1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和十四年三月十五日(水曜日)午前十時十三分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第二十三號
昭和十四年三月十五日
午前十時開議
第一 日本産金振興株式會社法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 恩給法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 國債整理基金特別會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 明治三十九年法律第三十四號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 明治四十二年法律第九號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 職員健康保險法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 酪農業調整法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第八 明治四十五年法律第二十三號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 地方鐵道法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 軌道法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 寺院等に無償にて貸付しある國有財産の處分に關する法律案成立に關する請願 會議
第十二 水産會の活動促進に關する請願 會議
第十三 水産試驗機關の整備充實に關する請願 會議
第十四 漁業用資材の配給の圓滑竝價格の合理化に關する請願 會議
第十五 北海道船舶業者所有船舶の燃料配給に關する請願 會議
第十六 邊富内線鐵道速成の請願 會議
第十七 遠羽線鐵道速成の請願 會議
第十八 南勝線鐵道關金、山守間の泰久寺に停車場設置の請願 會議
第十九 高崎線電化促進の請願 會議
第二十 鳥取縣東伯郡古布庄村役場に電話架設の請願 會議
第二十一 牟岐線鐵道日和佐、土譛線土佐山田驛間鐵道敷設の請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=0
-
001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔丸龜書記官朗讀〕
一昨十三日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府
提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆
議院ニ通知セリ
臨時軍事費豫算追加案(臨第一號)
昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案
作業會計法中改正法律案
兌換銀行劵整理法中改正法律案
農業再保險特別會計法案
海軍工廠資金會計法中改正法律案
名古屋帝國大學創設ニ伴フ帝國大學特別
會計及官立大學特別會計ノ關涉ニ關スル
法律案
森林法中改正法律案
林業種苗法案
短期現役小學校〓員俸給費國庫負擔法中
改正法律案
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
明治四十五年法律第二十三號中改正法律
案可決報告書
地方鐵道法中改正法律案可決報告書
軌道法中改正法律案可決報告書
昨十四日產金法中改正法律案特別委員會ニ
於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
委員長子爵井上匡四郞君
副委員長土方久徵君
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
昭和十四年度歲入歲出總豫算追加案第
(株)
昭和十四年度各特別會計歲入歲出豫算追
加案(特第一號)
豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲ス
ヲ要スル件(追第二號)
日本產金振興株式會社法中改正法律案
恩給法中改正法律案
國債整理基金特別會計法中改正法律案
明治三十九年法律第三十四號中改正法律
案
明治四十二年法律第九號中改正法律案
職員健康保險法案
酪農業調整法案
同日內閣總理大臣ヨリ左ノ通第七十四囘帝
國議會政府委員仰付ラレタル旨ノ通牒ヲ受
領セリ
文部省所管事務政府委員
文部書記官柴沼直君
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
鑛業法中改正法律案可決報告書発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=1
-
002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、日程第一、日本產金振興株
式會社法中改正法律案、政府提出、衆議院
送付、第一讀會、八田商工大臣
〔左ノ送付文及法律案ハ朗讀ヲ經
ザルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下
之ニ倣フ〕
日本產金振興株式會社法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月十四日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
日本產金振興株式會社法中改正法律案
日本產金振興株式會社法中左ノ通改正ス
第二十五條ニ左ノ二項ヲ加フ
前項ノ規定ニ依リ產金事業ノ振興上必
要ナル命令ヲ爲シタルトキハ政府ハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ之ニ因リ生ジタル
損失ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ
要スベキ補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協
贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於
テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第三十條第一項但書中「及當該營業年度
ニ於テ支拂ヒタル產金振興債劵」ヲ「竝ニ
當該營業年度ニ於テ支拂ヒタル產金振興
債劵及借入金」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣八田嘉明君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=2
-
003・八田嘉明
○國務大臣(八田嘉明君) 只今議題トナリ
マシタ日本產金振興株式會社法中改正法律
案ニ付テ提案理由ヲ御說明致シマス、時局
ノ進展ニ伴ヒマシテ金ノ重要性ハ愈〓增增ス
ルノミデアリマス、從ヒマシテ產金事業ノ
振興ニ付キマシテモ、更ニ一段ノ積極的措
置ヲ講ズル必要ガアルノデアリマスルガ、
本法律案ハ此ノ事態ニ卽應スルガ爲、曩ノ
帝國議會ニ於テ御協賛ヲ得マシタル日本產
金振興株式會社法ヲ改正シテ、同會社ノ事
業ヲ更ニ一層積極的ナラシメムトスルモノ
デアリマス、改正ノ第一點ハ政府ガ日本產
金振興株式會社ニ對シ、產金事業ノ振興上
必要ナル命令ヲ爲シタル場合、之ニ依ッテ損
害ヲ生ジタルトキハ、其ノ生ジタル損失ヲ
政府ガ補償セムトスルモノデアリマス、其
ノ第二點ハ日本產金振興株式會社ニ對スル
配當補給金ノ限度ヲ擴張セムトスルモノデ
アリマス、何レモ同會社ヲシテ徒ニ其ノ缺
損ニ躊躇スルコトナク、其ノ本來ノ設立目
的デアル產金事業ノ振興ニ邁進セシメムト
スル趣旨デアリマス、何卒御審議ノ上御協
贊アラムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=3
-
004・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
日本產金振興株式會社法中改正法律案ハ
關聯致シマスル所ガアリマス故ニ、產金法
中改正法律案特別委員ニ併託セラレムコト
ノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=4
-
005・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=5
-
006・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=6
-
007・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=7
-
008・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第二、恩給
法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會、黑崎法制局長官
恩給法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月十四日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
恩給法中改正法律案
恩給法中左ノ通改正ス
第三十二條第一項第二號ヲ左ノ如ク改ム
二戰地外ニ在リテ航空部隊ニ屬シ航
空基地ニ於テ特殊ノ戰務ニ服シタル
トキハ其ノ期間ノ一月ニ付三月
三前號ニ揭クルモノヲ除クノ外戰地
外ニ在リテ戰務ニ服シタルトキハ其
ノ期間ノ一月ニ付一月半
同條第三項中「地域、」ノ下ニ「航空基地及
航空基地タル期間、」ヲ加フ
第五十九條ニ左ノ一項ヲ加フ
前五項ニ規定スル納金ハ戰時又ハ事變
ニ際シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ
免除スルコトヲ得
附則
本法ハ昭和十四年五月一日ヨリ之ヲ施行
ス但シ第三十二條ノ改正規定ハ昭和十二
年七月七日ヨリ之ヲ適用ス
〔政府委員黑崎定三君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=8
-
009・黒崎定三
○政府委員(黑崎定三君) 只今上程セラレ
マシタ恩給法中改正法律案ノ提出理由ヲ申
上ゲマス、本案ヲ以チマシテ改正セムトス
ル事項ハ二點ニ相成ルノデアリマス、其ノ
一ツハ現行恩給法ニ於キマシテハ、戰地又
ハ事變地ニ於テ戰務ニ服シマスル公務員ニ
對シマシテ、恩給在職年ノ計算ガ其ノ服務
期間ノ一月ニ付テ三月ヲ加算致シ、又戰地
外ニアリマシテ戰務ニ服シテ居リマスル者
ニ對シマシテハ、其ノ服務期間ノ一月ニ付
キ一月半ノ加算ヲ爲スコトトナッテ居ルノ
デアリマス、御承知ノ通リ、近代航空技術
ノ發達ニ伴ヒマシテ、戰地外ノ航空基地カ
ラ致シマスル遠距離作戰ガ屢〓行ハレテ居ル
ノデアリマシテ、此ノ作戰關係者ノ中デ、
戰地ニ行キマスル航空機ノ乘員ハ、前述ノ
戰地ニ於テ戰務ニ服スルモノデアリマスル
カラ、一月ニ付三月ノ加算ヲ受ケルノデア
リマス、然ルニ航空基地ニ於テ地上勤務ニ
服シマスル者ハ、前述ノ一月ニ付一月半ノ
戰地外勤務ノ加算ヲ受クルニ過ギナイコト
トナッテ居ルノデアリマス、併シナガラ航空
基地ハ、常ニ敵ノ攻擊ヲ受クル危險ニ曝サ
レテ居ルノデアリマス、而モ航空機ノ乘員
ト基地ニ於ケル地上勤務員トハ、密接不可
離ノ關係ニアリマシテ、是ガ一體トナリマ
シテ、初メテ完全ナ戰鬪力ヲ發揮シ得ルモ
ノデアリマスルカラ、之ヲ分別致シ、其ノ
在職年加算ニ差等ヲ設ケマスルノハ甚ダ不
適當デアルノデアリマス、ノミナラズ地上
勤務員ノ勞苦、身體能力ノ消耗度ハ、戰地
ニ行ッテ戰務ニ服シテ居リマスル者ト比較
致シ、決シテ劣ルモノデハナイノデアリマ
スルカラ、是等地上勤務員ニ對シマシテモ、
戰地ニアル者ト同樣ニ、一月ニ付三月ノ加
算ヲ爲スコトガ必要デアルノデアリマス、
右ガ改正ノ第一點デアリマス、其ノ二ハ、
現行法ニ依リマスト、下士官以上ノ軍人及
其ノ他ノ公務員ハ總テ俸給ノ百分ノ一又ハ
百分ノ二ニ相當スル金額ヲ每月國庫ニ納付
スル義務ヲ負フテ居ルノデアリマス、然ル
ニ戰地ニ於キマシテハ、部隊ハ各地ニ移動
致シマスル上、此ノ納金ノ徵收事務ガ非常
ニ複雜デアリマスル關係カラ、其ノ實行ハ
著シク困難デアリマシテ、場合ニ依リマシ
テハ不可能ニ近イコトモアルノデアリマス、
ソコデ戰時又ハ事變ニ際シマシテハ一元
限度ニ於テ此ノ納金義務ヲ免除シタイト考
ヘマシテ、此ノ趣旨ノ規定ヲ設ケヨウト致
シマスルノガ改正ノ第二點デゴザイマス、
以上本案ヲ提出致シマシタ理由デアリマス、
何卒御審議ノ上速カニ御協賛アラムコトヲ
御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=9
-
010・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ、本案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サ
セマス
〔丸龜書記官朗讀〕
恩給法中改正法律案特別委員
公爵岩倉倶榮君子爵立花種忠君
子爵植村家治君男爵菊池武夫君
加藤敬三郞君赤池濃君
橋本辰二郞君平沼亮三君
山上岩二君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=10
-
011・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第三、國債
整理基金特別會計法中改正法律案、日程第
四、明治三十九年法律第三十四號中改正法
律案、日程第五、明治四十二年法律第九號
中改正法律案、政府提出、衆議院送付、第
一讀會、是等ノ三案ヲ一括シテ議題トナス
コトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=11
-
012・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、松村大藏政務次官
國債整理基金特別會計法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月十四日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
國債整理基金特別會計法中改正法律案
國債整理基金特別會計法中左ノ通改正ス
第二條第三項中「前項」ヲ「前二項」ニ改メ
同條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ國債總額ノ計算ニ際シ割引ノ方
法ヲ以テ發行シタル國債ニ付テハ發行
價格ヲ以テ額面金額ト看做ス
第二條ノ三國債ノ元金償還ニ充ツル爲
前二條ノ繰入額ノ外割引ノ方法ヲ以テ
發行シタル國債ノ前年度首ニ於ケル未
償還分ノ發行價格差減額ヲ發行ノ日ヨ
リ償還ノ日迄ノ年數ヲ以テ除シタル額
ニ相當スル金額ヲ每年度一般會計又ハ
特別會計ヨリ國債整理基金特別會計ニ
繰入ルヘシ
第二條第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付
之ヲ準用ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
明治三十九年法律第三十四號中改正法
律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月十四日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
明治三十九年法律第三十四號中改正法
律案
明治三十九年法律第三十四號中左ノ通改
正ス
第九條但書ヲ削ル
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
明治四十二年法律第九號中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月十四日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
明治四十二年法律第九號中改正法律案
明治四十二年法律第九號中左ノ通改正ス
左ノ但書ヲ加フ
但シ割引ノ方法ヲ以テ發行シタル國債
ニシテ買入ノ日ヨリ五年以內ニ償還期
限ノ到來セサルモノニ付テハ發行價格
ニ命令ノ定ムル所ニ依リ發行價格ト額
面金額トノ差額ノ一部ニ相當スル金額
ヲ加算シタルモノヲ以テ其ノ國債ノ債
權金額ト看做シ買入銷却ヲ爲スコトヲ
得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員松村光三君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=12
-
013・松村光三
○政府委員(松村光三君) 只今議題トナリ
マシタ國債整理基金特別會計法中改正法律
案、明治三十九年法律第三十四號中改正法
律案、及ビ明治四十二年法律第九號中改正
法律案、提出ノ理由ヲ御說明致シマス、現
下巨額ノ國債ノ發行ヲ必要トスル際ニ於キ
マシテ、其ノ一部分ヲ割引ノ方法ニ依ッテ發
行シ得ルコトト致シマスルコトハ、國債消
化ノ一助トナリマスルノミナラズ、他面其
ノ所有者ニ於キマシテハ、國債ノ利子ヲモ併
セ貯蓄スルコトトナリマシテ、時局對策上
緊要ナル貯蓄奬勵ノ趣旨ニモ合致致シマス
ル等、頗ル時宜ニ適シタル方法ト考ヘラレ
マスルノデ、昭和十四年度以降ニ於テ發行
スル國債ニ付キマシテ、其ノ一部分ハ此ノ
方法ニ依ルコトト致シマシタル處、之ガ爲
ニ國債整理基金特別會計法、明治三十九年
法律第三十四號及ビ明治四十二年法律第九
號中ニ、ソレ〓〓若干ノ改正ヲ加フルノ必
要ガアリマスルノデ、之ガ改正法律案ヲ提
出致シマシタ次第デアリマス、何卒御審議
ノ上速カニ協贊ヲ與ヘラレムコトヲ希望致
シ·ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=13
-
014・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程セラレマシタ
國債整理基金特別會計法中改正法律案ハ昭
和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲
公債發行ニ關スル法律案外三件ニ關聯致シ
マスルガ故ニ、此ノ特別委員ニ併託セラレ
ンコトノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=14
-
015・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ニ申上
ゲマスガ、今日程第三ダケ仰ッシヤイマシタ
ガ.発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=15
-
016・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 外二件ヲ附加ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=16
-
017・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 承リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=17
-
018・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=18
-
019・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=19
-
020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=20
-
021・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第六、職員
健康保險法案、政府提出、衆議院送付、第
一讀會、廣瀨厚生大臣
職員健康保險法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月十四日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
職員健康保險法案
職員健康保險法
第一章總則
第一條職員健康保險ニ於テハ被保險者
ノ疾病、負傷、死亡又ハ分娩ニ關シ保
險給付ヲ爲スモノトス
保險者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ被保險
者ト同一ノ世帶ニ屬シ被保險者ニ依リ
生計ヲ維持スル者(以下世帶員ト稱ス)
ノ疾病又ハ負傷ニ關シ保險給付ヲ爲ス
コトヲ得
第二條本法ニ於テ報酬ト稱スルハ事業
ニ使用セラルル者ガ勞務ノ對償トシテ
受クル俸給、給料又ハ賃金及之ニ準ズ
ベキモノヲ謂フ
俸給、給料又ハ賃金ニ準ズベキモノノ
範圍及評價ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ
定ム
第三條報酬ノ額ニ基キ保險料又ハ保險
給付ノ額ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報
酬ニ依リ之ヲ算定ス
標準報酬ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ム
第四條保險料其ノ他本法ニ依ル徵收金
ヲ徵收シ又ハ其ノ還付ヲ受クル權利及
保險給付ヲ受クル權利ハ一年ヲ經過シ
タルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
前項ノ時效ノ中斷、停止其ノ他ノ事項
ニ關シテハ民法ノ時效ニ關スル規定ヲ
準用ス
命令ノ定ムル所ニ依リ保險者ノ爲ス保
險料其ノ他本法ニ依ル徵收金ノ徵收ノ
告知ハ民法第百五十三條ノ規定ニ拘ラ
ズ時效中斷ノ效力ヲ有ス
第五條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命
令ニ規定スル期間ノ計算ニ付テハ民法
ノ期間ノ計算ニ關スル規定ヲ準用ス
第六條職員健康保險ニ關スル書類ニハ
印紙稅ヲ課セズ
保險給付トシテ支給ヲ受ケタル金品ヲ
標準トシテ租稅其ノ他ノ公課ヲ課セズ
第七條保險給付ヲ受クル權利ハ之ヲ讓
渡シ又ハ差押フルコトヲ得ズ
第八條保險者又ハ保險給付ヲ受クベキ
者ハ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ
戶籍ニ關シ戶籍事務ヲ管掌スル者又ハ
其ノ代理者ニ對シ無償ニテ證明ヲ求ム
ルコトヲ得
前項ノ規定ハ第一條第二項ノ保險給付
ヲ爲ス場合ニ於テハ世帶員又ハ世帶員
タリシ者ノ戶籍ニ關シ之ヲ準用ス
第九條保險者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
被保險者ヲ使用スル事主主シシ其其ノ
使用スル者ノ異動及報酬ニ關シ報〓ヲ
爲サシメ、文書ヲ提示セシメ其ノ他職
員健康保險ノ施行ニ必要ナル事務ヲ行
ハシムルコトヲ得
第十條行政官廳ハ必要アリト認ムルト
キハ被保險者ノ異動及報酬竝ニ保險給
付ノ決定ニ關シ當該官吏ヲシテ被保險
者又ハ被保險者タリシ者ノ勤務場所ニ
就キ關係者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ帳簿
書類其ノ他ノ檢査ヲ爲サシムルコトヲ
得
第十一條主務大臣ハ本法ニ規定スル其
ノ職權ノ一部ヲ命令ヲ以テ行政官廳ニ
委任スルコトヲ得
第十二條保險料其ノ他本法ニ依ル徵收
金ヲ滯納スル者アルトキハ保險者ハ期
限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
前項ノ規定ニ依リ督促ヲ爲シタル場合
ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ督促手
數料及延滯金ヲ徴收ス
第十三條前條ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケ
タル者其ノ指定ノ期限迄ニ保險料其ノ
他本法ニ依ル徴收金ヲ納付セザルトキ
ハ保險者ハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之
ヲ處分シ又ハ滯納者若ハ其ノ者ノ財產
ノ在ル市町村ニ對シ之ガ處分ヲ請求ス
ルコトヲ得但シ職員健康保險組合ガ保
險者ナル場合ニ於テ國稅滯納處分ノ例
ニ依リ處分スルコトヲ得ルハ市町村ニ
對シ處分ヲ請求スルモ市町村ガ其ノ請
求ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ其ノ
處分ニ著手セズ又ハ九十日以內ニ之ヲ
結了セザル場合ニ限ル
前項但書ノ規定ニ依リ職員健康保險組
合ガ國稅滯納處分ノ例ニ依リ處分ヲ爲
ス場合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受ク
ルコトヲ要ス
保險者ガ第一項ノ規定ニ依リ市町村ニ
對シ處分ヲ請求シタルトキハ市町村ハ
市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場
合ニ於テハ保險者ハ徵收金額ノ百分ノ
四ニ相當スル金額ヲ當該市町村ニ交付
スベシ
第十四條保險料其ノ他本法ニ依ル徵收
金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノノ徴收金ニ次ギ他ノ公
課ニ先ツモノトス
第十五條保險料其ノ他本法ニ依ル徵收
金ニ關スル書類ノ送達ニ付テハ國稅徵
收法第四條ノ七及第四條ノ八ノ規定ヲ
準用ス
第十六條本法ハ國、北海道、府縣、市町
村其ノ他之ニ準ズベキモノノ事業ニ使
用セラルル者ニ之ヲ適用セズ
第十七條本法中町村トアルハ町村制ヲ
施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキ
モノトス
第二章被保險者
第十八條左ノ各號ノ一ニ該當スル事業
ノ事業所ニシテ市又ハ主務大臣ノ指定
スル町村(以下指定町村ト稱ス)ニ在ル
モノニ使用セラルル者ハ職員健康保險
ノ被保險者トス
-物ノ販賣ニ關スル事業
二金融又ハ保險ニ關スル事業
三物ノ保管又ハ賃貸ニ關スル事業
四媒介周旋ニ關スル事業
五集金、案內又ハ廣〓ニ關スル事業
六前各號ニ揭グルモノノ外勅令ヲ以
テ指定スル事業
前項第一號乃至第五號ニ揭グル事業ノ
範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第一項ノ規定ニ拘ラズ左ノ各號ノ一ニ
該當スル者ハ職員健康保險ノ被保險者
トセズ
第一項ニ規定スル者ヲ常時十人未
滿使用スル事業所ニ使用セラルル者
二健康保險ノ被保險者及健康保險法
第十四條第一項ノ規定ニ依リ健康保
險ノ被保險者ト爲ルコトヲ得ル者
三一年ノ報酬千二百圓ヲ超ユル者
四前各號ニ揭グル者ノ外勅令ヲ以テ
指定スル者
第十九條健康保險ノ被保險者タル職員
ヲ使用スル事業主ハ主務大臣ノ認可ヲ
受ケ其ノ職員ヲ事業所每ニ包括シテ職
員健康保險ノ被保險者ト爲スコトヲ得
前項ノ認可ヲ申請スルニハ被保險者ト
爲ルベキ者ノ二分ノ一以上ノ同意ヲ得
ルコトヲ要ス
第二十條前條ノ認可アリタルトキハ其
ノ事業所ニ使用セラルル職員ハ職員健
康保險ノ被保險者トス
第十八條第三項第三號及第四號ノ規定
ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル事
業所ノ事業主ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ
其ノ事業所ニ使用セラルル者ヲ包括シ
テ職員健康保險ノ被保險者ト爲スコト
ヲ得
-第十八條第一項第一號乃至第六號
ニ揭グル事業ノ事業所ニシテ市又ハ
指定町村以外ノ地ニ在ルモノ
二第十八條第一項ニ規定スル者ヲ常
時十人未滿使用スル事業所ニシテ市
又ハ指定町村ニ在ルモノ
三前二號ニ揭グルモノノ外勅令ヲ以
テ指定スル事業ノ事業所
第十九條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ
之ヲ準用ス
第二十二條前條ノ認可アリタルトキハ
其ノ事業所ニ使用セラルル者ハ職員健
康保險ノ被保險者トス
第十八條第三項第二號乃至第四號ノ規
定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十三條第十八條ニ規定スル事業所
ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ至リタル
トキハ其ノ事業所ニ付第二十一條ノ認
可アリタルモノト看做ス
第十八條第一項ニ規定スル者ハ常
時十人未滿使用スル事業所ト爲ルニ
至リタルトキ
二市又ハ指定町村以外ノ地ニ在ルニ
至リタルトキ
三第二十一條第一項第三號ノ規定ニ
依リ指定スル事業ノ事業所ト爲ルニ
至リタルトキ
第二十四條第十八條、第二十條及第二
十二條ノ規定ニ依ル被保險者ハ其ノ業
務ニ使用セラルルニ至リタル日又ハ第
十八條第三項第二號乃至第四號、第二
十條第二項若ハ第二十二條第二項ノ規
定ニ該當セザルニ至リタル日ヨリ其ノ
資格ヲ取得ス
第二十五條第十八條、第二十條及第二
十二條ノ規定ニ依ル被保險者ハ死亡シ
タル日、其ノ業務ニ使用セラレザルニ至
リタル日又ハ第十八條第三項第二號乃
至第四號、第二十條第二項若ハ第一一十
二條第二項ノ規定ニ該當スルニ至リタ
ル日ノ翌日ヨリ其ノ資格ヲ喪失ス但シ
其ノ事實アリタル日ニ更ニ前條ノ規定
ニ該當スルニ至リタルトキハ其ノ日ヨ
リ其ノ資格ヲ喪失ス
第二十六條第二十條又ハ第二十二條ノ
規定ニ依ル被保險者ヲ使用スル事業主
ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ被保險者
ノ全部ヲシテ其ノ資格ヲ喪失セシムル
コトヲ得
前項ノ認可ヲ申請スルニハ被保險者ノ四
分ノ三以上ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第一項ノ認可アリタルトキハ被保險者
ハ認可アリタル日ノ翌日ヨリ其ノ資格
ヲ喪失ス
第二十七條第二十五條ノ規定ニ依リ被
保險者ノ資格ヲ喪失シタル者ニシテ喪失ノ
日前二月以上引續キ被保險者タリシモ
ノハ勅令ノ定ムル所ニ依リ繼續シテ被
保險者ト爲ルコトヲ得
第二十八條前條ノ規定ニ依ル被保險者
ハ前條ノ規定ニ依リ被保險者ト爲リタ
ル日ヨリ六月ヲ經過シタルトキ其ノ他
勅令ヲ以テ定ムル事由ニ該當スルニ至
リタルトキハ其ノ資格ヲ喪失ス
第二十五條ノ規定ハ前條ノ規定ニ依ル
被保險者ガ死亡シタル場合ニ之ヲ準用
ス
第三章保險者
第二十九條職員健康保險ノ保險者ハ政
府及職員健康保險組合トス
第三十條政府ハ職員健康保險組合ノ組
合員ニ非ザル被保險者ノ保險ヲ管掌ス
第三十一條職員健康保險組合ハ其ノ組
合員タル被保險者ノ保險ヲ管掌ス
第三十二條職員健康保險組合ハ事業主
及其ノ事業所ニ使用セラルル被保險者
ヲ以テ之ヲ組織ス
職員健康保險組合ハ法人トス
第三十三條一又ハ二以上ノ事業所ニ付
被保險者常時三百人以上ヲ使用スル事
業主ハ職員健康保險組合ヲ設立スルコ
トヲ得
被保險者ヲ使用スル二以上ノ事業主ハ
共同シテ職員健康保險組合ヲ設立スル
コトヲ得此ノ場合ニ於テハ被保險者ノ
員數ハ合算シテ常時三百人以上タルコ
トヲ要ス
第三十四條職員健康保險組合ヲ設立セ
ントスルトキハ組合員タル資格ヲ有ス
ル被保險者ノ二分ノ一以上ノ同意ヲ得
規約ヲ作リ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
二以上ノ事業所ニ付職員健康保險組合
ヲ設立セントスル場合ニ於テハ前項ノ
同意ハ各事業所ニ付之ヲ得ルコトヲ要
ス
第三十五條前二條ノ規定ニ於テ被保險
者トアルハ第十九條第一項又ハ第二十
一條第一項ノ規定ニ依ル認可ノ申請ト
同時ニ職員健康保險組合ノ設立認可ノ
申請ヲ爲ス場合ニ在リテハ被保險者ト
爲ルベキ者トス
第三十六條主務大臣ハ一又ハ二以上ノ
事業所ニ付第十八條ノ規定ニ依ル被保
險者常時五百人以上ヲ使用スル事業主
ニ對シ職員健康保險組合ノ設立ヲ命ズ
ルコトヲ得
第三十七條前條ノ規定ニ依リ職員健康
保險組合ノ設立ヲ命ゼラレタル事業主
ハ規約ヲ作リ設立ニ付主務大臣ノ認可
ヲ受クベシ
第三十八條職員健康保險組合ハ設立ノ
認可ヲ受ケタル時ニ成立ス
第三十九條職員健康保險組合成立シタ
ルトキハ事業主及其ノ事業所ニ使用セ
ラルル被保險者ハ總テ之ヲ組合員トス
第四十條職員健康保險組合ノ規約ノ變
更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレ
バ其ノ效力ヲ生ゼズ
第四十一條主務大臣ハ職員健康保險組
合ニ對シ其ノ事業及財產ニ關シ報〓ヲ
爲サシメ、其ノ狀況ヲ檢査シ、規約ノ
變更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令
又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第四十二條職員健康保險組合ノ役員ニ
欠缺若ハ故障アルトキ又ハ組合ノ役員
ガ保險給付其ノ他其ノ執行スベキ職務
ヲ執行セザルトキハ主務大臣ハ官吏其
ノ他ノ者ヲ指定シテ其ノ職務ヲ執行セ
シムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ其ノ職務ノ執行ニ要
スル費用ハ職員健康保險組合ノ負擔ト
ス
第四十三條主務大臣ハ職員健康保險組
合ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、規約
若ハ主務大臣ノ命令若ハ處分ニ違反シ
又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト
認ムルトキ又ハ組合ノ事業若ハ財產ノ
狀況ニ依リ其ノ事業ノ繼續ヲ困難ナリ
ト認ムルトキハ決議ヲ取消シ、役員ヲ
解職シ又ハ組合ノ解散ヲ命ズルコト
ヲ得
第四十四條解散ニ因リテ消滅シタル職
員健康保險組合ノ權利義務ハ政府之ヲ
承繼ス
第四十五條本法ニ規定スルモノノ外職
員健康保險組合ノ管理、財產ノ保管及
利用方法、分合、解散其ノ他職員健康
保險組合ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム
第四十六條同時ニ二以上ノ事業所ニ使
用セラルル被保險者ノ保險者ハ命令ノ
定ムル所ニ依ル
第四章保險給付及保健施設
第四十七條被保險者ガ其ノ疾病又ハ負
傷ニ關シ療養ヲ受ケタルトキハ療養費
ヲ支給ス
前項ノ療養費ヲ支給スベキ療養ノ範圍
竝ニ療養費ノ額及支給方法ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
保險者ハ第一項ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ
定ムル所ニ依リ被保險者ノ疾病又ハ負
傷ニ關シ療養費ノ支給ニ代ヘテ療養ノ
給付ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ者ヨリ費用
ノ一部ヲ徴收スルコトヲ得
第四十八條療養費ハ同一ノ疾病又ハ負
傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ關シ其ノ
療養ヲ始メタル日ヨリ起算シ六月ヲ經
過シタル後ノ療養ニ付テハ之ヲ支給セ
ズ
主務大臣ノ指定スル疾病ニ關シテハ保
險者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ期
間ヲ超エ尙六月以內ノ療養ニ付繼續シ
テ療養費ヲ支給スルコトヲ得但シ其ノ
療養ヲ始メタル日前勅令ノ定ムル期間
引續キ被保險者タリシ者ニ限ル
第四十九條被保險者ガ療養ノ爲引續キ
勞務ニ服スルコト能ハザルトキハ勞務
ニ服スルコト能ハザルニ至リタル日ヨ
リ起算シ三月ヲ經過シタル日ヨリ其ノ
後ニ於ケル勞務ニ服スルコト能ハザル
期間傷病手當金トシテ一日ニ付報酬日
額ノ百分ノ五十ニ相當スル金額ヲ支給
ス但シ日給ヲ受クル被保險者ニ付テハ
勞務ニ服スルコト能ハザルニ至リタル
日ヨリ起算シ十日ヲ經過シタル日ヨリ
之ヲ支給ス
前項ノ傷病手當金ハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ之ヲ減額スルコトヲ得
保險者ハ第一項ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ
定ムル所ニ依リ傷病手當金ノ支給ノ待
期ヲ短縮シ又ハ廢スルコトヲ得
第五十條傷病手當金ノ支給期間ハ同一
ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾
病ニ關シテハ三月ヲ以テ限度トス但シ
日給ヲ受クル被保險者ニ付テハ六月ヲ
以テ限度トス
第四十八條第二項ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
傷病手當金ハ其ノ支給期間ヲ經過セザ
ルトキト雖モ療養費ノ支給ヲ爲シ得ル
期間ヲ經過スルニ至リタルトキハ之ヲ
支給セズ
第五十一條被保險者ガ死亡シタルトキ
ハ被保險者ニ依リ生計ヲ維持シタル者
ニシテ埋葬ヲ行フモノニ對シ埋葬料ト
シテ報酬月額ノ一月分ニ相當スル金額
ヲ支給ス但シ其ノ金額ガ三十圓ニ滿タ
ザルトキハ之ヲ三十圓トス
被保險者ガ死亡シタル場合ニ於テ前項
ノ規定ニ依リ埋葬料ノ支給ヲ受クベキ
者ナキトキハ埋葬ヲ行ヒタル者ニ對シ
前項ノ金額ノ範圍內ニ於テ其ノ埋葬ニ
要シタル費用ニ相當スル金額ヲ支給ス
第五十二條被保險者ガ分娩シタルトキ
ハ分娩費トシテ二十圓ヲ、出產手當金
トシテ分娩ノ前後勅令ヲ以テ定ムル期
間一日ニ付報酬日額ノ百分ノ五十ニ相
當スル金額ヲ支給ス
第五十三條保險者ハ被保險者ヲ產院ニ
收容シ又ハ助產ノ手當ヲ爲スコトヲ得
產院ニ收容シ又ハ助產ノ手當ヲ爲シタ
ル被保險者ニ對シテ支給スベキ分娩費
及出產手當金ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ
之ヲ減額スルコトヲ得
第五十四條分娩ニ關スル保險給付ニ付
テハ勅令ヲ以テ分娩前一定ノ期間被保
險者タリシ者ニ非ザレバ之ヲ爲サザル
コトヲ定ムルコトヲ得
第五十五條出產手當金ノ支給ヲ爲ス場
合ニ於テハ其ノ期間傷病手當金ハ之ヲ
支給セズ
第五十六條被保險者ノ資格ヲ喪失シタ
ル際疾病、負傷又ハ分娩ニ關シ保險給
付ヲ受クル被保險者ハ被保險者トシテ
保險給付ヲ受クルコトヲ得ベカリシ期
間繼續シテ同一保險者ヨリ其ノ給付ヲ
受クルコトヲ得但シ被保險者ノ資格喪
失ノ日前勅令ノ定ムル期間引續キ被保
險者タリシ場合ニ非ザレバ之ヲ受クル
コトヲ得ザルモノト爲スコトヲ得
第五十七條前條ノ規定ニ依リ保險給付
ヲ受クル者ガ死亡シタルトキ、前條ノ
規定ニ依リ保險給付ヲ受ケタル者ガ其
ノ給付ヲ受ケザルニ至リタル日後三月
以內ニ死亡シタルトキ又ハ其ノ他ノ被
保險者タリシ者ガ被保險者ノ資格ヲ喪
失シタル日後三月以內ニ死亡シタルト
キハ被保險者タリシ者ニ依リ生計ヲ維
持シタル者ニシテ埋葬ヲ行フモノハ最
後ノ保險者ヨリ埋葬料ノ支給ヲ受クル
コトヲ得
第五十一條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ
埋葬料ノ支給ヲ受クル者ナキ場合及前
項ノ埋葬料ノ金額ニ之ヲ準用ス
第五十八條被保險者タリシ者ガ被保險
者ノ資格ヲ喪失シタル日後勅令ヲ以テ
定ムル期間內ニ分娩シタルトキハ分娩
ニ關シ被保險者トシテ受クルコトヲ得
ベカリシ保險給付ヲ最後ノ保險者ヨリ
受クルコトヲ得
第五十九條前三條ノ規定ニ拘ラズ被保
險者タリシ者ガ健康保險又ハ船員保險
ノ被保險者ト爲リタルトキハ勅令ノ定
ムル所ニ依リ保險給付ヲ爲サズ
第六十條保險者ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ本章ニ規定スル保險給付ニ併セテ其
ノ他ノ保險給付ヲ爲スコトヲ得
第六十一條疾病ニ罹リ、負傷シ又ハ分
娩シタル場合ニ於テ繼續シテ報酬ノ全
部又ハ一部ヲ受クルコトヲ得ベキ者ニ
對シテハ之ヲ受クルコトヲ得ベキ期間
勅令ノ定ムル所ニ依リ傷病手當金又ハ
出產手當金ノ全部又ハ一部ヲ支給セズ
第六十二條前條ニ揭グル者ガ其ノ受ク
ルコトヲ得ベカリシ報酬ノ全部又ハ一
部ヲ受クルコト能ハザリシトキハ保險
者ハ之ニ對シ勅令ノ定ムル所ニ依リ傷
病手當金又ハ出產手當金ノ全部又ハ一
部ヲ支給ス
前項ノ規定ニ依リ保險者ノ支給シタル
金額ハ事業主ヨリ之ヲ徵收ス
第六十三條被保險者又ハ被保險者タリ
シ者ガ自己ノ故意ノ犯罪行爲ニ因リ又
ハ故意ニ事故ヲ生ゼシメタルトキハ保
險給付ヲ爲サズ
第六十四條被保險者ガ鬪爭、泥醉若ハ
著シキ不行跡ニ因リ又ハ故意ニ危害豫
防ニ關スル業務上ノ監督者ノ指揮ニ從
ハザルニ因リ事故ヲ生ゼシメタルトキ
ハ傷病手當金ノ全部又ハ一部ヲ支給セ
ザルコトヲ得
第六十五條被保險者又ハ被保險者タリ
シ者ガ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ
於テハ疾病、負傷又ハ分娩ニ關シ其ノ
期間ニ係ル保險給付ハ之ヲ爲サズ
-陸海軍ニ徴集又ハ召集セラレタル
トキ
二本法施行區域外ニ在ルトキ
三矯正院其ノ他之ニ準ズベキモノニ
入院セシメラレタルトキ
四監獄、留置場又ハ勞役場ニ拘禁又
ハ留置セラレタルトキ
他ノ法令ニ依リ國又ハ公共團體ノ負擔
ニ於テ診療所ニ收容セラレタル者ニ對
シテハ療養費ヲ支給セズ
第四十九條第二項及第五十三條第二項
ノ規定ハ前項ニ揭グル者ニ之ヲ準用ス
保險者ハ被保險者又ハ被保險者タリシ
者ガ第一項各號ノ一ニ該當スル場合ト
雖モ第一條第二項ノ保險給付ヲ爲スコ
トヲ妨ゲズ
第六十六條保險者ハ正當ノ理由ナクシ
テ療養ニ關スル指揮ニ從ハザル者ニ對
シ之ニ支給スベキ傷病手當金ノ一部ヲ
支給セザルコトヲ得
第六十七條保險者ハ詐欺其ノ他不正ノ
行爲ニ依リ保險給付ヲ受ケ又ハ受ケン
トシタル者ニ對シ勅令ノ定ムル所ニ依
リ期間ヲ定メ保險給付ノ全部又ハ一部
ヲ爲サザルコトヲ得
第六十八條保險者ハ必要アリト認ムル
トキハ保險給付ヲ受クル者ノ診斷ヲ行
フコトヲ得
保險者ハ正當ノ理由ナクシテ前項ノ診
斷ヲ受ケザル者ニ對シ保險給付ノ全部
又ハ一部ヲ爲サザルコトヲ得
第六十九條保險者ハ事故ガ第三者ノ行
爲ニ因リテ生ジタル場合ニ於テ保險給
付ヲ爲シタルトキハ其ノ給付ノ價額ノ
限度ニ於テ被保險者又ハ被保險者タリ
シ者ガ第三者ニ對シテ有スル損害賠償
請求ノ權利ヲ取得ス
第七十條保險者ハ被保險者ノ健康ヲ保
持增進スル爲左ノ施設ヲ爲スコトヲ得
-疾病又ハ負傷ノ豫防ニ關スル施設
二健康診斷ニ關スル施設
三保養ニ關スル施設
四其ノ他健康ノ保持增進ニ關スル施
設
第七十一條保險者ハ事業ニ支障ナキ場
合ニ限リ被保險者ニ非ザル者ヲシテ保
險者ノ施設ヲ利用セシムルコトヲ得
保險者ハ其ノ施設ヲ利用スル者ニ對シ
命令ノ定ムル所ニ依リ利用料ヲ請求ス
ルコトヲ得
第七十二條第六十三條、第六十五條第
一項及第二項、第六十八條竝ニ第六十
九條ノ規定ハ世帶員ニ之ヲ準用ス
第五十六條ノ規定ハ第一條第二項ノ保
險給付ニ之ヲ準用ス
第五章費用ノ負擔
第七十三條國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ每年度豫算ノ範圍內ニ於テ職員健康
保險事業ニ要スル費用ノ一部ヲ負擔ス
第七十四條保險者ハ職員健康保險事業
ニ要スル費用ニ充ツル爲保險料ヲ徵收ス
保險料ノ算定ニ關スル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第七十五條被保險者及被保險者ヲ使用
スル事業主ハ各保險料額ノ二分ノ一ヲ
負擔ス但シ第二十七條ノ規定ニ依ル被
保險者ハ其ノ全額ヲ負擔ス
第七十六條少額ノ報酬ヲ受クル被保險
者ニ關スル保險料ニ付テハ勅令ヲ以テ
事業主ノ負擔スベキ割合ヲ增加スルコ
トヲ得
第七十七條職員健康保險組合ハ第七十
五條ノ規定又ハ前條ニ基キテ發スル勅
令ノ規定ニ拘ラズ其ノ規約ヲ以テ事業
主ノ負擔スベキ保險料額ノ負擔ノ割合
ヲ增加スルコトヲ得
第七十八條被保險者ガ第六十五條第一
項各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ其ノ期間保險料ヲ
徵收セズ
第七十九條事業主ハ其ノ使用スル被保
險者ノ負擔スベキ保險料ヲ納付スル義
務ヲ負フ但シ第二十七條ノ規定ニ依ル
被保險者ノ負擔スル保險料ニ付テハ此
ノ限ニ在ラズ
第八十條事業主ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ前條ノ規定ニ依リ納付スベキ保險料
ヲ被保險者ニ支拂フベキ報酬ヨリ控除
スルコトヲ得
第六章審査ノ請求、訴願及訴訟
第八十一條保險給付ニ關スル決定ニ不
服アル者ハ第一次職員健康保險審査會
ニ審査ヲ請求シ其ノ決定ニ不服アルト
キハ第二次職員健康保險審査會ニ審査
ヲ請求シ其ノ決定ニ不服アルトキハ通
常裁判所ニ訴ヲ提起スルコトヲ得
前項ノ審査ノ請求ハ時效ノ中斷ニ關シ
テハ之ヲ裁判上ノ請求ト看做ス
第八十二條保險料其ノ他本法ニ依ル徴
收金ノ賦課若ハ徵收ノ處分又ハ第十三
條ノ規定ニ依ル處分ニ不服アル者ハ主
務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル訴願ニ關シテハ職員
健康保險組合ヲ訴願法ノ規定ニ依ル行
政廳ト看做ス
第八十三條保險料其ノ他本法ニ依ル徴
收金ノ賦課又ハ徵收ノ處分ニ關シ訴願
ノ提起アリタルトキハ主務大臣ハ第二
次職員健康保險審査會ノ審査ヲ經テ裁
決ヲ爲スベシ
第八十四條本法ニ規定スルモノノ外職
員健康保險審査會ニ關シ必要ナル事項
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八十五條審査ノ請求、訴ノ提起又ハ訴
願若ハ行政訴訟ノ提起ハ處分ノ通知又
ハ決定書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三十
日以內ニ之ヲ爲スベシ此ノ場合ニ於テ
審査ノ請求ニ付テハ訴願法第八條第三
項ノ規定ヲ、訴ノ提起ニ付テハ民事訴
訟法第百五十八條第二項及第百五十九
條ノ規定ヲ準用ス
第七章罰則
第八十六條正當ノ理由ナクシテ第十條
ノ規定ニ依ル當該官吏ノ質問ニ對シ答
辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ答辯ヲ爲シ又ハ
其ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル
者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第八十七條第九條ノ規定ニ依ル保險者
ノ請求アリタル場合ニ於テ正當ノ理由
ナクシテ報告ヲ爲サズ、虛僞ノ報告ヲ
爲シ又ハ文書ノ提示ヲ爲サザル者ハ百
圓以下ノ罰金ニ處ス
第八十八條事業主ハ其ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ業務ニ關シ前條ノ違反行爲ヲ爲シ
タルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故
ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第八十九條第八十七條ノ罰則ハ其ノ者
ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他
ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成
年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定
代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成
年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ
付テハ此ノ限ニ在ラズ
第九十條職員健康保險組合ノ設立ヲ命
ゼラレタル事業主ガ正當ノ理由ナクシ
テ主務大臣ノ指定スル期日迄ニ設立ノ
認可ヲ申請セザルトキハ其ノ手續ヲ遲
延シタル期間其ノ負擔スベキ保險料額
ノ二倍ニ相當スル金額以下ノ過料ニ處
ス
第九十一條職員健康保險組合ガ第四十
一條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ又ハ處
分ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタルトキハ
其ノ役員ヲ百圓以下ノ過料ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ保險給付、保健施設及
費用ノ負擔ニ關スル規定竝ニ其ノ他ノ規
定ニ付各別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
(國務大臣廣瀨久忠君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=21
-
022・廣瀬久忠
○國務大臣(廣瀨久忠君) 只今議題トナリ
マシタ職員健康保險法案提出ノ理由ヲ說明
致シマス、我ガ國現下ノ情勢ニ鑑ミマシテ、
國民ノ健康ノ保持增進ヲ圖ルコトノ緊要デ
アルコトハ申ス迄モナイ所デアリマス、現
在我ガ國ニ於ケル健康保險制度ト致シマシ
テハ御承知ノ如ク工場、鑛山等ノ勞働者
ニ對シテ健康保險ノ制度ガアリマス、又此
ノ外ニ農山漁村居住者、中小商工業者等ニ
對シマシテ、國民健康保險ノ制度ガ實施セ
ラレテ居ルノデアリマスガ、都市ノ給料生
活者、商店使用人等ニ付キマシテハマダ
保護ノ施設ガ講ゼラレテ居ラナイノデゴザ
イマス、然ルニ是等ノ被傭者ハ、經濟的ニ
モ其ノ保護ヲ必要トスル程度ニ於キマシテ、
工場、鑛山等ノ勞働者ト異ル所ガナイノミ
ナラズ、其ノ健康狀態ニ照シマシテモ、之
ガ健康ノ保持增進ヲ圖ルコトノ必要ハ、國
民保健ノ上カラ誠ニ緊切ナルモノガアルノ
デゴザイマス、仍テ是等ノ者ニ對シマシテ、
適切ナル健康保險ノ制度ヲ創設致シマシテ、
其ノ健康ノ保持增進ヲ圖ルト共ニ、生活ノ
安定ニ資スルコトト致シマシテ、玆ニ本法
案ヲ提出致シマシタ次第デアリマス、何卒
御審議ノ上速カニ御協賛アラムコトヲ希望
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=22
-
023・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
職員健康保險法案ハ、重要ナル法案デアリ
マスルガ故ニ、此ノ特別委員ノ數ヲ十八名
トシ、其ノ委員ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ
動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=23
-
024・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=24
-
025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議コザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=25
-
026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔丸龜書記官朗讀〕
職員健康保險法案特別委員
公爵鷹司信輔君侯爵蜂須賀正氏君
伯爵堀田正恒君子爵松平保男君
子爵富小路隆直君子爵實吉純郞君
織田萬君小原直君
河井彌八君男爵小池正晁君
河原田稼吉君下村宏君
男爵大森佳一君男爵園田武彥君
若尾璋八君磯野庸幸君
濱口儀兵衞君松岡潤吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=26
-
027・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第七酪農業
調整法案、政府提出、衆議院送付、第一讀
會櫻內農林大臣
酪農業調整法案
右政府提出案木院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月十四日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
酪農業調整法案
酪農業調整法
第一條本法ハ牛乳ノ需給ノ圓滑及取引
ノ公正ヲ圖リ竝ニ牛乳ノ生產業及乳製
品ノ製造業ヲ調整シ以テ畜產ノ健全ナ
ル發達ヲ期スルコトヲ目的トス
第二條行政官廳ノ指定スル地域內ニ於
テ牛乳ノ生產ヲ業トスル者ノ組織スル
法人ニシテ勅令ヲ以テ定ムルモノ牛乳
ノ販賣ニ關スル施設ヲ行フ場合ニ於テ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ニ屆
出ヲ爲スベシ
第三條行政官廳牛乳ノ取引上ノ弊害ヲ
豫防シ又ハ矯正スル爲特ニ必要アリト
認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ前
條ノ法人ニ對シ牛乳ノ販賣ノ統制ニ關
スル決定ヲ爲スベキコトヲ命ジ又ハ同
條ノ地域內ニ於テ牛乳ノ生產ヲ業トス
ル者ニ對シ同條ノ法人ノ統制ニ關スル
決定ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ
得
第四條牛乳ノ販賣ヲ業トシ又ハ乳製品
ノ製造事業ヲ爲ス者行政官廳ノ指定ス
ル地域內ニ於テ牛乳ノ生產ヲ業トスル
者又ハ其ノ組織スル法人ト繼續シテ牛
乳ノ取引ヲ爲サントスルトキハ命令ノ
定ムル所ニ依リ價格、數量其ノ他牛乳
ノ取引ニ關スル事項ニ付行政官廳ノ許
可ヲ受クベシ
行政官廳牛乳ノ取引上ノ弊害ヲ豫防シ
又ハ矯正スル爲特ニ必要アリト認ムル
トキハ前項ノ取引ニ關シ必要ナル命令
ヲ爲スコトヲ得
第五條勅令ヲ以テ定ムル乳製四ノ製造
事業(製酪業)ヲ爲サントスル者ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ工場ノ位置、製品ノ
種類及數量其ノ他其ノ事業ニ關スル事
項ニ付行政官廳ノ許可ヲ受クベシ
第六條前條ノ許可ヲ受ケタル者(製酪業
者)ハ製酪業ノ改良發達及統制ヲ圖ル爲
製酪業者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ
定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ
選任シ行政官廳ノ認可ヲ受ケ製酪業組
合ヲ設立スルコトヲ得
第七條製酪業者製酪業組合ヲ設立セザ
ル場合ニ於テ行政官廳特ニ必要アリト
認ムルトキハ製酪業者ニ對シ命令ノ定
ムル所ニ依リ製酪業組合ノ設立ヲ命ズ
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル
者ハ前條ノ規定ニ從ヒ其ノ設立ニ付行
政官廳ノ認可ヲ受クベシ
第八條製酪業組合ハ法人トシ全國ヲ通
ジ一個トス
製酪業組合ハ營利ヲ目的トシテ其ノ事
業ヲ營ムコトヲ得ズ
第九條製酪業組合ニハ所得稅及營業收
益稅ヲ課セズ
第十條製酪業組合ハ左ノ事業ヲ行フコ
トヲ得
-乳製品ノ製造、販賣及出荷ニ關ス
ル統制
二乳製品ノ販賣及出荷ニ關スル共同
施設
三乳製品ノ檢査
四製酪業ノ經營ニ必要ナル物ノ供給
五其ノ他組合ノ目的達成上必要ナル
事業
製酪業組合前項第一號ノ事業ヲ行フ場
合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政
官廳ノ認可ヲ受クベシ
第十一條製酪業組合ハ設立ノ認可アリ
タル時成立ス
製酪業組合ノ設立アリタルトキハ主タ
ル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ
爲スベシ登記シタル事項中ニ變更ヲ生
ジタルトキ亦同ジ
製酪業組合ノ設立又ハ登記シタル事項
ノ變更ハ其ノ登記ヲ爲スニ非ザレバ之
ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第十二條製酪業組合ノ設立アリタルト
キハ製酪業者ハ其ノ組合ノ組合員トス
第十三條製酪業組合ハ定款ノ定ムル所
ニ依リ其ノ組合員ニ對シ經費ヲ分賦シ
及過怠金ヲ課スルコトヲ得
第十四條行政官廳必要アリト認ムルト
キハ製酪業組合ノ組合員ニ對シ第十條
第一項第一號ノ統制ニ關スル組合ノ決
定ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十五條行政官廳ハ製酪業組合又ハ其
ノ組合員ニ對シ其ノ業務ニ關シ報〓ヲ
爲サシメ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ
發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
行政官廳監督上必要アリト認ムルトキ
ハ當該官吏ヲシテ製酪業組合又ハ其ノ
組合員ノ事務所、工場其ノ他ノ場所ニ
臨檢シ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セ
シムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ
身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十六條製酪業組合ノ決議又ハ組合ノ
役員ノ行爲ガ法令、定款若ハ行政官廳
ノ處分ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害
シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ
行政官廳ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一決議ノ取消
二役員ノ解任
三組合ノ事業ノ停止
四組合ノ解散
第十七條本法ニ規定スルモノヲ除クノ
外製酪業組合ノ設立、登記、管理、解
散〓算其ノ他組合ニ關シ必要ナル事
項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條行政官廳ハ第四條第一項又ハ
第五條ノ許可ヲ受ケタル者ニ對シ許可
ヲ受ケタル事項ニ關シ必要ナル報告ヲ
爲サシムルコトヲ得
行政官廳監督上必要アリト認ムルトキ
ハ當該官吏ヲシテ前項ニ規定スル者ノ
事務所、工場其ノ他ノ場所ニ臨檢シ帳
簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコ
トヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示
ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十九條第五條ノ規定ニ違反シ許可ヲ
受ケズ又ハ許可ヲ受ケタル事項ニ依ラ
ズシテ製酪業ヲ爲シタル者ハ千圓以下
ノ罰金ニ處ス
第二十條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一第三條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ
タル者
二第四條第一項ノ規定ニ違反シ許可
ヲ受ケズ又ハ許可ヲ受ケタル事項ニ
依ラズシテ取引ヲ爲シタル者
三第四條第二項ノ規定ニ依ル命令ニ
違反シタル者
四第十四條ノ規定ニ依ル命令ニ違反
シタル者
第二十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
-第十五條第一項又ハ第十八條第一
項ノ規定ニ依ル報告ヲ爲サズ又ハ虛
僞ノ報〓ヲ爲シタル者
二第十五條第一項ノ規定ニ依ル命令
又ハ處分ニ違反シタル者
三第十五條第二項又ハ第十八條第二
項ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又
ハ忌避シタル者
第二十二條法人又ハ人ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第十九
條、第二十條又ハ第二十一條第一號若
ハ第二號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ
其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザ
ルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ
得ズ
第二十三條第十九條、第二十條竝ニ第
二十一條第一號及第二號ノ罰則ハ其
ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其
ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、
未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ
法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關
シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年
者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十四條左ノ場合ニ於テハ法人ノ理
事其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員
ヲ三百圓以下ノ過料ニ處ス
-第二條ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲サズ
又ハ虛僞ノ屆出ヲ爲シタルトキ
二第十六條第三號ノ規定ニ依ル處分
ニ違反シ事業ヲ停止セザルトキ
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ第四條第一項ノ規定ニ
依リ許可ヲ受クベキ取引ヲ爲ス牛乳ノ販
賣ヲ業トシ若ハ乳製品ノ製造事業ヲ爲ス
者若ハ之ヲ承繼シタル者又ハ本法施行ノ
際現ニ第五條ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベ
キ製酪業ヲ爲ス者若ハ之ヲ承繼シタル者
ハ本法施行ノ日ヨリ一年ヲ限リ第四條第
一項又ハ第五條ノ規定ニ拘ラズ命令ノ定
ムル所ニ依リ引續キ其ノ取引ヲ爲シ又ハ
其ノ事業ヲ爲スコトヲ得
前項ニ揭グル者前項ノ期間內ニ第四條第
一項又ハ第五條ノ許可ヲ申請シタル場合
ニ於テ其ノ申請ニ對スル許可又ハ不許可
ノ處分ノ日迄亦前項ニ同ジ
〔國務大臣櫻內幸雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=27
-
028・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 只今議題トナリ
マシタ酪農業調整法案ノ提案理由ヲ御說明
致シマス、近時我ガ國ノ酪農業ハ、長足ノ進
步發達ヲ遂ゲテ參ッタノデアリマシテ、酪農
生產物ハ逐年增加致シマスル國內需要ヲ優
ニ充タスノミナラズ、更ニ進ンデ其ノ一部
ヲ練乳「バター」等トシテ南洋、「ヨーロッパㄴ
等ノ海外市場ニ輸出スルニ至ッタノデアリ
いく、併シナガラ一面從來ノ酪農業ニ關ス
ル制度ニ付キマシテハ、十分ナラザルモノ
ガアリマシテ、牛乳生產業者ト乳製品製造
業者トノ間、或ハ當業者相互ノ間ニ於テ、
徒ラナル摩擦ヲ惹起シ、爲ニ動モスレバ牛
乳ノ需給ノ圓滑及ビ取引ノ公正ヲ期シ難キ
憾ガアリ、又乳製品ノ製造販賣ニモ種々支
障ヲ生ジツヽアリマシテ、之ガ爲一層伸ビ
ルベキ我ガ國酪農業ノ發達ヲ阻害シテ居ル
現狀ニアルノデアリマス、從ヒマシテ是等
ノ關係ヲ調整致シマシテ合理化シ、一層斯
業ノ進展ヲ圖リ、豐富且低廉ナル酪農生產
物、殊ニ輸出向乳製品ノ生產ヲ促進致シマ
スコトハ、農家經濟ノ安定ヲ期スル所以デ
アリマシテ、延イテハ國民體位ノ向上ノ爲
こいつ、亦國際貸借改善ノ爲ニモ、誠ニ緊要
ト認メラルヽノデアリマス、右ノ趣旨ニ基
キマシテ此ノ度酪農業調整法ヲ制定セムト
スルノデアリマスガ、本案ノ內容ハ牛乳生
產業者ト乳製品製造業者トノ雙方ニ亙リ團
體ヲ整備シ、其ノ活動ヲ促進致シマスルト
共ニ、之ニ對シ行政官廳ガ適當ナル監督ヲ
加ヘマシテ、牛乳ノ需給ノ圓滑及取引ノ公
正ヲ圖リ、以テ畜產ノ健全ナル發達ヲ期セ
ムトスルモノデアリマス、幸ニシテ本案成
立ヲ見マスルナラバ、政府ガ從來ヨリ實施
シテ參リ、又今後新タニ設ケマスル酪農關
係ノ諸施設ト相俟チマシテ、我ガ國酪農業
ノ進展ノ上ニ稗益スル所頗ル大ナルモノガ
アルト信ズルノデアリマス、何卒御審議ノ
上御協賛アラムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=28
-
029・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ本案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセ
マス
〔丸龜書記官朗讀〕
酪農業調整法案特別委員
侯爵西〓吉之助君子爵米津政賢君
男爵周布兼道君男爵岩村一木君
有賀光豐君岡田文次君
瀧川儀作君油井德藏君
水野甚次郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=29
-
030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第八、明治
四十五年法律第二十三號中改正法律案、日
程第九、地方鐵道法中改正法律案、日程第
+、軌道法中改正法律案、政府提出、衆議
院送付、第一讀會ノ續、委員長報〓、是等
ノ三案ヲ一括シテ議題ト爲スコトニ御異議
ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=30
-
031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長堀田伯爵
〔左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參
照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ倣
フ〕
明治四十五年法律第二十三號中改正法
律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十四年三月十三日
委員長伯爵堀田正恒
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
地方鐵道法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十三日
委員長伯爵堀田正恒
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
軌道法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十四年三月十三日
委員長伯爵堀田正恒
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵堀田正恒君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=31
-
032・堀田正恒
○伯爵堀田正恒君 只今上程セラレマシタ
明治四十五年法律第二十三號中改正法律案
ニ對シマスル特別委員會ノ經過竝ニ結果ヲ
御報告申上ゲマス、本案ハ朝鮮事業公債法
中改正法律案ノ委員會ニ併託ニ相成ッタノ
デアリマス、委員會ハ前後五囘ニ亙リマシ
テ開會致シマシタ、本案ノ骨子ハ樺太ノ封
鎖炭田ヲ人造石油製造事業會社ニ開封スル
場合ハ、競爭入札ノ原則ニ依ラズ行政官廳
ニ於テ適當ニ之ヲ行ハムトスルモノデアリ
マシテ、最初ニ政府ノ原案ノ說明ガアリマ
シタガ、是ハ過日本會議デ說明ガゴザイマ
シタカラシテ省略ヲ致シマス、本案ハ極メ
テ簡單ナ改正法案デアリマスケレドモ、改
正ノ結果ハ人造石油事業ノ促進上尠カラヌ
關係ヲ有シマスルノデ、封鎖炭田ニ關スル
點バカリデナク、燃料政策全般ニ亙ッテ質疑
ガアッタノデアリマスガ、今其ノ主ナルモノ
ヲ御紹介申上ゲマスレバ、第一ニ、人造石
油製造事業ノ許可ヲ受ケタル會社ガ二ツ以
上アル場合ニ、其ノ會社間ニ競願トナッタナ
ラバ之ヲドウスルカ、政府ハ、運用ニ依ッ
テ競願ヲ避ケシムル方法ヲ講ズルコトト致
シタイト云フ答辯デゴザイマシタ、第二ニ、
改正ノ規定ニ依リ、樺太石炭ヲ利用シ今後
進出ヲ豫想シ得ル人造石油會社如何、之二
對シマシテ政府ハ、帝國燃料興業會社ヲ樺
太ニ誘致シテ、相當大規模ニヤラセタイ、
而シテ民間會社モ亦資本的ニ結合シテヤラ
シタイ、併シナガラ何處迄モ帝國燃料株式
會社ヲ母體トシテヤラセタイ、斯ウ云フ答
辯デゴザイマシタ、第三ニ、帝國燃料ノ樺
太ニ於ケル事業計畫ニ付テ質問ガゴザイマ
シタ、之ニ對シマシテ政府ハ、第一期計畫
トシテ年產百二十萬「トン」ノ採炭ニ依リ、
二十三萬「キロリットル」ノ石油ヲ製造スル
豫定デ、之ニ要スル資金ハ一億一一千萬圓位
デアルガ、差當リ四千萬圓程度ノ子會社ヲ
作リ、炭坑ノ開發竝ニ工場其ノ他ノ施設ヲ
爲シ、昭和十八年頃ニハ豫定ノ通リ低溫乾
溜法、「タール」水素添加法、及ビ直接液化
法ノ三方法ニ依リ、全工場ノ運轉ヲ爲ス豫
定デアルト云フ答辯デゴザイマシタ、第四
ニ、採掘料ノ決定方法如何ト云フ質問ガア
リマシテ、政府ハ炭坑ノ位置、鑛區面積、
炭質、炭量、炭價、生產費、採炭高、起業
費等ヲ十分調査シ、商工省トモ協議シ、拓務
大臣ノ認可ヲ受ケテ決定シタイト云フコト
デアリマシタ、採掘料ニ付キマシテハ種々
細カイ御質問ガアリマシタガ省略致シマ
ス、尙液體燃料關係ニ付キマシテハ、物動
計畫ニ關シマシテ、祕密會ノ下ニ企畫院總
裁ヨリ詳細ナル御說明ノアッタコトヲ御報
告申上ゲマス、其ノ他樺太ニ於ケル石炭、
石油事情、鐵道、港灣施設ノ計畫、採掘料
ノ收入ノ使途、油田調査ノ狀況、石油試掘
ニ對スル政府ノ方針、我ガ國ニ於ケル液體
燃料政策、液化事業ノ現況及ビ將來ノ計畫等
ニ付キマシテ御質問ガゴザイマシタガ、全
部速記錄ニ讓リマス、質問ガ終リマシテ討
論ニ入リ、二名ノ委員ヨリ同一ノ意味ノ御
意見ガゴザイマシタ、卽チ採掘料ノ價格決
定ニ當ッテハ、商工省ト愼重ニ協議シ、以
テ公正妥當ナル價格ヲ決定スルヤウ、特·一
注意シテ貫ヒタイト云フ御意見ノ下ニ、贊
成ノ意思ヲ表示サレマシタ、外ニハ御意見
ガゴザイマセヌデ、採決ニ入リ、全會一致
可決スベキモノト決シマシタ、次ニ只今上
程サレマシタ地方鐵道法中改正法律案及軌
道法中改正法律案ノ特別委員會ノ經過竝ニ
結果ヲ御報告申上ゲマス、是等ノ法案モ同
ジク朝鮮事業公債法中改正法律案ノ委員ニ
併託ニナリマシテ、委員會ハ前後三囘開會
致シマシタ、是等ノ法案ノ內容ヲ申上ゲマ
ス、現行地方鐵道法ハ商法ノ特別規定トシ
テ、地方鐵道會社及軌道會社ニ對シ株金全
額拂込前ト雖モ主務大臣ノ認可ヲ受ケ、線
路ノ延長又ハ改良ノ費用ニ充ツル爲其ノ資
本ヲ增加シ得ルコトヲ認メ、又利益配當ニ
關シマシテ、所謂後配株ヲ發行シ得ルコト
トシテ居ルノデアリマスガ、改正商法ハ一
般的ニ同樣ノコトヲ認メマシタノデ、右特
別規定ヲ廢シマシテ、地方鐵道會社及軌道
會社モ商法ノ一般的規定ニ從ヒ、主務大臣
ノ認可ヲ要セズ自由ニ爲シ得ルヤウニシタ
ノデアリマス、又主務大臣ハ現在ノ交通機
關ノ發達ノ實情ニ鑑ミ、必要ニ應ジ自動車
トノ連絡運輸ヲモ命ジ得ルコトトシ、又交
通事業ノ機能ノ增進ヲ圖ル爲、運賃其ノ他
ニ關スル運輸協定ヲモ命ジ得ルコトトシタ
ノデアリマス、又地方鐵道又ハ軌道ノ買收
又ハ補償ニ際シ交付スベキ買收代價又ハ補
償金ハ、五分利附國債證劵ヲ以テ交付スル
コトニナッテ居ッタノデアリマスルガ、今日
ハ此ノ種國債證劵ガ著シク減少シマシタノ
デ、隨時金利ノ狀態ニ應ジテ發行セラルヽ
モノヲ以テ交付シ得ルコトトシタノデアリ
てい、又陸運ニ關スル鐵道大臣ノ權限ガ增
大スルニ伴ヒ、中央ノ事務モ著シク繁雜ト
ナルニ至ッタノデ、事務簡捷ノ趣旨ヲ以テ主
務大臣ノ權限中主トシテ營業方面ニ屬スル
モノヲ、地方鐵道局長ニ委任スルコトヲ得
ルコトトシタノデアリマス、又地方鐵道ニ
對スル營業繼續補償ノ際ノ補給金ノ限度百
分ノ七ヲ百分ノ五ニ改メタノデアリマス、
質問ノ要點ヲ申上ゲマス、軌道法ハ馬車鐵
道或ハ其ノ他小サイ鐵道ヲ監督スル爲ニ
起ッタ法規デアル、之ニ反シテ地方鐵道法ハ
日本鐵道、山陽鐵道、關西鐵道等、比較的
大キナ鐵道ヲ監督スル爲ニ起ッタ法規デア
ル、然ルニ今日ノ狀態ハ何レガ軌道カ、地
方鐵道カ誠ニ不明ニナッテ居ル、例ヘバ東京
ノ地下鐵道ハ地方鐵道、大阪ノ地下鐵道ハ
軌道デアル、又大阪鐵道、阪和鐵道ハ地方鐵
道デアル、阪急、阪神ハ軌道デアル、サウ
シテ軌道ハ軌道法ニ依ッテ監督ハ鐵道大臣、
內務大臣デアリ、地方鐵道ハ地方鐵道法ニ
依リ監督ハ鐵道大臣トナッテ居ル、誠ニ複雜
多樣デアル、今日ニ於テハ最早地方鐵道、
軌道ノ區別ヲ設ケル必要ガナイト考ヘルガ
政府ハドウ考ヘルカ、政府ハ交通行政ニ付
テハ隨分努力シテ居ルガ、監督行政ニ付テ
ハ十分デナイヤウデアルガ、之ヲ統一スル
考ハナイカト云フ質問ガアリマシタ、之三
對シテ內務大臣、鐵道大臣カラ同意味ノ御
答辯ガゴザイマシタ、監督行政ニ付テモ是
非統一シテ行キタイ、併シナガラナカ〓〓
ムツカシイ問題デアルカラシテ、十分〓究
シテ努力シタイ、斯ウ云フ御答辯デゴザイ
マシタ、又大陸交通政策ト云フカ、日滿支
ノ交通政策中、最モ重要ナモノハ鐵道政策
デアルト思フガ、政府ハドウ云フ風ニヤッテ
居ルカ、日滿支運輸連絡上、又輸送力增進
ノ意味カラシテ、政府ハ東京·下關間ニ廣軌
線ヲ設ケムトスルヤウニ聞イテ居ルガ果
シテサウデアルカ、斯ウ云フ御質問ガアリ
マシタ、日滿支ノ鐵道政策ニ付テハ、政府
トシテハ萬遺憾ナキヤウ努力シテ居ル、鐵
道ノ軌幅ニ付テモ非常ニ苦心シテ、ソレ〓
間ニ合セテヤッテ居ル、東京·下關間ニ於ケ
ル人的、物的兩方面ノ輸送力增進ニ付テ
ハ特ニ頭ヲ惱マシテ居ル、愈〓大陸經營
ニ乘リ出スカラニハ、單ニ部分的ノ改良、
車輛ノ增加等デハ間ニ合ハナイ、十分餘裕
アル計畫ヲ立テテ行カナケレバナラヌト思
フ、政府ハ東京·下關間ニ廣軌線ヲ設ケルト
云フコトヲ定メテハ居ラナイ、白紙デアル
ガ併シ省內デモ熱心ニ考究シツヽアリ、
又審議會ニ於テモ御〓究ヲ願ッテ、善處シテ
行キタイト思ッテ居ル、斯ウ云フ御答辯デア
リマシタ、次ニ現今ノ輸送力不足ニ對スル
對策如何ト云フ御質問ガアリマシタ、政府
ハ、事變下軍事輸送ニ對應スル爲、貨物運
送ヲ先ニシテ旅客運送ヲ後ニシタ爲ニ、
般旅客ニ不便ヲ生ゼシメタコトハ誠ニ遺憾
デアル、併シナガラ漸次軍事輸送モ整備シ
テ來、又一方今迄機材ガ不足シテ居タ爲ニ、
車輛ヲ思フヤウニ造ルコトガ出來ナカッタ
ケレドモ、段々出來ルヤウニナリ、此ノ二
月頃ニハ相當出來ルヤウニナッタ、昭和十四
年度ニ於テハ機關車五百二十二、電氣機關
車十七、客車四百四十八、電車六十、貨車
一萬二百五十七、計一萬千三百四豪出來ル
豫定デアッテ、來年ニハ相當量增加ガ出來ル
見込デアル、又終夜運轉迄シテ不足ヲ補ッテ
見タラドウカト云フ御意見モアルガ、果シ
テ終夜運轉シテ需要ガアルカナイカ疑問デ
アル、是ハ民間ノ交通事業者トモ能ク相談
シテ善處シテ行キタイ、〓體旅行ハ成ルベ
ク遠慮シテ貰ヒ、又遊覽ノ爲ニ便宜ヲ計ッテ
居ッタノヲ是モ止メテ、一般旅客ニ充ツルヤ
ウニシテ居ル、斯ウ云フ御答辯デアリマシ
タ、其ノ他陸上交通事業調整法ノ實績竝ニ
今後ノ方針、又省營自動車ノ經營方針等ニ
詳細ナル御質問ガアリマシタガ、速記錄ニ
讓リマス、討論ニ入リマシテ一委員ヨリ、
事變下輸送力不足ハ巳ムヲ得ナイトスルケ
レドモ、長期戰ニ入ッタ今日、銃後ノ護タル
國民ガ其ノ爲ニ受ケル不便餘リニ大デアッ
テ、活動セムトシテ其ノ活動ヲ殺ガレルコ
トハ事變ニ影響スル所甚大デアルカラシテ、
政府ハ輸送力不足ニ對スル對策ニ付テハ
愼重考慮ヲ拂ッテ貰ヒタイト云フ希望ヲ付
ケマシテ贊成セラレマシタ、又一委員ヨリ
今囘ノ改正ハ巳ムヲ得ナイト思フガ、不十
分デアル、未ダ根本的改正ノ方法ハアリハ
シナイカ、例ヘバ最早ヤ今日ハ地方鐵道、軌
道ノ區別ハ不要デアルカラシテ、地方鐵道
法、軌道法ヲ一本ニスルト云フガ如キ方法
ハアリハシナイカ、故ニ政府ハ將來ニ於テ
根本的改正ヲ爲スコトヲ考ヘテ貰ヒタイト
云フ希望ヲ述ベラレマシテ兩案ニ贊成セラ
レマシタ、採決ニ入リマシテ全會一致可決
スベキモノト決シマシタ、右御報告申上ゲ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=32
-
033・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ三案ノ採決ヲ致シマス、三案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=33
-
034・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=34
-
035・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=35
-
036・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=36
-
037・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=37
-
038・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=38
-
039・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 三案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、三案全部、委員長ノ報〓通リ
デ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=39
-
040・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=40
-
041・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=41
-
042・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=42
-
043・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=43
-
044・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=44
-
045・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 三案ノ第三讀會
ヲ開キマス、三案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=45
-
046・松平頼壽
○議長(伯爵松平頼壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=46
-
047・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 此ノ際、先日ノ
土方寧君ノ質疑ニ對シマシテ總理大臣及文
部大臣ノ御答辯ガアリマス、此ノ際之ヲ許
可致シマス、文部大臣
〔國務大臣男爵荒木貞夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=47
-
048・荒木貞夫
○國務大臣(男爵荒木貞夫君) 此ノ場合去
ル七日ノ本會議ニ於キマシテ、土方博士ヨ
リ內閣總理大臣及文部大臣ニ對シテノ御質
疑ニ對シマシテ、便宜私ヨリ御答ヘ致シテ
置キタイト存ジマス、御示ニナリマシタ軍人ニ
賜リタル勅諭、〓育勅語、戊申詔書、國民精神
作興ニ關スル詔書ハ、何レモ常ニ臣民ノ拳々
服膺致シマシテ、實踐ニ努メルベキモノデ
ゴザイマス、〓育ニ於テモ特ニ此ノ點ニ力ヲ
致シマスルコトヲ切要ト考ヘマシテ、常ニ此ノ
點ニ留意致シテ居ル次第デアリマス、而シ
テ常ニ國民精神ノ剛健ニ留意致シマシテ、
浮華放縱ヲ付ケテ恭儉勤敏、各〓業ニ服シ、
產ヲ治メ、醇厚中正ノ風俗ヲ涵養致シマシ
テ、假ニモ荒怠スルコトヲ相誠メマシテ、
殊ニ現下ノ時局ニ於テハ是等ノ點ハ最モ肝
要ト存ジマシテ、從ッテ是等ニ關シテ假ニ
モ、御聖旨ニ背クヤウナコトハ嚴ニ誠メネ
バナラヌト存ジマス、御指摘ノ競馬法中ノ
勝馬投票劵ノ發賣ニ付キマシテハ、其ノ實
施ニ當ッテ愼重ナル注意ヲ致シマスルナラ
バ、馬政上ヨリノ見地モアルコトデアリマ
スル、此ノ程度ニ於テハ其ノ運用宜シキヲ
得マスルナラバ、聖旨ニ背クモノト存ジ得
ラレナイノデゴザイマス、併シナガラ兎角
其ノ弊ニ陷リ易キ點等ニ付キマシテハ、〓
育上ニ於テモ將又行政上ニ於テモ、十分ナ
ル注意ヲ加ヘマシテ、假ニモ誤リナキ樣努
力致シタイト考ヘテ居ル次第デアリマス、
以上ヲ以テ御答ト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=48
-
049・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 平沼總理大臣
〔國務大臣男爵平沼騏一郞君演壇ニ登
ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=49
-
050・平沼騏一郎
○國務大臣(男爵平沼騏一郞君) 土方君ノ
御質問ニ對スル御答辯ハ、只今文部大臣ヨ
リ詳細申シマシタ通リデゴザイマス、私ニ
於キマシテモ只今文部大臣ノ御答ヲ致シマ
シタ通リト信ジテ居リマス、左樣御承知ヲ
願ヒマス
〔土方寧君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=50
-
051・土方寧
○土方寧君 私ガ一週間程前ニ、馬劵附ノ
競馬ヲ公許スルノハ善クナイト云フ意味ノ
質問ヲ致シマシタ、今文部大臣ハ勝馬投票
劵ト仰シヤイマシタガ、現行ノ競馬法ニハ
サウナッテ居リマスガ、馬劵ト云フモノガ如
何ニモ不評判ニナッテ、戊申詔書ヲ拜セラレ
タ、其ノ時ト同ジ名前ヂヤ宜クナイカラト
云フノデ勝馬投票劵トナッタノデアリマス
ガ、世間ヂヤ皆馬劵ト言ッテ居リマス、私ノ質
間ハ文部大臣モ御述ニナッテ居ルヤウニ、軍
人ニ賜ッタ勅諭、〓育勅話、戊申詔書、大正
ノ震災後ノ國民精神作興ニ關スル勅諭、此
ノ四ツノモノヲ引用シマシテ、之ヲ一貫セ
ル聖旨ニ反スルモノヂヤナイカト云フ意味
ノコトヲ質問シタノデアリマス、サウ云フ
モノヲ引用シテ質問シタノデアリマスカラ、
無論ドナタデモ皆暗記シテオイデニナル譯
デモアリマスマイ大體趣意ダケハ·····ダ
カラ卽答ハ促サナカッタ、一週間後ノ今日初
メテ御答辯ヲ得マシタ、無論總理大臣モ、
文部大臣モ、政務多端デ御忙シイデアリマ
セウケレドモ、私ハ是ハ實ニ重大ナ問題ダ
ト思ヒマス、是ハ聖旨ニ反シテ居ハシナイ
カ否ヤト云フ問題デアリマス、十分ニ一週
間御熟慮ニナッテノ御答辯ト考ヘマス、文部
大臣ハ前半ノ仰シヤッタコトハ其ノ通リデ
アル、尤モナコトデアリマス、其ノ實際ノ
コトガ問題ニナッテ居ル、適用ノ點ニ付キマ
シテハ頗ル曖昧デアリマス、此ノ程度ニ於
テハ左程害ガナイト思ッテ居リマス、總理大
臣ハ何ニモ仰シヤラナイ、文部大臣ノ通リ
デ宜シイ、斯クノ如キ御答辯ヲ得マスト云
フコトハ誠ニ失望致シマシタ、遺憾至極ニ
存ジマス、私ガ望ム通リノコトヲ申シマス
ナラバ前囘引用シマシタ勅語、勅諭等ノ
字句ヲ引用シテ、其ノ解釋適用ニ付テ詳論
シタイノデアリマスガ、左樣ニスルコトハ
幾多ノ重要ナ議案ヲ目前ニ控ヘ、會期切迫
ノ折デアリマスカラ差控ヘマス、文部大臣
ノ御答辯ハ如何ニモ抽象的ノコトデアル、
是デハドウモ一般ノ民衆ニ本心ノ在ル所、
御趣意ノアル所ハ分ラナイト思ヒマスカラ、
具體的ノ場合ヲ想定シマシテ、斯ウ云フ場
合ニハドウナルカト云フコトヲ重ネテ御尋
シタイ、例ヘバ世間ニハ隨分競馬好キノ人
ガ多イヤウデアリマシテ、競馬ガアルト其
處へ行ク鐵道ナドト云フモノハ混雜シテ、
普通ノ乘客ナドハ乘レヌト云フ有樣ニナッ
テ居リマス、如何ニ競馬ニ行ク人ガ多イカヾ
分ル、其ノ中ニハ唯觀ル人モ多數デアリ
マセウ、ケレドモ隨分多クノ人ガ所謂馬劵
ヲ買フト云フ趣旨デ行ク、サウ云フ者モ世
間デハ競馬狂トデモ言ヒマセウ、ソレデ玆
ニ或家庭ノ主人ニ所謂競馬狂ノ一人ガアル、
競馬ガアル每ニ行ク、業ヲ休ンデ行ク、偶ニハ
儲カルラシイ、サウ云フ時ニハ醉ッ拂ッテ遲
ク歸ッテ來ル、何レマア同行ノ者ト一〓ニ酒
デモ飮ミニ行ッタンデセウ、惡錢身ニ著カズ
ト云フ譯デアリマス、儲カッタ時ニハ一般ニハ
家ニハ金ヲ持ッテ歸ラヌ、處ガ多クノ場合ハ
失敗シテ、持ッテ行ック金ヲ無クシテシマフ、
場合ニ依ルト借金シテシマッテ來ル、サウ云
フ時ニハ酒飮ミニモ行ケマセヌカラ、悄氣
返ッテ家ニ歸ッテ來ル、妻君ガドウデスカト
云フ、失敗シタ、大變ニ悄氣テ居ル、持ッテ
居タオ金ハ使ツテ足ラヌカラ又他人カラ金
ヲ借リテ來タ仕末ダト云フ、實ニ困リマス、
ソレダカラ豫テカラ申シマス、業ヲ休ンデ
競馬ニ金ヲ持ッテ行ッテ、無クシテ來ルト云
フヤウナコトデハ家ガ立行キマセヌ、先ヅ
差當リ月末ノ拂ヒヲドウシマスト言フテ、
泣イテ、ドウカ斯ウ云フコトハ良クナイカ
ラ止メテ下サイト言ッテ訴ヘル、處ガ競馬狂
ノ主人ハ失敗シテ歸ッテ、宜イ加減氣ヲ惡ク
シテ居ル所へ女房カラ誠メラレルモノデス
カラ、疳癪ヲ起シテ、默レト云フ譯デ、妻
君ハ泣イテ誠メルケレドモ聞キマセヌ、處
デ小學校ヘ行ッテ居ル子供ハ、夫婦ガサウ云
フ問答ヲシテ居ルノヲ聞キマシテ、心配デ
ナラナイ、其ノ心配ノ餘リ學校へ行キマス
ト、先生ニ家ノオ父サンハ斯ウ云フ譯デシ
タノデ、オ母サンガオ止メナサイト言ッタガ
肯キマセヌ、ドウモ兩親ガサウ云フコトデ
誠ニ宜クナイカラ私ハ大變困リマス、ドウ
シタモノデセウ、オ母サンガ、良クナイカ
ラオ止メナサイト仰ッシヤルノガ正シイノ
カ、ソレトモ許シテアルノダカラ構フモン
カト云ッテ、オ止メニナラナイオ父サンノ方
ガ宜イノデセウカ、ドチラガ正シイノデセ
ウカト聞クト、折角ノコトダカラ私ハ御話
シナケレバナリマセヌガ、豫々話シテ居ル
ノニ、斯ウ云フ馬劵附ノ競馬ト云フヤウナ
モノハ賭博ニ似寄ッタモノ、賭ケ事ニ似寄ッタ
モノデ、宜クナイト云フコトハ幾多ノ勅語、
勅諭ニアルコトデ、〓育勅語ニモ「恭儉己
レヲ持シ」トアル、タッタ四字デスガ非常ニ
深イ意味ガアル、此ノ字句ニ付テモ豫々學
校デ〓ヘテアル通リデアリマス、ドウモオ
母サンガ、良クナイコトハオ止メナサイト
言フノガ正シイ、オ父サンガ惡クナイト云ッ
テ肯カナイノハ宜クナイ、折角ノ御尋ダカ
ラサウ答ヘル外アリマセヌガ、親ニ向ッテ强
意見ヲスルノハ穩カデナイカラ、御歸リニ
ナッタラ、心配ノ餘リ先生ニ伺ッタラ、斯ウ
仰ッシヤッタト云フコトヲオ母サンニ申上ゲ
テ、オ母サント相談ノ上デ、成ルベク穩カ
ニオ父サンニサウ云フコトハ止メテ下サイ
ト、御話ニナッタラ宜イデセウト斯ウ云フコ
トデ、ソレカラオ母サンニソレヲ話シタ、
オ母サンハ、子供モ一〓ニ心配シテ學校ノ
先生ニ伺ッタラ斯ウ云フコトデアリマシタ
ガ、私ガ言フダケデハアリマセヌ、アナタ
ノヤウナコトヲシテ御イデニナッテハ家ガ
立チマセヌ、ドウカ止メテ下サイト云フト、
疳癪ヲ起シテ生意氣ナ、默レ〓〓、子供ノ
癖ニ生意氣ダト云フヤウナコトデ一向應ジ
マセヌ、斯ウ云フコトハ私ガ想像シタコト
デアリマスガ、聞ク所ニ依ルト之ニ類似ノ
コトハ全國諸處ニ澤山アルヤウデアリマス、
警視廳ヤ或ハ地方ノ警察不方デ御調ベニナッ
タラ、競馬狂ガ家產ヲ傾ケ、且色々ノ犯罪
ノ原因ニナッテ居ルト云フコトハ、存外多ク
アルト云フコトデアリマス、處ガ只今文部
大臣ノ御答辯、總理大臣モ其ノ通リデ宜シ
イト仰セラレタ、現行競馬法ノ制度ニ於テ
ハ前半ニ仰シヤッタ趣意ニ反シナイト云フ
御答辯デアリマス、サウシマスト今ノ競馬
狂ノ主人ガ公許ノモノダカラ惡イモノデナ
イト云フ主張ヲ是認サレルモノデアリマス
カ否ヤ、競馬狂ヲ放ッテ置イテ、公許シテ何
故宜イカ、惡ケレバソンナモノヲ許ス筈ハ
ナイ、ソレヲ是認サレルコトニナルノデア
リマスカ、明確ニ御答ヲ願ヒタイ、是ハ新
聞記者ニ御願ヒシテ置キマスガ、抽象的ノ
問答デハ世人一般ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=51
-
052・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 新聞記者ニ此處
デ言フコトハ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=52
-
053・土方寧
○土方寧君 ソレヂヤ宜シウゴザイマス、
アナタ方全部、此ノ議場ラ通シテ世ノ中ニ
機會ガアレバ御傳ヲ願ヒタイ、ドウモ抽象
的ノ問答デハ實際ドウナルカ分リマセヌ、
只今ノヤウナ例ヲ設ケマスト、是ハ決シテ
空想ヂヤナイ、其ノコトハ警視廳ヤ警察署
ヲ方々調ベタラ分ルト思ヒマス、ソレデ今
ノ私ノ具體的ノ例ニ付テ、私ノ伺ッタ所デ
ハ、文部大臣ノ御答ト總理大臣ノ御答ハ競
馬狂ノ主人ノ言フコトヲ是認サレルト云フ
コトコトニナルト思ヒマスガ、ソレデ宜シ
イカト云フコトヲ伺ッテ、其ノ上ニ於キマシ
テハ又何カ申シマス
〔國務大臣男爵荒木貞夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=53
-
054・荒木貞夫
○國務大臣(男爵荒木貞夫君) 只今御引キ
ニナリマシタ例ハ、其ノ法ヲ惡用シタモノ
デアリマシテ、其ノ點ニ付テハ決シテ之ヲ
是認スルコトハ出來ナイト存ジマス、左樣
ナ弊ニ對シマシテハソレ〓〓執ルベキ途ヲ
取ッテ、之ヲ改メルコトガ聖旨ニ報イル所以
ト存ジマス
〔土方寧君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=54
-
055・土方寧
○土方寧君 ドウモ不得要領ノ御答デ驚キ
マシタ、惡用シタ結果ダ、競馬ノ馬劵ヲ買ッ
テモ宜イコトニナッテ居ルノヲ買フノガ惡
用デスカ、許シテアルノダ、答辯ニナラナ
イ、試驗問題ナラ落第ダ、斯樣ナ問答ヲシ
マシテモ何ニモ目的ヲ達シマセヌ、此ノ內
閣デモ思想問題ヲ非常ニ强調セラレテ居ル、
幾多ノ聲明モ發セラレテ居リマス、ケレド
モ口ニ言ハレル所ノモノガ實際行ハレテ居
ラナイ、却テソレヲ裏切ルコトヲ默許シテ
居ラレル、公許セラレテ居ル、孔子ノ言ニ
巧言令色仁ニ鮮シト云フコトガアリマスガ、
仁ニ鮮イ位ノコトデハナイ、私ノ關スル所
デハ文部大臣ノ先般仰シヤッタ趣意デ、馬劵
附競馬ヲ行フト云フコトハ、聖旨ニ背キ、
大義ヲ沒スルト斷言シテ宜イト思ヒマス、
大義ヲ沒スルト言ッテ不服ナラバ、辯駁シテ
下サイ、聖旨ニ背ケバ大義ヲ沒スル、大義
ノ名分ガ立チマセヌ、ドウモコンナコトヲ
言ッテモ、詰リ暖簾ニ腕押シシタヤウナコト
デアリマシテ、謂ハバ馬ノ耳ニ念佛ノ類デ
アリマスカラ、是レ以上何モ言ヒマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=55
-
056・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十一ヨリ
日程第二十一迄ノ請願、會議
〔左ノ意見書案ハ朗讀ヲ經サルモ
參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ做
こ
意見書案
寺院等ニ無償ニテ貸付シアル國有財產
ノ處分ニ關スル法律案成立ニ關スル件
東京市本〓區本〓三丁目十六番地平
民僧侶今井鐵城外二名呈出
東京市淺草區松〓町四十番地平民儈
侶爲〓世淳外五名呈出
奈良市登大路町番外一士族僧侶大西
良慶外二百二十二名呈出
右ノ請願ハ寺院ノ境內地護持保存ハ寺院
存立ノ基礎ヲ鞏固ニシ其ノ〓化活動上寄
與スル所大ナルニ依リ政府提出ニ係ル寺
院等ニ無償ニテ貸付シアル國有財產ノ處
分ニ關スル法律案ハ速ニ之ヲ成立セシメ
ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ
大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十四年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣男爵平沼騏一郞殿
意見書案
水產會ノ活動促進ニ關スル件
東京市赤坂區溜池町一番地帝國水產
會長子爵野村益三呈出
右ノ請願ハ我國漁村ノ現狀ニ鑑ミ之カ指
導機關タル系統水產會ノ活動ヲ促進スル
ハ緊要ナルニ依リ速ニ國庫補助ノ增額其
ノ他適切ナル方策ヲ講セラレタシトノ旨
趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘ
キモノト議決致候因テ議院法第六十五條
ニ依リ別册及送付候也
昭和十四年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣男爵平沼騏一郞殿
意見書案
水產試驗機關ノ整備充實ニ關スル件
東京市赤坂區溜池町一番地帝國水產
會長子爵野村益三呈出
右ノ請願ハ我國水產業ハ近時長足ノ進步
ヲ爲セルモ尙時局ニ鑑ミ漁業用物資ノ節
約代用品ノ〓究等科學的探究ニ俟ツヘ
キモノ多キニ依リ速ニ水產試驗機關ノ整
備充實ヲ圖リ以テ漁業經營ノ改善ニ資セ
ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ
大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十四年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣男爵平沼騏一郞殿
意見書案
漁業用資材ノ配給ノ圓滑竝價格ノ合理
化ニ關スル件
東京市赤坂區溜池町一番地帝國水產
會長子爵野村益三呈出
右ノ請願ハ漁業用物資ノ規正ハ益强化セ
ラレムトスルノ實情ニ在ルノミナラス統
制ニ依リ價格ノ暴騰、配給ノ不圓滑ヲ來
タシ爲ニ生產ノ確保期シ難キモノアルハ
甚遺憾ナルヲ以テ速ニ適當ノ對策ヲ講セ
ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ顧意ノ
大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十四年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣男爵平沼騏一郞殿
意見書案
北海道船舶業者所有船舶ノ燃料配給ニ
關スル件
北海道天鹽郡天鹽町長梨澤環呈出
右ノ請願ハ北海道天鹽町ノ船舶所有者ハ
其ノ業地〓ネ樺太及本土方面ナル爲同町
ニ於テ交付シクル燃料購買劵ハ其ノ用ヲ
爲ササルコト多ク所要燃料ノ購買上不便
少カラサルニ依リ昭和十四年度ハ北海道
船舶業者ニ對シ同道ニ於テ交付シタル船
舶燃料購買劵ハ樺太ニ於テモ通用シ得ル
カ又ハ樺太ニ於テ燃料ヲ購入シ得ルノ方
法ヲ講セラレタシトノ趣旨ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致
候因テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及送
付候也
昭和十四年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣男爵平沼騏一郞殿
意見書案
邊富內線鐵道速成ノ件
北海道勇拂郡占冠村長峰廻英男呈出
右ノ請願ハ未成線邊富內線鐵道ノ完通ハ
啻ニ沿線地方ノ豐富ナル農、林、鑛產資
源ノ開發ニ止マラス運輸交通竝軍事上亦
裨益スル所多大ナルニ拘ラス之カ工事ノ
中止ヲ見タルハ甚遺憾ナルニ依リ同鐵道
ノ繼續施工ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ
貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト
議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別
册及送付候也
昭和十四年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣男爵平沼騏一郞殿
意見書案
遠羽線鐵道速成ノ件
北海道留萠郡留萠町長赤石忠助外九
名呈出
右ノ請願ハ未成線遠羽線鐵道ノ速成ハ北
海道天鹽沿岸鐵道ノ完通トナリ沿線地方
ニ於ケル林、鑛產資源及海田ノ開發上資
スル所大ナルノミナラス運輸交通竝軍事
上亦須要ナルニ拘ラス之カ工事ハ昭和十
二年度ヨリ五箇年計畫ヲ以テ著手ニ決定
シタルモ其ノ後豫期ノ進捗ヲ見ス殆ント
中止ノ狀態ナルハ遺憾ナルニ依リ速ニ同
鐵道ノ實現ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ
貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト
議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別
册及送付候也
昭和十四年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣男爵平沼騏一郞殿
意見書案
南勝線鐵道關金、山守間ノ泰久寺ニ停
車場設置ノ件
鳥取縣東伯郡南谷村長西田延次外
四名呈出
右ノ請願ハ鳥取縣東伯郡南谷村字泰久寺
ハ交通ノ要衝ニシテ附近ニ農、林鑛產
等ノ資源ヲ擁シ停車場設置ノ好適地ナル
ニ拘ラス未成線南勝線鐵道中近ク著エセ
ラレムトスル路線ニ於ケル停車場豫定地
ハ關金及山守ノミナルハ甚遺憾ナルニ依
リ泰久寺ニ停車場ヲ設置シ以テ運輸交通
ノ利便ト產業ノ進展ニ資セラレタシトノ
旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇ス
ヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五
條ニ依リ別册及送付候也
昭和十四年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣男爵平沼騏一郞殿
意見書案
高崎線電化促進ノ件
群馬縣高崎市長久保田宗太郞外十七
名呈出
右ノ請願ハ群馬縣高崎市ト埼玉縣大宮町
ヲ結フ帝都近郊ノ重要幹線タル高崎線ニ
電車ヲ開通セシメ以テ時間ノ短縮ヲ圖リ
且運轉囘數ヲ增加スルハ產業交通、觀光竝
國防上貢獻スル所多大ナルニ依リ速ニ之
ヲ實現セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致
候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
昭和十四年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣男爵平沼騏一郞殿
意見書案
鳥取縣東伯郡古布庄村役場ニ電話架設
ノ件
鳥取縣東伯郡古布庄村長杉山民次郞
呈出
右ノ請願ハ鳥取縣東伯郡古布庄村ハ近時
通信事務ノ增加等ニ伴ヒ電話ノ所要切ナ
ルニ拘ラス今尙其ノ設備ナク之カ架設ニ
ハ多額ノ費用ヲ要シ到底村財政ニテハ負
擔ニ堪エサルヲ以テ同村役場ニ電話ヲ架
設スルヤウ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴
族院ハ願意ノ大體ハ採譯スヘキモノト議
決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册
及送付候也
昭和十四年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣男爵平沼騏一郞殿
意見書案
牟岐線鐵道日和佐、土譜線土佐山田驛
間鐵道敷設ノ件
德島縣海部郡日和佐町長喜田〓一外
五名呈出
右ノ請願ハ未成線牟岐鐵道日和佐ヨリ德
島縣赤河內、延野、日野谷、宮濱、中木
頭上木頭、木頭及高知縣槇山、在所、
美良布、片地、大楠植ノ諸村ヲ經テ土讚
線土佐山田驛ニ至ル鐵道ヲ敷設スルハ沿
線地方ニ於ケル豐富ナル林產資源ノ開發
上貢獻スル所大ナルノミナラス日和佐港
ノ完成ト相俟テ阪神地方ト連絡シ運輸交
通竝軍事上亦須要ナルニ依リ速ニ之カ實
現ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ
願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候
因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付
候也
昭和十四年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣男爵平沼騏一郞殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=56
-
057・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是等ノ請願ハ請
願委員長ノ報告通リ、採擇スルコトニ御異
議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=57
-
058・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=58
-
059・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 次會ノ議事日程
ハ決定次第、彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、
本日ハ是ニテ散會致シマス
午前十一時十三分〓會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02319390315&spkNum=59
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。