1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十四年二月二十日(月曜日)午前十時九分開議
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議事日程 第十五號
昭和十四年二月二十日
午前十時開議
第一 昭和十四年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 作業會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 兌換銀行券整理法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 農業再保險特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 海軍工廠資金會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 人事調停法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 軍用自動車檢査法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第八 朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第九 朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十 朝鮮鐵道株式會社所屬金泉慶北安東間鐵道買收の爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十一 非訟事件手續法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十二 花柳病豫防法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=0
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001・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 報告ヲ致サ
セマス
〔佐藤書記官朗讀〕
一昨十八日本院ニ於テ修正議決シタル左ノ
政府提出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
宗〓團體法案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案
ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
北海道土功組合法中改正法律案
公證人法中改正法律案
明治三十五年法律第四十九號中改正法律
案
同日本院ニ於テ採擇スルコトヲ議決シタル
豫定線佐用、智頭間鐵道速成ノ請願外六件
ノ請願ハ各〓意見書ヲ附シ卽日之ヲ政府ニ送
付セリ
同日郵便年金法中改正法律案特別委員會ニ
於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如
シ
委員長侯爵淺野長之君
副委員長風間八左衞門君
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
花柳病豫防法中改正法律案可決報告書発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=1
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002・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 是ヨリ本日
ノ會議ヲ開キマス、日程第一、昭和十四年
度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債發行
ニ關スル法律案、日程第二、作業會計法中
改正法律案、日程第三、兌換銀行劵整理法
中改正法律案、日程第四、農業再保險特別
會計法案、日程第五、海軍工廠資金會計中
改正法律案、政府提出、衆議院送付、第
讀會、是等ノ五案ヲ一括シテ議題ト爲スコ
トニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=2
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003・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、石渡大藏大臣
〔左ノ送付文及法律案ハ朗讀ヲ經
サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下
之ニ做フ〕
昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年二月十六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
第一條政府ハ昭和十四年度一般會計歲
出ノ財源ニ充ツル爲他ノ法律ニ依リ起
債シ得ル金額ノ外七億九千五百八十萬
圓ヲ限リ公債ヲ發行シ又ハ借入金ヲ爲
スコトヲ得
第二條政府ハ昭和十四年度一般會計歲
出豫算翌年度繰越額ノ財源ニ充ツル爲
他ノ法律ニ依リ起債シ得ル金額ノ外昭
和十五年度ニ於テ公債ヲ發行シ又ハ借
入金ヲ爲スコトヲ得但シ前條ノ規定ニ
依ル公債又ハ借入金ト通ジテ前條ノ制
限額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三條前二條ノ規定ニ依ル公債ノ發行
價格差減額ヲ補塡スル爲必要アル場合
ニ於テハ前二條ノ制限以外ニ公債ヲ發
行シ又ハ借入金ヲ爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
作業會計法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年二月十六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
作業會計法中改正法律案
作業會計法中左ノ通改正ス
第二條第三項中「二百萬圓」ヲ「四百萬圓」
三郎八
附則
本法ハ昭和十四年度ヨリ之ヲ施行ス
兌換銀行劵整理法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年二月十六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
兌換銀行劵整理法中改正法律案
C
兌換銀行劵整理法中左ノ通改定ス
第四條ヲ削ル
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
農業再保險特別會計法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年二月十六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
農業再保險特別會計法案
農業再保險特別會計法
第一條農業保險法ニ依ル農業再保險事
業ヲ經營スル爲特別會計ヲ設置シ其ノ
歲入ヲ以テ其ノ歲出ニ充ツ
第二條本會計ニ於テハ再保險料、般
會計ヨリノ受入金、積立金ヨリ生ズル
收入、借入金及附屬雜收入ヲ以テ其ノ
歲入トシ再保險金、再保險料ノ還付金、
借入金ノ償還金及利子、一時借入金ノ
利子、事業取扱費其ノ他ノ諸費ヲ以テ
其ノ歲出トス
第三條本會計ニ於テ決算上剩餘ヲ生ズ
ルトキハ之ヲ積立ツベシ
本會計ノ歲計ニ不足アルトキハ積立金
ヨリ之ヲ補足スベシ
第四條本會計ニ屬スル經費ヲ支辨スル
爲必要アルトキハ政府ハ本會計ノ負擔
ニ於テ借入ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ借入ヲ爲スコトヲ得
ル金額ハ純再保險料ヲ以テ再保險金及
再保險料ノ還付金ヲ支辨スルニ不足ス
ル金額ヲ限度トス
第五條本會計ニ於テ支拂上現金ニ餘裕
アルトキハ之ヲ大藏省預金部ニ預入ル
ベシ
第六條本會計ニ於テ支拂上現金ニ不足
アルトキハ本會計ノ負擔ニ於テ一時借
入ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル一時借入金ハ當該年
度內ニ之ヲ返還スベシ
第七條本會計ノ積立金ハ國債ヲ以テ保
有シ又ハ大藏省預金部ニ預入レ之ヲ運
用スルコトヲ得
第八條政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫
算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之
ヲ帝國議會ニ提出スベシ
第九條本會計ノ每年度歲出豫算ニ於ケ
ル事業費ノ支出殘額ハ之ヲ翌年度ニ繰
越シ使用スルコトヲ得
第十條本會計ノ收入支出ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ昭和十四年度ヨリ之ヲ施行ス
海軍工廠資金會計法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年二月十六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
海軍工廠資金會計法中改正法律案
海軍工廠資金會計法中左ノ通改正ス
第二條中「二千萬圓」ヲ「五千萬圓」ニ改ム
第三條中「此ノ場合ニ於テハ前金拂ヲ爲
スコトヲ得」ヲ削ル
附則
本法ハ昭和十四年度ヨリ之ヲ施行ス
政府ハ昭和十四年度ニ限リ海軍工廠資金
會計法第二條ノ改正規定ニ依ル一般會計
ヨリノ繰入ニ代ヘ支那事變ニ關スル臨時
軍事費ヲ以テ購入シタル材料物品ヲ海軍
工廠資金會計ノ材料物品ニ組入レ其ノ價
額ヲ以テ海軍工廠資金ノ增加ニ充ツルコ
トヲ得但シ其ノ額ハ二千萬圓ヲ超ユルコ
トヲ得ズ
〔國務大臣石渡莊太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=3
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004・石渡莊太郎
○國務大臣(石渡莊太郞君) 只今議題トナ
リマシク法律案ニ付テ、提案ノ理由ヲ說明
致シマス、先ヅ昭和十四年度一般會計歲出
ノ財源ニ充ツル爲公債發行ニ關スル法律案
ニ付テ說明致シマス、昭和十四年度一般會
計歲出ノ財源ト致シマシテ、現行ノ震災善
後公債法、道路公債法ニ依ル公債ヲ發行致
スノデゴザイマスルガ、此ノ外歲入ノ不足
ヲ補塡スル爲七億九千五百八十萬圓ノ公債
ノ發行ヲ必要トスルノデゴザイマス、之ガ
爲ニハ別ニ起債ノ權能ヲ得ルコトガ必要デ
ゴザイマス、尙昭和十四年度歲出豫算中若
干ノ金額ハ、例年ノ如ク翌年度ニ繰越サル
ル結果ニナルデアラウト考ヘラレマスノ
デアリマスガ、其ノ繰越額ノ財源タル公債
ハ、必ズシモ之ヲ昭和十四年度內ニ於テ發
行致スノ必要ハゴザイマセヌガ、之ヲ其ノ
翌年度ニ於テ發行シ得ルコトトスルノヲ適
當ト考ヘルノデゴザイマスルノデ、此ノ法
律案ノ提出ヲ致シタ次第デゴザイマス、次
ニ作業會計法中改正法律案ニ付テ說明致シ
マス、海軍火藥廠ニ於キマスル事業量ハ、
近年著シク增大致シテ居ルノデゴザイマス
ルガ、尙同火藥廠ニ屬スル工場ノ新設其ノ
他諸設備ノ擴充ニ伴ヒマシテ、同廠ノ從來
ノ据置運轉資本ヲ以テシマシテハ、到底作
業ノ圓滑ナル遂行ヲ期シ得ザルコトト相成
リマスノデ、其ノ法定額ヲ四百萬圓ニ增シ
マシテ、漸次一般會計ヨリ之ヲ繰入ルヽコ
トトスルノ必要ガアルノデゴザイマスノデ、
此ノ法律案ヲ提出シタ次第デゴザイマス、
次ニ兌換銀行劵整理法中改正法律案ニ付テ
說明致シマス、現在ノ兌換銀行劵整理法ニ
依リマスレバ、同法ニ依ッテ兌換銀行劵ヲ整
理致シマシタ結果生ジマスル所ノ利得金ハ、
其ノ全額ヲ國債償還資金ニ充ツル爲、漸
次一般會計ヨリ國債整理基金特別會計ニ繰
入ルヽコトニ相成ッテ居ルノデゴザイマス、
然ルニ現下ノ我ガ國財政ノ情況ニ顧ミマス
レバ、此ノ際此ノ繰入ヲ止メマシテ、該
利得金額ハ之ヲ一般歲出ノ財源トシマ
シテ用ヒマスルコトヲ適當ト考ヘルノデ
ゴザイマスルノデ、此ノ法律案ヲ提出致
シタ次第デゴザイマス、次ニ農業再保險
特別會計法案ニ付テ說明シマス、農業保
險法ニ基キマシテ政府ノ經營致シマスル
農業再保險事業ニ關スル歲入歲出ハ、之ヲ
一般會計ト區分シテ經理スルノヲ適當ト認
メマシテ、之ガ爲特別會計ヲ設置スルノ必
要ガアリマスノデ、本法律案ヲ提出致シ
マシタ次第デアリマス、次ニ海軍工廠資金
會計法中改正法律案ニ付テ說明致シマス、
海軍ノ造船及造兵ノ工廠ニ於キマスル事業
量ハ、近年著シク增大致シテ參リマシタ處、
之ニ伴フ海軍工廠資金特別會計ニ於ケル歲
入歲出モ亦著シク增加致シマシタル結果、
從來ノ資金額ヲ以テシマシテハ、本會計本
來ノ機能ヲ發揮スルコト頗ル困難トナルニ
至ルノ虞ガアリマスノデ、本資金ノ法定額
ヲ五千萬圓ニ增額致シマスル必要ガアルノ
デゴザイマシテ、本法律案ヲ提出致シマシ
タ次第デゴザイマス、以上五件ノ議案ニ付
テハ、何卒速カニ協賛ヲ與ヘラレムコトヲ
希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=4
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005・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債發行ニ關スル法律案外四件ハ、重要
ナル法案デアリマスルガ故ニ、此ノ特別委
員ノ數ヲ十八名トシ、其ノ指名ヲ議長ニ
任ノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=5
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006・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=6
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007・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 戶澤子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=7
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008・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセ
マス
〔石橋書記官朗讀〕
昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案外四件特別
委員
公爵島津忠承君侯爵筑波藤麿君
伯爵橋本實斐君子爵裏松友光君
子爵高橋是賢君子爵綾小路護君
小幡西吉君男爵伊江朝助君
男爵深尾隆太郞君河田烈君
西野元君若尾璋八君
稻畑勝太郞君中村圓一郞君
磯貝浩君藤原銀次郞君
野村茂久馬君吉田羊治郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=8
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009・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程第六、
人事調停法案、政府提出、衆議院送付、第
一讀會、鹽野司法大臣
人事調停法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年二月十六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
人事調停法案
人事調停法
第一條家族親族間ノ紛爭其ノ他一般ニ
家庭ニ關スル事件ニ付テハ當事者ハ本
法ニ依リ調停ノ申立ヲ爲スコトヲ得
第二條調停ハ道義ニ本ヅキ溫情ヲ以テ
事件ヲ解決スルコトヲ以テ其ノ本旨ト
ス
第三條調停ノ申立ハ相手方ノ住所地ヲ
管轄スル區裁判所又ハ當事者ノ合意ニ
依リテ定ムル區裁判所ニ之ラ爲スコト
ヲルズ
第四條裁判所其ノ管轄ニ屬セザル事件
ニ付申立ヲ受ケタルトキハ決定ヲ以テ
事件ヲ管轄裁判所ニ移送スルコトヲ要
ス但シ事件ノ處理上適當ト認ムルトキ
ハ之ヲ他ノ區裁判所ニ移送シ又ハ自ラ
處理スルコトヲ妨ゲズ
裁判所其ノ管轄ニ屬スル事件ニ付申立
ヲ受ケタルトキト雖モ事件ノ處理上適
當ト認ムルトキハ。決定ヲ以テ之ヲ他ノ
區裁判所ニ移送スルコトヲ得
前二項ノ決定ニ對シテハ不服ヲ申立ツ
ルコトヲ得ズ
第五條調停ノ申立ガ淳風ニ副ハズ又ハ
權利ノ濫用其ノ他不當ノ目的ニ出ヅル
モノト認ムルトキハ裁判所ハ其ノ申立
ヲ却下スルコトヲ得
第六條當事者及利害關係人ハ自身出頭
スルコトヲ要ス但シ已ムコトヲ得ザル
事由アル場合ニ於テハ代理人ヲシテ出
頭セシムルコトヲ得
辯護士ニ非ザル者前項ノ代理人ト爲ル
ニハ裁判所ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
裁判所ハ何時ニテモ前項ノ許可ヲ取消
スコトヲ得
第七條調停ハ裁判上ノ和解ト同一ノ效
力ヲ有ス但シ本人ノ處分ヲ許サザル事項
ニ關スルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第八條借地借家調停法第二條、第四條
ノ二乃至第六條、第八條乃至第十一條、
第十三條乃至第十五條、第十六條第一
項、第十八條乃至第二十三條及第二十
六條乃至第三十二條ノ規定ハ本法ノ調
停ニ付之ヲ準用ス
第九條調停委員ハ德望アル者其ノ他適
當ト認メラルル者ニ就キ每年豫メ地方
裁判所長ノ選任シタル者又ハ當事者ノ
合意ニ依リ選定セラレタル者ノ中ヨリ
各事件ニ付調停主任之ヲ指定ス
第十條調停委員會ヲ開キタル場合ニ於
テハ第六條第二項及第三項ニ規定スル
裁判所ノ權限ハ調停委員會ニ屬ス
第十一條調停委員會第五條ニ規定スル
事由アリト認ムルトキハ調停ヲ爲サザ
ルコトヲ得
第十二條調停委員又ハ調停委員タリシ
者故ナク評議ノ〓末又ハ調停主任、調
停委員ノ意見若ハ其ノ多少ノ數ヲ漏泄
シタルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
調停委員又ハ調停委員タリシ者故ナク
其ノ職務上取扱ヒタルコトニ付知得タ
ル人ノ祕密ヲ漏泄シタルトキハ三月以
下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣鹽野季彥君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=9
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010・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 只今議題トナリ
マシタ人事調停法案ニ付キマシテ御說明申
上ゲマス、親族間ノ紛爭其ノ他家庭ニ關ス
ル事件ニ付キマシテハ、之ヲ道義ニ基キ溫
情ヲ以テ解決スルコトガ、我ガ國古來ノ淳
風美俗ト特有ノ家族制度トニ照シ、最モ望
マシイノデアリマシテ、此ノ事ハ固ヨリ申
ス迄モナイト存ジマス、從ッテ裁判所ノ調
停ニ依リ、當事者ノ和衷妥協ヲ圖リ、家庭
ニ關スル事件ヲ圓滿ニ解決處理スル途ヲ開
クコトハ、多年各方面カラ要望サレテ居タ
所デアリマシテ、貴衆兩院ニモ屢〓其ノ趣旨
ノ請願等ガアッタノデアリマス、司法省ニ於
キマシテハ曩ニ臨時法制審議會ニ於テ決定
サレマシタ基本要綱ニ則リ、民法中親族編
及相續編ノ全般的改正竝ニ之ニ附帶スル家
事審判制度ノ制定ニ付テ豫テカラ調査中デ
アリマシテ、家事審判制度ヲ制定スル際ニ
ハ、之ニ調停制度ヲ採入レル積リデアッタノ
デアリマス、然ルニ今日ノ非常時局ニ際會
致シマシテ、家庭ニ於ケル紛爭ノ圓滿ナル
解決ヲ、調停ノ方法ニ依ッテ解決スル途ヲ開
キマスルコトハ、現在ノ焦眉ノ急務トナッテ
參ッタノデアリマシテ、民法改正案等ハ未ダ
提案ノ運ビニ至ラヌ事情ニ在リマスルケレド
モ、人事調停ノ制度ハ急速ニ之ヲ確立スベ
キモノト認メマシテ、玆ニ本案ヲ提出スル
ニ至ッタ次第デアリマス、本案ノ內容ハ大體
ニ於テ借地借家調停法、其ノ他既存ノ司法
省所管ノ調停法ト同樣デアリマスガ、尙詳
細ノ點ニ付キマシテハ、他ノ機會ニ十分ニ
御說明申上ゲル積リデアリマス、各位ニ於
カレマシテハ何卒十分御審議ノ上、本案ニ
對シ速カニ協賛ヲ與ヘラレムコトヲ切望ス
ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=10
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011・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 質疑ノ通〓
ガゴザイマス、岩田宙造君
〔岩田宙造君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=11
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012・岩田宙造
○岩田宙造君 私ハ只今上程ニ相成リマシ
テ司法大臣ノ御說明ノゴザイマシタ人事調
停法案ニ付テ、二三ノ質問ヲ致シタイト考
ヘルノデアリマス、此ノ調停法ニ付キマシ
テハ、旣ニ是迄四ツ出來テ居ルノデアリマ
シテ、御承知ノ通リニ大正十一年ニ最初ニ
借地借家調停法ガ出來マシテ、其ノ後段々
引續キマシテ小作調停法、商事調停法、金
錢債務臨時調停法、此ノ四ツガ旣ニ制定サ
レマシテ、今囘ノ人事調停法ハ第五番目ノ
調停法デアルノデアリマス、私ハ今囘ノ人
事調停法其ノモノニ對シマシテハ、現行ノ
法制ノ下ニ於テハ必シモ反對スル者デハナ
イノデアリマス、併シナガラ是迄既ニ施行
サレテ居リマスル四ツノ調停法竝ニ今囘御
提案ニナリマシタ人事調停法、是等ノ總テ
ノ調停法ヲ通ジテ考ヘテ見マシテ、是ハ此
ノ調停制度其ノモノニ付テ、重大ナ檢討ヲ
要スル點ガアルヤウニ考ヘルノデアリマス、
ドウモ此ノ儘ニシテ置キマスルト云フト、
調停自體ニ付キマシテモ色々ノ弊害ヲ生ズ
ル虞ガアリ、延イテハ司法權其ノモノニ對
シテ、極メテ重大ナ惡影響ヲ及ス虞ガアル
モノト考ヘマスルノデ、此ノ際此ノ調停制度
其ノモノニ對シマスル政府當局ノ御見解ヲ
伺ヒタイト考ヘルノデアリマス、調停ト申
シマスルト、只今司法大臣ノ御說明ノ中ニ
モアリマシタ通リニ、此ノ世間デ普通考ヘ
ラレテ居リマスルノハ、何カ紛議ガ生ジマ
スルト云フト、其ノ友人デアルトカ或ハ先
輩デアルトカ云フ者ガ其ノ中ニ立チマシテ、
ヲ
圓ク其ノ爭ヲ收メル例ガ世間ニハ少クナイ
ノデアリマシテ、是等ノ例ヲ頭ノ中ニ置キ
マシテ、殊ニ家族間ノ爭ト云フヤウナコト
ニ付テハ、裁判所ニ持出サズニ、斯ウ云フ
人ノ手デ圓滿ニ收マルト云フコトガ至極望
マシイコトデアラウト誰シモ考ヘルノデア
リマス、デ調停法ト云フモノヲ歡迎セラレ
ルノモ此ノ點ニアルト考ヘルノデアリマス
ガ、裁判所ニ於テ行ハレマス所ノ調停ト云
フモノハソレトハマルデ違フノデアリマシ
テ、恐ラク議員各位ニ於カセラレマシテハ、
多數ノ御方ハ普通世間デ行ハレル、圓滿ニ
行ハレル調停ト云フモノヲ念頭ニ置カレマ
シテ、サウ云フコトガ行ハレルナラバ大變
ニ結構ダト御考ニナッテ居ルダラウト思フ
ノデアリマス、私共モ往々世間デ行ハルヽ
仲裁ト云フモノハ大變結構ナコトデアリ、
サウ云フコトガ行ハレマスナラバ是ハ雙手
ヲ擧ゲテ歡迎シタイノデアリマスガ、裁判
所デ行ハレマスル調停ハ其ノ通リニハ參ラ
ナイノデアリマス、此ノ點ニ於キマシテ世
間デモ實際ノ事ヲ知ラナイノデアリマス、
又司法當局ニ於カレマシテモ、ドウモ徹底
的ニソレ等ノ觀察ヲサレナイデ、唯皮相、
ウハベダケヲ御覽ニナッテ、今迄ノ調停デモ
大變ウマク行ッテ居ル、斯ウ云フ風ニ輕ク
視テ居ラレルヤウナ傾ガアリマスノデ、私
ハ是非其ノ點ニ付テハ十分ナ愼重ナ考慮ヲ
願ヒタイト思フノデアリマス、一體訴訟デ
行ハレマスル裁判ト調停ト云フモノハ、ド
ウ云フ點ニ於テ違フカト申シマスルト、先
ヅ二點アルノデアリマス、主ナ點ハ、訴訟
ニ依ル裁判ハ專ラ判事ニ依ッテ、裁判官ニ
依ッテ行ハレルノデアルガ、調停ハ素人ノ調
停員ト云フ者ガ主トシテ其ノ働キヲスルノ
デアリマシテ、判事ハ主任ニハナッテ世話
ハスルノデアリマスルガ、主タル働キハ此
ノ素人ノ調停員ガスルコトニナッテ居ルノ
デアリマス、ソレガ一ツ、今一ツハ裁判デ
アリマスルト云フト、主トシテ法律ニ定メ
テアル所ノ權利義務ト云フモノヲ根據トシ
テ判斷スルノデアリマスルカラ、法律上權
利ノ無イ者ニハ何物ヲ與ヘルコトガ出來ナ
イ、又義務ノ無イ者ニハ何物モソレニ責任
ヲ課スル譯ニ行カナイノデアリマス、處ガ
調停デアリマスルト云フト、權利ノ無イ者
ニモ何物カ與フルコトガ出來ルシ、又義務
ノ無イ者ニモ、何等カノ負擔ヲ課スルコト
ガ出來ルト云フ點ガ違フノデアリマス、卽
チ素人ノ調停員ガ主トシテ其ノ調停ヲスル
ト云フコトト、調停ナリ、或ハ其ノ裁キノ
内容ガ必ズシモ權利義務一點張リデナイ、
斯ウ云フ點ガ裁判ト調停トハ違フノデアリ
そう、ソコデ素人ノ調停員ガ之ニ關係ヲシ
テ調停ヲスルノデアリマスカラ、所謂此ノ
世間デ行ハレマスル所ノ仲裁ト似テ居ル所
ハアルノデアリマス、似テ居ル所ハアリマ
スルガ、世間デ行ハレル所ノ仲裁ト云フモ
ノガ、其ノ結果ガウマク行クト云フノハド
ウシテウマク行クカト云フト、仲裁ニ入ル
人ガ、其ノ當事者モ能ク知ッテ居リマスシ、
事柄モ能ク呑込ンデ居ル者ガ其ノ衝ニ當リ
マスルカラ、其ノ仲裁ガ極メテ適切ニ行ハ
レテ、當事者モ之ニ心カラ服スルノデアリ
Ⅳく、處ガ裁判所デ行ハレマスル調停ト云
フモノハ、見ズ知ラズノ素人ガソコニ飛出
シテ來テ仲ニ入ルノデアリマスカラ、人モ
知リマセヌシ事柄モ初メテ聞クノデアル、
ソコデナカ〓〓其ノ眞相ガ摑メナイノデア
リマス、ソレモ東京トカ大阪トカ云フ大キ
ナ都會デゴザイマスルナラバ、調停員モ立
派ナ人ヲ得ルコトガ出來ルノデアリマスル
ガ、ナカ〓〓全國ニ亙ッテ各區裁判所ノ調停
員、是ハ立派ナ調停員ヲ得ルト云フコトハ
ナカ〓〓困難デアリマス、現ニ金錢債務臨
時調停法ノ事件ノ如キハ、近年非常ニ數ガ
多イノデアリマシテ、司法省デ公ニサレマ
シタ所ヲ見マシテモ、此ノ法律ガ施行サレ
マシテカラ昨年ノ暮近ク迄ノ間、六箇年ト
一箇月ニナルノデアリマスルガ、其ノ間ニ四十
三萬何千件ト云フモノガ其ノ調停事件ニ現レ
テ來テ居ルノデアリマス、殆ド一箇月平均約
六千件ト云フモノガ調停事件トシテ現レテ來テ
居ルノデアリマス、デ昨年ノ十月中ノ統計ガ官
報ニ出テ居リマシタガ、之ヲ見マスルト云
フト、區裁判所ノ普通ノ訴訟事件ガ、昨年ノ
十月ニ新タニ提起ニナリマシタノガ八千五
百何件、之ニ對シマシテ金錢ノ今ノ調停事
件ガ三千九百何件約四千件デアリマシテ、
普通ノ區裁判所ノ訴訟事件ノ約半數ノ調停事
件ト云フモノガ現レテ來テ居ルノデアリマ
ス、之ニ依ッテ見マスルト云フト、此ノ調停
員ト云フ者ハ實ニ忙シイノデアリマシテ、
非常ニ澤山ノ事件ヲ扱ハナケレバナラヌト
云フコトニ相成ルノデアリマスルカラ、到
底其ノ適當ナ良イ調停員ヲ得ルト云フコト
ハ非常ニ困難デアリマス、段々ト眞面目ナ
良イ人ハ嫌ッテ之ヲ避ケルヤウニナリマシ
テ、進ンデ出ル人ハ日當ヲ當テニスルヤウ
ナ人ガ多數出ルヤウニ相成リマシテ、次第
ニ此ノ調停ト云フモノガ素人デハアリマス
ルガ、一種ノ專門的ニナッテ、調停屋ト云フ
ヤウナ者ガ段々ト出來テ來ルヤウニナルノ
デアリマシテ、是等ノ者ハ色々ノ手段ヲ盡
シマシテ裁判所ノ書記ナリ其ノ他ニ結託ヲ
シテ、自分ヲ出シテ貰ヒタイト云フヤウナ
コトニナッテサウ云フ者ガ出テ來ル、又調停
ヲ申出ル方デモ成ルベク自分ノ味方ヲシテ
呉レルヤウナ調停員ガ出ルコトガ希望デア
リマスルカラ、自分ノ事件ニ付テハドウ云
フ調停員ヲ出シテ貰ヒタイト云フヤウナコ
トヲ、色々運動スルト云フヤウナコトガ出
來テ参ルノデアリマス、現ニ是ハ司法省デ
モサウ云フコトヲ認メテ居ラルヽノデアリ
マスルガ、年末ニナリマスルト云フト、此ノ
金錢ノ調停事件ト云フモノハ非常ニ澤山出
テ參リマシテ、中ニハ調停員ハ裁判所ノ方
へ申出ナイデモ、自分ノ所ニ言ッテ來ルト、
ソレ〓〓運ンデ吳レルト云フヤウナ、サウ
云フコトヲ言ッテ、是ハ大變便利ナ事ダト
云ッテ新聞ニモ出テ居ルヤウナ事件モアリ
やく、サウ云フヤウナ一種ノ調停屋ト云フ
モノガ出來テ、色々ノ弊害ガ既ニ萌サムト
シテ居ルノデアリマス、是ハ調停員ノ選任
ト云フモノニ力ヲ盡セバ、サウ云フ弊害ハ
無クナルノダト言ッテ居ラレマスガ、是ハ到
底言フベクシテ行フベカラザル事デアリマ
シテ、所謂惡貨ハ善貨ヲ驅逐スルト云フコ
トハドノ方面ニモ行ハレルノデ、此ノ調停
員ト云フモノノ素質ガ段々惡クナルト云フ
コトハ是ハ免レナイノデアリマス、斯ウ云
フ事情ガ一面ニゴザイマスルノト、ソレカ
ラ尙法律一點張デナイノデアルカラ、今度
ノ人事調停法ニ付キマシテハ、道義ナリ溫
情ニ基イテ調停ヲスルト云フコトデアッテ、
權利一點張デナイノデアルカラ、是ハドウ
モ裁判官ニヤラセルヨリモ、素人ニヤラセ
ル方ガ適當ダラウ斯ウ云フノデ、チヨット聞
クト尤モノヤウニ聞エルノデアリマスガ、
今日ノ裁判ト雖モ、サウ權利義務一點張デ
ナイノデアッテ、道義ニ依リ溫情ニ基イテ裁
判ハ行ハレナケレバナラヌコトニナッテ居ル
ノデアリマス、裁判官ハ平常カラ之ヲ自分ノ
生命トシテ、何ガ正義デアルカ何ガ道義デア
ルカト云フコトハ、自分ノ職務上一番心掛ケテ
〓究シナケレバナラヌ事ニナッテ居リマス、御
承知ノ通リ大審院ノ判例ヲ披ゲテ御覽ニナリ
マシテモ、始終是ハ道義ニ反スル、是ハ信義
誠實ノ原則ニ反スルト云フ理由デ、裁判ノ
サレテ居ルコトガ少クナイノデアリマシ
テ、平常カラ決シテ法律第何條、六法全書
一點張ノ裁判ト云フモノハ行ハレテ居ラナ
イノデアリマス、玆ニ裁判ノ信用モアリ、
裁判所ノ有難味モ有ルノデアリマシテ、ソ
レヲ法律デ以テ道義ニ基キ、正義ニ基ク調
停ヲスルノデアルカラ、是ハ裁判官デハ不
適當デアッテ、素人ノ調停員ニヤラセル方ガ
適當デアルカノ如キ理由デ斯ウ云フ法律ガ
出ルト云フコトハ、私ハ甚ダ遺憾ニ考ヘル
ノデアリマシテ、斯樣ナ次第デアリマスル
ト、裁判ニ對スル國民ノ信賴ト云フモノヲ
政府自ラガ之ヲ弱メテ行ク、又一面カラ云ヘ
バ裁判官ニ對スル侮辱ト言ハレテモ申譯ナ
イノデハナイカト思フノデアリマス、ソレハ
事實デハナイ、只今申シマスヤウナ日當ヲ
當テニシテ出ルヤウナ調停員ヨリモ、平常
カラ正義眞實ノ觀念ニ依ッテ裁判シナケレバ
ナラヌト云フコトデ〓育サレ、ソレヲ養成
シテ自分ノ生命トシテ居ル裁判所ノ方ガ、
實際正義ノ判斷ヲスル上ニ於テモ適切デア
ルコトヲ私ハ信ジテ疑ハナイノデアリマス、
デアリマスルカラ決シテ此ノ調停ガ法律一點
張デナイ、道義ニ依ルモノデアルガ故ニ、
調停員ヲシテ行ハシメル方ガ裁判官ヲシテ
行ハシメルヨリモ適當ニ行ク、斯ウ云フコ
トハ理窟ノ上カラモ不當デアルシ、又實際ニ
於テモ事實ニ反シテ居ルト思フノデアリマ
ス、一體調停デアリマシテモ裁判デアリマ
シテモ、ムツカシイ點ハドノ點ガ困難デア
ルカト申シマスルト、實ハ其ノ事實ヲ知ル
コトガ困難デアリマス、紛議ヲ生ジテ當事
者間ニ各〓主張ヲ異ニシテ居ル、甲ノ言フコ
トガ本當デアルカ、乙ノ言フコトガ本當デ
アルカ、甲ノ言フコトヲ聞ケバ尤モノヤウ
デアルシ、乙ノ言フコトヲ聞ケバ又ソレガ
尤モノヤウニ聞エル、果シテ何レノ言フ
コトガ眞實デアルカト云フ其ノ事實ヲ知ル
コトガ困難デアリマシテ、其ノ事實サヘハッ
キリ分リマシタナラバ、其ノ事實ニ基イテ
如何ナル裁キヲスルカト云フ點ハ、是ハ比
較的樂ナノデアリマス、是ハ人ニ依ッテサウ
意見ガ違フモノデハナイ、裁判官ノ考デモ、
素人ノ考デモ、サウ違フモノデハナイノデ
アリマシテ、困難ナ點ハ、其ノ何方ノ言フ
コトガ本當デアルカト云フコトヲ、此ノ眞
相ヲ摑ムノガ一番難問デアルノデアリマス、
然ルニ只今ノヤウナ調停員ガ飛出シテ、初
メテ雙方カラ申立ヲ聽イテ、何方ガ眞實デ
アルカト云フコトヲ判斷スルノハ、是ハ素
人ニハ困難デアッテ、裁判官ノ方ガ長所ガ
アルノデアリマス、素人デゴザイマスルト
云フト、此ノ當事者ノ、少シ利巧ナヤウナ
當事者ガ出テ上手ニ申立テルト云フト、其
ノ方ニ誤ラレル危險ガ甚ダ多イノデアリマ
ス、一面ニ於テハ、此ノ調停ニ依レバ、裁
判ニ依ッタヨリモ、訴訟ニ依ッタヨリモ後ノ
結果ガ宜シイ、殊ニ家族間ノ爭、親族間ノ
爭ノ如キモノハ、後腐レガ殘ラナクテ、感
情ノ上モ圓ク收ッテ宜シイト云フコトデゴ
ザイマスルガ、是モ理窟デアッテ、實際ニハ
サウ參ラナイノデアリマス、訴訟デアリマ
スルナラバ、多クノ場合代理人ガ出テ參リ
マスルカラ比較的冷靜デアッテ、訴訟ノ進行
中感情ヲ害スルト云フコトハ比較的少イノ
デアリマスルガ、調停ハ成ルベク本人ヲ出
スト云フコトニナッテ居リマスルカラ、本人
同士ガ面ト向ヒマスルト云フト、オ互ニ雙
方ノ惡口ヲ目ノ前デ言ヒ、自分直接ニ言フ
ノデアリマスルカラ、益〓感情ヲ害スルノ
デアリマス、デアリマスルカラ決シテ調停
ノ方ガ後ノ結果ガ惡クナイ、感情ヲ多ク害
シナイト云フコトハ、私ハ寧ロソレト反對
デアッテ、裁判ノ方デ間接ニ代理人ニ依ッテ
冷靜ニヤルノハ左程デナイガ、本人ガ出テ、
オ互ニ惡ロヲ言ヒ合ッタ方ガ、却テ後ノ結果
ハ惡イノデハナイカト考ヘルノデアリマス、
色々斯樣ナ點ガゴザイマスルカラ、決シテ
此ノ調停ト云フモノガ、普通考ヘテ居ル友
人ヤ先輩ノ人ガ、能ク事情ヲ知リ拔イテ居
ル人ガ出テ來テ、事件ノ仲裁ヲスルト云フ
ヤウナ場合ヲ考ヘテ、ソレナラ結構デアル
ト言ッテ居リマシテモ、實際裁判所デ行ハレ
ル此ノ調停ト云フモノハ、ソレトハ甚ダシ
ク違ッタモノニナルノデアリマスルカラ、是ハ
大イニ考直サナケレバナラヌデハナイカト
私ハ信ズルノデアリマス、一體裁判····
訴訟ニ依リマスル裁判ト云フモノハ、其ノ
裁判自體ハ其ノ事件ニ付テ下サレルノデア
リマスケレドモ、其ノ效果ト云フモノハ、ソレト
同ジヤウナ事件ノ後ニ潜ンデ居ル所ノ百千ノ
事件ヲ一ツノ裁判ニ依ッテ解決ヲスルノデア
リマス、一ツノ裁判ガ行ハレマスルト云フト、
ソレト同ジヤウナ事件ハ、アノ事件ハ斯ウ
云フ判決ニナッタノダカラ、自分等ノ事件
モ是ハモウ爭ッテ見タ所デ駄目ダト、是ハ止
シタラ宜カラウト云フノデ、一ツ裁判ヲ見
テ、後ノ裁判所ニ出ナイ澤山ノ事件ガヒト
リデニ解決サレルノデアリマス、裁判ノ威力、
司法ノ效果ト云フモノガソコニアルノデア
リマスルガ、調停ハサウ參ラナイノデアリ
マス、調停ハソコヘ出テ見ナケレバ分ラヌ、
縱令裁判所デ確定判決ヲ經テ、大審院ヘ行ッ
テ確定判決ヲ經テ、是デ愈、關係ガ決ッタ、金
ヲ千圓ナラ千圓拂ハナケレバナラヌト斯ウ
ナリマシテモ、又ソレヲ調停ニ持出シマス
ルト云フト、ドウモ自分ハ訴訟ニハ負ケタケ
レドモ、、今コヽデ千圓拂ハサレルト云フ
コトハ困ルト、家族ニモ病人ガアルト、斯
ウ云フコトデハ困ルカラト言ッテ調停ヘ持
出シマスト云フト、ソレハ氣ノ毒ダカラ半
分ニ負ケテヤレ、五百圓ニ負ケテヤレト云
フコトガ出來ルノデアリマス、出來ルノデ
アリマスカラ、是ハ調停ハドウモ前以テ調
停へ持出シタラドウナルダラウト云フヤウ
ナコトハ分ラナイノデアリマス、其ノ調停
ヘ持ッテ行ッテ見ナケレバ分ラナイ、デアリ
マスカラ一面ニ於テハ大審院迄行ッテ、是ハ
愈〓千圓拂フト云フコトニ決ッタト云ッテ、何
時デモ取レルト思ッテ居ッテモ、ソレガ調停
ヘ行ケバ阻害サレルト云フ虞ガアッテ、其ノ
點ニ於テモ裁判ノ威力ト云フモノハ非常
ニ······司法ノ威力ト云フモノハ非常ニ害セ
ラレルノデアリマス、從ッテ此ノ金錢債務ノ
臨時調停法ニ依ッテ、事件ガ段々殖エテ來ル
ト云フノハソコデアル、ソコデアリマシテ、
持ッテ行ケバ、モウ是ハ裁判所ヘ行ッテハ到
底自分ハ勝味ハナイ、ドウモ時效ニモ掛カツ
テ居ルシ、裁判所ニ行ケバ負ケルニ決ッテ
居ルガ、調停ヘ行ケバ何トカ色ガ著クダラ
ウト云フノデ、モウ何等理由ハ無イモノガ
調停ヘ持出ス、調停ヘ持出シマスルト、雙
方ノ步ミ合ヒデアリマスルカラ、被〓ノ方
デモ、是ハモウ全然理由ガ無イコトダト云ッ
テモ、調停員ガマア少シハ色ヲ著ケテヤッタ
ラ宜カラウト云フノデ、結局幾ラカ拂ハナ
ケレバナラヌト云フコトニナル、デアリマ
スルカラ、モウドウシテモ訴訟デハ勝味ガ
無イト云フヤウナコトモ調停ヘ持出ス、債
務者ノ方ハ何時デモサウデアリマス、訴訟
ニナレバ負ケルニ極ッテ居ルガ、調停ヘ持出
セバ幾ラカ是ハ減額スルダラウト云フノデ
調停ヘ持出ス、是ハ私共モ始終見ル所デア
リマシテ、斯ウ云フ訴訟ヲ起シタイト思フ
ガ、ドウデセウ、是ハソンナコトヲ言ッタッ
テソレハ駄目ダ、見込ハナイト言フト、サ
ウデセウカ、ソレデハ仕方ガナイカラ、ヂ
ヤア調停ヘデモ持ッテ行キマセウカ、斯ウ云
フコトハ決シテ少クナイノデアリマス、調
停ヘ行キマスト云フト、何トカ彼トカ言
ウテ幾ラカ取レルト云フコトニナル、是ハ
私ハ餘程考モノデアルト思フノデアリマス、
就中金錢債務臨時調停法、是ハ私ハ制定當
時カラ是ニハ贊成スルコトガ出來ナカッタ
ノデアリマスルガ、此ノ金錢債務臨時調停
法ノ事件ガ益〓殖エルト云フコトハ、今ノ
ヤウナ事情カラ殖エルノデアリマス、司法
省デハ其ノ統計ヲ御出シニナリマシテ、斯
ウ云フ風ナ事件ガ金錢債務ノ調停事件ト云
フモノガ殖エテ居ル、是デ以テ如何ニ此ノ
法律ノ效果ガアルカト云フコトガ推定出來
ルト言ッテ、之ヲ誇リ氣ニ其ノ統計ヲ示シ
テ居ラレルノデアリマスルガ、私ハ其ノ事
件ノ數ガ多ケレバ多イ程、是ハ悲シムベキ
現象デハナイカト思フノデアリマス、只今
ノヤウナ事情デアリマスルカラ、ソレハ事
件ハ殖エル譯デアリマス、訴訟ナラ、モウ
一ツノ判決ヲ見テ自分ノ事件モ是ハ持出シ
テモ駄目ダト言ッテ諦メルノデアリマスル
ケレドモ、調停ハサウ云フ理窟デハナイノ
デアリマスカラ、泣キ付キサヘスレバ幾ラ
カニナルノデアリマスルカラ、益〓殖エル
一方デアルノデアリマス、デアリマスルカ
ラ斯樣ナ法律ハ徒ニ國民ノ義務ノ觀念ヲ消
耗シ、正義ノ觀念ヲ紊ッテ、サウシテ一方
ニ於テハ司法權ノ威信ヲ失墜スル虞ノアル
モノト考ヘマスルノデ、是ハ何トカシナケ
レバナラヌノデハナイカト思フ、然ラバ斯
樣ナ調停法ニ依ッテ······調停ニ依ッテ目的ヲ
達セムトスルコトハ、外ニ途ハナイカト申
シマスルト、アルノデアリマス、是ハ裁
判所ニ於テ十分行フコトガ出來ルノデアリ
やっく、現ニ今デモ裁判所デハ和解ト云フ
モノガアリマシテ、和解ニ依レバ必ズシモ
權利義務一點張リデハナクシテ、法律通リ
ヤッテハ氣ノ毒ダト云フヤウナ場合ニハ、和
解ノ方法ヲ勸〓スル途モ、裁判官ガ勸〓ス
ルコトガ出來ル途ガ一方デハ開ケテ居ルノ
デアリマス、又今ノ調停ガ盛ニ利用サレル
ト云フコトノ今一ツノ理由ハ、是ハ費用ガ
餘リ掛カラナイ、早ク濟ムト云フ點モアル
ダラウト思フノデアリマスルガ、サウ云フ
點ノ長所ガアリマスルナラバ、ソレハ金額
ノ少イ訴訟事件ニ付キマシテ、簡易訴訟手
續法ヲ定メレバソレデ目的ハ達セラレルノ
デアリマス、今ノ訴訟法ガ手續ガ面倒デア
リ、費用ガ多ク掛カルカラ簡便ノ方ニ持ッテ
行クト云フコトモアルダラウト思フノデア
リマス、ソレヲ矯正スルニハ簡易訴訟手續
法ヲ定メレバ宜イノデアリマスカラ、サウ
云フ途ガ他ニアルノデアリマスカラ、無暗
ニ此ノ調停々々ト云ッテ、弊害ノ伴フモノバ
カリヲヤルコトハ大イニ考モノデアラウト
思フノデアリマス、若シ權利義務ニ全然關
係ノナイヤウナ、道義上ノ問題ヲモ何等カ
スルト云フ必要ガゴザイマスレバ、斯樣ナ
問題ハ是ハ只今ノ裁判所ヲ中心トシテ、其
ノ調停ニ權力デ以テ執行力ヲ付與スルヤウ
ナ現行制度ノ調停ニ依ラズニ、全然權利義
務ト關係ノナイヤウナ事柄デゴザイマスレ
が、何等カノ社會施設デ之ヲ取扱ハシメレ
バ足ルノデアッテ、裁判所ガ之ニ關係スル必
要ハナイノデハナイカト私ハ思フノデアリ
マス、實際ハ何等カ利害ニ關係ヲ持ツトカ、
權利義務ニ關係ヲ持ツトカ云フヤウナコト
迄モ調停へ持出サレルノデアリマスカラ、
ソレナラバ只今ノヤウナ訴訟法ヲ改正シテ
簡易訴訟手續法ヲ定メ、或ハ仲裁、和解ノ
制度ヲ擴張シテ、是デ以テ十分目的ガ達セ
ラレルノデハナイカト考ヘルノデアリマシ
テ、斯樣ナ關係カラ致シマシテ、只今ノ現
狀ノ儘デハ、人事調停法ト云フコトモ或ハ
一時之ヲ行フコトハ便利デアルカト云フコ
トニ付キマシテハ、必ズシモ異論ヲ插ムモ
ノデハナイノデアリマスガ、根本的ニ此ノ
調停法制度其ノモノニ付テノ檢討ヲ願ヒタ
イト云フノガ私ノ希望デアリマス、其ノ趣
旨ニ依リマシテ私ハ以下ノ三ツノ點ニ付キ
マシテ、政府ノ御所見ヲ伺ヒタイト考ヘル
ノデアリマス、其ノ第一ハ現行調停制度ヲ
ドウ云フ風ニ考ヘテ居ラレルカ、今現ニ、
モウ既ニ多少ノ弊害ガ生ジテ居リ、尙將來
益〓其ノ弊害ガ大キクナラムトスル情勢デ
アルト云フコトヲ御認ニナッテ居ルノデアリ
マスカ、如何デアリマスルカ、現在ノヤウ
ナ此ノ調停制度ト云フモノハ、司法權ニ重
大ナ惡影響ヲ及ス虞ガアルモノト云フ御考
ハナイノデアリマスルカ、此ノ點ヲ第一ニ伺ヒ
タイノデアリマス、第二ニハ現行法ノ改正
〔議長伯爵松平賴壽君議長席ニ著ク〕
又ハ新タニ法律ヲ設ケマシテ、金額ノ少イ
民事訴訟ニ關シテ簡易手續ヲ定メ、又一方
ハ裁判上ノ和解ノ範圍ヲ擴張ヲスルト云フ
御考ハナイノデアリマスルカ、是ガ第二デ
アリマス、第三ハ、少クトモ此ノ金錢債務
臨時調停法ト云フモノハ、速カニ之ヲ廢止
セラレルカ、若シクハ之ヲ改正スル御考ハ
ナイカト云フ此ノ三點デアリマス、平沼總
理大臣ハ我ガ司法界ニ於ケル最モ有力ナル
大先輩デアラセラレマスルノデ、私共ハ此
ノ司法ニ關スル種々ナル重大問題ニ對シマ
シテ、平沼內閣ニ於テ其ノ解決ヲ見ムコト
ヲ希望シテ巳マナイモノデゴザイマスルカ
ラ、只今御尋ヲ致シマシタ第一ノ問題、卽
チ現行調停制度ヲ如何ニ考ヘラレマスルカ
ト云フ點ニ付キマシテハ、特ニ總理大臣ノ
御考ヲ伺フコトガ出來レバ幸デアルト考ヘ
ルノデアリマス、以上ガ私ノ質問ノ趣旨デ
ゴザイマス
〔國務大臣男爵平沼騏一郞君演壇ニ登
ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=12
-
013・平沼騏一郎
○國務大臣(男爵平沼騏一郎君) 只今岩田
君ヨリ御質問ニナリマシタ第一點、卽チ調
停法、之ニ付テハ如何ヤウニ考ヘテ居ルカ
ト云フ御趣旨デゴザイマス、岩田君ノ御述
ノ通リ、道義ト法律ト云フモノハ一致シナ
ケレバナラヌコトハ申ス迄モゴザイマセヌ
シ、又現今ノ裁判所ノ取扱ハ段々此ノ方ニ
傾イテ參リマシテ、一時ノ如ク單ニ法律ノ
正面ニ現レテ居リマス所ノ權利義務ノ觀念、
是ノミデ曲直ヲ決スルト云フコトヨリカ、
寧ロ全體ヲ考ヘマシテ、本當ノ社會正義、
之ヲ基礎ト致シマシテ裁判ヲスルト云フ傾
向ニナッテ居リマスルコトハ、岩田君御述ノ
通リ誠ニ良イ傾向デアルノデアリマス、併
シナガラ裁判所デ曲直ヲ爭フト云フコトニ
ナリマスト云フト、何時迄モ當事者ノ間ニ
面白カラザル關係ヲ持續スルモノデゴザイ
マイク、是ハ「ヨーロッパ」、殊ニ「イギリス」邊
ト日本トハ餘程違フ點デアルノデアリマス、デ、
私ハ成ルベク國民ノ間ニ融和ノ觀念ト云フモ
ノヲ保ッテ參リマスル爲ニハ、此ノ調停ノ如キ方
法ニ依リマシテ、オ互ニ主張スル所ハアリ
マシテモ之ヲ圓滿ニ解決致シマシテ、當事
者間ニ恨ヲ遺サヌト云フコトニ致シマスル
コトガ、我ガ國ノ古來ノ醇風美俗ヲ維持ス
ル所以デアルト考ヘテ居ルノデアリマス、
之ガ爲ニハ此ノ調停法ト云フモノハ最モ良
イ制度デアルト考ヘラレマス、殊ニ親族間
ノコトニ付キマシテハ最モ是ハ大切デアラ
ウト思ヒマス、親族間ニ於キマシテ一度裁
判所デ曲直ヲ爭フト云フコトニナリマスル
ト、何時迄モ親戚ノ間ニ爭ヲ繼續スルト云
フコトニナリマスルカラ、是ハ成ルベク表
向キノ裁判ニ現レマセヌヤウニ致スノガ相
當デアラウト自分ハ考へテ居リマス、唯此
ノ調停法ニ伴ヒマスル所ノ弊害モ固ヨリ考
ヘナケレバナリマセヌ、岩田君ノ御述ニナ
リマシタ點ニ付キマシテ、或ハ法制ヲ改メ、
或ハ又其ノ運用ヲ宜ク致シマシテ、弊害
ヲ除去スルト云フコトハ大切デゴザイマス
んや、大體ニ於キマシテ調停法ノ精神ハ最
モ我ガ國ニハ適切ナルモノト斯樣ニ信ジテ
居リマス
〔國務大臣鹽野季彥君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=13
-
014・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 調停制度ノ根本
義ニ付キマシテハ、只今總理大臣カラ御答
ヲ致シク通リデアリマス、併シ〓ノ運用上
ノ非難ニ付キマシテハ、政府ニ於キマシテ
モ大イニ關心ヲ持ッテ居ル所デアリマス、御
言
承知ノヤウニ私法所屬ニ於ケル調停制度ハ、
判事ガ調停主任トナリマシテ調停ノ事ニ當
之後,
ルノデアリマス、判事一己デアル場合モア
リマスシ、又必要ニ應ジテハ調停委員ヲ招集
シテ、調停委員會ヲ開イテ爲スコトモアル
ノデアリマス、其ノ委員ハ豫メ社會ニ信用
アル人ヲ候補者トシテ選定シテ置キマシテ、
其ノ中カラ適當ナ者ヲ招集スルノデアリマ
ス、二人以上ヲ招ンデ、判事ガ調停主任ト
ナッテ其ノ委員會ヲ指導シテ參ッテ事ヲ處理
スルノデアリマス、調停委員ノ中ニ不正ノ
人ガアラウトハ考ヘマセヌガ、事件ヲ處理
致シマスル場合ニ、取扱ヲ急ギマスルヤウ
ナ場合ニ、親切丁寧ヲ缺クト云フヤウナ事
例モ幾多アッタヤウニ承ッテ居リマス、又調
停主任タル判事ガ自ラ原動力トナッテ調停
委員ヲ指揮致サナケレバ相成ラヌノニモ拘
ラズ、實際上ハ調停委員ニ一任致シマシテ、
實質上事件ニ關與ヲシナカッタト云フヤウ
ナ事例モ遺憾ナガラ多少ハアルノデアリマ
ス、併シ斯樣ナ弊害ニ付キマシテハ、當局
モ嚴ニ之ガ根絕ヲ期スル爲ニ努力致シテ居
ルノデアリマス、又事實上判事ガ調停事件
ノ處理ニ關與ガ出來ナカッタト云フ場合ニ
付キマシテモ、人員ノ增加ヲ圖リマシテ、左
樣ナコトノナイヤウニ著々トシテ努メテ居
ルヤウナ次第デアリマス、調停委員ノ中ニ
不正ノ者ハナイト思ヒマスルガ、御承知ノ
ヤウニ調停ニハ四種類アリマシテ、借地借
家ノ調停、商事調停、金錢債務臨時調停、
小作ノ調停ト云フヤウナ種類ガアリマシテ、
之ニ關係スル調停委員ノ數ハ可ナリ多數ナ
者デゴザイマス、延數ニ致シマシテ、四萬
甲
人以上ニナルノデアリマス、其ノ間ニハ多
少不適當ナ者モアッタカモ知レナイノデ
アリマス、此ノ點ニ付キマシテハ、岩田博
士ノ御趣旨ヲ體シマシテ、今後十分ニ嚴選
ヲ致シタイト存ズル次第デアリマス、調停
ノ結果、卽チ調停履行ノ成績ヲ各方面カラ
調ベテ見マスルト、完璧トハ申兼ネマス
ルガ、相當ノ好成績ヲ示シテ居ルノデアリ
マス、社會ノ人カラモ相當ノ好評ヲ受ケツ
ツアル制度デアリマス、尙民事訴訟法ヲ改
正シテ裁判上ノ和解ヲ擴張シテハ如何デア
ルカトノ御意見ハ誠ニ御尤デアリマス、併
シナガラ重大ナル事項デアリマスルカラ、
俄ニ斯ウト申上ゲルコトモ出來マセヌガ、目
下司法省內ニ於テ司法制度ノ改善ノ爲ニ調
査委員會ガ設ケラレテ居リマスルカラ、早
速民事訴訟ノ簡易化ニ關スル諮問事項ヲ出
シマシテ、十分ニ御審議ヲ願ヒ、又司法當
局ト致シマシテモ、銳意調査ヲ進メタイト
考ヘテ居ル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=14
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015・岩田宙造
○岩田宙造君 御懇切ナ只今ノ御答辯ニ依
リマシテハ、尙十分了解シ兼ネル所モゴザ
イマスルガ、是レ以上ハ他ノ機會ニ讓リマ
シテ、只今ハ是デ私ノ質問ヲ打切リマス
〔土方寧君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=15
-
016・土方寧
○土方寧君 人事調停法案ニ付キマシテハ
先刻岩田君カラ質問ガアリマシテ、總理大
臣、司法大臣ノ御答辯モ謹聽致シマシタ、同
ジヤウナコトヲ繰返シテハ申シマセヌガ、
實ハ私ハ實驗ガナイカラ細カイ運用ノコト
ハ分リマセヌ、岩田君ノ御話デ見マスルト
云フト、ナカ〓〓法文ノ表面ニ現レテ居ル
ヤウニ圓滿ニウマク行ハレテ居ナイ、調停
ハ是ガ五番目デスガ、色々アルヤウデス、
サウ云フモノハ區裁判所判事ガ主宰トナッテ
主トシテ、調停委員ガ調停ノ任ニ當ルト云
フコトデアリマスガ、ソレハ先刻御話ノヤ
ウナ最モ適當ナ人ガ進ンデナッテ來レバ宜イ
ノデアリマスケレドモ、調停委員ノ中ニ多
クハ如何ハシイ所謂調停屋ト云フヤウナモ
ノガ段々殖エテ來タト云フコトノ御話ハ
事實デアラウト思ヒマス私知リマセヌガ····
左樣ナコトデアッテハ到底斯クノ如キ立法ノ
趣意ガウマク行ハレナイト思ヒマス、實際
ノコトハ與ッタコトガアリマセヌカラ能ク存
ジマセヌガ、私ハ我ガ國ノ現狀ニ考ヘマシ
テ、斯ウ云フ種類ノ調停法ガ今ノ所デバ兎
モ角モ或時迄、永久デハアリマセヌヨ、何
年迄ト云フ、何年ノ間ト云フコトバアリマ
セヌガ、當分ノ間ハ斯ウ云フコトガ必要デ
ハナカラウカト思ヒマス、サウ考ヘマスノ
ハ無論御承知デアリマセウガ、此ノ調停ト
云フノハ紛議ノアル當事者ノ親戚、故舊、親
友トカ云フヤウナモノガ、全ク好意デ調停
ヲシテ訴訟ヲ起サヌデ濟ムヤウニシタイト
云フコトハ、今迄モアルシ、今後モアッテ欲
シイコトデアル、何處デモ同ジコトデアル、
ケレドモソレガイカヌ時ニハドウモ裁判ニ
訴ヘル外仕方ガナイ、調停ト云フノハ中間
ノモノデアリマス、御維新政府ノ勸解ト云
フヤウナモノニ似寄ッタモノデアリマセウガ、
今ノ調停委員ト云フモノハモット規則ノ上ニ
現レテ居ルダケノコトデアリマス、隨分中
間ノ妙ナモノデアリマス、西洋ニハ私ノ知
ル限デハナイト思ヒマス、ト云フノハ御承
知ノ通リ歐米諸國ハ所謂法治國デアリマス、
總テ個人ノ關係モ國トノ關係モ法律ヲ以テ
律スル、其ノ法律ト云フノハ權利ガ本位デ
アリマス、英語ハ法律ト權利トハ別ニナッテ
居リマスガ、「ドイツ」法デモ「フランス」法
デモ抽象的ナ、法律ト云フモノ、權利ト云
フモノニハ「ドロア」〓レヒト」ト云フ言葉ヲ
使ッテ居リマス、法律ハ權利ト同ジ言語デ示
スモノニナッテ居ル關係ニアリマス、無論權
利アレバ之ニ對スル義務モアリマスガ、權
利本位デアル、サウ云フ法治國ノ制定ガ多
年行ハレテ居ッテ、法律ノ知識ハ格別無クテ
モ、常識トシテ法治國ノ國民ハ、彼等ガ日
常生活上必要ナコトハ心得テ居リマス、法
律ニ依ッテ日々ノ動作ヲ決シテ居ル譯デアリ
さく、處ガ我ガ國ニ於キマシテハ、古來法
律ト云フモノガ頗ル不備デアッタト思ヒマス
現行ノ法律ガ出來ル迄ハ······ソレハドウ
云フ譯デアッタカ、詰リ我ガ國ハ德治國デア
リマス、道德ヲ以テ治ッテ居ッタノデアリマ
ス、ソレデ濟メバ是程宜イコトハナイト思
ヒマスガ、併シナガラ維新後外國ト交際ヲ
シ、通商貿易ヲスル、社會ノ事情ガ全ク
變致シマシタカラシテ、道德ダケデハ個人
相互ノ關係ヤ何カヲ律スルコトハ不便デア
リマスカラ、無論或程度ノ今日ノヤウナ、
現行法ニ似寄ッタモノガ必要デアッタラウト
思ヒマス、左程急グコトハナカッタラウト思
ヒマスケレドモ、一面ニ於テハ條約改正ト
云フヤウナ、一日モ急ヲ要スルコトデ、ド
ウシテモ今ノヤウナ現行法ガ形ニ於テ整備
シナイ以上ハ、條約改正ガ出來ヌ、從ッテ法
權稅權ノ改革ガ出來ナイ、獨立國ノ體面
ヲ完全ニ保ツコトガ出來ナイト云フ必要ニ
迫ラレタカラ、大急ギデヤッタ、幾ラ急イデ
ヤッテモ、親族法ノヤウナモノハ、何分西洋
ト日本ト違ヒマスカラ、特ニ古來ノ日本ノ
慣習ト云フモノヲ斟酌シマシタケレド
千、マダ〓〓之ヲ以テハ實際ニ我ガ國ノ國
情、國民ノ醇風美俗ニ適中スルヤウニ出
來テ居ナイカト思ヒマス、畢竟我ガ國ノ國
民ハモウ現行ノ法律ガ行ハレルヤウニ
ナッテ以來四十年ニナリマスケレドモ、アナ
夕方ガ見聞ナサッタ所デ分リマセウ、我ガ國
ノ一億ニ近イ國民大多數ノ者ハ、眼中ニ法
律ノ觀念ハアリマセヌ、アルノハ、都合ノ惡
イ、人ガ知ラヌニ乘ジテ、自分ガ法律ヲ學ン
デ、サウシテ都合ノ好イ事ヲシヨウト云フ
ヤウナ人ガ、知ッテ居リマス、專門ニヤラヌ人
デモ、······善良ノ國民ハ法律ハ眼中ニ無イ、
大多數ハ古來通リノ我ガ國ノ道德ニ依ッテ
擧措動作ヲ決シテ居リマス、處ガ法律ニ照
スト、慣習通リヤルト云フコトガ法律デ認
メラレヌ、ソコニ實情ト法律トガ本當ニ融
和シテ居ナイ、衝突スルヤウナ事情モ起ッテ
來マス、是ハ畢竟法律其ノモノガ宜シクナ
イカラダト思フ、デ私ノ伺ヒタイノハ、斯
ウ云フ純粹ノ、裁判所ヲ煩サヌ調停ト、裁
判ノ間ニ、裁判ニ類シタヤウナ調停ト云フ
モノハ變態ノモノデアル、永久ノモノヂヤ
ナイ、是ガ必要ナラバ、法律ト云フモノガ
國情ニ適スルヤニ十分出來テ居ナイカラ、
必要ニナルノデアル、是ハ容易ナコトデハ
アリマセヌガ、兎ニ角日本ノ國情、民情ニ
適スルヤウニ、民法等ノ改正ガ、今カラデ
モ始メナケレバナラヌト、斯ウ私ハ思ッテ居
リマス、ソレハマア根本ノ問題デアリマス
ガ、私ノ考デハ、現狀ニ於テハドウモ斯ウ
云フ類ノコトガ、矢張リ當分ハ必要ヂヤナ
カラウカト思フカラ、大體ハ贊成致シマ
ス、無論細目ニ付テ精讀シテ居ルノヂヤア
リマセズ、細カイ事ハソレ〓〓是非ノ意見
モアリマセウケレドモ、大體ハ今日ノ所デ
ハ、兎ニ角當分ノ間ハ、斯樣ナ變態ナモノ
デアリマスガ、必要ダラウト思ヒマス、唯
運用上ハ、岩田君ノ言ハレタヤウナ弊害ガ
アルト云フコトデアリマスナラバ、政府ノ
方デモ其ノ運用ヲ誤ラヌヤウニ、深甚ノ御
注意、手續ト云フモノヲ執ラレルコトヲ希
望スル譯デアリマス、ソレニ付キマシテ私
ノ考ヘタコトハ、此ノ調停法デモ外ノ調停
法デモ同ジコトデアリマスガ、主ニ調停委
員ガスルト云ッテモ、區裁判所ノ判事ノ主宰
ノ下ニスルノデアル、其ノ區裁判所ノ判事
ト云フモノハ多クハ若イ人デアリマス、御
承知ノ通リ司法科ノ試驗ニ及第シテ試補ニ
ちょう實習シテ、ソレカラ本當ノ判事トカ
檢事ニナル、ケレドモ、マダ一向實驗ガア
リマセヌカラ、多クハ地方裁判所デ先輩ト
共ニ訴訟ニ與カル、矢張リ實驗ヲ積シデ而
シテ後此ノ區裁判所ニヤル、年功ニ依ッテ地
方裁判所、控訴院ト、斯ウ云フ雛段式ニナツ
テ居ル、是ハ誠ニ良イコトデアルガ、區裁
判所ノ事件ハ比較的ニ輕微ナノガ數多クア
リマス、訴訟事件目的物ノ金額ノ上ニ制限
ガアリマスカラ、數ハ多イ、若シ區裁判所ニ
多年ノ經驗ヲ積ンダ老練ナル判事ガ居ッタ
ナラバ、私ノ考デハ、今日見ル如キ微細ナ
數多クノ區裁判所事件ト云フモノハ、上訴
ニナル、抗告シタリ上告シタリスルヤウナ
コトハ無クナル譯ダラウト思フ、皆靑二才
見タヤウナ人ガヤッテ居ル、是ハ大間違デア
ル、ソレデ區裁判所ニ當ッテ考ヘレバ、少ク
モ地方裁判所部長ニナル位ノ經驗ノ積ンダ、
世故ニ長ケタ實驗ノアル者ヲ區裁判所ニ、持ッ
テ行ッテ、ソレガ情理ヲ盡シテ裁判スレバ、
當事者モ服スルデアリマセウシ、又此ノ調
停法ノ裁判ニナレバ、法律ノコトヲ能ク知
ラナイ調停委員ト云フモノニ色々協力ヲシ
テカラ、適當ナ結果ヲ得セシメルヤウナコ
トモ出來ヨウト思フ、斯ウナラヌノハ根本
ノ間違デアル、ソレダカラ少クモ地方裁判
所ノ部長位、長イ間經驗シタ人ハ給料モ官
等モ上ッテ居ル、サウ云フ人ハ田舍ノ區裁判
所ニ行クコトハ厭ガリマス、ソレナラ區裁
判所ハ特別ニ優遇シテ宜カラウト思フ、丁
度官吏デモ朝鮮、滿洲ニ行ク時ハ、內地ニ
居タ時ヨリ餘計給料ヲヤラナケレバ行キ手
ガナイ、サウ云フ風デアリマスカラ、田舍ノ
區裁判所ニ行ケト言ッテモ厭ガルガ、官等ヲ
上ゲテ優遇スレバ行カヌコトモアリマスマ
イ、何トカ良イ方法デ區裁判所ノ判事ヲ優
遇スレバ、區裁判所ノ普通ノ訴訟デモ、調
停ノ主宰者ニナルノデモ、サウ云フ人ガヤッ
テ吳レレバ、私ノ考デハ此ノ本案ノ趣意ノ
通リ稍〓良結果ヲ得ハシナイカト思ヒマス
カラ、何トカ其ノ邊デ、區裁判所ノ判事ノ
待遇ノコトニ付テ、良イ御考ハナイカ、ソ
レヲ伺ヒマス
〔國務大臣鹽野季彥君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=16
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017・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 土方博士ノ御意
見ハ誠ニ御尤デアリマス、我ガ國ハ所謂德
治ノ國トモ言ハレ、國民ノ生活ハ道義ヲ以
テ基本ト致シテ居リマス、從ッテ道義ノ社會
生活ガ第一義デアリマシテ、之ヲ破ル場合
ニ法律ガ適用セラレル、外國ノ如キ法律生
活ニハ我ガ國民ハ不慣レデアルト云フコト
ハ事實デアリマス、此ノ點ニ關シマシテ國
民ノ生活ニ卽應スルヤウニ、民法ヲ初メ其
ノ他ノ法律ノ改正ニ付キマシテハ、大イニ
努力致ス積リデアリマス、尙裁判所ノ制度、
訴訟法規等ニ付キマシテモ同樣デアリマス、
又職員ノ待遇ニ付キマシテ、之ガ改善ヲ圖
ルベク努力致シツヽアルノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=17
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018・土方寧
○土方寧君 質問ト云ッテモ、主ニ希望ヲ述
ベタノデアリマスカラ、別ニ重ネテ御尋ハ
致シマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=18
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019・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ニテ通〓ノ質
疑者ハ終リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=19
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020・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程セラレマシタ
人事調停法案ハ、重要ナル法案デアリマス
ルガ故ニ、此ノ特別委員ノ數ヲ十五名トシ、
其ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提出致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=20
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021・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=21
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022・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=22
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023・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔丸龜書記官朗讀〕
人事調停法案特別委員
侯爵德川賴貞君侯爵中山輔親君
伯爵二荒芳德君子爵曾我祐邦君
子爵加藤泰通君子爵米田國臣君
建部遯吾君男爵前田勇君
男爵渡邊修二君男爵山根健男君
山岡萬之助君藤沼庄平君
岩田宙造君田中德兵衞君
大澤德太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=23
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024・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第七、軍用
自動車檢査法案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會、板垣陸軍大臣
軍用自動車檢査法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年二月十六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
軍用自動車檢査法案
軍用自動車檢査法
第一條戰時又ハ事變ノ際ニ於ケル軍所
要ノ自動車ノ調達ヲ確實ナラシムル爲
政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ自動車ヲ
一定ノ場所ニ差出サシメ其ノ檢査ヲ行
フコトヲ得
前項ノ檢査ニ際シ必要アルトキハ當該
官吏ハ關係者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ檢
査ニ付協力ヲ爲サシムルコトヲ得
第二條前條第一項ノ檢査ヲ受クル者ニ
對シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ手當及
旅費ヲ給ス
第三條第一條第一項ノ規定ニ違反シテ
檢査ニ自動車ヲ差出サザル者ハ五百圓
以下ノ罰金ニ處ス
第四條第一條第一項ノ檢査ヲ受クベキ
場所ニ於テ檢査ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ又
ハ忌避シタル者ハ三百圓以下ノ罰金又
ハ科料ニ處ス同條第二項ノ規定ニ違反
シテ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞
ノ陳述ヲ爲シ又ハ協力ヲ爲サザル者亦
同ジ
第五條第一條第一項ノ檢査ヲ受クベキ
者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、
雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ
第三條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ自
己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處
罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第六條第三條ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナ
ルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ
業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ
禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ
之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同
一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此
ノ限ニ在ラズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣板垣征四郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=24
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025・板垣征四郎
○國務大臣(板垣征四郞君) 只今議題トナ
リマシタ自動車檢査ニ關スル法律案ヲ提出
スルニ至リマシタ理由ヲ說明致シマス、軍ノ
急速ナル機械化ニ伴ヒマシテ、多數ノ自動
車ヲ必要ト致シマスノデ、戰時ニ於キマシ
テハ民間自動車ヲ軍用ニ供スル必要ガ益〓增
大シテ參ッタノデアリマス、從來ハ軍所要ノ
自動車數ハ極メテ少數デアリ、又軍トシテ
自動車ノ性能等ニ對スル要求モ單純デアリ
マシタノデ、自動車調査票ヲ資料ト致シマ
シテ、簡單ニ机ノ上ニ於テ調査計畫ヲ立テ
マシテモ、有事ノ場合ノ要求ニ應ジ得タノ
デアリマス、然ルニ今ヤ所要自動車數ノ激
增ト、自動車性能ニ對スル要求ノ複雜化ニ
伴ヒマシテ、果シテ民間自動車ノ情況ガ軍
ノ要求ニ合致スルヤ否ヤヲ察知スルコトガ
不可能トナッタノデアリマス、仍テ恰モ每年
戰用品整備檢査ヲ實施致シマシテ、軍ノ各
倉庫ニ貯藏スル兵器、被服等ノ現況ヲ各〓、貴
任者ニ於テ檢討スルト同樣ノ意味ニ於キマ
シテ、動員技術上幾多ノ困難ナル要素ヲ有
シマスル所ノ民間自動車ノ種類、性能等ヲ、
現物ニ就テ平時ヨリ計畫的ニ調査致シマシ
テ、現況ニ卽應スル動員計畫ヲ策定スル必
要ガアルノデアリマス、是レ本案ヲ提出ス
ル所以デアリマシテ、此ノ點御諒察ノ上、
愼重御審議ヲ御願ヒ致ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=25
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026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ、本案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サ
セマス
〔丸龜書記官朗讀〕
軍用自動車檢査法案特別委員
侯爵小村捷治君伯爵松木宗隆君
子爵立見豐丸君大島健一君
三井〓一郞君岡喜七郞君
男爵有地藤三郞君大和田健三郞君
上野喜左衞門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=26
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027・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第八、朝鮮
事業公債法中改正法律案、日程第九、朝鮮
私設鐵道補助法中改正法律案、日程第十、
朝鮮鐵道株式會社所屬金泉慶北安東間鐵道
買收ノ爲公債發行ニ關スル法律案、政府提
出、衆議院送付、第一讀會、是等ノ三案ヲ
一括致シマシテ、議題トスルコトニ御異議
ガゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=27
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028・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、松村大藏政務次官
朝鮮事業公債法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年二月十六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮事業公債法中改正法律案
朝鮮事業公債法中左ノ通改正ス
第一條中「八億九千三百五十萬圓」ヲ「十
億六千六百十萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年二月十六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案
朝鮮私設鐵道補助法中左ノ通改正ス
第一條第一項中「十五年ヲ限リ」ノ下ニ
「豫算ノ範圍內ニ於テ」ヲ加へ同條第二
項中「五年」ヲ「十年」ニ改ム
第二條前條ノ補助金ハ每營業年度ニ於
ケル建設費ニ對シ年五分ノ割合ニ相當
スル金額ヲ限度トス但シ每營業年度ニ
於ケル益金カ建設費ニ對シ年一分ノ割
合ニ相當スル金額ヲ超ユルトキハ其ノ
超過額ハ之ヲ補助金額ヨリ控除ス
第五條削除
附則
本法ハ昭和十四年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス但シ本法施行ノ際現ニ補助ヲ受クル鐵
道ニ對スル補助ニ付テハ各現在ノ補助期
間滿了ノ日ノ屬スル營業年度ノ末日迄ハ
改正規定ニ拘ラズ仍從前ノ例ニ依ル
朝鮮鐵道株式會社所屬金泉慶北安東間
鐵道買收ノ爲公債發行ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年二月十六日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮鐵道株式會社所屬金泉慶北安東間
鐵道買收ノ爲公債發行ニ關スル法律案
政府ハ朝鮮鐵道株式會社所屬金泉慶北安
東間鐵道買收ノ爲之ニ必要ナル額ヲ限度
トシ公債ヲ發行スルコトヲ得
〔政府委員松村光三君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=28
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029・松村光三
○政府委員(松村光三君) 只今議題トナッ
テ居リマスル日程第八及第十ヲ一括御說明
申上ゲマス、朝鮮事業公債法中改正法律案
提出ノ理由ヲ御說明致シマス、朝鮮總督府
特別會計ニ於テ昭和十四年度以降ノ繼續費
トシテ計上致シマシタル鐵道建設及改良費
ノ追加額一億八千七百六十萬餘圓ハ、其ノ
經費ノ性質及特別會計歲計ノ現狀ニ鑑ミマ
シテ、之ガ財源ヲ公債ニ依ルコトト致シマ
シタル等ニ依リ、現行朝鮮事業公債法ノ公債
發行限度ヲ增加スルノ必要ガアリマスルノ
デ、本法律案ヲ提出致シタル次第デアリマ
ス、次ニ日程第十、朝鮮鐵道株式會社所屬
金泉慶北安東間鐵道買收ノ爲公債發行ニ關
スル法律案提出ノ理由ヲ御說明致シマス、
朝鮮鐵道株式會社ノ經營ニ屬シマスル金泉
慶北安東間ノ鐵道、卽チ慶北線ハ朝鮮國有
鐵道ノ京釜線金泉驛ヨリ北上致シマシテ、
慶尙北道ノ略〓中部慶北安東驛ニ至リマス
ル延長百十餘「キロ」ノ私設鐵道デアリマス
ガ、本鐵道ハ曩ニ第六十九囘帝國議會ノ協
贊ヲ經マシタ朝鮮國有鐵道中央線ノ建設工
事ノ進捗ニ伴ヒマシテ、工事用諸材料運送
ノ便宜上、及ビ國有鐵道運輸系絡整備ノ必
要上等ヨリ、昭和十四年度ニ於キマシテ之
ヲ買收スルヲ適當ト認メマシタル爲、其ノ
買收代價トシテ交付スベキ公債ヲ發行シ得
ルコトトスルノ必要ガアリマスルノデ、本
法律案ヲ提出致シマシタ次第デアリマス、
何卒兩案共御審議ノ上速カニ協賛ヲ與ヘラ
レムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=29
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030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 寺田拓務政務次
官
〔政府委員寺田市正君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=30
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031・寺田市正
○政府委員(寺田市正君) 私ハ日程第九デ
ゴザイマスガ、朝鮮私設鐵道補助法中改正
法律案ノ提出ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、
朝鮮ニ於ケル私設鐵道ニ對シマシテハ現行
法ニ依リマシテ該鐵道營業開始ノ日ヨリ二
十年迄ハ補助金ヲ交付シ得ルコトトナッテ
居リマス、現在補助金ノ交付ヲ受ケツヽア
ル私設鐵道中、近ク其ノ補助期間ノ滿了ス
ルモノガゴザイマスノデアリマスガ、是等
ハ未ダ其ノ業績豫期ノ如ク擧ッテ居リマセ
ヌシ、尙當分ノ間ハ政府ノ補助ヲ離レテハ
自立シ難イ狀態デゴザイマス、而モ是等ノ
鐵道ハ朝鮮開發上重要ナル路線デゴザイマ
シテ、且國營代行ノ意義ヲ有シマスルノデ、
今囘本法ニ必要ナル改正ヲ加ヘマシテ、之
ガ助成ノ爲必要アル場合ニ於テハ現在ノ補助
期間ヲ更ニ五年間延長シ得ルノ途ヲ開カムト
致シタノデゴザイマス、尙補助方法ニ付キマ
シテモ、現下經濟界ノ趨勢ニ鑑ミマシテ、適當
ノ改正ヲ加フルコトト致シマシタ、何卒御審
議ノ上御協賛アラムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=31
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032・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
朝鮮事業公債法中改正法律案外二件ハ、是
亦重要ナル法案デアリマスルガ故ニ、其ノ
特別委員ノ數ヲ十五名トシ、其ノ指名ヲ議
長ニ一任スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=32
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033・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=33
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034・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=34
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035・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔石橋書記官朗讀〕
朝鮮事業公債法中改正法律案外二件特別
委員
侯爵池田宣政君侯爵大炊御門經輝君
伯爵堀田正恒君子爵野村益三君
子爵秋元春朝君子爵保科正昭君
男爵福原俊丸君男爵久保田敬一君
今井田〓德君男爵大藏公望君
丸山鶴吉君澁澤金藏君
今井五介君松本勝太郞君
風間八左衞門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=35
-
036・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十一、非
訟事件手續法中改正法律案、政府提出、第
一讀會、鹽野司法大臣
非訴事件手續法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十四年二月十七日
內閣總理大臣男爵平沼騏一郞
司法大臣鹽野季彥
非訟事件手續法中改正法律案
非訟事件手續法中左ノ通改正ス
目錄第三編ヲ左ノ如ク改ム
第三編商事非訟事件
第一章會社及ヒ競賣ニ關スル事件
第二章社債ニ關スル事件
第三章會社ノ整理ニ關スル事件
第四章會社ノ〓算ニ關スル事件
第五章商業登記
第一節通則
第二節商號ノ登記
第三節未成年者、妻及ヒ法定代
理人ノ登記
第四節支配人及ヒ會社ノ清算人
ノ登記
第五節合名會社及ヒ合資會社ノ
登記
第六節株式會社ノ登記
第七節株式合資會社ノ登記
第八節有限會社ノ登記
第九節外國會社ノ登記
第三十七條第百三十六條第一項、第百
三十七條、第百三十八條、第百七十五
條、第百七十六條及ヒ第百七十七條ノ
規定ハ法人ノ〓算人ニ之ヲ準用ス
第七十一條ノ三第一項中「財產目錄及ヒ
信託事務ニ關スル帳簿竝ニ書類」ヲ「財產
目錄竝ニ信託事務ニ關スル帳簿及ヒ書類」
ニューハ
第百十六條中「遺言書ノ提出、開封竝ニ檢
認及ヒ其告知ノ費用」ヲ「遺言書ノ提出、
開封及ヒ檢認竝ニ其告知ノ費用」三段大
第百二十六條商法第五十八條、第百七
十三條第一項第二項、第百七十八條、
第百八十一條第一項、第二百十四條第
一項但書、第二百三十七條第二項、第
二百五十八條第二項、第一一百七十二條、
第二百九十一條第二項、第二百九十四
修、第三百五十三條第一項及ヒ第三百
七十四條第二項、其準用規定、同法第
百五十三條第二項竝ニ有限會社法第八
條第一項但書、第四十五條及ヒ第六十
七條第三項ニ定メタル事件ハ會社ノ本
店所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
商法第百十一條第三項及ヒ其準用規定
ニ定メタル事件ハ合併無效ノ訴ニ關ス
ル第一審ノ受訴裁判所ノ管轄トス
商法第四百八十四條及ヒ其準用規定ニ
定メタル事件ハ閉鎖ヲ命セラルヘキ外
國會社ノ支店ノ所在地ノ地方裁判所ノ
管轄トス
有限會社法第六十條第二項ニ定メタル
事件ハ合併後存續スル會社又ハ合併ニ
因リテ設立スル會社ノ本店所在地ノ地
方裁判所ノ管轄トス
商法第五百二十七條第一項及ヒ第七百
五十七條第一項ニ定メタル事件ハ競賣
ニ付スヘキ物品所在地ノ區裁判所ノ管
轄トス
第百二十七條第二項中「取締役又ハ株主」
ヲ「申請人」ニ改ム
第百二十九條第一項中「商法第百二十四
條第二項」ヲ「商法第百七十三條第二項」
三郎人
第百二十九條ノ二中「商法第百九十八條」
ヲ「商法第二百九十四條第一項」ニ改ム
第百二十九條ノ三中「商法第百二十四條
又ハ第百九十八條」ヲ「商法第百七十三條
第一項、第百八十一條第一項、第二百九
十四條第一項又ハ第三百五十三條第一
項」ニ改ム
第百三十條中「商法第百九十八條」ヲ「商
法第二百九十四條」ニ改ム
第百三十一條第一項中「商法第百十一條
第二項」ヲ「商法第百五十三條第二項」ニ、
「同法第百六十條第二項」ヲ「同法第二百
三十七條第二項」ニ改ム
第百三十二條ノ二商法第百七十八條
(同法第三百七十條第一項ニ於テ準用
スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル許可ノ
申請ハ其事由ヲ疏明シ總發起人又ハ總
取締役之ヲ爲スヘシ
前條ノ規定ハ前項ノ申請アリタル場合
ニ之ヲ準用ス
第百三十二條ノ三前條ノ規定ハ商法第
二百十四條第一項但書(同法第三百七
十九條第二項及ヒ第四百十六條第三項
ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ
依ル許可ノ申請ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十二條ノ四商法第二百五十八條
第二項(同法第二百八十條ニ於テ準用
スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル職務代
行者ノ選任ニ關スル裁判ヲ爲ス場合ニ
於テハ裁判所ハ取締役及ヒ監査役ノ陳
述ヲ聽クヘシ
第百二十九條ノ三、第百二十九條ノ四
及ヒ第百三十二條ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第百三十二條ノ五商法第二百七十一條
第一項但書(同法第二百七十二條第二
項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定
ニ依ル許可ノ申請ハ職務代行者之ヲ爲
スヘシ
申請ヲ認許スル裁判ニ對シテハ卽時抗
告ヲ爲スコトヲ得抗〓ノ期間ハ職務代
行者カ裁判ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ之
ヲ起算ス
前項ノ抗〓ハ執行停止ノ效力ヲ有ス
第百三十二條ノ六第百二十九條ノ四、第
百三十二條第一項及ヒ第百三十二條ノ
四第一項ノ規定ハ商法第二百七十二條
(同法第二百八十條ニ於テ準用スル場
合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル職務ノ執行ノ
停止若クハ職務代行者ノ選任又ハ其取
消若クハ變更ニ關スル裁判ヲ爲ス場合
ニ之ヲ準用ス
假處分ニ關スル民事訴訟法ノ規定ハ其
性質ノ許ササルモノヲ除ク外前項ノ場
合ニ之ヲ準用ス
第百三十三條第百三十二條ノ二ノ規定
ハ商法第二百九十一條第二項(同法第
二百九十二條第三項ニ於テ準用スル場
合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル認可ノ申請ニ
付キ之ヲ準用ス
第百三十三條ノ二商法第三百七十四條
第二項ノ規定ニ依ル申請ハ資本ノ增加
ヲ無效トスル判決カ確定シタル日ヨリ
六个月內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
審問ハ前項ノ期間ヲ經過シタル後ニ非
サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
數個ノ申請事件カ同時ニ繫屬スルトキ
ハ審問及ヒ裁判ハ併合シテ之ヲ爲スコ
トヲ要ス
第一項ノ申請アリタルトキハ裁判所ハ
遲滯ナク其旨ヲ公〓スルコトヲ要ス
前項ノ公〓ハ登記事項ノ公〓ト同一ノ
方法ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第百三十三條ノ三前條第一項ノ申請ニ
對スル裁判ハ總株主ニ對シ其效力ヲ有
ス
第百二十九條第一項、第百二十九條ノ
二、第百二十九條ノ四及ヒ第百三十二
條ノ五第三項ノ規定ハ前項ノ裁判ニ付
キ之ヲ準用ス
第百三十四條第百二十九條第一項ノ規
定ハ商法第五十八條第一項及ヒ第二項
ノ規定ニ依ル裁判ニ之ヲ準用ス
裁判所ハ裁判ヲ爲ス前利害關係人ノ陳
述ヲ聽キ檢事ノ意見ヲ求ムヘシ
第百三十五條第一項中「會社」ヲ「會社、
利害關係人」ニ改メ同條第二項ヲ削ル
第百三十五條ノ二第百三十三條ノ二第
四項及ヒ第五項ノ規定ハ商法第五十八
條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル解散
命令ノ申請アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ三會社ノ解散ヲ命スル
裁判カ確定シタルトキハ裁判所ハ解散
シタル會社ノ本店及ヒ支店ノ所在地ノ
登記所ニ其登記ノ囑託ヲ爲スヘシ
第百三十五條ノ四第三十九條乃至第四
十條ノ二、第四十一條第一項第三項、
第四十二條、第六十一條、第六十二條、
第百二十九條ノ三及ヒ第百二十九條ノ
四ノ規定ハ商法第五十八條第三項ノ規
定ニ依リ管理人ノ選任其他會社財產ノ
保全ニ必要ナル處分ヲ爲ス場合ニ之ヲ
準用ス
第四十三條ノ規定ハ前項ノ管理人ニ之
ヲ準用ス
第百三十五條ノ五民事訴訟法第百十條
第一項及ヒ第百十一條乃至第百十六條
ノ規定ハ商法第五十九條ノ規定ニ依リ
テ供スヘキ擔保ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ六會社ノ設立ヲ無效ト
スル判決カ確定シタルトキハ受訴裁判
所ハ會社ノ本店及ヒ支店ノ所在地ノ登
記所ニ其登記ノ囑託ヲ爲スヘシ
登記所カ前項ノ囑託ヲ受ケタルトキハ
會社ノ設立ノ無效ナルコトヲ登記スヘ
シ
第百三十五條ノ七前條ノ規定ハ會社ノ
合併ヲ無效トスル判決カ確定シタル場
合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ八第百二十九條第一
項、第百二十九條ノ四及ヒ第百三十二
條ノ五第三項ノ規定ハ商法第百十一條
第三項(同法第百四十七條及ヒ第四百
十六條第一項ニ於テ準用スル場合ヲ含
ム)ノ規定ニ依ル裁判ニ付キ之ヲ準用
ス
第百三十五條ノ九第百二十九條乃至第
百三十三條ノ三及ヒ前條ノ規定ハ株式
合資會社ニ之ヲ準用ス
第百二十九條ノ二乃至第百三十二條、
第百三十二條ノ三乃至第百三十二條ノ
六、第百三十三條ノ二乃至第百三十五
條ノ五及ヒ前條ノ規定ハ有限會社ニ之
ヲ準用ス
第百三十四條乃至第百三十五條ノ五ノ
規定ハ外國會社ノ支店ノ閉鎖ヲ命スル
場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ十商法第九十一條第一
項但書(同法第百四十七條及ヒ第四百
五十八條第一項ニ於テ準用スル場合ヲ
含ム)ノ豫告ヲ爲シタル債權者ハ會社
ノ本店所在地ノ地方裁判所ニ持分ノ拂
戾ノ請求權ノ保全ニ關シ必要ナル處分
ヲ爲スコトヲ請求スルコトヲ得
第百二十九條第一項及ヒ第百二十九條
ノ四ノ規定ハ前項ノ申請ニ對スル裁判
ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ十一有限會社法第八條
第一項但書ノ規定ニ依ル認可ノ申請ハ
其事由ヲ疏明シ總社員之ヲ爲スヘシ但
會社成立後ノ場合ニ於テハ總取締役之
ヲ爲スヲ以テ足ル
第百三十五條ノ十二有限會社法第六十
條第二項ノ規定ニ依ル認可ノ申請ハ合
併ヲ爲ス會社ノ總取締役及ヒ總監査役
之ヲ爲スヘシ
第百三十五條ノ十三前條ノ規定ハ有限
會社法第六十七條第三項ノ規定ニ依ル
認可ノ申請ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ十四第百三十二條ノ規
定ハ前三條ノ申請アリタル場合ニ之ヲ
準用ス
第三編中第二章ヲ第四章トシ第三章ヲ第
五章トス
第二章社債ニ關スル事件
第百三十五條ノ十五商法第三百十二
條、第三百十三條、第三百十四條第二
項、第三百十九條、第三百二十條第三
項、第三百二十五條、第三百三十六條
第一項及ヒ第三百七十六條第三項竝ニ
其準用規定ニ定メタル事件ハ社債ヲ發
行シタル會社ノ本店所在地ノ地方裁判
所ノ管轄トス
第百三十五條ノ十六商法第三百十二條
ノ規定ニ依ル許可、同法第三百十三條
ノ規定ニ依ル解任又ハ同法第三百十四
條第二項ノ規定ニ依ル選任ノ申請ニ付
テハ裁判所ハ利害關係人ノ陳述ヲ聽キ
理由ヲ附シタル決定ヲ以テ裁判ヲ爲ス
ヘシ
申請ヲ認許スル裁判ニ對シテハ不服ヲ
申立ツルコトヲ得ス
申請ヲ認許セサル裁判ニ對シテハ卽時
抗告ヲ爲スコトヲ得
第百三十五條ノ十七商法第三百十九條
ノ規定ニ依ル許可ノ申請ハ其事由ヲ疏明
シ社債權者集會ノ招集者之ヲ爲スヘシ
前條ノ規定ハ前項ノ申請アリタル場合
ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ十八第百三十一條及ヒ
第百三十二條ノ規定ハ商法第三百二十
條第三項ノ規定ニ依ル許可ノ申請ニ付
キ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ十九商法第三百二十五
條ノ規定ニ依リ決議ノ認可ヲ申請スル
場合ニ於テハ議事錄ヲ提出スルコトヲ
要ス
第百二十九條ノ四、第百三十二條ノ五
第三項及ヒ第百三十五條ノ十六第一項
ノ規定ハ前項ノ申請アリタル場合ニ之
ヲ準用ス
第百三十五條ノ二十商法第三百三十六
條第一項ノ規定ニ依ル許可ノ申請ハ社
債募集ノ委託ヲ受ケタル會社、代表者
又ハ執行者之ヲ爲スヘシ
前條第二項ノ規定ハ前項ノ申請アリタ
ル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ二十一第百三十五條ノ
十六ノ規定ハ商法第三百七十六條第三
項(同法第四百十六條第二項ニ於テ準
用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル期間
ノ伸長ノ申請アリタル場合ニ之ヲ準用
ス
第百三十五條ノ二十二第百三十五條ノ
十六乃至前條ノ規定ハ株式合資會社ニ
之ヲ準用ス
第百三十五條ノ二十三第十五條ノ規定
ハ本章ノ手續ニハ之ヲ適用セス
第三章會社ノ整理ニ關スル事件
第百三十五條ノ二十四會社ノ整理ニ關
スル事件ハ會社ノ本店所在地ノ地方裁
判所ノ管轄トス
第百三十五條ノ二十五會社ノ整理ハ裁
判所ノ監督ニ屬ス
裁判所ハ會社ノ業務ヲ監督スル官廳ニ
對シ意見ヲ求メ又ハ調査ヲ囑託スルコ
トヲ得
前項ノ官廳ハ裁判所ニ對シ意見ヲ述フ
ルコトヲ得
第百三十五條ノ二十六整理開始ノ申請
ヲ爲ス場合ニ於テハ其事由ヲ疏明スル
コトヲ要ス
債權者カ前項ノ申請ヲ爲ス場合ニ於テ
ハ其債權ヲモ疏明スルコトヲ要ス
第百三十五條ノ二十七整理開始ノ申請
ヲ爲ス場合ニ於テハ整理ノ手續ノ費用
トシテ裁判所カ相當ト認ムル金額ノ豫
納アルコトヲ要ス豫納ナキトキハ裁判
所ハ其申請ヲ却下スルコトヲ得
費用ノ豫納ニ關スル裁判ニ對シテハ不
服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百三十五條ノ二十八裁判所カ職權ヲ
以テ整理ノ開始ヲ命シタルトキハ整理
ノ手續ノ費用ハ假ニ國庫ヨリ之ヲ支辨
ス費用ノ豫納ナキニ拘ラス裁判所カ整
理ノ開始ヲ命シタルトキ及ヒ豫納金カ
不足ナルニ至リタルトキ亦同シ
第百三十五條ノ二十九整理開始ノ命令
アリタル場合ニ於テハ整理ノ手續ノ費
用ハ會社ノ負擔トス
第百三十五條ノ三十整理開始ノ申請ア
リタルトキハ裁判所ハ會社ノ業務ヲ監
督スル官廳ニ其旨ヲ通知スヘシ
第百三十五條ノ三十一整理開始ノ命令
ハ理由ヲ附シタル決定ヲ以テ之ヲ爲ス
ヘシ整理開始ノ申請ヲ却下スル場合亦
同シ
前條ノ規定ハ前項ノ裁判アリタル場合
ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ三十二第百三十三條ノ
二第四項及ヒ第五項ノ規定ハ裁判所カ
整理ノ開始ヲ命シタル場合ニ之ヲ準用
ス
第百三十五條ノ三十三整理開始ノ命令
ニ對シテハ會社ニ限リ卽時抗告ヲ爲ス
コトヲ得
整理開始ノ申請ヲ却下シタル裁判ニ對
シテハ申請人ニ限リ抗〓ヲ爲スコトヲ
得
第百三十五條ノ三十四整理開始ノ命令
ヲ取消ス決定ハ確定ノ後ニ非サレハ其
效力ヲ生セス
第百三十五條ノ三十五登記所カ整理開
始ノ登記ノ囑託ヲ受ケタルトキハ遲滯
ナク其登記ヲ爲スコトヲ要ス但其公〓
ヲ爲スコトヲ要セス
第百三十五條ノ三十六商法第三百八十
三條第一項ノ規定ニ依ル破產手續及ヒ
和議手續ノ中止ノ命令ニ對シテハ不服
ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百三十五條ノ三十七商法第三百八十
四條ノ規定ニ依リ競賣手續ノ中止ヲ命
スル場合ニ於テハ裁判所ハ競賣申立人
ノ陳述ヲ聽クコトヲ要ス
前項ノ中止ノ命令ニ對シテハ競賣申立
人ニ限リ卽時抗告ヲ爲スコトヲ得
第百三十五條ノ三十四ノ規定ハ第一項
ノ中止ノ命令ヲ取消ス決定ニ之ヲ準用
ス
第百三十五條ノ三十八裁判所カ商法第
三百八十七條第一項ニ揭ケタル處分ヲ
取消シ又ハ變更シタルトキハ會社ノ本
店及ヒ支店ノ所在地ノ登記所ニ其登記
ヲ囑託スルコトヲ要ス
裁判所カ商法第三百八十七條第二項ニ
掲ケタル處分ヲ取消シ又ハ變更シタル
トキハ其登記又ハ登錄ヲ囑託スルコト
am2,
第百三十五條ノ三十九登記所カ商法第
三百八十七條又ハ前條ノ囑託ヲ受ケタ
ルトキハ遲滯ナク其登記ヲ爲スコトヲ
要ス
前項ノ規定ハ商法第三百八十七條第二
項又ハ前條第二項ノ規定ニ依ル登錄ノ
囑託アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十第百三十三條ノ二
第四項及ヒ第五項ノ規定ハ商法第三百
八十六條第一項第二號ノ處分ヲ爲シタ
ル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十一裁判所カ商法第
三百八十六條第一項第三號ノ處分ヲ爲
ストキハ同時ニ檢査役ヲ選任スルコト
ヲルチ
第四十條、第四十條ノ二及ヒ第百二十
八條ノ規定ハ檢査役ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十二前條第二項ノ規
定ハ整理委員ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十三商法第三百九十
6
二條第三項ノ規定ニ依ル申請ニ付テハ
裁判所ハ取締役及ヒ異議ヲ述ヘタル株
主ノ陳述ヲ聽キ理由ヲ附シタル決定ヲ
以テ裁判ヲ爲スヘシ前項ノ裁判ハ異議
ヲ述ヘタル株主ニ對シテモ之ヲ告知ス
ルコトヲ要ス
第百二十九條ノ四及ヒ第百三十二條ノ
五第三項ノ規定ハ第一項ノ裁判ニ付キ
之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十四取締役ハ商法第
三百九十三條第一項ノ規定ニ依リ作成
シタル株主表ニ同法第三百九十二條ノ
承認又ハ確定アリタルコトヲ證スル書
面ヲ添附シ之ヲ裁判所ニ提出スルコト
ヲル
株主表及ヒ其添附書類ハ利害關係人ノ
閱覽ニ供スル爲メ之ヲ裁判所ニ備ヘ置
クコトヲ要ス
第百三十五條ノ四十五商法第三百九十
三條第二項ノ規定ニ依ル認可ハ株主表
ニ記載シテ之ヲ爲ス
前項ノ認可ニ對シテハ不服ヲ申立ツル
コトヲ得ス
會社及ヒ株主ハ手數料ヲ納付シテ株主
表ノ抄本ノ交付ヲ申請スルコトヲ得
民事訴訟法第百五十一條第二項ノ規定
ハ株主表ノ抄本ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十六民事訴訟法第六
編ノ規定ハ商法第三百九十三條第三項
ノ强制執行ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十七商法第三百八十
六條第一項第五號ノ處分ヲ爲ス場合ニ
於テハ裁判所ハ解任セントスル取締役
又ハ監査役ノ陳述ヲ聽クコトヲ要ス
第百三十五條ノ四十八商法第三百八十
六條第一項第六號ノ處分ニ對シテハ不
服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百三十五條ノ四十九第百二十九條ノ
四、第百三十二條ノ五第三項及ヒ第百
三十五條ノ十六第一項ノ規定ハ商法第
三百八十六條第一項第七號ノ處分ニ付
キ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十商法第三百八十六
條第一項第八號ノ規定ニ依ル査定ヲ申
請スル場合ニ於テハ其原因タル事實ヲ
疏明スルコトヲ要ス
第百三十五條ノ五十一裁判所カ職權ヲ
以テ査定手續ヲ開始スル場合ニ於テハ
其旨ノ決定ヲ爲スヘシ
第百三十五條ノ五十二第百三十五條ノ
十六第一項ノ規定ハ査定ノ裁判及ヒ査
定ノ申請ヲ却下スル裁判ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十三裁判所カ商法第
三百八十六條第一項第十號ノ處分ヲ爲
ストキハ同時ニ監督員ヲ選任シ同法第
三百九十七條第二項ノ指定ヲ爲スコト
ヨルハ
裁判所ハ何時ニテモ前項ノ指定ヲ變更
スルコトヲ得
第四十條及ヒ第四十條ノ二ノ規定ハ監
督員ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十四裁判所カ商法第
三百八十六條第一項第十一號ノ處分ヲ
爲ストキハ同時ニ管理人ヲ選任スルコ
トヲ要ス
前條第三項ノ規定ハ管理人ニ之ヲ準用
ス
第百三十五條ノ五十五第百三十三條ノ
二第四項第五項及ヒ第百三十五條ノ三
十ノ規定ハ整理終結ノ決定ヲ爲シタル
場合及ヒ整理開始ノ命令ヲ取消ス決定
カ確定シタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十六整理終結ノ決定
ニ對シテハ其公〓アリタル日ヨリ二週
間內ニ卽時抗告ヲ爲スコトヲ得
整理終結ノ決定ハ確定ノ後ニ非サレハ
其效力ヲ生セス
前條ノ規定ハ整理。結結ノ決定ヲ取消ス
決定カ確定シタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十七第百三十五條ノ
三十五ノ規定ハ整理終結ノ登記又ハ整理
開始ノ取消ノ登記ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十八整理開始ノ命令
ヲ取消ス決定カ確定シタルトキハ裁判
所ハ商法第三百八十七條ノ登記若クハ
登錄又ハ第百三十五條ノ三十八ノ登記
若クハ登錄ノ抹消ヲ囑託スルコトヲ要
ス
前項ノ規定ハ整理終結ノ決定カ確定シ
タル場合ニ之ヲ準用ス但商法第三百八
十六條第一項第五號ノ處分ノ登記ニ付
テハ此限ニ在ラス
第百三十五條ノ三十九ノ規定ハ前二項
ノ規定ニ依ル囑託アリタル場合ニ之ヲ
準用ス
第百三十五條ノ五十九商法第四百一條
第一項ノ規定ニ依ル認可ノ申請ハ總取
/
締役ハ總管理人之ヲ爲スヘシ
前項ノ申請ヲ認許スル裁判ニ對シテハ
不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百三十五條ノ六十商法第四百一條第
二項ノ和議事件及ヒ同法第四百二條ノ
破產事件ハ整理ノ開始ヲ命シタル裁判
所ノ管轄トス
第百三十五條ノ六十一第百三十五條ノ
三十及ヒ第百三十五條ノ五十八第二項
第三項ノ規定ハ商法第四百一條ノ規定
ニ依リ和議手續ノ開始アリタル場合及
ヒ同法第四百二條ノ規定ニ依リ破產ノ
宣告アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ六十二商法第四百一條
ノ規定ニ依リ和議手續ノ開始アリタル
トキハ和議法第十條及ヒ第五十六條ノ
規定ノ適用ニ付テハ整理開始ノ命令ハ
其前ニ和議開始ノ申立ナキトキハ之ヲ
和議開始ノ申立ト看做シ整理ノ爲メニ
生シタル債權及ヒ整理ノ手續ノ費用ハ
之ヲ和議ノ爲メニ生シタル債權及ヒ和
議手續ノ費用ト看做ス
第百三十五條ノ六十三商法第四百二條
ノ規定ニ依リ破產ノ宣告アリタルトキ
ハ破產法第一編ノ規定ノ適用ニ付テハ
整理開始ノ命令ハ其前ニ支拂ノ停止又
ハ破產ノ申立ナキトキハ之ヲ支拂ノ停
止又ハ破產ノ申立ト看做シ整理ノ爲メ
ニ生シタル債權及ヒ整理ノ手續ノ費用
ハ之ヲ財團債權トス
第百三十五條ノ六十四商法第四百三條
ニ於テ準用スル破產法第百六十六條ノ
規定ニ依ル決定ニ對シテハ卽時抗〓ヲ
爲スコトヲ得
第百三十六條合名會社及ヒ合資會社ノ
〓算ニ關スル事件ハ會社ノ本店所在地
ノ區裁判所ノ管轄トス
株式會社、株式合資會社及ヒ有限會社
ノ〓算ニ關スル事件ハ會社ノ本店所在
地ノ地方裁判所ノ管轄トス銀行又ハ無
盡業若クハ無盡管理業ヲ營ム會社ノ〓
算ノ監督亦同シ
第百三十六條ノ二第百三十五條ノ二十
五ノ規定ハ會社ノ〓算ニ之ヲ準用ス
第百三十七條ノ二第百三十二條ノ四乃
至第百三十二條ノ六ノ規定ハ株式會
社、株式合資會社及ヒ有限會社ノ〓算
人ニ之ヲ準用ス
第百三十八條ノ四裁判所カ商法第百二
十五條第四項又ハ其準用規定ニ依リ鑑
定人ノ選任ヲ爲シタル場合ニ於テハ其
手續ノ費用ハ會社ノ負擔トス呼出及ヒ
訊問ノ費用亦同シ
第百三十八條ノ六第百三十二條第一項
及ヒ第百三十二條ノ二第一項ノ規定ハ
商法第四百二十三條第二項又ハ其準用
規定ニ依ル許可ノ申請ニ付キ之ヲ準用
ス
第百三十八條ノ七商法第四百二十九條
又ハ其準用規定ニ依ル保存者ノ選任ノ
裁判ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ
得ス
裁判所カ前項ノ選任ヲ爲シタル場合ニ
於テハ其手續ノ費用ハ會社ノ負擔トス
第百三十八條ノ八債權者集會ハ裁判所
之ヲ指揮ス
第百三十一條及ヒ第百三十二條ノ規定
ハ商法第四百三十九條第三項ノ規定ニ
依ル許可ノ申請ニ付キ之ヲ準用ス
債權者集會ヲ招集セントスルトキハ招
集者ハ豫メ其期日及ヒ會議ノ目的タル
事項ヲ裁判所ニ屆出ツルコトヲ要ス
第百三十八條ノ九商法第四百四十一條
第二項ノ規定ニ依ル裁判ニ對シテハ不
服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百三十八條ノ十商法第四百四十四條
第三項及ヒ同法第四百五十條第二項
(同法第四百五十一條ニ於テ準用スル
場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル認可ノ申請
ハ債權者集會ノ招集者之ヲ爲スコトヲ
要ス
第百三十五條ノ十九ノ規定ハ前項ノ申
請ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十八條ノ十一第百三十三條ノ二
第四項及ヒ第五項ノ規定ハ商法第四百
五十條第二項(同法第四百五十一條ニ
於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ認可ヲ爲
シタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十八條ノ十二第百三十二條ノ五
第二項及ヒ第三項ノ規定ハ商法第四百
四十五條第二項ノ規定ニ依ル許可ノ裁
判ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十八條ノ十三商法第四百五十五
條ノ規定ニ依リ破產ノ宣告アリタルト
キハ破產法第一編ノ規定ノ適用ニ付テ
ハ特別〓算開始ノ命令ハ其前ニ支拂ノ
停止又ハ破產ノ申立ナキトキハ之ヲ支
拂ノ停止又ハ破產ノ申立ト看做シ特別
〓算ノ爲メニ生シタル債權及ヒ特別〓
算ノ手續ノ費用ハ之ヲ財團債權トス
第百三十八條ノ十四第百三十五條ノ六
十四ノ規定ハ特別〓算ノ場合ニ於ケル
監査委員及ヒ〓算人ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十八條ノ十五第百三十五條ノ二
十六乃至第百三十五條ノ三十七、第百
三十五條ノ三十八第二項、第百三十五
條ノ三十九乃至第百三十五條ノ四十
一、第百三十五條ノ四十三乃至第百三
十五條ノ四十六、第百三十五條ノ四十
八乃至第百三十五條ノ五十二、第百三
十五條ノ五十五乃至第百三十五條ノ五
十七、第百三十五條ノ五十八、第百三
十五條ノ六十及ヒ第百三十五條ノ六十
一ノ規定ハ特別〓算ニ關スル事件ニ之
ヲ準用ス
第百三十八條ノ十六本章ノ規定ハ其性
質ノ許ササルモノヲ除ク外商法第四百
八十五條(有限會社法第七十六條ニ於
テ準用スル場合ヲ含ム)ノ〓算ニ之ヲ
準用ス
第百三十九條中「商法」ノ下ニ「及ヒ有限會
社法」ヲ加フ
第百四十條中第十號ヲ第十一號トシ第九
號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
十有限會社登記簿
第百四十八條ノ二、第百五十一條第一項
及ヒ第百五十一條ノ二第一項中「商法」ヲ
「商法、有限會社法」ニ改ム
第百六十一條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加
フ
商號讓渡ノ場合ニ在リテハ商法第二十
四條第一項ノ規定ニ該當スルコトヲ證
スル書面ヲ併セテ添附スルコトヲ要ス
第百六十一條ノ二商法第二十六條第二
項ノ登記ハ讓渡人及ヒ讓受人ノ申請ニ
因リテ之ヲ爲ス
第百六十三條中「商法第一一十四條第一項」
ヲ「商法第三十一條」ニ改ム
〇
第百六十六條第一項及ヒ第六十七條第一
項中「商業ヲ營ム場合」ヲ「商法第四條ノ
營業ヲ爲ス場合」ご依頼人
第百六十八條第一項中「商業ヲ營ムコト
ノ許可ヲ爲シタル者」ヲ「商法第四條ノ營
業ヲ爲スコトヲ許可シタル者」ニ改ム
第百七十條第一項中「商業ノ登記ヲ申請
スルトキ」ヲ「商法第五條ノ登記ヲ申請
スルトキ」ニ、「其商業ノ登記」ヲ「同條ノ
登記」ニ改ム
第百七十一條中「商業ヲ營ム場合」ヲ商
法第四條ノ營業ヲ爲ス場合」ニ改ム
第百七十二條第一項中「主人」ヲ「營業
主」二九六
第百七十三條第一項第一一號ヲ左ノ如ク改
ム
二申請人カ數個ノ商號ヲ以テ數種
ノ營業ヲ爲ストキハ支配人カ代理
スヘキ營業及ヒ其使用スヘキ商號
第百七十四條第一項中「代理權ノ消滅及
ヒ前條第一項第四號ニ揭ケタル事項竝ニ
其變更、消滅ノ登記」ヲ「代理權ノ消滅竝
ニ前條第一項第四號ニ揭ケタル事項及ヒ
其變更、消滅ノ登記」三郎人
第百七十五條ノ二業務執行社員又ハ取
締役カ〓算人ト爲リタル場合ノ登記ノ
申請書ニハ其資格ヲ證スル書面ヲ添附
スルコトヲ要ス
第百七十六條中「其選任及ヒ商法第九十
條第二號竝ニ第三號ニ揭ケタル事項ヲ證
スル書面」ヲ「其選任竝ニ商法第百二十三
條第一項第二號及ヒ第三號ニ揭ケタル事
項ヲ證スル書面」三郎人
第百七十七條第一項中「商法第九十條」ヲ
「商法第百二十三條第一項」ニ改ム
第百七十七條ノ二第百八十八條ノ二及
ヒ第百八十八條ノ三ノ規定ハ株式會
社株式合資會社及ヒ有限會社ノ〓算
人ノ職務代行者ニ付キ之ヲ準用ス
第百七十九條第二項ヲ左ノ如ク改ム
申請書ニハ左ノ書類ヲ添附スルコトヲ
要ス
一定款
二社員中ニ未成年者又ハ妻アルト
キハ其社員タルコトニ同意ヲ爲ス
ヘキ者ノ同意ヲ證スル書面
三財產ヲ目的トスル出資ニ付キ履
行ヲ爲シタル部分ヲ證スル書面
第百八十條第三項ヲ左ノ如ク改ム
商法第九十一條第一項ノ規定ニ依リ社
員カ退社シタル場合ニ於ケル變更ノ登
記ノ申請書ニハ差押及ヒ豫告アリタル
コトヲ證スル書面、出資ノ履行ヲ爲シ
タル場合ニ於ケル變更ノ登記ノ申請書
ニハ其履行アリタルコトヲ證スル書面
ヲ添附スルコトヲ要ス
第百八十條ノ二第百三十五條ノ六ノ規
定ハ商法第八十六條第三項ノ登記ニ之
ヲ準用ス
第百八十一條第三項中「裁判所ノ命令」ヲ
「裁判」ニ改ム
第百八十一條ノ二第百七十九條第一項
ノ規定ハ合名會社ノ繼續ノ登記ニ之ヲ
準用ス
請申書ニハ繼續ノ事由ヲ記載シ且退社
シタル社員アルトキ又ハ新ニ社員ヲ加
入セシメタルトキハ之ヲ證スル書面ヲ
添附スルコトヲ要ス
商法第百三十九條第二項(同法第百四
十二條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ
於テ準用スル同法第九十七條ノ規定ニ
依ル繼續ノ登記ノ申請書ニハ判決ノ謄
本ヲ併セテ添附スルコトヲ要ス
第百八十二條第二項ヲ左ノ如ク改ム
申請書ニハ商法第百條第一項ノ規定ニ
依ル公〓及ヒ催〓ヲ爲シタルコト、若
シ異議ヲ述ヘタル債權者アルトキハ之
ニ對シ辨濟ヲ爲シ若クハ擔保ヲ供シ又
ハ信託ヲ爲シタルコトヲ證スル書面ヲ
添附スルコトヲ要ス
商法第四百十一條(同法第四百五十八
條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)
ノ場合ニ於テハ合併契約書ヲ併セテ添
附スルコトヲ要ス
第百八十二條ノ三中「第百七十九條第二
項竝ニ第百八十二條第二項ニ揭ケタル書
類及ヒ商法第四十四條ノ三第二項ノ規定
ニ依リテ選任セラレタル者ノ資格ヲ證ス
ル書面」ヲ「第百七十九條第二項及ヒ第百
八十二條第二項ニ揭ケタル書類竝ニ設立
委員ノ資格ヲ證スル書面」ニ改ム
第百八十四條削除
第百八十四條ノ二第百三十五條ノ六ノ
規定ハ合名會社ノ設立ノ取消ノ判決カ
確定シタル場合ニ之ヲ準用ス
第百八十四條ノ三中「第百八十二條」ヲ
「第百八十二條第一項」ニ改ム
第百八十四條ノ四中「商法第八十三條ノ
三又ハ第八十三條ノ四」ヲ「商法第百十四
條」二六人
第百八十五條第一項中「商法第百十八條
第二項」ヲ「商法第百六十二條第三項」ニ
改ム
第百八十五條ノ二中「商法第百十八條ノ
二」ヲ「商法第百六十三條」ニ改ム
第百八十七條第二項第七號中「決議錄」ヲ
「議事錄」ニ改メ同項ニ左ノ一號ヲ加フ
八株金ノ拂込ヲ取扱ヒタル銀行又ハ
信託會社ノ拂込金ノ保管ニ關スル
證明書
第百八十八條第二項中「決議錄」ヲ「議事
錄」ニ改ム
第百八十八條ノ二第百三十五條ノ六ノ
規定ハ商法第二百五十八條第二項(同
法第二百八十條ニ於テ準用スル場合ヲ
含ム)及ヒ第二百七十條第三項(同法第
二百七十二條第二項及ヒ第二百八十條
ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ定メタ
ル登記ニ之ヲ準用ス
前條第三項ノ規定ハ前項ノ登記アリタ
ル場合ニ之ヲ準用ス
第百八十八條ノ三商法第二百七十六條
第二項ノ登記ハ總取締役ノ申請ニ因リ
テ之ヲ爲ス
申請書ニハ取締役及ヒ監査役ノ協議ヲ
證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第百八十八條第三項ノ規定ハ第一項ノ
登記アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第百八十九條第三號中「商法第二百十四
條」ヲ「商法第三百五十四條」ニ、同條第
四號中「決議錄」ヲ「議事錄」ニ改メ同條ニ
左ノ一號ヲ加フ
五株金ノ拂込ヲ取扱ヒタル銀行又
ハ信託會社ノ拂込金ノ保管ニ關ス
ル證明書
第百八十九條ノ二商法第三百六十三條
第一項及ヒ第三百六十九條第一項ニ定
メタル登記ノ申請書ニハ株式又ハ社債
ノ轉換ノ請求書ヲ添附スルコトヲ要ス
第百九十條第一項中「決議錄」ヲ「議事錄」
ニュティ
第百九十一條第二項第四號中「商法第二
百四條」ヲ「商法第三百三條」ニ、同項第五
號中「決議錄」ヲ「議事錄」ニ改メ同項ニ左
ノ一號ヲ加フ
六社債募集ノ委託ヲ受ケタル會社
アルトキハ其委託ヲ證スル書面
第百九十三條第一項ヲ左ノ如ク改ム
會社ノ解散ノ登記ノ申請書ニハ解散ノ
事由ヲ記載シ且會社カ株主總會ノ決議
ニ因リテ解散シタルトキハ株主總會ノ
議事錄、合併ニ因リテ解散シタルトキ
ハ合併契約書及ヒ株主總會ノ議事錄、
營業全部ノ讓渡ニ因リテ解散シタルト
キハ其讓渡ヲ證スル書面ヲ添附スルコ
トヲ要ス
同條第三項中「裁判所ノ命令」ヲ「裁判」ニ
改ム
第百九十三條ノ二株式會社カ合併ニ因
ル變更ノ登記ヲ申請スルニハ申請書ニ
其事由ヲ記載シ左ノ書類ヲ添附スルコ
トヲ要ス
一合併契約書
二株式ノ割當及ヒ引受ヲ證スル書
面
三第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
四第百八十九條第三號ニ揭ケタル
書類
五合併ニ關スル株主總會ノ議事錄
商法第四百十四條第二項ノ場合ニ於テ
ハ前項ノ申請書ニ社債承繼ノ旨ヲ記載
シ合併ニ因リテ消滅スル會社ノ社債ニ
關スル登記簿ノ抄本ヲ併セテ添附スル
コトヲ要ス
第百九十三條ノ三株式會社カ合併ニ因
ル設立ノ登記ヲ申請スルニハ申請書ニ
其事由ヲ記載シ左ノ書類ヲ添附スルコ
トヲ要ス
一合併契約書
二第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
三第百八十七條第二項ニ揭ケタル
書類
四設立委員ノ資格ヲ證スル書面
前條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ
準用ス
第百九十四條株式會社ノ繼續ノ登記ヲ
申請スルニハ申請書ニ繼續ノ事由ヲ記
載シ株主總會ノ議事錄ヲ添附スルコト
ヲヨハ
第百九十四條ノ二乃至第百九十四條ノ五
マルン
第百九十五條資本ノ增加及ヒ減少、株
式ノ轉換ニ依ル株式ノ數ノ增減、社債
ノ轉換ニ依ル資本ノ增加及ヒ社債ノ減
少、解散、合併ニ因ル變更及ヒ設立竝
ニ繼續ノ登記ハ總取締役及ヒ總監査役
ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第百九十五條ノ二第百九十三條第一項
第二項及ヒ前條ノ規定ハ株式會社ノ組
織變更ニ因ル解散ノ登記ノ申請ヲ爲ス
場合ニ之ヲ準用ス
第百九十五條ノ三株式會社ノ組織ヲ變
更シ有限會社ト爲シタル場合ニ於ケル
設立ノ登記ハ有限會社ノ總取締役及ヒ
總監査役ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書ニハ組織變更ノ事由ヲ記載シ左
ノ書類ヲ添附スルコトヲ要ス
一定款
二第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
三會社ニ現存スル純財產額ヲ證ス
ル書面
四社債ノ償還ヲ完了シタルコトヲ
證スル書面
五組織變更ニ關スル株主總會ノ議
事錄
第百九十五條ノ四第百三十五條ノ六ノ
規定ハ商法第二百五十條(同法第百八
十條第三項、第二百五十二條、第二百
五十三條第二項及ヒ第四百十三條第三
項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)竝ニ同
法第三百七十二條及ヒ第三百八十條第
三項ニ於テ準用スル同法第百三十七條
ニ定メタル登記ニ之ヲ準用ス
第百九十六條ニ左ノ一項ヲ加フ
創立總會カ定款ノ變更ヲ決議シタル場
合ニ於テハ商法第四百六十四條ノ無限
責任社員ノ一致アリタルコトヲ證スル
書面ヲ併セテ添附スルコトヲ要ス
第百九十七條第二項中「決議錄」ヲ「議事
錄」ニ改ム
第百九十八條ニ左ノ二項ヲ加フ
第百八十九條ノ一及ヒ第百九十六條第
一項ノ規定ハ株式ノ轉換ニ依ル株式ノ
數ノ增減又ハ社債ノ轉換ニ依ル資本ノ
增加及ヒ社債ノ減少ノ登記ノ申請ヲ爲
ス場合ニ之ヲ準用ス
第百九十四條及ヒ第百九十六條第一項
ノ規定ハ株式合資會社ノ繼續ノ登記ノ
申請ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第二百條第二項乃至第四項ヲ左ノ如ク改
ム
第百九十三條ノ規定ハ株式合資會社ノ
解散ノ登記ニ付キ之ヲ準用ス
第二百條ノ二第二項中「決議錄」ヲ「議事
錄」ニ改メ「及ヒ第百八十二條第二項ニ揭
ケタル書類」ヲ削ル
第二百一條第一項中「設立シタル」ヲ削リ
第二項中「決議錄」ヲ「議事錄」ニ、第三項
中「商法第二百四十七條」ヲ「商法第四百
七十條」ニ改ム
第二百一條ノ二中「第百九十五條ノ二」ヲ
「第百九十五條ノ四」ニ改メ同條ヲ第二百
一條ノ三トス
第二百一條ノ二商法第四百七十一條ノ
規定ニ依リテ會社ヲ繼續スル場合ニ於
ケル設立ノ登記ハ總社員ノ申請ニ因リ
テ之ヲ爲ス
申請書ニハ組織變更ノ事由ヲ記載シ定
款ヲ添附スルコトヲ要ス
第三編第三章(改正後ノ第五章)中第八節
ヲ第九節トシ第二百一條ノ三ノ次ニ左ノ
一節ヲ加フ
第八節有限會社ノ登記
第二百一條ノ四有限會社ノ設立ノ登記
ハ總取締役及ヒ總監査役ノ申請ニ因リ
テ之ヲ爲ス
申請書ニハ左ノ書類ヲ添附スルコトヲ
要ス
-定款
二出資全額ノ拂込又ハ現物出資ノ
目的タル財產全部ノ給付アリタル
コトヲ證スル書面
三有限會社法第十一條(同法第三
十三條第二項ニ於テ準用スル場合
ヲ含ム)ノ社員總會ノ議事錄
第二百一條ノ五有限會社ノ資本增加ノ
登記ノ申請書ニハ左ノ書類ヲ添附スル
コトヲ要ス
-出資ノ引受ヲ證スル書面
二出資全額ノ拂込又ハ現物出資ノ
目的タル財產全部ノ給付アリタル
コトヲ證スル書面
三資本ノ增加ニ關スル社員總會ノ
議事錄
第二百一條ノ六第百九十條ノ規定ハ有
限會社ノ資本減少ノ登記ノ申請ヲ爲ス
場合ニ之ヲ準用ス
第二百一條ノ七第百九十三條ノ規定ハ
有限會社ノ解散ノ登記ニ付キ之ヲ準用
ス
第二百一條ノ八有限會社カ合併ニ因ル
變更ノ登記ヲ申請スルニハ申請書ニ其
事由ヲ記載シ左ノ書類ヲ添附スルコト
ヲ酸、
一合併契約書
二第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
三第二百一條ノ五第一號及ヒ第二
號ニ揭ケタル書類
四合併ニ關スル社員總會ノ議事錄
前項ノ場合ニ於テ合併ヲ爲ス會社ノ
方カ株式會社ナルトキハ其社債ノ償還
ヲ完了シタルコトヲ證スル書面ヲ併セ
テ添附スルコトヲ要ス
第二百一條ノ九有限會社カ合併ニ因ル
設立ノ登記ヲ申請スルニハ申請書ニ其
事由ヲ記載シ左ノ書類ヲ添附スルコト
マヨハ
-合併契約書
二第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
三第二百一條ノ四第一號及ヒ第二
號ニ揭ケタル書類
四有限會社法第六十二條ニ揭ケタ
ル社員總會ノ議事錄
五設立委員ノ資格ヲ證スル書面
前條第二項ノ規定ハ合併ヲ爲ス會社ノ
一方カ株式會社ナル場合ニ之ヲ準用ス
第二百一條ノ十第百九十四條ノ規定ハ
有限會社ノ繼續ノ登記ノ申請ヲ爲ス場
合ニ之ヲ準用ス
新ニ社員ヲ加入セシメタルトキハ之ヲ
證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
有限會社法第七十五條第一項ノ準用ス
ル商法第九十七條ノ規定ニ依ル繼續ノ
登記ノ申請書ニハ判決ノ謄本ヲ併セテ
添附スルコトヲ要ス
第二百一條ノ十一資本ノ增加及ヒ減
少、解散、合併ニ因ル變更及ヒ設立竝
ニ繼續ノ登記ハ總取締役及ヒ總監査役
ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第二百一條ノ十二有限會社ノ組織ヲ變
更シ株式會社ト爲シタル場合ニ於ケル
設立ノ登記ハ株式會社ノ總取締役及ヒ
總監査役ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書ニハ組織變更ノ事由ヲ記載シ左
ノ書類ヲ添附スルコトヲ要ス
一定款
二株式ノ引受ヲ證スル書面
三第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
四會社ニ現存スル純財產額ヲ證ス
ル書面
五組織變更ニ關スル社員總會ノ議
事錄
第二百一條ノ十三第百八十四條ノ二、
第百八十八條乃至第百八十八條ノ三、
第百九十五條ノ二及ヒ第百九十五條ノ
四ノ規定ハ有限會社ニ之ヲ準用ス
第二百五條外國會社ノ支店カ裁判ニ因
リテ閉鎖セラレタルトキハ登記所ハ裁
判所ノ囑託ニ因リテ其登記ヲ爲スヘシ
第二百六條過料事件ハ他ノ法令ニ別段
ノ定アル場合ヲ除ク外過料ニ處セラル
ヘキ者ノ住所地ノ地方裁判所ノ管轄ト
ス
第二百八條ノ二裁判所ハ相當ト認ムル
トキハ當事者ノ陳述ヲ聽カスシテ過料
ノ裁判ヲ爲スコトヲ得
當事者及ヒ檢事ハ前項ノ裁判ノ〓知ヲ
受ケタル日ヨリ一週間內ニ異議ノ申立
ヲ爲スコトヲ得前項ノ裁判ハ異議ノ申
立ニ依リテ其效力ヲ失フ
異議ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ當
事者ノ陳述ヲ聽キタル上更ニ裁判ヲ爲
スヘシ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ニ裁判所ノ受理シタル事件ニ
ハ從前ノ規定ヲ適用ス
長
商法中改正法律施行令ニ依リ同法第一
條ニ於テ謂フ舊法ヲ適用スベキ場合ニ付
テハ從前ノ規定ハ仍其ノ效力ヲ有ス他ノ
法令ノ適用上從前ノ規定ヲ適用スベキト
キ及他ノ法令中非訟事件手續法ヲ準用スル
場合ニ於テ改正規定ニ依ルコト能ハザル
トキ亦同ジ
本法施行ノ際現ニ他ノ法令ニ於テ第二百
六條乃至第二百八條ノ規定ヲ準用スル場
合ニ於テハ本法ニ依ル第二百六條ノ規定ノ
改正ニ拘ラズ第二百八條ノ二ノ規定ハ適
用セラルルコトナシ但シ當該法令ガ本法
施行後第二百六條乃至第二百八條ノ規定
ノ準用ヲ止メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
〔國務大臣鹽野季彥君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=36
-
037・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 只今議題トナリ
マシタ非訟事件手續法中改正法律案ニ付キ
マシテ、其ノ提案ノ趣旨ヲ御說明申上ゲマ
ス、昨年ノ第七十三囘帝國議會ニ於キマシ
テ御協賛ヲ經マシタ商法中改正法律、商法
中改正法律施行法及有限會社法ノ三法律ハ
旣ニ昨年四月中ニソレノ〓公布ト相成リマ
シテ、目下銳意其ノ施行ノ準備ニ當ッテ居ル
ノデアリマスガ、御承知ノ如ク今囘ノ商法
改正ハ商法總則編及會社編ニ付テデアリマ
シテ、會社殊ニ株式會社ノ制度ニ對シマシ
テハ根本的ノ改正ガ加へラレ、之ヲ現行法
ト比較致シマスルト、殆ド其ノ面目ヲ一新
致シタノデアリマス、而シテ此ノ改正商法ノ
一特色ハ、裁判所ノ關與スベキ事項ガ著シ
ク增加シタ點デゴザイマシテ、其ノ大部分
ハ非訟事件トシテ處理セラルヽノデアリマ
ス、又有限會社法ハ有限會社ナル新シイ會
社形態ヲ認メタモノデアリマシテ、之ニ關ス
ル種々ノ手續規定及其ノ登記ニ關スル規定
ヲ新設スル必要ガアルノデアリマス、本案
ハ右ノ趣旨ヲ以テ商法ノ改正及有限會社法
ノ制定ニ伴ヒ、非訟事件手續法中ニ必要缺
クベカラザル規定ノ新設ト改正トヲ試ミ、
之ニ關聯シテ過料ノ裁判等ニ付テ一二必要
ナル改正ヲ附加シタモノデアリマシテ、其
ノ詳細ニ至リマシテハ他ノ機會ニ十分ニ御說
明申上ゲル積リデアリマスルガ、何卒十分
御審議ノ上、本案ニ對シ御協贊ヲ與ヘラレ
ムコトヲ切望スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=37
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038・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
非訟事件手續法中改正法律案ハ、關聯スル
所ガゴザイマスルガ故ニ、人事調停法案特
別委員ニ併託サレムコトノ動議ヲ提出致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=38
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039・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=39
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040・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=40
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041・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=41
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042・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十二、花
柳病豫防法中改正法律案、政府提出、第一
讀會ノ續、委員長報告、委員長實吉子爵
〔左ノ報告書ハ朗讀ヲ經サルモ參
照ノタメ玆ニ載錄ス〕
花柳病豫防法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年二月十八日
委員長子爵實吉純郞
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔子爵實吉純郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=42
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043・實吉純郎
○子爵實吉純郞君 花柳病豫防法中改正法
律案ノ特別委員會ノ經過竝結果ヲ御報告致
シマス、本委員會ハ二月十七日開會致シマ
シテ、十八日ニ續行致シマシタ、最初ニ正
副委員長ノ互選ヲ行ヒマシテ、續イテ會議
ニ移リマシタ、最初ニ大臣カラ此ノ法案ノ
提案理由ヲ說明ニナリマシタ、ソレデ此ノ
〓要ヲ申シマスト、現行法ハ昭和三年六月
カラ實施ニナリマシタ、處ガ社會情勢ガ變
化シテ參リマシテ、此ノ豫防ノ目的ヲ達成
スルニハ不十分ニナリマシタ、殊ニ今囘ノ
事變ガ勃發スルト同時ニ愈。不十分デアルコ
トガ分リマシタノデ、從來ハ實施ヲ見マセ
ヌデアリマシタ所ノ第二條ヲ、昨年ノ四月
カラ實施スルコトニナリマシタガ、尙不十
分デアリマスノデ、今日改正ヲ致スコトニ
ナッタフデアリマスガ、其ノ改正ハ此ノ第二
條ガ今迄ハ法規ニ依ッテ設立サレタ診療所
デハ專ラ所謂業態者ニ限ッテ居リマシタノヲ、
今囘一般ノ人デアッテ、傳染ノ虞ノアル花柳
病ニ罹ッテ居ル、殊ニ傳染ノ憂ノ著シイ者ハ
必要ニ應ジテ此處デ診療ヲ受ケルコトガ出
來ルヤウニ致シマシタ、デ其ノ一項ヲ此ノ第
二條ニ加ヘマシタ、從ッテ第四條ニモソコノ
代用診療所デ、之ヲ準用スルコトノ出來ルヤ
ウニ致シタノデアリマス、次イデ各委員カラ之
ニ付デノ質問ガアリマシタ、政府ハ一々之
ニ對シテ答辯ガアリマシタ、其ノ大要ヲ政
府ノ答辯ニ依ッテ了解シタ所ヲ綜合シテ申上
ゲマス、今事變ニ依ッテ特ニ花柳病ガ增シタト
云フコトデアリマスガ、其ノ事實ハドンナ風デ
アリマスカト云フコトニ付テハ、政府デ見テ
居ル所デハ、壯丁ノ檢査ヲシテ、ソレデ花柳
病ガ殖エテ居ルト云フコトハ統計ガ出テ居
リマシテ、是ハソンナニ澤山デハアリマセ
ヌガ、殖エル傾向ハ確ニアル、ソレカラ
軍需工業ノ工場地帶、ソコノ職工ノ血〓檢
査ヲシテ見マスト矢張リ花柳病增加ガ從
來ヨリハ殖エテ居ル、二倍カニ殖エテ居ル
ト云フヤウナ事實モアルサウデアリマス、
ソレカラ此ノ職工バカリデナク、或ハ壯丁
バカリデナク、ソレ以外ニモ殖エテ居ルデ
アラウト云フコトハ、殷賑產業ニ關係ノア
ル人達ノ多イ地附近ノ、所謂遊興界、此ノ
繁昌ガ更ニ著シイ、此ノ繁昌ガ著シイト同
時ニ、矢張リ花柳病ノ增加ト云フコトハ想
像ニ難クナイト云フコトガ言ハレルノデア
リマス、ソレカラ今囘ノ事變ニ付テ矢張リ
戰地カラノ花柳病ノ內地ヘノ移入、斯ウ云
フコトガアリハシナイカト云フコトデアリ
マスガ、是ハ每々ノ事變或ハ戰爭ノ時ニ、
イツデモ花柳病ハ激增スル、斯ウ云フ事實
カラ陸軍ノ當局デハ初メカラ之ニ非常ニ注
意ヲシマシテ、色々ナ方策ヲ致シマスガ、
現ニ今デハ花柳病ニ罷ック者ハ治療ヲ現地
ニ於テ行ッテ、其ノ上デナケレバ歸還ノ出來
ナイヤウニナッテ居ルサウデアリマス、ソレ
カラ厚生省ト致シマシテモ、若シ內地ニ歸
還シテ再發シタヤウナ場合ハ、特別ニ之ヲ
治療スル方針デアルサウデアリマス、ソレ
カラ此ノ豫防法デハ、治療ヲ今迄ハ所謂業
態者ニ限ッテヤッテ居ックノデアリマスガ、
其ノ治療モ强制デハナイラシイ、强制ヲシナ
ケレバ斯ウ云フ豫防ハ徹底ハ出來ナイヂヤ
ナイカト云フ譯デアリマスガ、此ノ業態者
ニ於テモソレ〓〓組合デ自發的ニ規約ヲ作
リマシテ、此ノ規約ニ依ッテ半バ强制的ニ治
療ヲシテ居ルト云フ譯デアリマスカラ、
割合ニウマク行ク譯ナンデリマスガ、マダ
ドウモ不十分ナ點ガアルノデ、將來ハ益〓自
發的ニ此ノ規約ヲ强行サセルヤウニ、政府ニ
於テモ指導スル考デアルサウデアリマス、
ソレカラ改正サレマシテ一般ノ人デアッテ
モ治療ハ出來ルト云フコトガアッテモ、斯ウ
云フ情況ノコトデアリマスカラ、自發的ニ
治療ヲ受ケルト云フコトハ矢張リ多クハナ
ササウニ思フ、ソレデハ矢張リ目的ハウマ
ク行クマイト云フ考ニ對シテハ、普通ノ診
療所ト違ヒマシテ、此ノ診療所ハ色々便宜
ガアリマス、殊ニ此ノ病毒感染ト云フコト
ノ危害ノ甚ダシイコト、ソレヲ自覺スルナ
ラバ、擧ッテ皆診療所ヲ利用スルヤウニナ
ルト思フシ、其ノ爲ニ宣傳ヲ致シマシテ、
十分ニサウ云フ思想ヲ養フヤウニスル、其
ノ思想ノ徹底ヲ圖ルヤウニスルト云フ話デ
アリマス、ソレカラ此ノ法規ニ依リマスト
治療ヲスルコトニナリマスガ、其ノ治療デ
ハ實際ハ豫防デハナイ、罹ッタ人ヲ治スノデ
ハ豫防デハナイ、ソレデ豫防法ノ中ニ於テ
之ヲ入レテ宜イノデアリマスガ、ドウモ名
實ガ件ハナイヤウニ思フト云フコトノ議論
モアリマシタ、併シ此ノ病氣ノ傳染ノ狀態
カラ考ヘマシテ、其ノ傳染ノ徑路ヲ絕ツ爲
三、所謂其ノ感染スル徑路ノ一番重要ナ
所ヲ治療ニ依ッテ遮斷シテシマウト云フコト
ガ矢張リ豫防ノ意味ニナル、ソレデ之ヲ十
分ニ行ヘバ軈テ豫防ハ出來ル譯デアルト云
フコトデアリマス、併シ我ガ國ニアッテハ以
前カラ花柳病ハ可ナリ澤山アル、殊ニ花柳
病ノ害毒ノヒドイト云フヤウナコトニ付テ
ハ餘リ認識シテ居リマセズ、却テ輕視ヲシ
テ居ルト云フヤウナコトガ、此ノ蔓延ヲ助
長シテ居リマシテ、今デハ可ナリヒドクナッ
テ居ル、ソレニ拘ラズ此ノ位ノ豫防法位ノ
モノデハ、豫防法ヲ施行スル位ノコトデハ、
十分ニ目的ヲ達成サレル譯デナイ、誠ニ十
分ニヤルノニハ尙一層花柳病ノ撲滅ニ付テ
色々ノ事ヲシナケレバナラヌト思フノニ、
唯是レダケデハ唯豫防ノ一片鱗ニ過ギナイ、
政府ハ色々ナ設備ニ於テ之ヲ防グ方法ヲ講
ジ、病毒ノ傳播ヲ防グト云フノニ十分ニ決
意ガアリマスカドウカト云フ質問ニ對シマ
シテハ、政府デハ此ノ法案ダケデ十分デナイ
ト云フコトハ萬々承知ヲシテ居リマスケレ
ドモ、今囘最モ必要トスル部分ヲ改正シマ
シテ、現狀ノ儘デ兎ニ角出來ルダケノコト
ヲスルト云フ趣意デアリマス、尙將來ハ豫
防法ノ改正ヲシナケレバナラヌシ、國民ノ
花柳病ニ對スル病害ノ顯著ナコトヲ能ク知
ラセテ、ソレニ對スル覺悟ヲ十分ニ自覺的
ニ作ラセルヤウニ、色々結核同樣ニ黴毒ニ
對シテモ宣傳ヲシマシテ、種々ノ機關ヲ働
カシテ協力シテ、將來ハ花柳病ノ撲滅ニ邁
進シタイト思ッテ居ルト云フ答デアリマシ
タ、ソレカラ速記ヲ止メマシテ花柳病全體
ニ亙リマシテ、其ノ病狀ダトカ、傳染ノ狀
態ナリ徑路、其ノ豫防法ト云フコトニ付
テ、醫學上カラ十分ノ說明ヲ政府委員カ
ラヤラレマシテ、詳細ノ說明ヲ聽キマシタ
譯デアリマス、是デ此ノ豫防法實施ト云フ
コトガ、相當此ノ花柳病ノ傳染防止ニ
役ニ立ツト云フコトノ了解ガ行キマシタ、
ソレデ質疑ヲ終リマシテ、討論ニ入ッテ、本
案ハマダ是ダケデハ豫防ニハ不十分デアリ
マスガ、當面ノ情勢上機宜ヲ得タ改正ト認
メマシテ、原案ヲ採決シタル結果、全會一
致可決スルコトニ致シマシタ、右御報告申
上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=43
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044・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=44
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045・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=45
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046・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=46
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047・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=47
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048・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=48
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049・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=49
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050・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報告通リ
デ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=50
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051・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=51
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052・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=52
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053・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=53
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054・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=54
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055・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=55
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056・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=56
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057・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=57
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058・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 次會ノ議事日程
ハ決定次第彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、
本日ハ是ニテ散會致シマス
午前十一時五十三分散會
貴族院議事速記錄第十四號正誤
頁段誤正
一三九四七一行團內國內
10°一一選選選擧
一四、八時示明示発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X01519390220&spkNum=58
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