1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十四年二月十四日(火曜日)午前十時二十七分開議
出席委員左の如し
委員長 東武君
理事 佐藤謙之輔君 理事 土田莊助君
理事 中野寅吉君 理事 大石倫治君
坂下仙一郎君 松尾三藏君
服部英明君 鈴木憲太郎君
遠山房吉君 小串清一君
坪山徳彌君 泉國三郎君
小笠原八十美君 池田七郎兵衞君
永田良吉君 陣軍吉君
野溝勝君 冨吉榮二君
出席政府委員左の如し
陸軍少將 中村明人君
農林參與官 林讓治君
農林省畜産局長 岸良一君
馬政局長官 荷見安君
本日の會議に上りたる議案左の如し
軍馬資源保護法案(政府提出)
種馬統制法案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=0
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001・東武
○東委員長 ソレデハ是ヨリ開會致シマス、
泉君ニ發言ヲ許シマス、一寸御斷リシテ置
キマスガ、大臣ハ貴族院ニ豫算案ガ出テ居
ルノデ、今一寸出席ガ出來マセヌガ、暇ガ
出來次第此方へ參ルト云フコトノ通知ガゴ
ザイマシタ、左樣御承知ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=1
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002・泉國三郎
○泉委員 本委員會ニ付託ニナリマシタル
馬ニ關スル二ツノ法案ニ關聯致シマシテ、
政府ノ所信ヲ質シタイト思フノデアリマス、
第一ニ伺ヒマスコトハ馬政國策ノ基礎問題
ニ關シテデアリマス、其ノ中ノ一點ハ、馬
政國策ノ大要ヲ先ヅ吾々ガ一瞥致シマスノ
二、第二次馬政計畫ヲ變更セラレテ、玆
新シキ計畫ヲ立テラレタ、ソレハ有事ニ際
シテ軍所要ノ軍馬ノ供給ヲ容易ナラシムル
ト共ニ、努メテ產業ニ及ボスベキ支障ヲ輕減
シ、廣義國防上ノ要求ヲ充足スル爲ニハ軍
所要ノ有能馬、殊ニ戰列部隊所要ノ有能馬
ヲ供給スルコトヲ主眼トシテ、銳意內地保
有馬ノ資質ノ向上ヲ圖ルト共ニ、從來ノ內
地保有馬百五十万頭ノ維持ニ努メ、內地ニ
保有スベキ軍用適齡馬五歲以上十七歲以下
ノ馬總數ヲ、少クトモ百万頭ヲ保有セント
スルモノガ、此ノ新シキ馬ニ關スル政策
ノヤウニ承ツテ居リマス、然ルニ是ハ洵ニ
容易ナラザル努力ヲ要スルモノデアルト私
ハ思フノデアリマス、今之ヲ旣往ノ歷史ニ
鑑ミテ檢討致シマスルノニ、馬ノ飼養戶數
ニ於テ昭和十一年度ニ於キマシテハ百七万
四千戶デアリマス、大正十三年ノ百十七万
戶ヲ指數一〇〇ト致シマスレバ、九一·七デ
アリマス、飼養戶數ニ於テ茲ニ十万戶ヲ減
ジテ居リマス、一箇年ニ八千三百戶ノ割合
ヲ以テ減少シテ居ルノデアリマス、馬ノ保
有頭數ニ於テ之ヲ見マスルニ、昭和十一年
現在ノ保有馬數ハ百四十三万一千頭、明治
三十三年カラ同三十七年マデノ五箇年間ノ
平均百五十万頭ノ保有量ヲ指數一〇〇ト致
シマスレバ、同三十八年カラ四十二年マデ
ノ五箇年平均指數一〇五·一ヲ絕頂ト致シ
マシテ、昭和元年頃ヨリ低下ノ一路ヲ迪ツ
テ居リマス、百五十万頭ヲ維持スルコトガ
出來ナイデ居ルノデアリマス、昭和十一年
現在ノ百四十三万頭ハ指數九五·四デアリマ
ス、昭和十二年ノ七月ニ支那事變ガ勃發致
シマシテ以來ハ、其ノ數字ハ今申上ゲ兼ネ
ルノデアリマスケレドモ、相當數ノ軍馬ガ
徵用サレテ大陸ニ送ラレテ居ルノデアリマ
スルカラ、現在當局ガ目標トスル所ノ保有
量百五十万頭トノ間ニハ、現在相當ノ距離
ガアルコトハ論ヲ俟クナイ所デアリマス、
然ラバ今度ハ馬ハ如何ナル割合デ生產サレ
テ居ルカ、之ヲ見マスルノニ昭和七年ヨリ
十一年ニ至ル最近五箇年平均一箇年ノ生產
數ハ十一万七千餘頭、昭和十一年ノ如キハ
十二万七千頭、之ヲ明治三十八年カラ四十
二年ニ至ル五箇年平均ノ指數百ニ比較致シ
マスレバ正ニ一二〇·六、卽チ二割ノ生產數
ニ於テノ增加デアリマス、馬ノ保有量ハ段
段少クナツタガ、生產率ハ增加シテ居ル、
是ハ取モ直サズ種付等ノ官行ガ勵行サレタ
結果デ、洵ニ喜バシイコトデアリマス、然
ルニ今度ハ馬ハ如何ナル率デ失ハレテ居ル
カト云フコトヲ見マスルノニ、昭和七年ヨ
リ十一年ニ至ル最近五箇年平均一箇年二万
八千餘頭ノ馬ガ斃死シテ居リマス、同ジク
八万九千餘頭ノ馬ガ年々屠殺サレテ居リマ
ス、殊ニ昭和十一年度ニハ九万五千頭ト云
フ驚クベキ馬ガ屠殺サレテ、其ノ數ヲ增加
シテ居ルノデアリマス、是ニ由ツテ之ヲ觀ル
時ニハ卽チ最近五箇年ノ成績ニ依リマスレ
バ、一箇年ニ失ハルル所ノ馬ハ斃死二万八
千餘頭、屠殺八万九千餘頭、合計十一万八
千餘頭ニナルニ對シテ生產サレテ居ル所ノ
馬ハ十一万七千餘頭、差引一箇年八百五十
頭ヅツノ馬ノ保有量ガ、減少サレテ行
クト云フ實情ナノデアリマス、是ハ洵
ニ憂フベキ事情デアルト思フノデアリ
きく、軍モ政府モ馬ノ保有量ヲ維持シヨ
ウトスルノガ目標デアリマスノニ、事實ハ
馬ノ飼養戶數ニ於テモ、頭數ニ於テモ減少
シツツアル、十二年ヨリハ支那事變ノ發生
ト云フ特別事情ニ因リ、更ニ相當數量ノ馬
ガ失ハレタコトハ勿論デアリマス、更ニ滿
洲等ノ馬政計畫ノ爲ニ優良牡馬竝ニ種牝馬
ヲ輸出シナケレバナリマセヌ、隨テ內地保有馬
數ハ益〓減少スルト見ナケレバナラヌノデア
リマス、是等ノ實情ニ鑑ミルトキ、國內ニ
常時百五十万頭ノ保有量ヲ維持スルト云フ
コトハ、是ハ言フベクシテ中々至難ナ問題
デアルト私ハ思フノデアリマス、此ノ旣往
ノ事實ニ鑑ミテ政府當局ニ何等カ特別ナ方
策ガアル、今マデ御示シニナツタ御說明ニ
ナツタダケノ資料ヲ以テシテハ、吾々ハ容
易ニ此ノ成績ヲ擧ゲルコトハ出來ナイト思
ツテ居リマス、特別ナ方策ガ鞏固ナル決意
ノ下ニ樹立セラレナケレバ、此ノ目的ハ貫
徹致サナイ、之ニ對スル政府ノ對策ガ如何
デアルカ、先ヅ此ノ點ヲ御聽キシタイノデ
アリマス、直チニ答辯ヲ願フヨリ、二三私
ノ所見ヲ述ベテ置イタ方ガ都合ガ好イト思
ヒマスカラ、續ケテ參リマス、大臣ガオ出
デニナレバ結構デアリマスガ、オ出デニナ
ラヌサウデアリマスカラ、農林當局カラ御
答辯ヲ伺ヒタイ
ソレカラ質問ノ二ハ、軍用適齢馬トシテ
内地ニ保有スベキ馬ガ、五歲以上十七歲以
下少クトモ百万頭デアリマス、是ハ曩ニ質
問シタ通リニ、內地保有馬總數百五十万頭
以上ヲ維持スル場合ニ、軍用適齢馬百万頭
ナノデアルカラ、保有量ガ百五十万頭ニ達
セナイトシマス場合ニハ、此ノ適齡馬モヤ
ハリ百万頭ニ充タナイニ決ツテ居ルノデア
リマス、假ニ軍用適齡馬ガ百万頭アツタト
シテ、是ハ單ニ年齡ガ軍用ニ適スルト云フ
ダケデアリマス、年齡ダケガ適齡ダカラト
云ツテ、直チニ是ガ軍馬ニ適スルト云フモ
ノデハナイノデアリマス、軍ノ所要スル所
ノ馬ハ低身、廣軀、四肢强健ニシテ負擔
カ、輓曳力竝ニ持久力ニ富ミ、中等體尺者
ノ乘御使役ニ便ニシテ、飼養管理容易ナル
モノデナケレバナリマセヌ、卽チ各部ノ對
稱宜シキヲ得、筋腱良ク發育シ、肢勢正
良、關節堅牢、蹄質堅靱、性質溫良、惡癖ナ
ク悍威アルモノデナケレバナリマセヌ、之
ヲ乘馬トシテ見ル場合ニ、長軀短背、胸深
ク肩科ニシテ後軀力アリ運動輕快步樣低伸
濶大、此ノ標準ガ體高一·五三米、體重ハ四
百六十瓩、百二十瓩乃至百四十瓩ノ負擔力
ヲ持ツテ、常步ハ一分間百米、駈歩ノ如キ
ハ三百二十米、持久力ハ騎兵部隊トシテ連日
行軍ハ一日六十粁乃至八十粁行クモノデナ
ケレバナラヌ、是ガ軍ノ要求スル馬デアリ
マス、又之ヲ砲兵輓馬トシテ見マス場合
ハ體量豐ニシデ厚頸長軀、强筋充實シ、力
量ニ富ミ步樣確實ナルモ、此ノ標準ハ體高
一·五五米、體重ハ五百瓩、輓曳力ハ三聯
總量二千六百五十瓩、常步ニ於テ一分間ニ
八十六米、速步二百二十米、駈歩ノ場合ニ
三百二十米、持久力ハ每日四十粁乃至六十
粁デナケレバナラヌ、斯ウ云フ馬ガ軍ニ所
要セラレテ居リマス、併シナガラ斯ノ如キ
優良ナル馬ハ、サウ澤山アルモノデハナイ
ノデアリマス、其ノ內今內地ニ此ノ理想ト
標準ニ近イ馬ヲ何程持ツテ居ラレルカ、單
ニ適齡馬ヲ百万頭保持シタダケデハ、未ダ
全シトハ言ヘマセヌ、其ノ百万頭ノ軍用適
齡馬ガ前述シタル標準ナリ、規格ナリニ適
合シタ場合ニ、初メテ馬政國策ガ完成シタ
ト言ヒ得ルデアリマセウ、併シ是亦非常ニ
至難ナ事業デアルト言ハナケレバナラヌノ
デアリマス、政府當局ハ如何ニシテ之ヲ達
成セントシツツアルカ、何時其ノ目標ニ達
シ得ル見込ガアルカ、此ノ點ヲ伺ヒタイノ
デアリマス
ソレカラ質問ノ三デアリマスガ、政府ガ
新ニ立テラレタル馬政計畫ニ依ツテ、種馬
ハ整備サレ、其ノ配合ハ統制サレルノデア
リマセウ、地域的ニ役馬別ニ一貫シタ產馬方
針ガ確立サレ、所謂適地適種主義ガ採用サ
v、其ノ結果トシテ、或ル地域ハ乘馬產
地或ル地域ハ輓馬、或ル地域ハノ小格輓
馬、斯ウ云フ具合ニ方針ガ定メラレテ、國
ノミガ專有スル所ノ種馬ヲ此ノ方針ニ基イ
テ配置スルノデアリマセウカラ、無論國家
百年ノ馬政計畫ハ、斯クアラネバナラヌコ
トハ勿論デアリマスルガ、其ノ結果トシテ、
當局ハ乘馬、輓馬共ニ「アングロノルマン」又ハ
「アングロノルマン」輕種、中半血種ナドノ
中間種ノ生產ニ重キヲ置イテ居ルノデアリ
マスノデ、例ヘバ乘馬產地ト致シマシテハ、
今マデ輕種ノ「アラブ」、、「サラブレット」、ヽ「ア
ングロアラブ」及ビ是等ノ輕種ノ生產ニ努
メテ來タ產地ガ、中間種ノ增繫ノ爲メ「ア
ングロノルマン」同ジク「アングロノルマ
ン」輕種トカ中半血種等ノ生產ニ變ツテ行
カナケレバナラヌノデアリマス、或ハ又從
來ノ乘馬產地ガ今度ノ方針ニ依ツテ、輓馬
產地トサレルヤウナ地域モ少クハナイト思
フノデアリマス「ペルシュロン」ノ如キ重種
ハ、是ハ北海道ノ如キ特定ノ地域ニ限ラレ
テ、今マデハ分布發達シテ來タノデアリマ
スカラ、大シタ問題ハナイノデアリマスガ、
此ノ輕種ハ相當廣汎ナ地域ニ現在ハ分布シ
テ居ルデアラウト想像サレルノデアリマス、
之ヲ中間種ニ轉向サセル場合ニ、若クハ乘
馬產地ガ輓馬產地ニ移行スル場合等ニ、生
產者側ハ優良馬ヲ產出スル爲ニハ、是カラ
長イ年月ノ苦心ト努力ガ拂ハレナケレバナ
ラナイノデアリマス、其ノ犧牲モ決シテ少
クナイト思ハレルノデアリマス、又地域的
デハナイト致シマシテモ、馬ノ生產地ニ、
曾テ移動ノ自由ナ時代ニハ、現在特定サレ
マシタ小格輓馬ノ產地デアリマシテモ、乘
馬ヤ輓馬ニ適スル優良牝馬ヲ輸入シテ、育
成シテ居ツタモノガアツタデアリマセウ
ガ、最早サウ云フ地域ニハ乘馬ヤ輓馬ノ種
牡馬ガ、配置サレナイノデアリマスカラ、
是ト配合スルコトガ出來ナイト云フ結果ニ
ナルノデアリマス、若シ之ヲ、自分ノ持ツ
テ居ル牝馬ヲ乘馬ナリ輓馬ナリトシテ配合
シテ出シタ場合ニハ、相當良イ馬ヲ出スコ
トガ出來テモ、種馬ガ小格輓馬用ノ種馬デ
アツテモ、ソレニ配合シテ、サウシテ自分
ガ優良ナルモノヲ出シ得ル力ヲ持ツテ居ル
ニ拘ラズ、出シ得ナカツタト云フヤウナ犠
牲モ亦少クナイデアラウト思フノデアリマ
ス、サウ云フ箇々ノ不便ヲモ多ク見ナケレ
バナラナイト思フノデアリマス、而モ是等
ノ犠牲ハ生產者ガ求メテ得タモノデハナク
シテ、政府ノ馬政計畫ノ變更ガ此ノ犧牲ヲ
强ユルノデアリマスカラ、政府ハ其ノ責ニ
任ジテ其ノ犠牲ヲ分擔シナケレバナラナイ
責任ガアルト、私ハ思フノデアリマスガ、
政府ハ是等ノ犠牲ニ對シテ如何ナル考ヲ持
ツテ居ラレルカ、又今後斯ウ云フ風ナ馬政計
畫ニ依ツテ、今マデノ色々ノ種類ノモノガ當
局ノ理想トスル馬ニ改善サレテ行ク爲ニハ、
今後如何程ノ時日ヲ必要トスルカト云フヤ
ウナ點、是ガ御伺ヒシタイ三點デアリマス、
先ヅ此ノ三點ニ付テ、後ノ點ハ農林及ビ陸
軍當局カラ、前ノ二點ハ農林當局デ結構デ
ス、御答ヲ希望致シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=2
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003・荷見安
○荷見政府委員 只今ノ御話ノ第一點ハ、
今度ノ内地馬政計畫ニ依リマシテ、內地保
有馬ノ頭數ヲ相當數標準ヲ定メテ維持ニ努
メルト云フコトガアルノデアルガ、色々ノ
情勢カラ見ルト、此ノ維持ハ困難デアルト
思フガドウカ、ト云フヤウナ御話ノヤウニ
拜承致シタノデアリマスガ、之ニ付キマシ
テハ、御述べノ通リニ、統計上ノ數字ハ色々
變更致シテ居リマシテ、相當減少シテ居
ルヤウニモ見エルノデアリマスガ、政府ト
致シマシテハ此ノ問題ニ付テハ、第一生產
力擴充ノ方策ヲ出來ルダケ講ジテ居ルノデ
アリマス、種牡馬ノ增繫デアリマストカ、
或ハ種牝馬ニ對スル各種ノ奬勵施設ト云フ
ヤウナコトヲ、特ニ一昨年アタリヨリ豫算
ヲ以テ施行致シテ居ルノデアリマス、尙ホ
滿洲ノ移植ト云フヤウナコトガアリマスト、
尙ホ數ガ減少スルデハナイカト云フコトデ
アリマスガ、新馬政計畫ニ於キマシテハ、
是等ノ方面ニ對スル生產力擴充方策ニ付キ
マシテモ、御手許ニ差上ゲマシタ內地馬政
計畫提要ノ中ニモアリマスヤウニ、相當ノ
施設ヲ講ズルコトニナツテ居ルノデアリマ
ス
第二ハ軍馬資源ノ充實問題デゴザイマス
ガ、之ニ付キマシテハ、軍馬資源ヲ充實致
シマスコトハ極メテ適當デアルノミナラズ
緊要ナ事項デアルト思ヒマスノデ、今囘御
審議ヲ願ツテ。居リマスル軍馬資源ノ保護法
案ト云フヤウナ制度ヲ、新シク御協賛ヲ願
ヒマシテ、軍用保護馬ノ制度ヲ設ケマシテ、
內地保有馬ノ資質ノ向上ニ努メマシテ、有
事ノ際ノ軍ノ所要ヲ滿スニ遺憾ナキヲ期シ
タイ、斯樣ナ風ニ考ヘテ居リマスノデ、軍
用保護馬ノ制度ハ、法律案ニ付テモ御覽ノ
ヤウニ、大體軍用ニ適スル馬ヲ檢査致シマ
シテ、ソレニ合格シタモノヲ軍用保護馬ニ
指定致シ、軍用保護馬ニ對シテハ飼養ヲ容
易ナラシムル爲ニ、財政ノ許ス限リニ於テ飼
育ノ補助金ヲ交付スル、尙ホ之ニ所要ノ鍛鍊
ヲ加ヘルコトニ致シマシテ、馬ノ天賦ノ能力
ノ發揮ヲ容易ナラシムルヤウニ致シマシテ、
軍馬資源ニ付テ遺憾ナキヲ期シタイ、斯樣
ナ考デ計畫ヲ立テテ居ルノデアリマス、御
心配ノ點ニ付キマシテハ、此ノ法案竝ニ豫
算ガ成立致シマスレバ、吾々トシテハ所期
ノ效果ヲ擧ゲ得ルコトト信ジテ居ル次第デ
ゴザイマス
ソレカラ第三ノ御質問ノ、今囘ノ馬政計
畫ノ變更ニ依リマシテ、輕種產地ノ方デ、
此ノ新馬政計畫ニ適スルヤウナ種類ノ馬ニ
移行スル爲ニハ、色々ノ不便ガアルト思フ
ガ、之ニ對シテ政府ハ如何ニ考ヘルカト云
フ御質問ト拜承致シマシタガ、此ノ點ニ付
キマシテハ、輕種產地地方ニ於テ御不便ガ
アリマスコトハ、想像致シ得ルノデアリマ
シテ、之ニ付テハ出來ル限リ其ノ障碍ヲ緩
和スルヤウナ方策ヲ講ジタイト思ヒマシテ、
陸軍ノ當局トモ連絡ヲ致シテ居ル次第デア
リマス
尙ホ此ノ際ノコトデアリマシテ、ドウシ
テモシナケレバナラナイ馬政計畫デアリマ
スカラ、其ノ不自由ナ所モ、私達トシテハ、
生產地ノ方ニ於キマシテモ十分辛抱シテ戴
イテ、出來ル限リ此ノ新馬政計畫ノ達成ニ
御協力ガ顎ヘレバ、却テソレガ緩和ノ一ツ
ノ方策ニナルノデハナイカ、斯樣ニ考ヘテ
居リマシテ、政府ト致シマシテハ出來得ル限
リ此ノ不便ヲ輕減シ、或ハ除却スルヤウニ
努メタイト考ヘテ居ルノデアリマス、簡單
ニ申上ゲテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=3
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004・中村明人
○中村政府委員 第三問ニ付キマシテ、陸
軍ノ意向ヲ御尋ニナツタヤウデアリマスカ
ラ、簡單ニ御答致シマス、大體ニ於キマシ
テ、陸軍ト致シマシテハ農林當局ト密接ニ
連繫ヲ取リマシテ、只今御話ノ民間側ノ犠
牲ニ對シマシテハ成ベク之ヲ減少シ、互ニ
國家ノ重大時ニ處シテ、相扶ケ相勵シテヤ
リタイ積リデアリマス、從來官民ガ合同シ
マシテ非常ナ努力ヲ拂ツテ來タ此ノ輕乘馬
產地ニ對シマシテ、今囘ノ國策ニ基キマス
ル計畫ニ依ツテ打撃ヲ與ヘルト云フコトハ、
洵ニ御同情スベキコトデモアリ、又忍ンデ
モ戴カナケレバナラヌ點デアリマスノデ、
軍ニ致シマシテハ愼重考慮シテ居ル所デア
リマス、殊ニ平時ニ於キマスル所ノ軍馬ノ
購買ノ如キモ、全ク此ノ趣旨ニ副フヤウニ、
馬政當局トモ十分打合セヲ致シマシテ、本
大改良ニ伴ヒマス所ノ色々ナ規格施設等ト
相竝行致シマシテ、實施シタイ覺悟デアリ
さっ、隨テ茲ニ急激ナル變動ガ來テ當業者
ニ非常ナ不便、不利ヲ來サシムルト云フヤ
ウナコトハ、深ク戒メテ居ル積リデゴザイ
マス、此ノ點特ニ御諒承ヲ願ヒタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=4
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005・泉國三郎
○泉委員 御答辯ハ何レモ抽象的デアリマ
シテ、私ノ憂ヘテ居ル所ニ具體的ニハ觸ル
ル所ガ少イノデアリマスガ、私ハ敢テ討議
ヲシヨウト云フノデハアリマセヌカラ、次
ノ質問ニ移ラウト思ヒマス、御伺シタイ第
二點ハ、馬ノ買上價格ノ引上、馬生產費ノ
引下、延イテ馬ヲ生產、育成スル農民ノ生
活安定ニ關スル問題ニ付テ、御伺シタイト
思フノデアリマス、馬ヲ高ク買上ゲテ吳レ、
是ハ軍馬ニ致シマシテモ、農林省ノ買上ノ
馬ニ致シマシテモ、サウ云フ要望ハ全馬產
家ノ痛切ナ要望デアルト私ハ思フノデア
リマス、馬ノ生產力ヲ維持增進スル爲ニハ、
百般ノ方針ハ立テラレマセウケレドモ、結
局馬ノ生產力ヲ擴充スルニハ高ク買上ゲル、
是ガ私ハ一番ダト思フノデアリマス、馬ノ
價格ガ生產費ヨリ數等高クテ、ソコニ若干
ノ利潤ト云フモノガアレバ、馬ハ生產サレ
ルデアリマセウ、馬ノ價格ガ生產費ニ滿タ
ナイデ、ソコニ損失ガ多ケレバ、ソレヲ單
ナル國家ニ對スル奉仕デアルトカ、馬ヲ愛
スルトカ云フ考ノミヲ以テシテ、生產サセ
ヨウト致シマス場合ニハ、ヤハリ生產力ハ
低下スルデアリマセウ、此ノ法則ハ、現在
ノ經濟制度ノ下ニ於キマシテハ、馬產農民
ト雖モ免レ難イ所ノ原則デアリマス、勿論
經濟ノ組織ガ變リマシテ、經濟ニ關スル
「イデオロギー」ガ全然違ツテ來レバ、問題
ハ別デアリマスガ、現在ノ經濟組織ノ下ニ
於テハ、是ハ已ムヲ得ナイコトデアラウト
私ハ思フノデアリマス、去ル本會議デ櫻內
農林大臣ハ、同僚遠山君ノ質問ニ答ヘテ「馬
ノ賣買價格ニ付キマシテハ、市場價格ヲ基
準ト致スノデアリマシテ、ソレニ依ツテ賣
買ヲスルコトト相成ルノデアリマス」斯ウ答
ヘテ居ラレルノデアリマス、併シナガラ市
場價格ナルモノハ、馬ノ生產費ニ相當ナ利
潤ヲ加ヘタ額デアルト云フ理由ニハ、少シ
モナラナイノデアリマス、馬ノ生產費以下
ニ於テモ市場價格ハ成立スルニ決ツテ居リ
やっと、隨テ農相ノ市場價格ヲ基準トスルト
云フ觀念ハ、馬ヲ商品トシテ買フ、卽チ其
ノ商行爲ノ商取引ヲ目的トスル商品的ナ立
場ヲ代表スルモノデハアリマスケレドモ、
馬ノ生產者ヲ代表シナケレバナラヌ農林大
臣ノ「イデオロギー」トシテハ、私ハ甚ダ之
ニ對シテ不滿ヲ感ズル一人デアリマス、私
ハ徒ニ農林大臣ノ片言隻句ヲ捉マヘテ、惡
意ノ論評ヲ加ヘル積リハナイノデアリマス
ガ、今ノ大臣ノ言葉ヲ反面解釋ヲ致シマス
レバ、馬ハ市場價格デ取引サレテ居ル、何
モ文句ハナイデハナイカ、或ハ軍馬ハ市場
價格ヨリモ若干高ク買上ゲテ居ルデハナイ
カ、何ノ不平ガアルカ、斯ウ云フコトニモ
ナルノデアリマス、勿論何時デモ馬ハ市場
價格デ取引サレテ居ルコトニハ相違ナイノ
デアリマシテ、問題ハ其ノ市場價格ガ果シ
テ馬ノ生產者ノ側ニ立ツテ、正シキ價格デ
アルカ否カニ存スルノデアリマス、馬ヲ高
ク買上ゲロト言フト、何ダカ斯ウ云フ時局
ニ馬ダケ高ク買ツテ吳レ、斯ウ云フ虫ノ良
イ考ヲ以テ農民ガ要求シテ居ルヤウニ、理
解ノ無イ人ハ思フカモ知レマセヌガ、決シ
テサウデハナイ、私ハ元來產馬ヲ犠牲產業
ト呼ンデ居ルノデアリマスガ、其ノ意味ハ
馬ヲ生產スルト云フコトハ、利潤ヲ擧ゲヨ
ウト云フ目的ヲ持ツ經濟行爲デハナイ)國
ガ所要スル所ノ馬ヲ作リ出ス爲ニ、經濟ヲ
犧牲ニシテ居ル所ノ產業ダト云フ意味デア
リマス、私達ノ生レタ所ハ、昔カラ南部駒
ノ產地デアリマシテ、私達ハ子供ノ時カラ
馬ト共ニ育ツタノデアリマス、吾々ノ方ノ
縣ノ農家ノ家ト云フモノハ、母屋ノ右手若
クハ左手ノ方ニ、鍵ノヤウニ曲ツテ造ラレ
テアルノガ厩デアリマス、人ノ住ム家ト馬
ノ住ム家トガ軒ヲ連ネテ居リマス、中流以
上ノ家庭デアリマスレバ、其ノ間ニ空地ガ
アルノデアリマスルガ、下層農民ノ家ニナ
ルト、臺所カラ直グデアツテ、馬ガ朝起キ
ルト直グ臺所ヘ首ラ出シテオ早ヨウト云フ
ヤウナ所ニ育ツタ、要スルニ東北ノ農民ハ
馬ト共ニ寢起キシテ生キテ居ルノデアリマ
ス、サウシテ其ノ南部駒ト云フモノハ在來
種卽チ和種デアリマス、其ノ在來種ノ馬デ
アリマシタガ、ソレデモヤハリ鎧武者ヲ乘
セテ、戰爭ガ出來タノデアリマス、ソレガ
明治ニナリマシテ兵制改革以來、軍ノ所用
スル馬トシテ斯ウ云フ在來種デハ不適當ダ
ト云フフデ、先ヅ私ノ村ナドニ「アラビヤ」馬
ナドガ輸入サレテ、村ニ種付所ト云フモノ
ガ出來テ、ソレカラ轉々トシテ、ソレ「アラ
ブ」ダ、ソレ「サラブレッド」ダ、ソレ「ノル
V·2ダト云フヤウナ工合デ、結局現在ノ
中間種ノ「アングロノルマン」若クハ其ノ系
統ノモノト云フヤウニ、變ツテ來テ居ルノ
デアリマス、現在ノ馬ヲ作リ出スマデニ、先
輩ノ苦心ト云フモノハ全ク淚ナクシテハ之ヲ
見ルコトハ出來ナイノデアリマス、國ガ要
求スル馬ヲ作リ出ス爲ニ、或ハ山ヲ賣ツタ
リ或ハ田ヲ抵當ニ入レタリシテ、優良牝馬ヲ
購入シタ、ドウモ在來ノ雜種デハ中々軍馬
ニ採レサウナ馬ガ出來ナイカラ、是ハ外國
產ダ、洋種ダトカ、ソレ是ハ洋雜種ダト
カ、是ハ鼻白ダカラ宜イ、足ガナンボ白イ
カラト云フヤウナ爲ニ馬ノ値段ニ高イ低イ
ガ出來マシテ、サウ云フモノヲ交換スルト
カ、買入レル、其ノ爲ニ殆ド先輩ノ馬產家
ト云フモノハ、皆破產シテ居ルノデアリマ
ス、良イ馬ヲ出サウトシタ者ハ皆破產シテ
シマツタ、私ハ子供心ニ言葉ハ少シ過ギル
ノデアリマスガ、馬產家ト云フモノハ政府
ノ煽テニ乘ツテ破產シテ居ルモノデアルト
云フ觀念ヲ、非常ニ强ク打込マレタコトガ
アルノデアリマス、勿論其ノ時分私ハ子供
デアリマシテ、國家ノ爲ニサウ云フ風ニ馬
ヲ改良シテ行クコトガ、必要缺クベカラザ
ルモノデアルト云フコトニ付テ暗カツタノ
デアリマスカラ、致シ方ナイノデアリマス
ケレドモ、斯ウ云フ事實ヲ見セ付ケラレテ
來テ居ルノデアリマス、皆ガ破產シ家資分
散ニナツテ、今日ノ馬產地或ハ東北-東
北バカリヂヤナイデセウ、九州ニモ何處
ニモサウ云フ所ガアルデセウ、サウ云フ風
ニシテ今日ノ馬產地ヲ築キ上ゲタノデアツ
テ、羅馬ハ決シテ一日デ成ツタノデハナイ
ノデアリマス、此ノ事實ハ皆國ノ犠牲デア
リマス、善ク言ヘバ國ノ奬勵ニ依ツテ、惡
ク言ヘバ國ノ煽テニ乘ツテ破產シテ行ツタ
ノデアリマス、農民ト云フ立場カラ言ヒマ
スルナラバ、馬ヨリハ牛ノ方ガ宜イカモ知レ
ナイ、又在來種デアツテモ一向差支ナイ、
農耕用ヤ駄馬用ヤ厩肥ヲ取ルト云フダケナ
ラバ、何モ差支ナイ、又飼養頭數ニ致シマ
シテモ一戶一頭モ持ツテ居レバ、ソレデ十
分デアリマス、隨テ飼養管理ノ費用モ多キ
ヲ要シナイノデアリマス、然ルニ軍ノ所要
スル優良馬ヲ出スト云フノガ馬政ノ方針デ
アリ、之ニ從順ナノガ馬產家デアリマスカ
ラ、農耕用ナラ一戶一頭飼ツテ置ケバ宜イ
モノヲ、一戶五頭モ十頭モ飼ツテ見タリ、
種付カラ二歲駒ニ仕上ゲルマデニハ非常ナ
努力デアリマス、殊ニ採草放牧地トシテノ
牧野ヲ持タナイ地方ニ於キマシテハ、舍飼
ヲ致シテ居リマスカラ、其ノ飼養管理ハ並
大抵デハナイノデアリマス、殆ド成年ニ達
シタ男ノ勞働力ガ、一匹ノ馬ニ掛リ切ツテ
居ル、其ノ外ニ飼料ヤ衞生費、其ノ他ノ費
用ガ掛ツテ居リマスカラ、假ニ二歲ノ秋ニ
之ヲ馬市場ニ出シテ、幸ヒ軍馬ニ買上ゲラ
レタトシテモ、漸クソレハ生產費ニナツタ
カナラナイ程度ノモノデアルノデアリマス、
勿論昨年、一昨年アタリハ、生產費ニハナ
ツタデアリマセウガ、生產費ニナラナカツ
タ年ガ、其ノ以前ニハ澤山アツタト私記憶
シテ居ルノデアリマス、所ガ生產サレタ馬
全部ガ、軍馬ニ買上ゲラレルモノデアリマ
スナラバ、是ハマダ宜イノデアリマスガ、
軍馬ニ要スル適格馬ト云フモノハ、サウ澤
山アルモノデハナク、又アツタト致シマシ
テモ、買上ゲスル數量ニハ限リノアルモノ
デアリマスカラ、軍馬ニ購買セラレナイモノ
ガ出來テ來ル、サウスルト軍馬以外ノモノハ
品質ハ必ズシモ劣等デハナイト致シマシテ
モ、市場價格ニ付テハ非常ナソコニ値開キ
ガ生ジテ參リマシテ、假ニ軍馬ガ二百圓デ
賣レタト致シマスレバ、ソレニ次グベキ馬
ガ百圓ニ賣レナイ、軍馬ガ百五十圓ニ賣レ
タトシテ、ソレニ次グベキ馬ガ百圓ニ賣レ
ナイ、是ガ馬市場ノ實情ナノデアリマス、
サウ云フ軍馬ニナリ得ナカツタ馬ガ、軍馬
一頭ニ付テ十頭モ二十頭モ出來テ來ル、併
シナガラ是等ノ馬ニシタ所デ、生產者ハ軍
馬ニ買上ゲラレルコトヲ目標トシテ飼養管
理シテ來タノデアリマスカラ、生產費ハヤ
ハリ軍馬ノ生產ト大差ハナイノデアリマス、
隨テ二十頭ナリ十頭ナリカラ一頭選バレテ
軍馬ノ御用ヲ承ツタトシテ、其ノ馬ハ辛ウ
ジテ生產費内外ノ所ニ値ガ付イタケレドモ、
殘リノ十頭ナリ二十頭ナリハ、生產費ヨリ
何十圓モ損ヲシテ安ク手放サナケレバナラ
ナイ、是ガ馬產家ノ實情デアルト思ツテ居
リマス、之ヲ譬ヘテ、一人ノ馬產家ガアリ
マシテ十頭ノ馬ヲ生產シテ、其ノ幼駒ヲ市
場ニ出シタ、中一頭ハ軍馬トシテ生產費ニ
ハ十分デアツタガ、殘リ九頭ハ何レモ軍馬
ニ外レタガ爲ニ、一頭ニ付テ生產費ヨリ或
ハ五十圓ナリ百圓ナリノ損ヲシタトスルナ
ラバ、サウシテソレガ何年カ續イタトスル
ナラバ、其ノ馬產家ハ遂ニ破產スルデアラ
ウコトハ、明カナ話デアリマス、是ハ一人
ノ馬產家ガ十頭モ出シタ話デアリマスガ、
之ヲ大キク一ツノ馬產地農村トシテ見マシ
テモ、又全日本ノ馬產家ヲ一ツノ綜合體ト
シテ見マシテモ、理窟バ同ジデアリマス、
斯ウシテ馬產地ハ潰レテ行クデアリマセウ、
是デハ他ニ如何ヤウナ馬產奬勵策ヲ講ジマ
シテモ駄目デアル、馬資源ノ生產擴充モ、
保有量ノ維持モ、達成致シマセヌ、吾々ガ
何故ニ軍馬ヲ高ク買上ゲテ貰ハナクテハナ
ラヌト言フカ、其ノ理由ハ玆ニアルノデア
リマス、此ノ理由ハ御分リニナルデアリマ
セウ、馬ハ詰リ兵器デアル、馬ヲ兵器ト致
シマシテ、兵器ヲ假ニ外國カラ輸入スル場
合、誰ダツテ生產費以下ニ賣ツテ吳レル所
ハナイノデアリマス、又陸軍ナラ陸軍ガ兵
器ヲ御自分デ造ルト致シマシテモ、無論大
砲ヤ何カニハ刎ネモノハ出來ナイデアリマ
セウガ、刎ネモノガ出來ルト致シマシテモ、
其ノ刎ネモノノ原料ヤ工賃ハ、見ナイト云
フ譯ニハ參ラヌデアリマセウ、軍馬ヲ高ク
買上ゲルコトニ依ツテ、一般市場ノ馬ノ價
格ヲ生產費ニ相當ナル利潤ヲ加ヘタモノニ
引上ゲ、サウシテ其ノ價格ヲ維持スルト
云フコトコソ、馬產政策上緊要缺クベカラ
ザルモノデアルト私ハ考ヘル、此ノ理由ヲ
御認メニナリマスルカドウカ、御認メ下サ
レバ私ノ此ノ點ニ關スル質問ハ半バ達シマ
ス、若シ御理解ガ願ヘナケレバ、折角ノ私
ノ質問モ馬ノ耳ニ念佛ニ了ルノデアリマス、
之ニ對スル農林當局ナリ陸軍當局ナリノ御
決心ハ如何デアルカ、此ノ點モ御聽キシテ
置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=5
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006・荷見安
○荷見政府委員 只今馬ノ價格ノ引上ニ付
テ御話ガゴザイマシタ、馬ノ價格ヲ引上ゲ
マスコトハ、其ノ生產ヲ刺戟スルコトニ依
ツテ生產力ヲ擴充スルコトニナルノダト
云フコトハ、私モ御話ノ通リニ考ヘテ居ル
ノデアリマス、現在ノ狀況カラ致シマスレ
バ、馬ノ資源ハ益〓多キヲ可トスル狀態デ
アリマスガ、生產力擴充ノ必要ナルコトハ
勿論、隨テ御話ノヤウナ點モ、十分吾々ト
シテモ考ヘテ參ラナケレバナラヌト云フコ
トハ御同感デアリマス、併シナガラ他ノ馬
ノ利用ノ方面モ考ヘマスレバ、此ノ馬ノ價
格ガ非常ナル騰貴ヲ致シマスト、利用者ノ
方ガ非常ニ困難ニナツテ參リマシテ、隨テ
其ノ消化ノ方ニ若干差支ヲ生ジテ來ル虞ガ
ナイトモ申セマセヌカラ、十分〓究ヲシナ
ケレバナラヌト思フノデアリマス、殊ニ馬
ノ資源ハ先程モ御話ノヤウニ、段々減少シ
テ參ツテ居ルノデアリマスシ、農村勞力等ノ
關係ノコトモ考ヘナケレバナリマセヌノデ、
是等ノ圓滑ナル調整ヲ期シマシテ、生產者
ニモ利用者ニモ、兩方面共經濟上不都合ノ
ナイヤウニ致シマスルコトハ、極メテ重要デ
アルト考ヘテ居リマス、併シソレハ單ナル
價格ノ問題ダケノ〓究デハ、十分ヲ期シ得ナ
イト考ヘテ居リマスノデ、馬ノ價格ノ調整
ヲ期シマス爲ニハ、馬ノ取引或ハ配給機構
等ノ關係ニモ、至急ニ十分ナル檢討ヲ加ヘ
テ、必要ナル改善ヲ若シモ要スルナラバ、
至急ニ實行シナケレバナラヌト考ヘテ居ル
ノデアリマス、隨テ只今モ御話ノヤウニ、
馬ノ買上ニ關與致シマス陸軍當局ナリ、或
ハ馬政當局ナリ、ソレ等ノ關係者ガ集マリ
マシテ、至急ニソレ等ノコトヲ〓究致シ
タイ積リカラ、昨年ノ暮ニ馬ノ取引改善協
議會ヲ農林省内ニ設ケマシテ、陸軍ノ關係
ノ方々ニモ、農林省內部ノ馬政ニ關スル方
方ニモ御協力ヲ願ツテ、折角〓究ヲ進メテ
居ルノデアリマス、尙ホ只今御話ガアリマ
シタ軍馬ノ購買洩レニナリマシタ馬ガ、非
常ニ不利益ニナルト云フヤウナコトハ、是
モ考ヘナケレバナラヌコトデアルコトハ、
申上ゲルマデモナイト考ヘマスケレドモ、
今囘制定致シマス軍用保護馬ノ制度ガ成立
致シマスレバ、相當多數ノ軍用ニ適スル馬
ガ、國家ノ特別保護ヲ受ケルト云フコトニ
ナリマスノデ、ソレ等ノ關係ヲ餘程緩和ス
ルコトニナルト信ジテ居リマス外ニ、又滿
洲等ニ移植スル爲ニモ、相當數ノ馬ガ民間
カラ買上ゲラレルコトニナルト思ヒマスノ
デ、此ノ新馬政計畫ニ伴フ豫算ナリ法律案
ナリノ、十四年度以後ノ計畫ヲ實行致シマ
スレバ、御話ノヤウナ點モ、相當改善セラ
レテ行クモノデハナイカト考ヘルノデアリ
やっ、尙ホ馬ノ買上價格ニ付キマシテ、生
產費及ビ其ノ中ニ含ムベキ利潤ト云フヤウ
ナモノヲ加ヘタ價格ヲ以テ、買フベキモノ
デアツテ、市場ノ自由ナ價格ニ放任スベキ
モノデナイト云フ御趣旨ノ御話ノヤウニ、
私伺ツタノデアリマスガ、何カ思違ヒガア
レバ訂正致シマスガ、成程取引ノ關係ト云
フ風ナコトヲ律シテ參リマスニハ、價格ノ
標準ト云フヤウナコトモ、十分考ヘテ行カ
ナケレバイカヌコトト考ヘテ居リマスノデ、
御話ノ馬ノ價格ノ基準ト云フヤウナモノヲ
考ヘロト云フ御趣旨ニ付キマシテハ、私共
モ出來得ル限リ〓究致シタイト考ヘテ居ル
次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=6
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007・中村明人
○中村政府委員 陸軍カラモ一言申上ゲマ
ス、軍馬ノ購買價格ト云フコトニ付キマシ
テハ、只今御指摘ノ通リ馬產ノ保護ニ非常
ナ重大ナ影響ヲ持ツモノデアリマスカラ、
陸軍當局ト致シマシテハ此ノ點ニ付キマシ
テ比年〓究ヲシ、馬產保護奬勵ノ目的ニ齟
齬ナカラヌコトヲ期シテ來タノデアリマ
ス、サレバニヤ只今御指摘ノ通リ、軍ノ買
上價格ハ生產費モ合シテ宜シイト云フヤウナ
風ニモ伺ツタノデアリマスガ、左樣ニ軍ト
シテハ十分注意ヲシテ居リマス、如何セン
最近ノ暴騰ハ、豫算ノ範圍外ニモ出テ居ル
ノデアリマスガ、將來此ノ購買價格ト云フ
コトガ馬產ニ影響スルコトノ大ナルニ鑑ミ
マシテ、相當價格ノ增額モ今計畫ヲシテ居
ル次第デアリマス、唯軍ノ買上ゲルノハ
僅ナ數デアリマスカラ、其刎ネラレタ馬ガ
非常ニ又物ヲ言フト云フ御話デアリ、又事
實ソレガ物ヲ言フコトハ當然ナコトデアリ
マン、ソレヲ十分ニ算盤ノ立ツヤウニシテ
上ゲナケレバ、卽チ國家カラ見テモ大キナ
馬產ニハナラズ、又軍ノ要望スル所ノ方針
モ貫徹ヲシナイノデアリマスカラ、決シテ
軍ハ今申上ゲタヤウナコトデ安心ヲシテ居
ル次第デハアリマセヌ、農林當局ト密接ニ
相寄リ〓究ヲ致シマシテ、大局的ナ見地カ
ラ見テ、馬產者ノ福利モ增進ヲセネバナラ
ヌト云フコトニ付テ、考慮シテ居ル次第デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=7
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008・泉國三郎
○泉委員 大シタコトデモアリマセヌケレ
ドモ、私ガ市場價格ト言フノハ、市場價格
必ズシモ常ニ公平ナラズ、市場價格ガ必ズ
シモ生產費ニ準據シテ定メラレルモノデナ
イト云フコトデアリマス、豫算ヤ何カノ關
係デ高ク買ヘナイト云フヤウナコトモ能ク
聞クコトデアリマスケレドモ、馬ハ一ツノ
兵器デアリマスカラ、要スルニ兵器トシテ
必要ナモノデアレバ、豫算ノ都合ナンカハ、
アナタ方デドウニデモナリサウナモノデ、
私共此ノ議會ニ別ニ反對シタコトモアリマ
セヌカラ、如何樣ニモ出來ルヤウニ思フノ
デアリマス、サウシテ又サウ云フ金ハ、政
府ニ出セト云フノデハナクシテ、結局ソレ
ハ稅金ナリ公債テリ、國民ノ負擔ニ於テ出
ルノデアリマスカラ、吾々ガ出シタモノヲ
公平ニ吾々ノ方へ還元シテ欲シイ、他ノ軍
需產業デハエライ儲ケテ居ル者モアリマス
ガ、サウ云フ方カラ稅金ガ出テ自然增收ニ
ナルノデアリマス、今度ハ馬ト云フ軍需產
業デハ、一ツモ儲ケテ居リマセヌカラ、サ
ウ云フ方ヘモ公平ニ還元シテ欲シイ、又サ
ウ云フ風ニ公平ニ取立テテ、公平ニ還元ス
ルコトコソガ、政治ノ妙諦デモアリ、アナ
タ方ガ爲サナケレバナラナイ仕事デアルト
思フノデアリマス、此ノ點ハ質問デハアリ
マセヌガ、要望ヲシテ置キマス、ソレカラ
馬ノ値段ガ高イト言ヒマシテモ、一方的ニ
馬ダケガ切離サレテ考ヘラルベキモノデハ
ナイノデアリマシテ、私ノ馬ノ値段ヲ高ク
ト云フノハ、生產費ニ合致スルト云フコト、
同時ニ他ノ物價トノ比較ニ於テ言フノデア
リマス、他ノ物價トノ關係ニ於テ、生產費
ヲ見テ高イ、斯ウ云フノデアリマス、生產
費ガ引下ゲラレルト云フコトニナリマスレ
バ、又隨テソレニ準ジテノ馬ノ値段ト云フ
モノハ、出テ來ルデアラウト思フノデアリ
さく、根本的ニハ馬ノ生產家達ノ生活ノ安
定ト云フ問題ガ、相當基本的問題トシテ考
慮サレルノデアリマシテ、此ノ點ニ關スル
所ノ馬ノ生產家ノ生活ガ安定シナケレバ、
馬ノ値段ガドウナリマセウトモ結局ハドウ
モナラヌト思ヒマス、其ノ點特ニ御考慮ヲ
願ツテ置キタイト思ツテ居ルノデアリマス、
次ニ今度ハ他ノ問題ニ移リタイト思ヒマス
ガ、是ハ本會議デモ屢〓、同僚諸君カラ尋ネラ
レタノデアリマスガ、馬ノ生產費ヲ低下ス
ル一ツノ原因トモナリ、又所謂肢勢正良、
關節堅牢、蹄質堅靱ナル馬ヲ作リ出ス爲ニ
ハ、ドウシテモ牧野ト云フモノヲ持タナケレ
バイカヌノデアリマス、馬ノ生產地ト致シ
マシテハ、北海道ハ若干惠マレテ居リマス
ルガ、東北、九州其ノ他ハ之ニ惠マレテ居
リマセヌ、ドウシテモ舍飼ヲ致シマスレバ
最前モ言ツタ通リ、一頭ノ馬ニ一人ノ成人
ノ勞働力ヲ費サナクテハナラヌ、朝ハ馬ノ
飼料ヲ苅取ル爲ニ出掛ケテ行ツテ、所ニ依
リマスレバ半日モ掛ツテ歸ツテ來ル、タハ
今度ハ舍飼デアリマスルカラ、足ガ惡クナ
リマスノデ、之ヲ出シテ川へ持ツテ行ツテ
洗フトカ、或ハ運動ヲサセナクテハナラヌ
ト云フヤウナ工合デ、非常ニ生產費ガ掛カ
ル、良質ノ馬ヲ出スト云フ爲ニハ、ドウシ
テモ牧野ト云フモノガナケレバナラヌ、所ガ
牧野ト云フモノハ、現在ノ農林省ノヤ
ツテ居リマス所ノ山林政策、森林政策ト
ハ殆ド對蹠的ナ關係ニ立ツテ、牧野ノ
問題ガイヂメラレテ居ル、斯ウ見テ宜イ
ノデアリマス、殊ニ-又東北ノ話ニナ
ルヤウデイケマセヌガ、東北ハ馬ノ產地
デモアリ、國有林ガアルノデアリマスカラ、
引例トナルノモ仕方ガナイノデアリマスガ、
林野ヲ見マスルノニ、御料林ト云フノガ全
國ノ總計ガ百三十八万町步、內岩手、靑森、
福島、此ノタツタ三縣デ七十七万三千町步、
全國ノ御料林ノ約半分ト云フモノヲタツ
タ三ツノ縣ガ持ツテ居ル、國有林ハ全國デ
七百七十一万町歩デアリマスガ、內東北六
縣ガ二百二十二万町步、全國ノ約三割ト云
フモノヲ東北六縣ダケデ持ツテ居ル、反對
ニ私有林野、是ハ全國ガ千四十九万餘町
步デアリマスガ、東北ハ百四十九万餘町步、
是ハ一割四分シカ持ツテ居ラヌ、サウスル
ト林野ニ於キマシテ東北ハ全國デモアル方
デアル、而モソレガ國有林野、御料林デア
ツテ、私有地ト云フモノハ洵ニ少イ、ドウ
シテソンナニ東北ハ出來タカト云フト、曾
テ林野ハ皆東北ダツテ私有地ニナツテ居ツ
タノデアリマスガ、山林ニモ山林稅ヤ原野
稅カ課カルヤウニナリマシテカラ、サウ稅
金ガ山ニマデ課カツテ來テハ仕樣ガナイト
云フノデ、稅金ヲ納メナイヤウニシヨウトシ
マシテ、此處マデハ國有林ダト言ハレルト、
アヽサウデスカト云フコトデ、自分ノ山デ
モ只國ニ取ラレテシマツタノデアリマス、
言分ハ少シヲカシイカ知レマセヌケレドモ、
實際ハサウデ、現在ニ於テハ國有林ニナツ
テシマツテ居ルノデアリマシテ、現在ハ草
ヲ一ツ苅ルニ致シマシテモ、營林署ノ御諒
解ヲ得ナケレバ、鎌ハ入レラレナイト云フ
ノデ非常ニ困ツテ居ル、而モ國有林ノ收益
ヲ見マスト、全國ノ國有林ノ收益ト云フモ
ノハ六百五万二千餘圓、東北ハ三百八十三
万六千圓、詰リ國有林野ノ收益ノ點カラ見
レバ六三%ト云フモノヲ東北ガ擧ゲテ居ル、
斯ウ云フ風ニシテ東北ニ於ケル國有林野ノ
地位ト云フモノハ大キイモノガアル、ダカ
ラ私ハ此處ノ中ニ少クトモ公共團體ナリ、
或ハ產馬畜產組合ト云ツタヤウナ團體ナリ、
或ハ私人ナリニ開放シテ、馬ヲ生產スル爲
ノ採草放牧地トナスベキ餘地ガ十分ニアリ、
農林大臣ハ所謂森林政策ニ支障ナキ限リト
言ヒマシタガ、支障ナクサウ云フコトハヤ
リ得ル餘地ガ、マダ〓〓十分アルヤウニ思
ヒマス、同時ニ其ノ開放ガ出來ナイトスル
ナラバ、國其ノモノガ國有林野ノ中ニ諸所
ニ適當ナル放牧採草地ヲ設ケテ、之ヲ又馬
產家ニ利用サセル方法ヲ採ツテモ宜イダラ
ウト思フノデアリマス、兎ニ角トシテ現在
此ノ放牧採草地トシテノ牧野ヲ、モウ少シ
國ガ力ヲ入レテヤツテ貰ハナケレバ、ドウ
シテモ蹄質强靱、關節堅牢ナル馬ト云フモ
ノハ出テ來ナイ、之ニ對シテノ農林大臣カ
ラノ御話モ承リマシタケレドモ、農林大臣
ノ御話ハ理想論ヤ抽象論デアリマシテヽ洵
ニ修身書ミタイナモノデアリマシテ、吾々
ドウモ實際ニハ甚ダシク迂遠ニ聞エルノデ
アリマスカラ、具體的ニ何カ御考ガアツタ
ラ、一ツ承リタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=8
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009・荷見安
○荷見政府委員 馬ノ生產費低下、或ハ健
全ナル馬ヲ作ル爲ニ牧野ガ極メテ必要ダト
云フコトハ、御話ノ通リデアリマス、是ハ
本會議ニ於キマシテモ農林大臣カラモ申シ
マシタヤウニ、政府ト致シマシテモ今囘ノ
馬政計畫遂行上、牧野ノ改善ト云フ風ナコ
トガ極メテ必要デアルト認メマシテ、前年
度ニ較ベテ六十万圓バカリノ豫算ヲ增加致
シマシテ、百三十八万圓バカリニ增額致シ
マシテ、之ニ依ツテ差當リ出來ル限リ、牧
野ノ整備ヲ致シテ參ラウ、尙ホ御話ノヤウ
ニ國有林野等ニ付キマシテモ、〓究ヲ致シ
マスレバ相當之ヲ開放シ得ルヤウナ所モア
ルノデハナイカト云フ風ナ考モ致シテ居リ
マスシ、又現在ノ牧野ニ致シマシテモ荒
廢致シテ居ルヤウナ所ハ、或ハ適當ニ之ヲ
整備スルト云フ風ナ方法モ必要デアラウト
思フノデアリマシテ、是等ノコトヲ山林當
局等トモ能ク協議ヲ致シタイ見込デ、今度
初メテ省內ニ牧野整備ノ審議會ナルモノヲ
設ケマシテ、熱心ニ〓究ヲ始メテ居ル次第
デアリマス、牧野ノ改良トカ開放トカ云フ
風ナ問題ニ付キマシテモ、色々御話ハ伺フ
ノデアリマスガ、大體私共普段御話ヲ色々
伺ツテ居ル部面ニ於キマシテハ、地方々々
デ具體的ニ此處ガドウト云フヤウナ問題
ハ、サウ澤山出テ來マセヌデ、抽象的ノ御
話ガ可ナリ多イノデアリマス、ソレデハ中々
今御話ノヤウニ、山林局トノ關係モアツテ
進行シナイノデアリマスカラ、私ノ方ト致
シマシテハ審議會ナドヲ作リマシテ、山林
局ト共同調査デ何處ガドウ出來ルカト云フ
コトモ、〓究シテ行キタイト云フ考ヲ以チ
マシテ、ソレ等ノ共同調査ニ關スル經費モ、
今囘ノ豫算ノ中ニハ一部分計上致シタ次第
デアリマス、ソレ等ニ依リマシテ政府ト致
シマシテハ、出來ル限リ只今御話ノ牧野整
備ノ方面ニ付テモ改善ノ域ニ進ミタイ、斯
ウ云フ風ナ考ヲ持ツテ居ルノデアリマスカ
ラ、ソコハ御諒承置ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=9
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010・服部英明
○服部(英)委員 關聯シタコトデ一寸御許
シヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=10
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011・東武
○東委員長 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=11
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012・服部英明
○服部(英)委員 馬ヲ軍馬ニ買上ノ價格ノ
問題、及ビ生產費ニ付テノ御質問ガアリマ
シテ承ツテ居リマシタガ、只今陸軍當局カ
ラノ御說明モアリマシタヤウニ、買上ニ付
テハ豫算ノ制限モアリマスルカラ御尤デア
リマス、又生產者カラ言ヘバ、市價必ズシ
モ生產費ヲ充タシテ居ルモノトハ限ツテ居
ナイノダカラト云フ、是モ亦御尤デアリマ
ス、就キマシテハ成ベク馬ノ生產費ヲ低ク
スルト云フコトモ、是亦必要ナ條件デアリ
マスガ、其ノ生產費ヲ低クセンガ爲ニハ、馬
ヲ飼養スルニ要スル飼料、例ヘバ麥、豆、草
ナドニ付テ、將來政府ハ統制ヲ行フ意思ハナ
イカ、馬ノ價格ヲ引下ゲテ、而モ生產者ヲ
シテ損失ヲ蒙ラナイヤウニセシムルニハ
生產費ヲ低カラシムルト云フコトガ、前提
ノ條件デナクテハナラヌ、ソレニ付テハ生
產ニ要スル馬ノ飼料ト云フモノニ付テモ、將
來統制ヲ爲サル御考ガアルカドウカ、之ヲ
他ノ例デ申シマスルト、卵ヤ鶏肉ノ統制ハ
圖ツタガ、鷄ヲ飼養スル所ノ飼料-食物
ノ統制ヲ行ハナイガ爲ニ、今日デハ生產費
ノ方ガ卵ヨリ生ズル所ノ收益ヨリモ、グン
ト高クナツテ居ル、斯樣ナル統制ハ甚ダ宜
シクナイト云フ聲ガ、民間ニ起ツテ居リ、
今日政府ノ統制ニ對スル攻撃ニナヅテ居ル
ノデアリマス、馬モ亦生產費ヲ低カラシメ
テ、生產ヲ盛ナラシムルガ爲ニハ、ソレト
最モ關係ノ深イ飼料ニ付テ、政府ハ何カ御
考ガアルカドウカ、統制ニ付テ御考ハアリ
マセヌカ、只今ノ牧場ヲ改良スルコトモ、
一ツノ必要ナル方法デアリマセウ、或ハ飼
養料ヲ政府カラ給付スルトカ、其ノ飼養ス
ル食物ヲ給付スルトカ云フヤウナ方法ニ付
テ、御考ハゴザイマセヌノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=12
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013・荷見安
○荷見政府委員 馬ノ生產費ノ低下ニ付キ
マシテハ、是ハ或ハ種馬ノ供給ニ付テ、政
府ノ方デ資金ヲ出ス-今度種牡馬ノ國有
ト云フヤウナモノモ、餘程負擔ヲ輕減スル
積リデアリマス、又軍用保護馬デアルトカ、
或ハ種牝馬ト云フヤウナモノニ對スル飼養
料ノ助成ト云フヤウナコトモ、豫算ニ計上
シテ居リマス、是モ生產費ノ低下ノ一方
面デアルト思ヒマス、只今御話ノ牧野ノ整
備ノ如キモ、ヤハリ一面ニ於キマシテハ生
產費低下ノ一ツノ方法デアリマス、其ノ他
ノ物資ニ付キマシテ、馬ノ生產費ヲ低下セ
シムル爲ニ、統制ヲ行フヤ否ヤト云フ問題
ニ付キマシテハ、マダ御返事ヲ申上ゲル程
ニ〓究ハ私トシテ致シテ居リマセヌガ、必
要ガアリマスレバ、或ハソコマデモ進メナ
ケレバナラヌモノカトモ思ヒマスケレドモ、
ソレヲスルトカセヌトカ云フ御話ヲ、申上
ゲル程ニ達シテ居リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=13
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014・泉國三郎
○泉委員 モウ一點伺ツテ置キタイノデア
リマスガ、ソレハ大陸ニ對スル馬政計畫デ
アリマス、主トシテ滿洲ニ對スル馬政計畫
デアリマスガ、滿洲ニ對スル馬政計畫ト云
フモノモ、滿洲政府當局ト日本政府トガ連
繫ヲ保ツテ、要スルニ日本ガ指導的立場ニ
立ツテヤツテ行カレルデアリマセウガ、滿
洲ニ馬政計畫ガ實施セラレタト致シマスレ
バ-勿論現在滿洲ノ馬ハ非常ニ體格ガ小
サイノデアリマスシ、內地ノ馬ニ比較シテ
劣ツテ居リマスコトハ勿論デアリマスガ、
併シ一〓ニハ申セマセヌ、興安嶺ヲ越エテ
參リマスレバ、是亦巨大ナル馬ガ居ルノデ
アリマス、大體ニ於テ滿洲ノ馬ハ小格輓馬
用トシテ生產サレルダラウト思ヒマス、ソレ
ニ對シテ日本カラ更ニ優良ナル種馬竝ニ種
牝馬ト云フモノガ輸出サレテ行クカラ、當
分ノ中ハ必ズシモ內地ノ馬產ヲ脅カスヤウ
ナコトハナイデアリマセウガ、滿洲ニ於テ
ハ或ル地方デハ何百頭、何千頭ト云フ馬
ヲ一戶デ以テ放牧デ飼ツテ居ルノデアリ
Vマヘ又奧地ノ興安嶺以西ニ參リマスレ
バ、モウ一人デ何万頭ト云ツタ馬ヲ、
遊牧シテ居ルノデアリマス、アノ地方ハ馬ガ
大キイノデアリマスカラ、必ズシモ直チニ日
本ノ現在要求スル馬デアルカドウカハ、別
問題デアルト致シマシテ、現在ハ大シテ差
支ナイト致シマシテモ、將來ニ於キマシテ
非常ニ低廉ナル馬ガ出テ來ル、サウスル
ト是ハ軍ノ所要ヲ充タスバカリデハナク、
先進内地ノ馬產地ヲ脅カスガ如キコトガ、
將來起ツテ來ヤシナイカ、寧ロ私ハ斯ウ云
フコトヲ心配スルノデアリマス、滿洲邊リ
ニハ鼻疽ノヤウナ惡イ病氣ガアリマシテ、
簡單ニ直チニサウ行クカドウカト云フ見透
シハ、持ツテ居マセヌケレドモ、大體常識
論トシテサウ思ツテ居ル、隨テ滿洲ニ對ス
ル馬政計畫ニ付テモ、軍ノ所要スル馬ノ規
格バカリデナク、數量ヤ何カニ付テモ內地
トノ將來ノ見透シヲ付ケテ、サウシテ完全
ナル計畫ヲ立テテ行カナケレバ、將來非常
ナコトガ出來ヤセヌカ、私ハ斯ウ思フノデ
アリマスガ、ソレ等ニ對シテ何カ特別ナ御
〓究ガサレテ居リマスカ、當局ノ御考ヲ承
リタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=14
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015・荷見安
○荷見政府委員 ソレハ今般御手許ニ差上
ゲマシタ內地馬政計畫提要ノ中ニモ出テ居
リマスガ、日滿ニ亙ル馬政國策ヲ、昨年ノ
夏閣議ニ於テ決定致シタノデゴザイマス、
ソレニ依ツテ內地及ビ滿洲ニ於キマシテノ
馬ノ生產ニ關スル調整、竝ニ分布ニ關スル
調整ノ方針ヲ、明確ニ決定致シテ居リマス、
關係者ニ於キマシテ此ノ方針ハ的確ニ守ツ
テ行ク積リニナツテ居リマスノデ、隨テ只
今御話ノヤウナ點ノ御心配ハ、殆ドナイモ
ノデハナイカト思ツテ居リマス、滿洲ノ關
係ニ付キマシテハ陸軍ノ方カラ御話ヲ願フ
コトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=15
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016・中村明人
○中村政府委員 只今滿洲ノ馬ヲ非常ニ澤
山-莫大ニ居ルヤウニ御考ニナツテオ居
デニナルヤウニモ伺ツタノスデアリマスガ
數ニ於テハサウ澤山ノモノデナクテ、色々
ノ病氣ヤ癈疾其ノ他ノモノヲ除イテ、現在
軍用ニ供シ得ル數ト云フモノハ、案外少イ
ノデアリマス、數万頭ト言ツテ宜シカラウ
カト思ヒマス、隨テ斯ノ如キ數ニアリ、又
其ノ質ガ御承知ノ通リノ質デアリマスカラ、
成程氣候風土ニモ慣レ、飼料モ簡單デ、手
取早ク使フニハ便利ノヤウデアリマスガ、
今日ノ能力ヲ以テシテハ、軍ノ要望ニハ中
中達シナイノデアリマス、故ニ滿洲ノ馬產
計畫ガ逐次進行シテ行キマシテモ、其ノ質
ニ於テ、其ノ數ニ於テ、我ガ國內ノ馬產ヲ
脅カスコトガナイト論斷シテ居ルコトハ、
農林當局ノ御辯明ト一致シテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=16
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017・泉國三郎
○泉委員 大體御說明ヲ戴キマシタガ、私
ノ伺セマシタ各點ニ付テハ、滿足ヲ得ル部
分モアリ、或ハ不十充ニ思フ點モアリマシ
タ、要スルニ私ノ質問シテ居ルコトハ、馬
產地ヲ代表シテ言ツテ居ル積リデアリマス
カラ、將來政府ノ馬政計畫ニ付テノ馬產地
ノ要望トシテ御聽キ取リヲ願ツテ置キタイ
ノデアリマス、ソレカラ馬ノ鍛鍊ニ付テ、
馬ノ衞生對策ニ付テ御聽キシタカツタノデ
アリマスガ、是ハ後ノ機會ニ讓リマス、殊
ニ私ハ競馬ニ關シマシテハ、他ノ人トハ全
然異ツタ一ツノ考ヲ持ツテ居ルノデアリマ
スケレドモ、今ハ之ヲ申述ベマセヌ、馬ノ
豫算ニ付テ御聽キシヨウト思ツテ、折角私
ハ調査シタノデアリマスガ、今朝家ヲ出ル
時、其ノ重要ナル資料ヲ皆忘レテ置イテ來マ
シタカラ、後デ若シ再ビ私ニ質問ヲ許サレ
ル機會ガアリマシタラ御聽キスルコトニ致
シマシテ、私ノ質問ハ是デ打切ツテ置キマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=17
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018・東武
○東委員長 分リマシタ-少シ早イガ、
オ晝ニ致シマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=18
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019・大石倫治
○大石委員 議事進行ニ付テ-本日ハ本
會議ニ於テ競馬ニ關スル法律案ガ上程セラ
レマスカラ、午前中デ委員會ヲ打切ツテ戴
キタイ、明日ハ午後一時半ヨリ開會スルヤ
ウニシテ戴キタイ、尙ホ本日ハマダ時間ガ
アリマスカラ、モウ一人位御許シヲ願ツテ、
成ベク簡潔ニ一ツ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=19
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020・東武
○東委員長 ソレデハ服部君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=20
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021・服部英明
○服部(英)委員 私ノ質問ノ範圍ハ色々デ
アリマスガ、先ヅ衞生ニ付テノ方面ヲ御尋
致シマス、馬ノ、殊ニ軍馬ノ必要ヲ感ジテ
本案ヲ御提出ニナリマシタ理由ハ能ク分リ
マシタ、之ニ付テ如何ニシタナラバ、良イ
馬ヲ安ク且ツ短期間ニ產出セシムルカ
ト云フコトガ、其ノ目標デアルコトハ
言フマデモナイ、ソレニ付テ細マ〓〓ト
規定ガアルノデアリマスガ、消極的ナ
馬ノ衞生ノ方面ニ付テノコトハ、餘リ多ク
規定ガナイヤウニ拜見致シマシタ、積極的
ニ馬ヲ增產スルト云フコトヲ考ヘルコトハ、
勿論必要デアリマスガ、出來上ツタ馬ノ健
康體ヲ維持シテ、有用ニ利用スルコトモ亦、
閑却スベカラザル事由ト考ヘマスカラ、ド
ウシテモ馬ノ發達ヲ期スル爲ニハ、衞生ノ
方面、謂ハバ馬ニ關スル獸醫師ノ必要ナコ
トハ、申スマデモナイコトデアル、·現在ノ
獸醫師ノ數ト、將來增產ヲ計畫シテ居ル此
ノ法案トヲ睨ミ合セテ見マスト、現在ニ於
テハ、獸醫師ノ數ガ割合ニ少イト云フ感ジ
ヲ持ツノデアリマスカラ、將來ハ優秀ナル
獸醫師ヲ養成スルコトガ、最モ急務デアラ
ウト思ヒマス、ソレニ付テハ本會議ニ於テ
モ御說明ガアリマシテ、本年鹿兒島、鳥取
ニ於ケル高等農林學校內ニ、新ニ獸醫科ヲ
新設シマシテ、九十餘名ノ獸醫卒業生ヲ養
成スルト云フ目論見ノコトモ拜聽致シマシ
タ、此ノ際現在存在シテ居ル獸醫學校ヲ擴
充スルコトニ付テ、何カ必要ナル補助金デ
モ出スト云フ御考ハアリマセヌカ、又現在
設ケラレテ居ル獸醫學校ニ於テ、〓室ノ大
キサニ依ツテ學生養成ノ數ガ制限セラレテ
居リマスガ、此ノ場合デアリマスカラ、其
ノ制限ヲ緩和シテ、一〓室ニ收容スル生徒
ノ數ハ若干增加シテモ、ソレハ默認スルト
カ或ハ認メルトカ云フ御考ヲ以テ、此ノ際
優秀ナル獸醫生ヲ頓ニ多ク增加スルヤウナ
御考ハアリマセヌカ、第三ニ、民間ニ於テ
ハ相當獸醫ノ學生ノ養成ニ、努力致シテ居
ルノデアリマスガ、獸醫師大學ト云フモノ
ヲ建設スルニ付テ、國ノ大學ヲ建設スルニ
付テノ御考ハ、本會議ニ於テ承知致シマシ
タガ、民間ニ於テモ將來左樣ナル計畫ヲ樹
テテ居ル者ガアルトスレバ、ソレ等ニ對シ
テノ出願ニ對シテ、之ヲ認可スルノ御意思
ガゴザイマスカ、是ハ文部省ノ範圍ニ屬ス
ル點モアルカモ存ジマセヌガ、先ヅ此ノ三
ツノ點ヲ一ツ御伺致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=21
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022・岸良一
○岸政府委員 御尋ノ點ハ馬其ノ他ノ畜產
ノ奬勵ニ伴ツテ、其ノ衞生施設ヲ完備シテ
行クニハ獸醫ノ養成ヲヤラナケレバイケナ
イデハナイカ、又之ニ對シテ特別ニ補助金
等ヲ交付シテ、其ノ仕事ヲ促進シテ行クコ
トハ考ヘテ居ラナイカ、今一ツハ民間ノ獸
醫ノ大學等ニ付テ設立ヲ希望スル者ガアル
ガ、之ニ對シテ特別ノ援助ヲ考ヘテ居ルカ、
斯ウ云フヤウナ點ダツタラウト考ヘテ居リ
きく、獸醫ノ養成ニ付キマシテハ、御手許
ニ資料モ差上ゲテアルト思ヒマスガ、現在
アリマスノハ官立ノ大學二校、ソレカラ官
立ノ專門學校五校、私立ノ專門學校三校、
其ノ他ニ中等程度ノ學校ガ十六アル譯デア
リマス、此ノ中獸醫師法ガ出來マシタ時ニ、
十二年ノ猶豫期間ヲ置キマシテ、其ノ間ニ
整理ヲシテ、本年ノ三月ヲ以テ終末ヲ〓ゲル
譯デアリマス、是等ヲ見マシタコトハ結
局最近ニ於ケル所ノ畜產及ビ獸醫ノ學問ノ
進步ニ伴ヒマシテ、ヨリ高イ所ノ素養ノア
ル者デナケレバ、完璧ヲ期スルコトガ出來
ナイト云フ考ノ下ニ、當時ソレダケノ猶豫
期間ヲ以テ、其ノ準備ヲ整ヘテ參ツタノデ
アリマスガ、此ノ點ハ現在ノ時局ニ際シテ
モ、聊カモ間違ヒガナイコトデアリマス、
又最近戰地其ノ他カラノ御話ヲ承リマシテ
モ、ヨリ一層シツカリシタ素養ノアル者ガ
ヤラナケレバ、イカヌト云フコトヲ聞イテ
居リマスノデ、其ノ點ハ間違ヒガナイコト
デアラウト思フノデアリマス、隨ヒマシテ
其ノ方向ニ沿ウテ養成ヲヤルト云フコトハ
必要デアリマシテ、之ガ爲ニ今年ノ三月ヲ
以テ廢止ニナル中等學校ニ對抗シマシテ、
或ハ從來ノ官立學校ノ收容人員ヲ增加サセ
タリ、或ハ今マデ獸醫科ノナイ鳥取鹿兒島
等ニ、獸醫科ヲ設ケルヤウニナツタリ、更
ニ色々各地方ニ於テモ計畫ガアルヤウニ聞
イテ居リマス、又公立學校ノ中ニ於キマシ
テモ、第二部ヲ設立致シマシテ、其處デ獸
醫師法ニ依ル新シイ資格ヲ取ル爲ニ、二箇
年バカリノ養成ヲヤラウト云フ施設ヲヤツ
テ居リマシテ、ソレガ此處ニ揭ゲテアリマ
ス五ツノ外ニ、更ニ最近ニ於テ一ツ位殖エ
テ居ルト思ツテ居リマス、將來ノ見透シカ
ラ言ヒマスレバ、十四年度ニ於キマシテハ
相當多數ノ技術員ノ需要ガアリマス、〓算
八百九十幾人ト云フコトニナツテ居リマス
ガ、ソレニ對シテ卒業生ハ今年度ニ於テハ
千七十九名程ノ豫想ヲシテ居リマス、隨ヒ
マシテ其ノ需給ニ於キマシテハ、現在ノ馬
政其ノ他ノ計畫ヲ施行スル上ニ於テ、支障
ガナイト考ヘテ居リマス、次年度以降ニ於
キマシテハ、此ノ新設學校ガ充員シテ參リ
マスノデ、相當卒業生ガ出テ來ルト云フ譯ニ
ナツテ居リマスノデ、其ノ點或ハ一兩年ハ
多少從來ノ數量ニ不足スルコトガアリマス
ケレドモ、是等ハ更ニ文部省ト相談ヲ致シ
マシテ、施設ノ擴充ヲ圖ルモノハ圖ツテ行
キタイ、斯ウ考ヘテ居リマス、是ハ無論文
部省ノ所管デアリマスノデ、十分打合セヲ
シテ善處シテ行キタイト考ヘルノデアリマ
ス、臨時ノ施設トシテ今ノ定員ヲ殖ヤスト
カ、收容人員ヲ殖ヤストカ云フコトニ付テ
モ、必要ニ應ジテハ考ヘナケレバナラヌト
思ツテ、〓究ヲ致シテ居リマス、或ハ必要
ニ應ジテ獸醫師ノ試驗ヲ受ケル者ノ爲ニ、
夜ノ〓授ヲヤルトカ云ツタヤウナコトヲ、
考ヘテ貰フ必要ガアルノヂヤナイカト、色
色〓究ヲヤツテ居リマス、ソレカラ私立ノ
學校等ノ施設ニ對シテ、助成ヲスルト云フ
コトニ付キマシテハ、是ハ文部省トモ相談
ヲシナケレバナラヌコトデアリマセウケレ
ドモ、是モ一應考ヘラレルコトデアルノ
デ、私共モ〓究ハシテ居リマス、御承知ノ
ヤウニ普通ノ法律等ヲヤル學校ト違ヒマシ
テ、相當實習ノ設備ヲ持クナケレバナラヌ
是ガ十分ニ出來テ居ラナケレバ役ニ立タナ
イ、又東京等ニアル學校デハ、單ニ東京ニ
居ルバカリデハイケナイ、地方ニ行ツテ實
際ニ觸レテ見ナケレバイケナイ、斯ウ云フ
點モ當然アルト思ヒマス、是等ニ對シテ色
色ノ方面カラ是ガ出來得ルヤウニ留意ヲス
ルト云フコトハ、必要デアルト思フノデア
リマス、其ノ他私共ノ施設ニ於テ出來得ル
範圍ニ於テハ其ノ利用ヲ許シテ、サウシテ
在校者ニ畜產、獸醫ニ於ケル實際ノ鍛鍊ヲ
サセルト云フコトニ、努力シテ行キタイト
考ヘテ居ル次第デアリマス、ソレカラ單科
大學ニ付キマシテハ、方々ニ於テ色々御計
畫モアルヤウニ承ツテ居リマス、是等ニ付
テハ文部省ノ所管デアリマスガ、私共ト致
シマシテハ、ヨリ高級ノ、サウシテシツカ
リシタ獸醫技術ヲ持ツタ者ガ生レルト云フ
コトハ、喜バシイコトデアリマスノデ、其
ノ實現ニ付テハ十分善處シタイト考ヘテ居
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=22
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023・服部英明
○服部(英)委員 只今ノ御答辯デ大體承知
致シマシタガ、只今承リマシタ學生養成ニ
付テ、其ノ數ヲ超過シタル場合ノ如キハ考
ヘット或ハ夜ノ授業モ考ヘル、斯ウ云フコ
トニ承リマシタガ、其ノ〓究スル、考ヘル
ト云フ御言葉ハ、左樣ナ場合ニ遭遇致シマ
シタナラバ、御許ヲ願ヘルモノナリト承知
シテ宜シウゴザイマスカ、或ハ考究中ダカ
ラ何トモ分ラヌト云フ意味ノ御考デアルカ
念ノ爲ニ伺ツテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=23
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024・岸良一
○岸政府委員 固ヨリサウ云フコトハ實現
シタイト云フ意圖デ、〓究シテ居ルノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=24
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025・服部英明
○服部(英)委員 次ニ、是モ衞生ニ關シマ
スガ、現在デハ都市ノ市內ニ馬匹ヲ繫留ス
ルコトヲ許サレナ居ナイ、是ハ衞生上カラ
シテ、蠅ガタカルトカ、流行病ガ起キルト
カ云フヤウナ意味合デ、尤モデアリマセウ
ガ、旣ニ馬匹ニ對スル衞生ノ方面ヲ擔當ス
ル獸醫師ナルモノガ現在ニ於テハ、又近キ
將來ニ於テハ、不便ヲ感ジナイ積リデア
ル、斯ウ云フヤウナ、御趣意ニ承リマシタ
ガ、左樣ニシテ總テノ設備ガ充實シテ居リ
マスレバ、衞生ノ方面モソンナニ心配スル
必要ハナイト思ヒマスルカラ、此ノ際市內
ニ馬匹ヲ繫留スルコトヲ許サレテハ如何デ
アルカト云フコトヲ、御伺シテ見タイト思
フノデアリマス、ト云フノハ、市內ニ厩舍
ヲ持タナクテ、郊外ニ馬ヲ置イテ、サウシ
テ其ノ馬ヲ使用スル場合ニハ、郊外マデ出
テ行ツテ、市內ヘ持ツテ來ナケレバ乘馬モ
出來ナイ、斯ウ云フヤウナ今日不便ナ有樣
デアリマスカラ、ソレハ衞生ノ上カラデモ
アリマセウガ、旣ニ衞生上ノ障碍ガ除去セ
ラレルト云フヤウナ今日ノ狀態デアリマス
レバ、市內ニ繫留スルコトヲ許サレルト云
フヤウナ御考ハアリマセヌカ、一方ニ於テ
馬匹ニ關スル知識ヲ鼓吹シ、馬產ヲ奬勵ス
ルト云フ此ノ場合ニ、都市內ニ居住シテ居
ル愛馬者ガ不便ヲ感ズルト云フコトハ、其
ノ發展ニモ障碍ヲ來スモノデアラウト考へ
マスルカラ、此ノ障碍ヲ除去スル爲ニ、市
內ニ馬匹繫留ヲ許可スル御意思ハナイカト
云フコトヲ、承リタイト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=25
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026・荷見安
○荷見政府委員 只今都市ニ馬ヲ繫留スル
コトガ出來ルカト云フ御話デアリマスガ、
是ハ相當嚴重ナル制限ト申シマスカ、規格
ガアルサウデアリマスガ、一定ノ規格ヲ具
ヘタ厩舍ヲ作ルナラバ、都市ニ馬ヲ繫イデ
差支ナイサウデアリマス、尙ホ此ノ點ニ付キ
マシテハ、厚生省トモ連絡ヲ取リマシテ、
成タケ御話ノヤウナ趣旨ガ實行シ易イヤウ
ニ致シタイト云フノデ、只今話合ヒヲ致シ
テ居ルサウデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=26
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027・服部英明
○服部(英)委員 今日交通ニ專ラ自動車「ト
ラック」ヲ使用致シテ居リマスガ、是等ガ「ガ
ソリン」ノ統制ニ依ツテ少カラザル支障ヲ
來シテ居リマス、此ノ場合「ガソリン」ニ代
ルニ馬車使用ト云フヤウナモノヲ、或ル程
度マデ民間ニ强制ヲシテ、馬ニ關スル所ノ
思想ヲ厚クスルト共ニ、馬ノ生產ニ興味ヲ
持タセルヤウニ、市內ヲ〓ツテ步ク馬車ニ
自由使用デハナク、强制使用セシムルヤウ
ナ積極的ナ御考ハアリマセヌカ、詰リ「ガソ
リン」ノ代リニ馬車ノ動力ヲ利用シテ、以
テ一方ニ馬ニ對スル知識ヲ涵養スル、斯ウ
云フヤウナ當局ノ御考ハアリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=27
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028・荷見安
○荷見政府委員 御話ノヤウニ燃料國策ノ
最モ重要ナ時デアリマスカラ、「ガソリン」
ニ代フルニ馬ノ利用等ラ十分ニ致シマシテ、
交通上ノ緩和ヲ致シテ行クト云フコトハ、
極メテ適切ナ御考ト思フノデアリマスガ、
是ハ現在ノ狀況デゴザイマスレバ、或ハ奬
勵ヲスルトカ、サウ云フコトニ對シテ援助
ヲスルトカ云フ程度デ、其ノ目的ニ副フヤ
ウニシテ行キタイト考へテ居リマスノデ、
强制スルト云フコトハ只今ハ考ヘテ居リマ
セヌ、遠イ將來ノコトハ私モ何トモ申上兼
ネルノデゴザイマスガ、吾々ノ立場ト致シ
マシテハ、御話ノヤウニ出來ルダケ此ノ際
馬ノ利用ト云フ方面カラ致シマシテモ、サ
ウ云フ風ナ方向ニ世間ガ向クコトヲ欲シテ
居ル譯デアリマスノデ、强制ト云フコトマ
デハ申上ゲラレマセヌケレドモ、出來ルダ
ケサウ云フ方面ニ、援助ヲシテ參リタイト
考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=28
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029・服部英明
○服部(英)委員 私マダ參考資料ヲ拜見致
シマセヌノデ自信ガナイノデアリマスガ、
現ニ助成金ノ交付ガアルヤウニ承ツテ居リ
やく、其ノ金額ハ三百万圓トヤラ承ツテ居
リマスガ、之ヲモツト〓〓擴大シテ、私ノ
考ハ少シク極端デアルカハ存ジマセヌガ、
全國ノ競馬ヨリ納付セラレル所ノ收入ノ全
部ヲ、此ノ馬匹ノ改良若クハ馬匹飼養者ニ
分配ヲシテ、之ヲ奬勵スルト云フヤウナ御
意思ハアリマセヌカ、卽チ全收入ト言ハナ
クテモ、三百万圓、五百万圓ハ之ヲヤツテ、
モツト〓〓大キク、ソレヲ奬勵資金補助金
ニ利用ナサルト云フヤウナ御考ハナイカ、
此ノ三百万圓ト云フコトハ私ノ聞イタダケ
デ、別ニ根據ハアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=29
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030・荷見安
○荷見政府委員 只今御話ノ點ハ、馬ノ飼
養補助金ニ關スル御尋カト思ヒマスガ、間
違ヒデセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=30
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031・服部英明
○服部(英)委員 或ハソレカモ知レマセ
ヌ、奬勵金カ何カ出テ居リマスカ、此ノ競
馬ニ對シテ-アリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=31
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032・荷見安
○荷見政府委員 地方競馬ニ對シマシテハ、
賞金等ニ對シテ十二万圓バカリノ補助金ガ
ゴザイマス、只今御話ノ問題ハ、私ハ或ハ
民間ノ馬ヲ飼養スル者ニ對スル飼養補助金
ノコトデハナイカト考ヘマシタノデ、ソレ
デアリマスレバ今囘ノ軍用保護馬ノ制度、
或ハ只今御審議ヲ願ツテ居リマス種馬統制
法中ニアリマス優良種牝馬等ニ對シマシテ
ハ、相當金額ノ補助金ガ計上サレテ居リマ
ス、或ハ御質問ニ依リマシテハ相當申上ゲ
タ方ガ宜イカト思ヒマスガ、御趣旨ガハツ
キリ致シマセヌノデ····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=32
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033・服部英明
○服部(英)委員 私ノ方ハ〓究ガ足リマセ
ヌノデ、自信ハ固ヨリナイノデアリマス、
サウスルト此ノ金ハ國庫ノ方カラ出ルノデ
スカ、競馬ノ收入ヲサウ云フ方へ向ケル譯
ニハ行カナイノデスカ、新ニ收入ヲ增加シ
テ.発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=33
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034・荷見安
○荷見政府委員 分リマシタ、是マデノ公
認競馬ノ方ノ政府納付金ハ、四分ノ三以上
デアリマスガ、馬匹ノ方ニ使用スルコトニ
ナツテ居リマシタ、大體昭和十三年マデハ
其ノ金額ト略〓相似寄リマシタモノガ、馬政
ニ關スル豫算ニナツテ居リマシテ、其ノ金
額ハ一千万圓程度デゴザイマス、十四年度
ノ新馬政計畫ニ伴ヒマスル豫算ト致シマシ
テハ、新規ニ約二千百万圓バカリヲ計上致
シタノデアリマシテ、是ハ競馬ノ納付金ヲ
以テシマシテハ、到底充足スルコトハ出來
ナイノデアリマス、馬政ノ緊急且ツ重要ナ
ル性質ヲ考ヘマスレバ、ソレヲ以テ充足出
來ナイノデアリマスカラ、國庫カラ必要ナ
ル經費ハ、全部歲出ニ充テルコトニ致シテ
居ルノデアリマス、尙ホ競馬ノ納付金ノ率
モ、斯ウ云フ時勢デゴザイマスノデ、相當
增額致シタイト云フ考ヲ有ツテ居ルノデア
リマス、競馬法ノ臨時特例ニ關スル法律案
ハ、競馬會ノ納付金ヲ增額セシムルコトニ
關シマスル法律案デアリマシテ、是モ本日
アタリハ、本會議ニ上程セラレルコトト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=34
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035・服部英明
○服部(英)委員 私ノ希望スル所ハ、サウ
云フ納付金ノ如キヲ此ノ際殖ヤスコトハ、
洵ニ贊成デアリマス、ソレ等カラ生ズル所
ノ收入金ヲ以テ、此ノ馬匹ノ發達改善ノ方
ヘ向ケテ戴キタイト云フコトヲ、此ノ際希
望ヲ述ベテ置キマス、私ハ實ハ餘リ多ク質
問ヲマダ用意シテ居リマセヌノデ、私ノ質
問ハ今日ハ是デ打切ツテ置キマス、他日又
機會ガアリマシタラ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=35
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036・坪山徳彌
○坪山委員 一寸材料ヲ要求致シタイ、軍
馬資源保護法ノ十三條ヲ見マスト「政府ハ軍
用保護馬鍛鍊中央會ノ保有スル資金ガ勅令
ヲ以テ定ムル額ヲ超過スルトキハ其ノ超過
額ヲ政府ニ納付セシムルコトヲ得」ト云フ
コトニナツテ居リマス、ソレカラ附則ノ
番終ヒノ方ニ「畜產組合ガ第三十三條ノ規
定ノ施行ニ關聯シ當該競馬場ニ付爲ス設
備ノ處分其ノ他ノ整理ニ關シ勅令ノ定ムル
所ニ依リ必要ナル事業ヲ行フコトヲ得」ト
云フコトニナツテ居リマスノデ、當然何カ
勅令ガ出ルト思ヒマスガ、其ノ草案等ガア
リマシタナラバ、至急ニ御示シヲ願ヒタイ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=36
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037・荷見安
○荷見政府委員 承知致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=37
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038・大石倫治
○大石委員 施行細則ヲ此ノ兩法案及ビ今
日併記セラレルモノ等ニ付テ、御出シニナ
ルダラウト思ヒマス、其ノ施行細則草案ガ
ゴザイマシタラ、御提出ヲ願ヒタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=38
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039・東武
○東委員長 ソレデハ本日ハ是デ散會致シ
マく、明日ハ午前中ハ色々ナ差支ガアルサ
ウデスカラ、午後一時半カラ此ノ委員會ヲ
開クコトニ致シマス、左樣御承知ヲ願ヒマ
ス
午後零時十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00219390214&spkNum=39
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