1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十四年二月二十三日(木曜日)午前十時五十五分開議
出席委員左の如し
委員長 野村嘉六君
理事 武知勇記君 理事 長野高一君
理事 曾和義弌君 理事 一ノ瀬俊民君
多田滿長君 佐藤與一君
長野長廣君 樋口善右衞門君
田子一民君 猪野毛利榮君
河合義一君 椎尾辨匡君
出席國務大臣左の如し
文部大臣 男爵 荒木貞夫君
出席政府委員左の如し
文部政務次官 小柳牧衞君
文部參與官 野中徹也君
文部省實業學務局長 小笠原豐光君
文部省社會教育局長 田中重之君
文部省宗教局長 松尾長造君
本日の會議に上りたる議案左の如し
青年學校教育費國庫補助法案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=0
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001・野村嘉六
○野村委員長 是カラ開會致シマスー-田
子君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=1
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002・田子一民
○田子委員 極ク簡單ナ資料ヲ戴キタイト
思フノデアリマス、此處ニ戴イテ居リマス
靑年學校ノ昭和十三年四月末日現在ノ現況
ニ依ツテハ一寸算出ガ困難デアリマスカラ、
校長ノ平均給、ソレカラ專任〓員、是デハ
男女ガ分レテ居リマセヌガ、男女ニ分ケマ
シテ是ノ平均額、ソレカラ其ノ他ノ〓員、
是モ男女ニ分ケテ御示ヲ願ヒタウゴザイマ
ス、次ニハ昭和二十年度ノ完成年度ニ於キ
マスル義務者ノ負擔トナルベキ金額ノ見込
デアリマス、義務者ガ凡ソドレダケノ負擔
ヲスルカト云フ御調ヲ願ヒタウゴザイマス、
ソレカラ義務制ヲ御施行ニナルニ付テ、若
シ御調ガアリマシタナラバ義務者ノ生計狀
態、收入ト支出、是ハ全國的ニオヤリデハ
ナカラウト思ヒマス、或ハ都市トカ農村ト
カデ、試ミニ御調ニナツタモノガアルカト
思ヒマスカラ、ソレノ極ク大雜把ノモノデ
宜シウゴザイマス、アレバ御示ヲ願ヒタウ
ゴザイマス、ソレカラ内務省ノ方ハ居ラレ
マセヌカ、此ノ間庄司委員ガ御發言ニナリ
マシタ中ニ、內務省カラ、昭和十四年度豫
算ハ十三年度當初豫算ノ五分減ト云フコト
ノ通牒ガ出テ居ルト云フコトデアリマスガ、
此ノ通牒ノ其ノ點ニ關シテダケノ寫シヲ戴
キタウゴザイマス、是ダケデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=2
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003・田中重之
○田中政府委員 只今田子委員ヨリ御要求
ノアリマシタ資料デゴザイマスガ、昭和十
三年度ニ於ケル極ク細目ノ計數ト云フノハ
マダ町村カラ集ツテ居リマセヌカラ、集計
ガ出來ナイ點ガゴザイマス、就キマシテハ
昭和十二年度ニ付テノ資料ヲ差上ゲルコト
ニナルト思ヒマスノデ、ソレデ御諒承ヲ願
ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=3
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004・田子一民
○田子委員 ソレデ結構デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=4
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005・野村嘉六
○野村委員長 河合君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=5
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006・河合義一
○河合委員 私ハ大臣ノ御見エガ遲イフ
デ、是非大臣ニ聽イテ戴キタイト思ツテ居
リマシタノデスガ、餘リ時間ヲ空費スルノ
モイケナイト思ヒマシテ、社會〓育局長ノ
御耳ニ入レテ置イテ、ソレデ我慢ヲショウ
ト思ツテ居リマシタガ、只今御出デ下サイ
マシテ、甚ダ有難ク感謝致シマス、實ハ本
會議ニ於テ私ガ質疑ヲ致シマシタ際ニモ、
御用ノ都合デ御出席ガナカツタノデアリマ
ス、多分私ガ質問致シマシタ件ニ付テハ、
御多忙ノ折柄デモアリマスカラ、或ハ速記
錄ヲ御覽ニナツテ居ナイカト思ヒマスガ、
或ハ又他ノ方法デ政府委員ノ方ガ大臣ニ御
傳へ下サツタコトガアルカトモ思フノデア
リマスガ、其ノ邊ガ私ハ分リマセヌカラ、
本會議ニ於キマシテ私ガ質問致シマシタ筋
ニ基キマシテ御尋ヲシタイト思フノデアリ
マス
第一ニ、私ハ靑年學校ノ〓育ガドウモ輕
視サレテ居ルノヂヤナイカ、斯ウ云フコト
ヲ考ヘザルヲ得ナイノデアリマス、此ノ靑
年學校ハ、勅令デ定メラレマシタ靑年學校
令ト云フモノニ基イテ運營サレテ居ルノデ
アリマスガ、此ノ事ニ付キマシテハ、法律
ヲ以テ制定シナクテハナラヌノヂヤナイカ
ト云フ御意見モ、過日來再三聽イタノデア
リマス、又政府當局ノ答辯ノ中ニモ、靑年
學校令ヲ改メルト云フヤウナコトヲ承リマ
シタカラ、間モナクサウ云フ運ビニナルト
思フノデアリマスガ、今マデノ訓令ナドヲ
見マシテモ、ドウモ靑年學校ナルモノガ甚
ダ輕視サレテ居ルヤウニ私達ハ考ヘルノデ
アリマス、其ノ一例ト致シマシテ、昭和十
年四月一日ノ文部省ノ訓令第二號ナルモノ
ヲ見マスルト、「此等男女靑年ハ〓ネ業務ノ
餘暇ニ於テ修學スルモノ」デアル、斯ウ云フ
コトガ規定サレテ居ルノデアリマス、此ノ
餘暇ト云フ文字ノ解釋如何ニ依ツテハ、甚
ダ弊害ガ生ジテ來ルト思フノデアリマス、
本年ノ靑年學校〓育費國庫補助法案ナルモ
ノヲ見マシテモ、豫算ノ金額カラ申シマスト極
ク些少ナモノデアリマスシ、サウ大シタ法案
ノヤウニモ見エヌノデアリマスケレドモ、是
ハ其ノ片鱗ヲ現ハシタモノニ過ギヌノデアリ
シテ、靑年學校ノ國家ニ負ウテ居ル所ノ使
命カラ申シマスナラバ、相當靑年學校ト云
フモノハ重大ナ案件デアルノデアリマス、
ソレデアリマスカラ靑年學校ノ本來ノ使命
ナルモノカラ考ヘマシテ、是ハ相當重大視シ
テ議會ニ於テモ取扱フベキモノデアルト私
ハ信ジテ居リマス、餘暇〓育ト云フヤウナ、
或ハ世間カラ誤解ヲサレルヤウナ言葉ガ依
然トシテ活キテ居ルト致シマスナラバ、私
ハ遺憾ニ思フノデアリマスカラ、斯ウ云フ
點ハ將來靑年學校令ヲ改正サレル時ニハ十
分御考慮ヲ願ヒマシテ、靑年學校在來ノ使
命ニ付テ、モウ少シ鄭重ニ御取扱ヲ願ヒタ
イト思フノデアリマス、先ヅ第一ニ本會議
デ私ガ伺ヒマシタノハ此ノ點デアツタノデ
アリマス
次ハ靑年學校費ノ國庫負擔デアリマス、
私ハ是ハ全額國庫デ負擔スベキモノデアル
ト心得テ居ルノデアリマス、現在ノ狀態カ
ラ申シマスト、全國ノ各府縣デ負擔シテ居
リマス費用ノ僅カ一割三分位シカ、國庫カ
ラ出テ居ラヌ譯デアリマス、國家ハ靑年ニ
非常ニ多クヲ期待シテ居ルノデアリマス、
或ハ生產力擴充ノ上カラ申シマシテモ、知
能ト云フコトハ非常ニ重大ナルコトデアリ
やべ、又軍備ノ點カラ考ヘマシテモ、人的
資源ト云フコトハ非常ニ重要ナ問題デアリ
マスカラ、斯ウ云フ重要ナル色々ノ點ヲ國
家ガ靑年ニ對シテ要求シテ居ルト致シマス
ナラバ、先ヅ第一ニ私ハ與ヘナクテハナラ
スト思フノデアリマス、現在ノ狀態カラ申
シマスト、地方ノ財政ハ餘程窮迫シテ居リ
マシテ、地方財政調整補給金ノ交付ヲ受ケ
マシテ、漸ク世帶ヲヤツテ居ルト云フヤウ
ナ狀態デアリマシテ、此ノ上ニモ本年地方
ノ人達ノ要求シテ居リマス所ハ、六千万圓
ノ補助金ヲ吳レトカ、或ハ增額セヨトカ云
フヤウナコトヲ頻リニ申シテ居リマスガ、
私ハ元來此ノ點ニ於テモ非常ナ弊害ヲ見ル
ノデアリマシテ、地方カラ中央ヘ出テ參リ
マシテ、補助金ヲ吳レ〓〓ト言フ、サウ云
フ中央ニ依存スルヤウナ考ヲ持タスコト
ハ、非常ニイカヌト思フノデアリマス、唯
財政上ノ見地カラ申スノデハアリマセズシ
テ、國民ノ思想ノ點カラ考ヘマシテモ、中
央ニ依存スルコトハ甚ダ面白クナイノデア
リマス、併シヤツテ行ケナイカラサウ申ス
ノデアリマスガ、ソレニ付キマシテハ稅制
ノ根本的改革ヲ致シマシテ、唯主務省ヘ行
ツテ縋レバ金ガ貰ヘルト云フヤウナ、乞食
根性ヲ持ツコトヲ止メサスヤウナ財政ノ組
立ヲシナクテハイケナイト思フノデアリマ
スサウ云フ點カラ考ヘ合セマシテモ、先
ヅ第一ニ國庫ガ負擔スベキモノハ當然負擔
スル、斯ウ云フヤウナ建前カラ進ンデ參ル
ノガ當然ト思フノデアリマスカラ、非常ナ
重大ナル使命ヲ持ツテ居リマス靑年學校ノ
〓育ニ關シマシテハ、全額國庫ガ負擔スベ
キモノト思フノデアリマス、私ハ內務省ノ
方ヘモ訪ネマシテ調ベマシタ所ガ、市ハ別
ニ致シマシテ、町村ノ財政ノ約四割二分ハ、
モウ既ニ〓育費ニ充當シテ居ルノデアリマ
ス、甚シイ町村ニナリマスト、三分ノ二マ
デ〓育費ニ使ツテ居ルノデアリマシテ、甚
ダ困ツテ居ルノデアリマス、ソコヘ持ツテ
來テ又靑年學校ガ義務〓育制度トナリマシ
タ結果、多額ノ費用ヲ此ノ方ニ充テナクテ
ハナラヌト云フコトニナリマスト、益〓窮迫
ヲ致スノデアリマスカラ、此ノ點ハ一ツ思
ヒ切ツテオヤリニナツタラドウカ、サウ御
遠慮ナサル必要ハナイト思フノデアリマス、
見方ニ依リマスト私ハ靑年學校ノ〓育ト云
フモノハ、我國ノ軍備ノ一部分ト考ヘテモ
宜イト思ツテ居リマス、ソレデアリマスカ
ラ、六十億ノ臨時軍事費ト云フヤウナ多額
ノ金ガ費サレテ居ル今日ニ於キマシテハ、
此ノ靑年學校ノ費用ナント云フモノハ些少
ナモノト言ツテモ宜イノデアリマス、此ノ
事變ニ便乘スルト言フト穩カデナイカモ知
レマセヌガ、此ノ例ハ他ニモアルノデアリ
やっ、我國ニ於ケル壯丁ノ體位ノ段々劣惡
ニナルト云フ一ツノ原因ハ結核病デアリマ
スガ、此ノ結核病モ、各府縣ニ於キマシテ
モウ旣ニ國庫ノ補助ヲ貰ヒマシテ、縣會ニ
於テ療養所ヲ設立スルト云フコトガ決議サ
レテ居ル所ニ於テサヘモ、未ダニ著手シテ
居ナイ、ソレハ地元ノ反對ナドガアリマ
シテ、全國ヲ通ジテ出來テ居ル所ハ極
ク僅カデアリマス、私ノ住ンデ居リマス
兵庫縣ノ如キハ、モウ旣ニ縣會ニ於テ
モ其ノ事ハ決定シテ居ルニモ拘リマセ
ズ、ソレガ實行サレテ居ナイ、ソレハ地元
ノ反對デアツタ、所ガドウデス、今度
傷痍軍人療養所ト云フ名前ヲ以テ全國ニ二
十五箇所ノ療養所ガ出來マスルニ當リマシ
テハ、各府縣ハ競爭致シマシテ其ノ場所ノ奪
合ヒヲシタト云フヤウナ現象ガ現ハレタノ
デアリマスガ、是ハ一ツニハ傷痍軍人療養
所ト云フ名稱ノ上ニ、結核病ト云フ文字ガ
現ハレテ居ナイカラサウデアツタカモ知レ
マセヌケレドモ、私ハ寧ロ進ンデ、是ハ他
ノ機會ニ於テ私ノ意見ヲ申述ベタイト思フ
ノデアリマスガ、此ノ機會ニ二十五箇所デ
ナク、全國各府縣ニ結核療養所ヲ造リマシ
テ、現ニ日支事變デサウ云フ病氣ニ罹ツテ
居ル人ノ療養ノ目的ヲ遂ゲマシタ後デ、是
ハ各府縣ニ任セマシテ、各府縣ノ療養所ト
スルト云フコトヲ考ヘテモ宜イト思フノデ
アリマシテ、國民ノ體位ヲ向上サスト云フ
點カラ考ヘマシタラ、サウ云フコトニ金ヲ
費スノハ國民モ惜シクハナイノデアリマス、
是ハ話ガ橫道ニ入リマシタガ、私ハ靑年學
校ノ費用モ、サウ云フ見地カラ軍事費ニ準
ズルモノト致シマシテ、相當多額ノ經費ヲ
計上致シマシテ、思切ツテ總テノ施設ヲシ
テモ宜イト思ツテ居ルノデアリマス、僅カ
三百人ヤ四百人デ遠慮ナサル必要ハナイト
思フ、過日「ラヂオ」デ放送ナサイマシタアノ
中ニモ、此ノ度ハ僅カ二一百万圓カ四百万圓
ニ過ギヌガ、義務制ガ全部ニ行渡ツタ際ニ
ハ、千數百万圓ノ金ヲ費スノデアルト云フ
コトヲ御話ニナツテ居ツタヤウニ私ハ記憶
スルノデアリマス、或ハ間違ヒカモ分リマ
セヌガ、慥カ私ハサウ記憶シテ居リマス、
併シソンナ僅カナ金デ出來サウナ筈ガナイ、
靑年男女ヲ併セマシタナラバ相當ノ數ニ上
ルノデアリマスガ、先ヅ收容スル靑年ヲ三
百万ト致シマシテモ、我國ハ軍備ノ必要上
カラ馬ヲ良クセナケレバナラヌ、優良ナル
馬ヲ作ラナケレバナラヌト云フ爲ニ、全國
ニ百五十万頭程馬匹ガ居ルサウデアリマス
ガ、其ノ馬匹ノ改良ノ爲ニデモ現在二千万
圓以上ノ金ヲ使ツテ居ルノデアリマス、馬
ハ必要ナモノデアリマスガ、併シ人間ニ比
ベマシタナラバ、馬デサヘモ二千万圓使ツ
テ居ルノデアルカラ、數ニ於テモ是ヨリモ
多ク、又最モ大事ナル靑年ノ〓養ニ付テ、
マダ〓〓澤山ノ金ヲ、馬ニ比ベテ恥シクナ
イダケノ金ヲ使フノハ私當然ダラウト思フ
ノデアリマス、馬ハ段々體位ガ向上シテ參
リマシタ、馬バカリデハナイ、雞デモ、十
數年以前ノ難ト今日ノ雞トヲ比ベマシタナ
ラバ、雞ノ體位ハ向上サレテ居ルノデアリ
やく、其ノ結果、私ガ話ノヤウニ聞イテ居
ツタ丁抹ノ國ハ、自分ノ所デ出來ル良イ卵
ヲ英國ニ輸出致シマシテ、安イ卵ヲ露西亞
カラ買ツテ來テ居ルト云フ話ヲ聞イタノ
ハ、是ハモウ十數年以前ノコトデアリマス、
所ガ日本ニ於テモ今日デハドシ〓〓英國ニ
卵ヲ輸出スルト云フコトニナツテ居ルノデ
アリマスガ、十數年以前ニ於テ私ハ斯ウ云
フコトハ想像モ付カナカツタ、併シ斯ウ云
フ結果ニナツタノハ、雞ノ體位ガ向上シタ
結果デアルノデアリマス、飼料モ隨分〓究
サレテ、良イモノヲ雞ニ與ヘルヤウニナリ
マシタ、其ノ結果斯ウ云フヤウニ體位ガ向
上致シマシテ-雞ノ體位ト言フトヲカシ
ナ表現デアリマスケレドモ、兎ニ角良イ雞
ガ出來テ、良イ卵ヲ澤山產ムヤウニナツタ
ノデアリマス、私ハ壯丁ノ體位ガ段々劣惡
化スルト云フヤウナ點カラ考ヘテ見マスト、
我國ノ壯丁ハ馬ヤ雞ニ置イテケボリニナツ
テ居ルヤウニ思フノデアリマス、是ハ話ノヤウ
ナコトヲ申上ゲルノデアリマスガ、實際ナノ
デアリマス、モウ、少シ當局モ遠慮ヲナサラズ、
又國民モ之ニ理解ヲ持チマシテ、ウント金
ヲ使ツテ-甚ダ狡イヤウナ話デアリマスケ
レドモ、此ノ事變ニ便乘シテモ宜イノデス、
殊ニ荒木大臣ハ陸軍大將デモアラレルノデ
アリマスガ、此ノ事變ニ要スル費用ニ比べ
マシテハ、ドレ程使ツテモ私ハ極ク些細ナ
モノト考ヘマスカラ、何トカ一ツ交渉ヲ進
メラレマシテ、軍部モ之ニ關シテハ非常ナ
力ヲ入レルト思ピマスシ、モウ少シ金ヲ使
ヒマシテ、此ノ靑年學校ノ完成ニ向ツテ御
努力アランコトヲ御願シタイノデアリマス
ガ、大臣ノ之ニ對スル御所見ヲ承リタイノ
デアリマス
其ノ次ハ靑年學校ノ設備ニ付テデアリマ
ス、靑年學校ハ現在ニ於キマシテハ專用校
舍ノアル所モアリマスガ、極ク僅カデアリ
マシテ、大多數ガ小學校ト併置サレテ居リ
マス、〓室ダケハ專用ニセナクテハイケナイ
ト云フヤウナ規定ガアルヤウニモ承ツテ居
リマスケレドモ併シ實際ハ此ノ前ノ此ノ
委員會ニ於キマシテモ、長野委員カラ、折
敷ノ姿勢デ學ンデ居ルト云フ名句ヲ拜聽シ
タノデアリマスガ、實際ガソレナノデアリ
WV、私ハ是非一ツ別ノ校舍ヲ建テル必要
ガアルト思フ、殊ニ都會ニ於テハ此ノ必要
ガアルト思フノデアリマス、最近私ガ手ニ
入レマシタ資料ヲ拜見致シマスト、主務
省-外務、內務、大藏、陸軍、海軍、司
法、文部、厚生省ニ至ルマデ、靑年學校ノ生
徒ノ年齢ニ該當シテ居ル所ノ靑年ガ千七百
二十四人アルサウデアリマス、殆ド總テガ
夜間中學ニ通ツテ居ルノデアリマスガ、是
ハ家カラ通ツテ居ル靑年モアリマセウシ、
或ハ他人ノ家ニ寄宿シテ通ツテ居ル者モア
リマセウガ、先ヅ田舍ト都會トヲ比較致シ
マスナラバ、田舎ハ農家ガ主デアリマスカ
ラ家カラ通ツテ居ル者ガ多イ、都會ノ靑年
學校ノ生徒ハ、或ハ工場デアルトカ、商店
デアルトカ、只今申シマシタ官廳ニ勤メテ
居ルヤウナ靑年ハ、寄宿舍ノ必要ガアルト
思フノデアリマス、主務省ニ於キマシテ靑
年學校ヲ經營シテ居ルノハ文部省ト陸軍省
ダケデアル、田舍ノ狀態カラ見マスト、靑
年學校ハ文部省ニ於テハ非常ニ御奬勵ニナ
リマスケレドモ、或ル官廳ナリ官廳ノ工場
ニ於キマシテハ、靑年學校ニ出席スルコト
ヲ嫌ヤガル所ガアルノデス、是ハ怪シカラ
ヌコトデアルト思フ、是モ私ノ住ンデ居リ
マス兵庫縣ニ實例ガアルノデアリマス、流
石ニ文部省ト陸軍省ハ旣ニ靑年學校ヲ設置
サレマシテ、此ノ靑年ノ〓育ヲ御始メニナ
ツテ居ルノデアリマスガ、其ノ他ノ各省ニ
於テハマダ靑年學校ハナイヤウデアリマス、
ソレデアリマスカラ此ノ際私ハ文部省或ハ
陸軍省別々ニオヤリニナラズシテ、各省ガ
一〓ニナツテ、相當設備ヲサレタ校舍モ備
ヘ、進ンデ寄宿舍デモ造リマシテ、範ヲ天
下ニ垂レルト云フ意味カラ致シマシテ、主
務省ニ働イテ居ル靑年ノ爲ニハ、立派ナ校
舍ト完備セル寄宿舍位ヲ造ツテヤル必要ガ
アルト思フノデアリマスガ、現在ニ於テハ
甚ダ遺憾ナル狀態デアルノデアリマス、田
舍ノ事情ヲ考ヘマシテモ、現今ニ於テハ靑
年ノ情操ノ陶冶ト云フヤウナコトガ、餘リ完
全ニ行ハレテ居ナイヤウニ思フノデアリマス、
僅カ一週間ニ六時間學校ニ參ルノデアリマ
スカラ、サウ色々ナコトヲ註文スルノハ困難
ト思ヒマス、私ノ理想カラ申シマスナラバ、
一日僅カ一時間ト云フヤウナコトデハ到底
其ノ實ヲ擧ゲルコトハ出來ナイト思ヒマ
スカラ、私達ノ間デハ勞働ニ竝行シテ學問
ヲスルト云フノデ、假ニ之ヲ勞學制度ト申
シテ居リマス、先程申シマシタ文部省ノ訓
令カラ考ヘテ見マスト、働クノガ主デアツ
テ、其ノ餘暇ニ少シ學ブト云フヤウナコト
ニナツテ居リマスガ、此ノ割合ニ付テハ、
旣ニ其ノ機關モ備ツテ居ルコトト思ヒマス
ガ、科學的ナ〓究ヲオヤリニナリマシテ、
其ノ結果勉强スルノト勞働スルノヲ合セ
テ、八時間ガ其ノ年齡ニ於テ適當デアルト
スルナラバ、其ノ割合ヲ決メルノハ、科學
的〓究ノ結果ニ俟テバ宜イト思フノデアリ
マスガ、兎ニ角同ジ重要サヲ持タセマシ
テ、此ノ勞學制度ヲ實行スルヤウニ私達ハ
希望シテ居ルノデアリマス、情操ノ陶冶
ト云フヤウナコトニ付テハ非常ニ缺ケテ居
リマスカラ、主務省ガ聯合シテ靑年學校デ
モ經營サレルナラバ、サウ云フ設備モシテ
貰ヒタイノデアリマス、商店ノ例ヲ取ツテ
申シマスト、朝早クカラ叩キ起サレマシテ、
靑年學校ニ行ク時間マデコキ使ハレ、靑年
學校ヘ行ツテ一時間勉强シテ、歸ツテ來テ
又寢ルマデコキ使ハレル、サウ云フヤウナ
狀態ニ人ノ子ヲウツチヤツテ置イテ宜イト
考ヘルコトガ出來マセウカ、其ノ爲ニ餘リ
多クノ時間ヲ靑年ニ充ガフコトハ、生產
力擴充ノ叫バレテ居ル今日出來ナイ、斯
ウ云フヤウナコトガ過日文部省カラ戴キマ
シタ〓育審議會ノ答申書ノ中ニアツタヤウ
ニ私ハ記憶シテ居リマスガ、ソレデハ國家
ガ要求シテ居ル所ノ靑年ハ出テ來ナイノデ
アリマス、一體上ニ立ツ者ハ下ニ居ル者ヲ
モウ少シ丁寧ニ見テヤラナケレバイケナ
1、一省ノ大臣モ、給仕々々ト呼ンデコキ
使ハレテ居ル傭人ノコトニマデ思ヒヲ馳セ
テ貰ヒタイノデアリマス、伸ビルダケ伸バ
シテヤル、持ツテ生レタ天賦ノ才能ヲ出來
ルダケ伸バシテヤルノガ、上ニ立ツ者ノ
義務デアリマス、唯オ茶ヲ酌マシタリ、
給仕々々ト呼付ケニシテ、茶坊主ノヤウニ
コキ使フダケガ能デハナイノデアリマス、
アノ靑年達ノ持ツテ生レタ能力ヲ出來ルダ
ケ伸バシテヤルト云フ義務モアレバ、責任モ
アルト云フコトヲ、上ニ居ラレル方ニ考ヘ
テ戴キタイ、ソレハ主務省ダケデハナイ、
會社モ然リデアリマス、商店モサウデアリ
やく、工場モサウデアリマス、併シ範ヲ天
下ニ垂レルト云フ觀點カラ、一ツ主務省ガ
率先シテソレ位ノコトヲシテ戴キタイ、文
部省ニ於テモ屬官トシテ働イテ居ル中堅的
人物ガ、サウ云フ給仕ノ中カラ相當出テ來
テ居ルト云フ話モ私ハ聞イタ、今マデノヤ
ウナ狀態ニ置キマシテモサウ云フ人ガ出テ
來ルノデアリマスカラ、心シテ斯ウ云フ制
度ヲ活用致シマシテ、主務省ガ聯合シテ一
ツノ立派ナ靑年學校デモ建テマシテ、上ニ
厚イバカリデハナイ-此ノ議會ニ於テハ
非常ニ多額ノ賞與ヲ官吏ガ取ツタト云フヤ
ウナコトガ問題ニナツテ居リマスガ、サウ
云フコトガアツタカナイカ私ハ知リマセ
ヌ、併シナガラ少シノ心使ヒデ、靑年ノ爲
ニソレ位ノ設備ヲスルコトハ、私ハサウ困
難ノコトデハナイト思フノデアリマス、此ノ情
操ノ陶冶ト云フコトハ是非考ヘテ貰ヒタイ
私ハ兵庫縣ニ住ンデ居リマスノデ、是
モ兵庫縣ノ例ヲ引キマスガ、私ガ世話ヲシ
テ居リマシタ一人ノ靑年ガ中學ヲ卒業シタ
際ニ、學校カラ案內狀ガ參リマシテ其ノ卒
業式ニ列シタノデアリマス、其ノ中學ノ名
ヲ申上ゲテモ宜イト思ヒマスガ、ソレハ私
立ノ三田ト云フ中學デアリマス、私ハ卒業
式ノ前夜三田ノ町ヘ參ツテ中學ノ寄宿舍ヲ
訪ネマシタ所ガ、驚イタコトニハ寄宿舍
ノ一隅デ卒業生ノ送別會ヲヤツテ、ドンチ
ヤン騷ギヲヤツテ居ルノデアリマス、尤モ
三味線ハナカツタヤウデアリマスガ、磯節
ヲ歌ツテヤア〓〓ト踊ツテ居ルノデアリマ
ス、私ハ怪シカラヌ事デアルト初メハ思ヒ
マシタケレドモ、又能ク考ヘテ見ルトサウ
デハナイ、靑年ニハ歌ガ必要デアリ、踊モ
必要デアル、ソレヲ適正ニ指導シナカツタ
カラ、斯ウ云フヤウニ卒業式ノ前夜送別會
デ磯節ヲ踊ルノデアル、是ハ〓育者ノ責任
デアルト私ハ考ヘザルヲ得ナカツタノデア
リマス、今日ノ靑年學校ノ生徒デアレバ、
活動寫眞ヲ見ニ行ク暇モナイノデス、映畫
ナルモノガ〓育上善イカ惡イカト云フコト
ハ別問題トシテモ、娛樂ヲ與ヘテヤリ適
當ナ音樂ヲ與ヘテヤルト云フコトハ、靑年
ノ〓育ニ携ツテ居ル方ニハ是非考ヘテ戴カ
ナクテハナラヌト思ヒマス、サウ云フ點カ
ラ考ヘテモ、町村ニ於テモ立派チ校舍ガ欲シ
イノデス、サウシテ其ノ校舍ガ村ニ於テモ
靑年ノ生活ノ中心デアツテ欲シイノデアリ
マス、假住ヒヲシテ小サナ生徒ノ使フ机ヤ
椅子ニ凭ツテ窮屈ナ思ヒヲシテ、居候ヲシ
テ居ルト云フヤウナ考ヲ持タスノハ、將來
伸ビル靑年ヲ〓育スル方法デハナイト思ヒ
マス、又〓科書ノ問題デアリマスガ、之ニ付
テハ檢定ノ〓科書ヲ作ルト云フ御答辯モア
リマシタ、公民科ノ方ノ〓科書ハ是非國定ニ
シナケレバナラヌト云フ御意見モ、審議會
ノ答申書ノ中ニ拜見シマシタガ、私ハ此ノ
〓科書ヲ是非國定デヤツテ貰ヒタイト思フ
ノデアリマス、其ノ項目ニ付テハ餘程注意ヲ
シテ戴キタイト思ヒマスガ、私ハ之ニ關
聯シテ一ツノ例ヲ申上ゲタイト思ヒマス
又結核ノコトヲ申シマスガ、是ハ非常
ニ惱ンデ居ル問題デアルカラ申上ゲルノ
デアリマスガ、小學校ノ國定〓科書ニ、
國民病ト稱ヘラレテ居ル此ノ結核ニ關
シテドウ云フコトガ〓ヘラレテアルカト
調ベテ見マスト、尋常五年ノ修身書ノ第
六章ニ、衞生ト云フ題ノ下ニ結核ト云フ二
字ガアリマス、其ノ他尋常六年ノ理科ノ第
四十五課ニモ、衞生ト云フ所ニ一寸此ノ結
核ト云フ文字ガアリ、又高等二年ノ理科ノ
第七課ノ傳染病ト云フ題ノ下ニモアルノデ
アリマスガ、大體ハ五年ノ修身書ノ第六課
ノ衞生ト云フ所ニ傳染病ノコトガ書イテア
リマシテ、其ノ中ニ二字ダケ結核ト出テ居
ルヽ之ヲ除イタラ〓科書ノ中ニ何モナイ、
私ハモウ少シ斯ウ云フ點ニ付テ用意ヲ周到
ニサレマシテ、修身或ハ讀方ノ〓科書ニデ
モ一課ヲソレニ充テマシテ、此ノ國民ヲ蝕
ンデ居ル所ノ結核ニ對シテハ、斯ウ云フ風
ニシナケレバナラヌ、或ハ生活スルニハ斯
ウ云フヤウニシナケレバナラヌト云フコト
ヲ親切ニ〓ヘル必要ガアルト思フ、或ハ〓
師ニハ、〓師用ノ書物ノ中ニハ詳シク此ノ
事ニ付テ〓ヘラレテ居ルデアリマセウガ、
實際ニハ、私ハ東京市ニ住ンデ居ル小學校ノ
生徒ニ就イテ聽イテ見マシタガ、少シモ先
生ハ此ノ事ニ付テ話ヲシテ居ナイ、國定〓
科書ガアル國民〓育ノ部面ニ於キマシテモ
斯樣デアリマスガ、〓科書ノナイ靑年學校ニ
於キマシテハ、過日モ是ハ本會議デ申シタ
ノデアリマスガ、地方ノ事情ニ於テ然ルベ
クヤツテ行ケト云フコトハ、是ハ結構デア
ル、畫一主義ト云フコトハ非常ニ非難サレ
マスガ、是ハ結構デアリマスケレドモ、ソ
レヲヤラセルノデシタナラバ、一方ニハ優秀
ナ〓員ガナケレバナラヌ、現今ノ〓員ハ優
秀トハ申サレマセヌ、殊ニ臨時〓員養成所
ナドハ僅カ十箇月デ仕上ゲルノデアリマセ
ウ、中學校ヲ卒業シテ十箇月ダケ〓養ヲ受
ケマシテ、サウシテソレガ專任〓員ニナツ
テ來タ場合ニ、サウ云フヤウナ使ヒ分ケガ
出來ルデアリマセウカ、私ハ到底出來ナイ
ト思フ、ソレデアリマスカラ私ハ臨時〓員
養成所デアルトカ、或ハ靑年學校〓員養成
所デアルトカ、養成所ト云フ文字カラシテ
イケナイト思フ、是ハドウモ一時的ノ感ジ
ヲ與ヘルノデアリマスカラ、國民〓育ニ對
スル先生ヲ養成スルニハ師範學校ト云フモ
ノガアレバ、ヤハリ靑年學校ノ先生ニハソ
レニ對シテ靑年師範學校ト云フヤウナ、別
個ノ一ツノ歷トシタ靑年學校〓員ヲ養成ス
ル機關ヲ作ル必要ガアルト思フ、ソレダケ
デ止メテハイケナイ、靑年師範學校デ働ク
先生ヲ又養成シナケレバナラヌ、ソレデア
リマスカラ高等靑年師範學校ガ必要デアル、
其ノ名稱其ノ他組織機構ニ付キマシテハ
ソレハ適當ニ考ヘテ戴ケバ宜イノデアリマ
スケレドモ、唯今日義務制ニスル靑年學
校ニ對シテ〓員養成所、ソレモ中學校ヲ卒
業シテ十箇月、兵庫縣ナドハ農學校ニ併置
サレテ二十四五名居リマスガ、師範學校ヲ
出テ來マス〓員ニ比ベテドウシテモ見劣リ
ガ致スノデアリマス、斯樣ナ〓員ニ任シテ
置イテ然ルベクヤツテ置ケト云ツテモ、ヤ
レル筈ガナイ、此ノ點ヲ考ヘテ貰ヒタイト
思フ
次ニハ就學ノ授業時間デアリマスガ、成
ベク晝間ニヤルコトガ原則ニナツテ居リマ
シテ、已ムヲ得ナイ場合ニハ夜間、併シ九
時以後ハイケナイト云フコトニナツテ居リ
マスカラ、一ツノ進步デアリマス、併シ是
ハ絕對的ニ晝間ニヤツテ貰ヒタイ、ドンナ
事情ガアツテモ夜間ヤツテハイケナイ、今
日國民ノ體位ガ段々劣惡化シテ來ルノハ、
文部省ニモ責任ガアルト私ハ思フ、全國ノ學
校カラ夜學ト云フモノヲ廢シテ貰ヒタイ、
自分ノ事ヲ申スノハドウカト思ヒマスガ、
私モ幼少ノ頃カラ隨分苦勞シテ來タモノデ
アリマスガ、自分ノ身ニ引キ比ベマシテモ、
夜寝ラレナイト云フコト程苦痛ハナイノデ
アリマス、殊ニ十八歲マデノ靑年ハ、內部
勞働卽チ智能、體力ノ發達致シマス最モ旺
盛ナ時期テアリマシテ、內部勞働ニ總テノ
「エネルギー」ガ費サレル、ソコヘ持ツテ來
テ夜又イヂメラレル、稀ニ一万人ヤ二万人
ノ中ニハ一人カ二人ノ世間デ持囃サレル成
功者ハ出ルデアリマセウ、併シサウ云フコ
トデ總テヲ律シテ〓育スルト云フコトハ間
違デアラウト思フ、靑年學校ヲ國家ノ力ニ
依ツテ完全ニ運營シテ行キマシタナラバ、
晝間働イテ夜間ニ中學校ニ行ツテ勉强スル
ト云フ者ハナクナル、又私ハ斯樣ニ考ヘマ
ス、-ソレハ此ノ靑年學校ヲ義務制ニシテ完
全ニヤツテ參リマシタナラバ、今日世間デヤ
カマシク言ハレテ居ルヤウナ中學校ノ入學
難ハナクナリマス、餘リ〓育ノ領分ニマデ
營利ト云フコトガ毒シテ居リマシテ、斯ウ
云フコトヲ勉强サシタラ金ガ儲カルダラウ、
サウ云フコトガ原動力トナツテ今日ノ〓育
ガ行ハレテ居リマスカラ、斯ウ云フコトヲ改
メテ、〓育トハ持ツテ生レタ子供ノ才能ヲ
出來ルダケ伸バシテヤルコトデアルト考へ
直スコトガ、文部省ニ於テモ父兄ニ於テモ
必要デアルト思フノデアリマスカラ、夜間
ノ授業ト云フコトハ絕對ニ禁止スル必要ガ
アルト思フ、例外ナドヲ置ク必要ハナイ
次ハ私立靑年學校デアリマス、之ニ付テ
非常ニ考ヘナケレバナラヌト思フ、私ハ實
情ヲ知ツテ居ルカラ之ヲ申スノデアリマス
ガ、私立靑年學校ヲヤルノハ大キナ商店、
製造工場デアリマス、今マデノ實情カラ申
シマスト、私立靑年學校ヲヤルノハ、私ノ
言ヒ過ギカモ知レマセヌガ、勞働者ノ間ニ
起ル「ストライキ」ヲ防止スル一ツノ方法ト
シテ修養ナドヲヤラシタ時代モアツタガ、ド
ウモ其ノ臭ガ今デモスルノデアリマス、職
エガ持ツテ生レタ才能ナリ、體力ナリヲ出
來ルダケ伸ビルヤウニシテヤラウト云フ考
デ、現在ノ狀態ハ靑年學校ヲヤツテ居リマ
セヌ、其ノ證據ニ私ノ知ツテ居ル或ル工場
ニ於テハ、夜間靑年學校ヲヤツテ居リマス
ガ、其ノ寄宿舍ノ食堂デ靑年ニドウ云フモ
ノヲ食ハシテ居ルカト申シマスト、一昨年
ハ一升八錢ノ醬油デアリマシタ、味噌ガ一
貫目三十錢ノ味噌デアツテ、本年ニナリマ
シテ其ノ醬油ハ十一錢ニナツテ居リマス、
男女トモ皆蒼イ顏ヲシテ居ル、是ハ兵庫縣
ノ衞生監督官ニデモ縣廳ニデモ照會シテ戴
イテ、サウ云フ所ガアツタカナイカト云フ
コトヲ調ベテ戴イクラ分ルノデアリマス、
其ノ工場ニ「チブス」ガ出タ時、市民ノ率ニ
比較致シマシテ三倍ノ死亡率ガアツタ、私
ハ一昨年上京致シマシテ其ノ事ヲ或ル席
上デ話ヲ致シマシタラ、其ノ事ハ報告書ガ
來テ居ル、慥カ醫事衞生週報デアツタト思
フ、ソレニチヤント-兵庫縣ノ役人デア
ラウト思ヒマスガ、其ノ私ノ申シタコトハ、
榮養ノ不足ノ結果斯樣ニ死亡率ガ多カツタ
ノデアラウト云フ記事ガアツタコトヲ見テ
私ハ驚イタ、一升十一錢ナント云フ醤油ハ
ドンナコトガアツテモ出來ヌノデアリマス、
又一貫目三十錢ノ味噌ナント云フモノハ出
來ル筈ガナイ、ソレハ三十錢デ其ノ工場ガ
使ツテ居ル味噌ヲ造ラシタ筈デス、味噌ト
云フ名ダケ、奈良漬ノ粕ヤ或ハ澤庵漬ノ滓
ヲ全部其ノ味噌ヲ炊ク時ニ放リ込ミマシテ
色ヲ著ケテ出來上ツタモノデ、工場ニ納マ
ツテ居ルノガ三十錢デアリマスガ、中間ニ
商人ガアリマスカラ、味噌ノ製造所ヲ離レ
ル時ハ二十五錢位デアルト思フ、サウ云フ
コトヲ一昨年ヤツテ居リマシタガ、本年モ
亦十一錢ノ醤油ヲ使ツテ居ルノデアリマス
カラ、斯ウ云フコトヲ何トカ〓m督スル規定
ガナケレバナラヌ筈ト思フノデアリマス、人
ノ子ハサウ云フ風ニ一升十一錢ノ醬油、
貫目三十錢ノ味噌デ養ヒ、サウシテ當局ノ
眼ヲ胡麻化シテ長イ時間働カシテ、ソレモ
一昨年警察ノ問題ニナツタ、所ガ其ノ工場
デ靑年學校ヲヤツテ居ル、サウ云フコトヲ
ヤル位デアリマスカラ、靑年ノ天賦ノ能力ヲ伸
バス爲ニ靑年學校ヲ經營スルト云フヤウナ
コトハ、私ハナカラウト思フノデアリマス、
斯ウ云フ點カラ考ヘテ、靑年學校ノ私設ヲ御
奬勵ニナルト云フコトハ私ハ考ヘモノト思フ、
餘程實情ヲ御調査ニナツタ上デナイト、靑年
學校ノ私立ヲ御奬勵ニナルト云フコトハ甚
ダ危險ト思ヒ、マスカラ、此ノ點ハ篤ト御〓
究ヲ願ヒタイト思ヒマス
序デアルカラ申上ゲマスガ、此ノ工場或
ハ商店ニ於ケル職工使用人ノ榮養ト云フコ
トニ付テハ、何等カノ方法ヲ以テ監督スル
必要ガアルト思フ、只今ハ工場ノコトヲ申
シマシタガ、昨年私ハ廣島市ニ參リマシテ、
廣島市ノ結核療養所ニ參ツテ色々調査ヲ致
シマシタガ、商店員ガ非常ニ多カツタ、其
ノ町ノ一人ノ案內ヲシテ呉レマシタ市會議
員ノ話ヲ聞イテ見マスト、廣島市ノ商店ニ
働イテ居ル商店員ハ殆ド胸部疾患ガ多イト
云フ話ヲ聞イタノデアリマス、工場或ハ商
店ニ於ケル職工使用人ノ榮養ニ付テハ、十
分監督スル必要ガアルト思フノデアリマス、
是ハ餘計ナコトデアリマスケレドモ、御參
考ニ申上ゲタ譯デアリマス
私ハ最後ニ榮養ト云フコトニ付テ申上ゲ
ル筈デアツタノデアリマスケレドモ、モウ
只今マデ申上ゲタコトニ依リマシテ、私ノ
趣意ハ徹底シタヤウニ思ヒマスカラ申上ゲ
マセヌガ、義務〓育ガ二年延長サレマシテ八
年ニナリマシタラ-私ハ早晩サウナルト
思ヒマスガ、尙ホ此ノ席上デ確タル答辯ヲ
承ツテ置キタイト思ヒマス、他ノ機會ニ於
キマシテモ、八年制ニスルコトガ宜シイト
云フヤウナ御意見モ聽イタヤウニ思ヒマス
ルガ、改メテ此ノ席上デモ私ハ承ツテ置キ
タイト思フ、是非八年制ニスル必要ガアリ
マスガ、八年制ニ致シマシテ、其ノ後ノ五
年間ハ唯靑年學校へ出テ來テ一時間ナリ一
時間半授業スルダケデ追放シテシマフト云
フヤウナコトヲセズシテ、榮養ノ點デス、
靑年學校ニ在籍シテ居ル者ノ榮養ガ十分デ
アルヤ否ヤト云フコトヲ、十分監視サレル
必要ガアルト思フノデアリマス、私ノ理想
カラ申シマスルト、是ハ一ツ國費ヲ以テ榮
養食ヲ給付スル制度ヲ確立シタラ宜イト思
フノデアリマス、又工場ガ本家デアツテ、
靑年學校ガ附物デアルト云フヤウナコトハ
スベキデハナクシテ、靑年學校ガ本家デア
リマシテ、靑年學校カラ適當ナ時間工場ニ
働キニヤルト云フ所マデ私ハヤツテ貰ヒタ
イト思フ、ソレデアリマスカラ當然〓物ノ
コトナドハ靑年學校ガ主ニナツテヤル必要
ガアルト思フ、サウ致シマシテ八年間義務
〓育デウントヤリ、五年間斯ウ云フ方針ノ
下ニ靑年學校ヲヤッテ戴キマシタナラバ、今
度適齢デアリマスガ、靑年學校ノ卒業生ノ
體位ハズツト向上シテ居ルノハ當然デアル
ト思フ、是ハ算盤ヲ彈イテモ損ハイカナイ
ノデス、卽チ國民ノ體力ガ向上シ、智能ガ
發達シテ、ソレガ國防ノ點カラ考ヘマシテ
モ、或ハ生產力擴充ノ上カラ考ヘマシテモ、
靑年學校デ費シタ金グラヰハ直グ元ガ取レ
ルノデアリマスカラ、算盤ヲ彈イテモ私ハ
損ハイカナイト思フ
非常ニ遲クナリマシタガモウ一ツ文部大
臣ノオ居デニナツテ居ル席上デ私ハ申上ゲ
タイト思フノデアリマス、昨年デアリマシ
タカ、新聞紙上デ見タ記事デアリマスガ、
日光ヲ節約スルト云フ運動ガ、大藏省カラ
其ノ聲ガ擧ツテ參リマシテ、各省ノ次官ノ
間ニ御相談ガアツタガ、遂ニソレハ他ノ省
ノ次官達ノ手ニ依ツテ揉消サレテシマツタ
ト云フ記事ヲ見タノデアリマス、文部省ハ
一國ノ風〓ノ源デアルト私ハ考ヘテ居リマ
スカラ、此ノ點ヲ申上ゲルノデアリマスガ、
國民ノ健康ト云フ點カラ考ヘマシテ、廢物
ヲ利用スルト云フコトガ今喧シク奬勵サレ
テ居リマスガ、廢物利用ヲ奬勵スルコトモ
結構デアリマスガ、善キ物ヲ廢物ニスルト
云フコトモ是ハ非常ニ罪惡ナンデアル、私
ハ煙草ノ銀紙ヲ蓄ヘサスケレドモ、ソレヨ
リモモツト根本的ニ煙草ヲ止メタラト言フ
ノデス、日光ハ金ハ出サナイデモ吾々ハ使
用ガ出來ルノデアリマスガ、此ノ日光ヲ粗
末ニスルト云フコトガ一番恐ロシイノデス、
此ノ間決算委員會デ此ノ事ガ問題ニナリマ
シテ、各省ノ出勤ノ時間ヲ或ル人ガ資料ヲ
要求致シマシタ、遲刻者ノ調モ戴キマシタ
ガ、海軍省アタリハ嚴格ト見エテ遲刻
者ハナカツタケレドモ、他ニハ二十人アル
所モアリ、二十六人アル所モアリマシ
タガ、丁度其ノ統計ヲ取ツテ貰ツタ翌日私
或ル本省ヘ行キマスト、九時三十五分デ
アリマシタガ、其ノ時分ニ盛ンニ出勤簿ニ
判ヲ捺シテ居ル、聽ク所ニ依リマスト九時
ト云フテモ三十分ノ猶豫ガアルカラ、九時
半ニ出勤シタ者ハ遲刻ニハナラナイラシイ、
ソレヲ嚴格ニ九時ト云フコトニ致シマシタ
ラ澤山ノ遲刻者ガ出來ル、課長ニ御目ニ懸
ルニハドウシテモ十時デナケレバ御目ニ懸
レナイ、私共田舍ノコトカラ考ヘタラ、モウ
十時デシタラ一仕事ハヤツテ居ル、私ハ長
イ間働ケトハ言ハヌガ、金ヲ出サヌデモ、
日光ハ自由ニ使ヘルカラト云ツテ粗末ニス
ルコトハイケナイ、一ツ八時ナラ八時カラ
仕事ヲシテ、二時間早ク仕事ヲ止メタラド
ウデス、私ハ燈火管制ト云フコトハ、防空
ノ意味カラダケデナシニ、國民ノ健康ト云
フ觀點カラモスル必要ガアルト思フ、遲ク
マデ靑イ灯ヤ赤イ灯デ靑年ガ戯レ〓リマス
カラ、靑年ノ體位ガ段々劣惡化スルノデア
リマス、是ハ文部省デ一ツ範ヲ示シテ戴キ
タイ、自分ノコトヲ言フノハヲカシイノデ
アリマスガ、私ハ若イ時ニ銀行ニ勤メテ居
リマシタ、早出ヲスルト三十錢ヲ貰ヒ、
寸遲クナルト十五錢ノ辨當代ヲ貰ツタ、所
ガ其ノ三十錢十五錢ヲ貰フ爲ニ用モナイノ
ニ勤メル人ガアツタガ、サウ云フ人ハ給料
ガ昇ツタ、併シ私ハ決メラレタ時間ハ一生
懸命働クガ、ソンナ辨當代ヲ貰フ爲ニハヤ
ラナイ、頑トシテヤラナカツタノデ、給
料ハ少シモ上ゲテ貰ヘナカツタ、併シ私
ハ給料ガ昇ツタ人ヨリモ、最後ニ於テハ健
康ノ上ニ於テモ勝利ヲ占メタノデス、ダカ
ラ靑年學校へ通ツテ居ル給仕ナドハ、其ノ
上ノ役人ガ茶ヲ飮ムニシテモ、飮ミタケレ
バ自分デ行ツテ飮ムヤウスレバ宜イ、サウ
シテモツト靑年ヲ可愛ガツテヤツテ貰ヒタ
イ、彼等ノ健康ト云フコトモ考ヘテ貰ヒタ
イ、長イ間役所デ働カスコトハ止メタイ、
私ハ雀ト共ニ起キ雀ト共ニ寢ルヤウニスル
コトガ理想デアルト思ツテ居リマス、都會
デハサウ云フ感心出來ヌコトガ行ハレテ居
ルケレドモ、今日ノ事變下ニ於テハモウ少
シ國民ガ心ヲ引締メテヤラナケレバナラヌ、
斯ウ云フ時ニ各官廳殊ニ文部省アタリハ、
天下ニ範ヲ垂レルト云フヤウナ點カラ、時
間ヲ嚴守シテヤツテ戴キタイト思フノデア
リマス、是ハ餘計ナコトデアリマスケレド
モ、荒木文部大臣ガオ出デニナツテ居リマ
スノデ、之ヲ申上ゲテ、私ハ一應是デ質問
ヲ終リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=6
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007・荒木貞夫
○荒木國務大臣 過般本會議ニ於ケル折角
ノ御質問ハ直接承ルコトガ出來ナカツタノ
デアリマスガ、政務官カラ御答ヲシテ置イ
タコトハ承知シテ居リマス、今日重ネテ段
段ノ御意見モアリ、又御希望、抱負、將來
ノ靑年ノ身心向上ニ關スル御意見ヲモ含メ
テ御述ニナリマシタ、可ナリ廣汎ニ亙ツテ
居リマスルガ、〓要ヲ纒メテ御答シタイト
思ヒマスカラ、御承知ヲ願ヒタイト思ヒマス
第一ノ點ハ、靑年學校法ト云フヤウナモ
ノヲ作ツテ確定シテハドウカ、殊ニ餘暇ト
云フヤウナ文字ガ使ツテアルコトハ、靑年
學校ノ義務制ヲ施行サレタ今日ニ於テ、甚
ダ相應シクナイデハナイカト云フ御意見デ
アリマス、成程文字ノ上カラハサウ云フ點
モ見エマセウ、靑年學校ノ義務制施行、靑
年學校ノ目的等ニ付テハ、過般來屢〓申述
ベタ通リデアリマシテ、今後逐次經驗ヲ積
ミ、成績ノ顯レルニ隨ツテ是等ノ點ハ十分ニ
考ヘテ、他日國ノ大キナ施設トシテ行フコ
トニナルダラウト思ヒマスガ、今ノ所ハ兎
ニ角本年急速ニ始メタコトデ、實ハ本年始
メルノモ多少無理デアツタノデハナイカト
思フノデアリマスケレドモ、急速ニ始メタ
コトデアリマスカラ、今御述ニナリマシタ
ヤウナ、或ハ〓員ノ不足デアルトカ、或
校舍ノ設備デアルトカ、或ハ時間ノ關係デ
アルトカ、サウ云フ問題ガ多々アルコトハ、
吾々モ承知致シテ居リマス、併シ御承知ノ
ヤウナ狀態デアツタノデ、今囘直チニ右カ
ラ左へ之ヲドウスルト云フコトハ、國家ノ
各方面ニ於ケル要望モ可ナリ多ク、恐ラク
ハソレ等ノ要求ニ國ヲ擧ゲテ惱ンデ居ルヤ
ウナ時代デアリマスルノデ、先ヅ忍ブベキ
ハ忍ンデ、逐次此ノ問題ヲ今要求ノヤウナ
方面ニ向ケシメルコトニ努力致シテ行キタ
イ、併シナガラ左樣ニ考ヘテモ、決シテ此
ノ問題ヲ閑却シテ居ル譯デハナイノデアリ
マスカラ、-逐次是等ノ點モ解決サレルダラ
ウト思ヒマス、又餘暇ト云フ意味ハ、成程文
字カラ見ルト或ハサウ云フ風ニオ採リニナル
カモ知レヌノデアリマスガ、元來靑年學校ノ生
徒ハ實務ニ携ツテ居ルコトガ本務デアツテ、
實際ヲ言フト、仕事ヲスルコトソレ自體ガ
〓育デナケレバナラヌト思フノデアリマス、
講堂ノ內ニ入ツテ書物ヲ擴ゲ、先生ノ講義
ヲ聽クコトバカリガ〓育デモナシ、勉强デ
モナイ、私自身ハサウ考ヘテ居ルノデアリ
マシー小學校ニ於テ既ニ然リ、中等學校ニ
於テモ然リ、ソレデアリマスルカラ、校內
校外ヲ通ジテノ〓育ガ必要デアリ、場合ニ
依ツテハ校外ノ〓育ガ最モ大キナモノデハ
ナイカ、詰リ行ト云フヤウナコトガ唱ヘラ
レルコトモ、其ノ一ツデハナイカト思ヒマ
ス、今日マデハ動モスルト校內ニ於ケルモ
ノヲ以テ總テ足レリトシテ、一タビ校外ニ
出マスルト殆ド是ガ閑却セラレルト云フ狀
態デ、是ハ誤リデアツタト思フノデス、隨
テ靑年學校ハ、靑年自ラノ力ニ依ツテ營々
努力シテ行クト云フ、一ツノ貴イ靑年〓育
デアルノデアリマスカラ、其ノ仕事ソレ自
體ガ卽チ一ツノ行デナケレバナラヌ、指導
スルニ付テハ此處ニ重キヲ置イテ行カナケ
レバナラヌ、私ハ斯ウ思ツテ居リマス、隨
テ或ハ自家ニ學ブモ可ナリ、海岸ニ學ブモ
可ナリ、林間ニ學ブモ可ナリ、「ハンマー」
ヲ持ツテ學ブモ可ナリ、鋤鍬ヲ持ツテ學ブ
モ可ナリ、櫓ヲ押シテ學ブモ可ナリ、雨上
是ハ特例デアリマスルケレドモ、二宮尊德
翁ノ過去、中江藤樹先生ノ過去、是等ノ人々
ノ過去クラヰノ氣魄ヲ靑年ニ植付ケルコ
トガ靑年〓育ノ根柢デハナイカト私ハ考ヘ
テ居ルノデアリマス、餘暇ト云フコトノ意
味モ左樣ナ譯デアツテ、玆ニ靑年學校〓育
ト云フモノガ行ハレマシタ場合ニ、サウ云
フ文字ヲ使ハレタノデアリマスカラ、之ヲ
片手間ニヤルト云フヤウナ意味デナイコト
ヲ御諒承願ヒタイト思ヒマス、將來此ノ問
題ヲ私ハ左樣ニシテ行キタイ、詰リ校內校
外ニ於テ事實上鍊磨ヲ行フコトソレ自體ガ
卽チ〓育デナケレバナラヌ、是ハ今日マデ
閑却セラレテ居ルノデアリマスルガ、今囘
ノ國民學校ノ內容、〓科ノ改正ニ付テ、〓
育審議會デ御論議ニナツテ十分注意セラレ
タ點モ玆ニアルト存ジマスノデ、ソレ等ヲ
併セテ靑年學校方面ニ於テ行フ總テノコト
ガ〓育ニナリ、而シテ是ガ將來有爲ノ人物
ニナルヤウニ致シタイ、斯ウ考ヘテ居リマ
ス
次ニ國庫負擔ノ問題デアリマスガ、是モ
御話ノ通リサウ爲スベキコトモ必要デアリ、
又サウシタイト思ヒマスケレドモ、御承知
ノヤウナ狀態デアツテ、今日小學校ノ義務〓
育スラ尙ホ國庫負擔ニ於テ〓員給ノ半額シ
カ支給出來ナイト云フヤウナコトデアリマ
ス、今國ト自治體ト云フモノガ分レテ居ル
ガ、十分ニ地方ノ狀況ニ應ジテ活躍スルヤ
ウナ制度モ運用サレルト思ヒマスシ、此ノ
〓育ハ國ノ仕事デアルト共ニ町村ノ仕事デ
アリ、府縣ノ仕事デアルト云フ、國民總體
ノ熱意ニ依ツテ打開出來ルト考ヘテ、兩者
相俟ツテ進ンデ行キタイト思ヒマスガ、地
方ノ情勢ニ應ジテハサウ云フコトモヤラナ
ケレバナラヌシ、國庫デ全額ヲヤル方ガ便
利デアルト云フコトモアリマスガ、何レニ
致シマシテモ、此ノ問題ノ解決ニ當ツテハ
兩者相俟ツテ共ニ行クト云フヤウニ致シタ
イト考ヘテ居リマス、併シ今直チニ國家ニ
於テ之ヲ負擔スルコトノミヲ以テ滿足シ、
直チニソコヘ行クト云フコトニ付テハ、今
申述ベタヤウナ事情ガアリマスノデ、サウ
右カラ左ニ參ルコトガ出來ナイト云フコト
ヲ御諒承願ヒタイト思ヒマス
ソレカラ校舍ノ問題ガアリマスガ、是モ
此ノ間此ノ席デ、小學校ノ生徒ノ机ニ凭ツテ
具合ガ惡イト云フヤウナコトモアリマシタ、
サウ申セバサウナノデアリマスケレドモ、
出來ルダケ設備ハ十分ニシテ心身ノ向上ヲ
圖リタイト思ヒマスガ、現在設備トシテハ、
此ノ間此ノ席デ議論ニナツタト思ヒマスガ、
都市ノ小學校ガ不足デアツテ、其ノ建築費
スラ政府デ之ヲ抑制致シマシテ-慥カ大都
市ニ於テハ殆ド千万圓以上ノ校舍建築ニ對
シテ政府ガ抑ヘテ居ル、是ハ御承知ノヤウニ
只今需給關係デ物資ガ不足ノ爲ニ、一切ノ建
築物ヲ抑ヘテ居リマスノデ、今靑年學校ノ
設備ヲ今日ドウスルト云フコトハ困難ト思
ヒマス、併シ今ノヤウナ點ニ付テハ十分ニ
考へ、是ノ慰安ノ方法、十分ニスク〓〓ト
伸ビ、朗ニ進ミ、無理ノナイヤウナ方法ハ
講ジマスガ、他方ニ於テ此ノ〓育ノ任ニ當
ル者ニ於テ、大體ノ所デ一ツ我慢シテヤラウ
デハナイカ、已ムヲ得ズンバ樹下ニ〓ヲ受ケ
ヨウ、斯ウ云フヤウナ氣魄モ一方ニ養ヒツ
ツ運營シテ行キマスナラバ、國家ガ假ニ斯
ウ云フヤウナ狀態デ十分ノ設備ガ出來ナイ
間ニ於テモ、此ノ運用ガ出來ルノデハアル
マイカ、小學校ノ机ニ凭ツテ窮屈ナ思ヒヲ
サセナイト云フコトハ、其ノ人ノ導キ方如
何ニ依ツテ、多少ノ方法ヲ講ズレバ出來ル
デナイカ、之ヲ能ク督勵致シマシテ左樣ナ
コトノナイヤウニ、十分其ノ時ノ狀況ニ應
ジテ適當ナ處置ヲ執ルヤウナ方法ヲ講ジテ、
今日ノ設備ニ關スル十分ナ施設ノ出來ナイ
此ノ時期ニ於テ、過チナイヤウニ致シテ行
キタイト考ヘテ居リマス
ソレカラ〓科書ノ內容、及ビ靑年學校ノ
〓員ノ養成所ニ對シテ、養成ト云フ名前ハ
面白クナイデハナイカ、師範ト云フ名前ニ
シタラドウカト云フ御話ノ點ハ、靑年學校
ノ點ニ對シテノ御議論トシテ十分ニ諒承致
シマシタ、出來得ル限リ左樣ナ方法モ考ヘ
テ見タイト思ヒマスガ、名前ヨリモ其ノ實
質ニ於テ、サウ云フ點ニ付テ十分考慮シテ
見タイト思ヒマス、又結核其ノ他ノ病氣ノ
點ニ付テモ、是ハ多分〓科書ノ內容ニハア
リマセヌデモ、十分注意サレテ居ルダラウ
ト思ヒマスガ、今日ノ重要問題デアリナガ
ラ、動モスルト等閑ニ附セラレルノデアリ
マスカラ、是等ノ點ニ關シテモ十分自覺セ
シメ、又誤ナキヤウニ指導ヲシテ、過勞ノ
結果玆ニ至ラヌヤウニスルコトモ考ヘテ見
タイト思ヒマス
時間ノ點モ御議論ガアツテ、夜間ハ止メ
ロト云フ御話デアリマシタガ、是ハ私ハ多
少意見ヲ異ニシテ居ルノデアリマス、過勞
ニ及バザル範圍內ニ於テ、夜間ト雖モ努ム
ベキハ徹夜シテモヤツテ行ク、併シ原則ト
シテハ朝早クカラ日光ヲ利用シテ、出來得
ル限リ夜間ハ休息ヲ與ヘルト云フヤウナコ
トモ結構ト思ヒマスガ、是ハ其ノ狀況ニ應
ジテ、例ヘバ山村、漁村、農村、都市-
都市ニ於テモ工場地帶、商業地帶、色々違
ツテ居ルノデアリマスカラ、一〓ニ之ヲ廢
スルト云フコトハ困難ト思ヒマスガ、此ノ
爲ニ心身ノ過勞ヲ來スコトノナイヤウニ致
スコトニ付テハ十分ニ注意致シタイト思ヒ
マス
尙ホ私立靑年學校ノ問題デアリマス、是
モ御意見ノヤウナコトモアリマスガ、是ハ
經營者其ノ人ノ頭ニアルノデアツテ、若シ
經營者其ノ人ノ頭ガシツカリシテ居リマス
ナラバ、私立靑年學校ハ奬勵シテ然ルベキ
デハナイカ、今御話ノヤウナ給食ノ關係、
寄宿舍ノ關係ト云フヤウナコトハ、私立靑
年學校ニ於テハ割合ニ行ハレ易イノデアル、
唯今ノヤウナ弊害ガアリトセバ、極端ナコト
ハ只今御話ノヤウニ警察ノ發動モゴザイマセ
ウガ、吾々トシテハ十分其ノ方面ヲ能ク理解
サセルヤウニシテ、此ノ靑年學校ノ運用ヲ
致シマシタナラバ、寧ロ廢スルヨリモ、之
ノ運用ニ依ツテ兩者共ニ幸福ヲ得、產業ノ
進展等ニ對シテモ利益スル所ガアルノデハ
ナイカ、斯樣ニ私立靑年學校ハ運用シテ參
リタイト思ツテ居リマス
其ノ他多々御述べニナリマシタ點ニ付テ
ハ、只今十分改善スル點モゴザイマスノ
デ、適當ナ處置ヲ執リタイト思ヒマス、唯
御希望ノ點ハ非常ニ大キク、又吾々モサウ
云フ點ニ付テハ十分ニ考ヘタイト思ヒマス
ケレドモ、總テノモノヲ靑年學校ニ全部集
中スル譯ニハ行カナイ節モアリマスノデ、
御互ニ其ノ國家ノ狀態、自分ノ位置ヲ考ヘ
テ自ラヲ勵マシツツ、又之ヲ指導サルル人
ハ十分ナ同情ヲ以テ玆ニ至ルヤウニシテ、
兩者相俟ツテ參リタイト思ヒマス、又本省
ニ於テハ奬學ノ方法モ講ジマシテ、是等ノ
靑少年ニ對シテハ心身共ニ發育スルヤウ
十、伸ビルヤウナ方法ヲ先般來モ段々講ジ
テ居リマスノデ、出來得ル範圍內ニ於テサ
ウ云フコトモヤツテ行キタイト思ヒマス、
各省トノ關係ノ問題ハ是ハ各省トノ關係ガ
アリマスノデ、十分考ヘマシテ、考究ノ上
ニ出來ルコトデアレバサウ云フヤウナ方法
ヲ執ツテ、其ノ成果ヲ擧ゲルヤウニ致シタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=7
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008・田子一民
○田子委員 一寸關聯シテ-此ノ設備ノ
コトデアリマスガ、此ノ間長野委員カラ、
都市ニ於テハ中等學校ノ校舍ヲ使フコトガ
頗ル便利デアラウシ、適切デアラウ、斯ウ
云フ御質問ガアツテ、私達モ非常ニ同感ノ
意ヲ表シテ居ツタノデアリマス、其ノ當時
御出席ノ文部政務次官ハ、管理者ガ違フカ
ラ是ハ困難デアルト、極メテアツサリ御片
付ケニナツタノデアリマスガ、管理者ガ違
ヒマシテモ法律ナリ、勅令ナリ、其ノ他ノ
途ヲ以テスレバ、直ニ之ヲ設置シ得ル途ガ
幾ラモアラウト思フノデアリマス、是ハ此
ノ席上デアツサリ御片付ケニナラナイデ、
能ク御親切ニ御考ニナツタラドウカト思フ
ノデアリマス、是ハ都市ニ於テハ中學校ナ
リ、工業學校ナリ、商業學校ナリ、如何樣
ニモ出來ルコトト思フノデアリマス、何レ
ノ小學校ニ致シマシテモ、市ニアリマス中
等學校ノ設備ニ致シマシテモ、縣費負擔ノ
モノデアリマス、縣民負擔ノモノデアリマ
スカラ、左樣ニ簡單ニ管理者ガ違フカラ難
カシイト云フダケデハ、斯ウ云フ風ニ經費
ヲ少クシテ效果ヲ擧ゲヨウト云フ問題ニ付
テハ、親切ガ足リナイヤウニ思ヒマスカラ、
文部大臣ニ一ツ御考ヲ戴キマシテ、法制デ
出來ルト思ヒマスカラ、單行法律ヲ御出シ
ニナツテモ宜イト思フ、勅令ノ改正デ濟
ムナラソレデ御直シニナツタラ宜イト思ヒ
やっ、斯ウ云フコトハモウ少シ融通性ヲ持
ツテ考ヘテ戴キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=8
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009・荒木貞夫
○荒木國務大臣 十分〓究致シマシテ、利
用ノ出來ルモノナラ利用シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=9
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010・長野長廣
○長野(長)委員 先般來〓員ノ地位ヲ安固
三〇、醇良ナル學風ヲ昂揚スル趣旨ヨリ致
シマシテ、最モ現代〓育界ノ弊風ヲ代表ス
ルト思ハレル某縣立中學校ノ〓員異動ニ關
聯シタ事項ニ付テ、文部當局ノ御說明ヲ求
メテ來タノデアリマスガ、當時調査ヲナサ
レルト云フコトデアリマシタガ、最早其ノ
調査モ出來タコトト思ハレマスカラ、現
大體明ニナツタ部分ヲ御發表ヲ願ヒタイト
思ヒマス、第一ニ其ノ〓員ヲ打チタル事實
個室
ガ有ルカ無イカ、若シ其ノ事實有リトセバ、
其ノ毆ツタ者ニ對シテモ十分適切ナル處置
ヲヤラレテ、其ノ取計ヒニ萬遺漏ナキヲ期
セネバナラナイト考ヘルノデアリマスル
ガ、ソレ等ニ付テ、如何ナル御事情デゴザ
イマセウカ、承リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=10
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011・小柳牧衞
○小柳政府委員 先般某縣ニ起リマシタ〓
員ノ毆打事件ニ付キマシテ、其ノ事實ニ付
テノ御尋デゴザイマスルガ、當局ノ今マデ
知リ得タコトカラ色々調査致シマスルト、
〓員ノ間ニ於キマシテ、毆打事件ト申シマ
セウカ、サウ云フヤウナ事件ノアツタコトハ
事實デアリマス、而シテ斯ノ如キ事ハ〓育
界ニ於テハ洵ニ苦々シイコトデアリマシテ、
將來斯ウ云フコトノ起ラヌヤウニ最善ノ努
力ヲスベキモノト思ヒマスルガ、ソレニ付
キマシテ能ク是等ノ事情ヲ調査致シマシテ、
殊ニ公平ナ立場ニ於テ是等ノ問題ヲ考究致
シマシテ、若シ責任ノアル者ガソコニ生ジ
マスレバ、ソレ〓〓適當ニ處置ヲ致シタイ
ト存ジテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=11
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012・長野長廣
○長野(長)委員 福岡縣坂本學務課長ガ昨
年十二月某日ニ某縣立中學校ノ〓員ヲ縣廳
ニ喚ビ付ケマシテ、之ニ辭表ノ提出ヲ要求
致シタ事實ノ問題ニ付キマシテ、先般來御
調査ヲ願ツテ置イタノデアリマスルガ、其
ノ辭表ノ要求ヲセラレタコトハ事實デアリ
マセウカ、又同學務課長ガ、文部大臣官房
祕書課長カラト私ハ承知ヲ致シテ居リマス
凡七々、兎ニ角責任課長カラ電話ヲ掛ケマシ
タ際ニ於テ、之ニ對シ不穩ノ言辭ヲ弄ンダ、
サウシテ官吏服務紀律ノ規定ニ違背スルガ
如キ行動ニ出タト云フコトヲ承ツテ居ルノ
デアリマスルガ、是ハ事實デアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=12
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013・小柳牧衞
○小柳政府委員 只今御示シノヤウニ、福
岡縣ニ於キマシテ、某中學校ノ〓師ヲ縣當
局ニ於キマシテ出頭セシメマシテ、色々話
合ノ結果、遂ニ辭表ヲ出スコトニ至リマシ
タコトハ事實デアルノデアリマス、又是等ノ
事件ニ付キマシテ、文部省ノ者カラ福岡縣
ノ關係者ニ電話ヲ以テ話合ヲシタコトハ事
實デゴザイマス、其ノ話合ノ中ニ、荒々シ
イト申シマセウカ、或ハ穩カナラズト申シ
マセウカ、多少當ヲ得ナイ話ノアツタコト
ヲ聞イテ居リマスガ、併シ何分ニモ電話ノ
コトデアリマスルカラ、言フ人ト聽ク人ト
ニ於キマシテドンナ風ノコトガアツタノカ、
ハツキリ分リマセヌガ、併シ今申シマシタ
ヤウナ風ニ考ヘラレル事實ノアツタコトハ
其ノ通リデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=13
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014・長野長廣
○長野(長)委員 〓育行政ニ關シマシテ、
人事ト行政事務ノ一元的ニ行ハレルコトハ
洵ニ望マシイコトト私ハ思ツテ居リマス、
併シ是ハ官吏制度ノ根本改革ニ伴ハナケレ
バナラヌ理由モアリマスノデ、今ヨリ官吏
制度ノ改革ト相伴ウテ〓究ヲ進メナクテハ
ナラヌコトト思ヒマスルガ、差當リトシマ
シテ、幾多ノ弊害モ御認メニナツテ居ル次
第デゴザイマスカラ、現制度ニ於キマシテ
モ〓育行政官任用ニ際シテ、內務大臣ト一
層連繫ヲ緊密ニセラレマシテ、愼重御人選
ノ上任命ヲ見ルヤウニセラレルナラバ、相
當舊弊ヲ改メ得ルコトト存ジマス、文部當
局ハ其ノ御意思ガアルデアリマセウカ、更
ニ又將來調査ヲ進メラレ、一日モ早ク〓育
行政一元化ノ完璧ヲ期セラルル御意思ガア
リマスルカ、御答ヲ御願申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=14
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015・小柳牧衞
○小柳政府委員 御承知ノヤウニ〓育ノコ
トニ付キマシテハ、文部大臣ガ地方官ヲ指
揮監督スルコトニ相成ツテ居リマスルノデ、
內務省ト文部省トハ特ニ是等ノコトニ付キ
マシテ密接ナ連繫ヲ執ラナケレバナラヌコ
トハ申スマデモゴザイマセヌ、此ノ點ハ〓
育ノ振興ノ上ニ極メテ必要ナコトデアリマ
スルカラ、將來一層留意致シタイト存ジマ
ス、而シテ是等ノコトヲ具現化スル爲ニ、
制度ノ上ニ於テモ相當考慮シナケレバナラ
ヌコトト思ヒマスルガ、是等ノ點ハ關係ス
ル所ガ多イノデアリマスルカラ、將來十分
ニ〓究致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=15
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016・長野長廣
○長野(長)委員 私ハ先日來長時間ヲ戴イ
テ質問ヲサセテ戴キマシタコトヲ深ク感謝
致シマス、ソレト同時ニ私ガ玆ニ質問ヲシ
タ中ニ、相當具體的ニ、地方ノ學校竝ニ〓
育關係者ニ關聯ヲシタ事項ガアリマス、私
ハ此ノ事ヲ質問申上ゲル爲ニハ、相當長イ
間深慮致シタノデゴザイマス、ケレドモ是
ハ此ノ際ニドウシテモ質問ヲ申上ゲテ、我
國〓育界ノ舊弊ヲ一掃シマシテ、サウシテ
時局ニ卽應スル新〓育ノ行ハレテ行クヤウ
ニト云フ私ノ思念カラ、已ムヲ得ズ玆ニ例
ヲ擧ゲテ質問申上ゲタ次第デアリマス、此
ノ質問ハ申スマデモナク一般〓育界、殊ニ
關係學校等ニ惡イ影響ヲ及ボシテハナラヌ
ノデアリマス、又是ガ爲ニ關係〓育者等ガ
迷惑ヲ蒙ツテモナラヌト思ヒマス、就キマ
シテハ文部當局ト致サレマシテハ、ドウカ
此ノ問題ノ適正ニ解決ヲ見ルコトニ御盡力
ヲ戴キマシテ、同時ニ地方當局等ガソレ等
ノコトニ働カレル上ニ於テ、惡イ影響ガ其
ノ學校竝ニ〓育者ニ及バナイヤウニ、特ニ
愼重ナ御考慮ヲ願ヒタイノデアリマス、又
私ハ文部省ノ內部ニ關係スルコトニマデ、
相當忌憚ナキ意見ヲ述ベマシタガ、是ハ我
ガ國民ガ文部當局ニ對スル心カラノ平素ノ
叫ビデアリマス、私ハ身ヲ挺シテ大局カラ
質問ヲ申上ゲタ次第デアリマス、然ルニ文
部大臣ハ之ニ對シテ誠心誠意御答辯ヲ戴キ、
又私ノ意見ノ中ニ採ルベキモノガアルトシ
タナラバ、相當之ヲ御採用戴クト云フコト
ヲ言明サレマシタコトニ付キマシテハ、衷
心感謝ヲシマス、私ハ文部大臣竝ニ其ノ下
ニ在ラレテ御努力ニナツテ居リマスル現在
ノ文部省ノ官吏各位ニ對シマシテ、衷心カ
ラ益〓斯道ノ興隆發達ニ御貢獻下サレンコト
ヲ御願致シマシテ、玆ニ質問ヲ打切ルコトト
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=16
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017・野村嘉六
○野村委員長 時間ガ來マシタカラ今日ハ
是デ散會致シマス、明日ハ飛行機ノ見學ノ
爲ニ多數ノ方々ガ御出張ニナルサウデスカ
ラ休ミマス、明後土曜日ノ午前十時カラ開
會スルコトニ致シマス
午後零時二十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007412002X00619390223&spkNum=17
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