1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十四年三月二十日（月曜日）午後二時十二分開議
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議事日程 第二十六號
昭和十四年三月二十日
午後二時開議
第一 臨時資金調整法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第二 産金法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第三 日本産金振興株式會社法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第四 恩給法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第五 國債整理基金特別會計法中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第六 明治三十九年法律第三十四號中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第七 明治四十二年法律第九號中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第八 昭和十三年法律第六十四號中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第九 朝鮮銀行券及臺灣銀行券の保證發行限度の臨時擴張に關する法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第十 昭和十三年法律第二十三號中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第十一 昭和十四年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債追加發行に關する法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第十二 昭和七年法律第一號中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第十三 支那事變に關する特別賜金として交付する爲公債發行に關する法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
第十四 大正九年法律第五十三號中改正法律案（政府提出、衆議院送付） 第一讀會の續（委員長報告）
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=0
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報告ヲ致サセマ
ス
〔丸龜書記官朗讀〕
昨十九日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提
出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議
院ニ通知セリ
北海道拓殖銀行法中改正法律案
金資金特別會計法中改正法律案
國境取締法案
軍用資源祕密保護法案
保險業法改正法律案
臺灣事業公債法中改正法律案
酪農業調整法案
昭和十二年法律第八十四號中改正法律案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案
ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
商法ヲ引用スル條文ノ整理ニ關スル法律
案
同日米穀配給統制法案特別委員會ニ於テ當
選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
委員長伯爵酒井忠正君
副委員長男爵矢吹省三君
本日委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ
氏名左ノ如シ
映畫法案特別委員會
委員長公爵岩倉具榮君
副委員長男爵紀俊秀君
船舶建造融資補給及損失補償法案特別委
員會
委員長伯爵後藤一藏君
副委員長男爵深尾隆太郞君
本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
國際電氣通信株式會社法中改正法律案可
決報告書発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、日程第一、臨時資金調整法
中改正法律案、政府提出、衆議院送付、第
一讀會ノ續、委員長報〓、委員長高橋子爵
〔左ノ報告書ハ朗讀ヲ經サルモ參
照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ倣
フ〕
臨時資金調整法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵高橋是賢
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔子爵高橋是賢君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=2
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003・高橋是賢
○子爵高橋是賢君 只今議題トナリマシタ
臨時資金調整法中改正法律案ハ、三月十三
日ニ昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案ノ特別委員
會ニ付託セラレマシタ、卽日政府當局カラ
詳細ナル說明ヲ聽取致シマシタ、本委員會
ニ於テハ數囘ニ亙リ多クノ重要ナル質問應
答ガ行ハレタノデアリマス、是ヨリ其ノ審
議ノ經過及結果ニ付テ御報〓ヲ申上ゲマス、
先ヅ本改正案ノ內容ニ付キマシテ簡單ニ申
上ゲマス、改正ノ第一點ハ、資金使用ノ調
整ヲ一層效果的ナラシムル爲ニ、事業設備
ノ新設、擴張又ハ改良ニ關シ許可ヲ受クベ
キモノノ範圍ヲ擴大シ、個人及會社以外ノ
法人ニモ及スコトニナシタノデアリマス、
其ノ第二ノ點ハ生產力擴充資金等、時局ニ
緊要ナル產業資金ノ需要增加ノ趨勢ニ對處
スル爲ニ、日本興業銀行ノ債劵發行限度ヲ、五
億圓ヨリ十億圓ニ擴張シ、之ガ元利金支拂ニ
對シ政府ノ係證シ得ル限度ヲ、額面金額十億
圓迄擴張スルコトト致シタノデアリマス、第三點
ハ、貯蓄債劵ノ發行限度ヲ二億圓トアリマ
シタノヲ五億圓ニ擴張シ、以テ政府ガ撒布
スル所ノ資金ヲ適當ニ吸收セムトスルコト等
デアリマス、玆ニ質問應答ノ主ナルモノノ
中、二三御紹介ヲ致シマス、一委員ヨリ、此
ノ法律ニ依レバ會社ハ勿論個人ニ於テモ五
萬圓以上ノ工事ハ、總テ認可又ハ許可ヲ申請
セザレバ著手スルコトガ出來ヌコトニナル
ガ、其ノ件數ハ定メシ夥シイ口數トナリ、
政府トシテハ之ガ可否ヲ斷ズル上ニ、其ノ
調査ニ多大ノ時日ト手數ヲ要スベク、從ッテ
事業ノ進展ヲ困難ナラシムル虞ガアルト思
フガ如何ト云フ質問ガアリマシタ、政府ハ、
實際ノ仕事ハ日本銀行ヲシテ取扱ハシメ、
事業ハ別ニ其ノ性質、金高等ニ依ッテ一定ノ
標準ヲ立テテ居ル故ニ、假令審査會ノ議ヲ
經ルトシテモ、約十日間位デ處理出來ル見
込デアルカラ、左程困難ハナイト信ズル旨
ノ答辯ガアリマシタ、又一員ヨリ、軍需品
產業ハ何等支障ナカルベキモ、所謂平和產
業ニ關スルモノハ漸次衰退ノ一途ヲ辿ルコ
トトナルヤウニ思フガ、政府ハ如何ニ考ヘ
ルヤト云フ質問ニ對シ、政府ハ諸般ノ產業
ニ付テハ、平時デアルナラバ何モ好ンデ甲
乙ヲ付ケル考ハ毛頭ナイガ、現在ノ時局ニ
於テハ事變處理ノ目的ニ向ッテ必要ナル產
業ノ爲ニハ、平和產業ニ犠牲ヲ拂ッテ貰フ
コトトナルコトハ事實已ムヲ得ヌ次第デア
ル、併シナガラ其ノ種類ニ依ッテハ、或ハ輸出
品ノ製作等ニ關スルモノハ、十分考慮ヲス
ルトノ御答ガアリマシタ、又一員ヨリ、此
ノ法律ハ日本興業銀行ノ增資ヲ爲シ、債劵
ノ元利拂ニ對スル保證限度ヲ擴張シタリス
ルガ、日本興業銀行ヲシテ、軍需工業會社
等ノ過剩利益ヲ集收シテ資本化シ、資金ノ
不足ノ所ニ向ケテ生產擴充ノ資金ニ融通ス
ルト云フ意味ナノカト云フ質問ガアリマシ
タ、之ニ對シテ政府ハ、現今利益ノ多クア
ル產業ト云フノハ先ヅ軍需工業デアラウト
思フ、是等ノ會社ハ餘剩利益ガアレバ之ヲ
自己ノ擴張ニ使用シ、尙餘剩ガアレバ公債ニ
振向ケルナリ、或ハ銀行預金トスルト云フ
風ニナルト思フ、併シナガラ之ヲ無駄ニ使
ハヌヤウニ、總動員法第十一條ノ經理命令
ニ依ッテ、各會社ニ命令シ得ルコトデアリマ
スルカラ從ッテ各社デ配當制限ニ依ッテ浮
イテ來ル金ハ、無駄使ヒヲセヌヤウニシテ
貰ヒタイノデアルガ、併シナガラソレニ依ッ
テ直チニ興業債劵ヲ持タセルカドウカト云
フ所マデハ考ヘテ居ラヌト云フ御答辯デア
リマシタ、以上大要申述ベマシタ質問應答
ガ行レマシタ、尙詳細ハ速記ニ依ッテ御了承
ヲ願ヒマス、次イデ討論ニ入リ、一委員ヨ
リ本法施行ニ際シテハ、一般國民ニ本法ノ
精神ヲ能ク徹底的ニ了解セシムルヤウ、政
府ニ於テ御盡力ヲ願ヒ、又實業界ヤ財界ノ
方面ニモ無益ナ脅威ヤ苦痛ヲ與ヘヌヤウニ、
例ヘバ平和產業ニ從事シテ居ル人々ヲシテ、
一〓ニ此ノ仕事ハ駄目ナノダト云ッタヤウナ
感ジヲ持タセズニ、是等ノ人々ガ快ク或程
度ノ犠牲ヲ拂フト云ッタ氣持ヲ以テ、平和產
業モ軍需產業モ、共ニ倶ニ時艱ノ克服ニ
向ッテ邁進スルヤウ、政府當局ニ於テ舵ヲ
取ッテ、サウシテ政府ノ御提唱ニナル總親和
ノ實ヲ擧ゲラレムコトヲ希望スルト云フ意
味ノ希望ヲ述ベラレテ、本法案ニ對スル贊
成意見ノ開陳ガアリマシタ、採決ノ結果、
全會一致ヲ以テ本法案ハ可決セラレマシタ、
右御報告申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=3
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004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=4
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005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=5
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006・西大路吉光
○子爵西大路言光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=6
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007・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=7
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008・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=8
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009・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=9
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010・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報〓通リ
デ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=10
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011・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=11
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012・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=12
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013・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=13
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014・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=14
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015・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
天う天発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=15
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016・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=16
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017・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=17
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018・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第二、產金
法中改正法律案、日程第三、日本產金振興
株式會社法中改正法律案、政府提出、衆議
院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、是等
ノ二案ヲ一括シテ議題ト爲スコトニ御異議
ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=18
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019・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長井上子爵
產金法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵井上匡四郞
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
日本產金振興株式會社法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵井上匡四郞
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔子爵井上匡四郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=19
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020・井上匡四郎
○子爵井上匡四郞君 只今議題トナリマシ
タ二法案ニ付キマシテ御報告ヲ申上ゲマス、
特別委員會ハ去ル十四日ヨリ五囘ニ亙リ、
午前午後ニ亙リマシテ開會致シマシタ、昨
十九日午前兩案共原案通リ可決致シマシタ、
今其ノ經過ニ付テ簡單ニ御報告申上ゲマス、
產業法ハ第七十二議會ニ於キマシテ協賛ヲ
與ヘマシタ所ノ、昭和十二年法律第十九號
ノ現行法デアルノデアリマス、此ノ法律ニ
依リマシテ從來金ハ自由商品デアリマシテ
タモノヲ、政府ハ金資金確保ノ必要上カラ、
政府ノ統制ノ下ニ金ヲ置キマシテ、又此ノ
法律ノ施行以來、政府ハ諸般ノ施設ヲ講ジ
マシテ、極力產金ノ增加ヲ圖リマスト共ニ、
或ハ金使用規則ヲ制定シ、國內ニ於ケル金
ノ消費ヲ節約シ、或ハ國民ノ協力ヲ得テ民
間所在ノ金ノ集中ニ努メテ參ッタノデアリマ
ス、今囘此ノ改正案ニ依リマシテ其ノ徹底
ヲ期セムトスルモノデアリマス、卽チ政府
ノ必要ト認メマシタ場合ニ於キマシテハ、
金地金ハ勿論、金ヲ主タル材料トスルモノ
ヲ所有スル者ニ對シ、之ガ處分ニ付テ禁止、
制限又ハ之ヲ政府若シクハ日本銀行其ノ他
政府ノ指定スルモノニ賣却シ得ベキコトヲ
命ジ得ル旨ノ法制ヲ、政府ハ整ヘ置キタイ
トノ趣旨カラノ提案デアリマス、委員會ハ
前ニ申シマシタヤウニ、數日ニ亙リ委員諸
君ハ最モ熱心ニ論議セラレマシタ、何レモ
金ヲ中心トシテ、政府ガ此ノ非常時局ヲ滯
リナク克服シ得ルヤトノ憂國ノ赤誠ノ迸リ
デアリマシテ、勿論委員中ドナタモガ此ノ案
ニ積極的ニ反對意見ヲ御持チノ御方ハナカッ
タヤウニ見受ケマシタ、併シ其ノ論議ハ我
ガ國ノ非常時財政ノ中樞ニ觸レ、大藏大臣
ハ勿論商工大臣、企〓院總裁、特ニ總理大
臣ノ長時間ニ亙ル出席ヲ求メマシテ、慎重
審議ヲ致シマシタ、從ッテ其ノ審議ノ大部分
ハ速記中止、或ハ祕密會ニ於テ行ハレマシ
タ故ニ、此處ニ御報告スル自由ヲ有セザル
コトヲ遺憾ト致シマス、此ノ審議ノ中ノ主
要ナルモノヲ申上ゲマスト、日本國民ノ愛
國心ハ法ヲ以テ强制スル必要ハナイデアラ
ウ、又各家ニ傳リマシタ所ノ家寶、美術品、
骨董品、工藝品ト云フヤウナモノマデ、之
ヲ强制徵發スルト云フコトハ、國民精神道
德上ニ及ス影響ガ如何デアラウカ、民間ノ
金ヲ徴發セズトモ、新資源ノ開發、國際收
支ノ改善等ニ依ッテ、資金獲得ノ途ヲ講ズ
ル方ガモット有效デハナイデアラウカ、今日
ハ輸入ヲ仰グ物卽チ是ハ金デアル、必ズシ
モ金ヲ政府ハ持タナクトモ、他ノ資源ニ
依ッテ金ヲ獲得スル方法ヲ講ズル方ガ有效
デハナイダラウカ、外國ハ日本財政ノ堅實
性ニ驚イテ居ル時ニ、斯ウ云フ法律ヲ發布
スルト云フコトハ日本財政ノ信用上ドウデ
アラウカ、ト云フヤウナ趣旨ノ御質問ガ相
當澤山アッタノデアリマス、之ニ對シテ政府
ハ、金ノ集中ハ國民ノ愛國心ニ愬ヘルト云
フコトハ勿論デアルガ、又此ノ法律ガ制定
セラレタカラト云ッテ、之ヲ强制スル積リ
ハナイノデアル、唯政府ハ此ノ場合、其ノ權
能ヲ確保シテ置キタイト云フノニ止マルノ
デアル、家寶其ノ他美術、工藝骨董品ノ如
キモノデアリマシテ、其ノ中ニ含ンデ居ル
金ノ値ヨリモ其ノ物ノ値段ガ頗ル高價ナモ
ノニ對シマシテハ、此ノ場合政府ニ於テ强
制シナイ積リデアル、併シ其ノ美術、工藝、
骨董品ト雖モ、ソレハ客觀的ノモノデナケ
レバナラナイノデ、主觀的デハ困ル、例へ
バ金塊ノ如キモノヲ家寶トシテ其ノ家ニ傳
ハ、若シクハ自分ノ尊敬セル先輩等ヨリ
形見トシテ貰ッタヤウナモノガアリトシテ
モ、斯クノ如キモノハ此ノ場合政府ニ提供
シテ貰ヒタイ、ソレニ對スル觀念ト云フモ
ノハ、ソレハ、其ノ人ノ主觀的ノモノデアッテ
客觀的ノモノデハナイ、又金品ニ對スル御
下賜品ノ如キモノハ、勿論此ノ場合申〓モ
徵セザル積リデアルト云フヤウナ御話デア
リマシタ、他ノ方法ニ依ル方ガ、卽チ新資
源ノ開發、若シクハ國際收支ノ改善ニ依ッテ
金ヲ獲得スル方ガ、モット有利デハナイカト
云フ質問ニ對シマシテハ、是等ノ方法ハ政
府トシテハ旣ニ極力盡シテ居ルノデアルト
云フ御答辯デアリマシテ、此ノ點ニ關シマ
シテハ努力ノ程度ノ問題デアルノデアリマ
シテ、政府ト質問者トノ間ニ必ズシモ一致
シタトモ見受ケ兼ネタヤウナ狀態デアリマ
シタ、最後ノ外國ニ及ス影響如何ト云フ問
題ニ對シマシテハ、大藏大臣ハ、非常財政
ノ場合、卽チ戰時ノ場合ノ如キハ、國民ノ
金ヲ徴收スルト云フコトハ是ハ財政家ノ定
石デアルノデ、何モ少シモ外國ニ此ノ爲ニ
日本ノ財政ノ基礎ガ動搖スルト云フヤウナ
感情ヲ與ヘルコトハナイ、財政家トシテハ
當然行フベキ所ノ定石デアルノデ、サウ云
フ御心配ハ要ラヌト云フコトデアリマシタ、
玆ニ特ニ申上ゲテ置キタイコトハ、此ノ委員
會ヲ通ジマシテ、大藏大臣ハ、我ガ國ノ金
問題ニ付キマシテハ頗ル率直ニ御說明ヲ下
サイマシタ、委員一同ハ大イニ之ヲ多トサ
レタヤウニ見受ケラレマシタ、討論ノ結果
同案ハ全會一致ヲ以テ可決セラレマシタ、
次ハ日本產金振興株式會社法中改正法律案
デアリマス、此ノ法案ハ七十三議會ニ於テ
成立致シマシタモノデアリマシテ、成立後
マダ此ノ會社ハ營業年度ノ第一年度ヲ數箇
月過シタバカリノ會社デアリマス、此ノ會
社ノ今迄ノ仕事ハ、金山ニ對シマシテノ資
金ノ融通ガ主ナルモノデアッタノデアリマ
ス、十四年一月二十日現在ニ於キマシテ、
內地ノ鑛山ニ資金ヲ融通致シマシタモノガ
十七件、朝鮮ニ百三十一件、合計百四十八
件、其ノ金額三千七百萬圓ニ達シテ居ルノ
デアリマス、政府ハ產金ノ增加ヲ必要ト致
シマスル爲ニ、此ノ改正法律案ニ依リマシ
テ、此ノ會社ニ對シテ必要ナル產金上ノ命
令ヲ爲シタ場合ニ於キマシテ、其ノ命令ニ
依ッテ生ズル損失ヲ政府ガ補償セムトスル
モノデアリマス、又會社ニ對シ配當補給金ノ
限度ヲ擴張セムトスルモノデアルノデアリマス
政府ハ前年度來種々ノ奬勵法ヲ行ッテ、
產金ノ增加ニ努力シテ參ッテ來テ居ッタノ
デアリマス、例ヘバ探鑛用貸與機械購入費、
探鑛奬勵金、選鑛場、製鍊場建設奬勵金、
金山現場係員養成施設費等ノ奬勵金ヲ政府
ハ支出致シマシテ、昭和十四年度ノ要求額
ハ八百四十八萬八千圓ニ達シテ居ルノデア
リマス、產金業ト他ノ金屬鑛業トヲ考ヘマ
スト、ソコニ現在ノ我ガ國ノ有樣デハ非常
ナ遠ヒガアリマス、他ノ金属鑛業ニ於キマ
シテハ、現在ニ於ケル製鍊場其ノ他ノ設備
ハ非常ニマダ餘裕ガアルノデアリマス、
然ルニ金山ニ於キマシテハ設備ハ總テ最
大ノ能力ニ仕事ヲ致シテ居リマシテ、慫
テ設備ヲ增加スルニ非ザレバ、產金ヲ著
シク增スト云フコトガ不可能ノ狀態ニ現
在ニ於テアルノデアリマス、サウデアリマ
スカラ、、政府ハ今囘此ノ產金振興株式會社
ニ命令致シマシテ、而シテ自ラ會社自身製
鍊場ヲ造ラセルノデアリマス、本年度ニ於
テ三箇所、將來十箇所迄會社ノ製鍊場ヲ擴
張致スノデアリマス、又鑛山ノ鑛區ハ實際
稼行ヲシテ居リマス鑛區ハ非常ニ少イノデ
アリマシテ、多クノ鑛區ト云フモノハ是ハ
唯權利ヲ保留シテ、所謂睡眠狀態ニ居ル鑛
區ガ多イノデアリマス、斯ウ云フ鑛區ヲ利
用致シマシテ、又營業會社自身トシテハ損
失ヲスルヤウナ鑛石ト雖モ、此ノ會社ハ豫
メ損失ヲ見越シマシテ、而シテ仕事ヲ致シ
產金ヲ增加致サムトスルモノデアルノデア
リマス、日本ノ非常時ニ於テ金ノ必要ナル
コトヲ痛感致シマシテ、委員諸君ハ異議ナ
ク本案ニ贊成致サレマシタ、討論ノ結果是
ニモ別ニ御發議モナク全會一致ヲ以テ可決
致シマシタ、是ニテ御報告ヲ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=20
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021・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ通〓順ニ
依リマシテ質疑ヲ御許シ致シマス、宮田光
雄君
〔宮田光雄君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=21
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022・宮田光雄
○宮田光雄君 會期切迫ノ際ニ、私如キガ
質問ヲ致スノモ如何ト存ジマシタガ、本日
ハ衆議院カラ議案ノ廻ッテ來ル都合デ、餘
リ此ノ會議ガ早ク濟ミマスト、休憩ヲ爲サ
ラナケレバナラヌト云フヤウナコトモ承ッテ
居ルノデアリマスカラ、折角御集リノ時間
ヲ割イテ、私ニ與ヘテ戴カウト、斯ウ思ッテ
實ハ此處ニ立ッタ次第デゴザイマス、質問ト
中シマシテモ、私ハ此ノ兩法案ニハ絕對ニ
贊成ヲ致スノデアリマス、何等此ノ法案ニ
對シテ文句ハナイノデゴザイマスガ、此ノ
法案ナドハ寧ロ何ゾ其ノ來ルノ遲キヤト云
フ感ガアルノデアリマス、昔カラ泥棒ヲ捕
ヘテ繩ヲ綯フト云フ話ガアルノデアリマス、
泥繩式云々ト云フ、泥繩式法案デアルト云
フト、取消ヲ命ゼラレルヤウナ虞ガアリマ
スカラ、サウ大膽ニハ使ヒマセヌガ、併シ
ナガラマア急場ノ法律デアルノデアリマス
カラ、其ノ執行上ニ於テモ又色々ト支障モ
アリマセウシ、徹底シナイ點モアルカモ知
レマセヌガ、實ハ此ノ法案ヲ御執行ナサル
上ニ於テ十分徹底ヲサセテ戴キタイ、兎角
補助法デアルトカ、奬勵法デアルトカ、サ
ウ云フ法案ハ、誠ニ法案其ノモノノ性質ト
シテハ尊重スベキ點ガアリ、又大イニ利用
スベキ價値ガアルノデアリマスガ、債之
ヲ實行シテ見ヨウト云フ場合ニナリマスト
云フト、甚ダ其ノ趣旨ノ徹底ヲ缺クヤウナ
コトガ多イノデゴザイマス、所謂羊頭ヲ揭
ゲテ狗肉ヲ賣ルヤウナ感ヲ、此ノ法律ニサ
セルト云フコトニナルト云フト、折角此ノ
時局ヲ救ハムト欲シテ政府ガ出シ、又皆樣
方ガ御熱心ニ御贊成ニナッテ成立致シマシ
テモ、甚ダ面白クナイヤウナ結果ニナルト
思フノデアリマス、此ノ法律ガ出マシタノ
ニ關シテ、實ハ過日來色々ノ話ヲ聽カサレ
テ居ルノデゴザイマスガ、產金ヲ奬勵スル
トカ云フコトハ、無論內地外地ヲ通ジテヤ
ラレルベキ問題デアリマスガ、併シナガラ
其ノ中心ハ主トシテ朝鮮ニアルノデアラウ
ト思ヒマス、內地ニ於テモ、北海道其ノ他
ニ澤山ノ金ヲ生ズル所ハゴザイマスケレド
モ、併シ是ハ朝鮮ノ全土ニ較ベマシタラバ
或ハ十分ノ一ヵ二十分ノ一カ、論ズルニ足
ラナイヤウナ分量デアルト私ハ考ヘルノデ
アリマスガ、其ノ朝鮮ニ於テ昨年來此ノ會
社ガ出來マシテ以來、色々ノ申出ヲスルト
云フコトニ對シマシテ、此ノ會社ノ當局者
ノ取扱ガ徹底シナイトハ申サナイノデア
リマスケレドモ、併シナガラ少クトモ痒
イ所ニ手ノ屆イタヤウナヤリ方デハナイヤ
ウナ感ジガ致スノデゴザイマス、昨日モ其
ノ話ヲ聽イタ時ニ、或大キナ資本家ノ
持ッテ居ル山ニ對シテハ、十萬圓ノ金ヲ
貸シテ吳レト言ヘバ、直チニ十萬圓ノ金ヲ
貸シテ吳レル、併シ我々ガ同樣ノ山ヲ持ツ
テ、サウシテ之ニ對シテ其ノ山ヲ開發スル
爲ニ金ヲ貸シテ吳レト言ヘバ、十萬圓ハオ
H〓、五萬圓モ三萬圓モ貸シテ吳レナイ、
斯ウ云フヤウナコトヲ言ッテ愬ヘマスカラ、
ソレハ無理デアラウ、君ノ言フコトハ產金
會社ノ方デハ甲ノ持ッテ居ル山ニ對シテノ其
ノ價値ハ幾ラト見ルカ分ラヌケレドモ、併
シナガラ其ノ甲ノ持ッテ居ル背後ノ力ニ對
シテ十萬圓ヲ貸スノデアルカラシテ、ソレ
ト同樣ニ君等ノ山モ同ジク十萬圓ノ資金ヲ
獲得シヨウト云フコトハ無理デアルカモ知
レヌガ、併シナガラサウ云フ風ナ性質ノ山
ガ澤山アルデアラウ、一方ハ直チニ資金ヲ
調整サレルシ、或ハ他ノ方面ニ於テハ三月
モ四月モ經ッテモ資金ガ與ヘラレナイ、斯ウ
云フヤウナコトガアッテハ、ソレハ此ノ會社
ノ出來タ趣旨ニ甚ダ背クノデアル、朝鮮ニ
於テハ大キナ資本家ト云ハズ、又小資本家
ト云ハズ、個人ト云ハズ、擧ゲテ事情ノ許
ス限リ、所謂產金報國ニ集注シテ、サウシ
テ朝鮮ノ地下ニ埋藏サレテ居ル所ノ金ノ資
源ヲ地表ニ出スト云フコトガ必要ナ場合ニ
於テ、其ノ會社ノ投資ノヤリ方ニ依ッテ之ガ
開發サレナイト云フコトニナルト、誠ニ私
ハ殘念デアルト思フノデアリマス、ソレデ
ゴザイマスルカラシテ、此ノ法律ガ出來タ
以上ハ、其ノ點ニ付テ十分ニ其ノ徹底ヲサ
セテ貰ヒタイ、惡ク之ヲ使フト云フト所謂
弱肉强食ノ補助機關ニナッテシマウ、一方ノ
モノハ益〓大キナ資金ヲ得テ盛大ニナッテ來
ル、一方ノモノハ一厘ノ資金モ與ヘラレナ
クシテ、遂ニ疲弊困憊シテ大資本ノ傘下ニ
屈服シナケレバナラナイト云フヤウナヤリ
方ハ、平時ニ於テハ宜イカ知レヌ、併シナ
ガラ所謂國家總動員ノ今日ニ於テハ、孫ノ
手モ欲シイ位ニ產金報國ニ總テノ半島人ガ
努力ヲスルコトノ出來ルヤウナ、氣持ノ好
イヤリ方ヲヤッテ欲シイト云フノガ私ノ希
望ナンデアリマス、朝鮮ニ對シテハ合併以
來國帑ヲ費スコトハ隨分多イノデアリマス、
私ハ其ノ計數ハ持ッテ居リマセヌガ、年々國
ノ豫算ヲ以テ彼ノ統治上ノ援助ヲシタ額ト
云フモノハ、蓋シ巨大ナモノデアラウト思
ヒマスカラ、朝鮮人其者ガ、日本ガ統治ノ方
針トシテ彼等カラ搾取シヨウト云フヤウナ
考ヲ持ッテ居ルトハ、決シテ考ヘテ居ラヌト
云フコトハ我々信ジテ宜シイト思フノデア
リマスガ、併シナガラ國家ガ搾取ト言ヒマス
カ、國ノ費用ノ爲ニ彼等カラ獻ジサセヨウ
ト云フコトガナクテモ、產業上ニ於テ、若
シ內地ノ强大ナル資本家ガ彼カラ何等カノ
利益ヲ取ッテ、サウシテ之ヲ內地ニ持ッテ歸
ルト云フコトニナレバ、國ニ於テハ搾取シ
ナクテモ、他ノ資本的關係ニ於テ彼等ガ搾
取セラレルノデアルト云フヤウナ感ジヲ與
ヘルト云フコトハ甚ダ面白クナイ、無論資
本家ガ朝鮮ニ行ッテ專業ヲ始メル以上ハ、利
益ガナケレバヤル人ハゴザイマセヌカラ、
適當ナ利益ヲ得ルコトニハ誰モ反對スル者
ハナイ、拒ム者モナイノデアリマスルケレ
ドモ、併シナガラ半島人ノ事業ヲ併呑シ
テ迄、又ソレヲ壓ヘテ迄コチラノ、內地人
ノ資本家ニ利スルヤウナコトガ若シアルト
云フト、是ハ治鮮上非常ニ面白クナイ、私
ハ安價ナ同情ノ言ヲ吐イテ、サウシテ彼等
ノ歡心ヲ得ヨウト云フヤウナ考ハアリマセ
又、私ハ昨年朝鮮ヘ參リマシタ時ニモサウ
云フヤウナ話ヲ澤山聞カサレ、サウシテ若
シ內地ノ如ク行政訴訟デアルトカ、訴願ト
云フヤウナ方法ガアッタナラバ、法律的ニ見
テハ必ズ一方ノ總督府ノ處分ガ破棄サレル
デアラウト云フヤウナ、サウ云フヤウナ、
サウ云フ處分ヲシテ、鑛業ノ上ニシテ居ル
ヤウナ者デモ、之ヲ訴ヘルノ途ガナイ爲ニ
泣寢入リニナッテ居ルヤウナ事例ヲ二三見
セラレテ、是ハ何カ救フ方法ガ無クチヤナ
ラヌト云フヤウナコトヲ實ハ考ヘテ居ルノ
デアリマスガ、ソレハ又適當ノ機會ニ於テ
當局ニ進言スルト致シマシテ、私ハ此ノ產
金獎勵ナリ、保護ヲスルト云フ此ノ法律
案ノ實行ニ當リマシテハ、是非共其ノ當局
大臣デアル八田商工大臣ハ、其ノ點ニ付テ
十分ニ徹底スルヤウニヤラシテ戴キタイ、
實ハ上ノ方ノ人ハ徹底スル考ヲ以テ色々ノ
畫策モシ、又各方面ノ意見ヲ聽イテ之ヲ下
ニ命ズルノデアリマスガ、近來ノ官僚ノ風
ト云フモノハ、上カラ何カ話ヲスルト云フ
ト非常ニムクレテシマウノデアリマス、サ
ウシテ何ダ君ハ、大臣ナンカニ陳情シテ怪
シカラヌヂヤナイカ、大臣ニヤッテ貰ヒ給
ヘ、僕ハソンナコトニ繫リ合ッテ居ル暇ハ
ナイカラ御免蒙ルト云ッテ、橫ヲ向イテ外ノ
書類ヲヒネ繰ルト云フヤウナ役人ガ澤山ア
ル、是ハ皆サンノヤウニ役所ニオイデニナ
ラヌ貴族方ハ御存ジナイカモ知レマセヌケ
レドモ、實際仕事ヲシテ居ル方ハ、ソンナ
目ニハ每日遇ッテ居ル、ドウシテモ殘念デ堪
マラヌ、ソレデアルガ頭ヲ下ゲル、頭ヲ下
ゲルト尙ツケ上ッテ來ルト云フヤウナ、斯ウ
云フヤウナ狀況デアルノデアリマス、私ハ
內閣總理大臣ガ此ノ官吏ノ任用令ノ擴張ハ
スルガ、併シナガラ此ノ身分保障ニ付テハ
之ヲ徹廢致サナイト云フコトヲ言ハレタ、
是ハ誠ニ下僚ヲ御思ヒニナル所ノ大キナ方
針トシテ有難ク存ズル次第デアリマス、我
我國民ト致シマシテモ······併シナガラ此ノ
身分保障ト云フコトハ、軍人ノヤウニ上ノ
命令ガ下ニ徹底スルト云フヤウナ、アア云
フ組織ノモノデアリマスカ或ハ判檢事ノヤ
ウニ獨立性ノ多イモノニ付テハ、此ノ身分
保障ト云フコトハ與ヘテ置イテモ何等ノ害
ハナイノデアリマス、併シナガラ行政官吏
ノヤウニ、上ノ命令ガ兎角徹底シナケレバ
仕事ガ出來ナイ、併シナガラ之ヲ徹底スル
コトハ出來ナイ、若シ不都合ナル役人ガア
リ、自分ノ命ヲ奉ジナイ者ガアレバ、之ヲ
馘ッテシマハウト思ッテモ、ドッコイ分限令ガ
アルカラシテ、不良ナ者デモ、不良ト言ッテ
ハ失禮デスガ、甚ダ統制ノ付カナイヤウナ
役人デモ已ムヲ得ズ之ヲ使ッテ居ルト云フ
コトニナルト、使フ人ノ不便ダケニ止ラズ
シテ、遂ニ民衆ニ弊害ヲ及スト云フコトハ、
是ハ皆サンガ御承知ノ通リデアリマス、私
ハ其ノ意味ニ於テ徹底シタル官吏ノ身分
保障ト云フコトハ、是ハ害ガ有ッテモ國民ニ
對シテ益ハナイト思フ、デアリマスルカラ
今ノヤウナ制度ハ變へテ戴キタイ、ドウモ
產金ノ問題デ斯ウ云フコト迄申上ゲテ甚ダ
失禮デアリマスガ、併シ事ノ序デガ斯ウ云
フコトニナッタノデアリマスカラ、惡シカラ
ズ御了承願ヒタイ、私ノ大キナ聲ヲ出シテ
希望スルノハ、羊頭狗肉ノ法律ニシナイヤ
ウニシテ戴キタイ、而シテ此ノ當局者ヲ能
ク激勵シテ、サウシテ總テノ階級ニ對シテ
十分ニ行キ屆クヤウナヤリ方ヲシテ戴キタ
イ、寧ロ大資本系ノ者ハ斯ウ云フヤウナ奬
勵ハ要シナイ、併シナガラ大資本系ニ總
テノ鑛山トカ、金山ト云フヤウナモノガ入ッ
テシマヒマスト、是ハ統制サレテシマッテ、
サウシテ今私ガ申上ゲタヤウナ孫ノ手モ欲
シイ位ニ、產金事業ガ興ルト云フコトハ
ナカ〓〓ヤリニクイノデアリマス、ソレデ
アリマスカラシテ此ノ現狀、朝鮮ノ現狀ヲ捉
ヘテ、サウシテ十分ニ行屆イタ所ノ御奬勵ヲ
ヤッテ戴キタイト云フト、是ハ質問ニナラナ
クナッテ意見ニナリマスガ、斯ウ云フ御考ガ
アリマスカト云フコトヲ後ニ附加ヘテ、サ
ウシテ何シマス、私ハ賛成演說ヲスル積リ
デアリマシタ、處ガ私ノ尊敬シテ居リマス
所ノ大河內子爵ガオヤリニナル、大河內子
爵ノ後ニ出ルト云フト、晝中ノ星ノヤウナ
關係ニナッテ、何ヲ言ッダンダカ存在ガ分ラ
ナクナリマスカラ、實ハ質問ニサセテ戴イ
タヤウナ譯デアリマスカラ、惡シカラズ御
了承ヲ願ヒマス
〔國務大臣八田嘉明君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=22
-
023・八田嘉明
○國務大臣(八田嘉明君) 只今宮田サンノ
御質問ニ對シテ御答ヘ申上ゲマスガ、朝鮮
ニ於ケル產金ノ事業ハ內地ニ於キマスル所
ノ產金ノ計畫ト相俟チマシテ、總督府ニ於
テ十分ナ計畫ノ下ニ、有ラユル方法ヲ講ジ
テ居ルコトハ御承知デアルノデアリマス、
卽チ最近ニ於キマシテハ或ハ產金ノ道路デ
アリマストカ、或ハ產金事業ノ爲ニ必要ナ
ル電力ノ供給ト云フヤウナモノニ付キマシ
テ、特ニ力ヲ入レテ居ルト思フノデアリマ
ス、今囘此ノ產金會社法ノ改正案ニ伴ヒマ
シテ、一層內地モ外地モ資金ノ融通ト云フ
コトニ於キマシデ、餘程改善セラルヽ點ガ
アルト思フノデアリマス、過去ニ於キマシ
テハ何ト申シマシテモ、相當確カト認メラ
レナイ事業ニハ、資金ノ融通ガ兎角困難デ
アッタト考ヘルノデアリマス、今囘此ノ改
正ニ依リマシテ必要ト考ヘマスル所ノ事業
ニ·假令ソレガ小サナ事業デアリマシテ
モ、命令ヲ以チマシテ低利資金ノ融通ヲス
ルコトガ出來ルヤウニナッテ居リマス、ソレ
ニ對シマシテ政府ハ必要ニ應ジマシテ、更
ニ補償ヲスルト云フヤウナ制度モ設ケラレ
テ居リマスルカラ、今後ニ於キマシテハ只
今申上ゲマシタ、現ニヤッテ居リマスル朝鮮
ニ於ケル產金奬勵ノ方法ト相俟チマシテ、
一段ト改善ガ加ヘラレルト存ジマス、從ヒ
マシテ今御指摘ニナリマシタル產金事業者
ニ對シマシテ、或ハ十分ナル行屆ガ出來ナ
カッタヤウナ點モアッタカト考ヘルノデア
リマス、何レニ致シマシテモ產金ノ事業ハ
御話ノ中ニアリマシタ如ク、今日最モ重要
ナル政策ノ一ツデアリマスノデ、此ノ取扱
ニ付キマシテハ十分公正ニ、而シテ特ニ朝
鮮ノ如キ特殊ノ地域ニ於キマシテハ、其ノ
產業ノ發達ニ對シマシテ、延イテ又文化ノ
向上ニ對シマシテ、十分遺憾ナキヲ期スル
積リデアリマスノデ、御了承ヲ願ヒタイト
思ヒマス
〔公爵一條實孝君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=23
-
024・一條實孝
○公爵一條實孝君 私ハ產金法中改正法律
案ニ付キマシテ、唯一點大藏當局ニ御伺ヲ
シタイ點ガアリマス、ト申シマスルノハ今
囘產金法中改正法律案ニ依リマシテ、國民
ノ所有致シテ居リマスル有ラユル金製品ヲ、
必要ノ場合ニ於テハ政府ガ徵收スルコトガ
出來ルコトニナッタノデアリマス、今日迄ノ
政府ガ金製品ヲ御取上ゲニナッテ居ル狀態
ヲ拜見致シマスルト、金ノ純金分ヲ標準ト
シテ、何等加工費其ノ他ノコトニハ御注意
ヲ拂ハレテ居ラレヌト云フコトハ、憲法ノ
保障ノ私有財產ノ點ニ於テ如何デアルカト
私ハ心配スル者デアリマス、勿論政府ガ出
シテ居リマスル所ノ公債ト雖モ、嘗テ百萬
圓ヲ所有シテ五萬圓ノ利息ヲ頂戴シテ居ッ
タモノガ、一擧ニシテ三萬五千圓、或ハ其
ノ以下ニナサルト云フコトモアルノデアリ
マスルカラ、必ズシモ金製品ノ原價其ノモ
ノデ御引取ヲ願ヒタイト云フコトヲ考ヘル
ノデアリマセヌガ、何等ノ加工費ヲ御考ニ
ナラズニ、唯純金分ヲ以テ御取上ニナルト
云フコトハ、餘リニモ民ヲ壓迫スルコトニ
ナルノデハナイダラウカ、私ハ斯ウ云フ點
ニ於テモウ少シ天皇陛下ノ思召ヲオ役人
ガ體セラレテ、御慈悲ノアル御處置ヲ御執
リニナラムコトヲ希望シ、敢テ當局ニ此ノ
御志アルヤ否ヤヲ伺ヒタイノデアリマス
〔政府委員矢野庄太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=24
-
025・矢野庄太郎
○政府委員(矢野庄太郞君) 只今一條公爵
ノ御質問ニ對シテ私ヨリ御答ヲ申上ゲマス、
御承知ノ通リニ只今國家ト致シマシテ、金
ノ必要ヲ非常ニ感ジテ居リマスルノデ、國
民ノ愛國心ニ愬ヘマシテ、是非御協力ヲ願
ハナケレバナラヌノデゴザイマス、從ヒマ
シテ只今議題トナッテ居リマスル法律案ヲ
提出致シタノデゴザイマスルガ、此ノ金製
品ノ買上ニ付キマシテハ、法律案ニモ示シ
テアリマスル通リニ、金委員會ノ定ムル所
ニ依ッテ其ノ價格ヲ決メルコトニ致シテアル
ノデゴザイマス、從ヒマシテ御質問ノ如キ
金製品ニ付キマシテハ、金委員會ガ適當ナ
ル價格ヲ定メラレルコトト存ジテ居ルノデ
アリマス、尤モ只今迄多數ノ國民ガ其ノ愛
國ノ至情カラ、普通ノ金製品ヲ政府ニ賣却スル
申込ヲ受ケテ居ルノデアリマス、斯樣ナ普
通ノ金製品ニ付キマシテハ、今日迄ハ其ノ
製品ニ含マルヽ所ノ金ノ純分ニ依ッテ、買上
ゲテ來テ居ルノデアリマスルノデ、此ノ點
ハ金委員會ニ於テ斟酌セラルヽコトト存ジ
テ居ル次第デアリマス、是ダケ御答ヲ申上
ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=25
-
026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 通告者ヲ終リマ
シタ、討論ノ通告ガゴザイマス、子爵大河
內正敏君
〔子爵大河內正敏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=26
-
027・大河内正敏
○子爵大河內正敏君 只今上程サレテ居リ
マス兩案ニ付キマシテ、一括シテ私ハ贊成
ノ意見ヲ述ベル者デゴザイマスガ、併シナ
ガラ決シテ滿足ヲ以テ贊成スル者デハゴザ
イマセヌ、斯クノ如キ法案ハ頗ル消極的デ
アッテ、何等產金ノ增產ニ對シテ大イナル影
響ヲ及スモノデナイ、尙他ニ爲スベキコト
ガ多々アルニ拘ラズ、斯クノ如キ案ノ出ル
ト云フコトヲ遺憾ニ思フモノデアリマス、
極ク簡單ニ其ノ理由ヲ申述ベルノデアリマ
スガ、只今一條公爵ノ御述ニナリマシタル
如ク、產金法ノ改正案ハ國民ノ持ッテ居リマ
スルモノヲ、政府ガ强制買上ヲセムトスル
案デアリマシテ、是ハ無論今日ノ場合必要
ナ事デアリマス、而シテ一面ニ於テ日本國
民性カラ考ヘマスナラバ、其ノ必要ハナイ
ト云フ議論モ出ル位ノ案デゴザイマス、斯
クノ如キコトヲナサルヨリハ、モット前ニ產
金ヲ助成スルコトヲ考ヘラレル途ガ多々ア
ルト思ヒマス、殊ニ今日ハ日本產金振興株
式會社法中ノ改正法律案ヲ出サレテ、此ノ
會社ノ事業定款等ヲ改正シテ迄モ、增產ヲ
圖ラレヨウトシテ居ル場合デゴザイマスル
カラ、當然モット積極的ノ產金助成案ガ考へ
ラレナケレバナラナイト思ヒマス、御承知
ノ通リ今全國ニ於テハ多數ノ金山ガ採掘サ
レズニ休ンデ居ルノデアリマス、若シクハ
金ノ鑛區ヲ所有シテ居リマシテモ、之ヲ開
發スル意思モナシ、又之ヲ開發スルダゲノ
能力モ十分ナイ者ガ、唯單ニ投機ヲ目的ト
シテ鑛區ヲ賣却シ、ソレニ依ッテ利益ヲ得ムト
スルコトヲ目的トシテ所有シテ居ルノガ多々
アルノデアリマス、例へバ商工省ノ御調ニ
依リマシテモ、約半數ノ鑛區シカ稼行ヲシ
テ居リマセヌ、他ハ所謂休眠鑛山トシテ其
ノ儘ニナッテ居ルノデアリマス、今日國民ガ
私有シテ居ル金ヲ政府ハ强制買上ヲスルト
云フコト迄ニ大藏省ハ必要ヲ感ジテ居ラレ
ル、ソレヲ何故產業ヲ掌ラレル產業省ニ於
テハ、休眠鑛區中ニアリマス金ヲ强制的ニ
出スコトヲ御考ニナラナイノデアリマセウ
カ、殊ニ產金振興會社ノ如キモノガ出來テ
居リマスカラ、ドウシテモ是ハ强制的ニ沒
收スルトカ、鑛區ヲ持ッテ居リマシテモ、其
ノ開發ノ意思ナキモノハ國家ガ之ヲ沒收シ
テ、特殊會社デアル產金振興株式會社ニ之ヲ
開發サセル積極的ノ手段ハ多々アルト思ヒ
マス、國民ノ私有シテ居ル金ヲ强制的ニ買上
ゲヨウトスル一方、唯鑛區ヲ所有シテ居ル
ダケデ、其ノ中ニアル金ハ其ノ儘ニシテ置
クト云フコトハ、ドウシテモ不公平極マル
考デアルト思ヒマス、若シ是ガ不公平ト言
フコトガ惡ケレバ、如何ニモ努力ガ足リナ
イ、監督官廳トシテハ努力ガ足リナイト云
フコトヲ申サナケレバナラナイト思ヒマス、
又日本產金振興株式會社法中ノ改正ハ、主
トシテ金融ニ依リマシテ金ノ開發ヲ圖ル、
若シ此ノ場合ニ政府ガ命令シタコトニ依ツ
テ產金會社ガ損失シタ場合ニハ、之ヲ補償
シテヤラウト云フ案デアリマスガ、是亦頗
ル不思議ナ案ト居ハザルヲ得ナイノデアリ
やく、今日ハ國民ガ命ヲ捧ゲテ國ノ爲ニ盡
シテ居ル時ニ當リマシテ損失ヲスル、其ノ
特殊會社ガ損失ヲスルト云フモノニ對シテ
補償ヲシテヤラウト云フ法律迄モ出サナケ
レバナラヌト云フコトハ、頗ル不思議デア
ルト考ヘルノデアリマス、積極的ニ損ヲシ
テ何デモ構ハナイ、國家ガ之ヲ開發スルノ
ガ當然デアルト思ヒマス、今日ノ事態ハ百
萬圓ノ損失ヲ招キマシテモ、一箇年ニ百萬
圓ノ損失ヲ招キマシテモ、一千萬圓ノ金ヲ
出スコトガ必要デアリマス、札ニ於テ損ヲ
シ、現金ヲ取得スルノデアリマスカラ、金
ノ保有、爲替資金トシテノ金ノ保有ハ之ニ
依ッテ目的ガ達成セラレルノデアリマス、何
等爲替ニ影響ヲ受ケマセヌ、而シテ又若シ
二百萬圓ノ損失ヲ以テ一億ノ金塊ヲ出スコ
トガ出來レバ尙更可ナリデアリマス、平時
ノ自由主義經濟ト今日ハ全然變ッテ居リマ
シテ、戰時經濟デアリマス、戰時經濟ニ於
テハ國家ガ當然斯ウ云ンコトヲシテ宜シイ
ノデアリマス、又サウシナケレバ金ノ增產
ハ圖ラレナイト思ヒマス、故ニ皆樣ノ御意
見モアリマシタ如ク、金ノ買上値段ヲ引上
ゲマシタナラバ、之ニ依ッテ增產ガ出來ルデ
ハナイカ、今日ノ場合何故金ノ買上値段ヲ
增サナイノデアルカト云フコトニ對シマシ
テハ、無論爲替關係ガゴザイマス、一「シ
ルリング」一「ベンス」ノ爲替ヲ維持スル爲
ニ、此ノ際金ノ買上値段ヲ上ゲルコトハ困
難デアルト云フコトデアリマスナラバ、何
故金ノ增產ニ對シテ之ヲ補助スル案ヲ考ヘ
ラレナイノデアリマスカ、買上値段ヲ變ヘ
ズシテ、金ノ生產ニ對シテ特ニ國家ガ補助
スル、積極的ニ補助ヲスルハ單ニ金融ト云
フヤウナ問題デナシニ、積極的ノ補助ヲス
ルト云フコトモ必要デアリマセウシ、又
方ニ於キマシテ金ヲ保有スル必要上、流出
ノ因トナリマス輸入ヲ防遏スル爲ニ、其ノ
方ノ增產計畫ヲ積極的ニ圖ラナイノデアラ
ウカト云フ疑問モ出ルノデアリマス、例
バ石油問題ノ如キ、今日長期建設ヲ致シマ
スニ對シテモ、或ハ蔣政權ヲ何處迄モ擊破
致シマスニ付キマシテモ、相當多量輸入ヲ
致サナケレバナラヌ日本ハ立場ニナッテ居
リマス、此ノ石油ノ增產計畫ヲ立テルト云
フコトハ、同時ニ金ノ增產ヲ圖ルト少シモ
違ハナイノデアリマス、ソレダケ流出ガ防
ゲマスカラ、石油ノ如キハ最モ手ッ取リ早ク
熱心ニ增產ヲナサナケレバナラナイ、之三
對シテ當局ハ大藏者ニ對シテ相當ノ金額ヲ
要求サレタサウデアリマスケレドモ、今議
會ニ提出セラレマシタ豫算ニ依リマスレバ、
僅カ數百萬圓シカ之ニ對シテ投下サレテ居
ラナイノデアリマス、是ハ如何ニモ政府部
內ノ私ハ不統制ニ基因スルノデアル、一方
ニ於テ大藏省ガ金ノ買上迄モ考ヘルト云フ
時ニ、積極的ニ增產ノ如何ニ必要デアルカ
ト云フコトハ、他ノ省ニハソレ程ニ映ラナ
イノデアリマス、大藏省ガ必要ヲ感ジテ居
ル程映ラナイ、同時ニ石油ノ如キモノヲ、
監督官廳ガ必要ヲ十分ニ認メテ增產奬勵ヲ
シヨウトシテモ、其ノ豫算ハ今度ハ大藏省
ノ方デハ認メナイト云フ結果ニナッタト云
フコトハ、如何ニモ不統一デアルト考ヘナ
ケレバナリマセヌ、尙此ノ他ニ例ヲ擧ゲレ
バ多々ゴザイマセウ、澤山ノ例ガ他ニゴザ
イマスケレドモ、ソレハ今日申上ゲルノヲ
控ヘマシテ、今宮田君ガ仰セラレタ如キハ、同
ジ省內デモ不統一ガアルノデアル、上ノ方
ノ御方ニ話ヲスレバ能ク分ルノデアルガ、下
ハソレガ徹底セズニ、却テソレニ上ノ申サ
レタコトニ對シテハ、一番後ニ取扱ヲスル
ト云フヤウナ情勢デハ、是ハ此ノ時局ニ對
應シマシテ到底產金ノ奬勵ヲヤルコト
モ出來ナケレバ、或ハ爲替資金ヲ維持
スルト云フ問題ニ對シテモ、非常ナ障
碍ガアルト思ヒマス、斯クノ如キコト
ヲ數ヘ立テテ居リマシテモ、今日ノ場
合時間ガ十分ゴザイマセヌカラ、私ハ簡單
ニ申上ゲテ此ノ討論ヲ終リタイト思ヒマス
ガ要スルニ今日此ノ案ニ私ガ贊成ヲ致シマ
スノハ、決シテ滿足ノ意味ニ於テ贊成スル
ノデハナクシテ、斯ウ云フ案ヨリモマダ外
ニ良イノガ澤山アルデハナイカ、ソレヲ其
ノ方ニハ著手セズニ、ホンノ一部ノ遠方カ
ラ射撃ヲスルト云フヤウナ此ノ案デハ不滿
足デアル、モット積極的ニ肉彈デ以テ突擊
スルヤウナ案ガ澤山アルノニ、其ノ案ハ出
テ來ナイ、併シ無キニ優ルノデアリマスカ
ラ、此ノ意味ニ於テ私ハ此ノ案ニ贊成致シ
タイト思フノデアリマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=27
-
028・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ニテ討論ヲ終
リマシタ、兩案ノ採決ヲ致シマス、兩案ノ
第二讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=28
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029・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=29
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030・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=30
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031・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=31
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032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=32
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033・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=33
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034・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 兩案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、兩案全部、委員長ノ報告通リデ
御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=34
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035・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=35
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036・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=36
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037・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=37
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038・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=38
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039・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=39
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040・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 兩案ノ第三讀會
ヲ開キマス、兩案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=40
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041・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=41
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042・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第四、恩給
法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會ノ續、委員長報告、委員長公爵岩
倉具榮君
恩給法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十四年三月十七日
委員長公爵岩倉具榮
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔公爵岩倉具榮君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=42
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043・岩倉具榮
○公爵岩倉具榮君 只今議題トナリマシタ
恩給法中改正法律案ニ關スル特別委員會ノ
經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、本改正
案ノ要旨トスル所ハ、先日本會議ニ於テ政
府委員ヨリ說明ノアリマシタ通リ、第一ハ、
航空基地ニ在ッテ地上ノ勤務ニ服スル公務
員ニ對シマシテモ、航空機ニ乘ッテ戰地ニ赴
キ戰務ニ從事スル公務員ニ對シマスルト同
樣恩給在職年ノ計算ニ當リ、一月ニ對シ
テ三月ノ加算ヲ與ヘムトスルノデアリマス、
第二ハ、現行法ニ依リマスト、下士官以上ノ
軍人ハ總テ俸給ノ百分ノ一ニ相當スル金額
ヲ每月國庫ニ納付スル義務ヲ負擔シテ居ル
ノデアリマスガ、戰地ニ於キマシテハ納付
金ヲ徵收スルコトガ著シク困難デアル事情
ニ鑑ミマシテ、是等ノ公務員ニ對シマシテ
戰時又ハ事變中一定限度ニ於テ納金義務ヲ
免除シ得ルノ途ヲ拓カムトスルモノデアリ
やく、本委員會ハ三月十六日ト十七日ト二
囘開キマシテ、委員各位ト政府當局トノ間
ニ各方面ニ亙ッテ愼重ナル質疑應答ヲ重ネ
タノデアリマスガ、之ガ詳細ハ速記錄ニ讓
リ、以下主ナル事項ニ付テ簡單ニ申上ゲマ
ス、先ヅ第三十二條ノ改正ニ付テ、軍艦乘
組員モ航空關係者ト同樣ナ狀況下ニ在ルヤ
ニ思ハレルガ、航空關係者ノミヲ三箇月加
算スルハ如何、又航空部隊附ノ航空基地ト
特ニ改正案ニ明記シタル理由如何、航空基
地ニ勤務シタル者ハ總テ此ノ恩典ニ浴スル
ヤトノ質疑ニ對シマシテ、政府委員ヨリ、軍
艦乘組員ノ居殘部隊ト航空基地ノ地上勤務
者トハ、勤務ノ度合ニ於テ著シク異ナリ、航空
基地ノ地上勤務者ハ戰地ニ在ル者ト同樣ナ激
務ニ服シテ居リ、且場所ノ關係カラモ戰地ニ
近ク、兩者ハ餘程實情ヲ異ニスル、又航空部
隊附ノ航空基地ト致シタノハ、航空基地ニハ航
空部隊以外ノ公務員モ多數居リ、餘リ之ヲ擴
ゲタクナク、實際戰場ニ行ッテ戰フ者ト一體
ヲナシテ、攻擊防禦ノ準備ヲ爲ス者ノミニ加
算スル考デ、特ニ制限ヲ附シタノデ、特殊ナ
戰務ト書イタノモ其ノ故デアルトノ答辯デ
アリマシタ、次ニ是ハ本法ヲ改正セズト
モ、現行法第三十二條末項ノ規定ニ依リ、
勅裁ヲ經テ適當ニ行政上ヤリ得ルト思フガ
如何トノ質疑ニ對シマシテ、航空基地ヲ勅
裁ヲ經テ戰地ト爲スハ妥當ヲ缺ク場合モ生
ジ得ルノデ、法律ヲ改正シテヤリタイトノ
答辯デアリマシタ、次ニ第五十九條ノ改正
ハ全ク手續上ノ問題デアルトノ說明デア
ルガ、法文上ヨリ見レバ軍人優遇ノ意味ニ
取レル、今囘ノ事變ハ國民全體ノ戰爭デア
ルト政府ハ盛ニ强調シテ居ル時ニ、特ニ軍
人ノミニ俸給ノ納付金ヲ免除スルト云フ特
典ヲ與ヘルノハ、他ノ文官、一般人ニ對シ
テ一種ノ不釣合ノ感ジヲ與ヘル虞ガアルト
思フガ如何、又手續ガ面倒ナレバ何カ便法
ヲ設ケテハ如何トノ質疑ニ對シマシテ、政
府委員ヨリ、御趣旨ハ誠ニ尤モデアルガ、
提案理由書ニモアル通リ、是ハ手續ノ關係
デアリ、軍人優遇ノ考デハ毛頭ナイ、尙國
民ノ間ニ假ニモサウ云フ誤解ヲ生ズルヤウ
ナコトガナキヤウ、政府ハ有ラユル機會ニ
方法ヲ講ジ、十分ニ注意スルトノ答辯デ
アリマシタ、尙手續上ノ便法ニ付テハ、現
地デモ支拂ニ關シテ講ジテ居リ、又戰時ニ
於ケル會計取扱ニ關シ、會計法ノ一部改
正モ出テ居ルガ、ソレデモ到底賄ヒ切レヌ
ノデ、本改正案ヲ提出シタノデアルトノ答
辯デアリマシタ、次ニ附則ニ於テ第三十二
條ノ改正規定ハ、昭和十二年七月七日ヨリ
遡及シテ效力ヲ有スルコトヲ規定シテ居ル
ガ、何故今日迄之ガ提案ガ遲延シタフデア
ルカトノ質疑ニ對シマシテ、事變勃發當初
ハ出來得ル限リ現行法デヤッテ行ク考デ居
タガ、事變ノ擴大化ニ因リ、ドウシテモ此
ノ儘デハ不便デ困ルト云フコトニナリ、之
ガ改正案ヲ今囘提出シタ次第デアルトノ答
辯デアリマシタ、次イデ祕密會ニ入リ航空
基地ノ實情ニ付海軍側政府委員ヨリ詳細ナ
說明ガアリマシタ、終ッテ陸軍側政府委員ヨ
リ現地ニ於スル俸給支給及納金徵收事務ノ
困難ナル實情ニ付テ詳細ナル說明ガアッタ
ノデアリマス、次ニ張鼓峰事件關係者ニ對
シテハ如何ニ加算スルヤ、又滿洲ニ駐在ス
ル軍隊ニ對シテモ加算ヲ考慮シテハ如何、
又遺族ニ對シテハ恩給ヲ支給スルニ止マラ
ズ、積極的ニ遺族學校ノ如キモノヲ設置シ
テ、子女ノ〓養ニ充テル考ナキヤ等ノ質疑
ガアリマシタ、是等ニ對シマシテハ政府委
員ヨリ、御趣旨ハ十分拜承シ善處シタイト
ノ答辯デアリマシタ、質疑ヲ終リマシテ討
論ニ入リ、一委員ヨリ贊成意見ガ述ベラレ
マシテ、軍人ニ對シテハ唯金錢恩給サヘ考
ヘレバ宜イト云フダケデナク、モット廣ク待
遇恩給方法ヲ新設シテ、優遇ニ資セラレタ
キ旨ノ希望ガ開陳セラレマシタ、續イテ採
決ニ入リ、全會一致ヲ以テ原案通リ本案ヲ
可決シタ次第デアリマス、以上御報告申上
ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=43
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044・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=44
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045・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異御ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=45
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046・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=46
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047・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=47
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048・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=48
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049・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=49
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050・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報告通リ
デ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議テシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=50
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051・松平頼壽
○議長(伯爵松平頼壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=51
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052・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=52
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053・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=53
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054・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=54
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055・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=55
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056・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=56
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057・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=57
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058・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第五、國債
整理基金特別會計法中改正法律案、日程第
六、明治三十九年法律第三十四號中改正法
律案、日程第七、明治四十二年法律第九號中
改正法律案、日程第八、昭和十三年法律第
六十四號中改正法律案、日程第九、朝鮮銀
行劵及臺灣銀行劵ノ保證發行限度ノ臨時擴
張ニ關スル法律案、日程第十、昭和十三年
法律第二十三號中改正法律案、日程第十
昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案、日程
第十二、昭和七年法律第一號中改正法律案、
日程第十三、支那事變ニ關スル特別賜金ト
シテ交付スル爲公債發行ニ關スル法律案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委
員長報〓、是等ノ各案ヲ一括シテ議題トナ
スニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=58
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059・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長高橋子爵
國債整理基金特別會計法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵高橋是賢
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
明治三十九年法律第三十四號中改正法
律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵高橋是賢
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
明治四十二年法律第九號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵高橋是賢
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十三年法律第六十四號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵高橋是賢
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮銀行劵及臺灣銀行劵ノ保證發行限
度ノ臨時擴張ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵高橋是賢
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十三年法律第二十三號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵高橋是賢
〓貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵高橋是賢つ
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和七年法律第一號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵高橋是賢
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
支那事變ニ關スル特別賜金トシテ交付
スル爲公債發行ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十九日
委員長子爵高橋是賢
貴族院議長松平賴壽殿
〔子爵高橋是賢君演登ニ壇ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=59
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060・高橋是賢
○子爵高橋是賢君 只今議題ト相成リマシ
タ諸法案ノ中、便宜上先ヅ國債整理基金特
別會計法中改正法律案、明治三十九年法律
第三十四號中改正法律案及明治四十二年法
律第九號中改正法律案、此ノ三案ハ相互ニ
關聯スル所ガアリマスノデ、先ヅ此ノ三案
ニ付テ申上ゲタイト存ジマス、只今申述べ
マシタル三案ハ、去ル三月十五日、昭和十
四年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債
發行ニ關スル法律案ノ特別委員會ニ併託ニ
相成リマシタ、是ヨリ同委員會ニ於ケル審
議ノ經過竝ニ結果ニ付テ御報告申上ゲマ
ス、委員會ニ於キマシテハ、數囘ニ亙リ愼
重審議ヲ遂ゲ、三法案ヲ一括シテ質疑應答
ガ行ハレ、去ル三月十八日質問ヲ終了致シ
マシタ、是等ノ三法律案ハ、政府ガ昭和十
四年度以降ニ於テ發行スル公債ニ付テ、其
ノ一部分ヲ長期ノ小額公債ヲ以テ、割引ノ
方法ニ依ツテ發行セムトスル爲ニ、國債整
理基金特別會計法ノ改正ヲ必要トシ、ソレ
ニ連レテ他ノ二法律案ノ改正ヲ行フノデア
リマス、今質疑應答ノ主ナルモノヲ申上ゲ
マスルト、委員諸君ヨリ、割引公債ノ發行
高額面ノ種類、償還年限及割引步合等ニ
付キ質シタル後、割引公債ノ利廻ヲ良クス
ルト、他ノ利付公債等ノ賣出ヲ阻害スルコ
トナキヤ等ノ質問ガアリマシタ、之ニ對シ
テ政府ハ、發行高ハ二億圓ヲ目標トシテ居
ル、額面ハ差當リ十圓、二十圓ノ種類ヲ考
ヘテ居ルガ、償還期限及割引步合ニ付テ
ハ、利付國債ノ利廻等ヲ參酌シ、又此ノ割
引公債ニハ稅ガ課カラヌ等ノ點ヲ考慮ニ入
レテ、適當ニ定メタイト思フ、假ニ三分五
厘ノ複利計算ニ依リテ期限ヲ九年トシマス
ルト、十圓ノ公債ヲ七圓程度デ發行スルコ
トトナルガ、是ハ新シキ試ミデアルノデ、
其ノ成績ヲ見ナガラ、徐々ニ發行シテ行ク
積リデアルカラ、他ノ利付公債等ニ惡影響
ヲ與フルヤウナコトハナイト考ヘル、又將
來多額ノ公債發行ヲ必要トスル今日ノ狀況
ニ於テハ、成ルベク大衆ニ持タセルヤウ誘
導スルコトガ肝要ト思フニ依リ、國債ノ種
類ニ「ヴァラェテイ」ヲ設ケテ、民衆ノ希望
ニ應ジ得ルコトハ、國債消化ノ一助トモナ
リ、他面又公債ノ利子ヲ貯蓄スル形トナル
故貯蓄奬勵ニモナルモノデアル、併シナ
ガラ之ガ償還期ニ當ッテハ、一時ニ多額ノ割
引差額ヲ支出スルコトトナリ、國債償還ノ
計畫上適當ナルニ付、之ヲ避クル爲ニ改正
ヲ爲スト共ニ、國債ノ消滅時效ニ關スル現
行ノ規定、竝ニ國債ノ買入償還ヲ爲ス場合
ノ買入價格ノ決定方法ニ關スル現行規定ニ
付テモ、ソレ〓〓改正ヲ要スル部分ガアル
トノ答デアリマシタ、尙一委員ヨリ、明治
三十九年法律第三十四號ノ改正ノ結果、第
九條ノ但書ヲ削除サレタガ、是ハ無期限ト
ナルノデアルカ、又旣發公債ノ消滅時效ノ
五箇年ハ如何相成ルモノデアルカト云フ質
問ニ對シマシテ、政府ハ、今囘ノ割引發行
ニ依ル公債ハ十箇年トスル考デアル、又從
來ノ小額公債ハ、五箇年ト云フノハ短カ過
ギルト思フ故、總テ十箇年トスル意嚮デア
ル、從ッテ旣發ノモノハソレダケ延ビル譯デ
アルト云フ御答辯デアリマシタ、尙詳細ハ
速記錄ニ依ッテ御了承ヲ願ヒマス、斯クシテ
質疑ヲ終リ、討論ニ入リマシタ處、何等ノ異
議モナク、採決ノ結果三法案トモ、全會一致
可決ト相成リマシタ、次ニ昭和十三年法律
第六十四號中改正法律案外五案ノ審議ノ模
樣及結果ヲ御報〓申上ゲマス、第一ニ、
昭和十三年法律第六十四號中改正法律案ニ
付キマシテ申上ゲマス、此ノ法案ノ要旨ノ
大要ヲ申述ベマスルト、是ハ日本銀行ノ保
證發行限度ヲ五億圓增額致シマシテ、二十
二億圓ト致シマスル改正法律案デアリマス、
次ニハ、朝鮮銀行ノ保證發行限度一億圓ヲ
一億六千萬圓ニ擴張シ、又臺灣銀行ノ保證
發行限度五千萬圓ヲ八千萬圓ト改正致ス法
案デアリマス、第三ハ、關東州、朝鮮、臺灣、
樺太等ノ各特別會計ニ於テ、今度ノ增稅ニ
依リ收入スル額ノ內、勅令ノ定ムル所ノ金
額ヲ各〓、臨時軍事費特別會計ニ繰入レル法
案デアリマス、第四ハ一般會計ノ追加ト
シテ、公債三億六千三百萬圓ヲ更ニ追加發
行スル法案デアリマス、第五ハ、滿洲事件
ニ關スル經費支辨ノ爲ニ三億四千七百六十
萬圓ノ公債ヲ增發スル法案デアリマス、最
後ハ、軍人ノ死沒者ノ遺族ニ交付スベキ特
別賜金ノ交付公債ヲ發行セムトスル法律案
デゴザイマス、以上ノ六法案ニ付キマシテ、
本委員會ニ於ケル審議ノ經過竝ニ結果ヲ簡
單ニ御報告申上ゲタイト思ヒマス、委員會
ニ於キマシテハ、是等法案ヲ一括致シマシ
テ問題ニ致シマシテ、種々ナル質問應答ガ
アリマシタガ、詳細ハ總テ速記錄ニ讓リタ
イト存ジマス、質疑ノ最モ集中サレタル點
ハ、兌換劵ノ急激ナル增發ニ對スル物價ノ
關係、及ビ物資需給ノ動向等ニ對スル質問
應答、及ビ朝鮮銀行劵ノ北支其ノ他ニ於ケ
ル流通ト中國聯合準備銀行劵トノ關係、從ツ
テ支那ニ於ケル法幣トノ關係等ニ對スル質
問應答ガ行ハレマシタガ、詳細ハ全部速記
錄ニ讓リマス、斯クシテ質問ヲ終リマシテ、
討論ニ入リマシタガ、何等異議モナク、採
決ノ結果、全會一致本案ハ可決セラレマシ
タ、右御報告申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=60
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061・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ各案ノ採決ヲ致シマス、各案ノ第二讀
會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=61
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062・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=62
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063・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=63
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064・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=64
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065・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=65
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066・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=66
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067・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 各案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問題
ニ供シマス、各案全部、委員長ノ報〓通リ
デ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=67
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068・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=68
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069・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=69
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070・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=70
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071・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=71
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072・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=72
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073・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 各案ノ第三讀會
ヲ開キマス、各案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=73
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074・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、議事ノ都合ニ依リマシテ午後六時
迄休憩ヲ致シマス
午後三時四十分休憩
午後六時十一分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=74
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075・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 報告ヲ致サ
セマス
〔佐藤書記官朗讀〕
本日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
昭和十四年度歲入歲出總豫算追加案(第
二號)
昭和十四年度各特別會計歲入歳出豫算追
加案(特第二號)
豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲ス
ヲ要スル件(追第三號)
臨時陸軍材料資金豫算案
災害被害者ニ對スル租稅ノ減免、徵收猶
豫等ニ關スル法律案
登錄稅法中改正法律案
有價證劵移轉稅法中改正法律案
臨時陸軍材料資金特別會計法案
中支那振興株式會社法中改正法律案
健康保險法中改正法律案
大日本航空株式會社法案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=75
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076・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 休憩前ニ引
續キ會議ヲ開キマス、日程第十四、大正九
年法律第五十三號中改正法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報〓、
委員長堀田伯爵
大正九年法律第五十三號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十四年三月十九日
委員長伯爵堀田正恒
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵堀田正恒君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=76
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077・堀田正恒
○伯爵堀田正恒君 只今議題トナリマシタ
大正九年法律第五十三號中改正法律案ニ付
キマシテ、特別委員會ノ經過竝ニ結果ニ付
テ御報告申上ゲマス、本案ハ三月十七日、
朝鮮事業公債法中改正法律案ノ委員會ニ併
託ニナリマシテ、三月十八政日府委員ヨリ
詳細ニ提案ノ理由ノ說明ガゴザイマシタ、
其ノ法案ノ〓要ヲ申上ゲマス、朝鮮ト滿洲
トノ國境ノ鴨綠江ト圖們江トニ於キマシテ、
十四箇所ノ橋梁ト、七箇所ノ水力電氣工事
トノ計畫ガアリマシテ、橋梁ノ方ハ朝鮮ト
滿洲國トノ協定ニ依リマシテ、互ニ工事費
ノ約半分ヲ分擔シテ架橋工事ヲスル、卽チ
朝鮮ガ、六箇所デ、工事費三百八十八萬圓、
滿洲國ガ八箇所、其ノ工費約三百九十萬圓
ト云フコトデ著手シマシテ、旣ニ朝鮮側ノ
慶源及穩城ノ二箇所、滿洲國側ノ慶興ノ一
箇所ハ竣功致シテ居ルノデアリマス、又發電
設備ニ付キマシテハ、鮮滿雙方ニ資本金各〓
五千萬圓ノ會社ヲ作リマシテ、共同シテ工事
ニ當リ、七箇所デ約百六十萬餘「キロ」ノ發
電ガ得ラレル計畫デ、其ノ內、水豐洞ノ一箇
所ハ工事ニ著手シ、此處ダケニテモ最高出力
七十萬「キロ」ヲ發電スル計畫ニナッテ居リマス、
是等ノ工事ハ國境河川ニ跨リ不可分ノ一體
トシテ築造セラルヽ關係上、材料及器具機
械類ニ付テ一々複雜ナ關稅關係ヲ生ズル次
第デアリマス、而シテ既ニ滿洲國ニ於キマ
シテハ、是等ノ工事ニ對シテ免稅ノ途ヲ拓
イテ居リマスノデ、朝鮮ニ於キマシテモ、
課稅技術上ノ關係ヲ考慮シ、及ビ日滿緊密
化ノ一具現トシテ、此ノ際國境河川ニ跨ル
是等工事ニ使用スル材料器具機械中、朝鮮
總督ノ指定スルモノハ之ヲ無稅トナサムト
スルモノデアリマス、委員會ハ三月十八日、
十九日ニ開會致シマシタ、質問ノ主ナルモ
ノヲ御紹介申上ゲマス、第一ニ改正條項但
書ニ「朝鮮總督府ノ指定シタルモノニ限ル」
トセルハ如何ナル必要ニ依ルノデアルカ、
是ハ恩惠的例外規定デアル爲、可ナリ嚴格
ニ考ヘル必要ガアルノト、第一線ニ於ケル
徵稅ノ適正ヲ期スル爲、一々個々ノ物品ヲ
指定スルコトトシタイ趣旨デアルト云フ答
辯デアリマス、第二ニ、是等工事ニ使用セ
ラルヽ物資ハ相當夥シキモノト考ヘルガ、
爲替關係ハ問題ガナイカ、之ニ對シマシテ
政府ハ、本案ハ免稅ノ途ヲ開イテ居ルケレ
ドモ、成ルベク國產品ヲ充當シ、萬已ムヲ
得ザル場合ニノミ外國品ニ依ル計畫デアッ
テ、其ノ場合ニ於テモ出來得ルダケ爲替關
係ニ影響ヲ及サナイヤウニ、特ニ考慮ヲ拂
フ意嚮デアル、故ニ甚ダシキ問題ハナイ見
込デアルト云フ答辯デゴザイマシタ、第三
ニ、鴨綠江ノ水力電氣ハ其ノ重要性ニ鑑
ミ、之ヲ國家有用ノ事ニ使用スルコトト
シ、會社ノ營利ノミニ任セザルヤウ、國ノ
手ニ依ッテ之ガ分配等適宜按配シ、若シ會社
ニ迷惑ガ掛カラバ國ニ於テ補償スルコトト
スル考ハナイカ、之ニ對シマシテ政府ハ、
國家公益ノ建前ヨリ、會社ノ營利ノミニ走
ラザルヤウ注意シテヤッテ行ク積リデアル
ト云フ答辯ガアリマシタ、第四ニ、今囘ノ
水力電氣ノ工事ニ依リ、此ノ地帶ニ於ケル
住民ノ居住等、各種ノ障碍ガ起ルト思フガ
ドウデアルカト云フ質問デアリマシタ、之
ニ對シマシテ、約五千戶三萬餘人ノ移住ヲ
必要トスル結果トナルガ、是等ノ點ニ付
テ、土地ノ買收、移住地、轉業ノ斡旋等ニ
關シ、十分考慮シ、遺憾ナキヲ期スル積リ
デアルト云フ答辯デゴザイマシタ、是レ以
外ニ橋梁及水力發電設備ト國境關係、蠶絲
業ニ使用スル物品ト本法トノ關係、電力ノ
送電配電等ニ付テ御質問ガゴザイマシタ
ガ、此ノ際省略致シマス、討論ニ入リマシ
テ、一委員ヨリ、水力發電設備ノ進行ニ伴
ヒ、國境ノ關係ヲ明確ニセラレタシ、又水
力發電設備ノ爲ニ移動ノ巳ムナキ住民ニ對
シテ萬遺憾ナキヤウ取計ハレタイ、又條文
ノ形式ニ付テハ今後改正ノ機會ニ適當考慮
セラレタイト云フ意味ノ希望ヲ述ベラレマ
シテ、贊成ノ意見ヲ發表サレマシタ、他也
何等異議ナク、採決ノ結果全會一致可決ス
ルコトニ決シマシタ、以上発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=77
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078・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐住木行忠君) 別ニ御發言
モナケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ
第二讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=78
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079・佐佐木行忠
○副議長(侯爵依依木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=79
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080・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=80
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081・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=81
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082・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=82
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083・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=83
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084・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 本案ノ第二
讀會ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ
問題ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報〓
通リデ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=84
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085・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=85
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086・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=86
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087・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=87
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088・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=88
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089・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=89
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090・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 本案ノ第三
讀會ヲ開キマス本案全部、第二讀會ノ決議
通リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=90
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091・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=91
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092・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 衆議院ヨリ
送付ヲ受ケマシタ政府堤出ニ係ル災害被害
者ニ對スル租稅ノ減免、徴收猶豫等ニ關ス
ル法律案、登錄稅法中改正法律案及有價證
劵移轉稅法中改正法律案ヲ此ノ際議事日程
ニ追加シ、一括シテ第一讀會ヲ開クコトニ
御異議ゴザイマセスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=92
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093・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、松村大藏政務次官
災害被害者ニ對スル租稅ノ減免、徵收
猶豫等ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月二十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
災害被害者ニ對スル租稅ノ減免、徵收
猶豫等ニ關スル法律案
第一條政府ハ北海道又ハ府縣ノ全部又
ハ一部ニ亙リ震災其ノ他ノ被害甚大ナ
ル災害アリタル場合ニ於テ特ニ必要ア
リト認ムルトキハ災害ニ因ル被害者ノ
納付スベキ國稅及災害ニ因ル被害物件
ニ對シ課セラルベキ國稅ニ付勅令ノ定
ムル所ニ依リ之ヲ輕減又ハ免除スルコ
トヲ得
第二條政府ハ前條ノ災害アリタル場合
ニ於テ特ニ必要アリト認ムルトキハ災
害ニ因ル被害者ノ納付スベキ國稅ニ付
勅令ノ定ムル所ニ依リ課稅標準ノ決定
又ハ更訂ニ關スル特例ヲ設クルコトヲ得
第三條政府ハ必要アリト認ムルトキハ
第一條ノ災害アリタル地方ニ於テ納付
スベキ國稅ニ付勅令ノ定ムル所ニ依リ
課稅ニ關スル申〓及申請竝ニ納期ニ關
スル特例ヲ設クルコトヲ得
第四條政府ハ必要アリト認ムルトキハ
第一條ノ災害アリタル地方ニ於テ納付
スベキ國稅ニ付勅令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第五條第一條ノ規定ニ依リ輕減又ハ免
除セラルル國稅ハ法令上ノ納稅資格要
件ニ關シテハ輕減又ハ免除セラレザル
モノト看做ス
前項ノ規定ハ第一條ノ規定ニ依リ國稅
ノ輕減又ハ免除ヲ爲ス災害ニ因リ輕減
又ハ免除セラルル地方稅ニ付之ヲ準用ス
附則
本法ハ昭和十三年中ニ生ジタル災害ヨリ
之ヲ適用ス
登錄稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月二十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
登錄稅法中改正法律案
登錄稅法中左ノ通改正ス
第六條第一項第四號ヲ左ノ如ク改ム
四株式會社資本增加
增資拂込株金額千分ノ五
但シ社債ノ轉換ニ因ル資本增加
ノ場合ニ於テハ其ノ社債ニ付第
十一號ノ規定ニ依リ納メタル登
錄稅額ヲ控除ス
同項第七號ヲ左ノ如ク改ム
七株式合資會社資本增加
增資拂込株金額
及財產ヲ目的ト
千分ノ五
スル株金以外ノ
出資ノ價格
但シ社債ノ轉換ニ因ル資本增加
ノ場合ニ於テハ其ノ社債ニ付第
十一號ノ規定ニ依リ納メタル登
錄稅額ヲ控除ス
同項第八號ノ次ニ左ノ一一號ヲ加フ
八ノ二有限會社設立
出資ノ價格千分ノ五
八ノ三有限會社資本增加
增出資ノ價
千分ノ五
格
同項第十一號中「商法第一一百四條ノ拂込」
ヲ「商法第三百三條又ハ其ノ準用規定ニ
依ル拂込」三六人
同項第十四號ノ次ニ左ノ四號ヲ加フ
十四ノ二社員ノ業務執行權ノ喪失
每一件金十圓
十四ノ三取締役又ハ監査役ノ職務執
行ノ停止
每一件金十圓
十四ノ四取締役又ハ監査役ノ職務代
行者ノ選任
每一件金十圓
十四ノ五取締役又ハ無限責任社員ノ
職務ヲ行フ監査役ノ選任
每一件金十圓
同項第十五號但書中「商法施行法」ノ下ニ
「又ハ商法中改正法律施行法」ヲ加フ
同項第十六號ノ二ヲ左ノ如ク改ム
十六ノ二會社ノ繼續ノ登記
每一件金十圓
十六ノ三合併ヲ無效トスル判決カ確
定シタル場合ニ於ケル合併ニ因リ消
滅シタル會社ニ付テノ囘復ノ登記
每一件金十圓
十六ノ四會社設立ノ無效又ハ取消
每一件金七圓
同項第十八號ヲ左ノ如ク改ム
十八商法第百二十三條又ハ其ノ準用
規定ニ依ル登記
每一件金二圓
十八ノ二〓算人ノ職務執行ノ停止、
其ノ取消又ハ變更
每一件金二圓
十八ノ三〓算人ノ職務代行者ノ選任、
解任又ハ變更
每一件金二圓
十八ノ四〓算人ノ職務ヲ行フ監査役
ノ選任、解任又ハ變更
每一件金二圓
第六條ノ三第一項第四號ノ次ニ左ノ一號
ヲ加フ
四ノ二商法第二十六條第二項ノ登記
每一件金五圓
第十九條ノ三ヲ第十九條ノ四トシ以下第
十九條ノ十二迄ヲ順次一條宛繰下グ
第十九條ノ三會社ノ整理又ハ特別〓算
ニ關シ裁判所ノ囑託ニ因リテ爲ス登記
又ハ登錄ニ付テハ登錄稅ヲ課セス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
商法中改正法律施行法第五十五條ニ規定
スル社債ノ登記ニ付テハ登錄稅法第六條
第一項第十一號ノ改正規定ニ拘ラズ仍從
前ノ例ニ依ル
有價證劵移轉稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月二十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
有價證劵移轉稅法中改正法律案
有價證劵移轉稅法中左ノ通改正ス
第九條中「地方債證劵」ノ上ニ「國債證劵、」
ヲ加フ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員松村光三君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=93
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094・松村光三
○政府委員(松村光三君) 只今議題トナリ
マシタ災害被害者ニ對スル租稅ノ減免、徵
收猶豫等ニ關スル法律案外二件ニ付テ提案
ノ理由ヲ御說明致シマス、先ヅ災害被害者
ニ對ズル租稅ノ減免、徴收猶豫等ニ關スル
法律案ニ付テ御說明致シマス、從來相當廣
汎ナル地域ニ亙リマシテ、震災其ノ他ノ被
害甚大ナル災害ガアリマシタ場合ニ於キマ
シテハ、其ノ都度法律又ハ緊急勅令ヲ制定
シテ、租稅ノ減免、徴收猶豫等ヲ行ッテ參ッ
タノデアリマスガ、從來ノ如ク災害ノ都度法
律等ヲ制定シテ救濟ヲ致スト云フコトデ
ハ、災害ノ發生致シマシタ時日ノ關係等ニ
依リマシテ、十分敏速ニシテ適切ナル措置
ヲ講ジ難イ憾ガアッタノデアリマス、從ヒマ
シテ此ノ際災害發生ノ場合ニ對處スル爲ノ
根本法ヲ制定致シテ置キマシテ、被害甚大
ナル災害ノ發生致シマシタ場合ニ於テハ、
命令ノ定ムル所ニ依リ直チニ租稅上適切ナ
ル救濟措置ヲ講ジ得ルヤウニ致シテ置クコ
トヲ適當ト認メマシテ、玆ニ此ノ法律案ヲ
提出致シタ次第デアリマス、次ニ登錄稅法
中改正法律案ニ付テ御說明致シマス、商事
會社其ノ他營利ヲ目的トスル法人ガ登記ヲ
受クル時ハ、御承知ノ通リ登錄稅法ニ依リ
マシテ、登錄稅ヲ納ムルコトニナッテ居ル
ノデアリマスガ、昨年ノ第七十三帝國議會
ノ御協賛ヲ經テ公布ニナリマシタ商法中改
正法律、竝ニ有限會社法ニ依リマシテ、商
法上ノ會社ハ從來ヨリ登記スル事項ガ增加
シ、又新タニ認メラレマシタ有限會社ハ、
商法上ノ會社ト略〓同樣ノ登記ヲ要スルコト
ニナッタノデアリマス、是等ノ新タナル登記
事項ニ付キマシテハ、從來ノ登記ニ對スル
課稅トノ均衡上、課稅スルコトヲ適當ト認
メマシテ、本法律案ヲ提出致シマシタ次第
デアリマス、次ニ有價證劵移轉稅法中改正
法律案ニ付テ御說明致シマス、御承知ノ如
ク額面金額二十圓以下ノ地方債證劵、勸業
債劵等ニ付キマシテハ、現在有價證劵移轉
稅ヲ課セナイコトニナッテ居ルノデアリマ
スガ、政府ニ於キマシテハ國債消化ノ一助ト
シテ、最近小額面ノ國債ヲ發行スルコトニ
致シテ居リマスノデ、額面金額二十圓以下
ノ國債證劵ノ移轉ニ付キマシテモ課稅セザ
ルコトヲ適當ト認メ、玆ニ此ノ改正法律案
ヲ提出致シタ次第デアリマス、以上三件ニ
付キマシテ
〔議長伯爵松平賴壽君議長席ニ著ク〕
何卒御審議ノ上、速カニ御協賛アラムコト
ヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=94
-
095・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑モゴ
ザイマセヌケレバ、三案ノ特別委員ノ氏名
ヲ朗讀致サセマス
〔石橋書記官朗讀〕
災害被害者ニ對スル租稅ノ減免、徵收猶
豫等ニ關スル法律案外二件特別委員
侯爵德川賴貞君子爵白川資長君
子爵梅園篤彥君男爵岩村一木君
內藤久寛君菊池恭三君
江口定條君田中德兵衞君
金成通君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=95
-
096・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 衆議院ヨリ送付
ヲ受ケマシタ政府提出ニ係ル臨時陸軍材料
資金及特別會計法案ヲ、此ノ際議事日程ニ
追加シ、第一讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=96
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097・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、松村大藏政務次官
臨時陸軍材料資金特別會計法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月二十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臨時陸軍材料資金特別會計法案
臨時陸軍材料資金特別會計法
第一條支那事變ニ際シ勅令ノ定ムル所
ニ依リ事變地ニ在ル軍需品ノ材料及原
料ヲ取得スル爲其ノ資本トシテ臨時陸
軍材料資金ヲ置キ其ノ歲入歲出ハ一般
ノ會計ト區分シ事件ノ終局迄ヲ一會計
年度トシテ特別會計ヲ設置ス
第二條臨時陸軍材料資金ハ千萬圓トシ
一般會計ヨリ繰入ルルモノトス
第三條臨時陸軍材料資金ニ不足ヲ生ジ
タルトキハ借入金ヲ爲シ一時之ヲ補足
スルコトヲ得但シ其ノ金額ハ五千萬圓
ヲ超過スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ依ル一時借入金ニ代ヘ國
庫餘裕金ヲ繰替使用スルコトヲ得
第四條本會計ニ屬スル材料及原料ヲ使
用スルトキハ陸軍省所管經費ヲ以テ之
ヲ購入スベシ但シ必要アル場合ニ於テ
ハ政府以外ノ者ニ對シ之ヲ賣拂フコト
ヲ妨ゲズ
第五條本會計ノ收入支出ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員松村光三君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=97
-
098・松村光三
○政府委員(松村光三君) 只今議題トナリ
マシタ臨時陸軍材料資金特別會計法案提出
ノ理由ヲ御說明致シマス、今次ノ支那事變
ニ際シ、陸軍ニ於キマシテハ事變地ニアル
軍需品ノ材料及原料ヲ取得シ之ヲ利用致シ
マスル爲、其ノ資本トシテ新タニ臨時陸軍材
料資金ヲ置クコトト致シタノデアリマスガ、
右ニ關スル歲入歲出ハ之ヲ一般ノ會計ト區
分シ、且事件ノ終局迄ヲ一般會計年度トシ
テ特別ニ經理スルヲ適當ト認メマスル處、
之ガ爲ニハ特別會計ヲ設置スルノ必要ガア
リマスルノデ、本法律案ヲ提出致シマシタ
次第デアリマス、何卒御審議ノ上、速カニ
協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=98
-
099・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
臨時陸軍材料資金特別會計法案ハ、關聯致
シマスルモノガアリマスルガ故ニ、昭和十
四年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債
發行ニ關スル法律案外一件ノ特別委員ニ併
託スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=99
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100・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=100
-
101・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=101
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102・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=102
-
103・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 衆議院ヨリ送付
セラレマシタ政府提出ニ係ル、中支那振興
株式會社法中改正法律案ヲ此ノ際議事日程
ニ追加シ、第一讀會ヲ開クコトニ御異議ハ
ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=103
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104・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、柳川興亞院總務長官
中支那振興株式會社法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月二十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
中支那振興株式會社法中改正法律案
中支那振興株式會社法中左ノ通改正ス
第三條ノ二政府ハ金錢以外ノ財產ヲ以
テ其ノ所有スル株式ノ第二囘以後ノ株
金拂込ニ充ツルコトヲ得
第三十八條ノ二政府第三條ノ二ノ規定
ニ依リ金錢以外ノ財產ヲ以テ其ノ所有
スル株式ノ株金拂込ニ充ツル場合ニ於
テハ其ノ財產ノ價格ニ付政府出資財產
評價委員會ノ議ヲ經ベシ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員柳川平助君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=104
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105・柳川平助
○政府委員(柳川平助君) 只今議題トナリ
マシタ中支那振興株式會社法中改正法律案
ニ付提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、曩ニ
第七十三囘帝國議會ノ御協贊ヲ經テ設立致
シマシタ中支那振興株式會社ニ對シマシテ、
政府ハ同會社ノ設立ニ當リ、中支那振興株
式會社ニ依リ現物出資ヲ行ッタノデアリマ
スガ、其ノ後ノ情勢ニ依リマシテ更ニ鐵道
資材其ノ他相當額ノ資材ガ現地ニ供出セ
ラレ、之ヲ北支那開發株式會社ニ對スルト
同樣、政府ノ所有スル株式ノ第二囘以後ノ
株金拂込ニ充當スル途ヲ開クコトガ必要ト
ナリマシタノデ、竝ニ中支那振興株式會社
法中改正法律案ヲ提出致シタ次第デアリマ
ス、何卒御審議ノ上御協賛ヲ與ヘラレムコ
トヲ御願致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=105
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106・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑モナ
ケレバ本案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセ
マス
〔石橋書記官朗讀〕
中支那振興株式會社法中改正法律案特別
委員
侯爵中山輔親君子爵立花種忠君
子爵三室戶敬光君小幡酉吉君
男爵足立豐君男爵原田熊雄君
西野嘉右衞門君武井覺太郞君
久恒貞雄君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=106
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107・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 衆議院ヨリ送付
ヲ受ケマシタ政府提出ニ係ル健康保險法中
改正法律案ヲ、此ノ際議事日程ニ。追加シ、
第一讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌ
カ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=107
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108・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、廣瀨厚生大臣
健康保險法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十四年三月二十日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
健康保險法中改正法律案
健康保險法中左ノ通改正ス
第一條ニ左ノ一項ヲ加フ
保險者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ被保險
者ト同一ノ世帶ニ屬シ被保險者ニ依リ
生計ヲ維持スル者(以下世帶員ト稱ス)
ノ疾病又ハ負傷ノ療養ニ要シタル費用
ニ付補給金ヲ支給スルコトヲ得
第七條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ第一條第二項ノ補給金ヲ
支給スル場合ニ於テハ世帶員又ハ世帶
員タリシ者ノ戶籍ニ關シ之ヲ準用ス
第九條行政官廳ハ必要アリト認ムルト
キハ被保險者ノ異動及報酬竝ニ保險給
付ノ決定ニ關シ當該官吏ヲシテ被保險
者又ハ被保險者タリシ者ノ勤務場所ニ
就キ關係者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ帳簿書
類其ノ他ノ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第十條中「保險官署」ヲ「行政官廳」ニ改ム
第十一條ノ二前條ノ規定ニ依ル督促ヲ
受ケタル者其ノ指定ノ期限迄ニ保險料
其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴收金ヲ納付
セザルトキハ保險者ハ國稅滯納處分ノ
例ニ依リ之ヲ處分シ又ハ滯納者若ハ其
ノ者ノ財產ノ在ル市町村ニ對シ之ガ處
分ヲ請求スルコトヲ得但シ健康保險組
合ガ保險者ナル場合ニ於テ國稅滯納處
分ノ例ニ依リ處分スルコトヲ得ルハ市
町村ニ對シ處分ヲ請求スルモ市町村ガ
其ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內
ニ其ノ處分ニ著手セズ又ハ九十日以內
ニ之ヲ結了セザル場合ニ限ル
前項但書ノ規定ニ依リ健康保險組合ガ
國稅滯納處分ノ例ニ依リ處分ヲ爲ス場
合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クルコ
トヲ要ス
保險者ガ第一項ノ規定ニ依リ市町村ニ
對シ處分ヲ請求シタルトキハ市町村ハ
市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場
合ニ於テハ保險者ハ徵收金額ノ百分ノ
四ヲ當該市町村ニ交付スベシ
第一項及前項ノ規定ニ於テ町村トアル
ハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之
ニ準ズベキモノトス
第十三條但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ臨時ニ使用セラルル者ニシテ勅令
ヲ以テ指定スルモノ、一年ノ報酬千二
百圓ヲ超ユル職員及職員健康保險法第
二十條ノ規定ニ依ル被保險者ハ此ノ限
ニ在ラズ
第十七條ニ左ノ一項ヲ加フ
職員健康保險法第二十條ノ規定ニ依ル
被保險者ハ同法第二十六條第一項ノ認
可アリタル場合ニ於テハ其ノ認可アリ
タル日ノ翌日ヨリ健康保險ノ被保險者
ノ資格ヲ取得ス
第十八條但書中「前條」ヲ「前條第一項」ニ
改ム
第二十條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ職員健康保險又ハ船員保險ノ被保
險者タル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一條第一項ヲ左ノ如ク改ム
前條ノ規定ニ依ル被保險者ハ前條ノ規
定ニ依リ被保險者ト爲リタル日ヨリ百
八十日ヲ經過シタルトキ、保險料ヲ納
付セズシテ命令ヲ以テ定ムル猶豫期間
ヲ經過シタルトキ、第十三條若ハ第十
五條ノ規定ニ依ル被保險者ト爲リタル
トキ又ハ職員健康保險若ハ船員保險ノ
被保險者ト爲リタルトキハ其ノ資格ヲ
喪失ス
第二十三條ノ二保險者ハ事業ニ支障ナ
キ場合ニ限リ被保險者ニ非ザル者ヲシ
テ保險者ノ施設ヲ利用セシムルコトヲ
得
保險者ハ其ノ施設ヲ利用スル者ニ對シ
命令ノ定ムル所ニ依リ利用料ヲ請求ス
ルコトヲ得
第四十七條ニ左ノ二項ヲ加フ
主務大臣ノ指定スル疾病ニ關シテハ保
險者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ期
間ヲ超エ通ジテ一年ニ至ル迄繼續シテ
療養ノ給付及傷病手當金ノ支給ヲ爲ス
コトヲ得但シ其ノ保險給付ヲ始メタル
日前勅令ノ定ムル期間引續キ被保險者
タリシ者ニ限ル
傷病手當金ハ其ノ支給期間ヲ經過セザ
ルトキト雖モ療養ノ給付ヲ爲シ得ル期
間ヲ經過スルニ至リタルトキハ之ヲ支
給セズ
第五十三條削除
第五十七條ノ二前三條ノ規定ニ拘ラズ
被保險者タリシ者職員健康保險又ハ船
員保險ノ被保險者ト爲リタルトキハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ保險給付ヲ爲サズ
第六十二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
被保險者又ハ被保險者タリシ者左ノ各
號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ疾病、
負傷又ハ分娩ニ關シ其ノ期間ニ係ル保
險給付ハ之ヲ爲サズ
一陸海軍ニ徵集又ハ召集セラレタル
トキ
二本法施行區域外ニ在ルトキ
三矯正院其ノ他之ニ準ズベキモノニ
入院セシメラレタルトキ
四監獄、留置場又ハ勞役場ニ拘禁又
ハ留置セラレタルトキ
同條第三項中「第四十六條」ノ下ニ「及第
五十一條第二項」ヲ加フ
同條ニ左ノ一項ヲ加フ
保險者ハ被保險者又ハ被保險者タリシ
者第一項各號ノ一ニ該當スル場合ト雖
モ第一條第二項ノ補給金ヲ支給スルコ
トヲ妨ゲズ
第六十九條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第六十九條ノ二第六十條、第六十二條
第一項及第二項、第六十五條竝ニ第六
十七條ノ規定ハ世帶員ニ之ヲ準用ス
第五十五條ノ規定ハ第一條第二項ノ補
給金ニ之ヲ準用ス
第七十六條被保險者第六十二條第一項
各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ
期間保險料ヲ徵收セズ
第八十條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ審査ノ請求、ハ時效ノ中斷ニ關シ
テハ之ヲ裁判上ノ請求ト看做ス
第八十五條第三項但書中「罰金ノ言渡ヲ
爲シ」ヲ「過料ニ處シ」ニ改ム
第八十七條正當ノ理由ナクシテ第九條
ノ規定ニ依ル當該官吏ノ質問ニ對シ答
辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ答辯ヲ爲シ又ハ
其ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル
者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第九十一條削除
附則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
分娩ニ關スル保險給付ニシテ第五十三條
ノ改正規定施行ノ日前ニ爲シタルモノ及
同規定施行ノ日ノ前後ニ跨ルモノニ關ス
ル費用ノ分擔ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
〔國務大臣廣瀨久忠君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=108
-
109・廣瀬久忠
○國務大臣(廣瀨久忠君) 只今議題トナリ
マシタ健康保險法中改正法律案ニ付キマシ
テ提案ノ理由ヲ說明致シマス、健康保險法
ハ工場鑛山等ニ使用セラルヽ者ノ爲ニ制定
セラレタモノデアリマシテ、現下ノ時局ニ
際シマシテハ銃後產業ノ爲ニ益〓其ノ必要
ガ感ゼラレルノデアリマス、健康保險法實
施以來十餘年ノ實績ニ徵シマジテ、保險給
付ヲ擴充スルト共ニ、更ニ今囘職員健康保
險法案竝ニ船員保險法案ノ提案ニ伴ヒマシ
テ、改正ヲ必要トスル點ガアリマスルノデ、
玆ニ本改正法律案ヲ提出スルニ至ッタ次第
デアリマス、卽チ今囘創設ノ職員健康保險
及船員保險ノ制度トノ間ニ於ケル被保險者
ノ異動等ニ關聯致シマシテ、健康保險法中
關係規定ヲ整備改正スルコトト致シテ居リ
ママ、又現行法ニ於ケル保險給付ハ被保險
者ノ疾病、負傷、死亡又ハ分娩ニ關スルモ
ノニ限ラレテ居ルノデアリマスルガ、之ヲ
被保險者ノ家族ノ疾病又ハ負傷ニ關シマシ
テモ一定條件ノ下ニ或程度療養費ノ補給ヲ
爲シ得ルノ途ヲ開キマスト共ニ、傷病ニ關
スル保險給付ノ支給期間ハ、從來百八十日
デアリマシタモノヲ、結核性疾患ニ關シテハ
一定條件ノ下ニ之ヲ一年ニ延長スルコトガ
出來ル途ヲ開クコトト致シテ居リマス、何
卒御審議ノ上速カニ御協贊アラムコトヲ切
望致ス次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=109
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110・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
健康保險法中改正法律案ハ、職員健康保險
法案外二件ニ關聯致シマスルガ故ニ、同特
別委員ニ併託セラレムコトノ動議ヲ提出致
シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=110
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111・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=111
-
112・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=112
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113・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=113
-
114・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 次會ノ議事日程
ハ、決定次第彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、
本日ハ是ニテ散會致シマス
午後六時三十五分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007403242X02619390320&spkNum=114
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