト云フコトニ付キマシテハ、取扱數
量ノ極メテ小サイ其ノ地方々々デヤッテ居
リマス處ニ迄延取引ヲ許スト云フコトハ是
ハ如何デアルカト考ヘルノデアリマス、卽
チ未著物取引ト云フ制度ガアリマスルノデ、
十五日間、或ハ多少其ノ期間ハ變更サレル
カモ知レマセヌガ、兎ニモ角ニモ相當ノ期
間ヲ經テ後ニ於テ賣渡ノ爲シ得ル未著物取
引ト云フモノヲ設ケ得ルコトニナッテ居ル
ノデアリマシテ、比較的多クナイ米ノ生產
地ガ未著物取引デ間ニ合フノデナカラウカ、
サウシテ大キナ集散地、卽チ長期ニ亙ッテ集
散ヲスル所ニハ延取引ヲ許ス斯ウ云フ見地
カラ主要ナル市場ニ於テ延取引ヲ許ス、他
ハ未著物取引デヤッテ行キタイ、斯樣ニ考ヘ
テ居ルヤウナ譯デアリマスガ、是等ハ何レ
專門ノ委員會ヲ組織致シマシテ委員會ニ於
テ篤ト御協議ヲ願ッテサウシテ其ノ結果ニ
依ッテ決定致シタイ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=22
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023・瀧川儀作
○瀧川儀作君 此ノ法案ガ通過致シマシタ
後ニ米穀會社ナルモノハ無論農林省ノ管轄
デアリマスガ、此ノ取引所ニ屬スルヤウナ
モノノ管轄ハドウナリマスノデアリマスカ、
商工省ノ方ニ移ルノデアリマスカ、共管ニ
デモナルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=23
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024・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 本法案ハ特別ナ
從來農林省デ取扱ッテ居リマス所ノ事柄ハ
是ハ別デアリマスケレドモ、大體ノ事柄ハ
農林、商工兩省ノ管轄ニナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=24
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025・瀧川儀作
○瀧川儀作君 モウ一ツ伺ッテ置キタイノ
デスガ、此ノ法案ガ提出サレテ以來米穀商
ト言ヒマスカ、ト云フノモアレバ、白米商
組合、有ラユル團體カラ產業組合方面ト對
立スルヤウナ形ニ於テ猛烈ナ反對運動ガ參
ルノデアリマス、無論當局ヘモ書類ガ參ッテ
居リマセウガ、ソレ等ニ付テノ緩和策ハド
ウ云フ風ニ御考ヘニナッテイラッシヤルノデ
スカ、之ヲ伺ッテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=25
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026・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 實ハ此ノ配給統
制案ト云フモノヲ提案ヲ致シマス以前、卽
チ昨年ノ暮ニ米穀會社法案ト云フモノガ農
林省ノ米穀配給新機構委員會ト云フ委員會
ニ掛ケラレマシテ、其ノ案ガ世間ニ漏レマ
シテ、其ノ案ガ標準目標トナッテ可ナリ各方
面ニ只今御話ノヤウナ風ナ議論ガ出タノデ
アリマス、私就任ノ後ニ於テ是等ノ商人ノ
方々ニモ何遍トナク御目ニ掛ッタノデアリ
マス、又取引所關係ノ方ニモ多數御目ニ掛
リマシタ、サウシテ其ノ反對ヲセラルヽ要
點ハ、本案ニアラズシテ、元ノ米穀會社法
案ヲ主トシテ反對ニナッタノデアリマスガ、
併シ此ノ法案ト共通ノ點ニ付テ考ヘテ見マ
スト、產業組合ノ販賣組合ガ此ノ市場ノ市
場員ニナルト云フコトガイケナイ、先ヅ之
ガ主ナル反對ノ要點デアリマス、他ニハ
殆ド私取上ゲテ之ヲ論ズル程ノ問題ハナイ
ヤウデアリマス、卽チ生產者カラ米ヲ委託
サレテ、委託サレタ米ヲ直カニ持ッテ來ル產
業組合ノ販賣組合ガ市場員ニナルト云フコ
トハ、自分等ノ商賣ヲ奪ハレルモノダ、斯
ウ云フ風ナ議論デアリマス、併シ私ガ非常
ニ〓究致シマシタ結果ニ付テ申上ゲマス
ト、現在デモ販賣組合ハ市場員ヲ通シテ市
場ニ米ヲ賣ッテ居ルノデアリマス、又市場
員ニモ米ヲ賣ッテ居ルノデアリマス、米穀
商人ヘモ賣ッテ居ルノデアリマス、デ從ヒ
マシテ茲ニ一例ヲ申上ゲマスナラバ、此ノ
販賣組合ガ若シ市場員ノ一人ト相提携シマ
スカ、相連絡シマシテ、市場員ニ市場デ米
ヲ賣ラウトシマスナラバ、今日デモ自由自
在ニ出來ルノデアリマス、併シ若シ左樣ナ
ル場合ニ於テハ是ハ固ヨリ違法デアリマス
ケレドモ、賣モ買モ何デモ自由ニ出來マ
ス、併シ之ヲ裏ニ居ルモノヲ表ニ出シテ市
場員ニシテ、サウシテ組合本來ノ目的デア
ル所ノ賣一方、卽チ農民カラ委託サレテ居
ルノデアリマスルカラ、之ヲ賣一方ノ市場
員ト致シマシテ、之ヲ市場ニ入レテ、サウ
シテ相當ナル監督ヲ致シテ、別々ニ販賣
セシムルトカ、或ハ其ノ他適正ナル監督
取締ヲ致ス方ガ、他ノ米穀商ニ對シテモ
決シテ惡影響ヲ與ヘルモノデハナイ、又公
正ナル米價ヲ決メル上ニ於テモ、是ガ爲ニ
非常ナル惡影響ヲ及スモノデハナイ、斯樣
ニ考ヘマスルト同時ニ、此ノ市場ガ出來マ
スレバ從來清算取引、延取引其ノ他ノ市場
デ取扱ヒマシタ米穀ガ、總テ此ノ市場ニ集
マルノデアリマスカラシテ、從來ト違ッテ非
常ナ擴大サレタ取引ガ行ハレルコトトナリ
マス、又市場外デ行ハレテ居リマシタ所ノ
賣買モ亦此ノ市場ニ移ッテ參リマス、又將來
臺灣米ガ移入ヲサレマスト云フト、其ノ臺
灣米モ此ノ市場ニ入ッテ參リマス、又朝鮮米
ノ關係モ此ノ市場員ヲ通スト云フコトニ相
成ルコトト思ヒマス、故ニ非常ニ其ノ點ニ
於テ取引サレル所ノ商賣ガ擴大サレルノデ
アリマシテ、假ニ幾分販賣組合ノ取扱ヒマ
ス所ノ米穀ガ多クナルト假定致シマシテモ、
私ハ米穀商ノ取扱ヒマス數量ガ減ルトハ考
ヘナイノデアリマス、殊ニ況ヤ現在ノ米穀
商ノ諸君ハ年來ノ慣習ニ依ッテ網ノ如キ集
貨機構ガ整ッテ居ルノデアリマシテ、此ノ人
人ガ此ノ集貨機構ヲウマク利用致シマシテ、
其ノ間ノ改善ヲ圖リマスルナラバ、私ハ米
穀商ノ方々ハ寧ロ繁榮ニ赴クヤウナコトニ、
ヤリ方ニ依ッテハナルノデハナカラウカト
斯樣ニ考ヘテ居ル譯デアリマシテ、此ノ結
果ト致シマシテ、急激ナル變化ヲ起シテ米
穀商ガ潰レルトカドウデアルトカ云フヤウ
ナ事柄ハ私ハ起ラヌト思フ、萬々一ニサウ
云フ事態ガ起ルト云フガ如キ事態ガアルト
致シマスナラバ、ソレハ現狀ニ於テモ可ナ
リ販賣組合ノ方ガ進出致シツヽアルノデア
リマスルカラシテ、當業者ノ諸君ガ少シク
改善ヲサレナケレバ、自然ニ自分ノ領域ヲ
侵サレルノデアリマスルガ故ニ、此ノ點ニ
付テハ米穀商人諸君ノ、一段ノ營業上ノ改
善ヲ促進致シマスト同時ニ、」又當局ニ於キ
マシテモ常ニ十分ナル此ノ問題ニ對シマシ
テ關心ヲ持ッテ、意外ナル不安ノ狀況ヲ起サ
ザルヤウニ指導シテ行キタイト斯樣ニ思
テ居ルヤウナ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=26
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027・瀧川儀作
○瀧川儀作君 能ク分リマシタガ、其ノ御
方針ガ十分決定シテナイヤウニ思ハレマス
ノデ、此ノ機會ニ何等カノ手段ヲ以テ十分
當業者ニ了解サセルコトニ努メラレムコト
ヲ希望致スノデアリマスガ、是ト同時ニ米
穀商等ハ商工省ノ管轄下デアリマス、折角
局長ガ御見エニナッテ居リマスガ商工當局
ノ御意見モ此ノ際併セテ伺ッテ置キタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=27
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028・新倉利廣
○政府委員(新倉利廣君) 米穀商ガ本法案
ノ爲ニドウ云フヤウナ影響ヲ受ケルカト云
フ點ニ付キマシテ、又米穀商ガドウ云フ意
味デ反對シテ居ルカト云フコトニ付キマシ
テハ、只今農林大臣カラモ御話ガゴザイマ
シタ、米穀商ガ一番懸念シテ居リマスルノ
ハ、只今農林大臣ノ仰セニナリマシタヤウ
ニ所謂生產者團體ガ市場員トナッテ、其ノ市
場員トナルコトニ依リマシテ、米穀ノ取扱
ガ生產者團體ノ方ニドン〓〓流レテ行ッテ、
從ッテ米穀商ノ方デ取扱フ高ガ急ニ激減シテ
行クト云フヤウナ風ニナリマスト、ソレデ
ナクテサヘ所謂中小ノ米穀商ト云フモノハ
色々ナ事柄カラ相當苦シイ立場ニ在ル時ニ
際シテ、今斯樣ナ會社ガ出來テ、其ノ爲ニ
非常ナ影響ヲ受ケルト云フコトデハ困
ルト云フコトガ一番重要ナ點デアリマス、
尙米穀商方面ノ考ヘテ居リマスコトハ、
從來ハ米穀商ト云フモノハ非常ニ區々ナ、組
織ノ無イヤリ方ヲヤッテ參ッテ居ッタ、併
シナガラ今日ニ於テハ所謂商業組合ト云フ
ヤウナモノノ組織モ相當進ンデ參リマ
シテ、既ニ全國ニ五百餘ノ組合モ出來テ居
リ、尙目下頻リニ組織化ノ方向ニ進ンデ居
ルノデアリマスカラ、米穀商ガ若シモ本當
ニ組織ガ完備スルト云フコトニナレバ、所
謂本會社ガヤルヤウナ仕事モ、米穀商ノ團體
ニ於テヤルコトガ出來ルダラウ、卽チ配給
部門ハ米穀商ガ組織サレタモノトナッテ負
擔スルト云フコトガ出ルモノデハナイカ、
斯ウ云フヤウナ考ヲ申シテ居ルモノデアリ
マン、寧ロ其ノ後段ノソレデハ、會社ヲ作
ラズニ直グニ米穀商ノ團體ニ配給機構ヲ任
セルノガ宜イカドウカト云フコトノ點ニ付
キマシテ色々議論ガアルト思ヒマス、ソレ
ナラ今日ノ狀態ニ於キマシテハ尙此ノ會社
ニ依ラズニ、全然米穀商團體ニ任セルト云
フコトハ又至當デナイト我々モ考ヘテ居リ
そう、サウナリマスト前段ノ所謂生產者團
體トノ關係ノ問題ニナリマスガ、此ノ點ニ
付キマシテハ色々見方ノ相違ガアルノダラ
ウト思ヒマス、今農林大臣ノ仰セラレマシ
タヤウニサウ影響ハナイ、又ヤリ方如何ニ
依ッテハ影響ガナイ、斯ウ云フ風ナ見方モア
リマスシ、又米穀商ガ言ッテ居リマスヤウニ
相當影響ガアル、從ッテ之ニ付テハ十分考ヘ
テ欲シイ、斯ウ云フ見方ガアルト思ヒマ
ス、唯ソレニ對シマシテハ漫然何等ノ措置
ヲ講ゼナイヤウナ場合ニ相當影響ガアリハ
シナイカト云フ虞モ無イコトハナイト云フ
風ニ考ヘテ居リマスルガ、今般市場員ニ生
產者團體ガナリマシタ際ニ於キマシテモ、
若シモ非常ニ其ノ爲ニ兩者間ニ相剋摩擦ヲ
起スト云フ虞ガ多分ニアリマスナラバ、其
ノ際ニハサウ云フ相剋摩擦ガ起キナイヤウ
ナ處置ヲ考ヘテ市場員トスルト云フ風ナ方
法ガ必要デアラウ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居
リマス、要約致シマスレバ大體見透シデ殆
ド相剋摩擦ガナイト云フ場合デゴザイマス
レバ、ソレハ問題ゴザイマセヌケレドモ、
相剋摩擦ガ起ル虞ガアルト云フヤウナ情勢
デゴザイマスレバ、ソレニ對スル豫メノ準
備ト云フモノハ整ヘテ其ノ上デ生產者團體
モ市場員ニスルト云フコトニ致シタイト、
斯ウ思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=28
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029・中島久萬吉
○男爵中島久萬吉君 私モチヨットソレニ
關聯シテ御尋ヲ致シマス、實ハ本法實施ニ
伴ヒマシテ、產業組合ト商業團體トノ關係
ニ付テハ非常ニ憂慮致シテ居ル一人デアリ
マスルガ、是ダケハ事實ニナッテ出テ來ヤシ
ナイカト思フ、從來商業組合團體ト致シマ
シテハ、此ノ〓算取引ノ下ニ於テ販賣ヲ致
シテ居リマシテ、相當ニ產業組合ト商業團
體トノ租稅負擔ノ相異ヲ緩和シテ參ッタ實
情ガアルノデアリマス、處ガ今度〓算取引
ヲ極力制止サレルト云フコトニナリマスル
下、從來ノ米穀市場ニ占メテ居リマシタ產
業組合ト商業團體トノ位置ガ全然〓倒シテ
參リマシテ、米穀市場ニ於テ取扱致シテ居
リマシタ米穀ノ割合ナドト云フモノガ、今
日ト全ク正反對位ニナリハシナイカト思フ
ノデアリマスガ、自然產業組合ト商業團體
トノ相剋狀態ガ激化サレヤシナイカト云フ
ヤウナ點ニ付テ非常ニ心配致シテ居リマス
ルガ、其ノ點ハ如何ノ御見込デゴザイマセ
ウカ、チヨット御伺ヒ致シテ置キタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=29
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030・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 今ノ中島男爵ノ
ヤウナ議論ヲ致ス人モアリマスガ、只今申
上ゲマス通リ、今日ノ狀態ト私ハ何等變ラ
ナイト思フノデゴザイマス、唯販賣組合ガ
直接ニ市場員ニナッタノト、或ハ自分ガ代理
者ヲ市場員ニシタ場合ダケノ相異デゴザイ
マシテ、現在ニ於テモ相當米穀取扱業者ニ
賣ッテ居ルノデアリマシテ、其ノ狀態ハ私ハ
サウ非常ナ變化ハナイト考ヘマス、能ク世
間デハ販賣組合ガ出レバ、モウ直グニソレ
ガ產地カラ直接ニドン〓〓持ッテ來ル、斯ウ
云フ風ナ意見ヲ致ス人ガアリマスケレドモ、
ソレハ固ヨリ產業組合ハ所謂委託ヲ受ケテ
賣ルノデアリマスルガ故ニ、現在デモ其ノ
委託ヲ相當受ケテ居ルノデアリマシテ、殆
ド二割ト云フ數字ニナッテ居リマスルガ、若
シ世間ノ人々ノ惧レルガ如キコトデアリマ
スレバ、今日迄ニモット非常ナル發達ヲ致シ
テ居ルト思ヒマス、僅カニ市場ノ手數料ト
云フモノハ一俵ニ對シテ二厘位ノモノデゴ
ザイマスノデ、今デモソンナラバ產業組合ノ
方デ市場ヲ通シテ賣ラウト思ヘバ賣ルコト
ガ出來ナイ譯ハナイノデアリマス、併シ此
ノ度ノナンニ依リマスト云フト、之ニ對シ
テ嚴重ナル監督ヲ付シテ居ルノデアリマシ
テ、決シテ是ガ市場ヲ攪亂スルトカ、ドウ
スルトカト云フ風ナ狀態ニハナラナイト斯
樣ニ思ヒマス、又今日現在ノ情況カラシテ
見マシテモ、所謂商人側ハ網ノ目ノ如キ矢
張リ集荷機構ヲ持ッテ居ルノデアリマシテ、
是ガ現在圓滿ニ集荷ヲ致シテ居ル、斯ウ云
フ情況デアリマス、從ッテ此ノ市場ガ出來
テ、市場ニナリマシタカラト言ッテ、サウ市
場ニ米穀取引業者ノ數ガ減ッテ、販賣組合ノ
數ガ激增致スト云フ風ニハ相成ラヌト思フ、
況ヤ今後ハ恐ラク此ノ集荷方面ニ於キマシ
テモ、米穀常業者ニ於テ、或ハ商業組合ヲ
組織スルトカ、或ハ他ノ方法ヲ講ジマスト
カ、私ハ寧ロ商業組合ノ米穀商人ノ方ガ、
發達スルト迄ハ行カナクテモ、非常ニ改善
サレテ來テ此處ニ、生產團體ハ賣一方、消
費者團體ハ買一方、其ノ間ニ賣モ買モ出來
テ而モ一面ニ全國ニ亙ッテノ集荷機構ヲ
持ッテ居ル米穀商人、一面自ラ販賣スル機關
ヲ持ッテ居ル米穀取扱業者、卽チ兩方ニ手ヲ
持ッテ居ル米穀取扱業者ト云フ者ハ、依然ト
シテ私ハ其ノ間ニ相當ノ成績ヲ擧ゲルモノ
ト斯樣ニ信ジテ居ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=30
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031・山上岩二
○山上岩二君 チヨット關聯シテ私モ產業組
合ト商業團體ノ相剋摩擦シテ居ルコトヲ敢
テ聞クノデアリマス、米ニ付キマシテ商賣
人ノ方ガ配給シテ居ル費用ガ少イ、產業組
合ノ方ガ多イ、尙產業組合ハ損ヲシテ居ル、
又商賣人ハ政府ノ特別ノ保護助成ガナイカ
ラ困ル、特別ノ保護助成ヲシナケレバナラ
又、我々ハ產業組合ニ負ケルモノデナイ、
國家社會經濟ニ役立ツ上ニ於テ將來ソレヲ
信ジテ居ル、特別ナ保護助成ガナイカラ困
ル、私自身トシマシテモ、產業組合ガ果シ
テ社會經濟ニ良イモノカドウカト云フコト
ハ疑ヲ持ッテ居ルノデアリマス、ソレハ兎モ
角ト致シマシテ、益〓產業組合ヲ保護助成シ
テ御行キニナル御積リデアリマスカ、モウ
此ノ位ノコトデ自然ノ發達ニ御任セニナル
御積リデアリマスカ、御意嚮ヲ伺ヒタウゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=31
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032・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 世間ニ產業組合
ガ行キ過ギテ居ルト云フ議論ガ盛ニ唱ヘラ
レテ居リマス、又反產運動ト云フモノガ盛
ニ唱ヘラレテ居リマス、私ハ產業組合ガ多
年ニ亙ッテ農家經濟ノ爲ニ貢獻シタコトハ
之ヲ認メル者デアリマス、同時ニ產業組合
ガ產業組合本來ノ目的ニ對シテ穩健ナル發
達ヲ致スコトハ之ヲ歡迎致シマスケレドモ
只今世間カラ非難サレテ居ルヤウナ、非難
ヲ招クヤウナ行動ガアッテハ相成ラヌト考
ヘテ居ルノデアリマス、從ヒマシテ是ハ是
ダケヲ意味シタモノデアリマセヌケレドモ、
動トモスレバ反產運動ト產業組合トノ間ニ
相剋摩擦ガ激化セムトスル虞ガアリマスノ
デ、是等ヲ含ンデ中小ノ農商業者、其ノ他
所謂產業組合全般ニ亙ッテノ圓滿ナル發達
協調ヲ期スル爲ニ、玆ニ大キナ委員會ヲ拵
ヘマシテ、此ノ問題ノ根本的解決ニ當リタ
イト政府ハ所期シテ居ルヤウナ次第デゴザ
イマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=32
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033・塚本清治
○塚本〓治君 今ノ點ニ關聯致シマシテ、
私モ豫テ農林大臣ノ御意見ヲ伺ヒタイト存
ジテ居ッタコトガアルノデゴザイマス、產業
組合ト中小商工業者トノ利害ハナントシテ
モ一致シナイト云フコトニ私ハ考ヘル、私
ヲシテ言ハシムレバ、相互ニ其ノ本質的ノ
摩擦ガアルト思フガ、其ノ本質的ノ利害衝
突ニ付テハ後ニ申述ベテ御意見ヲ伺ヒタイ
ト存ジマスルガ、只今御答ニナリマシタ中
ニ、生產者ノ團體、或ハ全販聯ト云フモノ
ガ此ノ法案ニ依リマシテ、市場員トナッテ賣
ノ一方ニ立ツト云フコトハ、今日迄モ市場
員トコソナラナイケレドモ凡ソ類似ノコ
トガ行ハレテ居ッタノデアルカラ、今後此ノ
法律ニ依ッテ市場員トナルコトヲ公認シテモ
サウ大シタ影響ハナカラヌヤウニ御認メニ
ナッテ居ルコトヲ承リマシタガ、其處ガデス
ネ、大シタ相違ハ從來ト比シテナカラウト云
フ所ニ、矢張リ其處ニ一步又一步社會ノ經濟
的變遷ニ依リ、若シクハ國家ノ統制經濟ノ政
策ニ依ッテ、ドウシテモ中小商工業者ガ從來ニ
比シテ漸次不利益ノ地位ニ陷リツヽアル、
陷レラレツヽアルト云フコトハ、是ハドウ
モ事實ヂヤナイカト見テ居ル、私ハ事實デ
アルト信ジテ居ル、ソコデ此ノ法案ニ依リ
マシテ、私ハ論理上全販聯ノ方ガ市場員ト
シテ賣ノ一方ニ立ツコトガ認メラレルナラ
バ、論理カラ言ウタナラバ消費者團體ノ全
購聯ノ側ニ於テ又買ノ一方ニ立ッテ、市場員
トナッテ買ノ一方ニ立ツコトモ認メナケレ
バナラヌ結論ニナリマス、サウ云フコトニ
ナレバ愈〓益、モウ此ノ中小、此ノ場合ニ於テ
ハ商人ニナリマスガ、米穀商ト云フモノハ
存在ノ餘地ガナクナル譯デアリマス、唯
今日ノ趨勢ニ於テ消費者團體ヲシテ市場
員トシテ買ノ一方ニ立タシメル迄ニハ勢
ガ行ッテ居ナイカラ認メライナイダケデ
アリマシテ、若シ勢ガ其處ニ至レバソレ
モ亦立法デ認メナケレバナラヌヤウニナル
カモ知レヌト云フヤウナ譯デ、ドウシテモ
中小商工業者ト產業組合トノ利害ハ漸次益〓、
衝突ノ度ヲ深メテ行クヤウニ思フ、ソコデ
伺ヒタイト存ジマスルノハ、農林大臣ハ此
ノ兩者ノ摩擦、或ハ相剋ト云フモノ、其ノ
自身ハ措イテ此ノ兩者ノ存在ヲシテ適者生
存ノ原則ニ依ッテ自然淘汰ニ放任セラレル
御意嚮カ、何等カ其ノ政策的ニ救濟ヲ圖ラ
レルノデアルカ、其ノ根本原則ニ付テ伺フ
コトガ出來マシタナラバ仕合セダト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=33
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034・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 今塚本サンノ御
話デ見マスルト販賣組合ガ賣一方ニ出ルト
云フノナラバ購買組合モ亦買ノ一方ニ出ル
ノヲ認メナケレバナラヌデハナイカ、斯ウ
云フ御話デアリマスガ、農村ノ中小農業者
ガ米ヲ生產ヲシテ之ヲ賣ルコトハ委託シテ
纏メテ賣ルト云フ事柄ハ私ハ是ハ當然認ム
ベキコトデアルト思フノデアリマス、米ヲ
作ッタ自分ガ個々別々デナケレバ賣ルコトガ
出來ナイ、是デハ農村ノ生產者ノ中小ノ人
人ハ非常ニ困ルノデアリマシテ、自分達ノ
作ッタモノヲ纏メテ市場ヘ賣ル、又米穀商人
ニ賣ル、斯ウ云フ事柄ハ是ハ當然認ムベキ
筋合デ品物ヲ作ッタガ米穀商人デナクテハ
賣レナイ、斯ウ云フコトハドウモ理論ノ上
カラ言ッテドウデアラウカ、斯ウ思フノデア
リマス、ソレデ中小商工業者ト利害ガ相反
スルト云フ御話デアリマスケレドモ、若シ
理想的ニ生產者ノ品物ガ中小商工業者ノ手
ニ直接ニ入ッテ中小商工業者ガソレヲ自分
デ消費者ニ配給スルト云フコトガ出來レバ
是ハ或程度私ハ結構ナコトダト思ヒマスガ、
併シ世ノ中ノコトハサウ簡單ニ參ラナイノ
デアリマシテ、其ノ間ニ中間ノ人ガ立ツト
云フ事柄ガ經濟上必要デアリマシテ、有ラ
ユル問題ニ商人ガ玆ニ起ルト云フコトハ當
然ノ結果デアリマス、卽チ今囘モ消費者ノ
商業組合ノ團體ハ認メテ居リマスケレドモ、
是ハ買一方デアリマス、卽チ中小商工業者
ノ商人ガ商業組合ヲ拵ヘテ、米ヲ買フト云
フ場合ニ於テハ是ハ市場員トナッテ之ヲ買
ヒ得ルノデアリマス、但シ購買組合ヲ入レ
ナイト云フ事柄ハ是ハ確定致シテ居ル問
題デモアリマセヌケレドモ、卽チ生產者ガ
自分デ賣ッテ、サウシテ端境期ニナッテ足ラ
ヌカラ買フ、斯ウ云フ風ナコトヲ若シ認メ
ルト致シマスト、サウ云フ實際ノ實情ハア
リマセウ、又アルニ相違アリマセヌケレド
モ、是迄許スト云フ事柄ハドウモ私ハ生產
者ガ品物ヲ賣ルト云フ意味トハ多少趣ヲ異
ニ致スコトニナリマシテ、之ニ付テハ十分
ニ愼重ナ態度ヲ執ラナケレバ相成ラヌト思
ハレルノデアリマス、ソレデソレナラバ
中小工業者ノ消費者ト、生產者ノ委託ヲ
受ケテ賣ル所ノ販賣組合トガ居レバ商人ガ
居ラヌヂヤナイカ、商人ノ區域ハ侵サレ
ルヂャヽイカト、斯ウ云フ風ナ問題ガ起
リマスクレドモ、事實ハ今日ノ現狀ニ於テ
モ此ノ狀態トハ全ク違ッテ居ルノデアリマ
シテ、其ノ七割以上モ商人ノ手ヲ經テ是ガ取
扱ハレテ居ルト云フ狀況デアリマシテ、私
共ハ此ノ市場ガ出來マシタ結果ト致シマ
シテモ、米穀取扱業者ハ寧ロ〓算
取引所ガ減ジ、米穀取引所ガ減ジテ、
米穀取引所ガ扱ッテ居ッタ實米ガ此ノ市場ニ
集中セラレルコトニナレバ、其ノ數量ダケ
ガ殖エルノデアリマスカラシテ、商賣ガ擴
大サレル、擴大サレタ結果ハ卽チ生產者、
消費者、仲介ノ商人、此ノ三ツノモノガ組
合ッテ相互ニ抱キ合ッテ行ッテ市場ハ繁榮シ、
米穀商人モ決シテ衰微ヲ致スモノデハナカ
ラウ、斯ウ考ヘテ居ルヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=34
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035・塚本清治
○塚本〓治君 私ハ生產者ガ生產物ヲ個々
ニ商人ニ賣ラナケレバナラヌト云フヤウナ
コトヲ無論考ヘテ居リマセヌシ、販賣組合
ノ成立スルコト尤モ至極ト存ジテ居リマス、
小サイ生產者ガ大キナ生產者ニ對抗シテ、
社會的存在ヲ遂ゲテ行ク、其ノ繁榮ヲ圖ル
爲ニ產業組合、卽チ此ノ場合ニ於テ販賣組
合ノ組織ノ必要ナルコト申ス迄モナイ、產
業組合ノ必要ナルコト論ヲ俟ツ迄モナイ、
ソレガ故ニ問題ガ私ニハ起ッテ參リマス、生
產者ガ團結シテ販賣組合ヲ組織シテ、サウ
シテ有利ニ生產物ヲ賣ラウト云フノハ是ハ
當然、同時ニ又消費者モ成ルベク其ノ消費
スル所ノモノヲ安ク買ヒタイト云フコトモ
是モ亦當然ノコトデアル、卽チ消費者カラ
言ヘバ生產者カラ直接買フト云フコトガ出
來レバ理想的デアルノデセウ、生產者カラ
言ヘバ中間手續ヲ除イテ、消費者ニ直接賣
ルコトガ出來レバ理想的デアルノデセウ、
サウ云フ理論ハ立派ニ立チマスシ、我々ハ
直グ分ル、ソコデ中間ノ商人ノ立場ガドウ
ナルカ、日本デモ產業組合組織ガ出來テカ
ラ幾十年、其ノ初メニ當ッテ地方ノ肥料商ノ
如キ漸次購買組合ニ依ッテ其ノ地位ヲ奪ハ
レテシマッテ、今日デハ地方農村ノ肥料商ト
云フモノハナイ、ソレカラ又消費組合ノ方
カラ言ッテ見レバ、他ノ小サイ問題ニ付テモ、
例ヘバ學校兒童ノ文房具ノ如キ矢張リ購買
組合ヲ組織シテ、兒童ノ文房具ヲ買フ、ソ
レガ爲ニ文房具店ト云フモノハ倒レテシマツ
ク、又一方肥料ノ共同購入ニ依ッテ肥料商
ハ倒レテシマッタト云フ風ニ、販賣組合若シ
クハ購買組合、其ノ組織ガ漸次普及シ發達
スルニ從ッテ、商人ノ位置ト云フモノハ段々
侵サレテ來ル、脅威ヲ感ズル、其ノコトハ
此ノ產業組合ガ惡イノデモナケレバ、商人
ガ惡イノデモナイ、ソコニ問題ガアル、ド
チラカ惡イナラバ改メサセマスケレドモ、
惡イノヂヤナイ、ソコデ之ヲ先キ申シマシ
タヤウニ適者生存ノ原則ニ依ッテ、自然淘汰
ニ放任セラレルカ、放任スルモ已ムナシト
セラレルカ、ソレ共何等カ策ガ考ヘラレナ
ケレバナラヌト御思ヒニナルカ、日本デハ
實ニ商人ノ數ガ總人口ニ對スル割合ニ於テ
多イノデアリマスカラ一方ノ產業組合ソレ
自身ノ理論ダケデ商人ノ如何ニ成行クカト
云フコトヲ構ハズニ放ッテ置クト云フ譯ニ
ハイカナイト云フウヤウニモ言ハナケレバ
ナラヌ、考ヘラレル、ソコデ私ハドウ云フ
風ニサルカ、產業組合ガ行過ギタトカ云フ
爲ニ商人ガ困ルノデナシニ、私ハ本質的ニ
兩立シ得ナイト思フ、ソレデ問題ノ解決ガ
ムヅカシイト思フノデアリマスルガ、何等
カ其處ニ施サレル所ガアルノデアリマセウ
カ、又差當リ產業組合ニ對シテ其ノ販賣、
或ハ購買ニ關シテ營業稅ヲ課スルトカ、所
得稅ヲ課スルトカ云フヤウナ方法モ考ヘラ
レナイコトハナイ、ケレドモ是トテモ大シ
テ本質的ノ兩立ヲ全ウセシメル爲ニ補ヒニ
ナルヤ否ヤト云フコトハ疑ハレルノデアリ
マスケレドモ、外國デモ稅ヲ課シテ居ルノ
モアルヤウデスガ、サウ云フコト位ハ今日
ニ於テ、或ハ近キ將來ニ於テヤラレテ宜イ
ヂヤナイカ、ソンナコトデ追ツ付クカ否カ
ハ私ハマダ疑フ、ソンナコトニ付テモモット
本質的ニ農林當局ニ於テ御考ヘニナッテ居
ルナラバソレヲ承レバ仕合セト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=35
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036・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 只今ノ御話ハ要
スルニ產業組合ト中小商工業者トノ間ニ於
ケル所ノ何ト申シマスカ、兩立シナイ點ニ
付キマシテ如何ニシテ之ヲ調整スルカト云
フヤウナ御話デアリマシタ、是ハ今日トナ
リマシテハ非常ナ大キナ問題デアリマシテ、
十分ニ考究ヲ致サナケレバナラヌト思ヒマ
ス、丁度都會地ニ於ケル「デパート」ト小
商人トノ間ノ狀況ト云フヤウナモノニ引ツ
絡ンデ來ルト思ヒマス、ソレデ有ラユルサ
ウ云フ問題、是ハドウシテモ根本的ニ解決
シナケレバ將來恐ルベキ摩擦ガ起ルノデハ
ナカラウカト云フ懸念ガナイノデハアリマ
セヌカラ此ノ點ニ付キマシテ先刻申上ゲマ
シタ通リドウシテモ此ノ問題ヲ徹底的ニ〓
究調査致シテ、サウシテ其ノ雙方ノ協調、
偕和ノ共存共榮ノ途ヲ講ズル必要ガアルト
思ヒマシテ、玆ニ一大調査機關ヲ設ケテ至
急ニ考究致シタイ、斯樣ニ考ヘテ居ルヤウ
ナ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=36
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037・塚本清治
○塚本〓治君 矢張リ關聯致シマシテ御伺
ヒ致シマスガ、農林省デハ年來產業組合ヲ
頗ル御奬勵ニナッテ居リ、之ニ對シテ種々ノ
便宜ヲ與ヘテオイデニナル、販賣組合ノ如
キ全國一萬一千餘ノ町村ニ對シテ餘程普及
ヲ見テ居ルト思ヒマス、同時ニ又購買組合
ニ對シテモ勿論御奬勵ニナッテ居ルト思フ、
販賣組合ノ方ハ農產物ノ販賣ヲ目的トシテ
居リマスルノガ多イノデアリマシテ、農產
ニ關スル有ラユル購買組合ハ消費者トシテ
都會地ノ住民ガ組織スル所ノモノデアリマ
シテ、割合ニ產業組合ノ商工省ニ關スルモ
ノハ奬勵ガ屆イテ居ラヌ、デアリマスルノ
デ都會地ノ購買組合ト云フモノハ發達ガ非
常ニ遲イ、併シ是ガ發シテ、本當ニ發達致
シマスレバ農村ニ於ケル販賣組合ノ如ク、
都會地ニ於ケル購異組合ガ發達致シマスレ
バ、都會地ニ於テサウスレバ其ノ利害ノ衝突
ハ、商人ニ對シテノ利害ノ衝突ハ非常ニ顯
著ニナッテ來ヤウト思ヒマス、都會地ノ者ハ
商人ガ目ノ前ニ居リマスノデ其ノ色々ノ利
害ノ衝突若シクハソレニ依ッテ購買スル方
ノ便宜ガアルノデスカラ、强ヒテ購買組合
ヲ組織シナイノデアリマスルケレドモ、矢
張リ都會地ニ於テモ相當出來ツヽアル、併
シ此ノ發達ガ鈍イダケソレダケ商人トノ利
害ノ衝突ガマダ著シクナイ、是ガ發達シテ
參リマスレバ商人ノ存在ト云フモノハ非常
ニ危イ、併シソレハ先刻伺ヒマシタ大調査
機關ヲ設ケテ御調査ニナルコトデアリマス
カラ、最早此ノ以上伺ヒマセヌ、此ノ米穀
法案ニ於テハ米穀統制法案ニ於テ、生產者
ノ團體ガ市場員トシテ賣リノ方ニ立ツト
云フコトニ依ッテ、是迄ト事實ニ於テハ餘リ
變リハナイ、ヒドク變ルコトハナイト云フ
コトハアリマスケレドモ、私ハ事新シク此
ノ法規ニ依ッテ米價ノ吊上ゲヲ圖ルコトニ於
テ餘程有力ナ立場ニ立ツノデハナイカ、從ッ
テ米價ト云フモノガ最高價格ニ〓ネ近イ所
ニ定メラレルコトニナリハシナイカト云フ
コトヲ恐レルノデアリマスガ、其ノ邊ノ御
見込ハ如何ナモノデアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=37
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038・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 御承知ノ通リ此
ノ取引ハ第七條ニ依リマシテ、米穀統制法
ニ依ル最高最低ノ範圍內ニ於テ取引ガ行ハ
レルコトト相成ルノデアリマス、從ヒマシ
テ米穀ノ價格ガ非常ニ吊上ゲラレテ、消費
者ヲ脅威スルガ如キハ全然有リ得ナイト思
ヒマス、ソレデ此ノ範圍內ニ於テ上ノ方ニ
釘付ニセラレル虞ハナイカ、斯ウ云フ風ナ
御疑念デゴザイマスガ、私ハ左樣ニハ考ヘ
ナイノデアリマス、卽チ是ハ需給ノ關係ニ
依ッテ價格ガ定ルノデアリマシテ、勿論生產
者ノ團體ニ於テ値ガ高クナケレバ賣ラヌト
云ッテ或ハ聯盟ヲ作ルトカ、ドウスルトカ云
フヤウナコトガアレバ別問題デアリマスケ
レドモ、サウ云フ事柄ハ十分ナ取締ガ出來
ルノデアリマシテ、殊ニ市場ニ於テ政府ガ
管理致サレムトスル臺灣米デアルトカ、政
府ノ持ッテ居リマス米穀ノ買換デアルトカ、
サウ云フ事柄モ非常ニソレヲ調節スルノニ
ハ與ッテ力ガアルノデアリマシテ、最モ公正
妥當ナル價格ガ生レテ來ルト考ヘルノデア
リマス、殊ニ全ク其ノ値幅ト云フモノガサ
ウ大キクナイ値幅デアリマシテ、其ノ値幅ニ
於テ今御話ノヤウナ事柄ガ今日ハ稍〓上ノ方
ニ釘付ケニナッテ居ルヤウナ傾キガアリマス
ケレドモ、ソレハ諸物價ノ關係上竝ニ其ノ他
ノ需給關係上カラ起ッテ居ルノデアリマシテ、
私ハ平時ニ於テハ是ハ理想的ナ價格ガ生レ
テ來ルモノト、斯樣ニ考ヘテ居ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=38
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039・塚本清治
○塚本〓治君 最低、最高價格ノ幅ガ非常
ニ縮小サレ來ッタノデアリマシテ、今日デ
ハ極メテ狹イ範圍ヲ超エルコトノナイコト
ハ誠ニ宜イコトナンデアリマスガ、私ノ申
上ゲタ疑問トシタ所ノモノハ、矢張リ機構
ニ於テ卽チ生產者團體ノ方ガ市場員トナッ
テ賣リニ立ツ今日デモ全販聯ガ單位組合迄
組織的ニ系統的ニナッテ居ル、屢〓其ノ指令ヲ
地方カラ出ス、ソレヲ今度市場員トシテ立
ツ時ニ、全國系統的ニ命令ヲ傳ヘテ、何圓
迄ハ先ヅ暫ク賣ラナイデト云フヤウナコト
ヲスルト云フコトガ想像セラレルノデス
ガ、ソレヲデス、農林省デ取締ルト云フ
譯ニハ參リマスマイ、ソコデ干涉サルヽコ
トハナイダラウト思フ、又シテハナラヌト
思フ、最高價格ヲ超エルノデハナク、最高
價格ノ際ドイ所迄引ッ張ッテ行ク、ドコノ程
度カ分リマセヌケレドモ、成ルベク上ノ方
ヘ引ッ張ッテ行クコトハ、此ノ生產者團體ガ
市場員トナルコトニ依ッテ、更ニ現在ヨリモ
有利ニナリハセヌカ、指令ヲ系統的ニ傳ヘ
テ、先刻ノ御話ノ中ニモアリマシタガ、生
產者ガ聯盟デモ作ッテト云フコトデアレバ
別デアルケレドモト、仰シヤッタノデスガ、其
ノ聯盟ノヤウナ風ニ働キヲスルコトガアリ
ヤセヌカト云フコトヲ懸念スルノデスガ、
如何ナモノデアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=39
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040・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 此ノ販賣組合ヲ
シテ市場デ賣ラセマスコトハ、大體月別平
均ノ方針ニ依ッテ賣ルヤウニ指揮、指導致シ
タイト思ッテ居リマス、ソレガ若シ或一定ノ
値段迄賣ルナト云フ風ニ全國ニ指令ヲ出シ
テヤッタト假ニ致シマシテモ、今ノ所ノ生產
ノ販賣組合ハ僅カ二割幾ラノ數量デアリマ
シテ、後ノ多數ノ米ハ矢張リ米穀取扱業者
ノ手ニ依ッテ取扱ヒマスノデ、此ノ總テガ聯
繫ヲ保ッテ手ヲ握レバ別問題デアリマスケ
レドモ、然ラザル限リハ假ニ一時サウ云フ
コトハ效果ヲ奏シタト致シマシテモ、又其
ノ反動ガ來ルト云フコトニナリマスノデ、
他ノ米穀業者ハ卽チ商機ニ對シテ皆能ク達
觀ノ出來ル者ガ多イノデアリマスカラ、單
ニ販賣組合ガ左樣ナコトヲ致シタガ爲ニ、
市場ノ價格ガ常ニ上ハ付ケラルヽト云フヤ
ウナコトハナイト考ヘマスノミナラズ、寧
ロサウ云フコトヲ致シマスルト、逆作用ヲ
起スノデハナイカト考ヘマス、況ヤソレニ
對シマシテハ常ニ十分ナル指導ヲシテ行キ
タイト思ヒマスノデ、御心配ノヤウナ事柄
ハ起ッテ來ナイト信ズルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=40
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041・塚本清治
○塚本〓治君 時刻ガ參リマシタカラ一時
中止致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=41
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042・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠治君) 休憩致シマス、
午後ハ一時半ヨリ開會致シマス
午後零時八分休憩
午後一時四十二分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=42
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043・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 開會致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=43
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044・松村眞一郎
○松村眞一郞君 私ハ此ノ案ヲ見マシテ端
的ニ感ジタコトハ、取引所ト云フモノニ對
シテ政府ガ表面カラ望ムト云フ態度ヲ執ラ
ズニ、側面カラ濟シ崩シニ米穀取引所ト云
フモノノ機能ヲ奪ヒ來ッタト云フ跡ヲ自分
デ感ジルノデアリマス、前會ニ私ガ申シマ
シタ如ク取引所ニ對シテ勇氣ノアル政府ハ
イツモ表面カラヤッテ居リマス、上手ノ政府
ト申シマスカ、サウ云フ大臣ノ御方ハ表面
カラ御取扱ニナラナイ、サウシテ改革ヲス
ル意アルガ如ク、ナキガ如ク、外部カラ非
常ニ疑ヲ感ズルヤウニ思フノデス、併シナ
ガラ米穀統制法ノ出來マシタ時ニ、米ノ最
高最低ヲ定メタコトニ依ッテ、取引所ハ公定
相場ノ上ノ方カラ生レテ來ルト云フ其ノ作
用ヲ奪ハレテシマッテ、機能ノ最モ大切ナ所
ヲ奪ハレテシマッテ、或幅ノ中デ踊ッテ居ル
ト云フ譯デアリマス、大キナ相場ノ大局カ
ラ見タ所カラ出發スルコトヲ許サズシテ、或
線ト線トノ間デ踊レ、斯ウ云フコトニナッテ
居ルノデアリマスカラ、取引所ト云フモ
ノハ此ノ際機能ヲ害サレテシマッテ居ル、サ
ウ云フ譯デアリマスカラ、何トカシテ取引
所ニ付テ考慮シテ貰ハナケレバナラヌト云
フコトハ、是ハ當然取引所ノ方カラ起ッテ來
テ居ル譯デアル、處ガ偶,其ノ當時米穀取引
所ト云フモノノミナラズ、取引所制度全體
ニ付テ制度ヲ根本的ニ變ヘナケレバナラヌ
ト云フコトデ、取引所制度調査會ト云フモ
ノガ出來テ、サウシテ委員ガ任命サレテ、
ソコデ調査セシメラレタ、是ハ町田商工大
臣ノ時デアッタト思ヒマス、爾來一向進マナ
イ、私モ其ノ特別委員ヲ命ゼラレテ、結城
サンガ委員長デオヤリニナッタ、結城サンガ
大藏大臣ニナラレル迄ヤッテオイデニナツ
テ、一向進行シナイ、其ノ際ニ先ヅ米穀統
制下ニ於ケル米穀取引所ト云フ問題ヲ一番
初ニ隨分議論シタ、是ハ何トカシナケレバ
ナラヌト云フノデ、結論ヲ得テ居ル、ソレ
カラ有價證劵ノ方ニ行ク譯デ、先ヅ米穀統
制法ヲ政府ガ施行スル以上ハ、米ノ取引所
ニ付テ何カシナケレバナラヌコトハ當然ヂ
ヤナイカト委員トシテハチヤント決メテ
居ル、ソレカラ愈、結城サンガ大藏大臣ニ
ナラルヽ少シ前デアリマシタガ、小川サ
ンノ商工大臣ノ時ニ殆ド特別委員會ト云
フモノハ議了シテシマッテ、將ニ答申案
ヲ作ラウトシテ皆寄ッテ答申案ヲ議シテ
居ッタ、處ガ其ノ答申案ヲ委員全體カラ取上
ゲテシマッテ、外部ニ發表スルコトヲ非常ニ
恐レラレテ居ル、其ノ答申ハ取上ゲラレタ
カラ、記錄ハナイ、サウ云フ狀態デ取引所
制度ト云フコトガ置イテアル、極メテ私ハ
眞正面カラ向ハナイト云フ態度ガ、ソレガ
非常ニ愼重ニセラレテ居ルト云フ解釋モ出
來マセウケレドモ、解釋トシテハ取引所ニ
對スル態度ガ非常ニ卑怯デアルガ如ク批評
サレルコトモ生ズルノデハナイカト私ハ思
フ、其ノ後政府ハ一向米穀取引所ニ付テ何
モシナイモノデアリマスカラ、ソコデ米穀
自治管理法ト云フモノガ出テ來ル時ニ取引
所ハ困ッタモノダカラ、何トカ考ヘテ貰ハナ
ケレバナラヌト云フコトヲ言ッテ居ル、處ガ
元來取引所ハ何處ノ所管カト云フト、是尺、
商工省ノ所管デアル、デ、前囘ニモ申シマ
シタ如ク、米ノ取引所ト云フモノハ、舊幕
時代日本ノ經濟ノ中心ハ米デアル、總テ米
デ何萬石ノ知行取デアルトカ、何萬石ノ武
士トカ、何デモカデモ米デ評價シテ居ルカ
ラ、經濟ノ中心ハ米デアル、サウ云フ時代
カラ幾多ノ功績ヲ殘シテ居ル米穀取引所
ニ、固ヨリ罪モアリマセウ、功罪相償フト
云フコトヨリモ功勞ノ方ガ勿論多イダラウ
ト云フコトハ當然ト思ヒマス、サウ云フ米
穀取引所ト云フモノガ、一方ニ於テ米穀統
制法トカ色々ナ政府ノ側面的施設ノ下ニ、
漸次自己ノ機能ヲ政府ノ方ニ實ハ移シテ居
ル譯デアリマス、取引所ノ機能ノ中ニアル
モノハ、詰リ米穀法、統制法ト云フモノデ政
府ノ方デ自分ノ方ニ取込ンデ居ッテ取引所ノ
衰ヘルコトニ付テハ何等考慮ヲ拂ハレナ
イ、非常ニ私ハ不思議ニ思フノハ、農林省
ガサウ云フコトヲヤッテ居ルノヲ商工省ハ
默ッテ見テ居ル、自分ノ所管デ、功績ノアル
所ノ取引所制度ヲ、自分達ガ今迄監督シ、
助長シテ來ナガラ、其ノ取引所ガ終リヲ全
ウスルヤウナ熱意ヲ以テ私ハ何トカ指導サ
レルノガ當然ヂヤナイカト思フ、處ガ取引
所ト云フモノニ付テ一向熱意ヲ持タナイト
云フヤウニ私ハ感ズル、米穀會社ト云フモ
ノガ作ラレムトシタノハ大分前ノコトデア
リマスガ、サウ云フ取引所ノ問題ガアルガ
故ニ、取引所ノ方ガ困ッテ、農林當局ノ方々
ト色々ナコトヲヤッテ、何トカシヨウヂヤナ
イカ、ドウシタラ宜イカ分ラナイガ、何ト
カシヨウヂヤナイカト云フコトデヤッタノ
ガ、此ノ法律ノ抑〓ノ初デス、私ハ此ノ時分
ハ關係シテ居リマセヌ、サウシテ色々ナコ
トヲシテ作ッタモノガ日本米穀株式會社法
案ト云フモノデアル、ソレカラ有馬農林大
臣ニナッテカラデアリマシタ、新機構調査委
員トカ云フヤウナ名稱デ又新シク官制デ任
命サレタ場合ニ、私ハ任命ヲ受ケタ、其ノ
時ニ諮問サレタノハ、矢張リ日本米穀株式
會社法案ト云フモノヲ、斯ウ云フモノガ出
來テ居ルト云ッテ諮問サレテ居ル、ダカラ、
之ニ依ッテ審議セヨト云フコトナノデアル、
元來全然米穀配給統制ト云フモノヲ白紙
ノ狀態ニ置イテ、如何ナル配給機關ヲ作ッタ
ラ宜イカト云フコトデ考ヘサセラレルナラ
バ······今日米穀統制ト云フモノハ、漸次國
ノ統制ト云フモノガ强化シ來ッテ居ルノデ
アルカラ、國ノ管理ト云フ風ニズン〓〓進
ミツヽアル、サウシタ場合ニ於テハ何ガ取
引市場ノ經營主體ニナルベキカト云フコト
ヲ達觀的ニ考ヘタラ······是ハ有價證劵市場
ニ付テモ我々ハ論議シテ居ルガ、例ヘバ國
ガ宜イカ、公共團體ガ宜イカ、有價證劵市
場デアレバ、商工會議所ガ宜イカ、又米ニ
付テ言ヘバ、國ガ宜イカ、地方團體ガ宜イ
カ、或ハ帝國農會ガ日本商工會議所ト合體
シテヤルガ宜イカ、或ハ株式會社ガ宜イカ
ト云フ工合ニ、各段階ニ亙ッテ我々ハ頭ノ中
ニ考ヘテ居ル、元來株式會社ハ營利會社デ
アルノダカラ、政府ガ玆ニ米穀政策ヲ國策
トシテヤッテ居ル場合ニハ、米穀局デ國ガ直
接ヤッテ居ル場合ニハ、會社ノ案ト云フモノ
ハ私ハ餘リ感服シナイ、處ガ先程申シマシ
タヤウニ、沿革ガ旣ニ會社ト云フモノガ出
來テ居ル、サウシテ其ノ當時ハ何千萬圓ト云
フモノヲ廢業手當トシテ認メルト云フ案ガチ
ヤント出來テ居ッタ、其ノ案ヲ今有馬サンノ
時ニ變ヘテ出サレタ、是ハ色々論議シタ結
果······是ハ貴族院ノ調査課カラ出テ居ルノ
ダカラ、我々議員ハ皆配付ヲ受ケテ居ル、
米穀配給統制法案資料ト云フモノガアリマ
スガ、其ノ中ニ沿革ガ皆書イテアル、ソレ
ヲ見マスト、昭和十三年ノ十二月十五日ニ
有馬農林大臣ハ日本米穀株式會社案要綱ト
云フモノヲ世間ニ示サレタ、又米穀局長ハ
商工會議所ニ出掛ケテ行ッテ、此ノ說明ヲシ
テ居ラレルコトモ皆此ノ印刷物ニ載ッテ居
ル、此ノ案ヲ見ルト矢張リ廢業手當ト云フ
モノヲ出スコトニナッテ居ル、之ヲ以テ大臣
ハ議會ニ臨ムト云フコトヲ言明サレテ居ル、
ソレガ新聞ニ出テ居ル、サウシタ處ガ特別
委員會ハサウ云フヤウニ決ッタノデアリマス
ガ、今度ソレヲ總會ニ掛ケル前ニ大臣ガ去ッ
テシマッタ、處ガ大臣ガ考ヘ直サレタノデア
リマセウ、今度ハ廢業手當無シト云フコト
ニナッタ、併シ現在ノ米穀局ノ初ノ提案ト云
フモノハ、ソレハ矢張リ廢業手當無シノ案
デ出來テ居ッタ、ソレヲ商工省トノ抗衝ノ結
果或程度ノ廢業手當三百萬圓トカ云フヤ
ウナ····金額ハ決ッテ居リマセヌガ、ソンナ
ヤウナコトデ妥協ヲ附ケテ、有馬サンハソ
レナラ廢業手當ハ或程度認メルト云フコト
デ出來テ來タノガ有馬サンノ案デアル、今
度ハ全然手當無シト云フ制度ニサレタ、併
シ此處迄來タ經過カラ見マスト、此ノ案ガ
一番良イト思フ、ソレハ廢業手當ヲ一切出
サナイト云フ案デアリマスカラ、此ノ案ガ
一番良イト思フ、取引所ニ對スル案トシテ
ハソレデ結果ヲ見マスト、斯ウ云フ
コトニナッテ居ル、初メ暗中摸索ト言ヒマス
カ、何カ分ラナイガ、寄ッテ調査シテ見ヨウ
ヂヤナイカト云フコトデ、色々デッチ上ゲテ
來タヤツガ、色々詮ジ詰メ〓〓シテ茲ニ斯
ウ云フモノガ結晶シテ來タノデアリマスカ
ラ、沿革ヲ全部離レテ此ノ案ヲ眺メマスナ
ラバ、矢張リ營利會社ト云フ方面ニ於テ私
ハ感服シナイ、併シ初ノ案ヨリ餘程改良サ
レテ居ル、沿革附ノ案トシテハ手當
無シデヤラウト云フノデアリマスカラ··
玆ニ持ッテ來タノハ今迄ノ經過ノ中デハ最
善的ニ改善サレタモノダト私ハ思ヒマス、
併シナガラサウ云フ經過ヲ辿ッテ居ルニ拘
ラズ、商工省ハ一向表面ニ立ッテ居ナイ、ソ
レハ此ノ統制法カラ見ルト、直グニ私ハサ
ウ云フコトヲ直感シタノデアリマス、此ノ
配給統制法案ノ第五十五條ヲ見ルト、斯ウ
云フコトガ書イテアル、「取引所法ハ米穀ニ
關シテハ之ヲ適用セズ」斯ウ云フ規定デス、
私ハ是ハ非常ニ不思議ダト思フ、適用セズ
ト云フコトハ、取引所法ノ中ノ米穀ニ關ス
ル規定ハ有效ナンダ、併シナガラ適用セズ
ト云フコトニ讀ムヨリ方法ガナイ、米穀ト
云フモノニ關シテ取引所法ノ適用ガ相當デ
ナイナラバ、適用セズト云フコトデナク、
削ルト云フコトデナケレバナラヌ、適用セ
ズト云フコトハ、有ルカラ適用シナイト云
フコトニナルノデ、無イナラ適用シナイト
云フコトハナイ、是ハ取引所法ヲ正面カラ
改正スルト云フコトヲ逃ゲテ居ルト云フコ
トハ明カデアル、取引所法ハ其ノ儘ダ、併
シ米穀ニ關シテハ之ヲ適用セズ、斯ウ云フ
態度ハ商工省トシテハ宜クナイ、此ノ規定
デ全部解決シテ居ルノハ宜クナイ、ソコデ
取引所法ヲ眺メルト、ドウ云フコトガ書イ
テアルカト云フト、直グ引掛ッテ來ル條文ガ
アル、取引所法ノ第十八條ニ、「取引所ノ賣
買取引ノ期限ハ有價證劵ニ在リテハ三箇月、
米ニ在リテハ三箇月、蠶絲ニ在リテハ六箇
月、其ノ他ノ商品ニ在リテハ勅令ノ定ムル
期間ヲ超ユルコトヲ得ス」ト書イテアル、
「米ニ在リテハ三箇月」ト云フ規定ハドウス
ルカト云フト、適用セズト云フノダカラ、此
ノ規定ハマダ活キテ居リマス、「米ニ在リテハ
三箇月」、此ノ規定ハ活キテ居ルケレドモ、適
用シナイ、ソレデアルカラ、米穀取引所ハ法
規ノ上ニ於テ存在シテ居ルト云フコトニナ
ル、斯ウ云フ立法ガイケナイ、取引所法ヲ正
面カラ改正シテ、第十八條中「米ニ在リテハ三
箇月」ヲ削ルト云フコトデナケレバナラヌ、
コンナモノヲ置イテ置イテ適用セズト云フ
コトハ、ゴマカシノ立法ダト思フ、是ハ少
シ暴論デスガ、サウ申上ゲテ宜イト思フ、
然ラバドウスレバ宜イカト云フト、極ク簡
單デアル、案ヲ作レト言ヘバ、直グ作ッテ見
セマス、取引所法ノ第一條ニ、「賣買取引ノ
繁盛ナル地區內ノ商人ハ政府ノ免許ヲ受ケ
テ一種若ハ數種ノ物件ノ取引所ヲ設立スル
コトヲ得」此ノ下ニ「米穀ヲ除ク」ト書ケバ
宜イ、サウスレバ、米穀ハ出來ナイト云フ
コトガハッキリスル、第一條ニソレヲ書ケ
バ、總テノ問題ハ解決スル、ソレト、雨上
先程言ッタ「米ニ在リテハ三箇月」ヲ削レバ
宜イ、處ガソレヲヤル場合ニ於テハ取引所
法ノ改正ニナル、「取引所法中左ノ規定ヲ
改正ス」ト云フコトニナル、サウスルト取引
所法ノ正面カラブツカル、ソレデ私ハ囘避
立法ト云フコトヲ申シテ居ル、斯ウ云フコ
トヲヤッテ居ルト云フコトハ、商工省ガ斯ウ
云フ功績ヲ持ッテ居ル取引所ノ終ヲ全ウセ
シメル爲ノ御取扱振トシテハ、モウ少シ行
キ屆イタコトニシテ御進ミニナルベキヂヤ
ナイカト云フコトヲ思フノデス、ソレハ私
ハ恐ラクハ斯ウ云フ風ニ想像スルノデス、
取引所法全般ニ問題ヲ起スト、ソレガ有價
證劵市場ニ付テモ又問題ヲ起スデアラウ、
ソレハマダ十分準備ガナイカラ、色々動搖
ヲ起ス、チヨット有價證劵市場ニ付テノ議論
デモ致シマスト、大變ナ問題ヲ起ス、ソレ
ハ取引所法ヲ改正スルト云フコトヲ言ハナ
クテモ直グ起ス、チョット何カ話ヲシテ、ソ
レガヒヨット洩レルト非常ナ騒動ヲ起スコ
トニナル、ソレハ簡單ナ例ヲ申シマスト、
私ガ農林省ニ居リマシタ時、新聞記者ニ取
引所ノコトヲ話シタ、私ハ元來取引所ト云
フモノハ當所株ノ上場ヲ禁ジナケレバナラ
ヌト云フコトヲ話シテ居ッタ、サウスルト、
或新聞ガソレヲ書イタ、サウシテ大變ナ騷
動ヲ起シテシマッタ、私ハ當局者デモ何デモ
ナカッタガ、ソンナコト程非常ニ敏感デアリ
マスカラ、ソコデ非常ニ細心ノ御注意ヲ御
拂ヒニナッテ、取引所法ヲ改正サレナカッタ
ト云フコトハ、私ハ諒トシマスケレドモ、
ソレナラバモウ少シ熱意ヲ以テ居ラルヽガ
如キ形ニ於テ、米ノ取引所ト云フモノノ處
理ヲサレルコトガ必要ダト云フコトヲ感ジ
ルノデアリマス、サウ云フ意味ニ於テ今申
上ゲルノデ、ソコデドウシタラ宜イカト云
フ問題ニナリマスト、私ハ取引所ニ對スル
政府ノ考へ方ガドウ云フヤウニ收メテ行ク
カ、是ハマア取引所ノ方デハサウ云フ心配
ヲシテ居ル、併シ是ハドウシテモ廢業手當
ヲ出サナイト云フコトデ、物資關係ニ於テ
ハ全然サウ云フ金ハ出サナイト云フコトデ、
此ノ案ガ出來テ居ルノデアリマス、處ガ此
ノ案ノ之ヲ良イモノナリト云フ方面カラ考
ヘテ今度ハ眺メテ見ルト云フト、ソレハ廢
業ト云フ思想ヲ止メテ、スッカリ大臣ガ前ノ
時ニ言ハレタ合併ノ心算リデヤルト云フコ
トデアリマスカラ、精神カラ言ヘバ、取引
所ヲ總テ玆ニ融合シテ、此ノ新シイ米穀會
社ニ融ケ込マシテシマフト云フ心持デアル
ト云フコトニ眺メルナラバ、是ハ前ノ案ヨ
リハ淚ノアル案ダト云フコトハ言ヘマセ
ウ、前ハ廢業手當ト言フコトヲ言ッテ居ル
カラ、滅亡ト云フコトヲ前提トシテ、手當ヲ
ヤルト云フコトデアッタガ、今度ハ融ケ込
マセル、政府ノ方ノ考ト民間ノ考トガ合體
シテ、茲ニ新シイ米穀會社ト云フモノヲ作ッ
テ、國策ノ向フ所ニ順應シテ行カウト云フ
コトノ意味ト云フコトニ解釋シテノミ、初
メテ此ノ法案ニ對シテノ理由ガアルト云フ
ヤウニ解釋シ得ルカト思フノデアリマス、
ソンナヤウナコトニデモ解釋シナイト、
此ノ案ガ餘程意義ヲ失フト私ハ思フ、サウ
云フヤウニ考ヘマスト云フト、元來先程カ
ラ申シマシタ如ク沿革ニ囚ハレタ考デ、株
式會社ニナッタ譯デスカラ、一應茲ニ溶ケ込
ンデ出來タガ、今度ハ更ニ引續キ米穀ノ配
給機關トシテハ如何ナルモノガ理論的
ニ理想的ニ宜イノデアルカト云フコトハ、
私ハ一面餘程政府ハ〓究セネバナラヌ
ト思フ、一方ニ於テ臺灣デ移出米管理
ト云フコトヲ政府事業トシテヤルノデアリ
マス、斯ウ云フコトデアルト、新聞紙ノ報
ズル所ニ於テハ、朝鮮ニ於テモ亦會社ヲ作
ル、サウ云フヤウナ傾向ニナッテ居ル時ニ、
政府ハ株式會社デヤッテ行クノダト云フコ
トノ私ハ確信ガナイノヂヤナイカト思フ、
取敢ズ取引所ト云フモノヲ米穀會社ノ方ニ
融ケ込マシテ置カウ然ル後ニ本當ノ意味ノ
段々米穀政策ガ强化シテ行ク譯デアリマス
カラ、其ノ方ニ迪ッテモウ少シ合理的ナ〓
究ヲシ、其ノ方ニ近附ケテ行カウト云フ經
過的立法トシテノミ、私ハ之ニ合理性ヲ認
メ得ル譯デアリマス、ソコデ問題ニナルノ
ハ一體此ノ株式ヲ優先配當サレル譯デアル
ガ、初ニ配當ヲ割當テ、優先割當ヲセラレ
ルノニ、先ヅ取引所ト云フモノニ優先配當
ヲサレル、殘ル所ハ僅カシカナイ、百五十
萬圓位デアリマスカ、二百萬圓位デアリマ
スカ、三百萬圓位デアリマスカ、其ノ邊ハ
知リマセヌガ、兎ニ角五百萬圓ヨリモ少イ
株ガ取引所以外ニ割當テラレル譯デアル、
サウスルト、取引所ノ方ハ此ノ株ヲ唯割當
テラレルノデアリマスカラ、他ノ株主ニナ
ラントスル者ガ殘ッタ三百萬圓デスカ、其ノ
金額ニ對シテ全國ノ人ガ集中シテ來ル譯デ
ス、ソレヲドンナヤウナ工合ニ配當スルノ
デアルカ、私ハ斯ウ云フコトモ想像シテ見
夕、頻リニ米屋ノ諸君ハ、此ノ間千何ガシ
ト云フモノヲコチラニ乘換ヘタ上ニ於テ考
ヘテ見テモ、一向配當保證モナイカラ、大
シタ有難イコトハナイト云フコトヲ言ッテ
居リマス、ソレハ別トシテ殘リノ株ニ對シ
テドンナ要望ガアルダラウト云フコトヲ私
ハ想像シテ見ルト、ナカ〓〓政府ハ困リハ
シナイカト云フコトハ、例ヘバ產業組合ハ
相當ノ資產ヲ持ッテ居ル、ソレガ其ノ位ナ
三百萬圓ヤ四百萬圓ノ株ヲ持ツコトハ極ク
簡單デ、サウ云フコトヲ言ヘバ、私ハ直グ
引受ケルダラウト思フ、サウスルト云フト、
取引所ノ方ガ要ラヌト云フナラバ、全部デ
モ貫ヒマセウト云フヤウナ態度ニナッテ來
ルトスレバ、今ノ商人ト產業組合ト云フヤ
ウナモノノ問題其ノ出資ヲ如何ニ割當テル
カト云フコトニ付テモ、私ハ非常ニ考ヘナ
ケレバイカヌト思フ、ソンナヤウナコトモ
考慮シテ、取引所ニ對スル關係ト產業組合
ニ對スル關係トノ舵ヲ御執リニナラナケレ
バナラナイト共ニ、一般ノ國民ハ米ニ對シ
テ、主要食糧品デアルカラ、皆關心ヲ持ッテ
居ル譯デアルガ、ソレハ株ヲ持ツ餘地モ何
ニモナイ、サウ云フ設立ノ當初ニ於テ餘程
公平ナル判斷ヲシナケレバナラヌト云フコ
トガアリマスカラ、餘程考ヘナケレバナラ
ヌト思ヒマスガ、ドンナ用意ヲシテ居リマ
スカ、又後ニ他ノコトヲ質問致シマスカラ、
其ノ時ニ答辯ヲ願ヒタイ、ソレカラ茲ニ優
先的ノ配當ガシテアル、政府ノ方ノ株ハ後
ニシテ、先ヅ利益ガアレバ、民間ノ出資ニ
對シテ六分迄優先サセル、ダカラ、是ハ優
先株デアル、利益配當優先株ト云フモノヲ
與ヘル、三十四條ニアリマス「百分ノ六ノ割
合ニ達スル迄政府ノ所有スル株式ニ對シ利
益ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ」トアリマスカ
ラ、此ノ利益配當ノ優先株ヲ發表スル、サ
ウシテ優先株ト云フモノハ會社ノ大體ノ目
論見ナドヲ見マスレバ、是ダケハ優ニ入ル
ト云フ確信ガアルヤウデアル、サウスレバ
配當保證ヲシテモ事實上優先株ノ配當ヲ受
ケル譯デアルカラ、其ノ優先株ヲ持ッテ居
ルト云フ關係ニ於テ米穀取引所ハ、自分ノ
會社ノ株ヨリ或ハ場合ニ依ッテ有利カモ知
レヌ、併シナガラ現在ノ米穀取引所ト云
フモノハ米穀法ノ統制ヲ受ケル意味ノ配當
デアルカラ、ソレト比較スルコトハ適當デ
ナイ、是ハ公平デナイ、ソレハ當然米穀統
制法制定前ノ配當ト比較シナケレバ、米穀
取引所ト云フモノハ公平ナ判斷ヲ受ケルコ
トニナラナイ、ソンナヤウナ事ヲ考ヘルト、
私ハ斯ウ云フヤウナコトヲ想像スル、先程
モ申シタ如ク經過的ノ會社デアルコトヲ私
ハ頭腦ニ直感スル、サウスルト、或時期ニ
長イ期間ヲ待タズニ、此ノ米穀會社ト云フモ
ノハ又何カ政府ノ機關ニ吸收サレナケレバ
ナラヌ運命ヲ持ッテ居ルト思フ、サウ云フ場
合ニ、資本ノ拂戾ノ場合ニ於テドウ云フ用
意ヲシテ居ラレルカ、サウ云フコトハ一向
用意ガナイ、ソレハ利益配當ヲ優先シテ居
ル、今度ハ拂込ンダ株金ヲ拂戾ス場合ニ於
テ勿論損ヲスルコトガナイデセウ、併シ又
ドウ云フ損ヲスルカモ知レナイ、サウ云フ
場合ニ三十四條ノ規定ガアルナラバ、政府
ノ出資金ニ對スル拂戾ヨリモ、民間ノ出資
金ニ對シテ拂戾ノ優先ヲスルト云フヤウナ
用意ガナイト云フコトハ、私ハ深切ナ規定
デハナイト思フ、ソレハ其ノ時ニナッテ法律
ヲ出セバソレデ宜イト考ヘラレテ居ルノデ
アルカ、兎ニ角賠償ハシナイ、ケレドモ精
神的ニ溶ケ込ンデシマフコトヲ考ヘタナラ
バ、米穀取引所ノ關係ハ、先々迄モ政府ガ
考ヘテヤルト云フコトノ現レガ出テ來ルコ
トガ必要ダト思フ、處ガ其ノ取引所ニ關係
ガナイノデスカラ、政府以外ノ株全部ニ對
シテ、資本ノ拂込ニ對スル優先ヲ認メルト
云フヤウナコトヲ考慮スル必要ガアルノデ
ハナイカト思フ、サウ云フヤウナ例ハ幾ラ
モアリマス、サウ云フ會社ノ法制ヲ云ヘ
バ、是ハ資本ノ拂戾ニ關シテ優先權ヲ有ス
ル利益優先配當株、斯ウ云フモノデアリマ
ス、優先株ト云フコトハ、「イギリス」ノ法
律ナゾデ「プレファレンス·シェアー」ト云
フコトハ利益配當ノ優先デアリマス、其
ノ外「キャピタル」ニ對スル優先ト云フモノ
ハ、ソレハ「イギリス」ノ方デ云ヘバ3 }
ファレンス·シェアー·ウイズ·プレファレ
ンス·アズ·トゥー·キャピタル」デ之ヲ資本
ニ關スル優先ト云フ言葉デ示シテ居ル、資
本ニ關スル優先ヲ持ッタ利益配當優先株、斯
ウ云フヤウナ觀念ヲ政府ノ頭腦ニ御懷キニ
ナルコトガ、將來〓算ヲスルヤウナ場合ニ
於テハ何トカシナケレバナラヌト云フヤウ
ナコトノ御心積リデモナイト云フト、終リ
ヲ全ウセシメル米穀取引所ニ對スル態度ト
シテ私ハ宜クナイト思フ、ソレハ米穀取引
所ヲ救フト云フヤウナ問題デハアリマセヌ、
日本ノ米穀ニ關スル經濟機關ガ、昭和十四
年ニ至ッテ新タナ組織ニ溶ケ込ンダト云フ
コトノ經濟史ノ一頁ヲ形ヅクル大問題ニナッ
テ居ル譯デアリマス、之ヲ考ヘネバナラヌ、
變ナコトヲヤッタト云フコトガ後世ノ歷史
ヲ傷ツケルコトニナルト思ヒマスカラ、サウ
云フコトヲ能ク御考ニナル必要ガアルト云フ
コトト、ソレカラ取引所、此ノ取引所ガ此
ノ方ニ融ケ込ンデ來ル場合ニ於ケル解散ニ
付テノ〓算ハドウ云フコトヲ考ヘテ居ルノ
デスカ、ソレハ尋常一樣ノ〓算デ宜イノデ
アルカ、例ヘバ改正商法ノ今度ノ規定ナド
ヲ見ルト特別〓算ト云フヤウナモノガアリ
マい、ソンナヤウナ規定ヲ參酌シナガラ今
度ハ融ケ込マムトスル取引所ニ付テノ〓算
ニ付テノ何等カノ考慮ヲ要スルモノト考ヘ
マスルガ、ソレニ付テドウ云フヤウナコト
ヲ考ヘテ居ルカト云フコト、ソレカラ財產、
之ヲコチラニ買フノニ付テ、五十六條ノ末
項ニアリマス米穀取引事業審査委員會ノ議
ヲ經ルコトヲ要スル、是ハ色々ナ財產ヲ此
ノ會社ノ方デ引取ルニ付テノ評價ノ問題デ
アリマス、此ノ評價ヲスル際ニ利用價値ヲ
考ヘルトカ何トカ大臣ハ說明シテ居ラレ
ル、サウ云フヤウナ審議委員會ニハ勿論利
害關係ノアル取引所關係ノ人ハ私ハ加ヘテ
ハイカヌト思フ、サウ云フ點ニドウ云フ考
ヲ持ッテ居ルカト云フコトガ五十六條ニ付テ
ノ問題デアリマス、ソレカラ之ヲ設立スル
ニ付キマシテハ、五十四條ニアル設立委員
〓
ノ問題デアリマス、「政府ハ設立委員ヲ命ジ
日本米穀株式會社ノ設立ニ關スル一切ノ事
務ヲ處理セシム」ト云フ此ノ設立委員ノ中ニ
ハ、米穀取引所ト云フモノガ此ノ會社ニ融
ケ込ムモノデアルトスルナラバ、新シイ會
社ニ對スル設立ノ其處ニ役割ノ幾分ノ責任
ヲ持チ、其ノ中ニ參加セシメルコトガ私ハ宜イ
ノデハナイカト思ヒマス、ソレカラ取引所及
ビ其ノ取引員、ソレカラ取引所ノ從業員ナド
ノ側ヲ代表シタル人物ヲ設立委員ノ中ニ加
ヘルト云フ考慮ヲスルコトニ依ッテ、取引所
ト云フモノガ此ノ會社ニ融ケ込ムノダト云
フヤウナ思想ヲ考へ得ルダラウト思ヒマス、
ソンナヤウナコトニ對シテドウ云フコトヲ
考ヘテ居ラレルノデアルカト云フコトガ私
ノ質問ノ點デゴザイマス、ソレカラ前囘ニモ
觸レマシタガ、米穀配給統制法案理由書ト
云フモノヲ見ルト云フト、「投機取引ヲ抑制
シ實需ニ基ク正米取引ヲ原則トスル」、投機
取引ヲ抑制スルコトガ卽チ之ニ依ッテ實需
ニ基イテ正米取引ニナルノダト讀メルガ如
キ說明ヲシテ居ラレルノハ、是ガ投機取引
ト云フモノト實需ト云フモノノ關係ヲ誤認
シテ居ルノヂヤナイカト私ハ思フ、私ハ投
機取引ヲ抑制スル必要ハナイト思ヒマス、
總テ投機取引ノ差金決濟ヲ抑制スル必要ハ
アルケレドモ、投機ノ取引ヲ抑制スルト云
フコトデアルト、商賣ト云フモノハ出來ナ
イ、投機ヲ抑制シタナラバ世ノ中ニ
投機ノナイモノハアリマセヌ、投機ノナイ
モノハアリマセヌ、投機ガアッテ商賣ガ出
來テアルノデアリマスカラ、高クナラウト
思フカラ買フ、安クナルダラウト思フカラ
賣ル、投機ナクシテ商賣ト云フモノハ出來
ナイ、我々ノ日常生活モ或意味ニ於テ投機
ヲシテ居ル、明日ハドウナルカト云フコト
ヲ判斷シテ動イテ居ル、投機ヲスルト云フ
コトハ機會ヲ捉ヘルト云フコトデアリマス
カラ、機會ヲ捉ヘルト云フ考ガナケレバ、
日常生活ガ成立タナイ、投機ヲ抑制スベキ
モノデアルト云フガ如キ意味ニ考ヘテ居ル
ト云フコトデアルナラバ、是ハ非常ニ間違
デアリマス、頭ノ置所ガ·····サウ云フヤ
ウナコトニ付テ、後デ取引所トソレカラ產
業組合トノ關係ニ付テノ政府ノ認識程度如
何ト云フコトヲ私ハ質問ニ依ッテ確メタイ
ト思ヒマス、ソレハ後デ質問シマス、投機
取引ノ抑制ト云フコトニ付テノ意味ヲ能ク
了解シテ居ラレナイト思ヒマス、一例ヲ以
テ申シマス、斯ウ云フ場合ハ宜イモノト御
考ニナルカドウカト云フコトヲ御尋ネシマ
ス、自分ノ持ッテ居ナイ米ヲ延取引デ賣ルト
云フコトニハドウナリマスカ、持ッテ居ナイ
物ヲ賣ル、此ノ質問ヲ致シマシテ、サウ云
フコトハ止メサセルノデアルト云フコトヲ
ヒヨット考ヘルト云フト、トンデモナイコ
トデアル、持ッテナイモノヲ賣ラセルト云フ
コトヲ日本ノ民法ガ認メテ居ル、他人ノ權
利ヲ賣ルト云フコトデス、ソレハ空賣ヲス
ルト云フコトデス、是ハ取引所ノ方ノ「テク
ニカル·ターム」デ言ヘバ「ショート·セーリ
シント「ショート」ハ短カク、賣ルハ「セー
リング」、投機ノ本體ハ、素人ガ投機ヲヤル
下、先ヅ買フ、買ッテ置イテ、ソレヲ賣ル、
ソレハモウ素人ナンデス、商賣人ハソンナ
コトハヤラナイ、是ハ高クナルト思フト、
自分ハ持ッテ居ナクテモ註文ガアレバ、持ツ
テ居ナイモノヲ賣ルノデアリマスカラ、ソ
レハ投機ナンデス、ソンナコトヲ惡イナン
ト云フコトヲ考ヘテ居ルト、商賣ヲ知ラナ
イト云フコトニナル、素人ノ投機ト云フモ
ノハ、株ヲヤラウトスレバ、株ヲ先ヅ買フ、
ソレヲ持ッテ居ッテ高クナッテカラ賣ル、ソレ
ハ投機ヂヤナイ、投機ト云フモノハ持ッテナ
イモノヲ賣ッテシマフ、ソレカラ搔集メル、
「ショート·セーリング」ト云フコトヲヤラ
ナケレバ、商賣人ノ資格ハナイ、其ノ意味
ヲ頭ニ入レテ、此ノ米問屋ト云フモノト產
業組合トノ指導ヲドウヤッテ居ラレルカト
云フコトヲ······序ニ其處迄言ヒマシタカラ
申シマス、產業組合ニ於テハソンナ指導方
針ヲ執ッテ居ラナイ、ソレハ私此ノ產業組合
關係法規ト云フモノヲ見タンデス、サウシ
マスト云フト、ヤカマシイ所ノ全國ノ米穀
販賣組合ノ聯合會ト云フモノノ定款、足ノ、
全販聯デス、米ノ全販聯、是ガ今問題ニナ
ツテ居ル、ソレガ市場ニ進出スルコトガ商
賣人ト非常ニ摩擦ヲ起スト云フコトヲ言ッテ
居ル、處ガ全販聯ト云フモノハサウ云フコ
トヲシテ居ナイ、又サセルベキモノヂヤナ
イ、世間ヲ見テ居リマスト、斯ウ云フコト
ヲ言ッテ居ル、ドウモ產業組合ト云フモノト
商人トノ衝突ガアルカラ、白米ヲ止メタラ
宜カラウ、產業組合ニ白米ヲヤラセナイヤ
ウニシタラ宜カラウ、其ノ議論ハ天下ニ瀰
漫シテ居ル、白米ヲ許サナケレバ、ヤラナ
イコトニスレバ商人トノ衝突ハナイダラ
ウト考ヘテ居ル、ソレハ商品ヲ加工ヲス
ル程度ダケノ問題デアリマス、サウ云フ
コトヂヤナイ、商機能ト云フモノガアル、
是ハ塚本サント私ハ前ニ米穀管理法ノ委員
ニナリマシタガ、其ノ時ニ私モ質問シ、
塚本委員モ質問サレマシタガ、此ノ生產
者ト消費者ノ中間ニ商機能、商ノ機能ト云
フモノガアル、商機能ヲ商賣人ガ擔任スル
コト、產業組合ガ擔任スルコトガ要點デア
リマス、其ノ商機能ノ全部ヲ產業組合ガ擔
任スルコトハ出來ナイ、出來ナイト云フコ
トヲ知ラナケレバ、產業組合ノ指導ガ出來
ナイ、產業組合ノ諸君ハ何ト言ッテ居ルカト
云フト、生產者ヨリ消費者ニト言ッテ居ル、
生產者ヨリ消費者ニ、ソンナコトハ出來ナ
イ、玆ニ例ヲ申シマス、米ヲ持ッテ居ル產業
組合ガアル、米ヲ賣ラウト云フ產業組合ガ
アルト、是ハ販賣組合デス、農家ノ作ッテ
居ル販賣組合、ソレハ米ヲ賣ラウ、ソレハ
販賣組合デス、東京市ニ於テ或消費者ノ團
體ヲ作ッテ居ル消費組合ガアル、是ハ購買組
合デアル、米ヲ買ハウト云フ產業組合ト、
米ヲ賣ラウト云フ販賣組合ト一緒ニナッテ
ジットシテ居ッタラ、商賣ハ出來ナイ、何故
カト云フト、生產者ハ高ク賣ラウト言フ、
消費者ハ安ク買ハウト言フ、生產者ヨリ消
費者ニト言ッテウッチヤラカシテ置イタラ、
商賣ハ何時迄モサセラレマセヌ、賣ル方ハ
高ク〓〓ト言フ、買フ方ハ安ク〓〓ト言フ、
產業組合ノ間ニ話ガ附カナイ、其ノ場合ニ
何ガ適當ナ相場ガアルト云フコトヲ示シテ
居ルノカ、取引所デアル、取引所ガ示シテ、
ソレガ正米市場ニ移ッテ、サウシテ從來ハ
使命ヲ全ウシテ居ッタ、サウ云フ關係デアリ
マスカラ、商機能ト云フモノガナケレバ、
產業組合ハ動カナイ、從來ノ指導方針ハ私
ハ徹底シテ居ナイト思ヒマス、生產者ヨリ
消費者ニト云フヤウナ幼稚ナ標語ヲ直グ修
正スル位ノ態度ガナケレバナラヌ、分ッテ居
ナイト私ハ斷言スル、今申上ゲタ商機能全
部ハ產業組合デハ到底引受ケラレナイ、今
「ショート·セーリング」ト云フコトハ全然
農林省ハ許シテ居ナイ、產業組合ニドウ云
フコトヲ許シテ居リマスカ、產業組合ハ生
產者カラ委託シタ米ヲ販賣ヲシナクチヤイ
カヌト云フコトデアリマス、是ハ農林省ノ
指導方針ノ一大原則デアリマス、買取販賣
ヲシチヤイカヌ、買取販賣ハ、荷主カラ持ツ
テ來タモノヲ販賣組合ノ力デ買ッテシマッ
テ賣ルト云フコトデアリマス、ソレハ許サ
ナイノデアリマス、總テ委託デ行ケト云フ
コトニナッテ居ル、決シテ買ッチヤイケナ
イ、其ノ儘賣ッテシマフ、委託販賣ト云フ
コトニナッテ居ル、ソレハ農林省ノ原則デア
リマス、「ショート·セーリング」ト云フコト
ハ產業組合デハ絕對ニ許サナイノデアリマ
ス、處ガ商賣人ハ「ショート·セーリング」
ガ生命デアリマス、「ショート·セーリン
グガ生命デアル所ノ米問屋ト、ソレカラ
サウ云フコトノ出來ナイ產業組合トガ玆ニ
非常ニ併立スル場合ノ指導方針ト云フモノ
ハ、ソンナニムヅカシイモンヂヤナイ、能
ク言ッテ聽カセレバ能ク分ル、ソレカラモウ
一ツハ產業組合ニ付テ平均賣ト云フコトヲ
奬勵シテ居ル、ソレガ一ツノ原則デアリマ
ス、ソレハ今迄ヤッテ居ル買取販賣ハ許サナ
イ、委託物デナクチヤナラヌ、ソレハ定款
ヲ見レバ書イテアル、私ハソレヲズット見
ク、此ノ販賣組合ノ定款ヲ總テ委託販賣デ
ス、其ノ中間ニ決シテ買取販賣ヲサセナイ、
定款ヲ見テ見ルト、途中ニ代金ノ假拂ト云
フコトハアリマス、併シナガラ所有權ハ決
シテ移ラナイノデ、サウ云フモノト商人ト
ガ同ジヤウニ市場ニ出掛ケテ行ク時ノ指導
方針ト云フモノハ明々白々ナンデス、ソレ
ガ相剋摩擦トカ何トカト云フヤウナコトヲ
言フテ居ルノハ、商人ガ何ヲスルモノデア
ルカ、販賣組合ガ何ヲスルモノデアルカト
云フコトヲ知ラナイ所ノ政治家ガ狼狽シテ
居ルノデアル、知ラナイカラ狼狽シテ居ル
知ッテ居ル者ハ平然トシテ居ル、何處ニ衝突
ガアルカト云フコトヲ言ヒ得ルト私ハ思
ス、サウ云フコトヲハッキリシナイデ、此
ノ法案ヲ携ゲテ來ラレルト云フコトガ政府
トシテ非常ニ用意ガ足リナイト云フコトヲ
私ハ斷言スル、私ノ今ノ言フタコトガ間違
デアルヤ否ヤト云フコトヲ大臣ノ御答辯ヲ
願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=44
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045・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 私今日他ノ委員
會ニ行ッテ居リマシテ、中途カラ參ッタノデ
アリマシテ、或ハ御答洩レガアルカモ知レ
マセヌケレドモ、其ノ點ハ政府委員カラ御
答へ致スコトニ致シマス、第一ニ此ノ品物
ヲ取引所ノ財產ヲ買フ場合ニ於ケル所ノ米
穀事業審査委員會ノ委員ニ買ハレル方ノ當
業者ノ人ヲ入レルカ入レヌカト云フ御話デ
アリマスガ、是ハ玆ニ確定ヲ致シテ居リマ
セヌケレドモ、方針トシテハ入レナイト云
フ方針デアリマシテ、大體御說ノ通リデア
リマス、設立委員ニハ是ハ此ノ會社ノ株劵
ヲ持タセルコトニナリマスレバ、當然入ッテ
戴クコトガ宜イト考ヘテ居リマス、ソレカ
ラ投機取引ヲ抑制云々ト云フコトノ何デア
ルケレドモ、投機取引ト云フモノハ公正ナ
ル價格ヲ拵ヘルノニ必要デアルト云フ風ナ
御意見デアリマシタガ、要スルニ實際ノ品
物ヲ受取ル若シクハ賣渡スト云フ考ヲ以テ
致ス場合ニ於テハソレハ私ハ差支ナイト思
ヒマス、卽チ商人ガ買フコトハ固ヨリ差支
アリマセヌガ、自分デ米ヲ集荷シ得ル見込
ノアル人ガ手持品ヲ持ッテ居ラナクッテモ、
現物ガナクッテモ、ソレハ商人トシテハ賣ル
コトガ出來得ルト、斯樣ニ考ヘテ居リマス、
ソレカラ產業組合ノ販賣組合ノ件ニ付キマ
シテハ全然御說ノ通リデゴザイマシテ、是
ハ御意見ト何等變ッタコトハゴザイマセヌ、
御意見ノ通リデアリマス、ソレカラ遡リマ
スガ、最初ニ取引所ハ此ノ會社ガ解散スル
場合ニ於テ優先的ニ其ノ財產ヲ取引所ニ與
ヘテ然ルベキデハナイカ、斯ウ云フ風ナ御
意見デアリマスガ、是ハ申込ノ際ニ申込マ
レテモ宜シイシ、現金デ取ラレテモ宜シイ
シ、其ノ自由ニ選擇セラレル權利ヲ取引所
側ニ與ヘテ居ルノデアリマシテ、之ニ對シ
テ解散ノ場合ニ優先權ヲ與ヘルト云フ事柄
ハ本條ニ於テハ認メテナイノデアリマスガ、
併シナガラ今御話ノ如ク此ノ會社ガ極メテ
堅實ナ基礎ヲ持ッテ居ルト云フコトハ明カ
デアリマスノデ、其處迄考ヘナクトモ差支
ナイノデハナイカ、且今ノ申込ノ自由ガア
ルノデアッテ、申込マウガ申込ムマイガ、卽
チ取引所側ノ隨意デアリマスカラシテ、其
ノ程度ニ於テ差支ナイデハナイカト、斯樣
ニ思ッテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=45
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046・松村眞一郎
○松村眞一郞君 問題ハ今度ハ延取引ニ移
ル譯デアリマス、ソレハ商取引迄ニ適切ナ
ル機關ヲ御認ニナラヌト云フト、商賣ハ動
イテ行カナイト云フコトヲ私ハ申上ゲル、
長クスレバ、弊害ガアルト云フヤウナコト
ハソレハ取締ガ惡イノデス、取締ヲナサズ
シテ、詰リ取締ヲナスベキ能力ナクシテト
云ッタ方ガ宜イ、商賣ノコトガ分ラズシテ、
監督シテ居ッタノデハ迚モ出來ナイ、サウ云
フ弊ガアル、ソレハ餘程御考ニナッテ、サウ
云フコトヲ御注意ニナルコトガ私ハ必要ト
思ヒマスガ、兎ニ角實際必要ナル機關ハ認
メナケレバイカヌ、ソコデ玆ニ反問シマス
ガ、米ニ付テ從來三箇月ト云フコトニナッテ
居マスガ、蠶絲ニ付テハ六箇月ト云フコト
ニナッテ居ル、是ハ何故米ハ三箇月デアッテ、
蠶絲ハ六箇月デアルカト云フコトハ說明ハ
出來ナイト思フ、是ハ米モモット長クシナケ
レバイケナイ、昔カラ一一箇月ニヤッテ居ッテ、
之ヲ延スト云フト弊害ガアルカラト云フノ
デ、三箇月デヤッテ居ッタ、米ガ三箇月デア
ルモノダカラ、有價證劵モ三箇月ニシタ、
三箇月ニ觸レルコトハ政府トシテハ非常ニ
怖イ、從來ノ行政方針トシテ怖イ、ソコデ
米ハモット長クシナケレバイケナイ、三箇月
デハ意味ヲナサナイ、モット長クシナクチヤ
イケナイ、蠶絲ハ何故六箇月カ、是ハ養
蠶ノ時ノ期間カラ來テ居ル、養蠶ヲスルト、
其ノ時ニ資本ヲ投下スル、サウスルト、ド
ノ位ノ何十掛ニナルト云フコトヲヤッテ、直
グソコニ繭ノ値段ガ出テ來ル、是ハ何十掛
ト云フコトニナレバ、ソレヲ見テ繭ヲ買ッ
タ時ニ直グ生絲市場ノ方デ掛繫ヲスル、其
ノ爲ニドウシテモ期間ノ長イコトガ必要デ
ス、經濟ノ安定ヲ圖ル爲ニハ、是ハ掛繫ノ
「ヘッジング」ト云フコトヲヤル、ソレヲ考
ヘルト、元來米ニ付テハ三箇月デハ出來ナ
イ、米ハ苗代ニ入レテ、苗ヲ移植スレバ、
其ノ時カラ凡ソ考ヘテ、是ハドノ位ノ米ニ、
生產費カラナルト云フコトニシテ、ソシテソ
レヲ賣ルト云フコトニシテ、サウ云フ組織
ヲ作ラナケレバ、本當ニ米作ヲ助長保護ス
ルコトニナラナイ、ソレヲ〓算取引ガドウ
ノ斯ウノト投機取引ヲ恐レテ居ルヤウナコ
トデアルト、其ノ改良ハ出來ナイ、小麥ト云
フモノノ先物取引ト云フコトヲ許セバ、相
當ノ期間云ヲ附ケナクチヤイカヌ、米ニ付
テハ三箇月ト云フヤウナコトヲシテ居ルカ
ラ、今日ドウ云フ問題ガ起ッテ居ルカト云フ
ト、靑田賣買ト云フコトガ行ハレテ居ル、
靑田ノ時ニ賣買ヲシテシマフ、取引所ニ掛
ケラレナイカラ、仕方ナシニ高利貸ニ靑田
ノ儘デ賣ッテ、是ガ今日農村疲弊ノ源泉デア
ルト云フコトハ誰シモ認メラレテ居ル、サ
ウ云フコトニ氣ガ附カナイカラ、昨年ノ農
地調整法案ノ時ニ衆議院デハドウ云フコト
ヲ言ッテ居リマスカ、世間デハ靑田賣買ト
言ッテ居リマスガ、私ノ所デハ黑田賣買ト云
フコトガ行ハレテ居ル、黑田賣買トハ何カ、
マダ稻ヲ植ヱナイ、土ノ黑イ時カラ賣買シ
テ居ル、此ノ米ハ是位ニナリマスカラト云
フノデ、金ヲ借リテヤッテ居ル、サウ云フコト
ヲヤッテ居ルコトヲ農林省ハ考ヘテ貰ヒタ
イト云フコトヲ言フテ居ル、處ガ、私ハソレ
ヲ聞イテ居ル、ソンナ譯ヂヤナイト云フコ
トヲ私ハ考ヘテ居ル、私ハ白田賣買ト云フ
コトガアルト思フ、是ハ私ガ自分デ想像シ
テ居ル、其ノ土地ニ雪ガマダ積ッテ居ル、雪
ガマタ積ッテ居ッテ、マダ黑イ土ノ出ナイ時
カラ考ヘナケレバナラヌコトガ起ッテ來ル、
ソレヲ色々ナコトヲヤッテ居ル、ソレハ白田
賣買デス、私ハサウ云フコトヲ此處デ申シ
テ置ク、處ガソレハ或意味ニ於テ「ブランク」
ト云フコトヲ言ッテ居ル、白紙ト云フコトヲ
言ッテ居ル、ソレハ勸業銀行ハ何ヲシテ居ル
カ、耕地整理ニ金ヲ貸シテ居ル、其ノ時ニ
農林省ノ耕地整理官ハドウ云フ算盤ヲ彈キ
マスカ、此ノ土地カラハ米ガ是ダケ穫レル、
ソレハ一石當リ幾ラト云フコトヲ計算シテ、
ダカラシテ、費用ヲ償ッテ餘リアルカラト云
フノデス、ソレハ白田賣買ヨリモモウ一ツ
上デス、何モ無イ所カラ想像デヤッテ、ソレ
デ助長シテ、サウ云フコトヲヤッテ居ル、サ
ウ云フコトヲ考ヘルト、米ノ三箇月ト云フ
コトハ短イト云フコトハ直グ判ル、何故三
箇月ヲ延シ得ナカッタノデアルカト云フコト
ノ認識ガナクテ、投機取引ガ惡イト云フコ
トヲ考ヘテ居ッタラ、百姓ハ上ル場所ガナイ
ト私ハ思フ、モウ少シ本當ニ米ト云フモノ
ヲ了解シテ戴カヌト云フト、幾ラ日本ノ農村
ガ米作ニ熱心ニナッテモ、オ役所ノ方ノ理解
ガモウ少シ進マナイト私ハイカヌト思ヒマ
ス、ソレハ取引所法ヲ商工省ニ任セテ居ル
場合ニ於テハ、米ト云フモノハ今日ハ經濟
界ヲ「リード」スル力ハ無クナッテ居ル、今日
ハ有價證劵市場ガ「リード」シテ居ル、ダカ
ラ、米穀取引所ト云フヤウナモノガ色々ナ
運動ヲシテ見タ處ガ、商工省ト云フモノハ
餘リ重キヲ置カナイ、處ガ株式取引ト云フ
コトニナルト驚イテシマッテ、手ヲ著ケナイ
ト云フ狀態デアルガ故ニ、米ト云フモノハ
益〓閑却サレル、生絲ハ六箇月ト云フノハ、
是ハ輸出品デアルカラ、幾ラカ新シイ考ヲ
以テ、是ハ後カラ考ヘ出シタコトダカラ出
來タ、サウ云フコトガアリマスカラ、大臣
ハサウ云フコトニ對シテハドウ云フコトヲ
考ヘテ居ラレマスカ、一應御答辯ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=46
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047・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 地方ニ於キマシ
テ靑田賣買ト云フコトガ相當行ハレテ居ル
ト云フコトハ耳ニ致シテ居リマス、卽チ肥
料買入ニ資金ガ要ル、ソレニ對スル金融上
困ッテ居ル人トカ、其ノ他種々ノ關係上金ノ
早ク手ニ入ルコトガ必要デアル人々ガ、
靑田ノ內ニ於テ其ノ田カラ出ル生產品ヲ
見返リトシテ賣買ヲ致シテ居ルト云フ風ノ
コトモアルヤウニ聞イテ居リマス、此ノ點
カラ申シマスト云フト或ハ半年デアルト
カ、時期ニ依リマシテハ、暮デアルナラバ
一年トカ、或ハ四五月頃デアルチラバ半年
トスルトカ云フコトノ期間ヲ、長イ期間ヲ
置イテ取引ヲ致スト云フコトモ、是ハ又一
ツノ方法デアラウト思ヒマス、併シナガラ
今日行ハレテ居リマス所ノ米穀取引所ノ狀
態ヲ見マスト云フト、一昨日モ申上ゲマシ
タ通リ〓算ノ取引高ト實際ノ實米取引高ト
云フモノハ、殆ド百分ノ一、百分ノ二ニ過
ギナイヤウナ狀態デアリマシテ、マルデ米
ニ對シテ何等ノ關係モナシ、何等ノ知識モ
ナイ人ガ買ッタ賣ッタト云フ風ノ狀態デアリ
マシテ、相當其ノ點ニ於テ惡ク申セバ賭博
ニ類シマスヤウナコトガ行ハレマスノデ、
斯ウ云フ事柄ハドウシテモ取締ッテ、サウシ
テ實際米ニ關係ノアル人、米ヲ持ッテ居ル人
若シクハ米ヲ買ヒタイ人、若シクハ米ヲ賣
リタイ人、斯ウ云フ人ノ賣買ヲ圓滑ニスル
ト云フコトガ宜イデハナイカト云フ建前カ
ラ、取敢ズ此ノ二箇月間ノ期間ヲ置イテ、
サウシテ調節ヲ致セバ大體ニ於テ調節ガ出
來ルヂヤナカラウカ、斯ウ云フ風ノ考ヲ以
チマシテ此ノ案ヲ立テタヤウナ譯デアリマ
ス、勿論今年ノ米ガドウ云フ値段デ賣レル
デアラウカト云フ見當ガ付カナケレバ、農
民ガソレヲ作ル考モアルデセウシ、肥料ヲ
買入レル工合、或ハ之ヲ耕作スル關係上凡
ソノ米ノ値段ノ見當ガ分ラナケレバイカヌ
コトハ勿論デアリマシテ、卽チ米價ヲ安定
セシメルト云フコトガ必要デアリマス關係
上最高最低ノ値段ト云フモノヲ決メテ、
サウシテ前年ノ十二月ニハ之ヲ決メテ指示
スルノデアリマシテ、其ノ範圍內ニ於テ農
家ノ人々ガ計畫ヲ立テルト云フコトニ相成
リマスレバ、大體ニ於テ大ナル不安ナクシ
テ實行ガ出來ルデアラウ、斯樣ニ考ヘテ居
ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=47
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048・松村眞一郎
○松村眞一郞君 私ハ前申上ゲマシタ如ク、
此ノ法案ノ眼目トナルノハ第七條デアルト
云フコトヲ申シテ居ル、最高最低ノ價格ト
云フモノヲ玆ニ定メテ、ソレニ引付ケヨウ
ト云フコトニ依ッテ價格ヲ調節スルコトニナ
ル、ソレト同時ニ大臣ノ御考ハ、全國ニ市
場ト云フモノヲ配置スル、ソレデ私ハ米其
ノモノヲ見ル、人ヲ見テハイカヌト云フコ
トヲ考ヘル、米ヲ見ナクテハイカヌ、米ガ
ドウ動イテ居ルト云フコトヲ見レバ宜イ、
米ヲ集中シテ、其ノ配給ガウマク行ハレル
ト云フコトニ付テ市場ヲ指導シテ行カナケ
レバナラヌト思フ、サウ云フ御考デナイト
云フト、若シソレデ進マレルナラバ端境期
ノ持越米ト云フモノハサウ澤山要ラヌト云
フコトニナル、今日端境期ノ持越米ガ七八
百萬石トカ九百萬石トカ言ッテ居リマスガ、
是ハ前ニハ五百萬石ヲ理想トシテ居ッタ、交
通ガ段々盛ンニナッテ居ルニ拘ラズ、是ガ九
百萬石ニナッテ居ルト云フノハ、本當ノ配給
ニ付テ是ダケハ持ッテ居ラナケレバ不安心デ
アルト云フ意味カラ來テ居ル、ソレハモウ
サウ云フ所ニ頭ガ精密デナイカラサウ云フ
コトヲ言ッテ居ル、唯餘ッタモノヲ持越米ト
シテ持ッテ居ルダケデ、積極的ニ持越米ガド
レ位アッタラ宜イト云フコトノ〓究ヲシテ
ナイ、ソレハ米ノ消費ト同ジデアル、米ノ
一人當ノ消費ガ幾ラト云フコトノ計算ハ、
供給ノ方ノ計數ヲ見ルト、持越米ガ幾ラア
ルカト云フコトヲ見テ、自然ニナクナッタモ
ノヲ消費米ト言ッテ居ル、積極的ニ消費ノ調
査ヲ近頃ハヤリ出シタ、サウ云フ印刷物ガ
アリマス、印刷物ハアルケレドモ外部ニ發
表シナイ、米穀要覽ト云フモノハアナタノ
方ノ書類デアリマスガ、其ノ方ヲ見ルト消
費高ト云フモノガ書イテアル、消費ノ別ノ
統計ガ出シテアル、私ハ米穀自治管理ノ時
ニ言ッタ、差引勘定ヲシテソレガ消費高デア
ルト言ッテモ、ソレハチットモ消費高デハナ
イ、消費高ダラウト云フノデ、ソンナモノ
ヲ消費高ト言ッテ、一人當ノ米ノ消費高デア
ルト言ッテ米穀政策ヲヤッテ居ッタナラバ、殆
ド根據ガナッテ居ナイ、デスカラ積極的ニ消
費高ヲ調ベナケレバナラヌ、酒米ニ幾ラ使ッ
テ居ル、三百萬石以上使ッテ居ルデセウ、ソ
レハ消費統計デ分ル、ソレハ消費ノ方カラ
見ナケレバナラヌ、サウシテ此ノ位消費ス
ルト云フコトヲヤッテ、ドノ位ノモノガアレ
バ端境期ニ咄嗟ノ間ニ合フカト云フコトヲ
考ヘナケレバナラヌ、私共深川ノ政府ノ米
穀倉庫ヲ見テ、澤山ノ米ガアル、其ノ向ヒ
ヲ見ルト非常ニ生活ノ裕ナラザル人ガ「バ
ラック」見タヤウナ家ヲ建テヽ居ル、サウ云
フ人ガドンナ感ジガシマスカ、山ノ如ク米
ガ積ンデ居ッテ自分達ノ口ニハチットモ入ラ
ヌ、サウ云フヤウナ或所ニ集中シテ米ヲ持ッ
テ居ルト云フコトガ、配給上適正ニ出來
ナイト云フコトハ反省サレル必要ガア
ルト思フ、殊ニ米穀倉庫ノ所在地、昔
ノ所在地ノ選ビ方ガ間違ッテ居ル、ソレ
ハ或地方ヘ行ッテ今度米穀倉庫ヲ建テヨウ
ト思フガ、オ前ノ所デ寄附シナイカ
ト言ッテ、寄附スル所ニ建テル、大阪ノ倉庫
ヲ御覽ニナレバ分リマス、大臣モ御覽ニナッ
タト思ヒマス、ソレハ渡ヲ渡ッテ向フニア
ル、ソレハ土地ノ値段ヲ吝シンダカラサウ
云フコトニナル、陸運機關ガナクテハ仕方
ガナイ、鐵道線路ガナケレバナラヌ、ソン
ナ所ニ倉庫ヲ建テヽ米ヲ積ンデ居ッテモ急
ノ間ニ合ハナイ、サウ云フコトデ間ニ合フ
ナラバ······、サウ云フ大キナ倉庫ヲ今日造ッ
テ置クト云フコトニナルト、防止ノ爲ニモ
非常ニ惡イ、飛行機ガ飛ンデ來テ爆彈ヲ倉
庫ニ落シタナラバ、日本ノ米ニ恐慌ヲ起ス
カモ知レマセヌ、サウ云フ集中主義ハ今日
時代後レデアルト思フ、ソレハ米ノ配給サ
ヘ宜ケレバ倉庫ハ分散スルガ宜イ、最モ大
事ナコトニ付テハ米穀統制法ナント云フモ
ノハ要諦ニ觸レテナイ、輸送ト云フコトヲ
考ヘナケレバナラヌ、一番大事ナコトハ鐡
道ノ關係、「トラック」ノ關係、ソレカラ其
ノ米ヲ又託送シタ場合ニ理想的ニソレヲ動
カスノニ鐵道省ト御交涉ニナッタノデスカ、
鐵道省ト御交涉ハナイダラウ、配給ト云フ
モノハ數量ノ配給ガ目的デ、所有權ガ誰ニ
アルカ彼ニアルカト云フコトハ必要ガナ
イ、何ガシガ持ッテ居ッテモ、ソレガ動カナ
イデ同ジ所ニアルノデハ役ニ立タナイ、米
ハ現實ニ食ハナケレバナラヌ、ソコデ斯ウ
云フ問題ガアル、米ニ保險ヲ付ケル、保險
ニ付ケレバ保險金ガ取レルカラ、火災ニ遭ツ
テモ宜イト云フ觀念ヲ民間ノ人ハ持ツカモ
知レナイ、ケレドモサウデハナイ、火災ニ
遭ッテ燒ケテシマッテハ、金ヲ貰ッテモ金デ
ハ食ヘナイ、ドンナコトデモ米デナケレバナ
ラヌ、米ガ燒ケナイヤウニシナケレバナラ
又、サウ云フコトニ要諦ガアルノデスカ
ラ、配給ト云フコトハ、米ノ配給ト云フコ
トヲ御考ニナラナケレバイカヌ、米ノ取引
ハ問屋ト產業組合トカ云フヤウナ人ヲ見ナ
イデ、米ヲ見ルト云フコトニ餘程精神ヲ集
中シテ考ヘナイト云フトイケナイ、輸送ノ
關係ニ何等考慮ヲ拂ツテナイ、本當ノ配給ト
云フ所ノ要諦ニ觸レテナイト云フコトヲ考
ハイ鐵道省トドウ云フ交涉ヲサレマシタ
カ、事務的ニ御答辯ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=48
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049・周東英雄
○政府委員(周東英雄君) 此ノ案ヲ出シマ
スニ付キマシテ、鐵道省トドウ云フ風ノ交涉
ヲシタカト云フ御話デアリマスガ、是ハ御
話ノヤウニ從來ニ於キマシテハ、米穀倉庫
建設ノ敷地ニ付キマシテハ御話ノヤウナ點
モゴザイマセウ、併シナガラ專ラ舟運ノ便
ノアル所、又ハ鐵道ノ貨車輸送ノ便ノアル
所ニ倉庫ハ建テヽゴザイマスコトハ御承知
ノ通リダト思ヒスス、併シナガラ御話ノア
リマシタヤウニ是ハ或ハ其ノ倉庫ト云フモ
ノハ都市ニ集中サレテ居ルト云フコトガ、
必ズシモ今後米ノ配置ノ上カラ見マシテ適
當デアルカ否カト云フコトハモウ一遍再檢
討シテ見ル必要ハアルト思ヒマス、從ヒマ
シテ是等ノ案ニ示シテ居リマスル別箇ニ、
農業倉庫ノ設置箇所、或ハ營業倉庫ト云ハ
ズ、農業倉庫ト云ハズ、總テ米穀ノ保管調
整ヲ爲スニ適當ト認メラレル倉庫ニ付キマ
シテハ、或ハ都市別ニ、或ハ都市ノ近郊ニ
ドウ云フ風ナ狀況ニナッテ居ルカ、ソレ等ニ
對シテ河川ノ便ハドウデアルカ、揖運ノ便
ハドウカト云フコトハ別箇ニ調査ヲ進メテ
居リマシテ、萬遺憾ナキヤウニ考ヘテ居リ
マスシ、鐵道省ノ方ニ於テ、此ノ案ノ中ニ
織込マレテ居リマスヤウニ、取引賣買致サ
レマシタ米ヲドウ云フ風ニ運送スルカト云
フヤウナ事柄ニ付キマシテハ、鐵道省ノ方
ト密接ナ連繫ヲ取ッテ居リマシテ、適當ナ處
置ヲ講ズルヤウニナッテ居ルノデゴザイマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=49
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050・松村眞一郎
○松村眞一郞君 ソレカラ私ハ前會ニモ申
シマシタガ、品種ノ統一ト云フコトガ非常
ニ必要デゴザイマス、品種ガ餘リバラ〓〓
ニナッテ居ルト云フコトハ、或程度農林省ガ
地方ニ對シテ成ルベク同ジ銘柄ニシナケレ
バナラヌ、ソレカラ配給上非常ニ必要ナコ
トデアル、我々ガ日常食ベテ居ルモノガ何
ノ米デアルカ消費者ハ知ラナイ、誰モ知ラ
ナイ、武藏米ヲ食ベテ居ルカ、朝鮮米ガ入ッ
テ居ルカ、臺灣米ガ入ッテ居ルカ分ラヌ、ソ
レ程我等ハ消費者ハ頭ニピント來ナイ、ソ
レナラバ餘計銘柄ガアルト云フコトハ斷言
シテモ宜イ、銘柄ノ餘リ箇々獨立ニスルト
云フコトハ配給ニ非常ニ困ル、配給ニ一番
宜イノハバラ積ミガ宜イノデアリマス、嘗ツ
テ私ハ在職中ニ〓究シタコトガアリマスガ、
ソレハ「アメリカ」デハ丁度日本ノ產業組合
ト同ジ運動、日本ノ產業組合ハ政治カラ超
越シヨウト云フ運動ニナッテ居ル、政黨ノ方
ガ產業組合ニ釣ラレテ居ルト云フ狀態デア
リマス、サウ云フモノト同ジコトデ政黨ノ弊
ガアルガ故ニ、超越黨派聯盟ト云フモノガ
「ノンパーテイザン·リーグ」、、ソレハ農村ハ
政黨カラ超越スル、超越シテ、團結シテ、米ヲ
集メテサウシテ統制ヲシテ、品種ヲ分ケテ
市場ニ出スト云フコトヲヤッテ居リマス、ソ
レハドウシテモバラ積ミヲヤラナケレバナ
ラヌ、一緒ニ入レナケレバナラヌ、ソコデ
私ハ「サイロー」ノ〓究ヲシタノデアリマス、
「アメリカ」ニ出張シタ人ニ〓究ヲシテ貰ッタ
ノデアリマスガ、バラ積ニシテ必要ナ時ニ
出スト云フコトニナルト配給上ニ便利デア
リマス、ソコデ頭ヲ費シテヤラナイト、本
當ニ徹底シタ配給ハ出來ナイ、ソコデ餘計
ニ米ヲアッチコッチブラ下ゲテ、ソレ程何モ
九百萬石ヲ持越米ヲ持ッテ居ルト云フコト
ハ、配給ノ不備ヲ證明シテ居リマス、是八
今日交通機關ガ發達シテ居ルカラ五百萬石
モ要ラナイデアラウ、五百萬石ト云フコト
ハ僅カナ期間シカ維持出來ナイデセウ、ソ
レハ何處々々ニアルト云フコトハチヤント
配給網ト云フモノガアレバ、所有權ニ關係
ハナイ、米ハ何處ニアルカ、誰ガ持ッテ居ッ
テモ構ハナイ、農林省ガ持ッテ居ラウガ商
人ガ持ッ居ラウガ、臺灣ガ持ッテ居ラウガ、
朝鮮ガ持ッテ居ラウガ、所有權ニ關係ハナ
イ、米ガ何處ニアルカ見テ居レバ、ソレヲ見
テ米ヲ取寄セルト云ウテモ宜イ、其ノ配給
網ガ出來テ居レバ、餘計ニ米ガ要ラナイ、
持越ガ九百萬ト云フモノハ、理想的持越ト
言ハレルガ、理想ト云フノハ何ガ理想カ反
問セザルヲ得ナイ程、農林省ニ於テ米穀政
策ト云フモノハ徹底シテ居ナイト云フコト
ヲ斷言シ得ルノデアリマス、サウ云フモノ
ニ對シテ大臣ハドウ考ヘテ居ラレマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=50
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051・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 持越米ノ數量ガ
ドコカ適當デアルカト云フコトニ付キマシ
テハ、色々御意見ガアルト思ヒマス、卽チ
十年以前ニ五六百萬石デアッタモノガ、今
日ハ九百萬石內外ニナッテ居リマス、ソレデ
配給ガ圓滑ニ參リマスルナラバ、御話ノ如
ク五百萬石デモ優ニ間ニ合フト思ヒマス
ガ、現在ニ於テ我々ノ見テ居リマスノハ、
大凡一箇月或程度ノ米ダケハ端境期ニ保留
シテ宜イデハナイカ、是ガ十日、十五日ノ
分ホカナイ場合ニ於キマシテハ、少シバカ
リ偏在致シマスト、直グ一地方ニ於テ米ガ
不足致スノデアリマシテ、餘程上手ニ偏在
ヲ防ギマシテモ、相當其ノ米ヲ動カシマシ
テモ、有ル所カラ無イ所へ移シマスノハ、
無論今ノ鐵道省ト緊密ナ連絡ヲ取ッテ直グ
ニ運搬致スヤウニ致シマスレバ、三日ヤ四
日ハソレハ避ケラレルト思ヒマスケレドモ、
多少ノ餘地ヲ見テ計畫致シテ置クコトガ、
今日ノ時代ニ於テ適當デハナカラウカ、斯
樣ニ考ヘマシテ一應九百萬石乃至九百五十
萬石ヲ程度トシテ現在ハ持越米ヲ維持シタ
1、斯樣ニ考ヘテ居ルノデゴザイマス、將
來配給ガ圓滑ニナリマス場合ニ於テハ、御
承知ノ通リ五百萬石、六百萬石ハ優ニ間ニ
合フコトニ相成ルト考ヘルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=51
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052・周東英雄
○政府委員(周東英雄君) 先程松村委員カ
ラ御話ガアリマシタガ、モウ一ツ附加ヘテ
私カラモ御話申上ゲテ置キタイト存ジマス、
只今農林省ニ於キマシテモ、現在何處ノ所
有ノ關係如何ヲ問ハズ、ドノ地方ニドレダ
ケノ米ガ現在シテ居ルカト云フコトニ付キ
マシテハ、斷エズ調査ヲ致シテ居ルノデア
リマス、此ノ案ヲ進メマス上カラ申シマシ
テモ、非常ニ需給ガ窮屈ニナッテ來タヤウ
ナ場合ニ於キマシテハ、恐ラクハ其ノ地方
地方ニアリマスル米ト云フモノノ現狀ヲ知
悉シテ置クコトガ、將來ニ對シマス米ノ出
荷ヲ命ジタリ、或ハ種目ヲ指圖致シタリ、
配給ニ遺憾ナキヲ期スル上ニハ、ソレガ根
本ノ問題デアルト私共考ヘテ居リマス、幸
ニ御承知ノヤウニ今日ニ於キマシテモ三月
一日、五月一日、七月一日、九月一日ト云
フヤウニ現在高ガ各地方別ニ調ガアルノデ
アリマス、之ヲ更ニ中間ニ於キマシテモ同
樣ニ調ベテ置クコトガ、今後ニ處スル上ニ
於テ勿論必要ダト存ジテ居リマス、サウ云
フヤウナ點ニ付テ御話ノヤウニ萬遺憾ナキ
a
ヤウニ調査ヲ致シ、資料ヲ整ヘテ居ル譯デ
ゴザイマス、ソレカラ品種ノ問題ヲ出來ル
ダケ統一セヨト云フ御話デゴザイマス、此
ノ點ハ御尤ナ點ト思ヒマス、私ノ方デモ銘
柄ノ格差等ヲ極メマス上ニ於テモ、出來ル
ダケ銘柄ハ統一サセ、是ガ少クナルト云フ
コトガ、配給ノ上カラ申シマシテモ非常ニ
結構ナコトダト思フノデアリマス、漸次其ノ
銘柄ハ統一サレテ行ク傾向ニハアリマス、併
シ御承知ノ通リニ只今直チニ一遍ニ此ノ「サ
イロー」ミタヤウナ格好ノモノヲ作ッテ、何モ
カモ一緒クタニ混合シテシマフト云フコト
ニ付キマシテハ、是等ニ付キマシテハ各品種
ニ付キマシテ色々ト生產數量、或ハ味ニ付テ、
價格ノ相違ト云フヤウナコトカラ來マス色
色ナ點ガアリマスノデ、是ガ全部國家ノ專
賣ニデモナルト云フヤウナコトデアレバ兎
モ角、現在ノ配給米ノ上ニ於キマシテハ、
ソレハ直チニハムツカシイ斯ウ云フヤウニ
考ヘマス、併シナガラ配給ノ徹底ヲ期スル
上ニ於テ、或ハ生產確保ノ上ニ於テ、出來
ルダケ銘柄ガ單一化シ、品種ノ統一セラル
ト云フコトニ付テハ非常ニ望マシイコト
デアルト存ジマス、ソレ等ニ付キマシテハ
御話ノヤウナ點ニ付テ今後トモ十分〓究ヲ
致シ努力ヲ致シタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=52
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053・松村眞一郎
○松村眞一郞君 サウ致シマスト私ハ從來
米ノ眺メ方ガ農林省ニ偏シテ居ッタト云フ
コトヲ、先程モ私ノ意見ニ付テ申シマシタ、
或ハ御分リデアラウト思ヒマス、商工省ガ
生マ溫ルカッタト云フコトモ申上ゲテ宜カラ
ウト思ヒマス、鐵道省、遞信省、船舶ノ配
給鐵道ノ輸送ト云フヤウナコトニ付テ、直
グ掌ヲ指スガ如ク、非常時ハ勿論平時ト雖
モ準備ヲスルコトニ付テ私ハ必要ダラウト
思フ、ソレカラ遞信、鐵道ト連絡ヲ取ッテ、
配給ニ付テノモウ少シ徹底シタ御協議ヲナ
サルコトガ必要デアルト思ヒマス、從來ヤラ
レタカモ知レマセヌケレドモ、世間ニ出テ
居ナイト云フコトヲ見レバ、出テ居ナイ程
度ノ打合セシカシテ居ナイト云フコトニナ
ル、世間ハ不思議ニ感ズルデセウ、米ノ配
給ト云フ問題ガアルノニ、ソレニ付テ一向
官廳ガ乘出シテ居ナイ、處ガ米ナドニ付テ
ハ各鐵道ノ驛デハ調ベテ居ル、驛ニ集散シ
タ貨物ト云フモノヲ調ベテ居ル、鐵道省デ
折角サウ云フ調ベテ居ル數量ト云フモノガ
活キテ居ナイト云フコトヲ、私ハ申上ゲル、
私ハソレハ貰ッタコトガナイ、苟モ米ヲ心配
スルモノナラバ、ソンナヤウナモノハ、例
ヘバ斯ウ云フヤウナ委員會ニデモ配付スル
筈デス、サウ云フコトガナイト云フ限リ、
米ニ對シテ本當ノ徹底シタ所ノ行政ガ行屆
イテ居ナイト云フコトヲ申上ゲテ宜イノデ
アリマスカラ、主務大臣デアリマス主管ノ
農林大臣トシテハ、其ノ點十分私ハ御考慮
ヲ煩ハシタイト云フコトヲ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=53
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054・小林嘉平治
○小林嘉平治君 農林大臣ニ御尋ヲスルノ
デアリマスルガ、米專賣ノ問題ニ付テデア
リマス、何時ノ議會デモ米ノ問題ガ出マス
下、米ノ專賣ノ問題ガ伴ウテ來マス、現ニ
此ノ間此ノ案ガ本會議デ議サレマシタ當時
モ、委員ノ總テガ、此ノ案ハ米ノ專賣ノ準
備デアルノカ、又早ク專賣ヲセニヤナラヌ
ト云フ希望ヲ述ベラレル方ガ多イノデアリ
マスガ、之ニ付キマシテ、私ハ農林省ハ一
ツ態度ヲモウ御決メ下サル必要ガアルノヂ
ヤナイカト斯ウ思フノデアリマス、ト申シ
マスノハ、私ノ考デハ、此ノ法案ガ可決サ
レマスト、是デ米ノ需給ニ關スル法制ガモ
ウ一貫シテ出來上ッタ譯ナンデス、非常ニ結
構ナコトデアルト思フテ居リマス、斯ウ云
フ制度ノ出來ル迄、例ノ大正十年ニ米穀法
ノ生レタ當時、アノ當時ニハ我々モ米ノ專
賣ガ宜イノヂヤナイカ知ラント云フ考ヲ持ッ
タコトモアリマス、ガ併シモウ國策トシテ
ハ、米ノ專賣ヨリハ此ノ制度デ行カウト云
フコトデ、モウ練リニ練リ上ゲタモノガ今
日ノ米穀統制法トナリ、又非常ニ豐作デ困ッ
タ時ニハ、アノ自治管理案ト云フモノガ動
イテ參リマスノデス、ソレデ不斷ニデモ亦
斯ウ云フ非常時デモ、此ノ配給ノ統制ガ玆
ニ確立致シマシタナラバ、專賣法ト云フヤ
ウナコトハモウ言フ必要ハナイ、現ニ專賣
法ヲ主張シテ居ル人ノ議論ヲ聞キマシテモ、
此ノ間衆議院ニ現レタ議論ヲ見テモ、最高
最低トノ間ノ値幅ガ廣過ギル斯ウ云フコト
ハイカヌヂヤナイカト云フ位ノコトヲ聞イ
タダケノコトデアッテ、是ハ餘程考慮ヲ要ス
ル問題デ、矢張リ需給關係ヲ見テ適正
ナ價格ヲ見出スト云フコトガ必要ナンデ、
人爲デ以テソレヲ定メルト云フコトハ
是ハムツカシイモノダ、ソレデ詰リ今日ノ
制度ニ於ケル如キ値幅ヲ置イテ置クコトガ
寧ロ必要ダ、ソコニ配給ノ制度ガ出來レバ
適正ナル値段ヲ見出シ得ルノデアリマ
シテ、今ノ專賣法必要ナリト云フ唯聲ダケ
ノコトデアッテ、積極的ノ論據ヲ見出シ得
ナイ、然ルニ農林當局ノ何時モサウ云フ時
ノ答辯ハ、〓究シテ見ル考慮シテ見ルト云
フコトヲ承ルノデアリマスガ、是ハ質問者
ニ對スル敬意ヲ表セラレル意味デアラウト
輕ク視テ居リマスケレドモ、ソレデハイカ
ヌノデ、玆ニ斯ウ云フ法制ガ一貫シテ出來
タ以上ハ、之ヲウント理想的ニ運用スル、
ソコニ全力ヲ注イデ貰ハナケレバナラヌ、
處ガ現ニ專賣モ考慮シテ見ヨウト云フ答辯
ヲシテ貰ウテ居ルヤウナコトデハ、此ノ提
案サレタ所ノ趣旨ト云フモノガ何處ニアル
カ分ラヌ、政府當局ハ恐ラク此ノ提案ト云
フモノハ、モウ餘程理想的ノ案トシテ提案
サレタモノト私ハ存ジテ居ル、ソレデ私ハ
ソレニ信賴シテ、モウ今カラハッキリ申上ゲ
マス、初メカラ贊成シテ居ル、モウ恐ラク
此ノ委員會ノ結果モサウナルト云フコトガ
見エルノデアリマスルガ、ドウカ一ツ政府
ハ此ノ出來上ッタ一貫シタ需給關係ノ法制
ヲ如何ニ運用スベキカト云フコトニ付テ全
力ヲ注イデ戴キタイ、惡イ所ガアレバ他日
是正サルヽモ宜イ、此ノ頃御愛敬ニモ專賣
法ヲ考ヘルト云フヤウナコトハ、ドウモ私
ハ政府當局ノ御意思ノアル所ガハッキリ分
ラヌ、農林大臣ハ果シテ私共ノヤウナ風ニ
御考下サレテ居ルカドウカ、又他ニ專賣法
ヲ考慮シテ見ヨウト云フコトノ何カ其處ニ
論據ヲ見出サレテイラッシヤルノカ、其ノ邊
ノ所ヲハッキリ伺ッテ見タイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=54
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055・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 米ノ國家管理竝
ニ專賣法ノ問題ニ付キマシテハ、多年ノ間、
米穀問題ガ論議サレル每ニ問題トナッテ現
レル問題デアリマス、從ヒマシテ是等ノ問
題ニ付キマシテハ、私個人ト致シマシテモ
十數年來〓究ヲ致シテ居ルノデアリマスガ、
種々ナル角度カラ見マシテ、ナカ〓〓之ヲ
實行シテ是ナラバ間違ナク行ク、是ナラバ
最上ノ米穀政策ダト云フ所ノ決定ヲ致ス所
迄參ラナイノデアリマス、從ヒマシテ衆議
院ニ於キマシテ、本法案ハ專賣ノ前提デア
ルカナイカト云フ質疑ガ度々起リマシタケ
レドモ、私ハ是ハ別箇ノ問題デアッテ、專賣
及ビ國家管理ニ付キマシテハ、是ハ十分自
分等トシテ〓究ヲ致サナケレバナリマセヌ
ケレドモ、此ノ法案ハ其ノ前提ト云フベキ
筋合ノモノデハナイ、是ハ之ニ依ッテ適正ナ
ル價格ヲ見出シ、又配給ガ圓滑ニ行クト斯
樣ナ信念ノ下ニ之ヲ提案致シタノデアリマ
スカラシテ、其ノ意味ニ於テ御審議ヲ御願
ヒ致シタイ、斯ウ云フコトヲ衆議院ニ於テ
モ申シタ次第デアリマス、卽チ專賣竝ニ國
家管理等ノ問題ニ付キマシテハ、ソレハ十
分〓究シナケレバナラヌコトト思ヒマスケ
レドモ、今日迄我々ガ〓究致シマシタ結果
ト致シマシテハ、本法案ニ依ッテ適正ナル價
格ヲ見出シ得、且配給ヲ圓滑ニスルコトガ
出來ル、又萬一ノ場合ニ於テモ之ニ依ッテ處
理スルコトガ出來ルト云フ信念ノ下ニ此ノ
法案ヲ提案致シタヤウナ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=55
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056・小林嘉平治
○小林嘉平治君 大臣ノ御意圖ノアル所ハ
能ク了承致シマシタ、要スルニ玆ニ米穀需、
給關係ノ制度ハ殆ド完成シタ譯デアルノデ、
國策トシテハ是デヤッテ行クンデアルト云
フ結論デアルト了承致シタ次第デアリマ
ス、チヨット米トハ緣ガナイヤウデアリマ
スルガ、併シ全ク緣故ノナイコトハナイノ
デアリマシテ、此ノ土地國有ノ問題ニ付キ
マシテ、是亦矢張リ小作爭議ノ起リマシ
タ當時ニ、私モ考慮シテ見タコトガアルノ
デアリマスガ、然ルニ國策トシテハ今自作
農創定ト云フコトニ依ッテ此ノ問題ハ解決
シヨウト云フコトデ御進ミ下サレテ居ルノ
デアリマスガ、然ルニ、所管外デ少シ御困
リ下サルノデアルカモ分リマセヌガ、近頃
滿洲移民ニ付キマシテ、御承知ノ通リ移
民ハ滿洲ノ土地ヲ所有スルコトガ出來ル
コトニ、滿洲國トノ協定ノ上デハッキリト
極ッテ居ルノデアリマス、又現ニ其ノ意味ニ
於キマシテ滿洲移民ハ豫期以上ノ成績ヲ擧
ゲテ居ルノデ、私共此ノ間滿「ソ」國境ヲ視察
シマシテ、現地ニ臨ンデ親シク樣子ヲ見テ
來タノデアリマスガ、恐ラク政府ノ御樹テ
ニナッテ居ル二十年計畫ト云フモノハ、十年
デ完成スルノデハナイカ知ラント云フ見方
ヲシテ來タノデアリマス、然ルニ先般新京
ニ於キマシテ其ノ筋ノ方々ノ御會合ノ席
デ、移民ニ土地ヲ所有サセルト云フコトハ
中止シヨウ、ソレデ土地ハ國有ニスル、サ
ウシテ所謂永小作類似ノモノニスルノデア
ルト云フヤウナ、一大變革ヲ行フコトニ現
地デハ大體意嚮ガ纏リマシテ、更ニ此ノ
五月ニ內地デ最後ノ判斷ヲ下スコトニ相
成ッテ居ルヤウデアリマスガ、是ハナカ〓〓
大問題デアリマシテ、我々移民ニ關心ヲ持ツ
テ居ル者、現ニ私共ノ縣デハ、私ガ勸メタ
譯デハナイガ兎ニ角千五百ノ分村計畫ヲ樹
テマシテ著々步ヲ進メツヽアル譯デアリマ
ス、若シ途中ニ斯ウ云フ所有權ヲ得ルコト
ハ出來ナイト云フ問題ガ湧イテ來タ時ニド
ンナコトニナルカ、是ハ三重縣バカリデナ
クテ、一大頓挫ヲ來スト云フコトノ現實ノ
問題ニ打當ッテ居リマシテ、如何ニナルカヲ
心配致シテ居リマス、農林大臣トシテ所管
ノ事項デハアリマセヌケレドモ、サウ云フ
問題ニ常々心ヲ碎イテ居ッテ戴ク御方デア
ラレル方ト能ク承知シテ居リマス、一ツサ
ウ云フ點ニ付テ率直ナル御意見ヲ拜承スル
コトガ出來レバ私ハ結構デアルト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=56
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057・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 土地國有ノ問題
ハ、丁度米ノ國家管理、專賣等ト同ジヤウ
ニ相當今日論議サレテ居リマス、更ニ又小
作地ノ國營ト云フヤウナ議論モ行ハレテ居
リマス、是等ノ問題ハ〓究問題トシテ常ニ
〓究致サナケレバナリマセヌケレドモ、具
體的ニ之ヲ實行致スト云フコトニ付キマシ
テハ、是ハ非常ナル大問題デアリマシテ、
相當〓究調査ヲ經タル上ニ非ザレバ斯ウ云
フ問題ガ具現スルト云フ風ニハナラヌト思
ヒマス、是等ノ件ニ付キマシテ〓究ヲ致ス
コトハ固ヨリデアリマスケレドモ、今日斯
樣ナ案ヲ今直チニ次ノ議會トカ、其ノ他ノ
議會ニ於テ提案スルト云フヤウナ事柄ニ
ハ、少シモナッテ居ラナイノデアリマス、ソ
レカラ滿洲移民ニ對シマシテノ問題デアリ
マシタガ、是ハ申ス迄モナク此ノ事變前ニ
於キマシテハ農村ニ於テ過剩人口ガアッテ、
サウシテ一人當ノ耕作段別ノ少ナイ土地等
ノ人ガ滿洲へ參リマシテ、サウシテ茲ニ立
派ナル大キナ農家ニ仕上ゲルト云フ事柄ハ
適當ノ處置ト考ヘマシテ、所謂分村計畫卽
チ勞働力ノ餘リマシタ農村カラ移民ヲ集團
的ニ出サセマシテ、向フニ於テ土地ノ開發
ヲ致サセ、漸次相當ナル地主ニ致スト云フ
方針デ進ンデ參ッテ居ルノデアリマス、今日
迄此ノ計畫ハ少シモ變ツテ居リマセヌ、唯最
近ニ於キマシテハ、事變關係ニ依リマシテ
出征將士ガ多數出テ居リマスノト、又重工
業方面ニ相當ノ勞働力ヲ供出シテ居リマス
ル關係上カラ致シマシテ、此ノ移民ヲ致ス
コトニ對シマシテハ、可ナリ注意ヲ拂ハナ
ケレバイカヌノデアリマシテ、相當是ハ注
意ヲ致シテ此ノ移民計畫ヲ立テヽ居リマス、
而シテ此ノ移民ニ對シテ、從來ハ其ノ開墾
シタル所ノ土地ヲ其ノ所有權ニ移スト云フ
コトニナッテ居ルノヲ、永小作權ニ移スト云
フ風ナ計畫ガアルト云フ御話デアリマスガ、
此ノ計畫ニ付キマシテハ、マダ農林當局ト
致シマシテハ何等協議ニ與ッテ居リマセ
ヌガ、將來左樣ナ問題ガ具體化シテ協
議ニ與リマス場合ニ於キマシテハ、是
ハ日本農民ノ爲、殊ニ移民ノ將來ヲ考ヘマ
シテ十分其ノ權益ヲ擁護シ、又移民ニ行カ
レル人々ガ希望ヲ殺ガレナイヤウニ致スト
云フコトハ固ヨリデアリマシテ、此ノ點ニ
付キマシテハ愼重ニ考慮シテ善處致シタイ
ト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=57
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058・小林嘉平治
○小林嘉平治君 只今ノ農林大臣ノ御答辯
ニ私ハ深ク滿足ヲ致ス者デアリマシテ、兎
角出先ニ於ケル體驗ノナイ人ガ、書物ノ上
ヤ耳カラ聞イタコトデ、此ノ大キナ國策ニ
觸レタ問題ヲ取扱ッテ居ラレルト云フコト
ハ甚ダ迷惑致スノデアリマシテ、ドウカ此
ノ農業問題ニ付テハ日本ハ長イ間ノ體驗ヲ
持ッテ居ルノデアリマスカラ、ドウカ其ノ體
驗ヲ基礎トシテ、農林大臣ノ立場カラ一ツ
何レ御相談モアルコトト思ヒマスガ、善處
ヲシテ戴クヤウニ切ニ御願ヒ申上ゲテ置キ
マス、次ギマシテ事務當局ニ御尋ヲ致スノ
デアリマスガ、此ノ今度ノ取引所ハ一體全
國ニドノ位ドノ方面ニ置カレル御考デアル
カ、ソレカラ又第二ニハ此ノ延取引、是ハ
一部ノ人ノ言フヤウニ延取引ヲ止メテシマ
ヘト云フヤウナサウ云フ潔癖ナ者デハ私ハ
ナイノデアリマス、實際正米ヲ引取スル上
ニ於テ延取引ト云フコトハ必要ナコトデア
リマシテ、從ッテ相當多數ノ場所ニ置カレル
必要アリト斯ウ信ジテ居ル者デアリマスカ
ラ、出來マシタラ凡ソドノ邊ニ置クノデア
ルト云フコトヲ、御示シ下サルコトガ出來
レバ大變參考ニナリマスカラ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=58
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059・周東英雄
○政府委員(周東英雄君) 第一點ノ御尋デ
ゴザイマスルガ、是ハ只今清算市場ナリ正
米市場等ガ置カレテ居リマスル場所ニハ、
大體新シイ制度ニ基キ市場ヲ設置ヲ致シ
タイト斯樣ニ考ヘテ居リマス、併シナガラ
實際ノ場合ニ於キマシテ、能ク其ノ地方ニ
於ケル米穀ノ移動ノ狀況ト云フヤウナコト
ヲ考ヘ併セマシテ、或ハ適當ノ變更ヲ見ル
カモ分リマセヌガ、大體ニ左樣ニ考ヘテ居
リマス、ソレカラ第二點ノ延取引ノ問題デ
アリマスガ、御話ノヤウニ私共ニ於キマシ
テモ、米ノ需給ノ調節、圓滿ナル配給ヲ爲
サシメ、適正ナ價格ヲ構成致サセマスル上
ニ於キマシテハ、全然此ノ延取引ヲ認メナ
イト云フコトハ困リハシナイカト斯樣ニ考
ヘテ居ルノデアリマス、先日モ衆議院ノ委
員會デ御答ヲ致サレタノデアリマス大臣カ
ラ·······先ヅ今決ッテ居リマス所ハ東京、大阪
ノ中ニハ之ヲ許可スル見込ニナッテ居リマ
スガ、其ノ他ニ付キマシテハ、專門ノ委員
會ヲ設ケマシテ、能ク其ノ必要不必要ト云
フコトニ付キマシテ地方的ニ〓究致シマシ
テ、サウシテ限ラレタ限度ニ於テ認メラレル
コトニナルノデハナイカト斯樣ニ考ヘテ居
リマス、是等ハ此ノ法律ノ幸ニシテ通過ノ
上、此ノ實施ニ當リマシテ、能ク專門家ノ
御意見ヲ聽イテ決メテ行クコトニナルト存
ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=59
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060・小林嘉平治
○小林嘉平治君 只今ノ答辯デ凡ソ御意圖
ノアル所ハ承知致シタノデアリマスルガ、
唯今日ノ成績ダケト云フコトデハ、又此ノ
成績ニ重キヲ置イテ、大體此ノ市場ヲ御設
ケニナルヤウナ御話デアリマスガ、此ノ新
シイ制度ガ置カレマスト云フト、今此ノ頂
戴シタ材料ヲ見マシテモ、取引ノモットア
ルト思ッテ居ッタ所ハ存外少イト云フヤウナ
所ヲ見出スノデアリマス、是ハ併シ今ノ
ヤウナ生マ溫イ制度ノ下ニヤッタノデア
リマシテ、此ノ新シイ制度ガ置カレタ時
三ハ、此ノ白紙ニ還元シテ需給推算ノ狀
態モ御考ヘ下サイマシテオ定メ下サルコト
ガ必要ダト思ヒマス、ソレカラ延取引ニ付
キマシテ、東京ト大阪ハ確實デアルガト仰
シヤルト、甚ダ其ノ他ノ所ガドウデアルト
云フコトガ懸念ニナルノデ、何レ委員會デ
定メルト云フ御言葉デハアリマスガ、現ニ
私共ノ近イ所デ考ヘテ見マシテモ、名古屋
ノヤウナ所謂中京デ、是ハ文字通リ中京デ
アリマス、米ノアノ大平野ヲ控エテノ集散
地ト云フコトハ、見方ニ依ッテハ、東京ヨ
リモ大阪ヨリモ中部日本デ必要デアル、是
ガ例示サレタ中ニ入ッテ居ラナイト云フコ
トハ、延取引ノ反對ノ聲ガアルカラ少シ萎
縮シテ居ルノヂヤナイカト云フヤウナ氣持
ガ致スノデ、是ハ少シ大膽ノ申上ゲ方デ
失禮デアリマスガ、元來此ノ法制ヲ御立テ
ニナッタ時ハ、其ノ〓算取引ノ取引ヲスル場
所ニハ延取引ヲ全部御認メニナルヤウナ方
針デアッタカニモ承知致シテ居ル、是ハ聽
キ損ヒデアッタカモ知レマセヌガ、何ニシ
マシテモ、需給推算ノ關係ヲ御考ヘ下サイ
マシテ、又延取引ト云フコトニ付テモ、非
常ニ意義ノアルモノデアルト云フ松村サン
ノ仰シヤッタ程私ハ必要ハ認メマセヌノデ
スケレドモ、能ク御考慮ノ上デ愼重ニ御定
メ下サルヤウニ切ニ御願ヲ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=60
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061・絲原武太郎
○絲原武太郞君 只今丁度延取引ニ付キマ
シテノ御質問デゴザイマス、幾ラカ關聯致
シテ居リマスルカラ伺ッテ見タイト思ヒマ
ス、今囘ノ此ノ法案ニ依リマスルト、生產
者ノ團體デアリマスル產業組合ガ市場ニ進
出スルコトニナリマシテ、自然延取引ニ參
ら加スル部分ガ多クナルヤウニ考ヘラレルノ
デアリマス、從來御承知ノ如ク產業組合ハ
其ノ地方ニ於キマシテ相當農村ニ貢獻致シ
テ居リマスコトハ大臣ノ御述ニナッタ通リ
デアリマス、私等モ或程度迄サウデアルト
考ヘテ居リマス、併シナガラ午前中大臣ノ
御答辯ノ中ニモアリマシタ如ク、世間デ其
ノ本來ノ目的ヨリ幾ラカ行キ過ギテ居ルト
云フ聲ハアリマスルガ、私等地方ニ居ッテ考
ヘマシテモ、幾ラカ其ノ感ヲ有スルノデア
リマス、是ハ恐ラク產業組合ノ普及發達ヲ
專念致シマスルガ爲ニ、左樣ナ結果ニ相成ッテ
居ルカト思フノデアリマス、從ッテ其ノ取引
行爲ガ、生產者ノ生產物ノ委託販賣ノ程度ヲ
少シ越シマシテ、事實申シマスト、稍〓買取
ノ形ニ依ッテソレガ需要地ニ移出セラレテ
居ルヤウナ時代モアッタ、其ノ爲ニ假ニ米穀
デ申上ゲマスト、米穀事情ノ爲ニ非常ニ價
格ガ下落致シマシタト云フヤウナ年ニハ、
玆ニ中間ノ產業組合ガ損失ヲ來ス、其ノ損
失ハ再ビ還リマシテ、農村ノ詰リ農民ニ其
ノ損失ガ轉嫁サレル、斯ウ相成リマスト、農
村ノ發達ノ爲ニ、農村生活ノ安定ノ爲ニ行
ヒマシタ產業組合トシマシテハ、左樣ナ信
念ヲ持ッテ致シマシタコトガ逆ニ參リマシ
テ、今申上ゲマスヤウニ何等結果ニ於テハ
農村ノ爲ニ相成ラナカッタカト云フヤウナ
事柄モアルノデアリマス、從ッテ午前中ニ、
若シ此ノ產業組合卽チ生產團體ノ方ガ進
出シタナラバ、塚本委員ハ、是ハ最高價格
迄引上ゲルト云フコトニナリハシナイカト
云フ虞ガアル、斯樣ナ御說デゴザイマシタ
ガ、私ハ若シ米穀事情デ、若シ反對ニ之ガ
下落致シマス時ニハ、ドウ云フ風ニシテ產
業組合ハ此ノ始末ヲスルカ、玆ニ產業組合
ノ今後ニ於ケル所ノ指導監督ト云フコトガ
私ハ最モ必要ダト思フノデアリマス、是ハ
ドウシテモ中央ノ團體ノ方デ能ク此ノ方面
ノ事柄ニ付キマシテ、ドウ申シマスカ農
林省トシテノ御監督上御注意ニ相成リマセ
ヌト、從來ハ市場へ進出シテ大ビラニ取引
ヲシナカッタ團體ガ、此ノ法案ニ依リマシテ
ソレガ許サレルト云フコトニナリマスルト、
非常ニ玆ニ私ハ反對ニ危險性デモ起シマ
スト、大變農村ニ對シマシテ支障ガ起リハ
シナイカ、私ハ却テ逆ニ之ヲ心配スルモノ
デアリマスガ、農林省ハ如何御考デアリマ
スルカ、其ノ邊ノコトニ付キマシテ御考ノ
アリマス所ヲ承ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=61
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062・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 只今ノ御話ノ、
產業組合ガ、產業組合ノ本來ノ任務デアル
委託ニ依ッテ米ヲ賣リ捌クニアラズシテ、ソ
コデ直グ買取ッテサウシテ其ノ後ニ於テ賣
捌クト云フ風ガアッテ、其ノ結果往々ニシテ
損失ヲ釀シテ居ルノモアルヤウニ見ラレル
ガ、之ニ對シテ農林當局ノ態度ハドウデア
ルカ、又今囘ノ如キ市場ニ於テ產業組合ガ
賣捌クト云フコトニナルト、丁度塚本委員
ノ御話トハ反對ニ、非常ニ組合ニ損失ヲ掛
ケルヤウナ場合ガナイトモ限ラナイガ、之
ニ對スル所ノ農林當局ノ態度ハドウデアル
カ斯ウ云フ御趣旨ノヤウニ拜聽致シタノデ
アリマスガ、申ス迄モナク產業組合ハ、本
來ノ任務ハ農民カラ委託ヲ受ケテ共同デ
取纏メテ之ヲ賣ルト云フノデアリマシテ、
買取ッテサウシテ賣ルト云フコトニナリ
マスト云フト、是ハ全ク商業行爲デアリマ
シテ、產業組合ノ本來ノ性質ニ背クモ
ノデアリマス、斯樣ナコトヲ往々聞クノデ
アリマスガ、若シ果シテ左樣ナコトガ
アリトスレバ、是ハ組合ノ法規ニ牴觸スル
モノト私ハ考ヘルノデアリマス、又斯樣ナ
結果トシテ損失ヲ醸シテ居ルヤウナコトガ
アリマスレバ、是ハ亦不法タルコトハ勿論
デアリマス、此ノ點ニ付キマシテハ十分ニ
監督ヲ致シ、又取締ヲ致シマシテ、左樣ナ
コトノ絕對ニナイヤウニ致スベク相當ノ途
ヲ講ジタイ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマ
シテ、今後是等ノコトニ付キマシテハ、十
分ニ注意ヲ致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=62
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063・絲原武太郎
○絲原武太郞君 私ハ、產業組合ハ主ニ生
產者ノ團體デアリマスルガ故ニ、其ノ農村
ノ生產物ヲ蒐集スルト云フ役目ガ私ハ重大
ナ一ツノ役目デアラウト思ヒマス、而シテ
販賣ニ付テモ、成ルベク有利ニ販賣ヲシナ
クチヤナリマセヌガ、是ハ午前中大臣ノ御
說明ニアリマシタ如ク、矢張リ一ツノ配給
網ヲ持チマシタ商業組合、或ハ問屋、小賣
商人ト云フヤウナモノガソレ〓〓機關ヲ備
ヘテ居リマスル故ニ、ソレ等ニ或程度ハ委
セマシテ、サウシテ其ノ取引上ニ、市場ト
其ノ集散地トノ實情ニ不公平ガ無イヤウニ
ト云フコトヲ期スルコトニ產業組合ガ專心
致シマシテ······產業組合自身ガ此ノ販賣ニ
餘リニ專念シテ參リマスト云フコトハ私
ハドウシタモノダラウカト思フ、從事を
生產ノ團體カラ、產業組合ハ今後ノ方針ハ
農產物ヲ蒐集スル、而シテ之ノ販賣ヲ、圓
滿ナル販賣ニ仕向ケルト云フコトヲ主ナル
方針トナサレテハドウカ、斯ウ考ヘマスガ、
此ノ點ニ付テハ御當局ハ、如何ナル御考ヲ
御持チニ相成ッテ居リマスデゴザイマセウ
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=63
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064・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 產業組合ガ集荷
ニ主力ヲ注ガシテハドウカト云フ御話デア
リマスルガ、私ハソレモ一ツノ方法デアラ
ウト思ヒマスガ、現狀ニ於キマシテハ、御
承知ノ如ク產業組合ノ集荷網ト云フモノモ
相當擴大サレテ、殆ド移動米ノ全體ノ二割乃
至二割何分ニ當ッテ居ルヤウナ譯デアリマ
スガ、又米穀取扱業者ノ集荷網モ適當ニ、昔
カラノ關係ニ依リマシテ相當集荷網ヲ持ッ
テ居ルノデアリマシテ、是ハ雙方相俟ッテ、サ
ウシテ其ノ集荷網ト云フモノガ敏活且餘リ
費用ノ重複シナイヤウニ取扱ハレルヤウニ
希望致シタイト思フノデアリマシテ、產業
組合ヲシテ特ニ今集荷網ヲ擴大セシメルト
カ、或ハドウスルトカ云フ風ナ指導方針ハ
持ッテ居ラナイノデアリマシテ、大體ニ於テ
從來ノ系統ヲ辿ラシテ、サウシテ出來得ル
限リ簡便ニ行クヤウナ方法ヲ講ジタイ、斯
樣ニ希望致シテ居ルヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=64
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065・絲原武太郎
○絲原武太郞君 產業組合ニ對シマスル御
當局ノ監督ノ御方針ニ付キマシテモ、大體
了解ヲ致シマシテゴザイマス、此ノ際矢張
リ午前中大臣ノ方カラ御話ニナリマシタ事
柄ニ關聯シテ御尋ヲ致シテ置キタイト思ヒ
そう、幾ラカ此ノ御尋ニハ私ノ個人ノ意見
モ挿入致シマスカモ知レマセヌケレドモ、
其ノ點ハ惡シカラズ御了解ヲ願ヒタイト思
フノデアリマス、午前中ニ農業生產ヲ代表致
シマスル團體ト、中小工業者トノ摩擦相剋ヲ
避ケル爲ニ、近ク或大調査機關ヲ設ケテ根
本的ニ御審議ニ相成ルト云フ御話デアリマ
シテ、目下其ノ準備中ト承ルノデアリマス、
此ノ調査機關ニ依リマシテ多年ニ亙リマス
此ノ問題ガ、公正適切ニ解決セラレマスコ
トニ相成リマスレバ、私ハ此ノ階級ニ於ケ
ル我ガ國民ノ生活安定上非常ニ喜ブベキコ
トト信ジマスル、此ノ時ニ於キマシテ考ヘ
ラレマスルコトハ、農村ニ於ケル所ノ中小
ノ階級ノ人々ノ現狀カラ見マシテ、是等モ
同時ニ御解決下サルト云フコトガ必要デア
ラウト考ヘマスルガ故ニ、茲ニ其ノ狀況ノ
大要ヲ申述ベテ御考慮ヲ煩ハシマスト共
ニ、御意見ノアリマスル所ヲ御伺ヒ致シタ
イト思フノデアリマス、私ガ申上ゲマス迄
モゴザイマセヌ、御承知ノ通リ最近相當、
生活維持ト申シマスカ、其ノ方面ニ苦ンデ
居リマス所ノ者ハ、農村ニ於ケル所ノ
中小程度ノ階級ノ人々デアリマス、今日ノ
非常時局ニ際シマシテ、苦シイ中ニ極メテ
眞面目ニ働イテ、地方的ニ貢獻致シテ居リ
マスル者ハ、此ノ農村ニ於ケル中小階級ノ
人々デアリマス、其ノ人々ノ公共的ノ努力
ノ賜ト私ハ申シテモ宜シイト思フノデアリマ
ス、此ノ苦シイ中ニアリマシテモ、農村ノ
實情ニ忠實ニ働イテ居リマスルコトハ申ス
迄モアリマセヌ、各種ノ公共團體ノ人等ガ
中心トナリマシテ、其ノ活動ニ依ッテ地方ハ
今日進步發達シテ居ルト申シテモ、私ハ過
言デナイト思フ、又現ニ此ノ進步發達ヲ圖ッ
テ居ルノデアリマス、是ハドナタガ御考ニ
ナリマシテモ、ドナタガ地方ニオイデニナ
リマシテモ、明カナ事實ト考ヘテ居ルノデ
アリマス、今囘農、林漁業ノ大ナル增產
計畫ヲ御樹テニナリマシテ、此ノ非常時局
ニ對處ナサルヽノデアリマスルガ、此ノ計
畫ノ遂行ニ對シマシテモ、是等ノ人々ガ中
心トナッテ、此ノ事業ニ對シマシテ努力セラ
ルヽコトト考ヘマスト共ニ、恐ラク當局ニ
於テモ此ノ人々ノ努力ヲ御待チニナッテ居ル
ト思フノデアリマス、尙時局ニ直面致シテ
居リマス所ノ軍事ノ後援、出征致シマシタ
所ノ人々ニ對シマシテノ家族ノ世話ハ固ヨ
リ、進ンデハ時局認識ノ宣傳方面ニ迄活動
ヲ續ケテ居ルノデアリマスルガ、是バカリ
デハアリマセヌ、從來カラ〓育ニモ、或
神社、佛閣ノコト、宗〓ノコト、誠ニ地方
竝ニ國家ノ爲ニ眞ニ農村ノ中堅ト致シテ活
動シツヽアルノデアリマス、然ルニ是等ノ
人々ガ今日迄此ノ堅實性ヲ保持シ來リ、且
地方ノ發達ニ貢獻シテ居リマス、此ノ階級
ノ人々ガ年ト共ニ追々衰亡ニ傾キツヽアル
ノデアリマシテ、農林省ノ方ニ於キマシテ
モ、斯カル事情ハ能ク御調ニ相成ッテ居ルコ
トト存ジマスルガ故ニ、御承知ノコトト信
ズルノデアリマス、誠ニ私ハ、此ノ狀況ヲ
地方ニ於キマシテ遺憾千萬ニ考ヘテ居リマ
ス、デ今ニシテ之ヲ維持擁護セネバ、一旦
沒落致シテ、是等ノ人々ガ沒落シマシタ際
ニハ、元ヨリ相當變ッタソレラノ階級ノ人々
モ出テ參リマセウケレドモ、併シナガラ社
會情勢カラ見マスルト、左樣ナ事柄モ餘リ
ニ私ハ期待シ兼ネル事柄モ承知致シテ居ル
ノデアリマス、ソコデ私ハ、此ノ階級ノ擁
護維持ヲセネバナラヌト云フコトハ當然現
在竝將來ニ起ッテ來ル問題ト思フノデアリ
マス、而シテ只今是等ノ人々ガ、刻下農村
施設ニ對シマシテ如何ナル影響ト申シマス
カ、恩惠ト申シマスカ、ヲ受ケテ居ルカト
何シマスルト、如何ニモ各種事業ガ地方ニ
農林省トシテ行ハレマスルカラシテ、間接
ニハ幾ラカ影響ハ受ケテ居リマスケレドモ、
自分等ガ鍬鋤取ッテ勞働スル譯モアリマセヌ
シ、勞働賃ガ騰貴致シマシテモ直接是ハ受
ケナイ、却テ是等ノ人々ハ物價騰貴ノ影響
ヲ受ケマシテ、現金出費ガ日ニ〓〓增加致
シテ來テ居ルノデアリマス、漸ク多少恩惠
ヲ受ケテ居ルカト申シマスト、地租ノ改正
ニ依リマシテ、幾分ノ地租ノ稅金ガ低減致
シマシタコトガ、:多少ノ影響ト申シテ宜
シイ、然ルニ反對ニ於キマシテハ當局モ御
承知ノ通リ、地方稅ノ增加徵收ハ年々歲々
多クナッテ居リマス、如何ニモ地方ニ對
シマスル臨時交付金ハアリマスルケレドモ、
是等ガ一度多少減額シタヤヤウナ風ニハ見
エマスケレドモ、種々ノ形ヲ變ヘマシテ減
額シタ地方稅ハ、漸次又玆ニ增加ヲ來シ
ツヽアルノデアリマズ、此ノ點ニ付キマシ
テハ、恐ラク中央、地方ヲ通ジマシテ改正
セラレマスル所ノ稅制整理ニ於キマシテハ
多年ノ問題デアリマスカラ、政府竝ニ一般
ニモ明察セラレマシテ、適當ニ改正ノアル
コトヲ今日カラ私ハ期待シテ居リマスケレ
ドモ、兎ニ角日ニ〓〓此ノ非常時局ト共ニ
各種ノ方面ノ事務的ノ出金ヲ要シツヽアリ
マス、其ノ出金ガドウシテモ地方ニ於キマ
シテハ土地ニ掛ッテ來ル、土地ガ課稅ノ標準
ニ相成ッテ居ル、地方稅ノ標準ハ農村ニ於キ
マシテハ、土地ニ向ッテノ課稅標準ト相成ツ
テ居リマス、ト云フコトヲ申シテモ私ハ差
支ナイト思フ、サウ云フコトヲ見テ居リマ
スルト、此ノ中小農階級ハ追々先ニ申上ゲ
マシタヤウニ衰亡、窮乏ニ沈ムコトニ相成ッ
テ參ルノデアリマスガ、之ニ對シマシテ國
家ト致シマシテ、ドウ云フ風ニ御考ニナッテ
居ルノデアリマセウカ、殊ニ農村ヲ指導御
監督相成リマスル農林省ハ、如何ナル御抱
負ヲ有セラレテ居ルノデゴザイマスルカ、
是ト共ニ希ハクハ、次ニ設置セラレマス所
ノ調査會ニ於キマシテモ、中小農階級ノ、
商業者ノ問題ト共ニ此ノ問題モ御調ニナリ
マシテ、能ク事情ヲ御調査ニナリマシテ、
此ノ階級ニ對シマスル將來ノ御對策ヲ御樹
テ願ヒタイト思フノデアリマス、此ノ點ニ
付キマシテ、御抱負ヲ承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=65
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066・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 現在ノ農村ノ方
方ガ、極メテ收入ガ少クシテ比較的出費ガ
多イ爲ニ、非常ナ困苦ヲ甞メラレツヽアル
ト云フ事柄ニ付キマシテハ、誠ニ我々同情
ニ堪ヘナイノデアリマス、現在ノ農村カラ
シテ、農村ヲ離レテ都會ニ多數ノ人ガ年々
出デマスルコトモ、私ハ、農村ノ收入ガ少
クシテ生活上ニ苦ミガアルト云フコトモ一
原因ヲ爲シテ居ルコトト考ヘマス、勿論現
在ノ重工業ト云フ方面モ相當高イ勞銀ヲ拂ッ
テ居ルノデアリマスカラシテ、ソレモ一原
因ヲ成シテ居ルト思ヒマスケレドモ、兎 2
モ角ニモ農村ノ收入ガ各社會各方面ニ比較
致シマシテ、比較的非常ニ收入ガ薄イト云
フ事柄ハ、モウ明カナ事實ダト思ヒマス、
從ヒマシテ地方交付金デアルトカ、其ノ他
種々ナル施設ハ致シテ居リマスケレドモ、
而モ尙到底其ノ收入ハ、都會ノ人ノ取ッテ居
ル收入トハ相匹敵致シマセヌ、故ニ農村ノ
人々ハ非常ナ苦心ヲ致サレ、サウシテ收入
ガ伴ハヌト云フ爲ニ、御話ノ如ク現在ノ地
方ガ次第ニ萎靡シテ行クト云フ風ナ傾向ニ
アルト云フコトハ、深ク是ハ注意致サナケ
レバナラヌ點デアリマス、又地方ニ於キマ
シテモ、相當色々ナル事業ノ關係上種々ナ
ル出費ガアル、其ノ出費ガ土地ヲ中心トシ
テ掛ッテ來ル、是モ事實デアリマス、從ヒマ@
シテ農業從事員竝ニ土地所有者共ニ、中一
ハ地方ヲ離レテ都會ニ、相當ナ資產家、相
當ナ地所持ガ都會ニ移ルト云フヤウナコト
モアルノデアリマス、斯ウ云フヤウナ點ハ、
是ハ深ク〓究致サナケレバナラヌ點デアリ
マスノデ、此ノ問題ニ付キマシテハ徹底的
ニ調査ヲ致シマシテ、其ノ根本對策ヲ樹テ
ナケレバナラヌト考ヘテ居リマス、從ヒマ
シテ此ノ度中小農業者、中小商業者ノ繁榮
ヲ企圖スル爲ニ、其ノ共存共榮ヲ企圖スル
爲ニ設ケマスル大調査機關ニ於テハ、固ヨ
リ是等ノ點ニ付キマシテ深ク〓究ヲ致スト
云フコトハ、當然爲サナケレバナラヌコト
デアリマシテ、此ノ方面ニ對シマシテハ十
分努力ヲ致シタイト考へテ居リマス、殊
農林當局ト致シマシテハ、何トシタラバ現
在ノ農村ヲ維持シ、而シテ農產物ヲ維持シ、
殊ニ農村ヲシテ王道樂土タラシムルコトガ
出來ルカト云フコトニ付キマシテハ、深ク
意ヲ用ヒテ居ル所デアリマシテ、一層ノ努
力ヲ致シタイト斯樣ニ考ヘテ居ル次第デア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=66
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067・絲原武太郎
○絲原武太郞君 只今大臣ヨリ農林ニ對シ
マシテ、極メテ御同情アル御答ヲ戴キマシ
テ私ハ、農村民ガ定メテ感謝致シマスコトト
信ズルノデゴザイマス、ドウカ先程申上ゲ
マシタ如ク地方ニ於ケル所ノ重大問題デア
リマスガ故ニ、審議會ニ於キマシテ相當
御議論ニナリマシテ、是等ノ擁護ノ點ニ於
キマシテモ、一層ノ御努力アラムコトヲ希ッ
テ置キマスノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=67
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068・伊澤多喜男
○伊澤多喜男君 只今絲原委員ノ御質問ニ
大臣ガ御答ニナリマシタ、誠ニ私モ農林大
臣ノ御意見ハ結構ト思ヒマス、是ハモウ今
始ッタ問題デハアリマセヌデ、明治維新以
來、今日迄終始農村ト云フモノハ段々ニ萎
靡シテ來ル、之ニ對シテ私ハ、昔カラノ爲
政家ガ非常ニ大キナ責任ガアルト思ッテ居
リマス、始終考ヘテ居リマスノハ、維新前
ニハ武士ト云フ者ガアリマシタ、サウシテ
武士階級ト云フモノガ大體社會ノ一ツノ中
心勢力ニナッテ居リ、サウシテ日本ノ社會
ト云フモノハ相當ニ宜イ形ヲ取ッテ居ッタト
思ヒマス、處ガ此ノ武士ト云フモノガナク
ナリマシテ、サウシテドウ云フ風ニナッテ
來タカト言ヘバ、其ノ時代ニハ必要デアッタ
ラウト思ヒマスケレドモ、明治維新以來ノ
爲政家ハ、常ニ都會人ト云ヒマスカ、或ハ
商工業者ト云フカ、サウ云フ人々ノ聲ヲ聞
キマス、ト云フノハ自分ノ手近ニ居リマス
カラシテ、ソレデソレ等ノ人ノ聲ガドウシ
テモ餘計入ル、然ルニ農村人ト云ヒマス者
ハ殆ド物ヲ言ハナイノデアリマス、ソレ故
ニ常ニ農村人ト云ヒマス者ハ、或意味カラ
云ヘバ虐ゲラレテ、サウシテ段々ニ來テ居
ル、是ガ私ハ實情ダト思フノデアリマス、
私ハ常ニ考ヘテ居ルガ、何人モ云フコトデ
アリマスケレドモ、私ハ矢張リ農ハ國ノ本
ダト云フコトヲ私ハ深ク考ヘテ居ルノデア
リマス、詰リ農ト云フモノガ物的資源ト云
ヒマスカ、食糧問題ト云フヤウナモノニ對
シテ、非常ナ重キヲナシテ居ルト云フコト
ハ無論ノコトデアリマスカラ、私ハ、是八
私ノ言葉ヲ以テ言ハセルナラバ、精神的資源
ノ培養所デアル、私ハ實ハ農村ト云フモノ
ハ、丁度農村ノ人ト云フ者ハ、昔ノ武士ニ
代ルベキ地位ニ居ッタト、斯樣ナコトヲ私ハ
考ヘテ居ルノデアリマス、ソレ故ニ國家ハ、
何トシテモ農村及ビ農村人ト云フモノニ對
シテハ如何樣ナ保護モ加ヘテ、サウシテ之
ヲ維持發達サシテ行カナクチヤナラヌト云
フ風ニ考ヘルノデアリマスガ、今申シタヤ
ウニ、大體ノ此ノ趨勢カラ行キマスト、農
村ノ人口ト云ヒマスカ、殊ニ農村ノ靑年ト
云フ者ハ殆ド皆都會ヘ出テ來テ、サウシテ
都會ノ工場勞働者ニナッテ行クト云フヤウ
ナ傾向ガ非常ニ强イノデアリマス、是ハ矢
張リ一ツノ先刻申シタ通リニ、從來ノ爲政
家ノ、私ハ罪ダト云フ風ニスラ思ッテ居ルノ
デアリマス、ソコデ農林大臣ニ伺ヒタイノ
ハ、大變ニ努力ヲナサルト仰シヤイマスケ
レドモ、一體ドンナコトヲナサラウト云フ
御心持デゴザイマスカ、餘程ムヅカシイ質
問カモ知レマセヌケレドモ、ゴザイマスナ
ラバ、一ツ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=68
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069・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 伊藤委員カラ御
話ノ如ク農ハ國ノ本デアリマスカラ、此ノ
本ヲ培フト云フコトハ勿論致サナケレバナ
ラヌコトデアリマスノデ、其ノ點ニ付キマ
シテ最大ノ努力ヲ盡スト申上ゲタノデアリ
マスガ、此ノ具體方法ハ、ドウ云フコトヲ
スルカト云フ只今ノ御話デアリマスケレド
モ、只今之ヲ是々ノ事ヲ致スト云フ風ナ具
體案ヲ根本的ナ方策トシテ申上ゲル事柄ニ
付キマシテハ、申上ゲル段取ニナッテ居リマ
セヌノデ、私單獨ノ考ヲ申セバ、ドウシテ
モ農家經濟ノ收入ノ增加ヲ圖ルト云フコト
ガ先ヅ第一番ニ必要ダト思ヒマス、此ノ農
家經濟ノ收入ノ增加ヲ圖リマスコトハ、現
狀ニ於ケル所ノ增加モ必要デアリマスシ、
同時ニ農村ノ勞力ヲ調整致シマシテ、卽チ
農閑期ノ勞力ヲ活用シテ、其ノ收入ノ增加
ヲ圖ルコトモ必要デアラウト思ヒマス、又
其ノ擔稅力等ニ付キマシテモ、十分調査ヲ
致シマシテ國內各方面トノ擔稅力ノ平均ヲ
圖ルコトモ一ツノ方法デアラウト思ヒマス、
其ノ他或ハ商工業ノ分布デアルトカ、種々
ナル方法ガアルト思ヒマスケレドモ、只今
之ヲ取上ゲテ是々ノ事ヲ致スト云フ考デ
アルト云フコトヲ申上ゲマスコトハ、是尺
十分委員會等ニ於キマシテ審議致シマシタ
結果デナケレバ決定致シマセヌノデ、今ノ
所具體的ニ申上ゲルコトダケハ差控ヘタイ
ト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=69
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070・伊澤多喜男
○伊澤多喜男君 今直グニ農林大臣ニ具體
的ノ方法ヲ御答ヘ願ヒマスト云フコトハ、餘
程無理ダト思ヒマスカラシテ、私ハ强ヒテ申
シマセヌ、申シマセヌガ、私ガ相當ニ長イ間
役人ヲ致シマシタリ、ソレカラシテ議員ヲ致
シマシタリシテ見テ居ルノデアリマスルガ、
過去ニ於テ一體農村ノ爲ニ爲政家ガ、非常
ニ能クヤッテ吳レタト思ハレルコトト云フノ
ハ、私ノ記憶スル所デハ、濱口內閣ノ地租
法ノ改正ト云フ、此ノ位ノ外無イト思ヒマ
ス、ドウ云フコトカト云ヘバ當時ノ地租
法ハ御承知ノ如ク、賃貸價格ニ依ッテ地租ヲ
課スルト云フ一ツノ根本的ノ改正ヲヤッタ
ノデアリマス、其ノ時ニ所謂都市ノ居住者
ト云ヒマスカ、或ハ商工業者ト云ヒマスカ
ノ諸君ハ非常ナ熱烈ナ强イ反對ヲ致シマシ
ク、私ハ之ヲ見テ居ッテカラニ、實ニ何ト云
フカ、餘リニ商工業者ト云フ者ハ、我儘ヂ
ヤナイカト云フ感ジヲ私ハ深ク持ッタノデ
アリマス、ドウ云フコトカト云ヘバ、賃貸
價格ニ依ッテ地租ヲ定メルト云フコトハ、
大體ノ形ニ於テハ一番公平ノコトダト思ハ
レマス、過去ノ所謂地價ニ依ッテ地租ヲ課ス
ルト云フヤウナコトモ一ツノ方法デアリマ
スケレドモ、是ハ數十年ノ間殆ド地價ノ修
正ト云フコトハヤレズニズット來マシタガ、
其ノ結果都會ノ土地ニ對スル地租ト云フモ
ノハ實ニ話ニナラヌ程廉イモノデアッテ、サ
ウシテソレニ比較シテ、農村ノ土地ト云フ
モノニ對スル地租ト云フモノハ非常ニ高イ
モノデアッタ、デ今日賃貸價格ニ依ッテ課ス
ルト云フコトニ改メタノデアリマスルカラ
シテ、大體公平ニナッタ、先ヅ私共ハ過去
ニ於テ見テ居ルト云フト、兎ニ角爲政家ガ
農村ノ爲ニ能クヤッテ吳レタト云フコトヲ見
ルノハ、先ヅソレ位ノモノ外私ハ實ハ見ナイ
ノデアリマス、デ今ノヤウナ農ハ國ノ本ナ
リト云フヤウナコトヲ唱ヘテ、ソレハ大キ
ニ御尤ダト殆ド皆言ハレマス、言ハレマス
ケレドモ殆ド嘗テ農村ノ爲ニ福社ヲ圖ツタ
コトト云フコトハ、私ハ知ラナイノデアリ
マス、是ハ少々甚ダシイカモ知レマセヌケ
レドモ、甚ダ少イノデアリマス、デ私ハ、
斯樣ナコトスラ申シタリ、考ヘタリシテ居
ルノデアリマス、ドウ云フコトカト云ヘバ
詰リ私ガ先刻、農村ト云フモノハ所謂精神
的資源ノ培養所デアルト云フヤウナコトモ
申シタノデアリマスガ、其ノ一ツノ現レト
シテ私ガ申シテ居ルノハ、兎ニ角今日デハ
農村ノ相當ナ有產階級ガ自分ノ子弟ヲ〓育
スル爲ニハ、イツデモ都會ニ之ヲ留學サセ
マス、農村デハ兎ニ角學校ト云フモノハ十
分デアリマセヌカラシテ、農村カラシテ都會
ヘ留學サセルト云フノガ普通ノ行キ方デア
リマス、少シ言ヒ方ガ嚴シ過ギルカ知レマ
セヌケレドモ、都會カラシテ農村ニ留學ニ
ヤレト云フコト迄私ハ主張スルノデアリマ
ス、ドウ云フ意味カト云ヘバ、所謂人間ト
云フ者ハ都會ニ於テハ出來ナイノダ、所謂人
格ト云ヒマスカ、或ハ心ト云ヒマスカト云
フモノハ、ソレハ都會デハナカ〓〓出來ナ
1、兎ニ角農村ノ大自然ニ接シ、農村ノ環
境傳統、斯樣ナモノニ依ッテカラニ人間
ハ出來ルノダト斯樣ナコトヲ、實ハ私ハ嘗
テ或委員會デモ主張シタノデアリマス、ソ
レ程ニ私ハ農村ノ所謂精神的資源ト云ヒマ
スカ、サウ云フ言葉ヲ用ヒテ宜イカドウカ
知リマセヌガ、近頃流行ルカラ用ヒマス
ガ、農村ト云フモノハサウ云フモノダ、果
シテ然ラバ國家ハ、ドノヤウナ費用ヲ使ッテ
千、ドノヤウナ方法ヲ用ヒテモ有ラン限リ
ノ力ヲ盡シテ、農村ノ爲ニ圖ルベキモノダ
ト私ハ深ク信ジテ居リマス、昨日絲原君ノ
御質問ニ對シテ、農林大臣ノ御答ニナッタ
コトヲ伺ッテ居リマスルト云フト、兎ニ角
時局ニ際シテ農村ノ靑年ハ戰爭ニ出掛ケテ
居ル、ソレカラ馬モ徵發サレテ居ル、其ノ
外農村ト云フモノハ非常ナ勞働勞力ナドモ
減リ、ソレカラ肥料ノ配給ノ如キモノモ十
分デナイ、非常ニ苦シイノダ、之ヲ一體ド
ウシテ吳レルノダト云フヤウナ御質問ニ對
シテ、肥料ヲ成ルベク廉ク供給スルヤウニ
シタイト思ッテ居ル、ソレカラ農具モ何ト
カシテ廉ク供給シタイト思ッテ居ル、
サリナガラナカ〓〓サウハ行カナイノ
ダ、行カナイカラシテソレデ働イテ貰フ
外仕方ガナイ、大體斯ウ云フヤウナ意味
ニナルノデアリマス、ソレハ農村人ハ、
此ノ時局ニ對スル認識ガ非常ニ深イノデ
アリマスカラシテ、如何樣ニデモ働カウト.
云フ心持ハ持ッテ居ルト云フコトヲ私ハ確
信致シマス、サリナガラモノニハ自ラ限度
ガアルノデアリマス、今ノ通リ、昨日カラ
伺ヒマスルト云フト、兎ニ角此ノ際內地ニ
於テハ四百萬石デスカ、ソレカラシテ朝
鮮臺灣ニ於テモ又非常ナ大キナ增產ヲセ
ナクチヤナラヌ、ソレハドウシテヤルカト
云ヘバ、急ニ平面的ニ收穫ヲ殖スト云フコ
トハ出來ナイノデスカラ、勢ヒ立體的ニ行
カナクチヤナラヌ、立體的ニ行クト云フコ
トニナルト、兎ニ角丁度今迄平地ヲ步イテ
居ッタ者ガ坂ヲ登ルト同ジコトニナリマス、
農村人ハ今ノヤウニ、色々ナ方面デ兎ニ角
壯丁ヲ取ラレ、馬ヲ取ラレ、彼此シテ、其
ノ上ニ大キナ、或意味カラ云ヘバ足ヲ切ラ
レテ居ル、サウシテ坂ヲ登ル、斯ウ云フコト
ヲ命ゼラレルノデアリマシテ、實ニ農村ニ
對シテハ、我々ハ丁度「フランス」革命ノ前ノ
「フランス」ノ農民ノコトヲ追想スルノデア
リマス、是ハ今ノ通リ果シテ肥料トカ、ソレ
カラ農具トカ云フコトニ付テ御考ガアルト
致シマスルナラバ、是非一ツソレヲ實行シ
テ戴キタイ、ソレハ出來マセウカ、ドウデ
アリマセウカ、ソレカラ私ハ、所謂米穀問
題ニ付キマシテモ、一體是ハ多クノ人ト私
ハ考ガ違ッテ居ルノデアリマスケレドモ、米
ノ最低價格ト云フモノヲ兎ニ角保證サレテ、
サウシテ農村ヲ救ハウト云フノガ、是ガ今
日ノ統制法ノ狙ッテ居ル所デアリマスケレ
ドモ、私ハ左樣ナ間接ナ方法デヤルヨリ
モ、直接ノ方法デヤツタラ宜シイト思フ、
ドウ云フコトカト云ヘバ、例ヘバ農村ノ今
ノ租稅ナリ、何ナリノ負擔ト云フモノヲ非
常ニ輕イモノニスルカ、極端ニ云フナラバ、
或者ハ租稅モ納メナイ、兎ニ角直接ニ農村
ト云フモノヲ救フ方法ハ私ハ、幾ラデモア
ルト思フ、マアコンナコトヲ私ハ實ハ考へ
テ居ルノデアリマス、詰リ過去ノ爲政家ハ、
常ニロデハ農ハ國ノ本ダ、大キニサウダカ
ラシテ成ルベク農村ノ爲ニ盡スノダト云フ
コトヲ言ハレマスケレドモ、而モ何ヲヤツ
テ居ッタカト云フト、私ハ甚ダ遺憾デアル
ケレドモ、大キナコトヲヤッテ居ラヌト思
フノデアリマス、是ハ御答へ下サレバソレ
デ結構デスガ、御答ヘ下サラナクテモ宜シ
イノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=70
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071・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 商工大臣ガ御
見エニナッテ居リマスカラ、御質問ガアリマ
シタラ······チョット速記ヲ止メテ···
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=71
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072・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記ヲ始メ
テ.発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=72
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073・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 只今伊澤サンカ
ラ農村ガ精神的資源ノ培養所デアル、都會
ニ遊學スルヨリモ、都會カラ農村ニ遊學セ
シムルコトガ必要デハナイカ、私モ確カニ
其ノ考ヲ持ッテ居リマス、今日農村ノ人々ガ
犧牲的精神ヲ以テ働イテ居リマス、此ノ實
ニ目マグルシイ働ニ付キマシテ、各方面ノ
人々ニ之ヲ見テ戴キタイ感ジガ致スノデア
リマス、併シ之ニ對シテ政府ガ、農ハ國ノ
本ナリト謂フケレドモ、何モ具體的ナコト
ヲシ得ナイノヂヤナイカト云フ御話デアリ
マスガ、甚ダ現在ノ設備ガ我々ノ考ヘテ居
ルホンノ一部ニモ達シナイ譯デアリマシ
テ、十分ナル施設ノ出來ナイコトハ甚ダ遺
憾ト致ス所デアリマスガ、是等ニ對シマシ
テハ今後十分注意シテ、全力ヲ盡シタイト
考ヘテ居リマス、又米ノ最低ノ價格ヲ保障
スルヨリモ、稅ヲ全廢シタラ宜イデハナイ
カト云フ御意見モアリマスガ、此ノ點ニ付
キマシテハ所謂租稅ノ體系ノ關係其ノ他カ
ラ申シマシテ、其ノ方法ガ當ヲ得ルヤ否ヤ
ト云フコトニ付キマシテハ、今此處デ御答
ヲ致シ兼ネルノデアリマス、ソレデ肥料ノ
配給、農具ノ供給ガ出來ルカドウカト云フ
御話デアリマスガ、是ハ出來ル出來ナイノ
問題デハナクシテ、ドウシテモ是ハ供給致
サナケレバナラヌト考ヘマシテ、所謂物動
計畫ヲ離レテデモ是ハ供給致サナケレバナ
ラヌ事柄デアルト、斯樣ニ固ク信ジマスノ
デ.発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=73
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074・伊澤多喜男
○伊澤多喜男君 安ク··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=74
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075・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 其ノ見地ニ於テ
供給致シマスルト同時ニ、之ヲ低廉ニ供給
致スト云フコトニ付キマシテハ、今日相當
統制法ヲ强化致シテ居ルノデアリマスガ、
肥料ノ如キハ御承知ノ通リ國內ニ出來マス
所ノ硫安等ニ付キマシテハ、現在ノ物價騰
貴ニ拘ラズ一割モ騰ッテ居ラナイヤウナ譯
デアリマスケレドモ、輸入ヲ致シマスル所
ノ肥料ニ付キマシテハ、甚ダ遺憾ナガラ二
割三割騰貴致シテ居ルノガアリマシテ、之
ニ對シテ之ヲ安ク致シタイ爲ニ、此ノ過燐
酸ノ原料デアル所ノ燐鑛石ナドヲ國內ニ於
テ見付ケテ、サウシテ之ヲ安ク供給シテ、
此ノ販賣ノ價格ヲ下ゲル爲ニ力ヲ盡シテ居
ル譯デアリマス、唯加里ニ付キマシテハ、
全然日本ニ於テ見込ガ立チマセヌノデ、相
當價格ガ騰リマスケレドモ、是レモ出來得
ル限リ安ク致シタイト思ヒマス、今大イニ
力ヲ盡シテ居ルヤウナ譯デアリマス、固ヨ
リ今日ノヤウナ事態デアリマスカラシテ、
思フ通リノ價格ニハ引下ガ出來ナイノデア
リマスガ、若シ今日ノヤウテ物價騰貴ノ狀
態デアリマスルト云フト、何等カ特殊ナ方
法ヲ講ジテ之ニ對シナケレバナラヌト云フ
ノデ、其ノ對策ヲ練ッテ居ルヤウナ譯デアリ
マス、農具ノ如キモ、鐵ノ如キ資材ガ騰リ
さい、「ゴム」等モ騰リマシタ、其ノ結果勢
ヒサウ云フ品物ガ騰貴致シツヽアルノデア
リマシテ、此ノ統制ニ付キマシテモ、商工
省ト能ク協議致シマシテ善處致シタイト考
ヘテ居リマスノデ、出來得ル限リ其ノ力ヲ
盡ス考デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=75
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076・伊澤多喜男
○伊澤多喜男君 大變ニ御深切ナル御答デ
アリマス、昨日絲原君モ申サレタト思ヒマ
スケレドモ、兎ニ角米穀ノ最高最低ノ價格
ヲ大體ニモット上ゲル心持ガアルカト云フ
質問ヲセラレタニ對シテ、場合ニ依ツタラ上
ゲル積リダト云フヤウナマア御答デアリマ
シタ、サリナガラ兎ニ角物價騰貴ト云フコ
トハ容易ナラヌコトデアルカラ、ナカ〓〓
サウ簡單ニハ行カヌ、是モ御尤ダト思フ、
米ト云フモノハ大體日本ノ物價ノ相當大キ
ナ基準ニナルノデアリマスカラ、御尤ナコ
トデアリマス、ソコデ私ノ申スコトハ詰リ
肥料ナリ、農具ナリ、其ノ外農家ヲ救フベ
キモノヲ兎ニ角低廉ニシナケレバナラヌデ
ハナイカ、ソレニ向ッテ努力セラレタラ宜イ
デハナイカ、私ハ今農林大臣ノ言ハレルヤ
ウナ風ニ當然低廉ニナルトハ思ヒマセヌ、
思ヒマセヌカラシテ其ノ時ニハ私ニ言ハシ
ムルナラバ、所謂商工業者ト言ヒマスカ、
國家全體ノ負擔ニ於テ兎ニ角安ク肥料ヲ農
家ニ供給スル、農具ニシテモ國家全體ノ負
擔ニ於テ農家ニ之ヲ安ク供給スルト云フコ
トガ、何モムツカシイコトハナイ、兎ニ角
根本ノ考一ツデス、農家ト云フモノハ兎ニ
角自分ノ賣ルベキ米價ハ抑ヘラレテ居ッテ、
サウシテ肥料ナリ農具ナリ勞銀ナリハ悉ク
騰ッテ來ル、一體農家ハソレニ對シテドウシ
テ行キマスカ、今ノ立體的ニ增產セヨト云
フヤウナ、マルデ出來モシナイヤウナ無理
ナコトヲ農家ニ强ヒテ居リマス、私ハ兎ニ
角其ノ問題ヲ〓究セラレテ、サウシテカラ
行ハレルト云フヤウナ、サウ云フ時代デハ
ナイノデアリマス、今ハ非常ニ焦眉ノ急ニ
迫ッテ居ル秋デアリマスカラ、能ク御考ヲ願
ヒタイト思ヒマス、是ダケ申上ゲテ置キマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=76
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077・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君)、只今ノ伊澤サン ノ御意見至極御尤ダト思ヒマス、卽チ肥料
農具、勞銀、之ヲ一貫シテ統制ヲ致スニ非
ザレバ、今日ノ米價ニ依ッテ農村ハ支へラレ
ヌト云フ事柄ニ付キマシテハ、私ハ左樣ニ
考ヘマス、併シ現在ノ米價ガ甚ダシク不當ナ
モノデアッテ、之ヲ支ヘ切レヌモノデアルカト
ドウデアルカニ付キマシテハ、此ノ問題ニ
付キマシテハ御承知ノ通リ昨年ノ暮ニ、米
穀統制委員會ニ於キマシテ十分審議セラレ
マシテ決定セラレタノデアリマシテ、今日
之ヲ非常ナ著シキ變動ノアリマシタ場合ニ
於テハ、更ニ委員會ヲ開イテ考慮致スコトノ
規定ガアリマスケレドモ、只今ハサウ云フ
場合ニハ立至ッテ居ラナイノデアリマス、
從ッテ之ニ對スル所ノ對策トシテハ、今伊
澤委員ノ御話ノ通リ其ノ資材、原料卽チ肥
料、農具或ハ勞銀等ノ低下ヲ期セナケレバ
ナラナイガ、是等ノ問題ニ付キマシテハ
相當多方面ニ影響スル所ガ極メテ重大デア
リマスノデ、此ノ問題ニ對シテハ出來ルダ
ケ速カニ其ノ方法ヲ講ジタイト、今折角考
慮中デアリマス、是ダケヲ申上ゲテ置キマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=77
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079・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 本日ハ此ノ程
度ニ致シマシテ散會致シマス、明日ハ午前
十時ヨリ開會致シマス
午後四時十一分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵酒井忠正君
副委員長男爵矢吹省三君
委員
公爵島津忠承君
侯爵前田利爲君
侯爵佐竹義春君
子爵梅小路定行君
子爵米津政賢君
子爵伊東二郞丸君
子爵鍋島直繩君
子爵織田信恒君
松村眞一郞君
賀屋興宣君
內田重成君
伊澤多喜男君
塚本〓治君
男爵中島久萬吉君
男爵岩倉道倶君
男爵東〓安君
男爵稻田昌植君
倉知鐵吉君
有賀光豐君
瀧川儀作君
小林嘉平治君
絲原武太郞君
山上岩二君
國務大臣
商工大臣兼拓務大臣八田、嘉明君
農林大臣櫻內幸雄君
政府委員
農林政務次官松村謙三君
農林省農務局長小濱八彌君
農林省米穀局長周東英雄君
馬政局長官荷見安君
商工省商務局長兼新倉利廣君
商工省統制局長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403119X00319390322&spkNum=79
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