第74回帝国議会　衆議院　軍馬資源保護法案外一件委員会　第6号　昭和14年2月18日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　　　會議
  昭和十四年二月十八日（土曜日）午前十時四十八分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　東武君
  　　理事　佐藤謙之輔君　理事　河野一郎君
  　　理事　中野寅吉君　理事　大石倫治君
  　　　　飯田助夫君　　　森田重次郎君
  　　　　松尾三藏君　　　遠山房吉君
  　　　　小串清一君　　　泉國三郎君
  　　　小笠原八十美君　　池田七郎兵衞君
  　　　　服部岩吉君　　　永田良吉君
  　　　　陣軍吉君　　　山崎常吉君
  　　　　野溝勝君　　　冨吉榮二君
  　　　　三木武夫君　　　小野謙一君
  　出席國務大臣左の如し
  　　　　　　　　農林大臣　櫻内幸雄君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　　　農林參與官　林讓治君
  　　　　　農林省畜産局長　岸良一君
  　　　　　　　馬政局長官　荷見安君
  　　　　　　馬政局事務官　伊藤莊之助君
  　委員長の許可を得て出席したる者左の如し
  　　　　　　陸軍騎兵大佐　栗林忠道君
  　　　　　　　農林書記官　中尾桂一郎君
  　　　　　　　馬政局技師　佐々田伴久君
  　　　　　　馬政局事務官　佐々木登君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　軍馬資源保護法案（政府提出）
  　種馬統制法案（政府提出）
  　競馬法の臨時特例に關する法律案（政府提出）

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• 001・大石倫治

  ○大石委員長代理　委員長遲刻ノ通知ガア
  リマスカラ、代ツテ開會スルコトニ致シマ
  ス-松尾三藏君

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• 002・松尾三藏

  ○松尾委員　私ガ御尋スルコトニ付キマシ
  テハ、他ノ方ト多少重複シタコトガアルカ
  モ分リマセヌケレドモ、重複シタ所ハ簡單
  ニ御答辯ヲ御願シタイト思ヒマス、十六日
  ノ委員會デアツタト思ヒマスガ、大石サン
  カラ御尋ニナリマシタ際ニ、現狀ノ通リノ
  地方競馬ハ十四年一パイニ終ルト云フ御答
  辯デアツタト思ヒマスガ、モウ一度御尋致
  シタイト思ヒマス

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• 003・荷見安

  ○荷見政府委員　現在ノ地方競馬ハ鍛鍊馬
  競走ノ施行ニ伴ツテ、之ヲ廢止致シタイト
  云フ見込ヲ持ツテ居リマス、而シテ地方競
  馬ノ廢止ニ關スル軍馬資源保護法ノ第三十
  三條ノ規定ハ、昭和十五年ノ一月カラ施行
  ノ見込デゴザイマスノデ、地方競馬ノ方ハ
  昭和十四年一パイ施行ヲ認メルト云フコト
  ニ致シタイト考ヘマス

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• 004・松尾三藏

  ○松尾委員　今マデ三箇所アリマシタ所ノ
  競馬場ニ對シマシテ、無論縣外ニマデモ出
  馬ヲ許可サレテ居リマシタノデ、之ヲ一ツ
  ノ營業ト云フヤウナ意味カラ、澤山ナ馬ヲ
  飼ヒマシテ、ソレニ依ツテ生活シテ居リマ
  シタ者ガ、一箇所ト云フヤウナコトニナリ
  マスト、早速生活ノ不安ヲ來スト云フヤウ
  ナコトニナリハセヌカト思ヒマス、此ノ競
  馬場ト云フモノガ、鍛鍊馬競走ト云フコト
  ニナリマシテ、其ノ競馬場ハ名前ハ變リマ
  セヌガ、昭和十五年ノ一月カラ行ハレルモ
  ノトスルナラバ、之ヲヤハリ名前ヲ變ヘマ
  シテ、今カラ三箇年程延期ヲ致シテ戴クコ
  トガ出來マスレバ、其ノ三箇年ノ內ニハ鍛
  鍊馬トシテ資格ノナイ馬ハ、大〓處分セラ
  レルヤウナコトニナリハセヌカト思ヒマス
  シ、其ノ間ニハ此ノ法案ノ如ク本年度ニ於
  キマシテ種付ケタ馬モ三箇年後ニハ明ケ四
  歲ニナリマシテ、鍛鍊馬トシテノ資格ガ出
  來ルヤウナコトニモナリマスノデ、ソレヲ
  延バスコトガ出來マスレバ、現在ノ馬主モ
  大變生活ノ不安ヲ抱カズ非常ニ宜イコトト
  思ヒマスシ、政府ニ於キマシテモ、今ノ種付
  馬ガ明ケ四歲ニナリマシテ三年後ニハ相當
  役ニ立ツヤウニナリマスカラ、雙方トモ宜
  イヤウニナリハシナイカト思ヒマスガ、此
  ノ點ニ付テ政府ハ御延期ヲシテ戴クヤウナ
  御考ヲ御持ニナツテ居リマセウカ、御尋致
  シマス

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• 005・荷見安

  ○荷見政府委員　鍛鍊馬競走ハ軍用保護馬
  ノ整理サヘ付ケバ出來ルノデアリマシテ、
  本年中ニモ急イデ其ノ認定ヲ致シマスレバ
  施行ノ出來ルヤウニナルモノガ多イト思ヒ
  マス、而シテ現在只今御話ノ地方競馬ニ出
  走致シテ居リマスヤウナ馬デモ、資格ノ良
  好ナモノハ軍用候補馬トシテ認メラレルヤ
  ウニナルコトハ、先般モ申上ゲタ通リデア
  リマス、斯ウ云フ譯デアリマスカラ、ソチ
  ラノ方デ整理ノ付クモノモアルト思ヒマス
  ガ、尙ホ優等馬票ヲ發行致サナイ鍛鍊競技
  ヲ執行スル方ニ付キマシテハ、幾ラカノ賞
  金ハ出スト云フコトニナリマスカラ、サウ
  云フ方面デ緩和サレルコトニナリハシナイ
  カト思ヒマス

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• 006・松尾三藏

  ○松尾委員　サウ致シマスト現在ノ馬主ノ
  生活不安ヲ幾分デモ安定サセテヤリタイト
  云フコトヲ考ヘマス時ニハ、今縣內ダケデ、
  他ニ出馬ガ出來ズ、鍛鍊馬トナル資格ノナ
  イヤウナ馬ヲ鍛鍊競走ニ出ス爲ニ一年間飼
  ツテ居ツテモ、馬ガ多イ爲ニ、結局一年只
  二囘八日間シカ出セナカツタト云フコトニ
  ナリマスレバ、尙更生活ノ不安ヲ高メルヤ
  ウナコトニナリマスノデ、然ラバ其ノ馬ヲ
  賣ツテモ宜イデハナイカト云フヤウナオ思召
  モアルカモ知レマセヌガ、此ノ法案ガ通リマ
  スレバ、サウ云フ鍛鍊馬ニナラナイヤウナ馬ヲ
  買フ人モナイト思ヒマスノデ、出來レバ此
  ノ三箇所ガ許サレナイコトニナリマシテ、
  一箇所ト云フコトニナツテ、今度ノ法案ニ書イ
  テアリマスヤウニ、四日間トアリマス期間
  ヲ六日間ニシテ戴クコトガ出來マスレバ、
  年ニ十二日ダケ、ハ出セルコトニナリマスノ
  デ、使ヘナイ馬ガ使ヘルト云フコトニナル
  ノデ、其ノ點ニ付テ馬主ガ安心スルダラウ
  ト云フヤウナ考ヲ持ツテ居リマスカラ、此
  ノ八日間ヲ十二日間ニ御改メヲ願ヒタイト
  思フノデアリマスガ、如何デアリマスカ

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• 007・荷見安

  ○荷見政府委員　御話ノ點ニ付キマシテ
  ハ、現在ノ地方競馬場規則ニ依リマシテモ、
  縣內ニ四箇月以上使用シタモノナルコトガ
  條件ニナツテ居ルノデアリマスガ、是ハ今
  ノ規則ノ厲行ト云フ點ニ於テ、餘程看過サ
  レテ居ル點デ、御話ノヤウナ結果ヲ生ジテ
  居ルト思フノデアリマス、只今ノ規則デモ
  之ヲ厲行致シマスレバ、ヤハリ昨日資源課
  長ノ方カラ申上ゲマシタヤウナ程度ノ條件
  ヨリハ、相當重イモノニナルト思フノデア
  リマス、ソレカラ本年一年ハ現在ノ通リノ地
  方競馬ヲ認メテ行ク譯デゴザイマスカラ、
  隨テ日數ヲ本年ハ制限致シマセヌノデ、御
  話ノ通リノ日數ダケ十四年ハ馬ガ走レルコ
  トニナルト思ヒマス

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• 008・松尾三藏

  ○松尾委員　縣々デ幾分カ事情ガ違フト思
  ヒマスガ、畜產組合ニ於キマシテハ專任技
  術員ト云フモノヲ、到ル處置イテ居ルト思
  ヒマスガ、今囘ノ軍馬資源保護法案ニ依リ
  マシテハ、馬事施設費ガ中央會ノ方カラ出
  ルヤウニ伺ツテ居リマスガ、今マデノ技術
  員ニ對シマシテハ、專任技術員トシテ畜產
  組合ニ派遣シテ居ルモノハ、縣ノ聯合會カ
  ラ競馬ノ收入ニ依ツテ給料及ビ手當ヲ出シ
  テ居ツタノデゴザイマスガ、今囘ハサウ云
  フコトニナリマスト、專任技術員ノ給料手
  當ト云フヤウナモノハ、ヤハリ中央會ノ方
  カラ出シテ戴ケルヤウナコトニナルノデゴ
  ザイマスカ

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• 009・荷見安

  ○荷見政府委員　是マデ地方競馬ノ方ノ專
  任技術員トナツテ居リマシタモノハ、是ハ
  大部分ハ今囘ノ施設デ救濟ガ出來ルト思ツ
  テ居ルノデアリマス、其ノ外ニ馬事施設費
  ノ方モ、是モ地方ノ迷惑ニナルヤウニ急激
  ニ整理ヲ致シタイトハ考ヘテ居リマセヌ、
  是ハ漸次出來得ル限リ困難ヲ少カラシメ
  テ、整理致シタイ、斯ウ云フ風ナ考ヲ以テ
  色々ナ計畫ヲ考ヘテ居ル譯デアリマス

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• 010・松尾三藏

  ○松尾委員　ソレカラ地方競馬ガ各縣三箇
  所ゴザイマシテ、是モ所ニ依ツテ多少違ツ
  タ所ガアルダラウト思ヒマスガ、他ノ所ヲ
  知リマセヌノデ、私共ノ縣ノコトヲ一寸御
  話申上ゲタイト思ヒマスガ、福岡縣ニハ三
  箇所ゴザイマシテ、競馬ヲ畜產組合ノ方デ
  ヤルコトニナツテ居リマシタノヲ、畜產組
  合ガ直接ヤリマセズニ、其ノ外ノ者ニ下請
  ヲサセテ居ツタノデアリマス、所ガ其ノ下
  請ガイカヌト云フ農林省ノ達ニ依リマシ
  テ、昭和十一年ニ縣ノ聯合會ガ下請人カラ
  之ヲ買上ゲマシテ、サウシテ直營トスルコ
  トニ致シタノデゴザイマスガ、聯合會トシ
  テ別ニ買上ゲルダケノ金ガアリマセヌノ
  デ、縣ノ消防協會ノ金ヤ、信用組合ノ金ヲ
  借欵致シマシテ、サウシテ其ノ三箇所ノ競
  馬場ヲ買上ゲテ、今日聯合會ノ直營トシテ
  ヤツテ居ル譯デアリマスガ、愈〓ソレガ今
  囘ノヤウニ一箇所ニ限定セラレマスト、マ
  ダ借欵致シマシタル金モ支拂ツテ居リマセ
  ヌノデ、相當斯ウ云フ借欵シテ居ル金ガ殘
  ルト思ヒマスガ、斯ウ云フ金ニ付キマシテ、
  政府ノ方カラ御拂替ニデモナルト云フ御意
  向ガゴザイマスカ、御伺ヒ致シマス

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• 011・荷見安

  ○荷見政府委員　ソレ等ノ整理ニ付キマシ
  テハ地方競馬整理委員會ヲ設ケマシテ、
  ソコニ諮問致シマシテ、嚴正公平ナル審議
  ニ基イテ處置ヲ致シタイト、斯樣ニ考ヘテ
  居ルノデアリマシテ、其ノ委員會等ニ於テ
  決定致サレマスレバ、ソレニ依ツテ整理致
  スコトニナツテ居リマス

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• 012・松尾三藏

  ○松尾委員　今御答ニ與リマシタ其ノ整理
  ト仰シヤルノハ、一般土地トカ建物トカ云
  フヤウナモノヲ整理致シマシテ、其ノ金額
  ニ滿タザルモノハ中央會ノ方カラデモ、出
  シテ戴ケルト云フ意味デアリマセウカ

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• 013・荷見安

  ○荷見政府委員　土地建物等ヲ整理致シマ
  シテ、ソレデモ不足ノヤウナ場合ニハ、相當
  考慮スルコトニナルト思ヒマス

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• 014・松尾三藏

  ○松尾委員　サウシマスト此ノ馬事施設費
  トカ競馬場ノ廢止ニ關スル整理金トカ云フ
  モノノ見積ハ、ドノ位ニナツテ居リマセウ
  カ

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• 015・荷見安

  ○荷見政府委員　ソレハ先般御手許ニ差上
  ゲマシタ資料ニ記載シマシタ程度以外ニハハ
  マダ分ツテ居リマセヌ

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• 016・大石倫治

  ○大石委員長代理　松尾君宜シウゴザイマ
  スカ

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• 017・松尾三藏

  ○松尾委員　宜シウゴザイマス

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• 018・大石倫治

  ○大石委員長代理　ソレデハ野溝君

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• 019・野溝勝

  ○野溝委員　私ハ大體過日ノ本會議ニ於ケ
  ル質問ノ內容ニ付テ、少シク質疑ヲ交シタ
  イト思フノデアリマス、大體私ガ此ノ委員
  會ニ於テ質疑ヲ試ミタイト思ヒマスル要件
  ヲ先ヅ申上ゲマス、第一點ハ馬ノ增產ニ伴
  フ生產飼育者農家ノ生活安定ニ付テデア
  リマス、第二點ハ馬政計畫ト牧野ニ付テノ
  關係デアリマス、第三點ハ日滿支蒙ヲ貫ク
  大陸馬政計畫ニ付テデアリマス、第四點ハ
  馬產ノ公布調整ト指導網ノ確立ニ付テデア
  リマス、質疑ニ入ル前ニ政府ノ所見ヲ特ニ
  質シテ置キタイト思フノデアリマス、言フ
  マデモナク馬ハ重要ナル兵器デアリマシテ、
  此ノ重要ナル兵器ニ付テ、卽チ馬政ハ兵力
  ノ增强ト共ニ並行シテ計畫化サレテ行クコ
  トハ、論ヲ俟タナイト思フノデアリマス、
  併シ馬ハ他ノ兵力トハ違ヒマシテ、卽時利
  用出來ル兵力トハ異ルト思フノデアリマス、
  他ノ兵力ハ機械ニ依ツテ直グソレガ生產サ
  レ、應用サレルノデアリマス、卽時間ニ合
  フ兵力デアリマスガ、馬ハ何ト言ヒマシテ
  モ實際ノ兵力トシ、或ハ產業馬トシテ間ニ
  合フヤウニナルニハ、四年乃至五年ノ日月
  ヲ要スルノデアリマス、故ニ此ノ馬政計畫
  ノ遂行ニ當リマシテモ、政府ニ於キマシテ
  ハ昭和十四年度カラ向フ七箇年、大體馬ノ
  兵力トシテ應用出來ル期間ダケヲ心得テ計
  畫サレテアリマス、私ハ此ノ點カラ見マシ
  テモ、今囘ノ馬政計畫ガ平時戰時同時計畫
  ノ上ニ立ツテ、計畫サレタモノト思フノデ
  アリマス、デアリマスカラ私ガ是カラ質疑
  ヲ試ミルニ當リマシモ、平時戰時兩方面カ
  ラノ質疑ヲ試ミルノデアリマスカラ、私ノ
  質疑ニ對シマシテモ左樣ナ御配慮ノ下ニ、
  御囘答ヲ願ヒタイト存ズル次第デアリマス
  第一點、馬ノ增產ニ伴フ生產飼育、農家ノ
  生活安定ニ付キマシテ、是ハ同僚各位カラ
  特ニ大石君或ハ森田君カラ縷々申サレタノ
  デアリマスガ、私ハソレニ重複スル點ハ避
  ケマシテ、私ノ主觀的角度カラ二三内容ニ
  亙ツテ質問シタイト思ヒマス、勿論馬ノ增
  產ニ伴フ所ノ生產飼育者ノ生活安定ニ付キ
  マシテハ、色々ナ事由モ數ヘ上ゲレバアル
  ト思フノデアリマス、併シ生產飼育者ノ生
  活安定ト云フコトニナル主ナル事由ト致シ
  マシテハ、左ノ四點ヲ擧ゲルコトガ出來ル
  ノデハナイカト心得ル次第デアリマス、第
  一ハ生產費ヲ基準トスル所ノ價格公正化、
  第二ハ飼料ノ廉價配給、第三ハ馬匹購入資
  金ノ簡易融通、第四ハ牧野開放、此ノ四ツガ
  主ニ擧ゲラレルノデハナイカト、私ハ考ヘ
  テ居ル者デアリマス、ソコデ先日來問題ニ
  ナツタノデアリマスガ、此ノ生產費ヲ基準
  トスル價格公正ト云フ點ニ付テハ、決シテ
  他ノ物價ガ値上リヲシテ行クノニ對シテ、
  此ノ馬ノ價格ヲ引下ゲロト云フノデハナイ
  ノデアリマス、私ノ馬匹ノ購入價格ヲ下ゲ
  ロト言フコトハ、有畜農業トノ關聯ト國防
  馬政計畫達成ノ見地ニ立ツテノ意見デアリ
  マス、ソレハドウ云フ譯カト云フナラバ、今
  囘ノ馬政計畫ハ七千五百頭カラノ種牡馬計
  晝國內保有百万頭カラノ計畫デアリマシテ、
  此ノ計畫ヲ貫徹スルニハ並大抵ナラザル次
  第デアリマス、故ニ今マデデサヘモー-明
  治三十九年以來三十箇年間ノ第一次計畫、
  或ハ中途ニ挫折致シマシタ第二次計畫、兎
  ニ角此ノ馬政計畫遂行ノ過程ニ於キマシテ、
  吾々ガ政府カラ與ヘラレタ資料ニ依ツテ見
  マスルト、決シテ其ノ計畫通リ旨ク達成サ
  レテ居ラナイノデアリマス、其ノ點ハ後デ
  詳細ニ申上ゲテ見タイト思フノデアリマス
  ガ、左樣ナ譯デアリマスカラ、其ノ過去ノ
  蹉跌ヲ繰返サナイヤウニヤツテ貰ハナケ
  レバナラヌト云フ念願カラデアリマス、
  ソレニハ馬ヲ多クノ農家ニ飼育サセル、卽
  チ五百五十九万戶、約六百万戶近クノ農家
  ノ戶數ガアルニ拘ラズ、馬ノ生產飼育戶數
  ト云フモノハ百七万戶近クノ狀態ニアツタ
  ノデハ、國內保有百万頭ナドト云フコトハ、
  恐ラク得テ望ミ得ナイコトデアルト思フ、
  デアリマスカラサウ云フ點ヲ深ク考慮致
  シマスト、ドウシテモ全農家戶數五百五十
  九万戶ノ大部分ノ農家ニ、馬ノ飼育ガ普遍
  化サレルヤウニシナケレバナラヌト私ハ要
  望スルノデアリマス、ソレニハ今日ノ如ク
  三百圓乃至四百圓モスルヤウナ馬ヲ買ヒ得
  ル負擔力ハ、到底今日ノ農家ニハナイ、御
  承知ノ通リ全國ノ農村ノ借金ガ四十二億有
  餘万圓、長野縣ノ如キニ於キマシテハ二億何
  千万圓ト云フヤウナ借金デ、借金ノ親方デ
  アリマス、東北方面ニ於キマシテモ御承知
  ノ通リ農家一戶平均一千圓以上ノ借金ヲ持
  ツテ居ルト云フ狀態デアリマス、斯クノ如
  キ貧弱ノ財政關係ニアル百姓ニ對シマシテ、
  三百圓モ四百圓モスルヤウナ馬ヲ買ヘト言
  ツテモ、決シテ買ヘマセヌ、政府ハ言ヒマ
  ス、今度ハ三十七圓ナニガシノ助成金ヲ出
  ス、勿論種牡馬ニ對シテハ民有國營デアリ
  マスカラ、政府ガ之ヲ負擔スル、種牝馬ニ
  對シマシテモソレ相當ニ助成スルト言ツテ
  居リマスケレドモ、三十圓ヤ三十七圓位ノ
  モノヲ助成サレタノデハ、今日ノ物價指數
  ノ關係カラ見マシテモ、到底百姓ガ馬ヲ買
  ツテ、樂々ト飼育シテ行ケルコトニハナラ
  ナイ、左樣ノ點ヲ十分私ハ認識考慮ヲ致シ
  テ居ルダケニ、今囘ノ馬政計畫ヲシテ矛盾
  ニ陷ラナイヤウニ、間違ヒヲ起サナイヤウ
  ニ旨クヤツテ、此ノ重大ナル國防馬政計畫
  ヲ達成サセタイト云フ觀點ニ立ツテ主張シ
  タノデス、ソレニハドウカシテ馬ヲ安ク農
  家ニ飼育サセルコトガ出來ナイモノカト云
  フヤウナ氣持カラ、私ハ馬ニ對シマシテハ
  餘リ大シタ値上リヲスルコトナク生產費ヲ
  切下ゲテ、サウシテ安ク一般ノ農家ニ飼育
  サセテ、此ノ國防計畫ノ完璧ヲ期スルヤウ
  ニシタイ、玆ニ私ノ馬價格公正化根據ガア
  ルノデス、以上ノ意味デ過般本會議ニ於テ
  モ質問ヲシタノデアリマシテ、ソレニハ先
  ヅ飼育費ノ大部分ヲ占メマス飼料ヲ廉價ニ
  配給スルト云フコト、牧野ノ開放ヲシテ貰
  フト云フコト、ソレカラ馬ノ購入資金ニ對
  シマシテモ、簡易融通スルヤウナ方法ハナ
  イカト云フヤウナ點ヲ力說シタノデアリマ
  ス、大體私ノ言ハントスル價格ニ對スル點
  ノ理由ト云フモノハ以上デアリマス、ソコ
  デ私ハ此ノ點ニ關スル質問ノ結論ヲ申上ゲ
  ルノデアリマスガ、以上ノ點デ特ニ畜產經
  濟ニ離ルベカラザル關係ヲ持ツテ[居ルノ
  ハ、飼料ノ配給デアリマス、之ニ付キマシ
  テハ、前七十三議會ニ於キマシテモ私ハ質
  問ヲ發シタ次第デアリマス、此ノ飼料配給
  統制法ニ對スル質問デアリマスルガ、飼料
  配給統制法ト云フモノハ、飼料ノ價格ノ公
  正ト、需給ノ圓滑ヲ期スルト云フコトガ目
  標デアリマシテ、私ハ雙手ヲ擧ゲテ之ニ大
  贊成ヲシタノデアリマス、此ノ飼料配給統
  制法ノ第一條ヲ見マシテモ、「政府ハ飼料ノ
  需給ノ圓滑及價格ノ公正ヲ圖ル爲特ニ必要
  アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ
  政府ノ適當ト認ムル者ニ對シ飼料ノ配給
  統制上必要ナル事業ヲ行フベキコトヲ命ズ
  ルコトヲ得」ト云フコトニナツテ居リマス、
  私ハ右法案ガ最モ時局ニ適應セル法案デア
  ル見地カラ、贊成演說ト同時ニ希望ヲ申述
  ベテ置イタ譯デアリマス、然ルニ折角ノ圓
  滑ヲ期スベキ所ノ此ノ飼料統制法ガ生レテ
  以來、益〓以テ飼料ガ値上リヲシテ來ル、成
  程一二ノ飼料ニ於キマシテハ、價格ノ公正
  上抑ヘタノモアリマセウ、或ハ當局ハ言フ
  カモ知レマセヌ、野溝君ハサウ言ハレルケ
  レドモ、併シ若シ此ノ飼料配給統制法ガ生
  レナカツタナラバ、今日以上ノ暴騰ヲ來シ
  タノデアラウト云フコトヲ言ハレルカモ知
  レマセヌ、併シ若シサウ仰シヤルトスルナ
  ラバ、私ハ尙ホ一層質問ヲシナケレバナラ
  ヌノデアリマス、折角ノ統制法ガ生レタニ
  モ拘ラズ、昨日來河野一郞君ノ話デハナイ
  ケレドモ、益〓以テ聽捨ナラヌヤウナ、飼料
  ニ對スル値上リノ噂サヘ傳ヘラレテ居ル、
  是ハ私甚ダ憂慮スベキコトデアルト思フ、
  一方ニ於テハ未ダ曾テ見ザル革命的立法デ
  アリマス重要馬政計畫ノ法案ガ實施サレント
  スル際、畜產經濟ニ離ルルコトノ出來ナイ
  飼料ガ、五割カラ六割ノ値上リヲスルト云
  フコトニ至ツテハ、折角ノ此ノ計畫ガ私ハ
  水泡ニ歸シハセヌカヲ案ズル者デアリマス、
  私ハ諄ク申上ゲマセヌ、併シ飼料ノ中デモ
  麩ノ如キハ五割、三種配合飼料ト致シマシ
  テ玉蜀黍七〇、高粱二五、大豆粕五ト云フ
  ヤウナ關係ニアル家畜經濟ニ重要ナ三種配
  合飼料ニ至ツテハ、六割カラノ暴騰ヲ示シ
  テ居ルヤウニ見受ケラレルノデアリマス、
  ソレバカリデハナイ、完全飼料ニ於キマシ
  テモ著シク暴騰ヲシテ居ル、是ハ甚ダ憂慮
  スベキコトデアルト思ヒマス、ソコデ政府
  當局、特ニ畜產局長カラノ御答辯ヲ願ヒタ
  イノデアリマスガ、飼料配給統制法ガ生レ
  テ以來、政府ハ飼料ニ對シマシテ如何ナル
  努力ヲ拂ハレテ來タカ、又今日如何ナル功
  績ヲ擧ゲテ居ルカヲ御伺ヲシタイノデアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=19

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• 020・岸良一

  ○岸政府委員　只今御尋ノ點ハ、此ノ馬產
  新計畫ヲ遂行スルヤウナ重大時期ニ、飼料
  配給統制法ガ實施サレテ居ルニ拘ラズ、飼
  料ノ値ガ上ツテ來ルノハ甚ダ宜シクナイコ
  トデアル、之ニ對シテ從來ドウ云フコトヲ
  シテ居ツタカト云フ、御質問デアラウト思
  フノデアリマス、昨年飼料配給統制法ヲ御
  協賛ヲ願ヒマシテ、四月ノ十六日ニ飼料配
  給會社ガ成立致シマシタガ、勅令其ノ他ノ
  關係デ之ヲ法律上指定スルト云フマデニハ、
  至ラナカツタノデアリマスガ、大體此ノ飼
  料配給會社ヲシテ其ノ仕事ヲヤラセルト云
  フ心組デアリマシタノデ、此ノ會社ニ先ヅ
  第一ニ輸入飼料ヲ全部一手ニ輸入サシテ、
  サウシテ之ヲ從來ノ保稅工場、是ハ生產者
  團體ノ全購聯ノ工場ヲ含ミマスガ、之ヲ含
  メテ基本的ノ配給ヲスルト云フコトヲヤラ
  セテ來タノデアリマス、是ハ秋勅令ノ公布
  ト共ニ正式ニ其ノ事業ヲヤラシテ參リマシ
  タガ、サウ云フ風ニ致シマシタ所以ノモノ
  ハ第三國カラ入レル飼料及ビ滿洲國カラ
  入ツテ來ル飼料ニ付キマシテハ、季節的ニ
  其ノ數量ニ非常ニ差ガ生ズル、或ハ値段ニ
  差ガ生ズル、尙ホ第三國其ノ他ノ購入ニ付キ
  マシテモ、之ヲ安ク得ルト云フコトニ付テ
  ハ、餘程祕密ニ行動シナケレバナラヌト云
  フノデ、爲替ノ許可ヲ此ノ會社一手ニ許シ
  テ貰ヒマシテ、サウシテ購入ヲ致シテ居ツ
  タノデアリマス、私共ト致シマシテハ、從
  來ノ實續ニ徵シマシテ、第三國カラノ飼料
  ノ購入ハ從來ニ比シテ極メテ好成績、卽チ
  廉價ニ是ガ購入出來テ居ルト考ヘテ居リマ
  ス、唯御承知ノヤウニ物資動員ノ關係上、
  從來第三國カラ輸入シテ居リマシタ所ノ玉
  蜀黍等ハ、大部分ヲ滿洲國ニ振向ケルト云
  フ關係デ、第三國カラ入レル數量ガ十分デ
  ナカツタト云フコトハ、是ハ已ムヲ得ナカ
  ツタコトト思フノデアリマス、隨ヒマシテ
  滿洲國ノ購入ニ付キマシテモ、旣ニ出盛期
  ヲ過ギテ居リマシタケレドモ、最善ノ手配
  ヲ致シマシテ、サウシテ之ヲ輸入シテ配付
  シテ居リマシタ、ソレデ大體ノ計晝ト致シ
  マシテハ、十月マデハ第三國ノ方ノ飼料ノ
  供給ヲ以テ補ツテ、第三外國ガ出盛期ヲ過
  ギタ十月以降ハ滿洲國ガ新穀出廻期ニナル
  ノデ、其ノ最盛期ニ滿洲ノモノヲドン〓〓
  入レル-サウシテ從來ノ結果カラ見マス
  ト、其ノ時期ニ於テ、安イ飼料ヲ國內ニ澤
  山入レルト云フ計畫デ進ンデ居ツタノデア
  リマスガ、ソレガ過日來申上ゲマシタ通リ、
  多少辯解ガマシクナリマスガ、更ニ努力ス
  レバ宜イヂヤナイカト云フ御叱リヲ受ケル
  カモ知レマセヌガ、滿洲ニ於ケル貨車配給
  ノ關係、或ハ氣候ノ關係デ、割合ニ天候ガ
  暖ク、サウシテ出荷ガ順調ニ行ツテ居ナカ
  ツタト云フ關係デ、出遲レテ居ツタノデア
  リマス、サウ云フヤウナ譯デ出盛期ニ於ケ
  ル配給ガ、十分ニ行カナカツタト云フ點ハ
  洵ニ殘念デアリマスガ、サウ云フ實情ニア
  ツタノデアリマス、併シ之ニ對シマシテハ私
  共ト致シマシテハ、陸軍關係ノ日本ノ出先
  官憲及ビ滿洲國ニ於ケル滿鐵會社ヲモ督勵
  シテ、貨車ヲ非常ナ無理ヲシテ割イテ貰ヒ、
  マシテ、サウシテ輸送ヲヤツテ貰ツタ結果、
  此ノ二月以後ニ於テハ相當ノ多數ノ數量ガ、
  配給出來ルト云フコトニナツテ居ル狀
  況デアリマス、是ハ今ノ物資輸送ノ關
  係カラ、其ノ間ニ於テ飼料ヲ調達スルコ
  トニ苦心ヲシテ居ルノデアリマスガ、是等
  ノコトモヤハリ斯ウ云フ纒ツテ一手ニ入レ
  得ルト云フヤウナ機關ガアツタレバコソ、
  私ハ是ガ出來タノダト思ツテ居リマス、尙
  ホ馬ノ方ニ關係ノアルコトニ付キマシテハ、
  先日坪山委員カラ御質問ガアリマシテ御答
  致シマシタ通リニ、當時ニ於テハ自然ノ潮
  流ニ委シテ置クト云フ積リデ居ツタノデア
  リマスガ、ヤハリ秋以來、國內ノ生產、滿
  洲國ニ於ケル生產、ソレカラ北支、中支ニ
  於ケル圓爲替ノ關係デ、需給ハ不圓滑トナ
  リ、市價ハ御話ノヤウニ昔ニ較ベテ五割六
  割モ暴騰シテ來ルト云フヤウナ狀況デアリ
  マシタノデ、此ノ點モ統制品目ニ入レマシ
  テ、第三外國ノ輸入ヲ此ノ會社ニ取扱ハセ
  ル、比較的安イ値段ヲ以テ入レタモノト、
  高イモノトノ値段ヲ平衡資金ニ依ツテ埋合
  んや、サウシテ配給スルヤウニ、骨折ツテ
  居ルノデアリマス、恐ラク最近ニ於ケル所
  ノ麩ノ値段ト云フモノハ、從來ノ値段カラ
  較ベマスト、六七十錢ハ下ツテ居ルト思ヒ
  やく、ソレハ會社ガ配給シテ居ル値段ガ安
  イノト、內地ノ製粉業者ノ各位モ、現在ノ
  飼料暴騰ノ點ニ鑑ミラレマシテ、サウシテ
  建値ヲ引下ゲラレテ居ルノデアリマス、內
  地麩ノ値ノ下リト云フモノハ、外國ヨリ輸
  入シタモノヨリモ少ナ過ルヤウニ思ヒマス
  ガ、從來六圓四十錢程ノモノガ六圓近クニ
  下ゲテ、配給スルヤウニナツテ居リマス、
  斯ウ云フ點ニ付テ各方面トモ努力ヲ續ケテ
  居ルノデアリマス、サリナガラ遺憾ナコト
  ハ飼料資源全體ヲ通ジテ餘リ十分デナイ
  ト云フコトハ、言ヒ得ルト思ヒマス、是ハ
  色々ナ關係ガアルト思ヒマス、或ハ一部ノ
  モノガ工業原料ニ使フト云フヤウナコトモ
  アルダラウト思ヒマスガ、サウ云フ風ナ關
  係デ、飼料資源ノ調達或ハ涵養ト云フコ
  トニ付テハ、今後トモ吾々ハ努力シナケレ
  バナラヌト考ヘテ居ルノデアリマス、是ハ
  私共ノ方ノ取扱ツテ居ルモノハ、直接馬ノ
  經濟ノ方ニ參ラヌカモ知レマセヌガ、例へ
  テ見マスレバ、現在アリマス所ノ粗飼料資
  源デアリマシテモ、「エンシレージ」等ノ方法
  ニ依リマシテ貯藏致シマスルナラバ、其ノ
  榮養價値ヲ高メルコトニ依ツテ、濃厚飼料
  ガ少クテモ家畜ノ飼育ガ出來ル、例ヘバ是
  等ハ農馬ノ如キニハ利用ガ出來ルノヂヤナ
  イカト考ヘテ居ルノデアリマス、其ノ他或
  ハ靑刈ノ栽培デアルトカ云フヤウナ方面ニ
  付キマシテモ、寸尺ノ地積ヲ利用シテ良質
  ノ粗飼料ノ增產ヲ圖ルト云フコトガ出來マ
  スルナラバ、恐ラク濃厚飼料モ節約シテ保
  ツテ行クコトガ出來ル、斯ウ云フ風ニ考ヘ
  テ居ル次第デアリマス、以上大樣御答シタ
  次第デアリマス

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• 021・野溝勝

  ○野津委員　率直ニシテ且ツ誠意アル御答
  辯ヲ得マシテ滿足致シマシタ、大體麩ニ付
  キマシテモ統制品目ニ加ヘラレルト云フコ
  トヲ言明セラレマシテ、非常ニ心嬉シク感
  ジマス、ソレカラ、工業原料ノ調達ノ爲ニ
  飼料ノ配給ニ付キマシテ、遺憾ノ點ガアル
  ト云フコトヲ露骨ニ申サレタ、此ノ點ニ對
  シテモ私ハ滿足スル者デアリマス、ソコデ
  一ツ栗林陸軍馬政課長ニ、關聯シテ質問シ
  テ置キタイノデアリマス、畜產經濟上必要
  ナ此ノ飼料ニ對シマシテ、畜產局長ガ只
  今工業原料ノ調達ニ依ツテ、最モ困ツテ居
  ルト云フコトヲ言明サレタノデアリマス、此
  ノ點ニ付キマシテ馬政計畫遂行上支障ヲ來
  タシハシナイカト思ヒマスガ、此ノ關係ヲ
  ドウ調整シヤウトシテ居ラレルカ、御答辯
  ヲ願ヒタイト思ヒマス

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• 022・岸良一

  ○岸政府委員　只今野溝サンノ御質問ハ馬
  政課長ニ御名指デアリマスガ、私カラ一ツ御
  話シ申上ゲテ置キマス、先程私ガ從來飼料ト
  シテ取扱ハレタモノガ工業原料ニ使ハレ、其
  ノ結果飼料ノ資源ニ影響ヲ及ボシテ居ルト
  云フヤウナコトヲ申上ゲマシタガ、其ノ一例
  ハ米糠ノヤウナモノデアリマス、是等ノモノ
  ハ廣ク馬、牛ニ使ハレテ居ツテ、飼料ノ重要
  ナ資源デアルコトハ確カデアリマス、之ニ影
  響ガアレバ飼育ニ骨ガ折レル、最近實際ニ於
  テ相當ノ値上リヲ見テ居ルモノデアリマス
  カラ、其ノ點ノ御注意ダラウト思ヒマスガ
  是等ニ對シテハ之ニ代ルベキ所ノ飼料ヲ豐
  富ニ供給スルヨリ外、方法ガナイダラウト
  考ヘテ居リマス、飼料ノ點カラ言ツテ、細
  カイ點ハ私此處デ申上ゲ兼ネルト思ヒマス
  ガ、是ノ同類ニ屬スル分ノ飼料ト致シマシ
  テハ麩ノ如キモノガアリマス、又米糠ヲ工業
  ニ使ツテモ、其ノ米糠ノ滓ト云フモノガア
  ルノデアリマス、是等ハ彼此派用シテ行ク
  ト云フコトニ依ツテ、私ハ補ヒガ付イテ行
  クト考ヘテ居リマス、先程申上ゲマシタ一
  部ノ濃厚飼料ノ代用ト致シマシテ、貯藏法
  ノ改善ヲスルコトニ依リマシテ、其ノ榮養
  分ノ損失ヲ少ナクスルト云フコトヲ圖ツテ
  行キマスレバ、粗飼料ヲ以テ飼フ所ノ大家
  畜ニ於テハ、相當濃厚飼料ノ補給ガ出來得
  ルト考ヘテ居リマス

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• 023・野溝勝

  ○野溝委員　飼料問題ニ付キマシテハ希望
  ヲ述ベテ、私ハ打切ルコトニ致シマス、御
  承知ノ通リ農家經濟ノ支出部面ノ大部分ヲ
  占メルモノハ、二八·八%ノ所謂肥料、二三·四
  %ヲ占メル飼料デ飼料ハ重大部面ヲ占メテ
  居ルノデアリマス、特ニ此ノ飼料ハ外國カ
  ラ輸入スル、外國カラ輸入スルト云ヒマシ
  テモ、主ニ滿洲ナノデアリマス、ソレハ「ア
  イルランド」方面カラ來ル飼料モアリマス
  ルガ、主ニ滿洲デアリマス、滿洲ハ御承知
  ノ通リ圓「ブロック」ノ經濟關係ニ依リマシ
  テ、特ニ日本內地ハ相當ノ犧牲ヲ拂ツテ居
  ル立場ニアルノデアリマス、況シテ日本內地
  ノ農家ノ生產力ヲ萎縮スルヤウニナツテハ
  イカナイノデアリマス、特ニ飼料問題ハヤハ
  リ農家ノ生產力ニ關係スル大問題デアリマ
  ス、デアリマスカラ當局ニ於カレマシテハ、
  ソンナコトノナイヤウニ一ツ御盡力ヲ願ヒ
  タイト思ヒマス、岸局長ノ誠意アル御答辯
  ニ信賴致シマシテ、益〓飼料統制法所期ノ目
  的ノ完璧ヲ期スルヤウニ一ツ善處ヲ願ヒタ
  イト思ヒマス、大臣ガ見エタヤウデアリマ
  スカラ-委員長、大臣ハ何時頃マデオ居
  デニナラレマスカ

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• 024・大石倫治

  ○大石委員長代理　午前中デス

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• 025・野溝勝

  ○野溝委員　ソレデハ大臣ニ御所見ヲ御伺
  シテ置クコトニシマス、飛越エマシテ第三
  點ノ日滿支蒙ヲ貫ク大陸馬政計畫ニ付テデ
  アリマス、大臣ハ本會議ニ於キマシテ、非
  常ニ眞面目ナ御答辯ヲ下サイマシタ、特ニ
  日滿蒙支ヲ貫ク馬政計畫ニ付テノ私ノ質問
  ニ對シマシテ、斯ウ云フ御答辯ヲサレテ居
  ルノデアリマス「日滿兩國ヲ通ジテ此ノ計
  畫ヲ立テマシタ際ニハ、蒙疆及ビ北支ト云
  フモノノ生產狀態ヲ考慮ノ中ニ入レテ、此
  ノ計畫ヲ立テテ居ルノデアリマス」ト申サ
  レテ居リマス、併シ「尙ホ多少〓究スベキ點
  ガアリマシタ爲ニ之ヲ除イタノデアリマス、」
  ト云フ御答辯ヲ得テ居ル譯デアリマス、大
  臣ハ農林行政各方面ノ總テヲ御存ジニナツ
  テ居ラレルノデアリマスガ、私達モ農林省
  ノ管轄デアリマスル此ノ馬政計畫ノ審議ニ
  當ツテ居ルダケデアリマシテ、他ノ方面ハ能
  ク知リマセヌガ、此ノ馬政計畫ノ兩法案ノ
  審議ニ當ツテ、當局カラ渡サレマシタ資料
  文獻等ヲ見マスルト遺憾ナガラ私ノ眼ガ
  惡イ加減カドウカ知リマセヌガ、日滿ダケ
  ノ馬政計畫ハ眼ニチヨロ〓〓觸レルノデア
  リマスガ、蒙支ニ關シテハ私ノ肉眼ニハ片
  鱗ダモ發見シ得ナイノデアリマス、然ルニ
  大臣ハ本會議ニ於テ、只今ノヤウナ答辯ヲ
  サレテ居ルノデアリマスガ、何カ是ニハ根
  據ノアルコトト私ハ存ズルノデアリマス、
  此ノ際大臣ノ答辯サレマシタ內容ノ點ニ付
  キマシテ、御發表願ヘルナラバ非常ニ質疑
  ヲスル上ニ於テ好イ參考ニナルト思ヒマス
  カラ、御發表願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=25

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• 026・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　只今御尋ノ點デアリマス
  ガ、蒙疆北支ノ馬政計畫ト內地ノ馬政計畫
  トノ聯關ニ付キマシテハ、相當〓究モ致シ
  テ居ルノデアリマス、唯此ノ計畫ニ斯ク々々
  ノ計畫ヲ以テ進ムノデアル、斯ウ云フコ
  トニ付テ明記スルコトヲ致シテ居リマセヌ
  ノハ、御承知ノ如ク北支蒙疆ノ點ニ付キマ
  シテハ、未ダ總テノ點ニ付テ所謂蒙疆政府、
  維新政府、是等ト第三國トノ關係モアリマ
  スルシ、又其ノ他種々ナル角度ニ於テ是等
  ノ政府ト內地トノ交渉、協定ト云フモノニ
  付キマシテ、今日之ヲ明ニスルト云フ事柄
  ガ、果シテドウ云フモノデアラウカ、未ダ
  之ニ對シマシテ斷案ヲ下シ得ナイノデアリ
  マシテ、其ノ計畫等ニ付キマシテ玆ニ申上
  ゲルコトノ出來マセヌコトハ、甚ダ遺憾デ
  アリマスケレドモ、已ムヲ得ナイコトト考
  ヘルノデアリマス、唯北支蒙疆地方ニ於ケ
  ル所ノ馬政計畫ニ付テ、內地ノ馬政計畫ト
  絕對ニ衝突スルガ如キ事柄ハ致サナイ心組
  ニ於テ計畫ヲ立テ、話合ヲ致シタノデアリ
  マシテ、要スルニ雙方協力シテ、卽チ日滿
  支三國ノ經濟提携ヲ如實ニ現ハス、其ノ意
  味ニ於キマシテ此ノ馬政計畫ニ於テモ亦三
  國間ニ於テ協調ヲ圖ツテ行キタイト、斯樣
  ニ考ヘテ居ル譯デアリマス

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• 027・野溝勝

  ○野溝委員　ドウモ大臣ニハ專門家デナイ
  關係デモアリマセウケレドモ、甚ダ答辯ニ
  對シマシテハ遺憾ニ感ズルノデアリマス、
  勿論國際的ノ關係モアリマセウシ、支那ニ
  對シマシテモ、マダ完全ニ統一政權ガ確立
  シタ譯デハアリマセヌカラ、或ハ此ノ政府
  トノ間ニ於ケル種々ナル計畫ヲ立テルコト
  ニ付キマシテモ、確固タル方針ガ確立シ得
  ザル困難ノ點モオアリニナルコトハ、吾々
  萬々承知モ出來ルノデアリマス、併シ今囘
  ノ馬政計畫ト云フモノハ、東亞協同體ノ建
  設ト云フ大キナ目標ニアルト思フノデアリ
  マス、卽チ「ソビエト」及ビ第三國ヲ對象トシ
  タ馬政計畫デアルト思ヒマス、所謂第三「イ
  ンターナショナル」ノ勢力ヲ背景トシテ居ル
  「ソビエト」、或ハ英米佛等ノ歐米資本主義ノ
  支那侵略ニ對スル對策、何レニ致シマシテ
  モ、支那ヲ中心トシテ軈テハ何事カ起ラン
  トスル-支那事變以上ノ事變ガ起ラント
  スル前提トシテノ大計畫ト吾々ハ觀テ居ルノ
  デアリマス、又大石君ガ言ハレマシタケレ
  3ドモ、私ハサウアツテ然ルベキモノデアラ
  ウト思ヒマス、又サウデナクテハコンナ大
  馬政計畫ヲ立テル必要ハナイト思ヒマス、
  シテ見マスト此ノ東亞協同體、卽チ日滿蒙
  支ヲ貫ク此ノ東亞協同體ノ建設ノ指導者、
  所謂其ノ政治的、經濟的、文化的ノ指導者
  トシテ立ツテ行ク日本ガ、日滿蒙支ニ東亞
  協同體制ヲ確立セントスル計畫ヲ立テルコ
  トハ當然デアリマシテ、其ノ內容ヲ今日話
  セナイト云フ譯ハナイト思フノデアリマス、
  特ニ私ガ昨年滿洲ノ地ニ視察旅行ニ參ツタ
  折ニ、滿鐵會社ノ畜產部ヲ訪レマシテ、蒙古
  馬ノ件ニ付キマシテ意見ヲ徵シタノデアリ
  マス、其ノ際ニ滿鐵ニ於ケル畜產部ノ責任
  アル技師ノ曰ク、ドウシテモ將來滿洲支那
  ニ於ケル馬政計畫ヲ立テントスルナラバ
  純血種デアル蒙古馬ニ「アングロノルマン」
  カ、サモナケレバ「ハクニー」ノ如キ中半血
  種ヲ掛合ハセタモノヲ作ツテ行クノデナク
  テハ、將來ノ大陸馬政計畫ノ意義ヲ成サナ
  イト云フコトヲ私ニ言ハレタノデアリマス、
  私ハ御尤モニ感ジタノデアリマシタ、ソレ
  程ハツキリ滿鐵ノ畜產部アタリデ言ウテ居
  ルノニ拘ラズ、苟モ此ノ大馬政計畫ヲ立テ
  ル時ノ御大デアリマスル農林大臣ガ、マダ
  蒙疆支那ニ關シテハ、國際的ニモ幾多波紋ヲ
  及ボスベキヤウナ傾向ガアルカノ如キ言辭
  ヲ弄サレルト云フコトニ對シマシテハ、私
  ハ遺憾ニ存ズルノデアリマス、此ノ馬政
  計畫ハ東亞協同體建設ノ前提的一還デア
  ル、何モ私ハ怖ジケルニ當ラナイト思フノ
  デアリマス、ドウカ私ハ一ツ農林大臣ノ
  忌憚ナイ御意見ヲ賜リタイト思ヒマス、
  尙ホ實ハ此ノ文獻資料ニ、蒙疆支那ニ關係
  セル馬政計畫ノ關聯事項ガ一ツモ見受ケラ
  レマセヌノデアリマスカラ實ハソレハマダ
  纒ツタモノガナイト仰シヤルナラバ、私、
  結構デゴザイマスカラ質問ヲ打切リマスケ
  レドモ、ナイ譯ハナイト思ヒマス、蒙古馬
  ダケデモ宜シウゴザイマス、私ハ蒙古馬ノ
  關係ニ付テ、モツト知識ヲ得テ置カナケレ
  バ、大陸ノ馬政計畫ハ論議ヲ進メル譯ニ行
  キマセヌ、ドウカ蒙古馬ダケニ關シテデモ、
  大臣デナクテモ結構デアリマスカラ、責任
  者ノドナタデモ宜シウゴザイマスカラ、
  ツ御意見ノ御發表ヲ願ヒタイト思ヒマス

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• 028・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　先刻カラ申上ゲマス通リ、
  蒙疆北支ニ於ケル大體ノ馬政計畫ト云フモ
  ノト見合セテ、今囘ノ馬政計畫ヲ立テテ居
  ルト云フコトダケハ、前々申上ゲテ居ル通
  リデアリマス、今ノ御話ノ専門的ノ問題ニ
  付キマシテハ、私ヨリハ馬政課長、若クハ
  其ノ他ノ政府委員カラ申上ゲタ方ガ適當ト
  思ヒマスカラ、政府委員カラ申上ゲマス

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• 029・栗林忠道

  ○栗林說明員　便宜私カラ陸軍側ノ見地ニ
  於テ御說明申上ゲマス、日滿ノ馬政國策ヲ
  立テラレマシテ、是ガ圓滿ナル遂行ヲ期ス
  ル爲ニハ、當然北支及ビ蒙疆ノ馬產ト云フ
  コトヲ、考慮ニ入レナケレバナラナイト云
  フコトハ明デアリマス、左樣致シマシテ此
  ノ日滿ニ亙ル馬政國策ヲ立テマスル際ニ、
  只今農林大臣閣下ノ御說明ガアリマシタ通
  リ、北支及ビ蒙疆ノ馬產ノ狀態ト云フコト
  ヲ、十分考慮ニ入レマシテ、立テラレマシ
  タコトハ申スマデモナイコトデアリマス、
  併シナガラ實際問題ト致シマシテハ、北支
  及ビ蒙疆ノ狀態ト云フモノハ、軍當局ニ於
  キマシテモ、マダハツキリ致シテ居ラナイ
  ノデアリマス、是ハ折角出先ノ軍ガ、占據
  地域內ニ於ケル馬產ノ狀態ヲ調査ヲ致シテ
  居ルノデアリマスケレドモ、今囘ノ事變ノ
  爲ニ著シク馬ガ減ツタト云フヤウナ狀態モ
  アリマス、又蒙疆地方ニ於キマシテハ、蒙
  古人ノ生業ト致シマシテ、蒙古馬ヲ多數飼
  養致シテ居ルノデアリマスケレドモ、其ノ
  馬產狀態ハ全ク原始的ノモノデアリマシテ、
  直チニ之ヲ如何ニ改良スルトカ、如何ニ增
  殖ヲスルトカ云フヤウナ方策スラ立タナイ
  ヤウナ原始的ナ狀態デアルノデアリマス、
  デアリマスルノデ、是等ノ根本問題ヲ解決
  スルノニハ、ソレ等ノ狀態ヲ尙ホ一層徹底
  的ニ調ベテヤル必要ガアルノデアリマス、
  所ガマダ治安ノ狀態等モ御承知ノ通リデア
  リマスノデ、是ハ治安ノ囘復ニ伴ヒマシテ、
  又產業ノ開發ニ伴ヒマシテ、漸次此ノ調査
  ノ步ヲ進メテ確タル成案ヲ得タル後ニ、日
  本及ビ滿洲ヲ通ジタ所ノ馬政國策ニ卽應ス
  ル如ク、現地ニ於キマシテモ、又支那統一
  政府ニ於キマシテモ、適切ナル馬政計畫ヲ
  立テラレルモノト考ヘテ居ル次第デアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=29

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• 030・野溝勝

  ○野溝委員　私ハ日滿蒙支ヲ貫ク大陸ノ馬
  政計畫ニ付キマシテハ、率直ナ僞ラザル御
  答辯ヲ聽キマシタカラ、希望ダケ附シテ其
  ノ點ハ打切ルコトニ致シマス、蒙古ノ馬モ
  滿洲ノ公主嶺ニ於キマシテ、蒙古馬ヲ中心
  ニ彼處ノ種畜場デ相當〓究ヲサレテ居ルノ
  デアリマス、私ハ其ノ〓究發表ヲ見テ、相
  當將來ハ望ノアルモノト認識ヲ致シテ來マ
  シタ、近イ機會ニ於キマシテ、至急其ノ方
  モ調査ヲサレマシテ、此ノ蒙古馬ノ血種ト
  申シマセウカ、此ノ土產種ヲ生カスヤウニ、
  馬政計畫ヲ樹テラレンコトヲ希望シテ置キ
  そう、續イテ大臣ニ今一點御聽キシタイト
  思ヒマスガ、大臣ハ昨日同僚諸君ノ牧野問
  題ニ關スル質問ニ對シマシテ、非常ニ誠意
  アル御答辯ヲ願ヒマシタ、近イ機會ニ於キ
  マシテ何トカ實現サレルモノト云フ風ニ、
  私ハ受取ツテ居ルノデアリマス、併シ此ノ
  機會ニ今一應私カラ意見ヲ附シテ、質問
  ヲシテ置キタイト思ヒマス、御承知ノ通
  リ先程モ申シマシタガ、馬政計畫ヲ樹テラ
  レテ居リマシテ、年々馬ガ減ツテ來ルノデ
  アリマス、其ノ減ツテ來ル理由ヲ政府其ノ
  他カラノ文獻ニ依ツテ、色々調ベテ見マ
  シタ所ガ、減ル原因ハ牧野ニアリマシタ、
  農林省カラ御渡シ下サイマシタ昭和十二年
  度ノ農林省發表ノ統計ダケ、參考ニ申上ゲ
  テ置キマス、公有牧地ハ減ラナイノデアリ
  そう、是ハ政府ガヤツテ居ルカ、サモナケ
  レバ公法人ガヤツテ居リマスカラ是ハ減リ
  マセヌ、併シ林牧混淆地ガ覿面ニ減ツテ居
  ルノデアリマス、是ハドウシテ減ルカト申
  シマスト、林牧混淆地ハ、ドウニデモ林業
  ノ施業案ニ依リマシテ好キ自由ニ出來ルノ
  デアリマス、デスカラ林牧混淆地ハ減ルノ
  デアリマス、統計ヲ見ルト林牧混淆地ノ減
  ル理由ガ能ク分ルノデアリマス、昭和十二
  年度ノ農林省ノ發表ト覺エテ居リマスガ、
  昭和十一年度ノ林牧混淆地ハ二千百「ヘク
  タール」デアリマシタ、ソレガ昭和十二年ノ
  林牧混淆地バ千六百四十「ヘクタール」、一年
  ニ四百五十「ヘクタール」減ツテ居ルノデア
  リマス、此ノ四百五十「ヘクタール」減ルト
  云フコトハ、實ニ大問題デアリマシテ、是
  ダケ減ルト云フコトハ、地方ニ於ケル飼育
  者ハ高イ飼料ヲ買ツテ、舍飼ナドヲスルト
  云フコトニナルノデアリマシテ、勢ヒ馬ヲ
  手離サナケレバナラヌト云フコトニナルノ
  デアリマス、昨日大石君カラモ力說サレマ
  シタケレドモ、ドウカ此ノ混牧林ダケデモ
  此ノ際一ツ何トカシテ開放シテ貰ハナケレ
  バナラヌト思フノデアリマス、特ニ私ハ外
  國ノ馬產狀態ヲ大臣閣下ニ申上ゲテ置キマ
  スガ、亞米利加、「ソビエト」、英吉利或ハ
  佛蘭西等々ノ馬政ノ狀態ヲ見マスト、馬ハ
  減ツテ居ナイ、年々非常ニ殖エテ居ル、最
  新ノ精巧ナ武器モ出來マシタケレドモ、ソ
  レデモ尙且ツ馬ハ段々增產ノ傾向ニアルノ
  デアリマス、ソレハ何處ニ原因ガアルカト
  云フト、牧野ガ十分保有サレテ居ル、佛蘭
  西ノ如キニ於キマシテハ牧野面積ガ千百三
  十九万二千「ヘクタール」、英吉利ノ如キニ
  於キマシテハ千四百十一万三千「ヘクター
  ル」、、「ソビエト」露西亞ノ如キニ於キマシテ
  ハ三億九千七百三十二万四千「ヘクタール」、
  亞米利加ニ於キマシテハ一一億六千四百「ヘ
  クタール」、斯ウ云フ狀態デアリマス、馬ノ
  頭數トノ比率關係ヲ見マスト、何レモ日本
  アタリハ問題ニナラナイ、例ヘバ佛蘭西ノ
  馬ノ頭數ハ、ドノ位カト云フト二百八十一
  万頭、「ソビエト」ガ一千五百四十二万九千
  頭、英吉利ガ百十一万二千二百三十六頭、
  亞米利加ガ一千百六十三万五千頭、日本ハ
  ドウカト云フト、日本ノ牧野面積ハ百七十
  一万六千「ヘクタール」、馬ノ頭數百四十三
  万一千九百二十頭、斯ウ云フ狀態デアリマ
  ス、此ノ「パーセンテージ」ナド申上ゲマス
  ルト面倒ニナリマスカラ省キマスガ「パー
  センテージ」カラ見マスト、各國共十分ニ
  牧野面積ガ保有サレ、確立サレテ居ル、斯
  カル點カラ見テ日本ノ馬產計畫ト云フモノ
  ガ、餘程考ヘ直サナケレバナラヌト思フノ
  デアリマス、特ニ私遺憾ニ思フ點ハ、林牧
  混淆地ガ年々減ツテ來ルコトデアリマス、
  一年間ニ四百五十「ヘクタール」モ減ツタノ
  デハ此ノ大馬產計晝ナドハ私ハ見込ハナイ
  ト思フ、而モ今度ノ森林法改正ハドウ云フ
  内容デアルカト云フト農林大臣御承知ノ通リ
  リ私有林ニ對スル完全ナル施業案ノ實施デ
  アリマス、民有國營ノ前提ノヤウナモノデ
  アリマス、サウナツテ來ルト益〓以テ林牧
  混淆地ナドハ益〓減リハシナイカト思フ、
  森林法ノ改正ニ依ツテ是モ施業地ダ、アレ
  モ施業地ダト云フコトニナツテ參リマシタ
  ナラバドウナリマスカ、人間トシテ勢ヒ公
  經濟ヨリ私經濟ノ方ヲ重ンズルノハ人情ノ
  常デス、國防計畫ナドハ是ハ公ノ經濟デア
  ツテ、ドウシテモ私經濟ノ經濟觀念ト觀念
  ガ違フ、ソレデハイカヌ、公ケノ經濟觀念ヲ
  持タナケレバイカヌト言ツテモ、ソコハ人
  間ノ淺マシサデ、中々ソンナ氣ニハナレナ
  1ソコデ之ヲドウシテモヤラナケレバナ
  ラヌト云フコトデアレバ、强制的ニ權力ヲ
  以テ、是ハ國防計畫上必要ノコトデアル、是
  ハ國家百年ノ計ヲ樹テル上ニ於テ必要ノ計
  畫デアルト云フノデ、ヤラナケレバナラヌコ
  トニナル、ソレヲヤル御信念ガアルナラバ、
  山林局長モ呼ビ、畜產局長モ呼ビ、馬政局長
  官モ呼ンデ、サアドウダ、此ノ通リ完全ナル
  一元的統制ヲヤツテ行カナケレバナラヌ、
  馬ノ頭數ハ是ダケダ、森林ニ付テハ建築用
  材す薪炭材トシテ是ダケ要ル、ドノ縣ニ於
  テハ建築材、薪炭材ガドレダケ出來ル、斯
  ウ云フヤウニシテ、一切各方面ノ生產、配
  給ノ關係ヲ十分調ベテ、サウシテ其ノ上ニ
  立ツタ綜合計畫ノ方針ヲ立テナケレバナラ
  ヌト思フノデアリマス、大臣ハ同僚ノ質問
  ニ對シマシテ、セメテ混牧林地ダケデモ何
  トカシタイト云フヤウナ、意思表示ヲサレ
  タカノ如ク、私ハ聽取ツタノデアリマスガ、
  此ノ際私ハ意思表示ヲ具體的ニ御示シ願ヒ
  タイト思フノデアリマス、以上具體的ナ實
  績、具體的ナ計數ヲ示シタ以上、大臣トシ
  テモ相當考慮ヲシテ貰へルコトト思フノデ
  アリマス、此ノ點ニ付キマシテ大臣ノ所見、
  林牧混淆地ニ對スル所見ダケデ結構デゴザ
  イマスカラ、承ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=30

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• 031・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　只今ノ御質疑ニ對シテ
  ハ、タビ〓〓本席ニ於テモ申上ゲマシタ通
  リ、ドウシテモ放牧採草地ト云フモノガナ
  ケレバ、馬產ノ增殖ヲ圖レナイノデアリマ
  スカラ、此ノ點ニ付キマシテハ極力其ノ方
  策ヲ講ズル考デアリマスガ、國有林ノ開放
  其ノ他ニ付キマシテハ、前會以來申上ゲマ
  ス通リ、此ノ問題ニ付テハ十分ニ〓究考慮
  ヲ致シタイト云フ風ナ考ヲ持ツテ居リマス、
  今具體的ニ斯ク〓〓スルト云フコトヲ申上
  ゲマスマデニ至ツテ居リマセヌノデ、是人
  申上ゲ兼ネマス、畜產局長、山林局長、馬
  政局長官其ノ他ヲ綜合シテ、之ニ對シテノ
  國策ヲ定メルト云フ御意見ハ、是ハ當然ノ
  コトデアリマシテ、私共農林當局ト致シマ
  シテハ、全體的ニ見テ、總テノ方面ニ於テ
  萬違算ナキヲ期シマスト共ニ、此ノ馬政計
  畫ノ如キ國防上ノ見地カラ申シテモ、產業
  上ノ見地カラ申シテモ爲サナケレバナラ
  ヌ、ドウシテモ實行シテ貫徹シナケレバナ
  ラヌ問題ニ付キマシテハ、徹頭徹尾其ノ目
  的ヲ貫徹スルヤウニ致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=31

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• 032・野溝勝

  ○野溝委員　大臣ノ言ヲ信賴シテ、近イ中
  ニ實行ニ移サレルモノト云フ風ニ取ツテ、
  差支アリマセヌカ、是ダケ御尋致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=32

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• 033・櫻内幸雄

  ○櫻内國務大臣　只今申上ゲマス通リ、私
  ハ誠心誠意其ノ實行ヲ期シタイト思ツテ居
  リマス、併シナガラ之ニ對シテハ御承知ノ
  通リ、相當ナ〓究モ要シ、調査モ要スルノ
  デアリマスカラ、今直チニイツ何日カラ之
  ヲスルト云フコトダケハ申上ゲ兼ネマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=33

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• 034・大石倫治

  ○大石委員長代理　ソレデハ休憩シテ、午
  後一時ヨリ開キマス
  午後零時四分休憩
  午後一時十分開議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=34

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• 035・大石倫治

  ○大石委員長代理　午前ニ引續イテ開會致
  シマス-野溝君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=35

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• 036・野溝勝

  ○野溝委員　ソレデハ午前ニ引續キマシテ
  質問致シマス、四ツニ分ケマシタ質問要項
  ノ中、日滿蒙支ヲ貫ク大陸馬政計畫ニ付テ
  ノ質問ハ終リマシタ、又牧野ト馬政計畫ニ
  關スル質問モ大體終リマシタ、第一ノ馬ノ
  增產ニ伴フ生產農家ノ生活安定ニ關シマシ
  テノ質問ノ中、價格構成ノ點ト飼料ノ點ダ
  ケ終リマシタノデ、今度ハ其ノ中ノ購入資
  金簡易融通ノ點ニ付キマシテ、一言質問シ
  テ見タイト思ヒマス、同僚ノ質問ニ對シマ
  シテ、政府ハ種牡馬ノ點、種牝馬ノ點ニ對
  シマシテ助成金ヲ交付スルト言ハレテ居ル
  ノデアリマスガ、其ノ助成金ヲ交付スルト
  云フ內容ヲ見ルト、極ク僅カデアリマシテ、
  是デハ多クノ農家ガ馬ヲ飼育スルコトガ、
  困難デハナイカト感ジテ居ル點ヲ申上ゲ
  テ置キマシタ、尙ホソレニ敷衍致シマシテ
  申上ゲ置キタイコトハ、御承知ノ通リ馬ヲ
  飼育スル農家デモ、中農以上ノ方々ハ自分
  デ馬ヲ購入スル能力ガアルノデアリマスガ、
  中農以下ノ方々ダト、中々購入シ得ル能力
  ガナイノデアリマス、特ニ馬ノ値段モ段々
  上ツテ來マスシ、三百圓、四百圓ト云フ
  ヤウナ纏ツタ金ハ、農家ニハ中々ナイノ
  デアリマス、デアリマスカラ、勢ヒ馬ヲ買
  フ場合ハ牛馬商カラ買フト云フコトニナ
  ルノデアリマスガ、其ノ場合三百圓、四
  百圓ノ纏ツタ金ハ拂ヘマセヌノデ、長野
  縣ノ如キニ於キマシテハ、春夏秋ノ養蠶ノ
  上簇期ニ拂フト云フコトニシテ居ルノデア
  リマス、ソレモ中々思フヤウニ支拂ヘナイ
  デ、其ノ金利ガ嵩マツテ、却テ困ツテ居ル
  ト云フヤウナ實情ニアルノデアリマス、斯
  樣ナ狀態デアリマシテ、此ノ大馬產計畫ヲ
  一ヤル上ニ於キマシテモ、農家ガ馬ヲ買ヒ得
  ル力ガナイト云フコトニナリマスト、是ハ
  慮憂スベキ問題デアリマスガ、此ノ點ニ關
  シマシテ、政府ノ御意見ハ、助成金ダケニ
  依ツテ此ノ馬政計畫ノ遂行ヲ期シ得ルヤウ
  ナコトヲ言ハレテ居ルノデアリマスガ、ソ
  レ以外ニ、例ヘバ產業組合ガ牛ヲ購入スル
  場合ニ、其ノ資金ヲ融通シテヤルヤウニ、
  馬ヲ購入スル場合ニ於キマシテモ、政府ニ
  於キマシテ、其ノ購入資金ヲ簡易ニ融通シ
  テヤルヤウナ御考ハアリマスカドウカヲ、
  御尋シテ置キタイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=36

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• 037・荷見安

  ○荷見政府委員　只今御話ノ馬ノ購入資金
  ノ融通ニ付キマシテハ、支那事變發生以來
  ノ徵發馬補充ノ爲ノ購入等ニ付テハ、關係
  農業團體等デ融通ヲ致シテ參ツタコトモア
  リマス、尙ホ畜產組合、產業組合等ヲ通ジ
  マシテ、政府ノ低利資金モ若干ダケハ從來
  モ融通サレテ居ルノデアリマシテ、今後モ
  必要ニ應ジテ是ガ融通サレルコトト思ヒマ
  ス、尙ホ產業組合中央金庫ニ於キマシテモ、
  馬ノ資金ヲ融通シテ見タラドウダト云フ御
  話ガアリマシテ、近ク數日前モ中央金庫ニ
  於テ關係者ガ集リマシテ、其ノ範圍方法等
  ニ付テ打合ヲ致シテ居ルノデアリマス、私共
  ト致シマシテモ御話ノヤウニ、飼育者ノ方
  ノ便宜ヲ餘程考慮致シマシテ、出來ル限リ
  其ノ便益ヲ圖リタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=37

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• 038・野溝勝

  ○野溝委員　私等ノ痛切ニ感ジテ居ル點ニ
  付キマシテ、只今政府當局ノ御答辯デハ
  善處ヲサレテ居ルコトヲ聽イテ、洵ニ嬉シ
  ク感ズル者デアリマス、併シ唯單ニ善處ス
  ルト云フダケデナクテ、ドウシテモ私ハ牛
  ヲ購入スル資金ヲ產業組合デ融通スルヤウ
  ニ、此ノ際ソレヲ實行ニ移シテ戴クヤウニ
  シテ貰ハナケレバナラヌト思フノデアリマ
  ス、御承知ノ通リ唯單ニ是ハ國防馬政計畫
  ト云フコトデナクテ、產業馬政計畫ヲモ兼
  備シテ居ルノデアリマシテ、生產力擴充、特
  ニ農村ニ於ケル農產物ノ生產力擴充ト云フ
  コトニ付キマシテハ、勞力ガ不足デアリマ
  シテ、畜力利用ニ依ツテ生產力ヲ擴充スル
  ト云フコトガ、過小農制ノ我國ニ取ツテハ
  最モ必要ナコトデアリマス、左樣ナ譯デア
  リマシテ、特ニ過小農制ノ耕作農民ニ必要
  ナ馬匹ト云フノガ、今囘ノ中半血種デアリ
  ひと、「アングロノルマン」種デアル此ノ中
  半血種デアリマス、今囘ノ馬政計畫ハ、此
  ノ點デハ能ク考ヘテ立案シテ下サツタモノ
  ト思ツテ、私ハ感謝シテ居ル次第デアリマ
  スケレドモ、感謝シテ居ルダケデ、ソレガ
  實行ニ移サレル場合ニ、是ガ本當ニ飼育者
  ノ安心ヲスルヤウナコトニナラナイト、感
  謝ガ却テ逆ニナルヤウナ事ニナルノデアリ
  マシテ、馬政局長官ハ御存知カドウカ知レ
  マセヌガ、私ハ馬ノ飼育者ニ付キマシテモ、
  色々悲慘ノ事實ガアルノデアリマス、東北
  方面ハ私ハ學生時代ニ於テ能ク內容ヲ知ツ
  テ居ルノデアリマス、卑近ナ例ヲ申上ゲマ
  スレバ、長野縣木曾地方ハ馬小作ト申シマ
  シテ、姙娠シテ居ル馬ヲ預カルノデアリマ
  ス、サウシテ仔馬ガ生レルト七割ハ馬主、
  所謂馬地主ニ持ツテ行カレ、アトノ三割ノ
  餘リ扶持ヲ頂戴スルト云フノガ馬小作デア
  リマス、サウ云フ狀態デアリマシテ、其ノ
  馬小作ハ馬ニ子供ヲ生マセテ、ソレヲ糶市
  場ニ出スマデニハ、中々容易ナラヌ費用ヲ
  掛ケテ居ルノデアリマス、サウシマスト馬
  地主ノ方ハ餘程好イ利潤ニナルノデアリマ
  スガ、馬小作ノ方ハ算盤ヲ彈イテ見ルト、
  手ニ付クノハ何モナイト云フコトニナル、
  ソレモ昔ノ如ク混牧林地ガ相當ニ開放サレ
  テ居ル時代、田圃ノ畔ナドニ於テモ自由ニ
  馬ヲ飼育出來テ居ル當時ハソレデモ宜カ
  ツタノデスガ、段々畦畔爭ヒマデモヤカマ
  シク叫バレルヤウニナツテ來タ今日ニ於キ
  マシテハ、馬小作ハ中々引合ハナイ、最近ニ
  於キマシテハ馬小作ノ人々ハ、馬地主カラ賴
  マレテモイヤダト云フコトニナツテ來テ居
  ル事情デアリマス、コンナコトニナルト結
  局先程カラ申シマシタ通リ、馬ノ增產計畫
  モ暗礁ニ乘上ゲルコトニナルノデアリマス、
  馬政局長官カラ先程善處サレルト云フ御言
  葉ハ頂戴シタノデアリマスガ、ドウシテモ
  此ノ際資金ノ融通ニ付キマシテハ、十分考
  慮シテ戴キタイノデアリマス、何モ借リ放
  シト云フ譯デハアリマセヌ、ソレヲ借リテ
  償還スルノデアリマス、其ノ償還ハ長期デ
  アルガ、特ニ擔保物件ヲ取ツテ居ル、馬ハ
  家畜保險制度ガ確立シテ居ルノデアリマス、
  資金ヲ融通シテモ私ハ決シテソンナ危險ナ
  コトハナイト思ヒマス、是ダケノ馬政計畫
  ヲ立テタノデアリマスカラ、政府ハ其ノ資
  金ヲ出シテ然ルベキデアル、又其ノ資金ヲ
  出ス位ノ一ツノ迫力ガナカツタナラバ、到
  底此ノ大馬政計畫ヲ遂行スルコトハ出來ナ
  イ、私ハ斯樣ニ信ジテ居リマス、此ノ意義
  アル馬政計畫ニ對スル資金ノ融通ニ付キマ
  シテ、モツト熱意アル當局ノ御答辯ヲ願ツ
  テ置キタイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=38

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• 039・荷見安

  ○荷見政府委員　只今ノ馬小作ノ問題ニ付
  キマシテハ、地方廳ノ主任官等ヨリモ相當
  切實ナ要求ガアルノデアリマシテ、御話ノ
  ヤウニサウ云フ境遇ニアル者ノ利益ヲ增進
  シ、馬ノ生產ヲ增加スルヤウニ致シタイト
  思ツタノデアリマス、尙ホ馬ノ購入等ノ問
  題ニ付キマシテ、一部ノ助成ヲ爲スノ途モア
  ル譯デアリマス、尙ホ資金ノ融通ト云フコ
  トニ付キマシテハ、是マデ金融關係ト致シ
  マシテハ、馬ノ價格ガ安定ヲ缺クト云フヤ
  ウナ點カラ、餘程難色モアツタノデアリマ
  スガ、今囘ノ馬政計畫ノ建前カラ申シマス
  ト、馬ニ對スル需要ガ廣範圍ニ多量ニ起ツ
  テ來タノデアリマシテ、斯樣デアレバ價格
  ト云フモノモ、隨テ安定スルコトガ豫想サ
  レルト思フノデアリマス、其ノ點カラモ資
  金ノ融通ハ比較的容易ニナルコトト思ヒマ
  ス、尙ホ先程申上ゲマシタヤウニ、中央ノ
  金融機關等ニ於キマシテモ、今囘ノ馬政計
  畫等ニ鑑ミマシテ資金ノ融通ノコトニ付テ
  ハ、特ニ心配シテ居ラレルノデアリマスカ
  ラ、御希望ノヤウナ點ハ比較的速ニ實行ニ移
  サレルヤウニナルノデハナイカト考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=39

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• 040・野溝勝

  ○野溝委員　長官ノ御答辯ニ依リマシテ資
  金ノ融通ニ對スル全貌ガ明ニナツテ來マシ
  テ、ソレデハ此ノ資金融通ノ必要ハ長官御
  自身强ク御認メニナツテ居ルモノト認メテ
  差支ゴザイマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=40

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• 041・荷見安

  ○荷見政府委員　差支ゴザイマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=41

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• 042・野溝勝

  ○野溝委員　ソレデハ近イ機會ニ於キマシ
  テ、馬政計畫遂行ノ線ヲ强化スル意味ニ於
  テ、資金融通ノ方法ヲ講ゼラレルモノト解
  釋シテ宜シウゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=42

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• 043・荷見安

  ○荷見政府委員　講ジタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=43

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• 044・野溝勝

  ○野溝委員　有難ウゴザイマシタ、其ノ點
  ハソレデ質問ヲ終リマス、最後ニ馬產ノ分
  布調整ト指導網ノ確立ニ付テデアリマス、
  本會議ニ於キマシテモ質問ヲ致シテ置イタ
  ノデアリマスガ、今日マデノ日本ノ馬產地
  ハ、大體ニ於キマシテ東北、北海道ガ四割
  乃至五割ノ生產ヲシテ居ルト云フコトハ、
  統計ニ示サレテ居ル通リデアリマス、併シ
  今囘ノ馬政計畫ニ依リマスト、大體是ハ有
  畜農業ニ適スル馬種デアリマシテ、勢ヒソ
  レハ全國的ニ普遍化サレルモノト思ヒマス、
  又普遍化サレナクテハナラナイモノト思フ
  ノデアリマス、其ノ普及徹底ヲ圖ルニハ馬
  政關係ノ指導機關ノ綜合統一ガ、最モ必要デ
  アルト私ハ思ヒマス、具體的ニ申上ゲルナ
  ラバ馬政ノ綜合計畫性ガ必要デアルト私ハ
  思ヒマス、然ルニ政府カラ御示シニナリマ
  シタ資料ヲ見マスト、軍馬資源保護法案ノ
  第八條鍛鍊馬競走ノ點ニ、其ノ片鱗ガ現レ
  テ居ルダケデアリマシテ、外ニハ馬政上ニ
  於ケル各機關ノ綜合計畫ガ、現レテ居ラナ
  イヤウニ見受ケラレルノデアリマス、第八
  條ニ於キマシテハ鍛鍊馬競走ハ命令ノ定ム
  ル所ニ依リマシテ畜產組合聯合會云々ト云
  フコトガ書イテアルダケデアリマシテ、
  是ダケデハ甚ダ物足ラナイ感ジガスルノデ
  アリマス、此ノ馬政計畫ヲ遂行スルニハ、
  唯頭ノ方ダケデ大キナ計畫ヲ立テテモ駄目
  デアルト思ヒマス、何ト言ツテモ下ノ生產
  煮飼育農家ガ其ノ氣持ヲ持タナケレバ駄
  目ダト思ヒマス、ソレト聯關ヲ持ツテ居ル
  ノガ各地方ニアル畜產組合團體デアリマス、
  又其ノ指導ヲシテ行クベキモノハ人的資源
  デアルト思ヒマス、人的資源ハ此ノ場合ニ
  於キマシテハ獸醫師ダト思ヒマス、所謂生
  產者、飼育者、畜產組合、ソレカラ獸醫師
  會-上ノ方ヘ行キマシテハ馬匹協會トカ
  色々アリマスガ、兎ニ角直接馬產計畫ノ實
  踐的ノ衝ニ當ルベキモノハ、今ノ生產飼育
  者ト獸醫ト畜產組合デアルト思フノデアリ
  p.2.此ノ綜合計畫ト云フモノニ對シマシ
  テ、政府ハ如何ナル御所見ヲ御持チニナリ
  マスカ、其ノ一點ヲ御聽キシテ置キタイト
  思フノデアリマス

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• 045・荷見安

  ○荷見政府委員　今囘ノ馬政計畫ニ伴フ人
  的指導機關ノ擴充ノ問題ニ關聯致シマシテ
  ハ、各種馬出張所ニハ貸付ノ種牡馬ノ增加
  ニ伴ヒマシテ、十分デハアリマセヌガ、指
  導ノ設備モ若干增加スルコトニ相成ツテ居
  リマス、又地方廳ノ地方馬事團體等ニ對シ
  マシテモ、人的施設ヲ充實致シタイト云フ
  考デアリマス、ソレカラ昨日申上ゲマシタ
  ヤウニ、軍馬資源ノ保護關係ニ於キマシテ
  干、相當ノ施設ヲ致ス積リデアリマス、是
  等ハ大體ニ於テ馬政局ノ統轄ノ下ニ、地方
  廳ナドデモ各方面ノ機關ト相關繫シマシ
  テ、御說ノヤウナ目的ヲ達スルコトニナル
  カト考ヘマス

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• 046・野溝勝

  ○野溝委員　當然其ノ綜合計畫化ガ行ハレ
  ナケレバ、此ノ軍馬資源保護法ノ目的ヲ達
  スルコトハ出來ナイト思ヒマスカラ、政府
  ニ對シマシテモ私ハ是以上質問ハ致シマセ
  ヌ、ドウカ只今申シマシタヤウナ人的資源、
  所謂指導機關デスカ、畜產組合、生產飼育
  者ト云フ此ノ關係ヲ能ク考慮ニ入レテ下サ
  イマシテ、此ノ調整ヲ有機的ニ執ツテ戴ク
  コトヲ希望致シマシテ、私ハ質問ヲ打切リ
  さく、最後ニ今囘ノ私ノ質問ニ際シマシ
  テ、政府當局ハ第一ノ問題タル飼料ノ問題
  ニ付キマシテハ、麩ヲ飼料統制品目ノ中ニ
  入レルト云フコトト、ヨリ一層飼料ノ廉價
  配給ヲ行フト云フコトヲ言明サレタコト、
  牧野ニ付シマシテハ國有林始メ林牧混淆地
  ニ對シマシテ、至急各ノ機關ノ動員致シマ
  シ·ノ、此ノ開放ヲスルト云フ意思表示ヲサ
  レタト云フコト、只今馬政局長官ニ依ツテ
  馬小作制度ヲ是正スル爲近イ內ニ馬購入資
  金ノ簡易融通化ヲ圖ルベク努力スルト言ハ
  レタコト、此ノ三ツノ言明ヲ得タコトハ、
  私ノ非常ニ滿足スル所デアリマス、私ハ以
  上ヲ以テ質問ヲ打切リマス

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• 047・大石倫治

  ○大石委員長代理　遠山房吉君-御出席
  ガアリマセヌカラ次ハ通告順ニ依リマシテ
  永田良吉君

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• 048・永田良吉

  ○永田委員　東北地方ノ主產馬地ノ先輩ノ
  方カラ、詳シイ御質問ガアリマシタカラ、
  其ノ要點ハ盡キテ居ルト思ヒマスガ、熱
  特ニ日本ノ南方ノ關係カラ、マダ九州方面
  ノ人ノ質問ガナイヤウデアリマスノデ、斯
  ウ云フ方面ノ立場カラ少シ違ツタ角度ヲ以
  テ、御尋シタイト思フノデアリマス、ドウ
  カ其ノ御積リデ御聽取アランコトヲ御願致
  シマス、第一ニ是ハ極ク簡單ナ問題デアリ
  マスケレドモ、中等程度ノ獸醫科ハ慥カ今
  年限リ廢止ニナルト思フノデアリマス、是
  等ハ從來ノ日滿ヲ中心トシタヤウナ程度ニ
  於テハ-無論馬ノ醫者モ人間ノ醫者ト同
  ジヤウニ、高等專門學校程度ニシナケレバ
  ナラヌト云フコトハ、當然ノ問題デアリマ
  ス、但シ現況カラ考ヘテ、日滿カラ漸次北
  支、中支ノ方ニ、日本ノ色々ナ勢力ガ及ブト
  云フ狀態カラ考ヘマシテモ、ヤハリ中等學
  校程度ノ獸醫科ノ廢止ト云フコトハ、少シ
  早過ギハシナイカ、之ヲ考ヘ直シテモウ暫
  ク之ヲ存續シテヤツタラドウカト思フノデ
  アリマス、是ハ無論先ニ御話ニナリマシタ通リニ、
  從來ノ計畫デハ高等專門學校程度ニスルノ
  ガ必要デアリマスケレドモ、範圍ガ非常ニ廣ク
  ナツタ場合、高等專門學校程度デハ如何ナモ
  ノカ、ヤハリ高等專門學校アタリヲ終ツタ人ノ
  俸給ハ高イシ、中等學校程度デアレバ、各
  町村トカ色々ナ地方ニヤル場合ニハ、幾分
  カ安イ月給デ技術員モヤレルノデアリマス、
  斯ウ云フ經濟的ノ立場カラ見テモ考ヘナケ
  レバナラヌシ、中等學校程度ノ獸醫科ヲ今
  年限リデ打切ルト云フコトハモウ少シ私
  ハ考ヘル餘地ガナイカト思フノデアリマス、
  是ハ無論文部當局トノ關係モアリマスケレ
  ドモ、此ノ機會ニ農林或ハ陸軍方面カラ見
  ラレタ御感想ヲ一寸承ツテ置キタイト思ヒ
  マス

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• 049・伊藤莊之助

  ○伊藤政府委員　只今永田サンナ御質問ノ
  アリマシタ中等學校ノ獸醫科ヲ、十三年度
  限リデ廢止スルコトニナツテ居ルノハ、少
  シ早過ギハセヌカト云フヤウナ御質問デア
  リマス、最近ノ獸醫師ノ現狀カラ見マスレ
  バ、御話ノヤウナ風ニモ考ヘラレルト思フ
  ノデアリマスガ、旣ニ獸醫師トシマシテハ
  相當高級ナ技術ヲ要スルト云フノデ、政府
  ニ於キマシテハ十三年度限リデ之ヲ廢止ス
  ルコトニシテ居ツタノデアリマス、隨テ現
  在其ノ後繼者タル入學者ハ、モウ既ニ中等
  學校ニハ居ラナイノデアリマス、之ヲ更ニ
  存續致シマスレバ、三年後ニナラナケレバ
  卒業者ハ出ナイ譯デアリマス、一方文部省
  ノ方デハ此ノ獸醫師不足ノ現狀ニ應ズル爲
  ニ、最近獸醫學科ノ新設或ハ旣設ノ收容人
  員ノ增加等ニ依リマシテ、著々其ノ準備ヲ進
  メテ居ルノデアリマシテ、明年度以降ハ相當
  多數ノ獸醫ガ出ル計畫ニナツテ居リマス、
  大體待遇ノ點カラ言ヒマスレバ、今御話ノ
  ヤウナコトモアリマスケレドモ、數ノ上カ
  ラ言ヒマスレバ、サウ不足ヲ來スヤウナコト
  ハナイノデハナイカト思ヒマス、尙ホ滿洲
  ニ於キマシテモ獸醫師不足ノ現狀ニ鑑ミマ
  シテ、講習等ニ依リ簡易ニ其ノ卒業者ヲ出
  スコトヲ計畫致シテ居リマス

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• 050・永田良吉

  ○永田委員　御丁寧ナ御答辯デ滿足致シマ
  シタガ、滿洲方面等ニ付テ簡易ナ方法ヲ講
  ズルト云フコトデアリマシテ、安心シタ譯
  デアリマス、是ガモツト支那マデ伸ビルト
  スレバ、ヤハリ其ノ簡易ナ方法ガ滿洲ノミ
  ナラズ、北支カラ中支那方面ニ及ブヤウナ
  コトガアリハシナイカ、サウ云フ點ニ於テ
  日滿支共通ノ立場カラ考ヘテ、モウ少シ具
  體的ニ申シマスト、再ビ中等程度ノ簡易ナ
  モノヲ復活スル必要ガアリハセヌカト思フ
  ノデアリマス、斯ウ云フ點ニ付テ、モノニ
  ハ臨機應變ノ處置ト云フモノガアルノデア
  リマスカラ、必ズシモ廢止シタモノヲ復活
  スルカラ當局ノ責任デアルトカ、何トカ云
  フコトハアリマセヌ、實情ニ應ジテ活殺自
  在ノ計畫ヲ講ズルコトガ、最モ國政ニ忠實
  ナコトデハナイカト思フノデアリマス、斯
  ウ云フ意味ニ於キマシテ地方ノ實情ニ依リ
  マシテハ、高等專門學校程度ノ者ヲ要セズ
  シテ、普通ノ中等學校程度デ十分間ニ合フ
  コトガアルト思フノデアリマス、尙又一遍
  ニ多數ノ技術者ヲ要スルトカ、色々經濟上
  ノ關係等カラ考ヘテ、再ビ中等學校程度ノ
  モノヲ附加スルノ必要ガ起リハシナイカト
  私ハ思フノデアリマスカラ、斯ウ云フ際ニ
  於テハ、從來廢止シタカラ云々ト云フ、サウ
  云フ固イ意味ニナラヌヤウナ態度ヲ以テ、
  善處サレンコトヲ希望シマシテ、此ノ中等
  學校程度ノコトノ質問ハ、是デ止メマス

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• 051・小笠原八十美

  ○小笠原委員　一寸關聯シテ御尋シマスガ、
  只今ノ獸醫ノ問題デアリマス、今度ノ馬政
  計畫ヲ遂行スル上ニ於テ、衞生方面ノコト
  ガ伴ハナケレバナラヌ、隨テ獸醫ノ配置其
  ノ宜シキヲ得ナケレバナラヌト云フコトハ、
  勿論ノコトデアリマス、現在ノ所デハ、畜產
  ヲ主トスル地方デモ、獸醫ノ配置ガ不足ヲ
  來シテ、非常ニ不便ヲ感ジテ居ルノミナラ
  ズ、官廳方面デモ非常ニ獸醫ノ配置ニ困ツ
  テ居ルヤウニ伺ツテ居ルノデアリマス、併
  シ只今ノ御答辯ニ依リマスト、高等ノ學術
  ヲ受ケタ者ガ、今度ハ多數出ラレルト云フ
  コトヲ伺ツテ居リマスケレドモ、是ハ實際
  ニ今度ノ要求ニ應ジテ、ソレ〓〓配置セラ
  レルヤウナコトノ程度ニナルノデゴザイマ
  セウカ、ソレカラモウ一ツ私ガ伺ヒタイコ
  トハ、此ノ獸醫ノ中ニ、今マデ中等程度ノ
  者ガ何カ學術的ノ缺陷デモアツテ、ソレガ
  今日マデヤツテ居ルコトニ對シテ不便ヲ感
  ジタト云フヤウナコト、或ハ今日陸軍トカ
  馬政局カラ見タ上ニ於テ、適當ナラバト云
  フヤウナコトノ御考ヲ持タレテ居ルノデゴ
  ザイマセウカ、其ノ點ヲ一ツ、同時ニ獸醫
  ト申シマシテモ御承知ノ通リ、牛馬ニ對ス
  ル大動物ノ獸醫モアリマス、或ハ又犬トカ
  猫トカノ獸醫モアリマス、ヤハリ獸醫各其
  ノ目的ハ違フノデアリマス、殊ニ實際ニ病
  馬ノ施療ニ當ツテ、治療ト學術〓究ヲスル
  獸醫、是モ亦各目的ヲ違ヘタ方面ニ行ツテ
  居ルノデアリマスガ、何レノ方面モ勿論是
  ハ必要デアルノデアリマス、然ルニ大動物
  ニ直接接スル獸醫ハ、ヤハリ馬產地カラ出
  テ、少年時代カラ牛馬ニ接シテ居ル、サウ
  云フ地方カラ出タ獸醫ガ非常ニ歡迎サレテ
  居ルノデアリマス、同ジ馬產地デアリマシ
  テモ、高等程度ノ獸醫トナルト、相當ノ年
  限ヲ要スル、巨額ノ學費ヲ要スルト云フノ
  デ、馬產地地方ノ相當ノ資產家ノ家庭ノ者
  デナケレバ、入學ヲスルコトガ出來ナイ、
  資產家ノ家庭トナルト、ヤハリ牛馬ニ接ス
  ル機會ガ薄イ、本當ニ靑少年時代カラ牛馬
  ニ接シテ居ル者ハ、ヤハリ中學程度ノ、簡
  易ニ入學シ卒業ノ出來ルモノガ、一番第一
  線ニ立ツテ奮鬪スルニ都合ガ好イ、隨テ今
  マデノ中等學校ノ卒業生ノ獸醫ト云フモノ
  ハ、非常ニ馬產地各方面ニ於テ歡迎サレテ
  居ルノデアリマス、ドウモ此ノ連中ガ卒業
  シテカラ、一方ハ實際ニ當リ、一方ハ學術
  ノ方ノ〓究ニ當ツテ奮鬪シテ居ルガ、非常
  ニ有效ニ今日働イテ居ルヤウニ吾々考ヘテ
  居ルノデアリマス、實際吾々ノ地方トシテ
  ハ、一線ニ立ツテヤツテ居ルノデアリマス、
  又政府ノ方デモ、ソレ〓〓中等學校ノ人々
  ヲ有效ニ配置スルコトモ、見受ケラレテ居
  ルノデアリマス、隨テ是カラ高等程度ノ者
  バカリ奬勵シテ、此ノ中等程度ノ者ヲ廢シ
  タト云フコトハ、是ハ第一線ニ立ツ者ガ實
  際不足ヲ來タスコトニナルト云フコトハ、
  非常ニ明ニナツテ來ルノデハナイカト考ヘ
  ラレルノデアリマス、此ノ點ニ付テ、アナ
  タ方ノ方デハ御心配ハセラレテナイノデア
  リマスカ、ソレカラモウ一ツ、本當ニ馬事
  普及關係ニ當リマシテモ、農村ノ普通以下
  ノ家庭ノ連中ハ中等程度ノ獸醫ニナツテ、
  農村ニ在ツテ農村ノ生產者ト共ニ馬產改良
  ニ當ル、此ノ連中ノ今日マデノ指導ガ大イ
  ニ與ツテ今日ノ馬產ノ振展ヲ來シタ、謂、
  バ斯ノ道ノ大功勞者デアルト私ハ考ヘテ居
  ルノデアリマス、是カラモ斯ウ云フ指導者
  ノ手ヲ經ナケレバ、假令政府ノ方ニ何人役
  人ガ居ツタ所デ、直接實際農村ノ指導ニ當
  ル斯樣ナ人々ノ手ヲ經テヤラナケレバ、今
  度ノ馬產方針ノ目的ヲ達スルコトハ出來ヌ
  ト、私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、何レノ
  方面ニシテモ、ノ此ノ中等學校程度ノ獸醫ト
  云フモノハ必要デアル、ソコデ馬政局竝ニ
  軍部ノ方面ニ於テ此ノ第一線ニ立ツ獸醫、
  卽チ馬ノ治療ニ當ル人ハ中等學校程度ノ者
  デナケレバナラヌト云フコトヲ、痛切ニ御感ジ
  ナサレテ、是ガ復活ニアナタ方ノ方モ、ソレ
  ゾレ御手配アルベキ筈デアルト私ハ考ヘ
  テ居ルノデアリマス、尙ホ滿洲方面ノ關
  係ヲ見マスト、鼻疽疫等ガ蔓延シテ居ル
  ガ、之ヲ治療スル〓究ガマダ出來テ居ラ
  又、隨テ滿洲方面ノ移民地邊リニ於テハ、
  之ガ爲ニ非常ナ惱ミヲ持ツテ居ルノデアリ
  やじ、大膽大計畫ヲ爲シテ、滿洲ノ移民地
  ニ對シテ此ノ內地馬產ヲ移殖スルト云フ
  コトノ目的ニ出タノデアリマスガ、此ノ方
  面ノ治療ハ感染シナイ中ニ之ヲヤルト云フ
  ノデアリマスガ、併シ獸醫ノ配置ノ徹底ヲ
  缺イタナラバ、徒ニ結果ニ於テ病氣ノ爲
  ニ斃レルモノガ澤山アルト云フヤウニナ
  ル、斯樣ナコトニナルト、此ノ目的ノ遂行
  ハ出來ヌト思フノデアリマス、サウ云フ
  御心配ハアリマセヌカ、滿洲邊リデ、一時
  的ニ一寸間ニ合ハスダケノ獸醫ヲ拵ヘルト
  云フヤウナコトヨリモ、中等學校程度ノ獸
  醫ノ方ガ遙ニ有效デハナイカト思フノデア
  リマス、今日滿洲ノ方デハ、適當ナ滿
  洲獸醫ト云フヤウナモノヲ、設ケヨウト云
  フ計畫デアルトノ今御話デアリマスガ、
  此ノ獸醫ノ資格ニ付テ、內地ノ馬產地方
  面ノ中等學校卒業程度ノ獸醫ヲ使フノカ、
  ドツチニナルノデアリマスカ、私今初メテ
  承ツタノデアリマスガ、サウ云フコトヲ一
  寸伺ツテ置キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=51

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• 052・伊藤莊之助

  ○伊藤政府委員　獸醫ノ卒業者ノコトニ付
  キマシテハ、御手許ニ畜產局カラ資料ヲ配
  付シテ居リマシテ、相當多數ノ者ガ出ルコ
  トニナツテ居リマスノデ、近キ將來ニハ、
  專門學校以上ノ者ガ相當多數出ル積リデア
  リマス、次ニ中等學校程度ノ卒業生ガ、御
  話ノヤウニ從來日本ノ馬產方面ノコトニ非
  常ニ貢獻致シタコトハ、其ノ通リデアリマ
  シテ、御尤ト思フノデアリマスガ、只今マ
  デ進ンデ參リマシタノハ、專門學校程度ニ
  シヨウト云フヤウナコトニナツテ居ルヤウ
  デアリマス、先程申上ゲマシタコトデ御諒
  承ヲ御願シタイト思ヒマス、尙ホ滿洲ニ馬
  ヲ移殖スルノニ、病氣ニ罹ツテ困ラナイカ
  ト云フヤウナ御質問デアリマシタガ、今囘
  滿洲ニ馬ヲ移殖スルニ付キマシテハ、移殖
  地デアリマス移民地ニ於キマシテ、鼻疽等
  ノ〓淨區域ト云フヤウナモノヲ設ケマシテ、
  在來馬ノ鼻疽ガ蔓延シナイヤウ方法ヲ講ズ
  ルト云フヤウナコトニナツテ居ルノデアリ
  そく、大體右御諒承ヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=52

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• 053・小笠原八十美

  ○小笠原委員　先刻ノ永田君ノ御質問ニ對
  シ、滿洲獸醫ト申シマスカ、サウ云フ方面ニ
  對シテ御答ニナツタヤウデアリマスガ、其
  ノ獸醫ヲ今度滿洲國デヤラレル、ソレト內
  地ノ中等學校程度ノ獸醫トノ比較ヲ承リタ
  イノデアリマス、其ノ御答辯ガナカツタヤ
  ウデアリマスガ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=53

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• 054・伊藤莊之助

  ○伊藤政府委員　先程私ハ聞嚙ツタコトヲ
  御參考ニ申上ゲタノデアリマス、何年デア
  ルカハ只今ハツキリ覺エテ居リマセヌ、御
  必要ガアリマスレバ調べテ申上ゲタイト思
  ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=54

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• 055・小笠原八十美

  ○小笠原委員　サウスルト滿洲獸醫ト云フ
  ノハマダ未定ナモノデスカ、アルコトヲ
  仰セラレタノデスカ、今假定ト云フノハ
  豫想ハマダナイノデスカ、ソレヲハツキリ
  ドウカ御知セ願ヒタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=55

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• 056・中尾桂一郎

  ○中尾說明員　一寸說明員カラ申上ゲマス、
  滿洲ト朝鮮ニ於キマシテ今マデ獸醫ト致シ
  マテハ、內地ノ學校ヲ卒業シマシタ者、或ハ
  内地デ試驗ニ通ツタ獸醫バカリヲ、向フカ
  ラ内地へ來テ採用シテ居ツタノデアリマス、
  然ルニ最近ニナリマシテ朝鮮及ビ滿洲國ニ
  獸醫ノ學校ガ出來マシテ、漸次養成スルヤ
  ウニ至リマシタ、其ノ數ハ滿洲ト朝鮮ノ區
  別ハ私持ツテ居リマセヌデスケレドモ、昭
  和十二年デ百八十名、十三年デ三百九十名、
  昭和十四年デ四百名ト云フ數ノ養成ヲ致シ
  マス、デスカラ獸醫ノ少イ所ニ內地カラ採
  ツテ行クト云フコトハ、漸次少クナリマシ
  テ、向フデ大體ニ於テ自給自足シテ行クヤ
  ウニナルト思ヒマス、唯高級ナル獸醫、幹
  部ニナル獸醫ハ內地ノ大學、專門學校ノ卒
  業生ヲ採ツテ行キマスケレドモ、併シ下ノ
  方ノ第一線ニ立ツ獸醫ト致シマシテハ、朝
  鮮ナリ滿洲ニ於テ學校ヲ出タ者ガ、採用サ
  レルコトニナルト考ヘマス、隨ヒマシテ獸
  醫不足ト云フモノハ、斯ウ云フ點カラ言ヒ
  マシテモ、相當緩和サレルト考ヘテ居ル次
  第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=56

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• 057・小笠原八十美

  ○小笠原委員　私ノ伺ツタノハ、滿洲獸醫
  ト云フモノノ學校ガオアリニナルト云フコ
  トハ、今初メテ分ツタノデアリマスガ、ソ
  レト日本ノ從來アツタ中等程度ノ獸醫ト云
  フモノノ對照ヲ、私ハ伺ツタノデアリマス、
  其ノ方ノ御答辯ガナカツタヤウデアリマス
  カラ、ソレヲハツキリサシテ戴キタイト思
  ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=57

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• 058・中尾桂一郎

  ○中尾說明員　私ハ滿洲ニ於キマスル講習
  會ノヤウナモノ、斯ウ云フ意味ニ諒解シテ
  居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=58

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• 059・小笠原八十美

  ○小笠原委員　サツキ學校ト仰シヤツタノ
  デスヨ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=59

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• 060・中尾桂一郎

  ○中尾說明員　學校ノ話ハサツキ申シマシ
  タ通リデアリマス、學校ノ話ハ私ガ說明シ
  マシタ通リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=60

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• 061・荷見安

  ○荷見政府委員　私ハ只今マデノ御問答ヲ
  拜聽致シテ居リマシテ、滿洲ニ於テモ、御
  心配ノ獸醫ノ供給ト云フコトニ付テハ、施
  設ヲ講ジテ居ルト云フコトヲ申上ゲタノガ、
  施設トハ何ゾヤト云フ內容ノ問題ニ立入ツ
  タノデアリマス、其ノ點ニ付テハ伊藤政府
  委員カラ取調ベテ御說明ヲ申上ゲルト云フ
  コトニナツタノデアリマスガ、ソレハ後ノ
  機會ニ申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=61

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• 062・小笠原八十美

  ○小笠原委員　ソレナラバソレデ宜イデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=62

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• 063・冨吉榮二

  ○冨吉委員　質問應答ノ中ニ於キマシテ、
  獸醫ノ問題ニ付テ色々質疑ガアリマスルガ、
  是ハ此ノ大キナ馬政計畫ヲ實行シテ行ク上
  ニ於テ、相當委員諸君デモ御心配ノ餘リ、
  斯ウ云フコトガ繰返サレテ居ルノダト思フ
  ノデアリマスルガ、私モ此ノ中等程度ノ獸
  醫科廢止ト云フコトニ對シテ、少シク不安
  ヲ持ツテ居ル一人デアリマス、ト申シマス
  ルノハ、人間ガ病氣ヲ致シマスルト、人間
  ノ身體ハ金ニ換へ難イノデゴザイマシテ、
  假令ドンナニ貧乏シテ居リマシテモ、或、
  豫算ガナクテモ、其ノ醫療ハ十分ニ徹底的
  ニヤルノデアリマスルガ、殘念ナル哉、馬
  ハ動物デアリマスル爲ニ、百圓ノ馬ガ五箇
  月モ六箇月モ病氣ニナルト、ソレヲ治療ス
  ルト云フコトハ不可能デゴザイマスノデ、
  大體見限リヲ付ケテ田舍デハ養生致シテ居
  ルヤウニ、私共百姓ト致シマシテ經驗致シ
  テ居ルノデアリマス、ソコデ農村ニ居リマ
  スル獸醫ノ生活狀態、收入狀態ヲ見マスト、
  是ハ別ニ統計モ持ツテ居リマセヌケレドモ、
  私ノ見マシタ所デハ、東北、北海道ニ於キ
  マスル馬產ノ先進地ハイザ知ラズ、私共ノ地
  方ニ於キマシテハ獸醫諸君ノ生活ガ非常ニ
  惡イノデアリマス、卽チ馬ノ治療ニ依ツテ
  得ル收入ガ、現在ノ生活トノ間ニ非常ナ喰
  違ヒヲ生ジテ居リマシテ、大抵獸醫ハ村ノ
  畜產組合ノ囑託ニ依ツテ給料ヲ受ケルト
  カ、ソレナラバ宜シイガ、其ノ外ニ或ハ生命
  保險ノ代理店ヲヤルトカ、或ハ外交員ヲヤ
  ルトカ云フ狀態ニ依ツテ、辛ウジテ生計ヲ
  營ンデ居ル獸醫ヲ、私共非常ニ數多ク知ツ
  テ居リマシテ、オ醫者サンノ如ク、メキメ
  キト金持ニナツテ、裕福ナ生活ヲシテ居ル
  ト云フヤウナ者ハ、私共遺憾ナガラ殆ドマ
  ダ見受ケナイノデアリマス、斯ノ如ク獸醫
  師ノ生活ハ、其ノ商賣ガ餘リニ現在ノ社會
  ニ於テハ引合ハナイ商賣デアリマスルノニ、
  果シテ高等專門學校ノ卒業生ヲ澤山出シテ、
  大分其ノ點ニ付テ當局ハ御樂觀ニナツテ居
  ルヤウデアリマスルガ、之ヲ田舍ノ獸醫師
  トシテ畜產ノ衞生ノ任ニ當ラシメル御自信
  ヲ、御持チデアリマスカドウカ、是ハ東京
  デ御考ニナリマシタセイカモ知レマセヌケ
  レドモ、國家ノ爲トハ申シナガラ、是等ノ
  多クノ卒業生諸君ガ農村ニ居付イテ、果シ
  テ眞ニ百姓ノ物言ハヌ動物ノ相手トナツテ
  行キ得ルカ、現在ノ中等學校ヲ出タ技手デ
  モ、多ク農村ノ所謂獸醫師ノ生活ガ餘リニ
  良クナイ爲ニ、警察ノ獸醫ヲ志願シタリ、
  其ノ他ノ方面ニ轉業致シテ居ルヤウニ私共
  ハ見受ケル、成程數字ノ統計ノ上ニ於テハ、
  澤山ナ卒業生ガ出テ參リマスルガ、是ガ果
  シテ農村ニ居付イテ、眞ニ此ノ馬政計畫ノ
  樞軸ヲ成ス畜產衞生ノ業務ヲ遂行シテ行キ
  得ルト云フ御見込ガ、事實オアリニナリマ
  スカ、是ハ大抵農村ノ出身-農村ニ於キ
  マスル地主ノ息子ガ中等學校ヲ出テ、頭ノ
  良イノガ高等專門ノ學校ニ居マスルガ、
  是等ハ殆ド田含ニハ居付カナイデス、高等
  專門學校ヲ卒業シテ田舍ニ居付イテ居ルノ
  ハ、醫者ガタツタ一ツ、其ノ醫者モ實ハ自
  分ノ生レタ所ガ餘リ邊鄙デアルト、其處ニ
  ハ歸ラズニ殆ド町デ經營シテ居ルノガ現狀
  デス、結局、農村ニ居付カセヨウトスルナ
  ラバ、此ノ馬政計畫ガ眞ニ農民ヲ潤スモノ
  デアルカ、或ハモツト獸醫師ノ方面ニ關シテ
  居付カセル何等カノ助成的ナ、補助的ナ計畫
  ガオアリニナラナケレバ、是ハ結局机上ノ空論
  ニ終ルト、私ハ懸念スル者デアリマスルガ、先ヅ
  此ノ點ニ關スル御意見ヲ承ツテ見タイト思フ

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• 064・荷見安

  ○荷見政府委員　御話ノ通リニ、最モ必要
  ナル人間ノオ醫者デスラガ、中々邊鄙ナ所
  ニハ居付カヌ、斯ウ云フ御話デアリマスレ
  バソレヨリ程度ノ變リマスル獸醫ガ、居
  付カナイト云フコトガアリ得ナイト云フコ
  トヲ私ハ考ヘマセヌ、唯先般來政府委員ノ
  方カラ御答辯ヲ繰返シテ申上ゲテ居リマス
  ノハ、中等學校ノ程度ノ獸醫ノ卒業生ト云
  フモノガ、獸醫師タル資格ヲ有セザルヤウ
  ニナリマスナラバ、非常ナ獸醫ノ不足ヲ
  來スノデナイカト云フ御質問ニ對シマシテ、
  先般來農林省ノ方カラ差上ゲマシタ調査資
  料ノヤウニ、相當數ノ帝國大學、官立專門
  學校、私立專門學校、公立農學校獸醫科等
  ヨリ、多數ノ獸醫ノ資格ノアル者ガ卒業ス
  ルヤウニナルノデアリマシテ、是等ノ數ガ
  或ハ需要ヲ滿タス分トシテハ相當デアラ
  ウヘ之ヲ分布セシムルカドウカト云フコト
  ニ付テハ、是ハ馬產ノ關係デアリマスノデ、
  必ズシモ獸醫其ノモノヲ目標ト致シマセヌ
  デモ、馬ノ重要性カラシテ馬ニ對スル、或
  ハ先般來御話ガアリマスヤウニ、國家ノ各
  施設ナリ或ハ取引價格ノ問題ナリ、色々重
  要性ガ增シテ參リマスレバ、之ニ對スル待
  遇ト云フヤウナモノモ、相當ニ向上セラレ
  ルデアリマセウカラ、田舍へマデ行亙ツテ
  馬ノ衞生ニ改新ヲ爲シ得ルコトニナルダラ
  ウト、私ハ考ヘルノデアリマス、是ハ何ノ
  施設ニ致シマシテモ、醫者ノ配當マデ國家
  ガ直接ニ金ヲ出シテヤツテ行クト云フコト
  ハ、中々困難ナコトト思ヒマス、併シソレ
  ヲ不必要ナコトトハ思ツテ居リマセヌ、私
  共モ力ノ許ス限リ將來トモ若シモ獸醫ノ不
  足ノ爲ニ、馬ノ衞生ガ非常ニ害サレル、或
  ハ馬政計畫ノ遂行ニ困難デアルト云フコト
  デアリマスレバ、困難ヲ排除スルヤウニ努
  力致シタイト考ヘテ居リマス

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• 065・森田重次郎

  ○森田委員　私モソレハ相當重要ナ問題ト
  思ヒマス、一寸橫取リスルヤウナ恰好デス
  ケレドモ、關聯シテ伺ヒタイト思ヒマス

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• 066・大石倫治

  ○大石委員長代理　屢〓此ノ事ヲ御論及ニナ
  ツテ居リマスカラ、成ベク簡單ニ願ヒマス

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• 067・森田重次郎

  ○森田委員　實ハ本會議デモ其ノ點ニ關ス
  ル質問ヲ致シテ居ツタノデアリマスガ、何
  レ機會ガアラウト思ツテ居リマシタ、ソコ
  デ問題ハ何遍繰返シテモ同ジモノニナルカ
  モ知レマセヌガ、此ノ大キイ前提ヲ農林省
  ノ方デ忘レテ居ルデハナイカト思フノデ
  ス、大キイ前提ト云フノハ何カト云フト、
  實際私等ノ方デハ、相當馬ヲ產スル所ニ生
  レタ者デ、片手間ニオ醫者サンヲヤツテ居
  ル、ソレダカラ獸醫トシテ立ツテ行クノデ
  ス、ソコヲ御忘レニナツテ、獸醫師ヲ拵ヘ
  サヘスレバ何處ヘデモ行クダラウト云ツタ
  ヤウナコトヲ、農林省ハ御考ニナツテオ居
  デニナルデハナイカト思フ、ソレトモウ
  ツハ東北地方ノ民度ノ低イ馬產地カラ、容
  易ニ高等農林學校ナドヘ入ル者ハナイノデ
  ス、恐ラクハ都會邊リニオ居デノ方デ、別
  ナ學校へ入レナイヤウナ方ガ專門學校ノ方
  ヲ望ンデ、農林學校ノ獸醫科ヘ向イテ行ク
  デハナイカ、學校ヲ卒業スレバ依然トシテ
  都會ノ方へ集中サレテ農村ヘ行キツコナイ、
  ソコガ私等ノ非常ニ憂ヘル所デアリマス、
  デアリマスカラ、程度ノ高イコトハ私等モ
  贊成スルノデスケレドモ、程度ガ高イカラ
  ト云ツテ、オ醫者サンガ馬ノ居ル所ニ居ナ
  イト云フコトニナツタラ、何ニモナラヌコ
  トニナル、ソコヲ現實ニ立脚ナサレテ、今
  マデノ農學校ノ卒業生ヘ一一箇年位ノ專攻科
  ト云ヒマスカ、サウ云ツタヤウナモノヲ臨
  時デ宜イノデスカラ、一ツノ講習所見タヤ
  ウナ形デ拵ヘテ、其所ヲ出タ者ニ特別ナ計
  ラヒデ獸醫ノ免許狀ヲ、便法トシテ與ヘ得
  ルト云フヤウナコトニデモシテ行カナイト、
  馬產計畫ニ基ク獸醫ノ不足ト云フコトハ、
  今日カラ明ニ豫見スルコトガ出來ルト思フ、
  其ノ豫見シ得ルモノヲ今此ノ案ヲ通ストキ
  ニ漠然トシテ置クト云フコトハ、私等トシテ
  ハドウモ承服致シ兼ネル所ガアルノデアリ
  マスカラ、此ノ點ニ付テ獸醫ノ不足ヲ豫見シ
  得ル、ソレヲドウ云フ風ナ形デ補充ナサラウ
  トスル御考ガアルカ、ソレヲ具體的ニハツ
  キリサシテ置イテ戴キタイト、斯ウ思ヒマス

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• 068・荷見安

  ○荷見政府委員　是ハ前々カラ繰返シテ申
  シマスル以上ニ、私ノ御答辯ハ出デナイノ
  デアリマスガ、大體數ニ於テハ只今申上ゲ
  タ通リ、ソレカラ分布情勢ニ於キマシテ
  ハ、昭和十三年十二月十九日現在ニ於キマ
  スル數ガ相當アリマス、北海道ガ千三百七
  十八名、靑森ガ五百四十七名ト云フ風ニ、各
  府縣共相當數ガゴザイマス、ソレガ地元ニ
  落著クカドウカト云フ問題ニ付キマシテ
  ハ、是ハ御話ノヤウニ相當ノ〓育ヲ受ケ·マ
  シタモノガ、待遇ガ非常ニ惡イト云フト、
  惡イ所ハ落著キニクイト思ヒマス、ソレカ
  ラ是ハ馬政ノ各般ノ施設ガ充實致シテ參リ
  マシテ、馬ニ對スル重要性ト云フモノガ增
  シマスレバ、之ニ對シテ必要ナル獸醫ニ對
  スル需要ト云フモノガ起ルノデアリマシ
  テ、其ノ需要ガ起ツテ待遇ガ好クナリマス
  しく、私ハ如何ナル田舍ト申シマシテモ、
  ソコニ獸醫ノ供給ト云フコトハ圓滿ニ行ク
  ダラウト思フ、要ハ馬ノ行政ト云フモノニ
  對スル社會ノ認識ト云フモノガ少シ高マリ
  マシテ、ソレニ對スル待遇等ガ改善サレル
  ト云フコトニアルダラウト思ヒマス、ソレ
  以上ハ中々困難ダト思ヒマス

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• 069・森田重次郎

  ○森田委員　簡單デス-御意見御尤デゴ
  ザイマシテ、自由ニ委シテ置ケバ自然サウ
  ナルデゴザイマセウガ、今日カラ豫見スル
  コトガ出來ルト思フノデス、豫見ト云フコ
  トハ詰リ此ノ產馬計畫デ行クノデスカラ、
  ドウシテモ其ノ點ガ極メテ重要ナンデス、
  豫見スルコトノ出來ルモノヲ間ニ合ハナク
  ナツタカラト云ツテ、應急處置ヲ講ズルト
  云フヤウナコトハ、私ハ賢明ナ政治ヂヤナ
  イト思フ、其ノ意味デ一ツ特別ナ御考慮ヲ
  煩ハシタイ、斯ウ云フノデス、其處ハ意見
  ノ相違ニナルト云フコトナラバ仕方アリマ
  セヌガ、併シ簡單ナコトヂヤナイノデスカ
  ラ

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• 070・荷見安

  ○荷見政府委員　私共モ田舍ノ地元カラ出
  タ人ガ能ク〓究サレマシテ、地元ヘ歸ツテ
  獸醫ノ仕事ヲシテ、馬政ノ事ニ貢獻サレルト
  云フコトニ對シテハ、一ツモ異存ハナイノ
  デアリマスガ、社會ノ〓育程度、知識ノ程
  度ノ增加ニ伴ヒマシテ、大體資格ヲ各般ノ
  方面デ引上ゲテ、獸醫ノ資格モ亦引上ゲラ
  レテ參ツタト云フ際ニ、之ヲ今引下ゲルト
  云フコトニ付キマシテハ、或ハ考究ノ餘地
  ガアルカモ知レマセヌケレドモ、先程カラ
  他ノ政府委員カラモ御答辯ヲ申上ゲマシタ
  ヤウニ、今度十三年度ノ廢止ヲ延期致シマ
  シテモ、今一年ニ入ツテ居ル者ガナイノデ
  アリマスカラ、數年後デナケレバ出來ナイ
  コトニナツテ居リマス、只今申上ゲテ居ル
  ノハ其ノ定員ト云フモノトカ、或ハ新シイ
  學科ト云フモノヲ、各專門學校以上ニ文部
  省トシテハ增加致シマシテ、之ニ對シテ異
  存ノナイヤウニショウ、斯ウ云フ譯デアリ
  そく、ソレデ私共ト致シマシテモ、若シモ
  是等ノ關係上將來地方ニ於ケル馬ノ衞生ト
  云フコトニ、不備缺陷ヲ生ズルト云フヤウ
  ナコトニナリマスレバ、出來ル限リ各種ノ
  施設ヲ講ジテ遺憾ナキヲ期シタイト思ヒマ
  スガ、今ノ所ハ是レ以上ハ申上ゲルコトハ
  アリマセヌ

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• 071・大石倫治

  ○大石委員長代理　永田君

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• 072・永田良吉

  ○永田委員　此ノ中等學校程度ノ獸醫科ノ
  復活ニ付キマシテハ、他ノ諸君カラモ色々
  御加勢ガゴザイマシテ、大變私モ有難ク思
  フガ、是ハ當局ハドウ考ヘテ居ラツシヤル
  カ知リマセヌケレドモ、是ハ確ニ無理ガ此
  處ニアルト思ヒマス、ソレデ今二箇年間ハ
  生徒ハ居リマセヌケレドモ、ヤハリ是カラ
  滿洲ヤ支那ニ內地ノ者ガ伸ビテ行クニハ、
  成タケ自分ノ〓里デ〓育ヲ受ケテカラ向フ
  ニ行ツタ方が宜イ、サウスルニハ今ノ當局
  ノ說明ニ依リマスト、朝鮮ト滿洲ニハ中等
  學校程度ノモノヲ作ツテ、向フデ生產シテ
  居ルカラ差支ナイト仰シヤルガ、吾々ノ立
  場カラ考ヘマスト、日滿支ヲ共通シテ考へ
  タ場合ニ、又新事態ニ對シテハ新シク玆ニ
  設備ヲシナケレバナラヌ、然ラバ又之ヲ復
  活スルノ必要ガアルト私ハ思フ、ソレヲ當
  局ノ方ガ一旦俺ノ方デ廢止ヲ決メタカラ、
  マア時機ヲ待テト云フヤウナコトデ、コン
  ナ無理ヲナサルト、誰ガ迷惑ヲスルカト言
  ヘバ國民ガ迷惑ヲ蒙ムル、吾々ガ當局ニ斯
  ウシテ質問ヲスルノハ、贅澤ニ質問スルノ
  デハアリマセヌ、皆樣方ガ確ニ地方ノ實情
  ト、中央ニ居ツテ政治ヲ爲サル場合ニ、何
  カノ行違ヒガアリハセヌカト思フカラ、サ
  ウ云フ點ヲ吾々田舍代議士ガ來テ、御參考
  ノ爲ニ說明ヲシテ居ル譯デアリマス、大變
  ウルサイコトデゴザイマセウケレドモ、將
  來斯ウ云フコトモ考ヘラレテ、一ツ善處サ
  レンコトヲ希望シテ、私ハ是レ以上ハ申上
  ゲマセヌ、次ハ地方競馬ノ廢止ニ付テ、今
  頃之ヲ言フト當局ハ、オ前達ハ昨年議會デ
  モ皆贊成シテ居ルノニ、クダラヌコトヲ今
  頃質問スルナト云フ御叱リガアルカモ知レ
  マセヌケレドモ、確ニ此ノ地方競馬ノ廢止
  ト云フノモ、先程私ガ申上ゲマシタ中等學
  校ノ獸醫科廢止ト同ジヤウナ無理ガ、地方
  ニ生ズルト云フコトガアリマスカラ、此ノ
  點ニ付テ私ハ、廢止サレマシタケレドモ、
  百十幾ツアツタノヲ全然之ヲ廢止シタノハ
  宜シクナイ、ナニソレハ一部ハ地方鍛鍊競
  馬ノモノニ使フノダト仰シヤラレテモ、マ
  ダ全國ニ數十ノ整理サレタ地方競馬ガア
  ル、公認競馬ヲ廢止シナイデ居ツテ、地方
  競馬ダケヲ廢止サレル、公認競馬ハドウ云
  フ目的カ私共能ク分リマセヌケレドモ、是
  ハ都會地方デ娛樂機關トシテ盛ンニヤツテ
  居ル、是ハ又相當收入モアルダラウト思フ、
  ダガ都會ダケニ娛樂ヲ許シ、吾々農村ニ於
  テハ此ノ競馬ト云フモノハ一面カラ言フト
  娛樂機關ニナツテ居ル、此ノ娯樂機關ヲ奪
  ハレテハ大變產馬地ハ困ルノデアリマス、
  是ハ農林省カラ出タノカ軍隊カラ出タノカ
  知ラヌケレドモ、吾々ガ地方ノ競馬ヲ作ル
  ノニハ、地方農民トシテ隨分苦勞ヲシテ居
  ル、借金シタリ色々シテ漸ク斯ウ云フ地方
  競馬ト云フモノヲ拵ヘテ、馬產振興ニオ互
  ニ努力シタノデアル、ソレヲ又今頃俄ニ廢
  止スル、中等學校程度ノ馬事〓育モ廢止ス
  ル、サウシテ地方競馬モ廢止スル、先日モ
  大藏大臣ニ豫算委員會デ、色々御質問ガア
  ッタヤウデアリマスガ、何モ彼モ之ヲ都會
  ニ集メテシマフ、サウシテ農村ヲ抛ツタラ
  カシテ置クト云フコトハ、國家ノ將來ニ付
  テ由々シキ問題ニナル、之ニ對シテ官廳ノ
  方ガ確ニ、地方ニ對スル認識ニ多少缺陷ガ
  アルト思フ、此ノ意味カラ公認競馬ダケヲ
  廢止セズシテ、地方競馬ノミヲ廢止シタト
  云フノハ、確ニ無理ガアルト思フノデアリ
  マスガ、當局ハ飽マデ此ノ地方競馬ノ廢止
  ヲ其ノ儘ニシテ、何處マデモ復活シナイト
  云フ御意思デ居ラツシヤルカ、色々今マデ
  說明ガアツタヤウデスケレドモ、私ハ此ノ
  優勝馬ノ鍛鍊競技會以外ニ何トカ名稱ヲ付
  ケテ、例ヘバ軍馬鍛鍊場ト云フヤウナ名稱
  ノ下ニ、地方競馬ハ成タケ之ヲ廢止シナイ
  ヤウナ御工夫ハナキモノカ、此ノ點ニ付テ
  此ノ際今一應御說明ヲ御願スル次第デアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=72

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• 073・荷見安

  ○荷見政府委員　今囘ノ軍馬資源保護法ノ
  制定ニ伴ヒマスル鍛鍊馬競爭ノ制度ノ新
  設、竝ニソレニ伴フ地方競馬ノ廢止ニ付キ
  マシテハ、是マデモ數囘申上ゲマシタヤウ
  ニ、大體地方競馬ニ付キマシテハ從來ノ經
  過ニ鑑ミマシテ相當ノ貢獻モアリマスシ、
  又一面ノ見方ニ依リマスト非難ヲ受クベキ
  點モアルノデアリマス、之ヲ整理致シマシ
  テ鍛鍊馬競走ニ統制致シマスコトガ、今囘
  ノ馬政計畫全般ノ施行上適當ナリト認メマ
  シテ、御提案ヲ致シタ次第デアリマスカラ、
  私共ト致シマシテハ地方競馬ハ之ヲ廢止ス
  ベキモノト斯樣ニ考ヘテ居リマス、唯今御
  話ノ田舍デ馬ヲ集メテ競技ヲスルト云フヤ
  ウナコトニ付キマシテハ、是ハ優勝馬投票
  劵ト云フヤウナモノヲ伴ヒマセヌ單ナル鍛
  鍊競技デアリマスレバ、之ヲ施行スルコト
  ハ差支ナイノデアリマスカラ、念ノ爲ニ申
  上ゲテ置キマス

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• 074・永田良吉

  ○永田委員　私ハ地方競馬ノ廢止ト鍛鍊競
  技場ノ問題トハ、離ルベカラザルモノガア
  ルト思フノデアリマス、之ヲ北海道ダケヲ
  三ニシテ他ノ府縣ヲ皆畫一的ニ一ツニサレ
  タ、コヽニ私ハ無理ガ生ズルト思フ、中等
  學校程度ノ獸醫科ヲ全部廢止シテ高等專門
  ニシタ、是モ無理ガアル、地方競馬ヲ全部
  廢止シテ一縣一箇所ノ優勝馬ノ競技鍛鍊場
  ヲ置ケバ宜イト云フ案ハ、其ノ意味カラ言
  フト机上ノ一ツノ空論ニナル傾向ガアル、
  是ハ能ク地方ノ實情ヲ御調査ニナツテ、吾々
  地方民ノ實情モ斟酌サレヌト、實際御實
  施ノ際ニハ無理ガ生ズル、田舍ノ百姓トカ
  農民ハ法律ガ出來テカラ初メテ之ヲ怨ムガ、
  其ノ時ハモウ仕方ガナイ、ソコデ之ヲ考ヘ
  テ見マスト、北海道ハ無論澤山ノ馬ヲ產シ
  マスカラ三箇所アルノハ御尤デアリマス、
  ダガ或ル地方ニ於テハ一縣一箇所デハイカ
  ヌ所ガアル、皆樣方ハナニ、ソレハ地方ノ聯
  合組合長ガ皆來テ贊成シテ居ルト仰シヤル
  カモ知レヌ、聯合組合長モ俄ニ上京シテ色
  色ヤツタ場合ニハ多少誤解ヲシタリ、或八
  間違ヒガナイトモ限ラヌ、斯ウ云フ點カラ
  考ヘテ、ヤハリ私共地方ノ實情モ申上ゲナ
  イトイカヌト思ヒマスガ、鹿兒島縣ノ如キ
  ハ大隅、薩摩ト云フ二半島デ出來テ居ル、
  元薩摩ニハ薩摩半島ノ谷山ニ軍馬補充部ガ
  アツテ、是ガ廢止サレタ、サウシテ今大隅
  半島ニハ競馬場ガアル、ドチラガ馬ガ多イ
  カト云ヘバ大隅ガ多イ、其ノ大隅ノ方ニハ
  優勝馬ノ鍛鍊場ヲ置カナイ、之ヲ行政官廳
  ノ都合ノ好イ鹿兒島市ニ置イタ場合、鹿兒
  島市ノ競馬場ガ鍛鍊場ニナツタ場合、馬ノ
  產地ノ大隅ノ人ハ佐多岬カラ始良郡ヲグル
  ツト廻ツテ、馬ヲ曳イテ行カナケレバナラ
  又、私共ノ馬ハ海ヲ能ク泳ギマスガ、船デ
  搬ブノニハ大變骨ガ折レル、サウ云フ點ヲ
  實際ヤツテ見ルト私ハ確ニ無理ガ生ズルト
  思フノデアリマス、斯ウ云フ點ハマダ痒イ所ニ
  手ノ屆カヌヤウナ感ジガスルノデアリマス、
  北海道ヲ三ニシテ府縣ハ全部一律一箇所ニ
  スルト云フ所ニ無理ガアル、サウスレバ公
  認競馬モ全然廢止スルガ宜シイ、公認競馬
  ヲヤラセテ、吾々農村ニノミ不便ヲサセテ、
  ソレヲ平氣デ見テ居ルト云フノハ、軍部ノ
  立場カラ見テモ御親切ナルヤリ方デハナイ
  ト思フ、殊ニ色々東北ノ方カラ非常ニ適切
  ナル御質問ガアリマシタガ、軍部トサレマ
  シテモ、農林省トサレマシテモ、此ノ產馬
  方面ニ付テ南九州ニ對シテ少シ御注意ガ拔
  ケテ居リハセヌカト思フ、吾々ノ地方ハ
  面カラ云フト、戰爭ガアル場合ニハ六師團
  バカリデハナイ、四國ノ馬マデ鹿兒島縣、
  宮崎縣ハ擔當シテ居ル、サウシテ三囘四囘
  ノ徵發ニモ能ク面倒ヲ見テ居ル、併シソレ
  モ國家ノ爲デアルトオ互ハ欣ンデ之ニ從事
  シテ居ル、固ヨリ吾々ノ地方ハ昔カラ尙武
  心ノ强イ、軍人ノ多イ所デアルカラ、ドン
  ナ御無理ガアツテモ不平ハ申シマセヌ、ケ
  レドモ其ノ民ノ心ノ苦シイ所ヲ、上ニ立ツ
  人ハ察シテヤルダケノ親切味ガナクテハ、
  イカヌト思フノデアリマス、斯ウ云フ意味
  デアリマスカラ、私共ハ北海道ヲ除イタ一
  縣一箇所ノ鍛鍊馬ト云フノニ、非常ナ不服
  ヲ感ズル者デアリマス、殊ニ南九州鹿兒島
  ノ如キハ一層甚シイ大苦痛ヲシテ居ルト云
  フコトヲ申上ゲタイ、是等ニ付テ當局ノ見
  解ト私共ハ多少違ツタ見解ヲ持ツテ居ルノ
  デアリマスガ、少クトモ斯ウ云フコトハ唯
  一時ノ聞棄テニシテ置クベキコトデハナイ
  ト思フ、現ニ私共ノ地方デハ此ノ二囘ニ亙
  ル六師團ト十一師團ノ徵發ガ數囘行ハレタ
  爲ニ、村長ノ代リニ行ツタ助役ガ發病シテ
  死ンダ例モアリ、尙ホ四國ノ邊ニ行ツテ馬
  ニ蹴ラレテ死ンダ例モアリ、其ノ他色々病
  氣ニナツタ町村役場ノ吏員ナドモ多イ、隨
  分是ハ國家ノ爲ニ貢獻シテ居ツタト思フ、
  ダカラ斯ウ云フ所ニハ相當ノ考慮ヲ拂ハナ
  ケレバナラヌ、現ニ歷史ヲ申上ゲマスナラ
  バ、鹿兒島縣ノ大隅半島デハ、島津藩時代
  ニハ鹿屋町ニ五百町步ノ牧場ガアツタ、ソ
  レハ今町有ニナツテ居ルガ、藩政時代ニハ
  牧場ガアツテ、畜產ニハ藩公モ非常ニ全力
  ヲ傾注シテ御奬勵ニナツタ、尙ホ其ノ頃ハ
  一年ニ一囘勇壯ナオ祭ガアツタ、其處ヘハ
  婦人マデモ馬ニ乘ツテ見ニ行ク、男女揃ウ
  テ馬事奬勵ヲ盛ンニヤラレタ美風ノアツタ
  所デアル、御維新ニナツテモ早馬ト云フモ
  ノガアツテ、馬ヲ乘〓シタモノデアル、昔
  ノ斯ウ云フ有名ナ歷史ノアツタ所ヲ葬リ、
  明治ノ時代ニナツテモ一時薩摩半島ノ谷山
  ニアツタ軍馬補充部ヲ軍ハ廢止サレテシマ
  ツタ、私ハ此ノ軍馬補充部ヲ廢止サレタノ
  モ大變怪シカラヌト思フ、斯ウ云フ馬、產ノ
  多イ鹿兒島縣ニ、軍馬補充部ガ一ツモナイ、
  唯國立ノ種馬所ガ大隅ニ一箇所アルダケデ
  アル、斯ウ云フコトヲ考ヘテモ農林省ヤ軍
  部ハ、アノ南九州唯一ノ產馬地ニ對スル國
  家的施設ガ足ラヌト思フノデアル、宮崎縣
  ニハ軍馬補充部ガ二ツモアル、併シ鹿兒島
  縣ヨリハ產馬數ガ少イ、一番產馬數ノ多イ
  鹿兒島縣ニハ何モナイ、玆ニ私ハ非常ニ不
  滿ヲ感ズル一人デアル、斯ウ云フコトニハ特
  ニ御考ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、尙
  ホ此ノ機會ニ申上ゲタイノハ、馬ノ年々減
  少シテ行ク原因デアリマス、之ニ付テハ吾
  吾モ多少聞イタコトモアルノデアリマスケ
  レドモ、此ノ減少シテ行クコトニ向ツテ當
  局ハ國防上ノ見地其ノ他カラ心配サレ、斯
  ウ云フ大キナ馬產計畫ヲ立テタモノト思フ
  ガ、此ノ馬產ノ減少ニ付テ、其ノ原因ノ主
  ナルモノヲ此ノ機會ニ御說明ヲ伺ツテカラ、
  又改メテ御伺シタイト思フノデアリマス、
  質問ノ要點ガ分ラナケレバモウ一度申上ゲ
  そく、此ノ馬產減少ノ傾向ハ出來ルナラバ
  數字的ニ言ウテ戴イタ方ガ分リ易イ、例
  バ十年每ニ切ツテ、今カラ十年前ニハ全國
  ニ此ノ位馬ガアツタ、二十年前ニハ此ノ位、
  現在ハ此ノ位、斯ウ云フヤウニ十年ヲ一期
  トシテ三段位ニ說明シテ下サレバ結構デア
  リマス、其ノ頭數ノ〓略ト、ソレカラ斯ウ
  云フ譯デ減少シテ行クト云フ原因ノ主ナル
  モノヲ二三言ツテ戴ケバ、結構デアリマス

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• 075・伊藤莊之助

  ○伊藤政府委員　農林省デ調ベテ統計ニ擧
  ゲテアルノヲ申シマスレバ、昭和十一年ハ
  百四十三万一千頭、其ノ五年前ノ昭和七年
  ハ百五十四万一千頭、其ノ五年前ハ減ツテ
  居リマシテ百四十九万四千頭、其ノ前ノ大
  正十一年ハ百五十八万五千頭、大體斯樣ナ
  趨勢ニナツテ居ルノデアリマス、馬ノ減少
  シタ原因ハドウデアルカト云フ御話デアリ
  マスガ、是ハ各縣ニ依リマシテモ相當違フ
  ト思ヒマスノデ、簡單ニハ此處デ申上兼ネ
  ルト思ヒマス

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• 076・永田良吉

  ○永田委員　此ノ減少ノ原因ガ簡單ニ申上
  ゲラレナイト言ハレルガ、私ハサウ澤山ハ
  聽イテ居リマセヌ、最モ主要ナルモノダケ
  ハ御承知ニナルデアラウト思フ、ソレヲ
  減少セヌヤウニ對築ヲ講ズル所ニ、當局ノ
  御苦心ガアルノデハナイカ、是ハ大事ナ點
  デスカラ一二ハ種明カシヲシテ戴キタイ

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• 077・荷見安

  ○荷見政府委員　馬ノ總數ノ減少シタ原因
  ハ何デアルカト云フ御話デアリマスガ、是
  ハ御質問ニナル方ノ方ガ能ク御承知カモ知
  ラント思ヒマス、私共カラ見マスト原因ハ
  非常ニ複雜デアリマシテ、各地方々々ノ經
  濟事情ニ因ルノデアリマセウカラ、生半可
  ナ却テ御惑ヒニナルヤウナコトヲ申上ゲル
  ヨリハ、アナタ方ノ御判斷ニ御任セシタ方
  ガ宜カラウト思ヒマス

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• 078・永田良吉

  ○永田委員　私ハ親切ニ申上ゲマスガ、ソ
  レデハ國民ハ不滿ニ思ヒマスゾ、斯ウ云フ
  大事ナ馬產計晝ヲ爲サルニハ、何故ニ馬ガ
  減ツテ行クカト云フ原因ガ分ラナケレバナ
  ラナイ、ソコデ私ハ馬匹ノ衞生ノコトヲ申
  シマシタガ、ソレニ對シテ流產ガ多イトモ
  仰シヤツタデハアリマセヌカ、澤山流產ヲ
  スルナラバ、馬ノ衞生ニ關スル〓育ノ方面、
  或ハ馬ノ醫者ノ足ラヌコト、斯ウ云フ人間
  ノ方ニ對シテモ考慮ヲ拂ツテ行カナケレバ
  ナラヌト思ヒマス、尙ホ減少スル原因ハ所
  謂農村ノ工業化デアル、是ハドウシテモ馬
  ハ今日運搬力ニ於テ自動車ヤ「トラック」ニ勝
  テル譯ハナイ、サウ云フ點カラ考ヘテモ今
  日日本ノ國ガ段々道路ガ開ケ、汽車、自動
  車「トラック」ガ走ルヤウニナレバ、斯ウ云
  フモノト馬ガ競走出來ナイコトハ分ツテ居
  ル、其ノ他ニモ色々原因ハアルガ、主ナ
  ル原因ハ馬ヲ飼ツテモ引合ハナイ、儲ケガ
  少イ、今ノ百姓ハ馬鹿デハアリマセヌ、儲
  カルコトナラバ當局ガ奬勵シナイデモヤル、
  儲ケガ少イカラ馬ガ減ツテ行ク、私共ハ能
  ク知ツテ居ル、又馬ヨリモ近頃ハ牛ノ方ガ
  非常ニ宜イ、私共ノ地方デハ皆早イ馬ヨリ
  モ遲イ牛ニ乘換ヘテ居ル、是ハ言葉ヲ換ヘ
  テ言ヘバ骨ト肉ノ問題デアル、昔支那ニハ
  伯樂ト云フ偉イ博勞ガアツテ、死馬ノ骨ヲ
  千金デ買フタト云フ話モアルガ、馬ハ骨ヲ
  主トシナケレバナラヌガ、馬ノ骨ガ安イ、
  肉ノ問題カラ言ヘバ牛肉ノ方ガ高イ、私、
  此ノ間新橋ニ行ツテ牛肉ヲ買ツタガ、牛肉
  ノ一斤ハ百匁デアルト云フコトデアツタ、
  吾々ノ田舍デハ百六十匁ガ一斤デアル、然
  ルニ東京デハ百匁一斤ダト云フ、幾ラデス
  カト聞クト二圓ダト言ハレテビツクリシタ、
  牛肉百匁二圓ナリト云フ狀態デアリマスカ
  ラ、牛ノ仔ガ値ガ良イ筈デアリマス、ダカ
  ラ牛フ仔ハドン〓〓早ク賣レテシマフ、而
  モ馬ト鹿ハ一年ニ一囘シカ交尾シマセヌガ、
  牛ト云フモノハ時期ヲ嫌ハズ交尾スル、サ
  ウシテ是ハ早イ、而モ飼料モ馬ノヤウニ難
  シクナイ、又男デモ女デモ容易ニ飼ヘル、
  サウ云フ農村ノ實際生活カラ考ヘテ、牛ノ
  方ガ馬ヨリ早ク金ニナル、馬ハ近頃ハ陸軍
  ノ方デモ高ク買ツテ戴ケマスガ、大體馬ガ三
  百圓四百圓ト云フノハ間違ヒダ、五百圓六
  百圓モシナケレバナラヌ、種馬ハ五千圓一
  万圓モシナケレバナラヌ、外國カラ種馬ヲ
  買フト一万圓モ二万圓モ出サナケレバナラ
  又、斯ウ云フ結果カラ日本ノ普通ノ馬モ、
  モツト高價デナケレバナラヌト思フ、斯ウ
  云フ點カラ言ツテ、私ハ結論ハドウシテモ
  軍馬ハ高ク買ツテ貰ハナケレバナラヌト思
  フ、牛ガ近頃デハ値ガ上リ、蕃殖モシ、都
  合ガ好イカラ、馬カラ牛ヘ乘リ替へタコト
  干、此ノ馬產減少ノ主ナル原因デナイカト
  思ヒマス、斯ウ云フ點ヲ當局ハモツト熱心
  ニ御〓究シテ戴カヌト、折角斯ウ云フ立派
  ナ計畫ヲ御立テニナツテモ、亦ゾロソコニ
  落度ガアリハセヌカト思ヒマス、當局ハ此
  ノ間ノ御說明ニ依リマスト、是ハ一定不變
  ノモノデアル、是ハ天孫降臨ノ御神勅ト同
  ジヤウニ萬代不易デアル、不動ノモノダト
  大キナ聲デ此ノ委員會デ言ハレタノデビツ
  クリシタ、成程御精神ハ御不動デセウケレ
  ドモ、計畫ト云フモノハドノ政府ガナサツ
  タ仕事モ、計畫ト實際トハ違ヒガアル、又
  計畫ト云フモノハ船ト同ジヤウニ、ソコニ
  多少ノ變更ト云フコトガナケレバナラヌ、今
  日ドン〓〓戰爭シテ行クヂヤアリマセヌカ、
  海南島モ取ツタ場合ニ、日本ト滿洲ト朝鮮ノ
  コトバカリ考ヘテ居ツテハイカヌコトハ分ツテ
  居ル、南ノ方ニモ進出シナケレバナラヌ、サウ云
  フ點カラ言ヘバ今日是トシタコトモ、明日ハ
  之ヲ改廢シナケレバナラヌト云フコトガ、
  今日ノ事態デアリマス、斯ウ云フ事態ニ善
  處スルト云フコトガ政治ノ所謂妙デアル、
  其ノ邊ヲ顧ミナイデ、唯千遍一律ニヤツテ
  行カレテハ誰ガ迷惑スルカ、迷惑スルモノ
  ハ國民デアル、此ノ立場カラ考ヘマシタ場
  合、私ハ此ノ馬產減少ニ付テハ當局ノ方モ、
  モツト御〓究シテ戴イテ、サウシテ吾々農
  村ガ迷惑ヲ被ラヌヤウニ工夫サレタイト云
  フコトヲ希望スルモノデアルガ、此ノ馬產
  減少ヲ防グ爲ニ、今囘ノ計畫ヲ御立ニナツ
  テサウシテ補助金等ニ依ツテノミ此ノ減
  少ガ防止サレルト御考デアリマスカ、或ハ
  之ヲ何トカ考ヘナケレバナラヌト云フコト
  ニ善處サレル覺悟ガアルカドウカ、其ノ點
  ヲハツキリ伺ツテ置キタイト思ヒマス

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• 079・荷見安

  ○荷見政府委員　馬ノ減少ノ原因ニ付キマ
  シテハ、只今御話ノヤウナコトモ一ツノ原
  因ト思ヒマス、尙ホ今囘ノ馬政計畫ノ目的
  ヲ達シマスル爲ニ、補助金ノミデ是ガ出來
  ルカト云フ御話ノヤウニ承ツタノデアリマ
  スガ、補助金ノミデハナイノデアリマシテ、
  再々御說明ヲ申上ゲテ居リマスヤウニ、或
  ハ制度ト致シマシテノ種牡馬統制ノヤウナ
  千·或ハ牧野ノ整備ノ問題、或ハ馬ノ衞
  生ニ關シマスル問題、其ノ外生產ニ必要ナ
  ル種牝馬等ニ對スル助成補助施設ノ問題、
  或ハ先程御質問ノアリマシタヤウナ、之二
  對スル資金ノ融通ノ問題、或ハ最モ大切ナル
  馬ノ飼養ノ奬勵ノ問題、其ノ他擧ゲマスレ
  バ幾ツモアルト思フノデアリマス、主ナモ
  ノダケヲ申上ゲマシテモ、只今申上ゲマシ
  タヤウナ程度ニナルノデアリマシテ、馬政
  ニ關スル各般ノ施設ガ相綜合統一サレマシ
  テ、玆ニ馬政計畫ノ目的ヲ達成スルト云フ
  コトニナルノダラウト思ヒマス、最初ニ申
  上ゲマシタヤウニ、昭和十四年ヨリ二十年
  度マデヲ馬政計畫ノ實施要領ノ第一期ト致
  シテ居ルノデアリマシテ、其ノ情勢ニ依リマ
  シテハ此ノ計畫實施要領ヲ、將來幾分變更
  スル必要ガアルカト思フノデアリマス、此
  ノ要領ノ方ハ二十年マデヲ一期ト致シテ居
  リマス、內地馬政計畫ニ於キマシテハ、是
  ハ期限ヲ附スベキモノデアリマセヌカラ、
  期限ヲ附サズニ恆久的ニ實行スルト云フコ
  トハ、先刻申上ゲテ居ルノデアリマス、先
  般確固不動ト申シタノモ、要スルニ內地馬
  政計畫ノ方針デアリマシテ、實施要領ハ御
  手許ニ差上ゲマシタ書面ノ中ニ、昭和十四
  年ヨリ二十年マデ實施計畫期ト致スト云フ
  コトハ書イテアルノデアリマス、ソコハ御
  諒承ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=79

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• 080・永田良吉

  ○永田委員　ソレデハモウ其ノ減少ノ原因
  ハ是デ打切リマシテ、次ニ軍馬補充ノコト
  ヲ-是ハ軍部ノコトニ關係ガアルコトデ
  アリマスカラ、此ノ際伺ツテ置キタイト思
  ヒマス、軍馬ノ補充ヲ日本內地ヤ支那方面、
  ソレカラ滿洲、朝鮮、斯ウ云フ所マデモ含
  メテ、一體今何箇所位アリマスカ、尙ホ又出
  張所ノ數ハドノ位カ、軍隊ノ祕密ノコトガ
  アルカモ知レマセヌガ、馬ノ頭數ハ一箇所
  ニ何頭位アルカ、總數デモ宜イ、之ニ使ハ
  レテ居ル人員、兵士ノ待遇、ソレガ第一ノ
  質問、ソレカラ其ノ次ニハ明治時代ニナツ
  テ補充部ガ設ケラレテカラ、今マデノ中ニ
  廢止サレタノガアリハセヌカト思フノデ
  アリマス、ソレハ何箇所位デアリマスカ、
  又新ニ新設サレタモノガナキヤ否ヤ、或ハ
  又增設トカ擴張ノ必要ハ如何認メラレテ居
  ルカト云フコトニ付テ、御尋致シタイト思
  ヒマス

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• 081・栗林忠道

  ○栗林政府委員　軍馬補充部ノ數ハ現在八
  箇所アリマス、唯使用人員トカ經費トカ
  云フモノハ、只今此處デ卽答致シ兼ネマス、
  廢止致サレマシタモノハ從來二箇所アル
  ト記憶致シテ居リマス、併シ一方ニ於キマ
  シテ新設致シマシタモノガ一箇所アリマス

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• 082・永田良吉

  ○永田委員　ソレデ結構デス、外ノ數字ハ宜
  シウゴザイマス、私ハ今度ノ此ノ馬政計畫ニ
  付キマシテ、軍部トシテハ軍馬補充部ニ重點ヲ
  置カレナカツタコトヲ大變遺憾ニ思ヒマス、戰
  爭ヲスレバ馬ガ要ルノデアリマスカラ、平生
  ヨリ多少ノ御用意ハ爲サラナケレバナラヌ、
  今度ノ計畫ハ、是ハ實際實施サレマスト、
  餘程地方ニハ馬ノ飼育ニ困ル點ガ多々アル
  ダラウト思フノデアリマス、是ハオ互ニ國
  防ノ爲ニハ有ユル困難ヲ此ノ際忍ビマスケ
  レドモ、將來此ノ計畫ヲヤツテ行クノニハ、
  皆樣モ御心配デセウガ、受身ノ吾々農村ニ
  於テモ非常ニ困難ナ事柄ダト思フノデアリ
  やっ、私ハ此ノ點カラ考ヘテ、軍自ラモ少
  シ考ヲ變ヘテ貰ハナケレバナラヌト思フコ
  トハ、此ノ軍馬補充部ノ如キハ、從來モツ
  ト此ノ內容ヲ〓究調査シマシタナラバ、何カ
  ソコニ改善ノ必要ガアリハシナカツタカ、又
  或ハ擴張ノ必要ガアリハシナカツタカト思
  フノデアリマス、ソコデ今御話ノ二箇所廢
  止シタト云フノハ、私ハ察シマスノニ、其
  ノ時期ハ恐ラク軍縮當時ノ、アノ三箇師
  團廢止當時ノ前後デハナイカト思フ、又
  新シク一ツ設ケラレタト云フノハ、朝鮮
  ノ雄基デハナイカト思ヒマスガ、我ガ鹿
  兒島縣ノ如キハ、從來補充部ガアツタ
  ガ、ソレヲ廢止セラレテ居ル、是ハ其ノ
  場所ガ惡イノナラバ、薩摩デ惡カツタラ大
  隅モ廣イ所ガアルノデアルカラ、其處ニ補
  充部ヲ造ツテ戴ケバ宜イ、斯ウ云フ點ニ付
  キマシテ、私モ餘リ軍馬補充部ハ地方デ歡
  迎シテ居ラヌト云フコトヲ聞イテ居ルノデ
  アリマスケレドモ、又歡迎シテ居ル地方モ
  アリマス、私ハ率直ニ申上ゲマスガ、私共
  ノ地方ナラバ喜ンデ、町村デモ郡デモ縣デモ
  之ヲ歡迎シテ居ル、是ハ決シテ質問ヂヤア
  リマセヌ、質問ト御考ニナツテハ間違デス、
  私ハドチラカト云フト大變馬ニ惚レテ居ル、
  ソレデアノ邊マデ行クト大分隅ダカラ、當
  局ガ御分リニナラヌカモ分ラヌカラ申上ゲ
  テ置クノデアリマスガ、サウ云フ意味カラ、
  モツト此ノ軍馬補充部ニ對シテハ擴張ノ必
  要ト、尙ホ新ニ增設ノ必要ガアラウト思フ
  ノデアリマスガ、之ニ對スル軍ノ御意見ヲ
  伺ヒタイト思ヒマス

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• 083・栗林忠道

  ○栗林說明員　御承知ノ如ク陸軍ノ軍馬補
  充ノ方法ト致シマシテハ、幼駒カラ育成ヲ
  致シマス所ノ補充ノ方法ト、壯馬ヲ購買致
  シマシテ直接補充致ス方法ト、二通リアル
  ノデアリマス、生產家ヲ保護致ス意味合ト、
  ソレカラモウ一ツハ眞ニガツチリシタ馬ヲ
  造リ上ゲルト云フ意味合ニ於キマシテ、幼
  駒カラ育成致シマスモノガ一番適當デアル
  ノデアリマス、隨ヒマシテ軍馬補充部ヲ擴
  張スルト云フコトガ、軍ノ編制ガ擴張スル
  ニ隨ヒマシテ、當然起ツテ來ル所ノ問題デ
  アルト考ヘマス、サウ云フヤウナ關係カラ、
  先程申上ゲマシタ新設ノ一ツノ支部ト申シ
  マスノハ雄基デハナイノデアリマシテ、北
  海道ニ一ツ新設致シタノデアリマス、尙ホ
  現在兵備ガ段々ト增張致サレマスト、數字
  的カラ申シマシテモ多少軍馬補充部ナルモ
  ノノ數ヲ、增加シナケレバナラナイト云フ
  ヤウナ形勢ニハ相成リマス、併シ現在御承
  知ノ如ク非常ニ軍事費等モ各方面ニ使ハナ
  ケレバナラナイノデ、單ニ軍馬補充部ノ擴
  張ト云フ方面ニダケ使フト云フコトハ出來
  ナイ狀態デアリマスノデ、補充ノ方法トシテ
  ハ最モ適切ナル方法デアリマスケレドモ、
  他ニ壯馬ヲ以テ補充スルト云フ方法モアリ
  マスカラ、暫クノ間ハ壯馬補充ノ方法ニ依
  リマシテ、逐次軍馬補充部ノ擴張ニ依リマ
  シテ、幼駒カラ補充スルト云フ方法モ考ヘ
  テ見タイト思ツテ居リマスガ、差當リノ問
  題トシテハ昨日モ申上ゲマシタ通リ、他也
  多方面ニ使ハナケレバナラナイ經費ヲ此ノ
  方面ニ振向ケルト云フコトハ、出來ナイ狀
  態ニアリマスノデ、新ニ軍馬補充部ノ支部
  ヲ增設スルト云フ考ハ今ノ所ハナイノデア
  リマス、尙ホ軍馬補充部ノ位置ニ付テデア
  リマスガ、是ハ色々ノ樣子ヲ考ヘテ決メラ
  レルノデアリマシテ、某地方ニ於テ歡迎ス
  ルトカ、歡迎シナイトカト云フコトハ、勿
  論一ツノ要素デハアリマセウケレドモ、是
  ハマアホンノ參考ノモノデアリマシテ、實
  際ノ問題ト致シマシテハ、其ノ方面ノ馬ノ
  數トカ或ハ育成狀況ニ適スルヤ否ヤト云フ
  ヤウナコトガ、主ナル問題トシテ考ヘラレ
  ルト思フノデアリマス

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• 084・永田良吉

  ○永田委員　吾々ハ自分ノ所ニ造ツテ吳レ
  ト、サウ云フ皮肉ナ運動ガマシイ意味デ言
  ツタノデハナイノデアリマスケレドモ、先
  程仰ツシヤツタヤウニ熱モアルシ、馬ノ數
  ニ於テモ一番多イ、此處ニハ昔アツタノデ
  アルカラ、アツタノヲ私ハ復活サレテハド
  ウカト云フコトヲ言ツタマデデ、何モ今マ
  デサウ云フ馬ニチツトモ關係ノナイ所ニ、
  新シク軍馬補充部ヲ造ツテ吳レト云フ、ソ
  ンナ瓢簞カラ駒ヲ出スヤウナ質問ヲシタノ
  デハナイノデ、實際ニ卽シタ點ニ於テ質問
  ヲシタ譯デアル、軍全體ノ考カラ見テ、他
  ノ飛行機ノ方面デモ新シクドン〓〓費用ヲ
  要求シテ居ル、斯ウ云フ大キナ計畫ヲサレル
  ナラバ、ナゼ馬ニ關係ノアル方モドン〓〓
  軍ノ首腦機關ニ之ヲ熱烈ニ要求セラレテ行
  カナイノカ、大藏省方面ニモ熱烈ナ御交涉
  ヲ爲サツテ、サウシテ斯ウ云フ方面ノ事業
  ハ今マデノ間ニ相當費用ヲ取ラレナケレバ
  ナラヌト思フノデアリマス、ソレ等ガヤハ
  リ昔ノ儘ニナツテ居ツテ、擴張モサレナイ
  デ、寧ロ現狀維持ドコロカ、大變貧弱ナ狀
  態ニナツテシマツタト云フコトハ私共モ聞
  イテ居ル、兎ニ角私ハ今度ノ馬政計畫ニ伴
  フテ補充部ノ方面ハ、內地ニ於テモ相當增
  設擴張或ハ眞面目ヲ發揮スルヤウニ爲サ
  ランケレバナラヌト思フ、是ハ親切カラ申
  上ゲル、ドウモ陸軍ノ方ハ餘リ正直過ギル
  ト私ハ思フ、私ハ海軍ト陸軍ト兩方〓究シ
  テ居ルノデスガ、トテモ陸軍ハ-是ハ國
  ガ
  家ノ爲ニ有難イ、質素ヲ旨トシテ家デモ何
  デモ出來ル限リ在ルモノヲ使ツテ戴クコト
  ハ有難イケレドモ、或ル場合ニハ又必要ニ
  應ジテ、相當ニ新シイ施設ヲ爲サレテ行カ
  ナケレバナラヌト思フノデアリマス、斯ウ
  云フ點カラ考ヘマシテ軍馬補充部ノ如キ
  ハ、モツト〓〓-マダ日本內地ニ一二箇
  所位ハ設ケラレテ、サウシテ先程私ノ申上
  ゲマシタ如ク地方競馬ノ廢止セラレタニ付
  テ不滿ガアルトカ、ソレ等色々ナ摩擦ヲ取
  ツテ行クヤウナ、新シイ工風モシテ戴キタ
  イ、斯ウ云フ意味カラ申シタ譯デ、決シテ
  惡イ意味デ言ツタノデハアリマセヌ、其ノ
  御考デ多少御〓究願ヒタイト云フコトヲ申
  上ゲテ、此ノ質問ハ是デ打切ツテ置キマス、
  次ニ飼料ノ問題ニ付テハ、他ノ諸君カラ澤
  山色々ナ質問ガアリマシタカラ私ハ申上ゲ
  マセヌガ、唯之ニ對シテドウシテモ國有
  地ヲ開放シナケレバナラヌト云フコトハ皆
  ノ要求デアル、吾々ハドウシテモ之ニ重點
  ヲ置イテ戴カナケレバナラヌト思フノデア
  リマスガ、此ノ開放ノヤリ方ハ手緩イコト
  デハイカヌト思フ、ドウシテモ之ニハ相當大
  キナ計畫ヲ立テラレナケレバナラヌト思フ
  ノデアリマスガ、大體牧場ト云フモノハ馬
  一頭ニ對シテドノ位アツタラ宜イノデアリ
  マセウカ、尙ホ又軍馬一日ノ飼料代ハドノ
  位ニナツテ居ルノデアリマセウカ、是モ此
  ノ機會ニ一寸御尋シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=84

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• 085・荷見安

  ○荷見政府委員　放牧地ニ付キマシテハ、
  馬ノ種類、或ハ資質、竝ニ草生ヒノ良否ニ
  依リマシテ色々ニ差異ガアリマスノデ、
  〓ニ申上ゲ兼ネルノデアリマスガ、大體一
  頭ガ百五十日ノ放牧ト豫定致シマシテ、二
  町六反位ノヤウニ考ヘテ居リマス、尤モ是
  ハ非常ナ〓略ノ話デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=85

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• 086・永田良吉

  ○永田委員　陸軍ノ方ノ御答辯ヲ求メマ
  ス-野砲デモ騎兵デモ宜シウゴザイマス、
  一日ノ飼料代ニ付テ御答辯ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=86

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• 087・栗林忠道

  ○栗林說明員　是ハ時價ニ依ラウト思ヒマ
  スガ、一日〓略八十錢デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=87

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• 088・永田良吉

  ○永田委員　大變御丁寧ナ御答辯デ滿足致
  シマシタ、一頭ニ對シテ二町六反步ト云フ
  御答辯デアリマシタガ、サウシマスト今ノ
  現狀カラ照シマシテ、日本內地ニ百五六十
  万頭ノ馬ヲ保有シテ行クニハ、相當ノ官有
  地ヲ民間ニ貸下若クハ拂下ナケレバナラヌト思
  フノデアリマス、此ノ點ニ付テハ農林大臣モ度々
  善處スルト云フヤウナ御答辯ガアリマシタガ、
  是ハ此ノ際餘程思切ツテ地方ニ貸下ヲシナケレ
  バイカヌ、或ハ拂下ヲシテ行カナケレバ此ノ
  問題ノ解決ハ出來ヌト思フノデアリマス、
  是ハドナタカラモ質問ガアツタヤウニ、大
  體放牧地ガナクテハイカヌシ、又秣ガナク
  テハイカヌ、其ノ飼料ガ大變高イト云フコ
  トガ非常ニ困ル點デアリマスカラ、是ハド
  ウシテモ結論ハ國有地ノ開放ト云フコトニ、
  押進メテ行カナケレバナラヌカト思フノデ
  アリマス、ソレデ農林省自ラモ此ノ國有地
  ノ開放ト云フコトニ向ツテハ、吾々ハ多年
  長イ間要求シテ來タノデアルカラ、此ノ機
  會ニ之ヲ大英斷ヲ以テ善處サレナケレバナ
  ラヌト思フノデアリマス、其ノ點ハ度々御
  答辯ガアツタノデアリマスカラ、敢テ農林
  大臣ニ御答辯ハ求メマセヌガ、吾々ハ左樣
  ニ熱望スルト云フコトヲ此ノ機會ニ申上ゲ
  テ置キマシデ、此ノ點ニ對スル質問ハ是デ
  止メマス、次ニ普通鍛鍊ト鍛鍊馬ノコトニ
  付テ今マデ皆御聽キニナツテ居ルノデスガ、
  其ノ中デ私一寸分ラヌ點ガアリマスカラ、
  大變諄イヤウデハアリマスガ、此ノ際ニ御
  尋致シテ置キマス、普通鍛鍊ヲ月ニ二囘ト
  致シマスト一年ニ二十四囘デスガ、之ニ對
  シテ曳手ノ手數料トシテ三十五錢ヲ支給ス
  ル又旅費ヲ出ス、一人ニ對シテ五錢トカ
  御支給ガアルト云フヤウナコトヲ承ツタノ
  デスガ、此ノ點ハ當局トシテハ、農林省ト
  シテモ軍部トシマシテモ、農民ノ立場ニ大
  變御同情ヲ賜ツテヤツテ戴イテ居リマスカ
  ラ、吾々有難ク思フ次第デアリマスケレド
  モ、本當ノ所ノ農民ノ苦痛ヲ此ノ機會ニ申
  上ゲテ置キマスガ、大キナ聲デハ言ヘマセ
  ヌガ、是デハ農家ハ心ノ中ニ不滿ヲ感ジハ
  シナイカト思フノデアリマス、ソレハ如何
  ナル理由デアルカヲ一例ヲ擧ゲテ申上ゲマ
  スト、他ノ地方ノコトハ知リマセヌガ、吾
  吾ノ地方ノ鹿兒島縣ニ於キマシテ、馬力デ
  ゴザイマス、馬ト人間ガ一日ドノ位稼イデ
  居ルカ、是ハ荷馬車一臺ヲ持ツテ馬一匹デ
  家内ガ生活ヲシテ居ル、ソレガドノ位稼グ
  カト申シマスト、今頃デハ一日三圓五十錢
  カラ五圓稼ガナクテハ一家ガ維持シテ行ケ
  ナイ、ソレハ高イヂヤナイカト御考ニナル
  カモ知レヌケレドモ事實ナンデス、サウ云
  フ譯デ三圓五十錢ハ外レナク稼ガナクテハ
  ナラヌ狀態ニナツテ居ル、サウシマスト一
  年間ニ二十四囘モ此ノ普通鍛鍊ノ爲ニ曳出
  サレマスト、二十四日ハドウシテモ馬ト人
  ト兩方休マナクテハナラヌ、ソレニ三十五
  錢ノ手數料ト五錢ノ旅費トデ四十錢貰ツテ
  モ、三圓五十錢取ル人ハ三圓十錢ト云フモ
  ノハ所謂御寄附デアル、サウ云フ狀態ニナ
  ツテハ三十七圓一年ニ補助ヲ貰ツテモ、差
  引勘定ハヤハリ農家ニハマダ損失ニナリハ
  セヌカト云フヤウナ見解ヲ持ツテ居ルノデ
  アリマス、是ガ一年ニ二十四囘出テ行カナ
  ケレバナラヌノデアリマスガ、尙ホ此ノ外
  ニ或ハ馬匹檢査トカ或ハ又豫防注射ヲヤル
  トカ、色々馬ノ關係デ二十四囘以外ニ、五
  日ヤ一週間ハ呼出サレハセヌカト私ハ思フ
  ノデアリマス、サウ云フ日數等モ加へマス
  ト相當ナ金額ニ上リハセヌカト思フノデア
  リマス、此ノ點ニ付テ三十五錢ト五錢ト云
  フノハ先ヅ今ノ計畫デハアリマスガ、將來
  之ニ對シテ實施ノ上、モツト困ツタナラバ
  善處スルト云フ御意思ガアルヤ否ヤ、少シ
  早イカモ知レヌケレドモ、是ハ聽イテ置カ
  ヌト後デ心配デスカラ、此ノ際御尋シテ置
  キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=88

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• 089・荷見安

  ○荷見政府委員　只今御話ノ今囘ノ豫算デ
  アリマスガ、三十五錢トカ五錢トカ三十七
  圓トカ云フ分ハ私共ト致シマシテモ前ニモ
  申上ゲマシタヤウニ、決シテ十分ナリトハ
  考ヘテ居ラナイノデアリマス、本年度ニ於
  テモ出來得レバ何程カ餘計ニ增加致シタイ
  希望ヲ持ツテ居ツタノデアリマスガ、財政
  ノ都合上此ノ程度ニナツテ居ル譯デアリマ
  ス、將來モ可能ナル範圍內ニ於テハ、出來
  得ル限リ增加致シタイト云フ希望ヲ持ツテ
  居ル次第デアリマス

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• 090・永田良吉

  ○永田委員　サウ云フ希望ヲ持ツテ居ラレ
  レバ結構デゴザイマス、是デ其ノ方面ノ質
  問ハ打切リマス、次ニ鍛鍊馬ノコトニ付テ、
  モウ一ツ御尋致シテ置キマス、是ハ先ニモ
  一寸御話致シマシタケレドモ、北海道ヲ除
  ケテ他ハ一縣一箇所ト云フコトニナルト、
  ドウモ一箇所ニ入ツタモノハ宜イケレド
  モ、先刻申シマシタヤウニ入ラヌ地方ハ、
  大變困ルト思ヒマス、ソレハ普通鍛鍊トカ
  何カ他ノ方法デ行カシテヤルト云フソコニ
  一ツノ希望ヲ捉へ得レバ、大變安心ダケレ
  ドモ、サウデナイト非常ニ困ル、ソレデ私
  ハ何カ軍ノ方デ優等馬ヲ曳出ス-競技ノ
  鍛鍊馬ハ無論一縣ニ一箇所トシテモ、大變
  馬ノ頭數ノ多イ北海道ヲ除ケタ福島、岩手
  ト云フヤウナ所ハ、全國デモ三四位ニアル
  ノデアリマシテ、斯ウ云フ七万頭、八万頭
  ノ馬ヲ持ツテ居ルヤウナ縣ニ向ツテハ、三箇
  所カラ直グ一箇所ニト云フヤウナ窮屈ナコ
  トニサレヌヤウニシテ、例ヘバ五万頭、八
  万頭、十万頭ニ近イヤウナ馬產縣ニハ、二
  箇所ヲ置クコトヲ得トカ云フ風ニ、特ニ今
  少シ裕トリノアルヤウナ方法ヲ採ツテ戴カ
  ナケレバ困ルノデアリマス、先程申上ゲマ
  シタ私ノ鹿兒島縣ノ如キハ大島、大隅、薩
  摩ヲ加ヘマスト距離ニ於テモ百七八十里モ
  アル、島モアレバ半島モアル、海ヲ距テテ
  集合スルニ大變困ルコトガアルノデアリマ
  スカラ、斯ウ云フ特異ナ場所ニハ、北海道
  ノアノ廣イ面積ニ御同情賜ルナラバ、日本
  ノ南ノ鹿兒島縣ニモ多少吾々人民ノ立場ヲ
  軍ノ方デ、御高配願ヘヌモノカト思ウテ居
  ル、鍛鍊馬ニ對シテハ馬產力ノ强イ地方ニ
  ハ、二箇所置クト云フヤウニ法律ノ一部ヲ
  修正スルカドウカ、之ニ對シテ當局ハ如何
  ナル見解ヲ持ツテイラツシヤルカ、俺ノ言
  フコトハ一定不動ダ、是ガイヤデモ、議會
  ヲ踏ミ潰シテモ、何デモ彼デモ此ノ通リニ
  ヤルンダト云フ御考デスカ

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• 091・荷見安

  ○荷見政府委員　鍛鍊馬競走ノ各府縣ノ箇
  所數ハ、是マデノ民間ニ於ケル最モ尊重スベ
  キ御意見等ヲ參酌致シマシテ、其ノ他關係
  ノ各分擔ノ官廳、詰リ風紀取締或ハ射倖心
  ノ制壓、或ハ軍馬ノ鍛鍊ト云フヤウナ各方
  面ノ擔任者ノ意見ヲ綜合致シマシテ、漸ク
  決定致シタノデ、此ノ箇所數ヲ增加致スコ
  トハ困難デアルト考へテ居リマス、但シ優
  等馬投票ヲ伴ヒマセヌ、單ナル鍛鍊競技ヲ
  行フコトハ箇所數ノ制限ハナイノデアリマ
  シテ、而モ之ニ對シテ若干ノ賞金ヲ出シ得
  ルコトニ考ヘテ居ルノデアリマスカラ、ソ
  チラノ點デ合フヤウニヤツテ行ケバ宜イト
  考ヘテ居リマス

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• 092・永田良吉

  ○永田委員　其ノ普通鍛鍊ノ方デ先ヅ救ハ
  レルカモ知レマセヌガ、ソレヲモツト明瞭
  ニ、例ヘバ優勝馬投票ヲヤルノヲ一箇所、
  其ノ外ニ場合ニ依ツテハ例ヘバ普通鍛鍊馬
  ヲ甲乙ト云フ風ニ分ケテ、兎ニ角折角今マ
  デヤツテ來タ地方競馬デアルカラ、ソレヲ
  廢止シナイデ、地方ノ人々ノ滿足ノ出來ル
  ヤウニシテ戴キタイ、此ノ點ニ向ツテ此ノ
  機會ニ一ツ御高配ヲ願ツテ置キタイ、サウ
  シナイト地方ニ不平ガ起リマス、他ノ地方
  ハ知ラヌガ、鹿兒島縣ノ實際ニ卽シタコト
  ヲ申上ゲテ居ルノデ、無理ヲ申上ゲテ居ル
  ノデハアリマセヌ、昨年地方民ガ陳情ニ來
  マシタガ、昨年ト今年ハ又時勢ガ變ツテ居
  ル、而モ失禮ナ話デスガ、地方ノ聯合會長
  ハ一人デ水產、煙草、馬產ナドト色々ナコ
  トヲヤツテ居ツテ何モ分ラヌ人ガ多イ、勿
  論中ニハ熱心ナ方モアルデセウガ、サウ云
  フ何モ分ラヌ人ガ東京ニ來テ陳情シテモ、
  當局カラハ千篇一律ノコトヲ聽カサレテ來
  ルダケデアル、而モ其ノ畜產會長ヤ何カハ
  旅費ヲ貰ツテ上京スルノダカラ、一寸モ困
  リハセヌガ、實際ニ困ルノハ地方ノ縣民デ
  アリマス、事實地方ニハ今度ノ地方競馬廢
  止ト云フコトニ對スル不平ノ聲ト云フモノ
  ハ非常ニ高イ、ソレニ付テサウ云フ何モ分
  ラヌ人ガ東京ニ寄集ツテ陳情シテモ何ニモ
  ナラナイ、勿論中ニハ熱心ナ方モアル、私
  ハサウ云フ優秀ナ畜產聯合會長ナドニハ大
  ニ感謝ヲスルノデアリマスガ、中ニハ又隨
  分間違ツタコトヲ言ツテ居ル人ガナイトモ
  限ラヌ、サウ云フ點ニ付テ御當局ノ御注意
  ガ足ラヌヤウニモ思フ、サウ言フト農林省
  ノ人ハ失禮ナコトヲ言フト仰シヤルカモ知
  レヌガ、私共ハ農會長デモ、產業組合長デ
  モ何デモ、頭ノ禿ゲルマデヤツナ來テ、豫
  算デモ何デモ苦勞シテ來テ居リマス、幾ラ
  當局ノ言ハレルコトデモ、千ニ一ツノ間違
  ヒガナイトモ限ラヌ、サウ云フ間違ツタ所
  ニ皆サンガ氣ヲ付ケテ、泣イテ居ル者ノ手
  ヲ取ツテ助ケテ下サル所ニ善政ノ芽生
  ガアルト思フ、之ニハ確ニ不平ガアル、
  サウ云フ所ニ向ツテハ鍛鍊馬競走ガ一ツデ
  ナケレバナラヌナラ、別ニ何トカ軍事鍛鍊
  馬競走トカ何トカ云フ名稱デモ付ケタモノ
  ヲヤラシテ、之ヲ救フト云フヤウナ方法ヲ
  講ゼラレタイト思ツテ、此ノ質問ヲシタ譯
  デアリマス、何卒之ニ對シテ善處サレンコ
  トヲ希望シテ置キマス、其ノ箇所數ニ付テ
  ハモツト〓〓御〓究ヲ願ヒタイト思ヒマス
  次ニ私ハ軍部ノ方ニ馬ニ關係ノアル問題
  ニ付テ一ツ御尋シテ置キタイト思ヒマス、
  今朝ノ新聞ニモアリマシタシ、昨夜ノ「ラ
  ヂオ」デモ聽キマシタガ、將校ノ轉科ノ勅
  令ガ發布サレタサウデアリマシテ、例ヘバ
  騎兵科ノ將校ガ輜重ノ方ニ轉科スルトカ、
  或ハ他ノ方ニ轉科ガ出來ル、是ハ又慥カ馬
  ニモ及ボスヤウニ聽キマシタガ、是ハ洵ニ
  當然ナコトダト思ヒマス、之ニ付キマシテ
  考ヘタ場合ニ、日本ノ騎兵旅團ノ所在地ニ
  付テ此ノ際考慮ノ必要ガアルト思ヒマス、
  殊ニ獨立騎兵旅〓ハ現在ニ於テハ慥カ岩手
  縣ノ盛岡ト東京近郊トシテハ千葉縣ノ習志
  野ニ二箇旅團、ソレカラ豐橋ニ一箇旅團、
  斯ウ云フ風ニ四箇旅團アルヤウニ思ツテ居
  リマスガ、豐橋以南ニハナイ、是ハ今ノ戰
  爭ノ關係カラ見テモ、亦國防ノ安全ノ點カ
  ラ見テモ、關西、九州方面ニ一ツ位ハアツテ
  モ宜イト思フ、斯ウ申シマスト、今在ル所
  ノ人ハ永田ハ怪シカラヌコトヲ言フ、委員
  會デ騎兵旅團招致ノ運動ヲヤルト御考ニナ
  ルカモ知レマセヌガ、サウデハナイ、騎兵
  旅團ノ在ル所ノ習志野附近ニシテ見テモ、
  昔ノ騎兵旅團ヲ作ツタ時ニハ大變適當ナ土
  地デアツタカモ知レナイガ、現在ニ於テハ
  牛込ノ士官學校ガ座間ニ移ツタリ、或ハ東
  京ノ小石川ニアツタ砲兵工廠ガ北九州ノ小
  倉ニ移ツタト云フヤウナ例モアルノデアリ
  マシテ、其ノ跡地ニシテ見テモ決シテ無駄
  ニハナリマセヌ、例ヘバ從來騎兵旅團ガ在
  ツタ所ヘハ自動車學校デモ持ツテ行クトカ、
  或ハ毒瓦斯ノ〓究所デモ持ツテ行クトカ云
  フヤウニスレバ、又新設部隊ガ出來ルノデ
  アリマスカラ、東京附近ノ地價ノ高イ所ハ
  サウ云フ新兵器ノ方ニ向ケラレテ、騎兵旅
  團ノ方ハ成ベク田舍ノ方ヘ御向ケニナツタ
  ラ如何カト思フノデアリマス、是ハ兵備ノ
  コトデアリマスカラ御叱リヲ受ケルカモ知
  レマセヌガ、地方ノ人ノ言フコトモヤハリ
  參考ニシテ戴キタイト思ヒマス、斯ウ云フ
  點カラ見テ新時代ニ適應スルニハ卽チ今日
  海南島ノ占領トカ、廣東ノ占領トカ、其ノ
  他臺灣等ノ關係カラ考ヘテ見マシテモ、馬
  ノ鍛鍊ト云フコトハ、獨リ寒地バカリデハ
  イケナイ、溫熱地帶ニ對シテモ將來鍛鍊ノ
  必要ガアルト思フノデアリマス、斯ウ云フ
  意味カラ言ヒマスルト、九州方面ニモ相當
  ノモノノ新設トカ、或ハ他カラ移轉ノ必要
  モアルカト思フノデアリマス、移轉サレテ
  モ其跡地ノ人ニハ決シテ迷惑ノ掛ラヌヤウ
  ナ施設ヲシテ戴ケバ、少シモ支障ハナカラ
  ウト思ヒマス、尙ホ騎兵ノ使ヒ途ハ今マデ
  偵察トカ、サウ云フ方面ニ限ラレテ居ツタ
  ガ、近頃ハ飛行機ガ流行リ出シテ、騎兵ノ
  働キ場所ガナクナツタヤウナ氣ガ致シマ
  ス、併シ此ノ間當局ノ答辯ヲ聽クト何デモ
  ナイ、騎兵ハ騎兵トシテ使フ場所ガアルト
  答ヘラレマシタガ、騎兵ノ使ヒ場所モ集團
  的ニ使フヨリハ分散的ニ使フコトガ多クナ
  リハシナイカト思フ、騎兵旅團ノ如キハ、
  或ハ一箇聯隊ヅツ別々ニ置イテ然ルベキモ
  ノデハナイカト思フ、何レニシテモ騎兵旅
  團ノ從來ノモノヲ一部移動スルノハ如何ナ
  モノデアリマセウカ、是ハ兵備ニ關係ノコ
  トデアリマスカラ、或ハ御答辯ガナイカモ
  知レマセヌガ、御參考ノ爲ニ申上ゲマス、
  尙又此ノ國防安全ノ點カラ見テ、多少斯ウ
  云フ方面ニ向ツテ御考慮ガアレバ此ノ機會
  ニ承ツテ置キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=92

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• 093・栗林忠道

  ○栗林說明員　只今ノ御質問ニ對シマシテ
  ハ御答辯ハ差控ヘタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=93

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• 094・永田良吉

  ○永田委員　ソレデハ御答辯ガナケレバ、
  玆ニ今一ツ重ネテ御尋シタイ、此ノ騎兵ノ
  馬ノ用ヒ方ニ於テ、軍隊デハ乘馬用ニ、或
  ハ騎兵隊、輜重隊ニ用ヒラレル他ニ、野砲
  ノ輓馬ニ、或ハ工兵、步兵等ノ山砲ト云フ
  方面、色々其ノ使ヒ途ハ澤山アルノデアリ
  マスガ、之ヲ一ツニ統一シタ軍馬學校ト云
  フヤウナモノヲ、地方ニ設ケラレルコトガ
  必要デハナイカト思フ、是ガ若シ騎兵バカ
  リニナルト、先程モ申上ゲタ通リ、其ノ働
  ク範圍ハ極ク狹イ、私共ハ此ノ間自動車學
  校ヲ視察ニ參ツタノデアリマスガ、アノ自
  動車學校ニ倣ツテ、玆ニ一ツ軍馬學校ト云
  フヤウナ名目ノ學校ヲ設ケテ、此處デ乘馬
  ノ訓練トカ、或ハ野砲ヲ輓ク輓馬ノ訓練、
  或ハ駄馬ノ訓練等ヲヤツテ、サウシテ先刻
  申上ゲタヤウニ、兵科ガ自由ニ轉科出來ル
  ヤウニナレバ、騎兵、步兵、輜重兵、其ノ
  他ノ戰列ニウマク使ヘルノデハナイカト思
  フノデアリマス、斯ウ云フ意味カラ將來軍
  トシテ、自動車學校ト同ジヤウニ、軍馬學
  校ト云フヤウナモノヲ造ル必要ハナイカ、
  斯樣ナコトヲ申スト、ソンナ餘計ナコトヲ
  ト仰シヤルカモ知レマセヌガ、併シ今日時
  代ノ進運ニ伴ツテ、今マデナカツタ所ノ國
  防ノ爲ノ施設、例ヘバ飛行隊ヲ作ルトカ、
  或ハ電信隊ヲ作ルトカ、鐵道隊ヲ作ルトカ、
  或ハ又自動車學校ヲ造ルトカ、斯樣ナモノ
  ガドン〓〓造ラレテ行ク、斯ウ云フ傾向カ
  ラモ、特ニ軍馬ノ方面ニ於テ斯樣ナ計畫ヲ
  立テラレルコトガ必要デハナイカ、軍馬學
  校-名前ハ何トシテモ宜シイガ、兎ニ角
  斯ウ云フ學校ヲ地方ニ五ツ六ツ御造リニナ
  ツテ、サウシテ其處へ新シイ兵隊サンガ入
  ツテ馬ノ訓練ヲヤルト云フコトニナレバ、ソ
  コニ騎兵デモナケレバ輜重兵デモナイ、步
  兵デモナイ、砲兵デモナイ非常ニ何處ヘデ
  モ融通ノ利クヤウナ、結構ナ組織ノモノガ
  出來ヤシナイカト思フノデアリマス、又軍
  馬ニ付テハ地方ノ人々ヲ使ツテソレ〓〓訓
  練シテ居ルノデアリマスガ、今度新シイ兵
  隊ヲ取ツテオヤリニナルト云フコトニナル
  ト、ソコニ非常ニ元氣モ出テ來テ、氣持モ
  大變新シクナリハセヌカト思フノデアリマ
  ス、更ニ是ハ一面カラ言フト、產馬ノ奬勵
  ニモナルコトデアリマス、此ノ軍馬學校ヲ
  將來造ツテ行クト云フコトニ付テ、何力〓
  究セラレタコトガアリマスカドウカ、御尋
  シテ見タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=94

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• 095・栗林忠道

  ○栗林說明員　只今ノ點ニ付テ〓究ヲシタ
  カト云フコトニ對シマシテハ、御答ハ出來
  ルト思ヒマス、ソレハ陸軍ニ於キマシテハ、
  御承知ノ如ク馬ヲ使ツテ居リマスノハ騎兵
  バカリデハアリマセヌ、寧ロ使ツテ居リマ
  スノハ砲兵、輜重兵、殊ニ步兵ガ多イト考
  ヘマス、騎兵ノ乘馬ノ如キハ、事實全軍ノ
  馬數カラ言ヒマスレバ一割ニモ足ラナイト
  考ヘル、ソレデアリマスノデ、馬全部ノ爲ニ特
  別ニ學校ヲ作ツテ、各兵種共通ノ馬ニ關スル
  〓育ヲシテハドウカト云フコトハ、一應御尤
  ト存ゼラレマス、併シ其ノ樣ナ施設ヲ致シ
  マスニハ、申スマデモナク多額ノ經費ヲ要
  シマスルノデ、差當リノ問題トシテハ、〓究
  ハ出來ナイト思ヒマス、唯御斷リシテ置キ
  マスコトハ、騎兵ハ騎兵、砲兵ハ砲兵、又
  步兵ハ步兵、ソレ〓〓ノ實施學校ヲ持ツテ
  居リマシテ、其ノ兵科特有ノ性能ニ應ズル馬
  ノ飼育、管理、乘御、斯ウ云ツタヤウナコ
  トハ、十分其ノ實施學校ニ於テ〓究シテ居
  リマスノデ、各兵綜合ノ馬ノ爲ノ〓育ヲヤ
  ル學校ト云フモノニ付テハ、特別ニ今差當
  ツテ必要ハナイト考ヘテ居ルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=95

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• 096・永田良吉

  ○永田委員　ソレデハ今一ツ······只今一部
  ノ答辯ガアリマシタガ、軍隊デ徵發馬ヲ
  ナサル場合、尙又今ノ軍隊ノ所要ノ馬ノ傾
  向デアリマスガ、其ノ比例ニ付テ例ヘバ乘
  馬ト輓馬、ソレカラ步兵ナドガ使フ、何ト
  言ヒマスカ小格輓馬ト云ヒマスカ、サウ云
  フ方面ノ比例ハ約一割ト仰シヤイマシタ、
  ソレカラ野砲馬ガ先ヅドノ位デアルカ、其
  ノ他ノ所要ノ比例ノ數字ヲ御示シ願ヘレバ
  結構ト思フノデアリマス、尙ホ買上規定ニ
  付テモ騎兵ノ使フ馬ト輓馬ニ使フ馬、小格
  輓馬等ニ付テ、甲乙丙丁多少價格ニ差ガア
  ルナラバ、其ノ價格ヲ御示シヲ願ヘレバ結
  構カト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=96

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• 097・栗林忠道

  ○栗林說明員　只今ノ御質問デアリマスガ、
  全般ノ比率關係ヲ申上ゲルト云フコトハ
  今囘御承知ノ通リ機密保護法案モ出來マス
  關係上-マダ其ノ法案ハ成立ハ致シテ居
  リマセヌケレドモ、旣定ノ問題ト致シマシ
  テ差控ヘタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=97

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• 098・永田良吉

  ○永田委員　ソレデハ餘リ無理ナ御尋ヲシ
  テモ御迷惑ト思ヒマスカラ差控ヘマスガ、
  今マデ度々他ノ議員ノ方カラモ色々質問サ
  レ、ソレガ大事ナ所ニ入ルト御答辯ガナイ
  ノデ行詰ツテ居リマスガ、何カ適當ナ機會
  ニ極ク簡單ナ時間デモ宜イノデスガ、祕密
  會デ之ヲ御說明ヲ願ヘル機會ヲ一ツ作ツテ
  戴クコトヲ希望スル譯デアリマスガ、如何
  デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=98

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• 099・大石倫治

  ○大石委員長代理　デハ適當ナ時機ニ一
  ツ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=99

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• 100・永田良吉

  ○永田委員　サウ云フ風ニ願ツテ置キタイ
  ト思ヒマス-ソレデハ最後ニ、此ノ間農
  林大臣ト陸軍方面トノ御答辯ヲ綜合シテ聽
  イテ參リマスト、兎ニ角今囘ノ案ハ、國防
  ト產業ノ兩全主義デヤツテ居ルト云フ御答
  辯デアリマシタガ、是ハ御尤ナ御答辯ト思
  ヒマスケレドモ、併シ私共ハ此ノ答辯タル
  ヤ中々結構ナヤウニシテ、ソコニ無理ガア
  ルト思フノデアリマス、ヤハリ斯ウ云フコ
  トハ何カ主體ガナクテハイケナイ、此ノ主
  體ヲドチラニ持ツテ行クカト考ヘタ場合
  ニ、私ハヤハリ此ノ問題ハ國防上ノ見地ガ
  主トナラナケレバナラヌ、ソレニ農林省ガ
  マル切リ引摺ラレテ、仕方ナシニ國防ノ爲
  ニ之ニ同意シテ、サウシテ此ノ產馬計畫ヲ
  立テテ無理ヲシテデモ進ンデ行ク、サウナ
  ルト一面カラ言フト、生產者側ト國防トノ
  間ニハ、ソコニ多少ノ矛盾摩擦ガナイトモ
  限ラヌノデアリマス、ソレハ今ノ時代カラ
  言フト、仕方ガナイカラ國民ハ忍ビマスケ
  レドモ、此ノ主體ヲ何處ニ持ツテ行クカト
  云フ點カラ考ヘマシテ、ヤハリ私ハ今度ノ
  計畫ハ、國防ガ主トナツテ參ルモノデアル
  カラ、軍ガ主トナラナケレバナラヌ、隨テ
  此ノ案ノ提出モドチラカト言ヘバ、アツサ
  リト陸軍ノ方カラ御出シニナツタ方ガ宜イ
  ヂヤナイカ、或ハ從來軍トシテ中間ノ官廳
  ヲ經ズニ、直接ヤツテ戴イタ方ガ却テ宜カ
  ツタ例モアリハセヌカト思フノデアリマス、
  一例ヲ申上ゲマスト、民間航空ハ元陸軍ニ
  アツタノデアリマス、ソレヲ遞信省ニ御〓
  シニナツテ人ノ家ニ養子ニヤツテ、今ハ外
  局ニナツテ多少可愛ガツテ戴イテ居ルケレ
  ドモ、確ニ工合ガ惡イ、斯ウ云フ國防ニ關
  係ノアル軍馬トシテノ大事ナ問題ハ、多少
  陸軍ノ方デ、モツト力瘤ヲ入レテ、サウシ
  テ無論是ハ農林省ニモ加勢ヲシテ戴カナケ
  レバナラヌコトハ分ツテ居ル問題デスケレ
  ドモ、之ニハ主體トシテハ軍ガ主トナツテ
  之ヲヤル、サウシテソレヲ農林省ガ援助シ
  テ戴クト云フヤウナ形ヲ、モツト明ニシテ
  貰ハナケレバナラヌト思フノデアリマス、
  此ノ點ニ對スル見解ヲ今一點伺ツテ置キタ
  イ

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• 101・荷見安

  ○荷見政府委員　私ノ答辯デ御滿足デアリ
  マスカドウカ分リマセヌガ、一應意見ヲ申
  上ゲマス、此ノ馬政計晝ハ今囘俄然トシテ
  軍ノ要求ガ强クナツタ譯デハナイノデアリ
  マン、昭和十一年ニ實施セラレマシタ第一
  次馬政計畫ニ於キマシテモ、國防上必要ナ
  ル有能馬、特ニ有能乘輓馬ノ充實ヲ目的ト
  スルト云フコトニナツテ居リマシテ、是ガ
  施設モ農林省ニ於テ行ツテ來タノデアリマ
  ス、今囘モ只今御話ノヤウニ此ノ馬政ナル
  モノハ勿論國防上重要ナ施設デアリマスケ
  レドモ、一面昨日モ大臣カラ御說明ガアリ
  マシタヤウニ、產業上ニ立脚シナケレバイ
  カヌ問題デアリマス、國防ト產業ト密接不
  可離ノ關係ガアルノデアリマス、而シテ其
  ノ所管ヲ只今ニ於キマシテハ農林省ニ置イ
  テ、運用スルヲ妥當ト認メテ居ル譯デアリ
  マス、其ノ程度ノコトヲ御答辯申上ゲテ置
  キマス

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• 102・小野謙一

  ○小野委員　一寸議事進行デ發言致シタイ

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• 103・大石倫治

  ○大石委員長代理　宜シウゴザイマス

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• 104・小野謙一

  ○小野委員　先刻來同僚各位ノ御質問ヲ拜
  聽シテ居リマスト、陸軍大臣ノ御出席ヲ得
  ナケレバ滿足ナ御答ノ出來ナイヤウナ點ガ、
  多々アルヤウニ信ズルノデアリマス、隨ヒ
  マシテ貴族院方面ニ御出席ノ爲ニ御多忙デ
  ハゴザイマセウガ、本委員會ノ開會中ニ御
  差繰ヲ願ヒマシテ、一囘ハ必ズ陸軍大臣ノ
  御出席ヲ願ツテ、其ノ際ニ陸軍大臣デナケレ
  バ御答ノ出來ナイヤウナモノヲ、纏メテ各
  委員カラ御質疑致シタラドウカ、斯樣ニ考
  ヘルノデアリマス、委員長ニ於テ左樣ナ手
  續ヲ御取運ビ願ヒマス、尙ホ其ノ際ニ質問
  ノ順序ヲ多少變更シテモ、陸軍大臣ニ對ス
  ル御質疑ヲ許シテ戴キタイト思ヒマス、此
  ノ事ヲ委員長ニ御願シテ置キマス

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• 105・大石倫治

  ○大石委員長代理　只今議事進行ニ付テ小
  野君カラノ御發言モアリマスルシ、又永田
  委員カラノ祕密會ノ御要求モアリマス、尙
  ホ陸軍大臣ノ御都合ヲ照會致シマシテ、適
  當ナル時ニ御出席ヲ得テ、或ハ公開デ御說
  明ノ出來ナイ場合ハ、祕密會デモ要求シテ
  見ルヤウニ取計ラウコトニ致シタイト思ヒ
  マス

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• 106・永田良吉

  ○永田委員　只今他ノ委員ノ方カラモ御要
  求ガアリマシタガ、私共モ左樣ニ思ツテ居
  リマス、又明日デモ農林大臣ト陸軍大臣ニ
  出テ戴ケレバ、其ノ機會ニ一二ノ質問ヲシ
  タイト思ヒマス、又祕密ノ點ガアレバ、其
  ノ時ニ御尋シテ置キタイト思ヒマス、私ノ
  希望ヲ申上ゲテ置キマス、又此ノ機會ニ他
  ノ諸君カラ關聯シテ御質問ガアレバ其ノ方
  カラ仰シヤツテ戴ケバ、尙ホ結構ダト思ヒ
  マス、ソレデハ此ノ機會ニ馬ニモ直接關係
  ノアルコトト思ヒマスカラ、私ハ軍部ノ方
  ニ御尋致シタイト思ヒマス、今自動車法案
  モ御提出ニナツテ居ル、ソレデ此ノ馬ト自
  動車ノ問題ハ、相當關聯ガアラウト思フノ
  デアリマス、最近軍隊ノ機械化、機械化兵
  團ト云フコトヲ聽クノデアリマスガ、馬デ
  荷物ヲ運ビ、又馬デ戰爭スル以外ニ、今後
  ハ戰車デアルトカ、或ハ自動車デアルトカ
  アア云フ機械ニ依ツテ色々ナ物ヲ運搬ナサ
  ル機會モ多イノデアリマス、此ノ自動車「ト
  ラック」戰車ノ進出ト馬ノ使途トハ、ドウ云
  フ關係ニナツテ行クモノデアリマスカ、此
  ノ點ニ對シテ、祕密ナコトハ無論御答辯ハ
  出來ナイカモ知レマセヌガ、大體ノ今ノ軍
  ノ御所見ヲ御說明戴ケレバ、結構ダト思フ
  ノデアリマス

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• 107・栗林忠道

  ○栗林說明員　最近戰爭資材ガ漸次增加致
  シマシテ、軍ノ後方ニ於キマシテハ輸送セ
  ラルル所ノ物件ガ、非常ニ殖エテ參リマシ
  ク、之ガ爲ニ馬力ノミヲ以テ後方ノ輸送ヲ
  行フコトハ、殆ド不可能デアリマシテ、自
  動車ガ非常ニ利用サレルコトハ明ナコトデ
  アリマス、又鐵道等モ盛ンニ利用致サレマ
  シテ、此ノ後方補給ヲ圓滑ナラシメテ居ル
  次第デアリマス、又前線ニ於キマシテモ非
  常ニ戰面ガ擴張致シマスト、少イ兵力ヲ經
  濟的ニ使用スル關係上、出來ルダケ速力ノ
  早イモノヲ戰場ニ使ヒタイ、サウ云フ關係カ
  ラ步兵ヨリモ早イ騎兵、騎兵ヨリモ早イ自動
  車ニ乘ツタ機械化部隊ガ、利用サレルコトハ
  明カデアリマス、隨ヒマシテ戰場ノ前線後方
  ヲ問ハズ、自動車ノヤウナ速度ノ早イモノガ
  使用サレル分量ガ、增加シテ參ルコトハ明
  ナコトト存ジマス、隨ヒマシテ軍ノ編制內
  ニ於キマシテモ、後方ト前線トヲ問ハズ、
  自動車ガ益〓利用セラレルヤウニ相成ツテ居
  ルノデアリマス、併シナガラ國軍ノ作戰致シ
  テ居リマス所ノ方面ハ非常ニ地形ガ惡ク、自
  動車ガ自由ニ活動出來ル部面ガ中々得ラレ
  ナイノデアリマス、殊ニ水流沼澤ガ到ル處
  ニアル、又山坂ガ澤山ニアル、斯ウ云フ方
  面ニ於テハ、如何ニ有利ナ自動車ヲ使用セ
  ント欲シテモ、使用ノ出來ナイヤウナ狀態
  ニアルノデアリマス、是ハ今囘ノ事變ニ於
  キマシテモ、其ノ事例ガ非常ニ多イノデアリ
  マス、昔カラ南船北馬ト稱セラレテ、大體
  ニ於テ交通ノ宜イ北支方面ニ於キマシテモ水
  流沼澤ガアリ、又山西方面ノヤウニ羊腸崎
  嶇ノ山嶽ガ重疊シテ居ルヤウナ所ニ於キマ
  シテハ、自動車ヲ利用シヨウト思ヒマシテ
  モ利用ガ出來ナイ、ドウシテモ馬ノ力ヲ利
  用シナケレバナラナイ、私モ戰場ニ參リマ
  シタガ、戰場ノ各指揮官、ハヨク口ヲ揃ヘテ
  申シテ居リマシタ、匪賊ハ競ツテ山ノ中ニ
  逃込ム、其ノ際自動車デ追ツ掛ケテハ駄目
  ダ、車輛部隊ヲ通ズルコトモ出來ナイ、ド
  ウシテモ匪賊ニ徹底的打擊ヲ與ヘルコトガ
  出來ナクテ困ツテ居ル、斯ウ云フ場合ハド
  ウシテモ馬ニ載セタ所ノ機關銃、歩兵砲、山
  砲ト云フモノノ威力ガ、最後ノ決ヲ與ヘルモ
  ノデアル、デアルカラシテ馬ノ需要ト云フモ
  ノハ北支方面ニ於テ殊ニ大デアル、又南支方
  面、中支方面ハ御承知ノ如ク殆ド自動車等モ
  通ジナイヤウナ、所謂駄馬道バカリ多クア
  ルノデアリマス、隨ヒマシテ此ノ方面ニ於
  キマシテハ、馬背ヲ利用シテ軍需資材ヲ運
  ビ、敵ニ對シテ徹底的打擊ヲ與ヘル機關銃
  トカ、或ハ山砲トカヲ運ンデ、其ノ戰果ヲ
  擧ゲルト云フコトハ是ハ明カナコトデアリ
  さく、隨ヒマシテ自動車ハ戰場ニ於テ利用
  シタイノデアリマスケレドモ、利用ガ出來
  ナクテ、ドウシテモ馬背ニ依ツテ運般シタ
  所ノモノデナケレバ役立タナイト云フ場面ガ
  相當ニアリマスノデ、是ハ自動車モ馬モ相
  倚リ相扶ケマシテ、戰果ヲ全ウスルコトガ必
  要ノコトト相成ルノデアリマス、又北滿トカ
  或ハ「シベリヤ」地方ノ地形ヲ考ヘテ見マシ
  テモ、全ク同樣デアリマシテ、一步黑龍江ヲ
  越エテ「シベリヤ」ノ內地ニ入リマスト、自
  動車ガ自由ニ走レルヤウナ地形デハナイノ
  デアリマス、ドウシテモヤハリ馬ニ依ツテ
  ヨチ〓〓ト運ンデ行ク兵器、彈藥ガ役立ツ
  ノデアリマシテ、サウ云フ地形ニ於キマシ
  テモヤハリ自動車ト馬ガ相倚リ相扶ケマシ
  テ、其ノ性能ヲオ互ニ補ヒ合ツテ行クコト
  ニナルト考ヘマス、其ノ比率ガドウ云フヤ
  ウニナルカト云フヤウナコトハ、ハツキリ數
  字的ニ申上ゲ兼ネルノデアリマスケレドモ、
  要スルニ自動車ガ發達致シマシテモ、又自
  動車ヨリモ早イ鐵道力ヲ利用致シマシテモ、
  戰場ニ於キマシテハヤハリ馬力ト云フモノ
  ガ非常ニ必要デアツテ、或ル指揮官ニ於キ
  マシテハ、馬力ハ卽チ戰力デアルトサヘモ
  言ウテ居ルヤウニ聞イテ居ルノデアリマス、
  殊ニ今囘ノ事變デハツキリ致シマシタコト
  ハ戰列駄馬ノ能力ト云フモノガ非常ニ必
  要デアリマシテ、殊ニ步兵ガ此ノ戰列駄馬
  ヲ使用致シマシテ、最後ノ戰鬪ノ決ヲ與ヘ
  ルト云フ結果カラ見マシテ、此ノ戰列駄馬
  ヲ十分ニ充實シテ置カナカツタナラバ、將
  來非常ニ困ルダラウト考ヘルノデアリマス、
  御承知ノ如ク歩兵ハ到ル處敵ヲ索メテ步ク
  ノデアリマシテ、地形ノ惡イ所ヲ晝夜ヲ問
  ハズ働カナケレバナラナイノデアリマス、
  地形ノ制限ト云フヤウナコトハ全然眼中ニ
  ナク働カナケレバナラナイ兵種デアリマシ
  テ、其ノ步兵ノ戰鬪力ヲ十分ニ援助シ發揮
  セシメルモノハ、一ニ此ノ馬力ヲ利用致シ
  マシタ所ノ機關銃、步兵砲、或ハ步兵ガ持
  ツテ居リマス所ノ大隊砲、聯隊砲ト云フヤ
  ウナモノデアリマス、隨ヒマシテ先程問題
  ニナリマシタ所ノ自動車ハ勿論利用シナケ
  レバナラヌケレドモ、ヤハリ馬ヲ益〓利用シ
  ナケレバナラナイト云フコトヲ御承知置キ
  ヲ願ヒタイト思ヒマス

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• 108・永田良吉

  ○永田委員　大變御丁寧ナ御答辯ヲ得マシ
  テ非常ニ滿足致シマシタ、私ノ申上ゲ方ガ
  下手デゴザイマシテ、何カ軍ヲ詰問シタヤ
  ウニ御聽取ニナツタカ知レマセヌガ、私ハ
  サウ云フ意味デ言ツタノデハナイノデアリ
  マス、ドウシテモ馬ノ必要デアルコトヲ痛
  感スルガ故ニ御尋致シタ譯デアリマスガ、
  之ニ對シテ御丁寧ナル御答辯ヲ得マシテ
  大變滿足致シマス、詰リ私ノ申上ゲマシ
  タノハ、馬ニ對スル施設ヲ日本國內ニ於テ
  モモツト新シクシテ戴キタイト云フ熱望モ
  含メテ茲ニ質問シタ譯デアリマス、卽チ
  東北デアツテモ、北海道ヤ九州方面デ
  アツテモ、何カ馬ニ關スル新シイ國家
  ノ-〓究所デモ、試驗場デモ、學校デモ名
  稱ハドウデモ宜イガ、作ツテ戴キタイ、個
  人個人ニ補助シテ指導ヲシテ戴クコトモ必
  要デアルケレドモ、何カソコニ纏ツタ國家
  的ノ施設ヲ作ツテ戴キタイト思ヒマス、ソ
  レハ農林省デモ或ハ陸軍省デモドチラデオ
  ヤリニナツテモ宜シイガ、其ノ意味カラ地
  方競馬ノ廢止サレマシタ場所ナドモ何トカ
  之ヲ活カスト云フヤウナ方法ヲ講ジテ戴キ
  タイト云フ意味カラ質問ヲ致シタ譯デアリ
  さく、大體了承致シマシタカラ其ノ方面ノ
  質問ハ是デ止メマス
  尙ホ最後ニ御尋致シテ置キタイコトハ
  私ハ馬ノコトハ能ク分リマセヌガ、滿洲ヤ
  朝鮮ノ事ハ大體數字ヲ承ツテ分ツテ居リマ
  スケレドモ、支那ノ事ガ分リマセヌ、支那
  ハ今戰爭ノ相手國デアリマスガ、味方ノ事
  ハ祕密ニシナケレバナラヌデセウケレドモ、
  支那ノ事ナラ宜カラウト思ヒマス、軍部ト
  シテハ支那ノ事ハ常ニ御〓究ニナツテ居ラ
  レルダラウト思フノデアリマスカラ、現在
  支那ニ於テ馬ヲドノ位持ツテ居ルカ、又支
  那ノ馬ニ對シテ陸軍ノ見ラレタ批判或ハ觀
  測ドチラデモ宜シイ、ソレヲ主トシ、尙
  ホ世界各國ノ馬ニ對スル政策ニ付テ-他
  ノ委員カラ質問ガアリマシテ、牧野ノ面積
  デアルトカ、或ハ馬ノ數等モ〓ヘテ戴イテ
  大變助カリマシタガ、尙ホモツト各國ノ馬
  政策ニ付テ大要デモ宜シウゴザイマスカラ
  御說明ガ願ヘレバ結構ダト思ヒマス-ソ
  レデハ時間ガ長クナリマスカラ、支那ダケ
  デ宜シウゴザイマス、又統計的ニ御話下サ
  ルコトハシニクイデアリマセウカラ、大體
  何十万頭トカ何百万頭ト云フコトダケデモ
  御示シヲ願ヒタイ

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• 109・栗林忠道

  ○栗林說明員　支那ノ馬數全體ニ付テハ、
  私一寸記憶シテ居ラナイノデアリマスガ、
  北支方面デ調ベマシタ馬數ハ、事變當初ニ
  於キマシテハ百四十万頭、蒙疆地方ニ於キ
  マシテハ六十万頭ト稱セラレタコトヲ承知
  シテ居リマス、南ノ方、或ハ中支方面ハ、
  御承知ノ通リ南船北馬ト言ハレル其ノ南船
  ノ地區デアリマスノデ、サウ多クノ數ノ馬
  ハナイト考ヘテ居リマス、只今申上ゲマシ
  タ北支ノ百四十万頭ノ馬數モ、事變發生以
  來非常ニ減少シタト云フ事實ヲ承知シテ居
  リマス、先程申上ゲマシタ通リ、此ノ馬數
  等ニ付キマシテハ、現ニ出先ノ軍當局ニ於
  キマシテモ現地ニ調査隊ヲ派遣致シマシテ、
  詳細ナル調査ヲシテ居リマスノデ、何レ細
  カナ事ガ分リマシタナラバ、又御報告申上
  ゲル時期ガアラウト考ヘマス、尙ホ蒙疆ノ
  馬數モ六十万位ト申上ゲマシタガ、是モ
  實際的ノ問題ト致シマシテハ、中々ハツキ
  リシタ數字ガ分ラナイノデアリマシテ、支
  那軍ガ調ベテ居リマシタ數ハモツトソレヨ
  リモ多イヤウデアリマス、併シ大體ニ於テ
  六十万位ガ適當ナ數デハナイカト觀測シテ
  居ル次第デアリマス、ソレカラ支那馬ノ素
  質デアリマスガ、是ハ滿洲ノ馬ヨリモ惡イ
  ノデアリマシテ、無論地方々々ニ依ツテ非
  常ニ違フノデアリマスケレドモ、私共ガ現
  ニ利用シテ居ル所ノ北支方面ノ馬ハ、滿洲
  方面ノ馬ト比較致シマシテ非常ニ惡イノデ
  アリマシテ、殆ド北支ニ於キマシテハ軍用
  資源トシテ利用スルノ價値ガナイ位ノモノ
  デアリマス、又蒙疆地方ニ於キマシテモ、
  同樣デアリマシテ、出先ノ部隊等ハ屢〓利
  用セントシテ徵發シタノデアリマスケレド
  モ、何時モ使用スルニ耐ヘナイデ、滿洲方
  面カラ澤山ノ馬ヲ充足シテヤルト云フヤウ
  ナ狀態デアツタノデアリマス、其ノ素質ノ
  如キハ非常ニ惡イノデアリマシテ、一米二
  三十ヲ最大限ト致シタ位ノモノデ、先程モ
  一寸申上ゲマシタガ、之ヲ改良シ、增殖
  スル爲ニハ、ドウ云フコトヲヤルベキカト云
  フヤウナコトハ、是ハ十分ニ檢討ヲ加ヘナ
  ケレバ出來ナイト云フヤウナ狀態ニ在ルノ
  デゴザイマス

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• 110・永田良吉

  ○永田委員　有難ウゴザイマシタ、次ニ歐
  米各國ノ馬ノ値段ハ日本ト比較シテドノ位
  ニナツテ居ルカ、サウ云フコトハ無論農林
  省ハ世界ノ狀況等ハ詳シク御調ニナツテ居
  ルト思ヒマスガ、之ヲ日本ノ値段ニ換算シ
  テハツキリ聽カシテ戴キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=110

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• 111・左々田伴久

  ○佐々田說明員　最モ近イ相場ハ、最近種
  牡馬ヲ買ヒニ參リマシタ時ノ向フノ値段ヲ
  申上ゲルノガ一番適當デハナイカト思ヒマ
  ス、「サラブレット」ハ御承知ノ通リピンカ
  ラキリマデアリマシテ、英國アタリデハ高
  イモノニナリマスレバ日本ノ時價ニ直セバ
  一頭五六十万圓カラ百万圓近イモノモアリ
  やく、併シ普通ノ日本ニ關係ノ深イ한 것
  グロ·ノルマン」ノ種牡馬ノ如キハ大體向フ
  ノ時價ト致シマシテ、只今四万千法デスカ
  ラ、三千五百圓カラ四千圓位デアリマス、
  ソレニ輸送費ガ掛リマスカラ、コチラニ參
  リマスレバ相當ノ値段ニナリマス、種馬ガ
  ソレ位デアリマスカラ、普通ノモノハ固ヨ
  リ、軍馬級ノ如キハソレヨリモ相當安イト
  云フコトヲ御含ミ願ヒタイト思ヒマス

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• 112・永田良吉

  ○永田委員　高イモノハ一頭ガ五六十万圓
  カラ百万圓、日本ニ入レタモノハ三四千圓
  ト仰シヤルガ、私共ハソンナ安イモノハナ
  カラウト思フ、モツト高イヤウニ聽イテ居
  リマスガ、是ハ一地方ノ例デアツテ、世界
  各國ノ例デナイト思ヒマスカラ、其ノ各國
  ノ例等ヲ明瞭ニ御說明ヲ願ヒタイト思ヒマ
  ス、是デハ私滿足ガ出來マセヌ、只今ノ御
  話ハ英國ノ例デスガ、英國バカリデハナク、
  少クトモ英米露三箇國位ノ馬ノ平均相場ヲ
  御示シ願ヒタイト思ヒマス

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• 113・左々田伴久

  ○佐々田說明員　分ルダケ調ベマシテ、後
  デ御說明申上ゲタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=113

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• 114・永田良吉

  ○永田委員　サウ云フコトハハツキリシタ
  數字デナクテ宜イ、私共ハ〓念ダケノ答辯
  デ宜イノデス、斯ウ云フコトハ當局ハ知ツ
  テ居ラツシヤルト思ヒマス
  #

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=114

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• 115・左々田伴久

  ○佐々田說明員　馬ニモ色々澤山種類ガゴ
  ザイマシテ、別ニ日本ト取引シテ居ナイ所
  ノ馬ノ時價ハ、ドウモ照會デモシナイトハ
  ツキリシタコトハ申上ゲニクイト思ヒマス、
  只今申上ゲマシタノハ唯一例トシテ申上ゲ
  タノデアリマシテ、英國ニ於テハ「サラブ
  レット」ト云ヘバ相當高イノモアリマスシ、
  又三千圓カラ四五千圓程度ノモノモ相當ア
  ルノデアリマス、實際買ツテ參リマシタモ
  ノガ三千四五百圓カラ四千圓程度ノモノデ
  アリマスカラ、安イモノハ無論三千圓或ハ
  二千五百圓位ノモノモアリマス、ソレガ種
  馬デアリマスカラ、軍馬ナリソレ以下ノモ
  ノニナリマスレバ、マダ相當安イノデアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=115

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• 116・小笠原八十美

  ○小笠原委員　只今「アングロ·ノルマンㄴ
  ノ價格ニ付テ三千五百圓カラ四千圓位ト云
  フ御說明ガアツタノデアリマスガ、近頃外
  國デハ優秀ナ馬ハ他國ニ出サナイ方針ヲ執
  ツテ、優秀ナ馬ハ日本ノ手ニ入ラヌ、隨テ
  第三流ノ馬シカ吳レナイト云フコトヲ聞イ
  テ居リマス、第一向フカラ來タ種馬ハ、今
  ノ規格ニ當嵌ツタ馬ハ何頭モ來テ居ナイ、
  必ズ三流四流ノ馬ヲ引張ツテ來テ居ル、只
  今ノ御話ハ其ノ三流四流ノ馬ノ値段デアリ
  マスカ、ソコヲハツキリシナイト間違フト
  思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=116

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• 117・左々田伴久

  ○佐々田說明員　只今ノハ佛蘭西ノ例デア
  リマスガ、一昨年私ガ買ツテ參リマシタノ
  ハ、向フノ大共進會ハ大體七月ノ初ニアル
  ノデアリマス、ソレヨリ前ニ買取ツタノデ
  アリマシテ、決シテ殘リモノトカ、惡イモ
  ノデハナクテ、寧ロ向フノ優秀ナモノヲ選
  ツテ買ツテ來ダノデアリマス、サウ云フヤ
  ウナ譯デ、寧ロ向フノ馬政長官ハ馬ヲ買ツ
  テクレ、買ツテ吳レト申シマス、良イ馬ヲ
  日本ニ取ラレルコトヲ非常ニ恐ガツテ居リ
  マスケレドモ、成ベク良イ馬ヲ出スヤウニ
  便宜ヲ圖ツテ吳レテ居リマス、決シテ惡イ
  モノヲ選ツテ來タノデハナク、相當良イ馬
  ガ多數入ツテ來テ居ルト思ヒマス、今聞キ
  マスト陸軍ノ方デ濠洲カラ買ツテ居ラレマ
  ス濠洲產洋種ノ値段ハ、向フデハ七八百圓
  デ御買ニナツテ居リマシテ、輸送費ヲ含メ
  テコチラへ來テ千五百圓程度デアリマス、
  是モ御參考ノ爲ニ申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=117

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• 118・永田良吉

  ○永田委員　私ノ質問ハモウ陸軍大臣ト農
  林大臣ニ對スル分ダケデアリマスガ、此ノ
  機會ニ他ノ方ノ御質問ガアレバ、一應私ノ
  質問ハ保留致シマシテ御讓リシテ宜イト思
  ヒマス

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• 119・河野一郎

  ○河野委員　私ハ馬產ト畜產ノ關係ニ付
  テ少シク御尋致シタイト考ヘマスノデ、先
  程畜產ノ局長ノ御出席ヲ御願シテ置イタノ
  デアリマスガ、委員長カラ速ニ出席サレル
  ヤウニ御取計ヲ願ヒタイト思ヒマス
  先ヅ第一ニ御尋致シタイノハ、馬政計畫ノ
  根幹ト致シマシテ、政府ノ今囘御計畫ノ基礎
  トナルベキ御調査ニ付テ少シク承ツテ見タイ
  ト思ヒマス、先ヅ第一ハ、我國ノ農家ニ於テ馬
  ヲ飼養管理致シマスノニ、大體一箇年間ド
  ノ位掛ル御見込デ御立案ニナツテ居リマス
  カ、ト申シマスノハ政府ノ補助額ガ三十七
  圓ト云フ數字ガ出テ居ル、三十七圓補助ヲ
  シヨウト云フ其ノ基礎ハ一體何處カラ御出
  シニナツタノデアルカ、三十七圓補助スレ
  バ、ソレデ農家ノ算盤ガドウ云フコトニナ
  ルト云フ御計算デアリマスカ、是等ニ付テ
  少シク詳細ニ御說明ヲ願ヒタイト思ヒマス

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• 120・荷見安

  ○荷見政府委員　一般農家ノ飼養費ハ色々
  差異ハアラウト思ヒマスルケレドモ、〓ネ
  年額百圓程度ト推定致シテ居ルノデアリ
  マス

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• 121・河野一郎

  ○河野委員　然ラバ承リマスガ、農馬ハ唯
  藁ヲ食ヒ草ヲ食ツテ居ルトハマサカ御考デ
  ハアリマスマイ、其ノ百圓ノ基礎ハ濃厚飼
  料ニ付テ一體ドノ位一年ニ使ハセル御計算
  ニナツテ居リマスカ、承ツテ置キタイト思
  ヒマス

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• 122・伊藤莊之助

  ○伊藤政府委員　只今申上ゲマシタ大體百
  圓ノ飼養費ノ内容ハ藁ガ日量トシマシテ
  八千瓦、糠ガ四千瓦、食鹽ガ六十瓦、此ノ
  値段ヲ申シマスレバ一日二十八錢二厘ト云
  フコトニナツテ居リマス、月額ハ八圓四十
  六錢、年額約百圓デアリマス

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• 123・河野一郎

  ○河野委員　此ノ機會ニ軍ノ方ニ御尋致シ
  マスガ、其ノ程度ノ餌ヲ食ハシタ馬デ軍用
  ノ適格馬トシテノ飼養管理ガ十分デアリマ
  スカ、ドウデアリマスカ、ソレヲ一ツ御答
  辯ヲ願ヒタイト思ヒマス、-モウ一遍申
  上ゲマス、今農林省ノ政府委員カラ御說明
  ニナリマシタ一箇月八圓ヤ九圓ノ餌ヲ食ハ
  シタ程度ノ馬ガ、一朝有事ノ際ニ軍用適格
  馬トシテ物ヲ言フカ言ハヌカ、サウ云フ馬
  ヲ曳張ツテ行ツタラ軍カラ大目玉ヲ頂戴ス
  ル事情ニアルト思フ、私ハ畜產組合長モヤ
  ツテ居リマスシ、サウ云フ場合ニ立合ツテ
  居リマスガ、サウ云フ風ナ馬鹿ゲタ計算ヲ
  シテ農村ニ臨マレルコトハ、吾々トシテハ
  甚ダ遺憾ニ思フノデアリマス、是ハ根本カ
  ラ吾々ト認識ガ違フノデアリマスガ、此ノ
  機會ニ軍ノ方ノ計算ハ一體ドウナノカ、
  體軍ノ馬糧ハ一日ドノ位ニナツテ居ルカト
  云フコトモ、參考ノ爲ニ承ツテ置キタイト
  思ヒマス

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• 124・栗林忠道

  ○栗林說明員　軍ノ一日ノ日糧ハ約八十錢
  ト申シマシタ、ソレカラ是位ノ飼料ヲ與ヘ
  タモノデハ、軍用適格馬トシテ適當ナモノ
  ハ出來テイノデハナイカト云フ御說デアリ
  マシタ、勿論サウ云フヤウナ御疑問モアル
  ト思ヒマスケレドモ、民間ノ飼養ヲ容易カ
  ラシメルト云フコトガ、今マデハ全然ナカ
  ツタノデアリマシテ、是ダケデモヤツテ戴
  キマシタナラバ、私共ノ方トシテハ、所謂
  民間ノ飼養ヲ容易ナラシメ、軍用適格馬ノ
  充實ヲ期スルト云フ點ニ於テ、非常ナ光明
  ヲ認メテ居ル譯デ、喜ンデ居ル次第デアリ
  さく、此ノ額ノ增額ヲ要求致シマシテ、將
  來十分ナ額ガ支給出來ルヤウニナリマスレ
  バ無論望マシイノデアリマスルケレド
  モ、是ハ國家財政ノ關係カラサウ急速ニハ
  實現ハ出來マイト思ヒマスルノデ、只今ノ
  所デハ現在ノ狀態マデ立至リマシタコトヲ
  喜ンデ居ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=124

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• 125・河野一郎

  ○河野委員　只今ノ御話ハ無論一方的ニ、
  今マデナカツタモノガアルヤウニナツタノ
  ダカラ、ソレダケデモ結構タト云フ御答辯
  デ、一應御尤デアリマスガ、吾々ハ根本カ
  ラ觀念ガ違フノデアリマス、是ハ要スルニ
  我國ノ國民性カラシテ、國家制度カラ致シ
  マシテ、徴兵令デアルトカ、國家ニ御奉公
  スルノダト云フ觀念カラ出發スルナラバ、
  只デモヤラナケレバナラヌ、併シ立案サレ
  マスル基礎ハ、何處マデモ正確ニドレダケ
  掛ルカ、後ハドレダケ農民ノ負擔ダト云フ
  コトヲ明確ニシテ戴カナケレバ吾々ハ困ル
  ト云フ、甚ダ申シ兼ネマスケレドモ、一方
  ニ於テ一體幾ラデ飛行機ヲ拵ヘ幾ラデ買ツ
  テ居ルカト云フ場合ニ付テモ、吾々ハ議論
  ヲシタイノデアリマス、如何ニ軍馬ノ要素
  ヲ此ノ際備ヘテ置カナケレバナラヌト申シ
  マシテモ、飛行機一臺作ルノニ幾ラ掛ル、
  馬一匹飼ツテ置クノニ幾ラ掛ルト云フコト
  ノ計算ハ、何處マデモ正確的確ナモノデナ
  ケレバナラヌト私ハ思フ、唯其ノ際ニ國家
  ノ財政ガ之ヲ許スカ許サヌカト云フコトハ、
  又別ノ議論デアリマス、ソレヲ農林當局ガ
  一年間百圓デマア飼ヘルダラウト云フヤウ
  ナ考ヘ方デ農民ニ臨マレルコトハ、此ノ案
  ノ根本ノ基礎ガ私ハ違フト思フ、デアリマ
  スカラ先程カラ議論ガアリマシタヤウニ、
  牛ヲ飼ヘバ幾ラ掛ル、豚ヲ飼ヘバ是々掛ル、
  馬ハ斯ウダト云フコトニナルノデアリマス
  カラ、此ノ間ニ根本ノ指導精神ヲ、ハツキ
  リ立テナケレバイカヌ、ソコデ私ガ申上ゲ
  タイノハ、先ヅ今軍ノ方デ馬一匹ニ〓ハセ
  ルノニ月ニ二十何圓掛ル、一日八十錢デ三
  八、二十四圓掛ル、民間ノ方ハ月八圓何錢
  デ馬ガ飼ツテ行ケルト云フ、斯ウ云フ馬鹿
  ゲタ數字ハ斷然出ナイト思ヒマス、苟モ民
  間ト雖モ此ノ頃ハ麩ヲ食ハシテ居リマス、
  其ノ麩ガ非常ニ高イ、ソコニ農民ノ惱ミガ
  アル、ソコデ私ノ斯ウ云フコトノ認識ガ違
  フカ違ハヌカ存ジマセヌケレドモ、是モ
  ツ質シテ見タイト思ヒマス、一體今日日本
  ノ農民ノ中ニ、馬ヲ飼ツテ居ル戶數ガ何軒
  アル、ソシテ其ノ戶數ハ一體何軒殖エル可
  能性ガアルカ、一戶ニ於テ馬ヲ二頭モ三頭
  モ飼フ家ハ割合ニ少イノデアリマス、ソコ
  デ一體馬ノ飼養管理ヲスル希望ヲ持ツテ居
  ル農民ガ、一體何軒アルカ、是ガ百五十万
  頭政策ガ實現スルカセヌカノ根本ナンダ、
  ソコデ今政府カラ御提出ニナツテ居リマス
  何郡ノ何村ニ於テハドウダト云フ案ハ、御
  立テニナルコトハ御自由ダ、御自由ダガ此
  ノ實行ノ可能性アリヤ否ヤト云フコトハ、
  一方ニ於テソコニ存在致シマスル農家戶數
  ニ於テ、馬ヲ飼養管理スルニ適當ナル農家
  ガ一體何戶アルカト云フ調カラ、無ケレバ
  ナラヌ筈デス、幾ラ奬勵サレテモ今ノヤウ
  ニ馬ヲ一頭飼フノニ百圓ダ、三十七圓補助
  金ヲ出セバ飼フダラウ、ナカツタモノガア
  ルヤウニナツタノダカラ結構ダト云フ程度
  ノ觀念デハ、私共直接農村ニ接觸シテ居リ、
  第一線ニ居リマス者トシテハ、根本カラ吾
  吾ハ此ノ案ニ滿足ノ意ヲ表スルコトハ出來
  ナイノデアリマス、絕對ニ軍トシテ國防資
  源トシテ是ダケノ政策ヲ確立シナケレバナ
  ラヌト云フニハ、吾々ガ一方ニ於テ肥料ノ
  問題ヲ論ジマスト同樣ニ、絕對ニナケレバ
  ナラヌモノデアリマスナラバ、絕對的ノ豫
  算ヲ要求サレルガ宜シイ、絕對ニ吾々ハソ
  レヲ要求スルノデアリマス、所ガ一方ニ於
  テ計畫ノ基礎ガサウ云フヤウニ誤ツテ居ル、
  認識ガ誤ツテ居ルノデハ如何トモナリマ
  セヌ、一體何時頃其ノ百圓ト云フ數字ヲ御
  調ニナツタノデスカ、大體私ハ此ノ計算ハ
  マダ本當ニ出來テ居ラヌノダト思フ、一方
  ニ於テ馬ノ種類デアルトカ、馬ノ何トカ云
  フ方ハ相當ニ〓究サレテ居リマスケレドモ、
  之ヲ農家經濟ト結付ケタ場合ニ、ソコニド
  ウ云フ「ギヤップ」ガアルカト云フコトノ〓究
  ガ足ラヌト思フ、農家ガ一頭馬ヲ飼ヘバ
  ソレニ依ツテ餌ガ幾ラ掛ル、ソレニ依ツテ
  出來ル堆肥ガドウ、ソレガ農業經濟ニドウ
  云フヤウニ影響シテ來ルカト云フコト、
  一方ニ於テ牛ナリ豚ナリ他ノ有畜農業ヲ奬
  メマス場合ト、玆ニドレダケノ差額ガ出來
  テ來ル、其ノ差額ダケハ絕對ニ政府ニ於テ
  補償スルノダ、助成スルノダト云フダケノ
  根本觀念ナシニ、如何ニ奬勵ノ政策ヲ御立
  テニナツタ所ガ、之ヲ今日ノ農村ニ望ムコ
  トハ無理デアル、而モ是ハ馬ダケナラ宜シ
  イ、一方ニ於テ無水「アルコール」ヲ造ルニ
  必要ダカラ、安イ値段デ薩摩藷ヲ作レ、斯ウ
  セイアアセイト八方カラ註文ヲ付ケラレテ
  モ、中々サウハ行カヌ、畜產局長ガ御見エ
  ニナリマシタカラ此處デ御答辯ヲ願ヒタイ
  コトハ、畜產局方面ニ於テハ資材擴充ノ意
  味カラ養豚ノ增殖計畫、乳牛其ノ他一般ノ
  畜肉ノ增產計畫ト云フモノヲ、御計畫ニナ
  ツテ居ルヤウデアリマスガ、是ト馬トノ關
  係ニ付テ伺ツテ見タイ、一體今囘ノ馬政計
  畫ノ根本ヲ成シテ居リマス各郡別ニ奬勵ヲ
  サレマシタ計畫、一方ニ於テ畜產當局ニ於
  テ御設定ニナツテ居リマス一般畜產ノ增殖
  計畫ト云フモノトノ關係ハ、一體ドコマデ
  御〓究ニナツテ居ルカ、當然一戶ノ農家ニ
  於テ馬モ飼ヒ牛モ飼ヒ豚モ飼フト云フコト
  ハ不可能デアリマス、有畜農業ハソレ程多
  數ノ家畜ヲ必要トシナイノデスガ、其ノ場
  合ニ一體ドウ云フ風ニ、ソレヲ農家經濟ニ
  當嵌メテ行クカ、例ヘテ申セバ煙草ノ地方
  ニ於テ、ドウモ牛デハマヅイ、馬ガ宜カラ
  ウ、又溫床ヲヤリマス地方ニ於テハ、ドウ
  モ牛ノ堆肥デハ冷エテマヅイト云フヤウナ
  關係ガ馬ヲ飼フ關係ト可ナリ絡ミ付イテ來
  テ居マス、生產地ハ別ト致シマシテ、利用
  ノ方面カラ言ヒマスルトドウシテモサウ
  云フ方面ヲ十分ニ考ヘテ行カナケレバナラ
  ヌト思フ、是等ニ付テノ畜產當局ノ御意見
  ヲ一ツ伺ツテ見タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=125

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• 126・岸良一

  ○岸政府委員　畜產關係ニ於ケル所ノ家畜
  ノ增殖、ソレカラ今囘ノ馬匹ノ計畫トノ關
  係ヲドウ云フ風ニ考ヘテ居ルカト云フ御話
  デゴザイマス、是ハ今河野サンノ御話ノヤウ
  ニマダトコトンマデ細カクヤツテアル譯デ
  ハアリマセヌガ、一應ノ考ノ下ニヤツテ居
  ル譯デアリマス、大體ニ於キマシテ私共ハ
  馬ハ從來ノヤウニ百五十万ヲ維持スル、サ
  ウシテ置イテ他ノ家畜ヲ殖ヤス、斯ウ云フ
  ヤウナ見當ノ下ニヤツテ居ルノデアリマ
  ス、先ヅ第一ノ基礎ハ全體的ニ見マシテ結
  局是ハ飼フ所ノ飼料ノ資源ガナケレバ何ニ
  モナラナイ、、如何ニ計畫シテモ困難デア
  ル、又非常ニ澤山外國カラ乾草デモ何デモ
  輸入ガ出來ルト云フコトデアリマスレバ、
  是ハ又話ガ別デアリマスケレドモ、現在ニ
  於ケル所ノ貿易ノ狀態竝ニ輸送ノ狀態デア
  リマスレバ、是ハ非常ニ餘裕ヲ持ツテ考へ
  ル譯ニハ行カナイ、隨ヒマシテ其ノ數量ノ
  主ナルモノハ國內デ自給出來ルト云フコト
  ヲ第一番ノ趣旨ニシ、ソレカラ他ノ一部ハ
  日滿ニ於テ自給出來ルト云フコトヲ建前ニ
  シテ考ヘテ行ツタノデアリマス、基礎飼料
  デアル所ノ粗飼料ニ付キマシテハ過般來度
  度申上ゲマシタヤウニ、我國ニ於テハ六千
  七百万瓲程ノ生產ガアリマシテ、現在三千
  万瓲程度ノ消費ヲシテ居ルノデアリマス、
  是ハマア地方的ニモ色々種類モ違ヒマスシ、
  又其ノ高ニ相違モゴザイマス、隨ヒマシテ
  之ヲ一樣ニ取扱フト云フコトハ出來ナイノ
  デアリマスルガ、一應其ノ數字ヲ考ヘテ、
  而シテ足リナイ分ニ付キマシテハ、現在ノ
  粗飼料ノ利用ノ價値ヲ高クスルト云フヤウ
  ナ處置ヲ執ツテ、內容的ニ其ノ量ヲ豐富ニス
  ル、尙ホ一面ニハ靑刈等ノ裁培ヲヤツテ、
  サウシテ良質ノ粗飼料ノ增產ヲヤツテ行ク
  ト云フヤウナコトヲ圖ツテ行ク、サウスレ
  バ地方的ノ足リナイ分ニ付テハ補ヒガ出來
  ル、ソレカラ濃厚飼料ニ付キマシテハ、從
  來ハ大體農家ノ副產物ヲ以テヤツテ來タノ
  デアリマスガ、畜產ノ發達ニ伴ヒマシテ、
  度々申上ゲマシタヤウニ、外國カラ澤山ノ
  飼料ガ入ツテ來マシタ、是ガ今囘色々ノ國
  際關係カラシテ滿洲國依存ニ重點ヲ置イテ
  ヤルト云フコトニナリマシタノデ、滿洲國
  ノ方ニ增產ヲシテ貰フ、吾々ガ增殖ヲ目標
  トシテ居ル五箇年ノ間ニ於テハ、其ノ增產
  ト相俟ツテ自給ヲシテ行クト云フ考ノ下ニ
  ヤツテ居ルノデアリマス、是モ飼料ノ利用
  ト云フ立場カラ致シマスレバ、結局牛、馬
  ノ如キハ粗蒭モ澤山生產サレル、又粗蒭ノ
  生エタ儘取得ル所ノ放牧地ノ澤山アル所ニ
  重點ヲ置イテ生產ヲヤツテ殖ヤシテ行ク、
  ソレカラ牛ニ付キマシテ肥育其ノ他ニ於キ
  マシテハ、肥育資源ノアルヤウナ所ニ之ヲ
  殖ヤシテ行ク、其ノ方面ニ於キマシテハ或
  ハ養豚デアリマスルトカ、或ハ養雞デアリ
  マスルトカ云フヤウナモノト、重ナリ合ツ
  テ居ルモノガアルト思ヒマスルガ、ソレハ
  何レモ生產スル所ノ飼料、或ハ農家ノ規模、
  或ハ生產物ノ處理ノ關係カラ、市場ノ遠近
  ト云フヤウナモノヲ考ヘマシテ、サウシテ
  其ノ立地的ノ關係ニ於テ、ドウ云フモノヲ
  ヤツテ行カウカト云フ割當ヲヤツテ進ンデ
  行カウト考ヘテ居ル譯デアリマス、ドウ云
  フ風ニ割當テテ行クカト云フコトニ付キマ
  シテハ、今案ヲ作成シテ居リマス、是ハ專
  門的ノ機關ノ檢討ヲ經マシテ、農林協議會
  等ノ議ヲ經マシテ、サウシテ地方ニ實行シ
  テ貰フヤウニ運ンデ行キタイト考ヘテ居リ
  是等ニ付キマシテモ、こ十分馬トノ關
  さく、
  係ヲ考慮シテ進ンデ行ク考デ居リマス、斯
  ウ云フ風ナ計畫ヲ立テテ進ミマスルナラバ、
  私共ハ馬トノ間ニ十分ノ折合ヲ付ケテ進ミ
  得ルト思ツテ居リマス、飼育者ノ方カラ言ヒ
  マスレバ、經濟ノ外ニ多少ノ嗜好ト云フコ
  トモゴザイマスノデ、飼ハセ得ルモノト致
  シマスレバ馬ヲ飼育スル、又牛ヲ飼育スルト
  云フコトモアラウト考ヘテ居リマス、ソレデ
  ハ大家畜ヲ牛ト馬ヲ合セテ、四百万頭ニス
  ルノカドウカト云フヤウナ御議論モ出ルト
  思ヒマスルガ、是ハ其ノ土地ノ飼料ノ急減
  カラ考ヘテ見マシテモ、現在自給飼料ヲ供給
  シテ居ル量ト云フモノハ、吾々ガ考ヘテ居ル
  ヨリモ非常ニ少イノデアリマス、是ダケ
  ノ牛馬ヲ飼ヒマシテモ、恐ラク一日百貫カ
  ソコラシカ供給ガ出來ナイノヂヤナイカ、
  私共ハモツト他ノ小家畜ヲ組合セテ、サウ
  シテ飼料資源ガ許スナラバ、飼料供給ノ基
  礎ヲ立テルト云フコトヲ考ヘナケレバナラ
  ヌノヂヤナイカ、斯ウ云フヤウニ考ヘテ居
  リマス、是等ハ經營ノ規模、ソレカラ立地
  ノ關係ヲ組合セテ考ヘナケレバナラヌ必要
  ガアル、小家畜ト大家畜ヲ併セテ考ヘテ見
  マスト、私共ノ豫定通リニ參リマスレバ、
  其ノ參リマシタ當時ニ於キマシテ、一町步
  當リ大家畜ニシテ一頭弱ニナルノデアリマ
  ス、此ノ一頭弱デハ或ハ足ラナイト云フ論
  モ出ルト思ヒマスルガ、現在ノ飼料ノ關係
  其ノ他ヲ考ヘテ見マスルト、ソコ等ニ於テ
  釣合ハヌ點ガ出テ來ルノヂヤナイカト考
  ヘテ居リマス、細カイ點ニ於キマシテハ
  是ハ地方ヲ煩ハシテ、サウシテ其ノ方ヲ專
  門的ニ〓究シテ居ル者モアルノデアリマス
  カラ、實地ニ立脚シテドウ云フ風ナ家畜ヲ
  ドウ嵌メテ行クカト云フコトヲ、實地ニ就
  イテ導イテ行クコトガ必要デアルト考ヘマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=126

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• 127・荷見安

  ○荷見政府委員　只今最初ニ御質問ニナリ
  マシタ一般農家ノ飼育費ハ、何時ノ調ベカト
  云フ御話ガアリマシタ、是ハ單價等ハ昭和
  十二年度ノ實績ヲ調査致シタノデアリマス、
  ソレカラモウ一ツ斯樣ナ飼育費ヲ以テ飼育
  致シマシタ馬ガ、一朝御用ニ立ツ場合ニド
  ウデアルカ、私共ハ勿論ソレデハ不十分デ
  アリマスカラ、今囘ノヤウナ施設ニ依リマ
  シテ馬ノ發育ヲ助ケ、健康ヲ增進シ、榮養
  ヲ改善スル爲ニ、財政ノ許ス限リノ助成金
  ヲ交付致シタイ、斯ウ云フ考デ只今ノ補助
  金額ト云フモノヲ決定シタノデアリマス、
  是ハ固ヨリ多イ方ガ宜イ、多イ方ガ宜イガ、
  財政トノ關係ヲ睨合シテ、斯樣ニ決ツテ居
  ル譯デアリマス、又總頭數百五十万ト云フ
  頭數ヲ、ドウ割當テルカト云フ御質問デア
  ツタノデアリマス、是ハ只今モ他ノ政府委
  員カラ申上ゲマシタヤウニ、大體馬ト致シ
  マシテハ、ズツト古クカラノ國內ニ於ケル
  總保有頭數ト云フモノヲ標準ト致シテ居ル
  ノデアリマシテ、ソレガ時ニ依リマシテ增
  加致シタリ減少致シタリシテ居リマスルケ
  レドモ、大體其ノ前後ノ數ヲ上下シテ居リ
  きく、其ノ數ヲ成ベク維持スルヤウニ努メ
  ヨウト云フ意味デアリマスカラ、特別ニ之
  ニ依ツテ數ヲ擴大シタト云フ意味デハナイ
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=127

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• 128・河野一郎

  ○河野委員　私ノ申上ゲマスノハ、只今モ
  畜產局長カラ御答辯ガアリマシタ通リニ、
  一方ニ於テ牛デアリ、豚デアリ、養鷄デア
  ルト云フヤウナ農家經濟ノ上ニ於テ、非常
  ニ有利ナ家畜ガアリマスル際ニ、一方ニ於
  テ馬ニ對スル當局ノ認識ガ、一箇年百圓程
  度ノ飼養管理費デ行クダラウト云フヤウナ、
  根本觀念ヲ誤ツテ居ラレル計算ニ基ク政策
  デハ、到底現在ノ程度ハ行キニクカラウ、
  例ヘテ申シマスレバ、地方競馬ノ問題ニ致
  シマシテモ、私ハ神奈川縣デアリマスケレ
  ドモ、神奈川縣等ニ於キマシテハ、地方競
  馬ニ依ツテ生ズル所ノ經費ヲ思ヒ切ツテ馬
  ノ增產ノ爲ニ使ツテ居ルノデアリマス、ソ
  レデモ中々困難デアリマス、是等ニ付キマ
  シテノ根本ノ認識ト云フモノハ、一體何處
  カラ出ナケレバナラヌダラウカ、馬政計
  畫ヲ玆ニ根本的ニ確立セラレマスニ當リマ
  シントー一體馬ニ對スル根本ノ認識、卽チ
  馬ハ軍用上絕對ニ必要ナモノナリ、農家ノ
  經營上ハ必要ナモノヂヤナイト云フコトガ
  正シイノカ、農家ノ經營上必要ナモノデア
  ツテ而モ之ヲ軍用ニ供スルト云フ政策デ行
  クノカ、之ニ對スル根本ノ見定メヲシテ戴
  キタイ、吾々農村ニ居リマス者カラ致シマス
  ト、言葉ハ過ギルカモ知レマセヌガ、農業
  用ニ於キマシテハ、大抵ノコトハ今日有利
  ナ所ノ牛デ間ニ合フ、而モ馬ヲ使用致シマ
  スコトニ依ツテ、ドノ程度ニ一體-生產
  地ノコトヲ私ハ論ズルノデハアリマセヌカ
  ラ、誤解ノナイヤウニ願ヒタイ、利用地ノ
  方面ノ立場カラ申上ゲテ居ルノデアリマス、
  之ヲ農家ニ於テ一箇年間飼養管理致シマス
  場合ニ、農家經濟ノ上ニドウ云フ影響ヲ見
  テ居ルカト云フコトヲ、根本的ニ御檢討戴
  キマシテ、此ノ基礎ニ立脚致シテ、サウシ
  テ一體サウ云フコトナラバ、今後一方ニ於テ
  牛ノ增產ヲヤル、豚ノ增產ヲヤル、一般家畜ノ
  增產計畫ヲヤル場合ニ、是ガ壓力ガ馬ノ方ニ
  加ツテ來ルコトヲ、御考願ハナケレバナルマ
  イト思フ、サウシタ場合ニ、今モ畜產局長カ
  ラ縷〓、御說明ガアリマシタケレドモ、私ノ問ハ
  ントスル所ハ、根本方針ガ適所適產主義、適所
  適飼育主義ニ、第一義的ニ馬ヲ考ヘルノカ、
  馬ト他ノ家畜トヲ併用シテ考ヘルノカ、コヽ
  ニ非常ナ問題ガアルト思フ、今政府ガ最
  モ馬ニ適當ナ場所デ適當ニ生產ヲヤラセル、
  又馬ヲ利用サセルノニ一番適當ナ農家ニハ
  馬ヲ積極的ニ奬勵シテ、玆ニ馬ノ百五十万
  頭計畫ヲ確立スルト云フ根本ノ御方針ヲ御
  定メニナツテ、他ノ家畜ニ付テハ姑ク此ノ
  奬勵ヲ見合セルト云フマデニシテ、オヤリニ
  ナラナケレバイケナイノヂヤナイカト私ハ
  考ヘルノデアリマス、サウシテ若シ私ノ考
  ヘ方ガ正シイノナラバ、補助金ノ如キモ補
  助ト云フノデナク、當然農村ニ與フベキモ
  ノデアル、國家ニ必要ナ資源ヲ農村ニ委託
  シテ居ルヤウナ御考ニナツテ戴キタイ、唯
  農村ガ入用ナモノヲ飼ツテ、ソレニ奬勵金
  ヲ出スノダカラ、惠ヲ施シテ居ルノダト云
  フヤウナ根本ノ御認識デハ、吾々農村ニ居
  リマス者トシテハ、聊カ政府ト所見ヲ異ニス
  ルノデアリマス、ソコデ政府ハ其ノ點ニ付
  テドウ云フ考ヲ持ツテ居ルカ、今私ガ考ヘ
  ルヤウナ、馬ニ對シテ思ヒ切ツタ考ヘ方デ
  進ムノカ、ソレトモ馬ハ馬、牛ハ牛、豚ハ
  豚トソレ〓〓適當ナ所ニ適當ニ之ヲ生產サ
  セル、飼養管理サセルト云フ程度ノ考ヘ方
  デ、一體此ノ所期ノ目的ヲ達スルコトガ出
  來ルカドウカ、ソレ〓〓村別ニドウトカ、
  郡別ニドウトカ云フコトヲ御決メニナリマ
  ス根本「イデオロギー」ハ一體ドウナツテ居
  ルノカ、私ガ之ヲ御尋スル所以ノモノモ、十
  二年度ノ計算ガ百圓ダ、今日一體鍛鍊馬ノ
  競技會ニ致シマシテモ、馬ノ曳付ニ致シマ
  シテモ、オヤリニナリマスルコトハ、一ト
  コロヘ馬ヲ皆デ集メサセレバ、馬ニ對シテ
  競爭心ガ起ル、アンナ痩セタ馬ヲ曳イテハ
  行カレナイト云フコトデ、百姓ガ皆競爭シ
  テ馬ニ麩ヲヤルシ、飼料ヲ相當ヤル、今荷
  見サンガ御考ノヤウナ、サウ云フ程度ノ認
  識ノ百姓ハ居ラヌ、ソンナ馬鹿々々シイ數
  字ヲ聞イタラ百姓ハビツクリスル、大體政
  府ノオ役人ハ何ヲ考ヘテ居ルカ、サウシテ
  曳付ノ所ヘ來テハ偉サウナコトヲ言ツテ、
  オ前ノ馬ハ良イトカ惡イトカ言フ、今後ソ
  ンナコトヲ地方ヘ行ツテ言ツテモ、百姓ハ
  サウ云フ御認識デハ言フコトヲ聽キマセヌ、
  是ガ根本ニ大事ナコトダト思フ、ソコデ先
  ヅ其ノ根本ノ考ヘ方ヲ御變ヘニナラナケレ
  バ、大藏省ニ向ツテ豫算ヲ要求スル場合ニ
  腹拵ヘガ違フ、百圓ノ所へ三十七圓補助ス
  ル、三割七分ナリ、四割補助ヲスルト云フ
  ノダカラ、ソレハ大變好ク聞エル、他ノ六
  十二三圓ノモノハ他ニ利用價値ガアルカト
  云フコトニナレバ、農家經濟ノ上カラ見レ
  バ、其ノ位ノ利用價値ハ他ニアラウ、ソレ
  ハ一年間ニ幾日馬ヲ使ツテドウ云フ計算ニ
  ナツテ、ドウナルト云フ計算ハ出テ來マス、
  三割七分ノ補助ヲスルト云フコトニナレバ、
  相當ナコトニハナルガ、根本ノ數字ガソレ
  デハ駄目ダト思フ、之ニ付テ御考直シヲナ
  サル氣持ガアルノカ、ナイノカ、更ニ又最
  近ノ物價高ニ付テドウ御考ニナツテ居ルカ
  モウ一遍御考ヲ承ツテ置キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=128

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• 129・荷見安

  ○荷見政府委員　物價ノ段々騰貴ノ趨勢ニ
  アルコトハ御話ノ通リデアリマス、ソレデ
  只今申上ゲマシタノハ、一般農家トシテノ
  飼養費デアリマスケレドモ、是ハ色々ナ違
  ヒガアルト思ヒマス、都會地附近ト或ハ農
  村デ放牧地ナドヲ持ツテ居ル所トニ依リマ
  シテ、色々違ヒガアルト思ヒマス、ソレハ
  御承知ノ通リデアリマス、唯財政ノ關係上、
  此ノ程度ノ補助金ヲヤルト云フコトニナツ
  テ居ルノデアリマスガ、是ハ只今申上ゲタ
  通リニ、吾々トシテハ出來ルダケ之ヲ增加
  致シマシテ、立派ナ馬ヲ作ツテ戰ノ役ニ立
  テタイト考ヘテ居ルノデアリマスカラ、此
  ノ金額ヲ決シテ多イト言ツテ居ルノデハア
  リマセヌ、極メテ少イケレドモ、財政上已
  ムヲ得ナイ、斯ウ御話ヲ申上ゲテ居ルノデ
  アリマス、ソレカラ馬政計畫トシテ、詰リ
  馬ノ用途ヲドウ考ヘテ居ルカト云フコトデ
  アリマスガ、是ハ先程モ申上ゲマシタヤウ
  ニ、軍馬トシテ役ニ立ツヤウナモノニ成タ
  ケシタイノデアリマスガ、是モ產業關係ヲ
  無視シテハ出來ナイコトデアリマスカラ、
  產業上ノ基礎ト云フコトモ十分考ヘテ、兩
  方密接ニ結付ケテ行キタイ、斯樣ニ考ヘテ
  居ルノデアリマス、單一ニハ考ヘテ居ラヌ
  譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=129

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• 130・河野一郎

  ○河野委員　只今ノ御答辯ハ私ノ申上ゲル
  コトト少シ違ヒマス、而モ最初ノ御答辯デ
  放牧地等ノ御話モアリマシタケレドモ、私
  ハ今主トシテ利用地ノコトヲ申上ゲテ居ル
  ノデアリマス、放牧地トシテ考慮サレテ居
  ナイ場所ニ付テ申上ゲテ居ルノデス、生產
  地方面ニ於テハ、馬ノ生產等ニ於テ相當ノ
  收益ガ得ラレル場合モアリマスノデ、是等
  ニ付テノ觀念ハ又別デアラウト思フ、計算
  モ亦自ラ違フダラウト思フ、私ハ之ヲ利用
  シテ居ル利用農家ノ計算ヲ申上ゲテ居ルノ
  デス、同時ニ今御話ニナツタ藁トカ、糠ト
  カバカリヲ馬ニ食ハシテ居ルヤウニ御考ニ
  ナルト、是ハ少シ御考ガ違ヒマス
  〔大石委員長代理退席、佐藤委員長代理
  著席〕
  其ノ程度ノ粗飼料デ今日馬ヲ飼ツテ居ル者
  ハ少イ、極ク特殊ナ地方ハ別トシテ、大體
  ニ於テ、最近ハ一般ノ人間ノ食料モ贅澤ニ
  ナツタト同樣ニ、馬ノ食料モ非常ニ上ツテ
  居ル、ソレデアリマスカラ最近ノ麩高ノ如
  キハ、馬ノ飼養管理者ニハ非常ニコタヘテ
  居ル、豆粕ノ値ガ上ツタリ、麩ノ値ガ上ツ
  タコトニ對シテ、馬政當局トシテサウ云フ
  御考デハ、無關心デハナイカト思フ、馬之一
  ハ糠シカ食ハサヌノダ、アトノ藁ヤ干草ハ
  オ手ノモノダト云フヤウナ御考デオ居デニ
  ナリマスト、飼養管理者ノ方カラ言フト、
  是ハ當局ノ認識ヲ改メテ戴カナケレバナラ
  ヌコトニナリマス、一體麩ガ此ノ値段ダツ
  タラドウ云フ風ニ響クカ、今日農村ニ飼養
  管理サレテ居ル馬ニ、麩ガドノ位食ハサレ
  テ居ルカト云フヤウニ、モウ少シ綿密ニ地
  方ノ實情ヲ調ベテ戴キタイ、今ノ御說明ニ
  依ルト、馬ハマルデ糠ダケ食ツテ居テ、麩
  ヲ食ツテ居ラヌヤウナ御計算デアルガ、ソ
  レハ飛ンデモナイ間違ヒデアル、決シテソ
  ンナモノデハナイ、是ハ餘程考ヘ方ヲ變へ
  テ戴イテ、モツト〓〓麩ノ値上リト云フモ
  ノニ付テモ關心ヲ持ツテ戴カナケレバナル
  マイト思フ、是等ハ明ニ私ハ當局ノ認識不
  足ナリト云フコトヲ申上ゲナケレバナラヌ
  ト思フ、同時ニ私ノ申上ゲルノハ、百圓ニ
  對シテ三十七圓ト云フ數字ヲ申上ゲテ居ル
  ノデアツテ、是ガ多イトカ少イトカ-財
  政ノ都合上是ヨリ出セナカツタト云フコト
  ハ私モ認メル、併シナガラ財政ノ都合上出
  セナカツタノハ出セナカツタノデアルケレ
  ドモ、元ガ百圓ト云フモノガ三十七圓デ、
  ソンナニ不足ヲ言フコトハナイノヂヤナイ
  カト云フコトニナルノデスガ、ソンナ認識
  ハ改メテ戴キタイ、一體利用方面カラ馬ノ
  問題ヲ論ジマスル場合ニ、ドノ位一年間ノ
  飼養管理費ガ掛ルコトガ妥當カト云フ計算
  ニ付テ、再認識ヲシテ戴キタイ、サウ云フ
  コトデ是ダケ實際ハ掛ツテ、是ダケ農村ニ
  付テ利用價値ガアルノダ、併シ是ダケノ不
  足ハドウシテモ出テ來ルト云フ計算ヲハツ
  キリ示シテ、ソコニ農村ガ國家、國防ノ爲
  ニ必要ナモノヲ、是ダケ負擔シテ居ルノダ
  ト云フコトヲ明瞭ニシテ戴キタイ、決シテ
  算盤勘定ヤ義理ヅクデ私ハ申スノデハナイ、
  國家ノ問題デアリマスカラソレガドウ云フ
  コトニナルノダ、サウ云フコトヲ申スノヂ
  ヤアリマセヌケレドモ、往々ニシテ此ノ頃
  金持ガ百万圓ヲ寄附シタトカ、五十万圓寄
  附シタトカ云フト、馬鹿々々シイ位ニ國家
  ノ爲ニ忠節ノ念ガアルヤウニ世間デ言フケ
  レドモ、一體今日我國ノ農村ガ國家ノ爲ニ
  働イテ居ルコトハ、ソンナ程度ノ問題ヂヤ
  ナイト云フコトヲ吾々ハ明瞭ニシタイ、ソ
  レデ私ハ申上ゲルノデアルガ、其ノ場合ノ
  政府ノ計算ガ如何ニモ杜撰デアル、デアル
  カラ斯ウ云フ立法ヲセラレマス場合ニハ、
  今後ニ於テハ何處マデモ百五十万ノ立派ナ
  馬ヲ作レト云フコトデ、ドシ〓〓施設セラ
  レルデアリマセウケレドモ、施設ノ根本觀
  念ニ於テ、サウ云フ風ニ違ツテ居ルノデハ
  困ルト云フコトヲ、諄イヤウデアルケレド
  モ申上ゲルノデアリマス、此ノ認識ヲ次ノ
  機會マデニハ是非御改メヲ願ヒマシテ、サ
  ウシテ明年度ノ豫算ヲ御決メニナリマス場
  合ニハ、明瞭ナル數字ノ基礎ノ上ニ立ツテ
  農村ノ負擔ガ幾ラ、國家ノ負擔ガ幾ラト云
  フヤウニシテ、農村ニ補助ヲスルノヂヤナ
  イ、國家ガ負擔ヲシ、農村モ負擔ヲスルノ
  ダ、共ニ負擔ヲスルノダト云フ觀念デ、
  之ヲ明瞭ニ御示シ願ヒタイ、恰モ之ヲ農
  村ニ對シテ災害ノ救助費カ何カヲ出スヤ
  ウニ御考下サルコトハ甚ダ迷惑デアル、政
  府ニ金ガナイカラ農村ニ金ヲ出シテ貰フ
  ト云フヤウニ、考ヲ變ヘテ貰ハナケレ
  バイカヌ、此ノ點ヲ明瞭ニスルト同時ニ
  更ニ進ンデ御尋致シタイノハ、私ハ餘リ
  此ノ方面ニ〓究モアリマセヌノデ申兼ネマ
  スシ、又ドウセ軍ノ方モ祕密會デナケレバ
  御發表ガ願ヘナイカモ知レマセヌガ、百五
  十万頭計畫ノ中デ、我ガ國防上必要ナル馬
  ノ頭數ト云フモノハ、成ベク多イコトヲ望
  マレルデアリマセウケレドモ、勿論百五十
  万頭ノ中ノ何割デアルト思フノデアリマス、
  ソコデ私ハ優良適格ナル馬ヲ儼トシテ保有
  スルト云フコトニ、政策ヲ御變ヘニナル譯
  ニハ行キマセヌカドウカト云フコトヲ御聽
  キシタイノデアリマス、之ヲ申上ゲル所以
  ノモノハ、先程來私ガ申上ゲマスルヤウニ、
  何トシテモ農村ノ經濟ノ上カラ申シマス
  ト、馬ヲ飼フヨリ他ノ家畜ヲ飼養スル方ガ
  經濟デス、デアリマスカラ集中的ニ馬ニ對
  シテ、國防上必要ナル馬ハ是ダケ是非必要
  デアル、是ダケノ馬ハ政府ガ買上ゲテ、軍
  ノ方デ飼養管理シテ居ラレル分ハ幾ラ、其
  ノ他ハ適當ナル農村ニ對シテ、飼養管理ヲ
  委託サレルト云フヤウニ御考ニナル方ガ適
  切デハナイカ、斯ウ云フ氣持ガスルノデア
  リマスケレドモ、如何デゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=130

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• 131・佐々木登

  ○佐々木說明員　私ガ代リマシテ御說明致
  シマス、徵發令ノ關係カラ申シマスト、十四
  條ニ示サレマシタル或ル特定ノ馬以外ノモ
  ノハ、徴發ノ對象ニナリ得ルモノデアリマ
  ス、其ノ全部ニ對シテ色々ノ施設ヲ致シマ
  セヌト、戰時必要ノ馬ノ全部ヲ「カバー」シ
  タコトニナラナイノデアリマス、併シ國防
  上ノ必要ト申シマシテモ、或ル順序ガアリ
  マスノデ、此タビ施設ヲ致シマス軍用保護
  馬ト申シマスモノハ-是ハ數字ハ一寸御
  遠慮致シタイノデアリマスガ、軍用保護馬
  ニ致シマス總數ハ、徵發上カラ申シマスレ
  バ、極メテ重要ナルモノデゴザイマス、之
  ニ施設ヲ集中致シマス譯デアリマス、併シ
  ナガラ之ヲ以テ外ノモノハ全部徵發ノ對象
  ニナラナイカト申シマスト、是ハ先程モ申
  シマシタ通リ、必要已ムヲ得ザル場合ニハ徵
  發ノ對象ニナルノデゴザイマスケレドモ、
  一應ハ絕對必要ノモノト云フ考ヘ方カラ、
  除イテ考ヘテ宜イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=131

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• 132・河野一郎

  ○河野委員　私ハ其ノ點ニ付テノ認識モハ
  ツキリ致シテ居リマセヌノデ、尙ホ色々ノ
  機會ニ申上ゲタイト思ヒマスガ、次ニ私ガ
  御尋致シタイノハ、將來日滿ヲ通ジテ計畫
  云々ト云フコトニナツテ居リマス、他ノ家畜
  モ無論同樣デアリマスケレドモ、馬ニ付テ
  生產ノ奬勵、之ニ向ツテ改良ノ施設ヲ御加
  ヘニナラナケレバナラヌコトハ勿論デアリ
  マスガ、併シナガラ何處マデモ平時ニ於テ
  利用價値ガドノ程度ニアルカ、ソコニ價額
  ト云フモノガ生レテ來ルト思ヒマス、デア
  リマスカラ、生產ノ方面カラ考ヘマシテ
  モ、馬ノ利用價値ヲ增進セシムル、利用價
  値ノ足ラナイ分ニ付テハ、政府ノ補助ナリ
  特殊ノ施設ガ入用デアルト云フコトハ、申
  上ゲルマデモナイト思ヒマス、然ルニ我國
  ノ現下ノ事情カラ考へマシテ、之ヲドノ程
  度マデ國內ニ保有シ、國內ニ利用價値ヲ生
  ゼシメルカト云フコトニ付テハ、現在ノ種
  馬其ノ他ノ關係カラ、今御示ニナツテ居リ
  マス計畫ハ、主トシテ一朝有事ノ際ニ於ケ
  ル利用價値ヲ深メル施設ガ多イヤウニ思ヒ
  マッ、所ガ平時ニ於キマスル馬ノ利用價値
  ヲ增加セシムルコトハ、取モ直サズ馬ノ增
  產奬勵トナリ、保有ノ數ノ增加ヲ來ス所以
  デアルト思ヒマスガ、此ノ方面ニ對スル相
  當思切ツタ施設ガナケレバナラヌト思フノ
  デアリマス、ソコデ、今日マデノ實情ニ付
  テ考ヘマスノニ、例ヘバ地方競馬ノ關係等
  カラ申シマスト、主トシテ利用地ニ於テ地
  方競馬ハ盛デアリマス、生產地ニ於テ、農
  村ノ實情カラ申シマシテ、比較的ニ地方競
  馬ハ收入ガ少イト云フ所ニ、或ル程度ノ調節
  面ヲ私ハ見出スコトガ出來ルト思ヒマス、之ヲ
  今囘中央ニ於テ統制ヲセラレル其ノ施設ニ
  付テモ、中央的ノ「イデオロギー」デオヤリニ
  ナルト云フコトニナルト、利用方面ト生產方
  面ノ關係ニ付テ、餘程當局ニ於テ明瞭ナ御認識
  ガナイトイカヌト思ヒマス、從來ノ利用地方面
  ニ於テヤリ來ツタ所ノ施設ヲヤリマスニハ、ソレ
  相當ニ經費等モ要スルノデアリマス、之ヲ
  一朝全國畫一的ノ奬勵方法ト云フコトニセ
  ラレマスト、例ヘテ申セバ都會附近ニ於テ
  ハ各種ノ物價ガ高イ、物資ガ高イ、又馬ノ
  利用ヨリモ他ノ利用力ガ多イト云フ關係ニ
  ナリマスノデ、順次馬ノ利用價値ガ地方的
  ニナツテ來テ、本當ニ今日利用サレテ居ル
  適格馬ノ如キニ付テモ、或ル程度ノ變化ヲ
  來スデハナイカト、素人考ナガラ考ヘテ居
  リマス、是等ニ對スル御認識ハ如何デアリ
  マスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=132

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• 133・佐々木登

  ○佐々木說明員　私カラ御說明申上ゲマス、
  全ク御說ノ通リデアリマス、利用ニ關スル
  奬勵ト、得ントスル馬ニ對スル要求トガピ
  ツタリ合フ奬勵ノ方法ガ一番宜シイノデア
  リマス、併シナガラ現在各方面ニアリマス
  地方競馬等モ、奬勵ニ關スル一ツノ施設ト
  云フ見方ヲ致シマスナラバ、或ル種類ノモ
  ノニ付キマシテハ、軍用ノ適格馬或ハ軍用
  ニ最モ良イト云フ馬ヲ得ル爲ニ、色々ノ障碍
  ガアルノデアリマス、然ラバ是等ヲ許シテ
  置イテモ宜イデハナイカ、斯ウ云フヤウナ
  考へ方モ出來ルノデゴザイマスケレドモ、
  一頭デモ多ク成ベク軍用ニ適スル馬ニ考ヘ
  タイト云フヤウナコトカラ考ヘテ參リマシ
  テ、此ノ利用ノ範圍ナリ、程度ナリ、或人
  利用ノ方法ナリト云フヤウナモノニ對シテ、
  統制的ナ考ヲ持ツテ參ツタノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=133

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• 134・河野一郎

  ○河野委員　少シ私ノ申上ゲマシタコトガ
  足リマセヌ爲ト思ヒマスガ、私ノ申上ゲマ
  スノハ、地方競馬ニ依ツテ得ル所ノ資源、
  之ヲ利用スルコトニ依ツテ、各地方ニ於テ
  相當ノ馬ノ施設ヲシテ居ル、是ハ中央ニ鍛
  鍊馬中央會、其ノ他中央團體ニ於テ、是等
  ノ經費ヲ統制シテ、之ヲ全國劃一的ニ分配
  サレルコトニナリマスト、ソコニ非常ナ變
  化ガ起リマス、從來ノヤウナ各府縣ノ分布
  率等ニ付テモ非常ナ變化ガ起ル、是ハ決シ
  テ好イ結果ニナルマイト思フノデスガ、之
  ヲ實施サレタ後ニ付キマシテ、ドウ云フ御
  考ヲ御持チニナルカヲ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=134

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• 135・佐々木登

  ○佐々木說明員　私モ考違ヒヲ致シマシテ
  洵ニ恐縮致シマス、今ノ御話ノ事柄ニ付キ
  マシテハ、色々ナ角度カラ考ヘラレルト思
  フノデゴザイマス、ト申シマスノハ現在地
  方競馬ニ依ツテ上ツテ居リマス金ノ、現在
  ニ於ケル馬ノ方ノ事柄ニ對スル利用價値、
  ソレカラ他ノ利用ノコトヲ考ヘマス場合ニ、
  其ノ地域以外ノ方面ニ於テソレダケノ金ガ
  得ラレルカ、得ラレヌカト云フヤウナコト
  モ考ヘナケレバナラヌト思フノデゴザイマ
  ス、隨ヒマシテ今度考ヘテ居リマス施設ニ
  於キマシテハ、其ノ組合ノ實施致シマス鍛鍊
  馬競走ノ上リノ金ノ內カラ、一部ノモノヲ
  中央ニ集メマシテ、必要ナ方面ニソレヲ割
  イテ行カウト云フヤウナ事柄デアリマシテ、
  從來アリマシタ其ノ地方ダケニ特色ガアル
  ト申シマスカ、其ノ地方ノ特異性ニ依ツテ、
  必要ナモノマデモ取上ゲテ、中央デ他所ヘ
  持ツテ行カウト云フヤウナ考ハ更ニナイノ
  デアリマス
  〔佐藤委員長代理退席、大石委員長代理
  著席〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=135

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• 136・河野一郎

  ○河野委員　甚ダ諒イヤウデアリマスケレ
  ドモ、一部ト云フ御話デアリマスガ、其ノ
  一部ト云フノハドノ程度ノ分デゴザイマス
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=136

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• 137・荷見安

  ○荷見政府委員　只今申上ゲマシタ分ハ、
  今囘地方競馬ニ代ルベキ鍛鍊馬競走ニ依ツ
  テ得タ金額ノ一部ヲ、中央〓體ニ入レテ、
  サウシテ中央ノ方デハ鍛鍊馬ノ健全ナル發
  達ソレカラ地方競馬ノ廢止整理等ニ努メ
  テ居ルノデアリマスガ、之ヲ强度ニ納付致
  サセマスト、只今御話ニ出マシタヤウナ地
  方ノ施設ニ、著シイ變更ヲ來スデアラウト
  思フノデアリマス、其ノ點ハ成ルダケ地方
  ノ是マデノ事情ニ、非常ナ困難ヲ生ゼシメ
  ナイ程度ニ決メタイト思ツテ居リマス、是
  ハ上リ金其ノ他ノ工合ニ依リマシテ、表ノ
  ヤウナモノヲ作製シテ、取ツテ行クヤウニ
  シタイト思ヒマスガ、其ノ具體的ノ數字ハ
  マダ申上ゲルコトニナツテ居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=137

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• 138・河野一郎

  ○河野委員　申上ゲルコトニナツテ居リマ
  セヌト云フ御答辯ハ、私ハ甚ダ遺憾デアリ
  やく、一體サウ云フコトヲ述ベテ戴クコト
  ガ、吾々ノ審議ニ必要デアリマス、勿論吾
  吾此處ニ委員ニナツテ居リマス者ハ、何レモ
  議會內ニ於ケル馬產ニ關スル第一人者デア
  リマス、皆ソレ〓〓地方ニ於テ從來馬產ノ
  コト、一般ノ畜產ノコトニ關係ヲ持ツテ來
  タ者デアリマス、是ガ今此處デ公開シテ惡
  イトカ云フコトナラ、祕密會デモ開イテ吾
  吾ハ伺ハナケレバナラヌ、併シマサカ今案
  ガナイ譯デモアリマスマイシ、申上ゲルコ
  トニナツテ居リマセヌト云フヤウナコト
  デ、申サナイコトニシテ、アナタ方ガ勝手
  ニ御決メニナルト云フ筋ノモノデモナカラ
  ウト思フ、是ハ御話戴イテ、サウシテドノ
  程度ガ適當カト云フコトヲ、御協議ノ上ニ
  御進メニナルコトガ適當デアリマス、是ハ
  役人ダケデ決メナケレバ弊害ガアルト云フ
  問題ナラバ、ソレハ吾々トシテ斷ジテ承服
  出來マセヌ、吾々ト雖モ內ラニ於テオ前ノ
  所デハ幾ラ出セ、オ前ノ方ハ幾ラ出セト言ツ
  テ喧嘩ガ起ツタナラバ、役人ガソレハイ
  カヌ、此ノ程度デ纏メロト云フコトハ宜イ
  カモ知ラヌケレドモ、是ハ役人ト民間ト協
  力シテ、現在ノ實情ニ最モ適合スルヤウニ
  決定スベキモノデアル、之ヲ役所ダケガ決
  メテ、マダ申上ゲヌ方ガ宜イト云フサウ云フ
  態度ハイカヌト思フノデアリマス、是ハ私ハ
  承服致シマセヌ、今玆デ案ガ無イナラバ、
  次ノ機會マデニ相談シテ來ルトカ、何トカ
  云フコトデ御答辯ヲ戴カナケレバ、吾々ト
  シテハ是ハ重大問題デアリマスカラ、承服
  致ス譯ニハ參リマセヌ、重ネテ御答辯願ヒ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=138

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• 139・荷見安

  ○荷見政府委員　私ハサウ云フ風ニ申上ゲ
  タ積リデハナイノデスガ、大體具體的ノ數
  字ハ成績ヲ見ナイト分ラヌノデアリマス、
  是ハヤツテ見ナケレバ分ラヌト云フコトハ
  御承知ノ通リダト思ヒマス、併シナガラ今
  申上ゲタ鍛鍊馬競走施行ニ差支ヲ起スト
  カ、或ハ殘額ニ付テ、是マデノ各競馬場ニ
  於キマシテ馬事施設等ニ使ツテ居ツタ金額
  ガアルノデアリマスカラ、サウ云フモノト
  モ見合セテ、大體ハ過去ノ實績カラ見マシ
  テ妥當ト認メラレル賞金デアルトカ、開催
  費ヲ控除シタ殘リノ中カラ納付金ヲ決メル
  コトニナリマスケレドモ、決メル時ニハ、是
  マデノ馬事施設ノ用途ニハドレ位、ドノ邊
  ニハドノ位使ツテ居ルト云フノデ、地方的
  ニ按排ヲシナケレバイカヌ、斯ウ云フ風ニ
  考ヘテ居リマスノデ、其ノ點ハ成績ヲ見テ
  行ク內ニ、確定シテ行クコトモアラウト思
  フノデアリマス、ダカラ實行セヌ內ハ一寸
  決メニクイト云フコトヲ申上ゲタノデアリ
  マス

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• 140・河野一郎

  ○河野委員　ドウモソレハ少シ話ガ違フノ
  デハナイデスカ、大體今度ノ案ヲ御立テニ
  ナル時ニハ-是ハ豫算デアリマス、無論
  見當ガアツテ、總テサウ云フ案ガ出來タ、
  例ヘバ鍛鍊馬中央會ヲ作ツテ、ソコヘ大體
  現在ノ地方競馬ノ賣上高ハ幾ラ、ソレニ對
  シテ步合ハ幾ラ、ソレヲ一體何分位地方ニ
  殘シテ、鍛鍊馬中央會ニ持ツテ來ルカ、持
  ツテ來テ鍛鍊馬中央會ニ仕事ヲヤラセル、
  ヤラセルニ付テハ三十七圓デ宜カラウト云
  フ總テ綜合的ナ案ガ出來テ居ルダラウト、
  吾々ハ敬意ヲ表シテ居ツタノデス、所ガサ
  ウ云フモノガナクテ三十七圓ハ百圓カラド
  ウシテ出來タカ、地方カラハ競馬ヲヤツテ
  見ナケレバ分ラヌ、サウ云フ認識デ斯ウ云
  フコトヲオヤリニナルコトハ大膽不敵デア
  リマス、ソレデ一體默ツテ三十七圓位デヨ
  ク承知ヲナサツタカト思フ、ソンナ程度デ
  ハソレハイケマセヌヨ、吾々ガ今聽カント
  スル所ノモノハ、吾々ト雖モ豫算ヲ見テヤ
  ラナケレバナラヌ、明年一月一日カラ實施
  スルニ付キマシテハ、來年ノ競馬ニ付テハ
  明年度ノ豫算ニハ入ラナイ、明日ニモ吾々
  ハ縣ノ畜產組合ノ豫算ノ審議ヲヤラウト、
  實ハ先刻當局ニ相談シテ居ツタ、一體其ノ
  場合ニ政府ノ方ハ鍛鍊馬中央會ニ何割位ノ
  モノヲ持ツテ行ク積リデアルカ、賣上金幾
  ラニ付テ最高ハ幾ラ、最低ハ幾ラト云フ率
  ガナケレバナラヌ、豫想ガアルナラバソレ
  ニ基イテ、大體ハ是レ位賣レルダラウ、サ
  ウスレバ此ノ位ノモノハ鍛鍊馬中央會ニ出
  シテ、其ノ殘リノモノハ縣內ノ施設ニドノ
  位使フ、サウシテ同時ニ鍛鍊馬中央會デハ、
  何ト何ノ仕事ヲ、ドウ云フ風ニナサルノダ
  ト云フ御示シガナケレバナラヌ筈デアル、
  ソレデナケレバ唯一遍中央ニ於テ百五十万
  頭、百六十万頭ト仰シヤツタ所ガ、仕事ヲ
  スルノハ吾々デス、地方デ吾々ガドウ云フ
  風ニ百姓ニ旗ヲ振ルカト云フコトガ大事デ
  ス、如何ニ縣廳ノ役人サンニ、アナタ方ガド
  ウ仰シヤツテ見テモ、吾々ガ地方ニ行ツテ
  ヤラナケレバ、是ハ絕對ニ行キハシマセヌヨ、
  ソレヲ議會ニ於テサヘ此ノ程度ノ御話デハ、
  是ハ迚モ御話ニナラヌ、馬匹協會アタリノ協
  議ガ調ハナケレバ、是ハ御話ニナラヌカラ、
  斯ウ云フ機會ニ吾々ハ徹底的ニ御說明ヲ何
  ツテ、サウシテ吾々トシテハ十分ナル認識ヲ
  得テ協力シタイ、斯ウ考ヘルノデアリマシ
  テ、若シソレ等ノハツキリシタ御答辯ガナ
  ケレバ、二日デモ三日デモ委員會ヲ休ンデ、
  サウシテ十分御〓究ノ上ニ御答辯願ツテモ
  宜シイ、マダ是ハ日ヲ急イデ居ル譯デハア
  リマセヌ、ドウセ貴族院ナンカ餘リ關係ナ
  イノデスカラ、サウ審議ハ掛カルマイト思
  フ、吾々兎ニ角常ニ第一線ニ立ツテ、此ノ
  軍馬ノ補充ニ付テハ總テノ問題ニ關係スル
  ノデアリマスカラ、十分ニソレ等ノ點ニ付テ
  腹藏ナク腹ノ底マデ割ツタ御說明ヲ願ヒタ
  イ、豫算ガ足リナケレバ私共ガ大藏省デモ
  何處ヘデモ出掛ケテ談判ヲ致シマス、ソレ
  デアリマスカラサウ云フ點ニ付テハ其ノ程
  度マデ一ツ此ノ際ハツキリ御聽カセ願ハナ
  ケレバナラヌ、同時ニ地方ノ奬勵費ニ付テ
  モ、今日牛耕ノ奬勵ヲヤレバ、馬耕ノ代リ
  ニ牛耕ガドン〓〓代ツテ行ク、ソレデ馬ノ
  利用範圍ト云フモノハ日今段々減ツテ來テ
  居ルノデアリマス、サウ云フ際デアリマスカ
  ラ「ガソリン」ガナクナツタナラバ、モツト馬
  力ヲ奬勵ヲスル、ソレニハ馬力ノ車位只買
  ツテヤルト云フヤウナコトマデヤツテヤリ
  タイ、サウシテ徹底的ニ馬ノ利用價値ヲ高
  メルヤウニ、施設ヲシナケレバナラヌト思
  ツテ居ル、先程來伺ツテ居リマスト、マル
  デ根本カラ考ガ違フ、外國ノ政策ヲ吾々ハ
  審議シテ居ルヤウナ氣分ガスル、三十七圓位
  ノ金ヲ出シテ、ソレデ農家ノ馬ガ維持サレ
  テ行クト御考ヘニナルコトハ、飛ンデモナ
  イ考へ違ヒデアリマス、今マデ出シテ居ラ
  ヌト仰シヤイマスケレドモ、各府縣ノ畜產
  組合デソレ〓〓出シテ居ル馬ニ對スル施設
  費ヲ集メテ、計算シテ御覽ナサイ、一體ド
  レ位出テ居ルカ、實ニ莫大ナルモノガ出テ
  居ル、是ハ一ツ改メテ御答辯ヲ願ヒマス

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• 141・荷見安

  ○荷見政府委員　來年ト申シマスカ、昭和
  十四年ノ地方競馬ニ付テハ、是ハ全然關係
  ノナイコトニナリマスノデ、鍛鍊馬ノ方ハ
  十五年以後ノ問題デアリマスカラ、十四年
  ノ豫算ニ付テハ從來通リ踏襲シテ戴キマス、
  ソレカラ尙ホ經費ノ納付率ニ付キマシテハ、
  是ハマダ實行シテ見ナイ案デアリマスカラ
  分リマセヌガ、之ヲ實行シタ場合、或ル程
  ·度變更スルト豫想シテ居ルノデアリマス
  ガ、抽象的ナモノハ御眼ニ掛ケラレルダ
  ラウト思ヒマス、大體地方競馬ノ馬事施設
  特別會計繰入金ノ年額ヲ申上ゲテ見マスト、
  昭和十二年ガ百八十三万圓、昭和十一年ガ
  百八十五万圓、昭和十年ガ二百七万圓、昭
  和九年ハ百九十五万圓、昭和八年ガ五十四
  万圓ト云フ風デゴザイマシテ、此ノ金額ヲ
  全額費シマシテモ、只今申上ゲテ居リマス
  ル軍用馬ニ對スル飼養助成金ヨリハ、餘程
  少額ニナツテ居リマス、而シテ先程陸軍ノ
  當局カラ申サレマシタヤウニ、是マデ何モ
  ナイノデ甚ダ成績ガ惡カツタ、今度ハ出來
  ルダケ政府デカヲ入レテ良クシヨウト云フ
  ノデアリマスカラ、此ノ程度デモ若干ハ改
  善サレルト思ツテ居リマス、併シ萬全トハ
  思ツテ居リマセヌ

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• 142・河野一郎

  ○河野委員　今御話ノ中確メテ置キタイ點
  ハ、ソレハ昭和十五年ノ四月一日カラ鍛鍊
  馬中央會デヤルコトニナルノデアリマスカ、
  吾々畜產組合ノ豫算ハ昭和十四年ノ四月一
  日カラ十五年三月三十一日マデニナリマスノ
  デ、昭和十五年四月一日カラト云フコトニナ
  リマスト、其ノ間ニ地方競馬ハ必ズ一囘位
  開催サレルト思ヒマス、其ノ關係ハドウナ
  ルカ、吾々ハ疑問ニ思フノデス、ソコデ當
  然今私ガ申上ゲタヤウニ明年度ノ畜產組合
  ノ經費トシテハ競馬ノ開催費ガ一囘ダケ
  入ツテ來ルノデアルリマス、ソレヲ吾々ハ
  懸念致シテ居ルノデアリマス、其ノ次ニ
  今馬車施設費云々ト云フ御話デアリマシタ
  ガ、斯ウ云フコトヲ御考ヘ願ヘヌモノ
  カト思フ、卽チ最近ノ馬ノ値上リハ三十
  圓ヤ五十圓ノモノデナイ、馬ハ御承知ノ通
  リ或ル年限飼養管理致シマスト、牛ト違ツ
  テ之ヲ處分スル場合ニハ本當ニ安イモノデ
  アリマス、隨テ今日之ヲ廢馬致シマス時ニ
  農家ガ過去ニ馬ヲ買ツタ時ノ値段ト今日馬
  ノ値上リニナツテカラ廢馬致ス場合ノ金額
  ノ差額ヲ御計算ニナルト、ドレ位ノ數字ニ
  ナルカ、是ハ相當ノ金額ニナリマス、ソレ
  ダケデモ農家ノ負擔ハ大キクナルト思フ、
  モウ一遍申上ゲレバ今ノ馬ノ相場デ農家ガ
  買入レテ、或ル程度飼養管理シテ之ヲ廢馬
  致シマス時ノ金額ト昔買ツタ馬ヲ廢馬致シ
  マス時ノ金額トノ間ノ開キハドレ位カ、現
  在馬肉ハソンナニ高クナツテ居ル譯デモナ
  イ、所ガ馬ノ値段ハ相當上ツテ來タ、此ノ
  農家ノ負擔ダケデモ相當ナモノガアル、是
  ダケデモ今御話ニナリマス所ノ二十圓ヤ三
  十圓デハ換ヘラレナイ農家ノ負擔ガアル、
  サウシテ百圓、百五十圓モ餘計出サナケレ
  バ馬ガ買ヘナイト云フコトニナルト、之ニ
  對スル農家ノ負擔モ相當ニ多イモノガアル
  ノデアリマス、是等ニ付テモ餘程御考へ直
  シヲ願ハナケレバナラヌ、私ハ先程來政府ニ
  對シテ御尋ヲ致シマシテ自分デ考ヘマスコ
  トハ、政府ガ根本カラ考ヘ方ヲ變ヘテ戴カ
  ナケレバ旨ク行カヌダラウト云フコトデア
  リマス、斯ウ云フ風ナ政策ヲオ立テニナツ
  テオヤリニナツテモ、今マデト結局變ツタ
  コトナシニ、極端ナコトヲ申セバ地方競馬
  ヲ今日司法省ガ頑張ルノカ、內務省ガ頑張
  ルノカ、何處ガ頑張ルノカ知レマセヌケレ
  ドモ、非常時ニハ非常時ナリノ考ヲ以テヤツ
  テ戴カナケレバナラヌノニ、ヤレ射倖心ガ
  ドウトカ、犯罪人ガ何人出タトカ詰ラヌコ
  トニ囚ハレテ、競馬ノ監督ヲシテ、サウシ
  テ競馬ヲ萎縮セシメルト云フヤウナ結果、
  馬ニ對スル觀念ヲドン〓〓薄ラガセル所ノ
  損失ノ方ガ如何ニ大キイカト云フコトヲ、
  御考願ハナケレバナルマイト思フ(拍手)是
  ハ軍部農林省共々大藏省ニ對シテ、ヤリ方
  ガ柔カ過ギル、モツト思切ツテ肚ヲ決メテ、
  シツカリト認識ヲ改メサセル必要ガアル、
  ソレト同時ニ司法省ナリ內務省ナリニ向ツ
  テ、競馬ニ對スル觀念ヲモウ少シ變ヘサセ
  ル必要ガアル、勿論吾々ト雖モ國法ハ儼ト
  シテ之ヲ曲ゲルコトガ出來ナイコトハ能ク
  承知シテ居リマス、併シ一面ニ於テ競馬ガ
  今日ドノ程度ニ馬產政策上ニ於テ、役立ツ
  テ居ルカト云フコトノ認識ヲシテ貰ハナケ
  レバイカヌ、警保局長ノ如キ此ノ間モ此處
  ニ來テ小串君ノ質問ニ答辯シテ居ルノヲ聽
  イテ居ルト、競馬ノコトハチヨツトモ知ラ
  又、競馬ノコトヲチヨツトモ知ラヌ役人ガ
  出テ來テ、競馬取締ヲ論ズルガ如キハ滑稽
  千萬ダト思フ、サウ云フ觀念ノ人ニ馬ノコ
  トヲ論ジテ貰フカラ間違フノデアリマス、
  ドノ程度ニ政府ハ馬ニ付テ農民ニ對シテ要
  求スルモノガアルノダト云フコトヲ、ハツ
  キリシテ貰ハナケレバイカヌ、ソコデ補助
  ト云フヤウナ觀念ヲ棄テテ貰ヒタイ、是ハ
  政府ガ其ノ一部ノ負擔ヲスル、辨償ヲスル
  ト云フ觀念ニ、其ノ考ヘ方ヲ變ヘテ貰ハナ
  ケレバイカヌ、此ノ觀念ガ變ラヌ內ハ、ド
  ウシテモ大藏省デ農家ニ補助ヲスルノダ、
  競馬ヲヤラシテ其ノ競馬デ得タ所ノモノヲ
  以テ補助ヲスルノダト云フ觀念デアリマス
  カラ、ソコニ違ヒガ起ツテ來ル、モウ一ツ
  ハ公認競馬ニ關スル觀念ト、地方競馬ニ關
  スル觀念トノ相違ガ餘リニ大キイコトヲ、
  吾々ハ遺憾ニ思フノデアリマスガ、一體ド
  ウシテソンナニ大キナ觀念的ノ相違ヲ持ツ
  必要ガアルノカ、公認競馬ハ紳士トカ偉イ
  人ガ關係シテ居ルカラ、アレダケ公認競馬
  ニ特殊ノ待遇ヲシナケレバナラヌノカ、公
  認競馬カラハ國庫ニ對スル納付金ガ多イカ
  ラ公認競馬ニ對シテハ、アア云フ觀念ヲ持
  ツ必要ガアルノカ、地方競馬ハ何故ニサウ
  云フ風ニ觀念的ニヤカマシク言ハナ
  ケレバナラヌノカ、他府縣ノ馬ガ來テ
  飛ンダ所デ、何ガ一體惡イノカ、地理
  的ニ或ル程度ニ全國ヲ區分シテ、ソコニ
  共同シテ、地方競馬ノ認識、馬ニ對スル認
  識私ノ茲ニ申上ゲル所以ノモノハ、
  多少意味ハ違フカモ知レヌガ、一箇所ニ數
  万ノ縣民ヲ集メテ、其ノ縣民ニ對シテ隣ノ
  縣ニハ斯ウ云フ立派ナ馬ガ居ル、何處ノ縣
  ニハ斯ウ云フ立派ナ馬ガ居ルト云フコトデ、
  縣內保有馬ニ對スル競爭ヲサセルコトモ一
  ツノ方法ダト思フ、自分ノ縣內ダケデ一箇
  年ニ六日ヤ八日ノ競馬ヲヤラセテ見タ所デ
  ソンナ所へ出テ走ル爲ニ馬ニ餌ヲ食ハセル
  譯ニハ參ラヌ、麥糟ヲ食ツタ馬ガ競馬ニ出
  テ走ツタラ一體ドンナコトニナルカ、ソンナ
  馬ニ飛ベル筈ハアリマセヌ、是等ニ對シテハ
  根本的ニ御考ヘ方ガ違ツテ居ルノデハナイカ
  ト私ハ思フ、私ハ此ノ馬政計畫ノ根幹ニ疑義
  ヲ持ツノデアリマス、甚ダ失禮ナ申上ゲヤウ
  デアリマスケレドモ、五年ヲ出デズシテ此ノ
  馬政計畫ハ根本カラ考へ直シヲシナケレバナ
  ラヌコトニナルダラウトサヘ、私ハ別ノ機會
  ニ言ツタコトガアル、他ノ畜產家ノ集リニ
  於テ、私ハソンナ風ナ雜談ヲシタコトガア
  ル位ナ認識ヲ持ツテ居ル、我國ノ馬政計畫
  ニ對シテ御熱心ナコトニハ敬意ヲ表シマス
  ケレドモ、農村ニ對スル根本ノ認識ノ私達
  ト違フコトニ對シテ、甚ダ遺憾ノ意ヲ私ハ
  表明スル者デアリマス、是等ニ付キマシテ
  ハ、何レ適當ナ機會ニ-今日ハモウ時間
  モ既ニ五時ニナリマスカラ、私ノ質問ハ留
  保致シマシテ、農林大臣、陸軍大臣等ニ就
  テ、場合ニ依ツテハ大藏大臣等ニ就テ徹底
  的ニ所見ヲ述ベテ見ル考デアリマスカラ、
  其ノ機會ヲ與ヘラレンコトヲ委員長ニ御願
  致シマシテ、私ハ今日ハ此ノ程度デ止メマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=142

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• 143・荷見安

  ○荷見政府委員　地方競馬ノ廢止、詰リ只
  今ノ條文デ言フト、軍馬資源保護法第三十
  三條ノ施行ハ、前々申上ゲルヤウニ、昭和
  十五年一月一日ヨリト致シタイ見込ヲ持ツ
  テ居ルノデアリマスカラ、此ノ點一點、ソ
  レカラ馬ノ値上リガ今甚シイノデアリマシ
  テ、之ヲ農家ガ購入シテ利用シテシマツタ
  場合ト、馬ノ値ノ下ツテ居ツタ時購入シテ、
  軈テ處分スル場合ト比ベテ、其ノ損益關係
  ハドウカ、ソレハ御話ノ通リ高イ時ニ購入
  致シマシタモノノ方ガ、損失ノ大キイコト
  ハ當然デアルト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=143

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• 144・河野一郎

  ○河野委員　ドノ位ノ割合カト云フノデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=144

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• 145・荷見安

  ○荷見政府委員　ソレハ利用方法ノ如何ニ
  依リマスカラ、一〓ニハ申サレヌノデアリ
  そく、馬ニ關スル觀念ノ普及ガ、地方競馬
  ヲ廢スルコトニ依ツテ弱ツタナラバ非常ニ
  困ル、是ハ其ノ通リデアリマスガ、ソレニ
  代ルベキモノトシテ鍛鍊馬競走ノ如キヲ認
  メル、鍛鍊、競技ノ如キモ實行スルト云フ各
  種ノ方策ヲ講ジテ、尙ホ利用奬勵ノ方法等
  モ講ジタイト考ヘテ居ルノデアリマス、ソ
  レカラ軍用保護馬ニ對スル補助金ヲ、競馬
  ノ賣得金デヤルト云フコトハ、甚ダ怪シカ
  ラヌト云フ御話ノヤウニ思ヒマスガ、今囘
  ハ競馬ノ賣得金ニ限リマセヌ態度ヲ大藏當
  局モ是認シテ居ルノデアリマシテ、是ハ其
  ノ一部分ニ充テルニ過ギナイノデアリマス
  カラ、此ノ點ハ御心配ハナカラウト思ヒマ
  ス、ソレカラ他府縣ノ鍛鍊馬競走ニ出走セ
  シムルコトガ、却テ適當ナノダト云フ御話
  デアリマスガ、是ハ關係當局ノ間ニ於キマ
  シテモ、馬ノ資源保持上、適當デナイト考
  ヘテ居ルノデアリマスカラ、結論ダケヲ簡
  單ニ申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=145

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• 146・大石倫治

  ○大石委員長代理　今日ハ此ノ程度ニシテ、
  先刻小野君、永田君、小笠原君等カラ御要
  求モアリ、其ノ他ノ方々ノ御希望ノアリマ
  ス陸軍大臣ノ出席御都合ハ、二十日ハ午前
  ハ駄目デアリマシテ、午後カラ出來ルカモ
  知レナイ、仍テ其ノ際ニハ委員課ヘ返答ス
  ルト云フ譯デアリマス、農林大臣ハ貴族院
  ノ豫算總會ノ都合上、二十日ノ午前ハ出席
  出來ナイ、午後カラナラ出席スルト云フコ
  トデアリマス
  〔「ソレデハ二十日午後一時カラ開會シ
  テ下サイ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=146

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• 147・大石倫治

  ○大石委員長代理　ソレデハ本日ハ此ノ程
  度デ散會致シマシテ、明日ハ日曜デアリマ
  スカラ休會デアリマス、明後月曜二十日ハ
  午後一時ヨリ開會致シマス、本日ハ是ニテ
  散會致シマス
  午後四時五十七分散會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007410617X00619390218&spkNum=147

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