1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十四年三月一日（水曜日）午後一時二十七分開議
出席委員左の如し
委員長 菊池良一君
理事 岡野龍一君 理事 田中好君
理事 森下國雄君 理事 守屋榮夫君
理事 葉梨新五郎君
川崎末五郎君 成島勇君
高田耘平君 喜多壯一郎君
長野高一君 松山常次郎君
前川正一君 須永好君
沖島鎌三君 木村正義君
吉植庄亮君 宮本雄一郎君
小笠原三九郎君 石坂繁君
小田榮君
出席國務大臣左の如し
商工大臣兼拓務大臣 八田嘉明君
出席政府委員左の如し
農林省米穀局長 周東英雄君
拓務政務次官 寺田市正君
拓務參與官 江藤源九郎君
拓務省管理局長 副島勝君
拓務省殖産局長 植場鐵三君
拓務省拓務局長 安井誠一郎君
拓務書記官 森重干夫君
臺灣總督府總務長官 森岡二朗君
臺灣總督府財務局長 嶺田丘造君
臺灣總督府殖産局長 田端幸三郎君
樺太廳長官 棟居俊一君
南洋廳長官 北島謙次郎君
本日の會議に上りたる議案左の如し
臺灣事業公債法中改正法律案（政府提出）
臺灣米穀移出管理特別會計法案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/0
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001・菊池良一
○菊池委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス、前
會ニ留保サレテ居リマシタ川崎君ノ質疑ヲ
許シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/1
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002・川崎末五郎
○川崎委員 米穀局長ハ見エマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/2
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003・菊池良一
○菊池委員長 今呼ビニ行ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/3
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004・川崎末五郎
○川崎委員 私ハ米穀局長ガ居ラツシヤラ
ナイト一寸困リマスガ、其ノ間時間モナン
デスカラ要綱ニ付テ御尋致シテ置キマス、
此ノ移出管理要綱ノ中ノ買入價格ノコトニ
付テ御伺致シタイ、「買入價格ハ生產費、物
價其ノ他ノ經濟事情ヲ參酌シテ種類、銘柄、
等級別ニ移出港渡ノ價格ニ付之ヲ決定シ告
示スルモノトス」斯ウ云フコトニナツテ居ル、
サウシテ段々伺フ所ニ依リマスレバ、大體
常識的ニ二圓ノ利鞘ヲ取ツテ、其ノ程度デ
買上ゲル、斯ウ云フ御話デゴザイマシタ、
第一ソレト此ノ買入價格ニ付テノ關係ヲ先
ヅ確メタイト思ヒマス、而シテ從來總督府
ノ御出シニナツテ居ル各種ノ出版物ナリ、
又御說明ナンカヲ伺ツテ見マスト、要スル
ニ通常ノ場合ニ於テハ、生產費ニ若干ノ利
潤ヲ含メタ程度ニ於テ、買入價格ヲ決メル
積リデアツテ、如何ナル場合ニ於テモ生產
費ヲ割ルヤウナコトハセナイ、生產費ハ補
償シテヤル、此ノ程度デ買上ノ價格ヲ決定
スルノダ、斯ウ云フヤウニ伺ツテ居ルノデ
アリマス、昨日モ御尋シテ居ツタノデアリ
マスガ、臺灣ニ於テ從來御調査ニナリ、御決
定ニナツテ居リマスル生產費ノ調査ニ付テ、
地域ハ全島總テノモノニ付テ、各地域ヲズ
ツト平均的ニ御調ニナツテ居ルノデスカ、
又或ル相當纏ツタ區域ニ付テハ特殊ノ事情
ガアルカラ、其ノ生產費ノ調査決定ニ付テ
ノ材料トシテ、或ル區域ヲ除外シテ居ラレ
ルト云フヤウナ事實ガアリマスカドウカ、
露骨ニ申シマスレバ私臺南ニ居ツタノデス
ガ、河南大圳或ハ桃園ノ大圳ニ於ケル灌漑
區域、アレハ相當ナ耕作面積ガアルダラウ
ト思ヒマス、アソコラノ地域ニ付キマシテ
ハ、特殊ノ負擔ノ關係モアリマセウガ、ア
ソコラノ部分ヲ生產費ノ調査ノ中ニ資料ト
シテ參酌サレテ居ルノデアリマスカ、ソレ
ハ全然總督府ノ從來ノ米ノ生產費ノ調査ニ
付テハ、除外シテ居ラレルノデアルカ、ソ
レヲ一ツ伺ツテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/4
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005・田端幸三郎
○田端政府委員 買入價格ノ決定ト生產費
ノ問題ニ付テハ、平生ノ場合ニ於テハ生產
費ノ上ニ必ズ一定ノ利潤ヲ加ヘテ、買入價
格ヲ決メタイト思ツテ居リマス、隨テ寧ロ
市場價格カラ總督府ノ計畫シテ居ル金額ヲ
差引イタ程度デ行クト云フヤウニ、御承知
ヲ願ツテ然ルベキト思ヒマス、ソレカラ生
產費ヲ補償スル云々ト云フコトハ、ソレハ
所謂最惡ノ場合デアリマシテ、言ヒ換ヘレ
バ市場價格ガ生產費ヲ割ル、生產費以下ニ
下廻ルト云フヤウナ時デモ、ヤハリ生產費
ハ必ズ補償スル、生產費ヲ割ルト云フコト
ハ絕對ニナイ、斯ウ云フコトデ行キタイト
思ツテ居リマス、ソレカラ生產費ヲ調査ス
ルニ付キマシテノ方法、事項等ハ昨日モ申
上ゲマシタヤウニ、昭和九年ニ決メマシタ
內外地ヲ通ジタ方法デヤツテ居ル譯デアリ
マス、ソレカラ臺灣ニ於キマシテハ、二期
ニ於キマシテモ三百戶ニ付テ調査ヲシテ居
リマスノデ、隨テ其ノ區域ハ全島ニ亙ツテ
居リマシテ、特殊區域ヲ除イテ居ルト云フ
コトハアリマセヌ、各州ズツト萬遍ニ之ヲ
求メテ居リマス、左樣御諒承ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/5
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006・川崎末五郎
○川崎委員 今一寸事務ノ方ニ御伺シテ居
ツタノデ能ク聽キ取レナカツタノデスガ、
河南大圳ノ區域モヤハリ含メテ居ルト仰シ
ヤルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/6
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007・田端幸三郎
○田端政府委員 前ニハ相當戶數ガ少カツ
タカラ、サウ一般ニ萬遍ニ行カナカツタ、
最近ニ於キマシテ調査戶數モ非常ニ殖ヤシ
マシタ、殊ニ米穀管理ヲ實施スルコトニナ
リマスレバ、來年ノ豫算ニモ組ンデ居リマ
スガ、六百戶位殖ヤシテ、出來ル限リ正確
ナ生產費ヲ求メタイト思ツテ居リマス、唯
困リマスノハ農家自身ニ色々ナ資料ヲ記帳
サシタリスルコトモアリマスシ、ソレト成
ベク公平ナ生產費ヲ出ス、中庸的ナモノヲ
求メルト云フ關係カラ、場合ニ依ツテハ澤
山求メタイノデスガ、ソレニ適合スル農家
ハ少イノデアリマス、併シ成ベク多クノ資
料ニ依ツテ、正確ナ材料ヲ得タイト云フコ
トデ、來年度之ヲ實施スルヤウニナリマス
レバ、今マデノ調査戶數ヲ倍ニシテ行キタ
イト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/7
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008・川崎末五郎
○川崎委員 甚ダ諒イヤウデ恐縮デスケレ
ドモ、私ノ御尋シタコトヲ具體的ニ話シテ
戴ケバ結構デス、從來ノ臺灣ノ米ノ生產費
ノ調査、殊ニ蓬萊米ノ生產費ノ調査ニ付テ
ハ河南大圳或ハ桃園等ノ灌漑區域ハ、相
當ナ耕作面積ガアラウト思ヒマス、ソレラ
ノ特殊ノ事情ガアルノデ、從來ハ蓬萊米ノ
生產費ノ調査ニ付テハ、其ノ區域内ヲ除外
シテ居ツタヤウニ聽クノデアリマスガ、サ
ウ云フ事實ガアツタカドウカ、將來ハ除外
セズニ、一般的ニソレモ網羅シテ調ベナケ
レバ、臺灣全島ノ所謂中庸ト申シマスカ、
平均シタ所ノ生產費ハ私ハ出ナイト思フ
特殊ノ事情ガアツテモ、僅カ百戶ヤ二百戶
ナラ格別、何万戶ト云フモノノ或ル區域ガ
除外サレテ居ルトスルト、相當生產費ノ調査
ノ上ニ事實ト結果トガ喰違ヒガ出ルコトヲ
惧レルカラ、私ハ確メテ居ルノデス、其ノ
意味ニ於テ具體的ニ河南大圳、桃園等ノ區
域ニ付テ、ハツキリ仰シヤツテ戴ケバ結構
デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/8
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009・田端幸三郎
○田端政府委員 最近ハ皆入ツテ居リマス、
昔ハ戶數ガ少カツタカラ、或ハ漏レテ居ル
ヤウナコトガアツタカモ知レマセヌガ、今
ハ入レテ居リマス、又今後一層殖ヤシマシ
テ、成ベク多クノ計數ヲ摑ンデヤリタイト
思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/9
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010・川崎末五郎
○川崎委員 其ノ點ハ能ク分リマシダ、次
ニ御尋致シタイノハ、相當ナ利潤ヲ含メテ
價格ヲ決定スルト云フコトヲ伺フノデスケ
レドモ、ソレガ來年度ニ實施サレル初年度
ニ於テハ、利鞘二圓ヲ大體取ルト云フコト
ハ、其ノ中ニ既ニ生產費ト相當ナ利潤ガ含
マレテ居ルノデアルカドウカ、恐ラク今マ
デノ御說明デハソレモ含マレテ居ル筈デ
ス、サウスルト其ノ中、生產費ハドノ位デ、
生產費以外ノ利潤ハドノ位含マレテ居ルト
云フ御見込デ、此ノ初年度ニ於テ大體利鞘
二圓ヲ取ツテノ程度デ、買上價格ヲ決定シ
ヤウト云フ御考デアリマセウカ、其ノ點ヲ
明ニシテ戴キタイコトト、初年度ハ利鞘二
圓デハアルガ、將來ニ於テ生產利益ニ付テ、
十箇年計畫ヲ御立テニナツテ居ルガ、ソレ
ハ其ノ當時ノ一般ノ經濟情勢、或ハ物價ノ
關係、色々ナコトデ今カラ全部ヲ豫想スル
コトハ出來マセヌガ、併シナガラ大體ドノ
程度ノ利鞘ヲ、通常ノ場合ニ於テ認メタガ
宜イカト云フコトニ付テノ一定ノ御考、御
方針ガアレバ將來ノ大體見透シガ付ク筈デ
ス、其ノ意味ニ於テ相當ナ利潤ガ幾ラ位デ
アルカ、此ノ利鞘二圓ト云フノデ今後進ン
デ行カレルノデアルカ、ト申シマスノハ急
激ナ打擊ヲ與ヘルト云フコトハ考ヘナケレ
バナラヌカラ、漸進的ニ進ミタイト云フ御
考デアル、其ノ漸進的ノ意味ニ於テ急激ナ
打擊ヲ與ヘルコトヲ考慮スル、サウシテ初
年度ニ於テハ利鞘二圓、ソレヲ考ヘレバ今
後二年、三年、四年ト年度ガ進ンデ行クニ
從テ、或ル場合ニ於テハ此ノ利鞘二圓ガ或
ハ二圓五十錢、三圓、三圓五十錢ト、或
ル程度マデハサウ云フ風ニ進ンデ行クノデ
ハナイカト云フ一ツノ懸念ヲ持ツコトモ無
理ハナイト思フノデス、其ノ點ヲ心配ノナ
イヤウニ、今後少クトモ數年間ドノ程度デ進
ムト云フコトヲ、ハツキリ此處デ御說明願
ヒタイ、ソレハナニナラバ總務長官カラハ
ツキリ御話ヲ願ヘレバ結構デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/10
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011・森岡二朗
○森岡政府委員 只今ノ御質問ノ前段ノ、十
四年度ノ利鞘及ビ利潤關係ハ、殖產局長カ
ラ御答致シマス、後ノ現在考ヘテ居リマス
二圓ノ利益ト云フコトニ付キマシテハ、差
當リ此ノ二圓程度ニシテ置キタイト考ヘテ
居リマス、隨テ二圓以上ニナルト云フコト
ハ或ハ豫想サレルカモ知レマセヌ、又二圓
以下ニ或ハ一圓若クハ先程申上ゲマシタ通
リニ、市場價格ガ生產費ヲ割ツタ場合ニ
ハ、是ハドウシテモ取レナイ場合ガアリマ
ス、今後ノ經濟事情ノ推移ニ從ツテ、只今
申上ゲマシタヤウナ趣旨デ行キタイ、斯ウ
思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/11
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012・田端幸三郎
○田端政府委員 正確ナ資料ヲ差上ゲルコ
トニナツテ居リマシテ、今折角調製シテ居
リマスノデ、今日中ニ刷リ上ゲテ、間モナ
ク御手許ニ差上ゲタイト思ツテ居リマス
ガ、大體買入價格ト生產費トノ間ニ、相當
ナ利潤ガ加ツテ居リマス、ハツキリシタ數
字ハ今申上ゲ兼ネルノデアリマスガ、明日
御手許ニ差上ゲルト共ニ、能ク御說明申上
ゲタイト思ツテ居リマス、相當ナ開キガア
ル譯デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/12
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013・川崎末五郎
○川崎委員 ソレデハ明日材料ヲ戴キマシ
テ、ソレニ依ツテ又確メタイト思ヒマス、
抽象的ニ言ヘバ相當ト言ヘマスガ、御話ニ
依ルト、生產費ト總督府ノ狙ツテ居ル利鞘
ノ關係モ、大體差當リハ二圓デアルト云フ
コトデアリマスガ、殘ル所ハ農民ノ利潤ト
シテドノ程度ヲ見テヤルカ、ソレガドノ位
ノ割合ニナルカト云フコトデアリマス、私
ハ大體買入價格ナリ、或ハ農民ノ實情ト云
フモノヲ考ヘテ、ソレ位ノ利潤ヲ見テヤル
ナラバ宜イ、サウシテ具體的ニ云ヘバ、遣
ル方ト取ル方ノ雙方ノ間ニ開キガアリマセ
ウガ、ソコニ自ラ判斷ガ付クト思ヒマス、
成ベク明日ノ資料ノ中ニハ、具體的ニ御示
シヲ願ヒタイト思ヒマス、絕對額デハサウ
ハツキリ分リマセヌガ、大體生產費ト總督
府ノ利鞘、ソレカラ農民ノ利潤ヲ見込ンデ
ヤル、其ノ割合ト云フカ比率ト云フカ、「パー
センテージ」位ガ大體分レバ、是ナラ穩
當デアラウ、是ナラ餘リ苛酷デハナイト云
フ判斷ガ付クト思ヒマス、私ハ決シテ咎メ
立テトカ、故意ニ出來ヌコトヲ言フ積リデ
ハナクテ、ヤハリ政治ト云フモノハ全體的
ニ見テ、農民ノ利益、農民ノ心持ト云フモ
ノヲ考ヘテヤラナクテハナラヌト思フ、或
ハ又吾々ガ此ノ程度ナラバ宜イト思ツテモ、
彼等ハサウ言ツタツテ、マダイカヌト云フ
コトモ言ヘルノデ、ソコニハツキリシタ基
礎ガナイト的確ニ言ヘナイノデ、其ノ點ヲ
明ニシテ戴キタイト考ヘルノデアリマス
尙ホ言葉ヲ返スヤウデ恐縮デスガ、森岡君
ノ言ハレル差當リ利鞘ハ二圓デアルガ、將
來ノ物價ノ關係、或ハ生產費ノ關係、或八
其ノ他經濟事情ノ其ノ時ノ推移ニ應ジテ、
時々變ラナケレバナラヌト云フコトハ言フ
マデモナイコトデアル、私モソレハ無理ヲ
申上ゲルノデハナイガ、現在ノ米價、現在
ノ物價、現在ノ經濟狀態ガ、今後二三年續
イテ行クト云フ假定ノ下ニ於テハ、サウナ
レバヤハリ利鞘ハ二圓程度デ進ンデ行カレル
ノカ、或ハ漸進的ニ行クノデアツテ、將來
ハモウ少シ利鞘ヲ取ツテ、他ノ有用作物ヲ
作ラセルノデアルカ、農民カラ云ヘバ米ヲ
作ルノガ利益デアル、利益不利益ノ關係カ
ラ云ヘバ、米以外ノ物ハ不利デアル、隨テ
他ノ手段方法ヲ講ズレバ別トシテ、同ジ條
件ノ下ニ於テ、彼等ニ自由ニ耕作ノ選擇ヲ
認メレバ、ヤハリ米ヲ作ツテ他ノ有用作物
ハ作ルマイ、嫌フデアラウ、斯ウ云フ想像
モ付キマスカラ、ソレヲ救フ爲ニハ、一方
ニ於テ奬勵金ヤ補助金ヲヤルトカ、ソレニ
依ツテ實際ニ於テノ百姓ノ懷ロ勘定ガ、平
均ガ取レルヤウニシテヤラナケレバナラ
又、他ノ條件ヲ無視シテ强ヒテヤルト云フ
コトハ無理デアル、ソレヲヤラスニハ利鞘
ヲモウ少シ餘計取ツテ、奬勵金ヲ增シ、「バ
ランス」ヲ取ツテ、初メテ彼等ガドチラヲ
作ツテモ自分ノ懷ロ勘定ハ宜イト云フヤウ
ニシナケレバナラヌ、サウスレバ國策トシ
テ米ハ今年ハ必要ナイ、黄麻ナリ、苧麻ナ
リヲ作レト云フコトヲ强ク言ヘルシ、本人
モ納得シテ作リ易イ、サウ云フ關係カラ、
現在漸進的ニト云フ御話ハ、此ノ買入價格
ヲ利鞘ノ點ニ當嵌メテ行クト、差當リハ長
官ノ仰シヤル十二年ハ一一圓取ルガ、十三年
度ハ二圓五十錢、其ノ次ハ三圓ニサレルト
カ、サウ云フ意圖ガアルカドウカト云フコ
トヲハツキリセヌト、サウ云フ意圖ガ或ハ
アリハセヌカト云フ疑ヲ持タレテモ、强チ
是ハ邪推トノミ言フ譯ニハ行カナイト思フ、
サウ云フ意味ニ於テ、モウ少シハツキリ仰
シヤツテ戴ケバ、安心スルデアラウト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/13
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014・森岡二朗
○森岡政府委員 只今御說ノ如ク有用作物
ヲ急激ニ增加スル爲ニハ、著シク米ノ買上
價格ヲ低下致シマシテ、ソレヲ有用作物ノ
方ニ〓スト云フコトニナレバ、有用作物本
位カラ云ヘバ、著シク增進スルト云フコト
ニナリマスガ、斯ノ如ク急激ナルコトハ避
ケマシテ、差當リ當分ノ間只今御話ノ如キ
一ツノ假定ノ下ニ於テハ大體ニ於テ現在
ノヤウナ狀態デ進ミタイ、斯ウ思ツテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/14
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015・川崎末五郎
○川崎委員 能ク了解致シマシタ、只今長
官ノ御說明ハ今後數年間現狀ト變リガナイ
ト云フ假定ノ下ニ於テハ、大體利鞘二圓デ進
ム方針デアルト伺ツテ間違ヒアリマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/15
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016・森岡二朗
○森岡政府委員 前申シマシタ如ク一ツノ
假定ノ下デアリマスガ、繰返シテ申シマス
ケレドモ、經濟事情ノ變化ト云フコトニナ
レバ、是ハ下ル場合モアリマスシシマスカ
ラ、大體ニ於テ今御話ノ現在ノ如キ經濟事
情デアレバ、當分斯ウ云フ狀態デ行キタイ、
斯ウ思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/16
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017・川崎末五郎
○川崎委員 能ク分リマシタ、次ニ是ハ此ノ
資料ノ買入價格ノ三ニ「買入米ノ買付調節ノ
爲買入價格ニ金利、保管料及目滅品傷ニ對
スル補償料ヲ加算スルモノトス」トアリマス
ガ、是ガ一寸私ニ了解シ兼ネルノデアリマ
ス、之ヲ素人ニモ能ク分ルヤウニ御說明ヲ
願ヒタイ、「プラス」デ加ハルノカ、「マイナスL
デ加ハルカ·····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/17
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018・田端幸三郎
○田端政府委員 「プラス」デ加ハルノデア
リマス、幾ラデ買上ゲルト云フコトガ決マ
リマスカラ、農民ハ成ベクソレヲ賣ツテ金
ニスルコトガ有利デアル、必ズサウ云フコ
トニ出ルデアラウト一應ハ考ヘラレル譯デ
アリマス、所ガ臺灣デハ今ノ所、農家自身
ガ籾摺設備ヲ持ツテ居リマセヌノデ籾摺業
者ノ所ニ持ツテ行キ、其ノ籾摺ノ設備ニ依
ツテ玄米ニシテ市場ニ出ス譯デアリマス、
ソレガ今大體全島各地ニアリマスガ、其ノ
設備ヲ動カス限度デ市場ニ出テ來ル譯デア
リマス、デアルカラ一時ニ殺到スルト云フ
コトハ、ソレニ依ツテモ事實ナイ譯デアリ
そく、其ノ上ニ賣急ギシナケレバ損ダト云
フ觀念ヲ與ヘルコトニナルト、自然殺到致
シマスシ、又一時ニ金ガ〓ルト云フコトハ、
臺灣自體ノ經濟狀態ニモ、一種ノ惡イ「イン
フレ」ヲ惹起スルコトニナリマスノデ、ソレ
デ金利ヲ見テヤル、一箇月遲レタ場合ニ、
一箇月ノ金利ヲ幾ラ見ル、ソレカラ保管料
ヲモ見テ、二箇月後ニ賣ツタ場合ニソレヲ
「プラス」シテ幾ラ、ソレカラ目減リ、是ハ今
ノ所デハ二箇月、三箇月ト云フノハ殆ドナ
イト思ヒマスガ、是モ非常ニ先ニナツテ行
クト云フヤウナコトモ考ヘラレル譯ナンデ
スガ、サウ云フ場合ニハ多少物其ノモノガ
惡クナツテ居リマスカラ、多少ソレハ減ラ
スト云フコトモアリ得ル譯デアリマスガ、
是ハ實際ニハ殆ド響カナイト思ヒマス、サ
ウ云フエ合デ金利、保管料ヲ「プラス」シテ、
賣急ガナクテモ損ハ立タナイト云フヤウニ
致シタイト考ヘテ居ル譯デアリマス、左樣
御諒承願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/18
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019・川崎末五郎
○川崎委員 此ノ際ニ御伺致シテ置キタイ
ト思ヒマスガ、從來臺灣ニ於テ主トシテ移
出米ノミヲ取扱ツテ居リ、サウシテアチラ
デ買付ケテ內地へ之ヲ移出シタ、サウ云フ
業者、或ハ是ノ運搬ト言ヒマスカ、內地マ
ツ
デノ運送業ニ當ツテ居ツタ、サウ云フ從來
主トシテ蓬萊米ヲ取扱ツテ居ツタ各種ノ業
者ガ、此ノ管理案ニ依ツテドウ云フヤウナ
影響ヲ受ケルカ、將來ト雖モ自己ノ業務ヲ
續ケテ行クコトノ出來ル者モアリマセウ
シ、或ハ總督府ガ直轄シテヤラレル爲ニ自
分ノ從來ノ業務ガ無クナル者モアル、又總
督府ノ考ヘ方ニ依ツテ、總督府ガ船ヲ拵ヘ
テ自ラ運送スルトナレバ、ソシダケ從來米
穀ノ運送ニ當ツテ居ツタ船會社ナドニモ、
影響ガアリマセウ、サウ云フ點ニ付テノ影
響ガ、ドウ云フコトニナルノデアルカ、又
今後ソレニ對シテドウ云フヤウニ總督府ガ
取扱ツテ行クカト云フコトヲ、一ツ此ノ際
明ニシテ置キタイト思ヒマスノデ、一應御
說明ヲ願ツテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/19
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020・田端幸三郎
○田端政府委員 農民カラ籾ガ市場マデ出
〓ル間ニ於ケル關係商人デアリマスガ、第
一ニ籾摺業者デアリマス、之ハ臺灣デハ土
壟間ト申シテ居リマスガ、ソレハ從前通リ
營業ガ出來ルト思ヒマス、之ニハ大體ニ於
テ影響ガナイ、ソレカラ其ノ手ヲ經テ米商
人移出商ニ渡ツテ、其ノ手ヲ經テ大體ニ
於テ內地へ出スノデアリマスガ、ソレガ今
臺灣デ十八軒營業ヲヤツテ居リマス、其ノ
中デ三井ト三菱、杉原、加藤商會、此ノ四
軒ガ殆ド九〇%以上占メテ居リマシテ、大
部分ノ荷ヲ扱ツテ居リマス、是等ガ仕事ガ
無クナル勘定デアリマス、サウ云フモノハ
ソレヲ全部纏メテ一時農林省ニ委托シマシ
テ、農林省ガ今度出來ル米穀會社ニ更ニ扱
ハセル、斯ウ云フコトニナリマスノデ、移
出業者ノ仕事ガ無クナル譯デアリマス、ソ
レト極ク少數ノ仲買人ガアリマス、是モ殆
ド專業トシテヤツテ居ル者ハ、今一軒シカ
アリマセヌガ、ソレガ仕事ガ無クナル、ソ
レカラ正米市場ガ臺北ニ一箇所アリマスガ、
是モ別ニ正米市場其ノモノノ仕事ヲ禁止ス
ル譯デハアリマセヌガ、旣ニ移出米ガ管理
ニナルト、島內ノ正米ダケデ十分採算ガ立
タナイノデ、自然休業ト云フコトニナリ、
廢止スルコトニナラザルヲ得ナイノデハナ
イカト思ヒマス、差當リ關係者ハ移出業者
ト、正米市場ノ仕事デアリマスガ、之ニ對
シマシテハ來年度ノ豫算ニ經費ヲ計上致
シ、調査委員會ヲ設ケマシテ、是等ニ對シ
テ補償スル必要ガアリヤ否ヤ、又補償スル
トスレバ、ドノ程度ノ補償ヲスベキカト云
フコトヲ、調査スルコトニナツテ居リマス、
是ハ內地ノ米穀會社ニ付キマシテモ、其ノ
問題ニ付テ大分〓究ヲ重ネタノデアリマス
ガ、臺灣トハ少シ事情ガ違フヤウデアリマ
スルガ、ソレ等ノ事情モ彼此比較致シマシ
テ、愼重ニヤリタイト云フコトデ、差當リ
調査費ヲ設ケテ居リマス
ソレカラ島內ノ產地カラ驛マデ、或ハ驛
カラ移出港マデ出ス運送業者、ソレカラ移
出港カラ内地へ持ツテ參リマス船會社ト云
フヤウナモノハ、大體現在ノ機構、機關ヲ
其ノ儘使ヒタイト云フコトデ、進ミタイト
思ツテ居リマスノデ、隨テ之ニハ影響ヲ與
ヘナイ、斯ウ云フヤウナコトデ行キタイト
思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/20
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021・川崎末五郎
○川崎委員 ソレデ殘ル問題ハ、總督府、
拓務省、農林省當局デ協定サレマシタ申合
セノ中ニモ、隨分念ヲ押シテ入ツテ居ルヤ
ウデゴザイマスガ、所謂臺灣米ノ移出業者、
是ハ假ニ農林省デ今立案サレテ居ル會社ガ
出來レバ、其ノ方ニ全部包含スルト云フコ
トニナル譯デアリマスネ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/21
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022・田端幸三郎
○田端政府委員 先刻ノ說明ヲ補足致シマ
スガ、移出業者ニ付テハ、差當リ今度出來
ル米穀會社ニ株主トシテ加ツテ貰ヒタイ、
ソレデソレ以上補償スル必要ガアルカドウ
カト云フコトモ調査スルコトニナリマス、
ソレカラ内地ノ移入業者、是ガ各地ニ可ナ
リ數ガ多イノデアリマスガ、是ハヤバリ新
シイ會社ガ取扱ヒマシテモ、原則トシテソ
レ等ト取引ヲシテ行クト云フコトニ、大體
新シイ會社ノ運營ヲ致スヤウニシテ貰ヒタ
イ、隨テ內地ノ移入業者ハ、ヤハリ從前通
リ臺灣米ヲ扱ツテ何等支障ナク營業ガ出來
ル斯ウ云フコトニナル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/22
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023・川崎末五郎
○川崎委員 大體御方針了承致シマスガ、
私ノ考ヘテ居タ以上ニ、只今田端君ノ御說
明ヲ得マシテ、三井トカ或ハ杉原トカ、ア
ア云フ內地ノ大手筋ガ、臺灣米ノ移出業者
ヲシテ居ツタ、ソレヲ今度假ニ農林省ノ米
穀會社ガ出來レバ、其ノ株主ニ包含シテ、
其ノ方デヤラス、ソレハ結構デスガ、ソレ
ヲヤラセテ尙且ツソレ以上ニ補償ノ必要ガ
アルカドウカト云フコトヲ、今後臺灣總督
府デ、臺北ノ正米市場ノコトニ付テノ調査
ヲサレル際ニ、其ノ點モ調査サレ、若シソ
レ以上補償シテヤル必要ガアルト云フナラ
バ、補償スルト云フ御考ヲ、現在持ツテ居
ラツシヤルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/23
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024・田端幸三郎
○田端政府委員 今ノ所デハ補償スルカシ
ナイカト云フコトハ、調査會ノ決定ニ俟
ツテ進ミタイト思ツテ居リマスガ、是ハ少
シ口幅ツタイカモ知レマセヌガ、內地ノ會
社ノ株主ニナルト云フコトヲ非常ニ希望
シ、熱望スルカドウカ、是ハ業者ニ就イテ當
ツテ見ナケレバ分リマセヌ、隨テソレガ非
常ナ恩典ニナルカドウカ、又禁止スルニ代
ツテノ補償ニナルカドウカト云フコトハ、
私大分疑問ガアルノヂヤナイカト思ヒマス
ガ、サウスルト全ク仕事ガ無クナル譯デア
リマス、內地ノ情勢ト少シ趣ガ違ヒハシナ
イカトモ思ツテ居リマスガ、併シ是ハ內外
地ニ亙ツテ似寄ツタ仕事デ、而モ相關聯ス
ル仕事デアリマスノデ、ソコラヲ愼重ニ考ヘ
マシテ、私共ノ主觀的ダケデナシニ、十分
皆樣ノ御意見ヲ伺ツテ、最モ公平ナル處置
デ進ミタイ、斯ウ考ヘテ居ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/24
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025・川崎末五郎
○川崎委員 政府委員ノ只今ノ御說明デ、
意ノアル所ハ能ク了解致シマシタ、私ハ決
シテ先程申シマシタ所謂大手筋ノ仕事ガ無
クナレバソレヲ補償シテヤルト云フ意味デ
御尋致シテ居ルノデハナイノデアリマス、
又會社ニソレガ株主トシテ包含サレル、ソ
レニ依ツテ彼等ガ恩典ト思ツテ、ソレデ滿
足スルカ、入リタガルカ、或ハ寧ロ入ルコ
トヲ好マヌカ、サウ云フコトモ私ハ考ヘテ
居リマセヌ、唯從來ソレガ三者ノ協定、申
合セノ中デモ重點ヲ爲シテ居ルヤウニ思フ
ノデアリマス、又私達想像スルニ移出業者
カラ、此ノ案ニ對シテ當初相當反對ノ聲モ
アツタガ、漸次彼等カラ反對ノ聲ヲ聞カヌ
ヤウニナツタト云フコトハ、自分等ノ過去
ニ於ケル事績ヲ認メラレマシテ、將來ノ自
分等ノコトニ關シテ相當關心ガ增シタノデ、
或ハ默ツテ居ルノデハナイカ、吾々ノ常識
カラ言ヘバ、サウ云フ風ニ思ハレル節モナ
イデモアリマセヌ、ソレデ御尋致シタノデ
アリマス、別ニ只今田端君ノ言ハレル總督
府ノ御方針ニ付テ、私ハ異存ガアルノデハ
アリマセヌ、唯主觀的ニ獨斷ヲ以テ補償シ
テヤレトカ、補償シテヤル必要ガチイト云
フヨリモ、正米市場ニ付テモ、將來恐ラク
一定ノ條件ヲ備ヘタ正式ノ委員會ナリ、調
査會ヲ組織サレテ、ソコデ公正ナル又嚴
正ナル調査〓究ヲサレテ、サウシテ補償ノ
必要ノ有無、或ハドノ程度ノ補償ガ適當デ
アルカト云フコトヲ御決定ニナルト思ヒマ
スカラ、其ノ公正ナル取扱ニ信賴シテ、私
ハ此ノ點ハ只今ノ政府委員ノ御說明ヲ諒ト
致シマスガ、決シテ私ハ補償シテヤレトカ、
補償シテヤル必要ガナイト云フコトヲ申ス
ノデハナイト云フコトヲ斷ツテ置キマス、
總督府ノ御方針トシテハ實際ノ仕事ノ上
カラ言ヘバ、サウ行クヨリ仕方ガナイ、サ
ウスベキモノダト私モ思ツテ居ルノデアリ
マスカラ、誤解ノナイヤウニ申上ゲタノデ
アリマス
次イデ第三ノ移出ノコトニ付テ伺ツテ置
キマスルガ、農林省ト協議シテ、內外地ノ
需給推算ニ付テ、一定年次ノ米穀ノ生產目
標ヲ立テル、斯ウ云フコトガ根本ニナツテ
居ルト思フ、現在此ノ大體ノ年次ノ生產目
標ガ立ツテ居ルノデゴザイマスカ、若シゴ
ザイマスレバ、之ヲ御示願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/25
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026・田端幸三郎
○田端政府委員 此ノ米管理案ニ關シテ、
今後ノ米及ビ其ノ他有用作物ノ、何ト申シ
マスカ將來ノ生產目標ヲ大體立テテ居リマ
スガ、ソレハ臺灣獨自デ決定シタダケデモ
行キマセヌ譯デアリマス、米ハ固ヨリ農林
省ト能ク協定致シマスシ、他ノ有用作物ニ
付キマシテモヤハリ內地トノ重複、衝突ヲ避
ケテ、而モ臺灣ノ特色ヲ發揮スル、斯ウ云
フヤウニ行キタイト思ツテ居ル譯デアリマ
ス、隨テ一定年次ト云フコトデアリマスガ、
十年モ二十年モ釘付ケニサレルト非常ニ困
ルコトニナル、又ドツチガ良イカ分ラヌコ
トニモナル譯デアリマス、ソレデ大體三年
トカ、五年位ノ程度ヲ目標ニシテ、ソレヲ
一ツノ年次ニシテ行カウデハナイカ、斯ウ
云フコトニナツテ居リマス、ソレカラ差當
リ十年ノハ作ツテ居リマスガ、農林省ノ方
デハ大體ソレデ宜カラウ、斯ウ云フコトニ
ナツテ居リマシテ、一定ノ年次ノ目標ニ付
キマシテハ、更ニ協議スルコトニナツテ居
リマス、一應ハ十年間ノ案ヲ立テテ居リマ
ス、ソレハ御手許ニ差上ゲテアルノデハナ
イカト思ヒマスガ、尙ホ一ツ資料ヲ整ヘマ
シテ差上ゲタイト思ヒマス、極ク簡單デア
リマスガ、重要農作物十箇年增產目標、ソ
レガ大體ノモノデアリマシテ、農林省ハ是
デ宜カラウ、更ニ一定年次ノモノハ、是ハ
實際內地モ、朝鮮モ臺灣モ全部ヤラナケレ
バ本當ニ效果的デハナイト思ヒマスガ、
併シ其ノ方モ農林省ガ努力スルコトニナツ
テ居リマス、臺灣ハソレデ大體宜カラウ、
此ノ內譯ニ付キマシテ更ニ協議スルコトニ
ナツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/26
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027・川崎末五郎
○川崎委員 大體諒承シマシタガ、多少私
ガ意外ニ思フノハ、是ハ米モ入ツテ居リマ
スルガ、°之ニ付テハ增產計畫ノ十年間ノ目
標ヲ、昨日モ各年次別ニ詳細ニ內譯ヲ戴キ
タイト申シタノデアリマス、是ガ直チニ所
謂農林省ト協議シタ內外地ノ需給推算ニ基
イテノ、一定年次ノ米穀ノ生產目標トハ、
私ハ實ハ思ハナカツタノデアリマス、今伺
ヒマシタラ是ガソレダト云フ御話デアリマ
ス、ソレナラソレデ承知致シマスガ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/27
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028・田端幸三郎
○田端政府委員 御言葉中デアリマスガ、
一應ソレデ決メテ置イテ、更ニ二年ナリ五
年ト云ツタヤウナ、所謂一定年次ノ目標ニ依
ツテ、更ニ協議スルコトニナツテ居リマス、
大體ノ目標ハ是デ宜カラウ、斯ウ云フヤウ
ナ打合セニナツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/28
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029・川崎末五郎
○川崎委員 能ク御話ハ諒承致シマシタ、
是ハ實ハ農林省ノ政府委員ノ御出席ヲ待ツ
テ、御聽キシタイト思ツテ居ルノデアリマ
ス、此ノ內外地ヲ通ジタ需給推算トカ、或
ハ內地、朝鮮、臺灣ヲ通ジテ日本全體トシ
テノ今後ノ米穀生產計畫、需給推算ト云フ
コトハ非常ニ大事ナコトト思ヒマス、是ノ、
總督府ノ方々ニ御尋シテ居ツテモ埒ノ明カ
ヌコトデアリマスシ、又御迷惑ダト思ヒマス
カラ是ハ留保シテ、農林當局ノ御列席ノ際
ニ、併セテ伺フコトニ致シマシテ、此ノ程
度デ止メマスケレドモ、要ハ今後數年間ノ
具體的ノ生產計畫、需給推算ト云フコトヲ
實ハ私ハ知リタイ、是ハ何レ數字ニ依ツテ
後デ御說明ヲ願ヒ、確メル機會ガアルト思
ヒマスカラ、此處デハ此ノ程度ニ止メテ置
キマス、併シ此ノ點ハ私ハ最モ重要ナルコ
トデアルト思フノデアリマス、此ノ點ガ明
瞭ニナルマデハ、全體ノ此ノ案ノ可否ト
カ、採否トカ云フコトハ決ラヌト私ハ思ヒ
マス、私バカリ時間ヲ取ルノモ何デスカ
ラ、是ハ此ノ程度ニ止メマス
更ニ私ハ米ト甘蔗ノ關係ニ付テ、一二御
尋シテ置キタイ、段々他ノ委員ノ質問ニ對
スル御答辯、御說明デ私モ總督府ノ意アル所
ハ大體了解致シテ居リマスガ、腑ニ落チ
ナイ點ハヤハリ確メナケレバナラヌ、田端
君ノ御說明ノ中ニ、私ノ聽キ違ヒガアルカ
モ知レマセヌガ、蓬萊米ガ今度二圓ノ利鞘
ヲ取ツテヤルコトニナレバ、下ルコトハ明
瞭デアリマス、從來甘蔗ノ買入値段ハ大體
米價ト睨合セテ定メラレル、米價ガ高ケレ
バ甘蔗ノ買入値段モ高イ、安ケレバ安クナ
ル、是ガ今マデノヤリ方デアリ、又大體其
ノ方針ニ付テハ私ハ變リガナイト思フ、隨
テ米價ガ二圓切下ニナリ、其ノ儘ニ放置シ
テ其ノ推移ニ委シテ置ケバ、自然ソレ相應
ニ甘蔗ノ買入價格モ、引下ルノデハナイカ
ト吾々ハ思フノデアリマスガ、併シナガ
ラ總督府ニ於カレマシテハ、多少下ルカモ
知ラヌケレドモ、一方ニ於テハ將來甘蔗ハ
益〓增產ヲシナクテハナラヌ、又今マデ砂
糖ノミヲ採ツテ居ツタノガ、今後甘蔗カラ
甘藷ト同樣ニ無水酒精ヲ採ルヤウニシナケ
レバナラヌカラ、益〓其ノ方ノ需要ガ殖エテ
來ルシ、增產ヲ圖ラナケレバナラヌ、サウ
云フ要求ガアル爲ニ甘蔗ノ買入値段ト云フ
モノハ、將來餘リ下ルコトハナカラウ、斯
ウ云フヤウニ今マデノ御說明ヲ聞イテ居ツ
ク、ソレガ私ニハ一應腑ニ落チタヤウデ實
ハ腑ニ落チナイ、ソレハ自然ニ任シテ置イ
テモサウ云フ需要ガ殖エテ來ルカラ、需給
關係デ甘蔗ノ買入値段ハ下ラナイ、サウ云
フ意味デアリマスルカ、或ハ國家トシテ甘
蔗ノ一部ヲ無水酒精ノ製造原料ニシナケレ
バナラヌ、ソレハ普通ノ自由ナ經濟狀況ノ間
デヤラシテ置ケバ損ガ行ク、儲カラヌカラヤ
ラヌ、併シ之ニハ相當助成モシ、奬勵モシテ
ヤラス爲ニ、何等カ他ノ方デ奬勵ヲ加ヘ、
或ハ補助金ヲヤルト云フコトニシテヤラス
カラ、ダカラ原料ガ要ル、ソレカラ其ノ原
料ハ幾ラ臺灣ハ耕地ガ廣イカラト言ツテモ、
臺灣全體トシテハ一定ノ限度ガアル、隨テ
ソレダケノ增產ヲ圖ラナケレバナラヌノナラ
バ、今マデ甘蔗ノ耕作ニ適シナカツタ所マ
デモ改良シテヤラナケレバナラヌ、隨テ生
產費モ實際ニ於テ餘計掛ツテ來ル、隨テ其
ノ買上値段モ高クシナケレバナラヌ、自然ニ
サウ云フ條件ガアルノデアリマスカラ、甘
蔗ハ將來ハ下ラヌト云フノデアリマスルカ、
下ツテモ下ラナクテモ甘蔗ノ方ハ、米ノ
石二圓ヅツノ値下リニ依ツテ農民ノ收入ガ
減ル、其ノ上ニ又甘蔗ノ買入値段モ下ツテ
來レバ、益〓、農民ノ收益ガ減ル、ダカラサウナ
レバ可哀相ダカラ、其ノ方ハ何トカ總督府
ハ糖業者ノ方トノ關係モ睨合セテ、甘蔗ノ
買入値段ニ付テハ、今囘ノ米管ニ依ル蓬來
米ノ値下リノ爲ノ、甘蔗ノ値段ノ引下ハサ
セナイト云フ方針ニ成算ガアツテ下ゲナイ、
ダカラ斯ウ云フヤウニ下ラナイト仰シヤル
ノデアリマスルカ、其ノ間ノ事情ヲ極ク明
瞭ニ、吾々ニ納得ノ行クヤウニ御說明ヲ願
ヒタイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/29
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030・田端幸三郎
○田端政府委員 臺灣ノ實情ハ御話ノ通リ、
甘蔗ノ買上價格ハ大體米ト竝行シテ居ル譯
デアリマス、隨テ蔗作面積ヲ殖スヤウナ場
合ニハ、ヤハリ買上價格ヲ增サナケレバ農
民ガ附イテ來マセヌカラ、ドウシテモヤハ
リ値上シテヤラナケレバナラヌ、隨テ今後
砂糖自身ノ增產モ圖ラナケレバナラズ、無
水酒精ノ原料トシテモ考慮シナケレバナラ
ヌト云フヤウナコトデ、今後十年間位ニ約
三万甲步位ノ蔗作面積ヲ殖スコトニ、大體
豫定シテ居リマス、ソレニハ先程申上ゲマ
シタヤウニ、現實ニ買上價格ヲ殖サナケレ
バイケマセヌカラ、サウ云フ見透シニ於テ
ハ甘蔗ノ買上價格ハ餘リ減ルマイ、斯ウ云
フノデアリマス、併シ差當リニ於テハ、今
ノ二万ナリ三万ナリヲ急ニ殖ス譯デアリマ
セヌノデ、今後徐々ニヤルノデアリマスカ
ラ、差當リニ於テ來年度カラ米管案ヲ實施ス
ル、サウスルト其ノ年ニ必ズシモサウ澤山
ノ蔗作面積ヲ擴張スル譯デアリマセヌカラ
米ガ下レバ下ゲテモヤハリ行クダラウ、蔗
作農ガ附イテ來ルダラウ、斯ウ思ヒマス、
併シソコヲ下ゲマスト、今度ハ農家ノ收入
ニ、所謂急激ナル變化ヲ與ヘルカラ、ソレ
ハ今度ハ糖業令デ認可制ニシマシテ下ケサ
セナイ、農家ノ經營ニ急激ナル變化ヲ與ヘ
サゼナイ、、斯ウ云フコトデ差當リ當分ハ行
キタイト思ツテ居リマス、併シ將來ノ見透
シハサウ減ルマイ、斯ウ思ツテ居ル譯デア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/30
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031・川崎末五郎
○川崎委員 只今ノ御說明デ大體ノ所ハ
ハツキリシテ來タノデアリマスガ、是ハ非
常ニ大事ナコトデアリマスカラ私念ヲ押シ
テ置キマス、今ノ御說明デ、大體總督府ノ
意圖ノアル所ハ私了解致シマシタ、將來ニ
於テハ自然ニ任シテモ甘蔗ノ增產ヲ圖ラナ
ケレバナラヌ、隨テ不利ナ所マデモ開拓開
墾シテ甘蔗ヲ作ラサナケレバナラヌ、自然
生產費モ掛ルシ、又ソレニ付テハ他ノ特用
作物ト米トノ栽培ノ利益關係ヲ睨合セテ、
相當ノ利益ガナケレバ甘蔗ハヤラナイ、ダ
カラ其ノ意味ニ於テ買上價格ヲ相當高クシ
ナケレバナラヌ、ソレノ必要ガアルカラ、
サウナレバ現在ト同ジヤウニ實際ノ收益ト
言ヒマスルカ、米價ヲ離レテ現在ノ甘蔗價
格ガ變ラナイヤウニ將來行クダラウ、斯ウ
云フ御說明ノヤウニ了解致シマシタガ、ソ
レハドウデモ私ハ別ニソレニ付テノ意見ヲ
申上ゲマセヌ、尙ホ今一ツハ、併シソレハ
先々ノコトデ、二万甲步、三万甲步ト、斯ウ
云フ風ニ耕作面積ノ擴張ヲ圖ルニハ一年、
二年デハ出來ナイ數年先ニナルカラ、差當ツテ
ハヤハリ蓬萊米一石二圓ノ利鞘ヲ取レバ、
ソレニ順應シテ甘蔗モ値下リニナル、會社ノ
方カラ言ヘバソレダケ値下ヲシテモ宜イ、斯ウ
云フヤウナ理窟デアル、併シサウヤラウトシ
テモ、總督府ノ方デハ糖業令ニ依ツテ、其
ノ點ヲ許可制度ニシテ現在ノ買入價格以上
ニ引下ゲルト云フコトハサセナイ、斯ウ云
フ御方針デ、之ニ依ツテ蔗作農ノ收入ノ減
少ヲ見ナイヤヴニ保障シテヤリタイ、斯ウ
云フヤウナ御說明ト伺ツタノデスガ、ソレ
デ間違ナケレバ結構デアリマスカラ、ソレ
ニ付テ私ハ意見ヲ申上ゲルノデハナイ、唯
總督府ノ現在ノ御方針ガ、サウ云フ御方針
デアルカト云フコトヲ伺フノデス、隨テソレ
以外ノコトニ付キシマテモ、從來ノ米ト砂
糖トノ關係デ片方ガ斯ウ云フ工合ニ移出米
ハ管理スル、片方ハ自由ニヤツテ行ケバ、
ソコニ又ヂグハグガ出來ルノハ明瞭デアル、
此ノ兩者ノ調和ト言ヒマスカ、ソレヲ圖ル
爲ニ從來ノ府令ヲ直シテ糖業令ト云フ律令
ニシテ、サウシテ栽培區域、作付反別ノ點
ヤ、或ハ買上價格ニ付テハ許可制ニスルト
云フコトニ伺ツタノデス、而シテ此ノ米管
案ニ付テハ十四年-度カラ實施サレ、實際
ニ於テハ第二期作以來、ソレニ依ツテ買上
ヲシヨウト云フ御計畫デアル、隨テ是ガ實
施サレルノナレバ、片方ノ糖業方面ニ於テ
モ旣ニ糖業令ノ發布ノ御用意ガアルコトト
思フノデアリマス、臺灣ニ於テハ一方ニ於
テハ米、一方ニ於テハ砂糖、甘蔗ト云フモ
ノノ二大對抗デ行クノデアツテ一方ヲ放シ
テ置クト云フコトハ、何時ダツテ、出來ナイ
譯デアリマスカラ、當然ヤラナケレバナラ
ヌ、謂ハバ同時履行ト言フカ、同時ニ竝行シ
テ行カナケレバナラヌ、卽チ片方ヲノミ見
テ判斷ハ出來ナイ、ソレデ此ノ案ノ善惡ニ
付テハ、ヤハリ一方ニ於テ糖業會ノ內容ニ
依ツテ、ドウ云フ工合ニ將來ヤツテ行カレ
ルカニ付テ、吾々ガ安心ヲ得ナケレバ不公
平、偏頗ナコトニナリハシナイカト云フコ
トヲ惧レル、又臺灣ノ農民カラ云ツテモ、
其ノ點ヲ惧レルト思ヒマス、此ノ意味ニ於
テ私ハ糖業會ノ要項ガ定ツテ居ルナラバ、
御示シヲ願ヒタイト思フノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/31
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032・田端幸三郎
○田端政府委員 糖業會ノ內容、要綱ニ付
キマシテハ今折角實ハ立案ヲ急イデ居リマ
ス、是井米管案實施ト同時ニ糖業令ヲ發布
シテ、ソレニ依ツテ糖案者ヲ指導監督シテ
行クト云フコトニ致シタイト思ツテ居リマ
ス、隨テ或點ハ付議決定シテ、法制局マデ
ハ至ツテ居リマセヌガ、ヤハリ此ノ委員會
ノ皆樣ノ御意見モアリマスカラマダ熟シテ
居リマセヌガ申上ゲマスト、大體ノ所ハ斯
ウ云ツタヤウナ內容デ行ツタラト云フコト
ヲ考ヘテ居ル譯デアリマス、ソレハ今ノ府
令デハ力ガ弱イカラ、律令デヤリタイ是ハ
臺灣ノ特殊事情ニ基クガ故ニ、法律ニ代ル
律令デ行キタイト、斯ウ思ツテ居ル譯デア
リマス、ソレデ今ノ府令デモサウデアリマ
スガ、糖業ヲ營マントスル者ハ、總督府ノ
許可ニ依ツテヤラスト云フコトガ內容ヲ成
シテ居ル、ソレカラ糖業者ノ設備ヲ增スト
カ、或ハ變更スルト云フヤウナ場合ニハ
ヤハリ總督府ノ許可ヲ要スル、ソレカラ總
督府ガ今申上ゲマシタヤウナ糖業令ニ依リ
許可ヲ與ヘタル時ニハ、其ノ當該製糖者ニ
對シテ、原料ノ採取區域ト云フモノヲ設定
致シタイト考ヘテ居リマス、此ノ原料採取
區域ト云フモノニ付テ一應御說明ヲ申上ゲ
テ置キタイト思ヒマスルガ、製糖事業ト云
フモノハ蔗作面積地ヲハツキリサセ、更ニ
原料ガ幾ラ採レルト云フヤウナコトモハツ
キリサセ、ソレニ依ツテ工場ノ設備ヲ致シ
マシテ、生產カラ製造マデ、最モ有機的ニ、
經濟的ニ行ハレルヤウニシナケレバナラヌ
譯デアリマスガ、製糖工場ヲ許ス限リハ、
ヤハリ其ノ運搬ノ便ニ依リ、最寄リノ地方
ニ於テ甘蔗ヲ作ツタ者ハ、其ノ會社ニ納メ
サスト云フ、一種ノ特權ト申シマスルカ、
サウ云フ取扱ヲセンケレバ成立タナイノデ
ハナイカト思ヒマス、其ノ代リ會社ニ當然
引取リ義務ヲ負ハス、便宜ヲ與ヘルト共ニ
義務付ケマシテ、蔗作農民ト會社トガ共存
共榮デ行クヤウニ致シタイ、今マデノ原料
採取區域ニ付キマシテハ、必ズ引取ラレナ
ケバナラヌト云フ義務ハ、事實ハサウナツ
テ居リマスガ、法文上デハナカツタヤウデ
アリマス、之ヲハツキリ致シタイト思ツテ居
リマス、ソレカラ尙ホ是ハ皆サンデハアリマ
セヌガ、原料採取區域ト云フコトヲ、世間
デハ非常ニ誤解サレマシテ、此ノ區域內
ニナレバ農民ノ自由意思ニ依ラナイデ、必
ズ甘蔗ヲ作ラナケレバナラヌト云フヤウニ、
强制力ヲ持ツテ居ルカノヤウニ誤解スル方
ガ多イノデアリマスガ、ソレハ何ヲ作ラウ
ト農民ノ自由デアリマス、併シ作ツク以上
ハ大體其ノ工場ニ持ツテ行ク、又會社カラ
言ヘバ必ズ引取ルト云フヤウナコトノ內容
ヲ持ツテ居ルノデアリマス、隨テ會社ト致
シマシテハ、原料ヲ確保スル上カラ云ツテ、
ヤハリ相當買上價格ヲ增シテ行カナケレバ、
擴張ガ出來ナイト云ツタヤウナ事情モ起ツ
テ來ルノデアリマス、ソレカラ總督府ガ大
局的ニ見テ、採取區域ノ變更ヲ命ズルト云
フコトモ爲シ得ルヤウニ致シタイト考ヘテ
居リマス、ソレハ成ベク有利ニ經濟的ニ生
產ヲスルト云フ立場カラデアリマス、大體
生產ニ付テハサウ云ツタヤウナ所デアリマ
ス、ソレカラ糖業ト他ノ有用作物トノ調整
ト云フコトデアリマスガ、サウ云フ點カラ
蔗作面積ニ付テハ許可制ニ致シマシテ、總
督府ノ許可ニ依ツテ初メテ蔗作面積ガ決マ
ル、斯ウ云フヤウニ致シタイト思ツテリ居
やく、ソレハ製糖會社ガ此ノ頃砂糖ヲ作レ
バ儲カルカラト云ツタヤウナコトデ、採算
ノミニ依ツテ自分ノ方デドン〓〓蔗作面積
ヲ擴張スルト云フコトニナレバ、自然他ノ
產業ノ發達ニ支障ヲ及ボス、所謂產業ノ調
整ト云フコトノ目的ガ達セラレマセヌ、又
之ヲ作レバ損ヲスルカラト云ツテ、一向蔗
作ヲヤラヌト云フヤウナ仕向ケヲスルト云
フコトモ、是レ亦イカヌ譯デアリマスノデ、
總督府ガ大體全般的ニ之ヲ見マシテ、蔗作
面積ハ此ノ位ト云フ豫定ニ基キマシテ、ソ
レニ依ツテ許可制ヲ採ツテ將來進メタイト
云フヤウニ考ヘテ居リマス、ソレカラ尙ホ
今後砂糖ノ需給關係、其ノ採算關係、米其
ノ他ノ有用作用ノ所得量等ヲ比較致シマシ
テ、ヤハリ蔗作面積モ決定致シタイ、言ヒ
換ヘレバ、非常ニ米ガ必要ニナツテ來タ、
砂糖ヨリモ米ノ方ガ國家ノ需要トシテハ
最モ必要ニナツタト云フ場合ニハ、蔗作
面積ヲ抑ヘテモ米作面積ヲ殖シテ行ク、
斯ウ云フヤウナ運用ノ利クヤウニ致シタイ
ト云フ所カラ、蔗作面積ノ許可制ヲ採リタ
イト考ヘテ居リマス、ソレト同時ニ買收價
格ノ許可制デアリマス、是モ今申上ゲマシ
タヤウナ所カラ、蔗作農ノ收入ニ著シキ影
響ヲ與ヘルト云フヤウナコトガアツテモイ
ケナイ譯デアリマス、又他ノ產業トノ調整
ガ破レルヤウナコトガアツテモイケナイ譯
デアリマスカラ、十分ソレ等ノ關係ヲ睨ミ
合セマシテ、尙ホ生產費ヲ考ヘ、米其ノ他
ノ對抗作物ノ收益ヲモ考へ、又更ニ前年ノ
實績、物價其ノ他ノ經濟事情等モ參酌致シ
マシテ、大體買上價格ヲ許可制ニ致シ、ソ
レニ依ツテ各會社ノ買上價格ヲ決定致シタ
イ、斯ウ云フヤウニ考ヘテ居リマス、ソレ
カラ今ハ御承知ノ通リ作付ケ前ニ價格ヲ決
定致シマシテ、十八箇月後ニ出來タ物ヲ、
其ノ價格ニ依ツテ買取ル譯デアリマス、是
ハ或ル意味ニ於テ農家ニ安心ヲ與ヘ、農家
經濟ヲ安定セシメルト云フコトニモナル譯
デアリマスガ、十八箇月モ經チマスルト、相
當其ノ間ニ經濟事情等ノ變化モアリマス、
殊ニ最近デハ米價ガ段々尻上リニナルヤウ
ナ狀況デアリマスノデ、兎モスレバ買上價格
ノ決定當時ヨリモ、實際上上ツテ居ルト云
フヤウナ事例ガ多イノデアリマス、サ云ウ
フ場合ニハ現在ハ奬勵金トカ、其ノ他デ
相當塡補スルヤウニナツテ居リマスシ、殊
ニ臺中州ノ如キ水田ヲ主ニシテ居ルヤウ
ナ地方ニ於キマシテハ、「スライヂング·ス
ケール」式ニ、米ガドレ位ノ場合ニ幾ラデ買
フ、幾ラノ場合ニ幾ラデ買フト云ツタヤウ
ナ方法モアリマスガ、是ハ極メテ例外デア
リマシテ、大體前ニ決定シタ價格デヤルコ
トニナツテ居リマス、是等モ相當ナル救濟
規定ヲ拵ヘテ、非常ニ著シキ變化ガ出來テ
來ルトカ、或ハ決定シタ儘デハ農民ニ影響ス
コトガ大キイ、言ヒ換ヘレバ會社ノ利益ガ多.
過ギルトカ云フヤウナ時ニ、是ガ變更ヲ命ズ
ルト云フヤウナコトモ、規定ノ內容ニ致シタ
イト思ツテ居リマス、ソレカラ砂糖ノ供給ニ
付テデアリマスルガ、生產協定、供給協定ト云
フヤウナ統制協定ニ付キマシテハ、今マデハ
總督府ガ直接ニハ出來ナカツタノデアリマ
ス、是ハヤハリ其ノ協定シタ場合ニ屆出デ、
又變更トカ廢止シタ場合ニハ屆出デテ、ソ
レニ對シマシテ監督スル資料ヲ常ニ持ツテ
居リ、ソレヲ見テ居リマシテ圓滿ナル供給
ヲ妨ゲルトカ、或ハ糖業ノ健全ナル發達ヲ
害スルトカ云フヤウニ認メル場合ニハ總
督府ガ協定ヲシロト言ツテ、其ノ設定ヲ命
ズルトカ、或ハ設定シテ居ルモノノ內容ヲ
變更セシムルトカ、或ハ取消ストカ云フコ
トヲ命令シ得ル事項ヲモ加へタイト思ツテ
居リマス、之ニ依ツテ唯單ニ會社自身ノ利
益本位デ協定スルト云フヤウナコトノ弊害
ヲ避ケテ、圓滿ナル需給ガ成立ツヤウニ、
消費者ノ立場モ十分考慮致シマシテ、故意
ニ糖價ヲ吊上ゲルト云フヤウナコトハ避ケ
シメテ、適當ナル需給ヲ致スヤウ監督ヲ進
メタイト思ツテ居リマス、隨テ是等ノ命令
事項等ニ違反ガアルトカ、或ハ公益ヲ害ス
ルト云フコトガアリマシタ場合ニハ、其ノ
事業自體ヲ停止シタリ、制限シタリ、取消
スト云フヤウナ規定モ設ケマシテ、嚴重ニ
監督致シタイト思ツテ居リマス、尙ホ一般
ノ當業者ノ業務及ビ財產ノ狀況ニ付キマシ
テ、是モ監督上必要アル場合ニハ相當命令
ヲ發シ、又處分ヲ爲スト云フヤウナコトモ
條項ニ加ヘタイト思ツテ居ル譯デアリマス、
是ハ非常ニ必要ナコトデアツテ、例ヘバ無
水酒精ヲ增產セネバナラヌト云フ場合ニ、
其ノ設備ヲ命ズルトカ、或ハ又會社ガ不當
ナル率ノ配當ヲスルト云フヤウナ場合ニハ、
糖業ノ健全ナル發達ヲ阻害スルコトニモ相
成リマスノデ、ソレ等ニ對シテハ監督權ニ
依ツテ相當制限スルトカ、必要ナル場合ニ
ハ利益金處分ニ對シマシテモ、總督府ガ指
導シ得ル權能モ持ツヤウニ致シタイト思ヒ
きく、大體斯ウ言ツタヤウナ條項ヲ織込ン
デ、糖業令ト云フモノヲ作リマシテ、米ト
共ニ臺灣ノ大キナ產業デアル糖業ニ付キマ
シテモ、最モ公正ナ見地カラ、又產業ノ調
整發展ヲ期スルト云フ上カラ、彼此相俟ツ
テ其ノ目的ヲ達成致シタイト考ヘテ居ル次
第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/32
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033・川崎末五郎
○川崎委員 御說明一應了解致シマシタ、
諄イヤウデスガ是ダケ一ツ確メテ置クト同
時ニ御意見ヲ伺ツテ見タイト思ヒマス、從
來ノ砂糖黍ノ買上ニ付キマシテハ、其ノ買
收價格ト言ヒマスカ、買入價格ニ付テハ
總督府ノ許可ナリ、認可ナリ、事實ニ於テハ
大體了解ヲ得テ各會社デヤツテ居ルト云フ
コトヲ聞クノデアリマス、而シテ其ノ買入
價格ハ大體米ノ値段ト睨ミ合セテ-當局
ヨリ認可ナリ許可ナリ、了解ヲ與ヘラレル
價格ニ付テハ、別ニ私ハ適正ヲ缺クモノト
ハ思ハナイ、極メテ穩當ナル値頃ヲ決メテ
居ラレルト思フ、其ノ買收價格ヲ決メル內譯
ニ付テ、前ニ田中君カラモ御話ガアリ、私
モ聞イテ居ルノデスガ、色々ナ項目ヲ擧ゲ
テヤツテ居ル、例ヘバ補助金デアルトカ、
奬勵金デアルトカ、サウ云フ項目ガアルモ
ノダカラ、ソレニ依ツテ斟酌サレマシテ、
實際ニ於テ百姓ノ手取ハ後カラ會社ノ一方
的判斷、一方的意思ニ依ツテ額ヲ決メ、而
モ割增金デアルトカ、奬勵金デアルトカ、
甚シキハ罰金ヲ科スルトカ、サウ云フモノ
ヲ差引控除サレテ、實際農民ノ手取ハ總督
府ノ考ヘル買入價格ヨリ開クヤウナ場合ガ
アル、ソコニ所謂手品ノ種ガ含マレテ居ル
ト云フコトヲ聞クノデアリマス、私ハマサ
カソレ程頻繁ニサウ云フコトヲヤラレルト
ハ思ヒマセヌガ、併シ確ニサウ云フコトガ
アリ得ルト考ヘル、隨ヒマシテ將來此ノ糖
業令ニ依ツテ、買入價格ヲ許可制ニサレル
場合ニ於テハ、從來ノサウ云フ弊害ガ行ハ
レル餘地ノアルヤウナ決メ方ヲセズニ、少
クトモ總督府デ許可ヲ與ヘラレル買收價格
ト云フモノハ、會社ノ一方的判斷ナリ、意
思ニ依ツテ變更シ得ルヤウナ部分ノナイヤ
ウニシテ貰ハナクテハナラヌ、更ニ奬勵ノ
意味デ、好意的ニ恩惠的ニ金ヲ出スノナラ
バ、ソレヲ出シテハイカヌト云フノデハア
リマセヌガ、サウ云フモノハ買收價格ノ中
ニ加ヘズ、買收價格ハ如何ナル場合ニ於テ
モ、一定條件ノ下ニ於テ會社ハ必ズ支拂ハ
ナケレバナラヌト云フヤウナ仕組ニナラナ
ケレバ、折角總督府ガ之ヲ許可制ニシテ
モ-而シテ買收價格ノ暴騰ヲ防グト同時
ニ、餘リ値ヲ叩クコトノナイヤウニ、會社ノ一
方的意思ヤ行爲ニ依ツテ、上下スルヤウナ
部分ヲ含マナイヤウニシテ貰ハナケレバナ
ラヌト思フ、其ノ間ニ對シテハ、ドウ云フ
御考ヲ以テオヤリニナル方針デアルカ、ソ
レヲ確メテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/33
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034・田端幸三郎
○田端政府委員 今マデハサウ云フ工合デ
豫定價格ヲ決メテ、十八箇月後ニ實際買取
ル、斯ウ云フヤウナコトデアリマシタ、殊
ニ水田ニ植付ケル場合、或ハ水田ノ非常ニ
旺盛ナ地方ニ植付ケルトカ、非常ニ耕作地
ガ區々デアリマス、ソレヲ巧ク調整スル爲
ノ一ツノ作用トシテ、補助金トカ奬勵金ト
カ云フモノガアツタノダラウト思ヒマス、
是ハ必ズシモ農民ノ爲ニ不利ニ、ソレヲ運
用シテ居ルト云フノミデモナカラウト思ヒ
そうく、實際私共公平ニ見テ、其ノ買上價格
ヲ決定シタ當時ヨリモ、非常ニ價格ガ上ツ
テ居ルト云フ場合ニ、多少救濟的ニ出ルト
云フコトモ勿論作用トシテアラウト思ヒマ
ス、併シ今後ハソレ一本デ買上價格ヲ決メ
マシテ、サウ云フ變更ヲ加ヘナケレバナラ
ヌト云フ情勢ニアル場合ハ、買上價格ノ變
更ヲ命ズルト云フコトデ致シタイト思ツテ
居リマス、ソコハ非常ニハツキリナルダラ
ウト思ヒマス、其ノ事情ヲ明白ニシテ行ツ
テ、飽マデモ蔗作民ト製糖業者トガ共存共
榮的ニ、本當ニ提携シテ行クト云フコトニ
致シタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/34
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035・川崎末五郎
○川崎委員 尙ホ細カイコトハアリマスケ
レドモ、大體糖業トノ關係ニ於テ、今ノ買
收價格ニ付テハツキリシタ御言明ヲ得マシ
タノデ、此ノ程度デ私ハ打切ツテ置キタイ
ト思ヒマス、丁度米穀局長ガ御見エニナリ
マシタカラ、曩ニ留保シタ部分ヲ御尋シタ
イ、本案ニモ關聯ガアリマスルガ、本案ニ
關係ナクテモ必要ト思フノデアリマス、先
ヅ御伺致シマスルコトハ、農林省ニ於テハ
日本ノ將來ノ米穀食糧ノ需給ニ付テ、相當
ノ調査ガ立ツテ居ルト思フノデアリマスガ、
將來數年間或ハ十年位ニ付テ、日本ノ內鮮
臺灣ヲ通ジテノ米穀需給推算ノ計畫ハ立ツ
テ居リマスカ、立ツテ居レバ其ノ需給ノ推
算、竝ニソレニ適應スルヤウナ米穀ノ生產
計畫ト言ヒマスルカ、場合ニ依リマシテハ
米穀ノ增產計畫ト云フモノガ立ツテ居リマ
スレバ、ソレヲ御示シ願ヒタイ、特ニ來年
ヨリ今後二三年間ニ於ケル需給ノ推算計畫
ヲ、此ノ際御示シヲ願ヒ、一應ノ御說明ヲ
願ヒマシテ、又資料モ提出シテ戴キタイノ
デアリマス、如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/35
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036・周東英雄
○周東政府委員 御話ノ點ニ付キマシテ
ハ、農林省ト致シマシテモ或ル數字ハ〓究
シテ立テテ居リマス、併シ何ヲ申シマスニ
モ十年、十五年ト云フ先ノ問題ハ、臺灣ノ
色々ナ米穀事情、經濟事情ノ變遷ニ伴ヒマ
シテ、一應數字ヲ立テマシテモ、可ナリ是
ハ問題ガ多カラウト思ヒマス、徒ニソレニ
依リマシテ心配ヲ與ヘタリ、或ハ樂觀ニ過
ギタリスルコトモ如何カト思ヒマスノデ、
十年、十五年ト云フ相當先ノ數字ハ、机上
ニ於テハ考ヘテ居リマスガ、ソレハ直チニ
參考ニナルマイト思ヒマス、唯問題ハ今年
ノ增產計畫、或ハ來年トカ云フヤウナ、
兩年ノ問題ニナリマスト、大體過去ノ趨勢
ニ依ル生產ノ自然增加傾向、或ハ消費ノ傾
向ト云フモノハ大體間違ヒガゴザイマセ
ヌシ、更ニ米穀事情ニ依ル消費事情ト云フ
モノヲ見積ツテヤリマスレバ、大體餘リ大
キナ誤リノナイ、サウシテ一般ニ不安ヲ與
ヘナイヤウナ推算ガ出來ルダラウト思フノ
デアリマシテ、一兩年ノ問題ニ付キマシテ
ハ一案ヲ持ツテ居リマス、只今直グニト云
フ譯ニハ行キマセヌガ、後デ差上ゲタイト
思ヒマス、隨ヒマシテソレニ關聯シテ、內
外地ニ付キマシテハ能ク連絡ヲ取ツテ、推
算計畫ヲ立テテ行クヤウニシテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/36
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037・川崎末五郎
○川崎委員 遠イ十年トカ何トカ云フ將來
ノコトハ、私ハ問ヒマセヌガ、併シナガラ
大體ノ目標ガナケレバナラヌト考ヘマス、
恐ラク實際ニハ當然其ノ目標ヲ持ツテ居ル
ダラウト思ヒマスガ、强ヒテソレヲ出セト
ハ申シマセヌ、今後二三年間ハ、成ベク計
數ヲ以テ御示シヲ願ヒタイト思フノデアリ
マスガ、如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/37
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038・周東英雄
○周東政府委員 十四米穀年度ニ於ケル需
給推算、竝ニ十五米穀年度ニ於ケル需給推
算等ニ付キマシテハ、或ハ近ク發表スルコ
トガ出來ルカト思ヒマスガ、只今ノ所一寸
纏リ兼ネテ居リマスノデ、御諒承願ヒタイ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/38
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039・川崎末五郎
○川崎委員 成ベク至急ニ此ノ本案ノ審議
中ニ御示シ願ヘレバ、非常ニ結構デアリマス、
ソレヲ御示シ願ハヌト非常ニ吾々ハ判斷ニ
苦シムノデアリマス、兎ニ角數字ハ別トシ
テ、差當リ更ニ御伺ヒ致シタイノデアリマ
スガ、十四年度ト言ヒマスカ、十三年度ト
言ヒマスカ、兎ニ角內地デ言ヘバ秋作、此
ノ秋作ノ關係カラ申シマシテ、農林省トシ
テハ朝鮮ナリ臺灣カラ、ドノ位米ガ入レバ
宜イト云フコトニ付テハモウ決ツテ居ナケ
レバナラズ、又ソレ〓〓ノ交涉モ進ンデ居
ナケレバナラヌト思ヒマス、此ノ十四年產
米ハ朝鮮、臺灣カラ、ドノ程度移入シ供給
ヲ仰ガナケレバ、內地ノ食糧ノ安全ト云フ
コトガ期待シ得ナイガ、ソレヲ一ツ御示シ
願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/39
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040・周東英雄
○周東政府委員 只今ハ十四米穀年度デア
リマス、十四米穀年度ノ需給推算ハ、前年
ノ十一月三十日ニ發表サレタアノ數字ヲ更
ニ修正致シマシテ、大體十三年產米ノ收穫實
績ガ確定シテ居リマスカラ、其ノ點ハ申上
ゲマス、大體內地ノ實收高ガ六千五百八十
六万九千石、朝鮮ガ二千四百十三万九千石、
臺灣ガ九百七十五万六千石、總計ノ收穫高
實績ガ九千九百七十六万四千石、之ニ前年
度カラノ持越米內外地ヲ通ジマシテ九百四
十八万八千石、輸入見込高三十万石、合計
供給ノ側ガ一億九百五十五万二千石、之二
對シマシテ消費見込高ガ九千九百四十万石、
移出見込高合計九十三万石、合計一億三十
三万石、差引十五米穀年度ノ持越高九百二
十二万二千石ニナツテ居リマス、是ガ十四
米穀年度ノ推算デアリマス、此ノ持越高九
百二十二万二千石ニ對シマシテ、此ノ十四
曆年ノ作ノ問題、之ニ對シマシテハ只今內
地ニ於テハ、一應旣ニ議院ニ提出致シ、御協
贊ヲ御願致シテ居リマスガ、豫算面カラ見
マスト、大體三百万石ノ增產計畫ガゴザイ
マス、朝鮮ノ方ニ於キマシテモ三箇年年二百
万石ノ計畫ガアルヤウデアリマス、サウ云
フ計畫ニナツテ居リマスガ、更ニ新シク只
今現在ノ米穀事情カラ致シマシテ、內地米
ニ於キマシテモ、或ル程度ノ更ニ增產ガ出
來ハシナイカ、或ハ臺灣トカ朝鮮ノ方ニ於
テモ、モウ少シ新シク增產ノ計畫ガ出來ナ
イカ、之ニ付テ只今非公式ニ色々話合ヲ進
メテ居ル最中デアリマス、其ノ點ハマダ御
話ヲ申上ゲルマデニ纏リマセヌノデ、十五
米穀年度ニ對スル需給推算ヲ申上ゲマシテ
モ、間違ヲ起シハシナイカト思ヒマスカラ、
其ノ點ハ話合ヲ進メテ見タ上デ、御話申上
ゲタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/40
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041・川崎末五郎
○川崎委員 大體了解致シマシタガ、强ヒ
テ是以上要求シテモ御困難デアリマセウカ
ラ、此程度ニシテ置キマスガ、唯私ノ了
解トシテハ、一應此ノ秋作ノ關係カラ言ツ
テ、相當內地ノ增產計畫ヲ立テナケレバ、
現下ノ狀態カラ見テ心配デアルコトハ言フ
マデモアリマセヌ、隨テ朝鮮カラモ、臺灣
カラモ從來移入シテ居ツタガ、ソレ以上供
給ヲ仰ガナケレバナラヌ事情ニ切迫シテ居
ル、サウ云フ事情ニアルト云フコトハ了解
シテ間違ナイ、隨テ先ノ計畫ヨリ更ニ出來得
ルナラバ朝鮮カラモ、臺灣カラモ-臺灣
デハ今年ノ一期作、二期作共ニ、モウ少シ
增產シテ貰ツテ移入シテ置カナケレバナラ
ヌ、斯ウ云フ必要ニ迫ツテ協議ヲ進メテ居
ル、斯ウ了解シテ宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/41
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042・周東英雄
○周東政府委員 只今計畫ニナツテ居リマ
スル臺灣ノ移出米管理ノ關係カラ致シマシ
テハ、大體一定年次ニ於ケル增產計畫ハ立
ツテ居ル、ソレニ副ヒマシテ增產サレタモ
ノニ付キマシテ、年々管理ニ於キマシテモ、
內地ノ移出量ヲ雙方デ協定シテ定メルコト
ニナツテ居リマスノデ、一應今ノ行キ方デ
私共臺灣ノ關係ニ於テハ、凌ギ得ルノデハ
ナイカト考ヘテ居リマス、併シ只今御話ノ
ヤウナ點ニ付キマシテハ、內地ト言ハズ、
朝鮮、臺灣綜合的ニ今〓究サレテ居リマ
ス、ソレハ私共ノ方デモ非公式ニ今臺灣總
督府ノ方トモ御話ヲシテ居リマス、併シソ
レハ決シテ現在ノ案ノ行キ方デハ、絕對ニ
困ルカラト云フ意味ヨリモ、新シイ現在ノ
米穀事情ニ卽シマシテ考ヘ得ル餘地ガアル
ナラバ、出來ルダケ各地デ安全感ヲ高メル
意味ニ於テ、米穀ノ增產ヲ圖リタイト云フ
ヤウナ風ニ、今相談ヲシテ居リマス、臺灣
等ニ於キマシテモ、能ク其ノ點ハ別箇ノ意
味ニ於テ考ヘテ居ル次第デアリマス、此ノ
點ハ御諒承ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/42
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043・川崎末五郎
○川崎委員 局長ノ御話ハ大體能ク了解シ
テ居リマス、事情ハ兎モ角トシテ私ガ申上
ゲタヤウニ、現在ノ米穀事情カラ判斷シマ
シテ、增產ノ必要ガアル、米ヲ一石デモ
二石デモ餘計穫ルヤウニ、サウシテ穫レタ
モノハ貯ヘテ置ク必要ガアル、其ノ意味ニ
於テ內外地ヲ通ジテ何處デデモ構ハナイ、
一石デモ穫レレバ穫レルダケ穫ツテ置ク
ヤウニシテ、サウシテソレヲ貯ヘテ置キタ
イ、又增產ヲサセタイ、サウ云フ工合ニ思
ハレルノハ私モ尤モダト思ヒマスカラ、是
レ以上ハ申上ゲマセヌ、併シソレハ現在ノ
米穀事情ノ下ニ於テ、此ノ案トハ關聯ハシ
ナイト云フケレドモ、事實ハ此ノ案ガ行ハ
レル行ハレナイニ拘ラズ、日本ノ現情トシ
テハ〓糧ノ問題ニ付テ、米ハ一石デモ餘計
何處カラデモ宜イガ穫ツテ置キタイ、增產
ガ出來ルナラバ增產シナケレバナラヌト云
フ事情ノ、非常ニ逼迫シテ居ルト云フコト
ニハ變リハナイト思フノデアリマス、其ノ
點ニ付テハ別ニ御異存モナイ、又御說明ヲ
伺ヘバ、要約スレバサウ云フコトニ歸著ス
ルト思フ、ソコデ此ノ米穀管理案ニ付キマ
シテモ、農林省ト臺灣總督府ト協議ノ上、
一定年次ノ生產ノ目標ヲ立テテ置ク、是一
農林省ト總督府ト協議ノ上デ立テル、斯ウ
云フ建前ニナツテ居ルヤウデアリマス、其
ノ點ハ總督府カラ伺ヒマシテモ、マダ此ノ
條項ニ依ル確タル目標ト云フモノガ、協議ノ
上ニ決メタモノハナイガ、總督府トシテハ
大體重要物資ノ目標ヲ吾々ニ御配リニナツ
タ此ノ中ニ、米ノ十箇年ニ於ケル增產ノ大
體ノ表ガ出テ居リマス、大體先ヅ此ノ程度
デヤリタイ、斯ウ云フヤウニ總督府側カラ
伺ツタノデアリマス、サウスルト之ニ依リ
マスト耕作面積モ擴張セラレルシ、而シテ
又耕作法ノ改良トカ色々ナコトヲ企テテ增
產ヲ圖ラレマスガ、之ニ依ルト結局十年後
ニ於テ、內地へ之ヲ移出シ得ル能力カラ言
ヘバ、現在ノ「ラウンド·ナンバー」ガ五百万
石、是ガ十年後ニ於テハ大體五百五十万石
ヲ內地へ移出シ得ル、斯ウ云フ目標ニナツ
テ居ルト私ハ判斷ヲスルノデアリマスガ、
農林省ニ於テハ、臺灣カラ內地へ其ノ程度
ノ移入ガアレバ、十分宜イト云フ御考デ居
ラレルカ、又サウ云フ意味ニ於テ此ノ增產
目標ヲ是認サレルカ、御意見ヲ伺ツテ置キ
タイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/43
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044・周東英雄
○周東政府委員 此ノ臺灣ノ管理令ノ制定
ニ當リマシテハ、私共ノ方ト十分ニ協議ヲ
致シタノデアリマス、其ノ際丁度今アナタ
ノ御心配ノヤウニ、私共モ是ハ平戰時ヲ問
ハマ、米ハ內外地ノ需給推算ニ基イテ必要
ナ量ヲ生產シ、必要ナ量ヲ配給スルト云フ
ノデナクテハナラヌ、殊ニ今時局下ニ於キ
マシテ、苟モ米ノ減產ヲ來スヤウナ事柄デ
アツテハ私共ノ方トシテハ贊成シ難イト
云フコトガ、交渉ノ第一眼目デアリマシタ、
其ノ點ニ付キマシテハ、十分兩方トモ折衝致
シタノデアリマス、臺灣ノ方ニ於キマシテモ、
決シテ此ノ案ガ減產ヲ來ス案デナイト云フ
初メカラノ御主張デアリマシタ、私共ノ方
デ其ノ案ヲ見マシテモ、事實今後ニ於キマ
シテ、年々增加ニナツテ參ル譯デアリマス、
此ノ生產ノ增加ノ分量ト云フモノハ、色々
議論モゴザイマセウガ、大體ニ於キマシテ
現在ヨリハ減ラサナイ、臺灣ノ需給狀況、
內地ノ需給狀況ト云フモノ綜合シテ見テ、
必要ナ生產計畫ヲ立テラレテ居ルヤウニ、
私共モ拜見致シマシタ、隨ヒマシテ減產ト
云フコトニナルノデハナクテ、事實上ハ年々
增產ニナツテ參ル計畫デアリマシテ、私
共ハ此ノ案ニ付キマシテ御同意ヲ申上ゲタ
譯デアリマス、唯問題ハ御話ノヤウニ、最
近ノ狀況ニ於キマシテハ、耕作段別ガ或ハ
統計上減ジテ居ルヤウナ所モアルヤウデア
リマスガ、是ハ臺灣ニ於ケル農業耕作地ノ
事情ガ、內地トハ餘程異ツテ居ルヤウニ聞
イテ居リマス、可ナリ集約的ニ肥料ヲ用ヒ
ルトカ、或ハ農業水利ノ改善ヲ圖ルト云フ
ヤウナ手ヲ施スコトニ依ツテ、サウ云フ餘
地ガ殘サレテ居リマス、斯ウ云フ改良等ノ
方法ヲ講ジマスレバ、甲當リ收量ヲ上ゲ得
ルコトモ、是ハ事實上可能デアリマス、サ
ウ云フ方法ニ依リマシテ、實質上減ツテ居
ナイト云フ實績モ伺ヒマシタ、隨ヒマシテ
假ニ段別ノ減ガアリマシテモ、實質上全體
數量ニ於テ減ト云フコトガ無ケレバ差支ナ
イモノト、斯ウ云フ風ニモ考ヘタノデアリ
マス
モウ一ツハ今度ノ計畫ハ旣ニ臺灣總督府
カラ御話モアツタト思ヒマスガ、農業解
除-水利ノ解除ヲシテ從來可ナリ抑壓サ
レテ居リマシタ土地ニ、新シク開墾干拓ト云
フヤウナ事柄ガ行ハレルヤウニナツテ居ル
ヤウデアリマス、是ハ從來色々ノ關係ニ於
テ止メテアツタノデアリマスガ、サウ云フ
方面ガ新シク行ハレルコトニ依リマシテ、
玆ニ可ナリノ臺灣ニ於ケル農業生產力ノ擴
充ト云フコトガ行ハレルノデアリマス、而
モ御承知ノヤウニ臺灣ハ、比較的作物ノ轉
換ガ容易デアリマスルシ、米ガ二期作デア
リマス關係カラ致シマシテ、出來ルダケ農
業生產力ノ擴充ヲ圖ツテ行クト云フコトノ
必要ノ場合ニ於キマシテハ-一應ノ米ノ
生產年次計畫ハ出來テ居リマスガ、必要ノ
場合ニ於テハ、擴充サレタル農業生產力ト
云フモノヲ利用致シマシテ、作物ノ轉換ヲ
致シテ貰ツテ、ソレデ米ノ增產ヲ圖ルコト
モ出來ルノデハナカラウカ、斯ウ云フヤウ
ナ意味ニ於キマシテ、御贊成ヲ申上ゲタ譯
デアリマス、要スルニ臺灣ノ土地柄ト云フ
モノガ、可ナリ彈力性ガゴザイマスノデ、
一應此ノ年次計畫ニ於ケル增產ノ計畫ヲ以
テ計畫ヲ立テテ、更ニ現時局下ニ於ケルヤ
ウナ狀態デ、將來若シ特ニ增產ヲシナケレ
バナラヌヤウナ時ニナレバ、能ク當局ト相
談ヲ致シマシテ、食糧供給ノ上カラ致シマ
シテモ、萬遺憾ノ無イヤウニ計畫ヲ立テテ
行クコトノ出來得ルヤウナ用意モ整ツテ居
リマス、此ノ點ハ臺灣重要產業調整委員會
等ニ於キマシテモアナタノ御話ノヤウニ、
〓糧問題ニ付テ御心配ガアリマシテ、其ノ
附帶決議ニ於テモ、サウ云フヤウナ點ニ特
ニ考慮ヲ拂ヒマシテ、必要ノ場合ニ於テハ、
更ニ計畫ヲ立テテ行クコトノ出來得ルヤウ
ナ途モ考ヘテ居ルヤウニ聞イテ居リマス、
大體ヲ申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/44
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045・川崎末五郎
○川崎委員 臺灣總督府ノ政府委員ノ方ニ
御伺シテ置キマスガ、此ノ米ノ增產計畫ノ
要綱ノ年次別ヲ、後デ御示シ願フコトニシ
テアリマスガ、差當ツテ米穀局長ニ度々オ
出デヲ願フコトモ甚ダ御氣ノ毒デスカラ、
一應此ノ機會ニ於テ確メテ置キタイ、是一
極ク大雜把ニ申上ゲタノデ、年次表デ私ノ
判斷デハ、十年後ニ於テ內地ニ移入スル米
ハ年五百五十万石位ト申上ゲテ居リマス
ガ、其ノ數ニ誤リガアレバ、此ノ機會ニ御
示シ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/45
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046・高田耘平
○高田委員 只今ノニ關聯シテ一寸御尋致
シマス、臺灣ノ「重要農作物增產目標」ノ米增
產計畫要項ニ就イテ見マスト、要スルニ最
近十箇年ノ移入數量ガ、年四百八十四万石
デアリ、而シテ昭和二十三年ニナツテ年五
百五十万石ノ移入ニシカナラナイ、サウス
ルト本年カラ見テ十年後、卽チ十一年間ニ
僅カ六十六万石シカ內地へ多ク米ヲ入レナ
イ、詰リ一年六万石シカ增サナイコトニナ
ル、斯ウ云フコトニ對シテ農林當局ハド
ウシテ御相談ニ應ジタカ、私ハ臺灣總督府
ガ勝手ニコンナコトヲ決メタノダト思ツタ
ラ、今ノ周東米穀局長ノ話ニ依レバ、御相
談ニ與ツテ居ルト云フコトデアリマス、コ
ンナコトデハ將來非常ニ憂フベキ結果ヲ來
スト思フ、一體農林省ハドウシテ是デ御安
心ガ出來タノデスカ、其ノ點ガ極メテ不明
確デアル、目下ノ米穀事情ヨリシテ、十年
先ニ於テ或ル程度ノ增產ヲ圖ルト云フコト
ヲ、農林省ガ臺灣總督府ニ向ツテ相談中ト
云フコトデゴザイマスケレドモ、ソレハサ
ウデナケレバナラヌ、併シ是ハ總督府ガ言
フコトヲ聽カナクテモナンデモヤルノデア
ルカ、私ハ十年モ掛ツテ一年ニ六万石位シ
カ、臺灣カラ餘計米ガ入ツテ來ナイト云フ
コトニ對シテ、ドウシテ農林省ガソレニ應
ジタカ、頗ル疑問デゴザイマスガ、農林省
ハ是デ御安心ガ行クノデゴザイマセウカ、
ヤハリ今ハイカヌト云フコトニナルデセ
ウ、何トナレバ增產シテ吳レト云フ話ヲ非
公式ニシテアルト云フ、サウ云フ話ガ殖產
局長モアツタト言フ、サウスルト此ノ案デ
ハ十四年度ハイケナイト云フコトヲ認メル
x
ヨリ外仕方ガナイ、卽チ農林省ガ此ノ米ノ
問題ニ付テ、此ノ目標ニ應ジタコトガ間違
ヒデアルコトヲ發見シタコトニナルト思
ヒマスガ、ドンナモノデセウ、此ノ目標通
リ實行シ得ルノデスカ、私ハ農林省ガ此ノ
增產目標デハ足リナイカラ、此ノ目標ヲ直
スト云フ御意見デナケレバナラヌト思ヒマ
スガ、此ノ問題ハ極メテ大切ナ問題デアリ
マスカラ、拓務省ト農林省ノ御意見ヲ伺ヒ
タイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/46
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047・川崎末五郎
○川崎委員 私ノ御尋シタ五百五十万石ト
云フコトハ間違ヒナイデセウ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/47
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048・田端幸三郎
○田端政府委員 大體サウ云フ目標ニナツ
テ居リマス、此ノ目標ニ付テ色々問題ニナ
ツテ居リマスガ、米初メ各種ノ作物ニ對ス
ル耕作地ノ割當及ビ生產量ハ、一應十年間
ニ是レダケニ致シタイト云フ目標ヲ立テテ
居ルノデアリマス、所謂一定年次ノ生產計
畫ハ別途デアリマシテ、今ノ御話ノ通リ、
殊ニ事變下ニ於キマシテハ內外地相協力致
シマシテ、米ニ對スル不安等ノ絕對ナイヤ
ウニ努メタイト云フコトハ、此ノ案ニ付テ
拓務省ト農林省ト協議ヲ致シマシテ、〓究
ヲ進メテ參リマス時ニモ、始終念頭ヲ離レ
ナイデ居ツタノデアリマシテ、吳々モ申上
ゲタイノデアリマスガ、大體目安ヲ玆ニ置
イテ置カウデハナイカ、更ニ生產ナリ、消
費ノ計畫ニ付テハ、サウ每年々々變ヘラレテ
ハ實際ニ於テ非常ニチグハグニナルトカ、
或ハ生產ノ標準ガ立タナイカラ、凡ソ三年
トカ五年ノ所謂一定年次ノ目標ニ付テ、更
ニ詳細ニ生產ナリ消費ノ計畫ヲ決メテ行
ク、斯ウ云フコトニナツテ居リマスノデ、
ソコハ一ツ能ク御諒承ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/48
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049・高田耘平
○高田委員 大體何デモ計畫ト云フモノハ
目標通リニハ行カナイ、實際ハソレヨリ少
ナイモノデス、大體ニ於テ此ノ管理案ノ建
前ハ、米ヲ減ラシテ砂糖ヲ殖ヤスト云フ政
策デスカラ何ト云ツテモサウナルノデス、
例ヘバ米ノ方ハ一石ニ付テ二圓ノ稅金ヲ取
ルガ、甘蔗ノ方ハ値段ヲ下ゲマイトナサル、
米カラ一石二圓ノ稅金ヲ取レバ、ソレダケ
農民ノ利益ガ減ルガ、甘蔗ノ値段ハ下ゲナ
イト仰シヤルカラ、是ハ益、甘蔗ノ奬勵ニナ
ルコトハ明デアル、ソレモ宜シイト思フ、
併シナガラ米ガ足リナイ狀態ニナツタ場合
ニ於テ、尙ホ此ノ目標デ御進ミニナルト云
フコトハ、非常ニ危險ガアルカラ、ソレヲ
私ハ心配スルノデアリマス、一旦決メラレ
タ目標デアツテモ、誤ツテ居タナラバ仕方
ガナイ、今日ハ內地、朝鮮、臺灣ヲ通ジテ
時局ニ對應シテ、相當米ノ增產ヲヤラナケ
レバナラヌ時デアリマスカラ、ドウゾ此ノ
目標ヲ更改スルヤウニ、農林省カラ御提議
ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/49
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050・川崎末五郎
○川崎委員 今高田サンモ言ハレマシタ
ガ、十年計畫、年五百五十万石ト云フ大體
ノ目標デ、臺灣總督府ハ現在進ンデ居ルガ、
之ニ對シテ農林當局ハドウ御考ニナツテ居
ラレマスカ、此ノ點ノ御答辯ガマダナイヤ
ウデスカラ、伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/50
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051・周東英雄
○周東政府委員 私共ノ方デハ先程モ申上
ゲマシタヤウニ、臺灣米ノ移出管理ノ制度
ノ實行ニ伴ツテ、米ノ增產ヲ苟モ止メルヤ
ウナコトハ困ルト云フコトデ進ンデ居リマ
ス、其ノ點ニ付テハ大體十箇年間ニ、約二
百万石近クノ增ニナツテ居ル譯デアリマス、
是デ私共ノ方デハ、只今ノ事情ト致シマシ
テハ差支ナイト考ヘテ居リマス、勿論移出
量ニ付テハ、臺灣島內ニ於ケル消費量ノ增
加ト云フコトモアリマセウカラ、萬全ノ策
ヲ立テル爲ニハ、自ラ臺灣島內ニ於ケル消
費量等モ考ヘマシテ、此ノ移出量ヲ出サレ
タコトト私ハ思ヒマス、併シナガラ内地ニ
對スル移出總數量ト云フモノハ、·農林大臣
ト臺灣總督ガ相談ヲシテ一應ノ目安ハアリ
マシテモ、時ニ臺灣ノ方ノ事情ニ依ツテ變
ヘナケレバナラヌコトモアリマセウシ、又
內地等ノ事情ニ依ツテ變ヘナケレバナラヌ
場合モアリマセウ、其ノ點ハ總テ內外地ヲ
通ジタ米穀事情ニ依ツテ、生產計畫ヲ立テ
ラレルト同時ニ、其ノ供給關係ニ於キマシ
テモ考ヘラレテ行カナケレバナラヌト思ヒ
いく、隨ヒマシテ、一應ノ目安ハ斯ウ立ツ
テ居リマスガ、年々ニ於ケル移出數量ト云
フモノニ付キマシテハ、又具體的ニ臺灣總
督ト協議ヲスルコトニナツテ居リマスノ
デ、其ノ點ニ付テハ差支ナカラウト、斯樣
ニ考ヘタ譯デアリマス、殊ニ先程申上ゲマ
シタヤウニ、一應ノ目安ハ斯ウ立ツテ居リ
マスガ、必要ノアツタ場合ニ於テハ又考慮
シテ、作物ノ轉換ガ容易ナンデスカラ第二
期作ナドト云フ點ヲ考ヘマシテ、苟クモ影
響ノナイヤウニ、生產ヲ强化擴充シテ行ク
ト云フモウ一ツノ武器ガアリマスノデ、其
ノ點ニ依ツテ補ヒハ付ケ得ルト、斯樣ニ考
ヘタ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/51
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052・川崎末五郎
○川崎委員 私カラ御尋シタノデハナク
テ、高田サンカラ御尋シテ、今御說明ガア
リマシタガ、大體御趣旨ノ在ル所ハ私モ一
應諒ト致シマスガ、此處ガ一ツノ「ポイント」
ダト思ヒマスカラ、モツト能ク確メテ置カ
ナケレバナラヌ、御說明ハ大體分リマシタ
ガ、成程此ノ十年ノ增產目標ニ付テハ、總
額ニ於テ二百萬石增額ニナレバ宜シイ、併
シナガラ臺灣内地デ消費スルモノ、內地へ
蓬萊米トシテ移出スル其ノ數量ハ、當時ノ
臺灣ニ於テノ必要消費量トノ關係上、ソレ
ハ動クカラ今ハ分ラヌ、ソレハ全體ノ增產
計畫ノ二百万石程度ナラ宜カラウト、斯ウ
思ツテ居ツタト仰シヤル、臺灣トシテハソ
レデ宜イト思フガ、併シ內地カラ見レバ臺
灣デ二百万石增產シヤウガ、四百万石增產
シヤウガ、實際ニ於テ臺灣デ消費シテシマ
ツテ、內地ノ必要ナ不足分ヲ補給シテ吳レル
意味ニ於テノ供給能力、移出能力ガ無クテ
ハ何モナラヌ、ダカラ臺灣デ幾ラ增產シヤ
ウト、シマイトソレハ別トシテ、十年先ニ
於テ內地へノ移出能力五百五十万石、斯ウ
云フ目標ニナツテ居ル、十年先ノコトヲ言
フノモヲカシイデスケレドモ、將來大體ノ
見當トシテ五百五十万石、今モウ旣ニ五百
万石近クモ移入シテ居ル譯ナノデス、正確
ニ言ヘバ昭和十二年度ニ於テ約四百八十万
石位デアリマシテ、今後十年先ニ於ケル此
ノ差額ト云フモノハ僅カナモノデ、七十万
カソコラノモノダ、其ノ位デ宜イノカドウ
カト云フコトヲ-其處ガ「ポイント」デ重
要ナ點デアルカラ、其ノ點ヲ伺ツテ置キマ
ス、ソレニ付テドウ云フ御考デアリマスカ、
其ノ點ヲ一ツハツキリシテ戴キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/52
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053・周東英雄
○周東政府委員 從來ノ内外地ノ需給推算
ノ計算上、臺灣カラノ輸入見込數量ト云フモ
ノハ大體四百五十万石位カラ順次上ツテ居
リマシテ、去年ハ特ニ今仰シヤツタ四百八
十万石位ニナツテ居リマス、併シナガラ、
十年先ノ問題ハ先程申上ゲマシタヤウナ關
係デ、臺灣ハ斯ウ云フ風ナ見込ヲ立テテ居
ラレマスガ、私共ハ需給推算ヲ立テル上カ
ラ言フト、ヤハリ二三年位ノ間ノコトヲ問
題ニ置キマシテ、需給推算ヲ立テ、ソコデ
大體大丈夫デアラウト云フ一應ノ見込ガ立
テバ、其ノ案デ進メテ行ク譯デアリマス、
隨ヒマシテ、本年、來年、再來年程度ニ於
キマシテハ、現在ノ臺灣ノ移出管理、增產
計畫、自然的增加數量、其ノ範圍デ大體四
百五十万石カラ、五百万石程度ノ移入ヲ以
テ一應差支ナカラウト云フ見込ガ立チマシ
タカラ、御同意ヲ申上ゲタノデス、先程最
近ニ於ケル米穀事情等ニ於テ、或ハモツト餘
計增產シタラ宜イヂヤナイカト云フコトデ
アリマスガ、若シ〓究ノ結果其ノ必要アリ
ト云フコトガ確定致シマスレバ、十四暦年
或ハ十五曆年ニ於ケル第二期作等ニ付テ計
畫スルト云フコトヲ、各關係當局ト能ク御
相談ヲ申上ゲタイ、斯ウ云フ譯デアリマス、
前ノ問題ニ付キマシテ繰返シテ申シマスレ
バ、兩三年ノ需給關係ニ付テ計畫ヲ立テル
場合ニ於テ、此ノ計畫ニ基イテノ增產計畫
ノ兩三年ノ生產計畫、ソレノ移入見込數量
カラ見マシテ差支ナイト、斯ウ認メマシタ
カラ同意申上ゲタ、斯ウ云フ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/53
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054・川崎末五郎
○川崎委員 能ク分リマシタ、唯私ノ了解
致シマス所ニ依レバ、大體此ノ增產目標ナ
リ輸出ナドニ付テ、農林省ト臺灣總督府ト御
協議ナサツタ際ニ於テハ、謂ハバ平時ノ狀
態ニ於テ「ノルマル」ニ進ム場合ニ於テノ增產
計畫トシテ御考ニナツテ、其ノ當時此ノ程
度ナラ宜カラウ、斯ウ云フ工合ニナツテ大
體協議ガ整ヒ、又兩者ノ意見ガ合致シタ、
併シナガラ戰時體制下ノ狀態ニ於テハ、米
穀問題モ急轉シテ來タ、米穀事情モ大分變
ツテ來タ、其ノ急變シテ來タ米穀事情ヲ下
カラ之ヲ眺メレバ、今後一二年、或ハ三年
間ノ具體的ノ需給推算ノ上カラ見テモ、此
ノ計畫デ足リルカドウカト云フコトニ付テ
ハ再檢討ヲ要スル、或ハ場合ニ依レバモツ
ト增產ヲシナケレバナラヌ、具體的ニ圖ラ
ネバナラヌ、斯ウ云フヤウナ狀況ノ下ニ現
在置カレテ居ルト、斯ウ云フヤウニ了解シ
テ宜シイノデゴザイマスネ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/54
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055・周東英雄
○周東政府委員 其ノ點ニ付キマシテハ能
ク〓究ヲ致シテ居ル譯デアリマス、或ハ必
要アリト云フ結論ニナリマシタナラバ、御
話ノ通リデアリマス、併シナガラ先ヅ差當
ツテ差支ナイト云フ結論ニ到達スレバ、此
ノ儘デ差支ナイト云フコトニナリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/55
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056・川崎末五郎
○川崎委員 此ノ問題ハ此ノ程度ニ止メマ
ス、唯私ガ先程申シマシタヤウナ了解デ居
リマスルコトヲ申上ゲテ置キマス、餘リ私
バカリデ時間ヲ取ルノハ何デスカラ、モウ
一二點デ止メタイト思ヒマスガ、最後ニ簡
單ニ伺ツテ置キマス、此ノ米管案ガ實施サ
レマスレバ、之ニ依ツテ臺灣ノ島內ニ於ケ
ル小作料ガ、ドウ云フ影響ヲ受ケテ來ルカ
ト云フコトノ見透シヲ伺ツテ置キタイ、尙
ホ一ツハ米管案ガ實施サレレバ臺灣ニ於ケ
ル地價、殊ニ農耕用ノ耕地ノ地價、是ガド
ウ云フヤウナ影響ヲ受ケルモノデアルカト
云フ、此ノ二ツノ點ニ付テノ御見透シト御
見込、又之ニ對シテ若シ對策ヲ講ズル必要
ガアレバ、ドウ云フ對策ヲ講ズルカ、必要
ガナケレバ別デスガ、必要ナノハ勿論ダト
思ヒマスカラソレニ對シテドウ云フ御考デ
居ラツシヤルカヲ伺ツテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/56
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057・田端幸三郎
○田端政府委員 米管案ノ實施ニ依ツテ小
作料ガドウ云フ風ニナルカ、將來ノ見透シ
ハドウカト云フ御質問ニ對シマシテハ、ヤ
ハリ臺灣ニ於キマシテモ地主ト小作トノ關
係ハ、强者ト弱者ト云フ形デ行クヤウデス
ネ、ソレデ或ハ二圓ナラ二圓米價ガ下ルト
云フコトニナリマスレバ、力强イ地主ガ小
作者ニ對シマシテ、小作料ノ値上ヲ要求スル
ト云ツタヤウナ、或ハ傾向ガ生ジヤシナイ
カト云フコトヲ考へテ居リマス、ソレニ對
シマシテハ、臺灣デハ御承知ノ通リ業佃協
調ト申シマスガ、地主デアル業者ト小作人
タル佃人トノ間ヲ協調シテ、成ベクサウ云
ツタヤウナ紛爭其ノ他ガナイヤウニ組織化
致シマシテ、此ノ解決ニ努メテ居ル譯デアリ
さく、ソレヲ來年度ニ於キマシテ調停官ヲ
增シマシテ、一層此ノ業佃協調事業ニ力ヲ
入レマシテ、サウ云フコトノナイヤウニ致
シタイト思ツテ居リマス、併シドウシテモ
其ノ趨勢ガ著シクナツテ、所謂調停ト云フ
ヤウナコトデハ間ニ合ハヌ、阻止出來ナイ
ト云フコトガ、或ハアルカモ分ラヌト云フ
ノデ、小作ニ關スル色々ナ立法等ヲ今調査
シテ居ル譯デアリマス、是モ情勢ニ依ツテ
之ヲ立法化シテ、更ニ適當ナ方法ニ依ツテ
之ヲ是正致シタイ、或ハ防止致シタイト云
フヤウニ考ヘテ居リマス、ソレカラ地價ニ
付キマシテ、將來下リハシナイカト云フコ
トモ一應考ヘラレルノデアリマスガ、今マ
デノ所デハ島民ノ土地ニ對スル熱ト申シマ
スカ、執著ト申シマスカ、又他ニ投資スル
適當ナモノガナイト云フ關係ガアルカモ知
レマセヌガ、非常ニ土地ニ對スル愛著心ガ
深イ、又投資モ一番確實ダト云フヤウナコ
下又今日ハ相當投資其ノモノノ利廻ガ好
イト云フヤウナ關係カラ土地ノ價格ト云フ
モノハ非常ニ吊上ゲラレツツアル譯デアリ
マス、隨テ米穀管理案ヲ實施シマシテモ、恐
ラク下ラナイト思ヒマス、從來ノヤウニ非
常ナル〓騰ハナイカモ知レマセヌガ、恐ラ
ク低落スルト云フヤウナコトハナカラウト
云フ見透シヲ持ツテ居リマス、又序ニ勞銀
ノ問題モサウデアリマスガ、是モ色々工業
化ト云フヤウナコトカラ、安イ勞銀ト云フ
問題モアリマシタガ、私共ノ見ル所デハ、
臺灣ハ御承知ノ通リ勞力ガ潤澤デアリマセ
ヌ、農民ノ如キモ年カラ年中、次カラ次ヘ
耕作出來マスノデ、農閑ト云フノハ非常ニ
少イ、隨テ農業ガ益〓集約的ニ、多角的ニナ
リマスレバ、農業ニ對スル勞力ト云フモノ
ハ可ナリ餘裕ガ少クナルノデハナイカ、斯
ウ考ヘルノデアリマス、隨テ是モ從來ノヤ
ウニドン〓〓尻上リニ上ツテ行クト云フコ
トハ多少ナクナルカモ知レマセスガ、ヤハ
リ下ルコトハナカラウト云フ大體ノ見透シ
ヲ付ケテ居リマス、大體此ノ見透シハ間違
ヒナイト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/57
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058・川崎末五郎
○川崎委員 モウ私ハ私ノ要求シテ居リマ
ス、又質問中ニ御願致シマシク資料ヲ提出
願ヒマシタラ、其ノ資料ニ付テ不審ナ點
等ヲ御尋シナクテハナラヌ場合ニ御許シ願
フ程度デ、私ハ拓務大臣竝ニ農林大臣ノ御
出席モ要求シテ居ツタノデスガ、私ノ質問
中一度モ御見エニナリマセヌ、是ハ必ズシ
モ私今是非兩大臣ニ質問シナクテハナラヌ
トハ敢テ主張シマセヌガ、愈〓此ノ案ニ付テ
私ノ意見ヲ決メル場合ニ、確メナクテハナ
ラヌ事情ニ切迫スル場合ガアラウト思ヒマ
スガ、サウ云フ場合ニ兩大臣ニ質問ヲスル
コトヲ御許シ願ヒタイト云フコトヲ留保シ
マシテ、自分ノ質問ハ大體是デ打切リタイ
ト思ヒマス、ドウゾ御諒承願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/58
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059・菊池良一
○菊池委員長 諒承シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/59
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060・川崎末五郎
○川崎委員 最後ニ一言致シマス、モウ諄
諄言ハナクテモ、今囘ノ此ノ移出米ノ管理
案ニ付テ總督府ノ狙ツテ居ラレル所ヲ、私
ハ決シテ之ヲ誹議スル者デモナケレバ、敢
テ批評シヨウトスル者デモアリマセヌ、併
シナガラ段々伺ツテ居ルト一言ニ言ヘバ臺
灣ノ米、特ニ蓬萊米ノ價ガ臺灣ノ經濟事情、
產業狀態全體カラ見テ高過ギル、隨テ或ハ
勞銀ノ引上トナリ、地價ノ騰貴トナリ、生
活費ノ向上トナル、斯ウ云フコトニナツ
テ、又甘蔗ノ栽培ヲ擴メヨウトシテモー
軍事上或ハ現在ノ時局カラ見テ、國際收支
ノ關係カラ見テ、日本ニ直接必要ナ特用作
物ノ栽培ヲ奬勵シ、擴張シヨウトシテモ、
所謂臺灣ノ工業化ヲ圖ラウトシテモ、サウ
云ツタ點モ障碍ヲ爲シ、蓬萊米ノ値ガ高過ギ
ルカラ是ガ禍ヲ爲ス、ダカラ之ヲ切下ゲナケ
レバ、サウ云フヤウナ必要ナ施設ヲ行フコト
ガ困難デアルト云フヤウナコトガ、大體本
案ノ狙ヒ所ノ一ツニ相違ナイト私ハ思フ、
敢テソレハサウダト言ハサウトハ申シマセ
ヌケレドモ、私カラ見レバ、サウ云フヤウニ
思ハレル、而シテ一方ニ於テ米價ヲ切下ゲ
テ、ソレカラ出タ利益ニ依ツテ、臺灣ノ產
業全體、卽チ工業方面ニ於テモ此ノ金ヲ使
フ·······(「討論デスカ」ト呼フ者アリ)討論デ
ハナイノデス、私ガ最後ニ確メルトキニ必
要ナコトヲ申シテ居リマス、最後ニサウ云
フヤウナコトデ、農業ノ利益ノ爲ニ使フコ
トニナツテ居リマシテ、同時ニ-此ノ米
穀問題ニ付テハ色々アリマスカラモウ好イ
加減デ止メマスガ、實際米ハ臺灣デモ必要
デアリマセウガ、全體ノ米穀政策トシテハ、
供給ノ問題モ考ヘナケレバナラヌ、隨テ私
ハ減收ノ虞ガアリハセヌカト云フコトヲ、
隨分シツコイ程御尋シタノデスガ、減收ノ
虞ナイト云フ御說明デアリマス、是レ以上
ハ意見ノ相違ニナリマスカラ追究ハ致シマ
セヌガ、是モ私ハ餘程大キイ問題デアルト
思フ、是等ニ付テノ減收、或ハ將來ノ十箇
年間ノ增產目標ト云フ點ニ付テ、私ハ十分
納得ガ出來マセヌ、是等ニ付テ更ニ兩大臣
ニ質問ヲシナケレバナラヌカト思ヒマス、
其ノ意味ニ於テ保留ヲ願ヒマシテ、一應私
ノ質問ハ是デ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/60
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061・菊池良一
○菊池委員長 石坂君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/61
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062・石坂繁
○石坂委員 私ハ委員長ニ伺ヒマスガ、拓
務大臣ノ御出席ヲ願ツテ居リマスガ·····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/62
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063・菊池良一
○菊池委員長 大臣御出席ニナルコトニナ
ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/63
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064・石坂繁
○石坂委員 ソレデハ拓務大臣ガ御見エニ
ナリマシテカラ、大臣ニ對スル質疑ヲ致シ
マスコトニ致シマシテ、臺灣當局ニ對スル
私ノ質疑ノ點カラ始メタイト思ヒマス、此
ノ臺灣米穀移出管理案ト申シマスノハ、極
メテ重要ナ案ダト存ズルノデアリマス、隨
ヒマシテ出來ルダケ重複ハ避ケル積リデア
リマスケレドモ、有ユル角度カラ此ノ案ニ
付テノ檢討ヲ試ミルト云フ趣旨ニ於キマシ
テ、多少重複スル點ガアルカモ分リマセヌ
ガ、其ノ點ハ何卒御許シヲ願ヒタイト思ヒ
さく、先ヅ第一ニ臺灣當局ニ御伺致シタイ
ト思ヒマスノハ、此ノ案ヲ實施スルコトニ
依ツテ臺灣米、就中蓬萊米ノ增產ハ出來ナ
イノデハナイカ、此ノ點ニ付キマシテモ、
先般來屢〓論議ノ鬪ハサレタ點デアルノデア
リマス、元來此ノ案ヲ臺灣當局ニ依ツテ提
案セラレマシタ其ノ理由ハ、日本ノ食糧問
題ノ重大性ニ鑑ミマシテ、臺灣ニ不斷ノ米
穀改良ヲ圖リ··
〔委員長退席、葉梨委員長代理著席〕
サウシテ臺灣米ノ增產ソ根基ヲ培養確保ス
ル、サウシテ情勢ノ變化ニ應ジタイ、同時
ニ臺灣獨特ノ有用作物ヲ增產致シタイ、是
ガ第一點デアリマス、サウシテ第二ハ農家
ノ經營ヲ多角化、集約化スル、ソレニ依ツ
テ農家經濟ノ安定ヲ圖リタイ、第三ハ帝國
ノ全體的經濟ノ上カラ見テ臺灣ノ產業ノ特
殊使命ヲ遂行スル、斯ウ云フ風ナ提案ノ理由
ニナツテ居ルヤウデアリマス、ソコデ私ハ
一應是等ノ提案ノ理由ヲ諒ト致ジマシテ、
之ヲ考慮ノ中ニ入レマシテ、本案ニ對シマ
シテ再檢討ヲ加ヘル必要ガアルノデアリマ
ス、果シテ本案ハ其ノ提案ノ理由ニ副フモ
ノデアルカドウカト云フ點デアリマス、而
シテ其ノ第一點ハ、此ノ法案ニ依ツテ臺灣
米ノ增產ヲ期シ得ルカドウカト云フ點、當
局ノ提案ノ御說明ニ依リマスト、漸進的ニ
增加スル、斯ウ云フ風ニ用語ハ極メテ巧妙
デアルト思フノデアリマスルガ、先日來此
ノ點ニ對シマシテハ、同僚各位ヨリ各方面
カラノ論議ガアツタノデアリマス、私全ク
素人デハアリマスルケレドモ、臺灣ノ從來
ノ米穀事情ニ鑑ミマシテ、時價ヨリ二圓ダ
ケ安ク買フト云フ、サウスレバ當局御自身
ノ御說明ニナツテ居ル如クニ、臺灣米價ノ
今日マデノ變動ガ激シイノハ、主トシテ臺
灣人ノ營利心ニ基クモノデアル、斯ウ言ハ
レテ居ルノデアリマスガ、其ノ營利心ニ富
ンデ居ル臺灣土民ガ、果シテ米ヲ安ク買上
ゲラレルコトニ依ツテ米作ヲヤルコトニナ
ルカドウカ、成程當局ノ御說明ニ依リマス
ト、從來臺灣ノ米產ニ關シテハ、或ハ水利灌
漑ノ新シイ開發ヲ許サナイ、或ハ開墾ヲ許
サナイト云フヤウナ不自然ナル抑壓ノ方法
ヲヤツテ居ツタカラ增產シナカツタガ、本
案ノ實施ニ依ツテソレ等ノモノヲ解放スル、
サウスルトソレ等ノ方法ニ依ツテ增產ヲス
ルコトガ出來ル、斯ウ云フ風ニ言ハレルノデア
リマス、併シ其ノ方法ハ一ツノ制限ヲ撤廢シ
テ、其代リニ新シク壓迫ヲ加フルト云フコト
ニナル斯ウ云フ風ノコトニナルノデアツテ、
寧ロ私ハ二圓安ク買フト云フコト自體ガ、
臺灣ノ農民ニ對シテ影響スル所ハ直接デア
リ、大キイノデハナイカト、斯樣ニ思ヒマ
ス、尙ホ色々今マデ論議サレタ中ニモアリ
マスルガ、從來臺灣ノ耕地擴張ノ餘地ハ餘
リナイ、其ノ統計的ノ數字ハ省キマスケレ
ドモ、開墾ノ餘地ハ非常ニ少イ、段々潰レ
地ガ多クナツテ來ル、隨テ米ノ增產ノ彈力性
ニ乏シイ、斯ウ云フヤウナコトハ數字的ニ
立證シ得ルコトダト思フ、斯樣ナ關係ニア
ル臺灣ノ米作ハ、當リ前ニ於テモ餘リ增產
ガ出來ナイヤウナ狀態ニアルト云フ見方モ
立チ得ルノニ、更ニ二圓安ク買フト云フコ
トニ依ツテ、果シテ當局ガ言ハレルヤウナ
增產ガ出來ルカドウカ、當局ガ言ハレル所
ノ漸進的增產ト云フノハ、是ハ言葉ヲ飾リ
過ギタノデハナイカト、斯樣ナ疑念ヲ持ツ
ノデアリマス、重ネテ其ノ點ニ對スル御說
明ガ戴キタイノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/64
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065・森岡二朗
○森岡政府委員 御承知ノ通リ今日マデ米
作偏重ノ弊ガアル、我國ノ米穀統制政策ニ
順應致シマシテ、各種ノ施設ヲ停止致シテ
居ツタノデアリマスガ、若シ水利其ノ他ノ
施設ノ禁止ヲ解除シ、若クハ中止シテ居ル
ノヲ進メルトカ、何等カノ方策ヲ講ズルヤ
ウニ致シマシタナラバ、必ズ著シク臺灣ノ
米ノ增產ハ期シ得ル譯デアリマス、隨テ只
今米作ノ耕地ノ增ス餘地ハナイト云フ風ノ
御話ガアツタヤウニ伺ツテ居リマスガ、決
シテサウデナクシテ、ヤハリ米作ハ著シク
增進スル、斯ウ思フ譯デアリマス、併シ米
作ノミヲ偏重致シマスコトハ農家經濟ノ上
二、又各種產業經營ノ上ニ於テ決シテ好マ
シキ現象デナイト云フコトデ、一面米作ニ
對スル必要ナル面積ヲ確保シ、他ノ方面ニ於
キマシテ有用作物ヲ栽培增殖致シタイ、斯
ウ云フノガ此ノ趣旨デアリマス、而シテ現
在ノ儘デ何等ノ工作モ致サズニ置キマスナ
ラバ、假令二圓引下ゲヲ致シマシテモ、尙
ホ米作ハ益、增進スルト云フコトハ、他ノ
作物ノ農家ノ收入カラ比較致シマシテ、確
實ニ言ヒ得ルノデアリマス、併シ曩ニ申上
ゲマシタ如ク、有スル有用作物、其ノ他ノ
物ヲ栽培スルコトニ依リマシテ、調和的ノ
發達ヲ期シタイト云フコトカラ、米作ノ急
激ナル增加ヲ圖ルコトナク、島內ノ消費竝
ニ我國ノ米穀ノ生產、消費ニ順應致シマシ
テ急激ナル增加ト云フコトニセズシテ、
漸進的ニ致シタイ、斯ウ云フコトデアリマ
シテ、漸進的ト云フコトハ減產ト云フコト
ノ意味デナイコトハ勿論デゴザイマス、飾
ツタ言葉デナク、眞ニ今後我國ノ需要供給、
殊ニ島內ノ消費狀況ニ順應シテ之ヲ增產シ
テ參リタイ、斯ウ云フ風ナ考ヘ方デアリマ
ス、漸進的ト申シマスノハ形容詞デナク、
事實ニ當嵌メテ申シテ居ルヤウナ次第デア
リマス、繰返シテ申上ゲマスヤウデアリマ
スケレドモ、非常時局ニ對スル對策トシテ
ハ自ラ別デアリマス、是ハ平常時ニ於ケル
我國ノ米穀需給關係カラ考へ、我國ノ米穀
政策ニ對應致シマス增產計畫デアル、左樣
御承知ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/65
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066・石坂繁
○石坂委員 臺灣當局ニ伺ヒマスコトハ後
刻ニシテ戴キマシテ、只今拓務大臣ガ御見
エニナリマシタカラ拓務大臣ニ御伺致シマ
ス、拓務大臣ニ御伺致シタイト存ジマスコ
トハ、我ガ南方政策如何ト云フコトデアリ
さい、元來私ハ帝國ノ對外政策ハ大陸的ニ
北進スルト同時ニ、海洋的ニ南進スベキモ
ノダト考ヘテ居ルノデアリマス、卽チ私ノ
議論ヲ以テ致シマスレバ、帝國ハ北進又南
進シナケレバナラナイ、斯樣ナ見解ヲ持ツ
テ居ルノデアリマス、然ルニ斯樣ナ見地カ
ラ、我ガ帝國ノ平時竝ニ戰時ニ於ケル國民
經濟ノ觀點カラ見マシテ、南方資源、殊ニ南
洋ノ農業資源ノ開發ト云フコトハ非常ニ必
要ナモノデアル、斯樣ニ考ヘテ居ルノデア
リマス、成程今日ノ情勢カラ致シマスレバ
或ハ蒙疆地方ノ豐富ナ資源ヲ開發スルコト
ガ出來ル、中支南支ノ資源開發ハ旣ニ之
ニ著手致シテ居リマスルガ、蒙疆、北支、
中支ニ得ラレナイ物資ニシテ、我ガ帝國ノ
今日ノ必要不可缺ノ物資決シテ少クナイ
ノデアリマス、其ノ物資ヲ如何ニシテ得ル
カト云フコトハ、本案ノ中ニモ多分ニ織込
マレテ居リマス如クニ、熱ト光ニ惠マレタ
ル臺灣ノ獨特ノ資源、獨特ノ產業ヲ開發ス
ルコトニ依ツテ一部分ハ得ラレルト思ヒ
マスルガ、更ニ私ハ遠ク眼ヲ放ツテ、或
ハ濠洲ナリ、或ハ「シンガポール」ナリ、或
ハ比律賓、斯ウ云フ風ノ圈內ヲ一〓ニ含メ
マシタ所ノ熱帶、亞熱帶地方ノ產業、農業
資源ノ開發ト云フコトガ、私ハ極メテ重要
ナル問題トナツテ參ルト思フノデアリマス、
今日我國ト是等ノ地方トノ貿易關係ト云フ
ヤウナモノヲ管々シク申シマセヌケレド
モ、我ガ日本國民經濟ノ熱帶農業圏、殊ニ
中南亞細亞及ビ太洋洲ノ經濟空間ヘノ依存
性ト云フモノハ非常ニ大キイノデアリマシ
テ、此ノ地方ガ日本ニ許シテ居ル購買力ハ
約九億二千五百万圓、是ハ昭和十二年度ニ
於テ日本カラ輸出致シマシタ總額ノ二割九
分ニ當ルノデアリマス、尙ホ又是等ノ地方
カラ日本へ輸入致サレテ居リマス所ノ物資
ノ總額ハ十億五千万圓、是ハ同ジク昭和十
二年度ニ於ケル所ノ全輸入ノ二割八分ニナ
ル、斯ウ云フ風ニ多額ノ物資ヲ我國ニ仰ギ、
又我國ハ仰イデ居ルノデアリマスガ、是等
ノ地方ノ今申上ゲルヤウナ物資ノ開發ニ付
テ、、務務大臣トシテハ御經綸ガナケレバナラ
又、其ノ點ヲ御伺致シタイノデアリマス、
併セマシテ私ハ現在ノ日本ノ直面シテ居ル
所ノ南支-ソレハ海南島ヲ含メテノ意味
デアリマスルガ、其ノ南支ニ對スル拓務大
臣トシテノ經綸ヲ御伺致シタイノデアリマ
ス、廣東地方ノ物資、更ニ海南島ノ物資ガ
ドウ云フモノガアツテ、ドノ位豐富デアル
カト云フコトハ申上ゲルマデモナイ、然ル
ニ北支ニハモウ既ニ北支那開發株式會社、
中支ニハ中支那振興株式會社、斯ウ云フヤ
ウナモノガ中心トナツテ、ソレ〓〓開發ニ
著手シテ居ルコトハ申上ゲルマデモナイコ
トデアリマス、此ノ海南島ノ問題ニ付テハ
種々「デリケート」ナ問題モアリマセウ、先
般外務大臣ガ英米ニ向ツテ聲明セラレタヤ
ウナコトモアリマセウシ、勿論帝國ノ國策
トシテ内閣全部ガ愼重考慮ヲセラレマシテ
樹立サレベキ國策デアルト思ヒマスケレド
モ、苟モ拓務大臣トシテハ先ヅ是等ノ地方
ノ資源ヲ如何ニ開發スルカト云フコトニ付
テノ御經綸、御計畫ト云フモノハ立ツテ居
ルベキダト思フ、臺灣ノ本案ニモ必ズシモ
無關係デアルマイト思フ、臺灣ニ於テ、臺
灣ノ特用產業ヲ助長シ、米作ヲ抑ヘテデモ
ヤラウト云フ、是ト同時ニ、或ハ是ヨリモ
ツト有益ニ、有效ニゾレ等ノ地方開發ニ依
ツテ、私ハ此ノ案ニ依ツテ得ントスル所ノ
モノガ、得ラレハシナイカ、斯樣ニ考ヘテ
居ルノデアリマス、甚ダ卒爾ナコトヲ御尋
スルヤウデアリマスケレドモ、先程申上ゲ
ルヤウニ拓務大臣トシテハ既ニ此ノ經綸ガ
ナケレバナラヌ、其ノ點大體ノ所デモ宜シ
ウゴザイマスカラ承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/66
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067・八田嘉明
○八田國務大臣 只今我ガ帝國ノ南方ニ對
スル方策ニ對シテ縷〓御意見ヲ伺ヒマシテ、
洵ニ御尤ニ考ヘル點ガ多々アルノデアリマ
ス、拓務省ト致シマシテモ、此ノ南方ヘノ邦
人ノ發展竝ニ經濟的進展ニ付キマシテハ、
從來隨分ト力ヲ致シテ居ルコトハ御承知ノ
通リデアリマス、只今北進ト同時ニ南進ト
云フヤウナコトニ付テ御意見ガアリマシタ
ガ、私共ハ大體ニ於キマシテ、總テ今日ノ
世界ノ情勢ニ於キマシテハ、北ニ位スルモ
ノハ南ニ其ノ物資ヲ求メ、或ハ南ニ位置ス
ルモノハ北ニ物資ヲ求メル、溫帶、亞熱帶
或ハ熱帶ト云フヤウナ間ニ於キマシテハ、
自然ニソコニ物資ノ彼此、相融通スベキ原
則ガアルト考ヘルノデアリマス、此ノ見地
カラ致シマシテ帝國ガ日滿支ヲ通ジマシ
テ、例ヘバ生產力擴充ト云フヤウナコトニ
付キマシテ、只今專ラ現下ノ問題ニ對シ
マシテ力ヲ致シテ居ル譯デアリマスガ、是
ガ完成ノ曉ニ於キマシテハ、勿論相當今日
我國ガ外國カラ仰イデ居リマスル物ガ、我ガ
手ニ依リマシテ此ノ日滿支ノ間ニ得ラレルノデ
アリマスケレドモ、而モ決シテ我國ノ必要
トスル所ノ重要ナル物資ノ全部ガ得ラレルノデ
ハアリマセヌコトハ勿論デアリマシテ、特等一
我國ニ近イ方面ニアリマス所ノ南方ノ光ト
熱トニ惠マレテ、特異性ヲ持ツテ居ル此ノ地
方ニ於ケル所ノ資源ガ、以テ我國ニ利用スベ
キモノガ極メイ多イト考ヘルノデアリマス、
又之ヲ求メルト同時ニ我國ニ於テ製造セラ
レマス所ノ幾多ノ物資ニシテ彼ノ方面ニ於
テ利用サルベキモノガ、亦少クナイノデア
リマスカラ、彼此相通ジマシテ、而シテ茲
ニ經濟的ナ見地カラ、或ル意味ニ於キマシ
テハ共存共榮ノ見地カラ我國ノ南方ニ於ケ
ル所ノ各般ノ發展ト云フモノヲ期待致シマ
シート、此ノ原則ノ下ニ拓務省ハ或ハ邦人ノ
活動ニ對シ或ハ又諸般ノ企業ニ對シマシテ、
指導監督助長ト云フコトヲ行ツテ居ル譯デ
アリマス、隨ヒマシテ此ノ南方ニ於ケル資
源及ビ之ヲ市場ト致シマスル所ノ我國ノ貿
易ノ增進ハ勿論是ト相伴ツテ發展セラレル
ベキモノト考ヘルノデアリマス、此ノ場合
ニ於テ臺灣ノ位置ガ何ト申シマスカ、我ガ
領土內ニ於ケル所ノ南方發展ノ基地ノ一ツ
トシテ最モ重要性ヲ持ツテ居ルノデアリマ
ス、臺灣ニ於ケル所ノ熱ト光ニ惠マレマシ
タル特異性ヲ十分ニ發揮致シマシテ、玆ニ
所謂南ニ對シマスル所ノ經濟的發展ノ或ル
意味ニ於ケル試驗地ト申シマスカ、或ハ又
〓究地ト申シマスカ、サウ云フ意味ニ於テ
臺灣ヲ活用スルト云スコトガ洵ニ必要デア
リマスト共ニ、更ニ其ノ知識ニ依リマシテ
之ヲ南方ニ延長致シマシテ、只今申上ゲタ
ヤウナ共存共榮ノ下ニ經濟的發展ヲ遂ゲ、
サウシテ東亞全體ノ發展ヲ促進スルト云フ
コトニ付キマシテハ、帝國ハ其ノ先覺者ト
シテ努メナケレバナラヌ立場ニアルト考ヘ
マスノデ、拓務省ト致シマシテハ左樣ナ見
地カラ今後モ十分進ミタイト考ヘルノデア
リマス、南支方面ニ於ケル所ノ產業ノ問題
ニ付キマシテハ、是ハ御承知ノ通リ主トシ
テ興亞院ニ於テ〓究サレテ居ルコトデアリ
マスルケレドモ、興亞院設置ノ際ニ於テ拓
務省ト致シマシテハ、臺灣ガ其ノ位置ノ關
係カラ、又其ノ過去ニ於ケル歷史ノ關係カ
ラ、或ハ又島民ノ南支方面ニ於ケル所ノ從
來ノ關係、活動ト云フヤウナ諸種ノ點カラ
致シマシテ、特ニ拓務省ト致シマシテハ、
此ノ南支方面ニハ臺灣ヲ通ジマシテ今後モ
十分經濟的方面ニ對シマシテ、或ハ又文化
方面ニ對シマシテ、十分ナル關聯ヲ持ツテ
クヤウニ大體考ヘテ居ル譯デアリマス、
又サウ云フ風ニ內定ト申シマスカ、認メラ
レテ居ルノデアリマス、唯ソレデハ具體的
ニ如何ナルコトヲ今後スルノデアルカ、之
ニ對シマスル所ノ臺灣トシテノ仕事ハドウ
云フモノデアルカ、或ハ又臺灣ヲ通ジテノ
拓務省ノ任務ハドウ云フモノデアルカト云
フコトニ付キマシテハ、只今此處デ申上ゲ
ルダケノ時機ニ達シテ居リマセヌ、又今御
指摘ニナリマシタル海南島ノ問題ニ付キマ
シテハ、其ノ資源ヲ開發スルト云フコトハ
是レ亦帝國ノ所謂日滿支ヲ相通ジテノ大局
カラ洵ニ必要ナル問題ト考ヘマスガ、マダ
ソレヲ具體的ニドウ云ブ風ニスルカト云フ
コトヲ只今申上ゲル資料ヲ持ツテ居リマセ
ヌ、唯御述ニナリマシタル御意見ニ付キマ
シテハ、十分敬承致シマシテ善處致シタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/67
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068・石坂繁
○石坂委員 只今拓務大臣ノ御熱心ナル御
答辯ヲ拜聽致シマシテ諒承致ス者デアリマ
ス、臺灣ヲ土臺トシ、臺灣ヲ據點トシテ南
方ヘノ經綸ヲ伸バサウトサレル拓務大臣ノ
御活動ヲ切ニ期待致シテ居リマス、次イデ
私ハ本案ノ問題ニ入リマシテ拓務大臣ニ御
伺致シイタト思ヒマスノハ、此ノ臺灣米穀
管理案ト、我國ノ內外地ヲ通ジテノ米穀政
策ノ一元化ト云フコトデアリマス、御承知
ノ如ク最近ノ我國ノ米穀ノ需給關係ハ內地
ダケデハ足ラナイノデアリマシテ、昭和八
年、九年、十年、此ノ三箇年ノ統計ニ依ツテ
見マシテモ、朝鮮、豪灣カラノ移入ニ依ツ
テ大體我國民ノ主食物デアル所ノ米ノ需要
ヲ充シテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ從
來ノ我國ノ米穀政策ト致シマシテハ、內外
地ヲ通ジテ需給ヲ圖ルト云フコトデアリマ
シテ、臺灣、朝鮮カラ入ル米ヲ如何ニ統制
スルカト云フコトガ從來內地ノ食糧政策、
米穀政策ニ極メテ重要ナ關係ガアツタト云
フコトモ私ガ申上ゲルマデモナイコトデア
リマス、之ニ關シマシテハ或ハ米穀統制法
ガ出來、或ハ米穀自治管理法ト云フモノガ
出來テ居ルコトモ既ニ御承知ノ通リデアリ
やく、然ルニ今囘臺灣關係ニ於キマシテ此
ノ臺灣米穀移出管理案ト云フモノガ考ヘラ
レタノデアリマシテ、若シ臺灣ニ特殊ノ米
穀管理ノ方法ヲ講ズルト云フコトニ相成リ
マスルト、ソレガ直チニ內地ノ米穀事情ニ
影響スル所ハ極メテ大キカラウト思フノデ
アリマス、此ノ管理案ノ實施ニ依ツテ臺灣
ノ米ノ增產ト云フコトガ、餘リ多ク期待出
來ナイデハナイカト云フ憂ヲ私共持ツテ居
ル者デアリマスガ、ソレハ先般來ノ臺灣當
局或ハ農林當局トノ他ノ諸君ノ質疑應答、
又私トノ先程ノ質疑應答ニ依リマシテ、兎
ニ角ソレ以上追究致シマシタ所デ、オ互ニ
意見ガ對立スル結果トナルト思フノデアリ
マスカラ、深ク追究致シマセヌガ、臺灣ニ
米穀移出管理案ヲ實施シ、又臺灣ニハ別ニ
重要農作物ノ增產目標ト云フヤウナモノガ
一應出來テ居ル、隨テ內地、朝鮮、臺灣ト
云フ風ニ一貫セル相關關係ヲ持ツテ居ル朝
鮮ノ農業、朝鮮ノ米穀生產ニ對シマシテ、
或ハ臺灣デ實施セントスル管理案ノ如キ方
法、或ハ又臺灣デ計畫シテ居ル所ノ農作物
增產目標ト云フヤウナ計畫ヲ立テナケレバ、
內外地ヲ統一スル所ノ米穀政策、大キク致
シマシテ、昨年ノ夏アタリカラ唱ヘラレテ
居ル所ノ東亞農林國策、斯ウ云フモノニ副
ハザル點ガアルノデハナイカト私ハ心配致
スノデアリマス、其ノ點ニ付テ臺灣ニ斯ノ
如キ特別ナル方法ヲ實施スルト同時ニ、朝
鮮ニモ何カ別ニ方策ヲ講ゼラレヨウトシテ
居ルカドウカ、其ノ點ニ對シテ拓務大臣ノ
御所見ヲ御伺致シタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/68
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069・八田嘉明
○八田國務大臣 内外地ヲ通ジテノ米穀策
ノ一元化ト云フコトニ付キマシテハ、洵
是ハ時局下特ニ重要デアルト私モ考ヘルノ
デアリマス、過去ニ於テハ、是ハ私ノ貧シ
キ知識デアリマスガ、ドウモ此ノ點ニ付キ
マシテ內外地ノ間ニ寧ロ一貫シタ策ノ樹立
ト云フコトニ付テハ、動モスレバ其ノ力ガ
足リナイ點ガアツタノデハナイカト云フ風
ニ考ヘラレルノデアリマス、併シナガラ其
ノ後ニ於キマシテ、殊ニ此ノ時局下ニ於キ
マシテハ、米穀ニ付キマシテ内外地ヲ通ジ
テ對策ヲ立テルト云フコトハ極メテ必要ナ
コトニナツテ居ルコトハ勿論デアリマス、
朝鮮、臺灣カラ過去ニ於テモ移入サレマシテ、
之ニ依ツテ我國ノ內地及ビ外地ヲ通ジテノ
米穀ノ問題ニ付キマシテ貢獻シタコトノ多
大デアリマスルコトハ申スマデモナイノデ
アリマスガ、臺灣ニ付キマシテハ過去ニ於
テハ多少抑へ氣味デアツタヤウニ私ハ感ジ
テ居リマス、只今モ質問應答ノ中ニアリマ
シタルヤウニ、或ハ臺灣ニ於テ水利ノ點ヲ
制御致スヤウナコトモアツタカト考ヘルノ
デアリマス、併シナガラ今日ハ寧ロ增產ヲ
シナケレバナラヌト云フヤウナ氣運ニ向イ
テ居ルト考ヘル、又朝鮮ニ付キマシテハ是
モ私ハ十分ナル御答ハ出來マセヌケレド
モ、ヤハリ其ノ立場トシマシテハ考ヘ方ハ
臺灣ト同ジヤウナ關係ニアツタノデハナイ
カト思ヒマスルガ、今後ニ於キマシテハ農
林省ニ於カレテ十分現在及ビ將來ニ亙ツテ
ノ米穀問題ニ付キマシテハ、內外地ヲ通ジ
テノ對策ヲ完全ニ樹立セラルルコトニ考ヘ
ラレテ來テ居ルヤウニ考ヘルノデアリマス、
拓務省ト致シマシテハ之ニ順應致シマシテ
朝鮮及ビ臺灣ニ對スル米穀對策ニ付キマシ
テハ誤リナキ所ノ方針デ進ンデ參リタイト
考ヘテ居リマス、此ノ管理案ニ依リマシテ
動モスレバ增產ニ反スルヤウナ傾向ガ起ル
ノデハナイカト云フコトニ付キマシテモ、
度々御質問ガアツテ、臺灣當局ヨリモ能ク
御答申上ゲタヤウナ次第デアリマスルガ、
此ノ點ニ付キマシテハ過去ニ於テ多少抑ヘ
テ居ツタト云フヤウナ氣持ヲ寧ロ今囘ハ解
除スルノデアリマスルカラ、臺灣ニ於キマシ
テモ減產ヲスルト云フヤウナ虞ハ此ノ點カ
ラ考ヘテナイト考ヘルノデアリマス、只今
臺灣ニ付テハ、是ハマア話ハ別ダト云フ御
話デアリマスガ、序ナガラ私ノ此ノ點ニ付
キマスル觀察、考へ方ヲ申上ゲマスルト、
過去ニ於テ抑ヘテ居ツタガ、今後ハ之ヲ抑
ヘナイト云フ點ニ於キマシテ減產ノ虞ナシ
ト考ヘル、況シテヤ今申上ゲマシタ通リ農
林省ニ於ケル內外地ノ米穀對策ヲ樹立セラ
レマスニ伴ヒマシテ、外地ハ之ニ順應致シ
マシテ機宜ノ處置ヲ執ルト云フコトニ付キ
マシテハ、確タル方針ヲ整ヘテ居ルヤウナ
次第デアリマス、朝鮮ニ付キマシテハ今後
ニ於キマシテモヤハリ其ノ方針ノ下ニ總督
府ニ於テ十分是ト呼應シタ所ノ遺憾ナキ方
策ヲ立テル積リデ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/69
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070・石坂繁
○石坂委員 拓務大臣ニ對スル私ノ質疑ハ
以上デ宜シウゴザイマス、御引取下サイマ
シテモ結構デアリマス、但シ內地、臺灣、
朝鮮ヲ通ジテノ米穀政策ニ付キマシテハ、
川崎君ノ御要望モアルヤウデアリマスルカ
ラ、何レ農林大臣御出席ノ時ニ必要ガアレ
バ質問スルコトヲ御許ヲ願ヒタイ、ソコデ
引續キマシテ森岡政府委員ニ御伺致シタイ
ト思ヒマス、此ノ米管案ニ依ツテ決シテ臺
灣米ノ減產ヲスルモノデハナイ、斯ウ云フ
コトガ本委員會ヲ通ジテノ御答辯デアリマ
シタ、尙又此ノ委員會外デハアリマスルガ、
昨年ノ六月八日デアリマスカ、小林總督ガ
談話トシテ發表サレマシタ其ノ中ニモ、本
案ハ決シテ減產ヲ企圖スルモノデハナイ、
世上往々ニシテ本案ヲ實施スルト臺灣ノ產
米ハ減少スルト言フケレドモ、サウ云フコ
トニナラナイ、斯ウ云フコトヲ特ニ力說致
シテ居ラレルヤウデアリマス、然ルニ現在
事變下ノ日本ト致シマシテ〓糧資源ノ確保、
食糧政策ト云フコトガ最モ重要デアルコト
是亦申上ゲル必要モナイコトデアリマスル
ガ、何ト致シマシテモ事變勃發以來第三年目
ニナツテ居リマスルノデ、農村ノ壯丁ハ澤山
村ヲ離レテ戰地ニ行ツテ居ル、畜力モ不足
シテ居ル、農具モ不足シテ居ルト云フヤウナ
狀態デアル、斯樣ナ狀態デハ如何ニ隣保相
助ケ合ツテ銃後施設ノ完璧ヲ期シマシテ
モ、事實上ニ於テ農業生產ノ減退ヲ來シハ
セヌカト云フ多分ノ憂ガアルノデアリマス、
サウ致シマスルト其ノ內地ノ食糧ノ減產ヲ
補フ爲ニハ、或ハ臺灣ノ產米ヲ多クスル、
或ハ朝鮮カラノ供給ヲ仰グト云フヤウナコ
トガ極メテ必要ナコトニナツテ來ルノデア
リマス、ソコデ私ハ一步ヲ讓リマシテ、總
督府ノ御發表フ如ク、又森岡長官ノ縷々繰
返シテノ御答辯ノ通リニ、決シテ減產スル
モノデハナイ、生產ヲ確保スルモノデアル、
漸次ニ增加スルト斯ウ言ハレマスルガ、是
ハ現下ノ時局ノヤウナ時デナク、平時ナラ
バ或ハソレデモ宜シイガ、今日ノヤウナ長
期建設ノ時局下ニ於テ是非トモ實施シナケ
レバナラヌト云フ特別ノ理由ガアルカドウ
カ、其ノ特別ノ理由ガナケレバ、是非本案
ヲ出シテ通過サセナケレバナラヌト云フ理
出モナクチル譯デアリマスノデ、特別ナ理
由ガナケレバナリマセヌガ、其ノ點此ノ時
局下ニ如何ニ本案ノ實施ガ役立ツカト云フ
コトニ付テノ明快ナル御說明ガ承リタイノ
デアリマス、ドウゾ其ノ點ニ付テノ御答辯
ヲ御願致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/70
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071・森岡二朗
○森岡政府委員 〓糧政策ノ上カラ今日增
產ヲ期サナケレバナラヌコトハ只今御話ノ
通リデアリマス、臺灣ニ於キマシテモ亦其
ノ心積リデ居ル譯デアリマス、只今御話ノ
如ク內地ニ於キマシテハ事變ニ依リ勞力ガ
著シク減リ、又畜用農業ノ上カラモ、其ノ
方面ノ能力ガ減少致シテ居ルト云フ實情デ
アリマス、隨テ重要食糧デアル米等ニ於キ
マシテモ最モ考慮シナケレバナラヌ時デア
リマス、偶〓臺灣ニ於キマシテハ御承知ノ
如ク此ノ事變下デアリトハ言ヒナガラ、幸
ニモ勞力ガ平常時ニ變ラナイヤウナ狀態ニ
アル譯デアリマス、又一面農業用ノ畜牛ニ
於キマシテモ幾分戰地へ送ツタノモアリマ
スルガ、併シ是亦著シキ減少デモナイノデ
アリマス、卽チ今日臺灣ニ於キマシテハ比
較的平時ト變リナキ農業勞力ヲ有シテ居ル
ノデアリマスル爲ニ、此ノ機會ニ於キマシテ
臺灣ニ於ケル勞力ヲ有ユル方面ニ働カセル
コトガ最モ必要ナリト考ヘルノデアリマス、
隨テ其ノ爲ニ主要食糧デアル米作ニ於テモ
又之ヲナスベキデアリマスガ、同時ニ今日
我國ガ最モ必要トシ、資材トシテ外國ニ仰
グベキヤウナモノガ幸ヒ臺灣ニ重要作物ト
シテ栽培サレルノデアリマスカラ、外國カ
ラ仰グベキ資源、隨テ國際收支ニモ關係致
スベキ事柄ヲ、幸ニモ勞力ヲ有シテ居リ、
又適地デアルト云フコトカラ致シマシテ、
一日モ早ク之ヲ致シマスコトガ、此ノ時局
ニ對應ジ且ツ長期建設ノ上カラモ最モ肝要
ナリト存ジテ居ルノデアリマシテ、斯クノ
如キコトガ此ノ管理案ヲ實施スルコトニ依
ツテ初メテ全キヲ期シ得ルト云フコトヲ考
ヘマシテ、此ノ時局ニ於テ特ニ此ノ管理案
ヲ實施致シタイ、斯ウ云フ考ヲ持ツテ居ル
次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/71
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072・石坂繁
○石坂委員 此ノ時局ニ於テ特ニ此ノ案ヲ
實施致シタイト考ヘテ居ル、斯樣ナ御答辯
ガアリマスルケレドモ、ドウモ其ノ點ガマ
ダハツキリ了解ガ出來ナイノデアリマス、
殊ニ先般岡野君ト陸軍當局トノ質疑ヲ承ツ
テ居リマシタ所、軍用ノ作物、例ヘバ蓖麻
ト云フヤウナモノヲ臺灣デドノ位植ヱテ貰
ヒタイト云フコトハ、陸軍トシテハドレダ
ケト云フ計畫ハナイ、斯ウ云フ風ノ御言葉
モアツタヤウデアリマス、尙又一面觀察致
シマスルト、只今森岡政府委員ガ申サレマ
スル如クニ、臺灣ノ特用作物デアル甘蔗デ
アルトカ或ハ黃麻デアルトカ、蓖麻トカ云
フモノハ、數字的ニ列擧致シマスルコトヲ
省キマスケレドモ、段々從來增殖ノ傾向ニ
ナツテ居ル、殊更ニ本案ノ如キモノヲ實施
シテ米ノ栽培ヲ抑制シテモ、自ラ臺灣ノ特別
ノ事情ニ依リ、卽チ熱ト光ニ惠マレテ居ル特
別ノ事情ト、而モ米作ト爾餘ノ特殊作物トハ
自ラ栽培サルベキ田地ガ異ルノデアリマス、
米作ヲ抑制シテ增殖ヲ圖リマセヌデモ、其
ノ特用作物ノ增殖ハ得ラレル、換言致シマ
スレバ、此ノ米作ヲ致シマスルコトハソレ
等ノ特用作物增產ノ妨ゲニナラナイ、斯樣
ニ思ヒマスルガ、此ノ點ニ關シテハ重ネテ
御說明ヲ願ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/72
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073・田端幸三郎
○田端政府委員 陸軍カラノ此ノ間ノ御答
辯ノ御話モアリマシタガ、私共ハ臺灣軍ト始
終連絡ヲ取リマシテ、臺灣軍ノ方バ恐ラク陸
軍省ト勿論緊密ナ連絡ヲ取ツタ上ノコトデハナ
イカト思ヒマスガ、蓖麻ノ如キハ是非是ダ
ケ栽培シテ吳レ、是ダケノ數量ヲ是非作ツ
テ吳レト云フコトデ、所謂愛國裁培トシテ
現ハレテ居ルヤウナ譯デアリマス、其ノ他
苧麻、黃麻ノ如キモ、是モ先ヅ軍需ヲ先ニ
致シマシテ、民需ヲ抑ヘツツヤツテ居ルヤ
ウナ次第デアリマシテ、此ノ點ハ臺灣ノヤ
ウナ小サイ部分デアリマスルノデ、陸軍省
自體ノ大キナ問題トシテハ或ハ御考ニナツ
テナイカモ知レマセヌガ、臺灣軍ノ經理部
トハ緊密ナ連絡ヲ取ツテ、向フノ希望ニ應
ジツツヤツテ居ル次第デアリマシテ、其ノ
他乾草ノ如キ、或ハ軍需品ノ供給ノ如キ、
最モ密接ナ連絡ヲ取ツテヤツテ居ル次第デ
アリマス、其ノ點御諒解ヲ願ヒタイト思ヒ
マンク。ソレカラ尙ホ米作ヲ抑制シテト云フ
御話ガアリマシタガ、ソレハ米作面積ハ決
シテ抑制シナイノデアリマシテ、益〓面積
ヲ延バシテ行クノデアリマス、ソレデ米作
ヲ抑ヘナイデモ、詰リ米作面積ヲ現狀ノ儘
或ハ增スコトニ依ツテ更ニ他ノ作物モ奬勵
シテ行ケルヂヤナイカト云フ御說デアリマ
スガ、是モヤハリ土地ヲ今後造成シナケレ
バ結局ドチラカガ蠶食シテ來ル、斯ウ云フ
結果ニナルノデアリマス、此ノ米穀管理ノ
計畫ニ基キマシテ將來土地ヲ造成シテ行ク、
而モ水利、灌漑、排水ヲ良クスルコトニ依
ツテ、又土壤ノ改良、其ノ他ノ土地ノ改良
ヲ爲スコトニ依ツテ、土地モ擴ガルシ、又
生產能力モ上ゲテ行カウ、斯ウ云フコトデ
アリマス、ソレヲ全部米ニ充當致シマスレ
バ躍進的ナ增產ニナル譯デアリマスガ、ソ
レヲ「モデレート」ナ方法デヤツテ行ク、所謂
漸進的ニソレヲヤツテ行カウ、其ノ餘地ヲ
今申上ゲマシタヤウナ臺灣ノ熟ト光ニ依
ツテ初メテ臺灣デ生產シ得ルヤウナ各有
用作物ヲヤツテ行ク、斯ウ云フ計畫デア
リマスノデ、其ノ點御諒承ヲ願ヒタイト
思ヒマス、併シ米穀管理案ヲ實施シナク
テモ斯ウ云フ方法ガ立ツノヂヤナイカト云
フコトモ、一應考ヘラレル譯デアリマスル
ガ、ヤハリ農民ノ如キモ勿論一時ノ愛國心
ニ愬ヘテ、例ヘバ蓖麻ノ栽培ノ如キモ出來
ナイコトハナイノデアリマス、併シ經濟生
活、經濟收支ニ付キマシテハ、打算ニ依ツ
テ之ヲ導イテ行クト云フコトガ最モ堅實デ
アツテ、又當然執ルベキ穩健ナル方法デナ
カラウカ、勿論必要ニ依ツテ愛國心ニ愬ヘ
テヤラナケレバナラヌ場合モアリマスル
ガ、併シ斯ウスル方ガ利益デアルトカ、或
ハ農家經濟ガ安定スルノダトカ云フヤウナ
方法ヲ執ツテ行クト云フノガ、政治ノヤリ
方トシテ執ルベキ方法デナカラウカト云フ
ヤウニ考ヘテ居ル次第デアリマシテ、米管
案ノ實施ニ依ツテ米ノ增產竝ニ他ノ有用
作物ノ調和的發展ヲ圖リタイ、斯ウ云フヤ
ウニ考ヘテ居ル次第デアリマス、此ノ點御
諒承ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/73
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074・岡野龍一
○岡野委員 關聯シテ-只今政府委員ノ
說明ヲ聽イテ居リマスト此ノ米管案ニ依ツ
テ米作ハ減少シナイト云フ風ナ御說明デ、
一應尤ラシク聞エルノデスガ、機會ノアル
度ニ米作偏重ノ不自然ヲ矯メルト云フコト
ヲ言ハレテ居ルノデスガ、今マデ臺灣デ米作
ヲ偏重シタノハ當局ガ偏重シタト云フヨリモ、
農民ガ偏重シタノデス、其ノ偏重シタ事實
ガアルカラソレヲ矯メルト云フノハ、今ノ御
答辯ト矛盾スルヤウデスガ、モウ少シ納得
出來ルヤウニ御答辯ヲ願ハヌト吾々ハ諒解
シ難イ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/74
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075・田端幸三郎
○田端政府委員 ソレデ買上價格ヲ引下ゲ
テ抑ヘテ行カウ、所謂偏重度ヲ薄クシヨウ、
ソレデ他ノ有用作物モ增スコトニ致シマシ
テ、ソレモ打算的ニ農民ヲ導クヤウナ方法
デ行クノダ、斯ウ云フヤウニ御答シタヤウ
ニ思フノデアリマス、臺灣デモ何處デモ最
モ有利ナル作物ニ走ルト云フコトハ當然ナ
話デアリマス、二圓ヲ引下ゲマシテモ-
後刻參考資料ヲ差上ゲルコトニナツテ居リ
マスガ、ヤハリ米ノ優性ト云フモノハ失ハ
ナイノデアリマス、他ノ有用作物ヨリモ可
ナリ有利デアル、ソレデ他ノ有用作物モ立
チ得ルヤウニ補助金等ヲ出シマシテ揃ヘテ
行カウ、ソレデ農家ノ經濟ニヒドク急激ナ
ル變化ヲ與ヘナイヤウニシテ行キタイ、斯
ウ云フヤウナ趣旨デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/75
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076・石坂繁
○石坂委員 先程岡野サント陸軍當局トノ
問答ヲ引用致シタ分ニ付テノ田畑政府委員
ノ御答辯ハ能ク諒解致シマシタ、ソコデ更
ニ本案ニ付テ御伺致シマスガ、最モ重要ナ
ル臺灣ノ米價ハ果シテ不相當ニ高價デアル
カドウカト云フ問題、及ビ臺灣ノ米ノ生產
費ハ果シテ低廉ナリヤ否ヤト云フ問題デア
リマス、之ニ付キマシテ御伺シナケレバナ
ラヌノデアリマスガ、先般來隨分之ニ關シ
マシテハ質疑應答ガ重ネラレテ居リマスノ
デ、是ハ私ノ意見ハ別ニ致シマシテ、之二
對スル質疑ハ省略致シマス
更ニ若干ノ事ヲ御尋致シタイト存ジマス
ルガ、其一ツハ此ノ案ノ實施ニ依ツテ失業
者ガ出ハシナイカト云フコトデス、之ニ付
キマシテモ先程川崎君ノ御質問ニ依ツテ大
體諒解致シタノデアリマスガ、其ノ節ノ當局
ノ御說明デハ籾摺業者、土壟間ト云ヒマ
スカ、ソレハ大體變リハナカラウト思フト
云フコトデアル、私ノ調査致シマシタ所
デハ、何デモ三千人位ノ籾摺業者ガ居ツ
テ、蓬萊米關係業者ハ八百人デアリマス
ガ、其ノ點ハ大體其ノ儘デ宜シカラウト
思フ、ソレカラ移出商人、是モ內地人四
軒、其ノ他二十二軒トカ承知シテ居リマ
スガ、其ノ問題ト、ソレカラ臺北ニアル正
米市場ト其ノ他運輸業者、是等ノ問題ニ付
テノ御說明ガゴザイマシタガ、正米市場ニ
對シテノ取扱ヲドウスルカト云フコトニ付
テハ、差當リ明年度豫算ニ於テ調査會ヲ設
ケル
〔委員長退席、岡野委員長代理著席〕
調査會ニ依ツテ補償スルカシナイカト云フ
コトヲ決メル、斯ウ云フヤウナ御話ノヤウニ
伺ツタト思ヒマスガ、ソコデ私ノ今申上ゲタ
コトガ御答辯ノ中ニアツタカドウカト云フ
コトト、更ニ調査會ニ於テ調査ヲ遂ゲラレ
ヨウトスルノハ、臺北ノ正米市場バカリデ
ナク、移出商人二十六軒ニ對シテモ補償
スルカシナイカト云フコトヲ調査スルト云
フ御趣旨デアツタカドウカト云フコト、及
ビ若シ補償スルト云フコトニナリマスト、
今內地デ問題ニナツテ居ル、マダ提案ヲ見
テ居リマセヌケレドモ、米穀會社關係ノ問
題トハ、是ハ餘程密接ナル關係ガアル問題ダ
ト思ヒマストガ、ソレニ對シテモ彼此レ考
慮シテ決メルト云フノデアリマシテ、今マ
デ傳ヘラレテ居ル所ニ依リマスト、內地ハ
非賠償主義ト云フコトニ落着キサウダ、若
シ臺灣ダケガ、賠償スルト云フコトニナル
ト、ソコニ非常ニ公平ヲ失スルコトニナル
ノデアリマスガ、其ノ點ニ付テハ、先程調
査會ヲ設ケテ調ベルト仰シヤツタカラニ
ハ、ソレデ宜イヤウニ思ハレマスガ、其ノ
點ニ關シ深キ慮リノアル所ヲ承知致ス必要
ガアルト存ジマシテ、重ネテ御伺スル次第
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/76
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077・田端幸三郎
○田端政府委員 今御話ノアリマシタ土壟
間、運輸業者、正米市場關係、移出業者、是
ハ皆米管案實施ニ依リマシテ多少トモ影響
ノアルモノデアリマス、大體土壟間ニ付キ
マシテハ從前通リ營業ヲ繼續シテ行キ得ル
ト云フコトデ、是ハマア大體心配ハナイト
思ツテ居リマス、ソレカラ運送業者、是モ
大體從前通リノ者ヲ使ツテ行クト云フコト
ニ行キタイト思ヒマス、是亦影響ガナイト
言ヘルダラウト思ヒマス、影響ノアリマス
ノハ移出業者、ソレカラ正米市場デアリマ
ス、移出業者ニ付キマシテハ、今囘出來ン
トシテ居リマス米穀會社ノ株主トシテ考慮
シテヤラウト云フコトデ進ンデ居ル譯デア
リマスガ、ソレダケデ、ソレ以上ノ補償ヲ
スル必要ガアルカナイカ、又アルトスレバ
ドノ位ノ程度ノ補償ヲ要スルカト云フ問題、
又正米市場ニ付キマシテハ、是ハ營業ヲ禁
止スル譯デハアリマセヌガ米管案ヲ實施ス
ルコトニ依ツテ殆ド休業狀態ニナラウト思
ヒマス、卽チ廢業シナケレバナラヌト云ツ
タヤウナ情勢ニ立至ルト思ヒマス、ソレニ
對シマシテモヤハリ補償ヲ要スルカドウ
カ、要スルトスレバドノ位ノ補償ヲ要スル
カト云フコトヲ調査考慮スルノデアリマシ
テ、殊ニ正米市場ニ關シマシテハ、只今御
話ノ內地ノ米穀會社關係者ニ對スル方針其
ノ他モ篤ト考慮致シマシテ、今後各方面ノ
方々ヲ委員ニ煩シテ愼重ニ調査ヲ進メタ
イ、斯ウ云フヤウニ考ヘテ居ル次第デアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/77
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078・石坂繁
○石坂委員 能ク諒承致シマシタ、ソコデ
本案ノ實施ニ依リマシテ、當局ハドウ云フ
效果ヲ擧ゲ得ルカト云フコトニ付キマシテ
ハ先般戴キマシタ臺灣米穀移出管理案〓
要、二十二頁以下ニ其ノ事ヲ要約シテ認メ
テアルヤウデアリマス、殊ニ其ノ二十三頁
ニ左ノ如クデアルト書イテ、米價ノ安定以
下六項目ヲ列擧致シテアリマス、ソコデ私
共ハ若シ是ガ愈、實施サレル運ビニナリマシ
タ時ニ、斯ノ如キ效果ノ擧ルコトヲ勿論熱
望致シ、期待致シテ居ルノデアリマスルガ、
是ダケノ各方面ニ亙ル極メテ有益ナル效果
ヲ臺灣農民乃至臺灣全島ニ招來致ス爲ニ
ハ、餘程當局ノ銳意熱心ナル御努力ガナケ
レバナラヌコトハ勿論デアリマシテ、先般
其ノ點ニ付テハ官民一致ノ努力ト云フコト
ヲ何レノ時カ言ハレタヤウデアリマスシ、
其ノ點バ私ハ能ク諒解致スノデアリマス、
而モ其ノ銳意熱心ナル努力ノ基礎トナルベ
キ、本案實施ニ當ツテノ今後ノ施設ト云フ
モノガ極メテ大切デナケレバナラヌト考へ
マス、其ノ點ニ付キマシテモ、其ノ次ノ第
二十四頁デアリマスガ、ソレノ中程ニ列擧
致シテアルヤウデアリマス、簡單ニ其ノ事
ヲ申上ゲマスト、糖業ノ統制强化、小作制
度ノ改善、肥料配給ノ合理化、農事試驗機
關ノ擴充、農業金融ノ調整、斯ウ云フヤウ
ナ各般ノ施設ヲ、或ハ直チニ實行ニ移スベ
キモノ、或ハ今後速ニ〓究ヲ遂ゲテ實現ヲ
圖ルベキモノアリ、斯樣ニ當局ハ今後ノ將
來ノ御計畫ニ付テ此ノ中ニ記ツテアルヤウ
デアリマス、私ヲシテ言ハシムレバ、斯ノ
如キ列擧サレマシタ所ノ各項目、斯樣ナ施
設ト云フモノガ今後直チニ實行ニ移スベキ
モノ、或ハ速ニ〓究ヲ進メテ實現ヲ圖ルベ
キモノト云フコトハ、遠慮ナシニ申上ゲル
コトヲ御許シ下サルナラバ、少シ緩慢デハ
ナカラナカト斯樣ニ考ヘマス、私ハ斯ノ如
キ重要ナル管理案ヲ提出致シマスルナラ
バ、先ヅソレト同時ニ不可分的ニチヤント
是等ノ計畫ハ樹ツテ居ツテ、サウシテ此
ノ通リヤルノダト云フコトヲ、項目ダケデ
ナシニ具體的ノ方策ノ御示シヲ願ヒタカツ
タノデアリマス、此ノ列擧サレマシタ中デ、
殊ニ私ガ最モ重要ト考ヘマスノハ、糖業ノ
統制强化ト云フ問題デアリマス、先程申上
ゲマスヤウニ、私ハ本案ノ御提案ト同時
ニ是等ノ具體的ノモノヲチヤント揃ヘテ
吾々ニ御示シヲ願ヒタカツタノデアリマス、
ソコデ最モ私ノ重要ナリト考ヘル此ノ糖業
ノ統制强化デアリマスガ、之ニ對シマシテ
ハ、先程カラ屢〓援用致シテ居リマス昨年
六月八日ノ總督ノ談話ノ中ニモ、此ノ事ニ
付テ御辯明ノヤウナ御趣旨ノアルコトハ、
當局既ニ御承知ノ通リ、本案ハ米價ヲ低減
サス結果、製糖業者ノ甘蔗買收價格ヲ引下
ゲル機會ヲ與ヘル、隨テ其ノ結果業者ガ不
當ノ利益ヲ得ルヤウナ風ニ考ヘテ居ル者ガ
アルガ、斷ジテサウ云フモノデハナイ、若
シ現實ニサウ云フ反射的ノ影響ガ出テ來ル
ナラバ、ソレニ對シマシテハ、サウ云フ事
態ガ發生スルコトガアツタ場合ニハ別途ノ
方法ヲ講ズル用意ガアルト述ベラレテ居リ
マス、尙ホ此ノ臺灣重要產業調査委員會ノ
答申ノ附記第三ニ於キマシテ、臺灣ノ農業
ガ米糖產業ヲ根幹トスル現狀ニ鑑ミテ、本
管理制度ノ實施ニ伴ヒ、糖業ニ對シテモ適
當ニ之ヲ統制スルノ要アリ、斯ウ云フ風ニ
委員會ガ特ニ附記ノ中ニ述ベテアリマスル
コトハ、私ハ至極尤モナコトダト考ヘルノ
デアリマス、世間動モスルト本案ノ實施ヲ
以テ、小林總督ノ談話ノ中ニモ觸レテ居ラ
ルル如クニ、糖業者ヲ保護スル爲ノモノナ
リト言フ者ナキニシモアラズデアリマスカ
ラ、此ノ點ニ付キマシテハ、當局ハ本案實
施ニ付テ特ニ用意ノ存スル所ガナケレバナ
ラヌノデアリマス、此ノ點ハ極メテ重要ナ
問題デアルト思ヒマスルガ、之ニ付キマシ
テ先程川崎君モ此ノ點ニ觸レラレマシタ、
極メテ適切ナル御質問ガアリマシテ、ソレ
ニ對シマシテ田端政府委員カラ、マダ未定
稿ラシイ案ノヤウニハ拜承致シマシタケレ
ドモ、極メテ詳細ナル御答辯ガアツタコト
ヲ私ハ非常ニ多トスルノデアリマス、ソコ
デ私ノ此ノ點ニ對シテ御尋シヨウト思ヒマ
シタコトハ、大體川崎君ノ質疑應答デ濟ン
デ居リマスルガ、本案實施ニ依ツテ差當リ
甘蔗買收價格ガドノ位ノ程度ニナルカト云
フ具體的ノ一點、米ノ方ハ二圓ダケ利鞘
ヲ取ラウト云フ此ノ計畫、而シテ甘蔗買收
價格ハ、是モ資料トシテ戴キマシタ中ニ
ハ、昭和十年カラ十一年期ノ生產ハ千斤
ニ付テ原料代二圓六十八錢九厘、割增金六
十二錢六厘、奬勵補助金七十九錢八厘、合
計四圓十一錢三厘、ソレガ昭和十一年カラ
十二年ノ生產ハ合計致シマシテ四圓四十九
錢九厘、斯ウ云フ風ニ相成ツテ居ルヤウデ
アリマス、是ガ愈〓昭和十四年ノ二期米カラ
管理案ヲ實施スルト致シマシテ、此ノ數字
ガドノ程度ニ影響スルダラウカト云フ其ノ
點デアリマス、此ノ具體的ノコトヲ承リタ
イデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/78
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079・田端幸三郎
○田端政府委員 御答致シマス、今御讀上
ニナリマシタモノハ、主ニ實績ダラウト思
ヒマス、ソレデ今度具體的ニ實施スルトシ
テ、買上價格ノ決定ヲドウスルカト云フ御
質問デスナ-ソレハ大體下ゲナイデ行キ
タイ、言換ヘレバ、引下ゲル直前ノ引下ゲ
ナイ當時ノ米價ヲ押ヘテ、ソレヲ大體買上
價格ノ標準ニシタイ、斯ウ云フ方針デ進ミ
タイト思ツテ居リマス、尙ホ米管案實施ト
共ニ、糖業トカ或ハ小作制度ノ改善、肥料
配給ノ合理化、農事試驗場ノ擴充、農業金
融ノ助成、是等ハ實ハ疾クニヤツテ居ル譯
デアリマス、相當活動モシ、又監督ヲ致シマ
シテ、ソレ〓〓機能ヲ發揮シテ居ル譯デアリ
マシ、尙ホ一層兩々相俟ツテ其ノ效果ヲ期
シテ行キタイト云フコトデ玆ニ書イテ居ル
譯デアリマスルガ、糖業ノ統制强化ニ付キ
マシテハ、大體糖業令デ行キタイ、斯ウ云
フコトデ今銳意立案調査中デアリマス、是
ハ米管案實施ト共ニ實施シ得ルヤウニ極力
進行ヲ圖リタイト思ツテ居リマス、ソレカ
ラ小作爭議ニ付キマシテハ、差當リ今業佃
協調ト臺灣デ申シテ居リマスガ、地主ト小
作トヲ爭議等ニ至ラナイヤウニヤツテ行カ
ウト云フ爲ニ來年度ニ於テハ其ノ指導官ノ
數ヲ更ニ殖シマシテ、銳意ソレニ當ラシメ
ル、其ノ成行情勢カラ言ツテ、ドウシテモ
之ヲ立法化シナケレバナラヌト云フヤウナ
トキニハ、ソレヲ立法化シテ行カウ、ソレ
モソレ〓〓〓調査ヲ進メテ居ル譯デアリマ
ス、ソレカラ肥料ノ合理化ニ付キマシテハ、
是ハ現實ニ始メテ居リマス、臺灣ハ御承知ノ
通リ農會ガ相當農業方面ノ助長機關トシテ
活動シテ居ル譯デアリマス、ソレニ取纏メ
サセマシテ、成ベク其ノ地方々々ノ作物ニ
適シタ施肥ヲスルヤウニ調製致シマシテ、
ソレヲ配給シテ居リマス、今各種農會ガヤ
ツテ居リマス、是モ尙ホ一層全島ニ亙ツテ
一律一體ニ、或ル統制ノ下ニ强化シタイト
考ヘテ居ル次第デアリマス、ソレカラ農事
試驗場モ相當充實シテ參ツテ居リマスルガ、
何分內地等ニ比ベマスレバ尙ホ幼稚デアリ、
又今後一層農業其ノモノモ立體的ニ、集約
的ニ進マナケレバナラヌ譯デアリマスノデ、
是ハ手溫イト仰シヤラレレバ洵ニ面目次第
モナイノデアリマスルガ、臺灣ノ民度、農
業ノ實情其ノ他カラ申シマシテ、相當努力
シテ居ル積リデアリマス、出來得ル限リ早
ク進展ヲ遂ゲルヤウニ致シタイト思ツテ居
ル譯デアリマス、農業金融機關ニ付キマシ
テモ、是モ各產業組合等ガ相當發達致シテ
居リマシテ、農村金融ニ資シテ居リマスル
ガ、一層產業組合法自身モ內容ニ檢討ヲ加
ヘ、最モ臺灣ニ適シタ組織ニ、必要アレバ
改メテ行カウデハナイカト云フコトデ、是
レ亦立案ヲ急イデ居ルヤウナ次第デアリマ
シテ、出來ル限リ早ク是等ノモノガ實現ニ
至ルヤウニ致シタイト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/79
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080・石坂繁
○石坂委員 只今ノ各問題ニ付テノ御答辯
ハヨク諒承致シマシタ、最後ニ私ハ尙ホ一
點長官ニ御伺致シタイト思ヒマスルガ、此
ノ案ハ非常ニ重要ナ案デアルコトハ申上ゲ
ルマデモナイコトデアリマス、同時ニ其ノ
影響スル所モ極メテ大キイノデアリマス、
現在ニ於キマシテ色々ノ點カラ反對論無キ
ニシモアラズト思ヒマス、此ノ際ニ當ツテ
最モ注意シナケレバナラヌコトハ、是ガ臺
灣統治ノ上ニドウ云フ影響ヲ及ボスカト云
フ點デアリマス、直接ノ問題ハ米價ノ安ク
ナルト云フコトガ、農業方面ニ關スル影響
デアリマスルガ、延イテソレガ臺灣統治ノ
上ニ、大キナ影響ヲ及ボスノデハナイカ、
斯樣考ヘルノデアリマス、先般本會議以來
臺灣統治ニ關スル一視同仁、或ハ內臺一如ト
云フヤウナ點ニ付キマシテ、熱烈ナル御意
見ガ他ノ同僚各位ニ依ツテ吐露サレテ居ル
ノデアリマス、ソコデ私ハ此ノ點ニ付テハ、
若シ是ガ實施サレルヤウニナルト致シマス
レイン總督初メ局ニ當ラレル人ハ餘程熱誠
ヲ以テ、而モ注意深クヤツテ戴カナケレバ
ナラヌト思フノデアリマス、一面臺灣ノ農
民ハ內地ニ比較致シマシテ、其ノ知識ノ程
度ナリ何ナリ自ラ高低ガアルノデアラウ
ト思フ、ソコデ私ハ此ノ際臺灣農民全部ニ、
本案ノ實施ハ決シテオ前達ヲ壓迫スルモノ
デハナイ、オ前達ノ經濟ヲ惡クスルモノデ
ハナイ、結局ニ於テオ前達ノ經濟ヲ向上サ
セ、オ前達ノ生活ヲ安定シ、內臺一如ノ御
趣旨ニ副フモノデアルト云フコトヲ、十分
ニ徹底サセテ戴ク必要ガアル、斯樣ニ考ヘ
ルノデアリマスルガ、徹底サセル方法ニ付
キマシテモ、旣ニ十分ノ御腹案ガアルデアラ
ウトハ想像致シマスガ、其ノ臺灣農民及ビ臺
灣人ニ對シテ、本案實施ノ必要ト其ノ効果
ガ、オ前達ノ爲ダト云フヤウナコトヲ徹底
サセル、卽チ言葉ヲ換ヘテ申シマスルト、
此ノ實施ノ結果ニ悅服サセルト云フコトニ
付テ、如何ナル方法ヲ執ラウトサレルノデ
アルカ、其ノ點ニ付テ最後ニ長官ノ御意見
ヲ承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/80
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081・森岡二朗
○森岡政府委員 本案實施ニ付キマシテハ、
臺灣統治ノ上ニ於テ、又人心ノ上ニ於キマ
シテ特ニ注意ヲ要スルコトハ、只今御說ノ
通リデアリマシテ、私共本案ヲ立案致シマ
スニ付キマシテモ、其ノ點ニ於テ深ク考慮
ヲ拂ツタ次第デアリマス、種々考究致シマ
シタ結果、本案ハ本島人殊ニ農民ノ上ニ、
決シテ不利益デナイト云フコトガ徹底致シ
マスコトニ依リマシテ、始メテ農民モ安心
シ、且ツ此ノ案ノ遂行ニ協力シ得ルト云フ
コトデアリマス爲ニ、其ノ方面ニハ力ヲ致
スコトニシタノデアリマスルガ、御承知ノ
如ク本案ハ昨日カモ申上ゲマシタ如ク、單
ニ經濟的立場カラ見タダケデナクシテ、農
民ノ永遠ノ福利增進ヲ圖リ、且ツ又場合ニ
依リマシテ米價ガ著シク低下致シタ場合ニ
於テ、其ノ生產費ヲ補償スルト云フ道義的
觀念カラ出テ居ル譯デアリマスノデ、隨テ
假ニ一時反對ヲ致ス者アリト致シマシテモ、
此ノ案ノ實施ノ趣旨ヲ了解シ得ルナラバ、
是ハ誤解カラ來タ反對デアリマシテ、必
ズ本案ニ對スル諒承ヲ得ルコトト確信致
シマシタノデアリマス、而シテ本案ノ立案
ガ完了致シマシテ以來、各地方廳ヲ通ジテ
十分ニ本案ノ徹底ヲ期スルヤウニ致シマシ
タ、一面一般島民、殊ニ農民ニ最モ分リ易イ
ヤウナ解說的ノ「パンフレット」ヲ作リマシ
テ、十分ニ了解セシメルヤウニ全島ニ配布
シ、又機會アル每ニ部落振興會等ニ於キマ
シテモ、出來得ル限リ本案ノ內容ヲ說明スル
コトヲ旣ニ致シテ參ツタノデアリマス、隨
テ今日マデ私共直接之ニ依ツテ不安動搖ト
云フヤウナコトハ、耳ニ致シテ居リマセヌ、
唯愈〓實施スルト云フコトニナリマシタ場
合ニ於キマシテ、或ハサウ云フ風ナコトガ
アルコトヲ恐レマス爲ニ、只今御話ノ如ク
局ニ當ル者ト致シマシテハ、最モ愼重ニ、
愼重ヲ加ヘマシテ、本案ガ本島民、特ニ農
民ノ永遠ノ福利增進ニナルト云フコトヲ徹
底致サセマシテ、又此ノ時局ニ際シテ、臺
灣島民ニ課セラレタル使命ヲ遂行スルコト
ニ依ツテ、日本國民トシテノ至誠ヲ發露セ
シムルノデアルト云フコトヲ諒解セシメマ
シテ、十分ニ此ノ案ノ遂行ニ愼重ヲ期シ、
誤リナキヲ期シタイト存ジテ居ル次第デア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/81
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082・岡野龍一
○岡野委員長代理 石坂君、質問ハモウ濟
ミマシタカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/82
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083・石坂繁
○石坂委員 モウ濟ミマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/83
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084・岡野龍一
○岡野委員長代理 此ノ際一言致シマス、
本委員會ハ本日ヲ以テ囘ヲ重ネルコト五囘
デアリマス、熱心ニ質疑應答ガ行ハレタノデ
アリマスガ、尙ホ重大問題デアリマス爲ニ、
アト八人ノ質問通告者ガアリマス、就キマ
シテハ政府當局ニ於カレマシテモ、例ヘバ
農林關係デ出席セラレナイト云フ關係ノ爲
二、自然質問ガ保留セラレルト云フ場合モ
アルノデアリマス、サウ云フ點ニ付キマシ
テハ、私ノ方デ政府當局ニ反省ヲ促スコト
ニ致シマス、又委員諸君モ其ノ御含ミデ、
成ベク一層御勉强ヲ願フヤウニ御願シテ置
キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/84
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085・高田耘平
○高田委員 私ノ御願シマシタ色々ノ調査
書類デスガ、アレガ出來マセヌト、私ハ質
疑出來ナイノデス、サウシテソレヲ見タバ
カリデハイカヌノデ、私多少臺灣ニ關スル
色々ノ調査資料ヲ持ツテ居リマスカラ、ソ
レト比較對照シテ質疑ヲスルノデ、持ツテ
來タラ直グソレデ質疑スルノデハナイノデ
アリマス、成ベク早ク御提出ヲ願ヒタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/85
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086・岡野龍一
○岡野委員長代理 高田委員ノ申出ハ、委
員長ヨリ政府ニ申傳ヘテ、成ベク御希望ニ
副フヤウニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/86
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087・小田榮
○小田委員 私カラ御賴ミヲシテアル資料
ハ、一部分戴イテアリマスガ、製糖會社ノ
內容ニ付テノモノ、或ハ土地ノ拂下ニ關ス
ルモノ等ヲマダ戴イテ居リマセヌ、私ノ質
問致シマスマデニ、入手出來ルヤウニ御願
致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/87
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088・岡野龍一
○岡野委員長代理 諒承致シマシタ、明日
ハ政府當局ニ於キマシテ、貴族院ノ方ニ出
ラレマスル關係デ、ドウシテモ時間ノ都合
ガ付キマセヌカラ、次會ハ明後三日午前十
時ヨリ開會スルコトニ致シマシテ、本日ハ
是ニテ散會致シマス
午後四時五十二分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007412474X01419390301/88
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